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第6号 平成30年4月4日(水曜日)

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平成三十年四月四日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 西村 明宏君

   理事 鬼木  誠君 理事 金子 恭之君

   理事 新谷 正義君 理事 土屋 品子君

   理事 盛山 正仁君 理事 矢上 雅義君

   理事 小宮山泰子君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    井上 貴博君

      岩田 和親君    大塚 高司君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      門  博文君    神谷  昇君

      工藤 彰三君    佐々木 紀君

      鈴木 憲和君    田中 英之君

      高木  毅君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      根本 幸典君    鳩山 二郎君

      藤井比早之君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    望月 義夫君

      簗  和生君    山本 公一君

      高井 崇志君    初鹿 明博君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      早稲田夕季君    伊藤 俊輔君

      大島  敦君  もとむら賢太郎君

      森田 俊和君    北側 一雄君

      高木 陽介君    広田  一君

      福田 昭夫君    宮本 岳志君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      あきもと司君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   国土交通大臣政務官    高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官)           八山 幸司君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      行松 泰弘君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山本佐和子君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術総括審議官)       松原  裕君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房物流審議官)         重田 雅史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高野  滋君

   政府参考人

   (国土交通省国土地理院長)            村上 広史君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   参考人

   (独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長)           北村 隆志君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     井上 貴博君

  藤井比早之君     佐々木 紀君

  初鹿 明博君     高井 崇志君

  広田  一君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     高木  毅君

  佐々木 紀君     藤井比早之君

  高井 崇志君     初鹿 明博君

  福田 昭夫君     広田  一君

    ―――――――――――――

四月三日

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長北村隆志君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房長藤田耕三君、大臣官房技術総括審議官松原裕君、大臣官房物流審議官重田雅史君、大臣官房技術審議官五道仁実君、土地・建設産業局長田村計君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長山田邦博君、道路局長石川雄一君、住宅局長伊藤明子君、鉄道局長藤井直樹君、自動車局長奥田哲也君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長蝦名邦晴君、航空局安全部長高野滋君、国土地理院長村上広史君、観光庁長官田村明比古君、気象庁長官橋田俊彦君、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官八山幸司君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官行松泰弘君、公正取引委員会事務総局審査局長山本佐和子君、財務省大臣官房長矢野康治君及び理財局次長富山一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。きょうのトップバッターを務めさせていただきます。

 まず最初に、昨年の十二月十一日に発生しましたのぞみ三四号の重大インシデントについて質問をさせていただきます。

 皆さんも記憶にあると思いますが、四カ月ぐらいたったのでちょっと薄れているかもしれませんけれども。博多から小倉間で、異音とにおいが発生をしていたということで何かトラブルがあるんじゃないかということだったんですが、結局、JR西日本の運行範囲の中ではとめることがなくそのまま運行が続いて、JR東海に引き継がれた。結果として、名古屋駅に入ったところで停車をし調べてみたところ、台車に亀裂が入っているということで、この台車を取りかえて、仮台車に載せて車両基地まで持っていくということになって、その間ずっとホームを占領して運行に相当な支障があったという、そういう重大インシデントであります。

 これについては、運輸安全委員会に報告も行き、現在調査が行われているという状況でありますが、この間の調査の中でわかったことが一つあって、それは台車の亀裂の原因です。これが何だったのかと。溶接部分でもないところに亀裂が入っていたので、一体何があったんだということで国交省の皆さん方も非常に不思議に思っていたんだと思います。

 調べていったところ、製造メーカーである川崎重工が製造過程の中で、本来、溶接部分の周辺というのは、業界の基準があって、削っていいミリ数というんですか、それが決まっているんですけれども、それを超えてたくさん削っていて強度が不足をしていて、結果としてそれで亀裂が入るようになったということです。

 この川崎重工が製造過程の中でこういう本来やるべきでないことをやっていたということがわかったことによって、どうもこの問題は台車をつくった川崎重工の問題にちょっとすりかわってきているように思うんですけれども、そもそものこの問題の一番注意をしなければいけないのは、JR西日本が、異音があったりにおいが発生しているということを相当前にわかっていたのに、とめずにずるずると運行をし続けて、結果としてJR西日本の運行範囲ではとめなかったということなんだと思います。

 皆さんも御承知のとおり、JR西日本は、福知山線の事故という大変大きな事故を起こして、その反省に立って、安全ということには十分に気をつけて運行等をしていかなければならない、そういう会社であるにもかかわらず、非常に意識が低かったと言わざるを得ない。そういう状況です。

 この事故の経過を見ても、結局何でとめなかったのかということですが、中にいる車掌さんと本部にいる指令との間で電話でやりとりをしていて、異音があるとかにおいがするとか、そういう報告をしていた。車掌の方からは指令の方に、床下を点検した方がいいんじゃないか、そういうことを電話で伝えたんですが、電話で伝えたその肝心なことを言っているときに、指令が電話の先で、ほかの上司に何か報告するかなんかで受話器を外していたからその肝心な部分を聞いていなくて、それで的確な指示が出せなかった。そういうふうにJR西日本は答えているんですが、本当にそんなことがあるのかなと皆さん思いませんか。重大な報告があるときに、電話をしているのに、その途中で受話器から耳を外して肝心なことを聞き取らなかった。

 私は、こういう報告をしていること自体、やはりJR西日本の体質というものを疑わざるを得ないんです。

 それで、この問題をちょっといろいろ調べていって関係者などからお話を聞いていく中で、実は、事故は去年の十二月なんですが、その約一年近く前の去年の一月二十五日にも同じような台車のトラブルというのが起こっていたということがわかりました。

 皆さんのお手元に資料をお配りをしております。一月二十六日付の「昨日発生したのぞみ31号の異音感知について」という資料なんです。JR西日本もちゃんとこれを発表して、国交省にも報告をしているということです。

 これは、小倉―博多間で異音があり、においもして、福岡トンネルというところですか、そこで一回緊急停車をしたわけです。点検したんだけれども、よく原因がわからないで、そのまま運行して終点の博多駅まで行っている。終点に着いたところで調べていったら、ギアが破損をしていたということがわかったわけです。ギアが破損をしていて、部品が何か落ちているということもわかった。それで結局、十二月のインシデントのときと同じように、自走することができなくなって、自分で走っていくことができなくなって、仮台車に台車をかえて車両基地まで収容をするということになったわけです。つまり、十二月と似たような結果になっているんです。

 ただ、何が違うかというと、十二月は、途中の駅の名古屋駅でとまっていたから非常に運行に支障があった。このケースは、一月は、終点の博多だったから、そこから車両基地まで戻すということが比較的早くできて、運行に支障がなかったということなわけです。この報告書にも書いてありますが、部品が二十一点線路上に落ちていたということもわかっているわけです。

 この結果を見ると、もっとこのときにJR西日本はこの問題を深刻に受けとめ、そして鉄道局もこの問題を深刻に受けとめて調査をきちんとしていたら、十二月の事故は防げていたんじゃないか。一月の段階で台車をもう一回全部チェックしていたら防げていたんじゃないか。そういうふうに思うわけです。実際どうかわかりませんけれども。

 ただ、この一月の時点の国交省の対応を聞くと、報告は受けたけれども、現地に行ってその台車がどうなっていたかとかいう確認もしなかったというわけです。私は、部品が二十一個も落ちているんだったら、やはり現地に行って確認をして、そして、運輸安全委員会にきちんと報告をする必要があった事例ではないかと思います。

 そこでまず伺いますけれども、一月二十五日のこの件、国交省の鉄道局は報告を受けたけれども、現地にも行かなかったし、運輸安全委員会にも報告もしていなかった。なぜですか。対応がまずかったと今振り返ってみると思いませんか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十九年の一月二十五日、JR西日本の山陽新幹線小倉駅と博多駅間を走行中の列車において、床下から異音を確認するとともに、運転席の故障表示が点灯したため、緊急停止するという事象が発生したところでございます。

 緊急停止後、車掌が降車して目視点検を行い、異音があった車両の駆動装置を使用しないための処置を施した上で博多駅まで移動いたしました。その後、床下点検を実施したところ、歯車装置の破損が発見されたところでございます。

 国土交通省は、事象の発生直後にJR西日本から速報を受け、状況を総合的に検討したところでございます。

 このケースにおいては、台車や車軸の大きな損傷はなかったことから、運転中における事故が発生するおそれがある事態、いわゆるインシデントではなく、列車の運休又は三十分以上の遅延が生じる輸送障害として取り扱っているところでございます。

 なお、そのために、運輸安全委員会による調査の対象ともされていないところでございます。

初鹿委員 運行に支障がないようなものだったという認識なんですけれども、さっき言ったように、現地に行って物を見ていないわけですから、私は、少なくとも、二十一個部品がおっこっているとかそういう報告があるなら、やはり見に行く必要があると思うんですよ。決して鉄道事業者を疑うわけではないけれども、やはり事業者の意識としては、できるだけ物事を小さく見せようという意識になるわけだから、単なる報告を真に受けるのではなくて、安全というのを第一に考えたら、台車が壊れて、しかも自走できなくなっているという状況なわけだから、やはり見に行く必要が私はあったんじゃないかと思いますよ。

 今の答えだと、では十二月のインシデントも、名古屋駅じゃなくて博多駅でとまって、そこで台車を取りかえて車両基地に持っていっていたら同じようになっちゃうんじゃないんですかという指摘をせざるを得なくなるわけです。

 ですから、きちんとこれからは、仮に結果として大したことがないということになったとしても、やはり現地にきちんと確認をして状況を国交省としても把握をする、鉄道事業者の報告だけをうのみにしないということを徹底していただきたいと思いますが、いかがですか。

藤井政府参考人 鉄道の運行にかかわる障害、先ほど申し上げたように、運休をする、あるいはおくれる、そういったものもございますし、あるいは、先ほど申し上げたように、運転中における事故が発生するおそれがある、そういった事態に対するものというものもございます。

 私どもは、それぞれの状況に応じて適切な対応をとるということで今までもやっておりましたし、引き続きそういったことに対応してまいりたいと考えております。

初鹿委員 何か、はっきり現地をもう一回見に行きますと言わないところがちょっと疑問なんですけれども、私は、きちんと現地もちゃんと確認するように対応していただきたいということをお願いをさせていただきます。

 今回、台車に亀裂が入っていたということがわかったわけで、製造メーカーがきちんとした過程で製造していない、そういうおそれがあった。おそれがあるというか、そういうことが事実としてあったわけです。

 今後そういうこともないとも限らないわけでありますので、これからは、現在は十八カ月若しくは六十万キロ走行するごとに点検をするということですが、やはりちょっと点検の周期を見直してもっと早いスパンで点検するようにするとか、また、この台車の使用年数というのも、JR東海とJR西日本で、随分使っている台車の期間というのが違うらしいんですよ。東海は比較的早く回しているけれども、西日本はなるべく長く使おうとしている。この辺についても見直すとか、そもそも製造過程でこういう問題があったわけですから、例えば自動車とかはかなり厳しい基準があって製品として出荷されるわけですから、この台車についても、製造や出荷の段階で何らかの基準というんでしょうか、そういうものを設けてきちんとチェックをする体制をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 新幹線を含む車両の検査につきましては、国土交通省令等で定期検査の頻度あるいは検査の内容などについて定め、鉄道事業者はこれを遵守することとされております。

 具体的な台車の検査方法については通達で定められておりますが、各鉄道事業者がそれぞれの車両の台車構造の特性を考慮して、溶接部など大きな力がかかると想定される部分などを重点検査箇所に指定をし、当該箇所は基本的に探傷検査を行うということとされております。

 JR西日本における今回の台車亀裂の発生部位、これは今申し上げました重点検査箇所ではなく、目視による検査を行うとされていたところでありまして、これまでの検査において亀裂は発見されていなかった。そういったところに亀裂が起こったという状況にございます。

 国交省としましては、こういった事態を受けまして、本年二月に鉄道の輸送トラブルに関する対策のあり方検討会というものを設置をいたしました。その中で、台車の設計、製造、検査などに関する根本的な検証を行うとともに、台車枠の検査マニュアルの見直しなどについて検討を行っているところでございます。

 この検討の結果を踏まえて、台車の安全基準あるいは検査の周期、方法等について必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 ぜひお願いいたします。

 ですから、台車をつくっているメーカーに対する対策と、あとやはり、運行する事業者に対するきちんとした指導、この二つがあっての安全だと思いますので、両方を徹底するようにお願いをさせていただき、次の質問に移ります。

 次は、済みません、資料の一番最後のページの裏面の方、こちらの表の方を見ていただきたいんですが、昨年十二月の質疑のときに、十二月六日の質疑の際に、航空機の落下物の問題について質問をさせていただきました。

 非常に落下物が多くなっている、九月に大きなパネルが落ちたことを指摘をして、十二月は、どんな大きさのものが落ちたのかということを示させていただきましたが、そのとき、あきもと副大臣は、落下物ゼロを目指して頑張りますというそういう答弁をいただいているんですが、その後、この表にあるとおり、これは民間機だけじゃなくて米軍のヘリコプターも含めてなんですが、私の調べただけで、こんなに空からいろいろなものが落ちてきているんですよ。結構多いですよ。落下物ゼロを目指すと言っていながらも、この三カ月程度の間にこれだけ落ちているんです。

 民間機は上二つですけれども、落下物と部品脱落というのがあるということは先日説明したとおりで、落下物というのは、落ちたものがわかっているものが落下物で、部品脱落というのは、着陸したときに部品がなくなっているんだけれども、落ちた部品が発見されなかった場合が部品脱落ですので、実際にはもしかしたらもっと多いのかもしれないということですが、わかっただけでこれだけあります。十二月に質問して、その十二月だけでも部品脱落は二件あるんです。

 笑ってしまうと言っては不謹慎ですけれども、この四つ目の箱を見ていただきたいんですが、「自衛隊機からの部品脱落」のところに入れておりますが、一月十一日、政府専用機、これも部品が脱落をしていたということがわかったわけであります。政府専用機ですよ。当然、最も整備を慎重に行うべきものですよね。そういうものでもこうやって部品の脱落があっているということは、私は非常に深刻ではないかと思うんです。

 副大臣、落下物ゼロを目指すと言っておりましたけれども、やはり落下物はゼロにするのは非常に難しいんじゃないかと思いますが、まず最初にそこを、本当にゼロになると思っているのかということをお聞かせください。

あきもと副大臣 委員には昨年暮れもこの質問をいただきまして、私の方から、今御指摘いただきましたように、国交省としては落下物ゼロを目指すということを申し上げました。

 以来、この関係者、全てのステークホルダーの皆さんが集まっていただいて、対策会議を行い、三月二十六日に取りまとめをさせていただいて、今まさに落下物ゼロを目指した形が進行しているということで答弁させていただきたいと思います。

初鹿委員 なかなかはっきりゼロにはなるとも言えないけれども、ゼロにならないとは言えない立場だというのはよくわかります。

 ただ、その上で、今お話がありましたとおり、三月二十六日に、落下物防止等に係る総合対策推進会議で議論がされた結果、落下物対策の強化についての落下物対策総合パッケージというものが発表されました。

 私はこれを見て、非常に踏み込んだなというふうに評価させていただいております。というのは、今まで対象になっていなかった外国の航空会社もきちんと対象にしていって、厳しく対策をとっていこうというその姿勢は非常にいいことだと思いますし、重要だと思います。

 ただ、外国の航空会社ですから、我が国の航空会社のように十分に協力してくれるかどうかということがなかなか難しい面もあるんじゃないかと思いますが、まず、やはりきちんと航空会社に協力してもらうということが非常に重要だと思いますが、外国の航空会社に協力してもらうに当たってどのようなことを考えているのかということをお聞かせください。

あきもと副大臣 今委員から指摘をいただきましたように、この落下物防止等に係る総合対策会議におきまして落下物防止対策の強化策が取りまとめられたところでございまして、具体的には、未然防止策の徹底の観点から、落下物防止対策基準を今年度早期に策定し、今年度中に、本邦航空会社のみならず、日本に乗り入れる外国航空会社にも適用させ、航空法に基づき提出する事業計画に関連づけさせることで実効性を担保してまいりたいと思っております。

 この対策基準は世界に類を見ないことであることから、基準の策定と並行して、規制の対象となる外国航空会社はもちろんのこと、外国航空会社の指導監督を行う外国航空当局等に対しても、さまざまな機会やチャンネルを通じて十分な情報提供及び協力要請を行ってまいりたいと思っております。

初鹿委員 ぜひその点は徹底していただきたいと思います。

 このいただいた国交省の資料を見ると、かなり具体的に、パネルのここの部分はこういうふうにヒンジをかえましょうとか、そういうことを書いてあるんです。実際に落ちたケースをとって、この場合はこういうふうにかえたら改善ができますよということを書いてあるんですが、いずれにしても、落ちた後、こういうふうにすれば対策がとれますよということなので、落ちた後の話なんですよ。ですから、やはり落ちることがある程度前提になっての対策にならざるを得ないということはまず指摘をさせていただいて、十二月から質問をしているとおり、私は、今検討が進んでいる羽田の新ルートで都心部を通過するルートは、やはりやめた方がいいんじゃないかということを改めて申し上げさせていただきます。

 その上で、今、住民説明会が行われておりまして、私の地元の江戸川区も一部ルートが変更をして、今までのルートから新しいルートになって、私の江戸川区の場合は、本数が減るので比較的よくなるなという方もいるし、逆に新たに加わるところは騒音が多くなって、いやそれは大変だというところもあって微妙な地域ではあるんですけれども、そういうところですが、説明会が行われております。

 私の事務所から全部の説明会に秘書が行って話を聞いてきたんです。落下物のことをちゃんと住民説明会でもきちんと説明してくださいということを伝えていたんですが、出席した秘書からの報告によると、何かさらっと説明していて、一メートルのものが実際に落ちたことが九月にありましたよとか、そういう説明はほとんどなかったというお話なんです。

 十二月の副大臣の答弁は、「あらゆる機会を通じて情報提供するとともに、十一月から開催している住民説明会においても丁寧な情報提供を行っているところであります。」と答えているんですが、口調は丁寧に説明しているんでしょうけれども、肝心な、こういう落下物が実際に落ちていますよとかそういう情報が提供されていないのは、やはりいささか疑問に感じるわけです。

 その説明会の際に住民の側から幾つか質問が出るんですよ。そうすると、それについては今答えられませんと言って答えずに終わっているものが結構あったというんです。そのことを考えると、一回説明会をやって終わりにするのではなくて、質問に答えていない回答を改めて返す機会はやはりつくらないといけないと思います。

 それと落下物については、実際にこういうものが落ちているということと、今私が示したこの資料のように、この数カ月の間でもこれだけ部品が落ちていたり政府専用機でも部品が落ちているということはやはりきちんと情報提供するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

蝦名政府参考人 お答えいたします。

 羽田空港の機能強化につきましては、より多くの方々が参加でき、今、一人一人の御関心に丁寧に対応できるオープンハウス型の説明会を開催いたしまして、四巡にわたりまして、一万六千人を超える方々に御参加をいただいたところでございます。

 その中で更によりきめ細かい情報提供を行う必要がある場合には、関係自治体とも御相談の上、オープンハウス型の説明会を補完するものとして、コミュニティーミーティングなどの情報提供の場を設けてきております。

 御指摘をいただいておりました江戸川区におきましても、オープンハウス型説明会に加えてコミュニティーミーティングをこれまで開催をしてきておりまして、本年二月に五会場で開催したコミュニティーミーティングでは、落下物対策についてもかなり御質問をいただいておりまして、それについて丁寧な情報提供を行って、御質問に対しても回答をいたしております。

 今御指摘がございました江戸川区のコミュニティーミーティングの件だと思いますけれども、出発経路の運用実態に関する御質問がございまして、その場でお答えできない、あるいはデータがないというような場合には、後日御回答をさせていただくという対応も行っておりまして、先日御質問いただいたそのケースは、後日開催されました別会場でのコミュニティーミーティングにおきまして同じ方が御質問に来られたということで、資料を持っておりましたので、御回答をさせていただいたといった事例もございます。

 いずれにいたしましても、御質問をいただいたものにつきましても丁寧に回答をしていきたいと思っておりまして、今後もできる限り多くの方々から御理解いただけるように、関係自治体と御相談の上、引き続き丁寧に情報提供を行ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 住民に対する説明は丁寧に行っていただきたいのは当然なんですけれども、最初に戻りますけれども、一番最後の資料を見ていただきたいんですが、羽田空港から同心円で何キロというのをつけさせていただきました。

 成田空港で実際に落ちている部品の脱落などの、空港からどれぐらいの距離で落ちているのかというのを見ると、大体十キロから十五キロまでの間のところに集中するんです。海側に飛んでいくものを見ていただければわかるとおり、十五キロぐらいまでずっと海側なので、海に今まで飛んでいたときには、落ちていても部品が見つかっていないから、人の住んでいるところに落ちていないから大きな被害にはなっていないんですけれども、この都心に向かうルートを見ていただければわかるとおり、大体十五キロのところで新宿ぐらいになるんですかね。つまり、新宿から南ぐらい、渋谷とか通って港区、品川区、大田区というそのルートのところに落下物がたくさん実際に落ちているわけです。

 この事実を見ると、やはり私は、この都心ルートというのは断念するべきだと思います。

 確かに、ニーズが高くて、これからオリンピックもあって、羽田空港の便数をふやしたいという気持ちもわからないでもないですけれども、観光庁の長官も国際観光振興法のときに答弁していましたけれども、ゴールデンルート以外のところの観光資源も開発をしていって、ゴールデンルート以外にも観光客が行くようにしていきたいということであるわけですから、羽田空港以外の空港を活用するということもぜひ考えていただいて、この都心ルートは撤回をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 羽田空港は、現在、深夜早朝の時間帯を除き、発着枠を限界まで使っている状況にありまして、航空会社の乗り入れ要望に応えることができていない状況にございます。

 羽田空港については、今後も、訪日外国人旅行者の増加などによりさらなる需要の増加が見込まれることや、我が国の国際競争力の強化、東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催等の観点から、新たな飛行経路の導入等による発着枠の拡大が必要と考えております。

 一方で、羽田空港の新飛行経路下となる住民の方々などの落下物に対する不安の声に対応する必要があると考えておりまして、落下物防止対策基準の徹底など、関係者が一丸となりまして、落下物ゼロを目指して最大限取り組んでまいります。

 国土交通省といたしましては、こうした取組につきまして、今後とも丁寧な情報提供を行い、より多くの方々から羽田空港の機能強化について御理解をいただくよう努めてまいりたいと考えております。

初鹿委員 私は、事故が起こってからでは遅いと思いますので、いま一度再考するようにお願いをさせていただいて、民泊の質問、ちょっと残してしまいましたが、時間ですので終わらせていただきます。

西村委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党所属、無所属の会の福田昭夫でございます。

 きょうは一般質疑だというので、改めて、宇都宮市、芳賀町、宇都宮ライトレール株式会社が進めるLRT事業の問題点について指摘をして国交省の考えをただしてまいりますので、お答えをいただきたいと思います。先月三月二十日に工事施行の認可をしておりますので、きょうは、今まで答えられなかったことも全て答えていただくようお願いしたい、こう思っております。

 まず、前LRT整備室長のパワハラ事件の真意についてであります。

 一つ目は、市内業者からの市長へのメールの内容についてであります。

 資料の一をごらんいただきたいと思いますけれども、これは昨年の十二月二十一日、市内の業者から市長へのメールが送られた中身であります。

 途中省略しながら読みますけれども、先日、八階に仕事で伺ったところ、どなり声が聞こえたので、声の方を見てみるとLRTの課長が、室長がですね、若手の職員をどなり、書類を投げつけ、平手打ちしているようだった。非常に見苦しく、久しぶりにパワハラ、暴力の現場を目にした。このパワハラは、日常的に行われているのか。だとしたら宇都宮市はブラック企業である。このパワハラの件を同業者に話したところ、仕事を受注しても一年以上仕事をやらせてもらえないというのは有名な話とのことだった。この課長や委託業務のことを市長や人事課は把握していないのではないか。本当にLRTを進めたいならよくお考えになった方がよいと思う。

 こういうメールが届いたわけでありますけれども、この用地担当者はなぜ殴られたのか、国交省は御存じですか。

栗田政府参考人 まず、御通告がございましたので、必要な範囲で市に昨日も確認をさせていただいておりますけれども、市においては、殴られたという事実自体の認定は行われていないと思いますが、その背景について、今御指摘のそういうやりとりがあったその背景という部分については、私ども詳細には承知しておりません。

福田(昭)委員 これは、地権者の賛否の集計を用地担当者がやっているんです。その集計の一覧表を見てこの室長に、このとおりか、もっといいか悪いかという話を聞かれたんです。そのとき、その集計表よりもっと悪いですよと答えたら実は殴られたんですよ。

 二つ目でありますが、新聞記者の取材に対する前室長と職員の回答についてであります。

 資料の二をごらんいただきたいと思いますが、これは朝日新聞の栃木版に書かれた内容でございます。パワハラ行為を指摘したLRT整備室の前室長も殴られた職員も否定したとありますけれども、これが本当だと思いますか。いかがですか。

栗田政府参考人 宇都宮市に確認しましたところ、平成三十年三月六日に宇都宮市の行政経営部の人事課が、今御指摘の案件につきましての、「当事者二名を含む五名に対してヒアリングを実施した結果、その全員により、暴言、恫喝、暴力等の事実の一切が否定された。」「このことから、一部の新聞報道等で」、今御指摘の新聞報道だと思いますが、「疑いを持たれている、職員による暴力行為の事実は無かったと判断する。」と結論を出したというように承知しております。

 この三月六日の調査の件につきましては、宇都宮市への情報公開請求に応じまして三月二十八日に公開されていると承知しております。

 その調査の中身の認識について、現在も変更がないということを昨日も確認したところでございます。

福田(昭)委員 あのね局長、市長にメールを送ったこの業者がにせメールを送ったと思いますか。いいですか、この業者、もしこんなうそのメールを市長へ送ったら、市役所の仕事を二度と受け取れなくなりますよ。この市の業者、何か市から処分されましたか。業者がうそのメールを送ったとはとても考えられません。自分の仕事をとれなくなっちゃいますよ、うそのメールを送っていたら。どうですか局長。

栗田政府参考人 うそのメール云々ということについては、なかなか私、答弁の中でコメントを申し上げにくいのでございますが、暴力事件の真偽ということにつきましては、宇都宮市内の人事課によります調査により先ほど申し上げた結論があり、それが情報公開請求により公開されているということでございます。

福田(昭)委員 いいですか局長、三つ目、暴力事件の真偽についてですけれども、業者がうそのメールを送ったとは全く思えません。この新聞記事で職員も否定したと書いてありますが、この取材をしたときにどういう形で取材ができたか。殴った室長が目の前にいて記者の取材に応じざるを得なかった。市役所が認めなかった、単独での取材。ですから、殴られた室長が目の前にいて、そんなことを、殴られましたと言えますか。上司がいるんですからね。そんな状態での記事なんですよ、実は。ですから、とんでもない話なんですよ。

 しかも、頑張ってくれよと肩をたたいたという形でこの暴力事件は、実は市役所の中で処理されちゃっているんですよ。怖いですよ。ですから、これを何と評価したらいいのか。

 今回、国有地を八億円も不当に値引きした森友事件、これは、財務省が公文書の改ざんをしたと認めました。しかし、今回の宇都宮市の場合は、暴力事件があったことを隠蔽してなかったことにしちゃったんです。これはまさに、公文書の改ざんどころか、逆に捏造ですよ。大変なことですよ。

 ですから、真偽のほどを明らかにしないとこれはとんでもない話になる。もしかすると刑事事件になっちゃうかもしれない。こういう話なんですよ。

 ですから、宇都宮市の報告をずっと国土交通省は全てうのみにしてやってきておりますけれども、とんでもない話だということを指摘しておきたいと思います。

 そして四つ目ですけれども、その前室長でありますが、四月一日付で、新しくできた部次長へ昇格しちゃったんです。何だか森友と似ていますね。実際に値引きした当時の迫田理財局長は国税庁長官に、そして、全く文書は廃棄しました、価格の交渉も受けていませんと国会で一年にわたって答弁してきた佐川理財局長も国税庁長官、昇格をしてしまった。

 ですから、この暴力事件と、公文書の捏造があったのかどうか。やはり確かめてみないと、このLRT事業、スムーズに進みませんよ。そう思いませんか、局長。

栗田政府参考人 お尋ねが、宇都宮市役所という独立の地方公共団体の内部関係、人事管理関係、業務関係についてのお尋ねでございますので、私が責任を持って答弁できる範囲は大変限られておると思います。

 先ほどもその真偽につきまして答弁申し上げましたが、三月六日に宇都宮市の人事当局が行った調査によりまして「暴力行為の事実は無かったと判断する。」と結論を出され、情報公開請求に応じまして三月二十八日にその旨公開されており、その認識について現在も変わりがないということは、昨日御通告がございましたので、宇都宮市の当局に確認をさせていただいたところでございます。

福田(昭)委員 用地室の人間がこれで萎縮をすることになったら、地権者との交渉もうまくいかなくなりますよ。ですから、何としてもやりたいんでしょうけれども、それこそ職員の士気が下がる。そうなったら、うまくいくはずがなくなっていきますよ。

 こんな状態でありますので、石井大臣、間もなく参議院の方へ行くというので、こうした話について大臣はどんな感想を持たれるか、お聞きしたいと思います。

石井国務大臣 委員御指摘の件につきましては、宇都宮市役所内の職員管理に関する案件でありますので、宇都宮市が適切に対応すべきものであります。

 国土交通省としてのコメントは差し控えたいと思います。

福田(昭)委員 大臣の言われるとおりですが、しかし、日本初のLRTの新設事業ですよ。これがうまくいくかどうかは、うまくいくかまずくなっちゃうか、それは大事な関心事なんじゃないですか、国土交通省でも。ですから、これはやはり慎重な対応が必要だと思いますよ。

 そこで、もう大臣は結構ですけれども、次に、信憑性のない需要予測の情報開示についてであります。

 これは三つまとめて伺いますけれども、平日の利用者が一万六千三百十八人、その積算の根拠、そのうち市民が八割を占めるという積算の根拠及び休日の利用者が五千六百四十八人の積算の根拠、それぞれ今まで宇都宮市役所は全く開示をいたしておりませんが、ぜひこれを国土交通省の方でやはり開示すべきだと思いますが、いかがですか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 需要予測の算出根拠を対外的に示すか否かについては、実施主体である宇都宮市において判断されるべき事柄であると考えております。

 なお、宇都宮市に確認をしたところ、需要予測について、予測手法の概要あるいは前提条件となる人口推計の方法などの情報開示を行っていると聞いているところでございます。

福田(昭)委員 局長、それはだめでしょう。だって、宇都宮市が市民の皆さんの要求に基づいて開示していないんですよ。

 皆さんは何と指導しているんですか。丁寧な説明を市民にしなさいと何度も言っているんでしょう。丁寧な説明の中に積算の根拠を開示することは入っていないんですか。どうなんですか。

藤井政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、宇都宮市に確認をしたところ、需要予測については、予測手法の概要、前提条件となる人口の推計の方法などの情報開示を行っていると聞いております。

福田(昭)委員 よく皆さんが言われるパーソントリップでやったのを見ても、通勤通学者が九割で、市民は一割ですよ。何で宇都宮市民が八割乗るんですか。こういうでたらめな積算はだめですよ。

 廃止に追い込まれた、愛知県と小牧市が第三セクターで運営してきた新交通システム桃花台線も、需要予測が見事に外れて、今は、六・七キロメートルで百億円かかると言われる撤去工事に追われているそうです。

 宇都宮市もそうなる可能性が非常に高いと思うんですが、そんなことは全く考えていないんですか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、宇都宮市が行った需要予測について、その手法、前提条件の妥当性の確認を行っております。

 その結果、宇都宮市が需要予測対象圏域の市民の動きを把握するために生活行動実態調査を実施していること、その調査の結果をもとに、鉄軌道の需要予測における一般的な手法である四段階推計法を用いて需要予測を行っていること、さらに、将来の人口見通し等について特段不合理な点は見受けられないことなどから、本件の需要予測については妥当であるものと判断をしたところでございます。

福田(昭)委員 藤井局長、二月二十六日の予算委員会の第八分科会でもそのような答えをいたしました。

 妥当だと言うのなら、積算の根拠を公にしたらいいじゃないですか。何も公にしない理由はないじゃないですか。どうなんですか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、需要予測の算出根拠を対外的に示すか否かについては、実施主体である宇都宮市において判断されるべきことであると考えております。

福田(昭)委員 それでは丁寧な説明にならないんじゃないですか。まあいいでしょう。

 次に、市民の理解と合意を得る努力についてであります。

 一つ目は、市のまちづくり基本条例に基づく住民投票の実施についてであります。宇都宮市は、どの市にも負けないような立派なまちづくり基本条例を持っています。その中で、重要な案件については住民投票にかけることができる、こう書いてあります。しかも、日本初のLRTの新設事業で多額の税金を投入するのに、住民投票の提案を三度も拒否をいたしました。議会に否決をさせました。

 そして二つ目。二〇一六年九月の国土交通省運輸審議会の、要望への対応についてであります。

 資料の三と四は、特に地権者の反対が多い陽東地区と平石中央小学校の北の部分のところの図面であります。なぜこの地域の地権者の反対が多いのか。これはわかりますか。それから第二点、平石中央小付近を含めた沿線の安全対策に万全を期すことへの対応について。これは、運輸審議会から指摘された主な二点であります。

 今、宇都宮市においては地区説明会をやったそうでありますが、二月十六日の夜、平石地区の説明会で、合意形成がなされていない状況で平石中央小周辺の工事に入ってはならない、地元自治会の役員が説明会の冒頭、市にくぎを刺した。小学校近くの地権者は、事前協議を再三求めているのに市は応じない。残念だが、四年後にLRTはここを走らないと発言、語り終えると周囲から拍手が湧き上がったと報道されておりますが、これでも丁寧な説明をしてきたという市の報告を信じているんですか。

 それから三番目。二〇一六年十一月二十日の宇都宮市長選挙の出口調査の結果の賛否についてであります。NHKは、賛成三八%、反対六二%、下野新聞は、賛成三五%、反対五四%でした。佐藤市長に投票した人の中にもLRT反対者がたくさんいたということであります。

 そして四つ目。二〇一七年五月から二〇一八年三月までのシール投票結果の賛否、これはLRT問題連絡会議が実施しましたが、投票総数二千七百九十六名、賛成四百九十七名、一七・八%、反対千九百十九名、六八・六%でした。

 こうしたことを踏まえても、市民の合意が得られていると考えていますか、国土交通省は。どうですか。

栗田政府参考人 何点か御指摘がございました。

 まず、今の御質問の前半部分で、条例に基づく住民投票についてのお尋ねがございました。宇都宮市では自治基本条例が制定されておりまして、その中で、特に重要な事項について必要があると認められるときは、事案ごとにということでございますが、宇都宮市におけるLRTの導入に関する住民投票条例の制定については、市議会で、平成二十六年一月、平成二十七年三月、平成二十七年九月の三回審議されておりますが、いずれも条例制定が否決され、住民投票に至らなかったと承知してきておるところでございます。

 出口投票につきまして、先ほど、市長選挙に際しましての出口調査につきまして御紹介がございました。

 宇都宮市におかれましては、その後も、理解いただけるように、地区別説明会、常設型オープンハウスの設置、その他の取組を通じて、市民理解の着実な広がりに向けて努力をされているというように伺っております。

 国土交通省としましても、地方公共団体が事業を進める際には住民の理解促進に向けた取組が大事であると認識しておりまして、宇都宮のLRTにつきましても、引き続き、市民への丁寧な説明に取り組み、理解促進に努めていただきたいと考えております。

 LRT問題連絡会実施のシール投票につきましても、先ほど言及がございました。そのことにつきましては、通告がございましたので、昨日、市には確認し、事実について承知しておりますが、その詳細な内容については承知しておりません。

福田(昭)委員 あのね局長、これは地元の下野新聞が三月二十三日から連載で、このLRTが本当にできるかどうかというのを報道しています。

 先ほど申し上げたのは、宇都宮市が沿線五地区でやった説明会の一番最後にやったのが、二月十六日、反対の多い平石地区です。平石地区で、先ほど申し上げたように、合意形成がなされていない状況で平石中央小周辺の工事に入ってはならないと、自治会の役員が、まず説明会の冒頭、強くくぎを刺した。そして、小学校近くの地権者の男性がマイクを握ると、更に空気は張り詰めた。事前協議を再三求めているのに市は応じない。残念だが、市が開業を目標としている四年後にLRTはここを走らない。語り終えると周囲から拍手が湧き起こった。「市と一部の地権者の間になお横たわる深い溝が垣間見えた瞬間だった。」こう報道しております。

 そして、地元の新聞が社説で何と書いているか。「事業を進める上で欠かせないのが市民の理解と協力だ。市には、これまで以上に事業についての説明と情報開示の徹底に努めてもらいたい。」

 先ほど申し上げたように、積算の根拠、一万六千三百十八人、本当に乗るのか乗らないかわからない。先ほど申し上げたけれども、桃花台交通も、まず積算した乗客、半数以下しか乗らなくて、とうとう十六年で廃線に追い込まれた。この宇都宮市も同じだと思いますよ。

 ですから、きちっと積算の根拠を、そんなに妥当性に欠けることはないと言うんだったら明らかにしたらいいじゃないですか。市役所が明らかにしない。ですから、市民の理解はいつになっても深まらない。

 さらには、それこそ、LRTには反対じゃない、だけれども、子供たちのことを考えたら平石小学校の後ろは高架にしてくれ、あるいは路線を変えてくれ、こう言っている人たちの意見も全く聞かない。だからその人たちでさえ反対になっちゃったんだ。こんな状況でLRTができるわけないじゃないですか。

 そこで、時間が来ましたので次に五番目を聞きますけれども、宇都宮市では毎年実施しているんですよ、市民の意識調査、世論調査。佐藤市長は、就任以来十三年、一度も聞いていないんですよ、この世論調査の中で。LRTにあなたは賛成ですか反対ですかということを一度も十三年聞いていないんですよ。これでどうして市民の理解が深まるんですか。どうなんですか。

栗田政府参考人 いただいている御質問の多くが、先ほども申し上げましたが、独立した地方公共団体である宇都宮市、また、それは今回のLRT事業の事業主体でもあるわけですけれども、そこが責任を持って判断すべき事項でありますので、私の答弁が限られた範囲でしかできないことは申し上げたいと思いますが、世論調査……(福田(昭)委員「局長いいよ、局長いいよ、座りなさい、座りなさい」と呼ぶ)(発言する者あり)

福田(昭)委員 だって、宇都宮市のことだから答えられないと言うんでしょう。じゃあいいですよ。

 それから、次に四番目。工事施行に当たっての問題点についてであります。

 一つ目は、LRT事業の強制執行の可否についてであります。

 LRT事業は国家の存亡にかかわる事業ではありませんし、あくまでも申請事業であります。しかも、申請者は、宇都宮市、芳賀町と第三セクターの宇都宮ライトレール株式会社という民間企業であります。したがって、地権者が同意しないからといって強制執行はできないのではないかと思いますけれども、法的な根拠も示してお答えいただきたいと思います。

栗田政府参考人 制度に関してのお尋ねでございます。

 都市計画法の規定では、都市計画事業については土地収用法の規定を適用するとされております。今の強制執行というのは、恐らく収用法、収用適格についてのお尋ねだと思います。

 具体的には、都市計画事業認可をもって土地収用法の事業認定にかえるものとし、また、都市計画事業認可の告示をもって土地収用法の事業の認定の告示とみなすというようにされております。

 本LRTに関する都市計画事業については、平成三十年三月二十二日に、栃木県知事から、インフラ部分の整備主体である宇都宮市と芳賀町に対しまして認可がされておりまして、同日に栃木県の公報において告示がされております。そのため、都市計画事業認可を受けた事業主体である宇都宮市と芳賀町が必要と判断した場合には、土地収用の手続を行うことが制度的に可能となっております。

 ただ、実際に土地の収用を行うかどうか、そういう手続に入るかどうか、これまた、事業主体である市等の判断になるということでございます。

 都市計画事業においては、事業主体が関係者の理解と協力を得ながら事業を進めることが重要であると考えておりまして、これまでも、事業主体である市、町に対しては、その旨、我々伝えてきたところでございます。

福田(昭)委員 これは上下分離方式ですから、宇都宮市と芳賀町と宇都宮ライトレール株式会社に認可がおりているわけですよ。民間企業もそこへ入ってやれるんですか。

栗田政府参考人 強制力というお尋ねですので、私は、それは土地収用法に基づく強制力というように理解して、先ほど制度関係を申し上げました。

 土地収用法の規定を準用する都市計画法の規定によりまして都市計画事業認可を三月二十二日に県知事から受けましたのは、宇都宮市と芳賀町でございます。そういう地方公共団体でございます。

福田(昭)委員 認可を受けたのは宇都宮市と芳賀町だけれども、事業を行うのは、宇都宮ライトレール株式会社が一体でないとできないんじゃないんですか。

栗田政府参考人 強制力ということに関連しまして御答弁を申し上げておりますけれども、都市計画事業認可を受けた主体は宇都宮市と芳賀町でございます。

 それから、三月二十日に軌道法によります工事施行認可を受けた主体は、これは宇都宮市、芳賀町、宇都宮ライトレール株式会社ということでありますけれども、強制力ということに関しますと、土地収用法に関連してということでございます。その手続は、宇都宮市、芳賀町に対しましての事業認可がされているということでございます。

福田(昭)委員 これも上下分離方式のまやかしで、図面にあるように、軌道工事施行認可申請書添付図面にあるように、宇都宮市、芳賀町、宇都宮ライトレール株式会社、三者で申請しているわけですよ。それに工事施行認可がおりているわけですよ。民間企業が入っているものが強制執行などできないじゃないですか。

 これはまた後でしっかりやるにして、二つ目でありますけれども、工事着手前に全地権者の施工同意を得ることについてであります。

 このままでは、それこそ強制執行しなければ私は実現できない、こういうふうに考えておりますが、したがって、工事着手前に少なくとも全地権者の施工同意、これをとらせるべきじゃないですか。そういう指導が必要だと思いますが、いかがですか。

栗田政府参考人 都市計画事業につきまして、事業主体が関係者の理解と協力を得ながら事業を進めるということは重要であるというように考えております。

 本LRT事業につきましては、都市計画法に定めます住民意見の反映に係る手続に加えまして、都市計画の決定前に、LRTのルート、事業の必要性、効果等につきまして、あるいは都市計画の決定後に、事業の具体的な進め方等につきまして住民へ御説明をされているということで、平成二十六年度から平成二十九年度に、沿線地域ごとの任意の説明会等を延べ四十九回行っておられるというように承知しておるところでございます。

 引き続き、市、町におかれまして、関係者の理解と協力を得ながら事業が進められるよう、理解促進に努めていただきたいと考えております。

福田(昭)委員 局長、あなたは宇都宮市が主体者だという話ですが、国の税金が半分行くんじゃないですか。四百五十八億円のうち、国が国税を半分出すんですよ。こういう事業に対して、宇都宮市の責任だ責任だということで全く責任を感じていないようだけれども、それはおかしいですよ。税金の無駄遣いにつながる話だ、これは。

 だって、いいですか、工事施行認可書によれば、着手期限は平成三十年の六月三十日まで、竣工期限が平成三十四年の三月三十一日まで、こうなっております。少なくとも六月三十日までは着手期限がある。この間、やはり宇都宮市と芳賀町と宇都宮ライトレール株式会社に、全地権者の施工同意を得る努力をさせるべきじゃないですか。

 宇都宮市長は何か報道によると、連休明けには着手したいとこう言っているようでありますが、しかし、今着手すると、やりやすいところからやって、地権者が反対しているところだけ残る。そうなったら、地権者に圧力をかけて、それこそ強制執行でもして実現する、こういうことになってしまいますよ。そんなことでいいんですか。

栗田政府参考人 若干先ほどの答弁と重複するところがございますが、都市計画事業におきましては、事業主体が関係者の理解と協力を得ながら事業を進めることが重要と考えております。

 本LRT事業につきましても、関係者の理解と協力が得られるよう、事業主体である宇都宮市と芳賀町において、引き続きできるだけの努力がなされるものというように考えております。

福田(昭)委員 前にも指摘しましたけれども、ドイツの都市計画事業というのは、都市計画道路を一本通すにしても、まず事前に徹底的に地域の人と、地権者と議論して、それから路線を決めて入る。だから、実際決まったときには反対者はいなくなる。日本は逆なんですよ。先に決めちゃって話をするから反対者がいっぱい出てくる。

 こういう都市計画のやり方、日本も改めませんか。ドイツのように、ちゃんと民主主義が実現できるような都市計画にしようじゃありませんか。私は、そういう改善をする、都市計画のあり方の見直しをちゃんとして、ドイツのように、いざ始まるときには反対者が出ない、そういうような都市計画事業にするようにぜひ改善すべきだと思います。

 そろそろ時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、本当に地権者の皆さんの理解は進んでいないんですよ、特に反対をしている人たち。それは、自分の土地が、農地を安く買って、数千万で買って数億円に売れる、それは不動産業者はいいですよ。絶対売りたいですよ。

 そんなLRT事業なんですから、そこをしっかり慎重にやられることをお勧めをして、私の質問を終わります。

 以上です。

西村委員長 次に、中村裕之君。

中村(裕)委員 自由民主党の中村裕之です。

 質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げまして、国政に関する話題について御質問をさせていただきます。

 まず、G20サミットの来年の開催についてであります。

 首脳会議は大阪で、そして、合わせて八つの関係閣僚会議が国内で開かれることが公表されました。例えば、外務大臣会合は愛知県、財務大臣会合は福岡県福岡市、保健大臣会合は岡山市というようなことが公表されたところでありますけれども、石井大臣が所管をする観光担当大臣会合は、私の地元倶知安町に開催が決まりました。本当に地元は喜びに沸いているところでありまして、石井大臣におかれましては、大変御理解と御支援をいただいたことと思います。心から感謝を申し上げます。

 そこで伺いますけれども、人口一万五千人の町、倶知安町のどのような点が評価をされ、また、開催地に決まったと考えていらっしゃるのか。大臣の所見を伺いたいと思います。

 大臣、質問、よろしいですか。もう一回やりますけれども、人口一万五千人の倶知安町のどのような点が評価をされ開催地になったとお考えでしょうか。その決め手について大臣の所見を伺いたいと思います。

石井国務大臣 G20観光大臣会合の開催地につきましては、四月二日の官房長官会見において、北海道倶知安町と発表されたところであります。

 倶知安町は、羊蹄山などの雄大な自然や、多くのスキーヤーを魅了するパウダースノーなどの豊かな観光資源を擁しておりまして、これらを活用し、海外から多くの観光客を引きつける国際的なリゾート地として観光振興に積極的に取り組んでいると承知をしております。

 開催地の選定に当たりましては、こうした倶知安町の魅力や意欲的な取組など、さまざまな観点から総合的に検討されたものと理解をしているところであります。

中村(裕)委員 ありがとうございます。まさに国際観光の先進地になっていると思います。

 先般公表された地価上昇率についても、倶知安町が日本一になりました。これは、原動力となっているのは観光であります。ホテルなどの観光投資が積極的に行われ、その従業員の住宅などの必要性から土地の値段がどんどん上がっている、そういう状況であります。まさに、日本の先進地的な地域でこの観光大臣会合が開催をされるというふうに私は受けとめております。

 まさに、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの前年に、観光立国日本を世界に打ち出す意味でも大変この観光大臣会合には期待が高まっているというふうに思いますけれども、過去のG20観光大臣会合ではどのような議論がなされてきたのか。お伺いしたいと思います。

簗大臣政務官 お答えいたします。

 G20の観光大臣会合はこれまで七回開催されておりますが、それぞれの年のG20全体のテーマや、観光が世界経済、地域経済等に果たす役割の大きさ等を踏まえながら、観光振興による経済効果の活用や持続可能な開発などの観点から議論されていることと承知をいたしております。

 なお、本年も今月の半ばに第八回の会合がアルゼンチンで開催される予定となっておりまして、持続可能な開発における観光の役割や雇用を創出する観光が主要テーマとして取り上げられることと承知いたしております。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 開催地として全力で全面的に御協力をし、そして北海道の豊かな食でおもてなしをして、世界各国から訪れるVIPの方に満足していただけるように、地元としても一生懸命努力してまいることをお誓い申し上げます。

 倶知安町は、世界一のパウダースノーを求めて世界からスキーヤーが訪れるようになりました。しかし、住民生活にとってはこの雪の悩みが尽きないわけであります。この冬もとても寒い冬となって、北陸地方の大雪被害で、千五百台の渋滞、渋滞というか車が立ち往生をする。そして、首都圏でも大雪で大変混乱をする。また、北海道においても、幌加内町では積雪が三メートル二十四センチという、北海道記録を更新するなど、全国的に雪のニュースが聞かれた年になりました。

 こうした状況から、政府として予備費を活用して地方に交付をしたところでありますけれども、この措置は三年ぶりということであります。どのような基準でこの予備費を活用した措置が行われるのか。また、この予備費の拠出によって除雪費の国と地方の負担割合はどのようになるのか。お伺いしたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 この冬は、強い寒気が日本付近に断続的に流れ込んだことから、東日本から西日本にかけての日本海側を中心に、平年を上回る降雪となりました。

 このような状況を踏まえまして、市町村道の除雪費につきまして、三月二十三日に、過去最大の国費約百三十三億円を配分したところでございます。

 この臨時特例措置につきましては、全国的な降雪の状況を踏まえつつ、二月十六日から各自治体の降雪状況や除雪費の執行状況等を調査の上、対象とする自治体への支援を決定したところでございます。

 なお、国と市町村の負担の割合は二分の一ずつとなっております。

中村(裕)委員 北海道の自治体でも、この予備費を活用した臨時措置は大変喜ばれておりまして、過去最大の百三十三億ということでありますけれども、本当にありがたく思います。

 また、今はこの雪も大分解けてきまして、北海道でも大分春めいてまいりました。そうすると、凍結、融解を繰り返した路面がその影響で穴だらけになっているところがございまして、これは多分北海道だけではなくて、東北地方などでもそうしたニュースが聞かれていますけれども、安全走行に支障を来すような状況になっています。

 道路にたくさん穴があいたまま、なかなか補修をされないという苦情が年々ふえているところでありまして、こうした状況は改善していく必要があるというふうに思います。

 舗装、補修の今後の対応方針について伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 北海道や東北などの積雪寒冷地におきましては、降雪の凍結と融解が原因で路面の損傷が発生をしております。

 国などの道路管理者は、路面の局部的な損傷につきましては、日常の巡回等により状況を把握した上で、応急的な補修対策を実施しております。また、抜本的な対策につきましては、舗装の打ちかえなどを計画的に実施する必要がございます。

 道路の維持管理につきましては、例えば直轄国道では、維持修繕費の減少に伴い、舗装を始めサービス水準が十分に確保されていない状況でございました。

 その後、平成二十五年度の道路法改正によりまして、メンテナンスサイクルの確立に合わせ、まずは橋梁、トンネルの点検から開始し、舗装にも拡大するなど、長寿命化やライフサイクルコストの縮減などを図りつつ、計画的に舗装、修繕が行えるよう取り組んでいるところでございます。

 これらに基づきまして、国民の安全、安心の確保といった役割を担う道路の重要性に鑑み、今後とも必要な予算の確保に努めながら、道路ネットワークの適切な維持管理に取り組んでまいります。

中村(裕)委員 ありがとうございます。適切な道路補修管理に努めていただきたいと思います。

 道路は、ある意味、観光客にとっても真っ先に目につくところでありますので、インバウンドの皆さんにも恥ずかしくないように、また、安全性が確保できるように努めていただければと思います。

 次に、テーマをかえて、自動運転について伺います。

 先週末に開かれた未来投資会議では、自動運転の実用化に向けてルールづくりの方向性が示されたところでありますが、同時に、二〇二〇年の自動運転の目標が示されました。どのような目標とされたのか、お伺いしたいと思います。

八山政府参考人 お答えいたします。

 自動運転は、交通事故の減少や地域における公共交通網の維持などへの貢献の観点から、極めて重要と考えております。

 お尋ねの二〇二〇年における目標につきましては、官民ITS構想・ロードマップ二〇一七において、高速道路において何かあれば運転者が対応する条件での自動運転、レベル3の実現、及び限定地域における無人自動運転移動サービス、レベル4の実現を目指すこととしており、これらの実現に向けて関係府省庁一体となって取り組むこととしております。

中村(裕)委員 ありがとうございます。限定地域においてレベル4の自動運転を行うということが掲げられたわけであります。

 東京オリンピック・パラリンピックもショーケースとして意識をされているとは思いますけれども、ここで言う限定地域というのはどのような地域を想定していらっしゃるのか。お伺いします。

八山政府参考人 お答えいたします。

 官民ITS構想・ロードマップ二〇一七では、二〇二〇年までに限られた地域内で無人自動運転移動サービスを実用化することを目指しており、同ロードマップでは、限定地域のイメージとして、過疎地などの比較的交通量が少なく見通しがよいエリア、市街地であっても歩行者、二輪車などの突然の飛び出しが発生しにくいエリア、大学構内や航空施設内などであって比較的走行環境が単純なエリアなどを例示しております。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 限定地域でのレベル4の移動サービスでは、ロードマップにおいて交通弱者の解消というのが一つの目標に掲げられているところであります。

 今、過疎地ですとか飛び出しが少ないとか、そうした限定地域において自動運転での移動サービスを二〇二〇年に行っていくということが示されたわけですけれども、例えば北海道では、JR北海道が単独では維持困難な路線というのが今示されていて、この地域の公共交通をこれからどのようにしていくかということが大きなテーマとなっているわけであります。

 このJR北海道が維持困難とした地域というのは、今おっしゃったようにまさに過疎地であり、そして高齢化をしている地域であって、なかなかそう飛び出しなんかも多くはない。そして、比較的北海道は道路も幅員が広いですから、非常にこの限定地域にマッチした地域と考えられるわけであります。

 私は、JR北海道が維持困難としている地域でも、将来の公共交通の確保、そして交通弱者の解消を進める意味で、ぜひとも自動運転の実証実験を検討していただきたいというふうに思うわけでありますけれども、国土交通省の所見を伺いたいと思います。

高橋大臣政務官 お答え申し上げます。

 過疎地域を含む中山間地域では高齢化が進行しておりまして、日常生活における人流、物流の確保が喫緊の課題となっています。

 一方、道の駅につきましては、全国に設置された千百三十四カ所のうち、ほとんどが中山間地域に設置をされておりまして、物販を始め、診療所や行政窓口など、生活に必要なサービスも集積をしつつあります。

 こうした道の駅などの地域の拠点を核といたしまして、技術が進展している自動運転車両を活用することによって、地域生活を維持し、地方創生を果たしていくための路車連携の移動システムを構築することを目指しまして、昨年度、全国十三カ所において自動運転サービスの実証実験を実施いたしました。

 このうち、北海道大樹町の道の駅、コスモール大樹においては、昨年十二月に実証試験を行いまして、広域的な路線バスとの乗り継ぎの利便性の検証、積雪時の自動運転技術の検証等を行いました。短期間の実験ではありましたけれども、おおむね円滑な走行が確認できたところであります。

 今年度は、ビジネスモデルの構築のために、長期間の実験を中心に実施をする予定でありまして、二〇二〇年までの社会実装を目指し、内容を拡充しつつ推進をいたしまして、地域の特色を踏まえたビジネスモデルについて、官民連携で検討をしてまいります。

 具体的な実施箇所につきましては、昨年度の実証実験の結果、さらには委員の御指摘も踏まえまして、今後検討してまいりたいと思います。

 今後とも、道路の現場、技術と自動車の車両技術、制度を両方持つという我が国土交通省の強みを生かしまして、自動運転の早期実現に向けて、関係省庁とも連携をし、省を挙げまして取り組んでまいります。

中村(裕)委員 高橋政務官から大変前向きで力強い御答弁をいただき、感謝を申し上げます。

 過疎地における公共交通の維持というのは非常に重要な課題になっていて、なおかつ、それぞれの地域で、やはりドライバーが不足するとか、そうした状況も見られるわけでありまして、ぜひ省を挙げて、こうした地域の公共交通の確保、交通弱者の移動の確保に力をかしていただきたい。

 そして、JRが単独では維持困難な地域という、その路線の地域の状況を見ると、長距離大量輸送という鉄道特性に合った利用ではなくて、隣の町の病院や学校に通うという短距離の移動が結構実態として多いわけであります。

 こうしたところに自動運転が導入をされ、家の前まで迎えに来て病院まで送ってくれるというようなサービスがもし整えられたなら、またこれは公共交通の考え方も変わってくるのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

 一方、高速道路上の自動運転についても、先ほど目標として示されました。特にトラックドライバー不足に対応する上では、隊列走行に期待が高まっているところであります。

 三台のトラックが並んで、一台目だけにドライバーが乗っているというような状況になると、相当ドライバー不足に対して効果が発揮されると思うんですけれども、ただ、高速道路がつながっていないミッシングリンクというようなところがあると、その効果が半減をされてしまいます。

 こうしたミッシングリンクはもちろん解消しなければならないんですけれども、自動運転技術の技術開発のスピードに合わせて、こうした高速道路整備も追いついていかなければならないと私は考えております。

 生産性向上という我が国が直面する課題解決に向けて、自動運転時代を見据えた高速道路整備を加速すべきだというふうに考えますけれども、今後の高速道路整備に対する考え方、決意を伺いたいと思います。

高橋大臣政務官 高速道路のミッシングリンクの解消は、これによりまして広域的なネットワークが形成をされ、企業立地、観光交流が進むほか、リダンダンシーの確保により防災機能が強化されるという多様なストック効果が発揮されるなど、我が国の国際競争力の強化、地域の活性化や安全、安心の確保等を図る上で大変重要な施策であると思っています。

 こうした点を踏まえまして、例えば北海道におきましては、生活を支え、産業、観光の成長力、競争力の強化を図る基盤として、北海道横断自動車道等の整備を進めているところであります。

 道内では、例えば、平成二十六年度に、国道五号倶知安余市道路、共和―余市間で延長二十八キロメートル、さらに平成二十八年度には、国道五号倶知安余市道路、倶知安―共和間で延長十二キロメートルを新規事業化いたしたところでございます。

 今後とも、深刻なドライバー不足の進行に対応した車両の大型化や隊列走行など、生産性を高める技術の進捗を踏まえつつ、それらのベースとなります高速道路ネットワークが一日も早くつながることを目指して、地元の協力を得ながら、高速道路の整備を着実に進めてまいりたいと考えております。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 札幌から釧路まで高速道路がつながって、三百二十キロ、これをもし隊列走行で走れるようになると相当な省力化ができるんですけれども、一方、稚内に向かっては高速道路が途切れているところがあって、そうした効果が得られないということがございます。

 ぜひ、そうした自動運転の開発スピードとあわせて、高速道路がおくれないように整備を進めていただくことをお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

西村委員長 次に、工藤彰三君。

工藤委員 おはようございます。自由民主党、名古屋の工藤彰三でございます。

 地元の選挙区のネタを二つ、そしてあと二つ、時間がないですからさくさくと行きたいと思います。

 ちょうど一年前の四月五日に質問した名古屋の名古屋港ポートアイランドの件について、再確認をさせていただきたいと思って質問させていただきます。

 ポートアイランドは、航路のしゅんせつ土砂で、四十年間かけて名古屋港の中に巨大な人工島をつくってまいりました。大きな砂の塊でありますけれども、土砂処分場としての機能がもう限界に来ているということで、前回質問したのは、これからこの巨大な島をどのように活用するのか。そして、ちょうど去年の四月五日に質問したときには、これから、十年パブリックコメントが出ていないので、これを出していただきたいということを地元に要請していくので、そのときには国土交通はどのように応対していただくのかということで、しっかりサポートしていただくという話が出ました。

 まさにそれから一年たちまして、皆さんにはお配りしていないんですけれども、ちょうど先週、名古屋港ポートアイランド将来に向けた提言というものがこのようにしっかり出てまいりまして、これから十年、十五年に向けて、名古屋港のポートアイランドをどのように活用するのかという問題をこれから進めていきたいと思います。

 この提言では、ポートアイランドを物流の拠点にするのか、新エネルギーの拠点にするのか、そしてまた、観光がちょっと乏しいと言われている名古屋のアミューズメント、観光拠点として、それぞれ利用する将来像が描かれております。最終的に港湾管理者が、このような提言も参考にしながら利用を定めると認識しているわけであります。

 ただし、ここにまだ問題がございまして、このポートアイランド、面積は東京ドーム五十五個分、二百八十八ヘクタール、今ふえておりますので三百近くになっていると思うんですが、現在はしゅんせつ事業が進行しているということがあって、実際は陸地なんですが、法律上はこの部分はまだ海面なんです。高さ二十メーターあるこの巨大な砂の島は、実際まだ投棄場、投棄というか、国の中では海面。この広大な土地の利用方法や帰属先は今後の検討課題となっています。

 本日は、このあたりについて、国の関与の必要性についてお尋ねしたいと思いますので、この辺のことをお尋ねしたいのと、また、このポートアイランドの帰属の問題でありますけれども、例えば東京湾にもこのようなことで問題がありまして、東京湾の中央防波堤の埋立地の帰属をめぐっては、大田区が、東京都の調停案を不服として、江東区を相手に境界の画定を求めて提訴する事態も今はなっているわけでありまして、この帰属の問題、これから大変な問題になってくると思います。

 簡単に言うと、この島を手に入れたいといっても、開発には非常にお金がかかる。近隣には、金魚で有名な、西側には弥富市、そして日本で一番産業で裕福と言われております飛島村、そして私たちのこの名古屋市、東側には東海市、知多市などがあります。このような多くの自治体がどのようにこの島を帰属にするのか。それとも、国がしっかりと関与して指導していただけるのか。

 これは土地の問題で、私が勝手にどこどこにすべきと言うと大問題になりますからそんなことは申しませんが、そのようなことを、政府はどのように帰属のことに対して今の段階で考え方があるのか。まずお聞かせ願いたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 名古屋港のポートアイランド地区につきましては、現在、名古屋港の港湾計画におきまして、将来の開発空間として留保するということとされておりまして、具体的な土地利用計画が定められておらないという状況になっております。

 委員御指摘のとおり、昨年七月に、名古屋商工会議所を中心といたしまして、名古屋港の主な利用企業が参画をする名古屋港ポートアイランド将来利用検討会議が設置をされまして、本年三月二十八日に、将来利用に向けた提言が取りまとめられたというふうに承知をしてございます。

 国土交通省といたしましては、この検討会議にオブザーバーとして参画をしてきたところでございます。その観点で、今、帰属の観点をお話をされたと思いますが、基本的には、関係する自治体において適切に検討がなされるべき問題であるというふうに考えております。

工藤委員 ありがとうございました。なかなかこれは大変な問題に発展すると思いますので、こちらもしっかりと調整していきたい。

 そして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックもありますけれども、大抵の方、国会議員の方、存じ上げないと思うんですけれども、二〇二六年には名古屋で三十六年ぶりのアジア大会が開催されます。その拠点になってくるのが私の選挙区であります愛知四区、この名古屋港を中心に、陸上競技場、そして今、競馬場を選手村に変えるとか、クルーズ船を選手村にするとか、さまざまな提案が出てくるところでありますので、ぜひとも、そのあたりをきちっと捉えながら考えていきたいと思いますので、バックアップの方もまたよろしくお願いしたいと思います。

 また、続きまして質問に移りますが、この名古屋港を中心に、堀川という川と、そして、過去には、名古屋が栄えて一番の中心になった運河がありました。中川運河という運河がありまして、名古屋駅南側の笹島からずっと名古屋港までつないで、この運河、当時は東洋一と言われておりました。昭和九年に名古屋市が人口百万人に達したときに、ここから運河は更に発展しながら進んできたわけですが、今は船じゃなくて陸送に変わってまいりましたので、この運河をどのように活用するのか。

 そして、先ほど中村議員が質問されました、北海道に行けば小樽運河、そして横浜に行けば、今みなとみらい、そしてさまざまなところで、運河というと、いろいろな観光の方々が、お客さんが国内外からやってくる。

 すばらしいな、うらやましいなと思って私は見ておりまして、先週、週末に花見の間に時間をとりまして、運河を南から北へ、そして護岸を渡って反対側から二時間かけて見てまいりましたけれども、要は、名古屋というところは、よくある特性なんですけれども、都市計画が結構ばらばらなので、倉庫もあれば、トラックの駐車場もあれば、そして粉じんが舞うようなところもあれば、その横にカフェがあったりする。

 要は、住んでいる人は納得しますけれども、一般のお客さんが来ると、何だよここはというのは、実際、名古屋のこの中川運河でありますので、これも、地域の方々とか、これから産業を発展したい、そして商業、商売をここでしたいという方からもコメントをとりながらしてまいりました。

 私がどうしたらいいと言ったら、工藤さん、要は、運河というのは橋と橋が間がある。ゾーン別にして、商業地域、工業地域、そしてアミューズメント地域、これを別々にするべきだ。こんなばらばらなことをやってちゃ、やっぱりお客さんは来ないよという提言もいただいておりましたので、この中川運河のことについて今後やはりいろいろな面でまた国が関与していただきたいな、そんなふうに思っておりますので、そのあたりのところを質問させていただきます。考えをお聞かせください。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 中川運河は、名古屋港と旧国鉄笹島貨物駅とを結ぶ運河として昭和五年に開通をいたしまして、工業都市としての名古屋市の経済発展に大きな貢献をしてまいりました。

 昭和三十九年に貨物輸送のピークを迎えて以降、貨物船の往来が減少してまいりましたが、近年では、人々のにぎわい、あるいは交流空間としての再生に向けまして、水上交通に活用するための取組であるとか、あるいは、運河沿いのカフェレストランの運営などへ民間事業者を進出する取組、こうした取組を、名古屋市及び名古屋港管理組合によって進められているというふうに認識をしてございます。

 こうした中、国土交通省におきましては、現在、社会資本整備総合交付金によりまして、老朽化した護岸の改修であるとか緑地の整備、あるいは水質浄化施設の改修など、名古屋港管理組合による中川運河の再生の取組を支援をしておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、名古屋港管理組合としっかり連携を図りながら、中川運河の再生に向けた支援について行ってまいりたいというふうに考えております。

工藤委員 局長、ありがとうございました。

 本当に地元の話で申しわけないんですけれども、東京ですと浜松町からモノレールが羽田まで走っています。そこに天王洲アイルがあったり、先ほどの小樽があったり、横浜みなとみらい、都市計画がしっかりしております。うらやましいなと思っておりますので、私も、この地元中の地元を、しっかりお客が呼べるような、そんなまちづくりにしたいと考えております。

 今退席されておりますが、週末に高橋政務官が名古屋港に視察に見えるわけでありますので、当然ながら、この中川運河もしっかりと見ていただいて、船にも乗っていただいて、ただ、問題なのは、皆さんわからないと思いますけれども、運河はまだにおいがあるんです、流れがないものですから。名古屋駅前のささしまライブ地区の方は、高度浄水処理をされていますから水はまあまあきれいで濁っておりませんが、下流に来るとまだまだ、これから暑くなってくるとにおいが出るというところがありますので、そういうところの改善も含めて国からの指導をよろしくお願いしたいと思います。

 続きます。

 次に、トラックドライバーの働き方についてお尋ねいたします。

 工事が着工されて四十年近く待ちました。あと二年半で名古屋に、国道三〇二号線、外環状線がいよいよリングとしてつながるわけでありまして、道路局長さんも、絶対この工期は守るという力強い言葉を過去にも発せられておりますが、いよいよ変わってまいります。

 そして今、海運から、船を使ったものから、名古屋が今度物流に変わっておりますが、物流のトラックのドライバーの皆さんの現状についてお尋ねいたします。

 トラックドライバーの置かれている現状は、他業種の方々と比較して、低い賃金、長い労働時間、高い高齢化率等厳しいものがあります。このような現状から、新たな担い手確保が非常に厳しくなっており、ドライバー不足が深刻になりつつあります。

 一方で、トラックドライバーは、名古屋港ですと、コンテナが来て、それを荷分けしてトラックに積んでいくんですが、これを仕分する、いわゆる荷待ちのために長い待機時間を強いられており、非効率的な労働環境に置かれているのも事実であります。せっかくですから、効率よく、短くしていただきたい。

 今後ますます担い手が不足することが予想されるとともに、働き方改革として時間外労働の上限規制をかけられてくることから、働き方改革の実現に向け取り組みつつ、今ある人材を有効活用することで生産性を向上させる、仕事の率をよくするということですが、取組が重要であると思います。

 政府としてもこのようなことを認識されていると思いますが、これに対して政府はどのような手だてを打たれるのか。考え方をお聞かせください。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック運送業は、国民生活や我が国の経済を支える重要な役割を果たしておりますが、近年はドライバー不足が大きな課題となっておりまして、担い手の確保等が重要となっております。

 その労働環境につきましては、先生から御指摘いただきましたとおり、他の産業と比較いたしまして、長時間労働、低賃金の状況にございます。

 このような状況にございますトラック運送業の将来の担い手の確保等を図るためには、長時間労働の是正など労働環境の改善を図るとともに、労働生産性の向上を図ることが必要不可欠となってまいります。

 一方で、先生から名古屋港の事例を御紹介もございましたけれども、荷主や配送先の都合によりまして荷待ち時間が発生するといった業務の特性や取引慣行などの問題があることなど、個々の事業主の努力だけでは解決できない課題もあることから、荷主とも一体となった取組が必要でございまして、昨年六月に、野上官房副長官を議長といたします自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議というものが立ち上げられたところではございます。

 昨年八月には、労働生産性の向上、多様な人材の確保、育成、取引環境の適正化を柱とする「直ちに取り組む施策」が取りまとめられまして、現在、関係省庁と連携して施策を推進しております。

 このうち、労働生産性の向上に関しましては、例えば、先着順での受け付けに伴う長時間の無駄なトラックの荷待ちの抑制に資するバース予約調整システムの導入促進でありますとか、手荷役による長時間労働、荷役負担の軽減を図ることができる、パレット化等による機械荷役の転換促進などの取組を推進いたしております。

 今後、施策の充実強化を検討いたしまして、春ごろに、関係省庁連絡会議におきまして、時間外労働の上限規制の導入までの間を対象とした行動計画を策定することとされておりまして、現在、その策定に向けて取り組んでおるところでございます。

 また、昨年七月から、中型以上のトラックにつきまして、荷主の都合で三十分以上荷待ちが発生した場合には記録を義務づけることといたしました。さらに、その記録をもとにサンプル調査、分析をいたしまして、荷待ちの発生件数が多い品目については、関係する荷主団体への働きかけも行っております。

 このほかにも、厚労省と共同で荷主も参加するパイロット事業を実施しておりまして、得られた知見についてガイドラインをまとめ、広く横展開を図っていくことといたしております。

 今後とも、関係者と連携しながら、荷待ち時間の削減を始めとして、トラック運送業の労働生産性向上に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

工藤委員 御答弁ありがとうございました。

 名古屋はこれで、三〇二号線というのは環状化すると、環状ですから丸いですから、一周するわけじゃないんです。一番南から北は、走っても、どんなにかかっても、渋滞がなければ二十五分で港から守山区、北区までつながるということでありまして、せっかく時間が短縮するのに荷待ちが二時間、三時間といったら、本当に効率が悪いものですから、このことは踏まえて、ドライバーの皆さん、本当に今、担い手が少ないですけれども、私たちも努力して、仕事してくださいよ、頑張ってくださいよと、トラック協会や各支部の支部長さんにもお願いしながら進めてまいりますので、国もしっかりとお願いしたいと思います。

 最後の質問になります。

 ドライバーの次は、今度、建設でありますが、建設業における働き方改革についてお尋ねしたいと思います。

 昨年三月に働き方改革実行計画が策定され、長時間労働是正のための取組の一つとして、週休二日の実現に向けた取組が行われています。しかし、東京オリンピック・パラリンピックを背景として、名古屋の場合は、名古屋駅前の再開発、そしてリニア開通の工事、これに向けて建設需要が高まっている中、求められる工期も厳しいものになっております。

 工期を守りながら週休二日の実現を図っていくのは非常に厳しいとの声もありますし、要は、建設会社の中小企業の社長さんは、むちゃだよ、とても週休二日でやっていけないよという話もありますけれども、でも、やらなきゃいけませんので、その工期についてお尋ねしたいと思います。

 日本建設業職員労働組合協議会の、ちょっと古いですが、二〇一六年時短アンケートの概要における発注者別の工程表上の休日設定を見ても、国土交通省の発注事業でも約半数は四週四日以下であり、民間のマンションディベロッパーは四週四日以下が極端に多い以外は他と大きな差はなく、週休二日実現への道のりが厳しいことがうかがえます。

 政府は、建設業の働き方改革実現に向け、関係省庁連絡会議の設置、適正な工期設定等のためのガイドラインの策定とともに、民間発注分野でガイドラインの浸透、改善を図っていくため、鉄道、電力など四分野でそれぞれ連絡会議を設けるなど、受発注者と行政との連携のもと、週休二日を前提とした適正な工期の設定のための取組を進めていることとは承知しておりますけれども、かなりこれはハードルが高いと思います。

 週休二日の実現は、週休二日を前提とした適正な工期を受発注者ともに守れるかどうかでありますけれども、週休二日の実現に向けたこれまでの取組の状況、また、今後のスケジュールも含めた取組の方針について答弁を求めます。

田村(計)政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありましたとおり、建設業におきましては、他の産業では当たり前となっている週休二日の確保が十分でないなど、就業者の長時間労働が生じておりまして、その是正は喫緊の課題であります。

 この週休二日の確保におきましては、いわゆる生産性向上などとあわせまして、発注者の理解と協力を得ながら、適正な工期設定を図っていくことが不可欠でございます。

 国土交通省におきましては、他の発注者の模範となりますよう、まず直轄工事から率先して取り組むということで、昨年度におきましては、工事の準備期間や後片づけ期間の見直し、適正な工期を自動算出するシステムの導入などを通じまして、適正な工期の設定に取り組んできたところでございます。

 先ほど御指摘のありましたように、いわゆる適正な工期設定のためのガイドラインを関係省庁と連携の上策定をし、現在、発注者の部門別にさらなる実態把握等に努めてまいっているところでございますが、更にこれらの一連の取組をとめることなく前進させるため、先月の二十日には、国土交通省として建設業働き方改革加速化プログラムを策定し、その中におきましても、週休二日制の導入を重要な施策として位置づけております。

 まず、本年度からの国土交通省の直轄工事におきましては、週休二日工事として入札手続を開始する工事を対象にいたしまして、労務費等の補正を導入するなど、踏み込んだ対策を講じてまいることとしております。

 こういった国交省の取組が、他の省庁や公共団体、民間発注者に対しても対策を講じるよう、先月の二十二日付で要請通知も発出しておりますし、また、建設業団体に対しましても、元請団体等に対しまして、時間外労働の段階的な削減や週休二日の確保の取組を加速化するよう、先月の二十七日、石井大臣から団体の代表に対して直接要請を行ったところでございます。

 このような取組を引き続き続けまして、建設業における週休二日の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

工藤委員 時間が来たものですからこれで終わりますが、今答弁していただきました。

 最後に申し上げます。大変人手不足です。さまざまな方が、過去には就職を世話してほしいなという話もあったんですが、今は逆です。とにかく人手が足らないから、人はいないかということを頼まれる今の御時世です。

 ちなみに、名古屋の建設業の方は、人手不足のため、求人倍率は何と九倍を超えております。こういうことも踏まえて、しっかりと国も指導していただきたいということを申し述べまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、中谷真一君。

中谷(真)委員 自民党の中谷真一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。委員長、また理事の皆さん、また委員の皆様には、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 時間も限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 きょう私が質問をいたしますのは、まずは、今非常に問題になっておりますリニアの談合事件についてであります。

 私の資料二枚目でありますが、これは、私の地元、山梨日日新聞の記事であります。左下の記事でありますが、県もこの四社に対して指名停止を行ったというところであります。六カ月から一年というところであります。国土交通省においても四カ月の指名停止を行うということを言われているというところであります。

 この四社は、このリニア工事に対して大きくかかわっているということはもちろんでありますが、オリンピック、こういったものにもかかわっているところでありまして、国が行う大きな事業に対して今後大きな影響が出てくるのではないかということを懸念するものであります。

 リニアについては、これは私が御説明するまでもなく、これは国の大きなプロジェクトであります。三都市、東京、名古屋、大阪、七千五百万人を一時間以内でつないで、そして、大きな経済効果を生もうというものであります。これはまた、山梨県の夢でもあります。

 甲府市には駅ができまして、品川から甲府まで二十分で到達することになります。これは山手線に例えれば品川から新宿までと同じでありまして、この経済効果を強く願っているところであります。この中で、水を差すようなこの事件が起きたというところでございます。

 私、談合というのは非常によくない、公益を損することが非常に多くて、こういったものはやはり根絶していくべきだということは、これはもう冒頭申し上げたいというふうに思います。

 ただ、今回のこの事案に関しては、私は、これは単純な談合事件ではないのではないかというふうに思っているところでありまして、非常に特徴があるというふうに思っております。そこについて公取さんはどう考えておられるか。お聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、新谷委員長代理着席〕

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会は、平成三十年三月二十三日、JR東海が大成建設、鹿島建設、大林組及び清水建設の四社を指名して、競争見積りの方法により発注する品川駅―名古屋駅間の中央新幹線に係る地下開削工法によるターミナル駅新設工事について、これら四社の従業員らが、受注予定者を決定すること及び受注予定者が受注できるような価格で見積りを行うことなどを合意し、同合意に従って受注予定者を決定し、JR東海に提出する見積価格に関する情報を連絡するなどし、もって、これら四社が、公共の利益に反し、ターミナル駅新設工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限したものとして刑事告発を行ったところでございます。

 事業者が、相互にその事業活動を拘束し、遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為は、独占禁止法上、不当な取引制限として禁止されており、カルテルや入札談合といった行為はこれに当たるものでございます。

中谷(真)委員 ありがとうございます。私の求めていた回答と少し違うんですが、それは、求めていたというのは、私が言いたいのは、今回の事案というのはどういう事案かと申し上げますと、では、例えば被害者は誰なのかとか、これは非常にわかりにくいと思います。

 また、これは民間事業であります、特徴的に。さらには、これは非常に難工事であって、高い技術が必要なんですよね。この四社は非常に高い技術を持っているという特徴があると私は思います。

 あとは、非常にこの発注方式にも問題があったのではないかというところは、私、これは特徴だというふうに考えています。

 そこでお聞きしたいんですが、この談合事件の被害者は誰だとお考えですか、公取さん。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 本件は、現在、刑事事件として公判係属中でございまして、お尋ねの事柄は個別事件の事実関係にかかわることになりますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

 一般論として申し上げますと、独占禁止法は、カルテルや入札談合などの不当な取引制限行為を排除し、公正かつ自由な競争を促進することにより、一般消費者の利益を確保し、自由経済秩序を維持することを目的としておるというところでございます。

中谷(真)委員 被害者は誰かと言って、お答えを差し控えるというのはちょっと、これはだから事件でありますから、誰かやはり損益をこうむった人がいなければ、事件にならないのではないかなというふうに思います。一般的に言われるのは、例えばJRだとか、また、今後リニアを使用することになるであろう国民だというような言い方もされています。

 ただ、JRさんも、これは民間事業者でありますから、利益を追求する人たちです。この利益を追求する人たちが、非常に高い価格を言われたときに、ああそうですねと言って、すぐそれをのんでいくということはないのではないか。民間事業者ですからね。利益を追求して、例えば、工事価格が上がってしまうと運賃が上がる。運賃が上がるとお客さんは乗ってくれないわけでありますから、そうすると損益をこうむるわけであります。ですから、ちゃんと運賃から逆算をした、やはりしっかり工事予定価格を決めているわけだというふうに思います。

 私も、JR東海さんとはさまざま今回のこのリニアでおつき合いをさせていただいていますが、非常に利益を追求する集団でありまして、これは大したものであります。国民に対してのサービスをするなんという感覚は全くないと言ってもいいと思いますよ。ちゃんとしっかり利益を追求していますからね。

 そういう意味でも、被害者が誰かということは非常にわかりにくいというふうに思います。また、国民も、いろいろなさまざまな交通手段がありますから、それを選択していくという自由があります。ですから、一概に国民が被害者という言い方も、これはなかなかできないというふうに思うんですよ。これは非常にわかりにくいんですよ。

 では、JRさんはこれに対して被害届を出されているんですか。公取さんにお聞きしたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 JR東海の被害届というお尋ねでございますが、公正取引委員会に対する独占禁止法違反の疑いによる申告、訴えという御質問であるといたしますと、個別の事件の端緒につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

中谷(真)委員 何かよくわからないんですよ、これは。だから、よくわからないこういうことでこのリニア始め大きな公共事業が非常に停滞をするということは、本当にいいのかなというふうに思うんですよ。私は、談合事件はだめだと思いますよ。ただ、これは本当にそうなのかというところを今申し上げているわけであります。

 更にお聞きしていきたいと思います。

 民間事業という側面がありますよね。非常に被害者もわかりにくい。こういった民間事業に対して公正取引委員会がいわゆる関与したというか、こういう事例はどれぐらいあるんでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年度以降の五年間について見ますと、公正取引委員会が、民間の事業者などが発注した工事又は物品の調達において受注予定者を決定するなどの行為について、独占禁止法違反として不当な取引制限と認定しまして行政処分を行った件数は十八件でございます。

中谷(真)委員 民間事業でも、やはりこういった談合というか独占禁止法は成り立つということを言われているんだというふうに思います。この点はそうなのかというところであります。

 ただ、今回の事業はこれだけではなくて、非常にこれは難工事であります。赤石山脈の真下を貫くこのトンネル、二十五キロにわたるんですけれども、いわゆる土盛りです。上に土がかぶっているのは一千百メートルもあるんですよ。これは非常に難工事であります。

 また、地質は目まぐるしく変わることが予想されておりまして、構造線トンネルということであります。北越急行の鍋立山トンネルなんというのは、六百五十メートル掘るのに十年間かかったとかという、そういうものもあるんですよ。非常に難しい難工事だというふうに言われています。

 ここだけではなくて、非常に長い長大トンネルの、工事の百貨店ということを言われているようなところもあるぐらいでございまして、今回の事業は非常に難工事であるというところが特徴であると思います。

 こういった難工事において、例えば今回問題になっているこの四社のような、技術的に非常に高い、こういう企業の技術をやはりしっかりJRとしても取り込んでやらなければいけないというふうに私は考えるんです、普通に考えて。JR自体がそういう技術を全部持っているとは思えないんですよ。そういう、協力をしてやらなきゃいけないということがあるのかなというふうに思うんです。

 ここで国土交通省にお聞きしたいんですが、こういう難工事において国土交通省はどういった施策をやられているか。お聞きしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、公共工事品確法第十八条に基づき、技術的に難易度が高く、通常の工法が採用できない工事に対し、施工者独自の高度な技術等を公募し、工法や価格等を交渉し、契約する技術提案・交渉方式を導入しております。

 その運用に当たっては、平成二十七年に技術提案・交渉方式の運用ガイドラインを定め、これまでに四件の直轄工事で契約をしたところでございます。

 具体的には、まず技術提案において施工者独自の高度な技術等を公募し、それを審査した結果を踏まえて選定した優先交渉権者と技術協力業務等の契約を行い、発注者等と設計や工法の技術的な検討の実施をしております。その後、優先交渉権者と価格等を交渉することによって工事の仕様を確定し、工事契約を締結しております。

 また、中立性、公正性を確保するため、公示前に本方式の適用の妥当性、技術審査段階で技術提案内容の妥当性、価格等の交渉段階で、合意した見積条件に基づく予定価格の算定の考え方の妥当性等について、学識経験者の意見を聴取しながら手続を進めております。

 国土交通省といたしましては、公正性、透明性を確保しつつ、工事の性格、地域の実情等に応じ、技術提案・交渉方式を含め、多様な方法の中から適切な入札契約方式を適用するよう努めてまいります。

    〔新谷委員長代理退席、委員長着席〕

中谷(真)委員 いや、今国土交通省が言われたような契約方式を、私は、JRは今回のこのような工事において採用すればよかったのではないかというふうに思うんですよ。しっかり交渉して、そして、これはいわゆる随契をやっているということだというふうに思いますけれども、その随契をするに当たって、やはり第三者の目を入れて、これが本当に適正なのかというようなやり方をやればよかったと思うんですよ、JR、今回のこのような工事では。

 本当に競争をさせるようなことだったのか。競争がしにくい中で競争させようとすると、非常に不自然になっちゃうんですよ。だから、ここはそういうふうにすればよかったというふうに思うんですけれども、国土交通省、どう思いますか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 JR東海によれば、リニア中央新幹線工事の発注方式は、主に公募競争見積方式と指名競争見積方式、これはいずれもJR東海の独自の方式と聞いておりますけれども、その二種類を採用しているとのことでございます。

 まず公募競争見積方式と申しますのは、ホームページにより参加条件などを開示することにより、幅広く競争参加者を公募し、多数の業者から見積書、技術提案等を受け付け、その中から価格と技術提案等を総合的に評価して協議先一社を選定し、その協議先ときめ細かく価格協議を行う方式とのことでございます。

 また、指名競争見積方式と申しますのは、複数の競争参加者をJR東海が指名の上、見積書、技術提案等を受け付け、その中から価格、技術提案等を総合的に評価して協議先一社を選定し、その協議先ときめ細かく価格協議を行う、そういう方式であると聞いております。

 なお、民間企業でありますJR東海が行う契約は、民法、商法等に基づくいわゆる契約の自由の原則により行うものであることから、リニア中央新幹線の工事発注においてどのような発注方式を採用するかについては、発注主体であるJR東海が判断すべきものであると認識をしております。

中谷(真)委員 だから、JRは非常に自由度はあるんですよ、契約の仕方に対して。だから、しっかりとこういうところをやるべきだ。本当は、JRに来ていただいてJRに言いたかったんですけれども、ちょっと民間事業者ということでハードルが高いということでありました。

 安全保障の部分でもあるんですよ、結構。高い技術を求めているんですけれども、それだと競争できないので、わざわざその技術を下げて、そして一般競争入札にしたりとかということもやはりあるんですよ。

 だから、本当にどういう契約方法がいいかというところはよくよくやらないと、企業のやる気も失いますし、また、不自然になっていくというところであります。また、今回、そういう特徴があるというところですよ。

 更に申し上げたいのは、では、これがもし随意契約だった場合、これは問題があったんでしょうか。公取にお聞きしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの本件につきまして仮にということでございますが、個別事件の事実関係につきましては、現在公判係属中でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

 なお、一般論として申し上げますと、民間発注につきましては、発注の方法、手続といいますのは発注者が任意に決定しておりまして、さまざまなものがございます。先ほど答弁申し上げました十八件の民間発注事案につきましても、その発注方法などは事件ごとに事実関係はさまざまなものがございました。

 したがいまして、一般論として申し上げますと、随意契約と申しましても、一社特命で契約する場合ですとか、見積合わせを行った上で契約する場合など、さまざまな方法があり得るところでございますので、直ちに独占禁止法上問題がないと言うことはできないところでございます。

中谷(真)委員 私が申し上げたいのは、例えば、JRが今回の価格において納得していたらこれは本当に問題だったんですかということを申し上げたいんですよ。だから、今後、本当はJRに聞いてみたいんですよ。本当はJRに聞きたいんです、僕は。ただ、しようがないので、きょうは公取に聞いているんです。

 これは、だから私は、今回のこの件、こういうことをやはり払拭をするためには、JRがいわゆる業者選定プロセスを公開するべきだと思うんですよ、どうやってその業者を選定したかということに対して。これは国民には見えていないわけであります。今回、民間事業者ということでJRは公開をしていないんですよ。これを公開すれば、ああ、そういう理由で選定したのかということがわかるわけであります。だから、これはJRは公開すべきだと考えますが、国土交通省、どうでしょう。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 民間企業であるJR東海が発注する工事においては、その契約等に関する情報の公表について法令上の義務づけはございません。よって、契約の相手先の選定プロセスを公表するか否かについては、JR東海が判断して決定すべき問題であると認識をしております。

中谷(真)委員 私は、こういう、国の中で結構大きな国民の関心事になっていますから、これは、今後どうされるかということはよくよく検討していただきたいというふうに思います。

 また、やはり今後、これはまだまだ続く話ですから、これから、予定では九年後にリニア開通であります。今後の工事発注のあり方ということは、私は、よくよくJRにも考えていただきたいし、国土交通省もぜひ指導をしていただきたいという思いできょうこの質問をさせていただいたところであります。

 日本における大きなプロジェクトでありますから、これをしっかりと前に進めていくという意味でも、ぜひこの件、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは次の質問に移りたいと思います。ちょっと順番を入れかえまして、先にリニアをやります。

 私の資料の二枚目でございます。この右上ですけれども、これは私の地元でありまして、南アルプス市で調停の申立てがあったんですよ。これは用地買収に関してであります。損害賠償の調停の申立てを行ったというところでありますが、今後の対応をどうされるのかというところをお聞きしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 南アルプス市の住民グループ、南アルプス市リニア対策協議会が、平成三十年三月三十日までに、JR東海に金銭補償などを求めて甲府簡裁に民事調停を申し立てる方針を固めたという報道については承知をしているところでございます。

 JR東海によりますと、調停の申立てに関しては、事実関係が不明なのでコメントを差し控えるということでございます。

 国土交通省としても、現時点でのコメントは控えさせていただきます。

中谷(真)委員 この地域は私の選挙区でありまして、まさに部落の上を、本当にど真ん中を斜めに横切っていくような場所でございます。そういう意味で、私はこの住民の方々の気持ちもよくわかるというところであります。

 こういった、住居が非常に密に集まっているような地域においてこういう工事をしていく上では、特別、やはり配慮をしていただきたいということも申し上げたいんですよ。それに対して、今後どういうふうに対応していくかという心がけ、決意のようなものをちょっとお聞きしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 リニア中央新幹線の用地取得に伴う損失補償につきましては、JR東海は、国の指針であります公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱及び公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づき対応することとしているところでございます。

 これらの基準によりますと、必要な用地を取得後の残地の部分について、価格の低下、利用価値の減少等の損失が生じるときは、これらの損失額を補償することとされております。

 さらに、当該残地がその利用価値の著しい減少のため従来利用していた目的に供することが著しく困難と認められるとき、当該残地を取得しないことが土地所有者の生活再建上支障となると認められるとき、このいずれのときにも該当するときには、残地を取得することができるとされているところでございます。

 JR東海は、先ほど申し上げましたように、この基準に従って用地取得を行っておりますので、この考え方に基づいて、それぞれの土地の状況を踏まえつつ、残地についての損失額の補償や残地の取得を行っていくものと認識をしているところでございます。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 残った三角の土地を買わないなんて言われたなんて地元の人は言っていまして、三角の土地なんか利用できるはずがないわけでありまして、そういうところに対しても配慮をお願いしたい。丁寧にぜひ対応の方をお願いを申し上げたいと思います。

 最後の質問です。トラック輸送についてでありますけれども、トラック、これは非常に労働時間規制があったりとかして、一定の時間運転をしたら休まなければいけないとか、休むに当たってもなかなか、がさが大きいものですから、普通の一般自動車との兼ね合いが難しくて嫌がられるとかいって、全然休憩所じゃないところにとめていたりとか、こういうような状況があります。あとは、トラック事業者さんが肩身が狭いということと、非常に安全上もよくないというふうに思います。

 そういう意味では、一般論として、やはりこういう事業者の皆さん、トラックに対して専用の休憩所のようなものを高速道路に設けていくべきだというふうに思いますけれども、それについて御見解をお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 物流は我が国の経済を支える根幹的な産業でございまして、トラックドライバーの方々の事故防止や労働環境、安全のため、適切に休憩を確保していただくことが重要であると考えております。

 我が国の高規格幹線道路につきましては、整備が進展いたしまして、全体約一万四千キロのうち約八割が開通しておりますが、有料道路区間において休憩施設間隔がおおむね二十五キロ以上ある区間が約百区間存在するなどの課題がございます。

 また、全国物流ネットワークの核となります東名高速道路等の一部休憩施設におきましては、夜間を中心として、長時間駐車等により大型車の駐車升不足が発生していると認識をしております。

 高速道路会社や国土交通省では、これまでも計画的に休憩施設の整備や駐車升の増設に努めてきているところでございますが、土地や費用面からの制約、また、閑散時間帯に利用されないスペースが生じるといった課題もございます。

 このため、駐車升数をふやすことに加えまして、大型車と小型車が両方使える兼用升の設定や高速道路外施設と連携した休憩施設の確保、適切な情報提供による利用の平準化、物流事業者の御協力も得ながら、中継輸送等を活用した夜間の長時間駐車の抑制や駐車の回転率の向上などの対策に総合的に取り組んでまいります。

中谷(真)委員 申しわけないです。この一枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、私の地元、この談合坂付近に、旧道なんですがこういうものがありまして、こういったところの利用というのは非常にいいと思うんですよ。また、休憩所若しくは防災施設としてもいいと思うので、それに対して御検討いただきたいと思いますが、そこに対してのコメントをお願いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御提案の中央道の談合坂廃道敷につきましては、平成十五年に中央道の六車化の完了に伴い発生したものでございますが、現在、高速道路機構におきまして、民間事業者への売却も含めまして、用地の有効利用に係る提案募集をしているところでございます。

 当該用地につきましては、高速道路に隣接しており利便性が高い一方で、高速道路から直接出入りを可能とする場合には、利用者の安全性を確保するために加減速車線を設置する必要がございまして、一定の整備費用も必要でございます。

 今後、民間からの御提案も含めまして、土地の形状や立地特性を踏まえつつ、非常時の利用に限定するかなども含めまして、さまざまな観点から土地の有効活用に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

中谷(真)委員 終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、神谷昇君。

神谷(昇)委員 自民党の神谷昇でございます。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 我が国への外国人観光客は、二〇一三年、待望の一千万人を超えまして、その後順調に推移をいたしまして、昨年、何と二千八百六十九万人までふえたわけでございまして、本当にありがたいことであります。

 この内訳を見ますと、一番が中国、韓国、そして台湾、香港と続いてまいります。この四つの国で何と七四・二%、そして、ほかのアジアの諸国を加えますと八四・三%がアジアの国から来ていただいておりまして、本当にアジアの皆さんには心から感謝をし、もっともっと来ていただきたいと思うところであります。

 ところが、関空はこの傾向がもっと強いように思っております。しかしながら、これから三千万人を超えて、四千万人、五千万人、長期的に安定的にふやしていく、そういうことになってまいりますと、余りにも集中しているんではないかというふうな危惧をするわけであります。

 かつてSARSが発症しまして大きく落ち込んだことから、今、関空におきましては、かつて直行便がございましたミュンヘン、ウィーン、その他欧州を始めとする、多極的に直行便をふやしながら、長期的な、安定的な、いわば観光客誘致を目指すべきだというふうに思っておりますけれども、まずこの点についてお聞きしたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 関西国際空港につきましては、昨今の訪日外国人旅行者数の増加によりまして、国際線の旅客数が過去五年間で約一・七倍となっておりまして、便数も一・六倍となっております。

 また、御指摘のとおり、関西国際空港は、韓国、中国、台湾、香港からの入国者数が、国内空港のうちで最も多くなるという形になっております。

 一方、関西国際空港のさらなる発展のためには、欧州方面等中長距離の直行便など、路線の多様化を図ることは大変重要であると考えられておりまして、このため、関西国際空港の運営会社であります関西エアポートは、二〇一七年度から、中長距離路線の拡充に対する着陸料の割引制度を開始いたしまして、制度創設以降、例えば、シドニー路線など二路線が新規就航する、あるいは、十一路線が増便をされているということでございまして、引き続き、地元の経済界あるいは自治体などとも連携をしながら、中長距離路線の拡大を図るように取り組んでまいりたいと考えております。

神谷(昇)委員 ありがとうございます。長期的ビジョン、そしてまた、多極化を目指して頑張っていただきたいというふうに思っております。

 平成六年にこの関西国際空港が完成をしました。以来、もう二十数年になるわけでございますけれども、少なからずとも、地元大阪、そして関西の経済の発展のために有効に活用されてきたというふうに思っております。

 ところが、地元の大阪を見ますと、かつて戦後、東京、大阪、二極化がありましたけれども、最近は、県民所得を見てみますと、もう悲惨な状態であります。

 二〇一三年の一人当たりの県民所得、東京は断トツでございまして、一番、一人四百五十万円です。ところが、ずっと見ますと、二番が愛知、三番が静岡、なかなか大阪が出てきません。やっと出てきました。十三番、何と三百万ありません。全国平均を下回るというこのていたらくになってまいりました。まあそれは大阪の独特なこと。

 ところが、かつての繁栄をした素材型産業がもう全滅に近い形になってきた。いろいろ考えられますけれども、特に、この十数年の間の落ち込みは極めてひどいことになってきております。

 ですから、この大阪経済、関西経済をどうしていくのか。今、身を切る改革、いろいろやっておられますけれども、もっと、中小企業対策、生産性を高める、そういう根本のことをする、人材を育成していく、そして産学連携をしていく、いろいろな手がありますけれども、そこらはほとんど打たれていないのが現実であります。

 そういうふうにマクロ的に経済を考えますと、今、東京はアクアラインができまして、東京湾環状道路ができていますけれども、大阪は、紀淡海峡の大橋がかかるかなと長年お願いをしておりますけれども、これがかかっておりません。まさにミッシングリンクがここに存在することによって、大阪湾環状道路ができなくて、大阪そして関西経済の発展が阻害されているのではないか。これができますと、徳島県そしてまた高知県が関西圏内に入って、更に観光を中心とした経済発展が望まれるというふうに私は思っております。

 最近、大分を起点とする四国新幹線の話もぼちぼちと出てまいりました。そうなってまいりますと、現在できております鳴門大橋は、これは道路と鉄道の併用です。そして、ここに紀淡海峡大橋をつくっていただいて、鉄道、そして併用道路をつくっていただきまして、大分から関空を通って新大阪までこの四国新幹線をつくっていただく。早くまた北陸新幹線を新大阪まで来ていただく。そういうことによって関西圏の浮揚というふうに思っているんですが、その点、御意見をお伺いしたいと思います。よろしく。

あきもと副大臣 関西国際空港や神戸港など重要な拠点を連絡するとともに、今御指摘の紀淡海峡、淡路島、明石海峡を連絡する、大阪湾を環状に結ぶ大阪湾環状道路の構想があることは承知しております。また、委員も大変熱心であるということも承知しているところでございます。

 本州と四国を連絡した明石海峡大橋の例でもおわかりのとおり、新たなネットワークがつながることで、広域的な人、物の交流が生まれるなどの連携が強化され、本構想につきましてもそのような効果が期待されるものと承知しております。

 また、兵庫県が設置しました、ひょうご基幹道路のあり方検討委員会におきましても、ことし三月に取りまとめられた「ひょうご基幹道路のあり方」では、当該路線が構想路線とされるなど、地域において必要性の検討を行っていると認識しております。

 しかしながら、紀淡海峡道路を含めた海峡横断プロジェクトについては、平成二十年三月に個別プロジェクトに関する調査は行わないとしておりまして、平成二十年度以降、国の調査は行っておりません。

 今後は、地域の要望を踏まえていきながら、長期的な視点で、地域における検討を引き続き見守ってまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、国交省といたしましては、重点化や効率化を図りつつ、大阪湾岸道路西伸部等の関西圏における高速道路の整備を着実に進めてまいります。

神谷(昇)委員 あきもと副大臣、ありがとうございます。

 最近は十年というのはもう一昔でございまして、もう十年たっているわけでございますから、ひとつこれは、大分から四国新幹線、そしてまた大阪を中心とする関西圏の発展のため、ぜひ検討の課題にのせていただきたいと思っております。

 副大臣、後、御用があるようでございますので、どうぞ御退席いただいて結構でございます。

 昨年、私の地元でございます大阪府和泉市と和歌山県のかつらぎ町を結ぶ鍋谷峠トンネル、父鬼バイパスが開通をいたしました。これは地元の念願がかなったわけでございます。

 これまで、山の狭隘な道をくねくねくねと行って三十分かかっていた道路が、何とこれによって五、六分で行けるようになった。安全になった。これによりまして、当初、三千台から五千台ぐらいの通行量でございましたけれども、今や一万台を超える。これは非常に地域の経済発展、そしてまた利便性が増したという証拠でありまして、まさにこのトンネルを通ることによって、大阪から世界遺産である高野山に三十分近くなった。こういうことを地元は大変喜んでいるところでありまして、また、観光業も大いに発展してきているというふうに思っております。

 そういう観点から見ますと、今、阪和道路の泉佐野市の上之郷のインターチェンジ、それと京奈和の紀の川インターチェンジを結ぶ、こういう案が数年前から出てきております。そしてまたもう一つ、大阪の千早赤阪村と奈良の五條を結ぶトンネル、これも地元が熱望しているわけでございますけれども、ここら辺の状況についてお聞かせを願いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路は、ネットワークとしてつながることにより、企業立地や観光交流が進むなどの多様なストック効果が生じ、地域の活性化にも大きく寄与いたします。

 泉州、紀州、南奈良地域におきましては、昨年三月十八日に京奈和自動車道と阪和自動車道が接続し、昨年四月一日には大阪と和歌山を結ぶ第二阪和国道が全通、同じく四月一日に国道四百八十号鍋谷峠道路が開通するなど、ネットワークの整備が進んでいるところでございます。

 例えば、大阪府和泉市と和歌山県かつらぎ町においては、鍋谷峠道路の開通を契機に、広域観光路線バスの試験運行の開始や就職情報の共有など、地域間交流の拡大につながる取組を実施しておりまして、交通量も大幅に増加をしているところでございます。

 現在、このような周辺地域の道路ネットワークの進展による、交通状況の変化、地域への影響、整備効果等について調査を進めているところでございまして、委員御指摘の、大阪府の上之郷地域と和歌山県の紀の川地域をつなぐことの必要性についても、調査結果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 また、南河内地域と南奈良地域を結ぶ道路につきましては、現在、大阪府による国道三百九号のバイパス整備等が進められており、社会資本整備総合交付金等により支援を行っているところでございます。

 委員御指摘の、奈良県五條市と大阪府千早赤阪村を結ぶトンネル等の地域間の道路整備につきましては、府、県による今後の検討状況を踏まえまして、国土交通省として支援を検討してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、周辺道路ネットワークの整備状況や地域における計画なども踏まえつつ、地域の活性化が図られるよう、大阪府、奈良県、和歌山県と連携をして、必要なネットワーク整備を進めてまいります。

神谷(昇)委員 ありがとうございます。鍋谷峠トンネルも、国がしっかりと後押しをしていただきましてこうなりました。それで地域が活性化しております。

 今申し上げたトンネルができますと、泉州、紀州、そして南奈良が一体となって観光客の誘致も進められるわけでございまして、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 泉州地区を見ておりますと、大阪湾の側から行きますと、臨海道路、南北ですね、それから国道二十六号線、そしてまた山手に外環状線、この三本の南北の幹線道路がございます。ところが、東西道路がなかなかなくて、地域の方からいろいろと熱望されているわけであります。

 その一つは、例えば和泉市の池上町から下宮線、これをぜひとも通していただきたい。これができますと、臨海道路から外環状線までできるということであります。そしてまた、岸和田においては、岸和田中央線、岸城・塔原線、これもできますと、臨海道路から外環状線へつながる。これらの進捗状況について国としてはどうお考えになるか、お示しをお願いします。

栗田政府参考人 泉州地域におけます東西方向の道路につきまして、これは南北方向の広域的な幹線道路とのネットワークを形成することで地域の活性化、防災機能の強化などに資するものと考えておりまして、現在、池上下宮線、岸和田中央線などが都市計画決定されております。

 池上下宮線につきましては、和泉市池上町と仏並町を結ぶ延長十一キロの都市計画道路でありますけれども、うち和泉市池上町から伯太町に至る一・三キロの区間は平成十二年に府道として供用されております。

 また、現在、和泉市伯太町から都市計画道路の上伯太線までに至る延長四百メートルの区間について、大阪府が私どもの交付金を活用しながら整備を進めておりまして、今年度、供用予定となっております。

 池上下宮線の残る区間につきましても、大阪府において和泉市との勉強会を実施しながら、和泉市域全体の道路ネットワークや即効性のある渋滞対策などについて検討していると伺っております。

 その路線以外にも、岸城・塔原線についての御指摘がございました。この岸城・塔原線は平成六年に府道岸和田港塔原線と名称変更され、二車線で供用済みでございますが、まだ二車線ということでございますので、その機能を補完する路線として、岸和田市土生町から阿間河滝町を結ぶ都市計画道路土生郷修斉線、これが都市計画決定されております。地元市であります岸和田市が主体となって整備が進められる方向で、現在、大阪府と調整が図られているところと伺っております。

 我々国土交通省としましては、これらの路線や、あるいは岸和田中央線も含めまして、泉州地域における東西方向の道路について、地元の検討を見守りながら、今後とも必要な支援をしてまいります。

神谷(昇)委員 ありがとうございます。国土交通省から大阪府にちょっと背中を押してもらって、どんどん進んできているんですね。

 泉州山手線もそうなんです。大阪府は、廃止する、ほぼ決定していたんです。それを私が当選させていただいてからいろいろな角度で国土交通省にお願いして、大阪府の背中を押していただいて、泉州山手線、おかげさんでこの二月に都市計画変更して、いよいよ本年度から測量して、来年度から本格的に着工する。これも国土交通省のおかげでございまして、心から感謝をしておるところであります。

 ところが、関空が平成六年にできました。それまでの整備計画、そしてその後の整備計画、その後の整備計画についてはこの泉州山手線が入っておりました。そして、その泉州山手線に、和泉中央駅まで来ている泉北高速鉄道がずっと来て、空連道ぐらいまで行く。ですから、私は、この和泉中央駅から鉄道が日根野まで行くことによってループができまして、まさにこれもミッシングリンクが解消される、こういうふうに思うんですが、これについての御見解をお尋ねします。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 鉄道プロジェクトの推進に当たっては、需要の見通し、採算性、費用対効果等についてしっかりと見きわめ、事業計画等の検討の深度化を図る必要がございます。

 そのために、まずは沿線の関係の地方公共団体、鉄道事業者等においてニーズを把握した上で、事業主体、費用負担のあり方を含めた具体的な検討を進めていただくことが重要と考えております。

 委員御指摘の泉北高速鉄道の延伸についてはこういった検討がまだこれからという状況にあるかと認識をしておりますので、国土交通省としましては、こうした検討について助言等を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

神谷(昇)委員 ありがとうございます。鉄道につきましては地元もまだその意向が決まっておりませんので、今後について国の方も注視をしていただきたいと思っております。

 最後に、国際観光旅客税につきましてお聞きをしたいと思います。

 この使途につきましては三つほどありまして、その一つ、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上というふうに書かれておるわけであります。

 今、地域の文化財の補修は極めておくれております。それは文化庁の予算が極めて少ないからであり、この少ない予算によって後継者がなかなか育ってこない、こういう悪循環になってきております。

 その中で、地方の文化、いわば地方の文化財をリニューアルする。そして、外国人の目に触れるようにきちっとしていく。そしてまた、今、地域によって商店街がかなり疲弊しております。その地域のいわば中心街の商店街をどのようにリニューアルし、そしてまた、その商店街を経産省とタイアップをしていただいてリニューアルし、そして空き店舗をし、そしてまたアーケードをきれいにする。

 そういうふうにまたこのお金を、この税を使っていただきたいと思うんですけれども、それについての御見解を最後にお尋ねしたいと思います。

田村(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 国際観光旅客税の税収につきましては、今御審議をお願いしております国際観光振興法案におきまして、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上などの国際観光振興施策に充当する旨を規定しております。

 あわせて、この考え方でございますけれども、税収を充てる施策は、既存施策の財源の単なる穴埋めをするのではなくて、先進性や費用対効果が高い取組、そして、地域経済の活性化その他の我が国における政策課題の解決に資する取組等に充てることを基本とする旨を規定しております。

 このため、これまで一般財源で行っていた既存事業を観光財源を充当する事業に単に振りかえることは適切ではないと考えております。

 他方、文化財保護と活用の両立や地域経済の活性化は重要と考えておりますので、今申し上げました基本的な考え方に基づきまして、平成三十一年度以降に観光財源を充当する事業につきましては、民間有識者の意見も踏まえつつ、中身をしっかり精査してまいります。そして、必要な施策を実施してまいりたいと考えております。

神谷(昇)委員 ありがとうございます。そのようにまたよろしくお願いします。

 時間がなかったものですから、早口で大変失礼しました。これで終わります。ありがとうございました。

西村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 きょうは質問の項目で独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の北村理事長にもお越しいただきました。お忙しいところをどうもありがとうございます。

 まずは、タクシー事業の適正化、活性化について伺います。

 日本のタクシーは諸外国に比べて、運転、接遇、そして責任において世界一と言われております。その主な要因は、法人タクシー制度が過去から維持されてきており、運送に関する諸問題はその事業者が責任をもって対処することが課せられているからであると考えます。また、個人タクシーは、法人タクシーで長期間運転者として従事し、資格を得た者のみに与えられた報奨という派生制度でもあり、基本は法人タクシーで培われています。

 従来から、利用者に対して責任を負い、雇用の場としても労働者の受皿となってきた現在のハイヤー、タクシーの質は、必然的に高いと考えます。

 また、交通網の発達や人口減少が続く中にあっても、タクシー車両は決して少なくないと言えます。その後、さまざまな規制の緩和といった形で、タクシー事業またタクシー労働者、ドライバーの方々の雇用は非常に壊されてきました。その後、平成二十五年に改正されました改正タクシー特措法、また、それに関しての平成二十七年の改正タクシー特措法に基づく特定地域の指定の開始などによって、特定地域そして準特定地域におけるさまざまな規制といいますか、協議会の設置、また、地域計画の策定などが行われ、特定地域においては強制的な減車というものが進んできたわけであります。

 平成三十年三月に国土交通省が、これらの特別措置法の施行状況及び効果についてという報告書を出しました。これらに基づいて幾つか伺ってまいりたいと思いますが、この報告においても、全ての特定地域計画が帰結されている地域においてこの取組状況、十分な内容とはなっていないというふうに思っておりますし、また、特定地域、準特定地域それぞれ、営業区域の人口に関する基準が非常に厳しくて、一人少なくなっただけでもこの地域から外されるというような厳しい基準でございます。

 そういったところで、非常にこれから人口減少が進む中で、一旦そうした特定地域、準特定地域から外れることによって、もうこれに後戻りできないというような状況でもあると言われております。

 そこで、タクシー特措法に基づく特定地域、準特定地域の指定基準の見直しをすべきではないかというふうに考えますが、人口に関しては柔軟な基準とすべきだというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

 また、地域計画の作成を義務化することによって、しっかりとした、協議会で話し合われたことの実行がなされると思います。この作成の義務化について。

 そしてもう一つは、タクシードライバー一人当たりの時給なども計算されましたけれども、もう一方では、最低賃金に満たない給料しか払われていないというところもあります。そういった意味で、ドライバーの労働実態調査を行うべきだというふうに思っておりますけれども、以上の三点についてまず伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法、いわゆるタクシー特措法に基づきまして、タクシー事業が供給過剰であると認める場合であって、事業の適正化及び活性化を推進することが特に必要であると認める特定地域として、全国六百三十一の営業区域のうち二十七地域を、また、タクシー事業が供給過剰となるおそれがあると認める場合であって、事業の適正化及び活性化を推進することが必要であると認める準特定地域として、百十四地域を指定をしております。

 これら特定地域及び準特定地域の指定に当たりましては、客観的な数値基準を定めまして指定の判断を行っておりますが、これは、改正法の御審議に当たっての附帯決議においても御指摘をいただいているところでございます。

 このうち、人口に関する基準でございますが、特定地域については、人口三十万人以上の都市を含む営業区域であることを要件といたしております。これは、タクシーの流し営業において運転者の賃金が歩合制であること等から供給過剰が起こりやすい特徴があるため、流し営業が成立し得る一定規模の人口を有する地域としてこの要件が定められたものでございます。

 また、準特定地域につきましては、人口十万人以上の都市を含む営業区域又はそれ以外のおおむね五万人以上の都市を含む営業区域であることを要件の一つとしておりまして、これらに基づきまして地域指定を行っているところでございますが、引き続き、この基準を適切に運用してまいりたいというふうに考えております。

 また、特定地域計画の策定についてでございますけれども、法律上、その第三条第一項の柱書きにおきまして「地域の関係者の自主的な取組を中心として」とされるとともに、第八条の二第一項におきましては、特定地域において組織された協議会は、タクシー事業の適正化及び活性化を推進しようとするときは、特定地域計画を作成し、「国土交通大臣の認可を受けなければならない。」と定められております。

 このように、特定地域計画の策定は協議会の判断に委ねられておりますが、現在、二十七の特定地域のうち、二十二が特定地域計画を策定いたしております。

 国土交通省といたしましては、各地域における適正化及び活性化の取組が推進されるよう、引き続き、協議会における特定地域計画の策定に当たりまして、関係者に対して必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 それから労働環境の把握でございますけれども、改正タクシー特措法の施行を踏まえまして、従来の日車営収に加え、時間当たり賃金の比較調査も始めたところでございまして、二十七の特定地域において平成二十六年度と平成二十八年度の比較では、両指標ともに二十五地域において増加したという結果が得られたところでございます。

 以上のような状況でございますが、国土交通省といたしましては、今後も適宜特措法の施行状況のフォローアップを行うことで、施策の進捗と効果の検証をしっかり行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

道下委員 このように、改正タクシー特措法においてタクシー事業の適正化そして活性化を何とか実行しているわけでありますけれども、それらを非常に破壊するようなものが、私はライドシェアだというふうに考えております。

 国土交通省としては、こうしたライドシェアは何とか踏ん張ってとどめておいているというふうに私は認識しておりますが、もう一つ、今、いわゆる白タク行為というものが非常に行われております。これは、特に今は、訪日外国人の増加に伴って、主に外国の旅行者を対象として、日本在住の同国人による白タク行為というものがふえている。

 この白タク行為に対しては、やはり厳に厳しく取締りを行っていくべきだというふうに思っておりますけれども、こうした白タク行為への認識、そして取締り状況等について伺いたいというふうに思っております。

石井国務大臣 御指摘の訪日中国人に対する白タク行為は、道路運送法違反であり、運転者が二種免許を有しない、運行管理が行われない、事故時の責任が運転者のみにあることなどから、利用者の安全、安心の観点からの問題がございます。

 国土交通省では、このような白タク行為につきまして、警察庁、法務省、業界団体等と連携をし、各地で取締りを強化するとともに、中国語等での注意喚起のチラシの作成、配布を行っております。

 本年は、訪日中国人が増加をいたします二月十五日から二十一日の春節休暇に合わせまして、取締りや啓発活動を強化いたしました。

 また、昨年、中国政府に対しまして、中国国内における制度の周知やマッチング事業者への指導につき、協力要請を行いました。その後、本年の春節期間前に、在京中国大使館のホームページにおいて二回にわたり、訪日中国人に対し、営業許可がない車両は安全上の問題が無視できないため、利用しないよう注意喚起がなされたところであります。

 これらの対策を行う中で、報道等によりまして、昨年は三件七名、本年は三月までの三カ月間で六件八名が道路運送法違反等の疑いで逮捕されたと承知をしております。

 引き続き、関係機関と連携をしてしっかり対策に取り組んでまいります。

 一方で、観光先進国の実現に向けましては、訪日外国人がストレスなく快適に観光を満喫できるよう、タクシーサービスの向上が不可欠であります。

 国土交通省といたしましては、事業者によるサービス向上のための取組につきましても、必要な支援をしてまいります。

道下委員 しっかりと、今のタクシー事業者、そしてタクシードライバーの経営そして労働というものをしっかり守っていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。北海道新幹線についてです。

 札幌駅、新幹線のホームが決まりました。当初、国交省は、在来線一、二番ホームを転用する現駅案の計画を認可し、鉄道・運輸機構も現駅案を推進しておられましたけれども、最終的には、在来線ホームとの距離が三百メートル以上もある大東案で合意したわけであります。この大東案で合意した理由について伺いたいと思います。

石井国務大臣 北海道新幹線札幌駅のホーム位置につきましては、平成二十八年四月より、北海道庁、札幌市、鉄道・運輸機構、JR北海道の四者で協議がなされまして、平成三十年二月からは国土交通省を加えた五者で、いわゆる認可見直し案、御指摘の現駅案と東案(その二)、御指摘の大東案について協議を行ってまいりました。

 平成三十年三月二十九日の五者協議におきまして北海道庁、札幌市及びJR北海道は、地元経済団体等の意見も踏まえ、新幹線プラットホームが二面確保できる等の利用者の利便性、新千歳空港と札幌間の鉄道アクセスを始めとする将来の拡張性、駅周辺の新たな開発による地域活性化等の観点から総合的に判断した結果、東案(その二)が望ましいとの意向を示しました。

 国土交通省及び鉄道・運輸機構は地元の意向を最大限尊重する立場でありまして、五者会議におきまして東案(その二)で合意されたものでございます。

道下委員 私は道議会議員時代に、この現駅案に国交省と鉄道・運輸機構が非常にこだわっていたというふうには耳では聞いてはいたんですけれども、報道等でも聞いていたんですけれども、今の御答弁では、国土交通省も鉄道・運輸機構も、地元の意見を最大限に尊重してきたということでこの大東案の合意に至ったということだというふうな答弁でありました。

 今後も、今回、最終的に大東案というふうに決まったわけでありますので、この合意に基づいて、速やかな着工、さらには二〇三〇年度末までの開業、できれば一日でも早くというふうに思っておりますけれども、それに向けて御尽力をいただきたいというふうに思っております。

 ただ、この大東案、先ほども申し上げましたとおり、在来線ホームと非常に距離があります。三百メートルございます。それだけ距離があることによって、高齢者や障害者が非常に歩きづらい。また、普通であっても、たくさんの旅行かばん、重たいかばんを持ちながら、乗りおり、そして乗りかえのエスカレーターでしょうか、エレベーターもあるでしょう。ただ、階段を上りおりすることもあると思います。そうした、特に高齢者や障害者などへの配慮が非常に必要だというふうに思っております。

 そしてこの大東案のそばには、札幌市が所有する北五条西一丁目の広大な土地、今青空駐車場になっておりますけれども、これは札幌市が今再開発を進めようとしています。この再開発のリンクも非常に重要だというふうに思っております。

 さらには、もう一つは、札樽道から札幌駅付近までの都心アクセス道路の整備が地元からも要望されておりますし、国土交通省の中でもそれに向けた準備が進められているというふうに伺っております。

 こうした関連施策に今後どのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

石井国務大臣 東案(その二)、御指摘の大東案の場合、新幹線と在来線の乗りかえには約三百メートルの移動が必要になると見込まれております。乗りかえなどに係るさらなる利便性の向上につきましては、コスト縮減の観点も踏まえ、引き続き関係者間で検討していくこととされております。

 高齢者や障害者を始め、増加するインバウンド旅客への対応も含めまして、今後、JR北海道において的確な対応がなされるよう、必要な指導を行ってまいります。

 また、札幌駅周辺の再開発につきましては、今般、新幹線のホーム位置が決定されたことを踏まえまして、札幌市において進めているまちづくり計画の策定作業の中で、今後、詳細の検討が進められていくことになると聞いております。

 札幌駅を含め、札幌都心部と札樽自動車道を結ぶ国道五号・創成川通につきましては、札幌北インターチェンジの出口における渋滞の発生や、特に降雪時に著しく速度が低下する等の課題があります。

 このため、平成二十八年十二月より国土交通省、北海道、札幌市から成る検討会を設置をいたしまして、機能強化の方策について鋭意検討を進め、今年度より概略ルート、構造を決定するための計画段階評価手続に着手することとしており、引き続き、三者による検討会を通じて調査を進めてまいります。

 いずれにいたしましても、道都札幌の玄関口となる札幌駅の整備に関しましては、北海道新幹線の札幌開業の効果を最大限高められるよう、国土交通省といたしましてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

道下委員 ありがとうございます。

 今回のこの大東案へ移行したことによって、現駅案よりも七十五億円この経費がふえるということで、その分はJRが全額負担ということで合意されたというふうに承知しておりますけれども、ただ、先ほどの高齢者、障害者の移動の円滑化に向けては、これは在来線の方で担当するというふうに伺っております。

 これからバリアフリー改正法案等についても今国会で審議が始まるというふうに思いますけれども、そういったバリアフリーに関しては、ぜひ、JR北海道のみの負担ではなくて、国土交通省からのさまざまな支援を心からお願いをしたいというふうに思っております。

 札幌まで新幹線が延びるところまでの、この今の新函館北斗駅から札幌駅まで工事が行われておりますが、その八〇%がトンネルでございます。札幌付近も、今、小樽におけるトンネルも行われておりますが、札幌市内ではなく、小樽市内の朝里トンネルにおいてのこのトンネル掘削工事、ここで出たトンネル掘削土が、小樽市内やその近辺の土地を利用した処分ではなくて、札幌市内の民間採石場にそのトンネル掘削土を搬入して処分することになったということの報道がありました。

 こうした、小樽での工事で発生した土を札幌市内で処分することに至った経緯について、鉄道・運輸機構理事長、伺いたいと思います。

北村参考人 お答え申し上げます。

 札幌―函館北斗間は、先生おっしゃいましたように八割がトンネルでございまして、残土の処理の確保がすごく大変でございます。

 今おっしゃられましたトンネル掘削土の受入れ場所につきましては、小樽市を始め、余市町、札幌市にもお願いをしてきましたけれども、札幌市から採石場のあっせんを受けまして、協議の上、そこに搬入することとさせていただきました。

 まだまだ受入れ地の確保、足らないわけでございまして、今後も、受入れ地を確保するために、引き続き、小樽市、余市町、そして札幌市にお願いをしていきたいと思っております。

道下委員 地域住民からは、なぜ小樽の方の土を札幌市の方にということも、意見としては、声としては聞きますけれども、逆に、札幌市におけるトンネルの土を今度は小樽などのそういった処分地に持っていっていただくということも考えられるのかなというふうに思っておりますので、柔軟な対応をよろしくお願いを申し上げます。

 また、札幌市内におけるこの処分地、中央区盤渓の地区なんですけれども、ここに持っていった土はそこでどのように処分するという協定になっているんでしょうか。また、ここには有害物質を含んだ土は搬入しないという協定だということでありますが、どのように有害物質が含まれていないというふうに調査するのか。もし万が一、搬入先で、この処分地で有害物質を含んだ土が発見された場合にはどのような対策をとっていくのか、伺いたいと思います。

北村参考人 先生がおっしゃいましたように、今回の処分地は、やはり、有害物質ではなくて、岩だとかれきだとか、そういう無害の、対策を要しない土地を処分するという前提で協定を結んでおります。

 我々、トンネルを掘削しますときには、まず、施工する前に地表面からトンネルの位置にボーリング調査をしてどういう地質かというのを調べますし、さらに、トンネルを実際に掘削しますときには、その掘削する場所の百メーター先の位置にさらに、先進ボーリング調査と称していますが、そういうものでずっと先を調査して、どんな性質の地質の土壌かというのを確認しながら掘削をしております。そして、そのうち無害のものについて盤渓の方の土地に持っていくということでございます。

 そういう形で無害の土砂だということを確認しながらやっていますが、万が一、掘る方でそうでないものが出た場合には、実は、ほかのトンネルでもそうでございますけれども、坑口に、そういうもの、有害なものが万が一あったら仮置きをする。トンネルを掘る方のですね。ということで、処分地の方には持ってきません。

 そういうことで処分地の方と結びました協定を遵守するようにやっていきたいと思っております。

道下委員 そこで、その持っていった土をどのように処分地で民間採石場の業者が利用するのかということは協定の中で記載されているのか、また、機構として御存じなのか、伺いたいと思います。

北村参考人 協定の中におきましては、掘りましてから処分地までは機構において運搬をします。そして、その後、処分地の方では、その所有者の方が敷きならしをして土砂流出などの安全対策を講じるという協定での約束事になっております。

 処分地そのものは深さ三十メーターぐらいのくぼ地でございますから、基本的には土砂をどんどん投げ入れて敷きならしをしていくということでございますけれども、いろいろな環境に対する影響が出ないか等、もちろん御心配の向きは当然わかることでございますので、例えば河川などの影響につきましては、札幌市さんが法律に基づいて定期的に水質調査などもされますけれども、それだけではなくて、我々も、機構においても、土地所有者とともに定期的に確認をしていきたい、こういうふうに思っております。

道下委員 この民間採石場というのが私の選挙区、中央区でございまして、私もちょっと見てきました。すぐそばに、今理事長がおっしゃったとおり、河川が流れています。盤渓川が流れています。非常に澄み切ったきれいな水で、それが、その下で琴似発寒川そして道管理の新川などにつながって石狩湾に注がれるわけでありますが、このきれいな川、前はちょっと汚かったんですが、地域住民の方々できれいにして、そしてその上で、自分たちでふ化をしたヤマメ、海に行くとサクラマスでありますけれども、このヤマメの稚魚の放流をいつも五月に行って、私もそれに一緒に参加をしております。

 ということで、そういった我々の仲間からは、ないとは思うけれども、民間採石場に土砂を埋め立てることによって、何らかの影響で河川が影響を受けないか、汚れないかということをちょっと心配しているわけでありまして、そういった意味で、今理事長が、河川については、札幌市などの調査、そして機構としても何かあったら調査をするということを答弁されましたので、しっかりとその点は対応をしていただきたいというふうに思っておりますが、よろしくお願いいたします。

 この点について最後ですけれども、今回、小樽側から札幌市へのトンネル掘削土の搬入に関して地域住民の方々に二度ほど説明会を開いたということでありますが、その説明会で地域住民の方々は、朝方の通勤通学時間帯、特に通学時間帯ですね、子供たちの通学に支障や、安全に問題はないか、それから騒音、そしてやはり土ぼこり、さらには、ここは今まで、この小樽から西区そして盤渓を通って昔はこばやし峠という非常に難しい峠があったんですけれども、南区に通じる峠があったんですけれども、それが昨年、盤渓北ノ沢トンネルという非常に使いやすい、非常に利便性の高いトンネルができまして、札幌市内で一番長いトンネルとなったんですけれども、そこが完成したことによって非常に交通量が多くなったということで、今後、こうした土砂運搬のダンプカーが通ることによって、さらなる交通量の増加、そして渋滞などが起きるのではないかというさまざまな地域住民の不安の声が寄せられたというふうに伺っています。

 今後、こうした地域住民の不安を払拭したり、又は安全対策についてどのように考えているのか。最後に理事長に伺いたいと思います。

北村参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃられましたように、基本的な対策の方針につきましては二月から説明を始めておりまして、三月十五日に地域住民の方に御説明をして、今おっしゃられたような通学時などの安全対策などを確実に実施することで御理解をいただいているところでございますが、さらに具体的な方針、例えば、通勤通学時に通るダンプの台数をどの程度にするかとか、それから、安全を確保するために誘導員をどこに何人ぐらいどう置くかとか、そういうふうな具体的な対策につきましては、今後、工事に入る前に地元説明会などを開催いたしまして、地域住民の皆様へ改めて丁寧に御説明をしてまいりたいと考えております。

道下委員 ぜひよろしくお願いいたします。北海道新幹線札幌延伸は、多くの道民の悲願でもあります。一日も早い開業と、そしてそれに向けては、安全、安心な中での完成、開業を望んでいます。どうぞ、鉄道・運輸機構の理事長そして石井大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 次の質問に移ります。先ほども中村委員が質問されましたけれども、国道の舗装の修繕について伺います。

 東北や北海道ではこの冬も、急速な凍結と雪解けの繰り返しによりまして、アスファルトに多数の穴やひび割れが発生しております。私は札幌に二十年近く住んでおりますけれども、札幌ではちょっと例年以上ではないかなというふうに感じております。新聞報道でも、東北地方で例年以上の穴などが、ポットホールが発生しているという報道がありました。

 これの原因についてなんですけれども、いわゆる普通の舗装と、もう一つは、目の粗い、低騒音対策のための舗装だとか浸水性、透水性のための舗装技術、そういった技術を生かしたアスファルト舗装、これが特に水を含んで、そして冬場の凍結、雪解け、これで穴だとかひび割れが起こりやすくなったのではないかなというふうに思うんですが、そうした穴とかひび割れの原因とアスファルトの舗装の材質について何か調査、検証などはされてきたのか、伺いたいと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の舗装は、例えば排水性舗装のようなものだと思いますけれども、排水性舗装のように空隙の大きい舗装につきましては、排水性が高いため、水はねの緩和による視認性の効果向上や道路交通騒音の低減効果などがあることから、北海道においても、主に札幌などの都市部において採用してきた実績がございます。

 一方、北海道などの積雪寒冷地におきましては、舗装表面の空隙から融雪水がしみ込み、その水分が凍結、融解を繰り返すうちに、ポットホール等の、舗装に穴があくことにつながることが判明してきております。特に空隙の大きい舗装につきましては、温暖な地域と比較して舗装の損傷が発生しやすいと考えられます。

 このようなことから、現在、北海道開発局におきましては、新たな道路舗装をする場合や舗装の打ちかえのタイミングでは、雨天時の走行性、安全性を確保するため、従来の排水性舗装にかわりまして、舗装表面に水はね軽減効果があり、かつ、内部の空隙が少なく、耐久性にすぐれた舗装を逐次採用してきております。

道下委員 わかりました。ありがとうございます。

 そうした技術開発や、また材質の変化、やはり、さまざまな気象の変化又は地域の状況に応じてしっかりとやっていただきたいと思います。

 最後に、今後の舗装の修繕、再舗装、舗装の打ちかえについては、先ほど中村委員が質問されましたので私は割愛させていただきまして、これで質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 前回の質疑に引き続きまして、前回の質疑で一番最後、一問、五道政府参考人に準天頂衛星についてお答えいただいて、そのことについて若干深掘りをしていきたいなと考えております。

 準天頂衛星といっても、知っている人はおりますし、知らない人はなかなか知らないかなとは思います。私たちが使っているカーナビゲーションのシステムは、アメリカのGPSという衛星の電波を使ってカーナビゲーションのシステムが今組み立てられております。これはもともと、勝手にというわけじゃないんですけれども、たまたまいい電波が飛んでいたので、それを使いながら、一九八〇年代から日本の国内では特に成熟してきたのがこのカーナビゲーションのシステム、電波を飛ばすというシステムです。

 準天頂衛星も、去年ようやく四基目が打ち上がって、年内中には精度の高い電波を出して、測位、自分自身がどこに立っているかという測位の電波でございまして、まず冒頭、各国の取組につきまして政府参考人から御答弁いただければ幸いと存じます。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 今現在、世界で測位システムを保有している国は、米国、欧州、中国、ロシア、インド、そして日本であります。

 このうち、地球全体をカバーする全球型のシステムを持っておりますのが、米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のガリレオ、中国の北斗。一方で、自分の国と周辺の一定の地域をカバーするシステムを持つのが、インドと日本であります。

 まず、米国のGPSは、一九九五年以降フルサービスを行っておりまして、現在、三十一基体制で運用中であります。

 また、ロシアのGLONASSは、二〇一一年から二十四基体制で運用中でございます。

 欧州のガリレオにつきましては、現在十四基体制で運用しておりまして、二〇二〇年までに計三十四基を打ち上げる予定です。

 中国の北斗は、現在十五基体制で運用しておりまして、二〇二〇年までに三十基体制とするという計画であると聞いております。

 インドのNAVICにつきましては、二〇一六年から七基体制で運用しております。

 そして、日本の準天頂システムにつきましては、今御指摘ありましたように、現在、四基体制での運用を準備しておりまして、二〇二三年度をめどに七基体制とすることを予定しております。

大島(敦)委員 お答えいただきましてまことにありがとうございます。

 アメリカのGPS衛星、これは、一番最初に全世界を覆う三十一基の衛星を打ち上げて、測位の電波、測位衛星ですから、全世界どこでも、どこに自分自身が、あるいは飛行機が、艦船があるというそういう測位の電波を一番最初に地球全体をカバーしたのがGPS、そしてロシアのGLONASS、その次が欧州、欧州はまだ十五基ですから全世界はカバーしていないと思います。ただ、二〇二〇年までには二十四基体制を予定していて、全世界をカバーすることになります。

 そして、一番最後が中国の北斗という衛星です。一基、二基、一次のフェーズ、二次のフェーズ、今は三次のフェーズになっていて、今のところは全世界をカバーしていませんけれども、二〇二〇年までには、今お答えいただいたように、三十基の衛星を打ち上げて、全世界どこにいても、中国のこの北斗という衛星を使って、自分がどこにいるかということが特定できる、わかるようになるわけでして、このことは、米国、ロシア、欧州、中国ですから、結構、国の独立、あるいは国が他国に依存しないということでは、社会的なインフラとして、あるいは国の戦略として理解できるなと考えておりまして、その中でインドについても、恐らくインドの周辺についてはカバーすることになるかと思います。

 そして日本においての準天頂衛星なんですけれども、そのカバーの範囲について御所見、御説明いただければ幸いと存じます。この狭い日本の国土だけなのか、もう少し広い地域をカバーするのか、その点についてお答えください。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 準天頂衛星につきましては、日本を中心としまして、主に東南アジア、欧州にいわばその測位の機能を発揮できる電波を降らせることができるというふうに考えております。

大島(敦)委員 今、政府参考人から御答弁をいただきました。

 この狭い日本の国土だけではなくて、この日本国土の中で自分自身がここに立っているということを特定する電波を飛ばすためには、多分、最低でも四基の体制で、これは8の字で周回しながら常に日本の準天頂に衛星があるということで測位が可能になるというシステムでして、そして範囲としては、ちょっと確認したいんですけれども、中国からオーストラリアまで含んで東南アジア全体をカバーするということでよろしいでしょうか。

行松政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございます。

大島(敦)委員 米国のGPS衛星、あるいはロシアのGLONASS、欧州のガリレオ、そして中国の北斗、さまざまな使い方ができると思います。

 ただ、民生用で使うときのその測位の誤差というのは、私が聞いているところですと、米国のGPS衛星で十メーターぐらい、中国の北斗で十メーターから十五メーターぐらいだと聞いておりまして、日本のこの準天頂衛星のその測位の誤差というのはどのくらいと考えればよろしいんでしょうか。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 本年十一月に本格サービスを予定しておりますけれども、センチメートル級のサービスが開始されれば、測位の誤差、恐らく数センチメートル単位でのサービスが提供できるものというふうに考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 そうすると、他国の大きなシステムを使って、全世界をカバーすることは難しいんだけれども、日本を中心として、中国からオーストラリアまで含めれば、ここ、数センチ単位で位置が特定できるということは、さまざまな利活用の可能性が広がるかと思っておりまして、その中でまず国土交通省の取組について伺いたいんですけれども、国土交通省でも、私が聞いている中でも、除雪車とか、あるいは港湾で船が着岸するときとか、あるいは海外に向けて国土地理院が、これは電子基準点についての売り込み、使用を各国に働きかけているというお話を聞いております。

 まず、国土交通省の中での道路除雪についての取組について御説明いただければ幸いです。

石川政府参考人 お答えいたします。

 準天頂衛星システムの利用は、位置情報がより正確に把握できますことから、道路管理の効率化等につながるものと認識をしているところでございます。

 具体的には、熟練したオペレーター不足が深刻な除雪の分野におきまして、自動運転を視野に入れつつ、運転の制御や操作支援といった除雪車の高度化に向け、現場において試行を始めたところでございます。

 例えば高速道路会社におきましては、準天頂衛星を活用しまして高精度に除雪車の位置を把握することで、車線からのはみ出しやガードレール等への接触を防止するガイダンス機能、これは、現在二人乗りの除雪車で助手席の方が対応しているこういう機能でございますけれども、この機能を開発、搭載した除雪車を北海道の高速道路において今年二月に試行導入いたしまして、現在、その結果について検証中でございます。

 また、北海道開発局におきましては、産学官が連携し、準天頂衛星の活用とあわせまして3Dマップの整備などの取組を進め、今年度中の一般道路での試行導入を目指しているところでございます。

 このような取組によりまして、除雪作業の省力化や安全性の向上、通行どめ時間の短縮等の効果が期待されます。

 国土交通省といたしましては、除雪車の高度化等に向けた検討を着実に進めながら、冬期道路の交通確保にしっかりと取り組んでまいります。

大島(敦)委員 石川局長、まことにありがとうございました。

 今の局長の御答弁の中で、多分ダイナミックマップかと思うんですけれども、事前に、雪が積もっていない中で道路をレーザーを飛ばしながら走ることによって、緯度と経度と高さで地図を描く。万を超えたポイントごとに地図をつくっている。その地図に基づいて、準天頂衛星の測位の電波を使いながら、まあ三センチから五センチぐらいだと思うので、それで除雪車を走らせていくと、この場合には、雪道、雪がかぶっておりますから、人の往来あるいは車の往来がないので一番実験しやすい方法かなと思っていまして、その点についてぜひ進めてもらいたいと思うので、ダイナミックマップ、その三次元のマップを使っての取組についてもう少し答弁できるんだったら、いただければと思います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、今年度は、一般道路でのこの準天頂衛星を活用した除雪車の高度化の試行を始めると考えているところでございますけれども、委員御指摘のとおり、3Dマップでありますと高さができるということでありますので、一般道路の場合は歩道等の段差がございます、それが高速道路と違うところでありまして、こういう利点を生かしながら、3Dマップとこの準天頂衛星の両方を活用しながら、一般道路への応用、これを取り組んでいきたいと考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 そうすると、今回は、除雪車という特殊な車両を使いながら、恐らく、今まで二人だったところをオペレーター一人で自動で除雪ができるようになるというそういう実験をされたかと思いますので、ぜひ今後も鋭意取り組んでいただければと思います。

 もう一つが、私が伺ったところですと、港湾で船が着岸するときにも、先ほど石川局長から御答弁がございました、今、高齢化に伴って、作業員を確保することが大変で、そのために今できるだけ自動化したいということでしたので、恐らく、港湾についての使用の仕方についてもそういうことが念頭にあるのかなとは思うんですけれども、その点について、取組の状況について御答弁いただければと思います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 国交省では、海上交通分野におきましても準天頂衛星の活用を検討しておりまして、具体的には、今年度から、船舶の自動離着桟、このシステムの技術開発に向けて検討を開始いたします。

 船が港に入ってくるときの特に着桟時、着岸時、船舶の高精度な位置情報というのが必要となります。現状ではGPS情報は得ているわけですが、メートル級の誤差があり、最終的には船員が、見張りがしっかりとついて確認をしながら着岸するということで、船員に負担がかかっている今の現状にあります。

 このため、今回の技術開発におきましては、準天頂衛星の持つセンチメートル級の高精度な測位情報、これをしっかりと取得するために、船舶搭載の機器の開発を行ってまいります。加えまして、その取得した測位情報、これに基づきまして、船舶の自動操船、これを支援するためのシステム開発に取り組んでまいりたいと思っています。

 こうした技術開発を通じまして、船員不足を言われますが、船員の作業の負担の大きい離着桟の自動化を目指すとともに、ヒューマンエラーによる海難事故、これの防止に向けて、さらには船員の労働環境の改善といったことを含めて、海上交通の安全性の確保、そして生産性の向上に努めてまいります。

大島(敦)委員 私、選挙区が陸しかないものですからなかなか港湾のことがよくわからなくて、やはり船が着岸するときには、これまでは、結構熟練とか、あるいは人が多く必要だった。それを、今回のこの測位のシステムを使うことによって、多く要員をかからないでも、あるいは人がいなくてもスムーズに船が着岸できる、そういう理解でよろしいでしょうか。

松原政府参考人 ただいま委員のおっしゃられたとおりでございます。

大島(敦)委員 ここまでの、精度の高い測位の衛星システムは日本だけです。全世界は、なかなか我が国の立ち位置から、費用も膨大にかかるものですから、難しいと思います。ただ、中国からオーストラリアまで東南アジア全て含んでいるということは、私たちが自動運転あるいは船の着岸するときのシステムとか先行してこの知見を広めることによって、さまざまな輸出というのか、さまざまなインフラを各国に提供できると思います。

 その中で、国土地理院さんはもう先行して海外に対しての売り込み、働きかけをしているかと思います。これは電子基準点ですか、なかなか私みたいな事務系にはわからないんですけれども、その電子基準点についての働きかけをしているということについて御説明していただければ幸いです。

村上政府参考人 お答えいたします。

 電子基準点は、我が国の準天頂衛星や米国のGPSを始めとしました測位衛星からの電波を常時受信いたしまして、測量や地図作成の基準、あるいは地殻変動の監視、位置情報サービスに関する各種サービスに利用されるものでございます。

 近年、タイあるいはミャンマーを始めとしました東南アジア諸国でございますけれども、においてこの電子基準点の導入に対する関心が高まっております。また、我が国のスペースであります準天頂衛星が東南アジアの上空を通過するということでございますので、その活用が期待されているところでございます。

 このため、国土交通省では、トップセールス等によりまして電子基準点網の導入を働きかけているところでございます。

 具体的には、タイ国に対しまして平成二十八年から国土地理院の専門家を派遣するとともに、昨年六月にはタイ国科学技術省と国土交通省の間で電子基準点網整備に関する協力覚書を締結し、また、十二月にはバンコクにおいて電子基準点網構築に関するセミナーを開催するといったことなど、積極的な技術協力に努めているところでございます。

 また、ミャンマー国では、我が国の支援によりましてヤンゴン市域における電子基準点網の整備が始まっているほか、ベトナム国、カンボジア国などに対しても、幹部職員を国土地理院に招聘し、我が国の電子基準点の活用事例を紹介するなどの取組を行っているところでございます。

 こうした取組は政府のインフラ輸出戦略上も重要な意義を有していると考えておりまして、相手国における社会基盤整備の促進に大きく寄与するものと期待しているところでございます。

 今後とも、東南アジア諸国における電子基準点の導入等につきまして、相手国のニーズを十分把握しつつ、積極的な技術協力を強力に進めてまいります。

大島(敦)委員 この電子基準点というのは、普通の基準点は、地図上の多分三角のやつとか、土に埋まっているのが基準点だと思っていて、この電子基準点は、測位のこの衛星の電波、システムを使いながら、この基準点にある位置が、多分、数ミリ単位でここにあるということが特定できるというそういう理解でよろしいですか。

村上政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

大島(敦)委員 これはもう前回、国土地理院さん、つくばに訪問したときに、国土地理院がずっと戦前は内務省だったんですけれども、ちょっと戦争中は陸軍の所管だったりして、この地図データというのは結構大切なデータだと思います、各国ごとに。ですから、その地図データを、その標準点をどこの国のシステムに依存するかというのは、結構大きな、私は、我が国としては大切な働きかけだと思っています。

 これまで蓄積した戦後の各国からの信頼感があって、日本のシステムに依存してもいいというふうに皆さんが思ってくれているかとは思うんですけれども、その点について、あるいは職員の皆さんの対応とか、あるいはどの辺まで進んでいるのか、手短に御答弁いただければと思います。

村上政府参考人 お答えいたします。

 国土地理院では、電子基準点網の運用に関しまして二十年以上の経験を有しております。そういった技術力につきましては、関係国、特に東南アジア諸国に対して大変理解をしていただいていまして、そういった意味での信頼、また、私どもが政府機関であるということで非常によく信頼していただいていまして、相手国の政府機関ともよく情報が共有できているというふうに考えております。

大島(敦)委員 今後、インフラ輸出等を我が国が考える中で、こういうような東南アジアをカバーするインフラを持ち、国土地理院さんが提供する電子基準点というインフラを提供していると、私たちの国としてのインフラの輸出が更に優位に運べるかなとは思うんです。ですから、ぜひその観点からも取り組んでいただければと思います。

 石川道路局長には御答弁いただいて、ありがとうございました。

 石井国土交通大臣から、この国土交通省の中でも何点かこういう取組を積極的にやっていただいています。今後、国土交通省としても、せっかくできた日本のインフラです。やはり私たちのシステムは、私たちのカーナビゲーションのシステムはアメリカのGPSだったり、インターネットもアメリカのインフラの上に乗っています。私たちの国が持つこういうインフラが必要だと思います。

 ですから、その点につきましても国土交通大臣から御答弁いただければと思います。

石井国務大臣 準天頂衛星は、GPSを補完するとともに、電子基準点の補正情報をもとに、より高精度で安定した衛星測位を可能とするものであります。

 これまで説明いたしましたとおり、国土交通分野におきましては、除雪車、船舶の自動離着桟のほか、測量分野や建設機械のICT施工など、広く利活用できると期待をされております。

 また、準天頂衛星は東南アジアの上空を通過することから、電子基準点網のASEAN諸国を始めとする海外展開にも貢献するものとなります。

 国土交通省といたしましては、内閣府とも連携をいたしながら、準天頂衛星のさらなる利活用を推進してまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 石井国土交通大臣からの積極的な御答弁、ありがとうございます。

 今、ドローンなんですけれども、政府としても国土交通省としても、ドローンでの、これはドローンに限らず、無人のヘリコプターもありますから、無人の、空を飛ぶドローン、ヘリコプター等によっての物流のさまざまな実験をしていらっしゃるかと思うんですけれども、今取り組んでいる中で、これは目視外飛行ですか、今ドローンは見えている範囲内でしか飛ばせないんですけれども、見えていない範囲、見えないところまで飛んでいくということについてさまざまな取組をしている中で、ドローンなどが自分自身で自分の場所を特定するという、ここについての方法、あるいはその安全基準について教えていただければと思います。

高野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、ドローンであるとかラジコンのヘリでございまして、無人航空機につきましては、現在、航空法の規定に基づきまして、目視外飛行を行う場合は国土交通大臣の許可が必要になっております。

 その際の許可、承認の基準の一つに機能及び性能の要件があるわけでございますが、ほかの航空機の航行の安全であるとか地上及び水上の人及び物件の安全の観点から、地上において操縦者が機体の位置を把握できることを求めておりまして、そのために、例えば、委員御指摘の航法測位電波を受信するシステムを備えるようなことを求めております。

 例えば一般的には、先ほど来御指摘のあるGPSの受信機を備えていることが一般的であると思います。

 このため、その性能要件として、航法測位電波の使用を含め、機体の位置を正確に把握して安全な飛行を継続できることが必要であるというふうに考えております。

大島(敦)委員 石井国土交通大臣にお願いいたしたい点が一点だけありまして、今御答弁いただいたドローンなどの測位、この安全基準の電波、どの測位電波を使うかというのは、安全性が確保できればいいというところだと思うんです。その準天頂衛星の電波を必ず使えというわけじゃないと思うんです。

 ただ、昨年の三月二十四日の地理空間情報活用推進基本計画、三月二十四日に閣議決定されている中には、「準天頂衛星を活用した無人航空機物流事業の推進」ということで、準天頂衛星システムを活用した無人航空機の飛行データなどの各種データ収集のための飛行実証を行うとともに、周辺環境の整備を行い、無人航空機による離島や過疎地への安全、低コストな物流事業の振興を促進するということで、電波については、航空局が考えると、これはやはり、もっと大きな、民間航空機同士のソサエティーの中での安全基準になりがちだと思うんです。

 やはり国内のことを考えると、この点については、先ほど言ったとおり、やはり国内の産業振興とか、あるいは国内での安全確保の観点からも、ぜひ準天頂衛星のこの測位の電波を使いながら、せっかく二千億円以上の費用を使ってつくったシステムですから、ぜひその点についても今後御検討していただければと思いますので、きょうは、時間となりましたのでここで質問は終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 もとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 ちょっと通告をしておらないんですが、今入ってまいりましたニュースで、国土交通大臣はもう御承知だと思いますが、大阪航空局と気象庁大阪管区気象台の廃棄書類約八百四十枚が大阪市内の路上に散乱していたということで発表がございました。

 国交省は、文書の散乱はまことに残念で、再発防止に努めるとの談話を出されているようでございますけれども、国交省はこの散乱文書は回収したが、個人情報が書かれた機密性の高い内部文書も含まれていた。また、文書は、航空局や気象台で作成された危機管理マニュアルなど、個人情報が記載された連絡網も含まれていたということでございまして、今、公文書のあり方が非常に問題となっております。

 石井大臣に、この公文書の管理のあり方、そして、今回のこの事案についての御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 公文書のあり方については、もともと適切に保管をするということで、新しいガイドラインにのっとって、この四月一日から各省庁ともその趣旨徹底に取り組んでいるところでありますが、今御紹介いただいた案件は、公文書を破棄する際に、ちょっと適切な方法で破棄をされていなかったということであります。

 私としても遺憾でございまして、今省内に改めて、破棄する際もきちんと適切に行うよう、再発防止を指示をしたところでございます。

もとむら委員 記事によりますと、一般ごみとして捨てられており、細断などがなかったということで、経緯を今調査しているということでございますが、ぜひとも石井大臣の強いリーダーシップで解決に向けて取組を進めていただきたいと思いますし、今大臣からも御答弁あったように、四月一日から、この公文書のあり方に関しては、各省庁取組を進めておりますので、きょうは四月四日でありまして、早速こういった事案がありましたので、特に注意をお願いしてまいりたいと思います。

 それでは、質問通告しておりました一般質疑についてお伺いしてまいりたいと思います。

 国交大臣はIR担当大臣でもありますけれども、観光政策として、きょう国交大臣にちょっと質問してまいりたいと思いますが、カジノを含むIRについて、訪日外国人の増加や消費金額増額にとってプラスになると期待する声もあるものの、そもそも日本を訪れる外国人はカジノで遊ぶことを求めていないのではないかという指摘もございます。

 カジノを含むIRの観光政策における位置づけについて、大臣の見解をお伺いいたします。

    〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕

石井国務大臣 本委員会におきましては、IR担当大臣ではなく、国土交通大臣として答弁をさせていただきます。

 IRは、カジノ施設のみならず、宿泊施設、会議場施設、展示施設、レクリエーション施設等が一体となった複合的な施設であるという特徴がございます。

 このため、十分な国際競争力を有する施設を備えたIRが整備をされれば、魅力ある新たな観光資源となるとともに、滞在型観光の拠点となり得るものと考えておりまして、新たなインバウンド需要の創出が期待をされます。

 また、IRでは、会議場施設、展示施設、宿泊施設等のMICE開催に必要となる施設、全国各地へ観光客を送り出す機能を有する施設、レクリエーション施設、カジノ施設等のポストコンベンションに資する施設、これらが一体となって整備がされることから、IRの整備は、我が国のMICE開催の誘致競争力の強化や、地域を含めた観光振興にもつながることが期待をされるところであります。

もとむら委員 株式会社日本政策投資銀行と、それから公益財団法人日本交通公社が発表しました意向調査によりますと、訪日外国人に、日本にIR施設ができたら訪れてみたいですかというアンケートがあった際、六割が訪れてみたいという回答がありましたが、そのうち、カジノに行きたいと答えたのはその中の七%ということでありまして、訪日外国人の中にもやはりカジノに対する意見はさまざまだと思いますけれども、今後、ギャンブル依存症なども含めて、これは内閣委員会で問われることは承知をしておりますが、きょうは観光政策についての大臣のお考えを聞かせていただきましたので、内閣委員会等々でまた質疑を行ってまいりたいと思います。

 次に、一般質疑でありますので、地元市の課題にもちょっと触れさせていただきますが、私ども、ちょうど平成二十八年五月十三日の国土交通委員会で、宮ケ瀬湖、宮ケ瀬ダムの湖面利用についての質疑を行ってまいりました。

 宮ケ瀬ダムは、夏に行きたい観光ダムランキングで、黒部ダムを抑えて今一位ということでございまして、観光客が年間百五十万人を超えて、放流に加えて公園や施設の充実、イベントや資料館など、親子で楽しめると評判でありまして、二〇〇一年に完成した宮ケ瀬ダムは、観光を意識して見せるダムとしてつくられたわけでありまして、さらに、国際旅客促進法改正で質疑をさせていただきましたが、ゴールデンルート以外への誘客が大きな主眼でもあるという御答弁もいただいておりまして、大臣からも、その際、ゴールデンルート以外への誘客の重要性を御答弁いただいたという経緯もございます。

 そういう中で、我々神奈川県は、大山、丹沢、宮ケ瀬といった、ちょっとゴールデンルートから外れておりますが、私の地元相模原市では、東京オリンピック・パラリンピックのロードレース競技のコースを誘致しておりまして、途中でこの相模原市を通過するという話もございます。

 そうした中、この宮ケ瀬湖における、ちょうど二年前ですか、私、趣味が釣りなものですから、宮ケ瀬湖で釣りができませんかという質問をさせていただきまして、平成十一年四月に県と地元自治体が協定書を締結しており、釣りが禁止ではないんだけれども、やはり湖面利用を行う場合にはローボートのみによることとされているとか、県の条例で、遊覧船、さらに競技に用いるカヌー及び漕艇のみ利用とされていることから、現状ではローボートが使用できませんよという御答弁もいただいているんですが、二年前の五月十三日に、ニーズなどをよくお伺いをいたしまして、釣りなどについて調整をしてまいりたいと答弁をいただきましたが、その後何か、二年たちましたが、動きがございましたでしょうか。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 宮ケ瀬ダムの湖畔周辺等の利用者数は、平成二十八年度は、議員おっしゃるとおり約百五十五万人で、平成二十九年度は、二月までの集計ではありますが、約百五十八万人となっておりまして、既に昨年度を上回っているという状況でございます。

 平成十一年四月に、国及び神奈川県、地元自治体で締結をいたしました基本協定では、湖面において釣りを行う場合、係船設備を使用したローボートのみとされているところでございます。

 現在、カヌー場の係船設備は、神奈川県の条例及び規則により、競技に用いる船艇の利用に限られております。また、遊覧船の係船設備は、喫水が大きな船を対象とした設備となっておりまして、小型の手こぎボートが利用できない状況となっているところでございます。

 国及び神奈川県、地元自治体等、それから地域の代表者、それから漁協等によりまして、宮ケ瀬ダム湖周辺の活性化を目的といたしました宮ケ瀬湖水源地域ビジョン推進会議を、平成二十九年二月十四日、それから平成三十年二月八日において開催をしたのでございますけれども、そこで釣りに関する意見はございませんでした。

 いずれにしましても、宮ケ瀬ダム周辺の利用促進は地域の活性化の観点からも重要であると認識しておりますので、引き続き、ニーズの把握に努めまして、湖面等の利用促進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

もとむら委員 これまで二回ほど意見聴取があったということで、まあ、魚釣りの御意見がなかったということであります。私自身がそれを主張しておりましたので、御理解をいただきたいなと思います。

 そういった中で、確認いたしますが、ローボートがおろせるようになったら釣りが可能ということでありますので、県の条例が改正されれば、これは許可されるということでよろしいでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 基本協定書では、湖面において、係船設備を使用した釣りの利用は可能となっております。

 利用者のニーズを把握いたしまして、遊覧船等他の利用状況を踏まえて、新たな設備についての利用者や設備の安全性等を考慮した上で、宮ケ瀬湖水源地域ビジョン推進会議等の場において調整、合意形成を図り、占用許可を受ければ実施できるものというふうに考えているところでございます。

もとむら委員 釣りをする仲間から、宮ケ瀬湖で釣りをしたいという声は本当に全国的に高まっておりまして、今うなずかれておりますけれども、ぜひともその辺を承知した中で、釣りのアングラーの方も、その方からも意見を聞いていただければ、必ずそういった意見はたくさん出てまいりますので、今後取組を検討していただきたいとお願いしておきます。

 次に、国道十六号町田立体事業でございますが、ここも、一日当たり約五万台の交通が利用する国道十六号と、一日当たり約六万台の交通が利用する国道二百四十六号が交差する東名入口交差点の渋滞緩和等を目的とした立体事業でありまして、既に供用開始されておりますが、相模原方面から横浜町田インターにアクセスするランプ橋の工事を推進しているというふうに伺っておりますが、三十年度に開通予定というふうに伺っておりますが、この年次は変わりがないでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道十六号町田立体事業についてでございますが、平成二十八年四月に国道十六号と国道二四六号の立体交差部分が開通をしております。残った相模原方面から横浜町田インターチェンジにアクセスする新ランプにつきましては、これまで橋梁の架設工事を実施してきたところでございまして、今年度は主に擁壁工事、舗装工事等を実施する予定でございます。

 引き続き、地域の御協力を得ながら、平成三十年度の新ランプ開通を目指して工事を推進してまいります。

もとむら委員 次に、私の自宅から本当に歩いて一分ほどのところに、私、国道十六号線の近くに住んでいるんですが、その中で、鵜野森交差点という言葉がラジオ、テレビでよく渋滞の先頭に立つんですが、私、まさしく鵜野森に住んでいまして、この国道十六号の渋滞については、国交省の御努力にもよりまして、一の道路と言われてきた八王子バイパスの無償化や、今質問した町田立体の完成などで緩和が見られるものの、いまだ渋滞がひどくございまして、私ども地元の加山相模原市長も、十六号を将来立体化したらいいんじゃないかというような提案もされておりました。

 私もこの委員会でかつて御指摘をしてまいりましたし、平成二十四年、首都圏渋滞ボトルネック協議会が特定した主要渋滞エリアにも、鵜野森交差点を含む国道十六号線が選ばれてございます。

 こういったものを見る中で、やはり経済損失というものが非常に多くございますので、改善策について国交省はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道十六号は、委員御指摘のとおり、八王子市や相模原市、東名高速道路等を連絡する主要な幹線道路でございまして、一日当たり約五万台の交通が利用し、交通が集中することなどから、国道二四六号などの交差部を中心に渋滞が発生しておりました。

 そのため、国などにおきましては、国道十六号の渋滞緩和を図るとともに、広域的な道路のネットワークを強化する観点から、圏央道などの整備を進めてきております。

 また、国道百二十九号橋本五差路や国道二四六号の交差部等の激しい渋滞が発生していた箇所につきましては、交差部の立体化事業等の局所的な対策を進めてきております。

 例えば、平成二十八年四月の町田立体交差の開通によりまして、東名入口交差点の上り方面、横浜方面ですけれども、の渋滞がほぼ解消するなど、渋滞は大幅に緩和してきたところでございます。

 残る相模原方面から横浜町田インターにアクセスするランプについては、先ほど申し上げたとおり、今年度の開通を目指して工事を推進しているところでございます。

 しかしながら、国道十六号線の相模原市内におきましては、依然として渋滞が日中を通して発生しておりまして、今後も、これまでの渋滞対策や横浜町田インターのランプ橋の開通効果、首都高速横浜環状北西線の整備等の開通効果を確認しながら、関係機関とも連携をし、圏央道等へのアクセスの向上や局所的な対策も含め、必要な検討を行ってまいります。

    〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕

もとむら委員 ぜひ、相模原市や八王子の十六号というのは非常に渋滞がまだ激しくございますので、連続立体などを含めて将来的な御検討もお願いしてまいりたいと思います。

 次に、リニア中央新幹線について二点お伺いしてまいりますが、私どもは、中間駅として、神奈川県駅として、私の地元相模原市の橋本という地域にリニア中央新幹線の中間駅が供用する予定でございますが、ここで、地元の皆さんも、用地補償において、金銭ではなく代替地を求める声が地元からも上がっております。

 皆さん、この公共事業、リニア中央新幹線の事業には前向きに賛成の皆さんでありまして、しかしながら、将来、この橋本から徒歩十分圏内に皆さん住んでいる方々ばかりでありまして、このリニア中央新幹線の用地補償は、昭和三十七年に閣議決定されました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づいて行われているということは、JR東海、相模原市からも説明を受けて十分承知をしておりますが、こうした、やはり金銭ではなく代替地を求める声が地元から上がっているということを国交大臣も十分把握をいただきたいと思っておりますし、こうした声についてJR東海には真摯にまた受けとめてほしいと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 リニア中央新幹線の用地取得に伴う損失補償につきまして、JR東海は、国の指針であります公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱及び公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づき対応することとしております。

 これら補償基準の中では、損失の補償は原則として金銭をもってするものとする。金銭にかえて土地等の金銭以外の方法による給付を要求した場合において、その要求が相当であり、真にやむを得ないと認められるときは、事情の許す限り、これらの給付を行うよう努めるものとするとされているところであります。

 JR東海は、この基準に従い、金銭による補償を原則としておりますが、個別の事情に応じて、移転先となり得る候補地の情報提供などの対応を行っているとのことであります。

 いずれにいたしましても、リニア中央新幹線事業の推進に当たりましては、地域の理解と協力を得ることが重要であり、用地取得につきましても、引き続き関係者に対して丁寧な説明を行うよう、JR東海を指導してまいります。

もとむら委員 今、要綱の第六条の一項と二項を大臣述べられましたけれども、その中で、また、地元の皆さんはこの公共事業に反対しているわけじゃなくて、前に進めていただくためにも、やはり自分たちの次の世代、孫の世代までこの橋本という地域を選んでお住まいになっている皆さんが多くいらっしゃいますので、ぜひとも土地の交渉には丁寧にお願いしてまいりたいと思いますし、特に相模原市が前向きに用地補償をやっておりますが、JR東海の顔が見えないという地域の皆さんの不安の声もいただいておりますので、その辺、適切な御指導をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、これは太田前大臣にも二度ほど質問させていただきましたが、私ども相模原市は、関東車両基地が五十ヘクタールできる予定でありまして、岐阜県中津川市の中部総合車両基地が六十五ヘクタールありまして、ここも一度視察に行ってまいりましたが、JR橋本駅から関東車両基地まで約十三キロということでありまして、ここは、JR博多駅から八キロ先にある山陽新幹線の博多総合車両所がありまして、車両所構内に博多南線の博多南駅があります。回送線の旅客化を行って活用している例として、平成二十七年の一日平均乗降客数は約一万四千人ということでございますので、私ども相模原市においても、相模原市観光協会、津久井地域商工連絡協議会によりまして、橋本から関東車両基地までの回送線の旅客化について要望が強くございます。

 この中で太田前大臣は、距離もある程度離れているし、地下を通っているのでリニアは見られないため、地上に車両があらわれるということと、そしてまた、世界に誇る最先端の超電導技術に触れるということができるようになっていることから、また観光資源にもなるということから、一考に値する話ではないかというふうに思っているという答弁をいただきましたが、石井大臣の見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 御指摘のような車両基地の活用、回送線の旅客線化につきましては、新たな観光資源になり得るとの観点から、一考に値する構想ではないかと太田前大臣より以前答弁されたことは承知をしております。

 これにつきましては、同時に、車両基地そのものを観光施設とすることはセキュリティー上の問題があること、車両基地への回送列車を営業用に使用するか否かは、営業主体のJR東海の判断の問題であること等についても太田前大臣より答弁されているところであり、私も同様の認識であります。

 現段階では、地元自治体からJR東海に対して具体的な相談をされているという報告は受けておりません。

 いずれにいたしましても、地元の関係者におきまして、開業までの間に十分議論していただくとともに、営業主体であるJR東海ともよく御相談いただくことが必要であると考えております。

もとむら委員 次に、ライドシェア関係のクルーについて質問させていただきますが、三月三十日の通達においてクルーのようなサービスはどのように取り扱われていくのか。簡潔にお答えください。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の通達ですが、三月三十日に、「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」通達を発出をいたしました。

 この通達におきまして、ガソリン代等のほかに一定の金額を収受することが可能な範囲として、具体的には、自発的な謝礼や仲介手数料の収受について、それぞれ取扱いの明確化を行ったところでございます。

 先生御指摘のクルーにつきましては、自家用自動車による運送において、利用者が運転者に対し、実際の運送にかかるガソリン代や道路通行料のほか、謝礼を支払う形態であるというふうに承知をいたしております。

 今後、このクルーにつきましては、謝礼の支払いに関することでありますとか運転者への仲介手数料の還流防止などにつきまして、今回発出いたしました通達に沿うものとなるよう確認するとともに、必要な改善、指導につきましても徹底してまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 ぜひ、クルーは以前、奥田局長もグレーだという答弁をされておりますので、しっかりとした指導をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、霞ケ浦導水事業について、三月三十日、東京高裁から和解案が示されておりまして、アユがふ化する毎年十月から一月末は夜間取水しないことや、漁協の意見を聞く場を設けることなど、国に求めたものでございまして、この事業は昭和五十一年に計画着手し、昭和六十年に事業が策定され、事業費一千九百億円、うち一千億円超が既に執行されてございまして、私どもの政権時代もいろいろなこともございましたけれども、この和解案が示されたことに対して国交省はどのように評価していくのか。お伺いしてまいります。

山田政府参考人 お答えいたします。

 霞ケ浦導水事業は、利根川と那珂川を導水路で結ぶことによりまして、首都圏の水道水等の安定供給と、霞ケ浦と桜川、千波湖の水質改善を図る重要な事業であると考えております。

 本事業に対しましては、茨城県及び栃木県の漁業協同組合から工事の差止め等を求める訴訟があり、第一審においては、原告らの請求を棄却するとの判決がありました。原告側の控訴によりまして、現在、第二審が行われております。その中で、東京高等裁判所から三月三十日に和解条項案が示されたところでございます。

 和解協議中でございますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきますけれども、引き続き関係省庁と協議した上で、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

もとむら委員 長い時間のかかった案件でありまして、国としても前向きに捉えていただき、地元の合意を得て、環境に配慮しながら事業を進めていただきたいと思います。また、協議会の設置やモニタリングの開催などを含めて、地元漁業の皆さんともしっかりと胸襟を開き合った議論をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの時期には、いわゆるゲリラ豪雨、局地的大雨というんでしょうか、これが発生が予想されておりまして、気象庁においては多くの最新研究を行っていると承知をしておりますが、社会実装を進めることが必要ではないかというふうに考えます。また、民間の気象サービスなどと官民連携してオールジャパンで臨むべきではないかと考えますが、大臣の所感をお伺いいたします。

石井国務大臣 いわゆるゲリラ豪雨の監視、予測につきましては、気象庁におきましてこれまでも、レーダーの高度化や高解像度降水ナウキャストの提供など、最新の科学技術を導入をいたしまして、既に社会実装を進めてきているところであります。

 平成三十一年度には、東京レーダーにつきまして、積乱雲の盛衰状況の把握や正確な雨量推定が可能な次世代気象レーダーに更新をいたしまして、更に局地的大雨等の観測、予測精度の向上を図ることとしております。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会におきましては、これらの成果も活用いたしまして、気象庁から適時的確に防災気象情報を発表してまいります。

 また、このような成果が民間気象サービスで活用されまして、円滑な競技運営のための情報提供がなされるよう、官民連携のもと、オールジャパンで臨めるよう取り組んでまいります。

もとむら委員 ぜひとも、今答弁あったように、官民連携を図って、オールジャパン体制で臨んでいただきたいというふうに思います。

 次の質問に入りますが、次は、国直轄事業負担金について、きょう、相模原市の国直轄事業負担金の決算額をお示しをさせていただいておりますが、この国直轄事業負担金は何に使ったのかもわからず、義務的に地方公共団体が負担しているという指摘も地方からありますし、大阪府のホームページには、かつては職員の退職金や省庁建てかえに使われていたことが判明しているというホームページも見つけました。

 そういった中で、平成二十五年度までに制度のあり方について結論を得るとされてきたわけでありますが、議論は進展していないように見えます。制度の見直しはどのようになっているのか、お伺いいたします。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 直轄事業負担金につきましては、これまでの取組といたしまして、平成二十一年度分の直轄事業負担金からその内訳内容の提示の詳細化を図るとともに、平成二十三年度には、維持管理に係る直轄事業負担金を廃止したところでございます。

 現在、建設費に係る直轄事業負担金を地方公共団体に御負担いただいておりますけれども、この直轄事業負担金制度につきましては、国と地方の役割分担のあり方や今後の社会資本整備のあり方等と密接に関連いたしますので、これらとの整合性を確保しながら検討をする必要がございます。

 また、東日本大震災等の大規模災害の発生や社会資本の老朽化問題の顕在化等、社会資本をめぐる大きな状況の変化もございます。これらも踏まえる必要がございます。

 このような中で、直轄事業負担金に関しましては、関係省庁と連携しながら、また、必要に応じ地方の意見を聞きながら、引き続き検討していくこととしております。

もとむら委員 相模原市は、毎年、継続要望として国直轄事業負担金の見直しを求めておりまして、平成三十年度も同様でありますし、見直しの具体的な手順や工程を明らかにするとともに、国と地方の役割分担を明確にし、国が行うべき事業は国が全額費用負担し、地方が行うべき事業は、確実な税財源とあわせた権限移譲を行うよう要望しております。

 きょうお配りの資料からも、相模原市は、平成二十二年から二十九年で約三百三十四億円の負担をしており、平成三十年度予算案でも六億円の国直轄負担金を計上しておりまして、その財源のうち五億四千万円は市債、つまり、借金をしてまで負担をしているわけであります。

 今の局長の答弁はゼロ回答に等しい話でありましたので、今後もまた少し追いかけてまいりたいと思いますが、大臣にお伺いいたします。

 この負担金を拠出しているにもかかわらず、例えば、地元業者が工事にも入ることができないといった声も聞いたり、地元自治体に利益が少ないという声も聞きます。受益者負担だという指摘も国交省から聞いておりますが、こうした声をどのように受けとめていらっしゃるのか。大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 地域の建設企業は、社会資本整備の担い手であると同時に、地域経済や雇用を支え、災害対応、除雪といった地域を維持する役割を担うなど、地域の守り手として重要な存在と認識をしております。

 このため、国土交通省におきましては、工事の内容に応じまして、分離分割発注の徹底、入札の参加要件におけます会社の本支店や営業所の所在地など地理的条件の適切な設定、総合評価落札方式におけます災害時の活動実績等の加点評価等の措置によりまして、できる限り地域企業を対象とする工事発注に努めているところであります。

 その結果、国土交通省の一般土木工事における地域企業向けの工事の割合は、大規模な震災復興工事の割合が大きい東北地方を除きますと、過去五年平均で、金額ベースで六割、件数ベースで九割を超えております。

 引き続き、地域企業の受注機会に配慮した工事発注に努めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 最後の質問にしますが、新幹線におけるWiFiの整備状況について、現状では事前に契約をしなければ使えないというお話もあります。

 外国人旅行客にとってはもちろん、ビジネス、観光目的で利用する日本人にとっても使いやすい環境整備のために、無料WiFi整備を進めていくことが望ましいと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 現在、東海道新幹線では、国内プロバイダーと事前に契約しておくことで車内でWiFiを利用することが可能となっておりますが、無料WiFiについてはいずれの新幹線にも導入されておりません。

 無料WiFiは、訪日外国人の通信手段としてニーズが強く、観光先進国に向けた訪日外国人の受入れ環境整備として取り組むべき重要な課題の一つであると認識をしております。また、訪日外国人だけでなく、日本人の鉄道利用者にとっても利便性の向上につながるものと認識をしております。

 このため、国交省としましては、JR各社に対し、新幹線における無料WiFiの導入について強く働きかけを行ってきたところでございます。

 こうした中、JR各社では、新幹線への無料WiFiの導入計画を明らかにしてきており、例えばJR東日本の東北新幹線では、本年五月から順次サービスを開始し、来年五月までに全編成でサービスを提供する予定でございます。

 また、JR東海、西日本の東海道・山陽新幹線におきましては、本年夏から順次サービスを開始し、来年度末までに全編成でサービスを提供する予定としております。

 これらにより、現在では、全ての新幹線において今年度中に無料WiFiサービスの提供を開始し、来年中にはおおむね導入が完了する見込みとなっているところでございます。

 国交省としましては、引き続き、新幹線を始めとする鉄道分野における無料WiFiのサービスの提供拡大に努めてまいります。

もとむら委員 時間になりましたので質問は終わりにしますが、WiFi整備、ぜひとも、そんなにお金のかかる話じゃありませんので、二〇一九年ワールドカップ、二〇二〇年東京オリ・パラリンピックの更に前に前倒しで進めていただくよう、国交省からも各鉄道事業者にお願いしてまいりたいと思います。

 終わりにします。

西村委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、三月六日の大臣の所信に対する質疑で、森友学園事件は近畿財務局と大阪航空局が協議し、お互いに了承し合いながら進めてきたものだ、専ら財務省の問題で国土交通省は関係がないなどというものでは断じてないと指摘をいたしました。きょうはその続きを聞きたいと思います。

 まず、本件土地が森友学園に売り払われることに至る出発点、一番最初の時点を確認したい。

 財務省理財局がことし二月に公表した、森友学園事案についての法律相談文書二百七十ページに添付されている経緯というものを見ますと、森友学園籠池理事長が二〇一三年六月二十八日に近畿財務局へ来所し、小学校用地として本地の取得を検討している旨を伝えます。

 それを受けて、八月二十一日には籠池氏が大阪航空局に来局し、財務局同席のもと、大阪航空局に対して、本地については、学校経営が安定する平成三十五年三月ごろまでは貸付けを受け、その後に購入したいとの要請を行っております。

 財務省、この経緯に間違いないですね。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今委員の方から御指摘になりました法律相談文書の経緯の中に、今述べられた内容が記載されているところでございます。

宮本(岳)委員 この経緯は資料一につけておきましたけれども、大阪航空局から、現行の国有財産制度で対応できるのであれば貸付けを検討してもらいたいとの意向が示されたのを受けて、本省理財局に相談の結果、貸付けを検討するとの指示を得ております。

 資料二を見ていただきたい。この大阪航空局来局の一週間後の八月二十八日、近畿財務局の管財部統括国有財産管理官が法務監査官に対して照会した法律相談書であります。「売払前提の土地賃貸借契約について」という表題がついております。

 理財局、この文書の「第二 前提事項」の二ポツには何と書いてありますか。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘の部分には、「相手方の計画としては、国有地借り受け後二年間で施設を建設する予定。建物初期投資は十億円程度の見込みとのこと。」とございます。

宮本(岳)委員 ここに、「建物初期投資は十億円程度の見込み」とはっきり出ております。

 航空局長、大阪航空局は当然これを知っておりましたね。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと事前に通告をいただいておりませんでしたので、その十億円の見込みということについての確認ということができておりませんので、そこは確認をさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 もう一度、資料一に戻っていただきたいんです。

 最初の六月の近畿財務局では、土地取得に必要な手続と売払い価格は時価ですよと、売払いのときの価格についての説明を受けただけであります。経営が難しいので、厳しいので、売払い前提の土地賃貸借契約でという話は、この文書の一週間前、つまり八月二十一日、大阪航空局で初めて説明をしているわけです。

 建物初期投資は十億円程度の見込みと、これを大阪航空局が知らなかったというのは通らない。これは知っていたに違いないですね。どうですか。

蝦名政府参考人 その点については確認をさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 確認をしていただく必要がありますけれども、とにかく金がないので買い取れない。校舎建設にも十億円程度かかる。だから、最初は買取りを前提とした貸付けで始めさせてくれという話だったことが確認されました。しかも、大阪航空局が、事情はわかったから、それでやらせてやってくれと答えたところからこの話は始まっているんです。

 さあそこで、三月六日の質疑であります。

 私は、大阪航空局の奥田空港部長が出席していた二〇一五年二月十日の第百二十三回国有財産近畿地方審議会の時点で、森友学園が事業計画に掲げた建物建設費がわずか四億円であったこと、その後も、二〇一五年五月二十九日の貸付合意書の締結時点でも、森友学園の事業計画書における建物の建設費用は変わらず、四億円で変更がなかったことが確認されているということを言いました。

 ところが、奥田部長は、会議に出席していたことは認めながら、四億円という金額について記憶がないという答弁がありましたけれども、これは、そもそも校舎建設費について関心がなかったということをおっしゃっているわけですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 本件の土地につきましては、伊丹空港周辺の騒音対策の一環で、騒音対策区域内の住民からの求めに応じまして、大阪航空局が昭和五十年より順次買入れを行っていったものでございますけれども、その後、航空機の低騒音化などの進展によりまして、第二種騒音対策区域から解除されたことを踏まえまして、行政財産から普通財産に組みかえられておるものでございます。

 その後、平成二十五年四月に、国有地の有効財産の観点から、大阪航空局から近畿財務局に対して本件土地の処分の依頼がなされました。

 したがいまして、当時、大阪航空局におきまして、本件土地の処分依頼を行った後ということで、土地の有効活用に向けた事務が進められているものだというふうに考えておりまして、当時の大阪航空局の職員にも確認をいたしましたけれども、特段の記憶はしていないということでございました。

宮本(岳)委員 いやいや、もともとお金がないから買い取れないということで、大阪航空局が、よしわかりましたということで始まっているんです。

 前回も指摘したように、第百二十三回国有財産近畿地方審議会で、四億円という建物建設費用について中野会長が、「これだけでも十数億はかかるはずですよね。この延坪数から言うと。」と発言しているのは当然のことなんですよ。

 もしかしたら、最初に十億円程度と聞かされていながら、二〇一六年六月二十日の売払い時点まで事業計画の校舎建設費を知らなかった、こういうことですか、もしかして大阪航空局は。

蝦名政府参考人 審議会の時点でまだ認識をしていなかったということでございますけれども、大阪航空局は最終的に森友学園の収支計画というのを入手しておりまして、その中に、建設費、土地購入費として四億円というのが計上はされておりますので、組織としての把握ということはしておりましたけれども、先ほど申し上げましたようなことで、手続はお任せして進めているという状況だったので、そこを認識して記憶をしていないという状況だったということでございました。

宮本(岳)委員 今、不正確ですよ。四億円は建物建設費ですね。もう一度。

蝦名政府参考人 その私どもが入手をしております収支計画の中では、建築費・土地購入という中の欄に四億円というのが計上されているということでございます。

宮本(岳)委員 土地も含めて四億円ですか。もっと恐ろしい話ですね。

 ちなみに理財局、二〇一六年六月二十日の売買契約時における森友学園の事業計画の中の建物建設費は五億円で間違いないですね。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 二〇一六年六月の売買契約書の締結の際には、森友学園から普通財産売払い申請書を受領しておりますが、当該申請書に添付されております収支計画、借入金返済計画概要におきましては、建物建設費用は五億円であったものと承知をしております。

宮本(岳)委員 二〇一五年五月二十九日、貸付合意書時点で建物建設費は四億円。今答弁のあった二〇一六年六月二十日の売払い時点でも五億円でありました。

 ところが、森友学園は、二〇一五年七月十七日、防火地域に建設される小学校校舎及び体育館の木質化について、二十七年度から二十八年度にかけて事業費二十一億八千万円で実施する旨の事業計画を国土交通省に提出。国土交通省は、二〇一五年九月四日に、サステナブル建築物等整備事業補助限度額約六千二百万円という事業採択を行ったわけであります。

 大阪航空局は、八億二千万円という地中ごみ撤去の試算までしたんですから、この土地にどのようなくいが打たれ、どのような建物が建つのか、設計図も含めて全てわかっていたはずですよ。

 この校舎が木質校舎で、サステナブル建築物等整備事業の補助金が入るということは、これはもちろん御存じだったんですね。

蝦名政府参考人 大阪航空局の当時の職員に確認をいたしましたけれども、森友学園がサステナブル建築物等先導事業の提案申請を行っていたという事実については知らなかったということでございました。

宮本(岳)委員 驚くべき答弁です。知らなかった。そうですか。事業計画によったら、買い取ってもらう期間がどうなるかもわからず、そもそもこの事業が、この学校がちゃんとやっていけるかどうかもみんながはらはらしながら見ている中で、このサステナブルの補助金整備事業、これは木質化ということで進めていることを知らなかったと。あり得ない話だと言わなければなりません。引き続き、ちょっと調べてみていただきたい。本当に知らなかったの。

蝦名政府参考人 サステナブル建築物等先導補助金というのは、本省住宅局において所管をしておられる補助金でございまして、大阪航空局が同補助金の存在を認識して、森友学園がこの申請あるいは受取をしているということを把握するということが難しい状況だったということでございます。

宮本(岳)委員 この前も聞いたんですけれども、住宅局と航空局では全然情報が行き来しないという答弁なんです。

 そもそも、最初は十億円程度と聞かされて始まった事業ですよ。途中で四億とか五億とか聞かされ、最終でも七億五千万円というような工事なんです。

 この事業は最終的にはどうなったかといいますと、五億円という先ほどの答弁の時点から、更に七億五千六百万円と引き上げられました。この七億五千万円というものと、サステナブル補助金用に用意された二十三億八千四百六十四万円という工事契約書と、さらにもう一つ、十五億五千万円という契約書、この金額が異なる三つの契約書をめぐって籠池氏は詐欺罪に問われているということなんです。

 十億円程度だと聞かされて、四億とか五億とか言っていたものが、片方で二十二億も二十三億もの事業費でサステナブルの補助金で申請が出ている。これに対して知らなかったと言うんだけれども、設計図も工事も全部知っているはずの大阪航空局が気づきもしない。同じ国土交通省で、この話はおかしいですよというやりとりすら今日までなかったと。

 本当にそんなことが通ると思っているんですか。いかがですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げますが、本省の住宅局で所管をされている補助金の、どういうところの申請が来るかということと、大阪航空局が土地の処分を近畿財務局にお願いをして、それでその手続が進められているという中で、住宅局の補助金の申請がどういうふうにやりとりをされていたかということについて認識をして、それをまた本省の方の住宅局に照会をするといったようなことをすることがほとんど可能性としては難しい状況だったということでございます。

宮本(岳)委員 到底納得できません。絶対に通らぬと思います。裁判を通じてほどなく真相が明らかにされることになるだろうと申し上げておきます。

 私は、大阪地裁の許可を得て、去る三月二十三日、大阪拘置所で籠池被告人と接見をしてまいりました。接見で私が、借入れ時も売却時も大阪航空局は近畿財務局と一体的に動いていたと思うが、航空局は知らなかったかのように言っている。そんなことはありますかと聞いたのに対し、あり得ない、完全に一体ですと証言されました。

 私がこの一年余り調べてきたところによっても、籠池氏が言うとおり、大阪航空局は近畿財務局と一体的に動いてまいりました。

 まず事実を確認いたしますけれども、既に我が党が音声データを公表した二〇一六年三月十六日の会合、そして、土地の売却金額をめぐって口裏合わせが行われたことが濃厚な二〇一六年三月三十日とされる会合、ここには大阪航空局も同席していたことを財務省は認めておりますけれども、航空局も認めますね。

蝦名政府参考人 御指摘の三月十六日、三月三十日とされております音声データにつきまして、これまでも報道などがなされておりますし、大阪航空局の職員に確認をしておりますけれども、御指摘の打合せには担当課が出席をしていたということでございます。

宮本(岳)委員 ちなみに、音声データはお聞きになりましたか。

蝦名政府参考人 御提供いただきました音声データにつきましては、聞き取りづらい部分とか詳細がわからない部分などもございましたけれども、確認をさせていただきました。

宮本(岳)委員 では、もう一つ聞きましょう。

 私は昨年二月二十四日の衆議院予算委員会で、二〇一五年九月四日に近畿財務局で、工事業者、設計業者、近畿財務局、大阪航空局が集まり打合せを行っていたことを指摘をいたしました。当初は財務省もこの会合を認めようとはせず、そのころにはさまざまな打合せが行われていたが、日にちは特定できないなどと言って逃げてまいりました。

 ところが、本年二月九日に財務省理財局が開示した森友学園事案についての法律相談の文書で、この会合が事実行われていたことが明らかになりました。

 理財局、三百六十一ページ、下から九行目以下の三行、何と書いてあるか、読み上げていただけますか。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねの法律相談文書は、二〇一六年三月三十一日付の、廃棄物混合土壌の残存についてという文書でございます。

 御指摘の箇所には、「平成二十七年九月四日 工事業者A、設計業者B、当局、大阪航空局により地下埋設物撤去方法に関する打合わせを実施。」と記載されているところでございます。

宮本(岳)委員 平成二十七年九月四日に、私の指摘したとおりの打合せを実施したことが記載されております。

 九月四日と日付も特定しておりますし、大阪航空局の名前も明確に記載されているわけです。航空局は、この打合せに大阪航空局が同席していたことをお認めになりますね。

蝦名政府参考人 ただいま御披露がありましたが、法律相談にあります九月四日の経緯の部分も見せながら、大阪航空局の職員に改めて確認をさせていただきました。

 平成二十七年九月当時は、低深度の土壌汚染等の除去工事が実施されていたところでございまして、貸付契約上、その費用は国が有益費として償還することとされていたため、九月ごろに、近畿財務局とともに関係業者と工事内容等について打合せを行った記憶はあるということから、近畿財務局が公表したその法律相談書の中に、当該打合せの日にちが平成二十七年九月四日と記載されているのであれば、その打合せには同席していたのかもしれないということでございました。

宮本(岳)委員 まさに、この間の証人喚問でも、佐川証人と私の間でやりとりになった、そのときのこれは国会質疑なんです。全て廃棄した、確認して廃棄したというその確認が、文書管理規定を確認しただけであったという、あのときのやりとりで私が示したものが、この九月四日の打合せというものなんです。

 つまり、二〇一六年三月十六日も、二〇一六年三月三十日も、そしてその前年の九月四日も、ちゃんと近畿財務局に大阪航空局は同席をして、こういう打合せに全部加わってきたわけであります。ですから私は、それを知らなかったということは到底通らないということを指摘したわけです。

 国有地の値引きの根拠となった地下埋設物についての計算、これも大阪航空局が行った。まさに国土交通省が行ったわけです。業者が、この間、報道ですけれども、虚偽の報告をさせられた、虚偽の報告をした、こういう報道がございます。国交省として当然確認すべきだと思うんですけれども、大臣は、捜査に関する事項であり、コメントは差し控えたいと判で押したように答弁をされております。

 これは大臣、調査しない、こういうことですか。

石井国務大臣 御指摘の報道があったことは承知をしておりますけれども、報道は、工事事業者が大阪地検に対して証言したとされる内容についてのものでありまして、このような事実を確認することはまさに捜査事項そのものを確認を行うことになるため、国土交通省としてこれを行うことは差し控えたいと考えております。

宮本(岳)委員 そこで財務省に聞くんですけれども、今、財務省では、それこそ決裁文書の改ざんについてその事実を認め、指揮命令系統について調査を進めております。財務省も当然捜査を受けている身でありますけれども、たとえ捜査中であっても、国民の疑念に応えて、みずから調査すべきことは調査しなければならない、こういう立場で今調査をされているんだと思うんですが、財務省、いかがですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、三月二日に報道があった段階におきましては、国会でのお尋ねに対しまして、捜査の途上であって差し控えたいというようなことを繰り返し答弁をしておったわけですけれども、その後は、書換えのありなしについては、おまえの書庫の中の問題であろうということで、財務省において調査を及ぶ限りいたしております。

 森友の関係の話はもう一年以上になっておりますけれども、御案内のとおり、本人である財務省の調査ではもうまかりならぬということが参議院の方でありまして、会計検査院そして司直の手に渡ったわけでございますけれども、そして、そのことが昨年秋の特別国会においてもそのように整理をされておったわけですが、三月二日の報道がございまして、それ自体はもうみずから調べることができないのかということで、その部分については財務省みずからの調査をさせていただいているということでございます。

宮本(岳)委員 当然の立場だと思うんです。

 財務省が書庫の中でのことだと言うのであれば、この虚偽の報告だというのは、まさに八億二千万の見積り、積算にかかわることでありますから、それは当然、捜査の途上であっても、工事業者が虚偽の報告だったと証言しているとの報道があれば、国交省として調査するのは当たり前ではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

石井国務大臣 財務省の場合は、みずから決裁書類の書換えを行ったわけですから、みずからそれは調査をするということは可能かと思いますが、委員が御指摘になっているのは、工事事業者が大阪地検に対して証言をした中身、それを確認せよということでありますから、それは捜査事項そのものを確認することになるため、国交省としてはこれは差し控えさせていただきます。

宮本(岳)委員 大阪地検は、今度の改ざん事件でも一定の協力はされているわけですね。

 一つは、その業者は別に話を聞けないわけではありませんので、すぐにでも聞くことができるでしょう。さらには、そもそもその積算というものが、例えばその業者が出してきた、三メートルより深いところからも出ているというその事実が本当なのかどうかを、みずからもう一度調査するのは当たり前のことだと思います。

 もう一つ聞きます。

 財務省から国交省に対して文書の改ざんの依頼があった、この報道に対しても大臣は、財務省で行われている調査の状況も見きわめながら丁寧に進める必要があるなどと、その有無すらいまだに明らかにしようとしておりません。

 これも先に財務省に確認しますけれども、国交省に対して、財務省の調査結果が出るまで国交省の調査結果の公表は待ってくれ、こう要請したことがありますか。

矢野政府参考人 お答えをいたします。

 国交省に対しまして、調査をこのようにとか、あるいはタイミングについて御要請をするということは特にいたしておりません。

宮本(岳)委員 財務省がそんなことをするわけないと思うんです。

 財務省は財務省として、改ざんの依頼をしたかどうかの調査をするのは当たり前です。国交省は国交省として、改ざんの依頼があったのかどうかを調査するのも当たり前ではないですか、大臣。

石井国務大臣 私どもは、国土交通省としては国土交通省として調査を行っております。

 ただし、現在、大阪地検による捜査が進められている中、財務省において引き続きこの書類の書換えに関する調査が、その経緯をも含めて進められていらっしゃるところでありますから、財務省で行われている調査の状況も見きわめながら、丁寧に進める必要があるというふうに申し上げているところであります。

宮本(岳)委員 大臣は、三月二日の朝日の報道があった後、財務省が財務省としての調査結果を発表する前に、国交省には財務省が国会議員に提出したものとは違う文書があったということを公表されました。

 改ざん前の文書を持っていたことについてはいち早く公表したのに、改ざん依頼があったかなかったかの調査については、なぜそれほど消極的なのか。これだって、改ざん依頼があったかどうか調べて、あったならばありましたよと言うのが当たり前じゃないですか。

石井国務大臣 今委員が御指摘された三月二日の報道云々について私どもが公表したのは、財務省が事実を明らかにした後でございます。その調査が終わった後、私どもは公表したということであります。

宮本(岳)委員 では、もう今既にさまざまな調査はやっていて、明らかにしていないだけで、さまざまな事実はつかんでいるということなんですか。

石井国務大臣 調査の具体的な内容については、現時点ではお答えは差し控えさせていただきます。

宮本(岳)委員 私は、きょう御指摘申し上げてきたように、近畿財務局と大阪航空局はほとんど共犯関係に近い形でこの事件は進められてきたと言わざるを得ないと思うんです。共犯関係に近いからこそ、改ざん依頼などという非常識なことが起こり得るんですよ。改ざんなんというのはあってはならぬことですよ。とんでもないことです。いわば毒を食らわば皿まで、毒を食うだけじゃなく皿まで食べたような話なんです。

 これを依頼するというのは、一緒に毒を食べていたからこそ、一緒に皿まで食べてくれませんかと依頼するんですよ。毒も食べていない相手に、突然皿を食べてくれと頼むわけがないんですよ。その事情を知っているから、私たちのところでは改ざんしていますよ、あなたのところも改ざんしてくれませんかと頼めるんですよ。やってなければ頼めるわけがないんです。

 そういう問題じゃないですか、大臣。

石井国務大臣 委員がおっしゃっている共犯関係というのは、どういう意味でおっしゃっているのかよく私は理解ができませんけれども、もともと当該土地は、大阪航空局が騒音対策のために地主からの買取り請求の求めに応じて買い取った土地であり、その後、一般財産としてこれを処分する。

 ですから、大阪航空局はもともとの土地の所有者という立場であり、その処分を近畿財務局に依頼をしたという関係でありますから、いろいろな関係で協力をしながらこの土地の処分を進めていたということは、それはそのとおりかと存じますけれども、私どもの立場はこれまでさまざまな機会に申し上げてきたとおりであります。

宮本(岳)委員 もちろん、私も、共犯者だと決めつけるつもりはないんですけれども、共犯者であった可能性も否定できないということを申し上げているわけです。

 最初、そもそも十億円程度という話から始まっているんですよ、これは。そして、つまり土地の所有者として、交渉や契約の折々では近畿財務局と一緒に協議をしているわけです。まさに国民の目から見たら、国交省も財務省と共犯関係ではないかと疑われても仕方がない。

 これは本当に、徹底的にみずから調査をする、その姿勢を示す必要がある。このことを申し上げて、きょうは時間ですので私の質問を終わります。

西村委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 質疑に入らさせていただきます。伊藤局長にきょうはお越しをいただいて、住宅局に聞かせていただきます。

 国民生活に必要で、根幹をなす表現としてよく、衣食住、やはりそれが充実していくということが人間の生活水準というのが満たされていく指標の一つだというふうに思うんですけれども、若者がやはり家を持てる夢を持つ、また高齢者は、その年代に合わせて、ライフステージに合わせて住みかえを実現するといったような観点から、既存住宅流通の促進というのは国民生活にとって非常に重要であると思いますし、大臣所信でもそのように述べておられましたけれども、今月一日から流通開始の安心R住宅を始め、中古住宅流通の取組というのについて順々に聞いていきます。

 まず最初は、空き家がどんどんふえていく中、そもそも中古住宅というのはどのくらい流通しているのか。また、木造戸建て住宅は、築後二十年程度で市場価値がゼロとみなされているという取引慣行が存在するというふうにも聞きます。上物に値段がつくことというのは、やはり、流通する上において非常に大事であると考えます。

 中古住宅の流通促進策として国交省全体でどのような取組をなさっているのか、改めてお聞かせいただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の全住宅流通量、要は既存の流通とそれから新築着工の合計でございますが、に占める既存住宅の流通シェアは、平成二十五年時点で約一四・七%でございまして、欧米諸国と比べると、大体六分の一から五分の一程度と低い水準にあります。

 委員御指摘のとおり、今後も増加が見込まれる空き家の利活用を図り、その発生を抑制するため、また、若年・子育て世帯、高齢者世帯などがおのおのにふさわしい住まいを適切な負担で確保できるようにするためにも、既存住宅の市場の整備は喫緊の課題だというふうに考えております。

 このため、まず、既存住宅の適切な維持管理やリフォームの実施という観点から、長期優良住宅化リフォームなどの支援を行うとともに、住宅の価値が適切に評価され売買されるための環境の整備という観点からは、平成二十六年三月に中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針を策定するとともに、この建物評価の改善が市場に定着するよう、平成二十七年七月に、実務への反映策として、不動産鑑定士が鑑定評価を行う際の留意点の取りまとめや宅建業者が用いる価格査定マニュアルの改訂を行い、その普及を図っているところです。

 さらに、先ほど御指摘いただきましたとおり、安心して取引ができる環境整備に向けて、宅地建物取引業法を改正し、この四月より宅地建物取引業者によるインスペクション業者のあっせんの可否を位置づけるとともに、不安、汚い、わからないといった従来の既存住宅のイメージを払拭し、消費者が住みたい、買いたいと思う新しいイメージの既存住宅を選択できるよう、安心R住宅制度を開始したところでございます。

井上(英)委員 国交省は、インスペクションや情報提供というのが十分行われて、消費者が安心して購入できる良質なストックとして既存住宅にシグナリング効果を付与してその仲介、流通の促進というのを図るということで、それを目的に、わかりやすい指標、標章ということで、安心R住宅ということで、それについて次に聞きますけれども、安心R住宅、これは先ほど言われたように、宅建業法の改正、それによってこの中古住宅の売買の促進を促すための個別具体の施策が安心R住宅ではないかなというふうに思いますけれども、この安心R住宅、現状、一日から始まりましたけれども、登録事業者の団体は現時点では三団体、住宅メーカー、リフォーム団体、それからあと不動産取引業の全日さんのこの三団体というのになっています。消費者へ安心R住宅ということで中古物件の普及というのを進めていくためには、それらの団体による取組というだけではやはり不十分ではないかなというふうに思います。

 安心R住宅に具体的なやはりメリットがないと普及はなかなか難しいというふうに思うんですけれども、まずは本制度をどうやって普及させるのか、具体的にお聞きしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 安心R住宅でございますが、安心、きれい、わかりやすいという観点から要件を設けておりまして、具体的には、いわゆる新耐震基準に適合する。それから、雨漏りやふぐあいなどがない状況で既存住宅売買瑕疵保険の検査基準に適合する。

 それから、きれいという観点で、リフォーム工事によって従来の既存住宅の汚いイメージがない。あるいは、リフォーム工事を実施していない場合におきましては、費用情報を含むリフォームの提案書があるということ。

 また、わかりやすいという観点でいうと、外装とか主たる内装等の写真が閲覧できるとか、あるいは、広告時に点検記録等の保管状況が示され、更に求めに応じて詳細情報が開示される。

 そういった条件のものというふうになっております。

 今現在は、先ほど御指摘いただきましたとおり、三団体が登録をされているところでございますが、まだほかにも各分野から、今後登録に向けて準備中ということで御照会もいただいているところでございます。

 そのような情報も踏まえつつ、安心R住宅の普及を進めるということは非常に大切なことだというふうに思っております。

 国土交通省では、これまでに、国土交通省ホームページや広報誌を活用し、また、報道各社や不動産情報サイトに積極的に情報提供を行っております。また、一般の方向けに、「まんがでわかる!」といったことも含めて、わかりやすいパンフレットも作成させていただいているところでございます。

 またさらに、事業者に対してのメリットということでございますが、対象住宅が安心R住宅である場合には、今年度から、既存住宅を買い取り、質の向上を図るリフォームを行ってエンドユーザーに販売する、いわゆる買取り再販事業で扱われる住宅について、事業者に課される不動産取得税を減額する現行の特例措置の対象を、安心R住宅等につきましては敷地部分にも拡充するということを行っておりますし、またあわせて、住宅ストックの維持向上、評価、流通、金融等の一体的な仕組みを開発、普及等をするための取組について支援を行う事業を優先的に採択するですとか、あるいは、既存住宅の長寿命化や省エネ化等のリフォームに対して補助を行う長期優良住宅化リフォーム推進事業において、登録事業者団体によるグループ応募を可能として、グループに対して一定戸数を配分するといった優先的な取扱いを講じているところでございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 先ほども品質についてもお話しもいただいて、安心R住宅の基準についても答弁いただいているのでもう重ねて聞かないんですけれども、中古住宅に対して不安であったりだとか、それから、古い、汚いというような、そしてまた、根本的にその情報がわからないというふうに、今度は買い手の方は思っておられる方が非常に多い。やはりそういう中古住宅のマイナスイメージばかりが先行していますので、まずはそういうマイナスイメージをしっかりと払拭していくことが必要かなというふうに思います。

 その観点から安心R住宅はインスペクションがベースとなっていると思いますけれども、実際の検査は誰がどのように行うのか、インスペクションの体制はできているのか、また、インスペクションにはどの程度の費用が見込まれて、最終的には買い手の方がいい住宅に住めるというのがメリットなんですけれども、そのほかにどのようなメリットがあるのか、お答えいただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 安心R住宅は、先ほど申し上げましたとおり、耐震性があって、インスペクションが行われた住宅であって、リフォーム等について情報提供が行われる既存住宅ということになっております。

 このインスペクションでございますが、本年四月一日に施行された改正宅地建物取引業法に新たに位置づけられた建物状況調査との整合性を図っておりまして、一定の要件を満たした建築士が行うこととなっております。

 具体的には、国土交通大臣が登録した講習機関が実施する既存住宅の調査に関する講習を修了した建築士や、住宅瑕疵担保責任保険法人の建築士が、現場において目視や計測などにより、構造や防水に関するふぐあいの有無について検査を実施するということになっております。

 さらに、この検査に適合した住宅は、購入者の求めに応じて、売買された住宅に瑕疵があった場合には修補費用が支払われる保険に加入することができるということになっております。

 また、インスペクションの体制につきましては、これまでに約二万七千人の建築士が既存住宅の調査に関する講習を修了するなど、安心R住宅に関するインスペクションを実施する十分な体制が整備されているというふうに考えております。

 次に費用とメリットでございますが、インスペクションに要する費用につきましては、建物の規模により異なりますが、延べ床面積百二十平米の戸建て住宅の場合は、インスペクションのみであれば大体四万五千円から六万円程度、保険を含む場合には六万円から八万円程度というふうになっております。

 安心R住宅は、インスペクションが実施されて、構造上のふぐあいや雨漏りが認められないということになっているわけでございますが、仮に万が一ふぐあいが発見された場合でも修補費用が支払われる保険に加入できる住宅になっているということから、ふぐあいに関する消費者の不安が解消され、安心して住宅を選択できるというメリットがあるというふうに考えております。

井上(英)委員 建物は中古ですので当然リフォームというのがあるんですけれども、今回の要件というか、その中に、完全にリフォームが終わった、完了している物件もあれば、計画段階でそのR住宅の指定を受けられるということになっているのかと思うんです。

 僕は計画型というのは非常にいいと思うんです。もし自分が買い手と考えたときに、決まった形の住宅よりも、もともとの形で、それなりに建物も含めた構造上の安心を提供していただいた上で、そこに住むときに自分の色の部屋に改造、改造といいますか、リフォームできる方がまあまあいいんじゃないかなと。レクに来ていただいたときにも言っていたんですけれども、一回リフォームして今度また新たにリフォームするときには、業者さんは喜んでくれるかもわかりませんけれども、まあまあ一回で自分の色のリフォームができる方がいいと思うんです。

 ただ、そういうときに、リフォームのその業者も含めて買い手の方々にはやはり余り情報がありませんので、その消費者が安心してリフォーム業者を選ぶことができるような体制というのができているのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただきましたとおり、安心R住宅の場合は、一定のリフォーム工事が実施されているか、又は、費用の情報を含めたリフォーム工事に係るプランが準備されていて、それによって安心して選択することができるというふうになっております。

 具体的に、今御指摘をいただいた、リフォーム工事を行わずにリフォーム提案書による情報提供行う場合ですが、汚いのイメージをなくすために、リフォーム工事を実施する内装などの箇所、それから、台所、トイレ、洗面などの設備、それに伴う費用に関する情報、リフォーム工事後のイメージ写真などを記載するということになっておりまして、消費者はこれを参考に既存住宅を購入し、みずからのニーズに合ったリフォームを行うことができるというふうになっております。

 また、議員御指摘のとおり、リフォーム事業はさまざまな事業者が担っており、消費者にとっては、事業者の技術力、価格相場等がわかりにくい、また、気軽に相談できるところが少ない、知られていないといった課題を持っていることは確かでございます。

 このため、住宅リフォーム事業者の業務の適正な運営の確保及び消費者への情報提供等を行うなど、一定の要件を満たす住宅リフォーム事業者の住宅リフォーム事業者団体登録制度を平成二十六年九月から行っておりまして、現在、十団体が登録しているところであります。

 こうした取組を通じまして、消費者が安心してリフォーム工事を依頼できる環境の整備に努めてまいりたいと思っております。

井上(英)委員 では次に、相談のアフターサービスのあり方で、購入者側の十分な相談に応じるためには、やはり、もとになる基礎資料の収集、蓄積というのが非常に重要であります。売り主側の建築確認検査証、物件情報報告書、点検リフォーム、この記録といった住宅の履歴情報というのも極めて重要だというふうに思いますけれども、国交省による現在の取組状況はいかがなのか。

 さらに、購入者側の相談も団体が受け付けているんですけれども、専門的な相談窓口というのは団体に委ねるしかないんです。国交省を通じた専門集団との協力の提携、これは自治体も含めて視野に入れるべきではないかなと思うんですけれども、どう思われるか。

 また、リフォームの基準及び標章の使用については事業者団体がみずからルール設定を行うということで、事業者団体の都合のいいルールになるという可能性はないのかどうか。お聞かせいただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず履歴ということでございます。議員の御指摘のとおり、既存住宅の購入の判断に当たっては、検査済証や過去のリフォーム工事の記録といった、いわゆる住宅履歴情報の蓄積、活用が重要だというふうに考えております。

 このため、安心R住宅では、住宅に関する各種情報の「有」「無」「不明」の別などを記載した安心R住宅調査報告書を消費者へ交付することとしております。

 この安心R住宅調査報告書でございますが、既存住宅について安心R住宅の要件に適合しているかを調査し、その結果を記載したものでありまして、例えばで言いますと、建築時の情報だと検査済証とか住宅性能評価書など、それから、点検、診断の記録、住宅リフォーム工事に関する書類などの維持保全の状況に関する情報、新築時のハウスメーカーの保証書など保険又は保証に関する情報、窓の仕様や省エネ設備の設置状況などの省エネルギーに係る情報などについて、有無等を確認することができるようにしております。

 さらに、この報告書で「有」とされた情報につきましては、宅地建物取引業者へ依頼すると詳細な内容が開示されるため、それまでに実施した点検や修繕の内容や、どのような保証がなされるかについても把握することができるようになっております。

 このように、安心R住宅ではあらかじめ物件選びに必要な情報が整理されていますから、消費者は購入の判断をより的確に行うことができるようになるものと考えております。

 また、国土交通省では、住宅履歴情報が蓄積、活用される仕組みとして、民間事業者により、一定のルールのもとで住宅履歴情報を蓄積、保管するサービスがなされておりますので、こうしたものとも連携して、より詳細な情報が出していけるようにしたいというふうに思っているところでございます。

 次に、相談体制についてもお尋ねいただきました。

 安心R住宅に関する相談、苦情対応につきましては、登録事業者団体が相談体制を整備して住宅購入者からの相談等に対応することを事業者団体の登録の要件としております。これは、国土交通省のホームページにおいて各団体の相談窓口の連絡先も案内をさせていただいているところでございます。

 また、安心R住宅に係る各種相談等が、それぞれの登録団体ではなくて、当然、公共団体ですとか国民生活センター等に寄せられるということも考えられるというふうに思っております。

 このため、各都道府県の消費者行政担当課等に対して情報提供を行い、本制度に係る情報を提供した上で、必要に応じた対応を依頼したところでございます。

 さらに、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの専門家が住宅に関する相談に応じる住まいるダイヤルとも連携するということにしております。

 なお、御指摘の住宅リフォーム工事の実施判断、各登録団体の判断に基づき定めるということではございますが、その内容については国が審査をすることとしております。

 あわせて、国としても、安心R住宅のロゴマークの使用を許諾している立場から、各団体に対して、相談対応を含めた運営状況について定期的に報告を受け、必要に応じて指導監督を行うこととしているところでございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、もう時間もありませんのでまとめてお聞きしたいと思うんですけれども、安心R住宅は、結局、新しい制度ですのでさまざまな課題も出てくるかと思うんですけれども、そういった課題の中の一つに、これは売買ですから、やはり買い手の方々も、住宅ローンだとかリフォームローンというのがついてくるというふうな可能性も大いにあるわけで、新しい制度ですので、金融機関はどのような連携を考えておられるのか。そしてまた、そういう課題、問題が出たときに、事業者としての指導監督をどういうふうな体制で具体的にやっていくのかをお聞かせいただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、金融機関との連携でございます。

 御指摘のとおり、既存住宅の流通を促進するためには、住宅の価値が市場で適切に評価されるとともに、消費者に多様な住宅ローンが安定的に供給されるということが大変大切だというふうに思っております。

 このため、良質な中古戸建て住宅が適切に評価される建物評価に関する指針の策定に加えまして、金融機関と住宅事業者や宅建業者が連携して、住宅ストックの維持向上、評価、流通、金融等を一体的に開発、普及し、良質な住宅ストックが適切に評価される市場の形成を促進する先導的な取組に対して支援をいたします、住宅ストック維持・向上促進事業を行っております。

 具体的に申し上げますと、例えば相模原市緑区地域既存住宅リフォーム・改築推進協議会や名張中古住宅流通促進協議会におきまして、既存住宅の品質管理、維持管理について協議会で基準を設けて、これを満たす既存住宅については、この協議会に参加している金融機関が住宅ローンの金利優遇等を行うといった取組も進められているところでございます。

 また、国土交通省といたしまして、金融関係団体に対して、既存住宅向けの融資の審査や商品設計に際して、この安心R住宅制度を積極的に役立てていただくよう、文書によって要請をしているところでございます。

 さらに、住宅金融支援機構においては、既存住宅の取得に対して、リフォーム費用も含めて長期固定金利の住宅ローンの供給を支援しておりまして、取得する住宅の質が高い場合には金利の引下げも行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして金融機関との連携を更に深めたいというふうに思っております。

 また、次に、事業者の指導監督についてもお尋ねをいただきました。

 御指摘のとおり、新たな制度を円滑に運営するためには、事業者の指導監督を適切に行うということが非常に大事だというふうに考えております。

 本制度では、先ほど申し上げましたとおり、既存住宅の流通の円滑化に取り組み、構成員に対して指導監督や消費者からの相談等について十分なノウハウや経験を有している事業者団体が、構成員である事業者の活動を指導監督するという仕組みにしております。

 具体的には、必要な体制や資力を有する一般社団法人等であることが登録の要件になっておりまして、構成員に対して研修等を実施する、あるいは住宅購入者からの相談へ対応する、また、個々の構成員に対して、標章の使用を許諾するに当たって必要な指導、助言、勧告ができる、また、事業者が勧告に従わない場合にあっては許諾の取消し又は除名するといったことを義務づけているところでございます。

 また、各登録事業者団体に対しましては、国土交通大臣が住宅購入者の利益の保護のために必要な指導、助言、勧告等を行うということができるようにしておりまして、これらを通じまして事業者の指導監督を適切に行い、住宅購入者が安心して既存住宅を購入できる環境整備をするよう努めてまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、中古住宅を、今までにやはりなかなか販売促進されなかった分野になりますので、市場価値がやはり二十年たつとゼロになってしまうというような状況をまずは大きく変えないとなかなか流通というのが進まないかなというふうに思っていますので、ぜひ局長、頑張っていただくようによろしくお願いいたします。

 では最後に、安心R住宅というのは、国交省が主導して中古住宅の見方、買い方というのを変えていくというような制度となり得る、そして、改善を重ねながら安全、安心なマイホーム購入に大きく貢献する制度になることを期待をいたしておりますが、中古住宅流通市場の活性化に向けて、大臣、一言お願いいたします。

石井国務大臣 既存住宅流通の促進につきましては、平成二十八年三月に閣議決定をいたしました住生活基本計画におきまして、既存住宅流通の市場規模を平成二十五年の四兆円から平成三十七年には八兆円に倍増する目標を位置づけております。

 既存住宅流通の促進は、空き家の利活用を図りその増加を抑制するだけでなく、若年・子育て世帯が住宅を取得しやすくする、また、高齢者世帯が住みかえやすい環境の整備の観点からも、極めて重要と考えております。

 今後とも、既存住宅が市場で適正に取引されるよう、この四月より制度を開始をいたしました安心R住宅の普及を進めるとともに、予算、税、融資といった政策手段を総動員いたしまして、既存住宅流通の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

井上(英)委員 では、少し早いんですけれども、終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

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 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

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石井国務大臣 ただいま議題となりました都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 人口減少社会を迎えた我が国では、地方都市を始めとした多くの都市において、空き地、空き家等の低未利用地が時間的、空間的にランダムに発生する都市のスポンジ化が進行しており、コンパクトなまちづくりの推進に重大な支障となっております。

 こうした状況を踏まえ、低未利用地の集約等による利用の促進、地域コミュニティーによる身の回りの公共空間の創出、都市機能の確保等の施策を総合的に講じる必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、低未利用地の利用の促進を図るため、複数の土地や建物に一括して利用権等を設定する制度を創設するとともに、まちづくり会社等の都市再生推進法人の業務に、低未利用地の一時保有等に係る業務を追加することとしております。また、低未利用地を集約し、商業施設、医療施設等の整備を図るための土地区画整理事業の特例及び当該事業を行う民間事業者に対する資金貸付制度の創設等の措置を講ずることとしております。

 第二に、身の回りの公共空間の創出を図るため、交流広場等の地域コミュニティーが共同で整備、管理する施設についての協定制度を創設するとともに、都市計画の案の作成、意見の調整等を行う住民団体等を、都市計画協力団体として市町村長が指定できることとする措置を講ずることとしております。

 第三に、都市機能の確保を図るため、都市計画で位置づけられた施設を官民連携により確実に整備等するための協定制度を創設するとともに、都市機能誘導区域内における商業施設、医療施設等の休廃止に係る届出制度の創設等の措置を講ずることとしております。

 その他、都市の遊休空間の活用による安全性、利便性の向上を図るため、公共公益施設の転用の柔軟化、駐車施設の附置義務の適正化、立体道路制度の適用対象の拡充等、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十二分散会


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