衆議院

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第8号 平成28年12月9日(金曜日)

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平成二十八年十二月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西銘恒三郎君

   理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君

   理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君

   理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君

   理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君

      青山 周平君    秋本 真利君

      池田 道孝君    大塚 高司君

      加藤 鮎子君    加藤 寛治君

      門  博文君    金子 恭之君

      神谷  昇君    工藤 彰三君

      小松  裕君    佐田玄一郎君

      鈴木 憲和君    鈴木 隼人君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      津島  淳君    中谷 真一君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      橋本 英教君    藤井比早之君

      古川  康君    堀井  学君

      前田 一男君    望月 義夫君

      荒井  聰君    黒岩 宇洋君

      小宮山泰子君    松原  仁君

      水戸 将史君    村岡 敏英君

      横山 博幸君    伊佐 進一君

      北側 一雄君    中川 康洋君

      清水 忠史君    本村 伸子君

      椎木  保君    野間  健君

    …………………………………

   参議院国土交通委員長   増子 輝彦君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   内閣府大臣政務官     務台 俊介君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   国土交通大臣政務官    根本 幸典君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            栗田 照久君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           和田 純一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房物流審議官)         重田 雅史君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         谷脇  暁君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月九日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     門  博文君

  大塚 高司君     池田 道孝君

  大西 英男君     加藤 寛治君

  木内  均君     小松  裕君

  小島 敏文君     青山 周平君

  津島  淳君     鈴木 隼人君

  古川  康君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小島 敏文君

  池田 道孝君     大塚 高司君

  加藤 寛治君     大西 英男君

  門  博文君     秋本 真利君

  小松  裕君     木内  均君

  鈴木 隼人君     津島  淳君

  瀬戸 隆一君     古川  康君

    ―――――――――――――

十二月六日

 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案(国土交通委員長提出、参法第五四号)(予)

同月七日

 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案(参議院提出、参法第五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案(参議院提出、参法第五四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西銘委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房物流審議官重田雅史君、土地・建設産業局長谷脇暁君、道路局長石川雄一君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、観光庁長官田村明比古君、金融庁総務企画局参事官栗田照久君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、厚生労働省大臣官房審議官土屋喜久君及び大臣官房審議官和田純一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 ことし一年間で石井大臣に約十回近い質問をさせていただきました。恐らく本日が年内最後の質問になると思いますので、これまでるる質問させていただいてきたことが本当に御答弁どおりになっているのかということをフォローアップさせていただきたいというふうに思います。

 一点目は、リニア中央新幹線の夜間運行についてでございます。

 皆様にお配りいたしました資料一をごらんいただきますと、現在、新幹線が午前六時から夜の十二時までの運行時間になっている経緯につきましては、一つは、保安検査に時間を要するということ、そしてもう一つは、主に都市部における騒音に配慮したものだというふうに理解しております。

 とりわけ騒音についての環境基準がこの資料一でございますが、この中にも下線を引いておりますように、「将来、深夜運行が実施されることとなった場合には、本指針は見直す必要がある。」と。

 皆さん御案内のとおり、リニア中央新幹線は、八六%から八七%が大深度のトンネル、地下でございます。とりわけ都市部はほとんど全てトンネルということになるわけですけれども、そうしますと、元来、騒音問題というのは生じにくいということになろうかと思います。

 他方、保安検査につきましては、速度が大変速いですので、新幹線とはまた技術的に異なる難しさがあるということは想像できるわけですけれども、一方で、開業から五十年を超えた東海道新幹線と比べますと、劣化はまだ余りないと思いますし、また建設キロも短いわけですので、工夫によっては一定の時間短縮も可能ではないかと考えております。

 国土交通省さんは三大都市圏を結ぶメガリージョン構想ということを訴えていらっしゃるわけですけれども、国土政策を考えていく上でも、また鉄道政策の観点からも、このリニア中央新幹線の夜間走行につきまして、技術的な可能性と社会的なメリットの検討をしっかり進めていくべきだと考えますが、大臣の御所見を問いたいと思います。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

石井国務大臣 リニア中央新幹線につきましては、JR東海によりますと、従来の新幹線よりもはるかに高速で走行する観点から十分な保守作業時間が必要であり、運行の安全性を担保するため、六時間の保守作業時間の確保は不可欠であると聞いているところでございます。

 また、今御紹介いただきましたが、環境省により定められ、中央新幹線にも適用される現行の新幹線鉄道騒音に係る環境基準につきましても、午前零時から午前六時までの間は運行されないことを前提としているところでございます。

 運行時間の拡大には、こうした解決すべき困難な課題があるものと考えております。

 したがいまして、保守作業時間の短縮や騒音の環境基準に係る課題解決に見通しが立てば、御指摘のような深夜走行に関する具体的な検討を行い得る状況になるものと考えているところでございます。

津村委員 リニア新幹線を議論する際に、これは新幹線であるというふうに最初に定義したことの無理といいますか、そこから自動的に新幹線の騒音対策というルールが適用されることになって、実態とここはそぐわない部分ではないのかなというのが私の問題意識でございます。まだ開業までは十年以上ございますし、それまでに社会的なニーズがどう変化するかということもございますので、またこの議論は引き続きさせていただければと思っています。

 資料二をごらんいただきますと、ことし最初の法案でした踏切道改良促進法のときに使ったグラフでございます。

 調べさせていただいたんですけれども、ここにいらっしゃる国土交通委員の皆さんの平均年齢を計算いたしますと、五十二・五歳でございます。五十二年前というのは何があった年かといいますと、東京オリンピック、そして東海道新幹線が開通した年、ここに集っている私たちは大体そのころに生まれた世代ということでございます。

 この棒グラフをごらんいただきますと、大体昭和四十年のところに該当するわけですね。この下の方にちょっと青いのがあって、ちょっと黄色いのがあって、そして赤いのがたくさんあるわけですけれども、これは何を意味するかといいますと、私たちが生まれたころは踏切にほとんど遮断機がなかったということでございます。第四種踏切というのは、遮断機も警報機もない、唐突に道路と鉄道が交差している踏切という、今から考えますと大変危ないものでございますが、私たちが生まれたころは八割、九割がそういう踏切だったということでございます。

 時代は進みまして、足元をごらんいただきますと、今、三万三千の踏切のうちの二千八百、二千九百という、一割弱が遮断機のない踏切でございます。

 さらに、一枚おめくりいただきますと、都道府県別に、どのぐらいそういう遮断機のない踏切があるのか、そして、その踏切でどのくらいの方が亡くなっているのかということを示しております。

 数字がたくさんございますので、皆さん一度にぱっとなかなか御理解いただけないかもしれませんが、ざっくりと申しますと、第一種の遮断機のある踏切では年間二百四人の方が亡くなっている、または事故を起こしている、そして第四種の踏切では二十八件。これが多いと見るか、少ないと見るかは価値観の問題でございますが、この第四種踏切の二十八件というのは、東京都でも一件ございますけれども、これが東京都のどこかわかりませんが、そのほかの第四種踏切の事故というのは押しなべて、地域でというか、都市部じゃない都道府県と思われるところで起きているわけであります。

 今の踏切道改良促進法、私たちも賛成いたしまして、ことしの三月にここで議論したわけですけれども、踏切道の改良促進の対象は、公道、道路法の、一項で定められているものに対象が限られています。しかし、この遮断機のない踏切というのは半分以上が私道で交差しているものでありまして、踏切道の改良促進の補助の対象にはなっていないわけですね。

 ですので、まだ全国に三千近くあるこの四種踏切、遮断機のない踏切を、国土交通省が少なくとも踏切道改良促進法では支援の対象にしていないということになりますし、その他の支援というのも不十分ではないのかというのがこの第四種踏切が一向に減らない理由だと私は考えるんですけれども、過去五年間の第四種踏切一種化への支援、つまり遮断機をつけるということについての国土交通省の支援の状況をお答えください。

石井国務大臣 踏切道改良促進法の対象としております道路法上の道路におけます第四種踏切の第一種化への支援措置といたしましては、鉄道施設総合安全対策事業費補助の中の踏切保安設備整備事業により実施をしておりまして、平成二十三年度から二十七年度までの五カ年間で合計三十一カ所の支援を行っております。

 一方、私道の第四種踏切に対する第一種化への支援措置といたしましては、同じく鉄道施設総合安全対策事業費補助の中の鉄道軌道安全輸送設備等整備事業がございます。この制度は平成二十三年度に創設されたものでありまして、この事業による私道の第四種踏切の第一種化への支援の実績といたしましては、平成二十八年度予算で、わたらせ渓谷鉄道わたらせ渓谷線の踏切の第一種化の一カ所でございます。

津村委員 全国に三千近くあるこの遮断機のない第四種踏切について、五年間で合わせて三十数件しか支援ができていない、一年間で六件しかやっていないということですから、これはこれからあと五百年かかるわけですね。

 国土交通省さんは、大きな建前を持っていらっしゃいます。それは、踏切は社会悪である、なので新設は認めない。そして、既存の踏切も一つでも多く減らしていかなければならない。そのためには、一千万かかるんですけれども、それを多いと見るか、少ないと見るか、これも価値観ですが、四種踏切に一つの遮断機をつけるのに一千万と言われています。これをつけてしまうと、この踏切をこれからも使っていいよということの既成事実となってしまう、なので、四種踏切の一種踏切への昇格、つまり遮断機の設置というものは極力行わない、こういう方針を持っていらっしゃるわけです。

 その結果、全国で毎年多くの死亡事故が発生しているわけですけれども、都市部と地方は大きく分けて考えるべきです。

 都市部については、確かにあかずの踏切の問題もありますので、立体交差化その他、踏切改良法が想定しているような踏切廃止、踏切の削減といいますか除却に傾くのは理解しますけれども、今、地域では、買い物難民の問題等、地域交通の問題が非常に脚光を浴びている中で、立体交差化なんてとてもじゃない、遮断機のない踏切がいきなり立体交差化なんかできるわけないわけです。そうしたところで、では、どんどん廃止していけばいいのかといえば、それは地域の足がどんどん奪われていくわけですね。

 踏切をとにかく廃止していこう、遮断機をつけたら既成事実になるからやめてしまおうというのは、現在の高齢化社会の地域の実態に全く合っていないというふうに思うわけです。

 今回、この資料三の数字は、一週間前に通告をさせていただきまして、つくっていただいた数字です。なぜならば、国交省さんは、この数字をもともと把握されていなかったからです。作業の時間を考えまして一週間前にお願いしたわけですけれども、逆に言えば、把握もしていない、そういう問題意識をお持ちでないということだと思うんですね。

 今回、こういう数字をつくっていただきました。こうした現在の地域に散在する四種踏切の実態を踏まえて、大臣としても当然対策の必要性をお感じになると思いますけれども、今後の新たな取り組みについて、大臣に御所見を伺います。

石井国務大臣 現在残されております第四種踏切道は、踏切保安設備の設置を義務づけた昭和六十二年以前に設置されたものでありまして、着実になくしていく必要がございます。

 先ほど委員が配付資料の二で御紹介いただいたとおり、これまでの取り組みによりまして、昭和三十五年度末に約六万二千カ所ありました第四種踏切道は、昭和三十六年の踏切道改良促進法の施行以降、踏切保安設備の整備や統廃合によりまして、平成二十七年度末現在で第四種踏切道は約二千九百カ所となり、二十分の一程度まで減少しているところでございます。

 また、直近で申し上げれば、例えば、平成二十三年度から二十七年度までの五カ年間では、年平均で第四種踏切は七十三カ所除却されております。このうち、第一種化されたものが三十九カ所、このうち補助は年間六カ所ということでありますけれども、全体では三十九カ所が第一種化されております。統廃合による除却が二十五カ所、路線廃止による除却が九カ所となっているところでございます。

 今後も引き続き、第四種踏切の第一種化や統廃合による除却により減少に向けた取り組みを進めるとともに、第一種化や統廃合による除却が困難な第四種踏切につきましては、事故防止に資する対策について検討を進めていく必要があるものと考えてございます。

 第四種踏切につきましては、先ほど申し上げました鉄道施設総合安全対策事業費補助の制度を鉄道事業者に改めて周知し、積極活用すること等により第一種化を進めることに加えまして、第一種化や統廃合による除却が困難な第四種踏切の事故防止対策といたしましては、列車が警笛を鳴らして踏切の横断者に列車の接近を知らせることや、踏切道における一旦停止表示の明確化、踏切の存在を示す警標の明確化、蛍光塗装等でございますが、等の実施が想定をされているところでございます。

 このような対策を実施していくに当たりましては、個々の踏切の状況を踏まえる必要がございます。このため、どのような対策が可能かにつきまして、改正された踏切道改良促進法により設置することになりました協議会や、JR各社や大手民鉄等の安全担当者を集めた鉄道局主催の保安連絡会議などを活用いたしまして、沿線自治体等の協力も得ながら、鉄道事業者とともに検討を進めてまいりたいと考えております。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

津村委員 今、大変長い丁寧な御答弁をいただきましたけれども、その中に、踏切道改良法で新たに設置する協議会の活用や、あるいは民間鉄道を集めた保安連絡会議の話など、新しい周知徹底の方法について具体的な御答弁をいただいたことは大変ありがたいと思っております。

 毎年数十人の方が、恐らくは地域のお年寄りであったりお子さんだったりすると思うんですけれども、踏切で亡くなっているという実態を、年間六件しか国が補助してきていないということについて取り上げたわけでございます。

 これから新しい取り組みもされるということですから、来年以降も、その結果どういう成果が出ているのか、フォローアップさせていただきたいというふうに思っています。

 もう一点、非常押しボタンの問題です。

 一種踏切が普及したことによって、つまり遮断機が設置をされたことによって、実は、押しボタンが、遮断機の内側か外側か、どちらに設置されているかによっては押せなくなってしまうという問題が起きます。もちろん、遮断機の上に、あるいは遮断機と平行に非常押しボタンがあればそういう問題は生じないわけですけれども、国土交通省さんにこれも一週間前に伺いましたが、一週間かけてもその実態は把握できないということを言われております。これは時間をかけて調べていただければ結構ですが、そういう問題意識をお持ちでないということだと思うんです。

 大臣、押せない非常押しボタンがあっても余り意味がないと思うんですけれども、いかがですか。

石井国務大臣 踏切内でトラブルが生じた場合に、これを列車の運転士に知らせるための非常押しボタンの設置は、踏切事故を未然に防ぐ方策として有効でございます。

 非常押しボタンの設置位置につきましては、緊急時に使用されるものでございますので、踏切道の内側からも外側からもわかりやすく、また押しやすい位置であることが望ましいと考えております。

 具体的な設置位置につきましては、鉄道事業者が、個々の踏切道の状況、例えば幅員ですとか歩道の位置ですとか、遮断機、警報機の設置位置等に応じて、押しやすさ等に配慮しながら個別に判断をされているところでございます。

 国土交通省では、今年度から、踏切道改良促進法に基づく保安設備整備に対する補助制度の対象として非常押しボタンを追加したところでございます。この補助制度によりまして、非常押しボタンを設置する鉄道事業者に対しましては、施工する際は、踏切道の内側からも外側からも押しやすい位置に設置するとともに、ボタンの位置が内側からも外側からもわかるような表示をするよう指導をしているところでございます。非常押しボタンへの補助に際しては、その位置等も含めて確認をしてまいりたいと考えております。

 また、既に設置済みの非常押しボタンにつきましても、実態を把握した上で、非常押しボタンの増設や、踏切道内外から非常押しボタンの位置が多方向から、いろいろな方向からわかるような表示の方法について検討するよう、鉄道事業者を指導してまいりたいと考えております。

津村委員 非常押しボタンが遮断機の内側からも外側からもきちんと押せるようになっているかどうかの実態把握をお願いいたします。時間がかかると思いますので、通常国会で確認させていただきます。

 資料五でございますが、こちらは物流効率化法のときに私が皆さんにお示しした図表でございます。

 私は、物流効率化法の議論の際に、日本の駐車場政策の歴史について皆さんに御紹介をいたしました。そして、その結果、モータリゼーションの進展をある意味では読み誤ったといいますか、経済成長が極めて速いペースで進んだことによって駐車場の確保ということを残念ながら効率よく進められなかったことが、日本の都市の問題、渋滞問題、物流効率化の問題を引き起こしているのではないか、そういう投げかけをさせていただきました。

 その際、大臣からは、今後は、路上駐車対策としてだけではなく、物流効率化の観点からも、地方公共団体に対して荷さばき駐車施設の附置義務条例化を働きかけるなど、地域の実情を踏まえた荷さばき駐車スペースの確保のための取り組みを推進していきたいと御答弁いただいていますが、その後どのような取り組みをなさいましたか。

石井国務大臣 都市内におきまして荷さばきのための駐車スペースを確保するためには、地域の実情を踏まえながら、地方公共団体において荷さばき駐車施設の附置義務化を行うことが有効な手法の一つであると考えております。

 荷さばき駐車施設に関する附置義務につきましては、現在、全国八十九都市で条例化されておりますが、より一層取り組みが促進されるよう、ことしの八月に、地方公共団体の参加者約三百名が集まる研修会において条例化の働きかけを行ったところでございます。さらに、来年二月に開催予定でございます国土交通省主催の全国駐車場政策担当者会議におきましても、改めて積極的な働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 また、現在、複数の政令市において条例化に向けた実務的な検討が進められていると聞いておりまして、今後の条例化に期待をしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、荷さばき駐車施設の附置義務化について働きかけを行うなど、地域の実情を踏まえた荷さばき駐車スペースの確保のための取り組みを推進してまいりたいと存じます。

津村委員 複数の政令市で取り組みが始まっているという御答弁がありました。注視していきたいというふうに思います。

 最後に、水産庁の政務官に来ていただいていると思いますが、海上交通法の質疑の中で、ことし、パナマ運河の拡張ということが行われました。また、北極海航路等、新しい海運業界の動きがある中で、船舶の大型化が進んでおります。

 こうした中で、日本は全国に十近い航路を持っているわけですけれども、この航路をどういう大きさの船が通れるかという規制を設けています。

 東京湾につきましては、十数年前に大型船が東京湾を通れるように規制緩和が行われたわけですけれども、瀬戸内海につきましては、二百メートル以上の大きさの船は、現在、夜間通航することができません。その理由は、四十年前、五十年前のこませ網漁との利益の調整といいますか、こませ網漁をしている漁業への配慮ということでありますけれども、五十年前と比べると船は相当大型化をしておりまして、今、二百メートル以下ということになりますと、例えば大型のクルーズ船は入ってこられません。また、沿岸には自動車産業そのほか多くの製造業がございますけれども、二百メートル以下の船で輸送するということになれば、当然コストもかかります。

 そうした意味で、こませ網漁との調整を、例えば時間を変えるとか、二百メートルを二百三十メートルにするとか、いろいろな規制緩和のあり方を今こそ取り組んでいくべきだと考える中で、現在、こませ網漁をしている船は全てAISをしっかりつけているので、マーチスの活躍によって、これは、船が通るときだけちょっとよけた方がいいよということができるのではないか、規制緩和の環境が整っているのではないかと私は思いますが、水産庁さんにAISの搭載状況について伺いたいと思います。最後の質問です。

細田大臣政務官 御質問いただきましてありがとうございました。

 先生御指摘のこませ網漁を行うに当たっては、県知事の許可が必要となります。私どもの方で関係県に確認をしたところ、備讃瀬戸航路において、平成二十七年七月現在、こませ網漁の許可を受けて操業している漁船は全て、AIS、船舶自動識別装置を搭載しているという回答をいただいたところでございます。

津村委員 石井大臣、そういうことでございます。ぜひ海上保安庁とこの件について議論を進めていただきたいというふうに思います。

 詳しい資料を資料六としてつけておりますので、皆さんぜひごらんください。

 終わります。

西銘委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。本年最後の質疑になると思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、都市再生機構の賃貸住宅における家賃の減免維持についてお伺いしたいと思います。

 UR都市再生機構による賃貸住宅は、旧公団住宅を引き継いで現在に至っています。国の公共住宅政策を担うという側面を事実上担ってきたものだと認識しております。

 一九九九年、公団家賃を市場家賃化するに当たって、都市公団法は家賃の減免条項をあわせて規定し、都市機構法二十五条四項に引き継がれております。二〇〇三年、機構法制定に際し、衆参両院の国土交通委員会で、家賃負担への十分な配慮、家賃の減免等を挙げ、附帯決議を付して政府及び機構に対応を求めたのも、同様の観点によるものです。

 私の地元埼玉県下のUR賃貸住宅居住者、埼玉公団住宅自治会協議会は、生活実態調査をことしの九月から十月にかけて行われました。その中には、年金だけが収入、支給額も年々削られ、貯蓄は底をついている、生活は本当に苦しい、楽しみや交際などの余裕などない、出産や育児、教育費を考えると家賃が払えなくなるなど、切実な声が集まっております。

 賃貸住宅に暮らす低所得者世帯にとっては、家賃が家計の最大支出となる場合が多く、その額次第で生活困窮の状態に陥ってしまいます。家賃値上げのルールの問題点は、消費者物価指数から機構の業者査定へ算定基準が変更されたこと、また、三年ごとの一斉改定から、各戸ばらばらの値上げ通知にあります。低所得高齢者等への特別措置の廃止縮小案の取り下げが求められているものであります。

 また、昨日の全国公団住宅自治会協議会、安心して住み続けられる公団住宅を目指す決起集会において、いわゆる家賃部会で居住者として委員に選任されている方が、居住者の高齢者の割合、収入など、家賃に係る前提データを述べようとしたところ、進行役から、意見は家賃のみにと発言を遮られたとの報告がありました。これまで、家賃支払いや独居高齢者の見守りなど、コミュニティーの質の向上などで公団住宅を支えてきたこの皆様方の代表の発言を遮ったのは、言語道断だと思います。

 そこで、機構法二十五条四項、家賃の減免条項の完全実施により、生活弱者、低所得者の居住者の追い出しにつながらないようにすること、また、居住者も当事者として参画することで安心して住み続けられる旧公団住宅、UR賃貸住宅をつくることに対して、国土交通大臣のお考えをぜひお聞かせください。

石井国務大臣 UR賃貸住宅につきましては、住宅セーフティーネットの確保に重要な役割を担っているものと認識をしております。

 URが先般実施いたしました家賃改定ルールの見直しは、平成二十五年に閣議決定いたしました独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づいて行ったものでございますが、低所得の高齢者等につきましては家賃を据え置きとするなど、御指摘の都市再生機構法第二十五条第四項に基づきまして、居住の安定に最大限配慮した内容となってございます。

 また、これまでも、UR賃貸住宅におきまして、高齢者向け優良賃貸住宅として供給された住戸に居住する高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯等に対しましても、家賃の減免を行ってきております。

 平成二十八年度からは、新たに、手すりの設置等の簡易な改修のみを行った住居に居住する高齢者世帯であって、公営住宅の入居基準に該当する世帯につきましても、家賃減免措置の対象としたところでございます。

 今後とも、住宅セーフティーネットの機能が果たせるよう、都市再生機構法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減免措置を講じてまいりたいと考えております。

小宮山委員 歴代国交大臣、本当に御理解いただいておりますが、ぜひ石井大臣にも、安心して住み続けられる、そのためにまたさらにお力添えいただくことをお願いいたします。また、今の答弁、本当にありがとうございます。

 海上コンテナの安全輸送法案について伺います。

 近年、コンテナ輸送船の大型化が進んでおります。しかし、コンテナ内の荷物の状況については、認められた者による検査による簡略化も進んでおります。

 コンテナ内の荷物状況が極端に偏ったことが原因での首都高速でのトレーラーの横転事故発生を契機として、民主党政権時代ではございますが、閣法として海上コンテナ安全輸送法の準備を進め、国会にも提出されました。解散でこれは廃案になっておりますが、コンテナを取り巻く状況は、密入国や薬物など多くの問題を生じております。港湾従事者の方々からも、安全確保の要請もありました。

 改めて国として根拠法を整備する必要があると思います。この点につきまして、ぜひお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 委員御指摘の法律案は、荷主が海上コンテナの重量を一本ずつ計測することや、その情報を関係者間で伝達することを義務づけるものでございましたが、それらが物流の停滞につながるおそれがある等の批判がございまして、審議未了のまま廃案になったものと承知をしております。

 国際海上コンテナの陸上輸送の安全確保は、重要な課題でございます。このため、荷主、船会社、トラック事業者の関係団体等から構成される国際海上コンテナの陸上運送に係る安全対策会議におきまして、重量の計測や情報の伝達を含めまして、それぞれの関係者が取り組むべき内容を定めた国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドラインを平成二十五年六月に取りまとめたところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係者間の連絡会議や事業者団体の主催する講習会の場を通じましてガイドラインの周知を図るとともに、その内容が着実に実施されるよう、関係者を指導してまいりたいと考えております。

小宮山委員 ガイドラインの強化はわかりますが、手続の簡素化等がございます。そういった中で、当然、海外からのコンテナもございますので、やはりきちんと強制力を持った根拠法という形で検討していただくことをお願いしたいと思います。

 海上コンテナ輸送が増大している中でありますから、当然、日本に来たコンテナは、荷おろしをされ、また全国各地に輸送されます。コンテナ輸送については、トラックによる輸送とともに、鉄路を用いた輸送の活用により、低炭素社会の実現、低コスト輸送の実現、すなわちモーダルシフト推進にも望ましいものと考えます。

 JR貨物による海上コンテナ輸送用の低床コンテナ貨車の導入に対する支援、また、トラック業界においても、JR貨物で用いるJRコンテナ輸送用の緊締装置つきトラックの導入に対する支援を国として積極的に行うことで、鉄道とほかの輸送手段との連携を強化していく必要があると考えます。これらの支援策についてお聞かせください。

重田政府参考人 お答えいたします。

 トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトは、物流の省力化と生産性の向上に加え、地球温暖化対策にも大きく貢献するものでありまして、積極的に推進していきたいと考えております。

 委員御指摘の海上輸送コンテナ用の低床貨車につきましては、平成二十七年度予算及び今年度予算におきまして、その開発に対する支援を行っております。また、鉄道コンテナを輸送するためのトラックやシャーシにつきましても、平成二十五年度予算より、導入する際の費用に対する支援を継続して行っております。

 こうした支援措置に加えまして、本年十月より施行されました改正物流総合効率化法に基づきまして、モーダルシフトを連携して実施する計画について認定を受けました場合には、運行経費補助等も行っているところであります。

 国土交通省としましては、引き続き、関係省庁やJR貨物の皆さんと連携しながら、こうした支援策により、モーダルシフトの推進を図っていきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ことし最後なものですから、ついついかなり急いでおりますけれども、次は観光に関してでございます。

 十二月一日の、本当に未明というんでしょうか、三十三の山、鉾、屋台がユネスコ文化遺産登録に決定いたしました。私の地元の川越まつりもその一つでございます。

 一度に多くの指定はうれしいのですけれども、多くの指定のために、町の活性化につなげられなくて明暗が生まれる可能性もあると危惧しております。

 国交省は、二〇二〇年に、訪日観光客を四千万人、地方部での外国人延べ宿泊者数は七千万人泊、日本人国内旅行消費額は二十一兆円という新たな目標値を発表されております。今回、ユネスコ無形文化遺産登録された多くの祭りの支援をどう活用されていくのか、また、日本の伝統文化の観光への活用をする中で、推進する側、提供したい側が、日本の伝統文化、また、その祭りの意義というものを少し曲解する、また違うように宣伝することで、時には地域の祭り、文化の崩壊を招きかねないことを常に念頭に、やはり観光政策等をしていただきたいと思っております。

 この点に関しまして、国交省として、また観光庁としてどのように対応しているのか、お聞かせください。

田村政府参考人 本年十二月一日、今月の一日に、山・鉾・屋台行事がユネスコ無形文化遺産に登録されました。これは、地域の人々が一体となって、次の世代も行事をとり行えるように、伝統的な工芸技術を何世紀にもわたって維持するとともに、地域の自然環境を損なわない材料の利用等の工夫や努力によって、今日に至るまで山、鉾、屋台の継承と振興に取り組んでこられたことが評価されて、登録に至ったものと認識しております。

 御指摘のとおり、我が国の伝統文化を初めとする多様な観光資源の価値を、正しく、国内外にわかりやすく伝えていくということ、観光先進国を目指す我が国にとっては、これは極めて重要であるというふうに考えております。

 このため、政府観光局のウエブサイトでも、英語を初め十五言語の外国語で、我が国の伝統文化や伝統芸能の紹介等、全国津々浦々のいろいろな観光情報を発信しているところでございますけれども、今後も、この政府観光局のウエブサイトを刷新していく中で、関係省庁とも連携しながら、内容のグレードアップや効果的な発信方法の採用を図ってまいりたいと思います。

 また、地域のガイドにつきまして、昨年の九月に、構造改革特区法に基づく特例ガイド制度を導入いたしまして、地域に根差した通訳ガイドを全国に拡大するために必要な措置を講じたほか、こういったボランティアガイドにつきまして、日本政府観光局と連携して、優秀な取り組みを行っている団体に対する表彰等を行うことを通じて、その質の向上を図ってまいります。

 さらに、私どもの職員、あるいは地方の職員も含めまして、そういう知識の習得、あるいは意識の向上というものにも努めてまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 地元の川越まつりなんですけれども、十月十五、十六日の二日間で約百万人弱が堪能されました。川越まつりでは、英語の通じる街川越のスピーチコンテスト受賞者たちが、一部は出場した学生たちも含みますが、英語での観光案内のボランティアを実施いたしました。ブースで案内した外国の方の人数は、二十三カ国以上、二百十名と聞いております。

 多言語など、さまざまな形で支援をしていくことが、より日本を理解し、そして好感度を上げていく、またリピーターをふやす一助になるんだと思いますので、この点もぜひ押さえていただければと思います。

 大変申しわけありません、時間の都合で、旅館経営教室、大変興味深い施策をされております。地域の旅館は、日本文化を過去から今日に継承して、そして地域経済になくてはならない重要な役割を持っているということであります。この点に関しましても、引き続き支援をしていただくことをお願いしたいと思います。

 先に行かせていただきます。住宅の長寿命化、中古住宅の流通の活性化と住宅ローンのあり方について聞かせていただきたいと思います。

 近年、新築住宅における長期優良住宅制度の創設、インスペクションの積極導入などにより、これまでの、上物である建物については築後二十年か三十年もすれば実質的に資産価値がなくなるという、日本における新築信仰的な住宅流通のあり方の転換を促す画期的な制度導入だと考えております。

 ところが、上物はいいものがあった、しかし、金融機関による住宅ローンの設定に当たっては、申し込み時点での申込者の年収、職業により融資額の上限が決められることによって、住宅、建物自体の資産価値については余り考慮されていないということがあります。

 欧州では、歴史的な価値を付加されると高額になり、また、購入も世代間で引き継ぐことができる良質な建築物がつくられると聞いております。日本の伝統的構法による木造住宅も、二百年を超える建築物がございます。正当な評価が望まれるところです。

 この点に関しまして、国交省、そして住宅ローンを提供する各金融機関に対して、建築の価値への評価に重点を置く融資について周知、指導、検討を行っていくべきだと考えますが、金融庁のお考えをお聞かせください。

由木政府参考人 お答えいたします。

 既存住宅流通の活性化のためには、良質な既存住宅が市場で適切に評価されることが重要であると考えております。このため、住宅の性能や維持管理の状態など、個別の住宅の状態に応じまして適切に評価がなされますように、平成二十六年三月に、中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針というものを作成しております。

 この指針では、例えば、基礎、躯体と内外装、設備部分を区分いたしまして、基礎、躯体部分につきましては、性能に応じて二十年より長い耐用年数を設定するといった評価の考え方を示しているところでございます。

 また、この考え方が市場において定着いたしますように、昨年七月には、二点の実務への反映策を講じております。一点目は、不動産鑑定士が鑑定評価を行う際の留意点の取りまとめ、二点目は、宅建業者が用います価格査定マニュアルの改定でございます。

 さらに、本年度からは、金融市場を含めまして、市場全体において良質な住宅ストックが適正に評価されますように、金融機関や工務店、宅建業者等関係者が連携いたしまして、住宅のリフォームによる維持向上、住宅の評価、流通、金融等の仕組みを一体的に開発、普及いたします取り組みに対し、支援を行ってまいっているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、良質な住宅ストックが適正に評価される市場の形成を促進してまいりたいと考えております。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的な住宅ローンの審査に当たりましては、借り手の年齢、収入、職業、家族構成などをもとに、借り手の返済能力に着目して融資の可否が判断されるものと承知しておりますが、その際、土地や建物といった担保についても、その評価額が適用金利などの決定において勘案されているものと承知しております。

 そうした意味におきまして、委員御指摘のとおり、建物の価値を適切に評価することは極めて重要でございまして、金融庁といたしましても、各金融機関に対しまして、ただいま御紹介のありました中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針等に留意するよう、その内容の周知に努めてきたところでございます。

 金融庁といたしましては、金融機関が利用者ニーズを踏まえて多様な融資商品、サービスを提供していくよう、引き続き注視してまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ中古住宅市場を活性化していただきたいということ、大臣、この点は依頼をさせていただきたい。

 そして、最後ですけれども、ぜひ、それをつくる職人の立場、そして安全を守っていただきたいと思います。

 本日最後に、一般質疑の後に、参議院で委員長提案で可決されました建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案、建設職人基本法案が議題になる予定であります。

 近年、国交省では、公共工事設計労務単価の改定を重ね、数字の上で大幅な単価上昇を行ってまいりました。公共工事での労務単価上昇により、民間工事に対しても波及し、建設工事従事者、技能者の賃金や待遇改善につながることが期待されているものと歴代の国交大臣の答弁にもありますが、現実はそこまで期待どおりにはいっていないようです。

 各地での重大事故などを考えますと、建築現場の現状を改善するために、この建設職人基本法案が成立し、安全確保、賃金上昇、そして待遇改善に対しての一助になることが期待されます。この点に関しまして、国交大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

石井国務大臣 建設産業は、現場で直接施工を担う技能労働者によって工事の品質が大きく左右されるという、いわば人材で成り立っている産業でございまして、適切な賃金水準の確保など、技能労働者の処遇の改善を図ることは非常に重要と考えております。

 御指摘の建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案におきましては、国及び都道府県は、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する経費の適切かつ明確な積算、明示及び支払いの促進、さらに、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する責任体制の明確化に資するよう、建設工事に係る下請関係の適正化の促進など、必要な施策を講ずるものとされております。これらの施策を推進することによりまして、技能労働者の適正な賃金水準の確保、処遇の改善にもつながるものと考えております。

 この法律案が成立した際には、法律の規定及び趣旨に従い、必要な施策を進めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございました。

 以上です。

西銘委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民進党の本村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 我が党の持ち時間が限られておりますので、通告どおり質問させていただきます。

 まず、配付資料の一、二、三をごらんいただきますと、立ち往生の車に罰金を検討するという報道が、テレビ朝日やTOKYOMXなどのニュース番組で報道されたほか、時事通信も伝えております。

 十一月十六日の国交省の幹線道路の立ち往生対策には、資料二でありますが、「チェーン未装着車等を減らすための今後の方向性」として「立ち往生の原因となった車両に対するペナルティの検討」とあるわけでありまして、私も、テレビを見ていて、随分踏み込んだ対応をされているなというふうに思ったわけであります。

 国交省は、今後、降雪時に幹線道路で立ち往生の原因をつくった車に対し罰金を科す方向だと一部で報じられておりますが、この事実関係をまずお伺いしたいのと、また、ペナルティーに関して現在どのような検討状況になっているのか、お伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道の峠道などで立ち往生車両が発生すると、長時間渋滞が発生し、社会経済に大きな影響を及ぼすとともに、除雪作業の阻害要因になることから、立ち往生車両を減らすための取り組みが重要でございます。

 立ち往生の原因といたしまして、六割が大型車であること、夏タイヤが二五%いる一方、冬タイヤを装着している車両のうち九割が、チェーンを装着していないなど、冬装備が不十分であること、五%以上の勾配がある峠部で多く発生していること等が挙げられます。

 これまでも、トラック協会等への冬タイヤやチェーン装着の呼びかけ及び道路情報板による注意喚起等、啓発活動を行ってきておりますが、それだけでは立ち往生車両をなくすまでには至っていないのが現状でございます。

 このため、幹線道路での今後の立ち往生対策につきまして、先月に開催されました社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会におきまして議論をいただいたところでございます。

 具体的には、立ち往生を未然に防ぐ観点から、集中除雪の実施に関する今後の方向性とともに、チェーン未装着車等を減らすための今後の方向性の一つとして、立ち往生車両へのペナルティーを含めて幅広く提案し、御議論いただいたところでございます。ペナルティーに特化して議論したわけではございません。

 また、国土交通省におきまして立ち往生車両に罰金を検討するとの報道があったことは承知しておりますが、当部会において、これは公開で行われておりますけれども、立ち往生車両に対する罰金については議論されておりません。

 この議論はまだ緒についたばかりでございますので、深い議論がなされているわけではございません。これからも、有識者等の意見も十分お聞きしながら、有効な立ち往生対策について検討を進めてまいる所存でございます。

本村(賢)委員 特に、都市部における、ふだん雪が降らない地域において突然雪が降った場合、やはり立ち往生というケースが非常に多く見られるわけでありまして、十一月には初めての積雪もあったわけであります。

 そういったことから、立ち往生の原因をつくった車に関しましては、道路交通法第七十一条第六号に基づき、各都道府県公安委員会が規則に定めておるということは承知をしておりますが、今後、国交省がしっかりとリーダーシップを発揮してもらって、立ち往生の車がないように、やはり事前のチェーンの装備や冬タイヤの装着など、啓発をしっかりとお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。

 次は、IR推進法について、何点かお伺いしてまいりたいと思います。

 大臣は、二十七年十月七日の記者会見におきまして、IRについては一応担当してくれということになっていますという発言もございますし、御承知のとおり、衆議院で審議時間五時間三十三分で採決をされたという議員立法であります。

 公明党の山口代表も、パナマのカジノを視察した後に、ホテルなどに併設されているカジノがありましたが、大勢のお客さんでにぎわっている雰囲気は感じなかった、観光振興の切り札とは必ずしも言えないわけで、むしろ、既にカジノが存在する国における副作用の現実を見てきたというようなお話も聞いておりますが、石井大臣はカジノに行ったことはございますか。

石井国務大臣 ことしの七月にシンガポールを訪問した際に、マリーナ・ベイ・サンズに参りまして、国際会議場、展示場、ホテル等を視察いたしました。カジノ場には入りませんでしたけれども、外から見ることはできました。

本村(賢)委員 次に、衆議院本会議でも公明党議員のうち十一人が反対をされ、国交委の委員である公明党の議員さんも、二人が賛成、二人が反対、ましてや、井上幹事長、大口国対委員長も反対されるというお話でありました。

 石井大臣は衆議院本会議において賛成されておりますが、閣僚だから賛成されたのか、一国会議員として賛成されたのか、大臣でなかったとしても賛成したという理解でよろしいか、お伺いしたいと思います。

石井国務大臣 公明党は、自主投票ということで、それぞれの議員の立場で賛否を明らかにしたものであります。私も、一国会議員として賛成したものでございます。

本村(賢)委員 我が党の野田幹事長も、公明党、あの党がこれだけ賛否が割れる、考えられないじゃないですか、これまでは議論をちゃんとやって一致結束する姿を常に見せてきた政党だと思います、しかも与党です、その与党の公明党ですらああいう状況になるということは、そこに今回の運びの異常さがあらわれていると思いますということで、やはりこのIR法に関していろいろな議論がまだまだあるわけでありまして、これからやはり、与党においても我々民進党においても、なかなか賛否が難しい、党内で難しい議論だと思っております。

 今後、このIRに関しまして、大臣は先般、私の質問に対して、デメリットについても御発言をされております。本法案について大臣がおっしゃるデメリットについて対策が十分でないが、それでも賛成をされたのはなぜか、お伺いいたします。

石井国務大臣 IRにつきましては、現在、議員立法が審議をされているところでありますが、その中で、IRにつきましては、観光振興、地域振興等の効果が期待される一方、犯罪防止、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための対策が必要との議論もなされておりまして、衆議院内閣委員会におきましても、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響を排除する観点に特に留意すること、カジノにとどまらず、他のギャンブルに起因する依存症を含め、包括的な取り組みを構築し、強化すること等の附帯決議もなされたと承知をしてございます。

 こういったことを踏まえて、実施法をしっかりと整備することによりまして、デメリットについて克服することが可能であるというふうに考えてございます。

本村(賢)委員 日本には約五百三十六万人のギャンブル依存症の方がいると推計されておりまして、成人全体の五・六%になっており、他国と比較しても突出して高いわけであります。大臣からも指摘をされた、もちろんメリットもあるでしょうが、デメリットという面に関しても、本来はしっかりと議論をしたかったなという思いであります。

 大臣はこのIRを成長戦略として位置づけられているのか、お伺いしたいと思います。総理は、二十六年にシンガポールを視察した際に、成長戦略の大きな目玉になると発言をされておりますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 IR推進法案につきまして、これまでの御審議の中では、カジノだけではなく、国際展示場、会議場、娯楽、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となった特定複合観光施設の整備を推進することを目的とするというふうにされておりまして、観光振興、地域振興、産業振興などに資することが期待されるとの議論がなされていると承知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、IR法案につきましては、政府の一員としては、そうした点を含めた御議論を含め、国会における御審議の行方を見守りたいと考えております。

本村(賢)委員 カジノの合法化にはそれぞれ本当に御意見があると思うんですが、暴力団や海外の犯罪組織の関与、ギャンブル依存症による犯罪や自殺の増加、青少年への悪影響など、こうした深刻な副作用を伴う成長戦略は明らかに筋が悪いんじゃないかなということを指摘してまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。

 次は、毎回質問させていただいておりますライドシェアについてお伺いいたします。

 十一月三十日に新経済連盟が、「ライドシェア実現に向けて」という提案書を国交省に提出されております。国交省に対する反論も掲載されており、「「問題があるから議論すら許さない」という考え方こそが、イノベーションを阻害し、日本を衰退に導く考え方」とまで言及されておるわけでありまして、安心、安全を守ろうとする国交省に対していかがなものかなと思っております。

 十二月二日の国交委では、内容の精査は今後行うとされていましたが、その後の精査はいかになったか、お伺いしたいと思います。

石井国務大臣 新経済連盟から十一月三十日に提出されました「ライドシェア実現に向けて」という提案書につきましては、引き続き内容の精査を行っているところでございます。

 国土交通省としては、自動車による旅客の運送において、安全、安心の確保が最重要の課題と認識しております。運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で旅客運送を有償で行うことにつきましては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えております。

 新たな提案書は、プラットホーム側に新たに運行記録の保存や運転者リストの作成などの対応を求めることとしておりますが、それが果たして運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置いたものと言えるのか、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題がないか等の点について、十分な検討が必要になるものと考えております。

本村(賢)委員 提言の結論は、「ライドシェアの制度設計について検討するための会議体をただちに政府内に設置する。」とございますが、石井国土交通大臣は、これまでライドシェアについて非常に慎重かつ厳しい御指摘をいただいてきているわけでありまして、これからも、ライドシェアについて、ぜひとも国交大臣として、新経済連盟の御指摘に対抗できる方向性でしっかりとリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 踏切対策についてでありますが、ことし三月末に、全会一致で、踏切道改良促進法改正案が可決、成立しました。国交省は少なくとも千カ所以上の踏切を指定するとされていましたが、現在の指定状況はどうなっていらっしゃるのか、また、今後の指定について、どのような基準、スケジュールで行っていくのか、お伺いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 本年三月、踏切道改良促進法が改正されまして、課題のある踏切につきましては、鉄道事業者と道路管理者の間で改良の方法が合意できていなくても、国土交通大臣が指定し、期間を定めて対策を促進することとなりました。

 改正法におきましては、鉄道事業者、道路管理者のみならず、地域の関係者も含めた踏切道改良協議会におきまして地域一体となって協議する仕組みを取り入れておりまして、踏切道の実情に応じた対策の検討が進むものと考えております。

 また、指定対象となる踏切は、いわゆるあかずの踏切など自動車交通の支障となっている踏切や、歩道が狭隘であったり保安設備が十分でないために歩行者の安全な通行が確保されていない踏切等でありまして、具体的な基準は省令で規定しているところでございます。

 例えば、自動車ボトルネック踏切、一日当たりの踏切自動車交通遮断量五万台時以上、あかずの踏切、一時間の踏切遮断時間四十分以上、事故多発踏切、直近五年間において二回以上の事故が発生したものといったものが具体的な基準でございます。

 本年四月には、改正法に基づく初の指定といたしまして、全国五十八カ所の指定を行ったところでございます。

 また、本年六月には、国土交通省におきまして、踏切の遮断時間や遮断交通量、事故発生状況等の、省令に定めた基準のうち主要な基準に該当して、緊急に対策の検討が必要な全国千四百七十九カ所の踏切を抽出し、公表を行ったところでございます。今後は、これらの踏切を中心に、現場の状況を十分勘案しながら、順次、法律に基づく指定を行ってまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、地域の実情を踏まえた踏切対策が円滑に進むよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 踏切事故は、約一日に一件、約四日に一人亡くなっておりまして、あかずの踏切も約六百カ所ございますので、引き続きの対応をお願いしてまいりたいと思います。

 また、私の地元で、JR横浜線の連続立体交差事業の推進について、相模原市から、事業調査に必要な財源の確保を国交省に要望されております。米軍相模総合補給廠の返還に伴い、JR相模原駅南北間の連携を図るために、連続立体交差化に向けた取り組みの必要性を基本方針に掲げておりますので、ぜひともまた御指導をお願いしてまいりたいと思います。

 最後の質問にいたしますが、リニア中央新幹線の新駅について、本年四月に出された交通政策審議会第百九十八号答申において、地元の相模原市の橋本駅について、リニア中央新幹線駅と在来線駅との乗りかえ利便性の向上が掲げられておりますが、こうした取り組みについて、鉄道駅の開業に係る国としての支援策についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 橋本駅につきましては、本年四月の交通政策審議会答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」におきまして、「リニア中央新幹線駅にふさわしい駅を目指し、駅周辺まちづくりの再整備が行われることに合わせ、新幹線駅、JR在来線及び京王線の乗換利便性の向上が図られること」が期待されるとされているところでございます。

 現在、相模原市におきまして、橋本駅を中心とする周辺地区の整備につき検討されているところでございまして、この中で、京王線橋本駅とリニア駅との乗りかえ距離の短縮化や町のにぎわい創出といった観点から、京王線駅舎を南へ移設することが検討されているというふうに伺っております。

 こうした駅整備につきましては、国土交通省といたしましては、これまで、通路や改札口の新設等による乗りかえの円滑化や、ホーム、コンコースの拡幅による混雑緩和など、鉄道利用者の安全性や利便性の向上を図るための鉄道駅の改良につきまして、鉄道駅総合改善事業費補助により支援を行ってきたところでございます。

 橋本駅につきましては、現在、相模原市を中心に、駅の移設を初めとする駅周辺整備について関係者間で検討、協議が進められているところでございまして、今後、鉄道駅の改良に関する具体的な事業計画を踏まえた上で、必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

西銘委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 きょうは、建設業に従事する人材確保、とりわけ、若い人たちにとっていかに魅力ある業界にしていくことが重要かという観点から質問させていただきたいと思っております。

 私の中学時代の友人が、卒業してすぐ鉄筋工として働きまして、当時は非常に高額の日当をもらっておりました。まだ学生だった私を誘って、よく食事に連れていってもらい、おごってもらった記憶がありまして、建設業で働くというのは、それなりの給料をもらい、力強く、魅力ある仕事の一つなんだなというふうに思ったわけですが、今、なかなかそうなっていないという現状があります。

 初めにお聞きしたいのは、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインにおける建設現場入場問題についてであります。

 石井大臣にお伺いいたしますが、この社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを設けた趣旨についてお答えいただけますか。

石井国務大臣 建設産業におきましては、少子高齢化の進展に伴いまして、高齢化や若年入職者の不足という構造的な課題に直面しているところでございます。

 このような中で、国土交通省といたしましても、担い手の確保のため、技能労働者の処遇向上に取り組んでいるところでございます。その際、適切な賃金水準の確保はもちろんでありますが、社会保険の加入が重要と考えておりまして、業界と一体となって社会保険の加入促進に取り組んでいるところでございます。

 御指摘の社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインにつきましては、建設業における社会保険の加入につきまして、元請企業及び下請企業がそれぞれ負うべき役割と責任を明確にする建設企業の取り組みの指針として策定いたしまして、周知を図っているものでございます。

清水委員 このガイドラインでは、遅くとも二〇一七年度、平成二十九年度以降においては、つまり来年の四月以降ですね、適切な保険に加入していることが確認できない作業員については、元請企業は、特段の理由がない限り、現場には入れない、現場入場を認めないとの取り扱いをすべきである、こう書いているわけなんですね。

 このガイドラインで言うところの適切な保険の定義について、少し整理しておきたいと思うんですね。

 例えば、従業員が五人未満の小さな工務店なり建設業者があったとしましょう。このような小規模な個人事業所等については、法令上、健康保険や厚生年金保険への加入義務はなく、したがって、ガイドライン上は、その従業員が協会けんぽや厚生年金保険に加入しなければならないわけではない、従業員は、個人で国民健康保険及び国民年金に加入することになる。実はこれは、国土交通省のホームページの一問一答というところで明示されているわけですね。

 わかりやすく言うと、従業員が五人未満、四人以下であれば、社会保険への加入義務はありませんよ、従前どおり現場入場できますよということを説明されていると思うんですね。

 一方、一人親方の建設業者に対し、この間、少し問題が起こっておりまして、親会社がこのガイドラインを示した上で、雇用保険に入らないと四月から仕事は出せない、現場入場は認めないと迫る事例が起きているということなんです。一人親方というのは個人事業主ですから、労働者ではありませんので、雇用保険には入れません。

 そこで、確認したいんですけれども、事業主であり、請負としての働き方をして、国民健康保険、国民年金に加入している一人親方は、このガイドラインに示されている現場入場の排除の対象にはならないということですね。これを確認したいと思います。

谷脇政府参考人 御指摘のございました、事業主として請負で働いておられて、国民健康保険、国民年金に加入していらっしゃる一人親方につきましては、社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン上、現場入場が認められる者であるというふうに考えております。

清水委員 確認されました。一人親方の場合は、従来の国保、国民年金への加入で問題がありませんよ、現場入場の制限を受けないということが明らかになりました。

 ただ、実際、現場では、このガイドラインの誤った解釈によって、親企業から、いやいや、一人親方であろうが、来年四月からは社会保険加入が義務だ、そうでなければ現場入場させない、下請に仕事は出さないというような混乱も起きているということなんですよ。

 それで、石井大臣にお伺いしますが、やはり、国土交通省として、このようにガイドラインを適正に把握していない、こういう事例についてはしっかりと把握するべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。

石井国務大臣 社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインでは、「適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべき」としているところでございます。

 社会保険は、事業所の態様によって加入すべき保険の種類が異なりますが、国土交通省が開催いたしました説明会等の場で、特に小規模の事業者から、加入すべき保険がわからない旨の御意見を頂戴したところでございます。

 このため、このガイドラインの適切な運用を図ることを目的とした通知を今月の五日に関係団体等に発出いたしまして、同ガイドラインにおける適切な保険の範囲を改めて明確化したところでございます。

 今後とも、さまざまな機会を利用いたしまして、この通知の周知を図りつつ、建設業における社会保険未加入対策に取り組んでまいりたいと考えております。

清水委員 従業員四人以下の小規模事業者であるとか、あるいは今私が申し上げました一人親方らが、元請あるいは親会社のこうした誤った認識によって来年四月から現場入場を制限される、契約を打ち切られるというようなことの不安が広がらないように、しっかりと対応していただきたいというふうに要求しておきたいと思います。

 ところで、今、御説明にもありましたけれども、五人以上の場合は社会保険加入が義務づけられるわけですよね。雇用保険料、健康保険料、年金保険料、これが事業者に義務づけられるということなんですが、ただ、現場でいいますと、元請と下請との契約における法定福利費、これは保険料の費用負担ですが、これがちゃんと含まれなければ、結局、下請事業者の負担増となってしまうわけであります。

 国土交通省は、元下間で法定福利費がきちんと支払われることを期待して、この間、法定福利費の内訳を明示した見積書を提示されてきたというふうに説明を受けました。つまり、単価とは別に法定福利費がこれだけかかりますので、これはしっかりお支払いくださいという見積書、これを出しているということなんですが、この活用状況とその効果のほどについて教えていただけますか。

谷脇政府参考人 法定福利費を内訳明示した見積書の活用状況につきまして、私ども、昨年の十一月にアンケート調査を行っております。

 その中で、回答いただきました下請の企業約千六百社のうち、法定福利費を内訳明示した見積書をほとんどまたはおおむね提出しているという企業が全体の約四五%でございました。その前の年にも同様の調査をしておりまして、そのときが約三二%でございましたので、一年間で約一・四倍に増加しているという状況でございます。

 さらに、見積書を提出した結果として、約五割の企業が、法定福利費を含む見積金額全額が減額されることなく支払われる契約となったというふうに回答しているところでございます。

清水委員 今、御説明がありましたように、千六百社にアンケートをとった、法定福利費を内訳明示した見積書の提出、おおむね全て出しているのが四五%と。その四五%のうち、いわゆる法定福利費を含む見積額全額が支払われたと答えた方が、私がいただいている資料では、四五・九%、五割弱なわけですね。つまり、内訳書を明示したとしても法定福利費が全額支払われないケースが、半分あるいはそれ以上、今残っているということなんですね。

 要するに、これでは、下請企業は社会保険に加入せよと、これは保険の未加入を促進するということで、五人以上の場合はどんどん社会保険の義務化が行われていく。このガイドラインによって保険加入が確認されない場合は、現場入場が制限される。当然、事業者としては、適正な保険に加入しようと努力するわけですが、しかし、元下間で、今説明があったように、内訳明示した見積もりを出しているにもかかわらず、それが支払われていないという現状があるわけですよね。これでは、経営が圧迫されるわけですし、いわゆるやる気のある、将来有望な若手従業員に対しても、適正な賃金を確保することは難しくなると言わなければなりません。

 国土交通省として、この状況を改善し、法定福利費が、注文者から、元請、親会社から全額支払われる策を講じるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 社会保険の加入を進めるためには、元請企業から下請企業に対しまして、社会保険の加入に必要な法定福利費が適切に支払われることが重要であると認識をしております。そのため、建設業団体に対しまして、適切な法定福利費の確保を繰り返し要請するとともに、法定福利費を内訳明示した見積書の活用促進に取り組んでいるところでございます。

 今年度の取り組みといたしましては、小規模の事業者向けに、法定福利費の算出方法や見積書のつくり方についてわかりやすく解説する研修会を先月より開催しているのに加えまして、元請となることが多い大臣許可業者に対しましては、立入検査の機会にあわせて見積書の活用状況を確認するなど、さらなる活用徹底に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、現場の実態を踏まえつつ、法定福利費の確保に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

清水委員 大臣、見積書の活用は否定しませんけれども、それによって、約半数が法定福利費が全額支払われていないという現状を私は指摘しているわけで、何か万能薬みたいに認識されているというのは、ちょっと違うと私は思うんですね。

 それで、加えてちょっとお聞きしたいんですけれども、下請業者に対して内訳明示の見積書の指導をするのはいいですよ。しかし、それを支払うのは元請であり親会社なわけですから、そこが支払わないというのであれば、そこに対する指導こそ私は必要だと思うんですね。

 この改訂されたガイドラインを読みますと、「下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重せず、法定福利費相当額を一方的に削減」したりする、これはまさしく「建設業法第十九条の三の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあるので、これを厳に慎むこと。」ガイドラインにこう書いているわけですね。

 ですから、見積書だけではなくて、実際に支払われているかどうか、ここをしっかり確認して、支払われていないのであれば、その元請や親会社に対して国交省が指導しないと、法定福利費を満額支払うということは実現しないんじゃないでしょうか。そこはいかがでしょうか。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

谷脇政府参考人 建設工事の元請、下請間の適正な契約取引をしっかりと推進していくということは、非常に重要であるというふうに考えております。その中でも、法定福利費は、当然、必要経費でございますので、請負契約の金額に含まれてしっかりと支払われるということが非常に重要であるというふうに考えております。

 そういう中で、いろいろな方法があるわけでございまして、一つ申し上げました見積書の活用というのは、非常に有効だというふうに思っております。

 先ほど、全額が五割弱というお話をさせていただきましたけれども、法定福利費は全額払われているとおっしゃっている企業は、さらにプラスして四割ほどいらっしゃるわけでございます。それは、若干総額が変動したという部分がありますので、先ほどちょっと申し上げませんでしたけれども、そういう効果も出ているということでございます。

 さらに、個々の取引につきまして、取引の状況の中で指導する必要があるものにつきましては、適切に指導していきたいというふうに考えております。

清水委員 結局、法定福利費が払われていたとしても、単価の方で減額されているということになるのは、このガイドラインにも違反するわけですから、やはりそこを強く指導するということは必要だと思います。

 いずれにしましても、本当に、処遇の改善とか、建設労働従事者の明るい展望、未来を切り開いていくという点では、この法定福利費がしっかりと払われる、今の対応は不十分だ、こう指摘して、私の質問を終わります。

西村(明)委員長代理 次に、本村伸子君。

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 きょうは、議員立法として進められてきました建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案にかかわって質問をしたいというふうに思います。

 この法案は、建設業における安全及び健康を確保する対象として、建設労働者に加えて、事業者と労働契約のない、いわゆる一人親方と呼ばれる方々も加えるというもので、極めて大切なものだというふうに思っております。私ども日本共産党も、大切な法案だからこそ実効ある中身にしたいということで、修正案を各党の責任ある御担当の皆様にお届けいたしました。

 例えば、建設工事従事者の安全及び健康を確保するためには、安全や健康のための経費の積算、明示、支払いについて工事の発注者や元請に責任があることを明らかにするということや、あるいは、安全、健康の経費の支払いは、下請重層構造のもとでも、実際に働いている事業者、働く人たちまで確実に支払われるようにするために、工事費とは別枠で支払われる必要があるということなどを提案してまいりました。

 全て受け入れていただくということにはなりませんでしたけれども、法案の第一条の「目的」の中に、「公共工事のみならず全ての建設工事について建設工事従事者の安全及び健康の確保を図ることが等しく重要であることに鑑み、」という文言が盛り込まれたわけでございます。

 建設業の労災を防止する取り組みというのは本当に喫緊の課題だというふうに思います。厚生労働省の労働災害統計によれば、二〇一五年、年間三百二十七名の建設労働者の方がお亡くなりになっております。これは年間労災の死亡者の九百七十二名の三三・六%で、業種別死亡者の数というのは建設業が最も多いわけでございます。

 また、二〇一五年に、建設労働者とは別に、一人親方等ということで、厚生労働省がつかんでいる数字でも少なくとも八十一名の方がお亡くなりになっております。この痛ましい死亡労災事故が起こらないように、私たち国土交通委員として心しなければならないというふうに痛感をしております。

 しかし、先日も、十二月三日ですけれども、岐阜県の高山市、国道四十一号バイパスの宮峠トンネル工事をしていた作業員の男性が、ダイナマイトで掘削をした岩盤を取り除く作業をしていたところ、トンネルの側面の壁の岩盤の一部が崩落して、頭部を直撃して亡くなられたということがございました。心から哀悼の意を申し上げたいというふうに思います。

 現在捜査中ですけれども、安全対策が適切に行われていなかったという可能性もございます。建設現場の安全対策を強化することは必要だ、重要だということを改めて申し上げたいと思います。

 国土交通大臣に伺いますけれども、建設工事従事者の方々の安全、健康対策の重要性をどのように認識しているのか、一人親方の方々のことも含めて御答弁をお願いしたいと思います。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

石井国務大臣 建設工事は屋外で施工することが多く、その作業環境が多様で厳しいものとなっております。一方で、建設産業は、現場での直接施工を担う技能労働者によって工事の品質が大きく左右されるという、いわば人材で成り立っている産業でございます。

 こうした中、過去に比べると建設業における死亡災害等は大きく減少しているものの、平成二十七年におきましても、一人親方も含めて四百八名の方が亡くなっている現状は重く受けとめなければならないと考えております。

 建設現場の安全、健康の確保につきましては、労働安全衛生法を所管する厚生労働省と連携しつつ、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

本村(伸)委員 建設工事の発注者や元請の高い意識、そして責任を持った対応こそ、建設工事従事者の安全、健康は守られるというふうに思うわけです。

 公共工事の場合、公共工事の品質確保の促進に関する法律でも、発注者の責任を重視して、二〇一四年に法改定をしていると思いますけれども、その法改定の趣旨を端的にお示しいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました平成二十六年の改正品確法におきましては、基本理念といたしまして、これまでの工事の品質確保に加えまして、公共工事の担い手の中長期的な確保、育成が明確に位置づけられました。さらに、発注者の責務として、企業が適正な利潤を確保できるよう予定価格を設定すること、あるいは効果的なダンピング対策などを講ずることが規定されたところでございます。

 この法律は議員立法でございましたけれども、その背景といたしましては、建設産業におきまして、近年の建設投資の急激な減少、受注競争の激化などによりまして、地域の建設企業の疲弊や、下請へのしわ寄せ、現場の技能労働者等の賃金の低下を初めとする就労環境の悪化といった問題が発生していたことが挙げられるというふうに考えております。

 また、一部の公共発注者に残る安ければいいといった意識も、こうした問題をさらに深刻化してきたという面もあるのではないかと考えております。

 このような状況を踏まえ、将来にわたる公共工事の品質確保と、その担い手の中長期的な確保、育成を目的として改正されたものと承知しております。

本村(伸)委員 今御説明いただきました品確法の改定の趣旨は、公共工事にとどまることなく、やはり民間の工事についてもその趣旨は徹底されなければならないというふうに思っております。

 国交省として、建設工事従事者の安全、健康対策は、公共工事もそして民間工事も、発注者、元請にも責任があるということを前提に進めるべきだというふうに思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 建設工事従事者を含めた労働者の安全や衛生につきましては、労働安全衛生法におきまして、事業者がその責任を負う旨が定められております。また、同法におきましては、事業者の中でも特に元請となる企業に対しまして、労働災害を防止するため講ずべき必要な措置を具体的に定めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、労働安全衛生法の考え方を踏まえまして、建設工事において労働災害防止対策を適切に実施する観点から、建設業法令遵守ガイドラインを定め、これに基づき元請企業と下請企業の責任関係を明確にするよう、建設企業に対して指導してきたところでございます。

 なお、建設工事における受発注者間の請負契約におきましては、建設現場の安全や衛生を確保する観点から、適切な経費や工期が設定されるべきでありまして、公共工事の発注に際しまして適切に設定されているものと認識をしているところでございます。

本村(伸)委員 民間工事でも徹底をしていただきたいと思うわけでございます。

 建設労働者の労働災害の死亡事故を見てみますと、二〇一五年でいいますと、その四割が墜落、転落が原因になっております。一人親方等として厚生労働省がつかんでいるだけでも、その六割が転落そして墜落が原因になっております。

 今回、建設工事従事者安全健康確保推進法案が全会一致で進められているわけですけれども、安全対策というなら、やはり墜落、転落防止策が含まれなければならないというふうに思います。

 また、健康ということでいえば、とりわけアスベスト、じん肺の防止対策というのは建設現場で働く皆さんから強い要望がございます。建設業の担い手確保ということであれば、こういう対策経費も健康確保の経費に含めることが大事だというふうに思います。

 じん肺やアスベスト対策については、救済法をつくってほしいというのが御遺族や当事者の方々の思いでございます。

 例えば、トンネル工事に関しましても、転々とトンネル工事をされる方々は、トンネルをつくるときには雇われて、トンネルがつくり終わったら解雇され、またトンネルをつくるときに雇われ、また終わったら解雇される、こういう雇用形態を繰り返しているわけでございます。こういう労働者がいるからこそ、ゼネコンもトンネルをつくることができるわけでございます。

 ですから、こういう雇用形態を前提としているのであれば、せめて、トンネル建設労働者の全ての期間の就労の状況、労働期間をつかむということや、あるいは健康管理、健康診断をしっかりするということや、安全教育、粉じん対策教育などをしっかりとするということを業界全体挙げて管理する仕組みをつくって、じん肺の予防を徹底するという対策が必要だというふうに思います。

 そして、裁判に訴えなくても働く人たちが救済される、そういう基金をつくって被害者を救済する仕組みをつくるということが必要でございます。これは超党派でかなりの議員の皆さんが賛同しているのになぜ進まないのかというのが、御遺族や当事者の方々、支援者の方々の思いでございます。

 墜落、転落防止対策やじん肺、アスベスト対策、救済、ぜひこうしたことを国交省としてももっと強化するべきだというふうに思いますし、強化するべきだということを厚生労働省にお伺いしたいというふうに思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業における労働災害につきましては、御指摘のありましたとおり、死亡災害の約四割を墜落、転落災害が占めておりまして、その防止を図ることが大変重要だと私どもも認識をしているところでございます。

 このため、従来からの種々の対策、規制に加えまして、昨年七月には改正労働安全衛生規則を施行いたしまして、足場の組み立て変更時に元請が足場の点検を行うことであるとか、足場組み立て作業に従事する労働者に対する特別教育の義務化を図るであるとか、足場からの墜落防止措置を強化し、一層の履行確保に努めているところでございます。

 また、一層の向上を図るという観点から、墜落防止用の個人用保護具、いわゆる安全帯に関して、その規制のあり方について、この十一月から、学識経験者や業界関係者にお集まりをいただいた検討会を立ち上げて検討を開始しております。

 また、御指摘のありましたアスベストあるいはじん肺につきましても、暴露の防止であるとか環境測定であるとか、さまざまな規定、規制を設けまして対応しているところでございまして、なお一層の対応を努力してまいりたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 じん肺、アスベストの点はお答えいただいたでしょうか。

土屋政府参考人 先ほど最後にお答えいたしましたように、じん肺、アスベストについても、その暴露防止対策あるいは環境測定の義務化等々、これまでもさまざまな規制をもって対応してきているところでございまして、引き続きしっかり対応してまいりたいと思います。

本村(伸)委員 ぜひもっと強化をしていただきたいというふうに思います。

 安全と健康のための経費の支払いというのは、下請重層構造のもとでも、実際に働いている人たちに確実に支払われるようにするためには、発注者の段階から工事費とは別枠で経費を確保して、現場で働く事業者、働く人に至るまで、そのままの額で支払われる必要があるというふうに思うわけです。

 きょうは務台内閣府大臣政務官にも来ていただいております。

 まずお伺いをいたしますけれども、下請企業に対して消費税分を支払わないのは、消費税転嫁対策特別措置法では禁止されているというふうに思いますけれども、消費税の転嫁拒否等の五類型も含めてお答えをいただきたいというふうに思います。

務台大臣政務官 本村委員にお答えします。

 消費税転嫁対策特別措置法は、第三条におきまして、禁止される行為を列挙しております。一号では減額及び買いたたき、二号では商品購入、役務利用または利益提供の要請、そして三号では本体価格での交渉の拒否、そして四号で報復行為をそれぞれ禁止しており、同法は建設業にも適用されております。

 なお、特措法施行が平成二十五年十月からでしたが、この二十八年十月までの三年間で三千六十二件の指導、三十六件の勧告が行われておりますが、うち建設業者にかかわるものの指導三百六十五件、勧告四件という結果が出ております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 そういう仕組みを、同じように建設工事従事者の安全と健康を守る経費にできたらというふうに思うわけです。そういう経費が買いたたきに遭ったり減額などがあってはならないというふうに思います。

 務台政務官は、政務官という立場ではなく、今度は政治家としてお伺いをしたいんですけれども、今回の建設工事従事者安全健康確保推進法案の作成に当たって中心的にかかわられたというふうに思いますけれども、この建設工事従事者安全健康確保推進法案に関して、安全経費、健康経費は、下請重層構造のもとで、実際に働いている事業者、働く人まで確実に支払われるようにするために、工事費とは別枠で支払われるようにするべきだというふうに考えますけれども、認識を伺いたいと思います。

務台大臣政務官 内閣府の政務官の立場としては、今回の議員立法は所管ではありませんので、お答えすることは本来差し控えるべきであると思いますが、私自身、法律案を検討してきたメンバーでもございますので、あえて答えさせていただきたいと思います。当時行われた議論を紹介するという形でお答えさせていただきたいと思います。

 委員や御党が提案されている別枠支払いは、大変意欲的なもので、傾聴に値する御意見だと思っておりますが、一方で、その趣旨は、安全衛生に関する経費が適切かつ明確に積算され、この内容が明示されること、これは法案の十条で書かれております、そして、下請関係の適正化、これが法案の十一条、これらの規定によって実質的に担保されると考えておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 働く人の安全、健康を守る経費をしっかりと確保するということで、国交省としても力を注いでいただきたいというふうに思います。

 務台政務官にもう一問お願いをしたいんですけれども、この建設工事従事者安全健康確保推進法案は、建設工事従事者等の中には、当然、労働者である外国人技能実習生も入ると思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

務台大臣政務官 法案の二条では、建設業法に規定する建設工事に従事する者が建設工事従事者であると定義されております。

 したがいまして、委員のおっしゃるとおり、外国人技能実習生が建設分野で受け入れられ、建設業法に規定する建設工事に従事している場合には、当然、この法案に言う建設工事従事者に該当するものと認識しております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 資料一にも出しましたけれども、現在、日本にいる技能実習生の方々は二十一万人以上でございますけれども、建設分野で働く外国人技能実習生の数の推移を二〇一一年、二〇一五年の数字でお願いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 分野別の技能実習生数に関する統計につきましては、技能実習二号への移行者数、すなわち、おおむね一年目から二年目への移行者数で把握をしてございますけれども、建設分野の最近の動きといたしまして、平成二十三年が二千九百五十四人であったものが、平成二十七年には八千八百三十九人に増加をしてございます。

本村(伸)委員 資料の二に出しておりますけれども、次にお伺いをしますけれども、外国人技能実習生の失踪がふえておりますけれども、二〇一一年、二〇一五年、推移をお示しいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生の失踪者数は、二〇一一年には千五百三十四人であったものが、二〇一五年には五千八百三人と増加をしてございます。

 このうち、分野別でございますけれども、入国管理局では、特に近年失踪事案が急増していることに鑑みまして、平成二十八年九月以降失踪した技能実習生が従事していた職種についての調査を開始いたしました。それによりまして、ことしの九月と十月の数字で見ますと、失踪者の総数九百五十三名のうち建設関係で二百九十二名、業種別で最も多くの失踪者が発生してございます。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 二〇一一年から二〇一六年九月末まで、資料の三枚目の数字ですけれども、合計で外国人技能実習生が二万一千四百九十二名失踪しているわけでございます。この方々は一体どこに行ってしまったのかということが、命さえも私は心配になるわけでございます。

 私の地元愛知の愛知県労働組合総連合、愛労連の皆さんのところには、この外国人技能実習生の方からのSOSが入るわけです。逃げてくるケースが多いわけですけれども、どの業種が多いのか、感覚として建設業が多いけれども、つかんでほしいということで、ずっと求めてまいりました。そして、やっとこの九月、十月の数字をつかんでいただき、建設業の失踪者が一番多く二百九十二名というのが、先ほど御答弁があったところでございます。

 この失踪が多い理由について次にお答えをいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 平成二十六年三月以降で私どもがこれまでに失踪技能実習生及び関係者から事情を聴取するなどした調査では、失踪の動機といたしまして、技能実習生に対する人権侵害行為等、あるいは受け入れ側の不適正な扱いによるものもありますけれども、一番は、技能実習を出稼ぎ労働の機会と捉え、より高い賃金を求めて失踪する者が多数であるという調査結果になってございます。

本村(伸)委員 資料の五枚目を見ていただきたいんですけれども、失踪者が失踪する動機ということで、賃金が安いというのが最も多いわけでございます。

 技能実習二号への移行者全体が二〇一五年で六万一千八百九名、そのうち建設関係は八千八百三十九名で、二号に移行された方は一四・三〇%なんです。一方で、資料の四なんですけれども、結局、失踪者は三〇・六四%が建設業にかかわる方々でございます。異常に失踪者が多いというのは明らかでございます。

 外国人技能実習生の失踪者が建設関係で一番多いという問題、建設を所管している国交大臣としてどのようにこの現実を認識しているかということ、そして、建設業の担い手を、若手をふやしたいということで、処遇改善を中心として、担い手確保、育成対策のさらなる強化ということを国交省は言っているわけですけれども、外国人技能実習生の方々が失踪するようなブラックな職場、これではやはり建設業の担い手はふえていかないというふうに思います。

 外国人技能実習生の方々も安心して働ける職場を建設業の分野でどうやってつくっていくおつもりなのかという点、建設関係で失踪者が一番多いという点に関しての大臣の認識や責任、そして、外国人技能実習生も安心して働ける職場をどうつくっていくおつもりかというこの二点、大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 外国人技能実習生の受け入れに係る制度の所管は法務省及び厚生労働省でございますので、国土交通省として、この点について見解を申し上げる立場にはございません。

本村(伸)委員 大変無責任な答弁だというふうに思います。強く抗議をしたいというふうに思います。

 実際に逃げている方は建設業でふえているわけでございます。そして、法務省、厚生労働省といっても、入管でも人が足りない、そして労働基準監督署も人が足りない、そういう中で、なかなか現場を押さえることができないという中で、国交省が協力しなければこの現状を改善することができないというものでございます。

 愛労連の皆さんのところに駆け込んできたケースでは、昨年二月、東京から逃げてきた建設関係で働いていたフィリピンの技能実習生の方は、手取りが月額二万四千円でした。未回収分として、安全帯、作業服、道具代など三万二千円、これは借金になっております。これでは逃げ出すのも当然だというふうに思います。

 建設業は、雨の日は仕事がないなど、ほかの産業の働き方とは違う特殊性がございます。

 建設業の外国人技能実習生の方のお話をお伺いしますと、建設現場までの移動の時間は時給に入らない、現場で仕事をした時間のみカウントされる、午前三十分、午後三十分の休憩やお昼の休憩六十分、合計二時間は労働時間に入らない、最低賃金に近いような時給で働いておられます。暮らしていけないのは当然だというふうに思います。

 外国人技能実習生の方は、兼業、ほかに仕事をするということはできない仕組みでございます。

 ことし二月に相談のあった鹿児島県のフィリピン人の技能実習生の建設業の方は、出勤日数は十七日で、基本給が六万九千四百円。鹿児島県で最低賃金六百九十四円で計算をいたしますと、一日六時間労働ということになりますけれども、実際はそうなのか。一日四千八十二円ということになります。鹿児島県の最新の設計労務単価を見てみますと、例えば、普通作業員で一万五千七百円になっております。日本の国交省、農水省の直轄の工事の十六万人のサンプルから設計労務単価というものは算出されておりますけれども、三・八倍の乖離がある。

 日本人が従事する場合の報酬と同等額以上ということで外国人技能実習生の待遇はなっているのに、なぜこういう生活できない賃金がまかり通っているのかという問題がございます。

 もう一つ、埼玉の建設関係のとびをしていた中国人技能実習生の方ですけれども、建設現場で落ちていたスチールパイプでけがをしました。病院では、会社は労災と言わずに、逆に、仕事に来なければ首と言われたそうです。結局、首にされて、帰国をさせられてしまった。言葉が十分ではなく、会社で殴られたこともあるそうです。この会社では、残業代が支払われず、家賃なども契約書と違う内容がありまして、昨年も一人逃げております。

 宮城県の気仙沼から名古屋に逃げてきたベトナム人技能実習生の方は、職種は、ベトナムでは溶接だったのに、日本に来たら鉄筋工になっておりました。結局、だまされていたわけでございます。受け入れ団体は広島県、実習企業本社は鳥取県、就業場所は宮城県の気仙沼だったそうです。時給は七百五十円、七時間半、日給五千円から六千円。同一の会社が送り出し機関とそして受け入れ組合もやっておりました。寮は仙台の郊外で、一時間半かけて気仙沼の現場に行く。その移動の時間も無給だということでございます。

 広島の入管の職員が宮城県の気仙沼まで行くことはできません。こういう状況、先ほども申し上げましたように、入管の職員も足りない、労働基準監督署の労働基準監督官も足りないという中で、なかなか把握すら難しい現実がございます。

 国交省は、外国人技能実習生の問題は入管の問題だ、法務省の問題だ、厚生労働省の問題だというふうに言いますけれども、そう言っていては、建設業における先ほど来言っている失踪が相次いでいる問題を解決できないからこそ、国交大臣にこうやってしっかりと取り組んでほしいということで実態をお伝えしているわけでございます。

 国交省としても、建設業で働く人の問題として、外国人技能実習生の問題……

西銘委員長 時間が来ていますので、まとめてください。

本村(伸)委員 実際どうなっているのかということを実態調査してください。せめて公共工事の分野では実態調査ができると思います。そして、違反を繰り返す悪質な建設業者に対しては、建設業の取り消しも含むくらいの強い姿勢で取り組むべきだというふうに思います。そして、公共事業について、外国人技能実習生が失踪するような労働条件、人権侵害がないように徹底するべきだということを大臣に強く申し上げて、答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

西銘委員長 大臣、時間が来ていますので簡潔にお願いします。

石井国務大臣 技能実習生に係る労災隠しや処遇等への対応につきましては、関連する制度を所管する法務省及び厚生労働省において必要な検討や対応が行われるべきものであると考えております。

本村(伸)委員 労働現場のこうした問題を改善しなければ、やはり若い人たちが建設職場に入ろうということにならないわけですから……

西銘委員長 本村委員、時間です。

本村(伸)委員 改善を求めて、質問を終わりたいと思います。

     ――――◇―――――

西銘委員長 次に、参議院提出、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院国土交通委員長増子輝彦君。

    ―――――――――――――

 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

増子参議院議員 ただいま議題となりました建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案について、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 建設業は、地域のインフラ整備や維持管理などの担い手であるとともに、地域経済、雇用を支え、災害時には地域社会の安全、安心の確保を担う地域の守り手として、国民の日常生活及び社会生活に極めて重要な役割を果たしております。その一方で、建設業における労働災害の発生状況は深刻であり、死亡災害は減少傾向にあるものの、平成二十七年には三百二十七人が亡くなり、死亡者数が最も多い業種となっております。これは全業種の死亡者数の約三分の一を占め、一日におよそ一人が亡くなっていることになります。

 本法律案は、このような現状を踏まえ、公共工事のみならず全ての建設工事について建設工事従事者の安全及び健康の確保を図ることが等しく重要であることに鑑み、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めること等により、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって建設業の健全な発展に資することを目的とするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、基本理念として、建設工事の請負契約において適正な請負代金の額、工期等が定められること、建設工事従事者の安全及び健康の確保に必要な措置が設計、施工等の各段階において適切に講ぜられること、建設工事従事者の安全及び健康に関する意識を高めることにより安全で衛生的な作業の遂行が図られること、並びに建設工事従事者の処遇の改善及び地位の向上が図られることについて定めるものとしております。

 第二に、国は、基本理念にのっとり、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有するものとする等、国、都道府県及び建設業者等の責務を定めるものとしております。

 第三に、政府は、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上または税制上の措置その他の措置を講じなければならないものとしております。

 第四に、政府は、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本計画を策定しなければならないものとするとともに、都道府県は、基本計画を勘案して、都道府県計画を策定するよう努めるものとしております。

 第五に、基本的施策として、国及び都道府県は、建設工事の請負契約における経費の適切かつ明確な積算等、建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する責任体制の明確化、建設工事の現場における措置の統一的な実施、建設工事の現場の安全性の点検等、建設工事従事者の安全及び健康に関する意識の啓発等について必要な施策を講ずるものとしております。

 第六に、政府は、関係行政機関相互の調整を行うことにより、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進を図るため、建設工事従事者安全健康確保推進会議を設けるものとするとともに、関係行政機関は、専門家によって構成する建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議を設けるものとしております。

 以上が、本法律案の趣旨及び内容の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西銘委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西銘委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西銘委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中根一幸君外四名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。本村賢太郎君。

本村(賢)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 建設工事従事者の「安全及び健康の確保」が「処遇の改善及び地位の向上」の促進を旨として行われるよう、これらを総合的に結びつける施策の検討を進め、基本計画に盛り込むこと。また、その際「安全及び健康の確保」が何よりも優先されるべきであることに十分配慮すること。

 二 墜落事故の防止対策その他建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する経費については、現在、政府が進めている法定福利費を内訳明示した見積書の提出等に関する施策を一層強力に進める等、社会保険一般の未加入対策について、その一層の推進を図ること。

 三 社会保険に関する必要な経費を適切かつ明確に確保し、これが下請事業者に至るまで確実に支払われ、所要の施策が講ぜられるようにすることは、建設工事従事者の安全及び健康の確保のみならず、処遇の改善を図る上でも重要な施策であることに鑑み、社会保険料一般を含む安全及び健康の確保に関する経費が適切に支払われるよう努めること。

 四 建設労働災害や事故の原因の一つとして、適正な工期が確保されていない問題が指摘されていることに鑑み、安全確保のための余裕ある工期の設定が図られるべきであることを基本計画において明示すること。

 五 建設労働災害の撲滅に資するため、建設工事現場の調査、研究、分析に努めること。

 六 建設工事の現場の安全を確保し、災害を防止するためには、不断の点検が重要となるため、十分な知識・経験を有する者による点検の促進を図ること。

 七 専門家会議の委員の人選に当たっては、単に専門的知識だけでなく、科学的、社会政策的知見に基づき客観的立場に立った意見及び建設工事従事者の立場に立った意見の反映が担保されるような構成とすること。

 八 本法の趣旨に基づき、建設労働災害の四割程度を占める墜落災害の撲滅を期すために、制度の整備及び労働災害防止計画の改定を始めとする実効ある対策を推進すること。

 九 本法による施策の推進をより実効あらしめるため、関係する審議会等に現場の実態が的確に反映されるよう、委員の構成等について配慮すること。

 十 今後東京オリンピック・パラリンピック関連工事が増大することに伴い、建設工事従事者の安全と健康に特に配慮が必要な状況の下、政府はそのために必要な対策を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西銘委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。

石井国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、関係省庁と連携させていただきながら努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

西銘委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

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    〔報告書は附録に掲載〕

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西銘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時一分散会


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