第13号 平成29年5月9日(火曜日)
平成二十九年五月九日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西銘恒三郎君
理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君
理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君
理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君
理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君
秋本 真利君 大塚 高司君
大西 英男君 加藤 鮎子君
金子 恭之君 神谷 昇君
木内 均君 黄川田仁志君
工藤 彰三君 小島 敏文君
佐田玄一郎君 斎藤 洋明君
鈴木 憲和君 田所 嘉徳君
津島 淳君 中谷 真一君
中村 裕之君 根本 幸典君
橋本 英教君 藤井比早之君
古川 康君 堀井 学君
前田 一男君 望月 義夫君
荒井 聰君 黒岩 宇洋君
小宮山泰子君 玉木雄一郎君
松原 仁君 水戸 将史君
村岡 敏英君 横山 博幸君
伊佐 進一君 北側 一雄君
中川 康洋君 清水 忠史君
本村 伸子君 椎木 保君
野間 健君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
国土交通副大臣 田中 良生君
国土交通副大臣 末松 信介君
総務大臣政務官 冨樫 博之君
国土交通大臣政務官 藤井比早之君
国土交通大臣政務官 根本 幸典君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 刀禰 俊哉君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 白川 靖浩君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 坂口 卓君
政府参考人
(国土交通省大臣官房物流審議官) 重田 雅史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官) 東井 芳隆君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 石川 雄一君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 由木 文彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 奥田 哲也君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 羽尾 一郎君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 菊地身智雄君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 佐藤 善信君
政府参考人
(国土交通省航空局安全部長) 高野 滋君
政府参考人
(観光庁長官) 田村明比古君
政府参考人
(海上保安庁長官) 中島 敏君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 黄川田仁志君
大塚 高司君 斎藤 洋明君
村岡 敏英君 玉木雄一郎君
同日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 秋本 真利君
斎藤 洋明君 大塚 高司君
玉木雄一郎君 村岡 敏英君
―――――――――――――
五月二日
通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○西銘委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房物流審議官重田雅史君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官東井芳隆君、道路局長石川雄一君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、海事局長羽尾一郎君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、航空局安全部長高野滋君、観光庁長官田村明比古君、海上保安庁長官中島敏君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、長官官房審議官白川靖浩君及び厚生労働省大臣官房審議官坂口卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。
○斎藤(洋)委員 おはようございます。自由民主党の斎藤洋明でございます。
本日、冒頭、十五分お時間をいただきまして、感謝を申し上げます。
早速質問したいと思います。
まず第一に、ふるさと納税の行き過ぎたサービス競争につきまして、与野党でも総務委員会を中心にしっかりと議論いただきまして、附帯決議もしていただいておりますし、また、総務大臣通知も出していただいております。
この観点で一点、お伺いをしたいと思っていることがあります。
金銭類似性の高いものとして商品券及びこれに類するものは好ましくないということが、せんだって出されました総務大臣通知に盛り込まれておりますが、宿泊券も、仮に使用時期や地域を明示したとしても、好ましくないという整理がされたところであります。一方で、宿泊券というのは、各地域の温泉地や観光地において経済波及効果が極めて高かったという評価が非常に多くあります。
そこで、私からお伺いというかお願いをしたいのは、例えば、宿泊券をふるさと納税の返礼品としていただくときに、記名式として、使用するときに記名した名前との照合を求めるというようなステップを経ることによって、こういった工夫をすることによって、好ましくないものに当たらないものとして、総務省からも、何とか宿泊券の使用を一定の場合に許していただけないかと私としては考えておりますが、これにつきまして、ぜひ総務省の御見解をお伺いしたいと思います。
○冨樫大臣政務官 お答えをさせていただきます。
返礼品の送付は、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、各地方団体が独自の取り組みとして行っているものであります。
一方で、地方団体間の返礼品競争の過熱が指摘されている現状に鑑み、総務省では、問題の大きな要因となっていると考えているところであります。
返礼割合の高い返礼品や資産性の高いものなどに加え、金銭類似性の高いものについて、本年四月一日に発出した通知において、制度の趣旨に反するような返礼品の具体的な例示を挙げて、返礼品として送付しないよう、特にお願いをしているところであります。
御指摘の宿泊券については、寄附者がその地域を訪れるきっかけとなる効果が見込まれる一方、通知に具体的な例示としては挙げていないものの、寄附者以外の他者が使えない工夫を講じる場合であっても、金銭類似性が高くないとは必ずしも言えないことから、各地方団体においては、制度の趣旨に沿った責任と良識ある対応をとっていただきたいと考えております。
また、総務省としては、そもそも返礼品の送付を強調してふるさと納税を募集するのではなく、ふるさと納税で得られた資金の使い道について、地域の実情に応じて創意工夫を図り、その周知を行って募集していただくよう通知に明記しているところであり、観光地の振興や交流人口の増大といった地域における課題への対処についても、ふるさと納税の使い道として関連施策の充実を図っていただきたいと考えておるところであります。
以上であります。
○斎藤(洋)委員 私としましては、おっしゃるとおり、各自治体によるサービス合戦の過熱ということであれば問題がありますし、また、実質的に見て単なる割引で終わってしまっては、まさに政務官おっしゃるとおりのような問題があると思っております。
私は今、記名式にしてはどうかということを例えとして申し上げましたけれども、もし、各自治体が工夫をして、個別に、ふるさと納税の趣旨に反しないような宿泊券、あるいは何らかの観光地のサービス利用に供することができるような返礼品を考えた場合には、ぜひまた御相談に乗っていただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
この点につきまして、観光庁からもぜひ応援のコメントをいただきたいと思っておったんですが、ちょっと時間の都合上、申しわけありません、割愛させていただきます。済みません。
次に、本日、国土交通委員会ということで、インフラ関係で、私、鉄道関係につきましても極めて強い問題意識を持っておりまして、その観点で何点かお伺いをしたいと思っております。
せんだって、四月十八日付の産経新聞の朝刊で、JR東労組がスト権を確立したという報道がございました。
JR東労組と申しますと、これまで、政府の公式文書、年次報告書であったりですとか、あるいは累次の国会答弁で、過激派である革マル派が相当程度浸透しているという指摘があった労働組合であります。
そもそも、確認としまして、革マル派が相当程度JR東労組に浸透しているという過去の国会答弁あるいは政府の報告の認識は、現状でも正しいという理解でよろしいのか、お伺いしたいと思います。
○白川政府参考人 お答え申し上げます。
警察といたしましては、お尋ねの新聞記事にあるような労働組合の活動として何ら申し上げる立場にはございませんが、革マル派についてのお尋ねでございますのでお答えさせていただきますと、警察におきましては、平成八年以降、革マル派の非公然アジト二十八カ所を摘発し、これらのアジトの一部から押収した資料を分析するなどした結果、お尋ねの労働組合内に革マル派活動家が影響力を行使し得る立場に相当浸透していると認識しておりまして、その見解に変わりはございません。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
今答弁いただきましたような、革マル派が相当程度浸透しているということが現在でも事実であるということでありますので、そうであるとしますと、日本最大の鉄道事業会社の労働組合が、極左の暴力集団、これはもうはっきり政府の報告書でも定義されておりますのでそう申し上げますが、その強い影響下にあるということになると考えます。
交通政策上から、また、国内の治安確保という観点、またさらには二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けてのことを考えても、これは好ましい状態ではないのではないかと考えますが、鉄道業界を所管する国土交通省及び警察庁から見解をお伺いしたいと思います。
○根本大臣政務官 御指摘の点については、基本的には、JR東日本が適切に事業を運営する上で必要となる労使関係をいかに構築していくかという、JR東日本の経営上の問題であると認識をしております。
国土交通省としては、仮に鉄道の安全、安定輸送にかかわる問題が生じてくることがあれば、安全、安定輸送を十分に確保することが必要であるとの観点から、適切に対処していくことになると考えております。
いずれにいたしましても、今後とも、鉄道の安全、安定輸送の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
○白川政府参考人 お答えいたします。
警察は、正当な労働運動につきましては、厳正中立の立場を堅持し、これに介入しないこととしているところでございますが、極左暴力集団の一つである革マル派の動向につきましては、公共の安全と秩序の維持の観点から、重大な関心を持ちまして、引き続きその実態解明に努めていくとともに、刑罰法令に触れる行為があると認める場合には、厳正に対処していくこととしております。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
ただいま答弁にもありましたとおり、本来、労使関係は政府が立ち入るべきものでないのは、全くそのとおりであります。
一方で、日本最大の鉄道事業会社を含む複数の鉄道事業会社にそういった過激派が浸透しておるという指摘が実際にあるわけですので、ぜひ、引き続き政府には問題意識を持って取り組みをお願いしたいと思っております。
労使関係の適正化等につきましては、企業を通じましての御指導をお願いしたいと思っております。
特に、JR東労組につきましては、JR東日本はユニオンショップ制をとっておられると思います。そうしますと、今、新入社員については、事実上全ての社員がJR東労組に加入しているのが実態だと考えますので、ぜひ、そういった観点からも、しっかり問題意識を持って取り組んでいただきたいと思っております。
この問題につきまして、私、今、新聞報道もありましたのでJR東日本を例にとって申し上げましたが、JR北海道あるいはJR貨物につきましても同様の問題がある、革マルの浸透ということがあるということが指摘されております。そういったことにつきまして、国民各層の問題意識はまだまだ低いと考えております。そういった今後の国民各層への注意喚起も含めた政府の取り組みにつきまして、警察庁から御答弁をお願いしたいと思います。
○白川政府参考人 お答えいたします。
警察におきましては、革マル派を初めとする極左暴力集団の動向について、公共の安全と秩序の維持の観点から、重大な関心を持ちましてその実態解明に努めてきておりまして、その動向、対策については、可能な範囲で警察白書等を通じて国民に広く公表しておるところでございます。
今後とも、国民の理解と御協力を得ながら、革マル派等の動向の把握に努めるとともに、刑罰法令に触れる行為があると認める場合には、厳正に対処してまいります。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございました。
過激派の一般社会への浸透を許すのは国民各層の無関心であろうということを考えておりますので、引き続き取り組みをしっかりお願いしたいと思います。
最後に、ちょっと話題をかえまして、自動車学校の問題について一点お尋ねをしたいと思っていることがあります。
今現在、高齢者ドライバーの方の操作ミスが原因ではないかと思われるような交通事故の報道が相次いで、国民の関心が高まっております。
そこで、高齢者講習を担う自動車学校の方々に実態をお伺いしていきますと、高齢者講習には社会的意義もあり、積極的に取り組んでいきたいというお話が多い中で、一方で、自動車学校というのが、どうしても繁忙期が、春、夏、特に春に集中するということで、繁忙期に高齢者講習に対応したくても、到底対応し切れないというようなお話を多く伺います。
そこで、なぜ特に春に集中するのかという話を伺っていきますと、かつて、三ない運動というのが一九八〇年代にありました。自動二輪の免許を取らない、買わない、あるいは運転させないという三ない運動というのがありまして、本来、当時は自動二輪が対象の運動だったんですが、これが今、四輪まで波及して、そのままそれが残っているということで、高校卒業者が春先にどっと自動車学校に押しかけるということが起きているという実態を伺っております。
こういった、八〇年代の規制の古いものがまだ各高校に残っているということが自動車学校の業務の繁閑にかなり影響を与えているという実態を踏まえまして、こういった不合理な規制は、乗らない、買わせないはともかく、免許を取らないというところまでは必要ではないのではないかということを考えておりますが、これにつきまして、政府の御見解をお伺いしたいと思います。
○長谷川政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘の三ない運動につきましては、学校教育現場における学校教育上の指導と承知しておりまして、その実施につきましては、個々の学校教育の現場において判断されるべきものと認識してございます。
それと、委員御指摘の高齢者講習についてでございますけれども、御指摘のとおり、長期の受講待ちという状況が地域によってはあるというふうに認識してございまして、これも重要な課題と考えてございます。
このため、今般、三月に制度改正を行った中で、全ての高齢者講習の受講者の八割を占める方々に対する講習については、時間を短縮して合理化するといったようなことも行っておりまして、長期の受講待ちの解消にも資するものと考えているところでございます。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございました。
各自動車学校、少子化の中で非常に厳しい経営を強いられていまして、ぜひ合理的な御配慮をお願いしたいと思っております。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、伊佐進一君。
○伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。
本日もまた質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。
トラックドライバーの処遇について伺いたいと思います。
この件は、私、何度もこの委員会でも取り上げさせていただいておりまして、国交委員会の委員じゃなかったときにも、委員長また理事の皆様のさまざま御配慮をいただいて、このトラックドライバーの皆さんの処遇について質問をさせていただきました。
ほかの委員の皆さんも質問でも取り上げられたと思いますが、過酷な労働条件、過労死が非常に多いというふうに言われておりまして、実際に、心臓疾患の労災では、全職種の中で断トツの最悪の数字というような状況になっている。
なぜそうなっているかというと、私がずっとこの委員会の場所でも指摘させていただいたのは、多層構造だということを申し上げました。つまり、荷主から元請に行って、下請に行って、二次請、三次請、これは建設業やほかの業界でもあるんですが、トラックの世界が違うのは、この構造が極めて多層になっているということです。二次、三次と行って、ひどい場合は、本当に六次、七次、八次まであるというふうに伺いましたし、また、実際に最後のハンドルを握っている運送業者の方に聞いても、自分が何次かもわからないというようなことを言われることもあります。
この多層構造の中で、一番最初の荷主から元請に対しては適正な価格だったとしても、これがどんどん下に下がるに従って手数料がどんどん抜かれまして、最後のハンドルを握る実際の実運送をされている方々は物すごく低い運賃になっているというような状況です。特に、現場で、ドライバーの皆さんの賃金や処遇に一番のしわ寄せが来ているというふうな構造になっております。
改めて伺いますが、この多層構造という点に対して、国交省としてしっかりと取り組みを進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 トラック運送契約に関しましては、下請構造が多層にわたる場合もあることから、その健全化が課題であると認識しております。
このため、国土交通省では、昨年十一月に、下請多層構造など、元請と下請における運送事業者間の取引条件改善に向けた取り組みを進めることを念頭に、業界団体に対しまして、トラック運送業の適正取引推進のための自主行動計画を策定するよう要請をいたしました。
これを受けて、全日本トラック協会におきまして、全ての取引について、原則、二次下請までに制限すること、下請事業者の原価を考慮した運賃・料金設定を行うとともに、燃料や人件費などの上昇分を考慮したコスト負担のルールを設定することなどを内容とする適正取引推進等に向けた自主行動計画が三月九日に策定され、大手トラック事業者十九社が率先して実施することとされているところであります。
今後、この自主行動計画に基づいた取り組みの着実な実施がなされるよう、国土交通省といたしましても、引き続き、トラック事業者に対して働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○伊佐委員 大臣がおっしゃっていただいたこの自主行動計画、私も読ませていただきましたが、これはかなり踏み込んでいるというふうに思っております。多層構造について、原則、二次下請までに制限すると、トラック協会御自身でそうおっしゃっているということです。
つまり、本当に多層、二次どころか、三次、七次、八次ぐらいまであるという認識が恐らくトラック協会御自身もあって、二次下請までに制限するというような踏み込んだ書き方になっていたり、あるいは、実際に一番下でハンドルを握っている方に支払われる実費、最後のところまでちゃんと元請は確認するというところまで書き込まれました。そういう意味では大きな一歩だと思います。この事業者の努力に対して、しっかりと国交省は後押しをしていただきたいというふうに思っております。
一点、具体的な点について伺いたいと思います。
国交省もさまざま努力をしていただいております。これまでも、こうしたガイドラインというものもつくっていただきました。例えば、附帯業務というのは別料金ですよ。倉庫内で荷おろしをするとか、こういうのは別料金ですよ。あるいは、仕分けというのはちゃんと別にお金を払ってくださいね。ラベル張りというのは別に契約してください。ちゃんとしないと法令違反になる可能性がありますよ。こういうような普及啓発もやっていただいているわけです。また、同時に、契約の書面化というものも進めてきていただいております。
今問題になっていますのは、この附帯業務の詳細なんです。附帯業務が別料金というのはわかった。これはわかったんですが、それをちゃんと契約書面で書かれているかどうかなんです。
今の状況は、単に附帯業務は幾らというふうにまるっと書かれているだけで、では、どこまで附帯業務があるのか、附帯業務の中身は何なのか、それぞれ幾らお金がかかっているのか、こういうようなところがはっきりしない。対価が詳細がわからないというような状況になっております。
そういう意味でも、荷づくりが幾らとか仕分けが幾らとか、こうした具体的な附帯業務一個一個についてもきちんと契約ではっきりと明文化すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
国土交通省としましては、安全運行の確保に向けての契約の書面化を推進すべく、書面により共有するべき必要最小限の事項、あるいは書面の契約のモデル様式を定めた、トラック運送業における書面化推進ガイドラインを平成二十六年に策定し、その普及を図ってきたところでございます。この中で、トラック運送に附帯してトラック事業者が受託する荷づくり、仕分けなどの附帯業務については、その内容やトラック事業者が収受する対価を契約書面に記載するということを推奨しているところでございます。
さらに、トラック事業者が適正な水準の運賃・料金を収受する環境を整える観点から、運送に係る対価と附帯業務など運送以外の業務に係る対価を別建てで収受する、そういった環境を整えることが重要であるというふうに認識しております。
このために、昨年七月に厚生労働省と共同でトラック運送業の適正運賃・料金検討会というものを立ち上げまして、この中で、附帯業務料の別建て収受のための具体的な方策についての議論を進めているところでございます。
委員御指摘の、附帯業務について、さらにそれを細かく内容をしっかり分類した上で、しっかりそれについての収受を図るべきではないか、その御指摘につきましては、今申し上げた検討会の中でもしっかり反映をさせた上で、その具体的な収受に向けて検討を進めたいと考えているところでございます。
○伊佐委員 局長、ありがとうございます。しっかりと、具体的なそれぞれの項目について、こういうことを別建てできちんと明記すべきだと、この意見を反映して検討を進めるというお言葉をいただきました。ありがとうございます。
もう一点、関連することなんですが、きちんとした価格が最終的に収受されるかどうかというのは、事業者の皆さんがきちんと原価計算ができているかどうかというのも大事な観点だというふうに思っております。燃料が一体幾らぐらいかかっていて、修理費がどれぐらいで、例えばタイヤが交換にどれぐらいかかる、車検がどれぐらいかかる、通行料あるいは保険料、こういうようなものがきちんと積み上げられることで、この積み上げた数字がきちんと契約に生かされていくということにつながっていくと思います。
例えば、賃金アップということに関しても、やはりこういう見える化がしっかりしていかないと、では賃金を幾ら払えるんだということにならないと思います。また、例えば燃料が高騰するときには、しっかりと適正運賃を取引先に示すことができるということだと思います。積み上げることによって、事業の経営という観点からしても効率化が図られる部分もあるというふうに思っております。
原価計算のガイドライン、これは国交省で三月末につくっていただきましたが、当然、発注する側もそうですし、受ける側もそうなんですが、このガイドラインをしっかりと認識して現場で共有していただく必要があると思っております。つくるだけじゃ意味がありませんので、しっかりとこの原価計算のガイドラインの周知徹底をお願いしたいと思います。お願いします。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
トラック事業者が適正な水準の運賃・料金を収受できる環境を整えるためには、委員御指摘のとおり、トラック事業者による原価計算の実施、及びその結果を踏まえた荷主との価格交渉を通じた運賃設定を推進することが重要であると認識しているところでございます。
このため、国土交通省では、トラック事業者向けに、原価計算に関するリーフレット、あるいは価格交渉に当たってのポイントを示したハンドブックを作成したところでございます。本年二月から三月にかけて、これらの資料を活用し、セミナーなどの場でトラック事業者の方々に対する周知を図ったところでございます。
今後とも、業界団体と連携しながら、この内容の周知徹底に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○伊佐委員 ありがとうございます。
同じ運送という観点で、少し違う業界、タクシー業界の話を質問させていただきたいと思います。
ライドシェアは、自家用車を使ってそのドライバーが他人を運送する、それでお金を取るということですが、二月に新聞報道がなされて、規制改革推進会議でついにライドシェア解禁という記事が出ました。
その後、この委員会でも大臣の口からもおっしゃっていただいて、ライドシェアというのは問題だ、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う、これは問題だ、安全の確保あるいは利用者保護の観点からさまざま課題がある、こういう答弁をいただいているわけですが、私もそう思います。
ただ、何かライドシェアをやらないと日本は世界に取り残される、こういう危機感をあおるような報道もあったり意見もあったりしますが、これも、世界を見てみますと、実際にやっているところというのはアメリカの幾つかの州と中国だけで、ほかの国々、ヨーロッパ、例えばイギリスもフランスもドイツもやっていない。韓国もやっていないし、シンガポールも全部禁止という状況になっています。だから、取り残されるというのは本当にイメージでしかないというふうに私は思っております。
ただ、こういう状況の中で、では規制改革会議で議論がされているかというと、今、されていないと私は認識しておりますが、政府側もそういう答弁をしてまいりました。ところが、規制改革会議というのは、いつも最後、どこかの段階でぽっと出てきて、それが報告書にぱぱっとまとめられてしまうというようなことも危惧しておりまして、だから、常に確認しなきゃいけないと私自身思っております。
そこで伺いますが、規制改革推進会議で、今、自家用車の運転者個人が他人を有償で運送するライドシェアの議論というのはなされていない、しないということでよろしいでしょうか。
○刀禰政府参考人 お答えいたします。
議員から今御指摘のございましたいわゆるライドシェア、すなわち、自家用車の運転者個人が自家用車を用いて他人を有償で運送するサービスにおきまして、運転者と乗客とをスマートフォンのアプリ等で仲介するものと考えておりますが、これにつきまして、規制改革推進会議において議題として検討を行っている事実はございません。
なお、規制改革推進会議において具体的にどのような事項が今後も含めて検討されるかということにつきましては、委員各位の御議論により決定されていくものである、こういう性格であることにつきましては御理解をいただきたいと思います。
○伊佐委員 やっていないけれども、これからするかどうかというのは委員の皆さんの御意見によるということだと思います。でも、もし本当に、入れるんだ、するんだというのであれば、私は、しっかりこの委員会でも議論しなきゃいけないというように思っております。後出しじゃんけんでぽっと出てきて、いつの間にか入ってしまうというところは許すべきじゃない、許されないというふうに私は思っております。
そもそも、今、タクシーの状況というのは、供給不足というわけではありません。今、どんどん台数を減らしている状況ですから。
ただ、私、ライドシェアといっても、相乗りという意味でのライドシェアというのは議論があってもいいかなというように思っております。つまり、許可をとったドライバーがきちんと運転をする。その上で、例えばドライバー自身に目的地があって、その目的地に向かって、皆さん同じ方向なら一緒に乗ってください、こういうライドシェアです。
ただ、規制もいろいろありまして、例えば、タクシーメーターは経産省の計量法の規制があったりとか、今であれば、スマホのアプリで、途中で乗ってもその分きちんとタクシー料金を割ってできるようなアプリも実際はあるようなんですが、例えば、タクシーの許可だけではそもそも相乗りは許されていませんので、こういうような規制というものを考えていく必要がある。
この相乗りのライドシェアというのは、実は業界も一生懸命取り組もうとしています。自主的にさまざま取り組みを進めようとしておりますが、こうした業界の積極的な取り組みに対しては国交省としても後押しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○末松副大臣 ライドシェアという文言につきましては、いわゆる自家用車ライドシェアや相乗りなど、さまざまな意味で使われておりますが、いわゆる自家用車ライドシェアにつきましては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えております。先生御心配のとおりであります。
一方で、バスが運行できない過疎地域等におきましては、タクシー車両を使ったディマンド型の乗り合いタクシーによる相乗り等により、地域交通を確保する取り組みが行われております。
先生御指摘のとおり、タクシー業界は、サービスの活性化に向け今後新たに取り組む事項の一つとして、都市部における相乗りサービスを位置づけているところであります。国土交通省といたしましても、タクシー利用の促進を図るための取り組みの一環として、タクシーの相乗りサービスの導入を検討いたしております。
具体的には、スマートフォン向けの配車アプリを活用しまして、目的地が近い利用者同士をマッチングさせてタクシーを配車し、一人当たり割安でタクシーを利用できるサービスを想定いたしております。サービスの導入に当たりましては、相乗り運賃の設定方法や、利用者が安心して利用できる仕組み等を検討する必要があると考えております。
国土交通省といたしましては、本年度、事業者の協力のもと、相乗りタクシーの実証実験を実施し、その結果を踏まえて、必要な制度を検討することといたしております。
○伊佐委員 ありがとうございました。
きょうは、運送、物流といった、まさしく日本経済の血管を支える方々の質問をさせていただきました。こうした方々に寄り添って、国交省もこれからも取り組みを進めていただきたいとお願いを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 おはようございます。民進党、秋田県出身の村岡敏英でございます。
国土交通行政の一般質疑をさせていただきたい、こう思っております。
まず初めに大臣にお伺いしたいんですが、五月一日に、ロサンゼルス行きの全日空機で乗客同士のけんかがあり、トラブルがありました。それを見られているかどうか。報道やSNSで、ネットで放送されていますけれども、CAの方がけんかの仲裁に入って、殴り合いをしているところに何度も入って、アメリカのメディアやSNSの中では非常に称賛されていますけれども、このことについてどのように認識されているか、大臣の見解をお願いします。
○石井国務大臣 恐縮ですが、通告がございませんでしたし、私、大変恐縮ですが、そのニュースを存じ上げておりませんので、ちょっと答弁はできかねます。
○村岡委員 航空局の方、質問通告していると思いますが。
○高野政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の五月一日のトラブルでございますが、私ども、航空会社の方から報告を受けております。
そのトラブルにおきましては、乗客が搭乗している間に、酒に酔われた外国人のお客様が機内で他のお客様に暴力を振るったということで、周囲のお客様の援助も受けながら、客室乗務員が機外に降機させました。それで、それで済まなくて、その後さらに、機外に降機させた後に、地上職員が対応中に、そのお客様は当該職員にけがを負わせたということで、通報を受けて駆けつけた警察官にその場で逮捕されたというふうに報告を受けております。
このような機内における暴力行為につきましては、航空法に規定がございます。具体的には、航空法第七十三条の三に、航空機内にある者は、航空機の安全を害し、他の旅客もしくは財産に危害を及ぼし、当該航空機内の秩序を乱したり、規律に違反する行為、これを安全阻害行為というふうに総称しておりますけれども、それをしてはならないというふうに定められています。
今回のトラブルは、こういった規定に違反するものでありますし、さらに、機外におきましても暴力行為を働いたということで、私ども、まことに遺憾に思っております。
航空法では、これに加えまして、航空機の運航中にその機内にある者が安全阻害行為を行った場合などには、機長が必要な措置を講じられる、例えば、そういった行為を禁止する命令をしたり、拘束をしたり、降機を命じたりということができる権限を与えております。
こういった措置は、具体的には機長の指示を受けて客室乗務員がやるという場合が多いものですから、航空会社では、安全阻害行為等を行った者に対する命令や拘束などの対応が適時適切に行えるように、客室乗務員などに対しまして、専門家の指導も仰ぎながら、定期的に必要な訓練を行っておりますし、私ども航空局も、監査の機会などにその内容を確認してきております。
先生御指摘のように、訪日外人旅客がふえる中で、国土交通省といたしましても、空の旅の安全、安心の確保というのが非常に大切だと思っておりまして、こういった旅客の暴力行為に対しましても、航空会社であるとか警察も含めた関係者とも連携しながら、毅然とした対応に努めてまいりたいと思っています。
○村岡委員 大臣、報告を受けて、一度見てください。実は、これは乗客が映像を撮っていたからたまたま映像で流れていますけれども、実際には航空会社でかなりあるらしいんです、そういうトラブルが。
当然、インバウンドがふえていきますと、飛行機の中でそういうトラブルがあったとき、あの映像で見ると、CAの方が仲裁して、そして航空会社だけで対応ができていますけれども、一つ間違えば、乗客全員を巻き込んで、それも、あれはまだ空港にいた時点だからいいですけれども、もし上空にいた場合、騒動になったりすれば、大変な状況。これはどういうふうに対応していくかというのを、やはり航空局の方、国土交通省の方で考えていくべきだ、こう考えております。
例えば、スカイマーシャルということで、日韓のワールドカップがあったときは武装警官が乗っておりました。それは、ワールドカップが終わって、テロとか、サッカーのお客さんが興奮してと、警備をするためにやりました。その後、アメリカに行くのは、全部は乗っていないと思いますけれども、今でも武装警官が乗られていると思います。航空局、スカイマーシャルは……。
○高野政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のスカイマーシャルでございますけれども、確かに、報道などでは、アメリカでは乗せているというようなこともございますし、御指摘のように、日韓ワールドカップのときに日本もやったのではないかということでございますが、そもそも警察御当局が実施している施策でございますし、そもそも、そういった者がどの便に乗っている、乗っていないとか、そういった事実関係を明らかにするのは、多分、テロ防止の関係からも、つまびらかにするのは難しいのではないかというふうに伺っておりまして、この場で私どもからお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
○村岡委員 そういうことで、そこはお答えしなくてもよろしいんですけれども、武装警官が恐らく乗っていると思うんです。
こういう、テロではなくて、酔っぱらってけんかしたという事例ですけれども、そういうことというのは、オリンピックに向けて日本にインバウンドで観光客がたくさん来る、これは飛行機に限らず、電車の中、バスの中、そして船の中と、いろいろあるんです。それは、その会社が警備員にするのかどうかは別にして、そういう安全対策も、今後、人がふえてくれば、当然、いろいろな国の方が来ますから、習慣や文化が違いますから、そういう公共交通の中でトラブルがある。そういうことに関していろいろな検討をしておくべきだと思うんです。
そこは、大臣、一度考えていただければと思います。
○石井国務大臣 今委員から課題の指摘がございましたので、関係機関とともに協議をしていきたいと考えております。
○村岡委員 やはり、大きな国のイベントをやるときというのは、そういうことに配慮して、日本は治安がやはりいいんだということのために検討しておくべきだと思いますので、それはお願いしたい、こう思っております。
次の質問に移らせていただきます。
北朝鮮関連もお聞きするんですが、尖閣諸島の海上保安庁、いっとき、中国の漁船がたくさん来て、いろいろな管区から応援部隊で入りました。応援部隊だけですと、領海の警備がなかなかしっかりできないということの中で、国土交通省として、船の増船というか、いろいろなことをしたと思います。今の尖閣の海上保安庁の体制を教えてください。
○中島政府参考人 お答えいたします。
尖閣諸島周辺海域では、中国公船が、荒天の日等を除き、ほぼ毎日接続水域を航行しておりまして、また、外国漁船も認められている状況にございます。
加えまして、昨年八月には、中国漁船に続いて、中国の公船が尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を繰り返す事案が発生するなど、情勢は依然として予断を許さない状況にあると認識しております。
海上保安庁では、その時々の情勢を踏まえ、全国から巡視船を応援派遣するなど、現場の巡視船を増強配備し、関係省庁と緊密に連携しつつ、状況に応じて適切に対応しております。
引き続き、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針のもと、事態をエスカレーションさせないよう、冷静かつ毅然と対応してまいりたいと考えております。
○村岡委員 領海、領土の警備体制というのはしっかりとやっていただきたいと思います。
そこで、北朝鮮の方の話に移らせていただきます。
我が秋田県では、北朝鮮のミサイルが男鹿半島沖二百キロということで、日本では初めてミサイルの避難訓練というのをしました。それだけ、秋田県内でいくと、二百キロなんというのは、秋田県の中で縦横でも二百キロぐらいは簡単にありますから、非常に近いという認識の中で避難訓練をさせていただいているわけです。
そこでなんですが、北朝鮮、これは国家全体の安全保障になりますけれども、国交省も当然かかわってくると思います。一つには、海上保安庁。そして、気象庁は、もし核実験をやれば、地震という中であります。そしてまた、航空機というのは、ミサイルが飛んでいれば、当然、航空統制とかがあります。
そういう意味の中では、国土交通省として、この危機管理体制というのはどうなっているか、お聞きしたい、こういうふうに思います。
○東井政府参考人 お答え申し上げます。
国民の生命、身体または財産に重大な被害が生じ、または生じるおそれのある緊急の事態が発生した場合は、政府一体となった初動態勢をとることが重要だ、こう考えております。そのため、国土交通省では、内閣官房の危機管理体制と緊密に連携し、事態の状況に応じた初動態勢をとるということにしてございます。
北朝鮮によるミサイル発射を例に申し上げますと、防衛省からの連絡によりミサイルに関する情報を把握した内閣官房からの情報を受けて、船舶や航空機に航行警報や注意喚起などを発出するとともに、海運事業者や航空事業者などに対しても、自動転送により、速やかに情報を伝達いたします。また、大臣指示を速やかに発出いたしまして、船舶、航空機等の安全確認、それから国民や関係事業者に対する迅速な情報提供、これを徹底してございます。
また、官邸連絡室が設置された場合には、直ちに省内の警戒態勢をとって、関係部局と密に連携し、情報の収集や共有を行います。
また、事態が進展しまして、官邸に対策室が設置される、こういう状況になりますと、状況に応じて、大臣、政務二役を初め、関係局長等による国土交通省幹部会議を開催し、対応してまいります。
さらに深刻な状況になってまいりまして、政府の対策本部が設置されるなどの場合には、国土交通大臣を本部長としまして、全幹部が構成員となる国土交通省危機管理対策本部を設置し、全省的に事態の対処に当たってまいります。
仮に政府において武力攻撃事態等の認定が行われました場合は、国土交通省・観光庁国民保護計画に基づきまして、国土交通大臣を長とする事態対策本部というのが設置されることになります。
以上、基本的な対応を申し上げましたけれども、万が一、緊急の事態が発生した場合には、内閣官房等の関係省庁と緊密な連携のもとに全省的な対応を行っていく、これが大事だというふうに考えてございます。そのため、平素から、初動対処を確認しまして、省内あるいは関係省庁との連携訓練を行うなどによりまして、事案の対処に備えてまいりたいと考えております。
○村岡委員 大臣、政府全体で、Jアラートなんかの中でミサイル発射の情報というのがあるんですけれども、国交省は、海上保安庁、気象庁、そして航空局、さらには、あってはならないことですけれども、そうあったときには、道路から何から相当いろいろなものがかかわってくると思います。そういう意味では、今、危機管理の体制を話していただきました、この部分をしっかりとこれからもやっていただきたい。
そしてまた、秋田は、そういう中で、この連絡というのも大切なので、そのあたりを御指導もしていただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○石井国務大臣 国民の生命、身体または財産に重大な被害が生じ、または生じるおそれがある緊急の事態が発生した場合、政府一丸となって対応することが重要であります。
また、国土交通省は、領海警備を行う海上保安庁等、危機管理に直結する現場業務を所管するほか、船舶や航空機等の交通機関、道路やダム等の重要インフラを所管しておりまして、国民の安心、安全の確保において重要な役割を担っていると認識しております。
今後とも、日ごろから初動対処の備えを進め、万が一、緊急の事態が発生した場合には、内閣官房を初めとする関係省庁と緊密に連携し、事態の状況に応じて迅速かつ適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
○村岡委員 ぜひ、大臣、その体制、また初動態勢をしっかりとしていただきたい、こういうふうに思っております。
次に移らせていただきます。
前に石井大臣にお話を伺い、質問もいたしましたけれども、奥羽本線、羽越本線の新幹線の件です。
四十八年に整備計画というふうになっていますけれども、それからずっと何も動いていない。函館から札幌までも決まっている。そして、JR東海も、大阪までの中で、財政投融資の中でしっかりと計画が進んでいる。そういう中で、大臣の答弁では、今後、調査費をつけるような形の中で、予算を確保してからいろいろな形で調査していただくということをお話ししていましたけれども、それはどのようになりましたでしょうか。
○石井国務大臣 現在、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、昭和四十八年に整備計画が決定されました整備新幹線であります北海道新幹線の新函館北斗―札幌間、北陸新幹線の金沢―敦賀間、九州新幹線の武雄温泉―長崎間の三区間の整備を、政府・与党申し合わせに基づき、順次進めております。
また、北陸新幹線敦賀―大阪間のルートにつきましては、先般、与党PTにおいて決定されたところでありまして、今後、ルートの詳細調査、環境影響評価の手続が進められていくことになりますが、その間に、別途、与党において整備財源の確保について検討が行われるものと承知しております。
新幹線につきましては、これらの整備計画路線の確実な整備にめどを立てることが最優先の課題と考えております。
一方で、整備新幹線の整備の推進状況等を踏まえ、各地域からは鉄道整備に関するさまざまな御要望をいただいているところでありまして、その中には羽越新幹線等の基本計画路線も含まれております。
平成二十九年度予算におきましては、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方の検討に必要となる、我が国の交通ネットワークの現状や効率的な整備手法のさまざまな課題についての調査費が計上されたところであります。
国土交通省といたしましては、この調査にしっかりと取り組みまして、我が国における今後の幹線鉄道ネットワーク等のあり方を検討してまいりたいと考えております。
○村岡委員 国土の均衡ある発展を目指しているのは国土交通省、そこの所管で、大臣に、ぜひその部分は調査をしながら、財源というものがあることはわかっております。山形県知事が会長になって、東北各県には全部、期成同盟会ができました。プラス、羽越の方には新潟と富山の知事も入ってこれから要望活動をしていくと思います。そこのところはぜひ検討をしながら、実現できるように頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。
次に、今、この連休中も高齢者の交通事故というのが全国で非常に多発いたしております。この状況は、国土交通省として、警察の方でもいいんですが、どんな高齢者の事故がふえている状況なのかどうか、お教え願えれば。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者によります事故に関する現状について御説明させていただきます。
平成二十八年中における七十五歳以上の運転者による死亡事故は四百五十九件となってございまして、全体の死亡事故の約一三・五%を占めてございます。これは、十年前と比較いたしますと、ほぼ横ばいではございますけれども、全体の死亡事故の件数が年々減少しているため、全体に占める割合は、高齢の運転免許保有者の増加を背景といたしまして、増加傾向にあるという状況でございます。
○村岡委員 今お話があったように、平成十七年から平成二十八年までの死亡事故の件数ということで、十七年は六千百件あった、それが三千四百件に減っている。しかしながら、七十五歳以上の高齢者の死亡事故というのは、件数的には四百件から五百件ですけれども、当然、事故が減っているんですから、割合はどんどんふえてきている。
その中で、先ほどの質問者の中でも認知症の検査とかいろいろなことがありますけれども、現実には、認知症の検査も、道交法の改正によっていろいろと審査また講習を受けなきゃいけないんですが、その講習を受けるにも、非常に混雑していて、二カ月待ちとか三カ月待ちとか、現実にはなっているということを聞いていますけれども、そのような状況なんでしょうか。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の高齢者講習の受講待ちについてでございますけれども、特に、自動車教習所における繁忙期である年度末等においては、地域によっては講習を受けるまでの期間が大変長期になっている場合がございます。
警察といたしましては、こうした高齢者講習の長期の受講待ちについては重要な課題と認識しておりまして、解消に向けた取り組みを進めているところでございまして、全受講者の八割を占めると見込まれる高齢者講習の方々に対する時間を短縮して、その合理化を行っているところでございます。このことなどによりまして、長期の受講待ちの解消に資するものと考えているところでございます。
○村岡委員 時間が参りましたのでやめますけれども、更新のときの待ちの期間、それとともに、これは誕生日のときの更新時ですから、いろいろな意味で危険な方がいるんですね。それをどういうふうに対処していくかというのを警察の方でも考えていただければと思います。
終わらせていただきます。
○西銘委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前九時五十二分休憩
――――◇―――――
午前十時二十七分開議
○西銘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小宮山泰子君。
○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。
国土交通委員会での質疑、この再開の冒頭、大変定刻を長く過ぎたということ、正直、こういった状況、特に、与党がほとんどいないような状況というのは、私も、五期させていただいておりますけれども、初めての経験で、人によっては、おごりなのか緩みなのか、また、国会軽視と言うような方も出るのではないかと危惧しております。しっかりと、委員会また質疑を大切にやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、本日は、まずは、船から荷揚げされる液体貨物輸送の際に用いられておりますフレキシブルバックについて取り上げていきたいと思います。
二〇一四年八月二十三日午前三時に、米油を入れたフレキシブルバックの入ったコンテナをトレーラーに接続し、大阪南港から和歌山県伊都郡かつらぎ町までの輸送が行われました。フレキシブルバックが損傷し、漏れ出した米油により、トレーラーの後ろを走行していた多数の車両がスリップ事故、横転事故を起こしたと聞いております。このわずか一台のトレーラーの積み荷からの液漏れに起因する事故で、人身、物損など、交通事故等の件数が八十四件に上ったと報告がございました。
まず、フレキシブルバックからの液体漏れ出しに起因する交通事故発生状況について確認するとともに、交通事故に至らないものの、液体漏れが起きている件数などの把握状況についてお伺いいたします。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
輸送中のフレキシブルバックから液体が漏えいした事故については、過去五年間においては、委員御指摘の二〇一四年八月に発生した一件であると把握をしております。
また、事故には至らないものの、フレキシブルバックから液体漏れが起きている事案については、現在のところ把握をしておりません。
○小宮山委員 事業用自動車事故調査報告書では、運転手の急ブレーキが事故原因であった可能性が指摘されており、同内容で、二〇一六年三月の国際海上コンテナの陸上運送に係る安全対策会議に報告されております。二〇一四年八月の事故について、事故原因はどこにあったと分析されているのか、御提示ください。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
平成二十六年八月に発生しましたトレーラーの漏えい事故につきましては、各分野の専門家から構成される事業用自動車事故調査委員会が調査を行い、平成二十七年十月に報告書を取りまとめ、公表しております。
同委員会の報告によると、漏えいの原因は、運転者が急ブレーキをかけた際に、フレキシブルバック内の米油が前方に移動して、バック上面に大きな力がかかったことによりバックが破損した可能性が考えられるとしております。
なお、この報告の中では、このような現象は、急ブレーキによる減速度や車両の運動特性に限らず、さらに内容物の液体の積載量、性状など、幾つかの条件が競合した場合に発生するものであると分析をしており、運転者の急ブレーキが漏えいの原因であると断定しているわけではございません。
○小宮山委員 同事故では、液漏れが生じていることが判明した後の対応が適切でなかったことが事故の規模を大きくしている原因ともなっているが、フレキシブルバック自体が破れる、破損する可能性は否定できないものであります。結局、事故原因は解明されないままであるということが、この事故調査からは読み取れるかと思います。
フレキシブルバックそのものの規格などについては、国際規格などの定めがなく、また、日本国内においても、日本工業規格などによる規格は設けられておりません。国交省でも、海事局、鉄道局、自動車局、また、経済産業省においても、製品の関係があります、製造物であります。危険物に関しては消防庁、食品がかかわれば農林水産省など、多省庁に関係しており、また、事故が起これば警察庁となります。どこの省庁がいかに安全性を確保する司令塔となるのか、それ自体も明確になっていないというのが現状ではないでしょうか。
二〇一四年八月の事故などを受けて、港湾で働く方や運送にかかわる方からも、安全確保のためにはフレキシブルバックによる液体輸送は全面的に禁止すべきではないか、あるいは液体輸送ではタンクコンテナの使用を原則とするべきではないかといった切実な意見が出ていることは、国土交通省も承知されていると思います。
事故に至っている事例がほかにないなら、とりあえずそのまま対応を行わないでいるということで済まされる問題ではありません。輸送に関しては、やはり液体物でありますので、中身が動く、それによってトレーラーなどの重心が変わることによって、大変注意を要するものであります。これは、ドライバーに対しては、大変な精神的負荷も負わせているものだと私は感じております。
経済産業省では、国内でフレキシブルバックを生産、提供しているメーカーなどと意見交換などもして安全性向上の取り組みを行っているとのことではありますが、十分とは言えません。どの省庁が担当として安全性確保、安全性向上に取り組むのかということではなく、関係省庁が協力して早急に対策を打ち出していくことだと思います。次の事故が起きる前に二度と起こさないためにも、国土交通大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
○石井国務大臣 危険物に限らず、液体の路上への漏えいはスリップ事故等を誘発するおそれがあることから、フレキシブルバックの安全性確保は重要と認識をしております。
このため、国土交通省といたしましても、今後、運送業界の協力を得て、事故に至らなかったものの、液体の漏えいがあった事例の収集を速やかに行った上で、液体輸送のより一層の安全確保のための取り組みにつきまして、関係省庁と連携し、検討してまいりたいと考えております。
○小宮山委員 破損しにくいフレキシブルバックの開発と使用の義務化、安全を確保する義務化、そして、もし液漏れしてもコンテナ外、車外に漏れ出さない構造のコンテナや車両荷台、荷室の構造など、さまざまな面からとり得る施策は必ずあると考えております。ぜひ積極的取り組みを起こしていただくことを大臣には要望いたします。
さて、次には、三島川之江港が指定港とされていないことについて、改めてお伺いしたいと思います。
四国では、徳島小松島、高松など各港が指定港となっておりますが、三島川之江港は指定されておりません。指定港でも非指定港でも、そこで行われる作業内容自体は同じではありますが、非指定港で行われる港湾運送行為は法的な意味での行為とならないため、派遣労働者などにより労務費を低く抑えることが可能となり、結果、価格競争力につながっていると指摘されております。
二〇一一年三月三十日の参議院国土交通委員会で、国土交通省は、三島川之江港が指定港として基準を満たしているとし、指定港への指定について、地元の理解が得られるよう努力したいとしております。
現状も指定港としての基準を満たしているのか、まずはお聞かせください。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
港湾運送事業法は、港湾運送の秩序維持の確立等を目的とし、港湾荷役事業の許可、料金の事前届け出、下請の原則禁止等を定めており、政令で指定する港に適用しております。
また、指定するに当たりましては、当該港湾の貨物量の多寡、港湾法の重要港湾以上であること、周辺の指定港への影響、今後の取扱貨物量の見込み等を総合的に勘案して判断することとしております。
三島川之江港は、取扱貨物量も多く、港湾法上の重要港湾であり、今後一層の取扱貨物量の増大が予想されるなど、指定港の基準は満たしていると考えております。
○小宮山委員 港湾運送の安全確保のためにこの指定港というのはあると私も認識をしております。であるならば、直ちに指定港とすべきではないかと考えますが、大臣、どのようにされるんでしょうか、お考えをお聞かせください。
○石井国務大臣 港湾運送事業法は、港湾運送の秩序維持の確立等を目的といたしまして、港湾荷役事業の許可、いわゆるダンピング行為を防止する観点から料金の事前届け出、港湾労働者の労働環境確保の観点から下請の原則禁止等を定めており、政令で指定する港に適用しているところでございます。
三島川之江港の指定につきましては、指定の基準は満たしているものの、同港の円滑な運用を確保していくためにも、地元関係者の理解を得ながら進めることが必要と考えておりまして、適切な判断をしてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 国交省として指定港を目指すということには変わりがないということであるならば、政府において、現在、働き方改革に取り組んでおられますし、また、この委員会においても、昨年末通過いたしました建設職人基本法案、これはやはり、労務単価の問題や、また、働く人たち、職人たち、そういった者を守るための法案でもございます。
働く方々は、港湾においても同じようにいらっしゃいます。適正な労務費等が確保されるよう、国交省としても留意されるように要望をいたしたいと思います。
さて、伝統的構法振興と建築物省エネ法について質問させていただきたいと思います。
昨年三月三十日の国土交通委員会にて、平成二十年度から五年間設置された「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会に関連して取り上げました。検討委員会での要素技術実験について、第一期委員会については、評価書がつくられ、活用されていますが、第二期委員会については、分厚い報告書があるのみで、余り活用されていないままになっておりました。
昨年、二点の建築基準法施行令告示改定が行われたことは好ましいことと大いに評価をしておりますけれども、なおさまざまな事例についての告示化などへ実を結ぶことが重要だと考えております。
本年三月三十日には、日本住宅・木材技術センターに設置された伝統的構法データベース検討委員会において、平成二十六年度、二十七年度、建築基準整備促進事業で取りまとめられた成果を踏まえて、各要素の構造特性に関する実験データ及び理論式等を整理したデータベースが作成され、ホームページ上で公開されております。
伝統的構法のよさとして、金具などで完全に締めてしまうのではなく、大きく変形することができるために、逆に、大きく変形した場合でも急激な耐力低下が起きにくい靱性能を持っていることが挙げられますが、公開されたデータベースに基づいて設計すると、壁量の増加や合板などの使用がふえるなど、伝統的構法の特徴や長所を生かすようにつながっていないといった指摘も実務者の皆様からお聞きしております。
また、四月二十八日に終了したパブリックコメントでは、伝統的構法の推進にも見える反面、仕様を縛ってしまう、使い勝手のよくない仕様への懸念や、性能規定を選択しにくい環境になることも想像されるといった指摘もございます。
データの一覧にはまだまだ空欄となっているものがあり、順次追加されることとなるのか、この点に関して御見解をお聞かせください。
○由木政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年三月三十日に、公益財団法人日本住宅・木材技術センターが管理いたしますホームページにおきまして、伝統的構法データベースが公開されました。
このデータベースにおきましては、平成二十二年度から二十四年度までに開催されたいわゆる第二期の委員会において実施されました実験データ等のうち、専門家による確認を終了した仕様につきまして、実務者が伝統的構法の建築物について構造計算を行う際に活用できるように、接合部等の構造特性や理論式をデータシートとして取りまとめて公表しているものでございます。
御指摘いただきましたように、まだ一部の公表になっておりますので、今後、残りの実験データ等につきましても、順次、専門家による確認や必要に応じた追加的なデータの収集、データシートの作成作業を実施した上で、データベースとして公表してまいりたいと考えております。
○小宮山委員 今回のデータは、想定する適用範囲が高度な計算を必要としていることから、一般には使い勝手がよくない、つまり普及には適さないということも言えます。戸建て住宅規模に使いやすい告示を整えていくことが望ましいと考えますが、この点はいかがでしょうか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
伝統的構法による木造建築物は大変多様でございまして、これらの建築物を対象といたしました地震に対する安全性の確認方法といたしましては、現在の建築基準法では精緻な構造計算が要求されているところでございます。
一方で、伝統的構法の壁や床などの構造部位については、精緻な構造計算を要しないで設計をしやすくするために、実験等により安全性が確認できたものに関して、順次、技術基準の整備に取り組んできているところでございます。
例えば、昨年六月には、伝統的構法に用いられることが多い、柱と基礎を完全に固定せずに、いわゆるだぼで継ぐ接合方法でございますとか、あるいは火打ちを設けない木板の板張り床について、蓄積されたデータを踏まえて、構造計算を不要とするための政令改正等を行ったところでございます。
さらに、新しい内容といたしまして、一階の柱と土台を完全に固定せず、いわゆるほぞ差しで継ぐ接合方法でございますとか、あるいは、土塗りの垂れ壁、腰壁を設けた軸組みや、落とし込み板を設けた軸組みの仕様につきまして、同じように、精緻な構造計算を経ることなく採用できるようにするための告示化の作業を進めております。昨年三月末から一カ月の間でパブリックコメントを実施したところでございまして、今後、寄せられた意見を踏まえて、早期に告示化できるように、手続を進めてまいりたいと考えております。
また、これ以外の伝統的な構法の他の仕様についても、個別の実験や検証等の検討を続けて、安全性を確認できたものから、伝統構法がより活用しやすくなるように、告示化等を進めてまいる考えでございます。
○小宮山委員 国交省からの発信文書として、事務連絡、技術的助言の別があり、また、文書番号がつくものもあります。法改正などがあった際の内容について解説する際に、技術的助言が文書番号を付して発信されるとも説明を受けております。
データベースの内容について、事務連絡文書として発信されており、文書内では「参考とされたい。」と書かれているが、文字どおり参考なのか、事実上の強制になりはしないか、この点に関して簡潔に御説明ください。
○由木政府参考人 お答えいたします。
伝統的構法の建築物について構造計算を行います場合には、今回のデータベースが公表される以前は、それぞれみずからデータを収集して、確認審査においてその根拠を示していただく必要がございました。今回のデータベースの公表によりまして、設計者みずからがデータを収集しなくても、このデータベースを活用して構造計算を行うということが可能になったわけでございます。
一方、このデータベースの公表後においても、従来のように、設計者がみずからデータを収集した上で構造計算に活用することについては、全く問題がないわけでございます。
こうした趣旨については、御指摘をいただいた通知においても、このデータベースはあくまでも審査上の参考であるという旨は明記いたしておりますが、もし御指摘のような紛れが生ずる可能性があるということであれば、今後、各種会合などにおきまして、特定行政庁や指定確認検査機関等に対して説明をきっちりと行ってまいりたいと考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
今まで歴史的に積み重ねた技術があります。ぜひそれを、計算法という形ではなく、また、通達などで縛ることなく、きちんといいものがつくられる、そういった現場に寄り添っていただければと思います。
最後になりますけれども、伝統的な住まいには、瓦、土壁、縁側、続き間、畳、ふすま、床の間など、地域の気候、風土、文化に根差した空間、意匠、構法、材料など、住まいづくりの知恵が息づいておりますが、近年、こういったものは大変失われつつあります。しかし、一方で、民家を活用するなど、大変注目されているのも事実だと思います。
その中で、和の住まいの推進の取り組みというのがございます。大臣におきましては、やはりこの伝統構法の推進は、木材の利用推進、活用につながると期待している施策でもございます。この点に関しましての御見解を聞かせていただければと思います。
○石井国務大臣 和の住まいの推進は、我が国の各地域の気候、風土、文化に根差した住まいづくりを通じて、伝統的な住まいの文化のよさの再発見と普及につながるとともに、伝統産業や観光業などの振興や地域の活性化に資する大変重要な課題であると考えております。
昨年三月に閣議決定いたしました住生活基本計画におきましても、「目標と基本的な施策」の一つとして伝統的な技術の承継、発展を掲げ、地域材を用いた良質な木造住宅や和の住まいの普及啓発等を推進することを位置づけております。
国土交通省といたしましても、引き続き、関係省庁と連携いたしまして、和の住まいの推進に取り組み、良質な木造住宅の普及や伝統的構法の発展等に努めてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
冒頭に申し上げましたけれども、この委員会、再開が二十分もおくれました。委員長が、大臣が戻り次第再開すると言ったにもかかわらずであります。この点に関しまして、来られなかった方々には猛省を促し、そして、きちんとした委員会運営ができることを心から願いまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 玉木雄一郎です。
まず冒頭、地元案件を一件、質問したいと思います。
二日前に坂出市長が三選をいたしまして、それで、今月中にも坂出北インターチェンジのフル化の申請を国に上げるということであります。これは、太田前大臣にも大変御尽力をいただきまして、法律改正も伴いながら、フル化の予算にスマートインターチェンジの予算が使えるようにするなど、いろいろ工夫をしながらこの間進めてきた案件であります。
以前、この委員会でも何度も質問させていただきましたが、ただ、早くても五年ぐらいかかるということなんですが、何とか、市長の新たな任期の四年ぐらいではぜひ供用開始できないかなと。地域経済の発展、あるいは防災の観点からも大事だと思いますので、ぜひ、早期の実現に向けて、石井国土交通大臣の格段の配慮をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 坂出北インターチェンジのフルインター化によりまして、例えば、坂出港や臨海工業団地などから四国全体に向けての物流ネットワークが強化され、産業の活性化や企業誘致につながる等の効果が期待されるものと認識をしております。
このフルインター化につきましては、平成二十七年度より、国も調査を実施する準備段階調査に着手しておりまして、国や坂出市、関係機関で構成される準備会におきまして、インターチェンジの設置位置などの概略検討を終え、現在、インターチェンジの詳細検討を進めているところでございます。
既存の料金所を活用してフルインター化する場合には、既存のランプの移設や、今回の坂出北インターチェンジの場合は、狭い橋脚の間を通過させる新たなランプの設置など、複雑となる構造に関する詳細な検討が必要でございます。
このため、現在、関係機関が検討を重ねているところでありまして、関係機関間で、この詳細な検討について、まだ合意という段階ではございません。したがいまして、現時点では、まだ事業化の時期を申し上げる段階にはございません。
国土交通省としましては、引き続き、地元公共団体や関係機関と連携しながら、必要な検討を進めていきたいと考えております。
○玉木委員 ぜひ国としても最大限のサポートをお願いしたいと思います。
それでは、きょうも森友学園の件について伺いたいと思います。
会計検査院が検査をしているということでありますが、立法府としても、行政監視の観点から、一体、特に国有地の売却について適正な対価で行われたのかどうか、財政法九条を何度も出していますが、適正な対価をもって国の財産は処分または貸し付けなければならないという規定がございます、これがきちんと果たされていたのかどうか、このことを確認させていただきたいと思います。
きのう、予算委員会の集中審議がありました。その際に、実は、ずっと提出を求めていた資料が一つ出てまいりました。それは何かというと、国が八億円の値引きをした際の、値引きをした上で売却をしましたけれども、その売却あるいは売却の金額に係る決裁書、これが出てきました。その中で、読んでいて特段新しいことはなかったんですが、幾つか気づいたことがあって、きょうはそれを中心に質問したいと思います。
皆さんのお手元の資料一を見てください。
これは、決裁書に調書という形でついているところの4.の(1)というところに出てくる記述でありますけれども、上側です、下線を引いておりますけれども、「大阪航空局が行った事前調査により、本地には土壌汚染及びコンクリートガラ等の地下埋設物の存在が判明しており、国は、これらの状況を学園に説明し、関係資料を交付した上で貸付契約及び売買予約契約を締結している。」ということです。最初、売買予約契約ということで始まったんですが、その後です。ただ、「学園が校舎建設工事に着手したところ、平成二十八年三月に、国が事前に学園に交付した資料では想定し得ないレベルの生活ゴミ等の地下埋設物が発見された。」ということであります。
事前にいろいろ、ごみがあります、あるいは砒素、鉛などの土壌汚染がありますということを説明した上で、最初の賃貸借契約、買い受け条件つきの賃貸借契約を結ぶわけですが、その後、二十八年三月に、国が事前に学園に交付した資料では想定し得ないレベルの生活ごみ等が発見されたということで、後に八億円を差し引くことになるわけですね。
まず、伺います。
最初に国が森友学園側に説明していた、関係資料を交付した上での説明ですが、これは、どのような資料を交付して、どのような説明をされましたか。これは、賃貸借契約を結んだ中に、その合意書、契約書の中に五条一項というのがありますが、ここにさまざまな文書が列挙されているんですね。過去、いろいろな調査をしていますから、こういった調査でこういったごみが出ました、こういったコンクリートがありましたということがるるあって、ここには五つぐらい列挙されていますが、基本的に、これを示して、こういう土地ですよ、こういう埋設物が埋まっている、あるいは土壌汚染がある土地ですよということを説明したという理解でまずよろしいですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の普通財産売払決議書調書でございますけれども、これは近畿財務局が作成した文書でございまして、その内容について、私どもは、正確にお答えできるかどうか自信がなかったものですから、財務省に確認をいたしました。
財務省に確認をいたしましたところ、この普通財産売払決議書調書に記載されている「国が事前に学園に交付した資料」というのは、まず、平成二十一年八月の大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)土地履歴等調査報告書、それから二つ目が、平成二十二年一月の平成二十一年度大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務報告書、それから三つ目が、平成二十三年十一月の大阪国際空港場外用地土壌汚染概況調査業務報告書、四つ目が、平成二十四年二月の平成二十三年度大阪国際空港場外用地土壌汚染深度方向調査業務報告書、この四つの報告書とのことでありました。
○玉木委員 ありがとうございます。明確にお答えをいただきました。
改めて、五条一項に書いてあるような報告書等、それ以外にはないということであります。
この六条には、これらが実は有益費を計算する上での、ここに列記する埋設物が対象物だということが出てくるわけであります。
では、伺いたいんですけれども、この五条一項に、今、局長も四つ読み上げられましたけれども、私、これを全部読んでみました、この四つの報告書を。
どういう地下埋設物あるいは土壌汚染がここに出てくるかということなんですが、土壌汚染に関しては二つです。砒素と鉛ですね。問題は地下埋設物でありますけれども、後に、先ほども申し上げました、想定し得ないレベルの生活ごみということなんですが、では、もともとの想定は何だったのかということで、この四つの報告書等を読んでみたんです。
まず、土地履歴等調査報告書は、これは土地履歴のことが書いてあるので、特にここに埋設物等の記述は出てきません。ただ、昔、田んぼや池、沼だったのが宅地に変わり、昭和四十年代ごろから文化住宅になったということの記述は出てきましたので、ある意味、生活ごみがそこにあるのかなということの一つの類推にはなります。
次の地下構造物状況調査業務報告書、平成二十二年一月でありますが、これが一番大事ですね。何となれば、航空局が後に八億円を計算する一番の根拠にしたのがこの報告書です。
ここには、もう何度もここでも言いましたけれども、三メートルまでではありますけれども、かなりの量の廃材、ごみが、特に敷地の北側にあるということについては、平成二十二年一月の報告書にいっぱい出てきます。お手元の資料の四でありますけれども、これは前回もお示しをしましたが、特に廃材、ごみが言われているのがこのオレンジ色と赤のところでありまして、ここにはかなりの混入率で廃材、ごみがあるというのは、これは二十二年一月の報告書にまさに出てくるわけであります。
そのあと二つ、今言われましたけれども、土壌汚染に関する二つの報告書でありますが、二十三年十一月については、場所を特定するような報告書です。それに基づいてボーリング調査をしたのが二十四年二月の報告書ですが、ここにどう出てくるかというと、コンクリート片、れんが、ビニール等があると書いてあるのと同時に、一・二メートルから一・八メートルについてはビニールと木片及び直物繊維を多く混入すると、二十四年二月の報告書にも実は書かれております。
つまり、当初、賃貸契約の際に国から森友学園に説明した諸資料、今、航空局長が網羅的に列挙された四つの報告書の中に、廃材、ごみであるとか、ビニールであるとか、木片であるとか、繊維といったことについては、大量にあるということが既にこれらの報告書には書かれています。この報告書をもって森友学園に説明をして、賃貸契約を結ぶわけですね。
しかし、もう一度申し上げます。この財務局の決議書の中の記述は、売買契約に変わったときに八億円ディスカウントするわけですけれども、その理由が、国が事前に学園に交付した資料、今言った四つですね、この四つの報告書等では「想定し得ないレベルの生活ゴミ等の地下埋設物が発見された。」と出てきます。
ここで、伺います。
九・九メートルまで深く掘ったという話が出てくるので、あえてここでは除外しましょう、ややこしくなるので。
ちょっとこのパネルを見ていただきたい。皆さんのお手元の資料二ですけれども、前回も出しましたが、一番上は、二〇一〇年一月、平成二十二年一月の報告書ですね。ここには、六十八カ所掘って、資料四にもあるように、北側には生活ごみ等がいっぱいあるということは既に確認されていますね。
その後、先ほど、報告書ではなかったんですが、二十六年の十二月に、実は二カ所、これは森友学園側がボーリング調査をやっていますけれども、この二カ所の中でも、まず一カ所目には、一・三五メートルから三・〇五メートルには、塩化ビニール、塩ビ片や木片が大量に混入、二番目のポイントでも、三・一メートルまで掘っていますが、ビニール片や木片が多量に混入するということが確認されています。
つまり、もともと、四つの報告書で森友学園に説明したときにも、さまざまな廃材、ごみ、生活ごみがあると。森友学園が二回調査を行った中でも、二カ所のポイントからそれぞれ木片や生活ごみが確認されている。そして、きのうも予算委員会で話題になりましたけれども、二〇一五年、平成二十七年の九月四日に近畿財務局でどうも打ち合わせをされたときにも、そういったごみがあると。しかし、そのごみは、建築に支障がないからといって有益費の対象には入れないという打ち合わせがここで行われたと言われていますが、最後の売買契約になるときには八億円を値引きすることになるんですが、その値引きの根拠が廃材、ごみなんですね。
伺います。
もとに戻りますが、当初示した資料では想定し得ないレベルの生活ごみ等、特に三メートル未満までの地表における想定し得ないレベルの生活ごみ等とは一体何ですか、局長。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
先ほども申し上げましたが、この調書は近畿財務局が作成されたものでございまして、近畿財務局が何を指して、国が事前に学園に交付した資料では想定し得ないレベルの生活ごみとおっしゃっておられるのかは、私どもとしては承知をしてございません。
ただ、私どもとしてこれを読んだときに思い当たりましたのは、今委員は除外されましたけれども、平成二十八年の三月十一日に森友学園側から近畿財務局の方に連絡があったと言われております、九・九メートルのくい掘削の過程で新たなごみが出てきた、そのことを指しているのではないかというふうに考えているところでございます。
○玉木委員 いや、私、九・九メートルの話はあえて除外すると言いました。これは、あえて、右と左で、三メートルまでの話と九・九メートルまでの話を分けています。九・九メートル、仮にそれが新しいごみとしたら、では、それはおいておきましょう。
ただ、私が聞いているのは、三メートルまでについては、既に知られたごみではないんですか。今、航空局長は、財務局が言っているので知らないと言いましたけれども、この調書の二ページ目、5.の(1)には何と書いているかというと、これは私、ちょっと驚いたんですが、「今回の鑑定評価に当たっては、」つまり土地の値段の鑑定に当たっては、「大阪航空局から、地下埋設物撤去概算額等を反映願いたいとする依頼文書「不動産鑑定評価について(依頼)」(平成二十八年四月十四日付阪空補第十七号)」、これは補償課ですかね、「の提出を受けており、大阪航空局からの依頼に基づき本地の現状を踏まえた評価を行うものとした。」とあるんですよ。
値段を下げてくれと言ったのは大阪航空局なんですか。初めて知りました。
局長、事実関係はいかがですか。
○佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。
本件地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりにつきましては、近畿財務局から大阪航空局に見積もりの依頼がありまして、大阪航空局が行ったということでございます。
その際、この見積もりに当たりましては、大阪航空局は、近畿財務局と協議、調整をしながら見積もりを行ったわけでございますが、見積もりの前提としたことが二つございます。
一つは、まず、本件土地を売却することになったんだと。これはむしろ、大阪航空局の事情というよりも、契約の当事者であります近畿財務局のお考えだというふうに思いますけれども、本件土地を売却することになって、土地の価値、すなわち時価を算定する必要が生じた。そこで、その時価を算定するために、本件見積もり、すなわち地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを依頼するんだというのが一つ。
もう一つは、本件土地の売買契約においては、売り主の瑕疵担保責任を一切免除する特約をつけるんだと。
この二つを前提として見積もりをやってくださいということを依頼されたわけでございます。
見積もりにつきましては、大阪航空局は、先ほど申し上げましたように、近畿財務局と協議、調整をしながら行いまして、その結果を平成二十八年の四月十四日に回答した。恐らく、その文言は、回答したときにそういった言い方をしていたのではないかというふうに推察されますけれども、それを受けて、今度は近畿財務局の方で、売買をするに当たっての土地の価値、すなわち時価というものを算定されたというふうに承知をしてございます。
○玉木委員 全く不透明ですね。
私は、きょう、非常に明確にお示しをしたと思うんですが、三メートルまでのごみについては既にわかっていました。さっき言った四つの報告書は全部、大阪航空局がつくっているんですよ、依頼して。大阪航空局は、生活ごみ等の存在については知っていたはずです、少なくとも賃貸借契約を結ぶ際には。それがなぜ、売買に変わったとは言いますけれども、そのものを、まるで新しく発見されたごみのように言って、それに基づいて八億円も値引きをしたんですか。ますますこれはわからないと思います。
もうきょうは時間がなくなったので、大臣、これはお願いなんですが、前回もお願いしたんですが、例えば、今言った三・八メートルから出てきましたとか、その深さまでとか、あるいは九・九メートルから出てきたといっていつも聞くんですが、その証拠が全く示されないんですよ。
○西銘委員長 時間ですので、まとめてください。
○玉木委員 はい。
だから、そこの写真と、前回もお願いした決裁文書も含めた関連資料の提出、これをしっかりと提出いただくことを大臣と委員長にお願い申し上げまして、時間となりましたので、質問を終わりたいと思います。またやりたいと思います。
ありがとうございます。
○西銘委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史です。
本日は、競艇場におけるATM設置問題とギャンブル依存症対策について質問をいたします。
ことし三月三十一日に、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議が、ギャンブル等依存症対策の強化に関する論点整理、以下、論点整理と言わせていただきます、これを取りまとめました。
ここでは、公営ギャンブル、パチンコ、パチスロにのめり込み、生活に支障を来す、いわゆるギャンブル依存症に陥る人がいるということを認め、その相談体制や治療体制の乏しさ、あるいは支援団体や自助グループへの援助が大変不十分である、こういう現状に着目しております。公営ギャンブルの施行者あるいはパチンコ事業者が、これらに対して必要な対策を講じることが不可欠とまとめております。
モーターボート競走、以下、競艇と呼ばせていただきますが、この競艇を所管する国土交通省も、競艇における依存症対策の現状とその課題について報告しております。
そこで私が着目したのは、資金調達源でございます。どこからお金を持ってくるか。一部の競艇場とボートピア、場外舟券売り場に、キャッシング機能のついたATMが設置されているとあるんですが、これは現状、どうなっているんでしょうか、教えてください。
○羽尾政府参考人 お答えいたします。
本年、平成二十九年二月十日時点におきまして、全国二十四カ所に設置されております競走場のうち、ATMが設置されている競走場は十九カ所であり、台数としては合計二十八台、そして、全国七十三カ所に設置されております場外発売場のうち、ATMが設置されている場外発売場は九カ所であり、台数としては合計十台のATMが設置されております。
○清水委員 先日、私、地元大阪の住之江競艇へ行ってまいりました。地域の皆さんが案内していただいたんですね。ここでは、住之江競艇運営協議会事務局や箕面市の競艇事業局の職員の方が丁寧に案内をしていただきました。
配付資料の一枚目をごらんください。これは、住之江競艇場内にあるATMでございます。確かに、「いろいろなカードがご利用いただけます。」というふうに案内があるんですね。
ギャンブル依存症の分岐点というのは何か、適度に楽しむことのできる人の分水嶺は何か、私は、やはり借金しないことだと思うんですよね。自分の小遣いの範囲でできるのであればまだしも、借金してまで賭博を続けるというのは、私は、これはやはり依存症の疑いが非常に強いと言わなければなりません。きょうは三千円でやめておこうとか、きょうは絶対に一万円までで帰ろうと心に誓っても、負けたその場でATMがある、お金を借りることができる、決意が揺らぎ、どんどん借金してしまうというようなことが、今答弁にあったように、競艇場や場外舟券売り場、ボートピアに設置をされているということなんです。これは本当に極めて問題だと思うんですね。
配付資料の二枚目をごらんください。これは、国交省の報告した、いわゆる競艇におけるギャンブル依存症対策の強化に関する論点整理ですね。
「資金調達制限」というところがあるんですが、赤線を引っ張っているところを読み上げますね。「課題」として、「キャッシングで調達した資金で舟券の購入が可能である」、つまり借金してできるということであり、「ATMのキャッシング機能の利用状況を調査し、競走場及び場外舟券売場に設置されているATMのキャッシング機能の廃止について検討の上、取扱方針を決定する必要がある。」こう取りまとめておられます。
そこで私、確認させていただくんですが、これは、誰が利用状況を調査して、いつまでに取り扱い方針を決定するのか、お答えいただけるでしょうか。
○羽尾政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の調査そして検討につきましてでございますが、この論点整理全体が、本年夏までに所要の検討を進めてまとめていく、こういうことでございますので、そのようなスケジュールに従いながら行いたいと思っています。
また、実際の調査につきましては、モーターボート関係の諸団体の協力を得、進めていく、そして検討は、それら諸団体とともに国土交通省において検討を深めていく、こういうふうに予定しております。
〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕
○清水委員 やはり運営主体としては、それこそキャッシングしてでも引き続き舟券を購入していただくことの方が売り上げは伸びるわけです。
夏までに一定の結論を出すというふうにおっしゃったんですが、私は、やはり国交省が指導的役割を発揮して、運営協議会などに、このATMについては問題がある、廃止するべきではないかと迫るべきだと思うんですが、そういうお考えはあるんでしょうか。そこだけちょっと、もう一度確認させてください。
○羽尾政府参考人 お答えいたします。
先生が配付されました資料にもありますように、舟券の購入がキャッシングで調達した資金で可能であるため、この利用状況を調査して、「設置されているATMのキャッシング機能の廃止について検討の上、取扱方針を決定する」、こういうふうに書いてございますので、先生の御指摘の趣旨にも沿いながら、実態をまず調べて、どのような状況かを踏まえながら、廃止についての検討を行っていきたい、このように考えております。
○清水委員 もう少し指導性を発揮していただきたいなと思うんですけれどもね。
これは何のために置いているかといいますと、「現状」のところを見ますと、なぜATMを置いているか、「現金を持ち歩かずに済むことによる防犯上の観点も考慮して、」と書いているんですよ。つまり、皆さんがお金をたくさん持ってきて競艇場に来ると危ないというんですよ。だからATMを置いているというんですね、そこで引き出してくださいと。だったら、預ける機能も必要じゃないですか。預けられないんですよ、このATMは。引き出すだけですよ。全然こんなのは理由になっていないですね。
ですから、そういう点では、私は、一日も早く撤去を迫っていく、これは課題として出ているわけですから、それを強く求めておきたいと思います。
それから、やはりギャンブル依存症対策は、カジノ、IRの推進の是非とは別途、しっかり取り組んでいかなければならない課題だと思っているんですね。
実は、今年度から始まったギャンブル依存症対策、地域生活支援促進事業の拡充についてお伺いしたいと思います。
配付資料の三枚目をごらんください。
これは厚生労働省の資料なんですけれども、ここには、新規事業といたしまして、ギャンブル等依存症問題に取り組む民間団体支援事業。
いわゆる自助グループというのがありますね。ギャンブラーズ・アノニマス、それからギャマノンという依存症の家族の方々の自助グループがあります。そして、そういう方々を支援していくギャンブル依存症の民間支援団体というのも全国に幾つか活動しているわけですね。
そういう方々に、今年度初めて、民間団体に直接補助しようと。みんな持ち寄りでやったり、いろいろお金を工面しながらやっていますので、こういう制度ができたということで、非常に期待が高まっているわけでございます。
そこでお伺いしますが、厚生労働省、この民間支援団体への支援メニュー、その主な内容については具体的にどのようなものか。それからもう一つは、今年度、もう四月から始まっているわけですが、どのように今、実績として行われているか、教えてください。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
今、議員の方から御指摘ございました地域生活支援促進事業でございますけれども、具体的なメニューといたしましては、ギャンブル等依存症者やその家族の方がお互いの悩みの共有や情報交換を行う交流活動に対する支援でありますとか、あと、ギャンブル等依存症への理解を促進する刊行物発行の費用の助成など、ギャンブル等依存症に関します普及啓発活動に対する支援、それと、ギャンブル等依存症者やその家族の方を対象とします相談活動に対する支援といったようなことを、今議員の方から御指摘がございましたけれども、民間団体が行われているそういった支援活動について助成を行うことを予定しておる事業でございます。
現在の状況ということでございますけれども、この事業につきまして、現在、自治体に対しまして、制度の周知、そして事業実施の有無というものについて調査をしておるところでございまして、現在集計中のためお示しすることができませんけれども、実施予定との回答が得られました自治体については、迅速に内示が行われるように調整してまいりたいと考えております。
○清水委員 ちょっと、それは私、許せない。
というのは、今年度から始まっているんですよ、この事業。地域生活支援促進事業は、今年度から民間支援団体に補助がおりるんです、制度上は。
それで、私、先月、四月十日の決算行政監視委員会の第一分科会におきまして、この問題を取り上げまして、厚生労働省として今どのように実績を把握していますかと質問したところ、何と言いましたか。これから把握していきますというふうにおっしゃっていたわけですよね。ところが、今、お話を聞くと、各自治体がどのようにこの制度を周知しているのかということについては、集計中というふうにおっしゃいました。
一カ月過ぎて、まだ集計していないんですか。何してはったんですか。
○坂口政府参考人 お答えを申し上げます。
この事業につきましてですけれども、先生のその御質問のときにもお答え申し上げましたとおり、昨年度の一月から三月にかけまして、各種の主管課長会議等で説明や呼びかけということを行ってまいったところでございますけれども、さらにということで、制度の周知あるいは調査という形で、厚生労働省から各自治体の担当者に直接、綿密な制度の周知ということも含めて現在行っておるというところでございまして、その実態の集計については、いま少しお時間をいただきたいということでございます。
○清水委員 そんな、集計するのに一カ月もかかりませんよ。
配付資料の四枚目をごらんください。
これは、一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会が独自に調べた資料です。自治体に面談を申し入れる、あるいは電話をする、そういうことで、ギャンブル依存症対策に初めて補助ができる地域生活支援促進事業の内容について確認したものですよ。
例えば、北海道はどうなっているか。新規事業の予算総額が三億円と決定したことを知らない。秋田県はどうですか。今年度は実施予定がなく、来年度以降も未定。茨城県はどうですか。事業については知らない。栃木県、今年度の予算はない。それから、千葉県に行きましょうか。補正予算は難しい。東京都、「今回の予算案は一月二月に降りてきたので、タイミングが悪すぎる。」新潟県も、「補正予算を組むのはとても難しい。」
四の二、五枚目ですね、これを見ていただきましても、三重県、「国に予算がついても、半分は県負担なので難しいということを電話でも強調。」大阪府は、今回のこの拡充の厚労省からの連絡は遅過ぎる。鳥取県はひどいですね、予算は知っているが、ギャンブル依存症について使う予定はない。
どうなっているんですか、これは。私、大変問題だと思いますよ。
いわゆる民間支援団体が、先ほどおっしゃったような刊行物の発行、相談事業への補助、あるいは依存症の方々が集まられる会場費だとか、こういうものに、都道府県や政令市、中核市が二分の一を補助する、その二分の一補助した同額を国が出すというスキームになっているんです。ところが、自治体が予算取りをしていない。ここにありますように、制度そのものを知らない。
これは、民間支援団体があなた方にかわって調べたんですよ。何で、一カ月もかかっているのにまだ集計中というふうに言うのか。私は、はっきり言って怠慢だと言わなければなりません。
先月の私の決算行政監視委員会での質問に、厚生労働省はこう言いましたよ。実際の担当者のところまで届いていない部分については、もしあるとすれば、またしっかりと届けていきたいと存じます、こう答弁したんです。もしあるどころじゃないじゃないですか。みんな知らないじゃないですか。これは、本当に私、大問題だと思うんですね。
今こそ真剣になって周知徹底するべきじゃありませんか。どうですか。
〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕
○坂口政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど述べさせていただきましたとおり、制度の周知につきまして至っていなかったということもあり、今回の調査とあわせまして、各自治体の担当者に直接、より綿密に制度の周知ということを行っておるところでございます。
いずれにしましても、今後は、この調査結果も踏まえて、なおかつ、実施予定なしの自治体に対しましても、さらに個別に事業の活用についての検討の依頼等の働きかけも行いつつ、制度の活用に向けた取り組みを図ってまいりたいと考えております。
○清水委員 ぜひ強く求めておきたいと思います。
何でこんなことになっているのか。せっかくギャンブル依存症対策の民間支援団体への補助制度ができたのに、自治体に周知されておらない、あるいは予算取りができていないので実施できない、何でこんな実態が起こっているのかといいますと、結局、去年の十二月十五日に数の力を頼んでカジノ法案を通すからですよ。ですから、後からつけ足しみたいにギャンブル依存症対策をやらなければならないということで慌てて進めて、こういう矛盾が起こっているんじゃないかと私は思いますよ。やはり、このギャンブル依存症対策の制度は、全く機能していないと言わなければなりません。
配付資料の五番をごらんください。
これは、NPO法人ギャンブル依存ファミリーセンターホープヒルの代表の方が書かれたギャンブル依存症の家族に対する啓発本なんですよね。ことしの三月に発行されております。
ギャンブル依存症といえば、本人の自覚の問題、意志の弱さ等々が強調されがちですが、実際、そうじゃなくて、病気なんですよね。病気だからこそ、病気であるということを自覚すること、自認することと、そしてそれに対して周りの家族が、病気であるということをしっかり認知し、それにふさわしいサポートを行わなければ、簡単にこのギャンブル依存症というのは解決しないです。
こうした刊行物も、本来なら、今年度、補助が出るはずなんですよ。先ほど、どういうメニューがありますかというふうに私が言いましたら、刊行物の補助というふうにおっしゃった。ところが、都道府県によって、そういう制度を知らないとか、予算をとっていませんとかいうことで、全く機能していないということは問題だと言わなければなりません。
私、ちょっと石井大臣に求めたいんですけれども、今回の論点整理は、資金調達源だけではなくて、モーターボート競走におけるインターネット投票についても現状と課題を報告しているんですね。
実は、皆さん御存じですかね、私も住之江競艇に行きましたけれども、閑散としていましたね、ゴールデンウイークにもかかわらず。いっときの入場者、ピークに比べると、三分の一ぐらいと言っているんです。ところが、売り上げはちょっと伸びているんですよ。インターネットの投票なんです。どのぐらいインターネット投票が占めているんですかとお伺いしたら、今、四割です。舟券全体の四割はインターネットなんですよ。どこでも手軽に投票できる。これは競艇に限ったことじゃないですよ。競馬もそうですし、競輪もそうです。
私、何が言いたいかというと、やはり依存症になると、先ほどのATMじゃありませんけれども、借金をして賭博をし続けることになるわけで、それを家族がどうしても制止したいというときに、インターネット会員をやめさせたい、こう思いまして、そして、お父ちゃんでもいいです、息子でもいいですよ、お母ちゃんでもいいですよ、うちの家族をインターネット会員から退会させてほしい、取り除いてほしいというふうにお願いすると、できないんです。本人でないとできない。家族はそれができないんです。
ただ、一つだけ、家族が本人をインターネット会員からやめさせる方法があるんです。本人が死んだときです。本人が死亡したら、ようやくインターネット会員から家族の方が取り除くことができる。そのときにも死亡証明書が要るんですよ、公式な。ひどいと思いませんか。
私は、やはり、死ぬまでギャンブルをやめさせないというような状況があるとすれば、これは大問題だというふうに思いますし、モーターボート競走、競艇を所管する国土交通省の大臣として、今回の論点整理でもまとめられておりますけれども、競艇における依存症対策には全力で取り組むべきではありませんか。
○石井国務大臣 ギャンブル等依存症の対策につきましては、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議において検討されまして、本年三月三十一日に開催されました第二回関係閣僚会議におきまして、これまでの検討事項を整理したギャンブル等依存症対策の論点整理が取りまとめられ、現状と課題が明らかにされました。
国土交通省といたしましても、今後は、本年夏をめどとする具体的な対策、実施方法の取りまとめに向けまして、ギャンブル等依存症で困っている方に対する相談支援体制の充実や予防対策等につきまして、施行者である地方公共団体及び業界団体と検討を進め、モーターボート競走における実効性のある対策をしっかりと講じてまいりたいと考えております。
○清水委員 自治体の中でも岡山県などでは、企画書を持ってきてくれたら依存症を支援している団体に支援を行う用意があるというふうな結果も出ております。ぜひこういうところをしっかりと応援していただくということを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
○西銘委員長 次に、本村伸子君。
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
リニアの問題について質問をさせていただきます。
まず最初に、石井大臣、長野県下伊那郡大鹿村に訪問をされたことがございますでしょうか。この大鹿村は、日本で最も美しい村の一つだと言われております。大臣は、この美しい大鹿村で静かに暮らしてみえる方々にリニア工事によって多大な迷惑をかけるという認識がございますでしょうか。
○石井国務大臣 トンネル工事が行われる地区におきましては、トンネルの掘削に必要な工事用作業ヤードの整備や、発生する土を搬出するための工事用車両の通行等が発生いたします。このため、工事を行う際には、事業説明会や工事説明会等により、地元の方々に具体的な工事の内容やスケジュール等について十分に理解を得ることが必要となります。
大鹿村におきましても、JR東海により、これまで五回の事業説明会、六回の工事説明会が行われ、昨年十一月の起工式を経て、トンネル掘削工事が進められていると承知しております。
私自身は大鹿村を訪問したことはございませんが、国土交通省といたしましても、平成二十七年二月に、鉄道局の担当課長が大鹿村を訪れまして、村長を初めとする地元の方々と意見交換をしたほか、二十七年九月に、来庁された村長や村議会議長等から鉄道局長が要望を受ける等の対応を行ってきたとの報告を受けております。
○本村(伸)委員 大臣には、ぜひ大鹿村に行っていただいて、住民の皆さんの声を聞いていただきたいというふうに思います。
四月二十七日ですけれども、リニアのトンネル掘削が大鹿村で始まりました。南アルプストンネル(長野工区)八・四キロの作業用トンネル、釜沢地区の除山非常口、坑口の部分です。
このトンネル掘削について、大鹿村当局に告げられたのはいつでしょうか。そして、大鹿村の住民の皆さんに知らされたのはいつか、大臣、御存じでしょうか。そして、長野県に告げられたのはいつでしょうか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
リニア中央新幹線につきましては、先生御案内のとおり、平成二十六年十月十七日に工事実施計画の認可をいたしまして、南アルプストンネル新設(長野工区)の工事では、大鹿村に三つの非常口、小渋川非常口、除山非常口、釜沢非常口が設けられる計画となっております。このうち、除山非常口において、四月二十七日に斜坑トンネルを掘削する工事が開始されたところでございます。
南アルプストンネル新設(長野工区)の工事が開始されるまでの経緯につきましても若干付言させていただきますと、平成二十六年十一月から事業説明会を五回、平成二十八年九月から工事説明会を六回実施の後に、平成二十八年十一月一日に起工式が小渋川非常口で行われ、同じく七日より、同非常口での作業ヤードの整備が開始されたということでございます。
このうち、除山非常口の工事につきましては、平成二十八年十月十一日に、除山非常口に近接する釜沢地区において、地元の方々への工事説明会が開催されまして、工事内容の説明が行われ、その後、同じく十二月十九日に、大鹿村や長野県の関係者及び村内の各自治会長から成ります大鹿村リニア連絡協議会が開催されまして、除山非常口の概略の工事工程などについての説明が行われました。
また、ことし三月二十二日に開催されました第二回の大鹿村リニア連絡協議会では、JR東海から、トンネルの掘削は、早ければ四月中、若干延びた場合は五月上旬から開始したいとの説明が行われたというふうに聞いております。
また、同協議会の概要につきましては、四月十七日に大鹿村で発行されました「リニア中央新幹線情報ナンバー二十六」に掲載されまして、村内全戸に配布されたと承知しております。この中では、除山非常口の掘削は四月から五月に開始するというふうにされております。
その後、斜坑掘削のための準備が進められまして、四月二十六日には、トンネル坑口付近の斜面を安定させるためのモルタル吹きつけ工事や、斜坑のトンネル壁面を支える支保工の部材の据えつけが完了いたしまして、掘削が開始できる状況となったことから、翌日からトンネル掘削を開始する旨を、二十六日の十七時ごろにJR東海から長野県及び大鹿村に対し電話で伝えまして、二十六日十八時から夜にかけまして、施工会社から釜沢地区の住民の方々にメールにて連絡をしたというふうに聞いております。
○本村(伸)委員 長野県の初めてのリニアの掘削工事で、具体的に村当局の皆さんに知らされたのは、前日の夕方五時ぐらいに電話で連絡があったと。そして、大鹿村の住民の皆さんに対しては、メール配信を希望した方のみ、しかも、私もそのメールを読ませていただきましたけれども、初の掘削であるということがわからない、判別できないような文章で、前日夜のメール配信があったわけでございます。
釜沢地区の皆さんは、発破作業などが始まると、騒音とか振動とか、被害に遭う可能性が高いわけです。それなのに、こういう、前日の夜、夕方お知らせをするというやり方は、やはりこれは不誠実なやり方だというふうに思います。そして、絶対に許すことはできないというふうに思います。釜沢地区の自治会長の方だって、取材で初めて知ったというふうに、知らされていなかったわけです。
大臣は、この委員会の私のリニアの質問に対して何度も答弁をいただいておりますけれども、例えば、二〇一六年三月三十日の答弁では、「これまで以上に地元の理解と協力を得ることが不可欠」こうお答えになっております。そして、二〇一五年十月の工事実施計画認可の際にJR東海社長に対して指示しましたように、地元住民への丁寧な説明を行うこと、「JR東海を指導監督してまいります。」と言っておりますけれども、JR東海は全く守っていないわけです。丁寧な説明、住民の皆さんの理解と協力ということに反しているのではないですか。大臣、お答えをいただきたいと思います。
○石井国務大臣 リニア中央新幹線の建設事業が円滑に実施されるためには、地元の理解と協力を得ることが不可欠と考えております。
除山非常口におけるトンネル掘削工事につきましては、JR東海は、工事スケジュールの概要について、工事説明会や地元の協議会等で説明しているとの報告を受けております。
一方、今回のトンネル掘削工事では、工事開始の通知のタイミングが遅かったとの批判もあることから、JR東海においては、このような批判を受けることがないよう、地元の理解と協力を得ることにより一層努めていただきたいと思っております。
国土交通省といたしましては、引き続き、JR東海に対しまして、地元住民等に丁寧に説明をしながら、安全かつ確実に施工が行えるよう、指導監督してまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 釜沢地区の自治会長さんも、住民への影響が大きな掘削の開始をこうした形で事前に伝えているという姿勢は、真面目に住民に向き合っているとは思えない、こういう発言をされております。そして、大鹿村の村長さんは、発破など、影響が大きい作業を始める際は、もっと事前に連絡をもらわないと困るというふうにおっしゃっているわけです。
私が質問するたびに、大臣は、JR東海を指導監督してまいります、丁寧な説明、地元の理解と協力を得るというふうに何度も何度も答弁しておりますけれども、一体何回JR東海に指導したんですか。誰が、いつ、何回、どのような指導をしたのか、お答えをいただきたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
今お話ありました、誰が、いつ、どのように指導したかということについては、済みません、今ちょっと手元に資料がございませんけれども、いずれにいたしましても、リニア中央新幹線の建設事業が円滑に実施されるためには、地元の理解と協力を得ることが不可欠でございます。
今回の事案を踏まえまして、JR東海においては、さらに丁寧な対応を心がけ、地元住民等に丁寧に説明しながら、安全かつ確実な施工が行われるよう、引き続き指導監督してまいりたいというふうに考えております。
○本村(伸)委員 国交省が、いつ、誰が、何回、どのように指導したのかというのを資料を出していただきたいと思います。局長、お願いしたいと思います。
○奥田政府参考人 検討いたします。
○本村(伸)委員 ぜひ出していただきたいというふうに思います。
除山非常口、坑口から出された残土の持っていき場というのはもう決まっているんでしょうか。
○奥田政府参考人 お答えいたします。
JR東海によりますと、リニア中央新幹線南アルプストンネルの除山非常口から搬出されます発生土の最終的な置き場につきましては、長野県から提示された候補地リストをもとに、現在、地元関係者との調整でありますとか、現地での環境調査などを行っているというふうに聞いております。
なお、一点ちょっと御説明申し上げますと、除山非常口からの建設発生土の搬出につきましては、搬出ルートとして想定されております主要道路国道百五十二号線と結びます、県道赤石岳公園線の幅員が狭く、大型運搬車両の通行が難しい状況のため、JR東海は、同非常口からの発生土を国道百五十二号に搬出する方法といたしまして、除山非常口からの発生土を除山非常口の近傍に設けられた仮置き場に仮置きし、国道百五十二号までの距離が近い小渋川非常口と釜沢非常口との間の先進導坑を先行して整備いたしまして、当該トンネルの貫通後に、仮置きしてある発生土を釜沢非常口から当該トンネルを経由して小渋川非常口まで運搬する。また、小渋川非常口から国道百五十二号を経由して最終的な置き場に運搬する。小渋川非常口から国道百五十二号までの間においても、集落の中心を通過しないよう、小渋川の左岸に工事用道路を設け、運搬するとの手法を予定しているということでございます。
このため、除山非常口からの発生土の最終的な置き場への搬出は、平成三十一年度以降になる見込みということでございます。
国土交通省といたしましては、環境影響評価法に基づく国土交通大臣意見で求めました、発生土置き場の適切な管理でありますとか有効利用先の確保など、建設発生土の処理が適切になされるよう、JR東海を指導監督したいというふうに思っております。
○本村(伸)委員 除山坑口の付近に仮置き場をつくるというふうに言っておりますけれども、そこが最終の残土置き場になるのではないかということで、地元の皆さんは不安に思っているわけです。そして、大鹿村村内で説明がJR東海からあったときに、松川のところで受け入れがあるんだというような虚偽の説明もあったわけです。残土の持っていき先も最終的なものは決まっていないのに、こうやって工事を住民の皆さんを無視してやるというのは本当に無責任だというふうに思います。大鹿村の皆さんを軽視したこういうやり方は絶対に許されないというふうに思います。
何度も指導や監督をされているというふうに思いますけれども、大臣、今度こそ是正をさせていただきたいと思うんです。住民の皆さん全員が参加できる説明会を開き、掘削の開始や今後の見通し、工事の影響などを詳細に説明するのが、ここからやり直すというのが筋だというふうに思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 除山非常口におけるトンネル掘削工事につきましては、非常口が設けられる大鹿村において、事業説明会が五回、工事説明会が六回開催された後に起工式が行われました。その後、地元での二回の連絡協議会で工事スケジュール等が説明され、工事に着手されたと承知しております。
一方で、今回のトンネル掘削工事では、工事開始の通知のタイミングが遅かったとの批判もございますので、JR東海においては、地元の理解と協力を得ることにより一層努めていただきたいと考えております。
国土交通省といたしましても、今回の事案を踏まえまして、引き続き、JR東海に対しまして、地元住民等に丁寧に説明しながら、安全かつ確実に施工が行われるよう、指導監督してまいりたいと存じます。
○本村(伸)委員 まだ大臣が直接JR東海に指導していないというふうにもお聞きしておりますけれども、確実に、改めてJR東海に対して文書で指導していただきたいというふうに思います。
次に、静岡県の大井川の減水の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
大井川は、リニア工事によって、毎秒二トン、水が減ってしまうということになりますけれども、毎秒二トンというのは、大井川の流域の八市二町、藤枝市、焼津市、島田市、牧之原市、掛川市、袋井市、菊川市、御前崎市、吉田町、そして川根本町の水利権の量に匹敵する量でございます。地域の皆さんにとっては、まさに死活問題になっております。
四月三日、静岡県が、環境影響評価準備書に関する知事意見を補完する、環境影響評価法に基づく知事意見を出しました。静岡県では、南アルプスをぶち抜くトンネル工事で発生する湧水について、静岡県知事が、全量を恒久的に大井川に戻すことを求めております。
四月二十七日、JR東海が回答したと思いますけれども、その回答はどのようなものだったか、お示しいただきたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
リニア中央新幹線の工事におきまして、JR東海は、大井川流域の水資源への影響の低減を図るため、平成二十六年十二月に、学識経験者により構成される大井川水資源検討委員会を設置いたしまして、平成二十七年十一月の第四回委員会において、大井川流域の水資源に対する環境保全措置として導水路トンネルの設置等を行うことが取りまとめられたところでございます。
この委員会での議論を踏まえまして、JR東海は、静岡県環境影響評価条例等に基づきまして、導水路トンネル等に係る調査及び影響検討結果をまとめた事後調査報告書を本年一月に静岡県知事に送付いたしました。
この事後調査報告書に対して、静岡県知事は、本年四月三日、JR東海に対しまして、「本県境界内で発生するトンネル湧水は、」「本県にとっては貴重な水資源の賦存量の一部」であり、「溶存成分等の水質や水温に問題がないことを確認した上で、全量を恒久的かつ確実に大井川に戻すことを早期に表明すること。」といった意見を提出しております。
これに対しまして、本年四月二十七日、JR東海は、静岡県知事意見に対する回答といたしまして、
大井川に関する歴史的な経緯や、その水が流域の方々にとって極めて貴重な水資源であることについては十分に認識しております。また、中央新幹線の建設によって大井川中下流域の方々が水利用に影響があるのではないかとの懸念を持っていることも承知しております。
環境影響評価書での予測結果は、何も対策を実施していない条件下での計算結果であり、実際のトンネル施工に当たって、さまざまな環境保全措置を実施し、河川流量への影響の程度をできる限り低減してまいります。
大井川の水資源に関する環境保全措置については、大井川水資源検討委員会において真摯な議論を重ねていただきました。その結果、導水路トンネルを設置し、必要に応じてポンプアップすることによりトンネル湧水を大井川に流して、これまでと同様の取水ができるようにするなど、中下流域の水資源利用に影響が生じないようにすることといたしました。
工事着手後は、トンネル湧水量や河川の流量をきめ細かく計測し、得られたデータに基づき大井川水資源検討委員会において影響の程度を確認しながら、ポンプ設備の仕様や配置、運用などの詳細について検討を深めてまいります。また、この間の調査及び検討の状況については、適宜、静岡県を初めとした関係者に説明いたします。中下流域の水利用に影響を生じさせないよう、これらについて誠心誠意取り組んでまいります。
などと回答したところでございます。
○本村(伸)委員 済みません、それは、静岡県が求めた、「トンネル湧水を、溶存成分等の水質や水温に問題がないことを確認した上で、全量を恒久的かつ確実に大井川に戻す」ということなんでしょうか。
○西銘委員長 奥田鉄道局長、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○奥田政府参考人 JR東海による知事意見への回答は今申し上げたようなところでございまして、中下流域の水利用に影響を生じさせないよう、これらについて誠心誠意取り組むということが述べられておりますが、国土交通省といたしましては、環境影響評価における国土交通大臣意見で述べたように、トンネル工事に伴う河川水の利用への影響を回避することが重要であるというふうに考えております。
JR東海には、静岡県を初めとする関係者と十分に調整を図りながら、知事意見に対する回答の中で示された事項を確実に実行していただきたいというふうに考えております。
○本村(伸)委員 JR東海に、しっかりと文書で、全量を恒久的かつ確実に大井川に戻すということを約束させていただきたいということを強く申し述べまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、椎木保君。
○椎木委員 日本維新の会の椎木保です。
本日は、国土交通行政に関する一般質疑ということで、トラック事業の現状と課題についてお伺いいたします。
最近、ヤマト運輸の宅配便の問題がテレビや新聞等で報じられております。インターネットによる通販サービスの市場拡大に伴って、宅配便の取扱個数が増加して、宅配ドライバーが足りない状況とのことです。ヤマト運輸では宅配便の総量の抑制や時間帯指定サービスの見直しを検討しているとのことですが、実は、このようなトラックドライバー不足の問題は、ヤマト運輸の宅配便だけの問題ではなく、トラック運送業界全体に当てはまると聞いております。
物流業界全体でドライバー不足が深刻化している問題について、国土交通省としてどのように受けとめているのでしょうか、お尋ねいたします。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
全日本トラック協会がトラックの運送業界の景況感について継続的に調査を行っております。その結果を見ますと、ドライバーが不足またはやや不足と答えたトラック事業者の割合は、平成二十二年には一〇%程度でございましたけれども、その後、急速にその数字が拡大をいたしております。平成二十八年第三・四半期には六三%に達しているところでございます。
また、厚生労働省の職業安定業務統計によりますと、本年二月のトラックドライバーの有効求人倍率は二・三二、これは、全職業の平均が一・三七でございますけれども、これに比べて大幅に高く、トラック運送業界全体で人手不足が深刻化している状況にあると認識しております。
トラック運送業は我が国の経済活動や国民生活を支える物流の主力を担っているところであり、トラック運送業における人手不足の解消は喫緊の課題であると認識しております。
○椎木委員 数値での御答弁をいただきまして、ありがとうございました。大変わかりやすい答弁であったと思っております。
次に、トラックドライバー不足の深刻化の背景には、労働条件の問題があると考えます。トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均と比較して約二割長くなっており、その一方で、年間所得額は、全産業平均と比較して、大型トラック運転者で約一割、中小型トラック運転者で約二割低くなっているとのことです。
我が国の経済と国民生活を支えるトラック運送業者の担い手確保のためには、トラックドライバーの労働条件の改善を図り、トラック業界を魅力ある産業とすることが重要であると思います。
トラックドライバーの労働条件が長時間労働で低賃金という現状について、国交省としてどのような対策を考えているのでしょうか、お尋ねいたします。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
トラックドライバーを確保するためには、委員御指摘のとおり、トラック運送業における労働条件の改善を図ることが重要でございます。その改善に向けては、業界内の取り組みのみならず、荷主等の理解、協力なども得て、取引慣行上の課題も含めて解決していく必要があると認識しております。
そこで、国土交通省といたしましては、長時間労働の削減に向け、荷主を構成員に含めた協議会を各都道府県で開催し、荷主とトラック事業者が連携して荷待ち時間の削減などに取り組むパイロット事業を実施しているところでございます。
また、トラックドライバーの賃金の改善には、トラック事業者が適正に運賃・料金を収受できる取引環境を整えることが重要であると考えております。
このため、先ほど申し上げました協議会のもとに学識経験者などから構成される検討会を設置し、附帯業務に係る費用の別建ての収受など、適正な運賃・料金を収受する方策について検討を進めているところでございます。
さらに、官邸に設置されました下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議のもと、関係省庁と連携して、荷主業界に対し、トラック事業者との取引適正化を要請するなどの取り組みを進めてきているところでございます。
国土交通省としましては、これらの取り組みを通じて、トラックドライバーの労働条件の改善に向け、しっかりと取り組んでまいります。
○椎木委員 次の質問に入ります。
最初に指摘しましたが、トラックドライバー不足の要因の一つとして、近年のインターネット取引の急速な増加に伴う宅配便の取扱個数の増加があると認識しております。加えて、宅配便の約二割は再配達となっていると聞いております。
トラックドライバー不足が深刻化する中で、宅配便の配送に係るドライバーの負担を軽減し、宅配サービスが持続的に提供されるためには、宅配便再配達の削減も重要であると思うのですが、どのような取り組みが必要だと考えているのでしょうか。
○重田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、トラックドライバー不足が深刻化するもとで、宅配サービスを持続的に維持するためには、その再配達の削減も重要な課題であると考えております。
このため、国土交通省といたしましては、民間事業者の皆さんと連携し、消費者と宅配事業者、通販事業者との間のコミュニケーションをまず強化する、受け取り方法のさらなる多様化、利便性の向上を図る、消費者の受け取りへの積極的参加の推進、この三点を中心に取り組む必要があると考えております。
まず、関係者間のコミュニケーションの強化につきましては、各宅配事業者や通販事業者が、メールやコミュニケーションアプリを活用しまして、配達状況の確認や再配達の受け付け、受取日時の変更が可能になるサービスの提供を促しております。
また、受け取り方法の多様化、利便性の向上につきましては、平成二十九年度、環境省と連携いたしまして、オープン型宅配ボックスの導入促進のための予算を計上しております。その普及促進を図っていきたいと考えております。
さらに、消費者の受け取りへの積極的参加の推進につきましては、この三月二十九日に、環境省が、国土交通省、経済産業省と連携いたしまして、国民皆で宅配便の再配達削減に取り組む「クールチョイス できるだけ一回で受け取りませんかキャンペーン」を開始しているところであります。
今後とも、民間事業者や関係各省と十分に連携いたしまして、宅配便の再配達削減に取り組んでまいります。
○椎木委員 今の重田審議官の答弁のとおり、しっかり取り組んでいただきたいと思います。問題意識は共有できていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次の質問に入ります。
トラックドライバーの労働条件の改善が急務となっていると指摘しましたが、特に、長距離の幹線運行を担当するドライバーは、長時間かつ不規則な就業形態になりやすく、その労務負担は特に大きいものと思われます。長距離幹線ドライバーの労務負担を軽減する観点から、長距離のトラック輸送を複数のドライバーで分担する中継輸送が有効な方策の一つであると思うのですが、国土交通省として、中継輸送の普及に向けてどのような取り組みを考えているのでしょうか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、中継輸送は、長距離運行を複数のドライバーで分担することにより、ドライバーの労務負担の軽減に資するものであると認識しております。
国土交通省におきましては、こういった認識のもとに、中継輸送の普及、実用化に向けて、平成二十七年度から二十八年度にかけて、中継輸送実証実験モデル事業を実施したところでございます。
この結果、中継輸送を行うトラック事業者同士のマッチングの場が十分でないこと、さらには、トラック事業者同士が交わす協定書の項目が明確でないことなど、中継輸送の実施に当たっての具体的な課題が明らかになったところでございます。
国土交通省としましては、これらの課題を踏まえ、今後、各都道府県等のトラック事業の協同組合に対し、中継輸送のマッチング機能を担うように働きかけることとしております。
また、ことし三月には、中継輸送の実施に当たって検討すべき事項あるいは必要となる資料などについてわかりやすく解説した手引書を作成し、今後、ホームページあるいは説明会などを通じて、トラック事業者の利用を促していくこととしております。
国土交通省としましては、これらの取り組みを通じまして、関係機関とも連携し、中継輸送の普及、実用化に努めてまいります。
○椎木委員 次に、これまでの質疑を通じて、国土交通省としても、トラックドライバー不足を解消するためにさまざまな努力をしているということは理解いたしました。
少子化に伴う労働力人口の減少等により、人材の確保は今後ますます厳しくなっていくと考えられます。そのような中で、限られた人手を効率的に活用することで、質の高い物流サービスを安定的に確保していくという観点も必要となってきます。物流の効率化、省力化、これらをきちんと進めて、より一層物流全体の生産性を向上させていくことが求められていくと思うのですが、今後どのような取り組みを考えているのでしょうか、お尋ねいたします。
○石井国務大臣 人口減少時代を迎えている中で我が国が経済成長を実現するためには、労働力人口の減少を上回る生産性の向上が必要であり、国土交通省全体で生産性革命に取り組んでいるところでございます。
物流分野におきましては、例えば五十歳以上のトラック運転手の割合が全体の四割近くに達するなど、今後、労働力不足がさらに深刻化することが懸念される状況でございます。その一方で、トラック積載率が四割程度に低下し、長い手待ち時間が発生するなど、さまざまな非効率が生じております。
このため、二〇二〇年度までに労働生産性を二割程度向上させることを目標といたしまして、業務効率の改善及び付加価値の向上によって、物流産業全般にわたり大幅なスマート化を図る物流生産性革命を推進しているところでございます。
特に、物流の大宗を占めるトラック輸送につきましては、荷主も参画する協議会や、官邸に設置されました中小企業の取引条件改善に関する会議等を活用いたしまして、取引環境の改善及び長時間労働の抑制を通じた働き方改革と一体としてこれを進めてまいりたいと考えております。
また、昨年十月に施行されました改正物流総合効率化法等を活用いたしまして、幹線輸送をトラックから大量輸送機関の鉄道や船舶にシフトさせるモーダルシフト、積載率の向上を図るトラックの輸配送の共同化、トラックの待機時間等の削減に資する物流拠点の高度化等の、多様な関係者の連携による物流ネットワーク全体の省力化、効率化に取り組んでまいります。
本年を生産性革命前進の年と位置づけまして、こうした一連の物流施策を通じ、物流生産性革命のさらなる推進を図ってまいりたいと存じます。
○椎木委員 国交省全体で取り組むお話、さらに目標数値まで示していただいて、またさらに推進していくという、我が党としては、私個人としても、本当に期待以上の御答弁をいただけたと思います。ありがとうございます。
次に、トラック、バス等の自動車運送事業の自動車運転業務については、荷主や客の都合による荷待ちや客待ちの時間が発生することなどを背景に、労働時間に係るルールが独特なものとなっており、従来から、労働省告示で、拘束時間に着目した基準が定められております。
本年三月二十八日に開催された働き方改革実現会議で策定、公表された働き方改革実行計画においては、自動車の運転業務については、労働基準法の改正法の施行五年後に、年間九百六十時間以内の時間外労働の上限規制が適用されることとされ、かつ、将来的には一般則の適用を目指すこととなっておりますが、当該業務の実態を踏まえ、長時間労働の是正に向けてどのような取り組みを考えているのでしょうか。
○石井国務大臣 委員御紹介していただいたとおり、自動車の運転業務につきましては、働き方改革実行計画におきまして、労働基準法改正法の一般則の施行期日の五年後に、年九百六十時間以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指すこととされました。この規制を実効性あるものとし、長時間労働を是正していくためには、今後、速やかに関係省庁と連携し、取引環境の改善や生産性の向上、人材の確保などを進めていく必要があるものと考えております。
このような取り組みに際しまして、関連制度の見直しや支援措置なども必要となることから、実行計画におきましては、政府といたしまして、関係省庁横断的な検討の場を設け、長時間労働の是正に向けた環境を整備するため、行動計画を策定することとされたところであります。
特にトラック運送業におきましては、下請取引の改善など取引条件の適正化、中継輸送などの生産性向上に向けた取り組み、荷主の協力を確保するために必要な措置などを実施することとしております。
国土交通省といたしましては、将来の担い手を確保する観点からも、荷主や利用者などの理解と協力を得ながら、長時間労働の是正にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○椎木委員 毎回ですけれども、御丁寧な御答弁、ありがとうございます。
次に、これまで、トラック業界全体でドライバー不足が深刻化しているとの観点から質疑を行ってまいりましたが、実は、自動車整備業界においても、この業界を目指す若者が十年間で半分に減り、整備要員の高齢化が進み、人手不足の状況であるとのことです。
自動車整備事業は、路上を走行する自動車を安全な状態に保つために、また、民間の活力を生かした車検制度の運用のために、大変重要な役割を担っております。整備業界においても機械によって自動化できる部分はありますが、必要な人材の確保は喫緊の課題であると考えます。国土交通省としてどのような施策を講じているのでしょうか、お尋ねいたします。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
自動車整備士は、適切な点検整備を通じて、自動車の安全と安心を守る重要な役割を果たしているところでございます。ただ、今委員御指摘のとおり、若者の整備業界に対する志望の低迷、あるいは高齢化、こういった問題が露呈しているところでございます。
さらに、業界団体が実施した調査では、整備士不足により事業に支障を来していると回答している整備事業者が全体の約一一%に達する、今、そういう状況にございまして、整備士の確保は重要な課題であると認識しているところでございます。
さらに、整備要員につきましては、女性の割合が約三%にとどまっている、こういった数字もございまして、先ほど申し上げました若年層に加えまして、女性を確保する取り組みについても重要であると考えているところでございます。
その際、スキャンツールの導入を初めとするIT化の進展などによって、整備士の仕事の内容も従来とは大きく変化し、業務環境も改善してきていることについて、しっかりとアピールするということが重要であると考えております。
国土交通省としましては、これらの点を念頭に置きつつ、関係団体とも連携し、各地の運輸支局長等が高等学校を訪問し、整備士の仕事の内容や業務環境をわかりやすく伝えるとともに、整備工場などにおいて実体験をしてもらう、こういった取り組みを全国各地で進めているところでございます。
また、整備士の確保のためには、その仕事の魅力を高める必要があり、そのためには、整備事業者の生産性を向上させ、収益力を高めることが必要不可欠であると考えております。このため、国土交通省では、整備事業者が高度化する自動車技術に対応するために、汎用の故障診断装置を導入する際の支援を行っているところでございます。
また、中小企業等経営強化法に基づく事業分野別指針を策定し、国土交通大臣の認定を受けた整備事業者に対しては、固定資産税の軽減や低利融資などの支援が行われているところであり、現在約二百件の認定件数をさらに拡大してまいりたいと考えております。
さらに、国土交通省と関係団体から構成される協議会を設置し、整備事業者の待遇改善や職場環境改善に関する先進的な取り組み事例の業界全体での共有を推進しているところでございます。
なお、開発途上地域等への技能等の移転を図ることを目的とした外国人技能実習制度において、三年の実習を可能とする職種として、昨年四月に自動車整備が追加されたところであり、この制度についても適切に運用してまいります。
国土交通省といたしましては、今後とも、これらの取り組みを通じて、自動車整備に係る人材の確保に努めてまいります。
○椎木委員 最後の質問になります。
自動車の自動運転は、交通事故の削減や地域公共交通の活性化等の課題解決に大きな効果が期待されると考えます。国土交通省においては、自動運転戦略本部を設置し、自動運転の実現に向けた検討を進めていると聞いております。
特に、地域公共交通の足の確保という観点から、自動運転車を導入することは、地域住民のみならず、国内各地へ訪れる観光客等にとっても有益なものと考えられます。
また、例えば交通量の少ない地域にカート等の小型の自動運転車を導入するのであれば、一般道への自動運転車の導入に比べて技術的な難易度は低く、その実現は比較的容易であると思います。
自動運転サービスの実現に向けて国土交通省はどのような取り組みを考えているのでしょうか、最後にお尋ねいたします。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
自動運転は、交通事故の削減や地域公共交通の活性化等の課題の解決に大きな効果が期待されております。国土交通省では、昨年十二月に大臣を本部長とする自動運転戦略本部を設置し、自動運転の実現に向けた環境整備、自動運転技術の開発、普及促進、自動運転の実現に向けた実証実験、社会実装のために必要な施策、こういったことに取り組んでいるところでございます。
御指摘の小型カートなどによる自動運転車両の導入につきましては、経済産業省との連携のもと、石川県輪島市等の四カ所においてことし夏ごろから順次実証実験を開始し、自動運転サービスの実現に必要な車両技術の検証を行う予定でございます。
また、超高齢化が進行する中山間地域における人流や物流を確保するため、国土交通省において、道の駅等を拠点とする自動運転サービスの実証実験をことしの夏ごろから順次開始する予定でございます。この実験箇所につきましては、四月二十五日に技術的検証を速やかに実施するための地域として五つの道の駅を選定するとともに、残り五カ所についても現在公募中でございます。
国土交通省といたしましては、これらの実証実験の成果も踏まえつつ、安全確保を前提に、住民や観光客の足の確保に資するよう、地域公共交通に自動運転を活用する取り組みを進めてまいります。
○椎木委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○西銘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十二分散会