第22号 平成29年5月31日(水曜日)
平成二十九年五月三十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西銘恒三郎君
理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君
理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君
理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君
理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君
青山 周平君 秋本 真利君
大塚 高司君 大西 英男君
加藤 鮎子君 勝俣 孝明君
金子 恭之君 神谷 昇君
木内 均君 工藤 彰三君
小島 敏文君 小松 裕君
國場幸之助君 佐田玄一郎君
鈴木 憲和君 田所 嘉徳君
津島 淳君 中谷 真一君
中村 裕之君 根本 幸典君
橋本 英教君 藤井比早之君
古川 康君 堀井 学君
前田 一男君 宮川 典子君
務台 俊介君 望月 義夫君
荒井 聰君 岡本 充功君
黒岩 宇洋君 小宮山泰子君
初鹿 明博君 松原 仁君
水戸 将史君 村岡 敏英君
横山 博幸君 伊佐 進一君
北側 一雄君 角田 秀穂君
中川 康洋君 穀田 恵二君
清水 忠史君 本村 伸子君
伊東 信久君 椎木 保君
野間 健君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
厚生労働副大臣 橋本 岳君
国土交通副大臣 田中 良生君
国土交通大臣政務官 藤井比早之君
国土交通大臣政務官 根本 幸典君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局次長) 川上 尚貴君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 山下 史雄君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 開出 英之君
政府参考人
(消防庁審議官) 猿渡 知之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 中井川 誠君
政府参考人
(厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長) 北島 智子君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 谷脇 暁君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 栗田 卓也君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 由木 文彦君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 奥田 哲也君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(観光庁長官) 田村明比古君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 勝俣 孝明君
大塚 高司君 小松 裕君
中村 裕之君 務台 俊介君
古川 康君 宮川 典子君
望月 義夫君 國場幸之助君
村岡 敏英君 初鹿 明博君
横山 博幸君 岡本 充功君
伊佐 進一君 角田 秀穂君
清水 忠史君 穀田 恵二君
椎木 保君 伊東 信久君
同日
辞任 補欠選任
勝俣 孝明君 青山 周平君
小松 裕君 大塚 高司君
國場幸之助君 望月 義夫君
宮川 典子君 古川 康君
務台 俊介君 中村 裕之君
岡本 充功君 横山 博幸君
初鹿 明博君 村岡 敏英君
角田 秀穂君 伊佐 進一君
穀田 恵二君 清水 忠史君
伊東 信久君 椎木 保君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 秋本 真利君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
住宅宿泊事業法案(内閣提出第六一号)
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○西銘委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、住宅宿泊事業法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・建設産業局長谷脇暁君、都市局長栗田卓也君、住宅局長由木文彦君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、観光庁長官田村明比古君、内閣府地方創生推進事務局次長川上尚貴君、警察庁生活安全局長山下史雄君、総務省大臣官房審議官開出英之君、消防庁審議官猿渡知之君、厚生労働省大臣官房審議官中井川誠君及び医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。本村賢太郎君。
○本村(賢)委員 民進党の本村です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、大臣に大きな問いを一つしてまいりたいと思います。
人々の旅に関する多様なニーズとスタイルが今あると思うんですが、また、それらに対して、インターネットの技術を駆使してサービスを提供される時代になってきたということは御承知のとおりであります。
このような時代における我が国の観光戦略について大臣はどのようにお考えになるのか、まずお伺いいたします。
○石井国務大臣 IT化の進展によりまして、個人で、インターネットやSNS等の新たなメディアを通じて情報を収集するとともに、オンラインで宿泊施設、航空券等の手配を行うなど、みずからの嗜好に合わせて旅行を組み立てる旅行者が近年ふえております。
こうした状況の中、観光による地方創生を実現するため、ITを活用しまして、地域の観光資源の魅力を効果的に世界へ発信するとともに、宿泊施設等における受け入れ環境を整える取り組みが重要と考えております。
このため、国土交通省といたしましては、観光ビジョン及びそれを踏まえました観光立国推進基本計画に基づきまして、パワーブロガーやSNSを活用したデジタルマーケティングの本格導入によりまして情報発信を強化するとともに、地方自治体やDMOとの連携強化によりまして地方の行うプロモーションの質の向上を図るほか、宿泊施設等のホームページの多言語化、WiFi環境の整備等に対する支援などに、関係省庁とも連携をいたしまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○本村(賢)委員 例えば、青春18きっぷを使った旅とか、壮年層が利用する旅のスタイルとか、多種多様な旅のスタイルがあると思いますので、観光立国を目指している我が国として、それぞれのニーズ、スタイルに合った制度設計が今後必要だと思いますし、また、ゴールデンルート以外への観光客誘致も今後期待をしてまいりたいと思っております。
次の質問に入ります。
我が国の観光戦略において民泊はどのように位置づけられているのか、それは旅館、ホテルの位置づけとはどう違うのか、お伺いいたします。
○田村政府参考人 近年の訪日外国人旅行者の増加に伴いまして、富裕層の方々やバックパッカーの方々など、多種多様な宿泊ニーズに応えられるような環境整備が求められているところでございます。
民泊につきましては、日本人と交流し、その生活を体験したいというニーズや、できるだけシンプルでリーズナブル、あるいは中長期の滞在に適した宿泊サービスを求めるニーズに対応するものでございまして、観光立国の推進の観点から、新たな宿泊モデルとして期待されるところでございます。
一方で、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックも見据えまして、旅館、ホテルは、日本の伝統文化や食、おもてなしを体験できるという点で、引き続き重要な役割を果たすものであると考えているところでございます。
○本村(賢)委員 低廉な宿泊費で日本のライフスタイルを体験できる民泊とか、日本のプロのおもてなしを体感できる旅館、ホテルといった違いがあるのかなと思いますが、民泊は、特に、航空業界のLCCのような新たな客層の需要喚起を起こし、業界の成長を促すという側面もありますことから、日本経済の成長戦略としても意味があるのではないかなというふうに思っております。
次の質問に入らせていただきます。
現在、訪日外国人旅行客のうちどの程度の人数が民泊を利用しているのか、お伺いいたします。
○田村政府参考人 いわゆる民泊につきましては、ここ数年、インターネットを通じ、空き室を短期で貸したい人と旅行者をマッチングするビジネスが世界各国で展開されておりまして、我が国でも急速に普及しております。
民泊の仲介サイトは、例えばエアビーアンドビーとか、エクスペディアの子会社のホームアウェイ、あるいは中国系の自在客、途家等がございますけれども、一部報道によりますと、仲介サイトの大手であるエアビーアンドビーを利用した訪日外国人の数は昨年一年間で三百七十万人を超え、日本全国で約四万八千件の物件を扱っているというふうにされております。
また、昨年における訪日外国人旅客数の伸びに比べまして、ホテルや旅館などの宿泊施設の宿泊者数の伸びが低い傾向となっていることから、民泊を利用して滞在している訪日外国人は相当数存在していると推定されます。
○本村(賢)委員 次に、民泊の現状について、よい点、悪い点がそれぞれあると思うんですが、どのように捉えているのか、お伺いいたします。
○田村政府参考人 先ほど申し上げましたように、近年の訪日外国人旅行者の増加に伴いまして、富裕層の方々からバックパッカーの方々まで、多種多様な宿泊ニーズに応えられるような環境整備が求められているところでございますけれども、民泊につきましては、さっきも多少申し上げましたけれども、日本人と交流し、その生活を経験したいというニーズ、それから、できるだけシンプルでリーズナブル、あるいは中長期の滞在に適した宿泊サービスを求めるニーズに対応するものだというメリットがあるわけでございます。
他方で、旅館業法の規制が必ずしも遵守されないまま実態が先行し、安全面や衛生面の確保がなされていない、騒音の発生やごみの放置などによる近隣トラブルが生じるなどの問題が発生していると認識をいたしております。
これらの課題を踏まえまして、健全な民泊の普及を図るために、本法案を国会に提出させていただいているところでございます。
○本村(賢)委員 次に、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の北原会長が雑誌のインタビューで、首都圏などでは新たなホテル建設が盛んに行われており、近々客室が過剰供給となることが確実でしょうと述べられております。ホテルの新築がふえており、客室は充足しているという話もこのように伺っておりますが、昨日、伊佐委員からも同様の質問があったように、旅館の稼働率は依然として高いとは言えない状況にございます。
こうした既存の資源を生かしていくことも重要と考えておりますので、旅館の空き室情報の提供、WiFi整備、トイレ洋式化などの整備、改修支援、旅館の名前のブランド化、海外に発信をされていくということをきのう副大臣からも御答弁いただいております。
ちょっと、ここは質問をやめて要望にとどめますが、ぜひ、既存の資源を今後も生かしていく御支援の方もお忘れなくお願いしてまいりたいと思います。
次に、特区以外で現在行われている民泊で、かつ旅館業法に基づく許可を得ていないものは、違法民泊という理解でよろしいんでしょうか。
○北島政府参考人 お答えいたします。
宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行う場合には、原則として、旅館業法に基づき、旅館業の営業許可を取得する必要があります。
したがいまして、特区民泊以外のいわゆる民泊サービスについて、現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば旅館業法に違反すると考えられますが、無許可営業に当たるかどうかは個別のケースごとに判断されるものと考えております。
○本村(賢)委員 きのうの中村委員の質問の答弁でも、旅館業法の許可を得ていたのが二千五百五件、無許可が四千六百二十四件、物件特定ができなかったものが七千九百八十八件ということで、一万二千六百十二件は許可を得ていない、いわゆる八三・五%が違法の可能性があるのかなということで、確認のため質問させていただきました。
次の質問に入らせていただきます。
違法民泊に対する取り締まり状況はどうなっているのか、なぜ違法民泊が横行しているのか、お伺いいたします。
○北島政府参考人 旅館業法上の営業許可を受けていない事案につきましては、平成二十七年度に都道府県等から千四百十三件の報告を受けておりますが、これら無許可営業者に対して、都道府県等において行政指導を行い、営業許可の取得や営業の取りやめ等の対応がとられているものと承知しております。
また、違法民泊の広がりにつきましては、近年、住宅等を一時的に宿泊事業で提供する者と旅行者をインターネット上でマッチングするビジネスが我が国でも急速に普及しておりまして、それに伴い、旅館業の許可を受けないで、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業が増加しているものと考えております。
厚生労働省といたしましては、違法民泊の広がりに対応するため、現行の旅館業法のもとにおいて、民泊サービスが旅館業法の許可のもとに適切に提供されるよう、昨年十一月に営業許可取得の手引を作成し、広く公表するとともに、各自治体における無許可営業施設への対応状況の把握に努め、また、現行法の遵守や悪質な民泊を対象とした取り締まり等の強化について、昨年九月に警察や自治体に協力を要請するなどの対応を行ってまいりました。
その上で、違法民泊等へのさらなる対応のため、無許可営業者に対する都道府県知事等による立入検査権限の創設や、無許可営業者に対する罰金の上限額の引き上げ等を内容とする旅館業法の改正法案を今国会に提出しているところでございます。
○山下政府参考人 警察では、いわゆる民泊を含めまして、旅館業法の無許可営業違反につきまして、平成二十六年中二事件、平成二十七年中五事件、平成二十八年中五事件を検挙しております。
旅館業法の適正な運用につきましては、第一義的には所管行政庁による指導、啓発が重要と考えておりますけれども、悪質な事犯につきましては警察として厳正に対処しているところであり、これまでも、行政の繰り返しの指導に従わない、暴力団が関与している、あるいは児童ポルノ事犯や薬物事犯の舞台になっているなど、悪質な事犯を取り締まっているところでございます。
○本村(賢)委員 昨日の中村委員の質問で、本法施行後は、指導や取り締まりの状況は改善され、違法な民泊が行われないようにできるのかという問いに対して、長官から、届け出制を導入、事業者、所在地を把握、届け出を出された住宅に玄関等への掲示を義務化して区別、ワンストップ窓口を設置、関係機関と連携を強化するため、情報を共有するためのシステムの構築、そして、厚労省からは、マニュアルの配布や無許可営業施設への現状把握、取り締まり強化、都道府県知事による立ち入り権限の創設、罰金引き上げの改正案を今国会に提出するなどとお話もあったわけです。
違法な民泊が行われないようにできる対策については、きのう長官からも大体御答弁いただきましたが、改めて大臣に、この法案施行後、指導や取り締まりの状況は改善されて、違法民泊が行われないようにできるのか、また、新たな質問としては、自治体の負担について懸念する声も聞こえてくるわけでありまして、適切な指導を行うため政府はどのような支援が可能なのか、お伺いいたします。
○石井国務大臣 いわゆる民泊につきましては、現状では、旅館業法の規制が必ずしも遵守されないまま実態が先行しておりまして、本法案におきまして、まずは、匿名性を排除するため、住宅宿泊事業を行おうとする者に対して届け出をしなければならないとしたところでございます。
また、住宅宿泊事業の適正な取り締まりを行うため、住宅宿泊事業者に対し、玄関等への標識の掲示を義務づけ、違法なものを峻別するとともに、今後、苦情対応窓口を設置し、適切に対応することとしております。
さらに、無届けで住宅宿泊事業を行っているものについては、旅館業法の無許可営業となりますが、別途、今国会で旅館業法を改正し、無許可営業者に対する立入検査に関する規定の追加や罰金の引き上げを行っていくことにより、これまで以上に厳格な対応を図っていくこととしております。
一方、自治体の負担軽減に関しましては、本法案の円滑な施行のため、国土交通省の予算におきまして、インターネット等による行政手続に係るシステムを構築の上、関係行政機関において情報を共有し、監督主体間の連携を図ることとしておりますが、関係地方公共団体におきましても、このシステムを活用することを通じまして、住宅宿泊事業に対する指導監督を効率的、効果的に実施できるものと考えております。
さらに、本法案の施行に当たりまして、十分な指導監督を都道府県等が行えるよう、人員の確保、体制の構築に対しまして、関係省庁とともに必要な措置を検討しているところでございます。
○本村(賢)委員 しっかりと指導取り締まりの状況が改善されるという点は、本法をつくる一つの意義があるわけであります。
きょう、新たな質問として、自治体の負担について懸念する声について御指摘をさせていただきましたが、現場で実際に指導に当たるのは地方自治体、保健所の皆さんでありまして、各自治体とも、人員削減に努めている中で新規業務がふえることとなるわけでありまして、適切な指導を行うためには、人員確保、体制確保に努める必要があるということも御指摘をしてまいりたいと思います。
次の質問に入らせていただきます。
次は、ホームステイ型、家主不在型の区別など、運用していく中で課題が明らかになった場合には、速やかにルールの見直しを行っていくべきだなというふうに考えております。
特に、訪日外国人旅客が急増しており、二〇一九年にラグビーワールドカップ、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが控える中では、附則四条にある三年を待たずに見直しをしていくべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
○田村政府参考人 我が国で急速に拡大する民泊を初めとするシェアリングエコノミーの分野は、新しい産業でございまして、今後、状況が大きく変化していくというふうに考えられます。
また、安全面、衛生面、近隣トラブルへの対応や、訪日外国人旅行者の動向などにつきましては、短期間での状況変化が想定されますとともに、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックへの対応を見据えまして、この法案の附則第四条におきまして、本法律案の施行後三年を経過した場合において、検討を加え、必要に応じて措置を講ずることとしているところでございます。
その上で、それ以前に必要が生じた場合には、所要の措置を講ずることはあり得るというふうに考えております。
○本村(賢)委員 この質問は大臣に通告していたわけでありまして、大臣、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 今、長官が答弁したとおりで、法律案には、施行後三年を経過した場合において、検討を加え、必要に応じて措置を講ずるとしておりますが、それ以前に特段の必要が生じた場合には、所要の措置を講ずることはあり得るというふうに考えてございます。
○本村(賢)委員 多様なニーズが生まれてくるに当たって、新たなサービスが提供されてくるのは理解しておりますけれども、国民の安全、安心の確保を前提として、規制緩和していくべきものは規制緩和していくことが必要だと思いますが、他方で、何でも規制緩和してよいということではないと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。
○石井国務大臣 規制緩和は、国民の安全、安心の確保を前提として行うべきものであると認識しております。
いわゆる民泊につきましては、住宅に人を宿泊させるというサービスの性質に着目したルールの整備が十分でないこと等から、旅館業法の規制が必ずしも遵守されないまま実態が先行し、安全面、衛生面や近隣トラブルなど、問題が発生しているところでございます。
本法案は、このような背景から、住宅宿泊事業に届け出制を導入して、標識の掲示義務を掲げるなどによりまして適切な監督を行うとともに、安全面、衛生面や近隣トラブルの防止の規定を設けるなど、民泊に関する一定のルールを定めるものであります。
適切な規制を行いつつ、本法の施行を通じまして、健全な民泊の普及に取り組んでまいりたいと考えております。
○本村(賢)委員 シェアリングエコノミーには、民泊を初め、個人の所有する物を共有するサービス、空き駐車場スペースを利用するサービス、そしてライドシェアなども含まれているわけでありまして、規制緩和を必要としているものは多いわけでありますが、ニーズがあれば何でも規制緩和するのではなく、国民の安心、安全が大前提に必要だということを御指摘してまいりたいと思います。
最後に、民泊、今、大臣や参考人の皆さんからもいろいろお話をいただいてまいりましたが、シェアリングエコノミー市場は、各国合計で、二〇一三年に約百五十億ドルだったものが、二〇二五年までには約三千三百五十億ドルに拡大すると予想されておりますし、日本でも、二〇一四年度に二百三十三億円だったものが、二〇一八年度までには四百六十二億円に拡大されると予想されておりまして、シェアリングエコノミーに対する注目も大変多いわけでありますが、このような流れの中で、いわゆるライドシェアを解禁するようなことはないのか、大臣にお考えをお伺いいたします。
○石井国務大臣 自家用車を用いたいわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としております。
国土交通省といたしましては、このような形態の旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護の観点から問題がありまして、極めて慎重な検討が必要と考えております。
○本村(賢)委員 五月二十三日に規制改革推進会議が政府に答申を出した中で、自家用自動車による運送について触れられておりまして、今回はライドシェアについて書かれたものではなかったものの、ライドシェアにつながるものではないかという懸念もあります。ライドシェアは、利用者に新たなニーズが生まれたものではない、シェアリングエコノミーというよりも単なるギグエコノミーという問題点を指摘させていただきまして、質問を終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、初鹿明博君。
○初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。
済みません、ちょっと夏風邪を引いたようで、こんな声でお聞き苦しいと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
ふだんは私、厚生労働委員会に所属しているんですが、きょうは、民泊は旅館業と重なる部分もあるということで、厚生労働委員会からこちらに出張させていただきまして質問させていただきます。
私の民泊新法に対する考え方を最初に表明させていただきます。
基本的に、ホームステイ型の、家主がいて、自分の家のあいているところに外国人の観光客を泊めるということは、日本の文化を知ってもらうということにもつながるし、外国人との交流ということも進んでいって、このことは、私は、いいのではないかなというふうに思っております。
しかし、その一方で、家主不在型で、例えば、もともとマンションだった集合住宅を丸々民泊の施設にしていって外国人の観光客を泊める、そういう施設については、旅館業と一体何が違うのかということで非常に疑問を持っていて、また、防犯上や安全対策上十分なのかということで、こちらについてはいささか懐疑的に見ているということをまず冒頭お話しさせていただきます。
まず、民泊の新法が出るということで、いろいろネットで見てみたんですね。恐らく、皆さん方も、今、どこかに出張でホテルをとろうというと、ネットで調べてとる方が多いんだというふうに思います。民泊もその中の一つだと思うんですが、それで見ていったときに、例えばウイークリーマンションとかマンスリーマンションとか、そういう形態のものがあって、これは一体どういう営業形態なのかなと首をかしげてしまうようなものも、見ていくとあるんですよ。多くは旅館業の許可をとっているということですけれども、中には、どう考えてもこれは、賃貸住宅、短期賃貸マンションと銘打ってお客さんを集めていて、本当に旅館業をとっているのかな、そもそも旅館業なのかなと疑問を感じるような、そういうものも見つけられるわけであります。
そこで、まず前提条件として伺いますけれども、ウイークリーマンションとかマンスリーマンションとか、業者さんは短期賃貸マンションだというような打ち出し方をしているんですが、こういう短期賃貸マンションというものは、旅館業の許可を受ける必要はあるんでしょうか。
○北島政府参考人 お答えいたします。
旅館業法上、施設の管理や経営形態を総体的に見て、施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められる場合等に、簡易宿所営業等の旅館業に該当し、旅館業の営業許可が必要となっております。
ウイークリーマンション及びマンスリーマンションの実態について厚生労働省といたしましては把握してはおりませんが、旅館業に該当するかどうかにつきましては、個別の事案ごとに判断されるものであり、一般的には、主に一週間程度の利用が想定されるウイークリーマンションは、客室の衛生管理を営業者が行っている例が多いと考えられることなどから、この場合には旅館業に該当することとなりますし、一方、主に一カ月程度の利用が想定されるマンスリーマンションは、客室の衛生管理は入居者みずからが行っている例が多いと考えられることなどから、こういった場合には賃貸業に該当するものと考えております。
○初鹿委員 一週間だったら旅館業で、一カ月ぐらいだったら賃貸マンションだということで旅館業の許可は必要ない、そういうお答えだったんですが、調べてみると、必ずしも一カ月という区切りをしているわけじゃなくて、一カ月の場合もあるし、一週間の場合もあるし、中には一泊からオーケーなんというところもあるわけですよ。
先ほど、衛生管理を客の方がやっているのか、それとも事業者がやっているのか、そういう説明をされておりましたけれども、一週間単位のウイークリーマンションでも、完全に衛生管理を客がやっているようなところはたくさんあると思います。
私も、もう随分前、二十何年も前ですけれども、当時よくCMをやっていたウイークリーマンションに行ったことがあります。そこは、管理人も何もいなくて、鍵だけもらって、たしか簡易ベッドとテレビか何かだけが置いてあったと思いますが、そこは、一日であろうが二日であろうが、宿泊しているお客さんが全部管理をしていたと思います。清掃とかは、出ていった後に事業者の方がやっていたと思いますが、そういう状況なんだと思うんですね。
今、実態を把握していないというお話がありましたが、私はやはり、ウイークリーマンションとかマンスリーマンションの実態もきちんと把握しないと、民泊の新法で届け出するものと、ウイークリーマンションだとかマンスリーマンションだとかいって許可も届け出も得ていないものとで、非常に差が出てしまうんじゃないか、そもそも真面目に旅館業として許可をとってやっている人と差が出てしまうんじゃないかと思うんですが、戸数の把握、戸数というか件数というんでしょうか、きちんと許可をとっているもの、とっていないものの把握はできているんでしょうか。
○北島政府参考人 短期賃貸住宅として、旅館業に該当するにもかかわらず旅館業の許可を取得せずに無許可営業している事案の数につきましては、把握できておりません。これら無許可営業者に対しては、把握できた場合には、都道府県等において行政指導を行い、営業許可の取得や営業の取りやめ等の対応がとられているものと承知しております。
○初鹿委員 何か、やった者勝ちみたいになるような答弁になっているので、民泊の新法をつくるからには、やはり、脱法行為になっているんじゃないかというような、短期賃貸マンションと称して、ほぼ、観光客とか一時的に借りているような人を対象にしているような、そういうものについては、きちんと許可をとるように促した方がいいと思います。ここは徹底していただきたいと思います。
なぜそういうことを言っているかというと、今回の民泊新法だと、営業日数が百八十日と区切られるわけですよね。そうなったら、事業者としてみれば、届け出をしちゃったら百八十日しかお客さんを泊められないということになったら、無許可でウイークリーマンションをやった方がいいという判断になると思います。そうなったら、そもそもこの法律をつくる趣旨から外れてしまうんじゃないかと思いますが、その点はいかがなんでしょうか。
○北島政府参考人 住宅宿泊事業の届け出を行った事業者が、住宅宿泊事業を行わない期間に、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法上の無許可営業になるおそれがあると考えております。
無許可営業に当たるかどうかにつきましては、個別のケースごとに判断されるものではありますが、一般論として、仮に旅館業法違反が確認された場合には、都道府県等が適切に指導監督するものと考えております。
○初鹿委員 では、ちょっと違う視点でお伺いします。
民泊の届け出をしました。百八十日間は、お客さんをきちんと民泊としてとるんですね。では、残りの約百八十日、これは、短期賃貸マンションとして、長期の、三十日とか四十日とか百八十日とか、そういうお客さんと賃貸契約を結ぶ、そういう事業形態は可能なんでしょうか。
○北島政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、旅館業に当たるかどうかというところにつきましては、衛生管理と清掃などを事業者側がするかどうか、また、宿泊者がそこに本拠地を移すかどうかなど、個別の事案に応じて、宿泊業に当たるかどうかを判断させていただくこととなると考えております。
旅館業に当たるような行為を……(初鹿委員「旅館業のことを言っているんじゃないですよ。民泊の届け出をしてですよ」と呼ぶ)
○西銘委員長 答弁を聞いてから。
○北島政府参考人 旅館業に当たるような行為、または、民泊を百八十日以上、定められた期間以上に実施している場合については、無許可営業として取り締まることとなると考えております。
○初鹿委員 では、百八十日間民泊で使って、残りの百八十日間は全くあけたままじゃないといけないということになるんですか。私はそうじゃないと思いますよ。そこは、賃貸事業者として、三十日とかの契約、六十日の契約で貸し出すことは、この法律は妨げていないと思いますが、いかがですか。
○田村政府参考人 御指摘のとおり、百八十日以下の範囲で住宅宿泊事業の用に供し、残りの期間につきましては賃貸住宅として用いるということは、当然あり得ると考えております。
○初鹿委員 これが認められているということになると、では、その賃貸契約を結ぶ人がどういう意図を持って結んだかによって判断が分かれる、そういう主張ですよね。これは非常にグレーだと思いませんか。
百八十日の営業時間と言うけれども、何月何日から何月何日までの百八十日間と決めるわけじゃないですよね。予約を受けたごとに、それで日数を足していって、年間百八十日を超えたらこれ以上泊められないということなんだと思います。
では、普通に観光客で三十日間そのまま泊まりたいですよといった場合に、これは民泊としてじゃなくて短期賃貸契約として結んだとしたら、百八十日プラス三十日の二百十日は、これは、事実上、民泊という形での営業ができてしまうということになりませんかということを私は心配しているわけであります。
短期賃貸住宅として貸し出すということについても、やはり旅館業の許可というものをきちんととっていくということが必要なんだと私は思いますよ。三十日以上だったら住宅としての契約だという主張をされていますが、そうじゃないケースが圧倒的に多いと思うんです。
それと、もう一つ指摘させていただきたいのは、では、あいている百八十日を誰かが借ります、百日とか借ります。その人が自分で募って、そこに別の人を泊めていくようなことをすることも可能になりますよね。これは明らかに脱法行為でいいんですよね、借りた人が又貸しをするという場合。
○田村政府参考人 御指摘のとおりだと思います。
○初鹿委員 こういうことを、泊まっている人の実態がわからないと違法かどうかわからないみたいな、そういう運用だと、私は、現場は結構困ると思いますよ。
私が不動産業者だったら、マンションに空き室が多くなってきて、これは、民泊という新法ができたから、ここに活路を見出そうと思ってやり始めます。百八十日間は民泊で出す、残りの百八十日間、やはりどうにかして収益を得ようと思ったら、これは賃貸住宅だという位置づけをして、長期に借りてくれる人だけを募集するという形で、そういう募集をする。でも、実際にはほとんど観光客が使うみたいなことになりかねないので、ここは、きちんと徹底して、脱法行為が行われないようにしていただきたいと思います。
もう一つ心配なのは、家主不在型の場合、管理業者が管理するということなんですが、予約をした人と実際に泊まる人が同一人物かどうかという確認が本当にきちんととれるのかということなんですよ。
これは、なぜ言うかというと、やはり、予約した人が善意の人だったらいいんですけれども、必ずしもそうではない。例えば、泊まることができないとか、名前を出せないような人が住まいに困っている、それを、かわりに泊まる場所を確保するために予約して、実際にそこに泊まるのは、不法滞在者であったりとか、または、場合によっては犯罪にかかわるような人が泊まるというようなことがないようにしなきゃいけないと思います。
家主不在型で、宿泊予約をした人と実際に泊まる人の確認をどのように行うつもりでいるのかをお答えいただきたいと思います。
○藤井大臣政務官 本法案におきましては、家主不在型の住宅宿泊事業では、住宅宿泊事業者からの委託を受けた住宅宿泊管理業者に対して、宿泊者名簿の備えつけの義務を課すこととしております。宿泊者名簿の記載に当たりましては、宿泊者の氏名、住所、職業等が実際に宿泊する者の情報と同一かつ虚偽でないことを担保するため、旅券の提示を求める等により本人確認を行うとともに、それが対面またはそれと同等の手段で行われる必要があります。
特区民泊におきましては、カメラを用いた映像を通じ、遠隔で本人確認を行うといった事例が出てきているところでありまして、ICTを活用したこのような方法も含め、本人であることの確認をしっかり担保してまいります。
なお、本人確認が適正に行われていない場合には、業務改善命令の対象となる可能性があり、業務改善命令にも従わない場合には、業務停止命令または登録取り消し処分の対象になる場合もあります。仮に宿泊者が故意に虚偽の氏名等を告げた場合には、罰則として、当該宿泊者は拘留または科料の対象となります。
○初鹿委員 カメラとかで確認するということですけれども、カメラで確認するときは予約をした人が確認をとるけれども、実際に泊まる人は別の人ということは起こり得ることであって、ホテルとか旅館だと、フロントがあるから、ある程度そこには抑止力が働くんだと思いますが、そういうものがない中できちんとそれが徹底できるのかというのは、私は非常に疑問なんだと思います。
今、ICTを活用するというお話もありましたが、本当に本人である、予約した人が次に夜中に帰ってきたときも、同じ人がそこに入る、別の人は入れないというような工夫をきちんとしないと、私は、これは本当に犯罪とかそういうものの温床になりかねないというふうに思いますので、そこはきちんと徹底していただきたいということを指摘させていただきます。
少し話はかわりますが、今月、五月七日に北九州で六人が死亡するアパートの火災がありました。この火災のニュースを見ていると、そこに入所している方、生活保護の方とか生活困窮者が多かったんですが、北九州市からのあっせんで入っている人もいるんですけれども、一日単位で家賃を払うような契約になっていた人もいるということなんですね。
アパートで一日単位の契約というのは、非常に不可解ですよね。これは、旅館業法で言う簡易宿所に当たるのではないかというふうに思いますが、この辺はいかがなんでしょうか。アパートで、一日単位のこういう契約というのは成り立つんでしょうか。
○北島政府参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、旅館業法上、施設の管理や経営形態を総体的に見まして、施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められる場合等に、簡易宿所営業等の旅館業に該当するとしております。
火災のありました中村荘につきましては、北九州市が事業者から聞き取り調査を行い、客室の衛生管理は入居者みずからが行っていることなどから、簡易宿所営業には該当しないと判断したと報告を受けているところでございます。
○初鹿委員 ちょっと時間がなくなったので、この問題は、次は厚労委員会で、旅館業法のときにもうちょっとやりたいと思います。
最後に、大臣、今申し上げたとおり、やはり百八十日の日数を賃貸住宅だということで脱法行為が行われることも想定されますし、出入りを、本当に本人確認がきちんとできるかという不安もあるわけですから、この運用に当たっては、脱法行為が行われたり、防犯上また治安上問題がないような運用を徹底していかなければならないと思いますが、その決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。
○石井国務大臣 今回の法案におきましては、住宅宿泊事業を届け出制とするとともに、安全、衛生面の確保、近隣トラブルの防止、宿泊者名簿の備えつけなどの措置を求めております。
また、適正な取り締まりを行うため、玄関等への標識の掲示を義務づけ、違法なものを峻別するとともに、情報共有のためのシステムの構築や苦情対応窓口の設置を通じ、関係行政機関が連携して厳格に対応することとしております。
さらに、無届けの民泊は旅館業法の無許可営業となりますが、別途、今国会で旅館業法を改正し、無許可営業者に対する立入検査の規定の追加や罰金の引き上げを行うことにより、これまで以上に厳格な対応を図っていくこととしております。
今後、本制度の厳格な運用を通じて、健全な民泊サービスを普及させてまいりたいと考えております。
○初鹿委員 徹底的によろしくお願いします。
○西銘委員長 次に、岡本充功君。
○岡本(充)委員 民進党の岡本です。
きょうは、国土交通委員会で質問の機会をいただきました。ありがとうございます。
住宅宿泊事業法案ということでありますが、まず、通告している順番とはちょっと違いますけれども、特区で民泊をやっていた、国家戦略特区でやってきた民泊、東京都大田区などでやっていたという話でありますが、どういう課題があって、その課題に対してどのようにこの法案へフィードバックというか、課題を反映させているのか、その点について御答弁いただけますか。
○田村政府参考人 特区民泊の制度は、国家戦略特別区域内に限り、条例で定めた期間以上、一定の要件を満たす施設を提供する場合に、旅館業の許可を受けなくても民泊サービスの提供を可能とするものでございます。
現在、東京都大田区において実施されている特区民泊では、旅館組合と密接に連携を行っておりまして、組合所属の近隣ホテルと業務提携を行い、本人確認や鍵の受け渡しを実施している例があると承知しております。
住宅宿泊事業における住宅宿泊事業者とこういう既存の旅館、ホテルとの連携につきましては、いろいろな業務を旅館、ホテルが受託するということも想定されるところでございますけれども、こういった例も踏まえまして、よりよい制度運用に努めていきたいと考えております。
これまでのところ、特区民泊において大きなトラブルが生じているという報告は受けておりません。
○岡本(充)委員 きょうは内閣府にも来てもらっていますから、どうなんですか、これは課題があったんじゃないんですか、大きなものはないと言われましたけれども。
その課題についてどのように整理しているのか、お答えいただけますか。
○川上政府参考人 お答え申し上げます。
特区民泊の課題についてのお尋ねでございますけれども、もともとこの特区民泊は、当初、最低利用宿泊日数が六泊七日以上とされておりまして、この点につきまして、大阪市や民間事業者から、引き下げるべきとの御提案をいただいてまいりました。
これを受けまして、昨年十月には、近隣への適切な事前説明などを前提として、二泊三日まで引き下げる見直しを行ったところでございます。これによりまして、全国で初めて日数の引き下げを行った大阪市では、引き下げ前と比べて、認定件数に顕著な伸びが見られております。
加えまして、この特区民泊につきましては、宿泊者名簿の備えつけにより犯罪利用を防止するとともに、近隣住民への説明や苦情窓口の設置などにより丁寧な近隣住民対策等も行っておりまして、先ほど観光庁の方からもお話がございましたとおり、現在、事業実施に当たって特段の問題は生じていないというふうに認識しているところでございます。
○岡本(充)委員 いろいろな課題があると私は思っていまして、今回の法案に基づいて少しずつ疑問点を聞いていきたいんですが、家主が不在型の民泊というのは、賃借人の募集が行われていて、なおかつ民泊に供するということですが、そもそも、民泊に供するということをしている間に借りたいという人が出てくる、サブリース契約などを別の事業者と結んでいて、その期間中に借りたいという人が出てきた場合の権利義務関係はどのように整理がついているのか、お答えをいただきたいと思います。
○田村政府参考人 本法案におきまして、住宅は、「現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の用に供されていると認められるもの」として国交省令、厚労省令で定めるものに該当することと規定されているところでございます。
人の居住の用に供されているものとしては、いわゆるホームステイ型のようなものもございますけれども、賃貸マンションの空き室や、空き家となっている賃貸戸建て住宅におきまして賃貸借契約の合間に宿泊契約を行うもの、あるいは分譲用戸建て住宅において分譲販売中に宿泊契約を行うもの等が想定されているところでございます。
このように、賃貸の募集または分譲の募集は住宅宿泊事業を行うための要件でございまして、住宅宿泊事業は、募集の期間内に一時的に行うものであることが前提となっているものでございます。
このため、住宅宿泊事業に係る宿泊予約が入っている日に賃借人があらわれた場合には、交渉の上、例えば宿泊を断るというような方法も想定されますけれども、実際には、賃借人の入居可能日をおくらせたり、あるいは宿泊者に対して別の部屋を提供したりするなど、住宅宿泊事業者が宿泊者、賃借人のそれぞれに対して調整を行うということが想定されるところでございます。
いずれにいたしましても、住宅宿泊事業は、募集の期間内に一時的に行うものでございまして、住宅宿泊事業者は、賃借人が入居することを前提に住宅宿泊事業を実施することが必要であるというふうに考えております。
○岡本(充)委員 いやいや、長官、そこが重要なんですよ。泊まりに行ったら、その日はもう既にどなたかが入居者として入る日になってしまっていた、かなり前から予約をしていたけれども、例えば、訪れてみたら、そこはもう既に賃貸住宅として賃貸借契約が結ばれているというような状況になったとき、これは、ほかの宿泊施設を紹介する義務を誰かが負うのか負わないのか、義務を負う者がいるのかどうか、そこをはっきりしてください。
○田村政府参考人 個別の事案に応じて、相手との間で交渉の上、いろいろな対応がなされるものと考えられます。
○岡本(充)委員 大臣、今のを聞いてもらえましたか。結局、行ってみたら、ここは賃貸借マンションとして契約がもうできていますと。例えば、一カ月前、二カ月前に予約しました。行ってみた。でも、そこは契約されてしまって、誰かが賃貸借契約で住んでいたら、これは、誰が義務を持ってほかの宿泊施設を紹介するか、はっきりしていないんですよ。
では、旅館業法ではどうなっていますか。万一、宿泊できない場合には、誰が代替の宿泊施設を紹介する義務を負うんですか。それも個別ですか。
○北島政府参考人 旅館の営業者とそこに泊まる宿泊者との契約関係で行われるものと考えております。
○岡本(充)委員 つまり、宿泊者の瑕疵によらず宿泊ができない場合には、事業者がほかの宿泊する場所を探す義務を負っているわけですよね。そこを確認したいです。どうですか。
○北島政府参考人 そこは、民民の関係で、もともと申し込みを受けたところの契約関係で、通常は旅館が手配するものと考えております。
○岡本(充)委員 そうなんですよね。通常は旅館が手配するんです。
これが、個人でそういう話になって、いや、私、そんな、ほかの宿泊所は紹介できませんと言われたときに、大臣、泊まる人は困るんですよ。
これは、施行するまでにきちっと整理するべきだと考えますが、大臣、いかがですか、今の話を聞いて。
○石井国務大臣 ちょっと研究させていただきたいと思います。
○岡本(充)委員 これは一つ目の大きな問題点だと私は思っていますね。
要するに、賃貸の募集を現にしているという要件をかけているからこういう話が始まるわけなんです。かけるなと言っているわけではないけれども、権利義務関係をはっきりさせるべきだという話をしています。
その上で、消防施設についても少し疑問でして、五十平米以下の家主居住型、貸し付ける部分が五十平米以下には、火災の際に、もしくは非常時に必要となるような照明や連動型の警報器の設置を求めない、こういうことでいいですか。
○由木政府参考人 お答えいたします。
届け出住宅におきましては、部屋の構造を熟知していない宿泊者が滞在することが想定されることから、火災が発生した場合の円滑な避難を確保するため、本法案におきまして、住宅宿泊事業者に対する義務といたしまして、火災時に停電が起きた際にも宿泊者が円滑に避難経路を認識するための非常用照明器具の設置、それから、異なる宿泊室で生じた火災を宿泊者がいち早く覚知するための連動型の警報器の設置を求めることとしております。これによって、届け出住宅においても、ホテル、旅館等と同様の安全性を求めたいと考えております。
なお、お尋ねございました、家主居住型で、かつ、宿泊部分の面積が小規模な、今、五十平米以下でどうだろうかと検討しておりますが、こうした形の民泊につきましては、家主による火災時の応急対応が期待できますことから、これらの設備を求めないという方向で今検討を進めているところでございます。
○岡本(充)委員 その家主の応急対応は、家主に課せられた義務ですか。それとも、期待をしているだけであって義務ではない、火災になって家主がイの一番に逃げてしまう、その場合には家主に義務違反ということが生じるのかどうか、ここもはっきり聞きたいと思います。
○田村政府参考人 家主居住型の住宅宿泊事業が行われる住宅においていろいろなトラブルが発生した場合に、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため、住宅宿泊事業者が各トラブルに対応すべきであるというふうに考えております。
火災の際の避難誘導というのも、これは、宿泊者の安全の確保を図るため、避難経路の表示等の措置を講じるということは住宅宿泊事業者に義務づけられているところでございます。
○岡本(充)委員 では、消防庁に確認しますけれども、普通のおうちで、宿泊室から外に出たら玄関が見えるような場合にはいわゆる避難経路の表示の義務はない、これは事実ですね。消防庁、確認です。
○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
消防法令に関してお答え申し上げますが、いわゆる民泊は、住宅宿泊事業として住宅に人を宿泊させる事業でございますので、施設の事情に不案内な方々が宿泊する上、こんろ等のふなれな火気使用設備を用いている場合もあり、出火のおそれが高まることが想定されております。したがって、民泊に対する消防法令の適用につきましては、ホテル、旅館等と同等に取り扱う必要があるということでございまして、この場合、設置が求められる主な消防設備につきましては、自動火災報知設備や誘導灯、消火器等がございます。
なお、家主が居住している住宅で民泊を行う場合、民泊部分の面積が小規模である場合には、一般の住宅と同等の取り扱いということで、住宅用火災警報器の設置が求められるということになってございます。
○岡本(充)委員 避難誘導灯は要らないということなんですね。
今回、家主居住型で小規模な宿泊面積の場合には何でこうした措置を求めないこととしているかというと、避難誘導することを期待すると先ほど言われた。だけれども、これは義務なんですかということをはっきり聞きたいんです。避難誘導することを期待しているだけで、イの一番に家主が逃げたとしても、それは何ら責任を問われるものではない、そういう理解でいいんですか。そこを確認したいと思います。
○田村政府参考人 繰り返しになりますけれども、住宅宿泊事業者には、宿泊者の安全を確保するために、避難経路の表示等の措置を講じることが義務づけられているわけでございますので、いざというときに、小規模な宿泊面積のホームステイ型のような場合には、宿泊者を誘導するということについては、やはりここで求められることになるというふうに思います。
○岡本(充)委員 これは法律の用語ですから、きちっと言ってください。求められるというだけじゃなくて、それは義務として課せられるのか。つまり、家主としては、こういった事業をやる以上は、こうした義務があるということを認識させるのかどうか、そこが重要なんですよ。法律用語なんですから。義務なんですか、努力義務なんですか、それとも、努力義務も課されていないんですか。法文上どうなっていますか。
○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
消防法におきましては、火災が発生した建物の所有者、管理者等につきましては、消防隊が火災の現場に到着するまでの間、消火、延焼の防止、人命の救助といった応急対応を行わなければならないということにされてございます。
しかしながら、この応急対応の義務づけにつきましては、これらの者が応急対応しなかった場合についての罰則規定まで設けられているものではございません。
○岡本(充)委員 それは一般の建物なんです。私が聞きたいのは、今回の法改正で、こうした家主居住型で民泊業をやる、業を営む者に対する規制はこの法文上かかっていますかということを聞いているから、観光庁長官が答えるべきだと思います。
○田村政府参考人 お尋ねの点につきましては、法文上は明記されていないというふうに考えております。
○岡本(充)委員 私も見ましたよ。法文上、書いてないんです。つまり、先ほど、期待すると言われたけれども、どこかの委員会でも同じような話をしたんですけれども、期待をしてお祈りする、この程度の話であって、本当に避難誘導がなされるかどうか、はっきりしない。
ましてや、場合によっては、言語が異なる人が来ている中でどのように誘導するのかということを考えると、これはやはり課題があるんじゃないか。火災が起こって何人もの方が亡くなってから、避難誘導をせず、多くの方が亡くなったという話が出てくることを大変恐れています。
これも、大臣、小規模が五十平米以下、話によると、八畳の部屋が四つか五つか、そのぐらいあるおうちより小さいということは、ほとんどのおうちが大体これの対象になってくるんじゃないかと思います、一般的なおうちとしては。そういう意味では、これは、五十が本当にいいのか。
もっと言えば、今言ったように、家主の義務のあり方についても検討するべきじゃないかと思います。
そういう意味で、もしそれが難しいなら、小規模であっても、きちっとした、旅館業と同様の避難誘導灯なり、もしくは宿泊時の説明の義務を課すなり、何らかの対応をとるべきだと考えます。これも検討していただけますか、施行までに。
○田村政府参考人 検討させていただきます。
○岡本(充)委員 ぜひまた検討結果を教えていただきたいと思います。これは、本当にはっきりさせておかなきゃいけない話だと思います。
さて、もう一つ、住宅の宿泊仲介業、業として仲介をする者が出てくるわけでありますが、業として仲介をするというのは一体どういうイメージなのか。大規模にインターネットのサイトでもつくって、そして民泊を紹介しますよということでなりわいとする、これは業として想定します。
しかし、民泊というのは小規模です。泊まってみて、ここはよかったよと、例えばブログなりSNSで書いて、そして、そこにアクセスしてきた人たちに紹介する。こういう形で、ある意味、その宿泊施設に特化して、もしくは少数の宿泊施設に特化して、小規模に仲介業を営む者も可能になるんだろうと思います。つまり、そこで手数料を取るなり、ある意味、仲介業としてのさまざまな仕事をする人が出てくる可能性がある。
そのときに、これも課題があると思っています。今回、そうした業を営む者はきちっと制限をかけると言ってはいますが、例えば、この者が海外にいた場合などには、きちんと登録しなさいという、そのお知らせすら届けることができないじゃないか、ブログやSNSでやっていたら、どこに住んでいるかもわからない、郵送では届かない、そういうような形態も想定されると思います。
そういう意味で、昨日、私の部屋で議論をしたときには、独占禁止法のいわゆる文書の通達と同じような方法で対応をとると言われましたが、独占禁止法がかかるような企業は大企業ですから、そんな、個人の小さなSNSやブログに独占禁止法がかかることは想定されませんので、そういう答弁ではなくて、実務的にどうするのか、ここについてお答えいただきたいと思います。
○田村政府参考人 外国の住宅宿泊仲介業者に対しましては、業務改善請求、業務停止請求を行う場合があるわけでありますけれども、今先生御指摘のように、外交ルートを通じて相手国の合意を取りつけて、日本の在外公館等を通じて、その外国の事業者に対して書類を送達する方法でありますとか、日本において受領権限のある代理人を選任してもらって、この代理人に国内で書類を受領させる方法、いずれかの方法をとることが考えられます。
仮に国内に拠点を持たないような小規模な事業者の場合でありましても、登録の際に当該事業者の商号、住所等を把握しておりますことから、その情報をもとにこれらの請求に係る書類を送達したことをもって、請求を行っている状態にあると考えております。
それから、外国の住宅宿泊仲介業者がこれらの請求に応じなかった場合には登録を取り消すこととしておりますけれども、本法案におきましては、住宅宿泊事業者に対しまして、登録を受けた住宅宿泊仲介業者への委託義務を課しております。このため、登録を取り消された外国の住宅宿泊仲介業者は、物件の提供を受けられず、市場から淘汰されるということで、規制の実効性を担保することといたしております。
○岡本(充)委員 家主は、その者が登録しているかどうか、もっと言えば、単なる友達と思っているかもしれませんよ。友達が紹介してくれる、登録事業者ということではなくて、よく紹介してくれる友人だと思うかもしれない。さまざまな形態がある。したがって、これも私は整理をする必要があると思います。
海外において、小規模で、なおかつ、今のお話で、明らかに業として行うような会社形態をとらない、個人で、ブログやSNSで、いいねといって紹介しているような範疇で、これを、登録していないから、では、登録しなさいという、その送達すらできないわけです、SNSやブログでは。そういう意味で、これはどのように対応するか、これも検討が必要だというふうに指摘をしておきたいと思います。
最後に、誇大広告についてです。
実際、仲介業者が、ある意味大変誇大な広告をしたとして、要するに、顧客誘引性のある内容で広告をした、これについてはどのような形で規制をしていくのか、そして改善を求めていくのか、その法律上のツールについてお答えをいただきたいと思います。
○田村政府参考人 一般に、広告は、消費者に、その商品を購入すること、またサービスを利用することを訴求するものであることから、不当景品類及び不当表示防止法により、著しく事実に相違する表示または実物よりも著しく優良あるいは有利であるような表示をすることは禁止されております。
住宅宿泊仲介業につきましても、同様に、この不当景品類及び不当表示防止法による規制を受けることとなりまして、事実誤認、優良誤認または有利誤認を招くような広告表示をすることは許されないということでございます。
○岡本(充)委員 時間になりましたから終わりますけれども、施行までに検討するべきことはまだ幾つもあると思います。さまざまなバリエーションで、問題が起きないようにしっかりと検討をいただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。
○西銘委員長 次に、荒井聰君。
○荒井委員 民進党の荒井聰でございます。
きょうは民泊法について質問をいたします。それに関連して、ずっと私が関心を持っておりますJR問題についても言及するかもしれません。
まず、私は、この民泊という制度、特に、住宅を活用して、余り活用されていないというか十分活用されていないような遊休資産を、こういう形で、特に外国の人たちに理解してもらうというのはとてもいいことだというふうに思います。
というのは、実は、三十年以上前、私は、スリランカという国の大使館の書記官をしておりました。そのときに、スリランカという国の非常な観光地、キャンディという観光地があるんですけれども、そこの湖を見渡せる丘の上にイギリスの貴族階級が別荘を持っておりました。その別荘を、一定期間、イギリスからその貴族がやってきて、そして、自分たちと一緒にそこを開放して楽しむ、楽しむというか活用するということをやっておりまして、たまたま私の家族、あと三家族ぐらいそこに宿泊したでしょうか、そういう体験があります。
そのときに、オーナーがホスト、ホステスとして夕食のときには必ず出てきて、スリランカという国についてのお話とか、あるいはイギリスの話でありますとか、イギリスとスリランカの話でありますとか、そういうものを話題にしながら夕食を楽しむ、そういうことを体験したことがあります。
日本にはこういう形の施設はないなというふうにそのとき思いまして、日本にもそういうものがあればいいなというふうに思っていました。
こういうものが出てきたということで、私は歓迎したいと思うんですけれども、この形と、民泊でお金もうけをしようとする投資型のものとは、かなり異質なのではないかというふうに思うんですね。
私は、かつて住宅政策に関して大臣とも論戦をしたことがございます。住宅が過剰になっていて、そのインフラの整備だけでも相当な財政コストがかかるという状況になっている、したがって、新規のマンション建設などについても、野方図にするのではなくて、少しく厳しい対応をした方がいいのではないかというお話をしたことがありますけれども、それに加えて、投資型の、いわばアパートに毛の生えたような、そういうものがどんどんできてくるということは、私は、インフラ政策そのものとしても、いずれそごを来すのではないだろうかと。
特に、今回の場合には、住宅地に建設できるということをある種のうたい文句というかメリットとしているわけですね。そうすると、住宅地全体が、投資型のこういうものが入ってくることによって、全体として、その地域のブランドといいますか、そういうものが損なわれていくのではないかというふうに思うんです。
したがって、投資型のマンションのような民泊施設と、それから家主がちゃんと住んでいる民泊施設とは切り分けて考えるべきだというふうに思うんですけれども、これは、観光庁長官。
○石井国務大臣 本法案につきましては、民泊について、旅館業法の規制が必ずしも遵守されないまま実態が先行いたしまして、安全面、衛生面の確保がなされていない、騒音やごみ出し等による近隣トラブルが生じているなどの問題が発生している一方、訪日外国人旅行者が急増する中での多様な宿泊ニーズへの対応が急務となっていることを踏まえ、健全な民泊の普及のためのルールを設けるものでございます。
今回の法案で一定のルールを設ける住宅宿泊事業は、家主居住型か家主不在型のいずれでありましても、宿泊事業を行うという点では同様の事業形態であるために、基本的に、いずれの宿泊事業を行う者につきましても、同じ規制に係らしめる必要があると考えております。
ただし、家主不在型の場合には、住宅のオーナーが住宅の管理を行うことが困難であることから、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託することを義務づけまして、事業の適正な運営の確保を担保しているところでございます。
なお、今委員御指摘のような、いわゆる投資型で、専ら住宅宿泊事業のために用いるマンションなどを新築するような場合には、これは、入居者の募集が行われるものではなく、人の居住の用に供されるとも認められないことから、住宅とは言えず、本法案の対象とはならないと考えているところでございます。
○荒井委員 住宅としてつくってしまって、そこへ入る人がいなかったら、結局、民泊として活用することになるんだろうというふうに思います。その話はここでは深く議論しませんけれども。
新法をつくる、あるいは改正する、私も何回か経験していますけれども、随分想定問答をつくってがっちり詰めますね。特に、関係省庁が多岐にわたった場合には、関係省庁との議論というのは、非常に激しい議論をしながらその法案を煮詰めていくんですけれども、先ほどの我が党の三人の質問者の議論を聞いていて、幾つかの点について、個別の対応なので、その都度判断をいたしますというような回答があって、私は、どうもまだ十分に煮詰まっていないんじゃないだろうかという心配をいたしました。
これは、二つの省庁での相談といいますか、あるいは調整というのはどのぐらいやったんでしょうか。これは質問していないですけれども、答えられますか。どうですか。
○田村政府参考人 本件につきましては、関係するところが多岐にわたっておりますので、それぞれの省庁とは必要な協議、調整を行った上で、本法案が提出されているということでございます。
○荒井委員 これは、実際の監督は地方自治体ですよね。先ほど聞いていたああいう形だと、地方自治体にどういう通達を流すのか。地方自治体からは恐らく具体的な質問が来ると思いますが、さっきの岡本君のような話、それから初鹿君の議論されていた話、それが各個別対応で判断が違いますと言ったら、地方自治体の方が混乱しますよ。
きょうは消防庁が帰られましたけれども、そのあたりの具体的な指示というか、あるいは指針をつくらないと地方自治体は運用できないと思うんですけれども、観光庁、どうですか。
○田村政府参考人 当然、制度の実施に当たりましては、政省令さらにはガイドライン等をお示しして運用していくということになると考えております。
○荒井委員 本来は、この法案を出すときに、そこのスケルトンといいますかスキームというのは、私は提示してしかるべきだというふうに思うんです。
ところで、民泊サービスの提供日数を百八十日というふうに規定してございますよね。この百八十日の根拠というのはどうなのか。
といいますのは、恐らく、民泊業というのが世の中で広がっていくと、民泊業にかかわる団体が生まれます。その団体は、恐らく、団体要望として毎年出すのが、この百八十日を拡大してくれ、あるいは規制を緩和してくれという要望が毎年のように上がってくると思います。その時々の政治状況でその判断が行われるわけですけれども、その場合の百八十日というこの仕分けというのは、どういう合理性を持って決めたんでしょうか。
○田村政府参考人 本法案において、住宅宿泊事業は、年間提供日数が百八十日を超えないものとすることといたしております。これは、住宅を用いて宿泊サービスを提供するという本件の性格上、一年の過半を宿泊事業として使用する場合には、住宅本来の性格である人の居住の用に供されているものとは言いがたいと考えられることから、そのような年間提供日数の上限を設けているものでございます。
○荒井委員 団体が生まれたときに、この百八十日を延ばしてくれというのは必ず出てくると思いますよね。その際には、今のような判断で、百八十日というものはかなりかたい数字だということで対応するということでいいですか。これは議事録に残りますよ。
○田村政府参考人 先ほど申し上げましたように、住宅を用いて宿泊サービスを提供するという本件の性格上、住宅本来の性格である人の居住の用に供されている、そういうものとしてこの百八十日という数字を決めているところでございます。
○荒井委員 次に、この法案をつくるときの基本になった、厚労省による全国民泊の実態調査というのをことしの三月にやっていますよね。これによると、半分以上がどこに物件があるかすらわからなかったということが結果として出ているんじゃないかというふうに思うんです。あるいは、無許可が三割以上あったということが厚労省の調査で出ているというんですけれども、それは、事実、本当ですか。
○北島政府参考人 お答えいたします。
昨年十月から十二月にかけまして、いわゆる民泊仲介サイトに掲載されている物件について、厚生労働省として、各自治体の協力を得ながら、全国横断的な実態調査を行いました。
この調査結果では、調査件数約一万五千件のうち、旅館業法の営業許可を受けている施設が約二千五百件、一六・五%、無許可で営業を行っていたものが四千六百件、三〇・六%、物件の特定ができなかったものや自治体において調査中のものが約八千件、五二・九%となっております。
○荒井委員 無許可というのは、無許可であったかどうかというのが判断できたわけですから、まだいろいろな対応ができると思うんですよ。
でも、物件が特定できないというものに対して、どのような行政指導なり、あるいは、今度は罰金がかなり高くなりますよね、そういうものを科していくんだろうか。特定できなかったものをどうやってこれから特定していくようにするんでしょうか。
○北島政府参考人 今回の住宅宿泊事業法案におきましては、民泊を適正にやる場合には玄関に標示をするというようなことになりますので、その標示のないものについては無許可であるということになろうかと思います。ただ、故意に隠れてやるというものをどのように探していくのかというところは、今でも大変難しい課題が残っていると思っております。
また、違法民泊等へのさらなる対応のために、無許可営業者に対する都道府県知事等による立入検査権限の創設や、それから無許可営業者に対する罰金の上限額の引き上げ等を内容とする旅館業法の改正法案を今国会に提出しておりますので、立ち入り権限等を活用いたしまして、こうした無許可営業者に対する指導を徹底してまいりたいと考えております。
○荒井委員 これは、仕組みをつくらないと、地方自治体がばったすると思うんですよ。ただでさえ地方自治体の職員の数が今少なくて四苦八苦しているときに、こういう何万件もの無許可あるいはよくわからない宿泊施設を取り締まっていくという業務が課せられていくわけですので、しかも、それが、先ほどの初鹿君の質疑で明らかになったような、具体的なことになるとまだまだその指針ができていないというふうにも思えますので、そこのところは丁寧に地方自治体に対する指導というものをやってください。
特に、今回は、厚労省と観光庁との二つの役所、場合によっては総務省とか消防庁とか、そういう複数の省庁でのコーディネートした通達になろうと思います。私は、昨年、障害者支援法の法律の改正をやったんですけれども、これが、文科省、厚労省の医政局、児童家庭局、それからもう一つはどこだったかな、四つぐらいの局にまたがる通達を出さざるを得なくて、地方自治体の方が非常に混乱したということがあります。丁寧な指導をしないと、これは効果が、実効性がなくなるというふうに思います。
今回、無許可営業に対する上限額を三万円から百万円に引き上げたんですね。この百万円という根拠は何かありますか。
○北島政府参考人 三万円というところでは実効が上がらないということでございますが、他の法律等との横並びを考え、バランスを見て調整した結果、百万円だろうということでございます。
もっと多くするべきではないかというような御意見もございましたけれども、いろいろな法律との横並びということで百万円としたところでございます。
○荒井委員 少し少ないのかなという感じもするんですけれども、少額なのかなという感じもするんでしょうけれども、横並びでしたということで、了解をいたします。
ところで、奥田鉄道局長が来られていますので、今、全国のインバウンドというのは二千万人を超えているわけですけれども、この二千万人の鉄道の利用者というのはどのぐらいあるのか。もちろん、都内での鉄道という意味ではなくて、地方の鉄道を使った観光に特化した意味なんですけれども、特に北海道ではどうだろうかということをお聞きいたします。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十八年の訪日外国人旅行者数は二千四百四万人でございます。また、北海道を訪問した訪日外国人来道者数は、平成二十七年度の北海道庁の調査でございますが、二百八万人となってございます。
これらの訪日外国人旅行者のうち、鉄道を利用された方の人数につきましては、鉄道事業者各社において、乗客が外国人旅行者であるかどうかやその国籍について調査をいたしていないことから、把握できておりませんが、鉄道事業者各社は訪日外国人旅行者向けの企画乗車券を販売しておりまして、平成二十八年度におけるその販売実績を見ますと、全国では、JR六社が二百七十三万枚、大手民鉄十六社が二百四十万枚でありまして、合計では五百十三万枚と、訪日外国人旅行者の約五分の一の方が購入した計算になるわけでございます。
なお、これらの企画乗車券を購入せずに鉄道を利用する外国人旅行者の方もおられることに留意する必要があるというふうに思っております。
これに対しまして、同様に、北海道向けの訪日外国人旅行者用の企画乗車券の販売実績を見ますと、JR北海道のみの企画乗車券でございます北海道レールパスは九・四万枚、JR北海道とJR東日本の二社間の企画乗車券でございますJR東日本・南北海道レールパスは二・四万枚でございまして、合計で十一・八万枚と、北海道を訪問した訪日外国人来道者数の約二十分の一に相当する数字となっておりまして、企画乗車券の販売割合で見ますと、北海道は全国に比べて鉄道利用割合が低くなっておるというふうに見ることができるわけでございます。
なお、これらの企画乗車券を購入せずに鉄道を利用する外国人旅行者がおられることや、JR六社間の企画乗車券でありますジャパン・レール・パスを購入してJR北海道を利用する外国人旅行者の方は先ほどの数字に含まれていないということに留意する必要があるというふうに存じております。
○荒井委員 皆さんのお手元に、「北海道レールパス実績」という参考資料をつくりましたけれども、これは私のところでつくったものですけれども、これを見ると、全国のレベルよりもはるかに低い利用しか鉄道を使っていない。これは、JR北海道が、観光客、インバウンドに対しての商品開発なり、そういう努力が足りないんだろうというふうに私は思うんです。
しかし、北海道庁の観光局からの推計によりますと、今後三年ぐらいで、北海道に来るインバウンドの人たちは五百万人を超えるだろうというふうに言われています。その北海道のJRの経営状態が思わしくないというのは、もう今までずっと議論していた経緯でおわかりだと思うんですけれども、どうやってお客さんをふやすのか、鉄道に乗ってくれる人をふやすのか。その場合には、地元の人たちにも乗ってもらうということも大事ですけれども、インバウンドの人たちにも、外国人訪問者にも乗ってもらうということが大事だと思うんです。そこについての十分な取り組みというのがなされていないのではないかというふうに私は思います。
いろいろな取り組みで、大体、外国人は千歳へ来るわけですけれども、千歳に着いて、札幌とか旭川とか、あるいは観光地である小樽に行くのに、大体、通勤列車に乗って札幌まで来るというような事態というのは、私は、観光向けの企画あるいは商品開発という意味では、そこだけで、ちょっと違うよなという感じがいたします。
このJR北海道のインバウンドに向けての鉄道の利用について、鉄道局長、何かありますか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、北海道における外国人旅行客の鉄道利用についてでありますが、国土交通省におきましては、観光、航空に係るサンプル調査及び出入国管理統計を組み合わせまして、訪日外国人流動データというものを作成しておりまして、これによりますと、訪日外国人旅行者が利用した交通機関における鉄道分担率は、北海道では一七・八%ということでありまして、全国的に見ても割合低い状況にございます。
このように、全国的に見て北海道での鉄道利用割合が低い傾向にある理由といたしましては、北海道を訪れる外国人旅行者においては、貸し切りバスを利用することが多いと思われます団体客の割合が三九・四%と、全国平均の二〇・七%の約二倍となっているなど、北海道ならではの観光特性も一因ではないかと思われます。
一方、外国人の北海道内への観光入り込みは、北海道庁の調査によりますと、七二%が札幌を中心とする道央圏に集中しておりまして、道庁は、地域経済活性化のため、これを道内各地に広げていくことが必要との考えと承知いたしておりますが、その手段の一つとして、例えば、鉄道を利用することにより外国人旅行者を道内各地の拠点となる都市まで送り出して、そこからさまざまな二次交通手段を利用して地域を周遊してもらうことが考えられまして、北海道のインバウンド観光振興において鉄道の役割も期待されていると考えられるところでございます。
こうした中、JR北海道におきましては、収益の確保を通じて経営基盤の強化を図る観点から、急増しておりますインバウンド旅行者の需要の取り込みやインバウンド旅行者の受け入れ体制の強化に努めることとしておりまして、具体的には、訪日外国人旅行者向け企画乗車券の積極的な宣伝販売でありますとか、札幌駅、新千歳空港駅における外国人インフォメーション体制の強化、季節的に繁忙となる観光駅への外国人対応スタッフの配置でありますとか、外国人観光客向け無料WiFiサービスの提供駅の拡大などの施策に取り組んでいるものと承知をいたしております。
JR北海道におきましては、JR北海道レールパスの販売数が、先生がきょうお出しになっております資料によりますと、平成二十三年度の一・四万枚から平成二十八年度には六・七倍の九・四万枚と大きく増加しているところでございますが、こうした取り組みをさらに進めて、インバウンド旅行者を初めとする観光需要の取り込みに積極的に努めることで、北海道のインバウンド観光振興に貢献するとともに、収益の確保を通じて経営基盤の強化が図られるよう、さらに努力を積み重ねていただきたいというふうに考えているところでございます。
○荒井委員 今の奥田局長の答弁、その方針でぜひJR北海道を指導してください。
民泊は、きょうの議論でもどうしても都会中心型の議論になっているんですけれども、しかし、日本の魅力というのは、私は、都会よりも地方にあるんではないだろうかと。現に北海道は、タイですとか、あるいはシンガポールですとか、そういうところの東南アジアの人たちが来る際に、東南アジアの人たちは、札幌や小樽といったような札幌圏よりも、地方の景観ですとか、余り人がいないということも一つの資源になっているのか、そういうところを大変魅力に感じているようです。
ただし、地方はインフラがないんですね。交通のインフラもなければ、宿泊施設のインフラも不足しているということでございますので、このあたり、インフラの整備がとても重要になると思いますし、維持も大事になると思います。それらを踏まえて、大臣、御見解をいただけますか。
○石井国務大臣 我が国の観光としましては、いわゆるゴールデンルート以外の全国各地域に誘客を促すということが重要な課題でございますので、そういった点で、二次交通の充実等も含めて取り組んでいきたいと考えております。
○荒井委員 終わります。
○西銘委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。
ただいまから、本日議題となっております住宅宿泊事業法案についての質疑をさせていただきます。
私の住んでいる地元川越におきましては、昨年は七百四万人の観光客の方が来ていただきました。しかし、宿泊場所の少なさや空き家の増加の問題は常に課題であり、今国会に提出された不動産特定共同事業法や旅館業法改正、さらに今回の民泊新法への関心は大変高まっているところでもあります。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後も増加し続けることが想定される訪日外国人旅行者に対し、宿泊施設の確保を初めとする受け入れ環境を整備することは喫緊の課題であって、今回提出されました住宅宿泊事業法については、さまざまな関係団体から法案の影響について懸念する意見も伺っております。
そこで、具体的に質問してまいりたいと思います。
民泊の制度化に当たっては、旅館業法上の規制がかかる旅館、ホテル業と競争環境の公平性を確保することが重要な論点の一つとされておりました。今回の政府から提出された法案で、民泊施設はあくまでも住宅という位置づけであるという理由から、営業日数は百八十泊を上限とし、一年の半分は住居として供されていることを条件とされましたが、旅館、ホテル業界からは上限日数がなお過大であるという意見も根強く、既存事業への影響が懸念されております。
また、民泊に提供される住宅、特に家主不在型民泊、あえて呼ぶならば投資型民泊における固定資産税の扱われ方、非常照明装置、そのほか、設備の基準も、仮にほぼ住宅並みとなれば、ホテル、旅館の営業許可を申請しなくてよい民泊は、収益を優先する企業、投資家にとっては、設備投資コストが低く、税制上メリットのある投資物件、低コストホテルにつながるのではないかといった懸念がございます。きのうも、この点に関しましては、参考人の方から提示されたところでもあります。
用途地域に制限がないことも、旅館、ホテルに比べて公平な競争条件とは言えません。仮に、民泊の普及により旅館、ホテルの経営が圧迫され、倒産、廃業となれば、地域経済や観光振興に悪影響を及ぼし、観光立国を目指す上で大きなマイナスとなります。
そこで、今回の制度の検討に当たり、政府は、旅館、ホテル業との競争条件の公平性について十分考慮したのか、まずは見解をお聞かせください。
○田村政府参考人 本法案につきましては、厚労省及び観光庁が事務局として開催された「民泊サービス」のあり方に関する検討会において、学識経験者、業界関係者等からの意見を踏まえまして、制度の検討を行ったところでございます。
具体的には、本法案におきましても、住宅宿泊事業者に対し、旅館業法同様、宿泊者の衛生の確保や宿泊者名簿の備えつけなどの義務を課しているとともに、防火、避難上の安全基準についても、宿泊サービスを提供した旅館、ホテルと同様の安全基準を求める方向でございます。
また、今後、旅館、ホテルや簡易宿所につきましても、厚生労働省において今国会に提出している旅館業法の改正法案とあわせて、便所等施設の具体的な要件等について一定の規制緩和を行う方向で検討しているというふうに承知をしております。
これらによりまして、旅館、ホテルとのイコールフッティングを図ってまいりたいと考えております。
○小宮山委員 固定資産税について、住宅としての減免がそのまま行われるなどした場合、旅館、ホテルとの対比で公平性に疑問も生じております。
民泊に用いられる住宅、アパート、マンションなどに対する固定資産課税等に関して、現行の住宅用地特例の考え方をお聞かせください。
○開出政府参考人 現行の地方税法におきましては、住宅政策上の見地から、居住の用に供する家屋の敷地について、二百平米以下であればその価格の六分の一を課税標準とし、二百平米を超える部分については価格の三分の一を課税標準とする住宅用地特例が講じられているところでございます。
居住の用に供しているかどうかは、特定の者が継続して居住しているかどうかで判断されるものでございます。
具体的には、課税庁において、その形態や実態に応じて、居住の用に供しているかどうかを確認した上で、住宅用地特例の適用の有無、適用方法などを判断することになるところでございます。
○小宮山委員 それでは、この前の国交省の方からの答弁ですと、観光庁ですか、そういったことではなく、これはやはり事業に使っているということで、適用は違うというような話がございましたけれども、今の答弁ですと説明と違うのですが、このあたりはどうなっているんでしょうか。
○田村政府参考人 課税当局において適切に判断されることになると思いますけれども、事業性というものにも着目して課税されることになると思います。
○小宮山委員 ぜひ、事業を現実に行っているのですから、事業性はあるというふうに私は捉えておりますし、課税当局も捉えるべきであるというふうに思っております。特に、固定資産税は地域においては大変重要な税収でもございますので、この点はしっかりと取っていただいた方がよろしいのではないかというふうに思います。
それでは、少し先に行きますけれども、今国会においては、まず厚生労働省から旅館業法改正も提出されております。旅館業法の四分類、ホテル、旅館、簡易宿泊、下宿に新たに民泊宿泊を追加しなかったのはなぜなのか、お聞かせください。
○北島政府参考人 お答えいたします。
本法案が対象とする住宅宿泊事業は、住宅等を一時的に宿泊事業で活用するものであること、また、不動産業者や個人の住宅所有者によって実施されるものであることなど、通常の旅館業とは異なる性質を持つものであることから、旅館業法の改正ではなく、新法である住宅宿泊事業法案で対応することとしております。
○小宮山委員 旅館業法改正は、旅館とホテルの垣根をなくして、旅館・ホテル営業へと統合することとともに、無許可営業者に対する規制の一部強化など、限定的な内容となっております。民泊と比較をすれば、安全衛生上、設備投資などに大きな経済的負荷が旅館・ホテル営業には課せられているのは、変わりなくあります。
民泊新法と今回の旅館業法改正で、公正で安全な宿泊施設、宿泊営業の確保を可能と考えているのか、この点についても厚生労働省から御所見をお聞かせください。
○北島政府参考人 住宅宿泊事業の制度化に当たりましては、既存の旅館、ホテルとのイコールフッティングに配慮することが重要であると考えており、関係団体からの要望を踏まえ、旅館業法の改正法案を今国会に提出したところでございます。
今回の旅館業法の改正では、ホテル営業と旅館営業の営業種別を統合することで、和風、洋風といった様式の違いによる規制を撤廃し、利用者の多様なニーズに応えていくものでありますが、あわせて、政令等においても、最低客室数、寝具の種類、客室の境の種類等の規制撤廃等、大規模な規制緩和を図ることとしております。
また、住宅宿泊事業法案では、届け出制を初めとする一定のルールを定め、民泊の実態把握と適切な指導監督を行い得るように措置することを盛り込んでおります。
今後、これらの措置によりまして、旅館や民泊による宿泊サービスが適切に提供されるものと考えております。
○小宮山委員 稼働率が五〇%を下回っている地方旅館の経営者の方などからは、民泊新法が成立、施行された後に、旅館から民泊への変更を真剣に考えるといった声が聞こえてまいります。
きのうの、民泊サービスあり方検討会の三浦弁護士や、また旅館経営者の永山さんなどからも、旅館業法第五条の撤廃など、公平なイコールフッティングな競争のための旅館業法のさらなる改正、規制緩和が必要だとの指摘、提言がございました。
今後、所管の厚生労働省においても対応を行うべきと考えますが、検討会の設置などさまざまな形がありますけれども、どのようにお考えなのか、お聞かせください。
○北島政府参考人 ただいまお答え申し上げましたとおり、住宅宿泊事業の制度化に当たりましては、既存の旅館、ホテルとのイコールフッティングに配慮することが重要と考えております。
旅館業法第五条のいわゆる宿泊拒否制限につきましては、過去に、ハンセン病の元患者さんの宿泊を拒否した事業者に対しまして、本規定に基づき行政処分が行われているなど、不当な差別的な取り扱いを防止するために重要な規定であり、見直しには慎重な対応が必要と考えております。
このため、差別的な取り扱いがなされないよう留意しつつ、多様な消費者ニーズに応えられるように、利用者の任意の協力のもとで、例えば女性や大人向け旅館を営業することも可能であることなど、一定の考え方を示すことを予定しているところでございます。
まずは、今国会に提出させていただいております旅館業法改正に伴う規制の見直しを進めるとともに、見直し後の状況や関係者の意見等を踏まえまして、旅館業規制の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 今回提出された法案では、生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、営業日数の上限を百八十泊からさらに条例で制限することが可能とされております。
しかしながら、本法案では、条例で制限できる場合の基準が明確でなく、自治体にとって困難な判断を迫られるのではないかと懸念しております。この点は、先ほど荒井委員からの指摘もございました。
どのような場合にどこまで上限日数を制限できるのか、国が判断基準を明確にするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○田村政府参考人 本法案におきましては、都道府県等が、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するために必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができると規定しております。
具体的には、生活環境の悪化を防止するために必要がある区域として、例えばですけれども、静穏な環境を求める住民が多く滞在する特定の別荘地、あるいは、防犯の観点から安全な環境を必要とする学校、幼稚園等周辺等々が挙げられるというふうに考えております。
一方、この制限につきましては、地域の実情がさまざまであることから、当該都道府県内の各地域ごとの特性に応じて、合理的な範囲内でその必要に応じて区域を設定すべきものであるので、国が判断基準を一律に定めるというのは困難であるというふうに考えております。
○小宮山委員 自治体の判断が重要であるというのは私も賛成でもありますし、重要だと思っております。
それであるならば、当然ながら、上限日数をゼロ泊として条例に定めることで住宅宿泊事業を行わない地域を定めるということも可能なのではないかと考えますけれども、この点に関して見解をお聞かせください。
○田村政府参考人 本法案第十八条における条例による住宅宿泊事業の実施の制限につきましては、一年間三百六十五日全てをその期間としてだめにする、制限するということは、住宅宿泊事業に係る規制、振興の両面を有する本法案の目的を逸脱するものであり、適切ではないというふうに考えております。
また、同条に規定されている合理的に必要と認められる限度につきまして、具体的な地域の実情等によってさまざまであるので、制限できる日数を法令で一律に定めるようなことはなかなか困難であるというのは、繰り返しになりますけれども、改めてお答えを申し上げるところでございます。
○小宮山委員 適切ではないと考えるかもしれませんけれども、それを妨げるものでもないということですよね、自治体の判断ということは。ゼロ泊もあり得るということですよね。
○田村政府参考人 当然、最終的には自治体の御判断ということになろうかと思います。
○小宮山委員 ありがとうございます。
良好な環境をつくるというのは、やはり住民同士のコミュニティーをつくったりさまざまな努力があって、また、その町のやはりイメージもあるでしょう、目指すところもあるでしょう、そういった地方自治の自主性というもの、住民の皆様のその思いというものはきちんと受けとめていただければと思っておりますし、それを形にするべきだ、できるということは今ので確認させていただきました。
条例は都道府県または保健所設置市が制定することとされていますけれども、実際に各地域の生活環境を把握しているのは市町村でもあります。地方自治の観点からも、各市町村に条例制定権限を付与すべきではないかとも考えております。特に、エリアを小さくする場合など、県が全て把握できるものでもございません。
この点に関しまして、なぜ条例制定権限を都道府県または保健所設置市までにとどめたのか、見解をお聞かせください。
○田村政府参考人 住宅宿泊事業を実施する期間を制限する条例を制定した場合、その制限した期間に住宅宿泊事業が実施されていないかどうかというのを監督する必要がございます。
この点、都道府県または保健所設置市につきましては、既に旅館業に係る行政事務を処理していることなどを踏まえまして、住宅宿泊事業に係る行政事務の処理についても一定の執行能力を有するものと考えているところでございます。
これらを踏まえまして、住宅宿泊事業を実施する期間を制限する条例の制定権限につきましては、都道府県または保健所設置市等にとどめることとしているところでございます。
○小宮山委員 少し先に行かせていただきます。
改めて、宿泊料を受けて人を宿泊させる行為は旅館業法の適用を受けるとの見解は変わらないのか、厚生労働省に確認させていただきたいと思います。
○北島政府参考人 宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行う場合には、原則として、旅館業法に基づき、旅館業の営業許可を受ける必要がございます。
一方、住宅宿泊事業法案第三条において、住宅宿泊事業を行う旨の届け出を行った者は、旅館業法第三条第一項の規定にかかわらず、住宅宿泊事業を営むことができると規定されており、届け出を行うことによって旅館業法の適用が除外されることとなります。
○小宮山委員 一泊からも宿泊ということは変わらないわけですので、特に宿泊料を取るというところに変わりないということを確認させていただきました。
年間百八十日までという定めに関して、居住型民泊については、ホストが宿泊客と対面し管理を行うものとなり、ホームステイ同様、百八十日を超える宿泊も可能とすることで、文化交流、イベント対応民泊などに資するように認められるべきではないかという意見もございます。
家主不在型の投資型民泊は、諸外国の例にも見られるように、より少ない日数とするか、または、空き家、空き住宅の有効利用を明確に目的とするならば、パリのように観光用家具つき住居として、家主の当該居住施設への居住義務を課する方法もあります。
現在営業している日本の古民家を活用した民泊の多くは簡易宿泊の形態をとっており、既存の旅館業法に基づく旅館、ホテルとしてのみ認めるべきとの指摘もございます。
また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック終了後は、宿泊施設が余る予測もあるのも事実であります。オリパラ期間のみの期間限定とする選択もあったはずです。
観光庁は、居住型民泊と不在型民泊には基本的に違いはないといった説明をしておりますけれども、きょうのさまざまな質疑を聞いていても、そこに関してはかなりの問題があるのではないか、また、今後、この点に関しては分類することも検討が必要ではないかと思っております。
旅の恥はかき捨てといったことわざがございますが、現在も民泊の利用者による騒音やごみ出しにおけるルール違反などのトラブルが発生しております。本法には、特区民泊にある、届け出申請前に周辺住民への説明の義務づけがございません。
政府は、対象となる民泊を提供する住宅に対して、適切に指導監督を行い、実効性ある管理体制を確保するとともに、違法民泊については厳しく取り締まり、所在地などを調査、把握することで安全と規制の実効性が確保されるとしております。
しかし、民泊の主管官庁となる観光庁は、出先機関や下部組織、あるいは各自治体に関係組織が配置されている状況にはございません。埼玉県下、六十三市町村ございますが、住宅課が設置されているのはわずか四自治体で、それらの課においても、公営住宅の管理が主たる業務と聞いております。
これまで、閑静な住宅街で民泊が提供され、騒音など迷惑に感じた住民が、民泊の家主や、住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者、あるいは集合住宅の管理人や管理組合や管理会社などや、警察、行政機関に訴えかけても、今後は気をつけますとか、民間事業者の行っていることなので介入しづらいとか難しいといった返答にとどまり、迷惑と感じる方がいても、何も変わらない、何もしてくれない。最悪の事態は、事件、事故が起きてからしか対処がされないということであります。
警察、地方自治体、保健所、さらには、設置されている自治会、町内会の関係者、徴税にかかわる税務署の間での民泊に関しての情報共有や連絡、協力体制を整える必要があるとともに、トラブルなどの通報に対しても迅速に対応されることが周辺住民との信頼関係、安心、安全の構築にも重要と考えますが、見解を求めるとともに、具体的にいかに対応されるのか、お聞かせください。
○田村政府参考人 本法案では、住宅宿泊事業を実施する場合の届け出等の手続を定めておりますけれども、この手続に係る情報を関係行政機関において共有するためのシステムを構築し、国土交通省、厚生労働省、都道府県等地方公共団体、警察等が連携して住宅宿泊事業の適正な運営を確保していくこととしております。
また、周辺住民からの苦情等への対応につきましては、住宅宿泊事業者等に対しまして、苦情等に適切かつ迅速に対応するよう義務づけております。
その上で、観光庁におきまして、都道府県と連携してワンストップの苦情対応窓口を設置し、当該窓口で受け付けた苦情等につきましては、関係行政機関や都道府県等に通知して、必要な対応を求めることを考えております。
住宅宿泊事業者等を監督する国土交通省や都道府県等は、苦情対応窓口からの通知を踏まえ、必要に応じ、立入検査、報告徴収を行い、業務改善命令や業務停止命令を行うなど、是正措置をとることといたしております。
○小宮山委員 先に進みますけれども、実際に現地調査を行うことになるのは、都道府県及び政令市、中核市の保健所職員を初めとする地方自治体職員であり、それらの現場職員にかかる負担が大幅にふえることは明らかであります。
保健所の体制確保や、保健所を持たない基礎自治体においても対応する職員の体制を強化するには、やはり予算面の裏づけがなければ、支援がなければ、現実にこの民泊というものの健全な状況というのは確保できないというふうに考えております。
地方自治体が管理体制を確保するために発生した費用、経費の補填は国が責任を持って手当てするべきではないかと考えますが、御見解をお聞かせください。
○石井国務大臣 住宅宿泊事業は、旅行業法と同様に、都道府県等の地方公共団体が自治事務といたしまして指導監督を行うものでございますので、これに必要な費用等は当該地方公共団体が負担していただくものでございます。
一方で、本法案の円滑な施行のため、国土交通省の予算におきまして、インターネット等による行政手続に係るシステムを構築の上、関係行政機関において情報を共有し、監督主体間の連携を図ることとしておりますが、関係地方公共団体におきましても、このシステムを活用すること等を通じて、住宅宿泊事業に対する指導監督を効率的に実施ができるものと考えております。
また、本法案の施行に当たりまして、十分な指導監督を都道府県等が行えるよう、人員確保、体制の構築に対し、観光庁と関係省庁において必要な措置を検討しているところでございます。
○小宮山委員 先ほど、岡本委員の方から、避難誘導は義務なのかという質問がございました。通告はしておりませんけれども、火災報知機の設置義務化がされてから、全国の平均設置率は八一・二%、一〇〇%ではございません。また、条例適合率は六六・五%、半数ちょっとのところしかないという報告も聞いております。
設置しなくても消防法で罰則は特に定めておりませんが、今度、民泊で住宅を使うとなりますと、この点は大変重要だと思いますし、これも現地で調べなければわからないことだと思います。そういった技術的にわかるような職員というのが、地方自治体はおりません。なので、この点に関しても、定期点検をしない場合とかもあります、これもしっかりと見て回らなければ、やはり、設置していない民泊というのは不適格ではないか、そういった判断も必要になるかと思います。
こういった地方自治体への対応について、通告はしておりませんけれども、観光庁長官、改めて御見解を聞かせていただけますか。簡潔にお願いします。
○田村政府参考人 今、大臣からもお答え申し上げましたけれども、この法案の施行に当たりまして、十分な指導監督を都道府県等が行えるように、人員確保、体制の構築に関しまして、関係省庁とともに必要な措置を検討しているところでございます。
○小宮山委員 ありがとうございます。
本法案が成立すれば、これまで、都市計画で第一種住居専用地域などに指定して良好な住環境の形成を図って、旅館、ホテルの営業を不可とした地域であっても、民泊を合法的に実施することが可能となります。共同住宅であれば管理規約において民泊を禁止することも可能ですが、第一種低層住宅専用地域において、住環境維持のため民泊を受け入れないとする場合の地域住民の意見を反映する手段はあるのでしょうか。
本法案が先例となり、用途地域に基づく土地利用という考え方、原則が崩れていくことも危惧されております。民泊新法と都市計画法は相入れないという指摘に対しての所見を求めるとともに、今後も用途地域に基づく土地利用の原則は変わらないのか、確認いたします。
○田村政府参考人 多様な宿泊ニーズに対応する選択肢をふやし、増加する宿泊需要に対応していくことは、観光を成長戦略の柱に据える我が国にとって極めて重要なことでありまして、一定の規制のもとで健全な民泊の普及を図ることが求められております。
また、空きストックである住宅の有効活用や、ゲストとの交流を図るといった、宿泊サービスを提供する側からのニーズも一定程度ございます。
このような多様なニーズに対応するため、住宅を一年の半分未満の期間で活用するという制限のもとで、住宅が多く立地する住居専用地域を含め、住宅が立地するさまざまな地域において実施可能とすることといたしております。
この場合、周辺の生活環境への悪影響を防止するため、標識を掲示するとともに、住宅宿泊事業者または管理業者に対して、宿泊者への説明義務や苦情処理義務などの措置を義務づけることといたしております。
こういう結果として、住宅宿泊事業法案につきましては、都市計画に基づく用途地域制度との整合を確保して提出させていただいているというふうに考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
終わりになってまいりましたけれども、本法案で規定されている住宅宿泊事業については、現行の旅館業法違法状態や、民泊の実数すら把握できない状況を早期に是正するため、法律が必要と理解はしておりますけれども、不動産の有効活用が優先され、観光の資産であるそれぞれの土地のコミュニティーが壊されてしまったら元も子もございません。
各方面からさまざまな懸念事項も指摘されており、懸念事項への対応が十分行われるよう、また、最後に大臣に、通告はしておりませんけれども、健全な観光産業、また、まちづくりの観点から大変重要な地位を占めている国交省は、本当に今回責任が大きいと思っております。大臣の、この新法をつくることでの御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○石井国務大臣 いわゆる民泊については、現状、相当無秩序な状態も見受けられるといったことから、今回、一定の規制をかけて、健全な民泊を、規制をしていくということでございますが、今委員から御指摘のありましたさまざまな懸念に対しても、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○小宮山委員 この民泊、大変有効に活用されることというのは私も望むところではございますが、営利を優先するために、それまで培った町並みが崩れるとか、そういったことがないように、これからもしっかりと、運用、さまざまなところを注視させていただき、質問を終わらせたいと思います。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
きょうは、いわゆる民泊新法について質問します。
最初に、この審議の中で、大前提について確認したいと思います。
ことし四月十六日、地方創生大臣の滋賀県での発言が大問題になりました。大臣は、地方創生とは稼ぐことと定義した上で、一番ガンなのは学芸員、普通の観光マインドが全くない、学芸員だけの文化財でやっているとこれから観光立国で生きていくことができないと発言したと。謝罪して撤回したわけだけれども、これはまさに経済利益第一主義の発想であって、民泊問題を考える際にも通底する問題じゃないかと私は考えているわけです。
そこで、まず、観光立国を所管する大臣として、この発言のどこが問題だと思うのか、お聞かせいただきたい。
○石井国務大臣 今御指摘がありました山本地方創生担当大臣の発言につきましては、既に謝罪の上、撤回されたものと承知しておりまして、発言そのものに対して私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
ただ、国土交通省といたしましては、専門的知識を持つ学芸員の方々に観光マインドを持った上で文化財の持つ意義を語っていただくことは、文化財の魅力を伝える上でも重要であると考えておりまして、今後とも、学芸員の方々にも活躍をしていただきながら、文化財の観光面での活用にも取り組んでいきたいと考えております。
○穀田委員 どうも肝心なところが抜けていると私は思うんですね。これから観光立国で生きていくことができないとまで言っているわけですよ。そういうふうな物の狭さがあっていいのかということと、やはり、稼ぐことが第一だという考え方はあかんということを言っておきたいと思うんです。
では、聞きますけれども、そもそも、観光立国推進基本法、観光政策審議会答申並びに世界観光倫理憲章に共通する理念とは何か。大きい角度から三点ほど聞きたいと思うんです。
まず大事な点は、観光を通じて平和な社会の構築、多様な文化や宗教の違いを超えた平和的な友好、交流、こういうふうに大体規定しています。大体こういうことだと思うんですけれども、大臣、こうした認識で間違いありませんね。
○石井国務大臣 世界観光倫理憲章は、平成十一年に世界観光機関の全ての加盟国により採択された国際規範でありまして、観光が、平和のための重要な影響力、世界の友好と理解をもたらす要素を持つことをかたく確信するとともに、責任ある持続可能な観光を実現するため、各国政府、観光業界等の全てのステークホルダーが取り組むべき自然環境の保護等の事項について規定されているところでございます。
こうした観光に関する国際相互交流、持続可能性については、観光立国推進基本法においても重要な理念として位置づけられているところでございます。
また、平和な社会の構築と、多様な文化や宗教の違いを超えた友好、交流という御指摘でありますが、観光立国推進基本法第二条第三項におきましても、「観光立国の実現に関する施策は、観光が国際相互理解の増進とこれを通じた国際平和のために果たす役割の重要性にかんがみ、国際的視点に立って講ぜられなければならない。」と規定されているところでございまして、観光は、国際相互理解を通じて、平和な社会の構築に大きく貢献するものであると考えております。
○穀田委員 平和に貢献するということは確認したと。持続的な問題ということは、後でまたやります。
平和友好という問題でいいますと、中国の観光客も含め、今、トレンドが変わってきています。一時期の爆買いは、関税がかかるということもあり、鳴りを潜めたりして、今、大事なのは、ありましたけれども、地域に住み、人々の生活や文化、暮らしに根づいた観光を楽しむというような形で、世界的にも大きく変化しています。
これは、実はTBSの「あさチャン!」でことし一月三十日に放映された内容ですけれども、中国のことしの考え方は、シーフェイ、肺を洗うんだそうです。日本人が一生行かないだろうと思う都道府県ランキング一位の佐賀県に、これは私が言っているんじゃないんですよ、そういうランキングがあるというだけで。昨年は、中国人宿泊客が一昨年の三倍になったと言われています。特に、佐賀と上海が直行便で結ばれ、一時間半ということもあるけれども、人気は武雄温泉と呼子の朝市、ゆっくりと地方の風情ある暮らしと文化に触れ、肺をきれいにする、これは中国のネット上でも注目されているといいます。
私、先日、佐賀県に伺いましたけれども、今や観光の玄関口となっている佐賀空港に、沖縄を初め世界で墜落事故を起こしているオスプレイを配備する計画があると聞きますが、大臣、観光の発展という目的と逆行しないのかなと。御意見を賜りたい。
○石井国務大臣 佐賀空港にオスプレイを配備することにつきましては、これは防衛省の所管でございますので、私からのコメントは控えさせていただきたいと思っております。
佐賀空港につきましては、上海や仁川方面からLCCが就航したこともございまして、訪日外国人が堅調に増加しており、我が国の観光の発展に寄与しているものと考えております。
佐賀空港は、今後も、近隣のアジア諸国を初めとしたインバウンド需要に対する玄関口として、大いに期待できる空港であると考えております。
○穀田委員 オスプレイの話になると、どうもだめだけれども……。
何でこんなことを言っているかというと、総理大臣だって、地元の理解が得られていない、こう言うわけですやんか。だから私、観光との関係でどないやと聞いているのであって。しかも、あそこの場合は、漁協と公害防止協定を締結し、有明の海に油を落とさせないということをやっているわけですね。だから、海からしても陸からしても、そういうものを、しかも、自衛隊には使用させないという合意があるわけですよね。だから、そういう合意はきちんと踏まえて対処しますと言ってくれるのやったらまだしも、ほかのことだからかなわんという話は、余りにも情けないと言わなければならないと私は思います。
次に、では、観光立国推進基本法について少し聞きますが、観光受け入れ国について、要するに受け入れる側ですね、そこの観光の目的や理念というのをどううたっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 観光立国推進基本法の前文及び第一条におきましては、観光立国の目的は、二十一世紀の我が国経済社会の発展のために不可欠な重要課題として位置づけられております。
さらに、観光立国推進基本法第二条においては、基本理念といたしまして、一つには、豊かな国民生活を実現するための、住んでよし、訪れてよしの国づくりの認識の重要性、二つ目には、国民の観光旅行の促進の重要性、三つ目には、国際的視点に立つことの重要性、四つ目には、関係者相互の連携の確保の必要性、この四つが規定されているところでございます。
○穀田委員 観光立国推進基本法がもう一つ言っているのは、全体として述べているのは、やはり、地域住民が誇りと愛着を持つことのできる地域社会、こうも言っているんですね。ここは忘れてはならないことだと思うんですね。
今ありましたように、中心は、住んでよし、訪れてよしということの実現であることは論をまちません。ですから、観光行政を考える場合、人がたくさん入るか入らないかというのは一つのメルクマールです。だけれども、肝心なことは、何のために観光を推進するかというと、暮らしが豊かになるということを書いているわけですよね。そして、住んでよし、訪れてよしということが基本だということを踏まえなければなりません。
先ほど言いましたように、自分の地域に対する愛着や誇りを持てることと、生活に対する満足度や充実度を満たすことが基本でなければならない。そうでなければ、観光客への真のおもてなしも台なしになるということを言っておかなければなりません。
私は京都に住んでいますが、京都観光総合調査によりますと、京都の宿泊客は、二〇一五年は、外国人客が百三十万人ふえています。一方、日本人客が同じ時期に百十万人減っています。つまり、外国の人はようけ来てんねんけども、日本国民の、先ほど国民の旅行と大臣おっしゃっていましたけれども、そういうこととなると減っている。そして、京都観光に訪れる日本人客の満足度が低下している。いまだかつてないことなんですね。初めて低下をしている。これは、ある意味、京都観光にとって極めて深刻な危機だと言わなければなりません。
その理由を尋ねてみますと、人が多過ぎるということが一番でした。既に観光客が町のキャパシティーを超えているということであって、中長期の視点に立てば、観光発展に逆行するような事態が起こっているということについて、警告と見なければならないと私は考えているわけです。
昨日、参考人質疑において、中林参考人は次のように述べています。地域に歓迎されないような民泊の存在があるというのは、観光にとって長期的に見ても本当に不幸、経済的にも豊かになる道であるというふうには思われない、その地域の人が楽しく住んでいて、ホスピタリティーを発揮できる形での宿泊施設ができていくことが重要だと述べられています。
政府は、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人という数の目標を追い求めるやり方であります。そういうことを言わなければならない。ただでさえ、京都といういわば観光の一つの大きなメッカ、このところで飽和状態になっている状況がある。したがって、将来的な展望を踏まえて、飽和状態にある都市部へのこれ以上の観光客誘致については抑制するという立場に立つべきじゃないんだろうかと私は思うんですが、所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 我が国を訪れる外国人の方は、いわゆるゴールデンルートに集中していると言われております。東京、富士山、京都、大阪ということかと思いますけれども、特に京都は観光資源が豊富でありますから、それだけ多くの外国人の方が来るということは、魅力があることの証左でもあろうかと思います。
私どもといたしましては、たくさんの方がゴールデンルートに来ていただくのはありがたい一方で、それをそのままにしておくことではなくて、今後、ゴールデンルートのみならず、全国各地域に誘客を促していくということが地方創生の観点からも重要であると考えておりまして、各地方の観光資源の磨き上げであったり、広域の観光ルートの造成であったり、あるいは海外に対するプロモーションであったりということで、全国各地域にインバウンドをお迎えするような、そういう施策を進めていきたいと考えております。
○穀田委員 私が言っているのは、当然それは、全国各地にいろいろ誘致し、誘客するというのはあり得るでしょう。例えば湯布院などでも、一定の規制をかけて、キャパシティーだからこれ以上はということで、やはりいろいろな地域で、自分のところの容量といいますか、キャパシティーを決めながら考えているわけですよね。だから、私は、大都市部における飽和状態にある事態に鑑みて、そういうことをすべきじゃないかと思っているわけです。先ほど述べたように、住む人が豊かになってこそ、住んでよし、訪れてよしの観光立国の理念は実現できる。
そこで、三つ目です。
大きな問題ですけれども、先ほど、日本人宿泊客が百十万人減ったということを言いましたけれども、もう一つの原因は、日本の国民が旅行を楽しむ十分な条件に置かれていないということが反映していると思うんですね。
よく、ヨーロッパにはバカンスの文化があると言う人がいますけれども、実は、年次有給休暇については、国際労働機関、ILOの定めた国際条約百三十二号があります。ヨーロッパ諸国では、これに基づいて、政府が国民に長期休暇を保障しています。しかし、先進国の中でアメリカと日本だけがこのILO百三十二号条約を批准していません。
真の観光立国や観光先進国を目指すのであれば、先ほども大臣がおっしゃったように、国民の旅行を推進する上では、その土台となる休暇をふやすことが必要だ。なぜILO百三十二号条約を批准しないのか、厚労省にお答えをお願いします。
○橋本副大臣 お答えをいたします。
御指摘のILO第百三十二号条約は、年次有給休暇に関する条約ということで、現在、三十七カ国が批准していると承知しております。
これは、働く方の年次有給休暇の権利を確保するため、年次有給休暇の権利取得のための最低勤務期間を六カ月とした上で、年次有給休暇は一年につき三労働週以上与えること。この労働週というのは一週間の勤務日数と同じ意味でございまして、週休二日、週五日の勤務ということであれば、三労働週というと十五日ということになります。この条約の表現では、三労働週以上与えること。それから、年次有給休暇の一部は、少なくとも連続した二労働週の休暇とすること、ただし、これは、労使の定めがある場合を除く。ですから、週五日の勤務の場合は連続十日ということになりますが、こうしたことを規定しておるものでございます。
我が国の労働基準法におきましては、初年度に付与される年次有給休暇の日数は原則十日ということになっておりまして、条約で定める三労働週を下回る場合があるということ、また、連続して二労働週の休暇とすることについて特段の規定がないということでございまして、今の我が国の労働基準法など国内法制との整合性との観点から、なお慎重に検討するべき点があるということで、批准していないということでございます。
○穀田委員 苦しい答弁をしてはりますけれども、いつも、何か言うと、国際基準と称して、今度でもそうですわ、共謀罪にしても、これを理屈にしてやってくる。こういうときだけ、自分のところの国内法がこうやからできへん。そんなあほな、発想が逆やと。そろえたらよろしいがな、きちっと。だから、そういうときに厚労省がイニシアチブを発揮してやらなきゃならぬということを言っておきたいと思うんですね。
私、ちょうど十一年前、冬柴国交大臣と、冬柴さんも公明党の出身でございます、観光立国推進基本法で議論しました。私が、有給休暇の取得率の向上、偽装請負やサービス残業という違法の根絶、また、安定雇用の確保、社会保障の負担軽減などに取り組むべきじゃないか、これなしにはなかなかそういう旅行というのはできへんよと言ったら、質問に対して大臣は、「もうお説のとおりでございます。」と言っているんですよね。
そこで聞くけれども、この十年間で有給休暇の取得率は大幅にふえたのかということについて一言。
○橋本副大臣 お答えいたします。
まず、先ほど労働基準法の話にちょっとお触れいただきました。我が国では、当然ながら、労働基準法の改正ということになれば、労政審等々、労使の入った、関係者の入ったところで御議論いただいて、合意を得るよう努力をするという必要がございますが、なかなかそこで、議論には上がっておりますけれども合意に至っていないという状況があるということは申し添えたいと思います。
その上で、お尋ねの有給休暇の取得率ということでございますが、観光立国推進基本法、これは平成十八年に制定だと思いますが、この年は四六・六%の取得率でございました。直近、数字がございます平成二十七年は四八・七%となっておりまして、いずれにしても、五割を下回る水準で推移しておりまして、この取得の推進をさらに図っていくというのは、私どもとしても重要な課題であると認識しているところでございます。
厚生労働省としては、連続した休暇を取得しやすい夏季、年末年始及びゴールデンウイークのほか、十月を年次有給休暇取得促進期間として集中的な広報を行うなど、休暇を取得しやすい雰囲気づくりに取り組んでいるほか、現在、厚生労働委員会におきまして継続審議となっております労働基準法改正法案におきましては、年次有給休暇のうち年五日間について、企業が、働く方と相談の上で、時季を指定して与えなければならないことを義務づけることなどとしておりまして、厚生労働省としては、今後とも、このような取り組みを通じて、年次有給休暇の取得促進を図ってまいりたい、このように考えております。
○穀田委員 都合のいいときいつも労政審を使うんだけれども、要するに、結局、イニシアチブを発揮していないということなんですよ。取得率の変化ですけれども、四六・六から四八・七ですよ。たった二・一%。要するに、拳を振り上げてわあわあ言っている割には、ほとんど変化がない。
大体、取得率を数字であらわさざるを得ないなんという国が少ないんですよ。何でか。ほかの国は取得率が一〇〇%だからなんですよ。そういうことで、五割にも満たないという情けない実態について、恥と思わなあきまへんよ。
そこで、ブラック企業では、先ほど言いましたように、頑張っていろいろなことをやろうとか、五日間とか、企業がなんという話をするけれども、実際は、有給休暇制度があることも知らせず、サービス残業が横行している、過労自殺が後を絶たない、こういう実態があるわけじゃないですか。だから、この根本にメスを入れて、ヨーロッパ並みに労働者が有給休暇を取得できる条件を整備することこそ、日本の観光発展に欠かせないということを指摘しておきたいと思います。
次に、民泊問題で何が起こっているかということについて現状認識をただしたいと思います。違法、無法の実情がどうなっているかという点であります。
まず確認しますけれども、二月二十三日の予算委員会分科会で、住宅を活用したいわゆる民泊について、塩崎厚労大臣は、私の質問に対して、「現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法に違反をする」と答弁されましたけれども、石井大臣も同じ認識ですか。
○石井国務大臣 旅館業法の所管は厚生労働省でございますので、所管である厚生労働大臣のお答えのとおりかと存じます。(穀田委員「もう一遍、最後……」と呼ぶ)所管大臣である厚生労働大臣のお答えのとおりであろうかと思っております。
○穀田委員 旅館業法と今度のは、お互いに、微妙にというか、結びついているわけだから、違法は違法だということは確かですよね。
そこで、新法で何を立法事由にしているかというと、宿泊者の安全、トラブルの解消、仲介業の規制、下に隠れているものをと先ほど言ってはりましたけれども、ちょっと言葉が正確ではありませんが、そういうものを浮き彫りにさせるんだということだけれども、現状は、違法民泊の所在さえつかめていないということじゃないのか。この現実からまず出発すべきだと私は思うんです。
まず、政府の姿勢としては、所管はと言っているわけですけれども、政府としては、違法、脱法に対してどういう態度で臨むのか、ここが決定的問題であります。
では、聞きますけれども、昨年の十月から十二月、厚生労働省が民泊に関する全国調査を行いました。なぜこうした実態調査に取り組んだのか、その理由と、その結果と特徴はどうだったのかということについて簡潔にお願いしたいと思います。
○橋本副大臣 お答えをいたします。
昨年の規制改革実施計画等におきまして、民泊サービスにおける規制改革というのが政府のテーマとして取り上げられたわけでございまして、この民泊サービスは健全な普及を図る必要があるということがございます。
一方で、インターネット仲介業者を通じ、旅館業の許可を得ず行われている事例などが多く見られ、実態が先行し、騒音やごみ出しなど、地域住民とのトラブルといったさまざまな問題が発生しているということも私ども承知をしているところでございます。
そこで、厚生労働省として、まず、民泊サービスの実態の把握が重要であろう、このように判断し、昨年の十月から十二月にかけて、いわゆる仲介サイトに掲載されている物件について、各自治体の協力をいただきながら、全国横断的な調査を行ったものでございます。
調査の結果でございますけれども、調査件数約一万五千件のうち、旅館業法の営業許可を受けている施設が約二千五百件、一六・五%、一方で、無許可で営業を行っていたものが約四千六百件、三〇・六%となります。また、物件の特定ができなかったものや、自治体において調査期間中に調査できなかった、まだ調査中という返事が返ってきたものが約八千件、五二・九%。このようになっております。
また、特徴についてでございますけれども、仲介サイトに詳細な情報がなく、例えば住所みたいなものが明記されていないといった場合があるということです、物件特定ができないものが五割を占めること、また、特に大都市圏の中心市では、許可を得ていたのはわずか二%程度であるということ、無許可物件の物件タイプは五割以上がマンションやアパートの共同住宅であったことなどが特徴として挙げられるかと思います。
以上でございます。
○穀田委員 極めて大事な結果が出ていると思うんですね。つまり、特定できないのが多いということと、無許可物件の半数以上が共同住宅だと。二%とおっしゃっていましたけれども、大都市圏においては、営業許可を取得している物件の割合はたった一・八%。これは、いただきました調査室の資料の百五十五ページに書いていて、私も読ませていただきました。
要するに、今言ったように、営業許可をとっている物件の割合は大都市では一・八%、それ以外は違法民泊と言っていいと私は思うんですよね。それで、その数字を見ますと、四千六百二十四あるんですね。それは確かに、全国でいうとそうなんだけれども、それぞれの自治体や府県ごとに見ると、そんなに多くないところも結構あるんですよね。だから、四千六百二十四といって、総体として見たら多いんだけれども、それぞれの府県や自治体にしてみたらそれほどでもない、調べることは可能だと。だって、これは、無許可営業とわかっているわけやから、そういうことに対してどのような対策を打って、その結果どうなったかということをお知らせください。
○橋本副大臣 お答えをいたします。
都道府県によって無許可営業の数にすごく差があるということは御指摘のとおりでございます。
この無許可営業者についての対応ということでございますが、これまでも、都道府県と保健所設置自治体において、その実態を把握した上で、営業許可の取得や営業の取りやめ等の指導をまず行うということになります。
今般実施いたしました全国民泊実態調査において、無許可営業者と判断された者が出てくるわけでございますが、そうした者についても、順次、都道府県等において同様の対応がとられているものと承知をしております。
○穀田委員 指導したと。だから、その結果どうなったと私は聞いているんですよ。一般論で、自治体に連絡して指導したと。それはやっているでしょう、そのぐらいのことは。せやけども、例えば、マル適マークなんかつけるわけじゃないですか、旅館なんかも含めて。これは不適格なんでしょう。全く違法なわけですよ。あなたのところは違法ですと、違法のワッペンぐらい張るとかやったらよろしいがな、違法ですといって。近隣住民に違法ですと言ってもいいんだけれども。
これは、無許可で取り締まり対象なんだから、四千六百二十四あるうち、どのぐらい対策を打てて、どのぐらいが改善されたのか、言ってほしいと言っているんですよ。
○橋本副大臣 お答えをいたします。
旅館業法上、営業許可を受けていなかった事案への対応状況ということでございますけれども、こちらの方、毎年度、厚生労働省としては、各自治体から情報をいただいて把握するということをしております。
ただ、先ほどお尋ねいただいた調査というのは、昨年に行ったわけでございまして、その結果として四千件ほどの無許可があったということでございますが、まだその昨年度の事案の集計をしている状況でございまして、昨年度どうだったのか、その調査の結果に基づいてどうなったのかということにつきましては、まだそこの取りまとめができていない、そのような状況だということでございます。
○穀田委員 取りまとめしているから四千六百二十四と出ているんですよ。それを昨年にやっているんですよ。せやから、それはどういう指導をしたのか、何件か違法でなくなったのかということさえも言えないということなんですよ。わかっておったら、先ほどの話じゃないけれども、すぐ労政審だ、あれだって言うじゃないですか、橋本さん。これになると途端に、去年の話で、今、集計している。集計は終わっているというのや。何してんねんと聞いているわけですよ。
何ぼ解決したとか、どないなってるとかって、要するに、それもわからぬということなんですよ。わからぬと正直に言えばいいんですよ。要するに、それほど手が打てていないということなんですよ。それは事実でしょう。手が打てていない。打ったかどうかについては、四千六百二十四を母数にした場合、何件打ったなんということはちょっとわからへんわなと。こういう感じやね。
○橋本副大臣 先ほど御答弁を申し上げましたとおり、昨年度の指導の状況でありますとか、その対応につきましては、まだ取りまとめておりませんということでございます。
○穀田委員 昨年十月から十二月にやって、まだ取りまとめにかかっていると。その間に、違法民泊が何ぼでもふえるということですわな。ということでしょう。京都なんか、そんな待ってられへんのやわ。言っておきますわ。
では、もう少し、私の住んでいる京都の実態について紹介して、大臣の認識を問いたいと思うんですね。
何で私が京都のことを問題にしているか。私が住んでいるからと違いますねん。京都は、新景観政策に代表されるように、ホテルなどの高さを規制し、三方を山に囲まれ、自然景観と一体化した歴史的な町並みを保存し続けてきたこと、それが国内外から高く評価され、世界的な観光都市となっていること、そして、住民の努力で町と住民の住環境がこれまで守られてきた。それが、違法民泊のばっこで、新聞はどう言っているか。観光民泊無法地帯京都とまで報道しているんですね。だから、全国の象徴的実態として、この問題を何とかせなあかんということを提起しているわけです。
考えたら、私、橋本さんを見て思い出したんだけれども、お父さんの橋本竜太郎さんは、京都へ来て、京都駅のあのひどいビル、これは何やと言うていましたわ。京都が京都でなくなる事態は何とかせんならんねと言って言葉を交わしたことを今ふと思い出しました。だから、そういうことぐらい、みんな、京都は何とかせんならんと思っているわけですやんか。
私、四月末に、直接、簡易宿所と違法民泊が急増している京都市東山区を三時間以上かけて歩いて回りました。出される実態はほんまにひどいものですわ。
まず、住民の安全、安心の問題です。
そこで、皆さんにお配りしている資料を見ていただきたいと思うんです。
まず、資料第一、右の写真を見てほしい。
この写真は、外形上は普通の民家に見えますけれども、バラの造花が不自然に挿してあり、目印かなと思って中をのぞいたら玄関の鍵があったというものなんですね。結局、誰でも自由に出入りができ、鍵のコピーができるということなんですね。
この地には、このほかに、住環境にかかわる被害として非常に深刻で、聞きますと、長屋で、隣の民泊と薄い壁一枚、うるさくて寝られない。万が一出火したら奥の家からは逃げることもできない。路地に置いてある防火用の赤いバケツやプランターにたばこがいっぱい捨てられる。木造の建物のすき間にたばこが突っ込んであるということまであります。左側の写真に描きましたように、ごみ出しも地域のルールなど全く関係なしという実態があって、こういう、上に張らざるを得ないということなんですね。
そこで、次の資料の二を見ていただきたい。
左側の写真は、狭い路地の中に民泊が三軒もできている写真なんです。右の方は、文化住宅の二階が全て民泊に使われているというものであります。
そこで、聞きます。
民泊新法の立法事由は、さっきも何回も述べているように、宿泊者の安全、近隣住民とのトラブル解消というのはありますけれども、届け出だけで民泊を認めた場合、こうした事態がなくなるのかということについてお聞きします。
○田村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただいておりますように、急速に拡大する民泊サービスについて、もちろん、宿泊ニーズの多様化に対応しなければいけないということはありますけれども、安全面、衛生面のほか、騒音やごみ出しなどによる近隣トラブルが社会問題になっているということにも対処するため、一定のルールをつくって健全な民泊の普及を図るものでございます。
そういう意味で、これまで行政が、どこで何をやっているのか把握できなかったという状態を、まず、届け出制でもって把握できる状態にする。そして、周辺地域の生活環境へのいろいろな悪影響の防止に関して、必要な事項を宿泊者に説明する義務、あるいは周辺住民からの苦情に適切かつ迅速に対応することを義務づけるというようなこと、それから、家主不在型の場合には、住宅宿泊管理業者というものを関与させて、住宅宿泊事業者にかわって適切な措置を講ずることを義務づける、そして、住宅宿泊事業に起因する生活環境の悪化を防止するために、条例により合理的な範囲内で区域を定めて当該事業の実施期間を制限できる、そういった仕組みを設けて、いろいろな地域住民の生活とも調和しつつ、健全な民泊サービスの提供を図ろうとするものでございます。
○穀田委員 それは立法趣旨ですやんか。私が聞いているのはそういうことじゃなくて、こういう事態というのは、認めた場合、今のようなことはなくなるのかと聞いているんですよ。立法趣旨は、そういう説明を何回も聞いていますよ。
では、聞きますけれども、たばこの不始末なら普通は消防関係、ごみの放置なら自治体の対応、近隣トラブルが高じれば警察関係と、大枠そういうことになっていますよね。それぞれの対応は個別的だと思うんですが、それぞれにこうした違法、無法な民泊を取り締まる法令上の根拠はどこにあると言えますか。
○田村政府参考人 本法案におきまして、住宅宿泊事業者に対し、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項を宿泊者に対して説明する義務を課しておりまして、これにより、騒音の発生やごみ出しルールの不遵守等に起因する近隣トラブルの発生を未然に防止することといたしております。
また、住宅宿泊事業者に対しまして、住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合わせについて適切かつ迅速に応じる義務を課すことといたしております。これにより、仮に近隣トラブルが発生した場合でも、円滑な解決を促すこととしております。
さらに、これらの説明義務や苦情対応義務が履行されないことにより引き続き近隣トラブルが発生している場合には、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため、業務改善命令や業務停止命令、廃止命令を行うことといたしております。
このような対応によりまして、近隣トラブルを発生させるような不適切な民泊サービスの提供につきましては、本法案に基づき、厳正に対処していくこととしております。
○穀田委員 前半はさっきと同じことをしゃべってんのやね。後半は、対処する、厳正に対処する、迅速に。
何が迅速に対処できますかいな。去年の十月から十二月にかけて調査して、無法が四千六百わかった。各県でいえば五件とか七件。それも対処でけへんと、何ができるっちゅうねんな。あほなこと言ったらあきまへんで。そんな、一般論で誰がわかりますねんな。大体、こういうことを言うと、自治体と警察とかなんとか、すぐこう言うんですよ。
私、調べてみたけれども、この間、新宿で民泊のルールづくりの検討会議が開催されていますよ。そうしたら、警察はどう言っているか。報道では、警察関係者は、一斉に取り締まるべき問題だが、できないままに増殖してしまい、警察力で規制は困難というふうに率直に述べているんですよ。警察がお手上げだと言っているんですよ。
厚労省は何をやっているかというと、二カ月かかって、いまだ無法なものも手出しができない。何が迅速にできんねんな。あかんて、そんなこと言ったって。
だから、私、何回も言うんだけれども、直接聞いてきましたよ。民泊施設に大人数でだっとやってきて、例えば、こんろを持ち込んで焼き肉をやる、狭い路地でバーベキューをやる、そんなことをやったら、住民、隣の方は、堪忍というようなことは言われへんから、例えば、違法民泊として個人の民家でこうした行為がやられていることに対して、住民からの要望があれば消防は立ち入る権限があるのかどうか、どう対応するのか、消防庁にお聞きしたいと思うんですね。
それで、もう一つ。
実際は、何かというと連携と言うんだけれども、苦情を言っても何にもしてくれないというのが住民の思いなんですよ。それで、住民の苦情に現場で直接対応するのは、ある意味で保健所の職員ですよね。だから、増員すると言っているんですよ。だから、厚生労働省もそうなんだけれども、この抜本的増員というのはどの程度の規模を考えているのか。
この二つについて、消防と保健所の話、ちょっと答弁をお願いします。
○猿渡政府参考人 お答え申し上げます。
消防法第四条では、火災予防のために必要があるときは、消防署長は、関係者に対して資料の提出を命じ、もしくは報告を求め、または消防職員を立ち入らせ、検査や質問を行わせることができるというふうにされております。
現在、例えばホテル、旅館等に対しましては、通常、定期的に立入検査を行うほか、住民からの通報などの情報提供があった場合にも、火災予防上の必要があるときは、随時検査を行っております。
いわゆる民泊の場合につきましても、立入検査等につきましては、ホテル、旅館等と同等の取り扱いになると考えてございます。
○橋本副大臣 お答えいたします。
先ほど御答弁申し上げましたように、旅館業を無許可で営業する者に対しては、地方自治体の保健所が指導監督を実施するということでございます。
今後の増員の予定ということでお尋ねをいただきましたけれども、これはまず、来年度予算編成における地財措置の問題ということになります。それぞれの保健所の定数等は自治体がやることでございますので、国としてそれに対してどう手当てをするかということになろうと思いますが、住宅宿泊事業法案、今御審議をいただいているこの法案成立後の違法民泊の実態等を踏まえ、地方自治体や関係省庁と連携しながら、保健所の体制整備についてしっかり対応できるように検討してまいりたい、今、このように考えているところでございます。
○穀田委員 決意は、橋本副大臣は、対応してまいりたいと思いますと。だって、これだけ時間がかかるのが、それで今度は、財政だ、自治体だ、こう言って、ほんまにこういう超スピードで起こっている事態に対して保健所が対処できるのか。今でも保健所は人を減らしていますやんか。保健所の人は減らすわ、先ほど小宮山さんが言ってはったけれども、保健所がなくなったところもあるわけでっしゃろ。だから、減らしておいて、それで、わっとふやすなんて、誰が信用しますねんな。そういう問題がある。
消防庁は、火災予防でできると。違うねんて。実際に火はないわけですよね。そういうのにはすぐは出ていけないんですよ。そんな一般論をしゃべって、人をごまかそうとして言っているわけじゃないんだけれども、違う話をしても……。私が言っているのは、こういう場合はどうやと限定して言っているわけやから。
一般論の火災予防についてはそのとおりなんですよ。だけれども、こういう事態のときについて、文句を言ったら苦情で出るかといったら、本当に出るというんだったらそう言ってくれたらいいけれども、出やしませんよ、絶対にその程度では。消防署や何かは動かないですよ。それは、火災の危険がある、しかも、相手の方の了解がある、この二つの条件がなければ出ません。そうでしょう。うんと言ってくれたらいいです。そうなんです。
それで、次に、関連して聞くけれども、老朽化した木造建築物が密集する地域や、狭隘道路に面する住宅地への民泊の進出についてであります。
先ほど写真を見せましたやろ。京都市の場合、こうした地域への民泊の進出が著しいんですね。
そこで、国土交通省は、狭小な敷地に高密度に建築物が建て並ぶ地域や、老朽木造建築物が多く存在する地域等では、延焼危険性や避難困難性が高いとして、二〇二〇年を目途に、これをおおむね解消することを方針としてきました。今、新法ができれば、こうした地域での民泊も届け出だけで認めるのか。
先ほど、木造住宅のすき間にたばこが突っ込んであるという事例を紹介しましたけれども、こうした地域に民泊を新たに誘導することが、国土交通省のこの間の、そういう意味でいうと、いわゆる木密を何とかしようといった方針と逆行するんじゃないんですか。大臣にお答えいただきたい。
○石井国務大臣 木造密集市街地においては、民泊を実施するかどうかにかかわらず、居住または滞在する方々の安全の確保を図ることが重要と考えております。
このため、国土交通省では、地方公共団体と協力いたしまして、延焼危険性の低減や避難安全性の確保、道路を拡幅するというところも東京都等では実施をしてございます、密集市街地の整備、改善に係る取り組みを推進しているところでございます。
さらに、本法案におきましては、部屋の構造を熟知していない宿泊者が滞在することを想定し、民泊が行われる住宅に対して、宿泊者の安全確保のための措置を求めることとしてございます。
こういった取り組みを通じまして、密集市街地における民泊の宿泊者等の安全確保を図っていく考えでございます。
○穀田委員 それは、机上で考えたらそういうことになりますよ。そんな生易しいものと違います。人を助けるとか人が危ないというときに、そんな話で通用するのやったら、消防は要らへんわ。消防団も要らぬ、そんなんやったら。そういう問題なんですよ。
皆さんに資料を配付していますけれども、三と四、これは、京都市の東山区、六原学区というところなんですけれども、六原まちづくり委員会が作成したものです。これが本体なんですね。こういうものをつくっているわけですよ。それは、ほんまにようやってまっせ、どこにどういうものがあるかということだとか。
それから、安心・安全マップといって、こういうものもつくりまして、どこで、自転車注意、歩行者注意、車上狙い注意、痴漢注意、危険箇所、ひったくり注意と、こういうものを全部つくって、どの町内がどうなっているかということまでやっているんですよね。
そして、そういう中であって、今皆さんにお配りしているように、路地があります。京都の場合は、そういう袋小路になっている路地がたくさんあります。まあ、京都ではロージと言うんですけれども、戦火を逃れ、狭い道を挟んだ袋小路に木造住宅が連担している京都市。ところが、京都市のこういう実態のもとなんですけれども、各都市に比べて火災が少ないんです。これはなぜか。
皆さんも、例えば今、大臣もおっしゃったように、どうするのであれ、安全を確保する、避難が大事だ、こう言っていましたわな。ところが、こういう問題が、なぜこれが避難できたり、そういうのができるかというものの中心ポイントは何か。それは、路地、小路、ここに書いていますので解説は省きますけれども、それらが、住民のコミュニティーがしっかりしているからなんですね。火事は絶対出さない、そして、みんなで助け合おうねというコミュニティーがあるからなんですね。
今、この住民のコミュニティーが、違法民泊の虫食い的な進出でばらばらにされている。地域コミュニティーとの関係で、今大臣がおっしゃったように、どうあれこうあれと言っていました、守るべきだ、避難と安全を確保すると。そういうものの一番大事なコミュニティーが、虫食い状態によって壊される。とりわけ、家主不在型民泊を路地に認めたらどないなるか。
そういう危険性についてどう考えるか、所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 地域コミュニティーが維持され、地域住民が安心して生活できる環境が守られることは重要であります。
このため、民泊につきましては、地域住民の生活と調和をとりながら行われるよう、安全、衛生面の確保や近隣トラブルの防止などの措置を求めるとともに、家主不在型の民泊に管理業者への委託義務を課すなど、本法案において一定のルールを定めたところであります。
また、空き家が単に放置されており、それがふえていけば、むしろ地域のコミュニティーの崩壊につながると考えております。民泊として活用されることにより、適切に維持管理が行われるという面もあるのではないかと思っております。
さらに、民泊を利用する観光客は、飲食など地域の消費への貢献や、お祭りなどの行事への積極的な参加を通じ、地域コミュニティーの活性化に寄与することも期待されます。
このように、地域コミュニティーに人が集まり、地域の安全性やコミュニティーの活性化に寄与する形で民泊を通じた空き家の有効活用が図られるよう、本法案の適正な運用を図っていきたいと考えております。
○穀田委員 空き家を活用するとか、それから、人が来たら地域コミュニティーへ参加するとか、そんなことが現場で起こっていると思いますか。京都の町というのは、当然、町をやって、お祭りもやりますよ、町内会にも入ってくれと言いますよ。
今、民泊をやっているここのところでいうと、多くのところを調べましたよ。その四十五、この間、東山で調べました。大臣がおっしゃるように地域コミュニティーの活性化に寄与しているというのやったら、町内会に全部入っていると思いますか。入っていないですよ。四十五軒のうち、入っているのはたった十四軒なんですよ。そんなもの、どないして地域コミュニティーを守れますねんな。祇園祭りがもうすぐ来ますよ。みんな、そういう問題で、マンションだって、どういうふうにしてそれをやるかということをやっていますよ。
それから、そういう意味でいいますと、今、何で私はこの地図を出したか。皆さん、実は、この地域は、大臣の名前で、平成二十九年度まちづくり月間まちづくり功労者国土交通大臣表彰を受賞した町なんです。あなたが表彰した町なんですよ。ここのところで、事態が大変だということが起こっているんですよ。
ここでは、路地丸ごと民泊になる勢いと。この路地は七軒中五軒が民泊。これでどないしてコミュニティーが保てますねんな。マンション売買の相場はバブル絶頂期よりも高値、売れたらすぐ民泊に変わる、賃貸料が上がり、住民が追い出される、レンタル着物やアイスクリーム屋などが通りに並び、住民が住みにくい町になっている。こういう告発をしているのはこの町なんです。
先ほど述べた六原自治連合会、これを立ち上げて、住んでよかった町、住み続けられる町、これで先ほど言っているわけです。そういう方々が、まちづくりの観点から見ると民泊は飽和状態だ、このまま質の悪い観光地になったら京都が京都でなくなる、こういうふうに、あなたが表彰したこのまちづくりの方々が述べておられるんです。それを真摯に聞くぐらいの度量は必要ですよ。もう住むことができないと。
昨日の参考人質疑で、永山さんは、パリなどの先行事例では、民泊ビジネスの解禁によって、都心部において企業や投資家が投資物件として民泊向きの物件を買いあさることによって、周辺の家賃相場が高騰し、結果、もともとの住民が減少し、地域のコミュニティーが崩壊していると陳述されているじゃありませんか。事態はそういうところまで来ているというんです。
大臣は、新法ができれば、住民が町に住めなくなる事態、町が町でなくなるということにはならないと本当に言い切れるんですか。ああいうことで、えらい調子のいい話をしていましたけれども、本当ですか。
○石井国務大臣 私、今お示しいただいた京都のこの地区の現状を正確に承知しているわけではありませんけれども、これを今の状況で放置していけば、ますます事態はひどくなるのではないかと思っております。むしろ、適切に民泊を管理することによって健全な民泊を育成していく、このことによって地域のコミュニティーの維持にも貢献できるのではないか、このように考えてございます。
○穀田委員 さっき言った話、よく聞いておりなさい。活性化する、地域がうまくいくと。今、実際にいっていないと言っているんですよ。そういう実態、健全でないと言っているんですよ。あなたは知らないと言うが、あなたが表彰した地域なんですよ。
では、聞きますよ、もう少し。民泊新法で何が変わるか。旅館業法と民泊新法の違いを資料五に出しました。
なぜ民泊では届け出なのか。最低限、許可にすべきじゃないのかと私は思うんですね。
きょう、チラシを持ってきました。日本中小ホテル旅館協同組合、この方々が言っているのは、裏の方に、「この民泊新法は管理者が国土交通省に届け出し、施設の持ち主が地元自治体に届けるだけで、施設に管理者不在のまま、全国どこでも民泊の営業ができるという、国民の安心、安全な生活を根底から覆すとんでもない法律です。」と批判していますよ。
大臣がおっしゃる健全ななどということに対して、これはおかしいんじゃないかという根底からの批判を与えているわけですけれども、大臣はこれにどう答えられますか。
○石井国務大臣 私は、現状を放置していたままでは、むしろ、不健全な民泊がどんどんはびこることになりかねない、そのことをしっかりと規制するために今回の法律案を出させていただいているところでございます。
○穀田委員 現状を放置したらこうなる。現状を放置しているのはあなた方じゃないですか。大体、先ほど述べた四千何ぼについても何の手も打てない人たちが、どうして無登録のものを全部捉まえることができるんですか。そういう絵そらごとを言ったらあきませんよ。(発言する者あり)
だから、では本当に届け出するのかということなんですよね。例えば、では皆さん、そういうやじを飛ばしてはるけれども、届け出制は、例えば施設について、台所、浴室、便所、洗面設備など、要件がそろっているかどうか、手描きの図面を添付すればよいということになっているんですよね。ところが、この登録は、インターネット登録でできるだけ簡略にと言っているわけですよ。
だから、何か調子のいい話をして、健全なとか、よくなるとか言うけれども、現地の確認さえもしないで、どないしてこんなことができるんですか。一遍やってみたらどうだと。それやったら、やってみろ、そんなことがやれるのやったら。できないんですよ、そんなこと。
次に、防火対策の問題について聞きますよ。では、防火の問題についてやりましょう。
ホテルや旅館業の皆さんは、本当に努力されて、大変ですよ。私、先日、京都の知恩院の関係のホテル、和順会館で防火対策をお伺いしました。お客様の安心、安全を維持するために、毎月の防災訓練や衛生管理のリスクマネジメント、講習、防火基準適合表示、マル適ですね、これを得るために、消防による立入検査、指示に基づく改善を行っているということですね。
こうした規制を民泊に求めずに、住民とお客さんの安全が守られると断言できますか、大臣。
○由木政府参考人 お答えいたします。
民泊に対する防火、避難対策について御説明申し上げます。
届け出住宅におきましては、部屋の構造を熟知しない宿泊者が滞在することが想定されることから、火災が発生した場合の円滑な避難を確保するために、住宅宿泊事業者に対する義務といたしまして、本法案におきまして、火災時に停電が起きた際にも宿泊者が円滑に避難経路を認識するための非常用照明設備の設置、さらに、異なる宿泊室で生じた火災を宿泊者がいち早く覚知するための連動型の警報器の設置を求めることとしておりまして、これによって、旅館と同様の安全性を求めることといたしております。
○穀田委員 皆さん、そう聞いたら、そうかなと思うでしょう。では、実際に一緒に行きましょう。
これは違うんですよ。火災が起きたときなんですよ。今、旅館業が努力しているのは、起きないようにやっているんですよ。そこに違いがあるということをわからなあかんねんて。そういうことに努力されていることを見ないから、平気でそういうことで、よっしゃと言うわけですよ。
問題をはぐらかしちゃあきませんよ。先ほど述べた日本中小ホテル旅館協同組合は、「旅館業法での営業許可申請では絶対必要となる建築確認検査済み証、消防法令適合通知書、三百六十五日二十四時間常駐の管理者、この人の命にかかわる最重要な営業許可条件が全て削除されています。」ということで、その危険性を訴えているわけですよ。
昨日、永山参考人も、ホテルの一経営者とおっしゃっていました。我々は、過去にわたって安心、安全を何とかしてお客さんに提供したい、地域とその治安を守っていきたい、その一点で、これまでたくさんの規制を受け入れてまいりました、それを守ることで地域に貢献してきたつもりでございますと。ただ、あの民泊法案を読むにつけ、どうしてもそのあたりがないがしろにされている、我々が今まで行ってきた努力というものが認められていないんだなということを感じているのは事実でございますと言っているんですね。そのことを本当に真摯に受けとめなければならないと思います。
ですから、民泊新法というのは、旅館業法上の安全基準を満たさない住宅での宿泊事業を届け出だけで認めるという、余りにもイコールフッティングに欠けることは明白だと思います。
これは家主不在型で特に重要な問題となるが、フロント設置と二十四時間常駐、対面によるチェックイン、チェックアウトの管理について聞きます。
きのうも永山参考人は、民泊の解禁によって我々のこれまでの努力が無になることを恐れている、犯罪を計画する者はホテルでなく民泊を利用しようとすることは明らか、これは永山さんの発言ですよ。昨年のパリ、先日のロンドンでのテロも、犯人グループが他人名義で民泊を予約し、潜伏していたという報道もある、対面しなければ実際に本人が宿泊するかどうかを確かめることはできない、しかも、利用する人が利用人数を偽って大勢で宿泊することがあったり、そういったものまでチェックすることは不可能と指摘された。
大臣は、この指摘にいかがお答えになりますか。
○田村政府参考人 本法案におきましては、住宅宿泊事業者または住宅宿泊管理業者に宿泊者名簿の備えつけの義務を課すことといたしております。
宿泊者名簿の記載に当たりましては、宿泊者の氏名、住所、職業等が実際に宿泊する者の情報と同一かつ虚偽ではないことを担保するため、旅券の提示を求める等によりまして本人確認を行うとともに、それが対面またはそれと同等の手段で行われる必要があるというふうに考えております。
本人確認が適正に行われていない場合につきましては、業務改善命令の対象となるとともに、業務改善命令にも従わない場合には、業務停止命令または業務廃止命令の対象となる場合があるというふうに考えております。
こうした措置を講ずることによりまして、住宅宿泊事業の適正な実施を確保してまいりたいと考えております。
○穀田委員 まあ、担保にならぬね。だって、それをやる人がいないんだから。いつもそう言うわけだけれども、さっきとも同じじゃないですか。業務を誠実に執行し、それから指導しなんて、指導できてへんやんか。あんな無法があるのに、四千六百何ぼもでけへんのに、何万とある、ごまんとあるものをどないしてしますねんな。誰が見たかて、そういうことはでけへんということがあるから、みんな不安なんですやんか。それで、各政党だって、自分のところの中でいろいろな議論があるわけじゃないですか。
しかも、昨日の質疑で、鍵の受け渡しについてまで言っていますやんか。別の事業者等への再委託も可能といったことを言っているわけですよ。そういう実態をどないして調べますねん。
ですから、こんなことで防げないことは明らかであります。
住居専用地域で、従前は、これらの地域では旅館、ホテル業は営業できなかった。ところが、新法では、住居専用地域にまで、届け出だけで民泊営業を認めることになる。この点も、永山参考人が端的に、家主居住型の民泊はごく一部にすぎない、大多数は国内外の企業や投資家が民泊用に空きマンションを購入し、それを運用する家主不在型、いわゆる投資型の民泊、大手建設会社などが民泊利用を前提とした共同所有の低コストホテルの建設をもくろんでいると指摘しているんですね。これはパリの例から出ているわけですよね。バルセロナでも起きているわけですよね。そうして懸念を表明されている。
だから、住専地域において、このような民泊マンションや共同所有の低コストホテルのようなものの進出をこの法律で食いとめられると、田村さん、自信を持って言えますか。
○田村政府参考人 本法案は、住宅を活用して宿泊サービスを提供するいわゆる民泊について、一定のルールを定めて、各地域においてその健全な普及を図るものでございます。
周辺の生活環境への悪影響の防止の観点については、標識掲示に加えまして、住宅宿泊事業者または住宅宿泊管理業者に対する宿泊者への説明義務や苦情処理義務などの措置により、周辺地域との調和を図ることといたしております。
また、住宅宿泊事業者に非常用照明器具の設置、避難経路の表示等の措置を義務づけ、安全確保のための措置もあわせて講ずることとしております。
なお、本法案における住宅というのは、人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令、厚生労働省令で定めるものをいうことにしておりますけれども、専ら民泊に用いるために新築されるマンションについては、入居者の募集が行われているものではなく、人の居住の用に供されていると認められるものではないことから、本法案における住宅の要件に該当しないため、対象にならないものと考えております。
○穀田委員 さっきから、説明義務とか、そういうことをやらせますと言うけれども、そんなことができるんだったら苦労せえへんのですよ。そんなもの、現場に行ってごらんなさいよ。
例えば京都なんか、フロント、つまり帳場、私も旅館のせがれなもので、帳場なんですよね。受け付けのとき、許可をとるときは帳場をつくるんですよ。次に行くでしょう。そうしたら、もうあれへんねんね。何になっているかというと、げた箱になっているんですよ。ひどいのになると、段ボールをやってやっている。こんなことが次から次へと起こっている。そうしたら、地元からそういう告発があった、どうすると思いますか。そんなもの、行かれしませんと言うわけですやんか、人がいませんと。
だから、管理者の説明だとか、それからちゃんと厳しく点検しますなんて、誰ができますねんな。今でも、無法、そんなことをやっているのに、蚊帳の外に置くものだ。だから、いろいろ条件をつけるけれども、もはや、今の段階でいえば、これは規制緩和どころの話じゃない。違法民泊を新法で適法にして、全く規制の外に置くものであって、絶対認められぬということを言っておきたい。
最後に、では、仲介業者のことを少し聞きますね。
海外の事業者の問題ですよ。これまで、エアビー、もう本当にいいかげんなところやけどね、ここ。いろいろな理屈をつけて旅行業法上の登録を逃れ続けてきたわけです。
新法ができれば、日本に事業所がない仲介業者の全てを登録させることができるのか、また、納税の義務を果たさせることができるのか、さらに、違法行為をしたときの罰金を支払わせることができるのか、この三つの点について簡潔にお答えください。
○田村政府参考人 住宅宿泊事業法案におきましては、日本に事務所のない海外の仲介業者につきましても登録の対象といたしているところでございます。
海外の無登録仲介業者に対しましては、当該事業者のウエブサイト等から連絡先を確認し、書面を送付すること等により、本法案についての周知を行い、住宅宿泊仲介業の登録を促すことといたしております。
さらに、本法案におきましては、住宅宿泊事業者に対し、登録を受けた住宅宿泊仲介業者への委託義務を課すことといたしております。これによりまして、登録を有さない海外の仲介事業者は、我が国において物件の提供を受けられないこととなるため、日本に事務所のない仲介業者に対しましても、十分に登録の取得を促すことができるものと考えております。
○穀田委員 それは、TPPの議論のときに、そういうことはできやしないということについて相手は言ってんのやね。そういうのを含めて、今後、ほんまにそのとおりなのかということについては、一つ一つ事実で検証していきたいと思いますし、そうじゃないということを私は言っておきたいと思うんです。一定の時期が来れば、どっちが正しかったか、わかると思います。
エアビーなんて、そう簡単に捉まえられるのやったら苦労せえへんですよ。今まで一つもこのエアビーなんか規制もでけへん人たちが、たかがこんな法をつくって、できると思ったら大間違いでっせ。
最後に一つだけ言っておきたいと思うんですね。
先ほど、健全なものをするから必要だなんて話をしていますけれども、皆さん住民は、違法民泊に対して必死になって対峙しているんですよ。それは、先ほど紹介した六原まちづくり委員会、いわば国土交通大臣推賞の町ですよ。
そのまちづくり、町をやっている方々は、手をこまねいたわけじゃないんですよ。毎月、三十ある町内会長が集まり、対策を協議し、情報を交換し、違法民泊のオーナーと徹底して話し合ってこられた。そこの中で、まず最低限、旅館業法の簡易宿所の許可をとることを求め、次に、地域行事に参加すること、さっきおっしゃっていましたわな。地域行事に参加すること、町内会費を払うこと、これらを求めているんですよ。
どれだけ従ったと思いますか。そんな、みんなやってはんねんて、大臣が言うてるようなことは。しかし、オーナーの半数は、大体、簡易宿所の登録を行うなど、町内会の要望に応じていますよ。いい人もおるんですって。我々、民泊を全部否定しているわけじゃないんですよ。
私のところの東山で、月輪学区のある町内会は、民泊オーナー、管理業者と再々交渉し、町内会との間で協定書、物すごい協定書なんですよ、このぐらいあるんですよ。もうありとあらゆることを書いている協定書なんですね。それを結んでいるんですよ。その内容は、管理者の責務、管理者及び連絡先の明示、利用者による迷惑行為の防止、宿泊施設の運営、玄関帳場と管理人、火災保険、町内活動の参加などとなっており、この協定書確認後、これに反することが二度起こったけれども、また確認書をつくって、もう一度それを実行させるということをやっているんです。
本当に苦労しているんですって。そういう苦労が報われなきゃならぬわけですよ。さっき言ったように、もはや限界だ、ここまで頑張ったけれどもこうなっているということを言っているわけですね。だから、住民の労苦を無駄にしちゃならぬ。だから、ここはしっかり、ノーだということで取り締まるべきだ。
もう一つ、やはり大事なことは、簡易宿所をやっている人たちも努力しているんですね。私も聞きましたよ。京都ホームシェアリングクラブの皆さんは、許可をとって、法を守って頑張っていらっしゃる。私たちは真面目にやっているのに、潜りの施設は絶対許せない、なぜ違法施設が堂々とインターネットのサイトに載っているのか、取り締まることができないのか、こういうふうに言っておられるわけですね。
問題は、ここに何があるか。結局、一番最初、私、もうけと言いましたやんか。もうけがある。不動産賃貸業、ここが暗躍しているというところが大きな特徴だと思います。私は、それを許してはならないと思います。
京都の不動産業界で、さっき言いましたように、七万円の賃貸マンションを民泊にしたら、エアビーなどの仲介業者に売り上げの三分の一の手数料を払っても、月二十万はかたい、だからやると言っているんですよ。こんなふうになっているということを見て、やらなあかん。
最後に、世界の趨勢は、こういった問題がだめだと、ロンドン、パリ、シンガポール、ニューヨークなど世界の各都市においても、一旦規制緩和してみたものの、事態の悪化を前に、規制を強化する方向にかじを切っています。私は、今、民泊新法で違法民泊を適法として、届け出だけで住宅地にまで認めてしまうということは、明らかに世界の流れに逆行し、日本における真の観光発展に逆行することになる、このことを厳しく指摘し、同僚の皆さんのそういう意味での御理解を深めていただくことを切に希望して、終わります。
○西銘委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十八分休憩
――――◇―――――
午後一時十五分開議
○西銘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。伊東信久君。
○伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。
私は医者をやっていまして、もともと厚労委員会だったんですけれども、現在は文部科学委員会の方に所属いたしまして、文科委員会で東京オリンピックのお話も出ます。そういった中で、たくさんの外国からの観光客の皆さん、そしてアスリートも来られるということで、アスリートの御家族の方も含め、これから民泊の意義というのはやはり非常に重要になってくると思います。
私は、文科委員会に所属して、ラグビーワールドカップの成功議連というのがございまして、ちょうど私のトイメンに事務局長の中谷真一議員が座っておるんですけれども、私がその中谷議員を補佐している事務局次長というのをやっております。ワールドカップになりますと、やはり各地域に観光客の方も訪れますので、そういったことも含めて、住宅宿泊事業法案、いわゆる民泊法案について質問してまいりたいと思います。
私は、日本維新の会で、大阪の枚方市、交野市選出なんですけれども、大阪の議員なので、どうしても、本法案のモデルになった国家戦略特区の民泊について、大阪府、大阪市の事案、その大阪府、大阪市がトップランナーとなって制度設計の段階から積極的に取り組んでまいりましたお話を前提に質問をしていきたいと思うんです。
昨日の参考人質疑の際にも我が党の椎木議員からも話があったと思うんですけれども、大阪府、大阪市が運用通知などを整備した結果、特区民泊に関して、目立ったトラブル、事件、事故、その他の安全衛生面の問題というのは発生はしなかったです。適正に管理するルールを整備した上で運用すれば、トラブルが起こりにくいそういった制度も確立できるんだと思うんです。
このように、大阪府、大阪市が先頭を切って特区の民泊に取り組んだ。日本維新の会も、基本的には積極的に後押しして、本法案の先駆け、モデルに大阪がなったという認識で進めていきたいと思うんですけれども、休憩も挟みましたので、まずは、この法案の意義、民泊の活用について、大臣の思いをお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 本法案は、急速に拡大する民泊サービスにつきまして、安全面、衛生面のほか、騒音やごみ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていることや、観光旅客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するために、一定のルールをつくり、健全な民泊の普及を図るものであります。
今後は、適切な規制のもとで、地域の実情にも配慮しつつ、ニーズに対応した民泊サービスの提供が可能となり、プロの宿泊サービスであるホテル、旅館に加え、民泊という選択肢が加わることで、旅行者の多様化する宿泊ニーズに幅広く対応できるようになることが期待されます。
また、自宅や別荘等を宿泊事業に利用することで、住宅を有効活用し、ゲストとの交流を図るといった、宿泊サービスを提供する側のニーズにも対応することが可能となります。
本法案により健全な民泊サービスの普及を図ることによりまして、二〇二〇年、訪日外国人旅行者四千万人、その旅行消費額八兆円等の目標の達成を後押しし、観光先進国日本の実現を図ってまいりたいと考えております。
○伊東(信)委員 大臣おっしゃるように、健全な民泊の運営をということでこの法案が検討されているんだと思うんですけれども、きのうの参考人質疑の中でも参考人の方がおっしゃっていたように、懸念事項というのがございますね。ごみの問題、そしてまた、民泊自体がテロとかそういったいわゆる犯罪者の温床になってはいけない、火災の問題があったり、感染の問題、住専地域の問題とかあると思うんですけれども、そういったところを一つ一つクリアしていくというのが大事だと思うので、そういったところを中心に今から質疑をさせていただきたいと思うんです。
一方で、やはり民泊の意義というか、海外から来られた観光客の皆さんが、いわゆるシェアリングエコノミーの一つの形式であると同時に、日本の文化自体を知ってもらうホームステイにも似た位置づけもあると思うんですね。
ワールドカップの話をしましたけれども、月曜日に帰られたんですけれども、先週末から、ワールドカップで二連覇したオールブラックスのリッチー・マコウという元キャプテンが来られていました。どういったことで来られたかというと、二〇一一年三月十一日のあの東日本大震災で被災した東北の子供たちにエールを送るために、海外のホームステイを通した被災児童の自立心の育成活動という事業がありまして、十二カ国の大使館、外務省と連携して実施されている海外のホームステイのプロジェクトでございまして、今度は自分たちが誰かのためにと、そういった自発的な復興プロジェクトとなっておりますHABATAKIという名のプロジェクトなんです。また、二〇一六年四月十四日の熊本の地震で被災した子供たちにも同じような支援事業をやっているわけなんです。
何を伝えたいかといいますと、民泊を通じて、日本の温かいホスピタリティー、おもてなしの心に触れた海外からの観光客の皆さんも、同じように、日本のすばらしさを知って、もっと日本を知りたいと思うリピーターに、これからは、そういった子供たちが海外に行って、今度は、海外から観光客が来たときに、そのホスピタリティーということをこの民泊を通じてできればと思っておるわけなんです。
この制度というのは、特に地方に大きなメリットがあるので、宿泊提供者の入り口である登録制度はなるべく簡単にしたいと思うんですけれども、残念ながら、さっきの五つの問題点で指摘したように、違法民泊という、管理者不在で、何か困ったことがあってもどこに問い合わせしたらいいのかわからない。このケースは都会にも多いと思うんですけれども、地域にもそういったことがあれば、やはり、もう日本には二度と来ないという、将来的にインバウンドの増加が見込めないことにもなるのではないかと心配しておりまして、管理者不在型の民泊提供者、業者に対しては厳しく管理をしていっていただきたいと思うんです。
昨日の中林参考人のお話にもありましたけれども、地域がホスピタリティーを発揮できるようにするために、民泊の仲介サイト、そして業者のルール、こういったことも徹底してもらうようにどのように指導していく予定なのか、教えていただければと思います。
○田村政府参考人 ラグビーワールドカップ、それから東京オリンピック・パラリンピックなどを控えまして、ホテル、旅館に加えまして、健全な民泊という選択肢が加わることで、外国人旅行者の多様化する宿泊ニーズに幅広く対応できるようになることが期待されます。
本法案では、匿名性を排除して、行政が住宅宿泊事業を把握するため、事業を実施する場合の届け出等の手続を定めております。その情報は、国土交通省、厚生労働省、都道府県等地方公共団体、警察等の関係行政機関で共有し、連携して住宅宿泊事業の適切な運用を図ることといたしております。
また、住宅宿泊事業が適切に行われることを確保するために、住宅宿泊事業者、住宅宿泊管理業者、そして住宅宿泊仲介業者に対する業務改善命令や立入検査等の監督についても定めておりまして、こういった仕組みによりまして、本法案は、一定のルールのもとで健全な民泊サービスの普及を図ろうとしているところでございます。
○伊東(信)委員 国交省において健全な指導をされていくというところは、その意識は間違いないとは思っております。いわゆる民泊の業者のルールというのは、恐らく徹底はされていると思うんですね。ただ、やはりまだ、きちっとした基準を満たしていない、そしてきちっと届け出をしていない業者というのは存在していることは確かなわけです。
そういったところへのルールの徹底というのはわかるんですけれども、民泊の仲介サイトがそういったところをきちっと把握して、ここはきちっと届け出している、ここはまだ届け出する途中である、もしくは、どっちかというと違法性を感じられる、どっちかというのはないですね、残念ながら違法な民泊業者だというのがあるとは思うんですけれども、その仲介業者がきちっと把握しているかというのが大事であります。
ラグビーの話をしましたけれども、最近、釜石市が契約したのが大手の民間仲介サイトのエアビーアンドビーなんですけれども、エアビーアンドビー自体に何か問題というよりも、違反民泊業者と判明してもまだ掲載をし続ける、そういった宣言をされているんです。
そうなると、やはり規制が抜け落ちているように私は感じるんですけれども、国交省の見解はいかがでしょうか。
○田村政府参考人 本法案におきましては、住宅宿泊事業に係る宿泊契約の仲介を実施する場合には、観光庁長官の登録を受けなければならないこととなります。
その上で、本法案に基づく住宅宿泊事業の届け出を行っていない住宅を掲載し、当該住宅に係る宿泊契約の仲介を行っているような場合には、住宅宿泊仲介業の適正な運営が確保されていないとして、必要に応じ業務改善命令を行うことが可能となっております。これによりまして、例えば、違法な民泊物件をサイトから削除することを命ずるといったことも考えられるわけでございます。
仲介業者は、無届けか届けられているかということは、届け出番号というものが付与されますので、それをチェックすることによって、届け出がなされているかどうかということは一応判断ができるわけでございまして、それをやらずにサイトに載っけてしまえば、これは当然、業務改善命令の対象になる、こういうことでございます。
いずれにいたしましても、悪質性や違反の頻度等も勘案しつつ、健全な民泊サービスの提供を担保するため、個別事案ごとの内容に即して適切に指導監督を行ってまいる所存でございます。
○伊東(信)委員 恐らく、本日の時点で、まだ法案ができる前ですので、現在登録している事業者というのは、別にエアビーアンドビー以外でも、全て登録しているということのチェックというのはまだ徹底はされていないと思うんですね。
法案が成立後、直ちに、国交省としては、そういった仲介業者の登録サイトでも違法の業者がないか、きちっとチェックをしていく、莫大な量だと思うんですけれども、していくと理解してよろしいんですか。
○田村政府参考人 まずは、仲介業者が届け出されている物件というものだけを載っけるように、そこを周知徹底していくということでございますけれども、当然、私どもも監視をさせていただくということになろうかと思います。
○伊東(信)委員 本当に危惧しているのは、今、釜石市の事例を出して、釜石市が先行してエアビーアンドビーと契約をした。それは各自治体の決められることなので、一個一個それに対して言うつもりはないんですけれども、今後、各自治体がワールドカップに向けてそういった業者と契約もされると思うんですね。
業者の方の言うていることを若干理解するとしたら、それのチェックに対する業務が難しいから、一旦フラットにして、一旦削除して、正しいものを出していくというそういった形式ではなくて、とりあえずそのまま出したまま、違法性があれば削除していくということを言うているわけなんですけれども、今後、キャンプ地の問題、テストマッチといいまして、海外との試合、そしてイベントとかも含めて、それではなかなか周知徹底できないと思うので、法案成立後、直ちに、そういったところの仲介業者へのチェックをしていただけるように、どうしても、やはり日本のインバウンドのためにこの法案があると理解していますので、そのあたりは本当によろしくお願いいたします。
それで、日本で開催されるラグビーワールドカップ二〇一九年の経済効果、直接効果だけでも一千四百二十二億円と試算されていまして、十二の自治体においては、ハード面のスタジアム整備や交通インフラの整備は急ピッチでやっていると思います。
一方で、今回の法案が必要だと考えるのは、観客の受け入れ体制である宿泊施設の確保がやはり不十分な実態があります。釜石市の話をしましたけれども、ラグビーワールドカップ二〇一九年の開催時には、最大二万人から三万人のファンが訪問すると見込んでおります。しかしながら、市内の宿泊施設のキャパというのは大体千二百人分ぐらいしかないんですね。
そこで、民泊の引き受け手をふやすためにも、自宅の改善のための改善費や交通手段の整備などの財政支援もして、民泊の提供者をふやそうと努力をされているんですけれども、こういった取り組みが、今後、東北の各地の観光も盛り上げていただければいいと思うんです。
私の地元枚方市というのは、東海大仰星高校という高校ラグビーの日本一に二回なった高校、もしくは、常翔啓光学園といって十年間で七回も優勝した高校もありまして、非常にラグビーが盛んな地域で、そのほか、大阪以外にも神戸も含まれているんですけれども、ワールドカップの民泊活用について、この民泊新法が与えるいい影響というのはどのようなものが想定されているでしょうか、観光庁からお聞きしたいと思います。
○田村政府参考人 御質問のラグビーワールドカップは、会場が全国、しかも地方部に及ぶということであります。そういう大きな大会が開催される際に、今御指摘のように、必ずしも御地元の受け入れ体制といいますか宿泊施設のキャパシティーが足りていないという状況の中で、やはり、この住宅宿泊事業によって、一部そういうキャパシティーの確保というものが可能になるという点で有効であろうというふうに考えております。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
これは二〇一九年のことで、それで、各地で民泊の施設が広がっていって、キャパも広がっていく。しかるに、次の二〇二〇年になると東京オリンピックがございます。東京オリンピックのときも、またキャンプ地ということで、ラグビーに関しても七人制のラグビーがありますので、一九年に利用した方々、観光客の方、チームの関係者の方々がまた各地に戻ってくることも考えられるわけなんですけれども、オリンピックとともに開催されるのがパラリンピックなわけです。
昨日、パラリンピックに関してのワーキングチームの話し合いがあったんですけれども、しかるに、なかなか、東京パラリンピックに向けての、例えば都心部では、車椅子のユーザーが使いやすいユニバーサルデザインの宿泊施設が少ない問題もあります。先日来日した国際パラリンピックの委員会からも、東京の都心部のホテルのアクセシビリティーの改善が、やはり他の都市に比べておくれているということも指摘されております。
バリアフリー法が二〇〇四年以降施行されたわけなんですけれども、それ以降に開業したホテルでも、ユニバーサルデザイン、そういったルームを設置しているのはたった四五%で、半分もいっておりません。民間事業者の取り組みというのも余り進んでおりませんで、特に指摘されるのは、車椅子のままシャワーを浴びることのできるバスルームを設置している宿泊施設が少ないそうです。
そこで、例えば、国による補助金制度を新設して、宿泊施設のリフォームを促してほしいとも思うんです。
同時に、ホテルの場合だったら、かなり大きな規模の施設であって、そういった改善というのは非常にたくさんの費用を要するわけなんですけれども、民泊の提供者のお部屋を活用してそのようなユニバーサルデザインルームをふやすというのはどうだということですね。
例えば、小規模の建物であれば、大きなホテルに比べて比較的安易に車椅子ユーザー用のバスルームへのリフォーム、もしくは、高齢者が住んでおられた住宅であれば、もう既にバリアフリーになっている、そういったところもあるとは思うんですけれども、ニーズの一部に対応することも可能ではないか。
こういったバリアフリー、障害者の方に向けて、民泊における意義というのはいかがお考えか、国土交通省にお聞きしたいと思います。
○田村政府参考人 住宅宿泊事業法案においては、高齢者や子供、障害者等の宿泊者のための届け出住宅のバリアフリー対応を義務づけているわけではございません。
しかしながら、今御質問がありましたような東京パラリンピックを初めとしたイベントでは、さまざまなニーズを持った旅行者が増加するものと考えられます。
そのため、宿泊需給への対応のみならず、多様化する宿泊ニーズへの対応のために、高齢者や子供、障害者等の宿泊者のための届け出住宅のバリアフリー対応がなされるということは、それは望ましいことであるというふうに考えております。
そこで、住宅宿泊事業者に対しまして、届け出住宅のバリアフリー対応を促すようなガイドライン等、そういうものをお示しするということを検討していきたいと考えております。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
そういったガイドラインを検討するということをおっしゃっていただいたわけなんですけれども、確認というか、きっちりとお話の中でバリアフリーの中のガイドラインとおっしゃったんですけれども、その以前に、障害者、高齢者、そして家族連れの子供たちというお話をされたんですけれども、いわゆる民泊と一口に言いましても、いろいろな施設の対応が考えられるというのは、きのうの参考人質疑、本日の質疑の中であったと思うんです。
障害者の中のバリアフリーだけではなく、高齢者に関する対応、家族連れ、特に、子供、小さなお子さんがおられる方への対応、そういったところで、今回の民泊に関する法案の中で何かそういった施策があるのか。もしくは、今おっしゃったように、ガイドラインなり、障害者だけじゃなくて、バリアフリーだけではなく、家族連れや高齢者に関しても何か施策を今後検討していくのか、教えてください。
○田村政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、住宅宿泊事業法案の中では、高齢者や子供、障害者等の宿泊者のための届け出住宅のバリアフリー対応というものを義務づけているわけではございません。
ただ、観光政策全体として、高齢者でありますとか子供連れの方ですとか、それから、もちろん障害者を含めまして、いろいろな方が、バリアフリーといいますか、ストレスなく旅行できる環境を整備していくというのは、我々は非常に重要なことだというふうに考えておりまして、その中で、民泊も含めた宿泊施設についてそういう対応を促していくということは、我々は必要なことだというふうに考えております。
○伊東(信)委員 済みません、ちょっとしつこく聞いているのは、民泊も含めたとおっしゃっていたわけなんですけれども、ホテルなり旅館なりのそういった指導というのは今までされているのは承知しているわけなんですね。民泊も含めたということは、民泊の法案とそういった法案とセットにしてこれから検討していくのか。
特に、民泊の意義を考えて、バリアフリーのところ、つまりは、入り口として、やはり民泊というのは規模の意味ではやりやすいのではないかというところも考えておりまして、パラリンピックを契機に、障害者に対するバリアフリー、もしくは、同時に、観光客の中で、高齢者、家族連れの方、こういったところに特化していく、そういったところも大事じゃないか。
そして、民泊の仲介サイトの話をしているわけなんですけれども、その民泊の仲介サイトの中にも、車椅子ユーザーに特化した民泊紹介コーナーなどを設けるような働きかけ。これは単なる提案ですので、それに対しての是非をお聞きしたいわけじゃないんですけれども。特に民泊に特化してやられるのか、それとも、広く宿泊という、ホテルとかそういったところも含めて、やはり法整備の問題にもなってくると思うので、それをちょっと加えて、民泊に特化して考えていくのかどうかだけ、お聞きしたいと思います。
○田村政府参考人 先ほど、観光政策全体として、宿泊施設、それから、その他のところも含めてですけれども、バリアフリーといいますか、ユニバーサルデザインの普及といいますか、そういうものを進めていくというのは非常に重要であるということはまず前提で申し上げた上で、住宅宿泊事業法案で特にバリアフリー対応というのを義務づけているわけじゃありませんけれども、住宅であるという性質ですので、それぞれのオーナーの一つの御判断ということもあるわけでありますけれども、できるだけ、そういうお客様を泊めるときに、バリアフリー対応をするといいですね、そういうことは望ましいですねということを、この住宅宿泊事業法案の法の施行に際してのガイドラインでもお示しすることは検討したい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
本当にしつこいようですけれども、住宅宿泊事業法案の中で検討していただけるという御答弁だと理解していますので、ありがとうございます。
訪日の観光客、インバウンドの増加を継続させていくためにも、多様化した旅行形態に合わせまして、宿泊施設の提供も多種多様化していかなければならないというのは当然のことだと思います。
基本となる制度設計をつくるために今回の民泊新法案が必要になったのだと承知しているところだと思うんですけれども、やはり、日本人特有の柔軟性、柔軟性が高い国民性だと思っておるわけなんですけれども、民泊という個人が提供する宿泊施設が多種多様化したニーズに合わせ変化していくことによって、観光客の満足度も高めることができるのではないかと期待しております。
二〇一九年ワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのお話をさせていただいて、関西では二〇二一年に、ワールドマスターズゲームズといいまして、私は五十歳を超えていますので、三十歳がシニアの大会だとは余り認識はしていないんですけれども、三十歳以上のシニアの大会に向けての世界大会が関西で行われるということで、一九、二〇、二一年、二〇二一年に向けて関西の経済界も盛り上がっておるわけなんです。加えて、二〇二五年に何とか大阪としては大阪万博の誘致を成功させたいと信じておるところなんですけれども、こういったイベントに向けての民泊、テンポラリーといいましょうか、そういった、そのときに応じた、どどっと観光客が来られるイベント民泊についてお伺いしたいと思うんです。
そもそも、このイベント民泊という言葉を聞くんですけれども、このイベント民泊というのはどういったものであるか、また、どういう条件で現在認められているのか、制度についてお聞きしたいと思います。
○北島政府参考人 お答えいたします。
旅館業は、施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業でありますことから、ここで言う営業とは、施設の提供が社会性を持って反復継続されているものに該当するかどうかで判断しております。
イベント民泊とは、年一回、二、三日程度のイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高い民泊サービスにつきましては、反復継続するものではなく、旅館業に当たらないとするものです。
また、厚生労働省と観光庁におきましては、自治体がイベント民泊を積極的かつ円滑に実施できるよう、自治体が行うべき手続の内容、手順、留意すべき事項等をまとめたガイドラインを作成しております。
○伊東(信)委員 イベント開催のときだけ旅行者が集中する、増加するとやはり宿不足になるということで、イベント民泊というのは大事だと思うんです。
地域としては、どどっとお客さんが来られて、イベントが終われば、そこの使っていた宿泊施設が今度はまたあいてしまうというところで、イベント民泊というのは大事だと思うんですけれども、今度の法案で、いわゆる仲介のサイト、仲介業者が入ってくると思うんですけれども、イベント民泊のときだけの、つまり、旅館業法の許可がなくても、空き家、空室の宿泊運用が可能なイベント民泊もいわゆる仲介業者は載っけて紹介してもいいことになっているんでしょうか。
○田村政府参考人 住宅宿泊仲介業者が扱いますのは住宅宿泊事業の案件ということになります。
そういう意味では、普通の宿泊施設等をさらに載っけるということになりますと、それは旅行業ということになろうかと思います。
○伊東(信)委員 ちょっとわかりにくかったんですけれども、では、イベント民泊に値する宿泊業者は載っけることはできないという解釈でいいんですか。
○田村政府参考人 旅行業者としては可能であるということであります。
○伊東(信)委員 つまりは、旅行業者の案内の中では、そういったイベント民泊もある。民泊の仲介業者はまた別に存在して、いわゆる普通の民泊は載っけるけれども、イベント民泊は載っけないといったことになると思うんですけれども、法案の中に柔軟性を設けて、例えば、サイトの中にイベント民泊だけを載っける、だけれども、法のたてつけとして、テンポラリーとしてイベント民泊を設ける、そういった柔軟性ということは今まで検討はされなかったんでしょうか。
○北島政府参考人 イベント民泊につきましては、年に一回ということで、業に当たらないような形で実施していただいております。
特に、開催地の自治体等が、どうしても泊まるところがないからといって、個別にお願いをしたりして、例でいいますと、福岡市の音楽コンサートなんかで、二十二件の物件が提供されて、九人利用しているというような、本当に小規模なものに現在なっているところでございます。
そんなことで、今議論されている住宅宿泊事業とちょっと異なる、個別のイベントに応じた公共性の高い仕組みだというふうに御理解いただければと思っております。
○伊東(信)委員 本当に、この件に関しても、もう少し時間があるので、しつこく聞いて申しわけないんですけれども、二〇一九年ラグビーワールドカップから始まりまして、二〇二〇年の東京オリパラ大会と、二〇二一年に関西地域でワールドマスターズゲームズ、ここまでは決まっておりまして、二〇二五年に大阪万博、大阪で万国博覧会が開催されることを期待しておりまして、それがひいては、日本の国のインバウンドの、観光立国としての日本の発展につながっていくと考えているんですけれども、このようなビッグイベント終了後の民泊体制というのを考えていかなければなりませんので、先ほど、年に一回のみイベント民泊が認められるということでしたが、つまり、回数を限定するのではなく、イベントの趣旨や規模を勘案して許可をしたらいいのではないかなと思うんです。
回数限定ではなく、イベントの趣旨とかを勘案して許可した方がいいのではないかと思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。
○北島政府参考人 イベント民泊を年間複数回実施する場合につきましては、反復継続するものとして業に当たることから、旅館業法上の営業許可の取得が必要となってまいりまして、回数をふやすことにつきましては、なかなか難しい課題があると考えております。
一方、ただいま御議論をお願いしております住宅宿泊事業法案では、届け出により住宅を一時的に宿泊事業で活用することが可能とされておりますことから、複数回以上宿泊を実施していただく場合には、住宅宿泊事業での民泊サービスの提供が御利用できるのではないかと考えております。
○伊東(信)委員 であるのならば、住宅宿泊事業法案の中に一回限りのこういった民泊というのは含むことはできないというのは、内容的にも、セキュリティーの面でも、規制を緩和するのはいいけれども、その分、安全性とか、先ほど挙げた感染とかごみの問題、匿名性の排除ということも含めて、よくわかる気がするんですけれども、やはり、観光立国を考える上で、せめてそういった仲介業者のサイトの中にも特出しで入れていくというのも一つ考慮されてもいいかなとは思っております。
今の法のたてつけ、もしくは、今、検討には入っていないというのはよくわかりましたので、これ以上それに対しての答弁はいただかないわけなんですけれども。
最後に、きのうからの懸念事項の中に入っているところで、国民の皆さんが再度確認してほしいことは、やはり、犯罪に民泊が使われるということを防ぎたい。つまり、旅館業と同様に宿泊名簿の作成義務を課すことによって本人確認ができるような状態にするということで、防止ができるんじゃないかということなんですけれども、きのうの参考人の話を聞くと、例えば、パスポートを提示する義務がホテルにはあるけれども、民泊にはないのではないか、そういった議論とかもされていたように思うんです。
確認なんですけれども、宿泊名簿の作成もしくはパスポートの本人確認の提示、そういったところの徹底というのはどのようにされているか、最後の方にちょっとお聞きしたいんですけれども、お答えください。
○田村政府参考人 住宅宿泊事業者は、宿泊者名簿の備えつけが義務づけられておりまして、本人確認のために、例えば、外国人につきましてはパスポートなどをチェックする義務がある、こういうことでございます。
○伊東(信)委員 では、今回の民泊業者は、そういった宿泊名簿、本人確認を必ずしているという解釈でいいわけですよね。
そういった意味で、きちっと届け出をして、きちっと確認をしている、届け出をした民泊を仲介業者が登録しているわけなんですけれども、その登録した業者に関して、法案成立後、何とか国交省さんも、仲介業者がそういった届け出をしているところのみしか載っけないように指導していただきたいわけなんですけれども、やはりそこにきちっとした指導規定がなかったらいけないわけですね。
例えば、別にエアビーアンドビーさんのお仕事を邪魔するわけじゃないですけれども、それができないんだったら、やはり各自治体との交渉も本当に考えていただきたいと思うわけなんです。
そういったところの徹底を今後しっかりされるということを、最後にちょっともう一度お聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○田村政府参考人 現在は、違法であるかどうかということがわからないままサイトに載っかっている、その状態を解消するために、今般、この法案というものを出させていただいているわけでありまして、登録をした住宅宿泊仲介業者は、届け出の物件だけを載っけなければいけない、そして、そこについては、付与される届け出番号などでちゃんとチェックをしなければならない、それを我々がしっかりと指導していく、こういうことでございます。
○伊東(信)委員 しっかりとよろしくお願いいたします。
時間が終了しましたので、終わります。ありがとうございました。
○西銘委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○西銘委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。本村伸子君。
○本村(伸)委員 私は、日本共産党を代表して、住宅宿泊事業法案について反対の討論を行います。
安倍政権は、観光ビジョンで、訪日外国人観光客を二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人にふやすとしています。これは、数ありきの政策であり、住んでよし、訪れてよしという観光立国の理念は投げ捨てられています。
本法案に反対する第一の理由は、旅館業法上の安全基準を満たさない住宅での宿泊業を住宅宿泊事業として新たに創設し、届け出だけで認める規制緩和であり、宿泊者の安全、安心と周辺住民の皆さんの環境を脅かすものだからです。
宿泊料を受けて人を宿泊させる宿泊業を行うには、旅館業法上の許可が必要です。許可を受けるには、建築基準や消防設備、衛生基準などを満たさなければなりません。災害時への対応や、周辺の住環境を守るための最低限の安全基準を満たさない宿泊業は、認めるべきではありません。
審議を通じ、家主不在型の住宅宿泊事業については、パスポートなどの本人確認が確実に行われる保証がないことなど、トラブル、災害時の対応が不十分となることがはっきりしました。
第二の理由は、全国で五万件を超えるとされるいわゆる民泊のほとんどが違法営業であり、宿泊者と周辺住民の皆さんとの間でさまざまなトラブルを引き起こしています。にもかかわらず、本法案はこの違法民泊を合法化するものであり、本末転倒です。
今やるべきことは、全国の違法民泊の実態を調査した上で、違法業者の取り締まりを強化、徹底することです。
なお、本法案は、民泊仲介業者を登録制にするとしていますが、最大手の民泊仲介業者は、日本に事業所がありません。海外の仲介業者が違法行為を行った場合には、日本の管理監督権限が及ぶかどうかは定かではなく、実効性が伴わない制度になる可能性があります。
以上の理由から、反対とする旨を申し述べ、討論といたします。
○西銘委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○西銘委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、住宅宿泊事業法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西銘委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○西銘委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、西村明宏君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。津村啓介君。
○津村委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
住宅宿泊事業法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 これまで、いわゆる民泊については、その実態が十分把握されてこなかったことから、本法施行後、住宅宿泊事業者の家主居住型・家主不在型それぞれについて、住宅提供者・宿泊日数等の実態把握を行うこと。また、住宅宿泊管理業者及び住宅宿泊仲介業者に対する適正な規制が課せるよう宿泊日数等の実態把握を行い、違法民泊の取締りに努めること。
二 政府は、適正な住宅宿泊事業を行わせるため、十分な指導・監督を地方自治体が行えるよう保健所等の人員確保・体制の構築に対し、財源を含めて必要な措置を講じること。
三 家主不在型の場合、周辺住民からの苦情等に対応する住宅宿泊管理業者に対して、地方自治体からの指導が円滑に行えるよう必要な措置を講じること。
四 政府は、それぞれの地域の実情に応じて住宅宿泊事業を実施できるよう、十分な配慮を行うこと。
五 政府は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えていることを踏まえ、本法の施行状況について、課題があると認める場合には、速やかに必要な措置を講じること。
六 周辺住民の不安を取り除くため、安全・衛生管理・防火・騒音等の対策について関係省庁は十分な連携を図ること。
七 訪日外国人観光旅客が急増する中、健全な民泊の普及を図り、観光産業の更なる発展のため、本法の趣旨を広く国民に周知すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西銘委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。
○石井国務大臣 住宅宿泊事業法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を初め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
まことにありがとうございました。
―――――――――――――
○西銘委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○西銘委員長 次回は、来る六月七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時七分散会