衆議院

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第10号 平成30年4月17日(火曜日)

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平成三十年四月十七日(火曜日)

    午後三時十八分開議

 出席委員

   委員長 西村 明宏君

   理事 鬼木  誠君 理事 金子 恭之君

   理事 新谷 正義君 理事 土屋 品子君

   理事 盛山 正仁君 理事 矢上 雅義君

   理事 小宮山泰子君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    石崎  徹君

      岩田 和親君    大塚 高司君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      門  博文君    神谷  昇君

      木村 次郎君    工藤 彰三君

      佐々木 紀君    鈴木 憲和君

      田中 英之君    高木  啓君

      高木  毅君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      根本 幸典君    鳩山 二郎君

      藤井比早之君    堀内 詔子君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      望月 義夫君    山本 公一君

      初鹿 明博君    道下 大樹君

      森山 浩行君    早稲田夕季君

      伊藤 俊輔君    大島  敦君

      もとむら賢太郎君    森田 俊和君

      北側 一雄君    高木 陽介君

      広田  一君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    井上 英孝君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      牧野たかお君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     堀内 詔子君

  根本 幸典君     高木  啓君

  宮内 秀樹君     石崎  徹君

  簗  和生君     木村 次郎君

  宮本 岳志君     宮本  徹君

  井上 英孝君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     佐々木 紀君

  木村 次郎君     簗  和生君

  高木  啓君     根本 幸典君

  堀内 詔子君     岩田 和親君

  宮本  徹君     宮本 岳志君

  浦野 靖人君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     宮内 秀樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長由木文彦君、道路局長石川雄一君、住宅局長伊藤明子君、鉄道局長藤井直樹君、自動車局長奥田哲也君、航空局長蝦名邦晴君及び警察庁長官官房審議官長谷川豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 今のこのいわゆるバリアフリー法改正案について、先週の金曜日に、障害当事者の方々など参考人の方々にお越しいただきまして意見を述べていただき、また、我々も質問をさせていただきました。その回答に対して大臣の見解などを幾つか伺いたいというふうに思っております。

 まずは、今回のバリアフリー法改正案において、移動の権利、そして、そもそも障害者も含めた基本的人権というものが記されていないことについて参考人の方々からさまざま意見をいただいたことに、ちょっと大臣のお話を伺いたいというふうに思っております。

 例えば、基本的人権、移動の権利というものが明記されていないことについて三星参考人は、「法律の中でどう表現するか。交通権若しくは移動権という用語を使って、どういうところでどういう表現にするか」については、その上位における交通政策基本法にはなかったんだけれども、「今回の法律だけには入れにくいというあたりは理解できますけれども、」という御意見や、また、竹下参考人は、「実質的な意味では、今の現代社会では移動の自由が確保されているとは言えない」、「障害のある人たちも平等に、あるいは、障害のある人に配慮がされた利用の可能な公共施設あるいは公共交通機関になるための理念というものが大事」というふうに述べられております。また、森参考人は、「移動の自由」、「その人一人がきちんと障害を大切にされる中で基本中の基本なんです。」というふうに述べられております。

 このような基本的人権、移動の権利といったものについて、大臣の見解を伺いたいというふうに思います。

石井国務大臣 移動権を法律上規定することにつきましては、平成十九年の障害者権利条約の署名や平成二十三年の障害者基本法の改正などと時期を同じくして平成二十五年に交通政策基本法が、平成二十五年に交通政策基本法が制定された際……

西村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西村委員長 速記を起こしてください。

 石井大臣。

石井国務大臣 移動権を法律上規定することにつきましては、平成十九年の障害者権利条約の署名や平成二十三年の障害者基本法の改正などと時期を同じくして平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われたところであります。

 この中では、権利として規定する以上、個々人の多様なニーズを踏まえた上で、どのような目的の移動について誰にどこまで保障するのか、保障する責務を有するのは誰か、権利内容を裏打ちするための仕組みや財源をどう確保するのかといったさまざまな点を明らかにする必要があるとされたところであります。

 その上で、こうした点について、実定法における権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られているとは言えないとして、移動権を法定化することは時期尚早とされたところであります。

 本法案の立案に際しまして開催した検討会におきましても議論がありましたが、こうした状況は現在においてもなお変わっていないと考えております。

 交通は、利用者、事業者等の関係者が共通の理念のもとでよりよいものにつくり上げていくべきものであることから、今回の法改正におきましては、そのための基本理念として、社会的障壁の除去及び共生社会の実現について定めることとしたところであります。

 今後、この基本理念のもとで、今回充実することとしているバリアフリー施策などを着実に推進することによりまして、全国のバリアフリー化を一層推進してまいりたいと考えております。

道下委員 まだ時期尚早ということでありますけれども、どれぐらいのレベルで国民全体に、そうした全ての方々の基本的人権や高齢者、障害者の移動の権利、特に障害者の移動の権利というものが多くの国民に理解、納得されたら、そうした文言がこのバリアフリー法に明記してもいいというふうにお考えなのでしょうか。

石井国務大臣 時期が特定されているわけではございません。

道下委員 時期が特定されていない、また、これぐらいの基準というものが、若しくは、バリアフリー法というか、せっかく障害者の基本法だとか差別解消法、総合支援法、いわゆる厚生労働省側というんでしょうか、保健福祉の分野での障害者のさまざまな権利といいますか差別解消、そして、そういった国民の理解が広がっている中で、もう一つ交通移動という、これは憲法でも明記されていることが、ここに、せっかくのバリアフリー法に記載されることによって更に国民の理解が広まるのではないかなというふうに思うわけであります。

 そうした意味で、まだ、この実体法というか、突然バリアフリー法にだけそういった文言を入れるのは理解されにくいというお考えなのかもしれませんが、では、今後、交通政策基本法とバリアフリー法を一緒に改正するだとか、先に、若しくは一年後、二年後に、交通政策基本法にそうした移動の権利だとか基本的人権という文言を、障害者の各種法律に書かれていることを、その同じ文言を交通政策基本法に最初に入れて、その次の改正、若しくは、同時でバリアフリー法にも明記するというお考えはお持ちでしょうか。

石井国務大臣 将来のことをこの段階で確定的に言うことは難しいと思いますが、今後さまざまな審議会で議論が行われることと思いますので、その議論を見守りたいと考えております。

道下委員 こういったバリアフリーだとか移動の権利というものが、多くの国民の皆様の理解が得られてからというのでは遅い。逆に、こうした誰もが持っている移動権というものを全ての人にちゃんと行き渡るようにしていこうという大きな目標をこの法律の中に掲げた上で、みんなで一歩一歩さまざまな諸施策の実現に当たるべきではないかというふうに思っております。これは引き続き大臣に求めてまいりたいというふうに思っております。

 また、次に、先週の参考人の皆様からの意見では、例えば、路線バスのバリアフリー度は進んだ、ノンステップバスだとか低床バスだというのは導入率は非常に上がったということでございます。今、五三・三%でございます。

 その一方で、空港間や都市間の高速バスにおいてのリフトつきバス導入数が格段に少ない。先週の参考人の方からは、羽田と成田の空港におけるアクセスバス、合わせて四台だということをおっしゃっていました。これは本当に少ないなというふうに思います。北海道でも、JRや鉄道と結ばれたところは一カ所しかありません。

 そういった意味で、空港をおりたら、バスかタクシーといったところでリフトつきバスがないという場合が本当にほとんどでございまして、車椅子利用者の二次交通というものが確保されていないというのが、ほとんど多くの日本国内における現状じゃないでしょうか。

 そこで伺いますが、現在、空港アクセスバスや都市間高速バス等におけるリフトつきバスの導入数を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 空港アクセスバスを含みます高速乗り合いバスにつきましては、日本バス協会の調査によりますと、平成二十八年度末時点で、四台のリフトつきバスが導入されているというふうに聞いております。

道下委員 やはり四台ということで、これは圧倒的に少ないわけであります。これはもし、ハートビル法と交通バリアフリー法を統合そして拡充する、十二年前に今の現行バリアフリー法ができたんですけれども、そのときに、路線バスのみならず、そうした空港アクセスバスにおけるリフトつきバスの導入を促進するような諸施策又は法律、政令、省令、そうしたものが記されていればよかったんですけれども、それがない。

 もう一回伺いますけれども、こうした空港アクセスバス等におけるリフトつきバス導入を促進するような内容について、今回の改正案には記されているでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 改正案の中には直ちに含まれていないと承知しておりますが、今後、ガイドライン等の中で、例えば、どういう路線に重点的にそういったものを導入していくかといったようなことを明記することも含め検討いたしまして、導入の促進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 あと、あわせて、導入に当たっては、税制でありますとか補助金、そういったものを活用してまいりたいというふうに思っております。

道下委員 これは結構おくれているというふうに思うんです。私もアメリカに行きましたけれども、本当に多くのバスがリフトつきというところでありまして、こういった日本の空港アクセスバスにおける出おくれを取り戻すような諸施策の実現を、今回の法改正を機に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それからもう一つ、建築物に関してでありますけれども、これも参考人の方々から御指摘をいただきました。二千平米を超える建築物にしかバリアフリーの対象にならない、基準の対象にならないということであります。これがまた今回の法改正でも変わらない。それはなぜでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 建築物のバリアフリーにつきましては、延べ床面積二千平米以上につきましては、高齢者、障害者の方が主に使われるもの、それから不特定多数の方が使われるものについては、バリアフリー基準への適合を一律に義務づけておりますが、二千平米未満のものにつきましては、それに関しての、例えばスペースの制約があるですとか、あるいは費用負担が非常に大きくなるということも考慮いたしまして、個々の地域の状況に応じまして、公共団体が条例によって義務づけ対象となる規模を引き下げることができる仕組みとしているところでございます。

 それぞれのものによって状況が違いますので、それは、よくよく地域の状況をわかっている地域が御判断されることがよかろうということで、そういう形にしているところでございます。

道下委員 地域の独自性に任せる、自主性に任せると言ったら聞こえはいいんですけれども、それでは一向に進まないのではないでしょうか。どれだけ国交省としては、建築物におけるバリアフリー度の推進というか捕捉率、押さえているのでしょうか、伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体が、地域の条例により基準適合を義務づける対象を引き下げるということをやっているところという状況でございますが、現在、十四都道府県六市区において義務づけ対象を拡大する条例が整備されているところでございます。

道下委員 十四県六地区。日本は何都道府県あるんでしょうか、何地区あるんでしょうか。そう考えたら、その地域の独自性に任せていては、いつまでたってもこれは広がらない。特に基本構想の作成がこれは本当に進んでいないというのも、国交省さんとしては御認識をされていると思います。

 これは、先ほども、費用の面からいってもというふうにおっしゃいました。参考人の方はそれらを、十分費用の面もわかる、だから、既存の建物をバリアフリー化する、これはコストがかかるからそんなに絶対にやってほしいということではない。もちろん、できるのであればバリアフリーを進めていただきたいというお話でありましたけれども。新しい建築物、新しい店舗には、床面積の大小にかかわらずこのバリアフリーの基準の適合義務化をお願いしたいと言っているわけでありまして、これを地方自治体に任せるのではなくて、国がしっかりと一律の基準で、そしてまた、床面積の大きさではなくて、クリニックだとか、又は劇場、映画館だとか、コンビニだとか、小規模な飲食店だとか、床屋さんだとか、いろいろな建物や店舗の種別に応じて事細かく基準を決めて、そしてバリアフリーを推進していくということを旗振るのが国の責任ではないでしょうか。私はそのように思っております。

 大臣、今回、二千平米というこの大きさはハートビル法から変わっていないんです。ハートビル法から今回のバリアフリー法になって、今回十二年ぶりの法改正ということで、なぜ床面積の変更というか、更に狭い床面積に対してもバリアフリーの基準に当てはめなかったのか。当てはめられなかったその理由は何なのか、伺いたいというふうに思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 バリアフリー法におけるこの義務づけ対象を拡大するということでございますが、まだ引下げをしているところが限定されているという御指摘でございますけれども、この取組を全国的な取組に広げていくということは非常に大事なことだというふうに考えております。

 そうした観点で、条例の整備が円滑に進むよう、例えば、区域を限って義務づけ対象の拡大が可能であることを基本方針に明確に位置づけ、地域の実情を踏まえた条例を制定することを地方公共団体に働きかけてまいりたいというふうに考えております。

 また、規制とあわせて情報提供というのも非常に大事だというふうに思っております。今回の改正におきまして、市町村のバリアフリーマップの作成区域内で、新築、既設を問わず、小規模なものを含めて、対象エリア内の店舗の所有者等に対して情報提供の協力を求める制度を創設することとしております。

 こうした制度も通じまして、誰もがより円滑に施設を利用できるよう、バリアフリー環境を整備してまいりたいと考えております。

道下委員 地域におけるバリアフリーを推進していく、地域を特定して進めていくということで、自信を持って今回答されましたけれども、参考人の方々は、それぞれ皆様、移動の連続性というものをしっかりと確保していただきたいというふうにおっしゃいました。

 ここの特定の地域だけがバリアフリーが一〇〇%であって、そこにだけ住んでいる人だったらいいかもしれません。でも、私たち、全ての人々は、車椅子利用者の方々も高齢者も移動します。バスに乗ったり、JRに乗ったり、移動します。移動した次の都市が全くバリアフリーが進んでいない。それでは、移動の連続性というものが担保できない、確保できないのではないでしょうか。

 だから、どこか特定の地域で進めるというのはモデルにはなるかもしれませんけれども、これは日本国内の全ての地域がバリアフリーが行き渡るということにはつながらない、私はそのように考えております。

 だから、それぞれの特定の地域や市町村や都道府県ということで区切るのではなくて、国が一律した基準を設けるべきだと、私一人だけが言っているんじゃなくて、参考人の皆様が多くおっしゃっている。そして、参考人だけじゃなくて、今回、国土交通省の皆様も、この法改正に当たってさまざまな関係団体の方々から御意見を伺ったというふうに思います。その中にもそういったものが含まれていたと思います。

 でも、なぜか、その意見が今回の法改正案に反映されず出てきたということを多くの皆様が非常に残念に思われています。もちろん、評価会議の点だとか、そのほかにも、事業者に対する基本計画の策定、また、心のバリアフリーの推進といったものが明記されている。さらには、理念において、共生社会の実現、社会的障壁の除去などを明確にした点なども非常に高く評価されております。

 だからこそ、これらプラス、私が申し上げた、また、参考人の方々が求めておられることを、今回の法改正案はせっかく十二年ぶりの法改正案でしたのに、ここに載っていなかったということを非常に残念に思われているわけでありまして、その点について、こうした議論で、もう出したんだからそれで終わりということではなくて、十分な、提出された法案に関して修正ということも、また、政令、省令でしっかりと踏まえていくという機会をいただきたいなというふうに思うんですが、最後に大臣から、今後のこのバリアフリー法又は国内におけるバリアフリーについての、ユニバーサルデザインについてのお考えを伺いたいというふうに思っております。

石井国務大臣 今委員の御指摘がありました建物のバリアフリーの基準につきましては、地方公共団体が、地域の実情により、条例により義務づけ対象になる規模を引き下げる仕組みができておりますので、その取組をまずは全国的な取組へと広げていくことが重要と考えておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

道下委員 この点については引き続き質問させていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 引き続き質問をさせていただきます。

 バリアフリー法の改正ということでございまして、先ほどちょっと大臣の方で、移動権の話についての議論がございました。その中で、今後もさまざまな審議会などで議論をしていくんだというようなお話でありましたけれども、審議会というのは大臣が諮問されることも多いわけでございます。例えばこんなところで諮問をしていきたい、あるいは、ことし中にはこんなのとかこんなのとかあるなというようなイメージがございましたら、お聞かせいただければと思います。

石井国務大臣 具体的に諮問等を予定しているわけではありませんが、今後さまざまな場で議論になると思いますので、その議論を見守りたいという趣旨で申し上げたところであります。

森山(浩)委員 まだまだなかなか熟度は達していないけれども、移動権というような考え方は大事だなというふうには思っておられるということでいいですか。

石井国務大臣 移動権という考え方が重要だということは理解をしておりますが、実定法として定めるにはまだ国民的なコンセンサスは得られていないという認識であります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 基本理念については、社会的障壁の除去等が入っておりますので、いろいろな形で具体的に進んでいくんだろうなということがあります。

 が一方で、個別性が強いこの移動について何が障害になるかという部分については、非常に個別性の強い問題であります。やはり、大きな形で基本的人権の一つとして確認をしていくというような形にたどり着けるように、精力的に議論をいただければなというふうに思います。

 特に、障害者権利条約の一般的意見二号、移動の権利、アクセス権ということで確認をされていることでもございますので、国際的にも、いやあ日本は頑張っているよと言えるような形にまで持っていただければと思います。

 先ほど最後のところで、道下さんのところでは、移動の連続性の確保という部分で議論がございました。乗りかえ、乗り継ぎ、どこか一カ所でもひっかかるところがあってしまうとなかなか移動というのが途中で途切れてしまう。あるいは、非常に大きな困難を伴うということがあります。

 あるいは、三千人以上の駅については、バリアフリー化、エレベーターなども含めてやっているというような形でありますけれども、三千人以上の駅であっても、我々の町におきましては、例えば、踏切のこっち側にはエレベーターがあるけれども、あっち側にはエレベーターがない、あちらから、反対側から来た人は踏切を渡ってからでないとエレベーターが使えないんだというようなこともございますので、人数の少ない駅、まずは一つ一つのルートだということがありますが、どうしても二つ、三つルートが要るような大きな駅もあるんだということも認識をしていただいた上で、移動の連続性の確保、こういうのは明記するべきだという意見があったにもかかわらずこれを書いていないということなんですが、これについてはどうお考えでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 移動の連続性の確保は、もともとこのバリアフリー法がその狙いとする、目的とするところの一つでございます。

 特に現行の制度で申しますと、市町村が、それぞれ施設の単体はバリアフリーされているんだけれども、それをどうつなぐかという観点から基本構想をつくって、地域、面として移動の連続性を図っていくというようなことも規定をされておりますけれども、今回更にそうした取組を加速をしていきたいというふうに考えておりまして、いわゆる基本方針、マスタープランの制度などを円滑化促進地区について決めるような御提案もさせていただいております。

 こうしたさまざまな施策を総合的に講じることによって、移動のまさに連続性というのは確保されていくものというふうに考えております。

森山(浩)委員 よく理解された上であるということでございます。

 私、建設省と運輸省というような役所があった中で、国土交通省になったということにおける非常に大きな存在意義、レゾンデートルではないのかなというふうに思っているんです。連続性をきちんと確保をするというのは、建設省と運輸省がばらばらであればできなかったかもしれない。

 しかし、国土交通省という形で一体的に取り組んでいくことができれば、おっしゃったように、全体としてやっていくことができるんだということで、非常に重要に思っていただいているということなんですけれども、これ、具体的に進めていくんだということでよろしいでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御答弁申し上げましたように、今回の御提案をさせていただいております施策の充実につきましても、一つは、やはり移動の連続性をできるだけ確保していくという狙いを持ってこういったものを御提案をさせていただいておりますので、こういったものを講じることによってその確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 では次に行きます。

 障害者というところにおきまして、「身体の機能上の制限を受ける者」というような形の、今回、本法においては表現になっております。

 本改正法における障害者の定義はありますか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 参考人からも幾つか障害者の定義についてのお話があったこと、私も横で聞かせていただいておりました。

 まず経緯を申し上げますと、旧ハートビル法それから交通バリアフリー法におきましては、障害者については、「身体障害者」とのみ記載していたところでございます。これを、平成十八年に制定した現行法におきましては「障害者」というふうに改めまして、身体障害者のみならず、知的障害者、発達障害者、精神障害者を含む、全ての障害者を対象に含むということを明らかにしたところでございます。

 したがいまして、全ての障害者がまずこれには含まれるということであるというふうに申し上げておきたいというふうに思います。

 また、本法では、この法律で障害者そのものについて新たな定義を置くということはいたしておりません。しかしながら、この法律の対象者として、高齢者や障害者を始め、健常者も含めて、移動等の円滑化の施策の対象とすべき方を、「高齢者、障害者等」というそういう名前で法文上規定をしているというところでございます。

 この「高齢者、障害者等」と規定をする際に、その対象範囲を明示するために、「身体の機能上の制限を受けるもの」というふうに規定をしているということでございます。これは障害者の定義そのものをしているということではなくて、今申し上げましたように、この法律の対象として想定をしている高齢者、障害者等、これには健常者で体が悪くなった方なども全部含まれますけれども、そういう方々を対象に定めている言葉でございます。

 それは、本法が、人の移動や施設利用という、体を用いて、身体を用いて活動するに際しての負担を軽減するための措置を内容としておりますことから、その旨を明らかにする、その対象とすべき者を法文上明らかにするという観点から規定しているものでございます。

 したがいまして、この身体の機能上の制限を受けることとなる原因等については特に限定をしておりませんので、例えば、知的あるいは精神障害、発達障害の方についても、体を用いる活動に際しての負担が生じる場合、例えば、精神障害者の方はよく疲れるといったような身体的特徴がございますので、これに対して例えば休憩施設を設けるというような対策を講じる場合がございますけれども、当然、この法律の施策の対象になるものというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 障害者の定義をし直したわけではなくて、「身体の機能上の制限を受ける者」という中に健常者も障害者も含まれるというような御説明ですね。知的、精神、発達障害などについても、この「身体の機能上の制限を受ける者」という部分に関してこの法律では対象とするんだ、こういう御説明であったかと思いますが、障害者基本法とか障害者総合支援法などでは、心身の機能上の制限を受ける者というふうになっております。

 心身の機能上の制限を受ける者との違いはあるんでしょうか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 障害者基本法等では「心身の機能の障害がある者」というふうに規定をされているというふうに承知をいたしております。

 私どもの方では「身体の機能上の制限を受けるもの」ということで、健常者も含めて、まさに、体を用いて移動する際の負担を軽減する必要がある者を特定をしているということでございます。

 仮にこれを、例えば心の機能上の制限を受ける者まで対象に含めたりするということと仮定をいたしますと、例えば、不安や恐怖によりましてそもそも移動したり施設を利用しようという意思そのものが持てない方についても法律の対象となるということになりますので、こうした方に対して講ずべき施策の内容を特定することは甚だ難しいということになりますので、現行法では、「身体の機能上の制限を受けるもの」を対象として措置を講じるということにしているところでございます。

森山(浩)委員 ちょっと今の説明は困りますね。

 というのは、心身の障害というようなことで、心が機能上の制限を受けるといったときに、そもそも出ることがないんだ、百かゼロかという話には恐らくならないのではないでしょうか。

 大きな声に驚くとか、何か大きな障害物があって困るとか、何かふだんと違うものが置いてあって自分の心の中で処理できないとか、あるいは、いろいろな形でその場その場の感覚が鋭敏になっているなんということもあり得ますから、心の問題というようなことになってきたときに、いや、そんな人はそもそも外に出ないんだというような言い方というのはよろしくないかと思います。

 これはちょっと訂正しておいてもらえますか。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 誤解があったら申しわけないと思うんですけれども、あくまでも身体の機能上の制限を受けることとなる原因について特定をしているわけではございませんので、先ほど申し上げましたように、例えば知的障害の方、精神障害の方、発達障害の方についても、いわゆる体を用いる活動に際して負担が生じる場合には、当然この法律の適用の対象になるわけでございます。

 先ほど例として申し上げましたのは、そもそも空を飛ぶこと自体に恐怖心があって、一切飛行機などが利用できない、利用したくないというような方、そういうような方がいる場合に、この法律はこういう対象には考えておりませんということを申し上げたものでございまして、身体のいわゆるその機能上の制限を受ける、その原因として心の問題がある方については、それは対象となっているということでございます。

森山(浩)委員 不安があって行きにくいというもの、あるいは不安があってやりにくいというようなことがあっても、そもそも無理なんだというような言い方をされるというのはちょっと大きな誤解を生むのではないかなと思いますので、そこは非常に慎重に御答弁をいただければというふうに思います。

 学校のバリアフリーです。今回というか、これまでも義務化されていますのが特別支援学校の部分のバリアフリーですけれども、では、それ以外のところに例えば災害のときなどは逃げる、あるいはそこで生活をするというようなことが非常に多くございます。ですので、義務化した特別支援学校以外の部分についてどのようにバリアフリーを進めていくのか、これはもう何度もここの場でも御質問させていただいておりますけれども、この新しい法律においてどのように推進していくか、お答えください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者や障害者なども利用する避難所のバリアフリー化は、非常に重要な課題だというふうに認識しております。

 避難所は、地方公共団体が作成する地域防災計画において、施設が建築されてから指定されることが通例でございますので、建築時に基準適合義務を課す規制にはややなじみにくい側面はあります。

 また、学校は、私立や公立、それから幼稚園から大学、専門学校までさまざまなものがございまして、全ての学校施設が避難所として使用されるとは限らないという側面もございます。

 したがいまして、義務づけ対象の特別支援学校以外の学校につきましては、全てを一律に義務づけ対象とするのではなく、地域の実情に応じて、条例により義務づけ対象に追加することが適当と考えております。

 学校につきましては十二都府県六市区で義務づけ対象に追加しているところでございまして、こうした取組を全国的な取組に広げていくため、地域の実情を踏まえた条例を制定することを地方公共団体に働きかけてまいりたいというふうに思っております。

 また、熊本地震を契機といたしまして策定中でございます防災拠点となる建築物のガイドラインにおきまして、避難所となることが想定される施設はバリアフリーに配慮すべき旨を記載することとしておりまして、こういうことについても、関係者に周知することによりましてバリアフリー化を進めていきたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 随分進んできているんだという話だと思いますが、今の話の中で高校や大学やというような話も出てきましたが、基本的には、歩いて通う人がほとんどである公立小学校、プラスアルファで公立中学校なんというようなところは、文部科学省さんともよく相談をしていただいて、まずは取り組むんだと。一時的に逃げていく場所として必要となってまいりますので、それは優先してやっていただいたらいいと思いますよ。しっかり取り組んでいただければと思います。

 先ほど道下委員からの質問にもありました。義務化したのは二千平米ということでございますが、二千平米以下の部分について、先ほど何か、情報提供するんだというような話がありましたけれども、地方での展開の仕方というときに、どのような形での情報の提供をしていきますか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 二千平米未満のものにつきましても、地域の実情に応じて、条例により義務づけ対象となる規模を引き下げることができるという仕組みになっておりまして、そうした内容について、公共団体でそういう先進的な取組をされているところにつきまして、全国的な取組へと広げていくことが非常に大事だというふうに思っております。

 このため、条例の整備が円滑に進むよう、例えば、区域を区切って義務づけ対象となる規模の引下げが可能であることなども基本方針に明確に位置づけまして、地域の実情を踏まえた条例を制定することを公共団体に働きかけていきたいというふうに思っております。

 また、今回の改正におきまして、市町村のバリアフリーマップの作成区域内で、新築、既設を問わず、小規模なものを含めまして、対象エリア内の店舗等の所有者に対しまして、情報提供の協力を求める制度を創設することとしております。

 こうした制度を通じて、誰もがより円滑に施設を利用できるよう、バリアフリー情報の充実を図ってまいりたいと考えております。

 また、あわせまして、業界みずからが積極的にバリアフリーに取り組んでいただくことも非常に大事だというふうに思っております。

 このため、飲食店、コンビニにつきましては、先般、業界団体が農林水産省、経済産業省と連携して、車椅子使用者や視覚障害者等に対するサポートの仕方をまとめた接遇マニュアルを策定したところでございます。今後、これを普及促進することでソフト面のバリアフリー化を図っていくと伺っております。

 さらに、飲食店につきましては、飲食店情報サイト等におけるバリアフリー情報の充実に向けてさらなる取組の進展ができないか、また、コンビニにつきましては、主に首都圏に多い、店舗面積が極端に狭い店舗を除けば、標準的なレイアウトとして、多目的トイレの設置や入り口の段差をなくすなどのバリアフリーの取組を進めておりまして、今後もさらなる取組の進展ができないかといったことにつきまして、業界団体及び関係省庁と連携しながら取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 ただいま国会にかかっておりますPFIの推進法案というのでは、大臣の所管であります下水道、大臣の頭越しに内閣総理大臣が相談に乗って、そして、財政的な支援も含めて民営化を、あるいはコンセッションをしていくんだ、こんな法案も出ているわけなんですが、この二千平米以下の部分について各省庁にお願いをしていく、情報提供していくというようなときにも、国土交通省としても、何か財政支援とかも含めて、頑張れよというような決意はありますか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、学校ですと文部科学省、それから、店舗等ですと経済産業省あるいは農林水産省、さまざまな省庁がバリアフリーにはかかわるというふうに思っております。こういった業界にお詳しい各省庁とも十分連携をして、お金を出すというわけにはなかなかいかないかもしれませんけれども、連携をしまして、バリアフリーが進むように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 定期的な見直しの必要性と、そこに現場の声を反映するということで、国としてこれにはどのように取り組んでいかれますか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 バリアフリーの施策の検討及び評価に当たりまして、障害者等がみずから参加をして、その視点を施策に反映させるということは大変重要であるというふうに考えております。

 今般の改正案を検討するに当たりましても、こうした考え方から、さまざまな障害者団体に検討会に参画いただくなど、意見を伺いながら立案をしてきたところでございます。

 そうした中でも、特に制度として障害者参画の仕組みを設けるべきという御意見、御要請、強く寄せられたところでございます。

 このため、国として、障害者等の参画のもとで、定期的に、バリアフリー化の状況を把握の上、評価をするための会議の設置を今回の改正案で法に明記をするということといたしたところでございます。

 国といたしましては、こうした会議を活用いたしまして、現場、いわゆる障害者等の声を丁寧に伺いながら、全国で一層のバリアフリー化の進展を図ってまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 国としては当然取り組んでいただくということなんですが、現場は地方なんです。先ほどから、地方での自主性に任せて、地方の自主性に任せてというような議論が出ております。

 地方での展開におきましても、当然、障害者あるいは高齢者の皆さんの意見をしっかり聞くというような枠組みをつくるべきと考えますが、それは地方に対しては発信をされていくのでありましょうか。

石井国務大臣 地域の実情を踏まえたバリアフリー化を進めるためには、まずは市町村において、障害者等の意見を踏まえながら、積極的にバリアフリーの施策に取り組んでいくことが重要と考えております。

 そのため、今回の改正におきまして、従来の基本構想に加えて、移動等円滑化促進方針、いわゆるマスタープラン制度を導入することといたしまして、その作成等に当たりましては、障害者等の意見を反映させるための協議会を設けることができることとしたところであります。

 また、施策の実施状況については、おおむね五年ごとに評価などを行う規定を設けております。

 今後、できるだけ多くの市町村でこうした協議会を活用していただいてバリアフリー化を推進することが重要でありまして、国としても、こうした取組を市町村に働きかけてまいりたいと考えております。

 また、国においては、高齢者、障害者等の参画のもとで、定期的に、バリアフリー化の状況を把握の上、評価するための会議を設置することとしたところでありますが、バリアフリー法上、地方公共団体においても、こうした国の施策に準じて必要な措置を講ずるよう努めることとされておりますが、市町村におきましては、ただいま申し上げた協議会を活用することによりまして、この法律上の責務を果たすことができるものと考えております。

森山(浩)委員 ぜひこれは徹底していただきたいなと思います。

 また、我々、議員立法で、ユニバーサル社会の実現に向けて一体的な推進を目指すというような方向性で議論をしておりますけれども、政治、経済、教育、文化、芸術、スポーツの参画も含め、本法では義務化をしていく、そして、ユニバーサルで包括をしていくというような形で整合性をとっていっていただけるようなものにしていきたいなと思いますので、ぜひその辺も平仄を合わせていただければというふうに思います。

 さて最後、四月十二日なんですが、朝日新聞におきまして、「ごみ積算」という森友学園の問題なんですが、「財務局が増量依頼」というような形で、大阪航空局絡みの記事が出ております。

 これに関しては、国土交通省でも調査をして資料を出すという話になっておりますけれども、調査は進んでいますか。

石井国務大臣 報道されている内容につきましては承知をしてございませんので、報道されている内容につきまして、報道がありました当日、私から事務方に対し、調査を行うよう指示をいたしまして、現在、調査を進めているところでございます。

森山(浩)委員 今週二十日にも一般質疑があるかもしれません。急いで調査の結果を出していただくようにお願いをして、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 希望の党の伊藤俊輔でございます。

 きょうは、バリアフリー法改正案について質問をさせていただきます。

 最後、森山委員からも森友の問題がありましたけれども、冒頭、数点だけ事実確認だけさせていただきたいと思います。

 先日、四月十三日、NHKの報道で、権利を持つ工事業者の社長が取材に応じ、これまでのところ国からの協力要請はないことを明らかにし、必要であれば再調査に全面的に協力をさせていただきます。いつでもおっしゃっていただけたらというスタンスでいますと述べております。要請があれば、ごみの存在を確認する調査に協力する考えを示しております。また、一年も同じようなことを国会で議論していて、私の周りの人たちはうんざりしているのが実情です。早期に解決をしてもらいたいとも述べております。

 八・二億円の値引きの根拠が大きく揺らいでいるそんな中において、ごみがあるのかないのか、土地の所有権は既に国に戻っていることから、試掘をして再調査を、これまでも各委員からも、私からも委員会で繰り返し求めておりますけれども、石井大臣あるいは麻生大臣も、工事業者の了承なしには土地を掘り起こすことは難しいと答弁を繰り返しされております。

 その上で大臣にお聞きをさせていただきます。これまで、工事業者に再調査の依頼や交渉などをしたことはありますでしょうか。

石井国務大臣 本件土地につきましては、現に校舎が存置されている状況であり、建物と土地の工事代金が未払いであったことから、工事事業者が、建物については所有権を、土地については留置権を主張し、本件土地を占有しております。そのほか、現在、森友学園の管財人との間で、土地や存置されている建物の取扱いを含め、さまざまな交渉を行っている段階であります。

 国といたしましては、管財人及び工事事業者に対し、建物を撤去して本件土地の更地返還を求めているという状況にございますが、相手方は土地と建物の同時売却を主張しているということで、お互いに主張が異なっているという状況でございますので、御指摘のような、要請する状況ではなかったと承知をしております。

伊藤(俊)委員 さまざまな交渉をされているという御答弁ですが、端的に、この再調査を依頼した、あるいは交渉したということはありますでしょうか。

石井国務大臣 ただいま答弁したと思いますが、御指摘のような要請をする状況ではなかったと承知をしております。

伊藤(俊)委員 これまでの答弁を聞いていても、このごみがあるのかないのかということが事の発端だと私は思っています。再調査を繰り返し求めてきた中において、この工事業者が、これは報道ベースですが、事実確認をしていただいて、この工事業者の社長が協力をすると言っているわけですから、ぜひこれは再調査の依頼をしっかりとしていただいて、そして再調査をぜひしていただきたいと思います。一言お願いします。

石井国務大臣 報道において工事事業者が、国の要請があればごみの再調査に協力すると述べているとされていることは承知をしております。

 現在、国は、森友学園の管財人及び工事事業者に対して本件土地の更地返還を求めているところでありますが、依然として本件土地には校舎が存置をされ、工事事業者は本件土地の留置権を主張し、土地全体を占有している状況にございます。

 したがいまして、大阪航空局が行った見積りの大部分を占める校舎部分の調査は困難であり、この調査によりまして見積り全体が適正であったかどうかを結論づけるわけではないと考えておりますが、いずれにいたしましても、更地返還を求めている国と、本件土地について留置権を主張して占有し、土地建物の同時売却を要請をしている相手方との間で交渉しているところでもありますので、まずは、報道の事実関係も含めて、本件土地を今後どのようにしていくかにつきまして、管財人や工事事業者とよく相談をしてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 答弁をしていただきましたけれども、相手方が調査に協力すると言っているわけですから、ぜひ交渉していただきたいと思います。これは交渉さえもしていないということになれば、これまで一体どんな調査をしているのか、交渉しているのか、本当に疑念を持たざるを得ないと思いますので、これだけは事実確認をしっかりと早急にしていただきたいと思っています。

 そしてあと一点だけ。

 三月二十日、委員会で質問させていただいています。財務省が、近畿財務局だけでなく国交省にも改ざんの依頼をしていたという報道について、調査中、調べていますということで、あれから一カ月たちますけれども、調査、どんな結果だったか、教えていただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、大阪地検による捜査が進められている中で、財務省においても引き続き調査が進められているというところでございまして、正確性を期すためにも、財務省で行われております調査の状況も見きわめながら丁寧に進める必要があるというふうに考えておりまして、現在も調査を続けているという状況でございます。

伊藤(俊)委員 もう一カ月たちます。どんな調査をしているか、経過すらも報告されていないということですので、極めて、本当に調査をしているのか、疑念を持たざるを得ないと思いますので、早急にこれも回答していただきたいと思いますし、先ほど森山委員からもありました四月十二日の報道の、当時、航空局が五億から六億程度で見積りを提出し、財務局から何とかならないかとの趣旨の話があったため、航空局は費用をおよそ八・二億円と算出をしたと報道にあります。

 この増額の依頼の事実確認も含めて、三点ありますけれども、どうか速やかに調査結果を出していただきたいと思います。

 貴重なお時間をいただきました。

 バリアフリー法の改正案につきまして質問をさせていただきます。

 我が国の人口推移は、明治維新からの百年間で約一億人増加した一方で、二〇〇八年に人口のピークを過ぎ、これから百年後には約一億人減ると予測もされております。

 今、六十五歳以上の高齢者人口は現在三千五百万人を超え、四人に一人が六十五歳以上となっております。諸外国に例を見ない速さで高齢化が進展しており、現在の傾向が続けば、二〇六五年には我が国の人口は八千八百八万人、そのときの高齢化率は約三八%、こういう厳しい見通しが示されております。

 さらに、障害者の方々の数も増加傾向にあって、身体並びに精神障害者の皆様はそれぞれ約四百万人近くになり、知的障害者の皆さんは約七十五万人であります。

 ノーマライゼーションの理念に基づき、高齢者や障害者を含むあらゆる人々が平等に扱われ、かつ、一般の社会で普通の生活が送れる環境を整える。社会参加の機会を、その平等を実現することが重要な課題となっております。

 私の体験を一つだけ申し上げると、私の祖母は、晩年、車椅子の生活で、私も、学生時代から寝泊まりをしながら介護を続ける経験をしてきました。車椅子になるだけで自分でできないことがふえて、夜中じゅう、二時間に一度トイレに連れていくだけでも大変な労力で、トイレに車椅子が入らない、そんなこともあり、生活も、あるいは家の中の環境も一変し、祖母ができるだけ自分でできるようにしてあげたいと徐々にバリアフリーにしてまいりました。

 気分転換に外に連れ出しても、目的地まで行くには、交通機関はもちろんのこと、階段や段差などハードルが高く、行きたいところに行けない日々が続き、周りに迷惑をかけるからと気持ち的にもふさぎがちになり、私も、介助をしながらバリアフリーの必要性を実体験として感じてまいりました。

 バリアフリー法は、高齢者、障害者等の日常生活及び社会生活における移動上並びに施設の利用上の利便性、さらにはその安全性の向上を図るため、平成六年に制定された、建築物等のバリアフリー化を定めたハートビル法、平成十二年に制定された、公共交通機関等のバリアフリーを定めた交通バリアフリー法、平成十八年に統合、拡充されて以来、十二年ぶりの改正となります。

 この間、我が国では、平成二十三年の障害者基本法の改正や平成二十六年の障害者権利条約の締結など行われて、バリアフリーを取り巻く環境は大きく変化をしてまいりました。

 しかしながら、バリアフリー法は改正をされず、国際常識あるいは世界基準から見てもまだまだ立ちおくれている状況だと感じます。

 そこで、まずこれまでの反省も含めながら、三年若しくは五年ごとに確実に見直しが行われるような規定が必要だと考えますが、大臣の所見をお伺いします。

石井国務大臣 本法案の附則には、法施行後五年を経過した場合において、法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるべき旨を規定をしております。

 これまでも、必要に応じて障害者や有識者等の参画を得て法律の施行の状況について検討を加え、バリアフリーの取組を充実させてきたところであります。

 今回の改正案におきましては、新たに国として、高齢者、障害者等の参画のもとで、定期的に、バリアフリー化の状況を把握の上、評価するための会議を設置することとしているところであります。この会議を活用することによりまして、状況の変化に的確に対応し、必要な見直しを行う等、適切に対処してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 時代の変化に対応していくこと、そして多くの意見を反映していくためにも、定期的に確実に見直しが行われるような規定が必要だということと、今大臣からも評価制度のことも答弁がありました。

 評価制度においては、一定の評価と、その評価制度が本当に多くの声を反映できるものになるかどうかということが極めて大事な観点かと思いますけれども、今回の改正案では、当事者評価の仕組みとして、高齢者、障害者等が参画をし、関係行政機関等で構成される施設、内容等の評価を行う会議体の新設が盛り込まれておりますが、一定の評価をしながら、しかしながら、改正案、「国は、移動等円滑化を促進するため、関係行政機関及び高齢者、障害者等、地方公共団体、施設設置管理者その他の関係者で構成する会議を設け、定期的に、移動等円滑化の進展の状況を把握し、及び評価するよう努めなければならない。」とあります。

 これは「努めなければならない」というところにとどまっておりますけれども、努力義務にとどまらず、新設される会議体には評価を義務づけることが必要だと思いますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねいただきました評価会議につきましては、今回提案をさせていただいております五十二条の二において、国は、高齢者、障害者等も参画する会議を設け、定期的に、バリアフリー化の状況を把握し、評価するよう努めなければならないというふうに規定をいたしているところでございます。

 これは、バリアフリー法上、例えば、施策の必要な見直しを規定しております四条に国の責務規定がございます。また、五十二条には、必要な資金の確保に努めなければならないという、いわゆる資金確保規定がございます。こうした国の責務を規定する場合に、いずれも「努めなければならない」というふうに規定をしております関係上、こういった規定とのバランスから、今回設けます五十二条の二についても、同様の、「努めなければならない」という努力義務にしたところでございます。

 もちろん、こうした努力義務に従いまして必要な措置を必要なときに講ずるということはもう論をまたないところでございますので、国土交通省といたしましても、このまさに評価会議を定期的に開催をいたしまして、高齢者、障害者等の関係者の声を丁寧に伺いながら、全国でのバリアフリー化の進展に努めてまいりたいというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 これまでの現状を見ても、地方の自治体を含め、あるいは、本当に多くの皆さんの声が、現実的にこの十二年改正しなかったということも見て、しっかりと声が反映できるような現状にしなきゃいけないということを踏まえて、一歩踏み込んで義務化にする、若しくは検討が必要ではないか。問題意識だけ皆さんにお伝えさせていただきたいと思います。

 そして、評価会議の構成員について一点お伺いしたいと思います。

 障害には多くの種別があります。その種別に応じてバリアフリー施策を展開していくことが必要だと考えますが、新設される会議体に参加する障害者は、障害の種別ごとに選ばれることになるのか、また、どのようにして選ばれるのか、さらに、公平性を担保することはできるのか。評価会議の構成についてお伺いしたいと思います。

由木政府参考人 お答えいたします。

 バリアフリー施策の評価及び検討に当たりましては、高齢者、障害者等がみずから参画をして、その視点を施策に反映させることは極めて重要であると考えております。

 先ほど申し上げましたように、五十二条の二、今回改正案を提案しておりますこの条項におきまして、評価会議、この構成員を、「関係行政機関及び高齢者、障害者等」それから「地方公共団体、施設設置管理者その他の関係者」というふうに規定が置かれているところでございます。

 この具体の構成員については、今後、法律の施行にあわせて検討してまいりたいというふうに考えておりますけれども、特に、今御指摘をいただきました、また、参考人からも御指摘があったというふうに承知しておりますけれども、障害者については、障害種別が多岐にわたるということがあるというふうに承知をいたしております。

 今後、私ども国土交通省といたしましても、こうした御指摘をしっかりと受けとめまして、さまざまな障害の特性に応じた意見を適切にすくい上げるということに努めてまいりたいと思います。

 そのためには、会議運営の仕方も含めて、今後、障害者等関係者の意見をお伺いをしながら、議論の実効性が上がるような対応について適切に努めてまいりたいというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 ぜひ、種別ごと、あるいは、障害者の皆さんに数多くこの評価会議に入っていただくような、多くの声が聞ける評価会議にしていただきたい、検討していただきたいと思います。

 そして、障害当事者が施策を評価する仕組みとして、イギリスなどでは障害者交通諮問委員会など、障害者の公共交通ニーズにかかわる問題を検討し、運輸大臣に適切な助言を行うなど、評価する仕組みが構築をされております。

 今回の改正では、障害当事者を構成員とする評価会議を新たに新設するとしておりますが、評価だけではバリアフリー化は進展をしないと思います。評価をし、その結果をバリアフリー施策に適切に反映させる仕組みを構築することが極めて重要だと思います。

 国土交通省においては、評価会議の結果をどのように適切にバリアフリー施策に反映させるのか。今後、取組方針について大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 バリアフリー施策につきましては、障害者自身が参画をし、その視点を踏まえて評価等を行うとともに、その成果を具体の施策に反映させることが重要であります。

 本法案では、第五十二条の二で新たに評価会議を行うこととしておりますが、単に評価するのみではなく、この会議の成果を踏まえて適切に措置を講ずることが重要であると考えております。

 このため、あわせて法律の第四条第一項の規定を改正をいたしまして、この会議における評価等を踏まえ適切に検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを国の責務として定めたところであります。

 今後、評価会議を十分に活用することによりまして、高齢者、障害者等の声を丁寧にお伺いしながら、全国で一層のバリアフリー施策の発展を図ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ぜひ、評価会議が評価にとどまらないで、そこでとまらず、多くの皆さんの声が反映するためにも、先ほどさせていただきましたが、三年あるいは五年ごとに確実に見直しがされるような規定も含めて、しっかりと検討していただきたいと思っております。

 そして次に、各委員からも質問がありました定義あるいは移動の権利について、これは大事な観点ですので、重なりますが、やはり質問させていただきます。

 障害者権利条約及び障害者基本法では、障害者が受ける制限は社会におけるさまざまな障壁によってつくり出されるとする社会モデルの考えが取り入れられ、障害者基本法では障害者の定義を、「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と、社会モデルの概念を踏まえた規定に改正されております。

 一方、本改正案では、新たに設ける「基本理念」で社会的障壁の除去をうたいながら、障害者の定義は変更されずに、法文上、障害者の社会参加の制限や制約の原因を個人的な問題とする医療モデルのままとなっております。

 我が国の障害者施策にかかわる法体系との整合性を図り、総合的、多面的な施策を推進するためにも、社会モデルの概念を明文化すべきであると考えますが、大臣の見解をお伺いします。

由木政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者の定義につきましては先ほども御質問がございました。

 まず、歴史的に申し上げまして、従来の「身体障害者」としていたものを「障害者」と規定して、身体障害者のみならず、知的障害者、発達障害者、精神障害者を含む全ての障害者をこの施策の対象に含むことを明らかにしたことは先ほど申し上げたとおりでございます。

 また、この法律で新たに障害者そのものについて新たな定義を置くということはいたしておりません。あくまでも、この法律の対象となります方を「高齢者、障害者等」と法文上規定し、その中には当然、高齢者や、健常者で体の動きに制約のある方も入りますので、そうした方を対象とするという旨を明らかにするために、「身体の機能上の制限を受けるもの」というふうにしているところでございます。

 これは、先ほども申し上げましたように、この法律が、人の移動や施設利用という身体を用いる活動に際しての負担を軽減するための措置をその法律の内容としているところに起因するものでございます。

 したがいまして、この身体の機能上の制限を受けることとなる原因については特に限定をしておりませんので、知的障害、精神障害、発達障害の方についても、当然、その施策の対象になるものというふうに考えているところでございます。

伊藤(俊)委員 全ての障害者が含まれる、あるいは、「機能上の制限」には入っているというお答えかと思います。

 多くの、障害を持たれている皆さんからも、改正案では「身体」とあり、知的、精神、発達、難病などが文言的にも含まれていないという指摘、そして、先ほどの森山委員からもありましたが、心の問題、これも方向性を決めつけるようなことがないように、しっかりと盛り込んでいただくことをお願いをしたいと思っております。

 そして移動の権利についても、移動の権利の明文化については、平成十八年のバリアフリー法案や平成二十五年の交通政策基本法案などの審議においても議論されておりますけれども、本改正案においても移動の権利は盛り込まれておりません。

 本改正案に移動の権利が盛り込まれなかった理由をいま一度お伺いしたいのと、障害者権利条約の理念を踏まえ、事業者の過度な負担とならないよう配慮しつつ、移動の権利を法律上規定することについて更に議論を深めていく必要があると考えますが、今後、政府の、移動の権利についてのどのような対応をしていくのか、見解を求めたいと思います。

石井国務大臣 移動権を法律上規定することにつきましては、平成十九年の障害者権利条約の署名や平成二十三年の障害者基本法の改正などと時期を同じくして平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われたところであります。

 この中では、権利として規定する以上、個々人の多様なニーズを踏まえた上で、どのような目的の移動について、誰にどこまで保障するのか、保障する責務を有するのは誰か、権利内容を裏打ちするための仕組みや財源をどう確保するのかといったさまざまな点を明らかにする必要があるとされたところであります。

 その上で、こうした点について、実定法における権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られているとは言えないとして、移動権を法定化することは時期尚早とされたところであります。

 本法案の立案に際して開催をいたしました検討会においても議論がございましたが、こうした状況は現在においてもなお変わっていないと考えております。

 交通は、利用者、事業者等の関係者が共通の理念のもとでよりよいものをつくり上げていくべきものであることから、今回の法改正におきましては、そのための基本理念といたしまして、社会的障壁の除去及び共生社会の実現について定めることとしたところであります。

 今後、この基本理念のもとで、今回充実することとしておりますバリアフリーの施策などを着実に推進することによりまして、全国のバリアフリー化を一層推進してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 障害を持たれている多くの皆さんからも、移動の連続性の確保がされていないなど、鉄道の乗り継ぎや、あるいは鉄道からバス、タクシーへの乗り継ぎ、あるいは極端な遠回りをしない動線など、多くの、本当に身近なそういう声をしっかりと聞いていただき、そしてまた、時代は大きく変わって徐々に徐々に理解が進んできている中においても、権利として認めてもいいのではないか、そう思います。

 大きな目標を本当に掲げていただいて、この法案にどうか盛り込んでいただきたいと強く求めたいと思います。

 そして、次に、二千平米という縛り、小規模店舗のバリアフリー促進についてもお伺いしたいと思います。

 私の出身地でもあるこの東京都においては、昨年、飲食店調査が実施をされました。東京都の飲食店は、店舗百五十平米以下が約八六%、客席百平米以下が約八七%という結果が出ております。

 バリアフリー法では、床面積二千平米以上の店舗のみバリアフリー化の基準適合義務が課せられている一方で、二千平米未満の小規模建築物については、地方公共団体が条例により、バリアフリーの義務づけ対象となる建築物の規模引下げができることとなっております。

 他方、アメリカでは、障害を持つアメリカ人法により小規模店舗にもバリアフリー化が適用されており、多くの店舗で車椅子で入店可能となっております。

 我が国では、条例により小規模店舗にバリアフリー化を義務づけることができるものの、条例で小規模店舗にバリアフリー化を義務づけている地方公共団体は一部にとどまっている現状であります。全国的な取組にはなっておりません。

 移動はできても入れるお店がないという状況を避けるためにも、小規模店舗にもバリアフリー化の基準適合義務を課し、基本方針に整備目標を定めることを検討すべきであると考えますが、政府の見解をお伺いします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 小規模店舗についてのバリアフリー化ということでございますが、現在、御指摘のとおり、二千平米未満の小規模店舗につきましては、全国一律の基準適合とすることをしておりません。これは、スペース上の制約とか、あるいは、費用負担等が非常に大きいということであります。

 基準に適合することを義務づけるということは、すなわち、要は、それに適合しないものは建てさせないという非常に厳しいものでございますので、これについては慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

 また、そういった面で、地域の実情に応じ、条例により義務づけ対象となる規模を引き下げることをできる仕組みをとっておりまして、現在、八都府県六市区において、店舗を対象に条例で義務づけ対象となる規模を引き下げているところでありまして、こうした取組を全国的に広げていくということが重要だというふうに思っております。

 また、先ほど来申し上げておりますが、情報提供ということも非常に大切でして、そういうバリアフリーになっているものがまた選ばれていくという環境を整備する上でも非常に大事だというふうに思っておりまして、今回の改正において、市町村のバリアフリーマップの作成区域内で、新築、既設を問わず、小規模なものを含め、対象エリア内の店舗の所有者等に対して、情報提供の協力を求める制度を創設することとしているところでございます。

 またさらに、業界みずからがバリアフリーを進めていただくということがまず一番大事だということでございますので、農林水産省や経済産業省等とも、あるいは業界とも連携しまして、そういう取組を進めていきたいというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 現在、二千平米以上の対象となる店舗に関しては、全国で一〇%程度ということでお聞きをしております。全体でいえば、九割近くはまだまだバリアフリーになっていないという現状だと思いますけれども、これは先ほども道下委員からもありましたが、平成六年のハートビル法でこの二千平米というのが設定をされて、あれからもう約二十年以上たっております。この間、時代の変化は大きく変わりましたし、そろそろ対応しなければいけないのではないか、こういうことも感じております。

 むしろ二千平米という縛りではなくて、先ほど、地域の独自性に任せるのが望ましいという方向の答弁もありましたけれども、各自治体がそれぞれ条例で定める方が、それぞれの自治体でバリアフリーを真剣に考えることにもなろうかと思います。現実的にはなかなか全部の自治体で条例で定めるというのは大変なことだろうと思いますけれども、むしろそれぐらいの大きな方向性を示していただきたい、検討していただきたいと思っております。

 学校の施設等の避難バリアフリー化についても質問させていただきたいと思います。

 現行制度において、公共性の高い一般の学校施設、バリアフリー化の基準適合義務が課せられていないと思います。東日本大震災や熊本地震などでは、避難所とされた学校施設では、段差があったりするために車椅子で使用できなかったなど、障害者等に対する配慮が足りなかった、そんな事例も見受けられました。

 近年、相次いで発生している集中豪雨や台風による被害に加え、南海トラフ地震や首都直下型地震などの大規模災害が想定されている中で、学校施設は、地域コミュニティーの拠点であると同時に、災害時の避難場所としても役割を果たし得るものであります。

 災害時に避難所となる学校施設をバリアフリー基準の適合義務の対象にすべきではないかと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者、障害者なども利用する避難所ともなるような学校についてのお尋ねでございます。

 先ほど御説明いたしましたとおり、避難所等は、公共団体が作成する地域防災計画において、施設が建築されてから指定されることが一般的でございまして、なかなか、建築時に基準適合義務を課すという今の規制にはなじみにくい側面がございます。

 また、学校は、私立もございます、公立もございます。また、幼稚園から大学、専門学校までさまざまなものがございますので、全ての学校施設を規制するということについては、やや慎重な検討が必要であるかというふうには思います。

 一方で、先ほど来御説明しているとおり、地域の実情に応じて、条例によって義務づけていくということは非常に大切だというふうに思っておりまして、今、学校につきましては、十二都府県六市区で義務づけ対象に追加しているところでございまして、こうした取組を全国的な取組に広げていくため、公共団体に働きかけをしたいというふうに思っております。

 また、避難所等になるような学校につきましては、文部科学省等も御指導されて、いろいろな形での改修、スロープ等の設置による段差解消ですとか、あるいは多目的トイレの設置なども進んでいるところというふうに聞いておりますので、こういった取組を含めて、学校等、避難所になるようなものについてのバリアフリー化を進めていくということだというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 日々、現実的なことですので、より一歩踏み込んで、今、屋内運動場なんかも、スロープの設置等々できているのが約六割近くだともお聞きをしています。最低限、屋内運動場や、あるいはトイレもそうですが、災害時含めて利用ができるような整備をするためにも、本当に一歩踏み込んで、このバリアフリー化が進むような対応を求めたいと思っております。

 次に、ホームと車両との段差、すき間の解消についてお伺いしたいと思います。

 平成二十八年八月、東京メトロ銀座線青山一丁目駅において、盲導犬を連れた視覚障害者の方がホームから転落をし、亡くなられる事故が発生をいたしました。また、同年十月、近畿日本鉄道大阪線河内国分駅でも、視覚障害者の方が線路内に転落をし、亡くなられる痛ましい事故が発生をいたしました。

 改めて哀悼の意を表したいと思いますが、ホームの転落事故は、視覚障害者のみならず、年間三千六百件を超えるとも言われております。

 ホームからの転落事故を防止するためにホームドアの設置を推進することは当然のことですが、段差とすき間の解消に関し、大阪市営地下鉄千日前線では、実証実験に基づき、単独乗降が可能となる目標数値を定め、工事を行った結果、既設路線にもかかわらず、改修工事で、段差二センチ、すき間三センチを全ての駅で実現することができていると聞いています。

 一方、都営地下鉄新宿線におけるホームのかさ上げ工事では、設計上の問題があることは理解しておりますが、段差、すき間の解消ができず、単独乗降が実現をできておりません。

 車椅子利用者が容易に単独乗降できるホームと車両の段差、すき間の最小化を図るため、車椅子での単独乗降と鉄道の安全確保を両立し得る段差、すき間の数値基準を明確化することが必要だと考えますが、数値基準の明確化を行っていただけませんでしょうか。見解をお伺いします。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準におきましては、鉄道のホームと車両の床面をできる限り平らにするとともに、ホームと車両の間隔をできる限り小さくすることを求めております。一方で、段差、すき間についての数値基準は現在定められていないところでございます。

 先ほど委員からも御紹介がございましたけれども、安定したコンクリート軌道を採用している地下鉄の一部路線においては、ホームのかさ上げや、あるいは車両、ホーム間のくしゴムの設置などの工夫によりまして、通常に比べて小さな段差、すき間、それぞれ二センチ、三センチというものを実現したと聞いているところでございます。

 国土交通省としましては、このような先行事例を他の鉄道事業者にも広く横展開をし、その普及を図るとともに、施設、車両の構造等の違いも踏まえながら、車椅子での単独乗降と鉄道の安全確保を両立し得る段差、すき間の数値化についての検討を開始したところでございます。

 できる限り速やかに検討結果を取りまとめてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 技術的には可能という話でもありますし、実際に実用化、導入をされていることもあるとお聞きをしていますので、車椅子、あるいは障害を持たれている方から、二十分、あるいは、長ければ六十分待って、途中で行き先が変更できないとか、来た電車を何本も見送るのは本当に悲しい、そういう声もあります。

 本当にそういう声に切実に応えるべく、単独乗降可能な、そういった取組に全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 そして、次に、ホテルの客室のバリアフリー化についてお伺いしたいと思います。

 国際パラリンピック委員会で、昨年五月、二〇二〇年東京大会の準備状況を確認した際、ホテルのバリアフリー化に際し、バリアフリー対応の客室が不足しているなどの改善の必要性を指摘をされております。

 国交省は、現在、基準の見直しの方向性について検討を行っていると聞いておりますが、全ての客室をユニバーサルデザイン化することにより、障害者の方のみならず、高齢者の皆様なども施設を利用しやすくなることから、ホテルのユニバーサルデザイン化に関し、ある一定の基準を設けながら適合義務を課すことなどを検討すべきだと考えますが、政府の見解をお伺いします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ホテル客室のバリアフリー基準について御質問をいただきました。

 二千平米以上かつ五十室以上のホテル、旅館については、新築時に、車椅子使用者が利用できる客室を一以上設置することが義務づけられているところでございます。

 また、既存の客室につきましても、効果的、合理的なバリアフリー改修が推進されるよう、平成二十九年三月にバリアフリー設計のガイドラインを改正したところでございます。

 また、先ほどの新築の基準を見直すために、昨年十二月に検討会を設置いたしまして、現在までに二度開催したところであります。

 これまで、基準の見直しを検討するため、ホテル、旅館におけるバリアフリー化の現状に関するアンケート調査の実施、障害当事者の方々に対するヒアリング、ホテル、旅館業界の方々に対するヒアリング等を実施したところでありまして、今後、これらのアンケート調査及びヒアリング結果を整理、分析し、ことしの夏をめどに結論を取りまとめ、必要な見直しを行うこととしているところでございます。

伊藤(俊)委員 国交省、二〇一七年の調査を見ても、バリアフリールームがあるホテルは約三割、さらに、一室しかないホテルは約七割だということになっておりますので、まだまだこれは必要だということだと思います。

 特に、二〇二〇年はオリンピック・パラリンピックもある中で、スケジュール感が極めて大事だと思います。検討会も設けてきたということも聞いておりますけれども、この検討会も、これはもう質問はあれですけれども、これまで何回開催をして、そしてこれから何回開催をする予定になっていて、目標はどのくらいに定めているのか。こういったことを現実的に検討していただいて、早期にこのホテルの需要、このバリアフリー化もユニバーサルデザイン化も進めていただきたいと思っております。

 次に、心のバリアフリーについてお伺いしたいと思います。

 国民へのバリアフリーへの理解、協力はまだまだ十分とは言えないと思いますが、心のバリアフリーが浸透した社会の実現はまだ道半ばだと思います。

 本改正案では、国の責務として、高齢者、障害者等が公共交通機関を利用し移動するために必要となる支援等の協力をするよう努めなければならないと具体的に明記することとしておりますが、これまで国交省は、社会全体のバリアフリー化の促進を図るため、国民の理解の増進と協力の確保のためにどのような取組を行ってきたのか、お伺いしたいと思います。

 また、将来的にどのような国そして社会を目指していくのか。心のバリアフリーを含めた真の共生社会の実現に向けた大臣の見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 駅などのハードの整備に加えまして、高齢者、障害者等の移動等円滑化の促進に関する国民の理解と協力を求めること、いわゆる心のバリアフリーは大変重要であります。

 このため、これまでも、心のバリアフリーを国の責務といたしまして、介助の疑似体験等を通じバリアフリーに対する国民の理解増進を図るバリアフリー教室を全国各地の小中学校、旅客施設等で開催するほか、国民の協力促進やマナー向上に向けまして、駅のエレベーターへの優先マークの掲示や鉄道利用者への声かけキャンペーン等の啓発活動を推進してまいりました。

 今後とも、国民の理解を深めるとともに、一層の協力を得る必要があると考えておりまして、今回の改正において国及び国民の責務規定に、「高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる支援」を協力の例示として加えることといたしました。

 今後、この改正を踏まえまして、例えば、バリアフリー教室の開催を一層充実させることや、二〇二〇年東京大会に向けまして、鉄道の利用に当たり高齢者、障害者等に対するサポートを行っていただくよう呼びかけるキャンペーンを行うなど、心のバリアフリーの取組を一層推進するよう努めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ぜひ、国民のバリアフリーへの理解、協力が十分に行き渡るようなそんな大きな方針を打ち出しながら、これは極めて大事な観点だと思いますので、お願いをしたいと思います。

 きょうは警察庁の方からもお越しいただいていると思うので、一点、音響式信号機の導入促進についてお伺いしたいと思います。

 視覚障害者が安全に道路を横断するためには、音響式信号機の設置が不可欠だと思います。その設置率はわずか九%と今言われておりますが、これは、駅とか公共のところを中心につけられていると思います。

 全国全体で見れば母体は九%ということも理解しておりますけれども、視覚障害者の方が移動する際の安全性を確保するためにも音響式信号機の導入の促進を考えるべきだと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 警察におきましては、視覚障害者の方々が安全かつ円滑に移動できる環境の整備が重要であると考えておりまして、音響式信号機につきましては、バリアフリー法に基づく生活関連経路を構成する道路を中心といたしまして、視覚障害者の方々の通行の状況や、その御要望等を踏まえて整備を進めているところでございます。

 警察庁といたしましては、このたびのバリアフリー法の改正案を踏まえ、今後とも、関係機関と連携をしつつ、視覚障害者の方々が安全かつ円滑に移動できる環境を整備するよう、都道府県警察を指導してまいる所存でございます。

伊藤(俊)委員 夜間なども音がとめられているケースが多いということも聞いております。例えば音を夜間においては抑えるとか、そういったまた技術も考えていただいたりとか、あるいは、生活圏を考えても、もっと適用する場所をふやすことも検討が必要かなと思っております。市区町村などで生活関連経路の見直しなどがあれば、積極的に対応していただきたいと思っております。

 時間が足りないので、多くの質問をさせていただきたいと思っておりましたが。

 我々は誰もが高齢者になります。誰もが障害を持つ可能性がある。そんな基本的な考え方に立って、高齢者や障害者の皆さんが直面している困難をみずからの問題と認識をして行動につなげていくことが当たり前にできる社会の実現に向けて、取組を加速していかなければなりません。

 障害は、その障害の特性により求める支援内容が異なっているため、バリアフリー化を推進するためには、障害の特性に留意をしながら施策を展開していくことが必要だと思います。

 そのため、政府には、バリアフリー施策の不断の見直しを求めながら、進めていただき、その一層充実改善を図ることが求められているということを強く強く申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 冒頭、森友問題について伺います。

 先ほど、先週の朝日の報道です、大阪航空局は近畿財務局からごみ撤去費の積算を八億円ほどとなるように持ちかけられ、一旦見積もった額から数億円ほど増額したと。この報道について、今なお調査中という御答弁が大臣からありました。

 もう五日もたっているんですよ。この間、この手の報道があった場合、次の委員会で取り上げられたら、大体、国交省の側は、それは事実じゃないということで否定していることが多かったわけですよ。ところが、今回の報道は五日たってもまだ調査中と。

 ということは、この朝日の報道というのは否定できない、そういう何らかのお話を職員からもう既に大臣は伺っているということでいいですね。

石井国務大臣 委員がおっしゃるようなことはございません。報道されている内容の調査につきましては、できるだけ早期に実施をしてまいりたいと考えております。

 ただし、大阪地検による事情聴取を受けている職員もいることから、慎重に対応する必要もあると考えているところでございます。

宮本(徹)委員 途中経過というのは、大臣は何らか伺っているんじゃないですか。

石井国務大臣 途中経過についてはまだ承知をしておりません。

宮本(徹)委員 でしたら、現時点での調査をすぐにつかんで、話せる範囲で、私は、国民に対して説明すべきだと思いますよ。そのことを申し上げまして、バリアフリー法の質問に入ります。

 バリアフリーの中でも、生死にかかわる点で急がれるのが、駅のホームドアの設置を始めとした転落防止、安全対策だと考えております。

 二〇一六年、青山一丁目での、視覚障害者がホームから転落した、そしてお亡くなりになられた事故を受けて、国交省は、検討会で、その年の十二月に中間まとめを出されました。ホームドアの設置目標の前倒しとあわせて、駅員が視覚障害者を乗車まで可能な限り介助するだとか、そういう対策だとかも打ち出されました。しかし、その後も、視覚障害者のホームからの転落事故は後を絶っておりません。お亡くなりになられるケースも後を絶っておりません。

 昨年一月は蕨駅で、十月には阪和線の富木駅で、十二月には阪急京都線の上新庄駅で、転落した視覚障害者が亡くなられる事故が起きてしまいました。なぜ転落事故が後を絶たないのか。二〇一六年十二月にああいう対策をしながら、こういう事故が続いている。そこには、さらなる安全対策にとってどういう課題があると考えているのか、お伺いしたいと思います。

石井国務大臣 駅ホームにおける転落事故の防止は、視覚障害者の方を始め、全ての旅客にとって大変重要な課題であると認識をしております。

 国土交通省におきましては、平成二十八年八月十五日の東京地下鉄青山一丁目駅で視覚障害者の転落死亡事故が起こりましたことを受けまして、駅ホームにおける安全性向上のための検討会を設置をし、同年十二月に、ハード、ソフト両面における総合的な転落防止対策を取りまとめました。

 この取りまとめに基づき、ハード面におきましては、ホームドアについて、一日当たりの利用者数が十万人以上の駅で優先的に整備を進めていくこと、利用者一万人以上の駅については、内方線つき点状ブロックを平成三十年度までに整備することとしたところであります。

 さらに、ソフト面におきましても、申出があった視覚障害者に対し、駅員等が乗車及び降車の誘導案内を行うこと、介助者のいない視覚障害者に気づいた際は、駅員が声かけを行うとともに、誘導案内の希望がなかった場合も、駅の規模等の状況に応じて可能な限り乗車するまで見守ることなどの駅員による対応の強化を図ることとしたところであります。

 御指摘の事故は、この取りまとめの後、発生しておりますが、蕨駅の事故では駅員が声かけを行っていなかったこと、富木駅の事故では内方線つき点状ブロックが整備されていなかったこと、上新庄駅の事故では、旅客が白杖を所持しておらず、視覚障害者であることが認識できなかったこと等がそれぞれ明らかになっております。

 これらの事故の発生を受けて国土交通省は、平成二十九年一月、全ての鉄道事業者に対しまして、改めて現場における誘導案内や声かけの徹底を図るよう要請したところであります。

 また、蕨駅におきましては、平成三十一年度末までにホームドアを整備することとしております。さらに、富木駅におきましては、内方線つき点状ブロックの整備について関係者間の検討が進められているところであります。

 国土交通省といたしましては、今後とも、ハード、ソフト両面における総合的な転落防止対策を着実に進めてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 事故が起きた駅で、ホームドアを設置する、あるいは点字ブロック、内方線つきのものをやるというのは、それはすぐにやらなきゃいけない話だと思いますが、そういう対策をやると同時に、一つはやはり、蕨駅でも声かけができていなかったというお話なわけですよ。やはり、事業者の皆さんに、人の配置をもっとしっかりやる必要があるんじゃないか、ホームの安全対策をやるための人の配置をふやすべきだ、こういう指導もしっかりやらなきゃいけないんだと思うんですが、大臣いかがですか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 ホームドアが設置されていない駅において視覚障害者が駅を利用する際に、駅員等による声がけ、誘導案内を実施するなど、ホームの安全性を確保する上で駅員が果たす役割は重要であると認識をしております。

 平成二十八年十二月の、駅ホームにおける安全性向上のための検討会取りまとめにおきましては、「駅員等の配置については、各駅の利用実態等に鑑み、鉄道事業者自らが判断するものであるが、様々な意見や個々の利用実態等を踏まえ、必要に応じて見直すといった対応が重要である。」とされているところでございます。

 これを踏まえ、鉄道事業者においては、ホームドア設置までの間、警備員の増配置を行う、あるいは通勤通学時間帯に新たに職員を配置する、こういった対応を行っているところでございます。

 また、無人駅におきましては、監視カメラや放送装置を設置し、これらを通じて駅の状況を把握し、必要に応じて注意喚起の放送を行うとともに、係員による無人駅の巡回を行うといった取組も進められているところでございます。

 国土交通省としましては、このような先行事例を鉄道事業者に広く周知し、駅ホームにおける転落事故防止に向けた鉄道事業者の取組について、引き続き必要な指導を行ってまいります。

宮本(徹)委員 ですから、事故がなくなっていないわけですから、もっと厳しく、強く指導をしていっていただきたいというふうに思います。

 それから、先ほど無人駅の話もございましたけれども、一方で駅の無人化というのは全国各地でどんどん進んでいるわけですよ。駅が無人化、どんどんこのまま進んでいったら、今の安全対策に逆行するのは明白だと思うんですよ。そういう認識は国交省はお持ちですか。

藤井政府参考人 無人駅におきましては、監視カメラ、放送装置の設置による駅の状況の把握、あるいは、必要に応じて注意喚起の放送、係員における無人駅の巡回、そういった、ハード面、ソフト面、両面を通じまして安全を確保してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 聞いたことに答えていないんですけれども、では、監視カメラとかなんだとかあったら、こういう視覚障害者の方の転落防止ができるのかといったら、できるわけないじゃないですか。

 ところが、そういうホームドアも何もつかないまま駅の無人化だけがどんどん進んでいる。これは安全対策に逆行している、そういう認識があるんですかということをお伺いしているんです。

 これは大臣に聞いた方がいいですね。大臣いかがですか。

    〔委員長退席、盛山委員長代理着席〕

石井国務大臣 鉄道事業者においては、乗降に際して駅員等の介助が必要な利用者の方が無人駅を利用する際には、事前に連絡を受けた上、必要な駅員等を確保して対応に当たらせるほか、急遽連絡を受けた場合でも、できる限り対応する方針をとっているものと承知をしてございます。

宮本(徹)委員 ですから、一々連絡しないとだめという現状は、障害者の立場に立ったら、一々本当に自由に動き回ることもできないという制約になっているわけですよ。急遽動かなきゃいけないときだって当然あるわけですし、これは、やはり駅を無人化していくというのは、バリアフリーの考え方からいっても、安全対策から考えてもおかしいよというのを、私は、本当は政府が各事業者に言うべきだと思いますよ。

 これ以上言ってもあれですので、次に行きます。

 それからあともう一点、ホームドアの設置、これは緊急に進めていかなければなりません。

 十万人以下の駅でも転落事故は起きているわけですよ。先ほどの上新庄駅あるいは富木駅も十万人以下の駅ということであります。ですから、基本は、十万人以下も含めてつけていくんだ、こういう立場にやはり政府はしっかり立つことが必要だと思います。そのために目標も引き上げる。政府の補助率も引き上げる。そのために予算の確保も必要だと思います。

 それから、事業者の側も、確かにお金がかかるわけですけれども、例えば、私は、財投を使うというのは一つの考え方だと思うんですよ。ホームドア、安全対策、あるいはバリアフリー、思い切って進めていくためには、事業者の資金面の援助として、今ある補助とあわせて、国の予算も限りがあるという中で、低利子の財投を使う、こういうことも含めて思い切った安全対策やバリアフリーを進める必要があるかと思いますが、国交省いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 ホームドアを始めとするバリアフリー化の推進は、社会的要請の高い重要な課題であると認識をしております。このため、バリアフリー設備に対する投資につきましては、これまでも、鉄道事業者に対しまして財政投融資を含めた支援を実施し、整備の促進を図っているところでございます。

 財政投融資について具体的に申し上げますと、平成二十八年度第二次補正予算において、政策投資銀行に対して、鉄道事業者によるホームドアの設置や駅のバリアフリー化工事等を支援するため、五百億円の財政融資を行っているところでございます。

 国土交通省としましては、バリアフリー化を推進するため、引き続き必要な支援を行ってまいります。

宮本(徹)委員 ですから、今、五百億という話がありましたけれども、リニアは三兆円出しているわけですよ、三兆円。桁が幾つ違いますか。もっと大胆に支援をしていくべきことを求めておきたいと思います。

 それからあと、ホームドアの問題にかかわって一点、ちょっと聞いている話があるんです。

 今、ホームドアが設置されたときに、点字のシールを張って、そこが何両目の幾つ目のドアかとわかるようにつけているドアもふえております。ただ、これは、位置は事業者によってまちまち。そして、ついていない駅も少なくない。あるいは、右側だけつけている、左側だけつけている。ホームドアの両側につけているところもあるわけです。

 視覚障害者の皆さん、かつては、電車そのものをさわって、ドアがどこにあるかということもやられていたわけですけれども、ホームドアができて、これがどこなのかというのがわかるようになったというので、ホームドアに点字シールが張ってあるというのは大変助かるという話も私は聞いているんです。

 ホームドアに点字のシールを張る、これは統一した場所に、そして両側に張っていくというのをやはり統一して事業者に徹底していく必要があるかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 ホームドアの点字シールにつきましては、バリアフリー整備ガイドラインにおきまして、まず、標準的な整備内容として、号車及び乗降の位置、扉番号を、これは、いわゆる案内板、案内図のようなものを含みますけれども、それを文字及び点字により開口部左脇に表示をすることとされております。更に望ましい整備内容として、開口部の左右両側に表示することとされているところでございます。

 鉄道事業者は、このガイドラインに沿いまして、乗降位置情報に関する点字表示をホームドアの開口部の左右両側に拡大する取組を順次進めているところでございます。

 国土交通省としましては、取組状況を継続的に把握し、鉄道事業者に対して適切に指導を行ってまいります。

宮本(徹)委員 どれぐらい把握しているのかわからないですけれども、都内を見ても、両方にどっちもついていないところ、かなりたくさんあると思うんですが、把握されていますか。

藤井政府参考人 東京の例で申しますと、東京都交通局、さらには東京メトロ、この中で、東京都交通局は左右両側のそういった表示が完了しております。

 東京メトロは、路線によりまして、今左右両側になっているものと、順次右側に設置を進めているものがございます。

 それから、JR東日本につきましては左右両側が整備をされているということで、委員御指摘のとおり、今、途上だということでございますので、これを進めてまいりたいと考えているところでございます。

宮本(徹)委員 どっちにもついていないところも結構あるんですよ。ゆりかもめの駅だとか、あちこちあります。

 あと、JR東日本の話がありましたけれども、JR東海になるんですか、新幹線の駅は。東京駅でもあれはついていないのかな。でありますので、ちゃんと事業者にどうなっているかというのは把握していただいて、徹底していただきたいというふうに思います。

 それからあと、ちょっとトイレの問題について幾つかお話を聞いているので質問したいと思いますが、食べることとあわせて、出すことというのは人間が生きていく上で必須ということなわけです。

 先ほど来、建物のバリアフリー化、二千平米以下もやるべきだというお話がありますけれども、トイレが本当に足りなくて、不便されている方のお話をよくお伺いします。先日も、若い方がカラオケに友達と行った、だけれども、障害者の使えるトイレがなくて、カラオケの最中に途中で抜けて、駅まで行って、改札を通って、駅のトイレを使ってまたもとに戻ってカラオケに参加した、こういうお話も聞きました。

 やはり、もっとトイレをふやしていくというのは、本当に障害者の皆さんが、普通に皆さんと同じように生活していく上では必要なことだと思うんですけれども、もっとこれは義務づけをふやす必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

由木政府参考人 お答えいたします。

 現在、身障者用のトイレにつきましては、公共交通機関の駅等について、これは公共交通機関に対する基準あるいはガイドライン等でガイドしております。

 また、建築物につきましては、二千平米以上を超えるような建築物を新築する際に定めるべき内容といたしまして、それぞれ基準なりガイドがあるところでございます。

 また一方では、公衆トイレ単独でつくられる場合もございます。これはほぼ公共団体に多いと思いますが、こうしたところにおいて、こうしたガイドライン、基準等に従いまして適切に、まさに身障者の方等がお使いいただけるような身障者用のトイレがふえること、努めてまいりたいというふうに思っております。

宮本(徹)委員 いや、ですから、もっと対象を拡大しないと困るんじゃないですかというお話をしているんですけれども。

由木政府参考人 お答えいたします。

 駅等につきましては、かなり恐らく整備が進んでまいってきているというふうには思っておりますけれども、例えば、地域によりまして、より細かい、小さな建築物等についてもバリアフリー化を進めてまいりたいという場合には、先ほど住宅局長からもお話し申し上げましたように、条例等を使っていろいろな、面積を引き下げたりすることができることになっておりますので、例えば、地方公共団体が今回新しく設けようとしております基本構想に先立つマスタープランをつくる際とか、地域の状況を見ながら、それぞれさまざまな手段を使って、必要な地区について適切に対応していただきたいというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 いや、ですから、先ほど議論になっていましたけれども、地方自治体任せじゃなくて、もっともっと、トイレが足りないよ、つくりましょうというのを旗を振っていただきたいと思うんですけれども、大臣いかがですか。

    〔盛山委員長代理退席、委員長着席〕

由木政府参考人 お答えいたします。

 全体として我が国のバリアフリー水準を引き上げることが大事だと思っておりますので、そのように進めてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 それからあと、これは視覚障害者の方から伺った話ですけれども、トイレもどんどん進化していますよね、今。流し方も進化している。昔はレバーを下げていたのがボタンになって、更に今は手をかざすだけでじゃあっと流れるというのがあるわけですけれども、表示が見えない視覚障害者は、やはり、どんどん進化する新しいトイレに戸惑っているというお話も聞きます。流し方がわからなくて非常ベルを間違って押してしまって大騒ぎになってしまった、こういうお話もお伺いしました。点字で表示していますよと言われても、点字表示がどこにあるのかもわからないというお話も伺います。

 ですから、音声案内を徹底するだとか、あるいは公共のトイレの流し方はこうだよという一定のユニバーサルデザインをつくるとか、あるいは点字の表示の場所を統一するだとか、何らかのやはり対策というのは必要じゃないかな。

 我々はトイレがどんどん進化すれば便利なんですけれども、種類がふえればふえるほど困る方々もいるということで、その対策をぜひお願いしたいんですが、いかがですか。

由木政府参考人 お答えをいたします。

 まさに個人のトイレについてはいろいろな機能が充実すること、それ自体は悪いことではないと思いますけれども、まさに公共に使われるようなところについては、今委員の御指摘がございましたように、一定のやはりガイドがあるべきだというふうに思っております。

 現在、公共交通機関におきますトイレにつきましては、その操作部については、バリアフリーの整備ガイドラインにおきまして、JIS規格に合わせたものとするように、これを標準的な整備内容とするようにという記載をしております。

 また、建築物についても、ガイドライン、これは建築設計標準と呼んでおりますが、ここにつきましても、同じように、JIS規格に基づく配置とするように求めているところでございます。

 このJIS規格の中には、まさに御指摘いただきましたように、見えない方は手をどこにかざしていいかわからないものですから、センサー式だけの設置は避けることが望ましいとか、あるいは洗浄ボタンの形状でございますとか、あるいはボタンの高さ、それから、例えば呼出しボタン等が必要な場合もございますので、そういった場合の位置、トイレの便器からどのぐらい離れて、あるいはどのぐらいの高さに置くかというようなことはJISで一応決まっておりますので、こうしたJIS規格をできるだけ活用していただくように、それぞれ公共交通機関、建築主等に対しまして、こうしたガイドラインを使うように周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

宮本(徹)委員 周知徹底をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 もう時間がないので、最後、一問だけお伺いします。

 区市町村の生活道路のバリアフリーというのも、移動の連続性ということを考えたら非常に大事な課題だというふうに思っています。公共交通機関にたどり着くまでの、住宅の前からの生活道路、ここはバリアフリーでないとそもそもなかなかたどり着くのが大変。

 実際は、歩道が狭くて電信柱があったり、あるいは、道路の真ん中が盛り上がっていて道路が傾いている。あるいは、昔の、古いタイプの歩道なんかは多いですけれども、自転車等が乗りおりしやすいように部分的に傾斜がついていて、そういうところを車椅子が走るとひっくり返りそうになる。そういうところがまだまだたくさんあるわけですけれども、こういう生活道路の修繕は主に地方自治体に任されていますが、財政的にもいろいろあって、なかなか手が回っていない状況というのがあります。

 こういうところも、生活道路のバリアフリー化についても、後回しにならず、更に前進を図るための施策というものが求められると思いますが、その点いかがですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 バリアフリー法では、全ての道路において道路移動等円滑化基準に適合させる努力義務が課せられているところでございます。具体的には、幅の広い歩道の整備、歩道の段差解消、勾配の改善、立体横断施設への昇降装置の設置等を推進しておりまして、防災・安全交付金等により支援をしているところでございます。

 また、道路移動等円滑化基準におきましては、各地方公共団体が国の基準を参酌して条例で定めることとなっておりますが、国の基準におきましては、生活道路を始め十分な幅員の歩道を確保することが困難な場合には、当分の間、歩道にかえて、車道にハンプや狭窄部を設けるなどにより自動車を減速させる方法を経過措置として盛り込むなど、柔軟な対応も可能としております。

 生活道路のバリアフリー化につきましては、このような手法も含め、どのような対策を行うのか、各地域における実情を踏まえ十分に検討いただくことが重要でございまして、国土交通省といたしましても、国の基準の考え方を地方公共団体に周知するとともに、地方公共団体が行うバリアフリー化につきまして、交付金により財政的に支援するなど、生活道路のバリアフリー化推進に取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 ですから、防災・安全交付金にしろ社会資本整備交付金は、各自治体でも優先順位というのが大体いろいろありまして、バリアフリー化に十分回っていないというのが現状だというふうに思いますので、やはり、そこはちゃんと進むような仕組みを更に交付金の中でも検討していただきたい。

 そのことを申し上げまして、質問時間になりましたので終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次回は、明十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十七分散会


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