第21号 平成30年6月19日(火曜日)
平成三十年六月十九日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西村 明宏君
理事 鬼木 誠君 理事 金子 恭之君
理事 新谷 正義君 理事 土屋 品子君
理事 盛山 正仁君 理事 矢上 雅義君
理事 小宮山泰子君 理事 赤羽 一嘉君
秋本 真利君 井野 俊郎君
池田 道孝君 岩田 和親君
大塚 高司君 大西 英男君
加藤 鮎子君 門 博文君
神谷 昇君 工藤 彰三君
鈴木 憲和君 田中 英之君
高木 毅君 谷川 とむ君
中谷 真一君 中村 裕之君
根本 幸典君 鳩山 二郎君
藤井比早之君 細田 健一君
三谷 英弘君 宮内 秀樹君
宮路 拓馬君 望月 義夫君
簗 和生君 山本 公一君
末松 義規君 初鹿 明博君
道下 大樹君 森山 浩行君
早稲田夕季君 伊藤 俊輔君
大島 敦君 森田 俊和君
北側 一雄君 高木 陽介君
金子 恵美君 広田 一君
もとむら賢太郎君 宮本 岳志君
井上 英孝君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
国土交通副大臣 牧野たかお君
国土交通大臣政務官 秋本 真利君
国土交通大臣政務官 簗 和生君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 伊丹 潔君
政府参考人
(金融庁総務企画局参事官) 栗田 照久君
政府参考人
(財務省理財局次長) 富山 一成君
政府参考人
(文部科学省大臣官房技術参事官) 山崎 雅男君
政府参考人
(文化庁文化財部長) 山崎 秀保君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉永 和生君
政府参考人
(林野庁林政部長) 渡邊 毅君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 織田 央君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 田村 計君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 栗田 卓也君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 山田 邦博君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 伊藤 明子君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 藤井 直樹君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 蝦名 邦晴君
政府参考人
(観光庁長官) 田村明比古君
参考人
(独立行政法人都市再生機構理事) 伊藤 治君
国土交通委員会専門員 山崎 治君
―――――――――――――
委員の異動
六月十九日
辞任 補欠選任
大塚 高司君 井野 俊郎君
大西 英男君 細田 健一君
加藤 鮎子君 宮路 拓馬君
山本 公一君 池田 道孝君
道下 大樹君 末松 義規君
広田 一君 金子 恵美君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 大塚 高司君
池田 道孝君 山本 公一君
細田 健一君 大西 英男君
宮路 拓馬君 加藤 鮎子君
末松 義規君 道下 大樹君
金子 恵美君 広田 一君
―――――――――――――
六月十三日
精神障害者の交通運賃に関する請願(田所嘉徳君紹介)(第二二四七号)
同(高木陽介君紹介)(第二四七〇号)
気象事業の整備拡充に関する請願(大岡敏孝君紹介)(第二二四八号)
同(金子恵美君紹介)(第二二四九号)
同(志位和夫君紹介)(第二二五〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二二五一号)
同(田村貴昭君紹介)(第二二五二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二二五三号)
同(畑野君枝君紹介)(第二二五四号)
同(藤野保史君紹介)(第二二五五号)
同(宮本岳志君紹介)(第二二五六号)
同(宮本徹君紹介)(第二二五七号)
同(本村伸子君紹介)(第二二五八号)
同(阿部知子君紹介)(第二三七七号)
同(笠井亮君紹介)(第二三七八号)
同(吉川元君紹介)(第二三七九号)
同(照屋寛徳君紹介)(第二四七一号)
国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二五九号)
同(大岡敏孝君紹介)(第二二六〇号)
同(笠井亮君紹介)(第二二六一号)
同(金子恵美君紹介)(第二二六二号)
同(穀田恵二君紹介)(第二二六三号)
同(道下大樹君紹介)(第二二六四号)
同(阿部知子君紹介)(第二三八〇号)
同(笠井亮君紹介)(第二三八一号)
同(道下大樹君紹介)(第二三八二号)
同(吉川元君紹介)(第二三八三号)
同(照屋寛徳君紹介)(第二四七二号)
震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二六五号)
同(大岡敏孝君紹介)(第二二六六号)
同(笠井亮君紹介)(第二二六七号)
同(金子恵美君紹介)(第二二六八号)
同(穀田恵二君紹介)(第二二六九号)
同(志位和夫君紹介)(第二二七〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二二七一号)
同(田村貴昭君紹介)(第二二七二号)
同(阿部知子君紹介)(第二三八四号)
同(笠井亮君紹介)(第二三八五号)
同(吉川元君紹介)(第二三八六号)
同(照屋寛徳君紹介)(第二四七三号)
てんかんのある人とその家族の生活を支える交通に関する請願(金子恭之君紹介)(第二二七三号)
同(中谷真一君紹介)(第二二七四号)
同(道下大樹君紹介)(第二二七五号)
同(伊藤俊輔君紹介)(第二三八七号)
名瀬測候所の地方気象台への格上げを求めることに関する請願(浅野哲君紹介)(第二二七六号)
同(近藤和也君紹介)(第二二七七号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第二三八九号)
同(伊藤俊輔君紹介)(第二三九〇号)
同(神谷裕君紹介)(第二三九一号)
同(小宮山泰子君紹介)(第二三九二号)
同(高木錬太郎君紹介)(第二三九三号)
同(玉城デニー君紹介)(第二三九四号)
同(森田俊和君紹介)(第二三九五号)
同(早稲田夕季君紹介)(第二三九六号)
同(青山大人君紹介)(第二四七四号)
同(岡本充功君紹介)(第二四七五号)
同(金子万寿夫君紹介)(第二四七六号)
同(川内博史君紹介)(第二四七七号)
同(照屋寛徳君紹介)(第二四七八号)
同(道下大樹君紹介)(第二四七九号)
長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(吉川元君紹介)(第二三八八号)
同月十四日
気象事業の整備拡充に関する請願(田村貴昭君紹介)(第二五六九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二五七〇号)
同(中島克仁君紹介)(第二六七六号)
同(畑野君枝君紹介)(第二六七七号)
同(津村啓介君紹介)(第二七三九号)
同(田嶋要君紹介)(第二八一五号)
同(鷲尾英一郎君紹介)(第二八一六号)
国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(田村貴昭君紹介)(第二五七一号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二五七二号)
同(中島克仁君紹介)(第二六七八号)
同(津村啓介君紹介)(第二七四〇号)
同(畑野君枝君紹介)(第二七四一号)
同(田嶋要君紹介)(第二八一七号)
同(鷲尾英一郎君紹介)(第二八一八号)
震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(田村貴昭君紹介)(第二五七三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二五七四号)
同(中島克仁君紹介)(第二六七九号)
同(津村啓介君紹介)(第二七四二号)
同(畑野君枝君紹介)(第二七四三号)
同(田嶋要君紹介)(第二八一九号)
同(鷲尾英一郎君紹介)(第二八二〇号)
長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(今井雅人君紹介)(第二五七五号)
同(本村伸子君紹介)(第二五七六号)
同(近藤昭一君紹介)(第二七四四号)
同(菅直人君紹介)(第二八二二号)
名瀬測候所の地方気象台への格上げを求めることに関する請願(田村貴昭君紹介)(第二五七七号)
同(宮本岳志君紹介)(第二五七八号)
同(吉川元君紹介)(第二五七九号)
同(大島敦君紹介)(第二六八一号)
同(宮路拓馬君紹介)(第二六八二号)
同(池田真紀君紹介)(第二八二三号)
同(森山浩行君紹介)(第二八二四号)
てんかんのある人とその家族の生活を支える交通に関する請願(早稲田夕季君紹介)(第二六八〇号)
同(もとむら賢太郎君紹介)(第二八二一号)
精神障害者の交通運賃に関する請願(斎藤洋明君紹介)(第二八一四号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)(参議院送付)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○西村委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。
○石井国務大臣 六月十八日七時五十八分ごろに発生をいたしました大阪府北部を震源とする最大震度六弱の地震について、被害状況と国土交通省の対応状況について御報告いたします。
まず初めに、この地震により四名の方がお亡くなりになりました。お亡くなりになった方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
気象庁では、揺れの強かった地域に対し、地震発生から一週間程度、最大震度六弱程度の地震に注意するとともに、特に地震発生後二、三日程度は強い揺れをもたらす地震が発生することが多くあることから、注意を呼びかけております。
この地震の発生により、昨日八時十五分に続き、十八時十分、私から次のとおり指示をいたしました。引き続き、被災状況の把握に全力を挙げること。TEC―FORCEや保有する災害対策用資機材を最大限活用し、生活インフラの復旧に向け、被災者の支援に全力で当たること。被災自治体からの要請に対しては迅速かつ全面的に支援すること。国民に対して被害等に関する情報提供を適時的確に行うこと。
今回の地震によりまして、鉄道については、私鉄の一部を除き運転は再開をしております。なお、一部帰宅困難者が発生をいたしましたが、JR京都駅では帰宅困難者にホテルの手配を実施をいたしました。
また、被害のあった塀の構造等については、高槻市教育委員会が建築基準法不適合と発表をいたしましたが、最終的には特定行政庁が判断することになります。現場の映像では、基準に適合しない可能性が極めて高いと考えております。
塀の安全対策については、まずは小中学校の塀の安全点検について文部科学省と連携して取り組むとともに、塀の所有者等に対し、特定行政庁を通じて必要な注意喚起をしてまいります。
さらに、二百十四件のエレベーターの閉じ込めが発生をいたしましたが、各社で対応し、昨日の十七時までに全て解消いたしました。
国土交通省では、地震発生後直ちに所管施設や所管事業者の被災状況の把握に努めるとともに、高槻市や枚方市など被災十五市三町とホットラインにより状況確認を行いました。また、地方整備局の防災ヘリや海上保安庁の船艇、航空機等により被害状況調査を実施いたしました。
さらに、本日も一府六市にリエゾン等を十七人派遣をし、被害情報の収集や支援ニーズの把握などを実施しております。また、地方整備局からTEC―FORCEを二十名及び照明車十六台、散水車五台を派遣し、被災者支援の準備を進めております。
国土交通省といたしましては、TEC―FORCEや保有する災害対策用資機材を最大限活用し、生活インフラの復旧に向け、被災者の支援に全力で当たってまいります。
――――◇―――――
○西村委員長 次に、内閣提出、参議院送付、建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事伊藤治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省土地・建設産業局長田村計君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長山田邦博君、住宅局長伊藤明子君、鉄道局長藤井直樹君、自動車局長奥田哲也君、航空局長蝦名邦晴君、観光庁長官田村明比古君、内閣府大臣官房審議官伊丹潔君、金融庁総務企画局参事官栗田照久君、財務省理財局次長富山一成君、文部科学省大臣官房技術参事官山崎雅男君、文化庁文化財部長山崎秀保君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、林野庁林政部長渡邊毅君及び森林整備部長織田央君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○西村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。新谷正義君。
○新谷委員 自民党の新谷正義でございます。
本日は質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
まず初めに、昨日、近畿地方で発生しました地震におきまして亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
政府の皆様におかれましては、早急な対応に感謝を申し上げます。引き続き、被害状況の把握、被災者の救助、復興支援に全力を尽くしていただくことをお願い申し上げます。
災害に対して防災、減災に努めていく必要性を改めて強く認識するとともに、そのための対策に取り組む決意を新たにいたしております。
それでは、これより建築基準法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。
建築基準法は、昭和二十五年制定から現在に至るまで、社会情勢の変化に応じて改正をされてきたところでございます。
今回、改正案におきましては、三つの観点で法改正案が示されているものと認識をいたしております。一つ目は建築物、市街地の安全性の確保、二つ目は既存建築ストックの活用、三つ目は木造建築をめぐる多様なニーズへの対応、それぞれ違う観点でございますが、今の社会情勢あるいは課題に対し、いずれも必要な法改正であると認識をいたしております。それぞれの観点から質問をさせていただきます。
まず、一点目の建築物、市街地の安全性確保に関してでございますが、近年、首都直下地震、南海トラフ地震など、地震による大規模火災の危険性が指摘をされているところでございます。首都直下地震に関しては、内閣府の被害想定では、揺れそのものによる死者は最大約一万一千人とされておりますが、火災による死者は最大約一万六千人、建物倒壊などと重なるものも含めると最大約二万三千人の死者が出る、このように想定をされているところでございます。
また、実際に起きてしまった火災としまして、平成二十八年十二月、新潟県糸魚川市で発生しました密集市街地における火災では、強風によりまして飛び火が発生し同時多発火災となったことに加えまして、延焼が急速に進行したことで、被害は、焼損棟数百四十七棟、焼失面積約四万平方メートルにも及びました。昭和五十一年の山形県酒田市における大火以来四十年ぶりとなる大規模な市街地火災となりまして、改めて、密集市街地の災害に対する弱さが露見したものと考えております。
糸魚川市の火災は密集市街地で発生しましたが、我が国の密集市街地の中には、更に危険な密集市街地、このように言われるものが存在をしております。この危険な密集市街地とはどのようなものであるか。その中で、現在、防火地域、準防火地域はどれぐらい指定をされているか。政府にお伺いをさせていただきたいと思います。
〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる密集市街地は、戦前から高度成長期に形成された密の市街地でございまして、避難や消防車の進入のための道路がなく、又は狭く、延焼の抑止や一時避難場所となる公園などの緑地、空地が不足し、防災性、耐震性に問題のある老朽木造住宅が密集する状況となっており、主に、東京や大阪などの大都市の中心部又はその周辺部や地方の中心市街地等に形成されております。
このような密集市街地は、地震時等には火災や道路閉塞により避難や消火活動が困難となるとともに、延焼が拡大し、国民の生命財産に甚大な被害をもたらす懸念があります。
一方で、防火地域、準防火地域でございますが、いずれも、市街地における火災の危険を防除するため、市区町村が都市計画で定める地域でありまして、主として都市の中心部やその周辺部に指定され、これらの地域における建築物には延焼防止性能が求められます。
密集市街地の中でも特に大火の危険性の高い地震時等に著しく危険な密集市街地の約九割が、これら防火、準防火地域に存在しているという状況でございます。
○新谷委員 密集市街地、建てかえが進んでいないという現状から目をそらさず、スピード感を持って、何より現実的な対応をしていかなければならない、そのように考えております。建てかえに関する規制強化だけでは、建てかえ自体が全く進まなくなるという本末転倒な結果もあり得ると考えているところでございます。
現実的に、建築技術の進歩も踏まえて、規制強化と規制緩和をうまく組み合わせながら、延焼防止性能のある建物への建てかえ、これを促していく必要がございます。
今回、改正案では、防火地域、準防火地域における延焼防止性能の高い建築物の建ぺい率、これを一〇%緩和することとなっておりますが、これに関してどのような効果があると政府は考えているのか。過去の事例もあれば、その事例もあわせて御説明願いたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案では、準防火地域内において延焼防止性能の高いものとして耐火、準耐火建築物等を建設する場合、前面道路の境界線から後退して壁面線を指定した場合に、建ぺい率を緩和する措置を盛り込んでいるところです。
建ぺい率の緩和措置は、特に、道路が狭く、敷地が狭小な住宅の多い密集市街地において、このままでは建てかえることが困難な住宅を、一定の延焼防止性能を有する住宅への建てかえを容易とすることで、密集市街地の安全確保を促進することを期待したものでございます。
例えば、先行する事例といたしまして、大阪市においては平成十六年から、市内の密集市街地等を対象に建ぺい率の緩和と防火規制の強化をセットで適用しておりまして、平成二十六年度までで約千五百件の適用実績を上げております。こうした措置は地域の安全性の向上に寄与しているものと考えております。
今回の措置は、このような考え方を全国一律のものとして定めることで、延焼防止性能を有する住宅等への建てかえを促進し、密集市街地の安全性の向上に寄与することを狙ったものでございます。
○新谷委員 ありがとうございます。
次に、今回、改正案の二つ目の柱でございます既存建築物の活用というところに関してお伺いをさせていただきます。
都市中心部では住宅需要があるところでございますけれども、その一方で、中山間地域においては過疎化が進行しているところでございます。
今、我が国では全国的に空き家が問題となっているところでございますが、総務省の平成二十五年の調査では、全国の空き家戸数は約八百二十万に上りまして、全国の住宅総数六千六十三万の一三・五%と過去最高となっているところでございます。これはあくまで平成二十五年の時点でございます。これを放っておくと、これからも空き家はふえ続ける見込みでして、一説では、二〇三三年には空き家率は三〇%を超えるとも言われております。
私の地元、広島県安芸地域、東広島市、三原市大和町、これらにおきましても空き家は徐々に問題が顕在化してきているところでございます。特に東広島市の志和、福富、豊栄、河内という地域でございますけれども、これは主に中山間地域でございまして、空き家率は一〇%を超えているところでございます。特に豊栄という地域におきましては、人口も大幅に減少しまして、空き家率は二〇%を超える状態となっているところでございます。
管理されていない空き家が多くなってくると、当然、町の景観は悪くなっていきますし、治安、公衆衛生の悪化も招き、ひいては、地域の不動産価格、ブランド価値も下がってくるところでございます。より深刻なのは、こういった空き家の負の影響から、地域に住もうとする方々が更に減りまして空き家がふえるという、こういった悪循環になってしまう危険があることでございまして、中山間地域の崩壊を防ぐために、空き家対策は必ず取り組まなければならない課題となっているところでございます。
そのような中、政府におかれましても、これまで空き家問題に対してさまざまに取り組まれてきたことと思いますが、これまで空き家対策はどのように行ってきたか、そして、また本改正案では新たにどのような対策を打つことにしたのか、お伺いいたしたいと存じます。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
空き家対策においては、地域の実情に応じて、除却すべきものは除却し、活用できるものは活用するということが重要だというふうに考えております。
こうした中、空家等対策の推進に関する特別措置法が平成二十七年五月に全面施行され、国としては、地方公共団体が行う空き家の除却、活用等に対して社会資本整備交付金等による支援や、空き家の除却、市場への流通を図るための税制措置等を行っているところです。
また、空き家を利活用する取組として、持家として流通を促進する観点からは、インスペクションの活用や、消費者が安心して購入できる既存住宅に対し標章付与を行う安心R住宅制度をこの四月より開始したところです。
賃貸として活用する観点からは、民間の空き家、空き室を活用する新たな住宅セーフティーネット制度の取組も始めたところであります。
さらに、住宅を住宅以外の用途として活用する観点からは、今回の改正法案において、既存住宅・建築物の用途変更の円滑化に向けて、三階建ての戸建て住宅等を福祉施設等とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講ずることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする、あるいは、二百平米以下のほかの用途への転用は建築確認の手続を不要とするなど、建築規制の合理化を行うこととしております。
こうした取組を通じ、引き続き、空き家について全力で対策を講じてまいりたいと考えております。
○新谷委員 ありがとうございます。
これまでも、空き家を壊して取り除く場合、持家として活用する場合、借家として流通を後押しする場合、それぞれの用途において対応されてきたとのことでございました。今回は住宅以外の目的に転用する場合に対応するというこういうことでございまして、これからも、安全を確保しながら、空き家の活用をぜひ推し進めていただきたいと思います。
人口が減っている地域におきまして住民の方々がいかにして移動手段を確保するか、これも重要な課題となっているところでございます。需要が減ればバスなどの本数も減り、住みづらくなってまた人が去り、空き家が発生するなど、悪循環が起きるからでございます。
また、高齢者がみずから運転する場合も、近年、高齢ドライバーによる事故が深刻な問題として注目をされています。誰であっても、高齢者になれば年齢とともに認知機能が低下をしてきますし、近年、高齢ドライバーによって若い青少年の命が奪われるという悲惨な事故も起きておりまして、高齢者の代替移動手段の確保は急務となっているところでございます。
その中で、定期ルートに加えまして、状況に応じて決まった追加ルートを通るオンデマンド交通も、有効な場合があるのではないかと考えております。
しかし、人口減少地域で、ただでさえ苦しい既存のバス会社や交通機関の運営を圧迫して、地方交通、地域交通の廃止、引上げがあっては、元も子も失うことになります。ある程度やはり国が支援をしながら、さらに、地域の既存の交通機関をしっかりと活用する、そういったオンデマンドの交通の形も有効ではないかと私は考えているところでございます。
オンデマンド交通も含め、地域の移動手段の確保に向けた政府の取組をお伺いしたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省といたしましては、地域における移動手段の確保は重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
まず、そのための移動手段といたしましては、道路運送法による許可を受けましたバス、タクシー事業者による輸送がございます。これに対しましては、地域公共交通確保維持改善事業によりまして、地域交通の維持確保のため、必要な支援を行っているところでございます。
また、公共交通によることが困難な地域におきましては、地域公共交通会議などによる協議を経た上で実施をいたします自家用有償旅客運送制度により輸送の確保が行われております。これに対しましても地域公共交通確保維持改善事業によりまして必要な支援を行っておりますとともに、本年三月には、自家用有償旅客運送の導入円滑化のためのガイドラインを策定いたしまして、自治体等の関係者に周知をいたしました。
先生御指摘いただきましたオンデマンド交通は、これらの輸送モードにおきまして路線やダイヤをあらかじめ定めず、利用者のニーズに応じて柔軟に運行する形態であるというふうに認識をいたしております。
このオンデマンド交通は、事業者により運行されるものや、地域公共団体が主体となって運行されるものなどさまざまな形態がございますが、国土交通省といたしましては、地域の実情に応じまして関係者が協力、連携することにより適切な移動手段が確保されることが重要であるというふうに考えておりまして、これらの取組に対しまして、今後とも必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○新谷委員 ありがとうございます。
ぜひ、地域の実態に合った移動手段の確保を推し進めていただきたい、そのように存じます。
空き家対策としましては、先ほどお言葉をいただきました、インスペクションを活用する制度もございまして、空き家の流通を促進するというところでは、やはり大きな役割を果たすのは、宅建業者の皆様であると考えております。
既に政府にしていただいた対応で、昨年、宅建業者の皆様が受け取る報酬額に関する告示、これを改定していただきまして、物件価格が少額の場合でも、調査費用を含めて、実態に合った報酬額に引き上げていただきました。
これまでは、遠隔地の空き家に対しては、費用と報酬が釣り合っていないためにさまざま困難を伴うものがございましたが、今回の措置によりまして、空き家の流通を更に促していく、そのように期待をされるところでございます。
これからも、宅建業者の皆様を含め、官民がしっかりと連携をして空き家対策に取り組んでいく、その必要があると考えておりますが、空き家対策における官民連携に関して、石井大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 今後さらなる増加が見込まれる空き家につきましては、平成二十八年三月に閣議決定をいたしました住生活基本計画におきましても、増加幅の抑制を目標に掲げております。その実現に当たりましては、宅地建物取引業者等の民間事業者との連携が重要と考えております。
そこで、今委員から御紹介がございましたとおり、宅地建物取引業者が空き家等の媒介に積極的に取り組めるようにするために、低廉な空き家等について、売り主から現地調査等を考慮した報酬額として十八万円を上限に受領できるよう、告示の改正を昨年十二月に行い、本年一月一日より施行したところであります。
また、国土交通省では、課税情報を含む空き家所有者情報を市町村から民間事業者に提供する際の条件等について整理したガイドラインをこの六月八日に公表したところでありまして、今後、周知を図っていく予定であります。
加えて、本年度より、空き家に関する多様な相談にワンストップで対応できる人材の育成や、法務、不動産、建築等の専門家と連携をした相談体制を構築する地方公共団体等の取組について、モデル的に支援をすることとしております。
こうした取組を通じまして、引き続き、官民連携による空き家対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○新谷委員 ありがとうございます。ぜひ官民連携を推し進めていただきたい、そのように存じます。
次に、本改正案三本目の柱となります木造建築の推進という観点から質問をさせていただきます。
我が国は、大きな森林面積を持ちまして、豊富な森林資源を保有しております。本来であれば、国産木材をしっかり活用し、国土の保全、地域活性化をしていかなければならないところでございますが、現状は、輸入木材に押され、国産の木材の需要は伸び悩んでおります。
戦後、荒廃した森林の再生のために杉の植林が始まりまして、更に需要に応じるため、杉の植林は拡大されてきました。当時は、輸入木材の台頭、杉花粉症という病気の存在も認識はされておりませんでしたのでやむを得ないことでございますけれども、現状は、輸入木材に押されて、多くの杉が杉花粉をひたすら放出し続ける、そういった状態になっているところでございます。
杉の花粉症は今国民の三割がかかる国民病となっておりまして、花粉症による我が国の損害は、医療費などわかるものだけで年間約三千億円と言われているところでございます。これは大きな損失となっているところでございます。
今は花粉をほとんど出さない杉の苗木も開発されております。ぜひこれはやはり、国産木材の活用、そして、花粉を出さない杉への植えかえが望まれるところでございます。
今回、改正案では、木材活用を更に推進していく内容となっております。木材としての活用、木造建築にはコンクリートに比べ温かみがございます。
本日、林野庁にもお越しをいただいておりまして、今回、改正に際しまして、木材活用推進に関して、特に国産木材の活用推進という観点から意気込みをお伺いしたいと存じます。
○渡邊政府参考人 お答えをいたします。
国産材の利用促進に向けてという御質問でございました。
戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中で、林業の成長産業化に向けまして、国産材の安定的な供給を図るとともに、その需要拡大が重要な課題だというふうに認識をしているところでございます。
こうした中、今回御審議をいただいております建築基準法の改正案におきましては、高さが十三メートルを超える中層建築物の柱やはりなどにつきまして、木材がそのまま見える「あらわし」で使いやすくするなどの防火関係の規制の合理化措置が盛り込まれているということでございまして、建築物への木材利用の促進を後押ししていただけるものと考えているところでございます。
このような中、農林水産省では、国産材の需要拡大に向けまして、まず、建物の施主である企業などに対しまして国産材使用への理解の醸成を図るなど、木材利用促進の環境整備を行ってまいります。
また、公共建築物を始めまして、これまで余り木材が使われていなかった中高層ですとか中大規模の建築物や住宅以外の建築物の木造化、内装の木質化、さらには低層住宅における国産材利用の促進など、国産材の一層の利用促進に取り組むこととしているところでございます。
引き続き、国土交通省を始め関係省庁と連携をいたしまして、国産材の利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○新谷委員 ありがとうございます。
あと二問通告しておりましたが、時間となりましたので終了させていただきます。
ありがとうございました。
○鬼木委員長代理 次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。
まず、質問の冒頭、昨日、関西地域一円を襲いました大阪北部地震によりましてとうとい犠牲となられました四名の皆様に、心からの哀悼の意を表したいと思います。
また、犠牲になられた多くの皆様、被害を受けられた地域の皆様に対しましてもお見舞いを申し上げますとともに、私も昨日は神戸におりまして、久しぶりに阪神・淡路大震災のときを想起いたしました。被害に遭われた地域の一日も早い復旧復興に全力を尽くしてまいりますことをお誓い申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、今回の法改正とはちょっと違うんですが、大臣にちょっとお尋ねをさせていただければと思いますが、ブロック塀の倒壊によって犠牲となられた事案が今回も発生をいたしました。
これは、一九七八年、宮城県沖地震で十八名の方がブロック塀の倒壊によって犠牲になられ、それを受けて一九八一年に大きな改正がなされたというふうに承知をしております。
ブロック塀は今、私の知る限りでは、高さ二・二メートル以下、厚さは十五センチ以上、それで、九ミリ以上の鉄筋を縦横八十センチ以下の間隔で設置しなければいけないと相当厳しく法改正がされているはずでございますが、私自身も体験をいたしました阪神・淡路大震災のときも数多くのブロック塀の倒壊による犠牲が起こり、今回もまた起こってしまった。
こうしたことは、法改正はされても、恐らく、それ以前に建っているブロック塀若しくは法が守られていないブロック塀という存在が相当あるのではないか。
今回の法改正でも既存不適格の建築物をどうするのかといったことは問題の一つとなっていると思いますが、こうしたことというのは、何とかしなければいけない。
ただ、民民のところまでどうするかといったような話もありますけれども、例えば、今回、学校の通学路でのブロック塀の倒壊とかということがありましたので、優先度を決めて、これは文科省とも打合せをしなければいけないかと思いますが、やはり、政府を挙げてこうしたことの再発防止をする手だてを私はとるべきだというふうに思いますが、大臣の御決意をよろしくお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 大阪市、高槻市におきまして、塀が倒れることにより亡くなられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被害が生じたことについてはまことに遺憾に思います。
建築基準法におきましては、塀の構造に応じ、高さや控え壁、鉄筋の補強などを定めております。
今回被害のあった塀の構造等が現行基準に適合しているかどうかにつきましては、高槻市の事案については教育委員会が不適合と発表いたしましたが、最終的には特定行政庁が判断をすることになります。現場の映像では、基準に適合していない可能性が極めて高いと考えております。
塀の安全対策につきましては、昨日、総理から災害発生時における学校の安全確保について万全を尽くすよう指示があったことを踏まえまして、まずは小中学校の塀の安全点検について文部科学省と連携して取り組むとともに、今回の事案の原因を把握した上で、塀の所有者等に対し、特定行政庁を通じて必要な注意喚起をしてまいりたいと考えております。
〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕
○赤羽委員 どうか、人災ともいうような被害が再発しないように、ぜひ今の方針でしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、今回の倒壊したあのブロック塀が法改正を守られていたとするならば、今のこの基準でいいのかどうかとか、また、ブロック塀が建っているところ、建築物も一緒なんですけれども、この地面の下がもろくて倒れたということも十分あり得ると思いますので、そうした角度も踏まえて関係部局で検討していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
それでは、今回の建築基準法の一部改正について質問をさせていただきたいと思います。
平成二十八年十二月の糸魚川市の大規模火災におきまして百四十七棟が大変被害を受けたということでございます。これは、昭和五十一年の酒田の大火災以来、約四十年ぶりに百棟以上が焼損をしたという大きな事件でございました。
こうしたことも踏まえ今回の法改正に取り組まれたというふうに承知をしておりますが、いみじくも昨日の大阪北部地震でも、今、北側副代表とお話をしておりましたが、やはり密集市街地での火災というのは大変な大きな被害をもたらすものだということで、これは何とかしなければいけないということでありまして、私も全く同感でございますが、密集市街地域の延焼防止性能の高い建築物への建てかえ、また、改修促進が重要だということで今回法改正が設けられたというふうに思いますが、まず、この建てかえ促進を阻害している要因というのは国土交通省としてはどう分析をしていらっしゃるのか。回答をいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
密集市街地におきましては、接している前面道路の幅員が十分ではなく、かつ狭小な敷地であることから、建てかえ後に十分な建築面積を確保できないこと、それから、必要な道路に接しない敷地が存在すること、土地所有者、建物所有者、居住者がそれぞれ異なるなど権利関係がふくそうしていること、高齢化が進み、建てかえるための意欲に乏しいというところがあることなどの理由によりまして、建てかえが困難になる場合があるというふうに考えております。
○赤羽委員 今の御答弁どおりだと思います。
その中で、今回、この本改正案におきましては延焼防止性能の高い建築物の建ぺい率の緩和をするわけでございますけれども、この今回の法改正は、密集市街地における今言われた安全性能確保に具体的などのような効果をもたらすと期待しての法改正なのか、お答えいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、建てかえ後に十分な建築面積が確保できないようなケースに対しましては、改正法案に盛り込んでいる建ぺい率の緩和措置は、延焼防止性能の高い建築物を建設する場合に現行制度よりも広い建築面積を確保することが可能となるということになりますので、建てかえが促進されるものというふうに考えております。
密集市街地において老朽木造住宅から延焼防止性能の高い住宅等への建てかえを促進することにより、地域の延焼防止性能が向上することを期待して今回の改正法案に盛り込んだところでございます。
○赤羽委員 阪神・淡路大震災のときの経験からいいますと、やはり、セットバックをさせて幅広い道を確保して家を再建するときに、どうしても建ぺい率がそのままだとなかなか十分な居住空間がとれないということで、それは大事なことだというふうに思っておりますが、ただ、これはもうよくよく承知だと思いますけれども、それをすれば家を再建できる、建て直すことができるという方たちは、一部分というか、だというふうに思います。
再建の経済的な資力がある人たちはできるかもしれませんが、今、局長の答弁にもありましたけれども、恐らく高齢者の単独居住世帯も相当多いでしょうし、先ほどの御質問にもありましたけれども、多くの密集市街地、空き家であるケースも相当あったのではないかと思います。
今回の糸魚川の大規模の火災も百四十七棟が焼失をしたとか報道がありますが、恐らく、そのうち空き家になっていたのは相当あったのではないかというふうに想像するわけでありますが、今回の法制だけでは必ずしも密集市街地の安全確保、全面的な改善にはなかなかつながらないのではないか。
そうした意味で、それ以外の対策についてはどのように考えているのか、検討をされるとしているのか、お答えをいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
密集市街地においては、御指摘のとおり、空き家の増大や高齢化の進展等の課題についても指摘されているところでございます。
空き家の増大に対応するためには、安全確保の観点から、まず、除却するべきものは除却するということで現在強力に支援を行っているところであります。
また、高齢化への対応といたしましては、自力での建てかえの促進だけではなく、道路、公園等の整備に伴い移転が必要となる高齢者等への受皿住宅の供給ですとか、あるいは、周辺を含めた共同建てかえや耐震改修等に対する支援などの働きかけを進めているところでございます。
これまで進めてきました道路、公園等の整備や住宅、建築物の耐震化、不燃化とあわせて、こうした地域課題に対応したきめ細かい取組を通じまして、危険な密集市街地の解消に向け、地方公共団体と協力して取り組んでまいりたいと考えております。
○赤羽委員 地方公共団体が、我が地域の中でどれだけ延焼可能性の高い、リスクのある地域かということはやはり自覚をして、どう取り組むかというのは大事だというふうに、答弁のとおりだと思います。
私はこれからの省内でのそれぞれの検討を待ちたいと思いますが、空き家を特定空き家として除却できるような手法というのは、やはり密集市街地もある意味で特定化をして、その中にさまざまな特別な支援策というものを講じていかなければ、また同じようなことが繰り返されてしまうのではないかということは強く要望したい、こう思っております。
この今回の法改正の中に、既存不適格の建築物に対して指導、助言ができるようにしたということでございますが、今まで現行法でも、行政から勧告、命令の適用ができるとありましたが、御報告では、勧告を適用した例はごく少数であったと。
なぜそうした少数だったのかという理由と同時に、今回の法改正案でその勧告、命令を誘導できる仕組みの導入をすることになった。この法改正に対する期待される効果ということはどう考えているのか。御答弁いただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
現行の勧告、命令の適用がごく少ない理由ということでまずございますが、特定行政庁においては、職員によるパトロールや一般の方からの通報によりまして、保安上危険又は衛生上有害な既存不適格建築物の把握に努めてきたところであります。
この際、勧告や命令による対応は行政処分としては極めて厳しいということがございまして、行政指導によって慎重に対応してきたことが多かったというふうに認識しておりまして、このため、法に基づく勧告、命令制度が活用されるケースが少数にとどまっているというふうに考えております。
それで、今回の改正法案において行政による指導、助言できる仕組みというのを導入したということでございますが、既存建築物に対しましては、先ほど申し上げましたように、特定行政庁が基準法によらない行政指導によって対応するケースが対象ということでございましたが、今回の改正法案によりまして、勧告、命令に加えて、建築基準法に基づく指導、助言というのが可能になることになります。
このことによりまして、既存不適格建築物に対して初期の段階から予防的な対応が可能となることで、対応の幅が広がり、保安上危険又は衛生上有害な状態に至るものが減少するということをまず期待したいと思います。
また、行政から建築主に対して、建築基準法に基づく指導、助言、勧告、命令と段階的に行うことが可能となりますので、このことによって、結果的に勧告、命令にしやすくなるといいましょうか、こういった段階を踏みやすくなるということで、既存不適格建築物の改善が進みやすくなるというふうに考えております。
○赤羽委員 ぜひ法改正の趣旨にのっとって、少しでも既存不適格建築物の改善がなされることを強く期待したいと思います。
もう時間も迫っておりますので、最後の一問。
既存住宅の活用ということでさまざまな法改正がなされるわけでありますが、ちょっと法改正の内容とは少し違いますが、災害関連でいいますと、やはり、大規模災害が起こったときの仮設住宅とか避難所というのは人道上もどうかと私はずっと思っておりまして、空き家を十分活用するということが大事だというふうに思っております。
ですから、日ごろから空き家を、防災関連の登録システム、もうできていると思いますが、こうしたことを促進させながら、実際使えるためのリフォームというのが最低限必要だと思いますので、それに対する支援策もしっかり講じて万全を期していただきたいと思います。
最後に、局長から御答弁あればよろしくお願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
災害時に被災者の住まいを迅速に確保するため、空き家や賃貸住宅の活用を図ることは非常に重要であるというふうに考えております。
国土交通省におきましては、内閣府と連携し、都道府県及び関係団体に対して、民間賃貸住宅の被災者への提供に関する協定の締結の促進等について通知するとともに、応急借り上げ住宅の円滑な提供に関する手引を提供するなどを行ってきたところであります。
また、民間の空き家や空き室を活用し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録等を進める新たな住宅セーフティーネット制度におきましても、被災者を住宅確保要配慮者として位置づけておりまして、登録されたセーフティーネット住宅の改修についても支援を行っているところであります。
今後とも、関係省庁、都道府県等、関係団体と協力して空き家や賃貸住宅の所有者に働きかけを行いながら、応急仮設住宅や災害公営住宅、セーフティーネット住宅など、災害時における被災者の住まいの確保に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○赤羽委員 どうもありがとうございました。
今回の法改正が我が国の防災・減災力の向上につながるものということを強く期待しまして、質問を終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、末松義規君。
○末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。
まずは、昨日の大阪北部の地震の犠牲者の方々、また被災者の方々に、心から哀悼の誠とお見舞いを申し上げたいと思います。
その上で、私、実は立憲民主党のUR住宅居住者を支援する議員連盟の会長を務めさせていただいておりまして、きょうは、矢上筆頭理事を始めとして、議連メンバーでもあり、またかつ、当委員会のメンバーでもございます、初鹿先生、森山先生、早稲田先生、道下先生の温かい御配慮を賜って、代表して十五分間質問させていただきます。
まず、建築基準法の改正案についても一言質問させていただきますけれども、建築確認を要しない二百平米以下の小規模な事務所や戸建て住宅からの老人ホーム等への用途変更を可能としたことは評価に値しますけれども、政策的に更に促進する必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案では、戸建て住宅等を老人ホーム等に転用する場合についての防火規制や手続の合理化を図っているところですが、老人ホーム等への転用の促進に向けて、今回の改正内容の普及に努めるとともに、住宅セーフティーネット制度における改修支援などを通じ、地域のニーズに適切に応えるよう努めてまいりたいと思います。
○末松委員 ありがとうございました。
では、URの住宅の環境及び居住者の生活安定について御質問申し上げます。
私も二十年近くUR住宅居住者の側に立って活動してまいりまして、特に、二〇一六年にURの自治協議会の方々がアンケートをとって、そして、そこで実態としてわかったのが、数十年間ずっとURに住み続けたお得意さん、いわばURの大ファンの方が高齢化に伴って低所得化していきまして、年金が減少し、また、連れ合いが亡くなられて、そこでかなり生活が困窮してきたということとか、あるいは、高度障がいを持ったり、障がい者になって大変なこととなって家賃の支払いに苦しんでいる姿を見て、非常に私、心を痛めてきたわけでございます。
URがついの住みかとならず、家賃不払いの不安とか、あるいは追い出される恐怖とか、こういったものを抱えながら住まわれていることに対して、本当にそこはもう同情の念を禁じ得ないわけでございます。
さらに具体的に言えば、例えば私の選挙区の中にある小平団地の例なんかは、収入が年金で月七万円、家賃が六万八千円で、貯金をとにかく切り崩しながら生活していて、その貯金がなくなってきて非常に不安を覚えている方とか、この近くの滝山団地の例は、収入が年金で月七万五千円、家賃が約六万円で、生活費が一万五千円で、本当にけちけち生活、ぎりぎり生活でやっている方々もおられるわけです。また、さらに近くの武蔵野緑町のパークタウンの例なんかは、収支がとんとんで、URのコミュニティーから追い出されたらもう生きていけないという非常に厳しい環境の中に置かれている、こういう実態が明らかになってきたわけです。
確かにUR側も、資料の一と二に書いてございますように、有名なUR法の二十五条第四項、それから平成十五年の附帯決議の中で、下線を引いておりますけれども、「低所得の高齢者等に対する家賃の減免」を踏まえてやっておられる。努力していることは認めておりますし、また、UR自身が経営の効率化とかあるいは収益拡大を迫られているということも理解できるわけです。
さらに、ちょっと見ていくと、資料の三に書いてございますように、URの方で新しい居住者に対して家賃減免措置をやられたり、また、数十年居住している方々に対しても、ストック再生・再編に伴う場合の減額措置や家賃改定時の減額措置はなされているんです。
ただ、私が問題として思うのは、先ほどのアンケートにあるような、純粋な意味で低所得の高齢者の方々に対して家賃の減免というものが一度もなされたことがないということ、これをURの関係者からも証言として聞いているわけなんです。ここは国会でもたびたびこれは問題になって、二〇一六年とかことしとか、いろいろな方々がこれを問題にしておられるわけです。
こういう厳しい現状を、国交省側もそこは重要な認識として持っておられますでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省においては、全国公団住宅自治会協議会等からUR賃貸住宅居住者の実態等についてお聞きしておりまして、家賃が払えなくなるといった不安を感じている方がいらっしゃるということにつきましては承知しております。
○末松委員 そこで、具体的に聞きますけれども、三カ月たったら、家賃滞納をした場合に、法的な措置で明渡しが求められると聞いているんですけれども、直近のそういった法的措置の件数とか、特に四、五十年住み続けた高齢居住者の方々の追い出しというんですか、そういう形での強制手段が執行された数というのは把握をどういうふうにされていますか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
当機構では、賃貸借契約におきまして、家賃等の滞納が三カ月以上に及んだ場合には契約を解除させていただく旨、約定をしております。
お尋ねの法的措置により明渡しをしていただいた件数につきましては、平成二十五年度では約二千五百件でございました。昨年度、平成二十九年度においては約二千件と減少傾向になっておりますが、五年間では約一万一千五百件という状況でございます。
それから、このうち法的措置で退去された方の居住年数の分析ということは、正確な数値をお答えすることはできませんけれども、参考数値といたしまして、その対象となり得る三カ月以上の滞納をされている方の居住年数を見てみますと、居住年数が十年以下の方が六割強を占めておるという状況でございまして、相対的には、居住年数の短い方がより滞納されるケースが多いというふうに認識をしております。
○末松委員 ということであれば、本当に、居住年数が低い方の方がかなりそういった家賃滞納という状況もある。逆に言えば、四十年、五十年、ずっと住み続けて、ついの住みかと認識されておられる方々は、そこは本当にそれなりに責任を持ってずっと家賃も払い続けているわけでございます。そういった方々が今非常に厳しい困難な状況を迎えているということでございます。
そこで、これは国会でもたびたび問題になったわけですけれども、私も際限なく家賃の減免を求めているというわけではないんですけれども、やはり四、五十年、草分け的にURの住宅に、旧住宅公団の住宅に住み続けてこられて、URのいわゆる大ファンであり、大のお得意さんですよね。また、長老的なとも言える高齢居住者に対して、やはりそこは生活の安定という基準からしっかりと、全く実績がゼロということではなくて、何らかの形で、例えば年齢とか、あるいは居住年数とか、あるいは地域コミュニティーでの活動実績とか、さらに収入とか、また、障がい者ならば障がいの程度とかいうことを条件化して、やはり本当に困窮した方々、二十五条の第四項にあるような本当に困窮した高齢居住者の方々に家賃の減額をしっかりとこれから検討していく、そして改善をしていくということがあってしかるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
URといたしましては、住宅政策においてセーフティーネットの役割を担っていることを踏まえまして、都市再生機構法二十五条四項に基づき、国の支援もいただき、平成二十八年度におきましては約七万四千世帯の方々の低所得の高齢者等の方々に家賃減額措置を実施しておるところでございます。
また、委員からも御指摘いただきましたが、一方では多額の有利子負債を抱えておりまして、健全な経営を確保するために経営改善に努めているところでもございます。
UR賃貸住宅に長期にお住まいいただいている方の中に、二十五条四項に基づく家賃減額の拡充の御要望があることは承知をいたしております。家賃を、市場価格、いわゆる近傍同種家賃とする機構法の趣旨、さらには経営改善の必要性等を踏まえますと、全ての御要望に沿うことはなかなか難しいと認識をしておるところでございます。
それから、先ほどの御質問とも少し重複をいたしますけれども、経済状況の変化等によって家賃のお支払いが困難となられた方につきましては、個別の事情をよくお伺いをして、さまざまな公的制度の御紹介、さらには地方公共団体の公営住宅の窓口の御紹介、福祉部局の窓口の御紹介、地域の支援団体の御紹介、さまざまな対応を行っておりますし、機構自身も、家賃のお支払いが滞っている状況の場合、一括に御返済いただくだけではなくて、それぞれの事情に応じて計画的にお支払いいただくような提案をさせていただきますなど、可能な限り柔軟な対応をとるよう努めておるところでございまして、機械的に訴訟をしておるということではございません。
URといたしましては、今後も、社会の動向、それを踏まえた政策上の要請、こういったものを見きわめながら、国や地方公共団体とも協議をして適切に対応してまいりたいと考えております。
○末松委員 ありがとうございます。
ただ、そこでもやはり例としてはかなり絞られるかもしれませんけれども、そういった救済の必要が本当にあるんだというときは、公的な住宅とかあるいは地方自治体とかだけに投げないで、UR自身もそこのところをしっかりと、実績はゼロというんじゃなくて、そこは本当に、困窮した中でもこの改善をやっていただきたいということを改めてお願いを申し上げます。
大臣にもこの際一言、こういった、ある意味では本当に草分け的なこのお住まいになられた方々に、ぜひちょっとそこの御決意をよろしくお願い申し上げます。
○石井国務大臣 少子高齢化が進展する中で、UR賃貸住宅は、高齢者や子育て世帯など、民間市場で入居を拒まれるなどの制約を受けがちな弱い立場の方の受皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められております。
一方、URは、多額の有利子負債を抱える中、適切な賃貸住宅管理により、健全な経営の確保も求められております。
こういった中で、UR賃貸住宅においては、都市再生機構法第二十五条第四項に基づき、高齢者向け優良賃貸住宅に居住する世帯への家賃減額措置や、既存の居住者に対しては、建てかえ時や家賃改定時に家賃上昇を抑制するための家賃減額措置などを講じており、国としても、家賃減額を行うURに対して支援を行っているところであります。
今後とも、住宅セーフティーネットの役割と健全な経営の両立を図っていけるよう、法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減額措置を講じてまいりたいと考えております。
○末松委員 ぜひ、そこは本当に実態を踏まえた形でやっていただくことを改めてお願いを申し上げます。
質問は最後となりますけれども、高齢者向け優良賃貸住宅などへの入居に際しまして、ある一定の割合を、本当についの住みかとして考えている方々に、当該地の長期居住者、高齢居住者ですかに割り当てるということも推進していただくことは有効かと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
高齢者向け優良賃貸住宅に御入居いただく方を公募いたしまして抽せんにより御入居者を決めさせていただく場合、この場合には、UR賃貸住宅にお住まいの方に対し、その他の方に比べ二倍の当せん率となるよう倍率の優遇措置を設けておるところでございます。
また、団地にお住まいの方からお問合せ等をいただきますれば、高優賃の空き状況、その時点での募集中の住宅の有無等、さまざまな情報提供をさせていただいておるところでございます。
今後も、団地にお住まいの方に対し適切に対応することにより、居住の安定確保に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○末松委員 これで質問を終わりますけれども、高齢居住者の方が追い出されて本当にどこも行き場がないようなとき、ぜひそこは一番相談に乗っていただいて、ぜひ実績として、そういった方々を救うということを改めてお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、早稲田夕季君。
○早稲田委員 続きまして立憲民主党の早稲田夕季でございます。順次質問をさせていただきます。
冒頭、昨日の十八日、大阪北部を震源地といたしますマグニチュード六・一の地震が発生をいたしまして、高槻市では九歳の小学生の女の子を含む三名の方がお亡くなりになられまして、けがをされた方もたくさんおられると聞いております。
まず、亡くなった方々の御冥福と、そしてまた、けがをされた方、被災をされた方々に、一日も早い御回復と、それからまた、復旧に際しましては私たち国会としても全党挙げて取り組んでいくことを申し上げまして、質問に入らせていただきます。
今回の建築基準法の一部改正でございますが、これは、二〇一六年の、住宅が約百五十棟も消失をするという新潟県糸魚川市の大火であり、それから二〇一七年、埼玉県でもアスクルの倉庫火災がございまして、十日間も燃え続けるという大変な大規模火災でございました。こうした相次いだ大きな火災も踏まえての、今回、建築基準法一部改正だと承知をしているところでございます。
まず、倉庫に絡みまして、八条二項にございます改正案ですが、大規模倉庫等にも必要に応じた維持保全計画の作成等が義務づけられることになりました。しかしながら、定期報告の義務は課されておりません。
そういう中で、防火設備等の適切な維持管理の促進に向けて第一歩だとは思いますけれども、適切な維持管理をどのように、関係部局、また消防とも連携をしながら取り組まれようと政府として考えておられるのか。伺います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十九年二月に発生した埼玉県三芳町倉庫火災については、十二日間にわたって火災が継続したことから、総務省消防庁と共同で有識者等から成る検討会を設置し、同年六月に報告が取りまとめられております。
今回の改正法案では、この報告において示されている提言を踏まえて、大規模倉庫等の事業者みずからが防火シャッターについて、点検の実施体制や時期などに関する維持管理計画を定め、その内容に応じて適切に倉庫の日常的な維持管理を行うこととしております。
これについては定期報告の対象とはしておりませんが、検討会による提言を踏まえまして、特定行政庁において消防部局と連携し、防災査察等を通じて維持管理計画の作成や実施を確認、指導することとしておりまして、このことにより実効性を確保してまいります。
○早稲田委員 今、御答弁をいただきました。消防、それから市町村とも連携をしてということでございますが、この定期報告が義務づけをされております例えば旅館とかホテル、スーパーなどにおいても、是正の指摘が多いもののトップスリーに、防火扉、防火シャッター等が入っております。
しかもまた、消防の方の査察ですけれども、これは事前の通告があって、そして査察に入られるということが普通でございますので、そうしますとなかなか、スーパーなどでもそのときだけは片づけるとか、そういうことが間々行われてしまうということでありますので、そこのところは、こういうアスクルのような大きな倉庫においてはもっと重要な案件になってまいりますので、防火シャッターが下がらないというようなことが絶対にないように、消防の査察についても、また、国交省としても今後検討をしていただきたいと要望をさせていただきます。
次に、用途変更の用途として割合の高い児童福祉施設等や飲食店、このことについて、二十七条一項で改正が出ておりますので伺ってまいりますが、まず、小規模住宅や事務所等に用途変更をするのと比べて、こうした児童福祉施設等についてはどのような規制が本来はあるのでしょうか。
そしてまた、今回は、三階建て二百平米以下の特殊建築物の用途変更は確認申請なしで行われるということになりました。ここにおきまして、警報設備等をつければ足りるということで、壁とか柱等の耐火構造をする改修が不要となりますけれども、この実効性が担保されるのかということもございますので、ぜひその点について御回答をいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案における見直しの対象である三階建てで延べ面積二百平方メートル未満の小規模な建築物について、限定してお答えをさせていただきたいというふうに思います。
まず規制の内容でございますが、戸建て住宅や事務所であれば特段の規制がないのに対しまして、就寝利用を伴わない、要は、寝泊まりをしない用途でありますと非常用照明の設置などが必要となりまして、就寝利用を伴う用途であれば、これに加えて警報設備の設置や階段の安全措置などが必要となります。
この基準への適合措置ということでございますが、今回の改正法案では、用途変更に係る手続が不要な規模を百平方メートル以下から二百平方メートル以下とすることとしておりますが、確認手続は不要となっても基準への適合義務は引き続き課されることになりますから、基本的には、建築主の責任により用途変更の際に求められる措置を講ずることとなります。
また、用途変更に当たって、壁や柱などの構造躯体にかかわる増改築等を伴うものにつきましては、建築確認が必要となって建築士が関与することとなります。
さらに、違法な状態になったものにつきましては、特定行政庁による是正指導を行うほかに、改修等に建築士が関与していた場合は当該建築士への厳正な処分を行う、こういうことになります。
○早稲田委員 続いて、小規模な社会福祉施設の防火対策についても伺います。
この防火、避難、安全面に対する配慮といたしまして、自力で避難をすることが困難な方が多数いる老人のグループホームでありますとか保育園の施設については、避難時間の長短だけではなく、垂直避難ということの困難さを考慮した追加の防火設備等を加えていく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案では、三階建てで延べ面積二百平方メートル未満の小規模な建築物であれば、在館者が迅速に避難できる措置を講ずることで、耐火建築物とすることを不要としております。
この在館者が迅速に避難できる措置につきましては、具体的には、利用者が寝泊まりするいわゆる就寝用途については、就寝中であっても火災の発生を早期に覚知できるよう、各居室において連動して作動する警報設備の設置を条件とする予定であります。
さらに、就寝用途のうち、高齢者などが専ら利用するグループホームなどにつきましては、これは夜間も含めて介助者による避難誘導がなされるとは考えますが、当然、避難経路について、距離だけではなく、階段における垂直移動に時間を要することも含めて避難時間を考慮しておりまして、これによりまして、階段への火災拡大を抑制するための措置として、階段等と居室との間の扉の設置などを求める予定としております。
このような措置によりまして、高齢者の方々が利用する福祉施設等についても避難安全性が確保されるものと考えております。
○早稲田委員 今御答弁でございました警報器、そしてまたそれに加えて、高齢者の施設の場合、垂直避難をきちんとさせられるように、防火扉であるとか、それからもちろん非常灯は当たり前ですけれども、そういうことの設備で避難が可能というお話ですけれども、なかなか机上のシミュレーションだけではわからないことが実際あるし、それから時間帯にもよりますし、いろいろなことが複合的に重なっていくことはもちろん十分に御議論いただいているとは思いますけれども、更にそうした視点も踏まえて実効性のあるものにしていただきたいと思います。
次に、四階以上の木造建築物を準耐火構造でも可能とするということについて、二十一条一項でございますが、これについては、消火の措置、つまりは、消火活動という人的な要素を前提にして基準緩和を図るものだと理解をしておりますが、想定外の出火でありますとか、まあ大体が想定外でございますけれども、通報がおくれるなどもあります。にもかかわりませず、通常の火災終了時間までに消火が間に合わないということもあるわけで、この点につきましては、消防の措置というのを基準緩和に入れたその理由と、それから、消防関係者の知見を十分に生かしたものであったかどうか。もう一度確認をさせてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案では、国土技術政策総合研究所が実施している防火・避難に関する総合技術開発プロジェクトにおいて、実験や検証法の研究開発等により得られた知見をもとに、木材利用に関する社会的ニーズも踏まえ、安全性の確保を前提とした見直しを行うこととしております。
総務省消防庁には本プロジェクトに委員として御参加いただくとともに、実火災を再現した消火実験への助言をいただくなど、御協力をいただいております。
また、全国の消防本部の消防長によって構成される全国消防長会とも適宜意見交換を行いつつ、改正案に対する要望をいただくなど、継続的に御協力をいただいているところであります。
国土交通省といたしましては、中層建築物について、消火が円滑化される措置や、柱やはりを太くして燃え残り部分をふやす措置を組み合わせることで、火災の終了時まで倒壊しない性能を建築物全体で確保することとしております。
引き続き、御指摘の点も含め、総務省消防庁や全国消防長会からの御意見を踏まえるなど、丁寧に基準の見直しを行ってまいります。
○早稲田委員 消防関係者ももちろんその検討会に入っていらっしゃることは承知をしております。
ただ、ここの、今改正案が出されている現在においても、消防関係の有識者の方からも、この消防措置というのを入れることについては、やはりまだまだ、幾ら研究所のシミュレーションの結果であるとは言っても、どんな要因がそこに起こって非常におくれるということもあるので、しっかりとそこはやってもらいたいというお話も出ておりますので、引き続きここは注視をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それから、五十三条の三項でございますが、延焼防止性能を有する建築物に関する建ぺい率規制の合理化でございます。
これについては、先ほども御質疑がございましたけれども、延焼防止機能を有する建築物の一層普及を図るために建ぺい率を緩和する。一〇%ということであります。
大阪市においては、既に六〇パーから八〇パーに建ぺい率を緩和して、準耐火建築物以上にするように防火規制を強化されているということで、先ほど、その効果ということで千五百件のそういうものがあったということでございますが、それでは、このことについて課題はどのように認識されておりますでしょうか。大阪市の事例などを踏まえて教えていただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、大阪市においては、平成十六年から市内の密集市街地等を対象に、建ぺい率の緩和と防火規制の強化をセットで適用しておりまして、平成二十六年度までに約千五百件の適用実績を上げておりまして、こうした措置は地域の安全性の向上に寄与しているものというふうに考えております。
今回の建ぺい率の緩和措置は、接道要件を満たさず、建てかえる際にセットバックが必要となる場合に、現行より広い建築面積を確保することが可能となるため、接道要件を満たさない敷地の多い密集市街地において、延焼防止性能の高い住宅等への建てかえの促進につながるものというふうに考えておりますが、今後、この内容の周知ですとか、あるいはセットバックをしたとしてもなお敷地が狭い、あるいは、先ほどの密集市街地において御指摘がありましたとおり、高齢者が多いとか、さまざまなほかのものによって密集市街地の整備が遅延しているということがございます。こういったところにつきましては、こういう規制緩和とあわせて、事業を組み合わせて整備をしていく必要があるのではないかな、このように考えております。
○早稲田委員 今、セットバックをして敷地が狭くなると建てにくいから、そこを一〇%というこの緩和があるんだというお話でございました。
確かに、ここで促進をしていかれるように私も注視をしておりますけれども、さらに、先ほど来質問させてきていただきましたのは、やはり安全性ということがこの合理化によって損なわれるようなことがあってはなりませんので、ぜひそのシミュレーションはシミュレーションとして、実際の事例などをよく研究をされて、また、さらなる基準の設定に当たりましてはお考えをいただくことを要望いたしまして、この項は終わらせていただきます。
次に、本当に災害はいつ襲うかわからないということで、私たちも、そのときは非常に考えるわけですけれども、少し時間がたってしまうとやはり忘れがちになってしまうということがございます。
そしてまた、東日本大震災では津波ということが、大津波で大変な被害があったわけですけれども、このことについて、津波の対策、私の地元の鎌倉を含め、大変沿岸部でこの懸念、心配が大きいところでございますので、順次質問をさせていただきます。
六月七日、日本土木学会から衝撃的な数値結果が発表されました。南海トラフが発生した場合、二十年間の経済的被害は最悪で千四百十兆円、首都直下型では七百七十八兆円という被害でございます。このことを考えましても、直近の国内のGDPが五百五十兆円程度でございますので、いかにこの被害、もちろん人的被害も、それに加えて経済的被害もということがありますので、やはり私たちは備えをできる限り尽くしてまいらなければならないと思っております。
そして、この南海トラフ、それから首都直下型、いろいろ被害の推計がされておるわけですけれども、沿岸部に津波が起こった場合、南海トラフ関係のものでも、私の地元の鎌倉市では最大で十四・五メートルが十分でということに、さらに短く時間もなってしまいまして、大変なことだと思っております。二宮町では十七メートルが、これも三分で襲来するのではないかという衝撃的な数字であります。
ぜひ皆様にも見ていただきたいのは、鎌倉市のホームページでこのシミュレーションをやっております。これをやると地価が下がるとか大変言われましたけれども、やはり市民の方、それから、市民ではなくても鎌倉観光に訪れていただく方にいかにこの津波のときの被害の大きさを、そしてまた、いかに自分が逃げるかということをわかっていただくためにこのシミュレーションの動画をアップしておりますので、ぜひ皆様にもごらんをいただきたいと思います。
そういう視点に立ってでございますが、駅の問題、駅と津波対策の防災対策ということを伺いたいと思います。
少し前ですが、五月三十一日の東洋経済のオンラインにおいて、これは首都圏に限られておりますが、大地震で大津波が来る駅のランキングという記事が掲載をされました。これも私の地元でも六駅ぐらいが入っておりまして、この防災対策をどのようにしていこうかということは直近の課題でございます。
その中で、特に東日本大震災のときには、江ノ電の駅あるいは鎌倉駅を中心に観光客の方が、市民の方よりも、市民の数の大体百倍の観光客がいらっしゃいますので、その観光客の方があふれ返るということになりました。そのことを踏まえても、やはり駅の津波の対策は地震とあわせて大変重要なことだと考えます。
それで、国交省の方に、政府の方にこの対策はどのようになっていますかということで教えていただきましたところ、津波発生時における鉄道旅客の安全確保に関する協議会報告書というのが二十五年の二月に提出をされております。ここを見ますと、アンケート調査をされて、そして、JRから中小の本当に小さい各鉄道事業者まで、津波の被害があろうと考えられるところに全てお答えをいただいておりまして、詳細な調査は載っております。アンケート結果は載っております。
しかし、これが、私はガイドラインのような形でやはり国が示すべきではないかと考えております。その中で、フォローアップも何年かごとにやっていらっしゃるようなので、このフォローアップの状況と、それから、そのフォローアップが次につながるように、もっと津波対策が進んでいくようにするためには、ぜひ、フォローアップの実効性、そしてまたガイドラインを今後作成することを御検討いただきたいという意味も含めまして、大臣にお伺いいたします。
○石井国務大臣 国土交通省におきましては、東日本大震災発災後、鉄道事業者や研究機関とともに協議会を開催をいたしまして、津波からの迅速な避難方策等について検討を行い、平成二十五年二月に、津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例について取りまとめを行いました。
取りまとめにおきましては、浸水可能性がある区間の指定、津波発生情報の収集、避難誘導時の対応、マニュアル等の整備及び教育・訓練に関しまして、鉄道事業者が対応すべき内容について定めているところであります。
津波からの迅速な避難を実現をし、命を守るためには、鉄道事業者はこれらの内容を速やかに実施するとともに、ハザードマップの見直しに対応した区間の見直しや、さまざまな状況を想定した訓練内容の見直しを行う等、実効性のあるフォローアップを行っていく必要があると考えております。
以上の観点から、国土交通省といたしましては、引き続き、鉄道事業者に対しまして適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
○早稲田委員 今、御説明をいただきました。浸水の可能性がある区間の有無とか情報の収集手段とか、いろいろそれぞれの事業者がやっておるということではありますけれども、やはりその鉄道事業者の、もちろんJRのような大きいところはしっかりとここをつくり込んでいるはずだと思いますが、いろいろ民間各社によって差があるのではないかと私は感じているところです。
そしてまた、避難の方法についても、それから避難訓練についても、そうそうどこもがやられているとは思えないわけでございまして、こういうこともやはり国で指針を示すことによってもっとそういうことが進むのではないかと思いますので、ぜひそこも今後の課題として国がガイドラインを、駅の防災対策を進めていただく。何も津波だけではございませんので、やっていただけるようにお願いをしたいと思います。
特に観光地でありますと、どこに避難をするかというのが、これは防災マップなどを壁面に張ってはいらっしゃいますけれども、一々見ていないわけです、観光で訪れていらっしゃる方は。それを、大きくここですというような感じで駅前のビルをきちんと指定しておくとか、そういう単純なことでも、人の生死にかかわる大きな問題だと思っておりますので、そういうことが進むように、国としてもぜひ具体の取組としてガイドラインということをお考えをいただきたいと思います。
そして続きまして、その避難する場所なんですけれども、沿岸部の駅周辺の避難対策としては、避難ビル、これは既存のビルを避難ビルに指定するだけのことでありますけれども、これもなかなか進んでいない状況があるのではないかと思います。そしてまた、できる場所があれば、当然避難タワーも有効でありますし、あとは避難階段というものもあります。
こういうことについて、どうなんでしょうか、国としてもいろいろ支援をしていただいていると思いますけれども、まだ全国的にも、これをどのくらいでは東日本大震災後にやりましたかというと、その集計も国としてはできていないような状況でありますので、その進捗もきちんと確かめていただく中で、支援ということ、市町村に対する支援も、ぜひバックアップを財政的支援も含めてやっていただきたいと思いますが、参考人にお伺いします。
○伊丹政府参考人 お答えいたします。
津波の発生に備えまして、避難ビル、避難タワー、避難階段の指定や整備に取り組むことは有効な避難対策であると考えております。
このため内閣府におきましては、避難ビルや避難タワーの指定や整備を促進すべく、平成十七年に、それらの要件及び留意点についてまとめた津波避難ビル等に係るガイドラインを策定いたしまして、地方公共団体へ周知いたしてまいりました。
その後、平成二十三年に発生いたしました東日本大震災の教訓を踏まえ、津波防災地域づくりに関する法律が制定され、これに基づいて指定避難施設の構造要件等の規定が整備されましたことから、先ほど申し上げました津波避難ビル等に係るガイドラインとの関係について整理し、「津波避難ビル等を活用した津波防災対策の推進について」と題する技術的助言を平成二十九年に発出し、地方公共団体に周知しているところでございます。
あわせまして、避難ビルや避難タワーの指定等に関する理解を具体的に深めていただくため、参考となります事例を「津波避難ビル等に係る事例集」として取りまとめ、地方公共団体に周知しております。
また、財政的支援といたしましては、平成二十五年に南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が制定されまして、津波避難対策特別強化地域においては、新たに、避難施設、避難経路の整備等に対しまして国庫補助率のかさ上げ特例が位置づけられております。
内閣府といたしましては、関係省庁と連絡を図りつつ、引き続き、津波避難ビル等の指定や整備を促進してまいりたいと考えております。
○早稲田委員 ありがとうございます。
ガイドラインも、そしてまた事例集もつくっていただき、財政的支援もされているということではございますが、なかなか全国的に見ますと、各県で、進んでいるところ、進んでいないところ、大変顕著でございます。
特に、高知であるとか静岡県、こういうところは、津波避難階段というもの、それから避難タワーも、東日本大震災以前からやっていることもありまして、非常にたくさんあります。それだけ危機感をお持ちであるんだと思いますけれども、こういうことも一応国が、やはり全国ではどのくらい進んでいるのか、全県で、そういう各県の状況も取りまとめをいただいて、せっかく事例集まで出していただいているのですから、ここまで来て、東日本からは七年目でございますから、ぜひそういう実績を見ていただきたい。そしてまた、さらなる助言をしていただく、財政支援をしていただく、この基礎にするようなものをやっていただきたいと思いますので、要望させていただきます。
それでは、昨日の大阪北部の地震で、ブロック塀の倒壊で女児が犠牲となりました。大変痛ましいことでございます。
このことにつきましては規制強化が一九八一年にはされてはおりますけれども、この強化が果たして実効性のあるものだったのかということを疑わざるを得ない状況になっております。
この中で、文科省との連携もございます。省庁を超えて老朽化対策、そしてまた、その前に即安全の確認をしていただきたいと思いますけれども、この御決意について大臣からお述べをいただきたいと思います。
○石井国務大臣 大阪市、高槻市におきまして塀が倒れることにより亡くなられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被害が生じたことについてはまことに遺憾に思っております。
建築基準法におきましては、塀の構造に応じ、高さや控え壁、鉄筋の補強などを定めております。今回の改正法案は、当該規制の見直しを含むものではございません。
昨日の地震によって被害のあった塀の構造等が現行基準に適合しているかどうかにつきましては、高槻市の事案については、教育委員会は不適合と発表しておりますが、最終的には特定行政庁が判断することになります。現場の映像では、基準に適合しない可能性が極めて高いと考えております。
塀の安全対策につきましては、昨日、総理から災害発生時における学校の安全確保について万全を尽くすよう指示があったことを踏まえまして、まずは小中学校の塀の安全点検につきまして文部科学省と連携して取り組むとともに、今回の事案の原因を把握した上で、塀の所有者等に対し、特定行政庁を通じて必要な注意喚起をしてまいりたいと考えております。
○早稲田委員 ぜひ早い対応をお願いしたいと思います。
国交省の方では、危険ブロック塀等対策事業補助金制度というのも設けていらっしゃいます。これは民間に対してですけれども、民間が二分の一、そしてまたその残りを国と市町村で持つというものだと思いますが、これも従来から言われておって、こういう制度がありますよと言うんですけれども、なかなか民間の負担が小さくないということもあって進んでいない現状もございますので、こうした制度がどのようにすれば更に使われていくのかということもよく御検討をされまして、調査研究をされて、また、このブロック塀が、学校の通学路はもとよりでありますけれども、いろいろなところにも古い老朽化のブロック塀があって、従来より危険性が指摘されておりますので、さらなる対策の充実というものに努めていただくよう要望させていただきます。
次に、新幹線の事故について伺います。
今回の、JR西日本の山陽新幹線におきまして、異音を察知しながらそのまま走って、そしてまた、これが人的被害であったということが後からわかったわけですけれども、この事案につきまして、いろいろ新聞報道等、それからJR西日本の社長会見などを見ておりましたところ、ここで本来ならば、異音それから振動などを感じた場合は即とめるというふうにルールも改正をしてあったのにとめなかったのは現場の判断だということが言われております。さらに、総合指令室の方にこれを報告しなかったということも原因の一つとして挙げられております。
こういうことを踏まえてですけれども、随分前の、二〇〇五年の福知山事故を受けました鉄道安全管理に関するJR西日本の第三者評価の報告書が、本年の五月二十三日に提出をされております。これは、第三者の認証機関でありますDNV・GLというところの日本法人が監査をしたということでありますけれども、その報告書を見てみますと、組織的、防衛的姿勢がひいては個人防衛的姿勢につながり、その結果、報告文化の醸成や実態の見える化を阻害するリスクがあると強く指摘をしているところでございます。
これが、背景にそういうことがあってのことではないかと私たちは読めば思ってしまうわけですけれども、そういう会社の組織的な姿勢というものも踏まえて、国交省としてはどのように今後この再発防止に向けて取り組まれていくのか、伺います。
○石井国務大臣 二〇一四年に公表されましたJR西日本安全フォローアップ会議報告書の提言において、第三者による検査の仕組みがJR西日本の安全管理体制を充実させるために決定的に重要であるとされたことを受けまして、二〇一五年度より毎年、第三者がJR西日本に対し安全管理体制の評価を行っているものと承知をしております。
本年五月二十三日に公表されました同評価の報告書において、これまで取り組んできた安全管理体制の整備、有効性向上等に引き続き取り組むとともに、組織風土の改善が新たに取り組むべき項目とされた旨、認識をしております。
本年六月十四日に山陽新幹線の博多―小倉間において、走行中の列車と人が衝突し、当該者が死亡するという事案が発生をいたしましたが、本事案におきましては、当該列車の運転士が衝突の際の異音に気づきながら、その旨を輸送指令に報告せずに運行を継続したこと、当該列車が小倉駅のホームに進入する際、ホーム上の駅係員が、列車の先頭部にひびが入っているような違和感を感じつつも列車をそのまま出発させ、その後に輸送指令に報告を行っていたこと等の問題点が明らかになっております。
新幹線の運行に関しましては、昨年十二月の東海道・山陽新幹線における台車枠に亀裂等が生じる重大インシデントの発生を踏まえまして、JR西日本において、異音を感知した等の場合において安全が確認できないときには迷わず列車をとめるという考え方のもとに、再発防止策を講じてきていると承知をしておりますが、今回の事案について、先ほど問題点として申し上げた状況を見ますと、これらの対策の実効性が上がっていないのではないかという懸念を抱かざるを得ません。
このことを踏まえまして、国土交通省といたしましては、JR西日本に対し、今回の運転取扱いが適切であったのか等についてしっかり検証した上で、実効性ある再発防止策を取りまとめるよう指示をしたところであります。
新幹線の最大の価値は安全、安心であり、JR西日本には、第三者による評価を踏まえた取組も含めまして、しっかりとした対応を求めてまいります。
○早稲田委員 ただいま大臣からも御答弁いただきました対策が、ルールではいろいろ改正をされていたけれども、確かなものでなかったのではないかという御答弁もいただきました。
まさに、異音がしたら、そして衝撃がしたらとめなさい、とめることをちゅうちょしてはならないと明文化されたとしても、そこに組織的な風土が、とにかくおくれてはいけない、定時運行、これが全てに優先されるというような風土があっては、とめることもできないというようなことにつながりかねませんので、ぜひそこも含めてしっかりと調査をしていただき、二度とこうした事故が起きないように、また、これからオリンピックに向けても、新幹線は大変世界に誇る安全ということであるにもかかわらず、大変事故が続いておりますので、ぜひここを踏まえて国交省としても対応していただくよう要望して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。
まず初めに、昨日十八日午前七時五十八分ごろ、大阪府北部を中心とした大規模な地震が生じました。被災された皆様に心からお見舞いと、そしてまた、お悔やみも申し上げさせていただきたいと思います。
実は、その時間、私自身は滋賀県の大津市におりまして、その瞬間本当に、地鳴りがしたなと思った瞬間にどんと下から突き上げるような地震がございました。震度五に達していましたし、また、震源も浅いということもあって、ほとんど緊急速報と同時に、若しくは速報の方が後になったような状態での地震でもありました。
まだまだこの分野というのは研究も必要ですし、また、多くの方が本当に被災されないということが何よりも大切だと思っております。
そして、実を言いまして、新幹線等交通の乱れも本当に大きくありましたし、エレベーターも各地で、きょうも御報告がありましたけれども、とまるという状況が続いておりました。
そういう意味におきましては、まだまだこの問題に関しては、災害は本当に毎回毎回違う様相はございますけれども、検証するべきことは多々あるんだと思っております。
大臣には通告はしていないんですけれども、昨日の大阪での地震の状況を見ますと、交通インフラや社会インフラ、水道管が破損するか何かで随分と各ビルの中におきまして水漏れという報道もございました。
今回、建築基準法改正に当たり、倒壊した塀や、建物内の各種配管の損傷など、建築物の耐震性を担保する本法案に関しても関連する部分も多々ありますし、また、新幹線や在来線、まだ全部は復旧しているわけではございませんけれども、こういった交通網というものも大変な大きな影響がございます。正直、帰ってくるときに、多くの外国人観光客の方がバッグを持って駅の改札で状況がわからないような様子を見て、きょろきょろとしている姿というのも見受けられました。
そういう意味におきまして、今回の地震の被害については、さまざまな観点はあるかと思いますけれども、これら所管をされています国土交通大臣、どのように対処されていくのか。改めて御決意のほど、お聞かせいただければと思います。
○石井国務大臣 国土交通省では、地震発生後直ちに所管施設や所管事業者の被害状況の把握に努めるとともに、高槻市や枚方市など被災十五市三町とホットラインにより状況確認を行ったところであります。また、地方整備局の防災ヘリや海上保安庁の船艇、航空機等により被害状況調査を実施をいたしました。
本日も一府六市にリエゾン等を十七人派遣をし、被害情報の収集や支援ニーズの把握などを実施をしております。また、地方整備局からTEC―FORCEを二十名及び照明車十六台、散水車五台を派遣をいたしまして、被災者支援の準備を進めております。
国土交通省といたしましては、TEC―FORCEや保有する災害対策用資機材を最大限活用いたしまして、生活インフラの復旧に向けて、被災者の支援に全力で当たってまいりたいと考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
TEC―FORCE、大変頼りになるということで、地方を守る会の首長の方々からもお話も伺っております。ぜひ、この点の充実をしていただき、またさらに、今回のさまざまな検証も引き続き行っていただくことを要望いたしたいと思います。
さて、本日、課題であります建築基準法の一部を改正する法律案の質疑に入らせていただきたいと思います。五月におきましても、私、この課題につきまして質問させていただきました。
本法案は、建築物、市街地の安全性の確保、既存建築ストックの活用、そして木造建築物等に係る制限の合理化などが主たる改正点だと認識しています。大規模な地震や火災などに対して建築物の安全性確保のよりどころとなる建築基準法、改修しやすく、また、木材を利用しやすくなるなど、利便性の向上を図る改正に当たって、しっかりと安全性を担保されるのかについても質問していきたいと思っております。
さて、まずは、用途変更に伴う建築確認が必要となる規模の見直しについてお伺いいたします。
建物の用途変更に伴うリフォームなどを行う際に、建築確認が必要となる規模を、現行の百平方メートルから二百平方メートル超へと緩和を行うことになります。この点について、建築士が介在する場面が減少するなどし、ややもすると、適法に、安全、安心して用いることのできる建築物とならない改修が行われてしまう可能性が拡大することにもなるのではないかとの懸念が、建築士の皆様からも御意見として寄せられたところであります。
五月にこの質疑をさせていただきましたが、そのとき住宅局長より、「確認手続は不要となっても、基準への適合義務は引き続き課されることから、基本的には、建築主の責任により用途転用の際に求められる措置を講じることになりますが、建築士が関与した場合には、この建築士が基準への適合性を判断し、必要な措置を講ずることになります。」また、「柱や壁などの構造躯体にかかわる改築等に該当するものについては建築確認が必要となりますので、建築士が関与するということになります。」との答弁をいただきました。
構造にかかわる改築があれば建築確認が必要であり、仮に違法な改修があることがわかれば、かかわった建築士は処分を受けることとなるのだからそんなことはしないという性善説に立ったお話にも思われました。
建設、建築にかかわる大多数の技能士や建築士、職人の皆様は、施主の希望とともに、予算や工期なども含めて工夫を凝らして適法、適正な工事を計画し、実行されているものと、私も、真面目な建設関係者の皆様の仕事にかける誇りや熱意というものを信じておりますので、そのように行われるというふうに信じてはおりますけれども、一方で、リフォーム詐欺とか手抜きのある内容の工事による被害の事例というのは後を絶ちません。
悪徳業者による工事や詐欺的工事がふえるなど、安全性を損なう違法な改修が行われる可能性が拡大することとなる可能性は、やはり懸念はまだ払拭できていないと思っております。この点に関しまして国土交通省の見解をお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員の方から御紹介いただきましたとおり、今回、用途変更につきましては、二百平米以下につきましては建築確認を不要としているところでございますが、建築確認は不要となりましても基準への適合義務は引き続き課されるということでございますので、基本的には、建築主の責任により用途転用の際に求められる措置を講ずることとなります。建築士が関与した場合は、当該建築士が当然その基準への適合を判断し、必要な措置を講ずるということになります。
また、用途変更に当たって、柱や壁などの構造躯体にかかわる増改築等を伴うものにつきましては建築確認が必要となることから、建築士が関与するということになります。違法なものにつきましては、特定行政庁による是正指導や建築士への厳正な処分を行うということにしております。
先ほど、また、リフォームについての御心配がございました。リフォームにつきましては、リフォームに関するいろいろな情報提供ですとか、あるいは紛争が起きた場合の窓口設置などをリフォーム・紛争処理支援センター等において行っているところでございます。
また、このほか、リフォームについては、安心してリフォームを実施していただくための環境整備といたしまして、リフォームを適正に行う事業者から成る団体を国土交通大臣に登録する制度を平成二十六年九月に創設し、今、十団体、御登録をいただいているところでございまして、こうした優良な事業者団体の周知、普及ということも重要であるというふうに考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
とはいえ、建築確認申請を不要とするに当たり、かわりに何らかの形で建築士等から工事実施の届けとか用途変更の届けを求めることとし、少なくとも、一定程度の規模の改修、改築が実施されていることが把握できるような制度を設けるということも考えられるのではないでしょうか。その方が確実に、精神的かもしれませんけれども、違法建築若しくは違法な詐欺的な改修等というのを防ぐことが可能なのではないかと考えますが、この点に関しましての御見解をお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案により、延べ面積二百平米未満の小規模な建築物に係る防火関係の規制の合理化とあわせて、用途変更に係る手続が不要な規模を百平米から二百平米以下にするということにしております。
建築確認手続が不要となる用途変更につきましては、小規模な戸建て住宅からグループホームなどへの転用が想定されるところだというふうに思っております。
このような転用に対しましては、福祉部局から建築部局へ情報提供がなされるよう、厚生労働省と連名で地方公共団体宛てに通知をしております。これによりまして把握が可能だというふうに考えております。
また、先ほど御答弁させていただきましたとおり、用途変更に当たって、柱や壁などの構造躯体にかかわる増築等を行う場合も多いというふうに思いますが、そういったものにつきましては建築確認の対象となるということでございます。
こうしたことを通じまして、既存ストックの活用に当たっての安全性を確保していきたいと考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。しっかりと、地域におきましても地方自治体においても、情報が、連携が進むことを期待しております。
さて、景観的、文化的に価値のある古民家などを改修、リフォームして物販や飲食店へと活用することは、観光活性化、地域魅力増進などに有効であり、インバウンド観光客の増加、リピーター確保へとつながると期待しております。最近は、京都などの町家の宿泊や、古民家を改修しての、主には簡易宿泊の方式をとっていることが多いと思いますけれども、大変人気を博しているところでございます。
そこで、ちょっと通告の順番を変えさせていただきますが、まず文化庁の方にお伺いしたいと思います。
本年三月、伝統建築工匠のわざ、木造建造物を受け継ぐための伝統技術のユネスコ無形文化遺産への登録を目指して、ユネスコ事務局に提案書の提出が行われました。これにつきまして、同件がユネスコ無形文化遺産登録が行われた場合、その後の取組や、目指す政策的効果について御説明をお願いいたします。
○山崎(秀)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、我が国は、本年三月、ユネスコ無形文化遺産代表一覧表登録に向け、伝統建築工匠のわざの提案書をユネスコ事務局に提出いたしました。
この伝統建築工匠のわざは、社寺や城郭等、我が国の伝統的な木造建造物を建てる上で不可欠な木工、屋根ぶき、左官、畳製作などの高度な伝統技術で、国の選定保存技術として選定されている十四件を一括して提案したものでございます。
本件の提案により、法隆寺や姫路城など、日本の代表的な木造建造物を支える技術に光が当たり、文化財そのものだけでなく、文化財を守る技術の重要性に対する関心が高まることが大きな意義だと考えます。
文化庁では、文化財保護法に基づき、選定保存技術として選定した技術に対し、その保持者や保存団体が行う伝承者養成、技術の向上等に対する経費を補助し、また、文化財の修理技術者の研修等についての専門的、技術的指導助言を行い、技術者の資質向上を図っております。さらに、保存修理現場や選定保存技術公開事業等を通じ、国民への普及啓発にも取り組んでおります。
この伝統建築工匠のわざがユネスコ無形文化遺産に登録されましたら、こうした取組を通じて文化財の保存修理に係る人材の確保や育成を更に進め、文化財の次世代への確実な継承に努めてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
各技術の保存ということでありますが、技術があっただけでは建築物にもなりません。やはりそれが全て合わさって一つの建物もできますし、また、日本の伝統的構法は、丸太や製材した木材を使用し、木の特性を生かして日本古来の継ぎ手、仕口によって組み立てられて、金物によらない軸組み構法が主たる要素とも言えます。
現行の建築基準法の在来工法と伝統構法の違いの大きなところでは、やはり、筋交いなど斜材を使うか、また、ぬき、差し物などによる水平垂直のぬき構造なのか、また、材料においても、均質であることが前提であるか、自然素材を扱うため、多様でふぞろいなものを使うか。どちらにせよ、地域の気候風土やつくり手によって違うし、一つ一つの建築事例が異なるという特徴があります。
既存ストックの中でも利活用する価値の高い古民家を再生する技術を持つ当事者である伝統木造建築にかかわる建築士などの関係者から、現代工法と異なる技術体系を持つ伝統構法の建物について、十分な見識や経験を持たない設計者や施工者が現代工法に基づく手法で安易に改築を行った場合、建物の長寿命化に資するどころか、せっかくの古民家を短命化させてしまう危惧があるのではないかとの指摘がございました。古民家を始めとする既存ストックの適切な利用促進のための技術基準が必要となるわけです。
何度も質問で取り上げさせていただいておりますが、国土交通省の補助事業として五カ年にわたり実施された伝統的木造住宅の耐震性能及び設計法検討委員会による成果は、建築基準法の中に伝統構法を位置づけるまでには残念ながらまだ至っておりません。
伝統建築を正しく評価できる法的な基準や指針を策定する必要があると考えます。また、それらの策定作業に当たって、伝統構法にかかわる実務者、研究者、建築行政関係者がそろって参加する中で進めるべきだとも考えております。この点に関しまして国土交通大臣の見解を求めます。
○石井国務大臣 伝統的構法による木造建築物は、各地域の気候、風土、文化に根差したものであり、我が国の木造文化の伝承につながるとともに、日本らしさを感じさせる空間づくりを通じて、観光振興や地域活性化に資する役割を担っていると考えております。
これらの伝統的構法による木造建築物につきましては、個別の実験や検証等により安全性を確認した上で、構造計算に活用できるデータベースや仕様規定の整備等に順次取り組んでいるところであります。
こうした伝統的構法に関する技術基準等の検討を行う委員会には、伝統的構法にかかわる研究者や実務者に参加をいただいており、今後も個別の検討課題に応じて、必要な識見を伺いながら検討を進めてまいります。
引き続き、伝統的構法がより採用しやすくなる環境整備に向けて着実に取り組んでまいります。
○小宮山委員 ぜひ着実に進めていただければと思います。そして、それによって、日本の民家など、さまざまな木造の建築物など、景観に資するもの、きちんとつくられたものによって、多くの方が豊かな気持ち、そして豊かな文化、豊かな地域経済につながる、そんな法改正につながることを心から願っております。
さて、時間の関係で少し進めさせていただきますけれども、法八十七条の二において、既存不適格建築物について増改築等の工事を含む工事を二以上の工事として計画的に実施されるものとして特定行政庁が認める場合には、全体の工事計画の中で最後の工事に着手するまでは建築基準法の現行基準への適用を遡及して求めないこととなります。既存不適格のまま使用が認められることとなるかどうか、先日、国交省の方に伺わせていただいたところ、これは違反になるだろうというようなお話もございました。
あわせて、新築においては瑕疵担保責任保険が導入されました。中古物件では本年四月から、宅建業法改正に伴い、ホームインスペクションの報告義務化が施行となりました。ホームインスペクション制度の最大のメリットは、欠陥のある中古住宅の購入を避けられ、物件の信用度が上がり、質のよい中古住宅の流通促進につながることだと考えております。
既存建築ストックの用途変更のため、改築等の際にホームインスペクション制度を活用し建築の状態を明確にすれば、建築物の健全化の確保が図られ、また、中古住宅市場等のときでも、そういう意味では信用も増すのだと思っております。このため、ホームインスペクション制度、売買ではない場合もございますけれども、普及を目指すのには今回の導入というものも必要かと考えております。
このホームインスペクション制度の普及を目指すための国土交通省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
インスペクションは、建物の構造上のふぐあいや雨漏り等の劣化事象等の有無を現場で調査し、消費者に情報提供する枠組みであり、既存住宅流通市場やリフォーム市場の活性化等に寄与するものと考えております。
このような観点から、ことし四月に施行された改正宅建業法においてインスペクションを位置づけるとともに、消費者が安心して購入できる既存住宅に対し標章付与を行う安心R住宅制度も開始したところです。
インスペクションは、現在の住宅の状況を評価するものでありますから、住宅として流通する場合のみならず、御指摘のとおり、用途変更等においても有効であるというふうに考えております。
インスペクションは、一定の講習を修了した建築士が実施するという枠組みにしておりまして、インスペクションを実施することができる人材をふやすことがその普及にも寄与するというふうに考えております。このため、建築設計関係団体においてもその普及に向けた取組を推進していただくよう働きかけてまいります。
○小宮山委員 ありがとうございます。しっかりとしたインスペクションができる方々の育成というものも重要だということでお伺いいたしました。
時間の関係で最後になりますけれども、循環型社会の形成や国土の保全、地域経済の活性化の貢献から、建築材料としての木材利用促進は大変重要かと思っております。これまでも、建築基準法改正等も含めまして、国土交通省ではサステナブル建築物の先導事例も推進されております。
現行制度において木造建築物を一律に耐火構造等としなければならないこととされてきておりますが、木材、木質のよさを生かした景観への寄与も含めましてどう評価されているのか。木材の利用促進効果をどのように見積もっているのか。大臣の見解をお聞かせいただければと思います。
○石井国務大臣 我が国におきましては、木造建築に親しみを感じる国民も多く、木材利用に対する根強いニーズがあると認識をしております。
今回の改正法案におきましては、防火関係の規制の合理化を図ることによりまして、中層建築物の柱やはりなどにつきまして木材がそのまま見える「あらわし」で使いやすくなる、防火地域及び準防火地域における建築物について、内部の柱やはりなどや大規模な門、塀について、木材を使いやすくなるなどの効果を想定をしております。
このような合理化によりまして、景観面でも木のよさを実感ができ、また、これまで木造が少ない中層建築物や非住宅の分野での利用が促進されることが期待をされます。
これらを通じまして、地域における木材関連産業の振興、循環型社会の形成などにも貢献するものと考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
時間の関係で、準備をしていただいた皆様方には申しわけございませんが、またこの課題は引き続き注視をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、伊藤俊輔君。
○伊藤(俊)委員 国民民主党の伊藤俊輔でございます。引き続き、建築基準法の質疑をさせていただきたいと思います。
冒頭、昨日の地震で亡くなられた方々に御冥福をお祈りするとともに、被災、被害に遭われた全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。
小学校のブロック塀が崩れ、幼い命が失われる、そんな結果となりました。市の方はこの塀について、建築基準法に違反をしていた状態であったと明らかにしたとの報道もございます。
ブロック塀による被害は過去の地震でも相次いでおります。宮城県によると、一九七八年の地震では、子供と高齢者九人がブロック塀の下敷きになって亡くなられております。八一年に改正された建築基準法では高さの制限が三メートル以下から二・二メートル以下に厳格化をされました。その後の阪神・淡路大震災や、あるいは八七年千葉県の地震、あるいは二〇〇五年福岡の地震、あるいは一六年の熊本の地震等々でもブロック塀で亡くなられる方が出ております。
基準に満たない塀が多くあること、これも指摘をされていることと思いますけれども、建築基準法施行令では、高さ一・二メートルを超す塀は、一定の間隔ごとに強度を高めるための控え壁を設置することが定められております。今回の塀は、控え壁がないことに加えて、高さも二・二メートル以下という基準を超えていたということも指摘をされております。構造計算書がまだ見つかっていない、こんな市の回答も出てきているところでもあります。
多くの地域で対策がとられていない、あるいは、住宅の耐震基準のように、ブロック塀にも安全基準があることが一般的に知られていないことも問題視をされております。
このことについて、質問通告はしておりませんけれども、回答ができればお願いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御紹介いただきましたとおり、建築基準法においては、塀の構造に応じ、高さや控え壁、鉄筋の補強などを定めているところであります。
今回被害に遭った塀の構造等が現行基準に適合しているかどうかにつきましては、高槻市の事案については教育委員会が不適合というふうに発表しているところでございますが、最終的には特定行政庁が判断するということになると思っております。現場の映像では、基準に適合しない可能性が極めて高いというふうに考えております。
仮に違反建築物ということでありますと、当然厳正に違反是正をするということになりますが、塀に関しては数次にわたって規制を強化をしているという経緯がございます。仮にこれが既存不適格、要は、その当時の基準には合っていたけれども今の基準には合っていないものということであったといたしますと、今回、改正法案におきましても、保安上、衛生上有害となるおそれがあるものにつきましては、勧告、命令の前段として指導、助言というのを措置させていただくということとしているところでございます。こういった幅広い、予防的な指導、助言なども含めて、既存不適格対策を進めるということもあると思います。
なお、今回の案件につきましては、先ほど大臣から御答弁差し上げましたとおり、昨日、総理から災害発生時における学校の安全確保について万全を尽くすよう指示があったところでございまして、まずは小中学校の塀の安全点検について文部科学省と連携して取り組むということを行うとともに、今回の事案について、まず原因を把握させていただいた上で、そもそも違反だったのか、既存不適格だったのか、そもそもそうではなくて、適法だったけれどもまずかったのかとか、そういったことについてまず把握をさせていただいた上でということではございますが、塀の所有者等に対しまして、特定行政庁を通じて、こういったところを点検する必要があるといったような注意喚起をさせていただきたいというふうに思っております。
○伊藤(俊)委員 原因追求、究明も早急にしていただくとともに、小学校、中学校のブロック塀等の安全性の緊急点検をすることを決めたとの報告もありましたけれども、全国の通学路に対しての、民間のブロック塀等々も対象にすべきではないかとも思います。このような事故が、制度上、この点検等々、対策で防げるのではないかという観点に立って対応に当たっていただきたい。そしてまた、ライフラインの復旧等、全力を尽くしていただきたいと思っております。
建築基準法の一部改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
これまで、既存不適格建築物が保安上危険、衛生上有害な状態に至らないよう適切な維持管理を促す仕組みが、法制上、実際には位置づけられてこなかったのではないか、そのような指摘もあります。
特定行政庁が既存不適格建築物の所有者等に対し勧告、命令を行うケースが少数にとどまっている実態等々において、保安上危険、衛生上有害な状態に至っている既存不適格建築物が放置されているのではないか。空き家法ができるまで、実際使いづらい現状があったのではないかとも思います。このことについてお答えいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
現行法上、現に著しく保安上危険又は衛生上有害な既存不適格建築物については、その対応の緊急性が高いということから、建築基準法の制定当時から命令制度が規定されておりまして、その後、平成十六年に勧告制度が追加されているところであります。
昨今、老朽ストックが増大する中で、保安上危険な状態となってからの是正は困難なことが多いことを踏まえまして、今回の改正法案においては、劣化が生じている既存不適格建築物について予防的に維持保全を行うための指導、助言制度を設けることとしたところでございます。
先ほど御指摘ございましたとおり、勧告や命令による対応は行政処分としては厳しいということがございますので、行政指導によって地方公共団体が慎重に対応してきたことが多かったというふうに認識しておりますが、今回、建築基準法に基づく指導、助言ができることに伴いまして、今後、勧告、命令まで段階的にやることが比較的円滑にできるのではないかというふうに思っております。
なお、御指摘いただきましたとおり、保安上危険、衛生上有害な既存不適格建築物の多くは空き家で発生している例が多いのではないかと思っておりますが、これにつきましては、建築基準法とは別に、平成二十七年五月に空き家対策特別措置法が措置されておりまして、ここでは、指導、助言、それから勧告、命令、代執行まで措置されておりまして、この中では、勧告が四百十七件、命令が三十六件という形で、比較的、建築基準法の勧告、命令に比べるとこの適用が多いという状況だということをあわせて御報告をさせていただきたいというふうに思います。
○伊藤(俊)委員 実際、空き家法ができるまで、この勧告、命令というのは非常に重く、なかなか使いづらいというか、少数にとどまっているという実態だろうと思っております。
既存不適格建築物の所有者等に、保安上危険、衛生上有害な状態に至らないよう適切な維持管理を促すためには、改正案において指導及び助言を行うことになる特定行政庁が本規定の適切な運用を行うことが重要であると思っております。
国として、特定行政庁の適切な運用をどのように担保していくのか。例えばガイドラインの作成や運用実態にかかわる情報の共有など、その対策について大臣の見解をお願いします。
○石井国務大臣 現行の既存不適格建築物に対する勧告、命令制度につきましては、特定行政庁による運用の参考となるよう、平成十七年及び平成二十七年に、勧告、是正命令制度に関するガイドラインを策定し、周知に努めているところであります。
今回の改正法案において、一定の劣化が認められ、放置すれば保安上危険又は衛生上有害となるおそれがあると特定行政庁が認める既存不適格建築物に対する指導、助言制度が創設されることを踏まえ、同ガイドラインを改正することを予定をしております。
具体的には、指導、助言が想定される事例、指導、助言の具体的な内容、指導、助言を行う際の留意点等をガイドラインに盛り込みまして周知を図ることで、特定行政庁における適切な運用を促してまいりたいと考えております。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
密集市街地における安全性の確保についてもお聞きをしたいと思います。
改正案において、建ぺい率を緩和して建てかえの促進を図ることとしておりますけれども、密集市街地において建ぺい率緩和が建てかえを促進するその理由と、それがどれだけの効果があるのか。どんな考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
密集市街地においては、接している前面道路の幅員が十分でなく、かつ、狭小な敷地に建ぺい率制限いっぱいに建っている住宅等が多数存在しております。
このような敷地で建てかえを行う場合、前面道路に建築基準法の求める幅員を確保するためセットバックを行う必要があることから、建てかえ後の住宅の建築面積は狭小なものとなり、結果として建てかえを諦めるケースが発生しているというふうに伺っております。
このような状況に対して、今回の改正法案に盛り込んでいる、延焼防止性能の高い建築物を建設する場合の建ぺい率の緩和措置を行うことによりまして、現行制度より広い建築面積を確保することが可能となり、結果的に建てかえが促進される。また、建てかえに当たって、当然、老朽あるいは防火上問題のある建物が、適切な、より延焼防止性能の高いものに建てかわるという効果があるというふうに考えております。
○伊藤(俊)委員 建ぺい率においては、接道要件、セットバック等々、建てかえを阻害する要因になっていることと思います。それ以外にも、公園等の整備による延焼防止等々、空間の確保とか、いろいろな課題があるかと思いますので、その対応をしっかりと進めていただきたいと思っております。
平成二十八年三月に閣議決定をされております住生活基本計画がございます。地震時等に著しく危険な密集市街地を平成三十二年までにおおむね解消するという指標が掲げられておりますが、現在の進捗状況と、改めて、今後どのように取り組んでいくのか。大臣に見解をお伺いします。お願いします。
○石井国務大臣 地震時に大火の危険性の高い密集市街地の整備改善を進め、安全性を確保することは、重要な課題と考えております。
地震時に著しく危険な密集市街地につきましては、住生活基本計画におきまして、二〇二〇年度末までにおおむね解消するとの目標を定めております。
この地震時に著しく危険な密集市街地は、平成二十三年度末には約五千七百ヘクタール存在しておりましたが、その後、整備改善が進んだ結果、平成二十九年度末時点で約三千四百ヘクタールとなっているところであります。
現時点で危険密集市街地となっております約三千四百ヘクタールのうち、半分は延焼危険性又は避難困難性のいずれかの指標が水準値に達しており、解消のめどが立っている状況でございます。
残る半分につきましても、道路、公園等の公共施設整備を中心とした従来の取組に加えまして、今回の改正法案による建てかえの加速化などによりまして、危険な密集市街地の解消に向け、一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○伊藤(俊)委員 仮設興行場等の仮設建築物の設置期間の特例についてもお聞きをさせていただきたいと思います。
改正案は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの競技大会を踏まえた措置が念頭に置かれていると考えますけれども、それ以外に、国際的な規模の競技会等、想定されるものはどういうものなのか。そして、もっと過大解釈をすれば、新たな外国人観光客の訪問先等確保のために、日本の魅力増進などインバウンド需要においてこういうことが活用できるかどうかという、そういうところまで考えられていることなのかどうか。
そしてまた、仮設興行場等においては、収益事業も含まれると考えられますので、建築審査会の同意を得るだけではなくて、公平で開かれた情報開示が必要と考えますけれども、建築主や、直接興行等にかかわる関係者から公開で意見を聞く等の措置が必要ではないかと考えますが、あわせてお聞きをしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
仮設興行場等の今回の措置の対象となるようなものはどのようなものかということでございますが、オリンピック・パラリンピック大会以外ですと、各種スポーツの世界大会や、プレイベントなどを伴う万国博覧会等の文化的、芸術的、学術的イベントのほか、インバウンド対応なども含めた、国内外を問わず一定期間を必要とするような大規模な競技会、文化的イベントなどが対象になり得るというふうに考えております。
また、関係者等から公開で意見を聞くなどの措置が必要ではないかという御指摘でございますが、今回の改正法案では、一年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等については、特定行政庁が、安全上、防火上、衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認め、許可に当たっては建築審査会の同意を得ることを必要とする措置を講ずるということとしております。
建築審査会におきましては、法律、行政等の専門家により構成されておりまして、同意に当たっては、このような要件についても当然審査されるということになると考えております。
また、特定行政庁が許可を与える際に、必要に応じて申請者に説明会を開催させること等を条件として付すことも可能であるというふうに考えております。
これらによりまして、公平で開かれた手続が進められるというふうに考えております。
○伊藤(俊)委員 運用に当たっては特に慎重を期す必要もあると思いますので、特定行政庁の適切な運用、国としてどのように担保するのか、これもまたガイドラインの作成等々、しっかりと対応に当たっていただきたいと思っております。
そして最後に、建築物の用途変更、一時的にほかの用途、建築物に使用する場合においての制限の緩和についてお聞きをしたいと思います。
これまで、東日本大震災等でも実績があるということです。想像するに、異常な混乱の状態の中で、本当に必要なものに現地で適用されてきたことと思います。
直下型地震や南海トラフ地震において同じように必要となる、想定をされるということもありますけれども、東日本大震災を含めてこれまでの地震災害において手続上どのようなことが行われて、どんなことが課題として提起をされていたのかということと、そしてまた、これを今回適用するに当たって、各自治体も含めて、例えば運用シミュレーションのモデル的な実施など、特定行政庁の適切な運用を担保していく必要があるかと思います。
いざとなって本当に適用できるかどうかが極めて大事だと思いますので……
○西村委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○伊藤(俊)委員 その点、一点だけお聞きして終わりたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
東日本大震災当時は、震災に伴い一時的に必要になった校舎等は、基本的に新築の仮設建築物の供給によって整備されておりまして、通常の規制が適用される用途変更で対応された事例は、国で把握している例は少数にとどまっております。
これは、新築される仮設建築物には特例措置が講じられているのに対して、用途変更については新築の仮設建築物に対する特例措置と同様の措置がなかった、それで通常の規制適用をせざるを得なかったということが一因であるというふうに考えております。
こうした観点を踏まえまして、今回、新築される仮設建築物と同様に、既存建築物を一時的に他の用途に転用する場合も建築基準法の制限を緩和する措置を講じることとしているところでございます。
なお、御指摘のように、震災時に突然といってもなかなか大変ということでございますので、こういった制度があるということについて、特定行政庁、それから防災部局に対して十分周知をしていきたいというふうに思っております。
○伊藤(俊)委員 実際のときに対応できるように、事前に準備をしていただきたいと思っております。
終わります。
○西村委員長 次に、もとむら賢太郎君。
○もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
冒頭、大阪府北部を震源とする地震による全ての被災者にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々とその御家族、御関係者の皆様には、心からお悔やみを申し上げます。
国土交通省においては、既に石井大臣の指示のもと対応に当たっていることと承知をしておりますが、引き続き、人命最優先で救命救助に当たっていただきたいと強く要請いたしまして、質問に入らせていただきます。
建築基準法は、昭和二十五年に制定され、その後の社会環境の変化に応じて改正をされているわけでありまして、さらに、少子高齢社会や社会の多様化といった社会状況、技術革新や国際化等に適切に対応した建築行政を実現するため、建築基準制度について具体的な制度のあり方について検討するため、平成二十四年八月には社会資本整備審議会に対して国交大臣から、今後の建築基準制度のあり方について諮問されたということも承知をしておりますし、その後、二十五年二月には一次答申、二十六年二月には二次答申、そして、本年三十年二月には三次答申という形で出されております。
本改正案は社会資本整備審議会第三次答申に基づくものだというふうに思いますけれども、答申において今後検討すべき課題とされた項目については、今後どう取り扱っていくのか。特に、技術者の確保、育成についてお伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十月より社会資本整備審議会の建築分科会において、今後の建築基準制度のあり方に関し、既存建築ストックの有効利活用、木造建築をめぐる多様なニーズへの対応、建築物、市街地の安全性及び良好な市街地環境の確保について御審議をいただき、第三次答申を取りまとめていただいたところでございます。
この答申において、今後継続して検討すべき課題といたしまして、技術者の確保、育成に向けた建築士の業務報酬基準等のあり方、非住宅建築物の質の向上を誘導する政策のあり方、構造関連規制のあり方などについて御提起をいただいているところであります。
このうち、技術者の確保、育成につきましては、建築物の質の確保、向上を担う建築士の高齢化が進み、若年層の入職を促進するため、業務環境の改善などが重要であるということから、適正な報酬が得られるよう、業務報酬基準の見直しを進めているところでございまして、関係者からのヒアリングですとかアンケート等も行っているところであります。
その上で、本年度中に改定を行うこととしているところであります。
○もとむら委員 次に、日本の森林面積は約二千五百万ヘクタールで、国土面積に占める森林面積は六七%、フィンランドやスウェーデンのように、世界有数の森林国であります。
他方で、木材自給率は大変低く、平成十四年の一八・八%が最低で、二十八年で三四・八%と増加傾向にはあるものの、国産木材の自給率は非常に低いという点がございます。
そこで、木造建築の推進に当たっては、国産木材の活用を推進すべきと考えておりますが、石井大臣の御見解をお伺いいたします。
○石井国務大臣 我が国におきましては、木造建築に親しみを感じる国民も多く、木材利用に対する根強いニーズがあるものと認識をしております。
特に国産材の利用促進につきましては、政府として、二〇二五年の供給量を四千万立米とする目標を設定をし、取組を進めているところであります。
国土交通省におきましては、国産材を含めた木材の利用を促進するため、CLTを始め木造建築物について、個別の実験や実証等、安全性を確認した上で、構造関係の基準の整備等に順次取り組んでいるところであります。
今回の改正法案におきましては、防火関係の規制の合理化を図ることにより、中層建築物の柱やはりなどについて、木材がそのまま見える「あらわし」で使いやすくなる、防火地域及び準防火地域における建築物の内部の柱やはりなどについて木材を使いやすくなるなどの効果を想定をしております。
このような合理化によりまして、建築物において木のよさを実感できる形での木材利用が進む結果として、地域における木材関連産業の振興や国産材の利用拡大、さらには循環型社会の形成などにも貢献できるものと考えております。
○もとむら委員 今回の法案で、耐火構造等とすべき対象が見直されたり、木材のぬくもりを直接感じられる「あらわし」等の構造が可能となるなど、木材利用が推進されることだと考えられます。
また、二〇二〇年東京オリ・パラリンピックにおいては、選手村ビレッジプラザにおいて国産木材を活用され、私どもの地元相模原市もこの一部提供するということを伺っております。
私も神奈川県議会議員のときに、神奈川県産木材の活用によって、例えば住宅を建てる際に利子補給などをするという方向性の応援もありましたので、ぜひ国産木材の利活用について、また、大臣としても強いリーダーシップをお願いしてまいりたいと思います。
次に、きょうは林野庁の方にもお越しをいただいております。
国産木材の健全な育成や防災の観点からも森林整備が重要だと考えておりますが、森林整備の現状をお伺いいたします。
○織田政府参考人 お答えいたします。
健全な森林を育成し、水源の涵養や山地災害防止等の公益的機能を発揮させつつ、国産木材の安定供給を実現する、そのためには、先生御指摘のとおり、間伐あるいは路網整備等の森林整備を推進することが重要と認識してございます。
農林水産省といたしましては、平成三十年度当初予算におきまして、公共事業の森林整備事業、千二百三億円のほか、間伐、路網整備、それから造林コストの低減に資する伐採と造林の一貫作業など、こういったものを支援する林業成長産業化総合対策、二百三十五億円を措置したところでございます。
これらを最大限活用いたしますとともに、今後ともあらゆる機会を捉えて予算の確保に努めまして、しっかりと森林整備を進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
○もとむら委員 日本の森林の約四割は人工林でありまして、戦後、住宅需要を見込んで大量に植林をされたわけでありますが、その後、適切な管理がされずに放置をされているというケースがあります。
私どもの神奈川県も、水源環境税という県民税上乗せで税負担を県民の皆さんにお願いをしまして水源林の確保に努めておりますが、健全な森林は、地球温暖化防止対策を始め、土砂災害を防ぐ国土保全機能、洪水を防ぎ、おいしい水を供給する水源涵養機能など公益的機能を発揮しているわけでありまして、一瞬、遠くからきれいな山だなと見ても、一歩山に入っていくと荒廃している地域は多くありますし、例えば下草が生えてこないなど、やはりある程度の光も入ってこなければ下草も生えないわけでありますので、そういった意味では、間伐などを含めた森林整備、しっかりと林野庁としてお願いしてまいりたいと思います。
次に、今回、防火地域、準防火地域における建ぺい率の緩和をなぜ一〇%としたのか、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
建ぺい率規制は、敷地内に空地を設けることにより防火、採光、通風などを確保することで良好な市街地環境を形成するために設けられておりまして、地域の実情に応じて、市町村が都市計画等において定めることとされております。
現行制度では、市街地火災を防ぐ観点から市町村が都市計画で定める防火地域において高い延焼防止性能を有する耐火建築物を建築する場合には、建ぺい率を一〇%緩和するということとしております。
他方、地震時等に著しく危険な密集市街地は、防火地域のみならず準防火地域に多数存在するという状況でございまして、このため、今回の改正法案では、準防火地域において耐火建築物やそれに準ずる延焼防止性能を有する準耐火建築物を建築する場合等についても、現行制度と同様に、建ぺい率の一〇%を緩和することを盛り込んでおります。
大阪市のような事例についても承知しているところでございますが、建ぺい率規制は、防火のみならず、採光、通風など、良好な市街地環境を確保するということがございますので、全体のバランスを考慮し、全国一律の措置ということを考えまして、一〇%緩和というふうにしているところでございます。
○もとむら委員 この建ぺい率の問題は、例えば、駅近の保育園などの待機児童が多い地域でもこういった建ぺい率の拡大を地元の皆さんからも要望されておりましたので、今回この防火地域、準防火地域、私の地元の相模原市は住宅地のほぼ全てが防火地域か準防火地域になっているわけでありまして、この契機を捉えて、この法案成立後には多くの皆さんにこのことを知っていただくような、いわゆる発信も力強くお願いしてまいりたいと思います。
次に、防火設備の定期報告率が二七・七%と低いわけでありますが、いかに改善していくのかなと考えております。
エレベーター等は九五・八%と高水準でありますし、建築物及び建築設備は七〇%を超えているわけでありますが、防火設備の定期報告率が低いのはなぜなのか、そしていかに改善していくのか、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
防火設備の定期点検結果を特定行政庁に報告する制度は、平成二十八年六月から運用開始したものであります。
防火設備につきましては、従前は三年に一度の目視を主とした点検結果の報告を求めておりましたが、平成二十五年の福岡市診療所火災や、設備の高度化により目視では点検が困難な状況を踏まえまして、防火シャッターなどの自動閉鎖機構を有する防火設備については、新たに創設した専門の資格者が毎年その作動点検を行うこととしたものです。
制度運用の初年度となる平成二十八年度の報告率は、特定行政庁において対象物件の特定に時間を要したこと、また、建物所有者などの点検を行う側の準備不足などにより、約三〇%にとどまっているというものと認識しております。
このため、防火設備の定期点検結果の報告が適切に行われるよう、特定行政庁と連携して、まず、ホームページやリーフレットの配布、それから、対象の特定、個別通知、指導など、制度の普及及び定着に向けての周知の徹底を図ってまいります。
○もとむら委員 今回、国交省の資料では、本改正の趣旨は、空き家の活用に当たって、他用途への転用による非住宅としての利用を促進することであると記載されていまして、新築の場合はこの趣旨に合わないのではないかなというふうに考えておりますが、既存建築ストックの活用のために戸建て住宅等の用途変更に伴う制限の合理化を行うとのことでありますが、新築の場合も適用されるのはなぜなのか、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
国土技術政策総合研究所において実施しております防火・避難に関する総合技術開発プロジェクトにおいて、火災初期においては用途の違いによる燃え広がり方の違いがほとんどないということを踏まえまして、火災初期のうちに在館者が安全に避難できる規模などについて技術的な検証を行ってまいりました。
この検証をもとに、今回の改正法案では、三階建てで延べ面積二百平方メートル未満の小規模な建築物であれば、在館者が迅速に避難できる措置を講ずることで、耐火建築物とすることを不要としております。
避難安全性が確保される点におきましては新築の場合であっても用途変更の場合であっても変わりがないことから、今回の改正法案における合理化の内容は、新築、既存を問わず適用されることとなります。
なお、非常に用途転用という部分についての効果が高いであろうということで、御説明においては、用途転用を中心に御説明をさせていただいたところでございます。
○もとむら委員 次に、グループホーム等の火災事例は夜間に発生していることが多くあります。これまでも多くの火災等々がございましたが、それぞれの事例を受けて、消防法の改正など再発防止が講じられていることは承知をしているところでありますが、今回の法改正において、戸建て住宅等を福祉施設とする際に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に耐火建築物等とすることを不要とするとのことでありますが、具体的にどういった措置を講じるのか、グループホーム等で認知症の方が逃げおくれるなどの心配はないのか、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正法案では、三階建てで延べ面積二百平方メートル未満の小規模な建築物であれば、在館者が迅速に避難できる措置を講ずることで、耐火建築物とすることを不要としております。
在館者が迅速に避難できる措置につきましては、具体的には、利用者が寝泊まりするいわゆる就寝用途につきましては、就寝中であっても火災の発生を早期にわかる、要は覚知できるよう、各居室において連動して作動する警報設備の設置を条件とする予定であります。
さらに、就寝用途のうち、高齢者などが専ら利用するグループホームなどにつきましては、夜間も含めて介助者による避難誘導がなされるとは考えますが、そうは申しても避難に時間を要するというふうに考えられますので、これを考慮し、避難経路となる階段への火災拡大を抑制するための措置として、階段等と居室との間への扉の設置などを求める予定であります。
こういう形で、グループホームの高齢者の方々が避難する場合についても避難安全性が確保されるものと考えております。
○もとむら委員 平成二十八年十月に会計検査院が密集市街地の解消状況について検査を実施し、三十二年度末におおむね解消するという目標を達成するためにはさらなる対策が必要な状況として指摘した上で、地域住民との速やかな合意形成の重要性及び数点の意見を表明しています。
密集市街地を三十二年度末までにおおむね解消するという目標は達成できるのか、大臣にお伺いいたします。
○石井国務大臣 平成二十八年十月に会計検査院から、地震時等に著しく危険な密集市街地に関する取組が不十分な地方公共団体に対し働きかけを強化するよう意見表示されたところであります。
この指摘を受けまして、国土交通省におきましては、市区町村向けの説明会や事務連絡等を通じ、密集市街地整備の必要性、手法等について周知、共有を図ったところであります。
地震時等に著しく危険な密集市街地につきましては、住生活基本計画において、二〇二〇年度末までにおおむね解消するとの目標を定めております。
この地震時等に著しく危険な密集市街地は、平成二十三年の設定時に約五千七百ヘクタール存在しておりましたが、その後、整備改善が進んだ結果、平成二十九年度末時点で約三千四百ヘクタールとなっているところであります。
このうち半分は、延焼危険性又は避難困難性のいずれかの指標が水準値に達しており、解消のめどが立っている状況であります。
残る半分につきましても、道路、公園等の公共施設整備を中心とした従来の取組に加え、今回の改正法案による建てかえの加速化などによりまして、危険な密集市街地の解消に向け、一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○もとむら委員 会計検査院が、計画どおり進捗させるためには地域住民と速やかに合意形成を図ることが重要であるというふうに指摘されておりますが、この点は対応したのかどうか、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
会計検査院の御指摘の中には、安全確保の取組を進めるためには、協議会の設置等々、地域における合意形成のための取組を進めるということは非常に重要だという御指摘をいただいております。こうした観点から、私どもの方からは、地方公共団体に対して、そういった取組を進めるように通知をしているところでございます。
引き続き、こういうことについても注視をしてまいりたいというふうに思っております。
○もとむら委員 最後に、六月十五日から住宅宿泊事業法が施行され、民泊がスタートしました。六月八日時点での事前届出は全国で二千七百七件にとどまり、エアビーに五月末時点で五万五千件が掲載されたのに比べると出足が不調ということであります。空き家の有効活用のためにも健全な民泊を育てていくことは必要だと思いますが、民泊の届出状況は芳しくないようであります。
今後どのように改善をしていくのか。また、届出が終わっていない場合は違法となるが、どのように対応していくのか。最後に大臣にお伺いいたします。
○石井国務大臣 住宅宿泊事業の届出受け付けの件数は、六月八日時点で二千七百七件となっております。その後も、相当数の関係者が地方自治体の窓口等に相談に訪れ、また、ポータルサイト等を利用している状況であり、届出件数は今後更に増加していくものと考えております。
このほか、民泊サービスの提供に当たっては、旅館業法に基づく簡易宿所、特区民泊によることも可能であります。
例えば、京都市の簡易宿所の許可施設数は、平成二十七年度末で六百九十六件であったものが平成二十九年度末では二千二百九十一件となっております。大阪市の特区民泊も、平成二十九年三月時点で九十五室であったものが平成三十年四月時点では千八百九十九室となっているなど、その件数は大きく増加していると聞いております。
また、違法民泊対策につきましては、住宅宿泊事業法及び改正旅館業法の施行に先立ちまして、違法民泊対策関係省庁連絡会議を設置をし、関係省庁と連携して違法民泊の取締り等を徹底することを確認をしたところであります。これを受けて、厚生労働省から自治体に対し、悪質な無許可営業者について積極的に警察に通報、提供することなど、地元警察との連携強化等を求める通知が発出をされております。
国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関と連携をいたしまして、住宅宿泊事業法等を適切に運用し、違法民泊の排除を進めるとともに、健全な民泊の普及に努めてまいりたいと考えております。
○もとむら委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。
○西村委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
冒頭、大臣からも報告がありましたけれども、昨日午前七時五十八分ごろ、大阪府北部を震源とする、最大震度六弱の地震が発生いたしました。昨夜、高槻市で二人目の犠牲者が報告され、とうとい命を落とされた方が四人となりました。負傷者も、二府四県で計三百七十六人と発表されております。
私は、犠牲になられた皆様の御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
我が党は、地震発災を受けて、直ちに山下芳生参議院議員を本部長とする対策本部を立ち上げ、私が本部長代理を仰せつかりました。昨日、二人で直ちに大阪に入り、大阪府庁、大阪市役所で被災状況の説明を受けるとともに、被害が甚大であった高槻市にも入り、倒れたプールのブロック塀の下敷きになって四年生の三宅璃奈さんが幼い命を落とした市立寿栄小学校の現場にも行ってまいりました。
配付資料の一を見ていただきたい。昨日、私が寿栄小学校で撮ってきた写真であります。
上の写真、下に絵が残っているのがもともとのプールの基礎部分で、一・九メートルございます。この上に、目隠しのためと思われますけれども、新たにコンクリートブロックを、八段組み、約一・六メートル積み上げていたわけであります。合計すると三・五メートルにもなるわけですけれども、建築基準法施行令ではブロック塀の高さは何メートル以下と定められているか、お答えいただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
補強コンクリートブロック造の塀に関する規定でございますが、「高さは、二・二メートル以下とする」ということになっております。
○宮本(岳)委員 これは明確な違法状態だったわけであります。
昨日、高槻市も違法状態だったことを認め、市の責任は免れないと考えていると語りましたけれども、市の担当者は、事故が起きるまで違法性を認識していなかったとも語りました。専門家はこのブロック塀を一目見て、支えの壁、控え壁がなく極めて危険、子供ばかりでなく、一般の人でもブロック塀に近づかず、離れて歩くことが基本だと指摘をしております。
しかし、返す返すも無念で胸が潰れそうなのは、犠牲になった璃奈さんであります。
きょうは文部科学省に来ていただいておりますけれども、昨日、璃奈さんはなぜ朝早く一人で登校していたんですか。
○山崎(雅)政府参考人 済みません。文科省でございます。
報道ベースでございますけれども、通学の見回りですか、をやるために早く通学したというふうに報道では承知しているところでございます。
○宮本(岳)委員 挨拶運動なんです。高槻市教委によると、璃奈さんは児童会の代議員を務め、十一日から二週間の予定で朝の挨拶運動の当番でありました。先に学校に行き、登校してくる児童に朝の挨拶をするためだったといいます。
配付資料の一の下の写真を見ていただきたい。倒れたブロック塀の下にグリーンベルトが見えております。右側通行ということで、学校はこのブロック塀の真下のグリーンベルトを歩くように指導しておりました。璃奈さんは、この学校の規則をきちんと守ったがゆえに、違法建築のブロック塀の下敷きになってとうとい命を落としたわけであります。
文部科学省に聞きますけれども、こんな理不尽なことがあっていいのかと私は思いますが、いかがですか。
○山崎(雅)政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃったように、文科省としましても、本来最も安全であるべき学校施設の被害によりとうとい人命が失われたことは極めて重大なことであると受けとめております。
そのため、プールの塀の倒壊も含め、より詳細な被害状況の把握のため、本日、文科省の担当官及び専門家を現地に派遣したところです。
今後とも引き続き、関係機関との連絡を密にしまして被害状況の収集を行うとともに、最大限必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 おっしゃるとおり、学校というところは子供たちにとって一番安全で、一番命が守られる場所でなければなりません。私たちはそういう思いで国庫補助のかさ上げもし、学校の耐震化一〇〇%を目指して取り組んでまいりました。
文部科学省の昨年四月一日時点の公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査の結果によりますと、公立小中学校の構造体の耐震化率は、前年度から〇・七ポイント上昇し、九八・八%となりました。また、「全国の九割近くの設置者が耐震化を完了した。」と報告されております。設置者別の調査結果を見ますと、高槻市は非木造も木造もともに一〇〇%、耐震化完了自治体となっております。
文部科学省に聞きますけれども、この調査の対象に、プールの外壁、今回のような外壁は入っておりますか。
○山崎(雅)政府参考人 お答え申し上げます。
これまで文科省が行っていた公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査につきましては、児童生徒が一日の大半を過ごす校舎や体育館などの学校施設の耐震化対策を最優先で行っているということから、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律に規定されているいわゆる建物に対象を限定したところでございます。
今回のようなブロック塀等の囲障は、建物以外の工作物であるため、対象に含まれておりませんでした。
○宮本(岳)委員 決して文部科学省を責めようというわけではないんですよ。もちろん、校舎や体育館など構造体の耐震化を急いで完了させるのは当然のことです。
問題は、我々も含めて、そこで安心してしまったことだと思うんです。これが盲点となって今回の悲劇が起こったと私は受けとめました。
大臣も冒頭、小中学校の塀の安全点検に言及されましたけれども、これは文部科学省に重ねて聞きますけれども、今回の痛ましい事故を教訓に、改めて、学校のブロック塀の強度の点検、調査や、ブロック塀の真下の通学路など学校の危険箇所を総点検すべきだと私は思いますけれども、いかがですか、文部科学省。
○山崎(雅)政府参考人 お答え申し上げます。
今回の事案につきまして大阪府教育委員会を通じて確認したところ、高槻市の見解では、倒壊したブロック塀については、高さの基準を超え、若しくは補強のための控え壁が設置されていないことなど、現行の建築基準法に適合していなかったということでございます。
さらに、ブロック塀の設置経緯等については現在調査中とのことであり、法律違反であればまことに遺憾であるというふうに思いますが、文科省としては、先生が御指摘のとおり、今回の事故を受け、昨日の総理からの指示を踏まえまして、全国の学校設置者に対して、小中学校のブロック塀等に関する点検を改めて緊急的に行うよう、本日、要請文を発出することとしております。
○宮本(岳)委員 林大臣からも指示がなされたと報じられております。
余りにも理不尽な状況でとうとい命を落とさざるを得なかった三宅璃奈さんの心の叫びを受けとめる決意で、一刻を争って取り組んでいただきたいと思います。
高槻では、今既に定められている建築基準法施行令でさえ守られず、悲劇を生みました。建築基準行政は人の命に直結する問題だけに、我が党は、安易な安全性にかかわる規制緩和には反対であります。
今回の改正には、建築物の界壁に関する規制の合理化という内容がございます。界壁とは、共同住宅において各住戸の間を仕切る壁のことでありますけれども、現行の建築基準法は、「界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとする」と規定しております。本法案は、この規制を緩和して、遮音性能に関し、政令等が定める技術的基準等を満たすように天井を強化すれば、界壁が小屋裏又は天井裏に達しなくてもよいということにするものであります。
しかし、界壁には遮音性能だけでなく防火性能もあると思いますが、間違いないですね。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改正は、御指摘のとおり、小屋裏又は天井裏を回り込む音を含めた生活音の伝搬を防止するため、共同住宅や長屋における各戸の界壁について、一定の遮音性能を求めるとともに、小屋裏又は天井裏に達することを求めているのに対して、小屋裏等の音の回り込みを含めて生活音の伝搬防止を、現行の制度と同様に性能を有するものについては、界壁が小屋裏等に達することを要しない方式を追加することとしております。
なお、界壁につきましては、御指摘のとおり、遮音のみならず、防火についても同様の規定がございます。
○宮本(岳)委員 これまで、界壁があれば遮音性能も防火性能も確保できるということで建築行政が行われてきました。防火性能について結論も出さないまま界壁の規制を緩和するのは、建築物の安全性を軽視することになると言わなければなりません。
この界壁にかかわって今大問題になっているのが、サブリース大手レオパレス21の違法建築問題であります。
まず確認いたしますけれども、建築基準法等の法令では、界壁の遮音性能や防火性能を発揮させるために、どういった素材を使い、どのくらいの厚さで使うべきと規定されているか、具体例をお示しいただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
共同住宅の界壁については、遮音の観点からは、小屋裏又は天井裏を回り込む音も含めた生活音の伝播を防止するため、小屋裏又は天井裏に達することに加えまして、一定の遮音性能として、例えば、下地等を有する場合には、界壁の両面に厚さが一・二センチ以上の石こうボードを二枚以上張ることとともに、界壁の厚さを十センチ以上とし、その内部に一定の吸音材を張るといった仕様を定めております。
また、防火の観点からは、火災時における住戸間の延焼防止を図るために、その界壁を、小屋裏又は天井裏に達することに加え、準耐火構造とし、例えば、界壁の両面に一・五センチの石こうボードを張るといった仕様を求めております。
○宮本(岳)委員 レオパレス21社は、違法建築にかかわって、ことし四月二十七日と五月二十九日にニュースリリースを出し、記者会見を行いました。
資料を見ていただきたい。いずれも、レオパレス21の物件を一級建築士などが独自に調査した際の写真であります。資料二は、界壁部分がベニヤ板のような木材であります。石こうボードなど全く張られておりません。資料三は共同住宅の天井裏でありますけれども、そもそも界壁がありません。先ほどの答弁からすれば、違法建築であることは明らかであります。
レオパレス21のサブリース契約の問題点については、私は、二〇一三年四月十五日の衆議院予算委員会第一分科会以来、繰り返し警鐘を乱打してまいりました。これらの問題はまだ解決しておりません。その中で同社は違法建築まであったと認めたわけでありますから、事態は深刻だと言わなければなりません。
国土交通省に聞きますけれども、レオパレス21社による今回の違法建築問題について、国交省として何件調査して、そのうち、建築基準法違反が何件確認されましたか。お示しいただけますか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省はレオパレス21に同社が施工した物件リストを提出させ、当該リストを特定行政庁に提供し、建築基準法への適合性の確認等を依頼したところであります。
五月一日には九百十五棟のリストを特定行政庁に提出したところでありまして、六月十五日現在、九特定行政庁において十七件の建築基準法への違反が確認されたとの報告を受けております。
また、六月八日には、さきの九百十五棟を含む同社が施工した全ての物件三万七千八百六十一棟のリストを特定行政庁に提出し、さらなる調査を依頼したところであります。
○宮本(岳)委員 レオパレス21自身が四月から調査対象にしてきた二種類の物件について、五月二十六日時点で、百八十四棟調査して百六十八棟に界壁がなかった。九割以上が違法建築の疑いが強いと認めております。
加えて、これまで調査対象にしてこなかった六種類一万三千七百九十一棟のアパートでも、二百九十棟調査したうち、三十八棟、約一三%が界壁がないか施工不備だったというのですから、合計二百六棟で既に違法建築の疑いが強いわけであります。
レオパレス21のアパートは三万七千八百五十三棟あると言われております。仮に一割が違法建築だとしても、三千七百棟を超える空前の違法建築事件になりかねないわけであります。
石井大臣は、五月二十五日の閣議後記者会見でレオパレス21社の違法建築について、「仮に特定行政庁が違反と判断した場合には、必要な防火性能等を欠いており、問題がある」「違反であることが判明した物件については、行政庁が違反状態を速やかに解消するよう指導し、必要に応じ、免許権者である国又は都道府県が建築士を処分する」と述べました。
その四日後の五月二十九日、レオパレスの二度目のニュースリリースで、被害の拡大が明らかになりました。その中で同社は、来年六月までに三万七千棟を超える建物の全棟調査を実施するとしております。一年で三万七千を調査しようとすれば、毎月三千棟以上調査しなければならない計算になります。
大臣に聞きますけれども、違反状態を解消するのであれば、特定行政庁やレオパレス任せにするのではなく、国交省として一刻も早く被害の全容を調査し、原因を究明するべきだと思うんです。そして、オーナーの意向も聞いて、修繕させることは当然だと思います。大臣の御決意をお聞かせいただきたい。
○石井国務大臣 レオパレス21が供給をした共同住宅で建築基準法に違反する疑いがあることが判明をし、同社施工物件全てを調査することを報道発表したことは承知をしております。
本事案が建築基準法に違反しているか否かは、個別物件ごとに特定行政庁が判断していくものでありますが、現在、同社から提出された物件リスト等を国土交通省が情報提供をし、特定行政庁において、現地調査も含めて、早急に事実確認を行っているところであります。
この結果、複数の特定行政庁において、建築基準法違反であるとの報告を受けたところであります。
国土交通省といたしましては、レオパレス21社に対して、物件が所在する特定行政庁への早急な説明、是正工事の迅速かつ円滑な実施を指示するとともに、賃借人及び賃貸人に対して状況を速やかに説明し、誠実に対応するよう指導しているところであります。
今後も、建築基準法違反であることの特定や違反建築物の是正について、特定行政庁と連携をして、必要な安全性の確保に向け、迅速に対応してまいります。
○宮本(岳)委員 ぜひ厳しく対処していただきたい。きちっとやっていただきたいと思うんです。
今、このレオパレス21の違法建築をめぐってオーナーや入居者には、火災などの災害の際にどうなるのか、不安が広がっております。
きょうは金融庁にお越しいただきましたけれども、オーナーの方々は、もし火災などのトラブルがあった場合、違法建築を理由に火災保険の保険金がおりなくなるのではと大変心配されております。
今度のレオパレス21社の事案のように、オーナー側に責められるべき事由がないにもかかわらず、違法建築を理由に、加入している火災保険の保険金がおりなくなってはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
○栗田(照)政府参考人 お答え申し上げます。
個別の契約において火災保険が支払われるかどうかにつきましては、保険約款の定めによりまして当事者間で判断されるものでありますので、この場で個別の案件についてお答えすることは困難であることは御理解いただきたいと存じます。
その上で一般論として申し上げれば、各損害保険会社の保険約款におきましては、一般に免責事由の一つといたしまして、保険契約者、被保険者又はこれらの者の法定代理人の故意若しくは重大な過失又は法令違反があった場合が定められております。
このため、仮に、保険契約者、被保険者等に故意若しくは重大な過失又は法令違反がない場合には、この免責事由には該当しない、保険が払われるということになると考えております。
○宮本(岳)委員 ぜひ、落ち度のないオーナーの方が火災保険の心配までしなくてもよいようにしていただきたいと思います。
サブリース規制に関して、ことし二月十五日、日弁連が意見書を出しました。意見書では、国土交通省に対し、今ある賃貸住宅管理業者登録制度を、任意の登録ではなく、義務的登録制度とする法整備をするべきこととともに、将来の家賃収入は保証されたものでないこと等、リスクの説明を法令上の義務としてサブリース業者等に義務づけることを求めております。当然の意見だと思います。
そして、現在の制度の運用においては、借地借家法上のサブリース事業者の扱いが、一般の借家人と同列に扱われているという大問題があります。サブリース契約では、事業者は家主に対して情報量でも交渉力でも圧倒的優位に立っており、特別な法的保護の必要などありません。逆に、サブリース契約では、日弁連意見書が指摘するように、免責条項、家賃改定条項、中途解約条項など、サブリース事業者に有利な条項が組み込まれてさえおります。
このような運用こそ改めることを求めて、私の質問を終わります。
○西村委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝です。
まず、法案審議に入らせていただく前に、もう与野党関係なく触れられておりますけれども、昨日発生しました大阪の地震、大阪府の北部地域を中心に被害が出ました地震であります。私も自宅で揺れたんですけれども、非常に大きい揺れでした。
まずは、亡くなられた方々を含め、御遺族に心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。そしてまた、被害に遭われた全ての方々に、改めてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
まずは冒頭、石井大臣に、今後、この地震に対する、今回のこの地震に対する対応もそうですし、また今後の不測の事態に備えていただくということで、大臣のまず決意をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 国土交通省におきましては、地震発生後直ちに所管施設や所管事業者の被害状況の把握に努めるとともに、高槻市や枚方市など被災十五市三町と、ホットラインにより状況確認を行いました。また、地方整備局の防災ヘリや海上保安庁の船艇、航空機等により被害状況調査を実施をいたしました。
さらに、本日も一府六市にリエゾン等を十七人派遣をしまして、被害情報の収集や支援ニーズの把握などの実施をしております。また、地方整備局からTEC―FORCEを二十名及び照明車十六台、散水車五台を派遣をし、被災者支援の準備を進めております。
国土交通省といたしましては、TEC―FORCEや保有する災害対策用資機材を最大限活用し、生活インフラの復旧に向けまして、被災者の支援に全力で当たってまいります。
なお、塀の安全対策につきましては、昨日、総理から災害発生時における学校の安全確保について万全を尽くすよう指示があったことを踏まえまして、まずは小中学校の塀の安全点検について文部科学省と連携して取り組むとともに、今回の事案の原因を把握した上で、塀の所有者等に対し、特定行政庁を通じて必要な注意喚起をしてまいりたいと考えております。
○井上(英)委員 ぜひよろしくお願いいたします。学校のそういうチェックも、今随時始まっているというふうにも聞いていますので、迅速にしていただいて、出た結果に対してしっかりと対応いただけたらというふうに思います。
それでは、建築基準法の一部を改正する法律案の法案審議をさせていただきます。
本日は、今回の改正内容と、それから、建築基準法に関する質疑をやらせていただきます。
まずは、密集市街地を中心に大規模な火災被害が発生すると、防災上危険な状況にある密集市街地において一旦地震等が発生すれば、甚大な被害を受ける可能性が極めて高いというふうなことが明らかになっています。
平成二十八年十二月には新潟県の糸魚川で大規模な火災というのがありました。さらには、平成二十九年二月には埼玉県三芳町で大規模な倉庫火災というのも発生をいたしました。
糸魚川の火災被災地域は準防火地域であったんですけれども、建てかえというのが進んでいなくて、現行の防火基準を満たしていない建築物が多数存在していたというふうにも聞いています。
このようなことから、密集市街地の解消というのを進めるというのは非常に大事でありますし、るる以下聞いてまいりますけれども、密集市街地における安全性の確保について、やはり、延焼防止性能の高い建築物への建てかえの促進というのが非常に重要だというふうに考えます。
実際に、これは法案の改正点をまとめた概要です。これは各委員先生方に配られていると思いますけれども、そこに、「現状・改正主旨」というところで、「密集市街地等において、延焼防止性能の高い建築物への建替え等を促進」。これでは、先ほど申し上げた、糸魚川の市街地火災に関するシミュレーションというのをやっているんです。
それでは、現行の基準に適合する現在の一般的な住宅に置きかえてシミュレーションを行ったところ、つまり、今のルールに適合している一般住宅でシミュレーションを行ったところ、火災の発生から六時間を経過しても、焼損範囲が火元建物の周辺などの極めて限定的な区域にとどまるという結果が得られたというシミュレーション結果が出ています。
ですから、延焼防止性能の高い建築物、耐火建築物や準耐火建築物といった建物がいかに有効であったかということを示すものだと思うんです。
ただ、一方で、現状においてその建てかえ促進というのがなかなか先ほども申し上げたように進んでいない。それが阻害している要因というのをどのように分析をされているのか。
そしてまた、今回の改正案では、耐火建築物か準耐火建築物に建てかえた場合は建ぺい率を一〇%緩和するということも盛り込まれています。先ほど来ずっと大阪の建ぺい率の緩和の件もありました。私が市会議員のときにその建ぺい率を緩和したんですけれども。
ただ、今度、耐火建築物、もっと耐火できる、準ではなくて耐火建築物にかえるのであるなら、例えば二〇%の建ぺい率を緩和するとか、そういったメニューというのがやはり必要になってくるんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
密集市街地の安全性の確保をするためには、道路、公園等の公共施設の整備とあわせて、民間による老朽住宅等の建てかえを促進することが、御指摘のとおり、非常に重要だというふうに思っております。
一方で、密集市街地においては、各敷地が十分に道路に接しておらず、敷地自体も狭小であるといったような課題もあるというふうに認識しております。
こうしたことを踏まえまして、今回の改正法案においては、建ぺい率の緩和措置というのを、全国一律に適用されるものとして一割ということをやらせていただいているわけでございます。
これについては、先ほど来御説明いたしているとおり、建ぺい率自体には、空地の確保による採光、通風といった、市街地環境の建て詰まりを防止するという観点もございますので、こうしたもののバランス、それから、現在の防火地域における耐火建築物についての建ぺい率の緩和との調和を考えまして一割というふうにさせていただいているところではございますが、委員の御地元の大阪市のように、防火規制の強化と建ぺい率の引上げを一体的に、これは一律というのではなくて、地域の実情に応じて適用していただくということも非常に有効であるというふうに考えております。
今後とも、今回の規制の合理化とあわせ、そのような措置についても周知をしてまいりたいというふうに思っております。
○井上(英)委員 地域の実情に合ったというのは当然の考えかなと思うんですけれども、ただ、用途地域の建ぺい率なんかも限界が来ているというエリアもあります。それによって根本的に建てかえができないという問題なんかも出てきていますので、ぜひ変えれるところは変えてほしいなと思うんですけれども、ちょっと時間がありませんので、建築基準法にかかわる違法コンテナの質問をさせていただきます。
建築基準法に適合しない違法コンテナによる営業というのが横行しています。今はやっているレンタルボックスなどが非常に多いんですけれども、業界団体の推計では、全国約六千六百カ所、約二十七万室というふうに用意されています。
ただ、本来は、継続的に使用されるコンテナは建築物とみなし、土台となる基礎工事を地面に固定する必要がある。実際は空き地に重ね置きをしただけのコンテナなんかもありますけれども、これがまた都市部に多いんです、東京だとか大阪だとか。だから、これから東京のオリパラ、それから大阪は来年G20もありますし、きょう本会議でうまく賛成をいただければIRだとか、これからどんどん海外からの観光客もふえていく中で非常に問題だと思うんですけれども、この現状についてどのような認識か、お答えいただけますでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
コンテナを倉庫等として設置し継続的に使用する物件等は、その形態及び使用の実態から建築基準法に規定する建築物に該当するということになりますが、これらの中には、適切な基礎が設けられていない、コンテナと基礎とが適切に緊結されていない、積み重ねる場合にコンテナ相互が適切に接合されていないなど建築基準法の構造関係規定への違反や、コンテナを利用した倉庫を倉庫が建築できない用途地域に建築しているといった用途規制への違反が疑われるものがありまして、このような物件におきましては、地震等に対する構造耐力不足や周辺の住環境への悪影響が問題になることから、特定行政庁による違反是正措置等が講じられてきているというふうに承知しております。
○井上(英)委員 ですから、これがもし昨日起きたような地震も含めた天災になってくると、行政としてのやはり過失という問題というのは、当然それは国だけではありません、直接やはり管理しているのは自治体ですから、そういった行政の責任というのは非常に大事になってきますけれども、その中で、違法コンテナを安全にやはり管理していただくためには、オーナーの役割、持ち主の役割が当然重要でありますし、物を置いている地主もやはり一定の責任があると思いますので、今後、通知、告知を、たな子がそういう違反をしていますよというようなことも、オーナー、地主に知らせることによって緊張感にもつながると思います。
オーナーの役割も含めて、国交省の見解をお聞きしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
コンテナを利用した建築物につきましては、建築基準法に適合しない事項がある場合には当然違反建築物として扱って、是正指導等を徹底するように国土交通省から特定行政庁に依頼してきたところでありまして、特に、コンテナを複数積み重ねる場合には、地震発生時等に転倒し、周囲に危害を及ぼすおそれがあるということについて留意をするよう注意喚起をしたところでございます。
こうした危険性に関しまして、また、建築基準法に基づく建築確認申請が必要であること等につきましては、地方公共団体がホームページに掲載すること等によって所有者等に広く周知するよう国土交通省から依頼をするということとともに、あわせて、地方公共団体の建築部局におきまして、建築パトロールの実施等による早期発見、所有者等への是正指導、さらには、違反している場合におきましては、特定行政庁が、除却命令、除却されるまでの間の使用禁止命令も発令といったような形で是正をしているところでございます。
なかなか土地所有者に関しては、建築基準法上、建築主に対しての指導ということになっておりまして難しい面はございますが、公共団体においてホームページでそのような課題について広く周知することなどを通じまして、注意を喚起してまいりたいと考えております。
○井上(英)委員 突然つけ加えて聞いたことも答えていただいて、ありがとうございます。
いずれにしても事故が起きてからでは遅いので、ぜひしっかりと取り組んでいただくことを要望して、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○西村委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党を代表して、建築基準法改正案に反対の討論を行います。
本法案には、大規模物流倉庫を念頭に、建築物の維持保全計画の作成、提出を義務づけ、延べ面積百五十平米以上の重層長屋について条例による接道規制を可能とするなど、積極的に評価できる部分があります。
しかし、次に述べるとおり、建築物の安全性にかかわる看過できない規制緩和が含まれます。
第一に、既存ストックの用途変更による活用を名目に、建築確認や防火、耐火性を緩和する点です。
空き家等の既存建築ストックを活用する必要性は否定しません。しかし、建築確認制度や防火、耐火規制は、居住者、利用者の生命身体の安全を守るための規制であり、福祉施設や商業施設に用途変更する需要があるからといって規制を緩めるべきではありません。
耐火規制の緩和は転用例に限られず、新築の場合も含まれます。新たに求めるという警報設備等の設置は所有者、管理者任せであり、三階建てであれば短時間で避難できるという根拠も不十分です。
多くの人が命を落とす火災が各地で相次ぐ中、必要な防火、耐火対策の徹底こそが求められますが、本法案には安全性確保の担保があるとは言えません。
第二に、本法案が、木材利用の推進のために防火、耐火規制の基準を緩和し、その対象建築物の拡大を内容としている点です。
木造建築の推進は、我が党も賛成して成立した公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律に基づき進められていますが、建築基準法上は木造三階建ての学校等について準耐火構造等でよいとする規制緩和を行ったばかりです。その検証もなく、現段階でのさらなる規制緩和は時期尚早と言わなければなりません。
以上指摘をし、反対討論といたします。
○西村委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○西村委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、建築基準法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十五分散会