衆議院

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第13号 平成30年5月11日(金曜日)

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平成三十年五月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西村 明宏君

   理事 鬼木  誠君 理事 金子 恭之君

   理事 新谷 正義君 理事 土屋 品子君

   理事 盛山 正仁君 理事 矢上 雅義君

   理事 小宮山泰子君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    池田 道孝君

      岩田 和親君    大塚 高司君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      門  博文君    神谷  昇君

      木村 次郎君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    鈴木 憲和君

      田中 英之君    高木  毅君

      谷川 とむ君    中曽根康隆君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      根本 幸典君    鳩山 二郎君

      百武 公親君    藤井比早之君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      望月 義夫君    簗  和生君

      山本 公一君    初鹿 明博君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      早稲田夕季君    伊藤 俊輔君

      大島  敦君    源馬謙太郎君

      森田 俊和君    北側 一雄君

      高木 陽介君    広田  一君

      もとむら賢太郎君    宮本 岳志君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      牧野たかお君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   国土交通大臣政務官    高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  白岩  俊君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  相馬 弘尚君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 大西 淳也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小林 一久君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 保坂  伸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 篠原 康弘君

   参考人

   (独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長)           北村 隆志君

   参考人

   (独立行政法人水資源機構理事長)         金尾 健司君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        中島 正弘君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     中曽根康隆君

  鈴木 憲和君     小島 敏文君

  谷川 とむ君     木村 次郎君

  中谷 真一君     池田 道孝君

  森田 俊和君     源馬謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     中谷 真一君

  木村 次郎君     百武 公親君

  小島 敏文君     鈴木 憲和君

  中曽根康隆君     門  博文君

  源馬謙太郎君     森田 俊和君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     谷川 とむ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事長北村隆志君、独立行政法人水資源機構理事長金尾健司君及び独立行政法人都市再生機構理事長中島正弘君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房長藤田耕三君、水管理・国土保全局長山田邦博君、住宅局長伊藤明子君、鉄道局長藤井直樹君、国際統括官篠原康弘君、内閣官房内閣審議官白岩俊君、内閣参事官相馬弘尚君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、大臣官房審議官大西淳也君、外務省大臣官房審議官石川浩司君、大臣官房審議官飯田圭哉君、経済産業省大臣官房審議官小林一久君及び資源エネルギー庁次長保坂伸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。早稲田夕季君。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田夕季でございます。

 それでは、海外社会資本事業への企業参入の促進に関する法律案についてまず伺ってまいります。

 四月十九日、本会議におきまして、この本法律案について代表質問をさせていただきました。その中で、本法案が、国土交通省所管の独立行政法人等の、海外業務を行わせることにより日本企業のインフラシステムの海外展開への促進を図るという政府の方針は、一定の理解をさせていただいたところでございます。

 一方で、本会議におきまして、この本インフラ事業の法律におけますインフラ事業と抱き合わせで原発輸出の展開があるのではないかということの質問に対して世耕経済産業大臣の方からは、あらかじめ、ないと申し上げることはできないという答弁でございました。まさに、東日本大震災後に福島第一原発の収束もままならない中で、国民に対して非常に丁寧さを欠いた答弁である、大変残念だと言わざるを得ません。

 そこで、経済産業省として、この原発輸出に関連し、本法律案のインフラ輸出事業との連携を想定した、前提としたスキームを検討している事実があるのかどうか、伺います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 世耕大臣から既に本会議でお答えさせていただきましたとおり、原発輸出に限らず、インフラ輸出につきましては、相手国のニーズをきめ細かく拾い上げながら、まずは関係当事者間で条件を詰めていくことが必要でございます。

 その中で相手側がどのような要望や条件を提示してくるかを予見することは容易ではなく、結果的に、複数分野のインフラ案件につきまして、相手国と同時期に議論するということがあり得ることにつきましては否定できないところでございます。

 このような意味で世耕大臣から、あらかじめ、ないと申し上げることは困難であるというふうにお答えをさせていただいておりますけれども、現時点で具体的な事例を想定しているものではございません。

早稲田委員 お答えいただきました。現時点で想定していないということでございますが、この原発輸出に関連いたしましては、事業の収益性、それから投資コストやリスクの拡大によりまして、インフラ輸出事業としては事実上破綻をしているという世界的な見方もございます。

 その中で、では、日本で現在までに、原発輸出の実績、それから、現在行われている相手国の交渉状況についてどのようなものなのか、伺います。

 そして、現在、世界では電力インフラ事業の中心が再生可能エネルギーへとシフトしている。その中で日本政府が原発輸出を推進することは、むしろ世界の潮流におくれをとっていると考えますが、その点について政府の認識、伺います。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、原発輸出に関しまして動いている案件でございますけれども、イギリスで一件、それからトルコで一件の案件が動いているところでございます。

 原発輸出につきましては、日本の原子力技術に対する期待の声を各国から寄せられておりまして、安全最優先を前提として、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応にしっかりと責任を果たしていきたいと考えているところでございます。

 加えて、原発輸出の機会は、日本の原子力技術、人材の基盤の維持強化に貢献するものでございまして、今後の日本の原発の安全な運転、保守管理や廃炉などに資するものという点で一定の政策的意義があると考えているところでございます。

 各国の原発計画につきましては、まずは事業者におきまして、関与すべき範囲やリスク分担のあり方など適切に判断されていくものと承知しているところでございます。

早稲田委員 今、イギリス、トルコという、交渉の真っ最中だというお話がございましたが、実際にこの原発輸出で、原子力は平和利用に限定とするという原子力協定を結んだところは十一カ国あると承知をしています。

 にもかかわらず、二カ国だけが今交渉で、もう既にその交渉をやめたところもある。さらに、新聞報道でいえば、イギリスでもなかなか難しい。それからトルコでも、地震大国であるために、これをどのようにしていくかということ、非常に厳しい意見が議会でも出ているという話でありまして、事実上なかなか難しいにもかかわらずこのように進められていること、大変に違和感が私はございます。

 この本法律案につきましても、電力のインフラ整備ということが、これは、欠かせない、両方相まっての事業になると思っておりますのでここは大変重要なことだと思っておりますが、途上国を中心とした電力インフラの整備のニーズが高まっている中で、原発輸出、あるいは、世界でも突出をしている石炭火力の輸出の支援というようなことにばかり特化をしないで、再生可能エネルギーですね、インフラの整備ということ、開発ということにもっと注力をしていくべきと。

 それが世界の持続可能なエネルギーにおいてもつながるのではないかということをしっかりと強く申し上げまして、この法律案についても、インフラの輸出事業の鍵となることがこの再生可能エネルギーの電力インフラ輸出の支援だということを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 さきの本会議におきましては、インフラ輸出の融資のもとと想定をされますJOIN等官民ファンドにつきましては、赤字の実態、運用上の問題を指摘してまいりました。

 国土交通大臣からは、大臣自身による、機構の継続的な監視が必要との見解が示されたところでありますが、この法律案では、非常に、海外における高速鉄道、新幹線のインフラ輸出などを主たる目標としているわけですけれども、そういたしますと、かなり安定的な財源の確保ということが必要になり、投資ということの問題もあります。

 その中に、この官民ファンドだけに頼らず、ほかにも現在想定をしている融資の手法、これを、あればお知らせをいただきたいと思います。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の投資資金の確保は、日本企業の海外展開に当たりまして不可欠なものでございます。この法律案による技術面からの支援と相まちまして、日本企業の海外展開の推進を強化するものでございますが、具体的には、国土交通といたしましては、日本企業の海外展開のために必要な投資資金といたしまして、JOINに加えまして、JICA、JBIC、さらには世界銀行等の国際金融機関等の連携も含めまして、積極的に対応を検討してまいりたいと考えているところでございます。

早稲田委員 次に、インフラ輸出に際しましては、日本の経済成長はもとよりですけれども、相手国の環境を破壊をしないこと、それから、現地の貧困それから雇用創出といった社会問題に十分配慮をした日本の海外インフラ輸出にならなければならないと私は考えております。

 政府として、こうした地域の実情を鑑みたインフラ輸出について今後どのように目指していくとお考えか、伺います。

石井国務大臣 我が国のインフラシステムの海外展開に当たりましては、相手国の目線に立ち、そのニーズに応じてカスタマイズしていく視点が重要であると認識をしております。

 特に新興国におきましては、相手国の経済発展段階や今後の展望に合わせ、相手国のニーズに応じた適切な技術水準のインフラシステムの展開が求められておりますので、本法案に基づき国土交通大臣が定めます基本方針におきましても、相手国のニーズに応じた我が国技術のカスタマイズの必要性について定めることを検討しております。

 国土交通省といたしましては、インフラシステムの海外展開に当たりまして、相手国が必要としておりますサービス水準や財政への負担も考慮しつつ、適切な提案ができるよう対応してまいりたいと考えております。

早稲田委員 カスタマイズ、相手国のニーズに合わせてという御答弁でございましたが、ぜひ、日本企業が撤退をした後に何も残らなかった、物は残ったけれども、雇用もそれからいろいろな社会問題も解決されないというようなことがないように。そしてまた、高速鉄道が主たる目標でありますけれども、やはりそこには、在来線もまだ単線であるとか、そういった事情もたくさんございますようでございますから、ぜひそこのところも、本当に、そこに住んでいる人たちの生活の向上ということに資するような海外展開をしていただくことを強く要望いたします。

 次に、その海外インフラ投資の経済効果に対して質問を本会議でいたしましたところ、官房長官によれば、個別案件によって大きく異なるため、定量的な予測が困難ということであります。

 しかしながら、官と民が協働をして、そしてインフラ事業を推進していく上で、これまでの実績の定量的な評価、それから経済効果、これを明確に予測をしていくなど、民間並みの事業の見える化というものは絶対に必要だと私は思っておりますが、今後、そういうことの見える化、事業の見える化、そしてまたPDCAサイクル、どのようにお考えか、伺います。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラ受注実績は二〇一五年に約二十兆円に達しており、これは、円借款その他の公的金融による支援やトップセールスなどを通じまして民間企業の海外投資を後押しした成果であると認識しております。

 例えば、我が国の円借款の二〇一五年度の供与額は約二兆円であり、この供与額の一部がこれまでのインフラ投資の受注結果につながっているものと考えております。

 ただ、もっとも、インフラ投資は案件の組成から事業開始まで長い期間を要することや、技術協力などのソフト面での支援も受注のための重要な要素であること、ファイナンスが民間資金や他国の官民資金も含めた多岐にわたる投融資となる場合もあることから、プロジェクトの受注に向けて投じられた公的な投資額、そのプロジェクト全体に対する貢献度を正確に定量的に示すのは難しいのが実態でございます。

 また、インフラ受注によりますマクロ的な経済効果につきましても、プロジェクト全体の受注の場合や一部機器納入の場合、他国企業への投融資や共同での整備、運営の場合など、個別案件によりまして我が国の関与の度合いが大きく異なるため、その経済的な波及効果についての定量的な計測が困難であると考えておりまして、御理解をいただければと思います。

 いずれにしましても、委員の御指摘のとおり、政府による支援をも効果的に活用していただきつつ、我が国の強みである技術、ノウハウを最大限に生かして、海外インフラの受注の拡大を進めていくよう取り組む考えでございます。

早稲田委員 受注額の目標額だけを挙げているのでは、なかなか国民の理解という意味ではどうなんでしょうか。大企業がそこで受注をすれば経済効果も上がるという予測には立っているわけですけれども、やはり、できるだけそこを見える化していく工夫、知恵を絞っていただきたいと思います。

 そうでないと、円借款それから公的支援といっても、やはり税金が投入されているものでございますので、そこのところは受注額だけが三十兆円にふえればいいというものではないと私は考えますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、政府の方針の中に、このインフラ輸出に関連いたしまして、我が国のインフラ展開の強みは、日本及び相手国のみならず、当該地域社会にとって利益や安定に資する三方よしの考え方でやるということが書かれておりますので、ぜひそうした視点を強く持っていただいて、当該地域の利益に資するような海外インフラ展開にしていただくよう強く要望いたしまして、この質問を終わります。

 次の質問に移りたいと思います。建築士の詐称問題についてでございます。

 神奈川県におきまして、五月七日、建築士の資格を有しない者が、実在する他の二級建築士及び建築事務所の名を偽り、建築物の設計、建築確認等の手続を行っていたということが判明いたしました。一戸建ての住宅など五十五件がその対象となっておりまして、三件は建築基準法に適合していたということも明らかにはなっておりますが、まだまだ解明が必要でありまして、県は今それらの建ぺい率、耐震性などを調査し、そして、安全性の確認を急いでいることは承知をしております。

 以前にもこれに同様の事件があったと思います。二十四年から二十五年にかけましては、一級建築士ではありますが、成り済ましが多数発覚をし、そういうケースがありました。

 そして、これは、その前の姉歯事件を受けて国が建築士・事務所登録閲覧システムのデータベース化をしていて、それによりましてこの一級建築士の成り済ましの発覚ができた。一定の有効なデータベース化であったということは私も承知をしておりますけれども、それにもかかわらず、今回このような、手法は違うといっても、このような更に建築士の詐称問題が起こったということでありまして、そのデータ化、それから、建築士免許証の写真つきのカード型への切りかえも推奨されていたにもかかわらず、なぜこのようなことが起こってしまったのかということを伺いたいと思います。

 それからもう一点、平成二十四年の一連の詐称事件の後には、早い時期に国土交通省住宅局の方から、再発防止のための技術的助言の通知を都道府県にしております。こうしたことを速やかにしていただきたいと思いますが、今回の事件を受けての再発防止策。

 二点、お尋ねいたします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、神奈川県等において、実際には関与していない建築士の名前を用いて申請代理人が勝手に虚偽の建築確認申請を行った事案が発生したことは、遺憾と考えております。

 これまで、先ほど御指摘いただきましたとおり、建築士でない者が建築士に成り済まして申請等を行うことを防止するために、特定行政庁の建築主事、指定確認検査機関により、建築確認申請書に記載された建築士の免許登録等の有無の確認等の実施、建築士法第二十四条の七に基づき、設計受託契約等を締結しようとする際の重要事項説明において、建築士免許証の提示の義務づけを行っているところであります。

 また、建築士の資格を有しない者が建築士に成り済ました場合には、建築士法第三十四条に規定する名称使用の禁止に違反しているために、厳格に対処しているところであります。

 一方、今回の事案でございますが、従来とやや異なっておりまして、建築士ではない建築確認申請の申請代理人が、実在する建築士の名前を無断で建築確認申請書に記載した事案であるというふうに承知しております。

 今回の事案を踏まえて、申請代理人が建築士でない場合、建築確認申請書に記載された建築士が本当に当該案件に関与しているかどうかを必要に応じて確認するよう、これは、特定行政庁及び指定確認検査機関に注意喚起をしてまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 いろいろ確認の仕方はあって、それも国土交通省からも都道府県の方にやっているということではありますけれども、手口は違うということですが、やはり同じようなことが起こってしまっているわけで、これは、非常に建築行政への信頼を損ねる問題だと思います。

 今、局長の方から御答弁もございましたが、通告は申し上げておりませんけれども、大臣に一点、このことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回もまたしても、二十四年、二十五年の後に、そしていろいろ普及促進を行ったにもかかわらず、こうした、建築行政への信頼を損なう事案が発生、発覚をしてしまいました。このことを大臣としてどのように受けとめられ、そしてまた、この再発防止策に向けてどのように抜本的な対策を講じていこうと、その御決意のほどを伺いたいと思います。

石井国務大臣 通告いただいておりませんでしたので正確なお答えができるかどうかちょっと自信がないのですが、今回、成り済まし事案が発生をしたことは大変遺憾でございます。

 二級建築士につきましては、県が主管でございますので、神奈川県の方で事案の詳細等調査をしているかと存じます。神奈川県ともしっかり連携をして、再発防止策等を検討してまいりたいと考えております。

早稲田委員 神奈川県はもとより、現場の建築士の、本当に建築免許を持っていらっしゃる方々ともよく相談をしていただいて、そしてまた団体とも、どうしたら再発防止ができるかということを、速やかに、もちろん早い時期に出していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。

 私の国会での最初の質問が、JICAとジェトロの連携という題で、つまり日本は、援助においては、海外のインフラ、大変たくさんのものを手がけてきたけれども、援助を終わった段階で、今度ビジネスになるまでの間にどこか他国が入ってしまって、インフラをやりつつあったところが別の国にとられてしまう、そしておいしいビジネスの部分は他国でやってしまうというようなことが続発をしている。何とかJICAから、海外インフラビジネスに向けての、援助からビジネスへの橋渡しというものをしっかりやるべきだというような話をしたことを覚えておりますけれども、今回、二〇二〇年に三十兆円、これを目指して海外のインフラ事業に取り組んでいくということでございます。

 海外事業参入の意義について、もうかりまっせというだけではないと思いますので、意義についてお尋ねをしたいと思います。

石井国務大臣 インフラシステムの海外展開を推進する意義といたしましては、まず、日本の強みである技術、ノウハウを最大限に生かして、新興国を中心とした膨大なインフラ需要を取り込むことによりまして、日本経済の成長が図られることにあると考えております。

 また、相手国のインフラ整備が進むことによりまして、相手国における経済、社会的な基盤強化が図られるとともに、海外に進出をしております日本企業のサプライチェーンの強化等にもつながります。

 さらに、新興国等におけるインフラ整備は、日本企業にとって、質の高い技術の継承や向上のための機会となるとともに、新たな技術を検証する機会ともなり得ます。

 このように、インフラシステムの海外展開の推進は、日本経済の成長戦略にとどまらず、日本企業が国内外の市場において海外企業との競争に勝ち抜いていく力を蓄えることにもつながるなど、大きな意義があると考えているところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 他方、今国会におきましては、この法律と同時に、これは内閣委員会ですけれども、PFIの法案が提出をされております。

 そこにおきましては、水道、下水道、国内の事業について民間にコンセッションというような形で開放するという形になっておりまして、できれば海外の事業でしっかりインフラの知見を積んで、日本の企業が強くなった段階においてこういうものを開放していくという形で海外と戦うべきだと思っておったわけなんですが、ちょっとそういう意味では、今の段階で水メジャーと戦えるのかというような非常におそれがあるわけなんですけれども、そちらの部分、国内の開放というような部分については、しっかりこの国土交通分野については守るんだというような御決意を。

石井国務大臣 これもちょっと通告いただいていないので正確にお答えできるのかどうか自信がないのですが、コンセッション案件は、大概は内外無差別にやりますので、これは負けないといいますか、日本がやはりしっかりとした、ファイナンス等も含めて外国企業に負けない力をつけていくということが重要ではないかというふうに考えております。

森山(浩)委員 そうですよね。だから本当に、本来は時間差をつけてやるべきだったなというふうに思っておりまして、内閣委員会でもそのような議論をしております。

 さらに、民間の事業者が現在このインフラの仕事をしているわけなんですけれども、今回、国土交通省関係の独立行政法人などがこれに参入をしていくという形の中で、もしかして、上前をはねるとか、あるいは民間の利益をとってしまうというようなことにならないかというような危惧もあるわけですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。

石井国務大臣 まず、民間事業者のみで対応できる事業につきまして独法等が事業参入を行うことは考えておりません。

 本法案で独立行政法人等に海外業務を行わせることを想定している分野は、国内のインフラ整備において独法等が主体的な役割を果たしている分野であり、そのノウハウ等が独法等に蓄積をされている分野であります。

 また、独法等が公的機関として有します信用力、さらに、中立性や交渉力に加え、国内業務を通じて蓄積をされました、民間企業にはない技術やノウハウ等を活用して海外業務を行うことによりまして、民間企業のみでは参入が困難な案件においても、より効果的に海外市場への参入が図られることとなります。

 このように、本法案の措置によりまして、独法等が海外業務を行うことによって民間企業の海外市場への参入機会が増大をし、民間の利益を奪うということではなく、むしろ民間企業の利益の拡大が図られるものと考えているところでございます。

森山(浩)委員 つまり、これまでとれなかった事業をとるようになる。そして、今までとっていた事業については更に付加価値をつけていくということであるということなんですけれども、では、どうやってとるかという部分なんですよ。

 例えばアラブなどでは、王族が会社の社長をやっている。そこに民間の社長が行っても、そんな者に会えるかというような形で追い返されることがある。そういう場合に独法が行くと、公的なのが来たからこれはお話ししようかなんというようなことも行われたこともありますけれども、さらに、大臣がトップセールスで行くとか、あるいは政府として交渉するなんというような部分がプラスアルファとして考えられるわけです。

 だから、ことわざで、アラブ人はインド人の二倍、インド人は中国人の二倍、中国人は日本人の二倍交渉力があるから、日本人が来るときは八人連れてこいなんというようなことを言われたこともありますけれども、今の日本企業、日本人、あるいは日本政府、ここの交渉能力についてどのような認識を持っておられるか。

 また、せっかく技術はあるんだけれども、裏から、あるいは、場合によっては半ば公然と賄賂を使って事業をとるんだというような競争相手、これと戦っていくにはどうするんだろうかというようなことがあるんですけれども、その辺の方法についてはどのようにお考えでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、海外インフラ市場の受注競争、ますます熾烈化しているというふうに認識をしております。このため、政府を挙げて、一層積極的に民間企業の進出に向けての支援を行う必要があると考えてございます。

 このため、今回の法案におきましては、独立行政法人等が民間事業者の海外インフラ市場の参入を支援するという措置をしているところでございますけれども、それに加えまして、御指摘のトップセールスによる働きかけ、あるいは、JOIN、JBICといった公的金融機関を効果的に組み合わせたファイナンス面での取組等々、さまざまな政策手段を効果的に組み合わせまして、我が国事業者の海外展開が実現できるように精いっぱい努力してまいりたいと考えているところでございます。

森山(浩)委員 賄賂を渡すわけにいきませんし、精いっぱい努力するしかないわけなんですけれども、一応、賄賂を渡してやるんだということがないようにお願いをしたいと思います。

 工事金額の支払いについてなんです。これも非常にリスクが高いんですよ。

 以前、ドーハの国際空港を受注をしたときに、ほぼ完成したものをお見せすると、向こうの王族の方が来られて、俺の部屋がないじゃないか、ここにつくれというような形で、一部壊してそこに新たにつくるというようなことで、その分の代金は払わないなんというようなトラブルになったことがございました。

 つまり、我々の常識、日本の常識というようなことで考えると、契約をしていくという中では、そんなもの、もらっていないものは払わないよというような形での、我々からするととんでもないことを言われることもあるわけなんですけれども、ほかにも、インフレによる貨幣価値の低下、あるいは為替の変動のリスク、また、政権がかわっちゃって、そんな前の政権のことなんか知らぬよというようなことも含めていろいろなリスクがあると思いますけれども、工事金額の支払い、何とか確保する手段というのは考えておられますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、海外のインフラ事業にはさまざまなリスクが存在をいたしますけれども、特に、工事代金の未払い、あるいは、現地の政治情勢に起因するトラブルといったことがしばしば起きて、民間事業者のみでは解決ができないといった事態が起きているところでございます。

 これにつきましては、民間任せにするのではなく、政府対政府、さらには政務によるトップクレームといったような形で、解決に向けてハイレベルでの働きかけを行っていくことが大切かと思っております。

 また、為替リスク、インフレリスクの経済リスクなどを含めまして、例えば経済連携協定、あるいは投資保護協定の枠組み、あるいは二国間会議の場の活用といったような形でビジネス環境の改善を図っていくといったようなこと、さらに、先ほどのような公的な金融機関の活用などによりまして、民間事業者のリスクを少しでも下げながら民間事業者の海外進出を支えていきたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 そうなんですよね。民間の方、もちろん会社の命運もかかっている、また、利益も上げなきゃいけないというので必死でやっておられるわけなんですけれども、そこに独立行政法人と組むということになると、両者に甘えが出るようなことがあってはいかぬなと思うわけなんです。しかも、今、御答弁の中では、政府がちゃんと回収についても頑張るんだというようなお話もありました。

 そういうことで、民間、あるいは独立行政法人、今回初参加ですけれども、こういったところに甘えが出ないようにということはきちんとやっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 インフラシステムの海外展開につきましては、あくまでも民間事業者が第一義的には主体でございますので、民間事業者の主体的な取組を前提といたしまして私どもも応援をしていくという姿勢でございますので、決して民間事業者に甘えの出ることのないよう、よく連携をとりながら対応していきたいと考えてございます。

森山(浩)委員 そうですね。本当に、独立行政法人が参加をするということで今まで努力してやってきた部分が崩れていくとかいうことがないようにしていただく、そして、その上で拡大をしていくということでお願いをしたいと思います。

 そして、政府全体のことなんですけれども、海外の事業をとるというときに何が大事かと。賄賂を贈れないわけですから、人脈やネットワークというのが非常に大事になってまいります。

 では、日本にどんなネットワークがあるのかと。欧米であれば、留学行ったよという人がたくさんいたりとかするわけですけれども、インフラシステム、これから輸出をしようという第三世界を中心とした部分では、例えば、日本への留学の経験者であるとか、政府で呼んだことがある人、あるいは都市間交流、スポーツ交流、いろいろな形で日本に触れた、あるいは親日的な考えを持っておられる方、こういった部分のネットワークづくり、そして、これを維持をしていくということが非常に大事になってくると思います。

 ですので、このインフラシステムを展開をしていくという前提としての海外とのパイプ、これを、国土交通省のみでなく、政府全体としてしっかり意識をして共有をしていただきたいと思いますけれども、大臣いかがでしょう。

石井国務大臣 インフラシステム海外展開に当たりましては、日本滞在を通じて質の高いインフラを理解いただいた方々とのネットワークの活用は非常に重要であると考えております。

 外国政府機関からの研修生や日本留学経験者等は、帰国後、相手国の政府関係機関や現地企業等においても活躍することが期待をされております。こうした人材に対して、都市鉄道等により交通渋滞を軽減してきた我が国の経験や、また、インフラの災害に対する強靱性等、日本の経験や強みを理解をいただくことは、相手国における日本の質の高いインフラに関する理解を促進するという観点からも非常に効果的であります。

 このため、外務省等の関係府省や関係機関等とも一体となりまして、さまざまな人的ネットワークを有効活用することにより、インフラシステムの海外展開を強力に推進をしてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 何か、せっかくやっているけれども気づかなかったよというような部分が残っているかもしれませんので、しっかり総ざらいをしていただいて、ネットワークの構築、お願いをしたいと思います。

 そして各独立行政法人の体制についてなんですけれども、独立行政法人へ例えば市役所から職員を派遣をするなどのようなこともあるわけなんですが、派遣をされた人が更にJICAに派遣をされて現地に行くなどのような形になってくると、では、この人の身分あるいは待遇、誰がどういうふうに責任持つのかというあたりが大変になってきます。派遣の派遣というような形にならないように工夫をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、職員の身分が明確、地位がはっきりしているということが、安心して働くための重要な要件であると考えてございます。

 現在、独立行政法人等の職員がJICA等を通じて海外に派遣される場合におきましては、独立行政法人等に在籍したままJICAの専門家として派遣されるケースが多いとは聞いておりますので、そのようなケースは不明確になるということはないと思いますけれども、今後もよく目配りをしていきたいというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 実は、北九州市がカンボジアのプノンペンの水道局、援助でありましたけれども、建設からですが、管理、運営、かかわっていったというときに、所長として派遣をされた方、この方が、そろそろ帰れるかなと思ったら帰れない。なぜかというと、北九州市の水道局に就職している人はカンボジアに行くという心の準備ができていない。もともと転勤がないと思って就職をされている方が多いわけであって、探したけれども見つからないという中で、海外勤務ありますよということでまず募集をして、そして訓練して、それから派遣をするというような形で、結局十年ぐらいですかね、十年以上になったかもしれませんが、所長が帰ってこれないというような事態が起こりました。

 こういうようなことを含めますと、今回も、独立行政法人、今まではドメスティック、国内の事業だけをやるんだという形で職員募集をしていますので、これから海外へ出るんだということであれば、さまざまな体制を整備をしなきゃいけません。

 例えば、発令時、海外へ行くよというときの本人の家庭環境をどういうふうにルール化をしていくか。あるいは、テロや災害時、あるいは体調不良時に、隣の国へ移る、逃げる、あるいは帰国をする、自分がこの判断をしたときには交通費は出ないんだというような組織もありますから、このあたりも統一したルールが必要。あるいは、年間の帰省の回数などについてもばらつきがあると思います。

 せっかく今回、全体として、国土交通省関連の独立行政法人等ということで海外業務を始めるわけですので、統一したワークルール、これをしっかりつくっていただいて共有をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、海外への職員派遣に当たりましては、国内業務に比して、さらなる配慮というものが必要かと考えてございます。

 現在、独立行政法人におきましては、現在でも一定の海外派遣等は行っておりますので、ある程度のルールはできているかとは思いますけれども、今回、海外業務が本来業務として位置づけられますので、この機会に、国土交通省といたしましても、独立行政法人等の声も聞きながら、ルールの整備等によく相談に乗っていきたいと思いますし、また、海外安全セミナーの開催など、職員の意識を変えていくといったことについても働きかけをできたらというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 本来業務としてこれを追加をするということですので、募集段階から、こういう仕事があるんだよという、心構えを持った人を採るというところからも非常に重要になってくると思いますので、ここらも含めまして対応をいただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、宮内秀樹君。

宮内委員 自由民主党の宮内秀樹でございます。御声援、まことにありがとうございます。

 国会の正常化とともにスムーズな委員会運営をしていただいております各党の理事の皆様方に、改めまして、敬意と感謝を申し上げたいと思います。前向きな議論をこれからもどんどん進めていく場としてやっていただければと思いますので、皆さん、よろしくお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 私も、海外のインフラ輸出につきましては、政務三役として現場の方に出向いて行かせていただいたりした経験から、いわゆる海外インフラの戦略的な取組につきましては、大変な必要性を直接感じたりしているところでございました。

 ベトナムにおける鉄道や地下駅の問題とか、カンボジアに行きましても多くのバイ会談をたくさんさせていただきまして、日本を背負って総合力でやっていくということに対する重要性というのを非常に身にしみて感じたわけであります。

 改めまして、先ほども質問ございましたけれども、その目的と効果についての国土交通省の考え方をお伺いしたいと思います。

高橋大臣政務官 インフラシステムの海外展開を推進する目的は、日本の強みである技術、ノウハウを最大限に生かして、新興国を中心とした膨大なインフラ需要を取り込むことにより、我が国経済の成長につなげていくことにあると考えております。

 その効果といたしましては、まず、日本企業の受注機会の拡大に伴い、その事業収益が日本国内へ還元されることが挙げられます。

 また、相手国のインフラ整備が進むことによりまして、相手国における経済社会的な基盤強化が図られるとともに、海外に進出している日本企業のサプライチェーン強化等にもつながります。

 さらに、日本の先進的な技術、ノウハウ、制度等の相手国への移転を通じて、相手国の人々のライフスタイルを豊かにし、環境、防災等の課題解決にも貢献できますことから、日本のソフトパワーの強化や外交的地位の向上にもつながると考えております。

 このように、インフラシステムの海外展開の推進は、我が国経済の成長戦略にとどまらず、相手国の持続可能な発展にも貢献するなど、相手国と我が国との相互に大きな効果が期待できるものと考えております。

 以上です。

宮内委員 例えばインフラにつきましては、国土交通省、それから外務省、また、官邸も含めてしっかり連携をして準備をして、政府が強い意思を持って相手国と交渉を進める必要があると思いますし、そのことと日本の企業等との密接な連携によって総合力として、まさにチーム・ジャパンでやっていかなければ大きなプロジェクトの受注はないというふうに考えているところでございますけれども、そのトップセールスの重要性も含めて、この海外へのインフラ事業の成功のための必要な要素と重要な点は何だというふうにお考えでございますか。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 インフラシステムの海外展開に当たりまして成果を上げていくために重要なことは、御指摘のとおり、トップセールス、それから、官民一体となったチーム・ジャパンの取組であろうというふうに考えてございます。

 まず、インフラシステムの整備には相手国の政府の意向が強く働きますので、高いレベルで相手国に働きかけを行うトップセールスが大変効果的であると思っております。国土交通省におきましても、政務三役が国内外のあらゆる機会を捉えて積極的な働きかけを行ってきていただいておりますし、政府としても、官邸を始め一丸となってトップセールスを重ねているところでございます。

 また、オールジャパンの取組というためには、今回の法案で、独立行政法人がその力を使いまして民間事業者の支援を行うことで効果的な提案を行えるような仕組みをつくり、それによって、民間事業者とともにオールジャパン体制となって取り組むということができるように措置をしたところでございます。

 このように、トップセールスと官民一体となったチーム・ジャパンの取組が極めて重要な要素になるというふうに考えてございます。

宮内委員 まさにチーム・ジャパンという取組方は重要だというふうに私も思います。

 そこで、せっかくの質問の機会でございますので、きょうは外務省にも来ていただいております。まさにチーム・ジャパンとしての役割分担を、国土交通省それから外務省とやりながら連携をして現場でやらなければ、いいプロジェクトの受注というのは難しいというふうに思います。

 そこで、外交を担っている外務省の立場としてのインフラシステムの海外展開についての考え方、そして外務省としての役割は何か、それから本法案についての外務省としての捉え方、この辺についてお伺いをしたいと思います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、企業の海外展開を支援し、最先端のインフラシステムの輸出を後押しすることは、外務省としても最重要課題の一つというふうに考えております。

 その中で、外務省としても、七十二カ国の九十三の在外公館でございますけれども、百九十二名のインフラプロジェクト専門官というのを設置いたしまして、まさにこういった大使館を通じた情報収集や分析、それから、我が方も独立行政法人としてJICA、それから、各省庁のジェトロ、JBICといった関係機関や関係省庁との連携強化、それから、まさに現地の商工会、日本企業との連携体制の強化に取り組んでいるところでございます。

 省庁をまたいだ連携については、政府一丸となった取組として、内閣官房長官を議長とした経協インフラ戦略会議がもう既に立ち上げられているところでございますけれども、まさに国土交通省、経済産業省といったインフラ輸出関係省庁と密接に連携をして、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

宮内委員 まさに今の外務省のお話のように、随分その意思が現場の大使館に行っても伝わってくるような経験をさせていただいております。特に感じますのは、やはり大使の気合いといいますか大使の意気込みみたいなことが、随分、それぞれの国においてのそれぞれのプロジェクトにおいて伝わっていくことの役割が大だというふうに思いますので、ぜひひとつ、そういう発信をどんどん本省の方からもしていただきたいというふうに思います。

 そこで、やはり外交は、いろいろなチャンネルの中で歴史的な経過があって成立するという場面や、あるいは人と人との人間関係というところのものが大きくそのプロジェクトを前向きに進めるというような側面があろうかと思いますけれども、相手国との友好議員連盟が超党派であると思うんですけれども、もっともっとこの友好議員連盟との連携も含めてチーム・ジャパンというようなことで取り組むともっといい結果が出るんじゃないかなというふうに思いますけれども、その辺についての考え方や、現在取り組んでおるところとか、あるいは、こんなこともしたいというような観点がありましたら、外務省の方からお答えをいただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、今、国際情勢も変化する中で、外交そのものがいろいろな多様な課題、インフラの海外展開支援というのも一つの課題でございますが、また、それに関係する方々もかなり多様化しているということは十分認識しておりまして、そういう意味では、国益増進というためには、まさにオールジャパンで外交を展開する必要があるというふうに思っております。

 そのような中で、我が国外交の一翼を担われている議員外交の果たされる役割というのはますます高まってきているというふうに認識をしております。議員としてのお立場から、特に、今も御議論いただいた高いレベルの意見交換、交流が行われているということは、外務省としても非常に重要なことというふうに認識をしているところでございます。

 こうした認識のもと、このような議員外交での取組とも十分連携をとらせていただいて、あらゆるチャネルで、これは大使館でそういうふうに連携をしていくことを十分認識しながら、大使のもとにいろいろな連携をとらせていただきながら、オールジャパンで相手国にいろいろなチャネルで働きかけをすることにより、このインフラ海外展開という重要な課題のためにより強力なセールスを行うこと、そのようなことを通じて成果が生み出されるように頑張ってまいりたいというふうに思っているところでございます。

宮内委員 特に、こういう法案も国土交通省といたしまして準備しておるわけでございますので、ぜひそのことも含めて今後連携をとっていただいて、外務省と国交省が力を合わせて、いいプロジェクトをしっかり受注するということに注力していただけたらありがたいと思います。

 さて、私の持論でございますけれども、やはり、現場に行ってプロジェクトを、中国とか韓国とかと競争しながら受注競争をするわけでありますけれども、どうしても日本のプロジェクト提案は値段が高いというような話があったり、あるいは、民間企業も含めてその判断が遅いとか、そんなような御指摘もあろうかと思います。

 そこで、では、日本のインフラとしてはどのようなことが海外にとってこれから魅力的に映るのかということを考えたときには、一発、道路をつくりますよ、鉄道をつくりますということだけではなくて、やはり、維持をしていくとか管理や運営をしていくとか、メンテナンスも含めた総合力で日本のインフラというのは質も高くて結果的には安いんですよというような提案をどんどんしていかなければいけないと思います。

 その意味では、ソフトな視点も十分認識をした上で、日本型のインフラというのを考えていかなければいけないというふうに強く感じたりいたしたりしております。

 私、カンボジアに行ったときに、カンボジア政府に対して日本の人的派遣をいたしまして、車検制度をつくるとか認証制度をつくるというようなことをODAでやっておる、その人材が、日本のまさに車検制度や認証制度を法律をつくるというところからやっているというような支援をされておるという話を聞きました。

 まさにそういうことも含めたオールジャパンとしての、総合的で、かつ長期的なイメージを相手国に与えるということは、非常にインパクトがあっているんじゃないかなというふうに思ったりするところでございます。

 その意味では、この総合力の中にチーム・ジャパンとして独立行政法人等を加えることは、私は大賛成でございます。この法案についても大賛成でございますけれども、しかしながら、そこで追加された業務を確実にやっていくというためには、それぞれの法人の中の体制整備とか法人のトップの意識ややる気、これが大変重要になってくるというふうに思いますけれども、少しその辺のところが私は心配でございまして、この法案に対します各独立行政法人の姿勢、今の受けとめ方についてはどのように考えているか、感じているかということをお聞きしたいと思います。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、本法案では各独立行政法人が重要なプレーヤーとして参加するということになるわけですけれども、それが効果を上げるためには、独立行政法人、特にトップの意識が大変重要になると考えてございます。

 私ども、この法案を準備するに当たりまして、独立行政法人と対話を重ねておりますけれども、大変積極的な対応を準備しているというふうに感じているところでございますが、それにあわせまして、この法案では、国土交通大臣が基本方針を定めて関係者がとるべき方向性を明確に示すことで、独立行政法人、とりわけトップの方がその方針に従って業務を実施するということをお願いしていきたいというふうに考えているところでございます。

宮内委員 例えば日本のまちづくりのノウハウなんて、物すごいものがあるというふうに思うんです。ですから、ぜひこの法律の内容とかそういうものを理解をしていただいて、やはり魂を込めていくということでなければ意味がない、チーム・ジャパンのメンバーをふやす意味がないというふうに思いますので、その辺につきましてはしっかりとコミュニケーションをとって対応していただきたいというふうに思います。

 それから、チーム・ジャパンのメンバーといたしましては、やはりファイナンス面でのサポートという観点も必要不可欠だというふうに思っております。

 三年前にJOINが設立されて、今までに十一件のプロジェクトについて支援を決定したというようなことでございますけれども、まだまだ、規模が小さかったりとか、もっともっとやはり積極的な意思が欲しいなというふうに私は個人的には思うわけでありますけれども、どのような目のつけどころで、どのようなプロジェクトに今支援をしているのか、それから、これからどのような方向性で考えておるのかということについてお聞かせいただけますか。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたJOINは、現在、発足から四年目に入っているところでございまして、これまでに認定をいたしました案件は、御指摘のとおり十一件ということでございます。

 これらのプロジェクトは主に、投資の回収までに長期間を要するもの、あるいは、収益の発生が不確定な中でなかなか民間事業者のみでは取り組みにくいものについて、JOINとして支援を出資などをして行うということをやってきているところでございます。

 今般、今回の法律によりまして、主に技術面、ノウハウ面で我が国の事業者が海外展開しやすい環境整備が進むということでございますので、JOINに期待される役割はますます大きくなると思っておりまして、この独立行政法人等の取組とも連携しながら、より一層細やかに民間事業者の把握に努めてもらいまして、出資等の資金面の対応ではなく、専門家派遣等のハンズオンも組み合わせまして、効果的な民間事業者の支援を積極的に行うようにJOINに期待をしていきたいと思っているところでございます。

宮内委員 JOINの皆様方はまだまだプロパーの人が少なくて、外から来ていただいた方々の組織ということの性格もあり、それぞれの人材は、またみずからの金融機関等に帰るとかいうようなことに現状はあると思うんです。

 やはりプロパー職員をしっかり養成をするとか、あるいは、来ていただいたら、もう片道切符というようなことで新しいプロジェクトに対して人生をかけていただくというような、そういう意思があふれるような組織にぜひしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後の質問でございますけれども、このインフラの海外展開を戦略的に進めるという観点から、国際政策推進本部の場で行動計画を国土交通省はつくられておると思います。私も最初につくるときに少し参画もさせていただいたのでございますけれども、総花的にやるのではなくて、地域や国やプロジェクトごとに戦略性を持ってこれをとりに行くぞという観点でやらないと、なかなか簡単ではないというふうな議論もいたしました。

 その意味では、リスト化するなどして、それぞれについてそれぞれの形の戦略をつくってやるということで捉えていらっしゃるというふうに思いますけれども、行動計画二〇一七でリストアップされたプロジェクトの受注は、ではいかがだったのかということについてお聞かせいただけますでしょうか。

高橋大臣政務官 御指摘のとおり、国土交通省では、大臣を本部長といたします国際政策推進本部において、副大臣、政務官も参画をいたしまして、国土交通省インフラシステム海外行動計画を二〇一六年から策定し、毎年改訂を行ってきております。

 行動計画二〇一七でリストアップした七十六件のプロジェクトのうち、十四件につきましては入札等が行われました。その中で、ムンバイ湾横断道路、モンバサ港などの十二件を日本企業が受注をいたしております。

 本年三月に取りまとめました行動計画二〇一八では、分野横断的な取組方針として、ただいま御審議いただいております本法案を通じたチーム・ジャパンの確立、関係府省との連携によるファイナンスの提案力の強化を含む競争力の強化、増加するPPP案件への対応、相手国への貢献を通じた受注機会の拡大、受注後の企業への継続的な支援、この五つの戦略を提示いたしております。

 また、分野別の取組方針として、従来から策定をしております建設産業に加えて、新たに、鉄道、港湾、空港、都市開発、不動産開発について分野別戦略を策定いたしております。

 さらに、今後注視すべきプロジェクトとして、昨年から引き継いだ五十九プロジェクトに新規のプロジェクトを二十四件追加をいたしまして、合計八十三件のプロジェクトを選定いたしました。

 本行動計画を官民で共有いたしまして、官民一体となって戦略的な取組を強力に進めてまいりたいと考えております。

宮内委員 なかなかの確率の高い結果が出ているのかなというふうには思いますけれども、やはり国民の税金も使ってのことでございますから、こういう活動をしてこういう結果が出たということを国民の方々にもいい意味で理解をしていただいて、それによって民間企業がもっともっと意欲的になっていただくという取組が、結果的に、この目的と同時に、日本の外交や安全保障にとってもいろいろな意味の効果があることだというふうに思いますので、戦略も戦略で大切でありますし、その結果、そして国民に対する、理解をしていただくということに努めていただきまして、この取組が成果をどんどんと生んでいくということにつなげていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽でございます。

 きょうは限られた十五分間でございますけれども、議題の法案について質問させていただきたいと思います。

 まず、言うまでもないことでありますが、少子高齢化が進み、内需のボリュームの拡大がなかなか見込めない我が国にとりましての成長戦略ということを考えると、新興国を中心とした世界の旺盛なインフラ需要を取り込むことが重要であるということは、誰が考えてもそう思うわけでございます。

 ただ、この十年間、二十年間の状況を見ておりますと、中国や韓国に相当この海外受注でやられているという状況でございます。中国や韓国は国を挙げて、官民挙げての取組がなされている。他方、我が国は民間事業者主体の取組で、相手国政府への影響力という面でも問題があるし、なかなかそうしたことで苦戦をしている。結果として海外受注案件が数字が伸びないということでありまして、今回のこの法律制定によりまして、独立行政法人等の公的機関も参入できるようにする、そして官民を挙げてしっかりと取り組んでいくという本法案の趣旨は、私は賛成するわけでございます。

 ただ、この法律を制定したからといって急に海外の受注案件がとれる、そんな簡単な話ではないんじゃないかということも私の問題意識としてはございます。

 まず一つは、重要なことというのは、官民合同だと言っていますけれども、どこが司令塔になるのか。今回参画する独立行政法人もそれぞれでございましょうし、また、国交省のみならず、他の役所の関連もある。インフラについては国交省が中心なわけでございますけれども、水事業なんかはどっちかというと地方自治体が先行していたりとかして、そうしたところ、それに加えて民間事業者、まあ民間事業者といっても、一つの案件に日本の民間事業者だけで相当競争も行われるわけで、それぞれの民間事業者の思惑もあるわけです。そうしたことをオールジャパンとして取り組むと言っても、そんな簡単な話ではなくて、どこがそうした司令塔として意思を統一して取組を進めていくのか。これは、簡単そうで大変難しい話だというふうに思っております。

 今回の法律案の中では、国土交通大臣による基本方針の策定ということが盛り込まれておりますけれども、こうしたことから、この司令塔は国土交通大臣として取り組んでいくのかということ、この基本方針の策定について少し言及していただいて御答弁いただきたいと思います。

高橋大臣政務官 インフラシステムの海外展開は、日本の強みである技術、ノウハウを最大限に生かして、新興国を中心とした膨大な世界のインフラ需要を取り込む、日本経済の重要な成長戦略であります。

 今回の法案は、公的機関が有する交渉力や技術、ノウハウを活用して日本企業の海外展開を支援するものですが、御指摘のとおり、国土交通大臣がリーダーシップを十分に発揮し、官と民が有する資源を効果的に投入することで成果につなげていくことが重要であると考えております。

 このため、今回の法案では、国土交通大臣が海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進のための基本方針を定めることとするほか、国土交通大臣が関係者に対しまして必要な情報、資料の提供や指導、助言を行い、また、関係者が相互に連携を図りながら協力しなければならない旨の規定を設けております。

 以上のような規定も踏まえまして、国土交通大臣が司令塔となり積極的にトップセールスを行いながら、二〇二〇年の受注額約三十兆円の実現に向けてオールジャパン体制で取り組んでまいります。

赤羽委員 ちょっと今の答弁で統括官の方に確認したいんですけれども、今回の法案で、海外受注に参入するための必要な情報とかさまざまな環境を整えることが公的な役割、国土交通大臣の役割で、その後は民間事業者に任せるというような整理と了解してよろしいんですか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 政務官からお答え申し上げましたのは、インフラシステムの海外展開の主体は第一義的には民間事業者であって、民間事業者が主体的に取り組む必要があるということがベースであるということでございますけれども、今回の法案では、独立行政法人が相手国政府との交渉を含めまして主体的に、能動的に働きかけを行って、民間事業者が参入できるような環境をつくるということでございますので、独立行政法人あるいは国交省が大変中心的な役割を担い、その司令塔は国交大臣であるというふうに申し上げているところでございます。

赤羽委員 司令塔は国交大臣で、最終責任者はそうだということはよくわかるんですけれども、大臣だって物すごく忙しいわけで、海外インフラばかりやっているわけにはいかないわけで、現実には相当、篠原統括官のもとでだと思うんですけれども、国際連携化とかそうしたものを本腰にしないと、法律はできたけれども魂が入らないというふうに思いますので、しっかりとその体制を組んでいただきたいということをひとつ強く申し入れたいと思います。

 ただ、私は、いろいろな案件を見ていますと、中国や韓国にやられているというのは、結局は、一つはファイナンスの問題が大きかったと思いますよ。ここの壁というのは結構高くて、いいものを持ちながらなかなかとれないということを繰り返してきた。このファイナンスというのをどうしていくとかというのはそんな簡単じゃなくて、JBICという政府系金融機関があるけれども、そこでもなかなか太刀打ちできないという現状もあります。

 インドネシアの高速鉄道、残念ながら中国にとられたという案件がありました。このことについて、きょう鉄道局長も来ていただいているので、中国に負けてしまった要因というのはどこにあったのか、端的にお答えいただけますか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のインドネシア高速鉄道事業、ジャカルタ―バンドン間でございますけれども、これにつきましては、新幹線技術の導入に向けまして、二〇一四年一月からJICAによるフィージビリティー調査を実施し、二〇一五年四月にインドネシア政府に提案をしたところでございます。

 その後、日本とインドネシアの首脳会談を含め、あらゆる機会を捉えて積極的に働きかけを行ってまいりました。

 しかしながら、二〇一五年九月、急遽、ジョコ大統領の特使が訪日をされ、日本政府に対して、中国側からインドネシア政府の財政負担や債務保証を伴わずに事業を実施できるという新たな提案があり、これを歓迎したいという説明があったということでございます。

 我が国としましては、インドネシア側の財政負担、政府保証、こういったものを伴わない事業というのは、これは常識的には考えられないものだという理解をしております。

 日本政府からインドネシア政府に対しましては、JBIC、JICA等を活用しました、日本として実現可能な最良の提案を行ったと確信をしているところでございます。

 日本政府からインドネシア政府に対しましては、日本提案が選ばれなかったことは残念であるということ、さらには、参加機会を公平に提供するという当時インドネシア政府からの方針が示されておりましたところ、それが急遽変更されたことは極めて遺憾である、そういったことについて伝えているところでございます。

赤羽委員 負けてしまったということは現実であって、ただ私は、この案件が必ずしもうまくいくとは、そうは見ていないんです。政府保証がなくてできるという、中国という国の特殊性で日本とは違うとはいえ、なかなかうまくいかない、現実にもいっていないと思っておりますので、こうしたことはしっかりフォローしながら、負け犬の遠ぼえにならないようにしっかりとやっていただきたい、こう思います。

 加えてもう一つ、私、ファイナンスと同時に、やはり日本が足りないんじゃないかと思うのは、要するに、日本は技術がいいと自負はしているんだけれども、それがどれだけ相手国の政府に理解をしてもらっているかということは、必ずしもそこは余りそうではないんじゃないか。本当にいいものだというふうな認識があり信頼があれば、ファイナンス云々よりも長いものですから、案件として大きいんだからそちらを選ぶということになっているので、必ずしも日本の技術的な優位性とかその後の手当てのよさみたいなことが理解をされていないケースも多々あってきたんじゃないか。

 そういう意味で私は、本腰でやっていくんだったら、国交省の若手の職員とか独法の職員を若いうちからターゲットを絞った相手国政府の関係機関に出向させて、そして、そこで相手の国の実情も理解をしながら日本の技術力とかアフターケアのよさというのもわかってもらう、そうした努力、人材育成をしていくということは大変重要な視点だというふうに認識をしておりますけれども、その点について政府としてはお考えはどうでしょうか。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました海外業務に必要な人材、さらには人脈づくりを含めた人材の育成ということは大変重要だと思ってございます。

 現在、国土交通省では、必ずしもインフラに特化したということではございませんけれども、行政官の在外研究員制度といったものがございまして、毎年若手職員を海外に派遣をしたり、それから、在外公館への出向、国際機関等への派遣、JICA専門家の派遣といったようなことで相手国政府間との人脈形成を図ってきておりまして、こういった形での交流を更に深めていきたいと思っております。

 また、本法案で独立行政法人が本来業務として海外業務を行えるようになりますので、今後は各独立行政法人におかれましても、若手職員を相手国政府機関に出向させるといったような形で、中長期的な人材育成を計画、実施していくことも重要であるかと考えてございます。

赤羽委員 この法律ができた、成立をしたということは、海外インフラ案件については日本政府の態度が全く百八十度変わるんだということを、ぜひ、我が国の関係機関、そして在外の大使館等々に周知徹底をしていただきたいと強く申し入れたいと思います。

 それで、今回の法律制定で、私はとれなかった案件がとれるようになるとは必ずしも思っていない。今申し上げたとおりですが、恐らく、これまで受注自体に参画ができなかった案件には、独法が参入することによっていろいろな情報がとれて、参画、チャンスが広がるというのは、そう期待できると思うんです。

 ところが、やはり一つ一つの案件というのは物すごく大きいし時間と金と人も要るわけで、ややもすると一つ一つ手がかかる案件がふえる。結局成果につながらない。二〇二〇年に約三十兆円の受注ということが目標として盛り込まれていますけれども、こうしたことがかえって前に進まなくなってしまう。

 そういうリスクもあるんじゃないかというふうに思いますので、KPIの実現に向けて、そうした諸問題をクリアしながらしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、その点について政府としての決意並びに方針を聞いて質問を終わりにしたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、現在、日本政府といたしまして、二〇二〇年のインフラ受注額約三十兆円というものを目標にして関係府省を挙げて取組を進めているところでございますけれども、その中で、国土交通省が担当しております交通、都市開発、下水道といったような分野は、相手国政府の影響力が大変強く、また、相手国政府との連携とか調整といったことが民間事業者のみでは大変困難だという分野ですので、公的機関が日本企業の参入しやすい環境を整備することが受注に向けて特に有効な分野ではないかというふうに考えてございます。

 そういう意味で、今回の法案ができることで、国土交通分野の受注の拡大にかなり効果を示すものと思ってございます。

 その上では、具体的な案件を想定しながら、独立行政法人が具体的な取組を早目早目にやっていくということが大事であると思っておりまして、これから、今後予定されている各国のプロジェクトをよく見ながら、各法人の判断ではございますけれども、基本方針に従って適切な案件を選んで、力を集中しながら対応していきたいというふうに考えているところでございます。

赤羽委員 ありがとうございます。

 例えば鉄道案件にしても、土木の部分と車両の部分と電気回りというふうに、やはり三本柱でもありますし、それぞれがそれぞれの民間事業でやってきてしまっているということを、そういった弊害をぜひ直してもらいたいと思います。

 また、水道事業も結構ニーズが高いと思いますけれども、これはやはり、私の知る限り、東京都とか地方自治体が結構先行している部分もあって、そこにノウハウを持っていると思いますので、国だけではなくて、まさに、地方自治体も含めたオールジャパン体制でしっかり取り組んでいただきたいということを要望し、質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 それでは早速質疑に入らせていただきます。

 近年、アジアを始めとする諸外国では、経済発展、そしてまた都市の成長というのが著しく、途上国を中心に人口がどんどん増加して、所得水準の向上に伴って、中間層と呼ばれる中所得者層が大幅に増加するということが想定されています。各国で、こうした経済成長を支えるための、やはりインフラ整備の需要というのが急速に伸びていっているというふうに思います。

 OECDの統計によれば、世界の交通インフラ市場は、二〇一五年から二〇三〇年までの平均で、それまでと比較して、鉄道分野で二倍を超える、空港分野で七倍を超えるという拡大が見込まれております。我が国の関連企業にとっても非常に大きなチャンスではないかなというふうに思います。

 人口減少、少子高齢化が進む我が国の将来を支えるため、インフラシステムの海外展開というのを積極的に進めていくということが成長戦略の重要な柱になるというふうに考えております。

 そのためには三点あって、まず一点目は、案件を着実に受注できる体制というのを構築すること、二つ目は、それによって受注実績というのをどんどん目に見える形で上げていくこと、そして三つ目が、その果実、実が国内にあまねく行き渡るようにするというのが私はポイントじゃないかなというふうに思っています。

 今回のこの法案は、一つ目の、案件を着実に受注できる体制というのを構築するための一助であるというふうに思っています。我が国の公的機関が、お金の提供だけでなく人やノウハウの提供もすることで、インフラシステム海外展開を牽引するスタートラインに立ったものだというふうに考えています。

 一方で、インフラシステム海外展開を旗印として立てて一定の時間が経過していることから、そろそろ目に見える結果を出していかなければならないというふうに思います。

 我々としても最大限サポートしていきたいと思いますけれども、それと同時に、やはりチェックもしていかなければならないと思いますので、るる質疑をさせていただきたいと思いますけれども、政府全体では、民間の投資を喚起して持続的な成長を生み出すために、日本の強みである技術やノウハウというのを最大限に生かして世界の膨大なインフラ需要を積極的に取り込むことにより、少子高齢化が進む我が国の力強い経済成長につなげていくという認識のもと、インフラシステム輸出戦略というのを、平成二十五年、五年前に取りまとめ、毎年改定もされておりますけれども、国土交通省としては、それ以前からインフラシステムの海外展開に注力されてきたものというふうに承知はしております。

 そこで、国土交通省の認識として、インフラシステム輸出戦略の策定前の活動において、どのような点が課題というふうに認識されてこの戦略に反映されているのかというのが一点と、そして二つ目は、インフラシステム輸出戦略の策定後、国土交通分野でどのような具体的な成果があって、戦略策定でどのような点が改善された結果だと認識されているのか。三つ目は、その上で、依然として改善すべき課題というのがまだ残っていると思うんです。今回の法案提出に至ったことも踏まえてお答えいただけますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、国土交通分野のインフラシステムの海外展開につきまして、平成二十五年のインフラシステム輸出戦略の策定前から取り組んではおりましたけれども、その際には、外交や国際協力を所掌する外務省、通商政策を所掌する経済産業省、政策金融を所掌する財務省など、関係省庁との連携の強化が課題であったというふうに考えております。

 平成二十五年のインフラシステムの輸出戦略におきまして、関係省庁が連携して政府一体となって海外展開に取り組むという体制は整えることができたというふうに考えてございます。

 その成果といたしまして、例えば、インドのムンバイ―アーメダバード間の日本の新幹線システムの整備などの成果が得られたものというふうに考えてございます。

 一方で、このムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道におきまして、民間のコンサルタントのみでは、高速鉄道の土木、電気等の技術のノウハウ、さらにはノウハウを持つ人材が不足しているということが明らかになったと考えております。

 このため、今回の法案におきましては、民間事業者に不足しております技術やノウハウを持っております独立行政法人等にこの必要となる業務を担わせることによってインフラシステムの海外展開を更に強力に推進しようということで、法案の提出に至った次第でございます。

井上(英)委員 人とかノウハウですね。

 我が国全体の海外インフラシステムというのを、今、現状の受注額というのは、二〇一〇年で約十兆円、二〇一五年で二十兆円となっています。政府はこの額を、二〇二〇年、東京のオリンピック・パラリンピックの年には約三十兆円に引き上げるという目標になっていますけれども、この目標の達成見通しについて、きょうは内閣官房からお越しいただいている参事官、お答えいただけますでしょうか。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国企業によるインフラ受注実績については、委員御指摘のとおり、二〇一五年では約二十兆円でありまして、他国の競合企業との熾烈な国際競争に勝ち抜いていくことは必ずしも容易ではございませんけれども、二〇二〇年の約三十兆円の目標に向けて順調に推移してきております。

 引き続き、我が国の質の高いインフラ技術やノウハウを土台に、官民一体でさらなる競争力強化を図ることで受注額が拡大していくことが期待されております。

 政府としましても、毎年度改定しておりますインフラシステム輸出戦略に基づき、トップセールスやファイナンスなどの支援策を総動員して、目標達成に向けて貢献してまいります。

井上(英)委員 二〇二〇年の三十兆円というのは、僕は決して実現不可能な数字ではないというふうに思っていますので、雪崩式に海外インフラのこの事業が全てうまくいけば、楽に三十兆円は超えていけるんじゃないかなというふうには思っているので、先ほどの課題も、完全に一掃することはできないでしょうけれども、徐々に徐々に改善をしていって、ぜひこの目標を到達していただきたいなというふうに思います。

 では次に、今回のこの法案で対象となる、先ほど局長からも答弁ありましたけれども、海外でインフラ整備や都市開発などのコンサルタント業務を行う機関として独立行政法人が指定されている。鉄道建設・運輸施設整備支援機構だとか、これは新幹線を中心に世界展開をしていくということだと思うんですけれども、それプラス、あとは水資源機構、それから日本下水道事業団、さらには都市再生機構、そして住宅金融支援機構。そして、空港は、成田と中部の二空港。そして、高速道路においては、東日本、中日本、西日本、それから首都高と阪神高速という五つの高速道路株式会社。そしてまた、国際戦略港湾運営会社、これは京浜と阪神と二つあります。

 これは種々あるんですけれども、先ほど赤羽先生もおっしゃっておられましたけれども、具体的な展開をしていくのに、やはり地方公共団体の技術というのが非常に大事だと思うんです。

 その点を踏まえて、ちょっとたくさんあるんですけれども、まず国交省として、水資源機構と日本下水道事業団について具体的に想定していることを答弁いただきたいのと、それから、地方公共団体で、きょうは総務省から審議官にお越しいただいています。特に水です。国交省でやる水資源というのはどっちかというと上流側のことになるんですけれども、実際の給排水のシステムなんかは、これはもうほとんど地方公共団体の技術なんです。東京もそうですし、大阪もそうですし、今、北九州市なんかも非常に力を入れてやっているんですけれども。

 ただ、海外展開をするというのは、一応、総務省の公営企業のルールでいきますと、現状では例外的なんですよ。あくまでも自分のところの域内、自治体の域内で水道事業というのを円滑に市民の皆さん方に水道を供給するというのがメーンの仕事になっていて、例外的な附帯事業として海外展開というのを許しているということなんです。ですから、一歩間違えれば急にストップがかかったりするような心配を、ちょっと懸念があるわけです。

 その中で、レクでも話していたんですけれども、同じような主要な事業として海外展開ができるようなルールに変えるのか。まあ百歩譲って、今のままで例外的に附帯事業としてやるのはいいんですけれども、それをやって、極端に言うと、本体の工事というか、本体の水道事業よりも収益が海外で上がるような可能性もこれから出てくるわけです。それでも、まあ何も言わずに、ただ、海外でやるときには必ずリスクがあります。だから、そういうリスクも踏まえて、当然、その域内の議会だったり、そこの市民だったり、市町村民の合意というのは当然意識しないとだめだと思うんですけれども、その辺、ぐっと国土交通省のやるシステムと地方公共団体とが足並みをそろえて連携できるように、総務省にはちょっと御答弁いただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 水資源機構と日本下水道事業団の海外業務についてのお尋ねがございました。

 この法案によりまして、この二つの法人の有する知見を生かして、民間企業のニーズを踏まえつつ、我が国の事業者の海外インフラ事業への進出促進に資する業務を積極的に行うということとなります。

 独立行政法人水資源機構につきましては、海外の水資源開発案件におけますニーズ調査や、あるいは、マスタープラン策定から、入札支援、施工監理等の発注者支援、さらには施設管理支援等に至るまで、本格的に実施をしてまいります。

 日本下水道事業団につきましては、海外の下水道に関するマスタープラン作成支援や、あるいは施工監理、処理場の運転管理支援等を、これもまた本格的に実施をしてまいります。

 この法案に基づきまして、国土交通大臣が定める基本方針に従いまして両法人が技術やノウハウ、さらには公的機関としての中立性や交渉力を活用しながら海外業務を実施することで、我が国事業者の海外インフラ事業への参入を促進してまいることとなっております。

大西政府参考人 総務省でございます。

 水道事業の海外展開については、国際貢献や我が国経済成長の観点からも重要と考えております。

 その実施に際しては、「本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」との公営企業の経営原則を踏まえる必要があると考えています。

 現在、我が国の水道事業は、人口減少等に伴う料金収入の減少、施設の老朽化に伴う更新需要の増大などにより、その経営環境は厳しさを増しつつあり、それぞれの地域に合った適切な対策が求められているものと認識しております。

 海外展開に当たっては、こうした国内の水道事業に支障を生じさせることのないよう、その趣旨、目的を明確にし、住民の御理解を得た上で、各地方公共団体の考え方に沿って進展させていくことが肝要と考えております。

 いずれにいたしましても、総務省としても、国土交通省とも連携をとりながら考えていきたいと考えております。

 以上でございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 本当に、恐らく各先生方、地元の水道というのはどんどん厳しくなっていると思うんです。トイレ一つとっても、節水だとか、だんだん水の使う量自体を、一回流しても減ってくるような、ある意味技術革新でいいことなんですけれども、一方でそれは、事業主体からすれば、もっと水をたくさん使ってほしいなという問題はあるんです。

 先ほども言われたように、人口も減ってきていますから根本的に水の使う量も減ってきていますし、今はおおむね日本全国どこを見ても、水道に関するインフラというのはほぼほぼしっかりと整っていると思いますし、もちろん建てかえたりするときには更に進んだ技術を導入してやっていけるということになってくると、管理、メンテナンスというのがどっちかというとメーンになってくる。あとは、それぞれの老朽管、そういったものをかえていったりとかというのがだんだん主なメーンで、そういう意味ではなかなか成長というのは難しいんです。

 ですから、特にアジアなんかの今の水事情を踏まえると、これから日本の水のシステムが行って、かなり大きいビジネスチャンスになるんじゃないかな。もちろん、日本ほど、水に対しての意識というのもどこまで変えられるのかという根本的な問題もありますけれども、やはりかなりのビジネスチャンスがあると思いますので、そういう海外展開を地方公共団体がしたときに、ぜひ総務省も一緒になって後押しをしていただけたらというふうに思いますし、リスキーな判断をするときには、やはりその辺は注視していただいて、とめるときにはとめていただくということも大事なことかと思いますけれども、住民の判断もぜひ考慮していただいて今後の海外展開というのをサポートしていただけたらと思いますので、内閣官房、総務省の審議官、ありがとうございました。

 では次に、二〇一五年五月に安倍総理より発表された質の高いインフラパートナーシップでは、我が国のインフラシステムの強みを諸外国に効果的にアピールするとともに、政府全体として更に力を入れて、アジア各国における質の高いインフラ投資の実施を支援する方針というのが示されています。

 確かに、日本の企業の技術力というのは高く、質の高い製品が提供できると思いますけれども、その一方で、価格が高いために、中国や韓国の企業に競り負けているという印象があります。

 国土交通省では二〇一六年から、先ほど申し上げたように、インフラシステム海外展開行動計画というのを策定していますし、本年三月には行動計画二〇一八というので改定されました。我が国の技術を一方的に押しつけるのではなく、相手国の経済発展段階や、また、今後の展望に合わせて、我が国が優位性を持ち、技術を生かしつつも、相手国のやはり目線に立って、そのニーズに応じてカスタマイズしていく視点というのが重要であるというふうに思います。また、そういうふうに記載されていると思うんですけれども、これはもう大変重要な視点であると思います。

 我が国の技術は故障、欠陥が少ないことから始まってさまざまな長所があり、それを相手国によく理解してもらう取組、これは新幹線もそうですけれども、本当にいろいろな、多少違い、新幹線なんかは恐らく軌道の問題とか絶対にあると思うんです。でも、これは軌道を特別に変えることによって衝突を根本的に避けたりとか、そういういろいろな、考えた上でのことを先方にやはりしっかりと理解してもらうというのが非常に大事でありますけれども、それで飛躍的にインフラ輸出が進むということではありませんけれども、しっかりとやっていただきたいと思います。

 商売の原点はやはり商品そのものであり、商品と価格の双方が顧客である相手国に気に入ってもらえるというようになっていけば、ファイナンスの工夫を始めとして付加的なサービスの提供に幾ら努めても、飛躍的な受注につなげるというのは難しい。

 そこで、相手国のニーズに応じて我が国の技術をカスタマイズすることについて、具体的にどのような取組を想定されているのか。統括官、お答えいただけますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、我が国のインフラシステムの海外展開に当たっては、相手国の目線に立ち、そのニーズに応じてカスタマイズしていくという視点が重要であると考えてございます。

 特に新興国におきましては、相手国の経済発展段階、今後の展望といったものに合わせて、相手国のニーズにマッチした適切な技術水準のインフラシステムの展開が求められておりまして、例えば鉄道分野では、旧式の中古鉄道車両の輸出であっても相手国のニーズには対応できるといったような事例も見られるところでございます。

 このため、本法案に基づきまして国交大臣が定めます基本方針におきましても、相手国のニーズに応じた我が国技術のカスタマイズの必要性を定めることにしております。

 国交省といたしましては、インフラシステムの海外展開に当たり、相手国が必要としているサービス水準あるいは財政への負担といったものも考慮しながら、適切な提案ができるように対応していきたいと考えてございます。

井上(英)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 今の点に関連して、高速道路についてお伺いをしたいと思いますけれども、日本の新幹線が誇る高水準の安全性や定時性はすばらしいというのはもう当然皆さん方よく御承知だと思いますけれども、ただ、我が国の高速鉄道、あっ、高速鉄道です。済みません、間違えました。高速鉄道についてお伺いしますけれども、他国の高速鉄道の様式との汎用性が必ずしも高くないという声があるようにも聞いております。

 我が国は、災害が多いとか、安全基準や環境基準が厳しい、高密度運行を求められるといった条件をクリアするために、極めて高品質な新幹線システムというのをつくり上げているというふうに思います。それら全てを満たそうとすれば必然的に価格がやはり高くなったり、また、システムがガラパゴス化することが避けられないのではないかなと思います。

 例えば我が国の新幹線システムでは、新幹線方式以外の他の路線と線路を共有するといった機動的な対応というのが難しいというふうに伺っています。また、東海道新幹線などは三分に一本の割合で運行していますが、海外ではそのような高密度運行は求められていない。運行システムの精度の高さにも幅があってしかるべきであるように思います。

 更に言えば、高速鉄道といっても、例えば全線にわたって時速三百キロで走るというのではなく、一部は減速区間を設けることによって、所要時間が多少長くなったとしても、安価で、適当な価格で建設を提案できるように工夫するといったカスタマイズが現実的な対応として必要なのではないかというふうに思います。

 現地のニーズを踏まえて機能を戦略的に絞ることで種々の課題というのを解消できると思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 新幹線は、在来線とは別のシステムとして開発整備が進められてきたことから、その海外展開に当たっても、既存の鉄道との乗り入れを行うということは想定をしていないところでございます。

 一方で、衝突を絶対に起こさない安全性の高いシステムであることを背景として、車両の軽量化ということができております。こういったことで、トータルライフサイクルコストを低くできる、そういった価格面でメリットがある、こういったことを訴えながら競争力を確保していくということを考えております。

 さらに、相手国の状況によっては、委員御指摘のとおり、日本の新幹線のような多頻度、長編成の運行、あるいは時速三百キロを超えるスピードでの運行が必ずしも求められない、そういったケースもあるものと認識をしております。

 このようなことから我が国としては、これまで、現地のニーズを踏まえつつ、一編成当たりの車両数を削減することや、あるいはそれに伴って駅の長さを短縮すること、あるいは最高速度が時速二百キロ台の車両を導入すること、こういったことで事業費の削減につながるような提案を行ってきているところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、相手の国のニーズをしっかりと酌み取って適切に対応することにより、新幹線の海外展開における競争力を高めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 もう時間も来ましたので、新幹線の技術がすばらしいというのはわかっていますし、種々いろいろな違いがあるのも、それは特色としてあるのもわかっているので、それが世界に合うようにぜひやっていただきたいと思います。

 足りない分はまた一般でやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

西村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十分開議

西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島(敦)委員 国民民主党の大島です。

 今回懸案となっている海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案について質問をさせていただきます。

 冒頭、確認なんですけれども、内閣官房に確認をしたいと思います。

 内閣官房は、政治主導の流れの中で、特に二〇〇一年の省庁再編に際しまして、内閣官房が重要政策に関する企画及び立案を担うこととなっておりますので、内閣官房が国の全ての施策の中核として企画及び立案を担っているという立場でお答えをいただければと思います。

 まず、今回、国交省の資料を目を通させていただきますと、KPIという言葉が出てきます、KPIという言葉が。なかなか聞きなれない言葉なものですから、民間企業の用語だと思いますので、KPIとは何かについて、まず冒頭、御発言いただければと思います。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 KPI、主要な経済の数値目標ということでございます。(大島(敦)委員「主要な」と呼ぶ)はい、主要な数値の目標でございます。

大島(敦)委員 私も、民間企業、鉄鋼会社で企画調整畑だったものですから、数字をつくることについてはずっと仕事として二十年間ぐらい、少なくとも十年間ぐらいはやってまいりました。数字というのは結構大切だと思っています。

 今回の数字の中で、例えば実績として挙げている統計等に基づくインフラ受注実績として、二〇一〇年が基準で十兆円、二〇一五年が二十兆円という数字がありますけれども、この内容について細かくブレークダウンできるかどうかについてお答えください。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年の受注実績の分野別の内訳につきましては、エネルギーが約四・四兆円、交通約一・三兆円、情報通信約九・一兆円、基盤整備約一・七兆円、生活環境約〇・五兆円、その他新分野が約二・八兆円となっております。

大島(敦)委員 参事官とは何回か議論をさせていただいたんだけれども、このKPIというのが重要業績評価指標ですから、企業のマネジメントだと結構これは大切な数字なわけです。会社でも、数字を立てる、その数字が過達だったのか未達だったのかについてその都度格差分析をするというのが普通の仕事の仕方です。

 ですから、もしもKPIというこの企業のワーディングを使うのであれば、今言ったようなアバウトな数字ではなくて、実績としてこの二十兆円の中身が何であるかというのをしっかりと捉えておかないと、後になってフォローできないと思うんです。

 今の目標だと二〇二〇年が三十兆円です。二十兆から三十兆、十兆ふやすと言うんだけれども、この内容についてしっかりと格差分析できるのか。その点についてお答えください。

相馬政府参考人 二〇二〇年の受注目標の内訳に関しましては、二〇一三年のインフラ輸出戦略を策定した際に設定した推計というものがございます。

 御紹介しますと、エネルギー約九兆円、交通約七兆円、情報通信約六兆円、基盤整備約二兆円、生活環境約一兆円、新分野約五兆円と推計しておりましたが、これは、また実態に合わせてその達成の度合いを点検してまいりたいと思います。

大島(敦)委員 申しわけないんだけれども、皆さんからいただいた資料の中だと、注として「各種統計値や業界団体へのヒアリング等を元に集計した網羅的な集計」の数字だと書いてあるので、二十兆とか三十兆とかというこの中身については、多分つくれる数字だと思っています、つくれる数字だと。

 ですから、もしも内閣官房として国の施策の重要施策としてやるんでしたら、個々のプロジェクトごとに全部、全世界でどういうプロジェクトが動いているのか起こして、それを業界団体ごと、業界ごとにブレークダウンして、どれがとれていて、どれがとれていないか、本来はやるべきだと思うので、その点については参事官としてはお答えにくいかとは思うんだけれども、そういうふうにやってほしいんだけれども、お願いします。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、しっかり踏まえまして、しっかり分析、それから検証を進めていきたいと思います。

大島(敦)委員 今回の場合には、政府の方針として十兆だったのが二十兆に実績としてはなったらしい。これを三十兆まで上げていくということなので、しっかりと取り組むんでしたら、その内容についてこれから詰めるようにしてください。でないと、三十兆という数字はつくれるかもしれないので、その点について留意していただければと思います。

 もしもこれが法的根拠になっているとすればちょっと弱いなと思うんだけれども、方針としては一応インフラ輸出をやった方がいいと思うので、一つの気合いを入れた目標だと考えながら質疑をさせてください。

 そうすると、今回、独立行政法人の機能を強化し法改正を行うに際して、インフラ輸出促進の取りまとめを行う内閣官房としてはどのように後押ししてきたのか。国土交通省としては今回の法案を出すについては、きっと内閣官房の方の明確な方針があって、国交省としてこういう改正をした方がいいと思って出してきたと理解しているものですから、その点についての御答弁をお願いします。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房で昨年五月に取りまとめましたインフラシステム輸出戦略の改訂版におきまして、官民連携の強化に向けて、鉄道、空港等の分野で、案件形成から完工後の運営、維持管理までを公的機関、企業がより本格的に実施できるようにする制度的措置の検討を行う旨を定めております。これに基づき、国土交通省において必要な制度的措置の検討を行い、今般の法改正に至ったものと理解しております。

 引き続き、内閣官房としましては、インフラ輸出促進に向けた戦略を取りまとめる立場から、政府一体でインフラ輸出促進に向けた施策が推進されるよう、取り組んでまいります。

大島(敦)委員 今の御発言を受けまして若干付言するとすれば、皆さんこそ政府の司令塔ですから、重要政策の企画及び立案に携わって調整機能も持っていらっしゃいますから、各府省よりも上、上位に位置すると思っています。

 ですから、ぜひ各府省に対して、気合いを入れた三十兆円に到達するためにはどういう役目を各府省に負っていただくというのは、もっと具体的に示すようにしていただければ、この三十兆円、多分過達になることもあるかと思うので、その点よろしくお願いします。

 今回は独立行政法人の業務の拡大です。私は、独立行政法人は、これはできたのが、さっき述べたとおり、二〇〇一年の省庁再編のときにできたかなとは記憶をしているんですけれども、独立行政法人のまずはその役割について、公的部門、これはイギリスのエージェンシー制度を我が国が見習って、政府全体だと非効率ですから、やはり、企画するところと実務を任せるところはちょっと分離をして、実務を任せるところはしっかりそれは目標管理をしてやっていただこうということで基本的には公的な仕事を切り出したという理解なんですけれども、その点についての説明をお願いいたします。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が各国との競争に打ちかってインフラ輸出を拡大していくには、官民が一体となって、質の高いインフラ技術やノウハウなどの資源を活用していくことが重要であります。

 特に、インフラ輸出に関係する国際協力機構や日本貿易振興機構などの独立行政法人が有するインフラ輸出に関する専門的な技術やノウハウ、資金、海外のネットワークなどを最大限に活用していくことが期待されております。

 政府のインフラ輸出戦略におきましても、こうした独立行政法人の果たすべき役割について定めておるところでございます。

大島(敦)委員 独立行政法人を所管する立場からの御答弁をお願いします。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 独立行政法人制度は、国の政策の実施部門に独立の法人格を付与し、主務大臣から与えられた明確なミッションのもとで、自主的、戦略的な運営を可能とすることにより政策実施機能の十全な発揮を図るために導入されたものでございます。

 具体的には、独立行政法人通則法第一条、第二条にも規定されているとおり、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務、事業であるが、国が直接実施する必要はないものについて、法人による自主的、弾力的な運営を通じて効率的、効果的に行わせることによって、国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする制度でございます。

大島(敦)委員 政府参考人の堀江審議官にちょっと更問いしたいんだけれども、独立行政法人は収益を目的としていないと僕は捉えているんだけれども、そういう理解でよろしいですか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 独立行政法人ももちろんその活動を通じて収入を得ることはございますけれども、基本的に、先ほど申し上げましたとおり、公共的見地から実施する事業であって、民間では行えないものを実施するものでございますので、収益を目的としているというものではございません。

大島(敦)委員 午前中の質疑を聞いておりまして、誰が、どちらの方がインフラ輸出の主体となるかということが、独立行政法人がインフラ輸出の主体、契約者となり得るようなちょっと私理解をしてしまったものですから、今回、この法案が通ることによって、国交省所管の今回対象となっている独立行政法人が、外国の政府なり民間企業との間の直接的な契約関係を結ぶことができるかどうか、あるいは結ぶ意思があるかどうかについて御答弁いただければ幸いです。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が関与する海外インフラ事業においては、基本的に我が国の民間企業が契約主体とはなりますけれども、独立行政法人がその専門性を活用して、技術協力などの契約主体として参加する場合もあると認識しております。

大島(敦)委員 今の内閣官房のお話だと、技術主体として直接外国の政府なり民間企業と契約主体になれるというそういう理解でよろしいんですか。

相馬政府参考人 さようでございます。例えば、JICAなどがそういった契約主体となるケースもあると承知しております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 今回は、国交省の独立行政法人が今おっしゃられたような答弁で、外国政府あるいは民間企業との間の契約の当事者になり得るかどうかについて国交省の立場から答えていただけると助かります。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラの海外展開輸出につきましての第一義的な主体は民間事業者であるということがまずございます。

 その上で、民間事業者が相手国政府との間でインフラ展開のための契約等を結ぶというときに、それを支える立場から、独法等が契約主体の日本の連合の一員として契約を結ぶというようなケースはあり得るというふうに考えてございます。

大島(敦)委員 私も元ビジネスマンなので、結構海外との契約は、なれた人がやらないと大変なことになると思う。

 独立行政法人、先ほど参考人の答弁ありましたけれども、公的なミッションを持って行っているので、民間がやるようなところに一つのプロジェクトの主体の一部として、国内での契約業務としてサポートするんだったら私はリスクはないと思うんだけれども、これが直接相手国の皆さんとの主体になったりすると結構リスクは高くなると思うんですけれども、その点について、そこまでやるのか、あるいは国内でのプロジェクトのオーナーのもとでサポートするのか、その点についてちょっと御認識を伺わせてください。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、主体となりますのは民間事業者ということがまずございます。その上で、民間事業者が相手国政府と契約を結ぶ上で独立行政法人等が持っている機能が必要な場合に、その限りにおいて契約を相手国政府と日本連合の一員として一緒に結ぶということは、あり得るというふうに考えてございます。

大島(敦)委員 注意して契約してください。共同責任を負うようなことになったら、何かプロジェクトが納期遅延とか起こしたりすると損害賠償を求められますから、そこの契約というのは、そんな淡々と答えるものとは思えなくて、結構大切なことなので、リスクは余りとらない方がいいと思っているわけ。リスクをとらない。

 それは、日本国政府の独立行政法人がプロジェクトの一員として参加することによって相手国が、これは日本国政府も入っているから安心してつき合ってやろうという気にはなると思う。きょう話題となったJOINというのも、日本国政府がこのプロジェクトに出資をするから、日本国政府も関心を持っているからということで物事がうまく進むということはあるとは思うんだけれども、そこのところは国交省の中でもよく考えてください、そこのところは結構大切なところだと思うので。

 そうすると、独立行政法人ですから、独法にはそれぞれの中期目標があって、これは、大臣がつくられて、それに基づいて独法が多分国土交通省と議論しながら中期の計画をつくると思います。今回のこの法律ができた段階で、その点について、中期計画を途中なんだけれども見直す必要があると思うんだけれども、その点についての御答弁をお願いします。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきましたとおり、独立行政法人に新たに海外業務が業務として追加をされるということでございますので、まず、中期計画の手前にございます、主務大臣が定めます中期目標において、この海外業務が追加されることに伴う目標の変更が必要になると考えております。

 その上で、変更された中期目標に基づきまして独立行政法人の中期計画の変更が行われるということになると考えてございます。

大島(敦)委員 先ほどのあのKPIでしたっけ、この目標三十兆円の中は、ちょっと政府参考人の内閣官房に一言だけ聞きたいんだけれども、国土交通省のその三十兆円の何兆円かというのは、一応数字としてあるものなんですか。

相馬政府参考人 一応分野が分かれておりますので、先ほど御紹介申し上げたとおり、分野が分かれておりますので……(大島(敦)委員「三十兆円」と呼ぶ)三十兆円の中でございますね。先ほど申し上げた分野に即しまして一定の役割を果たしていただく分野はございます。

大島(敦)委員 恐らく独立行政法人に数値目標は課せられないと思うので、恐らく、目的の中に具体的にどういう書き方をするかというのは、今後なのか、今ある程度イメージがあるのか、その点について参考人から御答弁いただければと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 現在想定をしております中期目標の変更につきましては、数値目標というよりは、海外の新たな業務が追加されることに伴って、どのような方向で取組をしていくべきかというところの目標、定性的な目標を示すことになろうというふうに考えてございます。(大島(敦)委員「制度的な目標ね」と呼ぶ)はい。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 独立行政法人、今、大臣のもとで中期の目標をつくって、独立行政法人が中期の計画をつくって、それを多分毎年ローリングしながら見直して、五年に一回、中期目標が終わった段階で、独立行政法人の評価委員会、これは、総務省のもとにある独立した機関でそれについての評価が行われると思います。

 今回、独立行政法人についてはもう一つ伺いたいのは、理事長及び監事の公募というシステムが今あると思うんですけれども、その点についてはどういうふうになっているのか、ちょっと説明をしてください。

白岩政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人等の役員人事につきましては、公募制度を、公正で透明な役員人事を確保することを目的として行っております。

 平成二十一年九月二十九日の閣議決定、「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」に基づき、現在、公務員OBが役員に就任しているポストについて後任者を任命しようとする場合、それから、新たに公務員OBを役員に任命することになりそうな場合には公募を義務づけ、役員の後任者の任命には、公募に応じた方々の中から選考を行うこととしております。

大島(敦)委員 独法の理事長の公募については、前は役所の方が多かったので、私は別に役所の方を否定しているわけじゃないです。独立行政法人の性格上、公的なものを担っていきますから、やはり知見があるのは役所の方が多いと思うので、ただ、国民からの目があるので、公募ということで多くの方に応募をしていただいて、その中から一番適正な方を選ぶというのが、やはり説明責任を果たす上でも必要だと考えております。

 ですから、今回の各独法についての公募についても全部目を通させていただきました。しっかりとした職務明細書を書いていただいて、かつ多くの方に周知をしていただいて、聞くところによると、公募のされる方が少なくなっているということもあって、業界紙等にもそれを告知しながら、多くの方に、母集団を多くつくることによっていい方を選んでいただこうというのは非常にいい取組だと考えております。

 それで、一つだけ大臣にも伺いたいんですけれども、やはり公募の場合には、これは選定委員会をつくると思います、誰を理事長にするのか。その点について私の経験からすると、大体、大学の教授の方、あるいは企業の役職を持っていらっしゃる方、もう一人しっかりとした組織の長がいらっしゃると、おおむねこの人だということは衆目一致することになりますので、その点について、今後も国交省の中で、僕は誰を要は選定委員にしてくれとは言いません、そういうバランスのとれた選定委員会をつくっていただければなと思うものですから、その点についての御所見をお伺いさせてください。

石井国務大臣 独立行政法人の役員を公募する場合でありますが、第三者で構成をいたします選考委員会による審査での選考結果を踏まえまして、任命権者である私が適任であると判断した者を選任しておりますが、今委員から御指摘がありましたように、選考委員会のメンバーにつきましては、適切なメンバーの選定を、今もしているつもりでありますが、今後ともしていきたいと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 今回のこのインフラ輸出、先ほど何回も答弁あったとおり、民間のやる気の問題だと思います。

 外務省の方にも来ていただいているかとは思うんですけれども、やはり中国のインフラ輸出は、もう大分前からしっかりとした戦略を持って行われているのかなと考えております。

 何点かについて伺いたいと思うんですけれども、まず港湾関係、スリランカあるいはパキスタン等について、九十九年とか、あるいは四十五年で借りているということを承知しているんですけれども、そのほかにもあるかと思うので、その点についてのちょっと御所見を教えてください。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる新興国を中心とした世界の膨大なインフラ需要がある中で、中国は一帯一路という構想を掲げまして、近年、具体的なインフラ案件を積極的に進めていると承知しております。

 委員御指摘のとおり、スリランカ、パキスタン、その他幾つかの案件、具体的な案件におきまして中国はそういった取組を行っていますが、我々としては、そういった中国の取組が、インフラの開放性、透明性、経済性、財政の健全性など国際社会共通の考え方を十分にとり入れた上で、地域及び世界の平和と繁栄に前向きに貢献することを期待しております。

大島(敦)委員 外務省の審議官ですから、私もキッシンジャーの「中国」という本を読むと、一番最初の第一章だったかな、一つの挿絵があって、碁ですよね、囲碁の碁盤が書いてありまして、中国の人たちの思考のパターンは、空白に一つ石を打ちながら相手方を抑制しているということを読んだことがあります。

 今回の、今審議官が述べていただいた港湾の事業についても、例えばスリランカのハンバントタ港ですか、これは二〇一七年の七月に九十九年間の運営権を取得したり、あるいはパキスタンのグワダル港、これは有名ですよね、二〇一五年に四十三年間の用地使用権を取得したり、ほかにも述べませんけれども、着々としっかりと布石を打っている。

 ことしの一月、たまたま香港経由でシンセンに行って香港から帰ってきたときに、ことしの秋口には香港の真ん中で高速鉄道の駅ができて、そこでもう入国手続を終わらせて、北京まで二十四時間かかっていたのが八時間半、シンセンまでが十五分だと聞いています。

 ですから、彼らの戦略は、もうずっと前からちゃんと世界じゅうに布石を打ちながら、港湾を押さえ、日本の新幹線網が二千七百キロです、中国は二万三千キロだったかな、これを要はユーラシア大陸にずっと引き詰めていくことによって、富の集中を高齢化に備えて多分準備をし始めているのかなと思う。

 この場でも何回か質問させていただいた要はGPS衛星中国版、北斗は、二〇二〇年には三十五基を打ち上げて全世界を覆って、艦船とかあるいは航空機の位置測位ができるようにしていくわけですよ。我が国の戦略としてそこまでの体力はないかと思う。

 でも、このインフラ輸出は、そういう面も含めてしっかりと取り組んでほしいというのが、外務省さん、あるいは内閣官房、そして国交省に対するお願いです。

 きょうは、独立行政法人の理事長の皆さんにも来ていただいています。本当にありがとうございます。公務に対してしっかりと取り組んでいただいて非常にありがたく思っています。

 聞く前に一言聞かなくちゃいけないんだ、済みません。

 ちょっと国交省に伺いたいんですけれども、今回、法律が通ると、予算増とか要員がふえるとか職員をふやすとか、そういう計画というのはあるんでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案の措置を受けまして各独立行政法人等は、本来業務として海外業務ができるようになりますので、各独立行政法人の判断として、計画的な人員養成ですとか採用とかといったようなことはできるようになると考えております。

 ただ、予算等につきましては、基本的には外国政府からの受託等の形での計上になると思いますので、特段の予算の用意はしてございません。

大島(敦)委員 これから各理事長の皆さんにお伺いしたいんですけれども、今回業務がふえることについての所感、しっかりやっていきますよと言うのか、やはり、ちょっと予算とか多くなるといいなとかいろいろとあるかと思うので、その点についてこれまでもいろいろとサポートしていただいているのは承知をしております、海外の皆さんへの協力。その点について各理事長からの御所見をいただければと思います。

北村参考人 鉄道・運輸機構でございますけれども、鉄道・運輸機構は、これまで国内で、上越新幹線、東北、北海道、北陸、九州の新幹線、約千二百キロの整備を行ってきましたし、今も、北海道、北陸、九州と四百キロにわたる工事を行っております。

 我々としましては、これらを通じて蓄積してきましたノウハウを活用して、民間事業者のみでは対応が困難な海外の高速鉄道案件、これにつきまして、我が国事業者の円滑な事業参入に資するように、調査、設計、工事監理等の技術を核とするプロジェクトマネジメントの業務を推進していきたいと考えております。

 鉄道・運輸機構としてはこれまでも、専門家の派遣など海外技術協力を行ってきましたけれども、今後は、海外業務に必要な人材の確保など体制の整備を図り、さらに、鉄道でございますから、車両や運行管理やファイナンスなどを専門とする民間事業者の方々と緊密に連携協力して、海外展開業務の円滑な推進に取り組んでまいりたいと思っております。

金尾参考人 水資源機構についてお答えを申し上げます。

 水資源機構は、我が国の産業と人口が集中する利根川、荒川等の全国七つの水系においてダム、用水路等の水資源開発施設の建設及び管理を担ってきておりまして、専門的な技術力を有するとともに、多岐にわたる関係者との調整ノウハウなど、豊富な経験を有しております。

 これまでも海外においては、本来業務の遂行に支障のない範囲でございますが、水資源の開発又は利用に関する調査、コンサルティングや研修等の受託業務を行ってきております。

 また、公的機関として国際会議等に参加し、外国政府と情報交換することや、職員をJICA専門家として海外に派遣することなどを通じて、各国政府との良好な関係構築に努めてまいったところでございます。

 本法案が成立いたしましたら、水資源機構がこれまで培った知見、ノウハウを最大限に活用し、海外の水資源開発案件におけるニーズ調査や、マスタープラン策定から入札支援、施工監理等の発注者支援、さらには施設管理支援等に至るまで、本格的に実施することにより、我が国の事業者の海外の水資源開発案件への参入機会の拡大に寄与するよう努めてまいりたいと考えております。

中島参考人 UR都市機構も、これまで国内でいろいろな仕事をさせていただきました。幸い、東アジアを始めASEAN諸国からもそれの御評価をいただいているという感触がありまして、アジア新興国各地で今盛んに都市開発を行っておりますけれども、日本の都市開発あるいはURのクルーに対しても大変関心が高いと思っております。

 そこで、私どもできますこととして、仕事としては調査、調整、技術の提供ということになっておりますので、プロジェクトのなるべく早い段階、例えばマスタープランをつくる、そういうときから私どもが関与することによって、民間企業の受注の機会というのを広げていけたらなというようなことを考えております。

 本案成立後は、人材体制なども整えまして、我々の公的な性格あるいは経験を生かしまして、地区マスタープランの策定、フィージビリティースタディー、あるいは住宅の標準設計や改修標準の策定の支援、こういった業務を通じて、我が国企業の海外プロジェクトの展開が円滑になるような環境の整備をしてまいりたい、このように思っております。

大島(敦)委員 各理事長からの御発言、ありがとうございました。

 中小企業の皆さんとお話しすると、皆さんのような大企業ではないんですけれども、結構自分たちのことを物づくり中心に過小評価しておりまして、海外の要はファンドから見ると日本の中小企業を過小評価しているので、ここを束ねて上場したり出資したりすると非常にすばらしい会社が多いということを伺います。

 ですから、皆さんの独立行政法人、これまで日本が豊かになる過程で積み上げたさまざまなノウハウがあると思います。ただ、事業リスクについては、海外ですから、ちょっと国内とは格段に違います。多分、職員の皆さんも、私、民間ですから、稼いでこいよという一言で仕事をしていたんですけれども、やはり、法律とか規則とか条例とか、さまざまなものにのっとって仕事をしているので余りビジネスオリエンテッドじゃないはずなの。

 ですから、そこのところはうまくできる範囲内を、無理しないように、かつ、民間企業をバックアップしながらいい仕事をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 最後に大臣に伺いたいのは、今回、こういう業務拡大で、これまでも多分先頭を切ってインフラ輸出に皆さんは取り組んでいらっしゃってきたかと思います、それはずっと。ですから、これは政務が動かないと最初のチャネルがあかないこともありますので、その点について、これまでの実績、御所見と、今後どういう取組を具体的にしていきたいかについてお話を伺えればと思いますので、よろしくお願いします。

石井国務大臣 インフラシステムの海外展開は、第一義的には民間事業者が主体となって、国と民間事業者が適切に役割分担を行いながら取り組んでいくことが重要であると考えておりまして、国が民間事業者では対応が困難な点や不足している点を補うことによって、民間事業者の海外インフラ市場への参入を支援していくこととしております。

 具体的には、私も含めて相手国にトップセールスを行うことで日本企業の参入に有利な案件形成を図ることや、また、官民ファンドであるJOINを通じましてファイナンス面でのリスクを低減すること等により、これまでも民間事業者を支援をしてきたところでございます。

 本法案におきましては、こうした取組に加えて、民間事業者で不足している公的な信用力や技術、ノウハウを補う観点から、独立行政法人等に海外業務を追加をしておりまして、今後は、技術面などにおいても民間事業者をしっかりと支援することができることになると考えております。

 今後とも、国として求められる役割を適切に果たしつつ、官民一体となってインフラシステムの海外展開に取り組んでまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。終わります。

西村委員長 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 海外インフラの受注目標、二〇二〇年で約三十兆円、先ほど大島委員の方からは、これは気合いの入った数字というふうな評価をされたわけでございます。

 しかしながら、その内訳を見ますと、確かに、エネルギーが約九兆円、そして交通が約七兆円、情報通信が約六兆円、基盤整備が約二兆円、生活環境が約一兆円、新分野が五兆円ということでございます。これを二〇一五年の実績というふうに言われております二十兆円と比較をしましても、国土交通分野と考えられる交通が一・三兆円、基盤整備が一・七兆円、生活環境が〇・五兆円ということでありますので、特に交通の分野は五倍以上の伸びというものを目指すなど、強気の目標であります。この目標達成のためには、官民を挙げて取り組むべきことであることは当然であります。

 私も大島委員同様に、三十兆円等の積算根拠や今後の検証等の質問をする予定でございましたけれども、委員の方から適切な御指摘がございましたので、この点については触れません。

 また一方で、午前中に早稲田委員からは、経済波及効果の定量的把握の必要性についての御指摘もございました。それに対しては政府側の答えは非常に後ろ向きだったわけでございますが、一方で、ジェトロのソウル事務所の調査報告書を読んでみますと、韓国は、韓国の建設産業を中心としたものでありますけれども、経済波及効果の概要を定量的に示しているというふうに承知をしているわけであります。

 よって、韓国で示すことができて日本にできないというふうには思いませんので、この点についてもぜひとも御検討をお願いをしたいというふうに思います。

 それでは質問に入ります。

 まず、新法により可能となる業務についてお伺いをいたします。

 例えば鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、現在の海外業務といたしましては、JICA等の依頼に基づく海外の鉄道に関する技術協力等を実施をいたしております。高速道路会社も、海外の道路事業に対する技術アドバイザリー業務、コンサルタント業務、研修員の受入れなどを行っているところでございます。これらの既存の海外業務に加えまして、新法によりどのような業務が可能となるのか。

 特に企業側から見ますと、川上から、計画段階から参入することができれば受注ができる可能性は高まる、これは段々の御議論があったところでございます。国の信用力をバックに持つ法人が例えば整備とか運営に参画してくれれば、海外展開を図ろうとしている企業にとってもインセンティブがより一層働くのではないかなというふうに思います。

 そこで、この九つの法人について新法により可能となる業務はどの程度拡大するのか、まずお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕

石井国務大臣 本法案は、独立行政法人等が有します公的機関としての信用力や交渉力と国内業務で蓄積をしました技術やノウハウを活用いたしまして、民間事業者の海外インフラ市場への参入を支援しようとするものであります。

 具体的には、案件形成段階からマスタープランの策定や、具体的なプロジェクト形成のための海外における調査、設計、研究等の業務、さらには、専門分化した日本企業のコーディネートを行い、インフラシステムとして機能させるための海外における工事管理や運営業務等を行うことになります。

 これまで独立行政法人等におきましては、本来業務に支障のない範囲で海外への専門家の派遣や海外からの研修生の受入れなどを行ってきたところでありますが、今回本来業務として追加されます業務によりまして、日本企業がインフラシステムの海外展開に参加するインセンティブが高まるものと考えております。

広田委員 大臣の方から御答弁を頂戴をしたところでございます。

 それぞれまだ海外業務の展開における熟度等があろうかというふうに思いますけれども、先ほど大臣が述べられた分野について、新法によって拡大をしていくということでございます。

 それを踏まえて出資について若干お伺いをしたいというふうに思いますけれども、第四条関係で、今回、鉄道・運輸機構が調査等を行う事業者に出資できるようになります。これによって、水資源機構、都市再生機構、住宅金融支援機構、そして日本下水事業団以外の五つの法人が出資ということができるようになるわけでございますけれども、この際、やはりどのような基準、目的で出資をするのか、お伺いをしたいと思います。

篠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 出資に関しましては、まず鉄道・運輸機構の出資でございますけれども、大きく三つの場合を想定をしてございます。

 一つは、相手国政府から出資によるコミットを求められるような場合がございます。二つ目には、一緒に事業を展開いたします日本企業の連合の中で出資が求められるというケースがございます。三つ目には、コンサルタント機能を果たす場合が中心でございますけれども、関係するコンサルタント会社と一緒になって会社を建てるといったようなケースを想定をしてございます。

 例えば、ケースが鉄道・運輸機構でございますが、それ以外の、現在想定をしております空港、港湾、道路といったところにつきましては、運営等を行いますときに一緒になって会社を立てるといったような形で出資を行うというケースが想定されるというふうに考えてございます。

広田委員 企業側にとっては、みずからのリスクを軽減するための、それを期待する出資と同時に、先ほども篠原統括官の方から御答弁があったような面に対する期待もあろうかというふうに思いますので、今後ともこれらについて、そのほかの法人についてもどのような形で出資をしていくのかということをしっかりと詰めていただければなというふうに思います。

 次に、今後のインフラ展開は、これまでの機器を輸出するものに加えて、面的にパッケージとして都市づくりやまちづくりに川上段階から関与することが当たり前となっております。

 空港、そこから伸びる高速道路や鉄道、沿線の宅地開発など、まさしく今回本来業務になります九つの法人が連携することによりまして、私は相乗効果というものが図ることができるというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いをいたします。

石井国務大臣 委員御指摘のとおり、インフラシステム海外展開におきまして、分野横断的にオールジャパン体制で総合力を発揮して取り組むことは、各法人が単独で海外業務を行うことに比べて、より効果的に我が国事業者の参入の促進につながるものと考えております。

 このため、本法案で国土交通大臣が定める基本方針のうち、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する基本的な事項におきましても、総合的な面的開発へ関与することが有効である旨を定めることとしております。

 これにより、例えば、鉄道・運輸機構の高速鉄道事業への参画とあわせて、駅周辺における都市開発のマスタープラン策定に都市再生機構が参画することによりまして、鉄道の需要の増大と都市機能の高度化を同時に達成することのできる魅力的な提案が可能となり、海外インフラ事業への参入を効果的に促進することができると考えております。

広田委員 今大臣から御答弁がありました。このような連携をすることによって魅力的な提案をすることができるということでございます。

 そういった魅力的な提案をすることによりまして、開発計画策定などの上流段階からの関与ができますし、いわゆる日本が目指しております質の高いインフラを今後やはり評価をしてくれるようなホスト国の入札制度の改善とか体制強化の支援、こういったところに対して、これを踏まえてどう取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきましたように、独立行政法人が民間事業者の海外システム展開を促進するための重要な下支えを行うようなことができるようになりますので、独立行政法人が適切な対応を行うことによりまして、官民一体となった取組を進めていきたいというふうに思ってございます。

 特に、質の高いインフラというのは、我が国のインフラを他の競合国と差別化する上で大変重要な要素になるというふうに考えてございますので、その中で、ハード面だけではなく、人材育成等のソフト面も含めて総合的に対応できるような形を独立行政法人も下支えをしながら一緒につくっていけるような、そんな対応を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

広田委員 済みません、若干議論がちょっとかみ合っていないのかもしれませんけれども、質の高いインフラを評価するホスト国の入札制度改善等につきましては、経団連等を含めて経済団体の方からも国等の役割として求められているというふうに思いますので、今後、この点についてもしっかりと詰めていただければなというふうに思います。

 次に、日本企業が海外展開をする場合は、これまでも御議論がございましたように、オールジャパン、チーム・ジャパンでいくというのがこれが理想でございますけれども、一方で、コスト面や効率性といったものを考えますと、時と場合によっては利益相反になる場合もあるというふうに考えられます。

 実際、報道によると、フィリピンのマニラ一号線などは、受注したのは日本の商社でありますけれども、供給する車両はスペイン製であったり、また逆に、中国商社主導のコンソーシアムにおいては、リオデジャネイロの近郊用車両の電機品につきましては日本のメーカーが納めているというふうな事例があるわけでございます。

 その意味で、日本チームだけで案件を組むということは、現実的にはさまざまな課題があるのではないかなというふうに思います。

 こういった課題を踏まえた上で、この九法人が海外業務を拡大するのに伴って、大企業だけじゃなく、これも大島委員の方から御指摘がありましたけれども、高知県を始め、非常に過小評価されていますけれども、潜在能力の高い地方の中小企業が海外でのビジネスを展開、拡大できるようになることが私はとても重要だというふうに思っておりますけれども、これらの点についてどう支援をされていくのか、御所見をお伺いをいたします。

石井国務大臣 インフラシステムの海外展開の推進に当たりましては、地方企業や中堅・中小企業が有しますすぐれた技術、ノウハウ等を活用し、海外市場に進出する企業の裾野を広げていくことが重要であります。

 国土交通省では、地方企業や中堅・中小企業の海外展開に向けた意欲の喚起と海外進出のきっかけづくりのために、本年三月に、海外において先導的に活躍をしている中堅・中小建設関連企業の表彰制度を新たに創設したほか、セミナーの開催やミッション団の派遣等を行っております。

 今回の法案により、独立行政法人等が海外業務を実施することが可能となることから、地方企業や中堅・中小企業に対し積極的に独立行政法人等から情報提供や支援を行うことにより、高い技術力等を有する地方企業や中堅・中小企業が、海外展開により積極的に挑戦をしていくということが十分可能になるというふうに考えております。

広田委員 大臣の御答弁にありましたように、今回の新法ができることによりまして、地方の建設業を始め、地方の中堅・中小企業等のやはりビジネスチャンス等が広がるように更に推進をしていただければ、とかくこの手の法律というのは、大企業だけが資するんじゃないかというふうな誤解に近い理解もあるわけでございますので、実際もう既に、各国、地域地域では中小企業が頑張って進出しているところもあるわけでございますが、それをより一層推進をしていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 その上で、では具体的にどうなっていくのかということも含めてお伺いしたいんですけれども、国土交通省の関連分野で、今後三年から四年で注視すべきプロジェクトというものが実際世界で何件あるというふうに把握をしているんでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども国土交通省では、毎年、インフラシステム海外展開の行動計画というのをつくってございますが、その中で、政府関係機関や民間事業者の情報を総合いたしまして、今後三、四年間で注目するプロジェクトを選定をいたしてございます。

 今回策定をいたしました二〇一八の行動計画では、合計で八十三件のプロジェクトに注視をしていきたいというふうに考えてございます。

    〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕

広田委員 八十三件というふうに、かなり多い件数でございますが、一方で、選択と集中というふうな観点に立ちますと、専門家によれば、我が国の海外インフラ事業が持続的な競争力と収益性を構築するためには、ターゲット市場というものをある程度特定して、そこに求められる勝ちパターンといったものをつくって組織能力をつくるべきだというふうな提言もあるわけでございます。

 この点についての御所見をお伺いをしたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、重点となる市場に注目をしながら対応していくことは大変重要かと思ってございます。

 先ほど申し上げた八十三件の中で特にプロジェクト数が多いのは、東南アジア、南アジア、さらにはアフリカといったような地域でございますので、こういった地域を中心としながら、しっかりとインフラの海外展開の実績を上げていきたいと考えてございます。

広田委員 それぞれの地域を挙げられたわけでありますけれども、その中でも特に、国としてはどの地域というものに焦点を当てて取り組んでいかれるおつもりなのか。東南アジアであるのか、その点をもう少し絞ってお答えをいただければと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 実はいずれの地域におきましても、各国にそれぞれ、インフラの内容によりまして重要なプロジェクトがあるというふうに考えてございます。

 例えば高速鉄道という観点で見ますと、ただいま入札の応募期間になっておりますマレーシア・シンガポール高速鉄道など、主要な案件があるところをしっかりと対応していくということかと思っておりますし、空港や港湾でも、先ほど御議論ございましたけれども、地政学的な観点を含めて、対応していくべき地域をしっかりと見定めながら対応していくということかと思ってございます。

広田委員 そういったことを踏まえてぜひ取組を進めていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 以上の点を踏まえまして、先ほど大臣の方からも、九法人といったものが連携をすることによって魅力的な提案をすることができるというふうなことでございます。

 これは篠原統括官にもお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、こういった、やはり九法人の連携、調整する事務局的な組織といったものが今後必要になって、これに対して、人員的なものも含めて求められてくるんだろうというふうに私は思いますけれども、これは今後の課題かもしれませんが、御所見等をお伺いをできればと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 大変貴重な御指摘をいただきましたので、御指摘も踏まえて具体化を図りたいと思いますが、現在、国土交通省では、大臣をヘッドといたします国際政策の推進本部といったものもございます。そういったものの活用も含めまして、具体策をこれから検討していきたいと思ってございます。

広田委員 最後になりましたけれども、今後とも、官民含めて海外インフラ輸出といったものが更に拡大すること、そしてそれが、質問でもさせていただきましたように、大企業のみならず、地方の中小企業に広がるように鋭意取り組んでいただきますように求めまして、時間が参りましたので私の質疑を終了したいと思います。

 どうもありがとうございました。

西村委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案について質問いたします。

 この法律案は、独立行政法人の行う事業内容として、新たに海外インフラ事業を書き込むものでございます。トップセールスに始まる民間企業のインフラ輸出事業に独立行政法人が関与できるようにするというものです。

 石井大臣は、四月十九日の衆議院本会議での本法案の質疑で、「日本は質の高いインフラシステムの海外展開を進めております」と答弁されました。

 では、政府の言う質の高いインフラというのはどういうものか。

 二〇一五年五月二十一日に政府が発表した質の高いインフラパートナーシップの中では、質の高いインフラとはどのように書いてございますか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたパートナーシップにおきましては、質の高いインフラといたしまして、「一見、値段が高く見えるものの、使いやすく、長持ちし、そして、環境に優しく災害の備えにもなるため、長期的に見れば安上がり」なものというふうに定義されてございます。

宮本(岳)委員 環境に優しい、災害の備えになる、そして、長もちするので長期的に見れば安上がりということのようであります。

 しかし、その質の高さが相手国との関係でも本当に維持できるのか、きょうは主に環境面から質問申し上げたいと思うんです。

 まず、海外インフラ事業で土地収用とか環境規制、環境影響評価等々について、相手国に日本の法規制以上の厳しい内容の法規制がある場合、現地の法律を遵守することになりますか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 海外インフラシステムを展開いたします場合、相手国における法制度を遵守することは、良質な社会資本整備を実現するという観点から当然であると考えております。

 仮に、その法制度が日本の同様の制度よりも厳しいものであっても、遵守すべきものと考えてございます。

宮本(岳)委員 では、それは法案の条文に書いてございますか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案の規定上、明確に書いている部分はございません。

宮本(岳)委員 当然のことながらという意味でしょうけれども、相手国との法律関係にかかわる基本的なことなわけですから、法案に書いて、法律上も遵守させるのは当然のことだと思うんです。

 では逆に、相手国に土地収用や環境影響評価等に関する法規制が未整備の場合、この場合は、日本で行う公共事業の場合と同様の手続を現地でも行うのか、法律にはどう定められているか、お答えいただけますか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 法律上は明記をしてございませんけれども、基本的な考え方を申し上げますと、海外インフラ事業を実施する場合、相手国における法制度等を遵守するということがまず原則であるということでございます。

 しかしながら、我が国が海外インフラシステムを展開するという場合には、良質な社会資本整備を図るという観点から、相手国の政府のニーズや実情を踏まえつつでありますけれども、よりよい法制度の提案を含めまして、相手国政府に働きかけていくことが望ましいというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 いろいろおっしゃるわけですけれども、結局法文上は、環境でその国が日本より厳しい基準で法規制していた場合は、これは渋々従うわけでありますけれども、日本よりも低い、あるいは法規制が未整備であるという場合は、日本より低い基準でも済まそうと思えば済まされる、こういう法のたてつけになっているわけです。

 政府が、成長戦略だ、三十兆円の受注目標だ、こう言ってトップセールスで売り込むわけでありますけれども、大臣が基本方針を定めるというだけでありまして、結局は民間企業任せ。必ず質の高いインフラがつくられるという保障が条文上あるのかといいますと、これはないわけであります。

 個々の民間事業者に任せた結果どういうことが起こるか。例えば、一〇〇%政府出資の国際協力銀行JBICが二十一億ドルの融資を実施しているインドネシアのバタン石炭火力発電事業では、インドネシアの国家人権委員会が、人権を重視し、慎重な融資検討を求めるという書簡を日本政府とまさに国会に送ってくるという事態が起こっております。

 では次に、インフラのような公共性の高い事業には、国内でもそうですけれども、当然住民の意思の反映が必要でありますけれども、それは海外でも同様だと思うんです。

 では、今回の法案に、事業への住民意思の反映、これは条文で担保されておりますか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 条文上、住民意思の反映についての規定はございません。

宮本(岳)委員 それもないわけです。

 民間任せでは、その事業を現地住民が望まなかった場合、どういうことが起こるか。これは、今回からは独立行政法人がこの事業のお先棒を担ぐということになるわけですから、それは、これまでならば、民間企業、この企業はけしからぬ企業だという企業への悪評ということで済むでしょうが、これからは我が国政府が直接批判を受けることになりかねない。

 これは大臣にお伺いするんですけれども、今回の法案というのはそういう面があるという自覚はございますか。

石井国務大臣 我が国のインフラシステムの海外展開を進めるに当たりましては、相手国における関係法令等を遵守しつつ、現地住民の理解を得ながら進めていくよう努めていくことが重要であると考えております。

 本法案に基づいて独立行政法人等が海外で業務を行う場合におきましても、相手国政府等と連携をしつつ、当該プロジェクトが現地住民の理解を得ながら進められるよう、必要に応じて、国土交通大臣といたしましても指導をしていきたいと考えております。

宮本(岳)委員 いや、現地の法を守るという今大臣の御答弁なんですけれども、私は改めて、先ほど御紹介申し上げたインドネシアのバタン石炭火力発電事業というものを調べてみたんですけれども、これはインドネシアですから、随分やはり法的には未整備なんです。

 それで、その予定地を囲い込んでみたり、現地の住民の説明会というのをやるんですけれども、わざわざJBICの側から、警察などの同席は避けてくれということで気を使ってやめてもらっているぐらいなんですけれども、ほっておくとすぐにそういう事態になる。

 何度も、そこに生活の場を持っている人たちが追い出されているものですから、中に入れてくれというトラブルが生じている。JBICも非常に気を使いながら融資の検討をやっているという、これは国会でもそういう議論がされているぐらいなんですよ。

 だから、これから進めていくこのインフラ事業というのは、まさにそういった法的に未整備な国々が多いわけですから、極めて現実的な問題だと思うんです。

 もちろん、問題は法的に未整備な国々ばかりではありません。日本の海外インフラ事業で今具体的に進んでいる事業の一つに、アメリカのテキサス新幹線事業というものがございます。総事業費百五十億ドルの巨大事業でありまして、JR東海が技術支援をしております。

 ことしの一月十六日、チャオ・アメリカ運輸長官と石井大臣がワシントンで会談し、石井大臣は、日米のインフラ協力の象徴的な計画としてしっかり支援していきたいと述べられました。そういう報道もございます。今後の海外インフラ事業の一つのモデル事業ともいうべきものだと思うんです。

 ところが、このテキサス新幹線事業に現地で反対の声が上がっております。二〇一六年一月、テキサスの州議会議員ら地元有力者三十三名が連名で、高速鉄道計画に反対する旨の書簡を当時の佐々江賢一郎駐米大使に送ってまいりました。

 きょうは外務省に来ていただいておりますが、外務省に聞きますけれども、この書簡は届いておりますか。外務省として、これを国土交通省に送っておりますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の書簡につきましては、在米日本大使館から報告を受けております。また、その報告を当省から国土交通省にも情報を共有しているところでございます。

宮本(岳)委員 改めて外務省に確認いたしますが、英文の書簡でありますけれども、その書簡では、高速鉄道計画の反対理由についてどのように述べられておりますか。端的に御紹介ください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の書簡における関係者の考えそのものについては、政府としてお答えすることは控えさせていただきたいと思いますけれども、同書簡によれば、テキサス高速鉄道計画によって地域コミュニティーが分断され、私的財産が脅かされつつあるとして、この計画を実施するためにはより適した土地があるとの考え等が述べられていると承知しております。

宮本(岳)委員 本当に端的に述べていただきましたけれども、この書簡には、最終的には外国企業の利益のために私有財産を不当に取り上げられようとしている、テキサスの家族に世代を超えて受け継がれてきた土地と財産が線路で分断される、反対がより少ないほかのマーケットを進めることを勧めたい、あらかたそういう旨の書簡が駐米大使に届けられたということであります。

 先ほど外務省からもあったように、この書簡は国土交通省にも送られていると思いますけれども、国土交通省はこれをどのように扱っておりますか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の書簡につきましては、外務省から国土交通省としても入手をいたしてございます。

 これを受けまして国土交通省では、この事業を主導しております米国の民間企業と面談を行いまして当該企業の説明を聞いたところ、地元の方々への説明を丁寧に重ねているということを確認をしたところでございます。

 本件は、米国の民間企業が計画推進しているプロジェクトでございまして、用地取得に関しても、当該企業が現地の法令に基づいて責任を持って対応すべきものというふうに考えてございますけれども、国土交通省としても、その動向を注視していきたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 重ねて聞きますけれども、今の、そういう丁寧に進めていった結果、こういった問題は既に解決をしたというふうにお考えですか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 当該会社からは、引き続き丁寧に説明を重ねているというふうに聞いてございます。

宮本(岳)委員 その会社は、テキサス・セントラル・パートナーズ、TCPという会社でありますが、丁寧に説明もし、進めていると述べているという答弁でありました。

 このテキサス新幹線事業というのは、政府がインフラ輸出のために、四年前に新法までつくって設立した株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、通称JOINが四千万ドルも出資をしております。我が党はこのJOINの設置に反対をいたしましたが、その理由の一つは、JOINの支援には、海外の大規模開発事業における自然環境と現地住民への悪影響に対する配慮の視点が全くないということでございました。

 先ほどの反対書簡が届けられたのは二年前のことでありますけれども、しかし、その後もこの問題は解決しておりません。連邦鉄道局がことしの一月に主催した地元説明会で発言をした住民三十六人全てが反対意見を述べたという報道があるんです。これでは、現地住民の意思を無視して、頭ごなしに事業を進める象徴的な海外インフラ事業になると言わざるを得ないと思うんです。住民意思を反映する法的な担保がなければ、第二、第三のテキサス新幹線事業を生み出しかねない。私たちは、このことを本法案にかかわって指摘しないわけにはまいりません。

 そこで最後にですけれども、今回、インフラ輸出に乗り出させようという独立行政法人というのはそもそもどういうものであるか、確認をしたいと思います。

 きょうは総務省にも来ていただいておりますが、独立行政法人通則法の第一条第一項の目的規定にはどのように書いてありますか。

堀江政府参考人 御指摘の条文を読み上げさせていただきます。

 「この法律は、独立行政法人の運営の基本その他の制度の基本となる共通の事項を定め、各独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律と相まって、独立行政法人制度の確立並びに独立行政法人が公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的とする。」

 以上でございます。

宮本(岳)委員 通則法に定められた独立行政法人の目的は、「公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資する」ということになります。

 インフラ輸出というものが、なぜこの公共上の見地から行う事務や事業の確実な実施に資することになるのか。国民生活の安定あるいは社会経済の健全な発展に資する、こういうことになるのか、これは大臣、どのように受けとめておられますか。

石井国務大臣 新興国等におけます旺盛なインフラ需要を取り込むために、日本企業の海外市場への参入促進を図ることは、日本経済の重要な成長戦略の一つであります。

 本法案では、独立行政法人等が有する公共性の高い法人としての信用力、中立性や交渉力に加え、国内業務を通じて蓄積をいたしました、民間企業にはない技術、ノウハウを活用して海外業務を行うことで、民間企業のみでは参入が困難であった案件においてもより効果的に海外市場への参入が図られることとなります。

 これによりまして、我が国企業の海外市場への参入機会が拡大をし、日本経済の成長に寄与することが期待をされることから、インフラシステムの海外展開に独立行政法人を活用する意義があるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 独立行政法人が大臣おっしゃるように信用力があるのは、まさに国内で今、独立行政法人通則法に定められたように、「公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資する」というこの目的を掲げてひたすらに頑張ってこられたからだと、そうでないような面もないとは言いませんが、第一条にはそう定められて、頑張ってこられたからこそ信用力があるわけです。

 しかし、それを、これから海外にインフラを売り込んでいく民間企業の、先ほどはお先棒を担ぐという言葉を使いましたけれども、先鞭をつける役割をさせる。そして、それによって行われる事業というのは、何もかも地域住民が大歓迎するものであるのか。また、環境との関係で絶対に何の問題も起こさないような、例えばいろいろなあつれきが現に生じている。こういうことを進めれば、まさに今おっしゃったような、公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施、あるいは国民生活の安定、社会経済の健全な発展に資するという独立行政法人のその役割を変質させるものだと言わなければなりません。

 独立行政法人は多国籍企業支援のために設立されたものではありません。国内のインフラ整備を担ってきた国民の財産であります。民間の海外インフラ事業に独法を協力させることは独立行政法人の本来の姿を変質させるということであり、断じて容認できない。このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案に反対する討論を行います。

 第一は、日本企業が海外インフラ事業をより多く受注できるよう、公的機関まで動員して支援を強め、多国籍化する特定大企業の利益獲得の機会を増大させることです。

 本法案は、これまで行ってきた、海外交通・都市開発事業支援機構、JOINによる資金的支援に加えて、独立行政法人などが持つ公的な信用力や専門的な技術、ノウハウを日本の民間企業による海外インフラ事業の受注につなげるよう活用するとしています。

 インフラ輸出戦略の柱には新幹線、高速鉄道の輸出がありますが、そこにはリニア中央新幹線も含まれます。JR東海は、単体では赤字のリニア中央新幹線事業を強引に推進していますが、その背景には、米国等海外への輸出による利益獲得の狙いがあります。既に政府は米国リニア高速鉄道の調査に八億円の税金を投じていますが、本法案では、民間事業者が海外でリニアのようなインフラ輸出事業を行う際の調査等を鉄運機構の資金で行えることになります。民間企業が行う海外インフラ事業へ政府が資金出資をすることに公然と道を開くものです。

 第二は、もともと独立行政法人は多国籍企業支援のために設立されたものではありません。国内のインフラ整備を担ってきた国民の財産です。国内でインフラ施設が大量に更新時期を迎え、対策に膨大な費用と労力が必要とされる中で、独立行政法人等の公的機関が率先してやるべきは国内の老朽化インフラ対策であり、特定の多国籍企業の海外事業を支援することではありません。

 第三は、日本国内では義務づけられる開発前の環境影響評価や住民参加についての規定がなく、環境や人権に関しての配慮を欠いていることです。

 以上の理由から、本法案には反対する旨を申し上げ、討論といたします。

西村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、盛山正仁君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山泰子君。

小宮山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 我が国企業が二千二十年に三十兆円の海外インフラシステムの受注を目指す目標を確実に達成するためには、関係省庁間の連携協力とともに、機構等及び海外社会資本事業を行う我が国事業者その他の関係者との相互連携、協力が重要であるとの認識の下、関係者の協力の効果的な在り方等について十分に検討し確実に実行すること。

 二 基本方針の策定等に当たっては、本法の規定に基づく関係大臣との協議とともに、機構等及び海外社会資本事業を行う我が国事業者その他の関係者から広く意見を聴取する機会等を設けるよう努めること。

 三 各機構等が海外業務を実施するに当たっては、各機構等の設立の目的や趣旨を踏まえ、当該事業を実施することにより得られた知見等の国内業務への還元について、十分配慮するよう指導、助言等に努めること。

 四 本法の施行により海外業務が各機構等の正規の業務として位置付けられることに鑑み、本法施行後の海外事業の実施状況を見つつ、必要があると判断した場合には、各機構の組織、人員の充実、強化等について、適切に対応すること。

 五 各機構等が海外業務を実施するに当たっては、経理や業務遂行において国民の疑念を招くことのないよう、役職員の法令順守の徹底等について指導すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。

石井国務大臣 海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

西村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西村委員長 次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会


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