第9号 平成29年4月14日(金曜日)
平成二十九年四月十四日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西銘恒三郎君
理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君
理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君
理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君
理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君
秋本 真利君 大塚 高司君
大西 英男君 鬼木 誠君
加藤 鮎子君 梶山 弘志君
神谷 昇君 木内 均君
木村 弥生君 工藤 彰三君
熊田 裕通君 小島 敏文君
佐田玄一郎君 鈴木 憲和君
田所 嘉徳君 津島 淳君
中川 郁子君 中谷 真一君
中村 裕之君 根本 幸典君
橋本 英教君 藤井比早之君
古川 康君 堀井 学君
宮路 拓馬君 望月 義夫君
荒井 聰君 黒岩 宇洋君
小宮山泰子君 佐々木隆博君
初鹿 明博君 松原 仁君
水戸 将史君 宮崎 岳志君
村岡 敏英君 横山 博幸君
伊佐 進一君 北側 一雄君
中川 康洋君 清水 忠史君
本村 伸子君 椎木 保君
野間 健君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
経済産業副大臣 高木 陽介君
国土交通大臣政務官 藤井比早之君
国土交通大臣政務官 根本 幸典君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 土生 栄二君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 甲斐 正彰君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長) 鈴木英二郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 高橋 泰三君
政府参考人
(国土交通省大臣官房物流審議官) 重田 雅史君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 藤田 耕三君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 栗田 卓也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 山田 邦博君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 石川 雄一君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 由木 文彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 奥田 哲也君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 菊地身智雄君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 佐藤 善信君
政府参考人
(観光庁長官) 田村明比古君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
辞任 補欠選任
金子 恭之君 梶山 弘志君
田所 嘉徳君 鬼木 誠君
津島 淳君 木村 弥生君
前田 一男君 宮路 拓馬君
水戸 将史君 佐々木隆博君
村岡 敏英君 宮崎 岳志君
横山 博幸君 初鹿 明博君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 田所 嘉徳君
梶山 弘志君 金子 恭之君
木村 弥生君 津島 淳君
宮路 拓馬君 中川 郁子君
佐々木隆博君 水戸 将史君
初鹿 明博君 横山 博幸君
宮崎 岳志君 村岡 敏英君
同日
辞任 補欠選任
中川 郁子君 熊田 裕通君
同日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 前田 一男君
―――――――――――――
四月十三日
水防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
水防法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○西銘委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房物流審議官重田雅史君、総合政策局長藤田耕三君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長山田邦博君、道路局長石川雄一君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、観光庁長官田村明比古君、内閣官房内閣審議官土生栄二君、内閣府総合海洋政策推進事務局長甲斐正彰君、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長鈴木英二郎君及び経済産業省大臣官房長高橋泰三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋本真利君。
○秋本委員 自民党の秋本真利でございます。
質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速質問に入りたいと思います。
成田空港についてお伺いをしたいというふうに思います。
今、成田空港は、首都圏の航空需要がふえてきたということで、羽田だ、成田だということじゃなくて、両方の空港がしっかりと発展していかないと今後の航空需要をしっかりと受けとめることができないということで、成田の整備の拡張というのは、国として非常に重要な政策課題だというふうに思っております。
三本目の滑走路がこれからできるというようなことになっていますし、Bランの延伸あるいは飛行時間帯の延長というものも今後検討されているわけであります。
住民説明会等も今行われているわけでございますけれども、明日の日本を支える観光ビジョンにおいては、二〇三〇年の訪日外国人六千万人という目標も掲げているわけでありますし、この進捗状況というのは、千葉県民のみならず、日本国民全体の関心事と言っても過言ではないというふうに思っております。
この成田空港の今言った機能拡張に向けての動き、現状について、どのようになっているのか、また、大臣の認識等を確認したいと思います。よろしくお願いします。
○石井国務大臣 今委員御紹介いただいたとおり、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて掲げられました二〇三〇年の訪日外国人六千万人の目標達成や我が国の国際競争力向上のため、成田空港の第三滑走路整備等は必要不可欠と認識をしております。
このため、昨年九月、国、千葉県、空港周辺の市町及び成田空港会社で構成されます四者協議会におきまして、国及び成田空港会社から、第三滑走路の整備、B滑走路の延伸及び夜間飛行制限の緩和が提案され、それ以降、順次、地域住民への説明会等を開催してきたところであります。
これまでの説明会等を通じまして、機能強化の必要性等について御理解が得られつつある一方で、夜間飛行制限の緩和の内容や防音工事等についてさまざまな御意見をいただいたところでございます。
これらの御意見を踏まえまして、千葉県を初めとする関係機関や成田空港会社と今後の対応について検討しているところでございまして、成田空港のさらなる機能強化の実現に向けまして、最大限努力してまいりたいと存じます。
○秋本委員 最大限努力していただけるということで、心強く思います。地元の理解を得ることも重要でありますけれども、必ず進めなければならない事業でありますので、しっかり邁進していただきたいというふうに思います。
空港の機能拡張をするよということで、成田空港は周辺対策交付金というものを周辺市町に配っているわけです。この周辺市町に交付されている周辺対策交付金が、今までの拡張の議論の中で、地元紙等では、現状、約四十億円ぐらい配付されている交付金が、今度、六十億ぐらいに、一・五倍にふえるんじゃないかというようなことも報道されているわけであります。
この事業、成田空港の機能拡張というものについてしっかりと進めていく中では、交付金の増額というのは私は非常に喜ばしいことであるなというふうに思いますけれども、この周辺対策交付金が、増額も含めて、一体いつごろからそれが適用されて配付されるのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
この算定式が、航空機の発着回数であるとか、航空機の重量であるとか、いろいろとそこに大臣の係数を掛けるとか、条件があるわけですよね。そうすると、発着回数も含めていくと、では、五十万回になったときまでそれが出ないんじゃないのということになると、もうかなり先に、十年、二十年先になってしまうわけですね。
これはあってはいかぬということでありまして、事前の説明でも、それは少し前倒ししますよという説明があったというふうに私は思いますけれども、その辺、どのように考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
昨年九月の四者協議会におきまして、成田空港会社から、年間発着回数五十万回に対応した周辺対策交付金の総額の引き上げ等が提案されております。これを実施するためには、夜間飛行制限の扱いを踏まえた新たな騒音対策区域を確定することが必要でございます。
国土交通省といたしましては、提案されているさまざまな対策につきまして、地元自治体等の関係機関と具体的な運用方法等の詳細についてさらに検討を深めた上で、実施時期等を決定していく必要があるというふうに認識をしております。
○秋本委員 こういう条件がちょっとまだ足りていないので、実施時期についてははっきりと明言できないということでありますけれども、逆に言えば、それがもう確定すれば前倒しして実施できるということだというふうに捉えましたので、地元との合意形成をしっかりとする中で、できるだけ早く実施していただければというふうに思います。
この周辺対策交付金、私はかねてから航空局に言っているんですが、配付の仕方が、九市町、九市町とよく言われますけれども、やはり空港の周辺の自治体によって配り方がちょっと濃淡があるんですね。この濃淡が、一部の方面から見ると、ちょっと不公平じゃないかということも言われているわけであります。
例えば、何か交付金の配付というようなことで、プラスかマイナスかというと、プラスの出来事のときは中心市町だけで物事をいろいろと動かしたり考えたりする。一方、いろいろ拡張だ何だということで、マイナスというようなことになると、そのときになると突然、では、九市町まとまって国土交通省に行って地域の声を届けましょうみたいな話になると、何だ、俺たちのところに来るのは困ったときだけかというような声も私は実際耳にしています。
この新しく配付する、増額する分も含めて、周辺対策交付金の配付の仕方というのは、例えば財政力指数の薄いところであるとか、今まで配付はしていなかったようなところにまで、九市町とか周辺市町で盛り上がっていこう、空港を核に地域経済をというような思いも地元はあるわけですから、そこに冷や水をかけるような配付方法ではいかぬというふうに私は思っているわけであります。
今後、そういうものの配付についてもう一度再検討する必要があるのではないか、成田空港としっかりと協議した上で、新たな配付方法を検討するべきではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
各自治体への周辺対策交付金の配分につきましては、従来より、空港の経済メリットを十分に享受できていない市町に対してより多く配分すべきであるとの御要望もいただいているところでございます。
このような地元の御要望を踏まえ、昨年九月の四者協議会におきましては、成田空港会社から、交付総額の引き上げとあわせて、財政力等を勘案した優先配分の検討も提案されているところでございます。
国土交通省といたしましては、今後、御指摘の点も含めて、交付主体である成田空港会社とよく相談しながら、制度の具体的な運用について検討を進めてまいりたいと考えております。
○秋本委員 ありがとうございます。
ぜひしっかり地元の声を聞いていただいて、配付方法等についてもしっかりと検討していただきたいというふうに思います。
また、成田空港は、三本目の滑走路建設に向けて、これから大きな投資があるわけですね。投資していって、空港用地を広げて滑走路をつくって、今度はそれに伴う施設等もつくっていくと、現状でも業務用固定資産税の減免というものが行われていますけれども、私は、新たな局面に入ったときに、この首都圏空港の一角を担う成田空港の整備に資する、そういう税制についても改めてしっかりと考えていくべきだろうというふうに思っております。
大臣を中心に、しっかりと、今後、成田空港の発展に寄与するような、そういう政策をどんどん打ち出していっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げまして、次に進みたいというふうに思います。
次に、二輪車の高速道路料金についてお伺いします。
今、高速道路の料金は五区分、特大車、大型車、中型車、普通車、そして軽自動車と二輪という形で、軽自動車と二輪は一くくりなので五区分になっていますが、この区分が二輪車にちょっと余りにも不公平なんじゃないかという声がございます。自民党の中にこれを是正しようという議連もありますし、大臣の公明党の中にも同じような議連がございまして、この不公平感を是正したいねという議員連盟で活動しているという一面もございます。
高速道路の料金というのは、建設費だとかあるいは維持管理費を、いろいろと計算式をつくって、この車種にはこのぐらい負担してもらおうということで五区分になっているわけです。
事前のヒアリングのときに、では、現行の料金区分は五区分なわけだから、この現行の料金区分、五区分、きちっと、例えば大型車だと二・幾つだとか中型車だと一・幾つ、普通車が一としたときですけれども、軽自動車と二輪は〇・八とか、係数が出ているわけですが、本当に計算式が正しいのかどうか。現行の料金区分なんだから、何十年前までさかのぼったって、現行の料金区分の計算式の根拠というのは出せるよねと言ったときに、出てこないんですよね。考え方として、こういうものを掛けていってこうなっていますという、その、こういうものというのは言うんだけれども、そこに、では、どの数字が載っているのか、数字も下さいと言うと、そこだと、もにょもにょもにょとなって、現状までに私の手元に来ておりません。
これは、大臣、局長、現行の料金区分なわけですから、現行の料金区分の根拠を示してよと言ったときに物が出てこないというのは、国民に対しての説明責任も果たせないだろうと思うわけであります。ぜひ、現行の料金区分なわけですから、こういう考え方だよという考え方だけじゃなくて、そこにきちっとどういう数字が載っているのかという詳細についてもお示しをいただきたい。これは要望でございます。
それで、業界が出している数字があります。車ですから、路面に、二輪、四輪、接地していますよね。そうすると、その接地したところで道路に重みがかかるわけですから、そこで道路に対しての損傷度というものが出てきます。これが土木学会で公式に、一般の道路、いわゆる下が普通の地面のところは、輪荷重、一輪当たりにかかっている荷重の四乗、橋梁の場合は十二乗、ダメージを与えるということが言われています。
自工会が示している普通車、軽自動車、二輪車の一般的な輪荷重等を計算して今言った損傷度を出していくと、二輪車が路面に与える損傷度は乗用車の三百分の一なんですね。でも、料金は〇・八掛け。では、橋梁はどうかというと、十二乗していったら、これは数百万とか数千万倍違うと思うんですよね、まだちょっと電卓をたたいていませんけれども。
これだけ違うのに、料金は乗用車の〇・八掛けというふうになっているわけなので、この料金区分は数十年間変わっていないんですよ。でも、ETCという新しい技術も出てきていますし、この料金区分、もうそろそろ新たなステージ、区分分けを考えてもいいんじゃないかというふうに思います。
すぐにできないというなら、二輪車の場合は、ETCをつけると、料金が下がると、その分交通量がふえて、結果として料金収入は上がるということを業界なんかは言っているわけですね。
でも、実証実験をやっていないという中では、とにかく一度、料金区分、五区分のままでいいんですけれども、少なくとも、ETCを装着している二輪車については料金を実証実験的に下げてみて、ちょっとの期間実証実験をして、とにかく数字をとってみるというようなことをやっていただきたいなというふうに私なんかは思うんですけれども、この点について、国土交通省のお考えをお伺いしたいと思います。
○石川政府参考人 お答えいたします。
高速道路の料金につきましては、現在、委員御指摘のとおり、原則として五つの車種区分で料金を設定しているところでございます。この中で、二輪車の料金は、軽自動車と同じ、普通車の〇・八倍と最も安い料金としております。
料金設定の考え方は、車種間の負担の公平を図る観点から、昭和六十三年の道路審議会の答申に基づきまして、三つの観点を勘案して決定しております。
第一に、空間的、時間的に占有する度合いに応じ各車種が費用を分担し合う占有者負担の考え方、第二に、道路の建設及び管理に係る費用に影響を与える度合いに応じ各車種が費用を負担し合う原因者負担の考え方、第三に、道路を利用することにより受ける便益に応じ各車種が費用を分担し合う受益者負担の考え方でございます。
これは、昭和六十三年当時、三車種区分、普通車、大型車、特大車であったものを、二輪車を含む軽自動車等を普通車から独立させるという五車種区分への変更が計画されたものでございまして、これを受けまして、五車種区分への移行に当たりましては、平成元年、平成八年、平成九年と三回に分けて移行がなされたところでございます。
さらに、首都高速、阪神高速につきましても、首都圏内の車種区分の整理、統一によりまして、首都高速では昨年四月に二車種から五車種区分に変更を行いまして、阪神高速では本年六月に二車種区分から五車種区分に変更を行う予定でございます。
委員御指摘のとおり、車両の通行が道路に与える影響、これは、道路の構成要素の一部について、車両の重さにより大きく異なっていることが研究成果によりわかっているところでございます。
御指摘のとおり、舗装では車両の重さの四乗に比例する、道路橋のRC床版におきましては車両の重さの十二乗に比例するということとされております。一方、例えば土工やトンネルにおいては、重さによる影響はほとんどないと考えられます。
普通車と二輪車の重さだけに着目すれば、二輪車がその重量により道路の構成要素の一部である舗装や道路橋の床版に与える影響は、普通車の〇・八倍よりも小さく、二輪車は軽自動車よりも小さいと考えられます。
一方、大型車、特大車の料率は、普通車の一・六五、二・七五とそれぞれなっておりますが、普通車と大型車の重さだけに着目すれば、大型車がその重量により舗装や床版に与える影響は、普通車の一・六五倍または二・七五倍よりも大きくなると考えられます。
結果といたしまして、車両の重さは道路の費用に影響することになりますが、車種ごとの料金設定におきましては、重さは勘案する要素の一つでありますけれども、車種間の全体の負担の公平を考えれば、料金の設定は、重さのみに着目するのではなく、他の費用や占有者負担、受益者負担等も勘案しつつ、総合的に考える必要があると考えるところでございます。
もう一点、割引の件でございますけれども、高速道路料金は、高速道路の建設、管理に要する費用を、利用者が支払う高速料金で賄うよう設定されております。このような債務償還の考え方を前提に、高速道路料金は、車種間の負担の公平を図る観点から、道路審議会の場でも御議論いただいて、車種ごとに設定しているところでございます。
二輪車を軽自動車から分離独立させて料金水準を引き下げる等の車種区分の見直しにつきましては、高速道路料金につきまして、総費用を料金徴収期間内で賄う、料金収入で賄うと設定されていることや、引き下げによる減収分について、他の車種を値上げすることなどで別途対応する必要があるなどの課題がございます。
料金の割引を試験的に行ってはどうかということでございますけれども……(発言する者あり)済みません。
○西銘委員長 やじに応じないで、答弁を簡潔にしてください。
○石川政府参考人 はい。
料金割引は、観光振興や物流対策、環境対策、生活対策、実施目的を明確にして、高速道路利用の多い車に配慮して行ってきているところでございまして、試験的な割引の実施につきましては、どのような利用者を対象にどのような目的で実施するのかの考え方を整理する必要があることと、料金徴収システムの改修など、所要の準備を行う必要があることなどの課題がございます。
割引の目的を検討した上で、料金徴収システムの改修などのコストをかけない形で何か工夫ができないか、考えてまいりたいと考えております。
○秋本委員 大変丁寧な答弁、本当にありがとうございます。
しっかりと拝聴させていただきましたら、残り二問あったんですけれども、準備していただいたのに本当に申しわけございません、時間がオーバーしておりますので、大変残念ですけれども、これで終わりにしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○西銘委員長 次に、佐藤英道君。
○佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道です。
本日は、熊本地震からちょうど一年となります。震度七の揺れに二度も見舞われ、約十九万棟の住宅が被害に遭った未曽有の震災であります。混乱と不安の中から何とか立ち上がり、生活再建を目指す被災者の方々の心労ははかり知れません。
ここで改めて、お亡くなりになった方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様、震災により被害をこうむられた皆様に、衷心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
石井大臣におかれましても、被災直後にいち早く現地に赴かれるなど、国土交通省を挙げてインフラの整備などに当たってこられました。国道五十七号線や阿蘇大橋などの復旧工事を国の直轄事業として代行することを決めてくださったこともよく承知をしているところでございます。
そこで、この一年の節目を契機に、復興加速への決意について、まず石井大臣の思いをお聞かせいただければと思います。
○石井国務大臣 本日で熊本地震発災から一年となります。これまでに、災害関連死と認定された方を含め、二百二十八名の方がお亡くなりになっておりまして、改めて御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
国土交通省といたしましては、これまでも省を挙げまして全力で復旧復興に取り組んでまいりましたが、引き続き、被災者の皆様のお気持ちに寄り添いながら、被災者の生活再建、被災地域の経済復興に向け、全力で取り組んでまいりたいと存じます。
○佐藤(英)委員 ぜひ今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
きょうは、生産性革命の視点や東京オリンピック・パラリンピックなどの視点から、幾つかお話をお伺いしてまいりたいと思います。
さて、東京都の多摩都市モノレールは、昭和五十七年に東京都の長期計画の中に初めて位置づけられました。ことしで三十五年目であります。
昭和五十七年当時、私も学生として多摩地域に住んでおりまして、今、国会議員にさせていただきまして、時折多摩地域にもお伺いする機会がございますが、余りの発展に目を見張るばかりでありますが、特に、当時構想されたモノレールに初めて乗車したときには、実際の駅や車両を見て、感慨にも似た驚きを抱きました。
多摩地域発展のシンボルとも言えるこの多摩都市モノレールは、現在、多摩センターから上北台まで、立川を挟んで南北に十六キロの営業距離を持ち、通勤通学の足などとして親しまれております。東京の職住分離という課題に対して、バランスのとれた都市構造への転換を実現するため、多摩地域の主要地区間と都心部との相互アクセスの利便性向上という意義を持つ、東京の重要な交通インフラとして整備が始まったと伺っております。
通勤混雑の解消や都市災害へのレジリエンスの強化の観点から、また、水と緑豊かな多摩地域への居住志向性の高さを生かした、均衡のとれた東京の発展に資するという側面からも、多摩都市モノレールの早期整備は重要と考えます。ともすれば二十三区に偏りがちな東京を、より広い多摩地域を含めた東京全体として発展させるためには、いまだ構想段階にとどまっている八王子以北への延伸による路線の環状化の実現も視野に入れ、構想圏域の発展を図っていくべきと考えます。
多摩都市モノレールの整備促進の重要性について、まず大臣の御認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 多摩都市モノレールは、東京都の多摩地域の南北方向の公共交通を充実させ、人の集積が大きい多摩ニュータウンや大学等を結ぶ重要な路線であると認識をしております。
平成十年の立川北―上北台間、平成十二年の立川北―多摩センター間の開業以降、輸送人員もおおむね順調に伸びております。平成二十七年度の輸送人員は平成十二年度と比べて約一・七倍の約五千万人となるなど、多摩都市モノレールは、今後も多摩地域における地域の足として重要な役割を果たすことが期待をされております。
多摩都市モノレールの延伸につきましては、上北台―箱根ケ崎間、多摩センター―八王子間及び多摩センター―町田間が、昨年四月に取りまとめられました交通政策審議会答申に記載をされたところでありまして、いずれも、多摩地域の主要地区間のアクセス利便性を向上させ、地域の鉄道ネットワークの充実に資する意義のあるものと認識をしております。
現在、これらのプロジェクトの実現に向けて、導入空間となり得る道路整備が進められるとともに、答申を踏まえ、関係地方公共団体、鉄道事業者等、関係者による検討が始められていると承知をしております。
国土交通省といたしましては、地域における検討状況を踏まえつつ、必要に応じまして各プロジェクトにおける議論に参画をし、事業スキーム等について専門的な観点からアドバイスを行うとともに、事業化に当たりましてどのような支援が可能か、検討してまいりたいと存じます。
○佐藤(英)委員 今、昨年四月二十日の交通政策審議会のお話がございました。特に、上北台―箱根ケ崎間については、事業化に向けて関係者の方々の具体的な調整を進めるべきとされて、地元の方々の大きな期待もございます。
この区間は新青梅街道の上を走ることになると思われますけれども、この道路整備の完了が必要条件となります。現在も順調に進んでいると承知をしておりますけれども、さらに一層整備を加速していただきたいという願いもよく聞かせていただいているところであります。国土交通省からも、技術的な知見やデータの提供を初め、さまざまな形での支援について継続的に行っていただきたいと思います。
ぜひ、モノレール敷設の前提となります新青梅街道の上北台から箱根ケ崎間の整備状況、また今後の見通し等についてお伺いをしたいと思います。
○栗田政府参考人 お尋ねの新青梅街道線は、西東京市から青梅市まで、多摩地域北部を東西方向に結び、都市の骨格を形成する全長三十四・一キロの広域的な都市計画道路です。
このうち、上北台から箱根ケ崎間約七キロにつきましては、事業者である東京都が、平成二十七年度までに全区間において事業化をしております。現在、幅員三十メートルへの拡幅整備に向けた用地買収を鋭意進めていると聞いております。
この路線は、地域防災計画の第一次緊急輸送道路に指定されております。防災上の観点からも、早期整備が望まれる路線でございます。国土交通省としましても、本事業の早期完成に向けまして、今後、東京都の要望を踏まえまして、最大限支援してまいりたいと考えております。
○佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
石井大臣は、昨年を生産性革命元年と位置づけられまして、社会のベース、産業別、未来型の三つの切り口から、常識にとらわれない大胆な生産性革命の実現を掲げられました。この生産性革命の中でも、まず、社会のベースの分野で取り上げられておりますダムの再生についてお伺いをしたいと思います。
ダムは、洪水調整機能、生活や農業、工業などへの利水機能を果たしているわけでありますけれども、近年は、気候変動の影響で、ダムの重要性は治水と利水の観点からも増すばかりであります。とともに、ダムは発電にも活用されており、地域経済を支えるインフラでもあります。
ある有識者の方は、ダムを一〇%かさ上げし、仮に能力をフル活用すると、発電量は倍になるとして、ダムによる水力発電は日本のエネルギー問題を解決することができるほどのポテンシャルを持つとも言われております。
ダム再生のパンフレットでも、堤体を二割かさ上げすると貯水は六割増加し、放流設備に工夫を加えることによって死水容量を発電や洪水調整に活用できるなど、賢く整備し、賢く柔軟に運用することの有効性に取り組むとされております。さらに、降雨予測精度の向上を生かし、洪水の調整容量を利水や水力発電に活用する運用も期待できるとされているところでございます。
ことし夏以降に出されるダムの再生ビジョンでは、堤体のかさ上げや発電のための活用の拡大の方策についてどこまで大胆なアプローチがされるか、大変に注目を集めているところであります。
ダムの再生についてどのような成果が期待できるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 ダム再生につきましては、賢く柔軟な運用、賢く整備を行うものといたしまして、積極的に推進すべきと考えております。国土交通省を挙げて取り組んでおります生産性革命プロジェクトにも選定をいたしました。
平成二十七年の関東・東北豪雨や、平成二十八年に相次いで発生した台風などにより、近年発生している深刻な水害への対応や、再生可能エネルギーである水力エネルギーの活用などのために、ダム再生を推進することは重要と考えております。
ダム再生には、ダムの運用の改善だけで治水、利水における新たな効果を発揮できる、堤体のわずかなかさ上げで貯水容量を大きく増加させることができる、水没地などの社会的コストや環境負荷を抑制できるなどの成果を期待しているところでございます。
国土交通省といたしましては、ダム再生ビジョンを本年の夏までに取りまとめまして、既設ダムを有効活用して早期に治水機能や発電を含めた利水機能の強化などを図るダム再生を、より一層推進してまいりたいと存じます。
○佐藤(英)委員 ぜひ、今後の取り組みに期待をさせていただきたいと思います。
次に、同じ生産性革命の中から、航空インフラ革命についてお伺いをさせていただきたいと思います。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、我が国を訪れる外国人観光客の数はますます増加していくと見込まれるわけであります。大変ありがたく、うれしいことではございますけれども、日本の魅力に引き寄せられて来られた外国人の方々に快適かつ安全な入国と上陸を実現することからその第一歩があり、また、リピーターを確保することにもつながっていくものと思います。
私の地元北海道の玄関口、新千歳空港におきましては、ことし、一時間当たり発着枠が約二五%増加し、三十二便が四十二便へと大幅に拡大いたしました。また、国土交通省では、空港処理能力の向上により、羽田におきましても、一日約五十便の増加を目指していくとも聞いております。
こうした取り組みは今後もさらに進められていくことになると大変期待をしているところであります。こうした航空インフラ革命により生じる経済効果や税収の増、さらには地域雇用の拡大も大きく上回るレベルに達するものであるからであります。
そこで、お伺いいたします。
今後、各地でコンセッションも進められるとは思いますけれども、航空インフラ革命がもたらす果実がどれほどのものになるのか、また、今後さらに進めていくに当たりましてどのようなビジョンを持っているのか、お伺いをしたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
航空インフラ革命は、滑走路の延長、増設などのハード面と、飛行経路や管制運用方式などソフト面を組み合わせた施策によりまして、明日の日本を支える観光ビジョンの目標達成に不可欠な航空交通量の処理能力拡大を図るものでございます。
具体的には、これから申し上げます三つの事業から構成されております。
一番目は、羽田空港の機能強化でございます。
これにつきましては、飛行経路の見直し等により、二〇二〇年までに羽田空港の年間発着枠を約四万回拡大するというもので、実現されますと、羽田空港の国際線が一日約五十便増加をし、年間の経済波及効果が約六千五百億円に上るなど、非常に高い効果が見込まれております。
今後とも引き続き、飛行経路の見直しに必要となる施設整備や環境対策を着実に進めるとともに、関係自治体や住民の皆様への丁寧な情報提供を行ってまいります。
二番目は、新千歳空港の機能強化であります。
新千歳空港の管制を行っている防衛省と調整し、管制運用方式や外国航空機の取り扱いを見直すことにより、昨年十月からの二〇一六年冬ダイヤから、外国航空機の運航可能日や時間帯を拡大するとともに、本年三月からの二〇一七年夏ダイヤから、一時間の発着枠を三十二回から四十二回に拡大いたしました。
これによりまして、二〇一七年夏ダイヤ期首の時点におきまして、国際線の週間便数が前年同期比で三五%増加するなど、大きな効果が出ているところであります。現在準備中の新千歳空港など道内七空港の一括コンセッションと相まって、今後ともさらなる国際線の増加が期待されます。
このため、国際線の増加に適切に対応できるよう、受け入れ体制の強化が重要であると考えており、関係省庁と連携したCIQ体制の強化、スポットの増設や誘導路の新設など空港施設の整備などをしっかりと進めてまいります。
三番目は、国内管制空域の抜本的再編による管制処理容量の拡大であります。
現在、札幌、東京、福岡、那覇の四管制部が担当しております空域を上下に分離いたしまして、巡航飛行している航空機のための一つの高高度空域と、空港への離着陸など上昇、降下する航空機のための二つの低高度空域に抜本的に再編をいたします。これによりまして、年間の管制取り扱い可能機数は現在よりも約二十万機多い約二百万機となりまして、二〇三〇年のインバウンド目標六千万人の達成が可能となります。
今後とも、二〇二五年までの空域再編完了を目指し、新たな管制情報システムの整備や、各空域の管制を担う管制部の再編等を着実に実施してまいりたいと考えております。
○佐藤(英)委員 着々と進む航空インフラ革命をしっかりと応援させていただきたいと思います。
実は、去る四月三日、私は新千歳空港を視察させていただきました。
これは、ことしの冬、正式に言うと昨年末でございますけれども、大雪に見舞われて、新千歳空港は閉鎖を余儀なくされたケースが相次ぎました。これを踏まえまして、滑走路の凍結防止対策にしっかりと取り組もうということで、いち早く凍結防止剤の散布車両をふやしたり、大型車両を導入する方向で検討されたとお話を伺いました。心からお礼を申し上げたいと思います。
最後の質問に移りたいと思います。
まずは、旅行業界に大きな衝撃が走った「てるみくらぶ」の経営破綻について、その後の状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
格安の旅行で日本人観光客の外国旅行を販売してきた会社が突然に経営破綻し、旅先で宿泊先などの契約に想定外の事態が起きてしまうなど、多くの旅行者の方々が大変な実害をこうむったわけでございます。
従来、旅行業登録をしている業者に対して、日本旅行業協会は、弁済業務保証制度による消費者保護のための対策を講じてきているわけでありますけれども、今回、「てるみくらぶ」が発生させた消費者の経済的損失、債権について、この制度だけでは追いつかないとの話もございますが、これは、この制度にどこか不十分なところがあるのか、あるいは「てるみくらぶ」の案件がこれまでにない特異なケースであったのか、こうした点について国土交通省の見解をお伺いするとともに、再発防止策、さらには消費者保護の今回の取り組みと今後の対応策についてお伺いしたいと思います。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
今回の「てるみくらぶ」の事案につきましては、多くの被害者がいらっしゃいまして、大規模に予約を受け付けながら倒産しております。これまで、弁済業務保証金制度を利用した例では、一〇〇%弁済された例がほとんどでありましたことから、今回のケースは特異な事例であるというふうに考えております。
しかしながら、国土交通省におきましては、今回の事案の大きさに鑑みまして、さらなる消費者保護等の観点から、類似事案の再発防止に向けどのような対策が必要かを検討するために、昨年からランドオペレーター制度のあり方など諸課題を検討しておりました、新たな時代の旅行業法制に関する検討会にワーキンググループを設置することにいたしました。当該ワーキンググループにつきましては、できれば四月中に一回目の会議を開催いたしまして、有識者の御意見をいただきながら、できるだけ早く検討を進めてまいりたいと考えております。
なお、本事案に係る利用客への対応につきましては、国土交通省といたしましても、円滑な帰国の支援、それから、弁済業務保証金制度の利用方法など、さまざまな問い合わせがございます。これへの対応などを行っているところでございますけれども、今後とも引き続き、日本旅行業協会を指導するとともに、関係省庁とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。
○佐藤(英)委員 ありがとうございます。
これで終わります。
○西銘委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 おはようございます。民進党の佐々木でございます。
きょうは、国交委員会において質問の機会を与えていただきました。委員長、理事並びに委員の皆さん方に心から御礼を申し上げたいというふうに思います。
私は、きょうは、JR北海道の課題について大臣にいろいろとお伺いをさせていただきたいということで質問に立たせていただきました。
JR北海道は、二〇一六年十一月十八日、JR単独では維持することが困難な路線として、十路線十三線区を発表いたしました。現在の北海道の鉄路二千五百五十二・〇キロメートルの約半分、千二百三十七・二キロにも及ぶ話であります。
持続可能な交通体系、人流、物流、両方ありますが、その構築に向けては、何よりもまず、目指すべき将来の姿というものが明確にならなければ、計画をこれから進めることはできないというふうに思うわけであります。
国交省では交通政策基本計画を策定しておりますし、さらにまた、地方においては地域公共交通計画をそれぞれ策定しているわけであります。我が国の運輸交通の基本体系、言ってみればグランドデザインとでもいいましょうか、それについて、陸路、空路、そして海路、それぞれのデザイン、さらにまた、陸路においては、一般道、高速道、鉄路というものの調和を図っていくことが大切だというふうに思うのでありますが、まずは、そのことについての大臣の認識をお伺いさせていただきます。
○石井国務大臣 平成二十七年二月に閣議決定されました交通政策基本計画におきましては、基本的方針の一つに、成長と繁栄の基盤となる地域間の旅客交通・物流ネットワークの構築を掲げておりまして、国内の幹線交通ネットワークのさらなる充実や交流拠点の強化を図る必要性について明記をしてございます。
また、定住人口が減少する中で、高速化やネットワークの活用により、外国人も含めた交流の拡大、地方への産業立地や移住の促進等を図り、我が国全体の経済活性化に資するため、地域間の人、物の流動を拡大するという目標を掲げております。
国土交通省といたしましては、それぞれの交通機関の特性に応じた適切な役割分担などに配慮しながら、地域間の交通体系の構築に向け、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
○佐々木(隆)委員 大臣のおっしゃっていることは全くそのとおりなのでありますが、ただ、それだけでは、それぞれの地方あるいは国としてのイメージというものをつかむことがなかなかできないというふうに思うんですね。
ですから、例えば鉄道ということに関して申し上げれば、鉄道には、定時、長距離、大量という特徴があると思うんですね。加えてエコというのもありますが、そうしたものが鉄路の使命だとするならば、それは、自動車とか何かとは少し違う役割というものを明確にしていく必要があると思うんですね。そうしなければ、地方でもグランドデザインを描くことはできないと思うんです。
お伺いしますと、地方の計画というものを重視するということ自体は大変いいことだというふうに私は思うんですが、地方を重視して、では国としてどうするんだといったときに、地方の考え方を重視するだけでは、全体としてのバランス、大臣が今おっしゃった調和というものがとれなくなるのではないかという心配をいたしますので、これからの計画を進める中において、そうしたことについてもぜひ配慮をいただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
限られた時間でありますので、次の質問をさせていただきます。
御案内のように、北海道では、このJRの発表というか提言を受けて、地域公共交通検討会議というものの作業部会として鉄道ネットワークワーキングチームが設置をされてございます。もちろんこれには国交省の北海道運輸局も参加しているわけでありますが、四回にわたる議論と討議が行われて、二月七日、報告書が提出されました。
我々民進党北海道にも、JR北海道路線維持対策本部を設置いたしました。国交のメンバーであります荒井先輩に本部長をお願いしているわけでありますが、現地調査、あるいはまた関係団体などとの協議にこれまで取り組んできたところであります。
このワーキングチームの報告でありますけれども、人口減少の急速な変化、高規格道路網の整備など、北海道の交通環境の変化、いわゆる外的要因と、JR北海道の構造的問題等のいわゆる内的要因というものを指摘しているわけでありますが、巨額赤字を線区の見直しのみで解消したり、過大な負担を自治体に転嫁することがあってはならない、線区ごとに公共交通網の中で果たす役割が異なることから、それぞれの特性に応じた対応が必要であるというふうに報告しているところであります。
外的要因については後ほど議論させていただきますが、内的要因、つまりJR北海道自身の課題というものについて国交省としてはどのように捉えているのか、お伺いをいたします。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
JR北海道が安定的な経営基盤を確立するために、JR北海道がみずからの経営努力によって、鉄道事業の収支改善でありますとか、関連事業の利益拡大に取り組んでいくことが何よりも重要であるというふうに認識をいたしております。
まず、鉄道事業の収支改善につきましては、JR北海道はこれまで、鉄道の利用促進などによる増収の取り組みでありますとか、経費節減に向けた事業運営の効率化などに取り組んできているものと承知をいたしております。
さらに、JR北海道は、小売業、不動産賃貸業、ホテル業など、鉄道事業以外の関連事業の収益拡大にも取り組んできているものと承知をいたしております。
こうした関連事業は、平成二十七年度にはJR北海道の売上高の四八%を占めておりまして、関連事業による営業利益は、平成十一年度には四十一億円でございましたけれども、平成二十七年度には二・五倍の百五億円に増加したところでございます。
具体的には、札幌駅のJRタワーなどの駅ビルの運営、JRタワーホテル日航札幌や宿泊特化型ホテルJRインの展開などのホテル業の運営、駅などにおける小売業の運営といった関連事業の取り組みでございます。
JR北海道においては、安定的な経営基盤の確立のため、引き続き、鉄道事業の収支改善や関連事業の利益拡大の取り組みを積極的に進めていただく必要があるというふうに考えております。
○佐々木(隆)委員 今のお話にもありましたが、どこのJRのそれぞれの会社も、旅客の売り上げだけではなかなか大変。JR東や東海、JR西ぐらいまでは、鉄道そのものの売り上げでかなり経常黒字を計上しているんですけれども、それにプラス、今、後半に御説明のあった、サイドビジネスと言うべきかどうかはよくわかりませんが、多角的な運営というものはやはり必要なんだろうというふうに思いますので、今、そのことについて期待をしているというお話がございましたが、ぜひそうした積極的な指導もお願いを申し上げておきたいというふうに思います。
次の質問をさせていただきたいと思うんですが、これはもうこの場所でも何度も議論されているというふうに思うんですが、いわゆる基金の問題であります。
国鉄分割・民営化時点で、昭和六十三年ですが、営業損益で約五百億円の赤字がその時点で見込まれておりましたことから、いわゆる経営安定基金、六千八百二十二億円が設置されて、大変な会社についてはその運用益を活用するようにというようなことが措置されたわけでありますが、その当時の金利というのは七・三%ですから、約五百億円がそこで捻出されたわけでありますけれども、現在の金利は、七・三%から見ると、もう半分以下の状態になっております。
経営安定基金というものの本来の趣旨というのは、基金が担保されるということが趣旨ではないはずであって、その果実が担保されなければ何の意味もないわけであります。そういった意味では、今、この果実の担保がなされない状況になってきているということについて、まず、見直さなければならないときに来ているのではないかということについて、大臣の所信を伺いたい。
あわせて、今回きちっと整理をさせていただきたいと思うのは、設備投資等にかかわる支援措置という、いわゆる助成金、無利子貸し付けがそのほかに行われておりまして、今日まで合計千二百億円あるわけでありますが、それらは間もなく、平成三十年あるいは三十二年で打ち切りになります。加えて、返済が既に始まっているものもありますが、返済のピークを間もなく迎えるということになるわけであります。
JR北は、現行の構造のままで、これ以上の公的資金をむやみに投入されることは望んでいないと言っているわけでありますが、関係者一丸となった中長期的な改善策は、継続的に行わなければなりません。基金とは別に、短期的な資金ショートが懸念されるわけであります。
大臣は基金の取り崩しということにも言及をされているようでありますが、そうすれば、そうでなくても大変な運用がさらにまた悪化するということが懸念されるわけであります。
さらに、JR北の島田社長は、資金ショートとともに、人繰りでショートする、要するに、退職者がふえる、そして新しく入ってこないということで、人繰り自体がままならなくなっているというようなことについても言及しているわけでありまして、極めて深刻で、かつまた急を要する事態になっているというふうに思うわけであります。
これらを緩和する措置が必要ではないかというふうに思うわけでありますが、基金の問題と支援措置の問題、あわせて大臣の所見を伺います。
○石井国務大臣 経営安定基金につきましては、元本をJR北海道に渡した後はJR北海道において自主運用されるものでありまして、その運用益が金利によって変動することは、当初から想定されていた仕組みであります。
金利情勢にはさまざまな変化がある中で、長期的な情勢の変化に伴いまして運用益が減少していることにつきましては、基本的には、JR北海道の経営努力によって対処することが求められるものであると考えております。
しかしながら、こうした考え方に立ちつつも、JR北海道の厳しい経営状況を踏まえまして、国といたしましても、これまで、経営安定基金の運用益の下支え、経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成や無利子貸し付けなど、累次にわたって支援を行ってきたところでございます。
国は、JR北海道に対しまして、平成二十八年度からの三年間で総額一千二百億円の支援を行うこととしておりまして、これにより、当面は、必要な安全投資や修繕を行いながら事業を続けていくことができる見通しでございます。
JR北海道におきましては、まずは、各地域の実情に適した持続可能な交通体系を構築できるよう、地域の関係者との協議を行っていくことが重要であると考えております。国といたしましても、北海道庁と連携いたしまして、これらの協議に参画をし、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応につき、検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 皆さんのところに資料をお配りさせていただきました。
資料の二と書いた方ですが、これを見ていただいたらわかりますが、確かに、今大臣がおっしゃっていただいたように、真ん中の二十一年度と書いたところでありますが、積み増し、あるいはまた支援措置などをいただいて、ここのところでは、経営がある種改善をしているといいますか、そういう状況になっているわけであります。上の方に支援措置ということが書いてあります。
しかし、右側、平成二十八年度以降というところでありますが、今大臣がおっしゃっていただいた積み増し等はいただいているのでありますが、支援措置が終わるのと同時に、返済の時期が来るわけですよね。これから返済というものを加味し、さらにまた、これから、維持費と言われるいわゆる修繕費ですが、これらがふえていくということになりますと、相当に経営に対して圧迫されるということになるわけであります。
ここのところは、関係自治体との協議ということに触れていただきましたが、ただただ地域との協議だけでは、それは言いかえると路線の廃止ということにもつながりかねないわけでありますので、ぜひ、ここのところは何らかの新たな措置が必要なのではないかというふうに思うんですが、もう一度お願いを申し上げます。
○石井国務大臣 JR北海道におきましても、今のままの状態であれば将来的に資金ショートの可能性もあるというふうに発言されていると承知をしてございます。
そこで、JR北海道において持続可能な交通体系を構築できるよう、やはり地域の皆様との協議を行っていただくことが重要と考えておりまして、国土交通省といたしましても、これらの協議に参画をして、持続可能な交通体系の構築に向けた対応について検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(隆)委員 時間が余りありませんので次に進めたいと思うんですが、持続可能な経営ということになれば、とりもなおさず、それは赤字路線を廃止するということにつながりかねません。今、大臣が、国土交通省としてもその協議を応援していくというお話をいただきましたので、国交省として、北海道運輸局として、やはり相当かかわりを持っていただかないと、一〇〇%国の株でありますので、ぜひ株主として積極的にかかわっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
もう一点、お伺いをいたします。
もう一つの外的要因でありますが、ワーキングチームの報告の中にもあるんですけれども、北海道固有のコスト軽減対策ということに触れていただいております。と同時に、老朽土木構築物等対策、増収策への支援ということにワーキングチームでは触れていただいているんですが、JR北は、御案内のように、積雪寒冷という北海道、さらにまた、電化されていない長大路線が非常に多い、青函トンネルの維持管理がこれから予想される、道外と比較して貨物輸送の割合が非常に高いというような、特徴といいますか、厳しい環境にあるわけであります。
資料の一の方を見ていただければわかると思うんですが、上の方の図でありますけれども、二つ目の枠でありますが、「貨物列車による線路負荷の比較」というのがあります。JR北海道は、ほかのところと比べても貨物の割合が非常に高いということがおわかりいただけるというふうに思うんですが、五六%を占めているわけであります。ということでありますので、これらに対する負担軽減措置というものが当然必要になってくるということについてまずお伺いをしたい。
もう一つは、北海道は長大な路線を持っているわけでありますが、橋梁、トンネル、護岸など、いわゆる修繕費外の土木構築物の工事というものが非常に多いという特徴があるわけであります。
資料一の下の方の図を見ていただければわかると思うんですが、右から二つ目のところです。これは、施設の維持や修繕費に係る費用でございますが、五百人級のところはもちろん、維持修繕費というもののウエートが非常に高いわけであります。
このいわゆる土木構築物の修繕あるいは維持、私は、車両や線路の維持というのはJRが行わなければならない課題であるというふうに思っておりますが、こうした基盤、地盤の工事というものは公共インフラではないかというふうに考えるわけであります。
鉄路は、国鉄時代には鉄道敷設法というものによって設置されていました。これは何を意味するかというと、国鉄ですから、国が丸々抱えていても、それは同じ国ですから、それで路線の整備というのはやれたわけですし、基盤の維持というのもやれた。ところが、民間のJRになって、この法律はそのまま消えてしまって、結局、基盤の整備から維持から、車両の維持まで、全部JRが抱えなきゃいけないということになったということは、これはやはり法律的にミスだったのではないかというふうに思うんですね。
今回、この国交のところに、クルーズ船の港湾整備というのが出ております。そのときに私は説明を受けて感じたんですが、クルーズ船が寄る港湾というのは国が整備することになっているわけですよ。それで、営業する人は、営業の施設をそれぞれの会社が建てる。これが私は公共インフラだと思うんですね。
だから、鉄道についても、橋梁とかトンネルとか護岸というのは国がやらなければいけない話であって、その上に敷かれるレールあるいはレールの維持というのはJRがやるというふうに本来は整理をされなければいけなかったのではないか。それがそのまま放置をされてきたということに、やはり今日的な大きな課題があるというふうに思うんです。
こうした基盤整備ですが、JRの支援とは全く別枠、いわゆる公共インフラとして整備をすべきだというふうに考えるわけでありますが、先ほどの北海道としての特徴における負担軽減措置と、このいわゆる公共インフラとして基盤を整備すべきではないかということについて所見を伺います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
JR北海道は、面積が広大である中で、利用者が少ない路線が多く、また、北海道の冬期の厳しい気象条件のもとでさまざまなコストがかかるといった、厳しい環境のもとで経営を行っているというふうに認識をいたしております。このため、国といたしましても、これまで、経営安定基金の運用益の下支え、経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成、無利子貸し付けなど、累次にわたる支援を行ってきたところでございます。
JR北海道におきましては、設備投資に対する国の助成でありますとか無利子貸し付けを活用して、これまで、冬期の除雪作業に使用する除雪車両の購入、冬期のポイント凍結を防ぐための電気融雪器の取りかえ、貨物列車を含めた車両の走行が多く、軌道への負荷が大きい区間における軌道の保全水準の向上を図るための木製枕木のPC枕木化などを行ってきたところでございます。
また、鉄道インフラの維持管理につきましては、トンネルや橋梁等の構造物は、経年とともに劣化が進むことから、予防保全の観点から、適切に維持管理・更新される必要がございます。
そこで、国土交通省では、JR北海道を含む地方の鉄道事業者に対して、将来的な維持管理費を低減し、長寿命化に資する鉄道施設の補強、改良に対する補助制度を設け、支援を行っております。さらに、災害を防止する観点から、JR北海道が管理している海岸の保全、鉄道施設への落石、雪崩対策についても補助しているところでございます。
国土交通省といたしましては、このような老朽化対策や防災対策等の制度を積極的に活用しながら、JR北海道が行う鉄道路線の維持更新を支援して、JR北海道の鉄道路線の安全、安定輸送が確保されるよう、適切に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
なお、鉄道敷設法についてお話がございました。
先生も御案内のとおり、この鉄道敷設法は、いわゆる鉄道国有主義というものに基づきまして、日本国有鉄道の敷設すべき予定路線を定めていたものでございます。それが、国鉄改革によりまして、いわゆる鉄道国有主義が廃止をされたわけでございます。
旅客会社は、他の民鉄事業者と同様、鉄道事業法に基づき鉄道事業を行っていくこととなりまして、民営化された旅客会社による今後の鉄道建設は、輸送需要、経営状態を勘案し、会社が自主的に決定していくべきとされたところでございまして、そういった考え方のもと、鉄道敷設法は廃止されたということと承知をいたしております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたのでやめますけれども、先ほど申し上げました鉄道敷設法という旧来の法律、明治二十五年にできている法律でありますが、これが、JRに変わるときにそのまま一緒にJRに全部背負わせるというのは非常に酷な話だと思うんです。
JRを公共交通機関と位置づけるのであれば、その公共部分について、やはり国が一定程度責任を持つということが必要であって、鉄道軌道整備法というものを今お話しされたんだと思うんですが、これでいろいろな補助事業をいただいていること、それはそれでよしとするんですが、そうではなくて、鉄道を守っていくためには、国がやるべきこととJRがやるべきことをやはり明確にしておかないと、いつまでたっても同じ問題を繰り返していくことになってしまうというふうに思うので、ぜひそこは御検討いただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、初鹿明博君。
○初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。
いつもは厚生労働委員なんですが、きょうは、こちらの国土交通委員会で質問する機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
きょうは、私の地元の北小岩一丁目の高規格堤防整備事業、いわゆるスーパー堤防の整備事業地域について質問をさせていただきたいと思います。
地元じゃない方が大半ですので、皆さんのお手元に資料をお配りしているので、そちらをちょっと見ていただいて、まず最初、簡単に説明させていただきます。
私は東京の江戸川区が選挙区ですので、東京の一番東側です、江戸川という川がありまして、その川沿いの地区が北小岩一丁目になります。
今、江戸川については、両岸で二十二キロメートル、スーパー堤防を整備するということになっているわけですけれども、そのうちの約百二十メートルがこの地区に当たります。百二十メートルの堤防の工事をして、スーパー堤防というのは、堤防の高さの三十倍、土地の方というんですか、内陸の方に広げていく堤防のことをいうんですが、堤防の幅が百六十メートルになる、そういう地区なんですね。全体からいうと、非常に短いというか、割合的には、江戸川全体では本当にごくごくわずかな、〇・五%程度の区画です。
ここは、国道十四号と総武線の電車の線路とに挟まれている地域でして、もともと、この事業が始まる前には、住宅が大体百棟を切るぐらい、九十三棟で約二百五十人が住んでおりました。この事業が終わった後は大体七十棟ぐらいの方が戻ってきて宅地が建つ、そういうところなんです。
なぜ今回この地区についての質問を取り上げたかといいますと、一ページめくっていただいて、朝日新聞の新聞記事をつけさせていただきましたが、「スーパー堤防地盤強度不足」という見出しの記事が出ております。防災上、安全、安心を確保するためにということで整備をされているスーパー堤防なんですが、地盤が強度不足だった、まさに安全、安心を脅かすような事態になってしまっているという、本当に笑うに笑えない記事が出ております。
二段目を見ていただきたいんですけれども、どういうことかというと、「当初の予定では区が区画整理事業を三月末までに終えて地権者に引き渡すことになっていたが、区の調査で一月下旬、二つの街区で地盤の強度が基準に満たないことが判明。今月中旬までに全街区の強度を調べた上で、国が必要な地盤改良工事を実施するという。」「国土交通省江戸川河川事務所によると、強度不足が見つかった箇所は盛り土よりも深い元々の地盤だった。」
盛り土をしたんですね。それで、ここの地区は区画整理事業と一体でやっているので、もともと住んでいた方に一回仮移転してもらって、盛り土をして新しくできた土地に戻ってくる、そういう計画だったんですが、盛り土ができた段階で強度をはかってみた。そうしたら、強度不足のところが見つかった。しかも、盛り土をしたところじゃなくて、もともとの地盤に見つかっていたということなんですよね。それで、調査をするということになった。
ここで、佐々木智之副所長がコメントしているんですが、「「想定外だった。ほかのスーパー堤防事業地では弱い地盤をまず改良してから盛り土を行うが、北小岩は元の地盤は問題ないと見てそのまま盛り土をしていた」と述べた。」ということなんです。
これは確認なんですけれども、このコメントのとおりなんですか、想定外だったんでしょうか。そして、盛り土を行う前に地盤改良しなければいけないのに、地盤改良しなかった、これは事実でしょうか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
この点につきましては、高規格堤防の盛り土としての安全性につきましては確保されていたということでございます。ただ、その上に設置いたします住宅としての必要な強度については……(初鹿委員「そんなことは聞いていないですよ」と呼ぶ)
○西銘委員長 初鹿明博君。
○初鹿委員 聞いたことに答えてくださいね。
私が聞いたのは、この盛り土をされた土地のことを聞いたんじゃなくて、盛り土をする前に、地盤改良をしてから盛り土を行うが、このもとの土地は地盤改良する必要がないと思ってそのまま盛り土をしていた、そうやって副所長がコメントしているんだが、そのとおりだったんですかと聞いたんですよ。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
高規格堤防の盛り土につきましては、河川管理施設等構造令及びそのマニュアルに基づきまして適切に設計、施工を行いまして、高規格堤防としての安全は確保したと思っておりました。
○初鹿委員 堤防の安全性が確保されたかどうかということを聞いているんじゃなくて、もとの地盤がどうだったのか確認した上で盛り土を行ったのかどうかということを聞いているんですよ。わかりますか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
高規格堤防としては、もともとの地盤も安全性を有していたというふうに思っております。
○初鹿委員 では、思っていたけれどもそうじゃない結果が出た、そういう面で想定外だ、こういう答えをしているということですね。
いいです、まだ。落ちついてくださいね。
では、お伺いしますけれども……
○西銘委員長 質疑をちゃんと聞いて。
○初鹿委員 これは、江戸川区と国土交通省が一緒に事業を行っているんですけれども、盛り土をして地盤に強度不足が発覚したということで、この責任は国土交通省にあるということでよろしいんでしょうか。
○石井国務大臣 お約束をしておりました地盤強度を確保するための対策工事が必要になりましたことで、予定していた先月末の土地の引き渡しが直前になっておくれるという事態になり、地権者の皆様には大変御迷惑をおかけしているところでございます。
今回の事態につきましては、高規格堤防として盛り土を施行した国土交通省が、宅地として地権者に引き渡すための目標とする地盤強度及びその調査方法、調査時期等についてあらかじめ十分確認をしておけば発生しなかったというふうに考えております。
国土交通省といたしましては、高規格堤防の施行者として、地権者の皆様に対して早急に土地の引き渡しができるよう、真摯に取り組んでまいりたいと存じます。
○初鹿委員 つまり、国土交通省が責任を持って対策をやっていくということですよね。
これは、これによってかかる費用、対策の工事費もそうでしょうし、今、仮移転している地権者の皆さんは、戻る時期が延びるわけですから、当然費用も多くかかるわけですから、それに対する補償も含めて、全て国土交通省が賄うということでよろしいんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
対策工事が必要になったことで、予定しておりました先月末の土地の引き渡しがおくれることになりまして、地権者の皆様には大変御迷惑をおかけしているところでございます。
引き渡しの遅延に伴います補償の範囲等につきましては、江戸川区の協力を得まして、丁寧に地権者の皆様の御要望もお聞きしながら検討しているところでございます。
今後とも、地権者の皆様の不安を解消するような丁寧な説明に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○初鹿委員 これは、移転のために仮住居の家賃がかかるとか、そういうだけではなくて、中には既に、家を建てるということでハウスメーカーとかと契約をされていたり、設計の準備に入っていたりとか、いろいろそういう準備している方もいると思うんですよ。そういう業者との間で、例えば違約金が発生するとか、何かそうやって支出が出てきてしまうこともあると思うんですが、その費用についてもきちんと補償するという理解でよろしいんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員が御指摘ございましたそのような違約金なども含めまして、引き渡しの遅延に伴います補償の範囲等につきましては、江戸川区の協力を得まして、丁寧に地権者の皆様の御要望もお聞きしながら検討しているところでございます。
今後とも、地権者の皆様の不安を解消するような丁寧な説明に努めていきたいと考えているところでございます。
○初鹿委員 そこだけはまずしっかりやってもらいたいと思います。
では、ちょっと中身に入っていきますけれども、そもそも何で強度不足のようなことが起こったんですか。これは誰に原因があると考えておりますか。施工業者が施工ミスをしたのか、それとも、施工ミスではないけれども、盛り土というやり方をするとこういう地耐力不足は起こり得るというふうに考えているのか。この原因についてどのように考えているのか、お答えください。
○山田政府参考人 お答えいたします。
今回の事態につきましては、高規格堤防として盛り土を施行した国土交通省が、宅地として地権者に引き渡すための目標とする地盤強度とか、あるいはその調査方法とか調査時期等についてあらかじめ確認しておけば発生しなかったものというふうに考えているところでございます。
高規格堤防の施行者として、地権者の皆様に対して早急に土地の引き渡しができるよう、真摯に取り組んでまいりたいと思っております。
○初鹿委員 よくわからないんですけれども、国土交通省が確認していれば地耐力不足は起こらなかったということなんですか。
ちょっと一枚めくっていただいて、このスウェーデン式サウンディング試験ということで調査したんですよね。もう一枚めくっていただいて、詳細調査をしたら、三百七十五カ所、一画地ごとに五地点調査をして三百七十五カ所やってみたら、所定の強度に満たないところというのが、盛り土のみで八地点、旧地盤のみで四十七、両方というのは六あった。一番右がちょっと気になるんですけれども、「強固な層を確認 百三十九」とあるんですよね。確認していればこういうことが起こらなかった、何か、にわかに信じがたいんですよね。
では、強固な層と言うんですけれども、このスウェーデン式サウンディング試験という、針をずっと刺していくような、それでスクリューをねじ込んでいくようなそういうやり方で、盛り土のところでどうして強固な地盤にぶつかるんでしょうか。普通、固めていったら盛り土は均質だと思うので、すんなり通るのではないかと思うんですが、なぜ強固なところにぶつかるのかが理解できないんですよ。
れきがあったということを説明に来られた方は言っていますが、れきがたくさん入っていたら、逆に、空間があるから入りやすいんじゃないかと思うんです。ある程度の大きさのかたい物質が中になければ強固な層ということにならないんじゃないかと思うんですが、これはどういうふうに分析されているんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
建築物の技術基準によりますと、地盤の強度につきましては、スウェーデン式のサウンディング試験等により確認することとなっているところでございます。
スウェーデン式のサウンディング試験は、御存じのように、地盤に鉄のロッドを人力等によって貫入させて地盤強度を確認するものでございますので、強固な層の下の層の地盤強度までは調査できないこともあると理解しています。
当然、その強固な層に何が含まれているのかというのは、今も確認することはできないわけでございます。一般論でございますが、例えば、いろいろなかたい石とか何かがあった場合には、そういうかたいものがサウンディング試験によりまして確認される場合もございます。
このような視点におきまして、我々、ボーリング調査を実施しまして、強固な層の下に地盤強度が不足する層がないか、また、強固な層というのには何が含まれているかということを確認することとしているところでございます。
○初鹿委員 この強固な層、三七%で百三十九カ所もあるんですよね。これは結構な量だと思うんですよ。だから、きちんとした砂じゃないもので固められている可能性も否定できないんじゃないかと思うんですね。仮にそうだとしたら、それこそ盛り土自体を全部やり直すぐらいのことになりかねないんじゃないかと思います。そうじゃなかったとしても、約五十カ所を、既に強度不足だから、これは対策を打たなければならないんですよね。
三月の三十日ですか、地元に説明したときに、ではどういう対策を打つかということで、一番下にその対策方針というのをつけさせていただいております。一回、強度が確保されていない層のところまで掘削をして、そこの土を入れかえて、また上から埋め戻して固める、そういう例が示されているんですが、この広い地区に五十カ所穴をあけてこんなことをしていって、果たして全体の地盤の強度は大丈夫なのか、こういうやり方で本当に強度不足が解消できるのか、素人なのでにわかに信じがたいんですけれども、こういうやり方で大丈夫なのか。ほかのやり方はあるんですか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、対策工事を検討、実施するに当たりましては、やはり詳細な調査が必要で、今、いろいろな調査をしているところでございますが、強固な層の下の調査を行って工法を検討するときに、いろいろな工法がございます。こういう置換方法がいいのか、他の方法がいいのか、そういう工法を今、調査に基づきまして検討いたしまして、盛り土をやらせなきゃいけないかどうかですとか、そういうことをこれから検討していくということでございます。
○初鹿委員 盛り土を最大で五メートルぐらいしているわけですよね。調査の結果だと、もともとの地盤で強度不足のところがあるわけですよね。五メートルの盛り土があって、その盛り土を取らないで、その下にある地盤の強度不足を解消するということはなかなか想像しにくいんですけれども、そういうことは可能なんですか。
○山田政府参考人 御指摘ございました対策を打つに当たりまして、さまざまな置換工法等もございますけれども、そうじゃない工法も、例えば、穴をあけまして、そこに、混合処理といいまして、いろいろなものをまぜるという方法もございます。いろいろな方法がございますので、全て置換をするというだけではないというふうに私は考えております。
○初鹿委員 ここは地権者の方が戻ってきて家を建てることになるんですけれども、やはり、説明を聞いていても、それこそ、一回更地にして盛り土をやり直す、一回更地にして、もともとの地盤をきちんと改良して、それで盛り土をやり直すぐらいのことをやらないと、何か、穴をあけて、そこを埋め戻して対策をやりましたと言われても、本当に強度不足が解消できているのか、にわかに信じがたいなというように思うんですよ。そう思う地権者の方も多いと思いますよ。
中には、これを買い取ってほしいという方も出てくるんじゃないか。実際に出てきていると聞いておりますが、そうなった場合に、やはりこれは完全に国交省に責任がありますよ。ですので、国交省が買い取るということも検討する必要があると思いますが、いかがですか。
○山田政府参考人 お答えいたします。
前半の部分でございますけれども、実際に、我々は、工事をした後にちゃんと調査を行いまして、必要な地盤強度を持っているかどうかということを確認することになっております。
それから、買い求めに応じる必要があるという御質問でございましたけれども、買い求めも含めまして、引き渡しの遅延に伴います補償の範囲等につきましては、丁寧に地権者の皆様の御要望もお聞きしながら検討しているということでございます。今後とも、丁寧な説明に努めていきたいと思っております。
○初鹿委員 買い戻しも含めて検討する、今、そういう答弁でしたよね。よろしいですか、それで。
○山田政府参考人 検討する予定でございますけれども、土地の買い取りにつきましては、その用地の利用目的、利用の根拠となる事業内容などが明確である必要がございますので、当地区で土地を買い取るにはさまざまな課題があると考えております。
しかしながら、国土交通省といたしましては、区画ごとの宅地としての地盤強度がお約束した強度になるように対策工事を実施して、早期に引き渡しができるように取り組んでまいりたいと考えております。
○初鹿委員 もう一回確認しますけれども、さまざまな課題があるのはわかります。でも、さまざまな課題はあるけれども、そのさまざまな課題がクリアできるかどうかをきちんと検討する、そういう答弁だったのかどうか、もう一回確認をいたします。
○山田政府参考人 お答えいたします。
さまざまな検討があるというふうに私どもは考えているところでございまして、国土交通省といたしまして、区画ごとの宅地としての地盤強度がお約束した強度となるように対策工事を実施して、早期に引き渡しができるように取り組んでいきたいと考えているということでございます。
○初鹿委員 よくわかりません。
だから、買い戻す可能性も否定はしないということでいいんですね。イエスかノーか。
○山田政府参考人 現時点でお答えできますのは、当地区で土地を買い取るのが、さまざまな課題があるとしか申し上げられません。
早期に引き渡しができるよう取り組んでまいりたいと思います。
○初鹿委員 否定はしなかったというふうに理解をさせていただきますが、はっきりしなかったので、これはまた後ほど確認をさせていただきます。
そもそも、この問題は、皆さん方の説明を聞いていて感じるのは、これを区画整理事業と一体でやったからこういうことになったんじゃないかというふうに思うんですよ。堤防の上に、こういう木造住宅の個別の住宅を一回移転させて戻すというやり方でやったから、これは地耐力を調べたんですよね。普通は、今までのスーパー事業でこういう地耐力を調べた地区はありますか。
○山田政府参考人 お答えをいたします。
まず、高規格堤防の盛り土につきましては、河川施設等構造令及び高規格堤防の盛り土設計・施工マニュアルに基づいて適切に設計、施工を行って、高規格堤防としての安全性は確保しております。
一方、宅地におきましては、一般的に、住宅の施主等が地盤の強度を確認して、その強度に応じて必要な基礎形式で施工するものでございます。
したがいまして、例えば平成十八年度以降に高規格堤防の特別区域に指定した地区のうち、土地区画整理事業と共同で高規格堤防を整備した三地区におきましては、適切に設計、施工を行って高規格堤防としての安全を確保しておりますけれども、スウェーデン式サウンディング試験等による宅地としての地盤強度の確認は、必要がなかったために行っていないということでございます。
○初鹿委員 必要がなかったというのは皆さん方の判断であって、確かに、高規格堤防としての強度は確保できているということだとしても、そこに木造住宅とかを建てるときに、建てるに当たっての強度がきちんと足りているかどうかというのはそれぞれが判断することだ、そういう答弁ですけれども、もともと土地を皆さん方がつくったんだから、それが家が建つ土地かどうか、ちゃんと責任を持つのは、私は施行者の責任だと思うんですよ。
今までのところは調査もしていなかったということですが、仮に、調べてみて、これは地耐力不足だという地点が家が建っていない部分であったとして、そういう地点で家を建てていたとなったら、それは、家を建てている人が、負担を多くして家を建てていることになりませんか。違いますか。
○山田政府参考人 土地区画整理事業と共同で高規格堤防の整備をした三地区、先ほど申し上げましたけれども、国として、スウェーデン式サウンディング試験等によります宅地としての地盤強度の確認は、必要がなかったため行っておりませんけれども、これまで特段の問題が発生したということは聞いておりません。
○初鹿委員 それは多分、皆さん気づかないで、それで、つくるときに業者さんから、これぐらいの対策が必要だからと言われて建てているんじゃないかと想像しますよ。
この北小岩の地区は、計画の段階から住民の方々がこの事業に反対されたり心配されていて、きちんとした強度を確認したいということでこの調査をしたから判明したわけですよ。だから、ほかの地区では問題なかったというのは、それは全く、説明にも何にも、言いわけにもなっていないというふうに思いますよ。
その上で、やはり区画整理と一体でやると、今後、必ずこういう指摘を受けるようになりますよ、一回ここで起こっているわけだから。やはり、戻ったときにその土地に家がちゃんと建てられるのかどうか、みんな不安になるわけですから、それは調査してくださいと。調査してみたら、やはり地耐力不足のところが見つかって対策しなければならない、その繰り返しをこれからするようになるんじゃないかと私は想像するんですよ。
ですから、区画整理と一体で高規格堤防の整備を行うことは今後やめるべきだと思います。不適当だと思うんですよ。大臣、いかがですか。
○石井国務大臣 高規格堤防の整備は、整備した区間の堤防の安全性が格段に向上いたします。また、氾濫時には住民の避難場所としての効用を発揮するとともに、堤防上に良好な住環境を提供することができるなど、多面的な効果を発揮いたします。
また、土地区画整理事業は、既存のコミュニティーを維持しながら、道路、公園等の公共施設の新設、改良とあわせて、健全な市街地の形成や、さらに良好な住環境を提供いたします。
この高規格堤防の整備と土地区画整理事業を一体で行うことによりまして、地域の防災力の向上と良好な住環境の提供を効果的、効率的に実現することができると考えております。
今回の事態は、先ほど申し上げたとおり、あらかじめいろいろなことをよく確認しておけば発生しなかったものと考えております。再発防止策をしっかりと講じ、引き続き、土地区画整理事業を含むまちづくり事業等が行われる機会を活用し、地域の理解をいただきながら事業を進めてまいりたいと考えております。
○初鹿委員 いや、これだけ、いつ戻れるかわからない状態に住民の人を追い込んでおいて、これからもやるというのは、私は、無責任だと思いますので、きちんと考えていただきたいと思いますよ。
時間も終わりですので、またこの問題については機会をもらってやりたいと思いますが、きちんとした対応をよろしくお願いいたします。
○西銘委員長 次に、宮崎岳志君。
○宮崎(岳)委員 宮崎岳志でございます。
国土交通委員会で質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速ですが、時間もございませんので、森友学園問題についてちょっとお伺いしたいと思います。
サステナブル建築物補助金、木造先導型についてお伺いをいたします。
このサステナブル建築物補助金は、評価委員会をつくって、評価委員会が補助金を採択するかどうかを決める、こういう仕組みでございますが、その評価委員会の議事録を、私の方は、二月中旬から、もう二カ月前から延々と求めてまいりました。
その議事録はないというふうに言われて、それにかわるものを出してくれ、例えば評価委員会の設置要綱みたいなものはないのか、そういうものもない。あるいは、その場で配った採点表みたいなものはないのか、それもない。そんなことで言われて、私の方で調査を続けるうちに、どうやら、各委員が書類審査をやったときの評価をまとめた紙、私は仮に評価シートというふうに呼んでおりましたが、そういったものがあった、それが各委員の手元に配付されていたということがわかりました。
当国土交通委員会で、そのシートの公表をお願いいたしました。最初は、国土交通省の答弁というのは、そういうものはありませんという答弁だったんです。私は大臣に申し上げて、これは本当にないと言って大丈夫ですか、私は、あるということは根拠を持って聞いております、ここでないと言って後であるということになったら大変ですよということをお伝えしたところ、大臣の方から、ないとは聞いているけれども、今指摘をいただいたので、それについてはしっかり調べますというふうに約束をしていただいた。
二カ月越しと言ってもいいと思うんですけれども、最初の議事録を求めたときから二カ月越しで、ようやく今週、火曜日に私の手元にはいただけましたが、出していただいたものと思っております。
この紙を公表いただいたのは、正直、大臣の取り組みの結果だと思いますので、その点、素直に、私は、大臣のリーダーシップを多として、感謝を申し上げたいというふうに思います。
私、この紙、公表されたものを見て、やはりずっと疑問だったんですね。一体何で公表ができないんだろうか、そんなに隠さなければならないようなものなんだろうかということがずっと疑問だったわけです。
火曜日、このシートについて国土交通省の方から説明を受けました。この資料の一枚目、これがいわゆる評価シートと呼ばれるものですが、お一人、関係者ということが備考欄に書かれていて、審査から外れている方がいらっしゃる。この方は大学の先生だと思うんですが、では、関係者とは何でしょうかというふうに聞くと、設計会社キアラ建築研究機関に、仕事ではないんだけれども、技術的助言を求められた経過がある、そういうことがあったので審査を辞退したんだというふうに聞きました。
私、国交省の方に、そうすると、この補助金の申請者の籠池理事長を初めとする森友学園の方や、あるいは工事業者である藤原工業とか、そういうところとの接触はないということでいいですね、あくまで申請代理人である設計会社のキアラが技術的助言を求めていた経過があって、そして、そういうこともあったので念のため外れた、そういうことでよろしいんですか、こういうふうにお伺いしたら、それでいい、こういうことだったんですが、昨日、二枚目、この記事が出ました。「森友、補助金審査の委員接触 助言要請」という朝日新聞の朝刊でございます。
これを見てみますと、評価委員会の委員一人に複数回接触をしていた、そして、その大学教授に対して、籠池泰典氏や設計会社の担当者らが助言を求め、その後何度か電話で問い合わせをしたと。少なくとも一回面談し、何度か電話をしている、そこには籠池氏本人も含まれていると。専門家ではない籠池氏が技術的助言を求めるのもちょっと違和感のあることですが、そして、応援しているととられてはよくないということで、審査に加わることを辞退した、こういうふうに書かれております。そして、他の委員にも同様に助言を求めていたかどうかは不明である、こういうふうにも書かれております。
まず、この記事について事実確認をしたいんです。籠池氏から接触を求められていたような事実はあったんでしょうか。
○石井国務大臣 今委員が配付していただいた資料、これは私どもが提出した資料でございますが、この事前審査結果一覧において関係者という記述があることについて、御説明を申し上げたいと思います。
評価委員会の委員七名のうち一名の方が、森友学園の小学校校舎等の建築計画について、この補助事業の提案の申請が行われる以前の段階で、籠池氏や建築設計事務所から技術的な助言を求められていたとのことであります。防火地域で木造ができないかどうかといった技術的な助言を求められていたというふうに聞いております。
本件の採択に係る審査に当たり、この評価委員は、みずからの申し出により、本件に関する一切の審査を辞退されたとのことでありまして、事業の採否には一切かかわっていないということでございます。
また、当該評価委員からは、建築計画の技術的な事項についての助言であり、補助金の申請について助言は一切していないというふうに聞いているところでございます。
○宮崎(岳)委員 事実関係はこの朝日新聞のとおりだということで、お認めになったんだと思います。
やはり、最初、この紙がないと言い、あるということがわかれば、今度は籠池氏からの接触はないと言い、そして、結局、明らかになってみると、籠池氏からの接触があったということで、私も、やはりそこは、国土交通省の皆様には、きちんと誠実に御対応いただきたいということを改めて申し上げたいと思います。
その上で、これは政府参考人で結構ですけれども、籠池理事長あるいはキアラについては、この教授の方、大学の先生が、サステナブルの補助金の評価委員だという認識はあったということなんでしょうか。それとも、それは違うんでしょうか。いかがでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
委員から御通告をいただきましたので、当該評価委員に確認をさせていただきました。
森友学園側の接触の意図をどういうふうに評価委員御本人が受けとめたかということについてでございますが、この評価委員の方は、建築計画に関する技術的な助言についての協力を求められたものであって、それ以上の先方の意図はわからないという旨の御回答をいただいたところでございます。
○宮崎(岳)委員 わからないということであります。つまり、技術的な助言の話はしたけれども、これが補助金の獲得を有利に進めるためだったかどうかの接触かはわからないと。
しかし、結果的には、この補助金をめぐって、いわゆる三通の契約書のうち一通がつくられているということですから、それは多少疑われても仕方がない部分はあるんじゃないかというふうに思っております。
一点、修正がございます。この一枚目の資料ですが、二〇一七年というところを二一〇七年と記載しておりますので、そこは訂正をさせていただきます。
さて、問題は、他の評価委員の方、あるいは国土交通省本省の担当者関係の人、また、この審査の窓口となっている一般社団法人木を活かす建築推進協議会の、いわゆるその窓口以外の方とか、影響力を持つ方、役員さんとか、そういうところに、補助金の獲得を有利に進めるためのそのような接触がなかったのかどうかということが問題になっていると思います。
正直言って、この件については、申請者の森友学園に国交省として話を聞いたらどうかと、これも恐らく一月近く延々言い続けてきたと思いますが、キアラや藤原工業には聞いたのに、森友学園には最後まで聞かなかったということで、非常に不可解な思いをしているわけでありますが、国土交通省本省、あるいは他の評価委員、あるいは一般社団法人に、この申請の事務的なこと以外で接触がなかったのかどうか、これを確認させていただけますでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
まず、当該評価委員自体は、採択に係る事前審査のみならず、当該案件を審査する評価委員会では、一回目は、この案件の審査時に退席をされております。二回目は欠席をされておりまして、講評文の作成にも一切コメントしていないということで、本事業の採否には一切かかわっていないというふうに承知をいたしております。
次に、この評価委員を除く他の評価委員についてのお尋ねがございましたので、この点につきましても確認をさせていただきました。
他の評価委員、六名いらっしゃいますけれども、全員に確認をいたしましたところ、いずれの評価委員からも、森友学園側からの接触はなかった旨の御回答をいただいております。
次に、国交省の職員、それから事務事業者でございます一般社団法人でございます。
まず、本件の補助事業を担当する国交省職員に対しまして、本件に関しまして森友学園側からの接触はなかったということを確認いたしております。
また、本件の補助事業に係る事務を担当いたしました一般社団法人木を活かす建築推進協議会でございますけれども、これに対しましては、本件に関しては、補助金の元申請代理人でございます建築設計事務所、こことの接触のみでございまして、ここを除きましては、森友学園側からの接触はなかったということを確認いたしました。
以上でございます。
○宮崎(岳)委員 わかりました。
この点は、私は、もう一度きちんとお調べいただく必要があるんじゃないかなと正直思っております。余りにこれまでの対応が不可解過ぎるところが多いのではないかというふうに私は考えておりますので、これも大臣のリーダーシップにおいて、万が一にもこれから新しいことが出てくることがないように、きっちり監督し、調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 これまでも委員の御要請に応じて調査をしてきたつもりでありますが、さらに何を調査しろという御要請でいらっしゃいますでしょうか。
○宮崎(岳)委員 森友学園側からの国土交通省やそのほかの方々への働きかけについてであります。
今、ないというお答えでありましたが、これまで、ないというものがあったりということがあったものですから、聞いているだけです。
○石井国務大臣 ないと御答弁したとおりであります。
○宮崎(岳)委員 もう少し前向きな御答弁をいただきたかったと思います。
さて……(発言する者あり)だって、ないと言われたものが出てきたんですから、きょう。ないと答弁していたんですよ。
○西銘委員長 反応しないで質疑を続けてください。
○宮崎(岳)委員 委員長の御指示に従います。
さて、この補助金なんですが、一点、問題といいますか疑問点がありますのは、年度割りの問題といいますか、お金が支払われたタイミングだということは前回の質疑でも申し上げました。
森友学園が土地を借りていた時期に、一月分、二月分を滞納しております。ところが、突然ごみが出てきたということで、滞納している土地を買い取ります、こう言って、その当時では買い取れるはずはないんですが、このサステナブルの補助金が入って、手元に現金が入って、それで三月分も含めて滞納分を全て支払って、そして売買の交渉に入っていく、こういう経過なんですね。
三枚目の資料をお読みいただきたいんですが、この中盤から下、三の三の四、「実績報告及び額の確定について」、下線を引いてある部分があると思いますが、「平成二十七年度の事業については、支払いは、原則として平成二十八年五月頃となる予定です。」というふうに書かれております。
二十八年五月に支払われているのかなと思ったら、実際は三月に支払われた。五月に支払うものが三月に支払われたので、森友学園は、それまでの滞納している地代を清算して全て払って、そして買い取りの交渉に入れるようになった、こういう事実関係だと思いますが、二十八年五月に支払われるということになっていたその支払い時期が二カ月前倒しされた理由は何でしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
お尋ねいただきましたように、森友学園の小学校に係る平成二十七年度の補助金の支払いにつきましては、これだけではございませんで、この年に一回目の案件として採択をしました五件とも、補助金の支払い日は二十八年の三月二十二日となっております。
募集要項上は五月ごろ払うというふうに書いてあったのは御指摘のとおりでございまして、実は、この前身の事業も含めまして、二十六年度までの支払い時期はおおむね翌年度の五月ごろになっておりました。これが二十七年度から三月になった経緯でございますけれども、これにはちょっと複雑な経緯がございます。
もともとこの事務事業は、間接事業者を通します間接補助でございます。この間接補助のやり方につきまして、会計検査院から農水省に対しまして、平成二十四年の十一月に、この払い方についての是正の報告がなされております。
この是正の報告がなされていたような事態と全く同じ払い方をこのサステナブルについてしていたということが二十七年の夏ごろ判明いたしまして、この払い方につきましては、昭和三十年に大蔵省の法規課長が出した通知に照らしまして不適切であるというのが、農水省に対して会計検査院が二十四年にした報告の内容なんですが、それと同じ払い方がなされているという御指摘がございまして、二十七年にそれが判明したものですから、二十七年度の末の支払いからその支払い方を改めたということによるものでございます。
運用は、簡単に申しますと、それまで、要するに、誤った、不適切な払い方につきましては、まず、補助金の支払いを行っております間接の事務事業者、これは一般社団法人でございますが、ここから国に対して実績の報告がなされ、それに基づいて国からまずそこに補助金を払っておりました。その補助金を受けた間接事業者が、実際に事業を行った事業者、今回の場合には森友学園でございますが、ここに対してその後で補助金を交付していたというのが、農水省が以前やっていたやり方、今回、我々が二十七年度までやっていたやり方でございますが、これは、三十年の法規課長通知に照らしますと、一旦事務事業者に国の補助金がプールされますので、そのプールされた時点で何か事故があったときには、間接事業者に、要するに森友の方に補助金が行かないリスクがあるということで、その払い方は不適切だということが通知で書かれているわけでございます。
したがいまして、それを受けまして、補助事業者から、各プロジェクトの建築主、森友の方にまず先に払って、補助事業者等の実績額を確定した後で、それを受けて国が間接事業者に支払いをするという、支払いの順番を変えたものですから、国の支払いについては四月三十日が支出期限であるというのが予決令上決まっておりますので、それに間に合わせる関係上、支払いの前後が変わった関係で、支払い期日が五月から三月に早くなったという経緯があるものでございます。
○宮崎(岳)委員 二十四年に指摘を受けていて、ちょうど二十七年度末の森友学園が地代を滞納したときにそれを是正しましたと言っても、にわかに納得しがたい話だということだけ申し上げさせていただきます。
さて、ちょっと時間もないので急ぎます。経産省にお伺いします。
今週の週刊誌でございますが、元総理夫人付職員の谷査恵子氏がイタリアに異動するという報道がなされました。
もともと、籠池前理事長の証人喚問の後で、一部の報道で、真否のほどは定かではありませんが、谷氏が、いわば口封じのために海外に異動させられる、アフリカだ、南米だなどという報道がありました。それを受けて、私どもも経産省に聞いたんですが、そんなことはございません、こういう御回答であったというふうに思っておりますが、実際は、異動するという記事がさらに載ったので、びっくりしているところです。
この真偽はどうでしょうか。
○高木副大臣 お尋ねの谷氏の人事異動につきましては、発令前の段階での職員の人事異動の情報は公表しておりません。ということで、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○宮崎(岳)委員 おっしゃることもわかるんです、副大臣。
ただ、これは、私どもが参考人招致を既に国会で求めている人物についてのことです。しかも、過去に、口封じのために海外に異動させられるんじゃないかというふうに言われていて、そして今、刑事事件の捜査も始まっています。
例えば、事情聴取、任意で事情を聞かれて、あるいは証人として出廷するとか、刑事事件においてもさまざまな要請を受ける可能性がある人物でありますから、ぜひ、そういうことも踏まえて、異動については、このような国会あるいは司法の動きも考えた上で、万が一にも口封じだと言われることがないように御配慮いただきたいというふうに思います。
○西銘委員長 時間ですのでまとめてください。
○宮崎(岳)委員 はい、時間が来ています。
済みません、最後に一点だけ、ちょっとお伺いしたい。
以前、月曜日の決算分科会の質疑で、内閣官房の方に、日程を出して、この日には谷さんは随行していますか、あるいは、そこで交通費を払いましたかという質問をさせていただいておるので、その回答だけいただいて、終わりたいと思います。
○西銘委員長 土生内閣審議官、時間が過ぎていますので、手短に答弁願います。
○土生政府参考人 御説明をさせていただきます。
委員から、決算行政監視委員会第一分科会で、職員の同行日程について御質問いただきました。他方で、同日付で質問主意書も頂戴しているところでございます。また、ほかの議員の先生方からも同様の御質問をいただいているところでございまして、現在、精査をするとともに、質問主意書の答弁に係る閣議決定の手続を行っているところでございますので、そうした手続が終わり次第、順次御回答させていただきたいと存じます。
○宮崎(岳)委員 質問主意書が出ているから委員会室で聞かれても答えられないなんという答弁は、絶対認められません。
以上です。終わります。
○西銘委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史です。
今月二十九日で関越道高速ツアーバス事故から五年を迎えます。悲惨な事故を二度と起こしてほしくないという遺族の皆さんの願いかなわず、昨年一月十五日、皆様御承知のとおり軽井沢スキーバス事故が発生し、多くの、特に若い命が失われたことは、大変残念であります。
今度こそこうした事故が起こらないよう万全の対策が必要だというふうに思うんですが、残念ながら、軽井沢以降もバス事故は起こっております。
例えば、昨年五月二十六日、長野県の松本市で、愛知県の高校生らを乗せた大型バスが別の大型バスに追突いたしまして、十一人が打撲、そのうち七名が病院に搬送されました。また、昨年十一月十七日には、長崎県で、熊本から修学旅行で訪れた小学生を乗せたバスが乗用車と絡む追突事故を起こし、消防に入った情報によると、成人を含む十九人が病院に搬送されております。いずれも、幸いなことに死者は出ませんでしたが、一歩間違えば、それこそ悲惨な事故につながったと言わなければならないわけで、やはり、バス運転者の労働条件や安全管理、これは万全の対策が求められていると思うんですね。
資料の一をごらんください。これは、第十一回軽井沢スキーバス事故対策検討委員会、第一回フォローアップ会議の資料として出されたものであり、バス運転者の労働時間の実態調査、国交省が行ったものですが、これをまとめたものであります。
それで、この資料につきましては、私が石井大臣に公表するよう求めたところ、石井大臣からは、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会に報告するという答弁があり、その後、我が党の本村伸子議員が理事会で当委員会への提出を求め、昨年十二月十三日に公表されたものです。
そこで、お伺いするんですが、この実態調査の目的なんですね。何のためにこれをやったかといいますと、いわゆる自動車運転者のための改善基準告示、改善基準告示というのは、労働基準法に上乗せをして、バス運転者のために、自動車運転者のために定めた最低限の基準です。最低限の基準というのは、繁忙期、めちゃめちゃ忙しいときに限ってこれぐらいまでということで、ぎりぎりの条件とされてきたものなんですが、実は、これが年間を通して恒常化している、そういう場合があるということでこれは行われているんですね。ですから、十分な休憩や休息がバス運転者に与えられていないのではないか、そういうことがあるということを踏まえて行われたものなんですね。
それで、お伺いするんですが、適切な実態把握をこの二〇一四年度、平成二十六年度の調査でできたんでしょうか。恒常化しているということを把握できましたか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
自動車運転業務に係る改善基準告示におきましては、例えば、拘束時間は一日当たり原則十三時間以内、あるいは運転時間は一日当たり九時間を超えない、こういった基準が定められているところでございます。
今委員から御指摘のありました、平成二十六年に実施をいたしましたバス事業者における改善基準告示等に係る運用実態調査、この中の運転者のアンケートの結果を見ますと、今申し上げました拘束時間につきましては、一日当たり、先ほど十三時間以内ということを申し上げましたけれども、平均十二時間以上、十二時間から十三時間、そういった方の割合というのが二〇・六%でございました。あるいは運転時間ですけれども、これは一日当たり九時間を超えないという基準があるわけですけれども、それについて、一日当たり平均八時間以上の割合というのは七・七%ということでございました。つまり、それ以外の方々というのはそれより下にあるということでございます。
この結果を見る限り、繁忙期などを考慮した最低限の基準である改善基準告示の限界に近い労働時間などが年間を通じて恒常化しているという状態には、当時の調査の結果としては、必ずしもなかったというふうに、この結果からは考えているところでございます。
○清水委員 今、自動車局長が述べられたことをまとめた報告なりはありますか。報告書なり文書はありますか。
○藤井政府参考人 運用実態調査につきましては、先ほど委員から御指摘がありましたとおり、私どもとしてもこの委員会に提出をしたところでありますけれども、今私が申し上げましたデータは、その提出をしたデータの中に全て含まれているものを申し上げたということでございます。
○清水委員 データに出たものを述べられただけで、いわゆるこの二〇一四年度の調査に対する分析、それを今述べられただけであって、報告書という形で出ていないですよ。分析した文書は出ていないですよね。これを一つ確認したいと思います。
それで、今回、この資料にもありますように、調査対象を拡大します。バス事業者は五十社から三千社、バス運転者は二百五十名から六千名、より対象を広げて実態調査を始めるということなんですね。
ところが、新たに取り組む二〇一六年度、いわゆる平成二十八年度の主な調査項目は前回と同じですね。改善基準告示に違反しているかどうか、あるいは、この改善基準告示で定められた基準が最低限の基準であるにもかかわらず、それが恒常化しているかどうかということの実態把握をするためには、当然、前回の調査の結果を分析した上で、その調査項目についても検討されるべきだというふうに私は思うんですね。
それで、前回、自動車運転者へのアンケート項目の中にこういうのがあるんですよ。「車両運行中の体調不良時等に、事業者に申し出を行える環境にあるか」、つまり、バスの運転中に体調不良を来した、そのときに、もう運転できない、かわってくださいと言えるような環境にあるかというアンケートに対して、五・六%が、行えない、こう答えているんですね。
これは、一桁だからという問題じゃなくて、実際、こういう人がいる、体調不良にもかかわらず継続してバスを運転させられているような状態がある、これは重大だと思うんですね。こういう運転者の運転するバスに乗る乗客の安全、安心がどう保たれるのかということは、当然分析しないとだめなんですよ。
ところが、前回のこの調査項目、事業者に対しては同様の項目のアンケートはありません。ほかの部分、例えば、「連続勤務が続いている場合に長時間運行から短時間の運行に配置換えする等の調整がおこなわれているか」とか、「一定以上の時間外・休日労働を行った場合に事業者が疲労度をチェックする等の体制はとられているか」というのは、運転者と同じように、事業者にも同じ項目がアンケートをとられているんですね。ところが、今私が述べた、車両運転中に体調不良を訴えたときにかわれるのかどうか、申し出られるのかどうか、それは、事業者に対する調査項目が抜けているんですよ。
ですから、あなた方は先ほど、分析した結果の報告書はないというふうにおっしゃいましたが、対象をふやすのであれば、そうした分析を行った上で調査項目を検討しないと、このアンケート調査、実態調査の本来の目的を達することはできないんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○藤井政府参考人 先ほど委員から御指摘がありましたとおり、平成二十六年度の調査の目的は、改善基準告示が、上限を定めているわけでありますが、これが、恒常的なもの、一年じゅうということになっていないかということを調査するということが眼目であるというのは委員の御指摘のとおりでございます。
先ほど御答弁申し上げましたけれども、それにつきましては、運転時間あるいは拘束時間、そういったことについて、二十六年度の調査のデータを分析した結果として、そういったことが恒常化しているという状態にはなかったということが二十六年度調査からは把握できているものと考えております。
今回、二十八年度調査におきましても、同様の調査は引き続き行います。さらに、先ほど委員御指摘がありましたけれども、対象の運転者につきましては、数を大幅に拡充して、約六千人ということで行うということで、こういったことを継続的に行うことによりまして、改善基準告示の拘束時間等、これが上限に張りついていないかというようなことについては、私ども、継続的にしっかりと調査できるものと考えております。
○清水委員 分析もしていないのに、調査対象をふやして再度調査しても意味がありません。はっきり申し上げておきます。
やはり、本来の調査目的が果たせる調査項目などを加えた上で調査をやるべきだと思いますよ。それで、先ほど把握できるというふうにおっしゃいましたけれども、そういう分析をやった結果というのを全然取りまとめていないじゃないですか。これは指摘しておきたいと思います。
それから、今回、バス運転者を六千名に拡大するわけですね、アンケートをとる人を。それで、この六千名をどうやって抽出するのかというふうに私が確認しますと、労働組合を通じて実施するというふうに言われております。このお配りした資料の一枚目にも書かせていただいております、「労働組合を通じて実施」と。
それで、この労働組合とは、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会のメンバーでもある住野氏が議長を務める全日本交通運輸産業労働組合協議会、いわゆる交運労協というところなんですね。なぜ交運労協だけなのかということをちょっと確認したいと思うんですね。
そこをまず答えていただきましょう。なぜこれは交運労協だけなんでしょうか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
平成二十八年度調査におきましては、アンケートの対象となるバス運転者の数、これが前回の調査に比べて格段に多いことを踏まえて、労働組合を通じてアンケートを実施することとしたところでございます。
その際、全日本交通運輸産業労働組合協議会、交運労協でございますが、この議長を、軽井沢スキーバス事故の対策を検討するために設置した外部有識者による検討委員会の委員として選任していた、こういったことを踏まえまして、アンケートの実施を交運労協に依頼したものでございます。
○清水委員 別にバスの運転者全てが交運労協に所属しているわけではないでしょう。
改善基準告示の問題を実態調査するわけですから、やはり、改善基準告示の見直しを求めている労働組合や、そこに所属するバス運転者等の実態を私はつかむべきだと思うんですね。
例えば、自交総連、それから自治労連公営企業評議会、こういう労働組合は、いわゆる交運労協には所属していないわけですよ。一貫して改善基準告示の規制強化とその法制化を求めている、そしていわゆるバス運転者の実態を日常的につかみ、改善のために運動されている、こういう自交総連や自治労連公営企業評議会を今からでもアンケートの対象に加えるべきじゃないでしょうか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
交運労協は、交通運輸関係労組の協議体であり、今回のアンケートを依頼する対象としては適切な団体であると判断をしているところでございます。
○清水委員 では、加えない理由を答えてください。自治労連や自交総連を実態調査の対象に加えないという理由を答えられますか。
○藤井政府参考人 六千人という調査対象、運転者の方にアンケートをとるということで、それをやる主体としては交運労協が適切であると考えているところでございます。
○清水委員 それでは、自交総連や自治労連が適切でないという理由を述べてください。
○藤井政府参考人 交運労協は、交通運輸関係労組の協議体でありますので、そういったアンケートを依頼する対象として適切な団体であると判断をしているところでございます。
○清水委員 答えていないじゃないですか。
本当に、私は、本気度が試されると思いますよ。アンケートさえすればいいというものじゃないんです。改善基準告示の実態を把握するというのがアンケートの目的なんでしょう。
例えば、第一回フォローアップ会議の平成二十八年度調査のところの、運転者のアンケート調査のところに、私、赤線を引っ張りました。見てください、赤線。「貸切バス事業者」と書いているでしょう。これは間違いですよ。「乗合バス運転者」の下は「貸切バス運転者」にならないとだめなんですよ。こんな凡ミスをしているんですよ。ここにあなた方の本気度があらわれている。
私は、今からでも、自交総連だとか自治労連の公営企業評議会の組合員も通じて、改善基準告示の恒常化の問題、これを調査することを求めておきたいというふうに思います。
この問題の最後に、石井大臣にお伺いします。
この改善基準告示の実態調査の結果については、やはり、過労運転防止、それから何といっても処遇改善のために活用していかなければならないと思うんですが、それにとどまらず、やはり罰則がございませんので、改善基準告示の見直し、強化、そして法制化につなげられるよう、厚労省とも連携をとるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 今般の働き方改革の実現の取り組みにおきまして、自動車の運転業務につきまして、時間外労働の上限規制の適用対象とされたところでございます。
三月二十八日に取りまとめられました働き方改革実行計画におきましては、今後、関係省庁横断的な検討の場を設け、自動車運送事業に関する行動計画を策定、実施することとなっております。
改善基準告示は厚生労働省の所管でありますけれども、働き方改革の実現に向けまして、平成二十八年度改善基準告示実態調査の結果につきましては厚生労働省とも共有をし、連携して長時間労働の是正に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○清水委員 働き方改革といいましても、今出ているのが、残業時間百時間未満という、過労死ラインを超えるような議論をされているわけですから、そこに縛られず、二度と事故を起こさないために、バス運転者の安全管理そして健康管理については十分是正していただきたい。そのための実態調査を求めて、最後の質問に移りたいと思います。
森友学園の問題です。
この間、私と佐藤航空局長との間で、八億二千万円のごみ撤去費用の決裁をしたのは誰かという問題について議論してまいりまして、それが大阪航空局の補償課長だったというふうな御答弁でありまして、つい先日、その決裁文書を私、確認させていただきました。確かに、八億二千万円のごみ撤去費用の決裁を行ったのは、名前は伏せられておりましたが、当時の空港部補償課長でありました。
配付資料の三枚目をごらんいただきたいと思うんです。これは、大阪航空局空港部長等の専決規則、いわゆる内規です。この第十九条に、空港部補償課長の専決事項、こう記されているんですね。
専決事項は一から十まであるわけですけれども、国有地から値引きされるごみ撤去費用の積算、八億二千万円として決裁した専決事項の項目は、この一から十のうちのどれに当たりますか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御提出の大阪航空局部長等専決規則は、大阪航空局長名で行う職権について、大阪航空局の部課長までの決裁により処理できる範囲を定めたものであります。
本件土地の売り払い依頼は、大阪航空局長までの決裁により、大阪航空局長名で近畿財務局へ依頼をしております。
一方、本件見積もりの近畿財務局への回答につきましては、売り払い依頼に付随する省庁間のやりとりであることから、担当部署である空港部補償課長までの決裁により、補償課長名で行ったものであります。
したがいまして、本件見積もりの回答は、専決規則の対象外であると認識をしております。
○清水委員 そんなわけないでしょう。
これをちょっと見てくださいよ。私、線を引いていますけれども、十番の普通財産の売り払い、これは補償課長の専決事項なんですよ。売り払い価格が競争契約によるときは一億円、そして、随意契約によるときは五千万円を超えるものはだめだ、こう書いているわけですよね、だめだと。
いわゆる国有財産法施行令第十一条第九号が根拠法令というふうになっているんですけれども、これについても私、調べましたけれども、やはり、国有財産の売り払いをする場合は、絶対に「五百万円を超えないとき、」と。「ただし、」というただし書きもあるんですけれども、五千万円を超えるようなものを補償課長の専決事項で決裁することなんてできないですよ。付随する一般事務で八億二千万円を決裁されたら困りますよ、国民は。
私は思うんですけれども、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、ここに何と書いているか。第三条に、「重要又は異例な事項に係る職権については、局長において処理する」、これは当然のことです。そして、「部長等は、」これは補償課長もそうですけれども、「専決すべき事項であるか否かを慎重に判断し、」公正、適確に、こういうふうにも書かれているわけですね。重要または異例な事項に係る職権については局長だと。
今回は、森友学園側と見積もり合わせもしておりません。さらに、大阪航空局が初めてみずからごみ撤去費用を積算するなど、異例中の異例なんですよ。
本来ならば、この専決事項を大幅に上回るようなごみ撤去費用を空港部補償課長が専決事項として決裁する、これは明らかに規則に違反するんじゃありませんか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになって恐縮でございますが、この大阪航空局部長等専決規則は、大阪航空局長名で行う職権について、大阪航空局の部課長までの決裁により処理できる範囲を定めたものであります。
したがいまして、この専決規則に従って、本件土地の売り払い依頼は、大阪航空局長までの決裁により、大阪航空局長名で近畿財務局へ依頼したということでございます。
一方、本件見積もりの近畿財務局への回答につきましては、本件土地の売り払い依頼に付随する省庁間のやりとりであることから、担当部署である補償課長までの決裁により、補償課長名で行ったものであり、大阪局長名で行う職権について定める専決規則の対象外であると認識をしております。
○清水委員 専決規則の対象外とおっしゃいますけれども、五万円、十万円と違うんですよ。八億二千万円、国民共有の財産である国有地から値引きする。しかも、この間、本当にごみが埋まっていたのかどうかの議論もあるわけで、これを課長決裁で行うなんということは断じて信用することができません。
引き続きこの問題を取り上げることを申し上げまして、質問を終わります。
○西銘委員長 次に、本村伸子君。
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
本日は、熊本地震から一年という日です。亡くなられた方々に、心からの哀悼の意を申し上げます。被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
きょうは、三月三日の質問に続いて、佐川急便の宅急便を配達している軽自動車ドライバーの問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
資料を一枚お配りしているかというふうに思いますけれども、この資料でも見ていただいてわかるように、荷主から佐川急便に行きまして、その下請ということでアドバンスという会社が入っておりまして、そこが配達をしないで、Bさんという個人事業主、形ばかり個人事業主にさせられたBさんという方が、丸投げをされて、宅急便の荷物を配達しているという状況でございます。
先日も申し上げましたように、朝七時ごろ出勤をいたしまして、帰り、夜は九時、十時まで働いて、手取りは大体月額十三万円そこそこであると。残業代を計算してみますと、過労死ラインを軽く超える月百時間以上の残業もあったということでございます。長時間、低賃金の働かせ方の中で、Bさんは吐血をして救急車で病院に運ばれてしまったということでございます。
この丸投げをしていた有限会社アドバンスという会社とBさんの契約というものがどういうものだったかということを見ておきたいんです。
まず国交省の方にお聞きをいたしますけれども、運送委託契約書のモデルは、運賃・料金の改定の条文がどういうものなのかということをお示しいただきたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
国土交通省におきましては、安全運行の確保の観点から、運送契約に関して荷主や貨物自動車運送事業者が書面により共有するべき必要最小限の事項や書面契約のモデル様式を定めたトラック運送業における書面化推進ガイドラインを平成二十六年一月に策定し、公表しているところでございます。
運賃及び料金につきましては、このガイドラインの中で必要記載事項として定められているところであります。さらに、書面契約のモデル様式にも運賃・料金の記載欄が設けられているところでございます。
○本村(伸)委員 モデルのケースを具体的におっしゃってはいただけなかったんですけれども、例えば、委託料金を改定しようとするときは、何カ月前までに書面をもって申し入れ、そして、甲乙でいうと、下請の側の乙の書面による同意を得なければならないというようなモデルケースが推奨されるというふうに思うんです。
このアドバンスの委託取引基本契約書の「委託料金の設定」という部分の条文は大変ひどいものでございます。甲がアドバンス、乙がBさんというふうに考えていただきたいんですけれども、
一 委託料金の設定は、甲が甲の顧客先から収受する金額をもとに甲が決定するものとし、乙は異議を挟まない。
二 甲は経済的変動・業務委託内容の変更等により、取引条件の変更を余儀なくされた場合、設定済み委託料金を予告無く変更することがある。この場合乙は異議無く受託するものとする。
つまりは、この委託料金は、アドバンスがアドバンスの顧客先から収受する金額をもとにアドバンスが決定するから、Bさんは異論を挟まない。アドバンスは「経済的変動・業務委託内容の変更等により、取引条件の変更を余儀なくされた場合、設定済み委託料金を予告無く変更することがある。この場合」Bさんは「異議無く受託するものとする。」という内容です。これは、請負契約という点から見ますと、請負の委託料金というのは交渉できるというふうに思います。そうやって自由に事業者の方々が判断できるはずだというふうに思います。
やはりこういう契約書をはびこらせてはいけないというふうに思いますけれども、これは大臣にお伺いをしたいと思います。そして、こういう契約書をはびこらせないためにも、元請にもしっかりと、元請が受けた荷物ですから、公正な取引が行われるように指導していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○石井国務大臣 一般に、運送契約の締結に当たりましては、契約自由の原則のもと、契約当事者同士が十分な協議の上でその内容を定めるべきものと認識をしております。
一方で、トラック運送契約に関しましては、下請構造が多層にわたる場合もあることから、その健全化が課題であると認識をしております。
このため、国土交通省では、昨年十一月に、下請多層構造など、元請と下請における運送事業者間の取引条件改善に向けた取り組みを進めることも念頭に、業界団体に対しまして、トラック運送業の適正取引推進のための自主行動計画を策定するよう要請いたしました。
これを受けまして、全日本トラック協会におきまして、全ての取引について原則二次下請までに制限すること、下請事業者の原価を考慮した運賃・料金設定を行うとともに、燃料や人件費などの上昇分を考慮したコスト負担のルールを設定することなどを内容とする適正取引推進等に向けた自主行動計画を三月九日に策定し、佐川急便を初めとする大手トラック運送事業者十九社が率先して実施することとしたところであります。
今後、この自主行動計画に基づいた取り組みの着実な実施がなされるよう、国土交通省といたしましても、引き続き大手運送事業者に対して働きかけを行ってまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 採用前に示された条件説明の資料にはこう書いてございました。弊社レギュラードライバーの場合、四十四万二千円、こういう、四十四万二千円もうかるかのようなことを書いて、甘いことを前面に出して、契約をさせたわけでございます。
資料をもう一度見ていただきたいんです。
佐川急便とBさんの関係ですけれども、Bさんは、朝七時ごろ出勤し、佐川急便の端末を受け取り、荷物の入力、積み込み、そして出かけて、こんにちは、佐川急便ですと言って配達をする。配達の途中に新しい荷物の連絡が佐川急便から入り、駆けつける。佐川急便に戻って、配達済み、持ち戻りの荷物の入力、一日の集計報告、佐川急便に営業報告。そして、退社は夜九時、十時ということで、どう見ても指揮命令の関係は佐川急便の労働者のような働かせ方でございます。
そして、Bさんとアドバンスの関係ですけれども、個人事業主ということで形ばかりにはなっているんですけれども、委託料金はアドバンスが決定するからBさんは異論を挟まないということや、アドバンスは設定済みの委託料金を予告なく変更することがあるけれども、Bさんは異論なく受託しろというわけでございます。そして、さまざまな罰金で拘束をしておりますし、最初に軽自動車を買わせるということで、借金もあるわけでございます。
そもそも、四十四万円稼げるかのようなことを言って、実際は手取りが月額十三万円、過労死ラインを超える労働時間、休憩もなかなかとれないという現実がございました。まさに奴隷的な働かせ方だというふうに思います。これは支配従属関係にあると言えるというふうに思います。
先日も指摘をしましたけれども、労働基準法のコメンタールの中では、形式上請負のような形をとっていても、その実態において使用従属関係が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は本条の労働者であることになる、労働者性を実態として見るんだということが書かれているわけでございます。
このBさんの状況は、まさに禁止されている労働者供給事業ではないかというふうに思うんですけれども、厚生労働省には、この点、佐川急便、アドバンスを含め、調査をしていただきたいというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
個別の事案でございますのでお答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論といたしましては、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させる、こういう場合には、労働者派遣に該当する場合を除きまして、御指摘のような労働者供給という格好になるわけでございます。
この場合、労働者供給を業として行いますことにつきましては、労働者供給事業の許可を受けた労働組合等を除きまして、職業安定法により禁止されてございます。
このような禁止されている労働者供給事業に該当するおそれのある事案を把握した場合には、都道府県労働局におきまして、必要な調査を行った上で、労働者供給事業者に対しまして指導をし、是正を図ることとなります。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。
Bさんのことは、ぜひ労働者性を認めていただき、本来労働者として支払われるべき残業代、労働時間もちゃんと把握をして、社会保険や有給休暇など、労働者として救済をしていただきたいというふうに思います。
アドバンスという会社は東海地方最大の会社なんだということで求人広告でも書かれておりますけれども、大臣、先ほど言ったように、禁止されている労働者供給事業のようなことをやっている、軽自動車ドライバーを手配する事業者がはびこっている、こういう現状でいいのかという点、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 今御指摘いただいた個別の事案については承知をしておりませんが、一般論として申し上げれば、貨物軽自動車運送事業者が自社で請け負った運送業務を他の貨物軽自動車運送事業者に再委託することは、貨物自動車運送事業法上禁じられておらないところでございます。
○本村(伸)委員 先ほど来言っておりますけれども、Bさんの労働者性を認めてほしいという質問ですので、そうした機械的な答弁は少しおかしいかなというふうに思います。
宅配便の配達というのは、Bさんの話ではなく、もう業界全体の話として今からは議論をしたいというふうに思います。
このアドバンスのように、佐川急便の宅配の仕事を請け負い、そして、その仕事をみずから行わず、さらに個人事業主というふうにされている下請にさせるという形は、宅配便の配達においては、佐川急便だけではなく、大変多い状況になっておりまして、愛労連、愛知の労働組合の皆さんのところにも次々と相談に来るわけでございます。
軽自動車の黒ナンバーの車の事業者は、国会の周りでもよく見かけますけれども、一九九三年度には約八万五千だったものが、二〇一五年度には十五万五千以上と高水準に今なっているというふうに思います。
それで、確認をしたいんですけれども、軽自動車ドライバー、貨物軽自動車運送事業者に荷物を丸投げする事業者は貨物利用運送事業にならないというふうに聞いておりますけれども、なぜならないのか、お聞きをしたいと思います。
○重田政府参考人 お答えいたします。
委員の御指摘のとおり、貨物利用運送事業法という法律におきましては、一般貨物自動車運送事業者など実運送の事業者が行う運送を利用いたしまして貨物の運送を行う事業を貨物利用運送事業といたしまして、登録や許可等の一定の規制を設けておりますが、貨物軽自動車運送事業の行う運送を利用して貨物の運送を行う事業は、貨物利用運送事業には該当しないこととされております。
これは、軽自動車の特性上、活動の範囲が地理的、輸送量的、輸送品目的に限定されておりまして、当該行為を利用する行為についても同様に限定的であるということ、また、貨物自動車運送事業法自身も、貨物軽自動車運送事業の参入を事後届け出制とするなど、非常に緩やかな規制にとどめていることから、貨物利用運送事業法の規制を行う必要性、合理性が乏しいとして、規制対象から除外しているものでございます。
○本村(伸)委員 軽か軽じゃないかということだけでそうやって排除するというのは、実態から見てやはりおかしいというふうに思います。
貨物利用運送事業ならば、大臣がやる気になれば、運賃・料金が利用者の利便とか公共の利益を阻害する場合は、国交大臣が業務改善命令も出せるはずなんですね。大臣がやる気になればの話ですけれども、やることができるんです。しかし、そういう規制から全く排除されてしまっているという現実があるというふうに思います。
この軽自動車ドライバー、貨物軽自動車運送事業に荷物を丸投げする事業者は、先ほど来議論しておりますように、貨物利用運送事業に入らないわけですけれども、業として誰が指導監督をしているのか、誰がどのように指導監督するのか、お示しをいただきたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
トラック運送業における適正取引の確保は、安全運行の確保の観点からも重要な課題であることから、トラック運送業を所管する国土交通省としても、必要な対策を講じることとしているところでございます。
なお、仮に独占禁止法または下請法の規定に違反する事実がある場合には、同法を所管する公正取引委員会または中小企業庁にそうした行為の排除、是正を図る権限があると承知をしております。
○本村(伸)委員 ですから、貨物利用運送事業としてされていたならば業務改善命令などできるんですけれども、そういう意味では、誰も指導監督をしていないという問題がこういう状況を蔓延させているんだということを申し上げたいというふうに思います。
みずから運送の仕事はせず、形式上個人事業者の働く方々、そうやってされている方々を、元請にあっせん、仲介して、供給、派遣をしている事業。佐川から請負代金を払ってもらって、形式上個人事業主にされている働く方々に、配達個数をもとにして計算した報酬を支払っている。佐川急便から直接配達を請け負った請負代金よりも、アドバンスから受け取る報酬は少なくなっているんですね。一二%ピンはねをされているわけですけれども、こういう個人事業主にピンはねをして支払う事業がいいというふうに大臣は考えているんでしょうか。
○石井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、貨物軽自動車運送事業者が自社で請け負った運送委託業務を他の貨物軽自動車運送事業者に再委託することは、法律上禁止されておりません。
ただ、再委託の貨物軽自動車運送事業者のドライバーの適正な労働条件や安全運行を確保するためには、再委託に係る取引条件を適正なものにする必要があるものと考えております。
こういった観点から、国土交通省といたしましては、貨物軽自動車運送事業者や宅配事業者に対し、適正な運賃の設定や契約書面の作成、交付等について定めた、トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドラインについて改めて周知徹底を図るなど、引き続き、適正な取引条件の確保に向けた取り組みを行ってまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 最後にお聞きをしますけれども、このアドバンスのような、ピンはねをして、ほかの人に軽自動車で配達をさせ、そして手配して丸投げをするような仕事は、日本全国でどのくらいあって、どういう実態なのかという実態把握をしておりますでしょうか。もし実態を把握していないのであれば、ちゃんと実態を把握して、しっかりとルールをつくって規制をするべきではないかというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○石井国務大臣 先ほど申し上げましたように、貨物軽自動車運送事業者が自社で請け負った運送業務を他の貨物軽自動車運送事業者に再委託することは、法律上特段の規制がございませんので、国土交通省としては、御指摘のような事業者の数については把握をしておりません。
この貨物軽自動車運送事業者については、活動の範囲が限定されている等の軽自動車の特性を踏まえて届け出制としており、貨物軽自動車運送事業者間の運送業務の委託については特段の規制を設けない等、一般の貨物自動車運送事業と比較すると、緩やかな規制のもとに事業運営が認められているところであります。
一方、長時間労働の是正等により働き方改革を推進し、安全運行を確保するためには、貨物軽自動車運送事業につきましても、取引条件の適正化は重要な課題であると考えております。
国土交通省といたしましては、本省及び全国各地の地方運輸局に設置をいたしましたトラック輸送適正取引相談窓口の活用等により、この貨物軽自動車運送事業の取引実態の把握に努めるとともに、必要に応じ、その適正化を推進していきたいと考えております。
○本村(伸)委員 終わります。ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、椎木保君。
○椎木委員 日本維新の会の椎木保です。
本日は、国土交通行政に関する一般質疑ということで、我が国の観光政策についてお伺いいたします。
平成二十八年の訪日外国人旅行者数は、これまで最高の二千四百三万九千人となり、外国人旅行者の日本での消費額も、三兆七千四百七十六億円で過去最高を記録したとの発表がありました。三兆七千四百七十六億円という金額は、我が国の鉄鋼や自動車関連部品の輸出額に匹敵する規模であり、我が国にとっては大きな経済効果があると言えます。
これまで政府が行ってきた観光政策を振り返ってみますと、平成十五年一月、当時の小泉純一郎総理のもとで観光立国懇談会が開催され、
国際交流の増進、我が国経済の活性化の観点から、自然環境、歴史、文化等観光資源を創造し、再発見し、整備し、これを内外に発信することによって、我が国が観光立国を目指していくことが重要となっている。
これまで様々な取組みがなされてきているが、例えば、日本人海外旅行者数が約一千六百万人であるのに対し、訪日外国人旅行者数が約五百万人にとどまっていることに見られるように課題も多く、国として統一的な方針の下、戦略的に取り組んでいくことが必要である。
このため、幅広い観点から、我が国の観光立国としての基本的なあり方を検討するため、「観光立国懇談会」を開催する。
という趣旨で、観光立国への取り組みが始まったと認識しております。
平成十八年十二月十三日には、昭和三十八年に制定された観光基本法を全面的に改正し、観光立国推進基本法が成立しました。そこでは、観光が二十一世紀における日本の重要な政策の柱として初めて明確に位置づけられました。
さらに、昨年の三月三十日には明日の日本を支える観光ビジョンが策定され、二〇二〇年に向けて、訪日外国人旅行者数四千万人、訪日外国人旅行者消費額八兆円、地方部での外国人延べ宿泊者数七千万人泊、外国人リピーター数二千四百万人、日本人国内旅行消費額二十一兆円という新たな目標値が設定されました。
そこで、お尋ねいたします。
昨年の年間訪日外国人旅行者数は二千四百万人となりましたが、二〇二〇年には四千万人に拡大させるという極めて高い目標値を設定しております。この目標を達成することは可能だと考えていらっしゃるのでしょうか。また、二〇二〇年に四千万人に拡大するという目標に対して、観光インフラ整備についてはどのような対応を考えているのでしょうか。石井大臣にお尋ねいたします。
○石井国務大臣 昨年三月に政府全体で取りまとめられました明日の日本を支える観光ビジョンにおいて設定をされました、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年までに四千万人とするという目標は、非常に意欲的な数字ではございますけれども、観光ビジョンに盛り込まれた総合的な施策を国を挙げて着実に実施をすれば達成できると考えております。
今後とも、この目標達成に向け、観光資源の磨き上げとともに、ハード面とソフト面の観光インフラ整備を整合性及び計画性を確保しながら進めてまいりたいと考えております。
具体的には、ハード面で申し上げれば、クルーズ船の受け入れ環境の整備、また、羽田空港の飛行経路の見直しに必要な施設整備など、首都圏空港、地方空港の機能強化といった対応に加えまして、ソフト面の取り組みといたしましては、容積率の緩和による旅館やホテルの建設の促進、WiFiの利便性の向上、訪日外国人のカード決済環境整備等を進めていくこととしております。
国土交通省といたしましては、世界が訪れたくなる日本を目指し、観光ビジョン及びそれを踏まえました新たな観光立国推進基本計画に基づきまして、政府一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。
○椎木委員 ありがとうございます。我が党の考え方、認識と全く合致した御答弁をいただけたと思っております。
次の質問に入ります。
平成二十九年度の観光庁予算は、過去最大の二百五十六億円が計上されております。さらに、観光に関する予算は他省庁にも波及していると聞いております。
例えば、農林水産省では、明日の日本を支える観光ビジョンに基づいて、農山漁村において、日本ならではの伝統的な生活体験と農村地域の人々との交流を楽しみ、農家民宿、古民家を活用した宿泊施設など、多様な宿泊手段により旅行者にその土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行である農泊に取り組むために、農泊推進対策費として新規に五十億円が計上されております。また、赤坂や京都にある迎賓館の公開に伴う運営費用も計上されております。
予算の面から見ても、政府一丸となってさまざまな取り組みを行っているものと理解しておりますが、観光先進国実現のために、今後、各省庁間でどのような連携を図っていこうとお考えでしょうか、答弁を求めます。
○田村政府参考人 政府におきましては、昨年三月に策定した観光ビジョンに盛り込まれました取り組みにつきまして、関係行政機関相互の緊密な連携協力を確保し、総合的かつ効果的な推進を図るため、昨年四月に観光戦略実行推進タスクフォースを設置しております。
このタスクフォースは、内閣官房副長官補を議長、そして私、観光庁長官を副議長といたしまして、各省庁の局長級職員を構成員として設置され、昨年度は、観光ビジョンの実現に向けた有識者からのヒアリング、関係省庁の取り組みのフォローアップ等を随時開催しているところでございます。
また、観光ビジョンに盛り込まれました各施策につきまして、その実行に向けた関係省庁間の連携も進んでおります。
例えば、文化財を中核とする観光拠点の整備に向けた文化庁、それから、観光経営人材の育成に向けた文科省、経産省、空港での入国審査待ち時間の短縮に向けた法務省、財務省、厚労省、農水省、無料WiFi環境の全国的な整備に向けた総務省等々、さまざまな施策分野におきまして、関係府省と観光庁とが緊密に連携して取り組んでおりまして、今後も一層連携してまいりたいと考えております。
また、各地域において、関係省庁の地方機関、地方自治体、民間事業者等の幅広い関係者が連携し、観光地域づくりに取り組むことも必要不可欠であります。
このため、従来の各地域における関係者の連携組織を発展的に改組いたしまして、関係省庁の地方機関等を含む幅広い関係者を構成員とする観光ビジョン推進地方ブロック戦略会議を近く発足いたしまして、各地域固有の課題に対応しつつ、関係者が連携した観光地域づくりを加速することとしております。
今後とも、政府一丸となって、観光先進国の実現に向け、着実に取り組んでまいります。
○椎木委員 次の質問に入ります。
観光庁では、これまで東京、京都、大阪等の大都市をめぐる、いわゆるゴールデンルートに集中した外国人旅行者に対して、日本の地方のよさをアピールし、地方部への誘客を促そうと考えているようですが、その取り組みの一環として、最近、テーマ別観光による地方誘客事業や、地域資源を活用した観光地魅力創造事業を行っていると聞いておりますが、具体的にどのような事業内容となっているのでしょうか。
○田村政府参考人 訪日外国人旅行者数は、この四年間で約三倍、先ほど先生おっしゃいましたように、二〇一六年に二千四百四万人に達しました。しかし、依然として東京、京都、大阪など、三大都市圏に延べ宿泊者数の約六割が集中するなど、地方誘客が大きな課題となっております。
政府におきましては、地方部での外国人延べ宿泊者数を二〇二〇年までに七千万人泊にする、すなわち全体の五割までにする、二〇三〇年にはこれを六割にするという目標にしておりまして、関係省庁と観光庁が連携してさまざまな施策を実施しているところでございます。
このうち、今先生からお尋ねのございましたテーマ別の観光による地方誘客事業におきましては、旅行者の地方誘客を促し、新たな需要を創出するために、酒蔵や社寺等、共通の観光資源がある各地域をネットワーク化し、共同プロモーションやモニターツアー実施、マニュアル作成等の取り組みを支援しているところでございます。
例えば、これは昨年十月から開始したばかりでございますので経済効果等の検証はこれからでございますけれども、ロケツーリズム協議会は、半年前に十二団体でドラマや映画のロケ誘致等のノウハウを共有する目的で発足いたしましたけれども、この支援事業のもとで、わずか数カ月で二百二十二団体までネットワークが急速に拡大し、各地で実際のロケ誘致につながった事例が出てきているところでございます。
また、地域資源を活用した観光地魅力創造事業では、単一の市町村が地域における文化財や自然、食文化等の観光資源を掘り起こし、磨き上げ、魅力を発信する取り組みについて支援を行っております。
これは、長野県山ノ内町、世界で唯一、温泉に入るスノーモンキーを間近で観察できる場所として、来町する外国人がふえてきたことから、ツアーの企画、ホームページの多言語化それからツアー予約機能の追加、あるいは温泉街にランタンを設置する等々、いろいろな支援を実施しました。事業開始前より外国人の温泉旅館利用者数が一・七倍に増加したというようなことで、素通り観光から滞在型の観光に脱却したということでございます。
今後とも、全国津々浦々の豊富で多様な観光資源を磨き上げる取り組みを支援することによりまして、地方への誘客の増加に取り組んでまいりたいと考えております。
○椎木委員 ありがとうございます。
何か私が期待していた以上にしっかり取り組んでいただいているような答弁だと思います。ありがとうございます。
次の質問に入ります。
地方部への観光客誘致に関連してお聞きいたします。
東日本大震災の被災地である東北地方や、熊本地震の熊本、大分、さらには鳥取県中部地震で被害を受けた山陰地方等への観光客の誘致は、地域復興支援の面からも大変有効であると考えますが、これまでどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。また、今後の対応についてどのような施策を考えているのでしょうか、答弁を求めます。
○田村政府参考人 まず、東北地方につきましては、インバウンドの延べ宿泊者数ですが、平成二十七年にようやく震災前の水準に戻ったわけでございますけれども、全国に比較すると伸び率はまだ必ずしも高くないということから、昨年を東北観光復興元年として、これまで以上に東北の観光振興を重点的に進めることといたしました。
具体的には、政府観光局を通じまして、東北地方において、日本初となる全世界を対象としたデスティネーションキャンペーンを実施するとともに、滞在コンテンツの充実や受け入れ環境の整備などの地域が実施するインバウンドを呼び込む取り組みを、昨年度新たに創設した東北観光復興対策交付金によりまして支援をしているところでございます。
また、熊本、大分を初めとする九州地方につきましては、昨年四月の熊本地震からの観光復興を図るため、九州ふっこう割のほか、中小企業等グループ補助金や九州の魅力の海外発信などの施策を盛り込んだ総合支援プログラムを昨年五月に策定し、省庁横断的に連携し、支援を行ってまいりました。
さらに、昨年十月の鳥取県中部地震を踏まえまして、鳥取県の魅力の発信を行い、風評被害による影響を排除するため、「とっとりで待っとりますキャンペーン」を初めとした観光需要を取り込むための施策を行ってまいりました。
これらにより、それぞれの地域におきまして、宿泊者数は着実に回復するなど、取り組みの効果が見られているところでございます。
今後とも、大規模な地震等の自然災害が発生した場合には、被災地域の観光の実態や災害による観光への影響などを踏まえて、地域のニーズに的確に対応しつつ、関係省庁とも連携し、観光を通じた復興支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○椎木委員 次に、明日の日本を支える観光ビジョンには、三つの視点と十の改革として、観光先進国を実現するために我が国が取り組むべき課題が示されております。
視点の一つとして、「すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に」とあります。増加する訪日外国人に対応し、我が国のゲートウエーとなる空港において、ストレスを感じずに快適に出入国を行うことができることが重要と考えます。
国土交通省としては、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省としては、訪日外国人旅行者が円滑かつ快適に我が国への出入国を行えるよう、関係省庁と連携しながら、空港の施設面において出入国環境を整えることが重要であると認識をしております。
具体的な取り組みとしては、平成二十九年度に、羽田、成田、中部、新千歳、那覇の五空港におきまして、入国審査ブースの増設など、CIQ施設の機能強化に取り組んでおります。
また、こうした施設整備に加え、平成二十六年度より、訪日外国人を含めた空港利用者の満足度調査を行っており、空港利用者の意見を踏まえて、案内表示の多言語化やWiFi環境の整備などの取り組みが行われてきたところであります。
今後とも、より多くの外国人旅行者に快適に日本を楽しんでいただけるよう、関係省庁や空港ビル会社等と連携して、訪日外国人旅行者の移動実態や空港利用者のニーズ等を踏まえながら、必要な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○椎木委員 昨年の通常国会において、私が航空保安検査に関してのボディースキャナーの導入について質問いたしましたが、現在、それぞれの空港でどの程度運用されているのでしょうか。また、導入された各空港で航空保安検査に関してどのような効果があったのでしょうか、あわせてお尋ねいたします。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
ボディースキャナーにつきましては、航空保安検査の高度化の一環として、平成二十八年度から導入を開始しております。
現在の導入状況につきましては、昨年七月に発生いたしましたバングラデシュにおけるテロ事案を受けて、当初の予定から前倒ししておりまして、平成二十八年度には、羽田、成田など八空港に導入いたしました。
また、導入した空港における効果につきましては、航空保安検査の厳格化が図られるとともに、旅客流動の円滑化についても今後徐々に発現してくるものと考えており、国土交通省といたしましては、引き続き、航空会社を初め関係者と連携し、旅客への周知や運用面の工夫に努めてまいりたいと考えております。
国土交通省といたしましては、今後とも、国際テロの脅威が高まる中で、国として責任を持って航空保安対策に万全を期してまいる所存であります。
○椎木委員 次の質問に入ります。
国土交通省では、地方空港の国際航空ネットワークの充実とインバウンドの増加に向けて、訪日誘客支援空港の募集を開始したと聞いておりますが、どのような空港が認定対象となるのでしょうか。また、訪日誘客支援空港として認定された場合には、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。それぞれで、できるだけ細かく答弁いただきたいと思います。
○石井国務大臣 二〇二〇年にインバウンド四千万人等の目標の実現のためには、首都圏空港などの大規模空港の機能強化だけでなく、地方空港発着の国際線を充実させ、地方から日本に来る、そして地方で日本から出ていく、地方イン、地方アウトの流れを創出する必要がございます。
このため、国土交通省では、全国の地方空港のうち、高いレベルの訪日外国人誘致の取り組みが行われている地域にある空港を訪日誘客支援空港と認定した上で、国際線の就航促進に向けた総合的な支援措置を講ずることとしております。
現在、訪日誘客支援空港の募集を行っているところでありますが、応募に際しましては、関係の地方公共団体等より、航空会社に対する就航の働きかけ、需要喚起の方策、旅客ビルやアクセスの整備などの計画を提出していただきまして、有識者会議において当該計画に基づいて地元の取り組みを評価した上で、夏ごろまでには対象となる空港を選定することとしております。
また、訪日誘客支援空港に認定された場合には、着陸料やグラウンドハンドリング経費等の支援により、LCC等の新規就航、増便を促進するとともに、空港におけるCIQ施設や搭乗橋等の整備支援により、旅客を受け入れる際のボトルネック解消等の支援を行うこととしております。
今後とも、急増する訪日外国人観光客への対応として、地方自治体を含む関係者と連携を図りながら、地方空港における受け入れ環境の整備を進めてまいりたいと考えております。
○椎木委員 大臣の方より大変丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
最後の質問にさせていただきます。
関西の三空港についてお伺いいたします。
関西国際空港と伊丹空港が民営化され、四月一日で丸一年が経過しました。近年は、関西国際空港を出入国に際しての玄関口とする訪日外国人も増加していると聞いておりますが、ハブ機能を強化し、アジアのメーン空港となるように国として取り組む必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
関西圏においては、玄関口であります関西国際空港を利用する訪日外国人の方が、ここ数年、全国を上回るペースでふえており、特にアジアからの外国人入国者数につきましては、関西国際空港が国内空港で最大のシェアを占めているところでございます。
国土交通省としても、訪日外国人旅行者が円滑かつ快適に我が国への出入国を行えるよう、関係省庁と連携しながら、施設面において出入国環境を整えることが重要であると認識しており、関西国際空港におきましても、入国審査ブースを倍増するなど、CIQ施設の充実に取り組んでいるところでございます。
○椎木委員 若干時間があるので、一点、最後、追加の質問で恐縮です。
関西国際空港、伊丹空港、神戸空港、これらの関西三空港の一体運営を図るということについての見解を最後に聞かせてください。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
関西三空港の一体運営につきましては、関西空港及び伊丹空港について、平成二十四年七月に、新関空会社のもと、経営統合が実現し、平成二十八年四月より、関西エアポート株式会社がコンセッションによる運営を開始しております。
さらに、神戸空港につきましては、平成三十年四月のコンセッションによる運営開始に向けまして、空港管理者である神戸市が手続を進めているところであり、神戸市が公表している実施方針等におきまして、関西三空港の一体運営に資する方策を講じるということが明記されていると承知しております。
関西三空港につきましては、関経連、大阪府、兵庫県、大阪市、神戸市といった地元関係者による長い協議の結果、役割分担や運用のあり方について平成十七年に合意形成に至り、その地元合意に従って現在運用されているところであります。
関西三空港の一体運営という新たな状況のもとで、関西三空港の役割分担や運用の見直しをするとすれば、地元による新たな合意が必要であり、国土交通省としては、まずは御地元において三空港の役割分担や運用のあり方について議論を開始していただきたいというふうに考えてございます。
○椎木委員 ありがとうございます。
今回の通常国会、私はできるだけ、法案質疑、一般質疑、前日の午後の早い時間に、丁寧な通告をさせていただいております。その成果というわけではないのかもしれませんけれども、本当に、大臣初め政府参考人からは、これまでも、特にきょうは大変丁寧な、わかりやすい答弁をいただけたと思います。
今後も、わかりやすいといいますか、しっかりとした通告をしながら質疑の方を進めていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
ありがとうございます。
――――◇―――――
○西銘委員長 次に、内閣提出、水防法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。
―――――――――――――
水防法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○石井国務大臣 ただいま議題となりました水防法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
近年、全国各地で洪水等の水災害が頻発、激甚化しております。平成二十七年九月の関東・東北豪雨、平成二十八年八月に北海道、東北地方を襲った台風十号等の一連の台風では、住民の逃げおくれや家屋の浸水により甚大な被害が発生しました。このため、一昨年来、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するものとの考えに立ち、ハード、ソフト一体となった対策により社会全体で洪水に備える水防災意識社会再構築ビジョンの取り組みを進めてまいりましたが、この取り組みをさらに加速し、洪水等からの逃げおくれゼロと社会経済被害の最小化を実現するための抜本的な対策を講ずる必要があります。
このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、地方公共団体や河川管理者、水防管理者等の多様な関係者の連携体制を構築するため、大規模氾濫減災協議会を設置することとしております。
第二に、地域の中小河川における住民等の円滑かつ迅速な避難を確保するため、市町村長が可能な限り浸水実績等を把握し、これを水害リスク情報として住民等に周知しなければならないこととしております。
第三に、高齢者等の要配慮者の確実な避難を図るため、浸水想定区域及び土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設の管理者等に対し、避難確保計画の作成及び避難訓練の実施を義務づけることとしております。
第四に、地域の河川の安全度を高めるため、実施に高度な技術等を要するダム再開発事業や災害復旧事業等を国土交通大臣または独立行政法人水資源機構が都道府県知事等にかわって行うことができることとする等、洪水等からの社会経済被害を最小化するための措置を講ずることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会