第15号 令和7年5月21日(水曜日)
令和七年五月二十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 宮崎 政久君
理事 鬼木 誠君 理事 新谷 正義君
理事 山下 貴司君 理事 荒井 優君
理事 山岡 達丸君 理事 山崎 誠君
理事 斉木 武志君 理事 岡野 純子君
岩田 和親君 大空 幸星君
栗原 渉君 小池 正昭君
坂本竜太郎君 島田 智明君
鈴木 英敬君 関 芳弘君
世耕 弘成君 西村 康稔君
広瀬 建君 細野 豪志君
松本 洋平君 宮内 秀樹君
向山 淳君 山本 大地君
東 克哉君 阿部祐美子君
大島 敦君 岡田 克也君
落合 貴之君 小山 展弘君
鈴木 岳幸君 田嶋 要君
福森和歌子君 吉田はるみ君
東 徹君 村上 智信君
臼木 秀剛君 橋本 幹彦君
福重 隆浩君 山口 良治君
佐原 若子君 高井 崇志君
辰巳孝太郎君 吉良 州司君
平岩 征樹君
…………………………………
経済産業大臣 武藤 容治君
外務大臣政務官 松本 尚君
財務大臣政務官 東 国幹君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 安楽岡 武君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房デジタル・国際総括審議官) 佐久間正哉君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局審査局長) 大胡 勝君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(出入国在留管理庁在留管理支援部長) 福原 申子君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 奥野 真君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 今村 聡子君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 金光謙一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 神ノ田昌博君
政府参考人
(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長) 鷲見 学君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小見山康二君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 今村 亘君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長) 辻本 圭助君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(資源エネルギー庁次長) 畠山陽二郎君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局次長) 井崎 信也君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
小泉進次郎君 江藤 拓君
坂本竜太郎君 広瀬 建君
鈴木 英敬君 栗原 渉君
吉田はるみ君 阿部祐美子君
丹野みどり君 橋本 幹彦君
佐原 若子君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 鈴木 英敬君
広瀬 建君 大空 幸星君
阿部祐美子君 吉田はるみ君
橋本 幹彦君 臼木 秀剛君
高井 崇志君 佐原 若子君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 山本 大地君
臼木 秀剛君 丹野みどり君
同日
辞任 補欠選任
山本 大地君 坂本竜太郎君
同日
理事小泉進次郎君同日理事辞任につき、その補欠として鬼木誠君が理事に当選した。
―――――――――――――
五月二十日
円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案(内閣提出第三三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案(内閣提出第三三号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
――――◇―――――
○宮崎委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事小泉進次郎君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、委員長は、理事に鬼木誠君を指名いたします。
――――◇―――――
○宮崎委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房長片岡宏一郎君外二十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松本洋平君。
○松本(洋)委員 おはようございます。自由民主党の松本洋平です。
質問の機会を頂戴をいたしまして、ありがとうございます。二十分、短い時間ではありますけれども、質問をさせていただきたいと存じます。
まず、冒頭ちょっと、私自身がどういう思いを持って今日の質問に立っているのか、また活動しているのかということも少しお話をしたいと思います。
私は、昭和四十八年八月三十一日生まれ、今五十一歳、もう三か月ぐらいすると五十二歳という年齢であります。実は、この年齢というのは、ある意味、少し宿命を背負った世代なのかなというのを個人的には感じております。それは一体何かというと、第二次ベビーブームで一番人口が多い年というのが、この昭和四十八年生まれであります。
第一次ベビーブーム世代というのは昭和二十二年から二十四年生まれの世代でありまして、そんな中でも最も多く子供が生まれたのは昭和二十四年生まれで、二百六十九万七千人が生まれております。そして、その子供たちであるのが第二次ベビーブーム世代でありまして、昭和四十六年から四十九年生まれの世代となっておりまして、その中でも最も人口が多いのが昭和四十八年であります。この年、二百九万二千人が赤ちゃんとして生まれたということでありまして、そのうちの一人が私であるということであります。
いわゆる就職氷河期世代とかロスジェネ世代というふうに言われるのも、我々の世代を含めたこの世代のことを言われることもございます。
我々の世代というのは、当然、今の日本の国の人口構成を見てみますと、生産年齢人口の中で最も多くのボリュームを占めているのがこの我々の世代ということになります。
ですので、今、生産年齢人口の最大のボリュームを誇る世代として、経済や社会、そして社会保障の担い手というような最大のボリュームであるというのはもちろんでありますけれども、逆に、我々が今度、どんどんどんどん年を重ねていって高齢者になったときには、残念ながら我々の下の世代には人口の山というものがないわけでありますので、そういう意味では、ここで支える側と支えられる側のバランスというのは非常に苦しくなるというか、厳しくなるというか、そういう世代だということであります。
私自身、そういう状況の中に置かれている世代の人間といたしまして、これをどういうふうに乗り越えていくのかというのが私自身の問題意識の最大のものの一つであります。
現在我が国が直面をする最大の社会の変化は、私はやはり人口減少社会の到来だと思っておりまして、今様々な問題を日本の国は抱えているわけでありますけれども、その多くは、この人口減少に起因をするというものが多くあるわけであります。何としてでも、これをしっかりと乗り越えていって、経済や社会を守っていかなければいけないというのが私自身の問題意識であります。
そのように考えたときに、とりわけ、この経済産業の分野におきましては、いかにこの人口減少期において、そしてこれからもそれが更に進化をしていく、進んでいくに当たりまして、それを我々がどういうふうに経済社会構造を変えて乗り越え、我が国の産業であったりまた我が国の経済を守っていくのか、より発展をさせていくのかということが極めて大切な事柄だと思います。
簡単に言ってしまえば、人口が減少するのであれば、今まで十人でやっていた仕事を九人であったり八人であったりでできるような社会にしていく、そして、それによって経済の規模そして産業の規模というものをしっかりと維持発展をさせていき、そこで得られた富というものを例えば賃金という形で働く皆さんにしっかりと分配をしていく、また、場合によっては、そこで得られた富を、社会保障という形でそれらを回していくことによって経済の発展と社会保障の好循環をつくるということが必要不可欠ではないか、そんなことを思いながら私は現在活動をさせていただいているところであります。
そういう意味において、経済の質を高めていく、そして人口減少を乗り越えていくというためには、今申し上げたように、労働供給というものが減少をもう既にし始めているわけでもありますし、またこれからもその傾向というものは続いてまいります。これを乗り越えて、より少ない人数でも経済をしっかりと維持発展をさせていくためには、やはり、新しい技術でありますデジタルやAI、またロボットなどを駆使した生産性の向上を図っていくということが重要であります。
私もいろいろ経産省からお話を聞かせていただいておりますけれども、やはり、とりわけ中小企業の生産性向上というものを図ることが極めて大事だと思っております。
そのための支援策というものを、経産省も補助金などの制度を使いまして実施されているというふうにもちろん承知をしているわけでありますけれども、どの程度現在活用されているというふうに判断をされているのか、お答えをいただきたいと思います。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、中小企業にとりまして人手不足は深刻な課題であると認識しておりまして、中小企業庁におきましても、人手不足解消や生産性向上を後押ししているところでございます。
具体的には、IT導入補助金につきましては、中小企業の生産性向上を目的といたしまして、業務の効率化やDXの推進、あるいはセキュリティー対策等に向けたITツールの導入を支援するものでございまして、令和元年度補正予算の措置以降、これまでに累計二十万件以上の事業を支援しているところでございます。
また、中小企業省力化投資補助金については、これまでのカタログ注文型の支援に加えまして、今年一月から、新たに一般型として、事業者それぞれの業務に応じまして、オーダーメイドの省力化投資への支援を開始しているところでございまして、本年四月末までに計二千四百七件の申請をいただくなど、支援の活用が進んでいるところでございます。
今後も、デジタル化や省力化のための投資の拡大に向けまして、中小企業に広くこれら補助金を活用していただけるように引き続き支援を継続するとともに、運用の改善、それから広報活動の強化に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○松本(洋)委員 ありがとうございます。
是非しっかりと進めていっていただきたいと思いますし、また、しっかりと予算も確保をしていただきたいと思います。
残念ながら、やはり、いろいろとお話を聞いていると、人手が足りないから、本来もっともっと仕事ができるにもかかわらず、時間を短くしなきゃいけないだったりとかそういうことで、多くの機会損失が発生をしているというのが実態だと思っておりますし、また同時に、地元を回っておりますと、えっ、そんな補助金があったのという、そういう声をお聞きをする機会というものも、恐らく、この委員会に出席していらっしゃる先生方も皆さんお聞きになられているんじゃないかと思います。
制度をつくっても、それをしっかりと使ってもらわなければ意味がないですし、そのためには、その制度があるということを知っていただかなければいけないと思います。
また同時に、大切なことは、そういう制度があるということを知っていただくことによって、そうした中小企業の皆さんが、じゃ、この制度を使えば、一体、自分たちの会社、自分たちの事業というものをどういうふうにもっともっと効率化していくことができるのか、付加価値を高めていくのかということを想像してもらって、しっかりと考えてもらうということが私は極めて大事な事柄だと思っております。
是非、そういう意味では、当然、効果検証もしっかりとしていただきながら、真に役立つ制度にしていただかなければいけないわけでありますけれども、進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
また、デジタル化の推進というのは極めて重要でありますが、それを利活用することによって、更なる生産性の、付加価値の向上を図っていかなければならないと思います。そのために極めて大切なことは、やはり、データ連携、データ戦略というものだと思っているわけであります。
我が国のデータ戦略全般については、デジタル庁の方でその計画といいますかを作って進めているというふうに承知をしているところでありますけれども、経済産業省としても、企業、業界を超えた産業分野でのデータ連携の取組推進を図っているというふうに考えております。とても大事な取組だと思います。これにつきまして、経産省の取組状況を教えていただきたいと思います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
我が国企業が生産性や付加価値の向上を図るためには、データを戦略的に活用してビジネスを革新していくということが必要であります。そのための重要な鍵の一つが、委員御指摘のデータ連携、産業分野でのデータ連携をいかに推進していくかということだと認識しています。
経済産業省の方では、データ連携を通じて新しい価値を生み出す、こういう企業間連携の取組をウラノス・エコシステムと名づけまして、官民で連携して推進しています。
具体的には、CO2排出量の管理などを実現するための、自動車、蓄電池のデータ連携基盤を関係業界において構築し、実際にサービスが開始されたところです。
今後は、この取組を、化学物質の管理とか他分野、あとさらに、国際連携を進めていくというようなところにつなげていきたいと考えています。
さらに、データ連携の課題を持つ業界の対応を広く支援するための体制を整備する必要があると認識をしておりまして、経済産業省のデータ、AI担当部局、商務情報政策局ですね、これと、製造局のような業界担当部局、さらに、専門機関である情報処理推進機構、IPAに、デジタルアーキテクチャ・デザインセンター、こちらを立ち上げていますけれども、これが協力する形で体制を整備したところでございまして、産業分野におけるデータ連携の取組を加速していきたいというふうに考えています。
○松本(洋)委員 これらの取組を進めることによって、デジタル化の恩恵というもの、果実というものを、それぞれの個社レベルにとどめるのではなくて、やはり相乗効果を上げて産業全体を底上げをしていくということだと思います。是非よろしくお願いしたいと思います。
先日、我が党のデジタル社会推進本部という組織があるわけでありますけれども、そこにエヌビディアのジェンスン・フアンCEOが来られて講演をしてもらいました。
済みません、ちょっと私も記憶ベースのところがありますので、一言一句正しいわけではもちろんないわけでありますけれども、どんなお話をされたのか、少し紹介をさせていただきます。
これまでAIは目覚ましい進化をしてきた、最初は画像や音声、テキストなどの認識AI、次に、単なるコンテンツ生成だけではなくて、言語や画像、物理法則などの多様な情報の意味を理解し、異なる形式へと変換する能力を持つ生成AIへと進化をしてまいりました、そして、これからはAIとフィジカルの融合の時代であり、物理AIと産業応用が鍵となる次のAI革命においては、日本の製造業における卓越性が決定的な強みとなり、新たな競争優位性を確立できる可能性がある、これからは日本の時代になる可能性があるというような、そういう話をされておりました。そして、この変革期に日本がAIに積極的に関与し、リーダーシップを発揮することを強く期待するというような発言をされていたところでもあります。
残念ながら、なかなか日本はこの分野において世界的な優位性を有しているというような形にはなっていないわけでありますけれども、このフィジカルとの融合という観点、特に、ジェンスン・フアンCEOはロボティクスの話をされておりましたけれども、これとの融合というものによって、我が国は、この分野での遅れというものを一気に挽回をするだけではなくて、世界の中で先頭に躍り出ることができる可能性があるということをお話をされていたところであります。これは私、大変重要な指摘だと思っております。
是非、こうしたフィジカル分野とAIの融合というものを我が国として推進をするべきだと考えておりますけれども、政府の見解を教えていただきたいと思います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
人手不足が深刻化する中、現実世界の領域であるフィジカル分野とAIを融合させた技術を用いた製品、サービス、これは重要です。例えば、AIと融合したロボットは、地域の中小製造業の人手不足、あと、介護、物流分野など、こういった分野に導入することで人手不足の解消につながると考えています。
他方、フィジカル分野とAIの融合のためには、製造現場などの実験で得られた物理現象などの多様なデータを活用できる環境、これが必要になります。
先ほど御答弁させていただきましたけれども、経済産業省の方では、産業分野におけるデータ連携を加速させるための体制を整えたところであります。こうした取組を通じまして、製造現場に蓄積された物理データなどの非構造化データをフィジカル分野とAIの融合のためのデータセットとして使えるようにしていきたいと考えています。
まずは、委員御指摘いただきましたロボット分野の取組を進めるべく、AIを含む最先端のソフトウェアをロボットに組み込むことができるようにするためのオープンな開発環境の構築と、ロボットが高度な判断、動作ができるように、データの蓄積、活用、循環の仕組みと、こうした仕組みなどを通じて得られたデータを用いたAI基盤モデルの開発、これを推進していくために、昨年度補正予算で必要な予算を確保したところです。
引き続き、日本に強みのあるフィジカル分野とAIの融合を通じて、革新的な製品、サービスの創出を後押ししていきたいと考えております。
○松本(洋)委員 是非産業界とも連携して進めていただきたいと思いますが、同時に、やはり、こういう新たな、日本が競争力を持つ可能性がある分野でありますから、このAIがまかり間違って悪用されることがないようにしなければいけないですし、また、技術やデータの保護というものをしっかりと進めていくということも大切な事柄であります。日本が先頭を切って進んでいこうとすればこそ、やはりこういうところにも是非しっかりと目配りをしていただきたいと思います。
先日、八王子市にあります八王子桑志高校というところに視察に行ってまいりました。この高校は、八王子工業高校と第二商業高校を発展的に統合した日本初の産業科の高校ということであります。
デザイン分野、クラフト分野、システム情報分野、ビジネス情報分野の四分野で高校生たちが学んでいたわけでありますけれども、デザイン分野を中心に拝見をさせていただきました。生徒たちみんなが、本当に、学校の授業が楽しいと目を輝かせて、具体的な将来の夢を描きながら勉強している姿というものに大変感銘を受けたところであります。以前高専に行ったときも同じようなことを思いましたし、また、実はそういうところに対する産業界の期待も非常に大きいというお話も聞かせていただいているところでもあります。
やはり、全ての基本は人材であります。教育の分野に、人格形成や学力習得、知識の習得だけではなくて、社会に出るための準備作業という意味合いにおいて、やはり産業界と教育をつなぐ仕組みというのがすごく大切だと思いますし、それを進めていらっしゃると思います。是非、経産省の取組を教えていただきたいと思います。時間がないので、簡単にお願いします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル化や脱炭素化の進展により急速に産業構造が転換していく中で、委員御指摘のとおり、産業界の労働需要を踏まえた人材育成を教育段階から進めていくことは重要でございます。
今年二月に石破総理より、産業界と教育側の双方を一体的に捉え、教育機関での柔軟な学部・学科の再編や企業からの資金提供の後押しなどを含めて、産業人材教育のためのプランを六月をめどに具体化するよう指示をいただいたところでございまして、文科省などと連携をして検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○松本(洋)委員 よろしくお願いします。
最後に、時間がないので、済みません、一問御質問させていただきたいと思います。福島についてであります。
経済産業副大臣を私が担当していたときに、被災者の皆さんから、いつになったら自分たちのふるさとに帰れるんだという声を受けて、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるような取組方針が令和三年に示され、そして特定帰還居住区域の制度というものがつくられました。その省内での検討のキックオフをしたときの副大臣を私が務めさせていただいたところであります。
一年前にも実は同じ質問をしているんですけれども、この一年間での進捗を是非教えていただきたいと思いますし、また、大臣からは御決意も是非お伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。併せてお願いします。
○辻本政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二〇年代をかけて帰還意向のある全ての住民が帰還できるよう取り組むことが政府方針でございます。
現在、五つの自治体、これらの意向を踏まえ計画を策定しながら、内閣総理大臣の認定を経た計画に基づく除染やインフラ整備を実施しているところであります。
引き続き、避難指示解除に向けた取組を前に進めてまいります。
○武藤国務大臣 松本委員の前の前を、災害対策本部長ということで私が務めさせていただいて、一年で三十二回福島に通わせていただいた覚えがありますけれども、何とか地元の方々に早く戻ってほしいという大変な思いを引き続いて委員にも思っていただき、この特定帰還居住区域の整備というものにはしりをつけていただいたということは、大変感謝を申し上げたいと思います。
私どもも、今、福島イノベーション・コースト構想というものを基軸にしながら、産業発展の青写真をこの夏頃を目途に改定することを目指しているところです。
やはり、なりわいというものがないと、これはなかなか人も、戻れるものも戻らない、新しい人も来られないというものが今の福島の現状でありましたので、しっかり委員の思いと一緒になりながら、今後とも引き続いて福島復興に全力を尽くしていきたいというふうに思っています。
○松本(洋)委員 終わります。
どうぞよろしくお願いします。
○宮崎委員長 次に、吉田はるみ君。
○吉田(は)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田はるみです。
本日は、一般質問、どうぞよろしくお願いいたします。
今、松本委員の方からも、産業、経済と教育、このお話をお伺いしながら、いや、ここは一緒に、本当に超党派で進めていかなきゃいけないところだなというのを、じんときました。
私も、今日は、教育と経済に関して、その密接な関係性と対策の必要性の観点から御質問させていただきたいと思います。
早速ですが、大臣はバブルを経験されていらっしゃいますよね。(武藤国務大臣「はい」と呼ぶ)はい。ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代、それを御経験されているというふうに思うんですけれども、一九八〇年代、日本は世界の金融をリードしていました。ロンドン、ニューヨーク、東京という三大都市がある意味ぐいぐいいっていた時代だと思うんですけれども、しかし、現在どうでしょうか。
国際取引連合、通称WFEが発表した最新のデータによりますと、二〇二四年の世界の証券取引所ランキングで、売買高からいうと日本は六位です、世界の中で。一位、二位は、ニューヨーク証券取引所、ナスダックと続いて、三位は中国のシンセン証券取引所、五位は上海証券取引所になります。私、金融都市東京はもっと上に行けるはずだというふうに思っているんですね。
それで、皆様、配付資料の図の一と二を御覧いただきたいというふうに思います。
まず一なんですが、一九八〇年代、持ち株比率でいうと、これは太い黒いのが外国人投資家なんですが、もう全然、一〇%以下でした。それに対して、個人やファイナンシャル、金融機関が持っていた割合が高かったわけですが、今現在、それが逆転しまして、外国人投資家の持ち株比率、これは三二%です。これは、一定の物を言える、また影響力を行使できると言われている持ち株比率三割、これを上回っているわけで、外国人投資家がかなり日本の企業に対して物を言う、アクティビストというものも現れているわけですけれども、こういう現状です。
図二、これは今度は取引高です。株式市場での取引高を見てみると、これもバブル期のときには日本の個人投資家は元気でした。四〇%以上が、デートレーダーなんていう言葉もありましたけれども、そういった株式市場の活況だったわけですが、今は逆転も逆転、今、日本の東京証券取引所の取引の六〇%は海外の投資家になります。
だから、株式市場が活況だとか、株価が上がって何か調子いいのかなと思っても、何だか日本人が豊かになっていない気持ちになる。実は、こういうところにも私はファクトがあるのではないかなというふうに思うんです。
大臣、私は、こういう金融も一つの産業というふうに思っていまして、これは本来なら、もしかしたら金融庁の所管だということなのかもしれないんですが、やはり日本経済、日本産業の全体を見たとき、この金融も一つの重要な産業であり、ここにやはり大臣の見解も伺いたいというところがありますので、ちょっとこの後、文科省の方に幾つかお伺いします、その後に大臣のお考えを伺いたいと思います。
では、最初に文科省に伺いたいんですが、こういった金融の専門家を育てる、ファイナンス、金融、金融工学、ファイナンシャルエンジニアリングなどと言われるコースがあるんですけれども、それは日本にはどのぐらいの数があるでしょうか。
○奥野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、前提といたしまして、金融分野で活躍されている人材につきましては、経営学でございますとか経済学、数学など、多様な学問分野のバックグラウンドをお持ちになってございます。そういった意味で、ある意味、例えば医師ですとか弁護士のように、特定の学位ですとか、必ずしも教育課程と一対一に対応しているものではないという前提でのお答えになります。
その上で、一つの試算といたしまして、まず、令和六年五月一日現在で、授与する学位名称が経営ですとか経営管理でございまして、そして専攻名に例えばファイナンスですとか経営、ビジネス、マネジメントを冠しております修士課程につきましては、百三の大学院がございます。さらに、経営分野のいわゆる専門職学位の課程につきましては、二十七の専門職大学院がございます。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
経営学の中にやはり数理とかそういうものが入ってというのは、そのとおりだと思うんですね。
ただ、今、百三の大学院と二十七の専門というところだったんですが、二〇二三年、私は同じ質問をしていまして、大学の学部でいうと、ちょっと二校減っていませんか。これは、私ちょっと、えっ、何でだろうと。
ここでは文科委員会ではないので伺わないですけれども、確かに、経営学の中に入っているのはいいんです。ただ、私もイギリスでMBAを取っているんですけれども、MBAの中にも、ゼネラリストコースと、ファイナンスに本当に特化して、そのファイナンスを卒業してファンドマネジャーになっていく、こういった、株式市場でがんがん活躍していくような同級生がやはりいっぱいいるんですよ。
だとしたら、日本もファイナンスとか金融工学にやはり特化して、アクチュアリーだとかリスクマネジメント、リスクの計算もいろいろ、本当に専門的な分野だと思うので、やはりそれを設けてほしいなというところがございます。
では、次に、もう一つ、成長産業でありますAI、先ほど松本先生もお伺いしていたと思うんですけれども、これも日進月歩で、まさに大学も本当に今の時代に合わせた教育、研究というのが求められるなというところなんですが、お伺いします。
AI関連分野での人材育成、ここに資するようなエンジニアリング、AI開発のエンジニアリングなど、こういった分野を扱っている学部・学科、これはあるでしょうか。私、自分が立教大学の出身で、人工知能学部というのができるというのをちょっとニュースで見て、へえと思ったんですけれども、そのほか、日本の大学全体、いかがでしょうか。
○奥野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、AIにつきましては、先生御指摘のとおり、AIの名を冠した学部等はございます。ただ、どちらかというと、これは恐らく一つのツールであったり研究開発の領域なので、こちらも必ずしも学部・学科、専攻と人材育成が一対一に対応してございません。
ただ、AIにつきましては、その利活用等が様々な専門分野において求められている、そういった観点がございまして、令和元年に策定されたAI戦略二〇一九に基づきまして、文部科学省におきましては、大学、高専が実施する数理、データサイエンス、AIに関する教育プログラムを認定する制度というのをつくってございます。
この下で、昨年八月時点の認定状況を踏まえますと、文系、理系を問わず、まず、基礎的な素養として、AI活用に関する基礎力を養っていただくリテラシーレベルの水準につきましては、学部、高専のレベルにおきまして四百三十六校、さらに、AIというのをそれぞれの学んでいただいている専攻分野において御活用いただけるような課題解決等の実践的な能力を養う応用基礎レベルにつきましては、百五十二校の大学における学部・学科等において、AIを学んだ人材の育成に取り組んでおるところでございます。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
高専で四百三十六、それで大学で百五十二ということで、大臣、数字を見ると、うわっ、すごいなと思うんです。でも、今おっしゃっていただいたように、リテラシーレベル、ベースアップというところではこれはいいと思うんですけれども、AI研究というのは突き抜けなきゃいけないんじゃないでしょうか。最先端の、ある意味アグレッシブな研究をしなきゃいけないと思うんですね。もちろんベースを広くしていくということも大事なんですが、じゃ、AI研究で、日本の大学でこの先生とか、大臣、ぴっと思い浮かびますか。私は、そういう突き抜けるものが必要だと思うんですね。
今伺いました金融教育、そしてAIに関する現状を鑑みて、やはり経済産業省としても、文科省の方もやはり現場というか産業界のことは経産省の方と連携する必要があると思うんですが、これらを聞いて、大臣、是非大臣のお考えをお伺いしたいです。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
産業振興の立場でいっても、今委員がおっしゃられるような金融ですとかAIといった人材育成は重要な課題である、これは間違いないと認識をしているところであります。
その上で、経産省でも取組を行ってきています。金融領域で例えば申し上げるならば、産業革新投資機構というものがありますけれども、新興ファンドマネジャーの創出、育成に取り組んできています。また、ベンチャー投資家を海外に派遣し、ネットワーキングなどを通じた育成を図っておりますが、AIの領域においては、AIの開発と利用のそれぞれの面で人材育成を進めています。
開発面では、計算資源の調達を支援しつつ、AIの開発経験を持つ人材の育成を進めていますが、この一年間で三百名以上の人材がいわゆるAI開発を経験しているところです。また、AIを含め、デジタル分野のトップ人材を育成するための未踏事業というものがありますけれども、これは二〇〇〇年以降、延べ約二千三百人を発掘、育成し、そのうち四百五十人が起業するなど、デジタル分野を牽引する人材を輩出してきております。
また、利用面においては、文科省と連携をしながら、経済団体、また大学等の代表者も参画する協議会を開催をしながら、AIを含めデジタル技術を活用できる人材の育成に向けた取組を議論してきております。
いずれにしましても、AIというのは、もう十年ぐらいたってきていますけれども、まだちょっと時機がここまで煮詰まっていなくて、今、どんどんどんどん力を入れてきているところですし、委員がおっしゃられるような金融というところについては、やはり私の立場でいうと、産業と教育というものが、もっともっと早いうちから取り組んで、日本の将来を目がけて動いていくべきだろうと思っておりますので、各省とも連携しながら今後ともしっかりやっていきたいというふうに思っています。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
積極的にやっていかなければいけないんですけれども、日本にはもう一つ、ポスドク問題というのがありまして、高等教育に行こうという気持ちがなくなっちゃうんですね。マスターを取って、それこそこういう金融の専門家になろうと思っても、結局、ポスドク問題がある、研究者にもなれない、そして、海外からの研究者をどんどん受け入れて、そこから学ぶしかないという、今度は教育輸入国になってしまうのは私は国の力を落とすと思いますので、早い段階から、今大臣おっしゃっていただきましたように、企業頼みではなく、やはり教育、研究の分野からやる必要があるということを再度お願いしたいと思います。
時間が限られている中なのですが、もう一つだけちょっと短くお伺いしたいと思います。
今度は図三、四、五を見てください。
まず、三は、これは一九八九年、まさに日本が超調子がいいときですけれども、トップ五、全部これは日本の企業です。NTT、その下四つは金融機関。そして、今、二〇二五年、上五は全部ビッグテックと呼ばれるもので、ここがAIアプリ、それから半導体のファブレスというふうに動いているところです。まさに産業は本当に速いスピードで動いていますので、やはりこの現状を本当に真剣に捉え、早く動かなきゃいけない。
その中で、大学ベンチャー、これも見てみました。やはりスタートアップというのは私はとても大事だと思うんですね。スタートアップが元気な国というのは絶対伸びると思っているんですが、これを見てみたら、図四なんですが、所在地、東京にうわっというぐらい一極集中しています。まあ仕方がないかな、大学が多いのも東京だからと思うんですけれども、実はこの研究分野こそ地方創生の鍵なんですよ。私はこれを本当に強く思っているんですが、業種を見てみると、大臣、これは、サービスに次いでIT、アプリケーション、それからソフトウェアとあります。これは別に東京になくていいですよ、人材がいて研究者がいれば。
これが私は地方創生の鍵になっていくと思うんですが、この辺り、大学ベンチャー、大学にファンド、これは官民学連携のところで大事だと思うんですが、武藤大臣なら、次の一手、どんな手を打たれますでしょうか。
○武藤国務大臣 委員おっしゃられるとおり、現状、大学発のベンチャーは東京都に集中をしております。地方大学では地域の強みというものを生かした特色ある研究が実施をされておりまして、私の岐阜県でもそれなりに今動いています。愛知県でも今新しいものが動き出しております。
大学発ベンチャーになり得る技術シーズというものが存在しているわけで、研究成果を活用した地方大学発のベンチャーを創出、育成をしながら、地域に根差しながらグローバルな競争力を持ってもらう、これが重要だというふうに思っています。
経産省としても様々な支援策を講じていますけれども、令和六年の補正予算、これにおいては、地方大学の研究成果を事業化につなげるためのイノベーション拠点の施設整備等を支援し、地方大学発のベンチャー創出、育成支援を実施しているところでもあります。
また、大学の技術シーズとベンチャーキャピタルが持つ経営人材のマッチングを支援しながら、地方大学の優秀な技術シーズの事業化や大学発ベンチャーの成長支援を実施しているところでもあります。
いずれにしましても、地方創生、ここも二・〇ということで新しいバージョンに今入ってきていますけれども、そういう、地域をいかに元気にさせようかということになると、そういうところの支援をしながら、やはりベンチャーというものをしっかり地方にも根差していけるように頑張っていきたいというふうに思っています。
○吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。
シードから、その段階から支援していくんだということで、やはり起業家マインド、アントレプレナーシップ、これは本当に日本を元気にする鍵だと思っていますので、若い方々には、チャレンジしていいんだよという教育、チャレンジしていいんだよというチャンス、失敗してもまた挑戦できるという、やはりこれが、戦後日本が復興してきたとき、みんな、物がない貧しい中で、挑戦しよう、そう思えたところだと思うんですね。是非これをつくっていくために、大臣に御期待申し上げます。
では次に、もう一つの今日のテーマに移りたいと思うんです。
女性役員比率、政府は二〇三〇年までに三〇%という目標を持っている。大臣、御存じですか、この目標、本当は二〇二〇年だったんですよ。ちょっと十年遅くなりまして、ええっ、十年遅くするのと、ちょっと私は大変残念だったんですけれども、それでも今こういう目標を持っているわけです。
最初にまず図七を見てください。いやあ、吉田さん、いつも何か女性、女性と言ってとかいろいろ批判を受けることもあるんですが、ここにはファクトがあります。女性役員が増えているところ、図七を見ていただくと、ROE、PBR、これは株式投資のときにも重要な指標になります。これは全部女性役員三〇%以上の企業が伸びていますね。売上高営業利益率も配当利回りも。成果を出しているんですよ。本当にこういうちゃんとファクトがあるので、だから、別に数字合わせをしろと言っているわけじゃないです。
本当にこういう結果が出るんだからというところなんですが、大臣、その中で問題なのは、済みません、図六に戻っていただいて、全体では、二〇二四年、役員比率一九%、これだけ見ると、あと一一%か、ファイトと思うんですけれども、でも、あれっと。内容は、社外取締役が三七%、生え抜きの、社内で頑張って取締役まで行ったという方は四%です。これは本来私は逆だというふうに思いますよ。大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 ごもっともだと思います。
経済分野、これは、今こういう形で質問いただいたということで、女性活躍の推進は、企業における多様性の確保によるイノベーション創出の観点からも大変重要だというふうに思います。
企業経営における意思決定を担う取締役についても、社外に加え、社内からの女性登用を増やすことが重要であります。
そのためには、管理職、さらには役員へという女性登用のパイプラインの構築、こういう取組が推進されることが必要だというふうに認識をしているところであります。
○吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。管理職、パイプラインまでおっしゃっていただきました。
これはちょっといろいろな女性の声を代弁したいんですけれども、こうやって、女性取締役を三〇%というと、社外取締役はどういう方がなっているか。弁護士、大学教員、著名人、まあ言ってみれば、社会的地位の高い方、社会的信頼のある方になっていただく、これは納得しますよね、周りの方も。だから、ありがたいんですけれども、でも、本来、やはり社内で頑張っている女性がちゃんと登用されていかないと。
この数字はもっともっとよくなるんですよ。日本経済再生の鍵は、私は女性だと本当に信じているんです。ここは本当に数合わせではなくて中身を見ていただきたい。これはやはり、経産大臣として是非推奨していただきたいんです。
私も、大学で教鞭を取っていたときにこの研究をして、実際、社外取締役の女性の方々、また執行役員、この執行役員も、執行役員なんですが議決権はありません。だから、取締役会では、ある意味、意見が言えるけれどもそんなに行使されないという、何かやはり女性の皆さんのもどかしさというものを聞いてきているので、この声を届けたいんです。
その中で、この社外取締役の方、女性の場合は三社以上兼務している人が何と三〇%以上いるという結果が出たんですね。デロイトトーマツグループが、三井住友銀行と、上場企業千百社を対象にした二〇二三年度社外取締役の選任状況を調べたところ、三社以上を兼務する割合は、女性が三一%、それに対して男性は二二%ということで、男性を上回っています。つまり、女性の方が兼務している率が高い。これは、社内で女性幹部の育成が追いついていないという現状と、結果的に社外の女性人材は取り合いの状況になっているということなんですよ。これは私は余りよくないなと思って。
ちなみに、気になりました。社外取締役の報酬は幾らか、大臣、御存じですか。ここで、私は調べてきたので、お伝えします。日本総研が二〇二三年四月から二〇二四年三月の決算の有価証券報告書に基づいて調査した結果によると、東証プライム市場の上場企業で構成されるTOPIX五百社の社外役員基本報酬水準は、平均値で千三百十万円、中央値で千二百三十万円というふうになっています。だから、三社持つと三千七百万円とか、こうなるわけですよ。
もちろん兼務していただくこともいいんですけれども、それだけもっとほかの多くの女性がその取締役になる可能性がある、そういうことだと思うんですけれども、この状況を大臣はどのようにお感じになりますか。是非、答弁書じゃなくて、大臣、普通の感想で結構でございます。
○武藤国務大臣 取締役の標準水準については、企業が設定するものですから、所感を申し上げるわけにいかないんですけれども、羨ましいとは言いませんけれども、なかなかの高水準の所得を持っていらっしゃるなというのが少し正直なところです。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
だから、どこか、誰かに集中するのではなくて、やはり社内というのは、その業務を分かっている、企業のその文化も分かっている、どんな問題があるか、それこそ社員として経験しているわけですから、企業の課題もよく分かっている。社外の方も分かりますよ、専門性はありますから。ただ、また別の視点なわけです。でも、ここの割合が四%と三七%。こんな開きがあるのはやはり私は問題だというふうに思いますので、その辺りはやはり経産省のリーダーシップを期待したいなというふうに思います。
最初大臣もおっしゃっていただきました、女性役員だけではなく管理職、ここが大事なんだと。そうなんですよ。今みたいに、なぜ社外取締役がこんなになっちゃうかというと、パイプラインにいる、社内から上がっていく取締役になっていただきたい予備軍、パイプラインにいるというわけですけれども、その管理職に女性が少ないという状況です。
図八を御覧ください。これは各国の比較になります。日本は、女性の就業率からいうと四五・二%もいるのに、管理職になる人は一四・六、これだけ開きがあります。そのほかの各国、見てください、皆さんちゃんとその割合に合わせるような形でやはり管理職の登用も進んでいます。ここもやはり課題として私は押さえておきたいなと。
もう一つ。やはり差が開いているのがお隣韓国。ここも結構差が開いていますね。私、これと関連性があるか、またもう少し自分自身も調べたいなと思っているんですが、女性が社会に進出すると少子化になるとかというふうに言いますけれども、そんなことないと思いますよ。日本も韓国も、今、少子化、低出生率で苦しんでいる国です。ほかの国はこれだけ高いです。むしろ、働きやすい、そして本当にみんなが、女性だけじゃなくて男性も、あらゆる性の皆さんが社会で自分のやりたいことができるという社会こそ、私は少子化を打破できる社会構造になっていくのかなというふうに思っているんです。
ここで一つ大臣にお伺いいたします。管理職の目標値、二〇二五年に部長級で三〇%、課長級で一八%、係長で一二%というふうになっています。これは結構今いいところまでいっているんです。もしかしたら達成できるかもしれない。でも、大臣、ちょっと残り時間五分ですので最後にお伺いしたいんですが、なぜ女性管理職は増えないんでしょうか。大臣は、何が原因で、こうしたらいいんじゃないかというお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
女性管理職の割合、これは上昇傾向には来ているんだと思います。いろいろな制度というか、世の中の仕組みがそれぞれまた変わってきているので。ただ、政府の目標には、今おっしゃられるように、達しておりません。更なる取組の推進が求められると思っております。
女性管理職や女性役員が増えない原因というものは、一般的に言うと、固定的な性別役割分担意識等を背景としたキャリアの分断ですとかロールモデルの不足等が指摘されているほか、女性特有の健康問題も大きな影響を与えているものと認識をしているところです。
経済産業省は、先ほど申し上げた女性の登用につながる取組のほか、いろいろ、様々にやってきております。こういう職場環境を整備する取組も行っているところで、役所の中というのは、関係省庁で連携をしながらこれをやっていかなきゃいけないと思います。
民間企業においては、これはそれなりに動いてきているとは思いますけれども、働き方改革といいますか、男性の育休ですとか、これは社会構造そのものがやはりなかなか難しいのが日本の歴史の中にあるんだろうと思います。まあ、大分ここも意識も変わってきていると思います。
ただ、私、ちょっと問題意識を持っているのは、やはり地方。私も中小企業出身者でありますけれども、なかなかここが、これは拭い去れないいろいろな地域事情というのがありますし、また、異動を嫌がるという、元々そういうところもありましたので、ここらあたりはよく啓蒙活動をしながら、日本の抱える人口減少もありますから、少なくともそういう問題意識を持って、しっかりと共有していきたいというふうに思います。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
大臣、おっしゃっていただきました伝統的な性別役割分業の影響ですとか経営層の意識改革、やはりこういうことを考えるときには、大企業と中小企業、それぞれちょっと分けて考えるところが必要なのかなと思うんですが、最後にここを一言だけ、私、申し述べたいと思います。
今、ロールモデルが大事というのは、管理職になって、生き生き働いて、すごい楽しいんだよ、こういうやはりモデルがいないと、いや、管理職になれば、給料は上がらないけれども責任だけ増える、子供との時間がなくなる、家庭を顧みれなくなる、こんなネガティブな話ではなくて、やはり女性の力を本当に発揮していくというところが鍵になると思うので、是非女性の声も聞いていただければと思います。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、落合貴之君。
○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。
今日は一般質疑ですので、経済産業政策について重要だと思う項目について質問させていただきます。
まず、日本は輸出立国だというイメージがあったんですが、昨年を見ても四期連続で貿易赤字を記録をしております。
我が国は、食料もエネルギーもデジタルも、国民生活に不可欠なものをことごとく海外に依存していますので、貿易赤字が続くということは、将来的にもかなりリスクを抱えることになるというふうに思います。
したがいまして、前回取り上げましたが、国民生活に不可欠な産業、食料、エネルギー、デジタル等はしっかり自立できるようにしていくことがまず重要であること、それから、黒字にしていくための輸出産業、これもしっかりと確保していくこと、これが重要であるというふうに思います。
自動車産業、これは長年輸出産業の柱の一つだったわけでございますが、関税の問題もありますし、それから、自動車自体がガソリン車から電動車に世界的にも移行していくという中で、かなりぐらついてきてしまっているのが現状でございます。
十年ぐらい前ですが、ヨーロッパのメーカーが、ディーゼル車の不正問題がありまして、ここら辺から思い切って、ディーゼルとかじゃなくて電気自動車、EVにシフトしていこうと。特にヨーロッパが先行して、電気自動車へ全面的に転換をするという動きが出始めました。中国もそれにある意味同調して、アメリカは少し後ろ向きだったかもしれませんが、世界の多くの国が二〇三〇年代には全部電動車にしますと。それは、ハイブリッド車もガソリン車であって、全部電気自動車にしますというようなことを決めていったわけです。EUは、正式には二〇二二年にそれを決めました。
私はその前年の二〇二一年に経済産業委員会で取り上げているんですが、当時、二〇二一年の段階では、電気自動車はほとんど市場に出回っていませんでした。それなのに、ヨーロッパ等が全部電動車にするというのを決めようとしている、これはうまくいかない可能性もあるので、せめてハイブリッド車の中のプラグインハイブリッドぐらいは環境性能車、電動車の中に、カテゴリーに入れてもらうべきだ、それが日本の自動車産業の生き残りにも、活躍する場にもつながると。
これはある意味ルールマネジメント、RM戦略の一つなのでありますが、ハイブリッド車の中でも、普通のハイブリッド車は、基本的にはエンジンを使って、電気に切り替えられるときは切り替える。プラグインハイブリッドは、基本的には電気で、必要なときだけエンジン。なので、基本的には電気自動車にかなり近いわけで、当時、日本が先行していたわけですから、これを世界のスタンダードに入れるべきだということを取り上げました。
しかし、私の感覚では、何かその姿勢が経産省になかなか見られないなと。調べてみると、プラグインハイブリッドは、カリフォルニア州ですとかアメリカの一部では環境性能車に入れてもらっていますが、ヨーロッパでも中国でもそういうルールにはならなかったわけです。
しかし、今年に入って環境が変わってきたと思います。まず、全部電動車にするのは無理だというような話がヨーロッパからも出始めました。それから、トランプ政権は完全に逆コースの方向の政策をやろうとしているわけです。今になってプラグインハイブリッドが重要だということが、ヨーロッパそれから中国のメーカーも認識をして、どんどんそちらへの投資もしているわけです。
ニュースも調べてみると、びっくりしたのが、今まではずっと日本がトップだったのに、大手の報道でも、中国のメーカーのプラグインハイブリッド車の方が性能もいいし価格も安いというようなこともばんばん報道がされているわけです。プラグインハイブリッドの市場が主戦場の一つになります。中国車がもう今年中には進出してくるそうです、日本に。
これは四年前にやっておくべきだったんじゃないかなと私は思うんですが、私からすると、RM戦略の中でプラグインハイブリッドをしっかり重視をしてこなかった、本腰を入れてこなかったこの姿勢、これは反省するべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 二〇二一年五月の質疑に、たしかここに私もいたかなという気がするのでございますが、委員の先見性は感心を申し上げるところであります。
この二〇二一年の当時から、我が国としては、自動車分野でのカーボンニュートラルの実現に向けて、EVだけでなくプラグインハイブリッド車を含めた電動車という呼び名を、そして水素、合成燃料など多様な選択肢を追求していくことを基本方針として、その考え方を各国に対して働きかけてきたところでもあります。
委員御指摘のEUに関しては、現在、二〇三五年以降の自動車分野の排出削減規制に基づく目標において、プラグインハイブリッド車を含めていないものと承知をしているところであります。
ちょっと世界が、ウクライナの話があったり、様々に流れが大きくまた変化をしている昨今の状況等がありますので、また委員といろいろと協議をしながら進めていきたいというふうに思っております。
○落合委員 この世界も日進月歩なので、いろいろと専門家にしか分からない部分はあると思いますけれども、この大手の報道でも、中国にもう抜かされちゃっているんだというようなことが書かれております。
これは日本が先行していたのに、しかも、これからまだ市場が何倍にもなるかもしれないのに、元々かなりプラグインハイブリッドの市場は小さかったですので、また取られちゃっているわけです。
前回も取り上げましたが、私が子供の頃から、四十年前ぐらいから、これからは高度情報化社会だ、今でいうデジタル社会が来ると言われていたのに、半導体のシェアは、その頃世界で五割あったのが今は七%ぐらいだと思います。再エネの時代も来るとオイルショックのときから言われていて、太陽光パネル、日本が半分近くシェアを持っていました。でも、特に原発事故以降、投資が世界に抜かれて、世界シェアは今はほぼゼロになっています。
これから電動車の時代、しかし、まだそこまで完璧にはいかないという中で、プラグインハイブリッドもほぼ日本だけしか持っていない技術であったにもかかわらず、これも抜かされたわけでございます。
やはり、私は、分配よりか成長と今の与党の皆さんが言っていたのは正しいと思うんですが、これは成長していないじゃないか、ことごとく成長産業への投資というのが行われてこなかった、成長戦略自体が間違ってきている部分がたくさんあったと思います。
これはもう抜かされちゃったという見解も多々ありますが、プラグインハイブリッドを再び市場を世界に持っていくために、まだ開発も途上ですので、その開発を後押ししていく。プラス、世界のルールマネジメントにしっかり参加をして、プラグインハイブリッドを環境性能車の主力の一つに入れていく、これをしっかりと日本の産業政策として位置づけていく。これでよろしいでしょうか。やるべきだと思います。
○武藤国務大臣 委員おっしゃるとおりだと思います。多様な選択肢を追求する観点からも、プラグインハイブリッド車の普及は極めて重要だと思います。国内での生産を後押しする戦略分野国内生産促進税制の対象としているほか、車両購入の補助を出しているところでもあります。
また、構成材として、蓄電池の国内生産基盤の強化ですとか充電インフラの整備支援はもちろんでありますけれども、EVのみならずプラグインハイブリッド車の普及にも資する取組でありますので、しっかり進めてまいりたいと思います。
そして、国際ルールのメイキングの話、これもEUが特に得意とする分野であると思います。プラグインハイブリッド車もこれからまだ技術開発等がありますし、二〇二六年に目標の見直しを行う必要があるか報告すると聞いております。
引き続きEUの動向も注視しますし、中国は中国で、この前もちょっとテレビで報道されていましたけれども、七千トンか何かの、強力なプレス型のやつを造って、コストが安いというものを非常に注視してやる製造能力を持っていますから、そういうところも含めて、高品質で安全性、これがやはりプラグインハイブリッドにはあると思いますので、しっかりと、負けないように、また御教示をいただければと思います。
○落合委員 日本は一国しかないのにEUは固まり、その固まりの中に何か国もありますので、ルールマネジメントを、ルールを決めるときになかなか、日本が一国しかないというのは不利であると思います。だからこそ、やはり、外交関係も使って幅広く経済のルールを国際社会で決めていく努力を、外交とも関連させながらやっていくということが重要だと思います。
これは、GX、GXと言われる中で、炭素繊維も日本が先行しているわけですけれども、それ自体を禁止するべきだというような意見もEUから出てきました。やはり、ルールマネジメントは年々重要になってきていると思いますので、そこに経産省も力を入れていく必要があるというふうに思います。
それから、どちらにしてもガソリン車から電動車へシフトしていくという流れは変わらないというふうに思います、その速度がどうなるかはいろいろあると思いますけれども。その中で、電動車を見ると、今、価格の三分の一は蓄電池であるというふうな状況なわけです。この電池の分野も、数年前までは日本がトップでした。液体のリチウムイオン電池ですね。それが、中国のメーカーにも韓国のメーカーにもどんどん抜かされて、どんどんどんどん年々シェアが下がってきて、今、トップファイブにも入らなくなってきているわけでございます。
次世代の電池というのは何なのかというと、いろいろ、そうじゃないという意見もあるんですが、全固体電池。今までは液体の電池ですけれども、もっと伝導率が高いのが固体の電池だということで、これも、その全固体電池は今まで日本がリードをしてきたわけでございます。ただ、まだこれは社会実装化もされていません。世界の車が全部電動車にいずれは換わっていくだろうという中で、ポイントは蓄電池である、そして次世代電池の先行をしているのは日本であるという状況です。
全固体電池、しっかりと政府としても後押しして、戦略的に世界に広めていく、これは重要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 委員と私は全く共有するところがあります。
全固体電池は、従来の液体リチウムイオン電池と比較をして、大幅な小型化、軽量化を可能として、電気自動車の航続距離の延長に貢献するものでありますし、より高い安全性を有する、あるいはまた、性能面の優位性がある次世代の電池であると思っています。
蓄電池産業戦略というものがありますけれども、これは二〇三〇年頃の全固体電池の本格実用化を目標として掲げています。これを踏まえて、全固体電池及びその部素材の実用化に向けた技術開発を支援するなど、サプライチェーン全体の構築に取り組んできているところであります。
こうした背景をしながら、我が国の自動車メーカーは全固体電池の開発を加速させております。トヨタが二〇二七年以降と聞いておりますが、ホンダが二〇二〇年代後半の実用化を目指すなど、世界に先駆けてしっかり頑張っておられると思います。
経産省としても、我が国が全固体電池で技術リーダーの地位を維持、確保できるよう、官民一体となって、いち早く実用化を実現して、市場を獲得してまいりたいというふうに思います。
○落合委員 実用化と初期段階は日本が早いのが結構多いんですけれども、その後が抜かされています。分かりやすく考えると、その後の大規模な投資がやはり日本はできていない。なので、そこまでもやはりやっていくべきで、今までの産業政策で足りないのはそこまで行かないということであると思いますので、そこも意識して取り組むべきであるというふうに思います。
その意味で、経産省が少し前に発表した、大規模、長期、計画的な投資を促していくと、経済産業の新機軸というのを出しました。これは今までの経産省の弱い部分をしっかり認識した上で打ち出したものだと私は思っていますので、その重要性も是非御認識いただきながら政策を打っていただければというふうに思います。
それでは、後半は中小企業政策についてでございます。
経産省には中小企業庁というものを別の組織でつくっているくらい、やはり中小企業というのは重要な経済主体であるというふうに思います。そういう中で、数年前は大きな議論になりましたし、まだそういう意見があるんですが、小さい事業者ほど生産性が低いので、小さい事業者を淘汰させれば日本全体の経済の生産性が上がっていくんだというような意見があります。
ただ、わざわざそういう政策を取らなくても、中小企業白書を見れば分かりますけれども、二〇〇九年に小規模事業者というのは三百六十七万者あったんですが、二〇二一年はもう二百八十五万者、十年ちょっとで四分の一ぐらい減っているわけですね。中小企業を淘汰させる政策をやらなくても、もう淘汰しちゃっているんです。
今、中小企業庁もある中で、特に小規模事業者がどんどんどんどん減っている、十年で四分の一も減っている。これは大臣、しっかり認識されていますでしょうか。
○武藤国務大臣 中小企業、特に小規模事業者の数が長期的に減少傾向にあることは承知しているところであります。
具体的に数字を言った方がいいですか。(落合委員「お願いします」と呼ぶ)はい。
具体的に言いますと、二〇一二年から二〇二一年までの十年間であります。中小企業は約三百八十五万者から約三百三十六万者、うち小規模事業者が、三百三十四万者から、今委員おっしゃられたように、二百八十五万者に減少しているところであります。
○落合委員 なので、淘汰させる政策を行わなくても、もう恐らく生産性が低いところからなくなってしまっているというのが現状なんです。
この速度で減っていくということはいいことであると思うかどうか。この減っていく速度については、大臣、どのように思いますか。
○武藤国務大臣 小規模事業者数、これは減少しております。私どもとしては、その存在は地域経済あるいは地域コミュニティーというものに欠かせないものであると思っています。したがって、極めて重要ですので、加速度的にこれが減っていくということはまさに地域の崩壊につながっていくものだというふうに思います。
○落合委員 わざわざ中小企業庁というものをつくったのも、やはり産業政策全体と中小企業政策は少し違うんだというふうに思います。半分社会政策的な意味があるというふうに思います。
我々みんな選挙区を持っていますので選挙区を回ると思いますが、小規模事業者は、経済活動だけをしているわけじゃなくて、社会的な責任をやはり負っているというふうに思います。まず、商店街にしても、掃除をしているのは商店街の人たちなわけで、掃除の業者が毎日掃除をしているわけではない。あと、街灯をつけるのも、半分は基本的に商店街が負担をしている、商店の人たちの会費で賄われているというふうに思います。お祭りも、自分たちで基本的にはお金を出し合って地域の交流をしている。それから、災害が多いですけれども、消防団は半ば基本的にボランティアで、その人たちは自営業者の方々なわけです。
これは、生産性が低いから要らないというふうにしたら、じゃ、社会的コストは誰が担うんですか、その人たちが担ってきたんじゃないですかということですので。中小企業も最低限の部分でいいんだ、要らないんだというような話ですとか、あと、ゾンビ企業が日本経済の足を引っ張っているんだと。でも、その人たちが経済活動以外のこの社会を支えているということをしっかり、大臣、是非発信をいただければというふうに思います。もう同じような認識だということが分かりましたので、どう思いますかとは聞かないですが。
財務政務官に本日お越しをいただきました。私は、中小企業とか小規模事業者を見ていますと、特にこの十年、複数税率の導入、それからインボイスの導入、これは決定的に事務負担を増やしていると思います。それから、社会保険料の負担も増えていることが、これは必ずしも財務省だけのあれじゃないですけれども、これも、中小企業のコストを増やすということは生産性を下げることになりますので、要は、政府の政策が事務コストを増やして、あと、収益も圧迫するような政策をこの十年間やってきたから、中小企業の生産性は上がらない要因になっているわけです。
最近の中で一番でかいのはインボイスだと思います。私もいろいろアンケートを見てきましたけれども、中小事業者は多いので正確なアンケートを取るのは難しいと思うんですが、私の持っているアンケートは、八割ぐらいは、非課税事業者が課税事業者になったときに価格転嫁ができていません。要は、課税事業者になったときに自分たちの収入の中から消費税を払うということになってしまっているわけです。
インボイスの導入は、決定的に小規模事業者に対して足かせになっているわけです。今、二割特例ですとか八割特例がありますけれども、私はインボイス自体は要らないとは思っているんですが、この特例は残念ながら期限がついています。もちろん、延長する、それから拡大も検討するべきだと思いますが、いかがですか。
○東大臣政務官 お答えをいたします。
この特例措置等々、経過措置等々は、あくまでもインボイスの円滑な導入、そしてあくまでも定着、そういったことを図るための観点からの激変緩和、そして負担軽減措置としての措置でございます。
免税事業者がインボイス発行事業者になるとした場合に売上税額の二割を納付すればよいこととする二割特例、そしてまた、免税事業者からの仕入れに関しても一定割合を控除できることとする経過措置、そういったところに期限を区切って設けているところでございます。
これら経過措置、そして円滑な導入や定着を図るために設けられているというところでございますので、その延長、そして拡大については、こうした目的等も踏まえて慎重に検討する必要があるものというふうに踏まえているところでございます。
○落合委員 慎重に検討というのは、まあ、基本的にはやらないことが多いとは思うんですが、しかし、考えていないという答弁ではないということに希望を持ちたいと思います。
結局、複数税率は導入されましたけれども、日本の帳簿方式はしっかりしているので、海外とは違うので、別にインボイスを導入しなくても複数税率にも対応できますよということは、税理士の方々もおっしゃっていますし、会計の専門家も言っているというふうに思います。
こういった中でインボイスが導入されて、しかも、日本の状況として、これだけ小規模事業者が、十年ちょっとで四分の一減っているということは、この先、十年ちょっとすると、そのときと比べると半分になっているかもしれないわけです。中小・小規模事業者をある程度残していくことが経済のいろいろな厚みをもたらすという中で、どんどんどんどん小規模事業者がなくなるような政策が行われていく。中小企業庁を持っている経産省、経産大臣、これは財務省にしっかり実情を伝えていくべき、そして何らかの政策措置を行っていくべきだというふうに思います。大臣、いかがお考えでしょうか。
○武藤国務大臣 さっきも、数が減っていくというところで、まさに地域のコミュニティーに欠かせないものだということを申し上げたところです。
我々としては、稼ぐ力をとにかく小規模の事業者の方々にも持っていただかなきゃいけない。そして、今委員おっしゃられたように、複数税率とかインボイスの話とかいろいろ出たときに、いわゆる中小、小規模の方々が、例えば、輸出をしやすいように環境改善をしておかなきゃいけないよねとか、帳簿の管理をもうちょっと経営合理化に向けてしっかりやってもらわなきゃいけないよねというので、財務省さんの方からインボイスという話が出てきて、これは、国会の中あるいは自民党の中でも、私自身も随分議論に加わってきたところです。その中で、いずれにしても、今の減っていくということに関して、もうけていただかなきゃいけない、そのためにIT補助金のわざわざインボイス枠までつくって、様々な支援策をやりながら経営改善を図っていただこうということです。
今委員おっしゃられたように、価格転嫁ができないというのは、我々からすると、これは最も一番よくない傾向になると思います。そもそも、この議論が出てきたときに、価格転嫁がしやすいようにという背景があって国会での議論があったというふうに私も承知していますので、ここはしっかりと今後とも注視をしながら、今委員おっしゃられるように、八割特例とか二割特例、いろいろありますけれども、この制度が定着できるように、そしてまた一方でしっかりそれが貢献、反映できるように、中小、小規模の方々にも頑張っていただけるように、我々としてはしっかり後押しをしていきたいというふうに思っています。
○落合委員 小規模事業者が減ったといっても二百八十五万者あるので、実態を把握するというのが物すごく難しい。価格転嫁のアンケートを見ても、発表している場所によって結構ずれがあるのが実態だと思います。
いずれ中小企業庁にもお届けしますが、一万者以上やっているアンケートがあります。これを見てみると、やはり、価格転嫁ができていないというのが八割。インボイスの導入分、納税額が増えた分、価格転嫁できているかというのが、八割できていない。それから、びっくりするのが、経産省がやっているIT導入補助金ですとかを使っていないという方、それから、相談窓口さえ使っていないという方が九割になってしまっています。本当に困っている人たちに対するアンケートをしたところの結果がこれですので、残念ながら、やりますといっても、実際にその効果が世の中に広まっていないのが現状だと思います。ここはより工夫をするべきだと思いますので、まず数字を今日はお伝えをさせていただければと思います。
最後ですけれども、商工中金、大変な不祥事がかつてありました。その中で、民営化の、株の売却のめどが立ったということでございます。今後も政策金融の機能は残していくということで、経産省がしっかり見ていくことになりますが、今日は、今の時点での所感ですとか見解を伺えればと思います。
○武藤国務大臣 今後の商工中金には、中小企業による中小企業のための金融機関としての第一歩を踏み出すこと、そして、事業再生やスタートアップ支援等に係る知見ですとか全国ネットワークを生かして、中小企業の資金繰り支援をより積極的に支援をしていこうということを期待をしているところであります。
また、一昨年成立しました商工中金改革のための改正法におきましては、商工中金に危機対応業務を行う責務を課しております。危機時の資金繰り支援等のリスクの高い事業をしっかりと行いながら、中小企業金融の円滑化に寄与していただきたいと思っております。
また、経済産業省としては、今後、商工中金改革の状況検討会という、これを創設することとしております。改正法に基づいて、商工中金のビジネスモデルの確立状況等についてしっかりと検証を進めてまいりたいというふうに思っています。
○落合委員 また改めて取り上げさせていただきます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、小山展弘君。
○小山(展)委員 静岡県中東遠エリア出身の衆議院議員、小山展弘です。
では、早速質問に入らせていただきたいと思います。
現在、アメリカとイランが核開発、これについての核合意に向けた協議を行っております。
アメリカは、以前、もう既にシリアに対して経済制裁の解除を決定しまして、EUも全ての経済制裁をシリアに対して解除いたしました。イランに対しても、今後の協議の進展次第では経済制裁の解除の可能性というのもあるのではないかと考えます。
外務省は、イランとアメリカのこの核合意に向けた協議の状況について、どのような情報を得て、どのように分析し、どのような見通しを持っておりますでしょうか。
○松本大臣政務官 お答えいたします。
現在、アメリカとイランの核交渉については我々も承知をしているところでございます。
例えば、アメリカについては、濃縮プログラムがイランに存在することは二度と許されないと言っておりますし、一方で、イランの方は、濃縮は必ず続けなければいけない問題で、妥協の余地は存在しないということで、この問題については双方なかなか折り合いがついていない状況だと思います。
しかしながら、我が国としては、この問題については平和的な解決を重視しているところでありまして、この協議自体が行われているということは歓迎をしているわけであります。
それ以上のやり取りについては、アメリカとイランの交渉でございますので、第三国としてはこれ以上の見通し等々についてお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、建設的かつ具体的な行動を取るように我々としても働きかけていきたい、なおかつ注視をしていきたいというふうに思っております。
以上です。
○小山(展)委員 なかなか機微に触れるところまでは答弁できないというのは自然なことだと思いますけれども、私は、今回、制裁解除になる可能性というのも、すぐにではなくても、協議次第ではあると思っております。イラン側からすれば、元々、核合意の破棄も第一次トランプ政権が一方的に行った、イランの側には、この核合意を、合意遵守の姿勢があったということも述べております。
また、トランプ大統領というのは、本当に、一回言ったことをころっと変えたりするところもありますし、どちらかといえば軍産複合体とも距離があって、経済的な利益、メリットを求めていこうというような傾向も強いところもありますので、こういった、イスラエルも絡んでくるところかと思いますけれども、経済制裁の解除に向けて、あるいは、今後の新たな核合意という可能性も十分見通せるのではないかな。ただ、これは、おっしゃられたとおり、一〇〇%ではないと思います。
そのときに、今後の日本、イランの経済関係の再構築を、もしも解除になった場合に、解除になってからやるというのではやはりちょっと遅くて、むしろ協議中から、仮に合意に至らなかった場合には徒労になるリスクはあっても、できる限りのことを寸止めで積み重ねていくということも必要ではないかなとも感じます。
例えば、これはちょっと国交回復の問題なので全く同一には論じられませんけれども、日中国交回復の前に、鳩山一郎内閣のとき、あるいは岸内閣のときまで、実は、当時も、アメリカと北京政府、今の中華人民共和国がジュネーブで接触しているという情報を日本の外務省が得て、米中和解を織り込んで、日本の頭越しに、何も知らないまま、何も対応しないまま当時のアメリカと北京政府が合意をするというようなことは日本の世論ももたないんだということで、日本も当時の北京政府と事実上の交渉ということで、当時の外務省の岡田晃アジア二課長が、「水鳥外交秘話」という回顧録にもそういうのは書いてあるんですけれども、接触を試みたということもありました。
こういったような、アメリカの言いなりばかりじゃない、アメリカの後を追うばかりでもない、かといってアメリカのメンツも潰してはいけない。だけれども、徒労に終わるかもしれないけれどもできる限りのことをやっていくという姿勢がかつては、今も多分あるんだと思うんですけれども、是非、イランとの間は同一には論じられませんけれども、今も制裁解除を待ち続けてイランに駐在を続けている日本の商社もあるとも伺っております。是非、同様の意気込みで準備を行っていっていただきたいと思います。
また、ここからは経産省に伺いたいんですが、イランは、原油埋蔵量は世界第三位、また、天然ガスの埋蔵量は世界二位、人口は九千万人、二〇二三年には引用される科学論文数は日本を抜いて世界第十二位となっています。これは研究開発力も相当ついてきているのではないかな。日本以上ですからね、引用される科学論文数では。しかも親日国。
日本は天然ガスの液化技術を保持しておりますし、イランはこれを欲している。日本は天然ガスあるいは石油等の資源を安定的に輸入することができれば、これは両国にとって互恵的な利益になると考えられます。
エネルギー安全保障、エネルギー供給のリスク分散、あるいは日本製品の市場としてもイランとの関係改善が考えられますけれども、これについての経産省の認識をお尋ねしたいと思います。
○和久田政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、我が国は石油、LNGなどの化石燃料を海外の輸入に大きく依存しておりまして、安定供給を確保することは極めて重要だというふうに考えてございます。
イランにつきましては、原油、天然ガスの確認埋蔵量が豊富であるということとともに、我が国と伝統的な友好関係も有してきてございます。
一般論として申し上げますと、イランから石油や天然ガスが市場に供給されることは、市場の安定化に貢献いたしますし、日本国のエネルギー調達環境を改善するというものと認識をしてございます。
また、イランは我が国との貿易・投資関係の拡大のポテンシャルはあると考えてございますけれども、例えば化石燃料の輸入等の判断につきましては、制裁をめぐる状況に加えまして、国内の需給状況それから経済性などの様々な要因を踏まえまして市場で決まることになると承知をしてございます。
経済産業省といたしましても、イランの核問題をめぐる交渉の状況を十分に注視してまいりたいと考えてございます。
○小山(展)委員 先ほども申し上げましたが、日本の商社の中でも、制裁後もテヘランや、あるいはイランに駐在をして制裁解除を待って頑張っている商社もおりまして、今、制裁に日本も参加しているということで、かなり中国製品がイランの市場で入っているようですけれども、イランの中では、やはりソニーとか日本製品への大変な人気があるんだそうです。それと、出光佐三が今でも人気があるということで、非常に親日国だということもありまして、これだけの市場、また、相互補完関係にあるイラン、今後も出遅れることなく是非関係構築に向けて御尽力いただきたいと思います。
もし、武藤大臣、何かコメントがありましたらお願いしたいと思いますが。
○武藤国務大臣 今事務方からお話がありましたように、大変貴重な資源を持っていらっしゃる国で、歴史的にも大変イランと深い関係にあることは承知しているところです。
アメリカとの関係の中で、今世界がこうやって激動する中で、我々からすると、世界の均衡を保つためにも、ある意味でイランというものの存在というのは大変大事だと思っていますから、そういう形の中で、また委員が大変御関心があるようですので、御指導いただければというふうに思っています。
○小山(展)委員 今、通告なしで答弁していただいてありがとうございます。
アメリカとの関係を壊してはいけないですし、それは大事なんですけれども、その範囲の中でできる限りの努力をしていくというような意気込み、自主的な意気込みというものも是非必要ではないかと思います。
松本政務官、もう答弁はありませんので、御公務に戻られていただきたいと思います。
○宮崎委員長 それでは、松本外務大臣政務官は退席をしていただいて結構です。
○小山(展)委員 次に、酒類販売、お酒の販売、これについてお尋ねしたいと思います。
未成年に販売した場合、販売を行った店員さんが罰せられるという法律になっております。しかし、年齢が見た目だけでも分からずに、私も、恥ずかしながら、国会見学に小学生がいっぱい来ると、とても体格がいい、背が高い小学生がいて、先生と間違えたことがあります。先生、今日はと言ったら、私は生徒ですと言われたことがありました。やはり見た目だけでは年齢が分からないこともあると思います。しかも、未成年でお酒を買いたいということは、自己申告をせずに、私は大人ですと言って、ちょっと化粧なんかもして来たら、なかなか気づかないケースもあるんじゃないか。
スーパーなどの販売店では、もしも、分からずに売ってしまって、店員さんが売ったでしょうというようなことで罰せられるということになってしまうことに対して大変心配したり、そんなことが起きたらどうしよう、幾らアルバイトさんでもパートさんでも店の大事な店員さんだ、こういうような懸念を聞いておりまして、こういった未成年への酒類販売、未成年だと分からないようなケースについての政府の認識をお尋ねしたいと思います。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律におきましては、二十歳未満の者による飲酒を禁止している趣旨でございますが、健康被害防止と非行防止であることから、飲酒をした二十歳未満の者本人に対しては補導が妥当とされているところでございます。
一方、二十歳未満の者の飲酒防止を担保するため、二十歳未満の者自身が飲酒することを知りながら酒類を販売した業者に対する罰則が設けられているものと認識しております。
御質問のような場合が犯罪に該当するか否かは、個別具体的な事実関係に即しまして判断されるべきものでございますので一概に申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、警察といたしましては、飲酒した二十歳未満の者に対する補導はもとより、二十歳未満の者に酒類を販売している業者に対しましては必要な取締りを行い、二十歳未満の者の飲酒防止を図ってまいりたいと考えております。
○小山(展)委員 よくあるような、先輩が飲食店というか飲み屋さんの店長をやっているとか、後輩たちを呼んできてお酒をやるとか、今まさに答弁にあったような、明らかに分かっていてやるようなケース、これはまさに法律のとおりだと思いますけれども、そうではなくて、全く分からなくて売ってしまったというような過失の場合なんかは、今、個々の、ケース・バイ・ケースというお話がありましたけれども、まさにそういうことで、現場の判断ということで、是非、実態に即した判断をお願いしたいと思います。
次に、人口問題あるいは少子化にも関係することをお尋ねしたいと思います。
不妊治療への保険適用、回数制限や年齢制限があるというのは、もちろん、これは保険財政の関係からも決して否定するものではない、全否定するものではないとは思いつつも、だけれども、やはり本来の健康保険の趣旨に反するのではないかとも考えます。例えば、風邪や下痢やインフルエンザの治療で回数制限なんかないです。あるいは、何歳以上のとか何歳未満だったら受けられませんというようなものも、こういった一般的な疾病の場合にはないと思います。しかしながら、不妊治療だけは六回の回数制限というのがある。それを超える場合にはお子さんができにくいということで伺っておりますけれども、例えば、六回目の不妊治療で子供が生まれた、まだ四十歳ぐらいだったとして、一人だけじゃなくて、今後も第二子、第三子が欲しいという場合に、六回を使い切っちゃっていたら不妊治療は保険適用にならないわけですね。
まさにこういうようなケースであったり、あるいは、一般的にも言われていますけれども、四十三歳の年齢を過ぎても出産しているというような事例も、私どもの党の西村智奈美衆議院議員も四十九歳で出産されているというようなケースもありますし、しかしながら、一方でなかなか、回数制限、年齢制限で不妊治療を諦めてしまっているケースもあると聞いています。
今の日本社会にとって最大の問題はまさに少子化、人口減少ですし、こういった社会の課題ということの解決にもプラスの効果になりつつ、個々の一人一人の御家庭、御家族の夢をかなえるためにも、不妊治療の保険適用について回数制限や年齢制限をせめて緩和していく、あるいは将来的には撤廃していくというようなことも考えますけれども、政府の認識をお尋ねしたいと思います。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
我が国の医療保険制度におきましては、有効性、安全性が確認をされ、必要かつ適切な医療については保険給付の対象としてきたところであります。
議員御指摘の不妊治療につきましては、令和四年四月から保険適用されておりますが、この保険適用に当たっては、医学的知見を踏まえた上で年齢や回数の要件を定めております。
具体的には、年齢につきましては、年齢が高くなるほど、出産に至る確率は低下をし、流産率は上昇するといった医学的知見を踏まえ、母体の安全性にも配慮をいたしまして四十三歳未満としてございます。
また、回数につきましては、繰り返し治療を実施した場合の累積分娩割合の増加傾向が年齢とともに緩慢になるなどの医学的知見を踏まえまして、初めて治療を開始する日の年齢が四十歳未満の場合は六回まで、四十歳以上四十三歳未満の場合は三回までとしてございます。
これらの不妊治療の保険適用の要件につきましては、現状では追加的な医学的知見が得られておりませんので、見直しは困難であると認識をいたしております。
○小山(展)委員 たまたまなんですけれども、私の知り合いの産婦人科医がおりまして、サプリの開発とかそんなこともやっている。これは結構聞かれた方もいらっしゃるかもしれないんですが、ミトコンドリアなんかに働きかけるサプリで、かなり、アンチエイジングというか不妊への改善、まさに年齢に対するアンチエイジングで、結果として不妊の改善効果が高い。御本人はノーベル賞を目指すと言っておりましたけれども、こういう研究者もおりまして、様々な薬やサプリなども開発されていて、そういった医学的知見といったものも常に是非議論をしていただいて、繰り返しになりますが、個々の御家族にとっても夢をかなえる、また、社会にとっても少子化、人口問題に対する解決への糸口になるかもしれないということで、是非議論を深めていただきたいと思います。
次に、一級河川、静岡県の菊川についてお尋ねしたいと思います。
土砂堆積が見られて、河口に漁船を係留している遠州漁協の組合員の漁業者さんですけれども、その方々から、河口から船を出していくときに、非常に河口が、堆積によって船が危険だというような状況もありました。しゅんせつをしていただいたということで、ここは早期の対応をしていただいて大変ありがたく思っておりますが、今後もこれは土砂が堆積するといったことも予想されるかと思います。
今後の菊川河口の土砂堆積に対する治水方針についてお尋ねしたいと思います。
○井崎政府参考人 お答えいたします。
ただいま御質問いただきました菊川の河口部につきましては、海からの風や波などの影響によりまして土砂が堆積する場合がございます。また、河口部のマリーナから船舶が往来しているという状況でございます。
先ほど御指摘いただきましたとおり、現地の土砂の堆積状況を踏まえまして、菊川を管理する国土交通省浜松河川国道事務所におきまして、先月から今月の上旬にかけて河口部の土砂の除去を実施したところでございます。
今後につきましても、日常的な河川巡視等により河道の状況を的確に把握いたしまして、土砂の堆積により河川管理上の支障が生じた場合には堆積土砂の除去を行うなど、適切な河川管理に努めてまいりたいと考えてございます。
○小山(展)委員 日本で一番小さな一級河川と言われており、それだけ、河川の規模としては二級河川よりも流域面積が小さい、だけれども雨が降れば一気に水かさが増してということで一級河川になっておりますけれども、是非今後も、土砂堆積等につきましては注視していただきまして、もし土砂堆積が見られた場合にはまた対策をお願いしたいと思います。
次に、学校の体育館へのエアコン設置についてお尋ねしたいと思います。
全国レベルの調査でも普及率は一〇%程度ということで、設置されていない学校が多いという状況です。災害時には学校の体育館というのは避難場所として、設置されることが多くございまして、また、ふだんも、今年も大変な猛暑、酷暑になると言われております。
そういうような状況の中で、体育指導を学校教育の中でしていくときに、学校のグラウンドでやるということがなかなか、熱中症から危険だという場合には、体育館で代わりに授業をするというようなことも起こり得ることも十分想定されると思うんですけれども、このエアコン設置というのが一〇%程度で、体育館でやっても熱中症になっちゃうかもしれないというようなことの現状だと思っております。
こういったものについて、国土強靱化基本予算とか災害対策予算も使用しつつ体育館へのエアコン設置を進めるべきではないかとも思いますし、また、断熱性確保という条件が整ったところに工事しますよということで今までやってきたと伺っていますが、むしろ、速やかにエアコン設置をして、後から断熱性の確保ということに努めることでも、今はエアコン設置を進めていくことの方が大事だと思いますけれども、これについての政府の認識をお尋ねしたいと思います。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
避難所となる公立小中学校の体育館への空調整備につきましては、令和六年度補正予算におきまして、新たに臨時特例交付金を創設いたしまして、補助率を通常より高い二分の一に引き上げるとともに、対象期間は令和十五年度までの十年間とするなど、整備のペースの加速化を図っているところでございます。
また、委員御指摘ございました断熱性の確保につきましては、空調設置の効果向上やランニングコストの抑制のため本交付金の補助要件とさせていただいておりまして、断熱性確保のための工事を含めた必要経費を補助対象としておりますが、委員からお話ございましたとおり、空調整備のペースを加速化する観点から、必ずしも空調整備と同時に断熱性の確保を求めない運用とさせていただいております。
文部科学省といたしましては、経済性に配慮した効果的な断熱、遮熱対策の実施事例を周知するなど、引き続き各自治体が円滑に空調整備が行えるよう必要な取組を進めてまいります。
○小山(展)委員 今の答弁の内容を結構御存じない地方自治体の関係者もおりますので、是非周知に努めていただければと思います。
もう一つ、学校の教員の働き方改革のことについてお尋ねしたいと思います。
それと、答弁を終わられた政府参考人の方は是非お戻りいただいて構いませんので。
○宮崎委員長 ちょっと待って。それは委員長の指示でやりますので。
○小山(展)委員 失礼しました。
では、時間もないので質問を続けさせていただきたいと思います。
学校の働き方改革、これは教育改革とともに考えられるべきであると思いますけれども、道徳教育、これも、私が子供の頃も道徳というのは、授業科目はありましたけれども、この道徳の評価の義務づけとなると、どうやって評価するのか。もちろん、科目をやっている以上は何もフィードバックがないではいけないというところも分かるんですけれども、なかなか評価しづらい科目であるということも道徳についてはあると思いまして、こういったものの義務づけを例えばやめていく、少しでもそういうことで負担を軽減していくべきではないかと考えますけれども、政府の認識をお尋ねしたいと思います。
○今村(聡)政府参考人 お答え申し上げます。
道徳科の評価につきましては、平成二十六年の中央教育審議会の答申におきまして、児童生徒が自らの成長を実感し、更に意欲的に取り組もうとするきっかけとなるような評価を目指すべきとの考え方が示されたところでございます。
この答申を踏まえまして、現行の学習指導要領における道徳科の評価は、ほかの生徒との比較による数値評価ではなく記述式で行うこととしており、この評価には、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受け止めて、認め、励ます教育上の意義があるものと考えております。
なお、次期学習指導要領に向けましては、教育課程の実施に伴う負担に真摯に向き合うことを含めまして、学習指導要領の趣旨の着実な実施のための方策などについて中央教育審議会において御議論をいただくということになっております。
○小山(展)委員 確かに、先ほども申し上げましたとおり、何のフィードバックもないということではというような御意見もあろうかと思いますけれども、是非、でき得る限り教員の負担が軽くなるように、そういったことも含めて御議論をいただきたいと思います。
次に、医療関係のことをお尋ねしたいと思います。
おたふく風邪の予防接種については、これは任意接種ということになっておりますけれども、多くの方が接種もされる。これが定期接種ではないということで、自治体によっては、これを補助しようという自治体もあれば、いや、そんなのやらないよということで、それは自治体さんの判断です。そうすると、自治体によって、多くの方が接種をしているおたふく風邪については、患者さんからするとかなり対応に差が出てしまうというようなこともございます。
医療界からはむしろ定期接種にすべきではないかとの意見も聞かれますけれども、現在このおたふく風邪の予防接種については任意接種となっていることの理由と定期接種への変更の見通しについてお尋ねしたいと思います。
○鷲見政府参考人 お答え申し上げます。
おたふく風邪ワクチンにつきましては、WHOが推奨しているワクチンの一部が日本では定期接種の対象となっていないといったいわゆるワクチンギャップの課題も踏まえまして、定期接種化に向け、審議会におきまして継続的に議論を進めてきたところでございます。
委員御指摘のおたふく風邪ワクチンが任意接種となっている理由は、審議会におきまして、接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度等を踏まえ、より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提であり、新たなおたふく風邪を含むMMRワクチンの開発が望まれるとされたためでございます。
こうした中、より高い安全性が期待できるMMRワクチンが昨年三月に薬事承認申請されたこと等を踏まえまして、昨年六月の審議会におきまして、薬事審査の状況を注視しながら、ファクトシートの追記や修正を検討するよう当時の国立感染症研究所に依頼したところでございます。
今後、薬事審査の結果を含め、ファクトシートを踏まえた審議会での議論の結果に基づきまして、定期接種化に向け、必要な対応を行ってまいります。
○小山(展)委員 是非、医療現場の声も聞きながら、今後も協議を進めていただきたいと思います。
アメリカのトランプ大統領は、消費税の還付金が非関税障壁であるという主張をしておられます。トランプ大統領は消費税還付金の何が非関税障壁であると考えていると政府は認識していますでしょうか。また、トランプ大統領、米国政府の認識に対して、政府はどのような見解を持っておりますでしょうか。
○小見山政府参考人 基本的な考え方ですけれども、日本政府として米国政府の主張を説明する立場にはないという考えでございます。
その上で、御指摘の消費税の還付についてなんですけれども、輸出企業が仕入れ時に支払った消費税の還付については、国産品と輸入品の間で付加価値税の負担に差を設けないという観点から、国際的に共通した取扱いとして行われているという認識でございまして、WTO補助金協定においても輸出補助金には当たらないとされているところでございます。
アメリカ政府に対しましては、引き続き関税措置の見直しを強く求めていきたい、このように考えております。
○小山(展)委員 どんな税金でも、選挙制度もそうだと思いますけれども、完璧な税制や選挙制度というのはないと思っております。どこかにやはりひずみが来たりとか、どこかにこういった、片方からすればこれは不当ではないかというようなものがあろうかと思いますけれども、インボイスでこれだけ中小企業の方々に御負担を強いながら、また、これだけ税収が少ないというようなことが言われている中で、そういったことも含めて、消費税の還付金というのはもう数兆円にも上るとも伺っておりますけれども、まさに円安効果もあって大きな利益も出ているわけですから、この還付金というのを、私は、この制度について見直しをしていくというような姿勢も必要ではないかなと感じております。
最後にもう一問、法人税について。
これは、価格転嫁によって利益を配分していく、価格転嫁を後押ししていくという観点からも効果があるのではないかというようなことを、中小企業同友会の方と、これはジャストアイデアのことですが、職員さんと話していたときに、効果があるのではないかということで議論がありましたけれども、それは、法人税にも累進税率を導入する、こういうようなことで、大手委託企業が利益を計上するより価格転嫁にしていこうというようなインセンティブになるのではないか、そういう御意見もございます。
こういった、法人税の累進税率を導入するという提案についての政府の見解をお尋ねしたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
まず、価格転嫁につきましては経済産業省として各般の取組を行ってきておりまして、年二回の価格交渉促進月間に基づく企業リストの公表、事業所管大臣名の指導助言、下請Gメンによる取引実態の把握などを行ってきております。
また、本国会で成立した中小受託取引適正化法の厳正な執行も含めて、取引適正化に向けた取組を粘り強く実施いたしまして、一層の価格転嫁を促進してまいる所存でございます。
なお、お尋ねの、政府としての法人税への累進税率の導入につきましては、法人は自然人である個人とは異なりまして税負担を回避するために会社分割を行う可能性もあること、法人税制は企業の規模、形態に対して中立的であることが望ましいことなどから、累進税率ではなく単一税率を採用しているところでありまして、法人に対する累進税率の適用には課題があるものと考えられているものと認識しております。
○小山(展)委員 韓国などでも法人税に累進税率が入っております。
これで質問を終わりますけれども、冠たる一流企業が税金逃れのために会社分割をするというのも、これも社会的にもなかなか通用することでもないと思います。一回や二回はできても、たくさんたくさん分割を繰り返していくということは私はなかなか想定しづらいと思いますので、こういった御意見もあるということも含めて、是非また御検討いただければと思います。
以上で質問を終わります。
○宮崎委員長 次に、福森和歌子君。
○福森委員 立憲民主党の福森和歌子です。本日もよろしくお願いいたします。
本日は、日本のコンテンツ産業について御質問をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
まず、日本のコンテンツ産業の海外展開についてお聞きしてまいりたいと思います。資料をお配りしているかと思いますが、資料1の1と2を見ていただければと思います。
こちらは、経済産業省が発表したエンタメ・クリエイティブ産業戦略中間取りまとめ案、事務局資料より抜粋させていただいておりますけれども、これによると、二〇二三年、日本のコンテンツの海外売上規模は五・八兆円。半導体が五・五兆円、鉄鋼産業が四・八兆円ですから、その規模に匹敵してかなり大きなものであると思います。
また、新たなクールジャパン戦略では、コンテンツ産業の海外売上げを二〇二八年までに十兆円、二〇三三年には二十兆円、これはよく見ると自動車の今の規模に匹敵するんですけれども、そういったところに持っていこうという目標を立てておられます。
世界のコンテンツ市場は、資料1の3にもありますけれども、年平均で五%成長していくであろうと予測されていて、日本のコンテンツ産業を、世界の一翼を担うというか、世界でトップを取っていくということは日本経済においても非常に重要であると私は考えています。
一方で、コンテンツ産業の育成支援に係る国の予算を聞きましたところ、約百億円、多いとは言えないんじゃないかなと感じます。政府はコンテンツ産業をどう位置づけて支援していこうとしておられるのか、大臣、お答えください。
○武藤国務大臣 今御紹介もいただきましたが、昨年六月に発表されました新たなクールジャパン戦略では、コンテンツ産業を、多くの外貨を獲得する基幹産業と位置づけているところであります。同戦略では、海外市場規模を二〇三三年に二十兆円とする目標を設定し、政府として必要な支援を行っていくこととしています。
例えば、令和六年度の補正予算、あるいはまた令和七年度の当初予算におきまして、翻訳や見本市等への出展支援ですとか高品質な映像作品に対する制作費の支援、エンタメスタートアップへの支援、クリエーターの待遇改善や下請企業の収益改善、また海賊版への対策などを盛り込んでいるところであります。
現在、有識者による研究会において、エンタメ・クリエイティブ産業戦略というものの策定を検討しております。その中間取りまとめでは、今ございましたように、コンテンツ産業の海外展開等の振興に向けて、十分野百のアクションの実行が必要だとされておりまして、施策の具体化を進めてまいりたいというふうに思っております。
○福森委員 ありがとうございます。
まさに主要な基幹産業として位置づけていただいて、二〇三三年、そう遠くはないと思います、今確かに百とか、私も拝見しておりますけれども、まだまだ弱かったり具体的なところが足りなかったりすると思いますので、是非、二〇三三年までの道筋、方針を明確化して、もっともっと支援をしていただきたいと思います。
コンテンツ産業について申しますと、経団連の方でも、資源を持たない島国である日本において、人間の想像力と創造力こそが、これはイマジンとクリエーティブですけれども、最大の資源であり、デジタルによって誰もが容易に国境や言語の壁を越えて世界中に届けることができるコンテンツの力はますます重要となっていると。日本の国際収支におけるデジタル赤字等の拡大が問題視される中、世界市場でプレゼンスを発揮して外貨を稼ぐ産業としても更なる期待が高まっているとされています。
そして、様々な提言を行っている中で、二〇二三年、二年前になりますけれども、そちらの「コンテンツ産業の現状と経団連の取り組み」によれば、日本のコンテンツ関連府省庁は、分野によって様々な府省庁に分かれていて、各自が推進する支援策の把握も困難だと。現在、コンテンツ産業支援は内閣府や経済産業省、文化庁、総務省等で各々展開されているが、明快なミッションの下、一貫性と継続性を持って、そして効果的に企業支援を行うためにも、ばらばらになっている政府機能を再編し、韓国のように、韓国については資料2を御覧いただければと思いますけれども、韓国のように統合的な政府組織を立ち上げる必要があるのではないかと提言をされておられます。
この統合的な政府組織の必要性に関しては、経団連だけではなくて、実際にコンテンツに関わる方々からも聞いております。政府はこれにどう応えようとお考えですか。
○江澤政府参考人 福森議員にお答え申し上げます。
御指摘の点は、経団連の提言に盛り込まれており、コンテンツ産業振興を担う専門機関が必要であるといった御意見かと承知しております。
先ほども御指摘ございました、二〇二四年から経済産業省にて開催したエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会の中間取りまとめの戦略においても、一元的な司令塔設置への期待の声が大きいと示しているところでございます。コンテンツ産業を基幹産業と捉えまして、二〇三三年に先ほどの海外売上高を約四倍にして二十兆円とするためには、適切な支援体制の整備が必要だと経産省としても考えています。
このような観点から、まずは、日本貿易振興機構、ジェトロでございますが、海外事務所に専門家を配置する取組から進めているところでございます。
我が国のコンテンツ産業に適した機能については、例えば韓国を始めとした各国の取組、韓国はKOCCAという、コンテンツ振興院というのがあるんですが、そういった取組の調査、分析を行い、どのような体制が効果的であるのかを官民で議論して、具体化を進めていきたいと考えております。
○福森委員 おっしゃるとおりです。
文化という視点でもコンテンツは非常に大事なものだと思いますけれども、経済産業省が基幹産業として位置づけてやっておられるということであれば、やはり主体的に、もっともっと旗振りをしていっていただければと考えています。
今、韓国の例が出ましたけれども、韓国のコンテンツ産業支援の一例を挙げると、例えば、先週、五月十三日、大阪・関西万博でKポップコンサートを開催しています。ケプラー等が出演して、大盛況だったとニュースにもなっていました。コンサートは韓国のナショナルデーに合わせて行われたもので、先週末まで万博会場内の展示施設で韓流ドラマとか観光とかそういったPRイベントも開催されていました。万博に限らず、韓国政府は韓国コンテンツのPRを戦略的に行っていて、非常に功を奏しているのではないかと思います。
コンテンツというのは、積極的に発信して、多くの人に見てもらう、聞いてもらう、それによってヒットしていくというものだと思っています。日本も、そういった国内外でのプロモーショナルな見せる拠点、場所をつくっていくべきだ、先ほどの御答弁にもありましたけれども、まだまだ足りていないと思いますが、現状、いかがでしょうか。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
韓国の事例についても御紹介いただきました。非常にうまく、積極的にやっている例かと思います。
例えば音楽ですと、日々視聴できる身近なコンテンツでありまして、アニメや映画といったほかのコンテンツ等の関心、視聴を促すことができる重要性があると考えています。こういった複合的なイベントということは、音楽と組み合わせたものが大事になってくるのかと思います。
これまで海外における音楽の人気はアニメの主題歌が中心でありましたけれども、デジタルプラットフォームが登場したことで、幅広い音楽が視聴される状況となっています。業界も海外展開に本腰を入れているところでございます。
経済産業省としても、先ほどの、二〇二四年から実施していますエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会の中間取りまとめにおいても、海外における見せる機会の不足という点を認識しておりまして、アクションプランにおいて海外のライブ支援なども明記しているところでございます。今後とも経済界と連携しつつ、早急にアクションプランの具体化を図ってまいりたい、このように考えております。
○福森委員 まさにそのとおりで、アニメとか音楽とか、実際、お聞きしても、各コンテンツあるいは各出版社が海外から招致される形で行くことはあっても、なかなか日本でまとまってプロモーショナルにというところができていないのかなと思いますので、是非お願いしたいと思います。
さて、トランプ大統領ですけれども、五月四日、外国で制作された映画に対して一〇〇%の関税を課すという方針を明らかにされました。アメリカの映画産業がとても急速に死につつあると述べ、その対策として、アメリカ通商代表部に関税導入の手続を開始するよう指示したと言われております。また、こうした背景には、トランプさんいわく、他国がまとまった取組として映画制作者やスタジオを誘致するため各種の優遇措置を提供しているんだと主張され、これは国家安全保障上の脅威だと位置づけたともされています。
日本の映画産業がどの程度影響を受けると想定されているか。また、これに対し、どのような措置が考えられると思っていらっしゃるか。そして、現状、発表されているのは外国で制作された映画への関税ですけれども、今後コンテンツ産業全般に及ぶ可能性はありそうか。現状、予想されることとか事前対策について、可能な範囲でお答えいただければと思います。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
今月、五月四日、米国のトランプ大統領は、米国外で制作された全ての映画に対して一〇〇%の関税を課すといったことを自身のSNSに投稿しました。報道によれば、ホワイトハウスの報道官は、本件については最終決定ではなく検討中であるとしており、具体的な内容については明らかになっていないものと承知しております。
引き続き、産業界とも連携しつつ、この状況を注視してまいりたい、このように考えております。
○福森委員 関税に関しては、自動車始め様々な駆け引きも行われておりますし、ただ、コンテンツに関しましても非常に重要だと思いますので、引き続きの注視をよろしくお願いしたいと思います。
それから、先ほどジェトロの話が出ましたけれども、二〇二四年六月に発表された新たなクールジャパン戦略では、コンテンツの海外へのビジネス展開力の向上として、ジェトロにコンテンツ人材の配置など、インテリジェンス機能の強化が挙げられていました。
現在、どのようになっているか。ホームページ等を見ても、あるいはコンテンツ関連に関わる人に聞いても、なかなか具体的なあれがないようなので、教えていただければと思います。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
ジェトロの対応、情報発信等について御質問いただきました。
経済産業省では、コンテンツ産業の海外展開支援体制の整備の一環として、先ほども申し上げましたが、日本貿易振興機構、ジェトロの海外事務所の強化を図っているところでございます。
具体的には、昨年度は、アメリカのロサンゼルス、バンコク、それからニューデリーにコンテンツの支援拠点を整備したところでございます。これらに加えまして、令和六年度補正予算により、新たにパリ、上海、ソウル、サンパウロを追加することとしております。
これらの拠点にコンテンツ専門人材を配置しまして、コンテンツ産業に特化した調査等を実施しまして、さらに、現地企業とのマッチング、それから日本企業からの相談対応などを行っているところでございまして、今後とも継続的に支援をしてまいりたいと考えています。
先ほど御指摘のありましたジェトロのホームページ等での情報発信、こちらが不十分であるといった御指摘でございますけれども、充実に向けまして、来月をめどに支援拠点増設のお知らせや相談受付窓口等を記載した特設ページを開設したいと考えております。
○福森委員 まさに、ジェトロの相談窓口に相談すれば何ができるのか、具体的に示していただく必要もありますし、今いろいろなところに拠点を延ばしているということでしたけれども、逆に経済界の方が先に詳しい情報とかもあると思いますので、十分な連携を取ってやっていっていただければと思います。
コンテンツ産業の海外支援で申しますと、プロモーションやローカライゼーション支援も非常に重要な課題だと認識しています。日本は、現地での広報やプロモーションが他国に比べてとても弱く、例えばさっきサンパウロの話が出ていました、確かに重要な市場だと私は思いますけれども、そもそもそういったターゲット市場をリサーチできていなかったり、翻訳に予算を割けない中小企業への支援とか、SNS等のコミュニケーションも非常に不足しているんじゃないかなと思います。
今後、具体的にどのような施策を行っていくことを予定されているか、お知らせください。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど来出ていますけれども、コンテンツ産業、海外売上げを伸ばしていく、これは経済産業省、国としての重要な施策と考えています。
このため、経済産業省としては、コンテンツが主体となって海外に展開する際のローカライズ及び御指摘のプロモーション活動支援としまして、クリエイター・事業者支援事業費補助金、こちらによって、SNSも含めたプロモーションであるとか、それから海外におけるコンテンツ関係の見本市への出展、海外イベントの実施等を支援しているところでございます。
委員御指摘の点につきまして、日本貿易振興機構、ジェトロの海外事務所等により現地調査を実施しまして、一社では調べ切れないこともございますし、現地の企業の方がむしろ情報を持っているといったこともあると思います、連携もしまして、新しい情報も提供していくほか、SNSを活用したプロモーション等についても、各地域の情勢を踏まえつつ支援を進めていきたいと考えております。
○福森委員 まさにおっしゃっていただいたとおりで、一社ではなかなかできないことです。ですから、まさにその一社から経済産業省の方で意見、要望を聞き取られて、支援をしていくというようなことをお願いしたいと思います。
そして、コンテンツ産業においては人手不足が深刻化する中、生成AIによるアイデア出しとか工程管理など、企画、制作の効率化や海外展開に向けた多言語翻訳、ローカライズへの活用等が期待されている。そんなことがある一方で、結構深刻なのは、著作権侵害が疑われる案件や雇用喪失の懸念など、新たな課題も出てきているかと思います。
また、生成AIが日本のIPデータを大量に学習し、類似したコンテンツを生成することも可能になっていることから、日本のコンテンツ産業の競争力の喪失、権利侵害につながるリスクも顕在化していると思います。
生成AIがもたらすプラス、マイナスの変化に経済産業省としてどのように対応していらっしゃるか、教えてください。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
生成AIについて御質問いただきました。生成AIの活用により業務が効率化されるといったことで、より生産的な創作活動に集中する時間が生み出されるなど、そういったメリットもございます。コンテンツ制作の多くの場面に活用できる側面もあるかと思います。人手不足となっているコンテンツ業界においては、適切な利用を推進していくことが重要であると考えています。
その一方で、委員御指摘のとおりでございますが、生成AIにより我が国のコンテンツの類似物が制作されてしまう、こういったことも可能になっておりまして、知的財産権等を侵害される可能性もございます。
政府としては、権利保護と生成AIの利活用のバランスが重要といった認識の下で、知的財産関連法上の扱いについて様々な省庁で議論が行われています。これを踏まえましてガイドライン等を公表しているところでございます。
経済産業省としては、それらを更に分かりやすく、企業の理解が促されるように、昨年の七月でございますが、コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブックを作成しております。こちらの説明会等も実施してきているところでございます。
引き続き、我が国の強みであるコンテンツ産業の振興の観点から、生成AIの適切な利用について検討を進めてまいりたいと考えております。
○福森委員 生成AIはまさに今進行中で、コンテンツ産業の方々も、使ってみて、よくなってはいるけれども、どうしたものかなと迷われたり、いろいろ悩まれたりということもあると思います。
とりわけ、おっしゃっていただいた権利保護、知的財産の部分はナーバスなことだと思います。ですから、是非、研究をされる、あるいは普及啓蒙、特に啓蒙されるということをよろしくお願いしたいと思います。
IPでいうと、海外でのアニメ、漫画等の無断翻訳、配信等、まだまだ後を絶ちません。海外でのIP保護というのは、一企業ではとても困難なことだと私は思っています。国際ルールの制定とか改善とか、あるいは各国の法律対応など、国として支援策が必要になっていると思いますけれども、どういったことをされておられるか、改めて教えてください。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
コンテンツ関連の海外売上げを伸ばす上で、海賊版対策というのは非常に重要になってきます。海賊版被害については、その被害額が世界で二兆円規模と見積もられているところでございまして、喫緊の課題と認識しています。
海賊版に対する国際ルールの整備等について、まず、関係省庁と連携しておりまして、中国、米国、ベトナム等との間で刑事共助条約、協定等を締結しているところでございます。また、国際捜査共助の体制も構築しているところでございます。
企業の支援も重要でございまして、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構、CODAを通じて実施してきているところでございます。具体的には、海賊版サイト、これは通例複数のコンテンツが載っています、一社だけではなくて複数のコンテンツの権利侵害が行われているということでございまして、CODAを通じまして、関係企業が一社一社でやるのではなく共同で権利行使を行ったり、その他法的措置や行政対応を支援することにより国際執行を進めているところでございます。
特に、例えば中国ではCODAの事務所を設置しておりまして、中国に次いで被害の大きいベトナムにおいても関係省庁と連携して対応を強化しているところでございます。
引き続き、各省庁、他省庁と緊密に連携をしまして、海賊版対策を確実に実施して海外売上げを伸ばしていきたいと考えております。
○福森委員 本当に、まさに中国とかベトナムは海賊版が結構出回っていて、見る側の意識も、こんなことを言ってはあれですけれども、いいだろうと思ってしまっていると思いますので、他国のところまで普及啓蒙というのは難しいでしょうけれども、国際ルールを徹底していただいて、阻止に努めていただければと思います。
ここからは、海外だけではなくて、国内での活動を含め、コンテンツ産業の発展のための支援策についてお聞きしたいと思います。
コンテンツ産業というのは、その特性上、研究開発費や設備投資よりも人件費そのものが投資であって、成長要件となり得ます。このため、成長戦略分野でありながら、また基幹産業として位置づけていただきながらも、既存の税制優遇措置に該当しない、あるいは該当しても活用できずにいる企業も散見され、投資に注力できていないことが懸念されます。例えば、研究開発税制の対象となる費用に、人材投資を始め新規IP創出に係る費用を盛り込むなど考えられないものでしょうか。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
税制等について御指摘をいただきました。例えば、御指摘のあった研究開発税制の対象となる費用に、新規のIP創出に係る費用を盛り込むなどの支援策は考えられないかといった御指摘でございます。
コンテンツ産業の支援策については、様々な御意見をいただいています。産業界からは、税制に関する要望もいただいているところでございます。
各国における政策面も含めたビジネス環境の現状について把握しまして、どのような支援策が効果的なのか、産業界と議論を進めてまいりたいと考えております。
○福森委員 是非、当事者とやるというか、産業界とお話をされて、支援策をより一層強化していっていただければと思います。
そして、コンテンツの競争力の源泉というのは、先ほども申し上げましたが人材だと思っています。クリエーターはもちろん、IPビジネスにたけたプロデューサーというのが非常に重要であると思いますけれども、日本では人材不足であると言われています。人材育成が急務だと思いますけれども、国際競争力のある、そういった人材の育成機関が非常に不足しているのではないかと感じます。まさに産官学が連携したプログラムが必要と思いますが、どのように強化されていく予定でしょうか。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
我が国発のコンテンツの二〇三三年の海外売上げを二十兆円に拡大するためには、コンテンツ作品を支えるクリエーター、それからプロデューサーといった方だけではなくて、様々な分野でIPの利活用を支えるようなビジネス人材の育成も重要な課題と考えております。
この点についても対応していきたいと考えていまして、経済産業省においては、海外におけるビジネス展開の知識や経験がコンテンツ企業に求められている、このように認識していまして、引き続きコンテンツ分野のビジネス人材育成に取り組んでいきたいと考えております。
○福森委員 この分野に関しましては、まさに学問よりも実際の実務、産業界に出られているところの方が詳しかったりもする、その知識が今後を担っていく学生のみんなに必要なことだと思いますので、是非御支援を賜れればと思います。
ちょっと時間が迫ってまいりましたので、質問を幾つか飛ばして、ここからは書店振興と出版産業支援についてお聞きしたいと思います。
というのも、私は小さい頃から本が大好きで、本がないと生きていけないと言っても過言ではなく、書店を始め出版業界を活性化する、そのために頑張っていきたいという思いもありますので、ちょっとお聞かせください。
まず、書店振興プロジェクトチームというものが設置されて一年以上になります。この間、車座ヒアリングを始め様々な活動をされてきたかと思いますので、その成果、今後の計画をお聞かせください。
○江澤政府参考人 書店振興プロジェクトチームについて御質問いただきました。
本を読むことで、過去から学んで、多様な思考に触れて、自らの経験を蓄積することで創造性や独創性を生むことも可能になると考えていまして、その中で、書店は様々な本に出会える一覧性のある点が重要だと考えています。また、コンテンツ政策の観点からも、我が国が強みを持つアニメの原作は漫画でございまして、漫画雑誌の流通経路としても極めて重要だと考えています。
こうした認識の下で、昨年三月に経済産業省に書店活性化プロジェクトチームを立ち上げたところでございます。
これまで、中小書店において中小企業支援策の活用が進むよう書店経営者向け支援施策活用ガイドの公表を行ったほか、書店経営者の方を中心に車座やヒアリングを行いまして、今年一月には書店経営についての課題を取りまとめたところでございます。
さらに、この取りまとめました課題に対しまして、政府としてできることをまとめた書店活性化プランの策定を関係省庁と連携して進めているところでございます。今後は本プランを基に書店振興を進めていきたいと考えております。
○福森委員 是非お願いしたいと思います。
書店経営者といっても本当に様々いらっしゃって、実際作っていただいているガイドブックもありますけれども、なかなか浸透していなかったり、逆にポリシーのある方は、お耳がちょっと違ったりというようなこともありますので、でも、そういったところも根気強く一丸となって支援していくべきだと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
そして、私は、書店振興に関しましては、出版産業全体の改革が欠かせないと思っています。ただ、出版業界は、多様そして小規模であるがために、また、個々の会社の状況や方針も異なるために、例えば書店支援策についてもなかなか業界内でもまとまらないということがあります。
消費税転嫁対策特別措置法が失効して、出版物にも適用されていた税別価格表示の特例措置が終了したときも、ちょっと私も関わっていたんですけれども、とても大変でした。私は広告会社にいたので、広告上どう表記すればいいですかというお問合せをいただきましたけれども、各社各様のお考えがあって、こうしてくださいと言っても、法律に関しての意見とか広告表記に関する意見とか、みんなそれぞればらばらにおっしゃって、なかなか対応に大わらわだったということを今思い出しています。
ただ、書店振興プロジェクトチームがまとめた、関係者から指摘された書店活性化のための課題というのは非常に有用で、これは変えていくべきだろうと思います。
一方で、今私がるる申し上げたように、これは二十年近く前から言われていることなんですが、なかなかまとまらなくて、解決されていなくてというような部分もあります。業界内だけでは変革しづらい面があるのかなと思う中、これはまさに国が支援するというか、外から、こうした方がというふうにしていくべき時期なんじゃないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
書店に関連する出版業界に関すること、さらには二十年来の課題であることを御指摘いただきました。
先ほども申し上げた本年一月に公表した関係者から指摘された書店活性化のための課題、こちらは、書店経営者からの意見を中心に、書店に関連する経営課題を三十四項目にまとめたものでございます。こうした課題については長らく指摘されているものと、まさにそのように承知しております。
また、今回取りまとめた課題解決のための書店活性化プラン、こちらを策定しているところでございますけれども、経済産業省としては、出版業界について、持続的な形で事業を成り立たしめることが急務であると認識していまして、出版業界と連携しつつ、例えば出版業界の長年の課題の一つである返品削減、こちらに向けて、デジタル化を含めて、幅広く施策、検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福森委員 是非お願いします。私も頑張ってまいりたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、東徹君。
○東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。
今日は、風力発電のことについて主に質問させていただきたいと思います。
私は、経済産業省には、日本のこの停滞する経済を何とか成長する経済に変えていってもらいたいと思って、非常に頑張ってもらいたいというふうに思って応援しているんですけれども、ちょっと今回の風力発電の入札については何か疑問が生じるなと思いまして、この点について質問させていただきたいというふうに思います。
洋上風力発電ですけれども、二〇二一年に公募された秋田県と千葉県の沖合の三つの海域でのものについてなんですが、今日は、参考資料としまして、日本経済新聞の「三菱商事の洋上風力、補助金変更は「救済」 競合が反発」というふうな記事をお配りさせていただいております。
私もこの洋上風力の落札のときのことをよく覚えておりまして、どこが一体取るんだろうなというふうに注目をしておりました。二〇二一年に公募されたこの秋田県と千葉県の沖合の三つのラウンドワンと言われる海域の落札をしたのは、三菱商事が落札をしたということでありました。秋田県では十三・二六円とか十一・九九円とか、そしてまた千葉県の方では十六・四九円とか、こういった落札状況だったわけです。よく三菱商事が取ったということで、すごいな、こういうすごい金額で落札したんだなというふうに思った次第です。
今年の二月六日になると、その三菱商事が、ゼロから一度計画を見直すとした上で、五百二十二億円の損失を計上したという発表がありました。また、この会見で、三菱商事の中西社長ですけれども、事業からの撤退の可能性を問われたのに対して、運転開始時期の延期も含めて現時点で明言できないということで、撤退の可能性を否定しなかったわけであります。
この事業、既にこれは計画よりも遅れているというふうに聞いておりますが、事業の撤退も否定しなかったこの三菱商事の発表について、経産省が事前に把握していたのかどうか、三菱商事からの相談はなかったのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘いただきました洋上風力発電の入札でございます第一ラウンド三海域に関しまして、御指摘のとおり二〇二一年に事業主体が決定したものでございますけれども、選定事業者である三菱商事及び中部電力の子会社でありますシーテック社におきまして、本年二月三日に事業性を再評価する旨のプレスリリースを公表し、また、二月六日に減損処理について発表したところでございます。
当該三海域に限らず、世界的なインフレ等により内外の洋上風力を取り巻く事業環境は大変厳しくなっていると承知をしていましたが、二月六日に発表された減損処理につきまして、事業者から経産省に対し事前の情報共有はなかったと承知しております。インサイダー情報に該当する等によるものと承知してございます。
経産省としましては、事業性再評価の実施を公表した翌日の二月四日の朝、早朝でございましたけれども、事業者の来省を求めまして、事業者からプレスリリースの内容について詳しく説明を受けるとともに、私から事業者に対して、地元関係者に丁寧な説明を尽くすとともに、文字どおり、事業主体自身のリリースにもございます、洋上風力の実現に向けて取り得る様々な手を尽くす、そういったことを強く求めたところでございます。それを受けまして、事業者からは、地元に対して丁寧な説明を行った上で、事業性の再評価に向けて取り得る様々な手を尽くしてまいるという回答があったところでございます。
引き続き、事業者に対しては、事業の実現に向けた事業性の再評価とともに、地元の方々への丁寧な説明を求めてまいりたいと存じます。
○東(徹)委員 今のお話を聞くと、五百二十二億円の損失の発表のことについてはなかったけれども、これだけ厳しい状況であれば、何らかの相談はあったんじゃないんですか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
三菱商事、シーテックに限らず全ての洋上風力のラウンド落札事業者においては、進捗状況をその都度報告を受けてございます。その観点から、世界的なインフレ、そしてトランプ大統領によるいわゆるトランプ・ショック、洋上風力に対しての逆風といった状況については聞いてございました。
○東(徹)委員 そうですよね。それは、これだけ資材が高くなってきた、このままではこれはやれないよというふうな相談はあったと思うんですね。
この三菱商事の発表の一か月後になる三月十日なんですけれども、洋上風力に関するワーキンググループで、既に落札された洋上風力の事業についてもFITからFIPへの移行を認める方針が示されたということなんですね。このワーキンググループで経産省は、制度変更ではなく運用を明確化するというふうに説明しているんですけれども、公募前には明確にしていなかったFIPですから、このタイミングで転換を認めるというのは、三菱商事のために後から公募ルールを変更したと言われても仕方ないと思うんですね。
もう皆さん御承知だと思いますけれども、FITからFIPに切り替える、元々はFITということで公募が前提だったはずです。FITで固定価格買取り制度だったものが、FIPというのは、市場の取引ができるというふうな形で、基準価格と市場取引という価格があって、その差があった場合は、プレミアムといって補助金を出しますよという制度なわけですよね。それに変えるというのは、これは大きな変更だというふうに思うわけです。
経産省が三菱商事の救済策ではないというふうに言っているみたいでありますが、なぜ三菱商事が事業からの撤退の可能性も発表した後のタイミングで、FIPへの転換を認めるという重要なルールを明確化する必要があったのか、お伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、FIT制度でございますけれども、二〇一二年に施行されておりまして、様々この委員会でも御議論をいただいておりますように、課題また問題点等がございますということで制度改善を図る観点から、二〇二二年四月に、いわゆるFIT制度、固定価格買取り制度を改善する観点で、フィード・イン・プレミアム、FIP制度というものを新たに導入したところでございます。
従来のFIT制度と違いまして、発電事業者に発電計画の策定を求める、また発電事業者の売電収入を時間帯ごとの電力市場価格に連動させる、こういったことにより、国民負担は一円も増えない、増やさないという大前提の下で、再エネの電力市場への統合を促すとの趣旨によるものでございます。
FITの弊害を一部改善するという趣旨に鑑みまして、政府として、これまでの関係審議会等での議論を踏まえまして、将来的には洋上風力を含む全ての再エネ電源についてFITからFIPへの移行が望ましいと位置づけているところでございます。
このため、FIT認定を取得済みの電源につきましても、二〇二二年四月のFIP制度開始以降、陸上風力あるいは太陽光、こういった電源種を問わずFIP移行を可能とした上で、必要な事業環境整備を通じFIP移行を推進してきたものでございます。
また一方で、いろいろと御指摘いただきましたとおり、インフレなどの影響を受けまして、世界的にも一部プロジェクトの中断等が発生している中で、国内の洋上風力プロジェクトの大規模電源投資を完遂する投資環境整備を図るという観点から、昨年九月以降、関係審議会での検討を進めてまいりまして、制度の見直しを行っております。
それを受けまして、今般、この制度の見直しを反映するため、公募占用指針を制定後初めて改訂する必要が生じたところでございまして、FIT制度を前提に公募を実施した第一ラウンド、この時点ではFITしかなかった、FIP制度は施行されておりませんでしたので、第一ラウンドのFIP移行の取扱いに係る規定上の明確化についても改訂案に盛り込み、関係審議会にお示ししたところでございます。
ただし、その後、改訂案につきまして、三月二十八日から四月二十七日までパブリックコメントを実施いたしました。その際に、今委員から御指摘いただきましたように、様々な事業者を含む関係者の方々から、これは困るといったような御意見も含めて様々な御意見をいただいているところでございまして、今後、公開の審議会の場におきまして、寄せられた反対の御意見等も御提示を申し上げ、公募の公平性や信頼性なども含めて議論していただくこととしております。関係者の御意見もよく伺いながら、結論ありきということではなく、丁寧に対応してまいりたいと存じます。
○東(徹)委員 それは、最初、公募したときはFIP制度はなかったわけですよね。二〇二一年に落札したところが出てきて、そして落札が決まって入札が終わった後、二〇二二年にFIP制度というのができた。そして、今回の三菱商事の案件にFIP制度を当てはめていくというふうな話が出てきたら、これはおかしいじゃないかというのは当然のことだというふうに思うわけですね。これは、本来であれば、事業の収益を左右するような重要なルールですから、公募前にこういったものは明らかにしておくべきことであります。
報道では、ラウンドワン終了後、経産省にFIPへの転換を想定した公募だったかと質問したところ、否定する回答があったということです。これが事実だとすると、何らかの理由で経産省に急な方針変換があったというふうに思われても仕方がないと思うわけです。
こういうものがあったときに、何かやはり我々もおかしいなと思うわけですね。私はよく言うんですけれども、政官民の鉄のトライアングルだというふうに思っていて、三菱商事に天下りの人が誰かいないのかなと思って調べると、二〇一八年から経産省の事務次官の経験者が社外取締役として今も在籍しているということなんですね。この経産省のOBから経産省に対して三菱商事を救済するために働きかけがあったのかどうか、お伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、ルールの話でございますので、先ほど申し上げたとおり、第一ラウンド実施の際にはFIP制度はまだ施行されておりませんでしたので、問合せ等に対してFITを前提としているという回答を申し上げたところでございますけれども、今委員から御指摘いただきましたように、誤解を含めて事業者における認識の違い等があったということでございますので、こういったこともパブリックコメントでも御指摘いただいておりますので、公の場、公開の場の審議会におきまして、しっかりと経緯も含めて審議をしてまいりたいと存じます。
また、お尋ねの、御指摘の経産省を退職いたしました社外取締役から、第一ラウンド公募当時、事業者選定に関する働きかけや、あるいは減損処理発表後に政府の支援を求めるような働きかけはなかったと承知をしております。
○東(徹)委員 やはり天下り先、経産省の事務次官をやっていた人が社外取締役、報道を見ているとかなりの年収もあるようなことも書かれたりとかするわけです。
それと、もう一つ気になるのは企業・団体献金なんですね。企業献金ですよね。自民党の政治資金団体である国民政治協会のホームページを確認すると、国民政治協会は令和三年から五年の三年間で三菱商事から毎年二千八百万円ですから、これは大きいですよね。三年間だと八千四百万円になるわけですから、八千四百万円の献金を受けているということになるわけですね。
経産省に対して国会議員から三菱商事を救済する働きかけがあったのかどうか、これもお伺いしておきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
国会議員の先生方からも、第一ラウンドの選定事業者を救済すべきといった旨の働きかけはなかったと承知をしてございます。
○東(徹)委員 洋上風力にまつわる話ですから、過去にも問題があったわけですよね、だから非常に、こういったことがあったのじゃないのか、こう思うわけです。
こういった八千四百万円の献金も受けておったり、そしてまた、これは国民から見ると、多額の企業献金と天下りを背景に政官民のトライアングルが成り立っているのじゃないのかというふうに思われてもおかしくないと思います。五百二十二億円の損失を出した三菱商事、これを救済しようというふうにこういったものができたのではないかと思われても仕方がありません。国民の政治への不信感を払拭するために、企業献金で政治はゆがんでいないという、口だけではなくて、献金を受け取らないということが私は大事だというふうに思っておりますし、日本維新の会としても企業献金禁止ということを常々、法改正を含めて言っているわけであります。
天下りも、多額の報酬を伴った、利害関係の大きい企業へ再就職するのもよくないなと思いますね。入札をやるところに事務次官経験者がおって、しかも大きな入札ですから、こういったのもよくないですね。そういった落札したところが献金するのもよくないというふうに思うわけですね。
こういったことが、よろしくない、美しいとは私には思えないわけでありまして、こういった問題、大臣はどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 国会議員の献金については、国会の中で今議論が進んでいただいているものと思っています。
今、国家公務員の再就職についてでありますけれども、これも、国家公務員法に基づいて、第三者機関である再就職等監視委員会による厳格な監視の下で、各府省による再就職のあっせんとか、再就職者による役所への働きかけなどが禁止をされています。
また、管理職だった職員が民間企業などに再就職した際は、速やかに内閣総理大臣に再就職情報の届出を行うとともに、公表することとされているところだと思います。
このように、国家公務員の再就職につきましては、厳格なルールにより、透明性と公平性の確保を担保する仕組みとなっていると思っています。経済産業省としても、国民の皆さんに疑念を招かれないように、引き続き再就職等規制の遵守を徹底してまいりたいというふうに思っております。
○東(徹)委員 再就職を悪いと言っているわけではなくて、再就職したところの企業がこういった大きな入札に参加して、しかもこういった疑念が出てくるような問題が起きていると、再就職した人がこういった働きかけをやっているんじゃないのかとか、企業献金をやっているから何らかの働きかけがあったのではないのかとか、そういうふうに思われても仕方がないわけで、やはりこういったことはやめた方がいいなというふうに思うわけです。
ラウンドワンについてのFITからFIPへの転換を認めることによって事業の採算が大きく改善する見込みがあるということでありますけれども、そもそも公募の公平性を大きく損なうものだというふうに思いますし、三菱商事は救済できても、安く大量に電力が市場に出回ることで、第二ラウンド以降の事業者が撤退に追い込まれるという可能性すらあるわけです。
公募の公平性を担保するために、もう一度公募をやり直すとか、やり直さないのであれば、これは三菱商事によって事業を最後までやるのかどうか、この点についてもお伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 御指摘の事業について、現在、事業主体において事業性の再評価を行っているところであります。まずはその状況を注視、確認をしなきゃいけないと思っています。
経産省としては、いずれにしても地元関係者に、先ほど事務方からありましたように丁寧な説明を尽くさなきゃいけないと思います。事業者のリリースにおける、洋上風力の実現に向けて取り得る様々な手を尽くすということを強く求めたところであります。引き続き、事業者に対しては、取り得る様々な手を尽くし、事業を着実に実施していくよう求めてまいりたいというふうにまずは思っております。
○東(徹)委員 計画から遅れているという話ですけれども、計画から何年遅れているか分かりますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今大臣から御答弁いただきましたとおり、現在、事業主体において事業性の再評価を行っているところでございますので、現時点におきまして、まずは今のままの事業計画をしっかり継続していただきたいということをお願いしております。
仮に、遅延も含めて事業計画を変更するということになった場合には、事業主体から計画変更の申請が出てまいります。その計画変更の中身につきまして、第三者委員会において遅延も含めてしっかりと審査をしていく、こういう手続になろうかと思います。
○東(徹)委員 計画から何年遅れているのかをお聞きしているんですけれども。
○宮崎委員長 時計を止めてください。
〔速記中止〕
○宮崎委員長 再開します。
資源エネルギー庁伊藤省エネルギー・新エネルギー部長。
○伊藤政府参考人 大変失礼いたしました。
先ほどの答弁と重複になりますけれども、現時点におきましては、既存の計画に基づいてやっている、もちろん幾つか作業工程の遅れというのは出てございますけれども、最終的に次の計画が出てくるまでどれぐらいの計画の遅れがあるかというのは確定いたしませんので、計画変更の申請が出てきた段におきましてしっかりと、どれぐらいの遅延なのか、そしてそれに基づきまして入札の審査を行っていく、こういうことになろうかと思います。
○東(徹)委員 いずれにしろ、公平公正ではないというふうに疑念を持たれているわけですから、救済だったら救済で、このまま早く当初の計画どおり風力発電をやってもらわなきゃ困るんですとか、何かきちっと説明が要るというふうに思いますので、納得する説明を是非していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、村上智信君。
○村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。
本日も、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の質問では、経済産業省が取りまとめた報告書について質問をしたいと思います。
先月の四月下旬に、経済産業政策新機軸部会、ここにおきまして、第四次中間整理を取りまとめたということでございます。この報告書について質問をいたします。
政府の審議会がまとめる報告書では、社会に対するメッセージが込められているというふうに思います。
早速質問しますけれども、第四次中間整理のポイントを教えてください。どのような知見が得られたのでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の産業構造審議会新機軸部会の第四次中間整理でございますけれども、経済産業省が、経済産業研究所、いわゆるRIETIと共同で、官民目標の国内投資二〇四〇年二百兆円ということが達成されたときのマクロ経済、産業構造の変化を推計したところでございます。その結果、ここ数年と同水準の賃上げが続き、名目GDP約一千兆円を二〇四〇年に達成する推計が得られたということでございます。
加えまして、こうした変化を実現するためには、三つの産業構造転換が必要になることを示しております。
まず第一点目に、製造業につきましては、GX等による差別化やデジタルを活用したサービス化等による高付加価値化により、製造業Xと文書だと称しておりますけれども、に変化していくということ、そして二点目といたしまして、情報通信・専門サービス業につきましては、新需要を開拓し、成長産業になっていく、そして第三に、エッセンシャルサービス業でございますけれども、こちらは、省力化投資を使いこなし、賃上げを実現できる産業となる、こういう絵姿をお示ししたところでございます。
その上で、こうした産業構造を実現するためには高付加価値に向けた成長投資を進めていくことが中長期的に重要であるといたしまして、今後必要となる政策の方向性もお示しをさせていただいたということでございます。
〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕
○村上(智)委員 ありがとうございました。
これからの投資、二百兆円が必要だ、それを実行していけば経済が成長していくんだ、そういうふうな話だと思います。
第四次整理というからには第三次整理があったわけでして、その際には定性的な分析だったけれども、今回の報告書のポイントの一つは、それを定量的に試算をしてみた、そこがポイントだったというふうに感じました。
定性的な試算をすること、これは政策の有用性、有効性を示すのに大変重要な手法だというふうに思っております。
二〇四〇年の経済の状況について、経済成長、GDPはどうなったか、あるいは賃金はどうなったか、こういうことを試算したということでした。
その際には、国の政策は、先ほど様々な政策を教えていただきましたけれども、製造業でいえばGXだとか、サービス業の話、そのような政策が実行できた場合、これを新機軸ケースとして位置づけて、そして、そうではないベースケースと比べてみて、新機軸ベースでは経済がより成長した、そのようなことがまとまっているという話を伺っております。この試算の結果から、人口が減少しても経済が成長するんだということが分かったということで、それは日本の未来にとって明るいなというふうには思いました。
概略は分かりましたけれども、この試算の方法などについて気になることを質問したいというふうに思います。
今後の経済成長を試算するにおいても、粗いやり方もありますし、精緻なやり方もあります。これまでの傾向を踏まえただけで、投資をすればこれだけ伸びるんだ、その傾向だけでやる場合もありますし、産業分野ごとに分解して、産業ごとにやはり傾向も違うでしょうから、それを積み上げるという精緻な方法もあると思います。
そこで、質問いたします。
将来の国内総生産等の試算を行っていますが、産業構造の転換の影響を踏まえた試算になっているのでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる産業構造でございますけれども、その転換について、審議会等での御議論を踏まえまして、世界全体や日本における需要、供給構造の変化や主要な個別産業における二〇四〇年頃の見通しを反映した試算となってございます。
具体的に申し上げますと、まず業種横断的に考えますと、多くの業種でロボット、AI等の導入が進み、それに伴って産業構造に影響が出るというようなことで、産業別に影響を反映しておりますし、また、個別産業で見ますと、例えば自動車産業におきましては、EV化を始めとする脱炭素化やSDV化を念頭に、産業構造の転換を反映したものとなっているところでございます。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
産業の構造を考えた精緻な試算をしたという話を今お聞きしました。その分だけ説得力が増しているんだというふうに思います。
次の質問に移ります。
今回のこの試算において、輸出と輸入についても触れられています。輸出はこれから政府が政策を実行していけばどんどん増えていくんだというふうな、明るいことがまとめられております。
確かに輸出を増やすことは大事だと思います。貿易収支が赤字よりは黒字がいいというふうに思うものだと思いますけれども、しかし、昔ほどは貿易収支は重要ではないというふうに私は考えております。
当然のことながら、日本が国として必要なものを買ってくる、それは大事です。日本にとって必要なのは、やはりエネルギーであったり資源であったり食料。こういうものを買ってくるのは大事。
昔であれば、輸入をする、その分輸出しないといけない、そういうふうに発想しましたし、製造業も、国内で最終製品まで作って、そして輸出をしていました。だからそういう発想になるんですが、しかし、時代は変わりまして、今となっては、製造業は、最終製品を作る工程というのは海外に行くことが増えてきました。もちろん、そうじゃない会社もありますけれども。海外に最終製品を作る工場を移して、そして、ほかの国にまねられたら困るような重要な技術で作る部品、それは国内に置いている、そういうふうな会社が増えてきたわけなんです。
そして、海外で製造する、海外の工場で利益を得て、その分は国内に配当という形や若しくは技術指導料という形で入ってくる。いわゆる所得収支ですね。国際収支で言うところの第一次所得収支、これで入ってくるということになります。
この所得収支が入ってくれば、結局、海外から必要なものを買ってくる外貨というものは稼げるわけなんですね。そういうふうに考えていくと、かつては貿易収支が大事だったかもしれませんけれども、今はむしろ経常収支、所得収支も貿易収支も、あとはサービス収支も加えたこの経常収支が大事だというふうに思うんですね。
そこで、質問いたします。
今回の試算において、輸出と輸入に着目していますけれども、所得収支は勘案していないのでしょうか、お答えください。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、海外の成長力を取り込むという観点から所得収支は重要でございますけれども、今回の試算におきましては、まず二つのパートに分かれておりまして、一つ目は、主要となる経済モデル、こちらはGDP、国内総生産に着目したモデルをRIETIとともに構築をしておりまして、そちらでは、GDPに着目をしておりますので、財・サービスの輸出入はモデルの中に入っておりまして計算されます。一方、所得収支につきましては、これはGDPの中には入りませんので、したがいまして、このモデルの中には入っていないという形でございますので、モデルの計算上は所得収支は出てこないということでございます。
ただ、委員御指摘のとおり、所得収支についても重要なファクターでございますので、このモデルの外でございますけれども、モデルからは直接算出できませんので外からでございますけれども、このモデルから得られたデータですとかその他の経済産業研究所の研究成果を用いまして、いわゆる貯蓄・投資バランス、こちらの方は別途計算をしてお出しをさせていただいておりまして、貯蓄・投資バランスの中では貿易収支、所得収支を含めた経常収支も計算をしておりまして、お出しをさせていただいたということでございます。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
このような経済の状況を試算するに当たって、いろいろなモデルがあると思います。その中で適当なことを選んだということで、直接は所得収支については試算していないということでしたけれども、それはそれで特に問題にするつもりはないんですけれども、しかし、政策を考える上では、しっかりこの点は踏まえておかなければならないというふうに思います。
報告書に、輸出が増える、これで日本は成長するんだというふうに書いてあると、ついつい貿易収支が重要じゃないかというふうに過剰に思ってしまうかもしれません。たった今は貿易収支は赤字傾向かもしれませんけれども、しかし、それでも日本の製造業はしっかり海外で稼いできているわけですから、そのことをしっかり踏まえていかなければならないと思います。
経常収支でいいますと、日本は昨年過去最高の黒字を更新しましたので、日本の製造業、産業競争力というのは、私はしっかりしているんだというふうに思います。これを踏まえた産業政策、政策を考えていかなければならないんじゃないかというふうに思います。
さて、次の質問に移ります。
ここまで試算のやり方として気になることを質問させていただきました。次に気になることは、政府のほかの計画や目標との整合性になります。
そこで、質問いたします。
将来の国内総生産などの試算を行っていますが、二〇五〇年のカーボンニュートラルの影響を踏まえた試算になっているのでしょうか。
〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルについては、別にGX二〇四〇ビジョンですとか第七次エネルギー基本計画などがございまして、私ども、今回、試算をする際にそれらも踏まえまして、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた各産業の構造転換、これらを反映した推計にはなっているということでございます。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
政府の目標としては二〇五〇年にカーボンニュートラルというふうに言っておりますけれども、確かにこの試算は二〇四〇年断面なものですから、二〇四〇年断面の脱炭素の進捗状況、それを踏まえるしかないということは分かります。
二〇五〇年のカーボンニュートラル、これを達成するためには、全く二酸化炭素を出さないということですから、かなり厳しいことになるんじゃないかと思いますけれども、二〇四〇年断面ではそこまでではないと思います。
鉄鋼業界を例に出して考えると、これは説明いただいた話ですけれども、二〇四〇年断面では電炉が増えているだろうという見通しは入っているという説明を聞きました。
これまで、鉄を作るときには、高炉において鉄鉱石と石炭を混ぜて、そして還元をする、このために二酸化炭素がいっぱい出る、こういう話でしたけれども、しかし、電炉に切り替えることによって、電炉というのは鉄スクラップを集めて溶かしますから、それほどまでには二酸化炭素は出てこない、こういうふうな話になるんですけれども、しかし、カーボンニュートラルを目指そうとしますと、これは大変大きな技術革新が必要になります。
そもそも、鉄を鉄鉱石から作るときに、石炭を使わない、こういうことになってくるんです。その代わりとして水素を使う、こんな発想になってくるんですね。水素で鉄鉱石を還元する。
水素を使うと、これは非常に高額になってきます。水素をどうやって調達するかという問題もありますし、水素は、一般的には水を電気分解したら得られる、化学的にはそうなんですけれども、非常に高額になりますし、あるいは石油を分解して水素を得るという発想もあるんですけれども、しかし、これだと脱炭素にはなりません。また、水素を使うと安全面の問題もあります。こう考えていくと、カーボンニュートラルにしていくと大変大きな問題が起こるんじゃないかというふうに思います。
今は二〇四〇年断面なので、それは、この統計の中、試算には出てこないんですけれども、そういうこともしっかり考えていただけたらなというふうに思います。
さて、次の質問に移ります。
脱炭素については第四次整理の試算に盛り込んでいるということでしたけれども、人口に関しても質問をいたします。
将来の国内総生産などの試算を行っていますけれども、政府の人口見通しを踏まえた試算になっているのでしょうか。政府は希望出生率一・八を実現するとしていますけれども、これとは整合するのでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
まず、今回の試算では、一般に推計の確度が高いとされている国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口における中位推計を使用してございます。
これと政府の掲げている目標との関係でございますけれども、まず人口動態につきましては、二〇二〇年五月に閣議決定された少子化社会対策大綱におきまして希望出生率一・八の実現を掲げておりますが、現在、実際は二〇二一年の統計のデータとして希望出生率は一・六となっている、こういうような状況でございます。
政府では、こども未来戦略に基づきまして少子化対策を抜本強化しているところでございますけれども、今後生まれた子供が生産年齢人口に達し、さらに労働力として経済的な観点から効果が生じてくるには十五年以上必要ということになりますので、今回の試算におきまして、経済産業政策の新機軸のミッションとしても希望出生率一・八の回復というのは掲げてはおるんですけれども、これが今後実現したとしても、二〇四〇年までは人口動態に大きな影響を与えないというふうに考えられますので、今回の試算上は、先ほど申し上げた社会保障・人口問題研究所の将来推計人口の中位推計ということになりますので、一・三程度の出生率が続くというデータを使っているということでございます。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
今回の推計では、希望出生率一・八は勘案しないという話は聞きましたけれども、その理由もごもっともだとも思いました。国立社会保障・人口問題研究所の中位の見通し、これは確かに政府がよく使っている見通しですね。それを踏まえているということでした。
確かに、この中位見通しというのは厚労省のホームページにも書いてあるので、これが一般的に使われているのかもしれません。それはそれで趣旨は分かりました。しかし、このような人口の話については、人口が増えれば生産面でもプラスに働きますし、そして消費する面でもプラスに働きます。生産面も消費面も、この試算では勘案しているという話は伺っております。
ですから、関連してこの質問をしたいんですけれども、人口の増というのは生産面でも消費面でもプラスに働きますから、経済成長にもプラスの効果があるというふうに考えます。しかし、今回の第四次整理の報告書を、私、拝読しましたけれども、見ていると、人口減少下においても、国内投資を積極的に行えば経済は成長する、こういうふうな言葉が書かれておりまして、この言葉だけ見ると、何か人口は減ってもいいというふうにも聞こえてしまうんですね。まあ、言葉の言い回しだけの問題かもしれませんが。
そこで、念のために質問をさせていただきたいというふうに思います。
賃金が向上すれば、結果的に結婚も出生数も増えると考えます。そして、出生者数の増加は経済成長にも寄与するので、今回の試算でも、経済産業省の政策との関係でも、前向きに捉えてよいのではないでしょうか。お答えください。
○武藤国務大臣 少子化対策につきましては、結婚や子育ての希望を経済的理由で諦めることがないよう、若い世代を含めた所得向上というものが最重要課題であると思います。
取引適正化の推進や成長分野への国内投資の拡大などによりまして物価を上回る賃上げを進めることは、少子化を改善させ、ひいては長期的な経済成長に資するものだというものは委員と全く共有しているものだというふうに思います。
今回の試算は、二〇四〇年という中期の見通しのため、少子化対策の効果を織り込んでいませんけれども、より長期の経済成長に前向きな効果が期待されることを重要な視点だというふうに思います。
新基軸においても、少子化対策に対する地域の包摂的成長として、希望出生率一・八の回復率は掲げているところで、積極的な政策を展開してまいりたいというふうに思っているところであります。
○村上(智)委員 ありがとうございました。
経済産業省の政策が人口増のために行われているわけではないということは存じておりますけれども、しかし、政策をしっかり行って経済がよくなれば人口が増えるわけです。その結果、更にまた経済が成長するということですので、この人口の問題についても、是非前向きなメッセージを発信していただけたらなというふうに思います。
この第四次整理の結果、社会に何を訴えるのかというときに、人口が減少しても経済は成長しますというふうな言い方だと、どうも人口が減少してもいいんだと思う方が増えそうなので、是非その情報発信においては、人口のことにはあえて触れずに、国内投資を積極的に行えば経済は成長するとか、そういう言い方にしていただけたらなというふうに思いました。
そして、賃金が上がることも非常に大事だということはこの報告書にも書いておりますけれども、私が思うのに、特に若い方の賃金を上げていただくといいかなと。そうすると、若い方が自分の将来の見通しが立って、結婚もしようとか子供も欲しいなと思っていただけるかなというふうに思います。人口減少が非常に今、日本に大きな問題になっておりますので、このことを是非お願いしたいというふうに思っております。
最後の質問に移ります。第四次中間整理を受けての大臣の評価と、これをどのように活用されたいのか、教えてください。
○武藤国務大臣 委員御指摘のとおり、若い世代を含めた所得向上が最重要課題で、さっきも申し上げたとおりです。
この評価なんですけれども、国内投資と賃上げを継続するためには、人口減少による将来悲観というものを払拭しながら、企業や家計の予見可能性を高めることが重要だというふうに思います。今回、積極的な産業政策の延長線上で十分実現可能な二〇四〇年の将来見通しというものを定量的に示したことは、これは意義があるものだと思います。ですが、絵に描いた餅とせず、今回示したような将来の産業構造の転換を実現していくことが何よりも重要であります。
そのためには、高付加価値化に向けた成長投資、そして、将来見通しを通じて大局的な目線を官民でそろえながら、産業構造転換の実現に向けて、研究開発、設備投資ですとか、人材、人的投資など積極的な産業政策を、気を緩めず継続的に強化をし続けていくということが大事だろうというふうに思っています。
○村上(智)委員 やはり、経済産業省がこれからの社会全体に対して明るい見通しを見せることは、大きな意義があるというふうに思います。
少し時間は余りましたけれども、私の質問はここまでにいたします。ありがとうございました。
○宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時七分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、巨大IT企業への規制について、時系列で振り返りながら質問をしたいというふうに思います。
日本で最初の巨大IT規制法は、二〇二〇年の特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律、いわゆる取引透明化法とされております。
この取引透明化法について、我が党は、法案が巨大ITへの監視、規制の第一歩になり得るということで賛成はしましたけれども、同時に、法案の不十分な点、これも指摘をしました。といいますのも、この法律は、巨大ITの自主性に配慮し、国の関与と規制を最小限にすることを理念とし、したがって、禁止行為規定もなく、情報開示命令違反に対しても最大で百万円の罰金にとどまり、巨大ITには痛くもかゆくもないものだったからであります。
まず確認しますけれども、この取引透明化法の枠組みと、指定されている特定デジタルプラットフォーム提供者の会社名を述べていただきたい。
○野原政府参考人 プラットフォーム取引透明化法でございますが、プラットフォームの提供者と利用者の間の取引透明性、公正性を高め、独禁法に違反するような取引が生じにくい環境を整備することを目的としております。
具体的には、規制対象事業者に対しまして、利用事業者に対する取引条件等の情報の開示や変更等の事前通知を行うこと、及び、苦情、紛争処理を含めたプラットフォームと利用者の取引関係における相互理解を促進するための措置を講じることなどの義務を課しております。
現在までに、総合物販オンラインモール分野では、アマゾンジャパン合同会社、楽天グループ株式会社、LINEヤフー株式会社の三社、アプリストア分野では、アップル・インク及びアイチューンズ株式会社、グーグルLLCの三社、デジタル広告分野では、グーグルLLC、メタ・プラットフォームズ・インク、LINEヤフー株式会社の三社を規制対象事業者として指定しております。
○辰巳委員 当時、GAFAなど巨大ITをめぐって、利用者が望まない個人情報の収集や税逃れ、労働者の使い捨てなどが問題となり、世界各国が規制や課税の強化に乗り出しておりました。
また、日本国内では、楽天のオンラインモール、楽天市場に出店する中小企業や個人事業主に対する不利益行為、例えば、象徴的な事案では、送料一律無料、送料込みライン導入とか、これの強要をめぐって、これでは利益が出ないと、出店者による団体が立ち上がって、公正取引委員会に対して調査を要求するという事態にも発展をし、巨大ITをめぐる問題というのが顕著となっておりました。
続けて確認するんですけれども、実は、政府自身が、この法案を閣議決定する前、二〇二〇年一月時点まで、禁止規定を盛り込む方向で準備を進めていました。どのような禁止規定を設けるつもりだったのか、紹介していただけますか。
○野原政府参考人 二〇一九年十二月十七日に、内閣官房の方のデジタル市場競争会議の第二回の会合に提示されたプラットフォーム取引透明化法案の骨子の資料では、一定の取引上の不当行為の禁止を定めるべきか検討するということが書かれておりました。
そのときに、具体的にこの不当行為の例といたしまして、競合商品の拒絶、自社サービスなどの利用強制、自社の商品を有利に表示すること、事業の運営に重大な支障が生じる一方的な不利益変更が例として挙げられていたということでございます。
○辰巳委員 ということだったんですが、一月二十八日の第三回会議で、この禁止行為規定が突如として削除されてしまいました。これは、パブリックコメントで禁止行為規定の削除を求める意見が出された直後のことだったんですね。これはどの団体からの意見だったんでしょうか。
○野原政府参考人 法制定時に実施した当時のパブリックコメントで出ていた反対意見といたしましては、経済団体等から、不当行為が独禁法で禁止されている中、プラットフォーム取引透明化法で独禁法と異なる基準で同様の規制を課すことになると、イノベーションを阻害する懸念がある、あるいは、ビジネスをちゅうちょさせる懸念がある、独禁法の執行との二重行政の懸念があるといった反対意見があったというふうに認識をしております。
○辰巳委員 経済団体というのは、これは経団連ですよね。
○野原政府参考人 経団連さんが出されているパブリックコメント、これは、令和二年一月二十日の、「プラットフォーマー取引透明化法案(仮称)の方向性」への意見として出されているというふうに承知をしています。
○辰巳委員 続けて聞くんですけれども、このとき議事録というのはあるんでしょうか。二〇二〇年一月二十八日の第三回内閣官房デジタル市場競争会議。議事録はどうですか。
○野原政府参考人 議事録はないと承知していますが、パブリックコメントの結果につきましては、令和二年一月二十八日の内閣官房デジタル市場競争本部の事務局がまとめたものがございまして、パブリックコメントの結果の中で、不当行為の禁止に関する御意見、先ほど出たような、ビジネスのちゅうちょの懸念、イノベーション阻害の懸念、二重行政の懸念、それと、また、賛同する意見もあったということが書かれていまして、最後、考え方として、不当行為の禁止については、事業者のイノベーションを阻害する懸念があることも踏まえ、本法案では導入しないことといたしますというふうに書いてあります。
○辰巳委員 経団連から要請があって、しかし、議事録はないんだと。ですから、どういう経緯で削除したのかというのはブラックボックスなんですね。結局のところ、経団連の要求に応えて、禁止行為を削除して、自主性任せの法案、法律へと後退してしまったと言われても仕方のない経緯だと思います。
我が党は、国の適切な関与と規制の下で、巨大ITに透明性、公正性の向上に責任を果たさせることを目的に、禁止規定を盛り込み、違反には独禁法の課徴金の算定率を引き上げ、抑止力を高める内容の修正案も提出して論戦をいたしました。しかし、こういう経過ですから、取引透明化法というのは二〇二一年二月一日に施行されましたけれども、実際に効果を発揮するわけがないと思うんですよ。
例えば、この法律の第九条第一項第二号で、苦情の処理及び紛争の解決に関する事項を経産大臣に提出することが求められているんですけれども、さきに楽天市場の問題を指摘しましたけれども、例えばこの楽天グループ株式会社は、この義務を適切に果たしているのかということなんですね。
本年二月十四日に経産省が公表した、経産大臣による評価案に対する意見公募の結果について、ここにおいて、経産省は同社に対して何と言って改善を求めたのか紹介していただけますか。
○野原政府参考人 二〇二四年度の大臣評価におきまして、楽天に対しまして、相談窓口それからアンケートから得られた利用者の声等を踏まえまして、自主的な改善を求める取組の方向性を示しております。
例えば、アカウント停止に際して、利用者に対し十分に理由が示されているか検証し、必要に応じて見直しを行うこと、それから、楽天が出品者への売上金の支払いを留保する場合、留保期間等の内容が明示されているか点検すべきことなど指摘をしております。
その上で、楽天は、本評価の結果を踏まえ、取引の透明性及び公正性の自主的な向上に努めなければならないこととされております。
○辰巳委員 例えば、提供拒絶措置に対する利用事業者からの不服申立てなど、少なくとも明らかに苦情に該当するものについては、特定の窓口に限定せず、例えば、何らかの工夫によってその概要が分かるようにするなど、少なくとも透明化法第九条第一項第二号の趣旨に反しない程度に十分な情報を行え、こういう趣旨のこともおっしゃっているわけですよね。
大臣、楽天グループは、この苦情処理の全体の件数をきちんと法の趣旨にのっとって報告しておらず、法の趣旨に反するような状態が続いているわけなんですね。これは巨大ITに十分規律が働いていると言えるんでしょうか。
○武藤国務大臣 今局長からもお話しさせていただきましたけれども、プラットフォーム透明適正化法については、独禁法と異なる基準で同様の規制を課すということは、今もお話があったように、イノベーションを阻害する懸念が強く、禁止規定を設けなかった経緯があったということを承知をしているところであります。
また、仮に不当な行為があった場合、当たるような取引があれば、経済産業省による勧告ですとか公正取引委員会への措置請求を行い、同委員会において独占禁止法に基づく必要な措置が取られることから、適切な規律が働いているものと考えているところであります。
取りあえず、そこまでにしておきます。
○辰巳委員 楽天については、苦情処理の実績として、限られた情報しか開示していない状態というのが継続しているというのが実態なんですよ。
ですから、私がこの間申し上げたとおり、やはり、禁止規定がない、かなり骨抜きにされてしまっているということでいえば、きちんと法の趣旨が実行されていないというのが実態だということは言っておきたいと思います。自主性任せでは大きな限界があるんだ、こういうことだと思うんですね。経団連の要求に応じて禁止行為規定を削除したのは大きな間違いだったということは確認しておきたいと思います。
その点では、昨年、二〇二四年のスマートフォン新法、これは貴重な前進があったと私たちは考えております。
公正取引委員会に確認したいと思うんですけれども、この法律は、スマートフォン市場におけるグーグル、アップルのどのような行為を問題としているのか、アプリストアでの決済、課金システムの利用義務づけで高額な手数料を用いている問題の概要、開発事業者からの訴えについて、簡潔に紹介をしていただきたい。
○佐久間政府参考人 お答えいたします。
過去に公正取引委員会が行ったモバイルOS等に関する実態調査、あるいは内閣官房で行われたモバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告によりますと、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定のソフトウェアに関して、例えば、アップルやグーグルが、自社のストアを利用してアプリ内コンテンツ等を販売するアプリ事業者に対し、自社の課金システムを利用すること及び当該システムを通じて三〇%あるいは一五%といった手数料を支払うことを義務づけていることにより、アプリ事業者による多様な料金プランやサービス等の提供が妨げられているという問題があるとされております。
このような問題に関しまして、アプリ事業者からは、特に成長段階の事業者にとって、手数料の負担が大きく収益を圧迫している、あるいは、開発への投資に資金を回すことが難しく、イノベーションの阻害となっているとの声もあると承知しております。
スマホソフトウェア競争促進法では、これらの問題に対応するため、指定事業者に対し、指定事業者以外の事業者が提供する課金システムの利用を妨げることを禁止するなどの所要の規定を設けております。
○辰巳委員 ひどい実態ですよね。ですから、アプリ開発者は利益を収奪されるデジタル小作人なのかと訴える声も広がったわけですね。
これは日本のコンテンツ産業の行方にも関わる問題だと思うんですよ。取引透明化法のように、禁止規定もなく、自主性任せがよいのかということがやはり深く問われていたと思うんですね。
このスマホ新法、趣旨を確認したいと思うんですが、一つに、国の適切な関与と規制の下で、巨大IT企業に透明性、公正性の向上に責任を果たさせる、二つは、不当行為の禁止事項を明記する、事前規制の導入、そして三つには、違反行為の課徴金の規定を設けて抑止を図る、そして四つ目には、EUを参考にして、独立、中立公正な監視機能を高める。これは、大きく言ってこういう方向性ということで間違いないですね。イエスかノーかだけ。
○佐久間政府参考人 お答えします。
委員御指摘のとおり、スマホソフトウェア競争促進法は、スマートフォンの特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争を促進するため、EUのデジタル市場法も参考にしつつ、いわゆる事前規制を導入するなどしたものでございます。
○辰巳委員 これはまさに、我が党が二〇二〇年に取引透明化法の審議の際に提出した修正案の方向性、巨大ITへの実効性ある監視、規制の内容が全体として反映されたものだと受け止めております。
大臣、コンテンツ産業を所管する大臣として、巨大ITに対する適切な規制は、国内のコンテンツ産業を守り育てる上で重要な課題です。巨大ITに対する監視、規制の役割をしっかり果たせるように努力を強めるべきだ、こういうことでよろしいですね。
○武藤国務大臣 我が国のコンテンツ産業は、今日もいろいろ御質問があったところですけれども、多くの外貨を獲得する基幹産業であります。経済産業省では、コンテンツ産業の海外展開等の振興に向けて、先日、エンタメ・クリエイティブ産業戦略の中間取りまとめを公表させていただきました。
その中で、我が国コンテンツ産業の収益を拡大させるためには、海外のプラットフォーマーと我が国企業との契約条件等の改善、透明化等が必要である旨も盛り込んであるところであります。
同戦略を踏まえつつ、プラットフォームの取引透明化法を所管する当省と、独占禁止法やスマホソフトウェア競争促進法を所管する公正取引委員会とが連携をしながら、プラットフォーマーへの対応について検討してまいりたいというふうに思っております。
○辰巳委員 では、今度は、公正取引委員会が、このスマホ新法で与えられた職権を生かして巨大ITに対して適切に監視、規制を行う、これが必要になってくるわけですね。
スマホ新法は、公正取引委員会に、調査権限、排除措置命令の権限、課徴金を賦課する権限と、大きな権限を与えました。しかし、更に我が党は、昨年の審議で、公取のデジタル市場規制の体制がEU、イギリスと比べてまだ脆弱であるということも指摘をして、その抜本的な体制強化も提起をいたしました。今年度は六十一人の体制と、従来の三倍近くに強化をされています。こうした下で、巨大ITに対して従来よりも踏み込んだ規制を適切に執行する、これが大事だというふうに思います。
まさにこの規制強化の課題なんですけれども、確認をしたいと思います。公取に確認します。四月十五日、グーグルに対する独禁法違反での排除措置命令について、簡潔に概要を述べていただきたい。
○大胡政府参考人 お答え申し上げます。
公正取引委員会は、グーグル社が、遅くとも令和二年七月以降、アンドロイド端末メーカーとの間で、端末メーカーが製造する端末へのグーグルプレーというアプリストアを初期搭載することについての許諾に合わせて、グーグルサーチという検索アプリなどの自社のアプリをその端末に初期搭載させるなどの契約を締結していること、また、アンドロイド端末メーカーらとの間で、競争関係にある事業者の検索アプリを搭載しないことなどを条件に金銭を支払う内容の契約を締結していることにより、競争事業者の検索機能を端末に実装させないようにしていることが、不当な拘束条件付取引に該当し、独禁法に違反しているとして、本年四月十五日にグーグル社に対して排除措置命令を行ったところでございます。
○辰巳委員 公取は、これまで確約手続を用いることが多かったんですね。巨大ITに対する独禁法違反での排除命令というのは今回初めてなんです。確約手続は、調査対象が自主改善策を盛り込んだ改善計画を提出をして公取が認定すれば、あくまで疑いということにとどまって、排除措置命令や課徴金納付命令も出されないということなんですね。
我が党はこれまでも、課徴金対象事件では確約手続を用いないようにするなど、めり張りを利かせないと違反への抑止力にならない、しっかり規制を行ってこそ公正な市場環境を確保でき、ひいては健全なイノベーションや競争につながるということを指摘をしてまいりました。
公取に確認します。グーグルに排除措置命令を出した今、確約手続一辺倒では駄目だという認識が、とりわけ巨大IT企業にはあるということでよろしいですか。
○大胡政府参考人 お答え申し上げます。
一般論として、確約手続に付すかどうかは、公正取引委員会が、個別具体的な事案ごとに、確約手続により措置を取らせることが公正かつ自由な競争の促進を図る上で適当であるか否かという観点から判断しているところでございますけれども、例えば、今御指摘のグーグルの件のように、具体的違反行為を認定し、その競争を回復するために厳正な処置を取った方がよいと判断する場合には、きちんとした対応を取っていきたいと考えております。
○辰巳委員 日本のコンテンツ産業を担うディベロッパーや中小企業の利益、消費者の利益を守る立場を堅持することが大事だというふうに思います。
EUやアメリカは、巨大ITに対する執行強化に動いています。足並みをそろえるという点では、巨額の制裁金も科して、規制に踏み込んで、執行面でも足並みをそろえることが重要だということを指摘して、私の質問を終わります。
また万博で何かがあれば、次、質問したいと思います。
以上です。
○宮崎委員長 次に、橋本幹彦君。
○橋本(幹)委員 国民民主党の橋本幹彦でございます。
本日は、地方創生に絡めて、経済産業省の政策について問うていきたいというふうに考えております。
石破総理は、地方創生の再起動というふうにうたいまして、令和の日本列島改造というところまで打ち出したわけですけれども、私もこの方向性は期待したいというふうに思っております。国民もそうだというふうに思うんですけれども、果たしてそのビジョンが具体的な政策や戦略に落ちているのか、絵に描いた餅ではないのか、そういった問題意識から質問させていただきます。
まず、伺いますけれども、過去十年間の主な地方創生関連事業が、地域全体の経済成長、GRPですとか雇用ですとか人口動態にどのような影響を与えたのか、こういった評価はあるんでしょうか。事前のレクで伺ったときには、当該事業に限定して、地方創生の事業に限定して算出することは不可能というお話ではありましたが、ただ、莫大な額を投じているわけです。効果測定できない政策というところに国民の理解や納得は追いつかないと思いますし、そういうことではいつまでたっても本当の地方創生というのはできないと思うんですね。
最低限、例えば、地方創生に関するような事業を行った採択事業と非採択事業の比較分析であるだとか、長期的な追跡調査であるだとか、そういった評価をするべきではないかというふうにも思いますが、いかがでしょうか。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきました地方創生のマクロ的な経済効果ということでありますが、まさに地方創生だけではなくて、各省庁の政策ですとか、自治体、それから民間部門を含めた経済環境、そういった様々な要因がマクロは重なっていると考えておりまして、そういう意味では地方創生のみの効果というものをどう切り出せるかということだと思います。
その上で、今私どもで把握しておりますデータということで御紹介いたしますと、例えば、地方創生交付金ということで全国で九割以上の自治体で活用されておりまして、地域経済の活性化、快適な生活環境の整備、行政サービスのデジタル化、そうした様々な好事例が生まれてございます。
例えば、埼玉県幸手市で交付金を御活用いただいている例でありますが、権現堂の桜ですとか日光街道の幸手宿、そうした景観、歴史的な地域を生かして、まさに芸術も組み合わせた観光振興ということで市外の観光客が増加している事例ですとか、それから、企業版ふるさと納税でありますが、まさに、令和五年度の活用実績が四百七十億円、それから一万四千件ということで、順調に増加しております。徳島県、御案内のように、神山まるごと高専、二十年ぶりの高等専門学校の新設ですとか、そうした先進的な官民連携の取組も生まれているということであります。
地方拠点強化税制につきましても、地域再生法に基づく計画の実績としては、認定件数七百六十件、雇用創出が三・三万件ということでございますが、そうした政策としてまさに各省庁と連携しながら相乗効果を高めていくことが課題ということでありますので、引き続き、こうした地方創生の政策につきましては、地域独自の取組を強力に後押ししてまいりたいというふうに考えております。
○橋本(幹)委員 私の地元の幸手の権現堂公園にも言及いただいて、ありがとうございます。
交付税によって恩恵を受けているところはありますし、それは私も認めるんですけれども、質問している趣旨というのは、その施策の効果を国は測定しているのかという話です。今の御答弁を聞いても、ちゃんと評価していないのではないかなというふうにも思います。
こういう過去の施策、十年間、地方創生事業は続いてきたわけですから、これに対してしっかりとした評価をしなければ、地方創生二・〇と言われても、結局何をやるんだろうか、交付金を分配するという今までの政策の延長ではないかというような感覚にもなります。
一つ交付税について言わせていただくとすれば、結局、地方創生の成果が、昨年度の地方交付税の総額は十七兆五千億円ということでありますけれども、財政的に自立できている不交付団体は全国で八十三団体にしかなっていない、これが一つの結果ではなかろうかなというふうに思っております。
もちろん交付税を否定するものではないんですけれども、地方創生二・〇を進めていくのであれば、大きな政策の方向性としては、地方が自ら稼ぐ力を育てていくことが大事なのではないかなというふうに思います。
経済産業省は、まさに産業構造の改善ですとか産業の集積を担っていく役所でありますから、この先頭に立つべき役所ではなかろうかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 今日も幾つか議論が出ていたと思いますけれども、地方創生二・〇というものは、まさに委員御指摘のとおり、地域が内発的に成長できる経済を実現することが極めて重要だということだろうと思います。この中で、経済産業省においては、地域未来投資促進法、これは随分前に作ってありますけれども、これを通じて自治体の産業振興の取組も後押ししてきているところでもあります。
これと併せて、地域自らがその特性を生かした産業振興を行える環境整備に取り組むことも、これもまた必要であります。
省庁横断、政府一体で、これもちょっと前になります、大分変わったらしいんですけれども、地域経済分析ツールでRESASというのがありまして、この提供であるとか活用促進をしたり、地域活性化起業人制度等を活用しました自治体への人材派遣、また自治体間のコミュニティー形成等を通じた好事例の展開に、引き続き取り組んでまいりたいと思っているところです。
○橋本(幹)委員 地域未来投資促進法ですとかRESAS、これも大変すばらしい取組だと思います。私もRESASをよくいじって、いろいろ見ているんですけれども、ただ、問題は、この投資促進法やRESASによって、国全体で見たときに、果たして各地域に適切に産業集積がされたのか、あるいは産業構造が育成されたのか、結果がどうなのかなというふうに思うところであります。
ここで、ちょっと私の地元の話でございますけれども、私の地元は埼玉県の北東部でございまして、久喜市、蓮田市、白岡市、幸手市、杉戸町、宮代町、伊奈町と七つの自治体があります。平成の大合併の前には更に三つ、鷲宮、栗橋、菖蒲とあったので、十個ぐらい自治体があるようなものですけれども、まさに大臣の御地元も似たようなところではなかろうかなというふうに思います。
この旧自治体含めて十個ある中に、全ての自治体に工業団地があるんですね。合計で幾つあるかといいますと、十八あるんです。その十八ある、広いものから小規模のものまで様々であります、それぞれの町、それぞれの市がリーダーシップを持って、いろいろな問題意識を持って工業団地の誘致ですとか整備を進めたんだと思うんですけれども、果たしてこれが結果としていい結果だったのかなというふうにも思うわけですね。岐阜三区も似たようなところだと思います。いろいろな自治体があって、それぞれの行政がリーダーシップを持って自分たちの市に、自分たちの町に工業団地を整備していこうと。
その取組を否定するものではないんですけれども、広い視野に立って高所の立場からリーダーシップを発揮していくのが、まずは県の役割かもしれないですけれども、経済産業省もそのための枠組みを整えていくべきではないのかなというふうな問題意識があるわけです。
その上で、RESASも結構です、投資促進も結構なんですけれども、自治体の境界を越えた、ある意味もうちょっと広域の地域での地域振興というところを進めていくに当たって、私は、経済産業省の枠組みでいったら特区制度が使い得るのではないかなというふうに思っております。
特区制度、いろいろな特区制度があります。どの特区制度も、大体うたっているのは地方創生ですね。地域の経済の発展にも寄与するんだということを特区制度ではうたうことがよくあるわけですけれども、結果として、では、特区制度が地域の産業集積ですとか産業構造の改善に役立ったのかどうか、そういった評価はあるんでしょうか。
○武藤国務大臣 評価ということでありますけれども、地域未来投資促進法の関係での御質問だということであれば、投資効果に対するKPIを設定しているところであります。その効果を検証しながら支援を実施してきているところで、規制改革に向けた特区制度、これは委員がおっしゃられるようにいろいろ様々ございますが、国家戦略特区、構造改革特区などが存在しておりまして、地方創生の文脈でそれをどのように生かしていくかというところが重要だというふうに思っています。
官邸でもいろいろな会議をやって、いろいろな議論もしていますけれども、委員おっしゃられるような広域連携ですとか、これもある意味で、経産省だけじゃなくて、総務省なりいろいろな、内閣府も踏まえてやっていかなきゃいけません。
いずれにしましても、うちも先生の選挙区とはちょっと、うちは随分田舎が多いものでちょっと違うかもしれませんけれども、地域それぞれの個性がありますので、その個性を、市町村の市境を越えたところ、あるいは県のリーダーシップ、それぞれ経産省として後押しできるところがあればしっかり連携できるような形での、マッチングというものが非常にまた難しい話ですから、そこは是非我々としては応援をさせていただければというふうに思います。
○橋本(幹)委員 広域連携の必要性は本当におっしゃるとおりだと思います。是非経済産業省にも、そこは広域連携というと総務省の役割になってしまいますから、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っております。
先ほど工業団地が十八あると言いました。あるいは、その近くには、研究所であったりだとか大学も私の地元にはあります。そういった地域というのは、決して私の地元に限った話ではなくて、日本全国、似たような地域はあるんだと思います。京浜工業地帯ですとか北九州ですとか、そういった日本を代表するような工業地帯だけではなくて、その地域のダムとなるような、その地方のダムとなるような、そういった産業集積を進めていく必要があるのではないかなというふうに思っております。
それに当たって、やはり地域の、本質的に言えば住民自治というのがそれを後押ししていくものだとは思うんですけれども、さっき申したように、今ある自治体の中で、それぞれ首長さんがいて、いろいろな議員の方がいて、その中でそれぞれがその町、その市の最適解を求めて産業集積ですとか産業構造の育成というのを推し進めているわけですけれども、もっと広い範囲で見ていったときに、あまたある工業団地群、そして大学、研究所というところが一体となっていったら、第二次産業、第三次産業、第四次産業と、新たな産業のクラスターがつくれるのではないかなというふうに思っているわけであります。
そういった産業のクラスターをつくっていくという中において、広域連携も大事ですけれども、その地域をしっかり見ていく、県も大事なんですけれども、日本全体でどのように考えていくのかということが大事なのではないか。
石破総理も、所信表明演説ですとかそういったところで、国の職員が、顔の見える形で、そして熱の伝わるような形で自治体と連携していくんだというようなことも述べられましたけれども、そういったお考えと経済産業省が今後やっていくような施策で何か連接するようなところはあるんでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
産業クラスターについて御質問いただいたところでございますけれども、過去も、産業クラスター政策ですとか、地域未来投資促進法の前身の企業立地促進法などの施策を講じてまいりましたけれども、それらの評価、検証も踏まえまして、平成二十九年、経済産業省では、従来の企業立地促進法を抜本改正いたしまして、地域の特性を生かした高い付加価値を創出する事業を支援する骨格を維持しつつ所要の措置を盛り込んだ、地域未来投資促進法を制定したところでございます。
本法では、自治体の戦略的な計画策定を支援すべく、先ほども御指摘がありましたけれども、地域経済分析ツール、RESAS等を活用した情報支援に新たに取り組むとともに、製造業に限らない農林水産、観光等の幅広い事業分野を支援するべく、地域ブランドの推進等に係る商標法、特許法の特例や、地域創生推進交付金の特例措置等の幅広い支援策を設けたところでございまして、人材面も含めてこういった施策について取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○橋本(幹)委員 よく人材育成というところで、今投資促進法のお話をいただきましたけれども、先ほど出たRESASなんかも、そういうセミナーをやっていますとか勉強会をやっていますとか、それは非常に大事なんだと思うんですね。あるいは、そういう中で、RESASに対する新しい機能の搭載ですとか、そういったことも御検討いただいているところはとてもきめ細やかでありがたいなというふうに思うんです。
ただ、問題は、RESASですとか投資促進法を活用できる、そういうリーダーシップを取る者が、県の単位、県といっても広いです、市町村というと小さ過ぎる、だから適切な規模、大体四十万人とか五十万人ぐらいなんだと思うんですけれども、その中でどうやって産業集積を図っていくかというところが、そこまで工業地帯とか工業地域とか言われる場所以外のところにおいては必要な施策なのではないかなというふうに思っております。
その中で、大学との連携ということをやっていくことが未来のシードとなる技術を育てていくことにもなろうかというふうに思うんですけれども、そういった大学と産業との連携というところは、経済産業省としては何か地域の連携を促進するような施策はあるんでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、地方自治体が産業戦略の立案や実行能力を向上させる上で、企業等での経験を有する外部の専門人材の知見を活用することも有効であるというふうに考えております。
まず、企業から地方自治体への人材派遣の支援策といたしましては、例えば、総務省において、三大都市圏等に所在する企業等の社員を一定期間受け入れる自治体を支援する企業活性化起業人制度が設けられているところでございますし、また、国の職員がその経験を生かして自治体に寄り添った伴走支援を行う地方創生伴走支援制度におきまして、本年四月から、経済産業省も十九名の職員が地方創生支援官として伴走支援チームに参画をいたしまして、中小規模の自治体を支援しているところでございます。
御指摘のあった大学との連携も含めて、地方自治体の課題やニーズを踏まえまして、政府一体として、地方自治体における産業振興の取組を後押ししてまいりたいというふうに考えます。
○橋本(幹)委員 十九名ということですけれども、これが果たして顔の見える規模なのか、熱が伝わる規模なのか。もっと私は人数を増やしていいと思っておりますし、基本的に経済産業省のスタンスは地域のことは地域に任せているというような感じもあるんですね、もっと私はリーダーシップを取っていいというふうに思います。
例えば、何度も地元の話で恐縮ですけれども、東北自動車道と圏央道が通って、非常に物流の便としてはいい場所であるんですね。ここは国の戦略としてももっと活用し得る話でありますし、もっと広く見てみれば成田空港との連携もできるわけですから、ここは都道府県も超え得る話なんだというふうに思います。
こういうふうな広い視野で見ていくこと、そして大学との連携も含めてやっていくということが、例えばAIですとかあるいは太陽光パネル、こういったところの産業への落とし込み、大量生産への落とし込みというところが残念ながら中国に後れを取っているところであります。決して日本の研究者が後れを取っていたとは私は思わないんです。先進的な研究も日本でやっていました。その種があったのにもかかわらず、それが産業に落ちなかった、大量生産のラインに乗らなかった、そしてそれが中国の方に、特許の問題なんかも相まって流れていってしまったというところが問題なんだというふうに思っております。
まずは、こういったところ、企業がやることでしょう、企業が投資することでしょうということが、何か投資促進法の話を聞くにつけ感じるところではあるんですけれども、ここはもっとリーダーシップを取っていいところなんだと思うんですね。ラピダスの話なんかありますけれども、何か特定の企業を応援するということも大事だとは思いますけれども、地域全体で見て、都道府県や市町村の枠を超えて産業集積をいかに図っていくかというのは、これは国にしかできないことだと思います。
是非、大臣、その点の御所見をお聞かせいただきたいです。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
今日の委員の御指摘をいろいろお聞きしていて、まさに石破総理が目指す地方創生二・〇の大きな根幹を成すところだというふうに承知をしているところであります。
その推進体制には、さっきも申し上げましたとおり、事務局で今調整をやっていますけれども、私どもの経産省も各地方局があります。今のお話のとおり、委員のところの、うちもそうなんですけれども、今度東海環状線が、いよいよ全線開通に向けてあともうちょっとなんですけれども、そういう基盤インフラとか、あるいは、今GX、DXでいろいろな様々な動きがありますけれども、どうやって脱炭素電源を確保するとか、様々なこの地域という面をどう考えていくのかというのが大きなテーマになってきます。
そういう意味でいうと、いろいろな特区制度がありますけれども、今後、地方創生の文脈でどのように生かしていくか、これは大変重要な文脈になりますので、委員の問題意識を踏まえて、効果的な活用策を政府全体でこれから検討してまいりたいというふうに思っております。
○橋本(幹)委員 是非、国の強いリーダーシップを期待いたします。特区制度も是非御活用いただければと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、臼木秀剛君。
○臼木委員 国民民主党の臼木秀剛と申します。
今日は初めて経済産業委員会で質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、一点、大臣から是非お答えをいただきたいんですけれども、今各党とも就職氷河期世代対策というような話が出てきていますけれども、私も就職内定率過去最低の二〇〇三年大学卒業の年次なんですが、私たちの世代というのは、IT、デジタル時代の発展とともに社会人といいますか青春時代を過ごしてきたような世代でありまして、今経産省も様々な就職氷河期世代支援もやっておられますし、中小企業支援、またデジタル人材の育成なども経産省の所管であると伺っております。
総務省の情報通信白書を見ても、我々世代というのは、パソコン、そして携帯電話、ぱかぱかするような携帯のときから、今はスマホ、そして生成AI等も使いこなせる世代ですので、そういった世代の特色も踏まえた支援策を是非経産省としても打っていっていただきたいと思いますが、御所見を伺えますでしょうか。
○武藤国務大臣 経産省としては、就職氷河期世代の方々を含めたデジタル分野の人材育成等に取り組んでいるところであります。
具体的に申し上げますと、キャリアアップに資する専門講座を認定する制度の拡充ですとか、企業の課題解決にチームで取り組む実践的プログラムの提供を行っているところです。これらは、デジタルツールと親しんできた就職氷河期世代の方々には御活用いただきやすいものと考えているところです。
また、民間事業者等が地域関係機関と連携をしながら人材確保、育成等を行う、地域の人事部という取組を進めております。就職氷河期世代の方々を含め、地域企業での活躍を求める方々とのマッチング支援というものも考えているところであります。
今後とも関係省庁とも連携をしながら、就職氷河期世代への支援を引き続き進めていきたいというふうに思っております。
○臼木委員 ありがとうございます。
まだまだ我々は頑張れる世代ですので、特色、強みを生かしながら、かつ、地域で、そして国で活動できるような素地をつくっていけるような政治でありたいなと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
それでは、今日お聞きしたかった本題に入りたいと思います。
今日、資料をお配りさせていただいております。先月ですけれども、経産省の製造産業局生活製品課の方で、国内皮革産業の革新に向けてというロードマップが作成されておられます。
今、皮革産業というものについて、私たちの身の回りにもたくさんの皮革製品があります。今回も、質問させていただくに当たって、この皮というもの、我々が食肉、肉を食べるときの副産物として出てくるわけですけれども、どれぐらい使われてどれぐらい廃棄されているのかなということで農水省にお調べをいただいたら、家畜用の牛、豚、そして馬、羊の皮は全量皮革の方に回されているということで、廃棄は一切しておりませんということでありました。
世界最古のリサイクルとも言われておりますし、環境問題等がいろいろうたわれている昨今においても、皮革産業というものは産業としてきちんと守っていく必要があるのではないかなという問題意識で質問させていただきます。
とはいいながら、今、この中でもあるとおり、国内出荷額は一九九一年から約五分の一に減少、一方で海外への輸出は進んでいるという状況にあります。これから恐らく海外の展開も含めたこの産業の振興をしていく中で、やはり海外展開も含めて取り組んでいかなければいけないと思うんですけれども、その中で、今国内で様々な課題があるという指摘があります。
特に、小規模事業者が多いということであったり、昔ながらの分業ですね、薬品は薬品、なめしはなめし、タンナーさんはタンナー、販売は販売ということで細切れになっているというような問題もあると思っておりますし、もう一つは、加工のときに、いわゆるクロムなめしといって、金属を使いますので排水の問題も多くあると伺っております。
こういったところも踏まえて、海外展開ということもこの後質問をさせていただきますけれども、まずは国内の産業基盤をきちんと整備、確保していくためにも、そのような排水整備であったり、あとは、そういった金属とかも含めた環境負荷軽減のための施策、また商品開発なども含めた、こういった国内のまず足腰をきちんと整えるための政策が必要ではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
我が国の皮革産業は、今委員からも御指摘ございましたように、食肉用の動物の副産物である皮を活用し、かばんや靴、ゼラチンなど日常生活に必要な製品を供給している産業でございます。これまで、地域の歴史と伝統、文化に育まれながら技術力を高めまして、地場産業として地域を支えていただいているところでございます。
他方、国内の皮革産業は、市場のグローバル化による競争の激化、また消費者の選択肢の多様化や革製品の嗜好品化、人口減少などによる市場縮小などによって厳しい状況に置かれているという状況でございます。
こうした状況の中にありまして、国内皮革産業の持続的発展や国際競争力の強化を進めていくためには、消費者のニーズの変化や、今御指摘もありましたような環境対応も含めまして、社会的な要請を踏まえた製品の開発、製造といったことが重要でございます。これを皮革関連産業の個々の事業者で取り組むことには限界がございますので、皮革関連産業のバリューチェーン全体で取り組んでいくことが重要だというふうに考えてございます。
そうした問題意識を踏まえまして、昨年度、経済産業省では、国内皮革産業の維持発展に向けまして、皮革産業界と検討会を立ち上げて、国内皮革産業の革新に向けてと題する官民のロードマップを公表したところでございます。このロードマップに沿いまして、産業政策として、官民一丸となってあるべき姿の実現に向かって取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○臼木委員 ありがとうございます。
今、歴史、伝統、文化というようなお話もありましたけれども、国内では、例えば太鼓の革、多分皆様の御地元でも祭りをするときに和太鼓を使われると思いますけれども、ああいう革も当然伝統的に作られておりますし、一方で伝統文化と技術の継承もやっていかなければいけない。さらには、皆様の身の回りの品物、財布であったりかばんであったり靴であったりというところにも使われていますけれども、こういうものについても、国内、メイド・イン・ジャパンというのは、今振興はしていますけれども、もっと商品力を高めていく、デザイン力を高めていくということも必要であり、そのためには付加価値をつけていくということも一方では必要ではないかと思っています。
その中で、この報告書の中にもありますけれども、今、日本ではエコレザー等いろいろな国内認証がある一方で、イギリス、海外を中心にはLWG、レザーワーキンググループという認証制度が主を占めているというふうに伺っております。
とはいいながら、このレザーワーキンググループというのは、一定の事業規模であったり大分意欲があったり項目数も多いということで、まだまだ国内では十数社しかこの認証を受けていないというふうなことも伺っております。
この認証、これから海外展開をしていく上では重要な認証ではあると思いますけれども、このハードルがまだ高いということと、それから、まだ国内事業の今の事業実態とのギャップがあるのではないかと思っておりますけれども、この辺りの事実関係について参考人から御答弁いただけますでしょうか。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のLWG、レザーワーキンググループは、皮革関連のサステーナビリティーに関する認証制度の一つでございまして、皮革製造業者の環境パフォーマンスを評価し、認証を与えるなどして、持続可能な皮革産業を推進するということを目的としたものでございます。
皮革製品を海外で流通させるためには、このLWGのような国際的な認証取得を求められることが多くなってございます。他方、委員から御指摘もございましたけれども、これまで我が国の皮革産業は、国内市場を中心に小規模でビジネス展開を行ってきているという実態がございますので、海外展開を視野にこうした認証を取得する事業者が相対的には少なかったというふうに考えております。
本年四月、先ほど御紹介いたしました、国内皮革産業の革新に向けてと題するロードマップを公表いたしましたが、このロードマップにおきまして、国内市場の縮小などを踏まえまして、海外市場への展開の重要性についても整理をさせていただいたところでございます。まずは、業界や事業者にその意義を伝えながら、LWG認証の取得などグローバルスタンダードへの対応促進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○臼木委員 ありがとうございます。
今お話もあったとおり、まだまだやはり認証を、認証自体も難しいという話ではあるんですけれども、そのために、国内産業の基盤に関わっている業者の皆様方であったり、モチベーションや意欲も含めてそちらに、政治、政策的にもこういうものもあるんだよということの紹介であったり、政策的なインセンティブを与えていくということも一方で必要ではないかと思っています。
一番冒頭でお話しさせていただいたとおり、多分我々は肉を食べることはなくならないとは思いますので、私たちがありがたく肉をいただいたときには、その副産物として皮は出てきますので、そのためにも、きちんとリサイクルというところの観点から、この産業はきちんと支えていくということは政治としても必要なんだと思っています。
その中で今、済みません、限られた時間で大分駆け足で聞いているんですけれども、では、今までどういうことを振興でやってきたかというと、プロモーションであったり海外展示会という、経産省さんでよくある事業のようなものが中心に行われてきたと思うんですけれども、最初にも少し指摘をさせていただきましたが、新製品の開発支援、そしてまた研究開発。新製品、環境負荷がもっと低減できるような研究開発支援。
また一方で、先ほど少し話しましたけれども、海外、特に有名高級ブランドは、きちんと提携をした皮革の業者さんから革を仕入れているという、いわゆる革自体の素材力というものもあると聞いていますので、日本でもそういった一流ブランドを含めた、ここの革が一番いいんだというようなブランド力をつけていくための施策、本当にやることは様々あると思いますし、先ほどお話をしましたけれども、排水処理、ここは一番ネックだと聞いていますので、ここに対しても、今も自治体や他の省庁の方で少し見ている部分はあるとは伺っていますが、こういった財政支援も同時にやっていかなければいけないのではないかと思います。
そして最後、資料の三枚目につけていますけれども、では、これからどういう形でやっていこうか。本当にこのレポートはすばらしいなと私も見て思ったんですけれども、二〇四〇年に向けて産業構造をどういうふうにやっていくかということです。一番上の、新たなクラスター形成を通じたというところは私は意外と重要ではないかなと思っていまして、この間、私も当選させていただいて以来、農水もお邪魔しましたけれども、こういう関連産業をきちんと結びつけて、そして地域でその産業を振興していくということは、その地域の経済も豊かにしますし、その地域に人が住み続けられる、こういうことにもつながってくると思います。
こういった、今それぞれの分業がされているような業者さんの横の連携をつなぐようなクラスターの形成、こういうことも踏まえて、是非この皮革産業が次の時代、二〇四〇年に向けて公正な移行ができるような支援策というものであったり政策を打っていく必要があるのではないかと思いますけれども、大臣、御答弁いただけますでしょうか。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
冒頭に、国内皮革産業の革新に向けて、いわゆるロードマップを御紹介いただきました。これは、我が国の皮革関連事業者、皮革産業界及び行政が連携をして今後の国内皮革産業を革新していくことを企図し、同産業のあるべき姿、行動目標を定めたものであります。
経産省としては、業界団体や事業者向けに説明会等を開催しながら、皮革産業の課題、また本ロードマップの趣旨等について説明をしながら共有を図っていくところであります。
まさに、委員おっしゃられるとおり、国内皮革産業の持続的発展ですとか国際競争力の強化に向けて、異業種連携による商品開発等を見据えながら、政府及び皮革産業界が一丸となって、二〇四〇年のあるべき姿を実現して、目指していきたいというふうに思っているところです。
私は、この大臣職になる前は鳥獣対策特別委員長を三年間やっておりまして、鹿やイノシシ、大変全国で苦労している中で、皮利用というところが正直言って案外うまくいっていなかったんですよ。私の岐阜県でも、やっていらっしゃる人は、皮を処理するというので、わざわざ遠方まで行かなきゃいけない。まさに、委員おっしゃられるように、デザイン、いわゆるブランド力をどうつけるかというところだと思います。
世界で類たるものがいろいろありますけれども、日本も決して負けているわけではないんだと思いますが、やはりそこは一体感としてまとまるかどうか、ここが一つのロードマップの先になるんだと思いますので、委員、またこれからもいろいろ御指導いただきながら、頑張っていただきたいと思いますので、よろしく御指導ください。
○臼木委員 大変もったいないお言葉で、ありがとうございます。
家畜以外の鳥獣害では、いろいろまた別の問題もあるとお聞きをしていますので、是非また別の機会に御質問をさせていただきたいと思います。
以上で終了いたします。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井でございます。
今日は、佐原委員に代わっていただいて、再生可能エネルギーを、やはり経産省として、本当に真剣にというか全力で取り組んでいただきたいという思いで幾つか御質問いたしますので、よろしくお願いをいたします。
まずは、やはり再エネ。これは本当に、もっともっと日本は増やせる余地があると私は思うんですよね。でも、その中でやはり蓄電池、ここが非常に大事な取組。蓄電池がしっかり整備されていくと再エネも更に加速していくわけですけれども、この蓄電池、系統用蓄電池の導入政策についてまずお伺いします。
再エネによって発電された電気のタイムシフト、それから、短期の需給調整の役割を果たす系統用蓄電池の普及は本当に大事です。GX基本方針に基づいて政府が策定した蓄電池分野の戦略においても、「再エネの主力電源化のためにも、電力の需給調整に活用する蓄電池の配置が不可欠。」、こう記載をされております。特に、この再エネ導入拡大に伴って、今後、短期的な調整力の必要量は急速に伸びる見込みでして、我が国においては、調整力の調達のために創設された需給調整市場の活性化、これが期待をされます。
この点においては政府と認識を共にするところなんですけれども、残念ながら、今の経産省の取組は、器作って魂入れず、やったふり、そういう印象。全然機能していないと考えています。
まずお聞きしますが、具体的に、需給調整市場の一次、それから二次1といった短周期の成分の商品区分の低調な現状があります。まず確認ですが、この需給調整市場の一次の調達率は現在どの程度でしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきましたとおり、再生可能エネルギーの主力電源化を進めていく上で、出力が変動する再エネの電気を貯蔵できる蓄電池の導入、大変重要でございます。
また、再生エネルギーの大量導入が進むにつれまして、電気の需要と供給の誤差に対応するための調整力の確保も重要となってまいります。
需給調整市場は、調整力の広域的な調達や市場競争による調達コストの低減、新規参入の拡大を図るために、二〇二一年に開設されております。市場開設以降、順次、取り扱う調整力の区分を拡大してきておりまして、御質問いただきました、主に極めて短時間の変動を調整するための一次調整力については、二〇二四年度から取引が開始されております。
全国九エリアを対象とした一次調整力の募集量に対する約定量の割合、約定率は、取引開始以降、一〇%から二〇%程度で推移してございます。
○高井委員 ということなんですよ。一〇から二〇%ですからね。これは極めて低いと言わざるを得ません。この需給調整市場の一次の入札は非常に低調だということです。
ただ、現在、多くの蓄電池事業者がこの需給調整市場の一次への参入も検討しています。仮にこうした市場への新規参入の動きが円滑に進めば、現状の入札不足は大きく改善するはずです。
しかし、この動きに足を引っ張るルールがあるんです。現在、十メガワット以上の規模の蓄電池事業者が需給調整市場の一次に参入するには、送配電会社が専用線設置のための工事をする必要があります。この工事は、元々は十か月程度で終わるものとされていたんですが、二〇二一年十二月以降は、世界的な半導体不足を理由に、全送配電会社一律で二十二か月程度に工事期間が引き延ばされています。
つまり、数十メガワット規模の大規模な系統用蓄電池を建設できたとしても、二十二か月以上かかる工事、専用線工事が終了することを待たなくては一次への参入ができない、専用線を不要とする、十メガワット未満のいわゆるオフライン枠の規模にしか参入できないということになります。
これでは、蓄電池のポテンシャルを生かせず、状況の改善が遅れてしまいますので、二点、これから伺いたいと思います。二問まとめて伺います。
まず一つは、送配電会社の専用線工事期間の延長の理由とされている世界的な半導体不足はまだ続いているんですかね。仮に続いているとしたら、具体的にどういった半導体が不足しているんでしょうか。
そして、併せて聞きますが、専用線を不要とする需給調整市場の一次に参入可能なオフライン枠の閾値である十メガワット未満という現状の基準は、どのように決められたんでしょうか。具体的な算定根拠をお示しください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
まず初めに、送配電会社が行う専用線の工事期間についてのお尋ねをいただきました。
まず、なぜ専用線工事が必要になるかということから御説明させていただきますと、一般送配電事業者が安定供給のための周波数維持義務というのを負っておりますけれども、この周波数維持義務を遂行するためには、需要と供給の状況に応じて様々な電源に機動的に指令を行う必要がございます。このため、一次調整力など、特に短時間での応答を求められる調整力につきましては、指令、制御、監視に必要となる専用線の敷設を市場において原則として求めているということでございます。
一方で、一部の一般送配電事業者において専用線敷設の工期が長期化するケースが生じているということは認識してございます。
この主な要因といたしましては、事業者によりますと、専用線に使用する電子部品の中には、元々の生産ロットが小さくて、メーカーが受注後に生産を開始する場合が多い、あるいは、御指摘いただいたように、これまでの半導体不足の影響によりまして生産が滞っていたものが含まれているため、受注の増加に生産が追いついていない状況があるというふうに聞いてございます。
それから、需給調整市場で専用線の敷設を不要とするオフライン枠の上限値、これが十メガワット未満となっている理由についてもお尋ねをいただきました。
今御説明させていただいたように、特に短時間での応答を求められる一次調整力の調達においては、一般送配電事業者が安定供給義務を負っておりますので、指令、制御、監視を行う上で必要となる専用線の敷設を求めているところでございますけれども、一方で、需給調整市場の目的に照らしますと、新規参入の促進も重要であるというふうに考えておりますことから、一般送配電事業者の安定供給を毀損しない範囲内において、要件を緩和すべく、一定の条件の下であれば専用線の敷設を求めないオフライン枠が設定されたということでございます。
この際、一般送配電事業者の安定供給を毀損しない範囲として、現在のところ規模の要件を十メガワットとしておるところでございますが、これは、電気事業法において、小売電気事業等に供する電力の合計が十メガワットを超える場合は発電事業として届出の対象となり、供給命令に応じる義務など、安定供給の確保に一定の責務を負うという法令上の考え方とも整合的であるというふうに考えてございます。
○高井委員 ちょっと今、答えていただいていないのがあると思うんですけれども、経産省は半導体不足だという認識なんですか。もし不足だというお考えなら、何の部分が不足しているんですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
世界的な半導体の需給の動向につきましては、コロナ禍での逼迫時から全体的には回復傾向にあるものの、これは個別の半導体ごとに状況が異なっているというふうに認識をいたしております。
ただ、送配電会社が行う専用線の工事期間が長期化している背景としては、元々の生産ロットが小さいという事情もございますし、これまでの半導体不足の影響により生産が滞っていた、その半導体を使う電子機器の調達の不足といった影響は継続しているという状況にあるというふうに認識をしてございます。
○高井委員 私は、蓄電池会社の方からいろいろ話を聞いていますけれども、やはり、半導体不足というのはもう単なる言い訳というか、ちょっと無理があると思いますよ。
そういった中で、今御説明は部長からいただきましたけれども、やはり、工期が遅れてしまう理由として正当化するにはちょっと不十分だと思いますし、また、先ほどのオフライン枠の十メガワット未満という設定も、私からは根拠薄弱だというふうに思わざるを得ません。
そこで、私、二つ御提案をさせていただきます。
一つは、まずは、送配電会社の専用線工事が大幅に遅延している理由について改めて納得のいく理由を、電力会社に説明を求めて、それが不十分なものである場合は標準工期を現状の二十二か月程度から当初の十か月程度に戻すように、政府から、経産省から指導すべきではないでしょうか。
そして、もう一つは、現状のオフライン枠の十メガワット未満という閾値を改めて検討し直して、引き上げるべきじゃないでしょうか。長期脱炭素電源オークションの蓄電池の最低入札容量は十メガワットから三十メガワットに引き上げられましたので、こうしたことも踏まえてオフライン枠も三十メガワット未満まで引き上げられるかどうか。少なくとも検討はしていただきたいと思いますが、お答えください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
専用線オンライン工事の標準工期につきましてですけれども、これは事業者があくまでも標準的な期間として示すものでございますけれども、例えば、東京電力パワーグリッドのホームページでは、専用線敷設の標準工期が本来十か月程度である一方、現状は二十二か月程度の工期となるおそれがあるといった通知がなされているというふうに承知をしてございます。
本来は標準工期で工事が実施されることが望ましいということだと思いますけれども、事業者によりますと、先ほど申し上げたとおり、専用線に使用する一部の電子部品について、受注の増加に生産が追いついておらず、調達に時間を要することから、思うように工期の短縮が進められない状況であるというふうには聞いてございます。
ただ、先生御指摘のとおり、調整力市場への新規参入の促進というのは重要でございますので、こうした状況について引き続き事業者に確認を進めていくとともに、一般送配電事業者と部品製造事業者との間でこうしたサプライチェーンをめぐる状況につきましても適切なコミュニケーションが図られているかといったことを確認してまいりたいというふうに考えてございます。
それから、オフライン枠の上限値を長期脱炭素電源オークションと同様に三十メガワット未満まで引き上げるべきではないかという御提案をいただきました。
長期脱炭素電源オークションにおける蓄電池の参入要件は、元々十メガワット以上であったものが、現在は三十メガワット以上に引き上げられております。これは、巨額の初期投資の回収に対して長期的な収入の予見可能性を付与するという長期脱炭素電源オークションの制度の趣旨、あるいは足下の応札状況などを踏まえて、より大規模な案件を主な対象とするために見直しが行われたものでございます。
一方で、需給調整市場におけるオフライン枠は、新規参入促進の観点から、一般送配電事業者の安定供給を毀損しない範囲内において、参入要件を緩和すべく導入された制度でございます。
このように、両制度の参入要件の趣旨は異なっておりまして、長期脱炭素電源オークションにおける要件変更を踏まえて需給調整市場における要件を変更すべきとの考えになるものではないというふうに考えてございます。
○高井委員 経産省は、電力会社の説明を余りうのみにされない、やはりそこを指導していくということが大事だと思います。
大臣、蓄電池は本当にキーデバイスです。どんどんシェアが下がっているんですよ。今、中国、韓国にも抜かれて、これは半導体とか電気産業の二の舞じゃないか、もうそういうふうに蓄電池関係者は言われていますので、ここは、大臣、今日初めて知ったということも多いと思いますので、是非、資源エネルギー庁に指示を出して、この問題、前に進めていただけませんか。
○武藤国務大臣 蓄電池の必要性というのは、委員と全く同じ問題意識を持っているところです。
二〇二二年に策定した蓄電池の産業戦略ですけれども、ここは政府が液系のリチウムイオン電池の製造基盤を強化するための大規模投資への支援というものを行うこととしたものですが、その後に、経済安全保障推進法に基づいて、総額一・八兆円近くの供給確保計画を認定しながら、最大約六千三百億円の助成を決定することなど、大規模な支援を行ってきているところであります。
この結果、二〇三〇年までに年間製造能力百五十ギガワットアワーの確立という目標をつくっておりますけれども、正直なところ、まだまだだと思います。
今の中国、韓国の問題もあり、私どもとしては、しっかりとした、グローバルシェアの拡大に向けた海外投資だったり、上流資源の確保、ここが一番ネックになるんだと思います、全固体電池を、今日も議論が出ましたけれども、次世代蓄電池の技術開発とか、一番大事なのは人材育成ということだろうと思います。引き続き、あらゆる政策を総動員しながら、蓄電池の支援に取り組んでまいりたいというふうに思っています。
○高井委員 大臣から全く同じ認識だと、蓄電池の重要性は理解していただけているようなので。
しかし、やはりこれを進める具体的な政策が、細かい部分かもしれませんけれども、蓄電池市場では結構大きなネックになっていますので、是非大臣も、もう一回現場から聞き取っていただいて、指導していただきたいと思います。
こういうのは、私、前に予算委員会の分科会で大臣と質疑させていただいて、正直、資源エネルギー庁にちょっと疑問を持っているわけですよ。結局、やはり原発を動かしたいがために再エネに力が入っていないんじゃないかということを前に質問しました。
ちょっとこれは具体的数字を通告しているので聞きたいんですけれども、経産省として、再生可能エネルギーに今予算をどのくらい、十年前と今、どうなったか。それから、原発関連の予算、同じように、十年前と今、どうなったか。数字をお答えください。
○畠山政府参考人 まず私から、再生可能エネルギー関連の予算についてお答えをさせていただきたいと思います。
この再生可能エネルギーに関する予算額につきましては、平成二十八年度の当初予算では一千三十四億円の予算でございました。それが令和七年度の当初予算におきましては約千五百三十億でありまして、十年前と比較しまして約一・五倍になっているところでございます。
再生可能エネルギーの導入拡大に当たりましては、FIT制度、FIP制度など、予算よりもむしろ規模の大きい支援を含めて取り組んでおりまして、約十年間で再エネ発電量は倍増している、こんなのが今の足下だというふうに認識をしております。
○久米政府参考人 私の方から、原子力関係の予算額についてお答え申し上げます。
同様の比較という観点から、平成二十八年度、この当初予算では約千七百三十八億円、令和七年度当初予算では約二千五百九十四億円でございまして、十年前と比較いたしまして約一・五倍となってございます。
○高井委員 だからどっちも一・五倍だということですけれども、まず、規模がちっちゃいですよね、一千億レベルですか。
あと、原発は、これはいろいろなものを含んでいくと多分もっと膨らむと思いますよ、私はもっと大きな数字を聞いたことがあるので。そう考えると、本気で再生可能エネルギーをやっているのかなというのをやはり一般の国民から見ると感じざるを得ない。
やはり、原発に頼らないエネルギー政策をまずは目指すべきで、それだけ原発というのはいろいろなリスクがありますから、今日はもう時間がないから言いませんけれども。ですから、これは何としても再生可能エネルギー、大臣、もっともっとやっていただきたい。
その中で今日提案したいのは、日本というのは本当に再エネに向いた資源があると思うんですよ。例えば、洋上風力だったら、もう海は、物すごく四方を囲まれているわけだし。
あと、私は、やはり小水力。用水路というのがめちゃくちゃ日本はあるわけですよ。あんな短い流れで電力を発電できるのと思うかもしれませんが、できるんですよ。小水力というのは物すごいポテンシャルを持っている。日本はこれをもっともっと活用すべきですよ。
それから、地熱、地中熱、温泉熱、それぞれ違うんですけれども、日本は、これだけの温泉大国だし、地熱があるのはもう明らかじゃないですか。こういったことにもまだ力が入っていないし。
それから、ソーラーシェアリング。これは、前、田嶋先生と千葉に一緒に見に行きましたよ。農地の上に発電施設を造って、農業をやりながら、そして電力も発電できる。これが、もう七年前ぐらいに私は見に行きましたけれども、そこから全然進んでいない気がしますね。あの頃は鳴り物入りで注目されていたけれども、七年たって全然進んでいないんですよ。
経産省は、こういったことにもっと本気で、人もお金もつぎ込んでやるべきだと思いますが、大臣、決意をお聞かせください。
○武藤国務大臣 本気で取り組んでいるところですけれども、今の予算規模からいって委員の御指摘ももっともなことかもしれません。
いずれにしても、再エネは、地域の共生と国民負担の抑制を前提に最大限導入することが基本方針であります、もちろん電力の安定確保という前提が要りますけれども。
その中で、今先生から御紹介いただいた洋上風力もありますけれども、二〇四〇年、これは三千万から四千五百万キロワットの案件形成目標です。そして、排他的経済水域への設置を可能とする整備を今進めていただいているところであります。
また、今委員おっしゃるように、中小水力ですね。ここも、自治体主導による開発地点の候補の詳細調査ですとか、全国百地点を念頭に置いた案件組成等への支援を今実施しているところであります。
地熱についても、これも今までもいろいろな議論をしておりますけれども、従来型に加えていわゆる次世代型、ここの早期実用化を目指しながら研究開発、実証を進めているところです。
今のお話にあった営農型太陽光発電は、農水省と連携をしながら、農業と調和した形でここも普及に取り組んでいかなきゃいけません。
そしてまた、加えて、最近ですとペロブスカイト。ここもいろいろ、次世代の太陽光ということでの開発が今進んでいるところであります。
いずれにしましても、電源ごとの特性、それぞれございますが、地域と共生した形での再エネ導入拡大にしっかりと努めてまいりたいと思っています。
○高井委員 まとめますが、再エネはまだまだできますから、安易に原発に頼らずに、再エネにまずは力を入れてください。
終わります。ありがとうございます。
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○宮崎委員長 次に、内閣提出、円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。武藤経済産業大臣。
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円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○武藤国務大臣 円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
日本企業の債務残高は、昨年六月には約七百兆円となり、コロナ禍前に比べて約百二十兆円増加しています。また、昨年の倒産件数は十一年ぶりに一万件を超えた状況であります。今後の円安や物価高、人手不足の状況等を踏まえると、債務負担が収益性向上の事業活動の足かせとなって事業再生の機会を逃し、倒産に至る企業が更に増加するおそれがあります。
こうした経済社会情勢の動向を受け、事業者が早期での事業再生に取り組み、事業価値の毀損や技術及び人材の散逸を回避できる制度基盤を整備し、経済の新陳代謝機能を強化しておくことが重要です。
こうした観点から、経済的に窮境に陥るおそれのある事業者の円滑な事業再生の実施を図るため、事業者の金融債務に係る権利関係の調整を行うことができる手続の創設等の措置を講ずるべく、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、本法律案に定める手続を利用する事業者に対して金融機関等が有する貸付債権等を対象債権と定義するとともに、対象債権を有する者であって手続開始の通知を受けた者を対象債権者と定義します。
第二に、対象債権者の権利の変更に関する手続を整備します。具体的には、経済的窮境に陥るおそれのある事業者が、事業者に対して貸付債権等を有する金融機関等の権利を変更しようとするときは、指定確認調査機関に申請し、権利の変更に関する方針が金融機関等の一般の利益に適合する見込みがある等の一定の要件に該当する旨の確認を受けなければならないこととします。また、同機関の確認を受けた事業者は、権利の変更に関する議案を決議するために対象債権者集会を招集することとするとともに、対象債権者集会において議案を可決する決議があったときは、裁判所に認可の申立てをしなければならないこととします。さらに、裁判所は、手続が法令に違反することや一般の利益に反すること等の一定の事項に該当する場合を除き、決議の認可を決定することとし、認可の決定により、対象債権者の権利の変更の効力が生じることとします。
第三に、経済産業大臣は、対象債権者の権利の変更に関する手続に関する業務を適確に実施するに足る経理的及び技術的な基礎を有する等の要件に該当する法人を指定確認調査機関として指定することができることとするとともに、同機関の監督のための所要の措置を講ずることとします。
以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
○宮崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十一分散会