衆議院

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第16号 令和6年5月22日(水曜日)

会議録本文へ
令和六年五月二十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君

   理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君

   理事 荒井  優君 理事 山岡 達丸君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      畦元 将吾君    井原  巧君

      石井  拓君    上田 英俊君

      加藤 竜祥君    神田 憲次君

      木村 次郎君    国光あやの君

      斎藤 洋明君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    高木  啓君

      冨樫 博之君    中川 貴元君

      福田 達夫君    細田 健一君

      堀井  学君    宮内 秀樹君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      吉田 真次君    和田 義明君

      若林 健太君    大島  敦君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      重徳 和彦君    田嶋  要君

      山崎  誠君    市村浩一郎君

      小野 泰輔君    山本 剛正君

      吉田 宣弘君    笠井  亮君

      鈴木 義弘君

    …………………………………

   国務大臣         自見はなこ君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   文部科学副大臣      あべ 俊子君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル市場競争本部事務局次長)    成田 達治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       山田 好孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       塚田 益徳君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      岩成 博夫君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 西泉 彰雄君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局次長) 野村 栄悟君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     上田 英俊君

  細田 健一君     斎藤 洋明君

  山際大志郎君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     大岡 敏孝君

  斎藤 洋明君     細田 健一君

  高木  啓君     畦元 将吾君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     木村 次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル市場競争本部事務局次長成田達治さん、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官山田好孝さん、内閣官房内閣審議官中溝和孝さん、公正取引委員会事務総局官房審議官塚田益徳さん、公正取引委員会事務総局経済取引局長岩成博夫さん、個人情報保護委員会事務局審議官山澄克さん、こども家庭庁長官官房審議官高橋宏治さん、総務省大臣官房審議官西泉彰雄さん、総務省国際戦略局次長野村栄悟さん、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦さん、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行さん、文部科学省大臣官房審議官淵上孝さん及び経済産業省大臣官房審議官西村秀隆さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井原巧さん。

井原委員 皆さん、おはようございます。自民党の井原でございます。

 私の立場は、ITといいましても年代的に少し上を行っているので、一部IT弱者なんだろうと思いますけれども、ITは皆さん方に本当に密着しているものでありますので、IT弱者の皆さんにも分かるように質疑を進めてまいりたいと思いますので、丁寧な御答弁のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず初めに、総論ということになりますが、我が国のスマートフォン利用の市場においての問題点、抱えているデメリットについて、改めて伺いたいと思います。

 今法律案についてでありますが、スマートフォンの急速な普及により、今やそれが国民生活とか経済の基盤となっており、必要不可欠なツールになっているということはもう言うまでもないと思います。

 本法律案提出の経緯としては、モバイルOS、アプリストア、ブラウザー、検索エンジン、これを称して、今回、特定ソフトウェアとしておりますが、その市場が特定少数の有力な事業者による寡占状態にある、これによって、これら当該事業者の囲い込みとも言える競争制限的な行為によって、公正かつ自由な競争が妨げられている、こういう現状として、一方で、モバイルOSもアプリストアも一体で持っているだけに、新規参入等の市場機能による自発的な是正は困難であるというふうな見解でございます。

 そういうことで、今回の本法律案提出に至る現状認識を説明され、加えて、それでは独禁法でということになると、個別事案に即した事後措置による対応では立証活動に長時間を要するとの課題から、特定ソフトウェアについて、セキュリティーやプライバシー等を確保しつつ、競争性を促進することでイノベーションを活性化し、もって利用者がその恩恵を享受できるようその環境整備をしよう、これが本案の中身ということになっております。

 そこで、まずお伺いするわけですが、法律案というのは大体堅い文章なんですね。だから、国民の皆様にもなかなかこれは分かりづらいところがあろうと思います。本法律案がなぜ必要なのか、伝わりにくいかと思うわけでありますが、私自身も、法律案そのものを読むだけではなかなか正直分かりませんでした。レクを受けて、なるほどなと理解ができたわけであります。国民も、特定のソフトウェアと言われても、何だというふうになると思うわけでございます。

 そこで、国民に密着をしているツールに関わる法律だけに、まずは皆様に分かるように、この市場において、国民にとって現状どんなデメリットが果たして出ているのか、幾つか具体的に例示をしていただき、この法律案の必要性に理解を求めていくべきと考えておりますので、まず、具体的なデメリットの例示を挙げていただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、公正取引委員会が行ったモバイルOS等に関する実態調査、それから、内閣官房で行われたモバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告によりますと、スマートフォンの利用に特に必要なモバイルOSでありますとかアプリストア等の特定ソフトウェアでございますが、特定少数の有力な事業者による寡占状態となっている、それで様々な競争上の問題が生じていることが確認もされております。

 具体的には、例えば、アップル社のモバイルOSでは、他の事業者がアプリストアを提供することができない、アプリストア間の競争が働いていないという問題がございます。それから、グーグル社の検索エンジンを用いた検索サービスに関しましては、自社が提供するサービスを検索結果画面の最上部に表示するなど優先的に取り扱う場合には、当該サービスと競争関係にあるサービスの提供を妨げ、競争環境がゆがめられるという問題がございます。

 本法案では、これらの問題に対応するための規制を設けることによりまして、公正かつ自由な競争を確保し、ユーザーにとっての選択肢の確保でありますとか低廉なサービスの享受といったメリットが提供されることを目指しているところでございます。

井原委員 ありがとうございます。

 やはり、ユーザーにとって選択肢が広がるとか、その結果、低廉なサービスを享受できる、こういうことをユーザーの方は求めていると思いますので、そのことが進むような実効性のある法律であれば、このように思っております。

 次に、本法律案に関しまして、私も少し気になるところなんですが、競争性のある世界というのは非常に重要であろうとも思います。同時に、その中で、青少年の保護の観点からの取組について、これは大臣にお伺いしたいと思います。

 ほぼ一〇〇%に近い国民が利用しているわけです。競争性をより高めて、安価にサービスを提供する、この法律案については、公正取引の観点からもまさに時宜を得た法律案とは私も存じておりますが、同時に、その安全性についても、競争がその安全性に不安や混乱をもたらしてはいけない、こう思うわけでもあります。

 私のようなIT弱者にしてみれば、よくも悪くも、今は、ほぼ二社のモバイルのOSのうち、どちらを選んでも大丈夫、多分安心だろう、正直、私はそう思っているんですね。失敗しないだろう、こんな思いがあります。アプリストアについても同様なんです。この選択肢が増えることは、それを消化して、理解できて、活用できる方にはいいわけでありますけれども、私などは、選択肢が増え過ぎると、果たしてどれを選べば大丈夫なのかなとか、混乱と不安がよぎったりするのも正直なところであります。

 そこで、青少年の健全育成の視点に立った安全、安心性についてどのように考えられているか、伺っていきたいと思います。

 自見大臣は、我が党の中でも子供政策には大変御熱心に取り組んでおられましたし、特にこども家庭庁の設置には大きな役割を果たされました。そこで、所管ではない部分もおありかと存じますが、本法律案は、先ほど申し上げましたように、子供たちにもすごく密着しているスマートフォンへの法律案ということで、関連づけて是非お伺いしたいと思うんです。

 現在、私自身も、党の文科政策の担当をさせていただいて、青少年の健全育成調査会の事務局長もさせていただいて、子供に関わる施策に触れる機会が非常に多いわけです。様々な議論の中で、もはや子供たちは当たり前に、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、テレビ等、様々な機器を通じてインターネットを利用している実態の中で、その対応なしにどの政策も進まない、それが実感している現状です。

 先般、子供のインターネット利用について、実態調査のデータを見せていただきました。

 ちょっと驚いたわけですが、年々、インターネット利用者の低年齢化が進んでいて、何とゼロ歳ですよ、ゼロ歳で一五・七%が、二歳になると五八・八%が利用している。九歳になると九二・四%、ほぼ全児童が利用しているということになります。もちろん、低年齢児が自分だけでは利用できませんから、恐らく親が一緒に使っているとは思います。

 その中で、低年齢層、ゼロ歳から九歳ということですが、スマートフォン専用率は一五・九%、小学生、一年生から三年生に限れば二六・四%になっているのが実態です。恐らく親の携帯で一緒に遊んでいるんだと思うんですけれども。

 ちなみに、親の携帯で遊んでいるからこういう結果になっているんだと思うんですけれども、スマートフォン利用が低年齢化しているにもかかわらず、フィルタリング、ペアレンタルと同様ですが、フィルタリングの利用率がもう非常に低くて、全体でここ数年横ばいの四四%程度ですが、低年齢層では、今日はちょっと数字を持ってきていないんですが、三パー、四パー、五パーとか、ほとんどフィルタリングがかかっていないスマートフォンを使っている、そういう現実が出ております。これまでは、青少年保護の対象は主に中高生に、多く使うだろうということで対策の視点を置いていたわけですが、この状況を見ると、今後もっと低年齢層に視点を、そういう状況だろう、こういうふうに思うわけです。

 また、利用時間につきましても、全世代において右肩上がりで、中学生は一日二百八十二分、高校生は何と三百七十四分、六時間以上ですね、全体で二百九十七分になっております。利用の内容は、一位は勉強かと思ったら、さにあらず、一位は動画、二位はゲーム、三位は検索、四位は音楽、そしてようやく五位に勉強となっております。

 そこで、自見大臣にお伺いするわけですが、スマートフォンは今や衣食住と同様に欠かせないものになっていて、それは子供にとっても避けられない同様のツールです。ですから、一つの省庁とか、縦割りに別々の省庁がそれぞれの所管ごとにスマートフォンに関する施策を講じていては、そのはざまで青少年保護の安全性に様々なひずみも生まれかねない、こう思っております。常に省庁連携しながら、その安全性に十分な手当てを考慮しながら問題点に対処しなければならない、こう思うわけでありまして、そこで、競争性を持たせつつ、青少年の保護の観点からその視点も欠かしてはならないと存じますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、セキュリティー確保や青少年保護等が図られ、スマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境が確保されていくことは大変重要でございます。

 このような観点から、本法案においては、他のアプリストアの参入等に関して、正当化事由といたしまして、指定事業者がセキュリティーの確保や青少年保護等のために必要な措置を講ずることができることとしており、それらの措置を円滑に講ずることができるよう、法運用の基準や具体的な考え方を明確にするためのガイドラインを公正取引委員会において関係行政機関とも連携しながら策定し、公表することとしてございます。

 また、政府におきましては、スマートフォンの利用をめぐる青少年保護の在り方については、内閣府特命担当大臣、こども政策担当の下に設けられました青少年インターネット環境の整備等に関する検討会におきまして第六次計画の策定を現在進めていることと承知をしておりますが、今後、スマートフォンの利用をめぐる青少年の一層の保護の観点から更にどのような方策が考えられるのかということにつきましては、欧州におけますデジタルサービス法を始めといたします諸外国における最近の動向なども踏まえながら、関係省庁と連携をし、現状と課題を整理し、そして、こども家庭庁において法制上の対応の必要性の有無を含めて検討していくものと承知をしてございます。

井原委員 もう本当に、是非、大臣には子供も担当してほしいなと思いますけれども、欧州の例を見ながら、是非とも青少年の保護に観点を置いた法律の施行をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、国際協調について具体的にお伺いしたいと思います。

 デジタル市場は世界中で生活や経済活動の基盤となっていて、世界が連携して健全な発展につながるよう取り組む必要があります。この法案の立法作業は、その足並みをそろえるため、欧州の状況を見極めながら取り組まれた、こう伺っております。

 先行しているEUでは、二〇二三年五月、デジタル市場法が施行され、指定対象事業者の指定が行われ、今年三月には、その指定対象事業者に法遵守義務が発生し、その状況の報告書、公表が行われたようです。

 そこで、お伺いをいたします。

 我が国では、デジタル市場の中でスマートフォンについて本法律案を審議しておりますが、アップル社やグーグル社によるデジタル市場法への対応を踏まえて本法律案の条文について特に手当てしたものがあるのか、お伺いをいたします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 欧州では、本法案と同様の規制でございますデジタル市場法、先ほど御指摘いただいたデジタル市場法の本格運用が今年三月から開始されているところでございます。

 本法案では、欧州におけるアップル社やグーグル社の対応も見極めた上で、実効的な制度設計を行っているところでございます。

 具体的には、まず一つ目として、他のアプリストアの参入を認めつつ、新たな手数料を徴収することで、事実上、他のアプリストアの利用を困難にするような問題に対応できるようにするために、他の事業者がアプリストアを提供することや利用者が他のアプリストアを利用することを妨げることを禁止する旨規定しているところでございます。妨げるという言葉を使っているという点がまずございます。

 それから、二点目として、欧州では、アップル社が、モバイルOS提供事業者として、他のアプリストアから提供されるアプリの審査を行うこととしていることを踏まえまして、アプリ事業者に対する不公正な取扱いの禁止の対象にモバイルOSの提供事業者を追加するということもしているところでございます。

井原委員 ありがとうございます。

 今、妨げることとか不公正の禁止を盛り込んだということであります。今後、我々の法律も施行されて、また欧州、アメリカでも進むものと思います。常に情報を取りながら、よりよいものにしていっていただきたい、こう思います。

 次に、アメリカにおいては、司法省によるデジタルプラットフォーム事業者の提訴等の動きや、イギリスにおいては、デジタル市場の競争環境整備のための法律が審議中と伺っております。

 この法律の実効性を確保していくには、先行する、先ほど申し上げましたように、欧州等の様々なレベルでの連携、協議、連絡が必要と思いますが、今後、各国とどのように連携していくお考えなのか、お伺いいたします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、モバイルOSやアプリストア等を提供する大手デジタルプラットフォーム事業者でございますが、世界的にビジネスを展開しているというところもありまして、本法案の規制の実効性を確保するために、規制が先行する欧州を始めとする諸外国の競争当局との連携が重要というところでございます。

 これまでも、公正取引委員会におきまして、欧州や米国等の競争当局と意見交換を行うなど、緊密に連携しながら、本法案の整備に係る検討を進めてきたところでございます。

 引き続き、施行準備期間における下位法令の整備でありますとか運用の在り方の検討等、また、施行後の法運用におきましても、欧州や米国等の競争当局と緊密に連携しながら、足並みをそろえてデジタル分野における公正な競争環境の整備に取り組んでいきたいというふうに考えております。

井原委員 ありがとうございます。

 ちょっと質問の順番を変えようと思いますけれども、今日のニュースでも、EUの方がAIについての規制も標準化するということでまずはスタートしたというふうに出ておりましたが、公正取引委員会の体制について伺いたいと思うんですね。

 というのは、公取の設置目的は、そもそもは独禁法の運用のための機関であるということであります。公正取引委員会のホームページを見ると、その使命として、こう書いているんですね。イノベーションの活性化など市場経済のメリットを最大限に引き出すのが競争政策であり、社会の変化に対応したエンフォースメント、法の執行及びアドボカシーを行うことが使命だとホームページには書かれている。

 そういう中で、時代は今、目まぐるしく進展していて、まさに今、ソサエティー五・〇という言葉があるように、IoT、ロボット、AI、ビッグデータ等を取り入れていく新しい社会になっております。この法律は、まさにこの分野に関わる端緒の法律案ということでございます。

 今後、この法律を実効的に運用することが重要です。また、この分野の様々な取組が今後増えてこようかとも思うわけでありまして、専門人材の登用は、まず公取にとって大変重要なことだと考えます。また、これまで以上の関係行政機関との連携も必要だと思いますし、また、先ほどお話ありましたように、グローバルでの対応も求められてくるため、各国との連携も必要となっております。

 そこで、今後、公正取引委員会の体制の強化というのが必要不可欠になってくると思うんですが、その辺についてどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案の運用におきましては、巨大なデジタルプラットフォーム事業者を相手にすることが想定をされておりまして、また、セキュリティー等の問題を含め専門的な知見を要することから、本法案を実効的に運用していくためには、セキュリティー等の知見を有する関係行政機関との連携に加えまして、委員もおっしゃっていただきましたけれども、公正取引委員会の体制や能力の更なる強化が必要だというふうに考えてございます。

 公正取引委員会では、これまでもセキュリティー等の専門人材の登用を進めてまいりましたが、引き続き、関係各方面の御理解も得ながら、本法案を実効的に運用するために、質そして量の両面から抜本的な体制強化を進めてまいりたいと考えてございます。

井原委員 このことは本当に私も重要だと思うので、党を挙げて我々も応援していかなきゃならない分野だな、こう思っております。

 次に、アプリストアについてお伺いをしたいと思います。

 我が国のアプリストアは、現状、お話あったように、グーグルプレーとアップストアの二つの寡占状況になっている、こういうことです。

 少し話はそれるわけでありますが、経済の流通について、少し私の思いを述べさせていただきたいと思います。

 私は、以前市長を務めていたのが愛媛県の四国中央市という八万足らずの町だったんですが、市の発足以来、二十年間ずっと、紙の製造品出荷額が日本一の町なんですね。新聞用紙、印刷用紙、段ボール原紙に始まり、お札以外何でも作っているという町であります。ブランド的には、例えば、ティッシュとかトイレットペーパーだったらエリエールとかエルモアというブランドがそうですし、おむつだったらユニ・チャームというものの本社があります。

 その製紙会社の方とか紙加工会社の方々と日頃から意見交換をする機会が多いんですけれども、今よくニュースで取り上げられている価格転嫁について、よくお話を最近するわけです。

 流通にはよく、川上から川下という言葉が出てきますね。それは、物を作るメーカーが一番上の上流というか川上になります。それで、商社とか卸会社を通じて、最後は消費者に一番近い小売店のところに行くわけですね。

 その悩みとして、以前は、メーカー側、作る側が価格決定できる立場にあったと言われているんです。原材料コストを計算して、利益を乗せた適正な価格で商社に卸していた。ところが、最近はその価格決定権がメーカー側に余りないということをみんなおっしゃるんですね。僕の地元はメーカーばかりですから。

 消費者に最も近いいわゆる川下、出口というのは小売店ということになるんですが、小売店が今、再編が進んでメーカー以上に大きくなってきたのが現状としてあります。例えば、ショッピングセンターを幾つも経営している大型小売店になっていたり、あるいは、全国隅々までコンビニがあるじゃないですか、これも、しかし、大きな会社なんですね。これらがかなりのシェアを実は占めるようになってきておるので、そこに商品を置かせてもらわない限り、実は、工場のフル稼働ができない、経営が成り立たない、こういう状況に今、弱い立場にメーカーの方がなっている。

 OEMもそうですし、あるいはプライベートブランドというのも、実は、小売店側からお願いされて製造側が安価で提供する、こんなことも今起こっているわけで、今は実質、価格決定権は川下、出口に移っているというふうに聞きます。だから、これだけ円安になり製造コストが上がっても、価格転嫁が難しく、採算割れで出荷せねばならないこともあるという嘆きも聞くわけであります。

 そのこととアプリストアというのはすごく共通しているなと私は思っていまして、まさにアプリストアは、BツーCの消費者に接する川下、出口の立場であります。そこが二社でぎゅっと出口を締めていれば、当然、川上に当たるアプリ開発業者にとっては価格決定権が持ちにくい現状だというふうに思います。当然、手数料の値下げ交渉も難しくなってまいります。アプリ開発事業者が多様な販売ルートを持つ環境が活性化して、健全な発展につながり、ひいては利用者である消費者にその利益がもたらされると私は思います。

 そこで、伺います。

 実際、この法律案が成立することで、果たして、その目的の、他のアプリストアが参入されることが見込まれるのか、他のアプリストアが参入してこなければ、結局手数料の高止まり等の問題は解消されないのではないか、このように思うわけでございますが、御所見をお願いいたします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、規制が先行している欧州におきましては、複数の事業者がアプリストアへの参入を表明しております。我が国でも同様の規制を整備することによりまして、アプリストアの新規参入は十分考えられるというふうに考えております。

 本法案は、セキュリティーやプライバシーを確保しながら、信頼あるアプリストア間の競争環境の整備を図るものでございまして、アプリストアの参入を促進するための規制によりましてアプリストアの新規参入が進めば、競争が促進され、手数料の引下げ等につながることを期待しているところでございます。

井原委員 ありがとうございます。

 是非国内企業が参入できれば、こういうふうに思っております。

 次に、データの利用について伺います。

 本法律案第五条では、取得したデータの不当な使用の禁止を定めています。モバイルOSもアプリストアもブラウザーも、利用する方々のデータが蓄積されていくわけですが、懸念事項としては、そのデータ利活用について、今の寡占状態だと囲い込みができる立場にあるわけです。アプリ提供事業者のアプリから取得できるそのデータをこの二社のアプリ開発に利用されると、その優位性は明らかになる、こういう懸念もあるわけです。また、開発事業者のデータを他社に渡された結果、そもそもの開発事業者が圧迫を受けることになるのでは、こんな懸念もあるわけでございます。

 そこで伺いますが、本条の規制の内容及び趣旨並びにその実効性に期待できるのかについて伺います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 モバイルOS、それからアプリストア又はブラウザーを提供する指定事業者でございますが、個別アプリの利用状況でありますとか売上げ等のデータにつきまして、一般に公開されないものも含めて取得することができる立場にございます。

 指定事業者が、そのような非公開データにつきまして、個別アプリ事業者等のサービスと競合する自社のサービスの提供等に利用することによりまして、自社を競争上、有利な状況に置くことができる構造にございます。

 そのため、本規制では、指定事業者がモバイルOS、アプリストア又はブラウザーを通じて取得したアプリの利用状況あるいは売上げ等のデータにつきまして、他のアプリ事業者等と競合するアプリ等のサービスの提供のために使用してはならないことを規定しております。

 それから、実効性についてのお尋ねがございましたけれども、この法案の第十条におきまして、データの取得や使用の条件の開示に係る措置を義務づけているところでございます。

 そういった規定も十分活用しながら、データの不当な使用の禁止規定が実効性あるものとできるというふうに考えているところでございます。

井原委員 そのデータに関わることでもう一つ御質問いたします。

 データポータビリティーの実現について伺います。

 携帯電話がいわゆる通話が主体のガラケーだった時代、私の時代でありますが、携帯電話の事業者も数多くありました。しかし、あの頃、事業者を変えようとすると、番号を引き継げなくなるぞ、こんなときがあって、我々も買換えできなくて、市場の硬直化が言われていたわけです。

 ようやく二〇〇六年に携帯電話の番号ポータビリティーというのが始まって、事業者が変わっても同番号が引き継げるようになりました。利用者はそれぞれの事業者の値段や自分に合ったサービスを選択して事業者を選ぶようになり、市場が活性化したことを思い出すわけです。

 二〇〇八年頃から初代のiPhoneやアンドロイドが登場し、今のスマートフォンの時代に入っております。

 ところが、現在は、まさにこの二社がモバイルOSを寡占化している状態で、実質は、端末を作るメーカーもその影響下にある、こうなっているわけであります。

 そこで伺いますが、本法律案第十一条において、取得したデータの移転に係る措置が講じられておりますが、この趣旨をお伺いしたいのと、具体的にどのような措置を行い、市場の活性化に資するのか、お伺いいたします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 モバイルOS、アプリストア又はブラウザーに係る指定事業者でございますけれども、スマートフォンの利用者がそれらを利用する際に設定したパスワード、ブックマーク、取得済みのコンテンツ等のデータを取得しております。

 一方で、利用者が他の事業者のサービスに切り替える際には、これらのデータを当該利用者に提供しないことがございます。必要なデータを容易に切替え先のモバイルOS等に移転できない場合には、スイッチングコストを高め、モバイルOS等に係る競争を阻害することになります。

 そのため、本法案では、利用者がこのようなデータの提供を適時に受けるために必要な措置を講ずることを指定事業者に対して義務づける、いわゆるデータポータビリティーを実現することによりまして、モバイルOS等に係る競争を促進することを規定しているところでございます。

井原委員 ありがとうございます。

 もう時間が参りました。やはり、このスマートフォンというのはもう本当に我々に密着しているサービスだけに、もちろん、競争性を高める今回の公取委の取組というのは私も賛同するわけですが、冒頭申し上げたように、やはり競争性の中で新たなイノベーションをするという、これは非常に日本にとっては大事なこと。しかし、青少年の健全育成、やはり次代を担う子供たちを育てていくということも、これは国家百年の大計で大事なことでありますので、是非とも、その安全性等にも十分配慮しながら、大臣に施策を進めていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 前回に続きまして、引き続き質問をさせていただきます。

 スマホの特定ソフトウェアの競争の促進を促すという法律でございます。前回の質問では、具体的な、この法律でどういう競争を促進して、消費者にとっての利便がどう上がるのか等々、また、関連をする法律ということで、今、デジタルプラットフォーマーというのはやはり非常に寡占的あるいは独占的になりやすいということで、いろいろな法律があります。経産省も、透明性を向上させる法律というものもありますし、いろいろな法令との関連も含めて議論をさせていただきました。本日も引き続き、その関連する分野も含めて少し議論もさせていただければと思います。

 今回、スマホの特定ソフトウェアの競争促進ということで、消費者にとって、これは利便が上がる非常に大事なものだと思っておりますが、我々公明党も、携帯電話というのは非常に身近なものでありますから、この競争の促進そのものというのは今までずっと取り組んでまいりました。もちろん、アプリ間の競争を促進するというのも大事なんですけれども、携帯電話でいいますと、キャリア間の値段の競争の促進が、そもそもやはり値段が高止まりしているんじゃないかみたいな、そういう指摘をずっとさせていただいておりましたし、例えば、いろいろな提言をする中で、ナンバーポータビリティーであるとかSIMロックの解除であるとか、あるいは、最近であれば格安プランの導入であるとか、いろいろな競争の促進という提言を我々公明党はしてきた経緯もございます。

 このキャリアの料金に加えて、やはり端末そのものも、昨今は非常に高いというふうな御指摘もあります。例えば一番最近のiPhoneですと、一番高い、一番容量の多いモデルだと、私も調べましたら二十四万九千八百円ということで、非常に高い値段になってきているなと。もちろん円安等々の影響もあるのかもしれないんですけれども。例えば、中古端末の流通等も含めて、やはりいろいろな意味で本当に国民の皆さんの生活を支えるインフラのようなものになってきておりますから、できるだけ低廉でそして高い品質を、そういうことも含めて訴えてまいりました。

 今日は総務省に来ていただいておりまして、こうした携帯電話市場そのもの、今回、特定ソフトウェアということではあるんですけれども、携帯電話市場そのものにおける競争政策、これについての現状、そして、あるいはその評価等も含めて少し御説明いただければと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話料金につきましては、携帯電話事業者が市場競争の中で自由に決めるものとなっているために、事業者間で競争がしっかり働く環境、これを整備することが重要だというふうに考えております。

 この点につきまして、総務省としましては、これまで公明党からいただいた御提言も踏まえまして、例えば、通信料金と端末代金との分離、あるいは行き過ぎた囲い込みの禁止、携帯の番号ポータビリティーの無料化、ワンストップ化、それからSIMロック原則禁止の導入、キャリアメールの持ち運びの実現、こういった取組を進めてきたところでございます。

 この結果としまして、他国の主要都市と比べますと従来高い水準にあった携帯電話料金が国際的に比較しても遜色のないものとなるなど、政策による効果の恩恵が国民の皆様に広がりつつあるというふうに考えているところでございます。

 また、総務省としましては、現在、御指摘ありました中古端末を含む端末市場の活性化のための対策だとか、あるいは、モバイル市場の競争を一層促進させるための対策などの検討を行っているところでございまして、引き続き、事業者間で競争がしっかり働く環境の整備に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、これも、今日、総務省に来ていただいておりますので、関連分野ということで、少し最近の取組をお伺いしたいんですけれども、デジタルプラットフォーマー、特にSNSですとかこういうところについて、非常に気になる対策が偽情報の対策であります。

 これは、昨今、いろいろな、先ほども議論がありましたAI等も含めて、非常に技術が発達をしているということで、特に、生成AIなどを使うと、非常に精巧な、静止画であろうが動画であろうが、いろいろな、ディープフェイクと呼ばれるような、やはり人間の目では本物と見分けがほぼつかないようなものも非常に簡単に作れてしまうというふうなことがあります。

 EUでは、やはり、様々な、AIの対策もあります、こうした偽情報対策もしっかりやらないといけないというふうな動きも今出てきております。これは、実際に、こうしたSNSにおいていろいろな情報が拡散をすることで、やはり、その影響が非常に大きい、なかなかこれを止めることができないというふうなことがあります。もちろん、偽情報だけではなくて、こうしたSNSの対策ですと、総務省の方でも、今まで、個人の誹謗中傷の対策とか、そういうこともしてきていただいているというふうに思います。基本的には、やはり、こういうSNSも含めて、それをどう迅速に削除させるのかですとか、あるいは、何が偽情報なのかということをどう早く見つけ、どう削除させるのかという、ある意味、表現の自由との兼ね合いもあったりとか、非常に難しいいろいろな課題もあるんですけれども、しかし、待ったなしの課題ではあるかなと思っております。

 やはり、海外の事例を見ますと、例えば選挙のときでも、例えばイギリスですと、首相の動画のディープフェイクとかが、これが全くの偽情報ということで拡散をしたりであるとか、あるいは、世論調査とかで、例えば大統領の偽の音声でそういったものがかかってきたりですとか、実際にそういうことがある。しかも、EUで指摘されているのが、例えば、選挙という限られた期間のタイミングでそういうものが流通をすると、短期間でなかなか取り消せないような、非常に大きな影響も出てくる。欧州議会選もあるということで、EUはかなりこのディープフェイクの偽情報対策というのを今非常にやろうということであるというふうにも伺っております。

 こうした偽情報対策について、特にこうしたデジタルプラットフォーマーの間の対策ということで、今総務省の方でどういう検討をして、今後どう取り組むのかというのを是非お伺いできればと思います。

西泉政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信技術、サービスの普及、進展に伴い、国民生活の利便性が高まる一方、委員御指摘のように、インターネット上では、偽・誤情報の流通、拡散や、それによる社会活動への影響が顕在化しているところでございまして、強い問題意識を持って対応を進めることが必要と考えております。

 例えば、著名人や公人があたかも正式に発言したかのような動画が生成AIによって生成され、ネット上に発信、拡散される事例も発生しており、こうした状況を国民生活に対するリスクと捉え、必要な対応を行っていくことが重要であるというふうに考えております。

 今国会で御審議いただき先日成立いたしました情報流通プラットフォーム対処法では、大規模なプラットフォーム事業者に対して、削除申出窓口、手続の整備、公表、権利侵害への対処に関して十分な知識経験を有する者の選任、削除申出に対する判断、通知、削除基準の策定、公表、削除の実施状況についての評価、公表を求めることとしておりまして、偽・誤情報対策としても効果が期待できるものと考えております。

 さらに、総務省におきましては、昨年十一月にデジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会を設置いたしまして、偽・誤情報の流通、拡散への対応を含め、議論、検討を進めております。

 総務省としましては、国際的な動向も踏まえつつ、この夏頃の取りまとめに向けて、偽・誤情報の流通、拡散への対応について、表現の自由の観点とのバランスにも配慮しながら、制度面も含めた総合的な対策の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 夏に向けてということで、是非迅速に御検討いただければと思っております。

 残り五分ぐらいで、法律の方に少し戻りまして、引き続き議論したいと思うんです。

 今回、アップルとグーグルが基本的には対象になるだろうということでありますが、例えば、日本の法律で、さっき挙げました特定デジタルプラットフォーマーの取引透明化法でいいますと、デジタル広告とかも対象にしていまして、これは、要は、フェイスブックとかユーチューブとか、今回対象になるもの以外のものも取引は透明化させようということでやっている。かつ、EUのデジタル市場法では、アップル、グーグルの特定のアプリストア等以外にも、やはりこういうユーチューブですとかティックトックですとか、いろいろな、ほかのプラットフォーマーの競争も促進させようという動きもあるということであります。

 私は、基本的には、こういう状況が生じているものはやはり競争を促進させるという方向でいろいろな取組を進めた方がいいというふうに思っているんですけれども、日本のこの今回の法律での対応ということで、ちょっと今後どういうふうに取組を広げるおつもりなのかというところで、ひとつ答弁を是非お願いしたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、本法案は、スマートフォンの特定ソフトウェアを規制対象としているというところでございますけれども、欧州のデジタル市場法の方は、これに加えて、ユーチューブ等の動画共有サービスでありますとかSNSなどのサービスについても規制対象としているというところでございます。

 スマートフォンは、世帯普及率が九割を超えるなど、我が国の国民生活、経済活動における基盤として重要な役割を果たしているところでございます。

 スマートフォンの利用に特に必要なモバイルOS等の特定ソフトウェアを提供する事業者は、特定少数の有力な事業者に限定されて寡占状態となっているというところで、競争制限的な行為によって様々な競争上の問題が生じているというところでありまして、そのため、まずは、特に重要かつ様々な競争上の問題が生じているスマートフォンに係る市場における公正な競争環境を確保するために本法案を整備するというところでございます。

 デジタル市場における他のサービス、動画共有サービスでありますとかSNSなどの他のサービスにつきましても、競争上の問題が生じていないかなど、引き続き注視をしてまいりたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 一旦、引き続き注視をするということで、恐らく実態も見られながら今後検討されるということなんだろうと思います。是非お願いをしたいと思います。

 最後に、多くの方が既に指摘されておられますプライバシーや青少年保護、あるいはセキュリティーといった不安の声があるということも御指摘をさせていただきたいと思います。

 もちろんこれは個別の法律で、例えば青少年保護でしたら青少年のインターネット環境整備法とか、そもそもそれを守るための法律というのがありますので、それをしっかりやっていくということは一つあるんだろうとは思うんですけれども、今回、競争を促進をさせるという中で、そういう観点でアプリストアが独自に取組をすることが難しくなるんじゃないか、こういう御不安の声なんだろうというふうに思っております。

 確かに、ユーザー側からすると、競争を促進するといっても、こういうところも不安になるのであれば、それは不安だなというふうなことはごもっともだと思っておりまして、こうした声への対応ということで、どういう方針で臨まれるのか、最後に答弁を求めたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、セキュリティーの確保などのために指定事業者が必要な措置を講ずることができる旨の正当化事由を定めております。例えば、指定事業者が、新規参入事業者が運営するアプリストアに対して、セキュリティーの確保等の観点から一定の条件を課すことは許容されるところでございます。新規参入事業者が運営するアプリストア等におきましては、指定事業者によって設定されたこのような条件や規約を踏まえた上で、セキュリティーの確保等のために必要な対応が取られることとなります。

 また、このようなセキュリティー確保等に係る正当化事由の運用につきましては、本法案におきましても、公正取引委員会が、スマートフォンの利用に係るセキュリティーの確保、あるいはプライバシー保護、青少年の保護等に係る政策を担う関係行政機関に意見を求めることができる旨の規定などを定めているところでございます。

 公正取引委員会といたしましては、セキュリティー確保、プライバシー保護、青少年保護の問題が関係する場合には、これらの規定に基づいて、関係行政機関とも連携しながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、重徳和彦さん。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今日は、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案について質疑をしますが、冒頭からちょっと脱線しますけれども、この経済産業委員会で、前回、私は、今年三月五日に齋藤健経産大臣が立ち上げられました町の書店を振興するプロジェクトチームについて取り上げさせていただきました。これはもう、日本の国力とか、それから長期的には国家の存亡にも関わる重要なテーマだということで、問題意識を共有させていただきました。

 具体的には、既に四分の一の自治体で書店が存在しないんですね。日本人の教養の基盤である書店が消える、店舗を閉めて外商専門になるとか、こういう現象が起きています。ネット書店との非対称な競争で日本の根幹を損ねているのではないか、こういうことを申し上げました。

 藤原正彦先生という数学者の方が「本屋を守れ」という本を書いていて、それで、その中では、ネット書店ではアマゾンの気に食わない本は売らないなど思想統制につながりかねないという指摘もされています。いわば、日本人が読む本とか読むべき本をアマゾンに委ねている、こんなような状況でありますので、そういう面も否めないのではないかと私なんかは感じております。

 こういう教養こそが日本という国を守るんだという観点から、自見大臣に、子供たち、青少年への思いも含めてお答えいただければと思いますが、書物のネット販売での値引きとか無料配送、こういうことを規制するということは、小さな書店を保護して、今申し上げましたような問題を解消していくことにつながるんじゃないかと思いますが、いろいろ難しいことだということは分かった上でお聞きしますが、大臣の御見解をお願いします。

自見国務大臣 お答えいたします。

 書籍の販売をめぐりましては、ポイントによる割引や、あるいは無料配送などを通じた競争が行われているところ、競争政策の観点からは、事業者の創意工夫によって公正かつ自由な競争が促進されることは望ましいというふうに考えてございます。

 他方、諸外国においては、書店を保護するといった別の政策的な観点から、ネット書店事業者におきまして、送料無料を禁止し、消費者に対して送料の最低料金を課す法律、法令を制定している国もあるというふうに承知をしてございます。

 また、消費者庁におきましては、物流サービスには相応の費用がかかることにつき、消費者の理解が促進されるよう、送料無料などと表示する場合には、表示することについての説明責任があることも昨年の十二月に明らかにしたということも承知をしてございます。

 書店の保護をめぐりましては、経済産業省におけます書店振興プロジェクトチームでの検討のほか、様々な議論があると承知をしてございますが、仮に、我が国におきまして、書店保護に関連して、別の競争政策の目的の下、新しい制度の導入に係る議論がなされる場合には、競争政策の観点から必要な協力を公正取引委員会としては行ってまいりたいと思ってございます。

 ただ、いずれにいたしましても、独禁法一条にもございますとおり、独禁法の目的といたしましては、公正かつ自由な競争を促進するということ、また、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するということでございますので、こういった公正取引委員会が所管してございます独占禁止法の精神にのっとりまして、必要な協力を行ってまいりたいと考えてございます。

重徳委員 公取だけの所管の問題ではないと思いますので。必要な協力をしていくという御答弁をいただきました。フランスでは規制しているんですよね。やはり、文化、教養の国は、こういったことにもしっかり目を向けなきゃいけないと思っております。よろしくお願いいたします。

 さて、少し法案に入っていきますが、公正取引委員会として、アプリストアなどについて一定の競争力を求めるという趣旨だと思いますが、これに対してはいろいろな反論といいましょうか懸念の声も上がっております。アップル、グーグルの二大プラットフォーマー側の反論の中にも、消費者側の立場から、なるほどと思えるようなこともあるんですね。少しこの点について問うてまいりたいと思います。

 セキュリティーの話をお聞きしたいと思います。

 これは、アップル社側の数字として私も目にしたことのあるものとして、プラットフォーム別のマルウェア、悪意あるソフトウェアの感染の実情、実態に関する内訳として、iPhoneのiOSというのは一・七二%しかないんだ、アンドロイドはいろいろな流通経路を認めているということもあって二七%だ、その他、パソコンなんかは三九%といった、要するに、iOS、iPhoneのOSを使っているスマホは感染しにくい、こういう数字も、ノキアという会社が調べた数字として御覧になっている方も多いんじゃないかなというふうに思います。

 こういうことを見ると、今公取の方で、競争力、公正な競争だという立場はもちろん分かるんですけれども、本当に大丈夫か、こんな消費者側の声も、これはこれでうなずけると思うんですが、この点につきまして御答弁をお願いします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、データのお話がございましたけれども、プラットフォームごとにマルウェアの感染状況などのセキュリティー面について、当方では比較したデータ等は保有していないというところはございますけれども、アンドロイド等のプラットフォームにおきましてマルウェア感染率が高いという民間企業のレポート、御指摘があった点については承知をしております。

 その中で、それに関連いたしまして、セキュリティーの専門家からは、一般論としてでございますが、アンドロイド等のプラットフォームにおいてマルウェア感染率を高くしている主要な要因の一つとして、ウェブサイト経由のアプリのインストール等によって、アプリストアによる審査を経ていないアプリのインストールが可能であるということが挙げられている、そういうことがあるというふうに承知をしております。

 この点に関しまして、本法案では、セキュリティーの確保等を図るために、指定事業者に対して、ウェブサイトからアプリを直接ダウンロードすることを可能にすることまでは義務づけていないところでございます。それから、他のアプリストアの参入等に関しては、指定事業者がセキュリティーの確保等のために必要な措置を講ずることができることとしております。

 このように、本法案では、セキュリティーの確保等を図りつつ、信頼あるアプリストア間の競争を促すというものとしているところでございます。

重徳委員 一応の御説明だと思いますが、これからの成り行き、道行きに対して不安の声があるというのはよく御理解いただきたいと思います。

 その上で、セキュリティーといってもいろいろな面があるんですけれども、国家として責任を持って対処しなければならないのが、他国あるいは他国の影響下にある事業者からのサイバー攻撃、とりわけ安全保障に関わるサイバー攻撃だと思います。

 この法案では、アプリストアというところに少し絞って議論したいんですけれども、アプリストアを自社のものに限定することを原則禁止しているわけです。つまり、他社の参入を許容するということだけれども、ただしとありまして、これは法の七条ただし書ですけれども、セキュリティー、プライバシー、青少年保護等のために必要な措置であればこの限りではない、すなわち自社のものに限定するということもオーケーだ、こういうたてつけになっております。

 そこで、お尋ねいたしますが、これを具体的には政令で定めるとなっていますね、その目的を。政令で定める内容とか、その観点というものはどういうものか、そして、その中に安全保障上の懸念といった観点が含まれているのかどうかについてお尋ねいたします。

古谷政府特別補佐人 お答えを申し上げます。

 七条ただし書というところで、正当化事由のうち、「その他政令で定める目的」というのが書いてあるわけでございまして、法文自体には、サイバーセキュリティー、あるいはプライバシー、青少年保護ということで正当化事由が定められているわけですけれども、そのほかにつきましては、今後、具体的には検討することになりますが、現時点では、犯罪行為の予防といった目的を想定をしてございます。

 ただ、今後、一年半の施行準備期間もございますので、引き続き、先行する欧州等の状況も見極めながら、公正取引委員会において、専門的な知見を有する関係行政機関とも連携をしながら、検討を進めていきたいと思っております。

 委員が御指摘にありました安全保障の観点については、スマートフォンの利用に係るサイバーセキュリティーの確保ということを正当化事由として規定をすることとしておりますので、それによって、スマートフォンに係る情報の漏えいといったリスクに対しては対処をしていきたいというふうに考えております。

重徳委員 サイバーセキュリティー全般の中で安全保障というものを見るという程度で足りるのかどうかということを指摘したいと思います。

 ちなみに、確認的にお聞きしてみたいんですけれども、今、現にスマホを政府の職員の皆さんも使っておられますね。個人として使っているのももちろんですが、公用携帯なんかはどうなっているのかなと。そしてまた、特に国家機密に触れるような重要な職責にある職員とか、防衛を担当しているような職員とか、こういった方々のスマホあるいはスマホアプリの使い方について、どのようなルールがあるのかについてお聞きしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 政府におきましては、政府機関等における情報セキュリティー水準を維持向上させるための統一的な枠組みとして、サイバーセキュリティ戦略本部において、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準等を策定しておりまして、この中で、端末の導入や運用時における対策事項を規定しているものと承知をしております。

 具体的には、多様なソフトウェアを利用することにより脆弱性が存在する可能性が増大することを防止するとの観点から、端末で利用を認めるソフトウェアを定め、それ以外のソフトウェアは利用させないようにするとともに、端末に対して利用を認めるソフトウェア以外のソフトウェアを利用者が自由にインストールできない技術的な措置を講じることなどを定めておりまして、端末の導入時において必要な対策を講じることとされているものと認識をしております。

 また、国の重要な情報等の保護を図るため、平成十九年にカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針を定めまして、内閣官房内閣情報調査室に設置したカウンターインテリジェンス・センターを中核として、同基本方針に定める施策の推進に政府統一的に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、政府における情報の保全を徹底するため、同基本方針等に基づき適切に対応を行ってまいりたいと考えております。

重徳委員 今の、特に重要な情報を扱う方々についてはそのような対策でということなんですけれども、そもそも、国の職員でも、リモートワーク、在宅勤務、こういうのが当たり前になってきております。競争性を高めるという理由で、スマホのOSとかアプリストアなんかに参画する企業を増やす、この目的がある一方で、やはりスマホのセキュリティーというのは、仮に脆弱になるようなことがあれば、他国あるいは他国を背景とした事業者によるサイバー攻撃の対象になり得るという、そんな危機感というか危機意識はお持ちでしょうか。

中溝政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論としてお答え申し上げさせていただきますが、近年、システムの脆弱性を狙ったサイバー攻撃の事案は数多く発生しております。このような脅威に対するサイバーセキュリティー対策は大変重要であると認識してございます。

 内閣サイバーセキュリティセンターとしましては、スマートフォンの利用において、利用者の安全性が確保されることが重要と考えておりまして、本法案の運用に関しまして、必要に応じて、サイバーセキュリティー確保の観点から貢献してまいりたいと考えております。

重徳委員 ちょっと一般論に過ぎて、余りよく分からなかったんですけれども、もう少し具体的に聞きます。

 今回のスマホのOSあるいはアプリストア、ここに事業者の参入を想定といいましょうか、期待をされているというのが今回の法案だと思うんですけれども、どこの国のどういう企業が参入することを想定されているのでしょうか。これは、サイバー防衛の観点からもこの点を見ておられるのかについてお尋ねいたします。

古谷政府特別補佐人 御指摘の点につきましては、現時点において、具体的にどのような企業がアプリストアに参入するかについては予断ができないわけでありますけれども、先ほどNISCの方からも御説明がありましたけれども、私ども公正取引委員会としましては、正当化事由に関しまして、法の運用の基準や具体的な考え方を明確にするためのガイドラインというのを、今後、サイバーセキュリティーに関して専門的な知見を有するNISC等の関係行政機関と連携しながら策定し、公表することとしております。

 こういったことを通じまして、サイバーセキュリティー上の懸念があるようなアプリストアが参入することのないように対処をしていきたいというふうに考えているところでございます。

重徳委員 この法案の四十三条には、公正取引委員会と関係省庁がお互いに意見を言い合ってガイドラインやこの法の運用をしていくという規定もございますので、是非、今申し上げましたような観点について、公取任せにせず、安全保障を担う各省庁にはしっかりと意見を言っていただいて、万全を期していただきたいということを申し上げたいと思います。

 さて、またちょっと話題が、切り口が変わりますが、子供たちへのスマホの影響というのはこの委員会でも議論になっておりますけれども、とりわけ青少年対策、青少年だけの問題ではなくて、やはり、先ほどの書店の話もそうですけれども、長期的には国力だとか国家の存亡というと、大げさではないと思いますよ、本当にこの国の在り方そのものも変え得るような大きな影響がスマホにはあると思っております。

 そこで、資料を御覧いただきたいんですが、これは、まず、小中高生のスマホの保有率、これは自分のものとして使っている子供たちの数字を、私なりにいただいたデータから試算をいたしたものでございます。小学生、十歳以上、高学年ですね、で既に三〇・二%、中学生で七三・二%、高校生に至っては九六・七%、ほぼ全員スマホを持っている、こんな状況です。

 そしてさらに、それぞれがスマホを平日一日当たり利用している時間、これもこども家庭庁の調査ですけれども、小学校高学年、十歳以上で九十六・六分ですから、これは一時間半以上ですね。それから、中学生百六十四・六分、二時間と四十五分ぐらいですね。そして、高校生二百三十六・五分ですから、ほぼ四時間使っているということです。四時間ですよ。一日八時間ぐらい寝ますので、だから十六時間あるとして、その四分の一はスマホの時間だということであります。人生八十年のうち、二十年スマホなんですよ。ということで、これはもう、スマホは人生そのものだと言っても過言ではないと私は思っております。

 そういう中で、今日は、こども家庭庁、工藤副大臣にお越しいただいております。

 昔、テレビの見過ぎだからやめなさいとか、テレビの場合、余り有害なものを見ていても、親も一緒に見られますので、そんな露骨な、有害なものは見ていなかった。だから、そこを制限するというところまでは、いろいろと法律も定めていると思います。

 どこまで今の段階で御答弁できるか分かりませんが、私は、スマホは人生そのものなので、やはり悪いものを見ちゃ駄目というだけでは足りないんじゃないか、すなわち、スマホのコンテンツの使い方が、子供たち、そして長い人生に影響を与える以上は、これを、むしろその影響力を活用するとか、そういうところまで、国というか、いわゆる国家なのか、これは自治体なのか、あるいは学校でもそうですけれども、子供たちの育成、そして大人になってからの影響力も考えると、何かこういう、ただ悪いものを遠ざけるというだけで済まないのではないかなんということを思っておりますが、まず、導入として、工藤副大臣の御見解をお述べいただきたいと思います。

工藤副大臣 お答え申し上げます。

 重徳委員御指摘のように、子供によるスマートフォンの利用が進む中で、青少年インターネット環境整備法においては、青少年の適切なインターネット活用能力の習得や有害情報の閲覧機会の最小化等に向けて、携帯電話事業者、インターネット事業者等の民間事業者に対してフィルタリングの提供等を義務づけるとともに、政府において、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本計画を策定することとされております。

 政府では、現行の第五次基本計画に基づき、携帯電話事業者等によるフィルタリングサービスの説明義務や有効化措置義務の徹底、学校における情報通信ネットワーク等を利用するための環境整備やこれらを利用した学習活動の充実、青少年の発達段階に応じた家庭内でのスマートフォン利用に関するルール作りなど、インターネット利用を適切に管理するペアレンタルコントロールの普及啓発等を推進しております。

 こども家庭庁としては、引き続き、関係省庁と連携してこれらの取組を推進し、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の準備に努めてまいります。

 ということでありますが、今委員からの資料をいただいて驚愕しております。利用率と専用率を掛けると保有率だと思うんですけれども、この保有率の高さと、今、人生四分の一という御指摘がありました。まさに、本当にスマホなくして人生なしぐらいのことがあるんですけれども。一方では、例えば、どこでも今電車に乗ればスマートフォンを利用されていますけれども、そればかりに依存するのもいかがなものかというのもありますし、やはり学習の中で、全て検索はスマホで便利ですけれども、いろいろな面で自分で調べる能力もあると思います。

 あと、これは個人的に思うんですけれども、私も言えた義理ではありませんが、テレビの見過ぎかもしれませんが、近視であります。これだけスマホが普及するということは、近眼率というのが非常に上がる理由の一つだと考えておりますので、上手に使っていただく。そして犯罪に絶対に使われないようによく注意していく。これが大切だと考えておりますので、御指摘のことを踏まえて、省に持ち帰りましてしっかりと検討していきたいと考えております。

重徳委員 ありがとうございます。私なんか老眼で、むしろ遠視なので、スマホの字が見られなくて困っている口なんですけれどもね。

 それはさておき、でも、やはり子供たち、青少年の間は、ペアレンタルコントロール、親が子供たちの使い方を管理監督するというところがかなり大きいということで、管理下、監視下に置かれるのがスマホの使い方なんだろうと思いますが、この一日四時間というのは高校生に限った話じゃなくて、大人になっても、我々も、何時間費やすかは別として、スマホを仮になくしたらもう仕事にならないぐらいに、そういう状況なわけですから、スマホなくして人生なしというのはそのとおりであります。

 そこで、さっきの本屋の話も含めて言うと、我々が本当に読むべき本とか見るべき映画、動画、こういうものを何らかの形で推奨したり、そのことによって将来の国づくりに役立てるとか、そういうようなこともそろそろ考え始めないと、ただ、悪いものを見ちゃ駄目だよ、あとは自由、その代わり一日四時間、人生二十年間スマホを見ている、これで国がつくられていくと思うと、これはやはり少し何らかのてこ入れが必要なのではないかなと思って、どうすればいいんだろうなんて思っていたときに、ふと思い出したのが、文科省選定の映画とか、そういうのがあるじゃないですか、ああいうものって何なんだろうと。

 何となく見ていましたけれども、今回少し調べました。教育映像等審査制度というのがあって、これはもちろん申請に応じたものではあるんですけれども、文科省選定作品とか、特に優れたものについては文科省特別選定、こういうものなんですね。

 国がこれお薦めだよというのはちょっと不思議な制度だなということを昔から思ってはいましたが、こういう、例えば、いわゆる国家が薦めていくのがいいのか、さっき言いましたように、自治体なのか、学校なのか何なのかというのがあります。しかし、我々だって、この本お薦めだよと誰かに聞いて本を読んだりしますし、それから、もうちょっと言うと、何がお薦めなのかというのは、本屋さんに行ったり、それから、私が問題視している、アマゾンを見てお薦めの本が出てくるからそこから選ぼうというような話なわけなんですよね。こういったような問題意識でございます。

 この教育映像等審査制度というのはそもそもどういう趣旨、目的なのかとか、あるいは、今私が申し上げましたような問題意識からどのようにお考えなのか、今日はあべ文科副大臣にお越しいただいておりますので、御答弁をお願いします。

あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。

 委員から御紹介いただきました文部科学省の教育映像等の審査制度でございますけれども、教育に利用される映像等の教育コンテンツにつきまして、教育上の価値が高く、また学校教育や社会教育に広く利用されることが適当と認められるものを選定することを通じまして、教育に利用される映像作品等の質的向上に寄与することを目的とさせていただいているものでございます。

 選定されました作品は、各学校におきまして教材選択の参考とされるほか、文部科学省におきましても、ホームページで公表させていただいたり、広く一般に普及、推奨を図っているところでございまして、このほか、文部科学省におきましては、子供たちが様々な本に触れて、また読書に親しむ機会が増えるよう、各分野の著名人が薦めている本を紹介するところでございまして、子供の読書キャンペーンなどを実施しているところでもございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き、優れた映像作品等の普及、奨励に努めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

重徳委員 ちなみに、これはちょっと分かれば教えていただきたいんですけれども、この文科省選定とか文科省特別選定になったコンテンツを、推奨する以上は、アプリとか、何かネット上で見やすい、見てもらいやすくする、これは教育上価値が高いとか、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当なものなわけですから、皆さん見てくださいとネット上見やすいような環境に置く、そんな取組というのは何かないんですか。

 通告していませんが、何かお答えがあればお願いします。

浅野政府参考人 お答えさせていただきます。

 今、あべ副大臣の方から申し上げた教育映像等審査制度において特別選定とされた作品につきましては、文部科学省のホームページ上で公表しております。これは、スマートフォンや、若しくはGIGAスクール構想で進められております端末一人一台、こういったものを活用して、学校でも、それから自宅の方でも見ることが可能なような形になってございます。

重徳委員 それは、映像そのものを見られるんですか。タイトルが並んでいるだけじゃなくて、映像も見られますか。

浅野政府参考人 済みません、失礼いたしました。タイトルだけでございます。

重徳委員 私も一生懸命探したんですけれども、そういう、題名は分かりますけれども、だけれども、それを直接、映像を見られるわけではありません。

 現状そうなのは別に構わないんですが、今回の法案に少し絡めて言えば、このアプリストアをグーグルとアップル二社以外からも参入させる以上は、何かしらそういう、我が国のためになるような方向で参入をしていただきたいものじゃないですか、人生そのものなんですから、スマホは。そう考えますと、やはり国内の、国産のアプリストア、その開発企業、こういったものをもっと国として後押しするべきじゃないか、そういう仕組みがないものなのかということについてお尋ねいたします。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル化の進展に伴って、御指摘のアプリストアを含め、ソフトウェアは国民の生活や経済活動の多くの場面で利用されており、今後も利用が進むものと考えております。

 こうした状況の中で、経済産業省といたしましては、今後もソフトウェアを含む研究開発を促進させるべく、ソフトウェアなどの研究開発投資も対象とした研究開発税制によって、企業の研究開発の不確実性のリスクを低減する、こういった取組を行っているところでございます。

 また、政府全体で二〇二六年度末までに二百三十万人のデジタル人材を育成するという目標を掲げており、経済産業省においては、デジタルスキルに関する民間の様々な教育コンテンツを提供するポータルサイトを整備し、学びの機会を広く提供もしてございます。

 経済産業省としては、これらの取組を通じて、アプリストアを含むソフトウェア市場の活性化、優れたアプリの開発等に向けて、引き続き支援や環境の整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。

重徳委員 最後に、あべ副大臣にもう一つだけお聞きしたいと思います。

 今申し上げましたように、これは各省にまたがる非常に大きなテーマだと思うんですね。少し飛躍しますけれども、これから更に、時代はAIによって、今や、人がやっている仕事が奪われるといいましょうか、消滅していくと言われております。そういう中で子供たちの教育をどのように転換していくのかということについて、これから世の中も大変高い関心を持つようになっていくと思うんです。

 現時点におきます文科省としての、AIの登場によって、今一生懸命勉強していることが必ずしも社会で役立たなくなるかもしれない、こういうことを先取りして、じゃ、そういうふうに時代が変わっても生きていき、また仕事をやっていく、こういう観点での教育というものについてどのようにお考えかということについて、最後にお尋ねいたします。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 超スマート社会におきましては、現在の労働市場の構造、職業そのものが抜本的に変わることが、委員がおっしゃるように、予測されるところでございます。子供たちがこうした社会の変化に対応するために、他者と協働し、人間ならではの感性、創造性を発揮しつつ、新しい価値を創造する力を身につけることが一層重要になるんだと考えています。

 そのためには、初等中等教育段階から、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと同時に、協働的な学びの一体的な充実を通じまして、次代を切り開くための必要な資質と能力を育成する必要があるんだと考えているところでございます。

 また、高等教育段階におきましても、文理横断的な知識、スキル、能力、これを身につけた上で、また、その知識や技能を活用し、新たな技術や価値を発見、創造していく人材を育成していくため、個々人の可能性を最大限に伸長する教育を実践していく必要がございます。

 この点を踏まえつつ、昨年六月に閣議決定いたしました第四期の教育振興基本計画におきまして、二〇四〇年以降の社会を見据えた持続可能な社会のつくり手の育成を掲げているところでございまして、この計画に基づいて、急激な社会の変化にも柔軟に対応していける力を育成していく教育を進めてまいります。

重徳委員 という御答弁を、紙の答弁書じゃなく、タブレットを見ながら答弁されたところが、なかなかいかしているなと思いました。

 ありがとうございました。以上です。

岡本委員長 次に、小山展弘さん。

小山委員 静岡県の選出の小山展弘です。

 今日は、質問させていただければと思います。

 実は、この経産委員会でマイボトルの持込み可ということで、よく予算委員会なんかで私どもの山井筆頭理事が、お茶の産地の宇治の出身だということで、マイボトルで、そこにお茶を入れているんです。私は、ちょっと今日はペットボトルで粉茶を作って入れさせていただいているんですが。

 昨日、実は農水委員会に出張して質問の機会をいただいたんですけれども、今年の静岡のお茶が大変厳しいということで、価格低迷ということで、非常に、地元紙なんかにも一面で出ております。農水委だけでなくて、お茶は結構、加工業とかあるいは茶商などの関連する産業も裾野もあるものですから、この経産委員会にも、特に茶の製造業とか茶商の方は関係がありまして、今、この価格低迷の分析もまだまだ、一時的なものは出ておりますけれども、また一般質疑の機会があれば、そういった観点から質問もさせていただきたいと思っております。

 今日は、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案の審議ということで質問をさせていただきたいと思います。

 多くの他の先生方も御指摘されているところかもしれませんが、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関するこの今回の法律案について、現在アプリストアを提供し、そのストアの利用に当たって手数料を徴収するシェアの高い業者の方々からは、セキュリティー、プライバシー、あるいは青少年保護を行っておりまして、高額とも一部から言われている手数料はそのためのコストである、そういう主張がございます。また、本法律によって他のアプリストアの参入が可能になると、こういったセキュリティーとかプライバシー、あるいは青少年保護の観点から有害なアプリが横行するんじゃないかという懸念を示す意見もございます。

 また一方で、競争参入させてほしい、手数料をもう少し下げて開発業者さんが利益がもう少し得られるようにしたい、こういうお考えの方々からは、競争の促進によって必ずしも、今申し上げてきたセキュリティー、あるいはプライバシー、青少年保護の観点から問題のあるアプリが横行するものではないという意見も聞かれております。

 これらについて、両方の意見があるわけですけれども、政府は、どのように認識して、どのような対策を立てていらっしゃいますでしょうか。

古谷政府特別補佐人 本法案は、指定事業者が他のアプリストアの提供を妨げることを禁止するものでございまして、アプリストアの新規参入が起きて競争が促進をされ、手数料の引下げにつながることを期待をするものでございます。

 一方で、この法律の施行後も、セキュリティー確保やプライバシー保護、青少年保護等が図られることによりまして、スマートフォンの利用者にとって安全、安心な利用環境が確保されるということが重要だと考えております。

 こうした観点から、何度か答弁をいたしておりますが、本法案におきましては、セキュリティーの確保等を図るため、ウェブサイトからアプリを直接ダウンロードすることまでは義務づけないということに加えまして、他のアプリストアの参入等に関しては、指定事業者の方でセキュリティーの確保やプライバシー保護等のために必要な措置を講ずることができるというたてつけにさせていただいております。

 こうした対応を通じまして、セキュリティー確保やプライバシー保護等、スマートフォンの利用者の安心、安全な利用環境の確保を図りながら、アプリストア等の市場における競争を促進させることを通じて適切な手数料の設定が行われるような市場環境をつくっていきたいというのが趣旨でございます。

小山委員 恐らく、スマホにおいても、あるいは新たに競争参入するのに全く問題がないということはないと思うんですね。

 ただ、一方で、今、現行で、パソコンとインターネットの関係を考えてみますと、じゃ、パソコンのソフトウェアを、今、委員長からもダウンロードを直接というようなお話もありましたが、パソコンでは、これも問題がないというわけではないですけれども、どこか特定のソフトストアみたいなのがあって、そこが寡占状態にあって、その寡占状態の企業が、いや、我々がチェックをしているからそのことで問題がないんだという状態ではないわけですね。だけれども、確かに問題が起きていないわけではないですけれども、じゃ、大変懸念されるような問題がパソコンで今まで起こってきたかといえば、私はそこまでのものではないと思っていますし、いろいろな防ぐ手だてがあったと思うんですね。

 そういうことを考えますと、確かに、スマホとパソコンでは、よりスマホの方が我々の生活に密着していたり、あるいは、もし情報を抜き取られるというと、電話番号が入っていますので、そういった違いはあろうかと思いますが、それでも、基本的には、やはり競争を促進していく、その上で、問題が出ればそこに対策を打っていくということが基本的なスタンスではないかなと。スマホの世界だけ、今までの他の世界と違って競争が著しく寡占状態にあるということが、こういったセキュリティーあるいは青少年の保護、プライバシーを理由にして正当化されるというものでは私はないのではないかなと。もちろん、そこは大事な観点だと思うんですけれども、基本的にはそのように認識をいたしております。

 ただ、その一方で、この正当化事由があっても、有害なアプリ、例えば、いわゆるマルウェアとか、そういったものが増加するんじゃないか、あるいはセキュリティーやプライバシーが侵害されるリスクが高まるのではないか、青少年にとっての有害なコンテンツが増加するのではないかといったような懸念が、正当化事由の規定があってもなおそういった懸念もあるんですけれども、これについて政府はどのように認識し、また対策を立てておりますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、この法律の施行後も含めてですけれども、セキュリティー確保やプライバシー保護、青少年保護等が図られることによりまして、スマートフォンの利用者にとって安全、安心な利用環境が確保されることは重要であるというふうに考えております。

 このような観点から、これまでも答弁申し上げておりますけれども、本法案におきましては、セキュリティーの確保等を図るために、ウェブサイトからアプリを直接ダウンロードすることまでは義務づけないということにしております。また、他のアプリストアの参入等に関しましては、指定事業者がセキュリティーの確保や青少年保護等のために必要な措置を講ずることができることというふうにしております。

 こういった対応がなされることによりまして、セキュリティー、プライバシーの確保や青少年保護を図りつつ、アプリストア等の市場における競争環境を整備してまいりたいというふうに考えております。

小山委員 正当化事由についてもう少し、逆の観点から今度はお尋ねしたいと思います。

 他の事業者がアプリストアを提供することを妨げないことの例外としてこの正当化事由というものがあるわけですけれども、一方で、競争を促進していきたいという立場の方々からは、この正当化事由があることで、事実上この法案内容が、全てではないにしても、骨抜きになるような、そういう可能性があるんじゃないかという懸念を示す意見もございます。

 せっかく競争を促すことが目的の本法律案ですけれども、こういった正当化事由があることを根拠にして、もし法案の内容が少し骨抜きになってしまうようなという懸念に対しては、どのように政府としては認識し、また対策を立てておりますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、指定事業者が他の事業者によるアプリストアの提供を妨げることを禁止する一方で、セキュリティー確保等のために必要な措置であって、他の行為によってその目的を達成することが困難である場合に限って、当該措置を講ずることができるという旨を規定しております。

 公正取引委員会は、セキュリティーの確保等に係る正当化事由の考え方の明確化を図るということで、関係行政機関とも連携してガイドラインを策定することとしております。

 その上で、指定事業者がセキュリティー確保等のために必要な措置を講じた場合には、毎年度提出することが義務づけられております報告書に記載を求めるということを予定しております。

 公正取引委員会としては、ガイドラインを踏まえつつ、専門的な知見を有する関係行政機関とも連携しながら、また、これまで公正取引委員会において採用を進めてきたセキュリティー等の専門人材の有する知見を活用するなどして、指定事業者による恣意的な対応がなされないよう、指定事業者が取った措置が正当化事由に当たるか否かについては厳正に評価を行っていくことを考えているところでございます。

小山委員 是非、せっかく競争を促進するというようなことが目的、趣旨でございますので、正当化事由に当たるかどうかというところの判断もまた行政の方でしっかりやっていただきたいと思いますし、また、後ほど、関係省庁とどういう連携を図っていくかということをお尋ねしたいと思っておりますけれども、今も関係省庁間との連携というお話がありましたが、どういった省庁さんと、関係省庁の関係先ですね、連携を図っていくかということもまたその際に御答弁いただければと思っております。

 少し角度を変えまして、別の観点からお尋ねしたいと思います。

 特定の海外の寡占的企業さんによる青少年保護の基準が、特定国の文化的背景、こういったものとマッチせずに、その国の創造性を阻害することもあるのではないかといったような懸念もあります。

 例えば、よく具体例で挙げられるのは、日本のアニメとか漫画、こういったものについて、今、寡占的企業さんのチェックの中で、そこが黒く塗られたりとか、あるいは、ここは駄目よとはねられたりとか、でも、日本の中では、そこまではちょっとやり過ぎじゃないかとか、こういうのもはねられちゃうんだったらこういう表現はできないよねというような、そういうところから創造性が萎縮されてしまう、作品を作るところの意欲といったものに蓋をしてしまうというか天井を下げてしまうような、そういう懸念といったものもございます。

 ここは文化的な背景のところですので、やはりそれぞれの国でそういった価値観といったものも違うわけですけれども、こういった懸念について、新法ができることによってどのように改善されると期待しておりますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、指定事業者が他のアプリストアの提供を妨げることを禁止するものでございますけれども、これによって多様なアプリストアの新規参入が進めば、コンテンツの内容に関するものも含めて、審査基準についても多様化され得るというふうに考えているところでございます。

小山委員 なかなかここも難しいところだと思います。最近では、昭和の基準と令和の基準で違うとか、そういうドラマなんかもあったりしますし、同じ国でも時代によっては違うし、私も、以前のバラエティーの、今、よく、それこそスマートフォンなんかで過去の動画なんかが時々出ますけれども、昔は過激なバラエティーの番組があったななんていうことも思います。ただ一方で、やはり国によって基準も違いますし、そういったところから萎縮することがないようにというようなところも多分今回の法律案でプラスの面に働いていくのではないかなということも想像しております。

 あと、ちょっと余分な話だけれども、最近、令和の政治をやるんだ、昭和の政治じゃないんだみたいなことを年齢の比較的お若い議員の先生方がよくおっしゃるんですけれども、私は、どっちかというと、昭和のいいところを引き継ぐべきじゃないかなということを思っております。やはり今、失われてしまった人情味であるとか、昭和の、よく、田中角栄さんの研究会、私どもの党なんかでもありますけれども、そういう中で、逆に先人の、先輩方というのはすごいなとか、演説の迫力なんかもすごいなと思うところもありまして、そういった意味では、全部今の価値観で判断してしまうということも一種の傲慢さにならないようにしていかなきゃいけないのではないかとも思います。ちょっと話が脱線してしまったかもしれませんが。

 本法律案では、特定のソフトウェアの種類ごとに利用者の数その他の当該事業の規模を示す指標なんかで政令で定める規模以上であるものを指定事業者として指定するということになっていますけれども、政令で定める規模以上というのはどのような事業者のことを対象としておりますでしょうか。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、スマートフォンに係る経済活動において特定の事業者が強い影響力を持つという市場構造に着目いたしまして、そのような事業者に対して類型的に他の事業者を排除し又はその事業活動を抑制するような行為、こういった行為を禁止するなどの措置を講ずるものであります。その前提としまして、市場支配力を有する事業者、これを規制対象として指定することとしております。

 規制対象として指定するか否かの判断に当たりましては、特定ソフトウェアの市場構造を踏まえまして、利用者数や売上高等により一定の市場シェアとなるような数値を指定の基準として政令で定めることを想定しております。

 なお、デジタルプラットフォーム取引透明化法では、例えばアプリストアについては、年度の国内流通総額二千億円以上を指定基準としておりまして、そういった基準についても参考としながら、今後政令で定めてまいりたいと考えております。

小山委員 またセキュリティー、プライバシー、青少年保護のことをお尋ねしたいと思います。

 本法律が施行された後、なかなかすぐには難しいかもしれませんが、理論上は新規に参入する事業者が現れることも当然考えられるわけですけれども、そういった新しい、新規の事業者に対して、あるいは今までの事業者に対しても同一かもしれませんけれども、どのようなセキュリティーあるいはプライバシー、青少年保護のための対策、対応というものを政府は求めていく方針でございますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、セキュリティーの確保等のために必要な措置を講じることができる旨を定めておりまして、指定事業者が、新規参入事業者が運営する代替アプリストアに対して、セキュリティーの確保等の観点から一定の条件を課すことなどが許容されるわけでございます。新規参入事業者が運営する代替アプリストアにおきましては、指定事業者によって設定されたこのような条件や規約に即して、セキュリティーの確保等のために必要な対応が取られることとなると考えております。

 なお、アプリストアが担うべきアプリ審査等について一定の指針を示すということで、セキュリティーの専門家団体等によるガイドライン等の策定につきまして、関係行政機関や関係団体とも連携しながら検討していくこととしております。

小山委員 やはり、どこか一つの寡占的企業、民間企業が、こういったセキュリティーであったりプライバシーであったり、あるいは青少年保護の、もちろん独自の基準というのを持っていることが悪いというわけではないんですけれども、でも、それはやはり公的なところ、あるいは第三者で、営利目的の株式会社、営利目的の企業が定めるものではなくて、それが全て悪いというわけじゃないんですけれども、やはりこれは市場の論理ではなくて別の論理で、社会の論理で定めていくというのが望ましいと思います。

 私は、今のように、政府が方針、指針を示して、あるいは、一民間企業、幾ら世界的な大企業といえども民間企業の基準ということではない、政府や社会の公共の基準というものができる方がやはり望ましいと思いますので、是非、様々な関係省庁さんや、あるいは今までやってきた民間企業さんの御意見も聞きながら、よいセキュリティー、プライバシー、青少年保護のための方針というものを策定していただきたいと思います。

 先ほどちょっとお尋ねした、今回の法律案の対象としている規制分野について、様々、デジタルとか電気通信とか個人情報保護とか多岐にわたるんですけれども、どういう関係省庁とどのような連携を公正取引委員会は図っていく方針でございますか。

古谷政府特別補佐人 先ほどから議論になっております他のアプリストアの参入等に関しまして、指定事業者がセキュリティーの確保や青少年保護等のために必要な措置を講ずることができるというふうに本法ではいたしておりますが、この指定事業者がこれらの必要な措置を適切に講ずることができますように、専門的知見を有する関係行政機関とも連携をしながら、法運用の基準や具体的な考え方を明確にするためのガイドラインを策定、公表するということを申し上げてきております。

 このため、本法には第四十三条という規定がございまして、その一項と三項になろうかと思いますが、セキュリティーの確保や青少年保護等の政策を担当することから、連携することが特に必要と考えられます内閣官房、これは、具体的には国家安全保障局、それから内閣サイバーセキュリティセンターを指しますが、さらに、総務省、文部科学省、経済産業省、こども家庭庁、これらの長を条文上明示した上で、必要に応じて公正取引委員会がこれらの行政機関に意見を求めること及びこれらの行政機関からも意見を述べることができるということを規定しております。これによって、専門的な知見を有する関係省庁と連携を図っていきたいというふうに考えております。

 さらに、四十三条には二項と四項というのもございまして、この正当化事由以外にも、技術的事項に係る専門的な検討を要する場合など、関係行政機関の知見を得ながら法運用を行う場面が想定をされますので、公正取引委員会が関係行政機関に意見を求めること、それから関係行政機関が公正取引委員会に意見を述べることができること、こういう一般的な連携のための規定も置かせていただいております。

小山委員 是非、関係省庁間で連携も取っていただきながら進めていただきたいと思います。

 といいますのも、ちょっと分野は違うんですけれども、今でこそ経済安全保障というと、元大臣の小林先生もこの委員会でいらっしゃいますけれども、昔、二〇一七年頃に、経済・技術安全保障を考える議員連盟というのを衛藤征士郎先生が会長で立ち上げまして、そのとき議論になったときに、結構、経済・技術安全保障の分野、今でこそ連携が前よりも密になりましたけれども、なかなか、警察庁であったり、あるいは防衛省であったり、あるいは中核になるのは経済産業省の貿易管理部ということになろうかと思いますけれども、意外にこの連携が取れていないのではないかというようなことが指摘されたことがございました。

 デンソー事件というのが昔、ウィキペディアにも出てまいりますけれども、横領で逮捕をしましたら、実は産業スパイであったと。そのことが、警察当局やあるいは貿易管理部の中で、必ずしも情報の共有化が図られていなかったのではないかというようなことが指摘されたことがありまして、アメリカでは、CFIUSという関係省庁間の情報共有の会議体があると。当時の日本ではそういったものもなかったものですから。

 なかなか、こういったスマホの関係のセキュリティー、プライバシー、青少年保護などについても、セキュリティーの観点もありますので、こういった関係省庁間の連絡を、是非連携を密に取っていただいて、やり方はいろいろな、わざわざ会議体をつくるまでではないかもしれないですけれども、対策を進めていただきたいと思います。

 そして、これは大臣に是非お尋ねしたいんですが、本法律の施行に向けて、公正取引委員会は、人員も含めて体制強化が必要になろうかと思います。また、公正取引委員会さんは、デジタル、フリーランス、あるいは、今も話題になっております中小企業の価格転嫁、こういったことなど、近年非常に業務が多岐にわたって、また社会的な期待といったものも非常に多いと思います。

 また、それも、ただ単に人を集めて人数が多くなればいいというものでもなくて、その質といったものも非常に重要かと思いますけれども、そうはいいながらも、やはり人員を増強する必要があるんじゃないかと思っておりますけれども、本法律案の対応も含めて、政府としてどのような体制強化の取組を検討しておりますでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案の運用におきましては、巨大なデジタルプラットフォーム事業者を相手にすることが想定されてございまして、また、セキュリティー等の問題も含めまして専門的な知見を要することですので、委員の御指摘のとおりでありますが、本法案を実効的に運用していくためには、公正取引委員会の体制や能力の更なる強化が必要であると考えてございます。

 公正取引委員会では、これまでもセキュリティー等の専門的人材をデジタルアナリストとして登用を進めてまいりましたが、引き続き、関係各方面の御理解も得ながら、本法案を実効的に運用するために、質そして量の両面からでありますが、抜本的な体制強化をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

小山委員 是非、体制強化に向けて、やはり業務が多くなっているところは人員を増やして、体制を強めていくということが大事なことだと思っております。

 よく今、役所というか、これは二〇〇〇年代の初めぐらいからだと思うんですけれども、もっと前かもしれませんが、とにかく行政改革、行政改革といって人員を減らせばいいというような、むしろ行政とか公務員をたたくことで支持を集めようというような、そういう空気がずっと流れてきたと思うんですけれども、そういう中で、非常に人員が削減され過ぎて、例えば農水省なんかでも、統計の部局がなくなったり、統計が曖昧になったりとかというような、行政としてあってはならないような話も出てきたりしておりまして、やはり、必要な人員は必要な体制、特に業務量が増えているところは整備をしていくということが非常に大事なことだと思いますので、そういった、ためにする批判は恐れずに、体制強化、必要な強化というものはやっていただきたいと思っております。

 別の質問に移らせていただきたいと思います。

 寡占的事業者と言われておりますアップル社は、配信ビジネスを行っていない小規模事業者からは手数料を取っていないんだということで主張されていらっしゃいます。手数料を支払っている事業者のうち、小規模事業者というのはどの程度、どのぐらいの数いらっしゃると政府は認識しておりますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、手数料の対象となっていない事業者に関しましては、個人のエンジニアなども含まれているというふうに考えておりますけれども、デジタル市場競争会議が取りまとめたモバイル・エコシステムに関する競争評価最終報告によりますと、アップル社は、手数料を支払っているサードパーティーディベロッパーは全ディベロッパーのうちの約一四%ということ、それから、手数料を支払っているディベロッパーの大半は年間収益額が百万米ドル未満の事業者であるというふうに説明していると承知をしております。

小山委員 全てのスタートアップ事業者は、みんな小規模事業者、あるいは個人で、特にこういった情報関係のところは、個人の才能を生かしてということで、個人で立ち上げられる場合が多いと思います。そういった小規模事業者も、いずれは、今の、手数料を支払っている、百万ドル以上の、こういった、利益を拡大して事業を行っていきたい、配信ビジネスも行いたいという意欲を持って、大きくしようと思って頑張られると思うんです。

 そういった際に、大きくなって、事業をやっていくと、三〇%もの手数料を要求されるということになって、これはアプリ開発事業者の発展を阻害しているとも考えられるんですけれども、政府の認識はどのようなものでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、手数料でございますが、アップル社がアップストアを運営して、事業者に対してツールやビジネスの機会を提供する対価として位置づけられているところでございますけれども、内閣官房デジタル市場競争本部の事務局が行った事業者向けアンケートにおきましては、アップストアにおいてアプリを配信している事業者の約四割が、対価として高いと思う又はどちらかといえば高いと思うというふうに回答しているところでございます。

 以上のとおり、一定数のアプリ事業者がアップル社の設定するアプリストア手数料は高いというふうに考えておりまして、このような手数料負担については、アプリ事業者の投資余力を引き下げるものでありまして、これにより、イノベーションを通じた競争の減退につながり得るとの指摘があるというふうに承知をしております。

 一般論として、手数料等の価格については、本来、公正かつ自由な競争を通じて決められるべきものであるところでございまして、本法案の規制によりまして信頼あるアプリストア間の競争環境の整備を図ることによって、公正かつ自由な競争を通じて手数料が設定されることを期待しているところでございます。

小山委員 私もそのとおりだと思っております。四〇%の方々が高いと。この中でも、やはりいろいろな、私どもの党でも関係者の、事業をやっている方々の御意見を伺ったりすると、そういう意見を表明すると、今、寡占状態にあるものですから、何か報復的なことが、ないかもしれないですけれども、あるんじゃないかというおそれもあって、なかなか声を出せないというような傾向がありましたので、ひょっとしたら、四〇%の方々以上の、もっと多い割合で高いというふうにお感じになっている方はいるんじゃないかなということも推測することはできようかと思っております。

 こういった中で、まさに今お話の中にあったように、競争が促進されるという中で、より手数料も下がっていくと同時に、セキュリティーのところなんかは、今までこの質疑の中でお話しいただいたような形で、そこも確保しながら、やはり両方を求めていく必要があるのではないかと思っております。

 それと、経済的な面からこのことをお尋ねしたいんですけれども、政府は、今回、デジタル赤字が日本は五・四兆円にも達していると。あるいは、日本がデジタル小作人だというふうにも表現されているぐらい、このデジタルの部分での赤字というものは非常に巨額なものがあろうかと思います。こういったことについて、どのような認識を持って、どのような対策を立てていこうと考えておりますでしょうか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 サービス収支のうち、デジタル関連の取引を多く含む項目であるコンピューターサービス、著作権等使用料、専門、経営コンサルティングサービスの収支を合計したいわゆるデジタル赤字については、近年赤字で推移しており、委員御指摘のとおり、令和五年度については五・四兆円の赤字となり、前年度比で〇・五兆円の赤字幅が拡大していると承知をしております。

 クラウドを始めとしたデジタルサービスは、国民の生活、経済活動の多くの場面で活用されており、社会インフラとしての重要な役割を担っていると考えております。

 こうした状況の中で、いわゆるデジタル赤字がいたずらに拡大することは、社会インフラとしてのデジタルサービスを海外に依存することを意味するため、経済安全保障の観点からも好ましくないと考えております。

 このため、経済産業省としては、経済安全保障推進法に基づいて、クラウドプログラムを特定重要物資に指定して、重要な技術開発の支援など、各種の支援を行ってきているところでございます。

 加えて、今後、生成AIなどの新しい技術の社会実装が世界的に進んでいくものと見込まれております。こういった中、AI開発力の強化に向けて、官民による計算資源の整備や、スタートアップ等によるAIモデルの開発の加速化、こういった支援などにも取り組んできているところでございます。

 引き続き、国際収支の改善も見据えて、中長期的な観点から、デジタル産業基盤の強化に向けて、関係省庁と連携して総合的に取り組んでまいりたいと考えております。

小山委員 先ほどもクールジャパンのお話をしましたが、日本のコンテンツというのは決して粗末なものではないと思っておりまして、やはり今お話のあったようなところで赤字になっておりますので、今回、競争も、欧州なんかとも連携しながら促進することで、日本のデジタル赤字が少なくなっていって、本当は製造業だけじゃなくてこういう情報産業でも黒字になるように、日本の国も変わっていかなければいけないと思っております。

 以上で質問を終わります。

岡本委員長 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。

 いろいろな意味で、今日はちょっと感慨深い気持ちがございまして。よく講演会とかで話をするときに、スライドを使えるときに見ていただくテレビのニュースがありまして、それが、二〇〇七年の七月十一日のNHKの夜のニュースの最初のニュースからなんです。

 実はこの日は、日本で初めてiPhoneが発売された日になりまして、六本木のソフトバンクのショップでiPhoneが発売されましたという、そんな映像が続きます。もう朝の四時から待っているお客さんがいらっしゃって、ついに手にしたと。

 御記憶か分かりませんけれども、日本でiPhoneが発売されたのは、世界よりも一年遅れているんですね。通信規格が違いますので、その調整のためということもあって、一年遅れて、つまり、一年後にiPhoneが日本では発売され、それはソフトバンクが独占的に発売したという形になっています。

 そのニュースは少し長くて、手にしたお客さんが、すごい、うれしいというふうに、ついに手にしたというのもあれば、その一方、町中の人たちに聞くと、いや、私は別に使わなくていいわ、そういう話もありました。ああいうふうにぴっぴっと動かすのなんて面倒くさくてということがあります。

 その後、日本の携帯電話の事業者に、幾つかの会社の、どうですかというインタビューがあって、いよいよ一年たって黒船が襲来してくるけれども、負けないためにいろいろと準備をしてきました、そういう意味では、日本の携帯電話もたくさん使ってもらうんですみたいな、そんな映像があります。十七年前のことですね。

 確かに十七年前、私たちは、誰もがスマートフォンじゃない携帯を使っていました。フィーチャーフォンとか言われますけれども、ボタンを押しながら、特に日本では、女子高生とかを中心に、押す速度が速くてそれに手慣れているので、実はあの当時、十七年前には、ソフトバンクが独占的に販売しても、これは日本では普及しないだろうというのが、マーケットですとか若しくは携帯電話の事業関係者の中では大きな声だったかというふうに思っています。

 私たちの携帯電話も、NとかPとかSHとかSOとか、そういった携帯電話を使っていたかと思いますが、十七年たって、これが全くと言っていいほど駆逐されてしまったというのが、この携帯電話のマーケットだったと思っています。

 その二〇〇七年の七月十一日、六本木の店舗に私はおりまして、その当時はソフトバンクの社長室にいましたので、まさに孫社長が、これからはこういう時代になるんだというふうに言っていましたが、孫さんは信じていたんだと思います。でも、確かにそのとおりになったし、それに向けて、日本の携帯電話事業者もいろいろ頑張っていたというふうには思ってはいるんですが、いろいろな意味で、今日は感慨深い思いがございます。

 まず最初に、その意味で、公取に聞く前に経産省に伺いたいというふうに思っているんです。

 実は、この法案の「目的」には、第一条のところには、「我が国においてスマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤としての役割を果たしていることに鑑み、」という、まさに今日、先ほど来からの質問にもありましたが、スマートフォンというのがもう生活そのものなんだということで、それだけ普及したということが大前提になっているんです。でも、十七年前はそうではなかったんですね。そして、みんなが日本製の携帯電話を使っていたものではあったんですが、しかし、この後、一気に世界情勢の中で変わってきてしまったわけです。

 これは、経済産業省若しくは経済産業委員会という立場に立てば、こういうふうに日本の事業者が、最近は、富士通も結局身売りをすることになりましたし、多くの事業者が工場を売らなきゃいけなくなったという形になりますが、こういう産業政策であったことに対して、もちろん、経産省だけが悪いと言うつもりは全くございません。ただ、その原因と、ここから学べることというのは、今後に向けてどういった対応をしていくのか、是非、経済産業省にまず聞きたいと思って、質問させていただきます。

石井大臣政務官 荒井委員にお答えさせていただきます。

 委員の御指摘のとおり、今ではガラケーとも呼ばれるフィーチャーフォンが主要な携帯端末であった頃、国内市場の大半のシェアを日本メーカーが有しておりました。御紹介のとおりでございます二〇〇七年以降、iPhoneやアンドロイドOSのスマートフォンが発売されましたが、通信キャリアが携帯電話端末を販売する我が国の商習慣上、日本のメーカーは通信キャリアの意向を重視して、ユーザーニーズを直接酌み取り続けることができず、イノベーションを起こすことができなかった。その後、対応が遅れつつもスマートフォン市場へ参入したものの、国内市場に固執し、テレビ機能などの独自機能にこだわったなども原因として、スマートフォンへのゲームチェンジの対応ができず、日本企業の携帯電話端末シェアが減少したと認識しております。

 その上で、携帯電話端末業界に対する今後の対応については、その必要性や費用対効果を含めて検討する必要があると考えてはおります。

 ただ一方で、スマートフォンに使われている積層セラミックコンデンサーなどの先端電子部品については、日本企業が強みを有しております。経済産業省としては、令和五年度補正予算において、先端電子部品向けの支援策として二百十二億円を措置しております。

 また、スマートフォンに必須となる半導体についても、その復活に向けて取り組んでいるほか、デジタル産業の基盤となることが見込まれる生成AI、これについても、国内企業によるモデル開発も促進しており、令和五年度補正予算で、半導体、AI関連として約二兆円を措置しております。

 こうした支援を通じて、エレクトロニクス、デジタル産業の更なる発展、競争力の維持向上を後押ししてまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさに今お話しいただいたガラケーという言葉も、元々ガラパゴス携帯から略されたものだというふうに思います。当時、日本の携帯電話市場がガラパゴスのようだというふうに言われましたが、ただ、実は今回のアプリストアの話につながっているその大本のビジネスモデルというのは、当時、NTTドコモがiモードというものを発明してというふうに言っていいと思いますが、このiモードから、まさに、手数料をいただきながら、いろいろなコンテンツプロバイダーが発展していくということででき上がっていった。

 まさに、このアプリストアのビジネスモデルをつくったのは、NTTドコモであり、日本のメーカー、事業者の努力であったということが、本当はそれが世界に広がるはずだったのに、こうして世界中のマーケットには対応できなかったというのはあります。

 また、あと一点、今お答えいただいた、携帯メーカーが事業者を見過ぎていたということでも、確かにそうなんですが、でも、メーカーからすると、全部、ほとんど携帯事業者が買い上げてくれたということで、非常にいいビジネスモデルとして当初は始まったということもありましたので、本当に、日本が世界に先駆けて携帯電話の事業というもの、ビジネスモデルをつくってきたんだけれども、日本に閉じて、そして、いつの間にか駆逐されてしまったということを、これは非常に反省するべきだと思っております。

 そして、今携帯電話で起きていることというのは、次にひょっとすると自動車でも起きかねないんじゃないかというのも非常に思っていまして、自動車も、これは所管が経済産業省になるわけですから、同じようにならないように、是非積極的に、過去の敗因を分析して、政策として進めていっていただきたいというふうに強く思ってございます。

 続いて、公正取引委員会に伺いたいと思います。

 実は、ちょうど今日、五月二十二日ですけれども、ブルームバーグでは、昨日、五月二十一日付で、アメリカとEUでそれぞれ、アップルが裁判所に対して異議を申し立てるという手続を取ったというのが出ていました。

 今、現状では、アメリカでは反トラスト法、独禁法違反ということでアップルは国から訴えられているわけですが、そこに対して、アップルが訴訟の却下を求めたということが五月二十一日付、実質は今日付ですが、出されておりますし、EUでも、ブルームバーグによれば、EUの司法裁判所に対して異議を申し立てている。

 EUでは、音楽配信サービス市場で支配的地位の濫用があったということで、三千五十億円の制裁金を今アップルは言われているわけですが、そこに対しての異議申立てをしているという形で、今本当に世界中で、ちょうどこのタイミングで、世界では、まさに今、先行している国家が特にアップルに対して厳しい制裁をしているわけですが、それが今世界中で動いている中で、日本国内では今からこの法案を、それはアップルにというわけではないわけですけれども、まさにこれからこういった法案を作っていく、そういうプロセスにあるんだなというのを思ってございます。

 その中で、この法案を作っていく際に、EUのデジタル市場法、DMAと呼ばれるこの法律と対比しながら、世界でもこういうふうに進んでいくのでということで議論のベースがあったというふうに伺っております。特に内閣官房のデジタル市場競争本部事務局等ではそういった議論がなされていたと思います。

 ただ、EUのデジタル市場法というのは、これはゲートキーパーというふうに、もう既にどこを対象にするかという、法遵守の義務を課す指定対象事業者を決めていて、アルファベット、グーグルですね、あとアップル、マイクロソフト、アマゾン、メタ、フェイスブックのことですね、あとバイトダンスというティックトックを運営している会社ですが、この会社のみに限っていて、その中で、さらには、全てのデジタルデバイス、携帯電話や、そのほかタブレット端末や、パソコンもそうですね、そして、OS、ブラウザー、検索、仲介、あと広告やSNS、ビデオ共有、コミュニケーション、そういった非常に幅広いものが、デジタル全般が対象となっているわけです。

 今日、資料としてお渡しさせていただいた、まさに内閣官房で配られていた資料をお持ちして、その中に、この資料に赤枠で囲ってあるところを、今回私の方でつけさせていただきましたが、今回の、日本で行っているスマホソフトウェア競争促進法では、この赤枠でくくっているところだけを対象とするというふうになっているわけですが、これはなぜEUのように大きく捉えなかったのか。そして、この中のところに、赤枠のところだけに限ってきているのはどうしてなんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 欧州のデジタル市場法、今年の三月から本格施行されておりますけれども、こちらは、スマートフォンだけではなく、パソコンのOS、あるいはSNSなども含めて、デジタル市場における重要なプラットフォームサービスを規制対象としております。アップル社やグーグル社を含む計七事業者、最近一つ加わって七になったんですが、七事業者が規制対象事業者として指定されているものと承知をしております。

 一方で、本法案でございますが、スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンにおけるアプリストア等の市場において様々な競争上の問題が生じることを踏まえて、まずはスマートフォンに係る四つの特定ソフトウェアを対象に、公正な競争環境を確保するために整備するものでございます。

 公正取引委員会は独占禁止法を所管しておりまして、基本的には独占禁止法を執行しながら、必要に応じてこのような独占禁止法を補完する新しい仕組みを整備して、競争政策を推進していくべきものというふうに考えております。

 御指摘にありましたような他のデジタル市場につきましても、独占禁止法上の問題があれば、引き続きこの独占禁止法に基づいて対応していくわけでございますが、競争上の問題が生じていないかを引き続き注視するとともに、将来的に本法案が対象としているものと同じような競争上の問題があると認められる場合には、本法案と同様の規制の対象とすることを含めて検討を続けてまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 ちょっと、次の質問に一旦移って、またもう少し今のに戻りたいと思うんですが、まさに、このお配りした資料の中で、逆に言うと、例えば、今ちょうど、フェイスブックの広告にいろいろ問題があるということで、有名人の方からもいろいろな訴えがありますが、そういったことに関してはこの今我々が議論している法律では所管しないということになるわけですが、逆に言うと、この表の中で今回公取が所管しないところに関しては、経済産業省の特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律というところで多分所管していくんだろうというふうに思うんです。

 かつ、前回の質問の中で、公取がこういうふうに新しく法律を作るのは六十年ぶりだ、そういうふうにお答えがあったと思うんですが、なるほど、公正取引委員会としてはそれだけの、六十年ぶりに新しい法律を作ってでもやらなければいけない、そういう強い意思なんだなというふうには思うんですが、この今回作る新しい、六十年ぶりの公取が所管する法律と、でも、そもそも経産省所管の幅広い法律というものがあるわけですが、この違いというものは一体何があるのかというところの狙いを、それぞれ、経産省と、あと公正取引委員会から伺いたいのですが、教えていただけますでしょうか。

石井大臣政務官 委員の御指摘の、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律でございますけれども、ちょっと長いものですから、取引透明化法と言わせていただきます。

 この取引透明化法は、法制定当時の市場環境の状況や、それを踏まえて顕在化していた課題、諸外国における規制状況を踏まえつつ、イノベーションと規律のバランスを考慮して、まずは、特定プラットフォーム提供者に対して、その取引の透明性、公正性の向上のため、取引条件の情報開示を求めるということと、自主的な手続や体制の整備に係る措置を求めるということを主眼とした法律となっております。

 これによって、例えば、特定プラットフォームの提供者において、取引条件やその変更を分かりやすく説明する取組や、利用事業者が変更に対応するための期間をより長く確保する取組、利用事業者の声を運営改善に結びつけようとするような取組などの改善が見られております。

 一方で、デジタル市場競争会議が行ったモバイル・エコシステムに関する競争評価によれば、アプリストアを含むスマートフォン市場については、アプリストアの参入がそもそも制限されているなど、取引透明化法では対処困難な競争制限的な行為による競争上の弊害が生じていたとされております。このため、本法案によって、独占禁止法の違反と同視できる一定の行為の禁止などを定めることにより、公正な競争環境の確保を図る必要があるものと承知しております。

 本法案と取引透明化法との関係については、アプリストア分野において規制が重複する部分は、二重規制を防ぐ観点から、新法において一元的に規制することが適当と考えております。

 具体的な一元的な規制の在り方については、新法の施行後に取引透明化法の規制内容が実質的に充足されるよう、新法の下位法令や運用について公正取引委員会と密接に経済産業省としても連携、協議してまいりたいと存じております。

 以上です。

岩成政府参考人 では、公正取引委員会から、一部重複する部分もございますが、答弁させていただきます。

 まず、本法案の規制対象となる特定ソフトウェアのうち、アプリストアについては、先ほどありました取引透明化法におきまして、取引条件の開示等の一定の義務が課されております。本法案におきましても、データの取得等の条件の開示でありますとか仕様等の変更に係る措置を義務づけております。

 一方で、アプリストアにつきましては、基本動作ソフトウェア、OSを提供する事業者以外の事業者が提供するアプリストアの参入が制限されているなど、様々な競争上の弊害が生じているところでございます。そのため、独占禁止法の違反と同視できる一定の行為の禁止等を定めるとともに、規制の実効性確保のための行政処分等の措置を整備してございます。

 新法の施行後でございますが、先ほども御答弁ありましたが、規制の重複を防ぐ観点から、アプリストアについては本法案において一元的に規制することが適当というふうに考えてございます。

 新法の施行によりまして取引透明化法の規制内容が実質的に充足されるよう、新法の下位法令でありますとか運用について経済産業省と密接に連携、協議しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 そうしますと、今回、そのお配りしている資料の中で赤枠でくくっている部分に関しては、二重規制が行われないように、ここは本当に公取がしっかりチェックをしていく、逆に言うと、経産省の取引透明化法に関しましては、ここは特に見ていかないような形でしっかり調整、二重規制にならないようにやっていく、そういうことだというふうに思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

 民間の事業者も、それぞれ、やはりこういった規制に関してはしっかり向き合うという体制にしていますので、その窓口がしっかり一本化されていて、しっかり議論ができるような体制を双方につくることはすごく大事だと思いますので、どうぞ政府間の調整をお願いしたいというふうに思っております。

 もう一つ。先ほど、欧州ではゲートキーパーという形でもう指定対象事業者が決まっていますが、日本の今回のこの法律では、まだ事業者そのものの名前は決まっていないわけですね。

 第二章の第三条から、特定ソフトウェア事業者の指定等で、この法律の中で、政令で定める規模を指定していくというふうに決めているかと思いますが、一体この政令というのは、どういう形で、どういう、計数というか、何を指標として政令では定めていく予定なのか、お答えいただけますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ありました政令のところでございますが、この法案でいきますと、第三条のところで指定をするということになっております。

 具体的な数値はこれから検討するということになりますけれども、条文にもございますが、「事業の規模が他の事業者の事業活動を排除し、又は支配し得るものとして」となるような規模というのがどれくらいかというのを検討いたしまして、具体的に政令で定めるということを今後検討するということになっております。

荒井委員 ありがとうございます。

 この経産省の取引透明化法も、同じように、ある程度の売上げとユーザーの数とかでゲートキーパーというか事業者を決定していると思うんですが、今回、元々のこの取引透明化法で定めたある程度の指標というものがそのまま準拠されるというふうに考えていいものなんでしょうか。それとも、変更する可能性もあるのかどうか。ちょっとそこは、済みません、質問を事前にしていませんでしたけれども、教えていただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、まだこれからの検討ということにはなりますけれども、当然、今現在ございます取引透明化法において、特にアプリストアに関連してどういった水準が今定められているかということを参考にしながら、本法案での、政令での基準をどう定めるかということも検討していくことになるというふうに考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 それでは、続いての質問、公取の体制をどう強化していくかということについてお伺いしたいと思います。

 いろいろ調べてみますと、EUではこのための専任チームが百人規模だったということとか、あと、先日、山岡先生から教えてもらったんですけれども、イギリスの役所の方でも、デジタル・マーケット・ユニットという担当部署らしいですけれども、そこでもホームページで職員採用募集のことを出していて、かなり前向きに、幅広に優秀な人たちを募集しているんだなというふうに。この中では、イギリスでは十八か月で二十五人の部署から六十人に引き上げてきたみたいで、更に募集したいということを強く言っているわけです。

 そういった中で、冒頭に申し上げたように、今、アメリカでもヨーロッパでも、裁判にもなっていたりとかして、非常に担当部局としてもしっかりとした調査や実行が求められているんだなと改めて思いますが、今回、日本においては、このための新しい、六十年ぶりに作る法律を所管する部署として、どんなように取り組んでいく予定なのか、是非、公取の委員長にお願いできればと思います。

古谷政府特別補佐人 ありがとうございます。

 何度か大臣の方からも御答弁をしていただいておりますけれども、この法律の運用におきましては、巨大なデジタルプラットフォーム事業者を相手にすることが想定されておりますので、まず、セキュリティー等の問題を含めまして専門的な知見を要しますので、これまでもデジタル分野の専門人材をデジタルアナリストという形で登用を進めてきてはいますけれども、引き続き、こうした専門的知見を有する人材の登用がまず必要だと考えております。

 それに加えまして、これから、法律の施行準備期間におきましては、下位法令の整備やガイドラインの整備などがありますし、施行後の法運用におきましてもいろいろな取組をしていかなければいけません。それに当たりましては、規制が先行しております欧州を始めとする諸外国の競争当局との連携が重要でありまして、欧州や米国と緊密に連携をしながら、足並みをそろえて取り組んでいくためにも、こうした業務に対応するための体制の確保も重要である、こう思っております。

 このように、本法案を実効的に運用していくためには、公正取引委員会の体制や能力の更なる強化が必要であると考えております。関係方面の理解も得る必要がありますけれども、質、量の両面で抜本的な体制強化を進めていきたいということを、大臣からも御答弁をいただきました。具体的には、法の施行に当たりまして、私どもとして、これからどういう体制整備をしていくか、関係査定当局にも説明をしていかなければいけませんけれども、相当程度の体制強化ができますように努力をしていきたいと思っておりますので、是非御支援をいただければと思います。

荒井委員 ありがとうございます。是非支援したい思いで質問をさせていただきました。

 抜本的な体制強化、抜本的ということで、大分な大がかりなチームをつくられるんだろうというふうに思います。専門の部署と専門の部隊という、本当にこれに特化したチームというものが必要になるというふうに思います。もちろん、細かくは、これから予算であったり、そして人員の人数、何人取れるかということもあるとは思うんですが、是非、専門部署をしっかりつくってやっていくというところを御答弁いただきたいなと思うんですが、もう一度、委員長、いかがでしょうか。

古谷政府特別補佐人 ありがとうございます。

 御指摘いただきましたように、専門的な部署を今後私どもとしてどのように整備していくか、なかなか専門的な知見を有するデジタル人材を確保するというのは難しい面もありますけれども、そういった点をどうやって克服していくか、よく検討して進めていきたいと思います。

 ありがとうございます。

荒井委員 前向きな御答弁をどうもありがとうございます。

 どうしても、仕事柄、若い公務員の皆さんとかとお会いする機会が、それは組合の皆さんからの声みたいな形でもありますが、やはりどんどん身内が、人が少なくなってきて、仕事があっぷあっぷしている、そういう訴えをもらうことが多いですので、これから新しい部門をつくっていくときには、是非積極的にそこには人員を配置して。

 特に、この後、イギリスの担当部署のホームページのハイアリングというか、募集要項、募集のページなんかを見ると、非常に、こういった最先端の部署で、そして最新の知見で、そういう仲間たちと一緒に前向きに働いていきましょうという、力強い言葉がたくさん並んでいます。しかも、こういった人たちと一緒に連携しながら働いていく、日本で最高の部署になっていくんだろうというふうに思いますので、どうぞ、日本中から優秀な人たちが公取で、その専門部署で働けるよう御努力いただきたいですし、僕たちも一生懸命そこをサポートしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に、今回の法案に関しては、正当化事由というものがついていますが、その中でも、先ほども重徳先生からもありましたが、青少年保護のところに関して、僕も、青少年保護の部分、大変関心がありますので、是非、この青少年保護というのは一体どういうものをイメージしてこの法案の中に書き込んだのか、そこを具体的に教えていただけますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 青少年保護というところでございますが、例えば、青少年の健全な成長を著しく阻害する情報を含むアプリに対してフィルタリングをかけることでありますとか、保護者が青少年のスマートフォンの利用に一定の制限をかけるペアレンタルコントロールを行うことなどが、青少年保護の取組として考えられるところでございます。

 指定事業者が他の事業者が提供するアプリストアに関して青少年保護のために必要な措置を講じることは、正当化事由に該当して、本法案の違反とはならないこととなります。そのため、青少年にとって有害なアプリを青少年保護のために必要な措置を講ずることなく提供しているアプリストアに対して、指定事業者が青少年保護のために必要な措置を講じることに関しましては、本法案の下でも許容され得るものというふうに考えております。

荒井委員 先ほども話が少しありましたし、今日もこの委員会が始まる前の、理事会の、始まる前というんですかね、少し雑談しているときにも、自分のお子さんが携帯電話を使ってみんなで勉強していたみたいな話もございまして、やはり我々大人の立場としてみたら、まさに、十七年前にスマートフォンが出てきましたので、今の十七歳までは皆デジタルネイティブみたいな方、生まれたときからスマートフォンに接してきているわけですから、我々大人とは大分違う環境で育ってきているところもございます。

 実際、僕も高校の校長をしていましたので、学校にこういった携帯電話を持ち込むか持ち込まないのかというのは、学校で大変よくあるトラブルになる元でもありまして、大きな議論にもなります。かつ、政府が、三年前ですか、GIGAスクールという形で、学校からiPad等のデバイスを配る中で、そういった生徒たちがいろいろなことを起こしてしまうんじゃないかと大変心配する向きもあって、まさにデジタルをどうやって青少年に対して、保護をするのかというのは大変難しい、時にはイタチごっこのようになってしまうものもございます。

 ただ、最後にちょっとお伝えしておきたいのは、割と生徒の中にもなかなか上手な者がいて、例えばiPhoneなんかだと、MDM、モバイル・デバイス・マネジメントという制限するソフトをかぶせて生徒に配ったりもするんですが、これを時々破ってしまって、さらに、それを外してしまうということができちゃう生徒もいたりするんですね。

 ですから、本当に青少年保護というのはイタチごっこですが、是非こういったところに関しても、しっかりとした知見を持った、これはやはり専門の人が必要だと思いますので、そういった知見をしっかり生かした専門部署を充実していくように、改めてお願いしたいと思います。

 以上、質問を終わります。どうもありがとうございました。

岡本委員長 次に、山本剛正さん。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 先日、福岡に帰る飛行機の中で大臣のお父様と偶然お会いをしまして、久しぶりにお目にかかっていろいろお話をさせていただきました。本当に昔お世話になりまして、思わず私も、今度実は質疑で自見大臣に質問するんですよねと言おうと思ったんですけれども、よろしくねと言われるとちょっと僕の心が弱くなってしまいますのでそれはやめておいたんですが、本当に、お父様、御機嫌麗しくて本当にすばらしいなと。さすが百二十三代郵政大臣ということで、私の記憶の中に非常に強く残っております。

 今回、非常に、国民生活といいますか、今後の日本の社会に大きな影響を及ぼすスマートフォンの法案という中で、我が党の小野代議士も申し上げたかと思うんですが、せっかくのこの法案を、前回も四時間ちょっとで今回も四時間ちょっとで八時間強の時間で、これだけ厳しい罰則を科す、従来の独禁法令にない大変厳しい設定になっているかと思います。課徴金は違反した当該事業分野の売上高の二〇%に設定してあって、違反を繰り返せば三〇%にまで引き上げるという。現行の独禁法が規定する課徴金六%に対して三倍以上ということで、本当に厳しい罰則を科すその法案にしては、ちょっと審議時間が短いといいますか、ちょっと、参考人とかも呼んでしっかりとすればよかったのかなという思いはしています。

 これは政府の責任ではないので、できれば、委員長を始め与野党の理事の皆様方も、国民生活に非常に資するものでもあると思いますし、また、罰則規定というのはやはり国民の自由と権利を制限して、権力行使の話でありますから、これはもう、まさに国民の負託を得た国会議員しか、この場ででしか議論できない話でありますから、充実した審議を今後できるように我々も努力をしてまいりたいと思いますし、是非、委員長始め与野党の理事の皆様方にもよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 早速法案審議に入る前に、ちょっと一つだけ、四月二十六日の閣議決定後の自見大臣の記者会見をちょっと引用させていただきますが、この法案は、スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、利用に特に必要なアプリストアなどの特定ソフトウェアについて、セキュリティーの確保などを図りつつ、イノベーションを活性化し、消費者の選択肢の拡大を実現するための競争環境を整備するものだというふうに述べられていらっしゃいます。

 このイノベーションを活性化しというのは、多様な新規参入者が出てくるということを想定しているという認識でよろしいか、ちょっと公取委員長に伺いたいと思います。

古谷政府特別補佐人 御指摘のとおりでございます。

 本法案は、こういう特定ソフトウェアにつきまして、セキュリティーの確保等を図りつつ、競争環境を整備することによりまして、多様な事業者が新規参入を行い、公正かつ自由な競争を通じてイノベーションの活性化を図るというものでございます。

 イノベーションの活性化ということでございますので、新しいアイデアが生まれて、新たなビジネスモデルができて、多様なサービスが提供される場にこのアプリストアをするといったようなことを考えていきたいということでございまして、規制が先行している欧州では複数の事業者がアプリストアへの参入を表明しておりまして、我が国でも同様の規制を整備することによって、アプリストアの新規参入が期待できるのではないかというふうに考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 では、その新規の参入者がセキュリティーの確保などを図るためにすべき対応みたいなものがあったら、ちょっと教えていただきたいと思います。

古谷政府特別補佐人 委員から御指摘がありましたように、この法律の施行後も、セキュリティーの確保等が図られることにより、スマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境が確保されることが一方では重要でございます。

 このため、本法案では、指定事業者がセキュリティーの確保等のために必要な措置を講じることができる旨を定めておりまして、指定事業者が、新規参入事業者が運営する代替アプリストアに対して、セキュリティーの確保等の観点から一定の条件を課すことなどが許容されております。新規参入事業者が運営する代替アプリストアにおきましては、指定事業者によって設定されたこの条件や規約に即して、セキュリティーの確保等のために必要な対応が取られることになると思います。

 また、専門的な知見を有する関係行政機関や関係団体とも連携をしながら、アプリストアが担うべきアプリ審査等について一定の指針を示すため、セキュリティーの専門家団体等によるガイドラインなどの策定についても検討していきたいというふうに考えておりまして、こうした対応を通じて、新規参入事業者が運営する代替アプリストアにおきましても、セキュリティー等が確保されますように対応していきたいと思っております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。非常に分かりやすい御説明をいただきました。

 結局、でも、イノベーションの中心は、ある種、巨大プラットフォーマーの立ち位置というものも重要かと思うんですが、そもそもこの法案で、これは大臣の記者会見での言葉でございますので、この問題、しっかりと活性化が見られるのかどうかというのは、どのような認識を持たれているかをちょっとお尋ねをしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案は事業者の競争を通じたイノベーションの活性化を目指すものでありまして、このような観点から、規制の実効性を確保することは重要な課題だと認識してございます。そのため、アプリストアの参入を促進するための規定に加えまして、違反に対しまして排除措置命令また課徴金納付命令を行うことができることとしてございます。

 また、公正取引委員会におきましては、今回、事前規制でございますので、指定事業者が提出をいたします規制の遵守状況に関する報告書を踏まえまして、指定事業者との対話を通じまして規制の遵守や改善を求めるほか、アプリ事業者等の関係事業者とも継続的なコミュニケーションを取りながら、競争環境を実効的に整備していくこととしているところでございます。

 なお、規制が先行しております欧州では複数の事業者がアプリストアへの参入を表明しておりまして、我が国でも同様の規制を整備することによりまして、アプリストアの新規参入が期待でき、その結果として、公正かつ自由な競争を通じたイノベーションの活性化につながるものと考えてございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 この審議の中でも実効性の話がよく出てくるわけでありますが、立入検査を含めた公正取引委員会の調査権限、十六条に係るところでありますけれども、外国に所在する事業者への立入検査は、国際法上の執行管轄権の原則があって、やはり当該国の同意がない限りなかなか難しいというふうに認識をしていますが、見解はいかがなものでございましょうか。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 外国に所在し、日本国内に支店、営業所、事業所等の拠点を有しない事業者に対して立入検査を実施することは、委員御指摘のとおり、国際法上の制約のため困難であると考えております。

山本(剛)委員 あと、十八条の排除措置命令についてもなんですけれども、五条から九条の禁止行為違反に対する命令ではあるんですけれども、この中に事業の一部譲渡というものが入っておりまして、これは独禁法の七条の一項の中にあるんですけれども、外国に所在する事業者への発動は政治問題にもなりかねないと私は思います。そういった中で実効性を担保するのは難しいというふうに考えますが、いかがなものでございましょうか。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会といたしましては、海外事業者に対しても、法律に従い適切に判断いたしまして、必要な措置を命じることとしております。

 他方、委員から御指摘がありましたように、それに対して外国においては様々な反応が生じるということはあり得ると考えております。

山本(剛)委員 そうなると、やはり実効性というものがどこまで担保されるのかというのは、今後の法律の運用に懸かっている部分は大きいなというふうに思うんですが、やはり、そこで絵に描いた餅にならないようにしていただきたいというふうに思いますし、難しいことは難しいこととして理解をいたしますけれども、その中で何ができるのか、どこまで進めていかなければならないのかということは、是非今後の課題にしていただきたいなというふうに思います。

 十九条の課徴金の納付命令、二十条の割増し算定率についてちょっとお尋ねをいたします。

 これは、先ほど冒頭で申しましたとおり、非常に重たい課徴金を課すようになっています、独禁法の規定する課徴金の三倍以上でございますので。その中で、なぜ、第七条、第八条の一号、二号以外は、例えば九条なんかは入っていないんですけれども、以外は課徴金の対象でないのかというのを答えていただきたいのと、七条の一号のイですね。

 七条の一号のイというのは、いわゆる語尾のところだけ言いますけれども、「提供するものに限定すること。」とありますが、この文章だけを見ますと、私は、課徴金の対象とならない不公正な取引方法、例えば差別的取扱いであったり取引妨害であったり不当な拘束条件付取引等に該当するものは課徴金の対象にならないというふうになっているわけでありますけれども、七条一項一号のイは不当な拘束条件付取引に当たらないのかということをちょっとお尋ねしたいと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えをいたします。

 課徴金制度は、違反行為者に対して経済的不利益を与えることで違反行為の誘因を小さくして、違反行為を抑止することを目的とする行政上の措置でございます。この観点から、今回は、不当利得を明確に観念できる範囲内において課徴金制度を設けさせていただいております。

 委員御指摘の、まず、九条を始めとする、四類型以外の禁止行為については課徴金制度の対象としていないわけでありますけれども、これは、課徴金制度の対象としている四類型ほどに不当利得を明確に観念できるとは考えられなかったためでございます。

 もう少し具体的に申し上げますと、九条でございますけれども、検索結果の表示における自社優遇については、これが、優先的に表示された指定事業者の提供する商品とか役務の売上げが増加をして不当利得が生じる場合があるというふうには考え得るとは思いますけれども、不当利得が生じたと言える商品又は役務の売上げが明確には観念し難い、要するに、どの部分が違反行為によって生じた不当利得なのかどうか、なかなか一律にその範囲を確定し難いということもございまして、今回は課徴金制度の対象にしなかったということでございます。

 さらに、七条第一号イについて御指摘がございましたけれども、これについては、独占禁止法の課徴金制度の対象のうち、排除型私的独占にも該当し得る行為であるということと、不当利得を明確に観念できるという判断から、課徴金制度の対象にしたということでございまして、御理解をいただければと思います。

山本(剛)委員 古谷委員長、ありがとうございます。非常に分かりやすいといいますか、線引きがはっきりして、この法案における公取さんの意思というものが今明確になったというふうに思います。

 一方で、今、委員長の口から、九条の中で不当利得に値する場面が出てくるという発言がございました。これは、独禁法の中では不当利得は当然課徴金の対象になるわけでございまして、九条がもし不当利得と判断された場合でも課徴金は課さないということでよろしいですね。

古谷政府特別補佐人 御指摘のように、本法案においては、九条については課徴金の対象にしておりません。

 繰り返しになりますけれども、例えば優先的に表示をされた場合の不当利得というものが、観念はできるかもしれませんけれども、その範囲が確定するのがなかなか難しいということで、大きな不利益処分でもありますので、対象にするのは今回はしていないということでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 これが、結構、法案審議のある意味醍醐味であるのかなというふうに思いますが、こうやってやはりきちっと線引きをしていく、法案、条文一つ一つを取って、やはりそこを明確にしていくということが私は必要だというふうに思います。特に罰則規定のものでありますから、やはりこれは権力行使に関わることでありますから、非常に明確になってよかったなという思いがしております。ちょっと自画自賛で申し訳ありません。

 続きまして、ちょっと時間もあれなんですけれども、例えば七条一項で正当化事由がありますけれども、これは、正当化事由を指定事業者がもう強硬に主張してきたときというのは、公取さんとしてはどのように対処するかをちょっと御説明をいただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、公正取引委員会は、セキュリティーの確保等に係る正当化事由の考え方の明確化を図るということで、関係行政機関とも連携してガイドラインを策定することとしております。

 その上で、指定事業者がサイバーセキュリティーの確保等のために必要な措置を講じた場合には、毎年度提出することが義務づけられております報告書に記載を求めることを予定しておりまして、指定事業者から当該措置が正当化事由に該当すると考えられる理由等について説明がなされることがまず重要だというふうに考えております。

 それから、指定事業者による正当化事由の主張でございますけれども、公正取引委員会としては、ガイドラインを踏まえつつ、専門的な知見を有する関係行政機関と連携しながら、これまで採用を進めてまいりましたセキュリティー等の専門人材の有する知見も活用しながら、指定事業者が取った措置が正当化事由に当たるか否かについて厳正に評価を行っていきたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 これは本当に連携を密にしっかりとしていただいて、報告書ベースということでありますけれども、余り考えたくはないんですけれども、やはり正当化事由、これは出ている、サイバーセキュリティーの確保であるとか、氏名、性別その他の利用者に係る情報の保護であるとか、青少年の保護であるとか、その他の政令で定める目的のために必要な行為を行う場合であって、ほかの行為によってはその目的を達成することが困難である場合はこの限りではないと。

 いろいろ、青少年保護の話も先ほども出ましたが、これは簡単に言うと、いやいや、これは正当化事由なんだから、正当化事由なんだからということで、何でもかんでもその中に入れ込められてしまうということはやはり避けなければならない。

 そのためには、意見交換をしっかり、やはり意思の疎通をしっかりとして、違いますと。もし裁判に持っていかれたときには、もちろん裁判の結果について我々がどうのこうの言うような立場ではありませんが、私が考えるに、この正当化事由のいわゆる立証責任は、主張のいわゆる責任は指定事業者があるかもしれませんけれども、立証責任はじゃ誰が負うのかという話になったときに、これは裁判所の判断になると思いますけれども、やはりそういったところまで持っていかれると非常に厳しいものがあるのかなというふうに思いますので、これは私の個人的な意見でありますけれども、是非、連携はしっかりと取っていただいて、そこが濫用されることがないように気をつけていただきたいなというふうに思います。

 今日の質疑の肝のところにちょっと入っていきたいと思うんですけれども、四十三条のところですね。これは先日笠井先生も御指摘になられておりましたが、私もいろいろ調べまして、やはり一項、二項、四項は独禁法からそのまま持ってきているに等しい。四項は、ちょっと読みますが、前項に定めるもののほか、関係行政機関の長は、この法律の施行に関し、公共の利益を保護するために、公正取引委員会に意見を述べることができる。意見を述べるというのはまさに能動的手段でありまして、この能動的手段は実は独禁法の六十七条にも同じような文言があって、これをそのまま引っ張ってきたのかなという印象があります。

 その中で、三項なんですね。三項、なぜこれは特出ししてきているのかと。これは独禁法の中にはないんですよ、実は、この理念は。三項は何かというと、「内閣総理大臣、総務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣及びこども家庭庁長官その他の関係行政機関の長は、第七条ただし書及び第八条ただし書の規定の適用について、公正取引委員会に対して意見を述べることができる。」。

 先ほど、十六条、十八条の中で、海外の事業者、海外のところからあった場合はなかなか実効性が乏しいという話がありました。海外の当該の国から、いや、ちょっとおたくのところは三項があるから、ちょっと総理大臣から何とかちょっと言っちゃってみたいな話になったときに、例えば、三項の中では七条のただし書及び八条のただし書のことしか言えませんよとなってはいるけれども、テーブルに着いたときに、この話をしているときに、もしこれが隣に置いてあったら、この話もしてしまうのが人間というものなんですよ、ある意味。

 だから、要は、話の入口はもうつくってしまっているということを考えると、私はこの三項については非常に大きな懸念がございます。これは公正取引委員会の独立性にも関係することだというふうに思いますし、ここは、やはり三項の運用については自見大臣から明確な答弁を私はいただかなければいけないというふうに思っています。

 簡単に言うと、なぜ特出しをしているのか。一項、二項、四項については、独禁法そのままの理念が乗っかっている。三項について、三項は独禁法の理念にはない、まあ、ないとまで言っていいのかどうか分かりませんが、でも、間違いなくこの述べるというものについて入口をつくってしまっている。当然、これに対して、七条のただし書、八条のただし書、これは七条、八条は罰則規定に係ることですから非常に重要なんですね。

 この十六条、十八条における政治問題があった場合に、やはり外圧による、考えたくもないけれども、行政のゆがみというものがあってはいけない、公正取引委員会の独立性は担保されなければいけない。是非、自見大臣から、明確な、この運用に対しての明確な答弁をお願いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、独禁法第二十八条が規定をいたします公正取引委員会の職権行使の独立性ですが、この独立性は、経済活動の基本的なルールである独占禁止法につきまして公正かつ中立に運用する必要があるといった公正取引委員会の職務の特性に由来するものでありまして、独占禁止法を補完する本法案の運用においてもしっかりと確保されるべきものだと認識してございます。

 本法案では、例えば、セキュリティーの確保や青少年保護といった正当化事由に係るガイドラインの策定などにおいて、公正取引委員会がこれらに係る施策を担う関係行政機関に意見聴取を行うなどしながら連携して対応することとしてございます。

 一方で、本法案の規定に基づきます排除措置命令や課徴金納付命令等の最終的な法執行につきましては、関係行政機関から意見が出された場合であっても、公正取引委員会の判断が当該意見に拘束されるものではなく、公正取引委員会が独立をしてその職権を行使するものであることから、公正取引委員会の職権行使の独立性が損なわれるものではないと考えてございます。

 加えまして、本法案が実際に運用される際におきましても、公正取引委員会において職権行使の独立性を適切に確保しながら運用していくものと考えてございます。

山本(剛)委員 今の御答弁で、最終行政執行についてはきちっとやっていきますというような話でございました。ここは本当に重要です。

 これは、実は附帯にもつかない話で、かつ、僕がもし法案審査の場にいたら、やはりこの三項の特出しというのは非常に大きな懸念があるなと。それは、一にも二にもやはり、何度も同じことを言いますけれども、十六条、十八条が、やはり、海外の事業者、海外のみに本社がある会社にはやはり入っていけない、この法律の理念を要するに貫き通すことができないという、非常に、残念と言ったらなんなんですけれども、やはりそういう現実がある。現実があるという中で、総理大臣がやはり能動的に、たとえ七条ただし書、八条ただし書という限定があったとしても、意見を述べることができる、その意見を述べるステージに立ったときに、やはり、もし違う意思が働いたときというものは、これはもう、立法府としては、僕は懸念事項に絶対しなきゃいけないと思うんですよ。

 この法律を作る、法律を作るのはそもそも国会ですから、政府ではないわけですから、だから、やはり我々は責任を持って、この法律ができたときに、立法府としてこの法律をしっかりとやっていこう、行政の執行はお願いしますねと、こう行政の執行を委ねるわけでございますから、是非、今の大臣の答弁をしっかりとこの三項の中に刻んでいただいて、執行のときによもや間違いがないように是非していただきたいというふうに思います。

 これは、お願いではなくて、まさに、やるんだという強い意思といいますか、それはもう間違いないということを、本当に、今そこまでの強いことは言っていただけなかったんですけれども、私はもうそういうふうに受け取っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。これを議事録に残すだけでも私は随分違うと思いますので、お願いをしたいというふうに思います。

 では、ちょっと時間もなくなってきましたので、最後の質問に入ります。

 簡単に言いますと、重過ぎる罰則が、ただ、その執行がどうだという中で、いわゆる公正取引委員会が目指す自由で公正な取引、市場環境というものをゆがめる可能性というのは私は否定できないと思うんです。課徴金を課します、課徴金を課しました、でも、いや、うちは払えませんよというふうになったときに、間違いなくそこはもうゆがんでいるわけでありますよ。

 そうすると、課徴金を多く取りますよという中身をやって、これが要するに脅しにしかならなくて、その妥当性というものが非常に危ぶまれるというふうに私は思うんですけれども、そういった可能性があるかないかということをちょっと最後にお伺いしたいと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども答弁ございましたとおり、課徴金制度は、違反行為に経済的不利益を与えることで違反行為の誘因を小さくすることにより、違反行為を抑止することを目的とする行政上の措置でございます。

 本法案におきましては、指定事業者として想定されるアップル社やグーグル社の全事業の売上高営業利益率が二五%から三〇%程度であるということを踏まえまして、規制の実効性を十分に確保する観点から、違反行為に対する課徴金納付命令の算定率を違反行為に係る商品又は役務の売上額の二〇%としております。これは、違反行為を抑止するために適正な水準であると考えております。

 その上で、本法案に違反する行為が認められた場合には厳正に対処してまいりたい、このように考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 これ、ちょっと計算したんですよね。そうすると、日本のアプリ市場に当てはめると、これは公正取引委員会さんが外部調査機関のデータを基に調べた二〇二一年度の国内アプリストアの売上高で計算をいたしましたが、アップルが一兆五千九百億円、グーグルが一兆四百億円あるんです。課金システムのうち、手数料が一律三〇%として単純計算すると、この事業での手数料収入、何と、アップルが四千七百七十億円、グーグルが三千百二十億円もあるんですよ。課徴金二〇%を課すと、違反時の課徴金は何と一千億円規模になるんですね。めちゃめちゃでかいんですよ。

 ちょっと、課徴金というものでこんなにと、もちろん分母が大きいからそうなんですけれども、これをやはり取れるか取れないかとか、あと、こういったものが大きくあるという中で、市場がやはり縮みやしないかというような懸念はそんなに持たなくてもいいと思いますし、例えば、これだけの課徴金を払うぐらいだったら、五億ぐらいでもっともっと何か優秀な人間を雇って、これにひっかからないようなものをどんどん作っていこうということだって考えられるわけですね。

 そうすると、もうイタチごっこみたいになってしまうかもしれませんので、やはり運用については、これはもう最後にしますけれども、やはり運用については的確、厳格にしていただくことと、今回答弁をいただいたことをしっかりと反映をしていただいて、この法律をよりよいものに育てていっていただきたいというふうに思います。

 私の質問は以上です。ありがとうございました。

岡本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。市村浩一郎さん。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いいたします。

 この法案なんですが、やはり、国力をどう高めるか、日本の経済力をどう高めるかに関することだと思っております。その観点から、今日はまた質疑をさせていただければと思っています。

 やはり経済力というのは、経世済民、世を経て民を守る、民を救うということが原点でなければなりませんが、まず、経済界からの今回のこの法案に対する受け止め方についての公取さんからの御見解をいただければと思います。よろしくお願いします。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 デジタル市場に係る競争制限的な行為に対しましては、これまでも公正取引委員会におきまして積極的に取り組んできたわけでありますけれども、独占禁止法による個別事案に即した事後的な対応では、変化の速いデジタル市場での競争の回復が困難になるといった課題がございました。

 こういうことを背景に、本法案は、こうした特徴を有するデジタル市場におきまして、競争環境を整備することにより、新規参入を促進し、公正かつ自由な競争を通じてイノベーションの活性化を図りたいというものでございます。

 こうしたこの法案の問題意識につきましては、経済界からも、法案の必要性に関して一定の理解をいただいているものと思っておりますし、法が成立した後の実効的な運用に関しまして、また期待も大きいというふうに思っております。

 四月二十六日ですけれども、一般社団法人新経済連盟の方から、法案の早期成立を求めるコメントが発表されました。また、去る五月十七日には、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム等の七つの関係団体が連名で、早期の法制化と確実な執行を求める文書を公表をされております。

 公正取引委員会としましては、アプリストア等の特定のソフトウェアに係る市場の競争環境の確保、これが喫緊の課題であると考えておりまして、本法案が成立した場合には、実効性のある運用に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

市村委員 まさに今、公取委員長さんが最後に言っていただきましたように、この実効性の確保ということが大切でありまして、今日はこの実効性の確保という観点でやらせていただきたいと思うんです。

 まず、実効性の確保といえば、これは、ある意味ではもう、実質的に二社ですよね、この法律は、先ほどからも議論がありますように、二社なんですね、アルファベット社さんとアップル社ということになりまして、これは海外事業者ということになりますが、このいわゆる海外事業者であるところに対して、国内法を使ってどこまで切り込んでいけるのかということなんですが、どのように考えておられますでしょうか。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 海外事業者である指定事業者に対する執行面などについてお尋ねございましたけれども、まず、本法案におきまして、規制対象となる事業者とは、米国本社の担当者などを含め、これまでも内閣官房とともにコミュニケーションを取ってまいりました。また、諸外国の競争当局ともコミュニケーションを取ってきているところでございます。

 本法案の運用におきましても、まずは指定事業者等と継続的に対話をし、事業者内部のしかるべき担当者、責任者に当委員会の意図が正確に伝わるように留意しながら、各規律を遵守するために具体的な措置を講じること、あるいは更なる改善を実施することを求めていくことを想定しております。

 また、定期報告におきまして報告すべき事項等につきましても、よく指定事業者とコミュニケーションを図りまして、実のある報告が提出されるよう留意してまいりたいと考えております。

 その上で、本法案におきまして、規制の実効性を確保するための措置といたしまして、公正取引委員会の調査権限や違反を是正するための命令、課徴金納付命令等の規定を設けてございます。問題となり得る行為が改善されない場合や違反行為が認められた場合には、諸外国の競争当局ともよく連携しつつ、本法案に規定された調査権限等に基づいて厳正かつ的確な運用を行うことで規制の実効性を担保できるもの、このように考えてございます。

市村委員 これまでもコミュニケーションを取られ、これから法律が通った場合、施行まで一年半にもコミュニケーションを取り、後ほど議論もちょっとさせていただきますが、ガイドラインも作っていくということですね。

 コミュニケーションというのが大変重要なポイントだと思いますが、この二社は、国家をしのぐぐらいの売上げを持つ企業体でありまして、ある種、日本国はアルファベットさん王国とアップルさん王国と対峙をする、こういうことになってくるわけでありますけれども、余裕を持っておられるし、後からこれも議論しますが、それなりにセキュリティー対策もきちっとやっているというようなことになっているところに対して、それはコミュニケーションを図れば、そのときは当然、理解しますということは言っていただけると思うんですが、そこもやはり、理解していただいたとしても、例えば日本法人が理解したとして、では、これから米国の本社に対して、さあ話を持っていきましたというときに、そこまできちっと意が通じるような状況をつくれるのかどうかということですね。やはり実効性なんですね、これも、実効性。どうやって担保をするんでしょうか。またお願いします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 指定事業者と継続的なコミュニケーションを取ることは、本法案の実効性の確保のためにも重要であるというふうに考えております。

 このコミュニケーションに関連してでございますが、本法案では、指定事業者に対して、まず報告書の提出を毎年度義務づけております。これによって、公正取引委員会は、指定事業者による各規律の遵守状況あるいは主張を把握することができます。この報告書を基に指定事業者と対話することを通じて、各規律を遵守するために具体的な措置を講じることや更なる改善を求めることができるというふうに考えております。

 もう少し具体的に申しますと、報告書においては、例えば、第五条から第十三条までの各規律の遵守のために講じた措置の詳細でありますとか、それが遵守のために効果的であることの説明といった、指定事業者が講じた措置に関する事項等を報告事項とすることを想定しているところでございます。具体的な報告書の記載内容等につきましては、今後、規制の実効性の確保の観点も踏まえて検討をし、公正取引委員会規則で明らかにしていくこととしております。

 それから、指定事業者と継続的にコミュニケーションを取って本法案を実効的に運用していくためには、セキュリティー等の問題を含めて専門的な知見を要することから、これまでもセキュリティー等の専門的人材をデジタルアナリストとして登用を進めてきたところでございますけれども、引き続き、専門的知見を有する人材の登用を進めていきたいと考えております。

 規制対象となる事業者とは、米国本社の担当者等を含めて、これまでも内閣官房とともにコミュニケーションを取ってきたところでございますけれども、引き続き、指定事業者とよくコミュニケーションを取りながら、公布後一年半以内の施行準備期間における下位法令等の整備、あるいは法施行後の法運用に取り組んでいきたいというふうに考えております。

市村委員 この中に、外部情報ということが出てくるんですが、法律の中なのかな、この外部情報というのは具体的にどんなものなんでしょうか。判断するに当たって活用する外部情報というのはどういうものになるんでしょうか、具体的に。

岩成政府参考人 外部情報についてのお尋ねでございますけれども、まず、御指摘のとおり、指定事業者とコミュニケーションを取ることも重要なんですけれども、外部から得られる情報を十分に活用するというのも重要だというふうに考えております。

 そのような観点から、指定事業者だけではなくて、例えばアプリ事業者等の他の事業者でありますとか外部のセキュリティー等の専門家につきましても、適宜コミュニケーションを取ることで必要な情報を収集し、活用していくことを想定しているところでございます。

市村委員 本当はもっと具体的にお聞きしたいんですが、多分これからだということになるでありましょうから、これ以上はちょっと、もっと突っ込んでいきたいところではありますが、そこはもう突っ込みません。

 とにかく、実効性の担保ということなんですが、やはり、迂回行為というものに関して、これを禁止するということについて、私は、実効性を担保する意味では必要性があると思います。

 これは政府がまとめられたモバイル・エコシステムに関する競争評価最終報告でも指摘されているというところでございまして、例えば、迂回行為の例として挙げると、代替決済手段や代替アプリストアというものの選択が可能になっているんですけれども、では、その代替アプリストアや代替決済事業者が事業を始めましたと。そうすると、では、そこに対しても手数料を課しますよ、うちのアプリストアとか決済手段を使ったら三〇%、これは引き下がっていくんでしょうけれども、やるのはいいけれども、では、そこで得られる利益に何%かまた手数料を課しますよということになって、結局、代替手段をつくったとしても、優位性を、優越的地位の濫用とこれはいうんでしょうか、使って、手数料を課しましたとなった場合は結局変わらないということで。

 それまで入って、用意して、せっかく代替で頑張ろうとしているときに、はい、手数料と言われて、結局ビジネスが成り立たない。では、誰がこれは最終的に責任を負わなくちゃいけないのかということになって、台なしになるということです。

 法律は守りましたよ、はい、じゃ、どうぞ、代替、競争力強化ですから、どうぞ入ってくださいと言いましたけれども、結局、実質的にはそれを無為にするということも、こういうのが迂回行為と言われるわけですけれども、こういうことをどうやって防いでいくのかということなんですね。

 だから、表向きは、いや、ちゃんと法律を守ってやっています、代替事業者がちゃんと入ったじゃないですかということで、競争が促進されますよといって、実際は競争促進ではない、無為にするという場合に対して、どのような規制を課しておくべきなのかということについて御見解をいただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案の規制の実効性を確保する観点からは、指定事業者による本法案が定める規制を迂回する行為に対しても適切に対応できるような規制の枠組みとする必要があるというふうに考えております。

 このような観点から、本法案では、指定事業者が他のアプリストアの提供や決済システムの利用を妨げることを禁止しております。指定事業者が代替アプリストアや代替決済手段の選択を可能としつつも、新たな手数料を徴収することなどにより、実質的にアプリストアの提供や決済システムの利用を妨げていると認められる場合には、本法案に違反することとなります。

 このような、指定事業者による本法案が定める規制を迂回しようとする行為に対しても、本法案の規定に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。

市村委員 それから、いわゆるモバイルOSの指定事業者ですけれども、ここでいろいろOSを使っていろいろなアプリを動かしていくとなったときに、OSは本来ならばベースですから、そこで新しい料金は発生するはずないわけでありますけれども、いやいや、いいですよ、このモバイルOSを使いたいんでしょう、ならば、その分に対しても料金を下さい、こういうのもある種迂回行為になるんですね。どうぞどうぞ、ただ、今まではOSは無料だったけれども、やはりうちを選択するんだったら、じゃ、OS利用料もいただきますよ、こういうこと。

 ヨーロッパの方は、どうやらOSの利用については無料というふうに何か法律で規定をしているようなんですが、この点についてはいかがでしょうか、今回の法律で。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 アプリ等において、指定事業者が利用するモバイルOSにより制御される機能を他の事業者が利用することができない場合には、他の事業者は競争上不利になることとなります。そのため、本法案では、モバイルOSを提供する指定事業者に対して、OSにより制御される機能の他の事業者による利用を妨げることを禁止しております。

 本法案では、OSにより制御される機能の他の事業者による利用について、法文上は一律に無償とは規定していないところでございます。仮に、指定事業者が対価を取得する場合には、OSにより制御される機能の他の事業者による利用が妨げられていると言えるかどうかということについて、個別具体的な事案での判断を行っていくということとしております。

 なお、この規定の具体的な考え方については、ガイドラインを策定することによって明らかにしてまいりたいというふうに考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 それから、これから新しく、競争力をつけるということで、新規事業者が出てきましたら、ヨーロッパも新しい事業者が出てこようとしていますが、私は、是非とも日本で、これから、AI検索エンジン、これはもうスタートアップで、誰か日本の、別に若手じゃなくてもいいんですけれども、誰か決意と決断と勇気を持って、これをやってほしいと思っているんですね。これからはもう絶対、AI検索の時代だと私は思いますので。

 そういうときに、じゃ、意気込みを持って作りました、それで、ほかのメディアは取り上げてくれて、やれ、国産、日本のすばらしい検索エンジンがスタートするぞといって取り上げましたと。そのニュースを見た人たちが検索しますよね。しかも、ベータ版は無料で、昔は、ベータ版というのがあって、無料で結構使わせてもらえたんですけれどもね。料金を取る前に、ちょっとベータ版、無料でみんな使ってください、いいでしょう、ほらということで、そのうちにいろいろな料金がかかってくるんでしょうけれども。

 そのときに、検索エンジンが、結局、今はグーグルさんとかで検索したときに、いわゆるアルゴリズム的に、情報統計的にトップに立つんじゃなくて、そのニュースというか、その検索は上位に上げさせない、そういう措置を取られてしまうと、みんなが検索しても、上位に出てこなかったら、もうみんな忙しいですから、一回検索して出てこなかったら、ああ、これは何かニュースで出ていたけれども余り大したことないのかな、こういうふうになってしまうわけですよね。

 だから、そういうふうにならないように、やはり検索サービスの優先取扱いの禁止ということもしっかり考えておかないと、優越的地位の濫用でアルゴリズム的にやられてしまうとなかなか厳しいなと思いますが、この件についての公取さんの御見解、いかがでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、検索サービスにおける、いわゆる自社優遇を禁止しているところでございます。

 これは、指定事業者の商品又は役務が検索される頻度が高いなどの理由でこれらが検索結果の上位に表示されることをもって優遇と判断するものではございませんで、例えば、自社のサービスのみを検索結果の画面に別枠として表示することでありますとか、自社のサービスが、アルゴリズムの設計等により、正常な競争によらずに恣意的に上位に表示されることなどを問題とするものでございます。

 このうち、自社のサービスのみを検索結果の画面に別枠として表示する行為というのは、割と分かりやすい、違反の存在が外形上認識しやすいわけですけれども、恣意的に自社のサービスを上位に表示する行為というのは、なかなかその検索アルゴリズムの設計を直接確認するというのは難しい面がございます。

 ただ、関係する商品、役務の市場の状況でありますとか、他の事業者等から提供された情報、あるいは、指定事業者から提出される報告書に記載された、本法案の遵守状況の確認のために必要な事項の内容、そういったものを総合的に考慮することで実効的に規制を行うことができるというふうに考えております。

市村委員 こういうのはやはりタイミングというかが重要で、それが発覚してから調べ始めてももう遅いんですね。今、新しい製品が、みんなが注目しているときに見てもらうためには、そのときにやはり検索上位に上がっていかなくちゃいけないわけでありまして、それで、いや、おかしいから、それから調べましたといっても、それで時間をかけている間にもうその商品と類似のものを大手が出してくるということだってこれは考えられるわけでありまして、いやいや、うちも考えていました、同じようなものをという感じでやられると、結局は太刀打ちできないということになります。

 だから、やはり実効性の担保なんですね。だから、そこもやはりしっかり考えておかないと、なかなか、デジタル赤字というのは、去年の速報値で何と五・五兆円なんですね、五・五兆円なんです。二〇二二年度で、モバイルコンテンツ市場規模というのは、我が国は二・八兆円なんですけれども、もし決済手数料が三割とすれば、約八千億円強の国際収支赤字となっているわけですね、今現在で。

 だから、国力を強化する、経済力を高めていくためには、やはり日本の独自の何かですね。しかも、それが日本独自であって、ガラパゴス化しないで、世界に打って出られるようなものにしていかなくちゃいけないわけであって、そのときに、しっかりと検索エンジンでも上位に立って、みんなが、これはすごい、これでいこうよというふうに、最大のチャンスがやはりAIだと思っていますから、そのときになれるように、やはり、是非とも、公取さんには、まさに競争力強化という観点から、ここもしっかりとやっていただきたい。

 実は、この法が施行される一年半以内が勝負ではないかと思っているぐらいでありまして、だから、是非とも、しっかりコミュニケーションを取っていただいて、国内企業とも、産業とも、経済界ともよくコミュニケーションを取っていただいて、別に、排他的にやることはないんですが、やはり公平性の担保というところで、別に、日本だけを守ってほしい、日本企業だけは守るということじゃなくて、競争の公平性を担保してほしいということで、お願いしたいと思います。

 それから、あと、正当化事由ということで、結局、これが濫用される可能性がある。さっきは迂回の話をさせていただきましたが、今度は濫用の話なんですね。正当化事由を濫用されて、これでまた実質的にはなかなか改善されない、競争力が担保されないということも考えられるんですが、これについてはどういうお考えを持っていらっしゃるんでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、まずは、指定事業者においてセキュリティー確保等について必要な措置が適切に講じられるものというふうに考えておりますけれども、その前提として、公正取引委員会は、セキュリティーの確保等に係る正当化事由の考え方の明確化を図るため、関係行政機関とも連携してガイドラインを策定することとしております。

 その上で、指定事業者がセキュリティー確保等のための必要な措置を講じた場合には、毎年度提出することが義務づけられております報告書に記載を求めることを予定しております。

 公正取引委員会としては、ガイドラインを踏まえつつ、専門的な知見を有する関係行政機関と連携しながら、これまで採用を進めてきましたセキュリティー等の専門人材の有する知見を活用するなどして、指定事業者が取った措置が正当化事由に当たるか否かについて厳正に評価を行っていくことを考えております。

 このようなセキュリティー等の問題に係る評価に当たりましては、専門的な知見を要することから、引き続き、関係各方面の理解も得ながら、セキュリティー等の専門人材の登用を進めるなど、本法案を実効的に運用するために、質、量の両面から体制強化を進めてまいりたいと考えております。

市村委員 是非とも、運用については、あらかじめ明示するという形でお願いしたいと思います。

 それから次に、さっきは迂回、濫用、今度は報復措置ということで、何とか、表向きはやりますよといいながらも、いろいろな形でそうならないようにされる可能性があると。本当は信じたいですよ、アルファベットさんやアップルさんは優良企業だし、大変私は世界的にも志を持った企業だと信じていますから、そこはちゃんとやってくださると信じたいんですが、やはり、そういうおそれがあるということであれば、しっかりと最初から考えておく必要もあると思いまして、この報復措置なんですけれども、報復措置からどのようにしていろいろな新規参入企業を守るのか、教えていただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、違反する事実があると思料するときは、何人も、公正取引委員会に報告できる旨を規定しておりますけれども、御指摘のとおり、取引関係にある事業者などが指定事業者からの報復を恐れて公正取引委員会への報告をちゅうちょする可能性がございます。

 そこで、本法案では、公正取引委員会に報告を行ったことを理由として不利益な取扱いをすることを禁止する規定を設けまして、報告を行ったスマートフォン関連分野に限定せず、指定事業者による報復を防止しております。

 また、指定事業者が、例えば、他の事業者がアプリストアに参入したことへの報復として当該参入事業者に対して不利益を与えることでありますとか、個別アプリ事業者が他の事業者のアプリストアにおいてアプリを提供したことへの報復として指定事業者が運営するアプリストアでのアプリの提供を認めないといったことにより、アプリストアの参入を妨げていると認められる場合には、本法案に違反するものでありまして、このような規定の運用も通じて報復措置に対応していくことを考えているところでございます。

 なお、指定事業者が他の事業者に対して何らかの行為の報復として不当に不利益を与えた場合ですけれども、当該他の事業者に対して優越的地位にあるといった要件、その他の要件を満たす場合には、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題となるおそれもございます。

 以上のように、本法案の規制のほか、独占禁止法の規制も含めて、指定事業者による報復行為に対しては厳正に対処してまいりたいと考えております。

市村委員 江戸の敵は長崎でといって、なかなか、江戸では分かったと言っても、メガテックの事業は広いですから、ほかのところで、えっ、こんなところでというところで報復措置を取られないように、是非とも、何か、恐らく事業者からそういう申出を出せるところもあるんですよね、いわゆる目安箱みたいなところもあるんですよね。だから、そこは是非とも、実効性を担保するという意味でも、この報復措置についても考えていただければと思います。

 それから、もう一個あったんですが最後に飛ばしまして、やはり何といっても、実効性を担保するためには執行体制の確立ということが大切でありまして、やはり今法案の肝というのは実効性であると思っていますが、大臣、これについて大臣の方からまた御決意をいただきたいと思います。メガテックに対峙していくには今は不十分なのかもしれないなという懸念もありますので、やるんだというところで、大臣の方から強い決意をいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 決意ということであります、体制とも連携しているところだと思いまして、その観点からお答えをさせていただきます。

 本法案は、巨大デジタルプラットフォーム事業者を相手に執行するということが想定をされてございます。また、セキュリティー等の問題を含めまして専門的な知見というものを要することから、本法案を実効的に運用していくためには、経産省、総務省といった専門的な知識を有する関係行政機関との緊密な連携が必要であるとも考えておりまして、円滑な連携を行うための体制を構築していく予定でございます。

 また、公正取引委員会におきましては、これまでもセキュリティー等の専門的人材をデジタルアナリストとして登用を進めてまいりましたが、引き続き、関係各方面の御理解も得ながら、本法案を実効的に運用していくために、量、質、この両面から抜本的な体制強化を進めてまいりたいと考えております。

市村委員 今回は入っていませんけれども、かつて、私が思い出すのは、マイクロソフトさんのいわゆるウィンドウズの方がすごく独占的になっていたときに、一時期、本当はアップルが先行していたんですけれども、アップルの方が、独占禁止ですか、マイクロソフトに対して提訴を起こしたんでしたかな。それで結局、マイクロソフトに対して、アップルをもっと、競争環境をつくれるようにしなさいというようなことがあったと思います。そのアップルさんが今度は対峙される方としておられるわけで、アップルさんは、多分アルファベットさんも、そこはしっかり考えておられると思います。

 だから、しっかりとコミュニケーションを取っていただいて、最終目的は日本の経済力を強化するということで是非ともお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

岡本委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 前回に続いて、スマホ特定ソフトウェア競争促進法案について質問いたします。

 まず、経産省に聞きます。

 二〇二三年六月十六日のモバイル・エコシステムに関する競争評価最終報告では、二〇二〇年の特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律、いわゆる取引透明化法は、日本で最初のデジタルプラットフォームをめぐる法律に位置づけられております。

 まず、この取引透明化法の枠組みを簡潔に紹介いただきたい。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 取引透明化法は、特定プラットフォーム提供者に対して、一、取引条件の情報開示、二、自主的な手続や体制の整備に係る措置を求めた上で、三、特定プラットフォーム提供者の取組状況を学識経験者や利用事業者の業界団体も交えてモニタリングをするなどとともに、その結果を踏まえた大臣評価を公表し、取組の改善につなげていく、こういったことで、特定プラットフォーム提供者と利用事業者との取引の透明性、公正性の向上を図ることを目的としたものでございます。

笠井委員 要するに、共同規制に基づくということでありますが、最終報告で共同規制的アプローチと規定されている取引透明化法は、巨大IT企業の自主性に配慮し、国の関与と規制を最小限にすることを理念とし、禁止行為規定もなく、最大で百万円の罰金、情報開示命令違反という内容でありました。

 我が党は、修正案を提出して、国の適切な関与と規制の下で、巨大IT企業に透明性、公正性の向上に責任を果たさせることを目的に禁止規定を盛り込み、違反には独禁法の課徴金の算定率を引き上げ、抑止力を高めることを提案して論戦いたしました。

 そこで、取引透明化法の議論から本法案提出に至る経過に関わって内閣官房に確認したいと思います。

 デジタル市場競争会議は、二〇一九年九月二十七日以降、取引透明化法案の検討を進め、楽天、ヤフー、グーグル、アップル等への聞き取りを経て、十二月十七日の第二回会議で、法案の方向性として四つの取引上の不当行為の禁止、すなわち、競合商品の拒絶、自社サービスの利用強制、自社商品を有利に表示、そして一方的な不利益変更、これらを法案に盛り込む選択肢を示しておりました。

 これに対して、翌年一月二十日に経団連から出されたパブリックコメントは、この禁止規定に対して何を求めたか、その理由は何だったか、端的にお答えください。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年十二月十七日に開催されました第二回デジタル市場競争会議におきまして、事務局の方よりデジタルプラットフォーム取引透明化法案の方向性についてお示しをさせていただき、これに対するパブリックコメントを実施いたしました。それに対して、御指摘ありましたように、日本経済団体連合会の方から、取引上の不当行為の禁止について、以下の御意見及びその理由をいただいております。

 意見は二つでございます。

 一つ目の意見でございますが、それは、「「一定の取引上の不当行為をしてはならないとの規定」を本法に定めるべきではない。」という意見でございます。

 その理由でございますが、「「不当行為の例」として掲げられている事例は独占禁止法で既に規制し得ると考えられる。」という指摘でございました。

 それから、二つ目でございます。二つ目の意見でございますが、少し省略をさせていただきますが、「仮に本法に「一定の取引上の不当行為をしてはならないとの規定」を盛り込む場合であっても、」省略をさせていただきまして、「独占禁止法との関係を整理することが最低限必要である。他の関係諸法令の規定、およびその適用・執行についても重複規制を避けるべく同様の整理が必要である。」との御意見をいただいております。

 その理由につきましては、「本法で規律される「不当行為」について、独占禁止法等が本法と異なる基準で規制を課すことになると、事業者の事業遂行上の予見可能性を害し、イノベーションを阻害する懸念が強い。」。

 こういった意見、理由をいただいております。

笠井委員 その後、経団連の要求どおり、二〇二〇年の一月二十八日の第三回会議、持ち回りで議事録はありませんが、そこでは禁止行為規定が削除されてしまった。

 同年四月十五日の本委員会で、私は、議事録もなければ、どういう経過で禁止規定を削除したのか、国民に明らかにならないと、当時の梶山経産大臣にただしました。ところが、議事録の扱いはデジタル市場競争会議が所掌しており、経産省としてお答えする立場にないという答弁でうやむやにしてしまった。

 結局のところ、経団連が禁止行為規定の削除を要求し、それに応えて、共同規制で、自主性任せの法案提出へと転換したと言われても仕方がない経過であったわけであります。

 我が党は、修正案を提出して、禁止規定を盛り込んで、課徴金も規定することを求めてまいりました。

 そこで、内閣官房に確認しますが、取引透明化法は、二〇二一年二月一日に施行されました。実際に運用されて効果があったのか。

 デジタル市場競争会議ワーキンググループでは、取引透明化法の限界を指摘する有識者の意見が相次ぎました。

 二〇二二年四月十五日の第三十六回で、生貝直人一橋大学大学院教授が、事前規制による横断的なルール整備が世界的な潮流になっている、こう指摘されて、十二月二日の第四十二回では、伊永大輔東北大学大学院教授が、取引透明化法における毎年度報告書と大臣によるモニタリングレビューが不十分であった、こう指摘されている、そういう指摘があったということは事実ですね。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありましたデジタル市場競争会議ワーキンググループにおきまして、御指摘のありました委員から御意見がありました。

 具体的に申し上げます。第三十……(笠井委員「趣旨が合えばいいです」と呼ぶ)分かりました。

 そのような指示がございました。

笠井委員 施行から一年余りで既に限界が指摘をされている。取引透明化法でグーグルやアップルに義務づけられた毎年度の報告も、大した中身がなかったということであります。

 そこで、自見大臣に伺います。

 取引透明化法の経過も踏まえた上で、今回の法案では、一つに、国の適切な関与と規制の下で、巨大IT企業に透明性、公正性の向上に責任を果たさせる。二つに、不当行為の禁止事項を明記する、事前規制の導入。そして、三つに、違反行為の課徴金の規定を設けて抑止を図る。そして、四つ目に、EUを参考にして独立、中立公正な監視機能を高める。大きく言ってこういうような方向性だと、今回の法案は。そのように理解してよろしいですか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、アプリストアにつきましては、デジタルプラットフォーム取引透明化法におきましても、取引条件の開示等の一定の義務が課されているところでございます。

 一方で、アプリストア等の特定のソフトウェアに係る市場は、特定少数の有力な事業者による寡占状態であり、当該事業者の競争制限的な行為によって様々な競争上の問題が生じてございます。そのような問題に迅速かつ効果的に対応するために、独占禁止法を補完する本法案を整備する必要があると考えてございます。

 委員からも今四つのことをお示しいただきましたが、具体的には、本法案では、指定をいたしました一定規模以上の特定のソフトウェアを提供する事業者に対しまして、競争を制限するおそれのある一定の行為の禁止等をあらかじめ定める、いわゆる事前規制を導入することとしてございます。また、規制の実効性を確保するための措置といたしまして、公正取引委員会の調査権限や課徴金納付命令等の規定を設けてございます。

 また、本法案は、独立した法執行機関である公正取引委員会において、これらの規定に基づきまして厳正かつ的確に運用していくこととしてございます。

笠井委員 我が党が二〇二〇年に取引透明化法の審議で提出した修正案、その方向性が全体としては今回の法案に反映されたと、今の答弁を伺っても受け止めているところです。

 そこで、内閣官房に伺いますが、取引透明化法の限界を踏まえて、今回事前規制に踏み込むのは当然の流れだと思います。

 しかし、取引透明化法で対象になっていたオンラインモールとアプリストアのうち、アプリストアは本法案で事前規制の対象となりますが、オンラインモールは対象になっていない。

 取引透明化法の審議と前後して、楽天市場に出店する中小企業に送料負担を押しつける楽天の行為が問題となって、公正取引委員会が立入検査を行っています。

 優越的地位の濫用が起こりやすいオンラインモールについてもこの事前規制の対象にすべきではないかと思うんですけれども、その点はどう考えていらっしゃいますか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありましたオンラインモールにつきましては、現在、取引透明化法で対応しているところでございますが、今回テーマになっておりますモバイルエコシステムという視点で見ますと、モバイルOSやアプリストア等を提供する事業者が定めるルール等に従わざるを得ないという立場にございます。

 それに対しまして、今回の規制の対象でございますモバイルOSやアプリストア等の特定ソフトウェアに係る市場につきましては、例えば、OSを提供する事業者が、その地位を利用してアプリストアを自社のものに限定したり、あるいは自社のサービスをデフォルト設定するなど、複合的な行為によって自社の地位を強固にするなどによって、オンラインモールに比しても競争圧力が働きにくい状況にあり、そういう意味で、事前規制の対象とする必要性がより高いという判断をしております。

 もちろん、オンラインモールにつきましても、引き続き、競争上の懸念や対応の必要性につきまして、公正取引委員会を始めとする関係省庁におきましてしっかりと注視していくこととしたいと考えております。

笠井委員 同法案について言うと、この法案は三年をめどに見直しする規定がある。そういう点ではしっかりと見直しするということをやっていただかなきゃいけないと思います。

 古谷公正取引委員会委員長に伺います。

 取引透明化法の審議の際に、参考人質疑では、アプリなどを使って単発で仕事を請け負うギグワーカーなどフリーランスの権利保護に関して、川上資人弁護士が、雇用保険など社会保障関係の権利や団体交渉権を保障する法規定が必要と強調されて、我が党も、修正案で、ギグワーカーに対する不当行為を防止するための措置について、速やかに検討し、所要の措置を講じることを提起いたしました。

 この労働提供プラットフォームも事前規制の対象とすべきではないかと思うんですが、委員長、どのようにお考えでしょうか。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回の法案は、先ほど説明がありましたように、スマートフォンに係る特定ソフトウェアの競争制限行為に関しまして、いわゆる事前規制等の規定を整備するものでございます。

 御指摘がありました労働提供プラットフォームでございますけれども、これは、デジタル化の進展等を背景に、大変働き方が近年多様化しておりまして、クラウドワークとかギグワーク、フリーランスといった、御指摘のような、いわばインターネットのプラットフォームを経由して受発注が行われるような就労形態が増えてきておるわけでありまして、公正取引委員会としましても、独占禁止法や下請法の観点から注視をしてきております。

 御承知のように、昨年、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、いわゆるフリーランス法が成立をいたしまして、この秋から施行することになっておりますけれども、プラットフォームの場合も、実質的にこういうプラットフォームの仲介事業者が業務委託を行っている発注者に当たる場合には、その事業者に対してもフリーランス法の規制が課されるということで、このフリーランス法は、御承知のように、一定の禁止行為と義務づけをあらかじめ定めているという点で、今回の事前規制とちょっと類似した仕組みになっている点はあろうかと思いますけれども、私どもとして、こうしたフリーランス法の施行、運用も踏まえまして、今後とも、労働提供プラットフォームについても、競争上の問題が生じていないかなど、引き続き注視をしてまいりたいというふうに思っております。

笠井委員 引き続き注視をするということだったので、注視をして、そして規制の在り方を検討していただきたいと思います。

 古谷委員長に引き続き伺いますが、今回の法案は、EUのデジタル市場法、DMAに準拠するとされております。EUのDMAが指定しているゲートキーパーの七社の名称と、各社が提供するコアプラットフォームサービスの区分の名称、そのサービスは合計幾つになるか、併せてお答えください。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 欧州のデジタル市場法は、今回の私どもの本法案の規制対象としますスマートフォンの特定ソフトウェアに加えまして、パソコンのOSやSNS等を含めた十種類のデジタル市場における重要なプラットフォームサービス、コアプラットフォームサービスと呼称しておりますが、これを規制対象といたしております。

 現時点で、七社のゲートキーパーについて、八種類、計二十四のコアプラットフォームサービスが指定をされております。

 具体的に七社を申し上げますと、アルファベット社、アップル社、マイクロソフト社、アマゾン社、メタ社、バイトダンス社、ブッキング社でございます。

 さらに、八種類のコアプラットフォームサービスといたしましては、OS、ブラウザー、検索、それからオンラインの仲介サービス、広告、SNS、ビデオ共有、コミュニケーションという八種類ということになっております。

笠井委員 EUのDMAと比べて、本法案ではグーグルとアップルだけが想定をされて、対象となるソフトウェアも四つ。OS、アプリストア、ブラウザー、検索エンジンのみということです。DMAが遵守事項でドゥーズ、禁止事項でドンツと規定しているとは、確かに共通はしているんですけれども、対象は余りに狭いと言わざるを得ません。

 そこで、古谷委員長、EUのDMAの制裁金の算定率は幾らになっているでしょうか。

古谷政府特別補佐人 欧州のデジタル市場法におきましては、関連商品の売上高にとどまらず、前会計年度の全世界売上高の一〇%を上限として制裁金が算定される仕組みになっているというふうに承知をいたしております。

 ただし、前会計年度の全世界売上高の一〇%というのは、あくまでも制裁金の上限でございまして、当局の裁量により、事例に応じて具体的な制裁金の額が決定されているというふうに承知しております。

笠井委員 本法案では、国内売上高の二〇%、十年以内の繰り返し違反に三〇%ということでありまして、これに比べると全世界の年間売上高の一〇%というのは巨額であって、抑止力には大きな差がある。

 更に伺いますが、米国では、司法省や連邦取引委員会等が、巨大IT企業、GAFA四社を全て反トラスト法違反で提訴しているんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。

古谷政府特別補佐人 御指摘のとおり、米国におきましては、米国の競争当局である司法省や連邦取引委員会がいわゆるGAFAと言われます巨大IT事業者四社につきまして反トラスト法違反で訴訟を提起し、現在係争中であるというふうに承知しております。

笠井委員 米国は、課徴金や制裁金という制度ではないものの、巨大IT企業への訴訟を活発化させて抑止力を高めようとしているということであります。

 総務省に質問します。

 EUの巨大IT企業規制は、DMAだけではありません。五月十七日の質問でも触れましたが、EUには、違法コンテンツ拡散や、人権など基本的権利、表現の自由等への悪影響に関するリスク分析、評価やリスク軽減措置の実施等を義務づけるデジタルサービス法、DSAがあります。この対象として何者、幾つのサービスが指定されているか。この法律の端的な概要の紹介と併せてお願いします。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 DSAの対象としまして、現時点で、超大規模オンラインプラットフォーム事業者は十七者、超大規模オンライン検索エンジン事業者は二者、そして指定サービス数は二十三と認識をしております。

 また、DSAの概要でございますけれども、安全で予測可能かつ信頼できるオンライン環境のための調和された規律を定めることを目的とし、違法コンテンツの削除などに係る規律、サービスの利用者を欺いたり自由な意思を行う能力を著しくゆがめるインターフェースの設計などの禁止や、未成年者の保護の義務などの規律を課していると認識をしております。(笠井委員「制裁金。違反した場合の」と呼ぶ)

 済みません、ちょっとそれは手元にデータがございませんので、後ほどお答えしたいと思います。

笠井委員 違反すると最大で年間売上高の六%の制裁金が課せられるということでありますが、このDMAとDSAの規制対象はほぼ重複しているということでないかと思うんですが、いかがですか、そこは。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御認識のとおり、現時点におきまして、DMAの指定対象として指定されている事業者は、DSAの規制対象となっているサービスを提供する事業者とほぼ重複していると承知をしております。

笠井委員 個人情報保護委員会に聞きます。

 EUには一般データ保護規則GDPRが存在をして、個人データやプライバシーの保護に関して、EUデータ保護指令により厳格に規定をされていると。最近の事例として、二〇二三年のアイルランドのデータ保護委員会、DPCが、フェイスブックを運営するメタにどのような違反で幾らの制裁金を課したか、紹介してください。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 海外当局の執行事例でございますので私どもが網羅的に完全に把握しているという立場にはございませんけれども、アイルランドのデータ保護委員会の発表というものをトレースしてみますと、昨年一月にアイルランドの委員会が発表したところによりますと、メタ・アイルランド社に対しまして、GDPRの透明性及び合法的処理の要件に違反していると判断されまして、同社に対して制裁金で、具体的には、フェイスブックのサービスには二・一億ユーロ、インスタグラムには一・八億ユーロを課したと。更に申しますと、昨年五月にアイルランドデータ保護委員会が発表したところによりますと、メタ・アイルランドがアメリカへ個人データを移転した、それにつきまして、GDPR違反といたしまして、同社に対しまして十二億ユーロの制裁金を課したというふうに発表されてございます。

笠井委員 十二億ユーロというと、約千八百億円ということになります。

 個人情報保護委員会に更に伺いますが、このGDPRは最大で全世界売上高の四%の課徴金を課すことができると。日本でも、来年とされる次回の個人情報保護法見直しでは、GDPRも参考にして課徴金の規定を盛り込むべきじゃないかと思うんですが、この点はどう考えていらっしゃいますか。

山澄政府参考人 委員御指摘ありましたように、令和二年の大改正を個人情報保護法についてしました後に、次の改正ということで、現在、そのためのもろもろの検討をしておるところでございますけれども、本年二月に、私ども個人情報保護委員会が発表しております検討項目の中に、実効性のある監視、監督の在り方というものの一環といたしまして、課徴金ですとか、勧告、命令等の行政上の監視、監督手段の在り方について検討するということに私どもとしては考えてございます。

 いずれにしましても、検討に当たりましては、内外の情勢ですとか、もろもろ、多角的な意見がございますものですから、そういうものを含めて、今現在検討しておるところでございます。

笠井委員 その検討の中で法制化が必要と判断されれば、国会に法案を提出して審議をするというふうな手続になっていくということでよろしいですかね。

山澄政府参考人 当然でございますが、検討の結果、法律改正が必要となれば、国会において御審議いただくということになると思いますが、まだ、いずれにしても検討中でございます。

笠井委員 自見大臣に伺います。

 EUは、デジタル市場を規制するDMAだけではなくて、ユーザーの安全を確保して基本的権利を保護するDSA、それから、個人情報、プライバシーを保護するGDPRによって、いわば横断的、総合的に巨大IT企業を規制をしていると、今もやり取りをさせていただきました。

 日本においても、日米欧三極のデジタル市場が足並みをそろえて、こう言われるのであれば、EUのように、幅広く、巨大IT企業を対象にして横断的、総合的に規制して、より公平公正、健全なデジタル市場を促進する、そういう必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、EUでは、個人データの保護を目的といたしました一般データ保護規則、GDPRが整備をされ、そしてその後、競争目的で、公正なデジタル市場を確保することを目的としたデジタル市場法、DMAと、そして、オンラインでの違法で有害な活動や偽情報の拡散防止によりユーザーの安全を確保することを目的といたしましたデジタルサービス法、DSAが整備されてきた、こういう歴史があったということを承知してございます。

 このうち、DMAに関しては、我が国では、本法案が、スマートフォンのアプリストア等の特定ソフトウェアの競争環境を整備するため、デジタル市場法と同様に、いわゆる事前規制を導入するものでございます。

 また、所管外ではございますが、我が国では、情報流通プラットフォーム対処法案が今国会で成立をしたところでございまして、同法は、EUのDSAを念頭に、大規模なプラットフォーム事業者に対して偽・誤情報の削除対応の迅速化や運用状況の透明化を義務づけることとするものだと承知をしてございます。

 加えまして、青少年保護の観点については、DSAを始め諸外国における最新の動向なども踏まえつつ、こども家庭庁を中心に関係省庁が連携して現状と課題を整理し、青少年の一層の保護の観点から、今後、更にどのような方策が考えられるか、法制上の対応の必要性の有無も含めて検討されているものというふうに承知をしてございます。

 さらに、今し方も答弁ございましたが、我が国では、デジタル技術の進展や、あるいは社会経済活動のグローバル化等を踏まえまして、個人情報保護法が改正されてきたということも承知をしてございます。

 このように、我が国におきましても、デジタル市場をめぐる様々な問題に応じまして法整備の対応が進められてきたところ、あるいは進められているところだというふうに承知をしてございます。

 引き続き、関係各省庁におきまして、適切に取り組んでいくことが重要であると考えてございます。

笠井委員 古谷委員長に最後に伺いますが、議論してきたように、EUの巨大IT規制は先を行っているというか、足並みをそろえるために、しっかりとやはりこちらも踏み込む必要があるというふうに思うんです。

 法律案の概要には、従来の独占禁止法の施行とは異なり、指定事業者やアプリ事業者等のステークホルダーと継続的に対話しながら、ビジネスモデルの改善を求める新たな規制の枠組みというふうにあります。

 今回、禁止事項と課徴金を規定して事前規制に踏み込むのは、しっかり抑止力の向上を目指すからだと思うんです。せっかく法制化したのに、実際には継続的な対話ばかりで行政処分を行わないなんということはないですよね。これはちょっと確認です。

古谷政府特別補佐人 御指摘ございましたように、今回の法案は、公正取引委員会に、調査権限、排除措置命令の権限、課徴金を賦課する権限、大変大きな権限を与えていただいております。当然、本法に違反する事実が見つかった場合には、それらの権限を行使をいたしまして厳正に対処をしたいというふうに思っております。

 ただ、指定事業者は恐らく、日本のデジタル市場においては、ビッグテックとはいえ大事なプレーヤーであります。したがいまして、競争の回復、競争環境を整備するという観点から、それらと対話をしながら競争環境を確保していくという努力も必要だと思いますので、ある意味で、私どもは二段構えで私どもの権限を使わせていただきたいというふうに思っております。

笠井委員 対話しながらしっかりと対処するということであります。取引透明化法を含めたこの間の審議の流れあるいは世界の流れとの関わりで、やはりそういうことにしっかりと向き合って、巨大IT企業や経団連など一部の少数者のための経済政策ではなくて、多数者のための経済政策に立ち戻るべきということを強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 先週に引き続いて質問に入りたいと思います。

 先週もお尋ねしたんですけれども、自分も、ネットを使ったり、スマホを使っていろいろなものを買ったり、チケットを手配したりしている一人なんですけれども、先週も申し上げましたように、見たくもない広告が出てきたり、じゃ、自分が靴を買ったとか何を買ったというと、似たような、こういう新しい商品がありますと広告が出てくるんですね。というと、じゃ、元の私の個人的な情報というんですかね、嗜好というのが誰のものなのかなといつも不思議に思うんです。

 昨日もレクをいただいたときに、何か申込みをしたり注文するときに小さい字で書いてあるんじゃないかと言われて、今日はちょっと確認してこなかったんですけれども、そういった形で私たちは物を買ったりサービスを申し込んだりしているということで間違いないのか、そこをお尋ねしたいと思います。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃったケースにとどまりませんけれども、一般的に個人情報保護法では、個人情報を個人情報取扱事業者が取得をいたしますときには、利用目的をできる限り特定して、それを通知、公表等をして取得しなければならないというふうになっておりますので、小さい字かどうかはともかく、そういうものが通知、公表等されているはずでございます。

鈴木(義)委員 そうしますと、私が今例示に挙げたように、靴を買いましたというと、それに類似するようなものが広告でぱっと出てくるというのは、私のデータを使っている人がいるということですよね。違うのかな。だから、使っているということだから、本来だったら、私にそういう広告を出していいかどうかを再確認するような仕組みになっていないのかということなんですけれども。

山澄政府参考人 先ほどの繰り返しになりますけれども、個人情報の利用目的については、取得時に通知、公表等をしなければならないとなっております。

 それに加えまして、例えば、その特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱う場合には本人の同意が要りますですとか、第三者提供をするときには本人の同意が要るという形で、本人の権利利益との調整が図られているところでございます。

鈴木(義)委員 もう一つ事例を挙げさせてもらうと、この広告を出ないようにするんだったら月に何千円か払ってくださいというのが出てくるんですね。この広告を見ないようにしたいんだったら月に何千円か払ってくださいという項目が出てくるんです。

 そうすると、今答弁いただいたのとちょっと真逆のやり方になっちゃっているんじゃないかと思うんですけれども。

山澄政府参考人 先ほど申しましたように、あらかじめ示されております利用目的の達成に必要な範囲を超えて使う場合ですとか第三者提供の場合には本人の同意が要るということが原則でございます。

 他方で、そういうものに当たらずに、利用目的に書いてある目的のために使う場合には、本人の同意等というものは個人情報保護法上は求めておりません。

鈴木(義)委員 何か押し問答をしていてもしようがないんですけれども。

 じゃ、二つ目の質問に入りたいと思います。

 特定ソフトウェア事業者の指定の変更及び取消しの規定のうち、特定ソフトウェアの提供等に係る事業の規模が政令で定める規模を下回った場合において、再び当該規模以上となることがないと明らかに認められるときとあるんですけれども、何をもって判断材料にするのか。これから政令で規定するとか省令で規定するとかと言われたら、それで終わっちゃうんですけれども、これはなかなか難しいなと思うんですね。

 だって、一回下げたんだから、それ以上復活することはないだろうというんですけれども、ここで私は疑問に思ったのは、今回の、寡占化しているから規制をかけるんです、もっと自由な競争を促進させるんですというので法律の改正になるんですけれども、そもそもユーザーが、これは使いやすいからといって、どんどんどんどん使っちゃった結果、寡占化しちゃっている状態を、行政側が、これはおかしいよ、分けなさいよとやれるものなのかということなんです。

 元々の、最初はそんなにパーセンテージ、シェアを持っていなかったのかもしれませんけれども、ユーザーである使用者側が、これは便利だよね、使いやすいよね、有益だよねといって、どんどんどんどん使う人が増えていって、最終的には八割、九割のユーザーが使っているといったら、寡占化しているという話なのかということなんです。

 その辺をどう判断するのかというのを、今の時点で結構ですから、お示しいただきたいと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御質問のあった件で、例えばユーザーがこれは便利だということで使っているうちに八割になった、例えば本法案についても、それ自体を何か問題としているわけではございません。そういった市場支配力を持つような事業者が一定の行為を行うこと、これを禁止事項として定める、あるいは守るべき事項を遵守事項として定めるということでございますので、何か競争の結果シェアが高くなった、それ自体は、本法案でも若しくは独禁法でも、それは問題とはならないということでございます。

鈴木(義)委員 そこがそもそもの問題なんだと思うんですけれども、今回問題になっているOSだ何だって、アプリも、縛りをかけるんだけれども、最初から一〇〇あったわけじゃないんだよね。いろいろなサイトがあるわけだ、プラットフォーマーもあるわけだから、その中で結果的にシェアが大きくなったから、今回、独禁法を改正して規制をかけましょうという話になるわけじゃないですか。

 言っている意味は分かりますよね。最初からアップルだとかグーグルが一〇〇パーに近いようなシェアを持っていたわけじゃないでしょうということなんです。いろいろなサイトだとかプラットフォーマーがあったわけだから、結果的にそうなったから規制をかけましょうとなっただけの話というふうにしか私なんかは解釈できないので。

 例えば、事業者側で考えてみたときに、いつも、先週も申し上げたように、商売をやる方からすれば、全部自分のお客さんにしたい。誰だってそうですよ。自分が作っているケーキを日本中の人が買ってくれたら、競争の原理が働かなければ、自分で一者独占でケーキでも、そばでも、ラーメンでも、うどんでも売れちゃうわけだから。そうなるように一生懸命努力しているだけの話で、結果としてそうなったから、じゃ、かけるということじゃないということでよろしいんですね。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるデジタル分野におきましては、間接ネットワーク効果でありますとか規模の経済といった特徴がありますことから、非常に寡占化しやすい産業でございます。

 先ほども申しましたとおり、寡占化したこと自体を何か問題としているというわけではございません。そういったような寡占化をして非常に大きな力を持っているところが、一定の、例えば独占禁止法でいうと、外形的に、類型的に私的独占に該当するような行為、こういった行為を行うことを事前に規制する、これが本法案でございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 じゃ、もう一点。法改正で政令や規則で具体的な禁止や制約事項が定められたとき、新規の購入者には対応されると思うんですけれども、現在私もiPhoneを使っているんですが、何かメリットはあるのかなと思うんですけれども、メリットがあったら御教授いただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、アップル社が提供するiOSでは、同社が提供するアプリストアであるアップストア以外のアプリストアを利用することはできないということで、アプリストア間の競争は行われていないという状況でございます。また、グーグルも同様でありまして、グーグルが提供するアンドロイドでは、同社が提供するアプリストアであるグーグルプレーストア以外のアプリストアを利用することは、それはできるわけですけれども、ほとんどの利用者はグーグルプレーストアを利用しているということで、アプリストア間の競争が十分に行われていないというところでございます。

 本法案によってというところでございますが、アプリストアの新規参入が進む、そして競争が促進されて手数料の引下げにつながる、これは、既存のアプリストアも含めて手数料の引下げにつながるということが期待されますし、あわせて、サービスの質が向上するということも期待しているところでございます。

鈴木(義)委員 私、今使っているiPhoneでほとんど無料のソフトしか使っていないというのは、余りメリットがないということですかね。そういうことだと思うんです。一年半後に施行して、その後になれば、競争が多少促されることによってソフト自体の利用料金が下がれば、ユーザーにメリットが出てくるんだと思うんですけれども、ちょっと随分先になっちゃうなというふうに思います。

 もう一点。特定ソフトウェアの仕様等の変更等に係る措置を定めています。iOSやアンドロイドでも同じように、OSやブラウザーのルール変更等をめぐる問題が指摘されているんですけれども、公取に依頼すれば指定業者に働きかけてくれるというふうに解釈していいんでしょうか。仮に、必要な措置を講じなければならないというふうに定めているんですけれども、指定業者は今まで不十分な対応しか取っていなかったものが、すぐに十分な対応を取れるようになるのか疑問が残るんですけれども、それはできるということでよろしいんでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、モバイルOS等に係る指定事業者が仕様変更等について事前に準備期間を確保して情報提供を行わない場合に、個別アプリ事業者等には、アプリの改修等に対応するため技術者を集中的に投入するなど、予期せぬ費用が発生するおそれがあるというところでございます。

 本法案では、指定事業者に対して、仕様変更等に際して、準備期間の確保、情報の開示、苦情処理に係る体制の整備といった必要な措置を取ることを義務づけることにより個別アプリ事業者等の不利益の防止を図るというのが、先ほど御指摘のあった十三条のポイントということになります。

 指定事業者がこの規定に違反した場合には、公正取引委員会が指定事業者に対して必要な措置を講ずるよう勧告を行い、この勧告に従わない場合には、措置を講ずべきことを命じることとしているところでございます。

 本法案におきましては、関係事業者等からの公正取引委員会に対する違反事実の報告等に関する手続を定めておりますけれども、公取といたしましては、指定事業者だけではなくて、アプリ事業者等の関係事業者とも継続的なコミュニケーションを取りながら、問題の改善に向けて本法案の運用を行っていくということが重要だと考えております。

鈴木(義)委員 そうしますと、前任の方も質問に使われた、じゃ、今アップルとグーグルは日本で幾らもうけているのかということですね。一兆六千億だとか、そういうデータはいただいたんですけれども。

 そうすると、これに対して、先ほども質問の中に出ていたんですけれども、何千億の課徴金を課すんですけれども、実際におとなしく払ってくれたんですかね、ヨーロッパとかほかの国で。法律を作って課徴金を課しますよといって課したんだけれども、アップルもグーグルも、分かりました、済みません、じゃ、その課徴金を払いますといって素直に払ってくれたんですか。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから話題に出ておりますデジタル市場法につきましては、まだ施行されたばかりですので、実績はございません。

 それ以外にも、いわゆるEUの競争法において、アップル、グーグルといったビッグテックに対する制裁金の決定はなされておりますけれども、全て承知しているわけではありませんけれども、多くは訴訟で争っていると認識しております。

鈴木(義)委員 ほかの国で争っているということは、この法律の改正をしても、はい、分かりましたというふうに課徴金を素直に払ってくれるとは思えないんですけれどもね。そうすると、実効性が担保できるかというところに行き交っちゃうんです。いろいろな法律を作りました、罰則も作りました、課徴金制度も、一〇パーよりも二〇パーの課徴金を課すような、すごく、何か何千億ももらえちゃうようなイメージが湧くんですけれども、実際、素直に払ってくれるかどうかというのは誰も分からないという。

 今御説明いただいたんですけれども、国内じゃまだ、法律を作って課徴金を、これから、一年半後にスタートしますよということでありますから、なかなか、それまでに相手に対策をつくれる余裕を与えるということですよね。実際に法律がスタートして施行するまでに一年半かかるということは、相手方もそういう、課徴金にならないような制度を、やはり防衛策として取り始めちゃうと思うんです。

 例えば私がアップルのCEOだったら、アジア・アップルとか、ヨーロッパ・アップルとか、北アメリカ・アップルとかと会社を全部分割させちゃう。独自な会社でやる、資本提携をするかどうか別にして。そうすると、世界的なシェアがぐっと下がりますから、じゃ、それを独占、寡占化というのかという話で、対抗する措置を取りますよね。あとは、データを抜くところだけは抜いて、それで、さっきの話の繰り返しになるんですけれども、データを利活用するところは別会社にするとかね。

 外見から見たら全体で見ているんだといっても、じゃ、全体というのは何を指して全体なのかという話。資本提携がなければ、上下関係の会社であれば別ですけれども、そうじゃないところでグループ化しているもので、あなたの会社もあなたの会社もみんなアップルでしょう、グーグルでしょうというふうに、誰がそれを把握するのかということ。そういうこともこの一年半の中で私は起こり得るんじゃないかと思うんです。

 だから、データをどんどんどんどん、さっきの答弁じゃないけれども、個人情報だからちゃんと了解をもらって預かっているんですといいながら、使い分けをされちゃったら、そのデータを、じゃ、誰が使っているのか。子会社に関しては規定をかける法律になっているんですけれども、全然関係ないところに、じゃ、例えば代理店契約を結んだとか業務委託契約を結んだといったときに、それを把握できるかという話なんです。

 今単体でやっているから簡単にやれるかもしれませんけれども、そういう複雑怪奇な業態に変えていったときに今回の独禁法が機能をするのかどうか、そこのところをお尋ねしたいと思います。

塚田政府参考人 そういった脱法行為に対してどう対応していくかというところでございますけれども、指定に係る基準については今後政令で定めていくこととなります。

 ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、指定の基準につきましても、市場の状況を的確に反映したものであって、かつ規制の潜脱を効果的に防止できるものとなるよう、適切に設定してまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 先ほどからずっと議論になっている、このOSの上に載らないと使わせないよとかというところを、この一年半の間で、じゃ、変えちゃったといってなっちゃったときに、命令を出せるか、課徴金を出せるかというふうになったら対応できるかということです、分かりやすく言えば。

 もう一つ。これも、技術者が育てられているのか、確保できているのか。

 お話をお聞きすると、ITの、この業界のたけた人を、パートタイムなのかどういうわけか分かりませんけれども、来てもらって、いろいろ、一緒になって、チームを組んで対応していると言うんですけれども、これから一年半の中で、じゃ、例えば公取の職員さん、行政マンの人にトレーニングしたから、全部の人が、違う仕事もやりながらこれもやらなくちゃいけないとなったときに、本当にマンパワーが足りるのか。

 それを、漠然として、何十人ということを私は申し上げたいとは思わないんです。ただ、これから政令で縛っていくとなったときに、本当に最初の二社だけでいいのか、それ以上増えていくのか、これから政令を作った段階で、合致して、何社、何十社と出てきたときに、それに対応するだけの人材をこの一年半の中で対応できるかということですね。

 それが、今、五十人がいいのか、百人がいいのか、分からないんです。そういう体制をきちっとスケジュール感を持ってやっていかないと、一年半後には混乱を生じかねないのかなと思うんですけれども、その辺のお考えをお示しいただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案の運用におきましては、巨大なデジタルプラットフォーム事業者を相手にするということが想定されているわけでございます。また、セキュリティーの問題なども含めて専門的な知見を要するというところがございますので、公正取引委員会の体制や能力の更なる強化は必要であるというふうに考えております。

 これまでも公正取引委員会では、セキュリティー等の専門的人材をデジタルアナリストとして登用を進めてまいりました。いろいろな、外部人材に関しても登用を進めてきたわけでございますが、引き続き、関係各方面の理解も得ながら、本法案を実効的に運用するために、質、量の両面から抜本的な体制強化を進めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 是非頑張ってもらいたいと思います。

 最後の質問になるんですけれども、法律案では、指定業者がセキュリティー、プライバシー、青少年保護等のために必要な措置を講ずることができるとしているんですね。

 公取は、指定業者の禁止行為及び講ずべき措置について、その考え方の明確化を図るため、指定業者が適切に対処するために必要な方針を公表すると聞くんですけれども、指定業者以外はどのように対応するのか、お尋ねしたいと思います。

 それと、画像の中にAIを取り入れた画像がもうどんどん入ってきているんですね。だから、それが青少年の健全育成に該当するのかしないのかというのが、私がユーチューブで動画を見る限り、そういうのがどんどん今、増えてきています。そこまで規制をかけていかれるものなのかどうか。かけていかなくちゃいけないと思うんですけれども。どうしても私たちの欲望に沿うような商品なり動画なりをやはり提供してきますよ、いろいろな形で、形を変えて。だって、それが見たいから見に行くわけだから。その辺をきちっと、公取だけで規制をかけられるものなのかどうか。

 必ず、各省庁と連携しますという答えなんでしょうけれども、それならそれでいいんですけれども、どこかが責任を持ってやらないと突っかけ持ちになっちゃうんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、セキュリティーの確保などのために必要な措置を講ずることができる旨を定めております。指定事業者が、新規参入事業者が運営する代替アプリストアに対して、セキュリティーの確保等の観点から一定の条件を課すことなどが許容されるわけでございます。新規参入事業者が運営する代替アプリストアにおいては、指定事業者によって設定されたこのような条件や規約に即して、セキュリティーの確保等のために必要な対応が取られることとなります。

 また、専門的知見を有する関係行政機関あるいは関係団体とも連携しながら、アプリストアが担うべきアプリ審査等について一定の指針を示すために、セキュリティーの専門家団体等によるガイドライン等の策定についても検討していくこととしております。

鈴木(義)委員 先週もお話ししたかもしれないんですけれども、例えば四桁の暗証番号、いろいろなサイトで、私も最後分からなくなっちゃうんです、パスワードが幾つもあって。今度、サイトのところにぺろっと出てくるんですけれども、じゃ、そのパスワードを覚えておきますというようなものが出てきちゃうんだね。そうすると、私が個人で使いたいパスワードなのにそれ自体も登録できちゃうということは、パスワードも相手方に行っちゃっているということ。これはもうパスワードにならないと思うんです。でも、そういうサイトが出てくるんですよ。だって、いろいろなパスワードを私も使っちゃっていますから。あれっ、このサイト、何だっけなと。だから、それは一応画面のちょっとメモ書きのところに、このサイトは何のパスワード、何のパスワードと。だから、それも、もしかしたら抜かれちゃっているということですよね。

 それをちゃんと記録しておくというようなサイトも出てくるということは、どんなにセキュリティーをきつくしていっても、どんどん便利なサイトが出てきちゃうと、みんな使いますよね。だから、本当に実効性が担保できるかというのが、やはりよくたけた人とチームを組んでやっていかないと、なかなか、後でトラブルが起きるんじゃないかなと思うんです。

 これは最後の締めくくりなので大臣にお尋ねしたいんですけれども、通告は出していないんです。こういう規制をかけるときに、最終的には国民であるユーザーにどれだけのメリットが行くのか、これからやってみなくちゃ分からないというんじゃなくて、最後はやはり国民に有益なものにしていくということがこの法律の最終目的だと私は思うんですけれども、意気込みというんですか、最後に一言、大臣から決意を聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案でございますけれども、私ども公正取引委員会が所管しております独禁法におきまして、補完をするという観点から新しい新法ということで出させていただいております。寡占状態ということ自体が悪いということではなく、今回は、そこに競争制限的な要素が加わっているというところから、様々な措置を講じさせていただく、こういったことになってございます。

 私どもの大きな目的は、公正で適切な競争環境を構築することによって、競争が促進をされ、そして手数料などが下がり、消費者にとっての選択肢が増え、また手数料が下がるということで、その利益を消費者が受けるということが大きな目的とされているところでございます。

 そういった文脈で申し上げれば、公正かつ自由な競争と、そして消費者の利益の確保というこの大きな目的の下に私ども独禁法をいただいておりますけれども、やはりその意味においては、消費者にとって分かりやすいということ、非常に重要だという委員の御指摘はしっかりと受け止めてまいりたいと思ってございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。終わります。

岡本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岡本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、山下貴司さん外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、日本共産党及び国民民主党・無所属クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。荒井優さん。

荒井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 デジタル市場の活性化やイノベーションの促進を図る観点から、特定ソフトウェアに係る市場における自由で開かれた公平・公正な競争環境の整備に取り組むとともに、セキュリティの確保、プライバシー保護、青少年保護、消費者保護等に関し必要な措置が講じられるように努め、競争と安全の両立の確保を図ること。この場合において、指定事業者によるセキュリティの確保、プライバシー保護、青少年保護等を理由とする過剰な措置が行われることのないよう、関係行政機関が連携して適切に対応すること。また、スマートフォンの安全・安心な利用と利便性確保のために、利用者に対し必要かつ十分な情報提供が行われるよう最大限努めること。

 二 指定事業者の禁止事項及び遵守事項について、本法の運用状況の検証等を通じ、競争上の問題の大きさに比して適切な規制になるように配慮するとともに、デジタル分野における技術革新、国内投資の促進、新たなビジネス形態等にも適切に対応することができるよう、必要に応じ見直しの検討を行うこと。

 三 指定事業者の禁止事項及び正当化事由並びに遵守事項について指定事業者が適切に対処するための指針については、関係事業者の予見可能性の確保及び競争と安全の両立が図られるよう、関係行政機関、関係有識者、関係民間事業者等を始め幅広い関係者の知見等を踏まえて可能な限り明確かつ具体的に策定するとともに、デジタル市場における情勢の変化等に対応し、適宜見直しを行うこと。また、検索エンジンに係る指定事業者の禁止行為については、検索エンジンを巡る適正な競争環境の確保に努めつつ、先行して制度の運用を行っている欧州の実施状況を分析し、検索エンジンに係る利用者のニーズへの即応性や的確性その他利用者の利便性が損なわれることがないよう配慮すること。

 四 本法の規制に関して、例えば、指定事業者以外の事業者によるアプリストアの提供について、指定事業者が、不当に高額な手数料等を徴収するなどにより、事実上参入を制限することがないよう、公正取引委員会は、指針においてその考え方を明確にすること。

 五 令和五年六月十六日に政府のデジタル市場競争会議において取りまとめられた「モバイル・エコシステムに関する競争評価 最終報告」において必要性が指摘された「う回的行為の禁止」について、指針や本法の運用においてその内容の明確化を図ること。

 六 アプリ開発者を始めとする公正取引委員会に本法の違反行為の報告及び措置の求めをした者の保護を図るため、その者に対する不利益取扱いの禁止の違反に係る本法第三十条による指定事業者に対する勧告及び命令等の必要な措置を適切に実施すること。

 七 本法の適切な運用を確保する観点から、専門部署の設置、デジタル分野の技術やビジネスに精通した専門人材の確保等、公正取引委員会の組織・人員等の体制を抜本的に強化し、公正取引委員会の独立性を確保するとともに、関係行政機関の間の連携強化を図ること。また、幅広い民間事業者の知見等を有効に活用するよう努めること。

 八 欧州や米国を始めとする諸外国の競争当局等との連携強化を図り、世界的なデジタル市場における競争政策の動向及び取組等を踏まえ、適時適切に必要な措置を講じること。

 九 青少年や保護者、教育関係者等のスマートフォンの利用に係るリテラシーの向上への取組が、関係行政機関の間の連携や関係民間機関等との連携の下で行われるように努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

岡本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岡本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、自見国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。自見国務大臣。

自見国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいります。

    ―――――――――――――

岡本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

岡本委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


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