衆議院

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第2号 平成28年10月19日(水曜日)

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平成二十八年十月十九日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 西銘恒三郎君

   理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君

   理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君

   理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君

   理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君

      秋本 真利君    石川 昭政君

      大塚 高司君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子 恭之君

      神谷  昇君    木内  均君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      佐田玄一郎君    新谷 正義君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      津島  淳君    中谷 真一君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      橋本 英教君    藤井比早之君

      古川  康君    堀井  学君

      望月 義夫君    荒井  聰君

      黒岩 宇洋君    小宮山泰子君

      松原  仁君    水戸 将史君

      村岡 敏英君    横山 博幸君

      伊佐 進一君    北側 一雄君

      中川 康洋君    清水 忠史君

      本村 伸子君    椎木  保君

      野間  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      田中 良生君

   国土交通副大臣      末松 信介君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   国土交通大臣政務官    大野 泰正君

   国土交通大臣政務官    根本 幸典君

   会計検査院事務総局第三局長            須藤  晋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            藤井  健君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         谷脇  暁君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    中島  敏君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     石川 昭政君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     新谷 正義君

同日

 辞任         補欠選任

  新谷 正義君     前田 一男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西銘委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官五道仁実君、総合政策局長藤田耕三君、国土政策局長藤井健君、土地・建設産業局長谷脇暁君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長山田邦博君、道路局長石川雄一君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、気象庁長官橋田俊彦君、海上保安庁長官中島敏君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、総務省大臣官房審議官池田憲治君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長須藤晋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根一幸君。

中根(一)委員 自民党の中根一幸です。

 百九十二回国会大臣所信に対する質疑を早速始めさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、水害対策についてお伺いいたします。

 ことし東北、北海道を襲った台風では、岩手県を中心に多数の犠牲者が発生しております。私の地元でも、昨年七月、台風十一号により増水した桶川市の江川におきまして、女子高生が帰宅中に転倒し、亡くなるという大変痛ましい事故が発生しております。

 命を守る水害対策は大変重要であります。荒川では洪水の氾濫を防ぐ堤防の整備を進めているわけでございますが、人命が失われるような水害はどこで発生するかわかりません。

 日本全国で頻発する水害対策への今後の対応方針について、まずお伺いいたします。

末松副大臣 近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化している中で、命を守る水害対策は大変重要であると認識をいたしております。

 このため、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するとの考えに立ちまして、社会全体で洪水に備えるため、国管理河川において、各地域で、河川管理者、都道府県、市町村等から成る協議会を設置し、水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みを進めているところであります。

 具体的には、荒川で取り組んでいるさいたま築堤などの堤防整備など、洪水氾濫を未然に防ぐ対策の着実な推進、また、スマートフォンを活用したライブカメラ画像の住民への伝達など住民目線のソフト対策への転換など、ハードとソフトとが一体となった対策を重点的に実施しているところであります。

 さらに、この夏、北海道、東北を襲いました一連の台風による被害を受けまして、県管理河川における水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みを加速することにしました。水管理・国土保全局長名で、都道府県知事、政令指定市の市長に対しましても技術的な助言を今発出いたしているところでございます。

 引き続き、水害対策をスピード感を持って推進し、地域の安全、安心の確保に努めてまいりたいと思います。

中根(一)委員 副大臣、ありがとうございます。

 施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するという考えのもとで、先ほど、私たちの地域の荒川を例にとり、ハード対策、そして住民目線のソフト対策ということで、ソフト、ハードが一体となった対策を重点的に実施しているというような話をいただきました。

 最近では、ビッグデータというものを使って、今までできなかったような分析等もできるようになってきておりますので、それらも研究していただきながら、どうか、水害がどんなときに来ても耐え得る社会というものを、水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みの加速化を何とぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、旧耐震建築物、新耐震建築物の耐震性の問題についてお伺いいたします。

 御案内のとおり、四月の十四日、十六日、熊本県益城町を中心に震度七の地震が二回起きました。これは過去にない大きな地震だったものですから、建築物に甚大な被害が発生しております。

 それを受けて、建築被害の原因分析を行う専門家などによる委員会を行い、今まで議論をしてきたということですが、先月、九月三十日に報告書がまとめられているということでございます。

 そこで質問ですが、熊本地震における建築物被害の原因分析の結果と、それを踏まえて、今後、国交省としての取り組み方針についてお伺いいたします。

藤井大臣政務官 熊本地震における建築物被害の原因分析の結果と、それを踏まえた取り組み方針についてお答えをさせていただきます。

 中根委員おっしゃったとおり、九月三十日に、原因分析につきまして、建築構造の専門家等による委員会での報告書が取りまとめられました。

 この報告書におきましては、木造建築物につきましては、昭和五十六年以前の旧耐震基準のものの倒壊率は同年の新耐震基準導入以降のものに比べて顕著に高かったこと、したがいまして、新耐震基準は倒壊防止に有効であったこと、新耐震基準導入の昭和五十六年以降のものも接合部の仕様等が不十分であったものには倒壊が多く見られたこと、鉄骨づくり及び鉄筋コンクリートづくりの建築物については、旧耐震基準のものに倒壊が見られた一方、新耐震基準は倒壊防止に有効であったこと、新耐震基準導入以降の庁舎、避難所、病院などについて、倒壊は免れたものの、部分的な損傷により地震後の継続使用ができなかった例が見られたことなどが示されております。

 したがいまして、この報告書を踏まえた取り組み方針としては、まずは、建築物の倒壊防止の観点から、既存ストックを含め、現行基準が求める耐震性能の確保を図ってまいります。

 このため、旧耐震基準の建築物について耐震改修、建てかえ等を促進する、新耐震基準の既存の木造住宅については、接合部の仕様等が明確化された平成十二年以前のものを中心に、リフォーム等の機会を捉えて接合部等の状況を確認することを推奨してまいります。また、そのため、効率的な確認方法を年度内を目途に整備いたしてまいります。

 さらに、新築の際に、接合部について適切な設計、施工がなされるよう、建築士や施工業者等の関係主体に周知徹底してまいります。

 また、避難所等の機能継続のための取り組み方針といたしましては、より高い性能の確保を図ってまいります。このため、災害時に拠点となるべき建築物につきましては、建築物の性能及び管理面で必要な対策等について、関係省庁と連携いたしましてガイドラインとして取りまとめ、広く周知してまいります。

 また、消費者がより高い耐震性能の住宅を選択できるよう、住宅性能表示制度の普及を推進してまいります。

 これらの取り組みによりまして、住宅・建築物の一層の耐震化につきまして、熊本地震の経験を踏まえ、全力で取り組んでまいります。

中根(一)委員 藤井政務官、ありがとうございます。

 まず、旧耐震基準の建築物、改めて、倒壊率が非常に高かったということ、そして、新しい新耐震建築物については、倒壊等の防止の点では有効性が確認されたというお話をいただきました。

 ただ、新耐震基準の場合でも、木造建築物におきましては、接合部が不十分なときは幾つか倒壊が見られたということですから、倒壊した部分の十分ではなかった接合部についてこれからいろいろ対応を行っていく、対処していくというお話でしたので、しっかりとその辺、よろしくお願いします。

 一つ驚いたのは、災害時の拠点となるべき建物、建築物が、しかも新耐震基準の導入以降のものであっても、今回、地震後、継続使用ができなかったという例があったということでございます。

 自分の家が半壊、倒壊した中で、命からがら避難所に行って、そこもほとんど使えなかったといったら、これは大変なことだと思います。大変困ると思います。もちろん、いろいろと調査していただいて、今、各省庁で連絡をとり合いながらこれらのガイドラインを取りまとめているというようなお話でございましたので、どこで地震が起きるかわかりませんが、ぜひ今後とも、このような災害時の拠点というものは、建築物が使えるようにというところでしっかりと行っていただければと思います。

 続きまして、地域企業への発注関係について、大臣にお伺いいたします。

 さきの大臣所信では、公共事業について、地域企業の活用や適正な価格、工期の設定等を行うということでございますが、今般成立した補正予算においてどのように取り組むか、お伺いいたします。

石井国務大臣 地域の建設企業は、社会資本整備や維持管理を支える担い手であると同時に、災害時には最前線で安全、安心を確保する重要な役割を担っておりまして、地域企業が継続的に活躍できることが重要であると認識をしております。

 このため、国土交通省におきましては、工事の内容に応じまして、分離分割の発注を徹底いたしまして、できる限り地域企業の受注機会の確保に努めているところでございます。

 また、施工実態を的確に反映いたしました予定価格や工期の設定に努めているところでありまして、この十月には、工期の設定に当たって用いる、工事の準備や後片づけに要する標準期間を実態調査に基づき改善したところでございます。

 今般成立した補正予算の執行に当たりましては、原則、年度内の発注によりまして工期の平準化を図るとともに、週休二日のモデル工事を拡大していく、また工事書類を簡素化していく、下請となる専門工事業者の技術力を活用していく等に取り組みまして、引き続き公共工事の品質確保に努めていきたいと思っております。

中根(一)委員 ありがとうございます。

 地域の建設会社、企業は、大臣もおっしゃっていたように、社会資本整備における地域を支える担い手でありますし、また同時に、災害が起きた場合は、当然、警察の方や消防署の方、時には自衛隊の方が活躍している中で、そこまで行くまでの道路や橋などの安全、安心を守っていただいているのが地域の企業の皆様方でございます。

 国交省としても、例えばトンネルなどのような大きな事業というのは確かに無理かもしれません、先ほど、いろいろな工夫を得て、できるだけ地域の企業に発注できるようにというようなお話もいただきましたので、何とぞこれを進めていっていただきたいと思います。

 また、補正予算の執行に当たって、年度内の発注のお話もいただきました。そして、引き続き公共工事の品質確保に努めていくというお話もいただきました。ありがとうございます。

 続きまして、幹線道路の整備についての質問をさせてください。

 御案内のとおり、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックがやってまいります。我が国の国際競争力を強化する観点から、大都市部の渋滞緩和や都心へのアクセス強化を図る必要がございます。このために、首都圏三環状道路、また、新大宮バイパス、上尾道路二期、新大宮上尾道路といった幹線道路の整備を早急に進めるべきだと考えております。

 石井大臣におかれましては、就任以来、これらの問題に非常に前向きに対応していただいている、大変感謝しているところでございますが、ここで改めて大臣の見解についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

石井国務大臣 道路の移動時間のうち、渋滞に費やされている時間が、欧米が約二割であるのに対して、我が国は約四割に及ぶなど、生産性の観点から課題がございます。

 このため、例えば、埼玉地域を初めとする首都圏におきましては、圏央道等の環状道路とともに、新大宮バイパスや上尾道路、新大宮上尾道路といった幹線道路を重点的に整備いたしまして、渋滞の緩和や都心へのアクセス強化を図っているところでございます。

 具体的には、新大宮上尾道路につきましては、与野ジャンクションから上尾南インターチェンジまでの約八キロメートルを今年度事業化いたしたところでございます。また、上尾道路につきましては、本年四月に、一期区間のさいたま市西区の国道十六号から圏央道桶川北本インターチェンジまでが開通をいたしました。さらに、二期区間につきましては、昨年度より用地買収に着手したところでございまして、引き続き事業を進捗してまいりたいと思っております。

 このように、環状道路や幹線道路の整備をしっかりと進め、生産性向上を図り、我が国の国際競争力の強化に努めてまいりたいと考えております。

中根(一)委員 何とぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 続きまして、自動走行についてお伺いしたいと思います。

 九月、長野で軽井沢交通大臣会合が行われました。G7です。石井大臣が名議長を務められたということでございますが、そのときも、自動運転早期実現に向けてG7の各国が協調して取り組むという必要性を確認したというふうに伺っております。

 交通事故の削減、また渋滞緩和、地方にとっては移動手段の確保等の観点から、自動運転の実用化というのは積極的に推進していくべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。時間もなくなってきたので、短く答弁していただけると助かります。

根本大臣政務官 自動運転は、何よりもまず、交通の安全を確保、増進し、事故の削減に資するものでなければなりません。また、自動運転は渋滞緩和や物流の効率化、地方の高齢者の足の確保などにも資するものであり、国土交通省においても、その実用化に積極的に取り組んでおります。

 総理からは、昨年十一月、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックでの無人自動走行による移動サービスや、高速道路での自動運転を目指す旨の御指示がありました。

 また、我が国が議長を務めました本年九月のG7長野・軽井沢交通大臣会合においても、自動運転の早期実現に向けて、国際的に協調し、取り組む必要を確認したところです。

 国土交通省は、自動運転の実用化に向け、我が国の自動運転に関する技術を積極的に世界に広め、国際競争力を確保していくことを念頭に、国連の場においても自動運転の国際基準を検討する会議体の議長を務めるなど、国際的な検討を主導しているところであります。

 国土交通省としましては、今後とも、各省庁と連携の上、自動運転の実用化に向け積極的に取り組んでまいります。

中根(一)委員 ありがとうございます。

 続いて、新幹線の関係についてのお話でございます。

 リニア中央新幹線、これは補正予算にも計上されておりますし、これからまた法案審議も予定されているわけでございますが、この全線開業をするための前倒しの意義について、また、財投を使うわけでございますので、財投貸し付けの償還の確実性について伺います。

 また、同じ財投を活用する整備新幹線の今後の整備方針についても伺いたいと思います。

末松副大臣 リニア中央新幹線につきましては、現下の低金利状況を生かし、財政投融資を活用することで、大阪までの全線開業を最大八年間前倒しし、整備効果を早期に発現してまいりたいと思います。

 この全線開業により、三大都市圏が一時間で結ばれ、人口七千万人の世界最大の巨大都市圏が形成されます。我が国の国土構造が大きく変革をされまして、国際競争力の向上が図られるとともに、その成長力が全国に波及し、日本経済全体を発展させるものと思います。

 具体的には、西日本と名古屋圏や東京圏との間、また、東日本と名古屋圏や大阪圏との間など、三大都市圏と国内各地との移動時間が短縮をされまして、三大都市圏へのアクセスの利便性が飛躍的に向上し、地域の活性化をもたらす可能性が高まります。

 また、財投貸し付けの償還確実性につきましては、そもそも、JR東海は、収益力の高い東海道新幹線と一体的に経営を行うものでありまして、貸し付けた資金はJR東海より確実に償還されるものと確信をいたしております。

 なお、貸し付けに際しましては、貸し付け主体となる鉄道・運輸機構におきまして、償還確実性に関する審査を行い、貸し付け後も定期的に会社の財務状況の確認を行うこととしております。

 整備新幹線につきましては、昨年一月の政府・与党の申し合わせに基づきまして、整備区間の貸付料収入を前倒しして活用することによりまして、北海道新幹線新函館北斗―札幌間は五年前倒しをして平成四十二年度末、北陸新幹線金沢―敦賀間は三年前倒しをしまして平成三十四年度末、九州新幹線武雄温泉―長崎間は平成三十四年度から可能な限りの前倒し開業に向けて整備を行っているところであります。

 今般の補正予算におきましては、貸付料の前倒し活用に必要な借入金の合計約八千億円につきましては財投を計上して活用することとしておりまして、金利負担の縮減を通じて、整備中の三区間について円滑かつ確実な整備を進めて、一日も早い開業を目指してまいりたいと思います。

中根(一)委員 時間が来ましたので終了させていただきますが、本来、首都圏空港機能強化の関係で田中副大臣にも質問をする予定でございました。時間がなくて質問できなくて申しわけありませんでした。

 以上で終わりにします。

西銘委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 去る十月十四日、大臣の所信を伺いました。国民の命と財産を守り、国民の生活と我が国経済の基盤を支える重要な所管を持つ国土交通省であることを踏まえまして、以下、質問をさせていただきます。

 初めに、防災・減災の観点からお伺いをさせていただきます。

 ことしの四月に震度七の熊本地震が発生いたしました。八月には台風が相次ぎ、いずれも全国に甚大な被害をもたらしました。私の地元北海道におきましても、過去最大級の水害となり、大切な人命も奪われました。ここで改めて、お亡くなりになられた方々に、そして家族の方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 台風による被害が確認された翌日の八月二十五日より、北見、根室管内の羅臼、釧路管内、十勝管内、南富良野、日高管内の被災現場を回り、被災された方々の生の声をお聞きしてまいりました。

 大臣におかれましても、被災の週の八月二十七日に北見市内を視察され、さらに翌週の九月三日にも再び来道され、清水町や新得町、南富良野町にも足を運ばれました。短期間に大臣に二度も足を運んでいただき、被災された方々も、復旧に当たる関係者にも、本当に励みになり、心強く感じられたと思います。

 国交省を初め関係者の奮闘のおかげで、これまで一歩一歩確実に復旧に向けて進んでいると承知をしております。がしかし、実際に現地に行けば、全半壊した家屋や原形をとどめない農地、また、鉄道や道路の橋が落ちてしまい、地域の方々はどれほど御不便か、心が痛みます。鉄道にも道路にも、いまだ復旧のめどの立たないほど壊滅的なダメージを受けた箇所も残っております。

 もとどおりの生活を目指して頑張っている被災地の方々に向けて、今後の復旧への見通しと、完全復旧に向けての大臣の御決意をまずお伺いさせていただきたいと思います。

石井国務大臣 今回の一連の台風災害で被災したJR北海道の路線につきましては、運休しておりました根室線の富良野駅から東鹿越駅間が十月十七日より運転を再開しております。これにより、運休中の区間は、石勝線のトマム駅から新得駅間及び根室線の東鹿越駅から芽室駅間の二路線二区間となっております。

 このうち、石勝線のトマム駅から新得駅間及び根室線の新得駅から芽室駅間では、三カ所の橋梁が流失するなど、大きな被害が発生いたしました。現在、北海道等の協力を得ながら、年内の復旧を目指して工事が行われているところであります。

 一方、根室線の東鹿越駅から新得駅間につきましては、被害が甚大であることから、工事着手は早くても来年春以降になる予定とお聞きしております。

 国土交通省といたしましては、今回、非常に大きな災害が発生したことを十分に踏まえまして、災害に強い鉄道を構築することを念頭に置きながら、まずは、被災した施設の早期復旧に向けまして、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助制度を初め、必要な支援について検討してまいりたいと考えております。

 また、道路につきましては、今回の一連の台風による河川の氾濫等によりまして、道央の日高山脈を越える国道二百七十四号において、のり面の崩落や橋梁の損傷など甚大な被害が多数発生し、北海道の国道において現在も唯一通行どめが続いております。

 現在、現地での調査等を進めておりますが、約四十キロにわたり六十六カ所被災しているなど、北海道で過去に例を見ないほど広範囲かつ大規模な被害となっておりまして、復旧には時間を要する見込みであります。

 こういった状況を踏まえまして、現在、国道二百七十四号の代替路として、道東自動車道の占冠インターチェンジから十勝清水インターチェンジ間における無料措置を実施し、御利用いただいているところであります。

 今後、被災箇所の調査について、雪が本格的に降るまでに設計に必要な詳細調査を終え、できる限り早く復旧のめどをお示しするとともに、早期に通行どめが解消できるよう努めてまいりたいと思っております。

 引き続き、被災地の声に耳を傾けながら、被災地の復旧復興を全力で支援してまいりたいと存じます。

佐藤(英)委員 ありがとうございます。

 北海道は、山の方ではもう雪が降り始めました。ぜひ、雪が降る前にさまざまな対応をよろしくお願いしたいと思います。

 ここ数年、気象災害が激化する背景には、温暖化の影響が指摘されています。事実、北海道は、梅雨がない、台風は来ないというのが常でありましたが、ことしは台風で大きな災害が発生しました。豪雨災害は、対応を誤れば人命に直接影響が出ます。しかも、ダムやため池などで対応できないような事態が今後起こらないとも限らず、非常に緊張感を持って事に当たらなければならないと思います。

 今回、被災現場を回って感じたのは、国交省が行っているTEC―FORCEやリエゾンが、自治体の職員の方々から、本当に大変に感謝しているというお声が相次いでいたところでありました。

 これまでも自治体職員は、豪雨災害で、避難の勧告や指示などの判断という重責を担ってきました。こうした自治体の現場に、世界最高峰と言われる観測体制を持つ気象庁の能力や知見を最大限に落とし込むことができれば、風水害などによる不測の事態を大きく減らしていくこともできるのではないかと考えております。日ごろから、気象庁の職員や気象予報士を派遣し、自治体職員が気象に関する知識を深めていくことも、極めて有効な事前防災につながります。気象のプロである気象予報士が、いざというときに地元の役場に詰めてアドバイスをしてくれるとなれば、自治体職員も大変に心強く感じるのではないでしょうか。地域の防災力が格段に向上するのも間違いないと思います。

 現在、全国に約一万人と言われる気象予報士のうち、気象業務に携わっているのは、二割から、多くても三割いないだろうということであります。つまり、七千人以上の気象予報士の能力がうまく活用されていない可能性があるということであります。

 防災の現場に立つ自治体と気象庁の職員や気象予報士を強くつなぎ合わせるためにどのような取り組みをされているのか、今後さらに充実させていくべきではないかと考えますが、取り組みの強化の検討状況についてお伺いをしたいと思います。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、自治体が開催いたします災害対策本部に参画いたしまして、台風や大雨の見通しにつきまして説明を行うとともに、災害が切迫するときにはホットラインにより直接危機感を伝えるなど、各地の気象台が防災気象情報の発信において自治体との関係強化に努めてきております。

 一方で、防災の現場に立つ自治体の防災対応力の向上が喫緊の課題でありまして、このためには、気象庁において日ごろから、時期を捉えまして、自治体の防災担当者に対しまして、防災気象情報の利用に関する説明会なども実施してきているところでございます。

 加えまして、今年度は、ただいまございましたように、予報士を全国の六つの市に対しまして六月から九月までの四カ月間派遣いたしました、自治体の防災対応を支援するモデル事業を実施しているところでございます。この気象予報士を派遣した自治体からは、防災気象情報の効果的な利用についてアドバイスが受けられて、適時適切な防災対応が可能になったとか、職員の防災対応力が向上したなどのコメントをいただいているところでございます。

 気象庁といたしましては、このモデル事業の有効性を検証いたしまして、その成果を全国の自治体にしっかりと周知、説明いたしまして理解を深めていただき、地域の防災力を担う自治体が主体的に気象予報士を活用できる環境整備について、関係省庁の連携による支援が進むように取り組んでまいりたい、このように考えております。

佐藤(英)委員 どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、クルーズ船の対応とHACCP対応の港湾整備などについてお伺いをしたいと思います。

 まず、クルーズですけれども、アジアのクルーズ人口の急成長を背景に、中国や台湾を発着するクルーズ船の日本への寄港が急増しております。北海道は、中国や台湾からは少し遠いものの、横浜港を発着するクルーズ船などの寄港地として人気がありまして、ことしの北海道への寄港は、函館港などを中心に合計九十七回、昨年の一・五倍が見込まれているところでございます。このように、クルーズ船が全国津々浦々に寄港し、経済効果をもたらすことが、観光立国や地方創生の推進に極めて重要と考えております。

 政府がことし三月に取りまとめた明日の日本を支える観光ビジョンでは、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人という目標を掲げています。実現に向けて鋭意取り組んでほしいと考えますが、二〇一五年の実績の五倍近い目標の実現のためには、港湾の整備を初めさまざまな対策が必要と考えますが、政府としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

 また、二点目は農林水産業の輸出力強化にかかわってでございますけれども、農林水産物の輸出は、三年連続で過去最高を更新しております。農林水産物の中で最も輸出が多いものはホタテガイで、その約八割が北海道産で、北海道の水産業が農林水産物の輸出拡大に大きく貢献をしております。

 実は、北海道における漁獲、水揚げのうち六割は漁港で水揚げされておりますけれども、残りの四割は国交省の管轄である港湾で水揚げされているわけでございます。農林水産物の輸出額を二〇二〇年に一兆円にするとの政府の目標のもと、漁港では、屋根つき岸壁を初め、水産物の輸出に対応した施設整備が進んでいますけれども、ぜひ、港湾におきましてもこうした整備を加速し、政府一丸となって取り組むことが必要ではないかと考えております。

 平成二十九年度の概算要求において新たな支援制度を要求されているとお聞きしておりますけれども、国土交通省としてはどのように取り組んでいかれようとしているのか、御見解をお伺いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 まず、クルーズについてお答えいたします。

 我が国へのクルーズ船の寄港は、アジアのクルーズ人口の増大等を背景に今後も増加を続けると考えられているため、ハード、ソフト両面からしっかりと対応してまいりたいと考えております。

 ハード面では、既存岸壁の防舷材や係船柱の改良、岸壁の延伸など、クルーズ船の受け入れ能力の向上を図ってまいります。平成二十八年度第二次補正予算におきまして、小樽港、函館港、稚内港など全国二十六の港で、大型クルーズ船に対応するための既存岸壁の改良などの事業を実施することといたしております。

 また、ソフト面では、全国クルーズ活性化会議と連携した商談会の開催、全国の港湾の岸壁水深や延長に係る情報あるいは港周辺の観光情報の一元的な発信などによりまして、寄港地の全国展開に向けたプロモーションなどに積極的に取り組んでまいります。

 加えまして、クルーズ船社によるターミナルビル等への投資と公共による受け入れ環境の整備を組み合わせた国際クルーズ拠点を形成する方策について、現在、検討を進めております。

 このような施策によりまして、クルーズ船の受け入れ環境のさらなる充実を図り、クルーズ旅客五百万人をしっかりと受け入れられるように取り組んでまいりたいと思っております。

 二点目の農林水産業の輸出力強化についてお答えいたします。

 我が国の農林水産物の輸出の約八割が港湾を通じて行われております。水産業の生産拠点として機能するなど、港湾は、農林水産業にとっても大変重要なインフラであると考えております。

 国土交通省といたしましては、平成二十九年度予算概算要求におきまして、屋根つき岸壁や冷凍冷蔵コンテナ、いわゆるリーファーコンテナ用の電源供給設備の整備に対する新たな支援制度を要求しております。

 農林水産業の輸出力強化の取り組みをこれまで以上にしっかりと進めてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 本年八月二十七日に、石井国土交通大臣は国際バルク戦略港湾である釧路港を御視察され、私も同行させていただきました。

 視察の際、地元の関係者との意見交換の中で、今後、釧路港が穀物輸入の拠点となれば、従来の酪農、乳製品だけではなく、食肉の供給地としての役割ももっと大きくなり、新たな雇用が生まれる可能性があるという興味深い話もございました。

 国土交通省としても、地域産業の成長力強化に資する国際バルク戦略港湾釧路港の早期整備のため、今後もしっかりと取り組んでいただきますよう御要望させていただきたいと思います。

 最後に、ホームドアの件についてお伺いします。

 本年八月に、東京メトロ銀座線で、盲導犬を連れていた男性がホームから転落し、入ってきた電車にひかれ、亡くなられました。痛ましい事故の撲滅に動き出したやさき、三日前の十月十六日の日曜日、大阪で再び、近鉄大阪線で、全盲の男性がホームから転落して、入ってきた特急電車にひかれ、亡くなってしまった。このような事故をなくすことが政治の務めであると考えます。

 バリアフリーの中にホームドアが入れられてから、ことしでちょうど十年になります。一日三千人以上が利用する駅は全国で三千五百駅あるそうですが、ホームドアが設置されているのは約二割、二〇一一年にも、国土交通省は鉄道各社に、特に危険性が高い駅で優先してホームドアを設置するよう要請しましたが、なかなか進まないという評価が多いのが実態です。

 十万人以上の駅は全国で二百五十一、ホームドアありは七十七駅のみであります。車両ごとにドアが違う、ホームの地盤が弱くてホームドアの重さに耐えられないなど、進まない理由は多々ありますけれども、やはり一駅で数億円から十数億円かかるという費用が一番の課題であります。

 国交省も鉄道各社も努力は続けていますが、いっときに整備を完了させるのは現実的に大変難しいと思います。しかし、視覚障害者の転落事故は年間八十件起きています。視覚障害者の三八%が、実際に転落したことがあると答えております。視覚障害者の方は、駅のホームは極めて危険な場所、欄干のない橋と呼ばれているそうであります。

 国土交通省は、平成二十八年の予算で新設五駅だったのを、補正予算と現在概算要求中の来年度の予算を合わせて、新設で二十から三十駅できるように計上していただいています。同時に、技術的課題の解決にも、より一層力を入れていただきたいと思います。

 そして何よりも、ソフトの面、視覚障害者の方を駅で見かけたら、大丈夫ですか、お困りではありませんかと一声かける声かけ運動を、四年後に迫ったオリパラまでに定着させていくこともできれば、確実に転落事故も減少するはずであると思います。

 こうした両面での取り組みについて大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

石井国務大臣 駅ホームにおける転落事故防止、大変重要な課題であると認識をしております。

 これまでも、ホームドアの整備や、鉄道利用者による視覚障害者への声かけの啓発といったソフト対策など、転落事故防止に向けた対策に取り組んでまいりました。

 このような中、今、御指摘ございましたように、八月十五日に発生いたしました視覚障害者の方の転落死亡事故を契機に、八月二十六日に駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置いたしまして、ハード、ソフト両面から対策の強化について検討を行っているところでございます。

 さらに、十月十六日の近鉄大阪線での転落死亡事故を受けまして、十八日に急遽検討会を開催するなど、これまで四回の検討会を開催してきております。

 検討会におきましては、年内をめどに中間取りまとめを行うこととしておりまして、ハード、ソフト両面における総合的な転落防止対策の検討を急ぎたいと考えております。

 今後、ハード面では、ホームドア整備の加速化や、技術面、コスト面の課題に対応可能な新たなホームドアの技術開発などによるホームドアの整備の促進、また、ソフト面におきましては、希望者への駅係員のアテンドや、一般旅客に対する、誘導案内、声かけの積極的な実施を依頼すること、また、盲導犬を同伴する視覚障害者への接遇などの対策の強化等に取り組んでいく必要があると考えております。

 四年後に迫りましたオリンピック・パラリンピックの開催を視野に、駅ホームのさらなる安全性向上に向け、最大限の取り組みをしてまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 終わります。

西銘委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 おはようございます。民進党の横山博幸でございます。

 前回に続いてURの質問を希望しておりましたけれども、きょうは、大臣発言を受けてということでございますので、地方から見た視点での質問をさせていただきます。時間の制限もございますので、多少通告と順番を入れかえて質問させていただきますので、明確な答弁をお願い申し上げます。

 まず、大臣は、地域企業の活用に配慮しつつ、適正な価格、工期設定による契約、施工時期の平準化などにより、公共事業の品質確保や円滑な施工確保に努めます、こういうことで地方への配慮をされておりますけれども、地方の業者、建設業者は今疲労こんぱいの状況ではないかと思います。大手ゼネコンは莫大な利益を上げておりますけれども、後ほど質問しますけれども、人手不足の問題、それから工事原価の高騰を含めて、かなり厳しい状況を迎えていると思います。

 そうした中で、国交省が地域企業への優先発注ということを掲げておりますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

 地域で底上げをする、まさにアベノミクスの方向性であると思いますけれども、そのためには、地域企業への優先発注、いかに地域の建設業者が受注できる機会をふやすかどうか、そして工事の発注時期の平準化、これを具体的に進めていくべきだと考えておりますけれども、地元業者優先発注の状況の推移について、まずお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 地域の建設企業は、社会資本整備の担い手であると同時に、地域経済や雇用を支え、災害の対応、除雪といった地域を維持する役割を担うなど、地域の守り手として重要な存在と認識をしております。

 このため、国土交通省におきましては、工事の内容に応じまして、分離分割発注の徹底、入札の参加要件における会社の本支店や営業所の所在地などの地理的条件の適切な設定、総合評価落札方式における災害時の活動実績等の加点評価等の措置によりまして、できる限り地域企業を対象とする工事発注に努めております。

 その結果、国土交通省の一般土木工事におけます地域企業向けの工事件数の割合につきましては、大規模な震災復興工事の割合が大きい東北地方を除きますと、過去十年の間、九〇%を超えて推移をしているところでございます。

 引き続き、地域企業の受注機会に配慮した工事発注に努めてまいりたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 今答弁にありましたように、地域要件というのは非常に重要でございますけれども、現在、発注事務所管内に本社がある業者に限定から、地方整備局管内に本社、支店または営業所がある業者に限定、こういうふうに具体的にされておりますけれども、今後、この地域要件について、さらに緩和される、あるいはその方向性が新たにあるのかどうか、この点について、もう一度答弁をお願いしたいと思います。

五道政府参考人 地域要件の設定に当たっては、競争性の確保に留意しつつ、工事の内容や地域の実情等を踏まえ、極力、当該地域にかかわりを持つ企業を対象とするよう要件を定めているところです。

 例えば、国土交通省が愛媛県内で地域企業向けに発注する一般土木工事では、工事の規模に応じて、基本的に、県内または事務所管内に本店を有することを地域要件として設定しています。ただし、工事の内容によっては、地域の工事の実績等の競争参加資格を満たす企業数が十分でない場合などには、対象地域の拡大や、対象地域内に本店のみならず支店や営業所を有する企業も参加を可能とする措置などにより、競争性の確保に留意した地域要件の設定を行っているところでございます。

 地域要件の設定に当たりましては、できる限り地域企業を対象とする規模での発注に努めるとともに、地域要件の適切な設定を行っているところでございます。

 また、国土交通省発注工事の実績の少ない地域企業の受注機会を拡大するため、国土交通省発注工事だけでなく、県発注工事の成績も評価対象とする取り組みを一部の工事で行うなどの工夫にも努めているところです。

 今後とも、地域企業の受注機会に配慮した工事の発注に努めてまいります。

横山委員 大変ありがとうございます。今後とも地域への配慮をお願いしたいと思います。

 今、地域要件と、それから受注機会の問題、それから愛媛県のことも出ましたので、少し四国管内のことで質問を具体的にさせていただきたいと思います。

 四国管内と言わず全国に、従前から、恐らく昭和四十年代から、建設省のOBが天下りをした建設弘済会という組織がございます。四国は、四国建設弘済会。これは、現在は、十八年の四月に組織改正をしております。その名称は、一般社団法人四国クリエイト協会、こういう名称になっております。この組織には、これは国交省の調査でお聞きしましたけれども、元四国地方整備局地方事業評価管理官が理事に就任されておる。さらに、平成二十五年七月三十一日には、一般社団法人から、株式会社建設マネジメント四国というのを設立されておる。この組織にも、元国交省四国地方整備局総務部総括調整官が取締役に就任されております。まさに国交省の色濃い組織ではないかと思います。

 この建設マネジメント四国の代表者の御挨拶文を拝見しますと、従来四国クリエイト協会が実施してきた発注者支援業務などを引き継ぐために建設マネジメント四国を設立したと。経緯を見ますと、建設弘済会、四国クリエイト協会、それから建設マネジメント四国と、段階的に組織が変遷されております。

 この組織は、私の記憶では、四国建設弘済会というのは、国交省から直接受注をし、そこで利益を上げて、さらに外注、下請をさせる、こういう組織でありましたけれども、現在の四国クリエイト協会並びに建設マネジメント四国は、国交省から直接受注をされておる実績がありますでしょうか。

五道政府参考人 御質問の件でございますけれども、現在手元に資料がございませんので、調べさせていただきたいというふうに思います。

横山委員 これは細かい通告はしておりませんでしたけれども、きょう通告をしておきます。次回にぜひこの件については具体的に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 仮に、これが直接受注をし、そして仕事をしているということであれば、大臣の言われる地域への貢献は少し疑問符がつくんじゃないかと思います。極論を言えば民業圧迫になる、そうなりかねないという問題ではないかと思います。私の方ももう少し詳しく調べさせていただいて、質問をさせていただきます。

 それでは次に、今、地方の建設業界は、先ほども申し上げましたとおり、人手不足の問題に困窮をしております。担い手の確保、育成の問題について質問をさせていただきます。

 建設業は、まさに日本の基幹産業であり、地方にとっては地域経済の生命線でもあります。しかしながら、今、高齢者が大量に離職をしております。これは受注機会が平準化していないせいであります。忙しいときはかなり忙しいから人手が足りない、発注がとまれば仕事がなくなるから離職してしまう。地方では、農業や林業に仮に勤めるようになると、その次に、忙しくなったら帰ってこないという問題もありますし、若い方が工業高校へ進学することも少なくなりました。そして、従来から三Kと言われて非常に厳しい仕事でもあります。そして、経験を積まないとなかなか実際に工事監督ができないというふうな非常に厳しい問題がございます。

 この担い手確保、育成について、現状で国交省としてどのような対策をとられておるのか。それから、これからオリンピックの仕事も都市部で始まります。こうした中で、地方からどんどん労働者が都市部に集まってくる、地方で現実に仕事ができなくなる、工期がおくれると厳しい指摘を受ける、こういう問題もあわせて発生すると思いますけれども、現状での担い手確保についての指導及び育成についてお伺いしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答えをいたします。

 まず、担い手の確保についての取り組みでございます。

 今御指摘がございましたように、建設産業は人材で成り立っている産業でございます。その中で、高齢化あるいは若い人たちの入職の減少という構造的な課題に直面をしているわけでございます。

 こういうことを受けまして、国土交通省といたしましては、関係の業界などとも連携を図りつつ、幾つかの取り組みを進めております。まず、適正な賃金水準の確保、あるいは社会保険への加入の促進といった処遇の改善、これが一つ目でございます。また、二つ目といたしましては、休日の確保などの働きやすい職場づくり、三点目といたしまして、教育訓練の充実、さらに、今御指摘もございました施工時期の平準化、こういったようなことに取り組んでいるところでございます。

 このような取り組みもございまして、建設業への若年者の入職者数につきましては、近年、回復傾向にあるところでございます。引き続き、これらの取り組みをしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

 また、技能労働者の需給についてでございますけれども、現状、足元の状況を見ますと、需給につきましては均衡してございます。全体として、今の時点で技能労働者の不足という状況は見られておりません。

 また、御指摘ございました、今後施工が予定されている東京オリンピック・パラリンピックに関連する工事につきましては、現在の労働力需給の状況などを踏まえますと、労働力はしっかりと確保できるというふうに考えておりますけれども、引き続き、労働力需給等について注視していきたいというふうに考えております。

横山委員 ありがとうございます。

 もう少し踏み込んで、人件費の問題が非常に厳しい状況の中で、若者が集まらないということがございます。介護の事業の世界では、政府が人件費アップを後押ししている。建設業の公共単価で、人件費のアップを近年されておりますか。

谷脇政府参考人 公共工事の人件費につきましては、毎年、実態を調査いたしまして、設計労務単価というものを設定してございます。

 この単価につきましては、ここ四年連続で引き上げをしてございまして、全国平均、全業種で三十数%の上昇ということでございます。これが予定価格に反映をされている、そういう考え方になってございます。

横山委員 もう一点、具体的な話ですけれども、一般の企業では、今、役所もそうですけれども、残業をさせない、こういう改善をされた状況になっております。労働基準法をしっかりと守っていくというのが今の世の流れですけれども、建設業の場合、工期というのがありますから、天候で左右されて工期が詰まってしまって、残業もしなきゃいけない、日曜日も出ていかなきゃいけない、こういうことで、工期という問題が働く環境を抑制しているという問題も考えられると思います。

 公共事業はほぼ、年度末、三月末までに完成をするというのが予算管理の中で重要なポイントであると思いますけれども、これをもう少し前倒しして発注して工期を少し長くとっておく、竣工が三月末であっても早く引き取る、こういったような応用的な工程管理ができるような状況にして、残業とか日曜、祭日、休業日での労働をなくしていくということが長期的に働く環境を変えるのではないかというふうに思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

谷脇政府参考人 特に、現場で働く技能労働者の皆さんの環境の改善、これは非常に重要でございます。その中で、今御指摘ございました工事の平準化、これは非常に重要な課題でございます。

 この点につきましては、既に、直轄の工事につきましてもさまざまな工夫をしてございますし、あるいは、地方公共団体の工事につきましても、総務省と連携をいたしまして、いろいろな手法がございますので、そういう手法を使いながら平準化を進めていただくようにということで、いろいろな取り組みをさせていただいているところでございます。

 そういう中で、特にどうしても、御指摘ございましたように、建設業の場合は天候にも左右されますので、この時期までにという仕事で、特定の時期に残業をかなりしないといけない、こういう事情があるわけでございます。

 ただ一方で、やはり、ほかの産業と比べますと休日の取得というものが非常に少ない、こういう実態もございますので、そういう休日の確保といったようなところにつきましても、これはなかなか難しい問題ではございますけれども、関係業界などとも連携してこれから取り組んでいきたいというふうに考えております。

横山委員 よく理解をいただいていると思います。今出ていました工事の発注時期の平準化というのが非常に大きなポイントになると思います。忙しいときと閑散期が極端になるということが生まれてきますので、ぜひ年間平均的に発注をしていただきたいというように思います。

 質問はかわりまして、クルーズ船の関係でお伺いをしたいと思います。ちょっと順番がかわっていますので、答弁者の方、よろしくお願いを申し上げます。

 私どもは、瀬戸内海というすばらしい海があります。そこでの大型船のクルーズ船は、二百メーター以上の巨大船の場合、備讃航路と申しますけれども、夜間航行が禁止をされております。非常に危険だということで禁止をされておりますけれども、クルーズ船に地方各地に来ていただいて地域の経済を活性化するということは大きな視点であると思います。こうした中で、瀬戸内海を大型船が航行できないという制限によって、夜間の場合ですけれども、瀬戸内海の内側に入ってこれない、こういう障害がございます。

 現在の船の性能というのは、我々の地元にあります今治造船も世界に誇る技術を持っておって、非常に高いレベルの船をつくっておる。こういったことを考え合わせると、最新鋭の機器によってこの問題は解決できそうな気が少しいたしますけれども、国交省の見直しについての見解を求めたいと思います。

中島政府参考人 お答えします。

 瀬戸内海の航路においては、全長二百メーター以上の巨大船が航路を航海することに伴い生ずるおそれのある船舶交通の危険を防止するため、これに対し夜間航行を禁止しております。

 海上保安庁としましては、平成二十六年度に備讃瀬戸海域にレーダーを増設いたしましてレーダー不感帯の解消を行うなど、船舶の航行を支援する海上交通センターの機能向上に努めているところであります。

 しかしながら、瀬戸内海では依然として、夜間を通じ、さまざまな漁法による一定の漁船が操業し、漁具を航路に設置するなどにより行われていること、夜間の交通量が貨物船等により昼間よりも増加をすることなどの状況下にあります。また、海難を防止するためには、夜間に漁具の設置位置を把握することも必要となっております。

 このため、瀬戸内海における全長二百メーター以上のクルーズ船の夜間航行制限の緩和につきましては、海事関係者や地元漁業関係者などの多くの海域利用者の意見をお聞きし、対応していく必要があるかと考えております。

 いずれにしましても、漁業と海運の共存共栄が図られるよう、万全を期してまいりたいと思います。

横山委員 ありがとうございます。ぜひ前向きで検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、海の関係でもう一点お伺いしたいと思いますけれども、国際コンテナ戦略港湾の中で、LNGの燃料供給拠点についてお伺いをしたいと思います。

 このLNG燃料供給拠点については、海洋部門の環境規制の強化を背景に、今後増加が予想される燃料船の燃料供給拠点を横浜港に形成し、LNG燃料船の我が国への寄港を促そうという取り組みが、本年六月から、官民から成る検討会で議論をされていると聞き及んでおります。

 国際コンテナ戦略港湾に対しなされた施策でこれまでにどのような効果があったか、具体的な効果について答弁をいただきたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 国際コンテナ戦略港湾政策の具体的な成果という御質問をいただきました。

 国土交通省では、我が国港湾への基幹航路の維持拡大を図るため、集貨、創貨、競争力強化、こうした施策から成る国際コンテナ戦略港湾政策に取り組んでいるところでございます。

 具体的な成果として、阪神港を例に申し上げますと、集貨につきましては、港湾運営会社が行う集貨事業に対して支援を行った結果、平成二十六年四月現在の六十八便の国際フィーダー航路の寄港数が、平成二十八年八月には九十七便ということで四割増加をいたしまして、阪神港へ約十四万TEUの貨物を集めたところであります。

 また、創貨につきましては、六甲アイランド、ポートアイランド、それぞれの地区で、延べ床面積で二万七千平米の流通加工機能を備えた倉庫の整備が進められております。

 さらに、競争力強化という観点では、水深十六メートルの大水深のコンテナターミナルの整備を神戸港及び大阪港において進めてございます。

 こうした取り組みによりまして、神戸港におきましては、平成二十七年のコンテナ貨物取扱個数が阪神・淡路大震災以来過去最高を記録したところでございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 同様に、港湾の関係、コンテナ戦略港については、近隣諸国の韓国と競合するところが非常に多いというふうに感じております。我が国から釜山港にトランシップに出されている貨物を我が国の港湾に取り戻す必要があるのではないかと痛感をしております。

 最近、韓国は、釜山新港の拡充や超大型船の入出港のための航路整備などを内容とする第三次全国港湾基本計画の変更を行ったところであります。大変厳しい競合になってくると思います。

 この韓国へ流れるトランシップ貨物を取り戻すのにどのような具体的対策をとっておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、韓国政府が本年九月二十九日にホームページで公表いたしました韓国の第三次全国港湾基本計画修正計画によりますと、釜山港を世界二大コンテナ積みかえハブに育成する、こういったことが盛り込まれております。

 他方、我が国港湾への基幹航路の維持拡大を図るためには、これまで以上に国際コンテナ戦略港湾に集貨していくことが必要であると考えてございます。このため、大型船の寄港に必要な貨物量を確保するための、いわゆる積みかえ貨物を取り扱うハブ港湾としての機能の形成が必要であると考えております。

 具体的には、国内からの集貨といたしまして、地方港から釜山港等に流出している貨物を戦略港湾へ転換するための支援事業、また、国外からの集貨といたしまして、経済成長が著しいアジア地域から発生する貨物の戦略港湾への集貨、こうしたものにしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。

 国際コンテナ戦略港湾政策につきましては、国が前面に立って進めていくことで、国内における企業の立地環境を向上させ、我が国の港湾、経済の国際競争力強化を図ってまいりたいと考えております。

横山委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたが、あと一点だけ、コンパクトシティーについてお伺いしたいと思います。

 二十六年の五月に都市再生特別措置法が改正されて、市町村の立地適正化計画に居住誘導区域や都市機能誘導区域を定めてコンパクトシティーを推進されておるということで、地方では、もう長年になりますけれども、この問題についてはいろいろ論議をされております。

 この法整備を受けてから約二年間、この件について、現在の取り組み状況について答弁をお願いしたいと思います。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるコンパクトシティー政策でございます。今委員御指摘のとおりでございます。平成二十六年に立地適正化計画制度を創設し、予算、税制などのインセンティブ策を講じながら、町中あるいは公共交通沿線に生活サービス機能あるいは居住機能、そういった機能の誘導を進めていくということとしております。

 制度の創設後、約二年でございます。現在、二百八十九の市町村で立地適正化計画に関する具体的な検討を進めていただいておるところでございます。これまでには、大阪府の箕面市、熊本市、岩手県花巻市、札幌市の四市で計画を作成、公表いただいております。今年度中には、先ほどの二百八十九の内数としてのおよそ百都市で作成、公表を予定していただいておるというところでございます。したがいまして、平成二十九年度から立地適正化計画制度も実行のフェーズに段階的に移行していく、そういうタイミングに差しかかっているというように認識しております。

 コンパクトシティーの取り組みは政策分野が幅広うございます。国土交通省だけでなくて、関係省庁で支援チームを設置して、先ほどの市町村の計画作成などを省庁横断的に支援しております。具体的には、地方公共団体向けの説明会の開催、職員が現地を訪問してコンサルティングを行う、あるいは、関係省庁分も含めて一覧できる支援施策集の作成などに取り組んできておるところでございます。

横山委員 ありがとうございました。

 さらなる強力な御支援をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

西銘委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民進党の本村賢太郎でございます。大臣を初め、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、熊本地震からの復旧について数点お伺いしてまいりたいと思います。

 大臣所信におきまして、石井大臣の方から、熊本城の復旧等の復興まちづくりを着実に推進すると述べられておりまして、国交大臣としての意気込みを感じるわけでございますけれども、熊本市の試算によりますと、熊本城の復旧予算は六百三十億円を超え、全体を二十年、天守閣を三年で復旧する予定ということでございまして、熊本県民の皆さんの、まさしく熊本城の復興はシンボルと言ってもいいのではないかなと思っております。

 国交省といたしましても、天守閣、本丸御殿、飯田丸五階やぐらなど国交省にかかわる関連のものもございまして、ぜひ大臣として、この熊本城の復旧について、めどは立っているのか、そして、熊本城が復旧することは精神的にも大きいということから、大臣のリーダーシップに期待をしていきたいと思っております。

 特に、文化庁や熊本県、熊本市等々もかかわっておりまして、どなたがリーダーシップをとってこの熊本城の再興に取り組んでいくのか、意気込みをお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 熊本城には、特別史跡を構成いたします石垣、また、重要文化財でありますやぐらや長塀などの文化財のほかに、天守閣や本丸御殿などの公園施設が整備をされておりまして、それらを含む全域が熊本市が管理をする都市公園となっております。このため、国土交通省では、被災直後より、熊本市、熊本県、文化庁と連携をいたしまして、熊本城の早期復旧に向けた取り組みを推進してきております。

 今月の十六日には、地震から六カ月がたったということで、私も改めて被災現場を視察いたしまして、天守閣のための工事の道路を確保するための石垣の撤去ですとか、あるいは飯田丸五階やぐらの倒壊の防止工事、隅の石垣だけでやぐらがもっていたという危ない状況でございましたが、その倒壊防止の工事の状況など、復旧に向けた工事が着実に進められていることを直接確認してきてございます。

 特に、熊本のシンボルである天守閣を早期に復旧することは、震災からの復旧復興の象徴となると思っております。今まだ復旧途上でありますが、天守閣のライトアップが復活をしまして、それだけでも市民の皆さんが大変勇気づけられたという声を伺っておりまして、天守閣の早期の復旧というのは、被災地全体の復旧復興の実感、発信につながることが大いに期待されるというふうに思っております。

 このため、今般の二次補正予算におきましては、天守閣の復旧工事に係る所要額を前倒しで計上したところでありまして、熊本城の一日も早い復旧に向けて、熊本市、熊本県とともに最大限取り組んでまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 ぜひ、石井大臣のリーダーシップによって、熊本県、熊本市、そして文化庁等と連携をしながら、一日も早い復旧に向けて、復興に向けて取り組みを進めていただきたいと思っています。

 また、十一月一日からは復興城主という制度がスタートするようでありまして、一万円以上の寄附をした個人や団体が城主となる制度も始まるようでございまして、そういった支援もぜひ国交省として応援いただければというふうに思っております。

 次の質問に入ります。

 十月十六日の朝日新聞によりますと、熊本地震の関係で、公費解体を申し込んだがまだ済んでいない建物が現在一万六千棟もあるという報道がございました。被災者からは、生活再建の見通しが立たず、倒壊すれば近所に迷惑がかかるという声が出ているなど、非常に住民の皆さんの心配の声もいただいておりまして、復旧復興の中で倒壊家屋がいまだに残っているということは、やはり復旧復興に向けた住民の皆さんの希望が少し薄れてくるんじゃないかという心配もしているわけでございます。

 そういった点において、例えば益城町では、申請を受けた三千三百九十六棟のうち百八十六棟を町が解体され、所有者が解体し事後申請したのは五百二十一棟、事後申請では全額戻るのかどうか不安という声もいただいておるわけでありまして、公費解体がおくれているという報道が半年たったテレビ、新聞等々で報じられておりますが、現状はどうなっているのか、なぜ進んでいないのか、さらには今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 損壊家屋の解体につきましては、六月から着手されておりまして、九月末時点で約四千二百棟が完了しているという状況でございますが、これは、熊本県災害廃棄物処理実行計画によって明らかにされました二年間での解体の予定に沿ってということで、今着実に進められているという状況だと認識してございます。

 公費解体につきましては、この県の処理実行計画に基づきまして、被災市町村が安全性を確保し、かつ被災者の御心情や個別の事情にも寄り添いながら、丁寧かつ着実に進めていく必要があるということで今行われているというふうに認識しております。

 また、解体を着実に実施するためには、解体業者を必要数確保することが重要でございまして、今後、業者不足が懸念されるような場合には、熊本県と連携いたしながら、県外の解体業者の支援につきましても、環境省から関係団体などに働きかけを行うことも必要と考えてございます。

 引き続き、損壊家屋の解体を含め、災害廃棄物の処理が迅速かつ適切に進みますよう、環境省としても、熊本県や市町村を最大限支援していく所存でございます。

本村(賢)委員 環境省から問題点等々をお聞きしましたが、この公費解体を含めて、災害廃棄物の処理などを早急に進めていただくように、特に市内業者が非常に少ないというお声を熊本市の方からも聞いておりまして、ぜひとも強いリーダーシップで、県外からの応援も踏まえて、早急な対応をお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いいたします。

 大臣所信に、大会の成功に万全を期すとともに、障害者、高齢者等にとっても安全、安心なユニバーサルデザインのまちづくりや心のバリアフリーに取り組むとございます。

 御存じだと思いますが、ユニバーサルデザインとは、年齢や障害の有無などにかかわらず誰でも使えるような設計のこと、それに対してバリアフリーは、社会的弱者にとって支障となる障害を取り除くこととございますが、大臣所信にありますユニバーサルデザインのまちづくりとはどういう意味なのか、大臣のお考えを聞きたいと思います。

石井国務大臣 来るべき超高齢社会を見据えまして、高齢者や障害者を含む全ての人が住みよいまちづくりを進める観点から、東京オリンピック・パラリンピックを契機といたしまして、公共交通、道路、建築物等の国土交通分野におけるユニバーサルデザインのまちづくりを一層進めることが大変重要と考えております。

 本年八月、政府において取りまとめられましたユニバーサルデザイン二〇二〇中間とりまとめを踏まえまして、国土交通省といたしましては、東京大会に向けた重点的なバリアフリー化と、全国各地における高い水準のバリアフリー化に取り組むこととしております。

 具体的に申し上げますと、東京大会に向けた取り組みといたしましては、競技会場へのアクセス道路や主要都市公園における段差解消等の改修、また、大会関連駅のエレベーター増設やホームドアの整備などを進めていくこととしております。

 また、全国のバリアフリー水準の底上げに向けた取り組みといたしましては、公共交通機関の旅客施設、車両等に対するバリアフリーの基準、また、建築物のバリアフリー設計のガイドラインである建築設計標準につきまして、今年度より改正作業に着手するなどの取り組みを進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした取り組みを通じまして、東京大会のレガシーとすべく、ユニバーサルデザインのまちづくりに精力的に取り組んでまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとしての象徴になるという今御答弁もいただきました。私も、例えばパラリンピックに関しても、二〇二〇年東京大会を成功させていきたいと思っておりますし、多くの障害をお持ちの皆さんも参加できるような形を大臣のリーダーシップによってつくっていただきたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 国交省の掲げるオリンピック関連事業は既存の事業であって、海上保安庁の計上する十五・八億円以外はオリンピック予算を計上していないとヒアリングでもお伺いしたわけでありますが、既存事業の予算で今大臣からお話がありましたユニバーサルデザインのまちづくりまで対応するならば、二〇二〇年まで東京近郊に事業が集中してしまうのではないかという心配もあったり、また、今後オリンピック予算が肥大化するのではないかという心配もある中で、東京オリンピック・パラリンピック関連で、公共交通関連予算ではセキュリティー対策などの海上保安庁分以外にないと理解してよろしいでしょうか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の予算でございますけれども、この大会のために新たにあるいは追加的に措置したという意味での予算は、平成二十八年度当初予算では、海上保安庁の大会警備体制の整備のための予算のみでございます。

本村(賢)委員 この二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック、予算も大分肥大化という指摘もございますので、適切な予算の配置をしながら進めていただければというふうに思います。

 次に、公共交通の安心、安全について質問させていただきます。

 まず最初に、ライドシェアについて質問させていただきます。

 政府は、日本再興戦略において、シェアリングエコノミーの健全な発展に向けて協議会を立ち上げ、必要な措置を秋までに取りまとめていくことが盛り込まれておりまして、シェアリングエコノミー検討会議が設置をされたことは御承知のことだと思いますが、国交省は会議のオブザーバーでしかなく、意見を言うことができません。

 ライドシェアを進める新経済連盟の関事務局長など、推進メンバーで構成をされているわけでありまして、この関委員は、繰り返しこの検討会議の中で、ライドシェアを含めたシェアリングエコノミーの実現のための法環境整備についての検討の場を政府部内に設置することを報告書の中に記載するよう求めているということが、議事録の中からもわかります。

 また、そのほか、規制改革推進会議、国家戦略特区諮問会議、未来投資会議などで、シェアリングエコノミーという名のもとに隠れてライドシェアの検討がされているように私自身は感じておるわけでありますが、この未来投資会議などで、例えば石井国土交通大臣も、そして厚生労働大臣も農水大臣なども含まれていないのも大変不自然だなと思っているわけであります。

 ライドシェアについて、シェアリングエコノミー検討会議でも議論に上がっているようですが、どのような議論が行われているのか、お伺いいたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 ITの普及、高度化に伴いまして、空き部屋、車庫のシェア、家事代行等々のさまざまな分野でシェアリングエコノミーという新たなサービスが登場しているところでございます。

 シェアリングエコノミーそのものにつきましては、経済発展あるいは我が国の課題解決への貢献が期待されることから、政府としても、シェアリングエコノミーを推進するために、内閣官房IT総合戦略室におきましてシェアリングエコノミー検討会議を開催し、議論を重ねているところでございます。

 ただ、シェアリングエコノミーといってもいろいろございまして、現行の法令に関係するサービス、あるいは関係しないもの。特に、私どもは、関係しないものと、関係するものであっても法令上特に問題のないサービスであることを前提に、業界団体等の自主的な共通ルール等について検討してございます。

 議員御指摘のような、現行法上の取り扱いについて問題のあるもの、例えばライドシェアのようなサービスにつきまして、個別具体的なサービスを対象として検討しているものではございません。

本村(賢)委員 昨年二月、福岡市内でウーバー社の実証実験もございまして、太田前大臣が中止を決定したようでありますが、私は、これはどう見ても、シェアリングエコノミーという名のもとに隠れてライドシェアを推進する政府の姿勢を感じてなりません。

 そういった中で、石井大臣は、ことし三月十日の参議院国土交通委員会や十月七日の大臣記者会見でライドシェアについて見解を述べられておりまして、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と答弁をされておりますが、ここでもう一度、石井国土交通大臣の御見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 国土交通省といたしましては、自動車による旅客の運送において、安全、安心の確保が最重要の課題と認識をしております。

 一部民間から提案がなされておりますいわゆるライドシェアにつきましては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としております。

 このような形態の旅客運送を有償で行うことにつきましては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えているところでございます。

本村(賢)委員 このライドシェアについてはいろいろな問題が、まだまだ課題がございまして、今大臣から御指摘があったように、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないまま、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態となっている、前提となっていることなど、問題点が非常に多くございます。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックで、滝川クリステルさんが、おもてなしという言葉の中で、世界一安全な例としてタクシーを挙げたわけでありますが、そういった要素が崩れないように、大臣にはしっかりと、このライドシェア、注視をしていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 次は、首都圏の電車の対策についてお伺いをいたします。

 交通政策審議会で、東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会の遅延対策ワーキング・グループが行った調査によりますと、二〇一三年十一月の平日二十日間で、三割の路線で遅延証明書が発行され、三分以上三十分以下のおくれが十三日発生しているという事案がございます。同調査によりますと、原因の九四%は部外要因で、ドア挟みが四七%、急病人が一二%、落とし物などによる線路支障が六%。つまり七割が利用者に起因をしているということが報道されております。最終取りまとめでは、鉄道の適正輸送能力や駅の容量を超えて過度に利用者が集中することによる構造的問題も指摘をされているわけであります。

 御承知のとおり、四月の二十日に交通政策審議会の答申が出まして、私どもの地元、相模原の小田急多摩線延伸などの新路線プロジェクトも並んで発表されましたが、それとあわせて、遅延対策が大変大きなテーマの一つだということが問題視をされております。答申では、遅延の見える化、鉄道事業者における取り組みの促進、ハード面、ソフト面、そして鉄道利用者への情報提供の拡充の必要性が指摘をされているわけであります。

 この首都圏の電車の遅延対策について、私も毎日国会に来るのに小田急線と千代田線を乗り継いで来ているわけでありますが、電車がおくれると、電車の中で、会議におくれるんじゃないかとか、約束事に少しおくれるんじゃないかという心配も非常に持ちながら、かなり小田急線も遅延が多いものですから、この日常的な遅延については、ハード対策も重要ながら、ソフト面での対策が特に必要だと考えておりますが、国交省の見解をお伺いいたします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 鉄道輸送の信頼性を向上させる上で、定時性の確保は大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 このうち、日常的に発生する短時間の遅延につきましては、混雑等に起因するものが多く、混雑解消のためのハード面の対策に加え、ソフト面の対策を講じることが重要であるというふうに認識をいたしております。

 具体的には、乗降、乗りかえを円滑化するための駅係員による案内や、運行の安全を確保するためのホーム要員や警備員の配置等の対策を講じることが必要であると考えております。駅係員による案内でございますれば、ドアの前をあけて待ってもらうとか、階段付近に固まらないよう声をかけるとか、ホーム要員や警備員の配置でありますれば、駆け込み乗車の防止など、そういったことがあろうかと思います。

 加えまして、鉄道利用者の行動が遅延を抑制できるという認識を広めるために、駆け込み乗車の防止の呼びかけなど、利用者の乗車マナーの向上を図ることが重要であるというふうに考えております。

 これらのことは、御指摘の交通政策審議会の答申におきましても、日々の小規模な遅延については、混雑やドア挟み、急病人、線路への落とし物等に起因するものであり、これらは鉄道利用者の行動によって改善できる余地が大きく、鉄道利用者との連携が重要であると指摘をされておりまして、このようなソフト面における遅延対策にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)委員 ぜひ、ハードにあわせてソフト面の対策も、鉄道局長、どうぞ進めていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 先ほど、公明党の佐藤委員の方からも御質問がありました。昨今、八月十五日に青山一丁目で、また、十月十六日には河内国分駅で、視覚障害者の転落死亡事故がホームで起こっているわけでございます。

 そういった点において、補正予算そして今年度予算においてもバリアフリーに対するホームドアの予算がついておりますし、また、平成二十七年度時点で全国六百六十五駅に設置済みであるということも承知をしております。視覚障害者から要望の高い駅や利用者数の多い駅、一日十万人以上とか、全国二百五十一駅あるようでありますが、これらの駅を中心に、平成三十二年度までに八百駅にホームドアを設置する予定ということもお伺いしているわけであります。

 こういうハード面の対応ももちろん必要でありますが、先ほど佐藤委員からも御指摘があったように、駅ホームの転落防止対策は、やはりソフト面での対策も重要じゃないかなと思っております。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、駅員の方がホームにいることが常時あるわけではありませんので、国民の皆さんが障害をお持ちの方や外国人の皆さんに対して、例えば声がけをしていく、こういう習慣がつくと、非常にこういった駅のホームからの転落の事故防止にもつながるんじゃないかなと思いますが、国交省の見解をお伺いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 転落事故防止など駅ホームにおける安全を確保するため、ソフト面の対策を進めることは重要であると認識をいたしておりまして、この対策には御指摘のような遅延対策の側面もあろうかと思います。

 国土交通省では、八月十五日の銀座線青山一丁目駅におけます転落事故を契機といたしまして、同二十六日に駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置いたしまして、ハード、ソフトを含めた総合的な転落防止対策の検討を行っておりまして、年内を目途に中間取りまとめを行うことといたしております。

 御指摘のソフト面の対策につきましては、希望者への駅員のアテンド、一般旅客に対する誘導案内の積極的な実施依頼、危険時において視覚障害者の方に明確に気づいていただけるような声かけなどの対策強化に取り組んでまいります。

 こういった議論も踏まえながら、御指摘のソフト面の対策強化に取り組んでまいります。

本村(賢)委員 電車の遅延対策、そして転落防止のソフト面の対策など、今、鉄道局長からも御答弁をいただきましたが、それらを踏まえて、電車の遅延対策そして転落防止対策について、大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 首都圏の鉄道におきましては、通勤通学時の混雑や異常気象などにより遅延が日常的に発生をしておりまして、対策の必要性は極めて高いと認識をしております。

 この遅延対策につきましては、先ほど御紹介いただいた東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する交通政策審議会の答申においても、重要なテーマの一つとして位置づけられたところであります。

 今後、この答申も踏まえながら、鉄道事業者に対しまして、日常的に発生する短時間の遅延解消のための混雑解消に向けたハード面、ソフト面の対策、大規模な遅延の対策として、折り返し設備の導入や遅延発生時の鉄道利用者の行動判断に役立つような情報提供の充実について働きかけてまいりたいと思っております。

 また、国におきましては、鉄道事業者の遅延対策を促す観点から、遅延の現状と改善の状況をわかりやすく見える化をいたしまして、毎年公表しております。

 国土交通省といたしましては、鉄道利用者からの信頼を受けて、安心して利用できる都市鉄道を実現すべく、鉄道の遅延対策についてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 大臣、駅の視覚障害者の転落防止に関しても、ちょっと一言、ぜひ御見解をお願いいたします。

石井国務大臣 先ほども答弁を申し上げたと思うのでございますけれども、転落防止対策につきましては、今、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置してございまして、年内をめどに中間取りまとめを行う予定としておりますが、ハード、ソフト両面における総合的な転落防止対策の検討を急いで行ってまいりたい。そして、四年後に迫りましたオリンピック・パラリンピックの開催を視野に、駅ホームのさらなる安全性向上に向けまして最大限の取り組みをしてまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 次に、道路の渋滞対策についてお伺いいたします。

 私も、この国土交通委員会で、圏央道と東名高速が交わる海老名ジャンクションの渋滞解消など、これまで何度も質問してまいりましたが、最近、地元相模原の皆さん、八王子市の皆さんからも圏央道八王子ジャンクションの渋滞が非常に大きいというお話をいただいております。

 昨日十八日に開催された中央道渋滞ボトルネック検討ワーキンググループにおいて、中央道下り小仏トンネル付近、相模湖付近、八王子ジャンクション付近の渋滞について、サグ部を三車線にする対策が発表されたことは承知をしておりますし、この圏央道の主なジャンクション付近は通常上下六車線となっているんですが、八王子ジャンクションの四車線はまれで、通行量に対して少ないという認識がございます。

 その中で、八王子ジャンクションの渋滞対策について、今後どのようなスケジュールでそのサグ部の工事を進めていくのか、お伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 中央道と圏央道を連絡する八王子ジャンクションでは、圏央道の延伸に伴う交通量の増加により、休日の午前中を中心に渋滞が発生をしております。圏央道から中央道下り方面に向かうランプにおいては、中央道下り線の相模湖付近等を先頭とする渋滞の影響もございまして、八王子ジャンクションを経由して圏央道本線まで延びる渋滞が、単純平均で月七回程度、一回当たり三、四時間程度発生しているところでございます。

 このような状況を踏まえ、委員ただいま御指摘のありました、ちょうど昨日、国、県、警察、高速道路会社等で構成する中央道渋滞ボトルネック検討ワーキンググループにおきまして、中央道下り線の相模湖付近に延長二キロメートルの付加車線を設置する対策を決定、公表したところでございます。

 まずは、この対策を早期に実施しまして、その効果を見きわめてまいりたいと考えております。

 以上です。

本村(賢)委員 非常にありがたいお話なんですが、工期の予定を以前、私も東名高速の大和トンネルの渋滞に関して質問させていただきました。国交省として、やはり目標の年度をお示ししていただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 この事業につきましても、まず、事業の概要説明、現地の立ち入り説明、測量、地質調査等、それから道路設計、幅ぐい設置、用地買収、工事、こういうステップで進んでまいります。

 用地につきましても、まだ地権者数等も不明の状態でございますので、そういうものを見きわめつつ、できるだけ早い時期に完成の目途を示していきたいと思っております。よろしくお願いします。

本村(賢)委員 次の質問に入ります。

 次は、第二次補正予算にも事業予算がオフランプ、高速出口で計上されております国道十六号町田立体、この事業に関してちょっと質問させていただきたいと思っております。

 ことし、この町田立体は、十四年間の工事が終わってようやく供用を開始しまして、地元の皆さんに大変感謝をされているわけでありますけれども、オンランプの高速入り口とオフランプの高速出口ができていない点で、まだやはり渋滞が見受けられる部分がございまして、どのようなスケジュール感を持って進めていくのか、お伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道十六号町田立体事業は、一日当たり約五万台の交通が利用する国道十六号と、一日当たり約六万台の交通が利用する国道二百四十六号が交差する東名入口交差点の渋滞緩和等を目的とした立体交差事業でございます。

 今年四月に国道十六号と国道二百四十六号の立体交差部分が開通いたしまして、東名入口交差点の上り方向、横浜方面でございますが、この渋滞がほぼ解消するなど、渋滞が大幅に緩和いたしました。

 現在、残った相模原方面から横浜町田インターチェンジにアクセスするランプ橋の工事を推進しておりまして、今般の補正予算で措置されたことから、来年度、または遅くとも再来年度の開通を目指して工事を推進してまいります。

 以上です。

本村(賢)委員 先ほどの八王子ジャンクションに対しましてもそうでありますが、用地買収等々、大変な御苦労はあると思いますが、ぜひとも鋭意御努力をして、供用開始に向けて頑張っていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 これは大臣の所信にもございました空き家対策について、一点お伺いします。

 現在、空き家の数は全国約八百二十万戸、うち約五百万戸は賃貸・売却用ということでございます。空き家法の関係で、固定資産税情報の公開には所有者本人の了解が必要となることはもう承知をしておりますけれども、最大の肝は、行政が持っている固定資産税情報を民間に公開していくことだというふうに私は理解しているんです。

 その取り組みでは、京都市でも、例えば行政と民間の所有者情報の共有がより図られていっているということで、よい事案もあるようでありますが、空き家対策は一つの大きなビジネスにもなると思っております。

 そういった中で、国交省の見解をお伺いいたします。

由木政府参考人 お答えいたします。

 空き家の活用を進めるためには、まず、空き家の所有者情報を把握することが必要であることは言うまでもないところでございます。一方で、空き家となります契機の約六割は相続によるものでございまして、その相続の際に相続登記がなされていないというようなものもございます。そういった面で、所有者情報の把握に課題があることも事実でございます。

 こうした中、昨年施行されました空き家法の中では、税務当局が保有する課税情報を空き家対策のために利用できるようになったところでございます。これは、地方税法に基づく厳しい守秘義務が課されている中で、法律の施行のために必要な限度において、行政内部での利用が特別に認められたというものでございます。

 一方で、委員御指摘いただきましたように、空き家の流通を促進いたしますためには、例えば宅建業者等の民間事業者のノウハウを活用するということも大変重要であるというふうに考えております。

 しかしながら、今申し上げました課税情報は、そのまま第三者に提供できるような情報ではございませんので、個人情報保護の観点も含めまして、例えば、御指摘いただいた所有者本人の同意をとった上で活用する方策などの課題につきまして、現在、関係省庁間で検討を行っているところでございます。

 また、御紹介いただきました京都市など、地方公共団体においても民間事業者と連携した取り組みが始まっております。京都市におきましては、課税情報も一部活用いたしまして、空き家の所有者に活用を働きかけ、その意向がある場合には、空き家相談員として市に登録をしております宅建士に取り次ぐといったような取り組みが進められているところでございます。

 国交省といたしましては、公共団体におけるこうした取り組みが広がっていくことは大変重要であるというふうに考えておりますので、こういった空き家の所有者情報を活用するモデル的な取り組みを行います公共団体を支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

本村(賢)委員 空き家対策にはまだまだいろいろな課題があるということでございますが、京都市などの例を参考にしながら、全国に御紹介いただければなと思っております。

 次に、老朽船対策についてですが、海上保安庁の巡視船が五年後には全体の半数が耐用年数を超えるという報道もございますが、業務に問題ないのか、お伺いいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁におきましては、海難救助や海上犯罪の取り締まりなどの業務に加えまして、本年八月の尖閣諸島への多数の外国公船やあるいは漁船の来襲への対応などの離島遠方海域における警備、取り締まりや、原発等の重要施設のテロからの防護などへの対応に取り組んでおります。

 このような状況の中、海上保安業務に適切に対応するため、耐用年数が過ぎた船艇の対応を含め、海上保安庁の体制の整備についてもしっかりと取り組んでいかなければならないと認識をしております。

 今後とも、情勢に応じた必要な体制の構築を戦略的に進められるよう、一層努めていく所存でございます。

本村(賢)委員 二十一日には任務を終える巡視船「かとり」が最後の一般公開を行い、地元の千名の皆さんが集まって、海を守ってくれてありがとうというようなお気持ちであったということを報道で知りましたが、海上保安官の皆さんが安全に仕事ができるような体制を応援していきたいと思っております。

 次に、日本の物づくりについて、タカタ製エアバッグのリコール問題についてお伺いいたします。

 委員会でもこれはもう何度も質問で取り上げてまいりました。昨年十二月三日の委員会の自動車局長の答弁では、いまだ根本原因の究明に至っておりません、原因調査の結果をもとに、国際的な動向も踏まえながら判断すべきものと考えておりますと。そして、五月十三日の国交省の答弁では、乾燥剤が入っていないインフレーター内部の火薬が、湿気がある状態で長期間の温度変化にさらされると劣化をし、異常破裂をするおそれがあるということが明らかになったと述べられております。

 また、ことしの九月十五日の日本経済新聞に、火薬学会自動車安全部品専門部会の部会長であるJAXAの堀恵一教授が寄稿したわけでありますが、そこで堀教授は、再発防止に最も有効なのは定期的な交換だとした上で、最も肝に銘ずべきは、完成車メーカー、部品メーカー、当局が密に連携し、もっと早く対応できなかったのかということを主張しているわけでありますが、国交省の見解をお伺いしたいのと、また、現状を招いた責任は国交省にも一部あるのではないかと思いますが、お伺いいたします。

藤井(直)政府参考人 お答えいたします。

 タカタ製エアバッグのふぐあいにつきましては、我が国においては、問題が発覚した平成二十一年にリコールが開始をされ、これまで累計で九百四十四万台について改修が行われてきたところでございます。この過程においては、内外の自動車メーカー、タカタを含む部品メーカー、国土交通省が緊密に連携をし、原因調査と対策実施に当たってきたところでございます。対策が長期間に及んでいる理由としては、リコール対象台数の多さに加え、原因調査に時間がかかったということが挙げられるかと存じます。

 これにつきましては、先ほど委員御指摘のとおり、本年五月、タカタ及び国内外の自動車メーカーの依頼を受けて調査を行ってきました外部機関が、乾燥剤が入っていないインフレーターの内部の火薬、すなわち硝酸アンモニウムが湿気のある状態で長期間の温度変化にさらされると劣化し、異常破裂するという調査結果を明らかにしたところでございます。

 この調査を受けまして、国内外の自動車メーカーは、乾燥剤が入っていないタカタ製エアバッグを全てリコール対象とすることとしたところでございます。追加のリコール対象は約七百万台と想定をされております。

 国交省としましては、五月二十七日に、国内の自動車メーカーが追加リコールを平成二十八年度から平成三十一年度までの間に段階的に実施するスケジュールについて取りまとめをするとともに、このスケジュールを可能な限り前倒ししてリコールを実施するようにという指導を行ったところでございます。

 なお、先ほど委員御指摘のとおり、エアバッグについて有効期限を定めて定期交換制度を行うべきではないかという点につきましては、原因調査の結果をもとに、国際的な動向を踏まえながら判断すべきであると御答弁を申し上げたところでございます。現在のところ、このような国際的な動きというのはまだないというふうに承知をしているところでございますけれども、引き続き関係各国の動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。

 なお、このような事案が起こったことにつきましての責任は、一義的には、エアバッグをつくりました部品メーカーであるタカタ及びリコールの責任がある自動車メーカーにあると考えておりますけれども、国土交通省としましては、このリコールの改修が速やかに進むように、引き続き全力を注力してまいる所存でございます。

本村(賢)委員 これで最後にしますが、定期交換制度の導入について、今回も国交省は国際的な動向を踏まえながら判断するというようなお考えのように感じ取りましたが、国交省は、リコール制度で対処すればよいのだと思って思考停止しているんじゃないかなという心配をしています。この分野の第一人者である堀先生が定期的な交換を提唱されておるわけでありますし、その点を誠実にお答えいただきたいと思っております。

 そして、国際的な動向を踏まえること、それ自体は無論結構なことではございますが、我が国国内における安全性の評価はあくまで国交省が主体性を持って行う仕事であります。それを前提に責任ある回答を今後望んでまいりたいと思います。

 これで私の質問を終わりにします。

西銘委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 おはようございます。民進党の水戸将史でございます。

 大臣所信でもいろいろなテーマを取り上げていただいておりますけれども、特に二点だけに絞って大臣並びに当局の姿勢を問いただしていきたいと思っています。

 その第一点は、まず、これは古くて新しい問題になりますが、無電柱化ですね。電信柱が日本の町々では非常に多過ぎる、いろいろな形でそれが取り沙汰されてきておりますけれども、まず、この無電柱化、電線の地中化の進捗状況と、それから、よく引き合いに出されますけれども、代表的な事例で構いませんが、海外の大きな都市の無電柱化率の比較等を含めて、具体的に説明してください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 無電柱化の進捗状況と海外との比較ということでございますが、欧米、例えばロンドン、パリでは一〇〇%無電柱化が進んでおります。アジアにおきましても、香港で一〇〇%、台北で九五%、シンガポールで九三%と無電柱化が進展しております。

 一方、我が国では、最も進んでいる東京二十三区でも七%、大阪市では五%と、著しくおくれている状況でございます。

水戸委員 著しくおくれていると今いみじくもおっしゃっていただきました。その具体的な主な理由は何でしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 海外では、例えばロンドンでは、十九世紀後半に街灯のための電力線の配置が進められましたが、当初から、競合するガス灯との競争条件を同じにするため、電気事業についても配電線の地下埋設が義務づけられました。また、パリにおいても、十九世紀末に配電設備の地中化が義務づけられるなど、欧米では早い時期から地中化を原則として配電線の整備が進んでまいりました。

 一方、日本では、戦後の復興の際、電力の安定供給を低コストで実現することが優先されまして、また、ケーブルの被覆技術も確立しておりましたことから、安全上も問題がなかったということで、配電線が地中化に向かわず、電柱と架空線による方式が基本となったというふうに承知しております。

 近年、無電柱化に取り組んでおりますが、コストが高いこと等から、現在、無電柱化は十分な水準には至っていないという状況でございます。

水戸委員 わかりました。

 要するに、各国の、かつて古くから義務化をしてきた、いわゆる国の姿勢の違いですよね。国家の考え方とか姿勢がこれほどまでに無電柱化の差異を生じさせてしまったということでございます。もちろん、後ほどコストの話もいたしますけれども。

 それで、実際に、例えば、電信柱、電柱と、地中化をした場合のコストの比較というのはどの程度なのか。何対何でもいいし、金額的なことも言ってもらっても構いませんが、無電柱化するためにはどの程度の費用が具体的にかかるのか、御説明ください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 電力や通信を電柱により架空で配電、配線する場合に比べまして、地中化する場合には、電力・通信事業者が負担する整備費用は、通信事業者で約二倍、電力事業者で約十倍程度と承知をしております。

 無電柱化の主な手法であります電線共同溝事業の実施に当たりましては、平成七年に成立いたしました電線共同溝の整備等に関する特別措置法に基づきまして、道路管理者、電線管理者が費用を負担しているところでございます。管やマスの電線共同溝本体の整備に関する費用は道路管理者が負担をしておりまして、トランス等の地上機器や電線等の整備に関する費用や建設負担金は電線管理者が負担をしております。

 現場条件によってコストは変わりますけれども、一キロ当たり片道約五・三億円程度、それを、国、地方公共団体、電力・通信事業者、それぞれほぼ三分の一ぐらいの負担になっているところでございます。

 以上でございます。

水戸委員 一キロ当たり大体五億円以上のコストがかかってしまって、これはかなりのコスト負担になってしまうから、今御説明いただいたとおり、電線管理者も含めて費用のあり方が非常に重くのしかかってくるということが一つの原因であるという話もよくわからないではないんですが、これにつきましては、今までも国交省を中心にいろいろな計画を持ち寄ってやってきた経緯がありましたね。第一期から第五期にわたる無電柱化推進計画を立てながらやってきた。

 今は、それを受けて、無電柱化に係るガイドライン、平成二十一年からこういうものを実施しているようでありますが、具体的に、もともと平成二十一年にスタートしたときには、四、五年をめどとして必要な見直しを講じていくんだということでありますから、平成二十一年から四、五年たって、もう既に日がたっているわけでありますので、御案内のとおり、これに関しましては、また新たなニューバージョンを検討し、策定をしているんじゃないかと思うんです。

 今の新しいバージョンはどういう形になっているのかということについては、現状はどうでしょうか、まず御説明ください。

石川政府参考人 お答えいたします。

 無電柱化につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十一年度に全国計画として無電柱化に係るガイドラインを策定いたしまして、これを踏まえ、各地方ブロックにおける無電柱化推進協議会において道路管理者と電線管理者等が調整をして、事業進捗を図っているところでございます。

 一方、無電柱化を進める上で、コストが高いことや関係者との調整が進まないことが課題となっておりますが、このため、関係者と連携をして低コスト手法の導入に向けた取り組みを行っており、今年度内には、現場での導入に向けた施工のための技術マニュアルを作成する予定でございます。

 こうした取り組みを踏まえまして、地中化の方式や費用負担のあり方を定めた新たなガイドラインをできるだけ早く策定いたしまして、計画的に無電柱化を推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

水戸委員 昭和六十一年から第一期の無電柱化計画というのが立って、第五期までやっているんですね、平成二十年まで。平成二十一年度からはガイドラインという形で衣がえしているんですけれども、かつては、いろいろな目標数値を掲示しながらも、その達成に向けて頑張ったという経過があるようですけれども、このガイドライン等に至って、目標数値すら設定をされていない。

 新しくニューバージョンをつくる時期に至って、この目標数値というものの設定についてはどういう御見識でしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、これまで、各ブロックごとに、おおむね五年間の事業箇所を調整して推進してきたところでございますが、平成二十六年度以降においては、無電柱化を円滑に進めるために、毎年度毎年度調整をしまして着実に事業進捗を図っているところでございますが、新たな計画につきましては、今後、低コスト手法の導入に向けた取り組み等を踏まえて計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

水戸委員 はっきり答えて。目標数値は設定するのかしないのかと聞いています。

石川政府参考人 今後、検討してまいりたいと考えております。

水戸委員 大臣、ちょっとこれでお答えいただきたいんですが、今の当局の答弁も、もちろん、数字ありきでそれがひとり歩きしてもしようがないんですけれども、大臣みずからが所信の中においてこれを進めていくんだということで、やはり一定の数字的な目標を私は掲示すべきだと思うんですよ、今までもやってきた経過があるから。だから、それに対しては、今、検討すると言うけれども、これを絶対やってもらいたいということについて大臣の答弁を求めたいと思います。

 なおかつ、無電柱化推進検討会議というのをつくってやっているんですね。もう既にこのニューバージョンをつくるためにいろいろな検討をしているんですよ。これは平成二十六年の九月もやっていますが、このメンバー構成を見ても、大体、お役所の人間たちと、あとは電線管理者ですよ。結局は、電力会社とかNTTとか、そういういわゆる実際に事業に携わる方々ばかりで、できれば、もちろん地方公共団体とか住民代表とか、いわゆるそういう地域の方々、無電柱化を進めた場合において、本当に、ありがとうとか、そういう形で受けとめていただくような方々も幅広く含めて、そういう形で、この検討会議も、やはり構成メンバーもそれに偏ることなく、第三者的な立場の人も入れた方がいいと思うんですけれども、そういう取り組みはいかがですか、大臣。

石井国務大臣 ちょっと今、突然の御質問なので正確にお答えできるかどうかあれですが、無電柱化の取り組みは、非常に重要な課題と私も認識をしております。今、低コスト手法の取り組み等、いろいろ新たな技術開発等も踏まえてまた新たなガイドラインも策定をしているところでございますので、その中で、今委員御指摘をいただいた、計画を立てるべきじゃないか、こういった御指摘も踏まえて検討していきたいと思っておりますし、また、今おっしゃっていただいた無電柱化の協議会ですか、これにつきましては、地方公共団体等の地域の方の御意見等もしっかり承るような中身にしていきたいと考えております。

水戸委員 ぜひ具体的な形での取り組みを強く強く要望させていただきたいと思います。

 きょうは会計検査院の方にもお見えいただいているので、まず会計検査院に聞きます。

 御案内のとおり、平成二十六年の十月二十八日、ちょうど二年ぐらい前ですね、会計検査院法第三十六条というものにのっとった形で、国交省に対して意見を表示し、改善の処置を要求しているんですね。何を要求しているかと申し上げると、無電柱化の効果についてなんですね。

 これについて、具体的に、簡潔でわかりやすく、会計検査院、どういうことをこのとき言及されているのか、答えてください。

須藤会計検査院当局者 委員お尋ねの、指摘の概要についてお答えいたします。

 会計検査院において、平成十六年度から二十五年度までの間に電線共同溝整備事業を実施して整備が完了した八百七カ所、延長計四百三十四・一キロメートルを対象として検査したところ、二百七十カ所で無電柱化が完了しておらず、五十四カ所の延長二十九・九キロメートルでは、整備完了後五年以上経過しても無電柱化が完了していないなどの事態が見受けられました。

 そこで、会計検査院は、占用予定者が電柱を撤去する予定時期を整備計画の策定時点で事業主体が把握し、その進捗管理を行うなど、無電柱化の効果を早期に発現させるための方策を検討し、その結果を事業主体に対して周知することなどにより、今後の電線共同溝整備事業を適切に実施するよう、平成二十六年十月二十八日付で国土交通大臣宛てに意見を表示したところでございます。

 その後の検査の結果、国土交通省では、事業主体に対して通達を発するなどして、占用予定者等に対して電線等を撤去するよう要請したり、進捗管理の徹底を図るよう周知したり、計画的な無電柱化の推進を図るよう周知したりしており、その旨を、平成二十六年度決算検査報告に、意見を表示した事項の結果として掲記したところでございます。

水戸委員 いろいろな指摘で、おやっと私も思ったんですけれども、結局、会計検査院、もうちょっとわかりやすくと言うとあれなんですけれども、いわゆる無電柱化を行うことで、実施をしてその工事を行っている、その中においても、せっかく共同溝をつくってやっているにもかかわらず、その中に電線が入溝されていない、せっかく事業をやって、穴も掘ってやっているにもかかわらず、要するに電線が入っていない、そういうようなところも散見されている。

 これは事実ですか。もう一回、具体的に答えてください、会計検査院。

須藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 そういったところも検査をいたしまして、整備計画における整備箇所の全ての区間の無電柱化が完了した五百三十七カ所のうち、占用予定の管路延べ延長に対する、電線が入溝されていない管路延べ延長の割合が五〇%以上となっている箇所が二百三十九カ所となっていたなどの事態が見受けられました。

 そこで、会計検査院は、将来の需要分の電線の必要条数及びその入溝状況を十分に把握し、その実態を踏まえるなどして、整備する管路を決定するための方策を検討し、その結果を事業主体に周知することなどにより、今後の電線共同溝整備事業を適切に実施するよう意見を表示したところでございます。

水戸委員 国交省にちょっと聞きたいんですけれども、ちょっと私もよく実態がわからないのでというか、電線の無電柱化を実施して、共同溝をつくって一応電線を下で通す、しかし、残念ながら電柱は撤去しないというケースがあるということもありますし、電信柱が残ったままで、共同溝をつくっても、その管の中に電線を入れないで、それで穴埋めしちゃったのか、それをどういう状態に置いているのかわかりませんけれども、なぜこんなふうになるんですか。せっかくやるんだったら、お金を出し合っているんだから、やればいいじゃないですか。なぜこういう事態が発生するんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 二点御指摘でございます。

 まずは、電線共同溝の完了後、電柱等の撤去が行われていないケース。

 電柱等の撤去は、電力・通信事業者が行うこととなっております。国土交通省といたしましては、電線共同溝事業の効果を早期に発現する観点から、事業主体に対して通達を発出し、関係する電力・通信事業者に対し、残置電柱の早期撤去を要請したところでございます。

 この進んでいない原因というのは、一つは、電力・通信事業者と沿線住民との間で、電線の引き込みなど多岐にわたる調整に時間を要することがあるというふうに伺っております。

 ちなみに、直轄国道におきましては、会計検査院からの指摘をいただいた箇所を含めまして、平成二十六年十月時点で電線共同溝事業が完了した箇所で残っている電柱のうち、平成二十七年度末までの一年半の間に約四割の電柱の撤去が完了しているところでございます。

 残置電柱の早期撤去が継続して徹底されるよう、引き続き、電力・通信事業者に対して定期的に状況を報告させるとともに、新規事業につきましては、抜柱予定時期を明示させるなどの取り組みを徹底してまいりたいと考えております。

 二点目の共同溝への未入溝の件でございます。

 電線共同溝の整備に当たりましては、無駄な掘り返しが発生しないよう、既存の地上の電線に加えまして、将来発生することが見込まれる電線も収容できるよう、電力・通信事業者の要請に応じて必要な管路を整備してきているところでございます。したがって、電線共同溝整備後、一定の期間は、入溝されない管路が存在することがあります。

 しかしながら、人口減少など需要の変化もあることから、今後の電線共同溝の整備に当たりましては、電力・通信事業者からの要請を厳しく精査した上で、必要最小限の管路を整備するよう進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

水戸委員 もう一度、実態をちょっと教えてください。

 要するに、無駄な形で溝を掘って、パイプを埋めるけれども、そこには電線が入っていないと。人口減少の話もいたしましたけれども、不必要になっていくんじゃないかというような状況もあるから、せっかく予算化して穴を掘るコストもかけながら、これは無駄だったということもあり得るということですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 電線共同溝として施工している中に管路を入れていく形になります。その中の管路に、将来の需要等に備えた予備管路があるということでございますので、この予備管路が未来永劫使われないということになれば、それは結果的に無駄だったということになるわけであります。

 以上でございます。

水戸委員 次のテーマに行きたいのでそろそろこの辺でやめますが、では、大臣、今の状況なんですよね。結局、せっかくやろうやろうと頑張って、大臣もハッパをかけているにもかかわらず、現場においては、そういうような感覚、認識の違いというのか、状況の違いというんですか、やはり、予算が足りない中においてこれだけ予算をかけてやる、無駄な部分もある、放置されているという部分もある。これは非常に私はいかがなものかと思っていますよ。

 これから東京オリンピック・パラリンピックもあって、全世界が東京にさらに集中するわけですね。そういう目が集中するわけでありますけれども、結局、今これだけ無電柱化がおくれている国でありますし、なおかつ、地震がこれだけ起こり、また直下型も起こるという危険性もあるということでありますから、やはり防災の観点からも、早期に都市空間に関しての無電柱化を促進すべきであるということになります。

 これについて、大臣、やはりもう一度ちょっと、ちゃんとしっかりした形で、先ほど言った計画も含めてなんですが、実効性を高く、また、せっかく予算化して実施するならば、必ずそれは消化する、必ずやるんだ、実施するんだということを含めて、無駄は絶対に排除するという思いも込めて、大臣の御見解を問いたいと思います。

石井国務大臣 電柱の撤去が進んでいないのは、沿線住民と電力・通信事業者との間で調整に時間を要するような例もあるようではありますけれども、今後は、電柱等を抜く予定時期を事業者の方にしっかり早期に明示させるなど、取り組みを徹底していきたいと思っておりますし、また、電線共同溝への入溝につきましても、事業者からの要請は厳しく精査しまして、無駄のないようにしていきたいと思っております。

水戸委員 ぜひこれは必ずやり遂げていただきたい。目標数値を設定して、それに向けて、地道なことでありましょうけれども、やはり他の自治体や、また電線管理者を含めて、ぜひ実効性を高めていただきたいということを強く要望したいと思います。

 話題をかえますけれども、インフラの老朽化対策、これも大臣は所信でも述べられておりますが、現在において、国交省マターで、実際に公共事業関連の中で、維持管理、老朽化対策にどの程度のお金を使われているのか、それは全体の予算の中のどの程度のパーセンテージを占めているのか、これは具体的に、簡潔にお答えください。

藤田政府参考人 インフラのメンテナンスコストでございますけれども、これにつきましては、平成二十五年の社会資本整備審議会・交通政策審議会の審議の中で、当時の技術で推計を行っております。この推計によりますと、国、地方を合わせて、事業費ベースでは、平成二十五年度、三・六兆円というふうに推計をされております。

水戸委員 推計を聞いているんじゃないんだよ。現在の全体の国交省マターの関連の予算の中で、公共事業関係の中の維持管理コストにどの程度今支出をされて、それは何%ぐらいですかと聞いているんです。

藤田政府参考人 国土交通省の公共事業関係費のうち、防災・減災、老朽化対策等に約五五%の予算を計上してございます。二十八年度の数字でございます。

水戸委員 公共関連の半分以上は、もう既に、新規というよりも、維持管理のために使われているという話ですよね。これが年度を追うことによってますます高まってくるという試算もされていますよ。

 民主党時代はもっともっと厳し目に見ていたんだけれども、自公政権に復帰したら、非常にこれもまた、対象は広げていながら、先ほど推計値もいみじくもおっしゃったけれども、維持管理・更新費が、二〇三三年度、二十年後には四・六兆円から五・五兆円と言っているんですけれども、実際にいろいろ諸説ありまして、ある学者から言わせれば、現在ある公共インフラを維持管理するだけでも九兆円ぐらいかかるんじゃないかと言われているんですけれども、もう一度これを見直す必要があるんじゃないかと思っている。

 これは二十五年ですからね。あれから三年たっていますから、もう一度この将来推計を、どの程度維持管理にかかるのか。現状を引きずった場合ですよ。現状を維持した場合、どの程度のものをこれからかけなきゃいけないかということについては、どうでしょうか、もう一回これは試算をした方がいいんじゃないでしょうか。

藤田政府参考人 先ほど申し上げた平成二十五年の推計、これは、一定の前提を置いて行った推計でございます。

 今、国土交通省におきましては、計画的な維持管理ということに取り組んでおりまして、その中で、各インフラの長寿命化計画、個別施設計画の策定に取り組んでおりますので、そういった中で、将来の維持管理コストについても、より正確な把握をしてまいりたいと思っております。

水戸委員 結局、これからふやすことは、これは限られた国交省の予算でありますから、もちろん国交省以外にもいろいろ各省庁にまたがっている公共事業はありますけれども、もう既につくってしまったものをずっと全て引き継ぐことは、これから維持管理コストを考えれば、ますます膨らんでくるわけですよ。

 だから、結局そんなことはとてもとても予算が追いついていけないということでありますから、ある意味、選択と集中で、潰すものも出てこざるを得ない。利用率の悪いものは、申しわけないけれどももう使わないよ、退場願うよということもこれからの中においてはやはり考えて、そして実施せざるを得ないと思っているんですね。

 そういう中において、総務省も、全国の各公共団体に対して、今年度末をめどにして公共施設等総合管理計画の策定をしろというふうに、そういう形で各自治体に対して発しているようでありますけれども、今、この進捗状況とか達成状況はどうでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におきましては、御指摘ありましたように、過去に建設された公共施設等が今後大量に更新時期を迎える一方で、財政は依然として厳しい状況にございます。また、人口減少などによりまして今後の公共施設等の利用需要が変化していくことが見込まれますほか、市町村合併を経た団体におきましては、合併後の施設全体の最適化を図る必要がある地域も見られるところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、それぞれの地方公共団体におきましては、早急に公共施設等の全体の状況を把握いたしまして、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うことが重要であるというふうに考えております。このために、総務省といたしましては、各地方公共団体に対しまして、平成二十八年度までに公共施設等総合管理計画を策定するよう要請しているところでございます。

 そして、本年四月一日時点の調査におきましては、本年度、平成二十八年度までに計画の策定を予定している団体は、都道府県・政令市では一〇〇%、市区町村では九九・四%となっているところでございます。

水戸委員 これは、もちろん国交省もそうですし、各省庁もそうでありますけれども、各地方自治体も足並みをそろえて、このインフラの老朽化対策に万全を期していただきたいと思っています。もちろん、先ほど申し上げたとおり人口減少なんですから、やはり将来のニーズに合わせて必要な数字を決めることですよ。じゃないと、もうどんどん余ってしまって、それに要するコストがまたまた足を引っ張るという話になりますから、そういう悪循環を呈しないような形で、しっかりとそうした計画を策定していくことを強く望んでいきたいと思っています。

 私は、インフラというと道路やトンネルもありますけれども、特に橋、橋梁に関してちょっと聞きたいんです。

 今、具体的に、現時点において、橋梁に対して点検、診断の実施率はどの程度か。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路橋についてお答えいたします。

 道路の老朽化対策について、平成二十五年度に必要な法令改正を行いまして、平成二十六年七月より、全国の橋やトンネルなどについて、国が定める統一的な基準により、五年に一度の頻度で近接目視の点検を行ってきているところでございます。平成二十七年度末までの約二年間で、橋梁約七十三万橋のうち約三割について点検が完了し、おおむね計画どおり進捗しているところでございます。

 平成二十六年、二十七年の点検の結果、その一二%に当たる約二万四千橋において、緊急または早期に修繕などの措置を行う必要があることが判明しております。

 以上でございます。

水戸委員 七十三万橋あって、三割ぐらいやっているという話ですね。

 この橋梁なんですが、そうはいうものの、いろいろとやはりかなり老朽化している部分もありまして、崩落をしてしまうとかいろいろな事故に遭ってしまうなんという形、こういうトラブルとか通行どめという現状はどうなんでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 供用中の道路において、老朽化が直接的な原因となって落橋した事故は、二〇〇〇年以前で二橋承知をしておりますが、網羅的な調査は実施をしておりません。少なくとも、点検が本格化した平成二十六年度以降、老朽化が直接的な原因となって落橋した事故はございません。

 一方、通行どめ、もしくは通行規制については、平成二十七年四月現在で二千三百五十七橋となっておりまして、いずれも地方公共団体で管理する橋梁となっておりますが、特に、市町村が管理する橋梁が二千百三十三橋と全体の九割を占めており、近年、老朽化により増加傾向にございます。

 市町村は、全橋梁七十三万橋の約七割に当たる約四十八万橋を管理し、技術力等の面で厳しい状況にありますことから、市町村に対する支援の充実も重要であると考えておりまして、維持管理上の課題の一つと考えております。

 以上でございます。

水戸委員 現時点ですらいろいろな形での通行規制もあるという話なので、これがますますふえることは必至であります。

 結局、これに対するメンテがなかなかできない部分がある。特に、やはり小さな町とか村、町の約五割、村の約七割が、橋梁保全業務に携わっている土木技術者が存在しない、いないんですよ。結局、そんな細々した、国交省の全体的なものは把握できませんから、地方に行けば、田舎に行けば行くほど、こういう橋が放置されっ放しという状況なんですね。本当に私は、それに対して大いなる危機感を感じています。

 例えば、そういうことも含めて、民間でも立ち上がっていこうという形で、昔、国鉄には、昭和三十七年まで橋守という制度がありまして、親子何代にわたって橋の近くに住んで、橋を家族ぐるみで自分の家のものとして守っている人たちがいたというのがあるんですね。もちろん今はそういう制度はありませんよ。しかし、こういう、橋は身内のものだ、地域のものだ、公共財であるけれども本当に自分の身近な存在であるという形で、橋に対していろいろな形でメンテをしていた人がいました。

 先ほど言ったように、地方に行けば行くほど、そういう橋等々を含めて、それに直ちに携わることができない、技術者がいないという状況なんですよ。

 この状況に対して、どうでしょうか、実際に具体的な形でどういった取り組みで人材の確保を図っていくのか。もちろん、今、民間のこういう橋守のNPOとかをつくって、橋をしっかり点検、調査していこうという、そうした民間団体もあるぐらいです。こういう民間の活力というもの、民間の技術力というものを、やはりこうした皆さんの公共の財におきましても、いろいろな知恵を活用していく必要があると思っているんです。

 だから、こういうことを含めて、人材の確保策とかそれに対する支援にどういう形でこれから取り組んでいくのか、具体的にまた教えていただきたいと思います。

五道政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省においては、インフラの点検や診断に必要な技術水準を満たす民間資格を登録する制度を平成二十六年度に創設しました。現在、維持管理分野では九十九の資格が登録されており、このうち橋梁関係は五十八となっております。

 国土交通省では、この国土交通省登録資格を有する技術者を積極的に点検等の業務に活用するため、総合評価で加点評価をするなどの取り組みを進めております。

 平成二十七年度に国土交通省が発注した橋梁に関する点検、診断業務について、担当技術者には、技術士や国土交通省登録資格、実務経験等を要件として求めており、国土交通省登録資格者は、業務件数の約七四%に配置されています。

 このように、国土交通省登録資格を有した技術者がかかわることにより、点検、診断業務の一層の品質の向上が図られるものと考えております。

水戸委員 時間が来ましたので、もっともっと積極的に、前向きに取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西銘委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 私は、石井啓一大臣の国土交通行政に関する所信に対する質問をさせていただきます。

 初めに、三兆円の財政投融資とリニア中央新幹線全線開業最大八年前倒しの関連について伺います。

 大臣は、所信におきまして、国際競争力強化に資する基幹的インフラ整備のため、リニア中央新幹線の全線開業を最大八年前倒しのために関係法令を国会に提出したと述べられました。

 そもそも、リニア中央新幹線の整備につきましては、必要性、採算性、安全性、利便性、経済性、また、南アルプスの水がれや残土処理などの環境問題、さらには周辺住民の生活や自治体に及ぼす影響などについてさまざまな問題が解決されておらず、我が党としては反対の立場であります。

 今般、JR東海には、今年度と来年度で総額三兆円もの公的資金を財政投融資によって貸し出すとされているわけですが、九兆円とされる事業費の積算根拠への説明が不十分であることや、巨額の公的資金貸し出しについて財政制度審議会を開くことなく持ち回りで決裁するなど、ずさんきわまりない政府の姿勢については、衆参の予算委員会で我が党議員が指摘したとおりであります。

 そこで、改めて確認をさせていただきます。

 三兆円の財政投融資貸し付けで、なぜJR東海が、大阪までのリニア中央新幹線全線開業について、当初の予定である二〇四五年より最大八年間前倒しができるのか、その根拠について説明していただけるでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線につきましては、従来の計画では、JR東海は、平成三十九年の品川―名古屋間開業後、経営体力を回復させるため、工事を行わない八年間の期間を経た上で、名古屋―大阪間の工事に着手することとしておりました。

 今般の措置は、財投の長期、固定、低利の貸し付けによりこの八年間の経営体力回復期間をなくし、品川―名古屋間開業後、連続して、名古屋―大阪間の工事に速やかに着手することで全線開業の前倒しを図るものでございます。

 具体的には、品川―名古屋間の工事に充てるために調達が必要と見込まれる三兆円について、一括で貸し付けが行われることによって、JR東海は、金利変動リスクや、多額の資金需要に対応できないという資金調達リスクを回避することができます。これにより、八年間の経営体力回復期間をなくし、全線開業までの期間を最大八年間前倒すことを目指すことが可能になるということでございます。

清水委員 今のお答えをもう一度確認させていただきたいんですけれども、あくまでも、財投の貸し付けは、品川から名古屋までの工事に貸し付けるということでありました。例えば、名古屋から新大阪までの工事に貸し付けるということであるならばよりわかりやすいとは思うんですが、私が伺ったのは、なぜ、三兆円貸し付けることによって、体力回復期間ですか、これが短縮あるいはなくなるのか、その関連性について説明をお願いしたいんです。三兆と八年の関係について。

奥田政府参考人 品川―名古屋間の工事に充てるために調達が必要と見込まれる三兆円を長期、固定、低利の貸し付けによって事業を行うことによって、JR東海自身が、金利変動のリスクでありますとか資金需要対応への資金調達リスクを回避することができるということで、そういった、名古屋開業後、大阪に着手するまでの長期債務を削減するための経営体力回復期間が必要なくなるということでございます。

清水委員 資金調達リスクをなくすことができるということであれば、これはまさしくJR東海の経営を支援するという側面もあるのではないか、こう考えてしまうわけですね。

 以下、検証したいと思います。

 仮に八年間前倒しされるとすれば、二〇二七年に、名古屋までの開業と同時に、新大阪までの延伸工事に取りかかることになるわけでしょう。ただ、最大八年間という言い回しをしている以上、これが、七年前倒し、六年前倒し、つまり前倒し期間が短くなる、わかりやすく言うと全線開業がおくれてしまうということも想定されているということでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 今回のスキームは、財投の長期、固定、低利の貸し付けを活用することによって、JR東海は、金利変動リスクや資金調達リスクを回避できることになり、工事を行わない八年間の期間をなくし、品川―名古屋間開業後、連続して、名古屋―大阪間の工事に速やかに着手することで、全線開業までの期間を八年間前倒すことを目指すものでありますが、一般論として、大規模な事業には工期延長等の事態が生じる可能性がないとは言えないため、最大八年という言い方をしておるものでございます。

清水委員 今、工期の延長だとか、あるいは工費が増額するということもあると。それだけではなくて、例えば用地買収のおくれなども起これば、前倒し期間というものはさらに短くなり、二〇三七年と予定している新大阪までの全線開業はおくれることも想定されるということですね。ですから、最大八年といえども、一年たりとも前倒しできないというケースも全く否定はできないというふうに思うんです。

 改めてもう一度聞くんですが、財政投融資による三兆円の貸し付けというのは、これは法律も既に出されているんですが、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、鉄運機構と言わせていただきますが、それとJR東海との間で契約を結ぶことになると思うんですね。全線開業前倒し期間に対してはどのような契約になるんでしょうか。

石井国務大臣 JR東海は、長期、固定、低利の財投の貸し付けを受けることによりまして、名古屋開業後、連続して、名古屋―大阪間の工事に速やかに着手をし、全線開業までの期間を最大八年間前倒すことを目指す旨、表明しているところでございます。

 今般の財投の貸し付けを受けるに際して、JR東海は、貸付金の借り入れの効果等を記載した申請書を鉄道・運輸機構に提出しなければならない旨を、今後、鉄道・運輸機構法の政令において定める予定でございます。

 その申請書において、貸付金の借り入れの効果として、品川―名古屋間開業後、連続して、名古屋―大阪間の工事に速やかに着手し、全線開業までの期間を最大八年間前倒すことを目指す旨、記載させることを考えておりまして、これにより、JR東海としての意思を確認することとしているところでございます。

清水委員 今、政令で最大八年間前倒しを目指すことを記載すると言われましたが……(石井国務大臣「政令じゃない。申請書に記載させる」と呼ぶ)失礼しました。それで、八年間を目指すと言われましたが、必ず最大八年間前倒しするということの確約はされていないということだと思うんですね。

 JR東海の柘植社長は、ことし八月三日の記者会見で、やはり努力目標として、最大八年間前倒しに向け全力を挙げてまいりたい、こう述べておられるんですが、同時に、注目しているところは、JR東海として健全経営と安定配当を堅持しつつ、長期、固定、低金利の財投の融資によって経営リスクを低減、これを生かす、こういうふうにも発言されているんですね。

 つまり、最大八年間前倒しするということを述べつつ、健全経営と安定配当、そして経営リスクの低減。つまり、財投が安定配当の堅持や経営リスクを低減させるものであるとするならば、これは、財投の性格がJR東海への経営支援ということになるのではないですか。どのように説明されますか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線の建設事業は、交通政策審議会の議を経まして、JR東海の自己負担で進められる事業ということにされておりました。今般、八年間の経営体力回復期間を短縮するために、全体の早期開業を図るために貸し付けをするわけでありますけれども、これはあくまで貸し付けでありまして、元利の償還も行われるわけでありまして、JR東海が自己負担で行う事業であるという性格には変わりがないというふうに考えております。

清水委員 その答弁は納得できませんね。

 貸し付けするといっても、民間の高い金利で借りるということではなくて、財政投融資という形で、低利で、長期で、固定で、三十年償還据え置きという破格の条件で借りるわけですから、これが全く自己負担ということは、詭弁だと言わなければなりません。

 それで、これが、全額自己負担という前提が崩れると私は思うんですよね。だって、JR東海の社長みずから、経営リスクを低減させ、株主への配当を安定的にする、こう述べているわけですから、これへの説明が、私、重要だと思うんですよね。

 そこで、委員長にお願いしたいと思います。

 この際、JR東海が、当初、どの金融機関から、幾らの金利と期間で、幾らの資金を調達する計画を立てていたのか、財政投融資投入後の想定利率との差異や長期債務残高の想定推移など、最大八年間前倒しの根拠について詳しい資料の提出を求めたいと思います。

西銘委員長 ただいまの件は、後刻、理事会で協議したいと思います。

 質問を続けてください。

清水委員 続いて、スーパーメガリージョン構想なるものについてお伺いいたします。

 昨年八月に閣議決定されました国土形成計画において、リニア中央新幹線によるスーパーメガリージョンの形成と新たな可能性の発揮について明記されておりますが、これについて端的に説明していただけるでしょうか。

藤井(健)政府参考人 お答えいたします。

 昨年八月に閣議決定されました国土形成計画において、スーパーメガリージョンについては次のように記述がされております。すなわち、「リニア中央新幹線の開業により東京・大阪間は約一時間で結ばれ、時間的にはいわば都市内移動に近いものとなるため、三大都市圏がそれぞれの特色を発揮しつつ一体化し、四つの主要国際空港、二つの国際コンテナ戦略港湾を共有し、世界からヒト、モノ、カネ、情報を引き付け、世界を先導するスーパー・メガリージョンの形成が期待される。」このように記述されております。

清水委員 いろいろ言われたんですが、安倍首相も、十月四日の衆議院予算委員会で、我が党の本村議員の質問に対して、リニア中央新幹線の全線開業の効果について、人口七千万人の世界最大の巨大な都市圏が形成されると。これは恐らく、安倍首相なりにスーパーメガリージョンのことについて述べられたというふうに思うんですね。

 この七千万人という人口は、いつの時点のもので、どの内訳で語られたものなのかということについて、わかれば教えていただけるでしょうか。

藤井(健)政府参考人 お答えいたします。

 スーパーメガリージョンは、経済社会圏域の概念を表現したものでございまして、具体的な圏域というものの定義は示されておりません。

 ただし、国土形成計画においてスーパーメガリージョンを検討した際には、二〇一五年の人口規模を試算したところでは、首都圏が四千四百万人、名古屋圏が千八百万人、関西圏が千百万人であって、合計七千三百万人となりまして、おおむね七千万人というふうなことになっているところでございます。

清水委員 改めて確認したいんですけれども、その七千三百万人という数字がリニアが全線開通した場合もずっと維持されるのかどうかということに私は着目しているんですが、例えば、国立社会保障・人口問題研究所の推計で、二〇六五年の日本全国の人口というのはどのようになっているか、お答えいただけるでしょうか。

藤井(健)政府参考人 お答えをいたします。

 国立社会保障・人口問題研究所が二〇六五年まで人口を推計しておりますが、この推計によれば、二〇六五年でおおむね八千百万人というふうな数字になってございます。

清水委員 つまり、三大都市圏で七千万のスーパーメガリージョンという構想だと思うんですが、二〇六五年には、今お答えいただいたように、日本の人口が八千百万人になる。例えば六千万、七千万を維持するということになりますと、三大都市圏以外の日本の人口は、それこそ一千万とか二千万とか、非常にいびつな人口分布になるというふうに思うんですね。この間、東京一極集中の是正が叫ばれて久しいんですが、なかなかそれがうまくいっていない。リニア中央新幹線を根拠にして一層この三大都市圏に人口を集中させる、そういういびつな国づくりが本当に地方創生という名に値するのか、地方を疲弊させるのではないのかというふうに思わざるを得ません。

 それで、このスーパーメガリージョンについては今後もいろいろ議論したいというふうに思うんですが、きょう私、一つ紹介させていただきたいことがございます。それは、かつて大阪府、大阪市の顧問を務め、現在、東京都の顧問をされておられます上山信一氏が日経ビジネスオンラインでこのように述べられているんですね。

 「日本は人口が増えない。企業の海外進出やネットの普及などで企業の出張も減ってきます。今後、新幹線に加えてリニアが必要なほど、東京―大阪間の移動の需要が伸びるとは考えにくい。それでなくても、そもそも東海道新幹線は輸送能力が余っています。」

 大事なのはドア・ツー・ドアのトータル時間。「のぞみ」は駅に行けばすぐ乗り込める。東海道新幹線の収益は地方路線のメンテナンスに注ぐべきではないか。リニアは赤字だ、従来路線のメンテナンスが不十分になるリスクが払拭できない。さらに、国を破局に導くということも含め、リニアに反対されているわけです。

 こうした意見がさまざまある中で、やはり国は、立ちどまって慎重に考えるということが何よりも必要だというふうに思います。

 大臣所信でも繰り返し述べられていますように、我が国は、高齢者の増加とともに人口減少時代を迎えています。国民の暮らしに寄与して、地方の発展のために必要なのは、本当にリニア中央新幹線なんでしょうか。ローカル線の維持ではないか、あるいはコミュニティーバスの充実を図ることにあるのではないか。大臣も所信の中で、地域公共交通について、ネットワークの形成に向けた取り組みを推進するとされております。私の地元でも、お年寄りの方にリニアに乗りたいですかと聞いたら、リニアよりも赤バスに乗りたい、リニアよりも駅のホームにホームドアをつけてもらいたい、こういう声がよく聞かれます。

 確認したいんですが、JR東海の在来線において、ホームドアの設置されている駅は幾つあるでしょうか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 JR東海の在来線におきまして、ホームドアの設置駅はございません。

清水委員 今お答えになられましたように、JR東海の在来線ホームにホームドアは一つもないということなんですね。

 私、資料を取り寄せましたけれども、JR東海から国交省に対して転落事故件数の報告が上がっておりますが、平成二十五年度、二十六年度、二十七年度と三年連続して転落事故が起こっており、亡くなられている方もおられるわけなんですね。

 るる言われておりますように、転落防止対策として、利用者十万人以上の駅において、原則としてホームドアの整備などによる対策を優先して速やかに実施するよう努めるとされているわけなんですが、JR東海にも、名古屋、それから静岡、そして金山と、一日の利用者が十万人を超える駅があるわけです。先ほどお答えいただいたように、ホームドアは設置されておりません。

 我が党は、十月十四日に国土交通大臣に対し、東京メトロ青山一丁目駅で視覚障害の方が転落死亡事故をされた、このことを受けまして、ホームドア設置などの安全対策を求める要望書を出したばかりです。対応していただいた根本大臣政務官とは、二度とこのような事故が起きないようにお互い腹を固めて努力しようではないかということを話し合ったと記憶をしております。

 ところが、その二日後に、近鉄大阪線河内国分駅で、四十歳の男性がホームから転落し、特急電車にはねられ、亡くなられました。ホームドアは設置されておりませんでした。亡くなられた方の御冥福をお祈りし、御家族の皆様へのお悔やみを申し上げます。

 検討会をやっておられて、中間取りまとめを出すということなんですけれども、検討会を開いておれば転落事故がなくなるということではないと思うんですよね。中間取りまとめの報告を待たずに、今すぐ転落事故防止に対する手だてをとるということが求められていると思うんですが、根本大臣政務官、お答えいただけるでしょうか。

根本大臣政務官 駅ホームにおける転落事故防止は、鉄道利用者、中でも視覚障害者の方にとって大変重要な課題であると認識しています。このため、これまでも、ホームドアや誘導ブロックの整備などのハード対策や、鉄道利用者による視覚障害者の方への声かけの啓発といったソフト対策など、転落事故防止に向けた対策に取り組んでまいりました。

 このような中、八月十五日に銀座線青山一丁目駅にて発生した視覚障害者の方の転落事故を契機に、八月二十六日に駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置し、ハード、ソフト両面から対策の強化について検討しているところであります。

 検討会では、年内をめどに中間取りまとめを行うこととしており、ハード、ソフト両面における総合的な転落事故防止対策の検討を急ぎたいと考えております。

 このような検討も踏まえながら、引き続き、駅ホームの安全性向上に向けて最大限の取り組みを進めてまいります。

清水委員 検討会を開けば事故がなくなるということではないというふうに申し上げ、もう少し、すぐに安全対策に取り組んでいただけるという決意が聞かれるかと思ったんですが、ぜひお願いしたいと思います。

 それで、JR東海でいいますと、例えば飯田線という路線では、四十の駅が無人駅なんですよ。駅員がいないんですよね。ホームドアもないというふうに先ほどお答えいただきました。

 だから、東海道新幹線が大動脈であれば、いわゆる在来線というのは毛細血管のようなもので、やはりそこの安全性がしっかり担保されるということが何よりも必要だと思うんですね。費用の問題もありますが、この間言われていますように、JR東海は非常に潤沢な収益を得ているというふうに言われているわけですから、そのことは理由にならないと思うんですね。

 きょうの質疑、短時間ではありましたけれども、JR東海への財投債がいわゆる経営支援であるのかないのか、このことについての明確な資料がない以上、やはりしっかりと審議はできないということと、あと、スーパーメガリージョン構想につきましても、極めて抽象的で説得力を持たないというふうに私自身思いました。

 やはり、莫大な費用を投じながら、開業しても赤字と言われ、環境破壊をもたらし、莫大な電力を浪費するリニア中央新幹線の整備事業は見直すべきだというふうに私は思いますし、国土交通省としても、ホームドア設置などの安全対策を事業者に厳しく求めていただくことを強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西銘委員長 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。

 清水議員に続いて、三兆円の財政投融資、公的資金を入れるというリニアの問題について質問をさせていただきます。

 リニアの計画ですけれども、今、資料をお配りしております。

 資料の一を見ていただきますと、東京都内の品川区、大田区、世田谷区、町田市、神奈川県内の川崎市、そして、地図の左ですけれども、愛知県名古屋市、春日井市、この全五十五キロが大深度地下法の使用の認可を受けようということでやっております。

 大深度というのは、地下四十メートルよりも深いところ、あるいは支持地盤上面から十メートルよりも深いところでございます。大深度地下法というのは、大深度地下の使用の認可を受ければ、事業者は大深度地下を使用しても地権者の同意は要らないというものでございます。

 私は、大深度地下法は地権者の権利を侵害するものであり、悪法だ、使用するべきじゃないということをまず述べておきたいというふうに思います。

 その点で、五点確認をしたいと思いますけれども、一つ目、リニアに関してJR東海から大深度地下の使用の認可の申請はされたのかという点、二つ目、申請のための地質調査は何カ所やったのかという点、三つ目、井戸などの物件の障害物は何件あったかという点、そして四つ目、調査に当たって何人の地権者の方に同意を得て調査を行ったのかという点、五点目、そもそもリニアルートの大深度地下の地権者は何人おられるのか、このことをお答えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 一点目の大深度地下使用に係る認可申請を行っているかということにつきましては、中央新幹線品川―名古屋間二百八十六キロのうち、東京都品川区から町田市の間約三十五キロの区間及び愛知県春日井市から名古屋市の間約二十キロの区間について、JR東海は、いわゆる大深度法に基づく大深度地下使用の認可申請を予定しております。

 現在、JR東海におきまして、認可申請に必要となります同法十二条に基づく事前の事業間調整、十三条に基づく中央新幹線の事業区域に井戸その他の物件があるかどうかの調査、十四条第二項第四号に定める事業区域が大深度地下にあることを証する書類を作成するための地質調査等を行っているところと聞いております。

 これらの調査や調整を行った上で、JR東海において、大深度地下使用の認可申請が行われるものと承知をいたしております。

 それから、二点目のボーリング調査、地質調査でございますが、これまで百三十カ所で地権者等の了解を得て調査済みでございます。

 それから、井戸等の物件調査につきましては、中央新幹線の事業区域にある約六千四百筆の土地のうち、調査員の聞き取り等により、約百二十筆の土地に約百五十本の井戸が確認されておりまして、これらにつきましては、地権者等の了解を得た上で、位置や深さ等の調査を実施済みであるということでございます。

 なお、こういった調査に当たりましては、登記をされております一筆一筆ごとの土地について確認を行っているわけでございますが、その確認のやり方として、実際に現地に赴きまして、居住者等がおられる場合には、その方に了解を得た上で、その土地内に立ち入って調査をする、それから、そういった状況にないものにつきましては、登記簿上の所有者に対して通知をして立ち入りをお願いしているということでございますので、こういった調査手法からいたしまして、ルート上に何名の地権者がおられるかといったようなことは把握されていないということだと思っております。

本村(伸)委員 そもそも地権者の数さえ把握していないというのは本当におかしいというふうに思います。ぜひ把握をしていただきたいというふうに思います。

 この大深度地下というのは、東京の外環道でも関越―東名間で利用するということになっております。皆さんにお配りしている資料の二つ目ですけれども、二〇〇六年六月に国交省と東京都が一緒に出しております「東京外かく環状道路 これまでに頂いたご意見・ご提案と計画の具体化の検討等における考え方」というパンフレットにはこう書いてあります。大深度地下について、「土地利用に制限を課すこともないため、補償すべき損失が発生しないものと考えられることから、財産価値に与える影響はない」と書かれております。

 このような見解を出していたということは間違いないでしょうか。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 委員御配付の資料のとおりの記載でございます。

 一言、確認的に申し上げさせていただきますと、これは、平成十三年に大深度法ができまして、その後、大深度地下使用の申請が想定された上で、大深度地下の事業区域について、土地所有者等によって通常使用されることのない地下の深さであるということですので、大深度法を念頭に置いて、土地利用に制限を課すことがない、したがって補償すべき損害が発生しないというように考えられていることを回答しているものでございます。

本村(伸)委員 この東京の外環道ですけれども、二〇一四年三月二十八日に大深度の地下の使用の認可がされました。住民の皆さんにとっては突然のことだったんですけれども、同じ日に、都市計画事業承認、認可もされたわけです。

 そうすると、建築制限、あるいは、売買する場合は国へ届け出義務がある、そして国が土地を優先的に買い取る権利まで発生をいたしました。これはどういうことか、お示しいただきたいと思います。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 お配りいただいております平成十八年の説明文書では、平成十三年の大深度法の施行後、その適用が想定されましたので、大深度法を念頭に置いて、土地利用に制限を課すことがないと御説明を申し上げております。

 その後、この事業はもともと都市計画決定がされておりましたけれども、都市計画事業を円滑に進める観点から、施行者から事業認可申請が行われ、平成二十六年三月に都市計画法に基づく都市計画事業の承認、認可が行われたところでございます。

 これによりまして、都市計画事業の円滑な施行を図るために、事業地内では、都市計画法六十五条に基づきまして、建築物を建築等する場合に許可を要する、六十七条に基づきまして、土地建物等を売買する際に届け出をしなければならないというようなことになったというところでございます。

本村(伸)委員 国交省が住民の皆さん、地権者の皆さんに、土地利用に制限を課すことはない、補償すべき損失は発生しないということを言っていたのにもかかわらず、建築制限や、あるいは自由に売買できないという全く違うことが起きています。住民の皆さんにとってはだまし討ちだというふうに言われている事態でございます。

 資料の三を見ていただきたいんですけれども、国交省が出しております大深度地下の公共的使用に関する基本方針というものがございます。ここに国交省が示しているんですけれども、「都市計画制度を活用し、事業の円滑な実施を図ることが必要である。」というふうに書いてあります。

 国交省、国が、都市計画制度を活用するように誘導している。もともと国交省と東京都が住民の皆さんに説明をしたパンフレットを二〇〇六年の段階で出していたのに、国交省自身がそれと反することをやっているというのは、本当に許しがたいことだというふうに思います。

 住民の皆さんは、地下にトンネルが通るだけで土地の価格が下がるのに、建築制限など、一層土地の価格が下がってしまうという不安の声を上げておられます。これはまさに財産権の侵害だというふうに思います。こういう大深度地下の使用の認可やあるいは都市計画事業承認、認可は取り消すべきだということをここで強く求めておきたいというふうに思います。

 それで、この大深度地下の使用の認可について、外環道ではこういうだまし討ちのようなことが行われました。リニアの場合も、大深度地下に対して、この東京の外環道のように都市計画事業の網をかけるというのは絶対にないと言い切れるのかという点、そして、リニアの大深度地下の地権者は、建築制限や、売買する場合、JR東海への届け出義務が要るようになるということが絶対にないのかということ、そして、JR東海に土地を優先的に買い取る権利、そういうことは絶対にないのかという点を確認したいと思います。

石井国務大臣 委員が先ほど御説明していただいた資料によりますと、「大深度地下とともに地上又は浅深度地下を使用する事業については、必要に応じて、」「都市計画制度を活用し、事業の円滑な実施を図ることが必要である。」というふうにされておりまして、大深度地下の事業が全て都市計画制度を活用するということを位置づけているものではございません。

 その上で、リニアにかかわらず、都市施設の都市計画決定は地方公共団体が行うことになりますが、リニア中央新幹線の大深度地下使用申請予定区間については、現時点で都市計画決定する予定はないと承知をしております。

本村(伸)委員 もう一つお伺いしたいんですけれども、都市計画事業に関係なく、大深度地下の使用の認可を受けた場合、その土地に自由に穴をあけたり、重い建物を建てたり、土地売買は勝手に自由にできるという理解でよろしいでしょうか。

栗田政府参考人 先ほど、都市計画法の六十五条、六十七条の規定につきまして申し上げました。今大臣から答弁がありましたとおり、都市計画決定の予定がない、したがいまして都市計画事業認可が行われることもないということでありますと、先ほど私が申し上げたところの六十五条、六十七条の制限がかかるというようなことにはならないと現時点では考えておるところでございます。

本村(伸)委員 では、自由に穴をあけたり、あるいは重い建物を建ててもいいんですね。

栗田政府参考人 大深度法に基づく一定の制限に服する場合、通常の土地利用ということは考えられませんが、大変極端な場合として、大深度法の一定の制限に服する場合は皆無ではないのかというように法律上は想定されております。

本村(伸)委員 つまり、土地利用の制限があるというわけでございます。

 もう一点確認をしたいんですけれども、不動産取引の際、その土地の大深度地下にリニアが通っている、このことは宅建業法の重要事項説明になるのかどうか、確認をしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答えをいたします。

 宅地建物取引業法に基づく重要事項説明でございますけれども、これは、取引に関しまして説明すべき事項について義務的に説明させるものでございまして、例えば、登記上の権利関係でございますとか、法令に基づく権利制限の内容、こういったようなものを説明対象として法令上明記しているところでございます。

 今御指摘のございました大深度法に基づきます大深度地下の使用につきましては、通常の土地利用に制限を課すこともないということでございますので、重要事項説明の対象とされておりません。

本村(伸)委員 その土地の地下にリニアが通っているのに、それを知らせずに消費者に土地を買わせるということになるわけです。こういう情報を知らせないというのは、消費者にとって不利益に当たるんじゃないでしょうか。

谷脇政府参考人 今御説明いたしましたように、宅地建物取引業法において、重要事項説明は、義務的に説明をする必要があるということで法令上規定しておるわけでございます。

 いろいろな取引の事情は非常に多様でございまして、その重要事項説明の対象事項以外のことについてどのような事項を説明するかということにつきまして、一概に申し上げられるものではございません。それぞれの取引において、宅地建物取引業者が適切に判断し対応する、そういう性格のものだと考えております。

本村(伸)委員 この問題は、消費者の不利益に当たることも、大深度地下法、問題を抱えているということでございます。

 大深度地下をリニアは通るわけですけれども、その上の家屋調査を事前にやらないということをJR東海は言っております。私の地元愛知県春日井市には亜炭廃坑があり、リニアの沿線で陥没が実際に起きております。家屋調査をやらないというのは絶対に私は納得できないというふうに思います。

 例えば、事前の家屋調査をやらないで地盤調査だけだったら、もともと家にひびが入っていないのに、この工事や、あるいはリニアが通ったことによってひびが入ったということをどうやって立証するのかというふうに思います。

 公共事業である東京の外環道では、万が一に備えて事前の家屋調査をやるわけでございます、同じ大深度で。今回、リニアに公的資金を入れるということを言われているわけですけれども、政府がJR東海に強く指導してこの事前の家屋調査をやらせるべきだと思いますけれども、大臣、お願いをいたします。

石井国務大臣 大深度地下につきましては、大深度地下法によりまして、建築物の地下室等に通常供されることがない地下四十メートルの深さ、または、通常の建築物の基礎ぐいの支持地盤の最も浅い部分から十メーターの深さの、いずれか深い方から下の空間と定義がされております。このため、大深度地下空間における構造物は、強固な支持地盤よりさらに十メーター以上深い場所に整備されることとなります。

 また、今回リニアで予定をされておりますシールド工法は、一般的に地下水の流出などが生じにくい工法でございまして、JR東海の環境影響評価書におきましても、シールド工法そのものによって地盤沈下が生じたような事例は確認されておりませんとされております。

 こういったことから、適切に施工が行われれば、大深度区間でのシールド工法による地盤沈下は生じないものと考えております。

 今委員御指摘の外環道では、万が一、建物や工作物に損害等が発生し、工事の施工に起因すると確認された場合には、当該損害等に対して補償するため、念のために工事実施前の建物等の状況を把握する調査を行うこととしていると聞いております。

 リニア中央新幹線についても、同様の目的で、工事の施工による建物や工作物への影響を確認するため、念のための措置として、工事の施工に合わせて、地表面の沈下量等を測定する調査を実施する予定と聞いております。

本村(伸)委員 家屋に被害があったとき、立証するのは大変難しいということになってしまいます。事前の家屋調査はやっていただきたいというふうに思います。

 シールド工法だから大丈夫というお話がありましたけれども、大臣、ネットを見てください。シールド工法でも陥没が起きている事例は幾つも挙げられるわけでございます。政府がJR東海を強く指導していただいて、事前の家屋調査をやらせるべきだということを強く申し上げたいというふうに思います。

 最後にですけれども、リニアの財政投融資三兆円公的資金投入問題について伺いたいと思います。

 この財政投融資の話が出る前ですけれども、JR東海は、全額自己資金でやるんだ、国からの資金援助は受けないと明言をしておりました。そのときの長期債務残高の見通しが資料の四になるわけです。

 この長期債務残高の資料ですけれども、JR東海が民間から調達する予定だった借金の利息というのは、一律三%を想定して計算しているということでございます。利息三%とすると、リニア事業でJR東海は幾らの金利負担を想定していたのか、お答えいただきたいと思います。

 また、二〇一六年度、二〇一七年度財政投融資で、JR東海に対して総額三兆円の財政投融資をされる予定なわけですけれども、それを借りた場合、三十一年目から返済が始まって四十年後に完済するという仕組みで、仮に利息が〇・六と想定した場合、JR東海の金利負担は幾らになるのか、お示しをいただきたいと思います。

石井国務大臣 平成二十二年から二十三年に行われました交通政策審議会におきましては、JR東海の財務的事業遂行能力の検証が行われております。この検証では、JR東海より示された長期債務残高の推移等の試算から、交通政策審議会として、JR東海は、健全経営、安定配当を維持しつつ、全額自己負担で事業が行えることを確認したものであります。

 この交通政策審議会の議論においては、リニア中央新幹線の建設に係るJR東海の金利負担のみを切り出した議論は行われておりません。この金利負担は会社全体の営業外費用の一部に含まれるものとなりますが、この試算におきましては、JR東海は、全社的な資金計画の中で、リニアへの投資だけでなく、国鉄の債務の償還や、また、日々の維持更新費等に必要な資金を捻出し、そのために必要な資金を調達しているということでございまして、明確にリニア建設に係る金利負担のみを切り分けることは困難というふうに聞いてございます。

 また、もう一つの、今回の財投でありますけれども、財投の貸し付けによるリニア中央新幹線の建設に係るJR東海の金利負担額については、三兆円の財投貸付分について、これは実際の金利が、これからの調達ですから現在は明確には言いませんけれども、仮にこれを全て〇・六%で貸し付けたとすると、この財投借り入れに関して償還までの間にJR東海が支払う金利負担額は約六千億円と試算ができるところでございます。

本村(伸)委員 きょうの質疑を通じても、リニアの問題はさまざまな問題を抱えております。ぜひこの国土交通委員会でJR東海を呼んで十分な審議をしていただくということを委員長に求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西銘委員長 理事会で協議します。

 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

西銘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保です。

 本日最後の質疑者となりますので、よろしくお願い申し上げます。

 本年五月十八日に開催された通常国会での本委員会において、インフラの老朽化対策について石井大臣に質問させていただきましたが、本日は、その後の進捗と私自身の新たな問題意識について質問いたします。

 初めに、社会資本に関する将来の維持管理、更新費への対応についてお尋ねします。

 五月に質問したときの答弁にもありましたが、国土交通省が試算した結果によると、平成二十五年度の維持管理・更新費は約三・六兆円に対し、十年後は四・三兆円から五・一兆円、二十年後は四・六兆円から五・五兆円程度になるものと推計される。社会資本整備審議会・交通政策審議会の今後の社会資本の維持管理・更新のあり方についての答申において、以上の具体的な金額が明示されております。

 一方で、平成二十八年度予算の公共事業関係費は約六兆円であり、競争力強化のため、インフラ整備も必要であると言われております。

 今後も厳しい財政状況が続くと予想されますが、どのようにして維持管理・更新費を確保していこうと考えているのでしょうか。お尋ねいたします。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、高度成長期以降に整備したインフラが今後一斉に老朽化をしてまいります。このままでは、ただいま御指摘もございましたように、相当な額をインフラの維持管理・更新に充てなければならないという事態が想定されます。

 このため、国土交通省におきましては、平成二十六年五月にインフラ長寿命化計画(行動計画)を策定しまして、これに沿って計画的に維持管理、更新に取り組んでおります。

 具体的には、予防保全の考え方を導入して計画的な維持管理を行うとともに、新技術の開発、導入による効率化を推進することにより、できるだけその費用の縮減、平準化に取り組んでいるところでございます。

 現在、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策等に重点化しております。引き続き、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

椎木委員 次に、維持管理・更新業務を担う技術者の確保についてお聞きいたします。

 平成二十八年九月の国土交通省道路メンテナンス年報によれば、市の約一割、町の約三割、村の約六割で橋梁管理にかかわる土木技術者がゼロという状況にあります。人材の育成、確保については以前の委員会質疑でも指摘させていただきましたが、地方自治体における技術者を今後どのように確保していこうとしているのでしょうか。お尋ねいたします。

 また、国土交通省は、本年二月、一般社団法人非破壊検査工業会の民間資格を持つ技術者を積極的に活用できるようにするため、インフラ調査士等の登録を、平成二十八年三月末時点で八百五十六人が登録を行っておりますが、その活用状況についてお伺いいたします。

石井国務大臣 国民の安全、安心の確保や社会経済活動の基盤となるインフラを適切に維持管理することが重要であります。

 今後のインフラの老朽化の進行を踏まえますと、その点検、診断を的確に行っていくことが重要でありまして、その際に、専門性を有する技術者を活用することが必要と考えております。

 このため、国土交通省におきましては、インフラの点検や診断に必要な技術水準を満たす民間資格を登録する制度を平成二十六年度に創設いたしまして、現在九十九の資格が登録をされております。

 国土交通省におきましては、登録された資格を有する技術者を積極的に点検等の業務に活用するため、総合評価で加点評価をするなどの取り組みを進めているところであります。

 また、国土交通省では、地方公共団体の技術者の不足に対応するために、維持管理に関する研修を実施すること、また、国、地方公共団体等の施設管理者が一堂に会しまして、課題の共有と効果的な対策を図るためのメンテナンス会議を開催するなどの技術的支援を積極的に行っているところでございます。

 今後とも、こういった取り組みを進めまして、国、地方公共団体が管理するインフラの適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。

椎木委員 ありがとうございます。

 次に、社会資本の急速な老朽化の進行や現場の担い手不足に対応するためには、インフラの維持管理を効率的、効果的に行うロボット技術の開発や導入、無人航空機、いわゆるドローン等の積極的な活用が重要であり、有効であると考えます。地方創生特区を活用して独自の取り組みを模索している地域もあると聞いております。

 そこで、ロボット技術等の開発、導入に当たり、点検、補修への信頼性の確保や安全性の向上、低コストを実現するために産学官による連携をさらに推進していく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

五道政府参考人 お答えいたします。

 今後、公共インフラの維持管理費の増加や技術者の不足が見込まれる中、新技術の活用による維持管理の効率化は重要であると認識しております。

 国土交通省では、民間企業等が開発した新技術や新工法を登録し、公共事業等において積極的に活用、評価を行う新技術情報提供システム、NETISを運用し、技術開発の促進と普及拡大を図っています。

 維持管理に関しては、約六百件の新技術が登録されており、このうち五件以上の工事で活用実績のあった二百二十七の技術を従来技術と比較評価しております。その結果、七十九の技術を有用な技術として公表することで、活用の拡大を図っています。

 また、効率的な点検、モニタリング技術について、民間企業や大学等に広く公募を行い、技術開発の委託や現場実証を行うことにより、新技術の活用を促進する取り組みも行っています。具体的には、センサーやロボット等を活用した橋梁や河川護岸等に対する百七十五の点検、モニタリング技術について、平成二十六年度から技術開発や現場実証を実施しています。現場実証の結果を踏まえ、有用な技術に関しては、国が管理する施設の維持管理への導入や、地方公共団体への情報提供などを行ってまいります。

 今後とも、こうした取り組みを通じて、産学官が連携して新技術の普及、活用を進めてまいりたいと考えております。

椎木委員 次に、不用となった社会資本への対処についてお聞きいたします。

 老朽化した全てのインフラを維持管理していくことは不可能であり、今後人口減少が進んでいく我が国にあっては、これまでと同規模のインフラは必要なくなると考えております。

 現在あるインフラのうち、それぞれの地域で今後も維持活用していくべきものとそうでないものとの選別をするとともに、老朽化したインフラの維持管理・更新への投資を優先して、新規投資を後回しするような意識改革も必要ではないでしょうか。

 また、不用な社会資本の再編、再配置を検討し、その撤去を積極的に行うという考えがあってもよいのではないかと思いますが、これについての見解を求めます。

藤田政府参考人 人口減少が進み、今後、インフラの維持管理・更新の費用が増大することが見込まれる中、まずは、先ほどもお答え申し上げましたように、計画的な維持管理により、費用の縮減、平準化を図るとともに、これにあわせまして、更新等の機会を捉えて施設の役割や機能を再検討して、必要に応じて集約、再編等を行っていくということは大事な課題だと認識しております。

 このため、国土交通省としましても、インフラの大部分を管理する地方公共団体が各地域の実情や各施設の状況等に応じまして集約、再編等の取り組みを進められるように、例えば、下水道や都市公園などに関しまして、全国の取り組み事例や、留意事項、考え方などをまとめたマニュアルの整備を進めて、その周知を図っているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みも含め、戦略的な維持管理・更新を進めてまいりたいと考えております。

椎木委員 先ほどの答弁とも重複しているようなお答えでしたけれども、どのような点で積極的に推進していこうというお考えなのか、もう一回端的にお答えいただきたい。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 インフラの置かれた状況といいますのは各地域それぞれでございますので、まずは、地域の実情に応じて、その施設の必要性なり機能を再検討していただく。その際に、集約、再編等も含めて御検討いただくということが大事だろうと思っております。

 それを行うのは地方公共団体が中心になりますので、そういった判断に資するように、いろいろなマニュアル類の整備を進めて地方公共団体に検討を促していく、こういった取り組みを進めてまいりたいと考えております。

椎木委員 次に、さきの通常国会での委員会質疑において、国土交通省からは、メンテナンスの理念普及やメンテナンス産業の育成、活性化を図るために、産学官民が一体となって取り組むプラットホームとなるインフラメンテナンス国民会議、これをことしの秋に創設するという答弁をいただいております。

 同会議の創設によって、センサー、ロボット、非破壊検査等の技術研究開発の促進や、異業種からの新規参入促進等が見込まれると思いますが、同会議の創設に向けた現在の進捗状況と今後のビジョンについてお伺いいたします。

藤田政府参考人 御指摘のインフラメンテナンス国民会議でございますけれども、産学官民が総力を挙げて老朽化対策に取り組むためのプラットホームとして立ち上げを予定しております。

 これまで、この国民会議の立ち上げに向けまして、例えば、施設管理者が抱える課題や現場のニーズをいかに企業等の技術開発に生かすか、あるいは、自治体が民間企業や技術者を活用するためにどのような支援が有効か、さらには、こうした活動に幅広い業種の企業、団体の参画を得て効果的な活動とするためにはどのような運営方法がふさわしいかといった運営手法等について議論を重ねてまいりました。

 現在、その議論の最終段階にあるというふうに御理解いただきたいと思いますけれども、この国民会議を通じまして、インフラメンテナンスにおける技術の発掘と社会実装、そのための企業等の連携促進、さらにはメンテナンス産業の活性化、こうしたことに取り組んでまいりたいと考えております。

椎木委員 済みません、ちょっと私が聞き漏らしたと思うんですけれども、インフラメンテナンス国民会議はもう開催されているということでよろしいんでしょうか。

藤田政府参考人 今、開催に向けての最終的な準備段階にございます。そういう意味では、まだ開催はされてございません。

椎木委員 冒頭申し上げましたけれども、さきの通常国会の委員会質疑で私の方から質疑をさせていただいて、明確にこれは御答弁いただいている内容なんですね。きょうで十月十九日、もう冬になってしまうかと思うんです。

 具体的に何月の上旬なり中旬なり、そういった計画があるのかというのが一つと、このピッチですと、進捗状況とか今後のビジョンなんというのは全く語れないと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。

藤田政府参考人 今の時点で具体的な日にちを申し上げられる段階には至っておりませんけれども、近日中、近いうちに立ち上げるということを目指して、今準備を進めているところでございます。

 その立ち上げに向けまして、先ほど申し上げたような運営方法について種々議論を重ねておりますので、立ち上げた後には有効に機能するように運営をしてまいりたいと考えております。

椎木委員 納得できませんね、今の答弁は。

 いいですか。さきの通常国会の委員会質疑で私が答弁いただいたことを今確認しているわけですよ。それで、このインフラメンテナンス国民会議、仮称ですけれども、まだ開催されていないのはいいでしょう。ただ、開催のめどすら答弁できないというのはどういうことなんでしょうか。全く準備がおろそかになっているということではないんでしょうか。私の認識が甘いんでしょうか。

藤田政府参考人 今の段階で、具体的に何月何日、あるいは上旬、中旬というふうな言い方は、日程調整を含めてやっておる最中でございますので、ちょっとできませんけれども、この秋の設立ということに向けて、今最終的な準備を行っているというふうに御理解いただければと思います。

椎木委員 では、今の最後の一言にあったように、秋の設立ということを、私の方もまた推移を見守りながら、今後、その内容について、改めて進捗状況なり個々のビジョンについて質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 効率的、効果的なインフラ整備を行うためには、民間資金の活用を初めとする創意工夫を取り込む官民連携が有効であり、既に空港や下水道の整備において導入が進められております。

 社会資本の老朽化対策にも官民連携を活用することで、財政負担を軽減することができるし、民間にとっても大きなビジネスチャンスであると考えられますが、この点について御見解をお願いいたします。

藤田政府参考人 御指摘のとおり、インフラの老朽化対策を着実に実施していくためには、民間企業の積極的な技術開発を初め、民間企業の参画を促し、官民が連携をして進めていく必要があると考えております。また、インフラの老朽化対策の推進に伴いまして、インフラのメンテナンスが民間企業にとっても今後のビジネスチャンスになるというふうに考えております。

 このため、インフラメンテナンス国民会議におきまして、民間の新技術の掘り起こし、幅広い業種からの新規参入等を促進して、効率的、効果的なメンテナンスの実現に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。

椎木委員 行政の答弁というのは効率的、効果的なというのが必ずつくんですけれども、この効率的かつ効果的というのは何を定義に言われているのかというのが一つと、あともう一つは、官民連携、いわゆる民間活力というのは、一つの事例としてはPFIをイメージしてよろしいんでしょうか。この点について再度お願いします。

藤田政府参考人 効率的、効果的という、これはいろいろな捉え方があると思いますけれども、基本的には、やはり、少ない費用で、少ない投入で、より大きな効果を出していくということが求められるんだと思います。そのために、民間の技術あるいはノウハウ、経営能力、こういったものを使っていくということが大事だと思っております。

 その手法でございますけれども、もちろんPFIも一つの方法でございますけれども、インフラのメンテナンスに関して言えば、その技術の適用でありますとか開発、こういった部分でも大いに民間の参画を期待したいと思っております。

椎木委員 私の行政での経験を踏まえて一言申し上げると、民間活力、PFIもそうですけれども、これは、基本的には、官でできないものを民に委ねるというのが定義だと思うんです。だから、私が何を申し上げたいかというと、各地域、地方の行政で担い切れないものを民間にお願いする、こういう考え方で今後こういう民間活力を生かしていくというような認識でいるんですけれども、それでよろしいでしょうか。

藤田政府参考人 官で担い切れないもの、あるいは官で行うよりも民で行った方が効率的なもの、これはいろいろなケースがあると思います。そういったことを含めて民間の能力を活用していくということが大事だと思いますし、それから、このメンテナンスに関して言いますと、施設管理者であります官のニーズを民の技術開発にいかに生かしていくか、こういった視点からの連携も必要だと思っております。

椎木委員 非常に漠然とした答弁なので、細かいところにどうしても入りたくなってしまうんですけれども。

 例えば、民間活力、先ほどから申し上げていますけれども、PFIを活用することというのは、結局、イニシャル的な投資を抑えるということと、工期的な短縮とか特殊技術的なものを要するという限られた分野だと思うんですけれども、幅広くという認識なのか、それとも本当に特殊な事業に民間活力を考えているのか、この辺の考え方についてお答えください。

藤田政府参考人 インフラメンテナンスに関しましては、もちろんPFIというふうな特定の事業で民間の活力を活用するというケースもございますし、それから、技術の開発といった部分で民間の活力を活用して官民の連携を図るといったようなケースもあろうかと思います。そういう意味では、非常に幅広い概念でこの官民の連携を進めていきたいと考えております。

椎木委員 では、次の質問に入ります。

 本年九月十五日付の産経新聞の「にっぽん再構築 インフラが危ない」という記事の中で、インフラ老朽化は生活習慣病のようなもの、大惨事がいつか起こるかもしれないが、すぐには起きない、人々の関心は修理より新しいものをつくる方向に向きがち、結果として修理は後回しになると書かれております。さらに、地方議会で議員が新しい箱物をつくれば票につながるが、修理はそうはならない、国民も大災害から時間がたつとメンテナンスへの熱が冷めてしまうとも指摘されています。

 安心、安全を確保するために、国民一人一人が意識改革をしなければならない時期に来ているのではないでしょうか。この点について、答弁を求めます。

藤田政府参考人 今あるインフラをうまく使っていく、機能を保全していく、これは大変大事な課題であると思っております。

 昨年閣議決定をいたしました社会資本整備重点計画におきましても、まずはきちんとインフラのメンテナンスを行う、その上で今ある施設を賢く使う、さらに、それを図った上で新規投資に関してはストック効果の高いものに重点化していく、こういった方針を打ち出しております。そういった方針で今後のインフラの整備、維持管理に取り組んでいく必要があると思っております。

椎木委員 意識改革をしなければならない時期での見解を求めるので、ちょっと答弁に困ったかなと思うんですけれども、今のような答弁の認識でよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入ります。

 鉄道駅におけるホームドアの設置についてお聞きいたします。

 今月十六日、近鉄大阪線河内国分駅で、視覚障害者の近藤恒久さんが線路に転落し、入ってきた特急列車にはねられて死亡するという痛ましい事故が発生しました。また、本年八月十五日、東京メトロ銀座線の青山一丁目駅においても、同じく視覚障害者であった品田直人さんがホームから線路上に転落し、入ってきた電車にはねられて死亡する事故が起こっております。当日は盲導犬を連れて通勤途中だったとお聞きしております。お亡くなりになられた方には心から哀悼の意を表します。

 八月十六日の読売新聞の記事によると、視覚障害者の半数がホームから転落した経験を持つと答えた調査もあり、全日本視覚障害者協議会など関係団体はJR東日本に再発防止策を要請した、鉄道各社はホームドアの設置を進めているが、東京メトロで設置済みの駅は、ことし三月末現在で、九路線百七十九駅のうち計八十五駅にとどまっていると書かれております。恐らく、死亡事故には至らないけれども、多くの方々がさまざまな駅で危険な場面に遭遇していると考えられます。

 ホームドアの設置状況について、全国的に見てどのようになっているのでしょうか、お尋ねいたします。また、あわせて、ホームドアの設置について、これまで鉄道事業者に対してどのような要請を行ってきたのでしょうか、答弁を求めます。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 ホームドアは、列車との接触、ホームからの転落防止のための設備として非常に効果が高く、その整備を推進していくことが重要であると認識をいたしておりまして、昨年二月に閣議決定されました交通政策基本計画におきましても、ホームドアの設置駅数を平成三十二年度に八百駅とする目標を設定させていただきまして、二十七年度末現在、全国六百六十五駅にホームドアが設置をされております。

 国土交通省といたしましては、鉄道事業者に対しまして、整備費用に対する助成措置など、必要な支援を行うことによりましてその整備を促しているところでございまして、引き続き、必要な支援を行うことによって、事業者の整備を促し、ホームドアの設置のための取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。

椎木委員 助成措置とかいろいろ手だてを加えていただいているのは十分承知しています。

 我が党が国交省との補正のヒアリングの際にいろいろ意見を出させてもらったんですが、これは本当に、できれば、願わくばですけれども、一気にこのホームドアは全国に整備していただきたいなというのが本音のところですので、これは多分、私たちのような五体満足の人ですらそう願うわけですから、視覚障害者の人たちにとってはよりそういう思いは強いと思いますので、その点も含めて、できるだけピッチを上げてお願いしたいと思います。

 それでは、最後の質問に入ります。

 平成十八年に、それまでのハートビル法と交通バリアフリー法とを統合する形で、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー法が制定され、鉄道駅を初めとする公共交通施設や建築物のバリアフリー化についてさまざまな取り組みが行われてきたと承知しております。

 法施行後五年を経過した時点で、施行状況について検討を加え、必要な措置を講ずるとされております。その際、新たな基本方針が作成されると思うのですが、鉄道駅におけるホームドアの設置を初めとしてどのような措置が講じられ、目標が設定されたのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保するため、地域の拠点であり、まちづくりの観点からも重要な施設である鉄道駅のバリアフリー化は重要な課題でございます。

 国土交通省といたしましては、バリアフリー法の基本方針に基づきまして、平成三十二年度までに、利用者数が一日当たり三千人以上の全ての駅についてバリアフリー化を実施することを目標に取り組んでおりまして、現在、段差解消につきましては約八五%の駅で実施済みとなっております。

 また、この基本方針におきまして、ホームドアにつきましては、優先的に整備すべき駅を検討し、可能な限り設置を促進することとしておりまして、国土交通省におきましては、利用者数が一日当たり十万人以上の駅や、視覚障害者からの要望が高い駅について優先的に整備を促進することとし、整備費用に対する助成措置を講じるとともに、技術面、コスト面の課題に対応可能な新たなホームドアの技術開発の支援も行うことにより、ホームドアの整備促進に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、バリアフリー法の基本方針に基づき、鉄道駅のバリアフリー化の取り組みを着実に進めてまいります。

 なお、ホームドアにつきましては、本年発生をいたしましたホームからの視覚障害者の転落死亡事故を受けまして、今、検討会を設置いたしまして、さらにソフト、ハード対策を駆使して、ホームドアの設置を促進する方策、また鉄道駅の安全性確保の方策を検討させていただいているところでございます。

椎木委員 今の石井大臣の御答弁、本当に明確で、私の地元のやはり要望が一番多いのがこういった内容なんですけれども、地元に持ち帰って非常に説明しやすい答弁をいただけたと思っております。ありがとうございます。引き続きしっかりとよろしくお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

西銘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十分散会


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