衆議院

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第2号 令和7年11月21日(金曜日)

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令和七年十一月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 工藤 彰三君

   理事 小林 史明君 理事 新谷 正義君

   理事 土田  慎君 理事 大西 健介君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 空本 誠喜君 理事 鈴木 義弘君

      伊藤 達也君    大空 幸星君

      小池 正昭君    小森 卓郎君

      坂本竜太郎君    塩崎 彰久君

      関  芳弘君    世耕 弘成君

      西野 太亮君    西村 康稔君

      萩生田光一君    細野 豪志君

      牧島かれん君    向山  淳君

      武藤 容治君    今井 雅人君

      大島  敦君    岡田 克也君

      鈴木 岳幸君    田嶋  要君

      波多野 翼君    福森和歌子君

      丸尾 圭祐君    山岡 達丸君

      東   徹君    黒田 征樹君

      丹野みどり君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    佐原 若子君

      辰巳孝太郎君    吉良 州司君

      平岩 征樹君

    …………………………………

   経済産業大臣       赤澤 亮正君

   防衛副大臣        宮崎 政久君

   経済産業大臣政務官    小森 卓郎君

   国土交通大臣政務官    上田 英俊君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 茶谷 栄治君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            恒藤  晃君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       向井 康二君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 渡邉 和紀君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           清浦  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房脱炭素成長型経済構造移行推進審議官)         伊藤 禎則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河野 太志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地方創生担当政策統括調整官)          宮本 岩男君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済安全保障局貿易管理部長)   猪狩 克朗君

   政府参考人

   (経済産業省イノベーション・環境局長)      菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         森田健太郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            小林 大和君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            坂本 里和君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           三宅 正寿君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       飯田 博文君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松尾 智樹君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     大空 幸星君

  谷田川 元君     波多野 翼君

  藤巻 健太君     黒田 征樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     塩崎 彰久君

  波多野 翼君     谷田川 元君

  黒田 征樹君     藤巻 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     向山  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  向山  淳君     鈴木 英敬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

工藤委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房脱炭素成長型経済構造移行推進審議官伊藤禎則君外二十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

工藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

工藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本竜太郎君。

坂本(竜)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の坂本竜太郎でございます。

 不安を希望に変えるということを高らかに掲げて、力強く高市新政権が発足いたしました。まずは、何があっても目の前の物価高対策、これは全ての皆さんの望みであるところでございます。それについて論ずる、ど真ん中で、この国会で論ずる最前線がこの経済産業委員会であると思っております。

 この経済産業委員会に引き続き所属させていただきました上に、早速質問の機会を頂戴いたしましたことに心から感謝を申し上げながら、本日は、赤澤大臣の所信に対しまして、福島担当でもあります小森政務官とともに、地方の立場から、そして地方を支えていただいております中小企業の皆さんの立場から、そして長年全ての皆さんに大変なお力をいただいております私の地元福島の立場から、所信に対してるるお伺いをさせていただきますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 まずは、物価高対策でございます。大臣も所信の中で、最優先課題であると強くおっしゃっていただいております。まだまだ各方面から、この物価高への懸念が表明されております。与野党で政治的に合意を見ましたガソリン暫定税率の廃止への対応、そして、急に寒くなりましたけれども、ますますこれから迎えます厳冬期の電気・ガス料金支援も含めて、様々なお考えをいただいているところであろうと思います。

 為替の動向についても、この物価高については大変関心が高い皆さんが多くなっておるところでございますが、もろもろの状況の中で、まずは経済産業省としての物価高対策への取組について力強い御答弁をいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

小森大臣政務官 坂本委員御指摘のとおり、物価高への対応は高市内閣が最優先で取り組むべき課題であります。

 経済産業省としても、与野党の合意を受けまして、今月の十三日より、ガソリン、軽油への補助金の拡充を開始しております。順次、暫定税率廃止と同水準の引下げを実現してまいります。

 加えまして、寒さの厳しい冬の間、暮らしの安心を届けるための電気・ガス料金支援を実施いたします。

 その上で、物価上昇を上回る賃上げの実現、このために、官公需も含めました価格転嫁、取引適正化の徹底に加えまして、成長投資を含む生産性向上、省力化投資の支援や、事業承継、MアンドA等による経営基盤の強化等の取組を通じて、強い中堅・中小企業を目指して経営を行っている企業を応援してまいります。

 物価高対応に全力を挙げてまいります。

坂本(竜)委員 冒頭から本当に力強い御答弁、ありがとうございます。

 御答弁がありましたように、物価高に向き合いながら、その物価高を上回る賃上げが果たされなければ、この国の経済、本当に先行きは不安だらけであるわけでございます。賃上げの実現に向けてどのように取り組んでいくのかについて、これからお尋ねをさせていただきたいところでございますけれども、一言で言えば、しっかり賃上げに回せるだけの、生産性の向上はもちろんですけれども、稼ぐ力というものが企業にとって強化すべき課題である、これも御披露いただいているところでございます。

 そして、高市政権のこれまた大きな柱の一つであります、次へ向けての成長投資、これも大胆になされなければならないわけでございます。

 持続的な賃上げの実現、これが必要なことでございます。もって、強い中小企業をしっかりとお育ていただいて、地方から、地域からこの国の全体の底上げを果たしていかなければ、次の時代は迎えられないわけでございます。

 そこで、中小企業の賃上げの実現に向けた意気込みについて、改めて力強い御答弁をいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

小森大臣政務官 中小企業等が生産性を上げて賃上げ原資を獲得して、それによって賃上げにつなげていくことは極めて重要でございます。企業の成長や生産性の向上により稼ぐ力を高めて、強い中小企業を目指して経営を行っている中小企業を全力で応援してまいります。

 まずは、賃上げの原資を確保するために、官公需を含めた価格転嫁、取引適正化を徹底してまいります。前の国会で成立いたしました取適法と振興法の来年一月の円滑な施行、そして現行法の厳正な執行等に努めてまいります。

 また、引き続き、売上高百億円を目指し投資を行う中小企業への支援や、売上高百億宣言の宣言数拡大に向けた取組等を行ってまいります。

 さらに、先ほど御答弁いたしました生産性向上、省力化投資の支援等に加えまして、これまで以上にきめ細やかな伴走支援、そしてまた重点支援交付金の活用など、賃上げ支援のための政策、これを総動員してまいります。

 強い中小企業への行動変容を促して、現状維持ではなく、変化に挑む企業、そしてまた人が報われる形に軸足を移してまいりたいと存じております。

坂本(竜)委員 これまでも様々取り組んでいただいておりますけれども、これが本当に行き渡るためにはどうするべきかというのを、是非お骨折りをいただきたいところでございます。その御覚悟をお示しいただいたところでございますし、次に進めるための行動変容にも言及をしていただいたところでございますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 その中で、いわゆる取適法や振興法の厳格な運用についてもお話がありました。いよいよ、この取適法につきましても、来年、年明け一月一日から施行されるわけでございますけれども、それに向けても、いろいろなお取組を鋭意進めていただいているところであると承知をいたしております。

 しかし、まだまだ、とにかくこの国を変えていくんだ、この中小企業政策、経済、産業の在り方のトランスフォーメーション、昔でいう、発注者側と請け負う側の商慣習もそうですし、雇用関係もそうですけれども、とにかくトランスフォーメーションしていくんだという、もっともっと国挙げて、社会挙げての国づくりが必要であろうと思います。

 そのためには、この取適法の中身、在り方についても、最後の最後まで、あるいは施行されてもしっかり周知を進めていただきたい。

 しかも、こういう法律を作ったから変わっていくんだよと呼びかけるのは簡単ですけれども、受け手の側、担い手の側、当事者の側が、それをしっかり自分たちのものになるんだという認識、自信を持てなかったら生きてこないわけで、すなわち、その中小企業の皆さんの目線に立った施行に結びつけていただきたいと心からお願いをいたすところでございます。それがかなって初めて、念願の価格転嫁というものにつながっていくわけでございます。

 そのことについて、どのように周知、まず取り組んでいらっしゃるのか、お教えいただきたいと思います。

坂本政府参考人 今委員から御指摘をいただきました取適法の施行に向けましては、御指摘のとおり、その内容を事業者の皆様にしっかりと知っていただくことが非常に重要だと考えておりまして、そのための周知広報活動を公正取引委員会と連携をして進めているところでございます。

 具体的には、全国四十七都道府県での説明会の実施、事業所管省庁の協力をいただいての業界向けの説明会の実施、また中小企業団体を通じて説明会、また中小企業向けの講習会、こういった様々な機会を捉えまして、取適法、振興法の説明会を開催をしているところでございます。現時点までに、延べ百回以上説明会を実施をし、六万六千人を超える方に御参加をいただいております。

 また、現在では、昔話の桃太郎をモチーフとした分かりやすい動画を作成をいたしまして、電車内での広告やテレビのCM、SNSなどで発信をするとともに、ウェブ広告やポスターの配布などにも取り組んでいるところでございます。

 御指摘を踏まえまして、来年一月の施行に向けて、引き続き周知活動をしっかりしていきたいと思います。

坂本(竜)委員 動画を用いた分かりやすさの追求も含めて、いろいろと取り組んでいただいていることも承知をいたしましたが、例えば、実態を調査する上で、アンケートを取っていただいたりからして始めていただいていますが、それでも、そこに表れてこない声、置かれている状況というのはまだ地方にあるのが実態であると思っています。アンケートに回答するだけで仕事を切られちゃうんじゃないか、にらまれちゃうんじゃないか、この恐怖心がもう植え込まれている。

 長い間のこの国の構造問題、これはまだまだ課題であるのが実態であると思いまして、せっかく、これを実効性あるものにするために下請Gメンの皆さんに活躍いただいても、その方々が現れた時点でもう終わってしまうんじゃないかというような、まだまだそういう厳しい心理状況に置かれている中小企業経営者の皆さん、小規模事業者の事業主さんが多うございますので、目に見えていない、顕在化していない皆さんにどれだけ御支援をすることができるのかというのは、是非、先ほどきめの細かい支援については御答弁いただきましたけれども、できることを全て尽くしていただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。

 そういった意味で、いわゆる立場が弱い中小企業の皆さんの目線に立って、この実効性ある価格転嫁をどのように進めていくのか、これまたこの御覚悟について、御答弁を改めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

小森大臣政務官 御指摘のとおり、中小企業、小規模事業者が適切に価格交渉を行うことができる環境の整備が大変重要であります。

 年二回の価格交渉促進月間を通じたアンケート調査や下請Gメンによるヒアリング、そしてまた下請かけこみ寺での相談対応など、様々なことを行っておりますが、この際提供をいただいた情報は、発注事業者に特定されることがないように厳格な管理を行っているところでございます。

 また、下請法では、違反行為の事実を公正取引委員会などに知らせたことを理由とした不利益な取扱いをすることを禁じているところでございます。価格転嫁や取引適正化につなげていくために、できる限りの情報をお寄せいただければと思っております。

 加えまして、前の国会で下請法を改正し、成立した取適法でございますが、中小受託事業者がより価格交渉を行いやすくなるように、中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明を行わなかったりすることなど、一方的に代金を決定することを新たに禁止行為に追加をしているところでございます。これらについて周知を徹底してまいりたいというふうに思います。

 また、全国のよろず支援拠点に設置しております価格転嫁サポート窓口において、受注者側企業に対する価格交渉の支援を行うなどしておるところでございまして、きめ細やかな支援をしてまいりたいと思っております。

坂本(竜)委員 とにかく、どうやって実態調査が、現実が把握できるかの在り方も含めて、いろいろ工夫をしていただきたいと思いますし、立派な法整備をした、体制が整っただけでは、行き届くことができない部分がまだまだあるということを改めて強調させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 そういったこと、賃上げや価格転嫁をしっかり進めながら次に進めていく、拡大していくためには、これまた高市内閣の成長戦略が大きな柱になっております。その中の肝である危機管理投資、これも期待されるところでございます。これも、企業の皆さん、国民の皆さんの心理からすれば、先行き不安というのが全ての諸悪の根源でございますから、やはり、目の前の課題を克服しながらも、先行きがどれだけ見通せるか、企業でいえば予見可能性というものが非常にポイントになってくるわけでございます。

 所信の中で、非常に画期的でございましたが、この危機管理投資については、単発ではなくて、いわば単年度でなくて、予算や税制の面において複数年度での支援が重要である、こういった御認識をお披露目いただいておるところでございますが、本当に心強いことで、農政なんかもそんなお披露目がありますけれども、大きくこの国の在り方が、そういう中長期のビジョンに立った施策の進め方がいよいよできる、できてくるのかな、国を挙げてみんなで取り組むことができる環境をつくり上げようとしているんだなということを心強く感じるところでございます。

 経済産業省におきましても、この成長戦略の肝である危機管理投資について、単発ではない複数年度の在り方、進め方について、どのように取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思います。

小森大臣政務官 危機管理投資でございますけれども、重要な戦略分野であるAI、半導体などを中心に、大胆な設備投資や研究開発の促進などを通じて官民の積極的な投資を引き出していくものでございます。

 こうした分野における民間の投資は、思い切った内容であればあるほど投資決定に向けてのハードルが高まるところでございますので、御指摘のとおり、企業の投資の予見可能性をいかに向上させるかといったことがポイントでございます。

 こうしたことから、複数年度にわたる予算措置のコミットメントとして、既にございますAI、半導体分野のようなフレームを他の戦略分野に広げていくこと、そしてまた大胆な税制など、政策のベストミックスを見つけてまいりたいと思っております。

坂本(竜)委員 是非、もう新しい時代なんだ、それについては、やはり政治的に進めるべきも多分にあろうかと思いますので、しっかりと皆さん方と力を合わせて進めていただきたいと思います。

 そういったことをもろもろ進めて、不安の払拭、先行きに対する希望をお導きいただきながら、やはり前提となる、根幹となるのは、この国の生命線であるエネルギーの問題であります。

 私は、特に、福島県浜通り、原発事故の被災地の選挙区選出でありますから、その重要性を認識しながら、さらに、安全を担保した上でどれだけ責任あるエネルギー政策を確立できるかというのがこの国の浮沈に関わる問題であると、どなたよりも認識をさせていただいているつもりでございます。

 新たに、DX、GXで需要が求められる中で、原発も含めた力強い活用方針も打ち出していただいていると同時に、再エネもやはり両輪で進めていく、これも重要なことでございますが、いずれにしても、中身は違っても、地域理解、地域の皆さんの御不安の払拭を果たさなければ、全く責任あるエネルギー政策は進めることができません。

 特に、再エネについて、昨今、それぞれの地域から様々な懸念、不安、まあ、実害と言ったらあれですけれども、災害に至ってしまっているのでないかというような印象もあるわけでございます。

 そのようなことを踏まえて、あらゆる電源構成を進めていくためにも、地域の理解を得た上で、福島第一原発の教訓、経験をしっかり生かした上で、責任あるこの国のエネルギー政策をどのようにお進めいただくのか、大臣から力強くお答えいただきたいと思います。

赤澤国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓、これを肝に銘じてエネルギー政策を進めていくことがエネルギー政策の原点であると考えております。国としては、安全性を大前提とし、安定供給、経済効率性、環境適合のいわゆるSプラススリーEのバランスを取りながら取組を進めていく方針でございます。

 特に、DXやGXの進展による電力需要の増加も見込まれる中、地域の理解や環境への配慮を前提に、再エネや原子力などの脱炭素電源を最大限活用していくことが重要であると考えております。

 委員御指摘のとおり、原子力は安全性確保と地域の理解が大前提となります。立地自治体等関係者の理解と協力を得られるよう、国も前面に立って原子力の必要性等について丁寧に説明を行うとともに、地域の実情を踏まえつつ、原子力防災の充実強化等の必要な対応をしっかりと行ってまいります。

 また、再エネについても、地域との共生が大前提でございます。特に、安全、景観、自然環境等の観点から課題を指摘されている不適切なメガソーラー等の事業には厳格な対応を検討し、地域との共生をしっかりと図ってまいります。

 エネルギーは国民生活や経済活動の基盤であり、強い経済の実現に向け、引き続き責任あるエネルギー政策を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

坂本(竜)委員 是非、再エネ、特にソーラー等につきましては、環境行政や林政も関与の余地があるわけですけれども、やはり、国の責任でといった場合には、エネルギー政策を所管する経産大臣の下でリーダーシップを発揮して、安全を確保して、責任ある在り方を担保していただきたいと心からお祈りを申し上げる次第でございます。

 大臣に御答弁いただきました。大臣は、何と申しましても、ついこの間まで、アメリカとの関税交渉の際、最前線で難しい交渉を取りまとめていただいた御実績を持って、満を持して経産大臣に御就任あそばされたわけでございます。非常に期待を国民の皆さんからもされているところだと思いますが、この日米合意の中で、これからは、日米が特別なパートナーとして、両国の経済、特に経済安全保障分野で様々なサプライチェーンを構築したり、協力関係を深めて次の段階に引き上げていくんだ、両国の経済を強くしていくんだ、そして、もって我が国の国益を最大化していくんだということをこの間の所信でもお披露目をいただいたところでございます。

 国益の最大化というのは一体何なんだと。

 様々なポイントがあると思いますけれども、私は、これからは、米国に対しても投資イニシアチブの中で様々な技術、ノウハウを提供していく、投資していく中で、既に地方にある、地方が育んできた、中小企業の皆さんが有している技術や、あるいはその活躍の場、人材も含めてあって、そして、地域経済にもこの恩恵があって国全体の経済成長がかなうような状況になって、初めて私は国益の最大化であるべきでないのか、こういう思いもいたしているところでございます。

 今回の日米関税合意を踏まえて、そういった側面の国益の最大化にどのように資するものにしていくのか、この国全体にどのように波及させていくお考えなのか、大臣のお考えをお伺いさせていただきます。

赤澤国務大臣 委員と、問題意識といいますか、認識を完全に共有をいたします。

 石破政権の下で、七月二十二日に成立をし、九月四日に関連する大統領令あるいは共同声明などが出された日米間の合意においては、日米両国の経済を更に力強く成長させることを確認し、また、重要鉱物、レアアース、AIを始めとした重要技術、造船など、幅広い分野での協力を更に強化していくことで一致をいたしました。

 同日、九月四日に取り交わした戦略投資イニシアチブの了解覚書を着実に実行することで、日米両国で経済安全保障上重要な分野におけるサプライチェーンを構築できること、また、世界最大の経済圏である米国市場において、成長性、経済性が見込まれるプロジェクトへの日本企業の参画による収益が確保されることが期待をされます。

 議員御指摘の点については、改めて申し上げるまでもなく、日本の中小企業、小規模事業者は、雇用の七割、付加価値の五割を占める日本経済の屋台骨でございます。特に、売上高百億以上の企業の四割が海外展開に取り組んでおり、こうした企業は、地域の投資と賃上げを牽引し、技術革新や海外市場開拓等を通じて日本の競争力を高める極めて重要な存在です。

 中小企業、小規模事業者の皆様が、今般の合意に基づく幅広い分野での経済協力やサプライチェーンの構築に様々な形で関与し、その活躍の機会を広げ、我が国全体の経済成長の促進につながっていくように、全力で努めてまいりたいというふうに考えております。

坂本(竜)委員 是非、地方にも光が当たるような進め方、心からお願いをさせていただく次第でございます。

 地方から発していくという観点では、私の地元福島県でイノベーション・コースト構想というものを、経産省さん、大変リーダーシップを発揮していただいているところでございます。石破前総理も、三・一一の日、今年ですね、福島の地において、福島で実績を上げた、確立したイノベーション、これを全国に波及させていくんだということを発していただいたところでございます。こういったことが、先ほど御答弁いただいたことの一つの道筋の一助にもなるのではないかと思っております。

 そこで、もうこれまでもいろいろお力をいただいておりますけれども、改めてでございますが、この福島復興を進める上でというよりは、この国全体をリードしていく上で、貢献していく上で、イノベーション・コースト構想、どのようにこれを実現していくのか、改めてお伺いさせていただきます。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 福島イノベーション・コースト構想は、産業復興の柱であります。地域の皆様の努力もあり、産業集積の芽は出つつあり、国内外が注目するプロジェクトも生まれております。

 一方で、この福島の地におきまして、産業復興は途上であります。これからがまさに正念場でありまして、本年六月、復興庁、福島県庁とともに、福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真を改定いたしました。

 その中におきまして、持続的な地域の稼ぎ創出のためには、進出企業のみならず、地元企業を含めた面的なサプライチェーン構築が重要であるというふうに整理をしております。引き続き、イノベーション・コースト機構、相双機構等とも連携し、立地補助金を中心とした企業誘致や、再開、創業の支援、企業間のマッチング支援、受注、販路拡大を後押ししてまいります。

 このほか、地域住民の日々の暮らしの改善のため、地域課題の解決に資する新たな技術の実用化、事業化支援や、また、担い手の拡大のため、交流人口、関係人口の新たな活力の呼び込み、次世代人材の育成等もしっかり進めてまいります。

 浜通り地域などを、あらゆるチャレンジが可能な実証の聖地と位置づけ、県や自治体、関係機関ともこれまで以上に一体となって、新たな産業基盤の構築に全力で取り組んでまいります。

坂本(竜)委員 是非、福島のためはもちろん、この国全体、そして国際貢献にも資するような御認識でお力添えをいただきたいと思います。

 福島の話題でありますから、何と申しましても、所信にもございました、福島第一原発の廃炉、そしてALPS処理水の処理について、これを安全かつ着実に時間をかけてでも進めていただく、これに尽きるわけでございます。

 いろいろと、今、進捗を見ているところでございます。ちょうど一年になります。大きな一歩を踏み出しました。耳かき一杯分の小さい分量とはいいながら、あの燃料デブリの正体をつかむための大きな一歩が踏み出された。新しいステージに入っております。確実に進捗を見ているわけでございますが、関係者一丸となって国の責任で進めていただく、このことについての御覚悟、やり切る覚悟について、御答弁を求めたいと思います。よろしくお願いします。

小森大臣政務官 議員御地元の福島第一原子力発電所の廃炉は、世界にも前例のない困難な取組でございます。

 廃炉につきましては、今御紹介ありました燃料デブリの試験的取り出しの成功など、一歩一歩着実に進展をしております。今後、最も困難な作業段階に入る中、安全確保を最優先に廃炉作業に取り組むとともに、技術開発支援、長期にわたる廃炉作業と地域との共生に向けた取組を進めてまいります。ALPS処理水の海洋放出についても、全力で取り組んでまいります。

 廃炉、そして福島の復興は経済産業省の最重要課題でありますので、引き続き、関係者一丸となって全力を尽くしてまいります。

坂本(竜)委員 力強くありがとうございます。

 済みません、時間帯として最後でございますので、最後、大臣にお伺いをさせていただきます。

 今の御答弁も含めてではございますけれども、御就任なされてイの一番に福島県にお運びいただきました。福島県庁、福島県知事ではなくて、まずは福島第一原発の現場にお運びいただいた。その足で、立地町であります双葉郡の大熊町、双葉町、この両町にお運びいただいた。その後で県庁に出向いていただいた。赤澤大臣ならではの現場主義、行動力のたまものであると心から敬意を表する次第でございます。地元としては、本当に心強い限りでございます。

 そういった意味では、現場を見た上、現場のお声を直接お聞きいただいた上での、この福島の復興に関しての赤澤大臣の御決意について、最後、お尋ねをさせていただく次第でございます。

赤澤国務大臣 福島の復興と東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉は、経済産業省の最重要課題です。実際、ASEANの会議なんかも入っていたわけでありますが、私自身、何よりも最優先で、着任後すぐに福島県に足を運ばせていただきました。

 福島第一原発では、廃炉やALPS処理水の海洋放出の進捗について、自分の目で確認をさせていただきました。長きにわたる取組となることを実感するとともに、引き続き、安全確保を最優先に、一歩一歩着実に進めていくべきものと認識を新たにしたところでございます。

 大熊町の吉田町長、双葉町の伊沢町長、内堀福島県知事との面会では、福島の復興がなお途上であるということを痛感をいたしました。内堀福島県知事からは、避難指示解除や産業復興に向けた取組については伴走支援、安全かつ着実な廃炉については責任貫徹、ALPS処理水の海洋放出については油断大敵、伴走支援、責任貫徹、油断大敵という三つの使命とキーワードをいただいて帰ってきたところでございます。

 先日も内堀知事とは面談させていただいており、これらの長きにわたる戦いについて、取組を着実に進めていく覚悟を改めてお示ししたところでございます。

 今後とも、現場主義を徹底し、地元の皆様の御意見をよくお伺いしながら、国が前面に立って福島の復興に最後まで責任を持つという覚悟で、全力で取り組んでまいります。

坂本(竜)委員 ありがとうございます。

 私も一層汗をかいてまいりますことをお誓い申し上げ、引き続いてのお力添えもお願い申し上げて、質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

工藤委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 改めまして、おはようございます。大西健介でございます。

 この国会から経済産業委員会の野党筆頭理事を務めさせていただきます。赤澤大臣を始め、皆様よろしくお願い申し上げます。

 私は、ずっと予算委員会だとか厚生労働委員会が長くて、経済産業委員会は初めてではありますが、地元は愛知県、特に西三河は自動車産業の集積地でありますので、物づくり産業についてはこれまでもずっと取り組んでまいりました。

 さて、引継ぎということではありませんが、山岡前理事等からお話を聞いておりますと、十月十三日ですけれども、大阪万博が閉幕しましたけれども、それに先立つ十月の六日、本委員会は、海外パビリオンの工事未払い問題をめぐって、閉会中の委員派遣として大阪市内で被害を訴える事業者からの聞き取り調査を行われております。この調査については共産党の辰巳委員にも大変御尽力をいただいたというふうに聞いておりますし、参加した委員は、与野党限らず、与党の議員の先生方も大変問題だというふうに言われていたというふうに伺っております。この未払い問題というのは何とかしなきゃいけない問題だというのは、与野党共有できていると私は思っております。

 被害者からは、金融機関から新規の融資を断られたとか、あるいはマンションを追い出されたという非常に悲痛な訴えが届いております。国家的プロジェクトである万博の成功に協力したいという思いから、まさに、昼夜を問わずと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、工事に御尽力をいただいた事業者の皆さんが万博倒産の憂き目に遭うようなことは、これは私は、そういう理不尽というのは絶対に許してはならないというふうに思っております。

 この点、大阪府の吉村知事は、これは民民の問題なんだというふうにしている一方で、経産省は、七月十六日、当事者から要請を受けた際に、民間と民間で解決すればいいとは思わないというふうに述べたというふうに報道されております。私、ここは大変重要なところだと思っておりまして、まさに民民の問題で国は関係ないんだということでは、これは済まない問題だというふうに思っております。

 この国会という公式の場で、大臣からこの点について明確に述べていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 海外パビリオンの建設工事代金の支払いについては、一義的には契約の当事者間における問題と考えておりますが、政府としては、民民の問題であるため全く関与しないとの立場は取っておりません。できる限りの後押しを行っていきたいというふうに思っております。

 これまで同様、引き続き関係者の声を伺いながら、相談いただいた事案について事実関係を確認するとともに、博覧会協会や関係行政機関とも連携し、個別の契約の問題解決に向け、政府としても後押しをしていく所存でございます。

大西(健)委員 今大臣から御答弁いただいたように、一義的には、それは本来払うべき事業者さんが払うのが当然でありますけれども、じゃ、これは民民の問題だから国は関係ないんだではないということを明確に大臣からも答弁をしていただいたというのは、私は大変意義深いというふうに思います。

 人件費や資材費の高騰と、併せて建設業界の残業規制の強化、これが重なって、国内の大手のゼネコンが受注を敬遠する中で着工が大幅に遅れる、そういう事情の中で、海外の事業者が元請として入ったことが未払い問題の要因になったという指摘もあります。この点でも私は、政府、国際博覧会推進本部及び主催者である万博協会に責任が全くないとは言い切れないというふうに思います。

 いずれにしても、はっきりしていることは、本当に万博に協力しようというふうに頑張った事業者の皆さんは何にも悪くないんですよね。ですから、そこはしっかりと我々も考えていかなければならないと思います。

 繰り返しになりますけれども、第一義的には未払い当事者が支払うべきというのは、私もそのとおりだと思います。しかし、本件については、特別な法律を制定してでも国が立替え払いをして元請の事業者に国が求償するというのも私は選択肢としてはあり得るんじゃないかと思いますが、これは、やるかやらないかというよりかは、そういう選択肢もまず検討していただいて、検討だけでもしていただけないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 私どもも委員と一義的には契約の当事者間における問題という点で認識を同じくしております。

 その上で、政府の立場としては、海外パビリオンの工事代金の支払いについては、繰り返しになりますが、一義的には契約の当事者間における問題と考えており、政府及び博覧会協会が御指摘の立替え払い等を実施する立場にはないというふうに考えております。

 一方で、さきに申し上げたとおり、政府としては、民民の問題であるため全く関与しないとの立場は取っておりません。引き続き、博覧会協会や関係行政機関とも連携をし、個別の契約の問題解決に向けて後押しをしてまいりたいと思います。

大西(健)委員 全く違う問題ではありますけれども、例えば養育費の立替え払いというのを明石市さんなんかは市として独自に進めていて、国でもこういう制度をやるべきじゃないかという議論が進んでいますけれども、一義的には本当は事業者が払ってもらえばそれが一番いいんですけれども、そうはいっていても、さっき言ったように、そうこうしているうちにマンションを追い出されるとか会社が潰れちゃう、こういうことなんですよね。ですから、まずは国が払って立替え払いして、そして、その債権を買い取って国が事業者に払うように求めるということだって私は一つの選択肢じゃないかと。我々の党ではそういう案も現在党内で検討しておりますので、また是非、与党の皆さんにも御協力をお願いしたいというふうに思います。

 未払い問題が問題になっている元請の事業者というのは、やはり特定の事業者に残念ながら集中しています。その一つが、フランス系のイベント会社の日本法人、GLイベンツジャパンという企業なんですけれども、実は、私の地元の愛知では、委員長も愛知ですけれども、来年、愛知アジア大会、パラ競技会の開催を予定しているんですけれども、この会社は、アジア大会でも六百三十億円の会場運営、運営業務委託契約を結んでいます。

 私は、アジア大会というのは国家的なスポーツ競技イベントであって、国が大会の準備又は運営に関する経費の一部を補助すべきだというふうに主張しておりますけれども、それゆえに、このGLイベンツには、万博未払いの問題の解決に向けて真摯な努力をしていただきたいとまず思っています。

 また、万博での未払いを受けて、愛知アジア大会組織委員会の方でも、下請参画を含む業務委託が適正に実施されるように求めていくというふうにされていますけれども、経産省にお願いしたいのは、これまで、この万博の未払いの問題でGLイベンツさんともいろいろなやり取りをされてきたと思います。それから、何でこういう未払いが起きたかという背景なんかもつかんでおられると思います。例えば、契約書の交わし方が日本の企業と海外の企業とではちょっと違っているとか、もっとこういうふうに初めの段階から確認をすべきだったとか、いろいろな反省、教訓点もあると思いますけれども、そういうことについて、是非愛知県に対して私は情報共有をしていただきたいと思っています。これは要望にとどめたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次に移っていきたいと思いますが、繰り返しになりますけれども、この未払い問題の解決なくして本当の意味で万博というのは終わらないというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、高市政権になって、ガソリン、軽油の暫定税率の廃止がやっと決まりました。今日も衆議院では財金委員会での審議が予定をされておりますけれども、五十年以上続いてきた追加のユーザー負担をなくすことは関係者の長年の悲願であって、私も党の税調会長や議員立法の提出者として関わってきた一人でありますので、これは本当に感無量であります。

 ただし、真にユーザー負担の軽減につながるかどうかは、これは注意深く見守っていかなければならないというふうに思っています。なぜならば、前例があるからなんです。

 どういうことかというと、二〇一九年の十月に自動車取得税が廃止になったんですね。これはよかったよかったと思ったら、新たに自動車税の環境性能割というのが導入されて、結局、自動車ユーザーの間での負担のつけ替えということに終わってしまった。これではユーザー負担の軽減には全くつながりません。

 年末の税制改正に向けて、ガソリン、軽油の暫定税率廃止による税収減を、また自動車関連諸税の中でユーザー間のつけ回しをするということに終わってしまっては、私は意味がないと思っていますので、そういうことがゆめゆめないように、赤澤大臣には財務当局に対しても毅然とした態度で臨んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 ガソリン税及び軽油引取税の暫定税率の廃止については、十一月の五日、与野党六党間で、ガソリンは本年十二月三十一日、軽油は来年の四月一日に廃止すると合意されたと承知をしております。その際、廃止に伴い必要となる国、地方の安定財源の確保については、引き続き検討を行い、結論を得ることとされたと承知をしております。

 こうした中で、自動車業界は、暫定税率廃止の代替財源について、車体課税へのつけ替えなどにつながることは反対であると表明していると認識をしております。

 車体課税については、経済産業省としては、今般の税制改正要望において、国内市場の活性化のための環境性能割の廃止等取得時の負担の軽減、また、カーボンニュートラルに資する保有時の課税の在り方の見直しなど、抜本見直しを要望しており、その実現に向けて、委員のお言葉をかりれば毅然として取り組んでまいりたいと思います。

大西(健)委員 そうなんですよね、環境性能割もやはり廃止を私もすべきだと思います。

 物を買ったら消費税をちゃんと払うわけですから、昔は自動車というのは大変なぜいたく品で一部の人しか持てなかった時代というのはあったかもしれませんが、今は生活必需品でありますので、取得時に余計な税負担をお願いするというのは、そろそろもうやめてもいいんじゃないかというふうに思っております。

 次に、同じくちょっと自動車の問題について聞いていきたいんですが、四月の内閣委員会で我が党の藤岡委員が、いわゆるEV補助金がBYDなど中国のメーカーに支給されていることについて、日本国民の血税が日本国内の産業振興に充てられるようにすべきじゃないか、こういう趣旨の質問をしました。

 EV補助金については、令和五年度の補正の執行分から、インフラ整備やアフターサービス環境の構築、災害時の地域との連携等のメーカーの取組を総合的に評価して補助金を決定する、そういう仕組みに変わっています。その結果、例えばBYDの、これはアットスリーというんですかね、そういう車の場合には、以前は八十五万円補助金が出ていたのが三十五万円に引き下げられたということなんです。

 ただ、じゃ、この補助金が減額になったのはいいんですけれども、補助金は減額になっていますから補助金総額は多分減っているんじゃないかと思うんですけれども、でも、補助件数は減っているのか増えているのか、この点について、前年度同時期まで比較可能な具体的な数字も分かるのであれば、それも併せてお示しをして、政府参考人から簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の補助金、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金、略してCEV補助金と言いますけれども、これにおけるBYDの車両を購入したユーザーへの補助実績でございます。二〇二三年度は約一千三百件、二〇二四年度は約千五百件となっております。また、二〇二五年度は九月末までの交付実績として約一千四百件となっております。これは昨年度同時期と比較して増加している状況です。

 他方で、委員御指摘のとおり、本補助金については、昨年度執行分より新たな補助額の策定方法を導入しております。具体的には、車両の性能だけではなく、先ほど御指摘あったインフラ整備、アフターサービス環境の構築、災害時の地域との連携など、メーカーの取組を総合的に評価して、各車両に対する補助金交付額を決定し、積極的に取り組むメーカーの車両を重点的に支援しております。

 この結果、昨年度執行分以降については、それ以前に比べてBYDの車両に対する一台当たりの補助金額は低下しておるところです。

大西(健)委員 補助金を下げたのに件数は増えているんですよね。現時点でも千四百件ですから、確実に、最後まで行くと、多分かなり増えるというふうに思いますけれども。

 では、何でこんなことが起きているかということなんですけれども、BYDは、補助金の減額を受けて、今だけBYD補助金、これは別に補助金じゃないですよ、補助金じゃないんですけれども、値引きなんですね、値引きのキャンペーンをやっているんです。先ほどの、例えばアットスリーという車でいうと、補助金額はさっき言ったように三十五万円ですけれども、それを上回る七十万円を値引きしているんです。モデルによっては百万円を超える値引きをしています。何でそんなことをするかというと、それをやってでも、BYDはコスパ最強というブランドイメージが強化できるんだったら、その方がBYDにとってはお得だということでやっているんですね。

 経産省は、EV補助金はメーカー支援じゃなくてユーザー支援だから、だからしようがないんだということで済ませていますけれども、意図はどうであれ、結果的には補助金が自動車メーカーの販売増加に寄与しているのは間違いないんですね。

 米国は、インフレ抑制法という法律で、自国又は友好国で製造されたEVのみを補助対象として中国製品を排除しています。EUも、補助金支給に当たって、域内製造比率や供給網の信頼性を重視する政策を導入しています。

 補助金という市場介入が自国産業の優位性を回復する装置として機能していないという状況を見たときに、経済安保だとかサプライチェーンとか別の観点から、私は、この補助金の仕組みというのをこのまま放置できない、そういう局面に差しかかっているのではないかというふうに考えますが、大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

赤澤国務大臣 我が国としては、EV、FCV、ハイブリッドなど、多様な選択肢を通じてカーボンニュートラルを実現していくという考え方の下、マルチパスウェー戦略を掲げております。その戦略に基づいて、内燃機関のみならず、電動機関を使うEV等の競争力も強化していく観点から、CEV補助金等を活用し、国内EV市場の創出に取り組んでいるところでございます。

 その上で、議員御指摘の国内の購入補助制度の在り方については、特定の国で生産されたEV車両に対し差別的な取扱いをすることがWTO協定違反となるおそれがあり、海外メーカーが生産する車両も含め、補助対象としております。

 そうした手法に頼るのではなくて、経済産業省としては、我が国においてEV等が持続的に活用されていく環境を構築する観点から今後措置を講じていきたいと考えておりまして、具体的には、先ほど参考人から答弁したものに加えて、令和五年度補正予算の事業執行からは、バッテリーといったEV等の主要部品やその原材料となる重要鉱物の安定確保に向けた取組等のメーカーの取組を総合的に評価して、各車両に対する補助金交付額を決定しております。

 引き続き、これらに積極的に取り組むメーカーの車両を重点的に支援をしてまいりたいと思います。

大西(健)委員 もちろん、日本としては自由貿易というのを推進しているわけですけれども、さっき言ったように、でも、アメリカもEUもやっているんですから。だから、きれいごとを言っていても、結果的に、日本のEVが全部BYDにやられたということになって、日本のEV産業が駄目になっちゃったらどうしようもないわけですから、ここはやはりもうちょっと危機感を持って私は考えるべきじゃないかというふうに思います。

 次に、中小企業取引の適正化についてお聞きしたいと思いますけれども、取適法の改正もありましたし、中小企業庁や公取の皆様のこの間の御尽力によって、例えば、支払い手形の現金化の問題であったりとか、金型保管料の負担の問題であったりとか、私は一定の前進があったというふうに評価はしています。

 一方で、私の地元の西三河、先ほど言ったように自動車産業の集積地なので、地元の中小企業にお邪魔をしてお話を聞くと、まだまだ不十分な点もあるということで、様々な御指摘をいただきます。

 例えば、金型関係でいいますと、今回のことを受けて、古い金型は捨ててくださいと言われるんですけれども、じゃ、その捨てる廃棄料は持ってもらえないんですね。あるいは、賃料の遡及分の支払い、ここから先は払ってくれるけれども、今まで、じゃ、過去保管していた部分については払ってくれるのかというと、これについては企業間の自主的な話合いに委ねられているので応じてもらえない、こういう話があります。あるいは、保管料を払ってもらえる場合でも、都心と田舎では当然土地代が違いますし、それから、部品によっては、やはり空調つきの建屋で保管しなきゃいけない、保管料はそれぞれ異なるはずなのに、結局、その保管料の計算基準が明確じゃないので、保管料は払ってくれるんですけれども、安過ぎて話にならない、こういう声も聞こえてきます。

 こうした声に中企庁はどのように対応していくつもりなのか、政府参考人から御答弁いただきたいと思います。

坂本政府参考人 御指摘いただきました金型等の無償保管問題につきましては、取適法上の不当な経済上の利益提供要請に当たるということで対処しているところでございます。

 金型等の保管費用に関する考え方につきましては、公正取引委員会の運用基準等において具体的に示されているところでございまして、例えば、御指摘ございました、発注者が所有する金型を受注者に預けて製造を委託している場合に不要になった金型の廃棄のために要する費用を負担させることは、取適法が禁止をする不当な経済上の利益提供要請に該当するおそれがあるというふうに整理をしているところでございます。

 中小企業庁におきましては、公正取引委員会とともに、型の無償保管への監視を強化していること、また、型の無償保管に関する考え方を分かりやすく解説するリーフレットを作成するなど、更なる注意喚起を行っているところでございます。

 さらに、自動車メーカーの違反行為に関しましては、今月十三日、公取との連名で、自動車工業会に対して型の無償保管を始めとする取適法に違反する行為の未然防止などにつきまして強く要請を行っているところでございます。

 引き続き、公正取引委員会と連携をし、周知啓発、厳正な執行に取り組んでまいります。

大西(健)委員 今の御答弁でも、廃棄の費用を払わないのは、これは取適法違反だという話がありましたけれども、じゃ、ほかの、私が指摘した、例えば、払ってはくれるんですけれども、その保管料の計算の基準がどうなっているのかよく分からないけれども余りにも安過ぎて話にならないとか、あるいは遡及分ですよね、遡及分、過去の分については、これはもうそれぞれの話合いに委ねられるということなのか、この辺についても御答弁いただければと思います。

坂本政府参考人 過去分につきましては、その期間も含めてきちんと協議の上、必要な保管料をお支払いいただくということで、その期間において無償ということになれば、先ほど申し上げた経済上不当な利益提供の要請ということに当たるというふうに考えております。

 適切な保管料につきましては当事者間で協議をしていただくということで、どういう費用が含まれるかというところにつきましても運用基準に具体的に示されているところでございます。

大西(健)委員 是非、今後も厳しく指導監督していただきたいと思います。

 引き続き質問を続けますけれども、自動車関税の影響については、地元の話を聞いていても、本格的な影響が出てくるのはこれからだろうという声が多いです。例えば自動車の値上げを行うにしても、関税分全てを価格に反映させることは多分難しいので、取引先に対して原価低減要請が来るんだろうなとみんな身構えているわけですけれども、私の地元ではよく、乾いた雑巾を絞ると言われるような厳しい原価低減要請、改善要請というのが発注元から来るということなんですけれども、この価格決定の適正化についてもやはり根強い不満の声があります。

 例えばですけれども、定期的なコスト削減要請が行われる場合に、発注先による価格価格のタイムラグが大きいために、前期の材料費が五十円だということで次の期も五十円で決められてしまうと、材料費が六十円に上がると十円分損が出てしまう、こういう苦情があります。また、ほかの例では、集中購買といって発注先がまとめて材料を買って取引先に支給するような場合があるんですけれども、材料を自己調達する場合には、当然ですけれどもこの集購の価格では買えないんですけれども、この集購価格で計算してコストダウンを求められて、作れば作るほど赤字になる、こういう話もあります。

 私が示したこの具体例も踏まえて、価格決定の適正化についてどのようにこの適正化を図っていくかについて、大臣から御答弁いただければと思います。

赤澤国務大臣 大西委員御指摘のアメリカとの関税の関係は、おっしゃったような価格低減というのもありますし、一方で発注量を減らされるとかいろいろな影響があり得るので、よく見た上でしっかり臨機応変に対応していきたいと思っています。

 御指摘のコストダウンの要請が取適法上問題になるかどうかは、個別事案に応じた判断であり、一概にお答えすることは困難でありますが、一般論としてお答えしたいと思います。

 取適法では、コスト上昇分の取引価格への反映の必要性について、協議することなく取引価格を据え置くこと、あるいは一律に一定比率で単価を引き下げて製造委託等の代金の額を定めることは、買いたたきに該当するおそれがございます。

 また、中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に製造委託等の代金を決定し、中小受託事業者の利益を不当に害する場合には、取適法に新たに追加した協議に応じない一方的な代金決定の禁止に該当し、違反となるものと承知をしております。

 公正取引委員会とも連携し、引き続き取適法の周知、広報に取り組むとともに、三百三十名体制の下請Gメンや大規模書面調査による取引実態把握などの取組を通じて、買いたたきや一方的な代金決定など、取適法に違反するような情報に接した場合には、法にのっとり、厳正に対処してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 本当にこの金型保管料の話もすごく時間がかかって、やっとこういうふうに動いてきているので、是非価格低減についても同じように改善をしていただきたいなと思います。

 そして、今、大臣も触れていただいた日米関税協議の話ですけれども、その協議を担ってきた赤澤大臣が引き続きラトニック商務長官のカウンターパートとして経済産業大臣に御就任されたというのは、私は非常に頼もしいというふうに思っております。御期待を申し上げたいと思います。

 一方で、総額六十兆円規模の対米投資プロジェクトについては、これは一部には、言い方はあれですけれども、令和の不平等条約という批判もあるほどであり、今後、具体的な投資がどのように行われていくのかについては注意深く見守っていく必要があると思っております。

 関心を示している企業はもちろん、リストにもあるように、たくさんあるものの、日本側のリスク負担が極めて大きく、利益配分も米国に大きく偏った構造になっていて、企業側からすれば、具体的な投資回収スキームが見えず、二の足を踏んでしまうのが実情だと思います。

 また、各国から対米投資が二〇二六年から二八年に集中することが予想されて、労働力の奪い合いが起こって、人件費等のコストが高騰することが予想されています。さらに、トランプ関税の影響でインフレが加速すれば、対米投資の収益性がますます損なわれる、そういう懸念があります。

 この点、大臣はどう考えるか、お聞かせをいただきたいと思います。

赤澤国務大臣 御通告いただいた二問をちょっとまとめてお尋ねいただいたようでございますので、回答をかいつまんでお話をさせていただきたいと思います。

 まず、先ほど委員、六十兆円とおっしゃいましたが、五千五百億ドルで、数字は八十兆円と言われておる投資になりますが、これについては、やはりトランプ大統領やラトニック商務長官が米国内向けにテレビでかなり気ままな御発言をされるところがあって、国内でかなり不安を生じたり、御懸念あるいはたまにはお怒りも生じたり、不平等条約みたいな御指摘もあるんですが、実際、大統領来日時に高市総理と大統領で署名をいただいた文書によれば、内閣官房のホームページにアップしてあるMOUに基づいてあの投資をやっていくということがはっきり確認をされたわけであります。

 その中で、ちょっと幾つか申し上げれば、一つは、法律に従うということが書いてあるので、JBIC法やNEXI法に書いてある収支相償、大赤字の出るプロジェクトは手を出しちゃ駄目よとか、日本に利益のないものは手を出しちゃ駄目よということがはっきり法令上書いてあるので、そういう意味では、何か日本側がリスクを負うようなことにはならない。少なくとも元本、金利あるいは保証料をしっかり回収ができる、そういう前提に立っているということがございます。

 また、米国側も非常にこのプロジェクト、乗り気なので、連邦政府が土地や水、電力、エネルギー、全部提供するし、製品も、半導体など全部買い取る、オフテイクを買い取ると言っています。規制プロセスの迅速化もする。必要があれば、これについて、アメリカに来る日本国民にはビザを商務省が出すといったようなことも言っています。

 とにかく徹底的にいろいろな貢献を米側がしてくれるので、その大きさを踏まえて、少なくともJBIC、NEXIが元本、金利、保証料を確保した上は、米国の貢献の大きさを踏まえて、九対一というような利益配分もあり得るという考え方を取っています。

 その上で、御関心のある企業があるということを委員にも御指摘いただきました。実際には、例えば原発であれば、そのプロジェクトに必要な設備や機器、AIであればAIインフラですね、そういうものを日本企業が提供する。ラトニック商務長官といろいろな企業が協定を結んで今後検討ということになっていますが、最大六十兆円ぐらいの売上げが立つ可能性もあるということで、日本企業も関心を示してくれています。

 そういったことも全部踏まえて、しっかり、この日米戦略投資イニシアチブが、早期の案件組成に取り組んで、合意の誠実かつ速やかな実施、あるいは日米の同盟の連携の強化につながっていけばいいと思っています。

 また、これも非常に簡潔に申し上げますが、米国国内でも、これはもう対米直接投資額、二〇二四年、八百六十兆円というような規模の経済でありまして、我々が八十兆円と言われる投資をした、これを今後複数年度にわたって大統領の任期中にやっていくということなので、御懸念の人件費の高騰とかインフレの加速、およそおそれがないとは申し上げませんが、それはリーズナブルな範囲にきちっと収まっていくものだと考えておりますし、資金の投資についても、これはドルの調達の仕方も十分工夫をしておりますので、何かしら為替に影響が出たりというようなこともないようにやっていきたいと思っております。

 その他、改めて御懸念があれば、また私の方でお答えできる範囲で真摯にお答えしたいと思います。

大西(健)委員 日本だけじゃなくて多くの国と同じようなことをこれはやろうとしているので、人の取り合いとか、又は、さっきから言っているように、インフレになると本当に採算性が大丈夫なのかというのは私は懸念をします。

 次の質問に移りますが、合成燃料のお話を聞きたいんですが、合成燃料、e―フュエルは、エンジン車をそのまま使えたり、ガソリンスタンドというインフラを使えるという利点があるため、私はこれは大いに期待をしていて、横浜にあるENEOSの中央研究所にも視察に行ったことがあります。ところが、先月、ENEOSがパイロットプラント以降の建設を無期延期、つまり事実上中止すると表明したと聞いて大変ショックを受けました。e―フュエルは、万博でもシャトルバス用の燃料に活用されていました。

 政府は、今後、合成燃料をどう位置づけていくつもりなのか、e―フュエルはもう採算が取れないので諦めるということなのか、この方針について大臣にお聞きをしたいと思います。

赤澤国務大臣 御指摘の合成燃料の技術開発プロジェクトについては、建設コストの大幅な上振れを背景として、より経済性の高いバイオマス原料を用いる製造プロセスに切り替えるよう、計画の見直しを決定したものでございます。

 これは、社会実装に向けて、より経済性が期待される選択肢を優先して追求することにしたものであり、二〇三〇年代前半までの合成燃料商用化を目指すという目標は変更はございません。

 経産省としては、引き続き、技術開発や需要喚起等を通じて、合成燃料の早期の商用化に向けて取り組んでまいります。

大西(健)委員 答弁を聞いて少し安心しましたけれども、この報道、誤解する人が多いと思うので、経産省としてもしっかりこの合成燃料はやっていくんだということは引き続き言われた方がいいと思います。

 最後に、MアンドAについて質問しますが、中小企業の後継者不足を受けて、MアンドAは一つの有効な手段だと考えております。ところが、近年、悪質な買手による被害が多発しています。典型的な例は、会社の譲渡直後から現預金を引き出したり、経営者の保証は買手が引き継ぐ約束だったのに、手続がされなくて会社が倒産してしまって、借金だけが残って連絡がつかなくなるというパターンです。

 政府はガイドラインを定めて二〇二一年に登録制度を開始したと言いますが、こうした被害の多くは、実は登録事業者の仲介によって成約されたものです。中企庁も指針を改定したり、業界団体も自主規制ルールの見直しを行ったり対応を行っていますけれども、私はこれでは十分とは言えないと思います。実際、業界団体であるM&A仲介協会の代表理事も、トラブルの原因はどこにあるのかと問われて、資格制度がないことが根本的な問題だと述べています。

 この資格制度について、経産省、どういう方針で臨むのか、お答えをいただきたいと思います。

坂本政府参考人 中小企業のMアンドAに関しまして、御指摘のようなトラブルが発生しているということは認識をしています。

 昨年来、御指摘のようなガイドラインの改定を始め、登録機関の取消し等を行ってきたところでございますが、さらに、本年八月には、市場の健全化を進めるために中小MアンドA市場改革プランを取りまとめまして、その中で、御指摘いただいたようなMアンドAアドバイザー個人の知識、倫理観を担保するための資格制度の創設も盛り込んでいるところでございます。

 この資格制度につきましては、現在創設に向けて検討会を開催をし、具体化に向けて進めているところでございます。

 こうした制度の創設も含めまして、中小企業の皆様が安心して事業承継やMアンドAを実施していただけるよう、市場の環境整備に努めてまいります。

大西(健)委員 経産省、中小企業庁の方でもやはり資格制度の検討をしていただいているということですので、是非、これは私もしっかりと進めていただきたいなというふうに思っております。

 時間になりましたので、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

工藤委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日は質疑の時間をいただきました。委員長、理事、委員の皆様に感謝申し上げながら、質疑に入らせていただきたいと思います。

 赤澤大臣が御就任されまして、日米通商交渉でも大変御活躍されているという報道等も聞いておりますし、様々伺っておりますが、本当に課題も多い経済産業政策に御活躍を御期待をしておるところであります。

 また、茶谷委員長が公正取引委員会で新たに御就任されて、初めて今日は質問させていただきますが、よろしくお願いいたします。

 初めに、公正取引委員会に質問をさせていただきたいと思います。

 いわゆる取引適正化法、取適法についてであります。

 取適法は、中小企業の受託取引をする際に、きちんと労務費や資材の高騰分が価格に転嫁する、そういう適正な交渉に発注者側が応じるということの環境整備を整えるということで、協議に応じない一方的な価格決定というのは明確に禁止をするという内容であります。

 中小企業の働く皆様の賃上げは、まさに労務費を含めた適正な価格転嫁ができるかどうかということが欠かせないという中で、賃上げの流れを社会全体につくっていく上で非常に重要な法律としてさきの国会で議論されたわけでありますが、今日この経産委員会にいらっしゃる皆様全会一致の中で、施行日を一月一日ということで明確に定めようと。

 これはなぜならば、来年の春闘がある中で、春闘を前にやはり価格転嫁という流れをしっかりつくっていく上で、日を決めた方が、誰もが、事業者側もそうですし、働く側もそうですし、公取を含めて経産省、中小企業庁もそうですが、それぞれの立場の人がこの一月一日に向かってきちんとこの法律の理念に基づいた方向に進んでいけるという思いで、議会の意思でそうした修正をさせていただいたものと承知しております。

 一月一日ですから、いよいよ施行が迫っているわけであります。公正取引委員会の今の準備の状況をお聞かせいただければと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 来年一月から施行されます取適法では、御指摘のとおり、交渉力の弱い受注者が発注者から一方的に価格を押しつけられることを防止し、実効的な協議が行われることを確保するため、御指摘のような、新たに協議に応じない一方的な代金決定の禁止を規定をしたところでございます。

 公正取引委員会といたしましては、取適法の施行に向けまして、その実効性を確保するために、改正法の内容や法運用に関する考え方を事業者の皆様にしっかりと知っていただくことが重要であると考えてございまして、そのために周知、広報を大規模に進めておるところでございます。

 具体的には、全国四十七都道府県での説明会、関係省庁と連携した業種別の説明会、全国各地の商工会議所等と連携いたしましたプッシュ型の広報、広聴企画、昔話の桃太郎をモチーフにした分かりやすい動画の作成、現在、電車広告やテレビCM、SNS等で流れておるものでございます、このようなことを実施しておるところでございます。

 また、このような取適法の周知、広報に加えまして、厳正な法執行のための体制の強化も重要でありまして、公正取引委員会では法執行担当職員の増員等も進めているところでございます。

 令和八年度の機構・定員要求や予算要求におきましては、調査等の実務を担当する職員といたしまして、地方事務所等を含め、常勤、非常勤合わせて百三十七人の増員を現在要求しておるところでございます。これは、公正取引委員会の定員は千人に満たないというところでございまして、その規模に比べまして大規模な要求を行っておるということでございます。

 加えて、今回の法改正では、公正取引委員会、中小企業庁、事業所管省庁が連携をいたしまして面的な執行の強化を図る観点から、事業所管省庁にも指導助言の権限が明記されているところでございます。

 公正取引委員会では、取適法の施行に先立ちまして、国土交通省と連携いたしました合同荷主パトロールの実施や、中小企業庁からの措置請求に基づく勧告を行うなど、関係省庁と連携して取引適正化のための取組を進めているところでございます。

 公取といたしましては、取適法の施行に向けまして、引き続き、JAM、ものづくり産業労働組合などの労働組合も含めた関係各方面にも御協力いただきながら、周知、広報に取り組んでまいりたいと考えてございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 最後にJAMという名前を出していただきましたが、中小企業の働く皆様でつくる労働組合、非常に我々、このJAMの皆さんの賃金が上がるかどうかがまさに価格転嫁に懸かっているというところでありますし、JAMさんの最新の調査でも、価格転嫁ができたと回答した企業の賃上げの状況とできなかったという回答をした企業の賃上げ、これは明確に違うということも明らかになっているところであります。

 様々今準備をしている、周知、広報を大規模にというお話がありましたが、関係者のお話によれば、盛り上がりはどうなのか、まだまだ欠けるんじゃないのかというお話であります。

 これは罰する法律でありますけれども、議会の意思としては、春闘にこの法律をもって結果を出すということをもって私たちは修正しているということを考えたときに、茶谷委員長にお伺いしたいわけでありますが、改正点を伝えるとか、こういうポイントだよと伝えるのも大事なんですけれども、やはり、改正の目的、趣旨、背景、そうしたことと公正取引委員会の強い決意も含めてお伝えしなければならない、事業者側も含めて意識の醸成が図られなければいけない、そうしたまだまだ手応えを感じないんじゃないかという現場の皆様の声を受けて、どのように取り組んでいかれるか、委員長の御見解をいただきたいと思います。

茶谷政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 ただいま政府参考人からお答えしましたとおり、公正取引委員会としては、来年一月一日の取適法の施行に向けて、全力で全国各地での説明会の開催や大規模な動画広告の実施などの周知活動、それとともに体制強化にも取り組んでいるところでございますが、今いただいた御指摘もよく踏まえて、引き続き、JAM、ものづくり産業労働組合などの労働組合も含めた関係各方面にも御協力をいただきながら、取適法の改正の趣旨がしっかり伝わるように全力で周知、広報に取り組むとともに、違反行為には厳正に対処していくことで、来年の春季労使交渉において物価上昇を上回る賃金が実現されることの一助となるよう、適切な価格転嫁が行われる取引環境の整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

山岡委員 茶谷委員長から御決意としていただいたと思っております。心強くも思いますが、是非それが実効性あるものとして結果を出していただきたいという思いであります。

 ありがとうございます。公正取引委員会の皆様、ここまででありますので、もしお時間があるようでしたら御退室いただければと思います。

 次に、大臣にお伺いしたいと思います。

 今日は、メガソーラーの問題について取り上げさせていただきたいと思います。

 この委員会室にも資料をお配りさせていただいております。一番最初にあるのは、北海道の白老町というところのメガソーラー、これは反対の声が非常に大きく上がっているということであります。

 北海道の白老町、私の地元でもありますが、北海道の南側なので広大な太平洋に面していますけれども、海の幸にも恵まれ、北側には山が広がっていて森林が大きく広がっている、自然の豊かな地域であります。アイヌ民族の象徴空間としての国立施設のウポポイも設置されている、そうした場所でありますけれども、この地域の山間六か所において、合計百五十ヘクタール、東京ドームに置き換えると三十二個分とも言われますけれども、に及ぶ広大なメガソーラー計画が明らかになった。北海道の釧路で大きな問題として報道されています。この白老町でも大規模な反対運動ということにつながっております。この反対運動の中核に、元の町の議長であったり、元の商工会長であったり、あるいは元の道議の方であったり、言うなれば町の中核を支えていたような方も参画して、そうした大きな騒ぎになっている、大きな問題になっているという状況であります。

 この白老町の隣に登別市という温泉が有名な町もありますけれども、この温泉の周りにも同様の問題が起こって、自然の中にある温泉なのにもかかわらず、様々メガソーラーが設置される。このことは過去にもこの委員会でも取り上げまして、今は罰則つきの市の条例を作って対応を一生懸命やっているということでありますけれども、それでも住民の気持ちに反したメガソーラー建設の新たな動きがある。

 まず経産省に伺いますけれども、政府はこうしたメガソーラーと住民のトラブルの現状をどう把握されておられますでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の北海道白老町については、複数の事業者が町内でメガソーラー事業の実施に係る説明会を実施し、生活環境への近さや土砂崩れの心配から事業に反対する住民もおられ、反対の署名活動が行われているということは報道としても承知をしてございます。また、白老町からは北海道経済産業局宛てに相談があり、北海道経産局としても適切に対応する旨を回答したと報告を受けてございます。

 なお、国に対する手続としては、再エネ特措法に基づくFIT、FIP申請が今のところ一件なされており、北海道経済産業局において、これまでに開催された説明会が再エネ特措法に定める要件を満たしているか等、審査において厳格に確認してまいりたいと考えてございます。

 また、地域の懸念が高まる中で、委員御指摘の北海道登別市のように、地域の実情に応じて、太陽光発電設備の設置に当たり一定の制限を課す条例の策定が進んでいるものと承知をしております。我々の調査によれば、昨年度末時点で三百二十三の自治体においてそのような条例が制定されているものと承知をしております。

山岡委員 今お話もいただきましたが、経産局にもお話が行っているということで、生活環境に近いという中の大規模なソーラー、しかも、元々は自然の中で、そこに住もうと思っていた方がたくさんいる中で、事業者側がこうして進めているということであります。

 この事業者の方々は、残念ながら地元の方々ではなく、北海道の方々でもなく、例えば外資系の方々、そうした方も含めて、外からやってくる、自分たちの町の土地でメガソーラーを造る。自分たちにとって、住環境を脅かされるだけで、どれほどの何かためになるのかも全く見えてこないという中で、環境破壊型とも言えるメガソーラー、地元住民の気持ちと相入れないというものは、私の立場からでもこれ以上認めるわけにもいかない、そんな思いの中で質問をさせていただいているわけであります。

 この問題は、土砂崩れとかあるいは様々災害のことについての懸念を表明しているのが今の町なんですけれども、今皆様に資料としてお配りしているのは、メガソーラー発電の火災の問題について今日はまたこの場でも確認をさせていただきたいと思います。

 お配りしている資料ですが、一つは仙台市、昨年あった大規模な火災の件。最後の新聞記事は鹿児島です。鹿児島でも大きな火災があったという。火災が今相次いでいるということが、連続で発生している状況であります。仙台の事例でいうと、ゴルフ場のメガソーラー発電所で火事ということで、消防隊員とか団員の皆様延べ三百人以上が出動して、二十二時間かけて何とか消火した。鹿児島の事例では二十時間かけて消火しているという状況であります。

 太陽光パネルは、太陽が照っている昼間の間は感電のおそれがあって放水ができない、そうした根本的な問題があります。日没までの間はとにかく周りに延焼しないように、直接の放水がなかなか難しいという状況が続く。そして、真っ暗になってしまった後はまた的確な放水ができない中で、次の日、朝、日が上がるまでの間にまた放水をして、上がった後は電気がまた流れ出しますから、見かけ上は火がないように見えても、また通電をして燃え始める可能性がある。本当に苦労しているという内容がこの資料に書かれているところであります。これは、資料の四ページ目、月刊消防という内容の四ページ目でありますけれども、ここに二十二時間の記録も書いているところでありますけれども、極めて困難な火災の鎮火活動だということを書かれているところであります。

 鹿児島では、メガソーラーの蓄電設備の建屋が爆発した。消防隊員四人がやけどをして、重傷者も出ている。こちらも消火に二十時間でありますけれども、地元の消防組合は、電気回路が遮断をできない中、爆発、延焼した、消火ができない困難な事案だということを振り返っているということであります。

 私の地元の話に置き換えれば、山の中に設置をする太陽光パネルというのは、大規模な山火事にもしなったときに消火活動ができないという状況になるというのは極めて危険な状況だということを強く感じるわけであります。

 火災の原因は、製品自体の不具合とか施工不良、経年劣化、あるいは予測できない地すべり等の災害で、設置したときには何の問題もなくても、製品の破壊が何らかの理由でなってそうした火災が起き得るということで、正直、全国の事業用メガソーラー、これは本来であれば点検する必要があるということを強く思うわけであります。

 経済産業省、資源エネルギー庁は、これらの火災を受けて、昨年の火災ですけれども、今年の五月に、ソーラーパネルの附帯設備等の周りの下草などを刈り取って、燃え移らないように措置してくださいという電気事業法に基づく通達は出しているんですけれども、全国に、FIT、FIP認定の事業者だけでも七十万以上、そうじゃない事業者ははるかにいる中で、事業用ソーラーの状況、この通達に基づいてきちんと対応したかどうか、それは全ての事業所から報告をさせて確認をしている状況なんでしょうか。御答弁いただければと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました電気事業法でございますけれども、こちらの保安規制では、設置者の自主保安の原則の下、設置者が主任技術者を選任し、保安規程を定めることを基本としつつ、出力規模に応じて工事計画届出や使用前の自主検査等を求め、技術基準への適合を義務づけてございます。

 その上で、事後の対応としまして、経済産業省において、太陽電池発電設備に対する年間約千七百件の現地調査を実施しているほか、当該調査で得られた情報も活用しつつ、電気事業法に基づく立入検査等を実施し、必要に応じて当該設備の設置者に対し指導等を行ってございます。

 こうした措置により、今般明確化しました火災防止措置も含めまして、引き続き電気事業法の遵守状況を確認していきたいと考えております。

山岡委員 端的にお答えください。

 全ての事業所からの報告をさせているんですか。お答えください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げたとおり、出力規模に応じて規制の内容が異なってございます。例えば、十キロワット未満につきましては……(山岡委員「端的にお答えください」と呼ぶ)はい。

 全てについての確認はしてございませんが、情報を収集した上で、ここについては立入検査を行った方がいいというようなケースについては対応させていただいているということでございます。

山岡委員 今、数字の規模で千七百件の立入検査と言っている。千七百件なんですね。FIT、FIPの認定だけで七十万ある、それ以外のところは更に、はるかにあるわけであります。通知は出しても、報告をさせるぐらいはしないとこれは把握できないわけでありますよ。だけれども、太陽光パネルの様々なこれまでの政策の積み上げの中で、なかなか、通知を出して、それぞれの地域がどれだけどうやっているのかということは、正直、国では把握できない、管理できない。本当に、全体の中でいえば千七百という一部のところに入って、問題があれば立入りするというような、そうした現地調査の話を今お話しいただきましたけれども。

 しかも、設置前には検査して、設置後についてそういう状況ですけれども、太陽光パネルというのは、設置してから二十年とかそれ以上発電を続けるという中で、このリスクが各地で起こるということになったときにはどれほどの影響が出るか。しかも、火災を起こしてもペナルティーもない。そのソーラーは使えなくなりますが、ほかの事業にも影響しないんですね。

 大臣に伺いたいんですけれども、今、FIT、FIPで規制をして、これがもし違反をしたらFIT、FIPを凍結するという措置をしているわけでありますが、今、このFIT、FIPの太陽光も、導入当初は四十円超えの大きな支援がもらえたんですが、今となっては支援額八円程度ということで、国民負担が少なくなっている、望ましいという考え方もあるかもしれませんが、支出額が少なくなれば、支出に頼らないという事業者も、この補助に頼らないところも出てくる。そうすると、法律の説明会も必要ない、凍結の規律も利かない、こういうメガソーラーが増えてきて、しかもこういうリスクも出てくる。これは住民との共生というのをどのように担保するんでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

赤澤国務大臣 FIT、FIP制度の支援を受けない事業においても、これは再エネ全般の大前提でありますけれども、地域との共生が大前提でございます。関係法令の遵守はもとより、地域の理解や環境への配慮を前提に事業を実施することが重要でございます。

 こうした方針の下、国交省、農水省など、太陽光発電事業の実施に関係する法令を所管する省庁と連携し、環境省とともに太陽光発電事業の更なる地域共生・規律強化に向けた関係省庁連絡会議を設置して、関係法令を総点検し、必要な対応について検討を進めているところでございます。

 関係省庁と連携を図りながら、関係法令に基づき、より一層の規律の強化、太陽光発電事業の地域共生の確保について取り組んでまいりたいと思います。

山岡委員 別の法令で何とかいろいろ考えたいという話なんですけれども、補助を止めるという伝家の宝刀がないと、これはなかなか簡単じゃないと思いますよ。しかも、火災リスクは全国でそれぞれ置き続ければまた出てくるし、ほかのまた問題も出てくる可能性がある。土砂崩れ等、様々な課題もあるわけであります。

 地域の共生をうたっておられるわけでありますけれども、その住民の気持ちに最前線で向き合っているのはそれぞれの自治体だと思っております。私は、住民との共生なきメガソーラーは認められない、そうしたときに、この設置の是非に関して自治体の裁量が小さ過ぎるということを強く感じるわけであります。国が主導はいいんですけれども、自治体の権限がないばかりに、主体性も今まで余り育まれてこなかった。住民の気持ちに反して事業者がどんどん入ってきても自治体の対応が後手に回る。登別のように、後から罰則をいろいろ作ってできるだけの対応という対抗措置もあるんですけれども、こうした中で、釧路は自分たち独自で許認可制をつくる、孤軍奮闘、いろいろ頑張っているということであります。

 やはり、国がグリップを握る、国の政策ですからそれは重要ですけれども、ただ、各自治体にも、法令に基づいた明確な許認可権等を含めて自治体に強い権限を持たせて、リスクもきちんと自治体に認識してもらって、その上で住民の安全を長期にわたって確保していく、そうした制度の在り方に見直していくべきだと私は強く思うわけでありますが、大臣に御見解をいただきたいと思います。

赤澤国務大臣 山岡委員と問題意識を共有をいたします。

 その一方で、我が国の法体系において、太陽光事業を含め、事業者による経済活動の実施に対して地元自治体の同意や許可を要件とすることについては、財産権の保護等の観点から慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

 その上で、太陽光発電事業については、他の発電事業と同様に、電気事業法において届出制とした上で、自然環境、安全性、景観などの観点から、関係法令において、その法令ごとに国と自治体の適切な役割分担の下で許認可等がなされているものと承知をしております。

 経済産業省としては、こうした各種の規制制度が効果的に機能するよう関係省庁と連携して、環境省とともに関係省庁連絡会議を設置し、関係法令の総点検を行っているところでありまして、その結果を踏まえて、関係省庁や地方自治体とも連携しながら必要な対応を行ってまいりたいと思います。

山岡委員 国と地方のすみ分けだというお話もありましたが、ならば、地方が、住民と一番向き合っている皆さんが納得できないものは、国としてきちんと厳しい対処をしていただきたいと思います。

 やはり、設置してしまえば再生エネルギーの数値に換算されますから、国はこれだけ増やしましたという数値になるかもしれませんが、長年にわたって住民の不満の声あるいは安全のリスクと向き合うのは自治体でありますので、引き続きこの問題はまた委員会でも取り上げながら私も様々問題提起をしてまいりたい、そのこともお伝えさせていただきながら、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

工藤委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重な質疑の時間をいただきました。早速質問させていただきます。

 赤澤大臣、経産大臣就任おめでとうございます。非常に期待をして、今日は、基本的な質問、私は専門はエネルギーでございますので、エネルギー全般で気になるポイントを、赤澤大臣のお考えもお聞きをしてまいりたいと思います。少々多岐にわたりますので、参考人の皆さんもできるだけ端的にお答えをいただいて、御確認をいろいろ進めさせていただこうと思います。

 冒頭、一点だけ、最近の大きな問題であります中国との通商関係が今心配だということで、一問目、質問させていただきます。

 高市総理、頑張っていらっしゃるのでありますけれども、台湾有事をめぐる発言以降、日中関係の緊張が高まっています。中国側は渡航自粛を呼びかけるなど、既に経済分野で具体的な影響も出ているのではないか。ついては、現時点での経済的な影響の分析というのはどういうふうになされているのか。観光やエンタメ分野などで既に影響が出ているという報道もございます。経産省でどのように把握されているか、まずお聞きをしたいと思いますが、大臣、よろしいでしょうか。

赤澤国務大臣 日中関係、これは大変濃い経済関係があるわけでございまして、今後いろいろな影響が出てき得るということについては、委員と問題意識を完全に共有をいたします。それについては、具体的に、私ども、現状を注視していく中で、いろいろと判明してきた事態にはきちっと臨機応変に対応してまいりたいというふうに思いますが、逆に言うと、何が起こりそうだとか、こういうおそれがあるみたいなことを申し上げること自体、また日中関係に影響を与えるおそれがありますので、現時点において何か具体的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。

 その上で、以前から続いている中国によるレアアース等の輸出管理措置について、グローバルなサプライチェーンに深刻な影響が及んでいるところでございます。

 十月三十日に、私からも、APECに足を運んだ際ですが、韓国において、王文濤中国商務部長に対して強い懸念を表明し、適切な対応を取るよう強く要請をいたしました。

 引き続き、この点も含めて、日中の経済関係、状況を注視しつつ、関係国とも連携の上、必要に応じて更なる申入れを行ってまいりたいと思います。

 中国とは、隣国であるがゆえに摩擦や行き違いはありますが、官民双方で幅広い分野での意思疎通を図っていくことが重要であり、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この問題、長期化も言われているということでありまして、中国も経済的な対抗措置というのをエスカレーションさせていくリスクも当然考えられるわけであります。

 そうすると、中国への依存度というのは非常に日本は高いわけでありますから、大臣ももう釈迦に説法でございますけれども、日本のサプライチェーンをどういうふうに守っていくのか。ここで答弁はなかなか難しいのかもしれませんけれども、先手先手で準備を、対応をやはり検討して、いざというときにやはり日本の企業をきちっと政府が支えていくということをお約束をいただきたいと思います。

赤澤国務大臣 引き続き、日中の経済関係を注視してまいりたいと思います。

 なかなか仮定の御質問ということであるとお答えが難しいんですが、おっしゃるとおりでありまして、表で何か表明したりすること、まあ、するかしないかはともかく、いろいろな起き得る事態についてしっかり準備をしておくということについては非常に重要なことだと思っておりますので、本日の委員のこの委員会における御指摘も踏まえて、いろいろな事態、起こり得ることについて想定をした上で、しっかり準備をしてまいりたいと思います。

 いずれにしても、経済産業省としては、引き続き状況を注視し、関係省庁とも連携しながら、適切な対応を行ってまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、この後エネルギーの御質問に入るわけなのでありますけれども、今日は防衛副大臣にお越しをいただいております。御多忙のところをお越しいただいていますので、ちょっと順番を変えて、まずはその問題に触れさせていただきたいと思います。

 順番は一番最後からで恐縮なのでありますけれども、原子力発電に関する諸課題の中で、懸念材料として幾つか挙げてある中の一番最後は、原発に対する武力攻撃のリスクというお話であります。

 これは委員会でも何度も私は取り上げているのでありますけれども、ウクライナの戦争、ザポリージャ原発に対する武力攻撃のリスクが高まっている、そうしたことが、日本に置き換えてみると、日本の原発、たくさん、原発だけではありませんね、再処理工場などもあります、これを自衛隊の皆さんが当然今守ってくださっているとは思いますけれども、例えば、弾道ミサイルやドローンなどによる攻撃が高度化をして、戦術も非常に複雑になってきている、飽和攻撃みたいなこと、第一段、第二段、第三段と想定をするときに、本当にこの原発を守り切れるのかどうか。

 宮崎副大臣、経産委員会でも大変お世話になった方なので厳しい質問をしたくはないのでありますけれども、大事なポイントですので、是非お答えください。

宮崎副大臣 経産委員会の皆様には、昨年、大変お世話になりまして、ありがとうございました。

 山崎先生からは、原発の重要性と、やはり国民の命を守るという意味で、この委員会でもこういう自衛隊に対する御質問を過去にもいただいておるところでございます。

 今、弾道ミサイルというお言葉もございましたので、まず、原発に対する弾道ミサイルによる攻撃に対しては、自衛隊としましては、我が国全域を防護するためのイージス艦を展開させるとともに、拠点防護のために全国各地に分散配備をされておりますPAC3、これを状況に応じて機動的に移動、展開をして対応することとしております。

 その上で、先生御指摘のとおり、近年、我が国の周辺においては質、量共にミサイル戦力が増強されていることを踏まえまして、例えば、極超音速滑空兵器への対処能力向上のための迎撃ミサイルでありますGPI、これを日米で共同開発することやレーダーの能力の向上、弾薬を着実に調達するなど、迎撃能力の更なる向上に努めているところでございます。

 また、このようなミサイル防衛網によりまして飛来するミサイルを防ぎつつ、相手の領域において我が国が有効な反撃を加える能力、すなわち反撃能力を保有することでミサイル攻撃そのものを抑止してまいるところでございます。

 防衛省・自衛隊としましては、このような取組を通じまして、いかなる事態にありましても国民の生命財産、これを守り抜くというために万全を尽くしているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 実際に、例えば、初期の段階で、戦闘が始まったときに飛んでくるミサイルを迎撃をする、それは一定今のお話の中でカバーできていると思うんですけれども、私は、ウクライナの戦争なんかを見ていると、もう毎日のようにミサイルが飛んできて、ドローンの攻撃だとか、何百という攻撃、兵器が飛んでくるわけですよ。そういうときに、本当に、原発がこれだけ日本にたくさんあって、通常兵器でも、当たればやはり過酷事故のリスクというのは高いと思いますよ。

 私は、結論から申し上げれば、原発というのは、日本の安全保障を考えた上で、やはりこの依存を低減して安全な状態に持っていくというのが、日本の、本当に国を守る、そういう視点から必要な、そこを検討すべきだというふうに思っておりまして、副大臣というお立場で、原発は日本の安全保障上、防衛上リスクになるんだ、そういう認識をお持ちですか。

宮崎副大臣 まず、先生の方から、社会事象として起きていることを前提に御質問をいただきました。

 先ほどの答弁の中にもありましたが、例えば、継戦能力と申しますけれども、戦闘が一定程度の期間続いたとしても継戦能力をしっかり持つために、先ほど弾薬の着実な調達などについても触れておりますけれども、こういった形で、いかなる事態になっても国民をしっかり守っていくということは必要だと思っております。

 さらには、例えば、複数のというお話がありましたが、弾道ミサイル防衛のシステムは多目標対処というものを念頭に置いたシステムでありまして、先ほど触れましたSM3搭載のイージス艦とPAC3による多層防衛ということで、複数の弾道ミサイルが我が国に発射された場合であっても対処する能力を有しております。

 防衛省・自衛隊としては、こういった形で、いかなる状況においてもしっかりと対処していくということでございます。

山崎(誠)委員 これまでの私の質疑でも、お答えがあったのは、最後は守り切れないことはありますよ、そのときには、国家保護計画ですか、そちらに切り替わるんですというお話をいただきました。今、副大臣は、その認識はない、守り切れるんだという認識なのかどうか。ここで時間を使いたくないので、ここはここで止めますが。

 赤澤大臣、今のお話を聞いて、本当に、この原発、これから新増設も含めて、国家安全保障上のリスクという観点から、本当に国民の命や財産を守る、そういう観点から、この原発というものについてやはり一定の歯止めをかけていくべきだ、国際的に本当に緊張が高まっているということを今の高市政権も含めてずっとおっしゃっている、そういうことであるならば、真っ先にこの原発の問題を考えるべきだと思うんですよ。武力攻撃に対して原発をどうするのか、赤澤大臣、お答えください。

赤澤国務大臣 それぞれちょっと所管事項がありますので、今、安全保障、防衛を所管している副大臣から、基本的には、抑止力を高めてそういう攻撃がないようにする、あるいは、あった場合には継戦能力を高めて国民を守り抜くというお話がありました。

 私、防衛の所管ではありませんので、所管分野については所管の副大臣が申し上げたことをお答えとさせていただきますが、その上で、原子力を活用するに当たっては、いかなる場合でもゼロリスクはないという認識の下で、原子力規制委員会が定める新規制基準に基づき安全対策を徹底する、日頃から緊急事態に備えた訓練を繰り返し行っていくことが重要であるというのが経済産業省、原発を所管するという意味での考え方でありまして、これまでに、テロや武力攻撃など様々なリスクを想定し、自衛隊、警察、事業者といった関係者で情報共有や共同訓練を実施するなどの連携強化に取り組んできており、引き続き、原子力発電所の安全性確保に向けて不断に取り組んでまいります。

 基本的な考え方は、原子力は、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現していく上で重要な脱炭素電源であり、安全性確保と地域の理解を大前提に、再エネとともに最大限活用を進めてまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 今の規制委員会が持っている安全基準、安全の考え方、あるいは事業者、電力会社が考えている安全の基準はテロ対策までですよ。テロ対策までなんですよ。武力攻撃は入っていないから言っているんですよ。それが新しいフェーズに今入ってしまったんだから、これは今の御答弁では不十分ですよ。私の質問に答えていません。是非この点はまたこの後もお話を聞いてまいりたいと思います。

 宮崎副大臣、ここで退室、結構でございます。ありがとうございました。

工藤委員長 宮崎副大臣、御退室を。

山崎(誠)委員 それでは、質問を前に戻らせていただきまして、エネルギー基本計画に係る基本事項ということでお尋ねをしてまいりたいと思います。

 まず、気候危機に関する認識、これは大きな問題ですけれども、是非お聞きをしたい。

 というのも、赤澤大臣はずっとトランプ大統領と、テーマは違うかもしれませんけれども、交渉の中でいろいろなお話をされてきたと思います。トランプさんと気候変動についてのお話をしたことがありますか。

赤澤国務大臣 トランプ大統領とはこれまでに合計四回お目にかかっておりますが、一番長かったときがディールをした七月二十二日でせいぜい七十分でありまして、なかなか関税以外の話をする機会というのはありませんで、今の御質問に対するお答えは、ないということでございます。

山崎(誠)委員 済みません。大変なお役をしていたわけだから、それについてとやかくコメントはしません。でも、残念だと私は思います。せっかくトランプさんとパイプを持ったのであれば、今後は是非気候変動についてもトランプさんとお話ししてもらいたいと思います。

 赤澤大臣のスタンスをお聞きしたいんですよ。トランプ大統領は、気候変動はフェイクだ、地球温暖化はフェイクだとおっしゃっています。その考えに対して、赤澤大臣、どうお考えですか。

赤澤国務大臣 基本的に、通商政策についての物の考え方として、まず、覇権国である米国が今、世界秩序を変えようとして、いろいろな外交交渉のルールとか関税のルールとかを打ち出しておられるわけで、我々としてはそれに一定の対応をしていかざるを得ないというところがあります。

 一方で、自由貿易や法の支配、さらには気候変動の問題など、人類共通の課題であり我が国としてしっかり取り組んでいかなきゃいけない分野についても取組を進めようということで、私は、それをハイブリッド通商政策と自分では称しておりますが、そういう方向でしっかり取り組んでいきたいと思っています。

 気候変動は人類共通の課題であり、現在開催されているCOP30でも、国際社会が協調し、気候変動対策を推進していくことの重要性について議論されています。

 もう先生御案内と思いますので、かなり長いですけれども、簡潔に言った方がいいということなので、ちょっと省略をしながらいきますが……(山崎(誠)委員「質問に答えていただければ」と呼ぶ)はい。質問について言うと、重要だと思っております。気候変動についてもしっかり対応をしていきたい。

 我が国は、既に本年二月に、パリ協定の一・五度目標と整合的で野心的な、新たな温室効果ガス削減目標を国連に提出済みであり、この目標の実現に向け関係省庁が連携して取り組んでまいりますということについて、何ら変更はありません。

 それ以外の、GXの取組も御案内だと思いますし、GX二〇四〇ビジョンに基づき、しっかり事業もやっていきますし、コンビナート等の再生、データセンターの集積、脱炭素電源を活用したGX産業団地の整備に向けても、GX戦略地域制度の具体化をしていきますし、アジア各国とも協調したAZEC、そういったものもしっかりやっていきたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

 安心しました。トランプ大統領と仲よくなって、俺もフェイクだと思われたら困るのでありまして、是非今の方針を堅持をしていただきたい。

 その上で、再生可能エネルギーです。

 政府は、七次のエネルギー基本計画、二〇四〇年に再生可能エネルギーの比率四〇から五〇%であります。脱炭素の切り札はやはり再生可能エネルギーです。今いろいろな問題も起きているのでありますけれども、この四〇から五〇という目標の達成の見込み、これはどうお考えなのか。できるだけ五〇%に近い形で入れていただきたいんですけれども。これは、参考人、手短にお願いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今、第七次エネルギー基本計画とともに公表しましたエネルギー需給見通しにおいては、二〇四〇年度再エネ比率四割から五割程度という水準でございますけれども……(山崎(誠)委員「達成できるかどうか、その見込み」と呼ぶ)はい。達成できるかどうかということについては、最大限努力をしていくということでございます。

 今の四割から五割という水準それ自体も、これまで以上のペースで再エネを導入するというものでございまして、革新的な技術開発を含めて、様々な課題を乗り越えて初めて実現することが可能な水準であると考えてございますけれども、引き続き、次世代型太陽電池であるペロブスカイトや次世代型地熱発電の開発、社会実装などを進め、地域との共生、国民負担の抑制を図りながら導入拡大を進めていきたいと考えております。

山崎(誠)委員 今、先ほどもお話ありましたメガソーラーの問題や、あるいは三菱商事の風力の撤退などがあるんですよ。うまく進んでいないと思いますよ。

 それに、新しい技術に期待していますといったって、二〇四〇年って、あと十五年しかないんですよ。今できることがたくさんあって、今やらなければいけないことがたくさんあるのに、それをうまく進められていないというのが、私は、この四〇%、五〇%の達成は難しいんじゃないかと危惧をしているんですよ。

 大臣にお聞きします。

 資料はお手元にありますかね。見ていただくと、五〇%以上の導入を二〇二四年で既に達成している国はたくさんありますよ。ドイツ五五%、スペイン六一%、カナダ六八%、チリ、ポルトガル、デンマーク、ブラジル、スウェーデン。今、もう達成できているんですよ。四〇%台を達成できている国もたくさんありますよ。これは、当然、二〇四〇年に向けて、更に伸びていくはずです。

 再生可能エネルギーの四〇%、五〇%という目標は、決して野心的でも何でもないんですよ。それすら今うまく進められていないというのが、残念ながら、今、日本の現状じゃないですか。

 大臣、目標をもっと引き上げて、今ある問題を解決して、正しい導入の仕方をしましょうよ。

 例えば太陽光だったら、屋根置きの太陽光をもっと入れたらいいんですよ。あるいは、我々がずっと主張しているソーラーシェアリング、これは農業の活性化にもつながるから、農水の関係の皆さんとも連携して入れていけばいい。そういう取組ができるし。これは足が短いですから、一生懸命やれば五年で成果が出るんですよ。

 是非、そういう再エネの導入の目標を引き上げて、各国と並ぶ導入を進めてもらえませんか。

赤澤国務大臣 本年二月に公表した二〇四〇年度におけるエネルギー需給見通しで示した再エネ比率四割、五割程度という水準は、再エネ発電量を現状の約二倍から三倍近くに増加させる水準に相当します。

 これまでの十年間で再エネ発電量は倍増してきておりまして、平地面積当たりの我が国の太陽光の導入量は既に主要国最大級となっています。加えて、我が国の国土は約七〇%が森林といった地理的制約もあるので、なかなか、諸外国と比べて比率が低いから我が国はちょっと頑張っていないということにはならないんじゃないかと思います。

 先ほど事務方から申し上げたとおり、四割、五割という水準は、これまで以上のペースで再エネを導入するものであり、今まさに委員御指摘のあった屋根置きとか、あるいは壁置きも、ペロブスカイトになれば軽くて柔軟なのでできるというような、革新的な技術開発を含め、様々な課題を乗り越えて初めて実現することが可能な水準でありますが、しっかり目指していきたいというのが現在の立場でございます。

山崎(誠)委員 いつも平地の面積は日本は狭いんだというふうな話をされますけれども、どうなんですか、次回でも議論しますけれども、農地でも屋根置きでも入れれば、今のレベルではないですよ、エネルギーの全消費の三割、四割は入れられる。我々は専門家の皆さんと計算していますから。そのぐらいの規模はまだまだ入れられるんですよ、メガソーラーなしでも。またデータを出しますから、是非真っ当な議論を続けていただければと思います。

 次に行きます。

 電力需要についてです。ここも私、すごく気になるんです。

 日本の電力需要についてどのようにお考えですか、大臣。

赤澤国務大臣 我が国の電力需要は、長期的なトレンドで見れば、一九六〇年代から経済成長等に伴って継続的に増加した後、二〇〇七年をピークに人口減少や省エネの進展などに伴い減少に転じております。

 一方で、今後は、DXやGXの進展、端的に言えばAIの劇的な普及によって、再び需要が増加に転じる見通しとなっており、これまでのトレンドが逆に反転をするということで、非常に大きなフェーズの変化が出てくると思います。

 今後、需要が継続的に増加する見通しの中で、安定供給と脱炭素を同時に達成しなければなりません。エネルギー政策上、電力需要が増加に転じる影響は決して小さくないと受け止めておりまして、その需要の増加に対応した十分な脱炭素電源の確保が国力を左右すると認識をしております。国として万全の対応を図ってまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 私の想定したとおりの答弁をしていただいたので、ありがとうございます。

 資料の二を見てください。これは、今後十年の電力需要の想定ということで、政府からいただきました、経産省からいただいた資料であります。

 見ていただくと、グラフがあります。ちょっと私、手を加えちゃって、肝腎なところが見えなくなってしまったんですが、二〇一三年からスタートしていて、一番下のところが七千六百億キロワットアワーからスタートしているグラフであります。分かりますでしょうか。一番下のところが七千六百です。上が八千八百億キロワットアワーというグラフ。これを見ると、二〇二四年、二五年、これからぐっと電力需要が増加をするぞ、これは、AI、データセンター、半導体、そうした需要が増えるからだと御説明されるわけです。見てください。でも、二〇三四年を見ると、もう平らになっていますよね。もちろん、大臣のおっしゃるとおり、いろいろな需要は増えてくるのかもしれない。でも、これは政府が今持っている数字であります。これを、私はおかしいなと、経産省はよくこういうことをやるんですよ。

 隣にちっちゃいグラフを描いたのが見えますか。これはゼロからグラフを描き直しています。七千六百からではなくて、スタート、ゼロから一兆キロワットアワーということで、置き直してみると、グラフを見てください、これが大きな変動ですか。このオレンジ色のグラフを見ていただくと、八千から九千の間で動いているのは見えると思いますけれども、決してこれが慌てて次の対応を取らなきゃいけないような大きな変動だと言えるのかどうかですよ。小さくはないでしょう、それは。小さくはないでしょうけれども、エネルギー政策を大転換しなきゃいけないような、私に言わせれば、原発回帰にかじを切るほどのインパクトはこのグラフから見えないですよ。

 データセンターやAIの需要というのは、地域別にいろいろなばらつきがあります。例えば北海道だと一・六倍ぐらいになるんです。元々電力消費が小さいところでデータセンターが建てば電力需要は伸びますよ。これに対応するのはどうするかという議論は今喫緊で必要だと思います。火力発電をどういうふうに生かすのか、原発再稼働も含めて、あるのかもしれません。でも、そういう対応で、全体のエネルギーの需要を見れば、部分的な対応は必要でも、大きなエネルギー政策の変更が必要な状態には今ないです。

 もう一つつけ加えますけれども、では、二〇四〇年、予測は出ていないです。二〇五〇年、予測のデータはいただけません。それでどうして、大臣、今、エネルギーの、電力の危機的な状況だと言えるんですか。

赤澤国務大臣 私は危機的な状況という物の言い方をしたかどうかについては正直記憶がございませんが、電力について言えば、東日本大震災のとき、電力不足に実際陥ったとき、どれだけ国民が苦労されたか。現在、再稼働がなかなか進まない中で、電気代が上がってどれだけ国民が苦労されているか。更に申し上げれば、私は防災がライフワークですけれども、災害が起きたときに電力、通信いずれかが落ちたら、本当に自衛隊の指揮命令系統まで潰れる可能性があります。

 そういう意味で、電力制約からいかなる意味でも国の経済や国民生活を解放しておくということは国家の最重要課題の一つであって、それについても安全度をしっかり見ていかないといけなくて、まさに委員がおっしゃったように、今後、AIやデータセンターの電力需要で増えるかもしれません。それは、増えたときの対応を増えてからできるわけじゃないので、その辺、やはり私は今日の委員のお話を聞いていて危機意識がちょっと違うんじゃないかというのが正直なところでございます。

山崎(誠)委員 このグラフを見ていただいて、この変化は、小さい方のグラフですよ、これはエネルギーの基本計画などを抜本的に変える、六次から七次、抜本的に変わりました、そういうインパクトのある数字と読みますか、大臣。

 もちろん、エネルギーの安定供給は大事ですよ。六次だって七次だってエネルギーの安定供給を確保されているはずですよ。だから、七次の計画の延長でこの変化に対応できるんじゃないですか。

 では、次の質問に行かせていただいて、原発の新増設のお話、ちょっと飛びますけれども、二の一番のリプレースのお話です。

 赤澤大臣、何で原発の新増設にかじを切ったんですか、岸田さんは。今までの方針からかじを切りました。その理由は何ですか。

赤澤国務大臣 原発についての方針について言えば、これは私どもいろいろな機会に説明申し上げていると思いますが、少なくとも、現時点においては、御案内のとおり、もちろん原発について言えば安全性の確保と地域の理解を大前提に考えていくということでありますが、それについて申し上げれば、意思決定の背景に常にあることについては、国民生活あるいは経済活動、これについて電力制約があると御負担が増えるということが非常に大きな問題としてあります。

 その上で、新増設ということについて言うと、私が承知をしているのは、再稼働をするということと、現在、廃炉をしたサイトについては置き換えといいますか、それをやっていくという方針と思っております。それを新増設というふうに呼んでいるのかどうかについてはちょっと私は定かではありませんけれども、そういう方針を取った大きな背景には、電力、費用の負担についての、非常にそこが大きな問題であるという考え方があると理解をしております。

山崎(誠)委員 ちょっと時間が限られますので、本当はもっと議論したいんですけれども。

 今、経済的な負担、端的に言えば電気が高いから、原発を造れば安くなる、そういうお考えですね。

赤澤国務大臣 その前に申し上げたことがありまして、当然ながら、福島第一原発事故の教訓をきちっと生かして、世界最高水準の安全性を確保する、それについては、新規制基準、規制委員会が出したかと思いますが、それに従ってそれをやるということと、地域の理解は当然大前提であるということは申し上げた上で、やはり、それが確保できるのであれば、これについては当然電気代は安い方がいいというのは国民の総意であると私は理解をしていますので、その辺について考え方に基づいて進めているということでございます。

山崎(誠)委員 赤澤さん、やはり、勉強してくださいよ、申し訳ないけれども。原発、再稼働はおいておきます、新増設をするとこれから十五年から二十年かかるんですよ。

 資料の三なんですけれども、これは政府の資料です、政府の計算です。モデルプラント方式で新しくプラントを建てたときのコストは、高いんですよ、再生可能エネルギーよりも。

 もっと言います。ちょっと時間がないので私が言いますけれども、これは今七千億ぐらいで初期の建設コストを見積もっています。世界の原発は今、七千億円で建設できているものなんか一つもありません。一兆円あるいは二兆円というコストがかかっているんですよ。それがこのモデルでは七千億円ちょっとで建設できるということで十二・六円という計算があります。このモデルの計算のロジックでは、建設コストが一千億円増えると発電コストは一円プラスになるんです。いいですか。なので、今造っている原発、大体一兆円を超えるんですよ。一兆円、一兆二千億円。例えば、一兆二千億円ということは、五千億円プラスです。だから五円プラスしなきゃいけないんですよ。この十二・六円に五円プラスしなければ原発の正しい発電コストは出てこないんですよ。御理解いただけますか。決して安くないんです。新増設をして十五年、二十年後に原発が動き出したときの電気は、再エネがどんどんどんどん安くなっていく中で極めて高い電気になるんですよ。経済の足を引っ張ることになる。

 大臣、認識を新たにしてもらえませんか。

赤澤国務大臣 先ほど申し上げたことを若干補足しますと、申し上げたことは基本的に違っておりませんで、やはり新増設とリプレースは違うという説明を申し上げているはずです。

 まず、リプレースについては、現在動いている原子炉を廃止して、その代わりに原子炉を造ることで、これについては同じサイト内であればという方針を出しているということはそのとおりでありますが、新増設ということは申し上げていないというふうに思います。

 その上で、具体的に、もう本当に詳しい委員のことですから、具体的な点を御指摘いただければと思いますが、その七千二百億円というコストについては、二〇二五年二月に経産省が取りまとめた発電コスト検証であり、原子力について、追加的安全対策費を含む建設費も含めて、現時点で合理的に見積もることができる費用を全て織り込み、算定しているつもりのものであります。

 更に言えば、資材価格の更なる上昇の可能性、現時点で合理的に見積もられていない費用があることは認識しておりますが、そうした費用の増加に対応して、発電コストがどの程度変化するかという試算も併せてお示しをしているところであります。

 そうした前提や試算方法について、過去の検証と同様、公開の場で、専門家の方々に複数回御議論いただいて、その結果として、今委員が御指摘の二〇四〇年の発電コストとして、キロワットアワー当たり、手元には十二・五円となっていますが、十二・六円とおっしゃったかと思いますが、その数字が示されております。

 専門家の議論を経たものでありますが、委員も当然専門家でありますので、新たな御指摘をいただきながら、議論を続けさせていただきたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 済みません、お時間ですので、残りはまた次回、続きをさせていただきます。

 ありがとうございました。

工藤委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党の今井雅人でございます。よろしくお願いします。

 ちょっと質問に入る前に一つ意見を申し上げたいんですけれども、為替の話なんですけれども、今日、ドル・円のレートが百五十七円台になっています。長期金利も上がって一・八%ぐらいまで十年債で行っているんですけれども、私、為替市場、もう四十年近く携わってきていますが、大体長期的にいうと八割ぐらいは日米の金利差で説明できるんですね。ところが、時々これが乖離するときがあります。その要因は、政治的な要因であったりとか、そのときによって違うんですけれども、これが時に起きるんですね。実は、今そういう状態が発生しております。

 これは高市政権の積極財政のせいだと言う人がいますけれども、必ずしもそうは言えないんですね。なぜかといいますと、この傾向が起きているのは今年の四月ぐらいからなんです。四月ぐらいからずっとこの傾向が続いていまして、この一か月間、それが加速しているという状態なんですね。

 私、何が原因なのかといろいろ調べているので、フローも全部チェックしているんですけれども、どうも説明がつかない。貿易収支が経常的に赤字になっていることとか、デジタル赤字とか、直投が増えているとか、こういうことをおっしゃる方がいるんですけれども、それだと、なぜ四月からこういう動きになっているかということは説明できないんですね。非常に不思議な動きをしています。

 今日、実は、片山財務大臣が為替介入もあり得るということをおっしゃったんですね。以前でしたら、こんな発言があったらドル・円で一円か二円ぐらい円高になるんですよ。全く反応しません。本当に異常です。何が起きているか、とても私は心配をしておりまして、政府の方でも是非このことをしっかりと分析して、やはり債券安、つまり長期金利が上がって円安になるというのは日本経済にとっては明らかにマイナスですから、このことをどうやって対処していくかということをよく考えていただきたいということを最初に申し上げておきたいと思います。

 それでは、まず公取の方、いらっしゃっておられますから、最初にちょっと。

 先ほど前の方が質問をされて、質問がちょっとかぶっているものもありますので、それはちょっと割愛をしまして、一問だけお伺いしたいんですけれども、来年の一月から施行ということなんですけれども、私が一番心配しているのはその実効性という点なんですが、特に労務単価の引上げ、これは、これまでもいろいろなところで私はヒアリングしてきましたけれども、やはりどうしても上下関係があって、なかなか言えない。余り強く言うと、じゃ、いいよ、別におたくじゃなくても取引先はあるから、そっちに変えるよと言われてしまうという声を本当にたくさんお伺いしたんですね。

 この取適法ができて、このことをやはりしっかり担保して、交渉は必ずしなきゃいけないという義務は課しますけれども、そうはいっても、そこで本当に正当な交渉ができるかどうか、あるいは結果が伴うかどうか、本当にここが一番のポイントだと思うんですね。

 ですから、要はフォローアップです。実際に施行された後に各企業のところでそういう交渉が行われて、その結果、正しく価格が反映されたり、あるいは不利益を被ったりしたことがないかということを、やはり公取がどれだけしっかりとチェックできるかということがこの実効性を担保する一番の肝だと私は思うんですね。その点について、今後どういう対策を打っていかれるかということについて御答弁をお願いします。

茶谷政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がありましたように、来年一月から施行される取適法では、交渉力の弱い受注者が発注者から一方的に価格を押しつけられることを防止して、実効的な協議が行われることを確保するために、新たに、協議に応じない一方的な代金決定の禁止を規定するなどしております。

 このため、先ほどの答弁でもありましたように、現在、周知、広報を進めておりますし、またしっかりした体制強化も進めているところでございます。

 その上で、来年一月以降、施行を踏まえまして、そういう増員した執行体制の中でしっかりと厳正に、様々な情報、これは申告窓口も多数設けておりますので、そういうところで情報提供もいただきながら、違反行為には厳正に対処していくということで対応してまいりたいと思っております。

今井委員 その窓口とかというのは、具体的にどこで設置されていくものですか。

茶谷政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会では、本局、地方事務所の各拠点の相談窓口や、あるいはフリーダイヤルを設けて価格転嫁や取引の適正化に関する相談を受け付けております。相談窓口のほか、取適法などの違反行為を受けていると思われる場合には、匿名でも利用できる公正取引委員会の申告窓口やオンライン申告フォームを設けており、事件調査を求めることもできます。

 また、事件調査までは求めないものの、公正取引委員会に情報提供を行い、各種調査に活用してもらいたいという場合には、公正取引委員会のオンライン情報提供フォームにより情報提供をいただくことも可能となっております。

 引き続き、こういう相談窓口も活用しながら、しっかりと厳正な法執行に努めてまいりたいと考えております。

今井委員 この法律ができるときから僕は施行後が一番大事だと思ってずっと来ておりますので、私の方でも自分のできる範囲でいろいろ調査はしますけれども、しっかりとその辺を対応していただきたいということをお願い申し上げておきます。

 公取の皆さんは、それで結構です。

工藤委員長 公正取引委員会の方は退室されて結構です。

今井委員 では、日米関税交渉について、予算委員会でちょっと途中で終わってしまいましたので、詳細についてお伺いをしていきたいと思います。

 資料をお渡ししているので、これに従ってちょっと。政府が出している概要というポンチ絵ですね。よろしいですか。

 まず、この取引が本当に日本にとって国益にかなうかという観点でいろいろお伺いしたいと思うんですけれども、最初にこの一番左上のところ、これがお金の出どころですね。全部で五千五百億ドル、日本が全部出すということなんですが、ちょっと参考に教えていただきたいんですけれども、JBICそれからNEXIつきの民間の金融、融資、これは出資と融資がどれぐらいということも含めて、それぞれが何割、どれぐらいのシェアだというのをちょっと教えていただけますか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 本年九月四日に取り交わされた了解覚書においては、五千五百億ドルを米国に投資する旨記載されているところです。この投資のために必要な資金については、委員御指摘のとおり、左上にありますJBICやNEXIによる出資、融資、融資保証、こういったものを活用することが想定されております。

 その上で、JBICの出資、融資、またNEXIの融資保証付民間金融機関の融資の割合につきましては、個別のプロジェクトの案件の性質に応じて決まるものと認識しております。

今井委員 レクのときは何か数字をおっしゃっていたんですけれども、それは違うんですか。

赤澤国務大臣 交渉の全過程に関わっているのがほぼ私一人なので、いろいろなことはちょっと私から発していると思うので、二つ申し上げますが、まず一つ、これは交渉していて途中で驚いたのは、米側は、出資、融資、融資保証に余りこだわっていません。必要なときに資金が提供されて、それがどんなものでもいいというポジションなので、余りその割合にまず米側のこだわりがないということがあります。

 加えて、私が過去に、例えば出資は一、二%というようなことを申し上げたことがありますが、これは、過去のJBICの実績に照らすと、出融資全部合わせた上で大体一%、二%ですよということが実績であるんですが、これは今事務方から申し上げたとおり、案件ごとに米側と相談しながらこれでいこうかということで決めていきますので、そういう意味で事前に決まっているものではない。過去のJBICの出融資の実績からすると出資は一、二%ということを私が過去に申し上げたことはあります。

今井委員 それでは、ちょっと質問を変えますけれども、この四番のフローですね、SPVに対して資金を提供するということなんですけれども、これは貸付けになるんですか、それとも出資になるんですか。

赤澤国務大臣 そこが今、まさにポイントなんですが、米側が余りこだわりがないんですね。なので、実はこのMOUも御確認いただくと、出資した金も全部含めて融資とみなして全体で金利を計算してみたりみたいな、そういうあれになっているのは、米側がそういう発想だからなんです。

 ということなので、我々もちょっと意外だったんですが、我々はきちっと出資、融資、融資保証を整えていきますが、米側はその辺は余りこだわりがありませんで、入ってきたお金全体を融資とみなして、みなしの元本、みなしの金利みたいな計算でMOUが成り立っておりまして、それは日米交渉する中でそういう落ち着きになっております。

今井委員 ちょっと不思議な感じですね。(赤澤国務大臣「ええ、最初、違和感がありました」と呼ぶ)はい、分かりました。

 ちょっと一つ指摘しておきますけれども、これはまた為替の話なんですが、民間の金融、融資、これは僕も昔担当していたので分かるんですけれども、銀行側の資金調達というのは、マネーマーケットから多分調達するので、ドルで調達してドルで貸すんです。ですから、これはエクスチェンジは起きませんから、為替には影響がないんですね。

 問題はJBICの方でして、JBICのスキームを見ると、外為特会からもらう場合と、それから財政投融資の場合と二つあると書いてあるんですけれども、外為特会を使った場合はドルを借りてくるだけなので、これはドル・ドルですから、エクスチェンジは起きませんので円安要因にはならないんですが、財政投融資の場合は、恐らく円投して外貨に替えてということになるんじゃないかなと思うんです。そうすると、これは明らかに円安要因でありまして、仮にこれが十兆円ぐらいあると、多分、私の肌感覚では、ドル・円でいうと五円から十円ぐらい円安になりますから、ここの部分を余り大きくすると、また更に円安になるということが起きますので、ちょっとこの辺はよく配慮をしてやっていただきたいなということを御指摘だけ申し上げます。

 では、次に、この投資を誰が決めるかということなんですけれども、これは、最終的には投資委員会が決めるということでよろしいですね。

赤澤国務大臣 為替の関係は非常に重要な影響があるので、ちょっと一言だけ申し上げておくと、これは、外為特会から借りてくるみたいな話もあるんですが、政府保証つきのドル建ての債券とかいろいろな工夫をしながら、基本的に、円に影響が、為替に影響が出ないやり方をするということはちょっと一応計算をした上でやっておりますので、御懸念のないようにうまくやっていきたいと思っております。

 その上で、ごめんなさい、これを投資委員会で決めるかですよね。まさにそのとおりで、投資委員会はラトニック商務長官が議長を務めて、米側で構成をされます。これは、米国内にサプライチェーンをつくろうということで、米国に工場を造るとか、そういう話なので、ここは米国がイニシアチブを取るのは自然なことだと思っておりますが、大事なのは、その前に必ず協議委員会、日米で構成するもので協議を受けて、そこで戦略的な観点、法律的な観点、日本側が問題がないかをきちっと担保できるような仕組みになっているということでございます。

今井委員 協議委員会に協議をするということにはなっています。伺っていると、ここに入るのは経産省、財務省、外務省の各官僚の皆さんと関係機関の方だというふうに伺っていますけれども、投資委員会は、協議委員会からいろいろ意見が出てくるんでしょうけれども、それを尊重はするものの、そのまま受け入れるということではないですよね。投資委員会が最終的な判断をする。そして、この投資委員会の中には日本人は含まれないということですね。

赤澤国務大臣 おっしゃった点、大筋においてそのとおりなんですが、一つ強調しておきたいのは、このMOU自体に、いかなるプロジェクトも法令に整合していなきゃいかぬということが書いてあります、日米のですね。その法令の中には当然JBIC法もNEXI法もあるわけで、そこに収支相償、大赤字の出るプロジェクトはいかぬとか、日本にメリットがないものはいかぬということははっきり書いてありますので、そこは協議委員会の言ったことを、今、今井委員おっしゃったように、尊重はするかもしれないけれども聞く保証はないじゃないかと言いますが、大本のところでMOUにきちっと、法令に合わなきゃいけない、法令と違うことはできないよということは書いてありますので、そこについてはしっかり担保ができるということで、問題のないプロジェクトが投資委員会で選ばれて大統領に上がり、大統領はその中から選択をするという仕組みになっております。

今井委員 先ほどからJBIC法ですとかNEXI法で大きな赤字を出すプロジェクトには出せないというのは、それは当然なんですけれども、投資ですから、リスクがゼロということはないんですよ。できるだけリスクの低いものにと言っているだけなので、リスクは常に存在しますから、その二つの法律を守っているからリスクがないんですとか大丈夫なんですというのは、それは必ずしも言い切れませんので、そういう説明をされるというのは僕はちょっと余り適当ではないんじゃないかなというふうに、意見だけ申し上げておきます。

 あと、今の観点でちょっともう一つお伺いしたいんですけれども、先ほども答弁がありましたし、先日の予算委員会の集中審議のときも答弁があったんですけれども、日本が金を出すだけじゃないか、だから、日本だけが金を出してアメリカは何もしていないじゃないかということに対して、この四番のところですね、土地、水、電力、エネルギー、オフテイク契約、規制面の対応、いろいろなことをしてもらっているので、アメリカにもいろいろ便宜を図っていただいているという御答弁ですよね。

 ちょっとお伺いしますけれども、先ほどの話だと、連邦政府が土地、水、電力、エネルギーを提供するというんですけれども、これは無償で提供してくれるんですか。

赤澤国務大臣 これは、最終的にプロジェクトを進めるに当たっては民間の力をかりることになりますので、プロジェクト案件ごとに決まってくることだと思います。

 ただ、そういう意味で、連邦の土地というのは当然あるわけで、それを提供いただくこともあると思いますし、水、電力、エネルギー、あるいはオフテイクであれば出てきた製品を全部買い取るとか、規制面について言えば、最大限、米国政府、商務省が責任持って速やかに行うとか、さらには、ラトニック商務長官が明らかにされているのは、商務省自身がビザを出すことまで考えると、このプロジェクト関係であれば。

 だから、そういう意味で、日米両国が特別のパートナーと認め合って、経済安全保障上重要な分野のサプライチェーンを米国でつくり上げようという取組ですので、是非、米側も大変前向きなんだということについては御理解を賜ると理解が早いのかなというふうに思います。

今井委員 ちょっと質問に答えていただきたいんですけれども、土地、水、電力、エネルギーを通常価格で提供するのは当たり前の話じゃないですか。それが何で便宜を図ってくれていることになるのか、不思議でしようがないんですよ。だから、それが例えば無償で提供してもらえるというなら、それはそうかもしれないんですね。その点を確認したいんです。

赤澤国務大臣 通常の価格で提供するというようなものだと貢献になりませんので、ただ、それは、ここで無償と言い切ってしまって、後でちょっと払うようなものが出てきたら困るので申し上げますが、それは当然、それはJBICやNEXIが元本、金利、融資保証料あたりを全部回収するまでは五対五で利益を上げますが、その後は九対一ということに我々があり得ると思ってこの合意をしたのは、やはりその辺の貢献を見ているからなので、そこはもう、限りなく無償に近いという言い方がいいか分かりませんけれども、そういうものと理解をしております。

今井委員 大事な答弁をいただきました。ありがとうございます。

 では、次にこの六番のところ、資金の分配の方法はこれで妥当かということなんですけれども、まず確認をしたいんですが、これは、お金を出すのは日本なんですけれども、どんなプロジェクトでも、必ずうまくいくとは限りませんので、損失が出るケースがあります。損失が出た場合は、契約上は、アメリカは一切この損失はかぶらない、お金を出している人たちのところで全部、保険料ですとかいろいろなもので負担をする、そういう仕組みでよろしいですよね。

赤澤国務大臣 損失が出た場合の分け方についても、これはちょっとMOUの中に規定があったように思うので、ちょっとそこはもう一回確認をしてお答えさせていただきたいと思います。

今井委員 では、そこを是非。レクのときに申し上げたんですよ。アメリカは損しても何にもお金を払わなくていいんじゃないんですかということをちょっと確認したかったので、それをちょっと再度確認してください。

 その上で、もう一回確認しますけれども、ここの部分は、要は、元利に相当するものが、何ですかね、配当で払うんですかね、何か金利で払うのか分からないけれども、その分まではアメリカの取り分は五割。アメリカは、物を出していないんですけれども、お金を出していないけれども五割もらえる。日本は五割。さらに、そこを超えると、今度はアメリカが九割取ってしまうということなんですが、僕が心配しているのは、覚書を見ると、一応、期間は二〇二九年の一月十九日ですから、トランプ大統領の任期までというふうになっているんですけれども、このプロジェクトというのはその以降も続くんでしょうか。

赤澤国務大臣 基本的に、私の理解は、トランプ大統領の任期中に五千五百億ドルの後押しを日本からするということでプロジェクトを動かすことになっております。

 その後も続くのかということについての御質問は、新たなプロジェクトというのがその後に出てくることは、少なくとも私は想定しておりませんが、ただ、例えば原発なんかであれば、造ってから二十年とかいうようなこともあり得ますし、建設自体にかなりの年数がかかることもあり得ますし、その意味で、このトランプ大統領の任期中に我が国から投資をしたことで立ち上がったプロジェクトが、ある意味その効果が、三・五年と想定されている大統領の任期の後にも残って続いていくということは、これはあり得ると思います。

今井委員 そうすると、プロジェクトが何十年にもわたる可能性があるわけですね。そうすると、あるところまでは五〇、五〇ですけれども、プロジェクトが長期化すればするほど、ずっとその以降九対一で、アメリカが九取っていくという状態が長期化するわけですよ。これが果たして本当に日本にとっていいのかという問題意識が私はありまして、その点はいかがですか。

赤澤国務大臣 それは、ある意味で、これは外交交渉ですので、お互いにこれでいいのだと思って納得をしているわけで、米側はこの九対一ということについて非常に評価をしてくれたわけです。

 一方で、この特別目的事業体、SPVにどれだけのお金が入るかというのは、先ほど申し上げたように、例えば、出資に当たる真水の部分というのがどれぐらい入ってくるのか、それにもよるところがあります。利益の大きさが、これは素直に何か大統領やラトニック商務長官がテレビとかでおっしゃっていることをそのまま真に受けると、八十兆円がここに入って、大変な巨額について何か出てきた利益が九、一ですけれども、ただ、実際、融資、融資保証の関係のものは全部、普通の融資として元本とかそういうものを回収して終わりますし、出資についてどれぐらいのあれが残るか、その出資の割合が幾らぐらいか、一桁兆なのかもしれませんし、そういう意味からいうと、ここの金額がそれほど大きなものになるかというのは、これはプロジェクトをやってみないと分かりませんが。

 その上で申し上げておきたいのは、ポイントは、右側にある日本企業の参画のところで、この部分は、もう端的に言うと、例えば原発を造るのであれば、何十基と造るみたいなことを米側は考えているようですけれども、日本のメーカーがそのプラントを入れるとか、あるいは、AI関係の工場ができるなら半導体製造装置や、あるいはパワーモジュールとかケーブルとか、いろいろなもの、AIインフラと言われるものが日本から売上げが立っていくわけでありまして、実際、ラトニック商務長官が来られたときに、関心のある日本企業が集まってファクトシートを作った事業規模の総額は機械的に合計すると最大四千億ドル、六十兆円みたいな売上げが立ってくるみたいなことも記事になっていたわけであります。

 そういう意味で、いろいろな意味で、全体が日米双方の利益になる形で動いていきますが、このSPVの部分がどれだけの大きさになるかというのは今の時点で定まっておりませんけれども、その部分については事業が続く限りあるんだな、おっしゃるとおりでありますが、だからといって、何か、日本側が必ずしも得るものが少ないとか、それに限られる部分ではありませんで、日本企業は、各プロジェクトにまさに営業をかけ、物を売り、売上げが立ってくるという点が大きいというふうに考えています。

今井委員 その日本企業の参画についてなんですけれども、先ほどからお伺いしていると、日本企業はどうもメーカーとして参加するというふうに聞こえるんですね。

 ここにプロジェクトがあるわけですけれども、このプロジェクトの主体というのは誰になるんですか。これは、日本企業がプロジェクトの主体になるということはないんですか。

赤澤国務大臣 それについては、いろいろちょっとあり得まして、米国が経済安全保障上重要な分野でサプライチェーンをつくるために資するものであれば、日本にメリットがあればいいということなので、ちょっとこれは具体名は挙げませんけれども、すぐに委員は念頭にあると思いますが、世界の有力な半導体メーカー、日本ではなくて、米国に工場を造る。

 それについては、例えば、我々NEXIが融資保証をして、米銀から金が入って、日本から半導体の製造装置がどんと入るみたいな形のプロジェクトも動き得るので、そういう意味からすると、金を貸す主体も日本に限りませんし、事業でその工場を造る主体も日本とは限りませんし。

 プロジェクトの主体という意味では、この特別目的事業体が主体として、そのプロジェクトに関する収支とかを管理はするけれども、まさに日本企業とは、おっしゃったように、メーカーとか、あるいは何か受委託とかがあれば、その運営管理なんかでも入っていく可能性はあると思いますけれども、いろいろな形が考えられるというふうに思います。

今井委員 そこで、もう一点だけ確認したいんですけれども、これは、日本企業は必ずこのプロジェクトには参加できるというピン留めはできているんですか。

赤澤国務大臣 そこが、まさにJBIC法やNEXI法に書いてある、日本に裨益するところのない、メリットのないものには手を出せないというルールがありますので、JBICやNEXIが出融資、融資保証をする以上、およそ日本企業が何も売上げができないとか、オフテイクを買い取ってメリットがないとか、そういうことになった場合は、我々は、明らかに法令違反だ、MOU違反だということで協議委員会で物を申して、それはやめてもらうということになると思います。

今井委員 ありがとうございました。

 実際に、プロジェクトがいろいろ始まったらまたチェックをしてまいりたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので、いろいろ質問があったんですけれども、最後に一問だけ、データセンターのことだけお伺いします。

 これからAIを推進していくに当たって、データセンターというのは本当に必要になってくるんですが、当然、電力を確保しなきゃいけないし、いろいろなことをやらなきゃいけないんですけれども、GX戦略地域というのをこれからつくられると思うんですが、その辺の詳細とかについてちょっと御説明をいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねのGX戦略地域制度でございますけれども、その類型の一つといたしまして、大規模なデータセンター集積地の形成のため、公募によって選定されました地域に対して、電力インフラ等を先行的に整備することを想定しているところでございます。

 現在、データセンター需要の急増により逼迫している電力系統につきまして、一般送配電事業者等が、エリア内の送配電網の整備に関する計画等を策定いたしまして、これに基づき整備を進める枠組みの検討を進めているところでございます。こうした枠組みとも連携をしながら、先行的に電力インフラを整備することを想定してございます。

 GX戦略地域制度につきましては、本年八月から十月二十七日まで自治体及び事業者の皆様からの提案募集を行い、約二百件の積極的な御提案をいただいたところでございます。今後、こうした提案も踏まえつつ、制度をより具体化した上で、早ければ年末にも公募プロセスを開始する予定としてございます。外部有識者による厳正な審査を経まして、世界で勝てる拠点をしっかりと選定してまいりたいと存じます。

今井委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

工藤委員長 この際、赤澤経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。

赤澤国務大臣 済みません、一言。

 先ほど山崎委員の御質問に対する答弁の中で、リプレースの方針について、私が同じサイト内であればというふうに申し上げたようでありまして、ちょっと誤解を招きそうなので、正確に言い直せば、同じ事業者のサイト内で、あるいは、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内でと言うべきものでありましたので、訂正をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

工藤委員長 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、大阪・関西万博の評価のことについてお伺いをしたいと思います。

 赤澤大臣も所信で述べていただきましたけれども、四月十三日から始まりました大阪・関西万博ですが、十月十三日に閉幕しまして、総来場者数ですけれども二千九百一万七千九百二十四人で、パビリオンで働いている方々を除くと一般来場者数で二千五百五十七万八千九百八十六人ということで、多くの方が来場していただくことになりました。チケットも閉幕時点で二千二百六万九千五百四十六枚ということで、また、私も万博グッズをたくさん買いましたけれども、ミャクミャクも大変人気で、いまだに私もミャクミャクのバッジが外せなくてつけておりますけれども、そういったことで、大変売上げもやはり伸びたというふうに思います。赤澤大臣も所信の中で、最大二百八十億円の黒字が見込まれるというふうに述べていただきました。

 赤澤大臣、改めて、どのように大阪・関西万博を評価されて、経済効果についてもどの程度見込まれているのか、お伺いしたいというふうに思います。

赤澤国務大臣 大阪・関西万博では、委員御指摘のとおり、二千九百万人を超える来場者をお迎えをし、成功裏に閉幕することができました。運営費収支についても最大二百八十億円の黒字が見込まれており、さらに、大屋根リングについても、来場者からの高い評価をいただいて、一部の残置が決まったところでございます。改めて全ての関係者の皆様に厚くお礼申し上げますし、現在もミャクミャクのバッジをつけていただいている委員にも、本当にその熱い思いに心から敬意と感謝の気持ちを表明したいと思います。

 経済波及効果については、経済産業省として、開幕前の二四年三月に、全国で約二・九兆円という試算を公表しております。現在、会期中の実績を踏まえた試算の精査を行っており、しかるべきタイミングで新たな計算結果を公表したいと思います。

東(徹)委員 先日、JR東海が発表しておりましたけれども、想定の二倍の四百億円増の売上げがあったというふうなこととか、またJALとかANAも前年を超える売上げがあったとかというふうなことを言われておりました。非常に大きな経済効果も上がったというふうに思っておりまして、また、二・九兆円というふうに見込まれておるということで言っていただきましたけれども、それが是非実現すればなというふうに思っております。

 続きまして、今日もちょっと話が出ておりましたけれども、次世代型の太陽光発電、このことについてお聞きをさせていただきたいと思います。

 国産の太陽光発電、ペロブスカイトということで、これは、これまでも、前の武藤大臣も大変期待しておるというふうなことをおっしゃっておられていまして、非常に多くの方が国産の太陽光発電ということで期待しておるところだというふうに思いますけれども、政府は、再生可能エネルギーの更なる普及ということで、ペロブスカイト太陽光発電の生産体制について、二〇三〇年を待たずにギガワット級の構築を目指すということを言っていただいておりまして、第七次エネルギー基本計画にもそのことが書き込まれております。

 期待外れに終わってはいけないと思っていまして、これは、元々やはり日本の太陽光発電がどんどんと中国の太陽光発電に替わっていったということもありますので、早期の実現に向けて経産省としてどのように行っていくのか、具体的にお聞かせいただければと思います。

小森大臣政務官 国産エネルギーである再生可能エネルギーの推進は大変重要でございまして、ペロブスカイト太陽電池につきましては、御指摘いただきましたとおり、二〇三〇年までの早期にギガワット級の生産体制の構築を目指すという方針でございます。具体的な動きとしては、五年で三千億円規模の大規模な民間投資が既に開始をしているところでございまして、経済産業省としても、GXサプライチェーン構築支援事業の対象としてこれを支援しているところでございます。

 さらに、グリーンイノベーション基金を活用して、二〇三〇年までに低コストでの量産技術の確立を目指しております。最近の動きとしては、本年九月に、二〇三〇年までに大規模な量産構想を有する事業者三者を追加して採択するなど、生産体制の強化に向けて、より一層の加速をしているところでございます。

 引き続き、量産技術の確立、生産体制の整備、需要の創出の三位一体につきまして、世界に引けを取らない規模とスピードで取り組んでまいりたいと思っております。

東(徹)委員 これまでも日本の製品がどんどんと世界との競争に負けていったという過去の教訓がありますので、ここは本当に国家戦略でもってこのペロブスカイトをやはりしっかりと伸ばしていかないといけないというふうに思います。

 そんな中で、過去の反省を踏まえて、ペロブスカイトの、国が大規模に導入していって、民間の供給体制を需要面から支えていくということが大変大事だというふうに思います。

 一気に普及させていくためには、それは、国土交通省が管轄している道路とか、それから空港とか駅舎とか、そういう公共インフラへの導入を大規模に進めていって、そしてこのペロブスカイトを伸ばしていくということが非常に大事だというふうに思いますが、国交省としてどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

上田大臣政務官 国土交通省としても、我が国のエネルギー安全保障等の観点から、ペロブスカイト太陽電池の導入拡大は重要なことと考えており、国土交通省環境行動計画にも位置づけ、活用を図ることとしております。

 委員御指摘の公共インフラへの導入に向けては、技術開発や市場化の動向を踏まえつつ、地域の理解や環境への配慮を前提として、様々なインフラ空間や建築物での活用を積極的に検討しているところでございます。

東(徹)委員 御存じのとおり、国産で、薄型で曲げられるということで、大体どこにでも設置ができるというふうにも言われておりますから、そういうことで、大規模にどんどんと導入していこうと思うと、やはり国土交通省管轄の公共インフラに導入していくのが一番早いし、そしてまた、そこで発電をして使っていくということもすれば非常にいいのかなというふうに思います。そういうことを実現していくことが日本の国益にもかなっていくというふうに思いますので、是非国交省を挙げてこのペロブスカイトを応援していただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 国交省関連についてはここで終わりですので、政務官、御退席いただいても結構ですので、委員長の方からお願いをいたします。

工藤委員長 上田大臣政務官、御退室なさって結構です。

東(徹)委員 それでは、続きまして、よく言われております失われた三十年のことについてお伺いしたいと思います。

 日本の経済の成長はやはりまだまだだというふうに思っていまして、高市大臣も強い経済を構築するということで強くおっしゃっていただいておりますので、非常に私も期待しておりますが、ただ、今のままだと失われた三十年が四十年になるのではないかというふうに危惧をいたしております。

 IMFの推計によると、ようやくGDPも六百兆円ということで、十五年かかって二〇二四年に達成できたということでありますが、ただ、ドイツに抜かれて世界第四位、二〇二六年にはインドに抜かれてしまう、二〇三〇年にはイギリスにも抜かれるのではないか、世界で第六位になってしまうのではないかというふうな予測もあるわけです。IMDの世界競争力年鑑によりましても、昨年、過去最低の三十八位という状況に陥っているわけですね。

 そんな状況にある中で、このままだと失われた四十年になろうとしているというふうに思うわけですが、高市政権、これまでの政権とは何が違うのかということで、強い経済を構築するために何をやろうとしているのか、赤澤大臣に、経済成長をしていくためのトップとして、是非ここを御発言いただければと思います。

赤澤国務大臣 高市内閣の成長戦略の肝は危機管理投資ということでございます。重要な戦略分野であるAI、半導体、量子、バイオなどを中心に、大胆な設備投資や研究開発の促進などを通じて、官民の積極的な投資を引き出し、強い経済を実現していきたいと考えております。

 こうした投資を引き出す上で、世界共通の課題という需要に対し、その解決に資する製品やサービス、インフラを提供することで更なる成長につなげていくことを目指しております。

 このように、新たな需要に着目して、供給力を強化することで経済成長を目指していくという点が、これまでの成長戦略とは異なるというふうに考えております。

 その際には、複数年度にわたる予算措置のコミットメントといった、投資の予見可能性の向上につながる措置によって民間投資を後押ししていくなどの取組を通じて、日本経済の供給力を強化し、日本企業の稼ぐ力を高め、物価上昇を上回る賃上げにつなげ、強い経済を実現してまいりたいというふうに考えております。

東(徹)委員 是非強い経済を構築していくために努力していっていただきたいと思うんですけれども。

 先日、そんな中で、先ほど大臣も言われた半導体なんですが、ホンダが今期最終六四%の減益ということで、一千二百億円の下方修正という記事がありました。この原因は半導体不足だということなんですね。コロナ禍のときには、半導体がないとか、よくそういうことを言われましたけれども、今でもこういった半導体不足に陥っているという状況で、日本の基幹産業である自動車メーカーが下方修正しないといけないというのは非常に残念なことだと思うんですけれども、こういったことをしっかりと後押ししていくのが経済産業省なのかなと思うんですが、この点についていかがでしょうか。

野原政府参考人 委員御指摘の、ネクスペリア、オランダの半導体会社の中国工場からの供給途絶が自動車産業に影響を与えている件でございますが、このネクスペリアが作っている半導体は主に、他社で代替可能な、古くて安い半導体を製造しております。日本でも、東芝さんやロームさんでも代替供給可能でございまして、彼らに代替供給、対応するように要請しておりまして、応じていただいているということでございます。

 委員御指摘のように、半導体のサプライチェーン強靱化を進めまして、半導体の供給途絶により産業活動が止まることがないように進めていくことは大変重要でございます。

 これまで、経済安全保障法に基づきまして、自動車のエンジン制御等に使われるマイコン、それから電流、電圧の制御に使われるパワー半導体など、従来型の半導体についても国内生産能力の強化に向けた設備投資支援を講じてきております。

 これまで合計で約八千億円超の予算を計上いたしまして、日本全国の設備投資、二十六件、支援決定しております。例えば、世界トップの基板メーカーである岐阜のイビデンの新工場の建設、先月開所式がございました。キヤノンの汎用露光装置の世界トップシェアの宇都宮の新工場も七月に開所式を迎えております。支援決定した工場が次々に供給開始していくタイミングとなっておりまして、このような取組を引き続き進めてまいりたい、そのように考えております。

東(徹)委員 こういったことのないように、是非今後も取組を行っていただきたいと思います。

 最後に質問をさせていただきます。研究開発税制です。

 世界のどの国でもこういった税制というのはあるんだろうと思いますが、ただ、日本では、この研究開発税制がどれぐらい役に立っているのかというのが非常に分かりにくいなというふうに思うわけですね。先ほども言いましたけれども、日本の国際競争力が低下していっているという現状を見て、これが本当に成果が上がっているのかというふうに思うわけですね。

 アメリカと比較すると、海外への委託費も減税の対象になっているとか、そういったことで本当にいいのかとか、やはり見直すべきところというのはあるのではないかというふうに思うんですが、赤澤大臣、この研究開発税制の見直しについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

赤澤国務大臣 研究開発税制は、日本の経済成長の礎となる企業の研究開発投資の維持拡大を後押しするものでございます。政府としては、高市内閣の成長戦略の肝であります危機管理投資、成長投資の重要な戦略分野であるAI、半導体、量子などを中心に、大胆な設備投資や研究開発の促進などを通じて官民の積極的な投資を引き出していくこととしており、研究開発税制は強い経済を実現する上でも重要な制度だというふうに考えております。

 研究開発税制の効果について、最新の統計データでは、令和五年度の企業の研究開発投資額は前年比で約一・一兆円増加をしておりまして、約十八・九兆円と過去二十年間で最高となっており、研究開発税制には企業の研究開発投資を押し上げる一定の効果があるというふうに考えております。

 令和八年度の税制改正要望でも、効果検証を行い、我が国が置かれた経済情勢等を踏まえ、高市内閣における危機管理投資、成長投資による強い経済の実現という方針に沿った形で、現行制度の延長とともに、国家として重要な技術領域の研究開発投資への重点化などを要望しております。

 委員御指摘の課題も検討しながら、我が国の競争力強化に向けて取り組んでまいりたいと思います。

東(徹)委員 時間が来ておりますので、しっかりとこの研究開発税制が効果があるんだというふうな見える化というのは非常に私は大事だと思いますし、やはりきちっと検証していただいて、見直すべきところは見直していくということが大事なのかなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

工藤委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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