第5号 令和7年3月28日(金曜日)
令和七年三月二十八日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 宮崎 政久君
理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君
理事 山下 貴司君 理事 荒井 優君
理事 山岡 達丸君 理事 山崎 誠君
理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君
井出 庸生君 岩田 和親君
鬼木 誠君 小池 正昭君
塩崎 彰久君 島田 智明君
鈴木 英敬君 関 芳弘君
世耕 弘成君 西田 昭二君
福田かおる君 細野 豪志君
松本 洋平君 宮内 秀樹君
向山 淳君 山本 大地君
東 克哉君 大島 敦君
岡田 克也君 落合 貴之君
小山 展弘君 鈴木 岳幸君
田嶋 要君 福森和歌子君
吉田はるみ君 東 徹君
村上 智信君 岡野 純子君
平岩 征樹君 福重 隆浩君
山口 良治君 佐原 若子君
辰巳孝太郎君 吉良 州司君
…………………………………
参考人
(Rapidus株式会社代表取締役社長) 小池 淳義君
参考人
(キオクシア株式会社代表取締役社長) 早坂 伸夫君
参考人
(さくらインターネット株式会社代表取締役社長) 田中 邦裕君
参考人
(自動車用先端SoC技術研究組合理事長) 山本 圭司君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
坂本竜太郎君 山本 大地君
鈴木 英敬君 塩崎 彰久君
西村 康稔君 福田かおる君
同日
辞任 補欠選任
塩崎 彰久君 鈴木 英敬君
福田かおる君 井出 庸生君
山本 大地君 坂本竜太郎君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 西田 昭二君
同日
辞任 補欠選任
西田 昭二君 西村 康稔君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
――――◇―――――
○宮崎委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
本日は、本案審査のため、参考人として、Rapidus株式会社代表取締役社長小池淳義君、キオクシア株式会社代表取締役社長早坂伸夫君、さくらインターネット株式会社代表取締役社長田中邦裕君、自動車用先端SoC技術研究組合理事長山本圭司君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、足下のお悪い中、また御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を本日お述べをいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず小池参考人にお願いいたします。
○小池参考人 ラピダスの小池でございます。
それでは、資料に従いまして御説明をしたいと思います。
それでは、二ページ目を御覧ください。
この図は、右手の方から御説明いたしますが、高性能の半導体が必要になってくるという形で、もう皆さん御存じのように、データセンター、特にサーバーとか、最近クオンタムコンピューターとか、あるいはスパコンが物すごい勢いで展開されているのはよく御存じだと思いますが、これについても、特に量子コンピューターにおいては、これだけでは動きませんので、その周辺のスーパーコンピューターを拡充していくことが極めて重要になっております。その中で一番重要な性能は、まずは高性能な半導体が必要になるということが第一点でございます。
そして、左側の図を見ていただきたいと思います。こちらの方は、エッジ、ポイント、皆さんに分かりやすい形で言いますと、特に自動車、自動車の自動運転等を始めとするようなもの、あるいはネクストスマホであるとかネクストPCというようなことに関して使われていく分野であります。ここでのキーとなることは、低消費電力ということが極めて重要になってまいります。
この二つのことは、二ナノメーターの半導体はこの両方の性能に優れている、用途が両方、二つのものにわたりますが、これがやはりどうしても必要だという形であります。もう一つは、もう皆さん御存じ、AIの半導体が非常に重要だという形になって、需要が拡大しているという点がございます。
続いて、次のページを御覧いただきたいと思います。
これはラピダスが設立した経緯でございます。
ラピダスは二〇二二年の八月十日に設立いたしました。これは、経営株主であります東哲郎とそして私でもって、経営株主としてスタートいたしました。このときに、この会社を経営するときに、一緒になってつくったメンバーは創業個人株主であります十二名でございました。これはどういうメンバーかといいますと、実は、この会社をする約二、三年前から、半導体が今大変な時期にある、特にロジック半導体においては約二十年近く遅れてしまっているという背景がございました。このままでは大変なことになる、あらゆる産業に影響を及ぼすという形で、これに対する研究をずっと行ってまいりました。これはボランティアの活動なんですが、大体水曜日の夜八時から十二時とか一時過ぎまで、ずっと議論しておりました。全くボランティアのアクティビティーだったんですが、この十一名、あるいはこのときの、トータルでは最終的に十二名になりましたけれども、このメンバーで今後の半導体はどうあるべきかということを一生懸命研究いたしまして、それでこのような設立をしようという形の経緯になりました。
このときは、我々だけではラピダスという名前はそれほど有名ではなかったわけですので、ここにあります企業八社、大手株主の八社の方々の出資をお願いいたしまして、会社が設立できたという経緯がございます。
三ページを御覧ください。
こちらの方は、我々の会社の理念について、そのマウントフジ・プロジェクトでずっと議論してきました。一番大事なことは、これは当たり前のことなんですが、とにかく人々の幸せのために半導体を作っていこう、半導体を通して人々を幸せに、豊かに、充実するために半導体は作るべきだという形をやっていました。確かに半導体は人々を便利にしたと思います、しかし本当に幸せにすることはできたのか、そういう疑問があったので、こういう形の議論をしてきました。
ここに三つのポイントを挙げております。
一つは、新産業それから新製品を共につくるということであります。
最終的なお客様のファイナルのプロダクトは何かということをしっかりと意識して半導体を供給するという形であります。半導体は今まで部品屋に成り下がっていました。でも、これからは、半導体が、やはり最終的なユーザーが何を考えていて、どうするかということを一緒になって考えていくという形で、この共創の理念ということを持っております。これも後でちょっと御説明したいと思います。
あとは、人材育成ですね。
これは極めて重要であって、半導体は人材が不足していると言われております。ですから、この人材を育成するために、日本の大学はもちろん、あらゆる研究機関と一緒になって、次の世代の人材、半導体に必要な人材を育成するということを考えております。このためにも、新しい組織あるいはLSTCということも考えて、一緒になって進めております。
あと、三つ目は、これはもう言うまでもないことですが、グリーン化でございます。
グリーン化は、これは、我々が二ナノをやるということは、実はグリーン化に物すごく貢献しています。電力に物すごく貢献いたします。だけれども、これは我々のデバイスだけではなくて、これを作る工場あるいはそれのインフラということもグリーンでなくてはいけないと考えておりまして、この三つの基本概念において、経営理念として会社を推進しております。
続いて、次のページを御覧ください。
これは我々の、一ページにラピダスの進捗と計画を示したものであります。
先ほども申し述べましたように、ラピダスは二〇二二年に設立いたしました。その後、IBMとラピダスが戦略的なパートナーシップを結んでおります。下の方を御覧ください。こちらの方で、ニューヨークのクリエイツにおきまして、アルバニーにおいて研究開発を行っております。現在、約百五十人のエンジニアを派遣いたしまして、そのうち、二ナノの技術を習得しましたから、これが帰ってきました。千歳の方で、二年間習得した後に、今日現在で約五十名から六十名のエンジニアが帰ってきております。来月に向けて、パイロットを開始しますから、約八十名のエンジニアが帰ってきまして、二ナノを習得して、これからパイロットをやるという人たちの準備を進めております。
imecももちろん、こちらの方はEUVの方で優れておりますから、こちらの方にも人を派遣しております。あと、シリコンバレー、こちらの方にもオフィスを開設いたしました。
あと、このパイロットラインの準備を進めておりますから。
あと、重要なことは、後工程もやっているんですね。チップレットの時代が来ますので、後工程もやっています。これは、前工程と後工程を一貫で我々の工場で立ち上げるということが一番重要なことになってまいります。
パイロットの方は、これは順調に進んでおりまして、EUV装置は昨年の十二月に搬入いたしました。これは大変な装置でありまして、右側の上の図にございます。このような露光装置は数百億円する装置でございますが、これを搬入することに成功いたしました。
現在を赤線で示しておりますが、この点においてパイロットの準備は順調に進んでおります。装置はほとんど搬入いたしまして、四月からパイロットが開始できるという状況にございます。量産は二〇二七年から開始するという形になっております。
続いて、次のページを御覧ください。
こちらの方は、研究開発そして人材体制に関して示しております。
我々の大事なことは、前工程と後工程、左の部分ですが、これを一緒にやるということと、あわせて設計のソリューションをやる。設計はお客様ですが、これの手助けをするシステムが必要なんですね。これをしっかり進めていくことが重要だと考えております。
人員は、おかげさまで七百名を超えることができました。つくったときは十四名でしたが、現在は毎月三十人から四十人入ってきまして、七百人を超えております。
工場建設は、下の図にありますように、何にもないところでございましたけれども、先ほど言いました、二〇二四年の十二月からEUVを、そしてパイロットの立ち上げを四月から行っております。
次のページを御覧ください。
これはNEDOとのプロジェクトの流れを示したものでございます。
二〇二二年度におきましては、北海道の千歳に選定をいたしまして、IBMとのパートナーシップあるいはEUVを進めてまいりました。二〇二三年度におきましては、IBMのアルバニーの研究所へ派遣をいたしました。それから、imecのプログラムを進めております。二〇二四年度におきましては、設備の導入を開始いたしまして、IBMとの技術派遣によります二ナノ生産技術の高度化に努めております。あと、これは大事なことは、二四年度には、後工程、先ほども言いましたチップレットの開発も進めるという形が重要になってきております。
これらは全て、二〇二七年から私どもが事業を行うというために、研究開発をやっていくための重要な御支援でございました。
続きまして、次のページを御覧ください。
こちらの方は、我々の方の顧客の開拓のことに関することでございます。
これは有名なテンストレントでございますが、ジム・ケラーの進めるテンストレント、新しいアーキテクチャーをつくる会社でございますが、こちらの方の共同提携。そして、最近発表いたしましたクエスト・グローバル、ここは設計支援をやる重要なパートナーです、こことの合意をいたしまして、設計支援を十分にやっていただけるということが分かりました。
あとは、国内においてはどうかという話になりますが、こちらにおいては、プリファードさんが設計して、我々がこれを作って、そしてさくらインターネット様の方にこれを納めてとやる、国内のAIにおけるエコシステムを完了する、こういう合意をさせていただいております。
電力の問題が非常に重要であります。こちらの方は、現在から比べて、二〇三〇年になると約六倍の電力が必要になります。大変な電力が必要になります。この中でよく見ていただきたいのは赤い部分であります。これはAIです。AIがどんどん増えていくと電力をどんどんどんどん食ってしまう、こういう問題があります。これにおいては、我々二ナノを使いますと、現在の七ナノに比べますと電力は約四分の一になります。物すごい電力に対する効果があります。このような形で進めていきたいと考えております。
次のページを御覧ください。
こちらの方は、北海道経済への貢献でございます。
いわゆる北海道の構想のところにいろいろなものを展開していく。苫小牧から石狩まで一貫となって、我々ラピダスがこの中心となって、トリガーになっていくわけでございますけれども、教育であるとか、これは北海道大学であるとかあるいは科技大であるとか、いろいろな連携をしておりますし、あるいは高専、四つの重要な高専がありますので、こことの連携を進めております。
もちろん、データセンター、こういったことは苫小牧であるとか石狩の方で展開しております。これらの経済効果を発展していくために頑張っております。
最後のページになります。
こちらの方は、北海道における活動をまとめたものでございます。
先ほど言いましたように、北海道大学とは連携協定を結んで、強力にこの関係を進めております。下の図は、左下の図ですが、これは学生と授業を行いまして、しっかりとした授業で、四百人以上が参加いたしました。是非ともラピダスに入りたいというふうに学生の方に言っていただいて、非常に勇気づけられました。
あと、真ん中でございますが、北海道ビジネスエキスポでも、経済界の方と一体となって進めるという形で、大変貴重な御支援をいただいております。北海道セミナーでも講演させていただきました。
下でございますが、大事なことは、大学はもちろん、高校も大事ですが、やはり小学生からこの教育の一環をしていくことは極めて重要だと思っております。ですから、小学生に、うちの従業員を派遣をいたしまして今展開しておりますが、いろいろな小学校で授業を行っております。ここで写真がございますように、クリーンルームのウェアを着たり、あるいは実際に半導体がどういうところに使われるのかという形の展開をしております。
説明は以上で終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○宮崎委員長 ありがとうございました。
次に、早坂参考人にお願いいたします。
○早坂参考人 ただいま御紹介いただきました、キオクシアの早坂でございます。
本日は、この場をおかりして、現在審議されてございます情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、弊社キオクシアの立場から意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
本日は、口頭のみによる意見陳述ということにさせていただきまして、お手元に資料はございませんので、御了承願いたいというふうに思います。
私は、まず初めに、この法案に賛成でございまして、法案の早期成立が日本の半導体産業の発展につながるということを心より願ってございます。
まず、弊社の状況について簡単に御説明させていただきます。
キオクシアは、データ保存用の半導体であるNANDフラッシュメモリーを主力製品としてございます。これらの製品は、スマートフォン、PC、データセンター等、様々な分野で不可欠なデバイスでございます。
そもそも、NANDフラッシュメモリーというのは、一九八七年に、キオクシアの前身でございます東芝で発明されたものでございまして、それを世界に出し、世の中に普及させていったというものでございます。弊社は日本で唯一のフラッシュメモリーメーカーということになってございます。
また、弊社は、開発、製造をほとんど日本でやっているということでございます。製造拠点は、三重県の四日市市と岩手県の北上市にあります。これらの工場は、米国のサンディスクと共同で運営をしております。
四日市工場と北上工場を合わせた合計の生産量というのは、全世界に出ていくNANDフラッシュメモリーの三分の一をここで作っているということでございます。NANDフラッシュメモリーの需要は、AIによる需要拡大もございまして、二〇二三年から二八年、この五年間で二・七倍に需要が増えるというふうに見込まれています。
こうした市場動向を背景に、弊社も政府の御支援を受けながら生産拠点の強化に努めております。具体的には、四日市工場の第七製造棟というものを増棟できたということ、それから、北上工場におきましては、新しく第二製造棟というものを今年の秋に稼働させるという予定でございます。
しかしながら、一般的に、半導体産業は非常に急速な技術革新が必要であります。そして、この業界に参入しているプレーヤーが非常に多いということが、非常に厳しい国際的な競争というのに直面してございます。
メモリー半導体は国内外を問わず多くのお客様に利用されていますが、キオクシアは、韓国のサムスン、SKハイニックス、米国のマイクロン、中国のYMTCといったグローバルな企業と、もう本当に熾烈な競争を繰り広げているということでございます。半導体業界で生き残っていくためには、こうした競争に勝ち抜いていかなければいけないということでございます。
半導体をめぐる地政学的な競争というのが激しくなる中、各国政府は、国際競争力を高めるために半導体企業に対し多額の支援を行い、戦略的にサポートしています。日本政府も、ここ数年、半導体産業に対して手厚い支援を実施してございまして、弊社もこれに関しては大変感謝しております。こうした政府支援なしでは世界の相手と戦うということが非常に厳しくなっているという状況でございます。
こうした中、日本もまた、競争に勝ち抜くために更なる対策を講じていく必要があるというふうに考えてございます。
それでは、本法案の意義と効果について、三つのポイント、ここに分けて述べさせていただきます。
まず、第一のポイントでございます。これは、他国の取組ということです。
まず、米国でございますけれども、二〇二二年に米国CHIPS法が成立し、国内に工場を誘致するための補助金として三百九十億ドルという巨額な予算を計上しました。バイデン政権時には、それも三百四十億ドルという補助金供与を確定しています。
また、半導体工場に対して、投資額、建屋それから設備というこれらの投資に対して二五%に相当する税額控除という制度も設けられている。さらには、融資、融資保証といった金融支援というのも含まれているということでございます。
中国は、政府の方針であります中国二〇二五というものに基づきまして、国家ICファンドを中心に大規模な政府補助金を投じて、急速に半導体企業を育成しています。国家ICファンドから地方政府ファンドまで、総額で一千億ドルという巨額な資金が計画されています。また、昨年では、三千四百四十億元規模、七兆円ぐらいですね、これくらいの規模のファンドが設立されて、中国独自の半導体サプライチェーンの構築が進んでいるということです。
韓国政府も、昨年の十一月に半導体エコシステム総合支援強化法案というものを発表し、今年二月には租税特例制限法の法制が可決されました。具体的な支援内容としましては、低利子の融資プログラムや設備投資に対する税額控除率の見直しというものが含まれています。また、半導体に特化した大学やAI半導体大学院の拡大、そういった支援も行われているということでございます。
このような、各国が戦略的に半導体産業を支援している中で、弊社も技術力、製造力というものの強みを生かして、現在のポジションをキープしてございます。しかしながら、日本政府も、海外政府に対抗し得る強力な施策を打ち出していただきたいというふうに思ってございます。
本法案は、半導体及びAI関連の需要を取り込む、日本の競争力を高めるという重要な法律であるというふうに考えています。この法律が早期に成立することで、日本の半導体産業は更なる発展を遂げることができるというふうに期待してございます。
第二のポイントは、半導体産業の経済波及効果です。
半導体産業は非常に裾野が広く、材料、装置、デバイスといった非常に多くの関連企業がエコシステムというものをつくっています。特に国際的に競争力のあるデバイスメーカーの存在は、関連企業を国内に引き寄せるという点、さらにはエコシステムの高度化に大きく寄与をしてございます。日本国内にこうした関連企業が高いレベルで集積してございまして、国内に半導体産業が存在するということの経済的な影響というものは非常に大きなものでございます。
例えば、弊社は、過去にサンディスク社とともに、既に六兆円の投資を四日市市というところに行ってございます。
三重県のあるシンクタンクの試算では、これから、例えば総額一兆円の投資を四日市にするということを行いますと、三重県内で七兆円、全国で十一兆円の経済的波及効果が生み出されるという試算が昨年示されてございます。
また、雇用面では、新規雇用を生み出し、弊社の、キオクシアの例を取って申し上げますと、四日市工場における従業員は、含めて今九千人でございます。また更に膨らんでいくということが考えられています。さらに、構内外注、請負というふうな方々を含めると、現在一万三千人という非常に大きな人数がここで働いていただいているということです。
このように、半導体産業がもたらす経済効果というものは非常に大きく、地域経済の活性化や雇用創出に直結しています。今後も適切な投資と政策支援が続けば、日本全体の経済成長に大きく寄与することができるというふうに考えてございます。
第三のポイントは、半導体人材の育成の必要性です。
少子高齢化が進む日本におきましては、半導体産業の競争力を維持するためには、若い世代の人材を育成し確保するということが非常に重要です。政府の支援によりまして、半導体産業に対するイメージというものが昨今非常に向上してきているということで、多くの方々にその重要性が認識されたということは、これは非常に大きな成果であったというふうに考えています。弊社でも、人材確保に向けた取組を強化し、産学官連携を通じて優秀な人材を引きつけて、さらに育成をしていくという努力を続けていきます。
例えば、高専の学生さんに対しては、JEITAと連携しながら半導体キャリア講習会というイベントにも参加してございますし、大学に対しては、特別講義や講演という形で半導体の技術などを紹介してございます。また、産学官の取組としましては、地方の自治体、三重県の半導体ネットワーク、さらには東北地方の東北半導体・エレクトロニクスデザインコンソーシアムといった協議会にも積極的に参加しているということです。
以前は、半導体産業はピークを過ぎた産業だというふうに言われ、魅力がないと言われたこともございました。しかし、政府の支援が始まって以降、この数年は、多くの若い世代が半導体分野に関心を持ってくれる、こういう状況になっているということです。
繰り返しになりますが、半導体産業の発展のためには、政府、アカデミア、産業界が一体となって半導体人材を育成していく必要があります。そのためには、日本半導体産業が活性化し、グローバル競争に伍していく、それができているということが大前提になろうかと思います。半導体人材の育成に関する活動が広がることによりまして、次世代の技術者が育ち、新たなイノベーションが生まれるということを期待しています。
以上の三点が、現在審議されている本法案に対する私の意見でございます。これからの半導体にとって、本法案の成立は極めて重要と考えてございます。
AIの普及に伴います半導体の需要が急増するという中で、弊社も、迅速に設備投資を進め、技術革新を遂げるということが必要であります。日本政府が示されている十兆円規模の支援は、予見可能性の向上という観点からも、我々にとって非常に心強いものであるというふうに思ってございます。この支援を最大限に活用して、日本におけるメモリー半導体の製造を更に強化していくという所存でございます。
重ねまして、最後になりますけれども、今回の審議を経て、法案が早期に成立し、日本の半導体産業が発展するということを切に望んでいます。
そこで私の話を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○宮崎委員長 ありがとうございました。
次に、田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人 さくらインターネットの田中と申します。
本日は、このような機会をいただきまして、また、日頃から弊社、業界をサポートいただいておりますことを改めて感謝いたします。ありがとうございます。
私の方から約十分間、皆様の方にお話をさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
二ページ目、自己紹介というページがございますけれども、私、二十九年前に、舞鶴の高専に在学中にさくらインターネットを創業いたしました創業者でございます。
先ほどからも高専人材の話が出ておりますけれども、下にございますように、高専の運営を担わせていただいたりだとか、最近徳島でできたまるごと高専、新しい高専の設立、サポート、また理事をさせていただいたりだとか、人材育成にも尽力させていただいております。
ちなみに、私、九三年に高専に入りまして、九八年に卒業いたしましたけれども、その頃は、高専生ですら就職できないというぐらいに非常に厳しい時代でございました。しかしながら、インターネットの波が来る中で、趣味が高じましてこの会社を設立したということでございます。ただ、その後、個人向けにひっそりとやっていた会社だったんですが、今では、一昨年にガバメントクラウドにも仮認定いただきまして、目下、正式認定をいただくために開発を進めているという会社でもございます。
一言で特徴を申し上げますと、社長が好きでやっている会社だということなんですけれども、やはり、自分で技術を持ち、そして好きでやっていく、スタートアップの基本でございますけれども、私ども、今年で上場から二十年になりますが、そういった老舗のネットベンチャーでございます。
次のページに行っていただきまして、ここからは本題の方に入らせていただきたいんですけれども、私、一言で申し上げると、いかに成長産業に投資をして、その果実を五年、十年、三十年、五十年、百年とこの国が、そして国民が得続けられるかということが重要だと思っています。そういった意味で、やはり成長産業に投資をするということが非常に重要であります。
AIを動かすためにはソフトウェアが必要であり、ソフトウェアを動かすためにはクラウドが必要であり、クラウドを成立させるためにはサーバーが、サーバーを動かすためにはデータセンターが、それを稼働させるためには半導体と電気が必要だということは皆様も御存じのとおりかと思います。それぐらい産業の米が電気や鉄から今は半導体そして計算資源へと移っているというのが現在でございます。
ただ、本日申し上げたいのは、これだけの成長産業になぜか日本が投資をしない、その投資主体がほとんど海外であるということ、これは非常にゆゆしき事態だというふうに思っております。
ちなみに、そこに走っている丸ノ内線、建設及び車両購入、二百両買ったそうですけれども、その建設費、購入費は二百億円だったそうです。ちなみに、関西人なら興味深い阪神甲子園球場、あれは百年前に三百万円で造ったそうです。
長期のデフレで物の値段が上がるということに慣れていない時代になっていますけれども、長期でアセットを持つことによりそれが価値を高めていく、そういった中で、いかに早く自分たちで投資をしてそのオーナーシップを持つかというのは非常に重要なわけですけれども、この三十年間、どうしても、デフレで、投資をしちゃうと損をするという時代が続きましたから、そういった投資をしないわけなんですけれども、改めてインフレ時代になって、早く投資した人の方が有利になってきている、しかしながら、その早く投資している人が外国だったらどうだろうかということは本当に重く受け止めないといけないと思っております。
次のページ、四ページ目を見ていただきたいんですけれども、そんな中、私、日本データセンター協会の理事長をさせていただいておりまして、今、ワット・ビット連携の委員もさせていただいておりますが、ほとんどのデータセンター投資が外資である、そこで動いているサーバーもほとんど外資である、またその半導体もほとんど外資である、作っているのも外資である。
ちなみに、AIの利活用でこの国はよくなるというふうに私は思っていますけれども、AIを利活用すればするほど国民が貧乏になるということも同時に申し上げなければなりません。デジタル貿易赤字は既に六・三兆円。要は、デジタルは便利であるわけですけれども、産業の米と言われるということは、その一番のキーを海外に握られることによって、それを利活用すると国民が豊かになると思いきや、その裏で確実に国富が流出するということを意味しています。
実は、グローバルで見ると、日本のデータセンター事業者は比較的頭角を現しています。海外には日本は投資をいたします、足下のNISAでも海外の株ばかり買っているわけですけれども、日本には金があります、しかし日本には投資されていない、そして、その投資が将来複利的に増大したときに日本人を豊かにしない、これが今の状況であります。
五ページ目を見ていただきたいんですけれども、これをニセコ化と私は呼んでおりまして、アセットは海外が持っている、運営、事業も海外の人がやっている、顧客も海外の人である、しかしながら働いている人だけ日本人、これがニセコ化でありますけれども、データセンターもそのような状況になりつつあります。
加えて、日本は比較的海外よりも電気がまだ余っているというふうに言われています。カーボンフリーの電源も比較的獲得できるとも言われています。そうしたらどうなるか。日本にデータセンターを造って、海外の人たちが日本の電気を奪っていく、そうなると、ただでさえ今高くなっている電気代がもっともっと上がってしまうということを意味しています。
ただ、その分、日本がデジタルでどんどんどんどん黒字をつくって国民が豊かになっているのであれば、電気代が上がってもそれを受け入れられるだろうというふうに思いますが、ニセコ化をしてしまうと、残念ながら日本が豊かにならず、しかし日本のアセットでグローバルの人たちが大もうけをするということを引き起こすわけです。
その次のページの六ページでございますけれども、その結果がデジタル貿易赤字でございます。六・三兆円の貿易赤字といいますけれども、日本はこれまでエネルギーの輸入のために相当な苦労をしながらエネルギー確保を行ってまいりました。今、このデジタル貿易赤字をインバウンドで取り戻しているというふうに言われますけれども、付加価値の高いデジタル産業を取られて労働集約型の日本人が働くことに対して、国富を取り戻していく。
私、沖縄に住んでいる沖縄県民でございますけれども、沖縄県民のつくった富、付加価値の実に二割は域外に流出している。そのほとんどは東京に来るわけですけれども、実際に、ホテルを予約するにも東京の会社、運営しているのも東京の会社。しかしながら、東京の会社ならまだ国富が残りますけれども、海外のブランドであったりだとか、VISAタッチなんか、すればするほど、どんどんどんどん数%がカリフォルニアに取られるという状況を起こしています。
ですので、足下でいうと、やはり、便利になればなるほど日本人がもうかるためには、便利にしているもの自体、半導体、デジタル産業に投資をすべきだというのが私が今日一番申し上げたいことです。
その中で、七ページ目、先ほど小池社長からもお話をいただきましたけれども、我々、国産クラウドというのを作っております。要は、我々のクラウドを使うことによって国富が国内にとどまるということをしています。単なるサーバー好きで始めた会社でございますけれども、このような国のアジェンダを担ぐことになるとは思ってもみませんでしたが、しかしながら、やはり、私、田中邦裕という、邦裕というのは国を裕福にということで親が名づけたそうなんですけれども、四十七歳にしてようやくその意味を知ったのかなというふうに僭越ながら思っております。
そのような中で、今、我々はエヌビディアさんの半導体を基にAIインフラをつくっておりますけれども、小池社長からもございましたように、先日、ラピダスさんでプリファードネットワークスさんの半導体を生産し、我々がクラウドを提供するという基本提携をいたしました。これによって、本当に下から上まで、要は電気とシリコンさえあれば付加価値を全て日本国内で行っていける。加えて言うと、それを東南アジアを始めとしたこれからの国に輸出をしていくということ、これは極めて重要だと思っています。
そんな中、最後に申し上げたいんですけれども、そのようなデジタルインフラに是非国の力をおかしいただきたいというものでございます。
弊社は、右のグラフにありますように、二百億円ぐらいの売上げの会社でありながらも、既に今期は百四十五億の投資をしております。恐らく来期は更に多くなっていくだろうというふうに思っております。
これに関しては、やはり国の支援を一昨年からいただいた結果、我々としては大胆に投資をすることができた。しかしながら、助成金だけではなくて、実は株式市場からも多くの資金を獲得しております。多くの上場企業が自己株買いや配当でどんどんどんどん株主様にお金を返している状況にありますけれども、弊社は、多くのお金を株主様から、市場からいただきまして、また国の支援をいただいて、それを元に利益が出たものも含めて投資をする。
結果として、弊社は石狩にデータセンターを置いていますけれども、常に石狩市への納税額はトップスリーに入っているという状況にありますし、それを社員に還元することで、今期も一五%の賃上げをいたしました。ですので、付加価値の多くを地元に還元し、そして社員に還元し、そして、最近では、給与水準が上がったので、外資からもどんどんどんどん転職組がやってくるようになりました。
その結果として、国富を増すためにサービスをつくり、海外に輸出をしていく、それで最終的にデジタル貿易黒字をつくれるように国の皆様の支援をいただければというふうに思っております。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○宮崎委員長 ありがとうございました。
次に、山本参考人にお願いいたします。
○山本参考人 本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
自動車用先端SoC技術研究組合、ASRAの理事長を拝命しております山本でございます。
本日は、ASRAの取組と半導体関連法案への期待を御説明させていただきます。
二ページを御覧ください。
皆様よく御存じのように、CASEの進展により車の知能化、情報化、電動化が大きく進み、さらには昨今ではAIの車への適用も始まっております。それを支えるのが半導体であり、今では一台の車には千個以上ものの半導体が使われております。その中でも、SoCと呼ばれる高機能ロジック半導体は、自動運転やAIエージェントなど、これからの車の進化を担う重要な半導体であり、このSoCの性能が車の性能を左右する、こういう状況にもなっております。
三ページを御覧ください。
日本国内では、国の支援もあり、先端半導体の生産を支える様々な施策が提案され、ラピダスやJASMのように、半導体業界の物づくり力を底上げする大規模生産工場の建設も進められています。一方では、自動車会社が必要とする仕様や性能を兼ね備えた先端半導体を実現するために、物づくり力に加え、企画力、設計力が重要となります。
四ページをお願いいたします。
残念ながら、現状は欧米の半導体メーカーに優位性があることは否めず、今回、自動車産業の総意として、様々なステークホルダーの知恵を集め、日本の自動車用先端半導体の設計力を強化することを目的にASRAを設立いたしました。ASRAは、アドバンスト・SoC・リサーチ・フォー・オートモーティブの略ですが、今後、日本の半導体業界の底上げにも貢献をしてまいりたいというふうに思います。
五ページを御覧ください。
これまでの大規模、高機能半導体は、一つのチップに全ての機能を織り込む、いわゆるモノリシック構造でしたが、これだとチップサイズが大きくなり、製品の歩留りや設計変更の柔軟性に難がございました。また、開発のリードタイムがどうしても長くなりますので、自動車会社が必要な機能、性能を備えたSoCをタイムリーに入手しにくいという、そういう事情がございます。そこで、萌芽的な技術である、機能や微細化が異なる複数のチップを組み合わせるチップレットという技術で、チップサイズの最適化と設計変更の柔軟性を高めた次世代SoCの国産化を進めてまいります。
六ページをお願いします。
これまでの車造りにおきましては、左の図のように、機能や対象技術ごとに各業界や企業が作業を分担する、いわゆる水平分業の形で進められていましたが、半導体の進化が日進月歩な今日は、右の図のように、それぞれの機能や技術が効率的に連携し合い、一つのチームとして開発を進める必要があると思っております。ASRAでは、様々なステークホルダーの知恵を集め、オープンでフェアな活動を進めてまいりたいと思います。
七ページに現在の組合員を示しております。
御覧のとおりで、自動車会社、ティア1、半導体メーカー各社から参画をいただいております。
八ページをお願いします。
現在、NEDOから補助金が給付されており、チップレットの試作開発を始めております。チップ間の通信と車用の各種耐久信頼性に必要なノウハウ習得を進めて、二〇三〇年を目指して製品化に道筋をつけてまいりたいと思っております。
最後に、九ページ。
既に御案内の半導体関連法案に関しましては、チップレットSoCの国産化を実現する上では、またBCPの観点でも、極めて重要な法案と理解をしております。とりわけ、チップレットSoCに使われることが想定される先端半導体のウェハー生産やチップレットの組立てそのものが例えばラピダスにより国内での地産地消が実現できれば、経済安全保障上も、また日本の半導体技術力の底上げにも有益だというふうに思っております。
一方では、先端半導体に限らず、車には、汎用マイコンやアナログデバイスなど、レガシーな半導体も多く使われております。また、電動化の進展でパワー半導体の重要性もますます高まっております。これらに対しても日の光を当てて、技術、人材、国内生産の強化は、自動車業界として、私どもASRAといたしましても大変重要だと思っています。
私からの御説明は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○宮崎委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○宮崎委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。
○岩田委員 自由民主党の岩田和親でございます。
まずもって、私からも本日の参考人四人の方々に、年度末、お忙しい中お越しいただいたことに心から御礼を申し上げたい、このように思っております。
何か、参考人といいますと、結構、学者の方が来られたりとか、こういうふうなケースが多いように私は思っておりましたけれども、こうやってまさに現場の方々から直接御意見を伺える機会というのは大変貴重だということで、感謝もしておるところでございます。
それでは、早速でありますけれども、質問を進めさせていただきたいと思います。
まず最初に、ラピダスの小池参考人にお伺いをしたい、このように思っております。
私、二〇二三年、ですから、おととしの夏に、この経済産業委員会の視察ということでヨーロッパに行ってまいりました。この委員会の中におられている関先生らと一緒に半導体関係の視察ということで幾つか行ったわけでありますけれども、当時、ASMLのウェニンクCEO、又はimecのルク・ファンデンホーブCEO、こういった方々にも直接お話を伺ったところであります。たしか記憶では、当時、大臣など以外では、国会議員として最初にそういう本社を訪問したということでありまして、そしてまた、ラピダスプロジェクトがいよいよ動き出すというタイミングでもありました。こうやってCEOが直接お出迎えをいただいて、大変期待をしている、こういうふうなお話をいただいたのを覚えております。世界的にもそういうふうな視点で見られているんだ、こういうふうに感じたところでございました。
こういった中で、二ナノを製造する、まさに世界の最先端のチャレンジになってくるわけでございますけれども、ここでやはり海外との協力関係、連携といったものが不可欠であろう、こういうふうな先ほどもお話でございました。先ほども触れましたようなimecとの連携の状況、あるいはIBM、そしてまたサンタクララなど、これはマーケティングの部分もあるんだと思いますが、こういった取組が進められているんだと思いますけれども、こういった海外との協力や連携、この最新の状況について御説明をいただけたら、このように思っております。
そして、あわせて、こういった協力を含めて、いよいよ試作がスタートをする、こういう時期でございますけれども、この二ナノの製造、必ずこれを実現するんだという意欲の点についても、改めて社長のお気持ちを伺いたいと思います。
○小池参考人 岩田先生、どうもありがとうございます。
先ほどお話しいただきましたimec、こちらの方はベルギーにある研究機関でございまして、私ども、かなり前からいろいろ議論しておりました。こちらの方は特にEUV露光装置の方の研究では非常に優れておりまして、この技術を中心として研究開発を共に進めております。ルクとは私も非常に長いおつき合いでございまして、連携をしていくという形でしっかりと進めております。
あと、ASMLに関しまして、先ほど言いましたEUV装置、特別な露光機でございますが、こちらの方も。これは当然、CEOも含めて、あと、マーティンという男が実はこのEUV装置を造った男なんですね。彼とはずっと連携を進めておりまして、先日も日本に来ていただいたんですが、こことの連携をしっかり進めて、このEUV技術を日本でも確実なものにしていきたいというふうに考えております。
あと、ほかの関係の連携でございますが、IBM、こちらの方とはもう強力に連携を進めております。先日も私もIBMの方に行ってきて、いろいろな連携でやっておりますが、IBMで優れているところは研究開発です。こちらの方が優れているわけですが、私どもの方は、やはり日本人の得意な物づくり。こちらの連携を併せることによって初めてこの二ナノというものが現実のものになっていくというふうに考えております。
あと、エコシステムということは重要でございますから、私どもは、IBM、それから先ほどもお話がありましたimec、こういったところ以外にもやはり連携が大事でございますから、グローバルな展開、真の意味のエコシステムで強力にこれを進めていきたいというふうに考えておりますし、マーケティングのお話もありましたが、こちらの方は、RCS、これは我々のサンタクララにある営業の拠点でありますが、これはマーケティングもしっかりやっておりまして、ここ等を含めて事業を展開していくということを考えております。
以上でございます。
○宮崎委員長 成功への意欲は。
○小池参考人 そうですね。ありがとうございます。これが一番大事ですね。
実は、私、昨日、千歳におりました。千歳に行って、工場を、これから四月でいよいよ試作をするという段階になりまして、いわゆる我々のオート3と呼ばれている装置のスイッチを押してきました。これでいよいよ自動化のための推進ができるというテストは完了したわけです。
四月から本格的な試作が始まりますから、これをやって、これをやっているエンジニアが物すごく熱烈で、本当に熱狂してくれました。全従業員を集めまして私もいろいろお話ししました。そうすると、みんな目が輝いて、これは絶対にやるんだという形で、一丸となってこのパイロットを進めるという強い意欲を感じることができました。
もちろん、私は絶対に自信があります。あらゆる我々の従業員がこれをやっていく。あるいは、パートナー、エコシステムの方々を含めて全面的に支援しておりますので、是非とも皆さんの御支援を賜りながらこのプロジェクトを必ず成功させていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
よろしいでしょうか。
○岩田委員 まさに昨日そのボタンを押されてきたという、そういった熱意も感じることができましたし、私としても、やはりこの日本のこれからを支える大事な産業、半導体産業でありますので、全力で応援していきたいということを重ねて申し上げさせていただきます。
では次に、ASRAの山本参考人にお伺いができればというふうに思っております。
自動車関係、もちろん日本の大事な基幹産業であります。そして、今日の大事なテーマであります半導体の産業、ここのやはり相乗効果というものは大変大きいんだろうな、こういうふうなことも先ほどの御説明を聞きながら感じたところでありました。
ここで少し広く、この自動車、広くはこれからモビリティー産業ということで前に進めていく、このように私も認識をしておるわけでありますけれども、その中で、今もう既に半導体は様々な形で車に使われておりますが、これから先の自動運転といった点でも半導体が非常に大事な役割を占めるんだろう、このように思っておるところでございます。世界的にもこの自動運転のことは大変競争が激化をしておるわけでございます。
そういった中で、世界のトップを走る我が国の自動車産業として、日本の勝ち筋といったものがどういった点にあるのかということ、そしてまた、その中でも、この半導体が占める役割といったもの、こういったものがどういったものがあるのかということについて御意見いただければというふうに思います。
○山本参考人 岩田先生、御質問ありがとうございました。
自動運転、国内の自動運転は勝てるかという御質問というふうに承りました。
自動運転の性能を左右する要素として、私は二つあると思っています。
一つは、よく皆さん、車の上にLiDARが載ったりカメラが載ったり、いわゆる自動運転ユニットを載っけて車が走っているというのを御覧になると思います。その自動運転を制御するユニットそのものの性能、これはまさにソフトウェアとAIとそれから半導体、これが物を言います。ただ、残念ながら、先ほど私が申し上げたとおり、この辺りに関しては後塵を拝しているということは否めないと思います。
ただ、挽回できるいろいろなチャンスもあるし、国からの支援もありましていろいろな施策が始まっていますので、ソフトウェアに関しても、それをやっていく上での必要なAIの基盤に関しても、半導体に関しても、追いついていければ多分そこは挽回できるというふうに思っています。ただ、これは時間をかけてやるようなものでもありませんので、今日のこの議論もそうですけれども、加速をしないといけないというのは事実です。
では、もう一つの要素は何かといいますと、自動運転システムユニットを載せる車の素性がいいかどうかです。
車は命を預かる工業製品ですので、自動運転が仮に何かへぼったときに最低限のサポートができるか。これは自動運転に限らず、私たち生身の人間が車を運転するときも同じでございます。日本でいうと、いわゆるぶつからない車。車種展開は多分世界のどの国よりもいち早くやっていると思います。いわゆる自動ブレーキですね。
日本の交通事故に目を向けますと、世界のどの先進国よりも、交通事故、さらには交通死亡事故の低減率がすごく進んでいます。それは何が貢献しているかといいますと、もちろん日本の社会インフラの強みはあるんですけれども、やはり自動ブレーキの展開が速かったということもあります。そういうのが例えばいい素性の車です。
あと、車には乗り心地というものがあります。自動運転システムが例えばアクセルを吹かしたりブレーキを踏んだり、乗り心地が悪ければ工業製品としての価値はありませんので、そういう車の素性そのものをよくする。この技術に関しては、日本の各カーメーカーが培ってきた強みだと僕は思います。だから、それを生かすことによって、自動運転システムの技術開発がレベルが上がってきたときに、本当の意味での完成度の高い自動運転が、自動運転車が提供できると思っています。
それから、半導体に期待するところなんですけれども、自動運転も種類が幾つかあります。レベル2・5、レベル3、レベル4、レベル5とあります。ただ、例えば、レベル4、レベル5に必要な半導体とレベル3に必要な半導体では性能が全然違います。では、アフォーダブルに、プラクティカルに工業製品として自動運転の機能を展開しようと思ったときに、やはりコスト対効果の概念が要ります。そういった意味で、半導体の種類をいかに柔軟性を持たせて準備できるか。レベル5にはレベル5相当の半導体を、レベル3にはレベル3相当の半導体を。
今は、エヌビディアさんがそうであるように、大規模な半導体で、何でもござれの機能を実現をされていますけれども、じゃ、これは工業製品に全部展開できるかと言われると、ちょっと難しいと思います。ですから、ラインナップを増やす、それも効率的にということで、ASRAがチップレットに目を向けたのはそういう背景もございます。
以上で私からの回答とさせていただきます。
○岩田委員 ありがとうございます。
田中参考人にお伺いをしたいというように思います。
大変志を感じる、力強い御説明であったというふうに承りました。
まさに私もデジタル赤字は大変危惧をしておりまして、資料では六・五兆円、二〇二四年ですが、六・六兆円とも言われているようなこういった赤字、十年間でたしか三倍に増えてきたんだというふうに思います。
これまでは日本はどうしても石油を始めとしてエネルギーを宿命的に海外に依存しなければいけないというふうな状況でしたが、これからデジタル社会が進むと、様々なデジタルインフラやサービスを海外に依存し続けるということは、それが次なる私たちの足かせになってしまってはいけないんだ、そういった危機感を私も強く持っておるところであります。
そういった中で、現状、いわゆるGAFAMと言われるようなこういったグローバル企業が世界のそういったインフラを席巻している状況なんですけれども、こういった中で、どうやって日本企業が国内でデータセンターを立ち上げて、そしてまた日本のユーザーに利用してもらえるように取り組んでいかれるのかという点、そしてまた、それに対しての政府などの支援、どういったものを期待をされているのか、この点を整理してお答えいただけたらと思います。
○田中参考人 御質問ありがとうございます。
おっしゃいますように、デジタル貿易赤字が非常に厳しい状況にあるということをどう解消するかというのは国家的な課題だというふうに思っております。
その中で、データセンター、そしてアプリケーションを、二つのレイヤーに分けてお話しした方が分かりやすいかと思います。
データセンターというのは不動産アセットでございます。これに関しては、例えば不動産会社さんであるだとかREITさんであるだとか、日本のお金を海外だけでなく、いかに日本の国内のデータセンターに投資をしてもらうかというふうな、いわゆる投資の分野でございます。ただ、それだけだと、不動産は日本企業が持っているけれども、クラウドサービスは海外企業だということになってしまいます。
ですので、もう一つ必要なのは、当社以外にもクラウドベンダーをいかに育てていくかということでございます。短期的に見ると、我々しかいないというのは営業戦略上非常に有利なわけなんですけれども、ただ、中長期で見ると、当社しかない状況が多くの国内のIT企業さんが容認するわけがないというふうに思っております。そういった意味で、我々の技術移転というのを実は国内の企業さんにしていくというふうな取組をしております。ですので、我々自身が、ライバルをつくることにはなりますけれども、国の御支援もいただきながらクラウドベンダーを増やしていくということ。
最後に、その上で動くアプリケーションが本質なわけですけれども、多くの方が、もはや、チャットGPTを見て、日本でこれと同じものを作るのは無理だとおっしゃる方も多いんですけれども、少なくとも、日本にITエンジニア、AIエンジニアはたくさんおられます。その方々が活躍することによって、日本国内でしっかりとAIを作っていく。正直なところ、ファウンデーションモデルと呼ばれるような大規模な基盤モデルというのを作るのは短期的には難しいと思いますが。
ディープシークに代表されるように、中国は、お金を大量にかけて大量の計算基盤を投入するということは残念ながら今できていません。お金はかけられても計算資源を買えない状況にあるわけですけれども、では、彼らはどうしたかというと、もっと軽量で動く技術開発をして、それをオープンソースで世界にばらまいて、アメリカの優位性をそぐような、そういう戦略に出てきました。
日本はどうすればいいかというと、大量の計算資源をアメリカから買える状況にもありますし、また、国内でラピダスさん始め半導体を作る動きもあります。要は、大量の計算資源を日本は整備できる状況にある、そしてそれを大量に使って日本独自のAIを作れる状態にある。となると、やはり計算基盤を使うAI開発者への支援というのは必要不可欠だと思います。
足下、GENIACという経産省の取組がありますけれども、あのような、計算資源は産業の米そのものでございますから、それの整備はもちろんですけれども、それを日本のスタートアップやAI開発企業がいかにもっと使いやすくして国産のAIが出てくるか、これが、日本の貿易赤字を減らし、GAFAMに対抗できるようなアプリケーションを開発し、日本国民がそれを利活用する、そういった礎になるのではないかなと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○岩田委員 ありがとうございました。
済みません、早坂参考人には、会社の歴史と日本の半導体産業の歴史、重ね合わせた御所見をというふうな質問を考えておったんですが、時間の関係もございまして、申し訳ありません、私の時間が終わってしまいましたので、おわびを申し上げて、これで終了したいというふうに思っております。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、荒井優君。
○荒井委員 おはようございます。立憲民主党の荒井優でございます。
本日は、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。
まず最初に、岩田先生からもお話がありましたキオクシアの早坂社長に、今日は本当に年度末のお忙しい中お越しいただいたこと、僕から最初に御質問させていただきたいと思います。
実は、今日の参考人の中で早坂社長がいらっしゃるんだということは、結構、僕にとってはちょっとしたサプライズ、すごいことだなというふうに実は思っておりました。
キオクシアさんは、昨年の年末に東証プライムに上場されたと思います。多分、昨年最大の上場案件だということで、マーケットにとっても非常に大きなインパクトがあったと思います。その中で、キオクシアさんは、NANDフラッシュメモリーのまさに世界のリーディングカンパニーである本当に日本を代表する半導体メーカーでもあり、そして、かつ、先ほど小池社長からも御説明あったラピダスの企業八社の出資者の中で、唯一の半導体を作っている同業という、実質は作っているものは違うんでしょうけれども、ある種、そのマーケットの中から出資をされている会社でもあるということでは、その意味では、今日お隣に座っている小池社長に対しては出資者としての立場もあるのではないかというふうに思っています。
その意味で、今、この法案に即して、一つ言われている中で、ラピダスに対しての民間の出資が少ないんじゃないかということをよく国会の質疑でも取り上げられることがしばしばあったわけですが、今回、キオクシアさんがそもそも出資をしようと思った、そこの、経営としての意思判断というのはどの辺にあったのかということを一点お聞かせいただきたいのと、あともう一つ、このラピダスという会社の、これから、今はまだ当然キャッシュが出ていく状態なわけだと思いますが、経営がどううまくいっているのかというKPIをまさに出資者としてどのように御覧になっているのかというのを御説明いただきたいと思います。
特に、上場企業ですから当然キオクシアさんの株主さんもいらっしゃって、当然その出資とかに対しては非常に厳しくも見られているかと思いますので、そういう観点も含めて教えていただければと思います。
○早坂参考人 どうもありがとうございました。
少し順不同になるかもしれないですけれども、私どもがラピダスさんに出資したという、どう考えてやったのかということかと思います。
先ほど来何か話がたくさん出ていますけれども、日本の中では、残念ながら、ファウンドリーというか、ロジックのアクティビティーというのはほとんどない、ほとんどないと言っちゃいけないな、少なくとも先端のものに関してはないというふうな状況になっています。我々は、そういったロジックデバイスが欲しい場合には、海外に出してそこで買うということなんです。それというのは結構日本の競争力にも影響するような厳しい状況であるということです。
そんな中で、経産省さん若しくは小池さんのところから出ましたラピダスの計画というのは、日本の中でロジックを作ってくれて我々に供給してくれるということができるのであるのだったらば、日本の産業を活性化するという点でも非常に役割としては大きいだろうなというところで、そういった小池さんの熱い熱意にも、やるんだということだったので、そこに共感しまして、まずは出資しようということで出資をさせていただきました。
一方、KPIという話がございましたけれども、進捗をどういうふうに見ているんだということかと思います。
ただ、先端のロジックデバイスを開発するというのは、これは非常に本当に難しいことです。それは僕は同業の半導体をやっているところとしてもとてもよく分かります。今は建物ができてこれから開発ラインということなんですけれども、だから、事業までいくということを考えると、まだまだ道は長いかなというふうに思っていまして、そこをしっかりやっていただけるように我々としては思っていますし、KPIというのはなかなか難しいですけれども、ただ、我々は、ラピダスの情報としては、株主であるがゆえの情報であったりとかも小池さんとはよく話したりもしますので、中身を一部、全部は知っているわけではないと思いますけれども、知っていますけれども、そこから出てくる話というのは、うまくいっているというふうに言われているので、まあそうなのかなと思って見ているんですけれども。
それから、再出資に関してですけれども、再出資に関しましては、これもまだあれですけれども、まだ現在、確かに御依頼もありますので、考えているというところでございます。ただ、KPIではないですけれども、進捗等を見ながら今後これから結論を出していこうかなという状況でございます。
○荒井委員 ありがとうございます。大変重要なお話もいただいたように思いました。
小池社長にお伺いしたいんですが、ある意味、もちろん直接的な出資者という意味ではまさに今日お隣にお座りのキオクシアさんであったり、ほかにもあるわけですが、これから、この法案も含めて、ともすると出資そのものを国が、つまり国民全体が関わっていくという形になるわけで、そのよしあしを含めて国会でまさにこれから法案の審議が始まっていく。通常、こういうふうに先に参考人の皆さんにお話を聞く機会というのはめったに委員会でもなくて、大抵最後に聞く機会の方が多いので、今日は大変重要な機会だというふうに捉えているわけですが、そういう中で、KPIというものを、株主、直接であったり、若しくは国民に対してどのように考えていらっしゃるのか教えていただきたいのが一つ。
あともう一つ、ボタンを押されて、昨日ですか、社員の皆さん、先ほどの資料だと七百人だというふうに思いますが、これがずっと上がってきて七百人。これからも多分増えていくんだと思うんですが、二〇二七年の四月に、多分二年後にはこれをいわゆる製造ラインに乗せて営業が開始されるようになると思うんですが、このときには何人ぐらいの社員数を予定しているのか、もしもお話しいただけるんだったら、そこも教えていただきたいと思います。
○小池参考人 荒井先生、どうもありがとうございます。
御質問の件でございますが、まず、出資をしていただける、早坂さんを始めとして、我々の方の八社の方々にこれをお願いしているわけでございますが、我々の目標といたしましては、基本的に、国会の皆様というか、皆様方の御支援がございますので、まず目安としては一千億円の追加投資に関する調整をしておりまして、それがいよいよ本格化している状態にございます。
もちろん、これはNDAの締結、議論を進めている真っ最中でございますので、一応その額であるとか交渉状態というのはこの場ではちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、私としましては、先ほど、やはりこの技術は必要であって、どうしてもフルにこの国でこれをやらなきゃいけないという強い出資者の思いがございますので、私としては、ある程度この一千億に関するめどが立ちつつあるという状況にあるというふうに考えております。
あと、二点目の御質問でございますが、まず最初に、ちょっと順番は逆になるかもしれませんが、人材の件でございますけれども、先ほど七百人の人材が確保されたという話をしました。
毎月実は入社式をやっておりまして、毎月、三十人の非常に優秀な人間が入ってきております。それで、ちょうど来月は四月になりますので、四月の一日にまた入社式をやるんですけれども、そのときには新卒も含めて六十人から六十五人ぐらいの新しいメンバーが入ってまいります。
そういう具合に毎年人数が増えていきますけれども、先ほどの御質問では二七年の量産という形でございますので、これに関しましては、今のところの計算では大体千人規模の人材が必要になってくる。これは、我々の方は自動化を進めております、完璧な自動化。ですから、やはり人材としては、その自動化を進めるためのコアとなるような、特にAIであるとか、そういうことの技術が分かる優秀な人材を確保していくという形で、何とかこの人数でやっていけるという自信がございます。
○荒井委員 ありがとうございます。
まさに人材が非常に成功の鍵を握るというふうに僕も考えています。ただ、今、日本全体が人の数が減ってきて、どの業界、どの産業もまさに人材の確保に必死な状況があるわけですし、今まで日本は余り、今政府が取り組もうとしている、日本全体で取り組もうとしているこの半導体、AIの流れに多分人材育成は追いついてはいないと思うんですね。
そういう中で、田中社長にお伺いしたいんですが、舞鶴高専御出身で、その高専生のときにまさにさくらインターネットの事業を始められたというふうに思います。
国立高専で、全国には国立高専がたくさんありますが、ただ、僕個人としては、少し今の高専というのは物づくりに偏った高専の授業がまだ多いのではないかというふうに思っていまして、これから半導体、AIみたいなそういう領域に行くには、まさに理事をやられている神山高専のような、あそこは決して物づくりだけにこだわっていないと思うんですが、そういう新しいタイプの高専が必要になってくるんじゃないかというふうに思いますが、高専生御出身の経営者としていかがお考えですか。
○田中参考人 御質問ありがとうございます。
おっしゃいますとおり、やはり技術に偏重しているというのが高専の課題でありましたけれども、神山まるごと高専のように、デザインとテクノロジー、それとアントレプレナーシップ、この三つの要素を兼ね備えることによって、専門性を持ったゼネラリストをつくる重要性というのを感じております。
実は、国立高専機構においても、私、運営委員をさせていただいて七年になるんですが、アントレプレナーシップ教育というのを組み込みました。一昨年に国の予算をお認めいただきまして、五十七の高専に、全国、国立、私立、公立の高専に一億円ずつのアントレプレナーシップラボをつくるためのお金というのを、予算をお認めいただきまして、実はアントレプレナーシップが非常に上がっているという状況があります。
神山まるごと高専の現状でいいますと、テクノロジー以外にデザインができるということで入ってくる学生が多いことによって、実は男女比が全くもって半々になった。これは全然コントロールをしていないんですが、四月の入学生は二十二人、二十二人で男女が分かれています。どうしてもテクノロジーだけになってしまうと男性が多くなってしまうんですが、STEAM教育ということで考えると、デザインの要素を入れることによって女性の活躍というのが広がってきます。
ですので、これから、高専人材の多様化、そして重層的な人材教育ということを考えますと、いかにダイバーシティーを維持しつつも、しかしながら偏差値の高い中学三年生をいかに大量に集めて、そして入試競争に巻き込まれない五年間を過ごさせるか、これは国の人材育成としても非常に重要だと思っていますので、そういった観点でこれからもアントレプレナーシップ、そしてダイバーシティーを推進していきたいというふうに思っております。
ありがとうございます。
○荒井委員 ありがとうございます。まさにそういう人材をたくさん育てていきたいというふうに思っております。
最後に、山本理事長にお伺いしたいんです。
僕は今日北海道からやってきておりますが、北海道のタクシー会社の社長が北京でポニーAIのタクシーに乗った経験があるんですね。ポニーAIは、中国の自動運転のシステム会社で、かつ、トヨタのレクサスにこのシステムを載せて走らせている事業をしているわけですが、その自動運転のタクシーに乗ったときに、本当にびっくりして、これは一千万で売っているということでしたけれども、これをもしもそっくり今日本に導入したら、全くこれは十分対応できるだろうということを感じたというふうにおっしゃるんですね。そして、雪国ですので、ポニーAIの責任者の方に雪道だと無理でしょうというふうに聞いたら、あなたはどういうふうに運転しているんですかと言われて、自分で運転していますと言ったら、今のAIは人間にできることは全部できるから大丈夫ですよというふうに言われて、言い返せなかった、そんな話を聞きました。
トヨタでも最先端の技術を多分やられていたと思うんですが、こうしてポニーAI等海外のものには出資している中で、なかなか日本の自動運転の技術が上がっていかないのは一体どういうところにあるのかというところを教えていただけますでしょうか。
○山本参考人 御質問ありがとうございます。
今日はASRAの理事長として出席をしていますので、個社に関わるお話は少し遠慮させてもらいますけれども、日本の自動運転の在り方というのは先ほど申し上げたとおりです。確かに、ソフトウェアの技術、半導体の技術、AIの技術の進展によって、いろいろな国での進捗状況に凸凹があります。日本は残念ながら後塵を拝しているというふうに言わざるを得ない状況はさっき申し上げたとおりです。
ただ、自動運転の技術がどんなに進んでも、見えないものは見えない、経験したこともないことはやはり何ぼAIでも分からないということで、制御そのものが、自律制御に加えて、インフラ協調、いわゆる路側と、それから歩行者も含めた周辺の交通に関わるいろいろな移動体、そういう人たちとの連携を基に自動運転社会ができ上がってくる、こんなふうに思います。
ですから、日本においても、自動運転の自律制御の技術開発をやることに加えて、インフラ側の開発、インフラ協調を前提にした自動運転社会をどう実現するかという議論も併せて必要じゃないかというふうに思いますし、自動車業界の中でもそういう議論をしております。
以上でございます。
○荒井委員 どうもありがとうございました。
北海道は、明治維新以降、開拓使の予算は国の当時の予算の半分を使って北海道の開拓が始まっています。そして戦後には石炭を含めて日本のエネルギーを支えてきました。そしてそれから八十年、日本のまさに産業の米をしっかり育てていきたいというふうに思いますので、一国会議員として頑張ります。
どうもありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 斉木武志でございます。
先日、本会議で、この法案、登壇をさせていただいて、審議入りいたしました。そのときの質疑で、例えば、公費投入の是非であるとか、技術的に成功の可能性があるのかどうか、この辺をお聞きしましたので、その延長線に沿って、問題意識に沿ってお聞きいたしたいなというふうに思っております。
まず、ラピダスの小池社長にお伺いいたしたいと思います。
壇上でも申し上げたんですけれども、韓国のサムスンがIBMレシピ、同じゲート・オール・アラウンド方式だと思いますけれども、こちらを、同じライセンスフィーを支払って、既に開発に着手をしてきました。しかし、三ナノですら、既にIBMレシピに基づいて量産に失敗をして、撤退をしているというふうに報道されております。
同じ知財、IBMのレシピを今ラピダスさんも購入をされて、これから二ナノに挑まれるというふうに思いますけれども、このIBMレシピをお使いになっていて、その信頼性、可能性、どのようにお感じでしょうか。
○小池参考人 斉木先生、ありがとうございます。
確かに、おっしゃるように、まず最初に、申し訳ございませんが、他社に関するコメントは控えさせていただきたいと思うんですが、我々の方もいろいろな情報を得ておりまして、そういう、我々と同じように、IBMの、いわゆるGAAというテクノロジーなんですが、ゲート・オール・アラウンドというテクノロジーなんですけれども、これは非常に難しい技術です。我々も今何年もかけて、IBM自身はもう十年から二十年ぐらいかけてこの技術を開発しておりますから、これは基本となる根幹の技術なんですが、これを習得することは極めて難しいと思います。
ですから、先ほどおっしゃったようなメーカーなどは、可能性がもしあるとすると、これを早めにやったという形があって、タイミングとしては少し早過ぎたということが言えるのではないかと思います。これはよく分かりませんが、そういう可能性が高いという形であります。
我々は今二ナノの挑戦をするわけですが、これも決して今だから簡単にできるというものではございません。ですけれども、非常に難しい技術ですが、先ほども申し述べましたように、アルバニーで、エンジニアを百五十人以上送り込んで、これからまだ二百人以上送り込みますけれども、そういった技術をしっかり習得して、この技術を学び込む。日本はやはり物づくりが得意ですから、これを一緒にマッチングすることによって、これが実現できるというふうに考えております。
特にうちが重要なことは、他社にない強みとしては、先ほどから述べておりますように、スピードです。スピードが圧倒的に速いというのがうちの特徴でありまして、こうすることによって、スピードが速いことによって、サイクルを何回も回せるわけですね。ですから、技術の習得であるとか、あるいは歩留りを上げるとか、そういったこと、それから御質問のあった品質を上げるといったことに関しては、このスピードが核となってこれをやるということが私どもの最大の特徴になっておりまして、これについて、この技術をいち早く獲得して、これからパイロットを進めて量産につなげるということをしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
○斉木委員 では、今、サムスンは早過ぎたというふうに、個社はおいておいて、三ナノはちょっと早過ぎたんじゃないのかとおっしゃいました。それから時が流れて、今これからラピダスさんが二ナノに挑戦をするということですが、その間にどのような技術知見の蓄積なりがあったから成功すると言えるのか。
一般的に見て、日本は一旦、半導体産業というのは非常に後塵を拝した、本当に焼け野原になったとも言われますけれども、そこから再生をしようとしているわけですよ。むしろ、サムスンなんかの韓国の方が、TSMCの方が先を行っているというのは、これはもう業界の常識です。そこですら失敗したのに、後塵を拝している日本が今から手をつけて、先行グループが脱落したのに、同じライセンスで同じレシピでなぜ成功すると言えるのかというところがちょっと弱いかなと思うんですけれども、どういう知見があるから成功すると言えるんでしょうか。
○小池参考人 斉木先生、ありがとうございます。
おっしゃるように、早くやるということは、分かりませんけれども、確かに難しいことではあります。
うちが、先ほど言いました強みというのは、まずスピードということがあるんですけれども、更に重要なことは、この技術が完成していくためにはいろいろな周辺技術がやはり進歩していくことが必要なんですね。ですから、ある段階において、ちょうど我々がやる二ナノにおいて、タイミングが、あらゆる周辺技術が成長してきたわけです。例えば一つの例でいいますと、日本が非常に強いのは装置メーカーであるとか材料メーカーです。これがやはり日本では物すごく強い面があるわけです。この技術がありますと、今ちょうど、二ナノのタイミングが、我々がこのパイロットを行って量産をやっていくというこのタイミングが非常によく合ったわけです。
ですから、非常に我々としては、二ナノは難しい技術ではあるんですけれども、このタイミングが合ったということと、日本の物づくりの装置メーカーとか材料メーカー、あるいは世界の一流のところと、先ほどエコシステムを言いましたけれども、このタイミングが合ったという形で、これが二ナノが実現できるという形になってきたというふうに考えております。
よろしいでしょうか。
○斉木委員 あと、歩留りに関してもお伺いしたいんですけれども、一般的に八割から九割の歩留りが取れないと量産化成功とは言えないと言われていると思うんですけれども、この歩留りは、この八割から九割程度は取れるというような手応え、おありでしょうか。
○小池参考人 斉木先生、ありがとうございます。
歩留りは、残念ながら、我々としての営業秘密でありますので、なかなか言うことは難しいんですが、ただし、一つ言えることは、おっしゃるように、我々が本当に量産をやって確実にするためには、そのレベルの歩留りにならなければなりません。
ですから、これをしっかりやっていくためには何が一番重要かといいますと、先ほど言ったスピードなんです。例えば年間に、大体今の感じでいいますと、半年ぐらいで作って二回ぐらいのフィードバックがかけられるというのが、今言われているこの二ナノのこれからの時代の流れになっております。
我々はこれを数倍速く作れますから、このサイクルが二倍だったものが、例えば四倍とか六倍とか、これぐらいのスピードでフィードバックがかかっていくわけです。だから、何回もこれがかかってきますから、歩留りが上がっていくスピードが圧倒的に速いわけです。ですから、このスピードを、先ほどおっしゃったそういうふうに到達できるのには我々としては自信がありまして、ここをやることによって、ビジネスにしっかりと結びつけたいというふうに考えております。
よろしいでしょうか。
○斉木委員 ありがとうございます。
ちょっと、次の質問はちょっとお聞きしにくいところなんですけれども、小池社長に引き続き。
この法案は、二〇三〇年度までに十兆円の公的資金を半導体、AI支援につぎ込んでいくという法案でございます。ですので、原資が公金ですので、やはり失敗すれば国民負担になるという性格がございます。やはり、もちろんラピダスさん一社ではございません、この十兆円という金額は。ただ、数兆円単位でこれから二〇三〇年度までに公費をつぎ込んでいくに当たって、例えば、先ほど十二人の、東会長そして小池社長以外に十二人個人株主がいらっしゃるとおっしゃいましたけれども、やはり、数兆円規模の公金を入れると、今当然IPOされれば、株主の方の株式価値というのは、大きく数兆円の投入によって企業価値が高まり、そして、IPOされれば非常に多くの利益を得るのではないかという、やはり国民目線がございます。
こういった中で、情報開示をするということを検討されてはどうかと本会議でも申し上げましたけれども、個人株主が今非公開という状況の中で、やはり政治とどのような絡みがあるのかとか要らぬ邪念も呼びかねませんので、この辺り開示をする必要があるのではないかというふうに本会議でも申し上げましたが、その情報開示に関するお考えというのは、公的支援を受けるに当たって、お考えはいかがでしょうか。
○小池参考人 斉木先生、ありがとうございます。
極めて重要なことだというふうに我々も認識しております。
先ほど言いました我々の経営株主二人、それと残りの十二人のメンバーでありますけれども、これは、マウントフジ・プロジェクトにずっと集中してやってきた人間でございます。ですから、当然我々としては、分かっていただきたいのは、そういう金もうけをするとか、そういう形で進めたわけではありません。これは、一生懸命考えて、日本の半導体はどうしたらいいのか、どうやって救えるかということを真剣に考えておりました。
ですから、これはいろいろ考え方があると思いますけれども、まず、この十一人は全員日本人です。さらに、先ほども言いました、今、メンバーというのはもう全員、十四人は日本人でございます。個人の株主名は、これは個人情報でありますので、個人の情報保護の観点から、ちょっと公表することは御勘弁いただきたいと思います。
ただし、これは全部エンジニアでございまして、それこそこれをやるために全生命を懸けておりますが、確かに、そういう観点におきまして、例えば、先ほどおっしゃったような、株価が上がって、将来においては収入が入ることがあるかもしれません。それは全く分かりません。ですけれども、これは、いろいろな人の意見がありますけれども、私どもみんな、うちのマウントフジ・プロジェクトの人間は非常に志の高い人間でありますから、そういうことも考えておりません。
私自身も、例えば私の例ではありますけれども、もし仮にそういうふうな株式益が出る、得られるなんということが起きたとしても、私は、個人としてでありますけれども、これはやはり、将来の人材育成であるとか、夢を持つような、志のあるような人を育てるために、得られた、もし仮に得られたとしたら、そういう資金を、それは例えば寄附であったりあるいは人材育成の活動にこれを使っていきたいというふうに考えております。
よろしいでしょうか。
○斉木委員 ありがとうございます。
ASRAの山本理事長にもお伺いしたいと思います。
先ほどから、岩田議員や荒井議員の御質問に対して、ソフトウェア、半導体、AI、この自動運転関連、ここは後塵を拝しているというふうに残念ながら言わざるを得ないということをおっしゃっておりますけれども、なぜ後塵を拝してしまうような状況になったとお考えでしょうか。
○山本参考人 御質問ありがとうございます。
半導体の進化が国内で鈍化したというのは皆様御承知のとおりだと思うんですけれども、じゃ、なぜ鈍化したか。
これは私の私見ではございますけれども、半導体の進化とそれを使う完成品の進化というのが必ずセットだというふうに思います。日本が半導体立国と言われた八〇年代は、家電にしてもそうですし、パソコンにしてもそうですし、AVなり、日本の完成品、コンシューマーの完成品メーカーの技術開発力、商品開発力は大変高かったです。それに必要な半導体を作ることで、両輪の関係でそれぞれのレベルが上がってきたということです。
ただ、ここ二十年、目を向けますと、残念ながら、家電に関しては海外への生産移管というのが大分進んできたり、従来の家電若しくは従来のパソコン、もっと言えば、従来の携帯電話、いわゆるフィーチャーフォンと言われるような携帯電話に代わるような、日本国内でそういう完成品の工業製品が提供できているかというと、そこが半導体そのものの技術開発力を鈍化させた一つの要因ではないかというふうに、これは私見ですけれども、思っています。
今、エヌビディアが大変、技術力にしてもビジネスにしても伸びていますけれども、彼らは、ゲームで伸びた半導体メーカーです。もちろん、ソニーさんのプレステみたいなものもありますけれども、そこの技術開発がなかなか日本の半導体の中では手が届かなかったという状況もあると思います。
ですから、遅れた理由は、いろいろな理由があると思うんですけれども、やはり、工業製品の国内での開発と生産を回帰するという必要も、これからの半導体戦略を考える上ではあるのかなというふうに思います。
そうしますと、ソフトウェアの開発をする上での業務の領域も広がってくると思いますから、全てが連鎖してこれからどうしていくか、そういうことになるかと思います。
以上になります。よろしかったでしょうか。
○斉木委員 ありがとうございます。
いろいろまだ、中国の半導体開発能力をどう見るかとか、お聞きしたいところがあったんですが、時間が参りましたので、是非、充実した審議を行うことをお約束申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、岡野純子君。
○岡野委員 国民民主党の岡野純子と申します。
今日は、年度末のお忙しい中、このようにお集まりいただきましたこと、まずは心より御礼申し上げます。ありがとうございます。
私、初めての参考人質疑で、ちょっと手探りで不安だという話を昨日経産省の人に言いましたら、一般的に、参考人というのは学者の方が来られることが多いので、民間の方が来られるケースは珍しいということで、案外、社長の皆さんも緊張されていますよという情報を経産省の方からいただきまして、ちょっと心が穏やかになったところであります。
私、先日、予算委員会の中でもラピダスのことを取り上げさせていただいて、そのときは、結構細々としたことを経産省や大臣に伺いました。量産への課題はとか、歩留りはどうでとかいうことを聞いて、今日もそういう細かい質問をたくさん考えてきたんですけれども、いや、ちょっと待てよと。
やはり、今、中には、何もまだ実績もない会社に国としてこんなに突っ込んでいくというのは不当なんじゃないかみたいなことを言う声もまだあるわけです。ただ、私はもうそんなタームではないと思っておりまして、やはり半導体というのは国力の根幹に関わる戦略物資であって、日本としてそっちにかじを切っていくんだということを決めたわけであります。であれば、今日皆さんにお伺いするのは、そういう細かいことではなくて、トップの方だから語れる思いというか、少し漠然としたところにはなりますけれども、そういったことを、トップならではの声をお聞きして、私たち全体で、この国のこの産業を復興させていくために何ができるのかというふうに、みんなで少しでも同じ方向に向けることができれば、私にいただいた十五分に意味があるのかなというふうに考えておりまして、そういった辺りをお伺いできればと考えております。
まずは、小池社長に伺いたいと思います。
先日、国民民主党として、千歳に視察に伺わせていただきました。御対応ありがとうございました。
先ほど、ボタンを押したときの、昨日の興奮の話をなさいましたが、我々が行ったときもまだ工場建設中で、技術者の方もまだ帰国もされていなくて、見られるものというのは外からだけではあったんですが、行ってよかったなと思うのは、やはり技術者の方のあの熱さを知れたことでした。たしか、お名前は清水さんとおっしゃいました。代表の方、スパコンの「京」に関わった方ですけれども。様々、いろいろ不安視する声が報道でも下馬評でもありますけれども、それを全て蹴散らすような目の輝きで熱く語っていらっしゃって、ああいう姿に触れられることが視察の醍醐味だなというふうに我々も感じたところであります。
まずは、小池社長から、何で今、非常にベースの話ですが、最先端半導体を日本が作らねばならないのか、それによって日本の経済をどういうふうに動かしていくことができるのか、そういった思いをお聞きしたいと思います。
○小池参考人 岡野先生、ありがとうございます。私も大変緊張しております。
ですけれども、本当に、皆様方の御質問とか御意見をいただいて、私としても非常に、何といいますか、自信がますます湧いてまいりました。
やはり、先ほどおっしゃっていただいたように、この間見学に来ていただいたときに、清水という専務がお話ししたと思うんですけれども、彼だけじゃないんですね。実は、もっともっと熱いエンジニアがたくさんおりまして、先ほども申し述べましたように、昨日私も行ってボタンを押したという話をしましたけれども、それ以外にも、アルバニーでこの技術を一生懸命習得して、突然、二年前に行って、家族も連れていっていて、IBMの人間と一生懸命議論して、GAAの技術を習得しているわけです。これは、IBMとはやはり、パートナー関係で、特殊な関係になりまして、本当に、机を一緒に並べて、IBMとか我々ラピダスとか垣根がなく、一つのチームで、よく彼が言うんですけれども、我々はラピダスであるとかIBMではない、我々はウィー、もう一緒なんだということを言うんですけれども、そういう形で、一体となってこの研究開発ができたという形と、先ほど言いましたように、我々は物づくりが得意なんです。日本は物づくりが得意ですから、この部分が非常に重要だということですね。
やはり、半導体の、先ほどから早坂社長にも言っていただいたように、非常にロジックは遅れていました。とんでもなく遅れていたんです。でも、この技術がないと、日本の産業はあらゆるものに関して影響を受けるんです。これがないと駄目なんです。だから、これを、何としても日本でこの二ナノの技術、先の、最先端の半導体をやらないと、いろいろな産業である、いろいろな分野において影響は物すごく大きいんですね。
ですから、そういう思いで、私だけではなくて、全従業員が一丸となって、これは物にしなきゃいけない、何が何でもですね。もちろんGAAは簡単ではありません、物すごく難しいんですけれども、私どもには、みんな自信があります。あの清水のように、もっともっと自信を持っている人間がいて、昨日もボタンを押したときにも、小池さん、私はもっと自信がある、必ずこれを成功できるというふうに言ってくれました。
ですから、そういう形、私、トップとして、もちろんこの思いでずっと、私は四十年間以上半導体一筋でやってきたんですけれども、今こそ、我々が立ち上がって、この技術を物にしなければならない、こういう決意でやっております。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
○岡野委員 ありがとうございます。
社長と対峙すると、気持ちが震える思いがいたします。
一点、これからの電力需要について伺いたいと思っています。
北海道を工場の場所として選ばれたことの理由の中には、恐らく再エネのポテンシャルというところもあるのかなというふうに思いますけれども、先ほど、グリーン化という御説明の中にもありました。そうはいいましても、全てが稼働したときは、北海道全体の十分の一の電力を使うなどというふうな試算も一方ではありまして、実際に、TSMCは台湾の十分の一の電力を使っているというような報道も見かけまして、そういった中で、これからの電力需要に対する御懸念ですとか、あるいはコストが高いことによって海外とビハインドというような話もあると思いますが、電力需要に対するお考えをお聞きできればと思います。
○小池参考人 岡野先生、ありがとうございます。
電力の問題は、我々も非常に重要だと考えております。
先ほども申し述べましたように、我々も、半導体はやはりある程度電力を使うわけですね。これをやはり、今、我々の第一工場、我々はIIM―1と呼んでおりますが、これの必要な電力をきちんと計算いたしまして、北海道電力の幹部の方と綿密な連携を取らせていただいております。そのフェーズに合わせて必要な電力を供給していただいている、そういう状況にございます。
大事なことは、もちろんこれは、北海道電力さんに我々の必要な電力量をきちんと御説明して、そこのコミュニケーションを密にしているわけでございますけれども、もちろん、先ほどお話がありました再生可能エネルギー、これに関しても我々は重要だというふうに考えております。
ですから、これに関して、稼働できるための必要な供給能力があるというのはもちろん前提なんですけれども、これは北海道電力さんと一緒にやっておりますので、これが確保できる限りにおいて、我々企業といたしましても、この再生可能エネルギーに関しては、前向きに考えて推進させていただきたいというふうに考えております。
○岡野委員 温室効果ガスということを考えますと、北海道には泊原発があるわけですけれども、ラピダスの立場として、泊原発再稼働に対して何かお考えはお持ちでしょうか。
○小池参考人 岡野先生、ありがとうございます。
非常に難しい問題だと思いますけれども、私どもは、まず最初に、フェーズに合わせた必要な電力量を、先ほども申し述べましたように、北海道電力さんと綿密に打合せをさせていただいております。ですから、これはやはり北海道電力様がその辺のことを考える形になってくると思います。
私どもは、必要な正確な電力量を申し述べることによって、その計画を北海道電力様がしっかりと考えていただけると思いますので、我々はそれを信じて進めていきたいというふうに考えております。
○岡野委員 ありがとうございます。
余談ですが、私、出身が京都でして、私が高校生のときに、関西空港、関空まで直通の電車、ラピートというものが開通をいたしまして、語源がラテン語の速い、迅速。同じ語源を持つものでありまして、車体が格好いいところもあって、ああ未来だなというふうに思ったんですが、今、三十年の時を経て、またラピダスという、スピードが武器ということを先ほどから強く強調されているわけですけれども、ちょっとこれまでの御説明で、開発サイクルに対して、このスピードというのが、どのインタビュー記事でも、スピードが強みだ、スピードが武器だとおっしゃっているところの、そこのところをもう少し詳しく御説明いただけたらありがたいです。
○小池参考人 岡野先生、ありがとうございます。
スピードは、これはずっと私個人としても研究してきましたし、ちょっと専門的になって難しいんですが、半導体の物づくりは、いわゆる大量に処理するバッチというものがあります。これは、一遍に五十枚とか百枚のいわゆるシリコンのウェハーを加工するための装置であります。これは、コスト的には非常にいいというので、今、我々のライバルも大量に使用しているものであります。
ところが、もう一つは、枚葉処理という、一枚ずつ処理する装置があるんですね。こちらの方は、生産性が悪いというふうに言われておりましたが、スピードは速いんです。
もう一つ大事なことは、データの数が、やはり処理が短いですから、データの量が物すごくたくさん出てくるわけです。百枚処理するときには、一回処理するのに五、六時間かかりますから、ところが、一枚ずつ処理すると、それが数分で終わるわけです。ですから、百倍ぐらいのデータが出てくるんですね。データ量が増えると、御存じのように、今AIの時代で、データ量が一番キーだと言われておりますから、これに使って技術がどんどん発展する、イノベーションが起きるということは既にお分かりだと思いますけれども。
そういった、我々の全工程を一個ずつ作る、実は、これを学んだのは、自動車業界の、トヨタさんを始めとした、かんばん方式で一つずつやるということが私の発端になりました。この技術を半導体業界に採用して、一個ずつ作っていって、在庫もなくて、しかもスピードが速いという仕組みをやっているという形と、あと、このウェハーを運ぶためのスピード、このスピードを圧倒的に速くするという技術も開発して、この二つでもってスピードを圧倒的に速くするということを実現させております。
よろしいでしょうか。
○岡野委員 どうもありがとうございます。済みません、時間があっという間で。
では、早坂社長にお伺いをしたいと思います。
こちらも、せんだって、我々委員会メンバーで視察にお邪魔をさせていただきまして、御対応ありがとうございました。
今後、個人PCにAIが搭載されていくと、NANDフラッシュメモリー拡大、そういった予見があるわけですけれども、今、追い風と言える状況かなと思うんですが、この二〇二五年、二六年、とても大切な時期でありまして、先ほど、競合との熾烈な争いの中でというふうにおっしゃっていましたが、先ほど政府からの更なる支援というふうにおっしゃったところ、もう少し詳しく、どういった支援を具体的に現場として必要とされているのか、伺います。
○早坂参考人 御質問ありがとうございます。
支援に関しては、いろいろな支援があろうかと思いますけれども、まずは、非常に我々の事業というのは投資をたくさん使う。それから、先ほど来話が出ていましたけれども、技術の開発力で負けたら、もう僕らは負けるんです。それから、工場というのかな、生産のところですね、規模がちっちゃくなってくるとコスト力もつくれなくなってくるので、これも負けてしまうんです。
そういった意味では、拡大するための投資、それも設備投資になりますし、工場を建てるというふうなこともあるかもしれないですけれども、そういったところに支援をいただけると助かるかなと。それからもう一つ、他国でもやっていますけれども、金融支援みたいなものも含めてやっていただけると、投資をするときにも、それができるかなと。
そういった意味では、勝手なお願いになるかもしれないですけれども、そういった多様性を持った支援にしていただけると、我々としては非常に助かるかなというふうに思っています。
○岡野委員 ありがとうございます。
済みません、では、最後に田中社長にお伺いしたいと思います。
AIの性能競争も、CPUからGPUというのは衆目の一致するところと思いますが、社長のインタビュー記事を見ておりましたら、今、エヌビディア一強のGPUの調達が、社長は、アメリカの本社と直接コミュニケーションを取れているのでスケジュールどおりだというふうなコメントがありましたけれども、この取り合いの状況を見ていて、本当に安定的に調達が可能なのかどうかというところを改めてお聞きしたいと思います。
○田中参考人 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、エヌビディア製のGPUに関しては、世界中で取り合いになっているという状況にあります。
ただ、経産省の皆様であるだとか個社の努力もあって、エヌビディア社は、日本への供給に関してはかなり優先的にしている。アメリカ政府自体が、ティア1、ティア2、ティア3というのを決めて、中国に代表されるようなティア3国にはそもそも最新半導体を輸出しない、人権懸念国等のティア2の国にも制限をする、数少ないティア1が日本であるということがあって、やはりグローバル化が後退してデカップリングが進んでいる状況でもありますけれども、最近デリスキングなんと言われているように、経済的にはいかにつながっていくかというのを選択的に選ぶ時代になっているというふうに思っています。
日本の外交というのは、グローバル化には弱かったんですけれども、全ての国と仲よくするという点では極めて優秀なものじゃないかと大変僭越ながら思っていまして、そのような中で、日本がアメリカにとってもうけの相手で、この国と相手しているともうかるというふうに思っていただく中で、GPUを大量に輸出してやろうというふうにアメリカ政府自身も認識をいただいていて、今、政府が非常に強い状況にある中で、エヌビディア社も、日本であれば大量に輸出しようというふうに判断してもらっているというふうな、いわゆる地政学的な意味合いから、日本がGPUを輸入しやすい。
なので、この延長線上で、このままこれからまだ続くであろう三年から五年の逼迫した状況を乗り越えていくというのが国益にかなうのではないかなというふうに思っております。
ありがとうございます。
○岡野委員 どうもありがとうございました。
時間ですので終わりますが、今日お話を聞いていて、国内自動車に国産の半導体が搭載されて、国産のクラウドでという話を聞いていると、私の中の大和心みたいなものが満たされる感覚がありまして、やはり日本に生まれたことの誇りですとか日本人であるアイデンティティーとか、ちょっと大げさですけれども、皆さんそういうものまで背負っていらっしゃると思っておりますので、私も両輪の端くれとして、これからもしっかりと、共に共同していければと思っております。
今日はどうもありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、福重隆浩君。
○福重委員 公明党の福重隆浩でございます。
本日は、本当に年度末のお忙しい中、四人の参考人の皆様には国会までお越しをいただきまして、大変貴重な御知見を御披露いただきましたこと、心から感謝を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。
実は私、一九八五年に大学を卒業いたしまして、電子部品業界に入りまして、十八年間、営業マンをしておりました。今のお話を聞いていて、もっと技術者に技術面のことを勉強しておけばよかったなというふうに思うぐらいでございますけれども、こういうふうな形でレジェンドのお二人に御質問をさせていただくというような機会を得たものですから、いろいろな資料を見させていただく中で、今日はちょっと質問をさせていただきたいと思います。
まず、ちょっと失礼なことを聞くかもしれませんけれども、どうぞ御容赦いただければというふうに思います。
今も申しましたとおり、一九八五年、たしかこの年が日本の半導体の世界のシェアの第一位になった頃だと思います。それから数年間、本当に世界の半導体市場を席巻をしていた。それが、今、本当に厳しい状況まで落ち込んで、八%ぐらいまでの市場になってきている。
そういった中で、先ほどもお話あったわけでございますけれども、世界の半導体生産の基礎的な部分、装置だとかシリコンだとか絶縁体だとか、こういったものは、ある意味では日本はすごい強い力を持っておりますし、世界の半導体業界を私は支えていると思っているんですね。そして、TSMCさんにしても、この日本の技術がなければTSMCのこのクオリティーというのは維持できないというぐらい、すばらしいものを私は持っているんだというふうに思っております。
にもかかわらず、この三十年間ぐらい、半導体の量産というものが後れを取ってしまった要因というもの、これは、いろいろな文献でも、貿易摩擦だとか、本当にいろいろとございます。でも、やはり、この四十年間にわたって半導体の現場を見続けてきた小池社長さん、早坂社長さんに、是非ちょっとその辺のことをお答えいただければというふうに思います。
○小池参考人 福重先生、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、これは我々の非常に大きな悩みでした。私も前職は日立の方におりまして、あのときは本当に、早坂さんと一緒に日本のトップファイブに入るというのは、日本は本当に八〇年代の後半、九〇年代の前半は、まさしくそういう時代でありました。
あれからずっと私も悩んできて、何でこういうふうに、メモリーはもちろん頑張っておられますけれども、ほかの分野、特にロジックにおいてはこういうふうになってしまったのは何なのかということをずっと考えておりまして、幾つかの要因があります。
一つは、我々がやはり世界一になったときに、自分たちで全部やってしまう、こういうふうな意識がありました。ですから、材料開発、あるいは開発、それから装置、こういったことも自前でやっておりました。ですから、真の意味で世界中のパートナーと組む、真の意味のエコシステム、もちろん、これは国の連携が大事ですけれども、こういうふうな大きな視野で考える点が一つ欠けていたと思うんですね。これは我々の大きな反省点があります。
ですから、やはりこれからやらなきゃいけないことは、もちろん日本の物づくりは世界一だと思っておりますから、これを核として、うちは、例えば先ほども言いましたようにIBMとかimecであるとか、いろいろな世界の一流のところとパートナーとなって組んでいる、そのときには日本の強みが必要なわけです。先ほど言いました物づくりであるとか、装置の材料、あるいは装置そのもの、そういったことも必要であって、この強みを生かしたことを進めるということが一番大事なことです。
もう一点は、実は、御存じだと思いますけれども、世界中は半導体は重要だという形で、いろいろな意味で、公的な資金の投入であるとか国の御支援をある程度やってきたわけです。もちろん、日本もそういう時代があって、ずっとこういうふうに御支援いただいていたんですが、今回非常にありがたいのは、日本政府であるとか皆様方の御支援をいただいて、国家を挙げて、やはり半導体は重要である、これをやらなきゃいけないということを、いろいろ支援していただいて御協力いただけることが非常に重要な形であって、これが日本が復活できる重要なポイントになってくるというふうに考えております。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
○早坂参考人 どうも御質問ありがとうございます。
私も八四年に東芝に入社しましたので、大体同世代かと思いますけれども、当時は確かに大変半導体も強いという時期を過ごしました。
八〇年代の後半から九〇年代にかけまして、日本の半導体というのは技術的に強いということはもう定評があったんですね。ところが、何年かたってくると負け始めた。負け始めたのは、まず、非常に端的に言うと、コスト力で負け始めたというのが非常に大きいんです。私は、そこに原因があるんじゃないかと思います。
私もずっと、四十年以上半導体に関わってきたんですけれども、とあるときにびっくりしたんですけれども、台湾の某メーカーと比べてみると、コスト力で三〇%も差があると。これは一体どういうことなんだというので、自分たちのところのコスト計算を一生懸命やったという記憶もあるんですけれども、でも、そんなに急にそこを回復できなかったというところでありまして、前にいた会社はDRAMを撤退するということに陥ったということです。
要するに、そういった意味で、競争力を失ったというのが私は一番の大きな原因だろうというふうに思います。ビジネスでの競争力ですので、そこで負けてしまうということは、利益が出なくなっちゃう。利益が出なくなるということは、開発に投資もできなくなりますし、工場の拡大にも投資できなくなる。開発まで、そこに影響してくる話になるんですね。そういったことを続けられなくなってどんどんどんどんと衰退していったというのが、目の当たりにして見てきた現実だと思っています。
そういった意味では、今の事業はそうならないように、そうしちゃいけないというので、非常に強い競争力というのを持った今の会社にしているというのも事実でございますし、技術も同時に、コストだけじゃ駄目なので、技術も当然いいものを持っている、世界的にもちゃんと競争力のあるということが保てているというのが今の事業だというふうに思っています。
そういう意味では、競争力を失わないように、いつも政府の方にもお願いしていますけれども、支援をいただきたいというところの根拠はそこにございます。
ありがとうございました。
○福重委員 ありがとうございました。
やはり、本当に四十年間の熱い思いというものが、ひしひしと感じてまいりました。しっかりと応援をさせていただかなければいけないなという思いでございます。
そういった中で、これは小池社長さんからの資料だったと思うんですけれども、今はこれがラストチャンスだと。というのは、やはり、今、一九八五年代から九〇年代にやっていたエンジニア、その方々が五十代ぐらいになって、このエンジニアの人たちが今いるうちに若い人たちと融合して、そしてイノベーションを起こしていくんだという意味でのラストチャンスだというのは、私もそのとおりだと思うんですね。
ただ、そういった中にあって、うちの会社もそうだったんですけれども、その技術者が、今言われた、新たに開発がなくなるとか投資をしなくなるというようにシュリンクしてきた段階で、そういった会社を辞め、ある意味で、それが中国に行ったり、技術者が本当に海外に行ってしまったというような状況も私も見てきたんですけれども、そういった人たちが今、再度日本に集結するということは可能なのでしょうか。
○小池参考人 福重先生、ありがとうございます。
おっしゃるとおりだと思います。やはり人材が非常に重要でありますし、ラストチャンスというふうに先生がおっしゃったとおりです。
これは、本当に、かつて日本が世界一だった世代は五十代ぐらいになっているんですが、実は、この間までうちの従業員が、これができて、あれができてって、物すごい難しい要求を出しているんです、技術を知っていて、すぐアルバニーに行って、IBMの物すごい難しい技術をすぐに習得して、すぐに行動するというのは、やはりその世代の人間なんですね。ですから、当時、平均年齢は四十八歳ぐらいになってしまいました。
ですけれども、これはやはり必然的だったんですね。この人間がいる間に、世界一のときのことを知っている人間がやはり心を燃やしてやらないと絶対に成功しないのは、先生がおっしゃったとおりであります。ですから、これをしっかりと我々がやっていくということが極めて重要なことであって、これをしっかりと人材として進めていくということがやはり我々としてはキーだと思っておりますので、人材に関してはそこを、もちろん若い人も必要で、今、どんどんどんどんやって、半導体も、皆さんのおかげで、これがないと日本は駄目だという形で、学生がどんどん戻ってきております。ですから、新しい人たちも、我が社に入りたいという人が物すごく数が増えてまいりました。
こういうバランスを取りながら、しっかりとこの産業を支えていきたいというふうに考えております。
よろしいですか。
○福重委員 もう一点、小池社長さんにお聞きしたいんですけれども、ラピダスさんの目指すのは一貫生産だというふうに言われております。
半導体の世界は意外と水平分業というか、前工程、後工程、そういった、設計と今分かれるわけでございますけれども、先ほど社長さんの意見の陳述の中にも、全部その当時の日本はやってしまうというような形の中で、ちょっと世界との融合というものが遅れていた部分もあったんじゃないかというような御指摘がございました。
ここを、本当に一貫生産にこだわられる、その意味というものを教えていただければというふうに思います。
○小池参考人 福重先生、ありがとうございます。
おっしゃるとおり、二つの面があると思うんですね。我々の描いていた図は、確かに前工程、山本フェローもおっしゃっていたチップレットの後工程というのを一貫で行います。これは、物づくりが得意な日本でやりますと、これを二つ同時にやることによって、スピードが速くなることはもっともっと加速しますし、新しいものがイノベーションとして出てまいります。ですから、これはやる意味があるんですけれども。
やはり重要なことは、実は、先日も発表いたしました、クエスト・グローバルという会社とも連携をしたんですが、これはインドを中心とするシンガポールの会社なのでございますが、この設計支援をやる会社がございます。ここのようなところと、世界の信頼できるパートナーと組んでこれをやっていくというところが従来と違う考えでありまして、もちろん、今日私どもが示した三つのシステムというのがありますけれども、これを支えるのは、全世界の信頼できるパートナーのエコシステムを持っている、エコシステムをやるためのパートナーと組むことによって、これが回っていって、スピードが速くなっていく形ですので、これを全部私どもがやるというわけではございません。キーとなる物づくりのところを中心としてやるのが私どものコンセプトでございます。
よろしいでしょうか。
○福重委員 どうもありがとうございました。
時間がなくなってきましたので、最後、ちょっと山本先生にお聞きしたいんですけれども、今、協同組合というような形で各社さんが集まられて、この開発というか、そういったことを始めておられるというふうに認識をしております。
私は、先ほども言いましたとおり製造メーカーにいたとき、いろいろな自動車メーカーさんとおつき合いをしていたんですけれども、開発部門がそれぞれあって、もう本当に情報管理というのはすごい厳しいものがあったんですけれども、今回、そういった各自動車さんが共同でそのベースをつくって、そして、そういった新たなチップを作るというようなことを目指されるというときに、自分自身の元々の会社との情報のやり取りとか、そういった部分でどういうふうな関わりがあるのか。そういったものが分かれば教えていただければというふうに思います。
○山本参考人 御質問ありがとうございました。
大規模、高機能のロジック半導体を一社で全て開発費を賄って作るのは大変難しいそういう規模感、数百億円かかる。
これは競争なのか協調なのかという議論が自動車業界の中でありまして、完成車メーカーに限らず、システムメーカーさん、半導体メーカーさんを入れていろいろ議論した中で、やはり、これは競争ではなくて協調で、共通の技術力を日本国として蓄えていきたい。それを各社が共有しながら、それを実際の製品に落とす段階になると、これはまた個別の、各社各社の議論がありますので、製品の開発に持ち込めるまでの、その直前までの技術開発の底上げと、それに必要な、技術的に言いますと、IPの取得であるとか基本設計の完了であるとか、ここまでを協調領域としてやろうということですので、成果は全てオープンになります。
国費を使わせていただいていますので、でき上がった成果は、業界の中で、組合員であろうがなかろうが、国のいわゆる成果として共有しよう、こういう考え方で進めております。
以上でございます。
○福重委員 どうもありがとうございました。
本当は田中さんにもデータセンターの設置に当たってのことをお聞きしたかったんですけれども、時間の関係でできませんでした。また折がありましたら、そういったことを御指導いただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
本当に、四人の参考人の皆様には、大変ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
○宮崎委員長 次に、佐原若子君。
○佐原委員 れいわ新選組、佐原若子でございます。
本日は、参考人の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございます。非常にホットでアップ・ツー・デートなお話と、そしてその志において、すばらしいなと思いました。世界と国内の諸問題を考えつつ、国富を守り、成長させようとする意気込み、そしてそのすばらしい皆様のお考えを聞きまして、私はすごく光明差す思いでした。
私は東北出身でございます。東北を代表しておりますが、東北は、今、若者の人口流出と少子化が止まりません。しかし、その中で、今回のお話は非常に光明差す思いでございました。
やはり、東北、北海道の若者たちが非常な期待を持って皆様の会社の進出を待っていると思うんですね。そしてまた、国がもろ手を挙げて皆様を応援しているわけです、債務に関しても、それから投資に関しても。しかし、国民はお米が買えないという方もいらっしゃいます。ですから、その皆様の成功の果実を、是非国民の国富となって、国民の中にもその果実が返ってくるような仕組みをよろしくお願いいたします。
田中社長にお伺いしたいんですけれども、私、高専の力というのをすごく期待しているんですよ。私の大好きな京都弁の、京都出身の、舞鶴を卒業したおじいさんなんですが、電磁鍋というのを発明したんですよ。それは、電子レンジの中に入れるんですけれども、それを入れて、そして電子レンジをかけるんですね。そうすると、有害な電磁波というものが赤外線に変わるというものを作りまして、今何か月待ちというぐらい人気があるんですよ。そのおじいさんは舞鶴の出身で、とてもウィットに富んで面白くて。だから、科学的な知識と、それからイノベーションをしていく力というのを併せ持つ若者がたくさんいると思うんですね。
それで、もう一つ田中社長さんにお伺いしたいのは、自然エネルギーを使ってやっていかれるんだということですので、それを是非続けていただきたい、続けられますかということ。あと、自然エネルギーといっても、自然を破壊してしまうような再生可能エネルギーもあります。その点を考慮したエネルギーというものを考えていらっしゃいますか。お伺いします。
○田中参考人 御質問ありがとうございます。
まず、高専に対しての応援のメッセージをいただきまして、ありがとうございます。
おっしゃりますように、やはりイノベーションとテクノロジーというのは非常に重要ですし、それを学生時代からしっかりと学び、社会に還元するということは大変重要だというふうに思っております。
もう一つのエネルギーの話でございますけれども、当社の北海道の石狩のデータセンターというのは、全量、水力発電で行っているということがありますので、カーボンフリーという状況ではありますけれども、弊社は、実は、北海道の電気の一%ぐらいを使っているという状況にあって、今の多くのデータセンター、この十倍ぐらいの規模になっているということがあります。ですので、個社の当社だけであれば、北海道は非常に水力発電所が多いので、我々の個社の話でいうと、自然エネルギーを使い続けるということを選択したいというふうに思っております。
ただ、この水力発電所も過去に自然破壊をして造った遺産でもあります。ただ、負の遺産ではなくて、ポジティブに、今それによって再生可能エネルギーが確保できているということはありますので、タイミング、タイミングにおいては、当時は自然破壊になったけれども、今は自然と共生する中で水力発電が維持されているという意味でいうと、現時点においては、サステーナブルな自然と共生した電力であろうというふうに思っています。
ただ、業界の代表として申し上げますと、これからデータセンターが大量にできてくる中で自然エネルギーだけで維持ができるのかというのは、本当に国家的なアジェンダかなというふうに思っています。
そのような中で、これからどのように維持していくのか。まさしくおっしゃったように、自然エネルギーが例えば地熱発電であったとしても、例えば、温泉がかれるみたいなことがあったりだとか、風力発電だと鳥がぶつかるみたいなことがあって、常に、自然エネルギーだからといって、地球全体に対して本当に自然なのかということは向き合っていかないといけないなというふうに思っていまして、個社の話としてはこのままやっていけたとしても、日本全体の成長のためにどうするかという意味でいうと、これから議論しないといけないかなと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
御社のお考えを伺ってうれしく思ったんですけれども、例えば小水力発電だと自然の水流を使って割合簡易にできることもありますので、是非お考えの一つにお入れいただきたいと思います。本当にありがとうございました。
次に、ラピダスの小池社長にお伺いします。
御社の東会長が、軍事転用のための対米輸出を否定しないというような発言をされたんですけれども、その用途に輸出要請があった場合、小池社長は拒否できますか。どうでしょうか。
○小池参考人 佐原先生、御質問ありがとうございます。
私どもといたしましては、当然、軍事を目的としたそういった製品に関しては、今のところは全く考えておりません。これに関しては、やはり、先ほど言いましたように、本当に、人類に役に立つというのが私どもの会社のミッションでございますので、ここは、そういう考え方で今後進めていきたいというふうに考えております。
○佐原委員 安心いたしました。これからも、この先も、どうぞよろしくそのようにお願いいたします。
私は、宮沢賢治の言葉が好きで、「銀河鉄道の夜」の中で、世界全体が幸せでなければ個人の幸せはないよというふうに言わせたんですね。御社のお考えが、そのような感じがあって、本当に、日本人の平和を愛する心、そして世界を平和にしたいと思う心が感じられました。本当にありがとうございます。
続けて小池社長にお伺いしたいんですけれども、量産した半導体の販路に関してアメリカの制約を受けることはありませんか。お伺いします。
○小池参考人 ありがとうございます。
今のところは、私ども、向こうのトップが毎日言われることが変わるのでよく分からないのでございますけれども、ただし、やはりこれはどこの国にとっても、半導体、特に先端半導体は必須な製品でございますので、いろいろなことがあるかもしれませんけれども、これはいずれの国においても非常に重要な産業でありますし、非常に重要な製品でありますから、それはお互いに、先ほど言いましたように、経済発展あるいはエコシステム、いろいろなことを含めて、しっかりと連盟国が手を取って、この産業を共に発展させていくというふうに考えております。
よろしいでしょうか。
○佐原委員 ありがとうございました。分かりました。
あと、PFASに関してなんですけれども、適切な処理をするというふうに表明していらっしゃるんですけれども、日本の基準は、アメリカや諸外国よりもずっと緩いんですね。そのことについてはどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。
○小池参考人 ありがとうございます。
これは非常に重要な問題だと思っております。確かにPFAS、特にこの中で、一般的にPFASというといろいろなものを含んでいるわけでございますけれども、PFOAとかPFOS、あるいはPFHxSといったもの、こういったものが全部含まれて、世界中で大問題になっているわけです。私どもとしましても、これはやはり最優先に考えておりまして、これに関する最高の技術を対策していこうと思っております。
まず大事なことは、我々の方では、こういった材料は使っておりません、まず第一にですね。これは全部で決めておりまして、全く使わないということから始まっております。
更に重要なことは、建設をする前に、当然水をいただくわけでございますから、その水をいただいたところの検査の量を、しっかりと測って、私どもの方で対策の処理をしているわけでございますけれども、これは、例の、いろいろな対策の中で、今最高水準の吸着をするシステムがございまして、これは一応莫大な資金をかけてやっているんですが、この流出を絶対にさせない。
もちろん、いろいろな国の基準がありますけれども、我々としては、まず入ってきたところの確認を、北海道庁の方と連携させていただいて、しっかりと測定して、出ていくところ、我々としては、これは完全に、万が一のことを含めて、完璧に処理するシステムを入れておりますので、これをやって、もちろんこれの管理をしていくというのも、これは北海道庁の方としっかりとした監視をしてやっていくという形で、今のところ万全を尽くしてやっていこうというふうに考えております。
よろしいでしょうか。
○佐原委員 ありがとうございます。安心いたしました。
小池社長にまた続けてお伺いいたします。
量産の規模に相応した販路の見通しというのがあるでしょうか。これから販路を開拓するんでしょうか、その半導体に関して。少量多種の生産スタイルというふうにお伺いしていましたんですけれども、顧客を見据えた商品デザインというのを既に描けていらっしゃいますか。お伺いしたいと思います。
○小池参考人 ありがとうございます。
もちろん、やはり、私どもは、こういう生産をやっていて、先ほどの三つの柱の中で、お客様が最終製品を何を作るのかということに全力で尽くしております。ですから、もうこれは、もちろんアメリカの方のシリコンバレーを中心として、もちろん国内の皆様方と綿密な打合せをしておりまして、何年に、どういう製品で、何が必要かということを分析して、密な連携を取らせております。
そういう形におきまして、私どもは多品種という表現をしておりますが、いろいろな分野における特殊な製品、分野別の、それが必要とされている製品を効率よく作るというのが、先ほど言った枚葉処理という生産方式であります。これを、もちろんコストのバランスがあるわけでございますけれども、これを一応両立させるようにできて、いろいろな製品、いろいろなお客様のニーズに的確に応えて、それをしっかりとフォローして生産していくというシステムを社内の方で構築しておりまして、これが一番会社としては大事なことでございますので、お客様に関しては、米国においても三十社から四十社ぐらいと打合せをしておりまして、ここのところはしっかりと進めて、実際の事業につなげるように頑張っていきたいと思っております。
○佐原委員 ありがとうございました。すばらしいですね。
雇用についてもお伺いしたいんです、続けて小池社長に。地域の方々の雇用をしっかり進めていっていただきたいなと思うんですね。
あと、先ほども言われましたように、いわゆる企業戦士であった時代に頑張ってきた、半導体を作る初期に頑張っていた方々がまた帰国されて、海外から戻ってきている方がいらっしゃいます。彼らはすごいノウハウとマインドを持っているので、是非若者と一緒に、先ほども福重先生もおっしゃっていましたけれども、その持っているノウハウと若者のイノベーションするその力と一緒に、そうやって、是非ともそういう方を雇用されて、発展させていただきたいなと思います。
あとは、海外では、サムスンなど、ほかの国のことを言って申し訳ないんですが、すばらしい発展をしていきました。しかし、実は、じゃ韓国国内でその富が十分供給されたかというと、実は、株主の関係で海外の会社だと言ってもいいような、まあ日産の苦い経験もありますけれども、そういったことにならないように、雇用の中に、是非そういった面を気をつけていただきたいんですけれども、そういう対策はしていらっしゃいますかということと、例えば、海外の技術者を呼んだときに、例えばコンピューターの中にマルウイルスを入れてしまうとか、そういったセキュリティーの面とかはどのようにお考えですか。
○小池参考人 佐原先生、ありがとうございます。
非常に重要な問題だと思っております。特に、我々の会社が、国の御支援もいただいておりますので、ここが一番大事なポイントだと思っております。
特に、株式のシェアであるとかガバナンスの観点に関しては、非常に注力してここのところは政策を進めておりますし、国の御指導もいただいております。こういう観点を含めて、決してそのようなことがないような、きちんとした対策を御相談させていただきながら進めております。
やはり重要なことは、先ほどおっしゃったセキュリティーの問題にあると思うんですね。これは、我々の工場がスタートしたら、あっという間に攻撃されると思います。ですから、これに関しましては、今のところ、万全なセキュリティーのシステムを組んでおりまして、もちろん、国の方々とか関係者の方々と綿密な連携を取っているわけでございますが、今のところ、アメリカの方がこの部分がかなり進んでおりますので、そこのところは、彼らとしてみても、IBMから、この技術、大事な技術を持っているという形で、ここは連携を取っておりまして、世界最高水準のサイバーセキュリティーのシステムを組むことによって、この問題を解決していきます。
ただ、これは一回じゃ済まないんですね。もう敵もどんどんどんどんやってきますから、我々としては、絶え間なくこのことを推進させていきたいというふうに考えております。
○佐原委員 質問の時間が終了してしまいました。
たくさんお聞きしたいことがあったんですけれども、本当に今日はありがとうございました。私も、国が一生懸命、はしごを外さないように、最後まで一緒に頑張っていって、両輪だと思うんですね。だから、皆様の熱い思いに、私は、今日、本当によかったなと思います。
お忙しい中、本当にありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
○宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
本日は、四人の参考人の皆さん、貴重な陳述をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。
我が党も、半導体産業を振興していきたい、元気にしていかなければならないという思いは一緒なんですけれども、何分、国民の血税も入っているものですので、これがしっかりどういうふうに執行されていくのか、あるいは妥当性も含めて、厳しく言わなければならない側面もあるということは是非御理解をいただけたらというふうに思っております。
まず最初に、先ほど来、日本の半導体産業、八〇年代、世界の半分以上の半導体を作っていた、ところが、様々な事情によって、日米半導体協定を含めて、衰退をしていったということだったと思うんですけれども、まず、小池ラピダス社長に聞きたいんですけれども、やはり、その過程でたくさんの技術者が海外に行ってしまった。衰退をしていったから技術者が出ていったという側面もあるかもしれませんが、同時に、そういう技術者を余りにも切り過ぎてしまったので、更にその衰退を早めてしまった、更に復活が苦しくなってしまった、そういう側面も私はあったんじゃないかと思うんですね。
これからの日本の半導体産業のためにも、やはり、日本の物づくりとか技術者とか労働者、きちっと雇用を守るという側面が非常に大事になってくるのじゃないか、だからこそ安心して半導体産業にも若い人たちが来てくれる、そういうことになるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その雇用という側面から、是非小池社長の御意見などを聞かせていただければと思います。
○小池参考人 辰巳先生、ありがとうございます。
おっしゃるとおりだと思います。我々は、今のところ、先ほど七百人をやっと超えたというふうに申し上げましたけれども、これはありがたいことに、海外から、日本がやるんだったらもう一度挑戦したいという人間がたくさん帰ってきております。そういうことを含めて、やはり雇用をしっかり守るということは我々にとっても重要な課題だというふうに考えております。
そのために、もちろん、それにふさわしい環境、しっかりとした我々の経営理念、そしてそれを支えるためのしっかりとした経営の方針とそれを回していくための事業計画、これをしっかり持つことが我々が雇用を守るための重要なことだと考えておりますので、私としましても、トップとしてこのことを最優先に考えて、しっかりとそのところは守っていきたいというふうに考えております。
○辰巳委員 ありがとうございます。
引き続いて小池社長にお聞きをしたいんですけれども、先ほどもPFASのお話があったと思うんですね。
実は私、今年に入ってJASMの方に視察に行かせていただいたときに、熊本の方はやはり地下水が非常に大事なものですから、地下水の枯渇あるいは汚染について地域住民あるいは自治体の皆さんが大変懸念をされているという話をさせていただいたときに、率直にJASMが使われるPFASの種類を教えていただきたい、どういう種類を使うんですか、三種類使うということは報道で分かっていたんですけれども、PFASというのは一万種類以上ありますので、具体的に何を使うのかということを聞いたんですね。そのときに率直に答えていただいたんです。これとこれとこれということを言っていただきました。
昨日の報道がありまして、実はTSMC、JASMの工場から排出されているまさに個別のPFASの濃度が上がっていたということが、検査をすると、川に放出されているその自ら検出されたPFAS、これは私がJASMから聞いたPFASそのものなんですけれども、その濃度が上がっていたということが分かったという報道がされているんですね。
念のため言っておきますと、一応これは日本では規制がされていないPFASなんです。ただ、海外ではされています。これはPFBAというものとPFPeS、PFBSなんですけれども、今回河川で検出されたのはPFBA、PFBSなんですけれども、海外では規制はされている、日本ではされていないんですね。ただ、やはり住民の皆さんの懸念というのは非常に大きなものがあるんです。
そこで、小池社長にお聞きをしたいんですけれども、もちろん、企業の様々な秘密といいますか、あるとは思うんです。ただ、今回、JASMがこれを使いますということを知らせていただいたので、それに特化した検査によって、濃度が上がっているね、少し心配だねということが分かったわけなんですね。
ですので、是非、使われるPFASの種類、もちろんきれいにされて流すんだということが前提だと思うんですが、是非これは公表していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小池参考人 ありがとうございます。
これは我々にとっても極めて重要なことだと思っております。
我々も、アメリカの法律は非常に厳しくて、数ナノグラム・パー・リッター以下に抑えているというのはよく存じております。
基本的には、我々は、今言われておりますPFASの材料、先ほど三種類の代表的な例を申し上げましたけれども、これは一切使っていないという形になっております。ですけれども、先ほど言われた新しい材料に関しては、私どもの方でもう少しよく調べさせていただきます。
当然のことながら、それに関連することは当然使っていかないというのは我々の基本方針でございますので、それを使っていかないという形と、それに対する除去をするシステム、先ほど言いましたように、活性炭を使いましてこれを吸着して、完全にこれを除去するというシステムを今つくっているわけでございますけれども、大事なことは、事前の、我々の方は地下水ではなくて川から持ってくるわけですけれども、川から持ってきた流入のところの濃度をきちんと測って、排出されるところの濃度を今しっかりと測っております。
ここのところの管理をきちんとやって、少なくとも我々はアメリカの基準に負けない、実はアメリカの基準は、御存じだと思いますけれども、検出限界そのもので管理しております。これは非常に難しい技術だと思いますけれども、我々としては、その限界に挑戦するような形でしっかりと測っていきたいと思いますし、先ほどおっしゃった材料に関しては、私どもの方は、両方これを調査をいたしまして、これに対する検討と報告を機を見てさせていただくことも検討していきたいと思います。
○辰巳委員 今使わないとおっしゃっていただいたのは、既に日本では禁止をされているPFASの一種であるPFOAなどだと思うんです。これはもう禁止されていますから使えないんですね。これは当然なんです。
ただ、使えるPFASがあるわけですね。そのことで、TSMC、JASMは、使えるPFAS、具体的に言いますとPFBS、PFBAなど、これを公表したんです。日本では規制はされていないから使ってもいいとはなっているんですが、海外では規制はされているんです。
既に禁止されていないのを使わないのは当然です。それ以外のラピダスが使われるPFASの種類を公表していただけないかということでお願いをしています。いかがですか。
○小池参考人 ありがとうございます。
今おっしゃったPFBA、それとかBSという形は、まだ我々の方は、これは開発中の材料でありまして、使うかどうかは決めておりません。ですから、もしそういうことになってきた場合には、当然のことながら、我々の方で十分に検討して、その対策をしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
○辰巳委員 是非公開を検討していただきたいと思います。
続けて、キオクシアの早坂さんにお聞きしたいと思うんです。
昨年の六月の経産省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で、半導体事業における電力需要についてということで報告をされたと思います。そこで、二〇四〇年までに再エネ使用比率の一〇〇%を掲げて、事業者が再エネを導入しやすくするような施策、環境の整備ということで訴えられたというふうに思います。
キオクシアは、気候危機の克服に向けて、一・五度目標を確実に達成すべく、速やかに脱炭素社会へ移行することを目的に積極的な活動も展開されている企業グループ、JCLPにも加盟をされています。ここでパリ協定の一・五度目標に整合するようにそれぞれの企業が再エネ一〇〇%ということを掲げてこられているわけですけれども、その再エネ導入に向けた環境整備についての様々な意気込みとか、あるいは要望がありましたらお聞かせいただければというふうに思います。
○早坂参考人 ありがとうございます。
まず、再エネの目標として我々が掲げていますのは、二〇四〇年までに再生可能エネルギーの使用比率を一〇〇%にするということでございます。これは、正直申し上げて自分たちで全部できる話でもございませんし、それから、証書を買うといったようなことも全部入った数字でございますので、そこはそのように御理解いただければというふうに思っています。
例えば、半導体の工場というのはすごくでかいんですね。うちなんかは特にすごくでかいんですけれども、その屋根を全部太陽光エネルギーに替えるといいんじゃないかというので、実はお金をかけてやったんですけれども、微々たるものなんですね。
そういう意味でも、一社ぐらいで何かしようとしてもとてもできないということで、これはもう本当に国の方にお願いをして、我々として、要求というのは、安価というのが一番最初に来ちゃいけないかもしれないんですけれども、安価で安定したクリーンなエネルギー、これを供給できるように是非御検討願いたいなというのが我々の要望でございます。
○辰巳委員 ありがとうございます。
続きまして、さくらインターネットの田中社長にお聞きしたいというふうに思います。
二〇二三年に、政府が整備をするガバメントクラウドの提供事業者というふうに国内企業で初めて採択をされたということでございます。実は、我が党は、このときの経産委員会の中で、当時、笠井亮衆議院議員ですけれども、ガバメントクラウドの導入に向けた採用基準の中で、日本の国内法を守ること、サービスを安定的に続けることはもちろんのこと、データセンターを国内に設けることを条件にするべきだということを質疑でも求めたんですね。当時の梶山大臣というのは、様々な法令の縛りがあってなかなかそういうことはできないと当時はおっしゃっていたんですけれども、その後、方針、政策を修正をされて、この度、国産のクラウドということでさくらインターネットさんが採択をされたということになりました。
そこで、是非お聞かせいただきたいんですけれども、国産のガバメントクラウドということの意義、政府調達の信頼性とか、あるいは国民生活にとっての国産クラウドの意義、これをどのように考えておられるか、お聞かせください。
○田中参考人 御質問ありがとうございます。
まさしく今ガバメントクラウドが進んでいて、海外製でもいいじゃないかという議論があるのも事実でございます。一番大事なのは、やはり、先ほどのエヌビディアの話じゃないですけれども、日本はアメリカの製品を非常に買いやすいというポジション、これは比較的メリットだというふうにも思っています。ですので、最先端の例えば検索エンジンであったりだとかAIを日本で利活用できるようにするということ自体は妨げるべきじゃないと思っています。
要は、海外の製品を利活用することはいいんだけれども、日本で全く作れない状態にならないようにするということが重要だと思っています。半導体にしても自動車にしても、ソフトウェアもクラウドにしても、日本でも作れるけれども海外のよい製品を買うというのは非常にいいんだけれども、日本で全く作れない状態になって海外製品を使い続けると、当然のことながら外交上もコントロールができなくなってしまう。いざとなれば日本で日本独自のクラウドだけでやるからと言えるか言えないかということは、選択肢として非常に重要だというふうに思っています。
ですので、今の状況というのは、国内でクラウドを作れて提供できる事業者はいるし、ただ、便利な企業、海外のものも使ってもいいしという、一番いい均衡だというふうに思っています。ですので、機能とか性能だとかそういうことを抜きにして言うと、シンプルに、作れる国でありつつも、利活用できる国であり続けるということかと思います。
あと、防衛分野であるとか、本当に同盟国であったとしても国内で閉じるべきだというものに対しては、やはり国内のガバナンスが利いていて、例えばここの場所にもアメリカのクラウド事業者の社長を呼べなくはないと思いますけれども、そうぽんぽんと呼べるわけでもないと思いますので、やはり、日本の国内のガバナンスで、日本の法治国家の中で組み込まれたヘッドクオーターを置いている会社がクラウドを国内で提供するということ自体は、ガバナンス上非常に重要だというふうに考えております。
ありがとうございます。
○辰巳委員 ありがとうございました。
終わります。
○宮崎委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。
この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会の法案審議にとりまして大変有意義なこととなりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)
次回は、来る四月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十分散会