第6号 平成29年4月5日(水曜日)
平成二十九年四月五日(水曜日)午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 西銘恒三郎君
理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君
理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君
理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君
理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君
秋本 真利君 小倉 將信君
大塚 高司君 大西 英男君
加藤 鮎子君 金子万寿夫君
金子 恭之君 神谷 昇君
神田 憲次君 木内 均君
工藤 彰三君 小島 敏文君
小松 裕君 佐田玄一郎君
田所 嘉徳君 津島 淳君
中谷 真一君 中村 裕之君
根本 幸典君 橋本 英教君
藤井比早之君 藤丸 敏君
古川 康君 堀井 学君
前田 一男君 望月 義夫君
荒井 聰君 黒岩 宇洋君
小宮山泰子君 松原 仁君
水戸 将史君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 横山 博幸君
伊佐 進一君 北側 一雄君
中川 康洋君 清水 忠史君
本村 伸子君 木下 智彦君
椎木 保君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
国土交通副大臣 末松 信介君
国土交通大臣政務官 藤井比早之君
国土交通大臣政務官 大野 泰正君
国土交通大臣政務官 根本 幸典君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 土生 栄二君
政府参考人
(内閣官房日本経済再生総合事務局次長) 宇野 雅夫君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 刀禰 俊哉君
政府参考人
(財務省理財局次長) 中尾 睦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房物流審議官) 重田 雅史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 五道 仁実君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 栗田 卓也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 山田 邦博君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 石川 雄一君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 由木 文彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 奥田 哲也君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 菊地身智雄君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 佐藤 善信君
政府参考人
(観光庁長官) 田村明比古君
政府参考人
(海上保安庁長官) 中島 敏君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
―――――――――――――
委員の異動
四月五日
辞任 補欠選任
鈴木 憲和君 小倉 將信君
中谷 真一君 小松 裕君
古川 康君 金子万寿夫君
前田 一男君 神田 憲次君
村岡 敏英君 宮崎 岳志君
椎木 保君 木下 智彦君
同日
辞任 補欠選任
小倉 將信君 鈴木 憲和君
金子万寿夫君 藤丸 敏君
神田 憲次君 前田 一男君
小松 裕君 中谷 真一君
宮崎 岳志君 村岡 敏英君
木下 智彦君 椎木 保君
同日
辞任 補欠選任
藤丸 敏君 古川 康君
―――――――――――――
四月四日
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○西銘委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房物流審議官重田雅史君、大臣官房技術審議官五道仁実君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長山田邦博君、道路局長石川雄一君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、観光庁長官田村明比古君、海上保安庁長官中島敏君、内閣官房内閣審議官土生栄二君、日本経済再生総合事務局次長宇野雅夫君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君及び財務省理財局次長中尾睦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。工藤彰三君。
○工藤委員 皆さん、おはようございます。自由民主党、名古屋の工藤彰三でございます。
質問の機会を与えていただきました。感謝申し上げます。
多岐にわたりますので、順次お尋ねいたします。
まず初めに、名古屋港ポートアイランド地区についてであります。
名古屋港は、皆さん御存じのとおり、自動車関連産業を中心に、工作機械や航空宇宙産業など、世界屈指の物づくり産業を物流面で支えています。昨年の総取扱貨物量は一億九千三百二十一万トンで、二〇〇二年から十五年連続の日本一を堅持しています。貿易高は年間十七兆円、六兆円を超える貿易黒字を生み出しています。我が国の貿易黒字額が四・七兆円でありますので、まさに稼ぎ頭であり、経済を牽引している重要な港として機能しております。
一枚、資料をお渡しいたしました。資料をごらんいただきたいんです。写真ですが、こちらのポートアイランドから名古屋港を北上しますと、名古屋駅がございます。名古屋駅の赤丸部分の下に河川が三本見えるかと思いますが、こちらに庄内川、新川、日光川と東から順番に流れており、この川は、下流域の土砂が名古屋港に流れ出てきまして、水深を浅くしてしまうという弱点があります。
名古屋港は決して深い港ではありません。毎年のように流入土砂をしゅんせつしていく必要があります。このしゅんせつした土砂を昭和五十年から処分開始し始めた、埋め立てた巨大な島がこのポートアイランドであります。護岸工事で枠組みをして、それからどんどんしゅんせつ土砂を積み上げました。既に、海面下には三千万立米、海上には千七百五十万立米が積み上げられ、面積は約二百五十七ヘクタール、東京ドームの約五十五個であり、積み上げられた高さは十八メートルであります。
ポートアイランドと書かれた字の左右に白線がありますが、これは防波堤であります。昭和三十四年の伊勢湾台風の大災害後に、国が五年かけて建設された高潮防波堤でありますが、高さ六メーターであったんですが、五十年を経て侵食され、徐々に沈下しました。五年前から、地元の皆さん、近隣の皆さんとともに十万三千二百の署名を集めて、国交省に出向きまして、それを認めていただきまして予算化していただきました。二メーターのかさ上げ、さらに強固なものにしていただきまして、高潮防潮堤から津波防波堤という強いものに変わりました。南海トラフ地震発生時の津波対策となりましたことに対して、国土交通省に対してこの場をおかりして深く感謝申し上げます。
ただ、問題があるのは、ポートアイランドの字が書いてあるところが、この南側が、土砂処分がまだ固まっておりません、十八メーターありません。固まっていないところに津波が襲ってきますと、土砂が流れます。こちらの東と西の航路に対して土砂が流れますと、十六メーターの航路が浅くなり、大きな貿易船が名古屋港を行き来できなくなるわけであります。
港湾機能の維持そして継続に支障が生じる懸念があるわけでありますので、今後のポートアイランド地区の防災上の安全対策と処分場の見通しや対応について、港湾局長にお尋ね申し上げます。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
名古屋港では、利用船舶の大型化に対応した航路、泊地の拡幅、増深のため、しゅんせつ事業を進めており、土砂処分場であるポートアイランド地区において、しゅんせつ土砂の受け入れを行っているところでございます。
現在、港内には新たにしゅんせつ土砂を処分できる比較的大規模な埋立地がないことから、ポートアイランド地区に十八メートルの高さまで築堤を整備し、しゅんせつ土砂を仮置きしているところでございます。
仮置きしているしゅんせつ土砂につきましては、現在、水面から約十六メートルの高さとなっておりますが、十八メートルの高さまでは既に護岸の補強等を実施しており、南海トラフ地震等の最大クラスの地震、津波が発生した場合におきましても、主要航路の埋没につながる土砂流出はないものと考えております。
しかしながら、高さ十八メートルを超える築堤のかさ上げは困難な状況であります。さらに、平成三十年代前半にもしゅんせつ土砂の受け入れが困難な状況になることから、現在、新たな土砂処分場の確保に向けて、環境影響評価の手続を進めているところでございます。
○工藤委員 港湾局長、ありがとうございました。
しゅんせつと護岸、これは大切なことでありますので、今後ともぜひともよろしくお願いしたいと思います。
次に、このポートアイランド地区の土砂処分場としての機能にもう既に限界が見えつつある状況であります。ポートアイランドの将来的な利用計画を検討せねばなりません。今の答弁の中で、南部分はこれからまた整備ということですが、既に完成というか完工されました北部の三角形の部分のところのことでありますが、利用計画を検討しなければいけない時期に来ていると考えています。
中部財界や商工会議所、名古屋港管理組合などは、過去に、平成二十年以降にその利用計画の素案を出したいとコメントしておりましたが、リーマン・ショックや経済状況などでおくれておりますが、そろそろ景気も上向いてまいりましたので、これからは本格的な議論に入ると伺っております。
内容は定かではありませんが、例えば、名古屋港からトンネルを掘り接続したり、レジャー施設、四月に入ってレゴランドが誘致されました、さらなるレジャーランドを誘致したり、貿易量をさらにふやして名古屋港を増強したり、発電所をここに建設したり、考えがあると思いますが、そのことに際し、国として、国土交通省はどのように支援していく考えがあるのか、大野大臣政務官にお尋ねいたします。
○大野大臣政務官 お答えいたします。
名古屋港のポートアイランド地区につきましては、現在、名古屋港港湾計画では、将来の開発空間として留保されることとされており、現状では具体的な土地利用計画は定められておりませんでしたが、今年度より、名古屋商工会議所を中心として、名古屋港の主な利用企業等が参画する会議が設置されることとなりました。ポートアイランドの利活用について議論が進められる予定であります。
具体的な土地利用計画は、この会議における議論も踏まえ、港湾管理者である名古屋港管理組合において検討されることとなりますが、国土交通省といたしましても、地域の皆様のニーズをしっかりと伺いながら、今年度設置される会議に参画するなど、積極的に支援してまいります。
○工藤委員 政務官、しっかりした答弁、ありがとうございます。
今までかかった費用、これは名古屋港管理組合が出資している。愛知県と名古屋市はずっと積み上げただけで、これが物になっておりません。相当な金額をこの四十年間使ってきておりますので、ぜひとも国の支援もお願いしたいと思います。かなり意見も出てくると思いますけれども、尻をたたいていただきたい、そんな思いでございます。
次の質問に移りたいと思います。
現在、国内において、人手不足が深刻な問題になってきております。今度は、物流、トラックドライバーの問題でありますが、日本の経済と国民の生活を支える欠くことのできないインフラである物流、中でも重要なトラック運送においても、ドライバーの不足はとりわけ深刻であります。
このような状況の中で、物流の効率化によりトラックドライバー不足の解消を目指した改正物流総合効率化法が昨年成立いたしました。
そこで、お伺いいたします。
この改正法が施行された後、どのような動きが見られるのか、また、どのような成果が出ているのか、お答えください。
○重田政府参考人 お答えします。
改正物流総合効率化法につきましては、昨年十月一日の施行以降、現在まで半年間で、新しいプロジェクトとしまして、計十九件の総合効率化計画の認定を行っております。
内訳といたしましては、大量輸送が可能で環境負荷の少ない鉄道、船舶にトラック輸送から転換するモーダルシフトが九件、トラック会社がそれぞれ別に行っておりました輸配送を共同化する事業が二件、輸送機能と補完機能を連携させる輸送網集約事業などが八件となっております。
今後とも、こうした改正物流効率化法のスキームを通じまして、引き続き、人手不足に対応した物流効率化の取り組みをさらに促進してまいりたいと考えております。
○工藤委員 ありがとうございました。
今のお答えのとおりでありますが、国交省が二十七年度から二十八年度にかけて実証モデル実験を行いました。そのもう一つ行った実験で、中継輸送に関してお伺いをしたいと思います。
私も、中継輸送の普及は、不規則な就業形態や長時間労働の解消により、若者や女性の新規参入につながるものと期待しております。国土交通省は中継輸送の普及、実用化にどのように今後取り組んでいくのか、お聞かせください。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
今委員から御指摘ありましたとおり、国土交通省では、中継輸送の普及、実用化に向けて、平成二十七年度から二十八年度にかけて、中継輸送実証実験モデル事業を行ったところでございます。
この結果、中継輸送を行うトラック事業者同士のマッチングの場が十分でないこと、さらには、トラック事業者同士が交わす協定書の項目が明確でないことなど、中継輸送の実施に当たっての具体的な課題が明らかになってきているところでございます。
国土交通省としましては、これらの課題を踏まえ、今後、各都道府県などのトラック事業の協同組合に対して、中継輸送のマッチング機能を担うように働きかけることとしております。
また、ことし三月には、中継輸送の実施に当たって検討すべき事項や必要となる書類などについてわかりやすく解説した手引書を作成いたしました。この手引書を、ホームページあるいは説明会などを通じまして、トラック事業者の利用を促してまいりたいと考えているところでございます。
国交省としましては、これらの取り組みを通じ、関係機関とも十分連携し、中継輸送の普及、実用化に努めてまいります。
○工藤委員 局長、どうもありがとうございました。
免許証もある程度変わってきましたので、いろいろ取り組み方も変わりますし、トラック業界からもかなり要望が出ている話でありますので、ぜひとも早急な対応をお願いしたいと思います。
宅配便のことについてお尋ねします。
昨今、マスコミ等で宅配便の再配達の問題が大きく取り上げられており、関係企業やドライバーの皆さんが大変な努力をしておられますが、再配達削減に関して国土交通省がどのような取り組みをしているのか、お聞かせいただきたいんです。
宅配便は物すごく便利になりましたけれども、私たちが使い始めたころとは、とてつもない量を配達されているわけであります。配送センターがIT化でいろいろ変わりましたけれども、末端で配達する配達員の方の数は変わっていないし、むしろ減っているところに数がふえているわけでありますので、その辺も踏まえて答弁をお願いしたいと思います。
○重田政府参考人 お答えいたします。
宅配便の取扱個数につきましては、委員御指摘のとおり、Eコマースなどの急速な増加もこれあり、五年間で約一六%増加し、平成二十七年度は約三十七・五億個にも達しております。
私どもの平成二十六年に実施した宅配便に関するサンプル調査では、約二割が再配達となっておりまして、この再配達によりまして、トラックドライバーの労働時間増は年間約一・八億時間、これは年間九万人のドライバーに相当する労働力が消費されたことになります。また、CO2排出量も約四十二万トン増加となり、営業用トラック全体の排出量の一%に相当する規模になっております。
このため、国土交通省といたしましては、再配達に伴いますこれら社会的損失の削減を図り、我が国の宅配便サービスが持続的に提供されますよう、環境省と連携したオープン型宅配ボックスの導入促進や、改正物流総合効率化法を活用いたしました共同輸配送などにより、物流業の生産性革命を積極的に進めてまいります。
また、先月二十九日には、環境省が、私ども国土交通省、経済産業省と連携いたしまして、国民みんなで宅配便再配達防止に取り組むプロジェクトといたしまして、「クールチョイス できるだけ一回で受け取りませんかキャンペーン」を開始したところであります。今後、関係各省とも十分連携し、再配達削減に向けて取り組んでまいります。
○工藤委員 答弁ありがとうございました。
数がふえていることと、ボックスも使っているということなんですが、近所の宅配便の配達員の方から伺いました。時間指定で配達していても、ひとり暮らしの方はまずいない、それをまた持ち帰って無駄が多い。それとは逆に、ボックスをつくっても、届けに来いという横柄な電話もかかってくる。そういう問題もありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。
次に、宿泊施設の不足についてお尋ねいたします。
今議論になっております民泊についての議論も大切だと考えておりますが、名古屋駅周辺のことについてお尋ねします。
名古屋駅の東側は今再開発で爆発的に変わってきているんですが、西側、ビジネスホテル、古いホテルが多い地区でありますが、こちらの方に実際リニア中央新幹線の新駅ができるわけであります。それに向けて、建てかえするのか、そして近隣ホテルをどうするのか、これが問題になってきております。
お恥ずかしい話でありますが、二〇〇五年、愛・地球博、万博のミニ版でありましたが、あの当時、日本全国から名古屋、愛知県に来訪者がありました。宿泊するにもホテルがありません。旅館も少ない。これが名古屋のすごく弱いところでありますので、これからリニアが来て、さまざまなインバウンドでお客さんが来た場合の受け入れ体制をしっかりしなければなりませんし、経済が上向いておりまして、名古屋に結構出張される方がおります。日帰りの方が多かったんですが、名古屋で泊まって、さらに三重県や高山に出たり、静岡に戻ったり、さまざまなことで拠点になってくるのが名古屋駅であります。
そのことについて、対策として、昨年六月、宿泊施設の整備に着目した容積率緩和制度の創設を国土交通省は行いました。創設に係る通知を各地方公共団体宛てに出しました。
大胆に緩和したと思いますが、留意事項を読みますと、高さ制限や駐車場附置義務など柔軟に対応すると書いてありますが、地価が高騰しているこの名古屋、それをわざわざセットバックして建てかえることは難しいんじゃないかと思います。セットバックするぐらいだったら、もう壊して売った方がお金になるかな、そういう考え方もあるんですが、これに付随して、容積率にあわせて高さ制限の緩和も必要だと考えます。これは簡単に変えられることではないですが、国土交通省の考え方をお聞かせください。
○栗田政府参考人 訪日外国人旅客数の増加を受けまして、宿泊施設の供給確保が大きな課題となっておりますので、その対策の一つとしまして、昨年六月に、今委員お触れになりました通知を出させていただいたところでございます。
この通知を受けまして、委員の御地元の名古屋市におきましても、容積率緩和の方針が定められ、この四月から運用が開始されたというように承知をしております。
御指摘のありました高さ等の規制につきましてですが、これはそもそも、採光、通風などの市街地環境の確保を図ることを目的としております。
容積率緩和に当たりまして高さ制限が支障となる場合には、市街地環境にも配慮しながら、これらを緩和する制度をあわせて活用するということが考えられます。例えば、街並み誘導型地区計画の活用といったこともその一つというように考えております。
このような考え方につきましては昨年六月の通知でもお示ししておりまして、都市計画決定権者が柔軟に制度を活用していただきまして、宿泊施設の供給確保に取り組んでいただくことを期待しておるところでございます。
○工藤委員 ありがとうございました。
最後の質問に移ります。観光バスの駐停車であります。
港の話をしました。そして、今、リニア、名古屋駅前、宿泊の話をしました。インバウンドで外国人の観光客がふえておりますが、訪日外国人旅行者の増加等により、観光バスによる路上混雑が問題となっております。この問題に対して観光庁はどのように対応するのか、お聞かせください。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
今後、さらに多くの外国人旅行者に我が国を訪れていただきまして観光を満喫していただくためには、都市部や観光地等における観光バスによる路上混雑緩和対策等の受け入れ環境整備が急務であるというふうに認識しております。
このため、観光庁におきましては、観光バスの路上混雑緩和対策等、訪日外国人旅行者の受け入れに関する地域ごとのさまざまな課題の共有、解決の場として、自治体、観光・交通事業者等で構成する地方ブロック別連絡会を全国十ブロックに設置しておりまして、さらに、その中でも、東京、大阪等、観光バスの駐車問題が深刻な地域では、関係者による対策会議を開催して課題解決に取り組んでいるところでございます。
具体的な課題解決に向けましては、各地域において、観光バスの運転手、添乗員、旅行会社等に対する路上駐停車に関するマナーアップの啓発活動、別途設けた待機場から目的地の乗降場へ無線等で観光バスを誘導するショットガン方式による乗降場周辺における観光バスの滞留緩和、それから、駐車場と降車場を分離することによる乗降時間の短縮と乗降時の混雑の分散化等、地方自治体や関係団体と連携してしっかりと対応してまいりたいと考えております。
○工藤委員 ありがとうございました。
長々話しましたが、質問を終わります。ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
本日は、基本的質疑ということで、主に三点にわたり質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
最初に、海上保安庁にきょうは御質問したいと思いますが、求められる海保体制の強化について二点ほど御質問いたします。
先日成立をいたしました平成二十九年度当初予算における海保の予算は、対前年比一・一二倍の二千百六億円が計上されておりまして、そのうち、船艇や航空機など、整備費を含めた物件費は対前年比一・二五倍の一千百七億円と大きく伸びているところでございます。
これはひとえに、昨年十二月二十一日に関係閣僚会議で決定されました海上保安体制の強化に関する方針、これを受けまして、我が国周辺海域における重大な事案に対応するため、緊急的な海保体制の強化を目的に増額されたものと私は理解をしております。
現在、我が国周辺を取り巻く情勢は、尖閣諸島における領海侵入とか外国の海洋調査船の活動の活発化、また、小笠原諸島周辺における外国漁船の違法操業、さらには、きょうも早朝に日本海に向け北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの報道があったところでありますが、北朝鮮の核実験やそういったミサイル等の脅威、こういった我が国の主権を脅かすような重大な事案が発生をしているところでございます。
そこで、まず初めに伺いますが、今後、緊急的に求められる海保体制の強化として、領土、領海の堅守、さらには、海洋権益の確保や、国民の安全、安心の確保、これは大変重要な任務であると思いますが、これらの任務に対応する戦略的海上保安体制の構築に向けた海上保安庁の決意、この部分についてまず冒頭伺いたいと思います。
○中島政府参考人 お答えいたします。
最近の我が国周辺海域をめぐる状況といたしましては、尖閣諸島周辺海域における中国公船の大型化、武装化、そして増強が確認されているほか、外国海洋調査船の活動の活発化や外国漁船の違法操業、それと、核実験、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の動静など、一層厳しさを増しております。
このような状況を踏まえまして、昨年十二月、関係閣僚会議において、御指摘の海上保安体制強化に関する方針が決定をされました。
その内容につきましては、尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備、広大な我が国周辺海域を監視できる海洋監視体制の強化、テロ対処や離島、遠方海域における領海警備等の重要事案への対応体制の強化、我が国の海洋権益を堅守するための海洋調査体制の強化、以上の体制を支える人材育成など基盤整備、この五つを柱としております。
こうした体制を整備することによりまして、国民の皆様が安全、安心して暮らすことができる平和で豊かな日本の海をしっかり守り抜いていきたいと思います。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
領土、領海をどう守っていくのかということで、やはり、その前面に立つ海保の任務の強化、また必要性というのは本当に増しているというふうに思います。
今、全般的な御答弁をいただいたところでございますが、ここでは少し具体的に、尖閣の領海警備体制の強化、及び、大規模事案が同時発生した場合これにどう対応していくのか、ここについてお伺いをしたいと思います。
先ほども御答弁いただきましたとおり、尖閣諸島の周辺地域では、平成二十四年の九月以降、中国公船が我が国領海に侵入する事案が頻発をするなど、緊迫した情勢が続いております。また、昨今では、中国公船の大型化、武装化、増強、今御答弁をいただいたとおり、そういったものが確認をされ、特に平成二十七年には、初めて武装中国公船が尖閣諸島周辺海域に出現をし、領海内に侵入する、こういった事案が発生をしております。
また、外国漁船による活動も続いており、特に中国漁船の領海からの退去警告隻数は、平成二十三年には八隻でありましたけれども、平成二十六年には二百八隻まで増加をし、平成二十八年、昨年もいまだ百四隻に及んでいるという状況でございます。
そこで、尖閣諸島周辺海域における領海侵入事案に対しては、中国公船の大型化、武装化等も踏まえて、それに対応できる警備体制のさらなる強化が今後も継続的に必要であると思いますが、ここの部分をもう少し掘り下げて御答弁をいただきたいと思います。
また、今後は、尖閣の周辺海域だけではなくて、東京オリンピック・パラリンピックが迫る中、テロ対処、さらには、きょうもその事案がありましたが、北朝鮮からの脅威、こういった大規模な事案が我が国海域において同時に発生してくる、こういった場合も想定されるのではないかと私は思っております。
私は、今後の海上警備については、各管区での業務を支障なく遂行しつつ、このような大規模事案が同時に発生した場合でも対応でき得る体制の整備が緊急的に必要になってくるのではないか、このように考えるわけでございますが、その点について、二点、御答弁を賜りたいと思います。
○中島政府参考人 お答えいたします。
海上保安体制強化に関する方針を踏まえまして、中国公船の大型化、武装化、増強、今先生が御指摘になったような船がふえているということでございますので、これにつきましては、対応できる巡視船艇等の整備による尖閣領海警備体制のさらなる強化について整備を進めてまいりたいと考えております。
また、中国公船等が大量に尖閣諸島周辺海域に集結する場合には、全国からの緊急の応援派遣で対応する体制を整備することとしております。
そのような場合にあっても、各管区で必要な業務を支障なく遂行し、万が一大規模事案が同時に発生しても対応できる体制を確保していくこととしております。
具体的な体制強化の内容につきましては、時々の情勢変化を踏まえまして、整備内容や優先順位を精査しながら、体制の強化を図ることとしております。
今後とも、領土、領海の堅守はもとより、国民の安全、安心の確保に努めてまいります。
なお、平成二十八年度補正予算及び平成二十九年度当初予算において、ヘリコプター搭載型巡視船三隻を含む大型巡視船四隻の整備に加えまして、今御指摘のテロ等の対処、あるいは重要事案対応の大型巡視船一隻の整備に着手することとしております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
海保の場合、いわゆる尖閣諸島の脅威というのが非常に強調されて、これは当然任務を遂行しなければいけないわけですけれども、しかし、忘れてはいけないのは、それぞれの管区において通常の任務というか業務がある、当然、海難事故等が起きた場合、即座に対応しなければいけない、こういった状況があるわけであります。これまではそういった体制というのはとられていたと思うんですけれども、東京オリンピック・パラリンピックが迫る中で、やはりテロの脅威というのが当然増してくると思います。
昨年も、伊勢志摩サミット、私の地元三重県でありますが、開催をさせていただき、海上保安庁の皆さんの任務というのも本当に滞りなく行っていただきまして、何の問題もなく伊勢志摩サミットが遂行できた。これは、陰の力として非常に大きな任務があったというふうに思っているわけです。
加えて、そういったところにテロ対処、さらには、きょうも北朝鮮からの弾道ミサイルの発射がございました。まだ被害状況等は出ていないですからいいのかもしれませんが、これもどういった状況になってくるかわからない。
そういった重大事案が同時発生する場合においてもどうそれに柔軟に対応していくのか、この意識を持ちながら緊急的な体制を整備していく。そのためには、今回の予算も増しておりますけれども、当初予算は当然、国土交通省の全体の中の枠内の予算ですから、なかなか限られたものがあると思いますが、補正予算等も含めてどう対応していくのか。これは、我々の立場もしっかりとこれからも支援をしていきながら、どう領土、領海を守っていくのか、さらには国民の命を守っていくのか、こういった部分において、今後ともまたよろしくお願いをしたいというふうに思います。
続きまして、生産性革命プロジェクトから、きょうは、ピンポイント対策について、特に、私の地元であります東名阪道のピンポイント渋滞対策についてお伺いをしたいと思います。
国交省は、石井大臣を先頭に、平成二十九年を生産性革命前進の年というふうに銘打ち、ピンポイント渋滞対策やi―Constructionの推進など、二十のプロジェクトのさらなる具体化を進めていただいております。本日は、その中でも、生産性革命プロジェクトの一番手に掲げられておりますピンポイント渋滞対策について、私の地元であります東名阪道の渋滞対策について具体的にお伺いをしたいと思います。
この東名阪道は、名古屋市の名古屋西ジャンクションから三重県津市の伊勢関インターチェンジに至る高速道路でありますが、この高速道路は、実は、我が国最大の物流ルートであります東名、新東名、伊勢湾岸から新名神を結ぶ唯一のルートであるために、平日、休日を問わず、今や日常的に激しい渋滞が発生をしておる箇所でございます。
ちなみに、この東名阪道四日市付近の渋滞は、この箇所は地方部にもかかわらず、上りが全国ワースト七位、また、下りは全国ワースト十一位という記録が出ております。
この東名阪道の渋滞対策につきましては、国交省は、昨年の秋に、東名阪道渋滞対策検討会議を二回開催するとともに、十一月の十八日には、特に対策が必要となっていた四日市付近上り車線の暫定三車線化の具体案を決定していただいたところでございます。
この渋滞対策については、かねてより地元三重県及び四日市市も何度も要望を重ねていたところであり、今回の決定は地元としても大変に喜ばしい内容であるわけでございます。
そこで、確認的に伺いますが、この東名阪道のピンポイント渋滞対策については、現在、私も日ごろから走っておりますのでよく見ておりますが、事前工事について既に着手をしていただいているところでございますが、この対策の完成時期及びピンポイント渋滞対策によって得られる具体的効果について、御答弁を賜りたいと思います。
○石川政府参考人 お答えいたします。
人流、物流はあらゆる生産活動の根幹でございまして、高速道路の効果的な渋滞対策によりまして、生産性の向上、ひいては有効な労働時間を増加させることが可能であると考えております。
このため、高速道路につきましては、抜本的な渋滞対策として、必要なネットワークを進めるとともに、早期の効果発現に向けたピンポイント対策を進めているところでございまして、委員御指摘のとおり、国土交通省の生産性革命プロジェクトにも位置づけられております。
御指摘の東名阪道四日市付近では、平日、休日ともに午後を中心に、高速道路の渋滞ランキングで上位に入るほど、全国でも屈指の渋滞が発生しているところでございます。
これに対しまして、ネットワークの整備では、並行する新名神高速道路の新四日市ジャンクション―亀山西ジャンクション間につきまして、中日本高速道路会社が、平成三十年度の開通を目指し、鋭意工事を推進しているところでございます。
また同時に、ピンポイント対策につきまして、四日市インターチェンジ―鈴鹿インターチェンジ間に三カ所のサグ部、これは下り坂から上り坂に変わる部分で、速度低下が起こりやすいところでございますが、これが渋滞の要因になっていることから、その対策につきまして、昨年の十一月十八日に、国、県、警察、高速道路会社等で構成する東名阪道渋滞対策ワーキンググループにおいて検討を行ったところでございます。
その結果、上り線鈴鹿から四日市までの一部区間、延長約八キロメートルで、既存の幅員内で暫定的に車線をふやし、三車線の運用とする対策を決定、公表したところでございます。これによりまして、上り線において、鈴鹿インターチェンジを過ぎた地点から四日市ジャンクションまで合計約十七キロが三車線で通行できることとなり、渋滞の緩和につながるものと見込んでおります。
中日本高速道路会社では、現在に至るまで、関係機関との協議、測量・地質調査、道路設計・施工計画の検討とともに、委員御指摘の準備工事を進めてまいったところでございます。
引き続き、中日本高速道路会社におきましては、順次、非常駐車帯の設置工事、舗装工事等を進めまして、ことしの夏ごろの完成を目指してまいります。
これによりまして、三重県の北勢地域は、新名神高速等の開通を見越した企業立地が増加していると伺っておりまして、東名阪道の渋滞ピンポイント対策、新名神高速の整備による渋滞の緩和が、当地域における生産性の向上による成長力の強化につながることを期待しております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。局長から非常に丁寧な御答弁をいただきまして、加えて、完成時期がことし夏ごろという御答弁をいただいたところであります。
特に、夏の行楽それから秋の行楽といわゆる事業活動が重なると、大変に渋滞を引き起こす箇所でございます。そういった意味においては、ことし夏ごろまでにかけて鋭意お取り組みをいただくという御答弁をいただきましたので、地元としては非常に喜ばしいお話をいただいたというふうに思っております。
当初、ここの部分は、今御答弁もありましたとおり、いわゆる新名神の新四日市ジャンクションから新亀山ジャンクションができていれば、東名阪道に流入していくことはなかったわけなんですね。
しかし、さまざまな政治的な理由等も含めて、三重県の北中部には今までは道路予算がなかなか厳しい状況があったわけですが、平成三十年度に新名神も開通をする。しかし、そこを待たずして、生産性革命という流れの中で、石井大臣肝いりで行っていただいているわけですけれども、ピンポイント渋滞対策をこの八キロにおいても御決定いただいた、これは非常に細かな対応をしていただいたということで地元は大変に喜んでおりますので、そういった本当に細かい目くばせをしていただく中で生産性を上げていく、そういった施策を今後も国交省にはお願いしたいというふうに思っております。
それでは最後に、大規模災害時の災害査定の効率化及び事前ルール化についてお伺いをしたいというふうに思っております。
この件についても、私の地元を含め、それぞれの都道府県から御要望が出ているものでありましたが、大規模災害が発生した際、道路や橋、また河川堤防等、インフラの迅速な復旧を進めることは、早期に住民の安全、安心を確保する意味において大変重要な課題であるというふうに思っております。
しかしながら、災害復旧の前提となります災害査定につきましては、国交省はこれまでもさまざまな査定の効率化を図ってはきましたけれども、基本的には、災害査定の効率化については、個別の災害ごとに、その被災状況に応じ、その都度その都度財務省と調整を行い、あくまでもこれまでは臨時的措置として決定をしてきたために、関係自治体への通知につきましては、これまで約一カ月を要していたところであります。
そのため、この災害査定の効率化及び事前ルール化については、これまでも特に、六年前の東日本大震災や平成二十三年の紀伊半島大水害、さらには昨年の熊本大地震など、既に甚大な被害を受けた東北三県、また、紀伊半島を含む三重県、奈良県、和歌山県、さらには熊本県などから、その実現に向け強い要望が出されていたところであります。
今般、国交省は、この大規模災害時の災害査定の効率化及び事前ルール化について、関係機関であります財務省とも協議を本当に鋭意していただいた上、その実施を決定、発表したところでございます。
私は、この決定について、五年半前の紀伊半島大水害で甚大な被害を受けた三重県を地元とする一人として大変にうれしく感じているとともに、この効率化及び事前ルール化は、これからも、南海トラフとか首都直下型、こういった大規模災害が予想される我が国においては、今後全ての自治体で基本的には適用されていくという内容であるため、大変に有意義かつ意味のあるものであるというふうに思っております。
そこで、今回お伺いをしますが、国交省が決定した大規模災害時の災害査定の効率化及び事前ルール化の具体的な内容、及び、これにより期待できる効果について、御答弁を賜りたいと思います。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
ただいま委員御指摘のとおりでございますが、大規模災害が発生した場合、一日も早い被災地域の復旧復興は非常に重要なことでございます。これまでも、大規模災害におきまして、災害査定の効率化ですとかあるいは簡素化を行いまして、地方公共団体が迅速に災害復旧に着手できるよう支援してまいりました。
しかしながら、個別の災害ごとに被災の状況に応じて効率化等の内容を検討していたために、決定までに一カ月程度を要しておりまして、御指摘のとおり、三重県さんを初めとする紀伊半島の大水害において被災した地域ですとか、あるいは東日本大震災、熊本地震で被災した地域の方々から、より迅速な効率化を求める要望をいただいていたところでございます。
これらを踏まえまして、政府の激甚災害指定の見込みが立ったその時点で速やかに、事前にルール化しておりました災害査定の効率化の内容を適用する、大規模災害時における公共土木施設災害復旧査定方針というものを新たに策定いたしまして、ことし発生する災害から運用を開始したところでございます。
具体的な内容といたしましては、災害復旧の事業費は被災状況やあるいは復旧工法を現場で確認して決めるのが原則でございますけれども、現場に行かずに会議室の中で書類のみで決定できる件数をふやす机上査定上限額の引き上げですとか、あるいは、災害査定時に用います設計図書の作成において、詳細な図面にかえて航空写真や標準的な断面図等の活用を認める、設計書に添付する図面等の効率化などの効率化の内容を、事前にルール化し、適用するものでございます。
今回新たに運用を開始しました事前ルール化によりまして、これまで発災から災害査定が終了するまで百十日程度の期間を要しておりましたけれども、この場合、六十日から七十日程度で終了できるようになり、被災施設の早期復旧を促進し、被災地の復興をより加速化することが可能となると考えているところでございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
この効率化及び事前ルール化において、今まで一カ月ぐらいかかっていたものが、その都度その都度ですから百十日ぐらい実際に取り組むまでかかっていたのが、六十日から七十日に短縮されるというお話をいただきました。
やはり、現場の住民にとってみると、何よりも迅速な復旧を求めていたわけです。しかし、現場の自治体にしてみると、この仕組みでその都度その都度協議をしなければいけないので、どうしても時間がかかっていた、こういう現場の声があったわけであります。
今回、山田局長には、財務省との本当に大変な協議を重ねていただいたと思いますが、まさしく現場の声に応えていただいて、仕組みを変えていただいた。それによって、全国の自治体が、いつ災害というのは起きるかわからないわけですけれども、この効率化、ルール化によって迅速な対応ができるというので、私は、非常に大きな意味がある内容をお取り組みいただいたというふうに思っております。
三重県も強く要望しておりました。私どもの三重県知事もこの決定に大変喜んでおりましたので、そのことを最後にお伝え申し上げ、私の質問を終わります。
大変ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、宮崎岳志君。
○宮崎(岳)委員 宮崎岳志でございます。
このたびは、国土交通委員会で質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
さて、前回に引き続きまして、森友学園問題について伺いたいと思います。
国土交通省の住宅局の持っているサステナブル建築物補助金(木造先導型)についてでございます。これは、昨今、特に刑事事件に絡んで議論が集中しております複数の契約書に絡む問題であります。
前回、国交委員会で、この補助金を出すかどうか、採択するかどうかを判定する評価委員会がございまして、その評価委員会の議事録の公開を求めましたら、そのようなものはつくっていないというお答えでありました。ただ、私の方でも調べさせていただきましたところ、議事録的なものをつくっているかどうかは確認できませんでしたが、おのおのが書類審査の結果について評価や所感を記した、いわば評価シートのようなまとまったものがある、それを皆さんで見ながら議論をするんだ、こういうお話でありました。
当初は、その評価シートについても、ないというお答えではありましたが、その後、大臣から、あるかないかも含めて調べますというお言葉をいただきました。その後、このシートなるものは発見されましたでしょうか。
○石井国務大臣 三月二十九日の本委員会での委員からの御指摘を受けまして、改めて、評価の事務を行いました一般社団法人に対しまして、評価委員会で回覧、配付した資料全てについて確認をいたしました。
その結果、評価シートという名称ではありませんが、書類審査のための第一回の評価委員会に先駆けて、その時点での各委員の所見を記載した資料を事務局が作成し、第一回の評価委員会で参考資料として使用していたことが判明いたしました。
これは、審査の当初での各委員の所見をそのまま記載して他の委員の参考に供することにより、審査の効率化を図るものでございます。書類審査及びヒアリング等を経た最終段階の評価結果とは異なるものであることは申し上げておきたいと存じます。
○宮崎(岳)委員 それでは、今言われました、最初の書類審査の段階での各委員の所見を記載したものを事務局で取りまとめたそのような文書、現在、存在することが確認されたということですので、もちろん、固有名詞等で出せないところは多少伏せていただいても結構でありますが、そのものについて公表をお願いできますでしょうか。
○石井国務大臣 書類審査に先駆けて各委員の所見を記載した資料につきましては、非公開である評価委員会において使用することを前提として作成されておりまして、これまでも、申請者本人を含め、第三者に公開したことは一切ございません。
このように、審査の過程である参考資料であるという性格を踏まえまして、改めて評価委員全員の意向を確認させていただきたいというふうに考えております。
○宮崎(岳)委員 評価委員のおのおのの名前を伏せて公表するということも検討できるのではないかと思います。
そもそもこの文書は、行政文書というふうに捉えてよろしいでしょうか。大臣、わかりますか。では、政府参考人で結構です。
○由木政府参考人 お答えいたします。
この事業は、間接事業者、一般社団法人を事務事業者といたしまして、そこに評価委員会を設置してやっていただいているということでございますので、直接の行政文書というふうにはなかなか言うことはできないとは思いますけれども、取り扱いは、行政文書に準じたような取り扱いをさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
○宮崎(岳)委員 では、既に現在のような状況になっているわけでありますから、早急に確認をいただくなり、確認をいただけないなら、おのおのの審査員の名前を黒塗りするなりという形で御公表をいただきたいということを、大臣、改めてお願いいたします。いかがでしょうか。
○石井国務大臣 評価委員会の全員の意向を確認いたしまして、同意が得られた場合には公開をしたいと思っております。
○宮崎(岳)委員 これは、森友学園の分だけでもぜひ早急に公表いただきたいと思います。
続きまして、この補助金についてですが、二十七年度のサステナブル建築物補助金ということでありますが、森友学園の校舎の建築工事の事業が二年にわたります。ですので、一部が二十七年度、残りが二十八年度、補助金が交付されるという仕組みになっております。
提出された契約書、これは総額二十三億円のものでありますが、これを見ますと、森友学園側から、着手の時点、それから上棟の時点、竣工の時点と、段階的に施工業者について支払いが行われるわけですが、二十七年度、二十八年度で分けますと、二十七年度末時点での支払いは三億八千万円余りしか支払われていない。つまり、全体の一六%しか森友学園側から施工業者側には支払われていない。しかし、補助金の方は、全体で六千百九十四万円出るんですが、このうち五千六百四十五万円、つまり全体の九割以上が初年度に支払われる。出来高に応じて支払うという形になっているのに、全体の九割以上が初年度に支払われている、これはおかしいんじゃないかというのが私の前回の質問でございます。
そして、今回、森友側が最初に補助金を申請するときに提出した提案申請書を国土交通省の方で公表していただきましたので、持ってまいりました。
その申請書の様式七というものがございます。その中に、年度計画、複数年度にまたがる場合、事業の出来高がどのようになるのかという一覧表があります。これに応じて基本的には補助金が交付されるということだと思います。
初年度が二十七年度、次年度が、二年目が二十八年度、こういうことになるわけですが、森友側から、あるいは代理人であるキアラ設計から提出されたこの年度計画を見ますと、初年度に六八%、次年度に三四%、こういう形になっています。足すとなぜか一〇二%になってしまうので、かなりずさんなといいますか、普通、切り上げ、切り上げで一〇一%まではなると思うんですが、一〇二%というのはちょっとよくわかりません。恐らく、三分の二を初年度に、三分の一を次年度に、こういう意味なんだと思います。このような申請が現実になされているんです。
それなのに、結果的には、全体の補助額自体は下げられていますけれども、初年度に九割以上が支払われている。工事自体は、予定より進んでいるというふうには見えていません、結局、三月の時点でも完成していなかったわけですから。それを見ますと、なぜ初年度に九割払っているのかという疑問が残ります。これはなぜそうなったんでしょうか。
○石井国務大臣 平成二十七年の七月に森友学園側から提出されました提案申請書におきまして、補助金の要望額は総額で一億一千八百七十五万円、平成二十七年度と二十八年度の年度割りがそれぞれ九千二百五十九万円と二千六百十六万円、割合にしては、二十七年度が七八%、二十八年度が二二%でございます。
提案申請書によれば、この年度割りは、工事の出来高を、二十七年度を六八%とした上で、設計費に係る補助を初年度に加えた結果、補助の年度割りの割合が初年度七八%となったもののようでございます。
国において事業を採択するに当たりましては、補助金の要望額の総額一億一千八百七十五万円につきましては、審査の上、査定を行いましたが、年度割りにつきましては、あくまでも複数年度にまたがることを確認する際の参考でありまして、審査の対象とはしておりません。したがいまして、国が採択通知をした際に、補助限度額六千百九十四万四千円を設定いたしましたが、そこには年度割りは示しておりません。
一方、補助金の交付は、二十七年度予算から、繰越分も含め五千六百四十四万八千円支払われております。これは、本事業における補助金の支払いに当たりましては、原則として補助対象部分についての出来高に応じ、各年度に補助を行うこととなっているところでありますが、着工後間もない支払いとなる場合には、工事に関連してそのときまでに必要となる費用について出来高相当とみなして、その額に応じた補助を行う運用をしていることによるものでございます。
具体的には、設計費に対する補助金、工事請負契約に基づく契約時前払い金に見合う補助金の相当額、これら以外に木質化のための木材調達に要した費用のうちの補助金相当額を支出することが適切と判断いたしまして、これに要する費用として補助金四千八百二十九万八千円が支払われたものであります。
さらに、本件につきましては、平成二十八年十一月二十五日に現地調査を行いまして出来高の確認を行いまして、提出された実績報告書の審査を経て、平成二十九年二月二十一日に、これは二十七年度分の繰越分でありますが、第二回の支払い八百十五万円を行っております。
その結果といたしまして、二十七年度分としては、全体の補助金の九一%が交付された結果となっているところでございます。
○宮崎(岳)委員 ちょっとよくわからないんですが、全体の、初年度に三分の二やる、次年度に三分の一やる、ここはわかりました。それに、設計費は最初にかかるんだから、それもある、それを含めれば七十数%になる、こういうお答えだったが、実際は九割以上であった。そのときに考慮したのが前払い金。
前払い金というのは、誰が誰に前払いするお金かわかりませんが、基本的には申請者である森友学園が施工業者に払っている分として考えれば、これは一六%しかこの時点では払っておりませんので、それを考慮しても九割というふうにはなり得ないだろう。もちろん、木材の調達といった話もあるとは思いますが、それにしても、出来高そのものでそこまで膨らむんでしょうか。人件費そのほかはまだかかっていない状況で、全体の九割を支払うという状況になぜなるのか、その理由がちょっとよくわかりません。
これは政府参考人で構いませんので、もう一度御説明願えますか。
○由木政府参考人 お答え申し上げます。
今大臣からも御答弁を申し上げましたように、本件につきましては、着工後間もない支払いとなるということで、工事に関連してそのときまでに必要となる費用について出来高相当とみなして、その額に応じた補助を行う運用をしているということでございます。
その中身としては、設計に対する補助金、これは全額見ております。およそ七百万円ぐらいになります。それから、工事請負契約に基づく契約時前払い金に見合う補助金相当額、これは、工事請負契約は二十三億数千万の請負契約を提出していただいている、その契約書に基づくものでございますが、これが約九百万でございます。それから、これら以外に木質化のための木材調達に要した費用のうち補助金相当額、これが約三千三百万弱ぐらいになるということで、これを合計して、先ほど大臣から御答弁を申し上げた四千八百二十九万八千円という支払いがなされているものでございます。
なお、委員から前回も御質問いただきましたけれども、こうした着工後間もないものについて、木質化、木材調達に要した費用について、あらかじめ当初の支払いに積算いたしまして支払っている例はこの森友学園だけではございませんで、類似のサステナブル事業についても同様の取り扱いをしているものでございます。
○宮崎(岳)委員 よくわからないですね。木材は施工業者が購入するものではないんでしょうか。その二十三億円の内数ではないんでしょうか。
その二十三億円のうちの三億数千万円を最初に手付金として森友学園が施工業者に払っています、その分について、工事請負契約の前払い金について補助金が九百万円つきました、そこはわかります。設計費についても七百万つきました、そこはわかります。しかし、木材調達費について工事請負契約と別途に支払うというのがよくわかりません。
この二十三億円の外で森友学園が独自に木材を調達されたということなんでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
私の説明が舌足らずで申しわけございませんでしたが、今の木質化、木材調達に要した費用の補助金相当額というのは、請負金額の外ではございませんで、施工業者に請負として出されるものについては、その中で積算をされておるものでございます。
また、それ以外にも、これは一般的でございますけれども、資材は別途施主が調達をして、請負業者にこれを使えということで渡すものもございます。本件についてはそういったものもあったというふうに伺っておりますが、そうしたものを含めた木材調達額でございます。
○宮崎(岳)委員 ちょっとよくわからないんですが、本件については、森友学園側が木材を買った、それを施主に渡して、その分は契約の最終的な支払いから割り引けよ、こういう仕組みにしたということですか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
請負金額二十三億と、それから施主が別途に調達する木材との相殺の関係は、申しわけございませんが、詳細なところは私ども十分把握できておりません。
両パターンがあると思います。もともと請負金額に含んでいたものを施主が調達して渡す場合には請負金額から差っ引かれるということになると思いますが、もともと請負金額の外として、あらかじめ施主が調達をして施工業者に渡して施工してもらうというケースも多々ございますので、本件の場合、どういう取り扱いになっているかというのは、申しわけございませんが、私どもの方の聞き取り等では判然としないところでございました。
○宮崎(岳)委員 いや、これは補助金を出している話ですよね。建設費について、そのうちの三・数%を必要な費用だとみなして補助金を出すという話なのに、その内訳もわからずにお金だけ出しているというのは、余りにずさんじゃありませんか。これは、先に森友学園側にお金を一刻も早く払いたいということでやっていると見られても仕方がないんじゃないでしょうか。
これは、二十七年度分として五千六百四十五万円払っています。改めてになりますが、払った時点というのはいつでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
二回に分けて払った月日でよろしゅうございますでしょうか。(宮崎(岳)委員「はい」と呼ぶ)
一度目は三月二十二日でございます。四千八百二十九万八千円。それから、二度目は、年度がまたがりまして、平成二十九年二月の二十一日、二回目が八百十五万円でございます。(宮崎(岳)委員「済みません、もう一度」と呼ぶ)
○西銘委員長 二回目をはっきり。
○由木政府参考人 最初は平成二十八年の三月二十二日、二回目が二十九年の二月二十一日でございます。
○宮崎(岳)委員 まず、最初の二十八年三月二十二日、これは結構重要な日付だと思うんですね。二十八年のところで、森友学園はまだ国から土地を借りていたはずであります。二十八年の初め、そうですね。一月と二月の地代を滞納しているんです、森友学園は。財務省に土地を借りている、その借り賃を払わなければならないのに、一月、二月、滞納している。三月十一日にごみが見つかる。いろいろありまして、三月二十四日に土地を買いたいと言う。当然、地代を払っていなくて滞納している状態では、土地を買えませんよね。
ここで、三月に、一月、二月の滞納分と三月分を一括で納めているんですよ。これがこのサステナブルの一回目の支払いでしょう。これが原資でしょう。
今の一連の話を聞いていると、つまり、森友が資金ショートしないように払ってやったとしか聞こえませんけれども、違いますか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
委員から御指摘をいただきましたようなことは、私どもは全く認識いたしておりません。
この補助金は、二十七年の九月に事業採択をいたしまして、二十七年の十月に補助金の交付申請が出て、その交付申請に基づき交付決定をし、かつ、翌年の三月に事業の実績報告書の提出を受けて、その審査を経て、二十八年でございますけれども、三月の二十二日に支払いをしたという経緯をたどっているものでございまして、それ以外の事情については私ども承知をいたしておりません。
○宮崎(岳)委員 これはやはり、出来高払いと言いながら、出来高どおりになっていないように見えるから私は申し上げているんですよ。
最初の申請書で、初年度三分の二、次年度三分の一、こういうふうになっている。確かに設計費は全額ということですが、設計費は、全体からいえば、最初の申し込みからいえば二十分の一ぐらいの話であって、必ずしもそんなに高額ではない。実際に、設計費に見合う補助金の額は七百万円だというふうに先ほどお話がありました。そして、現実に、施工業者にも、森友学園は全体の一六%しかこの時点で払っていなかった、二十七年度末時点で。それが九百万円。
そういうことを考えれば、最低、場合によっては、この九百万と七百万を足した一千六百万程度しか、この時点で、二十七年度末時点で補助金が発生しないと言ってもいいと思うんですよ。
木材を買ったから、その分を前倒しで払ったと言う。しかし、その木材を買ったのが森友なのか施工業者なのか、二十三億の内数として森友が買った分を差し引くという話なのか、そこはわからないと。買ったということはわかるけれども、その詳細については把握していない、こういう話で、なぜか二十八年の三月二十二日、まだ年度は終わっていないですよね、年度が終わって精算して払ったわけじゃないですよね、年度が終わる前に、四千八百二十九万円、かなりの部分を払っている。
そのときに、森友学園は、二カ月連続で地代を滞納していた状況にあって、三月に一括で地代を納めなければ、この土地を買いたいというふうに財務省側に申し出ることすらできないんですよ。その金を国交省が立てかえてやった、外形的に見ればそういうふうに見えますよ、この流れは。
そして、二十九年の二月二十一日に二十七年度分の補助金の残りを払ったと言いますけれども、これはもう、森友学園の問題が世間で騒がれている時期ですよね。これが朝日新聞に最初に載ったのは二月の上旬ですから、国会でも取り上げられ始めた時期ですよね。その時期に残金をばっと払っている。私は、この国土交通省の対応は、ちょっと不可思議、不自然に思えてなりません。
石井大臣、何かコメントはありますか。
○石井国務大臣 それは、委員の推測、あくまでも推測にすぎないということでありまして、今回のサステナブル補助金は、この森友学園の土地の問題とは全く別個に、通常の補助金の交付のやり方として年度末に支払ったということで、二十八年の三月に支払っているということでございます。
○宮崎(岳)委員 年度末に支払ったけれども、その支払い額が多いんじゃないですかということを申し上げている。少なくとも、提案者が申請で示した数字や、契約に基づいて森友学園が施主に払った数字、設計費、そういったものを勘案して普通に計算するよりも多い。その理由は木材を調達したからだと言うけれども、その木材の調達の詳細についてはよくおわかりにならないと。
では、この木材の調達費は幾らですか。わかりますか、政府参考人で結構ですが。木材の調達費。そのうちの三千三百万円が補助金だということなんですが、幾らですか。
○西銘委員長 時計をとめてください。
〔速記中止〕
○西銘委員長 再開してください。
由木住宅局長。
○由木政府参考人 お答えいたします。
申しわけございません、手元には、その調達分のいわゆる補助相当額として、先ほど申し上げました三千二百万強、三千三百万弱でございますけれども、その数字を積算しているという数値は持っておりますが、そのもとの、積み上げとなる根拠のものはちょっと手持ちがございませんので、後ほど調べて御回答申し上げたいと思います。
○宮崎(岳)委員 やはりどうも不可思議なんですよね。これは、木質化にどれぐらいかかるかというのが一概に判定できない、だから、総工事費の三・数パーセント、木質化する部分の三・数パーセントを仮にその数字にして、そこをもとに支払いましょう、こういう話であったのに、最終的に幾らかかったのか、それが、森友学園側が買って施主に渡したのか、その分がいつ割り引かれるのか、そういう詳細は把握されていない、こういう話でございまして、どうも少々納得しがたいところがあるんですが、今、わかったんですか、数字。わからないですね。
今言われたように、国交省の住宅局のこの補助金だけをめぐっても、やはり非常に不可思議な、不可解な点がある。
先ほど大臣は、これは委員の推測にすぎないと言われました。確かに推測にすぎないかもしれませんが、しかし、その材料というのは、もともとの森友が出してきた提案書と数字が違うとか、そういうところから発生しているわけであり、そこの、年度の終わりとか、数字が違うとかいうところで発生しており、火のないところに煙を立てているわけではない。
どうぞ。
○石井国務大臣 先ほど委員にお答えしたとおり、年度割りについては審査をしておりません。あくまでも参考の数値として出させたにすぎないわけでございます。
それから、今回、初年度に非常にたくさんやっているじゃないか、木材調達分も支払っているじゃないかということですが、これは、先ほど局長からも答弁したとおり、森友学園以外にも同様の事例はあるということでございます。
○宮崎(岳)委員 審査の対象でないといっても、これは予算もそれぞれあるものですから、当然、申請者が、初年度にはこれだけ下さいという意思を示すためにこれを出してくるわけです。それより多く出してあげるという親切な取り扱いをふだんからされているのかどうかわかりませんが、少なくとも、施主へのお金は払われていないし、今の話でいうと、木材をどう扱ったかもちゃんとしていないじゃないですか。きちんとしたことはわかるんですか、木材を購入したのが誰で、どこから幾らで買って、いつ買ってということは。調査してあって三千三百万円出しているんですか。そこが私はわからない。
○石井国務大臣 先ほど言いましたとおり、申請の時点での数値というのは、あくまでも参考の数値です。申請者は、交付決定の後、正式に平成二十七年十月二日付で補助金の交付申請を行いまして、そのとき、平成二十七年度に五千六百四十四万八千円を申請してきたわけでございます。
○宮崎(岳)委員 では、交付決定のときがその数字になっている、こういうことですね。
いずれにしても、今の全体の、つまり、事業開始たった四カ月の間に全体の九割の補助金が必要だという話の流れは私にはよく理解できませんので、先ほどの評価委員会の評価シートのこととあわせてきちんと公開をしていただき、今、木材の購入が初年度の支払いが膨らんだ原因だとおっしゃったんだから、その木材の購入の経過についてもお示しをいただきたいということでございます。これは、改めてそういう形で求めてまいります。
では、ちょっと次の問題に行きたいと思います。
総理夫人付の谷さんという官房職員が森友学園側にファクスを出しまして、要望を受けて、その陳情への回答のファクスを出した。その中で、国交省に関する部分として、八億円のごみの手前の一億三千万円の分です、森友が撤去して立てかえ払いした分ですが、これは、契約書を見ると、全て工事竣工後に払うというふうになっておりますが、森友側に届いたファクス、これは森友側の要望もそうなんでしょうけれども、「一般には工事終了時に清算払いが基本であるが、学校法人森友学園と国土交通省航空局との調整にあたり、「予算措置がつき次第返金する」旨の了解であったと承知している。平成二十七年度の予算での措置ができなかったため、平成二十八年度での予算措置を行う方向で調整中。」ファクスの文言はそういう話です。
基本的にちょっと確認したいのは、「「予算措置がつき次第返金する」旨の了解」というのは、国土交通省、これはあったということでよろしいんですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと予算との関係を正確に御説明させていただきますと、本件土地の貸付契約が平成二十七年の五月に締結されておりまして、埋設物の撤去工事は、二十七年の七月から十二月まで行われております。ということは、平成二十七年度予算でこれを措置することはなかなか難しい、無理だということでございます。
他方、平成二十七年七月から既に工事が始まってございますので、平成二十七年八月末に行いました翌年度、平成二十八年度の予算要求には盛り込んでいたということでございます。
したがいまして、工事が終わって、その中身について検証し、平成二十八年度の予算の成立を待って、必要な手続が終わり次第、交付をしたというものでございます。
○宮崎(岳)委員 ちょっと時間がありませんので、今の件はまた後日お話をさせていただきます。
それから、一応確認させていただきます。
いわゆる複数の契約書があった。これについて、早くから、森友に確認した方がいいんじゃないかというふうに私ども申し上げてまいりましたが、それはしなかった。ずっと代理人の事務所の方に聞くような形でありましたが、結局、最終的にこれは確認されたんでしょうか。確認をされたのなら、この複数の契約書がどう存在して、何が真正なものか、現時点での調査結果をお教えください、大臣。
○石井国務大臣 これまで、サステナブル建築物等先導事業に関し、特に国土交通省に対してなされた申請についての事実関係の詳細を明らかにするため、補助金の元申請代理人である設計事務所に対するヒアリングを三月十日に行いまして、また、施工業者に対するヒアリングを三月三十日に行ってまいりました。
一方、大阪地方検察庁が、補助金適正化法違反容疑で、森友学園の籠池理事長に対する告発を三月二十九日に受理したと承知をしておりまして、三月三十日、国土交通省に対し、捜査当局より協力の要請があったところであり、国土交通省としては、捜査当局に対し最大限の協力を行っていくところでございます。
今後、調査に関する事柄につきましては、捜査にかかわることでもございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○宮崎(岳)委員 これまで、新聞報道されて以来、設計者だけではなくて、施工業者あるいは施主である森友学園、ここにきちんと確認をすべきだ、申請者である森友学園を中心に特に確認すべきだというふうに申し上げてきましたが、それについては引き延ばし引き延ばしで手をつけないでいて、ここへ来て、大阪地検に告発されましたからこれは言えません、それはちょっと通らないんじゃないか。
確かに捜査中の事案ではありますが、行政的な調査というのはまた別の問題でありますので、きちんと情報を明らかにすべきだ。そうでなければ、捜査を口実にした隠蔽だと言われても仕方ありませんよ、これは。最初から熱心に調べていて、みんなどんどん情報を出していた、そのうち捜査が始まった、それならわかりますよ。誰が考えたって、申請者に最初に話を聞くじゃないですか、複数の契約書が見つかれば。それを、全く聞かないで、最後、今になってもまだ聞いていないわけでしょう。設計会社には聞いた、施工業者には最後の段階で聞いたけれども、今になっても聞いていない。それで、捜査中の事案だから答えられないというのは通らないというふうに私は申し上げておきたいと思います。
もう時間が迫ってまいりましたので、最後にちょっとお伺いしたいと思います。
安倍昭恵夫人の活動と夫人付職員の同行についてということでありますが、一点、加計学園関係のイベントに夫人が出向いたりしていることがあったと思います。日本語弁論大会とか幾つかあるんだと思いますが、この際に、夫人付職員の旅費というのは誰が負担しているんでしょうか。総理夫人が負担をしているのか、加計学園グループ側が負担をしているのか、あるいは公費で出しているのか、この交通費の扱いについてお教えください。
○土生政府参考人 御説明いたします。
総理夫人の私的な活動でございましても、職員がこれに同行いたしまして、総理の公務遂行の補助に関する当面の活動につきまして必要な連絡調整を行う場合があるということでございます。
同行する職員の交通費につきましては、総理夫人の申し出により、原則として、総理夫人の私的経費により負担されているものでございますけれども、他方で、主催者側負担になっている例もあるということでございます。
お尋ねの加計学園関係でございますけれども、二件ございまして、まず、平成二十八年十一月二十五日の岡山への同行でございますけれども、これは、夫人により負担していただいたというふうに聞いております。
他方で、平成二十七年九月十九日の神戸の件でございますけれども、本件につきましては、職員はチケットを夫人側から手渡されたということでございますけれども、昨晩の議員の御指摘を受けまして改めて確認いたしましたところ、旅費の実費について、最終的には学園負担になっていたということでございます。
○宮崎(岳)委員 確認します。
二十八年十一月二十五日の岡山での私的活動への同行については夫人が総理夫人付職員の旅費、交通費を負担した、平成二十七年九月十九日、神戸の際には、夫人側からチケットを渡されたが、その夫人側から渡されたチケットは加計学園から渡されたものだと。
公務員の公務による出張の旅費を、全く関係がない、夫人の講演等の主催者なんでしょうけれども、総理夫人付職員はその私的行動とは関係ないという仕切りですけれども、そういうところに負担させるというのは、私は大変筋の通らないことではないかというふうに思いますが、時間が終わりましたのでこれで終了させていただき、午後、文科委員会でも質問がございますので、そこで続きをさせていただきます。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、本村賢太郎君。
○本村(賢)委員 民進党の本村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたということでございます。断固許しがたい行為でありまして、強く非難をして、質問に入らせていただきます。
先日も質問いたしましたが、「てるみくらぶ」について、昨日、石井大臣から、三日時点で千百人が海外渡航中であるとの推計が明らかになったという報告がございました。
現在の渡航者の状況はどうなっているのか、観光庁にお伺いいたします。
○田村政府参考人 お答えいたします。
一昨日の時点で、「てるみくらぶ」を利用して海外にいる旅行者は千百名と推計されておりましたけれども、昨日の時点では、だんだん春休みも終わりということになってまいりまして、八百名と推計されております。
先般の先生の御質問にもお答え申し上げましたように、今回の事案を受けまして、観光庁におきましては、現在海外旅行をされている方が円滑に帰国できるよう、外務省等と連携し、必要な対応を行っているところでございます。
今のところ、現地で追加の費用負担を求められるケースというのは生じておりますが、大きなトラブルが生じているという報告はございませんけれども、仮に何らかのトラブルがあった場合には、外務省と連携し、旅行者の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
○本村(賢)委員 三月三十一日、大臣からも、今後の事案も踏まえつつ、再発防止についてどのような対応が必要か検討してまいりたいという御答弁もいただいておりまして、大臣のリーダーシップを強く期待してまいりたいと思うところであります。
三月二十七日に破産手続を開始する直前にも新聞広告を出して、また、この四月に入社予定の約五十人も内定を出していたりとか、また、私の友人も、現金一括キャンペーンというところでお話があって、クレジットで支払いたいが、「てるみくらぶ」さんからは現金でお願いしたいということで、現金で支払い、この春休み、大型連休も目の前にしたわけでありますが、旅行を断念するという結果もございました。
先日も御指摘をさせていただきましたが、やはり多くの皆さんが海外に渡航されるという夢を持っていたわけでありますので、今回の対応は非常に許しがたい話であります。今回、破産をするにしても、被害を最小にとどめる必要がありまして、その視点で再発防止策を講じる必要があると考えておりますが、再発防止策の必要性に関する見解をお伺いいたします。
○田村政府参考人 いろいろな報道もぽちぽちと出ております。現在、私どもも事実関係の把握に努めているところでございますけれども、いずれにいたしましても、今回の事案を受けまして、再発防止のためにどのような対応策が必要かということにつきまして、検討してまいりたいと考えております。
○本村(賢)委員 今後大きな被害が出ないように、大臣初め観光長官、そして国交省、さらには消費者庁、国民生活センター等と連携をしながら対応を進めていただきたいと思います。
次に、ライドシェアについてお伺いいたします。
三月二十九日に、衆議院国土交通委員会で、大臣が新経済連盟の提案に対する御見解を示されたわけでありますが、大臣はこれまで、私の答弁にも、この新経済連盟の提案書に対して、この提案書は、プラットホーム側に新たに運行記録の保存や運転者リストの作成などを求めておりますが、これらの措置は、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置いたものと言えず、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があるものと考えていると御答弁いただいているわけであります。
石井大臣が新経済連盟の提案に対する御見解をこういうふうに示されていますが、そういったことを内閣府や新経済連盟には伝えていらっしゃるでしょうか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、新経済連盟から、昨年十一月三十日に「ライドシェア実現に向けて」という提案書が提出されており、それについては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題がある旨、三月二十九日に本委員会で大臣から御答弁を申し上げたところでございます。
この新経済連盟の提案の内容につきましては、国土交通省から内閣府に対して、安全確保、利用者保護の観点から適切ではないと考える旨の回答を行っているところでございます。
○本村(賢)委員 ちょっと最後がよく聞こえませんでしたが、報告をしているということでよろしいですか。
○西銘委員長 藤井自動車局長、大きな声で答弁してください。
○藤井政府参考人 申しわけありません。
新経済連盟の提案の内容につきましては、国土交通省から内閣府に対し、安全確保、利用者保護の観点から適切ではないと考える旨の回答を行っているところでございます。
○本村(賢)委員 新経済連盟に対してもですか。
○藤井政府参考人 これは、こういった提案についての一般的なルールに従いまして、内閣府に回答を行っているところでございます。
○本村(賢)委員 次に、きょうお配りの資料の中に資料一、二がありますが、二は、日経新聞が、「ライドシェア解禁検討」という形で規制改革会議の報道を報じられております。私どもの三月二日の民進党タクシー政策議員連盟で、内閣府から、これは誤報だという否定もあるわけでありますが、規制改革推進会議や未来投資会議におけるライドシェアの検討状況についてお伺いいたします。
○刀禰政府参考人 お答えいたします。
議員から御指摘のございましたいわゆるライドシェア、すなわち、自家用車の運転者個人が自家用車を用いて他人を有償で運送するサービスにおいて、運転者と乗客とをスマートフォンのアプリ等で仲介するといったものにつきまして、規制改革推進会議において議題として検討を行っている事実はございません。
なお、先ほど日経新聞のお話がございましたが、二月五日の日経新聞におきまして、規制改革推進会議、ライドシェア解禁検討とされていることにつきましては、事実に反するものと認識をしております。
○本村(賢)委員 それでは、このライドシェアに対する大臣の見解を改めてお伺いいたします。
○石井国務大臣 国土交通省といたしましては、自動車による旅客の運送におきましては、安全、安心の確保が最重要の課題と認識をしております。
運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えております。
○本村(賢)委員 大臣から毎回力強い御答弁をいただいておりますので、その方向でぜひお願いしてまいりたいと思います。
ちょっと一点確認です。規制改革会議は内閣府で今御答弁いただきましたが、未来投資会議の内閣官房はいかがでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
未来投資会議では、構造改革の総ざらいとイノベーションの社会実装のための審議を進めておるところでございます。
また、各施策について分野ごとに専門的に検討を深めていただくために、構造改革徹底推進会合を設置して議論しておるところでございます。
この構造改革徹底推進会合のうち、第四次産業革命をテーマとしたものにおいて、複数回にわたって、日本におけるシェアリングエコノミー一般に関する施策の現状、さらに、ライドシェアを含むシェアリングエコノミー全体の海外の動向について、関係省庁から御報告をいただいたところでございます。
このように、海外の動向、国際比較について関係省庁から御説明をいただいたところではございますが、ライドシェアについてそれ以上の議論は行われておりません。
以上でございます。
○本村(賢)委員 最後、もう一回、ちょっとはっきり答えてください。
○西銘委員長 大きい声で答弁してください。
○宇野政府参考人 これまで、海外の動向ですとか国際比較について関係省庁から御説明をいただいているというところでございますが、ライドシェアにつきましては、それ以上の議論は行われておりません。
以上でございます。
○本村(賢)委員 次の質問に入りますが、東洋ゴムの免震偽装についてお伺いいたします。
これは、私もこの委員会で既に何度も追いかけてまいりましたが、三月三十一日に前社長ら数十人が書類送検され、役員がデータ不正を承知していたとも報じられているわけでありまして、また、舶用部品でのデータ不正も二月に発表されました。
昨年、大臣認定のあり方を見直したと承知をしているわけでありますが、その後の運用状況について大臣の見解をお伺いいたします。
○石井国務大臣 東洋ゴム工業による免震材料の不正事案を受けまして、建築物に使用される免震材料の大臣認定制度の見直しを行い、平成二十七年十二月三十一日から施行しております。
見直し後の新たな認定制度におきましては、工場等の生産現場における実地検査の実施、品質管理体制の審査の強化を行うこととしております。
具体的な審査につきましては、申請書類のみではなく、実際の工場において専門家が審査を行うことにより確認を行っておりまして、製品の性能試験に免震材料の専門家が立ち会うことにより、試験が適切に行われ、申請どおりの性能を有していることの確認、生産現場に品質管理の専門家が立ち会うことにより、申請どおりの品質管理体制となっていることの確認を行っております。
また、品質管理体制につきまして、例えば、知識と経験を有する品質管理推進責任者が製造部門から独立して選任されていること等について、審査を強化しております。
大臣認定制度の見直しとあわせて、製品出荷段階につきましても、免震材料等が認定仕様どおりに製造、出荷されていることを確認するために、国等によるサンプル調査を実施しているところでございます。
今後とも、新たな認定制度の着実な実施を通じて、免震材料の信頼性確保に取り組んでまいりたいと存じます。
○本村(賢)委員 免震ゴムのデータ不正を受けて大臣認定制度が見直されて、新しい制度で運用されているということは今御答弁いただきましたが、認定段階でのチェック強化、立会検査など、さらには出荷後のサンプル調査などを行っているというお話も伺いました。日本の物づくり産業にとって、この東洋ゴムの免震偽装から始まった問題は、私どもの国の物づくり産業の方向性を揺るがすような話でありますので、国交省には今後もしっかりと御指導をお願いしてまいりたいと思っております。
最後の質問にいたします。
先ほど「てるみくらぶ」でもお話ししましたが、間もなく春の大型連休となってまいります。例年、路線別の渋滞状況が発表されまして、海老名ジャンクション周辺や大和トンネル周辺がいつも上位となっております。これらの渋滞対策の現状を国交省にお伺いしたいと思います。
○石川政府参考人 お答えいたします。
海老名ジャンクションでは、平成二十六年六月の圏央道の開通により交通量が増加し、特に東名高速から圏央道北向きへ進むランプの合流部を先頭に渋滞が発生しておりました。
これに対して、平成二十七年十月より、一車線のため混雑していたランプ合流部について、既存の幅員の中で二車線の運用を開始し、その後、この合流部を先頭にした渋滞は発生しておりません。
また、圏央道南向きにつきましては、圏央道から東名高速に向かうランプへの分流部において、ほぼ毎日、渋滞が発生しておりました。
これに対しまして、平成二十八年七月より、一車線のため混雑していたランプ分流部について、既存の幅員の中で二車線の運用を開始し、渋滞が緩和したところでございます。
東名高速の大和トンネル付近につきましては、深刻な渋滞が発生していたことから、平成二十七年十二月に、道路を拡幅し、延長約五キロでございますけれども、上下線に付加車線を設置する対策を公表いたしました。
現在、中日本高速道路会社が、付加車線を設置する対策を進めているところでございます。具体的には、トンネル部につきまして、既にトンネル工事を契約いたしまして、本体を拡幅するための準備工事を実施しております。また、土工部、橋梁部につきましては、用地買収や工事の着手に向けた調査、測量を実施しているところでございます。
引き続き、東京オリンピックまでの開通に向けて、中日本高速道路会社と連携して事業を推進してまいります。
○本村(賢)委員 大和トンネルは厚木基地に面していまして、過去に航空機が墜落してトンネルをつけたという質問主意書の回答もいただいております。これは、米軍の空母艦載機が今年度から移駐することもありますので、例えば大和トンネルのトンネル部分をとってしまうというのも渋滞緩和の応援の一つかなと思います。そのことも提案して、きょうの質問を終わりにします。
ありがとうございました。
○西銘委員長 午後一時五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十分休憩
――――◇―――――
午後一時五分開議
○西銘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。水戸将史君。
○水戸委員 民進党の水戸将史でございます。
時間が限られておりますものですから、ちょっと私の地元の横浜市の問題につきまして何点かお尋ねいたしますので、真摯な御答弁をよろしくお願いしたいと思っております。
また、お手元に資料を御配付させていただいていますので、どういうことかということを若干私の方からかいつまんで、まず概要説明をさせてください。
まず、資料一ページ目、横浜環状道路の問題であります。特に、横浜環状道路の南線というところなんですね。この関東一円のマップの一番左下の方の四角に囲んでいる、そのエリアなんです。これは、御存じのとおり、横浜環状道路でもありますし、また圏央道ともつながるという、ある意味、いわゆる一つの基幹道路として、これから開通を期して、国土交通省を中心に建設が今進められているわけであります。
二ページ目をお開きいただければ、これがその四角の中の地図で、より詳しい地図ですね。特に、横浜環状南線という中において、右側、釜利谷ジャンクションから横浜横須賀道路につながる、そして左側は、横浜湘南道路を通じて圏央道につながるところと、戸塚の方に延びる、これがいわゆる国道一号線とつながる、この区間のことを指して言っております。
そして、三ページ目は、つい先般ですけれども、これは新聞にも掲載していましたけれども、もう既に平成二十三年八月三十一日付で、この沿線の市民グループ、連絡協議会がありまして、今までも当局ともいろいろな形で、質問をぶつけたり話し合いをしたりという形でやってきたわけでありますけれども、なかなからちが明かない部分があるということを含めて、そして、平成二十三年八月三十一日付で神奈川県の公害審査会に調停を申し出たんですね。そして、ようやく、これは平成二十九年二月二十七日付でその調停の合意案件ができたということの調書の写しであります。
こういうことを含めてちょっと説明をさせていただきましたけれども、そんなことからして、今までの経過、そしてこれからの展望につきまして、当局の御見解を求めていきたいと思っております。
まず第一なんですけれども、この道路の建設をめぐりましては、さまざまな問題点が住民サイドからは指摘をされておりました。とりわけ、いわゆる大気汚染の問題。仮に、このような環状道路が建設され、そこに多くの自動車が行き来をした場合における排気ガスのテーマですね。
特に、この二ページ目の地図の公田インターというところが、この地図の横浜環状道路のちょうど中央部分にある公田インター、仮称で書いています、この付近なんですけれども、排気ガスに関して、今までも、当局、国土交通省は旧式のプルーム・パフモデルというものを採用してきた。しかし、住民サイドからいえば、これは非常に古いわけでありまして、ましてやコンピューターのない時代における単純な手法であるから、果たしてこの調査、測定が本当に信憑性が高いかどうかに関して非常に疑問を呈してきたんですけれども、なぜこの旧式のものを今まで採用してきたのかということの事実経過を御説明ください。
○石川政府参考人 お答えいたします。
冒頭、一つ補足をさせていただきます。
委員御指摘の、平成二十三年八月に、公害紛争処理法に基づき、横浜環状道路対策連絡協議会代表者から、南線の大気汚染の予測方法について、やり直すべきとの趣旨の調停の申請があり、同年十月より公害調停が開始されたところでございます。
調停の内容につきましては、公害紛争処理法第三十七条に「調停委員会の行なう調停の手続は、公開しない。」と規定されており、また、公害等調整委員会事務局によれば、調停手続の経過及び内容を第三者に明らかにすることを差し控えるべきとされておりますが、横浜環状道路対策連絡協議会のホームページ及び本日の配付資料を踏まえて、これからお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
まず、委員御指摘の大気汚染の予測手法の件でございますが、都市計画時に行った環境アセスメント、及び、事業化後に事業再評価の実施に当たり行った環境影響の照査において、大気汚染の予測を行っており、いずれも環境基準を満たしておりますが、その際は、道路事業に係る環境影響評価に関する指針等を定める省令に参考手法として規定をされておりますプルーム式及びパフ式を用いているところでございます。
このプルーム式、パフ式というのは、風が吹いている状態の煙の拡散の濃度が正規分布になるものとし、さらに拡散幅を与えることにより求める手法でございまして、種々の道路構造及び気象条件に対して、現実の拡散濃度に基づき各種パラメーターを設定しております。特徴といたしましては、プルーム式及びパフ式は、広範囲にわたって適用可能で、汎用性があり、他の手法に比べて十分に検証された手法というふうにされているところでございます。
このように、煙の濃度を計算する一般的な手法でございまして、計算に当たっては、計算式のパラメーターを地域特性等を考慮した係数を適切に設定することによりまして、平たん地だけでなく、凹凸がある地形等においても大気汚染の影響の予測が可能となっているというふうに考えております。
以上でございます。
○水戸委員 非公開とか公開とか、そういうくだらない話はしないでください。既に新聞でもいわゆる調停の内容も具体的に列記されていますから、それにのっとった形で質問しますから、真摯な答弁を頼みますよ。
それで、今、旧式のものをあなたは正当化しているけれども、実際に現在の三次元流体モデルを使っているわけですね、住民たちが金を出し合って。そして、二酸化窒素、特に大気汚染に重大な影響を与える窒素酸化物でありますけれども、これは基準値を超える結果が出ているんですね。
では、あなたは、旧式のモデルを使って、二酸化窒素に関しての排出基準、これについてはどのような認識なんですか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の件は、三次元流体モデルにおいて基準値をオーバーしている、現在使っておりますプルーム・パフ式においては満足している、そのことをおっしゃっている、住民の方々のいわゆる自主的に行った結果ということだと思います。
先ほど申し上げましたように、道路事業の環境アセスメントでは、大気汚染の予測手法としてプルーム式及びパフ式が一般的な手法として用いられておりまして、この手法は、地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより、地域条件を考慮した大気汚染の環境を予測できるものとして、これまで一般的に使われておりまして、多くの検証により、その信頼性が確認されているものと考えております。
一方、三次元流体モデルにつきましては、計算に用いるパラメーターや計算メッシュの定め方に決まりがなく、使用するモデルや計算実施者により得られる結果が異なる可能性があること、また、計算結果の妥当性の検証が十分ではないことなど、現時点では道路の大気汚染予測の手法としては十分な信頼性が得られているとは認められないと認識をしております。
以上です。
○水戸委員 このエリアは、大気逆転層。いわゆる逆転層というのは、普通は上に行けば行くほど気温が下がるというのが当たり前なんですけれども、放射冷却、そういう現象によって地上付近の気温が低下するというときに起きる現象なんですね。こういう逆転層が起こると、いわゆる空気の対流が起こらなくなってしまって、濃霧やスモッグが発生する要因となる。つまり、こういうところに大がかりな道路を建設して多くの自動車が通れば、排気ガスがここら辺に停留するんじゃないかというような懸念も当然持たれているんですね。
ここがいわゆる逆転層の起こりやすい地域であるということの指摘についてはどのような認識ですか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、一般的には、昼間は、太陽に照らされ地表面の温度が高くなることによって、上空に向かって温度が低くなっていくという状態ですので、煙の塊は拡散しやすくなってまいります。
一方、夜間は、地表面の熱が赤外線として放射され、冷却されていきまして、これにより、地表面の温度が上空より低くなる層が形成される。この層を接地逆転層と呼び、接地逆転層が形成されると、この層を突き抜けて空気の塊が移動するのを防げるので、空気の塊が拡散しにくくなるということで、一般的には委員御指摘の放射冷却という現象もそうでありまして、これは、この公田地域に限らず、放射冷却現象というのは見られるものでございます。
そこで、御指摘の公田地区におきまして、平成七年十二月五日から平成八年十二月四日までの間、他の二地区と同時に二十四時間観測の気象調査を行っております。
その中で、谷部に位置している公田地区と、同時期に調査をしました比較的平坦な地形に位置する田谷地区とで、風速、風向及び逆転層の状況に関して同様の傾向が観測され、公田地区に特有の気象現象が存在するとは考えられないことから、プルーム式及びパフ式を適用することは問題なく、予測結果の信頼性に大きな差があるとは考えておりません。
○水戸委員 今のお話からすると、今までの測定方法も問題ない、それから、この地域も、住民が懸念するようなそういう事態には陥らないよということを今局長がみずから言ったものですから、もし万が一、今、そういう形で当局の御判断でしょうから、これがどうなるか、今後の状況の推移に任せるしかありませんけれども。
しかし、いずれにいたしましても、先ほど私が触れました三ページ目の調停の写しでございます。これは非公開でやりますから、もちろん、そちらが都合が悪いことは答えなくて構いませんけれども、もう既に明確に神奈川新聞ではこの内容が載っていますから、この神奈川新聞の新聞記事がこの内容を反映していると思いますから、神奈川新聞にのっとった形で言いますよ。
この神奈川新聞でも書いていますとおり、これは三月十四日付の神奈川新聞でありますが、この調停の1の(2)ですか、さっきのプルーム・パフモデル方式で入力ミスがあったというふうに指摘をしております。それは当局も認めているんですけれども、なぜこのような入力ミスが起こったのかということについての事実経過を教えてください。
○石川政府参考人 お答えいたします。
調停において行った平成二十五年十月三十一日付の計算の中で、公田換気所における二酸化窒素の最大濃度と出現地点のコンター図に拡散係数などの入力に誤りがあり、その結果、環境基準に比べ微小な値ではありますが、差異が生じたことを確認しております。
その原因でございますけれども、パラメーターの単純な入力ミスによるものでございます。入力ミスによりまして、本来は一掛ける十のマイナス五乗ppmとなるべきところ、パラメーターの設定によりまして、二倍の数値である二掛ける十のマイナス五乗ppmとの計算結果になりましたが、環境基準値に対しまして安全側となります。なお、その値は、環境基準値と比べて千分の一のオーダーでございます。
このパラメーターの設定により、窒素酸化物の計算を高く計算する方向になっておりますが、いずれの結果であっても、二酸化窒素の環境基準値の〇・〇四から〇・〇六ppmを下回っているところでございます。
なお、このような算出ミスがあったことについては遺憾でございます。今後、ミスがないように十分に確認を行うよう努めてまいります。
○水戸委員 住民サイドは、道路の建設そのものに対してもちろん反対する意向もありますが、やはり地域に対する環境影響ですよね。
ましてや、先ほど言ったように、一番センチメンタルな話ですよ。大気汚染の濃度に対して、それはもうごくごく、入力も微量なものに対してですから、影響はないということを言うけれども、もちろん意図的にこんな操作ミスをしたとは言いませんが、しかし、やはりセンチメンタルなことに対してもっともっと慎重にやるべきですよ。そういうことを強く私からも当局に申し入れていきたいと思っています。
ですから、こういう軽微な入力ミスかもしれませんけれども、しかし、特に二酸化窒素のこうした濃度に関する入力ですから、やはり慎重を期して、そして、住民サイドに一定の懸念を与えないように、誤解を与えないようなことを、細心の注意を促していきたいと思っていますので、よろしく頼みます。
そして、もう一つなんですけれども、これは神奈川新聞に載っておりますけれども、科学的な知見に基づき最適な予測方法をこれから用いますよということを合意していますよね。科学的な知見とは具体的に何なのか、最適な予測方法というのは具体的にどういう手法をとるのかについて、今どのような御見識でしょうか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
現在の道路事業における環境アセスメントにおきましては、科学的知見に基づき、最適な予測手法として技術的に確立されているプルーム式及びパフ式を適用しているところでございます。
今後の予測手法につきましては、最新の科学的知見の状況を踏まえながら、適宜適切に対応してまいります。
○水戸委員 その科学的知見というのがよくわからない。もう一回、具体的に。
○石川政府参考人 これは、最新の予測手法ということでございますので、いろいろな、プルーム・パフモデルの係数の見直しも含まれますし、三次元流体モデルというのも排除しているということではございません。
これは、一般論として、科学的知見に基づき最適な手法を用いるという意味でございます。
○水戸委員 局長、もう一回聞くんだけれども、またちょっと振り返りますが、今までのいわゆるプルーム・パフモデルもある程度そちらが確信を持って採用したという話でありましたから、何も、新たな形で最適な予測方法というのを、この方法以外に、では、三次元流体モデルの方がすぐれているということなんですか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、三次元流体モデルにも課題はございます。計算に用いるパラメーターや計算メッシュの定め方に決まりがなく、使用するモデルや計算実施者により得られる結果が異なる可能性があること、また、計算結果の妥当性の検証が十分でないという課題もございます。
そういう中で、このような課題が解決され、一般的にモデルが使用されるようになれば、予測手法として採用されることが考えられます。
○水戸委員 もっと具体的にわかりやすく、住民サイドにこういう形でやるよということは、では、実際にこれはどのような段階で詳しく住民サイドに説明するんですか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、申し上げたような課題がどのように解決されていくか、一般化されていくかという流れにかかわってくると思います。
以上です。
○水戸委員 また、神奈川新聞でもこれは掲載していますけれども、予測結果の情報の開示と品質管理の徹底に努めるというふうに、当局はそのような形で、今までがそうでなかったから今後それに努めるというふうに文言をここに盛り込んでおりますけれども、これはどういうことですか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
大気汚染予測結果につきましては、これまでも、環境影響評価の結果を公表しまして、地元住民の方々に丁寧に説明をしてきたところでございまして、最新のデータや予測手法による環境影響結果の照査を行い、その結果を公表しているところでございます。
今後、大気汚染の予測結果に関しましては、ミスがないように十分確認を行った上で、開示についても適切に対応してまいります。
○水戸委員 では、今まではそれが不徹底であったという、その裏返しということでいいですか。もう一回ちょっと。
幅広い情報の開示をする、また、品質管理の徹底化をすると。では、今までは情報の開示が非常に不手際だと、徹底化をされていなかった、その反省のもとにおいて今回の調停ではこういう文言を盛り込んだんですか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
情報の提供等が遅かったという指摘も受けております。ただ、確認作業もしっかりした上で開示をする必要があると思いますので、その辺を踏まえて対応させていただきたいと思っております。
また、品質管理につきましては、ミスがないように改めて十分確認を行った上で、適切に対応してまいりたいと考えております。
○水戸委員 これから真摯な対応をもっともっと、もちろん、しっかりと状況の分析とか経過を説明する説明責任が当局にございますから、当然、水面下で進める話じゃありませんので、ぜひ、その都度その都度住民サイドにこのような形で情報の開示、品質管理の徹底化をすることについて強く要請したいと思っています。
そして、この二枚目の地図のもっと右側の釜利谷ジャンクション近くに、この公田から釜利谷につながるところに庄戸地区という地区があるんです。これは非常に閑静なたたずまいですよ。この住宅地の真ん中を縦断するような形で道路が通るわけでありますけれども、ここも非常に大気汚染の問題が、ある程度市民レベルから騒がれておりまして、住宅近くの釜利谷の開口部の方に脱硝装置とか粉じん除去装置等々を完備した換気塔の設置を強く要望する声もあるんですが、これについてはどうでしょうか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
横浜環状南線の建設に伴う沿道の環境対策につきましては、環境予測に基づきまして、環境保全目標を達成するため、必要な対策を行っているところでございます。
環境影響評価におきましては、道路構造、周辺の地形的条件、住居の存在状況等を勘案して設定した代表的な箇所を予測位置としております。その結果によると、大気質については、環境基準を満足すると評価されているところでございます。
なお、釜利谷地区西側の開口部となる神戸橋につきましては、平成二十四年度の事業評価監視委員会の附帯意見や地域住民の皆様方からの要望等を踏まえ、さらなる大気、騒音対策として、トンネルからの排気ガスの漏れ出しを抑制するためのふたかけ構造、一部ルーバーとしておりますが、に変更したところでございます。
釜利谷地区の東側にも開口部がございますけれども、これにつきましては、周辺の土地利用状況を踏まえて、現時点では追加的な環境対策を行う予定はございません。
○水戸委員 今までのやりとりをお聞きいただいて、大臣の見識を求めたいんですが、大がかりな国家プロジェクトと言っても過言ではないようなこういう環状道路ですよ。それが圏央道にもつながる話でありますし、また、横浜を取り巻くような環状道路となる、そうした片道二車線というようなトンネルを掘るんですけれども、かなり大がかりなものでありますから、やはり住民サイドに対する大気汚染の問題、振動の問題というのは随分と切実なものとして、そこで暮らしている住民サイドでありますから、十分な説明も必要だし、万が一懸念するようなことが起きた、いわゆる濃度を超えるような粉、スモッグがそこで滞留してしまったりとか、いろいろな、きょうは時間がありませんけれども、これから地盤沈下の話もいたしますが、そういうことも起こる可能性があるんです。
ですから、そういうことを含めて、安全対策、事前の説明、ましてや入力のミスをしたということに対して、今までもこれに対して非常にすったもんだした経過がありましたから、大臣、こういうことは、やはり事前のさまざまな環境影響に対するそうした評価とその説明をもっと徹底すべきなんです。
もちろん、これはこの南線だけに限った話じゃありません。道路建設に関しては、細心の気配り、注意を必要とするわけでありますが、これについて、大臣、どのような御見識でしょうか。
○石井国務大臣 横浜環状南線を含めた圏央道につきましては、首都圏三環状道路の一つとして非常に重要な意義を持っております。
この圏央道の開通による環境への影響に対しましては、法令等に基づき、適切に評価をし、必要な対策を講じることは重要であります。
横浜環状南線につきましても、これまで、神奈川県において適切に環境アセスメントを行うとともに、事業者である国及び東日本高速道路株式会社が地域住民に対して具体的な環境対策などについて説明を行うなど、丁寧に対応してきたと承知をしております。
今後も、最新のデータと予測手法を用いて環境影響の照査を行うなど、環境負荷の軽減に努めながら、適切に進めてまいりたいと考えております。
○水戸委員 課題がまだまだありますから、次に持ち越させていただきます。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
本日は、高速道路淀川左岸線二期工事について質疑をさせていただきたいと思います。
資料の一をごらんください。一応、皆さんにもお示ししたいということで、パネルも持参をさせていただきました。
これが淀川左岸線高速道路の計画概要でございます。一期、二期と左岸線工事が計画されておりまして、既に一期事業については終了しておりまして、供用開始されております。
きょう質問させていただきますのは、左岸線二期の部分、全長四・四キロメートルの部分について質疑をさせていただきたいと考えております。
一期、二期を合わせまして全体十キロメートルの自動車専用道路であります。二期工事は、今申し上げましたように、阪神高速道路神戸線とつながる海老江ジャンクションから北区の新御堂筋までの約四・四キロメートルの区間であります。総事業費は、いろいろ紆余曲折はあったんですが、約一千億円ということになっております。平成十八年に大阪市の街路事業と阪神高速道路株式会社の有料道路事業との合併施行方式で事業化されたものであり、現在、二期事業の部分については用地買収がこの間進められているというのが現状であります。
資料の二をごらんいただきたいと思います。
これが完成イメージなんですね。実は、これは世界でも例のない道路なんですよ。大阪市内中心部を流れる淀川という一級河川の、淀川左岸にトンネルを埋め込んで、開削式トンネルということで、堤防と道路の一体構造物という形で建設が計画されております。
皆さんにも資料をお配りしましたが、一番奥の方に排気筒が見えるでしょうか。これは、トンネルのいわゆる排気ガスを空気中に吹き出すための煙突なんです。当初、計画ではこれを五本建てる予定だったんですけれども、高さ四十メートルとか五十メートルの煙突をこの四・四キロの区間に五本も建てると淀川の景観が壊れてしまうじゃないかということで、私もこれは大阪市会議員時代からずっと取り上げてきているんですけれども、その後、計画も変更されまして、一応二本にしようということになっているのと、四・四キロ区間のうち三百メートルほど開口部分がありまして、そこがあいているんやったら煙突をつくっている意味がないやないかということで、これも指摘しましたら、その開口部分については閉じましょうということになってまいりました。
この事業に対して、地元住民からは、堤防の中にトンネルの道路をつくるなんて危ないやんかという声も上がっておりますし、そもそも公害道路になったらどうなるんだという、そういう不安の声も上がっております。それだけじゃなくて、やはり防災対策、治水対策、淀川が決壊したらえらいことですから、そういう観点からも、本当に大丈夫なのかという、建設そのものや、その必要性、安全性についてさまざまな方から声が上がっているんです。
それで、最初に国交省に確認するんですが、この事業は、国内だけではなく、諸外国でもこんな例はありません。その安全性を検討するために、大阪市と国交省の近畿地方整備局、それと阪神高速道路株式会社が、淀川左岸線(二期)事業に関する技術検討委員会というのを立ち上げました。そして、昨年、平成二十八年三月に、技術検討報告書(案)、これですね、こういう案を出したということなんです。
技術検討委員会の出したこの技術検討報告書(案)の国交省としての位置づけ、これについて詳しくお答えいただけるでしょうか。
○栗田政府参考人 委員から、淀川左岸線(二期)事業に関する技術検討報告書の位置づけについてお尋ねを頂戴しております。
これは、淀川左岸線二期事業の建設に当たりまして、道路構造物と堤防を一体とした前例のない構造物の安全性、施工方法あるいは維持管理手法等につきまして技術的な審議を行うことを目的にしまして、道路整備の事業主体であります大阪市と阪神高速道路株式会社、それから河川管理者であります近畿地方整備局が共同で事務局となりまして、大学教授らの学識経験者で構成する技術検討委員会を設置し、その検討事項を取りまとめていただいたものでございます。
主な検討事項といたしまして、道路構造物と堤防を一体構造とした場合の河川堤防としての安全性の照査方法等、施工方法に関すること、あるいは道路構造物の建設及び完成後の維持管理手法並びにモニタリングに関することなどを検討事項としておるわけでございますが、平成二十八年度より審議を行ってまいりまして、昨年三月、まとめられていると……(発言する者あり)二十三年度より審議を行ってまいりました。
この技術検討報告書は、淀川左岸線二期事業の建設に向けた今後の詳細設計、施工計画及び河川協議等のもととなる技術的検討結果として活用されるものと承知しております。
○清水委員 今、御説明がございました。今後の河川協議のもととなるものであるということなんです。
そこで、石井大臣に一問お伺いしたいと思います。
私、るる説明させていただきましたし、今、答弁にもありましたように、道路構造物と堤防を一体とした前例のない構造物ということであります。こういうものを建設しようという際には、やはり技術的にも最新の知見に基づくものでなければ、私は、安全性の確認というものはできたというふうには思えないんですけれども、一般論でも結構ですが、そのあたりはいかがですか。
○石井国務大臣 これはスーパー堤防ですか、普通の堤防ですか、ちょっとよくわかりませんが、堤防の中に道路構造物を縦断方向に入れているという意味で、珍しい例だと思います。
ただ、私が承知しているのは、首都高の中央環状線の東側、あれは、堤防の中に縦断方向に首都高の高架橋の橋脚がずっと埋まっているという、あれも珍しい構造だったと思いますけれども、そういう先例はなきにしもあらずかなとは思います。
いずれにいたしましても、淀川左岸線二期事業は、大阪市と阪神高速道路株式会社が事業主体となって整備することとされておりますが、事業の実施に当たりましては、事業主体である大阪市と阪神高速道路株式会社が最新の技術基準やデータ等も踏まえて設計をし、河川協議等を経て安全性の確認がなされ、適切に施工がなされるものと認識をしております。
○清水委員 これは、基本的には計画のときはスーパー堤防ということになっているんですが、一部しかスーパー堤防になっておらず、ほとんどの区間は、スーパー堤防の計画はあるものの、いわゆる工事着工の見通しは立っておりません。いわゆる一般的な堤防の中に引き続き高速道路を建設しようという計画であるということは、今、石井大臣がスーパー堤防かどうかというふうに言われましたのでつけ加えさせていただきますが、いずれにしても、やはり最新の知見や技術に基づいて検討されるものであるというお答えがありました。
ここで、配付資料の三をごらんいただきたいと思います。
この配付資料の三は、この技術検討委員会が、いわゆる河川堤防としての機能評価に用いる外力、つまり、地震にしっかり耐えられるかどうかということを評価する部分で報告されている部分なんですね。
「河川耐震指針による地震外力」、河川耐震指針というのは、正確には河川構造物の耐震性能照査指針というんですが、どれぐらいの地震に対してこの堤防は大丈夫なのかということを検討する必要があるということで、報告書案にも書かれております。
それで、どのような地震動を用いて検討するかというときに、ここでは、1からすぐ下のところに、河川耐震指針には時刻歴応答波形の記載がない、そのために、道路橋示方書、平成十四年三月に発行されたものに掲載されている地震動を用いる、こう書かれておりまして、その下に波形が三種類ございます。これは、平成十四年三月の道路橋示方書から引用した地震波形なんですね。
三つ目が採用されております。三つ目が採用されたのはなぜかというと、いわゆる地震の波動の継続時間が最も長いものを選定しているわけです。長く揺れるほど堤防が大きく変形する可能性があるということで、これは報告書自身もこう書いておりますので、この三つのうちから三番目の波形を採用して、淀川左岸線の堤防に係る安全性については技術評価をしようということなんですね。
ただ、この道路示方書なんですけれども、平成十四年三月のものを引用したんですが、実は、平成二十四年三月、東日本大震災の翌年にこの示方書が改訂されているんです。それで、その前書きでは、何のために改訂したのかというところでは、前年に起きた東日本大震災の影響に鑑みて、東海地震、東南海地震、南海地震等のプレート境界型の大規模地震を考慮するためにレベル2地震動タイプ1が見直された、こう記入されているわけなんです。つまり、今、資料三でごらんいただいた、いわゆる海溝型地震と言われる地震動の波形について改訂したというふうに述べているんですね。
それで、石井大臣からは最新の技術や知見というお話もあったんですが、この技術検討委員会が改訂版で見直されたこの地震動を用いていないというのは事実ですね。
○山田政府参考人 この技術検討会の報告案は、委員のおっしゃるとおり、平成二十四年に基づいた波形によって検討されております。
河川堤防に関する耐震性能照査の手法の指針に関しましては、平成二十八年三月に見直しをしているということでございまして、先ほど言いましたように、技術検討報告書(案)では平成二十四年二月の運用している指針を参照しておりますが、いずれにしましても、河川法に基づく申請がなされた際には、最新の指針に基づき確認することとしております。
○清水委員 私の言ったとおり、十四年の示方書に基づいたデータで検討していると。そして、否定はされませんでしたけれども、二十四年三月に改訂されたものがこの報告書案には記載されておりません。これは一つ確認させていただきました。
配付資料の四枚目をごらんください。こちらが新しい方、改訂版の波形なんですね。
それで、一番下のものが採用されなければならないと私は思うんですけれども、三と比べると何が違うかといいますと、時間スキームが違うんですよ。平成十四年の示方書は、地震の波形の長さというのが、五十秒のスケールの中で四十秒ぐらいでとまっているというデータなんですね。
ところが、二十四年に改訂された地震動の、いわゆる海溝型の地震の波形を見てください。何と、スケールは二百四十秒ですよ。先ほどのものが五十秒だったのに対して、今度は約四分間です。四十秒のところで波動がフラットになっていたのが十四年のものですが、いわゆる改訂したものは、三分を過ぎてもまだ微妙に揺れている。非常に長い波形をもたらしているんです。やはりこの技術検討報告書は、最新の知見に基づいて活用されなければならないものだというふうに思うんです。
もう一度確認します。
その後、いろいろ言われましたけれども、この報告書案では、最新の知見、いわゆる改訂されたデータは用いられていない、これをちょっともう一回確認させてください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
先ほども御答弁申し上げましたけれども、技術検討報告書(案)では、平成二十四年二月より運用している改訂前の指針を参照しているところでございます。
河川堤防に関する耐震性の照査の手法を定めた指針につきましては、平成二十八年三月に見直しをしておりますので、いずれにしましても、河川法に基づく申請がこれからなされた際には、最新の指針に基づき確認することとしております。
○清水委員 ということは、十四年のものなので、最新のものではないから、やはりこれは最新のものに改訂しなければ活用できないということだと思うんですね。
大臣にもちょっと聞きたいんですけれども、道路示方書平成二十四年改訂、十四年から十年ぶりになぜ改訂されたのかということなんですけれども、当時、日本道路協会の橋本会長が、このたびの震災を踏まえた対応や維持管理に関する内容の充実等を主な内容としてと。つまり、あの東日本大震災で、非常に長い揺れが続いた、そして堤防などの液状化が各地で見られた、そのことをもってしてこの示方書が改訂されたんですね。だから、全編を見直し、改訂版を発行する運びになりましたと述べておられます。
技術検討報告書(案)は、東日本大震災以降の最新の知見を反映していない、これは示方書のデータが違いますから。ですから、淀川左岸線二期工事の建設に向けた、最初に答弁いただいたように、詳細設計、施工計画及び河川協議等のもととなる技術的検討結果として活用するには不十分ではありませんかという質問です。石井大臣、お願いします。
○山田政府参考人 先ほど申し上げましたが、この報告書ができたときには、そのときにありました河川堤防に関する照査の手法を定めた指針は平成二十四年二月のものでございました。
したがいまして、現段階で河川法の申請がなされた際には、最新の指針に基づき確認するということになると考えております。
○清水委員 ぜひそうお願いしたいと思うんですが、だからこそ、いつまでたっても、一年もたつのに、まだ案のままなんですよ。案がとれないということだと思うんですね。地元住民の皆さんは、こうした最新の知見が現段階では反映されていないので、やはり不安も拭えないというふうに思います。国交省としては、少なくとも最新の示方書に基づく検討をすることなく、この道路計画を認可することがあってはならないと思うんです。
きょうは時間がありませんからやりませんけれども、これは非常に特殊な道路ですから、基本的にはこれはつくれないんですよ。許可がおりない。しかし、大阪市の方は、大臣特認制度を活用して何とか事業認可をお願いしたいということですので、これは大阪市が言っているんですよ。そういう点では、申請が上がってきたときに、国交省やあるいは国土交通大臣の判断材料が最新の知見に基づいていないものだとすれば、これを土台にするべきではないということをきょう私は述べたかったわけであります。
それで、国は、将来、高い確率で南海・東南海地震がやってくるというふうに言われておりまして、それに備えた防災計画の見直しまでやってきたわけです。これは、万が一、堤防が液状化し、躯体が壊れ、高速道路の出入り口から例えば浸水するということになると、被害は甚大だと言わなければなりません。
私、本当にこれが必要かと思うんですよ、道路。阪神高速でいうと、渋滞は物すごく緩和されてきていますし、いわゆる一日の走行台数というのも減少傾向にあるわけですよね。実は、この左岸線と並列して走る南岸線という無料道路があるんですけれども、この無料道路の通行量予測は昭和六十年のものしかないんですよ。いわゆるバブルとか、バブルの終わりかけぐらいのときの需要予測をいまだにはめ込んで、そしてこの左岸線には一日当たり最高で五万四千台走るだろうという、私はこれは過度な予測ではないかなというふうにも思っております。
古くから沿線にお住まいの皆さんは、そもそも高速道路計画なんて知らなかった、風光明媚な、淀川のきれいな堤防沿いが目の前にある、そういう住環境を求めて越されてきたにもかかわらず、突然このような高速道路計画を知らされたということで憤慨されております。
淀川左岸線二期工事は、私はきっぱりと中止するべきだと思いますが、今後も必要性と安全性について取り上げていきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、本村伸子君。
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
リニアの問題について質問をさせていただきます。
岐阜県内のリニア工事で法令違反の無許可工事が行われたということが発覚いたしました。どういうことか、お示しをいただきたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
ことしの二月七日に岐阜県が公表いたしました資料によれば、JR東海が計画しております中央新幹線日吉トンネル新設(南垣外工区)の準備工事におきまして、砂防指定地や地すべり防止区域内で、法律や条例により知事の許可が必要とされる制限行為が無許可で行われたということでございます。
具体的には、岐阜県砂防指定地の管理及び砂防設備占用料等の徴収に関する条例第三条第一項及び地すべり等防止法第十八条第一項では、一定規模以上の竹木の伐採、その堆積、土地の掘削などを制限いたしておりまして、これらの行為を行う場合には知事の許可が必要となるわけでございますが、当該準備工事では、工事施工者が許可なくこれらの行為を行ったとされております。
また、それらの行為の内容は、竹木の伐採後の除根、坂路の造成に伴う土地の掘削、伐採した竹木の堆積でありまして、行為者、工事施工者は、清水建設、大日本土木、青木あすなろ建設から成る工事共同企業体で、行為期間はことしの一月二十日から一月三十一日とされておるところでございます。
○本村(伸)委員 地すべり等防止法に違反をしたということでございます。
岐阜県内では、リニア工事にかかわって、法令違反はこれで二件目でございます。地下水の調査において環境基準を超える鉛が検出されたにもかかわらず岐阜県に報告していなかったというあのJR東海の法令違反の際にも、私、昨年三月三十日、この委員会で質問をさせていただきました。
その際に、石井大臣は、「国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線事業が、関係法令に従い、環境の保全を図りながら適切に進められるよう、JR東海を指導監督してまいります。」こう答弁されましたけれども、しかし、また法令違反があったわけです。岐阜県内のリニア工事で二回目でございます。
大臣は、この問題が重大なことだという認識がございますでしょうか。そして、国交省として、二度にわたるリニア事業の法令違反に対して、JR東海にどういう厳しい措置を行ったのか。答弁を大臣にお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 リニア中央新幹線につきましてはこれから工事が本格化することとなりますが、工事を進めるに当たり、JR東海におきまして関係法令等を遵守することは当然のことでございます。
国土交通省では、今回の無許可行為の事案を含め、今後行われる中央新幹線の工事について、関係法令等に従って適切に進めるとともに、工事施工者に対する指導を徹底するよう厳重注意をしたところでございます。
リニア中央新幹線の工事につきましては、今後とも引き続き、工事の実施状況を注視し、関係法令に従って適切に事業を進めるよう、JR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 この無許可工事ですけれども、JR東海が主導したのか、あるいは建設会社なのか、誰に責任があるかという点、真相、原因究明は国交省としてしっかりとしたのかという点、お伺いしたいと思います。
○奥田政府参考人 お答えを申し上げます。
この事案につきましては、先ほども答弁申し上げましたけれども、ことしの二月七日に岐阜県が公表いたしました資料によれば、JR東海が計画しております中央新幹線日吉トンネル新設工事の準備工事において、工事施工者が許可なく一定規模以上の竹木の伐採などの行為を行ったということでございます。
この行為に対しましては、いわゆる許可権者であります岐阜県から工事施工者に対して、行為の中止及び是正措置の実施の指導が、また、あわせてJR東海に対しましては、発注先の法令遵守の指導徹底の要請がなされました。
このような一連の岐阜県による行政対応からいたしますに、許可権者であります岐阜県は、法令違反を行ったのは工事施工者、また、当該工事について、発注者であるJR東海も、工事施工者を指導する立場にあると見ているものと思われます。
なお、こういった事態に至った事情につきましては、私どもも事情を聴取いたしまして、状況については把握しておるところでございます。
○本村(伸)委員 今回は、岐阜県の職員の方がたまたま現場にいたから法令違反が見つかったわけでございます。岐阜県でこうやって二件あるということになりますと、ほかの都や県でも法令違反があるのではないかということも思うわけでございます。
国土交通省主導で、このリニア事業について法令違反がないか調査をするべきでありますし、監督をするべきだというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○石井国務大臣 国土交通省としましては、他のリニア沿線都県においても条例に基づかない要綱を確認の上、適切に対応すること、関係法令等に従って適切に工事を進めるとともに、工事施工者に対する指導を徹底することについて、JR東海に対してそれぞれ指導したところでございます。
引き続き、JR東海に対して、関係法令等に従って適切に事業を進めるよう指導してまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 各現場で国交省が監督する、そういう職員体制というのはあるんでしょうか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の事態を受けましてJR東海を指導したわけでありますけれども、今後の改善策として、一つは、条例に基づかないような要綱、指針等を網羅的に把握するということと、そういった中身に応じて、今後やっていく事業でどういった手続が要るのかということを、きっちり現場で、東海も、それからJVも把握して、それを確認しながら進めていくということでございます。
これはJR東海が進めます民間の事業でございますので、そういった形で適切に事業が進められていくということでございます。
○本村(伸)委員 私、中部運輸局の方にこのリニア事業について住民の皆さんと一緒にいろいろ申し入れをしたときに、中部運輸局は、私どもはリニアとは関係ありませんという態度で、監督しようという出先の構えもなかったわけですけれども、それでちゃんと監督できるんでしょうか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
この工事実施計画の認可につきましては、大臣権限ということで本省で認可をしております。私ども、必要に応じて逐次状況を聴取等して把握して、必要な指導を行っているわけでございます。
中部運輸局で、先生と現地でどういうやりとりがあったか、詳細は承知しておりませんけれども、全く関係がないというようなことを言ったかどうかというのは、ちょっと済みません、私は把握しておりません。
○本村(伸)委員 国交省が本気で指導監督をしていただきたいというふうに思うんです。そして、体制も、現地でもつくるべきだということを強調させていただきたいと思います。工事がほとんど進んでいないのにこうやって法令違反が繰り返される、こういう状況を絶対に許してはならないということを強く申し述べておきたいと思います。
次に、リニア残土について質問をさせていただきたいと思いますけれども、幾つか確認をしたいというふうに思います。
四点確認をしたいんですけれども、まず、愛知県内から出されるトンネル残土の全体量はどのくらいかという点。そして、春日井の坂下非常口から立て坑の残土を瀬戸市のグランドキャニオンと言われている愛知県珪砂鉱業協同組合の土地に運ばれる計画がございますけれども、どのくらいの量で、それは愛知県内で出るリニア残土全体の何%かという点。そして、その坂下非常口から瀬戸に持っていく計画では、ダンプなど工事車両は、一日、往復で延べ最大何台通る計画なのかという点。そして四点目、JR東海と愛知県珪砂鉱業協同組合はもう契約をしたのか、もし契約をしたのであれば、どういう契約なのかという点。
お示しをいただきたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、愛知県内でのトンネル残土の発生量につきましては、JR東海が作成いたしました愛知県の環境影響評価書によれば、約五百十万立米とされております。
それから、坂下非常口から瀬戸の鉱山跡に持っていく発生土の量が愛知県全体の発生土の量に占める割合につきましては、JR東海によれば、坂下非常口の掘削に伴う発生土の量は約十万立米でございまして、これは、県内から出てくるトンネル残土の発生量について申し上げますと二%でございますが、その余を含む全発生土についていいますと、一・五%ということになってございます。
あと、坂下非常口から発生いたします残土を運搬するダンプの一日当たりの台数、往復で二台と換算ということかと思いますが、それにつきましては、最大二百台という見通しでございます。
あと、JR東海と珪砂組合におきまして残土受け入れの契約をしているか、している場合にはその契約内容ということですが、当事者間で残土受け入れに関する合意は行われていると聞いておりますが、その内容につきましては、民間当事者の合意でございまして、その中に守秘義務条項があるということでございまして、中身については回答できないという答えを得ております。
○本村(伸)委員 国家的プロジェクトでありながら、こうやってさまざまな情報が隠されているという点も強く抗議をしたいというふうに思います。
このJR東海と愛知県珪砂鉱業協同組合の契約ですけれども、民民の契約とはいえ、周辺の住民の皆さんに大変な被害を与えるわけです。周辺住民の皆さんの理解と納得が大前提であるというふうに思います。
そして、大臣に確認をしたいんですけれども、住民の皆さんの合意なくして強行してはならないと思いますけれども、その点、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 春日井市の坂下非常口からの発生土を瀬戸市の愛知県珪砂鉱業協同組合の鉱山跡地に運搬するに当たり、JR東海は、昨年十一月に、発生土の運搬ルート上にある瀬戸市の関係住民に対して説明会を二回開催したと聞いております。
この説明会では、工事用車両の安全対策等についての説明が行われ、春日井市においても、同様の内容を含んだ説明会が本年二月に開催されたと聞いております。
今後は、沿線自治体である瀬戸市や春日井市とも協議が行われ、必要に応じ追加の措置等についての検討が行われる予定と聞いておりますが、いずれにいたしましても、リニア中央新幹線の建設事業が円滑に実施されるためには、地元の理解と協力を得ることが重要と考えます。
国土交通省といたしましては、引き続き、JR東海に対しまして、地元住民等に丁寧に説明をしながら、環境の保全を図るとともに、安全かつ確実に施工がなされるよう指導してまいります。
○本村(伸)委員 丁寧な説明といっても、先ほど、JR東海と愛知県珪砂鉱業協同組合が合意した、その内容は秘密なんだというふうにおっしゃっているわけでございます。矛盾するというふうに思います。
この瀬戸へ持ってこられる残土ですけれども、先ほど一・五%分だというふうに言われましたけれども、この一・五%分だけでも、毎日、往復、最大で一日二百台のダンプなどの工事車両が通るわけでございます。瀬戸の皆さんは、本当に一・五%分だけなのだろうか、もしほかの残土が来るというふうになりますと、毎日ダンプが二千台になるのではないかということで、不安は尽きないわけです。
瀬戸市での残土の説明会では、子供さんを持つ親御さんから、やめてください、何のメリットもない、危険なトラックを走らせないでほしい、中学校も高校も保育園もある、みんなマスクをしなければいけない、我慢できないという声や、この計画に納得できない、相当な公害が出る、排気ガス、アトピー、排気ガスまみれの農作物、ちゃんと補償してくれるのかという声、あるいは交通事故を心配する声、ルートを変更してほしいという声、そういう抗議の中で、時間になりましたということで説明会が終わってしまったわけでございます。
環境基準値を超える鉛が出ました名城非常口の残土も持ってこられるのではないかという不安の声も出されています。この瀬戸市の説明会では、鉛の出た土、表土の部分ですけれども、東海市に持っていきましたと説明がございました。
そこで、伺います。名城非常口の土壌から環境基準値を超える鉛が出ましたけれども、四点確認をしたいというふうに思います。
名城非常口の住民説明会でも、大渋滞とか、騒音とか、振動とか、排気ガス、残土の持っていき先など、意見、質問が出されたわけですけれども、JR東海が答えに窮したり、あるいは検討するというふうに答弁したり、そういう中であったわけですけれども、それで、その説明会の翌日には、住民の皆さんの御要望とかに応えることもなく、もう工事に着手するという大変不誠実なやり方があったわけです。
確認をしますけれども、汚染された土壌は一体どのくらいの量だったのかという点、十トントラックで何台分なのかという点、実際に汚染された土壌を具体的にどこに持っていったかという点、そして四点目ですけれども、持っていった先の住民の皆さんにはちゃんと説明をしているのかという点、確認をしたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
お話のありました名城非常口の工事におきまして、土壌汚染対策法に基づき、形質変更時に届け出が必要とされる区域の指定等の権限を有する名古屋市に対してJR東海が行った届け出によれば、平成二十八年十月から十二月に掘削除去された汚染土の量は約三千トン、これらは、十トンダンプトラック約四百台で全て運搬をされた、搬出先は愛知県東海市内の汚染土壌処理業の許可を得ている処理業者の施設ということでございます。
あと、汚染土の運搬に当たりまして、JR東海は、搬出元の名城非常口周辺の運搬ルート周辺では、汚染土が搬出される旨をお知らせしたということであります。なお、搬出先の東海市内の施設につきましては、工業地帯に位置するということでございまして、特段、住民への周知ということは行われておりません。
○本村(伸)委員 東海市の皆さんにもぜひ説明をしていただきたいというふうに思うんです。説明するのが当然だというふうに思います。
有害物質で汚染された土壌など、これも法令に基づいてちゃんと処理されているのか、このことを国交省としてちゃんとつかんでいるのか、つかむべきではないかというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 リニア中央新幹線の工事を進めるに当たりまして、JR東海において関係法令等を遵守することは当然のことでありまして、土壌汚染対策についても同様でございます。
名城非常口から生じた鉛を含む建設発生土につきましても、現在、土壌汚染対策法に基づき、区域の指定等の権限を有する名古屋市に届け出を行う等の措置が行われていると承知をしております。
また、土壌汚染対策法の適用を受けないトンネルからの発生土につきましても、JR東海は、環境影響評価の中で、土壌汚染対策法に準じる取り扱いを行う旨を表明しておりまして、国土交通省は、このような取り組みが適切に行われているかについて、工事完了後に行われる環境影響評価法に基づく環境保全措置等の報告等において確認することとなります。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線事業が、関係法令に従い、環境の保全を図りながら適切に進められるよう、JR東海を指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 しっかり監督指導ができていなかったという事例があったからこそ、強調するわけでございます。
リニアの残土の運搬先、運搬ルートの沿線の皆さんの生活への影響や環境への影響についてしっかりとアセスメントを行うのは当然だというふうに思いますけれども、これをJR東海にしっかりとやらせてください。大臣、お願いします。
○石井国務大臣 JR東海が作成いたしましたリニア中央新幹線の環境影響評価書によれば、JR東海がみずから新たに発生土置き場を計画する場合には、場所の選定、関係者との調整を行った後に、環境保全措置の内容を詳細なものにするための調査及び影響検討を事後調査として実施するとしております。
また、調査及び影響検討の項目の中には、資材及び機械の運搬に用いる車両の運行との項目がありまして、大気汚染、騒音、振動等についての調査が行われることとなります。
一方、JR東海以外の事業者が主体となって発生土置き場が計画される場合には、これらの調査は当該事業者により行われるのが基本とのことであります。
なお、交通安全につきましては、環境影響評価法上の調査事項ではありませんが、JR東海は、必要に応じて、地元説明会において具体的な安全対策についての説明を行っているということでございます。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、引き続き、JR東海に対しまして、地元住民等に丁寧に説明をしながら、環境の保全を図るとともに、安全かつ確実に施工が行われるよう指導監督してまいります。
○本村(伸)委員 住民の皆さんの合意がないまま強行することは絶対にやってはならないということを強調させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、木下智彦君。
○木下委員 日本維新の会、木下智彦です。
きょうは、ここでお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。
きょうお話しさせていただきたいのは、大阪・豊中市の国有地を学校法人に売却した、その件について質問させていただきたいと思います。
というのは、私、実は、当該土地、森友学園が取得した土地のすぐ近所に住んでいるんですね。数百メートルのところに住んでいます。ちなみに言いますと、籠池さんの御自宅、それも私の事務所のすぐ裏ということで、実は当初より、このお話、まだ国会で取り上げられていないときからちょっと私の方で質問の機会をうかがっていて、何度かあれしたんですけれども、新聞に出てしまって、余りにもスキャンダラスということで回避したということなんです。
きょう、そちらに豊中の御選出の大塚高司大先輩もいらっしゃいますが、私は比例なんですけれども、二人で思っていることがあるんですね。この間、証人喚問で葉梨先生が質問されていましたけれども、あれはもともと私がネタ元で取り上げていただいたことなんですけれども、豊中の森友学園の土地の隣の野田中央公園、ここは豊中市に十四億何がしかで売られていながら、森友には一億幾らだったと。
これは、恐らくもう既に皆さん御存じのとおり、こうじゃないんですよね。わかっていて、まるでそういう差をつけるように、一部の野党議員の方が言われていた。
十四億円というふうな野田中央公園は実際にはどうなっているかというと、住宅市街地総合整備事業ということで七億一千万円、それから、地域活性化・公共投資臨時交付金ということで六億九千万円、合わせて十四億の国費がまた投じられた形になっている。豊中市は、実質的には負担したのは二千数百万円というふうなことだったんです。
これ自体が問題があるかどうかというのもあるんですけれども、そういう状態なのに、そういうことをわざと抜いて強調してやる。私は、これはとてもひきょうだなと。
なぜそう思うか。これは大塚先生ともよく言うんですけれども、地元の人たちからしたらとんでもないんですよ。豊中市は何をしているんだとみんな私たちに言ってくるんです、十四億も払ってどうしてそんなことをやっているんだと。片一方はあの私立の学校に一億幾らで売っておいて、豊中市は十四億も払っているのかと。いやいや、違うんですという説明をさせていただくんですけれども、地元は大変な状態になっているということをまずちょっと冒頭つけ加えさせていただいて、きょうの話をさせていただきたいと思います。
この一カ月ちょっとの間、もう二カ月たちましたか、ずっと聞いていると、立証の非常に難しいようなことについて、そんたくがあっただとか、部屋の中で何かのやりとりがあったとか、聞いていてもわからないようなことばかりを、幾ら追及してもわからないようなことをずっと話をしていて、大切な予算についての話は余りされなかったというふうに思っているんですね。
そういう話をしていてもしようがないので、きょうは、時間をいただいて本当に申しわけないんですけれども、事実確認をちょっとさせていただきたいと思うんです。だから、せっかく大臣がいらっしゃるんですけれども、きょうは大臣にはもう御答弁を求めませんので、座っていただいてお休みいただいていても結構なんです。
まず最初なんですけれども、そもそも、森友学園の土地が、もともとは国有地というふうな形になっていたんですけれども、一時期、新関空株式会社というところに、これは間違ってということなんですけれども、一度所有権が移っているらしいんですね。これがどうしてそういうふうになっているのか。
まず最初に、新関空株式会社、これ以外もそうなんですけれども、豊中市というか、大阪国際空港、伊丹空港の滑走路の延長線上については、騒音対策として、その当時に大阪府と兵庫県それから国が機構をつくって、そこが土地を買収した形になっていた。それを国有地として持っていたところを、コンセッションに伴うときに新関空株式会社というのができて、そこに国が現物出資をするという形で土地を全部渡していると思うんですね。まず、この現物出資の時期というのを教えていただきたいんです。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
伊丹空港周辺のいわゆる移転補償跡地につきましては、平成二十四年七月の関西空港と伊丹空港の経営統合のときに、関空・伊丹経営統合法に基づきまして、新関西国際空港株式会社が承継をいたしました。
なお、今回の森友学園に売却された土地につきましては、平成二十二年七月以降、森友学園とは別の学校法人から本件土地の取得要望書が提出されていたということから、例外的に、本件土地を国から新関空会社に対して現物出資しないで、国が引き続き保有して、将来的に売却するということにしておりました。
このように、本件土地を例外的に取り扱うことにつきましても、関空・伊丹経営統合法に基づき措置されているところでございます。
○木下委員 現物出資という形でやられた。
今言われていた、平成二十二年七月ですかね、ほかの学校法人さんから、七月だったかな、ちょっと今ちゃんと聞けなかったんですけれども、その交渉がやられていた一番最初のときは、財務省近畿財務局ではなくて、国交省大阪航空局がその交渉に当たられていたというふうに聞いているんですけれども、これは正しいですか。それで、それはなぜなのかということも。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
本件土地の経緯でございますけれども、まず、一番最初、平成二十二年七月に、学校法人森友学園以外の学校法人から、当該土地の買い取り要望書の第一回目の提出がございました。このときは、実は、その要望書の中身であります事業計画が非常に詰まっていなかったといいますか内容がなかったものですから、大阪航空局は受理に至っておりません。
続きまして、翌年の平成二十三年七月に二回目の買い取り要望書の提出がございましたけれども、このときも、まだ事業計画がなかなか内容のあるものではないということで、大阪航空局は受理に至ってございません。
三回目、翌年の平成二十四年一月二十日に三度目の買い取り要望書の提出がございまして、このときは、事業計画がきちっと添付されていた、中身もしっかりしていたということで、大阪航空局はこれを受理いたしまして、同じく平成二十四年三月十三日に近畿財務局に対して当該土地の処分を依頼したということでございます。
○木下委員 最後が三月十三日。
私が聞いたところによると、これは国交省さんがお答えすることではないと思うんですけれども、財務省の方で国有地の売却に関する審議会なんかが開かれて、ちょうど平成二十四年の頭だと思うんですけれども、そこで、財務省として、違う学校法人へ売るかどうかというふうな話をしていくという形になっていた。
ちょうどそうなっていたときに、手元で話をしますけれども、登記書を見てみると、平成二十四年十月二十二日にこの当該土地は一度新関空株式会社に登記されている。これは、間違っていた、錯誤ということで、翌年の平成二十五年一月十日にもう一度国有地というふうな形で戻っているということなんですね。
結局、その前後なんですけれども、これは何でそうなったかというところをちょっといろいろと事前に教えていただいたんですけれども、もともと大阪国際空港の南側の地域は、国有地というのか、整理、買収された形になってたくさん持っていたところを、新関空株式会社に平成二十四年七月一日に、手続的には十月になっているんですか、現物出資をされている。そのときに、この森友の土地、ここも一緒に間違って新関空株式会社に一度移された。三カ月後に、これは、錯誤、というのは、違う学校法人と契約交渉をしていたので、これは国有地として残しておくべきだというふうなことで、もう一度国有地に戻した。これはそういう流れで基本的には正しいですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと詳細にわたりますけれども、先ほども答弁いたしましたとおり、伊丹空港周辺の移転補償跡地につきましては、関空・伊丹経営統合法に基づいて、新関空会社が承継をした、これが原則でございます。
しかしながら、本件土地につきましては、平成二十二年七月以降、先ほども申しましたように、森友学園とは別の学校法人が取得要望書を提出しておりましたので、例外的に、本件土地は、国から新関空会社に対して現物出資しないで、国が引き続き保有して、将来的に売却するということにしてございました。
この本件土地を例外的に取り扱うことにつきましても、関空・伊丹経営統合法に基づき措置されているということでございます。したがいまして、平成二十四年七月の段階では、この土地はまだ引き続き国が保有をしていたということでございます。
しかしながら、大阪航空局職員のミスでございますが、平成二十四年十月二十二日付で新関西国際空港株式会社への所有権移転登記申請を行ってしまった。それで、十月二十九日付で登記が完了してしまった。その後、誤って登記をしていたということに気がついて、翌年平成二十五年一月十日付で所有権抹消の登記申請を行い、同日付で錯誤を理由に所有権抹消登記が完了したというものでございます。
○木下委員 詳しく説明していただいて、ありがとうございました。
では、そうしたら、違う学校法人との売却にかかわる交渉というのは、いつの時点で決裂したんですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げましたように、当該土地の処分の依頼を近畿財務局の方にしてございますので、詳細な経過は私ども承知をしてございませんが、結果から申し上げますと、平成二十四年七月二十五日に当該学校法人が当該土地の買い取り要望を取り下げているということでございます。
○木下委員 それを考えると、平成二十四年の七月に取り下げている、ただ、そのときに、間違ってなのかどうかというのは別にして、だから、十月に、ミスというふうに言われましたけれども、新関空株式会社に登記を変えた。これはミスだったらミスでいいんです。ただ、そのかわり、客観的に見たときには、そうじゃないとも考えられるというふうに言えると思うんですね。
というのは、要は、売ろうと思っていたところと決裂しました、だから、もう国有地として持っておく必要がないので、新関空株式会社に現物出資ということで書きかえるということだってあり得るかなと。
ちょっと事前に聞かせていただいたんですけれども、そうしたら、いや、そうじゃないんですと。それはなぜかというと、財務省の中で審議会が二十四年の一月ぐらいにあって、そのときにもう、移すというのか、国有地として持っておくというふうにして決まったから、だから、持っていなきゃいけない、これが決裂していても持っていなきゃいけないということだったと聞いたんですけれども、それで正しいですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
財務局の方の審議会の経緯について私どもは詳細を承知してございませんが、法令上の取り扱いについて詳細に御説明をさせていただきたいと思います。
国有財産法という法律がございまして、この法律では、国が保有しております普通財産を国が出資しようとするときには、特別な法律の定めが必要だということになってございます。
今回、平成二十四年七月に新関空会社に国は本件土地以外の土地を現物出資いたしましたけれども、そのときの特別の法律の定めというのがいわゆる関空・伊丹経営統合法であるということでございます。
本件土地につきましては、森友学園にその後売却された土地でございますけれども、この土地につきましては、関空・伊丹経営統合法上、出資しないというふうに措置されている土地でございますので、その後に登記だけを移しても、国は出資したことにならない、所有権は移らないということでございます。
○木下委員 わかりました。そうなんですよね。
だから、結局は、交渉決裂していたとしても、もう決まっているから戻さざるを得なかった。これはもういいんです。それでいいんだと思うんですよ。
ただ、そのときに起こったのが何かというと、要は、新関空株式会社に現物出資をしたりとかしたときに、大阪航空局、特に、大阪国際空港、伊丹空港の中に事務所があるんですね、そこにいた人たちは、土地の管理を主な業務としている人、それ以外の人も含めてですけれども、ちょうどその四月一日に新関空株式会社の方に移ったりとかしているので、平成二十四年から平成二十五年にかけて、もともと職員数、平成二十四年、百七十人いたところが、平成二十五年には百三十九人と減っているんです。それは、業務が大分なくなっているから当然ですよね。
そうなのに、交渉は、言えば国交省さんは、これは国交省さんを責めるんじゃないですけれども、国交省から売却を委託されていた財務省は、別の学校法人との交渉を決裂してしまった。
これは、状況だけですよ、私が思うに、もう人もいない、管理する必要もなくなっているところだったはずなのに、土地がそのまま残ってしまった。国交省の方もちょっと言われていました、大変残念だと思ったというふうに言われたんですけれども、私の言い方からすると、財務省、いいかげんにしてくれよと。財務省が売ってくれると言っていたから任せていたのに、もうみんな引き揚げているのに、財務省はそのまま土地を売れなかった。こういう状況が平成二十四年十月から始まったということだと私は思っているんですね。
これは一つの、言い方はあれかもしれませんけれども、財務省からしたら負い目を感じている可能性は私はあると思っているんです。首をひねっていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、この土地を何とかして売らないとだめだな、早いうちに売らなきゃいけないなというふうに思ったと考えられる要素ではあると思っているんです。
というのは、それ以外の全部の土地、大阪航空局さんが持っていた土地は全部新関空株式会社になって、豊中市内で唯一残った国有地が、こういう空港の整備に関して持っていた土地が森友学園の土地だったということなんです。
この話は余り誰も言われていないと思うんですね。先週、私の友人の、非常に影響のあるブログを書いたり有料メールマガジンをしている人間がいるんですけれども、党の関係であるので余り名前は言えませんけれども、彼に私がこの話をしたら、その話をちょっと書いてくれたんです。
こういう状態にあったということを考えると、財務省は、これは、相当焦って売るというふうな、焦って何とかしなきゃいけないというふうになった要素になっているんじゃないかなと私は考えているんです。
最後に、ちょっとここで教えていただきたいんですけれども、今回の売却をした金額に対して、収入の勘定、計上先というのは、これは一般会計になるんですか、それとも、空港特別会計というんですか、どこになるんですか。
○佐藤政府参考人 結論から申し上げますと、自動車安全特別会計の空港整備勘定の空港等財産処分収入に計上ということでございますけれども、何でそうなるのかというところもちょっと御説明を差し上げたいと思います。
本件土地は、そもそも、騒音対策の一環として、私ども国が住民の方々からの求めに応じて順次買い入れを行った。その時点では、実は行政財産というものでございました。その後、航空機の低騒音化が進むなどいたしまして、当該土地が属する騒音対策区域が縮小したことに伴って、騒音対策区域外に出てしまった。そうなりますと、行政財産から普通財産に変わるわけでございます。
そういう形で新たに普通財産が発生した場合にどの会計で所管をするのかということについては、国有財産法で決まってございまして、特に、空港整備勘定のような特別会計で取得をした場合には、一般会計に引き継ぐことはしないで、当該特別会計で所管をするというふうに決まってございまして、結果的には、今回、普通財産となりましたこの移転補償跡地の売却収入については、自動車安全特別会計空港整備勘定の収入として計上しているということでございます。
○木下委員 時間を過ぎているのですぐ終わりますけれども、今の話でそこは整理できたと思うんですけれども、ちょっと一言だけ言います。
隣は十四億でと言いましたよね。十四億で売却されたのは、同じように特会に入っているんですね。でも、そのかわり、十四億の補助金というのが一般会計から出ている。これは、何か考えたら、一般会計から特別会計にお金が洗いがえされたような形になっていて、こっちも私は、ちょっとこのごろ問題なんじゃないかなというふうに思っているので、また引き続き、ここでやるかどうかは別ですけれども、やらせていただきたいと思います。
ありがとうございます。
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○西銘委員長 次に、内閣提出、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。
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住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○石井国務大臣 ただいま議題となりました住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
我が国においては、例えば、単身高齢者について、今後十年間で百万世帯の増加が見込まれるなど、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者について、安心して暮らせる住宅が確保できる住宅セーフティーネット機能の強化が重要な政策課題となっております。一方、住宅ストックの状況は、空き家、空き室が多く存在するとともに、引き続きその増加が見込まれていることから、こうした空き家等の有効活用が課題となっております。このため、空き家等を活用した住宅セーフティーネット機能の強化を図る必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、地域の住宅事情に応じた柔軟な施策展開を図るため、都道府県及び市町村が住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅の供給促進計画を作成することができることとしております。
第二に、住宅確保要配慮者向けの民間賃貸住宅の供給を促進するため、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅について、都道府県知事等による登録制度を創設し、登録を受けた賃貸住宅の情報を広く提供するとともに、賃貸人に対して必要な監督を行うこととしております。
第三に、住宅確保要配慮者の円滑な入居を支援するため、支援活動を公正かつ適確に行うことができる法人を居住支援法人として指定できることとすること、生活保護受給者の住宅扶助費等について代理納付を推進するための措置を講ずること、適正に家賃債務保証を行う業者について独立行政法人住宅金融支援機構による保険の引き受けを可能とすること等の措置を講ずることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由です。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○西銘委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る七日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十六分散会