衆議院

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第8号 令和7年4月9日(水曜日)

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令和七年四月九日(水曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君

      岩田 和親君    大西 洋平君

      鬼木  誠君    加藤 竜祥君

      小池 正昭君    坂本竜太郎君

      島田 智明君    鈴木 英敬君

      世耕 弘成君    西野 太亮君

      西村 康稔君    細野 豪志君

      松本 洋平君    宮内 秀樹君

      向山  淳君    大島  敦君

      岡田 克也君    落合 貴之君

      川原田英世君    小山 展弘君

      階   猛君    鈴木 岳幸君

      田嶋  要君    福森和歌子君

      山 登志浩君    吉田はるみ君

      東   徹君    村上 智信君

      岡野 純子君    平岩 征樹君

      福重 隆浩君    山口 良治君

      佐原 若子君    辰巳孝太郎君

      吉良 州司君

    …………………………………

   経済産業大臣       武藤 容治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 森田  稔君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           奥野  真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河野 太志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           奥家 敏和君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長)   猪狩 克朗君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       井崎 信也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     西野 太亮君

  関  芳弘君     加藤 竜祥君

  松本 洋平君     大西 洋平君

  東  克哉君     川原田英世君

  落合 貴之君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 洋平君     松本 洋平君

  加藤 竜祥君     関  芳弘君

  西野 太亮君     鈴木 英敬君

  川原田英世君     山 登志浩君

  階   猛君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  山 登志浩君     東  克哉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房審議官河野太志君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。向山淳君。

向山(淳)委員 おはようございます。自由民主党の向山淳でございます。

 本委員会では初めての質問となります。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 ラピダスは日本にとって重要なプロジェクトということはもちろんでございますが、私は、北海道選出の議員として、ラピダスそのものの成功に加えて、ラピダスを起点とした北海道バレー構想、そしてGX、DX、新しい産業の蓄積ということを考えても、地元にとっては非常に期待の大きいプロジェクトであるというふうに思っております。

 私自身、商社出身なんですが、入社した部署が八〇年代に半導体製造装置の輸出をやっていた部署でございましたので、先輩方の書いた、日本の半導体産業の失敗と反省といったような文章を読んで育ってまいりましたので、今回、本当に最後のチャンスという思いで、全力で応援をしてまいりたいというふうに思っております。

 その上で、まず、直近の事業環境についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 本日午後からトランプ大統領の相互関税が発動するかと思います。先日、野原局長の御答弁でも、半導体は現在対象外であるという前提で認識しております。

 一方、アメリカの不確実性といいますか、大きな方向転換というのは、クライメートとか、あらゆる分野で影響を及ぼしているところであります。

 半導体分野についても、トランプ大統領の施政方針演説の中では、バイデン政権下で半導体を支援してきたCHIPS法の廃止ということについても訴えていました。また、イーロン・マスク氏が、CHIPS法の補助金を支給する事務局のリストラも進めてきたということで、非常に懸念をされていたところであります。

 三月三十一日に、トランプ大統領は、このCHIPS法を引き継ぐ形で、企業投資促進のための新組織を設立するという大統領令に署名をしたと認識しています。これを読むと、結果的にはバイデン政権の方針を引き継いで維持したのかなというふうに見えます。

 ラピダスにとっては、アメリカはライバル的なところもありますし、IBMのようにパートナーでもあり、そして重要な顧客先でもあるというふうに認識をしておりますが、このトランプ政権における半導体政策というものについての政府としての受け止め、そして日本に与える影響というのをどう評価しておられるか、大臣に御見解をお伺いできればと思います。

武藤国務大臣 おはようございます。

 今、向山委員からお尋ねいただきました、トランプ大統領政権でのいわゆる半導体政策というものが変更してきているのかどうか、その評価についてのお尋ねだというふうに思います。

 三月三十一日になりますけれども、大統領令で、米国の商務省内に投資促進アクセラレーターというものが設置をされまして、CHIPSプログラムオフィスを所管することが発表されたところであります。三十日以内に組織が立ち上がるとされておりまして、現時点で詳細は公表されていないので、予断を持って発言することは差し控えたいと思いますけれども、その上で、米国には、エヌビディア等の有力な設計メーカーが多数存在をし、また、TSMCも、御承知のとおりですが、大手半導体メーカー等による製造基盤の整備が今後進んでいくところであります。

 他方で、半導体のサプライチェーンというものは、半導体の製造、設計に加え、我が国が強みを持つ製造装置ですとか、部素材、原料を含め、幅広い生産、技術領域から構成をされるものであります。このため、一国だけでサプライチェーン全体を賄うことはもう困難でありまして、日米両国を始めとする同志国連携の重要性に変わりはないんだと思っております。

 二月に実施をされました日米首脳会談でも、先端半導体等の重要な技術開発で協力することで一致をしておるところでもありますし、引き続き日米連携を深めていきたいというふうに思っております。

向山(淳)委員 ありがとうございます。

 今、大臣のお言葉の中にもエヌビディアのお話もありました。今年の一月に中国のディープシークが出てきて、低コストの生成AIモデルを開発したということで、エヌビディアも株が暴落したという状況がありました。この開発費が十分の一とも言われるという部分であったり、今まで大量のデータを最先端の半導体を駆使したデータセンターで学習させるというような、AI開発モデルが崩れるんじゃないかといったような懸念が出たり、その中で、圧倒的な強みを持っていたエヌビディアのGPUの依存度というのが下がるんじゃないかというような話が出たということが株価に影響したと思っています。

 日本にとっては、このディープシークは、安全保障上のリスクの問題もありますけれども、技術的にもスプートニク・モーメントというふうに言われております。こういう中で、ラピダスが取り組む先進の微細の半導体というものに対して、世界的に需要の変化というのはこうした動きの中で起きているのでしょうか。今、ラピダスに対する巨額の投資戦略ということで、国内の半導体、AIの競争力強化につながるという目的を持っていると思いますが、ここの方針への影響について政府の御見解をお伺いしたいと思います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 ディープシークを始めとしまして、計算量や開発コストの低減に向けた取組によりまして、生成AIの利活用の更なる増加、それとともに、AIの供給側の多様化が期待されるというふうに認識しています。

 これに伴いまして、AIモデルごとの多様な半導体需要が生じるというふうに想定されます。ディープシークの発表後も、二ナノ世代半導体の需要は二〇二〇年代後半にかけて増加し、需要が供給を上回ると見込まれています。

 他方、最先端の半導体は、現在、供給主体がほぼ一社に限定されています。ユーザー側からは供給源の多様化のニーズが高まっているという状況です。

 ラピダスは、ウェハーを一枚ずつ処理する独自の枚葉式、これを通じて短納期製造を目指しております。AIモデルごとに多様化する半導体の顧客ニーズにも合致した供給体制を構築しようとしています。

 このため、ディープシークの発表後、いろいろ話はありましたけれども、ラピダスのビジネスチャンスは十分にあると考えています。

 ラピダスは国内外のマーケティング機能を強化するとともに、今月から千歳パイロットラインの立ち上げが開始されるということで、今後の試作結果を踏まえ、顧客獲得が加速されていくというふうに期待しています。

向山(淳)委員 ありがとうございます。

 供給力の多様化という側面でもラピダスの重要性は変わらないというお話でございました。

 今日、十分という非常に限られた時間ですので、多分、最後の質問になるのかなというふうに思っているんですが、民間出身者としてどうしても気になっていたことということでお伺いをしたいと思います。

 今、事業環境の変化ということで二案例示をさせていただいたんですが、今後もかなり動きの速い業界としていろいろな判断が求められることになろうかと思います。ラピダス社が民間企業として迅速な経営判断をしていくということは、企業としての成功の上で本当に大事なことだというふうに思っています。

 そんな中で、今回、IPAが現物出資するという中で、政府の出資規模というのは大きくなっていくということです。政府が出資規模に応じた議決権を行使していくということだったり、また、政府が資金を投下しているので、当然、説明責任を果たしていかなきゃいけないという側面はあろうかと思いますが、一方で、民間企業として、迅速で専門性に基づく意思決定という、自立性のバランスをしっかり取った経営をしていっていただかなければならないというふうに思っています。

 まだ決まっていない部分も多くあろうかと思いますけれども、政府が株主として、間接的なですが株主として、どのように経営に関与して議決権の行使を想定をしているのか、また、成功していくのに資するためにしっかり自立性を担保していくための意思決定というのをどうお考えかということについてお伺いできればと思います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 次世代半導体事業者に対する株式保有や議決権行使の在り方につきましては、今後、産業構造審議会の次世代半導体等小委員会の意見等を踏まえて具体化を進めるため、現時点では決まっておりません。

 委員御指摘のとおり、最先端の半導体をめぐる世界の技術動向、市場動向の変化は近年加速しております。経営判断の迅速性、柔軟性の確保は重要な課題です。

 同委員会では、こうしたことも踏まえまして、これまでに、経営の迅速性や顧客獲得への影響等を踏まえ、政府による過度な経営への介入を避ける必要があること、一方で、経営に不測の事態が発生した場合などに備えて、政府として適切なガバナンスを確保していく必要があることなどの方向性が示されています。

 こうした方向性に沿いまして、株式保有や議決権行使の在り方の詳細について検討を深めてまいります。

向山(淳)委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、質問を終わりたいと思いますけれども、本当に重要な意思決定の連続になろうかと思います。そうした官民のモデルという意味でも成功する事業となるように心から応援をしてまいることをお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

宮崎委員長 次に、島田智明君。

島田(智)委員 おはようございます。大阪府では唯一の自民党衆議院議員でございます。

 今日は、この経済産業委員会では初めての質問になりますので、少しだけ自己紹介から始めたいと思います。

 十分間しかございませんが、私自身、大学では工学部に所属しておりまして情報工学を、大学院では理学部で情報科学を、つまり、情報処理をハードウェアとソフトウェア、両方の観点から学んできたんですが、この世界、日進月歩ですので、その当時学んだことが今に生かせるかというと、ほとんど生かせないというのが正直なところでございます。

 その後、神戸大学で経営学の教員を十年近く務めまして、いろいろな御縁がありまして、私が生まれ育った大阪府河内長野市というところで、二期八年、市長を務めさせていただきました。

 その市長時代に、やはりいろいろなことに取り組んできたんですけれども、地方創生二・〇ということで今石破首相も頑張っておられますが、地域経済の活性化というところには尽力してまいりまして、なかなか地の利がいいわけでもございませんで、非常に産業誘致というのは難しくて、むしろ産業が出ていこうとするのをまあまあと言いながら止めることに尽力してきたというところがあります。

 そういった意味では、国際空港もある千歳市に対してすごく羨ましいなというところもあるんですが、まず一つ目の質問としまして、やはりラピダスの工場が千歳市にできるということは、地域経済への活性化、いろいろな側面から効果があるかと思います。当然のことながら、雇用機会の創出、税収の増加、そしていろいろなことが考えられます。当然、取引先の方や視察の方々が訪問されることによっていろいろな経済効果が生まれるとは思うんですが、まず政府参考人の方にお伺いしたいと思います。

 ラピダスが地域経済に与える影響として、どのようなことをお考えでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、半導体への大規模投資は、地方経済に広範な波及効果をもたらします。

 ラピダスプロジェクトのケースでは、現時点では研究開発段階ではありますけれども、製造装置の海外大手であるASMLやラムリサーチなどがもう既に新たな拠点を設立しています。今後量産が近づくにつれて、関連企業の進出や地場企業への波及が更に具体化してくるということを期待しています。

 また、経済波及効果につきましては、今後の量産段階を含めますと、十四年間で約十九兆円の波及効果が期待されるという民間試算もあります。

 北海道でも、ラピダスと地元企業とのマッチング事例も少しずつ増加しています。経済産業省としましても、地元の関係機関とも連携しながら、こうした取組を後押しし、人材育成などを進めることによりまして、地域経済の活性化につなげていきたいと考えております。

島田(智)委員 十九兆円の経済効果ということで、まだ非常に大きな効果が期待できるなというところだと思います。先ほどのお話の中で、やはりラピダスという一つの会社が来るだけじゃなくて、当然、その会社に関係する関連会社もたくさん出てくる。つまり、ラピダスが成功すればするほど関連会社もたくさん来るわけで、地域経済への貢献というのは更に増していくという意味では、やはり日本政府がラピダスに投資する目的として非常に大事なことだな、そんなふうに思っております。

 日本政府がラピダスに投資する目的というのは、いろいろな側面があると思います。一つ目の質問は地域経済の活性化という側面でお伺いしました。二つ目は、やはり経済安全保障という観点からも非常にラピダスの存在は大事だと思っております。世界最先端のロジック半導体の開発と製造、これは本当に大事なことでございまして、海外への依存度を少しでも減らしていくという意味では、やはり国内生産で、ラピダスへの期待というのは非常に大きなものがあると思います。

 しかしながら、やはりいろいろな課題もあるかと思いますので、このラピダスの量産に向けた課題とその解決策をお伺いしたいと思います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 ラピダスプロジェクトの成功に向けましては、今後、量産技術の確立、顧客の獲得、資源調達などの課題を解決していくことが必要です。

 まず、技術開発につきましては、アメリカIBMやベルギーimecなどの海外トップ機関と連携して進めております。先月の外部有識者による審査においても、順調に進捗していると評価されています。

 顧客の獲得につきましては、IBMがAI半導体の製造委託先にラピダスを活用すると公表しています。ほかの北米の新興企業との連携も進んでいます。国内におきましても、プリファードネットワークス、さくらインターネットとの間で、AI計算基盤の構築に向けた提携を発表するなど、着実に進展しています。

 資金調達につきましては、民間からの資金調達の円滑化等を念頭に置きまして、政府機関からの出資や債務保証といった金融支援を可能とするために本法案を御審議いただいております。

 経済産業省といたしましては、次世代半導体等小委員会における外部専門家の意見も踏まえつつ、適切なマイルストーンを設定して、その達成状況を確認し、説明責任を果たしながら全力で取り組んでまいりたいというふうに考えています。

島田(智)委員 まず政府が回し始めて、民間企業がたくさん投資することによって成長していく、非常に理想的なモデルになっているかと思います。本当にいろいろな課題を一つ一つ解決していって、解決するとまた新たな課題というのは当然出てくると思うんですが、やはりラピダスの成功を願っております。AIの発展に伴いまして、半導体の需要というのはグローバルマーケットでどんどんどんどん大きくなっていきます。そういった意味では本当に、ラピダスが成功すれば、日本の一つの産業として大きく発展していくと思いますので、非常に大事なことだと思っております。

 最後に、ラピダスの成功に向けて、是非武藤大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 委員も大変国際派で、かつ理工系で、大変な御経歴をお持ちですので、新しい日本の米となるかどうか分かりませんけれども、是非今後とも応援をお願いしたいと思います。

 ラピダス、これが量産を目指す二ナノ、もう今先生御承知のとおりですけれども、この次世代半導体、これがまさにDXですとかGX、この産業構造が大きくパラダイムシフトを迎える中で、生成AIですとか自動運転等に不可欠なものであるのはもう御承知のとおりです。また、経済安全保障上も大変重要でありまして、グローバルの需要、これも特に大きく増大していく傾向にある。

 このように、今後の経済、産業、生活に不可欠となる半導体というものが、他国に依存して購入しなければ生きていけない国になるのか、あるいは、日本の中でこれを生産することによって国内に富を生み、また世界にも貢献できるように、こういうことになるのか、まさに今この分岐点に立っているんだと認識をしているところであります。

 二ナノの次世代半導体の量産、これは海外のトップ企業を含めて、いまだ実現に至っていない野心的な取組でもあります。これを諦めては、我が国の国益を損ねることになりかねない、こういう強い問題意識の下で、国として一歩前に出る形で、最後まで責任を持って、本プロジェクトを完成させていきたい、推進していきたいと思っておりますので、よろしくまたお願いいたします。

島田(智)委員 ありがとうございました。

 やはり、産業立国日本として、この半導体というのは非常に大事なキーとなる、そんなふうに思っております。

 先ほどの向山議員は北海道選出でございますので、ラピダスが北海道における経済効果というところをお話しされましたが、私自身は大阪選出でございますので、これから四日後に、経済産業省、武藤大臣を始め、皆様のお力をかりながら、大阪・関西万博が開催されます。

 非常に大きな経済効果を期待しているところもございますし、国際博覧会でございますから、これは最先端の技術をお見せする、展示する機会でもございます。そういった意味でも、本当に日本の誇るいろいろなところが見せられればと思っていますし、世界各国のいろいろな技術、芸術を見られる機会でもございますので、こちらの方も是非引き続きよろしくお願いいたします。

 今日は十分という限られた時間でございましたが、私の質問を終えさせていただきます。

 誠にありがとうございました。

宮崎委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 私、党内では、ネクスト財務金融大臣という名前で、財務金融政策の責任者であります。その立場からすると、この法案には、財務省が所管する財投特会投資勘定の扱いについて見過ごすことのできない問題点をはらんでいると思います。

 まず、本法案では、AI・半導体基盤強化フレームに関して、つなぎ国債の償還原資を財投特会投資勘定からエネルギー特会に設けられる新たな勘定に繰り入れられることとしています。その理由について、我が党の池田議員が本会議で質問したところ、武藤大臣から次のような答弁がありました。

 財投特会投資勘定からの出資は、収益性の見込める事業を対象としています。今回の法案では、補助や委託等を通じて、次世代半導体の生産を行う産業の育成等を支援し、将来の投資勘定からの出資や収益確保につなげていくことを目的としています。そのため、補助や委託等の実績が豊富なエネルギー対策特別会計に新たな勘定を設け、財投特会投資勘定から資金を繰り入れることとしました。

 こんな答弁でした。

 私は、理由になっていないと思います。なぜならば、最初の一文、財投特会からの出資は、収益性の見込める事業を対象としています、これはそのとおりでしょう。次の文、ここで言わんとしているのは、本法案の目的に照らせば財投特会投資勘定の出資の対象にはならないということだと思います。しかしながら、出資の対象にならないからといって、財投特会投資勘定からつなぎ国債の償還原資を繰り入れる理由にはならないと思うんですよ。

 なぜつなぎ国債の償還原資を財投特会投資勘定から繰り入れなくてはならないのか、その理由を改めて武藤大臣にお尋ねします。

武藤国務大臣 財金のプロでいらっしゃいます階先生からの御質問でございます。今の、財投特会から繰り入れるのはなぜかというところであります。

 このフレームにつきましては、AI・半導体産業基盤強化フレームにおける財政投融資特会投資勘定からエネルギー特会への繰入れは、次世代半導体生産を行う産業の育成等を支援をし、将来の投資勘定からの出資や収益確保につなげるものであり、適切であると考えているところであります。

 その上で、半導体、AI支援に一度に多額の資金が必要なことが想定をされるため、必要に応じてつなぎ国債を発行することとしておるところであります。このため、償還財源というものも、投資勘定から繰入れが適当であると考えているところであります。

階委員 大臣、ちょっと理解して答えてくださいね。本会議の質問から一歩も前に出ていないですよ。

 私は、本会議での答弁を踏まえて、確かに本法案は今おっしゃったような目的はあるでしょう。ただ、それと、財投特会投資勘定から償還財源を繰り入れるということはリンクしないですよ。なぜそこが結びつくのかということを聞いているわけですよ。そこを明確にお答えください。

武藤国務大臣 このAI・半導体産業基盤強化フレームですけれども、財政投融資特会投資勘定からの繰入金は半導体、AI関連支援に用いることにしておりますけれども、この歳入と歳出には時間的なずれがあることから、必要に応じて、つなぎ国債を発行して得た資金を一旦支援に充当するところであります。

 このため、つなぎ国債の償還には、投資勘定からの繰入れを用いることが適当であるというふうに思っているところです。

階委員 歳入と歳出にずれが生じる、だからつなぎ国債を発行するんだ、そこまでは分かりました。

 しかし、普通は、つなぎ国債の償還財源というのは、エネ特ならエネ特に入ってくるお金でもって償還するんですよ。エネ特から出資をしたりするわけですから、将来のリターンでもって、それはつなぎ国債の償還原資に充てるのが普通なんですよ。

 なぜわざわざほかの特会からお金を引っ張ってきて償還財源にするのかということを聞いているんです。お答えいただけますか。

武藤国務大臣 財政投融資特別会計投資勘定、今の先生の御質問は、まさに問題意識があると思います。

 そこは、中長期のリスクマネーの供給という役割というものを我々としてはしっかり果たしつつ、これまでも、現実、他の会計への繰入れを行ってきた実績もあるところであります。

 こうした実績から、今回は、次世代半導体生産を行う産業の育成等を支援をし、将来の投資勘定からの出資や収益確保につなげていくことを目的として、投資勘定からエネルギー対策特別会計に繰り入れることとしたところであります。

階委員 今、御答弁の中で、次世代半導体の生産を行う産業の育成等を支援して将来の投資勘定からの出資や収益確保につなげていくというお話がありました。将来の投資勘定からの出資や収益確保につなげていくというのは、どういう意味なんでしょうか。財投特会投資勘定から繰り入れたお金は将来戻ってくるということですか、お答えください。

 もし答えられないなら、そこは財務省でいいですよ。短く。

森田政府参考人 お答えします。

 産業投資につきましては、政策性と収益性、これが必要であるというふうにこれまで整理してきてございます。

 現時点においてはまだ二ナノの試作品等をこれから始めていくという段階でございますので、現時点で収益性を満たして産業投資の対象になるという段階までは至っていないということでございますが、こういった形で、短期間で集中的な投資を行うことにより、その量産可能な状態に至る暁には、産業投資から収益性、政策性を満たす対象として投資が可能になる、その段階まで高めていく、これをマイルストーンを確認しながら行っていく、こういった取組であると承知をしてございます。

階委員 結論だけお答えくださいね。

 そうすると、繰入額は将来戻ってくるということでいいんですか、お答えください。

森田政府参考人 今回の繰入れは、我々の産業投資、歳出でいうところの出資の払込みとは異なりますので、回収を前提としているものではございません。

 ただ、今回の法改正におきましては、エネルギー特会から……(階委員「もういいです」と呼ぶ)はい。

階委員 戻ってきませんということです。

 それで、今日お配りしている私の資料、二ページと書いてある方の左側を見てください。これは、財投特会投資勘定の仕組みも書かせていただいております。投資勘定というのは、下の方に図もありますけれども、出資、貸付けをして回収、リターンを得るための特別会計の勘定なんですね。その趣旨と今回の法案の内容は矛盾していませんか、お答えください。

森田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、今回の繰入れは、産業投資、歳出におけますところの出資金の払込みとは異なるものでございます。

 その上で、投資勘定は、これまでも産業投資として必要なリスクマネー供給という役割は果たしつつ、特会法等に基づきまして、投資財源の歳入の状況なども勘案しながら、例えば復興財源それから防衛財源、こういったものの一部とするものも含め他の特会への繰入れなども行ってきているところでございます。

 また、その際には、しっかりと、特別会計法の改正などを要するものがあれば、併せて法案としてお諮りしているものでございます。

階委員 復興財源や防衛財源でも同じことをやっているというお話なんだけれども、全然意味が違うと思いますよ。今回は、まさにリスクを取ってリターンを求めるという話で、現にエネ特はそれをやるわけですよ。

 エネ特でそういうことをやるのに、なぜわざわざつなぎ国債の償還財源を補給しなくちゃいけないのかということなんですよ。エネ特の中でつなぎ国債の償還財源を、投資によってリターンを得るんだから、それで確保すればいいじゃないですか。なぜそれを面倒見なくちゃいけないのか、わざわざ所管の違う財投特会。財投特会の方も、自分たちも自ら投資するわけでしょう、このラピダスとかに対して。自ら投資するのであれば分かりますよ。だけれども、見返りのない単なる償還財源の原資をエネルギー特会に補給する、このやり方は本来の趣旨に反するんじゃないかということを言っているわけです。

 その点について、なぜこれをやるのかということで、私はもう一つ言いますけれども、一ページ目のAI・半導体産業基盤強化フレーム、これは閣議決定の文章から抜粋したものなんですが、脚注の四番というところ、左側の脚注の四番、これを見てください。

 (1)及び(2)に対する財政投融資特別会計投資勘定からの財源は、三兆円程度とするというふうになっていて、(1)というのは、補助及び委託等ということで、財投特会投資勘定が、先ほど来申し上げている二・二兆円をつなぎ国債の償還財源として繰り入れるという話なんですよ。(2)の方は、財投特会投資勘定の本来業務である投融資の話ですよ。これは三兆から二・二兆を引くと〇・八兆なんですよ。

 私が言いたいのは、本来業務の方が〇・八兆で、本来業務とは関係ない、償還財源をただで渡すという方は二・二兆で、三倍ぐらい多いわけですよ。これは逆転しているでしょう。投資勘定を使うんだったら、本来だったら投資の方にウェートを置くべきだし、また、そもそも、さっきから申し上げているとおり、償還財源にこの特会を使うのはおかしい、これは投資案件なんだから投資を行うべきだということを申し上げているんです。この点についてお答えください。

森田政府参考人 お答えいたします。

 一部繰り返しになりますけれども、産業投資として出資をする対象としては、収益性の見込みがそこまで確度が高くない段階であるということで、現在、産業投資を投入し始める段階にはないものと考えてございます。

 しかしながら、こういった七年間での十兆円というパッケージをフルに工程表を確認しながら進めることによってその収益性を高めていく、そういった取組でございますので、初期段階の投資が後期段階に至りますれば収益性を満たすような段階に至る、その意味で、産業投資が後年度には可能になる、こういった仕組みであると考えています。

 また、我々の他の特会への繰入れということにつきましては、過去にも復興財源、防衛財源のような形で行っておりますので、その時々の財源確保については、その時々の重要施策に応じて必要に応じたフレームを政府全体として策定してきているものと承知してございます。

階委員 なぜ、本来業務の(2)の方が〇・八で、本来行うべきでない、償還財源をただで渡すという方は二・二なんですか。その点、答えてください。

森田政府参考人 これも繰り返しで恐縮でございます。

 時々の重要施策につきまして、どのような形であらゆる財源確保策を政府全体として検討いたしまして、どういった形でフレームを組むか、これは政府全体で判断してきているところと考えてございます。

階委員 では、全体の判断として私はおかしいと思っていますけれども、大臣にまたお尋ねします。

 四日のこの委員会の質疑で、東議員が、今回のラピダスにつぎ込んだ税金は全て回収できるのかといったような御質問をされたのに対して、政府参考人から、想定しているビジネスプランが成功すれば、その可能性はあるというふうに答弁しているんですよ。そうであるならば、財投特会投資勘定から二・二兆円をつなぎ国債の償還原資として今の時点で法改正をして繰り入れることを定める必要はないのではないかと思うわけです。

 つなぎ国債の償還原資は、現物出資や金融支援によってまず得られる利益から充てていく、そこから捻出すべきだと思うんですが、大臣、どうですか。

武藤国務大臣 四月四日の東委員との質疑において、野原政府参考人から、現在想定しているビジネスプランのとおり成功すれば回収できる可能性がある旨の発言をしています。確実に収益が見込まれると申し上げたわけではありません。

 繰り返しになりますけれども、現物出資等による収益がどの程度生じ得るかについては、あらかじめ見込み難いことから、つなぎ国債の財源にはなじまないものと理解をしているという答弁をさせていただいたと思っています。

階委員 リスクがあるということですよ。

 それで、そうなってくると、投資勘定からお金は出したけれども、将来の何か投資とかにつながるなんてことをさっきおっしゃっていましたけれども、これは途中でプロジェクトが頓挫したりしたら、将来の投資につながるわけないじゃないですか。そうすると、さっきの論理は破綻しますよね。

 私は、将来どうなるか分かりませんよ、分からないけれども、今の段階で分からないのに二・二兆円をもう出しますということを法律で定める必要はないんじゃないかということを申し上げているんです。

 お配りしている資料の二ページの右側、今回の法案において財投特会投資勘定に関する規定、七十条、七十二条で、つなぎ国債の償還には財投特会投資勘定からの繰入金を充てるといったようなことが定められていますけれども、これは、少なくとも今の段階では不要不急のものであって、外しても問題ないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今の、必要に応じて、つなぎ国債を発行して得た資金を一旦支援に充当するところで、二・二兆円について外れていいんじゃないかという御指摘かと思って……(階委員「不要不急だと言っています」と呼ぶ)不急だというふうに、思っています。

 政府の方は、今委員とのやり取りを聞いていまして……(階委員「将来どうなるか分からないんだから」と呼ぶ)はい。ということでございますけれども、政府全体で考えて、これが合理的だという判断をしたというふうに思っています。

 また……(階委員「その理由は。合理的な理由は」と呼ぶ)はい。まさに償還財源がないと国債発行ができないということだろうと思いますし、この事業を成功させたいというところで考えますと、やはりそういう形で、いろいろな今までの、最近の防衛財源にしてもそうですし、復興財源もそうですけれども、財務省の方のやり方と対応にしても、そういう形で、我々としてもこれを方向性としてやっていくということの政府全体の合意ができたというふうに考えているところであると思っています。

階委員 大臣、後ろから紙が出ましたけれども、全然、不要不急じゃないかという問いに対する答えにはなっていないんですよ。

 私は、つなぎ国債というのは、なぜつなぎと言うかというと、財源が生まれるときまでは借金で賄いますということなんですよ。財源が生まれるまで、時間はあるわけですよね。今回投資をして、将来ラピダスが量産体制に入って、株も上場して資金が入ってくるというときまで、つなぎ国債でいいじゃないですか。

 そのつなぎ国債の償還が、いよいよプロジェクトが駄目になって、どこからも償還財源が入ってくる当てがなくなったというときに初めて、窮余の策として、どこからお金を引っ張ってくるか、そのときにはひょっとしたら投資勘定もあり得るかもしれない。ただ、今の段階では不要不急であって、こうした規定は要らないんじゃないかということを申し上げているんです。その問いについてお答えください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 つなぎ国債についてお答えをしておこうと思いますが、法律上、特定の償還財源を確保し、償還期限が定められた公債については、財政規律の観点から、赤字国債と異なる性格を有することから、従来発行を認めているものでございまして、そういう性格のものですので、財源が今見込めるものを明定いたしまして、それを償還財源に充てるという法律を出させていただいているというふうに認識しております。

階委員 いや、だから、財源が見込めない案件なんですね、これ、ラピダス。それはそれで問題だと思いますけれどもね。償還財源が見込めない、それほどリスクが高いものをやるということなんですね。それはそれで問題だと思いますよ。どうなんですか、そこは。そこは根幹に関わる問題ですよ。どうなんですか。大臣。

武藤国務大臣 これはもう今までもずっとこの委員会でもお話しして、申し上げていますけれども、リスクといいますか、この前の参考人からもお話を聞いていますけれども、この半導体、次世代の事業というものを何としてでも日本として成功させていかなきゃいけない。

 さっきから先生おっしゃられるように、この財源という問題についてはいろいろとまだ課題も、今までも御指摘もいただいております。

 ただ、我々としても、税金というものを使う限り、しっかりと国会にもお披露目をし、国民にもちゃんと御理解をいただきながら、そして、何よりもこの事業自体を、先ほど来申し上げましたとおり、新しい世界のパラダイムシフトの中で、何としてでもこれは事業としてやり通していかなきゃいけない、そういう覚悟の下で、この判断をさせていただいているものと思っております。

階委員 いや、全く納得できる説明はありませんでした。

 実は、この特会法については、今日の財投特会投資勘定について別の観点から改正を行う特会法改正案が、衆議院の財務金融委員会でもうすぐ審議される予定なんですよ。

 そもそも、私は、今回の法案で財投特会投資勘定が盛り込まれているということ自体がおかしな話であって、財務金融委員会で特会法を改正するのであれば、そっちに盛り込むべきなんですよ、所管は財務省なんだから。

 今日の質疑を通じて、やはりこの特会法改正案の方では、先ほど取り上げた情報処理促進法改正案の七十条とか七十二条及びこれに関連する特会法の規定は削除しなくてはいけないということを強く感じました。

 このことを財務金融委員会の方でも議論したいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。

 今日は北海道選出の議員の質問が続くかと思いますが、今回は、この法案に関しては、ラピダスへの大きな国の支援がまさに実現するかどうかということになるわけですが、既に北海道の千歳では、このラピダスの工場がこの四月の一日から試験運用が始まっているわけですが、大変な活況が既に始まっているというふうに地元ではニュースで出ています。例えば、建設作業員の日当が四万円から五万円になっているですとか、あと、一晩数十万円お店で使う若い人が出てきているとか、千歳は本当に今にぎわっているということは、今大きなニュースになっているわけです。

 こういうニュースを見ていてちょっと思い出した本がありまして、石牟礼道子さんという作家がいらっしゃいますが、石牟礼道子さんというのは、熊本の水俣病の本に関して、「苦海浄土」という本は大変有名な本で、まさに水銀で病で苦しむ人たちのことを書いた本ではあるんですが、この「苦海浄土」よりも前の時代のことを書いた「椿の海の記」という本が、これまたすばらしい本なんですが、ございます。

 有明海にあるこの水俣が、まだチッソの、当時最先端の工場が来る前の、非常にのどかで、田舎で自然豊かなところに、みんながのんびり暮らしていたところに、少しずつ、当時の資本主義の、チッソの大きな日本最先端の工場がやってきて、だんだん活況を呈していくみたいなことが、少しずつその地域のバランスが崩れながらも、でも地域は大きな期待を寄せている、そんなことが大変美しい文章で書かれているすばらしい本なんですけれども、何となく、もちろんラピダスとチッソは全く違うわけですけれども、しかし、ある地方の田舎に大きな産業がやってくると、各種のバランスがどうしても崩れざるを得ない、そういうことも感じさせる本でもあると思っています。

 ちなみに、ラピダスはこの事業を成功するのに約五兆円の予算が必要だというふうに言われていますが、現状、北海道の年間のGDPは二十兆円なんですね。つまり、約四分の一ぐらいの規模を今後ラピダスが更に増やしていくという大変大きな事業を、まさに北海道の上に、乗りかかってくると言うと言い方は大げさかもしれませんが、非常に、地元は期待もしていますが、いろいろなバランスが崩れるリスクも抱えながら、北海道はそれを受け入れんとして、官民学また地域の人たちも挙げて頑張っているという状況でもあることは、この委員会で再三僕の方からも述べさせていただきましたが、今日この法案を審議するに当たり、同じことをもう一度、一言述べさせていただきたいと思います。

 前回、ラピダスの小池社長がお越しいただいたときにも、いろいろとラピダスができた経緯などなどお話しいただきました。その中でも、十二名の個人の株主の方がいらっしゃってというお話もあったわけです。

 このラピダスの話で、僕も北海道選出の議員だからこそ、何とか応援したい、そして、何とか成功させないと本当に北海道全体が倒れるかもしれないリスクもあるということも含めると、何とか一緒になって成功させたいというふうに思うんですが、一方で、どうしても、なかなか見えないところ、分からないところというところがこの国会議員という立場になってもあるんだなというふうに感じているわけです。

 それは、ラピダスという会社、この半導体を作るというスキームをなぜここまで日本政府はやろうというふうに、こんなに大きな決断をできたのかというところが、そのそもそもの根幹のところがなかなか野党の一国会議員からは見えないところでもあるんですね。

 小池さんのお話も、その後の新聞記事とかでもたくさん拝見もしました。そうしていきますと、やはり、最初の起点は、IBMから小池さんたちにこういうことをやってみないかというふうなお話があったということでもありますが、二〇二〇年の夏にそのお話が来た小池さんは、これは公式な記事とかでお話しされていますが、当時の自民党の甘利議員にまず話を持ちかけて、こういう話が来ているから是非国としても支援してほしい、そういうふうに言ったかどうか分かりません、甘利さんに御相談をした、二〇二〇年の夏に相談をしたというふうに言われています。

 そして、甘利さん、そして今日もいらっしゃるかもしれませんが自民党の関先生も、それを、何とか半導体というものを作れるよう、与党として、自民党としても応援していこう、その大きな起点になったのは、二〇二一年の四月十六日、当時の菅総理とバイデン大統領の会談で、台湾海峡の平和と安定性の重要性をうたった、こういった会談の中から、やはり半導体のことを地域リスクも踏まえて日本でもしっかりやっていけるんじゃないか、そういうのを見捉えて、自民党で半導体戦略推進議連というのが立ち上がったと。これもいろいろな、各紙の新聞で先生方がお話をされているところなわけです。

 僕も何とか野党側からも理解をしたいというふうに思っているわけですね。ただ、なかなか見えないところがあって、こうやって、与党、自民党を中心としたと言っていいと思います、与党とそして産業界の人たちが何とか半導体をもう一回作っていこう、そこに、さっきも階先生も大変厳しく追及されていましたが、国の大きな予算を今までにない形で使ってでもやっていかなきゃいけないんだという、そういう意思決定をなぜできたのか。

 これは、いろいろ見てくると、一ベンチャー、これから立ち上がっていく民間企業に国が半分も出資するなんということは、この日本の憲政史上なかったわけですよね。国がこれだけ、半分も出資する会社というのは、確かに幾つかはあります。でも、ほとんどが、例えば、鉄道に関わることや空港に関わること、そして高速道路に関わることなど、ほぼほぼインフラに関わるようなそういった会社に関しては、特殊会社かもしれませんが、国が半分出資しているということはあるんですが、一民間企業、そして本当にスタートアップの会社に一千億もの巨費を投じていくということは、過去なかったことでもあるわけです。

 なぜ、でもこれだけの、僕は、この決断をできたことは、いや、正直、ただ単純にすごいことだなというふうに思いますが、だからこそ、このリスクを自民党の皆さんだって、どうしてもこの立場でいうと、政府に対して問いかけるという立場になりますが、本当は僕は、自民党の皆さんに、まさに推進議連の先生たちに、やはり、これをどうしてそもそも決断できたのか、まさにどういうスキームでこういうのを立ち上げていこうと思ったのかというのをこの委員会で伺いたい、そんな思いもありますけれども、でも、今日は、これを政府を通じて、しっかりとラピダスのマネジメントの在り方について伺いたいと思っています。

 一千億出資をいたすわけですが、株主としての出資というのは、もちろん議決権も持ってはいるんですけれども、でも議決権というのは一年に一回しか大きく機能できないわけですね。僕も民間企業にいて取締役とかもやらせてもらいましたけれども、もちろん株主の声は大変重要ですが、でも、本当の会社の実情というのを知るには、僕は取締役として参加する必要があるんじゃないかというのを、今回のスキームを自分なりに何となく考えていく中で思うわけです。

 そして、先日、経産省にTSMCのことを聞いたら、TSMCは台湾政府から取締役が一人参加されているというふうに聞いたんですが、その辺、事実かどうか、一度お答えいただけますか。

野原政府参考人 TSMCは、創設時に台湾の当局が半分近い出資をされて立ち上げた会社でございますが、その後、上場をして、今は上場企業でございますけれども、台湾当局の持分も、徐々に売却して、今六%ぐらいになっておりますが、筆頭株主でございまして、取締役を一名、台湾当局が出しているというふうに認識をしております。

荒井委員 どのようにラピダスをつくっていくという話が一番最初に、政府関係者、与党の関係者、そしてラピダスの今の創設者の皆さんたちで話が盛り上がっていったかというのを想像するに、きっと、そうか、台湾でTSMCという成功事例があるから、まさにこの会社みたいなものを日本でもつくってみようというふうになったんじゃないかというふうに、公的に出ている資料からは想像するわけです。

 そうすると、恐らく、その一番最初の頃から巨費を、まあ半分は投資してみようということはあったんだと思いますが、同時に、でも、TSMCは一人、まさに国から一人、誰かが取締役で入っているというスキームも当然御存じだったんじゃないかというふうに思っているんですね。

 最初のマネジメントのことに関しての質問は、なぜ日本政府はラピダスに取締役を一人出さないのか、そういう単純な御質問であります。

 そういうふうに思っていたときに、いろいろなまたニュースを見ると、経産省の事務次官もされていた嶋田さんが今ラピダスの参与になったということが報道されていたわけです。

 ラピダスという会社にとって、取締役と参与、この違いというものはどういうふうに考えているのか、教えていただけますでしょうか。

野原政府参考人 取締役と参与の違いは、取締役については、会社法に基づく株式会社の必置機関でございまして、株式会社の業務を執行する立場として、会社の経営方針の策定や意思決定を担う存在ということでございます。取締役会の過半数の賛成を得て、重要な経営事項が決定されていく。

 一方、参与は、会社法に基づくものではございません。様々な経営上の事項について助言を行う、いわゆるアドバイザーであるということで、ラピダスからそのように聞いております。

荒井委員 まさに、僕は、取締役というのは、自分でもやってみてすごく思いましたが、善管注意義務含めて大変やはり重い責任を担うわけですね。それは、社外取締役であっても当然そうなわけです。

 本当は、嶋田さんのようなキャリアをお持ちだったり、そして、今こうして直接経産省から、OBとしての立場でいらっしゃるような方であれば、本来、参与ではなくて、取締役としてしっかり入って、そして、定例の取締役会に入りながら、しっかりと責任を持った発言をしながら、ラピダスの経営、これは本当に国にとっても、北海道は当然ですけれども、国にとっても、そして、これの多分言い出しっぺにもなったであろう自民党も含めて政治の世界にとっても非常に重要だからこそ、こういう嶋田さんのような人が取締役に入ってしかるべきなんじゃないかというふうに思いました。

 大臣はこの話を聞いてどのようにお感じなのか、教えていただけますか。

武藤国務大臣 元経済産業次官の嶋田さん、この方がラピダスにおいて、今、同氏の専門的知見ですとか経験から経営戦略上必要な人材と判断をされて、特別参与に選任をされたというふうに聞いているところであります。

 どのような立場でどのような人物を登用するかについては、これはラピダスが決めることでありますので、政府としてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 委員がおっしゃられるように、政府がガバナンスを利かせるべきだ、この問題意識は共有させていただきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさに一千億という、半額出資している株主だからこそ、やはりラピダスが、もちろん、今二ナノのチップが作れるのかどうかということが当然問われるわけですが、それは、でも技術的なことではなくて、やはり一千人の会社をマネジメントするというのは大変なことなわけですね。そういった会社がしっかりと運営されていくのかどうかというのも、技術的にできるかどうかよりも前提となる、そういったコンプライアンスであったりマネジメントがしっかりできるかという観点でも、ラピダスは本当に日本中の大きな期待をしょっているからこそ、僕は、取締役の構成にしっかり政府の意を持った人が入っていても、今回のスキーム上はおかしくないんじゃないかというふうに思っているわけです。

 先日、ラピダスの小池社長から参考人招致のときにお話がありましたけれども、ラピダスに関しては最初マウントフジ・プロジェクトというふうに言われていたということでした。ラピダスのマークというのは、緑色のマークがありますけれども、あのマークもまさにマウントフジ、富士山をモチーフにしたマークとして使ってきたということでしたので、まさに、純国産の、日本を代表する、そういったマウントフジというのをプロジェクト名につけたんだろうなというふうに思うわけです。

 そして、このマウントフジ・プロジェクトに参加した人たちが、何人かのお名前は小池さんもほかのところでは新聞等でお答えされていて、大学の先生の名前が出ているわけでして、そういう人たちがこの十二名の恐らく株主になっているんだろうというふうに推測はできるわけですが、この間、会社のそれぞれの秘密もあるので株主の個人名を明かすことはできませんというふうにおっしゃっていただいているわけです。

 もちろん、分かります、分かるんですけれども、もう一度、このラピダスというプロジェクトそのものは自民党の先生方も大きく関わってくる中でスタートしたということは、これは否定はできないと思うんですよね。でも、だからこそ、もちろんあり得ないとは思うんですが、こういう株主に自民党の、若しくは引退した先生とかの名前があることは当然ないと思っていますが、でも一方で、僕だってこの場では、例えば国における国会議員というのも取締役みたいな立ち位置で善管注意義務がもしもあるとしたら、そんなことも確認せずに、例えば、こうやって法案に賛成をして、いざ株主が分かったときに、ほら入っていたじゃないかみたいなことになったら、まさにそれは善管注意義務違反なんじゃないかというふうにも思うわけですね。

 ですから、やはり、もっとここは透明性、公開性みたいなことを是非重要視していただいて、実は、立憲の部会の中では、秘密会みたいなやり方もあるんじゃないかみたいなお話もありました。別に僕が直接知らなくてもいいんです、山岡筆頭でも構いませんし、どなたか限られた人で構いませんので、ちゃんと、まさに透明性のあるプロセスをつくっていただけるように、そして、みんなが、まさに、どうやったら成功していくのかというのをやれるようなスキームを是非この国会の現状の中で進めていっていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 いわゆる個人株主のマウント・プロジェクトに関わってきた人の情報開示ということでありましょうと思いますが、この前、三月二十八日ですか、参考人質疑でも、そのような、小池社長からマウントフジ・プロジェクトに関わってきた方であるとの御説明があった、これは創業前から本プロジェクトの検討を行ってきた方々であるというふうに聞いているところであります。

 今の、先生のおっしゃられる情報開示につきましては、いわゆるプライバシー保護の観点を踏まえて慎重に対応する必要があるというところも御理解いただきたいというふうに思います。

 私も、ある意味で、経産省のレクを聞きながら、どうしてできないのというところも聞きました。そういう方々が関連しているということは、一切私は関係しませんけれども、やはりその中には役員の方も社員もいらっしゃるということなので、こちらだけ開示して、こっちは非開示というわけにいかないものですから、そういう意味では、プライバシー上、これはちょっと問題がありますねというところのお答えでしたところを御報告したいと思います。

荒井委員 大臣もこの個人の名前を御存じない、そういうことなんですか。(武藤国務大臣「はい」と呼ぶ)なるほど。

 是非、大臣や少なくとも何人かの経産委員会の委員の皆さんには、こういう何か疑念があるような形でやはりスタートしたくないというふうに思いますので、そういったものを公開してもらえるように、全員じゃなくていいと思っています、僕自身が知る必要もないんですが、でもしっかりとそれが分かったという段階で進めていけるように取り計らっていただきたいと思いますので、お願いとしたいというふうに思います。

 次の質問に移りますが、北海道にこういった大きなプロジェクトがまさに決まったわけですが、なぜ北海道なのかというのも、北海道選出の国会議員としては純粋に思うわけですね。実は今回、北海道でこのラピダスをつくるに当たって、今一つ大きな課題になってしまっていることがありまして、実は半導体を作るには高圧ガスというものが必要なんですけれども、この高圧ガスは青函トンネルを通ることができないということが分かっているわけです。

 九州では、TSMCで、当然工場でも使っているんだと思いますが、全部陸路で運んでくることができますので、陸路で熊本の工場まで届けているんだと思いますが、もちろん北海道まで陸路はつながっていますが、ちょうど津軽海峡のところの青函トンネルは、ここはこういった危険物に関しては運ぶことができないということで、海から持っていくという、そういうオペレーションを今準備しているんだと聞いています。

 逆に言うと、こういう今までにやったことがないことをしてまでも北海道でやりたい、やらなきゃいけない、北海道でやろうという強い意思があったということは、道民にとっては大変ありがたい思いもありますし、それをしっかりと準備したいという気持ちも含めて、これだけ今高圧ガスに関しての準備も北海道では進めているというふうに聞いてはいますが、経産省として、この高圧ガスの持っていき方についてどのように今考えているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

野原政府参考人 高圧ガスなどの危険物は、委員が御説明されたように、青函トンネルを使用した輸送が制限されておりますので、海上輸送が必要となっております。

 その課題等の抽出、明確化を図るために、昨年十一月に北海道経産局が事務局になりまして、北海道半導体物流検討会議を設立したところでございます。

 海上輸送の際に港湾などにおける高圧ガスの貯蔵方法が課題として挙げられておりまして、今後、業界ガイドラインの策定等によりましてあるべき貯蔵方法の明確化を図ることを検討中でございます。

 プロジェクトの成功に向けまして物流網の整備は重要でございまして、経産省としても、引き続き、関係機関と連携しながら、課題解決に取り組んでまいりたいと考えております。

荒井委員 北海道は本当に物流網が常にネックになっていまして、やはり、全国に比べても物価が上がりやすいのも、この物流が、国土の二二%が北海道ですので、しかも冬季になると思うように、大体倍ぐらいの時間だったりコストもかかっていきますので、この物流網というのの整備が大変欠かせなくなります。

 ラピダスにおいても、実際これから始まっていくと、この物流網を更に構築していく必要性があると思いますので、是非政府も挙げて御支援いただきたいというふうに思っています。

 そして、最後に、半導体の人材の育成について、今日は文科省にも来ていただいていますので、伺いたいと思います。

 実は、北海道は、半導体関連の企業というのがラピダスの誘致が決まってから少しずつ増えてきているわけですが、今回の速報値では、今年は半導体関連企業の採用人数が五百人ということで、昨年の二百四十人から倍増しているということなんですね。ただ、倍になっても、実はこの五百、正確には五百一人ですが、企業の希望する採用人数は人が採れていない、そういう状況だというふうに発表されています。

 そして、既にもう来年はこの五百人をはるかに超える半導体人材が必要だというふうに言われていて、北海道だけでは今この人材をカバーし切れていない状況があるわけです。二〇二七年にはラピダスの本格運用が始まるわけですので、この人材育成に、北海道大学も含めて今一生懸命頑張っているわけですが、実は海外を見ると、アメリカや台湾や韓国などでは、この人材育成にかなりのお金を投じて、例えば大学の学部すら新たにつくったりして、本当に、つまり、工場を造るだけではなくて、人を育てるところ、根っこのところからやっているんですね。やはり日本は少しロジスティックが弱いんじゃないかというふうに思うんですが。

 例えば台湾では、TSMCの工場のすぐ隣にある大学、明新科技大学、そこが半導体の学部を全く新たにつくるみたいなことをしてでもTSMCに入れる人を育てているそうですが、今日は文部科学省にお越しいただいていますが、文科省としてはこういった取組を考えていらっしゃるのかどうか、お聞かせいただけますか。

奥野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、各大学等におきましては、各地域に経済産業局が中心となって設けられました半導体人材育成に関するコンソーシアムを通じて、産学官が連携した人材育成の取組が行われているところでございます。

 加えて、お尋ねの文部科学省におきましても、大学・高専機能強化支援事業を通じまして、意欲ある大学等の半導体分野を含む成長分野への学部転換等に対する支援を行っております。この中で、例えば、熊本大学では、半導体人材の育成を強化するための新たな課程への学生の受入れを昨年度より開始しております。

 更に加えて、今年度より、半導体人材育成拠点形成事業といたしまして、各大学等の特色や地域性等を踏まえつつ、大学間のネットワークを生かした教育プログラムの展開など、産学協同の実践的な教育体制を構築することを通じまして、大学等における高度人材の育成の取組を推進することとしております。

 文部科学省といたしましては、半導体人材の育成に向けまして、産学官の連携した取組が重要と認識しておりまして、引き続き、経済産業省等とも連携しながら、大学等における半導体人材の育成を推進してまいる所存でございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 時間も間もなくですので、今後十年間で半導体人材が四万人不足する、そういう業界の、JEITAの調べなどもあるわけですが、まさに、大臣としてこういった、文科省も頑張ろうとはしていると思うんです、でもリードしていくのはやはり経産省じゃないかというふうに思っていますので、経産大臣としての強い取組を期待したいんですが、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 半導体産業の復活に、是非、半導体人材の育成、確保というのは不可欠であります。

 人材育成、今文科省からもありましたけれども、我々経済産業省でも、各地域で半導体人材育成等を担うコンソーシアム、おっしゃられたように、こういうものを設立をして、今頑張らさせていただいているところであります。

 北海道でも、局を中心に、北海道半導体人材育成等推進協議会というものが中心となって、今、頑張って、企業内から道内の教育機関への実務家の教員派遣ですとか、学生、教員による半導体製造現場の訪問実習など、具体的な取組でまさに育てていただいているものと思っております。

 また、国際連携の下では、最先端半導体の研究開発、人材育成等を行う技術研究開発、LSTCというものがありますが、最先端の半導体設計に必要な高度専門人材の育成にも取り組んでいるところであります。

 引き続いて、関係省庁、自治体とも連携しながら人材確保に頑張っていきたいというふうに思っております。

荒井委員 ありがとうございました。

 終わります。

宮崎委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 情報処理促進法等の改正案ということであります。この法案の中で、選定事業者に関してはこれから決めていくということになっているわけでありますが、さはさりながら、北海道千歳市のラピダス、既に試験運転も始まっていて、共通の認識として、ラピダスの事業、これを大きく支えていくという法案でありますので、私も北海道選出でもありますが、地域の課題を中心に今日は質疑をさせていただきたいと思います。

 このラピダスをめぐって様々な議論があるわけでありますが、その中で、インフラ整備も、その必要性というのを大いにまた議論も深めていかねばなりません。

 その中で、今日は、特に水、工業用水のことについて中心に質疑をさせていただきたいと思います。

 先端半導体の製造をめぐっては、いわゆる電力の必要性というのは様々指摘もされるわけであります。もちろん電力も無限にあるわけではありませんので、今後、産業集積をにらめば、ここは議論をしっかり深めていかなければなりませんが、同時に、この製造には本当に多量の水が一般的に必要だと言われているわけであります。

 その水、私は自分自身の活動エリアが苫小牧市というところにもあるわけでありますが、千歳市と隣接している地域でもあります。ラピダス用の工業用水は、水利権の調整などもありまして、結論から言えば、ラピダスが利用する工業用水の大半は苫小牧側にある川から提供を行っていくということになっているわけであります。

 一言で言えば、この工業用水の確保も、地元の様々な努力の中でこれは成り立っているわけでありますが、まず経済産業省に伺いますけれども、このラピダスの工業用水の確保、この現場の実態がどうなっているか、どのように把握されているか、一言答弁をお願いします。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、ラピダスによるパイロットラインの本格稼働に必要となる水の供給に向けてでございますけれども、複数の候補地における整備に係るスケジュールですとかそれから水源からの取水可能性等の検討の結果、苫小牧市などを給水区域とする、御指摘ございましたけれども、苫小牧地区工業用水道事業にて給水を開始するべく取組が進められているものと承知してございます。

 なお、供給開始に向けましては、昨年八月に工業用水道施設の整備に着工いたしまして、二〇二六年中に完成する計画であると承知しているところでございます。

山岡委員 この工業用水を管理しているのは、いわゆる第三セクターが地域にありまして、苫東という、いわゆる公的資本が八割占めているようなところなんですけれども、もちろん東部開発の土地の管理もしているんですが、水の管理もしている。この様々な供給能力というのは、一日当たり、安平川、勇払川、第一施設、第二施設とあるんですが、おおむね二十万立米というふうに言われています。

 その上で、ラピダスの水の必要容量というのは、様々な事業の中身にもよりますので正確な数字はまたいろいろ変化するのかもしれませんが、報道等によれば二万五千立米の水が必要だというふうに言われています。二十万の供給能力に対して二万五千でありますから、そのとおりだとしたら、相当やはりこれは大きなインパクトはあるわけであります。

 北海道は、自然の恵みも豊かでありますから、水も豊富であるわけであります。でも、大臣にここから伺うわけでありますけれども、苫小牧は、もちろん、そうした工業用水、地形的にも恵まれているからこそ、古くは紙の産業とか、今は自動車もありますけれども、そうした工業地帯として優秀なエリアでもあるということもあるわけでありますけれども、こちらも無限に水があるわけではないということは共通の認識としてまたこの場でも申し上げさせていただきます。当然、既存の割当てもあるわけでありまして、その中で調整しながらラピダスの水を確保していく。

 さらに、ラピダスのみで終わらないわけであります。半導体は、前工程、後工程、あるいは素材も装置も含めて、関連産業、関連するところが様々あるということもこの委員会でもさんざん議論になっていますし、そういうことも含めてラピダスプロジェクトの今後の構想に入ってくる中で、それにもやはり工業用水というのが鍵にもなってくるわけであります。もちろん、電力も重要でありますけれども。

 さらに、苫小牧は、経済産業省のまた主導しているプロジェクトでありますけれども、データセンターやメタネーションのいろいろな技術開発もそうですし、水素、アンモニアの製造とか、DX、GXの様々なプロジェクトを同時に進めていただいている。これも水が必要なわけであります。

 地域に集約する必要性というのは、これまで私も何度も質疑もさせていただいた中で、その方向で進めていただいていることは、これはありがたいことだということは思っているわけでありますが、ただ、様々な国家プロジェクト、産業集積が進んでいく中で、この工業用水、水がボトルネックになって進まなくなってしまうようなことがあってはやはりならないわけであります。

 大臣に伺いますけれども、この部分、水の確保についてやはり経産省として大いにコミットしていただきたい。お考えを伺いたいと思います。

武藤国務大臣 水の問題、大変御心配だというふうに思います。

 ラピダスの進出に伴い、関連企業の集積によって見込まれる新たな工業用水の需要に応じた供給能力について精査することは大変重要だというふうに思います。

 このため、北海道の企業局では、令和六年度より、周辺河川から取水が可能であるかどうかの調査を実施しているとお伺いしているところであります。

 経済産業省としても、苫小牧を始めとして本地域における工業用水の安定的な供給確保は重要と考えており、北海道の企業局を始め周辺地域とも連携をしながら取り組んでまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

山岡委員 これは、先ほども申し上げましたけれども、ラピダスのみならないということで、是非そのことはコミットしていただきたいんです。

 今日は、国土交通省の水管理・国土保全局井崎次長にもお越しいただいております。

 工業用水そのものは、もちろんその調整の中で安定的供給ということについて今御答弁いただいて、そこにコミットいただけることは心強いんですが、他方で、長期的な視点に立てば、工業用水総量の確保に向けて、やはり計画的に様々な開発も含めて進めていただきたいということは私としても思うわけであります。

 国交省としても、当然、これは経産省が主導でやっていても、政府全体で進めている国家プロジェクトでありますから、このプロジェクトの成功に向けて関わっていただけるものだということを思うわけでありますけれども、水の総量の部分の取扱いはやはり国交省さんの管轄になってくるんだと思います。

 具体的には、やはりダム等の整備等も水の供給に大きく関わるわけであります。ダムは、もちろん、減災とかあるいは防災という、治水が主目的であるということはよく承知しております。けれども、建設後のダムの水の配分ということまで視野に入れれば、長期的な工業用水、もちろん、この整備は様々自然への配慮等も含めたいろいろな調整がありますから、そうしたことも含めてやっていかなきゃいけませんが、工業用水の確保の部分にも大きく関わってくるわけであります。

 国交省さんに伺いますけれども、今後更なる水の確保というのが必要なことは分かっているわけであります。そうした視点を含めて、今後の開発計画も含めて道内の様々な事業を進めていただきたいということを思うわけでありますが、見解を伺いたいと思います。

井崎政府参考人 お答え申し上げます。

 工業用水を始めとして河川から新たに取水するに当たりましては、河川法に基づき、河川管理者が審査を行い、水利権の許可を行っております。

 この度の半導体製造に必要な水需要に関しましては、先ほどございましたように、北海道企業局の苫小牧地区工業用水道等で対応されるものと承知をしておりますが、国土交通省といたしましては、今後、関係者から新たな御相談があった場合には、我が国の半導体産業の重要性も十分に踏まえつつ、水に関する技術的な助言など、必要に応じて対応してまいります。

山岡委員 今後も新たな相談があった場合には、半導体の重要性も踏まえつつまた対応していきたいということで、心強く今答弁いただいたものと思います。

 これは長期的な部分を目指していますので、まずは目の前のことを成功させなければいけませんので、そうしたまた議論は、目の前のことの話はこれまでも深まってくるわけでありますが、是非、私たちは今後も様々な視点で物をまたお伝えさせていただきたいので、水がボトルネックになるようなことがないように御対応願いたいということを思うわけであります。

 さて、大臣に、国内デジタル需要の開拓というか、その視点でもまた伺いたいと思います。

 苫小牧は、先ほど申し上げましたが、データセンターの建設も進んでいます。先日、私も仲間の議員の皆様とともに視察もさせていただきまして事業者にも話を伺いました。データセンターも、当然、なぜ北海道が有利かといえば寒冷地であって、それはやはり熱くなるし電力も使うしという中で、涼しい方がいいし水も使うということが一つ大きな特徴でもあるわけでありますけれども、このデータセンターに置かれる機器も様々な段階の半導体が必要になるわけでありまして、当然ロジック半導体の需要もそこに大きく生まれるんだと思っております。

 たまたま千歳と苫小牧とデータセンターも近くにありまして、石狩にもあったり、全国にもあるわけでありますけれども、やはり素朴に思いますのは、これから国内にデータセンターをどんどんどんどん設置していくということであれば、例えばロジック半導体、ラピダスも国内で作られるわけでありますし、ラピダスの製品を大いに使っていただきたい、それはやはり国内で作った半導体を国内の様々なデジタル需要につなげていくということが非常に重要じゃないかということを思うわけでありますが、大臣、その取組について今どう考えておられるか、伺いたいと思います。

武藤国務大臣 まさに、半導体の設計とかそれから製造、そこからデータセンター、AIの開発、利用、これを、デジタル産業基盤を一体的に整備していかなきゃいけない中で、苫小牧、大変羨ましい限りでございますけれども、石狩においてもデータセンターの建設、サーバーの増設が進んでいることは承知をさせていただいております。ラピダスがこうした国内需要を顧客として獲得することは同社の戦略としてもこれは当然ですけれども重要と認識をしているところであります。また、ラピダスはプリファードネットワークスやさくらインターネットとの間でAI計算基盤の構築に向けた提携を発表しているものと承知したところです。

 我が省でも、データセンター事業者が多様な半導体を利用できる環境の整備、また、自動車あるいは通信、これらの分野での先端半導体の設計開発支援といった取組を行っているところであります。

 こうした取組を通じ、関係事業者間の連携を更に促すことで、国産の半導体を国産のデジタル需要に結びつけてまいりたいと思います。

山岡委員 もちろん世界市場も狙っていくというのは分かっているわけでありますけれども、国内市場でもやはりそこは支えていく環境をつくっていくということを是非また引き続きお願いしたいと思います。

 これに関連して、もう一点伺うわけであります。

 この委員会でも、二〇二一年前後に産業競争力強化法の改正というのがあった中で、DXへの大きな投資をするんだということで、当時は、二〇二五年の崖があるんだ、ここでDXの、そこまでにいろいろ対応しないと日本は大きな経済的損失を負うんだと言っていた情勢の中で、今二〇二五年を迎えているわけでありますが、当時議論してきたこと以上に状況は大きく変わっている中で、時代の変化は著しくて、崖とは何だったのかということも含めていろいろ検証していかなきゃいけないのかもしれません。

 この中で、法改正に基づいてDX投資促進税制というものをつくられたわけであります。これが何と二〇二五年三月三十一日をもって終了すると。伺うと、結果的には二つの計画、二社の採択のみに終わっているというところであります。制度設計がどうだったのかとか、そこはまたいろいろもしかしたら検証すると長い時間をかけてやらなきゃいけないのかもしれません。

 ただ、デジタル需要の国内の拡大という中で経産省が掲げていることについて、これからは、クラウドという全体を集めているところと、デバイス、私たちが持っている端末の間にあるエッジの分野を非常に強化して、そこを増やしていくことで大きな需要が増えていくんだということも示されているところでもあります。このエッジの部分をどう、じゃ、各社カスタマイズして皆さんに作っていただけるかというのは、各社の、民間事業の企画力が問われるわけであります。そのときに、同じDX投資促進税制という名前かもしれませんが、やはり税制的な支援をもって各社の投資の企画を後押しをしていくということも国内の需要の拡大につながるんじゃないかということであります。

 二〇二一年につくった投資促進税制の是非はおいておいても、やはりそうしたDX需要拡大の投資の減税も是非今後の議論に組み込んでいただきたいと思いますが、大臣に最後、伺いたいと思います。

武藤国務大臣 委員御指摘のDXの投資促進税制、これは昨年度末で終了をしました。大変寂しさを私自身も感じますけれども。

 IPAの調査によりますと、足下では約四分の三の企業がDXに取り組んできているところであって、これに加えて、DXの推進の課題、これは、ソフトウェア等の設備導入の資金不足から、DXを担うデジタル人材の不足へと変化してきているものと認識をしたところであります。

 こうした点を踏まえて、DXを更に推進していくため、課題であるデジタル人材育成支援、また中小企業のIT導入支援、経営者や企業の意識改革等にしっかりと取り組んでいかなきゃいけないと思っております。

 先ほどお答えしたとおり、経済産業省でも、データセンター事業者が多様な半導体を利用できる環境の整備、また自動車、通信等の分野で先端半導体の設計開発支援といったこういう取組を行っているところでもあり、しっかりとデジタル需要や半導体需要の拡大に努めてまいりたいと思います。

山岡委員 プロジェクトは成功していただかなければならないという思いと、やはり地域から見える課題もございますので、引き続きまた様々この委員会でも取り上げさせていただきたい、そのこともお伝えさせていただき、大臣の様々な答弁に心強さも感じさせていただきながら、今日の質問を終わらさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

宮崎委員長 次に、鈴木岳幸君。

鈴木(岳)委員 立憲民主党の鈴木岳幸です。

 今回の法律案、実質的には北海道の千歳市のラピダス社に対する支援を行うための法律であるということでございますけれども、これまで様々な質疑がなされてきまして、一民間企業に対して国民の財産を投入していくことが妥当かどうかですとか、投資を行った上での効果がどれほどあるかとか、事業の採算性とか、成功する見込みなどについて多くの議論がなされてきたと感じております。合計で十兆円近い公金が使われていくのでありますので、議論は慎重の上にも慎重を期して熟議を尽くすというのが当然のことであると感じております。

 この件に関しては、今後の日本経済の行方を左右する重要事業であるということは重々承知しておりまして、様々な視点があるとは思いますが、私は、今回、この大きな支援、投資を行う上で、その効果として地域経済への影響面という点について取り上げたいと思っております。

 この点も多くの議論がなされておりまして、今日も私の前にも何人かの議員の方が御質問されておられましたけれども、既に北海道の千歳市にはラピダス社の広大な敷地での工場建設が始まっております。社員の方も何百人もの方が雇用されておられまして、先日の小池社長のお話によると、新規に社員を採用し続けておりまして、それが、毎月入社式が行われていて、大体三十人ずつぐらい入社がされているということでございました。今となってはもう既に七百人以上が在籍しているということのようでございますが、そうすると、もうそれだけで地元にとっては物すごい経済効果があるのではないかということが推測できるわけであります。

 既に何度かお話しいただいているという面もありますけれども、改めて、このラピダスの稼働と量産化の開始に向けて、北海道の千歳市及びその周辺、そして北海道全体の経済に対してどのような効果を見込んでいるということについてお尋ねをいたします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 ラピダスが立地する千歳市によりますと、半導体製造装置メーカーのラムリサーチを始め、昨年末時点で既に三十七社の半導体関連企業が千歳市にオフィス等の拠点設立を決定するなど、地域での産業集積が進みつつあります。

 また、周辺地域では、飲食店や商業施設の建て替え、道路等のインフラ整備も進んでいる状況であります。

 民間企業による試算では、今後十四年間の累計で約十九兆円の経済波及効果が期待されているところでありまして、ラピダスと道内企業とのマッチングなどが進んでいると認識しています。例えば、パイロットラインに関連するソフトウェアの開発、工事関係者の輸送などの業務の契約が既に成立していると認識しています。

 経済産業省といたしましても、地元の関係機関、自治体とも連携しながら、地元企業とのマッチングや人材育成などを進めることで、地域経済の活性化につなげていきたいというふうに考えています。

鈴木(岳)委員 既に物すごい経済効果が見込まれているということでして、私も、静岡ですが、地方出身の人間でありますので、地方に住む者として、このような地域が活性化していくという話を聞くと、本当にすばらしいなとか、ありがたいなということを感じております。

 実は、私の地元、静岡県の藤枝市ですが、この千歳市の隣の恵庭市と友好都市提携を結んでおりまして、私の地元と友好都市を結んでいるところも恩恵があるというのは大変ありがたいなというふうに感じております。

 地域への経済効果という点でいくと、既に熊本のTSMCの事例があるかと思います。これも今日も何人もの方が御質問されておられますけれども、既に報道でも取り上げられて大変大きな話題となっておりますけれども、政府としても大分関わっていただいているということなのでよく分かっていらっしゃるかと思うんですが、こちらの熊本の方、地域への経済効果という点についてはどのように認識をされているか、また、この半導体事業とか以外でも、このような大きな政府の投資とか支援によって地域経済に貢献してきた事業というものがどのようなものがあったかという点についてお聞かせいただけますでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 TSMCが進出した熊本県では、一人当たり雇用者報酬が年三十八万円増加、関連産業全体で一万人以上の雇用効果が見込まれています。

 また、TSMCの進出決定以降、公表されている情報だけでも、八十六社の企業が熊本県への進出又は設備拡張を決定するなど、半導体への大規模投資は地域経済に広範な波及効果をもたらしておりまして、投資と賃上げの好循環が生まれつつあるというところであります。

 そのほか、半導体以外ということでございますけれども、例えば旗を振ってきております蓄電池分野の政府支援、これによりまして、関西、中部地方では大型投資が進んでいる、こうしたものを始め、部素材なども含めまして関連産業全体の投資が全国で進んでいます。半導体以外の分野でも地域経済への波及効果が生まれてきているというふうに認識をしております。

鈴木(岳)委員 政府による投資や支援というものが地域経済に波及効果を及ぼしているといういい事例を紹介していただきまして、地方に住む人間にとっては大変ありがたいことではないかなと感じております。

 また半導体のお話で、戻らせていただきますけれども、過去には、広島の、記憶に新しいエルピーダの件があったかと思います。

 このエルピーダに関しては、経営が失敗してしまったということがありましたけれども、その後にアメリカのマイクロンに経営が引き継がれました。このときは、まだ民主党政権の時代だったかと思いますけれども、このエルピーダの経営破綻によって、これは広島の会社だと思うんですが、私の当選同期にも、この委員会の、今日はちょっとお休みですけれども、東議員が広島の選出でありますので当時のこととかも聞いたりはしたんですけれども、このエルピーダの経営破綻で中国地方の地域経済へのダメージというものがどれほどあったか、そしてまた、その後の経営継続によってそれがどれほどの回復をしたり経済効果を見せているかという点についてお聞かせいただけますでしょうか。

武藤国務大臣 広島のエルピーダのお話で御質問をいただきました。

 この経営破綻によって、中国地方の経済への影響、これを定量的に評価することは困難なところもあるんですけれども、二〇一二年の二月にエルピーダメモリの会社更生法の申請の五か月後に、米国に本社を有するマイクロンテクノロジーが買収を目的にスポンサー契約を締結するなど、早期に事業継続がなされたことなどによって、結果として地域に深刻な影響があったとは認識をしていないところであります。

 エルピーダメモリの工場を引き継ぎましたマイクロンジャパンの広島工場、これは現在マイクロングループの旗艦工場の一つにもなっています。二〇一三年以降、半導体市況の変動による短期的な影響を受けた時期があるものの、売上げ、雇用共に中期的には成長しているものと認識しています。

 また、同工場により、半導体の製造に直接関わる装置あるいは素材メーカーのみならず、関連するサービス産業を含めた企業の集積ですとか設備投資、雇用が誘発をされており、地域経済において重要な役割を果たしておられると認識をしているところであります。

鈴木(岳)委員 エルピーダの経営破綻に関しては、為替の状況とかリーマン・ショックの影響なんかもあったりして、ちょっと不運な部分もあったかと思います。

 そして、当時、民主党政権でありましたが、エルピーダを支援するのかしないのかという話も結構出てきたかと記憶しておりますが、結果的には残念ながら経営破綻に至ったということでありますけれども、当時、もしかしたら、もうちょっと支援すれば持ち直したんじゃないかということを考えた方もいらっしゃると思うんですね。

 実際には、今大臣おっしゃっていただいたように、アメリカのマイクロンですか、すぐに支援が、支援というか、買手というんでしょうかね、後継企業が見つかって、すぐに持ち直したということでありまして、実は、先ほども言いました広島の東議員にお聞きしたところ、間の期間が余りなく、すんなりと後継企業が決まったので、地元経済にはそれほど影響がなかったということも、大臣がおっしゃったとおりのことを言っておられました。

 ですから、もしかして、当時としては世論の風向きもあってなかなか一企業にお金を出すというのは難しかったのかもしれませんが、今となって考えてみると、当時もうちょっと支援をしておけば、日本の半導体産業がこれだけ下向きにならずに、何とか持ちこたえていることもできたのではないかと、たらればの話にはなってしまいますけれども、当時としてはその判断は賢明だったのかもしれませんが、例えば、社会への影響が広範に及ぶような大規模事業者に関しましては、支援を政府がやはり行うということも時として必要なのかとは思います。

 そういった際に、政府がその支援を行うか否かの基準というものはどういったものがあるのでしょうか。これを過去の事例なども踏まえてお聞きしたいと思います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模事業者に対する公的支援につきましては、その影響の大きさを踏まえまして、経済社会への波及効果、雇用、地域経済への影響などを総合的に勘案し、その時々の社会情勢の下で必要かつ適切と判断される場合に支援措置を講じています。

 政府として一律に基準を設けているわけではなく、個々の案件ごとに必要性を判断しています。

 例えば、御指摘をいただきましたエルピーダメモリの事例であります。リーマン・ショックによる金融秩序の混乱時の対応といたしまして、いわゆる産活法に基づく出資円滑化制度を措置しました。半導体サプライチェーンに与える影響の大きさを踏まえた上で、支援の条件として、売上高や自己資本の大幅な減少などの追加要件を満たすことも当時は求めていました。

 また、日本航空、JALの事例です。二〇〇八年秋以降の金融危機等の需要低迷を直接の契機といたしまして厳しい状態になった日本航空からの支援申込みに応えまして、企業再生支援機構、ETICが出資を含む事業再生支援を実施しています。その際、航空事業は国民生活や経済活動の基盤であるなどの主務大臣の意見の下で、有用な経営資源を有している、過大な債務を負っているなどの企業再生支援機構法などの規定に基づきまして支援決定がなされたものと承知をしています。

    〔委員長退席、新谷委員長代理着席〕

鈴木(岳)委員 やはり時々に応じて様々な判断がなされるかと思いますけれども、JALのことは確かに私もよく覚えております。あのときも、元は公的企業であったけれども、民間企業にお金を入れてどうなんだという話もありました。でも、結果的に見れば、やはりあそこでちゃんと支援を行ったおかげで今あれだけ復活して、ちゃんと航空会社として存続が続いているわけですよね。

 繰り返しになりますが、エルピーダの件は非常に残念でありましたけれども、あのときちょっと支援をしておけば、日本にとってももうちょっといい情勢になったのではないかということは皆さん感じるところかと思います。実際に、その後すぐにアメリカの企業が買い取った後は順調に黒字化が達成されているということでございます。

 そうすると、今懸念しているのはラピダスの件でございます。

 ラピダスも、二〇二七年には量産化を始める予定となっておりますが、これから営業活動も行って、様々な企業に売り込みをするということを聞いてはおりますけれども、新規事業というか、新規に企業を立ち上げて、いいものができたとしても、売り込みがそれほど簡単にいくかというのは、それほど簡単ではないと私は思っております。いいものがあっても、うまく宣伝をしたり営業をしたりしなければ、当然それは売れるかどうかは分からない。いいものが必ず売れるとは限らないということであります。

 ましてや新規企業であれば、全員が新入社員として入ってくるわけですから、営業のノウハウもない方もいるでしょうし、広報が苦手な方もいるでしょう。どこかから人を引っ張ってくるにしても、これだけ人材不足であれば、うまい人材が集まってくるかどうかも難しいかもしれません。

 そこで、ちょっと懸念として表れてくるのは、二〇二七年に量産化が仮にできたとしても、売上げにつながらないという場合があるかと思います。そのときに更なる支援が仮に必要となった場合、そのときには追加支援の可能性、可否というのは今どのようにお考えかという点についてお聞きをいたします。

武藤国務大臣 これは、今、委託研究開発という時点でありますけれども、これまでも、外部有識者による厳格な審査を毎年実施をしてきておりまして、その進捗状況を確認の上で追加の支援を決定してきたところであります。

 今回、法案に基づく金融支援につきましても、半導体の技術や経営、金融などの専門家が参画する次世代半導体小委員会において、事業の進捗管理に関するマイルストーンを適切に設定をし、その達成状況についても確認をした上で、支援の継続等の要否を判断していく方針であります。

 いずれにしましても、今委員おっしゃられるように、売手先、これがやはりしっかり確保できないと商売になりませんし、当然ですけれども、二ナノという、次世代半導体の中では、先ほど来ずっと答弁させていただいているように、需要は非常に高い見込みであります。

 これからも我々としてもしっかりとした管理をしながら、また必要となる予算が出た場合というものにつきましては、これまでも答弁させていただいていますけれども、毎年度国会に提出をし、御審議をいただきながら、前へ進めさせていただきたいというふうに思っているところです。

    〔新谷委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(岳)委員 済みません、ちょっと今の御答弁だと期待していたところまでは踏み込めていないかなという気もするものですから、加えてお聞きしますが、営業に頑張っていただくのは当然なんですけれども、そこでもしもちょっとまた支援を求められた場合に、その支援を求めてきたラピダスに対して踏み切ることができるかどうかという、その可能性の部分についてちょっとお聞かせください。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 状況を見つつ、次世代半導体等小委員会におきましてここは御議論いただきますけれども、マイルストーンをしっかり設定した上で、その達成状況などを見て、広い観点から専門的な御判断をいただいた上で、支援の継続などの要否を判断していくということになります。

鈴木(岳)委員 ちょっと前向きな答弁になったかなと思っております。

 もちろんそのような問題が起こらないのが一番ではあると思いますけれども、今後の社会情勢によってどうなるか分かりませんし、その次世代半導体の需要が上がっていくというのは間違いないことでありましょうけれども、世界中の半導体企業がそこの分野を狙ってくるでしょうし、ライバルも大変多くなってくるだろうと予想されますので、一筋縄ではいかないんじゃないかというのが率直な私の感想です。

 ですので、もちろんラピダス社の方にも頑張っていただくのは前提ではありますけれども、あとちょっとで手が届くところまで来ているのであれば、そこでの追加支援というものはやはり判断をされるべきかなと。過去の事例でエルピーダの件もありましたので、世論的にたたかれてしまう可能性もありますが、それを乗り越えていくのは経産省のお仕事だと思っておりますので、そこは適時適切に御判断いただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 今回のこの法案に関しては、半導体産業を国内に根づかせていくということで出てきたものでありますけれども、政府として、半導体に限らず、半導体も含めて様々な分野に対してこのような大型の投資を行っていくという事業は今後も予想できるかどうかという点についてお聞かせいただけますでしょうか。

武藤国務大臣 世界的に需要が拡大するDXあるいはまたGXなどの社会課題解決分野、これをまさに成長の源泉と捉えて、政府も一歩前に出て、あらゆる政策を総動員しながら投資を引き出していくことが重要だというふうに思っております。

 半導体事業以外でも、例えばGX分野では、投資促進策の基本原則に基づいて二十兆円規模の先行投資支援を行いつつ、段階的なカーボンプライシングの導入等の制度的措置により事業者の予見性を確保することで、十年で百五十兆円を超える投資を引き出そう、こういう計画を持っているところです。

 また、二〇三〇年度百三十五兆円、二〇四〇年度に二百兆円という国内投資目標、これを経団連の方でも発表していただきましたけれども、この実現に向けて、今後とも、分野や案件の性質に応じて、企業の予見可能性を高めながら、必要な支援を行ってまいりたいというふうに思っています。

 この委員会でも、大島委員だったと思いますけれども量子の話が出たり、またフュージョンの話、これも大変大きな課題でありますので、是非また先生方の御指導をお願い申し上げたいと思います。

鈴木(岳)委員 見込みというか目標というか、十年で百五十兆円の投資を引き出したいということで、物すごい数字で、これは地方にも経済効果は波及するんじゃないかなということで期待はしておりますけれども、地方の都市がやはり大都市に比べると現在でも疲弊しております。

 私の住んでいるのは静岡県の中西部、大井川流域でございます。大井川の問題、リニアでも様々な議論を呼んでいるところでありますけれども、やはり地方都市が活性化していくというのは日本の成長の要となりますので、これを絶対に進めていただきたいんですけれども、これまでの明治以来進んできた近代化の歴史を見ると、どうしても、地方が発展していくという内容は、例えば炭鉱があるとか企業城下町があるとか、そういったもので支えている部分が多かったんじゃないかと感じております。

 私の地元でいえばお茶でした。明治以来、私の地元の大井川流域ではお茶が大変に活況を呈し、日本国内の主要な輸出品目の一位とか二位とかだったと思いますけれども、当時は大井川鉄道もまだない時代、昭和初期に大井川鉄道はあったんですが、その前の明治、大正の時代は、大井川に本当に多くの人が集まって、島田市の上流の川根というところは、今では過疎地となってしまって人口一万人を切るような場所ですが、当時は多くの人が集まって、輸出を行っていたものですから銀行もできたし、学校もできたし、宿場町もあって、しかも、大井川には高瀬船が通っていて、その高瀬船で人を運んでいて、上流と下流を結んでいたということなんですね。

 それがだんだんと衰退していって、人も減って、産業も減って、仕事がないからまた若者が定着せずに出ていく。これはもう、日本中を見てみると、本当に各地の炭鉱とか企業城下町で起こっているのと同じ状況かと思うんです。ですから、今回、TSMCとかラピダスのような大きな企業が来ていただいて、そこで雇用が生まれるというのは、地方都市にとっては本当に夢のような話であるかと思います。

 私は、この政府の投資によって、もちろん成功するのは前提ではありますけれども、政府が主導して新規の産業を創出していただくということが、地方にとっては大変ありがたいし、夢の持てる話になってくるかと思いますので、是非これからも様々な新規産業の創出というのを進めていただきたいと思っております。例えば、それが半導体なのかAIなのか、DXなのかGXなのか、あるいは今海外で人気のある、大臣がお詳しい日本酒なのか、様々な産業の可能性はあると思うんです。

 大臣に最後にお聞かせいただきたいんですけれども、新たな産業を創出して、その支援とか投資によって地方都市を活性化させるということは、これは経産省にこそできるお仕事だと思っておりますけれども、このように新規事業を創出していく、進めていくということに関して、同じ東海地区の地方都市の選出である大臣の見込みとか思いとか、その可能性についてお聞かせいただけませんでしょうか。

武藤国務大臣 東海地区の一人として、先生と同じ思いを共有するものであります。

 私のところも、七市三町、田舎から都会からいろいろそろっていますけれども、そういう意味で、これから過疎という時代を迎えながら、どうやって生き続ける地域というものをやっていくのか。そういう意味では、地方創生は今、二・〇と石破政権の中で言っていますけれども、特にGXあるいはDXといったまさにパラダイムの中で我々は大きなチャンスを迎えているんだと思いますので、経済産業省はもちろんですけれども、各省連携でしっかりと前へ進めていく、これがまさに今求められている我々への、これは与野党を問わず先生方にも皆さんに課せられている使命だと思っていますので、是非これからもよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。

鈴木(岳)委員 今回は、ラピダスの方で地域経済への影響ということについて取り上げさせていただきました。様々な議論は必要ではありますが、私はこの事業によって地域が活性化するということを期待しております。そして、似たような形で多くの地方都市が潤っていくような方法をこれからも皆さんに御期待を申し上げまして、私の質問を終わりとしたいと思います。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 今日は、半導体に関しまして御質問させていただきたいと思います。

 半導体産業を日本政府として支援することは、これは国民の皆様からも賛同を得られるものだと思います。私も日本の半導体産業を全力で支援したいと思っています。ただ、ここには国民の税金でもある国費が巨額に投資をされていく、注入されていくということで、そこは厳しい目も持って精査をさせていただきたいと思います。

 私は、かつてアメリカのシリコンバレー系のベンチャーキャピタルで働いておりまして、そのときに、本当によい技術を持っている企業が、商業化できるビジネスチャンスがあるのに、十分な資金が適切なときに入らなかったために潰れたり、外資に買われたりという状況を見てまいりました。それを悔しいなという思いで見てきましたので、その点は御理解いただきたいんですけれども、でも、基本的に、リスクを全て洗い出し、投資をすると決めたら大胆に投資をする。ただ、そのリスクの洗い出しのところでちょっと私は不安に思っていることもございますので、その観点から御質問させていただきたいと思います。

 まず、国費を投入するときの基本姿勢。これは、事業化するためには全額国が補助をする、こういうことではなくて、市場から資金調達をすることを前提にしないといけないと思います。なぜか。民間の投資会社、この会社がお金を入れるということは、そのビジネスをしっかり精査しているということなんですね。ベンチャーキャピタル、また投資ファンドなど、リスクマネーを扱うというビジネスが、その事業のフィージビリティー、つまり商業化の可能性をちゃんとチェックしているということの表れであるからなんですけれども、最初にまず質問をしたいと思います。

 ラピダス社、今回、この法案の補助する先はラピダス社と想定されていること、これは周知の事実だと思うんですが、資金増強のために一千億円を国から出すと。同じ程度の民間投資を見込んでいるということなんですね、同程度。でも、現状では、民間出資、これはトヨタ自動車やNTT、ソニーグループなど八社から七十三億円にとどまっています。これは一千億円にはほど遠い状況でございますけれども、大変失礼ながら、周りでは、これはおつき合い程度だという声まで聞こえてきています。四月一日の日経新聞でも、ある企業幹部、国の要請もあり出資はするけれども、金額はなるべく小さくしたいというふうにおっしゃっているそうです。これは何か本音じゃないよねと思いたいところなんですが。

 大臣、一千億円の民間資金、国が一千億円出します、民間資金も一千億円来ますというのは、これは量産化が始まる二〇二七年十月前に集まるというふうにお考えですか、そして、実現可能ですか。

武藤国務大臣 今、ラピダスにおいて、次世代半導体の量産に向けて、既存株主等々の企業との間で一千億円規模の追加出資に関する調整が本格化してきているところだというふうに承知しています。

 今年度の後半頃の資金調達を目標に、民間から最大限の資金調達を行うべく、技術開発の進捗状況、また顧客との交渉状況といった投資判断に必要な情報の詳細を出資者に提供するなど、引き続き調整を進めるものと認識をしているところであります。

 ということで、リスキーなものに対しての委員の御指摘はもっともでありますけれども、リスキーなことをリスキーのないように実現しなくてはいけないという、その下に今やっておりますのが、しっかりと頑張っていくしかないと思っております。

吉田(は)委員 いや、大臣、今の話だと一千億円が民間から集まるのか全然分からなかったんですよ。

 でも、今の答弁の中で、いろいろな情報提供をしてというところ、では、ちょっとこれをお伺いしたいと思います。

 私も投資の会社にいましたので、守秘義務がある、それは出せない、理解します。でも、話を進めているのであれば、MOU、メモランダム・オブ・アンダースタンディングとかNDA、守秘義務契約書を結んで話が進んでいるはずです。そういう会社、何社ぐらいありますか。

野原政府参考人 一千億円の資金調達、今年度の後半の調達を目指しておりますけれども、その候補となる企業、元々の既存株主の企業に加えまして、新しい出資を検討いただいている企業、相当数ございますけれども……(吉田(は)委員「何社」と呼ぶ)それは、日々増えているところもありますので、一千億円規模の調達、この前、参考人質疑のときに小池社長がめどがつきつつありますというような説明をされていましたけれども、更に少しでも多く調達しようということで今も努力を続けておりますので、それに必要な数、二桁以上の企業と話をしているということでございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 二桁以上というお答えがいただけました。確かに、八社で七十八億円。これは一千億円ですから、民間企業から出ようと思ったら。二桁、九十九も二桁ですけれどもね。本当にそこは確実にお願いしたいというふうに思います。

 これだけリスクが多いお金が入ってくるかどうかが決め手だというふうに申し上げるのは、投資会社もベンチャーキャピタルも、もうかるとなったら向こうから来ますよ、大臣。何で、引き合いがどんなにないのと。こっちからお願いします、お願いしますじゃないんです。向こうから来ます。

 その意味で、ちょっとお伺いしたいんですけれども、今、二桁ぐらいあるというふうな企業がありましたが、この中に政府から補助金をもらっているような企業の出資者はいらっしゃいますか。

野原政府参考人 既存の八社の中に、三菱UFJ銀行以外の七社というのは、設備投資補助金等、支援を申し上げている会社でございますので、少なくともそのぐらいはいるということでございますが、そういう意味では、補助金等で支援をしている会社と支援をしていない会社、両方のタイプの会社がございます。

吉田(は)委員 これは是非はっきりさせていただきたいなと思うのは、例えば補助金を百億、二百億をもらっていて一億、二億出すのは、これは済みません、大変失礼な言い方だったんですけれども、おつき合い上、国から言われたら出さざるを得ないみたいな、そういう状況ではなくて、本当にこのビジネスを信頼して投資をしたということにならないと、民間の企業も見ていますから、是非ここはお願いしたいというふうに思います。

 では、その流れでちょっとお伺いしたいんですけれども、これも、ああ、こんな日本政府肝煎りのプロジェクトが始まっているということになれば、証券会社だってほっておかないんですよ。主幹事証券会社は、IPOが、二〇三〇年を目標に株式を上場するということになっているわけなんですが、量産化が目前に、二〇二七年に迫っています。ビジネスの成功するにおいがあるところには必ず、こういう主幹事証券会社、自ら多分引き合いがあるんじゃないかと思うんですけれども、今プロジェクト、主幹事証券会社は決まっていますか。

野原政府参考人 ラピダスは、CFOに村上敦子さん、元ソニーで、平井社長がソニーを立て直したときの財務担当役員の方になっていただいています。村上さんはマネックス証券に在籍された経歴もございまして、このCFOを中心に二〇三〇年頃のIPOを目指した資金調達について検討いただいていますので。

 IPOに向けて、主幹事証券会社をどこにするかということは、ラピダス社において検討されていると思いますけれども、IPOの数年前に決めていくというのが一般的なプラクティスでございますので、現時点では決まっておりませんが、検討はなされているというふうに承知をしております。

吉田(は)委員 じゃ、簡単な質問ですけれども、何社かからもうそういう引き合いはありますか。ラピダス社に対してそういうことが来ているということは聞いていらっしゃいますか。

野原政府参考人 議論はされているというふうに聞いております。

吉田(は)委員 まだどこがという形で決まっていないということは分かるんですけれども、量産化が二〇二七年の十月に始まるということですから、正直、ここの時点でビジネスが成功するかどうかというのはある程度分かるわけです。この時点で、主幹事証券会社、私はもうめどをつけるべきだと思いますし、これだけ大きいプロジェクトですから、大きな投資の証券会社になるのではないかというふうに考えますけれども、是非それは御検討賜りたいというふうに思います。

 ちょっと今日はたくさん質問がありますので、どんどん行きたいなと思うんですけれども、民間資金にこだわるということ、先ほど、朝の質問でも階議員がおっしゃっていました。リスクマネーなんですよ。ノーリスクでお金を出したら誰も責任を取らない。でも、そこに費やされるのは国民のお金。国が一番リスクを取って、国が責任を持って、国民の税金が犠牲になる、こうなってはいけませんので、ちょっとお伺いしたいと思います。

 現状はこうです。情報処理推進機構、IPAを通じての一千億円の出資がされます。これは国費です。このことによって資本を厚くして、銀行からお金を借りられるようにします。つまり、バランスシートを強くして、それに対して銀行がお金を出せるようにする。銀行はお金を貸すんですけれども、ここには国の債務保証がついている。銀行にとってノーリスクです。そのほかにも、劣後ローン融資や金融機関への利子の補給、公債の発行、これもあって、国の保証つきです。あれってちょっと私はやはり思ったんですね。

 政府資金で建設した最先端の半導体工場は、政府が今建設し、それを今度、現物出資でラピダス社と株式交換をする、これは九千二百億円と言われています。株主は国になります。借入金の債務保証、劣後ローン、こういうことももう本当に国の保証があるということになると、これは、ラピダス社、実質的には政府が全て資金を提供する、もう官製企業へまっしぐらになる危険性がありませんか。これは、民間のスクリーニングが入る、厳しい目で民間のスクリーニング機能が入るということが大事なんですけれども、この後、二〇二七年の、追加で三兆円の規模のまた資金調達をするということなんですが。

 大臣、これは提案です。

 アメリカのCHIPS法、今朝の質問の中にも取り上げられてきましたけれども、この中では、半導体製造施設へのサポートは、直接援助資金、直接お金を出す、融資、お金を貸す、融資保証、この三種類として、直接の援助は設備投資資金全体の五から一五%を想定しており、各資金形態を組み合わせた場合、この三つ、直接お金を出す、お金を借りる、それから借りたお金の保証、こういうものを国がやっても全部の設備投資の三五%以下に抑えるというふうになっているんですよ、アメリカのCHIPS法。つまり、逆に言うと、六五%は民間のお金を活用しなさいというものなんです。

 これは、ラピダス社がやはり成功に向かっていくその一つの大きなマイルストーン、キーになるのは、民間の資金がつくかどうか、私はここだと思っているんですけれども、このCHIPS法に倣って、三五というのはちょっとさすがに厳しいのかなとこれまでの議論を聞いていると思うんですけれども、せめてフィフティー・フィフティー、国五〇、民間五〇、こういうような基準を設けていただけないでしょうか。大臣、お答えください。

武藤国務大臣 アメリカのCHIPS法を参考に御質問いただきましたけれども、CHIPS法、これは、御指摘の助成金、また融資、債務保証に加えて、最大二五%の税額控除も措置されていると承知をしたところであります。こういう形で、バイデン政権のときに充実した支援策を講じながら今に来ているんだと思います。

 その上で、ラピダスのプロジェクトにつきましては、次世代半導体の研究開発に係る国の委託事業として実施をしてきたところであり、一方、今後量産に必要な資金、これは基本的には民間からの資金調達を軸に手当てされていかなくてはいけないんだと思っています。

 量産に向けて民間資金調達を促進させるべく、出資や債務保証等の金融支援を可能とする本法案を提出させていただいたところです。

 次世代半導体の量産実現には、売上げまた利益が十分に上がる前から、もう先ほど来ずっとございますけれども、巨額な投資が必要であって、当初は十分な資金を民間のみから調達することは困難であることも想定される中で、民間からの資金調達を最大化する方針は維持しつつも、資金調達支援の柔軟性を確保していくことも、これも重要であって、国からの出資額に制限をかけることは望ましくないんだというふうに考えているところであります。

 いずれにしましても、金融支援に必要な予算額というものは、毎年度の予算案にちゃんとしっかり盛り込み、国会に提出をし、御審議いただくことになると思います。その際、ビジネス上の機密事項等には配慮をしながらも、民間からの資金調達状況を含めて、審議に必要な情報は丁寧に御説明をさせていただきたいというふうに思っております。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 実は、民間も五〇%出すんだ、こういうようなメッセージを出すことによって、ああ、これは本気だなというふうにマーケットが見るんですよ。私はやはりこれをやるべきだというふうに思います。

 これは、業界、半導体業界の方や投資業界、かつての私の同僚も含めなんですけれども、結構不安の声が、大臣、上がっているんですよ。これは、不安じゃなくて、我も我もというぐらいやはり民間企業が押し寄せてこなきゃいけないです。

 ただ、大臣、提案。

 投資は二つのステージに分けて考えるべきだと思います。

 一番最初、今、開発ステージ。一番お金がかかるところであり、ここになかなか民間のお金をつけろというのは、その先のビジネス化が見えない中、苦しいというのは分かります。だから、ここのステージはしっかり国が支える。分かりました。

 でも、第二ステージの事業化のところ、ここはやはり民間の資金が入らなかったら早晩頓挫しますよ。この第二ステージの事業化のところできっちり民間の企業がお金を入れてくるというような基準、これを設けていただけないですかというのが一つ。

 今回、小委員会の方でチェックポイント、マイルストーンを見ていらっしゃるということでしたけれども、そこに大臣、提案していただけないでしょうか。とても大事な点だと思います。

武藤国務大臣 国会の議論を踏まえて、また有識者の意見も聞きながら、採用するところは採用させていただきたいというふうに思っております。

吉田(は)委員 是非、第二ステージの事業化のところ、これだけは本当に、この委員会だけでなくて産業界全体が見ていますので、よろしくお願いします。

 もう一つ、このビジネスモデルに関して、問いとしてはもう一つ重要な点があるのでお伺いしたいんです。

 とにかく、このプロジェクト、これだけ大きいお金が入りますので成功させたいです。日本の半導体をもう一回世界のトップに持っていきたい、同じ気持ちです。

 でも、夢を語るだけでは駄目で、どこかでもしかしたらうまくいかなくなるかもしれないというような不測の事態、経営をやる上では、楽観シナリオ、現実的なシナリオ、そして悲観シナリオと、恐らく収支のプロジェクションをやっていらっしゃるのではないかというふうに思うんですけれども、民間企業には、こういったBCP、ビジネス・コンティニュイティー・プランというものを作るのは、これは不可欠なんですね。

 あえて聞きます。ラピダス社のこういった悲観シナリオの事業計画、ありますでしょうか。どんなシミュレーションにしているのか聞きたいというのと、その悲観シナリオを作るとき、これがうまくいかなくなったらというインディケーターがあるんですね。それは何に設定していますか。それは歩留りですか、製品の量産化ですか、それとも民間企業の資金がつかなかった場合の資金ショートですか。この辺りをちょっと、これはしっかり教えていただきたいと思います。

野原政府参考人 ラピダスにおいては、次世代半導体に関する市場動向、自社の開発状況等も考慮して、想定より下振れする場合も含めて様々なケースを想定して事業計画の検討を行っているものというふうに承知をしております。

 そのラピダスに対してどのように政策支援をしていくかということにつきましては、今回の法案に基づく仕組みで、産構審の次世代半導体の小委員会におきまして、事業の進捗に関するマイルストーンを適切に設定し、その達成状況についても確認をしつつ、支援の継続等の要否について判断を行っていくという方針でございます。(発言する者あり)

吉田(は)委員 いや、残念なんですよ。今ちょっと声が出ましたけれども。

 だって、何が、全然、ポイントで見ていらっしゃるのか。マイルストーンがあるのは分かりますよ。でも、そこは何を見ているんですか、第三者委員会の小委員会は何をそれは設定しているんですかということ、これを言わないと、参入してくる方々にとって、やはり民間資金はどうしても出せないという状況になってしまいます。是非ここはもっと開示が必要なんじゃないでしょうか。

 じゃ、最後にこの件に関してもう一つ伺いたいんですけれども、二〇二五年のファーストクオーター、今ですね、パイロットラインが稼働して、次が二〇二七年ファーストクオーターの量産化めど、ここまで二年間あります。この間にきちんとマイルストーンを設けているんでしょうか。また、マイルストーンの、今のインディケーターを示していただけなかったんですけれども、これを是非示していただきたいということを申し上げて、ここにもし到達していなかった場合、この小委員会の方がストップとか言う権限というのはあるんですか。どこに責任があるんですか、これがうまくいかなかった場合というのは。

野原政府参考人 五年間の委託研究開発については、研究開発の進捗について毎年度マイルストーンを設定をしておりますので、外部有識者の方々が、それぞれ研究開発の、例えばチップの構造についてどこまで性能が出ているかとか、それぞれマイルストーンがありますので、それを毎年進捗で点検をして、ちゃんとクリアしていると確認しているから進捗は順調ですという評価をいただいていますが、これは、どこが、どの指標がどこまで来ているかというのを開示することがこの企業の競争上の状況を他の事業者にオープンにすることになりますので、そこは出せないということを申し上げているということです。

吉田(は)委員 出せないということですけれども、ちょっとそれを、その小委員会というのは、じゃ、逆に、一体何ですかという感じなんですよ。第三者委員会で見る方で、提案してそのとおりいかない場合とか、私たちの目になって見てほしいというところがやはりあると思うので、何も開示できませんということであれば、第三者委員会がある意味が余りないというふうに思うんですけれども。

 どのタイミングで開示していただけるんでしょうか。技術に関わることを出せなんて言っていません。でも、何らか、こういうのがチェックポイントだよというのは、これはお示しすべきではないでしょうか。

野原政府参考人 研究開発の進捗については、六項目か七項目か、どういう項目についてチェックしているかというのは、リストがありますので、それについて具体的にどこの水準まで来ているかというのを有識者の方々にチェックをいただいている。ここは、技術的な動向とか、どこまでビジネスが進展しているかということは、各、ラピダスについてのビジネスについての競争上の利害に関係しますから出せませんということを申し上げていますが、その手前の、定性的にどういう項目についてチェックしているかというのは、リストがありますので、それはお示しをしていると思いますが。

 それで、今回の法案に基づく部分は、これは量産化投資でございまして、これから、この法律が成立したら、量産化支援をするための、どの事業者が量産化支援を受けられるかということを選定をし、その過程で計画が事業者から出てきますので、それを次世代半導体小委員会で審査いただいて、ちゃんとプランとしてなっていますかということを精査いただいて、その選定をするときにプランの概要をお示しする。これは法律が成立したらそのプロセスで進んでいくということでございます。

吉田(は)委員 それを明確化してほしいのと、恐らく、投資を検討する会社にしてみたら、それは絶対開示しないと投資検討は進まないと思いますので、そこは是非御採用いただきたいなと。本当に第三者委員会の権限というのは何なんだとちょっと今思ってしまいました。

 残り時間が短くなってきましたけれども、そのほかにも実は伺いたいことがたくさんございますので、ちょっと質問を飛ばしながら行きたいと思います。

 大臣、先ほども、経済安全保障上、二ナノを作るラピダス社は必要なんだということをおっしゃいました。

 でも、ちょっと考えてみてください。今、日本にあるのは、これは配付資料の一ですが、設計を担当するファブレス、それから製造、ファウンドリー、また、全体の、半導体を使った製品からデバイスまでを考えるソリューション、これが一体になって半導体市場と思うんですけれども、まず、二ナノのラピダス社が作るものが経済安全保障というのはちょっと違うんじゃないか。なぜなら、全ての工程が日本にあって、材料が強いです、日本は半導体の製造装置も強いです、ファブレスもあって、ファウンドリーもあって、それをアプリとしてアプリケーションできる企業もあって、これ全体をやって私は経済安全保障と思うんですが、大臣、この点に関していかがですか。

武藤国務大臣 我が国産業全体の国際競争力の強化でありますとか経済安全保障の観点、今申しましたけれども、次世代半導体の生産基盤の構築に加えて、ユーザー産業における利活用の拡大も、これも重要であり、その鍵を握るのは設計能力の向上だというふうに思います。

 このため、例えば自動車用の先端半導体の設計開発支援など、半導体の設計開発を支援してきているところなんですが、ラピダスは国内の代表的な設計ファブレス企業であるプリファードネットワークスとの連携も発表しているところでもあり……(吉田(は)委員「大臣、さっきと同じなので、分かりました」と呼ぶ)はい。連携に向けた取組に期待をしているところです。

 そういうことで、経済安全保障上は、ある意味で日本の中で作る、そして、そこが一つの、やはり今後の世界の覇権競争の中でも大変大事なところだと思っています。

吉田(は)委員 問いをちょっと全部まとめます。いっぱい本当は聞きたかったんですけれども。

 何でこんなことを聞くかというと、今、二ナノの半導体を作るのを、TSMCがインテルと一緒にアメリカでやろうとしています。今日もトランプ関税が発動されると言われていますけれども、半導体、今のところゼロだということなんですが、仮に将来、分からないですね。予見できない。日本で二ナノを作りました、でも、アメリカにはTSMCとインテルが共同し、その周りにはサムスンもあるという状況で、どんどん、実際に使う企業、お客様に供給できる道があります。

 日本のラピダス社、大変ですよ。今まで四十ナノしか日本ではなかなか作れなかったのが、今度、一気に二ナノに行きます。どっちを使いますか。アメリカにしてみたら、TSMC始め国内で作っていく。これは安全保障です。あれ、ちょっと待てよ、日本にもちょっと保険を掛けておこうか。こんなことになりませんか。

 だから、アメリカだけ頼みではうまくいきませんし、ただ、今現状、この二ナノを買うだろうお客様はアメリカ企業が多いんですね。ここをどう乗り越えていくんでしょうか。このトランプ関税の影響、大臣はどう見られますか。

武藤国務大臣 現時点でまだ半導体というものがこの関税の対象になっていないことや、また、今の、これからの米国との交渉、これもまだ全く今見えないところです。それぞれの国が、それぞれのウィン・ウィンを、どういう形になるのかを、これまでもやってきましたけれども、まだ、残念ですけれどもこういう形で今日午後から課されるという状況です。

 その上で、この半導体、特に次世代半導体、今の二ナノ以下という世界というものが、今おっしゃっていただいているように、TSMCがテキサスで作られ、いろいろ計画はされています。ただ、時期的な問題と、そして、今、台湾が結局その中核を世界で担っているというこの次世代半導体。そういう意味でいうと、対中国も当然これは考えなきゃいけないと思います。

 ですから、経済安全保障という意味においては、日本というものがしっかりと、これは、ある意味でアメリカと共同歩調を取れることを我々はしっかり頑張っていきますけれども、そういう中では、欠かすことのできないやはり産業でもあるということを、今改めて、委員からも御指摘いただいたので、考えておるところであります。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非、ほかのマーケットにも目を向けていただいて、ここがフェールしたら、うまくいかなくなったら全部潰れるみたいな、これは本当に避けていただきたいなというふうに思います。

 その点で、最後、御指摘をさせていただき、重要な点なので御答弁いただきたいんですが、日本の強み、これは半導体を作る素材にもあります。このシェア、日本はもう五〇%以上ですね。参考人の田中さんもおっしゃっていました。いろいろなものを作る上で、そのもとになる材料を押さえること。これは材料がなかったらその先が作れないんですよ。今、この材料を日本は握っているわけです。でも、この優位性も、うかつにちょっとほかの方にふらふらしちゃうとマーケットを取られます。この材料とそして半導体を作るための装置、ここに今、日本は優位性があるわけなんですよ。これは大事にしていただきたい。

 政府としてこれから何ができますか。絶対、ここのマーケットシェア、むしろ私は取っていってほしいと思うんですけれども、どんなことができるんでしょうか。

武藤国務大臣 半導体のサプライチェーンを強靱化することは、誠に委員と同じ思いであります。

 その上で、今の製造装置又は部素材の国内生産能力強化、これは経済安全保障推進法に基づきまして、設備投資支援や、先端的な製造技術装置、また部素材への研究開発支援を講じているところであります。

 国内に半導体関連産業のエコシステムを形成しながら、国際競争力を何としてでも確保していく、これはもう非常に委員と同じ思いであります。

 ということで、最後になります、ちょっと今また、さっきの、私申し上げました、テキサスをTSMCの工場と言っておりますが、アリゾナの間違いです。ごめんなさい。訂正させていただきます。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございました。

 とにかく、成功させるためには、お互い厳しい目を持ちながら向かっていけたらと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志でございます。

 今、吉田議員と武藤大臣の議論、興味深く拝聴しておりました。まさにラピダス法案もいよいよ詰めの議論に入ってまいりましたけれども、今の議論でも出てまいりました、やはり、今日午後一時一分のことは聞かなきゃいけないなと思います。追加関税がいよいよ、フルスペックで二四%、日本に対して発動されます。ラピダスも、そして日本の製造業の将来も大きく左右しかねない事案ですので、まずその点からお聞きをしたいというふうに思っております。

 大臣、これまで、ラトニックとも会ったとこの経済産業委員会で御報告されておりましたけれども、大臣の人脈とかをフル活用されたと思うんですが、この午後一時一分の日本に対する米国の二四%の追加関税発動、これを回避するめどは立ちましたか。

武藤国務大臣 これまでも、この前一回、田嶋先生の御質問にお答えさせていただきましたけれども、私自身も含めて、米国政府には、これまで様々なレベルで、関税措置がまた米国経済に悪影響を与えることなど、ずっと説明をしてきております。今回、今日午後、あとまだ時間はありますけれども、多分発動されるということなんだと思います。我が国が一連の関税措置の対象となるべきではない旨はずっと申し入れてまいりました。

 また、一昨日になりますか、石破総理がトランプ大統領と行った電話会談においても、改めて総理から、関税措置により日本企業の投資余力が減退する懸念を述べた上で、一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべき旨をお伝えされ、措置の見直しを求められたと承知をしているところであります。

 分かりませんけれども、今後、我々としては、首脳間の議論の結果を踏まえながら、改めて日米で緊密な意思疎通を進めていくとともに、措置の見直しを引き続き強く求めていくところであると思います。

斉木委員 引き続き求めたいという御答弁でしたけれども、石破総理は先般トランプ大統領とお会いをし、そして、経産大臣、武藤大臣はラトニック商務長官とお会いをした。何だったんだ、何かピン留めできなかったのかというのがこの結果だと思うんですが、私はラトニックさんとの会談に同席していなかったので、状況が分かりません。どのような言及があって、武藤大臣からどのような要求をし、何かピン留めできるような言質は取れなかったんでしょうか。

武藤国務大臣 外交上の話なので、そういうコメントは差し控えたいと思います。

 たしか、前に委員会でお話ししたのは、まず、三月十日に行くときは、初対面なので人間関係をまずつくらなきゃいけないということと、米国が、かかる自動車にしても、あるいは鉄、アルミの問題が最初に出ていましたけれども、これは、日本が今までアメリカにしてきた貢献にしては大変これはおかしな話だとか、どういっても納得ができないのでこれは外してほしいという旨をずっと今回は言い続けてきているわけであります。

 今回、アメリカのやり方、これは世界オールラウンドで発動されたということが一つのトランプ政権のやり方だというふうに承知をしていますけれども、これはディールと彼らは言っている中で、どこが日本と関係がこれからも維持できるのかは、引き続き外交的な話として進めていかなきゃいけないと思います。

 その上で、委員からどういう話だったのと言われても、そこはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思います。

斉木委員 私、国民の方が悟っているんじゃないかなと思うんですね。お願いだけでは、ディールの結果は取れないだろうということだと思うんですよ。

 こちらに、四月五日、六日にJNNが行った世論調査の結果がございます。今回の、トランプ大統領が日本に対して二四%の相互関税を課すということに対して、五七%の国民が対抗措置を取るべきだというふうに答えております。要するに、右の頬をひっぱたかれたのに左の頬を差し出しても取れないんじゃないのということだと思うんですよ。

 やはり、ひっぱたいてきたのはトランプ大統領なわけですから、それに対して、ディールですから、何かこちらとして対抗措置を取るべきなんじゃないのか、そうじゃないと日本の国益は守れないんじゃないのか。関税の引下げ若しくは期限の延長であるとか、そういった具体的な果実をトランプさんから何か引き出すためには、何かしらの交渉材料というものを、こちらも強い措置を、他国と組むとか、やはりそういう姿勢を見せるべきじゃないのということを国民の過半数の方がお感じになっている。

 この世論調査の結果、国民の感覚というのをどうお感じになりますか、大臣。

武藤国務大臣 米国による関税措置に対しては、あらゆる選択肢の中で、何が日本の国益に資するのか、何が最も効果的なのかを考えた上で、適切な対応を行う必要があると思います。

 いろいろな世論調査はこれからも出ると思いますし、我々自身も、もう毎日、刻々といろいろな情報が世界を席巻するような今の状況であるのは、もう御承知の、委員も同じだと思います。

 そういう中で、今、対抗措置を講じれば、対抗措置の応酬となる可能性も、これは十分に考えられるところであります。ここは冷静に我々としては受け止めなくてはいけませんし、また、政府としては、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求しながら、やはり関税措置の見直しを様々なレベルで強く求めていくこととしているところです。

 この前の石破総理との電話会談で、お互い閣僚を決めようということで、これも報道にもう流れております、赤澤亮正大臣が一応担当大臣ということで、向こうはベッセント財務長官が一応担当するということになりました。

 引き続き、皆さんとも、これは総理からも各党にも代表にお声がけをし、今の日本の国難として御指導、御協力をお願いをしたところでもありますので、是非、先生方とも一緒になってこの難局を乗り越えていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

斉木委員 もちろん、思いは国益をどうやったら守れるかという一点で共通しております。

 私、冒頭からお聞きしていて、では、これもちょっと御提案をさせていただきたいんですけれども、やはり、他国と組むであるとか、我々がWTOの譲許を停止するであるとか、そういった具体的なアクションを見せることによって、実は事態が好転した例が日米関係において私はあったと承知をしております。これは、二〇〇三年の日米鉄鋼関税交渉でございます。

 これは、昨日、財務省の職員が持ってきてくれたんですが、関税政策執務参考資料集、これが財務省の日米間の関税に関しての歴史なんですけれども、そこをひもとくと、二〇〇三年の三月五日に、アメリカは鉄鋼セーフガード措置の決定を発表いたしました。要するに、日本の鉄鋼は強いから、アメリカに入ってきたらアメリカの鉄鋼会社が死んじゃうから、やはりそれに追加関税を課せますよという発表をした。これが二〇〇三年の三月です。

 それに対して我が国政府がどういった対応を取ったのかというところですけれども、これは、二〇〇三年の六月十四日に、アメリカ合衆国から輸入される鉄鋼及び鉄鋼製品に係る関税の譲許の適用の停止等に関する政令を閣議決定しております。これはどういうことかといいますと、要するに対抗措置ですよ。

 アメリカが、日本からの鉄鋼に関税を課すというふうに三月に発表しました。それに対して我が国政府がどのような対応を取ったのかというと、じゃ、逆にアメリカから買ってくる、USスチールなどが造った鉄鋼製品に関しては、同率の関税をかけちゃおうじゃないかと。WTO譲許の停止というのは、要するに、WTOにこれ以上税率を上げませんよと言っているものを、譲許を停止します、要するにかけられますよという閣議決定、アメリカから輸入する鉄鋼にもかけられるからねというスタンスを閣議決定したわけですよ。

 この結果どうなったのかというと、その翌年ですか、アメリカは結局、セーフガード措置の撤回に至っております。

 やはりそういったアクション、こちらも、じゃ同率関税をかけられまっせというスタンスをWTOをかませて示したこと、こういった姿勢というのも重要なんじゃないのか。お願いします、お願いしますじゃなくて、こちらもやれますよということを示すということは、過去の歴史は教えているんですが、こういった二〇〇三年の日本政府の対応とは違うというお考えなんでしょうか。どのような方針で臨まれますか。

武藤国務大臣 お願いします、お願いしますと私は言った覚えはそうないんですけれども、お互いの、双方の利益を追求していこうということで協議をしているというのをちょっとあえて申し上げさせていただきます。

 そして、今委員が御指摘いただいたのは、二〇〇二年に米国が発動した鉄鋼製品に対するセーフガード措置に対して、我が国が、WTO協定に基づき、影響を受ける輸出国に認められる措置をWTOに通報したことを指しておられることと認識しているところです。

 二〇〇三年の十二月に米国による当該措置は撤廃されております。先生おっしゃられるとおりです。これは、リバランス措置をWTOに通報したことのみならず、米国に対して措置の撤廃の働きかけも行うなど、総合的な取組が功を奏した結果であると認識しているところであります。

 ただ、この御指摘の事例、これは二十年以上前のものでありまして、現在とは米国の政治経済情勢あるいはWTOの紛争解決制度の機能の状況なども大きく異なっているというのが現実だと思います。このため、この事例をもって、報復措置の有効性について一般化して申し上げることは困難であろうかなというふうに思います。

 いずれにしましても、対抗措置を含むあらゆる選択肢の中で、何が日本の国益に資するのかを、何が最も効果的なのかを考えながら取り組んでいきたいというふうに思います。

斉木委員 今の御答弁をお聞きしていて、ちょっと欠けている視点があると思うんですよ。それは、今回、被害者は世界中にいるということなんです。

 このときも、なぜアメリカが日本の譲許の停止に反応したのかというと、平成十四年六月十四日ですね、閣議決定を日本がしているのが。その後に、六月十八日に、EUが同じようにアメリカに対する譲許を停止しております。日本とEU、要するに、EUを巻き込んで、アメリカにやれまっせというスタンスを示したわけですよ。

 それに、大臣おっしゃったじゃないですか、オールアラウンドだと、今回、被害者は。関税はオールアラウンドで、だって無人島にもかけていますよ、今、トランプさん。関税回避をさせないために。ここまでやっているんですから、地球上の人の住んでいるところは全員被害者なんです、アメリカを除いて。組めるじゃないですか。

 その組むという視点はちょっと今お聞きしていて聞こえてこなかったんですけれども、そういう視座はお持ちですか。

武藤国務大臣 先ほどのWTOの判例というものは、鉄鋼という形で、今から二十年ちょっと前の話になります。今回は、今、オールラウンドといいますか、世界中全部かけるという話をされて、しかも、鉄鋼だけじゃなくて、全てのものだというふうに言われている中での話だというふうに思います。

 各国、EUもそうですけれども、今様々な対応が出ています。EUの中でもいろいろな形で対応が違ってきていますけれども、我が国としても、各国とは必要な情報交換をしてこなきゃいけない話と思います。

 他国と組んで交渉するということについては、各国それぞれ、やはり国益が違うということもあり、日本の国益に資する結果につながるのか、あらゆる選択肢を、やはり我々、私も最も効果的なものを考えていかなきゃいけないんだろうと思います。こういう観点から、慎重に検討する今は必要があるんだというふうに思っております。

斉木委員 大臣、それはちょっと違うと思いますね。組まなきゃ弱いですよ。日本単独で、お願いします、これだけ貢献していますということを幾ら言っても、ディールの人ですから、トランプさんは。やはり米国の国益を第一の、メイク・アメリカ・グレート・アゲインの人ですから。製造業を復活させる、それが第一目標ですから。その人に向かって、日本単独で、安全保障も依存をしているわけですし、そこで、お願いしますでは弱い。

 だから、被害者が世界中に、世界の国々が被害者なんですから、ここと、組めるところと組んでいって、数の力もやはり必要だと思いますよ。そうじゃなきゃ、日本単独でお願いで、同じじゃないですか。これまでの、トランプさんに石破さんが申し上げたこと、そしてラトニックさんに武藤さんがおっしゃったこと、同じじゃないですか。貢献しています、投資をしています、それをもう一度リマインダーとして繰り返すというような対応ですよ。

 そうじゃなくて、今、被害者が世界中に現れたわけです。全世界の国々が被害者です。ですから、そこで、やはりそこを味方につけていく外交というのは、それが外交であり、国益を守る多数派工作なんじゃないですか。議会だって多数派工作じゃないですか。

 多数派を形成して交渉していくという視点は非常に今回重要だと思うんですが、違いますか。

武藤国務大臣 決して委員の言うことが間違いとは言いません。これは、今の状況の中で、例えば世界がオール敵に回ったというところも、これもちょっと微妙に、各国の報道を見ている限りは違うところがあります。

 いずれにしましても、先ほど申したとおり、必要な情報交換はやっておかなきゃいけないんだろうと思います。その中で、各国それぞれ国益が異なる中で、国益に資する結果につながるのか、これがあらゆる選択肢、最も効果的な方法なのかを見つけていかなきゃいけないんだろうと思います。

 また、ベッセント長官と我々の赤澤大臣が決まりましたので、今後、この両国の間で前向きな話が出てくると思いますし、報道を見ている限りは、ベッセント長官の、日本を最優先に考えるとおっしゃっていただいた報道も私も承知をしています。

 その中で、先生たちのまた御意見を賜りながら、先へ進めていかなきゃいけない話だろうと思っているところです。

斉木委員 交渉術として、二〇〇三年の鉄鋼関税交渉、日米の間の、それでEUも巻き込んだ、こういう過去の事例と、ちょっと今聞いていると、余りにもべた折れ度が過ぎるなというふうに私は思います。

 やはり、多数派工作をしていくことというのは、ビジネスにおいても、議会においても、政治においても、交渉においても、すごく重要ですよ。やはり、友達を増やす、味方を増やす、こういう視点が、ちょっと武藤大臣、答弁書をお読みになるのはいいんですけれども、大臣、リーダーとして、そういう視座をお持ちじゃないというのは、すごく私は不安に思いました、正直。

 ちょっと御提案したいんですが、やはり、人間関係においてもビジネスにおいても、組める相手はほかにもいるよというのを見せることは重要だと私は思います。

 例えば、では、日本が逆にアメリカから輸入していて赤字になっているものというと、一つは天然ガスですね。シェール、天然ガスを大量に輸入しています。もう一つが医療機器。ジョンソン・エンド・ジョンソンとか、メスとか医療器具なんか、あとはサプリメント、こういったものも赤字になっています。そして、デジタル。AWSであるとかマイクロソフト、iPhoneであるとか、様々なデジタル赤字、これが、日本が六兆円から七兆円、毎年富が流出をしております。そのほとんどが米国に流れている。この三大赤字柱というのがあります。

 こういったもので、私は福井県が選挙区なんですけれども、実は鯖江って眼鏡だけじゃなくて医療機器も作っているんですよ。チタン素材とステンレス、異素材接合の技術なんというのを持っていて、実は、メスとか心臓カテーテルとか、様々な医療器具、優秀なもの、切れ味が鋭いものを幾つも作っているんですが、なかなかジョンソン・エンド・ジョンソンに勝てない。

 これは何かといいますと、日本の医大生の方々というのは、やはり安全第一ですから、心臓外科であるとか脳外科であるとか、そういったところはやはり一ミリのミスも、ミクロン単位のミスも許されません。ですので、医大生の頃使っていたジョンソン・エンド・ジョンソンのメスであるとか、シーメンス、ドイツのメスであるとか、こういったものをずっと使い続けているから、日本の、例えば鯖江産のメスとか、幾ら厚生労働省が認可をしてもなかなか日本の市場に行かない、ほぼ九割が日本の医療用器具の世界というのは輸入品に頼ってきている。

 こういった市場、せっかくすばらしいものが国内にあるんですから、これを日本の医学生にも使っていただいて、エビデンスを積み上げて、大丈夫ですよとエビデンスを積み上げて、じゃ、ジョンソン・エンド・ジョンソンじゃなくてもいいですと。鯖江の国内産でもいいじゃないですか。もっと言えば、直近だったら、ドイツのシーメンスだって生産しているんですよ。ジョンソン・エンド・ジョンソンに関税をかけることはできるわけです。そして、ほかとも商売はできますよと。

 やはり、こういったアクションを見せることというのは、スタンスでいいですよ、様々、ドイツと交渉するであるとか、ドイツだって被害者ですよ、今回、高率関税を課されていますので。だから、こういった多極的な視座というんですか、商売相手はほかにもいまっせと。WTO譲許の停止も別に排除しないし。

 やはり、そういった様々な、アメリカを除いて全員被害者ですから、そこと商売であるとか、そことタッグを組むであるとか、何か、そういった視座が私は必要だと思うんですが、大臣、いかがですか。日本の製造業振興にもつながると思いませんか。だから、じゃ、ジョンソン・エンド・ジョンソンが駄目でも、シーメンスがあるんですから。そういった視野というのは必要だと思うんですが、いかがですか。

武藤国務大臣 今回の相互関税を始めとした関税問題、これは、日本の産業そのものをやはり考え直すというか、もう一度見詰め直さなきゃいけない、これは我々の、政府としてもやはり必要なこと、特に経済産業省としては考えなきゃいけない話だというふうに思います。

 トランプ政権との関係については、先ほど来申したとおり、今、政府で新しい代表をつくって交渉という形になります。

 今の鯖江の話もお聞きしまして、これは、日本の中でもいろいろな技術もありますから、我々経産省としては、この前、報道ではもう出ていますけれども、全国で千か所相談窓口もつくり、これからの皆さんのえらい不安というものをまずは解消するために、資金繰りですとか、そういうことも、一応、これはやっていかなきゃいけない話だろうと思っています。

 その中で、産業というものをどうするかというものは、また別の視点もありますが、今、我々から出向いてプッシュ型で政務も入れて、また、各局もいろいろ各地区の様子も聞いてみながら、そして、今、新しい、構造的なものも含めて対応していかなきゃいけないと思いますので、是非、前向きな話で、また先生の意見を僕は聞かせていただきたいと思っています。

斉木委員 そっちは聞いていないんですよ、後で聞こうと思っていたことをお答えになっているんですけれども。国内対策ではなくて、対トランプさんということで御質問しているので。

 だって、向こうはディールだと言っているわけですから。まずは関税を、この後、一時一分に発動して、その後から交渉だというのはトランプさんのスタンスです、譲りませんと。そういった強い姿勢を向こうが見せてきている、中国にはプラス五〇パーだ、一〇四%課してやるということを公表されています。

 それを、国内対策というふうに答弁を逃げるんじゃなくて、そういった強硬な方に対して、どうこちらもディールで譲歩を引き出すかという話じゃないですか。それが、私が質問の最初からお聞きしているところなんですけれども。交渉術ですよ、交渉スタンスですよ、戦略ですよ。痛みの軽減の部分じゃないです、戦略の部分を聞いているんです。

 そこで何か答弁書ばかり御覧になっていて、大臣の御存念が聞けないのが残念なんですけれども、最初から申し上げているじゃないですか、右の頬を張られたわけです。いやいや、貢献していますからというふうにどんどん自分の存在をアピールするだけじゃなくて、こちらとしても、ほかにも複数のチョイスが日本にもあるわけですから、そのチョイスをやはりちらつかせるであるとか、何かそういった交渉戦略みたいな。だからこそ、国民の過半数が、今、日本も対抗措置を取るべきじゃないですか、強い姿勢を見せるべきじゃないですか、アメリカ以外にも商売相手は世界中にいますよ、被害者同盟をつくれますよという部分を、なぜ日本の産業経済政策のリーダーたる大臣がお持ちじゃないのかが私は不思議でならないんですよ。

 関税を課されたら、ラピダスの輸出だって、今は半導体は除外されていますけれども、いつでも課せますからね。だから、ラピダスだって立ち行かなくなりますよ。だから、全てに及ぶわけです、日本の製造業全てに。

 ここで、なぜ答弁を避けていらっしゃるのか。そこまで気を遣って、トランプさんやベッセントさんに気を遣って遣って遣って、丁寧な、弱い言い方をしていても、何かディールにならないんじゃないのかな。だから、丁寧な言葉でいくけれども、チョイスはこちらにやはり持っていかないと交渉にならないと思うんですけれども、丸腰のように聞こえるんですよ、お願いというスタンスは。

 だから、今回は本当は世界中が被害者なので、日米鉄鋼関税、二〇〇三年、二〇〇二年のときよりもはるかに被害者は多いわけですから、はるかに品目も広いじゃないですか。あらゆるものにかけると言っているんですから、二四%。ここの視野というものを何か、大臣、聞けていないんですよ、いまだに。言えないんですか。

 ちょっとその戦略の部分、どう立ち向かって、一時一分に開始されますよ、あと一時間ちょっとで。それをどうリダクションさせるか、関税を下げさせるか、交渉に移るわけじゃないですか、今回、これから。一時一分、あと一時間後に発動されるわけですから。それをどうやって、二四%かかってしまったものを、この品目はこれ、この品目はこれとやるわけですよ。だったら、じゃ、医療器具だったら、うちはこっちの商売相手もいるんだ、国内にも優秀な種は育っているんだということをやはり認識して腹に持っておかないと、交渉にならないと思うんです。

 向こうはある程度日本を軽く見ているというふうに、安全保障も依存しているし逆らえないじゃないか、だから無理難題を突きつけたってのんでくれるだろうというふうに、それじゃあかんよと国民は言っているわけですよ。そこのところの戦略眼が、何かリーダーたる大臣から聞こえてこないのが残念なんですが。

 改めて問いますけれども、そういった被害者国が多いということ、日本にはいろいろほかに、医療器具にしたって、調達先は世界中にたくさんあること、ドイツを始めとして、国内にもあります。こういったことを腹に持って日本政府として臨まれるおつもりなのか、それとも、ひたすら米国への貢献、お願いするおつもりなのか、どのようなスタンスで臨まれますか、この関税引下げ交渉。

武藤国務大臣 今我々がアメリカと交渉し、そして、毎日のようにというか、早朝から夜中まで、経産省も現地の者と対応しながら対応してきています。

 そして、今先生のおっしゃるようにディールですから、アメリカの弱みとなるものを追求すればいいじゃないかとか、あるいは、アメリカに関税をかければいいじゃないかというようなものも中にはどのぐらいあるのかということも、これも我々としてもサーチしておかなきゃいけない話だと思います。

 一方で、今表立って大きく出ているのが自動車。これは、先生おっしゃられるように、日本の基幹産業であります。トランプ大統領が、アメリカの車はほとんど買わないと。実績は、昨日の報道でもありました、一万台ぐらい日本に輸入していますけれども、日本から向こうへ出ているのは百五十万台です。この差をどう埋めていくのかというのは、正直申し上げて、いろいろ今頭を巡らしています。

 ですから、この場で、先生おっしゃるように、これだけやりますというようなことは、正直申し上げて、外交的なお話なので、ここでお話しすることはできません。

 その上で、今回、赤澤さんが日本の代表として選ばれました。ですから、彼も含んで相当、一時まで向けても、いろいろな動きを今しているんだと思います。

 そういう形の中で、発動されてしまえば、引き続いて日本としても向こうに対して強硬にディールをしていかなきゃいけないということですので、余りここで何もしていないというふうに言われるとちょっと心外なんですけれども、正直申し上げて、日本の国益を間違いなく守るということが我々の大前提ですから、しっかりとこれをやっていかなきゃいけないという基だけをお伝えしておきます。

斉木委員 日本の中小企業の経営者たちは、今すごく不安に思っているんですよ。昨晩も、地元の、これは紙の製造ですか、の社長さんからお電話いただいて、政府は人件費を上げろ、賃上げ賃上げと言うけれども、どこにそんな金があるんだ、お金がなきゃ配れないだろう、このトランプさんへの対応を含めて、本当に製造業が成り立つようなことを考えているのかというのが全く見えないと。

 それがこの世論調査の結果にも出ていますし、確かに交渉だから言えないというのはありますけれども、その交渉の戦略立案者のキーマンでもあるわけじゃないですか、武藤大臣は。ですので、やはり、その視野というかな、日本国民に向けて、少し安心できる、日本政府としても、単に言いなりではないですよ、こういった戦略を腹に持って臨んでいるんですよと。被害者同盟は、今回つくるのは幾らでも候補はいる、何百か国も、百か国以上あるわけですから、被害国が。そことの視野、連携、商売相手、組替え、いろいろできるわけです。

 だから、そういった部分が全く国民に見えてこないというところは、やはり、政府にとってもいいことではないと私は思いますので、そこは注意された方がいいんじゃないかな。

 交渉だから言えないということではなくて、実際に、私が二〇〇二年、二〇〇三年の歴史をひもときましたけれども、EUを巻き込んでアメリカの撤回をかち取っているわけですよ。だから、今回だって、マクロンさんだって、じゃ投資は停止しろと言っているじゃないですか、大統領が。だから、デジタル課税だって、昔、ヨーロッパとアメリカでもめましたよ。グーグルに、規制委員会、EUが課してとか、そういうアクションもありましたし、デジタル課税だってできるわけです。選択肢としてはあります。iPhone課税であるとかAWS課税であるとか、マイクロソフト、オフィス三六五課税であるとか、グーグルプレー、アップストアへの課税であるとか、様々手はあります。

 ですので、赤字額が六兆円から七兆ですので、やはり大きな額ですよ。やはり、こういったいろいろな選択肢というものを、このときも、閣議決定をして、アクションを、ふりをちらっと見せるだけでアメリカが変わっているわけですよ。やはりそういったのが交渉じゃないですか。EUを味方にするのも交渉じゃないですか。是非そういった例も参考にしながら、なかなか言えないということなので、臨んでいただきたいなというふうに思います。

 では、ラピダスに関してもちょっとお聞きしなきゃいけない点が幾つかございます。

 ラピダスの各論なんですけれども、これはやはり、今後二〇三〇年度までに十兆円以上このAI、半導体分野に投資していきますというのが今回の本法案の趣旨、柱でございます。

 武藤大臣も、これまで四兆円から五兆円程度公費というのは使ってきているし、今後も相当程度、ですから、五兆、六兆、七兆と選定事業者に対して、ラピダスに対して投入をしていく、これは全額国費でございます。

 そのときに、じゃ国民が納得するかという話なんですね。一民間企業であるし、まだ七十数億円という非常によちよち歩きの資本金しか持っていない、しかも製造実績もない企業です。そこに五兆、六兆、七兆という巨費を投入するわけですから、やはり、株主丸もうけだよねという国民感情、どういうふうに納得していただくかというのが重要だと思うんですね。

 本会議でも武藤大臣にお聞きしました、個人株主の利得の問題です。今、東会長、そして参考人として来られた小池社長、そして十二人の個人株主がいらっしゃいます。ここは本当に、いわゆる爆益を手にするわけですよ、七十四億円の資本金のうち、個人で例えば一千万とか二千万とか出して、出資されているんでしょう。そういったいわゆる創業メンバーの方々の株式というのは、IPOされれば、政府が五兆、六兆、七兆と入れてくれるわけですから、七十億円が五兆円や六兆円の企業価値に化けるとしたら何百倍ですかという話。

 例えば、一千万投資している個人株主の、ラピダスの既存株主の方は、じゃ、百倍上がったら、幾らですか、十億円ですか、それで、九億九千万円の利得を手にする。一千倍に上がったら、九十九億円の利得を手にする。夢のような話ですよ。

 今は株式市場、今日も下げていますけれども、十倍株、テンバガーだって、普通の人は夢見てつかめないものです。それが、百倍株、一千倍株なんというものを、政府が七兆円、五兆円くれること、突っ込んでくれることによって株主が得るという構図、これは国民感情は納得し難いものが私はあると感じています。ですので、あえてお聞きをいたしました。

 小池社長にもあえてお聞きしたんですよ。そういった声もあるので、どうお考えですか、本会議でもお聞きいたしましたけれどもどうお考えですかと小池社長に、ラピダス社長にお聞きしました。小池社長は、個人の利得なんて全く考えていないので、将来、IPOされて、私たちが株式売却したときに利益が出たら、それは寄附をするか人材育成に使っていきたいというふうにこの場で発言をされました。私は立派なものだと思いました。やはり、こういった納得感が必要だと思うんですよ。

 東会長や小池社長や十二人の既存個人株主の懐に入るその利得というものは、じゃ、これから、全部とは言いませんよ、政府が出資して上がった相当分ぐらいは半導体人材の育成のために、小池さんも御自分の年齢を考えて次世代を見据えていらっしゃいますから、それをつくる基金とか、人材育成基金に寄附をするであるとか、そういったプッシュをしていくというのは、経産省としても、この法案を今、当委員会にお願いしている当事者として、国民の納得感を得るためには必要だと思うんですけれども。

 決して今のラピダスの十四人の個人株主の懐に入るものではありません、懐に入ることになりますけれども、そのお金はこういうふうに寄附していただきますとか、憲法の財産権との兼ね合いもありますけれども、何かそういった納得感というのが、爆益を手にする方々に対して、やはり国民に対する説明は必要だと思うんですが、大臣、どうお考えですか。

武藤国務大臣 まさに、今委員おっしゃられるように、財産権の問題にひっかかってきちゃう話だろうと思うんですが、多額の公的資金が投入されるということを踏まえれば、経営株主等が受ける利益の在り方、これは国民から十分な理解を得なければいけないということだろうと思います。

 これらの観点を踏まえて、経営株主等が受ける利益の在り方につきまして、支援対象となる株主の方々と対話をしていきたいと思います。委員の御指摘はよく分かるところであります。

斉木委員 対話をしていきたいというのは一歩前進かなと思いました、正直。

 おっしゃるように、スキームをつくる、強制力を持ったスキームというものはなかなか厳しいだろうなというふうに思います。ですので、ただ、原資が公金、国民の税金であったり将来の税金ですから、それを原資としてお渡しする以上は、やはり百倍とか一千倍になる可能性もあるわけですから、その国費投入相当分、値上がり分ぐらいの何割かぐらいは、じゃ二〇%分ぐらいとかは人材育成に寄附していただくとか、何かそういった納得感がないと、もっとやはり政府が糾弾されるという事態も何か想定されますので、そこは是非気を遣っていただきたいなと思うんですよ。

 私、これはあえて申し上げるのは、実は経産省の職員とこの質問レクをしていて、危機意識を持ちました。この十二人の個人株主、公開すべきじゃないのかということを本会議でも申し上げましたが、いや、それはすべきじゃないですよというふうに経産省の職員の方がずっと御主張されていたんですね。後ろに座っていらっしゃいますけれども、大臣からも御指導していただきたいのが、ちょっと、職員の方々はお金を稼ぐ大変さというのを分かっていないんじゃないのかなという、私は危機意識を持つんです。だって、七兆円とかいう金額って物すごい金額ですよ。

 今申し上げた和紙の製造会社の社長さんとか、本当に、法人税を払うためとか事業所税を払うために、パートの従業員を何とか雇用を延長していただくために、どうやってひねり出すかということを今日もやっているわけです。その中から、その税金とか、その特例債を突っ込むわけですから、原資として、財政投融資とか。やはり、稼ぐ苦労を知らない方がつくったスキームなんじゃないのかな。だから、その説明責任という部分が、我々は選挙で選ばれる身ですから、国民の感情をすごくもろに受けるわけです。やはり、経産省の方は、霞が関で優秀な方が執務されているから、本当に稼ぐ苦労を知らないんじゃないのか、本当に、うちだってほしいよ七兆円という企業はいっぱいあるわけですよ。

 だから、そこが、ラピダスをほぼ特出しして今回注入するわけですから、やはりそこを本当にそういった事業主の方々にも納得していただく、本当に金を稼ぐというのは大変なんだよ、税金を納税するというのは本当に大変なことなんだよという意識が、レクを受けていて、ずっと御主張されていたので、経産省の職員の方にちょっと欠けているなと、それはちょっと思いました。

 なので、やはりそこのところ、いかに、日本の物づくり産業とかサービス産業とかで稼いできている人の血税を突っ込んでいくわけですから、その意識というものはもうちょっと大臣からも直接御指導いただいた方がいいんじゃないのかなというのは思うところがあります。やはり、公金を、稼ぐこと、税金をつくっている、納税している側の大変さというものを是非御指導いただきたいと思うんですが、その辺の御所見はいかがですか。

武藤国務大臣 役所の方々もそれぞれ精いっぱい頑張っていられると思います。役所の方でも、御親族が商売をやっていらっしゃるところに生まれた方も当然いらっしゃると思うし、いろいろな形の方がいらっしゃるんだと思います。

 委員おっしゃられるように、金の扱いがちょっと悪いんじゃないか、悪いというのか、よく分かっていないんじゃないかというところもあると思います。それは私の方からも、そういう目でしっかり指導はさせていただきますけれども、いずれにしても、ラピダスの案件、そして十兆円という大きなお金が動くということは、これはもう本当に、ある意味で、今までの日本という形の中でも、産業政策としても非常に珍しい形だと思いますし、これで何とか日本をもう一回再生させなきゃいけないという役所の方の強い思いもあるんだと思います、経済産業省として。

 ですから、そういう形で、是非また御指導いただければと思います。

斉木委員 本当にこれは、やはり株主の利益のことといい、なかなか、国民の納得感というのが非常にキーワードだと思うんですよ、納税者の納得を得られるかどうか。そこを是非頭の中に大きくとどめていただいて、今後ラピダスに関してもしっかりと経営状況を見ていっていただきたいなというふうに思っております。

 もう一点、本会議で武藤大臣がちょっと答弁を避けられた点がございました。IBMレシピで大丈夫かという点ですね。

 サムスンが既に失敗している三ナノ開発、それを、IBMレシピを使って失敗しているわけです。それで撤退したわけです。同じIBMにずっとこれまでラピダスさんが教えを請うて、巨額のライセンシーを払って買っている。既に先行する、技術的にはるかに先を行くサムスンが失敗、IBMと組んで失敗しているのに、同じレシピを使って成功すると思っている保証がどこにあるのか。そこに七兆円を突っ込んでいくその裏づけ、失敗したもので、ラピダスならうまくいくという裏づけはどこにあるんでしょうか。

野原政府参考人 お尋ねのサムスンですが、サムスンは、割と比較的途中の段階から、独自にあとは開発しますというふうに、独自開発をされている、それも大分早い段階でそういうふうにされています。

 ラピダスは、IBMと共同で開発をしておりますけれども、これまでのところ順調に進捗しているというふうに外部審査委員会でも評価をされております。

斉木委員 是非、我が党の空本議員からも提案させていただきましたけれども、やはりそういった試作の歩留り状況とか成功状況をしっかりチェックした上で、公金を投入するかどうかを決めるべきじゃないのかと思うんですが、いかがですか、大臣。

武藤国務大臣 この枚葉式というもの、それから当時のサムスンの状況、これも伺いました。

 今回成功するのかというところだというふうに思いますけれども、これも先ほど来申し上げているとおり、今回、新しい時代へ向けての次世代半導体ということの大きなチャレンジですので、そういう意味では、公金という形の中のバランス、これもいろいろと仕組みを経産省の方でもつくった法案だと私も思っていますので、こういう形の中で進んでいきたいというふうに思っております。

斉木委員 本当に今日は長い時間ありがとうございます。

 本当に、ラピダスの成功も、やはりこのトランプさんとの交渉に日本の製造業の先行きが懸かっていますので、あと四十五分後にはもう関税が発動されますから、いかに、どうやってこれを引き下げていくのかは、是非、被害者同盟、地球上がみんな被害者ですから、みんな代替供給先にもなり得ますから、そういった選択肢を是非腹に持って臨んでいただくことを強く要望いたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡野純子君。

岡野委員 国民民主党の岡野純子と申します。

 質疑の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。

 間もなく、先ほど維新の斉木先生が繰り返しおっしゃっていた一時一分がやってまいります。あと十秒ほどで関税発動という状況でございます。通告外ではございますが、その点、一点だけお伺いしたいと思います。

 相互関税によりまして、今、世界経済が揺れているところです。大統領選のときから言っていたことではありましたけれども、今回のことで私は、アメリカは、トップが替われば、同盟国である我々すらよもや敵のような表現をされてしまう、こういう扱いを受けるということが分かって非常にショックを受けました。自分の国は自分で守らねばならないという思いがより強くなったところであります。これは防衛だけではなく、経済も食料安全保障も守っていかねばならないなというふうに考えています。

 先ほど似た視点の発言はあったんですけれども、トランプ大統領はビジネスマンでいらっしゃいますから、やはり二国間ディールが得意でいらっしゃるというところがありますので、そういった意味でも、交渉の在り方の一つとして、今回、関税が高いのはアジアでありますから、近隣諸国と連携して多国間協定に持ち込んでいくということもやり方の一つかなというふうに考えますが、大臣の御見解を伺います。

武藤国務大臣 アジアという形でいうと、一番大きいのは中国ということになるんだと思います。

 私が昨年、AZECという会議でASEANの国々を中心とした会合に出たときも、日本に対するいわゆるエネルギーを中心にした期待感というものはつくづく感じたところであります。

 今回、こうやって相互関税という形で世界共通に関税をかけるというアメリカ政府というかトランプ大統領の思いというものは、これは選挙を通じての話で、先生おっしゃられるとおりです。

 そういう意味の中で、ASEANの国々とは少なくとも価値観を共有するところは、我々としては、エネルギーを始めとして、この関税というところでも、やはり物づくりというところを考えれば、日本からも多くの自動車関係のサプライチェーンを含めて出ているところでありますから、先ほど申したとおり、しっかり情報共有をさせていただかなきゃいけませんし、そして、ある意味で価値観を共有する中で、しっかりとアメリカというところに物を申していかなきゃいけない、そんな思いで私も今考えているところでもあります。

 ただ、今回、そういう意味で、代表として赤澤大臣が選ばれました。政府として、情報共有をしながら、しっかりと対応を取っていかなきゃいけないというふうに思っています。

岡野委員 御答弁どうもありがとうございます。

 是非とも、こういうときこそ冷静に、そして毅然と御対応をお願いしたいと思います。

 では、半導体について伺ってまいります。

 三日間の法案審議で、最終日のしかも終盤ということで、もうペンペン草も生えないほど質問し尽くされまして、私がヒアリングをした内容も今日の午前中とほとんどかぶってしまっておりまして、重複しているものも多々ございます。なるべく視点を工夫しながらお聞きしたいと思っておりますし、通告と答弁作成を行っていただいておりますので、順に聞いていきたいと思います。

 いきなりですが、先ほど吉田はるみ先生からもありましたサプライチェーンの強化について伺ってまいります。

 製造メーカーへの支援体制と材料調達のための連携について伺ってまいります。日本の強みでありまして、世界的な競争力を持つ製造装置、材料、部品の分野についてです。

 日本は、先ほどからもありましたが、世界的な競争力をこの分野で持っているわけです。私の選挙区の中にも、東洋合成工業株式会社というところがありまして、恥ずかしながら、調べていて、つい最近知ったんですけれども、感光性材料の世界トップシェアだという、そういった工場が、会社がすぐそばにあるということで、本当に日本の持っている物づくりの底力を身近で感じたところでございます。

 政府は経済安全保障の観点から基金を通じてそれらの支援を行ってきておりますが、改めて、これまでどのような位置づけで取り組んでこられたのか、また、その支援が十分に足りていると考えていらっしゃるのか、伺います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、半導体の製造装置、これは世界で三割とか、主要半導体部素材については半分ぐらい大きなシェアを持つという非常に日本が強みを持つ産業分野です。産業競争力強化、経済安全保障の観点から、こうした企業の高い競争力、これをしっかりと確保して半導体のサプライチェーンを強靱化していくということは非常に重要な課題です。

 経済産業省では、先端的な製造装置、部素材に関する研究開発に対する支援、それとともに、経済安全保障推進法に基づきまして、半導体製造に不可欠な製造装置や部素材の国内生産能力の強化に向けた設備投資への支援などを行ってきています。

 その際、多額の設備投資を要するシリコンウェハーから様々な設備、装置や部素材の設備投資、研究開発に至るまで、幅広く支援をしていくことでサプライチェーンを安定化させる、競争力を維持するということをやってきております。引き続き、必要な支援策を講じてまいりたいというふうに考えています。

岡野委員 ありがとうございます。

 では、その幅広に支援をされているという点の、先ほど研究開発というような御答弁もありましたが、その在り方についてなんですが、この技術開発、研究開発について、この日本の優れた分野を日本企業だけで閉じて強めていくという戦略でいくのか、あるいは国際的な連携を持ってグローバルな競争力を強化していくという戦略でいくのか、これまでですとか、また、今後、海外メーカーとの技術協力とか共同開発、そういった支援についてはどのように考えられるのか、伺います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、半導体政策につきましても、国際連携を通じて国際競争力を高めていくということは非常に重要な課題です。

 ある意味私たちが反省しておりますのは、我が国の半導体産業が凋落した一因として、国内企業の再編とか、日の丸自前主義の技術開発に注力をし過ぎていて、技術開発や販路開拓の面で海外との連携やグローバルな技術動向への対応が不十分であったというふうに反省しています。

 こうした過去の教訓を踏まえまして、現在の半導体政策では、例えばラピダスプロジェクトでは、アメリカのIBM、ベルギーのimecといった海外トップクラスの機関との密接な連携を進めています。

 また、部素材につきましても、半導体の微細化に伴って、特に先端半導体の後工程技術、これが重要になってきています。我が国の装置、部素材メーカーが海外の半導体企業と緊密に連携しながら開発に取り組む案件などにも支援をしています。実際に、日本の部素材の企業は、海外の先端的な研究開発環境の下で連携しながら取組を進めています。

 引き続き、積極的に国際連携に取り組みながら半導体政策を進めてまいりたいというふうに考えています。

岡野委員 よく分かりました。国際連携というお言葉で、もう自国で賄える産業ではない、手を携えるところは携えて、戦うところはしっかりと戦ってというような、過去の反省にも意識を向けた姿勢が理解できました。ありがとうございます。

 では、材料の次は調達能力について伺いたいと思います。

 日本には、信越化学工業始め世界的なシリコンウェハー企業、またそのほかにも様々な部素材のメーカーがあるわけですが、今後量産が始まっていくことができれば、TSMCやサムスンやインテル、そういったところとの国際競争が激化していくことが想定されるわけですが、状況によっては材料調達が厳しくなることもあるのかなというふうに考えます。

 平時でありますとWTOの協定に抵触してしまいますが、需給が逼迫したときに関してですけれども、日本の部素材メーカーが国内への供給を優先するといったような、そういった取決めは取っていらっしゃるのか、伺います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきましたシリコンウェハーなどの半導体の重要素材につきましては、国内半導体メーカーへの安定供給確保の観点も踏まえまして、先ほど少しお話しさせていただきました経済安保推進法に基づいて、国内での生産能力拡大のための設備投資に対する支援を行う際に、シリコンウェハーなどの支援対象品目の国内需給が逼迫した場合には、増産等による国内における安定供給に資する措置を求めています。

 政府といたしましては、こうした国内安定供給確保措置を講じた上で、ラピダスにおいても、同社の事業戦略の下で、関係企業との連携などを進めていくというような形で、しっかりとした形で対応していくように促してまいりたいというふうに考えています。

岡野委員 どうもありがとうございます。

 安心いたしました。今後の半導体需要がどうなるか分かりませんし、最近でしたらコロナのときのようなこともありますので、そういったお答えを聞けて非常によかったです。

 同じく、他の材料調達の話ですが、最先端半導体製造に必要なレアメタルですけれども、こちらは中国依存度が極めて高いわけです。とりわけガリウムなんかは世界シェアの、生産シェアの九八%が中国というものもあるわけですが、ここへのリスク対策はどうなっているのか伺います。

浦田政府参考人 お答えいたします。

 半導体製造を含め産業活動に不可欠なレアメタルでございますけれども、委員御指摘のとおり、その多くを中国などの特定国に依存している状況でございます。このため、安定供給確保に向けた取組を進めていくことが極めて重要でございます。

 具体的には、我が国では、レアメタルの供給途絶に備える仕組みといたしまして、国家備蓄制度を有してございます。この仕組みを活用しまして、供給途絶に備えた十分な備蓄量の確保に取り組むことにしてございます。また、有志国とも連携をしてレアメタルを供給する上流開発プロジェクトを組成するなど、供給源の多角化を進めていくことも重要でございます。

 供給源の多角化を進めていくに当たりましては、政府といたしましては、鉱物資源開発や国際情勢に伴う民間企業のリスクを軽減するため、JOGMECによる鉱物資源開発事業への出資や助成等の支援措置を有してございます。令和六年度補正予算等で追加措置もいたしました。こうした出資金や助成金を活用いたしまして、日本企業の権益確保、鉱山開発、製錬事業の支援を行ってまいりたいと思っております。

 加えまして、資源外交を通じた同志国や資源国との関係強化など、政策を総動員しながら取り組んでまいりたいと思います。

岡野委員 分かりました。鉱山開発というものがどれくらいの規模感やあるいはタイムスパンでできることかというのがちょっと不勉強で承知できないわけですけれども、そのような、自国をそうやって強くしていくという取組に力を入れていただけたらなというふうに思います。ありがとうございます。

 続きまして、先ほど技術協力のときの話とも少しリンクするところがあるんですが、この部素材の調達において、国際的な半導体供給網、とりわけアメリカや台湾やEUや、そういったところとの調整というのはどのように図っていくのか、お考えを伺います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体のサプライチェーンは、半導体の製造、設計から製造装置や部素材、原料に至るまで、幅広い産業、技術領域から構成されています。したがいまして、一国だけでサプライチェーン全体を賄うことは困難である、同志国との連携というものが不可欠であるというふうに考えています。

 こうした考えの下、半導体のサプライチェーンの強靱化などを念頭に、アメリカ、EU、イギリス、オランダ、インドなど、多様な国との半導体協力に関するパートナーシップを締結することで、我が国として強固な国際協力の枠組みを構築しています。

 引き続き、同志国と連携しながら、我が国半導体産業の復活に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えています。

岡野委員 ありがとうございます。

 分かりました。先ほどのお答えでもあったように、かつての失敗というものをちゃんと考えた上で、同志国とのパートナーシップをしっかりと取っていらっしゃるということで了解をいたしました。ありがとうございます。

 では、続きまして、こちらもさんざん聞かれ尽くした内容なんですが、立地自治体、地元へのメリットについて伺ってまいります。

 つまりは、千歳を始め苫東地域へのメリットというところなんですが、先ほどの午前中の質疑の中でも再三聞かれた点ではありますが、お伺いをしていて、荒井先生だったと思いますが、地元は今活況の中にある、ただ、あわせて、その地域の様々なバランスを崩す可能性もあるというような視点をお聞きしまして、なるほどと思ったわけなんです。

 この半導体産業の振興というのは、国益にかなうこととはいえ、当然、立地地域を踏みつけて行うことがあっては決してならないわけです。先ほど熊本のTSMCの例えも挙げていらっしゃいましたとおり、設備投資の増加であったり、雇用の創出だったり、企業の進出だったり、自治体の税収の増というような経済波及もありというところで、北海道も今活況ということですから、もう顕在化している好影響もあると思いますが、一方で、地元の新聞などを見ていると、そのまま言いますと、ため息というような表現をされているような記事を見ることもあります。

 どの辺がため息かと新聞を読んでみますと、新規採用が困難になったりとか、賃貸物件の空きがないとか、保育所の待機児童が増えたり、病院や役所の待ち時間が長くなったり、タクシーが不足したりと、一般住民の生活に密着したそういった課題が出ているということを指してため息というふうな表現をされているわけです。

 とはいっても、先ほどから話にあるように、当然地元に対しては本来はベネフィットが多くあるはずの話ですけれども、今のところ、そうやって自分たちには関係ないところで不便がある場合の、住民からの余り歓迎できないような雰囲気をつくられてしまうのもよくないなというような思いがあるわけです。

 そこでお聞きしたいんですが、ラピダスの存在によって地元の千歳あるいは苫東地域にどういった便益が、どのくらいのベネフィットがもたらされるのか、試算がありましたら、大臣に伺います。

武藤国務大臣 ラピダスの経済効果についてお尋ねをいただきましたと思います。

 現時点ではまだ研究開発段階ではありますけれども、製造装置の海外大手であるASMLなどが新たな拠点を既に設立をしているところであります。今後量産が近づくにつれて、関連企業の進出や地場企業への波及は更に具体化をしていくものであると思います。

 経済波及効果ですけれども、TSMC、これは九州ですけれども、立地している熊本、これは二〇二二年から十年間で約十一・二兆円という試算がございます。北海道においても、今後の量産段階を含めた場合、ラピダス及び関連企業による投資や生産活動によって、十四年間で約十九兆円の経済波及効果が期待されるとの民間試算がございます。

 我が省としても、今先生おっしゃられたように、地元の関係機関とまた連携しながら、地元企業とのマッチングですとか人材育成などを進めることによって地域経済の活性化につなげていかなきゃいけないと思います。

 地域が活性化を帯びるという意味では、私も九州、熊本も行きましたし、ラピダスの千歳、苫小牧も行きましたけれども、そういう意味では大変期待が持てるところであります。ここだけじゃなくて、全国の半導体関係先はある意味で今後相当大きく地方創生につながってくるものが多々あるんだと思います。そういうものを起爆剤としながら、さっきの経済安全保障の話もありましたけれども、日本としての産業力というものをこれからもしっかり維持をするように頑張っていかなきゃいけないと思っています。

岡野委員 大臣の御答弁、ありがとうございます。

 本当にこれ以上ないほどの強い経済波及効果があるんだなということと、ラピダスがぐっと引っ張っていく、牽引するような様子が見えたところであります。

 ただ、おっしゃるとおり、それは地元に対して便益としてもたらされるわけなんですけれども、例えば熊本の話でいうと、TSMCが来たことで、九大の学生たちがみんなそっちに行って、うちは全然新卒が採れなくなったとか、そういう話もあって、それが先ほど荒井先生がおっしゃった、様々なバランスを崩すというところは実際にあると思うので、ラピダスが引っ張って地域の経済がよくなる、それは間違いないんですけれども、それによる影響がどのようにあるのかという点も我々はきめ細やかに見ていく必要があるのかなというふうに感じました。

 先日、小池社長がいらっしゃったときにいただいた資料を見たりとか、視察に我々も伺いましたので、そのときの様子を見ていても、ラピダスとしてもすごく努力をなさっていて、それこそ、人材育成をしたりとか、地元に様々貢献しようとしたりとか、小学校に行っていろいろ啓発活動をやったりということもしていらっしゃいますし、とにかく、そういった御案内もあったところではありますけれども、地元を大事にしているんだ、足下にちゃんと利益があるんだ、そうやって道民に受け入れてもらって、おらが町の誇れる企業ラピダスなんだと皆さんに思ってもらうということが何よりも足下の強化だと思うんですけれども、そのために経産省として取っていらっしゃる方策を伺います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体投資は、るる御議論いただいていますとおり、地域経済を牽引する起爆剤、歓迎する声も多い、その一方で、委員御指摘のとおり、その大規模な投資に伴って、人材確保とか交通渋滞など、周辺地域への悪影響を懸念する声も上がっているというふうに承知しています。

 例えば、まず人材の確保です。まず、半導体人材の育成、確保に向けて、北海道経済産業局を中心に七十三機関が参画した、産官学で構成された北海道半導体人材育成等推進協議会、こちらにおきまして半導体人材の育成、確保に取り組んでいます。こうした取組を通じまして、むしろ人材を広く育成して地域の人材のパイを増やすということで、ラピダスと地元企業の人材確保の両立を図ってまいりたいというふうに考えています。

 また、渋滞への懸念ということでございますけれども、内閣府の下で創設されました地域産業構造転換インフラ整備推進交付金を通じまして、北海道千歳市に対しましては、交通渋滞への対策のための道路整備などに対しまして、令和五年度と六年度で合計約四十二億円の予算が配分をされています。

 ラピダスプロジェクトの成功には、地元の理解、応援、これが不可欠です。ラピダス自体が地元企業とのマッチング、協業を頑張っていくということをやっておりますし、引き続き、関係省庁、地元自治体等と密接に連携して、地元の声に耳を傾けながら、課題に一つ一つ丁寧に対応してまいりたいというふうに考えています。

岡野委員 御丁寧にありがとうございました。

 今、渋滞対策についての御答弁がありました。先日ラピダスに伺ったときに伺ったのが、TSMCの渋滞のことを、失敗から学ぶということで、ラピダスは、マイカーでの通勤を一切駄目というふうにしていて、千歳市内に六か所のバス停を独自で作って、一日三百本のバスを走らせて、従業員はそれに乗って通勤するようにしているというような話があって、工夫されているなと思ったんですが、ただ、やはりそのバスを動かす運転手の人材が足りないというような悩みを逆に持っていらっしゃったりもするので、これをやればうまくいくはずだと思っても、その裾野のところで何か目詰まりがあったりする場合もあると思いますので、これが地元に対していいという政策は当然いいとは思うんですけれども、それがちゃんと機能しているのかどうかというところまで、細やかなフォローをお願いしたいと思います。

 では、続きまして、電力供給について伺いたいと思います。

 先週、北電が発表をされました経済ビジョンにおきましても、再エネ発電の将来目標が大幅に上方修正をされております。ラピダスバレー、北海道バレーにデータセンター建設もされていくということも考慮しますと、発電力のこれまで以上の強化というのは喫緊の課題であると思います。

 北海道という土地柄を、特性を生かして、ラピダスが北海道にできたのも再エネ電力のポテンシャルというところも理由にあったと思うんですけれども、あの土地柄、あの特性を生かして今後どういった再エネ拡大の活路があるのか、その可能性を伺います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘いただきましたとおり、北海道は、風力発電を始め、再生可能エネルギー源が豊富に存在しておりまして、経産省としましても、こうしたポテンシャルを生かし、北海道においてGX分野の取組が加速していくことを期待しているところでございます。

 とりわけ洋上風力発電につきまして、道内に再エネ海域利用法に基づく五つの有望区域があるなど、今後導入拡大が期待される電源となっております。

 洋上風力は、産業の裾野が広く、発電設備の維持管理も数十年にわたることから、大きな地域経済への波及効果が期待されておりまして、その観点から、長期に及ぶメンテナンス等を担う人材育成をすべく、必要な専門知識を学ぶカリキュラム作成や訓練施設の整備に係る支援も行っているところでございます。

 また、北海道は、水力発電のポテンシャルも大きく、導入量も大きい状況にありまして、特に中小水力発電につきまして、地域資源の活用という観点から、地方創生、そして地域活性化に資するものとして大変重要と考えております。

 このため、昨年秋に取りまとめた経済対策におきまして、自治体主導の下で中小水力発電の開発地点候補の詳細調査や全国百地点を念頭に案件形成等への支援策を盛り込んでおりまして、既に北海道の自治体からも問合せをいただいているところでございます。

 引き続き、自治体とも連携しつつ、北海道の持つ特性も生かしまして、半導体、DXを支える再エネの導入拡大に努めてまいりたいと存じます。

岡野委員 風力、とりわけ洋上風力と水力の例を挙げていただきました。

 洋上風力と聞いてしまうと、秋田県の件を見ておりますとまた別の不安も出てくるところではありますけれども、そうはいっても、国内に洋上風力ができるところというのは地域が限られているわけですし、うまくいけば陸上よりも風が強くて発電量も多くて安定しているというメリットもあるわけですし、何より脱炭素電源は時代の要請でもありますので、今後しっかりと推進をお願いしたいと思うところです。

 では、民間投資について伺ってまいります。

 TSMCの場合は、ファウンドリーとして明確なビジネスモデルがあって、もう顧客が既にいる状態でスタートをしたわけですが、御承知のとおり、ラピダスは、量産開始前でありまして、収益モデルが見づらく、民間の判断材料が乏しいと言えると思います。七年十兆という政府の資金の投入、これを呼び水にして官民投資を五十兆というふうに定めていらっしゃるわけですけれども、これは、ラピダスが今後自主性を確保していくためにも、民間投資というのは必要だとは思います。

 この間、国の本気を見せるという意味では、とてもそれを感じ取れるところでありまして、国がこんなに本気なんだったらと、民間に対するそういった意味での訴求力はあるのかなというふうに感じるんですが、ただ、今のようにまだ量産化もこれからで顧客獲得も見通しが立っていないという状態で、投資回収までの年数とか利益率といったものの見通しがなければ、なかなか財布のひもを民間の人が緩めるのも難しいのかなというところではあります。

 先ほど午前中のお答えの中で次世代半導体等小委員会での情報開示の話も出てまいりましたが、その視点も踏まえて、どのように民間の人たちに安心材料を開示していくのかというお考えを伺います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ラピダスは、二〇三〇年度頃の上場を視野に入れて、こういう状況の中で、既存株主などの企業との間で一千億円規模の追加出資に関する調整を本格化しているというふうに認識しています。

 今委員から御指摘いただきましたとおり、民間からの投資につきましては、やはり予見可能性を高める、これは一つ重要なポイントであるということで、今般、まさに政府のコミットメントを明確にする仕組みを本法案で整備すべく御審議をいただいています。

 その上で、ラピダスとしましても、民間から最大限の資金を調達するべく、機密保持契約などを結びつつ、技術開発の進捗状況や顧客との交渉状況など、投資判断に必要な情報を投資家に提供していくものと認識をしています。

 経済産業省といたしましても、民間投資家による投資判断に必要な情報が適切に提供されるように促していきたいというふうに考えています。

岡野委員 ありがとうございます。

 今、秘密保持を保ちながらというようなお話もありました。

 最後にお伺いしたいのは、今後の報告体制のことであります。

 これももうさんざん聞かれ尽くしたテーマではあるんですけれども、ここから運用がなされていくとなったら、その先にやはり、今はどういう状態で、どこまで進んでいてということを国民に対して開示をしていくというのは、これは非常に肝要な、これから先の肝要なテーマになっていくと思うんですが、これまでの御答弁にもあったように、巨額な税金が原資なんだから、だから経営の透明性が求められる、それは当然です。一方で、競争上の秘密保持、これも肝要だという、御答弁はそのとおりで、このバランスをどう取っていくかという話でありますけれども、なので、再度、答弁としては繰り返す部分もあるかとは思いますが、国民の信頼の確保と、ライバル企業に不要な情報を流さないための方策をお聞きしたいということなんです。

 先行して国が投資している他の企業、TSMCやサムスンが、そういった半導体企業の報告体制というのがどのような形を取っているのかを見てみますと、例えば、四半期ごとに政府、国民向けの経営報告レポートを作成してみたり、そこには具体的な財務データとかは避けて、進行度を説明するというものを作成したり、政府とは独立した委員会をつくって、企業秘密を含む詳細情報は監視委員会のみに開示して、一般公開はサマリーのみにするとか。それも、結局は日本のやり方と当然ながら似てきているのかなというふうには思うところなんですが。

 今後、運用が始まっていくと、当然国民からも、今どうなっているんだという声はこれから高まってくると思います。経産省が考える最も適した報告体制の在り方というものを伺いたいと思います。

 そこに加えまして、ラピダス側からの、ラピダスとしての発信、これもやはり、公式サイトは当然ですし、SNSとか、あらゆる媒体でラピダスとしても国民向けの広報活動を強く行っていくべきだと思いますが、そこへの考えも伺います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 情報の開示状況がどうなっているのかというところを中心に御質問いただいたというふうに認識しています。

 まず、現在の状況につきましては、現在は委託研究開発段階です。委託研究開発段階ですけれども、外部有識者による厳格な審査、これを毎年度実施するという形で、実は、まさに技術開発の状況について、例えば製造技術のところは今どうなっているのかとか、そういったところをちゃんとステージのゲートで確認しながら追加の支援を決定してきているということで、一個一個確認しながらで進めていて、それもまた、この前発表したとおり、こういう技術的な課題が進んでいますということで、したがって支援を決めましたという形で報告をするというような取組をしてきています。

 今回の法案に基づいて行われる金融支援につきまして、こちらにつきましては、次の段階に入っていって、半導体の技術、経営、金融などで高い知見や経験を有する有識者を交えて、外部の目も見ながら、今度は事業計画の実施状況をしっかりと見て、これは次世代半導体等小委員会を設置して行うことになるわけですけれども、ここでマイルストーンをしっかりと設定し、選定事業者の事業計画の進捗状況をモニタリングする中で、進捗状況、環境の変化、これを踏まえて、必要に応じて事業計画の見直しも検討するというような仕組みになっています。

 事業計画の概要、モニタリングの結果、こういったものについて、個社の競争上の優位性を阻害することがないように、ビジネス上の機密事項には配慮しつつ、御指摘のとおり、国民への説明責任を果たす、適切なタイミングで可能な限り公表していきたいというふうに考えています。

 御指摘をいただきましたラピダス自身の取組ですけれども、今でもラピダスは、御理解をいただこうということで、非常に分かりやすいビデオとかを作って紹介するとか、できるだけよく理解してもらおうという取組はしてきているなというふうに考えています。引き続き、ラピダス自身、事業の状況など公表は重要ですから、公式ウェブサイトなどを通じて、国民に向けて分かりやすい広報、今こう頑張っています、こういう状況ですというようなことをしっかりと伝えていくことをラピダスに促していきたいというふうに考えています。

岡野委員 どうもありがとうございます。

 おっしゃるとおり、内容は都度都度変わるわけですし、ここから先、運用が始まった後も、出せるもの、出せないものは状況によって都度変わっていくものだと思います。黒塗りが駄目だというとそうでもなくて、やはり技術開発の段階で黒で塗らない方が駄目なことも当然あるわけで。

 ですので、まずは、日本になじむ情報開示の在り方、独立監査、秘密保持、そういったところを徹底していただくことをお願いを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

宮崎委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。

 いつもいつも申し訳ありません。

 まず、大臣に、NTT株と光技術の件についてお伺いします。

 日本の技術は国で守るべきであると思います。

 二〇二三年、岸田首相が軍拡予算の増額を決めたことを受け、自民党プロジェクトチームは、政府保有のNTT株の売却益を財源に充てることを検討と発表しました。このとき、れいわ新選組と共産党さんが反対したことを記憶しています。このときの政権に対して、何てことをするんだろうなというふうに思いました。高度情報化社会の流れの中で、セキュリティーの面から、安全保障上からも絶対に売却するべきではないのにとあきれました。

 次世代半導体、技術革新、性能の向上に関しても非常に重要な光通信の技術を持っているNTTはとても重要です。そのような株を売ろうとするマインドを持つ人が一定数いらっしゃる中で、今後更なる軍拡予算が必要となったとき、ラピダス株を売ろうとする局面はないでしょうか。私は、ラピダス株の一定数を国が持つべきとも思っています。この点を危惧していますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

武藤国務大臣 済みません、事前通告の関係、ちょっと理解していないんですけれども、NTT法の関係の件と、ラピダスでもそういう公的な者が持つべきではないかという御質問ですね。

 じゃ、後で参考人の方から答えますけれども、NTTはちょっと私どもの所管じゃないので、申し訳ありません、答えられないところをお許しいただきたいと思います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 ラピダスの株の持ち方とか、そういったものについては、るる御議論いただきましたとおり、議決権の在り方とか、そういったことはこれから考えていきますし、それは今後適切に対応していく。ただ、重要な技術であるということで、ここの場でも黄金株のような御議論なんかもいただいています。そういったものもしっかりと踏まえながら考えていくということだというふうに認識しております。

佐原委員 ありがとうございます。

 なので、そういう、例えば他国からの要請があって、もっと軍拡をしろと言われても、是非ともそれは売らないでいただきたい、そう思います。

 次に、四月四日の御答弁でPFASの管理について御説明いただきました。しかし、日本の目標値はアメリカの五倍以上の緩さ、加えて、日本の目標値の評価手順、方法は、物質のリスクを追及するに値しないものです。日本における評価方法も問題がある中で、まず、少なくとも世界の最も厳格な基準に合わせるべきだと考えます。そして、そこには法の拘束力が必要であると考えます。

 PFASががんなどの健康被害が指摘されておりますので、予防原則が国の責任ではないでしょうかとお尋ねいたします。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 PFASに関するものを含めまして、国の法令や地方自治体の条例で定められた環境規制について、半導体工場でも当然遵守していく必要があります。

 まず、有機フッ素化合物であるPFASのうち、PFOS、PFOAにつきましては、飲み水を経由した健康リスクの低減を図ることがまず重要。

 これらにつきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法で使用が禁止されており、半導体工場においても使用されていないというふうに認識をしています。

 現在、PFOSとPFOAにつきましては、水道事業者などに水質基準の遵守や検査及び公表を新たに義務づける制度案のパブリックコメントが実施されていると承知しています。こうした水道法の規制により、飲み水を経由した国民の健康リスクの低減が実現されていくものというふうに認識をしています。

 また、PFOS、PFOA以外のPFASにつきまして、一万という、非常に数が多く、有害性や環境中の濃度など、科学的知見が十分に得られていないということから、関係省庁がその充実に努めていくものと認識しています。

 その上で、JASMやラピダスなど半導体工場の方では、規制対象となっていないPFASも含めまして、工場で使用した水はPFASの吸着効果がある活性炭処理をした上で排水する、規制対象外のPFASが含まれる可能性がある材料については、回収の上、産業廃棄物として専門の外部事業者に引き渡す、事業者と関係自治体が連携し、定期的なサンプリングの下、自主管理するなどの自主的な取組を講じているというふうに承知しています。

 経済産業省といたしましては、引き続き事業者に関係法令の遵守を求めるとともに、関係省庁、関係自治体と連携しながら適切に対応していきたいと考えています。

佐原委員 ありがとうございます。

 基準値は他省庁の所管で、それを遵守させるよう努めるのが経産省ということでしたが、その値が妥当なのか安全なのかは検証しているのでしょうか。産業支援を行う以上、その地域の経済の振興、さらにその基盤となる地域の皆様の安全、健康は大前提です。その責任をどう考えていますか。公害の歴史に対する反省はありますか。

 れいわ新選組は次世代半導体の開発と増産に反対しているわけではありません。環境や人々の健康侵害を回避することは、ラピダスという会社を守ることでもあります。

 産業界からも大きな期待が向けられています。国策会社であるラピダス社は、国民に、子供たちに、世界に誇れる会社であってほしいのです。誰も傷つけず、世界中の人々にすばらしいメイド・イン・ジャパンのテクノロジーで世界に平和と繁栄をもたらす、まさしく、大いなる大和の心を持つ、すばらしい哲学を持った会社であってほしいのです。

 輸出管理に関してもお尋ねします。

 四日の御答弁で御説明をいただきました。

 経済産業省のホームページでは、四年ほど前の資料で半導体ではありませんが、輸出許可が下りた製品がエンドユーザーを隠しながら巧妙に取引され、軍事転用された事例が紹介されています。

 政府では国際的な輸出国の枠組みや協定で対策を強めていますが、効果はありましたか。国が支援するのなら、政府の責任としてブロックチェーンで商品の行方を確認するなど、実効性ある対応をするべきではないでしょうか、お伺いします。

伯野政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、食品等から摂取するものに関する健康影響の評価を独立した立場で科学的に実施する内閣府食品安全委員会におきまして、米国も含めた各国、各機関が参照した最新の知見も含めて評価がなされたというふうに承知しております。

 昨年六月に食品安全委員会によりまして設定されました耐容一日摂取量を踏まえまして、我が国の水道水の水質基準等の設定で通常用いられる方法、環境省において、体重五十キロ、一日当たりの摂取量、これは水の摂取量二リットル、摂取量全体、体にPFASを摂取してしまうであろう全体に占める水道水からの寄与の割合、割当て率一〇%を用いて、五十ナノグラム・パー・リットルを算出したところでございます。結果として現行の暫定目標値と同じ値となりますが、この値を水道事業者等に遵守や検査等を義務づける水質基準に引き上げることが本年二月六日に環境省の審議会において了承されたところでございます。

 引き続き、今春をめどに方向性を取りまとめるべく、手続を進めてまいりたいと考えております。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 御質問いただきました、第三国を例えば経由して懸念国に輸出される迂回輸出、このような問題に対応するため、経済産業省としましては、税関を始めとした国内及び海外の関係機関と協力をしまして、外為法の執行を強化しているところでございます。

 例えば、巧妙な迂回輸出のリスクを低減するため、関係省庁と連携しまして、輸出者、輸出される企業や通関業者、こういう方々に説明会を開催しまして、巧妙な手口にも触れつつ、最終需要者、最後にどなたが使われるか、若しくは用途の確認などの徹底を促しているところでございます。

 また、昨年四月に、日本、アメリカ、韓国、三か国で、不正な技術移転に対処するため、輸出管理の執行機関の間における情報共有を行う、こういうことについても合意しております。

 引き続き、このような軍事転用を未然に防ぎ、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、国内関係機関との協力を引き続き進めてまいります。

佐原委員 ありがとうございました。

 先日、キャッチオール規制ということを教えていただいたんですけれども、そのことに関して詳しく教えていただけますか。

猪狩政府参考人 お答えいたします。

 キャッチオール規制につきまして、製品の仕様や性能上は、例えば高い性能のものではない、そういうようなものについては規制対象にはなってはございませんが、輸出する時点で、例えば小さな電子部品、このようなものであっても、大量破壊兵器などの開発、製造に用いられるおそれがある場合には、これをまた輸出者が認識されている場合又は我々経済産業省の方で認識して輸出者に通知した場合、このような場合にはキャッチオール規制により許可を取る必要がございます。

佐原委員 ありがとうございました。

 かつて、インテルインサイドというのは懐かしい言葉です。ラピダスのブランド名も各国の製品につけることができればPRになると思いますが、そういうこともできる可能性はありますか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 企業の事業戦略におきまして、委員御指摘をいただきましたブランディング、これは重要なものだと認識しています。

 かつてのインテルは、自社で設計、製造した製品を自ら販売したのに対しまして、ラピダスにつきましては、TSMCと同様、自社で設計や販売は行わず、顧客企業の委託を受けて製造のみを行うファウンドリービジネスを展開しようとしている点に違いが存在します。

 そのため、ラピダスが製造した製品に関するブランディングは、一義的には設計、販売を行った顧客企業が主体的に行うものであります。ただ、ラピダス自身のブランディングにつきましては、主に技術開発や量産等に関する顧客企業等とのコミュニケーションや信頼関係の中で確立されていくものだろうというふうに考えています。

 また、我が国の半導体産業が過去にシェアを落としたこと、これは海外との連携不足ということがございます。

 ブランディングもさることながら、海外との連携ということで、ラピダスプロジェクトでは、アメリカのIBMやベルギーのimecといった世界トップクラスの機関と連携をしながら、顧客開拓につながる設計開発に対する支援も実施しています。

 こういった取組を進めていくことで、ラピダスプロジェクトが大きく前進していくよう全力で取り組んでまいりたいというふうに考えています。

佐原委員 ありがとうございます。

 かつて、日米半導体摩擦があった頃、東芝が国際市場で販売制約を受けたときに、モトローラの名を冠して販売することで販路を維持したことがありました。

 ラピダスも、例えば、IBMとの技術提携があるのなら、アメリカIBMを冠して販売することも可能ですね。その場合、アメリカの市場において、アメリカの対外政策の影響も軽減できると考えていいのでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 一義的に、今回の措置が、国内で製造しているもの、していないものとか、そういったいろいろな切り方で判断はされていくものと思いますけれども、IBMとの密接な連携、日米で共に非常に深い密接な関係を構築して取り組んでいる事業、その成果物というふうに認識はされて、評価はされていくものというふうに認識をしています。

佐原委員 ありがとうございます。

 そういったアメリカの認識があるとすれば、アメリカで国防を視野にと語ったラピダスの会長の発言はなお懸念されます。IBMの製品として、日本政府の手を離れてどのようにも販売され、利用されることを懸念いたしますが、いかがでしょうか。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ラピダスが量産を目指している次世代半導体、これは様々な利用用途で実際に活用されることになりますし、自動運転とか生成AIとかに恐らく不可欠な存在となっていく。

 こういう状況であるものについて、ラピダスからは、現時点では軍事への利用という想定はしていないと聞いています。政府は、その上で、ラピダスの販売先に制限を課すということは、支援の目的や営業の自由などの観点から慎重であるべきだと考えています。

 いずれにいたしましても、ラピダスを含めて海外への先端半導体の輸出につきましては、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、引き続き厳格な輸出管理の下で対応されていくというふうに認識をしています。

佐原委員 ありがとうございます。

 ただ、現時点ではということだったので、これからも引き続き監督をよろしくお願いいたします。

 次に、泊原発の件です。

 当初、ラピダスは、再エネを活用していく旨を発表していらっしゃいました。関連会社も、一〇〇%自然エネルギーを使用すると言った社長さんもいらっしゃいました。

 しかし、ラピダスの工場の維持に大量のエネルギーを使うから泊原発を再稼働するということはやめてもらいたいのです。ラピダスを泊原発再稼働の言い訳にはしてほしくはないんです。

 ラピダスのイメージ戦略としても、オーセンティックなメイド・イン・ジャパンで、正義で、そして、人々の暮らし、自然エネルギーとそして自然を守る、そういったすばらしい整合性のある会社として、大いなる大和の心を持ったすばらしい会社であってほしいんです。そのためにも、泊原発再稼働は絶対に避けるべきと考えます。

 道民の協力、国民の協力、期待、そういった感情を裏切らないでほしいのです。あくまでも正しく、ラピダスの哲学、倫理性を保ってほしいのです。どうでしょうか、大臣。

武藤国務大臣 大和の心は大変大事だと誠に共有するところであります。

 ラピダスからは、次世代半導体の量産においては、量、価格共に安定的な脱炭素電源の供給確保、これが大変重要だというふうに説明をいただいています。

 地域との共生と国民負担の抑制、これも大事なことでありまして、再エネの最大限の導入、これは進めてまいりますけれども、電力需要の増大が見込まれる中で、再エネのみでは、安定供給、ここに課題があると認識をしているところでもあります。

 安定供給と脱炭素化の同時実現、このためには、再エネも原子力も、これは最大限活用する必要があると考えているところであります。

 北海道というものは、今現状、発電電力量の約六割、これが火力に依存しています。泊発電の再稼働というものは、これは先ほど申した安定供給と脱炭素化に大きく寄与するものでありますが、電力価格の抑制にもつながります。そうした重要な位置づけを有しているという認識の上で、この再稼働というものについては、原子力規制委員会が新規制基準への適合性を認めた場合のみ進めるというのが政府の方針であることを御理解いただきたいと思います。

佐原委員 ありがとうございます。

 時間ですが、ちょっとだけ。

 ジャパン・メイドの企業ですから、例えば、ラピダスは水をたくさん使いますよね、ですから、例えば、その途中にマイクロ水力発電などそういったものを組み込んでいったり、それから、ペロブスカイトなども窓とか屋根とかに、壁面とかにつけていくとか、そういうオール・ジャパンのものをいろいろ工夫して入れていくということも、中小零細企業の力もかりながら、オール・ジャパンで、本当の意味でのオール・ジャパンでやっていってほしいな、そして国民の期待に応えてほしい。特に、光半導体というものは物すごい可能性があると思うので、是非そのことをお願いしつつ、質問を終了させていただきます。

 本日もありがとうございました。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党でございます。

 大臣は、三月二十五日の本会議における私の質問に対して、こう答えました。

 我が国の半導体産業の凋落と、そのことによる人材、技術の流出については、貿易摩擦の結果として締結した日米半導体協定など、政府の政策にも一定の責任があると考えており、真摯に反省しております。

 しかし、凋落したから技術の流出が起こったということではなくて、技術の流出をさせてしまったので凋落をしていったという面にも着目する必要が私はあると思います。

 三月の二十八日のラピダス小池社長は、半導体産業のためにも雇用は守らなければならないというふうに述べました。まあ当然のことだと思うんですね。大臣の答弁では、同時に、企業がコストカットに注力をし、設備投資や人への投資を抑制したということに対して否定的に述べておられるわけですね。しかし、そのまさにコストカットが理不尽な形で、しかも現在進行形で進められているのが我が国の電機産業であります。

 今日は、この半導体企業であるルネサス、大臣も成功例として先日取り上げておられましたけれども、この企業を取り上げたい、振り返りたいと思います。

 三菱電機及び日立製作所から分社化してできたルネサステクノロジと、NECから分社化してNECエレクトロニクス、これの経営統合によって、ルネサスエレクトロニクスは二〇一〇年四月に設立をされました。経営悪化の後、二〇一三年に、出資金の大半を政府が出資している産業革新機構の傘下となりました。その後、黒字になりまして、二〇二一年における半導体企業売上高ランキングでは、これは全世界ですね、十五位ですね。日本国内では首位の売上げということになっております、二〇二二年の時点ですが。

 二〇一一年、これは大臣に確認したいと思います、ビジネスと人権に関する指導原則が全会一致で国連で支持をされました。ビジネスと人権に関する指導原則、これは、国連の人権理事会で全会一致で支持をされたものですけれども、人権を保護する国家の義務、人権を尊重する企業の責任、救済へのアクセス、この三つから構成をされております。

 大臣、この原則に沿った行動が国及び企業に求められるということでよろしいですね。

武藤国務大臣 サプライチェーンにおける人権尊重の重要性が高まる中、国連の、今先生がおっしゃられたビジネスと人権に関する指導原則、この下で、国家の人権保護義務及び企業の人権尊重責任等を規定しており、我が国もこれを支持しているところであります。

 日本政府としても、関係府省庁連絡会議において、サプライチェーンにおける人権尊重のための業種横断的なガイドラインも策定をしながら、企業の取組を促しているところであります。

辰巳委員 大臣、続けて聞きたいと思うんですが、半導体製造にとって、そこで働く技術者あるいは労働者が生き生きと働ける、安心して働ける職場をつくることこそ、半導体製造にとっても重要だと私は思うんですけれども、いかがですか。

武藤国務大臣 私もずっと商売をやっていましたので、企業の経営者からしてみても、半導体製造企業にかかわらず、これはもう、人材は企業活動の基礎であり、そして、御指摘のとおり、従業員が生き生きと働くことのできる労働環境を整備することは、企業経営上大変重要なことだというふうに承知しています。

 今先生おっしゃられた我が国の半導体産業、ルネサスの話もありましたと思いますが、この復活に向けて、半導体人材は競争力の源泉であって、その育成や労働環境の整備を含めて、適切な処遇が確保されることは重要と考えておるところであります。

辰巳委員 まあそうだと思うんですよ、私も。

 改めて、ちょっと、このルネサスなんですけれども、この間ルネサスに入っている公金、補助金含めてですけれども、累計で幾らぐらいになっていますでしょうか。

野原政府参考人 ルネサスエレクトロニクスですが、経済安全保障推進法に基づく車載用マイコンの国内生産能力の強化に関する設備投資に対しまして、最大約百五十九億円の支援を決定するなど、これまで設備投資、研究開発等の支援を行っております。

 文書の保存期限との関係で確認できる範囲で確認をいたしますと、平成三十年度以降、同社に対して交付決定、採択した補助金等の合計額はおおむね三百億円弱というふうになっております。

辰巳委員 それだけの公金が投入されている企業で、今、事実上の指名解雇が行われております。

 指名解雇というのは、人員削減の対象者を選別、指名をして解雇するもので、違法性が高いものです。この人員削減の内容、対象者、条件を隠蔽した、まさに暗闇リストラであり、会社を辞めなければ、コーヒーの栽培とかあるいは職場に追い出し部屋というようなところで配属されるなど、現場からは人権侵害ではないかというような声も上がっております。

 厚労省、来ていただきました。改めて、解雇四要件、簡潔に説明いただけますか。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 整理解雇の有効性につきましては、裁判所においては、人員削減の必要性、解雇回避努力の履行、被解雇者選定基準の合理性、解雇手続の妥当性、この四つの事項が考慮され判断されていると承知しております。

辰巳委員 二〇一三年当時ですけれども、ルネサスは違法な繰り返しの退職勧奨も行っておりました。

 一九八〇年七月十日に出された最高裁判決ではこうあります。「ことさらに多数回、長期にわたる退職勧奨は、いたずらに被勧奨者の不安感を増し、不当に退職を強要する結果となる可能性が高く、退職勧奨は、被勧奨者の家庭の状況、名誉感情等に十分配慮すべきであり、勧奨者の数、優遇措置の有無等を総合的に勘案し、全体として被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であった場合には、当該退職勧奨行為は違法な権利侵害となる。」とあるんですね。

 当時、事業者側が退職を迫る根拠としていたのが、人員削減を完遂しなければ産業革新機構からの融資を受けられない、そういう脅しのようなものを言っていたんですね。

 ルネサスは、十五年前、四万八千人だった従業員、これが今や二万一千人です。もう半減以下になっているんですね。今、ルネサスは大黒字を上げながら、この間リストラを敢行して、強行しております。

 二〇二四年十一月に従業員に送られたCEOからのメールメッセージというのを私は入手いたしました、これですけれども。ここにはどうあるか、人員削減についての記述があるんです。二〇二四年は、全従業員の二・一%、四百三十八人が対象となり、社内異動を含む取組などを行い、結果として、退職者数は合計で三百二十九名、全従業員の一・六%と当初の想定を下回る規模となった、こうあるんです。

 正直なところ、私としては複雑な思いでこの結果を振り返っています、一人でも多くの同僚に活躍の機会を提供できたことは喜ばしいことですとしながら、会社の財務への効果を高めることに重きを置かざるを得ないと書いてあるんですね。つまり、もっとリストラをやるよ、こういうメッセージなんですよ。今年は全従業員の五%に当たる約一千人の人員削減というのを計画をしていると。

 メッセージの最後には、本CEOメッセージに記載した内容は、当社の重要な経営施策に関する秘密情報です、複製、配布、公表及び他者への開示は一切禁止します、これらの情報を漏えいすることは会社規則に抵触すると。これは労働者への脅しとも取れる文言だというふうに思います。

 このルネサスの業績がそんなに苦しいのかということなんです。業績はもう抜群と言っていいわけです。売上高は二〇二三年で一兆四千六百九十四億円、営業利益三千九百七億円、営業利益率二六・六%。これは、同じ年、他社と比べますと、村田製作所は一三・一、安川電機一一・五、富士電機九・六、ソニー九・三、日立製作所七・八ですから、二六・六というのは抜群なんですよね。内部留保は、一兆六千二百億円にも上ります。まさに、実態としては、黒字リストラになっちゃっているんですね。

 これだけ政府からの、大臣もそうですけれども、賃上げしてくれという要請が度々行われているにもかかわらず、定期昇給などの引上げというのもこの間見送ってきたということであります。ちなみに、このルネサスのCEOの報酬は、トヨタの会長よりも多いんですよ。

 政府は、半導体産業振興のために今国会で兆円単位の支援を進める、こういうことになっていますけれども、大臣、こういう指名解雇、やはり、法令に違反すると疑われるようなことは、半導体産業のためにもあかんでというメッセージを私は大臣の方から発するべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 ルネサスエレクトロニクスが、変化の激しい半導体産業の事業環境に対応するため、全従業員の定期昇給の見送りと五%未満の人員削減を行う予定であるということは、今先生おっしゃられたとおり、承知をしているところであります。

 個社の経営判断の妥当性について、これはコメントは控えさせていただきたいとは思いますが、一般論として申し上げると、厳しいグローバル競争に勝ち、中長期的に国内において生産基盤を確保する、こういう、時に厳しい判断も必要になる場面もあるものだということも承知をするところですが、一方で、人材、これはまさに企業活動の基礎であり、半導体産業の再興に向けて、人材の育成、確保やそれを通じた生産性の向上は重要であるということも認識をしているところであります。

 人員削減を行うに当たっては、労働組合との協議ですとか労働者への説明、そして使用者による一方的な解雇を回避するための措置を尽くすことが重要であるということも、当然ですけれども認識をしているところであります。

 経産省としては、引き続き状況を注視してまいりますけれども、必要があれば同社から状況を伺うことも含めて適切な対応を行いたいと思っています。

辰巳委員 是非、大臣自身が聞いてほしいんですね。ルネサスの工場が群馬県にあるんですけれども、山本一太県知事は同社に話を聞いたというふうに答弁もされていますから、是非聞いていただきたいというふうに思います。

 続いて、PFASについてお聞きしたいと思います。

 熊本、菊陽町のTSMCの工場の運営法人であるJASMは、昨年末、十二月に量産を開始をいたしました。その後、今年一月二十七日、同社は、熊本工場で使用しているPFASの種類について、経産省を通じて私に回答をいたしました。その使用している三つのPFASの種類というのは、PFBS、PFPeS、PFBAですね。

 これは、三月の二十六日に熊本県は、TSMCの進出を受けて独自に実施している水質調査において、工場での量産が始まって以降、初めての調査結果を公表をいたしました。

 経産省、このJASMが用いている三つの種類のうち、PFBSとPFBAについて数値の上昇が見られたということなんですけれども、調査の中身を報告していただけませんか。

野原政府参考人 熊本県が半導体関連企業の集積に伴う環境変化をモニタリングしておりまして、三月の調査結果、委員から御指摘ありましたが、PFBS、PFBA濃度がJASM一号棟の稼働前と比較して上昇していたということでございます。

 具体的には、JASMの稼働前後におきまして、PFBSの濃度が一リットル当たり五十二ナノグラム増加しておりまして、PFBAについては、稼働前の数値は検出されませんでしたが、稼働後は一リットル当たり十五ナノグラムが確認されていると。

 外部有識者から成る、熊本県が公表している環境モニタリング委員会の概要によりますと、数値が上昇した理由について、今回一回目の調査であり、この結果をもってJASMの稼働によるものか季節変動等の別の要因によるものかを判断することは困難であるとされております。

 PFBSとPFBAは、水道水、排水等に関する規制の対象ではございませんが、JASMとしては、使用したPFASは回収し、産業廃棄物として専門の外部業者に引き渡しているほか、工場で使用した水は活性炭等を活用してろ過した上で排水するなど、適切な対応を取っている、そういうふうに報告を受けております。

 政府としては、引き続き、法令遵守、環境対策の確保に取り組んでいただくよう求めてまいります。

辰巳委員 稼働後に測った、稼働前にはなかったものが稼働後に出てきたということですから、これは可能性としては極めて高いということだと思うんですね。これはごまかしてはならないと思うんですよ。

 この調査を行ったモニタリング委員会の篠原亮太委員長は、TSMCの稼働と因果関係を認める発言も行っているわけなんですね。委員長は、直近で見れば安心できるレベルだが長期間になると分からない、十分過ぎるぐらい下げるのがいいと指摘をして、何らかの企業努力を促すよう行政が求めていくべきではないかというふうに求めております。これは当然の認識だと思うんですね。

 この調査を受けて、我が党の熊本県委員会と熊本地方議員団は、熊本県に対して、予防原則の立場に立ってPFASの使用中止をJASMに求めるということを内容とする申入れを行いました、県に。ところが、驚いたことに、熊本県は可能性があるとすら認めなかったわけですね。

 私は、経産省、大臣、これはやはりJASMに対して、どういう排水を行っているのか、どういう処理を行っているのか、なぜ稼働後にこれらの値が急上昇したのかということを、経産省自身が、大臣自身が聞き取りをするべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。

武藤国務大臣 今回数値が上昇したPFBSとPFBAですけれども、さっきも事務方から話がありましたけれども、規制の対象ではないということは承知をしているところであります。

 当該調査を実施した熊本県の環境モニタリング委員会ですけれども、数値が上昇した理由は、今回一回目の調査だった、ここら辺も、この結果をもって、JASMの稼働によるものなのか、季節変動等の別の要因か、これを判断するのは困難だという報告であると思っています。継続的にこれはモニタリングをしながら、しっかりと検証を行っていかなくてはいけないと思います。

 熊本県の対応を注視するとともに、引き続き、我々、JASMに対しては、法令遵守、環境対策、しっかりと取組を求めてまいりたいというふうに思っております。

辰巳委員 今の大臣の答弁には、端的に言って、二つの問題があると思います。

 まず、日本では規制されていない、だけれども海外では規制されているんですよね。海外では規制されているものが、日本では規制が緩いがために、今は規制がされていないということなんです。今、今回一回目だから、二回、三回、どれぐらいか分かりませんけれども、海外で規制されている、危険性がある可能性のあるものを、一回、二回、三回とやっていたら、ずっと出続けるじゃないですか、たまるじゃないですか。やはり予防原則に立って、これはもう出ているのは間違いないんだから、そして、JASMがそれらのPFASを使っているということを認めているわけだから、きちっと政府が責任を持って対応するべきだ、聞くべきだというふうに思います。

 最後に、大臣、ラピダスですね。

 小池社長は、これからテストということで、どういうPFASを使うのかということを明言はされなかったんですけれども、今回、JASMが使用しているPFASの種類を私に答えたことによって、調査の結果、これはJASMからではないかという話ができているわけなんですよ。

 私は、これは北海道との関係ということを様々言われるわけですけれども、当然、いや使いませんというんだったらいいですよ、だけれども、PFASを使うというんだったら、やはり、その使う種類、それをラピダスに公表するよう大臣自身が求めるということをやるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。

武藤国務大臣 参考人質疑でもその話を、委員から御質問があったというふうに承っておりますけれども、いずれにしましても、PFASの関係については、北海道庁との間で自主測定等に関する協定を締結している、これを遵守していくということがまず表明をされていると承知しています。

 こうした自主的な取組をしっかり講じていくものと承知していますし、規制対象外のPFAS、これはもう今先生も、いろいろありますけれども、PFASを使用した部素材メーカー等の競争上の地位、これもこれまでの答弁で申していますが、営業の秘密を阻害するおそれがあって公表を求めることは困難なものもあるということも、これも事実だと思います。

 いずれにしましても、我が省としましても、北海道との協定を含めて、ラピダスが関係法令等を遵守しながら、地域住民に対してPFASに係る説明責任をしっかり果たしていかなくてはいけない、こういう指導を、引き続き指導していきたいというふうに思っております。

辰巳委員 PFOAとかPFOSとか、日本で禁止されているものが使われない、それは当たり前なんですよ。だけれども、それ以外を使うというんだったら、それは企業のいろいろな秘密があるというんだったら、だったらTSMC、JASMはどうなんだ、ここはちゃんと言っているわけですよね。やはり、ラピダス、そういう真摯な態度で地域住民の心配、懸念にも応える、それぐらいはやはりやるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

宮崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。佐原若子君。

佐原委員 ありがとうございます。れいわ新選組、佐原若子です。

 反対討論をさせていただきます。

 まず、私の言葉で。

 日本政府が大規模な資金投入で半導体産業を再生させようとしたことは、すばらしいと思いました。参考人としていらした小池社長がスイッチを入れたと興奮ぎみに語る姿、日本の技術者としての誇りを感じました。私自身も感じました。皆さんも、あの姿、御覧になりましたよね。こういう技術、そしてそれを守り育てる人材は、全ての人に歓迎され、必要とされて育ってほしい、そう思うんです。

 だからこそ、この産業のために誰をも犠牲にしてはいけない、その思いで質疑を重ねてまいりました。原発のこと、PFASのこと、軍事転用のこと、地域のこと、またかと思われたと思いますけれども、何度も質問させていただきました。日本のすばらしい技術、人材、産業は、みんなの幸せのために末永く生かされてほしい。しっかり責任を持って育ててほしいんですよ。今の内容だと、犠牲を生みかねない内容だということを感じざるを得なかったんです。どうか御理解ください。

 では、原稿に沿ってお話をさせていただきます。

 第一に、地域経済、中小企業への直接的支援はなく、波及効果が見えにくいことです。一方、支援が一部の企業への支援に偏っていることです。

 第二に、エネルギー大量消費に伴う原発依存の再燃です。法案策定当初にあった再生可能エネルギーを基本とするという支援対象企業などによる原則が後退し、泊原発の再稼働に道を開けるような動きさえ見られます。

 第三に、軍事転用に対する歯止めが全く示されていません。半導体が軍事利用ありきでないことを明確にすべきです。

 第四に、有害物質PFASに関する厳格な管理基準がなく、地域住民の健康被害への懸念が払拭できません。

 支援対象企業となる企業の会長が米国企業IBMから量産の打診を受けたことを契機に、経済産業省が動き出しました。そして、法案の支援対象事業者は公募としながらも、実質的には対象企業が確定した状態の出来レースと言えるものです。さらには、デュアルユースである半導体の輸出管理に関しては、既存の外為法に頼るばかりで実効性を欠き、アメリカの対中政策の構図に日本の半導体産業が組み込まれていることを否めません。

 政府による公的な投資は非効率である、全て民間に任せればよいという新自由主義的な考えの下、公的な投資は否定され、減らされ続けてきました。しかし、実際には、民間のイノベーションの成功例だと言われるものの多くは、元々は政府による公的投資で生み出された技術を利用しているのです。公的投資によって日本の技術力を更に高め、産業を活性化させることは必要です。しかし、その恩恵は誰一人も犠牲を生まず、この国に生きる全ての人に恩恵が還元されなければなりません。そして、平和国家日本として、責任のある産業政策でなければなりません。

 よって、本法案の抜本的な見直しを求めて、れいわ新選組を代表しての反対討論といたします。

 日本が誇る産業を、誰一人犠牲も生まないよう、責任を持って支援してください。そして、世界に誇れるものにしていきましょう。省庁の皆さんからも、そうしたいという気概を感じました。どうかもう一度根本的に見直して、この国に生きる全ての人に恩恵が還元されるものとしていただきたいと思います。

 反対討論を終わります。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 私は、日本共産党を代表して、いわゆるラピダス・半導体産業支援法案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、ほんの一握りの企業に十兆円以上の公的支援を行うものだからです。

 九九年の産活法以来、投資減税や設備投資、研究開発の補助金で大企業のリストラ、人減らしを支援する政策は、産業空洞化と大リストラによる技術流出につながり、我が国半導体産業の衰退をもたらしました。大企業は内部留保を蓄積し、賃金は上がらず、国内投資を一向に拡大させなかったのに、性懲りもなく、また同じことを繰り返すことを容認することはできません。

 反対理由の第二は、半導体メーカー、エルピーダメモリが破綻し、公的資金の約二百八十億円を毀損したことを反省するどころか、桁違いの兆円規模をラピダスに投入するものだからです。過去の政府出資は期限付の緊急異例の措置とされていましたが、本法案は、恒久的な仕組みとして青天井で税金を投入します。さらに、同社の計画や進捗はブラックボックスであり、国民と国会が検証することすらできません。赤字で破綻したら国民負担など、断じて認めるわけにはいきません。

 ラピダスに出資する大企業八社の内部留保は七十三兆円にも上るのに、ラピダスへの出資は七十三億円。同社が量産開始までに必要とする五兆円の大半を国民負担に依存するなど、究極のモラルハザードです。半導体開発、量産の恩恵を受ける大企業に責任を果たさせるべきです。

 第三は、ラピダスが米軍用半導体生産を担わされることに何の歯止めもないからです。

 同社の東哲郎会長は、重要な部分は国防の領域、まずはアメリカに届けるなどと発言しています。審議を通じて、同社の半導体が米軍兵器に用いられることに何の歯止めもないことが明らかとなりました。利益が出ないとされる軍用半導体の納入をラピダスが担わされ、止めることができない赤字が日本国民の負担となるなど、絶対に容認できません。

 今必要なことは、経済安保の名の下に、米国に従属し、特定企業に際限なく国税をつぎ込むことではありません。特定国を敵視する政策をやめ、日本の強みである半導体装置、素材産業、それを支える中小企業をきめ細やかに支援する政策に転換するべきです。

 最後に、公共政策をゆがめる利益誘導や企業と政府の癒着の問題も重大です。武藤経済産業大臣は、ラピダスの東会長が経産省の検討会議の座長として自社への数兆円規模の国費投入を方向づけたことを開き直ったばかりか、巨額の公的支援実施を早い時期から知っていた個人株主や経産省職員の株等の取引の調査、情報開示を拒否しました。ラピダス、半導体産業支援の公正性について説明責任を投げ捨てたと厳しく指摘をして、反対討論といたします。

宮崎委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、新谷正義君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山崎誠君。

山崎(誠)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 本法律案に関わる委員会審査においては、選定事業者としてラピダスを想定した質疑が行われました。これを踏まえ、政府に対し、以下のとおり求めるものであります。

 まず、案文を朗読いたします。

    情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 指定高速情報処理用半導体に関する支援対象事業者の選定については、我が国が次世代半導体の生産において競争力を有することができるよう、諸外国における次世代半導体の研究開発や量産に向けた取組等の動向を注視しつつ、関係者や有識者等の意見も踏まえ、適時適切に行うこと。

 二 選定事業者への支援に当たっては、その効果が支援を受けた事業者及び関係者に留まらず、我が国の経済安全保障の観点からも重要となる半導体産業の発展及び半導体サプライチェーンの再構築並びに国民の生活の向上に資するものとなるよう留意すること。

 三 選定事業者による資金確保や顧客開拓等に対し協力を行うなど、選定事業者と連携して実施計画の着実な実施に努めるとともに、指定高速情報処理用半導体の生産に必要不可欠な製造装置や部素材等の安定的な確保に万全を期すこと。

 四 独立行政法人情報処理推進機構による選定事業者に対する出資に当たっては、民間との出資のバランスを考慮するなど、選定事業者の自立性確保に十分留意すること。

 五 出資の対価として取得する株式については、経営判断の迅速性等にも配慮しつつ、適切なガバナンスが発揮されるような設計とし、重要な経営事項に対して拒否権を有するいわゆる黄金株を保有することも含めて、検討すること。加えて、民間からの資金調達を促進していきつつ、公的資金の回収を図る観点も踏まえ、適正なリターンが確保されるような設計とするように検討すること。

 六 選定事業者に対する出資等の支援が多額の国費を用いるものであることに鑑み、選定事業者による実施計画の概要を公表するとともに、実施計画の実施状況、選定事業者による半導体の設計を行うために必要なデータセットの開発及び顧客への提供状況や選定事業者と半導体設計事業者等との提携状況など事業の進捗状況について、政府において責任を持って把握・検証を行い、入手する経営情報に関してはその機密の確保に万全を期し事業者の競争上の地位の毀損がないように配慮しつつ、上場までの間、選定事業者に対する追加支援に必要な予算案の審議に向けて、国会に報告するとともに、公表すること。特に、量産開始までの間は、三月に一回を目処に国会に報告すること。

 七 選定事業者による指定高速情報処理用半導体の量産化に対する支援(以下「量産準備支援」という。)は、民間主体で行うことを旨とし、政府は今後の次世代半導体を取り巻く環境等の変化を十分踏まえ、必要に応じて選定事業者に対し実施計画の変更の指示など、同計画について不断の見直しを行うこと。

 八 さらなる量産準備支援の判断については、選定事業者の次世代半導体の試作や量産の状況、選定事業者の民間からの追加投資状況及び販路開拓状況を踏まえること。また、選定事業者による売上げ見込みと、生産・販売・管理コスト等の見積もりから計算される利益によって、これまでと今後の投資、融資などが現実的な期間で回収できないなど事業性が見込めないと判断した場合においては、支援を見直すこと。なお、量産準備支援を行う場合には、選定事業者に対して、財務状況等の国民への情報開示を行うよう指導すること。

 九 「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に基づく歳出については、政策効果や必要性を十分見極めた上で、国会での審議や産業構造審議会等での議論を踏まえつつ必要に応じて見直しを行うとともに、毎年、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」に係る予算の執行状況について情報を整理して公表すること。

 十 選定事業者に対する国からの支援が巨額に及ぶことを踏まえ、支援のプロセスや資金の流れ等について、高い透明性を確保するとともに、公平かつ公正な運用を徹底すること。また、選定事業者役員等の既存個人株主が将来株式を売却した際に生じる利益について、国費の投入が株式価値の上昇に寄与した点も念頭に、小池淳義参考人から、個人としては寄附や人材育成活動に使っていきたいとの発言があったことも参考に、引き続き、国費の投入について国民の納得が得られるように努めること。

 十一 エネルギー対策特別会計に新設する先端半導体・人工知能関連技術勘定における公債「先端半導体・人工知能関連技術債」の発行に当たっては、将来にわたって国民負担が伴わないよう厳重に対処すること。特に、その償還においても、財政投融資特別会計の投資勘定の財政状況に十分留意すること。

 十二 我が国の半導体産業が長期にわたり低迷している現状及び、政府におけるこれまでの半導体政策についての十分な検証・評価の結果を踏まえ、今後の中長期的な内外の情勢変化やAI・半導体に係る技術革新の進展等の動向に対応し、我が国半導体産業の復活に向けて、今後のAI・半導体政策の在り方について更なる検討を進めること。

 十三 国内におけるデジタル需要の拡大に最大限努めるとともに、国内で製造される半導体の供給において、そのマッチングが図られるよう必要な施策を行うこと。

 十四 デジタル人材及び特に不足が指摘されているAI・半導体人材の育成や確保については、関係省庁・関係機関、高校・高等専門学校・大学等が連携し、着実に取組を実施すること。また、人材や技術の海外流出防止及び高度人材の獲得について、実効性ある施策を講じること。

 十五 次世代半導体の量産化等の事業の推進及び関連産業の集積を進めるに当たり、円滑な事業経営環境を整え、内外より高度なIT人材の確保をするための施策を行うことが必要であることに鑑み、関係省庁間の連携及び地方公共団体との連携の下、工業用水の確保、下水道及び道路等の必要なインフラの整備や、インターナショナルスクール等の設置及び周辺の学校や医療機関等、居住環境や生活環境の整備等の取組が着実に進むよう必要な措置を講ずること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の過程及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

宮崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮崎委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、武藤経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤経済産業大臣。

武藤国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮崎委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十四分散会


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