第6号 平成30年12月5日(水曜日)
平成三十年十二月五日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君
理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君
理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君
理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君
秋本 真利君 鬼木 誠君
加藤 鮎子君 門 博文君
金子 俊平君 金子万寿夫君
神谷 昇君 工藤 彰三君
小島 敏文君 古賀 篤君
田中 英之君 田野瀬太道君
田畑 裕明君 高木 毅君
谷川 とむ君 土屋 品子君
中谷 真一君 鳩山 二郎君
福田 達夫君 藤井比早之君
堀内 詔子君 三谷 英弘君
宮内 秀樹君 宮路 拓馬君
宗清 皇一君 望月 義夫君
盛山 正仁君 簗 和生君
初鹿 明博君 福田 昭夫君
道下 大樹君 森山 浩行君
伊藤 俊輔君 小宮山泰子君
下条 みつ君 伊藤 渉君
北側 一雄君 広田 一君
もとむら賢太郎君 宮本 岳志君
井上 英孝君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
農林水産副大臣 高鳥 修一君
国土交通副大臣 塚田 一郎君
法務大臣政務官 門山 宏哲君
国土交通大臣政務官 工藤 彰三君
国土交通大臣政務官 田中 英之君
会計検査院事務総局第三局長 戸田 直行君
政府参考人
(財務省理財局次長) 富山 一成君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官) 宮嵜 雅則君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 藤井 直樹君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 野村 正史君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 青木 由行君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 塚原 浩一君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 池田 豊人君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 石田 優君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 蒲生 篤実君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 蝦名 邦晴君
政府参考人
(気象庁長官) 橋田 俊彦君
政府参考人
(海上保安庁長官) 岩並 秀一君
国土交通委員会専門員 山崎 治君
―――――――――――――
委員の異動
十二月五日
辞任 補欠選任
加藤 鮎子君 宗清 皇一君
門 博文君 金子万寿夫君
中谷 真一君 田畑 裕明君
福田 達夫君 堀内 詔子君
藤井比早之君 田野瀬太道君
山本 公一君 宮路 拓馬君
荒井 聰君 初鹿 明博君
同日
辞任 補欠選任
金子万寿夫君 門 博文君
田野瀬太道君 藤井比早之君
田畑 裕明君 中谷 真一君
堀内 詔子君 福田 達夫君
宮路 拓馬君 山本 公一君
宗清 皇一君 金子 俊平君
初鹿 明博君 荒井 聰君
同日
辞任 補欠選任
金子 俊平君 加藤 鮎子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○谷委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長藤井直樹君、土地・建設産業局長野村正史君、都市局長青木由行君、水管理・国土保全局長塚原浩一君、道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、鉄道局長蒲生篤実君、自動車局長奥田哲也君、航空局長蝦名邦晴君、気象庁長官橋田俊彦君、海上保安庁長官岩並秀一君、財務省理財局次長富山一成君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。
○初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。
今国会から国土交通委員会を外れてしまいましたが、きょう、このような機会をつくっていただいたこと、まずは同僚の皆様、そして与党、野党のほかの会派の皆様にも、心から御礼を申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきますが、私は今、超党派の議員連盟で、公共事業チェック議員の会、そういう会があるんですけれども、その議員連盟の事務局長をさせていただいております。その関係で、ことしの夏、通常国会からこの臨時国会までの間に、全国各地、いろいろな現場を視察に行って、その現場の状況を見てきました。自分で目で見てきたそのことも踏まえて、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず最初に、大臣、通告していないんですけれども、「ほたるの川のまもりびと」という映画を御存じでしょうか。
○石井国務大臣 いや、存じ上げません。
○初鹿委員 大臣、ぜひ調べて見ていただきたいなと思うんですね。
今、ロードショーをやっているわけではないので、自主上映会だとか、全国各地いろいろなところで上映が行われているんですが、この映画はどういう映画かというと、長崎県の石木ダムの反対運動をしている住民の方々、十三世帯いるんですけれども、十三世帯五十四人の日常を描いたドキュメンタリー映画なんです。
石木ダムというのは、もう五十年以上にわたって反対運動が起こっていて、現在では事業認可取消しの訴訟をこの地権者の皆様が提起をし、一審は原告が敗訴をしてしまったわけですが、また控訴をして、今、訴訟が行われているという事業であります。長崎県の事業ですから、国は補助をしている、そういう立場ではあるものの、やはり一定の予算を使っているわけですから、全く無関係とは言えないんだろうと思います。
この石木ダムでは、今、現地では、つけかえ道路の工事が始まっております。工事が始まるか始まらないかというときには、本当に住民の方々がバリケードを張って、それこそ重機の下に潜り込んだりして、非常に激しい抗議行動をしていたんですが、現状では、そこまではさすがにもうやり切れないということで、そういう物理的な抵抗はしていないんですが、毎日ですよ、毎日、この工事現場の入り口のところに住民の方が座込みをして抗議を行っている。そういう状況に、今、石木ダムというのはあるわけです。
そして、この石木ダムの問題というのは五十年以上続いてきているので、これは反対派の住民の方は非常に勉強されているんですね。
このダムは、利水と治水の多目的ダムということでつくられているわけです。特に利水面、佐世保市が水道水として必要だということでこのダムを進めているわけですが、その佐世保市の水道の需要が、本当にこのダムをつくらなければならないほどのものなのかということに住民の方は非常に疑問を持っているわけであります。
そこで、資料、一番最後のページの表面の方を見ていただきたいんですが、こちらに、佐世保市の一日の最大取水量の実績と市の予測というグラフをつけさせていただいております。これは、佐世保市の水道局の資料から、この水問題に取り組んでいる市民団体の水源連がグラフ化したものでありますが、予測と実績で大きく乖離をしているのがわかると思います。
実績は、ずっと一九九〇年代から、多少上下ありますけれども、基本的には右肩下がりでどんどんどんどん水が不要になってきているわけですね、使われなくなってきているわけであります。ところが、なぜか予測値では、見てください、急激に水の需要が上がるような予測になっているわけです。
それで、この実績と予測の乖離が余りにも大きいということで、住民の皆さんからすると、もう一度きちんとこの予測をやり直した方がいいんじゃないか、やり直した上で、本当に水が必要かどうかを示してほしいということを求めているわけです。
今月に入って、佐世保市の市民団体四団体の皆さんが、佐世保市に対して公開質問状を出しているんですね。市の広報に書いてあることが、これが不適切じゃないか、そういうことも含めて公開質問状を出していて、それに対して佐世保市も、一応真摯に受けとめて、きちんと丁寧に文書で回答をしてきていると。
この姿勢自体は評価はするところですけれども、しかし、その回答の前提としては、この実績と乖離をしている予測を前提にしているわけです。果たしてこれで住民の皆さんが納得するのかというと、私は納得はできないんだろうというふうに思います。
この石木ダムは、事業認可が行われたのが二十五年ですから、五年たっているわけですね。つまり、五年前に予測がされたものが、五年間ずっと、傾向が全く違うわけですよ。こうやってはね上がるような予測をしていますが、実際にはどんどんどんどん右肩下がりになっている。
こうやって、一定期間、実績と予測が大きく食い違っているような状況が見られるならば、やはり、こういう大型のダムを建設するような事業をやるに当たっては、この水需要の予測というものをもう一回やり直させる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。
佐世保市は、水道事業者として安定的な水の供給が求められる中で、慢性的な水源不足を改善するために、石木ダム建設事業に参画していると承知しております。
委員から御指摘のありました佐世保市の一日最大給水量の水需要予測と実績の乖離につきましては、水需要予測値は渇水や事故等の非常時の対応を含めて算出されておりまして、特に渇水や事故等が発生しなかった場合には、実績値が予測値を下回ることは当然に想定されることでございます。両者に差が生じていることをもって、直ちに水需要予測の見直しが必要となるものではないと考えております。
これまで、佐世保市におきましては、厚生労働省の定める水道施設整備事業の評価実施要領に基づきまして、水需要予測の見直しを含む再評価を行ってきたところでございまして、今後とも、法令等に基づき適切に予測、評価が行われるよう、厚生労働省としても必要に応じ指導してまいりたいと考えているところでございます。
○初鹿委員 慢性的な水不足といいますけれども、水不足にこの数十年間なっていないですよね。実績と予測の乖離だけで見るものじゃないということですけれども、でも、明らかにこれは乖離しているじゃないですか。傾向が全く違うじゃないですか。これから長崎の佐世保市の人口が急激にふえることがあるんでしょうか。人口が減少して水の使用量が減ることはあったとしても、急激にこんなにふえるようなことはないと思いますよ。一・五倍ぐらいの予測を出しているわけですよ。
私はやはりこれは不適切だと思うので、もう一度予測値を出させ直すことをやはり国は求める必要があると思います。国だって税金で負担をするわけですからね。そんな、佐世保のことだからということで、他人事のようなことは言わないでいただきたいなと思います。
もう一点、今度は治水の面でも疑問が非常にあります。
この石木ダムというのは、川棚川という本流に流れ込む石木川という支流につくるダムなんですね。河口部からたったの二キロのところにつくります。川棚川全体の水源域からすると一一%しかカバーしない、そういうところにダムがつくられるわけで、川棚川本流の洪水にはほとんど影響がないんじゃないかということが指摘をされております。
現地に行って正直びっくりしたのは、一番河口に近いところに行ったんですね、川棚橋という橋があって、それよりも河口部分は堤防が全くないという状況なんですよ。例えばこのテーブルが、家が建っている地表面だとすると、もう、すぐこの下、五十センチぐらい下に川の水面があるというように、のぞき込んだらすぐに水があるような状態で、堤防らしい堤防がないという状況にあるわけです。
よくよく現地の方々の話を聞くと、橋よりも上流は河川部の管理になっているんだけれども、橋から海までの間は港湾の管理になっているから、河川整備の予算がこちらでは使われていなくて、港湾の予算になるから、全く堤防の整備などがされないということなんですね。
まず、こういう縦割りみたいなこともそもそも見直す必要があるんじゃないかと思うし、これだけ水が目の前にあるような状態で、洪水になったら大変だといってダムをつくるくらいだったら、まずこっちを先にやれよということなんだと思うんですね。
それだけじゃなくて、またちょっと上流の方に上がって、石木川と川棚川がぶつかる合流地点に行くと、物すごい土砂が堆積をしております。合流地点というのは往々にしてそういうことがあると思いますが、河道の半分ぐらいは埋まっているわけですね、平時ですけれども。こういう状態だと、例えば、ことしの豪雨災害で、肱川などが緊急放流をする、せざるを得ないということになった、そういう事態になったときに、明らかに合流地点で水があふれるようなことになりかねない。
ダムをつくるよりもまず先にやるのは、こういう河道の整備とか、堤防がないところの堤防をつくるということが私は優先順位は高いんじゃないかと思いますが、河道の整備だとか堤防をつくるとか、こういうことを先にやるべきではないかということについて、どのようにお考えになっているんでしょうか。
○塚原政府参考人 お答え申し上げます。
二級水系の川棚川につきましては、長崎県が、川棚川水系の河川整備計画に基づきまして石木ダム建設事業を進めるとともに、中流の石木地区等におきまして、現在、河道掘削等の河川改修を進めているところでございます。
また、委員御指摘の川棚橋下流の堤防につきましても、長崎県がかさ上げを実施するということとしておりまして、現在、着工に向けて地元調整を行っているというふうに聞いております。
今後とも、河川ごとの特性を踏まえつつ、港湾管理者等関係機関とも連携を図りながら、治水対策を支援してまいりたいというふうに思います。
また、これも委員御指摘の石木川と川棚川の合流部周辺では、土砂の堆積が見られるという状況になっております。過去にも河道掘削を実施したところでありますけれども、再度土砂が堆積をしているという状況でございます。
本年七月豪雨におきまして各河川で甚大な浸水被害が発生したことなどを踏まえまして、全国の河川を対象に、重要インフラの緊急点検として、樹木の繁茂あるいは土砂堆積による洪水氾濫の危険性等について点検を行ったところでございます。
長崎県におきましては、防災、減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策、現在作業中でございますけれども、これを活用しながら適切に河川管理がされるものというふうに考えておりますけれども、国としてもしっかりと県の支援をしてまいりたいというふうに思っております。
○初鹿委員 ぜひ大臣も、一回現地に行って見てきてもらいたいなと思うんですよね。石木ダムの建設予定地、本当に自然豊かで、本当に静かな農村地帯、そういう地域なんですが、どう見ても、ここにダムをつくるような土地なのかな、そういう地形なんですよね。行っていただければ、えっ、ここに本当にダムをつくるのという地形だということがわかると思います。
長崎県の担当の方々も、本当にダムが必要だと思って工事を進めているのかどうか。本当に、私、現地に行って、座込みをして、目の前に県の人たちが朝になると十五人ぐらい来て、座り込んでいる人を監視をするんですよ。ただ立って、午前中ずっと十五人ぐらいがぼけっと立って、座り込んでいる人を見ているだけなんですが、こんなことをいつまでもやらせるのは、本当に職員のモチベーションも下がるだろうし、非常にもったいないんじゃないかと思うんですよね。
こういうことを考えると、やはり私は見直す必要があるんじゃないか、一歩立ちどまる必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。
恐らく、国交省の立場からすると、県の事業だから、県がやりたいと言っているんだということを主張されるのではないかと思うんですが、私は、現地の職員の方々の対応というか顔などを見ていても、本当にやりたいと思っているのか疑問だし、本当にこれは長崎県の意向なのかということに非常に強い疑義を持っているんです。
最後、資料の一番最後のページを見ていただきたいんですけれども、こちらは、長崎県に国土交通省から出向をしている、そういう職員の、ポストごとの職員の、誰がいつ出向しているのかということを表にまとめたものであります。
見てください。副知事は、平成の十二年からずっと国土交通省の出身者です。そのほか主要な土木の部署、土木部長であったり、また土木の企画課長補佐であったり、主任主事であったり、そういう土木の主要ポストというのは、ずっと国土交通省の出向者が切れ目なく続いているんですよね。ちょっとこれはやり過ぎじゃないのかなと私は感じます。これが、実は国土交通省の意向というのが長崎県に強く反映をしているのではないかと疑う理由なんですけれども、こうやって同じポストをずっと出向者が続けていくということが本当に適切なのかなと。
県庁に入った職員からすると、まず入るときには、この県庁で頑張って課長や部長になろうみたいな、そういう意気込みで入っている方もたくさんいるんじゃないかと思いますが、入ってみたら、部長はもう必ず国土交通省の人しかなれません、ああ、自分は部長にはなれないんだとなったら、モチベーションが下がると思いませんか。こういうことを考えても、ちょっとこれは余りにもやり過ぎではないかというように思います。
その上で大臣にお伺いしますけれども、こういう、出向者が同じポストをずっと占め続けていることによって、国土交通省の意向というものが強く長崎県の政策決定に影響を及ぼしているのではないかということをまずお伺いしたいのと、それとあわせて、同じポストをずっと出向者で占めるようなこういう人事交流が、私は不適切だと思いますが、これが適切だと考えているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○石井国務大臣 長崎県には、国土交通省の職員が長崎県職員として出向しておりますけれども、これは、国土交通省が別に押しつけをしているわけではなくて、基本的には長崎県の御要望に応じて出向しているものと理解をしております。
さらに、長崎県の事業につきましては、長崎県が県の判断として政策決定しているものと理解をしております。
なお、石木ダムにつきましては、平成二十四年に、事業主体の長崎県が、全国統一のダム検証の要領に基づいて検討を行い、学識者等の意見を聴取した上で事業継続とする方針を決定するとともに、その後も、事業評価の手続を平成二十七年に行っているところであります。
また、長崎県議会、長崎県商工会連合会、佐世保市等からは、継続的に、事業の推進、早期完成について国や長崎県に対して要望がなされていると承知をしております。
石木ダム建設事業は、治水、利水の両面で必要性や効果発現が期待されるだけでなく、地元自治体等からの推進要望があることを踏まえ、事業主体である長崎県が推進していると承知をしております。
○初鹿委員 事業決定したときの大前提として、先ほども言ったように、利水の面でいったら、佐世保市の水の需要予測というものが明らかに現実的ではない予測を前提にしているわけですから、だから私は、水の需要予測をもう一回やり直せということを言っているわけですよ。あの予測値をもとにして、水が必要ですねということでこのダムの建設が決まったということであるわけですから、それから五年たって、ほとんど実績は、全く違う、逆の傾向が出ているわけですから、私はやはり一回立ちどまる必要があるんじゃないかと思います。
また、県が望んでいるかのようなことを言っておりますが、主要ポストをずっとやはり国交省からの出向者が占めているという現実を考えると、本当に果たしてそうなのかなということ、疑問だということをつけ加えさせていただきます。
それでは、次の外環道に移ります。
一ページ目に、この外環道、東京区間二〇年開通断念、工事難しく、そういう新聞記事をつけさせていただきました。ことしの三月二十八日の調整会議の中でこういう判断をしたということなんですけれども。
きのう説明に来ていただいた際に、じゃ、そもそもオリンピックに間に合わせるようなことというのは言っていたのかいということを聞いたら、国土交通省は、それは、要望は受けていたけれども、公式に国土交通省やNEXCOが言ったことはないということではありましたが、二〇年完成を目指して検討をしてきたけれども、やはり無理だったということをここで表明したということであります。
では、この開通が二〇二〇年に間に合わない主たる理由は何なんでしょうか。
○池田政府参考人 お答えいたします。
東京外環道は、関越道から東名高速までの約十六キロにつきまして、国と東日本高速道路会社、中日本高速道路会社の三者で用地取得と工事を現在進めております。
用地につきましては、ことしの二月末で、面積ベースで八六%と着実には進んでいるものの、まだ四百八十六件の残件がございます。
また、工事につきましては、現在、東名高速の方から本線シールドトンネル工事を進めておりますけれども、更に今後大規模や高度な技術が求められる工事もあることから、相当の期間を要する見込みでございます。
このように、用地取得や工事にそれぞれまだ課題がございまして、少なくとも二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでの開通は困難と考えておりますけれども、引き続き、早期完成に向けて努力をしてまいります。
○初鹿委員 今、二つの要素がある、そういう回答だったと思いますが、一つは用地の取得の面、もう一つは工事が難しい、そういう面です。
この二つについて質問していきますが、一枚めくっていただいて、東京外環道用地取得の状況という資料を見ていただきたいと思います。
今、答弁の中で、用地の取得は八六%まで進んでいるという回答だったんですけれども、これはよく見ていただきたいんですが、東名ジャンクション、中央ジャンクション、そして青梅街道インターチェンジ、大泉ジャンクションと、四カ所で用地の取得が必要になるんですね。
東京外環道は、大深度地下を利用して建設するために地下のトンネル部分は用地の取得が必要ない、これが事業を進める上で早く建設することになるということでトンネルにしたということなんですけれども、そうはいっても、このジャンクションの部分は用地取得しなければならないんです。
見ていただくと、東名ジャンクションや中央ジャンクションそして大泉ジャンクションはほぼ九〇%を超えたり、東名ジャンクションでも八六%、面積ベースでは九五%まで用地取得が進んでいるんですが、問題は青梅街道のインターチェンジなんですよ。
こちらを見ていただくと、面積ベースだと一四%、件数だと一〇%しか用地買収が進んでおりません。この用地買収が進んでいない最大の理由は何だと認識をしておりますか。
○池田政府参考人 東京外環道に係ります用地買収については、事業化した平成二十一年度から、まず、本線部と、東名、中央、関越のジャンクション部の用地の取得を優先的に進めてまいりました。
これら本線部、各ジャンクション部の用地取得に一定のめどがついたことから、続きまして、青梅街道インターチェンジにつきましても、東京都の協力を得ながら、平成二十九年度より用地取得を進めているところでございます。
このような状況から、青梅街道インターチェンジに関する用地取得状況は、ことしの二月でまだ一四%でございます。また、現時点においては、まだ用地買収に応じていただけない方もおられます。
引き続き、東京都と協力して、青梅インターチェンジの用地取得についても進めてまいりたいと考えております。
○初鹿委員 答弁は正確にしていただきたいんですけれども、二十九年度から始めたから、後から進めたから用地買収が進んでいないようなことを今答弁しておりますし、用地買収に応じていただけていないという言い方をしていましたが、そんなものじゃないですよ、現地の反対運動は。用地買収どころか、測量などの調査も一切受け付けないと。
今、東京都に用地買収の交渉などを委託をしてやらせているみたいですけれども、東京都の職員は、反対している住民が住んでいる一角に立ち入ることもできないような状況じゃないですか。そして、今裁判も起こっております。きょう、公判がある日です。
そういうことを考えると、これは用地の取得も容易じゃないと思うんですよね。容易じゃないというか、私はほとんど無理なんだと思うんですよ、これだけ反対運動があって。それを、じゃ、強制代執行までしてやるのかということに最終的には行き着くわけですが、そこまでして、じゃ、この青梅インターチェンジというのはつくる必要があるのかということですよ。
もともと、皆さんは御存じないかもしれませんが、この東京外環道は、最初は地上、高架でつくる予定でした。それを地下化をして、大深度地下で、用地取得に時間がかかるからということで地下化することが決まったわけです。
そのときの最終報告では、インターチェンジをつくらないで、大泉の関越との接続点、中央道の接続点、そして東名の接続点の、このジャンクションだけの出入り口にするという計画だったわけであります。
ところが、練馬区長からの要請があって、この青梅街道のインターチェンジをつくるということが突然復活をするわけですが、練馬区はつくってくれと言ったけれども、一方、ちょうど区境なんですけれども、杉並区の方はこれに反対をして、青梅街道のインターチェンジというのは片側だけのインターチェンジになってしまったわけですね。このことだけを考えても、本当につくる必要があるのかというふうに思うわけです。
ここまで、予算的にもこれはインターチェンジをつくるだけでかかりますよね、なぜかかるかということを次にまた取り上げますけれども。そして、用地取得も容易ではない。
こんな状況なのに、どうしてそこまで青梅街道のこのインターチェンジの建設にこだわっているのか、その理由を教えてください。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
この地域における緊急的に解決すべき交通の課題は、環状八号線への交通の集中による慢性的な交通渋滞と、周辺道路の交通安全の確保であるというふうに認識をしております。
青梅街道インターチェンジの設置によりまして、環状八号線に現在集中している交通を東京外環の方へできるだけより多く転換することで、これらの課題の解決を図っていくことが重要だというふうに考えております。
引き続き、地元の御理解をいただきながら、早期の完成を目指して努力してまいりたいと考えております。
○初鹿委員 まず、この最終提言が出たのは平成十四年なんですが、それから十五年ぐらいたって、東京の道路事情というのは大きく変わっていると思うんですよね。渋滞も本当に少なくなっているし、そもそも、人口も減少してきているから交通量も減ってきております。そして、この最終提言に書いてあるように、移転戸数を少なくし、地元住民への影響を軽減するために、インターチェンジなしの地下案の検討を基本としと書いてあるように、住民の影響というものをやはりもっとしっかりと考える必要があるんじゃないかと思います。
では次に、予算の面で非常に不安があるということを指摘をさせていただきます。
この青梅街道のインターチェンジの部分を含めて、先ほど言った四つの部分は、それぞれ、地上に上がってくるので、地下四十メートルから上に上がる別のトンネルをつくらなければなりません。そして、その本線と、上に上がるトンネルを結合する部分を地中で拡幅をするという、そういうもう一つのトンネルをつくっていかなければならない。この地中拡幅部の工事が非常に難しいということが言われております。
資料にお示しをしておりますが、東京外環道の地中拡幅部についてという資料です。イメージはこういう感じですね、二つのトンネルが重なるように、両方をくるむような形のトンネルをもう一つつくるということです。ここに書いてあるように、「地中拡幅部の工事は世界最大級の難工事」と書いてあるわけですね。
この難工事なんですが、実は、現在のところまだ、どういう工法で行うのか、そして、一体工期がどれぐらいになるのか、そして、更に言うと、予算が幾らになるのかも全く決まっていないわけであります。
この地中拡幅部の工事が必要な四カ所について、概略設計も行われていないということのようですけれども、そういう認識で間違いないんでしょうか。
○池田政府参考人 東京外環の四つの地中拡幅部の工事ですけれども、東名ジャンクションにつきましては、現在、NEXCO東日本、中日本が、設計と施工を一括して行う契約方式で進めておりまして、現在、受注業者が決まりまして、その業者におきまして詳細な設計をやっていただいておるところでございます。
また、中央ジャンクションの北の地中拡幅部についても、ことしの九月からNEXCO東日本が同様に、設計と施工を一括して契約する方式で受注業者の選定に入ったところであり、今後、受注業者が決まれば、その中で設計が行われることになります。
さらに、中央ジャンクションの南、青梅インターチェンジの地中拡幅部についても、これらと同様の方法で、今後、受注業者が決まれば、その中で設計が行われるということになると考えております。
○初鹿委員 まだ、設計が行われているのは東名だけで、あとはこれからということだと思うんですが、工法もまだ決まっていないということでよろしいわけですよね。
先ほども言ったように、史上最大の難工事と言われるような工事なんですけれども、どういう工法が可能なのかということで、技術開発の提案を受けているわけですね。
こちら、資料をつけさせていただいておりますが、東京外環トンネル地中拡幅部における技術開発業務という資料をつけさせていただいているんですが、四カ所の工事箇所について、三つの工法の提案を受けているんです。十二の提案を受けているんです。これは当然、外環道の予算の中でこの設計の提案をさせて、十二の案を出してきたということなんだと思いますが、これは一つ当たり二億円近くかかっているわけですね、この提案をするだけで。それで、その二億円の中でどれを採用するのかということもまだ決まっていないと。
ところで、ちょっとお伺いしますけれども、こんな、工法も何も決まっていない、工期も決まっていない、そして工事費用が全くわからない、そんな状態なのに、この事業の承認を行ったというのは、私はいかがなものかなと思うんですよ。
この外環道というのは、一メートル一億円かかると言われている事業ですよ。一兆六千億円、現時点ではそう見積もられておりますが、この史上最大の難工事の拡幅部の予算がどれぐらいになるかによって、この一兆六千億は大きく変わってくるということになるわけですけれども、今、改めて振り返って、こういう一番お金がかかるような、工期も工法も、そして予算も決まらない中で承認をしたということを私は非常に問題だと思いますが、大臣、いかがですか。
○石井国務大臣 東京外環道に係ります都市計画事業につきましては、都市計画法第五十九条の規定に基づきまして、平成二十五年十一月に、施行者である国土交通大臣、東日本高速道路株式会社及び中日本高速道路株式会社が承認、認可申請を行い、国土交通大臣及び東京都知事の承認、認可を受け、施行をしているところであります。
都市計画事業の認可等の基準は、申請手続が法令に違反せず、かつ、事業の内容が都市計画に適合し、事業施行期間が適切であること等となっております。この事業施行期間につきましては、他の同規模と考えられる事業に要する期間や、大深度地下使用認可がなされていること等を総合的に勘案し、適切であると判断されたことから、承認、認可を行っております。
なお、都市計画事業認可又は承認の申請書には事業計画を添付すべきものとしているものの、同事業計画には設計の詳細を記載する必要はなく、設計の概要が記載されていれば足りるものとしております。
以上のことから、申請に当たりましては、事業の施行に関する個別の詳細な工事内容や具体的な工法等を申請者に対して求めるものではなく、都市計画法に基づき、適切に承認、認可を行っているものと考えております。
○初鹿委員 手続上整っているのと、本当にそこで決まったことが適切なのかどうかというのは、また別問題だと思うんですよね。
今、事業施行期間が同規模の工事と同等程度だとか、大深度地下方式をとっているからだとか、そういう説明がありました。二〇二一年の三月三十一日までがこの事業施行期間になっているんですが、私は、どう考えたって、これはここまでにつくることはできないと思うんですよね。先ほどの青梅街道インターチェンジで住民が反対をしているということを考えても、難しいと思います。
大深度地下だから用地買収に時間がかからないでトンネルが掘れるという、そういう趣旨のことで大深度地下ということを今言ったと思いますが、結局、青梅街道インターチェンジがあることによって、用地買収しなければできない、そこに時間がかかるということだったら、大深度地下でやるということは全く理由にならないんじゃないかというふうに思うわけです。
そこで、もう一回聞きますけれども、予算がこの地中拡幅部についてははっきりしないわけですよね。今、総事業費一兆六千億円としておりますが、地中拡幅部の工事の内容、工法の内容、また工期によっては膨張するんじゃないかと思いますが、これは確実に一兆六千億の中で必ずおさまるということは断言できるんでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
東京外環のジャンクション部の事業費でございますけれども、全体約一兆六千億の中で、ジャンクション部については約五千四百億を見込んでおります。このうち、工法が決定している東名ジャンクション部の地中拡幅工事の事業費は約一千億を見込んでおります。また、インターチェンジでございますけれども、青梅インターチェンジを含みまして約八百億を見込んでおります。
先ほどの東名ジャンクションのところのほかにつきましては、中央ジャンクション部、青梅インター街道部の地中拡幅に係る事業費は、今後工法の検討を進めることとしておりまして、現時点では具体化しておらず、受注業者が決まった段階で具体化してまいります。事業費が具体化した段階で、今申し上げました工事費が当初考えていたものを超える場合も想定はされると考えてございます。
○初鹿委員 もう時間が来ているので、最後、一点だけ申し上げますが、今言ったように、事業費が幾らになるかわからないわけですよ。工期もどれぐらいになるかわからない。そして、最大の一番工期がかかるネックになるのは、やはり青梅インターチェンジだと思うんですね。
これは今八百億と言いましたけれども、地中拡幅部の工事の内容によってはこれは更にふえていくわけでありますから、私は、これだけの住民の方が反対をしているし、片側だけでほとんど効果もないんじゃないかというようなインターチェンジは、やはりつくる必要がないんじゃないか。これをつくらなければ、ある程度建設の完成までのめどは立ちやすいと思いますが、これがあることによって、私は大きく完成時期がずれ込むと思います。外環道自体、私はつくるべきではないと思いますが、つくるという立場に立っても、青梅街道インターチェンジはやめた方がいいと思うんですよ。
どうですか、この際、一旦立ちどまって、このような、住民を大量にどかさなければいけないようなインターチェンジの建設は断念するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○谷委員長 池田道路局長、既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。
○池田政府参考人 現在、杉並区、練馬区、武蔵野市などの周辺の方が首都圏の北部へ移動する際に、環状八号線に交通が集中しております。この結果、環状八号線は慢性渋滞になっております。また、通過交通が生活道路にまで入り込んで、交通事故は他の市町村と比べても高い状況になるなどの課題がございます。
青梅街道インターチェンジを整備しこれらの課題が解消できるように、引き続き、地元の理解を得ながら早期の完成を目指して努力していきたいと考えております。
○初鹿委員 まず、環八が慢性渋滞であるという事実が違っていると思いますし、インターチェンジをつくればそこから住宅に更に入っていくようになるので、周辺環境は更に悪くなると思います。ぜひ見直しを検討していただきますようにお願いをして、質疑を終わらせていただきます。
○谷委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 日本のクルーズ市場拡大に向けて、何点か政策提案をいたします。
私は、時代おくれの規制による供給サイドのボトルネックが日本のクルーズ市場の需要掘り起こしを阻害していると考えております。新たな時代のニーズに即した、そしてエビデンスに基づいた現実的な規制緩和によって、日本のクルーズ市場を拡大し日本経済の新たな起爆剤にしたい、そんな思いで、以下、質問をさせていただきます。
一口にクルーズ市場と言いましてもいろいろなカテゴリーがあるわけですけれども、以下、三つのカテゴリーについて、順次御質問していきます。
一つ目は、日本船社による日本人向けのクルーズ、二つ目は、外国船社による日本人向けのクルーズ、そして三つ目は、いわゆるインバウンドですね、外国人観光客のクルーズ市場について。一つずつ取り上げていきたいというふうに思います。
まず、日本船社による日本人クルーズのマーケットですけれども、二〇一七年、昨年の日本人のクルーズ人口は三十一・五万人でございます。世界全体のクルーズ人口は約二千五百万人、約三兆円以上でありまして、大変マーケットとしては小さいということになります。
皆さんにお配りいたしました図表なんですけれども、一番最初にあるこの図表は、比較的皆さんごらんになったことがあると思いますが、先ほど私が申し上げた三番目のインバウンドの、つまりは、クルーズ船による外国人の入国者数でありまして、順調に伸びてきているんですけれども、日本人のマーケットは、先ほど申しましたように三十一・五万人ですから、この十分の一程度で伸び悩んでいる。
それは、ひとえに供給サイドのボトルネックだと私は思っておりまして、下の二枚目のページを見ていただきますと、日本船社が運航するクルーズ船というのは、今、四つしかない状態が長く続いています。この四つ目の黄色いもの、昨年から、ガンツウという常石造船さんがつくられた船が加わって少し伸びているように見えますけれども、これは瀬戸内海の一部地域で少し特殊な形で運航されていますので、それを除きますと、三つの船の需要といいますか、寄港回数はほぼ横ばい。そして、この三つの船いずれも、船をつくってから二十五年とか三十年とかかかっていまして、いずれは使えなくなる船ということになります。
いろいろお話を伺ってみますと、日本船社の中で、貨物に対する重要といいますか、貨物部門の方が圧倒的に大きいものですから、それぞれの各社の判断ということもあって、必ずしも日本人向けのクルーズ市場に積極的に取り組んでいない面もあるのかと思いますけれども、一つ、指摘された供給制約として、入国管理法にかかわる六十日ルールというものがございます。
一九九一年、当時の運輸省から出された通達によって、日本船社のクルーズ客船は三十日に一回は海外へ寄港しなければならないという規定がございました。その後、規制緩和の要望もあって、平成二十七年七月の国交省の通達によって、現在は三十日から六十日に緩和をされているわけですけれども、それにしても、二カ月に一度は海外に船を持っていかなければいけないということで、さまざま、パッケージでありますとか、お客さんに向けたプランの提案という意味では、いろいろと制約を受けているようでございます。
もっと言いますと、海外に船を持っていってまた戻ってくるためには、それだけ長い期間のプランをつくらなければいけないわけで、日本人の労働慣行からしても、一週間以上の休みをとるというのはなかなか大変なことでして、そういう意味でも、日本の地政学的な位置を考えると、クルーズ市場発展の一つの阻害要因になっている、そういう指摘でございます。
この通達を六十日から更に九十日等に緩和するでありますとか、このルール自体を撤廃をしてクルーズ船需要の掘り起こしを図るべきだと私は考えますけれども、これが一つ目の提案ですが、大臣、いかがですか。
○石井国務大臣 我が国のクルーズ市場の振興のため、日本人のクルーズ需要を喚起することは重要と認識をしております。
このため、日本籍の外国クルーズ船に乗り組む外国人船員に関します、入管法に基づく乗員上陸許可によって我が国での滞在が認められる期間について、業界からの要望を受け、法務省や関係者との調整を行い、その結果を踏まえ、平成二十七年に最大三十日から六十日間へと延長されたところでございます。
現状、業界から、この六十日を更に延ばしてほしいという具体的な要望は受けていないと事務当局からは聞いております。
いずれにいたしましても、今後も、日本船社のニーズ等を踏まえながら、日本人クルーズ市場の振興策を検討してまいりたいと考えています。
○津村委員 三年前の規制緩和によって、先ほどのグラフを見ていただきますと、三年前に幾らかこれは伸びています。一〇%、二〇%程度でしょうか、クルーズ船の利用は伸びていまして、いろいろ新しいプランがつくられたんだと思いますけれども、一つの要素として重要だと思いますので、引き続き御検討いただければと思います。
二つ目の御提案ですけれども、外国船社による日本人クルーズ向け市場の振興策として、カボタージュ規制の部分緩和を提案させていただきたいというふうに思います。
船舶法の三条によりまして、国内での船舶、飛行機による輸送業務は自国の業者に限定するという規制がございます。これは世界各国で広く見られる規制でございますけれども、日本の地政学的な位置を考えますと、少し考えなければいけないかというふうに思っております。
と申しますのは、ヨーロッパ各国と違いまして、日本やオーストラリアは、海を隔てて、他国と遠く隔てているという特性がございます。長期間の輸送をいたします貨物であれば、それは余り大きな要素ではないかもしれませんが、このクルーズというのは、短ければ一泊二日とか二泊三日、長くても、よっぽどラグジュアリーの大金持ちの方が世界一周するということを除けば、三泊四日、一週間程度というところが非常に厚いマーケットになっています。
しかし、日本は、少しほかの国と離れているわけですから、これが外国にワンタッチするとかしないとか、そういうプランのつくり方によって全くマーケットの構造が変わってしまう、こういう地政学的な特性がございます。
そう考えたときに、今、外国船社による日本人向けクルーズというのは、基本的に、釜山等に必ず一度は寄らなければ、純粋な国内輸送というふうになってしまって、禁じられておりますので、非常に参入が難しいという状況にあります。
私は、ぜひ、オーストラリア等で実際に一部緩和している例もございます、日本と地政学的な条件が近いオーストラリアでは、一部規制を緩和してクルーズ振興を行っているということを考えても、例えば二万トン以下ですとか、定員三百名以下といった一定の基準を設けて、貨物ではなくて、クルーズ旅客に限ったカボタージュ規制の緩和というのは、これは、先ほど触れました日本船社のあの三隻、四隻に大きな影響を与えるとはとても思えませんので、国内産業保護と矛盾しない提案だと思うんですが、大臣、いかがですか。
○石井国務大臣 カボタージュ規制は、経済安全保障の確保という国家的見地から、自国内の貨物又は旅客の輸送は自国籍船に限るという国際的な慣行として確立した制度であります。我が国におきましても、船舶法に基づき、外国船籍による国内輸送は原則として禁止をしております。
したがいまして、カボタージュ規制の緩和につきましては、国家的見地からの慎重な検討が必要になると考えております。
一方、外国船社が運航いたします外国籍クルーズ船につきましては、外国の港に一度寄港することによりまして、日本国内発着クルーズを実施をしているところであります。
外国籍クルーズ船による日本国内発着クルーズの日本人乗客数につきましては、二〇一三年が約九千人であったのに対し、二〇一七年は約九万人と、四年間で約十倍となり、着実に増加をしております。
国土交通省といたしましては、こうした状況を踏まえまして、日本人のクルーズ市場拡大に向けて、日本のクルーズ市場の拡大に貢献したクルーズ船社等への表彰を実施しているほか、国内外の外航クルーズ船の船内見学会を官民の協力のもとに実施するなどしておりまして、引き続き、こうしたさまざまな取組を進めてまいりたいと考えております。
○津村委員 国土交通委員の皆さん、皆さんの御地元でも、今、クルーズ船の誘致というのが全国各地で話題になっているだろうというふうに思います。
三ページ目と四ページ目をごらんいただきますと、これは地域別のクルーズ船の寄港状況であります。
上と下と同じ尺になっていますけれども、左側の目盛りを見ていただきますと規模感が違うわけですけれども、まず、日本船社によるクルーズ船ということに関しましては、比較的全国満遍なく船が寄っているわけであります。上のグラフです。
しかし、それに対して、下の外国船社によるクルーズ船の寄港状況を見ますと、これは圧倒的に、一番下の緑は沖縄、その上のピンクは九州ですけれども、約七割は九州、沖縄に偏在しているわけです。大体の船は西側から来ますから、九州の方が便利だということだと思いますけれども、残念ながら、東日本、横浜、神戸等も含めて、非常に少ない状況になっています。
一枚おめくりいただきますと、五ページのところに、この具体的な数字を書かせていただいています。
一位の博多港は三百九回、ほぼ毎日船が寄っている。そうすると、毎日来るわけですから、ビジネスとしても回っていくわけで、それ専門に受け入れるバス会社であるとか量販店だとかいろいろなものが、クルーズ客が来ることを読み込んで、織り込んでビジネスができるということですけれども、そうした、一年間に百回、二百回以上というところはほとんど九州なんですね。八位の八代港までは全部九州です。金子筆頭の御地元ですかね。九番が横浜港、ようやく東日本が出て、十番の境港、これは中国地方ですけれども、ここから下はほぼ週に一回も来ないような状況なんですね。
そういうわけで、クルーズ振興というのは非常に地域的な偏りが今見られている。
その下の六番をごらんいただきますと、二百メートル以上の大きな船が、二百メートル以上というのは、二千人とか三千人とかいう人が乗って海外から来る場合の多くの船が二百メートル以上なんですけれども、そういう船は、これをごらんいただきますと、別に九州に限らず、全国に受入れ可能な港はたくさんあるわけです。しかし、そういったバースが必ずしも活用されていない。
一枚おめくりいただきますと、巨大船、今では二百メートル以上の船がほとんどだということが見てとれると思うんですが、そうした巨大船の受入れについて地域的な偏在がある、そのことを私、先ほど焦点を当てたわけであります。
そう考えたときに、ここから第三のマーケット、いわゆるインバウンドの話に入っていきたいと思いますけれども、西日本、とりわけ九州に偏在する今の外航クルーズ船の寄港状況を全国、他の地域にも波及させていく上で、二つ提案をさせていただきたいと思います。
一つは、カジノの問題です。
太平洋を横断して渡ってくる外国船社のクルーズ船、これは九州じゃなくて東側から来る船ですけれども、こうした船が日本に寄るか寄らないかという判断をするときに、日本では、日本の領海内ではカジノができない。つまりは、公海上においては普通にカジノを楽しんでいるわけですけれども、日本に近づくと途端に、ここからはもうカジノで遊ぶのをやめなさい、日本から出るまではカジノはしちゃいけませんと。それまで普通に、既にその船の中で楽しんでいたことが突如としてできなくなって、日本に停泊している間はだめだということになると、それだったら、面倒くさいから、日本は素通りして、台湾なり韓国なりほかの国にもう行ってしまおう、そういったことが現実に起きていると言われています。
そうしたインバウンドのマイナス要因となるのであれば、今現にカジノについては、IRも含めて見直しが行われているわけですし、外国の方が外国の船に乗って日本に寄るときのほんの短い時間にそれを緩和したからといって、日本国内で賭博が横行して何か新しい問題が起きるというふうにはとても思われないわけですから、ぜひこのカジノ規制について見直しをしていただきたいというのが私の第三の提案です。
大臣は、これまで、IR法案に関する質疑の中で二つ答弁をされています。
クルーズ船内におけるカジノ営業については、我が国の領海内では我が国の刑法が適用されるため、カジノ営業は認められていない。これは事実を単に述べていらっしゃるだけなんですけれども、もう一つは、我が国の領海内におけるクルーズ船内のカジノ営業については、国交省としては検討していないと。これは検討してほしいんですね、検討ですから。ぜひ大臣、検討していただけませんか。
○石井国務大臣 クルーズ振興、観光振興の観点からの御提案と思いますけれども、慎重な検討が必要と考えております。
なお、IR推進法におきましては、IR区域に設置された施設が対象とされておりまして、今般のIR整備法におきましても、いわゆる船上カジノは含まれていないところでございます。
○津村委員 これからぜひ検討していただきたいということを共有させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
インバウンドについてのもう一つの御提案は、巨大船という定義の見直しであります。
この八ページをごらんいただきますと、「海上交通安全法の解説」というのをつけさせていただきました。
海上交通安全法というのは、瀬戸内海、東京湾、そして伊勢湾、こうした、船舶がたくさん通る、渋滞する、ふくそうする地域の交通安全、海上交通のルールを定めた法律でありますけれども、その中に、二百メートル以上の船を巨大船と定義する規定がございます。巨大船と定義されると、その航路上については航行の優先が確保される一方で、例えば、夜間はその地域を通っちゃだめだ、漁船とぶつかるかもしれないから通っちゃだめだとか、さまざまな規制が付与されます。
例えば瀬戸内海は、二百メートル以上の船は夜間通航できないというルールが昭和四十八年にできまして、その後、他の地域では巨大船がどんどん、船の大型化が進んでいる一方で、瀬戸内海では船の通航が減っているという事実がございます。
なぜ二百メートルなのかということを掘り下げていきますと、この右側に巨大船の解説がありますけれども、五行目、六行目のところに、「巨大船を「長さ二百メートル以上の船舶」と長さを用いて定義したのは、船舶の運動性能が究極的には船舶の長さを指標として表わされるから」というふうにございます。
これは、約五十年前の規定として、二百メートル以上の船は、タンカーを想定していたようですけれども、非常に動きが鈍いので、なかなか急にはとまれないし、あるいは、急にはかじを切れないので、一回進み始めると危ないという意味で書かれているものだと思いますが、専門家の方あるいは現場の方にお聞きしますと、四、五十年たって、タンカーのような船型のものはともかく、例えばクルーズ船のような船は、もっと早くとまったり、あるいは、いろいろな港に着けなければいけないので、もっと小回りがきくんだ、同じ二百メートルでも操作性は格段に向上しているというお話もございます。
大臣、巨大船を二百メートル以上の長さと定める根拠は運動性能ということですから、既に環境が変わっていると思うんですけれども、まず一つ伺わせていただきます。
多分、問いを一つ私は飛ばしていますけれども、国際法の話で伺わせていただきますが、巨大船という形で、長さによって船舶を分類して特別の交通制限のルールを設けることは、これは国際法的に見て一般的なんでしょうか。
○石井国務大臣 船舶交通の国際ルールとして、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約がございますが、この条約は、船舶相互の避航関係、どちらが避けるかという関係、船舶が表示すべき灯火、形象物、汽笛等の信号等が定められているところでありますが、巨大船に関する定めはございません。
○津村委員 皆さん、お聞きになられたでしょうか。こうした、船の大きさで特定の地域を特定の時間に通ってはいけないというようなルールは、国際法的にない、日本に特異なルールだということを今大臣はおっしゃったんです。
こうした、国際法に存在しない交通ルールを我が国だけつくったことによって、瀬戸内海は、物流あるいはクルーズの両面で、国際競争で大きくおくれをとっている現実がございます。わざわざ自国の国際競争力を落としている規定だということを私は申し上げているんです。
二枚おめくりいただきますと、十一ページをごらんいただきたいと思いますけれども、航路別の巨大船通航状況というのをおつけしております。
一番左の浦賀水道というのは、これは東京湾のことですね。昭和四十九年当時、巨大船が六千隻通っていたものが今は九千隻にふえている。この海域は非常に混雑しますので、そもそものボトルネックがあるんですけれども、それでも大きく伸びているわけです。
中ノ瀬航路、伊良湖水道、これは東京湾、伊勢湾ですけれども、いずれも倍以上に伸びている。しかし、当時、巨大船の通航においては、日本で浦賀水道の次に二位であった明石海峡、三位であった備讃瀬戸、これは今治のあたりですけれども、こうしたところは、この巨大船のルールをつくった途端、通航が下がっているわけで、広島県、愛媛県、岡山県、香川県といったところは、貿易あるいは観光、そういった各面で明らかに大きなマイナスの影響をこうむっているわけであります。
一枚戻っていただきますと、九ページのところですけれども、この根拠となっているルールというのは、海上交通安全法の第二十三条の更に下にある施行規則第十五条第一項に基づく海上保安庁長官指示という、かなり下位の法令ではありますけれども、この中で、このボックスの下から三つ目、備讃瀬戸東、宇高東、宇高西、備讃瀬戸北、備讃瀬戸南及び水島の各航路というところは、巨大船を対象に、昼間に航路を航行すること、つまり、夜はだめだよ、夜はこの海域を通っちゃだめだよというルールがあるために、先ほどのようなことが起きています。
そして、先ほどのものは主として物流のものなんですけれども、この数年は、先ほど私触れました外航クルーズ船というのが日本全体で大きくふえて、九州ではある意味あふれて、西日本の方に少しずつ誘致していこうということを先ほどから私は申し上げているわけですけれども、西日本の方に誘致しようにも、瀬戸内海はこういうわけで入れないわけです。実際に外国船社のクルーズ船が瀬戸内海の海域に来た実績はないんですね。飛鳥2だけが何回か通っていますけれども、あとは、昼間に素通りした実績があるだけです。
高松ですとか、あるいは宇野港でありますとか、こうした瀬戸内海の海域は事実上クルーズ船が入らない、入れない地域になっていまして、それはひとえに、この二百メートルルールがあるからであります。
私は、このルールは、その下の十ページ、これは政府の規制・制度改革委員会の「今後の改革課題」というもので取り上げられていますけれども、日本船主協会その他が要望しております巨大船の定義の見直し、例えば、操作性が上がっているわけですから、今までは二百メートルで操作性が低いとされていたものが、例えば二百三十メートルぐらいまでは緩和できるのではないか、こうした今日の技術水準に合わせた見直しを行っていくべきだと考えています。
国交省さん関連でも、船のAIS、それぞれの船にAISが装備されたことですとか、あるいはマーチス、備讃瀬戸マーチスも含めて、海上保安庁さんのレーダーの性能が向上していること、そして、後ほど触れますけれども、漁業産出額は大きく減少しています。
こうした中で、この施行規則を見直して、一定の操作性の高い船については、二百メートル以上であっても夜間航行を認める、あるいは、巨大船の定義自体を、二百メートルという時代おくれの定義ではなく、より大きな、二百二十メートル、二百五十メートルといったふうに変えていく、こういった議論を始めるべきだと思いますが、大臣、ぜひ議論を始めていただけませんか。
○石井国務大臣 海上交通安全法の規制は、技術的な観点とともに、海域利用者の安全を確保し、共存共栄が図られるよう、海事関係者や漁業関係者等のさまざまな意見を調整して決められたものであります。
例えば、御指摘の巨大船の備讃瀬戸海域における夜間航行制限について申し上げれば、現在でも、当該海域の船舶の通航隻数が昼間に比べて夜間に多く、海難は夜間も多く発生しており、現に、最近十年間の年間平均で約九隻もの衝突及び乗り上げ海難が夜間に発生している状況にございます。
また、一定の船舶にはAISの搭載が義務化されていることから、AISを搭載している船舶の動静等はリアルタイムに把握することが可能となっておりますが、依然として、備讃瀬戸海域ではAISを搭載していない漁船等が多く存在をしております。
また、海上交通センターにおきましては、AISのほか、レーダーによる監視も行っておりますが、漁船等小型船舶につきましてはレーダーに映らない場合があるなど、全ての動静を把握することはできない状況でございます。
したがいまして、運動性能の改善いかんにかかわりませず、瀬戸内海の航行環境が劇的に変化したとまでは言えない現在におきまして、直ちにこの夜間制限の見直しを行うことは困難というふうに考えております。
巨大船の夜間航行制限につきましては、クルーズ船を含め、関係者の理解を得ながら、安全に十分配慮し、検討していく必要があると理解をしております。
○津村委員 先ほどの表の十番のところの真ん中辺に、「瀬戸内海では伝統的な定置網漁の一種である「こませ網漁」が行われており、漁の最盛期には設置された漁網により航路が閉塞し、船舶の航行が妨げられる事態が発生している。」、これは船舶サイドから見ているので、妨げられるという表現になっていますが、こませ網漁の方々から見れば船舶に邪魔されているということであって、これはおっしゃるように、海上利用者の双方の立場をバランスよく考えていかなければいけない、当然のことだというふうに思います。
その前提で、十二ページをごらんいただきますと、この間、こませ網漁の漁獲量というのは大幅に減少しているんですね。左側が岡山県、香川県のこませ網漁の漁獲量の推移ということで、古いデータがとれていませんので少し短くなっていますが、この平成の時代に四分の一、五分の一に減少している。右側は、この海域で代表的な魚種としてイカナゴのことをよく皆さん引き合いに出されるんですけれども、このイカナゴの漁獲量に至っては、規制を当初した時代からもう二十分の一程度に減少しているんです。
そういった意味で、実際にどれだけの漁業がその地域で行われていて、どれだけの漁業者の経済的利益をここで守っているのか、他方、どれだけの機会損失が生まれているのかということをぜひしっかりと調べるべきだと思うんですが、ここで水産庁さんに伺わせていただきたいと思います。
備讃瀬戸における代表的な漁業であるこませ網漁、今申し上げましたように、香川県において、操業時間自体がほぼ日中に限られていると聞いておりますし、またイカ類については、漁期が四月下旬からの二カ月間に限定された上で、漁業産出額が年間二億円以下というふうにデータがございます。また、マナガツオについても、漁期は六月下旬から八月末までの極めて限定的な操業実態となっているという指摘がありますけれども、現在のこの海域での漁業操業実態について、水産庁さんの認識を伺いたいと思います。
○高鳥副大臣 津村委員にお答えをいたします。
香川県におけるこませ網漁業の操業状況につきましては、イカナゴ、イワシ類を主な対象とするものについては、操業が日の出から日没までに限定されており、夜間の操業は行われておりません。他方、イカ類を主な対象とするものについては、四月中旬から六月中旬までの漁期に夜間も操業が行われております。また、マナガツオを主な対象とするものについても、六月中旬から十一月末までの漁期に夜間も操業が行われていると承知しております。
香川県において夜間に操業されるこませ網漁業の主な対象魚種の産出額につきましては、イカナゴ、イワシ類については夜間の操業がなく、イカ類についてはここ数年、一・五億円程度で推移しており、マナガツオについては、単独の統計はありませんが、その他の魚類の約十六億円の中に含まれております。
なお、四月中旬から十一月末までの漁期を除く期間にあっては、こませ網漁業による夜間の操業は行われていないと承知しております。
○津村委員 今の御答弁は非常に重要で、ぜひ石井大臣もメモしていただきたいんですけれども、まず、五カ月間は夜間の漁業をやっていないんですよ。だから、その五カ月間航行を禁じている意味があるのかということが一つ。
それから、四月から十一月についても、はっきりしているイカについては一・五億円ですよ。少ないとは言いませんが、これで失われている機会費用を考えると、恐らく、一桁、二桁違うんじゃないかという規模です。マナガツオについては、十六億円の内数だということですから、どの程度かわかりませんけれども、その他の魚類全部の統計ですし、その中のマナガツオだけだったら、恐らく、申しわけないですが、数億円の規模だと思います、多く見ても。
だとすると、数億円とはいえ、漁業関係者の方々がいらっしゃるわけですから、そこはどういうふうに漁業補償するのかとか、時間を区切るのだとか、あるいは見張りの船をつけるのだとか、いろいろな工夫が必要だと思いますけれども、今のままのこのルールを維持していくことは大きく国益を損ねていると私は思わざるを得ないんです。
大臣、私、これは二年前から継続的に取り上げていまして、二年前からは、実は、海上保安庁さん、毎月、漁船の操業実績を調査していただいています。私のところにも御報告をいただいています。
ただ、その調査の仕方が、単に隻数を追うだけではなくて、ぜひ水産庁さんとも協力していただきながら、どのぐらい実際に魚がとれて、それがどのぐらいの経済的な価値につながっているのか、それを補償していくにはどうすればいいのかという具体的なところまでぜひ調査を進めていただきたいというふうに思いますし、もう少しエビデンスに基づいた議論をこういう場所ではやりたいものですから、先ほどの安全も大事だとかいう、もちろん安全は大事なんですけれども、やはり、どのぐらいのボリュームでその業がなされているのかということを踏まえて議論していきたいと思います。
ぜひ調査の継続をしていただきたいことと、船の数だけ年に十数回数える今のやり方だけではなくて、当該地域における漁業産出額というのが一体どの程度のものなのかということを、水産庁さんとも協力して、ぜひ把握する努力を、調査費を計上するなどして行っていただきたいと思います。
これを最後の質問としますが、大臣、お答えください。
○石井国務大臣 海上交通安全法は、船舶交通がふくそうする海域における船舶交通について、特別の交通方法を定めるとともに、その危険を防止するための規制を行うことにより、船舶交通の安全を図ることを目的としておりまして、経済的な比較考量により規制を行うものではございません。
船舶交通に係る海域は、漁業生産や離島への移動などさまざまな活動が行われる場でもあるという観点から、海域利用者の人命や財産の安全を確保するため、海事関係者や漁業関係者等のさまざまな利用者の意見を調整して決められたものであります。
したがいまして、巨大船に対する規制は、漁獲高といった経済的な観点とは異なり、安全上の観点から行っているものでございます。
○津村委員 あと一分だけありますので、きょう私が申し上げたことをもう一度確認させていただきます。
私は、日本のクルーズ市場を拡大するために、今こそ取り組むべき規制緩和が幾つかある、それは直ちにできるものばかりだというふうに思っています。お金はかかりません。
一つは、日本船社による日本人向けクルーズを拡大していくこと。これは、六十日ルールの見直しによって一定の前進が見込めると思います。
二つ目は、外国船社による日本人クルーズ向けの市場拡大。これは、先ほど申し上げたカボタージュ規制を、日本船社に影響が及ばない形で限定的に行うことで、先ほど九千人が九万人とおっしゃいましたが、まだまだ、もっともっとふやしていく素地があると思います。ぜひ御検討いただきたいというのが二点目。
三点目の御提案は、カジノ規制の適用除外であります。外国から来る船が日本を素通りしてしまっているわけです。その方々に日本に寄っていただくために、日本の領海内においても一定の例外というのは、今IRもこれだけ議論されている御時世ですから、ぜひ御検討いただきたいというのが三点目。
そして最後、四点目は、巨大船規制の見直しです。大臣は二つのことをおっしゃいました。運動性能のことと経済的価値のこと。最後の御答弁では、経済的な価値だけじゃないんだ、安全も大事なんだということを重ねておっしゃいましたけれども、それは私も重々承知で、だからこそ、最初に運動性能の向上のことを申し上げたんです。
どちらの観点、安全の観点からも経済的価値の観点からも、規制緩和の素地は十分に整っているというふうに考えます。これからも継続的にこの議論をさせてください。
終わります。
○谷委員長 次に、もとむら賢太郎君。
○もとむら委員 無所属の会のもとむらです。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、クルーについて数点お伺いしてまいりたいと思います。
平成三十年三月三十日に国交省は、道路運送法における許可又は登録を要しない運送の明確化、収受できる謝礼の範囲を明確化する通達を出したことは、かつてここでも質疑をやってまいりましたので、承知をしているところでありますが、クルーのホームページを見ますと、国交省の通達に沿った運営を行っていますと記載がしてありますが、ただ、実際にクルーを利用している方々から聞きますと、埼玉県ナンバーや千葉県ナンバーの車が、六本木、銀座、渋谷などの都内を営業していると聞いておりまして、タクシーには営業エリアの限定があるのに、何の制約もない状態であります。
週末になると二百台ほど来ているんじゃないかというお話もあるわけでありますが、このクルーについてどの程度国交省は実態を把握しているのか、お伺いいたします。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のクルーにつきましては、自家用自動車による運送におきまして、利用者が運転者に対し、実際の運送にかかるガソリン代や道路通行料のほか、謝礼を支払う形態であるというふうに承知をいたしております。
これは、御紹介がありましたけれども、ことしの三月に改正をいたしました「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」の通達に沿ったサービスであるというふうに認識をいたしております。
この通達では、道路運送法上の許可又は登録を要しない運送について、ガソリン代などのほかに一定の金額を収受することが可能な範囲として、自発的な謝礼や仲介手数料の収受について、それぞれ取扱いの明確化を行っております。
この通達を踏まえまして、クルーに対しましては、謝礼を誘引するような表現の修正でありますとか、運転者が謝礼の有無、金額により利用者を評価することがないよう、また、利用者が謝礼の決定を経由しなくても決済できるようなシステムの修正、また、運転者に対する仲介手数料の還流防止について対応を求め、措置されたことを確認いたしております。
国土交通省といたしましては、クルーによるサービスを引き続き注視してまいりたいというふうに考えております。
○もとむら委員 サービスを利用した方々から、クルーのドライバーから聞いた話ということで、例えば、謝礼が少ないとドライバーからの評価を星一つにする、もう次から私の車とはマッチングされない仕組みになっている、又は、星が低いとキャンセルしようと考える、星一つをつけると運転手と利用者は互いに表示されなくなるとか、そういった具体の話も聞いているわけであります。
任意の謝礼を支払わなかった場合、次回以降マッチングが行われず、実質、再びサービスを利用できなくなるという話も今のように聞くわけでありますが、これは謝礼を暗に強要していることにはならないのか、お伺いいたします。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の点ですけれども、クルーからは、任意の謝礼を支払わなかった場合、システム上、サービスが次回以降使えなくなったり、マッチングされなくなったりすることはないという報告を受けております。また、クルーは、運転者が謝礼の有無、金額により利用者を評価することがないようシステムを改修いたしております。
国交省といたしましては、利用の状況、実態を含めて、引き続き注視をしてまいりたいというふうに考えております。
○もとむら委員 先ほど、サービスを利用した人たちの、クルーのドライバーから聞いた話と少し違う点も指摘をしなきゃいけないわけでありますが、乗っている人の気持ちとして謝礼をいただくという話もあるようでありますが、法律で、輸送するという二種免許がない方々が対応されているということは、よくよく国交省も御理解した中で、クルーへの注視を引き続きお願いしてまいりたいと思います。
次に、タクシー、特定地域の指定解除についてお伺いしてまいりたいと思いますが、東京交通新聞の記事によりますと、国土交通省は、改正タクシー特措法に基づく新規指定解除の方針を十一月二十二日で決定ということでありまして、例えば、今年度末に、横浜市、川崎市などの神奈川県の京浜交通圏、そして金沢交通圏、熊本交通圏など五カ所の特定地域が二〇一八年度末に準特定地域になることが決まったというような報道がございますが、これが事実かどうか、まず一点お伺いしたいのと、また、この指定要件に合わない理由は何だったのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
○奥田政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十五年十一月に改正されました特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法に基づきまして、平成二十七年度中に特定地域に指定をされました地域のうち、秋田交通圏、京浜交通圏、金沢交通圏、宮崎交通圏、熊本交通圏につきましては、平成三十年度中に明らかになりました平成二十九年度の輸送実績におきまして、指定基準に該当しないことが明らかになりましたことから、十一月二十二日にその旨を各地域の特定地域協議会に通知をしたところでございます。
これらの地域につきましては、法律の第三条第三項の規定及び平成二十五年の衆議院国土交通委員会における改正法案の審議における附帯決議におきまして、指定事由がなくなったと認めるときは速やかに指定を解除するとされておりますこと、また、指定基準を定めました平成二十七年の自動車局の通達におきまして、指定期間中であっても、指定基準に該当しなくなった場合、指定の解除を行うということにしておることなどから、平成三十年度末をもって、それぞれ指定が解除され、又は指定を延長せず指定期間が満了することとなるものでございます。
なお、この通達におきまして、指定を解除する地域又は指定の延長を行わない地域については、原則として準特定地域として指定するということになっております。
この当該五地域の指定基準の該当、非該当につきましては、熊本を除く四地域につきましては、指定基準のうち、赤字事業者車両数シェアが二分の一以上であること、又は赤字事業者車両数シェアが三分の一以上であって、前年度と比較して赤字事業者車両数シェアが一〇ポイント以上増加していることとする基準に該当いたしておりませんでした。
また、熊本交通圏につきましては、日車営収又は日車実車キロが平成十三年度と比較して一〇%以上減少していること、当該営業区域における走行百万キロ当たりの法令違反件数の直近五年間の平均値が、全国における走行百万キロ当たりの法令違反件数の直近五年間の平均値を上回っていること、当該営業区域における走行百万キロ当たりの事故発生件数の直近五年間の平均値が、全国における走行百万キロ当たりの事故発生件数の直近五年間の平均値を上回っていることのいずれにも該当しなかったということでございます。
御指摘の五地域につきましては、法の規定や附帯決議等に基づき適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○もとむら委員 売上げを基準にしているならば、消費税の増加分なども加味されるべきだと思うということをちょっと指摘しておきたいというふうに思います。
タクシー施策について大臣にお伺いしてまいりたいと思いますが、東京オリンピック最終招致プレゼンにおいて、滝川クリステルさんから、東京は次の項目においても第一位の評価を受けました、タクシーの運転手の親切さにおいてもですと触れておるわけでありまして、公共交通網としてのタクシーの果たす役割、タクシーの安心、安全を確保する意義について、大臣の見解をお伺いいたします。
○石井国務大臣 タクシーは、利用者のニーズに応じたドア・ツー・ドアの輸送を提供することができる公共交通機関として重要な役割を担っております。
このため、地域における移動の足の確保はもちろんのこと、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた訪日外国人観光客への対応など、多様なニーズに応じたサービスの向上を図っていくことが必要であります。
この点に関しましては、全国ハイヤー・タクシー連合会におきまして、平成二十八年に今後新たに取り組む事項が策定をされ、平成三十年に訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプランが策定されるなどの取組が進められているところであります。
このような取組が進められる場合におきましても、旅客の安全、安心の確保が最重要の課題でありますので、国土交通省といたしまして、旅客の安全、安心の確保を図りつつ、こうした取組を支援してまいりたいと考えております。
○もとむら委員 次に、国道十六号の渋滞対策についてお伺いしてまいりたいと思います。
私どもの地元相模原市は、八王子、町田と横浜間を結ぶ国道十六号というものがあるんですが、八王子バイパスの無償化や町田立体の完成などがあったにもかかわらず、いまだに渋滞の緩和が見られません。今もなお渋滞が非常に横行しているわけでありまして、横浜国道事務所において神奈川移動性向上プロジェクトが行われており、要対策箇所として選定された十三地区三十四カ所に、国道十六号鵜野森交差点から若松二丁目交差点が含まれてきました。ここは私の自宅から本当に歩いて徒歩一分圏内の交差点にも当たるところでありますけれども。
また、平成二十四年、首都圏渋滞ボトルネック協議会が特定した主要渋滞エリアにも鵜野森交差点を含む国道十六号線が選ばれておりまして、こういった状況の中で、国道十六号の相模原区間における渋滞対策について、渋滞する理由を国交省はどのように分析しているのか、まずお伺いしてまいりたいと思います。
○池田政府参考人 今御指摘のありました相模原市内の国道十六号の主な渋滞要因といたしましては、横浜港などの臨海地域と首都圏の内陸部を結ぶ重要な路線で十六号があること、また、国道十六号と国道二百四十六号などの主要な幹線道路が多く交差をしておること、また、国道十六号の沿線に多くの大規模施設が立地するなどの開発が進んできていることが主な渋滞の要因と考えております。
○もとむら委員 そこで、私の地元相模原市からも、この要望の中で国道十六号の連続立体化などの提案がされているところでありますが、大臣としてどのように受けとめていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○石井国務大臣 相模原市内の国道十六号につきましては、多くの渋滞箇所が存在するなど、課題が大きい区間と認識をしております。
この状況を踏まえまして、広域的な道路のネットワークを強化する観点から、圏央道や首都高速横浜環状北西線などの整備を進めてきております。
また、主要な幹線道路との交差点における対策を進めてきており、平成二十八年四月には、国道二百四十六号との交差点において町田立体交差の工事が完成をいたしまして、これにより国道二百四十六号との交差点における渋滞は大幅に緩和をしております。
今後とも、主要な幹線道路との交差点の渋滞対策などについて、神奈川県や相模原市などの関係機関とも協力をしながら検討を進めてまいりたいと考えています。
○もとむら委員 私の地元相模原市は、さがみ縦貫道と言われているような圏央道のインターチェンジが二カ所できましたし、また、八王子バイパスの無償化や町田立体も、今度はランプができて東名高速に入りやすくなるといった対応などもしていただいているわけでありますが、ただ、十六号から圏央道へアクセスする道路なんかもまだまだ渋滞が激しく、近隣の市道、県道との関係も大いにあるんじゃないかなと思っておりますので、今大臣から言われたように、神奈川県や地元相模原市とよりよい連携をしながらこの渋滞緩和に取り組んでいただきたいと思います。
あと、隣の伊藤委員の町田市もそういえば隣接していますので、そういった意味では、よろしくお願いをしてまいりたいと思います。
次に、私の地元で、前回の一般質疑でも質問しましたが、相模線という路線がありまして、リニア中央新幹線新駅ができる神奈川の北の玄関口であるJR橋本駅から、湘南地域を南北に結ぶ、三十三キロにも及ぶ相模線という路線があるんですが、このJR相模線においては、先般も質問させていただきましたが、複線化の課題や幾つかの課題もあるんです。
その中に、交通政策審議会答申で、二十八年四月に、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について取りまとめが行われ、「新幹線駅へのアクセス改善や通勤・通学需要の急増等、輸送需要の動向等を踏まえて、例えば相模線、南武線等の輸送サービスの改善に資するプロジェクト等については、関係地方公共団体・鉄道事業者等において、検討が進められることを期待。」というふうに記載がされておりまして、新駅設置はこの輸送サービスの改善に資するものではないかというふうに考えております。
新駅設置を要望しているのは、茅ケ崎市の西久保駅、そして海老名市の海老名運動公園前駅、そして海老名市の今泉駅、そして、私ども地元相模原市では二駅ありまして、磯部駅と作の口駅という、計五駅が新駅設置の要望の声が出ているわけでありますが、この新駅設置に対して国交省はどのように受けとめていらっしゃるのか、お伺いしてまいりたいと思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
JR相模線について、周辺自治体に新駅設置を望む声があることは承知しております。
新駅設置につきましては、基本的には鉄道事業者の経営判断に委ねられているところであり、その際、一般的には、事業の採算性の確保や線形、勾配等の技術的問題がないこと、設置費用の具体的な負担関係が明らかになっていることなどを総合的に勘案して判断されるものと考えております。
このため、まずは、鉄道事業者と周辺自治体を始めとする関係者において、新駅設置に関する検討を進めていただくことが重要と考えております。
国土交通省としても、関係者における検討状況を踏まえつつ、必要に応じて助言を行うなどの協力をしてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○もとむら委員 次に、住宅の省エネについてお伺いします。
十二月三日の社会資本整備審議会建築環境部会における第二次報告案では、今回、さまざまな指摘がありまして、これらの中で、国交省によれば、あくまでも審議会の部会の話であって、政府として方針を決めたわけじゃないという話も伺っていますが、ちょっとこの省エネ対策、我が国の住宅における省エネ基準は国際的に低いレベルにあるわけでありまして、平成二十七年にはいわゆる建築物省エネ法を制定し、省エネに取り組んでいるところは承知をしているわけでありますが、現在の我が国における建築物省エネの現状と取組についてお伺いしたいと思います。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
今お話がございました、平成二十七年に制定されました建築物省エネ法に基づきまして、昨年の四月から、住宅以外の大規模な建築物につきましては、その新築等に際しまして、省エネ基準の適合を義務化しております。
これに加えまして、適合義務の対象以外の中規模以上の住宅・建築物の新築等に際しましては、地方公共団体への省エネ計画の届出を義務づけているところでございます。
更に加えまして、ゼロエネルギー住宅などの省エネ性能の高い住宅・建築物の新築、改修に対しまして、補助、税制、融資などによる支援を行いますほか、省エネ住宅の施工技術向上のための大工、中小工務店に対する講習会の実施、住宅・建築物の省エネ性能に関するわかりやすい表示の普及などの施策を講じているところでございます。
こうした施策などによりまして、平成二十八年度におきます住宅・建築物の省エネ基準への適合率につきましては、床面積のベースでございますけれども、住宅については五九%、住宅以外の建築物については九二%という状況でございます。
○もとむら委員 日本再興戦略やエネルギー基本計画の中で、二〇二〇年までに新築住宅・建築物の省エネ基準の段階的義務化を進めるとされていたところでありますが、今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方について、先ほど触れました第二次報告案においては、マンションを含む住宅と小規模建築物については義務化が見送られたということでありますが、非常にこれは残念な話でありますが、その理由についてお伺いしてまいりたいと思います。
○石田政府参考人 今御指摘いただきましたエネルギー基本計画などにおきましては、規制の必要性や程度、バランスなどを十分に勘案しながら、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化することと書かれております。
適合義務化の対象拡大を含みます住宅・建築物の省エネルギー対策のさらなる強化につきましては、本年九月から、社会資本整備審議会の建築分科会に設けられました建築環境部会において御審議をいただいております。
御指摘ありました、十二月三日に開催されました建築部会におけます報告案についての御審議の中におきましては、住宅、小規模建築物の適合義務化に関しまして、一つは、住宅及び小規模建築物については、省エネ基準の適合率が比較的低い水準にとどまっているため、適合義務化の制度の対象とした場合、市場の混乱を引き起こすことが懸念される、また、住宅及び小規模建築物は、エネルギーコスト低減に係ります省エネ投資の費用対効果が比較的低いため、義務づけについては慎重に考えるべきといった御指摘があったところでございます。
今後、来年一月中の取りまとめを予定しております社会資本整備審議会の答申の内容を踏まえまして、我々といたしましても具体的な対策につきまして検討を進めさせていただきたいと思っております。
○もとむら委員 パリ協定を踏まえた温室効果ガス排出量の削減目標のため、二〇三〇年度のエネルギー消費量を二〇一三年度と比較して約二割削減することが必要だというふうに承知をしているわけでありますが、それにもかかわらず、十二月三日の今の第二次報告案では、マンションを含む住宅と小規模建築物の義務化を見送るような方針が出されていることは本当に、繰り返しですが、残念な話であります。
そこで、大臣の強いリーダーシップが必要だと思いますが、例えば、建築士等へのアンケートで、三四%が小規模住宅や建築物への義務化に反対、その理由は、個人の住まい方に依存し、画一的規制になじまないなどの指摘もあったり、また、現在も届出義務のある三百平米以上の建築物について、届出の督促を行っていない行政官庁が約三五%、届出された省エネ基準不適合物件に指示を行っていない行政官庁は約八割、大部分の施主は余り住宅省エネのメリットを十分に理解していないといったような視点もありました。
こういった点で、大臣の強いリーダーシップが必要だと思いますが、建築物省エネを進める重要性に対する見解と前進に向けた大臣の意気込みをお伺いしてまいりたいと思います。
○石井国務大臣 住宅・建築物分野のエネルギー消費量は我が国全体の三分の一を占めており、環境負荷の低減に向けまして、住宅・建築物の省エネ化の推進は大変重要な課題と認識をしております。
このため、住宅・建築物分野の省エネ化に関する目標といたしまして、平成二十八年十一月に発効いたしましたパリ協定を踏まえた地球温暖化対策計画において、二〇三〇年度のエネルギー消費量を二〇一三年度と比較して約二割削減することを掲げております。
この目標の達成等に向けまして、本年九月より、社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会において、住宅・建築物の省エネ対策の強化について御審議いただいており、来年一月中に取りまとめを予定しております答申の内容を踏まえ、具体的な検討を進めていくこととしております。
引き続き、住宅・建築物の省エネ化の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○もとむら委員 建築物省エネ法制定の背景には、産業や運輸などの他部門の省エネが進む中、建築物の省エネ対策が進んでいなかったということがございます。これは国際的に大変大きな問題だというふうに承知しておりますし、また、住宅における省エネ基準は国際的に大変低いレベルでありますので、今後も大臣の強いリーダーシップをお願いしてまいりたいと思います。
次に、気象データの活用についてお伺いいたします。
国土交通省や気象庁では気象レーダーによる観測を行っておりまして、その気象データを有効活用するためには、民間との連携も重要ではないかと思います。三次元データもより速やかに提供していくべきだと考えますが、現状及び今後の課題についてお伺いいたします。
○橋田政府参考人 お答え申し上げます。
気象レーダーでございますけれども、台風、集中豪雨等に伴う積乱雲の監視や予測のために、雨雲の中のきめ細かな降水の強さ、風につきまして、三次元分布の観測を行っているところでございます。
この気象レーダーの三次元のデータにつきましては、気象庁における大雨や突風等の気象予測などに用いるとともに、民間において有効に活用いただくために気象事業者等に広く提供しているところでございます。
この三次元のデータは、現在は十分ごとに提供しているところでございますけれども、来年度以降、レーダーの機能強化を順次行いまして、五分ごとに提供する計画としております。これによりまして、民間において、時々刻々と変化する気象状況をより速やかに把握をし、一層有効活用が期待されるところでございます。
引き続き、民間における気象レーダー等のデータの活用に努めてまいりたいと思います。
○もとむら委員 気象庁の持つデータは膨大であって、全てのデータをリアルタイムで提供するには通信回線の容量の問題などがあるということも聞いておりますので、そういった点を解消して、民間との連携も進めていただきたいというふうに思います。
大臣にお伺いいたしますが、気象業務法のあり方や制度について、過去にも何点か伺ってまいりましたが、今後、AIを活用した気象予報なども想定される中、見直しを検討するつもりはないのか、お伺いいたします。
○石井国務大臣 昨年、予報業務許可制度に関する法制度の見直しについて委員より御質問をいただきまして、法や制度のあり方については、新たな技術の実用化や社会的ニーズの変化を踏まえた制度の検討を行っていくことについて答弁を申し上げたところであります。
本年八月に、交通政策審議会気象分科会で、民間における気象予報について、技術革新に応じた規制緩和などの制度の見直しについて提言をいただいたところであります。
この提言で触れられておりますように、気象予報分野では、民間事業者などにおいて、AIの活用も含め、観測、予測技術や計算機能力の向上等により降水の短時間予報の提供が可能となるなど、予報業務の態様が変化をしております。
この変化に対しまして、予報の品質の確認への気象予報士の具体的なかかわりなど、予報業務許可制度の検証と必要な見直しを進めてまいりたいと考えております。
○もとむら委員 かつても、フェーズドアレー気象レーダーは日本の最新技術であって、三十秒ごとにデータが更新されて、現在、国内に六カ所設置をされている、実証実験ではゲリラ豪雨発生予測の的中率が八〇%となっており、事前に対策を促す回避行動につながるという結果も出ているということは指摘をしておきたいのと、あとは、気象予報士は非常に大切な業務を担われていますが、気象業務法第十九条の三によって、気象予報士がデータの確認を行わなければならないため、三十秒ごとに更新される、先ほどのお話の中でも、予測が国民に伝わるまでにタイムロスが生じてしまっているという点もありますので、今後、気象予報士さんとも連携しながら前進させていただきたいというふうに思います。
次に、北朝鮮からの漂流船について。
北朝鮮からの漂流船が過去最多となっているようでありますが、その理由について、どのように分析して対応しているのか、お伺いいたします。
○岩並政府参考人 お答えいたします。
朝鮮半島からのものと思料される漂流、漂着木造船などは、ことしに入りましてから十二月三日正午までに百八十二件確認をしております。
近年、朝鮮半島からのものと思料される漂流、漂着木造船等が相次いで確認されている理由につきましては、一概には申し上げられませんが、北朝鮮の木造漁船が、操業海域を拡大するため、より遠くの海域まで出航していると見られること、また、低気圧の発生や台風が本邦に上陸又は接近するなどによりまして、日本海が大荒れとなる日が多かったことがその一因であると考えているところでございます。
海上保安庁では、巡視船艇、航空機による日本海側の哨戒を強化するとともに、漂流、漂着木造船等を発見した場合の通報のお願いを新聞広告に掲載しましたり、全国漁業無線協会と申合せを行うなど、漁業関係者や海事関係者、地元住民等からの不審事象の通報に関する働きかけを推進しておりまして、警察等の関係機関と緊密な連携を図りながら、不審事象の発見に努めているところでございます。
さらに、一昨年、関係閣僚会議で決定しました海上保安体制強化に関する方針に基づき、大型巡視船や高性能監視レーダーを搭載した新型ジェット機、監視拠点を整備するなど、海洋監視体制の強化に努めているところでございます。
引き続き、これらの取組を通じまして、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。
○もとむら委員 ことしは、ほとんど漂流船の人が発見されておらず、発見されたのは遺体五件十二体、生存者ゼロ名となっている点も、ここは指摘をしておきたいと思います。
最後の質問にしますが、私もこれまでに何度もこの一般質疑の中で取り組んできた地元の宮ケ瀬ダム、宮ケ瀬湖について、九月一日、石井大臣は宮ケ瀬ダムを訪れていただいたというふうに伺っております。
今は、ちょうどクリスマスツリーの夜景が見られたり、それから、夏に行きたい観光ランキングで、黒部ダムを抑えて、現在、年間観光客百五十万人を超えて第一位になったり、昨年から宮ケ瀬ダムナイト放流とか、宮ケ瀬ダムトワイライトライトアップ及び観光放流などが国交省でもやられているというふうに理解しております。
私も、ぜひ宮ケ瀬湖で釣りを実施できないかという質問をここで何度かさせていただいて、私も日曜日に子供とこの上流側に釣りに行く予定なんですが、宮ケ瀬ダムは、治水の面ではもちろん、宮ケ瀬湖を含めて観光資源としても重要な役割を果たしておりまして、ぜひとも、この委員会でも取り上げておりますように、大臣は釣りをやるかどうか知りませんけれども、そういった観光の新しい拠点として、この宮ケ瀬ダムや宮ケ瀬湖について、現地を訪れた大臣の感想を聞いて、質問を終わりにします。
○石井国務大臣 宮ケ瀬ダムの湖面利用等につきましては、国及び神奈川県、地元自治体、地域の代表者、漁協等から成る宮ケ瀬湖水源地域ビジョン推進会議で議論されることとなりますが、これまでは湖面の釣り利用に関する意見はございませんでした。
いずれにいたしましても、地元の御意見や利用ニーズの把握に努めまして、引き続き湖面等の利用促進に取り組んでまいりたいと考えています。
○もとむら委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
前回に引き続き、森友問題の核心部分について聞きたい。
前回の質疑で私は、二〇一六年六月二十日、森友学園にわずか一・三億円で売り払われた国有地は、そのわずか五十日後の八月十日付で、株式会社財産プランニング研究所の熊沢一郎という不動産鑑定士の不動産鑑定評価によって十三億円という値段がついたこと、さらに、森友学園は、その二カ月後の十月十二日には、都市銀行であるR銀行との間で建物建設資金を使途とする十億円限度額の金銭消費貸借契約を結んだこと、さらに、それに伴い、本件土地につき、売買契約の解除や買戻し権行使がなされた場合には、森友学園に返還されるべき払戻金の請求権に、R銀行に第一位の質権を設定する契約を十月十四日付で取り結んだことを明らかにいたしました。
改めて確認いたしますが、国有地を売却した森友学園が十月十二日付でR銀行との間で十億円を限度額とする金銭消費貸借契約を結んだ事実を、近畿財務局も大阪航空局も知っておりましたね。これは両者にお尋ねいたします。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の質権設定につきましては、森友学園と金融機関の二者間で行われたものでございますけれども、この質権設定契約は平成二十八年十月十四日付で締結され、同日付の質権設定承認申請書が大阪航空局に提出されておりますので、当時の大阪航空局に確認をしたところ、御指摘の時点でそうした契約を結んだことを聞いたことがあるということでございました。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
財務省といたしまして公表しておりますいわゆる交渉記録によりますと、平成二十八年九月十五日の記録でございますが、第三者から、森友学園に融資する際の担保といたしまして、国が売買契約に基づく買戻し権を行使した場合に、森友学園が国に対して取得する売買代金の返還金の請求権に質権を設定したいという申出があり、融資実行の時期や融資額などについてやりとりが行われております。
この点について、改めまして近畿財務局の当時の担当者に確認をしたところ、売買契約上、指定期日である平成二十九年三月三十一日までに必要な工事を完了し、指定用途である小学校に供さなければならないとされており、資金計画の内容の変更が小学校開校までのスケジュールにどのような影響を及ぼすのかを把握する必要があったことから、金融機関からの御相談に応じていたものである、この中で金融機関が森友学園に融資しようとしているおおよその金額の話は出ていたとの認識があるとのことでございました。
○宮本(岳)委員 両方とも認識していたということであります。
資料一を見ていただきたい。赤線部、概要の二ポツでありますが、本年九月十五日、森友学園に建物建設資金を融資するR銀行より、国に対し質権設定承認について事前相談、その後、登記名義人である国土交通省大阪航空局と調整し、十月十一日まで申請書面の内容等について事前調整済み、本日、質権設定承認申請書を持参し、大阪航空局担当者同席して申請書を受理し、同局が承認事務を行うこととしていたとあります。
蝦名航空局長に聞きますが、この交渉記録の記述されている事実に間違いはありませんね。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 この応接記録を見ますと、近畿財務局は池田統括以下三人の職員と、大阪航空局は安地補佐ともう一人の、五人が同席しております。
ここで受理する予定だった質権設定承認申請書というのは、資料二でありますけれども、前回も配付済みの書類であります。資料二の赤線部を見ていただきたい。森友学園は、R銀行に対する債務者学校法人森友学園の下記第一項借入債務、つまり十億円の金銭消費貸借契約及びこれに附帯する一切の債務の担保として、六月二十日に売却された国有地の売買代金返還請求権に第一位の質権を設定するという内容であります。
資料一をもう一度見ますと、この日、質権設定承認申請書を大阪航空局担当者が受理する予定だったものが、籠池氏から直接近畿財務局に質権設定承認をとめてほしいとの連絡があったこと、その理由は、十月十二日に銀行と金銭消費貸借契約を締結したが、学園側用に同契約書の作成を求められ、その契約書が作成されるまでは質権設定の手続をとめてほしいという要望だったことが見てとれます。
これは、その後、十月二十五日にR銀行から森友学園に原本保管証明書が差し入れられており、私はそれも入手いたしました。きょうは、その写しの一部を資料三、四につけてございます。
財務省、この流れは近畿財務局も深くかかわって進められてきた、こういうことでよろしいですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
先ほども御答弁申し上げましたが、近畿財務局としましては、売買契約上の指定用途である小学校として、資金計画の内容の変更が開校までのスケジュールにどのような影響を及ぼすのかといった点について関心を持ち、その把握をする範囲内で金融機関からの御相談に応じていたというものでございまして、そもそも森友学園は本件土地に係ります国との売買契約を締結した後でございますので、どういった資金調達をするのか、あるいは、その資金調達に際してどのような担保を提供するかといったことについては森友学園や金融機関の御判断であったと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 おかしいですね。
この十月十七日の前に、九月十五日に、R銀行が初めてやってきて近畿財務局と応接した記録がございます。その記録を見ますと、R銀行が、「以前池田統括より神戸に本件の類似例があると伺ったが、」云々、こういうくだりがありますが、これはまさに、事前にそういう類似例も示して相談に乗ってきたということではありませんか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
当時の近畿財務局といたしましては、二十八年の六月二十日に売買契約を締結し、所有権は森友学園に移っていた、そういった状況でございましたが、翌年、二十九年四月一日からの開校を、指定用途という意味で、実際にそのスケジュールどおりにできるのかという意味で、当該金融機関の方からの御相談なり、そういったものには応じていたという範囲内で、近畿財務局としてはさまざまなやりとりをさせていただいていたということでございます。
○宮本(岳)委員 九月十五日に、既に「以前」という形で語られているわけですから、池田統括がどういう話をしたか、調べて、報告いただけますか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
本人への確認も含めまして、可能な限りの対応をさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 では次に、国土交通省に聞きたい。
十一月二十六日の参議院予算委員会において、我が党の辰巳孝太郎参議院議員が、八億二千万円の値引きの根拠となった藤原工業作成の試掘報告書のデジタルデータを解析し、別の穴の写真として記載されているものが、実は同じ穴の写真である事実を突きつけました。
同じ穴の写真ならば、ごみの深さは同一のはずが、国の提出した報告書の記載では、ごみの層は、一方の穴は八十センチから二メートル七十センチ、他方の穴はゼロから一メートル二十センチとなっております。そして、大臣は、この報告書がでたらめである可能性についても認めざるを得なくなりました。
ところが、みずから調査しようとしておりません。国交省が責任を持って国会に提出したものであれば、その真偽を国交省みずから調査し、国会に報告するのは当然の責務ではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の点につきましては、前通常国会におきましても同様の御指摘をいただいておりましたので、当時の工事関係者に確認を行っておりますが、いまだ回答をいただけておりません。
このため、本年十一月十四日にも、工事写真ナンバー七とナンバー十、ナンバー十一が同じ試掘穴の工事写真ではないかという点について、重ねて説明を求める旨を工事関係者に対して求めているところでございますが、まだ回答は得られていないというところでございます。
○宮本(岳)委員 藤原工業に直接それを求めましたか。
○蝦名政府参考人 御指摘の報告書に添付されております写真を撮影したのは工事事業者と思われますが、報告書自体は、設計業者が、工事の設計、監督を行っていた業者として、試掘報告書も含めまして、見積りに必要な一連の資料を取りまとめて当方に提出しているものと承知しております。
このため、当該設計事業者に対して、工事写真のナンバー七、ナンバー十及びナンバー十一が同じ穴なのではないかという点について説明を求めているところでございます。
また、当該設計業者からは、工事事業者への確認も含めて、今確認を行って、その上で回答するということを返事をいただいているところでございます。
○宮本(岳)委員 そんなことをやっているからだめなんですよ。みずから調査するという立場に立たなきゃだめですよ。
これまでも国土交通省は、みずから確認しようともしない態度がたびたび批判されてまいりました。
例えば、この土地の不動産鑑定評価に当たって、不動産鑑定士に示された軟弱地盤対策費五億八千四百九十二万余円の算定根拠について、会計検査院報告は、昨年の十一月の報告で厳しい指摘をしております。
会計検査院に聞きますが、報告書八十二ページ、十五行目から二十二行目にどのように書いてありますか。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
委員お尋ねの報告書八十二ページには、
大阪航空局に確認したところ、大阪航空局は、近畿財務局からの依頼に基づき、森友学園側の工事関係者から提供された見積書を内容の検証を行わないまま近畿財務局に提出したとしている。そして、近畿財務局は、当該見積書が契約相手方である森友学園側の工事関係者から提供されたものであることを知りながら、その事実を説明せず、また、内容を十分に確認しないまま、不動産鑑定士に判断を委ねることとして、これを考慮することを条件とした鑑定評価業務を委託していた。このようなことから、両局において、予定価格の決定に関連した事務の適正な実施に対する配慮が十分とはいえない状況となっていた。
と記述しているところでございます。
○宮本(岳)委員 航空局は、工事関係者から出された資料をチェックもせずに財務省に出した。片や財務局も、十分確認もせず不動産鑑定士に丸投げした。
航空局、この会計検査院の指摘をどう受けとめておるんですか。
○蝦名政府参考人 御指摘の点につきましては、近畿財務局から地盤の状況に関する資料を提出するよう依頼があったことを受けまして、大阪航空局と近畿財務局が相談をして、大阪航空局から近畿財務局に対して、工事事業者から提供を受けた資料をそのまま提出をしたところでございます。
この件につきまして会計検査院から御指摘がございましたので、その御指摘については重く受けとめて、今後、契約相手方の資料を用いる必要が生じた場合には、必要な確認等を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 重く受けとめるのであれば、国交省みずから調査し、国会に報告するのは当然のことだと思います。
委員長にお願いしたい。
国土交通省の責任で、報告書についての調査を行い、当委員会に報告するよう求めていただきたい。
○谷委員長 ただいまの件につきましては、後日、理事会で協議いたします。
○宮本(岳)委員 さて、そこで改めて、前回の質疑の最後に私が指摘した、この森友の土地は一体幾らの土地なのかということであります。
財務省、国有財産評価基準によれば、単独利用困難な土地等の国の職員による評価が許される場合を除き、不動産の鑑定評価に関する法律第三条第一項に規定する、不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価によることとされておりますね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今委員御説明のとおりでございます。
○宮本(岳)委員 この土地に関するプロの不動産鑑定士の鑑定評価書は、二〇一六年六月二十日の土地売却を前後して、二つございます。
一つは、売買時に近畿財務局が委託した山本健爾鑑定士が五月三十一日という日付で近畿財務局に提出した、正常価格九億五千六百万円というこの鑑定評価書。
もう一つは、前回私が明らかにした、八月十日付で森友学園に提出された、株式会社財産プランニング研究所熊沢一郎不動産鑑定士による平成二十八年八月一日時点の更地の正常価格十三億円というこの鑑定評価書。
私は、この九億五千万円と十三億円との違いをもって、どちらが正しいかという議論をするつもりはありません。私は、この二つの不動産鑑定評価書をプロの不動産鑑定士の方に見ていただいて、検討いたしました。その方の所見でも、鑑定は野球のストライクゾーンのようなものだ、高目低目の違いはあっても、この二つはどちらもストライクゾーンは外していないというものでございました。
不動産鑑定評価基準を所管する土地・建設産業局に確認しますけれども、不動産鑑定士が不動産鑑定評価基準に基づいて行った鑑定評価というものは、この不動産鑑定の評価基準、二から三ページに載っている第三節、不動産の鑑定評価によると、不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見であって、その社会的、公共的意義は極めて大きいと明記されておりますが、間違いないですね。
○野村政府参考人 たった今のお尋ねでございますが、今手元の現物を見ましたところ、委員の御指摘に相違ないと思います。
○宮本(岳)委員 この熊沢一郎不動産鑑定士が、二〇一三年九月から二〇一七年九月まで四年間、国有財産近畿地方審議会の委員であった事実を富山次長は前回の質疑でお認めになりました。
その委員については、学識経験のある者を任命していると言いつつ、熊沢一郎氏が不動産鑑定士として近畿不動産鑑定士協会連合会会長を歴任されているということが理由として語られましたから、その不動産鑑定士としての高い技量や識見が委員選任の理由なのだと私は思いますが、次長、よろしいですか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
熊沢一郎氏は、不動産鑑定士として近畿不動産鑑定士協会連合会会長などを歴任をされているということで、不動産に関する見識を有しておられるということから、平成二十五年九月から平成二十九年九月まで約四年間、国有財産近畿地方審議会の委員をお願いしたところでございます。
○宮本(岳)委員 前回の質疑で、私は、この熊沢委員が、この豊中の国有地を森友学園に定期借地契約で貸し付けた後、十年以内に売り払うというスキームを議論し、確認した、二〇一五年二月十日に開催された第百二十三回国有財産近畿地方審議会の時点でも委員であったことを指摘いたしました。
この熊沢鑑定士・委員は、第百二十三回近畿地方審議会に出席しておりましたか。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
平成二十七年二月十日に開催されました第百二十三回国有財産近畿地方審議会には、当時委員でございました熊沢氏は出席をしておりませんでした。
○宮本(岳)委員 そうなんです。百二十三回には欠席をしております。
ただ、その後、第百二十七回地方審議会というものがやられております。これは、私は忘れられませんで、昨年の二月十五日から、私、財務金融委員会で森友問題の質問を始めました。麻生財務大臣に近畿地方審議会に報告すべきだということを繰り返し申し上げて、大臣がとうとう、報告させたいということで、大臣のそういう御発言もあり、その結果、昨年の三月に第百二十七回地方審議会が開かれ、報告された。このいきさつに間違いないですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の第百二十三回国有財産近畿地方審議会におきまして、森友学園を相手方とし、十年間の事業用定期借地による時価貸付けを行うとともに、売買予約により十年以内に森友学園が国有地を時価で買い受けるとの処分方法についても御審議いただき、御了承をいただいたものでございます。
そうした経緯から、その後の本件土地の売却につきましては、既に地方審議会で了承いただいている処分方法の、すなわち、売払い前提の定借による貸付けという処分方法の範囲内であることから、二十八年六月の売却時に改めて地方審議会には付してはいなかったところでございます。
しかしながら、森友学園への本件土地の処分につきまして、昨年二月より国会で質疑が行われる中、宮本委員より御指摘をいただいたことも受け、麻生財務大臣からの御指示を踏まえ、森友学園への本件土地の処分の状況等につきまして、昨年三月二十三日開催の第百二十七回国有財産近畿地方審議会において報告を行ったものでございます。
○宮本(岳)委員 その第百二十七回地方審議会の議事録、熊沢委員の発言部分を資料五に、そして、熊沢委員が発言の中で「いろいろ最終的な重大な部分になる」と指摘した別添資料六の二十三ページ、付記意見というものを資料六につけておきました。
つまり、みずから二〇一六年八月十日にはこの土地を十三億円と評価した熊沢不動産鑑定士は、売却時の山本不動産鑑定士の九億五千六百万円という鑑定評価額に異を唱えておりません。やはりそこから、大阪航空局がごみの撤去処分費用として積算した八億一千九百万円を差し引いて、一億三千四百万円などという意見価額を付記意見として書き込んだことが重大だ、こう言っていると思うんですね。富山次長、間違いないですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今お話のございました百二十七回の国有財産近畿地方審議会におけます熊沢委員の御発言の中には、今委員が御指摘をされた部分もございますが、さらに、熊沢氏の方からは、「一応こういう形で信頼できる資料が出ているので、これについて考慮した意見価格を出しました」といったような御発言もございまして、全体を読みますと、熊沢氏がこの意見価額を付したということを全面的に否定をされているというものではないというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 いや、全面的に否定はしていないですよ、もちろん。
山本健爾鑑定士の名誉のために言っておきますが、山本鑑定士も、この五月三十一日に近畿財務局に提出した不動産鑑定評価書において、一億三千四百万円という意見価額を書き込んだのは、あくまで鑑定評価で決定した更地の価額九億五千六百万円から、依頼者が提示した地下埋設物撤去及び処理費用八億一千九百万円というものを仮に引けば意見価額になると付記意見を付しただけだと。
会計検査院の昨年十一月の報告書八十二ページでも、参考事項として記載された意見価額は、鑑定評価額とは異なるものであり、鑑定評価額に求められるような中立性や信頼性の水準を確保することが求められるものではないと書かれておりますが、会計検査院、これは間違いないですね。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
委員お尋ねのとおりでございます。
○宮本(岳)委員 そうなんですよ。このごみの費用を引いた額を正常価格であると言った不動産鑑定士は一人もおりません。
この熊沢という人は、何の条件もつけず十三億だと言い、山本さんは、当然、近畿財務局から依頼されましたから、参考価格というものは後で出していますけれども、この人が決めた額もまた九億五千六百万です。
大体、山本鑑定士は、大阪航空局の八億一千九百万などというこの概算額は、依頼者側の推測に基づくものが含まれていて、他の専門家が行った調査結果等としては活用できなかったとまで言っているわけですね。
つまり、九億五千六百万円も十三億円も、高目低目の違いはあれども、ストライクゾーンに入っている。しかし、八億二千万円引きで一億三千四百万円などというものこそ大暴投、デッドボールだと言わなければなりません。
近畿財務局は、有益費としてあらかじめ支払った一億三千二百万円を下回らない形で不動産鑑定評価額から八億一千九百万円を差し引けば、ほぼその額に落ちつくように、山本不動産鑑定士ともやりとりがあったのではないか。
売却に当たって、二〇一六年五月三十一日に不動産鑑定評価書を山本鑑定士から受け取るまでに、一切不動産鑑定書を見ていない、鑑定評価額は知らなかったと言い切れますか、財務省。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
本件土地の売却に係ります鑑定評価につきましては、不動産鑑定評価業務に係る仕様書におきまして、鑑定評価書の原稿を五月二十日に提出することとなっておりました。不動産鑑定士より、統括官部門に対しまして、五月二十日に鑑定評価書の原稿が提出され、その後、五月三十一日に不動産鑑定士から鑑定評価書の正本が提出されているところでございます。
そういった意味で、五月二十日に不動産鑑定士から鑑定評価書の原稿が提出されておりまして、その段階で鑑定評価の内容を了知しておったものでございます。
加えますと、この原稿におけます鑑定評価額は九億五千六百万円、意見価額は一億三千四百万円でございまして、五月三十一日に不動産鑑定士から提出されました正本と同様の内容でございました。
○宮本(岳)委員 それはもちろん、原稿と最終的なものとの間に違いが生じていると、これはもうあからさまに値を下げたということになりますから。
しかし、きょう資料七につけたように、会計検査院もまた、あらかじめそれを知っていたということを述べておりますから、これは逃れようもない話なんですね。
あなた方は、先に大阪航空局の八億一千九百万円が決まっていて、後から不動産鑑定を委託したんだから、一億三千万程度に調整することは不可能だ、こう言い張ってまいりました。
しかし、今初めて、九億五千六百万円という鑑定評価額も、一億三千四百万円の意見価額も、事前に知らされていたということをお認めになりました。一億三千四百万円という売却価格が決まるまでに山本鑑定士と近畿財務局の間でどのようなやりとりがあったのか、しっかり語っていただかなくてはなりません。
私は、山本健爾不動産鑑定士とあわせて、熊沢一郎不動産鑑定士の参考人招致を求めて、きょうの質問を終わります。
○谷委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 よろしくお願いします。
もういつものことながら、時間も限られていますので、質疑に入らせていただきます。
油圧機器メーカーでありますKYBについてお聞きをしたいと思います。
KYBとその子会社のカヤバシステムマシナリーが製造した免震・制振オイルダンパーで、検査データの書きかえにより、大臣認定や顧客との契約に適合しない製品が出荷されていたという問題が、先々月、十月十六日に発生をした、この件についてお伺いをいたします。
今回のこの問題の対象となる物件は四十七都道府県で一千件近くに上ることから、各地で不安が広がっています。私の地元の大阪府も、そういう被害といいますか、遭っているというふうにも聞いています。
KYBとカヤバシステムマシナリーでは、不正の疑いのある装置は全て交換する方針ということですが、新規受注を取りやめて交換を優先させても、生産能力の限界から、交換の完了が最短でも二〇二〇年の九月、約二年後ですね、までかかる見通しだというふうに聞いております。
KYBは、不正な装置が使われた建物の安全性を検証し、震度七程度の地震にも十分耐えられるとしていますが、揺れが大きくなる可能性があるというふうにおっしゃっていると伺っています。
不正が疑われる装置が使われた施設として公表されているものの中には、原子力発電所や医療施設、そして防災拠点となる官公庁の建物など、揺れが大きくなることが予想される施設も含まれており、地震に耐えられることだけでは安心できないというふうに考えます。
また、不正が疑われる装置が使われた施設については、承諾がとれたものから順次公表されてきていますが、これまで公表された施設は、不正のあった全体の一割程度にとどまっています。特に、マンションなどの民間施設については、やはり資産価値の問題だとかもありますし、風評などの影響を懸念してなかなか了解が得られずに公表が進んでいないんだと思うんですけれども、いざ地震があった場合に、居住者がそのことを知らないということでは大変危険ではないかなというふうに考えます。
不正な装置が使われた施設で地震があった場合にどのような影響があるのか、国としてもっと詳細な情報を開示するとともに、不正が疑われる装置が使われた施設の公表を更に促すということによって、該当施設の利用者や居住者に安心していただけるように努めるべきだというふうに考えますけれども、どのようにお考えですか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
今回の不正事案に関しまして、建築物の耐震性への影響を検証するために、KYBとカヤバマシナリーの案件に関しまして、大臣認定等で許容されておりました製造のばらつきの範囲からの乖離が特に大きいオイルダンパーが使われました七つの建築物等につきまして、サンプル的に構造安全上の検証を実施して、その結果を公表いただいているところでございます。
その検証の結果におきましては、当初の設計で目指していた制御、抑制された揺れ、これと比べて、揺れ幅が最大で一割ぐらい大きくなるとの結果となったところでございます。
また、この七棟以外の建築物につきましても、関係している各社に対しまして、年末までをめどに構造安全上の影響について確認を行うよう指示をしております。その結果が所有者等、この中には当然マンションの管理組合等も入りますが、に報告されることにより、各建物への影響に関しまして、所有者などの御理解が進むものというふうに考えております。
さらに、利用が所有者などにとどまりません、不特定多数の方が利用される庁舎、病院、こういったものにつきましては、早急に所有者の御了解を得た上で物件名を公表するように各社を指導しております。
物件の公表につきましては、KYB等の社内体制が十分でなかったこともありまして、説明等がなかなか進まない状況であったことから、これらの会社に対しまして、進捗管理の総括責任者を置けということであるとか、対象物件ごとの進捗管理の担当者を設定してくれというようなことを求めたところでございます。
また、あわせまして、国交省の方からも、建設業及び不動産業の業界団体に対しまして、そういった所有者、関係者への説明に対する協力をいただけるようお願いをしております。
これまでに百二十三件が公表されているところでございますが、引き続き、関係業界の協力も得ながら、所有者など関係者と調整の上で、物件名の公表、適合品への交換が迅速に行われ、所有者などの関係者の安全、安心が確保されますよう、関係業者を指導してまいりたいと考えております。
○井上(英)委員 免震、制振、それぞれ八百八十五件、七十九件ですかね、交換も含めてやるということで、公表が全てだとは当然思っていませんし、先ほど申し上げたように、不都合が発生するような場合も、気の毒な方もたくさん出てくる可能性もあるので、それが全てとは言わないんですけれども、そういう方々がそういうことになっているという事実をやはり正確に伝えていただいた上で、しっかりと対応していただけるようにお願いしたいなというふうに思います。
KYBは、データを改ざんした動機について、装置の需要が高まる中で、基準値を満たさない製品を再調査するために約五時間の手間がかかり、納期に間に合わせるためにその労力を惜しんだということが要因の一つではないか、大きい要因だったのではないかなというふうに思いますが、不正は二〇〇〇年ごろから始まっていて、ことしは二〇一八年ですから、約十五年を超える、十八年にもわたる長期にわたっているんですけれども、本当に、もっと早く気づくことができなかったのかなというふうに思います。
こういったことが起きるのは、もちろん会社、社員のモラル、倫理観の問題ですが、深刻なのは、やはりそのモラル、倫理観がなぜ欠如してしまったのかということであります。物づくりというものへの意識や自覚が欠如してきたことが懸念される点であります。
やはり、日本の物づくりというのは、あらゆる状況に耐えられる基準や規格というのをクリアすることで成長してきたというふうに思いますが、製造の現場にとって、その要請に応えることが並大抵でないことも一定確かなのではないかな、ある意味、技術も限界に来ているのかなという気もいたします。
納期や価格の圧力がかかる中で、いつしか物づくりへの誇りよりも目先の受注というのが優先されてしまったという構図じゃないかなというふうにも考えますが、もちろん、利用者の安全、安心を確保するということが当然の大前提でありますが、今回の件は許されることではありませんけれども、そのために、求められる基準や規格が合理的であるかをチェックするということもやはり大事ではないかと改めて思います。
基準や規格の策定に当たって、製造の現場が本当にその要請に応えられるのか、またメーカーの経営というのにどのように影響を与えるのかといった側面も考慮して、今後、不断にチェックされるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○石田政府参考人 お答えを申し上げます。
今回の不正が行われました免震のダンパーの基準に関しましては、よく報道でプラスマイナス一五%以内となっておりますが、これは、大臣認定の申請をする側の方から、そのばらつきで製造という申請をいただいて大臣が認定しているというものでございますし、今回問題になっております、顧客の契約等に違反、これは、その大臣認定の幅におさまっているにもかかわらず、より厳しい水準の契約をされた上で、その契約は満たしていなかったというものでございます。
そういった意味で、大臣認定の内容そのものが厳し過ぎたからということではないかとは思いますけれども、先ほどありましたとおり、我々の方でも、その製品のチェックに関しましては、例の免震ゴムの不正がありました以降、平成二十八年から品質管理に関する基準の適合などを認定自体でチェックいたしますとともに、あと、二十七年以降は免震材料につきましてもサンプル調査を行ってきておりました。ただ、残念ながら、今回いろいろ問題が起きました各社に対しましては、まだそのサンプル調査が未実施であった状況でございます。
今回の事案を把握できなかったことを踏まえまして、当面の対策といたしましては、大臣認定を取得した全ての免震材料の供給事業者に対しまして、品質管理体制に関して、性能評価機関による調査を受けた上で、十二月二十一日までに報告するよう今求めております。そうした中で、適切な品質管理体制が確保されていない場合には、その改善を求めますとともに、今後のサンプル調査におきまして、免震オイルダンパー等につきまして重点的にチェックをすることで臨みたいと思っております。
また、我々国土交通省の方に今、外部有識者委員会をつくりまして、再発防止策や原因究明の検証に当たっていただくことにしております。今後、事業者の方でつくっておられます外部調査委員会等におきます原因究明の結果の取りまとめなども踏まえまして、我々の方も、再発防止策を含めまして検討を行っていただき、年度内をめどに報告をいただく予定としております。
こういった外部委員会の提言を踏まえまして、再発防止に向けまして必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○井上(英)委員 もちろん、大臣認定は、メーカー側が仕様を言って、その仕様が大臣認定に、基準を満たすものであるから当然認定を出しているというのはよくわかるんですけれども、結果的にその仕様が守られていなかったということですから、やはり、その仕様が守られているのか守られていないのかというのはチェック、先ほど、チェックはちょっとできていない部分だったということだったんですけれども、今後、国土交通大臣の認定をするわけですから、しっかりとチェックも何とかできるように鋭意努力をしていただければというふうに思います。
もう時間が本当に限られているので、次に、航空業界での飲酒に絡む不祥事についてお伺いをいたします。
十月に日本航空の男性副操縦士が過剰な飲酒によりロンドンで現地警察に逮捕されたという件は、先週、現地で禁錮十カ月の判決が出たということであります。御存じのとおり、これ以外にも、ANAウイングス、スカイマーク、日本エアコミューターと、飲酒が原因で運航乗務員が乗務できずに航空便が遅延するトラブルが相次いでいる。要は、ユーザーさんに、乗客の方に御迷惑がかかっているという事案が相次いでいる。
私も地元と東京とを行き来するのに飛行機を使用することも多いので、多くの人の命を預かる重要な航空会社でこのようなことが起きているということは一利用者としても大変遺憾に感じていますけれども、大臣、まず、この事案に関してどのような御感想をお持ちか、お聞かせいただけますでしょうか。
○石井国務大臣 安全を最優先とすべき航空機の操縦士等が規定に反する飲酒をしていたということについては大変遺憾であるというふうに考えております。
このため、今、本邦航空会社全社に対しまして、再発防止等の徹底を呼びかけているところでございます。
○井上(英)委員 大臣も同じような感想を持っていただいていると。
我々も非常に多く利用しますし、航空会社もしっかりと業務はやっていただいているとは思うんですけれども、一部のそういった社員によってこういう大きい遺憾の気持ちを持たせることになってしまったということは、やはり重要な事案ではないかなというふうに思います。
詳細についてはこれから政府参考人に聞きますけれども、時間が限られていますので、また、通常国会もありますし、そのときに詳しく聞いていこうと思いますけれども、やはり我が国では検査の義務化等の具体的な基準というのがない、航空法上、要はちゃんと操縦できるような状態というのを法律上は明記されていますけれども、通達といいますか細則といいますか、八時間というのはそのレベルですし、最終的に細かいルールというのは、自主的な、各航空会社に委ねられているルールに定められているということであります。
今回、飲酒の検知器を使って調べてわかったんですけれども、使っていないという航空会社もあるというふうに聞いているんですけれども、どれぐらいの航空会社の数なのか、どこなのか、検査器自体を導入していない会社も、何社で、どこかというのをお教えいただけますでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
現在の時点で、国内の航空会社二十五社のうち、アルコール感知器を導入していない会社といたしましては、ジェットスター・ジャパン、アイベックスエアラインズの二社がございます。
また、感知器による検査を毎回行っていない会社は、この二社に加えまして、AIRDO、オリエンタルエアブリッジの計四社でございます。
○井上(英)委員 その会社もあるということで、レクのときにはそれは言えないというようなことを言っていたんですけれども、朝日新聞に出ているんですね。ですから、そういった質問通告も、こういう不祥事の案件をするときには事実確認も含めての情報交換が必要ですから、しているんですけれども、きっちりと航空局も対応していただきたいなと思いますし、大臣も先ほどおっしゃったように、非常に遺憾と言われるような事案ですので、しっかりと今後また時間がとれるところでやっていきたいと思いますので、きょうはこれで終わります。
以上です。
○谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十八分散会