衆議院

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第4号 平成30年11月30日(金曜日)

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平成三十年十一月三十日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    安藤 高夫君

      池田 道孝君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    門  博文君

      神谷  昇君    神田 憲次君

      木村 哲也君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      佐藤 明男君    田中 英之君

      高木  毅君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      西田 昭二君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    望月 義夫君

      盛山 正仁君    八木 哲也君

      簗  和生君    荒井  聰君

      福田 昭夫君    道下 大樹君

      森山 浩行君    山崎  誠君

      伊藤 俊輔君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    広田  一君

      もとむら賢太郎君    宮本 岳志君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局審議官) 秡川 直也君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室室長)      石川 卓弥君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小平  卓君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            平垣内久隆君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            麦島 健志君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  下司 弘之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩並 秀一君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月三十日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     木村 哲也君

  鬼木  誠君     本田 太郎君

  福田 達夫君     八木 哲也君

  三谷 英弘君     西田 昭二君

  簗  和生君     佐藤 明男君

  山本 公一君     池田 道孝君

  荒井  聰君     山崎  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     安藤 高夫君

  木村 哲也君     秋本 真利君

  佐藤 明男君     簗  和生君

  西田 昭二君     三谷 英弘君

  本田 太郎君     鬼木  誠君

  八木 哲也君     神田 憲次君

  山崎  誠君     荒井  聰君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     山本 公一君

  神田 憲次君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件

 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官平垣内久隆君、総合政策局長栗田卓也君、国土政策局長麦島健志君、土地・建設産業局長野村正史君、都市局長青木由行君、水管理・国土保全局長塚原浩一君、道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、鉄道局長蒲生篤実君、自動車局長奥田哲也君、海事局長水嶋智君、港湾局長下司弘之君、航空局長蝦名邦晴君、観光庁長官田端浩君、海上保安庁長官岩並秀一君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局審議官秡川直也君、内閣府民間資金等活用事業推進室室長石川卓弥君、大臣官房審議官小平卓君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、財務省理財局次長富山一成君、厚生労働省大臣官房審議官渡辺由美子君、以上二十二名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 おはようございます。山形三区の加藤鮎子でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 昨年、道路法改正により、新たに重要物流道路が制度化をされました。その際の法案審査においても、私は委員として、重要物流道路に指定される場合の基準等につきまして質問をさせていただきました。今回は、更に具体的に質問をさせていただきます。

 私の地元の酒田港は、近年非常に盛り上がっております。コンテナ貨物取扱量が四年連続で過去最高を更新したり、外航クルーズ船の寄港が増加をしたり、また、東北最大級のバイオマス発電所が八月に本格始動をいたしました。このように、酒田港を中心とする地域は近年活況を呈している状況でございます。

 その酒田港と宮城県の石巻港とを結ぶ国道四十七号は、日本海側と太平洋側を最も短い距離で結ぶくびれの部分ということで、ウエストラインという愛称で呼ばれ、広域的な地域連携の強化や産業の振興などを担う非常に重要な路線でございます。

 この国道四十七号を通行して酒田港に発着をする国際海上コンテナの通行許可台数も、この四年間で実に一・七倍に増加をしております。また、このウエストラインは、東日本大震災の際には日本海側からの物資輸送が行われたりするなど、災害時や緊急時の救援活動や物流面でも非常に重要な道路であります。

 このような国道四十七号の路線の重要性を踏まえまして、道路法改正により新たに制度化された重要物流道路として国道四十七号を指定すべきと考えますけれども、どのようにお考えでしょうか。

池田政府参考人 委員御指摘のとおり、国道四十七号は、広域的な物流を支える重要な道路と認識をしております。

 今般制度化されました重要物流道路の指定につきましては、物流生産性の向上や災害対応の観点から精査をいたしまして、平成三十年度末までに、開通済みや事業中の道路についての指定を予定をしております。

 今後、国道四十七号を含め、地域や有識者の意見などを踏まえながら、指定の検討を進めてまいります。

加藤(鮎)委員 ぜひ、前向きな御検討の方をお願いをいたします。

 ことしの夏は自然災害が多発をいたしまして、国民の安心や安全を確保するインフラ整備の重要性を再認識させられる夏となりました。

 実は、私の地元の山形県の庄内、最上地方でも、八月に観測史上最大の降水量、実に五十年に一度と言われる豪雨が降り、家屋の浸水や土砂崩れ、道路通行どめ、停電、断水など、非常に多くの被害が発生をいたしました。

 国道四十七号も例に漏れず、複数箇所で通行どめが発生しましたが、しかし、そんな中に、既に開通したばかりの新庄古口道路、ここについては、代替路としてきちんと機能したことで、地域住民の方々が本当に感謝をしておられました。

 一方で、対比して、逆に、同じ国道四十七号でも、隣接した区間であります戸沢―立川間の現道につきましては、急な斜面と最上川に挟まれた狭い地形のため、土砂崩れや冠水被害のリスクがあるのに加えて、線形不良が原因とおぼしき交通死亡事故まで発生しております。また、冬の間は路面の凍結や地吹雪などが発生し、交通障害が心配されております。

 このような課題の解消は地域の方々の悲願でありまして、私としても、この調査中の戸沢立川道路の一日も早い整備が必要であると考えておりますが、こちらの整備の必要性につきまして、どのようにお考えでしょうか。

池田政府参考人 今委員から御指摘のありました国道四十七号の戸沢から立川間、約五キロメーターの区間につきましては、御指摘の災害のリスクや冬季の凍結等によるリスクに加えまして、急カーブの箇所も多く存在しまして、交通上の課題が多い区間と認識をしております。

 このため、今事業を行っている区間の進捗状況や周辺の道路ネットワークとの整合性を踏まえながら、当該の区間の整備方針について、現在、必要な調査を進めているところでございます。

加藤(鮎)委員 引き続き、一日も早い整備に向けて、ぜひよろしくお願いをいたします。

 三つ目の質問でありますけれども、山形県内の高速道路の供用率は六八%であります。東北八八%、全国でいうと八五%といった数字と比べますと、やはり山形県はまだまだ低い状況にございます。山形県を一つの例として、全国の高速道路の未供用区間であるミッシングリンクの解消が強く求められておりますけれども、この点につきまして、大臣の御見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 高規格幹線道路等のミッシングリンクの解消は、これによりまして、広域的なネットワークが形成をされ、企業立地、観光交流等が進むほか、いわゆるリダンダンシーの確保により防災機能が強化されるといった多様なストック効果が発揮をされます。

 我が国の国際競争力の強化、地域の活性化や安全、安心の確保等を図る上で、ミッシングリンクの解消は重要な施策と考えております。

 全国の高規格幹線道路の整備率は、現在、全国平均で約八割となっており、国土交通省といたしましては、今後とも、ミッシングリンクの早期解消に向けまして、高速道路の整備を着実に進めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 重要な施策ということでお言葉をいただきました。ぜひともお進めいただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 今度はちょっと道路のお話ではなくて、チェーン規制につきまして質問させていただきます。

 雪の季節がやってまいりました。昨年からことしにかけての冬は、三〇豪雪という名前がつくほどの豪雪でありました。その経験を経てか、国交省の方では、大雪対策の一環として、この冬からチェーン規制を実施するという報道が出ております。このチェーン規制を導入するに至った経緯や背景を、かいつまんで短目にお返事をお願いいたします。

池田政府参考人 従来より、大雪時にチェーン未装着車が立ち往生する事象が確認されておりましたが、ことし二月、福井県の国道八号において、チェーン未装着の大型車の立ち往生をきっかけに大規模な車両滞留が発生しまして、経済社会に大きな影響を及ぼしたところでございます。

 このような状況に鑑みまして、国交省としては、今後の大雪時の道路交通確保に向けた対策を検討してまいりました。具体的には、除雪体制の強化、大雪時の需要抑制の呼びかけ、チェーン規制などでございます。

 今般、大雪時に、限定的な区間におきまして、チェーンを装着していない車両の通行を禁止する、いわゆるチェーン規制の導入を行うものでございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。立ち往生等を防ぐためということで、また限定的ということでお話がありました。

 今、報道を受けて、私の地元の方では、雪国でございまして、冬はスタッドレスに履きかえるのが当たり前という地域なんですけれども、このチェーン規制の報道を見て、皆さん非常に心配する声が出ております。

 例えば、今までスタッドレスでオーケーだったようなところもチェーンを履かなきゃいけないのかとか、チェーンなんて今どき車につけている人は、本当に、雪国ですと、ほとんど、普通の人はいないという状況、また、除雪をちゃんとしてくれればそんな、チェーンを持ち歩かなくても、車につけなくてもいいじゃないかというような話等々出ております。私も、報道を見たときは、一瞬そのような感想を持ちました。丁寧な説明が必要になってくると思います。

 そこで、詳しくお伺いをしたいと思います。

 先ほど、限定的にというふうにおっしゃっていましたけれども、チェーン規制の導入を行う場合、具体的な規制の内容、区間の選定基準、また発動の基準等をどのようにお考えでしょうか。

池田政府参考人 今般導入するチェーン規制の内容につきましては、全車種につきまして、区間や時期を限定してタイヤチェーンの未装着車の通行を規制するものでございます。

 区間の選定に当たっては、道路勾配が五%以上の峠部などで、過去に立ち往生によるあるいは雪による通行どめが発生している区間を考えております。

 また、発動の基準につきましては、大雪特別警報や大雪に関する緊急発表が行われるなど、異例の降雪時に実施する予定でございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 過去にあったというところもあります。お話もありましたが、勾配五%以上といったときに、一般の方にわかりやすく言うとどのぐらいの勾配かというところと、また、大雪特別警報というところですけれども、その頻度というのは大体どのぐらいを想定したものになるんでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 勾配五%の坂道といいますのは、例えば、山形県と福島県の県境の国道十三号の栗子峠のような区間になります。今回のチェーン規制の区間として考えておりますのは、このような峠部などで、過去に立ち往生や雪による通行どめが発生した区間を考えております。

 また、大雪に関する緊急発表の頻度でございますけれども、平成二十九年度の実績では三回となっております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。地元でわかりやすい御説明をいただきまして、ありがとうございます。

 さらに、チェーン規制を突っ込んで聞かせていただきますと、チェーン規制が実施された場合、規制区間の手前で、例えばチェーンをつけていない車が着装を求められたり、そのときにまた、チェーンを持っていなければUターンを求められたりしていくと、逆に車両渋滞が発生してしまって、かえって混乱を招くんじゃないかという心配もありますが、このような場合に向けての対策はどのようになっているでしょうか。

池田政府参考人 今回チェーン規制を考えております区間につきましては、規制区間の前後にチェーン着脱場や待機場が確保されている区間について実施することを考えております。

 また、大雪が予想される二、三日前より、チェーン規制の実施の可能性がある旨につきまして事前に広報を行いまして、不要不急の外出を控えることや、広域迂回並びに物流車両の運行計画の見直しなどについて、住民や事業者の方に周知をしてまいりたいと考えております。

 チェーン規制につきましては、この冬の導入を目指しておりますけれども、今後、現地での混乱が起きないよう周知に努めるなど適切に対応していきたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 非常にタイミングとしても、また箇所についても限定的ということ、また、混乱が起こらないように、規制のスタート地点、終わり地点等々工夫がなされるということでありますので、私も地元の心配の声に対してはそのようにしっかりと説明をしてまいりたいと思っております。

 最後に、警察庁にこのチェーン規制についてお伺いをいたします。

 チェーン規制の導入に当たりまして、標識令の改正は国土交通省と警察庁の共管で行っているようでありますけれども、現場におきましても両者の協力が重要だと考えます。警察として、チェーン規制の導入についてどのような取組をされているのでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 警察と道路管理者は、平素より、交通安全対策や交通円滑化対策等において連携を密にして対応しているところでございます。災害対策においても、道路の通行どめや特定の車両以外の通行禁止規制等を協力して行うことにより、被害の防止や早期の復旧に努めているところでございます。

 お尋ねの大雪対策につきましても、チェーン規制による対応と通行どめによる対応のいずれによることとするかという点や、チェーン規制を徹底するための現場における対応、警察による取締り等について、しっかりと連携してまいります。

加藤(鮎)委員 ぜひ、地域住民の方々のために、現場での連携を密にとって、しっかりとした取組を行っていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、鳩山二郎君。

鳩山委員 皆様、おはようございます。自由民主党の鳩山二郎でございます。

 本日は、貴重な質問の時間をいただきましたこと、感謝申し上げます。十五分という短い時間でございますから、早速、私からも御質問をさせていただきます。

 まず、私からは、我が国の外国人旅行客に対する観光戦略についてお伺いをさせていただきます。

 御承知のとおり、我が国に訪れる外国人の方々は年々増加をしておりまして、その推移は順調に伸びております。昨年は二千八百万人の方々がお越しをいただいたということでありますし、政府の目標では、二〇二〇年、オリンピック、パラリンピックの年でありますが、四千万人を目指しておられて、二〇三〇年には六千万人を目指している、そういうわけであります。

 まず、私がきょう最初に御質問をしたいのは、いわゆる三大都市圏あるいはゴールデンルート、呼び方はいろいろ、さまざまあろうかと思いますが、このゴールデンルートや三大都市圏以外の地域に年間を通じて外国人の方々がどれぐらいお越しをいただいているのか、そういう数字を把握しているのかどうかも含めて、御質問をいたします。

田端政府参考人 訪日外国人旅行者のうち、いわゆる三大都市圏、ゴールデンルートと、それ以外の都市を訪問している旅行者数で、正確に把握しているものはございませんが、宿泊旅行統計調査がございます。

 これによりますと、三大都市圏以外の外国人の延べ宿泊者数、昨年は、前年比一八・七%増、三千二百六十六万人泊となっています。三大都市圏以外の地方部における外国人の延べ宿泊者数の伸び、これは三大都市圏の伸びを上回って推移をしておりまして、全国に占める地方部の割合、昨年初めて四割を超える四一%となっているところであります。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 先ほどの御答弁は、いわゆる三大都市圏とそれ以外の地域で、外国人の方々の延べ宿泊者数の比較ということでありますけれども、お伺いしたところによると、一年以上我が国に滞在した方々はその宿泊者数の中に含まれていないということでありますが、いわゆる短期留学、一年未満の留学生の方々はこの数値に含まれているわけでありますし、最近は地方都市に留学をする学生も大勢おられますから、そういう意味でいいますと、純粋に観光客という意味でいいますと、やはり、三大都市圏とそれ以外の地域はより大きな、差が広がりを見せているのではないかな、私はそのような印象を受けております。

 そこで、私がきょう申し上げたいのは、やはり、我々が考えなければいけないのは、このゴールデンルート以外あるいは三大都市圏以外の地域に、いかに外国人の方々に足を運んでもらうかということが私は極めて重要なのではないかな、そのように思っております。

 我が国には、特色のあるすばらしい、地方ならではの魅力であふれておりますから、大事なことは、それらをいかに観光客の方々につないでいくかということが問われているのだろうと思っております。

 また、これも御承知だと思いますけれども、最近は、日本にお越しをいただく外国人の方々が、いわゆる旅先で求めるものが変化をしてきていて、キーワードは体験でありますが、いわゆる自然を通した体験だとか伝統的な体験を求める方々がふえているわけでありますから、そういう意味でいいますと、やはり地方には十分過ぎるほどの潜在能力があるのではないかな、私はそのように確信をいたしておりますけれども、政府といたしましては、今後、どのようにゴールデンルート以外のすばらしいこの日本のさまざまな地域に外国人の方々を呼び込もうとしておられるのか、どういった戦略をお持ちなのか、御質問いたします。

田端政府参考人 三大都市圏等の特定の地域に集中しています訪日外国人旅行者の地方誘客を進めるために、各地域において、観光地域のマネジメント及びマーケティングを担います法人でありますDMOが中心となりまして、多様な関係者が適切な役割分担のもと広域的に連携をした上で、国外に対する情報発信、プロモーションなどにより、一層効果的に実施をするということがまず重要であると考えています。

 このため、観光庁といたしましては、ただいま御指摘ありました、地域固有の自然や生活、文化を活用しながら各地域における体験型の観光の充実をまず図る、広域連携DMO、地域連携DMO、地方公共団体などの多様な関係者によります広域的な連携を図る、こういう観点からの支援を行っていく。また、JNTOを通じまして、国内の各地の魅力や四季折々の魅力などの情報を多様なメディアによりまして発信をしていく。

 こういうことによりまして、全国の地域を支援をいたしまして、訪日外国人旅行者の地方への来訪、滞在の促進をより一層進め、地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 ぜひ、今いろいろと御説明いただきましたけれども、これからも、地方都市の持つ魅力を最大限に生かしたすばらしい観光戦略を強力に推進してくださいますように、心からお願いをしたいと思っております。

 続きまして、観光にちなんで、少しIRについてお聞かせをいただければと思っております。

 今、ストレートに言って、日本国民の皆様方のIRについて最大の関心事は、一体IRがどこにできるんだろう、そのことに尽きるんだろうと思っておりますし、正直言いまして、我々の耳にもいろいろなうわさが漏れ聞こえてきているわけであります。

 まずは、最初に御質問をしたいのは、この先、IRを設置する場所を選定するに当たってどのような手順を追っていくのかということを御説明いただければと思います。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 IRの整備につきましては、今後、各都道府県あるいは政令市において区域整備計画というのを定めていただくことになります。

 その認定に向けたスケジュールでございますけれども、今後、その都道府県等や民間事業者における検討、それから地域における十分な合意形成等のプロセスを経ていただきまして、政府といたしましても、できるだけ早期に整備による効果を発揮できますよう、政省令の制定とか基本方針の制定など、所要の準備を速やかに進めているところでございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 IRをどこに設置するかというのは、これはさまざまな議論があることを私も承知をいたしております。いわゆる三大都市圏につくるべきだという議論もありますし、あるいは、それ以外の地域につくるべきだ、そういった御意見もあるわけです。

 ただ、私がここで申し上げたいのは、先ほど、二〇二〇年、二〇三〇年の政府目標を、私、お話をしましたけれども、これから、このまま外国人旅行客は増加の一途をたどるわけでありますから、ゴールデンルートあるいは三大都市圏、もうちょっと違う言い方をすれば、既に観光地化をしていて外国人の方々があふれ返っているところは、ますます外国人であふれ返るわけであります。

 混雑が予想されるわけでありますし、今我々が求められているのは、この日本にお越しをいただいた外国人の方々に、いかに分散していただいて、日本全国津々浦々に足を運んでいただくかということが私は一番重要だろう、そのように思っております。

 大事なことは、外国人の方々が観光しようと選んでいただく分母数をふやすことが、我々にとって今一番の課題だろうと思っておりますから、そういう意味でいいますと、やはりIRの持つ起爆剤というのは大変強力なものがあるわけで、このIRを使って新たな観光地をつくるぐらいの気概がおありかどうかというのをぜひ御答弁いただければと思います。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 IRの整備につきましては、地域の創意工夫それから民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現する、あと、あわせまして、地域経済の振興に寄与するというのが基本理念となっておりまして、それに基づいて今推進しているところでございます。

 今後、都道府県又は政令指定都市が申請をしてくださることになりますけれども、大都市とか地方都市によらず、認定基準を満たしたすぐれたものについては、その認定の上限数を超えない範囲内で認定をさせていただくということになっております。

 そういう趣旨を踏まえて、各地域で、特色を生かした、創意工夫あふれる区域整備計画が作成されることを期待しております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 石井大臣にお伺いをいたします。

 今まで私、何問か質問をさせていただきましたが、ここで、IRを含めた観光戦略全般の石井大臣の意気込みをぜひお答えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

石井国務大臣 観光は、地方創生の切り札、成長戦略の柱であります。昨年の訪日外国人旅行者数は二千八百六十九万人、消費額は約四・四兆円と、いずれも過去最高を記録をいたしました。

 こうしたインバウンドの効果を全国に波及させ、二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人、消費額八兆円等の目標を達成するためには、幅広い国や地域からの訪日外国人旅行者を確実に増加させるとともに、地方への誘客を進めていくことが重要と考えております。このため、明日の日本を支える観光ビジョンに基づきまして、新たな訪日需要の掘り起こし、地方への誘客促進、滞在時の満足度向上等の施策を推進をしてまいります。

 これにあわせまして、観光戦略の目標達成を後押しするため、政府といたしまして、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設とカジノ施設とが一体的に運営をされます日本型IRの整備を着実に推進をしてまいります。

 これまでにないスケールとクオリティーを有する総合的なリゾート施設を整備をいたしまして、世界じゅうから観光客を集め、日本各地の魅力を紹介をし、来訪客を全国各地に送り出すことを通じまして、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現してまいりたいと考えております。

鳩山委員 石井大臣、大変力強い御答弁、ありがとうございました。

 これからも、強力な石井大臣のリーダーシップのもと、すばらしい観光戦略を推進してくださいますようにお願いをいたします。

 あと、もう少し時間がありますので、続きまして新幹線についてお伺いをさせていただきます。

 私が、もう何年ほど前でしょうか、十年ほど前だと思いますが、スペインに旅行に行ったときに、いわゆるスペイン版の新幹線、高速鉄道に乗ったわけです。そのときに、空港並みのセキュリティーチェックがあることに私は驚いたわけでありますが、驚いたのと同時に、我が国の新幹線のセキュリティーは大丈夫なのかな、そのような思いをしたのも覚えております。

 まずは、お聞きをしたいのは、いわゆる空港並みのセキュリティーチェックがあるような先進的な事例を持つ国があったら、御答弁願えればと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、イギリスやフランスで運行されているユーロスターや、今委員からもお話がございましたスペインの高速鉄道でありますAVE、そこではエックス線探査装置や金属探知機などによりますセキュリティーチェックが実施されていると承知しております。

 他方、同じフランスでもTGVや、又はドイツの高速鉄道であるICEにおきましては、セキュリティーチェックは実施されていないと承知しております。

 以上でございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございました。

 御説明にお越しをいただいたときにいろいろとお話をさせていただいて、日本はとにかく新幹線の利用者が物すごい多いわけで、ですから、セキュリティーチェックをすると利便性的にどうなんだという、そういう議論があるというふうに御承知をしておりますけれども、これは、テロ等も今後懸念されるわけですから、ぜひ御検討いただければというふうに思っております。

 最後にもう一問、多分質問できると思いますが、六月九日、凄惨な事件が新幹線の車両内で起こりました。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが我が国で開催をされるということも踏まえて、テロ対策について今後どのように考えておられるか。これは、テロ対策ですから、御答弁できるところとできないところがおありでしょうけれども、ぜひ、できる範囲で御答弁願います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における鉄道の安全確保は喫緊の課題であると認識しております。現在、内閣危機管理監を座長とするセキュリティ幹事会の中で、鉄道テロ対策についても関係省庁とともに検討を進めているところでございます。

 具体的には、鉄道の利便性を損なうことなくめり張りをつけたテロ対策を実施する観点から、全国の駅や路線の中から警戒を強化すべき対象を選定し、警戒強化の水準及び期間を設定することで、巡回警備の人数や回数の増加など、鉄道事業者による警戒の強化を図る方針でございます。

 いずれにいたしましても、全体として警戒の効果が向上するよう、関係省庁と連携して、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会における鉄道テロ対策に万全を期してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鳩山委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 先ほどから爽やかなお二人が質疑をされて、さらに、爽やかな僕が三番手としてやりたいと思います。福田先生、首を振らないようによろしくお願いします。

 それじゃ、早速質疑に入らせていただきますけれども、先般行われました大臣所信の質疑で、災害に関してお伺いをさせていただいたんですけれども、ちょっと時間が足りず、何点かお尋ねしたい点が残りましたので、まず、その残余の質疑から先にやらせていただきたいと思います。

 まずは、前回積み残した分で、台風二十一号についてお伺いします。

 私の地元大阪始め、近畿地方を広く、広域的に、台風二十一号、非常に大きい爪跡を残していきましたけれども、その台風二十一号が西日本を襲ってから約三カ月になりますが、高潮で冠水し、大きな被害を受けた関西国際空港について、安全管理のあり方や補償問題についてというのを少しお伺いをしたいと思います。

 関西空港は、二〇一六年四月、民間法人である関西エアポートに運営権が設定され、国が一〇〇%出資する新関西国際空港株式会社から事業運営が関西エアポートに引き継がれました。新関西国際空港株式会社は、事業運営が適切に行われているかを管理するだけで、空港に関する安全対策、航空会社との連絡調整など一切の事業運営は関西エアポートが担うということになっています。だから、一言わかりやすく言うと上下分離といいますか、そこを持っている新関空株式会社と、上でその場所を借りて営業するのは関西エアポートだという形態になっています。

 新関西国際空港株式会社と関西エアポートの間に締結されている実施契約では、自然災害のような不可抗力が発生して空港施設に損害を生じた場合の取決めというのがあります。損害からの復旧に要する費用について、百億円を超える部分は新関西国際空港が補償することになっているというふうに伺っています。

 国が一〇〇%出資するとはいえ、一法人である新関西国際空港株式会社がこのような負担というのを担うというのは本当に大丈夫かなというふうに思うんですね。自然災害のような不可抗力で大規模な損害があった場合に、予算面で国がしっかり介在というかサポートできるような仕組みというのが必要ではないかなというふうに考えますが、御所見をお伺いいたします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の台風二十一号のように、不可抗力に起因して損害が生じた場合の復旧費用につきましては、今先生も御指摘のように、新関西国際空港株式会社と関西エアポートの契約におきまして、百億円までは関西エアポートが負担し、百億円を超える部分は新関西国際空港株式会社が補償することとなっておりまして、関西国際空港における今回の被害額や復旧費用につきましては現在精査中であると承知をいたしております。

 関西国際空港におきましては、復旧に加えまして、今回のような被害が再度発生することのないよう、護岸のかさ上げや排水機能の強化や電源設備等の浸水対策の防災機能の強化を行う必要がございます。

 こうした機能強化の対策につきましても、一義的には、運営主体である関西エアポート株式会社が行うことになりますが、台風二十一号を踏まえた防災対策の重要性や緊急性に鑑みまして、空港の設置管理者として最終的責任を負っております新関西国際空港株式会社も応分の負担をすることにより、防災機能の強化の早期かつ確実な実施を図ることが必要と考えております。

 このため、新関西国際空港株式会社に対しまして、投資余力の拡大のため、国といたしましても、財政融資を活用した支援を行うべく、本日も発表いたしましたけれども、追加要求をすることといたしております。

井上(英)委員 ぜひ。

 まだ、被害総額は出ていないんですよね、局長。ですから、あれなんですけれども、関空と伊丹と神戸空港と、三空コンセッションでやったのは、あれは二年前でしたかね。やって、非常に経営状態は上向きになりつつあるということで、非常に、三空港を一体に運営することによってメリットもやっと出てきたところで、そういう経営状況である関西エアポートも含めたことに水を差すようなことにならないかということを非常に心配しているんですね。

 もちろん、航空会社が持っているインフラと、それを使っているエアポートさんが、被害を受けた責任をとるというのは当たり前なんですけれども、今回の台風二十一号というのは、ちょっと予期せぬ規模の非常に大きい災害だったのではないかなと思いますので、先ほど答弁いただいたように、積極的にぜひサポートしていただければというふうに思います。

 そして第二点。台風二十一号についてはもう一点だけ質問させていただきますけれども、台風二十一号の強風により、空港に航空燃料を積みおろしたタンカー、宝運丸という船が関西国際空港連絡橋に衝突をして、世界じゅうにもこのショッキングな報道が流れたわけですけれども、そのことで橋桁が損傷したことで、道路や鉄道というのが不通となりました。現在も復旧作業中で、来年のゴールデンウイークの完全復旧を目標にされているというふうに聞いていますけれども、損害に対する費用負担の問題というのがあると伺っています。

 連絡橋の道路部分を管轄する西日本高速道路株式会社とタンカーの運航会社との話合いがまだ始まっていないようですが、タンカーの停泊位置が適切だったかという点が賠償を判断する上でポイントになるというふうに思いますし、タンカーの運航会社はまだ続いているんでしたかね。

谷委員長 質問ですか。

井上(英)委員 いや、いいです。誰か、ちょっとうなずいてでもくれるかなと思ったんですけれども。と思うんですけれども、本題に戻ります。

 海上保安庁では、関空島への座礁を防ぐため、荒天時には周囲三マイルより外側への停泊を求めていたものの、宝運丸はその内側に停泊しており、いかりをおろしたまま船が流される走錨状態になって、連絡橋に衝突したというふうに伺っています。

 周囲三マイルより外側への避難というのは、これは、注意はするんですけれども、法的義務、拘束力というのはないとなっておりますが、避難していれば事故が未然に防げたのではないかという可能性が非常に高いと言われています。という点から捜査されているようですが、避難指導の位置づけが曖昧である印象を持ちます。

 このような事故の再発を防ぐためにも、また、万一不幸にして事故が起こってしまった場合の責任関係を明確にするためにも、荒天時の船舶の避難について法的に明確にする必要があると考えますが、海上保安庁、いかがでしょうか。

岩並政府参考人 お答えいたします。

 九月四日の台風二十一号によりまして、関空連絡橋に、走錨したタンカーが衝突した結果、空港へのアクセスが制限されまして、人流、物流等に甚大な影響が発生いたしました。

 海上保安庁では、従来より機会あるごとに、走錨防止の取組としまして、関空周辺の海域利用者等に対し、荒天時に関空島の陸岸から原則として三マイル以上離れた場所で錨泊することを注意喚起しておりまして、事故当日も、当該タンカーを含む多数の錨泊船に対しまして注意情報を発出していたところでございます。

 海上保安庁では、同様の事故の再発を防止するために、九月三十日の台風二十四号が来襲した際には、錨泊しないよう強力な指導を行いまして、その結果、被害は発生しておりません。

 しかしながら、これも行政指導にとどまっておりますので、委員御指摘の法的規制の必要性につきまして有識者の方々に議論をしていただくために、荒天時の走錨等に起因する事故の再発防止に係る有識者検討会を本年十月より開催しまして、御議論いただいているところでございます。

 関西国際空港周辺海域における法的規制を含めた再発防止策につきましては、年内を目途に取りまとめる予定としております。

井上(英)委員 特に関空なんか、それから神戸空港もそうですけれども、代表するような海上空港ですので、また、恐らく関空とか神戸空港というのは、台風が来ると同じときに同じような被害が出るような空港の形態になっていますから、その有識者会議の結果を待ちますけれども、そういった意見が委員会からもあったということはぜひ報告をしていただいて、前向きに処理をしていただければというふうに思います。

 それじゃ、台風二十一号についてはこれで終わらさせていただきます。

 次に、地震によるエレベーターの閉じ込め被害についてお伺いをいたします。

 今回の、私の地元の大阪北部地震、六月に起きましたけれども、この北部地震では、エレベーターに人が閉じ込められた件数というのは三百三十九件で、東日本震災の約一・六倍に当たるというふうに報じられています。

 今後、高層ビルやマンションが多い都市部で今回のような地震が起こった場合、更に大きな被害が出ることが懸念されます。

 国交省が調べたところでは、三百三十九件の閉じ込めのうち百五十五件では、地震の初期微動であるP波を感知してエレベーターを最寄り階に停止させる地震時管制運転装置が装着されており、残りの百八十四件はそうした装置が未整備のものだったというふうに伺っています。

 今回の地震では人的被害というのは生じなかったのですが、エレベーターの閉じ込め時間が長時間になると、地震に伴う火災や津波が発生した場合に避難できなくなるというおそれがあります。

 実際、装置をつけている方がとまっている件数は少なくなっていますし、そういったことから考えますと、二〇〇九年に建築基準法施行令でエレベーターへの地震時管制運転装置の設置というのが義務づけられていますが、現在これが設置されていないエレベーターは全国にどれぐらい残っているか、お答えいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、平成二十一年九月から地震時管制運転装置が義務化しておりますが、それ以前のものについては、まだかなり、ついていないものが残っております。

 毎年、エレベーターについては定期検査報告を求めておりますけれども、平成二十九年度の定期検査報告におきまして、この地震時管制運転装置の設置状況を調査しております。全体の約三四%に当たります二十二万五千台に設置されておりましたけれども、残る約三分の二、約四十三万台が未設置という状況でございます。

井上(英)委員 まだまだついていないといいますか、要は、もともとはつける必要がなかった。義務化される前にできたエレベーターと義務化されてからのエレベーターで当然違う。当然、義務化されてからは一〇〇%の設置率なんですよね。ですから、義務化されるまでにつけられたエレベーターにこの装置をつけていくということを多分国土交通省は進めていかなければならないというふうに思うんです。

 先ほど触れた百五十五件では、その装置が装着されていたにもかかわらず閉じ込めが発生したということです。その原因として、今回の大阪北部地震が都市直下型の地震で震源が近かったため、初期微動のP波と本震のS波の間隔が短く、最寄り階での停止前に本震が到来してしまって閉じ込めに至ったというふうに伺っています。

 都市部の断層が引き起こす直下型地震については、首都圏を始め全国各地で発生が危惧されていますが、今回のように、地震時管制運転装置が設置されていても閉じ込めが発生するケースが今後も起こり得ることが想定されます。これを防止するためには技術的な改良が必要と思われますが、どのように取り組まれるか、また改良した装置の普及をどのように進めていかれるか、国交省の意見をお聞きしたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大阪北部地震におきましては、震源地からの距離が非常に近かったということもありまして、地震時管制運転装置が設定されていますエレベーターにおきましても閉じ込めが発生いたしました。

 このため、国土交通省といたしましては、震源地からの距離に応じた地震時管制運転装置の効果などを含めまして、設置をされていますエレベーターでの閉じ込め発生原因について検証するように、日本エレベーター協会に今求めているところでございます。その検証結果を踏まえまして、閉じ込め防止対策の充実を検討していきたいというふうに思っております。

 また、地震時の管制運転装置の普及につきましては、新設のエレベーターへの管制装置の設置が義務づけされました二十一年九月以降、既設エレベーターへの設置に関しまして種々対策をとっております。

 一つは、所有者、管理者に対します設置の要請でありますが、あわせまして、社会資本整備総合交付金におきまして財政支援をさせていただいているところでございます。また、来年度の概算要求におきましては、病院等の災害弱者が利用される建物などにつきまして、当該装置の設置に対する財政支援の拡充を盛り込ませていただいているところでございます。

 今後とも、業界団体とか地方公共団体と連携をしながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

井上(英)委員 先ほども言いましたけれども、これはP波とS波というものの関連性が非常に大きくなりますので。ただ、でも、装置をつけることによって、事前に最寄り駅で優先的にとめるようなシステムが確立されればやはり非常に安全ですし、先ほども言われたみたいに、P波とS波の間隔が近ければそれがちょっと機能し切れないという技術的な問題がありますけれども、それを何とか、技術課題をぜひクリアしてもらって、その装置をつけるということが非常にエレベーターの閉じ込めに関してはいい施策というか、それをぜひ国民の皆さん方に周知徹底を国土交通省からしっかりやっていただいて、先ほどもありましたけれども、三分の二がまだついていないということですから、それをぜひたくさんつけていただいて、それと同時に、P波とS波が非常に近い間隔で来たとしても何とか対応できるような、そういう装置をやっていただけたらと思います。

 値段も、ちょっとお聞きをしたら、エレベーターの規模でサイズが変わったりすることが余りないので、ほぼほぼ定額でやるということなんですけれども、つける装置の数がふえれば、必然的にスケールメリットが出て金額は下がってくると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。火災報知機もつけるとなって、なかなか時間もかかった経過があったかと思うんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次に、インバウンドについてお伺いをしたいと思います。

 政府は、二〇二〇年に訪日外国人旅行者数四千万人という実現を目指しております。昨年の二〇一七年は、二千八百六十九万人が訪日されました。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、さらには、先般決まった二〇二五年の大阪万博に向けて、今後更に多くの訪日外国人旅行者というのが訪れることが予測されます。

 しかしながら、台風二十一号による関西空港の被災や北海道胆振東部地震の影響などにより、ことし九月の訪日外国人旅行者数が、対前年の月の比で五・三%減となっています。これは二百十五万九千六百人となって、五年八カ月ぶりにマイナスになったと。国、地域別の内訳では、中国、韓国、台湾、香港からの旅行者の減少というのが目立つ。これらの国、地域の都市からは日本各地の空港への航空路線というのがありますけれども、とりわけLCCの就航都市数が日本一である関空や、日本有数の観光地である北海道のゲートウエーである新千歳で災害により多くの便が欠航し、また、災害の発生で来訪を控えるという動きが影響したというふうに考えられています。

 種々減っているんですけれども、最終的には、今回の、旅行者へ、台風とか地震が起きたときの課題というのが鮮明に一つなったかなというふうに思います。それは、災害がどういう規模で、今どういう状態になっているかというのを、例えば関空で、外国人の方が詳細を把握できなかった、非常に不安だったと言われる外国人の方がたくさんおられました。

 やはり、国際空港と名のついたところで、外国人の方が起きていることに対して進捗を把握できないというのは、ちょっと非常に残念なことだったのではないかなというふうに思っています。

 そういうことがないように、訪日外国人の旅行者に対して災害に関する情報を積極的に配信して、これらの方々が安全確保のために円滑に行動できるようにするため、どのような取組、検討を実施されようとお考えか、長官、お答えいただけますでしょうか。

田端政府参考人 九月四日に台風二十一号が近畿地方を縦断した際に、関西エアポートを始めとします公共の交通事業者、あるいはJNTO、あるいは各地の観光案内所などの協力を得まして、外国人旅行者に対します情報提供に努めたものの、電源、通信が失われるなどの厳しい環境のもとで、結果的に十分な対応はできませんでした。

 また、御指摘の九月六日に発生した北海道胆振東部地震の際にも、北海道全域で停電いたしまして、外国人旅行者への情報提供に課題が残りました。

 こういう経験を踏まえまして、外国人旅行者が安心して我が国を旅行していただけるように、九月二十八日、観光戦略実行推進会議におきまして、非常時の外国人旅行者の安全・安心確保のための緊急対策というものを決定をいたしました。

 観光庁といたしましては、この中身に基づきまして、関係省庁、関係事業者などとも連携いたしまして、まず、JNTOのコールセンターについて、その周知に努めながら、三百六十五日二十四時間、英語、中国語、韓国語できめ細かい相談ができる、こういう体制をまず確立をしていく。あと、JNTOの認定の観光案内所におきまして、非常用電源、また携帯電話の充電機器の整備など、これを支援をしていくということで、業務継続能力を強化する。新幹線車内、駅などの遅延情報の多言語の提供をしていくことを充実する。御指摘ありました空港におきましても、多言語対応ができる航空会社あるいはテナント等の職員を含めた協力体制の構築、こういうことの対策にしっかり取り組んでいくこととしています。

 今後とも、災害時の非常時を含めまして、外国人の旅行者が安心して旅行できる環境、この整備に努めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ありがとうございました。

谷委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。

 PFIの推進という中で、現在、参議院では厚生労働委員会で水道のコンセッションの話というのが非常に議論になっておりまして、また、きのうのニュース番組などでもあちこちで取り上げられております。

 コンセッション、実は国土交通省管轄の下水道の部門においてはもう既にスタートをしておるというところでございますけれども、このコンセッションというのは日本語に訳すとどのような形になるのか、お聞きをしたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 この場合、コンセッションとは、PFI法第二条第六項に規定されている公共施設等運営事業のことを指していると思われます。

森山(浩)委員 コンセッションを日本語に訳すとどうなりますか。

石川政府参考人 コンセッションという言葉は、権利を付与するとか、あとは、譲歩するとか、妥協するとか、いろいろな訳し方があったかと記憶しております。

森山(浩)委員 いわゆる英語の和訳の部分ですけれども、運営権を譲渡する、あるいは運営権を売却をするというのが基本的な枠組みではないかなと思うわけなんです。

 浜松市におきまして下水道コンセッションがスタートをしていて、どうやら市議会での発言ですか、運営委託というような表現をされているというふうに聞き及んでおりますけれども、これというのはコンセッションの訳としては適当でしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 浜松市のホームページのQアンドAにおきまして、「我が国が定めたコンセッション方式の基本的な枠組みが、「民間事業者の運営を管理する仕組み」という点で業務委託と共通していることを踏まえ、本市では「コンセッション方式」を「運営委託方式」と呼んでいます。」と説明していることは承知しております。

 我が国のコンセッション事業におきましては、一般的に運営の委託と表現される例が複数あると承知しております。例えば、国交省航空局のホームページにおいては、空港運営の民間委託、このように表現しております。

 浜松市のホームページによる説明も、市民にわかりやすく説明したいという趣旨ではないかと理解しております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 運営権を譲渡をするというのと運営を委託をするというのでは、ちょっとやはり受ける印象というか、役割分担についての認識が変わってくるかなというふうにも思うのですが、例えば、この浜松市の下水道コンセッションの事業の枠組み、それから官民の責任分担というものについてはどのようなものになっていますでしょうか。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 浜松市の下水道コンセッション事業につきましては、西遠浄化センター及び二カ所のポンプ場におけます機械、電気設備を対象といたしまして、平成三十年四月から二十年間にわたり、市が施設の所有権を有したまま、運営権者である浜松ウォーターシンフォニー株式会社が運営を行う、このような事業でございます。

 本事業におきましては、浜松市は、下水道法に基づく事業計画の策定やモニタリングなど、下水道管理者としての最終的な責任を担った上で、施設の維持管理や改築等の行為を運営権者に委ねております。

 なお、下水道使用料につきましては、市と運営権者の業務分担を踏まえまして、約二四%を運営権者が、残りを浜松市が受け取る、そのようなこととされております。

森山(浩)委員 役割分担、つまり運営権を設定をするということでいいんですよね。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 運営権を浜松ウォーターシンフォニー株式会社、運営権者に委ねまして、その対価を浜松市が受け取る、こういう形でございます。

森山(浩)委員 ということで、運営を委託をするというよりも、最終的な責任と運営権を分離をして、運営権を事業者に委ねるというような役割分担であるというふうにお聞きをいたしました。

 これ、値上げはどうやって決めるんでしょうか。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 利用料金の改定につきましては、下水道管理者でございます浜松市が運営権者と協議をして決めることとなりますが、運営権者の方では、五年に一度、利用料金の改定に向けて提案をすることができる、こういうような形になってございます。

森山(浩)委員 五年間は据置きで、五年に一度提案をすることができる、そして両者で協議をするということであります。

 私も市議会の議員をやっていたこともありますけれども、委託をした、お願いをしたところが値段を上げたいと言ってきたときに、なかなか断る理屈というのは立ちにくいなというような思いがするわけなんですけれども、値上げが折り合わないというふうになったときに、例えば事業者が、では撤退する、あるいは、うちの会社が潰れてしまいますというようなことを言ってこられた場合に、市側としては何か対抗するようなカードというか交渉材料みたいなものは持っているものでしょうかね。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 コンセッション方式を導入する場合には、地方公共団体は、下水道管理者としての責任を果たすために、運営権者の経営状況や業務の実施状況等につきましてモニタリングすることが求められております。こうしたモニタリングの結果を踏まえまして、料金や業務内容の見直し等について協議を行うなど、運営権者が経営難に陥る前に対処するということが重要であろうというふうに考えております。

 浜松市におきましても、モニタリングを実施し、運営権者が適切かつ確実に事業を履行するよう、事業期間を通じて監視を行うということとしております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 今のところ、浜松市の事業につきましては順調な滑り出しだというふうにお聞きをしておりますが、しかしながら、問題が起こったときにどう対処するかというところ、これについては、最終責任は市町村が持っています、そして運営権は民間の事業者が持っていますといったときに、電気であれば、電力であれば電気事業法、あるいはガスであればガス事業法というようなことで、民間の会社の責任というのが明記をされているわけなんですけれども、今回のこれについては、最終責任はあくまでも市町村が持つんだということでございます。

 そして、いざとなったら撤退するぞ、潰れるぞというようなことになってしまうと、これは最悪の場合ですよ、最悪の場合にはこれは言うことを聞かざるを得ないというようなことにもつながっていきかねないということで、きのうの報道番組などでも、その危惧する部分については、これは水道についての話でしたけれども、下水道も同じ枠組みだと思いますが、民間の業者にすると値段が安くなるというのは実は幻想で、管を新しくする、あるいは工事をどんどんやっていくというような中において、これはこれだけかかったから値上げしたいんですよというような話になったときに、市の側はなかなか対抗をする手段がないのだというような解説もありました。

 ですので、このあたりのところ、コンセッション方式というものを運営をしていく上で、民間に対してどのような責任を負ってもらうようにしていくかというのも一つの課題ではないかと思いますが、何かアイデアはありますか。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道のコンセッションにつきましては、下水道法及びPFI法に基づきまして実施されることとなりますけれども、下水道の管理に係る最終的な責任はあくまで地方公共団体が負うということに変わりはございません。

 そのため、地方公共団体は、運営権者に対しまして、PFI法に基づき、業務等の報告を求め、必要な指示ができるほか、重大な契約違反等があった場合には運営権の取消しができるということとなっております。適切な事業実施の確保に必要な対応が可能となっております。

 このように、下水道のコンセッションは、現行の関係法令に基づきまして適切に実施されるものと考えております。

森山(浩)委員 特に浜松につきましては、複数ある下水処理場のうちの一カ所ということでございますから、あとの部分において、市の側にも技術が残っている、あるいはチェックをする機能というのがあり続けるというふうに考えます。

 これは丸ごと全部委託をしてしまうと、逆に市の方には、これをチェックする現場の機能というのが失われますので、そういった場合にどうするかなどというのも課題かなというふうに考えておりますので、ぜひその辺も含めて今後の対応をお願いをしたいというふうに思います。

 さて、災害の問題です。本年は日本各地で風水害それから地震が頻発をいたしました。

 私も、七月豪雨災害のときには、被災地であります岡山や広島、息子と一緒に泥かきのボランティアにも参りました。あるいは、鉄道の被災状況を視察をするというような形の中で、ふだんでは気づかないような、これは制度に欠陥があるよ、あるいは、もっと重点的に予算配分をすべきではないかというような部分をお聞きをしたり、あるいは見たりしてまいりました。改めて問題意識を持ったところでありますが、皆さんの方でもしっかりこれを点検をされていくということでございます。

 我々立憲民主党におきましては、災害事故等対策室を党内に常設の機関として立ち上げをいたしました。平時から、防災対策、緊急時の体制整備、復旧復興の各段階においてなすべきこと、連携のあり方、古いままの法律や制度の改正などを総合的に調査、提言、推進をする体制を構築をして、災害列島日本の諸問題に対処していくべく活動してまいりたいと思いますし、この点については与野党は全く関係ない、このように考えています。

 その中で、まずは鉄道の防災の部分ですけれども、本年の災害を受けて重要インフラの緊急点検、百三十二項目を行われてきたと思いますが、この状況について報告をお願いします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のように、今年は非常に災害が頻発いたしました。

 このような事態を受けまして、現在、たび重なる災害を受けまして総理から指示がありました重要インフラの緊急点検の結果及び対応方策が今月の二十七日に取りまとめられ、これを踏まえ、防災、減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を年内に取りまとめ、三年間集中で実施するよう、同日、総理から改めて指示があったところでございます。

 鉄道につきましても、緊急点検の結果を踏まえまして、河川橋梁の流失、傾斜対策、斜面からの土砂流入防止対策、地下鉄、地下駅、電源設備等の浸水対策、地震による落橋、桁ずれ、高架橋等の倒壊対策を対応方策として取りまとめたところでございます。

 引き続き、三カ年緊急対策の取りまとめに向けた作業を続けてまいります。

 鉄道施設の老朽化や防災・減災対策は、自然災害が頻発化、激甚化する中で、今後とも重要な課題であると認識しております。

 国土交通省としては、鉄道事業者による施設の維持管理、防災・減災対策が適切に行われるよう、必要な予算の確保などに努めてまいります。

 以上でございます。

森山(浩)委員 温暖化が進む中で、大きな台風、強い台風なども含めまして、日本列島を襲うということが頻発をしています。

 緊急対策、もちろんやっていただくわけなんですが、それに加えまして、今回は山陽本線が大きな被害を受けました。本当に幹線の部分です。

 老朽化した施設というものを新しいものに取りかえるというのは、もちろん安全面でも最も望ましいわけですけれども、補強あるいは改良で長もちをさせるという形で、より多くの箇所を工事をしていくというようなことも大事かと思います。

 補助事業の規模について、御報告をお願いします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 トンネルや橋梁等の土木構造物につきましては、経年とともに劣化が進むことから、予防保全の観点から、鉄道事業者において適切に維持管理、更新を行う必要があると考えており、鉄道事業者は鉄道施設の老朽化対策に計画的に取り組んでいるところでございます。

 国土交通省としては、鉄道事業者に対し、構造物の定期検査の実施や記録の保存を義務づけるとともに、経営の厳しい地方の鉄道事業者に対しまして、将来的な維持管理費を低減し、長寿命化に資する鉄道施設の補強、改良に対する補助制度を設けて支援を行っているところでございます。

 その規模に関しましては、今年度に関しましては五千四百億円ということになっております。

 以上でございます。

森山(浩)委員 規模としては……(蒲生政府参考人「失礼しました、五億四千万円でございます、済みません」と呼ぶ)五億円ですね、はい。全体ではなくて補修の部分ですので。

 その五億円というので足りるというような感覚ですか。

蒲生政府参考人 額としては非常に厳しいものと感じておりますが、来年度要求におきましても必要な要求を今差し上げておりまして、しっかりとした確保をしていきたいと思っておるところでございます。

森山(浩)委員 災害復旧のための工事については、鉄道の会社が黒字であろうと赤字であろうと、その区間について赤字の場合は支援ができるというような形で制度が改正をされました。

 今回の一連の災害を受けて、老朽化対策、これにつきましても、先ほどの山陽本線などの例でいいますと、我々大阪で大阪環状線に乗っている人たちの運賃が、岡山の山の奥の方の線路を保つのに、黒字だから支援できないんだよというような話で、もしおくれるようなことがあっては、これはなかなか大変なことだと思います。

 緊急度の高いものというのは、支援の枠組みを何かプラスアルファで考えていくべきではないでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道施設に関しましての老朽化の状態でございますが、橋梁に関しましてはもう平均が五十七年、トンネルが六十四年ということになっておりまして、非常に老朽化が進んでいるというところでいえば、大きな会社も小さな会社も同様だと思っております。

 したがいまして、我々といたしましては、まずは優先度の高い中小の事業者を対象にいたしますが、今後、黒字の大きな会社に関しましてどう進めていくか、それも大きな課題だと認識しております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 本当に、鉄道のことは鉄道会社がやるものだ、そんなふうに私も思っておりましたが、どうも、今回の災害の規模などを見ていると、国としてのバックアップというのも大事なのではないかな、そんなふうにも感じたところでございます。

 さらに、新幹線。山陽本線がだめな中で、今回の豪雨では、高架にあるということも含めて、機能が残って、通勤通学も含め大変助かったわけなんですけれども、中越地震以来、脱線の防止の対策工事がスタートをしていると思います。

 当時、開通して間もない九州新幹線につきましては、残念ながら、敷設の段階ではこの脱線防止ができていなかったということで、熊本地震では脱線が起こるというようなことにもなってしまいました。

 北陸新幹線については最初から防止の施工というふうになっているとお聞きをしていますが、新幹線というのも朝から晩まで走っていますので、夜中しかできない、また、工事をプラスアルファやるに当たって、一キロ一億円ぐらいかかるというふうにもお聞きをしています。

 この工事、早く推進をすべきではないでしょうか。いかがですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 高速で走行する新幹線の安全対策は極めて重要であると認識しております。

 お話にありましたように、平成十六年の新潟県中越地震で、営業中の新幹線が初めて脱線したことを踏まえまして、国土交通省、JR各社、鉄道総合技術研究所等で設置いたしました新幹線脱線対策協議会におきまして、脱線や脱線後の逸走、いわゆる逸脱を防止する対策や脱線防止ガード等の整備方針等を検討してまいりました。これに基づきまして、JR各社におきましては、整備計画を策定し、新幹線の脱線・逸脱防止対策等の整備を推進しているところと承知しております。

 いずれにいたしましても、脱線・逸脱防止対策は、新幹線の脱線や逸脱を防止し、安全性を高める上で効果的な対策であると考えております。その整備に際しましては、整備費用もさることながら、今お話のありましたように、新幹線の営業していない夜間での短い時間で整備を行わなければならないといった制約がございますが、JR各社においては、地震発生リスクが高い箇所等の必要性の高い箇所から優先的に鋭意整備が進められているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、新幹線脱線対策協議会などを通じまして、新幹線の脱線・逸脱防止対策の進捗状況を確認し、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。ぜひ御検討ください。

 さらに、物流の部分です。

 岡山駅、広島駅でコンテナをトラックに積みかえるというような光景が見られました。これ、トラックでカバーできたのは大体何%ぐらいですか。

蒲生政府参考人 トラックや船舶などによります代行でカバーできたのは、通常のJR貨物の輸送量の二五%程度というふうに承知しております。

森山(浩)委員 四分の一です。これは経済的にも非常に大きな影響があると思います。

 物流を途切れさせない、モーダルシフトというのは大事になってくるわけですが、施設の整備、あるいは、港へトラックで運ぶというような話もありました。例えば、港まで鉄道の線路、引込線があれば、そこで積みかえをするということで、積みかえが一回減るんですね。そのような施設の整備なども含めて御検討いただきたいというふうに思います。

 次です。タイムライン防災。

 平成二十八年の八月です。タイムライン(防災行動計画)策定・活用指針というものが示されています。

 台風二十一号への対応では、鉄道会社がタイムライン防災の観点からいち早く、前日から、あしたは午前十時以降運休というのを発表をされました。帰宅難民などの混乱を事前に防止する効果を発揮したものと思われます。一方、電車が動かないならということで、自動車で通勤をされるというような風景も散見をいたしました。

 あるいは、地震は突発的であるために、大阪北部地震においては、通勤時間帯であったこともあり、電車がとまっている情報をキャッチできたのは約半数というような報道もございました。

 タイムライン防災の取組状況、そして、国民への周知についてどのような取組をされているか、御報告をお願いします。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 自然災害等に対しましては、先を見越した早目早目の防災行動、そして、関係者間で連携した防災行動が必要になってまいります。

 タイムラインは、それらの行動を確実に実施するために、災害が発生することを前提として、関係者がとるべき行動を、いつ、誰が、何をするかに着目して、時系列で整理するものでございます。

 国交省におきましては、水災害等の進行型の災害を基本としたタイムライン策定・活用指針を、委員御指摘のとおり、平成二十八年八月に公表したところでございます。市町村や防災に関係する機関に周知をしております。

 また、タイムライン策定済みの自治体の方が、未策定の自治体よりも、例えば水害時の避難勧告等の発令率が高くなるなどの、国民への防災情報の発信に効果が出ているというふうに認識をしております。

 また、例えば雪害につきましても、迅速な対応を図るために、本省、地方支分部局、地方公共団体等の行動内容を示しました、大雪、暴風雪時を想定したタイムラインを定めておりまして、関係機関と連携して早期の体制確保を図るとともに、国民に対して、不要不急の外出を控えるなど、大雪に対する警戒を呼びかけることとしております。

 このように、タイムラインは、防災関係機関の災害対応力の向上や防災情報の国民への事前周知等に大変有効なツールであるというふうに認識をしておりまして、引き続き、交通事業者等を含めまして、関係機関と連携しながら、その策定、普及を進めてまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 事前に、こういう段階になったら、こういう状況になったら、電車をとめますよ、バスをとめますよ、高速道路は入れませんよというようなことを言っておくということなんですが、これは、各社にお聞きをしますと、空振りをしたときが怖いんだよという話を聞きます。

 もし、とめたけれども大した被害がなかったというときに文句を言われるのが怖いというようなことで、大きな災害につながってしまっては元も子もありません。空振りを許容できるような社会の意識の醸成が大事だと思いますが、何かアイデアはありますか。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、やはり自然災害に対しては先手で、先を見越して、早目に防災行動をとっていただくということが非常に重要だというふうに思います。

 委員御指摘のような空振りといったことも現実にはございますけれども、そういったことに関しましては、防災、減災の観点で、国民の皆様の意識を更に醸成するように我々として努力してまいりたいというふうに思います。

森山(浩)委員 これは今回の、来年度の予算概算要求で中心的なテーマとなっていますのが、水防災意識社会というところであります。

 副大臣、この概念、それからいわれ、今の空振りの問題も含めて意識の問題なども関係してくるかと思いますが、どのような形で訴えていかれますか。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 平成二十七年九月関東・東北豪雨で、鬼怒川におきまして堤防が決壊し、氾濫流による家屋の倒壊や流失や、広範囲かつ長時間の洪水が発生するとともに、避難勧告などの発令のおくれや住民の避難の逃げおくれが発生し、近年の水害では類を見ないほどの多数の孤立者が発生をいたしました。

 これを踏まえまして、この報告を受けまして、国土交通省といたしましては、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するとの考えに立ちまして、社会全体で洪水に備えるためのハード、ソフト一体となった水防災意識社会を再構築するための取組を進めておるところでございます。

 特に、西日本を中心に広域的かつ同時多発的に水害、土砂災害が発生した本年七月の豪雨の教訓も踏まえまして、ハード、ソフトの両面から水防災社会再構築に向けた取組を更に加速をさせてまいりたい、かように思っておるところでございます。

森山(浩)委員 ハード、ソフトということで、川が氾濫するのを何が何でも一〇〇%防ぐんだというものをつくるのではなくて、川があふれてもしようがないということを前提にしながら、どう対応するかというような意識、あるいは先ほどの空振りも含めまして、防災、やり過ぎだというような批判にならないような意識、これは国民の目線からすると、どんなふうな訴えかけ方をしたらいいでしょうね。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 これまで、国土交通省といたしましては、水防災意識社会再構築ビジョンに基づき、住民目線のソフト対策を強化するために、ハザードマップによるリスク情報の周知、そして、地域におけるタイムライン策定の促進、緊急速報メールによる洪水情報の配信などを行ってまいりました。

 このような中で、ことし七月の豪雨におきまして、改めて、ハザードマップなどのリスク情報が十分に認識されず、住民の避難につながっていないなどの課題が明らかになってきておるところでございます。

 そのために、現在、社会資本整備審議会などで検討を進めておりまして、議論の結果も踏まえながら、例えば、住民みずからが考え、行動するように変わっていくことを目指し、住民みずから、避難計画であるマイタイムラインにつきまして、自治体を始めとする関係機関などと連携をいたしまして、取組を強化しておるところでございます。

 また、よくわかりやすく、切迫感のある情報を住民に届けられるよう、テレビや携帯電話、そしてソーシャルメディアなど、情報伝達を担うメディア関係者とも連携をとり合いながら、情報発信、伝達の強化を図ってまいります。

 こうした取組により、今後とも、住民目線に立った取組を推進してまいります。

 よろしくお願いいたします。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、国民の皆さんが、強い台風といったときに、どのぐらい強いかというのは経験していなかったらわからないですね。僕も四十七歳ですけれども、大阪であのレベルの台風に遭ったことはありません。親からは、ジェーン台風やら第二室戸やらと聞いておりましたけれども、では、強い台風というイメージが湧かない。そういうときに、こんなことがあるんだよというような形で、映像や体験や何やかんや、お知らせをしていくというようなことも必要になってくるかと思います。

 また逆に、一問残しちゃったのは、訪日外国人観光客の災害対策ということで、広島が豪雨になったというと宮島に来る人が減った、あるいは、倉敷が泥をかぶっているというと美観地区は何ともないのに誰も来てくれない、このような話もありました。

 情報の細かな発信の仕方によって、訪日外国人に対する情報提供、サービスなども頑張っていただきたいなというふうに思います。

 以上で終わります。

谷委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 早速質問を始めさせていただきますが、前回の委員会で時間切れとなって質問できなかったことから始めさせていただきたいと思います。

 まず、JR北海道問題についてでございます。

 二〇一一年五月の石勝線脱線、炎上など、一連の事故やレールの検査データの改ざんなどの不祥事を受けまして、JR北海道の安全対策を監視、助言するため、国土交通大臣が、講ずべき措置として二〇一四年一月に命令し、JR北海道が設置した第三者委員会、JR北海道再生推進会議が、これまで十三回会合を開き、そして今月、当初の役割を果たしたということで、解散しました。

 この点について、再生推進会議というのは、当初の目的は、先ほど申し上げましたとおり、安全対策の監視、助言でありましたが、その後、路線見直しなどによる経営改善にも及び、不採算路線の廃止を迫る意見も出され、JR北海道のみならず、道や沿線自治体に対しても厳しい意見が出されるようになりました。それが道や沿線自治体とJR北海道との協議を前進させたという意見もありますが、私は、非常に停滞させた、硬直化させたという面も十分あるというふうに考えております。

 そこで伺いたいと思いますが、これまでの再生推進会議の取組についてどういうふうに考えているのか、伺いたいと思います。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 JR北海道再生推進会議におきましては、平成二十五年に発生をいたしましたJR北海道函館線脱線事故と、その後に判明をいたしました検査データ改ざんなどを受けまして発出されました事業改善命令、監督命令に基づきまして、JR北海道が第三者機関として設置したものでございます。

 この会議におきましては、第三者委員の知見と経験を生かしまして、個々の安全対策にとどまらず、コンプライアンスなどの観点から、幅広い御議論を踏まえまして、平成二十七年六月に、JR北海道再生のための提言書が取りまとめられたところでございます。

 会議におきましては、合計十三回開催をされまして、その間、JR北海道が策定をいたしました、安全投資と修繕に関する五年間の計画の進捗状況のモニタリングや現場調査などを行ってきたところでございます。

 今月十三日に開催をされました最終会議におきましては、JR北海道の安全対策などの取組について、例えば、安全第一、安定第二、危ないと思ったらすぐに列車をとめるといった安全の基本方針の策定、経営トップが現場に赴き、社員と膝詰めで意見交換をすることによる安全風土の醸成、安全にかかわる修繕費の着実な増加、そして、軌道や車両の検査、修繕業務の機械化やシステム化などにおいて一定の結果が出たというところにございまして、同会議として区切りをつけたと承知をしておるところでございます。

 それを受けまして、国土交通省といたしましては、JR北海道再生推進会議は、JR北海道の安全対策の推進を図る上で大きな役割を果たしたものというふうに考えております。

 また、国土交通省といたしましては、当該会議の開催を含むJR北海道の安全対策の推進につきまして、保安監査を通じまして確認をしているところでありまして、引き続き、JR北海道を適切に指導してまいりたいというふうに考えております。

道下委員 今、大塚副大臣の御答弁を聞いておりますと、再生推進会議については、この安全対策についてJR北海道に対してしっかりと提言をし、それが今実行に移されつつあるということで受けとめておられるということで、それは、裏を返せば、経営見直しだとか路線廃止だとか、そういったところは評価はしないということに私は聞き取れて、受けとめさせていただきたいというふうに思っております。

 そういうふうに、再生推進会議については、安全対策そして経営の改善ということで意見は出してきたわけでありますけれども、JR北海道は、二〇一九年度から二年間で四百億円台の財政支援を受け、かつ、消費増税予定の二〇一九年十月から運賃を値上げし、さらに、二〇二一年度以降も国からの同様の支援が継続することを前提にしてもなお、二〇二三年度は百八十六億円の経常赤字、連結決算で四十三億円の赤字になる経営見通しを十月二十日に公表しました。

 さらに、きのう行われました北海道議会の特別委員会で、そこに参考人として招致されたJR北海道の島田社長は、二〇二二年度に資金不足に陥り、二〇二三年度には不足額が四百億円規模に達するとの見通しを明らかにしたわけであります。

 たった一カ月しかたっていないのに、どんどんどんどんJR北海道の状況は悪化の一途をたどりつつあるというふうになっているわけでありますけれども、こうした状況について、国交省としての見解を伺います。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 十月二十日に開催をされました、JR北海道の事業範囲の見直しに係る関係者会議におきまして、JR北海道が示しました五年間の経営見通しは、先ほどもお話ございましたように、JR北海道が運賃値上げを実施し、かつ、国からの財政支援が二〇二一年以降も続くという一定の仮定のもとで赤字基調が変わらないことを示したものとなっておりまして、JR北海道が大変厳しい経営状況にあることを改めて認識をしたところでございます。

 JR北海道は、北海道新幹線の札幌延伸の効果が発現できる二〇三一年度の経営自立を目指しておりまして、このためには、経営の増加策として、コストの削減策に今から徹底的に取り組んでいただく必要があるというふうに考えております。

 手前どもの国土交通省といたしましても、JR北海道に対しまして、今年度中に中期経営計画及び長期経営ビジョンを策定することなどを求める監督命令を七月二十七日に発出したところでありまして、今後、これらの計画やビジョンに盛り込まれた取組を四半期ごとに検証するなど、JR北海道の経営改善が図れるようしっかりと指導してまいりたいと考えております。

道下委員 今副大臣も答弁されましたけれども、経営改善に向けてしっかりと取り組まれるようにJR北海道を指導していくということでありました。

 それはもっともでございますが、根本的には、こういうJR北海道の状況に達した主な原因は、国鉄分割・民営化をする際に、JR北海道に対して経営再生基金を積んで、そして、そこでの利息、利子によって、一年間約五百億円の利息で、それで赤字分を穴埋めするという国の当初の目的が、金利の低下等によってこれが達成されなくなった。それで、その赤字も穴埋めできなかった。そして、しわ寄せがJR北海道やそれを利用する利用客、沿線自治体に広がっているということを忘れてはいけないというふうに思っております。

 そういった意味で、国は、経営改善を求めるということであれば、今回、来年度、再来年度の経営改善に向けて、JR北海道の改善に向けた取組ということで、この二年間で四百億円台の支援を行うということを表明されたわけでありますけれども、これの具体的な支援額を早急に決定し、公表することが大変重要だと思っております。まだ具体的な金額などは示されていません。それであれば、JR北海道も中期計画や長期ビジョンは策定できないと思います。

 沿線自治体は、国がそうした具体的な支援額を決めないと、国として同水準の負担を求めているわけでありますから、沿線自治体としても非常に困惑しているわけでありますが、私としては、道や沿線自治体に同水準の負担を求めること自体がおかしいというふうに思っております。

 さらに、負担を求める中でも、国は地方財政措置の具体的な策は示しておりません。道や沿線自治体に負担を強いることになりかねないですし、更に厳しい状況下での協議を余儀なくされるおそれがあると思います。議論が停滞しています。国の支援額を早急に示すべきと考えますが、見解を伺います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区、いわゆる黄線区でございますが、そこにおきます鉄道施設及び車両の設備投資及び修繕への支援に関しましては、JR北海道から設備投資及び修繕の内容についてのヒアリングを行うとともに、支援対象の詳細、支援額等について、北海道庁等の関係者と検討を行っているところでございます。

 引き続き、北海道庁等の関係者との調整を進め、早期にお示しできるようにしてまいりたいと考えております。

道下委員 それは年内なんでしょうか、それとも来年に持ち越しなんでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 できるだけ早期に調整を進め、早期にお示しできるよう頑張りたいと思っております。よろしくお願いします。

道下委員 国のスケジュールに合わせられるような自治体の余力はありませんので、私としてはもう年内に速やかに、来月中に公表していただきたいというふうに思います。

 それで、次なんですけれども、二〇二一年度以降については、JR北海道及び地域の関係者の取組の着実な進展を前提として、国の支援を継続するため、所要の法律案を国会に提出することを別途検討するということを国土交通省はことしの七月二十七日に公表されました。

 二〇二一年度以降の長期的視野に立った国の支援策が示されなければ、JR北海道としても、車両更新や安全投資、社員の採用、育成など、国が命じる中期計画や長期ビジョンは策定できないというふうに思いますし、道や沿線自治体も、交通ネットワークなど長期的視野に立った議論が進められません。

 そのためには、来年、再来年度、この二年間のその後の二〇二一年度以降の支援について、現在の法律の延長若しくは法改正による支援拡充など、国は速やかにそうした方向性を示すべきと考えますが、見解を伺います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 JR北海道に対する国の支援は、国鉄清算事業団債務等処理法の規定に基づきまして、鉄道・運輸機構の特例業務勘定を通じて行われております。

 国土交通省から本年七月に「JR北海道の経営改善について」を公表いたしましたが、この中でJR北海道に対する支援を二〇一九年度、二〇二〇年度の二年間に限定したのは、法律上の支援期間が二〇二〇年度末と定められていることによるものでございます。このため、現時点で二〇二一年度以降の支援の大枠を示すことは困難でございます。

 JR北海道におきましては、国等の支援について、一定の仮定を置いた上で、中期経営計画及び長期経営ビジョンを策定することになると考えているところでございます。

道下委員 なかなか話がかみ合わないんですけれども、二年間が法律で決まっているから、それ以降のことは決められないということは、そうではないと思います。中期計画や長期ビジョンを策定しろというんですから、それに見合った国の支援を一緒に出すべきだというふうに思います。

 先の見通しがない中で、JR北海道も、しっかりとした具体的、財政的根拠に基づいたそうした計画等は示されませんし、示せというのであれば、それは国がそういう長期的な支援の内容を示さないと、これはJR北海道のみならず沿線自治体等も、国が言うように、同水準の負担というものを求めるということでありますので、私は、沿線自治体の負担はできるだけ少なく、いや、負担はさせないという方が正しいというふうに思うんですけれども、国がそこまで言うのであれば、国ももっと汗を流していただきたいというふうに思っています。そのために、我々としても、この国会における議論等もしっかりと進めていきたいというふうに思っております。

 今はJR北海道全体のことなんですけれども、個別の線区のことを例に挙げてちょっと伺っていきたいと思います。

 JR日高線についてであります。

 二〇一五年一月の高波被害による土砂流出の影響で鵡川―様似間が不通となり、その後再開することなく、沿線自治体は、日高門別―様似間の鉄路復旧断念という方向で今議論が進められ、その最終決断は来年に持ち越されたところでございます。

 運転再開には、土砂が流出し崩落した護岸の復旧が必要でありますが、資金難に陥っているJR北海道は、八十六億円にも上るとされる復旧費を赤字路線である日高線には投じられないと判断し、これまで来ました。

 このように、復旧されなかった背景としては、法制度の不備があるのではないかと私は考えます。海沿いに線路がある場合、鉄道事業者が自費で工事を行うことが海岸法で定められておりますが、これは国鉄時代のままであります。鉄道軌道整備法もありますし、前回改正されましたけれども、それでも十分なものとは言えません。

 異常気象が続き、日高線のような事態が再発する可能性は今後も大いにあり得ると考えます。国土保全や安全保障は国が担うべきという観点から、鉄道護岸復旧の責務を鉄道会社から国に変更すべきと考えますが、見解を伺います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道事業は、営利を目的とする鉄道事業者により営まれるものであるため、鉄道施設が災害により被害を受けた場合には、鉄道事業者がみずからの判断のもと、みずからの資力により復旧することを基本としているところでございます。

 しかしながら、経営が厳しく、鉄道事業者の資力のみでは復旧することが著しく困難な場合等において、復旧について鉄道事業者と地方公共団体との間で合意がなされることを前提として、鉄道軌道整備法に基づきまして国が助成を行うスキームが設けられております。

 国土交通省としては、このような補助制度も活用しつつ、被害の状況や被災地域のニーズを踏まえて、必要な支援を行うこととしております。

 以上でございます。

塚原政府参考人 海岸法の観点からお答え申し上げます。

 海岸法におきましては、都道府県知事が、国土保全の観点から海岸を防護するため、法第三条に基づき海岸保全区域を指定をして、海岸保全施設の設置等を行うこととされております。

 一方で、海岸保全区域以外の区域につきましては、鉄道敷地に設置された護岸は、鉄道事業者がその事業目的を達成するために設置したものであるということから、基本的には、設置者自身、みずからの責任において維持管理を行うべきものと考えております。

道下委員 国鉄時代から、国鉄から分割・民営化されて、社会状況や気象状況がさまざま変わってきた中で法制度が変わっていないということが問題です。海岸法と鉄道軌道整備法のすき間というか、そういったところに今置かれているというふうに思います。

 都道府県知事がそこの海岸保全区域として設定するということもあるかもしれませんけれども、それによっても、今度は都道府県がこの護岸工事費用を負担しなければならないというふうになるわけでありまして、本当に国土保全や安全保障、不審船だとかさまざまな、海からわからない人が入ってくるということを水際でとめるということを考えれば、これを都道府県に責任を負わせるべきことなのかと私は問うているわけでありますので、これは国会で議論をまだまだ続けなければいけないと思いますが、国土交通省としてもしっかりと省内での検討を進めていただきたいというふうに思います。

 JR北海道については最後でありますけれども、JR北海道が本年度中に作成する第一期集中改革期間行動計画の策定に、沿線自治体や協議会が協力する意向を表明しています。一例を挙げれば、JR北海道がバス転換方針を示している根室線富良野―新得間の自治体が、バス転換ではなくて路線維持を前提に協力するなどという意思を示していると承知しています。

 利用促進に向けて、自治体とJR北海道が協議できる段階に一歩前進というふうに考えますが、こうした状況について国交省の見解を伺います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省は、本年七月二十七日にJR北海道に対して発出した監督命令におきまして、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区につきましては、平成三十一年度及び平成三十二年度を第一期集中改革期間とし、JR北海道と地域の関係者が一体となって、利用促進やコスト削減などに取り組むことをまとめた事業計画、いわゆるアクションプランを策定するよう求めております。

 現在、JR北海道が中心となり、アクションプランの策定を進めているところでございますが、地域の関係者の皆様にもしっかりと協議に参画いただいていることと承知しております。

 こうした関係を持続し、利用促進等に向けた取組を着実に実施していただきたいと考えておるところでございます。

道下委員 JR北海道の問題については、まだまだ長い時間議論が必要ですし、先ほども申し上げましたとおり、このようなJR北海道の赤字経営が続いているのは、これはそもそも国の責任であるということを自覚していただきながら取り組んでいただきたいと国交省に強く要望しておきます。

 では、次に、航空会社における運航乗務員等の飲酒に係る不適切事案について伺います。

 私も飛行機を大変多く利用しておりますので、今回の日本の航空会社におけるパイロットの国内外での飲酒問題は非常に心配でございます。

 先日、国交省は、日本航空、全日空への立入検査を行ったというふうに、今も継続中と伺っておりますけれども、具体的検査内容や、それに基づいた結果が出されて、そして行政処分等が出されると思いますけれども、想定される行政処分や措置について伺いたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、日本航空及び全日本空輸から十六日に報告された内容につきまして、事実関係の詳細等を確認するとともに、過去の類似事例への対応が適切であったか確認するため、日本航空、全日本空輸及びANAウイングスに対しまして航空局の職員を派遣し立入検査を実施しておりまして、関係者からの聞き取りや記録類の確認などを行っているところでございます。

 立入検査で入手しました情報などを整理、分析した上で、再発防止策が確実に実施されるよう厳しく指導監督してまいりたいと考えております。

 また、英国におきまして日本航空の副操縦士に対しまして下されました判決内容も含めまして、違反行為の重大性、悪質性等を踏まえて、行政処分を含む必要な措置を検討してまいりたいと考えております。

道下委員 国交省からそういう航空会社に対して報告書の提出や、指導監督を行っているその最中に、一昨日の十一月二十八日、JALグループの日本エアコミューターの機長から、乗務前に基準値を上回るアルコールが検出されたということで、これは非常にゆゆしき事態だというふうに思っております。この点について国交省の見解を伺います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨日、日本エアコミューターの運航乗務員から運航前にアルコールが検出されたために、運航乗務員が交代となり運航便に遅延が生じた事案があったと報告を受けております。

 先月、運航乗務員の飲酒に起因する不適切な事案が連続して発生したことを受けまして、今月一日、全ての国内航空会社に対しまして、飲酒に関する航空法等の遵守の徹底や、講じた措置の報告を求める文書を発出いたしました。こうした中で、十四日にはスカイマークで、また二十八日には日本エアコミューターで相次いでこのような事案が発生したことは、まことに遺憾でございます。

 国土交通省といたしましては、日本エアコミューター及び日本航空の社長に対しまして、詳細な調査を行い、より効果的な再発防止策を実施するよう指示するとともに、この調査結果及び再発防止策を早急に報告するように指示をいたしております。

 また、昨日、全ての国内航空会社に対しまして、全運航乗務員に対する乗務前の飲酒に関する管理の強化及び教育の徹底、飲酒に起因する不適切事案が発生した場合、航空会社及び運航乗務員が行政処分等の対象になる旨の周知徹底などの措置を至急講じるよう、改めて指示をいたしたところでございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、航空の安全に対する信頼をできる限り早期に回復できますよう、必要な措置を講じてまいりたいと思います。

道下委員 今回の日本エアコミューターの機長の飲酒問題は、当初は、JALの本体は暫定的に運航前二十四時間以降の飲酒を禁止したんですけれども、それがJALグループ、他の会社には広げていなかった、十二時間前までというこのままだったということで、非常に、グループとして全体の問題ではないかというふうに思っております。

 こうした事例を、絶対に再発防止に取り組まなければならないと思います。

 海外の基準の事例を申し上げますと、イギリスでは呼気一リットル当たり〇・〇九ミリグラム、アメリカでは〇・一九ということでありますけれども、私がいろいろと調べたもので、国内における、鉄道の運転手に関しては、〇・一ミリグラムが基準、また、あるところでは、アルコール反応が出たら乗務させず、年休をとらせて休ませて、帰らせるんじゃなくてアルコール反応が消えるまで帰宅させないという措置をとっているところもありますし、バスの会社においては、運転手からアルコール反応が出たら厳罰に処すという会社もあるそうです。

 今現在、国交省としては、有識者検討会において、数値基準の新設やアルコールチェックの義務づけ等を検討しているということでありますが、早期に実施すべきと思います。

 今後の見通しと再発防止に向けた決意を伺いたいと思います。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 操縦士の飲酒に起因する不適切な事案が連続して発生したことは、日本の空の安全に対する信頼を揺るがしかねないものであるというふうに認識をしておるところでございます。

 このため、今般の一連の飲酒事案を受けまして、国土交通省では、十一月二十日に航空従事者の飲酒基準に関する検討会を設置をいたしまして、国内における航空従事者の飲酒に関する基準の検討を行っております。

 この検討会では、まず、操縦士を対象として、諸外国の基準や他の運送事業の基準を参考にしつつ、体内アルコール濃度に係る数値基準の新設や、検査機器によるアルコールチェックの義務づけなどの飲酒に関する基準の案を年内に取りまとめる予定としております。この取りまとめを受けまして、年明け早々にでも基準を策定し、できる限り早急に施行したいというふうに考えております。

 こうした取組により、航空の安全に対する信頼を早急に回復してまいりたいと考えております。

道下委員 国交省としてしっかりと取り組んでいただきたいし、速やかな統一基準、再発防止に向けた指導徹底をお願いしたいというふうに思います。

 次に、大雪時の道路交通の確保について伺います。

 先ほども他の委員からも質問がありましたけれども、やはり、昨シーズンの福井県などにおける大雪による多数の車両の立ち往生ということが非常に大きな問題となりました。

 そこで、国としては、大雪時の道路ネットワークの維持、確保に向けて、チェーン規制区間を設定し、規制標識等を設置することを計画しているというふうに承知しています。

 先ほど具体的な内容が答弁されたので、それは割愛させていただきますが、私、選挙区が北海道で、自分自身も、衆議院議員になる前は雪道を普通に運転しておりましたけれども、北海道ではスタッドレスタイヤがもう普通でございます。そうした中で、これはチェーン規制ということで、どんな雪が降っていても、坂道でも、スタッドレスタイヤ、また四駆で走ると十分に走ることができますし、チェーンを履いているのはバスだとかあと緊急車両である救急車だとか、そういったもの、一部なんですね。

 そういうふうな状況の地域において、チェーン規制ということが出されても、スタッドレスタイヤだからいいというふうに考えてしまうのは私だけではないというふうに思いますが、このスタッドレスタイヤを装着している車がチェーンを装着しないでチェーン規制区間を通行できるのかどうか、ちょっと細かい話ですが、最後に伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 スタッドレスタイヤの装着車についてでございますけれども、大雪時には、スタッドレスタイヤを装着した車両であっても、チェーン未装着の場合にこれまでも立ち往生が発生する事例が確認されております。このようなことから、今般導入するチェーン規制の区間におきましては、通行を規制することを考えております。

道下委員 質問時間が終了したのでこの辺にとどめますけれども、私としては、これはちょっと、徹底した周知徹底を進めなければさまざまな誤解や混乱を生むというふうに思っておりますので、この点、よろしくお願いしたいというふうに思いますが、できれば、チェーン規制ではなくて、スタッドレスタイヤでも通れるようにしてほしいなというのが個人的な、ドライバーを代表しての意見です。

 それと、バリアフリー推進について、ちょっと時間がなくて済みませんでした。

 この辺で質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 国民民主党の下条みつでございます。

 久しぶりに国交さんの委員会で御質問、また、提案させていただきたいと思います。

 私は、基本路線としまして、国土交通行政は本当に、政府含めて、行政の皆さんがしっかりやってきたなというふうに思っておりますので、批判ではなく、御提案をさせていただきながら、ぜひ、いい、前向きな御回答をいただければなということをお願い申し上げたいというふうに思っております。

 まず、先ほどからよく出ておりますが、飲酒の問題から入らせていただきたいと思っています。

 警察庁の調べによりますと、二十八年、二十九年において、飲酒運転での死亡事故率、また、飲酒運転以外の場合に比べて、二十八年では、飲酒運転以外と飲酒運転の比率が、八・四倍、飲酒運転が死亡が高い。二十九年も八・三倍。簡単に言えば、飲むと、判断力が鈍るその他のいろいろな問題が起きて、八倍以上。

 死亡事故というのが一人か大多数か、これはわかりません。多くの被害が及び、負傷者を入れると膨大な数になっている。これがまず飲酒運転の、また、飲んだ後の人間の作用になっている、これを最初に申し上げておきたいと思います。

 特に、三時間ぐらいの間に事故は多いんですけれども、五時間以上経過した場合でも、大臣、一〇%なんです。飲んだ後で五時間、例えば二時、三時まで飲んで、七時、八時に、例えばタクシーさんが運転するにしても、一割が死亡事故になっているということがこの飲酒運転の怖さであり、また、巻き込んでいるなという環境じゃないかなというふうに思います。

 そこで、まず、きょうは非常に多くの方がいらっしゃって、本当に申しわけないと思いますけれども、国交省さんの中の区分けがあるものですから、それぞれにちょっとお聞きしていきたいというふうに思っています。

 まず、事業用自動車、バスとかタクシーとか貨物トラックとか、これは今どのように飲酒の状態を把握されているか、チェックされているかということをお聞きしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車運送事業におけます飲酒に対する規制につきましては、関係法令の規定によりまして、酒気を帯びた状態にある運転者を事業用自動車に乗務させてはならないというふうにされております。

 具体的な確認方法につきましては、事業者は、運転者の乗務前と乗務後の点呼の際に、運転者の顔色、呼気のにおい、応答の声の調子などを直接確認いたしますとともに、アルコール検知器によりましてアルコール検知の有無を確認することといたしております。

 なお、酒気帯びの有無の判断基準につきましては、例えば一般のドライバーにつきましては、道路交通法上、呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとされているところ、自動車運送事業におけるドライバーにつきましては、アルコール検知器によりアルコールが検知されないこと、検知された数値がゼロであることにより判断をいたしております。

 また、点呼のときに確認した内容につきましては、点呼記録簿に記録し、保存しなければならないことといたしております。

 自動車運送業におきましては、このような基準と方法によりまして酒気帯びの有無を確認させていただいております。

下条委員 大変厳格にやられているなというふうに思います。

 局長、その記録というのは、対面で記録したもの、若しくは機械を使って記録したもの、どういう記録でございますか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 運行管理者が、先ほど申し上げましたように、直接確認をするわけでございますが、その結果につきましては、記録簿というものに、手書きであっても、パソコンであっても、両方認めているということでございます。

下条委員 大臣、これは対面で確認する。点呼のとき、始まる前と後、あなたは飲んでいるかどうか、若しくは、どういう酩酊状態かということなんですね。

 私は自分でお酒もたばこも全くできないのでわかりませんが、逆に言うと、お酒を飲んだ人の顔色はよく見ています。変わらない人は全然変わらないですよね、局長、強い人は。

 これはあくまで提案です。

 要するに、記録を残すのであれば、呼気の記録が残っているのであれば、申しわけないですけれども、私も現物を見ました。シートで出すことができるんですよ。簡単に言えば、〇・〇〇、出ませんでした、〇・〇一だって、えっ、とかですね。

 だから、その記録を、対面以外に、きちっとその運行日誌のところに張りつければいいじゃないですか。そうですよね。そうすれば、記録とか対面とかいって顔色をうかがって、後でちょっといろいろ出しますけれども、対面というのは、僕は非常にある意味で管理者を守らないものだと思いますよ。最終的には行政機関を守らないもの。なぜかというと、ただ日誌が上がってくるだけですから。

 まあ、言いにくいけれども、後で出しますけれども、偽装は幾らでもできます。ただ、事故があったときの責任はその管轄に来ちゃうので、私は、どうでしょうか、非常に厳しくやっていただいておるとは思うんですが、現実には、やはり記録をきちっととっておいて、また、シートで打ち出したものをその運行日誌に張りつけていくのはどうかなと思っているんです。今度、有識者会議を、さっきもお話があって、やられるので、どうでしょうか。

 私は、あくまで、何回も申し上げますが、皆さんすばらしい行政をやっていると思う、今までも。この国の運行、そして土地を守るためにやってきている。

 だから、ぜひ、局長、前向きに考えてくださいよ。だって、打ち出したものって、そんなに運行管理者を含めて負担にならないと思いますよ、僕は。それをぜひ検討いただきたいということで提案申し上げたいと思います。御回答をお願いします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたとおりの酒気帯びの有無の判断基準でございますことから、そういった記録保存を求めていないところでありますが、先生からの御指摘でありますので、事業者における検査の実施状況、事故の状況でありますとか、他モードにおける検査のあり方などを踏まえながら検討すべきというふうに考えております。

下条委員 ぜひ、局長、偽装というのはどこもあるんですね。例えば、後でまた出しますけれども、例の東洋ゴムもそうじゃないですか。

 だから、我が身を守る、行政を守る、そして国民を守るためには、きちっと検査をしたら、そこで出してきているシート、要するに、どんな法律をつくっても抜け道があるんですよ。そしたら、なるべく、そのシートの打ち出した、山田○○さんとか、その人が、点呼前、戻ってきて、点呼後、つまり乗車後の、降車した後でちょっとチェックする。バスも貨物も、そしてタクシーも。それをきちっとやっていくことによって、ああ、これは信用の置ける呼気の結果だなということになると思うんです。

 今、前向きのお答えをいただいたというふうに理解したいと思うので、ぜひ、有識者会議においても、そんなにその会社に負担をかけることじゃないと僕は思います、だって、今までやっているんでしょう。だから、ぜひ御検討いただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 それから、五台以上の自家用自動車を保有する事業所というのは、運転管理者がいてチェックする。年一回、講習とか、運行日誌等々。それ以下の部分についても、今すごく細かい、何とか便とか、バイクもそうですけれども、何とか早い便とかありますから、その辺は警察にぶん投げるのがいいのか、それとも、その部分も行政指導要綱の中に入れていって、厳しく罰せられるんだぞということをぜひ徹底していただきたいということをお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、本当に分野別で申しわけないんですけれども、鉄道です。鉄道に関してちょっとお聞きしたいというふうに思います。

 同じような質問で本当に申しわけないんだけれども、何か分かれているということなんであれなんですけれども、まず、実際、鉄道会社においてどのように確認が行われているのか、教えていただきたいというふうに思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄軌道の運転士につきましては、酒気を帯びた状態での列車の乗務を国土交通省令において禁止しております。

 鉄軌道事業者は、この国土交通省令に基づきまして、乗務前の点呼時に、対面やアルコール検査器などによる確認を行うことを社内規定において定めているところでございます。

 アルコール検査につきましては、インフラのみを所有する事業者などを除く鉄軌道事業者全百七十四社のうち百六十八社においてアルコール検知器による確認を義務づけており、残りの六社におきましても導入が計画されているところでございます。

 また、アルコール検知器を使用している鉄軌道事業者のほとんどが、社内規定により、アルコール濃度が呼気一リットルにつきまして〇・一ミリグラム以上の場合は乗務をさせないとの報告を受けております。

 以上でございます。

下条委員 本当に済みません、交通手段全部に同じ質問になっちゃうんだけれども。

 その記録というのは、呼気をはかったものを、誰が大丈夫、オーケーと押して、対面でチェックするんだと思うんですが、私は何回も言いますけれども、記録を数字で残しましょうよ。きちっと記録したということを数字で残したい。いかがですか。

蒲生政府参考人 鉄軌道事業者が導入しているアルコール検知器にはさまざまなタイプがありますが、アルコール検知器による確認結果が自動的にパソコンに記録されるものや、プリントアウトされるものなどを用いて記録を保存している事業者もいるところでございます。

 いずれにいたしましても、アルコール検知器による確認結果を記録に残しておくことは一定の意義があると考えております。各鉄軌道事業者のアルコール検査の具体的な状況や、他の交通モードにおける飲酒における規制の検討状況などを踏まえまして、記録を残すことに関しましても検討してまいりたいと考えております。

下条委員 ぜひ、いい機会なので、今まではいいんですよ。これからです。ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 そして、ここから質問がちょっと変わってくるんですよ。

 実を言うと、地下鉄を含めて電車は自動運転が非常に多い。例えば、私もきょう朝乗ってきましたけれども、地下鉄とか、丸ノ内、千代田、有楽町、副都心、南北線、三田線、大江戸線、何たらかんたら、横浜市営何とかと、運転士は乗務するも、自動運転ですよ。

 私は、なぜ酒気帯びをしちゃいけないかというと、もちろんそうなんだけれども、自動運転が非常にこの都心にふえている。それも、地下を張りめぐらせている人たちの。物すごい多くの数のお客様が乗っていらっしゃる。

 もしわかればですけれども、この自動運転のふぐあいというのはどうなんですか。例えば二十九年、二十八年、二十七年でも、ふぐあいはどの程度、これは、実を言うと、昨日、一定の路線についてお聞きして、来ているんですけれども、地下鉄が、乗務員が乗っているにもかかわらず、非常に自動運転が多くなっちゃっている。これはもう本当に、逆に言えば、あのチャレンジャーでさえ、私もあれをテレビで生で見ましたけれども、アメリカにいましたので、あれでさえああいう結果になる。では、日本で自動運転で行われている地下鉄のその機械の精度、いや、全く壊れたことがないと、いや、ふぐあいの報告が来ている。

 私が聞きたいのは、実を言うと、三十分以上おくれた場合はいろいろなことが来るんですよ、国交省に。だけれども、それだと実態がわかっていない。実際、何か壊れて、十分で直せる場合もあるし、五分で直せる場合もある。その辺、どうですか。ふぐあいの報告はどんな感じになっているんですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道におきましては、新交通システムや地下鉄などの一部路線におきまして、ATO、自動列車運転装置によりまして、列車の加減速、停止等を自動的に行っているところがございます。

 この間におきます事故の状況でございますが、鉄道事故等報告規則に基づきまして鉄道事業者から受けている報告におきましては、平成二十七年度から二十九年度に、ATOを導入し、かつ運転士が列車に乗車している路線におきまして、ATOのふぐあいが発生したが運転士が対応したために事故に至らなかった事案はございません。

 なお、全体的な発生状況でございますが、平成二十七年度から二十九年度、運転士が乗っている路線、乗っていない路線で、ATOのふぐあいに関します報告に関しましては、五件ほど上がってきております。

 中には、ブレーキをかけたところ、それが緩まなかったために運転を取りやめたケースとか、ディスプレーに信号が表示されないようなふぐあいが生じたために運転を取りやめたケースなど、そういったものが上がってきております。

下条委員 件数は少ないという御報告だと思います。

 恐らく、報告しろというレギュレーションの規制が、ある程度おくれにならない、例えば、ゆりかもめだって、ことしやったじゃないですか、あの雪のとか。

 だから、私は何を言いたいかというと、これからどんどんどんどん自動化になるにつれて、実際、ふぐあいのレギュレーションをもうちょっと厳しくした方がいいんじゃないかということです。

 というのは、今、乗務員が乗った上で、今言ったように、皆さんも使っているでしょうね、丸の内、霞が関、こっちに来たりするじゃないですか、それがほとんどそういう状態になって、また、皆さんの御家族が乗っている電車がそういう状態になっているんですよ。だから、ふぐあいが発生する可能性は、今おっしゃったより、僕は本当はもっとあるんじゃないかと思う。ただ、短期間、短時間だったかもしれない。

 だから、もし検討の余地があるのであれば、有識者会議、私がこうやって残しているのは、議事録に残すためです。そうすれば、皆さんがそれを、ああ、これは下条は余計なこと言ったな、いや、これはいいこと言ったなと利用してもらえばいいんですよ。それで少しでも多くの方々が安全に、また安心して運行できるように持っていってもらえばいい。そういう提案をさせていただいているんです。

 だから、僕はこの自動運転、非常に都心部に多いというこの部分に着目しているわけです。これからオリンピックもあるしね。だから、この部分のふぐあいについてのチェック機能を更にちょっと厳しくしていただきたいと思いますが、いかがですか。

蒲生政府参考人 自動運転に関しますニーズは、都市部を中心に非常に高まってきていると考えております。運転士不足、そういった問題などの対応などについても有効だと思っております。

 しかしながら、技術に関しましての状況に関しまして、いろいろなふぐあい等々の把握などに至らない点があるのであれば、しっかりした形でそのふぐあいを把握できるような考え方、対応をとりたいと思います。

下条委員 私も毎日乗っていますので、ぜひ、さっき言った、記録を残すということ、数字で記録を残すこと、そして、今のふぐあいについて、これだけ毎日乗っているわけですから、ぜひ前向きに検討いただきたいということを申し上げたいというふうに思っております。

 次に、済みません、また同じような質問ですが、今度は船舶です。

 船舶は、実を言うと、私が調べたところによると、大臣、平成二十九年の海難審判所による裁決件数というのは三百十六件あるんですよ。三百十六件です、船。そして、その原因が、見張り不十分が三八%、それ以外の船位不確認、航法不遵守、居眠り、そして信号不履行等を入れると、半分が事故なんですね。だから、何かしら要因がそこにあって、自動操縦で対応できなかったということですよ、簡単に言えば。大臣、物すごく事故が多いんです。

 私は、これから二〇年に向けて、オリンピックでまた海を使う、そして我々は全部海に囲まれている、きょうは余り海保の話はしませんが。そういう意味では、海の事故という部分について、非常に僕は懸念をしています。というのは、一遍でたくさんの方が亡くなる可能性があるし、先般も和歌山で、これはすさみ町沖、タンカーと貨物船というのがあります。大臣も御報告を受けていると思います。

 いろいろな意味で海難事故の不注意さというのはすごいということなんですが、そこで、まず最初にお聞きしたいんです。今度は船舶です。

 まず、自動でのふぐあいの報告が一体どのぐらいあるのかな。いや、違いますよという話じゃない。私も防衛省にいましたので、海自の自動運転も全部見てきましたし、乗りました。どんな感じか、まずはちょっと御報告していただきたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 船舶に関しましても、一定の針路を保つための自動航行装置、いわゆるオートパイロットが使用される場合がございます。しかしながら、船舶においてはオートパイロットの機能は限定的でございまして、オートパイロットを使用していても、船舶の針路の確保は、船員法などの規定に基づきまして、船員の見張りを前提に、船員が常に針路の確認を行い、要すれば、直ちに手動で針路を修正するということで事故の防止を図っておるということでございます。

 このため、船舶におけるオートパイロットのふぐあい事例の集計などは行っておらないということでございます。

 なお、船舶の発航前に、オートパイロットなどを含みます航行に関する機器の点検が法令上義務づけられておりまして、オートパイロットのふぐあいといったような事案が発生しないように、今後とも事業者に対する指導に努めてまいりたいと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 ということは、よくわかるように、オートパイロットをやっているとは思うんですけれども、少ないなと、報告はないということですよね。

 ということは何かというと、人為的なミスがほとんどだということです、逆に言えば。局長、そうですよね。

 そこで、では、船上の皆様の、機関士から含めて、さっき言った飲酒のチェック、これが一体どういうふうにやられ、第三者がどういうふうにそこに入り、そして報告を受けているかをちょっとお聞きしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 海運事業者に対しましては、海運事業者が、法律に基づいて定める安全管理規程におきまして、乗組員は呼気一リットル中のアルコール濃度が〇・一五ミリグラム以上である間は当直を実施してはならないことなどが定められておりまして、酒気帯び状態でのかじの操作でございますとか見張りなどの当直を禁止しておるということでございます。

 また、フェリーなどの旅客船におきましては、実際には、事業者において操船や見張りなどの当直業務を行わせる前に、検知器によるアルコール濃度の確認などを行う場合が多いというふうに承知しております。

下条委員 行う場合が多い、それはいいことだと思います。

 そこで、その検知器の記録は、済みません、これは全く同じことを皆さんに聞いているんだけれども、記録を残しましょうと、要はそこなんです、僕は。誰か何かやった、だから、きょう、刑罰は後で言いますけれども、航空の方はああいう結果になったじゃないですか。十カ月ですか、禁錮は。

 要するに、記録をきちっと残させるということが大事なんですよ。見ました、よかったです、なあなあ、やあやあと。そこです。記録はどうですか。ぜひ、それを検知器にして、シートに出して、そして、皆さんのところに報告させるようにしましょうよ。どうですか、局長。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 船舶に関する飲酒の禁止につきましては、現在、アルコール検知器を使用した測定までは求めておらないというルールになっているところでございます。

 御指摘の、アルコール検知器で確認した数値についての記録を残すことにつきましては、海難事故の原因分析などを踏まえまして、また、事業者における規制の遵守状況などを踏まえまして検討してまいりたいと考えておるところでございます。

下条委員 大臣、ぜひ前向きに検討してください、これ。要は、今までじゃないんです、これからです。

 今言ったように、オートはやらぬ、全部、見てやる。それで、ふぐあいはさっき、半分人身じゃないですか。人間が起こしている。その人間がやることによって、旅客船、貨物船等々あります、これから多くの観光客がまた、大臣の傘下で、守ってくれているこの国土と運輸の中で起きている。大臣は建築専門ですけれども、両方ともプロフェッショナルだと私は認識しております。

 この海難事故というのは大きくなりますよ。例えば、オリンピックの直前に貨物船とあれをやって東京湾自体が全面的にオイルになったらどうしますか。首が飛びますよ、みんな、行政の。

 だから、僕が何を言いたいかというと、ともかく、海難が、人工的にやることの事故が多い場合だったら、そしたら、できるだけそこに、それを管理する意味で、今徹底はまだされていないと言ったけれども、特に旅客船、貨物船等々、でかい船については、船上になっちゃうとわからないんですよ。

 ぜひ、大臣、御検討いただいて、だって、シートを出させればいいんです、今までやっていたとしたら。それだけなんです。そう思いますよ。後ほどまたまとめてお答えいただきたい。ぜひ皆さん、検討してください。大きな事故になる前に、ぜひお願いしたいというふうに思います。

 次に、さっきもちらっと出ました、航空機であります。

 釈迦に説法ですけれども、大臣にもちょっとお耳に入れておくと、飛行機が一万メーターを飛ぶじゃないですか。そうですよね、大臣。あの一万メーターで飛ぶ状態の健康状態というのは、富士山でいうと五合目ぐらいの気圧になるわけです。気圧が五合目ぐらい。これはどういうことかというと、簡単に言うと、二割ぐらいの酸素が入らない状態になる。そうすると、気圧が低いから血管が広がってきますよね。これも釈迦に説法です。血管が広がるとどうなるかというと、アルコールを飲んだ部分が回りが早くなる。したがって、地上でやったよりも、空でいくと、そこがおおらかになる、回りが早くなる、こういうことですよね。これは皆さん、プロがそろっているので、あえて言いません。ただ、議事録にちょっと残したいので言っておきます。こういうことなんです。

 だから、航空機事故というのは本当に、私も、実を言うと、銀行におりましたときに、九・一一のあの南棟で私の銀行の仲間が五百人亡くなりました。私もそこに行く予定だったのが、この仕事をしているので、ここにたまたまいるので、行かなかった。

 あれは何かというと、飛行機をロケットの爆弾に変えたわけですよ、アルカイダが。御存じのとおりです。つまり、飛行機は常に爆弾のかわりになるということです。ロケット弾のかわりになる。だからこそ、そこの厳しさは、私は、これから言いますけれども、一段とやらなきゃいけないなというふうに思っている次第であります。

 そこで、これも同じような質問で申しわけないんだけれども、そういう背景を抱えた上で、きょう、たまたま、ヒースロー空港の副操縦士の方が、禁錮十カ月ですか、出ましたよね。私も、実を言うと、いろいろな人からヒアリングしました、きょうまで。そうすると、どうも日本でチェックするよりも海外が甘いような話もある。

 もう一つは、機長、副操縦士等々はいいんです、それももちろん後で聞きますけれども、CA、この間ありましたよね、飲んじゃったのが。CAのチェックは一体どうか、整備士のチェックは一体どうか。それは皆さん、物すごく重要。

 これは例えば、行政の方がいらっしゃるけれども、自分の家の横に飛行機が落ちてみましょう、お子さんや奥さんもいますよ。幼稚園に落ちましょう。そして、オリンピックスタジアムに突っ込む可能性だってある。非常に大きな爆弾のかわりになっているということなんです。

 そこで、ちょっと同じような質問になって、今度は航空になっちゃうんだけれども、今言ったように、非常に至らす影響が高いだけに、そして速攻ですよ。ああっと思ったうちにぶつかっちゃう。

 そこで、どういうチェックをしていて、それに対して、実を言うと、きのうまで日航に入っていますものね、それも存じ上げていますけれども、今後、さっきもちょっとお話が出ました、大中小、全ての企業、全ての航空会社にどういう徹底をしていくかをまずちょっとお聞きしたいんです。お願いします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 運航乗務員の飲酒に起因する不適切な事案が連続して発生したことを受けまして、まず、今月一日に、全ての航空会社に対しまして、飲酒に関する航空法等の遵守の徹底や講じた措置の報告を求める文書を発出いたしました。

 こうした中で、また更に事案が発生したことを受けまして、昨日、もう一度、国内の航空会社に対しまして、全運航乗務員に対する乗務前の飲酒に関する管理の強化、教育の徹底、飲酒に起因する不適切事案が発生した場合、航空会社及び運航乗務員が行政処分等の対象となる旨の周知徹底などの措置を至急講じるよう、改めて指示をしたというところでございます。

下条委員 局長、飲酒のチェックは、もともと答えはわかって聞くんですけれども、数値は残していませんよね。シート化ということで。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、乗務前に相互に健康状態の確認を行うことを基準として定めておりまして、その中で、アルコール感知器を使用してアルコール検査を自主的に行っている航空会社もございます。

 実際には、運航前に常時アルコール感知器を使用したり、飲酒の影響が疑われる場合にのみアルコール感知器を使用したりしております。また、アルコール感知器を使用してアルコール検査を行う際に地上スタッフが常時立ち会う航空会社や、飲酒の影響が疑われた場合にのみ立ち会う航空会社がございます。

 御指摘の記録についても、航空会社によって、記録しているところとそうでないところがあるというふうに承知をしております。

下条委員 大変正直で、いい答えをありがとうございます。

 大臣、これが実態です。

 私は何を言いたいかというと、これは、今まではそれでしようがないじゃないですか。そうじゃなくて、要するに、対面というのは主観ですね。申しわけないけれども、主観。飲んでいても真っ白な人もいるし、私みたいにおちょこ一杯で真っ赤になっちゃう人もいる。だから、私は、対面みたいな主観要素も必要ですけれども、もうこれだけいろいろなことが起きた上で周知徹底って、実を言うと、私も航空会社に友人が多いものですから、緩いんですよ。CAに至ってはもっと緩い。もう飲んだくれてと言っちゃいけないけれども、中にもいるみたいだということだけ申し上げておきたい。

 そしたら、何を言いたいかというと、数字に残しましょうよ。全員に徹底して、もうこんな恥ずかしい、ヒースロー空港で十カ月もブタ箱に入るような話にならないように。申しわけないですけれども、国内ならまだしも、今言ったように、下になっていくと薄くなってくる。中小零細で人員がいないから、そうじゃ、おまえ、疲れていそうだが、いいじゃん、行けや行けや、この間は世話になったなという、それでなれ合いになる可能性だって、これは想像ですけれども、なきにしもあらず。

 私は数字に残しましょうと言っているんです。チェックを全員にさせて、局長、ふうっと、探知器をこうやって横にして逃げるんじゃなくて、何とかストロベリーのみたいな、チューブで、ふうっとやらせて、シートを出して、それでいいじゃないですか、お互いに。それも、国内も海外も、日本に関係する、皆さんの関係の全ての航空会社にぜひ徹底していただきたいことを、議事録に残りますから。

 私は何を言いたいかというと、今までが悪いと言っているんじゃないんです。こうなった以上は、周知徹底をさんざんしておいて、まあ、後でちょっとオイルダンパーの話もしますけれども、徹底したって出てくるんだ。それだったら数字で押さえましょうよ。どうですか、局長。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、今般の事案を踏まえまして、今後、飲酒に関する基準の強化を図ることとしておりまして、数値基準の設定や乗務前の感知器によるアルコールチェックの義務づけなどを有識者の検討会において検討を進めているところでございまして、御指摘の点も含めまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 大臣、ぜひ、今ちょっと細かくて申しわけなかった。それぞれ違うんですよ。でも、私は、最大の被害が出るのは、どれもそうだけれども、やはり飛行機。ロケット弾のかわりです。

 ですから、私は、主観というのはやはり、それぞれの、緑が好き、赤が好き、黄色が好きと同じ、主観ですよ。真っ赤な人もいるし、日やけしている人もいるし、飲むと青くなる人もいる。やはり、数値を徹底していただいて、そして、行政としてきちっと指示したということを後世に残そうじゃありませんか。

 大臣の御決意をちょっとお聞きしたいというふうに思います。

石井国務大臣 輸送の安全の確保は公共交通の最大の使命であります。今般の航空会社におけます飲酒に関する不適切な事案につきましては、日本の空の安全に対する国民の信頼を失墜させかねない事案であると認識をしております。

 これらの一連の事案を踏まえまして、今月二十日に有識者会議を設置をいたしまして、航空事業者の飲酒に関する数値基準の新設や検査器によるアルコールチェックの義務づけについて検討を開始したところでありまして、年内にも操縦士の飲酒に関する基準案を策定する予定であります。

 その他の輸送モードにおきましても、航空分野における検討状況や各輸送モードの特性なども踏まえまして、実効性のあるチェック方法などの飲酒対策について、委員御指摘のアルコール検知器で確認した数値について記録を残すことも含めまして、検討させていただきます。輸送の安全の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

下条委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり、数値をシートで打ち出して張りつけるのは、そんなに業務者の負担にはならないと思いますよ。私はそう思う。

 ただ、そういうことをやることによって、今まで緩かった部分が強くなることによって運航がおくれることが少なくなる方が、安全性を上げるし、そして、お客様に対して非常にすばらしい対応になると思います。

 ぜひ、大臣、リーダーシップをとっていただいて、行政の皆さんと御一緒になって、二度とこういうことが起きないように、きちっと数値を記録で残す、シートで打ち出して残すことを前向きに御検討いただければというふうに思います。

 いろいろあるんですけれども、ちょっときょうは多くあり過ぎたので、私から一方的にもう一つだけ言っておきます。それは、運転士さんと操縦士さんのストレスチェックであります。

 やはり、海外に行って羽を伸ばす、みんな海外に行くと羽を伸ばして酒を飲む、間が八時間あいているからいいやと飲んだ結果が、この間のこともあるし、その後のこともあると思うんです。

 そういう意味では、官房の方も来ていらっしゃると思うんですけれども、ストレスチェックを徹底していただいて、結局、福知山線もそうだし、それからJALの墜落もそうだし、この間のヘリコプターもそうです。私どもの長野県でも落ちたのも、どうも操縦ミスだったけれども、何だかなというところもあるので、ぜひ健康管理を含めたものも、最後に上がってくる乗務員が服を着た状態でのチェックの前に、ぜひ従業員管理として徹底していただきたいことをお願い申し上げておきます。

 ちょっと時間がたっちゃったので、次に移りたいと思います。

 次は、免震のオイルダンパーの件であります。

 これも、実を言うと、本来はそっちに数字を聞く予定でしたけれども、皆さん、こちらに数字を出してきてくれたので、まず、そこからちょっと御質問させていただきたいと思います。

 例のカヤバについて、免震ダンパー、制振ダンパー、合計で千四百件の出荷数がある中で、大臣認定不適合が百二十八件、顧客契約不適合が二百七十九件、不明が五百六十七件。

 この不明は、理由は主に何でしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の不正におきましては、ダンパーの出荷検査のときに、本来の数値を係数を掛けるなどして改ざんをしたというものでございますが、KYB関係におきましては、改ざんをした結果が残っていない、若しくは、今現在残っているかどうか調査中というものがございまして、その結果、果たしてそのダンパーが改ざんをしたのかどうか、していた場合に、どの程度改ざんしたのかがわからないということで不明となっているものが数がたくさんあるという状況でございます。

下条委員 平成十二年から三十年のわずか十八年の間に数値が不明になっちゃったというところが非常に僕は、皆さんはもっとおわかりだと思うけれども、言いにくいところもあると思いますけれども、私は何かそこに不自然さを感じているんですよ、不明だからいいんじゃないかと。

 ところが、今大臣がリーダーシップをとって、皆さんの行政の御指導によって、東洋ゴムの例の件については、ちょっともう時間がないから自分で言っちゃいますけれども、百五十四件あるうち、着工が百十五棟進んでいて、既に交換が全部終了しちゃったのが九十八棟になっている。相当進んでいると思うんですね。これはことしの九月末現在ですから。

 まず、東洋ゴムの、簡単に言えば、大臣認定を出すときの数値をごまかして出してしまった、この部分についての、その後の、直したよという報告のチェック機能はどうなっているんですか。お聞きしたい。

石田政府参考人 東洋ゴムの案件につきましては、出荷の段階のみならず、大臣認定をとる段階でも数値をごまかしていたという非常に重い案件でございました。

 いずれにしましても、本来あるべきではないものを出荷したものに関しましては、物件を特定をして、それについての交換を今進めていただいておりまして、逐次、交換状況、若しくはその交換の計画を立てたかどうか等を我々の方に報告をいただいて、進捗をチェックし、促進を図っているところでございます。

下条委員 疑うわけじゃないし、これだけの企業ですから。

 報告をもらっているというのが正しいのか、ここまでやったんだから、ちゃんとそこにチェックしに行っているのか、そこはどうですか。

石田政府参考人 国交省の人間そのものが行っているわけではございませんが、実際施工する関係で、施工会社の方は、当然ながら、立ち会うどころか実際に施工いたしますので、その辺も含めてチェックをいただいているところでございます。

下条委員 大臣、要するに、施工会社とそれを出した東洋ゴムが切りかえチェックをして、施工会社が報告に来ているというんですけれども、どうですか、これ、大臣、どう思われますか。全然信用できるようになるのか、それとも、たまに抜き打ちでチェックに行くとかというのを僕はやられたらいいんじゃないかと思うんですよ、疑うわけじゃないけれども。

 そもそも、大臣認定のその数字をごまかしてやっているわけですよ。ダンパーの方は大臣認定の数字はごまかしていないと思います、十五規格というんですかね、十八年間、十五規格があって。

 だから、この東洋ゴムについては、僕は別に何の恨みもないんですけれども、もうこれ以上やらせないために、施工と東洋ゴムさんがやった部分で、全部報告をもらったからいいよというんじゃなくて、抜き打ち程度はやったらどうだと思いますけれども、どうでしょうか。

石田政府参考人 先ほど申し上げましたのは施工段階の話でございますが、それぞれ免震ゴムの製造の段階がございます。それにつきましては、この前の東洋ゴム事案を受けた後、その認定の基準を改めまして、強化いたしまして、品質管理その他についてきちっとチェックをするというのを中に入れております。

 あわせまして、サンプル調査で適宜入りまして、実際の品質管理の状況について第三者機関からチェックを入れさせていただいているところでございます。

下条委員 それでは、今言ったことで局長も大臣も大丈夫ということでよろしいですか。

石田政府参考人 我々といたしましては、全体の認定の関係を強化した後の生産品、あとはその後のサンプル調査を含めまして、きちっと対応できていると思っておりますが、今般の事案もありましたので、今回のを含めました検証、それからあと、再発防止策の強化、これについて有識者委員会もつくって検討することにしておりますので、そういった流れの中でも、再度改めて、今の取組はこれで十分かどうか検討いたしたいと思っております。

下条委員 ぜひやってください。

 私も、耐震偽装をやったりしました。あのとき、北側大臣にも随分お世話になりましたけれども。そういう意味では、本当に、疑うわけじゃないですけれども、ちょっと僕はクエスチョンを持っていることを、ただし、その百幾つかのうち、もう大分終わっている、これは非常に皆さんの行政指導ですよ。ただ、その中身が、本当にクオリティーがきちっとしているかどうか、そこにもう一度、もう一押ししていただきたいということを申し上げたい。

 それに伴って、今言ったカヤバのオイルダンパー、これは今不明なものがあるから、だって、全体の千四百のうち不明なものが五百六十七もあるなんというのは、私も銀行にいて、いろいろな建設会社に出入りしていて、またそういうメーカーに出入りしていて、データがないなんということは普通ないですよ。

 だから、私は、皆さんがこれから進めていくのをちょっと凝視していたいと思うんですが、これはどうやって進めて、例えば東洋ゴムについてはいろいろな被害がある。このダンパーについても、まあ、建物の免震が六から七だから、これは少しぐらい大丈夫だとなってこうなっているんじゃないかと私は思いたくないんですけれども、大臣認定をした十五規格のうちが多いので、それはもうはっきり言って大臣の顔に泥を塗っているようなものですよ。そうですよね。大臣がいいと言ったからその後やったけれども、出すものはどんどん変更しちゃって、納期とコストセービングでやっちゃっている。

 だから、ここのフォローをきちっとしていただきたいんですが、今後のこのフォローの方針を教えてください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほどの不明の関係でございますが、操作をして検査機を、データをいじったときに、どうも、KYB関係の方は、いじった結果を紙の台帳に書いていたようでございまして、その紙の台帳が見つかっていない時期が多々あってこういう数字になっております。

 ただ、いずれにしましても、まだ全体の調査を、特に、向こうの会社の中では外部の弁護士等を入れた調査委員会を中心に今厳しくやっていただいておりますので、その中において引き続きこの不明関係についての実態解明の調査をするようまず指示をしております。

 また、あわせまして、当省からの交換指示等を踏まえまして、KYB株式会社からは、不適合と判明したものだけではなくて、仮にこの後判明しないとして不明品が残ったとしても、それについても交換に対応する旨を表明していただいているところでございます。

下条委員 ぜひやってください。

 小学生の会話じゃなくて、わからないからこっちに置いちゃったというふうに考えたくないんだけれども、木星とか火星にロケットが行く時代に、紙の台帳がなくなっちゃったなんて、ちょっと信じにくいなというのが僕の正直な気持ちであります。

 そこで、大臣、これはもう大臣は建設専門で、工学部でいらっしゃるし、私も銀行員当時、建設省に出入りして、あの下のうまいそばを食いましたから。そのぐらい出入りしていますので、僕も。ですから、これは、今言ったように、要するに、不明な部分もある意味で相手は認めているということですものね、局長。だから、ぜひこれを、病院、公共施設、そして学校、それを中心に早目に大臣の指揮のもとで進めていき、今後こういうことがないように、他社に対しても指示、指導していただきたい。

 大臣の御決意をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 今回の免震・制振ダンパーの件につきましては、実態をきちんと把握すると同時に、不適合品又は不明の製品についても交換対応を図るというふうに表明しておりますので、それがしっかりとなされるよう我々も指導していきたいと思っております。

下条委員 ぜひお願いします。

 言いにくいんですけれども、どこの業界でも、壁の中とかそういうのに入っちゃったりすると、後で検査しにくいわけですよ、素人が。だから、皆さんがやはりリーダーシップをとって、今までは最高のことで行政をやられていると思いますよ、政府も。だけれども、こういうことが起きた以上は、それで、起きた途端にまた起きたら、さっきの飲酒じゃないけれども、また起きたら、皆さんの、世界各国から、二〇年のオリンピックに向けて、この建物は安心だぞ、本当に国交はよくやっているということを見せてあげてください。それをお願い申し上げたいというふうに思います。

 もう時間が迫っているので最後にしたいと思いますが、私の地元は長野県の中心の地区なんですけれども、やはり雪が多いし、部落が多いし、その中で、多くの方々がやはり病院がなくてお住まいになったり、また、通勤通学も非常に道路関係をよく使う。

 その道路整備について、中部縦貫、国道四〇三、松糸を含めて、今大分やっていただいております。ただ、これは、やはり地元の皆さんを守るために私もここに選ばれてきていると思っていますので、ぜひ前向きに進めていただいて、道路整備に御尽力いただきたい。

 局長からの御決意をいただきたいというふうに思います。

谷委員長 池田道路局長、時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ありました松本糸魚川連絡道路、非常に防災上の観点からも医療の観点からも重要な道路と認識しております。

 道路管理者であります長野県、新潟県により整備や調査が行われておりますけれども、両県の要望を踏まえまして、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

 また、中部横断道路につきましても、長野自動車道と接続する松本波田道路の区間について、現在、国交省で事業をやっておりまして、早期完成を目指してまいります。

 また、国道四〇三号につきましても、長野県の地域の産業、経済を担う重要な路線と思っております。今、長野県で四カ所、事業をやっておりますけれども、国交省としましても、社会資本整備交付金により、しっかりと支援をしてまいります。

 国交省としても、これらの道路整備が進みますよう、長野県さんとも協力しながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

下条委員 ありがとうございます。ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。

 きょう、ほかの局長もいらっしゃっていますが、ちょっと時間のあれで本当に、呼んでいただいたんですが、質問できませんで、おわびを申し上げたいと思います。

 ぜひ前向きにきょうの案件について進めていただくことをお願い申し上げて、質問を終了します。ありがとうございました。

谷委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、ブロック塀の安全対策強化について、数点お伺いしてまいりたいと思います。

 本年六月の大阪北部地震などを始めとした、阪神・淡路大震災、宮城県沖地震、東日本大震災等々で、ブロック塀が倒壊してとうとい命が失われたというニュースもございまして、そのため、全国の自治体ではブロック塀の安全対策強化に対する補助制度の確立が急速に広まっておりまして、撤去のみ、あるいは改修も補助対象にしている自治体もあります。

 私の地元相模原市では、危険性が認められるブロック塀に対し市内業者が撤去を行うもので、撤去又は高さを四十センチ以下にする場合に補助がなされるということでありまして、自治体によっても補助がまちまちであるということであります。

 そうした中、このブロック塀の所有者に対して地方自治体が耐震診断を義務づけられるようにするなどの耐震改修法の政令、省令、告示を改正して、来年の一月から施行されるようでありますが、どのようなブロック塀が対象となるのか、まずお伺いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお話しいただきました政令の改正につきましては、十一月二十七日に閣議決定をいたしまして、本日公布ということになっております。

 義務づけの対象となりますのは、地方公共団体が耐震改修促進計画に通学路などを含みます避難路と位置づけた道路沿いにあるブロック塀等であって、現行の耐震基準に適合しない既存不適格のものというのがまず第一要件になります。

 また、その規模につきましては、まず全国一律で対象といたしますのは、倒壊した場合に、前面の道路の過半を閉塞、塞ぐおそれのある高さ、例えば幅員の六メートルの道路では一・二メートルを超える高さで、かつ、長さが二十五メートルを超えるという大規模なものを対象としております。

 一方、地域の実情に応じまして、より小規模なものでも対象にできるようにしておりまして、公共団体が規則で定めることによりまして、高さについて八十センチを超えるもの、幅につきましては二十五メートル以下で八メートルを超えるものにつきましては、公共団体の規則に定めることで義務づけが可能というふうにさせていただいているところでございます。

もとむら委員 診断義務化の対象となるブロック塀は、壁の延長が二十五メートル超で、前面の道路幅員の二分の一に二・五を除した高さを超えるもの、ただし、自治体の判断で要件を厳しくすることができるという形であるというふうに理解しましたが、自治体に対して政令の内容をどのように伝えていくのか、簡潔にお答えください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の政令改正の内容につきましては、公共団体に対する説明会や地方ごとの意見交換会などを行うことを予定しております。また、技術的助言を発出しますとともに、塀の判断基準につきましても周知を行うなど、きめ細かく情報提供をさせていただきたいというふうに思っております。

もとむら委員 こうした政令の詳しい中身については自治体がよく理解して活用していくことが重要であることは当然の話でありますが、今局長から御説明いただいたお話は、また、自治体によってはガイドラインを求める声もありますので、そういったことも十分注視して、お願いしてまいりたいと思います。

 次に、自治体がブロック塀の所有者に補助金を交付する際の上限として、診断の標準費用も新たに設けるというふうに伺っておりますが、どのような内容となるのか、お伺いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 耐震改修促進法の規定に基づきまして耐震診断が義務づけられる建物などにつきましては、地方公共団体は、所有者からの申請があった場合、その診断に要する費用を負担しなければならないということが規定されております。また、その際必ず負担しなければならない費用の水準については、国土交通大臣の定めます告示、これによって定めることとしております。

 今回の政令改正に伴いまして耐震診断が義務づけられますブロック塀等につきましても、建築物本体と同様に、必ず負担しなければならない費用の水準を定める必要がありまして、国土交通省といたしましては、現在行われておりますブロック塀等の点検、診断の取組に要する費用を今いろいろ調べておりますので、それを勘案して、費用の水準を年内には定めたいというふうに思っているところでございます。

もとむら委員 国がどの程度の割合を負担するのか、非常に自治体の皆さんも注目しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 次に、今回、耐震改修促進法では、過度な規制となることを防ぐために、一戸建ての住宅などの小規模な建築物については耐震診断義務化の対象から除外するという話を伺っています。

 戸建て住宅などの小規模な建物は対象から除外することが想定されているわけでありますが、古い住宅こそブロック塀を高く積んでいるものもあったりして、本来ならば、この耐震改修促進法は立法府で法改正していかなきゃいけないと思うんですが、今回こうした住宅を対象から外す理由はなぜ起こったのか、簡潔にお答えください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの、建物を対象としました耐震診断の義務づけにおきましても、非常に大きなものに限定した形で耐震診断の義務づけを行ってきております。

 今回のブロック塀等の診断義務づけに対しましても、まず、全国一律で義務をかけるものにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、長さ二十五メートル以上という非常に大きなものに限定をさせていただきました。

 ただ、一方で、先ほど申し上げましたとおり、戸建て的なものも含めて、比較的小規模なものも対象にできるよう、公共団体の規則で、地域の実情に応じて定めることも可能とさせていただいたところでございます。

 また、国といたしましては、診断の義務づけ対象にならないものでありましても、指導助言等を推進するほか、ブロック塀の診断、それから診断の結果に基づきます撤去等を行う場合の費用に対する支援が行えるようにということで、平成三十一年度の予算の概算要求に盛り込まさせていただいたところでございます。

もとむら委員 ブロック塀の安全対策強化が、今局長からも御答弁いただきましたが、大臣の御所見をお伺いいたします。

石井国務大臣 大阪北部地震において発生をいたしました大変痛ましい被害を踏まえまして、ブロック塀等の安全対策を進めることは喫緊の課題であると認識をしております。このため、こうした事態が起こらないよう、法令に基づく規制や支援措置などのさまざまな施策を総動員して取り組むことが必要と考えております。

 国土交通省では、大阪北部地震の発生直後から、塀の所有者等に向けた安全点検チェックポイントの公表や、地方公共団体に対します、塀の所有者等に向けた注意喚起の依頼等を行うとともに、必要な支援措置につきまして平成三十一年度予算概算要求に盛り込み、さらに、耐震診断の義務づけを可能とするための政令改正を実施したところであります。

 今後とも、関係省庁、地方公共団体、関係業界等と緊密に連携をいたしながら、こうした各種施策を総合的に推進することによりまして、ブロック塀等の倒壊による被害の防止に向けまして、安全対策に全力で取り組んでまいりたいと存じます。

もとむら委員 次の質問に入りますが、ことしの七月二十三日の国交省のプレスリリースの中に、宅地耐震化推進事業について公表がありました。

 平成七年の阪神・淡路大震災、平成十六年の新潟中越沖地震において、大規模に盛土された宅地で滑動崩落現象による災害が発生しまして、平成十八年には宅地造成等規制法が改正され、宅地耐震事業が創設されたというふうに承知をしているわけでありますが、今回、この宅地耐震化推進事業で滑動崩落のおそれが大きいとされた大規模盛土造成地について、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業が用意されており、国が三分の一ないし四分の一の補助を行うと承知をしておりますけれども、残る費用は自治体か宅地所有者の負担となるというふうに伺っております。

 宅地所有者の負担が大きい場合、こうした対策が進まないのではないかというふうに心配しておるわけでありますが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の大規模盛土造成地滑動崩落防止事業につきましては、盛土全体の滑動崩落を防止いたしますために、民地も含めまして、アンカーそれから擁壁の設置、地下水排除工など、必要な工事を行うものでございまして、御指摘ございましたように、国が事業の実施に要する費用の三分の一あるいは四分の一を地方公共団体に助成する、こういった事業の制度でございます。

 過去のこれまでの事業の実施の事例の中には、住民負担を求めて事業を実施した事例がございますけれども、円滑な事業実施の観点から、住民の理解を得つつ事業が実施されたというふうに承知をしているところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも、地方公共団体におきまして必要な事業が円滑に実施できますよう、例えば実施事例などについて情報提供を行うなど、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

もとむら委員 今回、七月二十三日のプレスリリースを見ますと、本年五月一日現在で公表率は六〇%、いまだに六百八十の市町村で未公開となっているという見出しがございます。

 二〇二〇年末での公表七〇%を目標としているということも記載されておりますし、昨年十月から七カ月で新たに九十七市町村が公表し、五%ふえたことからすれば、七〇%は可能なのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、七月に発表いたしました盛土マップの公表率ということで申し上げますと、六〇%は超えたものの、いまだ六百八十市町村で未公表というのは、御指摘のとおりでございます。

 この点につきましては、この盛土マップを作成して公表するということが次の対策につながっていく、こういった意義があるというふうに私どもは考えておりますので、しっかりとこの公表が進むように取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

もとむら委員 私の地元神奈川県は九三・九%でありますが、例えば、宮城県、埼玉県、東京都、静岡県、滋賀県、京都など一〇〇%達成しているところもあれば、栃木県、石川県、島根県、山口県、熊本県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県などはいまだに〇%ということでありまして、課題があるのではないかなと思いますので、特に〇%というところに対しましては、国交省からもしっかりと御協力していただきたいと思っております。

 大臣に質問させていただきますが、自治体によって大規模盛土造成マップが公表されておりますが、お住まいの方にとっては、マップに記載されていることで不安が生じることや地価への影響などもあるため、公表していない自治体もあるというふうに伺っております。

 このマップの公表の意義について大臣はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

石井国務大臣 大規模盛土造成マップを作成、公表することによりまして、大地震時等に被害が生じる可能性のある地区が明らかになり、住民が日常から擁壁や地盤の変状がないか確認することなどを通じて、詳細な調査や対策に進むことにつながるものと考えております。

 今般、総理からの御指示を踏まえました重要インフラの緊急点検の中で、大規模盛土造成地マップの作成、公表状況について緊急点検を実施したところでありまして、点検結果を踏まえまして必要な対応を取りまとめてまいりたいと考えております。

もとむら委員 次に、二年前にも、JR東日本の相模線についてお伺いさせていただきまして、この路線は地域の重要な鉄道路線であるというふうに、奥田前局長からも御答弁いただいているわけでございますが、この相模線について、四項目から成る要望が神奈川県鉄道輸送力増強促進会議から大臣に出されているわけでありますが、要望の一、二、三、四とあります。

 ちょっと割愛させていただきますが、二番は、この支援措置の拡充強化に当たって地方交付税措置の拡充など適切な財源措置ということでありますから、総務省管轄だと思うんですが、一番、三番、四番は国交省の管轄でありますので、本年十一月、神奈川県知事を会長とする、先ほど述べました神奈川県鉄道輸送力増強促進会議が要望書を提出しておりますが、この四項目から成る要望について、大臣の受けとめをまずお伺いしてまいりたいと思います。

石井国務大臣 本年十一月、神奈川県鉄道輸送力増強促進会議より、新設路線の整備や既存路線への新駅設置等に対する国の支援措置の拡充強化、ホームドアの設置促進等に対する確実な予算措置等について御要望があったことは、承知をしております。

 国土交通省といたしましては、都市鉄道ネットワークの充実は重要と考えておりまして、従来より、神奈川東部方面線の整備、ホームドアを含むバリアフリー化の推進等の支援に取り組んでいるところであります。

 いただいた御要望につきましては、関係地方公共団体を始めとする関係者の方々の検討状況を踏まえつつ、国土交通省といたしましても、専門的な見地からアドバイスを行うとともに、どのような支援が可能か検討し、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 この相模線におきましては、複線化という要望が、近隣の自治体からも、そして市町村議会からも非常に多くいただいているわけでありますけれども、なかなかこの複線化という問題、まだまだハードルが高いということは十分認識をしておりますが、私どもの地元相模原では、神奈川県の北の玄関口と言われているリニア中央新幹線の新駅が建設予定でありますし、また、神奈川県の南の駅としては、寒川町の倉見地区へ東海道新幹線の新駅の誘致を行っているわけでありまして、橋本から茅ケ崎までを結ぶ、ほとんどの路線が東京に向かっている線路の中で、東西を結ぶ非常に大事な路線であることは、私ども承知をしておるわけであります。

 環境共生モデル都市、ツインシティという形で、東海道新幹線を誘致している寒川町倉見地区と、それから相模川を挟んだ平塚市の大神地区を新しい橋で結び、川の東西両地区を一体化した都市とした、神奈川県が計画しているツインシティ構想というものがあるんです。このツインシティのまちづくりが現在行われていますが、国交省は、ツインシティ構想についてどのように受けとめていらっしゃるのか、お伺いいたします。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のございましたツインシティでございますけれども、これは、お話ございましたように、相模川を挟んだ平塚市大神地区と寒川町倉見地区を新しい橋で結びまして、両地区を一体の都市として整備することを構想、計画しておられるものでございまして、神奈川県と関係市町が、住民あるいは企業と共同しながらまちづくりを進めているところというふうに伺ってございます。

 西側の平塚市においては、新東名高速道路のインターチェンジが至近距離に位置していることを生かしまして、新たな産業の創出を目的として、組合施行で土地区画整理事業を進めておられまして、国土交通省といたしましても、社会資本整備総合交付金による支援を行っているところでございます。

 一方、東側の寒川町においては、東海道新幹線新駅の誘致を目指しまして、神奈川県が寒川町とともにまちづくりの構想を検討していくということでございまして、今後、地元住民の方と話し合っていきたいという御意向というふうに承知をしているところでございます。

 今後も、ツインシティのまちづくりを推進するために、引き続き、関係する自治体が住民、企業と共同しながらまちづくりの計画づくりや合意形成を図っていくことが重要であろうというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

もとむら委員 平成二十八年四月の交通政策審議会答申では、相模線の輸送サービス改善について記載をされたところでありまして、そのためには、行き違い施設設置や、より抜本的な輸送サービス改善のために複線化が求められていると思いますが、いかがでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 JR相模線につきましては、JR東海道線茅ケ崎駅とJR横浜線橋本駅間を結ぶ路線であります。小田急線、相鉄線、京王線とも接続する、通勤通学の足として重要な役割を果たしていると承知しております。

 また、利用者数につきましても、一日当たりの輸送密度が、平成二十三年度の約二万四千六百人から平成二十九年度の約二万九千四百人へと、増加傾向が続いていると承知しております。

 加えまして、リニア中央新幹線の駅が設置される予定の橋本駅周辺では、新しいまちづくりの計画が具体化するなど、今後、発展が見込まれる路線であると認識しております。

 また、御地元では、JR相模線と沿線地域の活性化を目的として、関係自治体、経済団体及びJR東日本から成る相模線沿線活性化協議会が設置されており、JR相模線の利用促進、利便性向上、サービス改善等について取り組まれていると承知しております。

 JR相模線におけます行き違い施設の設置や複線化につきましては、混雑の状況、沿線開発等に伴う今後の輸送需要の動向、収支採算性を総合的に勘案した上で、基本的には鉄道事業者の経営判断により行われます。また、複線化事業では沿線自治体が費用の一部を負担する事例が多く、駅周辺開発等と一体的に行われることもありますので、活性化協議会も活用しながら、引き続き地元自治体と鉄道事業者との間で合意形成を図っていくことが重要と考えているところでございます。

 以上でございます。

もとむら委員 先ほどちょっと、相模線は神奈川の橋本―茅ケ崎、東西と言いましたが、南北を結ぶ重要な路線でありまして、首都圏の鉄道が東京に向けて整備されている中で、神奈川県の南北を結ぶという大事な路線であるということを特に指摘をしておきたいと思います。

 また、二〇二〇年東京オリンピックに際し、橋本駅周辺が自転車ロードレース競技のコースとなっておりまして、私ども相模原市としても大変歓迎をしているところであります。観覧客の利用がふえることも予想される中、地元自治体からは相模線の臨時便を求める声がございますが、国交省としてどのように捉えているか、お伺いいたします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における各競技場、会場への観客輸送に係る対策につきましては、現在、大会組織委員会において検討が行われているところでございます。

 一方、委員御指摘のロードバイク競技コース沿道の観覧客への対応につきましては、花火大会等の大規模イベント時の臨時便増発と同様に、地元における要望や需要見込みを踏まえまして、鉄道事業者が適切に対応すべきものと考えております。

 このため、御地元におきまして、コース沿道の観客に係る鉄道利用ニーズについてよく御検討いただきまして、それを踏まえて鉄道事業者と連携していただく対応が重要だと考えておるところでございます。

もとむら委員 地元としても、大変相模線に注目をしておりまして、昔、以前には、この相模線沿線を学園都市にしたいという、いろいろなJR東日本からの思いなどもあったようでありまして、通勤者も大分ふえてきているということでございますので、ぜひ複線化に向けて御尽力いただきたいのと、また、行き違いがまだ七駅でできておりませんので、こういった整備にも力をいただきたいというふうに思います。

 次に、タイヤチェーン義務化について、先ほど加藤鮎子委員からも御指摘がありましたので、質問を用意していたんですが、一問だけ質問させていただきます。

 十一月二十八日の福井新聞によりますと、スタッドレスタイヤだけでも十分ではないかという見出しがあったり、大雪となる二、三日のためにタイヤチェーンを買うのかといった戸惑いの声も上がっているということでありまして、福井県は、ことし二月の記録的な大雪で、福井、石川県境の国道八号では、最大約千五百台が立ち往生。その原因が、装着不明を含めて、チェーン未装備の大型車九台のスタックだったというふうに国交省が示されているわけであります。

 大臣にお聞きいたしますが、スタッドレスタイヤで十分ではないかという意見もあるようでありますが、なぜタイヤチェーンの装着が義務づけられているのか、お伺いいたします。

石井国務大臣 本年二月、福井県の国道八号におきまして、大雪時にチェーン未装着の大型車の立ち往生をきっかけに大規模な車両滞留が発生をいたしまして、経済社会に大きな影響を及ぼしたところであります。

 このような大雪時には、スタッドレスタイヤを装着した車両でありましても、チェーン未装着の場合に立ち往生が発生することが、これまでの事例により確認をされております。

 したがいまして、今般のチェーン規制に当たりましては、大雪特別警報や大雪に関する緊急発表が行われるような異例の降雪時におきまして、限定的な峠部などを対象といたしまして、チェーン装着車以外の通行を規制することとしております。

 なお、今後、現地での混乱が起きないよう、周知に努める等、適切に対応してまいりたいと考えております。

もとむら委員 今の大臣の答弁をいただいて、ちょっと一点だけつけ加えて質問したいんですが、周知に関して、タイヤチェーンの義務化について、二、三日前に雪の予報を見て、タイヤチェーンの周知をするとか、極めて限定的な場所のみという答弁を先ほどしていたというふうに思いますが、どのような形で地元の皆さんに対して周知をしていくのか、お伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のチェーン規制の導入に当たりましては、今後さまざまな機会を通じて周知をしてまいりたいと思いますし、具体的に、チェーン規制を行う場合においては、先ほど申しました緊急的な、大雪に関する緊急発表が行われるような異例の降雪時を考えておりますので、そのような発表が行われた際に、規制を行う前の段階から規制の予告等を行いまして、住民や利用者の方にしっかりと周知をしてまいりたい、このように考えております。

もとむら委員 ぜひとも、タイヤチェーンの義務化に関しては、非常に国民の関心も高いところでありますので、国交省のリーダーシップを期待してまいりたいと思います。

 次に、私どもの地元神奈川県議会でも十月十六日に意見書が採択されましたUR賃貸住宅について、一点お伺いしてまいりたいと思いますが、この都市機構法二十五条四項には、継続家賃について、規定の家賃支払いが困難な者に対し減免することができると定めておりますけれども、これまでに実施されたことはありません。

 政府やURは、居住者の多くが公営住宅収入階層だと認め、石井大臣は、繰り返し、機構法二十五条四項の趣旨に沿って適切な家賃減免措置を講じてまいりたいと述べていますが、今指摘したように、これまで実施されたことがないわけでありますが、神奈川県議会からの意見書も、低額所得居住者世帯に対する家賃について十分な配慮を求めるという意見書が国に上がってきております。

 この都市機構法二十五条四項に基づく家賃措置を実施するつもりはあるのか、大臣に一点お伺いいたします。

石井国務大臣 少子高齢化が進展する中で、UR賃貸住宅は、高齢者や子育て世帯など、民間市場で入居を拒まれるなどの制約を受けがちな弱い立場の方の受皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められております。

 一方、URは、多額の有利子負債を抱える中、適切な賃貸住宅管理によりまして、健全な経営の確保も求められております。

 このような中で、UR賃貸住宅におきましては、都市再生機構法第二十五条第四項に基づき、高齢者向け優良賃貸住宅に居住する世帯への家賃減額措置や、既存の居住者に対しては、建てかえ時や家賃改定時に家賃上昇を抑制するための家賃減額措置などを講じており、国としても、家賃減額を行うURに対し支援を行っているところであります。

 今後とも、住宅セーフティーネットの役割と健全な経営の両立を図っていけるよう、法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減額措置を講じてまいりたいと存じます。

もとむら委員 公団住宅の自治会協議会によりますと、UR賃貸居住者の七割が年金受給世帯で、うち半数が年金だけの生活をしていらっしゃるということでありますし、多くの世帯にとって家賃支払いが重い負担となっているという声を私の地元からもいただいております。家賃の引下げ、減免を求める声が広がっておりますので、今、二十五条四項の趣旨に沿って、ぜひともまた大臣の強いリーダーシップを期待してまいりたいと思います。

 最後の質問にいたしますが、最後は建設国保について一点、厚労省に来ていただいていますので、お伺いいたします。

 建設業に従事する方や一人親方などは、休業時の収入が保障されておりません。けがや病気のリスクが大きく、一日休業すれば収入が減り、長期入院ともなれば収入がない中で、医療費等の支払いが生じております。そのため、建設国保では、休業補償としての傷病手当金を給付するなど、建設労働者の就業実態に即した運営が心がけられており、建設業に従事する方々から、自分たちの国保組合として認識されているという声も伺っております。

 そこで、この建設国保の安定運営は建設業の従事者の皆様が安心して働くために欠かせないものでありまして、医療費の自然増を勘案した上で、現行制度の堅持及び補助水準の確保が必要であると同時に、今後も建設国保を育成強化していただきたいというふうに考えておりますが、政府の見解をお伺いいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 国保組合につきましては、これまで同種同業の保険集団として加入者の健康の保持増進に尽力いただいておりまして、国保組合の自主的な運営に基づく保険者機能というものは今後とも重要であると考えております。

 そうした中で、御指摘のございました建設国保につきましても、建設業従業者の方々の健康あるいは安心を守るためにこれまで果たしてきていただいた役割を踏まえまして、保険者機能を引き続き十分発揮していただく必要があると考えております。

 このために、御指摘のございました被保険者の所得水準を踏まえた国庫補助水準の確保を含めまして、今後とも必要な支援をしてまいりたいと考えております。

もとむら委員 最後に、安心して働いていただくためには安定運営が必要でありますが、高齢化や医療の高度化により、諸経費の増加等により運営は厳しさを増しているというふうに承知をしております。高齢化等による自然増を加味しながら補助水準を維持、確保し、これからも建設国保の育成強化をしていただきたいという現場の声をお伝えして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

谷委員長 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。道路局長池田豊人君。

池田政府参考人 ありがとうございます。

 先ほど、下条委員の御質問に対する私の答弁におきまして、中部横断自動車道の松本波田道路とお答えしましたが、正しくは中部縦貫自動車道の松本波田道路でございます。修正させていただきます。

 ありがとうございます。

谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、先日の与党による入管法の衆議院強行通過に強く抗議いたします。

 配付資料一を見ていただきたい。

 事前に理事の皆さんにはお見せをいたしましたけれども、この間、法務省が発表し、野党が聴取票の公表を求めてきた、失踪した技能実習生からの聴取結果の職業別集計表を私の事務所でグラフにしたものであります。

 二〇一六年九月に統計をとり始めてから、ことし六月まで、総数一万三千百七十七名中、建設が四千九百十三名、実に全体の三七%を占めております。

 法務省、間違いありませんね。

佐々木政府参考人 御指摘の数値に間違いはございません。

宮本(岳)委員 建設業は紛れもなく国交省の所管事業であります。だからこそ、野党は一貫して、出入国管理法案審議に当たっては、当委員会として法務委員会に連合審査を申し入れるよう繰り返し求めてまいりました。ところが、与党は、その我々の要求に耳もかさず、わずか十五時間にも満たない委員会審議で採決を強行いたしました。

 しかも、国土交通省では、技能実習制度だけではなく、外国人就労者受入事業というものも、東京五輪に向けた、外国人の緊急雇用という形で先取り的に行われてまいりました。

 技能実習生の厳しい現実については、法務省の聴取票からも明瞭であります。建設関係のある実習生は、解体作業に従事し、週五十時間働いているが、給与は月九万円、時給換算で四百五十円。しかも、そこから光熱費など三万円が控除され、手元には六万円しか残らない。送り出し機関に支払った二十万円は借金で、帰国後、一括返還を迫られるということであります。別の建設技能実習生は、暴力と帰国の強制を理由に、七カ月で失踪いたしました。

 では、技能実習を終えた者を対象とした、今申し上げた国交省所管の外国人建設就労者受入事業はどうか。

 二〇一四年四月四日の建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議取りまとめでは、「技能実習制度を上回る水準の監理」と書かれてございます。さらには、「国土交通省等許可部局が建設業法に基づき受入企業を直接、検査・監督」するとも書かれてあります。

 つまり、この事業は、国交省が検査監督して、技能実習制度を上回る水準の監理がされる制度ということでよろしいでしょうか、土地・建設産業局長。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人建設就労者受入事業においては、外国人技能実習に関して、過去五年間に不正行為を行ったことがないなどの監理団体や受入れ企業に限定して受入れを認めるなど、技能実習制度を上回る基準を設けております。

宮本(岳)委員 この建設就労者受入事業については、ことし三月、国交省の委託先の国際建設技能振興機構が出した外国人建設就労者受入事業に係る制度推進事業実施報告書に、外国人の建設就労者からの母国語ホットライン相談の内容が記載されております。

 その相談内容のうち、報告書百十五ページの相談四十二番と百十六ページの相談五十番の相談内容の概要を紹介していただけますか。

野村政府参考人 今委員御指摘の報告書の該当箇所でございますけれども、まず、四十二番にはおおむねこのような記述があります。暴言や暴力を受け、転職をしたい、年末まで状況が変わらなければ、年始に全ての情報を提供するという記述でございます。それから、五十番につきましては、休暇をとりたいと伝えたが認められない、転職できないなら一年で帰国するつもりといった相談内容が報告されております。

宮本(岳)委員 そういうものを見ますと、どこが技能実習制度を上回る水準の監理と言えるのかと思うんですね。

 建設就労者は、暴言、暴力を受け、休暇もとれていないという現状があります。幾ら国交省が直接検査監督するのだと言っても、実態はほとんど技能実習生と変わっておりません。

 石井大臣は、先日の所信的挨拶で、「新たな制度による外国人材の受入れについて、建設業、造船業、宿泊業等の対応を検討します。」と述べられました。入管法改定案は、枠組みだけで中身がすかすか、具体的にはこれから、対応策はこれからというものでありますけれども、建設業、造船業、宿泊業などにおける具体的受入れ策の検討もこれからだと思うんです。

 私は、国交省に、外国人就労者受入事業にかかわって、事業執行の適正性に関する資料を要求してきましたけれども、いまだに精査中との理由で提出がありません。当然の前提として、資料は直ちに出していただきたい。そして、大臣が対応を検討するとおっしゃるのならば、それも国会でしっかりと今後とも議論すべきだということを申し上げて、次の森友問題に移りたいと思います。

 私は、昨年二月十五日に衆議院財務金融委員会で森友学園問題を初めて取り上げて以来、一年十カ月にわたってこの事件の追及と解明に当たってまいりました。しかし、さきの通常国会でも、野党が当委員会で森友問題での集中審議を繰り返し求めてきたにもかかわらず、与党は、六月十九日以来、一般質問さえ拒否し続けてきたわけであります。

 しかし、この問題は時間がたてばやがて立ち消えになるといった問題ではありません。去る十一月二十二日には、会計検査院から、昨年十一月報告に係るその後の検査についてと題した再調査結果が報告されました。表面的な評価に終始とか、疑惑解明にはほど遠いなど、メディアは辛口の評価でありますが、新たな事実も幾つか明らかになっております。

 資料二を見ていただきたい。

 左側の図表六は会計検査院報告書の二十一ページに掲載されたものでありまして、注を見ていただくと、財務省がことし五月二十三日に公表した交渉記録の中で、平成二十七年九月四日に実施された対策工事に関する打合せについて、左側は、近畿財務局が作成した交渉記録に記載されていた内容、右側には、対策工事業者が作成した打合せ記録に記載されていた内容であります。この資料二の右側に掲載した打合せ記録こそ、私が、昨年二月二十四日、予算委員会の場で突きつけた打合せ記録そのものであります。

 財務省に聞きますけれども、これまで財務省は、この打合せ記録を始め、全て廃棄した、知らぬ存ぜぬという態度を繰り返してきたわけですが、この打合せ記録の存在については、今となっては、もちろん認めますね。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十八年三月に籠池氏が財務省を訪問した際の面談の内容につきましては、音声データも公開されておりましたことから、国有財産審理室長に確認をした上で、先方二人が、これまでの経緯や地下埋設物などについて一方的に話をされ、趣旨がよくわからない発言が多かったこともあり、九月四日のメモのことについては、記憶に残っていないといった答弁をしてきたところでございます。

 一方、森友学園の交渉記録につきまして、手控えとして職員が紙媒体で保管していたり、個人のパソコン端末に残されていたりしたものなどがあることがわかりまして、押収されていた文書の写しを入手するなど、捜査当局の協力も得て、五月二十三日に国会に提出をさせていただいたところでございますが、その交渉記録の中には、九月四日のメモを受け取っている記載も含まれているところでございます。

 このように、事実と異なっていたことについて、これまでも、国会で訂正し、おわびを申し上げてきているところではございますが、改めておわびを申し上げます。

宮本(岳)委員 謝罪は当然です。存在が確認されました。

 では、会計検査院に聞くんですが、図表六の右側には、近畿財務局が、建築に支障ある産廃及び汚染土は瑕疵に当たるため、費用負担義務が生じるが、通常の十倍では到底予算はつかないが、借り主との紛争も避けたいので、場内処分の方向で協力お願いすると述べたという打合せ記録の内容を掲載しております。

 報告書を見ますと、これを併記した上で、記載内容の食い違いを解消できなかったと述べておりますけれども、どちらがうそで、どちらが本当だとも書いてはおりません。

 ということは、会計検査院は、この九月四日打合せ記録の内容は、左側記載の近畿財務局の交渉記録と同じ重みを持ってここに、右側の打合せ記録が書き込まれているというふうに受けとめてよろしいですね。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、どちらの方が重みがあるかという点につきましては、会計検査院といたしましては、なかなか判断が難しいというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 つまり、同じ重みを持っているということですね。

 財務省に聞きますが、今回の会計検査院報告書の中身を重く受けとめ、尊重いたしますね。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今回の会計検査院による検査の結果におきましては、改ざんされた決裁文書を会計検査院に提出したことなどにつきまして、会計検査院法第二十六条の規定に違反する旨も指摘されており、指摘は重く受けとめる必要があると考えております。

宮本(岳)委員 ならば、この中身についても、これまでのような知らぬ存ぜぬという態度はもはや通らないということを申し上げておきたいと思います。

 さて、そこで国土交通省であります。

 石井大臣は、十一月二十六日の参議院予算委員会で、我が党の辰巳孝太郎議員が、国土交通省が八億二千万円という値引きの計算根拠にした工事業者の写真について、その電子データを入手した上でデジタル解析を行い、違う穴であるはずのものが同じ穴を撮った写真である事実を突きつけました。大臣は、委員の指摘のように、同じ写真である可能性はあると思いますと答弁されました。

 大臣、これは事実ですね。

石井国務大臣 十一月二十六日の参議院予算委員会におけます質疑におきまして、試掘報告書におけます工事写真ナンバー七とナンバー十一につきまして、同じ写真の可能性はあると思います、ただ、私どもが資料を作成したわけではありませんので、断言することはできませんと答弁をしたところであります。

宮本(岳)委員 資料三を見ていただきたい。これも会計検査院の再調査報告書です。

 報告書三十八ページでは、平成二十八年四月十二日に、近畿財務局内で、近畿財務局と大阪航空局の間で地下埋設物撤去処分費用の見積りに関する打合せが行われたこと、大阪航空局がこの時点における見積り途上の金額六億七千七百三十四万余円を近畿財務局に伝えたこと、これがなぜ最終的に八億二千万円にまで引き上げられたのかについても聞き取りを行っております。

 会計検査院、大阪航空局職員はどのような根拠で見積りの対象範囲を拡大したと報告書三十九ページに記述しておりますか。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、大阪航空局が行った地下埋設物撤去処分費用に係る見積りの変更につきまして、大阪航空局職員から聞き取りを行いました。

 そして、十一月二十二日に参議院予算委員会理事懇談会に説明した資料におきまして、お尋ねの点につきまして、「見積りを見直すに当たっては、過去の調査報告書や地歴等の資料、工事関係者から送付された資料等の根拠を積み上げながら行ったとしていて、実際に工事関係者から送付された試掘調査資料等に基づいて対象範囲の拡大を行うなど」していたことを記述しているところでございます。

宮本(岳)委員 四十ページの部分を読んでいただきましたが、三十九ページには、「工事関係者から送付された写真を改めて確認したところ、対象範囲の拡大を指示された部分の試掘箇所についてもごみが写り込んでいたので、それをもって対象範囲を拡大する根拠とした。」となっておりまして、そして四十ページには、今御答弁のあった、「実際に工事関係者から送付された試掘調査資料等に基づいて対象範囲の拡大を行うなど」したとなっております。これは間違いないと思うんですね。

 そうなりますと、石井大臣が十一月二十六日に認めたように、同じ写真の使い回しである可能性があるならば、私どもが資料を作成したわけではないので断言はできないなどと言っている場合ではないんですよ。工事業者が提出したいいかげんな写真にだまされて一億四千万円も増額したというようなことであれば重大です。大臣、そうじゃないですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪航空局が平成二十八年四月十二日に近畿財務局に提示したその時点のたたき台の試算は、大阪航空局という組織で決裁を経た正式なものではございませんので、詳細に御説明できない部分があることは御理解いただければと思います。

 その上で、大阪航空局の当時の担当職員から聞き取りをした結果を御説明申し上げますと、大阪航空局が平成二十八年四月十二日に近畿財務局に提示したその時点のたたき台の試算では、平成二十二年の地下構造物状況調査でごみが確認された箇所と、くい掘削工事の過程において新たなごみが出たとされる校舎建築部分を対象としておりました。

 一方で、四月十四日付の決裁文書にて提出した見積りについて、深さや混入率といった点は四月十二日時点のたたき台とは変わりはございませんけれども、対象範囲につきまして、工事関係者からの報告書や地歴に係る調査結果を踏まえまして、グラウンドの一部を含めることといたしたということでございます。

 ここの部分につきましては、先般、会計検査院の検査報告書におきましても、今検査院の方からもございましたけれども、大阪航空局が近畿財務局から見積りの増量を依頼をされたとの報道のあった件についてはということで、大阪航空局の職員は、試掘調査資料等を踏まえ、見積りのたたき台からグラウンド部分の一部を見積り対象に追加とした上で近畿財務局への本件見積りを提出しておりますが、このような過程について、「見積金額を増額するような作為があったとは認められなかった。」と記載されているものと承知しております。

宮本(岳)委員 いや、地歴資料とか過去の調査結果というのは最初からあるんですよ。最初からそれはあなた方は持って、六億七千万というときだって、それはもう見ているんですね。でも、専ら対象面積を広げるときに、まさにこの業者の写真を見て広げたというんですから、この写真がでたらめだったら、一億四千万の増額の根拠というのはなくなるわけですよ。だから私は申し上げているんですね。

 大体、この土地は一体幾らの土地なのか、きょうはそこが最大の問題だと思っています。

 そもそも、土地の適正な価格の形成について、不動産の鑑定評価に関する法律で不動産鑑定業や不動産鑑定士について定めるとともに、まさにあなた方国土交通省は不動産鑑定評価基準というものを定めております。

 土地・建設産業局に聞きますけれども、不動産の鑑定評価に関する法律第五条では、不動産鑑定士の責務についてどのように定めておりますか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産鑑定士は、不動産鑑定評価に関する法律に基づき、良心に従い、誠実に鑑定評価等業務を行うこととされております。

宮本(岳)委員 良心に従い、誠実に業務を行い、不動産鑑定士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。だからこそ、不当な鑑定評価を行えば、第四十条以下で、免許取消しに至るまでの懲戒処分も定められております。

 そこで、奇妙なのは、この土地の不動産評価なんですね。

 平成二十八年六月二十日、この豊中の国有地は、不動産鑑定価格九億五千六百万円から大阪航空局が積算した地下埋設物の撤去処分費用約八億二千万円を差し引いて、わずか一億三千万円余りで森友学園に売却されました。

 ところが、そのわずか五十日後の八月十日には、籠池氏は、株式会社財産プランニング研究所という不動産鑑定士から、鑑定評価額十三億円という不動産鑑定評価書を受け取った事実を私は独自につかみました。資料四と五がその鑑定評価書の一部であります。

 そして、九月に入りますと、平成二十八年九月十五日には、さる都市銀行、R銀行が、森友学園に融資する際の担保として、国がこの森友の土地を買い戻す場合の返還金の請求権に質権を設定したいという相談に近畿財務局を訪れます。その際の応接記録が資料六であります。

 そして、資料七と八。十月十七日に再びR銀行が近畿財務局を来訪し、近畿財務局の統括官や大阪航空局の職員と質権設定承認手続の詰めの相談を行った際の応接記録。

 財務省に聞きます。これはいずれも財務省が公表した応接記録ですね。

富山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございます。

宮本(岳)委員 認めました。つまり、R銀行は、近畿財務局と繰り返し相談しながらこの質権の設定ということを進めてきたわけであります。

 そして、資料九。十月十四日付の質権設定承認申請書。赤線部、借入債務明細には金額十億円とあります。十月十二日付で、使途、建物建設資金として、R銀行との間で、森友学園は十億円限度の金銭消費貸借契約証書が作成されております。資料十は、その質権設定契約証書。これらの文書は、いずれも国土交通省提出の文書であって、間違いなく真正なものであります。右側には十月二十五日付で干山大阪航空局長の承認印が押されております。

 さらに、資料十一は、その質権の設定承認について、つまり航空局長が質権設定を承認するに当たって作成された決裁文書。資料十二の「質権設定の承諾理由について」という文書が添付されております。この文書では、下の赤線部、近畿財務局に照会し、法律面から問題ないことについて近畿財務局弁護士の確認を得たことや、国土交通省本省の航空局環境・地域振興課にも問題がないことを確認したとなっております。

 航空局、これらの文書も、いずれも私は国土交通省から受け取ったものでありますけれども、もちろん真正なものですね。

蝦名政府参考人 御指摘のとおりでございます。

宮本(岳)委員 さて、そうなると、この土地は、資料四にお示しをした、八月十日に財産プランニング研究所の熊沢一郎不動産鑑定士が鑑定評価を行った十三億円というのが八月一日時点の土地の正常価格ではないのか。国がこの森友の土地を買い戻す場合の返還金に質権を設定したといっても、一億三千万円で買った土地の返還金は、最大一億三千万ですよ。十億円という融資額、金消契約の担保には遠く及びません。

 この土地に十三億の不動産鑑定評価がついたからこそ、R銀行は森友学園と校舎建設費のための十億円の金銭消費貸借契約を結んだのではないですか、財務省。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御指摘の、いわゆる質権設定といった流れについて、当時の近畿財務局の方と先生御指摘の第三者とのやりとりがあるわけでございますが、当時の担当者にも確認をいたしましたところ、まず、この売買契約上、指定期日である平成二十九年三月三十一日までに必要な工事を完了し、指定用途に供さなければならないというふうにされておりますので、指定用途である小学校に供するための資金計画の内容の変更が小学校開校までのスケジュールにどのような影響を及ぼすのかを把握する必要があったということから、この第三者からの御相談に応じていたというものでございまして、具体的な資金計画あるいは質権設定といったような内容について、近畿財務局として何らかの判断をした、そういうものではございません。

宮本(岳)委員 近畿財務局の応接記録、改めて資料の六、七、八というところを見ていただけばわかるんですけれども、例えば資料七を見ていただくと、一番下に赤線、当初、何々に融資実行を行う予定と聞いていたが、何月何日となった理由について、差し支えない範囲で教えてほしいと。

 十億円の融資をいつ実行するかについてまで近畿財務局は聞いて、資金計画そのものにコミット、相談に乗っているわけですよね。この十億円という融資、これが間違いなく校舎建設費用を意味するものであることは明らかであります。

 誰が聞いても理解に苦しむのは、わずか五十日前には一億三千万で売り買いした土地が、五十日たったら十億円の融資のいわばよりどころになった、十三億円という不動産鑑定書が出たと。十三億円の土地だと言っているわけですよ、この熊沢さんという不動産鑑定士は。

 不動産鑑定士は、いいかげんな鑑定をしてはなりません。いいかげんな鑑定をすれば、先ほどの法律四十条で懲戒されてしまいます。ですから、十三億円です、この土地は。

 十三億円のものを一億三千万で売っておいて、この干山さんという航空局長はなぜ承認印を押しているのか。いかがですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の質権の設定につきましては、森友学園と金融機関の二者間で行われたものでございますけれども、具体的には、森友学園との本件土地の売買契約締結後の平成二十八年十月十二日に、森友学園が金融機関から建物建設費用として限度額十億円を、当時の時点では三億一千百万円ということのようでございますけれども、を借り入れる契約を結んだことを受けまして、国が売買契約の解除や買戻し権を行使した場合の、最大でも約一・三億円である売買代金の返還金の請求権について、借入れの担保として森友学園が質権を平成二十八年十月十四日付で設定したことにつきまして、返還金を支払う相手方が森友学園から金融機関にかわるために、十月十四日付で第三者である国の承認を求められて、十月二十五日付で承認を行ったものであります。

 土地そのものに質権が設定されているわけではございませんで、この質権により担保されている額は、金融機関等の第三者の土地の評価額とは関係がなくて、最大でも売買代金である約一・三億円でございます。

 更に申し上げますと、この債権に質権を設定する場合に、当該債権の債務者にとっては、弁済先がかわることになるので、これを債務者に承認してもらう必要があるわけでございまして、大阪航空局の行った承認といいますのは、森友学園が大阪航空局に対して有する売買代金の返還請求権という債権の弁済先が森友学園から金融機関にかわるということについての承認でございます。

 したがいまして、みずからの債務の弁済先が変更されることを承認したものでございまして、森友学園が本件債権を担保として金融機関から借入れを行うことを承認したわけではないということでございます。

宮本(岳)委員 時間ですよ。時間ですから、また次回に譲りますけれどもね。

 ちなみに、一つだけ聞きましょう。

 財産プランニング研究所の熊沢一郎不動産鑑定士という人はどういう人かといえば、資料十三及び十四につけております。

 この方は、この国有地を森友学園に定期借地契約で貸し付け、最終的に約一億三千万円で売却した、そのスキームを審議し、承認した第百二十三回国有財産近畿地方審議会の委員なんですよ。当人なんですよ。これは事実ですね、財務省。これで終わりますけれども。

谷委員長 財務省富山理財局次長、答弁は簡潔に願います。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 財務局にはそれぞれ国有財産地方審議会が設置されておりまして、その委員については、学識経験のある者を任命しているところであります。

 熊沢一郎氏は、不動産鑑定士として近畿不動産鑑定士協会連合会会長等を歴任されているということで、平成二十五年九月から平成二十九年九月まで約四年間、近畿地方審議会の委員をお願いしているところでございますが、いずれにしても、鑑定評価でございますので、森友学園が依頼したものにつきまして、専門職業家である不動産鑑定士がその責任において鑑定評価を行ったものであると考えております。

宮本(岳)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、この熊沢委員という人が、では、その審議会でどのように発言したか、この土地は本当は一体幾らの土地なのか、きょうは時間が来たので終わりますが、次回に譲って、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。

 まず、前回に引き続きまして災害の対応、これについてもう少し、私の地元での状況も含めまして御質問させていただければと思います。

 まず、高潮対策ということでございます。

 前回、台風二十一号で、高潮対策、大変大きな被害が出て、しっかり対応をお願いをしたいということをお話をさせていただきました。この高潮の対策、いわゆる防潮堤を今までつくっておりまして、防潮堤の外側のいわゆる堤外地というか港湾のところも含めて、かなりいろいろな被害が出たということを前回質問をさせていただきました。

 実際、堤外地もそうなんですけれども、防潮堤の内側も、やはり今回、浸水被害などさまざまな被害が出たというふうに思っております。例えば神戸の東灘区でございますとか芦屋市でございますとか、私も現地を見てきたところもございまして、今まではこういうところで浸水をするとはとても思わなかった、こういうふうな当時の状況も伺ってきたところでございます。

 こうした、海のところにつながっている河川の関係の区域、そして、そこを高潮で越えていった、そういうところにつきましては、しっかりと今回ぜひ対応もしていただきたいというふうに思いますけれども、加えまして、例えば芦屋のケースでありますと、防潮堤の高さというのは、実はもともと想定していた基準よりも実際高さが調べてみたら今回低かった、こういうこともわかった、こういうこともニュース等で報じられていたわけでございます。

 今後の整備あるいは対応につきまして、国土交通省、答弁いただければというふうに思います。港湾局長、よろしくお願いします。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の芦屋市の防潮堤でございますが、南芦屋浜地区の防潮堤、今回被災した防潮堤でございますが、それについて申し上げますと、必要高さは、海岸管理者であります兵庫県が技術上の基準に基づいて決めてございます。必要高さは場所によって違いますが、例えば南側護岸について申し上げますと、必要高さ五・二メートルのところでございますが、現状は、沈下等により約五メートルの高さになっておるという状況でございます。必要高さよりも低い状況でございますので、対応が必要であるというふうに認識してございます。

 今般の浸水被害を受け、兵庫県におきまして、有識者等による委員会を設置し、近畿地方整備局が実施しております大阪湾全体の高潮、波浪シミュレーションに基づきまして、南芦屋浜地区等における台風二十一号による高潮現象の解明を進めてございます。年度内に、防潮堤のかさ上げ等の今後の高潮対策を取りまとめる予定でございます。

 さらに、政府を挙げて実施いたしました重要インフラの緊急点検におきまして、防潮堤の必要高さの確保状況も点検の対象としてございます。点検結果を踏まえて、緊急対策の取りまとめを進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、兵庫県と連携して、南芦屋浜地区を含めて、今後の高潮対策の検討を進めるとともに、重要インフラの緊急点検結果を踏まえ、防潮堤のかさ上げ等の高潮対策をしっかり進めてまいります。

中野委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、大臣に、もう少し全体的な話というか、それも含めてお伺いをしたいんですけれども、やはり今回の台風の二十一号、こうしたことを受けまして、予防的なインフラの整備、これが非常に大事だということが指摘をされております。

 例えば、大阪湾でいいますと、第二室戸台風というのが昭和三十六年にございまして、今回はそれを上回る潮位であったわけでございますけれども、当時の被害、こういうものも想定しながら照らし合わせますと、大阪湾では、第二室戸台風以降、約千三百億円以上かけて防潮堤を整備をしてきた、結果として今回の被害は抑えられたわけでございまして、被害の抑止の効果は約十七兆円に上るんではないか、こういう試算も伺ったわけでございます。

 私の地元の兵庫県尼崎市でも、少し調べてみましたところ、昭和二十五年にジェーン台風というのがございまして、これで大変に、市内で二万五千戸以上が浸水ということで、非常に大きな被害が出た。これを受けまして、市の方でもかなり負担をしながら防潮堤を整備をいたしまして、その後の、第二室戸台風のときは浸水被害は約一千戸まで抑えた、今回の台風ではそうした浸水被害というのは非常に少なかったということでございます。

 こうしたケースを考えますと、やはり今回の被害を受けまして、全国でインフラ総点検というのを行っていただいているわけでございまして、これを踏まえて集中的に必要な整備をしていくということも特に言われております。

 やはり、予防的にインフラを整備をしていく、これが非常に大事であるというふうに思います。特に、例えば私の地元の兵庫県におきましては、南海トラフ巨大地震への対応、こういうものも含めまして、やはり防潮堤など、こうした整備というものを加速化させないといけない、こういうことで私も考えております。

 集中的な今後の予防的なインフラの投資、こういったものへの御決意ということで、ぜひ大臣に答弁いただきたいというふうに思います。

石井国務大臣 南海トラフ地震は、今後三十年以内に発生する確率が七〇ないし八〇%程度と想定をされており、防災、減災、国土強靱化の重要性から、その対策は喫緊の課題と認識をしております。

 兵庫県におきましては、防潮堤のかさ上げや液状化対策等を推進をしているところであります。

 国土交通省といたしましては、南海トラフ地震の切迫性、今般の重要インフラの緊急点検の結果等を踏まえまして、防災、減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を含めて、必要な公共事業予算の確保に努めまして、兵庫県を始めとする南海トラフ地震、津波の被害が懸念される地域に対しまして、必要な対策を重点的に推進してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 必要な対策を、この三カ年の計画も含めて、重点的にやはりやることが大事だと思っております。

 通常の予算の枠内でございますと、こうした巨大な災害への備えというのはやはりなかなか進んでいかないわけではございまして、地元からは、しっかりこうした、通常の予算とはもっと、別枠というか、本当に大きなものも、予算も確保しながらぜひやってほしい、こういうふうな御要望もあるわけでございまして、ぜひともお願いをしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、政府参考人の、きょうは内閣府に来ていただいておりますので、少しお伺いをしたいのが、大きな災害が起こるたびによく言われますのが、それぞれの被災地域で対応するのは自治体の職員でございまして、それぞれの自治体の職員は、なかなか、非常に大きな災害というものに、必ずしも対応になれていないケースというのが非常に多いんじゃないか、結果としては、罹災証明がどれだけ迅速に出せるか等々も含めて、実際の復旧復興というものに向けて結構時間がかかってしまっているんじゃないか、こういうことがよく言われております。

 そういった意味で、防災に対応する自治体のそれぞれの職員の方の育成というのは非常に大事だというふうに思っております。

 政府としても、東日本大震災等々を受けまして、やはり、こうした災害に備える専門的な職員というか、こうした者が大事だということで研修などを行っているというふうに承知はしておりますけれども、現在の取組、そして、どのくらいの規模というか、大体年間どのくらいの人数でこうした研修等々、規模感で行っているのか、こういうことも含めてお答えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体におきまして、災害対応を担う職員が平時から十分な防災知識を身につけ、災害時に適切に対処できる体制を構築していくことは、先生御指摘のとおり大事なことだと考えております。そのため、関係省庁におきましても、自治体職員を対象としたさまざまな研修を実施しているところでございます。

 例を挙げますと、例えば、都道府県及び指定都市の防災、危機管理部門のトップを対象に、内閣官房、内閣府、消防庁の共催で行っております防災・危機管理特別研修、それから、防災実務を担当する職員を対象としまして、これは内閣府で行っているものでございますが、東京で行っている防災スペシャリスト養成、有明の丘研修、地方で地域別総合防災研修、また、国民保護の観点も含めたものとして、消防庁におきまして、危機管理、国民保護研修などを行っております。

 今四つ御紹介いたしましたけれども、他省庁においても多数やっておると認識しております。

 また、このほかにも、消防庁では、インターネットを活用してどなたでも防災について学習できる防災・危機管理e―カレッジなどを開催しているところでございます。

 ただいま四つの研修を申し上げましたけれども、今年度、まだ動いておりますが、今後実施するものも含めまして、今年度の受講人数は延べ千四百名程度を想定してございます。

 また、研修受講者が研修内容を職場内で共有することを推奨しておりまして、自治体内で防災知識が広がり、防災力が一層向上することを期待しているところでございます。

 今後とも、これらの研修を通じまして、職員のみならず組織としての災害対応能力が向上するように引き続き努めてまいりたいと思ってございます。

中野委員 答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 やはりこうした取組というのが非常に大事だ、こういうことを平時にずっと備えていくことで、やはり、いざ有事というときにしっかり対応ができるんだろうというふうに思っております。

 他方で、私、少し感じたところがございますのが、どうしても、本省の方でこうした研修を行っていく、非常に大事なんですけれども、年間千四百名程度、四つの研修でということもお話をいただいたところなんですけれども、自治体職員全体でいいますと、一般行政部門でも九十万人以上で、非常な、それ以外の部門も含めると二百万とか三百万とかそのくらいの数の職員でございますので、やはり、それぞれの地域でもいろいろな専門機関もございますので、本省でしっかりそういうこともやっていく、それぞれの地域でまたこうした育成もしていく、これが、どちらもやっていくというのが私は大事なのではないかなというふうに少し感じたところもございます。

 例えば、兵庫県の中の大学でいいますと、防災士の資格を取る、そういった者に向けたリカレント教育、こうした講座を準備しておるようなところもあるわけでございます。こうした大学も含めて、各地域にさまざまな専門的な機関、あるいはそういった知識を備えているところというのはあるわけでございまして、こうしたところも活用しながら、防災に対応する自治体の職員を育成していく、こうした取組というのもぜひ推進をしていっていただきたい、このように思いますけれども、政府の方で何かお考えがあれば、答弁いただければと思います。

小平政府参考人 お答えいたします。

 災害対応を担う人材の育成を行う上で、大学等の専門機関の持つ知識と経験を生かしていくことは非常に重要だと考えております。

 先ほど実例をお話しいたしましたけれども、内閣府で行っております防災スペシャリスト養成、有明の丘研修、この研修におきましては、学識経験者の方々に各研修コースのコーディネーターをお願いしてございます。そういうことを通じまして、この学識経験者の皆様方で構成された委員会におきまして、研修のカリキュラムや手法の改善等についても御議論いただいて、研修内容の充実を図っているところでございます。

 内閣府といたしましても、学識者等のネットワークを活用して、自治体における人材育成や研修のさらなる充実に努め、地域における防災力の向上を推進してまいりたいと思います。

中野委員 これは、それぞれの自治体における取組というところも、かなり自治体によって温度差というか、そういうのもあるというふうにも思います。それぞれの地域でもまたこうした取組を、機運を盛り上げていくということも、それぞれの地域で、私も地元で推進をしていきたいというふうに思いますので、どうか国の方でもまたしっかりと対応していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと時間も迫ってまいりましたので、少し急いでまいります。

 安全、安心の確保ということで、二つ質問したいと思います。

 一つは、ことしの十月にKYB株式会社、免震・制振ダンパーの検査で不正について公表した、こういう事案がございまして、これは、日ごろ使われている建物であるとかマンションであるとか、こうしたものの安全性にかかわるということで、大変に大きな不安の声も寄せられたところでございます。

 部会におきましても、万全の対応、しっかり国土交通省として再発防止をどうしていくかということも含めて対応していただきたいということで、要請をお願いしたところでございます。

 この問題につきまして、現状、そしてまた安全、安心を確保するための今後の取組ということで、政府から答弁をいただきたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事例発覚後、直ちに、国土交通省から各社に対しまして、所有者など関係者への丁寧な説明、構造安全性の確認、交換の迅速な実施等について指示をしたところであり、この確実な確保に向けて引き続き努力をしてまいります。

 あわせまして、大臣認定を取得いたしました他の免震材料の製造事業者につきまして、十月末までに、既に公表済みの事業者を除きまして、そのほかの全社から、不正や不適合はないとの社内調査の報告がありましたけれども、引き続き、第三者機関による品質管理体制についての調査の結果報告を十二月二十一日までに報告するよう求めているところでありまして、もしも適切な品質管理体制が確保されていない場合には、その改善を求めていきたいと思っております。

 さらに、専門的見地から、原因究明の検証と、再発防止策などを検討して提言をいただくことを目的として、国土交通省に外部有識者委員会を設置いたしまして、十一月九日に第一回を開催いたしました。今後、年度内をめどに報告を取りまとめていただく予定としております。

 国交省といたしましては、引き続き、所有者等の安心の確保に向けて、各社を指導していきますとともに、外部有識者委員会からいただきます提言を踏まえて、再発防止に向けて必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

中野委員 安全、安心という意味ではもう一つございまして、それは、自動車の完成車の検査、これについてもやはり不正が相次いでいるという状況でございます。

 日産あるいはSUBARU、こうした、非常に大きくて、しっかりしているんじゃないか、このように思っていたところで不正が相次いだということでございまして、製造業についての品質の確保、これが本当に大丈夫なのか、こうしたお声もいただいているわけでございます。

 この自動車の完成品の検査の不正行為について、こちらも現状、そして今後の取組について答弁を求めたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の秋以降、複数の自動車メーカーにおきまして、完成検査の不適切事案が相次いで判明し、コンプライアンス上の不適切な事案が続発していることは極めて遺憾でございます。

 これらは、業界全体の構造的かつ体質的な問題に起因するのではないかとの厳しい視線が向けられかねない重大な問題であるというふうに考えておりまして、自動車メーカー各社にあっては、コンプライアンス重視を浸透させることにより、信頼回復に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 これらに対しましては、国土交通省におきましては、「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース中間とりまとめ」の内容に基づきまして、必要な省令改正を行い、ルールの遵守と不正の防止を図りますとともに、今後も、経営層に対する取組状況の聴取でありますとか、効果的な監査の実施に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、SUBARUにつきましては、完成検査の現場業務の把握、管理について再点検を行うなど、必要な措置を講ずるよう、十一月十四日、自動車型式指定規則に基づきまして、大臣より勧告も行ったところでございます。

 なお、今後ということにつきましては、今回の一連の事案を踏まえまして、タスクフォースの中間取りまとめにおいて指摘されておりますとおり、型式指定制度の運用実態を踏まえながら、制度の見直しを含め、より効果的な対応について検討してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 やはり、安全、安心の確保というのが大事なんだ、こういうことをしっかり企業文化として徹底をさせる取組というのが大事になってくると思います。

 それをしっかりと国土交通省として推進をしていっていただきたい、これを最後にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

谷委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、盛山正仁君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会及び日本維新の会の六会派共同提案により、お手元に配付してありますとおり、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。盛山正仁君。

盛山委員 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。

 我が国において、障害の有無、年齢等にかかわらず全ての国民が共生する社会の実現に向けた取組を進めることが必要となっており、バリアフリー化の推進のみならず、あらゆる人が活力ある日常生活を送り、社会活動に参加することができるユニバーサル社会の実現が求められております。

 一方、我が国においては、障害者、高齢者等に関する個別の施策は大きな進展を見せているものの、これらの施策を統一的かつ有機的な連携を持って進める仕組みが不十分であることが指摘されております。

 本起草案は、このような現状に鑑み、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の推進に関し、国などの責務を明らかにするとともに、その実施状況の公表及び策定等に当たっての留意事項等を定めることにより、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を総合的かつ一体的に推進しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の推進に関する国及び地方公共団体の責務並びに事業者及び国民の努力を定めることとしております。

 第二に、国は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を実施するために必要な法制上又は財政上の措置等を講じなければならず、地方公共団体は、必要な財政上の措置等を講ずるよう努めなければならないこととしております。

 第三に、政府は、毎年一回、政府が講じたユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の実施状況を取りまとめ、公表しなければならないこととしております。

 第四に、国及び地方公共団体がユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定及び実施に当たって、特に留意しなければならない事項を定めることとしております。

 第五に、国及び地方公共団体は、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策を策定し、及び実施するに当たって、障害者、高齢者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。

 第六に、政府は、関係行政機関相互の調整を行うことにより、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進を図るため、ユニバーサル社会推進会議を設けることとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 ユニバーサル社会推進法案を起草したいとのお話を伺ってから、私も、障害者団体、高齢者団体、LGBTの団体、それからユニバーサルデザイン推進条例をつくった中野区の審議会の委員を務められた方などからいろいろと御意見を伺いました。その上で、幾つか確認をしたいと思います。

 本法案は、障害者基本法やバリアフリー法などに基づく施策を、ユニバーサル社会の実現に向けた施策として総合的、一体的に推進しようというものだと理解しております。

 そうであれば、ユニバーサル社会の実現のためには、その施策を規定している個別法をより充実させることが必要で、実際、障害者団体などからもそうした要望が出ております。

 例えば、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会がことし一月二十九日に自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟に宛てた要望書では、バリアフリー法改正及び関連施策についての要望事項として、可能な限り、改正法に移動の権利を明記するなど法律の目的を明確に規定してほしいなどの事項が並んでおります。残念ながら、さきのバリアフリー法改正では移動の権利は盛り込まれませんでした。

 しかし、本法案は、第八条第三号で移動の利便性及び安全性の確保をうたい、第六条で法制上の措置が規定されております。

 今後、こうした団体の要望にも応えて、移動の権利を始め、個別法をより充実したものに改正していく、そのことを促していく法案であると私は理解したいと思いますが、いかがでございましょうか。

盛山委員 今、宮本先生が御指摘いただいた自民党の議連の事務局長を私は務めておりまして、その御要望は承りました。

 ただ、今回のいわゆるバリアフリー法の改正は政府提出の法案ということでございまして、この移動の権利につきましては、平成二十五年に交通政策基本法が制定された際、関係審議会において議論が行われました。また、改正バリアフリー法の立案に対する政府と関係者団体との検討会でも議論があったものと我々も承知をしております。

 そして、それらの議論の場におきましては、移動の権利の内容等について、まだ実定法における権利として規定できるだけの国民のコンセンサスが得られているとは言えないとされまして、その法定化は時期尚早とされたところと承知しております。

 本法案では、宮本委員御指摘のとおり、第八条第三号におきまして、障害者、高齢者等の移動上の利便性及び安全性を確保することをユニバーサル施策の策定等に当たっての留意事項として定めております。第六条に定める法制上の措置を含めまして、具体的な措置につきましては、この法案が成立、施行された後、政府で検討されることと期待しております。

宮本(岳)委員 本法案によって、移動の権利を始め、個別法がより充実したものに改正されていくことを心から期待したいと思います。

 次に、いわゆるLGBTと呼ばれる方々に対する認識について確認をしたいと思うんです。

 今度の法案では、LGBTの方々は対象とされていないと伺っております。しかし、ユニバーサル社会と言うからには、当然、その社会にはLGBTの方々も含まれると考えるわけですが、そういう理解でよろしいでしょうか、小宮山委員。

小宮山委員 宮本委員におきましては、関係の当事者の方々の話を聞いた上での質問ということで、ありがとうございます。

 本法案が目指すユニバーサル社会とは、法案第二条第一号において、障害の有無、年齢にかかわらず、国民一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する社会をいうと定義されております。

 このユニバーサル社会においては、LGBTの方々も当然その構成員であると考えております。

宮本(岳)委員 ありがとうございます。

 私は、本法案を審査する際に、中野区のユニバーサルデザイン推進条例の策定に向けて同区から諮問を受けた中野区ユニバーサルデザイン推進審議会の委員をされた方からお話を伺いました。

 この審議会では、ユニバーサルデザインを定義する際には、誰もが、多様な人々がという表現のみではなく、その中にどういった人が含まれているのかが明確になるように、対象を具体的に列記する必要があると考えます、具体例として、高齢者、障害者、子育て世代、外国人、LGBT、女性があります、本人の特性としては、年齢、性別、国籍、障害の有無、性自認、性的指向が挙げられますなどの意見が出されております。

 こうした地方自治体における条例制定の際の議論から見ても、ユニバーサル社会の名を冠するのであれば、LGBTの方々がその対象となっていくのは当然のことだと私は考えます。

 さて、障害者の雇用の問題では、民間企業に率先して積極的に取り組むべき中央省庁で水増しされていたということが大問題になり、社会問題となっております。国土交通省でも六百二十九人が水増しされ、国税庁に次いで二番目に多いという恥ずべき実態が明らかになりました。

 本法案は、第八条二号で、「障害者、高齢者等の多様な就業の機会を確保すること。」と規定されておりますが、障害者雇用の水増し問題に本法案はどのようにコミットするのでしょうか。お教えいただけますか。

小宮山委員 委員御指摘のように、本法案第八条第二号では、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の策定及び実施に当たっては、障害者、高齢者等の多様な就業の機会を確保することについて留意するように定めております。

 今般の、先ほど指摘がありましたが、国の行政機関の多くでの障害者の法定雇用率を達成していないという状況が明らかになったということ、これは本当に猛省を促すところではございますが、そのような状況の中では、本法案第八条第二号の趣旨からすれば、極めて残念なことでもあります。

 今後、公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議で決定された基本方針に基づき、法定雇用率の速やかな達成、障害者の活躍の場の拡大に向けて取組が進められると承知しておりますが、その進捗状況については、本法案第十三条に規定するユニバーサル社会推進会議においても必要に応じて把握することが望ましいと考えております。

 御質問ありがとうございます。

宮本(岳)委員 障害者雇用の水増し問題は、それ自身、当委員会で集中審議すべき重大な問題だと思います。今後二度とあってはならないことでありますけれども、本法案が同様の問題を起こさない歯どめとなることを期待したいと思います。

 本法案にかかわって、幾つか確認してまいりました。我が党は本法案にあえて反対するものではありませんけれども、ユニバーサル社会の実現のためには、その施策を規定している個別法をより充実させることが重要であります。そうしてこそ、本法案も実効性あるものになると考えます。そのことを指摘して、質疑的発言を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 これにて発言は終了いたしました。

 これより採決いたします。

 ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十二月四日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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