衆議院

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第4号 平成30年3月16日(金曜日)

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平成三十年三月十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西村 明宏君

   理事 鬼木  誠君 理事 金子 恭之君

   理事 新谷 正義君 理事 土屋 品子君

   理事 盛山 正仁君 理事 矢上 雅義君

   理事 小宮山泰子君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    井野 俊郎君

      岩田 和親君    大塚 高司君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      門  博文君    神谷  昇君

      工藤 彰三君    鈴木 憲和君

      田中 英之君    高木  毅君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      鳩山 二郎君    藤井比早之君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      望月 義夫君    簗  和生君

      山本 公一君    初鹿 明博君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      早稲田夕季君    青山 大人君

      伊藤 俊輔君    大島  敦君

      もとむら賢太郎君    森田 俊和君

      北側 一雄君    高木 陽介君

      広田  一君    宮本 岳志君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      あきもと司君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   国土交通大臣政務官    高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       宮川 尚博君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 境   勉君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     井野 俊郎君

  大島  敦君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     大塚 高司君

  青山 大人君     大島  敦君

    ―――――――――――――

三月十五日

 外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局長山田邦博君、道路局長石川雄一君、鉄道局長藤井直樹君、自動車局長奥田哲也君、航空局長蝦名邦晴君、総務省大臣官房審議官境勉君及び法務省大臣官房審議官筒井健夫君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局事務総長官房審議官宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。矢上雅義君。

矢上委員 おはようございます。立憲民主党の矢上雅義でございます。

 いろいろ森友の問題もありましてかなり空転しましたけれども、無事委員会が再開できて、ありがたいことだと思っております。

 今回、道路法につきまして実務的な質問を参考人の皆様方にさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、橋梁、トンネルの老朽化についてですけれども、国及びそれぞれ地方公共団体の管理する橋梁、トンネルの点検及び補修の進捗状況についてお尋ねいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 橋梁やトンネルの点検については、国土交通省において平成二十五年度に必要な法改正を行い、平成二十六年七月より、国が定める統一的な基準に基づいて、橋梁とトンネルを管理する国と地方公共団体は五年に一回の頻度で点検を行い、この点検結果に応じて必要な修繕を実施しております。

 橋梁の進捗状況は、平成二十八年度末までの約三年間で、国が管理する約四万橋のうち約二万橋で点検が完了しており、約二千橋で早期又は緊急に修繕が必要と判断され、そのうち約七百橋で修繕に着手しているところです。

 また、地方公共団体が管理する橋梁では、約六十六万橋のうち約三十六万橋で点検が完了しており、約四万橋で早期又は緊急に修繕が必要と判断され、うち約三千四百橋で修繕に着手しているところでございます。

 一方、トンネルにつきましては、国が管理する約一千六百カ所のうち約一千カ所で点検が完了しており、約四百カ所で早期又は緊急に修繕が必要と判断され、うち約百五十カ所で修繕に着手しているところです。

 地方公共団体が管理するトンネルでは、約七千六百カ所のうち約二千九百カ所で点検が完了しており、約一千四百カ所で早期又は緊急に修繕が必要と判断され、うち約百七十カ所で修繕に着手しているところでございます。

 今後とも、各道路管理者が計画的に老朽化対策を進めていくよう、国土交通省としても、財政面、技術面で地方公共団体を支援してまいります。

矢上委員 この三年間でかなり国が管理する橋、トンネルは進んでおりますけれども、残念ながら、地方自治体と財政力の格差もございますので、かなりおくれております。

 御存じのように、道路延長が約百二十一万キロ、地球一周が約四万キロですから、ちょうどこの道路の距離は地球三十周分になります。そのうち、地方自治体が管理する補助国道も含めた地方道路が約百十八万キロ、割合にして九七%を占めておりますので、今後は、地方自治体におきましての財政支援が不可欠だと考えております。

 次に、これまで農林水産省の予算でつくられました大規模林道及び広域型の農免道路が、今現在、既に都道府県及び市町村に管理が移管され、地方交付税算入のための道路台帳まで記載されておりますけれども、今後、これらの町村道の維持補修事業については、道路法に基づき各市町村が行うものなのか。お尋ねいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路法におきましては、都道府県道の管理はその路線が存する都道府県が、市町村道の管理はその路線が存する市町村が行うこととなっております。また、都道府県道は都道府県知事が、市町村道は市町村長が、当該地方自治体の議会の議決を経て、その路線を認定することとされております。

 大規模林道や広域農道などとして整備された後、道路の利用状況に応じ、その路線が道路法に基づく都道府県道若しくは市町村道に認定された場合には、道路管理者である地方公共団体が維持管理を行うこととなります。

矢上委員 ありがとうございます。

 農道、林道と呼ばれるもので、把握されているだけで二十四、五万キロございますので、これらの、道路法の認定で道路として認定された場所につきましては、精力的に努力していただきたいと思います。

 それともう一つ、今現在、この建設事業について、地方自治体、特に各市町村の建設課の若手事務員の人たちの積算能力、また、入札手続の処理能力が非常に落ちてきておりまして、各地域で積算ミスによる入札不調が起きております。

 そういうことからも、今後、公共インフラの維持、補修を進めるためには、これら若手の建設事務員に対する研修を精力的に行っていただきたいと思います。

 そこで、もう一つの、仕事が先に進まない要因でございます、各市町村の財政格差の問題についてでございますけれども、過疎市町村が国庫補助金を受けて道路改修を行う場合、普通、過疎対策事業債を活用して事業を行いますけれども、過疎対策事業債に係る地方財政措置についてお伺いいたします。

境政府参考人 お答えいたします。

 過疎地域自立促進特別措置法によりまして過疎市町村が過疎地域自立促進市町村計画に基づいて行います事業につきましては、過疎市町村の実情に鑑みまして、その財源として、御指摘の過疎対策事業債による特別の財政措置を講じております。

 具体的な内容でございますが、過疎対策事業債は原則として地方負担額の一〇〇%に充当することができるということで、後年度、その元利償還金の七〇%につきまして地方交付税措置を講じているところでございます。

矢上委員 よく、地元に帰りますと過疎市町村でない首長さん方から、うちの町は過疎市町村でないからなかなか大型橋梁などのインフラ整備に取りかかれないんですよという苦情を承ります。

 御存じのように、過疎市町村でない地方自治体が使える地方債におきましては、その年度の国の財政状況や、また、実施事業内容にもよりますけれども、補助予算に対する充当率が約七〇%から九〇%、また、地方債の償還時の元利償還金への後年度の交付税措置も三〇%から五〇%ということで、過疎市町村及び過疎市町村以外の手出しを比べますと、約二倍ほどの格差がついております。

 全国規模で特に大型橋梁などの公共インフラのメンテナンス等をする場合には、将来この事業の平準化を進めていくためにも、特段の過疎市町村以外への財政支援の検討が必要であると考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、重要物流道路制度についてお伺いいたします。

 重要物流道路はどのような基準で指定されるのか。その基準と具体的イメージをお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、物流において基幹的な役割を担っている高規格幹線道路や地域高規格道路、直轄国道をベースとして、これらと主要な物流拠点を連絡するネットワークを基本に検討することとしております。

 また、主要な物流拠点につきましては、他の交通との連携強化や災害時における緊急物資輸送などの観点から、拠点として機能する空港、港湾や鉄道貨物駅などを想定しております。

 いずれにいたしましても、今後の具体的な重要物流道路の指定に際しましては、地域や有識者等の意見や沿道の利用状況等を踏まえながら検討してまいります。

矢上委員 ただいまのお話で、重要物流道路の主な基準は、直轄国道や地域高規格道路、また、高速道路等が当てはまると思いますけれども、今回の熊本地震で私も、被災当初から実家がある人吉から熊本に通いましたけれども、今御指摘の直轄国道や高速道路は、液状化による道路の地盤沈下により、橋梁の出入り口での段差が二十センチから三十センチほどでき、普通の車でもトラックでも、通行できないような状況が生まれております。

 平時ではともかく、災害時に、せっかく重要物流道路として指定したにもかかわらず、道路等の段差により車が動かないということでございますので、緊急輸送道路等も含めた、副次的な重要物流道路の考え方も必要だと思います。

 昔からある道の方が、かえって山間部の田舎道の方が、液状化現象も起こらず、あの大きな災害時でも熊本市内まで無事にたどり着けたことを考えますと、先ほど申されました基準のほかにも、熊本地震の教訓を生かして再度御検討をお願いいたしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしました基準に加えまして、災害時の対応であるとか、その辺も含めて引き続き、地域や有識者等の意見や沿道の利用状況等を踏まえながら具体の検討は進めてまいります。

矢上委員 どうぞ御検討のほど、よろしくお願いします。

 次の質問ですけれども、今に関連しまして、直轄国道以外でも、仮に補助国道が重要物流道路として指定された場合なんですけれども、現在でも、大雪とか大雨のときに、高速道路がとまりますと大型トレーラーや大型コンテナ車が町中に入ってきますけれども、交差点部分で立ち往生したり、橋脚の、橋梁の入り口部分で橋につっかえて動かなくなったりと、大変渋滞の原因になっております。また、場所によりましては急勾配の急カーブ地点がありまして、同じ場所で大型トレーラー、大型トラック等が転覆して、死者が何回も出るというような状況も出ております。

 このような地点を何とかしたいと思いましても、改良済みということで、現在の道路構造令に合っているからもうできないということなんですけれども、仮に補助国道でも、この重要物流道路の指定を受けた場合には、何らかの構造強化は実施できるんでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路につきましては、車両諸元が車幅二・五メートル、車高四・一メートル、車両長十六・五メートル、総重量四十トン程度である国際海上コンテナ車が通行できるよう措置する予定でございます。

 これらの基準に対応した重要物流道路につきましては、四十フィート背高国際海上コンテナ車の特殊車両通行許可を不要とする予定でございます。

 また、重要物流道路の指定に当たりましては、高規格幹線道路や地域高規格道路、直轄国道がベースにはなりますけれども、これらと主要な物流拠点を結ぶ、いわゆるラストマイルの区間につきましては、補助国道などが含まれる場合が想定されます。

 その際、道路構造の保全や交通安全などの観点から、必要な場合は、交差点改良や線形改良などの道路改良を順次実施していく予定でございます。

矢上委員 御回答ありがとうございます。

 現実、今まで申しましたような交通事故、渋滞、そしてさらに、国道といえども構造が貧弱な地点では、大型作業トラックまた大型バス等の通過によりかなりの振動、騒音が発生して地域住民も困っておる方がたくさんおられますので、どうぞ、重要物流制度の指定の際には地域住民の声を反映していただきたいと思います。

 以上、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

西村委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 きょうのテーマであります道路法改正、これにつきましては、財政上の特例措置の継続、また、道路利用の安全性のさらなる向上、これに加えて重要物流道路制度の新設など、どれも重要な課題に対応するものであると考えますので、きょうはお聞きをしたいのが、私の持ち物ということで私道というのがあります。

 私道において、上下水道それから電気、ガスなどのライフラインを埋設をする場合、全ての権利者からの同意が必要とされてきたために、多くの住民が賛成をしていても、持ち主の所在が不明の部分があるためにライフラインを埋設することができないとの声を多く聞いてまいりましたけれども、現在、国としてはどう対応をされておりますでしょうか。

筒井政府参考人 ただいま委員から御指摘がありましたとおり、複数の者が共有する私道について必要なライフライン工事を行う場合に、事実上、共有者全員の同意を得る運用がされ、共有者の所在を把握することが困難な場合におきまして、工事の実施に支障が生じているとの指摘がされております。

 こうした指摘を踏まえまして、法務省では、民法等において同意を得ることが求められるものの範囲を明確化するため、関係省庁の協力を得て、昨年八月に共有私道の保存・管理等に関する事例研究会を設置いたしました。

 この研究会は、検討の結果、本年一月に報告書を取りまとめ、共有私道の工事における適用法令の関係を明らかにするとともに、例えば公共下水管を共有私道に新設する事例については、共有者の持分に応じた過半数の同意で足りるとするなど、工事に当たっての対処方法を明らかにしております。

 法務省では、この報告書をホームページで公表するとともに、共有私道の整備を行う公共団体等の関係者に広く参照していただけるように、さまざまな関係機関の協力を得て現在周知を進めているところでございます。

 この報告書が、関係者の対応の参考とされ、ライフライン工事や私道の整備工事の円滑化に資することを期待しております。

森山(浩)委員 ガイドラインがこの一月にできたということでありますけれども、まあ、一月にできたところですから、まだまだ現場にまで十分到達しているということは言いがたい。国土交通省、下水道も持っておられます。しっかりと周知をいただくということが大事かと思いますが、所在不明ではなくて一部反対の方がおられた場合、これは、下水道、どうしておられますか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 下水道法では、公共下水道の供用が開始された場合には、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者等は、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水設備を設置しなければならないこととされております。

 このために、他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置することができるとされています。

 この場合には、あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならないとされており、同意までは求めておりません。

 したがいまして、国土交通省といたしましては、共有私道における他の土地所有者の同意が得られない場合であっても、事前の告知を行うことによって、法的には排水設備の設置が可能であると考えております。

森山(浩)委員 全員の同意、判こがなければ工事ができないという対応ではなくなってきているというようなことで、これは、まだまだ市町村によっては徹底をされていない部分もあるかと思いますので、しっかりとお伝えをいただきたいというふうに思います。

 特にこの私道につきましては、固定資産税、いわゆる税金も払っていないのに権利だけ言うのかというような話が出てきたり、あるいは、ライフラインの中でも、水道には水道を送る側に義務があるけれども、下水道は受ける側に義務があるなど、いろいろな制度の違いがありますので、ライフラインについての統一的な対応をしていただきたい。

 また、反対のための反対、ちょっと多目に金品が欲しいというような動機から、判こを押してやるから何かよこせというような交渉の材料になるようなことがあってはなりませんので、特にこの私道におけます対応について、きちんと統一的な見解、また対応をしていただきますように、よろしくお願いをいたします。

 さて、森友学園の問題です。

 これまで、財務省で二名の方が自殺、一名の方が自殺未遂と報道をされております。心から御冥福をお祈りするとともに、現場の判断で起こるはずのない公文書の改ざんが明らかとなってきたこの事件━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━に怒りを持っております。(発言する者あり)

 今月二日に朝日新聞で公文書改ざんについて報じられた文書、会計検査院は、改ざんの事実について、以前から知っていたが、報告書に記載することもなかったとされていますが、いつ、どのような形で改ざんについて知ったのか、時系列に沿って報告をしてください。

西村委員長 ただいまの発言につきましては、理事会で協議いたします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 経緯を申し上げますと、三月十二日に財務省において書きかえがあったと公表されたもののうち、貸付決議書というものにつきまして、貸付契約直後に、債権発生通知と呼ばれる会計手続上の通知が近畿財務局から本省航空局になされておりまして、この通知に貸付決議書が添付されておりました。

 しかしながら、貸付決議書につきましては、書きかえがあったとされる部分が、その添付書類である「調書」と「契約書等の再作成について」というところであると承知しておりますが、「調書」のうち、経緯部分が添付をされておりませんでした。

 したがいまして、三月十二日に書きかえがあったと公表された文書に関しまして、国土交通省が保有していた書きかえ前の文書は、貸付決議書のうち、経緯部分を除いた「調書」と「契約書等の再作成について」であります。

 その上で、貸付文書の書きかえについて報道がありました後の経緯を申し上げますと、三月二日、本件につきまして朝日新聞による報道がございまして、報道当日に、財務省から、国会議員等に公開されている決議書を入手をいたしまして、航空局内にあるものと比較をして確認をしました。そうしたところ、財務省が公開をされております決議書と、航空局で保有しております決議書のうち、貸付決議書の経緯部分を除いた「調書」と「契約書等の再作成について」との間で、記載が異なる部分があるということが判明をいたしました。

 この結果を受けまして、三月五日に、国交省から財務省に対して、公開されているものと内容が異なる部分があることをお伝えして、当方で保有している決議書のコピーをお渡しをしたということでございます。

森山(浩)委員 この貸付けの通知書類については、いつ会計検査院に提出をしたものですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 会計検査院に対しましては、参議院からの御要請に基づきまして行われた特別検査におきまして、平成二十九年四月二十六日に、航空局で保有をしておりました貸付決議書を提出をしております。

森山(浩)委員 二日に報道があって、土日を挟んで五日の月曜日に国交省から財務省に報告をしたということでありますけれども、大臣にはいつ報告しましたか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 三月五日の午前中に御報告を申し上げました。

森山(浩)委員 三月五日に国土交通大臣に、財務省に報告をする前に報告をしたということでよろしいですか。

蝦名政府参考人 そのとおりでございます。

森山(浩)委員 ということなんですけれども、違うものが出てきたということを五日に報告を受けた石井大臣、そのときどう思われましたか。

石井国務大臣 三月二日に朝日新聞の報道で、決裁時の文書に書きかえの疑いがあるという報道があることは承知をしてございました。

 財務省が公開している決議書と航空局で保有している決議書との間で記載が異なる部分があることについては、事務方より三月五日の午前中に報告を受けまして、速やかに事実確認を行うことが重要と認識をいたしました。

 このため、事務方に対しまして、決裁文書の作成者であり、調査を行っている財務省に対して、当方が確認した事実を伝えるよう指示をしたところでございます。

森山(浩)委員 二日に朝日新聞の報道で、二種類あるいはそれ以上の改ざんをされた文書があるのではないかと言われた。五日に、財務省で出しているものと違う書類が国土交通省に出てきた。

 では、そのことについて、例えば、麻生財務大臣あるいは安倍総理大臣にはお話をされましたか。

石井国務大臣 事務方から連絡をするように申し上げたところでありまして、直接はお伝えをしておりません。

森山(浩)委員 その後もずっとお伝えをしていないということでしょうか。

石井国務大臣 財務省が三月十二日に公表をしたというふうに承知をしております。

森山(浩)委員 そして六日の時点では、国会に報告するはずであったけれども、財務省は、捜査を理由に確認できないという発表をしています。

 捜査を理由に、手元にないから発表できないという話ですけれども、前の日に国土交通省から書類を渡しているわけですけれども、おかしいなと思いませんでしたか。大臣。

石井国務大臣 私どもが持っていましたのは、貸付決議書のうちでも一部分でありまして、売払い決議書については、その書きかえたとされる書類というのは添付をされておりませんでした。

 したがって、私どもが持っているのは、書きかえたとされている文書のうちの一部のものである。全体像は我々は承知をし得ないわけでありますし、当然のことながら、さまざまな経緯も承知をしておりませんでしたので、私どもは、私どもで把握した事実を財務省の方にお伝えをしたということでございます。

森山(浩)委員 さらに、八日の時点で財務省が国会に提出した資料では、改ざん後の資料のみが公表をされています。国土交通省が提供した資料のことは伏せていますけれども、これはごらんになりましたか。ごらんになったときにどう思いましたか。

石井国務大臣 八日の資料については見ておりません。

森山(浩)委員 そして九日に、財務省の職員の自殺があった、七日に自殺をされたということが発表され、また、佐川国税庁長官の辞任の発表がありました。そして十二日、ようやく財務省が十四件の決裁文書に書きかえがあったと発表をされています。

 八日の資料を見ていないということなんですけれども、国土交通省、一国土交通省の大臣としては、自分のやることはやったということではあるとお思いかもしれませんが、安倍内閣の閣僚の一員として、これはおかしいんじゃないのか、少なくとも一部はおかしいものがまじっているということをわかっている中で、一週間もほっておいたのはなぜですか。

石井国務大臣 その御質問は、財務省さんに対してぜひお聞きいただきたいと思います。

 私どもは、十二日に公表をした、そこまで時間がかかったということについて、詳細な状況を承知しているわけではございません。

森山(浩)委員 一国土交通省、今、国土交通大臣としてお答えになるという部分については国土交通省としての責任は果たしたということであるのでしょうけれども、内閣の一員として、大臣として、また連立政権の一角として、この問題について政権全体の問題であるという認識はありませんでしたか。

石井国務大臣 政権全体といいますか、昨年からこの森友学園の問題につきましては国会で非常に重要な案件として取り上げられておりましたので、そういう意味での重要な案件であるということは認識はございます。

森山(浩)委員 一般的に、チームであれば、麻生財務大臣に、こういう状況があるよ、ちゃんと対応せなあかんよ、早くせなあかんよ、あるいは、出した資料について出されていないという部分についての確認もされていないというようなのは余りにも無責任ではないか。チームとして仕事をしているという認識が薄いのではありませんか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 書きかえがあった決裁時の貸付決議書につきましては、財務省において作成、公開されたものでございまして、財務省において、大阪地検による捜査に影響を与えないよう留意をしつつ調査が進められているという状況でございましたので、全体像を把握されている財務省に対して、私どもが把握した事実をお伝えをしたということでございます。

 その結果として、財務省において、私どもの提供した、差し上げた情報だけではなくて、さまざまな情報を合わせ調査され、十二日に調査結果がまとめられたものというふうに承知をしているという状況でございます。

森山(浩)委員 その間何もなければそういう言いわけもできるかもしれませんが、その間、我々野党合同の公開ヒアリングに国土交通省の皆さんもおいでをいただいて、当然それは大臣にも報告をされているかと思いますが、原本を出せ、いや、捜査途中だからない、このようなやりとりを延々毎日のようにやっているという状況の中で、国土交通省さん、隣に黙って座っていたのではありませんか。これは黙って座っておけというふうに大臣がおっしゃっていたんですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、当省に保存されているものが書きかえ前のものである可能性があるということは認識しておりましたけれども、これはあくまでも可能性にすぎませんで、当省におきまして正確な事実関係を確認するということができない状況でございますので、文書の作成者であり、調査を行っております財務省に対しまして、当方が確認をした事実をお伝えをするという対応をとったということでございます。

森山(浩)委員 では、横に座っている必要がありませんよね。横に座って、黙って、財務省には言ったけれども国民には説明をしない、あるいは議員には隠したままにしておく。大臣、それでいいとお思いになりましたか。

石井国務大臣 野党の合同ヒアリングでしょうか、そのときの対応というのは私は詳細には承知をしておりませんけれども、私どもとしては、財務省さんが、当時は大阪地検による捜査に影響を与えないよう留意しつつ調査を進めていらっしゃったというところでありますので、やはり私どもは、知っている範囲というのはごく限定をされておりますから、それも、書きかえられたということが確実なのかどうか、確証を我々として得られるものではございませんでしたので、財務省さんの対応を見守っていたという状況だったのではないかと思います。

森山(浩)委員 いや、ですから、ほかにあるのをわかっていたわけですよね。財務省には報告をし、しかしながら、捜査で持っていかれているからないんだと言っているのを黙って横で見ているというのは、それを一緒に認めていた、一緒に隠していたということになるのではないですか。

石井国務大臣 野党の合同ヒアリングというのは議事録も残っていないようですから、正確に振り返ることは難しいかもしれませんけれども、基本的には御質問に対してお答えをしていたというのが、各省から出席していた職員の対応だったのではないかというふうに思っております。

森山(浩)委員 つまり、財務省には報告をしているわけです。財務省には報告をし、そして、では、これを何とかしなきゃいけないというようなことで、財務大臣には石井大臣としては話をしていないという状況の中で、これはずっとそのまま置いておいて、日々新しい報道が出てくる。

 一部は書きかえがあったものというのが手元にあったのを知っているという状況の中で、八日に出した資料、これについても目を通さない、これも私の仕事じゃないというふうにお思いになっていたんですか。

石井国務大臣 ちょっと繰り返しになりますけれども、私どもで保存されている決議書が書きかえ前のものである可能性であることは承知をしておりますけれども、これは、私ども国交省においては正確な事実関係を確認することができないわけでございますので、財務省さんにおいて適切に調査がなされるものというふうに思っていたところでございます。

森山(浩)委員 いや、だから、二日の時点で、チェックをするために財務省から、提出をしたものを取り寄せたんですよね。取り寄せて、しかも判こをついたものが二通ある。事前にもらったものと後で財務省からもらったものとチェックをして、違うということを確認をしたということですから、少なくとも、あってはならぬ公文書二種類、同じものが別のものになって二種類あるということは確認をできていたわけですよね。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭でも御説明をしましたように、公開をされているものと、それから私どもが保有しているものの内容が異なる部分があるということを確認をしたということでございまして、その異なっている部分がどういう状況のものであるのか、そこまでは私どもでは確認のしようがございませんので、財務省の方にお渡しをして、ちょうど調査を進められているということで、お伝えをした。こういうことでございます。

森山(浩)委員 手元に資料はあったけれども、財務省の範囲だから財務省に任しておこうというようなことであったのかということで、隠しておくという判断をされたというふうに思います。

 さらに、十三日に山口公明党代表が、国会の議論で麻生氏に説明を求め、必要があれば、合意の上で佐川氏を呼ぶべきだというような発言をされている。また、いろいろな閣僚の皆さんが、それぞれの温度差があるようですが、証人喚問についての話をされていますけれども、石井大臣についてはどのようにお考えですか。

石井国務大臣 参考人招致なり証人喚問なりは国会でお決めになることでありますから、私からはコメントは控えさせていただきます。

森山(浩)委員 原本を出せ、出さぬというような話を延々やってきたことによって、この調査に時間がかかったことによって、その間、国会がとまりました。

 しかも、七日に職員の自殺というようなことが起こっています。五日の時点で、もし組織ぐるみでやっていたんだということが発表されていれば、きのうのNHKのニュースでは、メモが見つかった、上司に言われて無理やりやらされた、あるいは、このままでは自分一人に責任が押しつけられてしまうと。これについては確認が必要ですが、報道もあります。もしかしたら、大臣が早くこの内容についてお話をされていれば防げたかもしれない。

 この大きな問題について、これだけ議論になっているのに、いや、国土交通省としてやることはやっていますよというようなことで済まされる問題ではないと考えます。

 石井大臣、今回の対応については正しかったとお思いですか。

石井国務大臣 この文書の書きかえ問題についてでございますね。

 私ども国土交通省としては、なすべきことをしたというふうに思っております。

森山(浩)委員 最初に申し上げました隠蔽体質、ここの部分に積極的に加担をされ、そして、この一週間、これだけ多くの国民の皆さんが注目をする中に黙って時間を過ごしてきた。非常に責任は大きいと考えます。引き続き、お話をしていきたいと思います。

 以上で終わります。

西村委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 希望の党の森田俊和でございます。

 本日、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、先ほど来議論もございました森友学園の文書の問題について二点ほど質問させていただいてから、道路法関連の質問に入っていきたいと思っております。

 この文書の問題でございますが、単に文字をとった、入れたということではなくて、やはり、適切に文書が作成をされ、そして保管をされ、そして、必要あるときにはそれが公開され国民の皆様と情報を共有するということが、主権者である国民の皆様方と情報を共有し、適切な意思決定を国民の皆様にしていただくための情報であり、これは民主主義の根幹をなすものであるというふうに考えております。

 そこで、先ほども議論になっていたところでございますが、一点確認をさせていただきたいというところがございまして、国土交通省に関連しているところでございますが、まず、国土交通省から文書の書きかえがあったとの指摘が、先ほどもお話ありましたけれども、確認ですが、これがいつのことで、国交省のどなたから、伝えた先はどなた宛てであったかということで再度確認をさせていただきたいと思います。お願いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 決裁文書の書きかえにつきまして報道があった後の経緯を申し上げますと、三月二日、本件について朝日新聞による報道がありまして、報道当日に、財務省から、国会議員の皆様方等に公開されている決議書を入手し、航空局内にあるものとを比較して確認をしましたところ、財務省が公開している決議書と、航空局で保有している決議書のうち、貸付決議書の経緯部分を除いた「調書」と、「契約書等の再作成について」との間で、記載が異なる部分があることが判明をいたしました。

 この結果、三月五日に、国交省の担当者の方から財務省の担当者に対しまして、公開されているものと内容が異なる部分があるということをお伝えした上で、当方が保有している決議書のコピーをお渡しをしております。

森田委員 先ほど担当者から担当者というようなお話がございましたが、これは具体的には、どなた宛てからどなた宛てということだったのでございますか。

蝦名政府参考人 航空局の担当者が財務省の担当者にお伝えをしたということでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 国土交通省としてはもちろん文書の書きかえには直接は関与していないということで、あくまで財務省の問題であるというようなお話を先ほども伺っております。

 ただ、こうしたことが起こってしまったということに関しまして、政府閣僚でもいらっしゃいます大臣としてどのようにお考えなのかということで、御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

石井国務大臣 三月十二日に財務省より、森友学園への国有地売却の件について、決裁時の文書が書きかえられていたとの報告が国会に対してなされました。

 森友学園の件に関して、決裁時の文書が書きかえられていたことについては、大変遺憾に思っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、森友学園への国有地売却の件につきまして、引き続き、可能な限り丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 先ほど申し上げたとおり、この文書は、単に文字の問題ではなくて、やはり民主主義の根幹をなす大切な部分だというふうに思っております。ぜひこれは、議員ももちろんですけれども、政府に係る皆様方も一致協力して、よりよい民主主義の基盤をつくるということで、国交省としても全面的に協力をして、この全容解明に協力をしていただきたいなというふうに切にお願いをいたします。

 それでは、道路法についての具体的な質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、橋梁、橋の維持管理について伺ってまいります。

 平成二十五年の道路法の改正を踏まえまして、全ての道路管理者が、全ての橋について、平成二十六年度より、五年間で一度、全ての橋を近接目視、近づいて目で見るという方法によって点検をするということになっております。

 中でも、細かい橋をたくさん持っております市町村に注目をしてみたいと思っておりますが、橋梁の総数七十二万六千百九十のうち、市町村が管理をしておる分でございますけれども、これが四十七万八千九十九ということで、およそ六六%が市町村の管理ということで伺っております。

 この点検で安全か危ないかということの判断をしているわけでございますけれども、一番危ないという第四段階、判定区分の4というものについては、緊急に措置を講ずべき状態ということで区分をされているということで伺っております。

 道路局の方で、昨年の八月ですか、メンテナンス年報ということで、非常によくまとめていただいているなということで拝見をしましたけれども、この判定区分4の橋のリストを見せていただいております。この中で、平成二十六年度から二十八年度までの点検をしたものをまとめていただいているわけでございますけれども、市町村管理分として見ますと、三百七十一の橋がこの第四段階に区分をされているということです。

 このリストを見て私も、どこが入っているのかなということで、私の地元の埼玉県の加須市というところの橋が四つ入っておりました。実際に私も、どういう状況かということで、この橋を見に行ってきたわけでございます。

 近接目視ということがありました。近づいて目で見るということで点検しているということでしたけれども、確かにその橋は、五、六メートルぐらいの水路であったわけでございますけれども、そこにかかっている橋なんですが、その水路の水面に近いところは確かにコンクリートが剥がれていて、中の鉄筋が見えるという状況が、フェンスで通行どめになっているので入れない状況の中ではあったんですけれども、離れたところから見ても、既に、ちょっとこれは難しそうだなという状況が見てとれるという状況でございました。

 この橋は今のところ通行どめということになっておりまして、現在のところ、市としては、修理をするのか、あるいは新しく建てかえるのか、あるいは撤去をするのか、取り壊すのかという、今後のことはまだ決めておらないということでございました。

 加須市の状況を聞いてみたんですけれども、千百七の橋を管理しているということで、今年度は、当初予算、補正と合わせて、合計二百八十九の橋を検査しておりまして、費用がおよそ六千三百万円かかっているということでございました。来年度、平成三十年度に百五十八の残りの橋を検査をするということで、目標としている三十年度には全部の橋の点検を終える見込みだということで加須市の御担当の方はお話をされていらっしゃいます。

 これは一つの事例として加須市のことを今取り上げさせていただいたわけでございますけれども、全国でこのような一つ一つの、今自治体は、道路管理者が積み上げを行っていただいているという状況なんだろうなというふうに思います。

 そこでまずお伺いをしたいのですが、来年度までに、平成三十年度までに点検を終えるという、全部の橋の検査でございますけれども、市町村管理分につきまして、現在までの進捗状況を教えていただきたいということと、それから、平成二十六年度からの五年間で全ての橋を点検するということになりますと、来年度、平成三十年度が最後の年ということになってまいります。市町村管理分の四十七万八千九十九の全ての橋の検査が終わる見込みかどうか、御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 橋梁の点検につきましては、国土交通省におきまして平成二十五年度に必要な法改正を行い、平成二十六年七月より国が定める統一的な基準により、市町村が管理する橋梁についても、五年に一回の頻度で近接目視による点検を行っているところでございます。

 現在、市町村が管理する橋梁は約四十八万橋でございまして、これらの点検は、平成二十八年度末までの約三年間で約二十六万橋、率にして五三%の点検が完了するなど、おおむね計画どおり進捗しているというふうに認識をしております。

 五年目に当たる平成三十年度に市町村で点検を完了していただくよう、国土交通省といたしましても、必要な技術的、財政的支援を行ってまいります。

森田委員 ありがとうございます。終える見込みがあるということでございますので、引き続きフォローしていただければと思います。

 さて、この五年間で全ての橋の検査を終えたその先をどうするのかというお話もございます。先ほどの加須市でございますけれども、区分4の橋をどうするのか、まだ未定であるというお話がございました。修理するにしても、新しく建て直すにしても、撤去するにしても、お金がかかってくるという状況です。支援をどのように行っていくかということもあろうかなと思います。

 また、今後も、三十年度のその先の五年間で、再び全部の橋を点検するのかという課題もあろうかと思います。加須市では、千百七の橋をもう一度全部やるのはちょっときついなというお話も出ておりました。

 例えば、比較的新しく、程度のよい橋であれば、もう少し長い期間で点検をするといったようなこと、あるいは点検費用の問題もあろうかと思います。今は国費が五五%出ているということで、こういった金銭的な支援を引き続き行っていただくということも大事なことだろうと思います。

 それから、今、近接目視という方法でございますけれども、ほかの効果的な、かつ、費用が余りかからない方法を取り入れるということも考え方の中に入れていくべきであろうというふうに思っております。

 そこでお伺いをいたしますが、修繕や撤去など点検後の市町村への支援について、また、再来年度以降、三十一年度以降行っていく点検についてどのように進めていくか、御所見をお伺いさせていただきます。

石川政府参考人 お答えいたします。

 全国の道路橋約七十三万橋のうち、約七割の約四十八万橋を市町村が管理しておりまして、今後、機能の集約化等も図りつつ、各道路管理者が計画的に老朽化対策を進めていくことが必要であると認識しております。

 しかしながら、市町村におきましては、財政面や体制面、技術面で課題があることから、国といたしましては、自治体に対する交付金や個別補助の実施、市町村の点検、診断業務を一括で発注する取組、研修や技術者派遣の実施など、市町村の支援を行ってきたところでございます。

 今後は、まずこの五年間の点検結果から得られる知見を活用しながら、次の五年間に向けまして、市町村が更に効率的に点検や修繕等を実施できるよう、新技術の活用等を図りつつ、財政面や技術面等で支援をしてまいります。

森田委員 ありがとうございました。財源それから人材という意味でも非常に限られた中で市町村は対応していただいているということでお話を伺ってまいりました。

 少しでも負担が軽くなるような支援をお願いしたいということとともに、やはり市町村が管理をしている道路は、加須市の四つの橋もそうだったんですけれども、非常に生活に密着しております橋だなという印象を持っておりまして、四つの橋が狭い水路にかかっているような、かつ、もう古い橋ということでございまして、中には、いつそれができたのか台帳がないのでよくわからないといったような状況もあるというふうに聞いております。

 昭和に入ってからの合併を重ねてきて、戦後の混乱期でありますとかいろいろな大きな合併を経て、そういった資産の整理もし切れないまま今に至っている、そういう状況もあるというふうに聞いておりますので、ぜひ、そのようなことも含めて、国としても必要な支援を引き続き行っていただきたいなというふうに思います。

 次に、電線の地中化を含めた、無電柱化、電柱をなくす取組について伺ってまいります。

 今回の改正案の中に、歩行者や車椅子の安全、円滑な通行を確保するために、占用制限の対象として、幅員が著しく狭い歩道で特に必要な場合が追加されるということが含まれております。要するに、狭い道には電柱を立てさせないようにすることができるということです。

 そもそも、何で今までこれほどにも電柱が立ってきたのかなという疑問がございます。

 私の住んでおります熊谷市というところですけれども、こちらにも危ない道路が幾つもございまして、例えば市街地に箱田通りという通りがあるんですけれども、これは、昔の街道、もとの商店街といったような道路なんですけれども、道路が狭い上に両側に電柱が立っておりまして、車同士がすれ違うときには、電柱の手前で待って、相手を通して通行していくというぐあいなものですから、ここに更に歩行者だとか車椅子の方、ベビーカーの方がいるというような状況になりますと、本当に危ない状況というものがございます。こういう道はもう既に、危な過ぎるということで通学路から外されているというような状況もございます。

 こういう危険な状況の通りというのが、どこの町にもあるというふうに思っております。

 ただ、海外の状況を見てみるとそうでもないんだなということが見てとれまして、例えば、ロンドン、パリは一〇〇%電柱がないという状況だ。無電柱化率という数字を見てみますと、ほかでも、ニューヨークが八三%、ニューヨークの中でもマンハッタンが一〇〇%の無電柱化率だ。アジアの中でも、例えば台北は八五%という数字だということです。

 これに対しまして日本の中の状況を見てみますと、東京の二十三区でも七%の無電柱化率、大阪市五%という、かなりかけ離れた数字だなという状況でございまして、都道府県単位で見てみますと軒並み一%、二%といった、そういう数字の無電柱化率ということになっております。

 そこでまず伺いたいなと思っておりますのが、なぜ海外の状況と比べて著しく無電柱化率が低いのかということです。また、先ほど申し上げたように、海外では高い無電柱化率の都市がたくさんあります。日本でも今後無電柱化を進めていく中で、目標値を定めているのかということについて答弁をお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 無電柱化率は、委員御指摘のとおり、ロンドン、パリなどの欧米の都市を始め、アジアの主要都市である香港、シンガポールでも一〇〇%無電柱化されている中、我が国では、東京二十三区に限りましても八%と著しくおくれている状況でございます。

 ロンドンでは、十九世紀後半に街灯のために電力線の設置が進められましたが、競合するガス灯が地中配管から燃料を供給していることから、これと競争条件を同じくするために、電気事業についても当初から配電線の地下埋設が義務づけられていると伺っております。

 また、パリにおきましても十九世紀末に配電設備の地中化が義務づけられるなど、欧米では早い時期から地中化を原則として配電線の整備が進んでおりました。

 一方、日本では、戦後の復興の際、電力の安定供給を低コストで実現することが優先され、また、ケーブルの被覆技術も確立しており、安全上も問題なかったことから、配電線が地中化に向かわず、電柱と架空線による方式が基本となったと承知をしております。

 近年、無電柱化に取り組んでおりますけれども、コストが高いこと等から、現在、無電柱化は十分な水準には至っていない状況でございます。

 また、無電柱化の推進に関する法律に基づきまして無電柱化推進計画の策定を進めているところでございまして、当該計画案におきましては、二〇一八年度からの三年間で、防災、安全、円滑な交通の確保、景観形成、観光振興等の観点から、必要性の高い約一千四百キロメートルの新たな無電柱化着手を目標値としているところでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 日本におきましては、戦後の復興を優先したというような背景もあって、電柱が今のような状況になっているというお話がございました。三年間で千四百キロという目標を立てていただいているという状況である。ただ、三年間以降どうするのかというお話については、今のところ、お話の中には入っておりませんでした。

 先ほどの答弁の中にも御説明で入っていたように、無電柱化のメリットというものが、安全な通行というだけではなく、防災であったり、景観の面であったり、あるいは観光振興といったことも含めてのメリットがあるというふうに認識をしております。

 ぜひとも、今挙げたようなメリットを享受するために無電柱化を進めていきたいというふうに思うところなんですが、ここで整理をしておきたいと思いますのが、誰がこれをやるのかというところでございます。

 そこでお伺いさせていただきますが、どこの道路を、どこの区間を無電柱化するのかということを誰が決めるのかということです。どのような手続、過程を経て、誰が電柱の占用に規制をかけていくのかということ。そして、実際の無電柱化の事業、工事といったものを、誰が主体となって行うのかということもあろうかと思います。占用の規制という面と、それから具体的な無電柱化の事業、工事といった面、この両面からお聞かせをいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 無電柱化につきましては、平成二十八年十二月に成立、施行された無電柱化の推進に関する法律に基づきまして、国、地方公共団体及び電線管理者の適切な役割分担により推進することとなっております。

 具体の実施区間につきましては、地域の実情を踏まえ、道路管理者や電線管理者から成る地方ブロック無電柱化推進協議会におきまして調整を行い、事業を行うこととしております。

 なお、事業の実施に当たりましては、電線共同溝方式は、道路管理者が管や升を整備し、その後、電線管理者がトランスなどの地上機器や電線等を整備をいたします。また、単独地中化方式は、全て電線管理者が整備をいたします。このように、事業の特性に応じた役割分担により整備を進めております。

 また、道路法第三十七条に基づく占用制限につきましては、地方ブロック無電柱化協議会を活用するなどによりまして、電線管理者等の意見を聴取した上で、道路管理者の判断により実施をしているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 そうしますと、現状としては、先ほどの協議会の活用というお話もございましたが、恐らく、中心となってくるのは道路管理者というふうになってくるんだろうなと思います。

 先ほどのような、例えば狭い歩道のようなケースとしては、それを管理している市町村等がまず電柱をなくそうという動きをしていき、また、実際の事業としても、音頭をとって事業として進めていくということになるんだろうなと思います。

 今までの事業例を見てみますと、区画整理事業の中であったり、あるいは、まちづくり事業の中の街路整備の事業等で電線の地中化を行う、無電柱化を行うといったことが多いというふうに思っておりますが、先ほども共同溝のお話も出てまいりましたが、これは、大きなU字溝のようなものを埋設して、そこにもろもろのライフラインを入れていくということになりますけれども、これがかなりのコストになっているということで伺っております。

 土木工事だけで一キロ当たり三億五千万程度、これにもろもろ電気工事、附帯工事などを入れると、キロ当たりの費用が五億から八億円くらいの間になってくるというのが今の共同溝の方式というふうに伺っております。

 そこでお伺いをさせていただきますけれども、国としてこの無電柱化をどのように支援していくかということです。

 まずは資金的な支援、こういった道路管理者を中心としてやっていく際に、これからもまた引き続き積極的な支援をしていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 それから、低コストの工法の導入を進めていくという視点も大事になってくるというふうに思っております。

 先ほどもちらっとお話に出てまいりましたけれども、共同溝方式ではなくて、ほかの国でやっているような、直接電線を埋めてしまうというような方式、あるいは共同溝も、今みたいな大きなものでなく簡易的な、もう少し断面の小さなものを導入するといったような、安全を確保した上で、こういったいろいろな方法を取り入れていくということもこれから必要になってくるだろうというふうに思っております。

 こうしたことを含めて、今後、無電柱化に向けて国土交通省としてどのように取り組んでいくお考えか、その決意も含めて大臣に御所見を伺いたいと思います。

石井国務大臣 平成二十八年十二月に成立、施行されました無電柱化の推進に関する法律に基づきまして、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的、かつ迅速な推進を図るために、無電柱化推進計画の策定を進めております。この計画に基づき無電柱化を推進することとしております。

 まず、財政的支援につきましては、無電柱化事業に対しまして、防災・安全交付金等による支援を行うとともに、電線等に係る固定資産税の特例措置や占用料の減額措置などを行っているところでございます。

 また、コストの縮減につきましては、低コスト手法導入の手引きを策定をしておりまして、管路を浅く埋設をする浅層埋設方式及び小型ボックス活用埋設方式の普及促進を図っているところであります。

 さらに、ケーブルを直接地下に埋設いたします直接埋設方式につきましては、今年度、京都市などの実際の道路において実証実験を行っているところでございまして、早期に実用化できるよう努めてまいります。

 これらの取組に加えまして、占用制限の拡大や地方公共団体への技術的支援など、さまざまな施策に取り組みまして、着実に無電柱化を推進してまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。先ほど、資金面では交付金等の手当て、それから、コスト縮減という面では浅い層の埋設であるとか小型の工法を取り入れるとか、いろいろなことを広めていただけるような取組もしていただいているということでございました。

 先ほども御説明の中にもありましたけれども、歩行者や車椅子の安全確保というだけではなくて、防災、景観、いろいろとメリットのある無電柱化でございますので、ぜひ、自治体が無電柱化に取り組みやすい環境の整備を引き続きお願いできればなというふうに考えております。

 続きまして、重要物流道路についてお伺いをさせていただきます。

 私の住まいのすぐ近所に熊谷貨物ターミナル駅という鉄道の貨物駅がございます。うちの前の道路なんかも、鉄道のコンテナを載せたトラックが常に行き来をしておるわけでございますけれども、貨物駅に至るまでの間というのがおよそ一キロ程度ございまして、国道十七号から熊谷の市道を経由してトラックが貨物駅に乗り入れをしているという状況でございます。

 そこでお伺いさせていただきますけれども、鉄道との接続という観点でお伺いさせていただきます。

 貨物駅との接続を考えますと、先ほど申し上げたように、国道だけではなく、当然、県道でありますとか市道でありますとか、こういった自治体が管理する道路というものも入ってくるんだろうというふうに思っております。重要物流道路を指定していく中で鉄道との接続をどのように考えているか、御所見をお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、物流において基幹的な役割を担っている高規格幹線道路や地域高規格道路、直轄国道をベースとして、これらと主要な物流拠点を連絡するネットワークを基本に検討することとしております。

 また、主要な物流拠点につきましては、他の交通との連携強化や災害時における緊急物資輸送などの観点から、拠点として機能する空港、港湾や鉄道貨物駅などを想定しております。

 委員御指摘の熊谷貨物ターミナル駅は、国道十七号の近傍に位置し、自動車部品や食品を中心に年間四十万トンを超える貨物を取り扱っていると伺っております。

 いずれにいたしましても、道路は、鉄道、海上、航空の各交通機関を連絡するとともに、全てのトリップの端末交通を分担するなど、さまざまな交通機関を支え、総合的な交通体系の基盤としての役割を担っております。

 今回の重要物流道路制度におきましては、平常時、災害時を問わず、相互の連携のさらなる強化が図れるよう検討を進めてまいります。

森田委員 ありがとうございました。鉄道駅、貨物駅との接続もこの指定の中に盛り込まれているというお考えでございました。

 特に、先ほどもありましたけれども、災害時、こういった取付け道路が市の管理だからどうのとかということがないように、ぜひ切れ目のない対応ができますように、日ごろから、道路管理者、都道府県、市町村含めて情報の共有を図ったり、万が一の対応というもので連携を図っていただければなというふうに考えております。

 また、関連で質問させていただきたいと思っておりますのが、先ほど貨物駅の話をしましたが、災害時の鉄道側の対応についてお伺いをさせていただきたいなというふうに思っております。

 三月十一日、先日、ちょうど東日本大震災から七年という年月が経過をしております。あの震災のときに、東北だけではなかったですけれども、石油が大分不足をしてしまったというお話がございました。

 東北への石油の輸送を担うために、臨時の石油輸送の貨物列車を関東から東北に運行したというようなことがございました。通常でしたら東北本線を走らせればいいわけでございますけれども、震災により東北本線がおよそ四十日間使えないという状況の中で、日本海側を迂回をしまして、ふだん貨物列車を通していない磐越西線を通って回り込んで、郡山ですとかいろいろなところに石油を輸送したということでございます。

 ただ、日ごろ貨物列車を通していない路線だったということで、通す作業というのは非常に手間を要したということでございました。一両四十トンというタンク車、タンクの貨物が通って、線路や橋がこれに耐えられるかということで入線確認をしなければならない。平常時ですと、この入線確認に大体二カ月ぐらいの時間がかかってしまうということです。

 このときは大分いろいろなところを工夫して早目に出していただいたんだと思いますけれども、そのほかにも、例えば、貨物列車ですから、それを引く機関車をどういうふうに手配するかとか、それを運転する運転士さんをどのように確保するかといったことも含めて、通常使っていないところですと、いろいろと問題というものは出てくるんだろうなというふうに思っております。

 道路では、先ほどお話のあったとおり、重要物流道路ということでネットワーク形成がされるということでございますけれども、そういったネットワークに対しての機能強化であったり重点的な支援を行うということでございますけれども、鉄道でもこの考え方を取り入れる必要があるのではないかなというふうに思っております。

 重要物流路線というものを定めて、平常時、災害時、両面で対応できるような体制を整えておくということが考えられるんじゃないかな。いざというときに、ふだん貨物輸送に使っていないような路線であっても対応ができるように、先ほど申し上げたような路線、入線確認も含めて、バイパス的な路線網の確保というものを平常時からしておくといったことが必要であろうかというふうに思っております。

 これにつきまして、御所見をお伺いさせていただければと思います。よろしくお願いします。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 貨物鉄道の路線は、いずれも大量の貨物輸送が行われている重要な路線であり、自然災害などにより輸送障害が発生して不通となった場合には、他の路線を利用して迂回輸送を行うことや、あるいは、トラックや船舶など他の輸送機関の手配を行うことにより、代替輸送の確保を迅速に行うことが必要であると認識をしております。

 現在、JR貨物におきましては、全国で最も貨物輸送量の多い幹線である東海道線及び山陽線を対象としまして、輸送障害時における輸送手配シミュレーションを策定するとともに、迂回輸送に必要な機関車あるいは貨車の配置、さらには、途中駅でコンテナをトラックに積みかえることができる体制の整備、さらに、トラックを活用して代行輸送を行う仕組みの構築などに取り組んでいるところでございます。

 また、その他の幹線である東北線及び日本海縦貫線を含めて、輸送障害により不通となった場合の貨物列車の迂回ルート及びダイヤの想定を行っているところでございます。

 このうち、通常、貨物列車が運行していない一部の区間、こういった区間につきましては、先ほど委員御指摘ありましたとおり、あらかじめ関係するJR旅客会社との間で貨物列車が走行できることの確認を行うなど、平時から体制を整えておく必要があると認識をしております。

 こういった観点から、引き続き、JR各社に対する指導を行ってまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 先ほど、いろいろと震災時の対応をお話をさせていただきましたけれども、必要なバイパス路線の確保等含めて、ぜひ平常時からの備えを行っていただきたいというふうに思っております。

 さて、本題に戻ってまいりますけれども、国際海上コンテナ車の通行許可についてお伺いをさせていただきます。

 今回の改正によって、基準を満たした道路の通行には海上コンテナ車の通行許可が不要になるという項目が入っております。

 現状を知りたいなというふうに思いまして、地元の運送業者さんに事情を聞いてまいりました。

 超大型車の通行許可をとるのにかかる時間、早いと二週間、長いと、何と二カ月半から三カ月要しているということでございました。海上輸送のコンテナの輸送の注文が入ってくるのが大体一週間前という状況でございまして、許可をとっていたのではそれに間に合わないというような話も聞こえてくるといったような状況でございます。

 今、オンライン申請、電子的な申請ができるようになっておりまして、一番早いケースですと、電子申請のときに画面上で経路あるいは交差点をクリックをしていって、それで申請に使う経路図を作成をしていって申請をすることができるという状況になっております。

 では、どういうときに時間がかかるかといえば、クリックできない経路、交差点、これは、小さい道でありますとか、主には市町村道などが含まれると思いますけれども、余り物流に使わないような道を通るルートですと手書きの入力になってくるということでございます。

 手書きの入力になると何で時間がかかるかということで更に突き詰めてみますと、先ほどお話に出した加須市の御担当の方なんかにも聞いてみたんですけれども、申請があったときに、担当の職員さんが二人でメジャーを持って道路にはかりに行くんだ、この道路の幅員が幾つだということを実際に計測をして、申請があったときに対応をする。大体十日間ぐらいで申請にお答えするようにはしていますよというお話ではございましたけれども、確かに、これを一々申請のときにお話を受けてやっているというのは、これはなかなか大変な状況だなというふうに思いました。

 そこでお尋ねをさせていただきますけれども、今回の改正で許可が要らなくなるのは、あくまで指定された道路、区間ということになっております。それ以外の道路、経路を通る場合には、今までと同様に許可が必要になってくるということで、そうすると、なかなかメリットが出づらい状況というのもあるんじゃないかなと思いますけれども、国土交通省としてはいかがお考えでございますでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国際海上コンテナ車の機動的な輸送を実現するためには、通行経路の一連の区間にわたって、特車通行許可の手続を不要とすることが重要と考えております。

 このため、重要物流道路の検討に際しましては、国際海上コンテナ車の通行実績データの活用や物流事業者からのヒアリング等も行い、効果的な経路の確認を行うとともに、それに合わせて、道路構造の保全や交通安全の観点から必要な道路は道路改良を行う、こういうことによりまして、四十フィート背高国際海上コンテナ車の主要な輸送ルートにつきましては、可能な限り、特車許可不要の区間とするよう努めてまいります。

森田委員 ありがとうございます。

 確かに、そういったデータを把握していただきながら許可が不要になる区間をふやしていただくということになれば、相当の手間が減らせるんだろうなというふうに思っております。

 先ほども申し上げたとおり、荷主から注文が入ってからの一週間というあたりが一つの目安になってくるのかなという感触を持っておりますけれども、そのためには、今後も電子申請で申告ができる区間をなるべくふやしていく、これは国道だけではなくて、都道府県道、市町村道も含めてだと思います。

 こういった、特に市町村なんかの話をしますと、人手が限られているということでございまして、ぜひ、国としても、経路をふやすということでの電子申請のさらなる充実、普及といった対応が求められると考えますが、その対応等も含めまして、大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。

石井国務大臣 物流の生産性を向上させるためには、特殊車両通行許可の迅速化を図り、機動的な輸送を実現することが重要であります。

 一方、ドライバー不足によるトラックの大型化に伴いまして、特殊車両通行許可の申請件数が近年大幅に増加をしておりまして、特に、手作業が中心となっている自治体管理道路の審査について、電子化による自動審査を強化する必要がございます。

 このため、現在、特殊車両通行許可の申請件数の多い自治体の管理道路から順次道路構造データを提出していただき、国が道路情報便覧としてデータベース化し、一元的な審査を行うための取組を重点的に進めております。

 また、道路情報便覧が直ちに整備できない自治体管理道路につきましても、これまでの許可の実績をデータベース化し、審査を簡素化するための取組も進めております。

 引き続き、特殊車両通行許可の審査の自動化に向けまして、センシング技術等を活用した道路構造データの自動収集も含めまして、審査の迅速化のためのさらなる取組を進めてまいりたいと考えております。

森田委員 どうもありがとうございました。

 ぜひ、地球規模で日々動いております物流のスピード感に少しでも食らいついていくということで、関係の職員さんを含めて、引き続きの対応をよろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 まず、道路法の五十条関係、国道の管理に関する費用負担の特例等について、これは内容以前の問題なんですけれども、確認の意味を含めて御質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正で、第五十条の第四項、第五項と第五十一条第三項が新設をされることになります。これは、補助国道の災害復旧並びに維持に関する費用は都道府県が負担をするなどの規定でございます。

 実は、この新設につきまして、ここにもございますけれども、法律案の要綱にはその記載がございません。

 その理由は、恐らく、委員の皆様方のところに配付をさせてもらっております資料にもございます、道路法の第四十九条の原則規定でこれまで読んでいたものを明確化をしたものだろうというふうに思います。つまり、余り重要でない新設であるという整理をされたんだろう、このように思うわけでございます。

 確かに、この第四十九条の規定は、国土交通委員会の委員の皆さんはよく御存じの規定だろうというふうに思いますが、委員でない国会議員の方々、ましてや国民の皆さんは、多くの方は承知をしていないだろうというふうに思います。

 今、公文書の問題等々が議論をされているところでございますが、この法律案の関係資料、要綱といったものは、これは国民の皆さんの財産でもございますので、いわゆる規定を新設をするのであったら、本来、遺漏なきようにすべきだというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 法律案の要綱は、法案の主要な内容について箇条的に列記をするものでございまして、必ずしも全ての改正事項を網羅的に記載するものとはされておりません。

 この点、御指摘の道路法第五十条第四項及び第五項は、国が指定区間外の国道の道路啓開又は災害復旧に関する工事を代行する場合に、本来の道路管理者がその費用を負担する旨を定めた確認的な規定にとどまるものでございまして、新たな制度の創設や改廃に当たるものではないということから、要綱に記載しないとしたものでございます。

 委員御指摘のもう一点の五十一条、この件につきましては、都道府県道、市町村道の道路啓開又は災害復旧に関する代行ということでございますので、これも同様でございます。

広田委員 一言で申し上げれば、確認の事項であるから要綱に規定をする必要がないというふうなことでございます。

 しかしながら、この要綱を見ますと、例えば第四の附則の二を見ていただいたら、単に、「所要の経過措置を定めるものとする」、これは記載しているんですよ。まさしく確認をするだけのものでありながら記載をしながら、国と地方との負担の特例等を決める、確かに確認の規定ではありますけれども、こういう附則のこのような規定もするのであれば、新設ということの観点に立てば、私は、本来、原則は遺漏なきようにすべきではないかなというふうに思うわけであります。

 局長の答弁の趣旨も十分に踏まえた上での確認でございますが、やはり今後は、このような、特に国と地方との負担割合に関する新設でございますから、まさしく確認の意味を含めて記載をするように善処してもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 今回の五十条第四項及び五項、第五十一条の第三項は、確認の規定にとどまるものではございましたけれども、委員の御指摘もございましたので、今後、類似のこのような改正等がある場合には、検討をしてまいりたいと考えております。

広田委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 それでは次に、道路財特法第二条関係についてお伺いをいたします。

 このたび、地方公共団体のたび重なる要望や地方議会の数多い意見書に応えるように、いわゆるかさ上げ措置が来年度から十年間延長されましたこと、これにつきましては高く評価をするところでございます。

 仮にかさ上げ措置が廃止となった場合、高知県の試算では、平成三十年度の当初予算ベースで地方負担分が四一%ふえるとともに、国費が約二十五億八千九百万円減額をすることになり、財政力の強くない自治体では大きな影響が出てきたところでございます。

 そこでお伺いをしますけれども、これまでかさ上げ措置が果たしてきた役割と効果についてどのように総括をされているのか。あわせて、延長期間を十年というふうにしている理由についてお伺いをしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路財特法による国費率のかさ上げ措置につきましては、これまで、国民の安全、安心の確保や生産性向上による成長力の強化等の観点から、必要な道路の整備、機能強化を図る上で重要な役割を担ってきたと認識をしております。

 具体的には、基幹となりますネットワーク整備により一定の量的ストックが形成されてきたほか、アクセス道路の整備、生活道路・通学路対策、防災・老朽化対策など、社会情勢や地域のニーズに合わせて計画的、着実に整備を進めてきたところでございます。

 ただし、人口減少・高齢化社会、厳しい財政制約、国際競争力の激化など、近年の社会情勢の変化を背景に、道路を取り巻く政策課題につきましては、東日本大震災や熊本地震など頻発する自然災害への対応、道路施設の老朽化対策、生産性向上に資する物流ネットワークの整備など、依然として多くの課題を抱えているのが実情でございます。

 これらの課題に対しまして、今後も引き続き計画的に道路の整備、機能強化に取り組んでいく観点や地域からのかさ上げ措置の継続に対する要望等も踏まえつつ、道路整備に要する期間が通常十年程度であることなども考慮いたしまして、かさ上げ措置の延長期間を現行と同様の十年間とさせていただくものでございます。

広田委員 先ほど御答弁ございましたように、本当にさまざまな課題に関してこれを解決をしていく、そして、道路の機能強化を通じてその役割を果たしていくという国交省の強い意思、決意がこのかさ上げ措置の十年延長につながっているんだろう、このようにも思うわけであります。

 また、これまでかさ上げ措置の対象外でございました補助国道の修繕事業、この修繕については、先ほど来段々の御議論もあったわけでございますけれども、これが対象になったことで、橋梁などの修繕事業の計画的な推進がより一層可能となって、住民などの利用者の安全、安心の確保が図られるというふうに歓迎の声が地方自治体からも上がっているところでございますけれども、今回、このかさ上げの対象にした理由についてお伺いをしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 今後、加速的に増加する老朽化した道路インフラに対応するためには、予防保全を前提としたメンテナンスに計画的に取り組むことが必要でございます。

 橋梁等の道路インフラにつきましては、地方公共団体が管理するものが多くの割合を占めておりまして、メンテナンスを計画的に実施するため、これまでかさ上げ措置の対象となっておりませんでした補助国道の修繕を新たに対象として、老朽化対策に係る予算面での支援を図るものでございます。

広田委員 着実に、今回対象が広がったことに伴って事業量もふえていくでしょうけれども、予算の確保等も含めて取組をしていただきたいと思います。

 そして、ちょっと関連しましてお伺いしたいんですけれども、大規模修繕・更新補助制度というものがございます。この対象事業についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 来年度の予算から、都道府県また政令指定都市の事業要件を、現行の全体事業費百億円以上を、修繕十億円以上、更新五十億円以上に緩和するということになっておりますけれども、まず、その目的と理由についてお伺いをしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 大規模修繕・更新事業費補助制度は、地方公共団体が管理する道路施設の老朽化対策として、大規模更新・修繕事業に対して支援を行うものでございます。

 しかしながら、都道府県、政令市事業におきましては、これまで全体事業費の要件が百億円以上となっておりまして、これまで要望がなされていない状況となっております。

 今般、全体事業費の要件を、更新事業について五十億、修繕事業について十億円に緩和をいたしまして、都道府県、政令市事業につきましても、複数年にわたり個別補助事業として計画的、集中的に支援することにより、老朽化対策を進めてまいります。

 今後、自治体の要望を踏まえ、対象事業を選定することとなります。

広田委員 先ほど御答弁があったように、これまでせっかく補助事業がありながら、全体事業が百億円ということで要望がなかったということであります。

 今回、実態に合わせた改正になることを期待をするところでございますが、あわせて、市町村の関係でございますけれども、市町村からも、地域の生活に欠かせない道路における安全、安心、信頼性を確保するための道路施設の老朽化対策として、この大規模修繕・更新補助制度の活用というものを考えている自治体もあろうかというふうに考えます。

 ただしかしながら、今は対象要件といったものが三億円でございます。これだとなかなか手が出ないという市町村も多いんだろうというふうに思います。

 今回、県等については対象事業を見直したわけでございますが、例えば対象要件を三億円から一億円に緩和するように、こういったニーズ等々がこれから出てくることが予想されますので、ぜひこういったことも踏まえた緩和について、今後の課題だというふうに思いますけれども、検討を願いたいと思いますけれども、御所見をお伺いをいたします。

石井国務大臣 国土交通省では、地方公共団体の管理する道路施設の老朽化の進展に対応するため、平成二十七年度より、集中的に修繕、更新が必要となる特に大規模な事業につきまして、市町村事業においては全体事業費三億円以上を対象に、補助制度による支援をしているところでございます。

 また、三億円未満の事業につきましては、地方公共団体が行う個別施設計画に基づく老朽化対策につきまして、防災・安全交付金により重点的に支援をしているところでございます。

 市町村事業の要件の妥当性につきましては、交付金事業の実施状況、点検の結果等も踏まえつつ、引き続き検討してまいりたいと考えております。

広田委員 防災交付金が果たしている役割というのも非常に大きいと思いますし、これはこれでしっかりと予算も確保していかなければならないというふうに考えますが、先ほど申し上げました事業についても、今後、各市町村の方から具体的な要望も上がってくるだろう。実際、高知県の場合も、市町村道の会員の方からも出てきておりますので、この点についても引き続きの御検討をしていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは次に、道路法第四十四条関係、占用物件の維持管理義務についてお伺いをいたします。

 今回、これが法改正になるわけでございます。すなわち、沿道区域における土地などの管理者の損害予防義務というものが出てくるわけでございますが、これに関連して、まず、現行法の施行状況についてお伺いをしたいというふうに思います。

 現状、直轄国道の沿道区域において、道路の構造に損害を及ぼし、又は交通に危険を及ぼすおそれがあると認められる沿道区域というもの、これは何カ所あると把握をしているんでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路区域外からの災害防止のため、道路法第四十四条の規定によりまして、道路管理者は、沿道区域を指定し、沿道区域における土地等の管理者に対して必要な措置を講ずべきことを命ずることができますが、実効性が限られること等から、国においては区域指定や措置命令の実績はこれまでございません。

 したがいまして、道路区域外からの災害対策を実効性を持たせるために、今般、法改正の提案をさせていただくところでございます。

 ちなみに、国が管理する直轄国道における状況といたしまして、平成十六年から二十六年までの十一年間に、道路区域外からの災害を原因として全面通行どめの発生件数は百七十二件となっておりまして、これは、道路区域内外全ての災害による全面通行どめの発生件数二百四十一件の約七割を占めているところでございます。

広田委員 今御答弁があったんですけれども、現状、直轄国道の沿道の区域指定、これは政令で本来定めるべきものであるんですけれども、実際は区域指定をしていないということでございます。

 この第四十四条の規定そのものは、今から六十六年前の昭和二十七年に規定されたものでございますけれども、局長、いつから政令に指定していないのか、ちょっと教えてもらえませんでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 当初より政令は制定されておりません。

広田委員 この六十六年間政令を指定していないというのは、これはもう行政の怠慢というふうに言わざるを得ません。なぜ制定をしなかったのか。

 実際、今回の法改正の契機の一つになったのが、平成二十八年五月に島根県の県道で発生した落石事故で死者が一名出ております。こういった悲惨な事故を繰り返さないという意味も含めた法改正なんだろうというふうに私は思いますので、この政令の指定については早急に行っていただきますように強く要請をしたいというふうに思います。

 先ほど、局長の方から落石事故などについてのお話があったわけでございますけれども、こういったことも踏まえまして、例えば第四十四条の四項では、道路管理者は、特に必要があると認める場合、土地などの管理者に対して損害予防措置を命ずることができるというふうに規定をされておりますけれども、過去のこの命令の発出状況、政令で指定していないので沿道区域についてはないのかもしれませんけれども、この措置命令に応じず、あわせて罰金に処せられた件数は一体どのぐらいあるのか。把握している範囲でお示しをいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 私どもの把握している範囲では、措置命令違反等の罰金等、そのような措置を講じたことはございません。

広田委員 政令も決めていない、そして、これまでの法を施行するにおいても措置命令また罰金等もないということでございますので、確かに、法改正をすること自体私は反対ではございませんけれども、現行法がしっかり施行されているのかどうか、これについてきちっと評価をした上で法改正をすべきではないかなというふうに私は思うところでございます。

 ここで議論を終わるわけにはいきませんので前にちょっと進めさせていただきたいと思いますけれども、今回の改正で新たに損失補償を規定することになるわけでございますけれども、これまで、この損失補償がないがためにどのような課題、制約があったのか。このことについてお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 現行の道路法第四十四条では、沿道区域の土地等の管理者に対して、道路の構造に損害を及ぼし、又は交通に危険を及ぼすことを防止する措置を命令する場合、損失補償の規定がございません。

 このため、沿道区域の土地等の管理者に対し、受忍の限度を超えて特別の負担を強制する命令をすることが困難でございました。

 具体的な例を挙げますと、落石防止のための浮き石の除去でありますとか落石防護ネットなどの設置につきましては、受忍の限度を超えるため、沿道区域の土地等の管理者に対して命じることは困難でした。

 これまでは、そのような危険箇所への対応としては、用地買収をして道路区域に編入した上で道路管理者がみずから対策を実施するなどの手法しかございませんでした。地権者の反対がありますと対策ができないなどの制約もございました。

広田委員 時間が参りましたのでこれ以上聞きませんけれども、ぜひ、今回の法改正に伴いまして実効性が上がるように適切に運用していただくよう強く要請をしまして、質問を終了したいと思います。

 どうもありがとうございました。

西村委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず冒頭、昨日午後四時十六分ごろ、私の地元である大阪府枚方市の新名神高速道路の工事現場で、作業員の男性が約五メートル下の河川に鋼材とともに転落し、死亡するという痛ましい事故が発生いたしました。亡くなられた方の御冥福を心からお祈りいたします。

 新名神高速道路の工事現場では、二〇一六年四月以降も、四件の事故で五名が亡くなっております。なぜ事故がなくならないのか。事故原因の究明、責任の所在、再発防止策など、国土交通省としても全力を挙げていただきたいと思います。このことを申し上げて質問に入ります。

 特殊車両の通行に許可を義務づけている。これには理由があるわけでありまして、それは、道路構造の保全と交通の危険防止のためである、こういうことであります。要するに、重量や寸法の制限を超える車両が通行することで道路が傷むことがないように、また、特殊車両は一旦事故を起こすと一般車両とは比較にならない重大な事故になりかねないから、それを防止するために許可が義務づけられている。

 ここに通行許可の意義があると考えますが、大臣、これは間違いないですね。

石井国務大臣 道路は、一定の重量、寸法の車両を想定して設計されておりまして、当該重量、寸法を超える車両は、原則、通行が禁止をされております。

 一方、実際の社会経済活動におきましては、長大物の運搬など、やむを得ず当該規格を超える車両、すなわち特殊車両を通行させる必要が生じることがございます。

 このため、道路の構造を保全をし、交通の危険を防止する観点から、車両の構造と積載する貨物の特殊性を審査し、やむを得ないと道路管理者が認める場合に限りまして、必要な条件を付して通行を許可する制度を設けているものでございます。

宮本(岳)委員 今度の法案では、重要物流道路を通行する国際海上コンテナ車は許可を不要にするということでありますけれども、そうすると、これまで行ってきた道路管理者による審査は全くなされなくなります。

 それでは、二〇一六年度の直轄国道における特殊車両の取締り実績はどうなっているか、また、都道府県道における取締り実績はどうなっているか、道路局長にお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度における直轄国道の特殊車両の現地取締り実績は、取締り回数が六百二十一回、引込み台数が三千八台、違反件数が千四百六十九件となっておりまして、千四百六十九件のうち、警告が千三百八十九件、措置命令が八十件となっております。

 また、平成二十八年度におけます都道府県道の特殊車両の現地取締り実績につきましては、国土交通省で調査いたしましたところ、取締り回数が三十回、引込み台数が百十七台、違反件数が五十八件となっております。違反件数は全て警告でございます。

宮本(岳)委員 特車の取締りは、大体月に一回、限定した路線で二時間程度、道路を通行する特車で違反が疑われる車両を引き込んで、違反があるかどうかを確認するということでやっておられます。

 都道府県については、そもそも母数が非常に少ない。それでも、直轄国道で引込み台数に対する違反件数、これはもう四割程度が出ておりますし、今の、都道府県道ではさらに五割程度の違反件数が出ているということだと思います。

 それでは、国際海上コンテナ車の二〇一一年から二〇一六年までの転覆、転落、又は路外逸脱の事故件数と、そのうち、通行許可をとっていなかった件数はどうなっているか。それぞれ六年間の合計で自動車局長にお答えいただけますか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 事業用の貨物自動車の事故につきましては、貨物自動車運送事業法及び自動車事故報告規則におきまして、事故を起こした事業者が国土交通省に事故内容を届け出ることとされております。

 具体的には、事故の種類、車体の形状、許可等の取得状況を含めまして、事故の概要について、所定の様式に従って届け出ることとされております。

 この自動車事故報告規則に基づきまして、二〇一一年から二〇一六年の六年間において事業者から報告のあったもののうち、国際海上コンテナ輸送に係るもので事故の種類の欄が転覆、転落、又は路外逸脱に該当した事案は、七十件あったものと承知をいたしております。

 また、このうち、「許可等の取得状況」の欄の「特殊車両通行許可」の欄において、なしとされていたものの件数は、二十六件あったものと承知をいたしております。

宮本(岳)委員 いずれにしても、事故に占める無許可件数、約四割に及んでおりまして、事故防止のために通行許可をとることが重要であることがわかると思うんです。

 こうした現状を見たときに、国際海上コンテナ車の通行許可を不要にして違反や事故が減少するのか、さらに、国際海上コンテナ車が一旦重要物流道路に入り、その先の重要物流道路に指定されていない枝道や強度が足りない橋梁を通行する、その可能性について否定できるのか。法文上、それを防止する保証がありますか、道路局長。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国際海上コンテナ車、四十フィート背高コンテナにつきましては、平成二十八年七月の海上人命安全条約、SOLAS条約の改正によりまして、国際海上コンテナ、四十フィート背高コンテナの総重量が厳格に管理されております。

 また、国際海上コンテナ車につきましても、他の特殊車両通行許可を受けている車両と同様に、道路法第四十七条の四に基づきます道路管理者による指導取締まりの対象でございます。実際の走行時に重量や経路などの違反が確認された場合、道路管理者が警告等を行うことになります。

 さらに、国際海上コンテナ車が定められた重量以下で指定された通行経路を確実に通行するということが重要でございます。重量につきましては、コンテナ総重量を証明するための書類の携行、通行経路につきましては、経路の捕捉が可能なETC二・〇の機能を活用して確認をすることを検討してまいります。

 いずれにいたしましても、今回の制度の趣旨を踏まえまして、トラック事業者等との連携を図りながら、法令を遵守した走行がなされるよう努めてまいります。

宮本(岳)委員 条文上には何らないわけですよ。私の質問にも、そういう意味では、法文上あるかという問いには答えられなかったと思うんです。国交省は現場の実態を御存じなのかと首をかしげたくなります。

 私は、この間、トラック運転手の方々からもお話を伺いました。そもそも荷主は、特車が道路を通行するためには許可が必要であるということもほとんど知りません。運送業者に荷物を運んでくれと頼めばすぐに運んでくれると思っております。

 ところが、荷主の届け先が幹線道路沿いにあれば問題がないのですけれども、枝道を通らなければならないとなれば、そこの区間は通行許可がおりないということがあらかじめわかります。許可をとらずに枝道を通行する、こうしたことが常態化しておりまして、許可を不要にすれば、こうした違法行為がまかり通らないとも限りません。

 本法案は、道路の安全を脅かしかねないものだということをまず指摘しておきたいと思います。

 次に、重要物流道路制度は、三大都市圏環状道路のような高速道路を指定の対象として排除しておりますか。していませんね、大臣。

石井国務大臣 重要物流道路は、物流の効率化等を図るため、物流上重要な道路ネットワークについて指定するものであります。

 例えば、昨年の二月に圏央道の茨城県区間が開通したことによりまして、東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道の六つの放射状の高速道路が圏央道を通じてつながりました。この開通によりまして、都心部を通過せずに地方間を結ぶことが可能になるとともに首都圏から各地への物流の効率化につながることから、圏央道沿線における物流施設の年間立地件数が、二十年前と比較をいたしまして四・六倍に増加をしております。

 このように、高速道路は物流の効率化の観点から大きな効果を発現するものでありまして、全道路延長に占める割合は約〇・七%程度ではございますけれども、貨物輸送量は約三割を占めております。重要物流道路において高速道路は基幹的な役割を担うものと考えております。

宮本(岳)委員 なるほど、高速道路をそういう役割で進めていくということが確認されました。

 ということは、重要物流道路の指定の対象には、既存の道路の改築だけではなくて、東京外環道の東名―湾岸間など未整備計画路線も排除されていないと思いますが、間違いないですね。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路の指定は、計画路線も含めて指定をするという考えでございます。

宮本(岳)委員 新たな道路の建設にもこれは利用されるということが明らかになりました。

 重要物流道路の創設は、結局、高速道路の新規建設を加速、推進する口実を与えかねないと思います。今緊急に求められるのは、道路の老朽化対策であることを指摘しておきたいと思います。

 次に、特定連絡道路についてでありますけれども、これは既に二〇一七年七月に民間施設直結スマートインターチェンジ制度として具体化をされ、募集が開始されておりますけれども、現在、この整備方針が認定されたのは一件、三重県多気町の整備方針が初めて認定されたと聞いております。

 この一件は観光施設のようでありますけれども、特定連絡道路は、高速道路から物流施設等に直結する道路、こうなっておりますから、この物流施設には、大型の物流倉庫、まあ、大企業の物流倉庫なども含まれると考えますが、道路局長、間違いないですね。

石川政府参考人 お答えいたします。

 大規模物流施設に直接連絡する道路も対象となります。

宮本(岳)委員 なぜ、そのような大型物流倉庫を持つ民間企業の道路建設にまで国が無利子貸付けができる法をつくる必要があるのか。これは政策判断の問題でありますので、大臣にひとつ御答弁をいただきたいと思います。

石井国務大臣 今回の法案では、大規模物流施設に直接連絡する道路も無利子貸付けの対象となるところでございますが、この民間施設直結スマートインターチェンジの運用に当たりまして、高速道路と直結する施設は、地元の地方公共団体の定める地域活性化のための計画等に位置づけられた民間施設としているところでございます。

宮本(岳)委員 特定の民間施設への交通のためだけではないとおっしゃるわけでありますけれども、主たる目的は、特定の物流倉庫に物を運搬する専用の道路を建設することになります。

 結局、大型商業施設やレクリエーション施設、物流倉庫などを持つ大手民間企業のもうけのために無利子貸付制度を新設するものになりかねず、そのような大手企業への優遇策は認められないということを申し上げておきたいと思うんです。

 さて、残された時間でありますけれども、先ほど来少し質疑を聞いておりまして、通告しておりませんけれども、大臣に幾つか、決裁文書の問題をお伺いしたいと思うんです。

 決裁文書というものは、実は一体の文書でありまして、我々はその決裁文書をこの間追い求めてきましたから、どのようなものがあるかはよくよくわかっておるわけでありますが、先ほど来、大臣の御説明では、国土交通省が持っていた決裁文書は一部が欠落していたというふうに御答弁がありました。

 なるほど、文面が違うということもおかしいわけでありますけれども、決裁文書の一部が欠落しているというのもおかしな話でありまして、大臣はこれをおかしいとはお感じになりませんでしたか。

石井国務大臣 御通告がございませんでしたので、詳細は改めて航空局長がいる場でお答えをできればと思いますけれども、今回、近畿財務局から本省の航空局になされたものは、債権発生通知と呼ばれる会計手続上の通知でありまして、この通知に貸付決議書が添付をされていたものでありますが、その貸付決議書の書類の中で、財務省の方で決議書の添付書類の一部は添付をされていなかったということでありますけれども、その件については私はよく承知をしておりませんけれども、恐らくそれは財務省の方にお聞きいただければと思うのですが、この会計手続上必要な部分で送ってきたのかなとも想像しておりますが、詳しいことは承知をしておりません。

宮本(岳)委員 通告なくお聞きしているのでそこは御容赦いただきたい。また追って、事務方がおられるときにもお伺いしたいと思うんですけれども、私たちお伺いしていますと、会計検査院に出ている文書も、財務省から出ているものと国土交通省から出ている決裁文書と、これは食い違っているということを会計検査院が認識されたということが検査院からの報告でされております。

 私たち解せないのは、同じ決裁文書なのに二つ違うものがあるわけがないのであって、なぜそのときに会計検査院は大問題だと受けとめなかったのかというふうに思うわけでありますけれども、そもそも、違う決裁文書が国土交通省に渡っているということ自身が非常に解せない。もとのものだとすれば、欠落しているのがよく解せないということになるわけなんです。なぜかということは、また追って、事務方の方で調べていただいてお答えいただけたらいいと思います。

 最後に一つだけ。それらの文書は、一体いつ大阪航空局は受け取ったと認識されておりますか。

石井国務大臣 それは、債権発生通知をいつ受け取ったかということでございますか。

 これについては、まず、貸付契約締結に伴う債権発生通知は平成二十七年六月九日付でございます。また、売買契約締結に伴う債権発生通知は平成二十八年六月二十日付でございます。

宮本(岳)委員 その通知の日付はそういう日付だともちろんわかっているんですが、それを大阪航空局が近畿財務局から、つまり財務省からいつ受け取ったのかということについては、少し調べていただいて、後ほど私の方にお知らせいただければありがたいというふうに思っております。

 きょうは通告しておりませんので、何もこれ以上、突然の質問をして大臣を困らせようというつもりは毛頭ございませんので、以上で私の質問を終わらせていただきます。

西村委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 最後ですので重複したりすることもあるかと思いますけれども、御容赦をいただいておつき合いいただけたらというふうに思います。

 質問に早速入りますけれども、まずは、道路財特法の一部改正により、道路の改築に対する国費率のかさ上げ措置の延長及び補助国道の修繕にかかわる国費率かさ上げ措置の新設には、道路整備事業の推進に大きな支援になるので、賛成であります。

 道路は、円滑な交通処理に資するだけでなく、良好な町並みを形成し、安全で、市民生活や事業活動というのを支える最も根幹的な社会基盤であるというふうに思います。

 そのため、各自治体における道路の管理が着実に行われるよう、交付金などによってその取組を支えていくということは、非常に重要であるというふうに考えております。

 また一方で、過去五年の防災・安全交付金及び社会資本整備交付金の要望額、きょう配付資料で配らせていただいていますペーパーがあるんですけれども、それが、過去五年間、棒グラフの左側、各年度で左側が全国からの要望額、右側の棒グラフが実際の配分額というふうになっています。

 この五年間で見てみますと、約ですけれども、二・五兆円から始まって、いっとき三・六兆円ということで、今年度は三・四兆円余りの要望額というふうになっています。右側の実際の配分、これを見ていただくと、五年前から、約一兆九千億円台ということでほとんど差がない。

 だから、実際に割り振られているお金というのは、二兆円弱というのが結果として恐らく今後も続くんじゃないかなと思うんですけれども、今後もこの交付金予算枠が、一定、変わらず、二兆円弱の金額で変わらないということであれば、今回の改正によって交付金事業のかさ上げ措置の対象というのが重点配分対象事業というのに限定されるということになっていますけれども、そのほかの、重点配分対象じゃなくなったところとか、地域も含めて、予算の考え方というのを局長にお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 交付金事業につきましては、限られた予算を効果的に配分するため、老朽化・地震対策、アクセス道路整備など優先的に取り組む課題を重点配分対象事業として設定し、重点的に予算配分を行っているところでございます。

 この取組に加えまして、今般、道路財特法による国費率のかさ上げ措置につきましては、必要な見直しを行った上で来年度以降も継続することとしておりまして、交付金事業につきましては、限られた予算の中で道路整備を効率的に進める観点から、かさ上げ措置を重点配分対象事業に重点化させていただきます。

 重点配分対象事業につきましては、社会経済情勢などを踏まえて対象事業を適宜見直していきますとともに、重点配分対象でない事業につきましても、限られた予算の中ではありますが、地域からの事業に対する意見等を踏まえつつ、引き続き適切に支援をしてまいります。

井上(英)委員 局長はそうお答えになるというのもよくわかっていますし、ぜひそうしていただきたいというふうにも思うんです。

 ただ、一方で予算の総額というのがおおむね毎年決まっているわけですから、恐らくそれは、自治体が競争して今度重点になるように要望していく活動に変わっていくかとは思うんですけれども、結果的に重点から漏れれば、予算措置も含めて、やはりそういう予算が非常に大きい意味合いがありますので、もしあれでしたら、その総額の予算を二兆円を超えるぐらいとってもらえるように、局長、頑張っていただきますようによろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 次に、道路の老朽化に対応するため、道路点検にも手当てが必要であると考えます。

 平成二十五年道路法改正等を受けて、翌年の平成二十六年七月から、道路管理者は、全ての橋梁、トンネル等について、五年に一度、近接目視で点検を行い、点検結果として健全性を四段階に診断することになっております。

 全国七十三万の橋のうち、約七割の四十八万橋というのが市町村が管理をしております。そのため、財政が厳しい自治体にちょっと負担感というのがあるように思われるんですけれども、所見と、そして今の点検の進捗状況というのをお願いいただけますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 橋梁、トンネル等の点検につきましては、平成二十五年度に道路法を改正いたしまして、平成二十六年七月から国が定める統一的な基準によりまして、地方公共団体が管理するこれらの施設も、五年に一回の頻度で近接目視による点検を行っていただいておるところでございます。

 現在、地方公共団体が管理する橋梁は約六十六万橋、このうち市町村は約四十八万橋ということで、地方公共団体にとって、特に橋梁への対応、これが大きな課題となってございます。

 橋梁の点検につきましては、平成二十八年度末までの約三年間で三十六万橋、率にして五四%の点検が完了するなど、おおむね計画どおり進捗しているものと認識をしております。

 今後とも、各道路管理者が計画的に老朽化対策を進めていただくことが重要でございまして、国土交通省といたしましては、自治体に対する交付金や個別補助の実施、市町村の点検、診断業務を一括して発注する取組、研修や技術者派遣の実施など、財政面や技術面の支援について引き続き進めてまいります。

 なお、地方公共団体が管理するトンネルにつきましては、平成二十八年度末までの約三年間で約二千九百本、率にして三九%と、橋梁に比べておくれておりますけれども、橋梁に比較して点検する本数が少のうございますので、点検を加速化していただくよう地方公共団体にも支援をしてまいります。

井上(英)委員 ぜひ、安全のためにお願いしたいと思います。

 ただ、橋を管理する経費自体はそんなに変わらないと思うんです、一つ一つの橋を管理する。そうなってくると、財政規模が大きいか小さいかによって、やはり負担度合いというか、変わってくるということもありますので、その辺のそれぞれの地域の実情というのを踏まえて、しっかり点検してくれているかどうかも踏まえて、監視をしていただきながらしっかりやっていただきたいなと思います。

 インフラの点検を頻度を高めて丁寧に実施する、一言で言いかえればそういうことになるかと思うんですけれども、決してそのことはすばらしいことで異論はありませんが、実際に、建設業の担い手不足に伴って、熟練技術者というのを必要としない調査、施工法、ニーズというのがやはり高まっているというふうに思われます。ICTなんかを活用して、維持管理や点検といったものに関連する技術開発というのも進んでいるというふうに聞きます。

 現状、そういう技術導入というのを導入する必要があると思いますけれども、局長、どのようにお考えでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、建設業に従事する技能労働者等が減少する中で道路の建設や維持管理の生産性を向上させるためには、ICT、情報通信技術などの新技術を積極的に活用することが重要であると認識をしております。

 具体的には、例えば道路の施工におきましては、三次元設計データ等を利用いたしまして建設機械の自動制御を行うICT施工を平成二十八年度から約七百件の道路工事に実施いたしましたほか、今年度からは十六件の舗装工事にも導入をしております。

 また、委員御指摘の道路の維持管理の面では、例えば橋梁点検におきまして、コンクリート片の落下につながるような浮きや剥離を赤外線を用いて検出することによりまして、技能労働者による打音検査を必要とするような箇所、これを絞り込んでいく技術を、今年度から約二百七十橋で試行しております。

 また、これは維持管理の一つでありますけれども、雪対策ということで、準天頂衛星を活用した運転制御や操作支援の機能を備える除雪車につきましても、今年二月より道央自動車道の岩見沢インターから美唄インター間で試行導入をしたところでございまして、一般道路においても来年度の試行導入を目指しているところでございます。

 今後も引き続き、技能労働者等の不足を補うために、道路の施工や維持管理における新技術の導入を推進してまいります。

井上(英)委員 技術的な細かいことは正直ちょっとわからないので、当然、技術力が上がっている、開発が進んでいると思いますので、効率的に、また、実効性のある技術導入というのもどんどんしていただいて管理をしていただけたらなというふうに思います。

 橋梁も、先ほどの話からいくと、何万橋、何十万橋とある中でまだ二百余りですね。ですから、どんどんそういう技術も導入をしていただいて進めていただけたらなというふうに思います。

 あわせて、二十五年の道路法の改正時に、道路管理者が上下水道管やガス管の地下埋設物等の占用物件の健全性や耐震性等の点検結果を確認できる仕組みというのを構築するようにということで、構築に努めるようにという附帯決議を当時の改正案のときに採決されたと思います。

 これを受けて国土交通省では、平成二十六年三月に通達を発出して道路管理者による占用物件の安全確認の徹底というのを行っていると思いますけれども、今回の法改正において道路占用者に占用物件の維持管理を義務づけるということで、どのような効果が期待されるのか。また、水道、ガス事業者というのは、もちろん自分らの事業のためにやるんですから必要はないかと思いますけれども、インセンティブみたいなのがもしあれば、お答えをいただけたらと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路の安全性を確保するためには、道路構造物のみならず、道路の下に埋設された下水管等の占用物件につきましても安全性を確保することが重要と認識をしております。

 このため、直轄国道におきましては、委員御指摘の附帯決議を踏まえまして、平成二十六年四月より、下水道管等の占用物件につきまして、占用期間の中間年及び更新時に、占用者が行った直近の点検結果を確認する等により、占用物件の安全性の確認を徹底したところでございます。

 また、地方公共団体におきましても同様の取組が普及するよう、通知を発出して周知を行ったところでございます。

 今般の改正によりまして、占用企業者の維持管理の義務、法律的にも明確にさせていただきますので、道路利用者等への重大事故を未然に防止するため、占用物件を含めた道路の安全性の確保、向上に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

井上(英)委員 しっかりとお願いしたいと思います。

 インセンティブというのはなかなかないですかね。

石川政府参考人 お答えいたします。

 維持管理をしっかりやっていただくことは、その占用企業者にとっても大事なことだというふうに認識をしております。

井上(英)委員 全くそのとおりだと思うんです。ちょっとでもあれば進みやすいかなという気がするんですけれども、道路管理者も道路をきっちりと維持するというのは当然の責務ですし、また、そこに埋設物を持っているそれぞれの事業者も、必要であって、それで営利をしているわけですから当然だと思うので、その辺は流していただいて結構かと思います。

 それでは次に行きますけれども、重要物流道路として国土交通大臣より指定を受けた道路では、国際海上コンテナ車などの超大型貨物車に対応するため、道路構造の補強等を要することとなります。

 今後示される構造基準に基づく詳細検討の結果、大規模な補強や更新に要する施設整備が発生するものというふうに想定されるわけですけれども、市民の安全、安心にかかわる老朽化対策や地震対策というのを優先することも非常に大事であると考えますけれども、国土交通省の対策の所見をお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路制度は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網について重要物流道路として指定をし、あわせて、必要な機能強化や重点支援を実施するものでございます。

 この機能強化のうち、道路構造の強化につきましては、物流生産性の向上の観点から、トラックの大型化に対応するため、車両の諸元が一定であります国際海上コンテナ車等に対応した特別の構造基準を設定した上で、当該基準に適合するように構造強化を図ることとしております。

 一方、橋梁、トンネル等の老朽化対策、これは今までお話をさせていただきましたように、五年に一遍の頻度で近接目視による点検を実施をしておりまして、おおむね計画どおり進捗しております。点検が完了した橋梁から必要な修繕に着手をしているところでございます。

 また、耐震という観点から道路橋の耐震化につきましては、幹線道路等で落橋、倒壊の防止対策は完了しております。現在、被災後速やかに機能を回復させることを目指した耐震補強、これも推進をしております。

 具体的には、高速道路や直轄国道について、大規模地震の発生確率が高い地域におきまして、平成三十三年度までに完了することを目指し、耐震補強も実施をしております。

 重要物流道路の構造強化を進めるとともに、老朽化対策、耐震対策についても引き続き計画的に取り組んでまいります。

井上(英)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 都市部で指定されたアクセス道路、本当に大きい、国道なんかを多分想定されているんだと思うんですけれども、この都市部で指定されたアクセス道路の沿道、これは都市部にも限らないと思うんですけれども、ただ、都市部の場合は、民家が連檐しているというか非常に集中しているようなところもありますので、新たな交通安全対策というのがやはり要るのかなというふうに思います。構造の補強を含めたさらなる対応というのも生じてくるのではないかなというふうに思います。

 また、コンテナ車などの超大型車両の通行ということになってきますと、民家ややはりその関係先から理解を得るというのには、一定の時間が必要なのではないかなというふうに思います。

 私の地元の大阪なんかでいうと、まだどこの道路がというふうにはなっていないと思うんですけれども、想像できるのは、新御堂筋とか一号線、二号線、それから二十五号線、二十六号線とか、まあまあ主たる国道が想定されるんですけれども、ちょっと離れていきますと、もう道路沿いにずっと民家があって、そういうこともあります。

 一方で私は地元が港区というところで、本当に港に近いところなので、常に家の近所にはコンテナ車がどんどん走っているんです。だから、これはもう社会経済活動上仕方がないと思いますけれども、あんまりそういうのに環境として接していない方々と、我々のように日ごろからコンテナ車をいつも見ている人間とで、全然そのコンテナ車に対する考え方、超大型車両に対する考え方というのは必然的に変わってきます。

 事故も、一つあれば、やはり大型車の場合は非常に大きい事故が発生いたしますので、その辺を含めて最大限地域事情に配慮すべきだというふうに考えますけれども、お考えをお聞かせいただけますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、物流において基幹的な役割を担っております高規格幹線道路や地域高規格道路、直轄国道をベースとして、これらと主要な物流拠点を連絡するネットワークを基本として検討することとしております。

 また、主要な物流拠点につきましては、他の交通との連携強化や災害時における緊急物資輸送などの観点から、拠点として機能する空港、港湾や鉄道貨物駅などを想定しております。

 いずれにいたしましても、今後の具体的な重要物流道路の検討に際しましては、当該道路は大型車交通量の増加などが想定されますことから、交通事故を含めた道路交通や沿道の土地利用の状況等についても勘案するとともに、地域や有識者等の意見も十分踏まえながら進めてまいります。

井上(英)委員 以上で終わります。

西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、道路法等一部改正案に対し、反対の討論を行います。

 第一は、重要物流道路の創設は、近年増加する四十フィート背高の国際海上コンテナ車を拠点的な空港、港湾から物流施設まで一気に通行できるよう高速道路並みに改築するとともに、特殊車両に義務づけられている道路の通行許可を不要とするものです。これは、物流の効率化を口実に、重要物流道路については国際海上コンテナ車を道路管理者による審査なく通行させる規制緩和策であり、国際海上コンテナ車が一旦重要物流道路に入れば、道路構造上安全ではない道路への通行を許しかねないものです。

 さらに政府は、物流の生産性向上を掲げ、その具体化として総合物流施策大綱の推進プログラムを決定しています。そこでは、国際海上コンテナ車、四十フィート背高の特殊車両通行許可必要台数を二〇一六年度約三十万台から二〇二六年度おおむね半減などの目標だけでなく、三大都市圏環状道路整備率を二〇一六年度七四%から二〇二〇年度八〇%に引き上げるなどの目標も明記されています。これはまさに、大規模化する物流施設と空港、港湾などを結ぶ新規の高速道路建設を加速、推進するものであり、私の質問に対しても、本法案がそれを進めるものであることをはっきり認めました。

 今必要なことは、新規の高速道路建設ではなく、老朽化した橋梁の修繕や通学路の歩道整備など、国民の命と安全にかかわる事業を最優先することです。

 第二は、特定連絡道路への無利子貸付制度の新設は、民間企業が建設した大型商業施設や物流倉庫などに人と物の流れを誘導することを主眼としたものです。公共の道路を大企業のもうけのために利用促進させる優遇策は容認できません。

 特定連絡道路は、民間企業の発意と負担で建設することとなっています。これは、これまで国や地方自治体の発意と負担で整備されてきた公共道路の建設を民間企業に委ねる新たな手法です。民間企業が発注者となれば、公共工事入札契約適正化法や情報公開法の適用を外れ、入札価格を始め工事にかかわる情報を非公開とするおそれがあり、認められません。

 以上、反対討論を終わります。

西村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、内閣提出、外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年の外国人観光旅客を取り巻く状況は、昨年の訪日外国人旅行者数が二千八百六十九万人に達するとともに、旅行手配方法が団体旅行から個人手配型旅行へ急速に移行するなど、量と質の両面から大きな変化が生じております。観光は我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱であり、二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人等の政府目標の確実な達成には、今般創設される国際観光旅客税を、今後更に増加する観光需要に対して必要となる高次元の観光施策の実行に充て、観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充及び強化を図ること等により、外国人観光旅客の来訪等を促進することが急務となっております。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、高次元の観光施策を展開するため、国土交通大臣が定める基本方針の記載事項を拡充するとともに、国際観光旅客税の収入見込み額に相当する金額を、国際観光旅客の円滑かつ快適な旅行のための環境の整備に関する施策を始めとする三つの施策に充てることとしております。

 第二に、いわゆるゴールデンルートと言われる特定の地域に集中している外国人観光旅客の全国各地への誘客拡大を図るため、自治体や地域の観光関係団体等から構成される協議会制度を創設をし、外客来訪のための計画策定に取り組む主体として位置づけることとしております。

 第三に、急増する個人手配型の外国人観光旅客にも対応した受入れ環境整備のため、公共交通事業者等への努力義務の範囲を拡充し、従来の外国語等による情報の提供に加え、インターネット環境の整備、トイレの洋式化等の利便増進措置を新たに規定することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十二分散会


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