第23号 平成29年6月7日(水曜日)
平成二十九年六月七日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西銘恒三郎君
理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君
理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君
理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君
理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君
秋本 真利君 安藤 裕君
大塚 高司君 大西 英男君
大野敬太郎君 鬼木 誠君
加藤 鮎子君 金子 恭之君
神谷 昇君 神山 佐市君
神田 憲次君 木内 均君
工藤 彰三君 小島 敏文君
佐田玄一郎君 鈴木 憲和君
鈴木 隼人君 田所 嘉徳君
津島 淳君 中谷 真一君
中村 裕之君 根本 幸典君
鳩山 二郎君 藤井比早之君
藤丸 敏君 堀井 学君
前田 一男君 荒井 聰君
黒岩 宇洋君 小宮山泰子君
松原 仁君 水戸 将史君
村岡 敏英君 横山 博幸君
伊佐 進一君 北側 一雄君
中川 康洋君 清水 忠史君
本村 伸子君 木下 智彦君
椎木 保君 野間 健君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
国土交通副大臣 田中 良生君
国土交通大臣政務官 藤井比早之君
国土交通大臣政務官 根本 幸典君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 澤井 俊君
政府参考人
(内閣官房日本経済再生総合事務局次長) 広瀬 直君
政府参考人
(財務省理財局次長) 中尾 睦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 土屋 喜久君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 五道 仁実君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 藤田 耕三君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 石川 雄一君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 奥田 哲也君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 菊地身智雄君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 佐藤 善信君
政府参考人
(国土交通省航空局交通管制部長) 坂野 公治君
政府参考人
(気象庁長官) 橋田 俊彦君
国土交通委員会専門員 伊藤 和子君
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委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
加藤 鮎子君 鳩山 二郎君
橋本 英教君 大野敬太郎君
古川 康君 神山 佐市君
望月 義夫君 藤丸 敏君
椎木 保君 木下 智彦君
同日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 安藤 裕君
神山 佐市君 鬼木 誠君
鳩山 二郎君 鈴木 隼人君
藤丸 敏君 望月 義夫君
木下 智彦君 椎木 保君
同日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 橋本 英教君
鬼木 誠君 神田 憲次君
鈴木 隼人君 加藤 鮎子君
同日
辞任 補欠選任
神田 憲次君 古川 康君
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六月五日
精神障害者の交通運賃に関する請願(長島忠美君紹介)(第一五一〇号)
同(寺田学君紹介)(第一七一九号)
同月七日
気象事業の整備拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八九七号)
同(荒井聰君紹介)(第一八九八号)
同(大岡敏孝君紹介)(第一八九九号)
同(大平喜信君紹介)(第一九〇〇号)
同(神田憲次君紹介)(第一九〇一号)
同(斉藤鉄夫君紹介)(第一九〇二号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一九〇三号)
同(玉城デニー君紹介)(第一九〇四号)
同(中川正春君紹介)(第一九〇五号)
同(仲里利信君紹介)(第一九〇六号)
同(野間健君紹介)(第一九〇七号)
同(福田昭夫君紹介)(第一九〇八号)
同(真島省三君紹介)(第一九〇九号)
同(宮本徹君紹介)(第一九一〇号)
同(務台俊介君紹介)(第一九一一号)
国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九一二号)
同(荒井聰君紹介)(第一九一三号)
同(大岡敏孝君紹介)(第一九一四号)
同(大平喜信君紹介)(第一九一五号)
同(神田憲次君紹介)(第一九一六号)
同(斉藤鉄夫君紹介)(第一九一七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一九一八号)
同(玉城デニー君紹介)(第一九一九号)
同(中川正春君紹介)(第一九二〇号)
同(仲里利信君紹介)(第一九二一号)
同(野間健君紹介)(第一九二二号)
同(福田昭夫君紹介)(第一九二三号)
同(真島省三君紹介)(第一九二四号)
同(宮本徹君紹介)(第一九二五号)
同(務台俊介君紹介)(第一九二六号)
震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九二七号)
同(荒井聰君紹介)(第一九二八号)
同(大岡敏孝君紹介)(第一九二九号)
同(大平喜信君紹介)(第一九三〇号)
同(斉藤鉄夫君紹介)(第一九三一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一九三二号)
同(玉城デニー君紹介)(第一九三三号)
同(仲里利信君紹介)(第一九三四号)
同(野間健君紹介)(第一九三五号)
同(福田昭夫君紹介)(第一九三六号)
同(真島省三君紹介)(第一九三七号)
同(宮本徹君紹介)(第一九三八号)
同(務台俊介君紹介)(第一九三九号)
名瀬測候所の地方気象台への格上げを求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九四〇号)
同(荒井聰君紹介)(第一九四一号)
同(野間健君紹介)(第一九四二号)
同(真島省三君紹介)(第一九四三号)
同(森山裕君紹介)(第一九四四号)
精神障害者の交通運賃に関する請願(谷畑孝君紹介)(第一九四五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
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○西銘委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官五道仁実君、総合政策局長藤田耕三君、道路局長石川雄一君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、航空局交通管制部長坂野公治君、気象庁長官橋田俊彦君、内閣官房内閣参事官澤井俊君、日本経済再生総合事務局次長広瀬直君、財務省理財局次長中尾睦君及び厚生労働省大臣官房審議官土屋喜久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今枝宗一郎君。
○今枝委員 自民党の今枝宗一郎であります。
本日の質問の機会、ありがとうございます。
さて、自公政権が発足して四年半が経過いたしました。この間に経済は大きく改善し、日本は確実に成長、発展しております。しかし、地域に住む一人一人が成長、発展を実感するためには、地方創生、ローカルアベノミクスが必要であり、国土交通分野でも全力を挙げなくてはなりません。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
まずは、インフラ整備であります。
現在、ストック効果を重視したインフラ整備を国土交通省としては進めていらっしゃいます。私は、ストック効果にはタイミングというものが非常に重要であると考えます。例えば、道路沿線で企業用地の造成など新たな計画がある場合、その開業に間に合わせなければ、それらの事業は成功せず、ストック効果も十分に発揮できません。しかし、道路をつくるにしても、例えば用地取得がうまくいかずにそのタイミングに間に合わない、こういった問題も起こり得るわけであります。
私ども自民党は、個人の人権を尊重しながら用地取得の迅速化をすべく、所有者不明土地等に関する特命委員会にて、土地収用をもっとスムーズに、円滑化、迅速化すべきという提言を取りまとめましたが、国交省の見解はいかがでしょうか。
○藤田政府参考人 お答え申し上げます。
社会資本整備に当たりましては、御指摘のとおり、円滑に事業を進め、適切な時期に供用を開始することがストック効果を最大化する上で大変重要でございます。
一方、土地収用につきましては、土地所有者等の権利を強制的に取得するという性格上、一定の手続が必要となります。例えば、土地収用法第二十条には、事業認定の要件として、事業計画の合理性、公益上の必要性等が定められております。具体的には、得られる公共の利益が失われる利益を上回ること、あるいは収用対象となる土地が事業に必要な範囲にとどまること、こういったことを審査することによりまして、法の適正な運用を行っております。
円滑な事業認定に向けた取り組みとしましては、これまでも、認定要件を満たしていることを示すために説明すべき事項、必要な資料等を具体的に例示したマニュアルを作成し、起業者や認定庁に周知してまいりました。
今お話のございました提言も踏まえまして、今後、このマニュアルの充実を図ることなどによりまして、起業者や認定庁の事業認定要件に関する理解を促進し、可能な限り迅速に事業認定手続が進められるように努力してまいりたいと思っております。
○今枝委員 ありがとうございます。
可能な限り迅速にということで、大変さまざまなことを検討していただいた結果、非常にすばらしい答弁をいただきました。ありがとうございます。
さて、このストック効果が高い道路として、具体的に、例えば国道二十三号線が挙げられると思います。しかし、九・一キロがミッシングリンク化していることで、周辺の渋滞がひどいことになっており、ストック効果どころか、地域に不便をおかけしてしまっているというのが現状であります。
一方、沿線の蒲郡では、二〇二〇年には新たな企業用地が造成される予定であります。ゆえに、少なくとも二〇二〇年度中には国道二十三号線を全線開通させるべきと考えます。
このように、企業用地の完成時期などを鑑みて事業をスピードアップして行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。
また、全線開通した後のことを考えますと、西尾東インターから為当インター間のみが暫定片側一車線になります。現在でも、西尾東インターから幸田など東へ行くときには、片側二車線から一車線に絞られるために、渋滞し、移動時間が読めなくなってしまっているというのも現状であります。
全線開通後の交通事情を鑑みながらとは思いますが、交通量の増加により渋滞が必至でありますので、全線開通後、迅速に片側二車線化を進めるべきだと考えますが、あわせて御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○石井国務大臣 国道二十三号蒲郡バイパス等により構成されます名豊道路は、自動車産業の集積地である三河地域から三河港へのアクセス強化や当該地域の交通混雑の緩和に資する重要な路線であります。
名豊道路につきましては、全体の約九割が開通しておりますが、暫定二車線での整備とあわせて、順次、四車線化の整備を進めてきたところでありまして、全体の約四割が四車線で開通しているところであります。
今委員から御指摘がございました、名豊道路唯一のミッシングリンクとなっております国道二十三号蒲郡バイパスの豊川為当インターチェンジから蒲郡インターチェンジ間、約九・一キロメートルの区間につきましては、現在、用地買収及びトンネル工事を全面展開しているところであります。
今後、地域の皆様の御協力もいただきながら、名豊道路の一日も早い全線開通に向けまして事業を進めていくとともに、暫定二車線区間の四車線化につきましては、開通後の交通状況を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○今枝委員 ありがとうございます。
一日も早くということでありますし、また、全線開通後の全線の四車化、こういったことにもぜひ御尽力をいただきたいと思います。
続いては、道路でも、高速道路について質問させていただきます。
日本では、高速道路のインターチェンジ間の距離は平均約十キロということで、欧米の約二倍というふうに言われております。そこで、欧米並みの平均約五キロを目標に、各地でスマートインターを推進されていると思います。
このような経緯の中で、東名の新城パーキングエリア付近は、非常に有効なスマートインターチェンジになるのではないかと考えております。インターチェンジの北部には工業団地があり、ストック効果も非常に期待されるところでありますし、インターチェンジの南部の豊橋市は、中核市でありながらインターチェンジがないという状態でもあります。今、地元でも、スマートインターについて機運が盛り上がりつつあります。
新城パーキングエリア付近にスマートインターをつくることについて国交省がどのようにお感じか、お聞かせいただきたいと思います。
○石川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、我が国の高速道路のインターチェンジ間隔は平均約十キロメートルでございまして、欧米諸国の平地部における高速道路のインターチェンジ間隔の二倍程度となっております。このため、我が国の平地部でのインターチェンジ間隔を欧米並みの約五キロメートルとすることを念頭に、スマートインターチェンジの整備を進めているところでございます。
委員御指摘の新城市におけるスマートインターチェンジの設置についてでございますが、隣接する三ケ日インターチェンジから豊川インターチェンジの間隔は約十八キロメートル、新城市付近の東名高速道路は、本線の交通量が一日当たり約三万四千台、隣接の豊川インターチェンジの出入り交通量が一日当たり約二万一千台という状況にございます。このインターチェンジ間隔及び通行台数から見ますと、御指摘の位置は、インターチェンジの追加設置を検討し得る場所であると考えられます。
しかしながら、スマートインターチェンジの設置に当たりましては、これらの観点だけではなく、周辺道路の整備状況や地域の交通特性、周辺の地形や土地利用の状況なども踏まえた上で、まちづくりや地域活性化の観点から、インターチェンジの必要性や期待される効果等を検討することも必要でございます。
スマートインターチェンジの整備は、地方公共団体の発意のもと、高速道路会社及び国等の関係機関が役割を分担しながら進めていくものでございまして、国土交通省といたしましては、地方公共団体より相談があれば、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
○今枝委員 ありがとうございます。
地元とも連携しながらぜひ話を進めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
スマートインターにつきましては、実はもう一つございます。東名赤塚パーキングエリア付近であります。
こちらもやはり、先ほどお話しいただきましたように、インターチェンジ間の距離が非常に長い地域でありまして、約十キロ程度ございますし、また、通行台数についてもお話をいただきましたけれども、こちらの方も、一日約四万台以上と非常に多くなっているところであります。
さらに、この付近には、実は、ぎょぎょランドという非常に珍しい淡水魚の水族館ですとか、赤塚山公園といった施設もさまざまございまして、ハイウエーオアシスというのも選択肢かなとは思いますけれども、スマートインターを近くにつくって、現在、実証実験がなされております、いわゆる途中下車を可能とする賢い料金システムと組み合わせる、こういったことも選択肢かなというふうに考えております。近隣には工業団地もございますし、スマートインターを設置する条件は整っているかなというふうに考えます。
これはもちろん、地元ともまた議論をしていくわけでありますけれども、国交省として全体の中からどのようにお感じか、教えていただけますでしょうか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の豊川市にあります赤塚パーキングエリア付近におけるスマートインターチェンジの設置についてでございますが、隣接する豊川インターチェンジから音羽蒲郡インターチェンジまでの間隔は約十一キロメートル、豊川市付近の東名高速道路は、本線の交通量が一日当たり約四万四千台、隣接の音羽蒲郡インターチェンジの出入り交通量が一日当たり約二万三千台という状況にございます。このインターチェンジ間隔や通行台数から見ますと、御指摘の位置は、インターチェンジの追加設置を検討し得る場所であると考えられます。
しかしながら、スマートインターチェンジの設置に当たりましては、先ほどの新城市の件と同様でございますが、周辺道路の整備状況等を踏まえた上で、まちづくりや地域活性化の観点から、インターチェンジの必要性や期待される効果等を検討することも必要でございます。
国土交通省といたしましては、新城市の件と同様、地方公共団体より相談があれば、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。
○今枝委員 ありがとうございます。
両方とも大変可能性があるという中で、地域とまた連携しながらお話を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
さて、先ほど少し触れさせていただいたんですが、賢い料金システムにつきましては、先述した新城市のもっくる新城というところでも試行されておりますけれども、非常に喜ばれておりまして、我々心から感謝をいたします。
ただ、一時間という時間制限が、道の駅で食事をしたりですとか、また休憩をしたりするにはちょっと短くて、さらに三十分でも一時間でも時間が延びると一層効果が高まると思います。
実証実験ということで、現在検討中だというふうなところだと思いますけれども、こういった点も鑑みていただきながら、ぜひともお願いをしたいというふうに思います。これは要望とさせていただきます。うなずいていただいてありがとうございます。
さて、それでは、少しお話をかえまして、地方創生、ローカルアベノミクスには、新産業を興していくというのも非常に重要な観点であります。その一つの象徴といたしまして、ドローンについて質問をさせていただきたいと思います。
ドローンの市場規模は、世界では十兆円を超えると言われておりまして、日本でも二〇二〇年には現在の十倍の一千億円を超えるというふうにも言われておりますが、現在、さまざまな技術を開発中でありまして、もっと多くのものへの利活用が進むことを考えますと、さらなる、もっと大きな市場規模が眠っているといいますか、あるというふうに考えられます。
ドローンでさまざまな社会的な課題を解決しながら、産業として推進していく必要がありますけれども、そのためには、まずは政府が率先して利活用すべきであります。
現在、政府のドローン保有台数は約三百三十台で、災害対応ですとか、また、インフラの維持管理等によく活用されておりますけれども、個人的には、もっともっと活用すべきだと考えます。
ドローンを推進する立場から、政府自身での利活用にどのように取り組み、推進していくのか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○澤井政府参考人 お答え申し上げます。
政府における無人機の活用につきましては、現在、各省庁で、災害対応、あるいはインフラ管理・維持、測量、農林水産業等、さまざまな分野で活用しているところでございます。そこでは、小型無人機の高い機動性、あるいは危険な場所で利用可能といった特性を生かしまして、主に情報収集面で活用を進めているところでございます。そのような中で、例えば、災害時に小型無人機を活用することで、より迅速に被災状況の把握が可能になるといったような活用法も見出されているところでございます。
委員御指摘のとおり、小型無人機の振興を図る上で、政府が率先して活用するということは重要でございますので、今後、各府省庁で連携いたしまして、先ほど申し上げましたような有効な活用事例というものをできるだけ広く共有することで導入促進につなげていきたいというふうに考えてございます。
これにより、小型無人機がより多くの場面で使えるということを政府みずから示しますことで、政府の導入のみならず、我が国全体の小型無人機の導入促進につながっていくものというふうに考えておりますので、そうした取り組みをしっかり行ってまいりたいと思っております。
○今枝委員 非常に前向きな御答弁、ありがとうございます。
政府調達、さらに進んで市町村など自治体での災害対応等にも活用することは、ドローン産業振興の非常に強い基盤になると考えております。ドローンの配備計画なども今後ぜひ御検討いただきたいと思います。
さて、最後に、港湾について質問をさせていただきたいと思います。
近年、クルーズ船の受け入れが急増し、観光客のもたらす大きな経済効果を地域の発展の起爆剤にしようとする機運が高まっております。先日のこの国交委員会の視察でも博多港のクルーズ船を視察させていただきましたが、岸壁の整備、また、背後の旅客ターミナルのにぎわいなどを間近に拝見いたしまして、クルーズ船の経済効果がいかに大きいかということを実感いたしたところであります。また、こうしたクルーズ船の効果というものを全国津々浦々に波及させることが、今後の地方創生、ローカルアベノミクスの大きな鍵になるのではないかということも考えております。
幸い、現在、例えば、貨物専用の岸壁の既存ストックを生かしてさらに整備を行うことで、大型クルーズ客船の寄港を可能とする取り組みが各港で進んでおりまして、例えば蒲郡港においても、自動車積み出し用の岸壁を延伸する工事を進めながらクルーズ船の誘致も行い、実際に今、来ていただいているわけであります。
しかしながら、こうしたクルーズ船専用でない岸壁でクルーズ船を受け入れるには、安全性や快適性といった面でまだまだ取り組むべき点は多いと感じられます。この蒲郡港を初めとして、全国にクルーズ船の寄港効果を根づかせて広げていくためには、港湾において旅客を安全、円滑に受け入れる環境の整備をさらに強力に支援していく、推進していくべきではないかと考えますけれども、この点、国土交通省の方針をお聞かせいただきたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
国土交通省におきましては、クルーズ船によるインバウンド効果を全国に普及させていく観点から、寄港地の全国展開を図ることが重要であると考えております。このため、既存岸壁の改良や延伸、また、クルーズ船の受け入れを希望する自治体とクルーズ船社との商談会の開催など、ハード、ソフト一体となった施策を展開しているところでございます。
また、本年度から、移動式ボーディングブリッジや貨客分離フェンスの整備など、クルーズ旅客の利便性、安全性の向上を図る事業を地方公共団体が実施する場合に国が補助を行う国際クルーズ旅客受入機能高度化事業を創設したところでございます。
蒲郡港におきましては、完成自動車の輸出岸壁を活用いたしまして、今後、大型のクルーズ船の受け入れも想定されることから、人流と物流の動線を分離し、旅客の安全と物流の円滑化を確保することが必要になると考えております。
国土交通省といたしましては、蒲郡港も含めまして、全国のクルーズ船を受け入れる港湾において、本制度を活用しながら、旅客を安全、円滑に受け入れる環境整備をしっかり進めてまいりたいと考えております。
○今枝委員 ありがとうございます。
本日はもう時間が参りますのでこれ以上は質問いたしませんけれども、今、クルーズに特化した内容でお話をさせていただきましたが、蒲郡港は、まさに、我が国の代表産業である自動車産業を支える、さらに、輸出する、外貨を稼ぐ、そういう港でもあります。厳しい状況でもありますけれども、当該自動車メーカーが生産拠点機能の強化を今進めておるところでもありまして、対応する蒲郡港のますますの整備が期待されるところであります。
クルーズももちろん重要でありますけれども、こうした基幹産業を支える港湾整備も同時にしっかりと進めていくことが重要であることを改めて大臣また国交省さんにお伝えさせていただいて、質疑を終了させていただきます。
本日はありがとうございました。
○西銘委員長 次に、佐藤英道君。
○佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。
去る五月二十九日、衆議院の国土交通委員会の理事として、福岡県の博多駅前道路陥没現場の調査並びに国際物流・交流拠点としての博多港の機能の調査について視察に伺ってまいりましたので、その視察を踏まえて幾つか質問させていただきたいと思います。
まずもって、今国会の港湾法の改正を受けまして、今後は全国にクルーズの受け入れ拠点をふやしていくべきであると実感したところでございますが、クルーズ拠点の整備については、博多港のクルーズ船の対応を視察したところ、この港は、係船に必要な部分だけを島のように沖合に設置して、その結果、岸壁より長い船舶の停泊が可能になっておりました。また、クルーズセンターは、CIQや船社の意見を取り入れ、大きな体育館のようなスペースに必要最小限の設備を設置し、フレキシブルな対応を可能にするなど、全体的に、華美さはないけれども、非常に機能的であるという強い印象を受けたところであります。
このような、必要最小限ですけれども、機能的で、いわゆる整備の結果、貨物岸壁を利用していたころより大幅に使い勝手が向上し、乗客のストレスも減ったと聞きましたけれども、こうした例を踏まえた上で、今後のクルーズ船受け入れ拠点のあり方はどのようにあるべきなのか、御見解を伺いたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
訪日クルーズ旅客数は、平成二十八年は前年比七八%増の百九十九万人となり過去最高を記録するなど、順調に増加しており、二〇二〇年に五百万人を受け入れるためには、クルーズ船の受け入れ環境を着実に整備していくことが必要であると考えております。
委員が御視察いただきました博多港では、既存の岸壁を桟橋構造で延伸いたしまして、大型クルーズ船への対応を進めております。このように、既存ストックを活用しつつ、既存岸壁の防舷材や係船柱の改良、あるいは岸壁の延伸により、大型クルーズ船への対応を図っているところでございます。
また、八代港のように、クルーズ需要が大幅に増加することが見込まれる港湾におきましては、国の直轄事業等によりましてクルーズ船専用岸壁を新たに整備するとともに、先日成立いたしました改正港湾法により創設されました、旅客ターミナルビル等に投資を行うクルーズ船社に岸壁の優先使用を認める新しい制度を活用し、官民連携による国際クルーズ拠点を形成してまいります。
このように、クルーズ船の寄港需要を踏まえまして、既存ストックの活用や新たな岸壁の整備等により、クルーズ船の受け入れ環境をしっかり整備してまいりたいと考えております。
○佐藤(英)委員 次に、福岡市博多区内七隈線延伸工事道路陥没事故についてお伺いをしたいと思います。
陥没の現場は、交通量や人通りの多い博多駅前の通りでありました。その上で、事故が早朝に発生したとはいえ、こうした場所でああした事故にもかかわらず犠牲者が出なかったということは、極めて特筆すべきことであると私は強く思いました。
改めて当時の作業員退避の決断に敬意を表するとともに、そこに至った経緯等、警察による規制の実施及び現場周辺の人に対する避難誘導の内容を再度確認したいと思います。
あわせて、今後に向けて、このような退避の判断や規制実施の経緯を共有できる仕組みがあるのかどうか、確認させてください。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
陥没事故が発生いたしました昨年十一月八日当日の経緯につきましては、福岡市交通局によりますと、午前四時二十五分ごろ、トンネルの掘削中に、連続的な肌落ち、切り羽部分の岩盤が剥がれ落ちることでございますが、それが発生いたしました。
四時五十分ごろ、切り羽の天端から異常出水が発生いたしました。水と砂が大量に押し寄せましたため、重機を切り羽後方に移動させ、JV職員一名が作業員八名へ避難を指示したところでございます。
続きまして、五時ちょうどでありますけれども、JV職員及び作業員全員が地上に避難を完了いたしました。
五時五分ごろ、JV職員の指示で、作業員とともに、車両などの進入禁止措置を開始。これはカラーコーンの設置でございます。
それから、五時十分ごろ、進入禁止措置が完了いたしました。
五時十五分ごろ、道路舗装面にクラックが発生いたしましたため、JV職員及び作業員が進入禁止措置の範囲を拡大したところでございます。
その後、五時二十分ごろ、道路南側が陥没、同三十分ごろ、道路北側が陥没したわけでございますが、五時五十分ごろ、警察による交通規制が開始されました。
また、六時には、消防隊が出動し、現場本部を設置したということであります。
その後、七時二十分ごろ、道路中央が陥没した。
こういう経緯をたどっております。
このような今回の陥没事故に関する経緯等につきましては、関係者間で情報共有することが必要であるというふうに考えております。
このため、国土交通省では、事故発生直後に、省内の関係部局から成る連絡会議を設置いたしまして、必要な情報共有や講ずべき措置の検討を行ってきたところでございます。例えば、陥没事故発生直後には、鉄道関係者のみならず、道路、下水道、港湾、空港、地下街などの整備に関係する地方整備局でありますとか地方公共団体などについても注意喚起を行ったところでございます。
また、本件陥没事故に関します原因究明でありますとか再発防止策につきまして、ことしの五月に土木研究所が取りまとめました報告書にも道路陥没や規制実施の経緯等が含まれておりまして、土木研究所はこれをホームページに掲載する等、関連する情報提供が行われたところでございます。
七隈線の延伸事業につきましては、工事再開に当たって、まずは、今後、追加の地質調査が行われる予定でございまして、福岡市交通局によりますと、今夜から準備を始めまして、十日からボーリング調査が開始されるということでございます。
国土交通省といたしましては、このような今後の工事再開に関する事項も含めまして、今後引き続き、本件に関する情報の共有化を図り、同様の事故の再発防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(英)委員 七隈線の陥没事故の主要な原因の一つに、岩盤の実際の地質や層厚が想定と異なっており、結果、岩盤の強度の見積もりが過大となったことがあるとも言われておりました。
こうした主要原因の一つとされる岩盤の実際の地質や層厚が想定したものと異なっていたことは、今後、工事の再開や他の現場の同様の工事においても、このような食い違いを最小限にとどめる必要性を示唆していると考えますけれども、そのためにはどのような点を留意すべきと認識されているのか、伺います。
○五道政府参考人 お答えいたします。
JR博多駅前の道路陥没事故につきましては、土木研究所において検討委員会を設置し、三回の委員会の審議を経て、原因や工事再開に当たっての留意事項等が取りまとめられたところでございます。
取りまとめでは、推定された複数の要因の中の一つとして、難透水性風化岩層は不規則で複雑な地質構造であり、事故後の調査等の結果、想定より岩盤層が薄かったことや、強度にばらつきがあることが十分に考慮されないまま設計及び施工が行われ、結果的に地山の強度を実際よりも高く評価したことが指摘されております。
今回の事故の教訓を生かし、地下空間での工事における留意すべき点として、調査、計画に当たっては、周辺の地質調査の結果等を官民問わず情報収集し、利活用すること、ボーリングによる地質調査については、多くの調査を実施しても地下空間をつまびらかに把握することには限界があることから、設計に当たっては、地質が不均質であることを踏まえ、危険側にならないよう強度などを設定すること、施工に当たっては、設計と異なる状況が明らかになった場合には、現場条件を踏まえて有効な変更案を作成する必要があることなどが示されております。
国土交通省といたしましては、これらの留意事項を踏まえ、調査、設計から施工にわたる全ての過程において、安全に配慮して地下工事を進めることが重要だと考えております。
○佐藤(英)委員 ぜひ、再発防止に万全の体制で臨んでいただければなと思います。
私は、現地で説明を受けて大変に気になったことがございました。それは、七隈線の陥没現場は特に特殊な地質ではないんだ、日本全国に同様の地質の場所があるという質疑応答もございました。
こうしたことからも、今後に向けて、関連する知見というものを全国的に収集したり活用できる仕組みが必要ではないかという指摘もあるところでありますけれども、そうした仕組みというのは現在あるのかどうか、また、今後整備する方向性なのかどうか、確認したいと思います。また、こうした指摘があることを踏まえて、再発防止に向けてどのようなことを考えていらっしゃるのか、御決意も含めてお伺いをさせていただきたいと思います。
○石井国務大臣 国土交通省といたしましては、七隈線延伸工事に伴う道路陥没事故を契機といたしまして、当該事故の原因を究明する検討委員会とは別に、学識委員等から成る地下空間の利活用に関する安全技術の確立に関する小委員会を設置したところでございます。
この小委員会におきましては、地質、地盤条件が複雑な我が国におきまして、官民が所有する地盤及び地下水等に関する情報の共有化、計画、設計、施工の各段階における地盤リスクアセスメントの実施、地下埋設物の正確な位置の把握と共有化などの論点について御議論をいただいているところでございます。
今後、この委員会において取りまとめられる答申を踏まえまして、関連する知見を全国的に収集、活用できる仕組みの構築等、地下工事の安全技術の確立に努めてまいりたいと考えております。
○佐藤(英)委員 今、大臣の御決意がございましたけれども、二度とこうした事故が起きないように、国土交通省を挙げて万全に取り組んでいただくことを御期待申し上げたいと思います。
次に、JR北海道についてお伺いいたしたいと思います。
御承知のように、JR北海道は大変厳しい状況に置かれておりまして、昨年十一月には、単独では維持することが困難な線区を発表し、持続可能な交通体系のあり方について地域と協議したいという考え方を明らかにいたしたところであります。
これを受けて、現在、道内の各地域で、JR北海道と沿線自治体などの関係者による協議が始まりつつございます。今後、協議を通じて、地域にとって必要で、持続可能な公共交通体系をどのように構築していくのか、関係者が一緒になって考えていくことが極めて大切であると思っております。
その一方で、JR北海道が今後も道内の基幹的な輸送機関としてその使命を果たしていくためには、JR北海道自身が収支の改善に向けて取り組むことも重要であると思います。
こうした観点から、インバウンドの旅行者の需要の取り込みなど、鉄道の利用促進を通じた収入の増加や、駅を拠点とした地域のにぎわいづくりに積極的に取り組んでいく必要があると考えますけれども、国土交通省としてはどのような見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
JR北海道は、これまでも、鉄道の利用促進を通じたさまざまな増収策に取り組んできたものと承知をいたしております。
具体的には、新千歳空港アクセス線の整備でありますとか、石勝線、根室線、宗谷線の高速化事業、北海道新幹線の開業、札幌圏の路線や都市間を結ぶ路線における新型車両の投入といったハード施策でありますとか、北海道新幹線開通に伴いますJR東日本との共同宣伝でありますとか各種旅行商品の造成、また、青森県・函館デスティネーションキャンペーンの実施などのソフト施策も実施してきたものと承知をいたしております。
また、インバウンド旅行者の需要の取り込みにつきましては、北海道を訪問するインバウンド旅行者は、北海道庁の調査でございますが、平成二十三年度の五十七万人から、平成二十七年度には三・六倍の二百八万人と大きく増加しているところでございまして、こうした中、JR北海道において、急増しているインバウンド旅行者の需要の取り込みやインバウンド旅行者の受け入れ体制の強化を図るため、訪日外国人旅行者向け特別企画乗車券の積極的な宣伝、販売でありますとか、札幌駅、新千歳空港駅における外国人インフォメーション体制の強化、季節的に繁忙となる観光駅への外国人対応スタッフの配置でありますとか、外国人向け無料WiFiサービス提供駅の拡大などの施策に取り組んでいるものと承知をいたしております。
JR北海道においては、インバウンド旅行者を初めとする観光需要の取り込みを初め、利用促進を通じた収入の増加を図るため、今後とも、こうしたハード、ソフト両面にわたる取り組みを積極的に重ねて、収益の確保を通じて経営基盤の強化が図られるよう、さらに努力を重ねていただきたいというふうに考えております。
また、鉄道の駅は、交通の結節点となり、商業施設や観光案内所と一体となって町のにぎわいをつくり出しているものも多く、地域にとって重要な施設であるというふうに認識をいたしております。
JR北海道では、これまでも、石北線の当麻駅、釧網線の止別駅、藻琴駅などの無人駅のスペースを民間事業者に賃貸し、そこで飲食店や物販店が営まれることによるにぎわいづくりに取り組んできたところでございます。また、ことしの五月から、無人駅の活性化やにぎわいづくりを目的といたしまして、一部の路線の無人駅の未活用スペースを自治体や地元の観光協会、商工会議所、商工会等に無償で貸し出し、行政の窓口や観光案内所、地場産品のPRの場として活用していただく取り組みを新たに始めたところでございます。
JR北海道においては、引き続き、駅を拠点とした地域のにぎわいづくりに積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
国土交通省といたしましても、JR北海道のこうした取り組みに対して、必要な支援、適切な指導助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(英)委員 ありがとうございます。
私は札幌に住んでおりまして、北海道新幹線開業以来、ふだんは飛行機を使いますけれども、時折、新幹線で札幌に入ることがございます。東京から新函館北斗まで四時間十分、それで乗りかえがありまして、スーパー北斗で約三時間半等で、約八時間かかるんですよね。やはりもうちょっと短くなればなというのはすごく感じるところなのでございますけれども、JRの応援という思いも含めて、できる限り乗るようにしているわけであります。
ところで、昨年三月に開業した北海道新幹線は、北海道の新函館北斗と東京とを最短で四時間二分で結び、北海道と東北、関東との移動時間を大幅に短縮したわけであります。北海道新幹線の開業によりまして、利用者は開業前に比べ大幅に増加いたしました。また、北海道の函館周辺の宿泊施設や観光施設も盛況であります。こうした新幹線の開業効果を今後も維持し、さらに高めていくことにより、道南のみならず、北海道全体の地域振興や観光振興につなげていく必要もあると考えます。
そのためには、現在、時速百四十キロメートルでの走行となっている青函共用走行区間における列車の高速化、さらには共用走行区間以外の区間における速度の向上を図って、関東や東北と北海道との間の時間距離を短縮する取り組みが私は極めて必要じゃないかなと思っております。国土交通省としての取り組みをお伺いしたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
昨年三月に開業いたしました北海道新幹線によりまして、東京―新函館北斗間は最短で四時間二分で結ばれるようになったわけでございます。これによりまして、開業後の輸送人員は開業前と比較して約一・六倍となりまして、好調に推移しているものと考えております。
また、函館への入り込み客数は開業前年を二、三割程度上回っておりまして、主要観光施設等における観光客数も堅調に推移しており、北海道新幹線は地域社会の活性化に大きな役割を果たしているものというふうに認識をいたしているところでございます。
このように、新幹線により地域間の移動時間が短縮されれば、観光客やビジネス利用客等の増加に伴う交流人口のさらなる増加が期待されまして、地域の産業や社会に大きな効果をもたらすものというふうに考えております。
一方、青函共用走行区間におきましては、新幹線と貨物列車のすれ違い時の安全を確保するため、新幹線の走行速度は時速百四十キロとされてございます。
このため、国土交通省では、当該区間を含めた新幹線の高速化の実現可能性について検討を進めております。
その一つは、平成二十五年三月に交通政策審議会の技術検討ワーキングで取りまとめられた「当面の方針」の中で示されました時間帯区分案の実現でございます。
この案につきましては、昨年十月の技術検討ワーキングで、具体的な走行方式の事例として六つのケースを提示いたしました。これらのケースにつきまして、貨物輸送への影響や旅客の利便性の向上といった社会経済的な観点から議論するため、ことしの四月に交通政策審議会に青函共用走行区間等高速化検討ワーキングを設置し、議論を行っているところでございます。
また、時間帯区分案の検討と並行いたしまして、新函館北斗までの高速化を図る方法といたしまして、共用走行区間の走行速度の引き上げ、東北新幹線盛岡―新青森間の速度向上についてもあわせて検討を行っております。
いずれにいたしましても、青函共用走行問題につきましては、これらのワーキングでの検討状況も踏まえつつ、新幹線の高速走行と鉄道貨物輸送との二つの機能を十分に配慮しながら、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(英)委員 ありがとうございます。終わります。
○西銘委員長 次に、本村賢太郎君。
○本村(賢)委員 民進党の本村です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、先日四月二十一日にも国交大臣にスマートインターチェンジの効果についてお伺いしたわけでありますが、資料一にございますように、地元神奈川県の綾瀬インターの開通が不透明という記事が神奈川新聞から掲載されております。
スマートインターチェンジ事業は、平成十六年十月より社会実験が行われ、平成十八年十月から一部で本格導入、そして平成二十一年二月の制度改正により本格導入されたものと承知しておりますけれども、大臣からも、「引き続き、必要な支援を行いながら、地方公共団体や高速道路会社等と連携し、スマートインターチェンジの整備を進めてまいりたい」という前向きな答弁をいただいております。
そこで、まずお伺いしてまいりたいと思うんですが、六月二日の神奈川新聞に「綾瀬IC開通不透明」という記事があったわけでありまして、私ども神奈川県は、今、五カ所でスマートインターチェンジの事業実施に向けた整備が進められておりまして、綾瀬インターチェンジがその中の一つでございます。来年三月までに開通予定だった綾瀬インターチェンジの開通見通しが立たなくなったという報道でありますけれども、現在の事業状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
○石川政府参考人 お答えいたします。
東名高速道路の綾瀬スマートインターチェンジは、平成二十五年度に事業化をいたしまして、綾瀬市が用地買収を担当、中日本高速道路会社が設計及び工事を担当という役割分担で事業を推進してきたところでございます。
しかしながら、一部の地権者の移転先の確保が難航していることから、工事に着手できず、目標としていた平成二十九年度末の開通が厳しい状況になったと承知しております。
神奈川県と綾瀬市からは、全力で用地買収に努めるとともに、中日本高速道路会社は施工可能な工事を進めることによりまして、少しでも早い供用を目指したいとの報告を受けているところでございます。
国土交通省としても、引き続き必要な支援をしてまいりたいと思っております。
○本村(賢)委員 用地買収が絡んでいるということで、なかなかまだ困難も多いかと思うんですが、本来ならば来年三月を目途に供用予定であったわけでありますが、国交省で把握している供用開始の時期というのはおわかりでしょうか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
用地取得の完了していない現時点では、供用時期の目途が立たないため、用地取得の見通しが立った時点で、事業主体において改めて工程を精査いたしまして供用時期をお示ししたいというふうに聞いております。
○本村(賢)委員 きのうの読売新聞にも、「高速IC 民間資金で」という形で、国交省が新制度を導入するという記事も掲載されておりまして、ここも注目をしてまいりたいなと思っております。
次の質問で、神奈川県内には、今、スマートインターチェンジはゼロとなっているわけでありますが、神奈川県内における綾瀬インターチェンジ以外の事業状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
○石川政府参考人 お答えいたします。
神奈川県内では、現在、開通済みの箇所はございませんが、新東名高速道路の山北、秦野サービスエリア、東名高速道路の綾瀬、圏央道の厚木パーキングエリア、横浜横須賀道路の横須賀パーキングエリアの五カ所が事業中となっております。
新東名高速道路の山北及び秦野サービスエリアスマートインターチェンジにつきましては、平成三十二年度に予定しております新東名高速道路の開通に合わせた供用を目指しておりまして、現在、測量や詳細設計を終え、用地調査や用地買収を進めているところでございます。
圏央道の厚木パーキングエリアスマートインターチェンジにつきましては、現在、測量を終えまして、詳細設計及び用地買収を進めているところでございます。
横浜横須賀道路の横須賀パーキングエリアスマートインターチェンジにつきましては、現在、測量及び詳細設計を進めているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、供用に向け必要な支援を行ってまいります。
○本村(賢)委員 次の質問に入らせていただきますが、タクシー政策についてお伺いしてまいりたいと思います。
規制改革推進会議の第一次答申が五月二十三日に取りまとめられまして、同日中に総理に提出されたというふうに伺っております。
この答申には、「自家用自動車による運送について、ガソリン代等の他に一定の金額を収受することが可能な範囲を通達により明確化する。」とある。この内容を国交省においてはどのように受けとめているか。また、この通達が、いわゆる新経連が提案しているようなライドシェアの解禁につながることがないように十分に配慮すべきと考えますが、国交省の見解をお伺いいたします。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
五月二十三日に公表された規制改革推進に関する第一次答申には、現行法上道路運送法の登録または許可を要することとされている有償運送には当たらない運送に関する考え方を明確化することが盛り込まれたところでございます。
この態様の運送は、自家用車のドライバーが、自分と同じ目的地に向かう他人を空き座席についでに乗せるということを念頭に置いているものであり、国土交通省としては、答申及び今後作成される規制改革に関する政府の計画の内容を踏まえて、有償運送ではないことを前提に、収受することができる金額の範囲を明確化することとしております。
よって、今回の答申に盛り込まれた措置を実施することによって、有償運送を前提とするいわゆる自家用車ライドシェアを認めることにはなりません。
○本村(賢)委員 これは、「公共交通が充実していない地方の移動を支え、また多様化する移動需要に応じるサービスとして、インターネット等を介し目的地を同じくする者同士の自家用自動車の相乗りをマッチングさせるサービス」を普及させるためとしておりまして、いわゆるnottecoが提供しているようなライドシェアを念頭にしているものじゃないかと懸念しております。
今、参考人の局長さんからも、そうでないというお話もいただいたわけでありますけれども、現在、平成十八年九月に提示された通達が最新のものとなっておりまして、新たな通達を国交省として検討していくことになるわけでありまして、この通達の中身がライドシェア解禁につながらないように、安心、安全を守る立場から国交省にはぜひ頑張ってほしいと思います。
次の質問に入らせていただきます。
次は、未来投資会議の未来投資戦略二〇一七の素案が五月三十日に示されました。この中にはシェアリングエコノミーという項目がございますけれども、いわゆる新経連が提案しているようなライドシェアについては含まれていないという理解でよいのか、内閣官房にお伺いいたします。
○広瀬政府参考人 お答え申し上げます。
五月三十日の第九回未来投資会議で、未来投資戦略二〇一七の素案をお示しいたしました。この素案の中に、シェアリングエコノミー一般についての記述はございますけれども、御質問のライドシェアに焦点を当てた記載は盛り込まれてございません。
○本村(賢)委員 ちょっともう一度、最後のところ、答弁をお願いします。ちょっと聞き取れなかったので。
○西銘委員長 広瀬次長、語尾をはっきりお願いします。
○広瀬政府参考人 はい。
素案の中に、シェアリングエコノミー一般についての記述はございますけれども、御質問のライドシェアに焦点を当てた記載は盛り込まれてございません。
○本村(賢)委員 それでは、含まれていないということで理解をいたしました。
シェアリングエコノミーには、民泊を初め、個人の所有する物を共有するサービス、空き駐車スペースを利用するサービス、そしてライドシェアなどが含まれておりまして、規制緩和を必要とするものが多いわけでありますが、ニーズがあれば何でも規制緩和するのではなく、国民の安心、安全が大前提にあるということをぜひとも御理解いただきたいというふうに思います。
また、新経連が提案するライドシェアについては、石井大臣からも何度も御答弁いただいておりますが、未来投資会議の今回の素案や、さらには規制改革推進会議の第一次答申の内容を受けて、タクシーの安全確保、乗客の保護に責任を持つ立場から、改めてライドシェアに対する大臣の御見解をお伺いいたします。
○石井国務大臣 国土交通省といたしましては、自動車による旅客の運送におきまして、安全、安心の確保が最重要の課題と認識しております。
自家用車を用いたいわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としております。
国土交通省といたしましては、このような形態の旅客運送を有償で行うことにつきましては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えております。
○本村(賢)委員 石井大臣からも、毎回、国交大臣として力強い御答弁をいただいておりますし、きょうは、内閣官房から、この未来投資会議の未来投資戦略二〇一七にはシェアリングエコノミーという項目はあるがライドシェアは含まれていないという御答弁もいただきまして、いわゆる二〇二〇年東京五輪・パラリンピック誘致の際も、滝川クリステルさんがおもてなしという言葉の中でタクシーの安全、安心を例に挙げたわけでありますので、ぜひとも、このライドシェアについては、さまざまな方々から御心配の、懸念の声もいただいておりますので、引き続き慎重な立場で、国交省を中心に、また大臣のお力を発揮しながら、ライドシェアの方向性をしっかりと注視していただきたいと思います。
次の質問に入らせていただきます。
次は、天気予報におけるビッグデータの活用についてでありますが、きょうお配りの資料三にございますように、昨今、いわゆるゲリラ豪雨の発生によってさまざまな被害が生じております。
例えば、平成二十年の七月、これはよくゲリラ豪雨の例に挙げられるわけでありますが、神戸市の都賀川でゲリラ豪雨が発生して、わずか十分で川の水位が一メートル三十センチも上昇して、川で遊んでいた児童五名がお亡くなりになったという事件がございました。ゲリラ豪雨による死亡事故も昨今相次いでいるわけでありますが、三分でも五分でも早く予測し、伝えていれば、陸に上がり、こういうとうとい命が犠牲になるということがなかったかもしれません。
また、ゲリラ豪雨とは関係ないんですが、これも国交委員会で取り上げましたが、昨年の八月、私どもの神奈川の相模原市、地元でありますが、下九沢の国道百二十九号で女性が流されて死亡するという事案も発生いたしました。
気象庁が最近行っている天気予報の精度検証によれば、かなり精度が上がっているということは、私たち国民の間でも、天気予報がよく当たるねみたいな話が進んでいるわけでありますが、しかしながら、おとといの東京を中心とした例えば突然の豪雨などにおいても、やはりこうしたゲリラ豪雨の発生が事前に予測できればなというのが私の思いであります。
国交省においては、逃げおくれゼロ、そして社会経済被害の最小化を実現するために、先般、水防法の改正を行ったことは私も委員として十分承知しているわけでありますが、防災の観点からも、ゲリラ豪雨などの天気予測におけるビッグデータ、ICTの活用推進をすることは重要だと考えておりますが、国交省の見解をお伺いいたします。
○橋田政府参考人 お答えいたします。
気象庁では、気象衛星ひまわり八号の観測データを初めといたしまして、全国二十カ所に整備いたしました気象レーダー、全国約千三百カ所のアメダスのデータ等を含めまして、日本のみならず、世界じゅうから膨大な観測データを収集しております。これらのいわゆる気象のビッグデータをスーパーコンピューターを用いて分析して、気象予測を行っているという現状でございます。
この予測結果につきましては、最新のICT技術を活用いたしまして、防災機関等に迅速かつ確実に提供いたしますとともに、報道機関等ともよく連携いたしまして、広く国民の皆様にわかりやすい形で伝えているところでございます。
現在計画しておりますことといたしまして、来年、平成三十年からは、現在の十倍の計算能力を持ちますスーパーコンピューターの運用を開始する予定でございます。これによりまして、例えば、降水短時間予報と私どもが呼んでおります詳細な降水量予測を六時間先から十五時間先まで延長することや、台風の中心気圧、最大風速といった台風の強度の予測を三日先から五日先まで延長するなど、いわゆる突然の豪雨ということのないように、早目早目の防災活動に資する雨や風の予測情報の提供を計画しているところでございます。
今後とも、ビッグデータやICTなど最新の科学技術を活用いたしまして豪雨等の予測技術の精度向上を図るとともに、防災関係機関、報道機関等ともよく連携いたしまして、より的確な情報提供に努めてまいる所存でございます。
○本村(賢)委員 今、参考人の長官からも御答弁があったように、気象データはビッグデータ化しつつあるという御答弁をいただきまして、その一つに、フェーズドアレー気象レーダーのような最新気象レーダーの開発が進んでいることも承知しておりまして、日本の最新技術だというふうに伺っています。現在、国内に六カ所設置されておりまして、実証実験ではゲリラ豪雨発生予測の的中率が約八〇%となっていることから、事前に対策を促す回避行動につながるという結果も出ております。
このフェーズドアレー気象レーダーの情報は三十秒ごとに更新されて、この予測データを一秒でも早く国民に伝えていくことで、死亡事故をなくしていける可能性を秘めているわけでありまして、今後、技術が進化すれば、十秒、二十秒と更新間隔が短くなっていくことも考えられます。
それら予測データの観測を気象予報士が行うことで国民に伝えるまでに遅延が発生するのは、国民にとってもデメリットの一つであります。また、スーパーコンピューターでも処理し切れないほど膨大なビッグデータとなってきており、人間の判断より機械の判断の方が正しいケースも出ております。
しかしながら、やはり、気象予報士の役割というのは十分理解した上でありますが、現実的にそのような間隔で気象予報士がチェックしていくのはなかなか不可能に近いという御指摘も一部ではあるようでございます。
ビッグデータを活用して予測技術や計算機性能が、いわゆるスーパーコンピューターのことでありますが、進捗する中で、かなり精度の高い予測を行うことができるようになっていると聞きます。ゲリラ豪雨のように急発達する現象を予測し、可能な限り早期に国民に伝えることは防災の観点からも重要でありますが、気象業務法第十九条の三によって気象予報士がデータの確認を行わなければならないために、国民に予測が伝わるまでにタイムロスが先ほど指摘したようにございます。
気象予報士が重要な役割を果たしていることは当然理解しておりますが、今後さらに技術が進化していくと、さらにタイムロスという課題が表面化するのではないかという懸念も一部では報道されております。法や制度を現代に合わせて見直していくことが必要でないかと考えますが、大臣の見解をお伺いします。
○石井国務大臣 フェーズドアレー・レーダーは、平成二十七年に気象研究所に導入されまして、現在、予測技術の調査研究段階でございます。また、気象予測技術の高度化に資する計算機性能は常に進歩しているところであります。
このレーダーの実用化や計算機性能の向上に応じまして、局地的な大雨や竜巻などの激しい大気現象をより素早く的確に捉え、気象予測技術のさらなる高度化に貢献することが期待されております。
民間の気象予報事業におきましては、現在、予報業務許可制度に基づきまして、現象の予想は、気象現象に関する高い専門知識を有する気象予報士が行うこととなっております。
気象の的確な予報は、このようなハードの技術向上とソフトの気象予報士制度が相まって、車の両輪として有効に機能しているところであります。
一方、委員御指摘いただいた法や制度のあり方につきましては、フェーズドアレー・レーダーなどの画期的な技術の実用化や社会的ニーズの変化を踏まえ、常に検証してまいりたいと考えております。
○本村(賢)委員 最後に、タカタ製のエアバッグのリコールについてお伺いします。
タカタ製エアバッグの事故、リコールを教訓として再発防止に取り組まなければならないわけでありまして、これは何度もここで質問しておりますが、ドイツのフラウンホーファー協会や自動車メーカー十社、そしてホンダによる今回の事案について分析した報告書が既にまとめられ、その原因は火薬の経年変化であるとの結論に至っているわけであります。
また、きょうは参考資料四に書いてありますが、タカタ社の高田特別顧問が日経新聞のインタビューに応じて、一連の問題は硝酸アンモニウムを外すだけでは解決できない、部品メーカーが火薬を積んだ部品の性能を二十年も保証することは難しい、ほかの火薬を使ったエアバッグでも経年劣化のリスクはありますという、これは重い指摘をタカタの特別顧問がされているわけでありまして、恐らく、今回のリコールに対する痛切な思いとともに、それらから得られた重要な教訓をこのまま置き去りにしてはいけないという、ある種の使命感から絞り出されたメッセージかなと思っておるんです。
この重い指摘を受けて、ここで、しっかりと乗員の安全性を担保し、火薬の経年劣化を原因とするようなリコールが再発しない確実な施策を、国交省、自動車メーカーなどが協力して講じていくことが必要だと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。
○石井国務大臣 外部研究機関等による原因調査におきまして、火薬に硝酸アンモニウムを使用したエアバッグのうち、乾燥剤の入っていないものについては、湿気のある状態で長期間の温度変化にさらされると火薬が劣化し、異常破裂することが明らかにされております。このため、火薬に硝酸アンモニウムを使用した、乾燥剤の入っていないエアバッグについては、リコールを実施することにより交換し、安全性を確保することとしております。
また、火薬に硝酸アンモニウムを使用したエアバッグのうち、乾燥剤の入っているものについては、アメリカの当局が、平成三十一年までに経年により安全性が劣化しないことをタカタが証明できない場合には、リコール対象とし得ることを表明しております。
なお、火薬に硝酸アンモニウムを使用していないエアバッグについては、現在のところ、火薬の経年劣化を原因とする異常破裂の発生は報告されておりません。
エアバッグの安全性確保につきましては、以上述べたような状況を踏まえつつ、まずは、自動車メーカー等と協力いたしまして、問題のあるエアバッグをリコールによりできる限り速やかに交換することにより、適切に対応してまいりたいと考えております。
○本村(賢)委員 時間になりましたので、これで質問を終わりにします。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、荒井聰君。
○荒井委員 きょうもJR北海道問題を議論したいと思います。
このJR北海道問題というのは、単に北海道の地域問題というよりも、国鉄民営化三十年の経緯がどうだったのかということも踏まえて、北海道だけではなくて、日本全体が過疎化あるいは人口流出にこれからも悩んでいくわけですけれども、そういうときにあって、交通体系がどうあるべきなのかということが一番先端的にあらわれているのが私は北海道だと思います。
その北海道をどうするのかということは、全国の交通体系の問題でも議論の対象になることだということから、私は、特に北海道選出ということもありまして、議論をさせていただいているわけです。
この問題をやっていくと、JR問題というのは非常に複雑多岐にわたっていて、歴史もあるし、幅も広いということから、資料をつくりました。数十年前に戻って、奥田局長の課長補佐になったつもりでつくりましたから、よく見てください。
一ページ目、これに全部書いたつもりです。
この一ページ目は、私、議論をしているときにいつも、会社は誰のものかという議論をしたんですけれども、これが一番大切なことなんだろうというふうに思います。
国鉄民営化というのは何だったのかというと、公社の弊害の除去と、経営管理の限界を超えているのでこれを分割する、そしてもう一つ大きなのは、国鉄時代の債務をどういうふうに分担するのかということだったと思います。
ところが、公社の弊害の除去あるいは経営管理の限界超えということが十分になされていない、あるいは、これからもなされる見通しがない唯一のJRが、JR北海道なのではないだろうかというふうに私は思います。
JALの再生は、これは民主党政権で行ったものです。ぜひ、JR北海道の再建というのは、自民党、公明党政権でなし遂げてもらいたいと思います。私たち野党としても、協力できることは協力していきたいと思います。
JALの教訓とは何だったのか。稲盛さんがJALに入って社員みんなに伝えたことは、このJALという会社は、お客さんのためにあるのだ、社員のためにあるのだ、地域のためにあるのだという、これは松下幸之助が言った言葉ですけれども、それを社員に徹底させたんです。それまでのJALは、ANAと比べても、乗せてやる、ナショナルキャリアだという気持ちがどこかにあって、お客さんのためのものという感じと距離があったと私は思います。
この感覚が今、JR北海道にそのまま残っているんですよ。九時四十分発最終便などという、そんなダイヤを組む運行会社がどこにありますか。ここが、私は、一番最初に変えなければならない社内風土、社内文化だと思います。
それでは、どこを見ていたのか。唯一の資本家である国を見ていたんですよ。逆に言うと、国しか見ていないと言っても言い過ぎではないかもしれません。そこが、私は、ある種、この間の国の責任が大きいというふうにも思います。
それでは、この間、どういうことが起きていたのか。
その前に、この2のペーパーは、この三十年間の国鉄民営化の経緯をずっと書いたものです。十年ごとに大きな改革をやっています。十年ごとの改革のときの担当局長は、極めて熱心に国鉄改革のその後というものを検証し、新たな試みに挑んでいます。
今、まさに三十年目です。十年目に運輸白書というのをつくっていますね。この運輸白書に基づいて、その後の改革というのはほとんど行われております。三十年目も、この三十年間を総括して、これに相当するような白書をしっかりつくって、どうあるべきなのか、これはJR北海道だけの問題ではありません、運輸政策全体がどうあるべきなのかという視点も捉えながら、国鉄民営化三十年の総決算というのはつくるべきだというふうに私は思います。
そこで、三枚目と四枚目のペーパーです。
三枚目は、経営安定基金の運用益がどういうふうに推移してきたかということです。
黄色になったのは、平成二十三年から経営安定基金に追加した基金の割合ですけれども、もともと、五百億で経営安定基金は運用益が出る、そういう前提で北海道の民営化というのは進める予定でありました。ところが、それがずっと低金利でもって下がっていく。それにつれて、この折れ線グラフは設備投資と修繕費の和です。
そこで、次のページを見てください。四ページです。
これは、設備投資と修繕費の和と、当初、民営化して五年間の平均値との比較です。
五年間平均すると大体四百億なんですね、修繕費と設備投資は。そして、設備投資のほとんどのものが、例えば、新千歳空港の駅の開業ですとか、旭川―名寄の高速化とか、そういう新しい設備投資というのは前半に集中しているんです。つまり、運用益がまだ高かったころ、それだけの余裕があったということです。
しかし、その後、ずっと下がっていきました。何もできません。できないだけではなくて、黄色の、事故が起きましたということです。それはそうですよね。設備更新していない、修繕費も足りないというのでは、最後に出てくるのは何かというと、事故が起きるということですよ。そこで慌てて、平成二十五年、二十六年から設備投資の追加を始めたというのがこの表です。
5の表を見てください。これはJR北海道がつくってくれたものです。どういう努力をしてきたのかということがこの表を見れば一目瞭然です。どういうことをしてきたのかということもこれでわかると思います。
これで見られるのは、一人当たりの売上高はふえているんですね。人件費総額を削ったからだと思います。そして、人件費も、これは見方によってつくり方も違うみたいなんですけれども、ずっと下がってきています。そして、北海道庁の職員の給与よりも下がっているという状況にあります。
にもかかわらず、JR北海道の経営改革の表というのは、六ページです、毎年発生する赤字額が百八十億円、経常赤字と別に、設備投資や借入金の返済を行うために毎年必要な金額が百二十億円、全部で三百億円足りませんと言っています。そして、その三百億円を、これは経営維持困難な路線の廃止でしょうね、あるいは抜本的な赤字を減らすということで百六十億減らしますと。しかし、三百億から百六十億引いても、まだ百四十億足りませんよね。
つまり、この表を見る限り、この百六十億の削減だって物すごく難しい。私にとってみれば、ほとんど不可能だと思います、十三線区全部廃止する、そういう計画ですから。それでもまだ百四十億足りませんという表ですから、これは、みずから経営維持が困難だと言っていることを意味しています。
それでは、前回も議論したんですけれども、経営安定基金の積み増し、あるいは経営安定基金の五百億ということの不足部分をどう補填するのかということを政府は真剣に考えないといけないのではないかというふうに思います。この不足額というのは、この三十年間で四千六百億に達しています。一方、負債額を担った東日本、西日本、JR東海、そして、一番大きな負債をしょったのは国ですよ、その国が償還するときの金利は、この金利低減政策で実質的に相当な削減になっているんです。
そこで、そこに私からの幾つかの提案をしてございます。
一番大きな、これは大変大きな課題だと思います、政治的に大きな課題だと思います。原賠機構法のような、電力業者が東京電力を支援するために、みんなで寄ってたかって、寄ってたかってと言ったらおかしい、八ページを見てください、原賠機構法という法律の中で提案し、各電力会社がそれぞれ負担金を出す。その負担金は、損金で計上できるようにしてあります。これをつくるとき、私は携わりました。
このような仕組みがつくれないのかということが第一の提案であります。鉄道局長、どうですか。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
最後、原子力賠償の例についてどう思うかということですが、冒頭から幾つかお話がありましたので、申しわけありませんけれども、ちょっと私からも幾つか話をさせていただきたいと思います。
最初に、JR北海道は、国が株主ということもあって、お客様、社員、地域のために経営するという視点が欠けていて、全道一律で、地域の実情に合わせた経営ができていないんじゃないか、こういうお話だったと思います。
かつての国鉄は、公社制度のもとで全国一元的な経営形態であったために、経営の自主性が失われたことや、適切な経営管理が行われがたく、輸送構造の変化に対応できずに、巨額の長期債務を抱えて経営が破綻した、それで、国鉄の経営形態を改めて、分割・民営化することとされ、現在のJRが発足したところでございます。
JR北海道を含めまして、国鉄の分割・民営化によって発足したJR各社は、できるだけ民間企業と同様の経営の自由、自主性を有することとなるよう、国の監督規制は必要最小限にとどめ、経営者が経営について権限と責任を持ち、当事者能力が発揮できる体制とされているというふうに私は考えております。
あと、JR北海道について言いますと、こういうのがあるのだそうでございます。「私たちの誓い」という冊子を職員が全員持っているそうであります。その中に彼らの誓いが書いてあるんですけれども、その中の一つに、「「お客様あっての私たち」 感謝を忘れず仕事をします。」と高らかに宣言されておりまして、そういった中身がいろいろと書いてあります。いろいろな指摘もあるわけですけれども、彼らもそういった点で非常に努力をしているのではないかなというふうに私は見ております。
あと、地域の実情に合わせた経営ということについては、本来、JR各社は、旅客流動実態に即して六社に分割されたわけですけれども、JR北海道の場合は、営業キロが二千五百五十二キロに及んでおりますが、国鉄から事業を承継する際に、札幌、釧路、旭川、仙台、こういったところに支社を置きまして、支社にもいろいろな権能を与えて、支社ごとに、いろいろなパック商品の設定だとか観光列車の運行みたいなものに努力しているということであります。そういった努力も今後継続していただきながら、経営改善に努めてほしいということです。
あと、十年ごとに総括してきたではないかというお話でございます。
十年ごとというのを意識して私の先輩たちが取り組んできたかどうかというのはちょっとよくわからないんですが、昭和六十二年に国鉄の分割・民営化が行われました後も、大きなスキームの見直しに相当するようなものとしては、五年目の平成三年に、既設新幹線をJR本州三社に譲渡しまして、新幹線保有機構を解散したとか、七年目の平成五年以降、JR本州三社の株式を順次売却し、二十年目の平成十八年までに完全民営化したとか、十二年目の平成十年に、国鉄長期債務の最終的な処理を行って清算事業団を解散した、十五年目の平成十三年に、JR会社法を改正して、本州三社を適用除外、三十年目の平成二十八年に、JR九州を適用除外にして株式を売却したなど、国鉄改革をするための措置が累次にわたって講じられてきたところでございます。
そういったことでありますし、また、この間、国は、三島会社、貨物の経営自立を支援するために、十一年目の平成九年以降、経営安定基金の運用益の下支え、それから二十五年目の平成二十三年以降、経営安定基金の実質的な積み増し、それから三十年目の平成二十八年以降、安全投資、修繕に対する助成及び無利子貸し付けなど、累次にわたってこれも支援を行ってきたところでございます。
一方、JR北海道につきましては、地域における人口減、マイカー等の他の交通手段の発達に伴いまして、路線によっては、輸送人数が大きく減少し、鉄道の特性を発揮しづらい路線が増加している厳しい状況に置かれていると認識いたしております。
このため、国としてもこれまで累次にわたって支援を行ってきたところでありますけれども、今後、地域の皆様にJR北海道の置かれている厳しい状況について認識していただいて、地域における持続可能な交通体系を構築していくために、関係者において速やかに協議を行っていただく必要があるというふうに考えております。国としても、道庁と連携しながら、これらの協議に参画して、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応につき検討してまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
あと、経営安定基金の運用益の減少についてのお話がございました。
これは、繰り返しお話をさせていただいておりますけれども、経営安定基金につきましては、元本をJR北海道に渡した後はJR北海道において自主運用されるものでございまして、その運用益が金利によって変動することは、当初から想定された仕組みでございます。したがいまして、金利情勢にはさまざまな変化がある中で、長期的な情勢の変化に伴って運用益が減少しているということについては、基本的には、JR北海道の経営努力によって対処されることが求められているというふうに考えております。
しかしながら、こういった考え方に立ちつつも、国としても、これも御案内かと思います、これまで、経営安定基金の運用益の下支えでありますとか、実質的な積み増し、設備投資に対する助成、無利子貸し付けなどの経営基盤強化のための支援をさせていただいてきたということでございます。
あと、このままで経営改善ができるのかということでございます。
大変厳しい状況にあります。このため、JR北海道は、単独では維持することが困難な線区について、持続可能な交通体系を構築するために、地域の関係者と協議をお願いしたいと申しているわけでございますが、収支を改善していくためには、それだけではなくて、さっき先生がお示しになった資料にありますような、運賃改定の実施による増収、鉄道の利用促進策による増収の取り組み、経費節減に向けた事業運営の効率化など、鉄道事業の収支改善を進めますとともに、さらに、経営基盤強化のために、不動産賃貸業などの関連事業による営業利益のさらなる拡大に努めることで、必要な資金を確保できるようにしていく必要があると考えております。
引き続き、JR北海道の経営を持続可能にするため、鉄道事業における安定的な経営基盤の確立や、関連事業における収益拡大等の取り組みを進めるよう、指導してまいりたいというふうに考えるところでございます。
あと、お尋ねの点です、済みません。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構法において、機構の業務に要する費用に充てるために、原子力事業者が機構に対して毎年度負担金を納付することとされております。これは、大規模な原子力災害が生じた際に円滑な損害賠償の履行を確保するために必要な金額を、いわゆる相互扶助の考え方のもとで共同して負担しているものであるというふうに承知をいたしております。
これに対しまして、JR北海道やJR四国の営業赤字を補填するためにその他のJR各社に対して負担金の納付を求めることといたします場合には、相互扶助とはならず、負担金を納付する側のJR各社に負担が課せられるということになるわけでございます。
このように、ある地域の鉄道事業者の負担によって別の地域の鉄道事業者の経営の維持を図るということにつきましては、負担をする側の鉄道事業者でありますとか、その利用者あるいは株主の理解を得られるかどうかが課題でありまして、慎重に考える必要があるというふうに考えております。
○荒井委員 原賠法のときにも非常な大議論がありましたよ。自分たちに全然関係ないのに賠償金の一部を負担しようという議論ですから、大変難しい議論だったと思います。私は、JR問題よりももっと難しかったと思います。しかし、そのときには、多くの人たちが力を出し、知恵を出し、この支援機構法の成立を見たわけであります。ぜひそれらを参考にしながら国交省を挙げてやるべき、そういう課題だと私は思います。
次に、JR貨物の話なんですけれども、これは指摘だけにとどめます、前回もちょっとやりましたので。
これは青函トンネルのダイヤグラムですね。これを見ると、あいている、保守管理できるのは二時間半しかない。あるいは、相当何本も交錯している。これは、いつか事故が起きますよ、こんなことをやっていたら。抜本的な改革ということを考えていかないとだめだというふうに思います。そのために、抜本的な改革というのは、私は、青函のところはフェリーにするしかないのではないかというお話を前回もしましたけれども、今回は時間がありませんので、その議論は省きます。
次に、災害復旧の話です。
次の十ページ、これは、民間がなぜ海岸事業をやるんだという記事です。そのとおりだと思います。さらには、災害復旧について、赤字の企業にまで半分以上の負担を出させながら災害復旧をせざるを得ないという今の仕組み自体、それはどこかで抜本的な改革をしなければならないというふうに思います。これは、時間がもうあと五、六分しかないので省きます。回答はいいです。
その次に、経営の改革です。
経営の改革で、十一ページを見てください。これは、東京海上が、しなの鉄道の運営に直接乗り出したという東洋経済の記事です。
東京海上は、地域の振興こそ東京海上の直接の利益にもつながっていくんだという考え方から、地域が大切だということから、地方鉄道の振興というか、社長さんを出して、てこ入れをしているという記事です。まさしく今、北海道に求められている、廃線をしようとするようなところの鉄道なんですね。
私は、厳しい言い方をすれば、今のJR北海道の経営陣では、こういう感覚はないと思いますよ。地域で鉄道事業をやって、地域の人たちと地域振興をやっていくんだ、まちづくり、地域づくりをするんだという感覚は、私はないと思います。
ないのならば、私は、外から連れてくればいいと。十三線区ごとに、ここを運営する人はいませんかといって公募したらいいんですよ。
ただ、その場合に、JR北海道は、上下分離といって、下の方を地方自治体が持ってください、上はJR北海道がやりますと言っていますけれども、全く逆ですよ。それだと全く同じことですよ。同じダイヤをつくりますよ。九時四十分発の最終便を出すような、そういう運営をしますよ。
そうではなくて、下の方はちゃんとJR北海道が整備しますから、上の運営会社は皆さん方で誰かいい人を見つけてきてください、そう言ったらいいじゃないですか。そういう人を集める、そういう民間経営者を集めるということを新しい試みとして考えていいのではないかというふうに私は思います。
集客対策のインバウンドは、先ほど佐藤さんもお話をされたので、省きます。
最後に、ページの十二と十三。
この十二ページは何だと思いますか。これは、実は、稚内から留萌のここのところは、日本で一番の風力発電の適地なんです。ところが、風力発電をして再生可能エネルギーをたくさん起こしても、送電線がないんです。送電線事業というのは、全電力のたしか二割から三割ぐらい経費がかかるんですけれども、その一番大きなのは、用地が見つからないことなんです。
これを見てみてください。稚内線に沿っているんですよ。この路線と送電線とを組み合わせることはできないかということを、ある民間の会社の方がおっしゃっていました。私はいいアイデアだと思います。
次のページを見てください。これは日高の高速道路です。高速道路というか、高規格道路です。
高規格道路の計画は進んでいますけれども、これもまた、用地の取得で難渋しています。特に、ここは馬産地ですから、馬産地のそばに高速道路が入ってくると馬の育成に障害が起きるということで、非常に慎重です。
この計画を見ても、日高線の鉄道に沿っているんですね。場合によっては、日高線の線路を全部高規格道路にしてBRTに切りかえていくという発想に立てば、一気にこの道路はできると思いますよ。そして、BRTの運行もできると思いますね。
さらには、保守管理にお金がかかっています。これはアメリカで相当進行しているというふうに言われていますけれども、ドローンのビジネスを活用して保守管理の経費を削減しようという試みです。
素人の私でさえ、このぐらいの資料は集められる。常日ごろから一番頭を悩ませているJR北海道あるいは鉄道局の皆さんが、これらについて具体的に議論する、そういう時期に来ているのではないですか。
最後ですので、そういうことの指摘に対する感想も含めて、大臣の感想をお聞かせください。
○石井国務大臣 JR北海道の経営改革についてさまざま御指摘をいただいたところでございます。
いずれにいたしましても、JR北海道としては、地域における持続可能な交通体系確保のために、それぞれの沿線自治体と協議をしたいということで申し入れをしておるところでございまして、関係者において速やかに協議を行っていただきたいと考えております。
国といたしましても、北海道庁と連携しながら、こういった協議に参画いたしまして、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応について検討していきたいと考えてございます。
○荒井委員 北海道は、民営化後、約一千五百キロぐらい廃線しているんですね。廃線して、その後、バス転換しているんですけれども、そのバス転換したところが一体どうなっているのかということを、二十一世紀総合研究所が運輸局の委託を受けて調査しています。バス転換したところの人口は急減し、バスの利用客も急減しているというのが結論です。
やはり鉄道には鉄道の意味があるし、バスと鉄道が並行するのは過大投資ではないかという指摘もありますけれども、私はむしろ、そういうものが二つ競い合っていくということの方が、その地域の振興策、あるいは人口が流出しない、そういうことにとっては意味があることだというふうに思っております。
以上で私の質問を終えます。
○西銘委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 国土交通行政における政治家と官僚の役割分担についてお伺いしたいと思います。
先般、当委員会の質疑におきまして、参議院の質疑に出席されていた大臣の空席を埋めるべき副大臣が席をあけられまして、政務官は御出席でしたけれども、いわゆる天皇の認証官である副大臣以上の方がこの委員会にいらっしゃらないという事態が生じておりました。厳重に抗議をさせていただいた次第でございます。
また、それと前後いたしまして、政務三役に一切質問通告をせずに、政府参考人のみに質問通告をされるという委員の方もいらっしゃいました。
皆さんのお手元に、A4の一枚の紙を、表裏のものをお配りしております。これをごらんいただきますと、一ページ目の右側、衆議院規則第四十五条の二として、「委員会が審査又は調査を行うときは、政府に対する委員の質疑は、国務大臣又は内閣官房副長官、副大臣若しくは大臣政務官に対して行う。」四十五条の三といたしまして、「委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出頭を求め、その説明を聴く。」ということであります。
お読みいただいてのとおり、これは厳密には衆議院規則の違反ということではありません。ただ、この第四十五条が、こちら、左側の申合せ事項がそれに当たりますけれども、議院内閣制の本来の趣旨を徹底すべく、二〇〇〇年から二〇〇一年にかけてこの衆議院において申し合わされた経緯に照らしますと、私は国会軽視と考えましたので、個人的に、失礼ながらやじを飛ばさせていただきました。
石井大臣に伺わせていただきたいと思います。
大臣は、なぜ、専門的なキャリアを有しない政治家が、巨大な官僚機構のトップとして政務三役に任命されているとお考えですか。大臣御自身は、大学を出られて、旧建設省のキャリア官僚としての経験をお積みですけれども、一般的にはそういうケースはまれかと思います。いわゆる政治主導の制度趣旨について、大臣の御理解を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 一般論でよろしいわけですね。
私もかつて役所に勤務しておりましたので、役所の文化はある程度承知しておりますけれども、その時々の課題に対して非常に真摯に取り組んでいるというふうに思ってございますので、おおむねそんなに間違ったことはやってはいないのではないかなというふうに思っております。
一方で、政治家は、やはり日常的に国民と直接接する機会が多く、さまざまな御意見なり御要望なり、あるいは国民の肌感覚というのを身につけておりますから、そういった国民の感覚を行政の中にきちんと入れていくということがやはり政務三役の非常に重要な役割ではないかなというふうに私は考えているところでございます。
○津村委員 法制度上は、これはいわゆる民主的正統性で説明されることだと思いますが、大臣おっしゃったとおり、国民の代表である私たちが、国民の代表として各省庁の政務を処理していく、あるいは事務を統括していくということに意味があるわけで、その実態がどうなっているかということが本日の質問の趣旨でございます。
この委員会は定員四十五名となっておりまして、定足数が二十三名、委員外の政務三役もいらっしゃいますので、現在、ここには、空席もございますけれども、本来、四十五人から五十人の政治家の方がいらっしゃることになっています。先ほど少し調べさせていただいたんですけれども、この中で平成七年以前から国会議員として活躍されている先生方というのは、石井大臣を含め四人の方、北側先生、佐田先生、そして荒井聰先生だというふうに理解しております。
なぜ平成七年ということを申し上げたかといいますと、平成六年から平成七年にかけてというのはいわゆる政治改革の時期でありまして、その翌年、平成八年からいわゆる小選挙区制度が導入、施行されたということになります。九〇年代は、日本の政治が大きく改革されて、政と官の関係が大きく見直された時期に当たりますし、これは私の私見ですけれども、平成六年、一九九四年の小選挙区制度の導入あるいは政党交付金制度の導入ということがなければ、私を含めて多くのサラリーマンの息子たちは、政治の世界に踏み入れることは恐らくなかっただろうというふうに思っております。
そういう大きな流れの中で、先ほど取り上げさせていただきました国会の改革ということも行われて、できればもう一度お手にとっていただきたいと思うんですけれども、この左側は、政府委員制度の廃止及び副大臣等の設置に伴う国会審議の在り方に関する申合せ事項となっていまして、当時、政務次官がなくなって副大臣ができる時期ですので、ちょっと言葉が混在しているように私は思うんですが、「政務次官が本会議及び委員会において議員の質問に答弁し、討論することができる旨を国会法上明定した今般の改革の趣旨にかんがみ、政務次官は、国会審議においてその責務を積極的に果たすものとする。」となっておりますし、四の「他の委員会」という項では、「委員会の審議は、議員同士又は議員と国務大臣・政務次官との間の政策論争が、より活発に行われることが期待される。」となって、これが先ほどの衆議院規則につながっていくということでございます。
石井大臣、当時の改革の一連の流れを、現職の国会議員として、その場に立ち会われた政治家として、この政府委員制度の廃止、副大臣等の設置の意義についてお考えを聞かせてください。
○石井国務大臣 恐縮ですが、余り正確には記憶しておらないのですが、政府委員制度の廃止というのは、ここに今委員がお示ししていただいた資料にございますように、なるべく政治家同士での政策論争を活発に行おうという趣旨で導入されたものだというふうに承知をしてございます。
○津村委員 その趣旨が、今、どういう形で副大臣、政務官によって実務上運用されているかということを順にたださせていただきたいと思います。
まず、田中副大臣に伺います。
副大臣、この二ページ目をごらんいただけますか。国家行政組織法でありまして、第十六条に副大臣の規定がございます。
「3 副大臣は、その省の長である大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理し、並びにあらかじめその省の長である大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」ちなみに、第十七条は、大臣政務官について、「大臣政務官は、その省の長である大臣を助け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する。」とあります。
さらに、御参考までですが、第十七条の二に「大臣補佐官」というものがございまして、「大臣補佐官は、その省の長である大臣の命を受け、特定の政策に係るその省の長である大臣の行う企画及び立案並びに政務に関し、その省の長である大臣を補佐する。」とあります。これは、第二次安倍政権が最初に法改正して導入した制度であります。
何が言いたいかと申しますと、補佐官には決裁権限はありませんが、政務三役には決裁権限があります。政務を処理する職務権限がございます。いわばラインとスタッフの関係でありまして、副大臣や政務官は、省内での、ここで政務と書かれている仕事についてはきちんと責任を持って決裁をされているということであります。
副大臣は、済みません、私、御経歴を拝見いたしますと、大学を卒業されてから蕨ケーブルビジョンという会社の設立に携わられて、社長や会長を歴任され、また、蕨JCの理事長も御経験されているという、実務経験の大変豊富な方でございます。
副大臣は、今の御担当として、国土政策、都市、道路、海事、港湾、航空、その他、観光もですか、たくさんの分野を担当されているわけですけれども、例えば、今回の九本の閣法のうち、私たち委員で視察に行きました都市緑地法の改正の際に、大臣との間でどういった御議論をなさったのか、どのような機会にどういう御意見を述べられたのか、御記憶の範囲で教えてください。
○田中副大臣 御質問ありがとうございます。
都市緑地法でありますけれども、例えば、私、出張している中で、富山の富岩運河の環水公園というものも見てまいりました。これは、世界一美しいスタバということで大変有名なところであります。
ちょっと話は戻ります。
私の経歴でありますけれども、以前、経産政務官をやったり、また経産部会長をやったりしておりまして、そして、我が国も経済成長を続けていく、またGDP六百兆を目指していく、こういう中で、安心、安全ですとか、あるいは経済成長につながる、生産性革命と言える、こういう中でのインフラ、これをやはりリンクさせて経済成長につなげていきたい、そういう思いがあって、今、国土交通省の副大臣として任務を務めていると思っております。
その中で、この都市緑地法でありますが、やはり、民間の力を使って、公園もそうでありますが、もっと地域のポテンシャルといったものを高めていきたい、そういう思いがありまして、この国交省の中でも、政務でも、政策調整懇もあります、また幹部会議もあります、そういう中で、石井大臣に対していろいろな御意見を進言させていただいた、そう記憶しているところであります。
○津村委員 副大臣と大臣が大臣室でさしでお話しになるという機会は、この一年で何回ぐらいあったんですか。
○田中副大臣 さしでということでありますが、先ほどもお話ししましたけれども、定期的に、幹部会、これも大臣室で行います。また、さまざまな政務に関する問いですとか、あるいは出張の際の御報告ですとか、そうしたものは、部屋がすぐ隣の隣でありますから、一々アポをとることもなく、その都度、秘書官から連絡をとって、時間があるときに二分でも三分でもお会いさせていただいている。回数とすると四、五回ぐらいかなというふうに記憶はしております。
○津村委員 この一年でと伺ったので、四、五回というのはちょっと少ないんじゃないかと思うんですけれども。
そこはいろいろな形があると思うんですが、先ほど冒頭に申し上げましたように、例えば、大臣と副大臣は所属されている政党も違います。いろいろなバックボーンの違う政治家がチームとなって、政務三役として巨大な官僚機構を、特に国土交通省は大変大きな役所ですから、リードしていかれるわけですので、ぜひ、個人的にも密なコミュニケーションを、特にトップとナンバーツーですので、事務方を介するのではなくてやりとりしていただけたらなということを思います。
根本幸典政務官に伺わせていただきます。
根本政務官は、リクルートから、参議院議員の秘書をされて、豊橋の市会議員を歴任された方だと思いますけれども、今、霞が関は、いわゆる人事の時期でございます。通常国会が終わりますと、大きな異動が行われる官庁が多いというふうに思っております。
政治主導を円滑に進めるためには、現在の加計問題とか森友問題も含めてさまざまな議論はあると思いますけれども、内閣人事局というものが設置されて、人事の面でも政治主導を進めていこうというのが、これは安倍政権の大きな方針なんだろうというふうに思います。そう考えますと、政務を処理するお立場にある政務官の官僚の皆さんに対する評価ということも、一つ非常に重要な人事のファクターになってくる可能性があるというふうに考えるわけでございます。
人事の時期を間近に控えたこの段階で、具体的な中身はもちろん伺うつもりはありません。ただ、政務官がどの程度、大臣や副大臣と今後の国土交通省の人事についての議論をされているのか、頻度であるとか、あるいは、局長、課長、どのランクの議論までされているのかということについて、概要を伺いたいと思います。
○根本大臣政務官 お答えをいたします。
人事に関しては特に通告がありませんでしたけれども、私の知っている範囲でお話をさせていただきたいというふうに思います。
今ありましたように、政府主導で、人事局の中で、特に上位者、局長等々の人事をやっている、この辺は認識をしております。そしてまた、七月もそうですが、四月、三月にも人事がありましたので、そのときは、役所の方から、こういう方向ですよということで御説明も受けておりますし、それに関して私も意見も述べています。
ただ、七月に関しては、国会の動向もまだわかりませんので、これからいろいろと報告があったりお話をする、こういうことになるんだというふうに思っております。
以上です。
○津村委員 今の根本政務官のお話は、私も政務官の経験がありますので、下から上がってくる、今、説明を聞いて意見を述べたという言い方をされましたが、受け身の話はよく経験もしたことがありますが、私は、安倍政権で内閣人事局というものができて、そういうやり方は変わっていくべき、あるいは、変わっていっているんじゃないかという意味で伺っているんです。
つまり、役所の方からこうですと言うのに感想をお述べになるんじゃなくて、この人をここに持ってきてこういう仕事をやってもらいたい、そういうアクティブな、積極的なアプローチというのはないのですかという質問なんです。
もう一回答えてください。
○根本大臣政務官 お答えいたします。
先ほども申し上げましたように、三月、四月等々に関しては、役所の方からお話がありましたので、それに関して私の方から、こういう方向性ですというお話はさせていただきました。
以上です。
○津村委員 何か積極的なお話が聞けなかったんですけれども、副大臣はいかがですか。
○田中副大臣 やはり、政務としては、今回、九本の法案が提出されております。私も就任したのが八月五日でありますが、そのときに、まずはやはり、私が担務している全体の所管事項説明というのも受けます。その中で、法案もまだ固まっていない中で、いろいろなこういう法案が案としてあるという話も聞く。
その中で、やはりそれを細かく精査しながら、私の方から、政治家として、そしてまた副大臣として就任した立場として、そうした政策に関しては、立案過程に関してもしっかり物を申しておりますし、そうした中で、また、各局、担務もありますし、いろいろな形で交流も図っています。出張も私、三十二回ほど行きましたが、局長さん、あるいはいろいろな方も一緒についてきていただきます。また、いろいろな懇親の場を持つことも多々あります。そんな中で、人となり、人柄、あるいは政策能力、そうしたものも、職員の中をいろいろと見てきたつもりであります。そういう中での進言というのは、しっかりとしていく必要があるんだろうと思います。
ただ、職員が六万人もおりますので、なかなか全てを把握することはできないということであります。
○津村委員 六万人もいるからこそ、幹部人事が重要なわけですよ。ケーブルビジョン、会社経営の御経験があるわけですから、私なんかよりもよくおわかりだと思うんです。
多くの場合、一年間で副大臣がかわられることが多いわけです。政務官も同じです、大臣も同じですが、その間にきちんとした業績を上げていくためには、やはりまずその脇を固めて、周りのスタッフ、秘書官人事も含めて、そういったところから、御自身の信頼する仲間たちとともに仕事をしなきゃいけないということだと思います。
もちろん、それが毎年かわってしまっていいのかというのが内閣人事局制度のそもそもの問題点でもあるわけで、ここは両側から議論する必要があるとは思いますが、先ほどの政務官の御答弁のように、受け身に感想を述べているだけでは、やはり私は、政務三役、ちょっと物足りないと思います。
また、法案の議論についても、先ほど、副大臣の御説明、非常に立派な御説明だなと思いましたけれども、やはり大臣室のレクのときには、副大臣、政務官が、下から上がってくるものなわけですから、事務方にレクを任せるのではなくて、大臣レクには副大臣や政務官が基本的にはいつも立ち会われて、場合によっては事務方を外して御自身の意見を述べるというようなことをやらないと、それは政治主導じゃないですよ。事務方の振りつけに乗っかっているだけになっちゃいます。
そこは、これから副大臣、政務官を経験される方も大勢いらっしゃると思うんですけれども、政治主導とは何かというのは、ぜひ一緒に考えさせていただきたいというふうに思います。
藤井比早之政務官に伺わせていただきます。
藤井さんは、総務省の御出身で、彦根の副市長もされて、お若いのに大変活躍されている方なんですが、海外出張のことを一つ伺いたいと思います。
藤井さんは、この一年で、私が確認させていただいただけで言いますと、一月に、シンガポールでのASEANの閣僚会合に代理出席されているみたいですけれども、それは大臣の御都合で、私は、本当は国会の日程を少々工夫してでも大臣が行くべきことだと思いますし、今まで御協力したいということは何度も申し上げてきているんですけれども、それはさておき、多分、御自身でいろいろ企画立案されるお力がある政務官だと思うんですよ。何で、この一年、そのシンガポールの出張以外、海外に行かれなかったんですか。
○藤井大臣政務官 津村委員にお答えいたします。
私、国内そして地元が大好きでございますので、各現場確認も含めまして、ずっと国内の国土交通行政の各現場を視察等確認させていただいておったというところでございます。
法案審議につきましても、都市緑地法であれば、都市公園内の保育所であったり、カフェであったり、生産緑地であったり、また民間の方がやっておられる市民緑地であったり、また、公営住宅やサ高住や、そういったところも現場を拝見させていただいたところでございます。
海外出張ということで、唯一のシンガポール出張でございますけれども、これは、御指摘いただいたとおり、ASEANプラス3の観光大臣会合ということでございまして、実は、共同議長もせなあかんということで、イスワラン・シンガポール貿易産業大臣とともに共同議長を務めさせていただきまして、そして取りまとめもさせていただいた。本来大臣がというところが、国会の関係で私が代理で参ったということでございます。
ASEANは、特に、ことし五十周年ということで、ビジットASEANイヤーということもやっておられます。また、その場では、実はまだ閣議了解しておりませんでした大阪万博も、どうか日本万博を大阪で開催したいので、皆様方には御了解をお願いしたいと各大臣にお願いをさせていただいたところでございます。
こちらにつきましては、この際の御縁もできてということで、せんだってゴールデンウイークのときに、カンボジアの観光大臣も来られまして、カンボジア・フェスティバル二〇一七、これも御一緒させていただいて、そのときできました御縁で、二人で壇上で、お互いの交流を深めていきましょう、友好関係を強化しましょうというのを発信させていただいたという形でございます。
ちなみにといいますか、ASEANとの関係は非常に良好に推移しておりまして、インバウンドは、ASEAN六カ国につきましては、二〇一五年度は二百六万九千八百人だったところが、二〇一六年は二百五十一万九十四人、今年度は、四月までの数字でございますけれども、対前年伸び率一八・六%ということでございまして、そういう意味では、非常に価値のある観光大臣会合に参加させていただいたと思っております。
○津村委員 お話を伺っていて、その後の後日談も含めて、価値のある御出張だったということはよく理解できます。
私が申し上げたかったのは、藤井政務官、ほかの皆さんもですけれども、これからさらに副大臣、大臣になられて活躍していただく方々だと思うんです。そういう方々が、やはり政務官というポジションにあるときに、御自身でその後のさまざまな政策展開もお考えになって、自分はここでこういう案件を手がけたいというようなことをぜひ積極的にやっていただきたい。それがまさに政務三役のお仕事だろうというふうに思うものですから、もちろん、国会の日程もありますし、いろいろあるんですけれども、もっともっと頑張っていただきたいということを申し上げました。
政治主導に関してもう一つだけ申し上げたいのは、大臣は大臣補佐官を置かれていないですよね。安倍政権が、政治主導をしっかりやっていく上で大臣のサポートを手厚くしようということで大臣補佐官制度をせっかくつくられているのに、それを活用されないのはもったいないですよ。要らないということかもしれませんけれども、お力があるのはわかっていますが、それは、いろいろな方々にお力をかりるのがよろしいんじゃないでしょうか。ぜひ大臣補佐官を任命されるべきということを申し添えたいと思います。
最後に、ちょっと話はかわりますけれども、今回の理事のメンバーで、一日お時間をいただきまして、福岡を視察させていただきました。それに関連して一問だけ伺わせていただきます。
今回、博多駅前の道路の陥没現場を見てきたわけですけれども、道路の安全、安心への関心が高まる中で、国が今、路面下空洞調査というんですか、これを実施されているというふうに思います。
今回、これを新たに、広く技術の公募、評価を進めるということを伺っているわけですが、現在、この制度がどうなっていて、そしてまた、このたび新しい評価指標を意見募集する趣旨について、最後に伺いたいと思います。
○石井国務大臣 路面の下の空洞の調査につきましては、さまざまな特徴を持った技術が民間開発会社において開発されてきていると認識しております。
この状況を踏まえまして、国土交通省では、路面下空洞調査技術を広く公募し、試験を実施することによりまして、各技術の調査性能や特性等を具体的に把握、評価する取り組みを開始したところでございます。
ことしの春に試験方法及び評価指標に関する意見募集を行いまして、ことしの夏ごろに技術の公募を行いまして、秋ごろに模擬試験あるいは実際の道路の試験等を行いまして、今年度中には比較の公表を行いたいというふうに考えております。
比較評価の結果、有用な技術につきましては、国が管理します道路における路面下の空洞調査での活用の参考にするとともに、都道府県単位で各道路管理者により構成されます道路メンテナンス会議の場等を通じまして、地方自治体に対して情報提供することを予定しているところでございます。
○津村委員 ありがとうございました。
本日の私の質問は、この国会は政治家同士が議論する場でありますし、安倍政権も進められているように、政治家と官僚の役割分担、政治家の果たすべき役割は大きいというふうに考えておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというエールでございます。
これで質問を終わります。
○西銘委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
本日は、運輸労働者、とりわけトラックやトレーラーなどの運転手の労働時間と賃金の実態などについて質問したいと思います。
運輸業に携わる自動車運転者の労働時間の定めにつきましては、適正な賃金を確保するだとか、あるいは運輸業務の安全性を担保するだとか、運転者の健康とかたく結びついたものでなければならないと思います。
運輸行政をつかさどる国土交通大臣としてどのようにそれを認識されているのか、まず初めにお聞きしたいと思います。
○石井国務大臣 自動車運転者の適正な賃金の確保や労働時間の設定は、運転者の健康起因事故を防止し、輸送の安全を確保するために重要なことであると考えております。
国土交通省といたしましては、将来の担い手を確保する観点からも、荷主や利用者などの理解と協力をいただきながら、自動車運転者の労働状況の改善に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○清水委員 今大臣が言われましたように、将来の担い手を確保する、これは非常に大事だと思っております。建設業界とあわせまして、いわゆる運送業につきましても人手不足が叫ばれて久しいと思いますので、そういう観点からも、きょうは労働条件の問題について伺っていきたいと思います。
大阪市で海上コンテナ輸送業を営む東和海陸運輸株式会社で働くトレーラー運転手の賃金、労働時間の実態について紹介したいと思います。
配付資料の一をごらんください。これは、東和海陸運輸株式会社の、ことし、ある月の給与明細であります。
項目を見ていただいたらわかりますように、支給というところには、基本給、そして奨励手当、通勤手当と三項目あるわけであります。ここに時間外労働手当という項目の記載がありません。労働者側が会社側に尋ねますと、時間外労働手当については全て奨励手当に含まれているというふうに主張するわけなんですね。
厚労省に伺いたいんですけれども、一般的に、労働時間については、時間外労働も含め会社側が管理することが義務づけられている、これは間違いありませんね。
○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの労働時間の管理につきましては、本年一月二十日に策定いたしました労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインにおきまして、使用者には労働時間を適正に把握する責務があるとしているところでございます。
○清水委員 確認できました。
東和海陸運輸の給与明細には労働時間の記載がありません。ですから、給与明細だけを見て、自分が一カ月どれだけ働いたのかということがわからないわけですね。
奨励手当に時間外労働が全部含まれるというんですけれども、実は、この会社の賃金規定を確認しますと、「奨励手当は時間外勤務手当相当分として支給する」、確かにこう書いています。同時に、「実際の時間外勤務がその金額を超えた場合、別途不足分の時間外勤務手当を支給する。」こう規定されているわけであります。
自分の時間外労働の時間が果たして奨励手当に含まれる分でおさまっているのか、あるいはそれを超えた時間外勤務があるのかということを労働者側が確認したいと思うのは当然のことなんですね。労働者側は、給与明細に書いておりませんから、賃金台帳を閲覧したい、こういうふうに会社側に申し出たところ、会社側は、さまざまな理由をつけて賃金台帳の閲覧を拒否し続けているということです。
これもちょっと一般的にお伺いするんですが、厚労省、労働者がみずからの労働時間を確認するために賃金台帳の閲覧を求めた場合、事業者側はそれに直ちに応じるべきではありませんか。
○土屋政府参考人 お尋ねの賃金台帳に関しましては、労働基準法上、労働者に賃金台帳を閲覧させる義務を使用者に課してはいない状況でございますが、労働基準法第百八条によりまして、使用者には賃金台帳を適正に調製する義務がございまして、賃金台帳に故意に虚偽の労働時間数あるいは時間外労働時間数を記載した場合には、同法百二十条によりまして、三十万円以下の罰金に処せられる、こういったことがございます。
○清水委員 ですから、その賃金台帳に時間外労働も含めて適正に記載されているかどうかということを確認したいわけですよ。改ざんしていたらそれは問題ですけれども、それを閲覧したい、こう労働者側が言うわけですよ。それを使用者側が見せない。
今、答弁の中でそういう義務はないというふうに述べられたんですが、では、労働者側、働いている人は、どうすれば賃金台帳を確認することができるんですか。
○土屋政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、労働基準法上、労働者に賃金台帳を閲覧させる義務というものを使用者には課していないところでございますけれども、労働基準監督機関といたしましては、例えば、個別の働く方々から割り増し賃金の不払いなどについての御相談があった場合には、その方からまず、記録している労働時間の状況などを確認した上で、使用者が所有する賃金台帳についても私どもとして確認していくというような形でチェックをしていくということになります。
○清水委員 賃金台帳を閲覧させる義務を課していないというのは、義務にするまでもないからですよ。見せてくれと言ったら、見せたらいいんですよ、別にやましいことがなければ。あなたが一カ月働いた時間は何時間です、これは法定労働時間で、ここからここは時間外労働ですよというふうに見せればいいんですよ。
当たり前のことだから義務化していないわけで、使用者側がそれを拒否した場合、何でわざわざ労基署まで告発しないといけないんですか。そんなことまでしなければ、自身が働いた労働時間を確認できないということ自体が私は問題だというふうに思うんですね。
実は、この東和海陸運輸には、地元の労働基準監督署も、賃金台帳に労働時間を記載していなかったことについて、ことし一月二十三日に既に是正勧告を行っているんです。にもかかわらず、いまだに見せない。私、これはやはり問題だと思うんですよね。
例えば、今言いました奨励手当、これはいわば固定残業代のような形になっているわけですよね。固定残業代についても、それを上回るような時間外労働があれば、それに追加して支払わなければならないわけでありまして、これらを隠れみのにして残業代を不払いにしている。こういう場合は厳しく取り締まる必要があるのではないでしょうか。これはお答えできますか。
○土屋政府参考人 個別の事案につきましては回答を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、例えば、賃金台帳に適正な記載がないというようなこと、それから、先ほどお話がありましたように、いわゆる固定残業代の額を超えて時間外労働がある、その場合に賃金不払いがあるというような場合については、私どもとしては、それを確認して、厳しく指導していくということでございます。
○清水委員 よろしくお願いいたします。
労働者の勤務の実態を把握するというのは、事業者側、会社側の責務ですね。その上で、自動車運送事業における運転手の乗務記録、運転日報ともいいますけれども、これについて伺いたいと思います。
この運転日報を記録することの目的は何か。これは、運転者の労務管理、労働時間、運行実績、これを確認することだと思いますね。また、運転者の休憩、仮眠。トラックだとかバス、タクシーというのは非常に拘束時間が長いですから、連続運転時間がどうだとか、あるいは、きちんと休憩や仮眠がとれているかどうかということをやはり確認する、適正な乗務が行われているかどうかということを確認することだと思うんですね。適用の範囲は事業用ということで、バス、タクシー、トラック、緑ナンバーが主でありました。
仮に事故が起きた場合は、その運転日報だとか従前の乗務記録などを確認すれば、どのような違反があったのかとか、そうでなかったのかとか、こういうことを確認することができる。記録はもちろん運転者が行って、そして事業者側が一年間それを保存する義務がある。こういうふうに伺っております。
我が党は、一九八四年四月二十六日の参議院内閣委員会において、運転日報の記載の際に事業者側が、ボールペンで書いたらあかん、鉛筆で書けと、鉛筆で記入するように求めた事例を取り上げました。これは、運転日報を改ざんさせている疑いが非常に高いということで、調査を求めたことがございます。当時の自動車局長は、一般的に、日報の改ざんがある場合には、自動車運送事業等運輸規則の違反になる、このようにも答弁されているわけであります。
あれから三十三年たちました。国土交通省として、運転日報の改ざん防止のために、これまでどのような措置をとってこられましたか。
○藤井政府参考人 お答えをいたします。
国土交通省としては、乗務員の乗務の実態を把握することを目的として、運行管理者に対し、乗務記録を運転者に記載させ、それを保管することを義務づけた上で、その内容をもとに、過労運転防止や乗務の適正化に活用することを指導しているところでございます。
乗務記録の改ざんということがありました場合には、それは、運転者の乗務の実態把握を阻害し、輸送の安全の確保を脅かすおそれのある悪質な行為でありまして、それにつきましては、処分の対象ともなるということでございます。
それを踏まえて、国土交通省としては、運行管理者に対する講習等を通じて、運転者に対して正確に乗務記録を記載させるような指導を継続的に行っているところでございます。
さらに、先ほど申し上げたような改ざんがあった場合の行政処分でございますけれども、この処分量定につきましては、平成二十四年四月に発生した関越道の高速ツアーバス事故を踏まえた有識者における検討会、この中での対策の見直しの一環として議論が行われ、その結果を踏まえて、平成二十五年十一月より、一件でも改ざんがあった場合には、それが確認された場合には、三十日車という車両停止処分とするという厳格化を行ったところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、厳正な監査、また、それに基づく処分を実施いたしまして、乗務記録の改ざんを初めとした法令違反の防止に努めてまいりたいと考えております。
○清水委員 改ざん防止の抑止力として罰則を強化されたということであります。
ところが、この抑止力がなかなか働かずに、現在でも、運転日報の改ざんが疑われる、あるいは鉛筆書きを強要しているという会社があります。
資料の二枚目をごらんください。
これは、大阪府枚方市にあります豊田通商株式会社であります。これは、ボールペンで運転日報を記入していた労働者に対して、指導書なるものを出しているんですね。赤線を引きました。「全社員に日報の記載はボールペンではなく鉛筆でお願いしているのは、メーター・走行距離・業務内容の間違いが多くあり訂正が必要である為です。」あらかじめ、訂正が必要だということを前提に、ボールペンで書くな、鉛筆で書け、こういうふうに指導しているということなんですね。
それで、運転日報というのは、今局長が答えられていましたように、労働時間や、あるいは運行が適正に行われているかということを把握する上で非常に重要な記録でありますので、改ざんしてはならないわけであります。
やはり、三十三年前に指摘し、行政処分を重くした、こうおっしゃるんだけれども、堂々と、こうして全社員に、鉛筆で書けというふうに指導しているということは、私は問題だと思うんですが、自動車局長、どのように思われましたか。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
個別の会社における判断、今拝見してこれをどうこうというものではございませんけれども、一般論として申し上げたいと存じます。
先ほど申し上げましたように、乗務記録は、正確に乗務実態を記載すべきものであって、改ざんというのはあってはならないという考え方を持っております。そのために、改ざんを防ぐためにボールペンで書くということは、消せなくなるということで、改ざんの抑止につながる、そういった効果があるという点はあろうかと思います。
一方で、現場での実態というのを私どもなりに把握いたしますと、現実に、大変多忙な時期あるいは夜間、そういった時期に記録をつけるということで、運転者が実際に記録する際にそれを誤ってしまうということは、これは多々あることでございます。これにつきまして、運行管理をしている立場から、ここは違うんじゃないかということで直してもらう、そういったこともあるので、現実に今、記録簿というのは非常に小さい紙で、それが非常に見えづらくなって記録に支障を来す、そういった場合には、その表がきちんときれいに直るように鉛筆で書いてもらう、そういったことが望ましいと思っている事業者の方々もあるということを聞いております。
そういったことで、得失があるということでありますけれども、この点については、そういったことを踏まえながら検討していかなければいけないということだと思います。
ただ、いずれにしましても、この点につきましては、運転者の方が記録をすることはもちろんですけれども、それを、運行管理の立場から、運行記録計による照合、タコメーターですね、こういったものの記録とも照合しながら、実際に運行実態がどうだったのか、あるいは労働実態がどうだったのか、そういったことについては、私どもは、複合的な手段をもってしっかりと管理していくように、運行管理者を指導しているところでございます。
○清水委員 訂正するのがだめだと言っているわけではないんですよね。間違いがあるわけですから、その場合は訂正印を押せばいいわけですよ、二重線を引いて。最初から訂正することを目的として全社員に鉛筆書きを強要するということとはちょっと違うと思うんです。
今、局長は、ボールペンで書くということがいわゆる改ざん抑止の一つになる、こういうふうにおっしゃられたことはそのとおりだと思いますし、実際、私、確認しましたが、近畿運輸局、現場では、鉛筆書きなんてだめだ、ボールペンで書くように、そういう指導をするというふうに言われておりますので、事業者側が仮にそういうふうに考えていたとしても、やはり改ざんを防止するという点ではきちっと指導していくということが大事だと思います。
この豊田通商というのは、今言った鉛筆書きの強要だけではなくて、労働者が有休を取得した場合、いわゆるみなし残業代、固定残業代から控除するということが日常的に行われているんですよ。
ある労働者は、数日間入院した。会社から、労災を使うか有休の消化かどっちにすると言われまして、有休を使うたら当月の給料にすぐ反映されるよ、労災を使うたらちょっと時間がかかるから今月の給料は減るで、どっちにすると言われまして、それやったら有休でお願いしますということで、入院で休んだ日については有休取得をお願いした。すると、給料は払われたんですが、何と、その分きっちり、みなし残業代から引かれたというんですよ、数万円。
これも一般論として厚労省にお伺いするんですけれども、みなし残業代、固定残業代から有休取得分を差し引くということ、これは許されるんですか。
○土屋政府参考人 一般に、いわゆる固定残業代というものは、一定時間分の時間外労働等に対します割り増し賃金をあらかじめ賃金に含めて支払うという約定をするものでございますので、有給休暇を取得したことを理由に固定残業代を減額したというような場合には、賃金不払いとして、労働基準法第二十四条違反の問題が生じると考えております。
○清水委員 こうした違法行為については、監査等でしっかりと取り締まっていただきたいと思います。
それでは、最後の質問です。石井大臣にぜひお答えいただきたいと思うんです。
政府の働き方改革実行計画に盛り込まれた労働時間規制の法制化について、労働政策審議会が、六月五日、塩崎厚生労働大臣に建議いたしました。
この内容は、実行計画を追認しておりまして、時間外労働の上限は、休日労働を含め一カ月百時間未満、二から六カ月の平均で八十時間、年間九百六十時間、うち時間外は七百二十時間としているんですが、過労死ラインの残業を容認しているんですね。それで、長時間労働が深刻な自動車運転業務、バス、タクシー、トラックについては、この法律ができた後五年間も上限規制は適用しない、その後も時間外労働だけで年間九百六十時間まで認めると、ほかの業種より非常に長い上限にとどめようとしているんですね。これは、脳・心臓疾患の認定基準と同じであり、過労死ラインそのものだと思うんです。
このような働き方が運輸労働者の実態に合うんでしょうか。自動車運転手の長時間労働を一層野放しにすることを、大臣、追認していいのかなと私は思うんです。
大臣が冒頭おっしゃっていただいていましたように、やはり、運輸行政にかかわる将来の担い手の確保、労働条件の改善、そういうこととこの働き方改革実行計画というのは大きく矛盾すると私は思いますし、このままでは、本当に、若年層に魅力ある産業として映らず、運転手の高齢化と人手不足が一層進むと思うんですが、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 自動車の運転業務につきましては、働き方改革実行計画におきまして、改正法の一般則の施行期日の五年後に年九百六十時間以内の時間外労働の上限規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指すこととされました。現状、時間外労働の上限規制が適用されないという状況でございますので、私は、一歩前進しているというふうに考えております。
この規制を実効性あるものとし、長時間労働を是正していくために、今後、速やかに、関係省庁と連携し、取引環境の改善や生産性の向上、人材の確保などを進めていきたいと考えております。
○清水委員 今述べましたように、さまざまな違法行為が蔓延しているわけです。魅力ある運輸業界にしていく上でも、労働者の処遇改善が必要です。長時間労働や賃金の搾取を許さない取り組みの強化を求めて、きょうの質問を終わります。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、本村伸子君。
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。
空の安全を支える管制官の問題について伺いたいと思います。
管制官は、空港の管制塔とレーダー室での仕事だけではなく、日本全体の航空交通の監視、洋上の航空機を取り扱う航空交通管理センター、そして、日本の上空を四つに分けてそれぞれ担当している航空交通管制部、これは札幌、東京、福岡、那覇にあるわけですけれども、主に高高度を飛行する航空機をレーダーを用いて管制しております。管制官は、英語もレベル4ということで資格取得が義務づけられております。
このほかにも、管制を支える仕事として、航空管制運航情報官、航空管制技術官、航空灯火・電気技術官がいらっしゃいます。こういう方々が、離陸から着陸まで、空の安全を支えてくださっております。
こういう認識を国交省も共有しているというふうに思いますけれども、管制官や情報官、技術官、こういう方々の役割の重要性についてどう認識されているか、お示しいただきたいと思います。
○坂野政府参考人 お答えいたします。
御指摘の航空管制官等、すなわち航空管制官、航空管制運航情報官、航空管制技術官及び航空灯火・電気技術官でございますが、これらの職員は、航空機に対して安全な運航に必要な指示等を行い、航空機の運航に必要な情報提供等を行い、あるいは航空管制等に使用する航空保安無線施設等の整備及び維持管理を行うことなど、さまざまな業務を行っておりまして、これらによりまして、我が国の安全かつ効率的な航空交通を確保する上で必要な業務を担っておるわけでございまして、その役割は重要であると考えております。
○本村(伸)委員 その重要な管制にかかわる皆さんの実態がどうなっているかということですけれども、航空管制延べ取扱機数について、一九九八年から二〇一六年、どのくらいふえているかという点、そして、それに比べて航空管制官等定員は、一九九八年から二〇一七年、ピークと比べて減っているんですけれども、どのくらいに減っているか、管制官の定員、一九九八年から二〇一七年、ピークと比べて今どうなっているか、お示しいただきたいと思います。
○坂野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、航空管制の延べ取扱機数については、平成十年から現在までに増加しております。具体的には、全国の航空管制延べ取扱機数は、平成十年は約三百九十三万機、平成二十八年は約六百五十二万機でありまして、この間、約二百五十九万機増加しております。
また、航空管制官等の予算定員でございますが、本年四月一日現在で三千九百九十八名となっており、この定員数はピーク時の平成十四年度に比較して減少しております。
このうち、航空管制官の予算定員については、本年四月一日現在で千九百十九名となっておりまして、この定員数は、ピーク時の平成二十一年度に比較して若干減少しております。
○本村(伸)委員 今お答えをいただきましたけれども、航空管制の延べ取扱機数というのは、離陸をしないで、例えば中国―アメリカ便といったような国際線のように日本の上空を通過する航空機も含んだものだそうですけれども、この航空管制延べ取扱機数というのは、先ほどもお答えがありましたように、一九九八年から直近で二百五十九万機もふえている。一方で、管制官等でいいますと、定員が六百六十八名も減っているという、乖離が激しくなっている異常な事態だというふうに思います。管制官についても、ピーク時が二〇〇九年ですから、二〇一七年と比べますと、七十七名も減っております。
取扱機数はふえているのに管制官が減っているという現状の中で、航空管制の現場では大変ひどい実態になっているということをお示ししていきたいというふうに思うんです。
これまでは、複数の管制官で、お互いにダブルチェック、トリプルチェックを行うことで、リスクを最小限に抑えて、繁忙期ですとか緊急時においても航空の安全、空の安全を確保してきたわけですけれども、管制官が削減されることに伴い、管制官一人当たりの負担業務がふえてしまって、安全に対するリスクが増加して、ヒヤリ・ハットの事例が現場感覚でふえているということを現場の皆さんがおっしゃっているわけです。
悪天候のときなどには、管制処理能力を超えるということで、航空機の遅延が発生して、国民、利用者の皆さんに不利益になっている。削減された現場の管制官の皆さんは、休憩時間を削るなどして対応しているそうですけれども、それも限界に来ているというお話でございました。
今、国を挙げて、国交省も外国人観光客を誘致するということでやっておられますけれども、インバウンドの増加に伴い、航空機の離発着数ですとか取扱機数がふえております。
大臣にお伺いしたいんですけれども、今、この資料にあるように、取扱機数はふえているのに、管制官等の定数、管制官の数は減っているということで、やはり空の安全のためにもこういうことは放置できないと思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 航空管制官等の予算定員の見直しに関しましては、航空管制等に使用する航空保安無線施設の性能向上等に伴う維持管理業務の効率化、通信回線の高速、高品質化に伴う空港の対空援助業務の集約化、空港において航空機の位置を正確に把握するための機器であるマルチラテレーション等の新たな管制システムの導入や、衛星を利用した航法であるRNAV等の新たな航法の導入と普及による航空管制官の業務負担の軽減、現在、航空交通管制部で使用しております航空路管制卓システムの導入による管制卓の操作性の向上等、技術の進歩を活用して業務環境の改善を図るとともに、航空交通量が大きく減少する深夜時間帯の要員配置の最適化による勤務体制の見直し等の措置を講じた上で、必要な体制は確保しておりまして、航空交通の安全確保に支障は来していないと考えております。
○本村(伸)委員 今の話を聞いておられたんでしょうか。ヒヤリ・ハット事例がふえている、現場の声をぜひ聞いていただきたいというふうに思うんです。
インバウンドの増加によって国際線の離発着がふえて、LCCの新規参入もふえている状況のもとで、日本の空域、管制方式にふなれなパイロットや英語がなかなか通じないパイロットがふえているそうで、一機当たりの交信する回数がふえているという点も指摘されておりますけれども、この点、国交省、つかんでおられますでしょうか。
○坂野政府参考人 お答えいたします。
国際民間航空条約において、各締約国は、自国の許可を受けた航空運送事業者の操縦士が、利用する空域、経路、空港について十分な知識を持つよう担保することが求められております。また、各締約国は、国際標準に基づき、国際航行を行う操縦士に対し英語能力を証明することを義務づけられております。
国土交通省としても、外国航空会社が我が国に乗り入れる際、各締約国が当該会社に運航認可をしていることをもって、各社が国際標準を満足していることを確認しております。したがって、我が国に乗り入れる操縦士についても、必要な知識及び英語能力を有しているものと考えております。
○本村(伸)委員 現場の職員の方がおっしゃっていたことと今部長がおっしゃっていることが違うんですけれども、一機当たり交信する回数がふえているということは現場感覚としてあるわけです。その実態を部長がつかんでいないということだというふうに思います。
訪日外国人の方々の多くは航空機を利用します。外国人観光客の皆さんをふやすのであれば、管制官も大幅にふやすのが当然だというふうに思います。
二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人、こういうインバウンドの過大な目標は、安全が大前提でなければならないというふうに思います。二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人になりますと、管制延べ取扱機数はどのくらいふえるというふうに予測しているのか、それに見合う管制官等の定員増、養成、採用はどのような計画になっていくのか、端的にお示しいただきたいと思います。
○坂野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御指摘があった観光ビジョンでは、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年で六千万人に増加させるとの目標を掲げておりますが、この旅行者の九割以上が航空機を利用する実態にある中、この目標の実現のためには航空交通量の処理能力の拡大が重要な課題でございまして、このため、私どもとしては、国内の管制空域の抜本的再編、いわゆる上下分離を段階的に実施しまして、管制取扱機数を現状より約二十万機増加させることとしております。
ただし、これらの個々の航空機が実際に飛行する具体的な経路、空域等を予測することは困難でございまして、御質問にございました管制延べ取扱機数、これは航空交通管制部及び空港事務所等の管制機関が取り扱うこととなる機数でございますが、この機数及びこれに対応した航空管制官の必要な要員数について、現時点ではお示しすることはできません。
○本村(伸)委員 現場の声を、ぜひ部長にも、そして大臣にも聞いていただきたいんです。
管制官の養成には時間がかかるわけです。訪日外国人はどんどんふえていくということですから、それに見合った管制官の養成を計画的に進めていただきたいというふうに思うんです。
管制官をふやしたいというふうに思っても、ネックとなりますのが、総定員法に基づく機械的に公務員の数を減らす計画があるわけですけれども、取扱機数は大幅にふえているわけで、これからもふえていくわけで、にもかかわらず、それに対して定員は減っていくということになれば、空の安全自体が守れないということになるんです。
現場が疲弊しているからこそ、私はこういう質問をさせていただいているんです。空の安全についても、正確な運航のためにも、定員削減の計画は即時中止して、空の安全のために頑張っている管制官の定員を大幅にふやすことが当たり前だというふうに思います。
地域によるアンバランスもあるということも指摘をさせていただきたいと思います。
中部国際空港で働く方にもお話をお伺いしました。中部国際空港では、管制官の人数が減らされて、労働強化になっているというお話をお伺いいたしました。
管制官は、ミスが許されない、緊張度が高い勤務ですし、年々業務は複雑化して繁忙度が高くなっているという声もございます。そして、二十四時間稼働している官署ですと、夜勤もある、毎日違う出勤時間だ、心身に与えるストレス度というのは相当高いというふうに思います。
私がこの質問をしようというふうに思ったのは、現場の方からお話を聞いて、本当に過労死してしまうのではないかというふうに思ったからこそ、この質問をしているんです。そういうことを受けとめていただきたいというふうに思うんです。
中部国際空港や関西国際空港については、時間がありませんので、次の、資料の二を見ていただきたいんですけれども、これは関空と中部国際空港の資料を出させていただいております。
中部でいいますと、二〇一二年の十五万一千機から、二〇一六年は十七万一千機と、二万機ふえております。関空でいいますと、二〇一二年の三十四万七千機から、二〇一六年は四十一万九千機と、七万二千機ふえております。にもかかわらず、中部でいうと、管制官は八十二名から七十五名と七名減らされております。関空でいうと百四十九名から百三十五名と十四名減らされております。
資料の三を見ていただきますと、詳しく各空港を見ていただきますと、羽田とか那覇とか、こういうところは管制官がふえております。こういうところは離発着もかなりふえておりますので、そこのふえたところでも大変だというふうに聞いておりますので、ここの一層の人員増も必要だというふうに思います。
そのことを前提にしてなんですけれども、取扱機数がふえている中部、関空で管制官をなぜ減らすんですか。大臣、これはおかしいというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 今委員御指摘のとおり、中部空港や関西空港においては、平成二十四年から航空管制取扱機数が増加している一方、航空管制官の予算定員は減少しております。
これは、両空港におきまして勤務体制の見直しですとか新しい管制システム導入等による業務負荷の軽減を行ったことに加えまして、両空港が海上に整備された比較的新しい空港であって、駐機場が十分に確保されており、地上走行する航空機がふくそうする度合いが低いこと、滑走路と旅客ターミナルの位置関係から、航空機による滑走路の横断がないこと、空港周辺に十分な空域が確保されているといった特徴を有しておりまして、他の主要空港と比較して、航空管制業務の困難さに影響を与える要因が異なることによるものでございます。
○本村(伸)委員 空の安全のために、そして働く皆さんの健康や命のために、管制官を減らすのではなくふやすことが、インバウンド、インバウンドと言うのであれば、ふやすことが肝要だ。これは空の安全のために申し上げているんです。
人手不足を補うために、先ほどお話がいろいろありましたけれども、昼間の人員を厚くして夜薄くすることをやっているということですけれども、例えば中部国際空港でいいますと、少ない人員の体制の時間帯、夜間に業務量が増加したり、あるいは早朝の時間帯に航空機の離発着の訓練が設定されるなど、負担も重くなっている。夜間や早朝に突発的な事案が発生した場合に十分対応できないという不安のお声をお伺いしております。
また、一九九七年、ネイチャーという雑誌に学術論文が出たんですけれども、夜勤というのは酒気帯びと同じような心身状態になるということが掲載されております。現場からは、前と比べてより心身への悪影響を与える状況になっているというお声をお伺いいたします。
また、取扱機数だけでは数字にあらわれない管制業務についても考慮に入れるべきだというふうに思うんです。先日も小型機が墜落する事故がございました。こういう不測の事態にも対応することを考慮しながら、管制官は日々業務をやっているというふうに思います。
そして、中部国際空港でいえば、小牧基地なんかもありまして、自衛隊機が空港付近に来たり、あるいは小型ヘリも来て、定期便と比べて不規則な動きをする航空機が多いわけです。そういうことも、やはり管制官にとっては大変な業務になっております。
そして、パイロットの養成も、今、ふやすということで、中部国際空港で訓練飛行も行っているということで、タッチ・アンド・ゴーなんかの訓練もしている。こういうことに新人管制官も当たらなければいけない。そういう中で、管制官が減らされて、現場から悲鳴が上がっているわけです。
大臣には、こういうきめ細かいところまでしっかりと見て、中部国際空港や関空などの管制官を減らしているところを、しっかりとふやしていただきたいというふうに思います。今の余裕のない状況のもとでさらに取扱機数がふえれば、本当に人が回らない、空の安全が確保できない。だからこそ現場の声が上がっているんです。現場の声に、大臣、応えてください。
○石井国務大臣 全国の航空管制官等を対象といたします職員満足度調査や、幹部職員が一般職員から直接職場環境等の実情を聴取するダイレクトトークを行っておりまして、国土交通省としましては、航空管制官等の現場の実情把握に努めてきたところでございます。
ちなみに、この満足度調査におきまして、中部空港事務所の満足度は全国の平均を若干上回っている状況であるということは御紹介しておきたいと思います。
今後も引き続き、航空交通の実態や航空管制官の勤務実態の把握に努め、必要な体制をしっかり確保していきたいと考えております。
○本村(伸)委員 空の安全を支えるそうした方々の声にしっかりと応えていただきたいということを強く申し述べて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西銘委員長 次に、木下智彦君。
○木下委員 日本維新の会、木下智彦です。
本日は、質疑の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
きょう私の方から話をさせていただきたいのは、またかというふうに思われる方もいらっしゃると思うんですけれども、例の森友学園の土地の問題についてちょっと話をさせていただきたいんです。と言いながら、またかという感じの話ではないので、聞いていただきたいんです。
何をしたいかというと、私は、前にもここの委員会に出させていただきまして話したんですが、例の土地の歩いてすぐのところに住んでおりまして、地元で今一番言われていることは何かというと、皆さん御想像がつくかと思うんですけれども、あそこをこれからどうしていくのと。建物が建ったままで誰も使わない、どういうふうになっているの、何か用途はあるの。とにかくあそこの土地をそのままにしないでくれ、空白期間をなるべくないようにしてほしい。でなければ、ただでさえ、だんだんだんだんと少子高齢化が進んでいる地域であるので、活気がなくなる。そんなところに、使用されていない大きな建物、目立つ建物があって、何にも人が行き来しない。こういうのは一番よくないよ、木下君、そういうところを何とかしてくれないのというふうに地元の方々から言われているんですね。
きょうは、そういうことについて、では、どういう可能性があるのか、あそこの土地はどういうふうにしていくべきなのか、非常にこれは微妙な問題なのであれですけれども、こういう話をちょっと聞かせていただきたいと思うんです。
前置き、ちょっといろいろ話をさせていただきたいんですけれども、私としては、地元だからおまえはそんな話をするんだろうというふうに言われるかもしれませんけれども、そもそも、こういう話が全然ここの国会の場でされてこなかったというのが、それが、ちょっといいかげんにした方がいいんじゃないのと。(発言する者あり)今も言っていますね。追及したいような政党がちゃんとそういうふうにしていくべきだ。
私の感覚からいうと、食い散らかすだけ食い散らかして、追及ができない、もうこれ以上何も出てこないというふうになったら、しゅっと引き下がっている。違うよという顔をしていますけれども、実際には、周りの人たちはみんなそう思っているんですよね。(発言する者あり)資料が出ないからというふうな言葉もあります。
でも、私は、地元の人間からすると、やるんだったらちゃんとやって、その上で、行政として、そして政治家として、そういう後の話も含めてちゃんと考えていかないとだめなんじゃないのと。(発言する者あり)
ちょっと、いろいろ文句を言う人もいますけれども、言わせてもらいますけれども、見ていたら、おもしろいんですよね。
民進党さんは、自分たちの部会に籠池さんを呼んで、最初のうちは威勢よく、ばっといろいろやられていました。でも、最後の方を見ていたら、籠池さんの前の弁護士と設計士の間のやりとり、メールで、何かもともとあそこの土地にごみがなかったとかどうだと。それは、別に政府を追及するような話でも何でもなくて、私ははたから見ていて、事実かどうかは別としても、何か、籠池さんのやめさせた弁護士に対する攻撃を助けるだけ。
こんな感じのことをやっていて、結局、私は横から客観的に見ていて、何か、安倍総理の支持率を何とか下げる、そういうことに躍起になっていて、本当にやらなきゃいけないようなことについては全くやられていないというふうにちょっと思ってしまうんですね。まあ、反論はあるかと思いますけれども、そうだとおっしゃる方もいらっしゃいます。(発言する者あり)
○西銘委員長 質疑を続けてください。
○木下委員 はい。では、まあ、これぐらいにしておきます。
きょうは、財務省も来られているので、ちょっとその話について言います。(発言する者あり)と言いながら、もう、すごいですね、民進党。自分のことを言われたら、それで終わりかだとか、どうたらこうたら。
では、このままやりましょうか。やってもいいけれども、そういうふうにしたら、あなたたちが困るだけの話……
○西銘委員長 質疑を続けてください。
○木下委員 委員長、そうしたら、もうこれぐらいにしておきます。
では、財務省にきょうは聞かせていただきますけれども……(発言する者あり)ちょっと、質問できないですよ、そんなことを言っていたら。
委員長、ちょっと注意してくださいね、余りやると。
○西銘委員長 やじに反応しないで、質疑を続けてください。
○木下委員 はい。
現在のあそこの土地の所有権について聞かせていただきたいんですけれども、今、どういう状態になっているのか。そもそもの売却の契約はどうなっていて、今、どういう状態になっているかということについて、財務省に教えていただけますでしょうか。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
本件土地については、平成二十八年六月二十日に森友学園との間で売買契約を締結しており、同日付で森友学園への所有権移転登記がなされております。
その後、森友学園側の売買契約上の義務、すなわち、平成二十九年三月三十一日までに小学校の用に供する義務が履行できないことが確定しております。
また、森友学園は、四月二十一日に大阪地裁に民事再生法に基づく再生手続の開始を申し立て、四月二十八日に民事再生手続の開始が決定され、管財人が選任されており、このような中、近畿財務局は、土地の返還に向けて、管財人との間で交渉を行っているところでございます。
交渉の具体的な状況についてコメントすることは差し控えたいと存じますが、いずれにいたしましても、財務省としては、法令、契約に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。
○木下委員 今、交渉中だというふうに言われていますけれども、今のお話を聞いていてあれなんですけれども、結局は、土地の取り戻しの行使というのをやろうと思っていらっしゃるのかどうか、ここはどうですか。土地の取り戻しをされようと、そういう方向性で国は考えられているかどうか、それをもう一度、端的に教えてください。
○中尾政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘は、売買契約上、買い戻し権の行使を行うことができるという特約があるではないかという御質問かと存じます。
そのとおりでございまして、売買契約書の第二十六条でございますけれども、森友学園が指定期日までに指定用途に供さなかったときは、国は、本件土地の買い戻しをすることができるとされております。
先ほど申し上げましたけれども、森友学園は、平成二十九年三月三十一日までに小学校の用に供するとの売買契約上の義務を履行できないことが確定しており、また、先般、民事再生法に基づく民事再生手続が開始されております。
このような中、近畿財務局は、土地の返還に向けて、管財人との間で交渉を行っているところであり、お尋ねの買い戻し権の行使の時期を含め、その具体的なやりとりについては、今後の交渉に影響を与えかねないことから、コメントは差し控えさせていただきますけれども、財務省としては、法令、契約に基づいて、適切に対応してまいりたいと考えております。
○木下委員 わかりました。
ただ、さっきも冒頭私が言ったんですけれども、今、建物が建っている状態なんですね。これについて、個別の話になるので、あそこの建物をどうするのとか、そういうふうなことは管財人も含めて話をされているので、具体的な話は聞きにくいんですけれども、通常、一般で、国有地として買い戻し特約があって売却をした、それで、その上に建物が建ったけれども契約条件が履行できなかった、それによって更地にして戻してもらわなければならないという契約があった、そういった場合には、そういう建物はどういう状態にするのが普通なんですか。
これは簡単に言うと、通常だったら、更地にして返してね、はい、おしまいということになるんだと思うんですけれども、相手が、お金が払えない、建物の取り崩しができない、そういう状態になった場合には、どういうふうに処分、処理をしていくというのが通常の考え方なんですか。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、現在、近畿財務局は、土地の返還に向けまして、管財人との間で交渉を行っているところでございまして、一定の仮定に基づいて具体的な御議論について申し上げられないことを御理解いただきたいと思います。
売買契約書の第三十四条におきまして、国が買い戻しや契約の解除を行った場合には、森友学園は、国の指定する期日までに本件土地を原状に回復して返還しなければならないとの規定がございますが、まずは、本件土地について、売買契約に基づき、土地の返還を森友学園に求めているというところでございます。
○木下委員 いやいや、森友学園の話を聞いたんじゃないんですよ。一般的に、国有地に何か建物があって、お金が払えなくて取り崩せなかった、そういった場合にはそれをどういうふうにしてやっていくのか。森友の話を聞いているんじゃないんです。何かあったときに、何かあるかなと。
○西銘委員長 中尾理財局次長。一般論としての答弁。
○中尾政府参考人 お答え申し上げます。
一般的な扱いでございますけれども、実は、指定期日までに先方が指定用途に供せなくて契約を解除したという事例は、調べたところ、他にもございましたけれども、既に建物が建っておってその後に解除した先例は、調べた範囲ではなかったわけでございます。
したがいまして、いずれにしましても、私どもは、契約と法令に基づいて対応していくということでございます。
○木下委員 済みませんね、いろいろと調べていただいたのを言っていただいて。そうなんですよね。そういう事例がないから、なかなかどうとも言えない。
ただ、考えられることとして、地元なんかで言われているのは、あの建物も割と立派につくられている。といいながら、私、見ていて、そうかなという感じがしているんですけれども、あれを、うまく中身を変えて、そのまま使うようなこともできないかと言っているところも出てきている。そういうオプションも含めて、いろいろこれは考えていかなきゃいけない。だったら、そのときに建物をどう清算するのか、そういうことも考えていかなければいけない。
これは、国が清算するときに、その価値について、では、森友側、管財人とそういう交渉をしていく可能性だってあるのかどうか、そういうことも含めて考えなきゃいけないので、一般的にどうかというふうに聞かせていただいたところなんです。
では、もう一個。
ここは国交省に聞けばいいのかなと思うんですけれども、仮定として、国有地として返還された場合、この場合に、地中の、あると言われているごみの調査は、再調査はされようとされていますか。それとも、どうなんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
森友学園につきましては、四月二十八日に民事再生手続の開始が裁判所により決定され、管財人が選任されていると承知してございます。
このような中、現在、近畿財務局におきまして、土地の返還に向けて、管財人との間で交渉を行っていただいているところであり、こうした状況において、国土交通省としては、具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
本件土地の所有権が返還された場合には、本件土地は、売却以前の状態、すなわち国土交通省が所有する財産となりますが、本件土地の所有権が返還された後、大阪航空局においては、近畿財務局とも相談をしながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○木下委員 よくわからないですよね、調査するのか、調査しないのか。これは、もともとのあれからいうと、用途に応じて、調査する場合もあるし、調査しない場合もあり得る。
ただ、一つだけちょっと言っておきたいことは、そういった場合に、どうして調査しなかったのか、どうして調査するのか、これはもう先に言っておきたいので言いますけれども、しっかり記録を残していっていただきたいんですね。しっかりと、これは、周りの皆さんも含めて納得するような、そういう状態にして、調査しないんだったら調査しない、するんだったらするというふうに決めていけばいいんじゃないかな。
次にですけれども、またこれも仮定の話になりますけれども、一旦そういう形で国交省の国有地というふうな話になったときに、今度は、これを次にどういうふうな形で処理していくか。
具体的に言うと、民間なのか、それとも地方自治体なのか、そういったところに売却、それから賃貸、もしくは無償供与、そういうようなオプションがあるんじゃないかと私は考えているんですけれども、そういうことというのはオプションとして考えられるんですか。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
本件土地につきましては、繰り返しになりますけれども、土地の返還に向けまして、管財人との間で交渉中でございますので、本件土地に関してのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
また、本件土地は、近畿財務局が大阪航空局から時価で売却するように処分依頼を受けているものでございます。
その上で、国有財産に関する一般的な取り扱いを申し上げれば、未利用国有地につきましては、公用、公共用の利用を優先する考え方を基本としながら、統一的なルールに基づいて処分を進めることといたしております。
委員御指摘のように、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人等から購入や買い受けの要望があった場合には、財務局において内容を審査の上、これらの者に対し、原則、時価により処分することといたしております。
○木下委員 ということは、民間だってあり得るということなんですよね。
私の認識だと、森友学園に一旦売ったところで、ごみを全部出しているわけではない。建物を建てて、建物を建てたくいの部分についてはごみの処理をやったかもしれませんけれども、それ以外の部分では、地中九・九メーターのところは、ほかの、くいを打っているところ以外のところはやられていない。
もしかすると、民間に売って、あの土地に違う建物を建てた、もしくは、今の運動場であるとか、そういったところが逆に建物になったというふうになったら、また、これを掘り起こして、実際にその処分のための費用というのが発生してくる。これの取り扱いというのがいろいろと考えられるんだと思うんですね。
これはもう個別具体の話だからなかなか答えられないということですけれども、そうやって考えたときに、また処分することになる、このときに契約をどうやってやるかということですけれども、民間の場合はほとんど、その処分について、瑕疵をどうするのという話が契約書上で交わされることになると思うんですね。そうなれば、調査する、調査しないにかかわらず、調査を余儀なくされてしまうと思うんです。
片や、隣のあの公園の土地については、実際にあるかどうかはわかりませんけれども、ある可能性が非常に高い。ただ、用途は公園という形でされているので、ごみの処理はされていないという形。
となると、考えられるのは、今のあの建物をそのままにして、違う用途にする。もしくは、公園などの、それも違う用途ですね、下のごみがあろうがなかろうが、処分しないでいい方法というのが考えられる。そういう整理だというふうに思うんですけれども、今の整理、ちょっと、うなずいていらっしゃったので、その整理でいいかどうか、私の考え方が間違っていないかどうか、それを一言だけお願いします。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
繰り返しでございますけれども、本件土地直接につきましては、現在、管財人との間で交渉中でございますので、答弁を差し控えさせていただきますけれども、まず、国が売却する際に瑕疵をどうやって負うか、これは、まさに先方との売買契約によるという点、それから、用途によってどこまでいわゆる地下埋設物等に対応するかといったようなことが行われていくという点につきましては、委員御指摘のとおりかと存じます。
○木下委員 ありがとうございます。
そうしたら、次に、これも一般的な話ですけれども、売り先、相手先が地方自治体だった場合に、もともとあそこの土地は、地方自治体に対して無償供与で全部公園にできないかという計画が地元にはあったんですね。それを申し入れしたんだけれども、無償供与はちょっとやりにくいね、半分だけであれば売れるよと。前にも何度も言っていますけれども、十四億で売って、補助金それから交付金なんかが十四億入れられていて、見た目はちょっと無償供与に近いんじゃないかなという感じを私は受けているんですけれども、そういうことがあった。
そういうことを考えると、地方公共団体に対して無償供与もしくは賃貸ということが考えられるのかどうか。
それから、ちょっとこれは聞いたんですけれども、賃貸を受ける場合も、非常に安価な形で、賃貸料を安くして貸し出せる、そういうオプションがあるというふうに聞いているんですけれども、これはどういうものなのかということをちょっと御紹介いただけますか。
○中尾政府参考人 お答えいたします。
まず、先ほども申し上げましたが、本件土地につきましては、近畿財務局が大阪航空局より時価で売却するようにという処分依頼を受けて対応してきたものでございます。
また、国有財産法令上さまざまな制度がございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、地方公共団体であれ、委員御指摘の社会福祉法人や学校法人といった民間であれ、原則、時価という形で対応して、貸し付けないし売却を行ってきております。
その上で、減額を行っておる具体的な事例についてのお尋ねでございます。これも財務省所管の国有地についての一般論としてお答え申し上げます。
財務省においては、社会福祉分野について、保育所や介護施設等の用地として国有地を売却するほか、定期借地による貸し付けを積極的に行ってきております。
このような中、平成二十七年十一月に一億総活躍国民会議で取りまとめられた緊急対策を踏まえ、介護離職ゼロの実現に向けて、介護施設整備を促進する観点から、介護施設整備に係る国有地の活用について、用地確保が困難な都市部等において、新たに賃料を減額するなどの措置を講じているところでございます。
具体的には、政策的に必要な期間、地域、施設に限り、社会福祉法人の初期投資負担軽減の観点から、定期借地の貸し付け当初十年間、定期借地の貸付料について五割を限度に減額することにより、介護施設整備への国有地の活用を図っているところでございます。
○木下委員 ありがとうございます。そういうやり方があるということなんですね。
きょう聞きたかったことは、もうほとんどこれまでなんですけれども、なぜこんな話をするかというと、やはり、こういうふうなオプションがあるよということを前々からしっかり押さえていって行政を動かしていく、これが政治家にとって必要なことだろう。しかも、行政としっかり話を、ちゃんとそこを予想しながら考えていく、これが一番大きなことなのかなと。
過去には、あそこの土地、こういう森友の話が出る前は、あそこの地元の、これはよその党のことを褒めたたえるわけではないですけれども、公明党の議員さん方が一生懸命頑張って、あの土地を何とか利用の価値を生み出していこうというふうにして頑張られていた経緯というのも私は聞いているんですね。
それで、きょうはちょっといらっしゃらないですけれども、委員でいらっしゃいます大塚高司先生、私と同じ選挙区でしのぎを削っていますけれども、ふだんは、仕事をするときは、地元のために一生懸命、一緒に貢献していこうと。
この間、ある地元の会合で二人で並んで座っていたんですね。そうしたら、その隣に豊中市の市長がいたんです。大塚先生がいるから、市長もいるから、ちょっとあの話をしましょうよと。今後どういうふうにしていったらいいのと言って、国交省なんかも含めてしっかり話をしていくのが必要なんじゃないのというふうに言って、そうしたら、大塚先生は、おお、そうやな、よっしゃ、ちょっと頑張っていろいろ考えていこうやと言っていたんですけれども、市長は割としらっとしていまして、市長の悪口を余り言うのはあれなんですけれども、そのときに言われたのは何かというと、そもそもあれは大阪府が学校の認可をおろしたから、だから大阪府に考えてもらわなあかんのちゃうのとか言われたんですよね。
いや、それは市長、違うでしょうと。そうであろうが何であろうが、いろいろな要素はあります、でも、先を見据えて、何をしていくのかということをちゃんと考えていくことが我々の使命なんじゃないかなと。
きょう、皆さんにいろいろと御示唆をいただきました。今の話をいろいろ踏まえて、今後、あそこの考え方、もう少しまとめていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございます。
○西銘委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会