衆議院

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第19号 令和7年6月6日(金曜日)

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令和七年六月六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 鬼木  誠君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 岡野 純子君

      岩田 和親君    江藤  拓君

      小池 正昭君    坂本竜太郎君

      島田 智明君    鈴木 英敬君

      関  芳弘君    西村 康稔君

      平井 卓也君    細野 豪志君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    向山  淳君

      山本 大地君    東  克哉君

      大島  敦君    落合 貴之君

      小山 展弘君    鈴木 岳幸君

      田嶋  要君    福森和歌子君

      矢崎堅太郎君    吉田はるみ君

      東   徹君    村上 智信君

      丹野みどり君    福重 隆浩君

      山口 良治君    佐原 若子君

      辰巳孝太郎君    吉良 州司君

      平岩 征樹君

    …………………………………

   経済産業大臣       武藤 容治君

   外務大臣政務官      生稲 晃子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 文彦君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            川崎  暁君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           斉田 幸雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           福井 俊英君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済安全保障局長)        福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長)   猪狩 克朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 弓削 州司君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  坂本竜太郎君     山本 大地君

  世耕 弘成君     平井 卓也君

  宮内 秀樹君     三谷 英弘君

  岡田 克也君     矢崎堅太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  平井 卓也君     世耕 弘成君

  三谷 英弘君     宮内 秀樹君

  山本 大地君     坂本竜太郎君

  矢崎堅太郎君     岡田 克也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)


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     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として経済産業省貿易経済安全保障局長福永哲郎君、経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長猪狩克朗君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、内閣官房内閣審議官平井康夫君、警察庁長官官房審議官阿部文彦君、金融庁総合政策局審議官川崎暁君、金融庁総合政策局審議官柳瀬護君、外務省大臣官房審議官大河内昭博君、外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官斉田幸雄君、文部科学省大臣官房審議官福井俊英君及び防衛省大臣官房審議官弓削州司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。東克哉君。

東(克)委員 皆様、おはようございます。立憲民主党、広島三区の東克哉と申します。

 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まずは、北朝鮮の経済制裁の効果と検証、そして北朝鮮の脅威に対する分析についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今般の北朝鮮に対する経済制裁の継続に関する国会の承認についてなんですけれども、この経済制裁は、二〇〇六年十月からスタートして、十九年が経過をしようとしています。この間、北朝鮮は六回の核実験を実施して、ミサイル発射に至っては、本年四月の三十日、報道によると、新型駆逐艦から巡航ミサイルの発射実験がなされたとされています。加えて、ロシアのウクライナ侵攻、これによってロシアと北朝鮮の協調という環境変化が非常に懸念されている状況であると認識をしております。

 こうした北朝鮮の脅威が増してきていると考えられる状況において、現在の措置の延長、このことについては承認は必要だと私自身は考えていますが、大変長期にわたる制裁措置によって、北朝鮮経済へどのように影響しているのか、資金や物資はどのように調達されているのか、こうしたことにつきまして政府の分析を確認させていただけますでしょうか。

福永政府参考人 ありがとうございます。

 経済産業省では、二〇〇六年、先生からお話があったように、北朝鮮からの輸入を、二〇〇九年に北朝鮮への輸出をそれぞれ全面的に禁止して、今日に至っております。

 輸出入禁止措置を講じる前の二〇〇五年の北朝鮮からの輸入額は約百五十億円、北朝鮮への輸出額は約七十億円でありましたが、この輸出入禁止措置をそれぞれ導入して以降、北朝鮮との輸出や輸入は原則として日本からは行われておりません。

 我が国の実施する対北朝鮮措置は、北朝鮮による日本からの物資の調達や資金獲得の阻止に寄与しているというふうに考えております。一人当たりGDPもずっと低下傾向にあるなど、北朝鮮の引き続き厳しい経済状況と併せて考えた場合、一定の効果はあったものと認識しております。

 一方で、北朝鮮の資金や物資の調達については、国連の安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる報告書において、北朝鮮が、石炭、鉱物資源、繊維製品等を不正輸出している、更に言えば、金融機関や暗号資産取引所等へのサイバー攻撃、こちらを通じて暗号資産を窃盗して資金洗浄している、さらに、中国、アフリカ、東南アジア、ロシア等において北朝鮮労働者の雇用が継続している、こういった様々な事象があり、北朝鮮による制裁違反、回避が疑われている事例が報告されております。

 経済産業省を始め日本政府としては、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、対北朝鮮措置を厳格に実施しながら、これらの対策にも取り組んでまいりたいと思っております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 輸入が百五十億、輸出が七十億、それを完全に止めているということがありますけれども、今まではそのことをやっていて止めることができたということも聞いております、回避されていたということもありますが。

 続いて、これからの経済制裁の措置について、考え方をお尋ねさせていただきたいと思うんです。

 先ほど私が申し上げましたように、やはり、核実験が何度も繰り返されたということで、私の地元であります広島市は、二〇〇二年に核兵器開発に対する抗議を行って以降、核実験の実施を発表してその都度、抗議を行っております。また、昨年は被団協がノーベル平和賞を受賞し、本年は被爆八十年の年でもあります。加えまして、今年の三月、核兵器禁止条約第三回締約国会議において、我が国の国会議員として初めて広島県選出の森本真治参議院議員が発言するという機会にも恵まれました。

 政府が実際不参加だったことは大変残念ではあったんですが、特に、非核化、核兵器の残酷さが改めて注目される中で、海を挟んだ向こう側で核兵器を開発することに対する大きな懸念があることは、やはり大変深刻な事態であることを改めて認識をしております。

 こうした核実験や核開発に必要な資金、そして物資、北朝鮮に供給を現在されているわけですけれども、長期の国際的な経済制裁、我が国の独自の外為法による制裁をくぐり抜けて調達がなされているのが実情であるというふうに認識をしております。

 当然ながら、北朝鮮に対しましては本当に厳しい措置が必要であるということも認識していますが、国際協調の観点からも踏まえて、輸出入の管理をする立場から、今後の制裁に対する考えを大臣からお伺いできますでしょうか。

武藤国務大臣 おはようございます。

 東委員から、この件についての、今後の制裁に対する考え方の御質問をいただいております。

 今回、ミサイルや拉致問題といった北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案をしながら、対北朝鮮措置として実施しているこの輸出入禁止措置の期限を二年間延長することを決定したところであります。

 本措置の実効性を確保するためには、第三国を経由した迂回輸出への対応が重要な課題の一つであると思います。アジア輸出管理セミナー、また行政官向け研修事業等を通じて、経由地となり得るアジア諸国へのアウトリーチ活動を行っているところです。

 また、日本企業に対しても、過去一年間で二十回程度の説明会の実施、個別企業への指導、ホームページでの情報提供等を通じ、注意喚起を行っているところであります。

 今後も、経済産業省として、諸外国の関係機関、また国内の関係機関とも連携をしながら、本措置を厳格に執行してまいりたいと考えております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 是非本当に厳格に制裁を維持していただきたいと思いますし、各諸外国との連携を是非とも進めて、更に強化して進めていっていただきたいというふうに思います。

 やはり、この北朝鮮の外貨の獲得の仕組みとして、中国への出稼ぎが問題視をされているということも私は認識しております。

 少し古い話になりますが、二〇二〇年十月二十二日の日経新聞朝刊によりますと、北朝鮮が数万人の労働者を中国に派遣し続けているという報道がなされております。この報道では、少し引用いたします、アメリカ国務省の推計によると、北朝鮮は以前から約十万人の労働者を海外に派遣してきた、中国が多数を占め、北朝鮮政府の取り分は年五億ドル、約五百五十億円超に上り、有力な外貨獲得の手段となっていると報じられています。

 これは、安保理決議による北朝鮮制裁措置による、加盟国管轄権内において収入を得る北朝鮮国民を北朝鮮に送還することを義務づけという内容に違反するというふうに考えております。

 こうした北朝鮮の外貨獲得手段を抑えることは、日本独自の制裁措置の実効性を担保する上で大変重要だと考えるんですけれども、これは、外交上の働きかけなど、外務省さんが今どのようにやっているのか教えてください。

大河内政府参考人 外交上の取組についての御質問でございます。

 我が国といたしましては、米国、そして韓国を始めといたします同志国とも連携しながら、関係国に対しまして決議の完全な履行の働きかけ、そして安保理決議の実効性の向上、これに取り組んできてございます。

 例えばでございますが、昨年十一月、日米韓の首脳が会いましたときの共同声明、こちらにおきまして、北朝鮮に関する国連安保理決議の違反や回避、また、国際的な不拡散体制を損なおうとするいかなる試みにも断固として対応する、これをコミットしてございます。また、委員御指摘いただきました海外労働者の派遣の利用を含めまして、北朝鮮の不法な資金調達方法に重大な懸念を表明した、このような取組を、他にもございますが、行ってきているところでございます。

東(克)委員 ありがとうございます。

 是非断固としたコミットメントを引き続き続けていただきたいと思います。

 続いて、学術界の交流についてお伺いさせていただきたいと思います。

 こちらも日経新聞の記事になりますが、昨年の十一月、国連の制裁下にある北朝鮮の研究者が関わる国際共著論文に日本の研究者が名を連ねたという事例が報道されています。

 この報道によると、それぞれの事例は、事情が異なったり、経緯が明らかになっていないものもあるようですが、以前より文部科学省からは注意喚起の通知が関係各所に送付されていると理解をしております。

 しかしながら、この報道による一つの事例では、国主導のプロジェクトリーダー、それが知らずに北朝鮮の研究者との論文共著者となってしまっている。その人選を担った科学技術振興機構、略称JSTといいますけれども、その人選に関して、JSTは、過去の国際規定違反など、特定の規制についての違反の有無は確認していないと回答していると報道されています。

 この団体の役員については文科省出身の方もおられるようなんですけれども、学術界において知らず知らずこのような事態に巻き込まれてしまう、こういった事態は防がなければならないということを認識しています。そして、国の予算を活用する際の人選についてはしっかりと確認が必要だとも考えております。

 こうした報道関係の事実関係と、これからの文部科学省さんの考え方を教えていただけますでしょうか。

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の報道については、国立研究開発法人科学技術振興機構、JSTの研究プロジェクトのリーダーに着任した研究者が、着任前、自らは認識していないままに、北朝鮮の研究者が関わる国際共著論文に共著者として名を連ねていた事案であると承知しております。

 文部科学省におきましては、委員御指摘のとおり、北朝鮮により公式に後援され又は北朝鮮を代表している個人又は団体が関係する科学技術協力を原則として停止するという国連安全保障理事会決議の趣旨について、JSTを含めた全国の大学等の研究機関に対し、通知や事務連絡の発出、説明を行うことなどを通じて周知徹底を図っているところでございます。

 これを受けまして、JSTにおきましても、JSTが直接の雇用、委嘱をしている研究者に対して、当該国連安保決議の趣旨を周知徹底するといった対策を実施していると承知しております。

 JSTは、委員御指摘の、国の予算による研究プロジェクトのリーダー等の人選に際して確認を行うことを改めて重視し、本事案も踏まえまして、北朝鮮との協力関係等の確認を始め、一層強化しているものと認識しております。

 文部科学省といたしましても、引き続き、JSTを始めとする研究機関に対しまして、必要な対応の徹底が図られるよう努めてまいりたいと思っております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 私も、大学院に行っていまして、教授が、やはり有名な教授であればあるほど、いろいろな世界の方々と連携した研究をされていますので、知らず知らずこういったことに巻き込まれないように、本当に周知徹底をよろしくお願いいたします。

 続いて、修学旅行についてのこともお伺いさせていただきたいと思います。

 昨年、幾つかの報道がなされているんですけれども、朝鮮学校、朝鮮大学校などで修学旅行を北朝鮮に行っているという報道がされておりました。人的移動が規制される中で、制裁の対象外となっている朝鮮学校等の生徒について、コロナ禍以降、北朝鮮への修学旅行が再開されたという報道がなされています。こうした記事では、輸出入が制限される中、人が移動することなどで、就学している子供たちの意思にかかわらず、物品や金銭などの移動がなされているという事案が懸念されるということが指摘されています。

 朝鮮学校の生徒たちには移動の制限が課されていないものの、人と一緒に移動していく物品や金銭については一定程度の制限があり、日本が独自の制裁を科している以上、こうしたものをしっかりと対策していくことが必要だと思っておりますが、経済産業省についての取組を教えてください。

福永政府参考人 先生御指摘の朝鮮学校等の修学旅行が近時また行われているということは、よくよく承知しております。

 日本は、北朝鮮との貿易について、外為法に基づき全面的に輸出入を禁止しているわけでございますが、御指摘の修学旅行を含めて、旅行者の携帯品については、原則として、現に使用中のもの、明らかに旅行中に使用したと認められるものに限り輸出入が認められる旨を通達に明確に記載しまして、ホームページ等でも公表し、周知を図っております。

 また、北朝鮮に渡航する旅行者の携帯品については、外為法令に基づいて、税関で携帯品の検査も実施しておるところでございます。

 昨年、先生御紹介のような修学旅行が行われた際には、事前に経済産業省から当該学校側に情報提供も行い、外為法の遵守を働きかけるなどの対応を行ったところでございます。

 今後とも、北朝鮮制裁措置の意義がそがれることのないよう、税関等との連携の下、水際での厳格な管理を実施していきたいと考えております。

東(克)委員 時間となりました。

 本当に、二年後は、この制裁が少しでも緩くなるような、世界が平和になるようなことを祈りつつ、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。

 今日は、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求める件ということで、これは当然賛成だというふうに思うわけですけれども、その上で、拉致問題についてお聞きをしていきたいなというふうに思います。

 今年、四月二十九日から五月四日まででありますが、超党派の拉致議員連盟と、それから拉致被害者家族会の横田拓也代表、そして、田口八重子さんの長男である飯塚耕一郎事務局長、救う会の西岡会長とか、ワシントンDCの方を訪問をしてまいりました。また、ワシントンDCでは、向こうの上院の方、下院の方とお会いしたり、そしてまた向こうの政府の方とも面談させていただいて、いろいろとお話をさせていただきました。米国の国会議員の方々も、この拉致問題については非常に関心を持っている方々もおられるんだということも実感をいたした次第であります。

 本当は日本がこの拉致問題についてももっともっと取り組まなきゃならないんじゃないかなと思うぐらい、向こうの、米国の国会議員の方々もおられました。そしてまた、こういった活動を続けてきておられる方々からは、バイデン政権からトランプ政権に替わって、米国が拉致問題に対する解決に向けて動きが変わってきたというようなこともお伺いをいたしました。

 御存じのとおり、拉致家族の親世代の方というのは、もう横田めぐみさんのお母さんである横田早紀江さんしか残っていないというような状況になっています。家族会、救う会の方針も、親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国を実現させることが、日本が北朝鮮に人道支援、そして独自制裁解除、国交正常化後の経済協力をする条件だという運動方針を示されておられます。

 有本恵子さんのお父さん、明弘さんは今年の二月十五日にお亡くなりになられたわけで、九十六歳でありました。そして、今一人しか残っていない横田めぐみさんのお母さん、早紀江さんは八十九歳という状況です。

 五月二十二日に官邸で石破総理と林官房長官とお会いして、今回の訪米の報告書もお渡しさせていただいております。五月二十四日には拉致被害者の帰国を求める国民大集会もありまして、横田早紀江さん、本当に残された時間がないんだということをすごく訴えておられました。

 こういった状況にある中で、政府としてどのようにこういった状況を受け止めておられるのか、今後拉致問題の解決に向けてどのように取り組まれていくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

武藤国務大臣 北朝鮮、これは、前回輸出入禁止措置を延長した令和五年の四月以降も、弾道ミサイルや衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を繰り返し強行し、その能力を増強しているところであります。

 また、委員、本当に、拉致の議員連盟として大変な御活躍をいただいていることに、この場をかりて敬意を申し上げたい、感謝を申し上げたいと思いますけれども、石破内閣にとりましても最重要課題であるこの拉致問題についても、北朝鮮に対して一日も早い全ての拉致被害者の帰国を強く求めてきているところでありますが、いまだ解決に至っていないというのが事実であります。

 また、核開発に関しましても、令和六年九月及び令和七年一月にウラン濃縮施設等を公表するなど、懸念すべき状況が続いております。

 こうした北朝鮮をめぐる諸般の情勢、これを総合的に勘案をしながら、対北朝鮮措置として実施している輸出入禁止措置の期限を二年間延長することを決定をいたしました。

 経済産業省としては、税関や警察など、関係機関と緊密に連携をしながら、本措置を厳格に執行してまいりたいと考えているところであります。

平井政府参考人 訪米に関連しましてお答えをさせていただきます。

 政府といたしましても、今回の三団体による訪米につきましては、第二期トランプ政権発足から間もないタイミングで、米国の有力な関係者の拉致問題に対する理解をより一層深めるとともに、協力を確認する非常に有意義な訪問であったと考えております。

 政府といたしましては、今回の三団体による訪米の成果も生かし、米国政府関係者はもちろん、議会関係者や有識者といった米国の幅広い層に対しまして、拉致問題の即時解決に向けた一層の支持、協力に向けた働きかけに取り組んでまいりたいと存じます。

 また、今申し上げた日米を含む国際連携を進める一方で、石破総理も述べているとおり、この問題は我が国の問題であり、他国によって解決されるものではなく、我が国として解決しなければならない。政府として、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、これまでも様々なルートを通じて様々な働きかけを行ってきているところでございます。

 拉致被害者やその御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題はひとときもゆるがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であります。引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現すべく、全力で果断に取り組んでまいります。

東(徹)委員 当然、この拉致問題は日本国の問題であって、日本が主体的にこの問題について解決していかなければならないということはもちろんそのとおりだというふうに思いますが、ただ、前の第一次のトランプ政権のときもそうだったと思うんですけれども、やはりトランプ大統領の動きというのはすごいなというふうに思うわけですね、金正恩と直接お会いしてというわけですから。

 私は、今回、拉致問題を解決していく、被害者を取り戻す最大のチャンスがトランプ政権のこの四年間だというふうに思うわけですけれども、その点についてはどのように思われますか。

平井政府参考人 まず、政府といたしましても、先ほど申し上げましたように、今回のこの三団体による訪米のタイミング、これは第二期トランプ政権の発足から間もないタイミングということで、米国の有力な関係者の拉致問題に対する理解をより一層深めるとともに、協力を確認する非常に有意義な訪問であったと考えております。

 今回の訪米の成果も生かしまして、米国政府関係者はもちろん、議会関係者や有識者といった米国の幅広い層に対して、拉致問題の即時解決に向けた一層の支持、協力に向けた働きかけに取り組み、国際社会との緊密な連携をしっかりと行い、政府として引き続き積極的な取組を行ってまいりたい、そういうふうに考えております。

東(徹)委員 先ほども申し上げたように、トランプ大統領のときが一番最大のチャンスだというふうに思いますし、時間がないんだということを、しっかりとそこをわきまえて活動に取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。

 続いて、ロシアと北朝鮮の関係についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 ロシアによるウクライナ侵攻において、ウクライナの発表でありますけれども、今年三月までに北朝鮮からロシアに渡った九十発以上の北朝鮮の、弾道ミサイルですからね、弾道ミサイル、によって百七十人以上が死傷したというふうにされております。今年も、少なくとも百五十発以上が北朝鮮からロシアに供給される見通しということも報道されておるわけです。

 北朝鮮製のミサイルが、精度が上がっているということも報道されているわけですけれども、我が国の安全保障にとってもこれは本当に重大な脅威であります。

 どれくらいの弾道ミサイルが北朝鮮からロシアに供給されて、その性能がどのように、上がっていると言われていますけれども、そうなのか、また、それによってロシアから北朝鮮にどれぐらいの資金が提供されているのか、防衛省にお伺いいたします。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の点につきまして、先月末に公表された、多国間制裁監視チーム、いわゆるMSMTというものでございますが、こちらによる報告書におきましては、昨年のうちに北朝鮮がロシアに対して少なくとも百発の弾道ミサイルを供与したこと、ロシアから提供されたデータにより北朝鮮製の弾道ミサイルの精度が向上したことなどが指摘されていると承知しております。

 また、ロシアから北朝鮮に対する見返りに関しましても、様々な指摘がなされていることは承知しておりまして、防衛省として重大な関心を持って注視しているところでございます。

 これ以上の詳細につきましては、事柄の性質上、お答えすることは困難ですが、いずれにせよ、こうしたロ朝軍事協力の進展の動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く地域の安全保障環境に与える影響の観点からも深刻に憂慮すべきものでございます。

 防衛省としては、引き続き、米国や韓国等とも緊密に連携し、必要な情報収集、分析に努めてまいります。

東(徹)委員 様々な見返りというところがやはり非常に気になるところであって、相当な金額がロシアから北朝鮮に支払われているのではないのかというふうに思うわけです。是非そこは示していっていただかないと、こういう議論が進まないというふうに思いますので、ここの金額は言えないんですか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで大変恐縮でございますが、御指摘の点につきましては、事柄の性質上、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

東(徹)委員 日本が制裁をしているんだけれども、結局、ロシアから資金がどんどんと流れているんじゃないのかというところが非常に大事なポイントだというふうに思います。

 これは報道ですけれども、ロシアは北朝鮮に対して防空システムとか電波妨害の機器を含む高度な電子戦システムを提供しているという、これはNHKの報道で出ていますけれども、こういったことも報告されていますし、また、石油精製品も供給されているということが報道で出ているんですから、それぐらいのことは確かめて、こういったところでちゃんと答弁していただきたいなというふうに思います。

 その上で、北朝鮮はミサイルだけではなくて兵士の派遣も行っています。一万四千人以上がロシアに派遣されるという報道もありますが、実際にどのくらい派遣されて、そのうち死傷した人数はどの程度と把握しているのか、お伺いしたいと思います。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきまして、先月末に公表されました、多国間制裁監視チーム、MSMTによる報告書におきましては、昨年後半に北朝鮮が一万一千人を超える兵士をロシアへ派遣したこと、本年一月から三月にかけまして追加で三千人を超える兵士を派遣したことなどが指摘されていると承知をしております。

 また、死傷者数も含め、派遣された北朝鮮兵士の戦闘状況に関して様々な指摘がなされていることは承知しておりまして、防衛省として、重大な関心を持って注視しているところでございます。

 これ以上の詳細につきましては、事柄の性質上、お答えすることは困難ではありますが、防衛省としては、引き続き、米国や韓国等とも緊密に連携し、必要な情報収集、分析に努めてまいります。

東(徹)委員 報道が出ていることぐらいは、その辺の数字についても、こういう報道があるけれども、これについてはどこまで正確かどうかは分からないとか、やはりそれぐらいの答弁はしていただきたいなというふうに思います。

 大変、北朝鮮、拉致問題も本当に大事な問題で、何とか被害者を取り戻していきたいし、そしてまた、核、ミサイル、こういった問題、どんどんどんどんと我が国にとって脅威が増しているという状況でありますから、是非政府一丸となってこれに対応していっていただきたいなと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、岡野純子君。

岡野委員 国民民主党の岡野純子でございます。

 質問の機会をどうもありがとうございます。

 本日の質疑に、危機感を持って、そしてブルーリボンバッジをつけて挑ませていただきたいと思います。

 二十年前から始まりました経済制裁ですが、長期化をいたしまして、その間も、核実験が行われ、弾道ミサイルはその精度を上げ、近年は発射数も増えています。我が国の国家主権侵害である拉致問題も一向に解決に進みません。長期化していることで、逆に北朝鮮はそれに適応する経済構造を形成しつつあります。

 先ほどから答弁にも出ておりますが、北朝鮮は外貨獲得のターゲットを暗号資産にシフトさせています。国連北朝鮮パネルの報告によりますと、二〇一七年から二三年の間に北朝鮮が全世界で暗号資産を盗み出した金額は約四千五百億円、北朝鮮の外貨収入のまさに五〇%を占めているそうです。

 日本政府は、サイバー攻撃の実行者を、北朝鮮政府と密接に連携する国家支援のハッカー集団、ラザルス・グループであるとの特定をし、注意喚起を行っているところです。

 北朝鮮が外貨獲得の方法をサイバー攻撃によるものへと変えていることへのまずは現状認識から伺いたいと思います。

阿部政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、国連安全保障理事会の専門家パネルにおいて、北朝鮮は外貨収入の約五割をサイバー攻撃により獲得し、大量破壊兵器の開発に使用していると報告されており、北朝鮮は外貨獲得の手段の一つとしてサイバー攻撃による暗号資産窃取を行っているものと見られます。

 こうした北朝鮮による暗号資産窃取の被害は我が国でも発生をしており、例えば、昨年五月、我が国の暗号資産関連事業者が約四百八十二億円相当の暗号資産を窃取される事案が発生をしましたが、同十二月、警察庁は、サイバー特別捜査部及び警視庁による捜査、分析の結果を総合的に評価し、米国連邦捜査局、FBIなどとともに、当該事案が、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループ、トレーダートレーターによるものであることを特定、公表し、あわせて、NISC及び金融庁と連名で注意喚起を実施したところであります。

 このように、北朝鮮は外貨獲得を目的に様々なサイバー攻撃を行っていると見られますところ、警察におきましては、引き続き、国内外の関係機関と連携しながら取締りを推進するとともに、サイバー攻撃グループの攻撃能力や手口に関する情報を収集、分析し、それらを国民の皆様や関係事業者、団体に対し適時的確に発信していくなどの取組をしっかりと講じてまいります。

岡野委員 御答弁ありがとうございます。

 今、DMMの例などを挙げていただきましたように、日本も攻撃の対象となっているということで、様々に注意喚起を行っていくということですが、では、国内対策について詳しく聞いてまいります。

 警察庁と金融庁、それに内閣サイバーセキュリティセンターは、暗号資産の事業者などに向けて、先ほど答弁にあったように注意喚起の文書を出したり、金融庁が暗号資産の事業者や銀行、証券会社などの金融機関を対象にサイバー攻撃への対応を学ぶ訓練を実施したりされていることは承知をしているところです。

 北朝鮮が行っている事案というのは、一獲千金を狙う大規模なものばかりであります。そうなりますと、セキュリティーが堅牢で侵入することが難しい。じゃ、どうやって侵害するのかというと、人間をだますわけです。組織の内部の人をだまして、マルウェアを仕込んでウイルスに感染させるという形を取って侵入する手口を取っています。会社の同僚や上司に成り済ましてみたりSNSで関係性を築き上げてみたりと、非常に古典的なやり方ではありますが、古典的だからこそ情報を入手しやすいと言われています。

 ですから、人間の心理的な隙や行動のミスにつけ込んで秘密情報を入手する、いわゆるソーシャルエンジニアリングへの備えが重要と考えますが、その点、どのように国内関係機関に対して徹底されているのか、伺います。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年五月に発生したDMMビットコイン社での暗号資産の不正流出事案については、昨年十二月、警察庁より、本件が北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループによって、委員御指摘のとおり、ソーシャルエンジニアリングの手口を用いて窃取されたものであると特定した旨が公表されているところでございます。

 金融庁におきましては、本案件を踏まえて、まず、昨年九月に全部の暗号資産交換業者に対して注意喚起と自主点検要請を行いました。また、十二月には、警察庁の公表を踏まえ、警察庁やNISCと連名で、ソーシャルエンジニアリングによる接近手口の具体的な事例、対処例、緩和策を示した注意喚起を公表し、改めて自主点検を行うよう要請したところでございます。

 現在、金融庁は、自主規制機関である日本暗号資産等取引業協会と緊密に連携し、先ほどの自主点検の結果等を踏まえまして、自主規制規則の見直し等について議論を行っているところでございます。

 また、金融業界全体に対してでございますが、昨年十月に金融庁において策定した金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドラインの中で、ソーシャルエンジニアリングによるシステム内部へ侵入する手口も念頭に、例えば、システムへのアクセス権限の適切な管理や、システムの入口の防御のみに頼らない多層的な防御の構築、システムの継続的な監視を求めております。あわせて、サイバー演習も実施しております。

 これらを通じまして、引き続き、金融業界全体のサイバーセキュリティーの向上につきまして、ソーシャルエンジニアリングへの対応も含めて図ってまいりたいと考えております。

岡野委員 御答弁ありがとうございます。

 国内への対応をしっかりと答えていただきました。

 では次に、サイバー攻撃に対する国家間連携について伺ってまいりたいと思います。

 北朝鮮は、盗んだ仮想通貨をDeFiなどで洗浄をしています。私もこの分野は決して明るくございませんのでちょっと必死に勉強したんですけれども、このDeFiというもの、非常に匿名性が高く、本人確認を必要としないプラットフォームも多く、従来は銀行で追跡が可能ですが、DeFiを通すことで資金移動をトラッキングされにくくし、国際的な監視を回避する手段として使われています。

 ラザルス・グループは、盗んだ資産を複雑に分散、交換し、追跡を困難にして現金化しており、そのお金で核開発や兵器購入などを行っていると見られています。ユーザーにとって非常に利便性が高い分、裏を返せば、サイバー犯罪者にとっても都合がいい仕組みと言えます。国境を越えて誰でも使えるため、国際的な協力がなければ制限が難しいわけで、この悪用に対して多国間での規制整備が急務と考えますが、見解を伺います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、DeFiの悪用に対する対応につきましては、これは規制対象の主体の特定が困難であるなど難しい面もあるわけでございますけれども、国際的にも重要な課題になっていると認識しておるところであります。

 このため、先月に開催されましたG7の財務大臣・中央銀行総裁会議におきましても、金融犯罪に対する行動要請が採択されまして、この中で、北朝鮮などの暗号資産窃取に関する深刻な懸念が表明されておりますとともに、暗号資産に関しまして、多国間の枠組みでありますFATF、金融活動作業部会の基準でありますけれども、これのグローバルな実施の加速ですとか、それから、DeFiの悪用、事業者を通さない個人間での取引、P2P取引と申していますけれども、そういったものから生じる新たなリスクに関しましてFATFが現在作業を進めておりますが、これについて引き続き支持をするという表明がなされたところであります。

 我が国におきましては、これまでも、FATFの暗号資産担当部会の共同議長国としまして国際的な議論において主導的な役割を果たすなど、積極的な取組を進めてきたところでございますけれども、金融庁におきましては、こうした経験も生かしまして、引き続き、財務省を始め関係省庁とよく連携をしながら、G7を始め各国と協力をしまして、マネーロンダリング、テロ資金供与、それから拡散金融への対策強化に貢献してまいりたい、こう考えてございます。

岡野委員 どうもありがとうございます。

 今、G7における各国との協力についてお答えをいただきましたけれども、経済制裁は一国で行っても効果が弱く、多国間連携というのが必須だと考えておりますが、北朝鮮に対する制裁監視体制であります国連安保理の専門家パネル、こちらはロシアが任期延長に拒否権を行使したことで一昨年に活動を終了しております。その後、多国間制裁監視チームのMSMTが設立をされましたが、ここにはロシア、中国が参加をしておりません。

 ロシア、中国がいないからこそ、MSMT有志国は、安保理ではないにせよ、加減することなく制裁違反を報告書に書き込むことができるという、そういった見方もあります。そして、これまでよりも厳格な監視ができるという見方もあるはありますが、一方では、国連の枠組みから外れますから、枠組みとしての強制力は弱まったということで、ロシアと中国が制裁を無視をしたり北朝鮮との連携を強化したりして、制裁の実効性が低下するという、そういったおそれも考えられるかと思います。

 北朝鮮の最大の貿易相手国であります中国や軍事協力を続けるロシアの動きを封じることに多国間で注力すべきと考えますが、政府の見解を伺います。

斉田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、多国間制裁監視チーム、MSMTの作業に積極的に貢献するとともに、中国やロシアを含む関係国に対し、安保理決議の完全な履行、これを働きかけるなど、安保理決議の実効性の向上に取り組んできております。

 例えば、中国との間では、本年三月の日中外相会談において、岩屋外務大臣と王毅中国外交部長との間で北朝鮮への対応について意見交換を行ったほか、これまでも様々な機会に、安保理決議の完全な履行、この重要性を確認してきているところでございます。

 また、先月公表された、多国間制裁監視チーム、MSMTの報告書で指摘されているとおり、ロ朝間の武器移転、こういったものや、ロシアにおける北朝鮮兵士の軍事訓練目的での受入れ、こうしたものは関連安保理決議への違反に当たります。政府といたしましては、こうした動きを含むロ朝軍事協力、この進展は深刻に憂慮しているものでございます。また、こうした認識を累次にわたり明らかにしてきているところでもございます。

 我が国といたしましては、引き続き、MSMT参加国を含む国際社会と緊密に連携しながら、関連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄、これを求めていく考えでございます。

岡野委員 御答弁ありがとうございます。

 ここをどのように封じるか、非常に難しく複雑な問題だと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日最後に伺いますのは、水際対策についてであります。

 今回様々に調べておりまして驚いたのが、世界に流通しているつけまつげの七〇%が北朝鮮産だということで、昨年のかつらやまつげの輸出額は二百五十億円、実に対中国輸出の六割を占めるそうでございます。

 ちなみに、私のまつげにも今エクステがついておりますが、ひょっとするとこれも北朝鮮産のものである可能性があります。私がエクステサロンに支払った代金のほんの一部でも、かの国のミサイルを造る資金になっているかと思うと、いたたまれない気持ちでございます。

 仲介業者が貿易上の品目分類を変えメイド・イン・チャイナとして全世界に流通させる、中国企業を経由した迂回輸出が懸念されます。日本企業が知らず知らずに関与してしまうこともあり得るかと思いますが、そうした迂回輸出のリスクに対してどのような水際対策を行っているのか、最後に伺いたいと思います。

福永政府参考人 先生ありがとうございます。

 貿易構造が複雑な中で、我々としてもしっかり取り組んでいきます。

 まず、外為法に基づく北朝鮮との間での輸出入禁止は、中国を含め、第三国を経由した場合でもそれは同様です。したがいまして、この実効性をどう担保していくかということが必要だと思っております。

 日本企業がそうした迂回輸出に巻き込まれるおそれに対しては、企業によるリスクへの認識、適切な需要者の確認、輸出管理制度に対する理解が重要だと思っておりますので、産業界向けのセミナーや説明会など様々な機会を積極的にしっかり捉えて、産業界と危機感や情報を共有してまいりたいと思っております。

 その上で、輸出輸入双方に関して、先ほど水際というお話がありましたが、税関や警察などの関係機関と緊密に連携して本措置の厳格な執行に当たっています。

 今後とも、輸出入禁止措置を含む日本の対北朝鮮制裁措置を厳しく実施してまいりたいと思っております。

岡野委員 御答弁ありがとうございます。

 この密輸に関しての被害というのは、前段申し上げましたサイバー攻撃のそれですとか中国やロシアが北朝鮮にもたらしている利益、便益というものと比較をすると、恐らく規模としては小規模なものになるのだろうと思います。ただ、それで手を緩めていいのかというと、私はそうではないと思っていて、我が国として、頑としてこれを禁止するんだ、徹底的に排除をしていくんだという意思を見せる、そういったメッセージ性を込める必要もあると思っております。

 国際的な振る舞いですとか我が国の主権への侵害、こうしたことへの非難を示すためにも、是非とも、非常に意義深いことだと思いますので、これからも徹底していただきたいという旨お願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 御答弁、どうもありがとうございました。

宮崎委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。よろしくお願いいたします。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、本日の議題について、れいわ新選組としては、さきに行われた国土交通委員会における決議同様、本委員会における決議には反対いたします。その理由については、本年の四月二十三日、既に党で声明を発表しております。以下で紹介させていただきます。

 声明、北東アジア情勢を更に悪化させないためにこそ北朝鮮制裁承認案件に反対する。れいわ新選組、二〇二五年四月二十三日。

 れいわ新選組は、この度行われた、衆議院の国土交通委員会における、北朝鮮への制裁承認案件の継続、二百十七国会承認二号について、前回及び前々回、二〇二三年、二〇二一年の棄権とは異なり、反対することとした。

 この後、衆議院本会議における採決、そして経済産業委員会においても別の継続案件の採決が行われるが、同様に反対することになる。参議院においても対応は同様である。

 この二つの案件は、国連安保理決議制裁とは異なる日本の独自制裁の継続を承認するものだ。制裁の理由は、北朝鮮の非核化や弾道ミサイル廃棄が見通せず、日本人拉致も解決していない現状を踏まえて外交上の圧力を維持するとされる。

 独自制裁は二年ごとに延長され、これで十五度目の延長となる。

 その中身は、北朝鮮籍の船舶の入港を禁止することや、輸出入を全面的に禁止するというものである。なお、その延長を決定する閣議決定自体は、今年四月八日に既に行われ、今回の採決は事後承認に当たる。

 れいわ新選組は、もはや時間の猶予は許されない拉致被害者と御家族への配慮、そして北東アジアの平和構築を見据えた結果、経年化した対北朝鮮承認案件の承認継続に反対することとした。

 問題点を明らかにする。

 まず、歴代政権与党が拉致被害者と向き合ってきたとは到底言えない。歴代の総理が北朝鮮の指導者と直接向き合う覚悟を表明し、石破茂首相も北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け、東京と平壌に連絡事務所の開設を検討するなどの構想を発表した。しかしながら、状況は遅々として動いていない。

 また、実際のところ、累次の経済制裁は効果が出ていない。

 対話の糸口を探るためには、経年化した独自制裁の継続ではなく、その見直しを行い北朝鮮との交渉に突破口を見出す道を探るべきと考える。

 また、経済制裁の方法そのものにも人道的な問題がある。日本が独自に行っている経済制裁は、北朝鮮における一般市民の生活を更に窮乏させる、いわゆる直接制裁である。平和外交の基礎として、戦時における国際人道法違反である集団的懲罰のように受け取られない振る舞いが求められる。

 拉致問題解決のためには、まずは対話の空間をつくり、これまでも国家関係の再構築に用いられた手段としての真実の究明を、日朝国交正常化交渉と並行して行うことこそが問題解決の最良の方法ではないか。

 そして、北東アジアの完全なる非核化に向かうために、北朝鮮が既に保有する核の先制不使用の宣言は重要であり、既に宣言している中国に加え、米国に対して促すことも必要である。

 そのような私たちの平和外交に向けたビジョンと意思を示すためにも、今回はこれまでの棄権ではなく、反対することとした。

 以上が、国交委員会と本委員会における対北朝鮮への独自制裁の延長に対する決議案に対する我が党の対応です。

 そこで、政府、経産大臣にお尋ねします。

 私たちは、声明で述べたように、実際のところ、累次の経済制裁は効果が出ていない、対話の糸口を探るためには、経年化した独自制裁の継続ではなく、その見直しを行い北朝鮮との交渉に突破口を見出す道を探るべきと考えております。私たちの考え方を政府はどう受け止めますか。北朝鮮の拉致問題への解決、北朝鮮の核開発の阻止に、政府はこの独自制裁の延長には効果があると本当に考えていらっしゃいますか。お伺いいたします。

武藤国務大臣 今回の独自制裁の件についての御質問で、先ほどもちょっと答弁をさせていただいておりますけれども、繰り返しになりますけれども、申し上げさせていただきます。

 北朝鮮は、前回輸出入禁止措置を延長した令和五年の四月以降も、弾道ミサイルや衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を繰り返し強行し、その能力を増強しているところであります。

 石破内閣の最重要課題であります拉致問題についても、北朝鮮に対して一日も早い全ての拉致被害者の帰国を強く求めてきておりますけれども、いまだ解決に至っていません。

 核開発に関しても、令和六年九月及び令和七年一月にウラン濃縮施設等を公表するなど、懸念すべき状況が続いております。

 こうした北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案をし、対北朝鮮措置として実施している輸出入禁止措置の期限を二年間延長することを決定をいたしました。

 経済産業省としては、税関や警察など、関係機関と緊密に連携をしながら、本措置を厳格に執行してまいりたいと考えておるところであります。

佐原委員 れいわ新選組も、拉致問題解決には本当に力を入れていただきたい。そして、御家族の思いを考えますと、本当にいたたまれない気持ちがいたします。

 しかしながら、今までの経年的なこの状態は、なかなか突破口が見受けられません。同じようなところを繰り返しているような気がいたします。本当に実効性のある手段なのでしょうか。北風と太陽のように、ある程度歩み寄り、国交をもう一度つなぎ、そして真摯に互いの気持ちを話し合うことこそが解決の道を探るような気がいたします。この二国間のことだけではなくて、北東アジア全体の安全保障を考えるときに、制裁措置がそれほどに効果があるとは思えないのです。

 確かに、様々な事例が増してきております。そのことについては強硬手段を叫ぶ方々もいらっしゃいますが、しかし、間違っても大変な事態を招いてはいけません。

 とにかく、れいわ新選組としては、二国間の国交を正常化し、お互いに話し合う、そういうところに突破口を見つけてほしいと思っております。

 時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。

 本日は、ありがとうございました。

宮崎委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    正午開議

宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 北朝鮮に対する輸出入禁止措置について質問をいたします。

 本承認案件は、二〇〇六年七月の北朝鮮による弾道ミサイル発射及び同年十月の核実験を契機に実施をされました日本独自の北朝鮮に対する制裁措置であります。まず、政府としてこの措置を二年間延長することにした理由について、改めて経産大臣の方からお願いをいたします。

武藤国務大臣 先生方、お待たせしました。申し訳ありませんでした。

 辰巳委員から、輸出入禁止措置の延長のお尋ねをいただきました。

 これは午前中ともちょっと繰り返しになるところもありますが、北朝鮮は、前回輸出入禁止措置を延長した令和五年、二〇二三年の四月以降も、弾道ミサイルや衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を繰り返し強行し、その能力を増強しています。

 石破内閣の最重要課題である拉致問題につきましても、北朝鮮に対して一日も早い全ての拉致被害者の帰国を強く求めておりますが、いまだ解決に至っていません。

 核開発に関しても、令和六年、二〇二四年の九月及び令和七年、二〇二五年の一月にウラン濃縮施設等を公表するなど、懸念すべき状況が続いているところです。

 こうした北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案をし、対北朝鮮措置として実施している輸出入禁止措置の期限、これを二年間延長することを決定いたしました。

 経済産業省としては、税関や警察など、関係機関と緊密に連携をしながら、本措置を厳格に執行してまいりたいと考えております。

辰巳委員 拉致、核、そしてミサイルといった諸懸案の包括的な解決にとって何より重要だと私どもが考えているのは、二〇〇二年の日朝平壌宣言であります。

 我が党は、日本独自のこの制裁措置が、いわゆる制裁のための制裁ではなく、北朝鮮を六か国協議に戻し、日朝平壌宣言に基づく対話の道に復帰をさせ、外交的解決を図るための手段として取られた措置であることから、賛成をしてきました。本承認案件も、引き続き、北朝鮮を対話の道に復帰をさせ、問題の平和的、外交的解決を図る手段として必要との立場から、賛成するものであります。

 そこで、外務大臣政務官に確認をしたいと思うんですが、この日朝平壌宣言は、日朝の首脳同士によって署名をされた合意文書であり、現在に至るまで北朝鮮側も否定をしていないと思いますけれども、いかがですか。

生稲大臣政務官 御質問いただき、ありがとうございます。

 日朝平壌宣言は、日朝双方の首脳の議論の結果として、日朝関係の今後の在り方を記した両首脳による署名された文書であります。現在に至るまで北朝鮮側も否定しておりません。

 政府としましては、引き続き、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するべく取り組んでいく考えです。

辰巳委員 ということなんですよね。

 この日朝平壌宣言は、今ありましたように、核、ミサイル問題を解決をして平和的な関係をつくり出す問題、拉致という言葉こそ使ってはいないんですが、拉致問題を含む一連の懸案を解決する問題、不幸な過去を清算して国交正常化を実現する問題など、日朝間の全ての問題について目標とその解決への段取りを定めた、まさにロードマップという性格を持つ文書だと我々は考えております。

 続けて聞きたいんですけれども、日朝の両首脳が署名、合意した日朝平壌宣言を踏まえた働きかけこそ、北朝鮮を対話の道に復帰させる上で重要だと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

生稲大臣政務官 ありがとうございます。

 我が国の北朝鮮に対する基本方針というのは、先ほども申し上げたとおり、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものです。

 石破総理は、日朝平壌宣言の原点に立ち返り、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国、北朝鮮との諸問題の解決に向け、断固たる決意の下、総力を挙げて取り組んでいくと述べています。こうした総理の思いに関しても、北朝鮮側に対しまして、様々なルートで様々な働きかけを今行っております。

 政府としましては、総理自身の強い決意の下、総力を挙げて最も有効な手だてを講じてまいります。

辰巳委員 もう一点確認をしたいことがあります。

 本承認案件に関して、この輸出入の禁止措置では、人道目的に該当するものについて、輸出入禁止措置の例外として取り扱うとしているんですけれども、なぜ例外として取り扱うのかということと、どのようなものが対象になっているのか、これについてお答えいただけますか。

武藤国務大臣 この輸出入の禁止措置、二年間延長をさせていただきますが、当該措置の趣旨を踏まえた総合的な判断として、人道目的等に該当するものについては例外とさせていただいております。

 具体的に申しますと、北朝鮮内にある国際連合また国際赤十字などの機関に無償で輸出される医薬品や食糧などは、輸出禁止措置の例外としているところです。

 いずれにしましても、北朝鮮に対する対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から、不断に検討をさせていただいていきます。

辰巳委員 本承認案件では、そうした人道上の配慮が講じられているということも確認をいたしました。

 最後になりますけれども、弾道ミサイルの発射など、北朝鮮による累次の国連安保理決議に反する軍事的挑発のエスカレーションを抑え、日朝平壌宣言に基づいて拉致問題を含む両国間の長年の懸案を解決するためには、北朝鮮との外交ルートの確立に向けた努力こそ急務だということを重ねて申し上げて、私からの質問を終わります。

宮崎委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮崎委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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