衆議院

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第3号 平成30年11月21日(水曜日)

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平成三十年十一月二十一日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    門  博文君

      神谷  昇君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      田中 英之君    高木  毅君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中谷 真一君    丹羽 秀樹君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      藤井比早之君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君

      望月 義夫君    盛山 正仁君

      簗  和生君    荒井  聰君

      福田 昭夫君    道下 大樹君

      森山 浩行君    山崎  誠君

      伊藤 俊輔君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    広田  一君

      もとむら賢太郎君    宮本 岳志君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国務大臣

   (海洋政策担当)     宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   国土交通副大臣      塚田 一郎君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局長)        重田 雅史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  下司 弘之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       和田 篤也君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     丹羽 秀樹君

  土屋 品子君     三ッ林裕巳君

  宮内 秀樹君     上杉謙太郎君

  山本 公一君     小田原 潔君

  荒井  聰君     山崎  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     宮内 秀樹君

  小田原 潔君     山本 公一君

  丹羽 秀樹君     小島 敏文君

  三ッ林裕巳君     土屋 品子君

  山崎  誠君     荒井  聰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省水管理・国土保全局長塚原浩一君、海事局長水嶋智君、港湾局長下司弘之君、航空局長蝦名邦晴君、内閣府総合海洋政策推進事務局長重田雅史君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君、環境省大臣官房政策立案総括審議官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。秋本真利君。

秋本委員 おはようございます。自民党の秋本真利です。

 この法案に関しましては、この間まで政務官として一年二カ月、この法案の作成にかかわってきまして、大変強い思い入れを持っております。質問の機会を与えてくださいました理事始め委員の皆様方に感謝をしたいというふうに思います。

 早速、時間がありませんので、質問に入ります。

 まず最初に、KPIの設定についてお伺いをいたします。

 五区域ということが示されているわけでありますけれども、この法案を心待ちにしているこの業界の方々からしてみると、この五カ所という数はちょっと少ないんではないか、五カ所がキャップになってしまって、六ケ所目、七カ所目というところが設定されないのではないかという危惧を抱いているわけでありますけれども、この五カ所というのはあくまでも最初に掲げた目標であって、これを突き抜けて六カ所、七カ所と、適地が出てきた場合にはしっかり指定していくということで間違いないということをぜひ確認をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

重田政府参考人 先生御指摘の五区域でございますが、これは、二〇三〇年度において風力発電全体の設備容量一千万キロワットを目指す中で、現時点で、陸上と洋上の設備容量の比率や、具体化している計画の平均的な容量などにより試算しているものであります。

 この促進区域は、風況、水深などの自然条件や系統接続が適切に確保される見込みがあることなどの基準に適合し、地域関係者の御理解をいただけた海域を指定することとなります。このため、これら条件に適合している区域があれば、五区域を超えて指定することもあり得ると考えており、本法案の上限となっているものではございません。

秋本委員 五カ所が上限じゃないということが確認できました。

 既にもう今、現在でも十七件、五百万キロワットぐらいのアセス案件が出ておりますし、一千万キロというのは、洋上と陸上を合わせた数字でエネ基で示されているわけでありますけれども、風力発電協会さんの資料によれば、洋上だけでも一千万キロワットというポテンシャルがあるぞということは示されているわけでありますので、ぜひ、今、重田さんの方から五カ所はキャップじゃありませんという説明がありましたので、そういう適地があった場合は、六カ所目、七カ所目と順次指定していっていただきたいというふうにお願いをいたします。

 次に、基本方針の閣議決定の時期と促進区域の指定でありますけれども、この法案は、本来は前回の通常国会で成立を目指すべく提出をされました。残念ながら廃案となってしまったわけで、今ここで審議が行われておりますけれども、法律の中には、四カ月以内に基本方針を定めて、そしてそれに伴って促進区域の指定をしていくということですので、前回の国会、五、六月に、もし成立していたら、ちょうど今ぐらいに基本方針が遅くとも閣議決定されていて、促進区域ということになっていたわけでありますので、少し後ろに押してしまっているわけです。

 これはちょっとほんの数カ月のおくれだろうというふうに思う方もいらっしゃるかもしれませんけれども、それが大変重要な時間軸でありまして、一般海域の洋上風力に関しては、法律が先を行っているわけではなくて、県の条例に基づいて事業を進捗しようと思っていた事業者の方がこの国にはもう既に何社もおります。その方々からしてみると、この法律は後ろから追っかけてきているわけでありまして、この法律の成立の時期によっては、事業をとめて、待って、促進区域を指定してもらって、そこの公募に手を挙げて選ばれればというふうになってしまっていて、この法律が後ろから追っかけていっているような状態であります。

 ですから、一刻も早くこの法案を成立させて、基本方針を閣議決定し、促進区域の指定をして、そこで公平な土俵のもとで競争していただいて、その先行事業者についても、競争の上で、促進区域の事業者として選定していただくというようなスキームになるわけでありますけれども、この時期が非常に大事なわけであります。一刻も早く基本方針の閣議決定をして、促進区域の指定をしていただきたいと思います。

 また、その促進区域を指定するに当たって、これから国交省と経産省の方で作業をするわけでありますけれども、その着手要件といいますか、こういう海域からまずやるぞというような、何かお示しいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 促進区域の指定に当たりましては、法案上、一定の手続が定められてございます。まず、基本方針の閣議決定を行い、その上で、法案第八条一項各号に定められております基準に関しまして国があらかじめ調査を行い、これに基づき適合する区域を指定することとされております。また、法案第八条三項に定められた公告縦覧手続や、同条五項に定められた各種の協議、意見聴取の手続も必要とされているところでございます。

 こういうことを考えますと、公平公正な形でこうした手続を進めるためには一定の期間が必要だとは考えてございます。

 他方で、先生御指摘のように、洋上風力の導入につきまして、日本の中での事業環境の整備や支援策につきまして、既に取り組んでいらっしゃる事業者の皆様方含め関係者の皆様方から大きな期待が寄せられているということはしっかりと認識しているところでございまして、可能な限り速やかな区域の指定が適切に進められていくよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

 また、促進区域の指定の着手に関する具体的な手続でございますが、これについて本法案に定めはございません。しかしながら、促進区域の指定につきましては、関係都道府県などの関係者の御意見も伺いながら、国として調査を進めていくことなどを考えているところでございまして、法案が成立いたしました暁には、迅速かつ着実に手続が進められていきますよう、その具体的な段取りを定め、お示ししていきたいと考えてございます。

秋本委員 今、松山部長の方からお答えがありました。可及的速やかにということなので、なるべく早く設定してもらいたいわけですけれども、今、後段の着手の要件という中では、地元の関係機関ということもありましたけれども、例えば、地元の県の知事さんあたりから、うちについては地元の交通整理が済んでいるので、うちは早く指定してくれ、うち、手を挙げるよというような、例えば要望書みたいなものが出てくるというものも、今言った要件の一つというふうに考えてよろしいでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な手続はまだこれからの検討となりますけれども、今先生の御指摘のございましたような各都道府県、その首長でございます知事の方々等からの御要望、情報の提供については、その後の検討については、重要な御意見として承っていくことになるかというふうに認識してございます。

秋本委員 それで、今部長の方から御説明があったとおりでありますけれども、エネ庁さんはよくわかっていると思いますけれども、今、北東北の募プロに関しては、系統に関する保証金みたいなものが来年の夏の終わり、秋口のころに発生するわけであります。そこで、事業者の事業規模によっては数百億円という規模のお金を積んでということになるわけですけれども、その前に促進区域が指定されて公募がかかる、あるいはそこで決定がなされるということがないと、何もない中で数百億円というお金を積まなきゃいけないわけでありまして、これは非常に事業リスクがあるのではないかなと思いますので、そういった先行事業者の事業の進捗を横目で見ながら、公平公正というものはもちろんありますけれども、ぜひ鋭意、早急に定められるように努めていただきたいというふうに思います。

 公平公正という話が出たので、ちょっと順番を先に行って、六番を先に質問しますけれども、公募、入札における評価基準でありますけれども、公平公正というのはもちろんよくわかります。国民の財産を長期間にわたって占用するわけですから、ひとしく競争をきっちりと公平な条件のもとでしていただく必要がある、これはもう間違いないわけであります。

 他方で、一方で、法律がこういうふうに施行されるよという前から、作成される前から、県条例によって事業の進捗を図ろうと思って、しっかりと地元に入って交通整理をして、そして投資をして現在に至っているという事業者にとっては、法律が後からやってきて、突然、この法律ができますよ、促進区域を指定して公募をかけますよとなったときに、えっ、俺たち、ここでもう十年間もやってきて、あるいは数十億円投資してここでやってきたのに、突然公募にかけられて、公平な土俵のもとで相撲をとれと言われても、これは、いやいや、ちょっと待ってよというところもあるわけであります。

 じゃ、そのまま条例でやればいいじゃないかという話もあるわけですけれども、この法律に基づいて長期に占用ができると、やはりこれは、ファイナンス等も含めて事業の安定性というものが増しますから、これは法律でやりたいという事業者の心境もわからなくはないわけであります。

 そうした中で、そういった先行投資、あるいは先行事業者のそういった地元との築いてきた関係を全部何もなかったことにして、ガラガラポンでやれよというのは、これはちょっと酷かなという気もしますので、そういった先行事業者に対する一定の配慮というものもあってもいいのではないかなと私は思いますけれども、その点についてどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 先行事業者が検討しておる内容について、公募占用計画の評価の中でどのように考慮するのかという御質問でございます。

 海洋再生エネルギー発電設備促進区域が指定されました場合、当該区域ごとに、経済産業大臣及び国土交通大臣が策定する公募占用指針において事業者の評価基準を定めるという規定でございます。

 この公募占用指針におきましては、国民負担抑制を図る観点からは、供給価格を最も重要な要素とし、また、長期的、安定的な発電事業の実施の観点から、事業内容や資金計画、それから収支計画、関係行政機関の長との調整に関する事項、こういったものを記載し、総合的に事業者を評価していくこととしてございます。

 特に、関係行政機関の長との調整に関する事項等を定めることによりまして、先行的に地元との調整を行っている事業者を評価してまいりたいと考えてございます。

 経済産業大臣及び国土交通大臣は、公募占用指針で定めた評価の基準に従って、発電事業を長期的、安定的かつ効率的に実施するために最も適切な公募占用計画を提出した事業者を選定してまいりたいと考えてございます。

秋本委員 今の局長の答弁を聞いて、少し安心をしたところであります。法律の中にも、私が憂慮しているような部分が配慮されているということが読み込める条文がしっかりとあるというふうに私も思っておりましたけれども、今、局長の方から改めてその部分については説明があったものというふうに思いますので、ぜひ、特に初期案件については、この辺について特段の配慮をしながらの法の施行に基づく促進区域の指定、そして公募、そして事業者の選定というものについて慎重に行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、こういう洋上風力がこれから日本でしっかりと根差して、そして発展していくためには、これは洋上ですから港から物を出さなければいけないわけでありまして、建設あるいは二十年間にわたるメンテナンスという意味では、建設の基地港湾あるいはメンテナンスの基地港湾という形で、やはり港の整備が重要になってくるわけであります。

 この辺について国土交通省はどのように考えているのかということについてお伺いをしたいのと、やはり、港という意味では港湾法もあるわけであります。

 港湾法も、私は改正時の質疑で、占用期間が二十年間というのはFITとお尻が合っていないので、これは合わせるべきだということをこの国土交通委員会で質問をさせていただきましたけれども、しっかりと基地港湾の整備をしながら、そして、時代にそぐわなくなった場合は港湾法の改正もしっかりとしていくということを視野に入れて国土交通省には精励していただきたいと思いますけれども、この点についてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、洋上風力発電を促進するためには、洋上風力発電設備の建設及びメンテナンスの基地となる港湾が必要不可欠であるという認識をいたしております。

 基地となる港湾におきましては、特に、重厚長大な資機材を取り扱うことが可能な埠頭が確保できること、並びに、風力発電事業者が同埠頭を長期的に利用できることが求められることになります。

 国土交通省といたしましては、我が国で洋上風力発電に取り組もうとしている事業者や港湾管理者の御意見も伺いながら、新たな制度も含め、基地となる港湾の機能強化に関する具体的な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

秋本委員 来年度の新年度予算に五億円、予算を要求しているというふうに認識をしています。私、自分が政務官だったころに、この基地港湾の必要性を国交省の中で訴えて、そして、当時の港湾局長だった菊地技監のもとで、私と一緒に数十社の事業者からヒアリングを行って、基地港湾の必要性、そして、それをどこにどういうふうに整備するのかということについて研究をしたわけであります。そして、五億円の予算が来年度の予算要求でされていて、それを使って、しっかりと基地港湾の整備あるいは促進区域の指定というものについて、していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、系統についてお伺いします。

 この法律だと、促進区域の指定のときに系統というのは確保されているよというふうになっているわけですけれども、しっかりと系統を確保して、この法案に基づく促進区域の指定というものをしていかなければなりません。また、これはどっちが先かというのがあるんですけれども、自然環境がよくて非常に条件のいい海域だけれども系統がない、系統がないと指定されないというようなことがあってはならぬわけでありまして、系統の増強というものもこの法案に基づいてしっかりと進めていくべきだというふうに思いますけれども、この部分についてはどのようにお考えか、お伺いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力を含めまして、再生可能エネルギーの導入拡大のためには系統制約を克服することが重要だと認識してございます。

 本法案を通じまして洋上風力発電の導入拡大を図っていくに当たりましても、現在生じつつあります系統の制約問題、これを克服しつつ対応していくことが必要だ、ということをしていく所存でございます。

 具体的には、例えば、現在多くの洋上風力発電の計画がなされております北東北の地域について申し上げますと、系統増強を共同負担で進めている電源募集プロセスに、相当数の洋上風力発電事業者が応募しているということを認識してございます。

 これを、この法案に基づきます推進区域とうまくつなぎ合わせて、しっかりと、この法案に基づきます洋上風力が進んでいくような形にしていかなければならない、そのための措置をとる必要があるというふうに認識してございまして、例えば、この法案に基づく推進区域での占用公募で選ばれた事業者がその系統容量が確保できていない場合に、当該募集プロセスにより系統容量を確保した事業者からその容量を継承できるような措置を講じていくというようなことも考えていきたいというふうに考えております。

 また、これから後に更に導入拡大を進めていく上には、さらなる系統の増強も必要だということは御指摘のとおりでございます。

 我が国の系統を再生エネルギーの大量導入等の環境変化に適応した次世代型のネットワークへと転換していく、こうしたために、国としても、託送制度の見直しなど必要な系統投資が行われる環境整備をしっかりと進めていきたい、このように考えてございます。

秋本委員 系統というのは、本当に事業者の方が危惧しておりますので、しっかりと増強していただきたい。

 それと、ないから指定できないよということじゃなくて、指定してもいいよねというようなすごい環境のいいところがあった場合は、迎えに行ってでも、しっかりと促進区域に指定していって、洋上風力の導入量を向上していくという必要があるんだろうと思います。

 欧州の方だと、セントラル方式と言われるような形で、系統についても、国がしっかりと敷設して迎えに行くというようなことを国の政策としてしっかりと掲げてやっている国もあるわけですから、日本においてもしっかりと系統については配慮をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、占用料でありますけれども、これは当然、促進区域になると、そこに風車が建って、それに対して占用料というものが発生しますが、この占用料について、どのような部分に占用料をかけて、それがどのくらいの金額になるのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。

 また、ちょっと一遍で申しわけないですけれども、この法案は領海区域内だけなんですよね。ですから、例えば領海の外に出た場合、EEZの方に出た場合はどういうふうになっていくのか考えているのかということについて。

 また、これは、洋上風力の建設ラッシュが始まると船が必要になってきます、SEP船でありますけれども。こういったものの船は、カボタージュの規制がかかっていて、ちょっと不自由なところがあります。また、船員、外国人ですから、船員法だとかでいろいろ縛りがあるわけですけれども、こういったものについてしっかりと、この法律をつくっただけでは絵に描いた餅ですので、この法律に基づいて洋上風力の導入が最大限なされるようにしっかりと鋭意努めてもらわなければならないわけでありますけれども、今お伺いした点についてどのようにお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。

下司政府参考人 占用料の考え方について御説明申し上げます。

 発電事業者による洋上風力発電設備の設置に係る占用の許可は、促進区域内の海域全体ではなく、個々の設備ごとに受けることになります。

 占用料の単価につきましては、国や都道府県の海域占用料、欧州における占用料の算定例等を参考にしながら、今後検討してまいりたいと考えてございます。

 また、占用料の算定につきましては、発電設備の投影面積及びチェーンの長さ等に基づき行うことと考えてございます。

重田政府参考人 本法案の対象区域の海域の問題でございます。

 先生が御指摘のように、ヨーロッパでは、領海外の排他的経済水域においても洋上風力発電設備が運営されておりますが、現在、我が国の排他的経済水域において、洋上風力発電設備を整備する具体的な計画は承知しておりません。このため、まずニーズがある領海及び内水を対象にルール整備を行う本法案を提出しているところであります。

 今後、本法案の施行状況や今後の需要動向を踏まえつつ、領海外における制度の必要性も含めて検討していく所存です。

水嶋政府参考人 SEP船の関係についてお答えを申し上げます。

 洋上風力発電を推進するに当たりましては、洋上において、その施設の建設作業を行う特殊な船舶、いわゆるSEP船の確保が重要であるというふうに考えられます。

 仮に、外国籍のSEP船を用いて日本の領海内で作業を行う場合には、先生御指摘のとおり、カボタージュ規制との関係を整理する必要が出てまいります。

 このカボタージュ規制でございますけれども、経済安全保障の確保という国家的見地から、自国内の貨物又は旅客の輸送は自国籍船に限りという国際的な慣行として確立した制度でございまして、我が国においても、船舶法に基づきまして、外国籍船による国内輸送は原則として禁止されておるところでございます。

 他方、船舶法の規定に基づきまして、国土交通大臣の特許が付与される場合には、外国籍船による輸送が認められることとなっております。

 SEP船につきましては、これまで日本籍船のSEP船は小型のものが中心でございましたが、現在、我が国造船事業者におきましても大型のSEP船建造の動きが見られますところ、SEP船に係るカボタージュの特許の付与につきましては、今後のSEP船を取り巻く状況なども踏まえまして、適切に判断してまいりたいと考えておるところでございます。

 また、外国人船員が我が国の領海内において作業を行う場合には、船の船籍にかかわらず入管法に基づく在留資格を取得する必要がありますところ、この点につきましては、個々の活動内容に応じて、法務省において在留資格を決定するものと承知しておるところでございます。

 いずれにいたしましても、洋上風力発電推進の重要性に鑑みまして、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

秋本委員 どうもありがとうございました。

 しっかりと精励していただきまして、一日も早い成立、そして基本方針の閣議決定、促進区域の指定をしていただきますようにお願い申し上げまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の法案は洋上風力発電を促進をしていくと。自前のエネルギー源を持つということは、広い意味で防災、減災また国土強靱化につながっていく大変重要な法案だと思います。

 昨日の閣議におきまして、第二次補正予算の指示が総理からございまして、防災、減災、国土強靱化、三カ年にわたるスタートとなる補正予算の編成の指示があったところでもございます。

 まず初めに、国土強靱化という観点から石井大臣にお聞きをしたいと思います。

 本年の六月に、土木学会におきまして、国難をもたらす巨大災害についての技術検討報告書という報告書が発表をされております。今、資料を配付をさせていただいております。

 この中で、きょうは時間も限られておりますので簡単に申し上げますけれども、いわば先行投資を行うことによって、災害発生時の経済被害、人的被害はもちろんですけれども、経済被害を縮小をして、結果的に、災害発生時から、例えば、地震災害であれば二十年間、水害であれば十四カ月で税収の縮小を回避をすることができて、その額が先行投資の事業費を上回る、つまり投資効果が十分にあるという報告書が、土木学会から提出をされております。

 今配付をさせていただいております資料、一番上の表一が被害の推計でございます。地震、高潮、洪水ということで、それぞれ、経済被害、資産被害、財政的被害ということで計上されております。

 また、真ん中のところが、これに対する対策の内容が右側にございまして、その合計事業費も書かれておりますし、それに対する減災率、減災額というのも明示をされております。

 そして、一番下が、いわば先行投資による投資効果ということになりますけれども、左側に合計事業費がございまして、この事業費を投ずることで、地震であれば二十年間、水害であれば十四カ月で、その投資を上回る税収減の抑制効果を確保できるというものでございます。

 もちろん、この報告書自体がまだまだ粗削りなところもあることは学会そのものが認めておりますけれども、昨今の我が国の災害による被害、そして人的被害を見るにつけ、そこに対して、財政の制約はありますけれども、抜本的な、財源論も含めて本格的な検討が必要だ、命を守るための先行投資ということをよくよく考えていかなければならないと、災害を見るにつけて痛感をしておりますけれども、この土木学会の報告書も受けまして、石井大臣のこの点に関する御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 土木学会が独自で検討委員会を立ち上げ、国難をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書を公表したことは承知をしております。

 報告書の中では、首都直下地震、南海トラフ巨大地震、三大都市圏の巨大洪水等の災害が発生した場合、長期的な経済被害等が発生をいたしますが、事前の対策を実施することにより、これらを軽減できることが述べられております。

 実際に、平成三十年七月豪雨を始めといたしまして、近年の豪雨、台風災害では、インフラが整備され、かつ維持管理されてきた箇所での被害は小さく、インフラが未整備又は整備途上の箇所では被害が大きかった事例が多数確認をされております。

 例えば、平成三十年台風第二十一号で、大阪湾では観測史上最高の潮位を観測したものの、堤防、水門等の整備によりまして、大阪市街地の高潮浸水は防止をされ、未整備の場合と比べると、その被害防止効果は十七兆円程度に相当するものと推定されております。

 こうしたことからも、大規模な被害を受けた地域については、再度災害防止のための事業を着実に推進してまいりますが、事前の防災対策が非常に重要であると認識をしておりまして、事前に行うべき防災対策が後手に回ることがないよう、防災、減災、国土強靱化のための事前防災対策に必要な予算の確保に努め、強靱な国土づくりを進めてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 財源論も含めてこうした議論をすることは、もちろん簡単なことではないことはよく承知をしておりますけれども、可能性として、先行投資をした方がトータルコストとして下がるという学会の報告書は、大変重要なポイントを指摘していると思っております。さまざまな制約がある中ですけれども、この点は継続して私自身も深掘りをしていきたいと考えておりますので、引き続きの御指導をよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、いわゆる再生可能エネルギーというものについて、太陽光パネルしかり、さまざまな取組が進んでおりますけれども、何といっても一番の問題は、安定して発電ができないので、いわゆるベースロードになりづらいというところがあろうかと思います。

 一方で、いつも思うことですけれども、発電した電力をためておくことができれば、これを安定供給に変えられるわけですから、いわゆる系統用の蓄電池の技術開発というのは、資源の少ない我が国にとっては大変重要だと考えているわけでございます。

 この再生可能エネルギーの普及の大きな鍵となる系統用蓄電池の技術開発、現在の状況と方針について経産省にお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、再生可能エネルギー、特に太陽光や風力などの、出力が天候や日照条件等々で不安定になる再生エネルギーを導入していくためには、需給を一定化、安定化しなければいけませんので、これを吸収するものとして、蓄電池というものは、いわゆる調整力として系統安定化に資する大変重要、有効な対策のものだと考えてございます。

 他方で、現在の課題というものは、同じような調整力としての機能を持ちます揚水発電でございますとか火力発電に比べますと、コストが非常に高いというところが大きな難点であると思います。

 また同時に、電力の系統用にこれを用いた場合には、短周期といいまして、瞬時に対応する場合、若しくは、長周期といいまして、ある程度ためておきまして対応する場合、それぞれの性格に応じて、実際に系統の安定化がうまくいくかどうか、このレスポンス性について検証することが必要だと考えておりまして、このコストの面及び実証の面で、技術開発及び実証事業を進めているところでございます。

 具体的には、価格の低減を目指すために、二〇二〇年度までに揚水発電と同等の設置コスト、これは現在でいいますとキロワットアワーで二・三万円なわけでございます。現在、鉛でいっても三万円以上するわけでございますし、リチウム及びNAS電池等々でいうと、もっともっと、十万円以上するようなところがございます。これを、いかに技術開発を進めていけるかということを、実際の技術開発の導入を行うことによって取り組んでいるところでございます。

 また、実証について申し上げますと、系統安定化のために、実際に、電力会社の変電所に大型の系統電池を設置した実証実験を全国各地で行っているところでございます。

 先般、北海道の胆振東部地震が起こったところでございますが、その際には、実証事業として設置しました十五メガワットの蓄電池が、調整力として活用することができました。結果的に、系統から離れて解列しておりました風力発電が、百五メガワット、四基分、系統に接続することがその後可能になったわけでございまして、今現在、途上でございますが、系統用の電池の実装化に向けて、引き続き技術開発及び実証実験を進めていきたい、このように考えてございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 ちょっともう一点だけ確認しておきたいんですが、さまざまな実証実験を続けて、今回の北海道でもそれが効果があったということでございましたけれども、この系統用蓄電池の技術開発という意味では、我が国は世界の中でも先頭を切って進んでいる。また、今回、国土強靱化に資するということで補正予算の指示がございましたけれども、こうした技術開発、更に予算を確保して世界のトップを進んでいく、そういう方向でやっているということでよろしいでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問ございました、日本の系統用の蓄電池の国際的な競争力でございますけれども、現在、日本及びアメリカ、あと欧州、ドイツ等でも、この大型の系統電池についての技術開発は進んでございます。比較することは一概には難しいところでございますが、世界の最先端の取組を進めているというふうに認識してございます。

 まだ、世界的に見ましても、系統用の電池というのが実装されていくのはなかなか難しい状況にございます。それは、先ほど申し上げましたコストの面が非常に大きい。どれぐらいの時間で、どれぐらいの容量がためられてといいますと、ほかにある調整力、すなわち水力ですとか火力の方が、今現状においては、償却も済んでおりますし、いいというところでございますので、まだまだ乗り越えなきゃいけないハードルは高いところでございます。

 御質問ございました補正予算、これはこれから検討となってまいりますけれども、我々は、系統の安定化、再エネ導入に必要な施策について検討して、推進してまいりたい、このように考えてございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 私もしっかり応援をしていきたいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 次に、内閣府にお伺いをいたしますけれども、欧州においては、この洋上風力発電、大変大規模に展開をされておりますけれども、我が国においてはまだまだ実証実験のレベルと聞いております。今回の法案で言うところの一般海域において洋上風力を推進をするに当たっての課題について、お伺いをしておきたいと思います。

重田政府参考人 我が国の一般海域における洋上風力を推進するに当たっての課題は二点と考えております。

 一点目は、長期の占用を実現するための統一的なルールが存在しないということであります。洋上風力発電の導入に当たりましては、長期にわたる海域の占用が必要となりますが、このルールが存在しないため、プロジェクト形成に支障が生じる懸念がございます。

 二点目は、洋上風力発電設備の整備と、海運業や漁業などの多様な既存の利用との調整に係る枠組みが存在しないということと考えております。これにより、先行利用者の意見を発電事業者に適切に伝え、先行利用の実態把握や先行利用者を特定することが困難となっております。

 こうした課題に対応するため、本法案により、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関し、関係者との調整の枠組みを定めつつ、長期占用を可能とすることとしたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 これで最後の質問にいたしますが、先ほど秋本先生もお聞きになっておられましたけれども、これがどんどん進んでいきますと、やはり、系統の容量の不足を並行して改善をしていく必要があります。そこについては先ほど答弁をされておりましたので、その答弁を聞いておりまして、一つ、もう一度確認をしたいなと思ったのは、この系統増強は誰が主体的に進めていこうと我が国は考えているのかというところが、少しはっきり聞き取れなかったので、誰が主体的に系統の増強を進めていこうという方針で取り組んでいるのかということについて、お答えをいただきたいと思います。

 もう一つは、この洋上風力発電については、再生可能エネルギーの普及に資するのみではなく、大規模な民間投資が促進をされます。国内に、洋上風力発電の推進に当たって産業を育成するべき、この点についても、その方針、考え方、お答えいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の系統でございますけれども、これは、仕組みから申し上げますと、発電する発電所と消費地の間をつなぐ送電線でございます。これは、実際のところは、電気料金として国民、利用者の方々から御負担いただきながら設置することになるものですから、より効率的に最適利用するような形のルート及び容量を準備する必要が出てまいります。

 従来の串形の系統及び大規模な集中電源から提供されている系統につきましては、従来の電源については対応がうまくいったわけですが、分散型の電源、すなわち再生可能エネルギーのようなものが出てくる際には今までの系統ではなかなか受け入れ切れない、ゆえに、これを増強していくという必要が出てまいります。

 誰がそれを主導していくかということについて申し上げますと、発電する側からしますと、これは自分らの発電を行うためのものでありますが、同時に、利用する方々若しくはそれを供給するための送配電事業者の方々からしましても、それをつなぎ、流していく必要があるからつくるものでもございます。

 ですから、今後、誰のためにということに応じまして、費用の負担を適切に分担していく必要が出てくるところでございます。発電の全体的な形の変わり方及び日本全体の形ということを考えながら、基本的には各電力会社さん、一般送配電事業者の方々が系統の計画をつくっていくわけですが、広域的運営推進機関、OCCTOが全体を見渡しながら、国全体として最適な系統の形というのを模索していくということになるというふうに考えてございます。

 もう一点御質問ございました産業の育成との観点でございますけれども、御指摘のとおり、日本企業が有するすぐれた技術を活用してエネルギー産業の成長を促進していくということは大変重要なところでございます。

 今現在、風車に関して申し上げますと、欧州、アメリカ等のメーカーが非常に強い力を持ってございます。

 他方で、日本のメーカーには、日本固有の気象条件への対応について豊富な経験を有するところでございますし、幅広い裾野産業を持つ風力発電について、地元企業を含めた関連産業への波及効果を期待するならば、これに対する推進というのも非常に重要なことだというふうに考えてございます。

 民間投資を促進し、あわせて技術開発の支援等を行うことによりまして、国内風車メーカーを始めとする洋上風力発電関連産業の着実な成長を促していきたい、こういうふうに考えてございます。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 おはようございます。立憲民主党の山崎誠でございます。

 本日は、国土交通委員会、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日の海洋再生可能エネルギーに関するこの法案について早速質問をさせていただきますが、その前に、私ども立憲民主党、今、原発ゼロ基本法案というのを提案を、野党の皆様と協力をして出させていただいています。

 その中で、私たちは、原発依存をとめて、再生可能エネルギー、自然エネルギーをベースにしたエネルギーシステムで社会を支えていこうというのを目標にしております。最終的には、私たちはやはり自然エネルギー一〇〇%の社会というのを絵を描きながら、ビジョンに入れて議論をさせていただいています。

 そういう意味で、きょう議論になっていますこの海洋の再生可能エネルギーの活用についての法案というのは非常に重要でございまして、私たちも、この法案をいち早く成立をさせて、いい形で日本社会にこの再エネを広めていきたいという思いでございます。

 そういう前提で御質問していきますが、そうはいっても、やはり再生可能エネルギーをめぐるいろいろな課題、問題も見てとれます。そういったところをまず明らかにしつつ、お話を進めたいと思います。

 まず初めに、再生可能エネルギー全般の普及の状況について確認をさせていただきたいと思います。

 再生可能エネルギー、このエネルギー、今、皆様、政府のエネルギーミックスでは二〇から二四%というのを二〇三〇年目標にしているということで進んでいるとは思いますが、現状、どんな状況か、そして課題についてお聞かせいただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーは、低炭素の国産エネルギー源でございます。政府といたしましては、三つのEとSという大原則のもとで、最大限の導入に取り組んでいるところでございます。

 先ほど先生から御指摘ございましたけれども、エネルギーミックスにおきましては、二〇三〇年度の再エネの比率を電源構成の中で二二から二四%の導入を目指しているところでございますし、また、ことし七月に閣議決定いたしました第五次エネルギー基本計画におきましても、初めて主力電源化していくということを位置づけたところでございます。

 そして、お尋ねの現在の状況でございますけれども、二〇一二年に固定価格買取り制度、いわゆるFIT制度を導入して以降、再生可能エネルギーの比率は、二〇一〇年度の約一〇%から約六%増加しており、現在、二〇一七年度は一六・一%まで拡大している状況にございます。

 しかしながら、その中身を見てまいりますと、導入された再生エネルギーの内訳は、太陽光発電が五・二%、四千四百五十万キロワットに拡大したということが導入拡大の大半を占めており、再生可能エネルギーの種類でいいますと、ちょっと偏った形で導入が進んでいるという問題がございます。

 また、こうした高い買取り価格での太陽光の導入が急速に進んだことで、FIT制度によって電気料金に上乗せされる国民負担が約二兆円まで増大してきているところでございまして、ミックス水準の実現のためには、今後、約一兆円程度の国民負担で再エネの導入拡大を進めていく必要がある、こういう課題が現在直面している状況だというふうに認識してございます。

山崎委員 ありがとうございます。

 松山部長はもうスペシャリストでございまして、いろいろ御質問もさせていただいて、いろいろな御意見もいただいて、よく理解していただいている方から今の現状を御説明いただいたので、非常に心強く思っております。

 私も、今お話があったいろいろな課題がある中で、一つは、やはり再エネのバランスの問題というのは非常に大きいと思っています。やはり、再生可能エネルギーの中でもミックスをしなければいけないというのが大事なポイントでございます。

 先ほど伊藤委員からもお話があったように、やはり再生可能エネルギーというのをバランスよく入れていくことによって、例えば蓄電の必要性とか系統に対する安定化をどういうふうに確立するかという意味では、再エネをいろいろな種類のものを入れていく、場合によっては少しのものでもどんどんどんどんいろいろな種類のものを入れていくということが、再エネを主力化するためには非常に大事だと思います。そういった意味で、今の風力発電についてはまだまだ小さいということだと思っております。

 資料をつけました。九州電力エリアの電力需給ということでございまして、これもちょっとお聞きしたいんですが、再生可能エネルギーの出力抑制というのが、この秋、行われてしまいました。この状況について、簡単でいいので、御説明いただければと思います。

松山政府参考人 先生から御指摘ございましたように、これは九州電力管区でございますけれども、ことしのゴールデンウイークについて申し上げますと、再生可能エネルギーの発電量が管内の需要の九三%を記録するなど、非常に太陽光発電を中心とした再エネの導入が急速に進んでいるところでございまして、ことし九月末では八百十二万キロワットの太陽光発電が系統に接続されている状況でございます。

 先ほど蓄電池のときにお話ございましたけれども、太陽光、そして風力、これはいずれもでございますけれども、天候や日照条件などの自然条件によって発電量が変動してしまう、そういう電源でございます。太陽光も風力も、いずれも電力の供給でございますので、安定的な電力を国民の皆様方に供給していくためには、両者のバランス、需要と供給のバランスをとらなきゃいけないというところでございまして、地域内での発電量が需要量を上回る場合には、電力の安定供給を維持するために発電量を制限する、これがいわゆる出力制御となるわけでございますが、を行う必要があるわけでございます。

 十月来、九州電力の中で、九州の本土で初めて再生可能エネルギーの制御、いわゆる出力制御が始まったわけでございますが、これにつきましては、あらかじめ事業者の皆様方の間でルールが定められてございまして、まずは、短時間での調整が可能な火力発電の抑制と揚水運転を最大限活用していくこと、その次に、地域間連系線を活用した他地域への送電を行うこと、これでもなお供給力が余剰となった場合に再生可能エネルギーの抑制、出力抑制を行うこととしておりまして、これまで九州本土では、太陽光、風力を含めまして、計八回の出力制御が行われているところでございます。

 この出力制御について申し上げますと、仮に、出力制御を行わないで導入を受け入れるとなりますと、発電の変動ということを念頭に置きますと、需要が最も小さい日を前提として量を入れて、もう一切出力制御を行わないということも可能ではあるのですが、そうなりますと、実際に系統に接続できる再エネの量が制限されて小さくなってしまいます。ですので、日本でも諸外国と同様に出力制御を、むしろ再エネを導入拡大していくためにとっているというふうに認識してございます。

山崎委員 ありがとうございます。

 私が問題にしたいのは、今、現状でこの出力の制御が起こったことについて、その原因の根本をやはりちゃんと見詰めなきゃいけないと思うんですよね。

 資料一をつけました。これは五月の三日の九州電力の電力の需給のデータからつくったグラフでございまして、環境エネルギー政策研究所がつくってくれています。

 これを見ると明らかなんですよ。やはり太陽光が多い。多過ぎると言うと言葉があれかもしれませんが、多くて、要するに、それがばあっと発電したタイミングでいろいろな、今お話があった揚水発電をやったり、系統接続を使って、連系線を使ったりして調整をしても、やはりあふれてしまって、結局、発電抑制をかけなきゃ、制御をかけなければいけないということが起こっている。

 片や、やはり夜を見ると、太陽光発電でございますから、夜の発電量はゼロになってしまうわけで、そうすると、また火力発電に頼るような世界になってしまうというのがやはり今の再エネをめぐる一つの大きな問題であろうと私は思うんですね。

 お話がありました、太陽光も自然の環境に依存しますが、風力もそうでございますが、それぞれ、太陽の光と風は違いますから、組み合わせることによって実はこの波を平準化できる、完全ではなくても平準化ができる可能性が出てくる。それに、九州であれば地熱発電もございますし、あるいはバイオマス発電のような可能性もあるので、こういったものをバランスよく伸ばしていくということをやはり視野に入れて、今後、FITの運用も含めて、きちっと考えていかないといけないのではないかなと。私はこの九州電力の問題の大きなポイントはそこではないかなと思っています。

 そういった意味で、きょうの本題ではないんですが、風力発電を伸ばしていく、この重要性というのをここでも認識をしていただいて、再生可能エネルギーを本当に基幹の電源にするためには、いろいろな種類のものをやはり並行して伸ばしていかなきゃいけない、いびつな形ではお金がかかるばかりで、実は再エネを主力にすることはできないんだということを認識していただきたいなと思っています。

 次、本題に入ります。

 この海洋再生可能エネルギーの設備を建設するに当たっての自然環境への配慮という問題を取り上げたいと思います。

 今、太陽光発電もこれだけ普及をしてきて、何が一番やはり問題になっているかというと、いろいろありますが、メガソーラーという、環境を破壊しながら大きな発電所をつくろうとしているプロジェクトが全国で問題になっていると思います。この問題を、私は、やはりこの今の議論の中でも先取りをして、これから進んでいく海洋での再生可能エネルギーの事業においても、そういった問題を事前にしっかりと回避をする、その手だてをとっておかなければいけないと思っています。そういった点で、この自然環境への配慮について御質問したいと思います。

 まず、これまでの風力発電設備建設においての環境影響評価の現状、そして課題について、環境省からお伺いしたいと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 風力発電施設につきましては、平成二十四年から、七千五百キロワット以上の規模の事業につきまして、環境影響評価法の対象としてございます。

 本年三月末の時点におきまして、環境影響評価法が適用される以前から稼働しているものも含めまして、約三百四十万キロワットの風力発電設備が導入済みでございまして、加えて、五百三万キロワットが既に環境影響評価手続を完了している状況でございます。さらに、約一千百六十万キロワットの計画につきまして環境影響評価手続が進行中でございまして、このうち、約四割の四百七万キロワットが洋上風力に係る施設でございます。

 風力発電施設につきましては、地球温暖化対策として重要な再生可能エネルギーでございますけれども、地域によっては、希少鳥類や渡り鳥の行動範囲の変化とバードストライク、自然環境の改変、騒音、陰などによります生活環境への影響などの問題が生じることが課題でございまして、環境影響評価手続におきまして、環境大臣からも必要な環境保全措置の実施を求めているところでございます。

山崎委員 今、環境省から御説明がありました環境影響調査なんですが、これは、今実施されているのは建設段階ですよね。建設が決まって、その中で計画が上がって、それに続いている配慮書手続とか、そういったところで意見書が出されていくというプロセスだと思います。

 このプロセスを見ると、それ自体は大事なことなんですが、ある意味、そこから、例えば事業の規模を縮小するとか、あるいは立地を変えるとか、そういった大きな変更というのはなかなか出しにくいのではないか、そしてまた、さまざまな調査に大変時間もかかって、事業者にとってもマイナスになるということもあるのではないかと思いますが、そのあたり、いかがですか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 風力発電の導入と環境保全との両立を図るためには、早期の段階から、関係者との調整のもとで、風力発電導入を促進することができ得るエリア、環境保全を優先するエリアなどを設定するゾーニング手法が有効であると考えてございます。

 このため、環境省では、平成二十八年度から、風力発電に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業を実施してございまして、本年三月にモデル事業の成果を踏まえたマニュアルを策定、公表したところでございます。

 洋上風力につきましても、ゾーニングの取組によりまして、立地段階での環境影響の回避、低減や、地域の合意形成が期待されることから、より多くの地方自治体にゾーニングに取り組んでいただけるよう、普及に努めているところでございます。

 ゾーニングの取組が行われている海域につきましては、本法案に基づく促進区域の指定に当たってゾーニングの成果がしっかりと生かされるよう、環境省としても努めてまいります。

山崎委員 今お話がありました、やはり立地を検討する段階での環境影響をきちっと評価するという手法、戦略的アセスだと思うんですが、そういった手法を、今ゾーニングを検討する、そういうプロセスとして始めていて、平成二十八年からですか、予算もついて進めている。この知見を、ぜひ今回の法案であります海洋再生可能エネルギーのこの考え方にもきちっと入れていただきたい。それが私は、実を言うと、この再生可能エネルギーの促進区域を決める第一歩だと思っております。

 そのゾーニングの考え方をベースにしてから風況を見たり、あるいはさまざまな事業性を検討したりということをやっていかないと、結局、私たちのこの日本の、いわゆる生物多様性を中心とした大事な生態系あるいは環境、そういったものが破壊されてしまう。やはり、それは絶対に私は避けなければいけないんだろうと思います。それは最終的に、いろいろな事業が進んでいく中でも、結局問題になってとまってしまう大きな要因になるというふうに考えていますので、このゾーニング、立地段階での検討をいかにこの制度に落とし込んでいくかというのをぜひ考えていただきたいと考えているところでございます。

 もう一つお聞きします。

 海洋に関するいろいろなデータをもう既に環境省としてはお持ちということでお伺いしています。どんなデータを今どんなふうに収集をされ、それが今活用できる段階になっているのか、御説明ください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の海洋に関する環境面での基礎データとしまして、国立・国定公園区域、生物多様性の保全上重要度の高い海域、鳥類の生息に関する情報などがございまして、このような情報をデータベース化及び提供することで、質が高く効率的な環境影響評価の実施を促進することができると考えているところでございます。

 このため、環境省では、平成二十五年から、環境配慮と両立した再生可能エネルギーの導入を図るため、環境に関する基礎情報を環境アセスメントデータベースとして構築、公開しているところでございます。

 さらに、海洋に関するデータを今後も充実していくこととしておりまして、洋上風力発電の影響を受けやすい場所をあらかじめ明らかにすることで、本法案に基づく促進区域の指定に当たって、環境影響の回避、低減に資するよう、しっかりと努めてまいりたいと思います。

山崎委員 こういったデータ、私も拝見しまして、こういうデータベースをGIS上でいろいろ展開をして、準備をされていて、とてもこれは重要な、今回のような開発の前提になる、これは海洋だけではないと思います、当然、陸上での開発にも同じように活用ができる、これは大変重要な情報、データだと思っております。こういったものをやはりみんなで使う、そういう環境、いろいろな関係者が見て、これは役所だけではございませんので、例えば事業者、あるいは民間のいろいろな保護団体、地域の皆さん、そういった方々にもできるだけ公開をしつつ、こういった議論が進められていくことを大いに進めていただきたい、期待するところでございます。

 なぜ私はここにこだわるかというと、結局、ここで立地の段階のさまざまなゾーニングのようなこと、いろいろな情報がきちっと精査が行われることによって、次の段階、では、実際、ここのゾーニングで、ここで事業ができるよということが決まった段階で、この制度上でいくと、促進区域として認められた段階で、その次の建設段階での環境アセスについては、あるところでは簡易なもの、基本的な、ゾーニングで漏れていないかという点検のような作業で先に進められるのではないか。事業者にとっても非常にプラスになるというふうに考えるところでございますが、このあたりはどうでしょうか、環境省の方。

和田政府参考人 お答えいたします。

 まさに、ゾーニングの手法がかなり前段階であって、その後、促進区域というステージに移って、さらにその後、建設に向けてさまざまなステージ、アクションが進められていく、こういうステージに移るところでございますけれども、そのようなより具体的な、建設に近づくアクションのような段階でも、環境省として、環境保全措置、それから環境保全上の配慮がしっかり行われているかどうかということにつきまして、しっかりと必要な情報提供なども含めまして貢献してまいりたいと考えているところでございます。

山崎委員 ありがとうございます。

 事業を進めていく事業者にとってもプラスになるような、やはり立地段階からの検討、ゾーニング、生物多様性とか環境保全の取組を進めていただきたいと思っています。

 これは所管大臣にお聞きしたいんですが、こういった中で、促進区域を決めていく段階で、国交省あるいは経産省、農水省、環境省、これらが連携をして進めていくということになっておりますが、この段階で、この促進区域、例えば指定の段階においての環境大臣の関与についてどのようにお考えでしょうか。

宮腰国務大臣 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用につきましては、海洋環境の保全など海洋に関する施策との調和を図りつつ実施することが重要であると考えております。

 このため、本法案におきましては、閣議決定により定める基本方針におきまして、海洋再生可能エネルギー発電事業と海洋環境の保全との調和に関する事項を記載することとしており、その内容については環境大臣とも協議することとなります。

 また、この基本方針に基づき行う促進区域の指定に当たりましては、経済産業大臣及び国土交通大臣は環境大臣と協議することとしております。

 こうした本法案の運用の各段階におきまして、環境大臣とも連携しながら、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用を促進してまいりたいというふうに考えております。

山崎委員 この協議という言葉、なかなか難しいとは思うんですが、協議というのはどういうものなんでしょうかね。意見を聞くだけで、結局、最終的に決めるのは国交大臣あるいは経産大臣なんですか。

宮腰国務大臣 協議の内容につきましては、基本方針にまず定める事項について環境大臣とも協議をする、基本方針に基づいて区域指定をする際にも環境大臣と協議をするということでありますから、指定の前の基本方針の段階において、その中で、促進区域の指定をどうするかということも基本方針に明記をするわけであります。その中で、海洋の多様な開発及び利用、海洋環境の保全並びに海洋の安全の確保との調和をどう図っていくかということについても基本方針に定めることとしておりますので、そういう点で、基本方針にもしっかりと協議が位置づけられている、区域指定の際にも協議が位置づけられている。

 協議に関して、例えば区域指定に関しては、恐らくそれぞれの海域ごとのいろいろな条件の違いというものがあろうかと思いますので、そういうところなども含めて協議がなされるものというふうに考えております。

山崎委員 環境大臣の関与というのは、今議論してきたのをお聞きになって御理解いただけるかと思うんですが、私はやはり出発点だと思っているんですよ。

 環境の重要性は、やはりこれは私は重要だと思っておりまして、そういう意味で、環境大臣がここはやはりやめてくれと反対をするということであれば、例えば、風況がとてもいい、あるいはいろいろな接続が便利で経済的には非常に合理性があるんだけれども、ここを何とかしたいなという力と、環境省のここの環境を守りたいという力がバッティングしたときに、これを経済的な合理性で押し切ることがないようにしていただきたいということで、環境大臣が反対をするようなケースの場合には、やはりこの促進区域の指定はできないという認識で私はいるんですが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 これまで申し上げてまいりましたとおり、促進区域の指定に当たりまして、環境省とも十分連携、調整を図ることで協議が調うような案が作成されるものというふうに考えておりますが、仮に今委員御指摘の協議が最終的に調わない場合、この場合におきましては指定することは困難ではないかというふうに考えております。

山崎委員 ありがとうございます。

 ここは、もちろん協議をしてエリアを移動するとか縮小するとか、いろいろな努力で多分回避できる部分は多いと思うんですが、どうしてもここはだめだという場合は、やはり協議調わずで指定ができないということは、私は一つ大事な御発言だったと思いますので、そのようによろしくお願いいたします。

 では、関連して、基本方針、いろいろお話が出ました。先ほどの御質問でもありました。基本方針に定める事項については、法案の七条ですか、書かれているというのを認識しておりますが、中でも私は、こだわるわけではないんですが、四号に海洋環境の保全という言葉がありますが、今私どもが議論している自然環境に関する項目としては、この海洋環境の保全という言葉に含まれているという認識でよろしいでしょうか。(宮腰国務大臣「済みません、もう一度お願いします」と呼ぶ)では、かえます。

 基本方針の中で、自然環境あるいは生物多様性の保全という観点の項目はどこに書かれていますでしょうか。

宮腰国務大臣 本法案に規定する海洋環境の保全につきましては、生物多様性は含まれるものというふうに考えております。

 具体的には、本法案は、第一条にありますように、海洋基本法に規定する海洋に関する施策との調和を図りつつ、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用を促進することを目的といたしておりますけれども、その海洋基本法におきましては、基本的施策として海洋環境の保全が規定をされておりまして、その中に海洋の生物の多様性の確保が明記されております。

 また、第三期海洋基本計画におきましても、海洋の持続可能な開発利用と環境保全を総合的に推進していくことが重要であるというふうになっておりまして、本法案に規定をいたしております海洋環境の保全の中には生物多様性が含まれるものというふうに考えております。

山崎委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この基本方針をつくっていく中で、よりそういうところを明示をしていただきたい。今ずっと議論してきている立地段階でのそういったゾーニングのお話だとか、そういったことも踏まえた基本方針にぜひしていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。

 というのは、この基本方針なども見ていくと、考え方をいろいろお聞きをしていくと、やはり経済優先なんですよね。風況がよくて発電に好立地の場所にやはり建てていくということが優先されないかなというのが非常に危惧をするところでございまして、そういったところをぜひ基本方針の具体化の段階では配慮いただきたいと思います。

 次、促進区域の指定のプロセスについてお聞きをしたいと思います。

 先ほども、秋本委員でしょうか、質問に答えて、これからの検討だというお話でございました、この指定プロセス。公平公正というお言葉もありましたが、このプロセスがやはり非常に大事でございまして、今言ったようないろいろな要素を勘案しながら、では具体的に地域を見詰めていくときに、そして事業者のいろいろな今のニーズを酌み取っていくときに、このプロセスを早く明確にして、どういう手続をとるんだということをやはり公にする必要があると思います。

 そのあたりの考え方、もう一度ちょっとお聞きをしたいと思います。

宮腰国務大臣 促進区域の指定のプロセスにつきましては、公平性、公正性、透明性を確保することが重要であるというふうに考えております。

 このため、促進区域の指定に向けまして、関係都道府県等の関係者の御意見も伺いつつ、公平性、公正性、透明性を確保しながら促進区域指定の検討を進めることになるものと考えておりまして、法案が成立した暁には、関係者に対して、具体的な段取りを定め、お示しをしてまいりたいというふうに考えております。

山崎委員 私のところにも、再生可能エネルギー、いろいろ専門で取り扱っているもので、どうなんだと、先ほども御質問がありましたが、KPIの五カ所って、大体ここは決まっているんじゃないかというようなお話とか、いろいろ声が届きます。

 皆さんが心配しているのは、どうしていいかわからないと。自分たちがいろいろ検討していることが、どういう手続で、例えば政府の皆さん、あるいは誰か有力な政治家に声をかけた方がいいのかなとか悪いのかなとか、そういう今不安が広がっているということだと思うんです。

 事実、いろいろなコンタクトをしているところは、ある意味、自分はもう候補になっていそうだなとか感触を持っていたり、こういうプロセスでは私はいけないんだと思うんです。

 なので、このプロセス、いろいろな要素があるにしても、しっかりと公表して、私は、ある種の公募期間みたいなものがあって、いろいろな方々が、自分たちはこんなプランがあるんだけれどもどうだろうというのを、手を挙げるような期間をきちっと設けて、そういったものをベースにして議論を進めていくようなプロセスというのも必要だと思います。

 それがないとみんな不安なんです。どうしたらいいんだろう、うち、やりたいんだけれどもどうしよう、今そういう状況かと思うんですけれども、そういう混乱を避けて、またいろいろな疑いがかけられて、やはりあの人に頼んだらうまくいったとか、そういうことが絶対にないようにしないといけないと思う。

 透明で公正公平なプロセスをどう担保するのか、もう一度そこをお聞かせいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 ただいまの委員の御指摘も含め、公平性、公正性、透明性が確保されたプロセスをこれから適切に検討してまいりたいというふうに考えております。

山崎委員 都道府県知事が関与する、それから協議会が関与する。協議会もやはり非常に重要なプロセスで、いかに地域の皆さん、漁協だとかそういう関係者も含めて、専門家も交えていいプランを協議していっていただくか、合意形成をその協議会でどうやって組み立てていくか大事なポイントだと思うんですが、この協議会についても、できるところ、できないところ、場合によっては、促進区域の指定のプロセスではさまざまだと思うんですよ。必ずつくりなさいということではないですよね。

 都道府県知事は要請してつくることができるとはなっていますが、ほぼでき上がるんだとは思いますが、このプロセス自体も、私はもっと明確に、協議会をやはり立ち上げて協議をしたところから選んでいくような話は必要ではないかと思うんですが、このあたりの考え方、いかがですか。

宮腰国務大臣 促進区域の指定に当たりまして、まずは、関係都道府県知事の意見を聞かなければならないということとしております。

 また、関係都道府県知事は、経済産業大臣、国土交通大臣とともに協議会を組織することができるということとなっておりまして、関係都道府県知事が協議会を組織するよう要請したときは、経済産業大臣及び国土交通大臣はその要請に応じなければならないということとなります。

 その上で、協議会が組織された場合、関係都道府県知事は、協議会の構成員として、両大臣や利害関係者などと促進区域の指定あるいは促進区域における発電事業の実施に関し、必要な協議を行うということになっております。

 協議会が組織されておりますときは、促進区域の指定に当たって、その協議会の意見を聞くこととしておりまして、具体的には、この構成メンバー、経済産業大臣、国土交通大臣、それから関係都道府県知事のほか、農林水産大臣、関係市町村長、利害関係者、学識経験者など、経済産業大臣、国土交通大臣、関係都道府県知事が必要と認める者から構成をされることになっております。

 なお、協議会の構成員は協議会の結果を尊重しなければならないということとなっております。

 こういう枠組みでありますので、協議会が区域指定に当たって設置されないということは、これは想定は余りできないのではないかというふうに思っております。

山崎委員 私は、だから、この協議会は必須にしていただいて、例えば、ゾーニングをして、この地域で促進区域にしたいなということが、政府の方でいろいろな検討をした結果、出たと、でも、そこに協議会がなければ、協議会をつくってくださいと要請をして、やはりつくっていくというプロセスが入ってもいいんじゃないかなと思っています。

 実質的にはそういう形になるのではないかと思いますが、やはり協議会は非常に重要なコアになる協議機関でございまして、これをうまく回していく、その仕切り方を促進区域の指定のプロセスではきちっと位置づけていただきたいと思います。

 もう一点、その中で、地域の参加というものをどういうふうに確保していくかなということがあります。もちろん、いろいろな団体が地域で活動をされていたり、地域の住民がいたりということでございますので、そういった方々にいかにうまく参加していただいて、地域の事業として、住民納得の事業として組み立てていくかということが大事だと思うんですが、協議会にはそういう機能がございますか。

宮腰国務大臣 地域が意見を言う機会があるかということ、あるいは地域が事業者として参加できる仕組みはあるのかということであると思います。

 まず、地域が意見を言う機会につきましては、御指摘のとおり、洋上風力発電の導入に当たりましては地域の理解が非常に重要であるというふうに考えておりまして、地元参加の意向が十分反映される仕組みが必要であると認識をいたしております。

 そのため、本法案におきましては、促進区域の指定や海洋再生可能エネルギー発電事業の実施に関することを議論する場として御指摘の協議会を設けることができることとしておりまして、地元の意向はこの協議会を通じてしっかりと反映されるものというふうに考えております。

 また、地域の企業や団体などが単独又は他の企業と共同で出資などを行うことにより事業者として参加することは可能でありまして、地域からの求めに応じて、発電事業で生じた利益を地域に還元することも可能となっております。

山崎委員 ありがとうございます。

 今最後に御指摘いただいた点というのは、私はこれからの再生可能エネルギーの開発においてはとても大事だと思うんですね。

 ちょっとKPIとの関係でお聞きしたいんですけれども、今五カ所というのがあって、発電目標がある程度あるとすると、これは何基ぐらいまず風車を建てようとしているのか。ざっくりでいいんですけれども、大体どのぐらいの単位の風車を建てようとしているのか。政府参考人でも構いませんが。

重田政府参考人 先ほど秋本先生の方からも御質問ありましたけれども、KPIの五区域というのは、あくまでも現時点における試算でございまして、上限というわけではございません。

 それで、今先生お尋ねの、大体どのぐらいの広さかということ、何本かということかとも思うんですが、一本は大体、二メガ、五メガ、七メガといろいろなサイズがございますので、現在は、発電能力ということで、例えば、百万キロワットというのが一番大きいようなプロジェクトとして今言われていますが、それだと、大体、一万キロワットが五メガの風車にすると二本ですので、二百本ぐらいのものになろうかと試算されますけれども、皆そういう大きさのものが全てあるというわけではなくて、そこは、何本かというイメージに関しては多種多様かというふうに思います。

山崎委員 私は、単純に、この五カ所で今言ったようなことを考えると、ちゃんとしたお答えがないのでわからないんですが、恐らくやはり百本、二百本という単位のものが五カ所ぐらいを想定して全体の事業を回そうとされているのかなという認識なんです、五カ所というのを聞いて数値目標を聞くと。

 ただ、今、宮腰大臣がお話ししたように、地域がやろうとしたときには、やはり百本、二百本という単位ではなくて、例えば十本とか二十本とか、そういうプロジェクトも当然あるべきだと思うし、そういったところの促進区域も指定していくべきだと思うんですよ。

 当然、本数が多いほど経済的な効率は上がるので、経済的にいけば百本の方がいいかもしれない、二百本の方がいいかもしれない。でも、地域に落ちるお金、あるいは地域で回すプロジェクトとしての規模を考えたときには、例えば十本、二十本というプロジェクトも大事なんですよ。それを例えば十カ所、二十カ所やっていくということは分散型の新しいシステムをつくる上でも重要だと思います。だから、そういったものを切り捨てないでほしいという思いで今質問をしているんですが、いかがでしょうか。

重田政府参考人 お答えします。

 先ほど御説明しました五カ所というのは、いわゆる二〇三〇年に一千万キロワットの風力というものを洋上と陸上に分けまして、洋上の、今巷間言われております平均的なプロジェクトでいいますと、大体三十万キロワットというふうなことを言う方もいらっしゃいますので、それで置きかえたときに、単純に試算すると五カ所というふうにKPIの設定をさせていただいております。

 先生がおっしゃるように、先ほど私が、百万キロワットというのは、今いろいろとプロジェクトが言われている中で、最も大きい洋上というようなことでわかりやすく御説明しましたけれども、何も十万キロワットがだめだとか、あるいは地元でいろいろこれから出てくるプロジェクトについて、出力が百万キロワットという非常に大きなものじゃなくちゃいけないというルールは全くございません。

山崎委員 そうすると、KPIの設定をもう少し工夫されないと、私はこれを見る限り、やはりそういうふうに動かざるを得ないんじゃないかなと思っています。この五件でこれだけの発電量というので、単純に考えて。そこはいろいろな工夫を今後していっていただいて、これは上限ではないというお話はいただきましたので、そういう理解でいきたいと思います。

 では、時間がなくなってきましたので、次に行きます。

 事業実施時の配慮事項ということで、幾つかあります。例えば事業中のトラブル。促進区域の中で事業を始めました。例えば、半分建てた段階で、実はいろいろな漁業への影響が予想外に出てしまったようなときに、促進区域の計画自体を変更することができるのかどうか。

 それから、もう一つ懸念事項として挙がっているのが、事業の完了時というか終了時に、きちっと撤去まで責任を持って事業者がやっていく、例えば、三十年という長いプロジェクトですから、その間に会社が倒産したり、いろいろなリスクもあると思うんですが、そういったものをこの法案上どういうふうに担保されていますでしょうか。

 事業中のトラブル、あるいは完了時の撤去の担保。

石井国務大臣 まず、事業中のトラブルの件でありますが、先ほどから質疑で取り上げられておりますけれども、本法案では、協議会を組織することができると。この協議会の構成員は、経産大臣、国土交通大臣、関係都道府県知事、農林水産大臣、関係市町村長、利害関係者、学識経験者等が構成員でありますが、環境省等の関係行政機関の長が、協議会の構成員の求めに応じて、必要な助言、資料の提供等の協力を行うことができることとしております。

 洋上風力発電事業の実施中に環境、漁業等に深刻な影響が生じることは通常はないとは思いますけれども、万が一、想定外の深刻な影響が生じた場合には、この協議会におきまして、構成員及び関係行政機関の長の意見を聞きながら、原因の究明や対応策の検討を行うこととしているところでございます。

 それからもう一つ、洋上風力発電設備の最終的な撤去ということでありますが、洋上風力発電設備の撤去につきましては事業者の責務と考えております。

 このため、事業者選定に当たりましては、提出されます公募占用計画の中で、撤去の工法や資金計画に撤去費用が計上されているかについて審査をいたしまして、事業完了後に撤去できる事業者であることの確実性を確認をいたします。

 認定公募占用計画に従った発電事業が実施されているかにつきましては、必要に応じて、経済産業大臣及び国土交通大臣が報告を求めることとしております。

 さらに、万が一倒産した場合に備えまして、海外の先行事例も参考にいたしまして、倒産した場合等に備えた措置を求める方向で検討を進めているところであります。

山崎委員 ありがとうございます。

 時間ですので終わりにしますが、一つだけ、最後、取り上げたかったテーマだけ簡単に御説明させてください。三十秒だけ時間を下さい。

 この法案の、海洋再生可能エネルギーというこのネーミングなんですが、これは風力以外の発電の仕組みも包含しているという認識でございまして、これはとても大事だと私は思っています。

 資料に二、三と丁寧につけましたので、後で見ていただきたいんですが、海流発電、黒潮を使った発電というのが今実験段階で行われています。IHIの横浜の事業所を私は見に行きましたが、立派な機械ができ上がっている。

 こういったものもこの法案の射程にちゃんと入っているということを確認しましたので、ぜひ早い段階でこういったものも促進区域の指定に加えていただきたいということを最後強くお願いをして、終わりにします。ありがとうございました。

谷委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案に対しての質疑をさせていただきます。

 まずもって最初にですけれども、この国土交通委員会の、また、常任委員会に大臣が二人並ばれるという、大変、私も国会議員になりまして六期目となりますけれども、なかなかこういった事例はなく、そういう意味におきましては、各理事等、柔軟な対応をしていただいているのかとも思いますし、また、これがいい機会になり、大臣二人の答弁がもらえる、合同審査以外ではこういったことはまずまず常任委員会ではありませんので、本来、国対的にいえば、なかなか認めがたいところは、本来、内閣委員会でやるべきだったのかなと今も思う部分はございますが、せっかくの機会でありますので、質疑をさせていただければと思いますし、これを前例としてまた生かしていけるようなことになれば、国会の審議というのも充実するのかなというふうに思っております。

 さて、今回の法案でありますけれども、欧州で、洋上風力発電による電力コストが大きく低下して、主力となりつつあると聞いております。太陽光発電と比べて、夜間も含めて、比較的安定的に電力供給ができる特性を有することも普及を後押ししてきたと考えております。

 海洋国家である日本においても、欧州での現状と同様に、低コスト化が進み、海上風力発電の導入促進が図られることは望ましいと期待しておりますけれども、若干の懸念も感じております。

 普及には、大規模な地震災害が余りない、ほとんどないという例えばフランスの土地柄と比較して、日本は地震や台風など自然災害被害についての考慮が必要となると思っております。例えば、地震が生じても、海上発電施設に被害を生じないように十分な強度の施設にするとか、免震、耐震構造を採用するなどが必要となり、欧州での導入事例と比べて余分にコストがかかるなど、さまざまな懸念、想定というのができるのではないかと考えております。

 そこで、まずお伺いをいたしますけれども、海洋再生可能エネルギー発電設備促進区域として指定するに適した自然条件の地域は、日本において、どの程度、どこにあるのか、実際に指定する場所としては、どこをどの程度想定しているのか、お伺いいたします。

重田政府参考人 本法案におきまして、まず、促進区域の指定に当たりましては、先生御指摘の、自然的条件がまず適当である、あるいは航路、港湾の利用に支障がない、あるいは系統接続が確保されていることが見込まれること、あるいは発電事業により漁業に支障を及ぼさないことなどの基準に適合するものを、関係自治体等の意見を踏まえ、指定することとしております。

 その上で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合研究所、いわゆるNEDOでございますが、ここが作成しました洋上風況マップというのがございます。これによりますと、我が国の近海では、北海道、東北の日本海側、九州北部などが総じて風の環境が非常によいとされております。

 そういう意味では、促進区域の指定に当たりましては、一定の基準に適合するものを関係自治体、協議会等の意見を踏まえて指定することとしておりまして、現時点で促進区域の具体的な場所そのものは決まっておりません。

 先ほど来から申し上げておりますように、本法案のKPIとしては、二〇三〇年度において運転を開始している促進区域の数を五区域としているところであります。これは、先ほど申し上げたように、二〇三〇年度において風力発電全体の設備容量一千万キロワットを目指す中で、現在の陸上風力と洋上風力の設備容量の比率や、具体化している計画の平均的な設備容量を試算したものであります。地元の御理解を頂戴できれば、五区域を超えて指定することもあり得ると考えております。

小宮山委員 それでは、平成二十八年度、港湾法改正によって導入された、港湾における洋上風力発電のための占用公募制度の実績は、現状どうなっていますか。お答えください。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年の改正港湾法に基づく占用公募制度によりまして、これまでのところ、鹿島港と北九州港において事業者が選定されているところでございます。

 鹿島港では、港湾管理者である茨城県が平成二十九年七月に、鹿島洋上風力コンソーシアムを選定いたしました。環境影響評価については、平成二十七年に手続を完了し、現在、事業者において設計等を行っておるところでございます。

 北九州港では、港湾管理者である北九州市が平成二十九年二月に、ひびきウインドエナジーを選定いたしました。同年より環境影響評価手続、設計等を開始しているところと聞いてございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 既にいろいろな形で始まっているのが洋上風力かとも思いますが、けさほど、朝一番だったと思いますが、自民党の委員からの質問の中でも、この時期になったこと、もう既に実証実験等を始めている方々の指摘もございました。

 私といたしましては、東日本大震災の後、原発事故を受けて、再生可能エネルギー、自然エネルギーを活用したエネルギーへのシフトというのは大変重要だと思っておりますし、この風力発電というものは、さまざまなところで、大分前、もう二十年以上前から実験等が始まっている、そういう意味において、安定的に風力が得られるというのは大分前からわかっていたにもかかわらず、何でこんな時期におくれたのかなと思わざるを得ません。特に、この数年で、安倍内閣が政権に戻ってからは、どちらかというと原発の再稼働に力を入れたがためにこの問題がおくれたのではないかという思いもございます。

 洋上風力発電は、欧州を始めとして、従前より取り組まれてもおりまして、近年目覚ましい規模の拡大が見られておりますので、その点に関しては、ここ数年において急激に価格等が競争に勝てるような条件が整ってきた、日本もおくれまじと、何か急いで急遽ここに来て入ってきているような感も否めません。

 そこで、日本には地震や台風など自然災害を考慮する必要もありますけれども、日本における洋上風力発電導入推進の必要性、並びに、そうした目的の法律、政策推進が今般のこの時期に出された意義につきまして、宮腰大臣より御所見をお聞かせください。

宮腰国務大臣 小宮山委員御指摘のとおり、諸外国において世界的に洋上風力が進んでおります。そういう点でいえば、我が国は少しおくれをとっているということも事実ではないかとは思っております。

 欧州の国々では、良好な風況や遠浅の地形など自然環境が恵まれていることに加えて、長期占用の付与や入札制度といった洋上風力についてのルールが整備されておりまして、大幅な導入が進んでおります。これにあわせましてコストも低下しており、洋上風力は競争力のある電源となっております。

 我が国におきましても、我が国周辺の広大な海域の有効活用や、地球温暖化対策、関連産業への波及効果等の観点から、洋上風力の導入に向けて、厳しい自然環境への適応やコスト削減を図るための実証事業を行ってきたところであります。現時点では、実証するフェーズが終わりまして、民間企業による洋上風力発電事業への参入を促進するフェーズに入ってきているというふうに考えております。

 しかしながら、この法案を提出した理由であります、長期の占用を実現するための統一的ルールが今存在しておりません。また、先行利用者との調整の枠組みが存在していないなどの課題がありまして、洋上風力発電に係る海域利用促進に大きな支障が生じております。

 このため、我が国において洋上風力発電を導入するに当たり、新たな制度の創設等を定める本法案を今国会に提出をさせていただいたところであります。

小宮山委員 大臣の指摘したとおり、我が国はおくれをとっている、そのとおりだと思います。できればやはりもっと早くからこの問題に着手するべきだった。国交白書を見ておりましても、この中にも洋上風力の関係は入っておりました。やっとという思いはありますが、であるならば、適正な形で進めていただきたいと思います。

 それでは、中の逐条を簡潔にどんどん聞いていきたいと思います。

 国内で指定した促進区域への申請者が、現に海外で用いられている施設、規格をそのまま導入しようとする内容など考えられますけれども、安全性に照らしてどのように評価されているのか。あわせまして、国内の大手電機メーカーで洋上発電に取り組んでいるところは事実上一社に集約されると伺っておりますが、導入の進む欧州と違う地震大国たる日本の想定をして開発することは避けられないものかと思います。

 この点の理由について、またどのように今後推進されるのか、お伺いしたいと思います。簡潔にお願いいたします。

下司政府参考人 実際海外で用いられている設備等を我が国において使用される場合についてのお尋ねについてお答え申し上げます。

 我が国において発電設備を設置する際には、電気事業法に基づく技術基準等の法令要求事項を満たす必要がございます。風圧、積雪、地震等に対して構造上安全であること、及び、高さが二十メートルを超えるものにつきましては雷撃から保護する措置が求められてございます。

 また、洋上風力の発電設備の構造につきましては、海域の適正な利用、管理、保全の観点から、波力、風圧、地震等に対して安全な構造を確保するために必要な基準を省令等で定めてまいりたいというふうに考えております。

 海外で用いられている設備を導入するに当たっても、これらの基準に適合しているか否かの観点から安全性を評価してまいりたいと考えてございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 また、関連する事業者も多岐にわたるかと思います。どのような分野が想定されるのか、電機メーカーだけではない、ドックだったり、さまざまなところに波及するものだと思います。ぜひ、この点に関しまして、この発電事業の推進に対して、予算措置や税制措置など含めて、どのような支援を行っていくのかも御説明をいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、洋上風力発電産業を進めていくに当たりまして、これに関連しまして、風車を製造する製造業、風車を洋上に設置するための建設業、風車の運転、保守を行う発電事業などなど、多くの関連する産業がございます。風力産業は一般的に部品点数が一万点から二万点と大変裾野の広い産業でございます。産業政策の観点からもこれを推進することに努めてまいりたいと思っております。

 政府といたしましては、これまで、洋上風力発電設備のコスト低減に向けました研究開発の支援、日本の海底地形に適しました基礎構造の施工技術の実証事業と同時に、風力発電導入時の減税措置の手当て、また、メンテナンスに関しましては、ITを活用した効率的メンテナンス手法の研究開発支援などの支援を行ってきているところでございまして、先ほど先生から御指摘ありましたけれども、風力の関連産業、日本が国際的な競争力が強いとはなかなか言える状況にはないかと思いますけれども、政府といたしましては、こういった視点を踏まえ、しっかりとした支援を進めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ここは国土交通委員会でございますが、陸上の風力発電施設が立ち並ぶ姿は、ある意味、この風景が観光資源になっている場合もあるようであります。そう考えますと、この洋上風力発電も、大海原にそびえ立つ姿というのは呼び物になるのではないかという思いもあります。

 この法案ができることによって、例えば、海洋再生可能エネルギー発電施設促進区域として指定された一般海域のエリア内に洋上風力発電設備が設置されるに当たって、あわせて洋上宿泊施設などを開設するなど、そういった計画は可能なのか、ここもお聞かせいただければと思います。

重田政府参考人 お答えします。

 本法案におきましては、設置される物件が促進区域内海域の利用に支障を与えるものでない場合でありまして、他の法律における所要の要件、例えば今先生が御指摘になっております宿泊施設の場合であれば、必要に応じて、建築基準法などの要件を満たしたことがもちろん前提になりますが、この洋上風力発電設備にあわせてこういったものを設置することは可能でございます。

 海洋再生可能エネルギー発電事業の実施に当たりましては、先ほど来、大臣の方から御答弁申し上げているとおり、地域活性化、あるいは地域との協調、こういったものの視点は極めて重要であると考えております。

 したがって、協議会等を通じ、地域の要望があれば、洋上風力発電設備の観光資源としての活用も十分あり得るものと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ますますいろいろな意味で経済にも寄与する施設になればなというふうに思います。

 済みません、ちょっと時間の関係で先に進ませていただきます。

 経済産業大臣及び国土交通大臣は、基本方針に即して、公募の実施及び海洋再生可能エネルギー発電施設の整備のための促進区域内海域の占用に関する指針を定めることとされております。公募占用指針として、法第十三条第二項第一号から十六号に定める事項が示されていて、同十二号で撤去に関する事項が含まれております。

 一般に、地上の土地の占用について、撤去時には原状復帰が求められるものと考えられますが、洋上風力発電所の場合、海中の施設についてどのような状況にまで復帰することを求めることと予定しているのか。海中の基礎など、また、環境関係につきましても、完全撤去が困難なのではないか、また、復帰が難しいのではないかと考えるものであります。この点の見解をお聞かせください。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 海洋は国民共有の貴重な財産であることから、発電事業終了後は、委員御指摘のとおり、洋上風力発電設備を撤去することが原則となります。

 そのため、撤去の方法について、あらかじめ公募占用計画に記載を求め、適切なものかどうか確認をすることとしております。

 なお、委員お尋ねの撤去の具体的な工事方法につきましては、近年、撤去を容易にする基礎構造でありますとか工法の検討も進められておると聞いております。こうした技術の進歩や海外の事例も踏まえながら、実効性がある方法について関係省庁と連携して検討してまいりたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 この事業者が占用期間中に経営破綻する場合も起こり得る。また、先ほども大臣の答弁があったかと思いますけれども、発電期間を終えて撤去すべき時期に資金不足に至るなどして洋上風力発電施設が撤去されないまま放置される場合も懸念されます。

 占用期間内に発電事業を継続されることのみならず、最終的な撤去までが確実に実行されるよう担保する仕組みが必要ではないかと考えます。この点に関しまして、国土交通大臣の御見解をお聞かせください。

石井国務大臣 洋上風力発電施設の撤去につきましては事業者の責務と考えております。

 このため、事業者選定に当たりましては、提出される公募占用計画の中で、撤去工法や資金計画に撤去費用が計上されているかにつきまして審査をいたしまして、事業完了後に撤去できる事業者であることの確実性を確認いたします。

 認定公募占用計画に従った発電事業が実施されているかどうかにつきましては、必要に応じて経済産業大臣及び国土交通大臣が報告を求めることとしております。

 さらに、万が一倒産した場合に備えまして、海外の先行事例も参考にいたしまして、倒産した場合等に備えた措置を求める方向で検討を進めているところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 自然とともにあるのがこういう再生可能エネルギーの施設だと思っております。この点に関しましては、ぜひ、いい仕組みというか、有効な仕組み、また措置をしていただければと思います。

 さて、最後の方になりますけれども、公募参加者の資格については、破産者でないことや反社会的勢力でないということは示されておりますが、本来、一般海域は全ての国民がひとしく利用できる公共物であることを鑑みれば、公募参加者としても国内法人などであることが望ましいのではないでしょうか、そういった議論もあり得ると思いますが、WTO、そのほかの通商ルールにも照らした上で何らかの対応は可能なのか。

 せっかく日本につくるのであれば、やはり目の行き届く国内事業者というものが対応するというのは非常に有効な手段であり、また維持管理等においても有効かと思っておりますので、この点に関しましての御見解をお聞かせいただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御提案ございました、公募参加者を国内法人に限るということにつきまして、WTO等の通商ルールとの関係で、これに違反するものではないと理解してございます。

 他方で、我が国の洋上風力産業、先ほどお話ございましたけれども、決して国際的に強い競争力を持っているわけではございません。国内にしっかりとした洋上風力の導入を進めていく観点からは、欧州等の先進的な取組を取り入れることは重要な意義があるとも認識しておりまして、外国企業の参加を一律に規制するべきものではないというふうに考えてございます。

 一方で、洋上風力発電のプロジェクトは、海域を長期にわたり占用する事業でございます。そういう観点から、長期安定的な事業の遂行や地域との円滑な関係の構築は不可欠な要素だと考えてございます。

 例えば、港湾区域の事例におきましては、参加の要件としまして、日本国内に本社、支店、営業所を有するなど、緊急時に迅速な対応が可能であることを公募占用指針で定めており、本法案におきましても、地元への配慮や緊急時の対応等を適切に評価することを検討していこうと考えているところでございます。

小宮山委員 最後になりますが、国交大臣、ここは国土交通委員会でもございますが、国交白書にもありますように、この問題、既に白書の方には入っていたことでもあります。

 きょうは海洋担当大臣ということで内閣府からも来てはいただいておりますけれども、このほかには、この白書の中には小水力などあります。

 やはり、国交省といたしましても、自然を生かしたエネルギーをつくること、これは次の世代に向けてやらなければならないことだと考えております。通告はしておりませんけれども、最後に大臣の見解をお聞かせいただければと思います。

谷委員長 石井大臣、時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

石井国務大臣 国土交通省としても、再生可能エネルギーは大変大切なエネルギーだと理解をしております。

小宮山委員 ありがとうございます。

谷委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 国民民主党の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、本法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、冒頭、一点、先日、各航空会社のパイロットによる飲酒問題につきまして、これは大事な問題ですので、国交省にもお聞かせをいただきたい、質問させていただきたいと思います。

 日本航空の副操縦士が十月末、酒気帯び状態でロンドン発羽田行きの便に乗務しようとして、イギリスの、英国の警察に逮捕された、拘束をされたという事件で、日航は、記者会見で、検査をすり抜けるためにアルコール感知器の不正使用が横行していた可能性を示唆しております。

 また、全日空グループも、二〇一三年以降、パイロット八人から社内基準を超えるアルコールが検出をされていたことも明らかになっております。

 こうしたパイロットの飲酒による問題があることを、これまで国交省で報告されたことがあったかも含めて、対応についてお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 運航乗務員の飲酒に起因いたします不適切な事案が連続して発生したことを受けまして、国土交通省としては、全日本空輸及び日本航空に対しまして、詳細な調査を行い、より効果的な再発防止策をグループ会社も含めて早期に実施するよう指示をしたところ、十六日に、両社から調査結果及び再発防止策の報告がございました。

 国土交通省といたしましては、日本の空の安全に対する信頼を揺るがしかねない事案であると認識しておりまして、報告内容を精査の上、立入検査等によりまして事実関係の確認を進め、必要な措置を講じるなど、厳正な対処をするとともに、安全監査等を通じまして再発防止策の実施状況を厳しく指導監督してまいりたいと思っております。

 また、今回の一連の事案を踏まえまして、有識者による検討会を昨日開催しまして、数値基準の新設や検査機器によるアルコールチェックの義務づけなど、運航乗務員の飲酒に関する基準案を年内にも作成する予定でございます。

 航空の安全に対する信頼をできる限り早期に回復できますよう、必要な措置を講じてまいりたいと思います。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 一点、これまで、こういう航空会社の飲酒の問題で報告を受けていたことがあるかどうかを再度ちょっとお聞きしたいんですが、これは重要な問題だと思いますので、お願いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年に日本航空の運航乗務員の飲酒に起因する不適切事案が発生したことを受けまして、日本航空では、翌年八月以降、国内の空港において新型のアルコール感知器を用いた検査を開始しておりまして、この感知器を導入して以降、検査で基準超過が発生した際、同社からの自主的な報告を受けたケースはございます。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 このニュースを見る限り、アルコールの社内での基準等々がなかったり、かなり、人の命を預かる自覚に欠ける今回の行為だったのかなと思っております。航空の安全に対する信頼を損なう今回の問題に対して、重く受けとめて、早急に再発防止に全力を尽くしていただきたいと思います。

 できましたら、通告しておりませんが、石井大臣、一言答弁いただきたいと思うんですが。お願いします。

石井国務大臣 御指摘いただいている事案は、日本の空の安全に対する信頼を揺るがしかねない事案であると認識をしておりまして、まことに遺憾であります。

 今後、必要な措置を講じるなど、厳正に対処していきたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 それでは、本法律案について質問させていただきます。

 我が国では、洋上風力発電の導入実績は少なく、現在まで、実証実験として導入実績はわずか六基と思います。そのうち、本法が促進区域への設置を想定している着床式の洋上風力に関しては、わずか二基のみだと思います。

 また、実証実験では二メガワット程度のものが、言ったら小さいものが多く、実際大きなものが導入される可能性も多くあると思いますけれども、現に、これまで、福島沖の浮体式の七メガワットの発電能力を持つものが、回転を伝える変速機などのトラブルなどがたびたび起こって、想定していた稼働率を大きく下回り、採算が見込めないということで撤去をするという報道もございます。

 この撤去に至った原因や現状、そしてまた、これまでの実証実験で十分知見が得られたのか、お聞きをしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電のような新しい発電技術の本格的な導入を進めていくに当たりましては、まず、日本の海上風況における発電設備の設置や運営に関しまして実証実験を行い、さまざまな実証データと知見を蓄え、これを生かしていくことが、その後の導入の基盤を築く上で重要だと認識してございます。

 経済産業省では、これは着床式と浮体式、先生からも御指摘がございましたけれども、二種類あるわけでございますが、着床式につきましては、二〇〇九年度から二〇一六年度までの間、銚子沖と北九州沖におきまして、それぞれ一基ずつでございますけれども、洋上風力発電の実証事業を実施いたしまして、風況と波浪の観測及び評価、洋上風力発電に必要な設計、施工技術の実証、必要な保守管理技術の実証を行ったところでございます。

 まず、着床式についての実証実験、既に終了しているわけでございますが、ここで得られました、日本の厳しい自然環境に適応できる基礎の開発と検証は既に終えられたと認識してございますし、商業運転に向けたメンテナンス手法等も開発されてきているというふうに考えてございます。

 現在、全国各地で港湾内等での着床式の導入計画が進められておりますけれども、これまで進められてきました実証事業の成果が生かされているものだと認識してございます。

 一方で、浮体式でございますけれども、こちらは、風車を海に浮かべまして、ワイヤで海底につなぐ。主に五十メートルから百、二百メートルぐらいの非常に深い水深の地域に、要は洋上風力を、地域を拡張していくための新しい工法でございます。

 これにつきましては、日本のみならず世界でも、まだトライアル、実証実験を始めたところでございまして、先ほど御指摘がございました、二〇一三年度から始めました福島沖での実証事業というのは、まさに世界に先駆ける形で始まったものでございますが、現時点においては、ヨーロッパの一部の国と日本で進められているというところでございます。

 先ほど、七メガワットのトラブルについて御指摘がございました。

 浮体式の洋上風力の実証事業というものについてもうちょっと詳しく申し上げますと、浮体の構造物と、それに載せる風車がございます。浮体につきましても、さまざまな形のものがあるわけでございまして、いわゆるセミサブ式、フォーカラム型とVセミ、V形のもの、あと、スパー型というもの、浮きのような形で縦に長いものについても、アドバンストのもの、それぞれの浮体の形に応じまして、それぞれ実証実験をしてございます。

 そのそれぞれの上に、二メガワット基、これは従来型でございますが、それだけではやはり規模に耐えられない、もっともっと大きくしていかなきゃいけないということから考えまして、五メガワットのダウンウインド、これは日立さんのものでございますが、これの実証を行うとともに、今回トラブルが発生しました三菱重工製の油圧式という、将来、沖合でメンテナンスが非常に難しくなってくる場合に、ギア式でない新規の技術を進めていくことがむしろ洋上風力の拡大には資するのではないかということで挑戦した技術開発のものでございます。

 今、実証実験が継続中でございますけれども、まず浮体について申し上げますと、さまざまな成果が得られ始めてございます。気象データ、海象データの取得、分析のみならず、浮体式洋上発電施設の設置に必要な施工、設計技術の実証、そして、それぞれが制動においてどういう挙動をとるか、どれぐらい稼働率に影響できるか、データがだんだんだんだんとれ始めてございます。これは後々の浮体式洋上風力の導入拡大には大きな意味を持つ基盤となるものだと考えてございます。

 一方で、上に載っける風車のところでございますが、二メガワット基は順調に、これは従来技術でございますが、動いているわけですが、五メガワット基についていいますと、まだ洋上において十分なデータがとれていません。稼働率も、今まだ上昇途上でございます。どうやればこれをフル稼働、いわゆる九〇%、九五%といった稼働状態に持っていけるか。この工夫を、引き続き実証実験を進めていきたいと考えています。

 一方で、七メガワット基の油圧式でございますが、これは構造上の問題で発電の稼働率がなかなか伸びていかないということを、改善を重ねてきたわけですが、世界でギア式が主流になってきている中で、更にこれを上回るほどの技術能力というのは蓄え切れないのではないかという第三者委員会での結論を得まして、この風車技術の実証については、これ以上続けることではないというふうに判断したというのが現状でございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 二メガワット等々の発電能力のものが主流な中において、これから五メガあるいは七メガ、できるだけ発電能力の高いものが導入されると見込まれるという中において、その実証実験が十分なのかどうかという観点。

 そしてまた、関連して、実際には、先ほどほかの委員からも、百基、二百基という導入になった場合の想定も質問がありましたけれども、当然、大規模なことも想定しなきゃいけないと思います。メンテナンスや故障などを含めて、実際の稼働率がどのくらいになるか想定をされているかどうか、また、海外での大規模な風力発電事業の、参考にしたデータやあるいはモデル等々を入手されているかどうか、さらには、事業計画においてコスト面のシミュレーション等々ができているのかどうか、どういう状況か、ちょっとお聞きしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、稼働率についてでございますが、先ほど申し上げたように、九〇%以上の稼働率というのが商用化の目安となると一般的に言われてございます。

 ただ、洋上海域に行きますと一般的に風が非常に強うございますが、他方で、トラブルについて申し上げますと、要は、故障による起動停止がどれぐらいの期間生じるかということについては、これからデータを取得しながらやっていかなければならないということになるわけでございますので、現時点で、一概に数値、どれぐらい見込めるのか、これが大きなものになった方が上がるのか下がるのかということも含めて、これからさまざまな検証をしていかなければならないと考えてございます。

 一方で、これから事業化していく事業者の皆様方、欧米での着床式を中心とした洋上風力のデータを見ながら、採算性のとれる形での稼働を見込む場合の推定値、どれぐらいになるのかというのは、恐らく算出しながら取り組まれているところかと認識してございます。これは、規模が大きくなりましても、結局は、一定の採算水準をとらなきゃいけなくなるわけでございますので、恐らく、ここについては、我々も、世界の状況を見ながら、最適な形が実現できるようにしていきたいと思っております。

 なお、委員から御指摘ありましたデータ、モデルの入手のお話でございますが、これ自体は、各事業者のノウハウにわたるために、基本的には公開されているものではございません。恐らく、稼働率を確保していくためには、個別のデータやモデルを参照していくというわけではなく、風力発電機の認証ですとか事業者の事業実績の確認等を行うことによって担保していくというのが、風力発電事業の水準の確保の上では基本的なアプローチなのかなと考えておりまして、その際には、欧米諸国における、着床式で先行の例のありますさまざまな例を参考にしつつ、経験を生かしていきたい、このように考えてございます。

下司政府参考人 委員お尋ねの、資金計画のシミュレーションを含めた事業計画の評価の考え方についてのお尋ねについて、お答え申し上げます。

 手続といたしましては、海洋再生エネルギー発電設備促進区域が指定された場合、当該区域ごとに、経済産業大臣及び国土交通大臣が策定する公募占用指針において事業者の評価基準を定め、提出されました公募占用計画を評価し、事業者を選定してまいることになるわけでございますが、事業者が作成する公募占用計画には、発電事業の内容とともに、供給価格、それから資金計画や収支計画のほか、発電設備の構造や維持管理の方法、撤去の方法等を定めることとしております。その中で、資金計画、収支計画については、その計画の確実性、前提及び内容の妥当性等を評価することを検討してございます。

伊藤(俊)委員 これからの情報収集あるいは検証が必要だということですけれども、実際、五十基あるいは百基、二百基、導入したときに、メンテナンスを一気にするわけではないと思いますので、何基ずつメンテナンスするあるいは故障が何基ある、そういった意味では、実際にどれだけとまっているようなものがあるのかということも含めて、民間の皆さんが事業計画を出すんだろうと思うんですけれども、それをまたジャッジをするあるいは選定をすることも、そういうシミュレーションができていないとジャッジができないかと思いますので、そういう意味で、こういうコスト面のシミュレーションやあるいは稼働等々の想定も、十分検証していただかなきゃいけないのかなと思っております。

 そしてまた、きょうはもう質問、時間があれですけれども、そういった意味では、修繕費等々だけではなくて、例えば保険等々も、民間が入る保険も、これは実証、これまで実績のない中において、かなり保険料も、どういう見込みがあるのかということも懸念されると思います。そういったことも民間の事業者が本当に計算をして事業計画が出せるものなのかどうか、こういうことも懸念されると思いますので、また、ちょっと時間の関係上、質問は控えさせてもらいますが、十分に検証していただきたいと思っております。

 そして、事業者選定の公募に当たって、海外の事業者が、特段参入に対して制限がないと思いますが、これは公平性が大事だと思います。その観点の上でですが、日本の事業者参入に何らかの措置を考えているのかどうか、この点、一点お聞きしたいと思います。

谷委員長 松山資源エネルギー庁部長、答弁は可能な限り簡潔に願います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国において洋上風力発電を育成するためには、既に洋上風力の導入が進んでいる欧州の先進的な取組を取り入れていくことが重要だと認識してございますので、これを一律に規律するということは考えてございません。

 国内の、むしろ産業を育成していく観点から、技術開発の支援、これは風車の話、建設工事の話、さらにはメンテナンスの話等々ございますけれども、この技術開発、実証事業等々の措置を通じて、産業の振興支援というのを一層図ってまいりたいと考えてございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 もちろん、公募には公平性が必要だということは、もう言うまでもないです。それが前提になると思いますが、単純に、経験のある海外の事業者との競争に日本の事業者が対抗できるのかどうか、こういうことも大きな懸念事項かと思いますので、十分にその辺も検証していただきたいと思っております。

 そして、最後に、今回、小宮山委員からも冒頭ありましたけれども、お二方の大臣にお越しいただいて、本来なら、国交で審査をすること以上に、内閣委員会、内閣での審査もやるべきであったのではないかという意見もありました。できれば宮腰大臣に一言見識をお伺いしたいと思いますが、それに加えて、この洋上風力発電の導入は、我が国の国産のエネルギーを手に入れることでもありますし、エネルギー安全保障にかかわる話でもあると思います。エネルギー安全保障の根幹というべき発電事業を、いわば外国の事業者に委ねることもあるという意味では、我が国のエネルギー安全保障上の懸念が生じないのかという懸念もあるかと思いますけれども、あわせて、今回のことを含めて、宮腰大臣、一言答弁いただきたいと思います。

宮腰国務大臣 国土交通委員長を始め委員の皆様方の御理解をいただいて、きょうの審議に至っているというふうに思っておりますので、まず感謝を申し上げておきたいというふうに思っております。

 海上風力、これまで、先ほども答弁でちょっと申し上げましたけれども、日本においては、やはり若干おくれているという部分があります。そういう面でいえば、先進地域の技術に倣うべき部分もあれば、やはり地域の経営資源を生かして、もともと風力というのは地域の資源ということでもありますので、そういうことで、やはり地域の事業者が、地域経済の発展に資する形で参入をするということも大事ではないかというふうに思っております。

 ぜひ、今国会においてこの法案を成立をさせていただいて、先生方の御期待にも応えていきたいなというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

伊藤(俊)委員 大臣、ありがとうございました。

 再生可能エネルギーの重要な一つの分野だと思います。私も、原発に依存しない再生可能エネルギーの推進を望む一人として、長期的に安定したエネルギーになることを願いながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、伊藤委員からも御指摘がありましたが、私も、原発のない再生可能エネルギーというのを促進しなきゃいけないという立場できょうは質問させていただきますが、国土交通委員会で開催をしているこの法案でありますけれども、ほとんどの質問が国交省ではなく内閣府そして経産省にかかわりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これまで、北九州に洋上風力一基、長崎に一基、銚子に一基、福島に三基、いずれも実証実験で、福島以外は実証が終了したというふうに伺っておりまして、合計二万キロワットにとどまるという結果であったということも伺っておりますが、福島の三基は実証中であるものの、そのうちの、福島県の出力七千キロワット、直径百六十七メートルの、浮体式としては世界最大級のものの実証実験が、間もなく一基が撤去されるというふうに伺っておりまして、実証実験によって何を得たのか、そして、福島の一基はなぜ撤去される予定なのか、お伺いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電の本格導入のためには、日本海域での発電設備の設置、運営に関する実証事業が大変重要なものだと認識してございます。

 着床式につきましては、銚子沖、北九州沖、それぞれ一基ずつの実証事業で既に終了してございまして、その中で得られました、自然環境に適用できる基礎の開発と検証、商業運転に向けたメンテナンス手法等々の経験が既に生かされる形で、港湾内を始めとしてでございますが、現在、着床式の導入が進み始めているというふうに認識してございます。

 今御指摘のございました浮体式について申し上げますと、三種類の浮体と、その上に載せる将来の巨大化、大規模な洋上風力浮体式発電ということを実現するための五メガ基、七メガワット基の導入拡大実証事業というのをトライしていたわけでございますけれども、そのうち五メガワット基の方は、今着実に稼働率が上がってきているところでございます。これはギア式でございます。

 一方で、ギア式の場合は将来のメンテナンスの不安があることから、世界の中でも初めてとなる油圧式という新しい技術での風車技術というのが実用できないものなのかどうかということを実証したものが、七メガワット基を使った実験でございます。

 これまで風車を動かしてきたわけでございますが、構造上の問題ということがなかなか克服していけない、稼働率がなかなか上がっていかないという中におきまして、技術的課題のための実用化が、世界ではギア式が進んでいく中ではなかなか難しいであろうということから、高額な運転維持費、実証費ということを考えますと、もう現時点で技術の実証ということはこれ以上続ける必要はないというふうに判断したところが、この七メガワット基の実証の背景と現状でございます。

もとむら委員 十月二十七日の東京新聞によりますと、北九州で実証実験を行ったJパワーが、技術面でまだ課題があるとか、また、北九州で建設した戸田建設は、建設費が高く、現状ではビジネスとして成り立たないといった指摘もありますし、また、福島の一基を撤去することについて、経産省が委託した専門家による総括委員会で、技術的課題があり、商用運転の実現は困難と指摘をされております。また、洋上浮力に詳しい足利大学の牛山理事長は、洋上風力はまだ建設コストがかさみ、事業者にとってハードルが高いということも指摘をされておりまして、今、撤去になった理由も、最近の設備利用率が三・七%と低く、技術的課題があったということもお伺いしたわけでありますが、今回の実証実験で明らかになった課題に対して対策は講じていらっしゃるのか、お伺いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 実証実験の成果、着床式につきましては既に実証のデータが得られましたので、これで動いてございます。ですので、それ以上の対策というのは今のところ必要ない、これから導入の状況を見ながら更に検討ということかと認識してございます。

 他方、浮体式でございますが、今、引き続き検証中でございます。浮体について申し上げますと、それぞれの方式ごとに、揺れの抑制、姿勢の維持、疲労の寿命、経済性の特性などが比較上明らかになってきています。ですので、これをしばらく検証を続けながら、今後、浮体式の浮体構造を設計していく際の実用化に向けた最適化の作業を進めていくという観点から、現在行っております実証事業を継続していきたい、こういう対策をとっていきたいというふうに考えています。

 一方で、風車の方でございますが、油圧式とギア式の変更というこの両方の方策について言いますと、将来の拡張可能性ということを考えた場合、この時点で油圧式というのをこれ以上追いかけることはなく、ギア式の拡張ということで対応するという方向性を委員会の方でいただきまして、そこに重点化した形で実証を進めていく、こういう対策を講じていきたいというふうに考えてございます。

もとむら委員 本法案による目標効果として、風力発電全体の導入容量を二〇三〇年度までに約一千万キロワットとしておりまして、ここは達成、クリア可能かなと思っています。

 それはなぜかというと、資源エネルギー庁の、二〇三〇年度における風力発電の導入見込み量を見れば、陸上で九百十八万キロワット、そして洋上風力で八十二万キロワットで達成する見込みということでありますが、二〇一八年八月末時点で環境アセス手続中なのが十三件、約五百四十万キロワットでございまして、随分低く見積もっているなというのが感じとしてあるんですが、今回、この洋上風力の法案が通った後も、この資源エネルギー庁の洋上風力の八十二万キロという低い目標のままであるのかどうか、お伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギーミックスでは、二〇三〇年度の再エネ比率を二二から二四%と示してございまして、この中で風力発電については、二〇三〇年度、陸上風力と洋上風力を合わせまして、導入量を一千万キロワットというふうに見通しているところでございます。

 委員から御指摘のありました洋上については八十二万キロワットということでございますが、この陸上と洋上の内訳及び一千万キロワットということについても、これは上限であるわけではございませんで、ここを一つの目標といいますか数値として置きながら、さらなる拡大ということを図っていきたいと考えてございます。

 なお、導入量は、現状三百五十万キロワットにとどまっているのが今の状況でございます。FITの認定済みで導入前のものと合わせますと、これが九百十万キロワットになっているところでございますし、また、特に洋上風力については、近時、環境アセスメント中のものが非常にふえてございまして、これは五百万キロワットぐらいになっている。ポテンシャル上は十分これを達成できるものだと考えてございますが、一方では、環境アセスメント手続での規模の縮小という可能性もございます。地元との調整というのも必要になってまいります。系統の制約等によって事業の実現に至らない可能性も引き続き存在してございます。

 さまざまあります課題を克服していくということを経産省としてはしっかりと取り組んでいきまして、この目標というのを確実に達成できるように取り組んでまいりたいと考えてございます。

もとむら委員 日本風力発電協会によりますと、二〇三〇年一千万キロワットは二〇二〇年の早期に達成する見込みで、引き続き、次の段階である二〇三〇年三千六百二十万キロワット導入達成を目標として取り組んでいくと、この日本風力発電協会の大きな目標がありますが、それに向かって同じような歩調であるということでよろしいでしょうか。

松山政府参考人 エネルギーミックスは、二〇三〇年度の見通しとして示したものでございます。ことし七月に閣議決定いたしました第五次エネルギー基本計画でも、このミックスの数字を上回る、これを超えることについても目指していくということについても規定してございます。

 問題は、その場合の国民負担の問題と、これに関するさまざまな諸課題をいかに克服していくかという問題でございます。風力業界の皆様方が目指している高い目標、これは政府も同じような志を持っているところでございまして、より高い再エネの導入が実現できるようにしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。

もとむら委員 次の質問に入りますが、再生可能エネルギーをふやしていくためには系統制約が大きな課題であるというふうに思っておりまして、容量面での系統制約、変動面での系統制約に可能な限り対応して、再生可能エネルギーを最大限導入していかなければならない、これは基本だと思いますけれども、この発電した電気を有効に利用していくためには、今述べた系統連系をスムーズに今後行っていく必要があると思いますが、系統連系をスムーズに行うためにはどのような対策を講じていらっしゃるのか、お伺いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、再生可能エネルギーの導入拡大のために、電力系統の制約の問題というのは、日本の電力系統の形と歴史、構造ということを考えますと、我々が直面し、克服していかなきゃいけない大変重要な課題だと考えてございます。

 送電線への接続ということを考えますと、増強するということと同時に、今存在する既存の系統をできる限り最大限利用することと、この二つのアプローチがあると考えます。

 送電線の増強をするには一定の時間とコストを要するところでございますので、まずは既存の系統を最大限活用するということに対して早急に対応策を講じていくこととしておりまして、一定の条件のもとで系統への電源の接続を認める等の仕組みである日本版コネクト・アンド・マネージ、これはヨーロッパの方で既に存在するような考え方でございますが、こういった具体化を進めているところでございます。

 一方で、系統の増強が、今後再エネの拡大を進めていく上では重要な課題でございます。従来から、事業者の方々に共同で負担していただき系統を増強する、電源募集プロセスといった形での増強を進めてきているところでございますが、今後、系統増強に係る費用を引き下げながら、送電投資を進めるための環境の整備、すなわち設備の仕様の共通化等による工事費の軽減、若しくは費用負担における託送制度の見直しといったさまざまな環境整備などについて、しっかりとした検討、方策をとってまいりたいと考えてございます。

もとむら委員 洋上風力に詳しい方からちょっとお話を聞いたんですが、今後、温暖化ガス削減のために再生可能エネルギーが必須だということでありまして、中でも、洋上風力は、一般海域への展開があれば、最も有力な選択肢の一つだということでお話をいただきました。

 ただ、一般海域への展開だけでは拡大しないということも課題の一つだということもお話をいただきました中に、問題は送電網の整備だということでありました。

 幹線海底ケーブルでも引かないとなかなか前へ進んでいかないんじゃないかという御指摘と、あとは、原発のためにとってある送電線の枠の開放を進めていかなきゃいけないんじゃないかという指摘をいただきましたが、こうした専門家の指摘に対してどうお考えでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 系統の増強が今後の再エネの拡大のために非常に重要だという点につきましては、委員の御指摘、私どもも全く共感、共有しているところでございます。

 今御質問ありました二つの点、一つは洋上風力を進めていく上での海底ケーブルの敷設の件、これは不可欠なものとなってまいります。特に、洋上の浮体式なり、海岸線からより遠いところになってまいりますと、より大きなケーブルを長距離にわたって引いてくる必要が出てまいります。

 ヨーロッパにおきましても同様な形で、大きな規模での送電線、海洋の送電線の整備ということを進めてきているところでございますが、日本の場合、この洋上風力の法案を受けて、成立した暁に、これの導入促進のために、どういう形で、どのような形の系統を引いていくべきか、そのときの負担はどうあるべきなのかということは大きな課題として考えなければならないものと考えてございます。

 いずれにいたしましても、系統の増強についてまいりますと、コストの削減と費用負担のあり方、その上での系統計画となってまいりますので、環境整備について取り組んでまいりたいと考えています。

 また、原発の動いていない系統をどうするかというお話もございました。

 これは、原子力発電ということのみならず、さまざまな既存の発電所の、ある意味予約されている容量について送電線をどう使っていけるのかという、ある意味、民民の契約と利用のあり方ということに入ってくる問題でございます。

 今後のエネルギーミックスの推進の中若しくは系統の利用のあり方という検討の中で、我々もさまざまな方策を検討していかなければならないと考えてございます。

もとむら委員 最後、国土交通省に質問させていただきますが、陸上ではありますけれども、ことしの八月、台風二十号の影響で淡路島にある風力発電設備が倒壊したというニュースがございました。高さは約六十メーター、けが人は出ていないということでありますが、平成二十九年五月から発電をしていない施設だったということでありまして、淡路市の最大風力は二十八・六メーター、風車は風速六十メーターまで耐えられる構造だったということでありますが、それに対し、英国、イギリスのスコットランド沖にある世界初の浮体型洋上発電所は、稼働後に時速百二十五キロの大型ハリケーンの直撃を受けて、その後、時速百六十キロを超えるストームと八・二メートル超の高波を受けることもありましたが、これに耐え得て、現在も安定稼働しているということであります。

 今後、洋上風力に関して台風等の自然災害による倒壊を懸念する声もございまして、政府はどのように捉えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、台風などの自然災害に対して安全でなければならないと考えてございます。

 このため、我が国において発電設備を設置する際には、発電でございますので、電気事業法に基づく技術基準等の法令要求事項を満たす必要が当然ながらございます。その基準の中で、風圧でございますとか地震等の荷重に対して構造上安全であることが求められております。

 また、こうした電気事業法に基づく基準に加えまして、委員御指摘のとおり、海域での発電ということになりますので、海域の特性を踏まえて、波力でありますとか風圧、地震等に対して安全であるということが求められますので、そうした観点から、必要な新たな基準を省令等で定めてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、近年は、世界的にも洋上風力発電設備の導入が進み、技術的な知見の蓄積も進んできておりますので、それらも踏まえて技術基準を適切に整備、運用することによって、我が国の厳しい海洋環境にも十分耐え得るものになると考えてございます。

もとむら委員 宮腰大臣にお伺いいたしますが、日本は、陸上風力の適地が限定的で、洋上風力の導入が不可欠だというふうに私も思います。大規模に発電できれば、発電コストが火力並みに値するというお話もございますし、二酸化炭素の排出量が少なく、地球温暖化にも有効である。さらには、太陽光と違って、風さえあれば夜間でも発電できる。日本風力発電協会によれば、直接投資で五から六兆円投資しますと、経済波及効果で、十三から十五兆円の経済効果もあるのではないかというお話もございます。

 そういった中で、洋上風力発電が普及し、系統連系もスムーズにいけば、再生可能エネルギーを利用した発電量の増加、発電コストダウンなどの効果を見込むことができると思います。

 洋上風力発電普及に対する大臣の意気込みをお伺いするとともに、大臣の御地元である富山県入善町の沖合八百メートルにも約七千五百キロワットの発電所を建設予定だということで伺っておりまして、既に三井造船が、これは造船業界も大変注目している事業だと思うんですが、設計、調達、建設を請け負うという形で、二〇二〇年度から二十年間の商業運転を開始し、着床式洋上風力を民間企業が手がける第一号の案件になるんじゃないかというお話もございます。十分御承知のことだと思いますが、この大臣の意気込みと、地元の入善町の沖合に今建設予定の洋上風力に関しまして、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 洋上風力につきましては、既に欧州におきまして急速な価格低下と本格普及が実現をしておりまして、四方を海に囲まれた我が国におきましても、系統接続や発電コストの低下といった経済性や信頼性の観点からの課題を解決して実用できれば、極めて有望なエネルギーであるというふうに考えております。

 しかしながら、今回の法案の御答弁で申し上げてまいりましたとおり、法的な枠組みが存在しないということを、今回の法案で何とかその枠組みをつくらせていただいて、長期占用を可能とする、あるいは、発電事業者を、供給価格などについて総合的に評価をして、公募により選定する仕組みをつくる、こういったことをぜひ実現させていただきたいと思っております。

 系統接続、今経済産業省の方から、最大限活用するための措置を検討しているということでありまして、こうした取組を通じまして、政府一丸となって、洋上風力発電の普及による海域の利用を進めてまいりたいと考えております。

 個別の案件につきましては、これは今の段階で言及するのは適当ではないというふうに考えております。

もとむら委員 大臣の御地元の話でありますので、個別の話とはいっても、これは民間第一号の話でありまして、さまざまないただいた資料には大臣の御地元の記事は載っていませんでしたが、ネットなどで調べて、現地の町にも調べてお話を聞きました。ぜひとも、御地元でありますので、宮腰大臣の手腕にも期待してまいりたいと思います。

 これで終わりにします。

谷委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 前回の質疑で、台風二十一号が関西国際空港を襲ってきたことし九月四日に、フランス資本から乗り込んできた関西エアポートの副社長はどこにいたのかという私の問いに、蝦名航空局長は答えられませんでした。

 その後、調べて、この方の出張の行き先はわかりましたか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 先日の御質問を踏まえて確認をさせていただきました。九月四日における関西エアポート副社長の出張先につきましては、フランスであるとのことでございます。

宮本(岳)委員 フランスです。前回指摘したとおり、紛れもなく海外におられました。

 前日には気象庁が警鐘を乱打し、同日午前十一時八分には警報が出て、空港機能が麻痺する強烈な台風が関空を襲っていたときに、空港管理を第一義的に担っている関西エアポートのトップ二人が、ともに現場で陣頭指揮をとらないばかりか、社長は東京・霞が関に、副社長は何とフランスにいたということであります。話にならない。改めて、空港の安全がコンセッション事業者任せでいいのか、真剣な検討を求めておきたいと思います。

 それでは、法案についてただしたい。

 まず、私がよくわからないのは、なぜこの法案が当委員会で審議されなければならないのかということであります。

 本法案は、さきの通常国会では内閣委員会に付託をされました。ところが、今国会では当委員会に付託をされております。それは国会の判断ということでありましょうけれども、通常国会に提出された法案と今回の法案とで、国交大臣にかかわる条文が新たに加わっております。それは何条のどういう規定であるか、国土交通大臣、お答えいただけますか。

石井国務大臣 法案の第二十七条でございますが、国土交通大臣が基地となる港湾に関する情報提供を行う規定を新たに盛り込んだところでございます。

宮本(岳)委員 この条文が加わったということも、当委員会に付託して宮腰大臣とともに石井大臣が所管する理由、こう考えてよろしいですか、石井大臣。

石井国務大臣 法案の主管は宮腰大臣と承知しておりますが、私あるいは経産大臣は共管の立場というふうに理解をしております。

宮本(岳)委員 そこで少しまた不思議に思うんですけれども、では、情報提供の条文が加わったから情報提供するわけでもなかろうと思うんです。

 この条文がなければ、国土交通大臣はここで言われるような情報提供をしないつもりだったのか、前回の法案のときにはそういうことはやらないおつもりであったのか、いかがですか。

石井国務大臣 通常国会に提出した法案では、基地港湾の情報提供については明示的に規定されていなかったことから、発電事業者から、国による情報提供の要望が出されたところでありまして、それに応えて新たに条文を設けたところであります。

宮本(岳)委員 当然、情報提供は前々からおやりになるつもりであっただろうと思います。情報提供は大事です。しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 では次に、利害関係者との調整について聞きたいと思うんですね。

 風力発電設備を整備しようとする海洋には、もともと漁業を営んでいたり海運業を営んでいたりする方々がいらっしゃいます。その権利や利害、意見がぶつかり合った場合、利害関係者を含む者で構成する協議会を設けて調整する仕組みになっております。

 では、我が国の洋上風力発電で、既に実証研究、実証事業ですね、先ほどから議論がありましたが、行っているところで、比較的順調だと言われている着床式の風車、これらは海岸からどれくらいの距離の海域で実証研究をしているか。これは内閣府でいいんですかね、お答えいただけますか。

重田政府参考人 現在行われております洋上風力の実証事業のうち、着床式は千葉県銚子沖と北九州港内の二基でございます。これらの沿岸からの距離でございますが、千葉県銚子沖が約三・一キロメートル、北九州沖が約一・四キロメートルでございます。

宮本(岳)委員 この法案で整備される風力発電設備は、まずは着床式からだと思われます。

 着床式は、一般的に、海岸に近く水深も浅い方が当然コストも安く採算がとりやすい、こう私は思いますけれども、これはそうですね。間違いないですね。

重田政府参考人 先生御指摘のように、沿岸から距離が近いほどケーブルやメンテナンスにかかる費用は安くなるというふうに想定されております。そのとおりでございます。

宮本(岳)委員 当然のことながら、沿岸から近く水深が浅い方がコストも安く採算がとりやすいと思うんですね。

 そうしますと、当然、漁業権との権利、利害の調整が必要となってまいります。

 私たちは、全国海区漁業調整委員会連合会の浜本俊策会長にもお話をお伺いいたしました。浜本会長によりますと、漁業権は、通常、沿岸三から五キロでの権利、沖合で問題が発生するとすれば、底びき網漁などの漁場に設置する場合だろう、話合いが大事だとのことでありました。

 そこで聞くんですけれども、第九条第一項には、「経済産業大臣、国土交通大臣及び関係都道府県知事は、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域の指定及び海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域における海洋再生可能エネルギー発電事業の実施に関し必要な協議を行うための協議会を組織することができる。」こういう規定がございます。

 この規定、条文は、できる規定になっておりますけれども、このような漁業権との協議と調整は丁寧に行われるのか、できるとなっておりますが、やらない場合というのがあるのかどうか、いかがですか。これは宮腰大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 本法案は、法案第三条の基本理念にありますように、海洋再生可能エネルギー発電事業者と漁業者や地方自治体等々の関係者との調和を重んずるというのが基本的な考え方であります。

 その上で、本法案におきましては、洋上風力発電の導入が漁業へ及ぼす影響をなるべく小さくし、共存共栄が可能となるよう、漁業などとの調整を含め、関係機関との調整に係る所要の手続を定めております。

 制度の運用に当たりましては、利害関係者の方々にも参加いただく協議会等も活用いたしまして、関係漁業者の皆様の御理解のもと事業が進められるよう、国としても、関係者の意見を適切に伺いつつ、後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 丁寧に進めていきたいという大臣の姿勢は、よく理解をいたしました。

 ただ、私、驚くべき文書を発見いたしました。きょうはこれを資料におつけしたんですけれども、去る十月二十三日に開催された第三十六回国家戦略特区諮問会議の議事要旨であります。

 赤線部、これは八田達夫大阪大学名誉教授の発言であります。「これはすぐできるとは言いませんが、例えば、漁業権を水産資源の保護の義務を課した財産権にした上で、有能な漁民や会社が漁業権を買い取ることができるというようなシステムにすると、日本の漁業の生産性を大いに引き上げます。」と述べた上で、「それだけでなく、漁業権の改革は、今問題になっている洋上風力の推進の大きな障害を取り除きます。」と述べているわけですね。

 念のために宮腰大臣に伺うんですけれども、漁業権を洋上風力発電推進の大きな障害と見て、企業が漁業権を買い取る制度を導入して無理やりに進めるというようなことは、よもやお考えではないと思うんですが、よろしいでしょうか。

宮腰国務大臣 漁業権は、戦後、国が買い取って許可漁業権にしたという大きな歴史があります。今回のこの洋上風力の関係で、国による漁業権の買取り、既にもう漁業権は許可漁業権であるわけですから、買取りなどということは全く想定をしておりません。

宮本(岳)委員 しっかり、漁業権との関係、漁業関係者との丁寧な協議ということをお願いしておきたいというふうに思います。

 次に、環境省の取組についても聞きたいと思います。

 本法案では、整備促進区域の指定に当たって、あらかじめ環境大臣に協議するとの規定が置かれ、その協議の中で、生物多様性の保全や、そのためのゾーニングなどが協議されることとされております。

 しかし、区域指定の前提となる基本方針の策定過程には、環境大臣の関与についての規定は明文上はありません。基本方針の案は、第七条第四項で、総理が作成するということになっておりますけれども、この段階にも環境大臣はかかわっていくことになるのかどうか、環境省からお答えいただけますでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 本法案におけます基本方針策定に当たりましては、内閣総理大臣が基本方針の案を策定し、閣議の決定を求めなければならないことになってございます。

 本方針におきましては、海洋環境の保全等に関する事項を定めることとなっておりまして、こうした観点から、環境大臣も協議を受けた上で決定することとなります。

宮本(岳)委員 基本方針の案の作成の段階で、環境大臣の御意見もしっかり反映するようにしていただきたいと思うんですね。

 同時に、洋上風力発電の整備に伴う環境への影響については、まだまだ未知の部分が多いと思うんですね。しかも、区域によってその影響のあらわれ方はまちまちだというふうに思います。

 今後、洋上風力発電の整備に伴う環境への影響については、事前のアセスというだけでなく、事後の調査もしっかり行って、事後どういう影響があるかということをつかむ必要があると思うんですが、環境省、これはいかがでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、平成三十年度より、一般海域等におけます環境基礎情報等の収集、整理に取り組んでいるところでございます。海鳥、海洋生物、藻場の分布情報等の整備、更新を実施しているところでございます。

 委員御指摘の事後調査などの時点で貴重な情報源として活用していくことも十分想定しながら、引き続き、洋上風力発電事業における重大な環境影響が生じることのないよう、科学的データ整備に努めてまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 海洋の環境をしっかり守るために調査に取り組んでいただく、今おっしゃったことをしっかり進めていただきたいというふうに思います。

 さて、洋上風力発電の整備を思い切って促進しようというのが本法案の狙いでありますし、私どもももちろんそれに対して賛成いたしますけれども、この洋上風力発電が普及してどんどんどんどん再生可能エネルギーがふえていけば、エネルギーの中での原発の占める割合はどんどんどんどん減少して、果たしてゼロになるのか。これは経産省にちょっとお答えいただけますか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 原発依存度を可能な限り低減するという考え方のもと、徹底した省エネルギー、そして再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組む、これが政府の一貫した方針でございます。

 一方、単一の完璧なエネルギー源がない現状におきましては、スリーEプラスS、すなわち安全性の確保を大前提に、経済性、気候変動の問題に配慮しながらエネルギーの安定供給を達成していくことが重要となります。

 また、停電等のない持続的、安定的な電力供給を考えた場合、風力や太陽光は供給に変動性がございまして、その克服が引き続き課題である一方、原子力といったベースロードとなる電源は重要な役割を担うと考えます。

 こうした観点から、エネルギーの安定供給のためには原子力も欠かすことができない選択肢であるというように考えてございます。

宮本(岳)委員 原子力も欠かすことのできないエネルギー源であるということを今おっしゃいました。

 エネルギーミックス二〇三〇で目標数値が決まっていると思うんですけれども、ベースロード電源、再生可能エネルギーについてお答えいただけますか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 この夏に策定いたしました第五次エネルギー基本計画の中でも、委員御指摘の二〇三〇年のエネルギーミックス、この確実な実現を進めるということにしてございます。

 その中で、二〇三〇年エネルギーミックスの中では、再生可能エネルギー、これを電源構成の中で二二から二四%、そして原子力につきましては二〇から二二%、この確実な実現を目指すということにしてございます。

 なお、再生可能エネルギー、二二から二二%、これはキャップではなくて、これにとどまらない導入を追求していくということにしてございます。

 まずは、このエネルギーミックス、二二から二四%の確実な実現、これを目指し、さらに、それにとどまらない導入を図っていくということが大事だというように思ってございます。

宮本(岳)委員 いやいや、二二から二四にとどまらないと言っていただくわけですけれども、キャップではないと言っていただくわけですけれども、原子力の方も二〇三〇年には二〇から二二、これを目標に掲げてやるんですよね。

 現在稼働中の原発は九基でありますけれども、それで今エネルギーに占める割合は三%というふうに聞いております。

 この二〇三〇年、二〇から二二%という目標は、原発が何基稼働している計算になりますか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 一定の仮定計算のもとでの条件でございますけれども、そのもとで、二〇三〇年、原子力発電の割合を二〇から二二%を想定した場合には、原子力発電所三十基程度の稼働が必要ということを見込んでございます。

宮本(岳)委員 今九基のものを、そして三%のものを、これから三十基まで、一定の仮定を置いてですけれども、動かしていく。そして、二〇から二二%までふやしていく。これでどうして、原発依存度を可能な限り低減するという、冒頭述べたような話になるのか、全く理解に苦しみます。

 これから再エネの割合を本気になってふやそうというのであれば、原発は三%から直ちにゼロにすることを求めたいというふうに思うんです。

 そこで、日本の再生可能エネルギーの目標なんですが、二二から二四と先ほどおっしゃられた、キャップではないとおっしゃられたんですが、これはやはり外国に比べても低過ぎると私は思うんですね。

 イギリス、フランス、ドイツの同年度の目標数値はどうなっているか、お答えいただけますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお配りいただいております発電比率にございますように、ドイツは現状では三〇%、スペインが三五%、イギリスが二五%となってございます。

 ドイツで申し上げますと、これを更に、五〇%を八〇%まで引き上げていくというような長期的な目標を持っているのは承知してございます。

 日本について申し上げますと、先ほど答弁申し上げましたけれども……(宮本(岳)委員「フランスやイギリスは、目標」と呼ぶ)済みません、今手元に長期目標の具体的な数字をお持ちしておりません。また後日でもお届けしますけれども、ドイツは将来的に五〇%を八〇%という数値目標を持ってございます。

宮本(岳)委員 私が配った資料に出ているじゃないか。私が配った資料を見て答えてください。イギリス、フランスの目標、再エネ導入目標。

松山政府参考人 失礼いたしました。

 先生がお配りいただきましたものに書いてございます数字を申し上げたいと思います。

 イギリスについて申し上げますと、二〇三〇年の目標が四四%、ドイツで申し上げますと、二〇二五年に四〇から四五%、二〇三五年に五五から六〇%、スペインについて申し上げますと、二〇二〇年という段階で四〇%といったような目標になってございます。

宮本(岳)委員 だから、歴然と低いんですね。

 きょうこの資料の二で、今読んでいただいたものを配っておりますけれども、中国は、目標値は二〇二〇年、一五%となっておりますけれども、二〇一五年度の実績で既に二四・一%。日本が二〇三〇年に掲げている目標をもう既に上回っております。だから、中国なんていうのはおくれているんだろうと思っている方々もいらっしゃるかもわかりませんが、そんなことはない。この取組では、日本は非常に恥ずかしい状況なんですね。

 なぜこれがこんなことになっているのか。私は、やはり、原子力発電というものをきっぱりゼロにという決断をしないからここがやはり引き上がっていかないんじゃないかと言わざるを得ないというふうに思っております。

 私、ちょっと調べてみたんですが、今手元に、二〇一五年の日本風力発電協会の資料を見ますと、風力発電機の国産メーカーのシェア三位以内に日立製作所と三菱重工が入っているんですが、間違いないですね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の国産の風車メーカーについて申しますと、今、大規模な事業者で申し上げますと、日立が製造を行っております。三菱重工につきましては、現在、ヴェスタス社との提携のもとでの製造を行ってございます。

宮本(岳)委員 二〇一五年の時点でいえば、三菱重工、その何とかという会社と合併する前ですよ。合併した後もやっているでしょう、三菱重工。

松山政府参考人 御指摘はそのとおりでございます。

宮本(岳)委員 御承知のとおり、日立製作所と三菱重工といえば、同時に原発メーカーでもあります。

 風力発電を思い切って進めて、もう原発はやめようというのであればよくわかる話なんですが、これらのメーカーは風力発電機も原発も両方つくっているわけですね。

 なぜこんな中途半端なことになるのか、その理由は明らかです。あなた方政府が、ベストミックス比率などといって、結局、原発政策を改めようとしないからです。政府が両方やると言うから、メーカーも両方やっているんです。

 本気で洋上風力発電を進めたいのであれば、きっぱり原発ゼロの政治決断を行うべきであるということを申し上げて、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 限られた時間なので、早速質疑に入らさせていただきます。重複するところもあると思うんですけれども、御容赦いただけたらというふうに思います。

 まずといいますか、本法案について質問させていただきますけれども、日本は海に囲まれた島国でありますし、海洋国家であります。国土面積は三十八万平方キロメートル、世界では六十番目という比較的小さい国ではありますけれども、経済的な管轄権、つまり排他的経済水域の広さというのは国土面積の十二倍あり、沿岸海域である領海を合わせると世界で六番目に広い海が我が国の海ということになります。

 洋上風力発電は広い海を利用することができ、また、洋上は陸上に比べて風が強く、年間を通して比較的安定した風を得られるというふうに聞いております。そこで、本法案ということになったというふうに思うんですけれども、正直、遅きに失しているという思いもあります。ただ、今回のこの法案も受けて一歩進めたということについて、大きく評価をしたいなというふうに思います。

 現状、我が国の洋上風力発電の導入実績というのは、国の実証事業により建設された六基、約二万キロワットにとどまっておりますが、これは洋上に限らず陸上も含めて、二〇三〇年度には一千万キロワットを目指しているということであります。そのための環境を整えていくということがやはり必要であるというふうに思います。

 現状、港湾区域においては、三年から五年という非常に短期のルールだったんですけれども、やはり中長期的な事業が見通しにくいということもあって、二〇一六年ですかね、港湾法が改正をされまして、長期占用のルールというのが整備されました。実際、港湾管理者が事業者を決定して事業者による計画の具体化というのが進んでいるというのも聞いています。

 ただ、現在調整のルールがない一般海域における海域の先行利用者との調整を図る場を設けることが必要であるというふうに思いますし、それに対処するのが本法の大きな目的の一つではないかなと考えますが、改めて本法案の意義をお聞きいたします。

重田政府参考人 先生御案内のように、我が国が世界に冠たる海洋国家ということであると思うんですが、そういった観点から洋上風力のポテンシャルは極めて大きく、経済性や信頼性の観点から課題を解決して実用化できれば、有望なエネルギーであると考えております。ヨーロッパにおいては急速な価格低下と本格普及を実現しており、我が国においても導入の促進が期待されております。

 このように導入の促進が期待されております洋上風力発電ですが、一般海域においては二つの課題が存在します。一つは、先生御指摘のように、長期の占用を実現するための統一のルールが存在しないことでございます。また二つ目は、洋上風力発電設備の整備と海運業や漁業などの多様な既存の利用の皆様との調整に係る枠組みが存在しないということと考えております。

 こうした課題に対応するため、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関し、関係者の調整の枠組みを定めつつ、長期占用を可能とする本法案が必要と考えております。

井上(英)委員 ぜひ、先ほど言われるような先行利用者、そういった方々との話もしていただいて、洋上風力を加速度的に進めていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 洋上風力発電には、方式として着床式というのと浮体式というのがあって、着床式は大体五十メーター以内ですかね、底五十メーター以内。五十メーターを超えると、浮体式というのが適当だというふうに聞いています。

 着床式というのは、世界的に実績が豊富で、ヨーロッパなんかでも非常に着床式は、遠浅の海が多いというふうに聞いていますし、当然、それだけ豊富にやっていると、低コストで運用ができると言われているとお聞きをしています。

 一方、浮体式は、海底工事もなく、水深が深いところではやはり優位性、先ほども申し上げたように、五十メーター以上深いようなところであると浮体式の方が優位性があるとされていますが、建設コストの違いというのを具体的にお答えいただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、着床式は一般的に、水深が五十メートルより浅い、比較的陸地より近い海岸若しくは港湾内に設置されることが多い建設方式でございまして、海底にその基礎を直接固定して風車を建てるものでございます。そういうことから、工事の範囲が限定的であるということ、あと、そこのメンテナンスの形がより簡易に済むということから、コストが比較的に洋上の中で安いと一般的に言われているところでございます。また、ヨーロッパで、ここも、北海沿岸のところでは、遠浅の海底が非常に長く、広く続いているところでございますので、大量な導入に伴いまして、建設コスト及びそのメンテナンスコストも下がってきているというふうに認識してございます。

 一方、浮体式について申しますと、着床式に比べますと、風車に加えまして、浮体の構造物、これが新しい建造物として生じてくるところでございます。

 具体的なコストがどれぐらい上乗せされるかは、物によりけりでございまして、浮体も、今福島で実証しているものが三種類ございます。大きいものになれば、それこそ何百億ということになってまいりますし、小さければ、それが十分の一ぐらいの単位になるかもしれません。ただ、これは将来に向けてコストダウンしていく大きな要素かと思います。同時に、浮かべたものを下にワイヤとして固定していくことになりますので、海底の工事のコストが更に膨らんでまいります。

 このような形で、着床式と浮体式を比較しますと、そもそもにおける課題とともに、工事における難易度とコストの問題が大きな論点だと認識してございます。

井上(英)委員 ちょっとお聞きをしたところでは、三倍から四倍ぐらいコストが違うんじゃないかというふうな話もあって、それぐらい変わってくると、非常に大きい金額になるんですけれども。

 ただ、日本の場合は、周りが海溝もあって、非常に深い海が多いわけでありますから、浮体式ですね。また、メーカーさんなんかも含めて、この浮体式を、北九州で今年度から実験が始まったと思うんですけれども、その浮体式で、運用への取組というのに経産省としてどのような意気込みがあるか、お聞かせいただけますでしょうか。

松山政府参考人 洋上風力発電の導入は、再生可能エネルギーの導入量を大きく飛躍的に伸ばす意味では非常に大きなポテンシャルがあるというふうに認識してございます。

 海洋でございます一般海域に出てまいりますと、立地上の制約は比較的少なくなってくるわけでございまして、工事も、山を通るところに比べますと相当楽になってくるということでございます。

 一方で、日本の場合は、大陸棚がすぐ深くなっていくわけでございますので、五十メートル以内という水深の範囲から考えますと、着床式で工事ができるエリアというのは、ある意味限定されてくる可能性がございます。

 委員から御指摘もございましたように、両者の差は大きいわけですけれども、これから日本において洋上風力発電を大規模に拡大していくということを将来に向けて進めていくならば、この浮体式の洋上風力についても技術開発を進め、コストダウンを進めということを並行して進めていくことが重要かと認識してございます。

井上(英)委員 ぜひ、世界を浮体式でリードしていただけたらと思います。

 もう時間も来ていますので、最後に、この海洋再生可能エネルギー、洋上風力発電において、先ほどの質疑にもちょっとありましたけれども、根本的に、原子力や火力といった今の既存の電力供給ツールというのを大幅に変えることができる大きな機会ということも考えられると思うんですね、一方で。これには、やはり省庁間で横断的にやらなければならないという意味では、非常に課題も山積しているかと思いますけれども、宮腰大臣の決意をお聞かせいただけますでしょうか。

宮腰国務大臣 四方を海に囲まれた我が国におきまして、海は、古くから物資の輸送や豊かな食を得る場としての欠かせない存在であります。

 日本は、世界第六位の管轄海域を誇ります。

 近年、我が国の海域では、洋上風力や、先ほどのお話があった海流など、新たな海洋産業の創出につながる海洋再生可能エネルギーへの期待が高まっております。

 しかしながら、これまで、この海洋再生可能エネルギーの導入と、漁業や海運などの従前からの海洋利用との調整のための枠組みが整備されておりませんでした。

 このため、本法案によりまして、そうした調整のための枠組みを整備をし、関係省庁と連携し、従前からの海洋利用との調和を図りつつ、海洋再生可能エネルギーの導入による海域の利用を進めてまいりたいと考えております。

 こうした取組を含め、第三期海洋基本計画に基づく諸施策を通じ、海を生かし、国を富ませる海洋立国の実現に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 ありがとうございました。終わります。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、伊藤忠彦君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。津村啓介君。

津村委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域の指定に当たっては、先行利用者である漁業者の有する漁業権や船舶運航事業者の有する航路通航権等の重要な権利の調整について万全の措置をとるとともに、生物多様性への影響の回避についても配慮すること。

 二 海洋再生可能エネルギー発電事業者が行う洋上風力発電設備の設計施工において、海洋環境の激変による海洋生物への影響を最小限にとどめるための適切な助言及び指導を行うこと。

 三 洋上風力発電施設への投資は、陸上風力発電施設と比較し多大な経費がかかることが想定され、施設設置運営後も電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法をはじめ、各種の公的な経営安定対策が不可欠であることから、多様なエネルギー政策の一環として、長期的な視点での助言及び指導を行うこと。

 四 洋上風力発電施設の事業者が経営破綻した場合または占用期間経過後、撤去のための資金不足により、洋上に風力発電施設が放棄されることも想定されることから、将来の撤去費用を確保することをもって当該事業者に占用許可を与える要件とすること。

以上でございます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。国務大臣宮腰光寛君。

宮腰国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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