衆議院

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第2号 平成31年3月8日(金曜日)

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平成三十一年三月八日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    秋本 真利君

      安藤 高夫君    上杉謙太郎君

      大西 宏幸君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    門  博文君

      神谷  昇君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小島 敏文君

      古賀  篤君    田中 英之君

      高木  毅君    武井 俊輔君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中谷 真一君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      堀内 詔子君    松島みどり君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    望月 義夫君

      盛山 正仁君    簗  和生君

      荒井  聰君    福田 昭夫君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      日吉 雄太君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    宮本 岳志君

      井上 英孝君    広田  一君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   国土交通副大臣      塚田 一郎君

   文部科学大臣政務官    白須賀貴樹君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  下司 弘之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 岡西 康博君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     武井 俊輔君

  土屋 品子君     松島みどり君

  鳩山 二郎君     安藤 高夫君

  宮内 秀樹君     熊田 裕通君

  望月 義夫君     大西 宏幸君

  簗  和生君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     簗  和生君

  安藤 高夫君     上杉謙太郎君

  大西 宏幸君     望月 義夫君

  熊田 裕通君     宮内 秀樹君

  武井 俊輔君     門  博文君

  松島みどり君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     鳩山 二郎君

  堀内 詔子君     土屋 品子君

    ―――――――――――――

三月七日

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長栗田卓也君、土地・建設産業局長野村正史君、都市局長青木由行君、水管理・国土保全局長塚原浩一君、道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、鉄道局長蒲生篤実君、自動車局長奥田哲也君、港湾局長下司弘之君、航空局長蝦名邦晴君、国際統括官岡西康博君、観光庁長官田端浩君、気象庁長官橋田俊彦君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、外務省大臣官房審議官大鷹正人君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤忠彦君。

伊藤(忠)委員 おはようございます。自由民主党の伊藤忠彦でございます。

 それでは、質疑に移らせていただきます。

 まず、大臣所信にも触れられておりました共同住宅の安全、安心の確保についてお伺いをしたいと存じます。

 レオパレス21において、同社が施工いたしました賃貸共同住宅における界壁の不備に関する従来の事案に加えまして、今般、界壁、外壁及び天井が建築基準法の基準に不適合である新たな事案が発覚したことは、まことに遺憾なことであります。

 そこで、まず、レオパレス21が施工いたしました賃貸共同住宅における建築基準法の基準への不適合について、国土交通省におけるこれまでの対応状況についてお伺いをいたします。

石田政府参考人 これまでの対応状況について御説明をさせていただきます。

 まず二月七日、レオパレス21が基準法への不適合について公表を行いました際に、同社に対して、所有者などに丁寧に説明し、特定行政庁に報告すること、所有者などと調整の上で可及的速やかに改修等の対応を行うこと、第三者性を確保した形での原因究明を行い、その結果及び再発防止策を報告することなどを指示したところでございます。

 その後、二月十八日には、調査や改修等を加速する観点から、三月十八日までに原因究明結果を報告すること、不備が判明しているシリーズに関しましては、早期に全棟調査を完了させ、夏までに全棟改修を完了させること、その他のシリーズにつきましても、年度内をめどに同様の不備がないかチェックを行い、不備が判明した場合には、当該シリーズの全棟について夏までに調査を完了するとともに、本年十月までに改修を完了させることを求めたところでございます。

 また、国としまして、建築の品質管理や法律の専門家などから構成されます外部有識者委員会を設置いたしますとともに、当該委員会の委員の御意見も踏まえまして、レオパレス21が国交省に原因究明結果を報告すべき最低限の調査事項等につきまして、二月二十日に提示をしたところでございます。

 こういった対応を現在まで進めているところでございます。

伊藤(忠)委員 ただいま、国土交通省において、事案の発覚以降、さまざまな対応を講じてきたという答弁をいただきました。

 私としては、何よりもまず、賃貸共同住宅入居者等の現実の生活の中における安全、安心の確保を最優先に取り組むべきことと思っております。これについては、期限を区切って実行しようということになっておるようでございます。その上で、二度とこのような事態が生じないように徹底した原因究明を行うということでございます。会社の側でも委員会を設置、そしてまた国土交通省の中にも委員会を設置をして、これまた期限を区切って原因究明について厳しくやろうということでございますので、ぜひしっかりと真相をはっきりしていっていただきたいというふうに思います。

 なぜ、私が真相をはっきりしなきゃいけないと申すかと申せば、再発防止をしていくには正しい原因の究明ということが重要であります。したがいまして、その後に、ぜひとも再発防止、これはレオパレスのみならず、こうした事案が二度と住宅の業界にあって起こらないようにしていくこと、それをぜひしっかりと目指していただいて、さまざまな方策をしっかりと実行していっていただきたいと思います。

 つきましては、国土交通省における今後の取組の方針について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 委員から御指摘いただいたように、まずは賃貸共同住宅入居者等の安全、安心の確保を図り、その上で、徹底した原因究明をもとに、適切な再発防止策を講じていくことが重要であると認識をしております。

 このため、まずは入居者等の安全、安心の確保の観点から、レオパレス21に対して、関係者への丁寧な対応や、第三者性を確保した形での調査や改修を加速させることを求めてきたところであります。

 さらに、レオパレス21に対して第三者性が確保された形での原因究明を行うよう求め、その結果として、今般、同社により、弁護士から成る調査委員会の設置について発表がありましたが、当該委員会による原因究明結果につきましては、国の外部有識者委員会におきましてもしっかりと検証してまいります。

 再発防止策につきましては、国の外部有識者委員会において、原因究明結果を検証した上で、専門的見地から再発防止策を取りまとめていただくこととしておりまして、いただいた提言を踏まえ、国といたしまして、賃貸共同住宅の品質を確保していくために必要な対策を講じてまいるという考え方でございます。

伊藤(忠)委員 ただいま大臣からお話をいただきました。

 住まいというのは、私たちの人生においても、そしてまた財産としても極めて重要な現場であります。ぜひ、大臣を先頭に、国土交通省のリーダーシップをお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 昨年、さまざまな災害においてインフラの機能に問題が生じたことを踏まえまして、政府は昨年、防災・減災、国土強靱化のための三十二年度までの三カ年緊急対策を取りまとめ、平成三十年度の補正予算、三十一年度の予算において大規模な予算を確保してまいりました。平成三十二年度も必要な予算をしっかりと確保し、緊急対策を集中的に実施していくことが今求められているところでございます。

 しかしながら、気候変動の影響等も考えますと、この先も昨年と同様の、あるいは更に大きな水害がどこでどのように起こるかということ、土砂災害などの災害が頻発することを考えていかなければなりません。また、大地震もいつ発災するかわからない状況であります。

 国土強靱化について、ここからお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、国土強靱化のためには、三カ年緊急対策の期間だけではなくて、平成三十二年度以降も引き続き、ソフトとハードの両面において必要な対策を果断に実行していくことは待ったなしの状況ではないかと私は考えております。

 今後の防災・減災対策をどのように進めていくか、基本的な方針をお伺いしたいと存じます。

塚原政府参考人 防災・減災対策につきましてお答え申し上げます。

 近年の頻発する大規模な災害の教訓を踏まえまして、災害リスクに関する知識と心構えを社会全体で共有し、さまざまな災害に備える防災意識社会への転換を図り、整備効果の高いハード対策と住民目線のソフト対策を総動員していく必要があるというふうに考えております。

 昨年の相次ぐ自然災害を受けまして、重要インフラの機能確保に向けた緊急点検を行ったところでございまして、明らかになった課題を踏まえ、例えば、ハザードマップ等、災害時に命を守るために必要な各種リスク情報の徹底的な周知、外国人旅行者等への情報提供体制の強化などのソフト対策や、バックウオーター現象等により堤防決壊が生じた場合に人命への危険性が高い箇所の堤防強化対策、道路や鉄道に隣接する斜面等の防災対策、空港や港湾における電源設備の浸水、耐震対策などのハード対策につきまして、昨年末に取りまとめた三年間集中で講じる緊急対策を推進してまいります。

 さらに、災害から国民の命と暮らしを守るため、三カ年緊急対策を講じた後も、引き続きまして、必要な予算を継続的に確保しつつ、国土交通省の現場力を最大限に活用し、総力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいります。

伊藤(忠)委員 今、局長から大変重要な御発言をいただきました。それは何かというと、三十二年度以降もしっかりと目くばせをしていかなければならないということであります。

 しかし、財源というのは非常に重要な課題でもあって、私たち政治の現場としても、こうしたことをしっかり考え合わせて協力をし、日本の国が安全となるようにしていかなければならないということを今痛切に思った次第です。

 続いて、私どもの地元の課題も一つ触れていきたいと思っております。

 都道府県版のGDPである平成二十七年度の県内総生産が昨年、平成三十年、公表されまして、愛知県は東京に次ぐ二位を占めさせていただくことになりました。これを物流で支えているのが名古屋港であります。

 昭和五十二年から四十年間にわたって製造出荷高一位を誇る我々愛知県の製造品は、名古屋港からアジアへ、中国へ、そして欧米に毎日出荷されているとともに、製造品の原材料が毎日名古屋港に入荷をしてまいるところでございます。

 しかし、この名古屋港は、庄内川を始めとする河川が毎日その河口に土砂を運んでくるところでございまして、船舶の航行のためにも、この土砂をしゅんせつしていかなければならない宿命があります。

 このしゅんせつした土砂は、ポートアイランドと称しますところに処分をされておりますけれども、名古屋港内には比較的大規模な新たなしゅんせつ土砂の処分場がないため、ポートアイランド内に築堤等を整備をし、しゅんせつ土砂の仮置きを行っているところでございます。

 ポートアイランドの周囲には航路が多くありまして、多くの船舶が行き交っておりますが、南海トラフ地震が起こった場合、ポートアイランドの土砂が崩れて、直ちに航路が埋まってしまうおそれがあるのではないかと心配をいたしております。これは、中部圏の物づくりを支える物流がとまってしまう、しかも長い期間とまってしまうという一大懸念であります。

 また、ポートアイランドにおいては、現状を超える築堤のかさ上げは難しく、平成三十年代前後にもしゅんせつ土砂の受入れが困難になってまいる状況から、現在、新たな土砂処分場の確保に向けて環境影響評価等の手続が行われており、航路しゅんせつによる名古屋港の持続的な機能確保については、引き続き、将来を見据えた対応が進められなければならないと認識をしております。

 そこで、大臣にお伺いをしたいと存じます。

 ポートアイランドに高く土砂が積まれた状態について、護岸の補強等により、現状は危険性は低いと聞いておりますけれども、三十年以内に来るであろう東海、東南海地震のような大規模地震時のリスクについて、懸念を払拭することにはならないのではないかと思います。

 国土強靱化の観点からも、ポートアイランドの安定性を恒久的に確保するために、緊急に抜本的な対策が必要であると考えておりますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと存じます。

石井国務大臣 名古屋港ポートアイランドに仮置きをしておりますしゅんせつ土砂につきましては、水面から約十八メートルまではかさ上げできるよう、既に護岸の補強等を実施しておりまして、南海トラフ地震等の最大クラスの地震が発生した場合におきましても、主要航路の埋没につながる土砂流出は、当面はないものと考えております。

 しかしながら、補強されたもとの埋立護岸等は、耐用年数の短い仮設構造物として設計されたものであり、国土強靱化の観点からも、老朽化の進捗等についてしっかりとした調査を引き続き行う必要があると考えております。また、多大な土砂が仮置きされている現状が長期間続くことは望ましくないと考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、ポートアイランドの護岸等の安全性の検証を行うとともに、抜本的な対応が図られるよう早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 大変ありがとうございます。

 名古屋港の出入りというのは非常に難しいことがございまして、それは、一方通行の港なのでございます。入り口と出口が一致しているというところなんです。したがって、この航路が一度塞がるということは非常に難しい事態となりますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、都道府県の、私たちの地域の道路のことについても一つ伺いたいと存じます。

 昨年のTPP11の発効、そして本年のEUとのEPAの発効と、相次いで新しい世界のグローバルな貿易ルールが稼働し始めた本年であります。新たなグローバル化の進展に伴いまして、新しい国際競争が激しくなっていく中にあって、日本の経済の中心拠点であります中京圏もまた、我が国の経済の好循環の更に磨きのかかった一員として持続していく必要があると私たちは考えております。

 地域のインフラが国際競争力を付加することができるように、大臣が日ごろより提唱されている生産性向上に向けての新しいインフラというものも必要なんだという共通の認識のもとに、これから質疑をさせていただきます。

 自動車産業、航空機産業を始めとする日本の物づくり産業を支え、私たち愛知県並びに中部圏は、地域のポテンシャルを飛躍的に高めたいということを考えております。

 二〇二七年にはリニア中央新幹線が開業予定であり、それにより品川―名古屋間が四十分で結ばれるということになります。いわば、中京圏、ひいては関西圏までが一体として首都圏となるインパクトを持つ交通革命の時代がもうそこまで来ております。その効果を最大限に高め、更に地域全体の強靱化をしていかなければならないと考えております。

 現在、中部国際空港へは、知多半島道路により一本で結ばれているわけでございますけれども、大規模災害における道路ネットワークの役割等を考えてみますと、空港へのアクセスというものは、特に第一種国際空港に向けてのアクセスとしては二本必要とするという、このリダンダンシーを確保することが極めて重要であります。

 西知多道路は、中部国際空港と新東名高速道路を直結するだけでなく、名古屋高速道路を経由してリニア中央新幹線名古屋駅を結ぶため、広域なストック効果を高め、物流、交流軸となる重要なネットワークを形成する道路と考えております。

 昨年、東海市の起点となるジャンクションで着工工事をやっていただきました。引き続き、まだ未認定区間となっております知多市区間を始め、やらなければならないことはたくさんあるわけでございます。

 国土強靱化の観点からも、南海トラフ巨大地震等災害時には緊急輸送路としての機能を担うなど、重要な役割を果たす道路でもございますこの西知多道路の整備ということについて、この意義と今後の見通しについてお伺いをしたいと存じます。よろしくお願いします。

池田政府参考人 国道二百四十七号西知多道路は、臨海工業地帯における物流機能の強化、中部国際空港のアクセスの強化及び災害時のリダンダンシーの観点で重要な道路であると認識をしております。

 西知多道路は延長約十九キロございますけれども、東海ジャンクション部分の二キロにつきまして、国による権限代行事業で事業を開始をいたしました。また、青海インターチェンジから常滑ジャンクションの間の約四キロにつきましては、愛知県の補助事業として事業を開始いたしました。ともに、平成二十八年度より事業化をしております。

 今委員御指摘のように、東海ジャンクション部分で昨年十二月より工事に着手したところでございますけれども、早期完成に向けて、愛知県と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 また、未事業化区間を含め、引き続き、国と愛知県で役割分担をいたしまして、早期の全線開通を目指してまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 今、権限代行のことも触れていただきながら、国と県の協力をしっかりと明言をしていただきましたので、ぜひとも早期の全線開通に向けて、そしてそれが、グローバルに経済が動いている時代の中で大変大事な生産性革命に向けての一役を担っていくという認識のもとに、皆で頑張らせていただきたいと思いますので、くれぐれもよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 道路のことについてもう一点、お願いを申し上げたいと思います。そしてまた、これからのことについて伺いたいと思います。

 三大都市圏環状道路の一つである東海環状自動車道は、中京圏を中心とし、首都圏、近畿圏、日本海側の地域と太平洋側の地域を結ぶロータリーとして機能いたしておりまして、物流の最適化による我が国の産業競争力の強化や災害時のリダンダンシーの確保など、絶大な効果が見込まれる道路と考えております。

 また、三重県側から見ますと、中部国際空港へのアクセスが飛躍的に改善をし、地元の、まさに三重県の空港としての中部国際空港の利用に向けて、大きな大きな効果が期待をされているところであります。

 本年三月十七日には、新名神高速道路の新四日市ジャンクションから亀山西ジャンクション間の開通とあわせまして、東海環状自動車道の大安インターから東員インターの六・四キロが開通をし、東海環状自動車道の約六割が開通をすることとなっております。

 東海環状自動車道が全線開通をし、しっかりとネットが結ばれるようにしていくことが物すごく重要でありまして、せっかく六割まで開通をしたところでございますので、これをぜひ前に前にと進めていただきたいと存じます。

 今後、このことについてどのような見通しで進めていかれるか、お聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

池田政府参考人 東海環状自動車道は、中京圏を環状道路でつなぐ、全長約百五十三キロの高規格幹線道路でございます。

 現在、東海環状自動車道は、全体の約六割に当たる約八十七キロが供用済みでありまして、残る六十六キロにつきまして、全線事業を推進しております。

 この三月には、三重県内で六・四キロの開通を予定しております。引き続き、二〇二四年度までに約四十二キロの開通を目指して整備を進めております。

 これまでに開通いたしました東回りの区間におきまして、沿線には約百五十の企業が進出するなど、大きなストック効果が発現されております。また、未開通区間が残る西回り区間におきましても、三重県や岐阜県の沿線市町への新たな企業立地の促進が既に進んでおります。中部国際空港へのアクセス強化も期待をされているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、全線の早期完成を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 ただいま御指摘をいただきました西回り、本当に大事なところでございます。ぜひとも早期にこれがつながってまいりますように、私たちも努力をいたしますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最後になりますけれども、先ほど来、防災・減災のお話もさせていただきましたが、こうした防災・減災に際して、とても重要な役割を担っているのが気象庁の皆さんの仕事だと思っております。気候変動の予測と、そしてまた周知をするということであります。その点で、本当に気象庁が、これまでも担ってこられましたけれども、今後ますます役割は重大なものになってくるだろうというふうに思います。

 先日、私たちも、一部の議員で気象庁を視察に伺ったわけでございまして、その際にも、気象庁の役割が重大であるんだけれども、機材とかあるいは場所だとか人材だとか、もっともっとふやしていかなければならないことがたくさんあるなということを強く認識をして帰ってきたという報告をいただいております。

 また、先日私は、世界気象機関の事務局長であるペテリ・ターラス氏にお会いをし、ターラス事務局長は、気候変動は確実に進展をしており、その影響は世界に間違いなく次第次第に大きくなっていくということをおっしゃっておられました。

 そしてまた、WMOは世界各国の気象機関と連携をしているけれども、特に日本の気象庁が持ってきてくれる気候変動にかかわるところのデータの正確さ、そしてまた解析の能力を含めて潜在力が高い存在で、気象変動の監視や予測を通じて大変な貢献をしてもらっている、頼りになる組織だというふうに評価をしていただいておりました。

 気候変動が進展をし、災害の激甚化が進む中で、気象庁は、その高い技術を生かして、国内はもとより、国際的にも重要な役割を果たしていくべきだというふうに考えておりますが、大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。

石井国務大臣 気象庁では、気候変動の監視につきまして、今委員から御紹介いただいた世界気象機関、WMOなどとも国際的に連携をいたしまして、最先端の気象衛星ひまわりや海洋気象観測船などにより、世界の観測網の一翼を担っております。

 また、WMOのデータセンターとして、世界の温室効果ガスの観測データを収集し、提供する役割を担うとともに、地球温暖化に伴う将来の気候予測などを行っております。

 これらの観測、予測とそれによって得られました知見は、気候変動対策を検討する気候変動枠組み条約締約国会議でも活用されるなど、我が国のみならず、国際的にも必要不可欠なものとなっております。

 また、気象庁では、最新のスーパーコンピューターと高い予測技術により、アジア太平洋地域各国の防災や減災、そして気候変動対策に資するために、台風情報などの提供や人材育成の支援を行っております。

 今後も、こうした取組を強化をいたしまして、気候変動の監視、予測につきましても世界をリードしてまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 ありがとうございます。

 気候変動にあわせまして、地震、火山についての解析、情報も非常に詳しく今やっておられます。この両輪が私たちの国にとって極めて重要な両輪であるということを認識をして、これからも気象庁の活躍を願いたい、こう考えているところでございます。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、岩田和親君。

岩田委員 おはようございます。自由民主党の岩田和親でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑の機会をいただいたことを大変光栄に思っておるところでございます。感謝の気持ちを申し上げながら、質問に入っていきたいと思います。

 まず、質問の順番についてでありますけれども、通告の順番と少し変えまして、質問のつながりの関係もあったんですが、最初に観光の質問をして、その次に地方空港について質問をして、そして道路、地域公共交通網、気象関係、そういうふうに進んでいきたいというふうに考えております。

 まず最初に、観光についての質問をさせていただきます。

 訪日外国人旅行者について、二〇一八年の実績が、旅行者数三千百十九万人、旅行消費額が四兆五千六十四億円と、いずれも過去最高を記録したところであります。二〇二〇年の四千万人、八兆円の目標を目指して、更に力強い取組が期待されるところであります。

 この目標に対する達成率というものを計算をしてみますと、旅行者数が約七八%、そして消費額が五六・三%となります。人数に関しては、ことしの春節も多くの外国人の方々が日本に来られたと思いますし、また消費も多かったんじゃないかというふうに思いますが、この人数は順調に推移をしているところでありまして、これからも、ラグビーのワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなど、大きなイベントも控えているところですので、目標を達成できるのではないか、そういう期待もしております。

 一方、消費額の拡大については、明確な方針を持ってさらなる取組が必要であろう、このように考えております。

 一時期、訪日外国人観光客といえば、爆買いが代名詞となった時期がありました。もちろん、観光立国の起爆剤、文字どおり起爆剤だと思いますが、という意味では大変よかったと思いますけれども、これからは、この爆買いのような一時的なブームに期待をしない、日本のよさを生かした足腰の強い観光産業を育成していきたい、私もこのように考えております。

 特に、外国人観光客をいわゆるゴールデンルートから日本各地の地方へ誘客すること、消費を拡大すること、この二つの方針が相乗効果を出すことで、人口減少時代における地方経済の起爆剤、ひいては地方創生の大きな柱になる、このように確信をしております。

 そして、それぞれの地方の特色ある観光資源、例えば風景や歴史的資産、文化財、国立公園、そしておいしい食べ物などが外国人に認められ、広く世界にアピールすることができれば、その地方の人々の郷土愛、誇りへとつながるメリットもあります。

 また、日本のよき地方を体験してもらう、暮らすように旅するといった、従来とは違うスタイルの観光ももっと普及してもらいたいなと私は思っております。

 シェアリングエコノミーを活用してその地域ならではの場所に長期間滞在をしてもらい、その地域ならではの体験型観光をその地域に暮らす人々が案内、提供するような観光のあり方が広がれば、また地方の観光産業の幅が広がり、その恩恵を受ける人もふえる、このように考えております。

 いろいろ申し上げましたが、国として、この消費額八兆円の目標達成に向けてどのように取り組んでいかれるのか、お聞きします。

田端政府参考人 お答えいたします。

 昨年の訪日外国人旅行消費額でございますが、四兆五千六十四億円と七年連続で対前年増となりまして、過去最高を更新いたしております。また、近年では、買物から事消費への関心の移行ということで、外国人の消費行動に変化が見られるところでございます。

 こうした中、委員御指摘の訪日外国人旅行者によります消費額の拡大のためには、新たな訪日需要の掘り起こしと地方への誘客促進、また滞在時の満足度向上が重要であると考えています。

 このため、まずは、地方に来ていただくために、デジタルプロモーションへの転換、スマートフォンを最大限活用しました情報取得や、またキャッシュレスの決済、こういうことの環境整備を進めていきたいと考えています。

 二つ目には、地方での満足度向上をさせるため、文化財、国立公園などにおけます多言語の解説の充実、また、ナイトタイムの活性化などによります事消費の拡大に取り組んでいきたいと考えています。

 三つ目ですが、地方での滞在の日数を増加させていくということで、古民家活用などによります高付加価値な宿泊施設を創出するということとともに、旅館における生産性向上を図ることで稼ぐ旅館への改革を後押しをしていきたいと考えています。

 こうした施策によりまして、ただいま御指摘ございました消費額の拡大というようなところについて取り組んでまいりたいと考えております。

岩田委員 るる体系的な取組、御指摘をいただきました。

 こういうふうな取組をそれぞれの地方において具体的に推進をしていく、その牽引役となるのが、DMO、デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション、この組織だろうというふうに思います。観光商品の開発やPRなど、こういったものは、まさにこのDMOというものが中心となっていくべきだろう、このように考えているわけであります。

 日本の各地を本当に、すばらしい観光資源があるというふうに思いますが、これらの資源を商品として、外国人を始めとする観光客に喜ばれるように磨き上げるということ、そして、消費者にしっかりとピントの合ったPRを行うということが重要であります。

 この点、DMOは、戦略や経営といった視点でそれぞれの観光地づくりを担う位置づけにあるわけですが、残念ながら、従来からの観光協会などがあるので、それで足りているといった誤解もまだまだあるようであります。

 また、市町村単位では、予算などの制約もあり、十分な取組ができないようなケースも見受けられます。そこで、隣接する市町村がDMOによって周遊観光を開発して情報発信をすること、こういった取組が求められているというふうに思っております。

 消費額の拡大のためにも、各地域におけるDMOの役割は不可欠と言えます。このDMOの立ち上げ、育成について、どのように取り組んでいかれるのかお聞きします。

田端政府参考人 ただいま委員御指摘のこのDMOでございますが、非常に重要な役割を果たしていく、このように考えておりまして、地方部への外国人の旅行者の流れを戦略的に創出していくという役割がございます。

 そこで、観光庁といたしましては、各府省とも連携いたしまして、DMOの立ち上げや観光コンテンツの充実、受入れ環境整備、またプロモーションなどの取組について支援を行っているところでございます。

 来年度からは、国際観光旅客税によります新たな財源を活用いたしまして、DMOにおけます外部の専門人材の登用、中核人材の育成という人材面での支援、また、地域におけます新たな滞在型の観光コンテンツの創出に対する支援制度を創設をいたしまして、DMOに対する支援を強化をするということにしております。

 このDMOの形成、確立に対しまして、非常に重要な点ということに考えておりまして、観光庁では、有識者によります検討会を設置しまして、全国のDMOの全般の底上げ、これに向けた改善の方向性について議論を今深めているところであります。

 観光庁といたしまして、DMOの形成、育成のために、この検討会の議論も踏まえながら、各府省と連携を図りながら、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

岩田委員 ぜひ本当によろしくお願いをしたいと思います。

 もちろん全国では、DMOの成功事例、こういったものも見えてきていると思いますので、しっかりとそういうふうなものを示していただきながら、まさに底上げ、本当に津々浦々に地域の観光を牽引していくDMOが立ち上がることを期待したいというふうに思います。

 次に、この観光に関しまして、最後、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 大臣所信の中で、「観光は、地方創生の切り札、成長戦略の柱」という言葉がありまして、大変私も期待をしているところであります。

 るる述べましたように、観光は間違いなく、その地方で消費が行われ、雇用を生み出すものでありまして、地方に根差した産業へと育っていくものであります。そして、観光商品の開発などを通じてふるさとのよさを再発見できることも地方創生には大きなプラスになると考えております。

 国として、地方の観光振興についての決意をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 昨年、日本を訪れました外国人観光客は三千万人の大台に乗りまして、その旅行消費額が四兆五千億円となるなど、観光は地方創生の核となる一大産業となりました。

 また、地方におきましても、これまでの観光振興の取組が功を奏しまして、国内外の観光客が増加している地域が拡大をしております。こうした好事例を更に全国に横展開していくことが重要と考えております。

 今後は、二〇二〇年四千万人、消費額八兆円の目標達成に向けまして、幅広い国や地域からの訪日外国人旅行者数を確実に増加させるとともに、地方への誘客を進めることによりましてインバウンドの恩恵を全国に波及させ、観光による地方活性化を図ってまいりたいと考えております。

岩田委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 では、この観光に関連をして、地方空港における国際線の新規就航、増便について質問していきたいと思います。

 この訪日外国人観光客二〇二〇年に四千万人という目標の達成のためには、首都圏空港の機能強化だけではなく、地方空港で更に多くの外国人観光客を受け入れることが必要であろうと思います。そして、その結果、訪日外国人を直接地方へ呼び込むことになって、観光政策の大きな方針とも合致する、こういう位置づけだと思います。

 地方空港における国際線の新規就航、増便について、どのように取り組んでいかれるのでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人旅行者数の政府の目標達成に向けましては、地方創生の観点からも、国際線就航による地方イン、地方アウトの誘客促進が大変重要であると認識いたしております。

 このため、平成二十九年七月に全国二十七の地方空港を訪日誘客支援空港として認定をさせていただきまして、当該空港に対しまして、航空会社が支払う着陸料やグラウンドハンドリングの費用を補助するなど、新規就航、増便への支援や、ボーディングブリッジや待合スペースの拡充などの旅客受入れ施設整備への支援などを実施するとともに、観光庁などと連携いたしまして海外におけるPR支援を行うなど、各地における国際線就航に向けた取組を促進しているところでございます。

 訪日誘客支援空港では、平成三十年の冬ダイヤで、前年実績と比較いたしまして、二十二空港、四十四路線、週百四十一便の国際旅客定期便の新規就航、増便が実現しておりまして、また、地方空港から入国した訪日外国人数は、平成三十年には対前年比約一八%増の約百七十一万人となるなど、順調に増加をいたしております。

 引き続き、関係者と連携をいたしまして、地方空港への国際線就航促進に取り組んでまいりたいと考えております。

岩田委員 ただいま数字を示していただきました。地方空港からの訪日外国人は百七十一万人という数字が最新だったということでありますけれども、目の前の四千万人という目標の数字から割り出しても、もっともっとこれはふやしていけるんだ、そういうふうな数字の期待を持ったところであります。

 そういう中で、私の地元の九州佐賀国際空港について少し触れたいというふうに思います。

 九州佐賀国際空港は、国際線就航など、積極的に今取り組んでいるところでありまして、着実に成果を上げておるところであります。

 平成二十九年度の利用者数は七十七万六千人、旅客のあった全国の八十五の空港のうち堂々の三十七位ということでありまして、佐賀空港の後背地人口ですとか、若しくは、すぐ近隣に福岡空港や長崎空港、こういった空港があることを考えると立派な順位である、私はそのように評価をするところであります。

 特に、国際線においては、上海、ソウル、台北便に加え、平成三十年十二月に釜山と大邱便が就航するなどいたしました。

 その結果として、今、平成二十九年度の国際便の旅客数は約十五万六千人。これは今の地方の空港の国際便の人数からいいますと、全国十七位であるということでありまして、これは、私、基礎データから数えましたので間違ってはいないというふうに思いますけれども、国内、国外合わせて三十七位である佐賀空港が国際線だけの順番を数えますと全国で十七番目ということは、それだけ国際線の就航にしっかり力を入れている一つのあかしであろう、こういうふうに思うところであります。

 今後とも、訪日外国人観光客受入れの一翼を担うべく、路線拡大や空港整備を進めていくということでございます。

 そこで、滑走路の二千メートルから二千五百メートルへの延長などの整備を希望しているところでありまして、国としても、指導、支援、協力をお願いしたいところでありますが、いかがでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 佐賀空港におきましては、空港管理者であります佐賀県を始めとする地元の方々の熱心な取組によりまして、先生今も御紹介がございましたように、昨年十二月、釜山便、大邱便の新規就航など、国際線の就航路線が大きく拡大しておりまして、佐賀空港の入国外国人数についても過去最高を更新しているというふうに承知をいたしております。

 佐賀空港の国際路線が拡大する中で、国土交通省といたしましては、平成二十九年七月に、先ほども御説明申し上げました訪日誘客支援空港に認定をさせていただきまして、空港会社への新規就航に係る経費を支援するとともに、国際線航空需要増に対応するためのエプロンの拡張事業についても支援を行っているところでございます。

 御指摘の佐賀空港の滑走路延長につきましては、事業の必要性や事業効果、周辺環境への影響などについて十分な検討が必要であるとともに、関係者間の合意形成を図ることが重要であると認識をいたしております。

 設置管理者であります佐賀県が実施しております滑走路延長計画の検討に際しましては、国土交通省といたしましても、引き続き、技術面に関する助言等、支援、協力を行ってまいりたいと考えております。

岩田委員 滑走路の延長、これはもう既に最初の空港の造成の時点から予定地は確保しているということでありまして、まさに悲願と言えるようなものであります。いろいろとまだこれを実現するためには解決しなければいけない課題もある、そういうふうな御答弁だったというふうに受けとめておりますけれども、しっかりと御指導いただきながら、九州佐賀国際空港としても、しっかり課題をクリアしていくために頑張っていきたいというふうに思っているところでございます。

 次に、道路行政について質問をしていきたいと思います。

 重要物流道路について、平成三十年の法改正によりまして制度化がなされました。平常時の特車許可の迅速化、これは長年の大事な課題だったわけであります。そして、災害時の対応強化、整備の促進などの効果があるということで、私の地元でも重要物流道路というものの指定を期待する声が大きいところであります。

 この重要物流道路の指定に向けての現在の取組状況についてお聞きします。

池田政府参考人 物流需要が増加する一方でドライバー不足が進行する状況下におきまして、道路政策におきましても、車両の大型化への対応など、物流の生産性を高める取組を強化する必要があると認識をしております。

 このため、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するために、昨年三月に道路法を改正いたしまして、重要物流道路の指定により災害時の国の支援強化などを図る制度を創設したところでございます。

 重要物流道路の指定につきましては、今年度末をめどに供用中の道路について指定を行う予定としておりまして、計画中の道路の指定につきましては来年度検討していく予定でございます。

 この重要物流道路に指定されますと、地方公共団体への重点的な支援ができます個別補助制度の対象になることや、国際海上コンテナ車の特車通行許可を不要にする措置を導入することなどの取組を進めてまいりたいと考えております。

岩田委員 既存の道路に関しては今年度末、もう間もなくだということでありまして、これはしっかり期待をして待っておきたいというふうに思います。

 加えて、重要物流道路の制度を契機としまして、新たな広域道路交通計画が議論されているというふうに聞いております。

 地方において、人口減少時代における地方創生、災害の大規模化に対する国土強靱化などの今日的な課題に対応するために、最も基礎となるインフラは、やはり道路であります。

 そこで、今こそ将来を見据えた未来志向の道路計画を改めてつくる必要性を私も感じていたところであります。

 例えば、佐賀県でも事業を進めていただいている有明沿岸道路、西九州自動車道、佐賀唐津道路、国道三号、三十四号などの主要な道路の整備、そして、将来的な有明沿岸道路の西側部分のミッシングリンク解消、県東部地域の国道三十四号バイパス化、味坂や山浦のスマートインターチェンジなどの未来図を体系的に整理をして、計画に位置づけるべきだと考えます。

 新たな広域道路交通計画について、どのような方針で議論を進めるのか、スケジュール的なものも含めて説明をお願いします。

池田政府参考人 広域的な道路ネットワークの整備によりまして、企業立地、観光交流が進むほか、リダンダンシーの確保により防災機能が強化されるといった多様なストック効果が発揮されると考えております。

 社会経済情勢の変化や渋滞悪化、災害時のリダンダンシーの確保などの課題を踏まえまして、現在の広域的な道路計画の強化につきまして検討する必要があると認識をしております。

 このため、現在、各都道府県や地方整備局のブロック単位で、高規格幹線道路や地域高規格道路のネットワークを強化する新たな広域道路交通計画の策定を進めておるところでございます。

 引き続き、国と都道府県などが十分に連携しながら、来年度に新たな広域道路交通計画を策定するように検討をしてまいりたいと考えております。

岩田委員 来年度にこの計画を具体化していくというふうなお答えでありました。

 本当に、先ほども申し上げましたように、これは大事な、地方にとっても、未来図を描く、そういうふうな計画に位置づけられるんだろうというふうに思います。

 人口が減っていく中で、やはり交流人口をふやしていくということは極めて大事でありますし、そしてまた、先ほど述べた例えば有明沿岸道路は、九州佐賀国際空港へとつながるアクセス道路にもなります。また、西九州道路は、唐津港、伊万里港へとつながっていく、こういうふうな道路でもありまして、まさにそういうストック効果が発揮される、そういう期待をされているところであります。ぜひ、更に活発に、これからこの議論をされることを期待をしていきたいというふうに思います。

 続いて、地域公共交通網の維持について質問をいたします。

 佐賀県でも、ちょうど先月になりますが、昭和自動車が路線バス二十六路線の見直しを検討しているというふうな報道がありました。

 利用者の減少、大型二種を持つドライバーの人手不足、働き方改革への対応というふうな理由を挙げられての見直しということでありまして、もちろんこの問題は、バスの事業者さんにとってはどれも大変大事な課題で、これはこれで解決しなければいけない課題でありますので、大変頭が痛いなというふうに思うところでありますけれども、この対象となる路線が、いわゆる中山間地という地域が中心となっていることもありまして、地域の足の確保について不安の声が広がっているところであります。

 確かに、今日まで、マイカー時代への移行、人口減少など時代の変化で、路線バスの経営はますます厳しい状況にあると推察をいたします。特に、中山間地域のように人口減少が著しい地域においては更に厳しいというふうに思います。

 しかし、そういう山里に暮らす人々の、特に高齢者の生活の足をしっかりと確保するために、これはやはり深刻な問題ですから、地域公共交通を何とか維持していかなければならない。私も、たびたび中山間地域に足を運んで、そのように痛切に感じておるところであります。

 このように、人口減少などの厳しい環境の中で、地域公共交通網の維持についてどのように取り組んでいかれるのか、質問いたします。

栗田政府参考人 人口減少による利用者減や深刻な運転手不足などの地域交通をめぐる厳しい現状において、地域公共交通網の維持は国としても重要な課題と考えております。

 国土交通省では、地域公共交通活性化再生法に基づきまして、地方公共団体が交通事業者などと連携してバス路線網の再編等の計画を策定し、これによる路線維持や利便性向上の取組を行うことを促進しております。

 佐賀県におけます路線の見直しの件に関しましても、県、関係市町村、交通事業者、利用者団体の代表などの関係者による協議が開始されておりまして、九州運輸局もこの協議に参画しているところでございます。

 また、国の支援策といたしまして、こうした地域の取組に対しまして、バスの運行費に対する支援や地方公共団体が計画を策定する際の人材、ノウハウ面の支援などを行っておりまして、こうした施策を通じて地域公共交通網の維持に努めてまいりたいと考えております。

 佐賀県の取組につきましても、引き続き、九州運輸局を通じて地域の協議に積極的に参画し、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

岩田委員 私も、中山間地域に意識をして足しげく通っているというふうな思いがありますけれども、やはり、そういうふうな山の公民館に行くと、おられるのは、おじいちゃん、おばあちゃんたちばかりであります。そして、言われることは、病院に行くとき、買物に行くとき、こういうときに本当に困っている、最近免許を返納したばかりで、やはりそういうバスなどがないと本当に困る、こういうふうな声ばかりなわけでございます。

 もちろん、協議会の設置など、取組をしていただいているのは十分に承知もしておりますが、ある意味、その取組以上に人口減少、過疎化というものが進んでいるというのが厳しい現実なんだろうというふうに受けとめております。なかなかこれは難しい、本当に大変な問題でありますけれども、しっかり対応していただきますように、重ねてお願いをさせていただきます。

 最後になりますけれども、気象庁について質問をしていきたいと思います。

 先ほど伊藤委員の方から質問を、この気象に関してされておられました。国際的にも高い評価を得られている我が国の気象庁ということで、改めて私も誇りに感じたところでございます。

 これはもう言うまでもなく、経験をしたことがないような豪雨が頻発をするなど、そしてまた、大地震の発生が予想されるような、そういう状況でございます。災害が頻発、激甚化をする中で、災害対策の最も基礎となる気象情報をつかさどる気象庁への国民の期待はますます高まっていると言えます。ぜひ気象庁には強い使命感を持って臨んでいただきたいと心から期待を申し上げます。

 台風、集中豪雨などの予想精度を上げるなどの気象情報のさらなるレベルアップ、そして、地震、津波、火山噴火などの観測体制の強化、それら気象情報の提供体制を充実するなど、今後の取組について気象庁長官にお伺いをしたいと思います。

橋田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、大雨、地震、火山噴火等によります自然災害が増加するなどの状況を踏まえまして、気象庁の今後の取組の方針につきましては、交通政策審議会気象分科会におきまして、今後十年程度の中長期を展望した気象業務のあり方を審議いただきまして、昨年八月に提言をいただいております。

 この提言では、災害が激甚化する国土、変革する社会におきまして、国民とともに前進する気象業務のあり方といたしまして、最新の科学技術に対応した観測能力と予測精度の向上に係る技術開発、そして、気象情報、データが防災や社会経済活動に一層活用されるための取組、この二つを車の両輪といたしまして、産学官や国際連携によりまして推進すべきとされております。特に、国民の生命財産にかかわる防災対応支援の推進につきましては、気象庁が中核となって取り組むようにとされているところでございます。

 防災対応支援の取組につきましては、重要インフラの機能確保に向けた緊急点検を行い、その課題を踏まえた取組を進めているところであります。

 防災行動に必要な情報等の確保のため、停電時においても観測データを確保するための非常用電源や通信回線の強化対策、草津白根山の噴火を踏まえ、長期間噴火活動を休止している火口における監視体制の強化対策などを進めることとされております。また、自治体等における防災対応の支援強化のため、土砂災害警戒判定メッシュの一キロメッシュへの高精度化などにも取り組んでいくこととしております。

 気象庁といたしましては、これらの提言や緊急点検の結果を踏まえまして、防災意識社会への転換のため、関係機関と一体となって、地域防災力の向上に取り組むなど、安全、強靱で活力ある社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

岩田委員 ありがとうございました。

 大変私の個人的な感想で恐縮でありますけれども、確かに、天気予報といいますと、昔は、朝出勤する前にテレビで見て、曇り後晴れというぐらいの、そのぐらいの情報で一日を活動していたわけでありますけれども、今は、やはりスマートフォンなどを見れば、あれは雨雲レーダーというんですかね、雲の動きもリアルタイムに見られて予想できるようになったりしまして、そういうのを見ながら、ああ、ここは雨がもう間もなく降るんだな、そういうふうなことを感じて活動するようになりました。

 これも、もちろんその背景には気象予測の方の技術の向上は当然あるでしょうし、私たち利用者側も、スマートフォンなどICT技術を活用して、そういったものが本当に身近に活用することができるようになった、そういうふうな時代の流れがあるんだろうと思います。

 もちろん、日々の活動だけではなくて、これが大規模災害ということになれば、なおさらこの情報がより正確に分析、予想されて、そしてまた、私たちが的確にそれを利用することができるということが極めて重要になってくるわけであります。

 本当に、繰り返しになりますけれども、この国土強靱化というものを進めていく、防災意識の高い社会をつくっていくというためには、当然ながらその基礎には情報が必要なわけでありまして、まさにそれを担っていただくのは気象庁なわけであります。さらなるレベルアップと、そしてまた、日本全国の現場現場でこれを活用していただくような取組、これをしっかり進めていただくということで、本当に災害に強い、そういう日本をつくっていただくことを期待申し上げたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 昨年の委員会でも少し取り上げさせていただいたんですけれども、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策ということで、まず冒頭、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 いよいよ、昨年、この計画も取りまとめられて、実施をしていくということになってまいりますけれども、公共事業費が全体に大変に減っていく傾向がずっと続いてきた。その中で、しかし、災害は頻発化している、あるいは、非常に雨の降り方も含めて激甚化をしている。こういう中で、どうしても、起きてしまった災害に対して、後からというわけではないですけれども、復旧をしていく、こういうところの事業費も大変にかかっていくという中で、事前防災、あらかじめ災害を防いでいく、あるいは災害の被害を軽減をしていく、こういう対策がなかなか思うように打てない。しかし、やはりそれでは、こういう頻発する災害の中で命を守っていくことができない、こういう大きな問題意識を持っております。

 他方で、公共事業費がふえるということになりますと、すぐに、これは単なるばらまきではないかとか、そういう批判も一部あるわけではございますけれども、私は、この防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策というのはそういうものではないというふうに思っております。やはり必要な命を守る取組、そしてこれを事前にしっかり手を打つことで、より大きな財産、命、大事なものを守ることができる、こういうふうに思っております。

 改めて国土交通大臣に、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策、この対策の意義についてお伺いをしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

石井国務大臣 昨年は、大阪北部地震、平成三十年七月豪雨、台風第二十一号、北海道胆振東部地震などが相次いで発生をいたしまして、重要インフラの機能に支障を来す事態が生じ、国民経済や国民生活に多大な影響が及ぼされました。

 その中で、例えば大阪市におきましては、平成三十年台風第二十一号で観測史上最高の潮位を観測したものの、堤防、水門等の整備によりまして、市街地の高潮による浸水被害は生じず、未整備の場合と比べますと、その被害防止効果は十七兆円程度に相当するものと推定をしております。

 こういった事例を見ましても、事前の防災対策が非常に重要であると認識をしているところであります。

 こうした認識のもと、近年の激甚な災害で明らかとなりました課題を踏まえまして、国土交通省では、所管する道路、鉄道、港湾などの交通インフラ、河川、砂防などの防災関係インフラ等を対象といたしましてソフト、ハードの両面から三カ年緊急対策を集中的に実施することによりまして、災害時の重要インフラの機能の確保等に万全を期してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 先ほど、事前防災、大阪の高潮、台風二十一号という事例も出されまして、整備をもししていなければ十七兆円の被害が出ていたのではないか、こういう試算も出していただきました。

 やはり、事前防災ということで、しっかり全国津々浦々で、本当に必要な箇所にしっかりと事前防災の対策を講じていくということが重要になってくるというふうに思います。

 具体的に、これから三カ年の中で緊急対策ということでやっていくわけでございます。やはり地元からも、どういう考え方で、どういう箇所が事業対象となっていくのか、それによってどのような効果を得られるのか、こういう具体的なこれからの進め方というのも、さまざま質問等もやはり出てまいります。

 例えば、昨年の七月豪雨では、この豪雨の対策、例えば河川の分野で、これからどこの河川でどういうふうな対策を講じていくのか、あるいは台風二十一号ということであれば、高潮の対策というのもやっていかないといけない、どういう港湾でどのような対策を講じていくのか、こういうことも大変関心の高い事項でございます。

 例えば先ほど挙げた河川、港湾の分野など、具体例も挙げながら、こうした今後の計画で行っていく事業の考え方、あるいは達成の目標、こういうものについてぜひ答弁をいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

栗田政府参考人 防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策は、総点検の結果等を踏まえまして、防災のための重要インフラ等の機能維持などの観点から、特に緊急に実施すべきソフト、ハード対策、これを三年間で集中的に実施するものでございます。

 国土交通省では、六十七の対策項目ごとに危険性や緊急性の高い箇所において対策を完了させることなどによりまして、災害時のインフラの機能の確保を実現してまいります。

 こうした基本的考え方のもとで、例えば河川につきましては、洪水時の危険性に関する緊急対策としまして、全国約二千三百河川において、氾濫による危険性が特に高い区間の河川内の樹木伐採、土砂掘削等を実施することによりまして、浸水した場合に多くの家屋被害が生じるおそれのある箇所等において、樹木、堆積土砂等に起因した氾濫の危険性をおおむね解消する、こういったことを目標に対策を講じてまいります。

 また、港湾につきましては、外貿コンテナターミナルに関する緊急対策としまして、全国の主要な外貿コンテナターミナルの中で、高潮等による浸水が想定され、コンテナ流出リスクが高い約三十施設において流出対策を実施いたします。あわせて、電源の設置高さが十分でなく、電源浸水リスクが高い約二十施設において浸水対策を実施することなどによりまして港湾機能が停止することを防止する、こういったことを目標としまして対策を講じてまいります。

 近年、大きな災害が頻発している状況を踏まえまして、災害から国民の命と暮らしを守るために、緊急対策、三年間集中で、着実かつ迅速に実施してまいりたいと考えております。

中野委員 先ほど、考え方も述べていただきました。

 緊急点検の結果を踏まえ、そして、特に緊急を要する箇所というところで対策を今回講じていくのが三カ年の緊急対策である。そういう意味では、この三カ年の緊急対策でやるべきところというのは、本当に緊急を要する、これは絶対にいち早く手を打たないといけない、こういうところでございますので、しっかりとそれぞれの地域の実情に即しましてこの対策をやっていっていただきたいと思いますし、もちろんこうしたハードだけでは災害を防ぎ切れるものではございません。あわせて、地域の中で防災力を高めていくソフトの対策というのもやっていく中で、防災・減災、これをしっかり政治の中で中心に据えて、国民の命を守る取組というのを全省挙げてしっかり取り組んでいっていただきたいと改めてお願いを申し上げます。

 少し話題をかえまして、自転車の対策、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

 最近も、自転車が歩行者と衝突をいたしまして痛ましい死亡事故になる、あるいは大変な大けがを負う、こういうことはたびたびニュースになっております。

 そして、事故の件数を拝見をいたしますと、自転車と歩行者の事故の件数というのはやはり近年減っていない、横ばいである、こういう状況でございますし、自転車同士の事故、こういうものを見ますと増加の傾向にある、こういうことも伺いました。

 やはり、こうした自転車の事故の対策というものは非常に私は急務であるというふうに思います。そのためには、さまざまな対策を講じる必要がございますけれども、まずは自転車の通行する区間、これをしっかり整備をしていくというハードの対策も必要かというふうに思います。

 私も地元で少し聞いてみましたけれども、例えば、私の地元の兵庫県尼崎市というところでは、自転車ネットワーク計画、三十七キロ、これを整備をしていくということで、歩道の中に、自転車が通行できるような、歩行者と自転車を分離するような空間をつくるでありますとか、あるいは、車道の中に自転車の通行するようなところ、レーンのような形であったり、いろいろな、道路の幅員の関係もございますので、さまざまなやり方があるというふうに思いますけれども、まずは事故を防いでいくということが大事だと思います。

 全国におきまして、今後、自転車通行空間、この整備というものをどのように進めていかれるのかということをまずはお伺いしたいというふうに思います。

池田政府参考人 自転車及び歩行者の交通安全の確保を図るために、自転車通行空間の整備を進めることが重要であると認識をしております。

 このため、国土交通省では、警察庁と連携をいたしまして、地方公共団体に対しまして、自転車道、自転車専用通行帯、又は矢印形の路面標示による自転車通行空間の整備の内容を盛り込みました自転車ネットワーク計画の策定を全国に働きかけております。平成二十九年度末時点で、今御紹介のありました尼崎市を含む百十六の地方公共団体が自転車ネットワーク計画を策定をしております。

 国交省といたしましては、引き続き、自転車ネットワーク計画の策定を働きかけるとともに、自転車通行空間の整備に対しまして、防災・安全交付金などにより支援をしてまいりたいと考えております。

中野委員 まずは、しっかりハードの整備というものをやっていく中で、事故件数そのものを減らしていく取組というのが大事だというふうに思いますけれども、もう一つ、自転車の事故の関係でございますのは、実際に事故があったときに、非常に損害賠償が高額になる、こういうケースも大変に多いというふうにも伺っております。

 そうした中で、自転車においても、やはり自転車保険の加入というものをしっかり進めていかないといけないのではないか、こういうことが議論されてまいりました。

 例えば、私の地元の兵庫県におきましては、条例によりまして自転車保険の加入、これを義務づける、こういう取組もしております。結果、保険に加入を、もちろん罰則があるとかそういうことではないというふうには伺ってはいるんですけれども、しかし、それによりましてこうした保険の加入というものが推進をされていく、そういうことも伺っております。

 そういう意味では、この自転車の事故というもの、件数そのものを減らしていくとともに、やはり、どのように自転車の保険の加入というのも進めていくのか、これはあわせて議論をしていかないといけないというふうに思っております。

 国として、今後どのようにこの自転車保険の加入の促進というものを進めていかれるのか、答弁をいただきたいというふうに思います。

池田政府参考人 自転車の活用を推進する中で、自転車利用者の安全、安心の確保をする観点から、自転車損害賠償責任保険に加入することは大変重要なことだと認識をしております。

 例えば、今委員の御紹介ありました兵庫県におきまして、平成二十七年に自転車損害賠償責任保険への加入義務化を含む条例が制定されまして、昨年六月までに約七割の方が保険に加入するなど、加入の促進が図られたと承知をしております。

 このため、国においては、全国の都道府県及び政令市に対しまして、自転車損害賠償責任保険への加入義務化について条例を制定していただくために標準条例案を作成をいたしまして、本年二月に周知をし、条例の制定を働きかけております。

 国としましても、引き続き、自転車損害賠償責任保険への加入促進に努めてまいりたいと考えております。

中野委員 先ほど、標準条例をお示しになられたということも答弁をいただきました。まずは条例での加入促進ということだというふうに思いますので、ここはしっかりと地域の自治体とも連携をしながら進めてまいりたいというふうにも思いますので、また、国交省といたしましても、しっかりそうした後押しをしていただくようによろしくお願いを申し上げます。

 少し話題をかえまして、貨物自動車運送事業、トラックの関係で何問か質問をさせていただきたいと思います。

 トラック業の関係でいきますと、議員立法で、昨年の臨時国会で改正貨物自動車運送事業法ということで成立をすることができました。これは、トラックの働き方改革ということで、私は必要不可欠な法律であるというふうに考えております。

 中身といたしましても、トラック、貨物自動車運送事業の働き方改革を進めていくためには、やはり荷主の理解がどうしても必要だということで、荷主への働きかけをしていく、こういう大変重要な中身でございますし、また、適正な運賃の収受ということで、標準的な運賃、これを示す、こういう大変重要な中身も入っております。

 他方、この法律の施行は、法律上は公布後一年六カ月あるいは二年以内ということでなっておりまして、少し施行まで時間をとっているというのが法律の現状ではございますけれども、やはり、働き方改革への対応というのはもう待ったなしということで、これは進めていかないといけないというふうに思います。ですので、この法律の施行をなるべく早く、いち早く施行していただきたい、こういうふうに私も思っております。

 この改正されました貨物自動車運送事業法の早期施行に向けまして、どう取り組んでいくのかということを自動車局長の方にお伺いをしたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの臨時国会におきまして、議員立法で成立をいたしました貨物自動車運送事業法の一部改正におきましては、ドライバー不足により物流が滞ることのないよう、ドライバーの労働条件の改善等を図る観点から、一点目として規制の適正化及び事業者が遵守すべき事項の明確化、二点目として荷主対策の深度化、三点目として標準的な運賃の告示制度の導入といった措置を講じることとされたところでございます。

 一点目の規制の適正化及び事業者が遵守すべき事項の明確化に関しましては、許可の基準に関する事項でありますとか、輸送の安全、事業の適正な遂行のための遵守義務の内容などについて、必要な省令等を整備してまいります。

 二点目の荷主対策の深度化に関しましては、トラック事業者の違反原因となるおそれのある荷主の行為に関する情報収集、関係行政機関との情報共有、荷主への働きかけ等について効果的に行っていくためにどのような運用方法がよいか、関係省庁とも連携しつつ、早急に検討してまいります。

 三点目の標準的な運賃の告示制度の導入に関しましては、法令を遵守しつつ持続的な運営を行っていく上での参考となる運賃を算出するため、運送事業者のデータ等をもとにして、原価等の分析、集計などを行ってまいります。

 それぞれの改正項目の施行時期につきましては、先生から御紹介ございましたけれども、法律上、原則として公布の日から一年半以内、標準的な運賃の告示制度については公布の日から二年以内とされているところではありますが、平成三十六年度から時間外労働の限度時間が設定されることも踏まえ、緊急に働き方改革を進めていく必要があること、荷主への働きかけ等に関する規定や標準的な運賃の告示制度については三十五年度末までの時限措置とされていることなども踏まえまして、関係者の意見を聞きながら、可能な限り早期に施行できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

中野委員 先ほど私が、自動車局長からも紹介をしていただきましたけれども、一つは荷主への働きかけ、これを特に実効性のある仕組みにしてほしいというお声は非常に強うございます。

 今でも、荷主勧告制度というものがあったわけではございますけれども、これがなかなか発動できない、そういう中で働き方改革を進めていくという中で、荷主の御理解をいただきながらやっていくということも必要不可欠だ、こういう中で、今回のこの荷主への働きかけというものは大変に期待が高うございます。これを、実効性のある仕組み、先ほども、他省庁も連携をした仕組みというふうにも答弁があったというふうに思いますけれども、とにかくこの実効性を高める、こういう制度設計というものをぜひ行っていただきたい。

 そしてまた、標準的な運賃というのも、実際にさまざまなデータも集計されながら、どういう形でやっていくのかということを検討されるということでございますので、これはやはり丁寧に検討していく必要はあろうかとは思いますけれども、この標準的な運賃、やはり実際に適正な運賃の収受というものに結びついていく、そういうものに効果が出せるようなしっかりした仕組みにしていかないといけない、このように思います。

 特に、決めたはいいんだけれども、なかなかそれが適正な運賃の収受に結びついていかないということではやはり余り意味がないというふうに思いますので、そういう意味では、この制度設計に当たりまして、やはり実効性が高くなるように、あるいは、しっかり現場の意見もお伺いをしながら、適正な運賃の収受に結びつくような、そうした制度設計をぜひしていっていただきたいと思いますけれども、これについても、もう少し自動車局長の方から答弁をいただきたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、荷主への働きかけにつきましては、貨物自動車運送事業法に、運送事業者が違反する原因となるおそれのある行為を荷主が行っている疑いがある場合に、当該荷主への働きかけを行うことができる規定が追加されたところでございます。

 現行の荷主勧告制度におきましては、トラック事業者の法令違反行為について処分を行う場合において、かつ、その法令違反行為が荷主の指示によることが明らかであるなど荷主の行為に起因するものであると認められるときに、国土交通大臣が当該荷主に対し、トラック事業者の法令違反の再発防止のための措置をとるべきことを勧告することができるとされておりますが、今回の改正によりまして、より早い段階から、関係行政機関と連携をいたしまして荷主への働きかけを行うことが可能となるところでございます。

 この新たな制度を実効性あるものとするためには、トラック事業者の違反行為となるおそれがある荷主の行為に関して情報を幅広く収集するとともに、関係行政機関の間で情報共有を行った上で、効果的に働きかけを行っていく必要がございます。このため、関係行政機関とも連携をしながら、荷主を含めた関係者の意見も踏まえつつ、どのような運用方法とすればよいかを検討してまいりたいというふうに考えております。

 それから次に、標準的な運賃の告示制度でございますが、トラック運送業におきましては、荷主に対する交渉力が弱いことや、平成三十六年度から時間外労働の限度時間の設定がされることなどを踏まえ、トラック運送業がその機能を持続的に維持していくに当たっては、法令を遵守して運営していく際の参考となる運賃を示すことが効果的であるという趣旨によりまして、平成三十五年度末までの時限措置としてこの制度が設けられたものと理解をいたしております。

 実際に標準的な運賃の告示を行うに当たりましては、どういったメッシュで設定することがわかりやすいかなど、関係者の意見をよく聞いた上で進めていくことが必要であるというふうに考えております。

 また、標準的な運賃の計算に当たりましては、各地の事業者の年度決算のデータをもとにしてトラック運送業に関する原価などを算出をいたしまして、分析、収集を行っていく作業でありますとか、運輸審議会への諮問などが必要となってまいります。

 最終的に告示する運賃が、先生から御指摘がありましたけれども、告示制度の導入趣旨に沿ったものとなるように、関係者の意見を踏まえながら、丁寧に施行に向けた準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

中野委員 制度設計も中身も大事であります。そして、早期に施行ということで、スピード感も持って、しっかり対応してお願いをしたいということを改めてお願いを申し上げます。

 トラックの運送業に関しましてもう一問、いわゆる引っ越し難民の関係ということで質問させていただきます。

 三月、引っ越しの繁忙期になりますと人手不足になるというのは前々から言われていることではございまして、機動的にそれに対応していくということで、運送事業者側におかれましても対応してきていただいたわけでございますけれども、近年特に、非常に人手不足が顕著であるということでありまして、繁忙期になると、なかなか、引っ越しをお願いをしようとしてもサービスが見つからない、いわゆる引っ越し難民ということで、最近、取り上げられるニュースが年々大きなものとなっているような、そういう気がいたします。

 これは、そもそも人手が足りないという問題もございますし、ここの時期に非常に引っ越しが集中をするという、確かに構造的な要因もあるわけで、難しい対策ではあるんですけれども、ここまで人手不足ということになってまいりますと、やはり国としても対策をしっかり講じていかないといけない、こういうふうに思います。

 現状、国交省としてどういう対策を講じていかれるのかということを自動車局長にお伺いをしたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 引っ越し運送を含みますトラック事業におきましては、近年、ドライバー不足が大きな課題となっておりまして、また、引っ越しにつきましては、三月から四月にかけて依頼が集中しているところでございます。

 このため、引っ越し時期の分散化に向けまして、利用者の協力を得るべく、ピーク時期の引っ越しを避けるなど引っ越し時期の分散化への協力を求めるリーフレットを全日本トラック協会などと連名で作成をいたしましたので、その一般の利用者への周知に努めるとともに、経済団体や行政機関へも幅広く呼びかけを行ってまいります。

 また、引っ越し事業者に対しましても、計画的に車両を確保することや利用者への丁寧な情報提供に努め、なるべく引っ越し時期の分散化を図ることが重要である旨、昨年より呼びかけを行っておりますが、今後も引き続き行ってまいります。

 加えまして、今月の一日には、この春に引っ越しを予定されている利用者に向けまして、具体の予約状況でありますとか、繁忙期の円滑な引っ越しのためのポイント紹介などについてプレスリリースを行いまして、国土交通省のホームページに掲載するとともに、経済団体、消費者団体及び行政機関を通じて幅広く呼びかけるなどの取組を行っております。さらに、今後、いわゆるホワイト物流推進運動におきましても、国民や企業に対する周知、呼びかけに取り組んでまいりたいとも考えております。

 これまでの取組を通じまして、ことしの三、四月の予約状況を見ますと、例年、最繁忙期となっております三月中旬から四月上旬の前倒しで、例えば三月上旬などの早い時期の予約がふえている状況となっておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、引っ越し時期の分散化に向けたさまざまな取組を行ってまいりたいというふうに考えております。

中野委員 最後に一問、今度は旅客運送の関係で質問をしたいというふうに思います。

 タクシーサービスの関係では、今いろいろな議論がなされておると承知はしておりますけれども、いわゆるライドシェアというか、そうしたものの扱いというのは非常にいろいろな論点から議論をされてきたというふうに思います。

 私は、交通空白地帯というか、そういうサービスがない地帯でどういうものをやっていくかという議論はしっかりしていかないといけないと思うんですけれども、実際にタクシーであるとかさまざまなサービスがある中で行われているような事業というのは、少しまた違った観点からしっかり見ていかないといけないというふうに思っております。

 と申しますのも、旅客運送というのはそもそも許可制でやっております。しっかり利潤を運賃として取るということであれば、やはり許可をとっていただくという形になりますし、今、自家用有償ということで、実費の範囲内でやっていくという、登録でやっている制度もあるんですけれども、いずれにしても、安全も含めてさまざまな規制をしているということであります。

 最近、一部、利用者と自家用車をマッチングをするサービスというものもございまして、もちろん、その中で、例えばガソリン代とか駐車場の料金とか、かかったものについては、お金の収受は別にその中でしてもいいんだ、あるいは自発的に謝礼でお金を払うというのは別に収受をしてもいいんだ、こういう整理になっているとは承知をしておるんですけれども、この制度の中で、これはしかし、実際は業としてやっている白タク行為に近いんじゃないかと指摘を受けているサービスもあるというふうに承知をしております。

 余り実名を出してもあれかなと思ったんですが、ちょっと出さないとわかりにくいと思いますので、例えばクルーというマッチングのアプリがありまして、これはアプリの中でそういうガソリン代みたいなものも払うんですけれども、謝礼を支払うことが前提となっているかのような、あるいは謝礼を払わないと使用制限がかかってしまうような制度になっていて、これはどちらかというと非常に、限りなくグレーというか、これは制度として本当にどうなんだろうか、こういう指摘もなされているとも伺っております。

 こうしたさまざまなサービスがある中で、実態をよく把握をしながら、これが仮に、法律の中で、これは白タク行為なのではないか、こういうものであれば、やはりしっかりと、そういうことが行われないような対応もしないといけないですし、政府として、これについて実態もしっかり見ながら、実際にどうなのか、これはしっかり考えていかないといけない、私はこのような強い問題意識を持っております。

 これについてどう取り組まれていくのかというのを、最後、お伺いをしたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のクルーにつきましては、自家用自動車による運送において、利用者が運転者に対し、実際の運送にかかるガソリン代でありますとか道路通行料などのほか、任意の謝礼を支払う形態であると承知をいたしております。

 このような形態につきましては、道路運送法による許可又は登録を要しない運送の態様についてという通達に沿った対応を求めております。

 この通達におきましては、個々具体的な行為が有償の運送として許可、登録を要するか否かについては、最終的には、それぞれの事例に即して個別に総合的な判断を行うことが必要としておりまして、クルーの状況を引き続き注視をいたしまして、適宜報告も求めながら、実態を把握した上で、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 国土交通省の平成三十一年度の一般会計予算は、臨時特別分を合わせますと七兆円を超えており、そのほか財政投融資など、一般会計だけでも全体に占める割合は六・九%、まさに国土交通省の財政健全化と経済の再生に果たす役割は非常に大きいと考えております。

 そこで、本日は、石井大臣始め関係者にお聞きをしたいと思いますので、簡潔にお答えをいただきたいと思っています。

 まず、平成三十一年度の基本方針についてであります。

 石井大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、アベノミクスの成果とはどのようなものと認識しているのかであります。

 アベノミクスの成果を全国津々浦々まで一層浸透させ、地域においても成長と好循環を実感できるようにする、こうしておりますけれども、そもそも、アベノミクスの成果ってあるんですか。どんなふうに認識しているのか、お伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 安倍政権六年間のもとで、GDPは名目、実質ともに過去最高水準に拡大するとともに、企業収益は過去最高を記録するなど、経済の好循環は着実に回りつつあると認識をしております。

 この認識は、昨年十二月七日に閣議決定いたしました平成三十一年度予算編成の基本方針において、政府の認識として明らかにされているものであります。

 ちなみに、国土交通分野におきましても、訪日外国人旅行者数が六年連続過去最高を更新し、昨年は三千百十九万人を記録するとともに、訪日外国人延べ宿泊者数における地方部のシェアは昨年には四一%にまで伸びているなど、一定の成果が見られます。

 今後、アベノミクスの成果を一層浸透させ、経済の好循環を更に加速させることが必要と考えておりまして、国土交通省といたしましても、引き続き、我が国の持続的な経済成長や豊かな国民生活の実現に貢献してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 なるほど。表面はそんなふうに見えますけれども、これは、異次元の金融緩和の金融バブルであって、本当の経済成長ではない、こう考えております。

 そのため、肝心の実質賃金は低下をし、個人消費が伸びません。個人消費が伸びなければ経済は成長しないわけでありますが、やはり、金融バブルでちょっと伸びているように見えているだけなんじゃないですか。

 したがって、トリクルダウンがないわけでありますから、地方にもその恩恵が届いていないというのは確かな事実であります。地方の皆さんの怨嗟の声はだんだん大きくなっているというのが現状かなと思っております。

 二つ目は、どのように経済成長を図り、経済再生と財政健全化の双方を実現するのかであります。

 ストック効果を重視した公共投資を推進することにより、国民の安全、安心や豊かな暮らしを確保するとともに、経済成長を図り、経済再生と財政健全化の双方を実現する、こうしておりますけれども、どのようにして経済成長を図るんですか。お答えをいただきたいと思います。

石井国務大臣 政府におきましては、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針のもと、平成三十年六月に閣議決定をいたしました経済財政運営と改革の基本方針二〇一八に基づきまして、成長戦略の核となる生産性革命に最優先で取り組むこととしております。

 国土交通省におきましては、持続可能な経済成長と豊かな国民生活の実現のため、私を本部長といたします国土交通省生産性革命本部を設置をいたしまして、本年を生産性革命の取組を徹底する貫徹の年と位置づけ、取組を進めております。

 具体的には、建設生産プロセスにおけるICTの活用を推進するi―Construction、自動運転の実用化に向けたルール整備と実証を推進する車のICT革命、インフラ維持管理における新技術活用等による効率化を推進するインフラメンテナンス革命など、三十一の取組を進めているところでございます。

 引き続き、国土交通省のあらゆる分野における生産性革命のさらなる推進などを通じまして、経済再生に貢献してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 今、大臣からも話がありましたが、安倍総理のスローガンであります経済再生なくして財政健全化なし、これは私は真逆じゃないかなと思っております。財政健全化なくして経済再生なし、これが適切ではないかと思うほどであります。

 それは、アメリカの財政赤字を黒字にした米国のクリントン大統領のときの財政健全化策であります。これを見ますと、クリントン大統領は、富裕層と大企業に増税をして税収を確保して、それをしっかり実はアメリカのさまざまなものに投資をして経済を成長させ、そして財政の健全化もしていきました。私は、このクリントンに学ばないと、とても無理だと思っております。

 したがって、日本の財政はどんどん悪化する一方であります。ですから、本当に、そういった意味で、財政の健全化なくして経済再生なしだと認識を改めることが必要ではないかと思っております。

 そこで、三つ目でありますが、三つ目は、地域活性化にも資する多様なPPP、PFIの推進により、民間資金やノウハウをどこに積極的に活用するのかであります。

 投資効果や必要性の高い事業への重点化を進めるとともに、地域活性化にも資する多様なPPP、PFIの推進により、民間資金やノウハウをどこに積極的に活用するのか、お伺いをいたします。

石井国務大臣 厳しい財政制約のもと、経済成長を持続させるためには、民間活力の活用が不可欠であります。

 国土交通省では、平成三十年六月に政府で策定をいたしましたPPP/PFI推進アクションプランに基づき、PPP、PFIを推進しております。

 このアクションプランでは、重点分野と、その分野ごとの目標を定めております。国土交通省所管の重点分野は、空港、道路、下水道、公営住宅、クルーズ船向け旅客ターミナル施設、MICE施設であり、コンセッション等の導入を積極的に推進しております。

 また、事業の効果をより高めるためには、事業間や官民の連携を進めることが重要であります。例えば、民間による運営が開始されました仙台空港におきましては、バス事業者により、空港から宮城県内外の観光地に直結する二次交通の充実が図られております。また、公営住宅のPFI事業におきましては、公営住宅の整備にあわせまして、住民のニーズに応じた子育て施設や福祉施設を民間事業者が整備するなどの取組を進めております。

 引き続き、関係省庁とも連携をいたしまして、多様なPPP、PFIを推進してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 国土交通省の方からコンセッションの事業等の重要分野の資料もいただいておりますけれども、今大臣からも答弁がありました。この次の質問にもあるんですけれども、例えば、電力の小売自由化が実施をされている。そんなことを考えますと、やはり経産省とも連携をとりながら、ダムを有効に使って水力発電に取り組むとか、あるいは、国立公園の満足度を高めるために、民間資金により、移動手段として例えばロープウエーを設置したり、あるいは、公園内を春夏秋冬に周遊できるような、スイスのような登山列車を走らせたりする、そういったことも私は重要ではないかなと思っております。

 より速くということで、リニア新幹線に多額のお金をかけておりますけれども、しかし、一方では、やはりユックリズムで、ゆっくり国立公園を満喫する、こういうことにも国土交通省が環境省と連携して取り組んでいく。それはこれからの、私は次の世代への資産になると思っています。

 観光庁が中心となって、観光客を、インバウンドも含めてたくさん日本に集めるということを考えておりますが、そうしたやはりお客さんの満足度を高めるようなことについてもしっかりと民間資金を投入することが必要じゃないかなと考えております。

 特に、日本の国と地方は借金頼りの行政、政治をやってきました。国、地方合わせて一千百兆円を超える借金を抱えておりますけれども、しかし、一方では、国民と企業にはたくさんの金融資産をつくるようにやってまいりました。何と、国民の個人金融資産は千八百兆円を超えております。企業の内部留保資金は一昨年、四百四十六兆円。しかも、手元資金は二百兆円も持っている。まさに、国民はたくさんお金を持っている、企業もたくさんお金を持っている、こうしたものをいかに有効に使ってこれからの少子高齢化、人口減少時代を乗り越えていくか、これが私は、日本の政府の、政治のやることだと思っております。

 そういった中で、このPPPとかPFIを活用して、それこそ公益的な施設なりあるいは社会資本がしっかり整備ができて、次の世代が安心して夢と希望が持てるような日本をつくっていく、そこが大事なのではないかな、こういうふうに思っております。

 次に、力強く持続的な経済成長の実現についてであります。

 一つ目は、ストック効果を重視した社会資本整備の戦略的な推進についてであります。

 第一点は、既存ダム及び整備中ダムの有効活用についてであります。

 私が何度か国交省に、やはり水力発電をやったらどうかという提案をしてまいりました。なかなか返事がありませんでしたが、最近考え方が変わってきたようでありますし、既設のダムでもちゃんと水力発電をやっているということをこの間教えていただきましたが、現在どのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 ダムを活用いたしました再生可能エネルギーである水力発電、これにつきましては、国土交通省におきましても積極的に推進すべきというふうに考えておりまして、現在、国、水資源機構が管理する百二十三のダムのうち百十五ダムにおきまして発電を実施をしております。また、国土交通省所管のダム建設事業におきましても、電力事業者の意向を確認した上で、例えば、かさ上げ等によって発電機能を増強させるといった事業も実施をしているところでございます。

 発電事業につきましては、採算性等を踏まえて発電事業者が判断するものと考えておりますが、国土交通省といたしましては、事業者が参画しやすい環境を整備することが重要であるというふうに認識をしております。

 今後とも、関係省庁及び発電事業者と連携いたしまして、再生可能エネルギーである水力発電の推進に取り組んでまいります。

福田(昭)委員 脱原発の、一つの大きな私は再生可能エネルギーになると思っていますので、つくっちゃったダムは壊せとは言えないので、しっかり有効に使うということが大事かなと思っていますので、ぜひ積極的に、民間企業が参入しやすいような環境整備に取り組んでほしいと思っております。

 それでは、第二点ですけれども、管制空域の再編等による処理容量の拡大に向けた航空保安システムの高度化等の推進についてであります。

 お話を聞きますと、今、空域が四つに分割されているけれども、この上下分離による処理容量の拡大を目指して、高高度と、それから低高度は二つに分ける、東西に分けて管理するということなんですけれども、これによってどんな効果があるのか、教えていただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 増大する航空需要に対応いたしまして、安全かつ効率的な航空機の運航を実現するため、管制空域を再編することによりまして、管制処理容量を増大することといたしております。

 具体的には、現在、札幌、東京、神戸、福岡航空交通管制部が担当しております四つの管制空域を上下分離をいたしまして、巡航している航空機のための高高度空域と、空港への離着陸など上昇、下降する航空機のための二つの低高度空域に再編するものでございます。

 このような取組によりまして、それぞれの管制官の負荷も軽減をいたしまして、航空交通の安全確保を最優先としつつ、より効率的かつ効果的な管制サービスを提供いたしまして、将来の増大する航空需要に対応してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 わかりました。

 私は、羽田や成田には横田空域、あるいは那覇には嘉手納空域があって、日本の空を自由に飛べない、こう聞いていますけれども、これは日米地位協定があって管制空域の見直しができないのかどうか、イエスかノーかで答えてください。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる横田空域につきましては、日米地位協定に基づきます日米合同委員会の合意によりまして、米軍による進入管制業務が実施されている空域がございますけれども、過去八回にわたり削減を行ってきております。

 また、いわゆる嘉手納空域におきましても、日米合同委員会の合意によりまして、米軍による進入管制業務が実施されている空域でありましたけれども、平成二十二年三月に日本側に移管されまして、それ以降は国土交通省において進入管制業務を実施いたしております。

福田(昭)委員 それでは、これはよくまた後で勉強させていただきます。

 二つ目は、観光先進国の実現についてであります。

 時間の関係で、一、三、四とまとめてお伺いをいたします。

 観光地や公共交通機関、宿泊施設における円滑かつ快適な受入れ環境の整備の支援についてであります。

 日光市では、観光シーズンになると日光、鬼怒川の交通渋滞がひどいので、県の交通政策課が交通渋滞対策を今検討しておりますけれども、どんな支援をしていただけるのかが一つ。

 それから、第二点、利用拠点の上質化や野生動物観光の推進等を通じた国立公園の体験滞在の満足度向上について、どんなことを考えているのか。

 そして、第三点は、世界的な競争力を有する観光地づくりのためのDMOの形成、育成についてであります。

 現在、日光市では、おいしい水があるため、手打ちそばのまちづくりが全国区となっておりますけれども、このところ大きく伸ばしているのが天然氷のかき氷であります。全国に天然氷屋さんが五軒あるそうでありますが、そのうち三軒が日光にあります。この天然氷のかき氷を世に出していただいたのが、SNSなどでどんどん情報を発信してくれている、ふぃふぁ山荘の辻村さんという方だそうであります。

 まさに世界文化遺産の二社一寺を始め、すばらしい資源がたくさんありますけれども、問題なのは、大事なのは、やはり良質な情報をいかにうまく発信するかということだと思います。

 そういった意味では、まさにこのDMOの形成、育成が非常に大事だと思っておりますけれども、こんなことについてどんなふうに考えているのか、三点まとめて、簡潔にお伺いをしたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年訪日外国人四千万人の目標達成、これに向けましては、幅広い国あるいは地域からの訪日外国人旅行者を確実に増加させるということと、地方への誘客ということが重要だと考えています。でございますので、今後一層、地方に来ていただくための旅行環境の整備や、地方滞在時の、御指摘の満足度の向上なども図る必要がございます。

 このため、具体的には、御指摘ありました、快適な旅行環境を実現するため、主要観光地あるいは公共交通機関や宿泊施設などにおけます多言語対応、無料WiFiなどで受入れ環境整備を集中的に支援するということにしています。

 また、滞在時の満足度向上のために、文化財などの多言語解説の整備、また国立公園の野生動物観光などの充実など、地域固有の文化、自然等を活用しました観光資源の整備を推進してまいりたいと考えております。

 さらに、御指摘ありました、こういう観光地づくりの核となりますDMOにおけます専門人材の登用、中核人材の育成などの支援を強化をするということをしてございます。

 観光庁といたしましては、これらの取組を含めまして、国際観光旅客税の税収なども活用しながら、政府一丸、官民一体となって、観光先進国の実現に向けまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、第四点目は、道路空間のオープン化、無電柱化等による観光地の快適な空間づくりの推進についてであります。

 日光市では、合併前から、世界文化遺産への道として国道百十九号、旧日光市東町のまちづくりとして歩道の拡幅と電柱の地中化に県と役割分担をして取り組んできましたが、予算が少なくて、なかなか遅々として進んでおりません。

 平成二十八年に成立したいわゆる無電柱化法によると、平成三十年度から三十二年度まで三カ年で重点地区を決めて取り組む、こう伺っておりますけれども、特に、平成三十一年度から無電柱化推進計画支援事業がスタートするということであります。

 日光には、年間一千万を超えるインバウンドを含めた観光客が来ておりますけれども、ぜひとも、この目標にありますように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでには全て完成したいなというのが地元の要望でありますが、こうしたことに対してはどんな支援があるんですか。お伺いをしたいと思います。

池田政府参考人 委員御指摘のように、昨年四月に国で作成しました無電柱化推進計画で、世界文化遺産周辺の地区を代表する道路について、七九%の無電柱化を達成する目標になっております。

 この目標の達成を含めまして、無電柱化を促進するために、今御紹介ありました、平成三十一年度に防災・安全交付金の中に無電柱化推進計画支援事業を創設をいたしまして、優先的に予算配分をする予定としております。

 引き続きまして、関係者と共同して十分に連携を図りながら進めてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、三番は、時間の関係で、申しわけないけれども省略をさせていただきます。

 四番に行きたいと思います。辺野古埋立承認撤回の執行停止者の責任についてであります。石井大臣の責任についてであります。

 一つ目は、米国から見た辺野古、自然災害にも攻撃にも脆弱だということであります。元アメリカの国務長官首席補佐官のローレンス・ウィルカーソン氏が、辺野古は自然災害にも攻撃にも脆弱と指摘していることから、執行停止決定は適正だったのか。大臣の見解をお伺いします。

石井国務大臣 お尋ねの執行停止の決定は、沖縄防衛局より審査請求と執行停止の申立てを受けたことから、行政不服審査法上の審査庁といたしまして、執行停止手続におきまして、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出された書面の内容を検討いたしまして、行政不服審査法の規定に基づき適切に対応したものであります。

福田(昭)委員 とても適切とは思えませんが。

 このウィルカーソン氏が、在沖縄海兵隊は、台湾有事であれ、南シナ海有事であれ、米軍の戦闘力にはなりません、米中戦争がもしあるとしたら、空と海の戦闘です、米国は海兵隊員を中国本土に上陸させるような愚かな作戦はしません、中国に対する抑止力として戦略的に重要なのは、米国が日本防衛に確実にコミットメントしているというシグナルを明確にすることです、このように明確に答えております。

 二つ目でありますが、二つ目は、有効投票の七割超が反対した県民投票を無視して辺野古工事を続行する責任は、国交大臣にあるんではないですか。沖縄の県民投票において、有効投票の七割が反対しました。すぐさま執行停止決定を取り消すべきではないですか。いかがですか。

石井国務大臣 お尋ねの執行停止の決定については、沖縄防衛局より審査請求と執行停止の申立てを受けたことから、行政不服審査法上の審査庁といたしまして、執行停止手続において、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出された書面の内容を検討いたしまして、行政不服審査法の規定に基づき適切に対応したものであります。

福田(昭)委員 審査庁としての審査が全く適切でなかった、こう申し上げているわけでありますが。

 憲法九十五条には、一つの地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない、こう規定してあります。

 このたびの県民投票は、まさにこの憲法九十五条の趣旨を踏まえた住民投票じゃないですか。そうしたら、これを尊重するのが当たり前じゃないですか。これを尊重するような考えが全くないということですか、大臣。

石井国務大臣 国土交通省としては、行政不服審査法上の審査庁として、行政不服審査法の規定に基づき適切に対応したものであります。

福田(昭)委員 それでは、三つ目でありますが、沖縄防衛局長の執行停止申立書に、一般私人、事業者としての理由はどこに書いてあるかであります。大臣は全部読んでいないそうですから、ぜひ全部読んでおいてください。いずれまた、しっかり、どこに書いてあるのかお聞きしたいと思っています。きょうは聞きません。

 沖縄防衛局長はまさに固有の資格で埋立てをしており、一般私人、事業者ではないのだから、執行停止決定は間違い、無効であると思いますが、いかがですか。

石井国務大臣 行政不服審査法第二条におきまして、審査請求をすることができる者につきましては、「行政庁の処分に不服がある者」と規定をされております。沖縄防衛局のような国の機関でありましても、ここで言う処分を受けたものと言える場合には、一般私人と同様の立場で処分を受けたものでありまして、固有の資格、すなわち一般私人が立ち得ないような立場で撤回を受けたものではないと認められることから、審査請求をすることができると解釈をされます。

 この点、前回の承認取消しの違法性が判断をされました平成二十八年の最高裁判決におきましては、承認の取消しが行政不服審査法第二条の処分であることを踏まえた判断を行っております。

 今回の承認の撤回も、埋立てをなし得る法的地位を失わせる点で承認の取消しと何ら変わらないことなどから、沖縄防衛局は行政不服審査法第二条の処分を受けたものと言えます。

 したがいまして、沖縄防衛局は、一般私人と同様に、今回の承認の撤回について審査請求ができると判断をいたしました。

 なお、地方自治法により総務省に設置をされました第三者機関である国地方係争処理委員会の決定におきましても、沖縄防衛局は本件承認撤回処分を固有の資格において受けたものではないと判断をされているところであります。

福田(昭)委員 それでは、改めて行政不服審査法をおさらいしたいと思います。

 まず、第一条です。目的等が書いてあります。この目的には何と書いてあるか。「国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」ですから、もし固有の事務でなく沖縄防衛局が処分を受けたと最高裁が判断したのなら、最高裁の判断そのものが間違っています。政治的な判断そのものであります。

 そして、第二条、処分についての審査請求。「行政庁の処分に不服がある者は、」と書いてありますけれども、第一条、目的に入っていないんですよ。よろしいですか。国民の権利利益の救済を図るということが目的でありますから、「行政庁の処分に不服がある者は、」ここには国は入りません。

 そして、そのことを更に明確にしているのが第七条と第八条であります。

 第七条には適用除外が書いておりまして、第七条の第二項、「国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。」と書いてあります。つまり、固有の資格で沖縄防衛局長は不服審査請求をしたわけです。

 さらに、第八条。第八条には特別の不服申立ての制度があります。「前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。」と書いてあります。

 したがって、もしここで沖縄防衛局にまさに個人としての一般人、私人あるいは事業者としての資格があるんだということを認めるためには、第八条に基づいて新たに法律をつくらなければ行政不服審査法の請求人にはなれません、大臣。

 ですから、これは、農水省の、海面の、漁業権でしたか、あのときに取り消したときには、この行政不服審査法の旧法で、新法は適用されておりませんでした。しかし、今回、国土交通大臣が執行停止をしたときにはこの新法が既に発効されています。効力を持っています。したがって、この新法、五十年ぶりに大改正をした行政不服審査法違反であります。大臣の行為は法律違反と申し上げて、いずれまたしっかり質疑をしたいと思っていますが、質問時間が終了しましたので、大臣の執行停止は法律違反だということを申し上げて、質問を終わります。

谷委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 人口あるいは経済規模、そして国連分担金、こういうものに比して国連職員あるいは国際機関の職員が少ないんだというようなことが話題に上がっております。一月二十八日の政府四演説、外交演説におきましても、外務大臣はわざわざ特出しをして、国連機関そして国際機関に日本人を輩出をしていくということを政府全体で取り組むんだというような決意表明がありました。

 これについて、外務省、これに政府全体で取り組むとはどういうことか、あるいは現在どのようにやっているかということについてお尋ねをしたいと思います。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 この国際機関の邦人職員の問題は、外務省としては非常に重要な課題だというふうに認識して取り組んでいるところでございます。

 その中で、国連関係に勤務する日本人の数を二〇二五年までには一千人にまでふやしたいという目標を立てている次第でございます。もちろん、このことによりまして、国際機関でも活躍する、そういう選択肢が日本の国民の皆さんに提供されるとともに、日本のプレゼンス、存在感がそれぞれの機関で維持強化される、そういう趣旨でございます。

 そのためには、実は、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサーと言われる、いわゆるJPO、これがかなり重要なものになっております。若手をJPOを通じて送り込むということが、半ば日本にとっての一つの生命線になっているというふうに申し上げてもよろしいかもしれません。

 それだけではなくて、実はこのJPOにおいても、国家公務員をJPOの一環で各国際機関に派遣する、そのことも復活させるということを今やっているところでございます。

 さらに、中堅レベル以上の幹部候補になる方々、そういった方々も政府が経費を負担するという形で送り込むという制度も最近始めてございます。

 さらには、外務省自身も、外務省の職員の中からいろいろ、博士号、修士号を取ることによって国際機関にも行けるような、そういう人材をどんどん輩出するべきではないかということで、予算要求の中にそういった項目も新たに入れさせていただいているところでございます。

 ただ、いずれにしましても、この日本人の国際機関への送り込みということについては、やはり絶対数が不足しているというのが最大の課題でございます。JPOでいろいろ掘り起こしをするということはやっておるんですけれども、やはり絶対的な数がほかの国と比べると少ないのではないかということは、私ども日々実感しているところでございます。

 そういうこともありまして、小中高生も含めて、国内でのいろいろな広報活動、もう相当力を入れてやらなければいけないのではないかということで、今取り組ませていただいているところでございます。

 以上です。

森山(浩)委員 外務省さんからの呼びかけで、外務省自身も頑張っているというようなお話であります。

 九〇年代、バブルのころには、日本の国際協力は金額面でも世界を圧倒するというような部分でありましたけれども、今、額でいうとどんどん少なくなっている。それに加えて人数も十分ではないということでは、国際的な問題に対して日本が貢献をしていける、その力が弱ってきているというのも現実ではないかというふうに思います。

 それに対しまして、国際機関あるいは国連機関で働くに当たっては、修士号あるいは博士号が要るんだというようなポストが多い。つまり、今の日本の一般的な大学を出た後のキャリアプランでいうならば、大学院まで行くというよりは、そのまま就職をする人が非常に数が多くて、特に四十代、五十代、あるいは六十代というような世代の人に関してはほとんど大卒だというような中、あるいは、海外経験もあった方がいいよというような話になってくると、社会人の方に、あなた経験あるからどうですかと言ってもすぐには行けないということで、いろいろな制度をつくっておられるということでございます。

 役所の中に関して呼びかけをするというのも一つなんではあるんですけれども、国土交通省というのは、省内の人材のほかにも、土木、あるいは建築、運輸、観光を始めとして、いろいろな業界に通じて、また管轄をしておられるということでもあります。

 そういったところへの呼びかけも含めて、具体的に、こうやったら輩出することができるよというような情報提供も含めて、国土交通省としてどのように取り組んでいかれるか、また、これは千人というようなことがありましたけれども、やはりこれだけ大きな官庁でありますから、そのうち、うちはこれだけ頑張るよというようなお話なんかもあるのか、大臣にお聞きをしたいと思います。

石井国務大臣 国際機関において活躍する日本人をふやすことは、国際的なルールづくりに貢献することや国際社会における日本の存在感を高める上で重要なことと考えております。

 国土交通省といたしましては、関連するポストの公募等について情報収集を行うとともに、日本人職員が応募した際には国際機関に対して採用を働きかけておりまして、現在、国際海事機関、国際民間航空機関等に国土交通省職員が派遣をされております。また、国際機関の委員会議長等の選挙で選ばれる役職にも日本人を送り込むべく、国内外の関係者と連携を図っております。

 さらに、今後国際機関の職員になることを希望する若手が日本政府の負担で国際機関に勤務するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー派遣制度の活用を図ることで、若手が国際機関で働くことを後押しをしております。

 このほか、本年二月には、世界気象機関の事務局長をお招きをいたしまして、学生や社会人向けのキャリアセミナー「世界気象機関事務局で働こう!」を開催をいたしまして、国際機関で働く日本人職員の裾野の拡大にも取り組んでおります。

 今後とも、国土交通省に関連いたします国際機関において多くの日本人が活躍できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 政府全体で取り組むんだというような形でことし特別言われたということを前提として、国土交通省としてもしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。この件につきましては、予算委員会で総務省あるいは文部科学省の皆さんにもお願いをしたところでもございます。

 続きまして、空き家対策についてです。

 空き家対策の特別措置法というのができています。人口減少の中、世帯数についても、ことし、二〇一九年がピークとなる。人口は減っても世帯数はふえてきたわけですが、この世帯数についても、ことしがピークで、これから減っていくというような状況でございます。

 この特別措置法の、五年ごとに見直しだという話になっておりますが、この期限が来年ということになっておりますけれども、この見直しについてお伺いをします。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、いわゆる空き家特措法の附則におきまして、五年経過段階で、施行状況等を踏まえて、必要に応じ、法律の規定について検討を行うこととされております。

 この点に関しまして、例えば、今現在の法律でありますと、長屋の一部が空き家になっているような場合には、その建物全体が空き家でないと対象にならないものですから、現在の法律の対象にならないとか、幾つかそういった問題の指摘も受けているところでございます。

 現在、いろいろ予算等では対応しておりますけれども、そういったいろいろな御指摘も踏まえながら、五年間の施行の状況を見て、いろいろまた検討させていただければと思っているところでございます。

森山(浩)委員 いろいろ検討ということなんですが、日程感みたいなものはありますか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 まずは五年の経過ということになっておりますので、その間の状況を踏まえることが必要だと思っております。

 その上で、この空き家対策特別措置法は議員立法で制定された経緯もございますので、そういった過去の経緯も踏まえながら、関連する当時のいろいろ御議論いただいたところの御議論を、更にまたその延長線も踏まえて、いろいろ検討させていただく必要があると思っているところでございます。

森山(浩)委員 空き家の総数というのが、この二十年で一・八倍、八百二十万戸にまで増加をしています。都道府県によって、あるいは地域によって多少のばらつきがあるわけなんですけれども、例えば、今例に出していただきました、都市部などでは長屋。長屋の一部があいている、一部これは壊すよという話になったときに、じゃ、内壁が外壁になってしまうというような形で、ほかのところにも居住環境には影響を与えるんだというようなお話。これは、マンション、アパートであれば全員の同意がなくても建てかえができるようになっておりますけれども、長屋についてはそこまでのところができていないであるとか。

 ちょっとお伺いをしたいのが、相続のときですけれども、相続により生じた古い空き家、これを除却をする、壊すというときに、譲渡所得から三千万円を特別控除する。これは、更地にしたり、あるいはリフォームをしたりというような形で使える形にして、そして三千万円の特別控除をするんだというような形になっておりますけれども、これについてはどんな状況でありますか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生御紹介をいただきました空き家対策の税制でございますけれども、相続で空き家が生じることが多い状況を踏まえまして、相続で生じた古い空き家、これにつきまして、耐震リフォームをして売るか、若しくは除却をして更地にして売るか、その場合に三千万円の特別控除が適用されることになってございます。

 この特例措置につきましては、平成二十八年に創設されて、現在までかなり活用が進んでおります。昨年度では、年間で約七千件御利用いただいたところでございます。

 そういったことの中で、やはり、若干、もうちょっと改善できないかという御指摘もございましたので、今般、今提出されております租税特別措置法の改正におきましては、その適用期限を延長しますとともに、現行では、相続の開始の直前まで被相続人、つまり亡くなった方が家屋に居住していたことが要件になっているものでございますが、それに加えまして、相続の開始の直前に老人ホーム等に入所されていた場合につきましても、一定の要件を満たせばこの税制特例の対象になるような内容の改善措置が今回の租税特別措置法の改正案に入っているところでございます。

森山(浩)委員 そうですね。租税特別措置法で、老人ホームに入居していた場合、あるいは長い間老人ホームに入っているなんていうような場合も多いわけなんで、これはぜひ活用いただきたいと思います。

 もう一つの壁として、売る場合はいいのですけれども、売らない場合に登記をきちんとするのかという問題があります。

 登記をしようとしたら、親ではなくて祖父からの相続になってしまったというような事例が少なくないという状況でもあります。つまり、登記しなくても別に困らないよというような状況の中で、誰の持家なのかはわからないというような状況にもなっていますけれども、この登記の値段が高いであるとか、あるいは、別にしなくても何の問題もないであるとか、このような状況について、法務省さん、お考えはありますか。

筒井政府参考人 お答えいたします。

 空き家対策を進める上で、相続登記がされていないために所有者が直ちにわからないといった問題が生じており、その対応策として、相続登記の義務化や相続登記手続の負担軽減をすべきであるとの指摘があることは承知しております。これは、不動産登記簿を見ても所有者が直ちにわからないという点で、いわゆる所有者不明土地問題において指摘されているのと同様の問題であると考えられます。

 現在、法務省におきましては、所有者不明土地問題の解決に向けて民法や不動産登記法の見直しの検討を進めておりますが、相続登記の義務化を含めた相続の発生を適時に登記に反映させるための方策は、その主要な検討課題の一つであると考えております。また、相続登記手続の負担軽減を図るため、手続の簡略化等の方策についてもあわせて検討を進めているところでございます。

 これらの検討の成果につきましては、土地のみならず建物についても活用することができると考えられ、空き家対策にも寄与するものと考えております。

 法務省といたしましては、空き家対策や所有者不明土地問題への対策の観点から、相続登記の義務化や相続登記手続の負担軽減について、引き続き検討してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 義務化とセットで負担軽減という部分、しっかりとしていただきたい。特に、そんなお金もったいないわというような話も少なくありませんので、それも含めてしっかり御検討をいただきたいと思いますし、また、我々議員の側からも住宅の問題については提案をしていきたいというふうに思います。

 さらに、公営住宅の件です。

 公営住宅は、管理戸数が二百十六万戸余りという中で、二万七千余りが空き住戸となっている。空き住戸というのは一年以上経過をしているというような空き室のことでありますけれども、うち目的外使用数が三千八百七十九戸というふうにお伺いをしています。これについて、目的外使用、どんな形で利用されておりますか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 公営住宅の目的外使用につきましては、本来入居すべき対象者の方の入居を阻害しない、また、適正かつ合理的な管理に支障がない範囲で可能となっているところでございます。

 目的外使用に当たりましては、グループホームなどの社会福祉事業などが法律で定められているほかにも、災害被災者やDV被害者など、公営住宅の目的外に入居いただける、そういった類型をあらかじめ通知しているものがございます。また、それに加えまして、小規模保育事業や高齢者などのコミュニティー拠点といった利用など、地域の自主的、自立的な取組を支援するものとしての使用も認められてきているところでございます。

森山(浩)委員 公営住宅の弾力的活用ということでございます。

 難民や、あるいはDV被害者やというような形で入られている方の、私の周りでも事例を知っておりますけれども、さらに、地域を活性化をしていくという中でいうと、どうしても、公営住宅がどんと小学校区全部というような状況になってくると、なかなか地域のつながりというのが難しい中で、地域の皆さんが集まるコミュニティーのために使うなどというようなやり方をやっていただいている部分については、そこを中心にまた地域のきずなが強くなっていくなどというような例も非常に多く見受けられます。

 ですので、これは、更に拡大をしていくというような形での呼びかけ、あるいは、地域によって空き戸数も違うんでしょうから、地域によって、こんな提案があるよなんていうようなことを受け付けるというようなお考えはありますか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 目的外使用につきましては、国の使用の承認が必要な部分がございます。先ほど申し上げました中の法律によるもの、また通知であらかじめ列挙しているもの、これらについては、個別の、事前の承認ではなくて、事後の報告をもって承認とできるような、ある意味手続緩和をしたいというような形で、こういう目的外使用の円滑化に今努めているところでございます。

 引き続き、国土交通省といたしましては、地域の実情に応じて公営住宅の空き住戸を有効に活用していただいて、住宅等に対するあらゆるいろいろなニーズに応えられるようにしていくように努めてまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。空き住戸、また公営住宅も含めて、世帯数まで減ってくるという中でございますので、地域活性化のためにぜひ頑張っていただきたいと思います。

 先ほど中野委員の方からの質問にもございましたが、自転車道の整備についてでございます。

 自転車道というのを引かなきゃいけないということで、割と狭い道なんかも含めて頑張って引いていただいていることなんですけれども、これは、途中ですっと消えてしまったりすると、そこで迷うわけですね、車道を突っ切るべきか、それとも歩道に上がるべきか。それで、段差のある歩道にどんと上がったときにお年寄りとぶつかる、あるいは子供が飛び出してくる、こんな事例も少なくありません。

 最近では、自転車に保険が掛かっていないので、何千万という賠償にもつながるなどというような事例も出てきておりますので、この危険を回避するために、基本は自転車は道路を走るんだよということ自身がまだ十分広まっていないということも含めて、どのような対策をとっておられますか。

池田政府参考人 自転車、歩行者の交通安全の確保を図るために、自転車道、自転車専用通行帯又は矢印形の路面標示による自転車通行空間の整備を進めることが重要であると考えております。

 その際に、今御指摘がありました、特に交差点部におきましては、安全の確保に留意が必要だと思っております。具体的には、交差点部において、交差点の中にも路面標示をきちっとすることによりまして、自転車が通行する位置と方向を明確化するなどの取組を進めてまいっております。

 また、関係府省庁と連携をいたしまして、交差点部における適切な通行方法など、自転車に関する交通ルールの周知などに取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。ぜひ啓発も含めて頑張っていただきたいというふうに思います。

 さらに、世界遺産登録、これは大阪で初めてなんですが、百舌鳥・古市古墳群、今目指しておるわけですけれども、この百舌鳥・古市古墳群は一体的な公共交通機関でつながっているというわけではありません。自転車の貸出しなどもスタートをしているわけなんですが、なかなかこれは、町中を走っていくというので、全体を回るのは難しい部分もあります。

 いろいろ考えたんですが、例えば、横に大和川という川が走っておりまして、これは一級河川です。この川沿いをメーンの通り道にして、そこから各古墳を回るなどというようなことを考えていくと、今自治体ごとに自転車道の整備計画を出していただいているということですが、自治体を超えた形での計画になってくるかなというふうに思います。また、河川局の御協力も要るのかなというふうに思いますけれども、このような形での自転車道の整備、どのようにお考えですか。

池田政府参考人 観光地への移動手段としての自転車の活用を進めることは、今お話ありました、鉄道によるアクセスの補完でありますとか観光地の渋滞緩和の観点からも重要であると認識しております。

 このことを進めるために、地方公共団体で作成が進められております自転車ネットワーク計画が観光地へのアクセスに配慮された計画となっていることが重要と考えております。

 堺市においては、平成二十五年に、百舌鳥古墳群を始めとした観光地へのアクセスを考慮して自転車ネットワーク計画が作成されて、それに基づいて整備が進められているというふうに承知をしております。

 国土交通省としても、引き続きまして、地方公共団体に対しまして観光地へのアクセスに配慮した自転車ネットワーク計画の作成を働きかけるとともに、計画に基づく整備について防災・安全交付金で重点配分をするなど、支援をしてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 最後に、訪日外国人の災害時の情報発信ということで用意をしておりましたが、時間になりましたので。

 地下街などにいらっしゃるときに水が来たというときに、これは命にもかかわってまいります。あるいは、空港からのアクセス鉄道中、これは小さな自治体が多いです、自治体ごとに任せておいては、なかなか緊急に停止したときに受皿となり得ないというような部分もあります。しっかり情報発信をするとともに、そのような具体的な事例も頭に置きながら発信をしていただきたいとお願いをして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 私から、まず質問なんですが、IHIの航空機エンジン無資格検査事案について伺いたいというふうに思います。

 私も、いつも国会と地元札幌を飛行機で行ったり来たりしておりまして、よく飛行機を使っているんですけれども、最近では、パイロットなどの飲酒問題も発生して、非常に心配というか、安全運航していただきたいという思いのもと飛行機をよく利用させていただいているんですが、今回、その航空機のエンジンを修理するIHIが、無資格者が検査を行っていたというニュースが流れました。

 この今回のIHI航空機エンジン無資格検査事案について、その概要と国土交通省の調査内容について伺うとともに、国土交通省は二〇〇四年に、IHI、当時の名前は石川島播磨重工業でありますけれども、に対して、航空エンジン事業において修理で計測数値を改ざんしたとして、業務改善勧告を出したと承知しています。今回の無資格検査事案について、再び不正が発生したというのであれば、企業そのものの体質が問題ではないかと問われることになると考えますけれども、見解をあわせて伺います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 株式会社IHIの民間エンジン事業部瑞穂工場に対しまして、本年一月から二月にかけまして航空法に基づきます立入検査を実施いたしましたところ、航空機用エンジン部品の修理作業及び検査におきまして、部品の検査を、業務規程に基づく適切な社内資格を有する検査員ではなく資格を有さない者が実施していた事案、所定の作業工程どおりに作業及び検査を実施しなかったにもかかわらず、実施したように作業記録書の検査実施日を改ざんしていた事案などの不適切な事案があったことを確認いたしました。

 国土交通省といたしましては、IHIに対しまして、類似事案の調査、出荷品の安全性の検証、要因、背景の分析を実施するとともに、再発防止策を策定するよう指示をいたしているところでございます。

 現在、不適切事案の内容等につきまして精査を行っているところでございまして、今後、判明した事実に基づきまして、必要な行政処分等を行うべく、検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、議員が御指摘のとおり、二〇〇四年九月当時に、当時の石川島播磨重工業株式会社、現IHIでございますけれども、整備施設の校正手続などが適切に行われていなかったなどによりまして、業務改善勧告を実施しております。

 過去にも不適切なこのような事案を起こしている中で、今般、またこのような不適切な事案が発生いたしましたことは、航空法に基づきます認定事業場制度の社会的な信用を大きく失墜させるものでございまして、極めて遺憾でございます。

 今般の事案につきまして、現在、品質管理体制の適切性も含めまして、その内容について精査を行っているところでございまして、判明した事実に基づきまして、必要な行政処分等を行うべく、検討を進めてまいりたいと考えております。

道下委員 このIHIは、今、無資格検査を行った工程は航空機エンジンの安全性には大きく影響しない部分であり、直ちにリコールする予定はないと国土交通省や航空会社に対して説明しているというふうに承知しておりますけれども、国土交通省にこのIHIのコメントに対しての見解を伺いたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 IHIからは、不適切事案が確認された出荷品につきまして、どのような不適切行為があったかを航空会社及びエンジンメーカーに説明をした上で、安全性の検証を実施していると聞いております。

 IHIからは、エンジンメーカーとのこれまでのやりとりでは、エンジンの取卸しや使用制限を直ちに行う必要はないとの報告を受けております。

 国土交通省といたしましては、このIHIとメーカーとのやりとりを含めまして、そうした見解の妥当性の確認を早期に完了すべく、現在作業を進めているところでございます。

道下委員 まだ国土交通省としては実態の解明に取り組んでいる中で、IHIがリコールの必要はないと、エンジンメーカーとのやりとりで、そういった悪いこと、不適切なことをやったんだけれども、一番中身に詳しいIHIがこういうことを言う。

 不安を広げたくない、若しくは社会的信用の失墜を少しでも食いとめたいという思いがあるかもしれませんが、やはり、IHIの今回の直ちにリコールする予定はないだとかそういったことは、ちょっと私は時期尚早ではないかと苦言を呈しておきたいというふうに思いますので、国土交通省もぜひ、IHIに対しては厳格な姿勢でこの調査等を行い、その結果に応じて行政処分等を行っていただきたいというふうに思っております。

 最近では、自動車メーカーの無資格検査や免震装置メーカーによる数値改ざんなど、非常に、国土交通省が所管する中での、企業のさまざまな不適切事案というか、不正が発生しております。

 今回も、本当に、これが一歩というか、こういう事案で大事故が発生する可能性も十分あるわけであります。

 今回、エンジンの修理、検査というものは、ここの、IHIだけではないというふうに伺っておりますので、国土交通省として、他に同様の航空機用エンジン部品の修理作業及び検査を行っている企業に対して、今後、どのように対応していく考えなのか、大臣に伺いたいと思います。

石井国務大臣 IHIによる不適切事案につきましては、航空法に基づく認定事業場制度の社会的な信用を大きく失墜させるものであり、まことに遺憾であります。

 本件に関連いたしまして、昨日、国内の他のエンジン整備事業者八社に対し、同様な不適切事案がないかの調査を実施の上、報告するよう指示したところであります。

 国土交通省といたしましては、調査報告の内容も踏まえまして、引き続き認定事業所に対し適切に監督を行い、航空機の安全確保に取り組んでまいりたいと考えております。

道下委員 ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 国土交通省の許認可というか権限で、こういうさまざまな有資格者に対して、こういうお墨つきを与えて、検査をさせて、それを出荷するだとか、そういったものが多々あります。こういった制度が余りにも企業から軽んじられているのではないかというふうに思わざるを得ません。

 今回の航空機エンジンのみならず、自動車や免震装置のみならず、この前もレオパレスもありますけれども、そうしたものの、しっかりと法律、制度が守られる厳しい対応を国交省として関係企業、団体等に働きかける指示をするよう、よろしくお願いいたします。

 続きまして、JR北海道問題について伺います。

 国土交通省は、昨年七月二十七日、JR北海道に対して、JR会社法に基づき、JR北海道の経営改善に向けた取組に掲げる取組を着実に進めるよう監督命令を発出するとともに、国は、JR北海道の経営努力を前提として、経営自立までの間、国の支援の根拠となる法律、これは日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律でありますが、この規定に付された期限内の平成三十一年度及び三十二年度の二年間、四百億円台の支援を、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定を活用して行うとしています。

 国は、支援の一部については、地方自治体等からも同水準の支援が行われることを前提としていますが、道内地方自治体からの具体的支援額はまだ決まっておりません。このままではJR北海道の経営改善はなかなか進まないと考えられます。

 国として現状をどのように認識しているのか、また、国の具体的な支援をいつから実施しようと考えているのか、大臣に伺います。

石井国務大臣 JR北海道に対します地方自治体からの支援につきましては、昨年十二月二十四日に開催をされましたJR北海道の事業範囲の見直しに係る関係者会議におきまして、平成三十一年度及び三十二年度に緊急的かつ臨時的な支援を行うべく、地域において速やかに協議を行うことが確認されたところでありまして、これに基づき速やかに結論が得られることを期待をしております。

 JR北海道の徹底した経営努力を前提といたしました国の支援の実施時期につきましては、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区における鉄道施設及び車両の設備投資及び修繕に対する支援は、国は地方自治体等と同水準の支援を行うこととしているため、平成三十一年度において、地方自治体等の支援額が決まり次第、支援を実施したいと考えております。

 それ以外の支援につきましては、平成三十一年度当初より支援を実施すべく、準備を進めているところであります。

道下委員 今、大臣からは、いわゆる黄色線区に対する支援というものは地方自治体等からの支援額が決まってからということで、同水準の支援が決まってからということでありますが、ことしは統一地方選挙が行われます。北海道知事も選挙があります。この新しい知事が決まった上で、その後の第二回定例道議会においてこの支援に関する内容が決まってからだとか、沿線自治体の議会でまた決まってからということにかんがえますと、その分、この国と一緒に行う支援というものが遅くなってしまうというふうに考えます。できれば国単独でも、私は、一番最初に答弁された、赤字線区における支援を行うべきというふうに考えております。

 こうしたJR北海道の経営再建に向けて、国交省は、七月二十七日、この監督命令とともに、JR北海道に対して、平成三十一年度から三十五年度までの中期経営計画、それから平成三十一年度から平成四十二年度までの長期経営ビジョンを、平成三十年度末、つまり今月末までに策定するよう求めています。

 国は、平成三十二年度までの二年間の支援は示していますが、それ以降の支援内容は示していません。JR北海道が、二年間の支援内容と同様の国からの支援を前提とした中期経営計画や長期経営ビジョンを策定し、国土交通省に今月末までに報告、提示すると想定されますけれども、国土交通省として、この中期経営計画をどのように検証し、また、将来の支援についてどのように結びつけていこうと検討しているのか、伺いたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 JR北海道が中期経営計画に盛り込んだ取組については、数値目標の達成状況を迅速に検証できるよう、部門別収支管理体制を整備させた上で、四半期ごとに鉄道局とともにその検証を行うこととしております。また、JR北海道に対し、その検証の結果を公表させることとしております。

 また、二〇二一年度以降の国の支援を継続するためには、昨年七月に国土交通省が発出した監督命令に基づく取組をJR北海道が着実に実施することが必要であり、来年度からの二年間でJR北海道が徹底した経営努力を行うこととともに、地域の方々と一緒になって利用促進やコスト削減などの取組を行い、経営改善に資する成果を上げることが重要であると考えているところでございます。

 以上でございます。

道下委員 今、御答弁で、JR北海道に対して徹底的な経営改善努力を求めているのはわかります。もちろん私もJR北海道に対しては求めたいと思いますが、今までやってこなかったということではなくて、これは今までも十分、経営の合理化、効率化、人員削減、人件費削減に取り組んできた。しかし、残念ながら、JR北海道はそれでもなかなか、経営再建、赤字経営が解消されない。

 これはもう皆様御承知のとおり、国鉄が分割・民営化されるとき、約三十一年前、分割・民営化した場合、JR北海道は当初からもう五百億円の赤字というものが想定されていたわけで、その赤字を穴埋めするために国が六千八百二十二億円もの経営安定基金を積んで、当時の利率七・三%で運用をして、それで赤字を穴埋めするという計画であった。数年間はこの利率は維持されたわけですけれども、その後どんどん利率が下がって、この赤字を穴埋めする分の運用益が得られなくなった。

 今、さまざまな制度改正というか運用の改善が進められて、少しは運用益は上がっていますけれども、それでも半分程度に満たない中で、そう考えますと、私は、このJR北海道の問題は、JR北海道や道、沿線自治体等に押しつけるのではなくて、ぜひ国の責任のもとで、このJR北海道の経営再建に取り組んでいただきたいと思います。

 それはなぜかというと、十二月に行った六者協議では、鉄道局長は、地域公共交通活性化再生法に基づいて、道や沿線自治体がこのJR北海道の支援の役割を担うべきだというような発言をされたそうですけれども、私は、自治体の方々が、JR北海道の株は実質的には国が持っている、国の監督下にある、それに対して、JR北海道に対して沿線自治体が法的根拠もない中で地方の身銭を切る、支援するというのは、これは住民、市民も理解されない、納得できないという思い、発言もあったかと、聞いていらっしゃると思います。

 そうした自治体のことも踏まえながら、このJR北海道の経営再建に向けて、国交省の、もう一段、御尽力をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、鉄道における地震時の安全確認について伺いたいと思います。

 三・一一から八年たちます。また、北海道胆振東部地震から半年、そして、その余震と見られる地震がことし二月二十一日に発生し、地下鉄がとまって帰宅困難者が多く発生しました。

 これに関連して伺いたいと思いますが、鉄道事業者は、国の省令に基づいて、地震発生時の運行停止や安全確認、点検体制などの要領、マニュアルを策定していると承知していますが、国の省令は鉄道事業者に対してどのような基準を定めているものなのか、伺いたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省令であります鉄道に関する技術上の基準を定める省令では、地震発生時の運転取扱いや地震後の運転再開等に関しまして、暴風雨、地震等により列車に危難の生ずるおそれがあるときは、その状況を考慮し、列車の運転の一時中止その他の危難防止の措置を講じなければならない、災害その他運転事故が発生した線路及び電力設備で故障の疑いがあるもの並びに使用を休止した線路及び電力設備で列車等を運転する場合は、あらかじめ当該線路及び電力設備を検査し、必要に応じ試運転を行わなければならないなどと規定しているところでございます。

 これらの規定に基づきまして、各鉄道事業者は、地震時の運転規制や運転再開に関する具体的な基準等を定めたマニュアルを作成しております。また、国土交通省では、保安監査などの機会に当該マニュアルを確認し、必要に応じて助言や指導を行っているところでございます。

 以上でございます。

道下委員 今の御答弁では、例えば、震度何以上で運行停止で全線点検だとか、そういったものは、省令に細かく書いているのではなくて、省令に基づいてこれは各鉄道事業者が個々に決めるものだということと受けとめました。そういうふうに以前もお伺いしました。

 ということで、その鉄道事業者が持つ鉄道施設の構造体又は築年数だとか含めて、鉄道事業者ごと、又は路線ごとだとか、さまざまそのマニュアルというのは個々に違うということだと承知しております。

 昨今、地震が多発していますが、これまで国土交通省は、鉄道事業者と地震に関する安全対策や復旧、点検などについてどのような話合いを行い、どういう意見が出されてきたのか、また、鉄道事業者はどのような対応、対策をとってきたのか伺いたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、震度六以上を観測するような地震が多発しております。国土交通省では、このような地震で鉄道が影響を受けた場合等におきまして、随時関係者による会議を開催し、対応策を検討しているところでございます。

 例えば、昨年六月十八日に発生した大阪北部地震を受けて、国土交通省では、同月二十九日に大阪北部地震における連絡会議を開催し、JR西日本や阪急電鉄などの鉄道事業者から実際の対応状況等について報告を受けました。

 この会議を受け、国土交通省では、今後の対応策について鉄道事業者と意見調整等を行い、昨年十一月にその結果を取りまとめ、全国の鉄道事業者に周知いたしました。これを受け、鉄道事業者におきましては、地震計の増設や、停電に備えた非常走行用蓄電池の整備などの対策に取り組んでいるところと承知しているところでございます。

 さらに、本年二月二十一日の北海道での地震においても、一部の路線で安全確認のために一時運転を見合わせました。現在、JR北海道や札幌市交通局におきまして、施設点検時間を更に短縮する方策はないのか等について検証が行われているところでございます。

 この北海道の地震につきましては、今月一日、JR各社、大手民鉄、公営地下鉄等の安全担当者を集めた鉄道保安連絡会議の中でも議題として取り上げ、各社と情報を共有するとともに、今後の地震発生時において適切な対応が図られるよう、改めて要請したところでございます。

 以上でございます。

道下委員 今、御答弁で、国土交通省と鉄道事業者との話合いの中で、例えば、地震計を増設して、そして路線をエリア分けし、今、札幌市も取り組んでいる点検の時間の短縮というものが図られている、そういった事例も報告されて、それが全国に通知されたということであります。

 やはり今回の地震においては、地震計を増設することによって復旧、点検の時間短縮、そして早期運行再開につながり、帰宅困難者の発生など、混雑、混乱を減らすことにつながった事例もあるし、今回、ことし二月二十一日の北海道胆振東部地震の余震と見られるものも、これが先に進んでいれば、札幌市内における夜の帰宅困難者の発生というものは減少、解消されていたかというふうに思いますので、例えば鉄道事業者の地震計設置への補助制度等支援も含めて、こういったものが今どういうふうになっているのか伺いたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 地震発生後の早期の運転再開を図る上で、施設の点検や安全確認を円滑かつ速やかに実施することは、帰宅困難者の解消などの観点から重要な課題だと考えております。

 このため、地震計の増設等によりまして、地震の強さをきめ細かく把握し、徒歩による施設の安全点検が必要な範囲を絞り込むとともに、揺れの少ない区間では、安全を十分に確認した上で列車を低速で走行させながら、より多くの乗客を最寄り駅まで移動するといった方法も考えられます。

 国土交通省としては、施設の状況も十分に踏まえながら、早期の運転再開が図られるよう、地震計情報の適切な入手、活用や迅速な点検、復旧のための体制確保等につきまして、鉄道事業者に対し必要な助言や指導を行ってまいります。

 なお、地震計の設置に関する支援といたしましては、経営基盤が脆弱な地域鉄道事業者を対象とした制度、鉄道施設総合安全対策事業費補助、これを活用した支援を行っているところでございます。

 以上でございます。

道下委員 そろそろ時間となりますので、最後の質問とさせていただきます。

 今まで御答弁いただきましたけれども、国土交通省として、国の省令に基づいて策定されている地震対策マニュアルを一度全体を把握し、さらなる安全対策と地震発生時のしっかりとした安全点検、そして早期復旧に向けた体制構築のために、マニュアルの検証、見直しを促してはどうかと考えますが、国交省の見解を伺います。

蒲生政府参考人 地震発生時の列車の駅間停車の解消や早期運転再開につきましては、昨年六月十八日に発生した大阪北部地震の際にも課題となり、国土交通省では、同月二十九日に連絡会議を開催し、こうした課題への対応を取りまとめ、昨年十一月に全国の鉄道事業者に周知いたしました。

 また、本年二月十二日の北海道の地震におきましても、一部の路線で安全確認のために一時運転を見合わせたことから、現在、JR北海道や札幌市営地下鉄におきまして、点検時間を更に短縮する方策等につきましての検証が行われているところでございます。

 このような取組の中で、一部の事業者はマニュアルの見直しを行っている、又は検討しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、さまざまな機会を活用し、安全確保を大前提とした上で、早期の運転再開等が図られますよう、マニュアルの見直しも含めまして、鉄道事業者に対し必要な指導や助言を行ってまいりたいと考えます。

 以上でございます。

道下委員 ありがとうございました。

谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。津村啓介君。

津村委員 本日は、国土交通省における副大臣と政務官の役割と職務権限について伺っていきたいというふうに思います。もし時間があれば、その後、北極政策。今、日本の北極政策は、中国、ロシアに比べて、私は大きくおくれをとっていると思います。そこの挽回策について議論させていただきます。

 まず、国交省の政務三役の職務権限でございますけれども、国土交通省のホームページにされている組織図を書き改めていただきたいというふうに思います。

 委員の皆様にぜひごらんいただきたいんですけれども、配付させていただきました資料の一ページ目と二ページ目を見比べていただければというふうに思います。一枚目が国土交通省の組織図、二枚目が金融庁、三枚目は法務省、四枚目は環境省でございます。

 ごらんいただけるとわかるんですけれども、大臣、副大臣、政務官の指揮命令系統の表現が各役所で違っております。

 金融庁と法務省は、副大臣をライン職と位置づけまして事務方の上に位置づけつつ、政務官についてはスタッフ職としてそのラインから外した大臣のサポート役というふうに位置づけています。環境省については、副大臣と政務官を同じボックスで囲って、少し意味がわからない形になっています。

 ところが、国交省は、何と副大臣も含めて何も指揮命令系統がわからない形になっていまして、もっと言えば、大臣が各局長、事務次官の上にいるのかどうかもわからないという絵姿になっています。

 五ページ目をごらんいただきますと、この根拠法となっています国家行政組織法の抜粋ですが、副大臣は、大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理することとなっていますし、大臣政務官は、大臣を助け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理となっています。

 これにつきまして、過去の政府の答弁あるいは宇賀先生、行政法の大家ですが、宇賀先生の「行政法概説」等でも副大臣はライン職、政務官はスタッフ職という整理がなされているようですけれども、大臣に確認させていただきたいと思います。国交省において副大臣はライン職ですか、スタッフ職ですか。

石井国務大臣 国家行政組織法におきまして、「副大臣は、その省の長である大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理し、並びにあらかじめその省の長である大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」というふうにされております。大臣政務官については「大臣政務官は、その省の長である大臣を助け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する。」というふうにされておりますが、副大臣それから大臣政務官いずれも決裁権限を有しておりまして、国土交通行政の推進に当たって、それぞれの知見を生かしつつ、適切にリーダーシップを発揮しているものと認識をしております。

津村委員 政務官に決裁権限があると今おっしゃいましたが、事実でしょうか。何の決裁権限があるんですか。

石井国務大臣 大臣政務官は、今申し上げたように、国家行政組織法で、大臣を助け、特定の政策及び企画に参画すると規定をされていますが、この規定ぶりは大臣政務官を決裁ルートから排除するものではないと考えております。

津村委員 そうしましたら、政務官が決裁文書に署名捺印しなければその決裁はおりないということでよろしいですね。

石井国務大臣 そういうことになります。

津村委員 今のは大変重要な御答弁でありまして、今後、繰り返し確認させていただきたいというふうに思っております。

 大臣補佐官はいかがでしょうか。

石井国務大臣 国土交通省では大臣補佐官は置いておりません。

津村委員 置いておられないのはそのとおりかと思います。

 この組織図には、他の役所では補佐官の表記がなくて、それはそれでどうかと思うんですが、国土交通省の組織図には国土交通大臣補佐官というのが書かれています。ただ、石井大臣になられてから一度も任命はされていません。

 私の問題意識は、国土交通省というのは大変巨大な官庁でありまして、この組織図を見てわかるとおり、大変多くの専門的な部署を束ねていらっしゃるわけで、その際、その上に立たれている政務三役の役割分担がどういう形でなされているのかというのが、ともすれば局あって省なしと呼ばれがちの巨大官庁の弊害をなくすために非常に重要だということで申し上げているんです。

 そういう意味では、大臣補佐官という制度の活用も非常に建設的な意味を持つと思うんですが、いかがですか。

石井国務大臣 国土交通省におきましては、私のほか、副大臣二名、政務官三名が適切なリーダーシップを発揮しながら施策の推進を図っているところでございまして、現在のところ、大臣補佐官を任命する考えはございません。

津村委員 副大臣について伺います。

 先ほど、副大臣は決裁権限を持つ、さらには政務官も決裁権限を持つということをおっしゃいました。

 ということであれば、海外出張などの、これはどうしようもないというケースを除けば、政務官レク、副大臣レク、大臣レクという順番で物事が進んでいくということが原則になっている、そのことでよろしいですか。

石井国務大臣 最近は電子決裁になっているので、決裁の書面が直接私のところに上がってくるケースは少ないんですけれども、かつて書面でやっていたことを思い出してみますと、今おっしゃったように、政務官、副大臣で決裁書、決裁が上がってきて私のところに上がってくるというものがほとんどだったと思いますけれども、場合によっては不在等で私の方に先に上がってくるケースもあったかと思います。

津村委員 大変重要なことを伺っているつもりでありまして、今後いろいろな法案の審議の過程で、その法案の政務官レク、副大臣レク、大臣レクがどういう順番で行われたかということも確認させていただきたいというふうに思うんです。そうでなければ、副大臣、政務官が、これは普通の組織、どんな組織でもそうだと思いますが、直属の上司を飛ばしてその上に先に説明をされて、そこでオーケーが出たら、その中で抜かれた管理職の方はもう何も言えないですし、決裁権者として意味をなさないわけですよね。

 もう一つ、そのラインを担保するものが人事だと思います。指揮命令系統の上位に位置するのであれば、大臣が内閣人事局に対して局長級の人事を、一定の御意見をおっしゃる場面があると思うんですけれども、そういう際に、副大臣や政務官の御意見というのも聞かれているんでしょうか。

石井国務大臣 人事は非常に重要な事項でございます。ケース・バイ・ケースかと思います。

津村委員 では、逆に申し上げますと、副大臣や政務官がお仕事柄、局長、次官、いろいろな方と接する中で、こういう不都合がある、この局の人事は少し考えた方がいいんじゃないか、そういうことを大臣にお話しすることもできるわけですね。

石井国務大臣 過去、そういう事例はほとんどなかったかと思いますけれども、そういうことは可能かとは思います。

津村委員 ありがとうございます。

 非常に重要な御答弁でありまして、私は、副大臣や政務官の皆さんの今の仕事のされ方を何か批判することを申し上げているわけではなくて、ぜひ、そういう重要なお立場にあるので、頑張っていただきたいということを申し上げているわけでございます。

 それでは、伺いますが、奄美、小笠原特措法、本日この後趣旨説明があると思うんですけれども、御担当の副大臣と政務官はどなたですか。

 何ですぐ答えられないんですか。

石井国務大臣 塚田副大臣と田中政務官だったかと思います。

津村委員 それでは、田中政務官に伺いますが、この法案の作成過程において、田中政務官の果たされた役割について伺いたいと思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 法案作成過程におきまして、例えば、法案ができましたときに、私も奄美の方に足を運ばせていただきました。その中で、地域の皆さんのそれぞれの声も聞かせていただき、法案の中身と整合性があるか等々も確認させていただきながら、この法案が確かに奄美の地域若しくは小笠原諸島の地域の皆さんに必要なものであるということを確認させていただきました。

津村委員 詳しい質問は、次回、法案そのもののときにしたいと思いますけれども、今回、改正法で、中身が変わらない、法律の中身を変えていないことについては、それでいいとお考えですか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 中身が変わっていない部分も、継続の部分もあるのかもわかりませんけれども、新たに含めるところもあったというふうに思っています。

津村委員 新たに定めるものがないと思うんですけれども。今の、おかしくないですか。

田中大臣政務官 失礼いたします。

 単純延長なのかというところでありますけれども、奄美法、小笠原法が平成三十年度末に期限を迎えることを踏まえ、奄美群島振興開発審議会及び小笠原諸島振興開発審議会において、地元の意見を聞きつつ、議論を重ねてきたところであります。

 両審議会による意見具申や地元の要望においては、現行法を五年間延長し、引き続き、港湾等の事業に対する国庫補助率のかさ上げ、また、奄美群島では交付金の交付や独立行政法人の奄美群島振興開発基金による債務保証、融資の実施、小笠原諸島では補助金の交付や帰島の促進等の特別の措置を講じ、振興開発の取組を進めていくことが求められました。

 これを踏まえまして、両法の期限を延長させていただくことにより、法律によるこれらの特別の措置を引き続き講ずるとともに、平成三十一年度予算では、奄美法に基づく交付金において輸送費、運賃の支援の充実や成長戦略の推進に係る制度の拡充等を、また、平成三十一年度税制改正では、帰島促進等の特例の措置の延長を盛り込むこととしたところであります。

津村委員 あえてとめませんでしたけれども、先ほど政務官は、新たに加えた法律事項もあるとおっしゃったんですよ。でも、今お読みになったとおり、ないんですよ。訂正してください。

田中大臣政務官 運用のところであったのと勘違いいたしまして、おわび申し上げます。

津村委員 運用面ではさまざまな改善がされているということですし、それは次回の法案審議のときにまたぜひ議論させていただきたいと思いますが、ぜひ頑張ってください。

 政務官のレク、それから副大臣のレク、そして大臣のレクが、先ほど申し上げたようにその順序で行われているかということも奄美、小笠原特措法の審議の際には確認させていただきますので、今ここで質問通告させていただきます。

 続きまして、国会同意人事案件の任命についてでございます。

 今お配りした紙の、配付資料六ページ、七ページをごらんいただきますと、第二次安倍政権になってから、どういう年齢の方が審議会の委員に選ばれているかというもののグラフでございます。

 これは、常勤と非常勤、全く違う勤務実態ですので、常勤の方をテーマにしたいというふうに思いますけれども、運輸審議会は皆さん六十代、運輸安全委員会も多くは六十代の方、土地鑑定委員会については五十代の方のようですが、いずれにしても、非常に年齢構成が偏っているというふうな印象を持ちます。

 一枚おめくりいただきますと、七ページですが、具体的なケースをずっと、お名前は伏せた状態で挙げさせていただいていますけれども、六十代の半ば、六十三歳、六十四歳の方がほとんどでありまして、国立大学の定年を迎えた方の天下り先になっているのではないかという指摘をされる方もいらっしゃいます。

 大臣、合議体での政策立案、政策判断におきまして、多様な世代の意見を反映させることが重要ではないか、私はそう考えるんですけれども、大臣はいかがですか。

石井国務大臣 運輸安全委員会の委員につきましては、運輸安全委員会設置法第八条第一項に基づきまして、委員会の所掌事務の遂行につき科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから、両議院の同意を得て、国土交通大臣が任命することとされております。

 また、運輸審議会の委員については、国土交通省設置法第十八条第一項に基づきまして、年齢三十五年以上の者で広い経験と高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、国土交通大臣が任命することとされております。

 運輸安全委員会、また運輸審議会の委員は、こうした法律等に基づく要件を踏まえまして、適切な人選を行い、両議院の同意をいただいたところであります。

津村委員 三十五歳以上であれば選べるわけですけれども、六十五歳以上に偏っている。それは、高い識見を有するか否かで判断するとそうなったということになりますが、それだと、まるで四十代、五十代がそうじゃないようにも聞こえてしまいます。

 そもそも、欧米では、政府の政治任用職が、三十代、四十代の方も、場合によっては二十代の方も大勢いらっしゃって、その方々が、政権交代だったり、あるいは内閣がかわるときに、また民間のビジネスだとか学術の世界に戻っていって、その行政経験をもとに知見を更に深めていく。そういういわばリボルビングドアのようなものがあるわけですけれども、日本にないのかというと、この制度をうまく活用すれば、そういう人材の育成というか、あるいは民間の見識、幅広い世代の見識というものを行政に吸収することができると思うんです。

 これは提案として申し上げたいんですが、大臣、これからも毎年五、六人の常勤委員の人事がございます。ことしも運輸安全委員会、十二月にあると思うんですけれども、できるだけ幅広い世代の声を聞いていこうということはぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。

石井国務大臣 私といたしましては、法律に基づく要件を踏まえ、適切に人選を行っていきたいと考えております。

津村委員 私も法律を踏まえていただきたいと思っていまして、先ほど大臣が読み上げられた法律になっていますので、性別であるとか世代とかを制約するものはないと私は思っているんです。であるからこそ、提案をさせていただきました。

 副大臣、政務官の皆さんにも申し上げたいんですが、先ほど確認させていただきましたように、この人事案件も、皆さん決裁権者でございます。ですから、皆さんも幅広い人脈をお持ちだと思いますので、五十代、四十代、三十代の方も含めて、すばらしい方をぜひ民間から発掘する作業、大臣お一人にではなくて、皆さんもぜひ協力してされてはいかがかという、これは提案でございます。

 国土地理院について伺わせていただきます。

 この後、北極政策について議論をしたいんですが、ちょっと時間が限られておりますけれども、その前提として、私は、今、物流という観点からも、あるいは外国人政策という観点からも、あるいは宇宙政策という観点からも、国土地理院の役割が非常に大きくなっていると思うんですが、残念ながら、大臣の大臣所信、毎回十五分程度の所要でお読みになっていますけれども、大臣就任以降、国土地理院について触れられたことはないんですね。

 ぜひ、現場の皆さんを激励する意味でも、あるいは私たちに大臣の知見を披露していただく意味でも、国土地理院の役割の重要性について大臣の見識を示していただきたいと思います。

石井国務大臣 一昨日、本委員会において、国土交通行政の諸課題につきまして、私の所信を述べさせていただきました。

 その中で、国土地理院の取組につきまして直接の言及はしておりませんけれども、国土地理院の取組は、国土交通省の幅広い政策分野に横断的に含まれ、重要な役割を担っていると認識をしております。

 具体的には、所信で申し上げた取組のうち、防災・減災対策の取組の一環として、災害履歴などの防災地理情報を地図情報に記載するソフト対策ですとか、あるいは防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策として実施する電子基準点網に関する緊急対策、生産性の向上等の取組の一環といたしましては、電子基準点と準天頂衛星システムを活用して、幅広い産業での生産性向上に資する高精度な位置特定の取組などが挙げられます。

 引き続き、国土地理院における取組も含めまして、国土交通行政の諸課題にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

津村委員 時間が限られておりますので、北極海について、次回以降の一般質疑でぜひ改めて詳細に取り上げさせていただきますけれども、一点、きょうは内閣府からも来ていただいていますので、特定海域の問題について一つ議論させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

 今、これは委員の皆さんにもぜひ知っておいていただきたいんですが、御存じかと思いますけれども、国連の海洋法条約では、沿岸から十二海里の範囲は領海権があるということになっているわけですが、日本は、津軽海峡や宗谷海峡等五つの海峡について、みずからその権利を放棄して、沖合三海里までを領海として、その真ん中の部分を公海ということで位置づけているわけでございます。

 これはさまざまな国際的な配慮もあってのことでありまして、従来から政府答弁があるわけですけれども、私は、このたびの北極海航路の利便性向上に伴いまして、地政学的な環境が大きく変わっているのではないか、つまりは事情変更が生じているのではないかというふうに考えます。

 我が国の国益を守っていくためにも、政策を変更すべきだと考えますが、副大臣ですかね、御答弁をお願いします。

左藤副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今先生からありました、我が国の御指摘の五海域を特定海域に指定し、その領海幅を三海里としているのは、海洋国家、先進貿易国として、国際交通の要衝たる海峡における商船、大型タンカー等の自由な航行を確保することが総合的な国益の観点から必要であるということを踏まえたものでございます。

 御指摘の海洋法とは、領海及び接続水域に関する法律を指すと理解しておりますが、同法を改正し、特定海域の五海域に国連海洋法条約上の通過通航制度を導入した場合、通常の領海とは異なり、その上空の通過の自由を認めなければならない等留意すべき点があり、その導入については慎重に対応する必要があると考えています。

 また、御指摘の北極海航路をめぐる状況も踏まえ、我が国の特定海域における領海の幅を三海里のまま持続することが適切であるとの政府の判断に、現在変わりはないと考えております。

 特定海域については、さきに申し上げた基本的諸要素、我が国を取り巻く情勢の変化等の要素に鑑み、慎重に対処していきたいと思っております。

津村委員 もう時間がありませんので次回に譲りますが、ぜひ政府の皆さん、そして与党議員の皆さんも認識を確認していただきたいと思うんですけれども、中国やロシアは既に北極海航路に目をつけて、新しい観測船をつくったり、あるいは役所を改組してそういう専門の局をつくったり、そういう努力を始めています。

 日本は、アジアの一番北東にあるわけですから、一番、マラッカ海峡、スエズ運河からは遠くて、逆に北極海には近い、そういう地政学的な優位性を持っておりますし、先ほど申し上げましたように、宗谷海峡ですとか津軽海峡をどういうふうに使っていくかということについて、日本には政策の幅というか、領海権を主張できる、そういう立場にあるわけですね。

 この問題は、これからの北方領土問題、日ロ交渉にも大きなパーツとなってくる部分でありまして、ここについて、国土地理院が国土しか見ていないということも含めて、非常に日本は政策の知見を縛られている、自分でみずから手足を縛っている状況にあるんです。これはもう、中国、ロシアは日々知見を深めていますし、投資を行っているわけで、日本は砕氷船、観測船も南極向けの「しらせ」しかない。こういうところをぜひ一日も早く見直していくべきだということが申し上げたくて、この問題を取り上げさせていただきました。

 また次回の質問に譲らせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

谷委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 国民民主党、小宮山泰子でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということで質問させていただきます。

 先ほどから、またきょうも朝から質疑を聞いていますと、やはり国土交通省の所管というのは大変広いんだなというのを改めて実感をいたします。本省の関係もいろいろございますし、また国土地理院や、また海上保安庁まで、海から、山から、本当に空まで、事故対応から、現在起こっている気象の問題から、さまざまな課題はございますけれども、本日は、UR賃貸住宅関係のこと、また防災・減災、それに伴う交通網や、また引っ越し難民、この関係について質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初は、UR賃貸住宅の居住安定化に関して質問させていただきたいと思います。

 先進諸外国との比較では、日本における公共住宅政策というのは脆弱だというふうに感じております。私は、かねてより、家賃補助制度などを整えることにより、衣食住のうち、住むことについて安心感を担保できるような政策の実現が必要ではないかと提案をさせていただいております。

 現状、日本における家賃補助制度に相当するものとしては、生活保護受給者への住宅扶助以外では、高優賃、高齢者向け優良賃貸住宅向けの家賃減額措置があるのみと認識をしております。

 旧公団住宅を母体とするUR都市機構の賃貸住宅においては、一部に高優賃住宅が提供されてきましたけれども、二〇一一年に制度が廃止となって以降、新規の供給はなくて、今後、年々減少していくというふうに見込まれております。

 今般、高優賃に対する家賃減額補助を、二十年間の期限終了後も、退去されるまで延長する措置が予定され、高優賃居住者から歓迎の声も上がっているところでありますが、家賃の減免が必要となる家計状況にある世帯はなおふえているのが現状であります。

 高齢世帯のみならず、子育て世帯、母子、父子家庭、障害をお持ちの方のいらっしゃる世帯、低所得世帯など、さまざまな状況のもと、家賃負担のため、生活費が圧迫される方が多くいらっしゃいます。家賃支払いが困難になった世帯にとっては、居住の不安は一層深刻となり、結果、退去を余儀なくされるなどとつながっております。UR都市機構法二十五条四項において、家賃の減免が可能なように定められているものの、則した措置はとられておりません。

 石井国交大臣におきましては、平成二十八年十一月二十一日の決算行政監視委員会分科会にて、機構法二十五条四項の趣旨にのっとりまして適切な家賃減免措置を講じてまいりたいと明確に御答弁をいただいております。

 改めてお伺いいたします。UR都市機構法二十五条四項に基づく家賃の減免措置が必要な世帯があると考えますが、実施に向けて、現実にはどのようなことをされているのか、国土交通大臣の御所見をお聞かせください。

石井国務大臣 UR賃貸住宅は、高齢者や子育て世帯など、民間市場で入居を拒まれるなどの制約を受けがちな弱い立場の方の受皿として、住宅セーフティーネットの役割を果たすことが求められております。

 このため、UR賃貸住宅におきましては、都市再生機構法第二十五条第四項に基づき、高齢者向け優良賃貸住宅や子育て世帯向け地域優良賃貸住宅に居住する世帯のうち、収入が一定額以下の世帯等を対象に家賃減額措置を講じており、国としても、家賃減額を行うURに対し、支援を行っているところであります。

 さらに、今般、高齢者向け優良賃貸住宅の家賃減額に関しまして、ただいま委員から御紹介いただいたように、二十年間の減額期間が終了する際に居住中の方については、退去するまでの間、減額措置を継続できるよう制度を拡充をいたしまして、減額に係る補助の所要額を平成三十一年度当初予算案に計上したところであります。

 今後とも、法第二十五条第四項の趣旨にのっとり、適切な家賃減額を講じてまいりたいと考えております。

小宮山委員 昨年十二月十九日に、UR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョンの発表をUR都市機構はしております。

 これは、平成十九年以降の再生・再編方針にかわるものであります。削減の文字が消えたけれども、建てかえ、集約、用途転換など、再生事業の対象戸数は十三万五千戸から四十五万戸に拡大をしており、今後十五年間、二〇三三年までに管理戸数を六十五万戸程度にするとされています。ここ十年間に約八万戸が除去されましたけれども、今後、既存住宅のさらなる削減が想定される計画であります。

 同ビジョンでは、再生事業の進め方として、お住まいの方の御意見等を丁寧に伺いながら、そして、移転先住宅のあっせん等を行い、居住の安定を確保しますとありますけれども、既存の居住者が多く希望していることは、今住んでいる住宅、また住みなれた団地、やはり、高齢化をしておりますので、住みなれた土地から離れるというのは大変不安があります。住みなれた団地での居住の安定の確保であり、そのためには適切な家賃のあり方が大変重要となります。

 再生事業の対象となるなど転居が求められる際に、転居先としては、現状、同じ階、同じ広さが原則とされているようです。五階、三DKにお住まいの方は、別の建物の五階、三DKの住戸へと勧められるそうです。

 高齢者世帯、少人数の世帯などとなると、ライフステージの変化もあって、転居するなら一階を希望したいとか、二DKなど少し狭くしてもいいから安い家賃のところを希望したいといったニーズも多いんですけれども、ここがうまくマッチング、対応ができていないとも聞いております。

 UR都市機構の賃貸住宅の再生事業に当たって、転居などが必要な場合にも、居住者や自治会との十分な話合い、合意形成に努め、ライフステージにも配慮した柔軟な対応が行われるように求めたいと思いますが、国交省の見解を、所見をお聞かせください。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 URの賃貸住宅につきましては、今後も多様な世代が安心して住み続けられますように、ストックの老朽化やライフスタイルの変化などに対応しました建てかえ、改修など、ストックの再生を進めることが重要であると考えております。

 URにおきましては、これまでも、ストックの再生に当たりまして、団地自治会などとの事前勉強会を複数行いますとともに、移転先の希望調査、移転先住宅のあっせんなどを行い、丁寧な合意形成に努めていると伺っております。

 また、転居が必要となる場合には、居住者の御希望をお伺いし、例えば低層階に転居したいなどの希望がある場合、低層階に空き住戸があれば当該空き住戸に転居いただくなど、可能な限り御希望に対応していると承知しております。

 URが昨年十二月に公表いたしましたUR賃貸住宅ストック活用・再生ビジョンにおきましても、ストック再生の進め方として、お住まいの方の御意見などを丁寧に伺いながら、多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい、町の実現を図る計画を策定するということとされているところでございます。

 国土交通省といたしましては、URに対して、賃貸住宅の再生を進めるに当たって、居住者の方に引き続き丁寧に対応するよう指導してまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ丁寧な対応をしていただきたいと思います。

 全てとはいかないんでしょうけれども、理解を得られないような、書面だけであったりとか、高齢化されてなかなか不安な中で、選択肢がないようなものを提示されて、ともかくどうだと言われては選びようもないですし、丁寧な対応というのは現実には難しいかと思いますけれども、その難しいところを克服してやっていただくことを改めて要請させていただきます。

 さて、また、修繕負担区分の見直し案というのもUR都市機構からは提案されておりまして、本年一月から、居住者の皆さんに書面でお知らせ、周知に努められていると聞いております。

 UR賃貸住宅における賃貸借契約書の十二条で定める居住者の修繕義務の内容は、民法及び国土交通省の標準契約書に照らして重いものとなっております。

 公表された見直し案によれば、現行、居住者負担とされている八十一項目が、十一項目へと減少させることとなり、大きな改善が見受けられるものの、なお、国土交通省の標準契約書において家主の義務としている項目で、居住者負担のままのものが残っていると聞いております。

 UR都市機構の賃貸住宅における居住者の修繕負担範囲について、国交省の見解、また、ぜひ住民の要望等も聞いていただきたいと思いますが、この点の見解もあわせてお願いしたいと思います。

石田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 URでは、賃貸住宅の修繕負担区分につきまして、従前は居住者負担でありました八十一項目のうち、その大部分をUR負担と改正いたしまして、居住者負担をふすま紙の張りかえなど十一項目に軽減する見直しを、昨年十二月二十五日に公表した上で、本年一月末から適用していると承知しております。

 国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、修繕負担については原則的には貸し主が負担するという考え方をとっておりますが、これは当該負担に見合います相応の家賃水準の設定が前提ということにしております。

 UR賃貸住宅の家賃につきましては、URの修繕負担内容にかかわらず、近傍同種の住宅家賃と均衡する額と定められていることに加えまして、低所得者等の居住者等への家賃減額を行うなど、民間賃貸住宅事業者と比べるとさまざまな費用を負担させていただいているという状況がございます。

 そうした中におきまして、今般の見直しでは、民間賃貸住宅の市場について調査を行いまして、民間賃貸住宅市場の中では居住者負担が最も小さい負担区分となるように、その負担を見直したと承知しております。

 URでは、今般の見直しを受けまして、長期継続の居住者につきまして、五十年以上お住まいの方から順次、個別に御案内を行った上で、必要な畳やふすまそのものの交換なども進めていくと聞いております。

 国土交通省といたしましては、まずはURにおいてこうした取組が計画的に進められるということが重要と考えております。引き続き、そういった形につきまして、推進について注視してまいりたいと思っております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、しっかりと住民の方と協議をし、そして丁寧に対応していただければと思います。

 さて、防災・減災への取組について質問させていただきます。

 大臣の所信の冒頭は、大規模災害から復興と、防災・減災対策を最初に挙げられました。また、これについては、防災・減災への取組の重要性というのは、私も大臣と思いを同じくするものでもございます。

 埼玉県は、平たんな土地のもと、河川の総延長が日本一長い、また、首都直下型地震の懸念される中でも、首都圏の他都県と比べて被害の可能性は比較的低く、また、津波、高潮の懸念もない中で、台風や大雨などによる河川の氾濫への懸念はむしろ多く、広範囲にわたる可能性が予見されております。

 埼玉を東西に二分する荒川は、名前のとおり氾濫を恐れられてきた河川でもあり、国土交通省においても堤防のかさ上げなどの取組に継続的かつ計画的に取り組んでいただいておりますが、埼玉県は、東京との間で、放射線状の交通網整備に比べて、東西をつなぐ道路網、鉄道網が脆弱という交通網整備上の特徴があります。特徴といいますけれども、これは、かえれば弱点とも言えるかもしれません。

 そうした中で、JR川越線は、JR武蔵野線とともに、東西を結ぶ数少ない重要な交通網のかなめでもあります。荒川の堤防のかさ上げが進む中で、JR川越線の線路自体が堤防より低いという問題がネックとして残っている問題について、かねてより指摘をさせていただきました。

 こうした中で、今年度新規着手されている荒川第二、第三調整池事業では、JR川越線の橋梁のかけかえも行うことが予定されております。現在、設計、施工に必要な現地の測量や地盤調査等が実施されていると伺っております。また、JR東日本との協議も行われておりますけれども、このJR川越線の橋梁のかけかえまでを含めて、荒川第二、第三調整池事業の現状の進捗状況と完了までのスケジュールなどについて御説明ください。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 荒川におきましては、広い高水敷を活用いたしまして、洪水を貯留し下流の安全度を高めるため、荒川第二、第三調整池の整備に今年度より新たに着手をいたしまして、二〇三〇年度までに完成させることといたしております。

 JR川越線の橋梁部につきましては、御指摘のように橋梁の高さが低いということで、荒川の堤防が約二メーター低い状態にありますので、洪水を安全に流す上で阻害となっております。

 この事業におきまして、堤防のかさ上げとあわせてJR川越線橋梁のかけかえも行うこととしておりまして、現在は、設計、施工に必要な現地の測量、地盤調査等を実施しているところでございます。

 また、この整備に当たりまして、新しい橋の構造や施工方法等につきまして、現在、施設管理者であるJR東日本との協議を行っているところであり、引き続き、着実に事業を推進してまいります。

小宮山委員 以前は、実は、JRの部分はそのまま、堤防ができても下のままという、今の高さで引っ込んだ状態と言っていたのが、かさ上げになったという意味においては前進だと思っておりますし、そうでなければ本来の堤防の強度というのは保たれないので、当然とも言えるかと思っております。

 さて、一九八〇年五月には、この川越線の沿線市町による国鉄川越線複線電化促進協議会というのが発足しております。電化に関しましてはもう既に実現をしておりますけれども、複線の部分は残っております。

 これまでもさまざま、首都圏を見ておりますけれども、今、多くは複々線化と言っている時代において、川越線は、大宮―日進駅の間を除いてほぼ全線が依然として単線であり、都市近郊の通勤路線としては運行本数も少ないままとなっております。しかし、利用客の方は微増でありますが、大変使いづらいところがあるのは事実であります。

 堤防のかさ上げに伴って、橋梁のかけかえは、既存の機能と同等のもの、すなわち単線での鉄路確保が行われるよう検討されているものと説明は受けておりますけれども、交通網整備、防災・減災への対応、さらには観光振興や地域経済振興をも勘案すれば、このJR川越線地域ではずっと望んでおります、将来の複線化も視野に入れておくべきではないかと考えます。将来を見据えての、国土交通行政を牽引しております大臣に御見解を聞きたいと思います。

石井国務大臣 JR川越線につきましては、通勤通学の足として重要な役割を果たしており、一日当たりの輸送密度は、昭和六十二年度の約三万人から平成二十九年度には約五万六千人と大幅に増加をしております。

 また、平成二十年度には西大宮駅が開業し、現在、駅周辺で区画整理事業が進められるとともに、平成二十一年度には日進駅、平成二十五年度には指扇駅の橋上化が完成するなど、駅やその周辺整備が進められていると承知をしております。

 JR川越線の複線化につきましては、混雑の状況、沿線開発に伴う今後の輸送需要の動向、収支採算性等を総合的に勘案した上で、基本的には鉄道事業者の経営判断により行われるものであります。

 また、複線化事業では、沿線自治体が費用の一部を負担する事例が多く、駅周辺開発等と一体的に行われることもありますので、地元自治体と鉄道事業者との間で十分に検討が行われ、合意形成を図っていくことが重要と考えております。

小宮山委員 平成二十八年の交通政策審議会によります東京圏における今後の都市鉄道のあり方という資料を拝見させていただきますと、さまざまありますけれども、実を言うと、埼玉南部、多摩地区というのは、一日の利用客というものは、これは表からですから、平成四十二年でもさほど減ることがないとあります。しかし、これ自体は、一日の平均利用が、横浜からが、東京に向けて五十九万にもかかわらず、埼玉南部八十四万人、多摩地区八十六万人となっています。

 実を言うと、この間ぐらいが西部地区になるんですけれども、この部分の記述がない。こういった前提となるデータというものが加味されないということも大変残念でありますが、東京圏の交通のあり方、ぜひこの点に関しましても御精査いただくことを要望させていただきます。

 それでは、防災・減災の取組を進める上で、土地の筆界が確定されていることも重要となります。その点に関しまして、道路整備、無電柱化などを進めていく上でもこの部分は大変必要でありますが、土地筆界確定の地図作成、整備に対しては、法務省所管の十四条地図整備事業と国交省所管の地籍調査が役割を担っております。

 地籍調査については、平成二十二年法改正により、土地家屋調査士も参入が可能となっておりますけれども、現状、国土調査業務に従事している土地家屋調査士は多くないと伺っております。

 国土調査における筆界未定率は、二十九年度のデータでは二%程度とされておりますが、筆界調査の専門家である土地家屋調査士の技能や経験、ノウハウが国土調査に生かされていれば、国民の財産である不動産の筆界確定がなお一層推進するのではないかと期待されているところであります。

 この点につきまして、土地筆界確定推進に資する国土調査での土地家屋調査士の活用推進についての御所見をお聞かせください。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 地籍調査では、一筆ごとの土地について、所有者等の立会いを求め、現地での筆界等の調査を行うこととしておりますが、まず、この調査について、地籍調査の実施主体である市区町村から民間への業務委託が可能となっております。

 さらに、調査体制の確保が困難な市区町村に対応するため、委員御指摘のとおり、平成二十二年からは計画準備や工程管理も含めた地籍調査の包括的な民間委託も可能となっております。当該包括的民間委託を導入した市区町村は、平成二十九年度で百十三市区町村、実施市町村の約一四%まで増加しております。

 これらの民間委託制度において、土地の筆界等について専門的な知識を有する土地家屋調査士の果たす役割は非常に大きいと考えております。

 地籍調査の円滑な推進のため、引き続き、土地家屋調査士の活用も含め、民間委託制度の活用促進を図ってまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 次に、学校、特に公立高校、中学校などの災害時の避難所とされる可能性が高いところのバリアフリーの義務化について、これまでも何度か国土交通委員会あるいは災害対策特別委員会などの審議で取り上げてまいりました。

 私は、義務化に向けて踏み込んでいくべきだと災害時には感じておりますが、この点に関しまして、改めて大臣の所見を伺いたいと思います。

石井国務大臣 バリアフリー法におきましては、不特定多数の方が利用される建築物及び主として高齢者、障害者の方が利用される建築物につきまして、建築物移動等円滑化基準への適合を一律に義務づけております。

 学校につきましては、主として障害者の方が利用するものとして、聴覚障害や視覚障害等のある生徒が通う特別支援学校を一律に義務づけの対象にしております。

 一方、その他の学校につきましては、障害を持った生徒の特性や施設整備の状況に応じて、生徒が支障なく利用できるよう、教室の配置場所に配慮することや、必要に応じて介助を行うなど、施設管理者による実情に応じた対応が期待されるため、ハード面について、全国一律の義務づけの対象とはせずに、避難所への指定状況等の地域の実情に応じて、条例により対応することが適当と考えております。

 国土交通省におきましては、引き続き、各自治体におきましてバリアフリー法に基づく条例により学校を義務づけている状況に関する情報提供を行うなど、地域の実情に応じた条例策定を地方公共団体に働きかけてまいりたいと存じます。

小宮山委員 条例によってできると。これは、実を言うと、福祉避難所はいつになったら入れるのかという、障害をお持ちの方の親御さんからの、地元で質問でありました。

 条例で制定することによって、避難所がやはりバリアフリー化ができていくというのは早められるんだと思っておりますので、ぜひこの告知もお願いしたいと思います。

 申しわけございません、最後になりますけれども、季節の問題でございます。

 改定標準引越運送約款では、従来、二日前までキャンセルは無料だったけれども、解約手数料を最大二〇%まで収受可能としたほか、前日並びに当日のキャンセルについての解約手数料も、前日は三〇%まで、当日は五〇%まで求められることとなっております。

 全日本トラック協会から引っ越しの時期の分散を呼びかけるリーフレットの作成など、民間も頑張って啓蒙活動に取り組まれておりますけれども、繁忙期の引っ越し難民問題、引っ越し業者の労働環境改善を始め、多方面にもわたっていく課題でもございます。

 大臣におきましては、国交省の中の異動の時期等配慮されていると聞いておりますが、どのような改善策をされていくのか、最後、お伺いしたいと思います。

石井国務大臣 引っ越しにつきましては、三月から四月に依頼が集中しておりますが、平準化を図ることが重要であります。

 このため、ピーク時期の引っ越しを避けるなどの協力を求めるリーフレットを作成をいたしまして、この三、四月における予約状況の具体的な情報を発表する等により、利用者や企業等への周知に努めておりますが、今後も、経済団体、行政機関、大学等へ幅広く呼びかけを行ってまいりたいと存じます。

小宮山委員 時間となりました。残余の質問はまたいずれさせていただきますのでということをお知らせいたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、私の地元大阪で、国土交通省が地下高速鉄道整備事業の補助金まで出して進めようとしているなにわ筋線整備計画について議論したいと思うんです。

 大臣は、先日の所信表明で、「社会資本整備については、厳しい財政制約のもと、安全、安心の確保を前提に、生産性の向上、経済活性化に資するストック効果の高いものに重点的に取り組みます。」と述べられました。

 まず大臣に確認いたしますが、なにわ筋線の整備は、大臣のおっしゃるストック効果の高い社会資本整備と考えてよろしいですか。

石井国務大臣 社会資本整備の効果のうち、ストック効果とは、整備された社会資本が機能することによって、整備直後から継続的かつ中長期にわたって得られる効果であります。

 具体的には、移動時間の短縮等により経済活動における生産性を向上させる効果、生活環境の改善といった生活の質の向上効果、防災力の向上などの安全、安心効果が挙げられます。

 なにわ筋線の整備につきましては、大阪の北部地域と南部地域の間の移動時間が短縮し、また、乗りかえ回数が減少する結果として、関西国際空港及び大阪南部と大阪都心の直結、関西国際空港と梅田、新大阪、京都とのアクセスと速達性の向上、大阪の南北都市軸の強化等の効果につながることが期待をされております。

 こうした効果は、なにわ筋線が整備されることによって継続的かつ長期的に得られる効果であり、ストック効果の高い事業であると考えております。

 また、なにわ筋線は、既存のJR線、南海電鉄線と接続して一体的な鉄道ネットワークを構築するとともに、JR西日本及び南海電鉄の両社が運行することによる投資面の効率化や施設運用面の工夫が図られることにより、ストック効果をより高める事業であると認識をしております。

宮本(岳)委員 では、そういう事業なのかを検証してみたいと思います。

 資料一を見ていただきたい。このなにわ筋線は、大阪都心部を南北に縦貫する、JRと南海電鉄共用の鉄道整備計画でありますが、JRは新設する北梅田駅と難波駅を結び、南海電鉄は新今宮駅から新設する新難波駅を経由して北梅田駅を結ぶというものであります。総事業費は何と三千三百億円。そのうち国が七百七十億円もの補助を行うことになっており、来年度予算案に初めてその一部が計上されております。

 まず聞きたいのは、これは一体何のための事業なのかということであります。

 なにわ筋線の建設予定地の周辺には、既に地下鉄、大阪メトロの御堂筋線、四つ橋線、堺筋線、谷町線など、大阪市中心部を縦断する路線が四つもあります。

 大阪市は、事業目的や整備効果の一つとして、関西国際空港と新大阪駅、あるいは関西国際空港と梅田とのアクセスの改善を挙げておりますけれども、アクセスの改善とは、乗車時間が短くなる、また南海電鉄については乗りかえがなくなるということであります。

 なにわ筋線整備後の利用人数はどのように見積もっているか、それから、短縮されるとする平均的な時間について、JR東海道線支線地下化による効果を含まない場合のJRと南海電鉄、それぞれについてお答えいただけますか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 なにわ筋線の利用人員見込みは、一日当たり約二十四万人と承知しております。

 また、御質問にありました平均的な短縮時間につきましては、なにわ筋線が開業することによって、例えばJRを利用した場合、大阪―関西空港間で約五分、南海電鉄を利用した場合、大阪―関西空港間で約九分短縮すると承知しているところでございます。

 以上であります。

宮本(岳)委員 わずか五分間、九分間の時間短縮のために、なぜ三千三百億円もの巨費を投ずる必要があるのか。JRなら一分間短縮に六百六十億円、南海でも一分三百六十六億円という計算になります。全く理解ができません。

 今、利用人数は一日二十四万人と答弁されましたが、これらの利用者のうち、関空から北梅田駅、関空から新大阪駅までを利用する人たちは一体何人おられるんですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 なにわ筋線の利用者見込みは、関西空港と北梅田駅との間につきましては一日当たり約九百人の内数となります。また、関西空港と新大阪駅との間の利用者見込みは一日当たり約一・六万人の内数となります。

 以上であります。

宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたい。これは約二十四万人とされる利用者の内訳であります。二、なにわ筋線以南からなにわ筋線内利用者七・八万人、この中には北梅田で下車する利用者もいるということであります。そのうち関空の利用者は、今答弁があったように、下線を引いたところ、JRが三百人、南海が六百人、合わせて九百人。同様に、四が新大阪で下車する利用者も含まれる人数で、JRは六千人、南海は一万人でありますから、これは一・六万人ということになります。

 わずか五分ほどの時間短縮や乗りかえ不要という恩恵でさえ、それを受けるのは九百人あるいは一・六万人未満。足し合わせても一万七千人。恩恵が及ぶのは約二十四万人とかいう利用者のわずか七%ということになります。ますます何のための事業なのかさっぱりわからないと言わなければなりません。

 次に、新大阪駅へのアクセス改善という事業目的、整備効果について聞きますけれども、資料三を見ていただきたい。

 なにわ筋線整備により大阪南部地域と新大阪駅までの所要時間が十分以上短縮するとされておりますけれども、これはどの路線を利用した場合と比べての時間短縮なんですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 なにわ筋線の利用によりまして新大阪へのアクセスが十分以上短縮される路線やエリアに関しましては、南海電鉄を利用して、難波駅で御堂筋に乗りかえをし、新大阪駅へ至るルートの利用者を想定しております。

宮本(岳)委員 南海に乗車して難波で乗りかえた場合を想定しているわけですね。

 この下に当該エリアの駅の乗車人数は一日百四十万人とされておりますけれども、百四十万人全員が新大阪駅まで乗車するのか。そうでなければ、新大阪まで乗車するのは何人でありますか。

蒲生政府参考人 先ほど申し上げましたルートに関しまして、この路線、エリア内にあります駅の乗車人員を合計いたしますと約百四十万人ということになりまして、一日当たり百四十万人のポテンシャルがあるというふうに考えておるところでございます。

宮本(岳)委員 いや、要するに、この百四十万人というのは、この資料三の赤い網のかかった部分にある、南海電鉄とそれに接続している泉北高速線の全ての駅の乗車人数を足し合わせただけの話であって、百四十万人全員が十分以上の短縮の恩恵を受けるわけではありません。

 その人数はどれぐらいになるか。先ほどの資料二の4というのを見ていただいて、資料二の4のうち、下の段、南海電鉄なにわ筋線利用者というところにある四・二万人であります。百四十万人というのは全然桁が違うんですね。

 次に、整備効果の一つとして挙げられている、キタエリアとミナミエリアの集客力向上と南北都市軸の強化というものについて聞きたいと思います。

 大阪のキタエリアとミナミエリアは、既に今でも多くの客でにぎわっておりますけれども、今以上にどう集客力が向上するのか、それから南北都市軸はどう強化されるのか、定量的に説明ができますか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 なにわ筋線の整備によりまして、大阪北部、南部地域等から、キタエリア、ミナミエリアへの移動において、乗りかえ回数の減少、所要時間の短縮などアクセス性が向上することで、両地区の集客力や拠点性が向上し、町がより一層にぎわいを見せるなど、地域の活性化が図られると伺っておりますが、定量的な効果に関しましては把握していないところでございます。

宮本(岳)委員 定量的な効果については把握していないという答弁でしたね。これは当たり前なんです。

 国土交通省鉄道局が二〇一一年三月にまとめた、関西圏における高速交通ネットワークへの鉄道アクセス改善方策に関する調査。報告書が出ておりますが、4、調査のまとめというところではこう述べております。本調査は、総所要時間の変化、総費用の変化、乗りかえ利便性の変化等の利用者便益など、鉄道整備に伴う直接的かつ定量的な効果のみから費用便益分析を行っているところであるが、現状では定量的に分析することが難しい効果があると書いております。

 例えばとして、開発プロジェクトの促進やキタとミナミの拠点性の向上、両地区の集客力の向上や南北都市軸の強化などを挙げて、これらは現状では定量的に分析することが難しいと、はっきり国土交通省自身が述べているんですね。もちろん、大きな可能性が見込まれるとも言っておりますが、定量的な分析などできるわけがないんです。

 三千三百億円もの総事業費をかけ、七百七十億円もの国費を投入する合理的な理由などあるわけがないと言わなければなりません。

 整備効果の最後に、これがうめきた二期まちづくりにも位置づけられている問題について聞きたいと思います。

 資料四、整備の緊急性の四つ目の丸には、「なにわ筋線の施工時期がずれると、うめきたまちづくりにも支障。」と書かれておりますけれども、うめきた二期まちづくり事業というものは、なにわ筋線とは別個に進められてきたはずであります。なぜ、なにわ筋線の施工時期とこれがかかわりを持つんですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 現在のうめきた二期のまちづくりにおきまして行われている再開発でございますが、一方で、東海道支線の地下化の工事も行われておるところでございます。こちらはいわゆる都市関係の工事ということで行われておりますが、その際、道路の迂回をしているところでございます。

 そういった意味で、この迂回道路との関係で、なにわ筋線の工事に関しましての調整がとれませんと、将来的になにわ筋線の工事におきまして必要となってくるものが、その後の再開発をしたものに関しての支障になり得るという趣旨だと思います。

宮本(岳)委員 全くおかしな話なんですね。

 うめきた二期まちづくり事業は、なにわ筋線よりも前に事業が決定しております。その工事に伴う迂回道路を後から出てきたなにわ筋線のシールド立て坑構築にも利用する計画になっているということなんですね。そういう話なんですよ。

 そうすると、もともとなにわ筋線のシールド立て坑構築に必要な迂回道路の建設費用、設置費用というものは、この三千三百億円には含まれていないということですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 東海道支線地下化事業の地上部の道路の迂回は、うめきた二期区域で都市再生機構が行っている土地区画整理事業において実施しているものでございます。したがいまして、なにわ筋線の事業費には含まれておりません。

宮本(岳)委員 なにわ筋線建設のための迂回道路建設の経費は、なにわ筋線の事業費に計上してしかるべきものです。それを省くのは、総事業費を不当に低く見せかけるためだと言われても仕方がありません。

 また、うめきた二期の遅延を招くおそれがあり、逸失利益の補償が生じる場合には事業費が増嵩する可能性がある、事前のレクでもそういうふうに聞きましたけれども、これもとんでもない言い分でありまして、なにわ筋線でうめきた二期がおくれるというのであれば、なにわ筋線をやらなければよいだけのことであります。

 このような事業に総事業費三千三百億円、国費七百七十億円もの巨費を投じることは断じて許されない、事業者側から現在出されている申請は却下すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 しかし、そもそも、このなにわ筋線の計画というのは沿線住民から要望があったものなんですか。

蒲生政府参考人 なにわ筋線の建設に関しましては、沿線の地元自治体や関西国際空港全体構想促進協議会等によりまして御要望をいただいております。

 いずれにいたしましても、地元自治体において、なにわ筋線の整備の検討を行い、事業化に向けた判断をしているというふうに認識しておるところでございます。

宮本(岳)委員 大阪府や大阪市、それから振興議員連盟とか、あるいは財界、経済界、和歌山市などからは要望が出ているそうでありますけれども、沿線住民からはそういう要望は私は聞いておりません。

 なにわ筋線は、二〇〇四年十月の近畿地方交通審議会答申第八号、「近畿圏における望ましい交通のあり方について」の別紙二、「京阪神圏において、中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」に記載されたものでありますけれども、この答申には、大阪市交八号線延伸、すなわち地下鉄第八号線の今里から湯里六丁目間六・七キロというものも記載されておると思うんですが、間違いないですね。

蒲生政府参考人 委員の御指摘のとおり、間違いございません。記載されております。

宮本(岳)委員 この八号答申が出た二〇〇四年や翌年の二〇〇五年ごろには、なにわ筋線など動く気配もありませんでした。当たり前です。大阪のキタとミナミエリアを結ぶ鉄道は、地下鉄御堂筋線、四つ橋線、堺筋線、谷町線と、既に四本も通っております。JR西日本や南海がこのような無展望な話にはとても乗れないという経営判断をしたのも当然のことでありました。

 しかし一方で、地下鉄八号線、今里―湯里六丁目間の延伸の方は、二〇〇六年度の国土交通省の予算概算要求に盛り込まれた事実があります。このときの概算要求の内容はどういうものでありましたか。

蒲生政府参考人 大阪市交八号線、今里筋線の今里―湯里六丁目間の延伸事業につきましては、鉄道ネットワークの拡大により交通利便性の向上及び沿線地域の活性化を図る事業として、平成十七年八月の平成十八年度概算要求において新規要求を行ったところでございます。

 当時、当該延伸事業に係る総事業費は千三百十四億円、建設キロは約六・七キロメートル、事業期間は平成十八年度から平成二十七年度の十年間となっていたところでございます。

宮本(岳)委員 地下鉄八号線は、答申第八号の翌年には国交省の予算概算要求に盛り込まれたように、地元で切望されている事業であります。

 一方、なにわ筋線は、答申第八号から五年間、何の検討もされず放置され、二〇〇九年に、関西活性化に向けた今後の鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会で初めて検討しようということになりました。

 なぜ五年間も放置されていたんですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 近畿地方交通審議会第八号答申は、平成十五年三月に近畿圏における望ましい交通のあり方について諮問を行い、同審議会において議論を経て、平成十六年十月に答申として示されたものでございます。

 答申では、なにわ筋線を含む各プロジェクトについて、「地域の地方自治体が連携して関係の鉄道事業者等との調整を進め、具体化を目指すことが適当である。」とされております。

 一方、大阪を中心とした鉄道ネットワークの高度化が関西の活性化にとって重要であることから、平成二十一年四月に関西活性化に向けた今後の鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会が開催され、大阪府、大阪市、鉄道事業者を含む関係者間で意見交換が行われ、なにわ筋線について必要な調査を実施すること等により議論を深めることが確認されたところでございます。

 委員御指摘のとおり、答申以後、懇談会が開催されるまで約五年経過しているところでございますが、その間におきましては、大阪市におきまして、なにわ筋線の事業化に向け、主に費用対効果や事業スキームについて検討を行っていたところであります。近畿運輸局におきましては、大阪市の検討状況を踏まえつつ、大阪市の相談にも乗りつつ、必要な助言等を行っていたところでございます。

宮本(岳)委員 その懇談会で実務者レベルによる検討会を設置して、なにわ筋線等について必要な調査を実施するということで、国土交通省は、二〇〇九年から二〇一一年まで、関西圏における高速交通ネットワークへの鉄道アクセス改善方策に関する調査というものを行いました。

 国土交通省がまとめたその調査結果概要を資料五につけておきましたが、5、調査のまとめというところにはどのようなことが書いてありますか、鉄道局長。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 調査のまとめにおきましては、ケース別試算を行った全三十ケースのうち、性格、費用便益比、収支採算性を踏まえ、比較的良好なケースとして、JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内中間駅ノンストップケース、JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内全駅停車・中間駅ノンストップ複合ケースを挙げているところでございます。

 また、「今後のなにわ筋線整備に向けたより具体的な検討にあたっては、本調査結果等を踏まえ、なにわ筋線の整備に向けた便益を享受する地域の地方自治体が連携して関係の鉄道事業者等との調整を進め、事業化に向けた運行主体・運行形態等の検討を行い、具体化を目指すことが期待される。」と記載されているところでございます。

宮本(岳)委員 全三十ケースも需要予測や費用便益分析、収支採算性の試算を行ったが、ことごとくうまくいかず、比較的良好な二ケースを挙げるにとどまっております。JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内中間駅ノンストップケース、概算建設費一千八百億円というものと、JR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内全駅停車・中間駅ノンストップ複合ケース、二千五百億円というものであります。

 私は、この試算には忘れられない思い出があります。今から八年前の統一地方選挙、大阪府議会議員選挙の告示日の夜に、関西テレビが大阪の各党討論会を行いました。共産党からは私が出席し、当時大阪府知事だった橋下徹氏も出席しておりました。番組終了間際で私がなにわ筋線二千五百億円の無駄を指摘すると、突如として当時の橋下氏が私をうそつき呼ばわりし、千八百億円だと言い放ちました。その際、私はこの千八百億円という数字がどこから出てきたのか非常に不審でありましたけれども、このJR難波・南海難波ルート・なにわ筋線内中間駅ノンストップケースというものだったわけであります。

 そして、この調査報告書が出された六年後、大阪府、大阪市、JR西日本、南海電鉄、阪急電鉄の五者が合意に至りました。そして、その事業費は、私をうそつき呼ばわりした二千五百億円どころか、今や三千三百億円に膨れ上がったというのですから、あのとき橋下さんが口にした千八百億円などという数字こそ、今となっては何の現実性もないわけであります。

 地下鉄八号線は、二〇〇五年十一月、当時の関淳一大阪市長が、市の財政を理由に、突然、補助採択要望を取り下げてしまいました。しかし、住民の要求は強く、その五年後の二〇一〇年十月、大阪市議会で、地下鉄八号線、今里―湯里六丁目間の早期整備を求める決議が全会一致で上げられております。決議では、鉄道整備は本市のまちづくりや環境対策などの観点から重要な施策であると考えるので、平成二十二年度末で累積欠損が解消することとなっている地下鉄事業の経営状況も踏まえつつ、引き続き、本市の財政収支の状況を見きわめ、地下鉄第八号線の早期整備に努められることを強く要望すると記されております。

 地下鉄八号線をないがしろにしておいて、なぜ今ごろになってなにわ筋線の復活を進めるんですか。

蒲生政府参考人 近畿運輸局の答申におきましては、幾つかの検討を進めることが望ましい路線を設定しておりますけれども、その中で、地域におきます検討が深まって、国の方に整備に関しましての意向が伝えられてきたものが今のなにわ筋線だと想定しておりますし、その検討に当たりましては、我々の方としても、必要な助言や、そういった専門的な観点からのアドバイスなども行ってきたという経緯がございまして、そういったものと関係者間の検討の機運が盛り上がった形の結果として、今なにわ筋線が先行して動いているんだというふうに承知しております。

宮本(岳)委員 検討が深まって、望ましいことが明らかになったから進み始めた。必要性や緊急性が極めて乏しい事業であることは、先ほど私が論じたとおりであります。住民が切望している地下鉄八号線は頓挫させておいて、長い間ほうっておいたなにわ筋線をよみがえらせるのは極めて奇怪だと言わなければなりません。

 大臣、冒頭に確認したインフラのストック効果について、国土交通省はホームページ上に説明動画をアップしております。その動画では、小さくつくって大きく生み出すとか、無駄なく、コンパクトに、コスト抑えてなどとうたわれております。そして、わざわざ、ばらまきじゃありませんとの文言まで大きく掲げております。

 しかし、あなた方がそのストック効果のもとで進めようとしている事業は、なにわ筋線の半分以下で建設可能で、大阪市議会では、自民党や公明党はもちろん、大阪維新の会まで含む全会一致の決議が上がった地下鉄八号線をとめて、三千三百億円のなにわ筋線を進めるという、まさにばらまきだと言わなければなりません。

 大臣、これでは羊頭を掲げて狗肉を売るようなものだと言われても仕方がないんじゃないですか。

石井国務大臣 大阪の鉄道ネットワーク、どういった順序で整備をしていくかということは、住民の代表である地元自治体がよく検討されて事業化の判断をしているものと認識をしております。

宮本(岳)委員 住民代表の大阪市議会が全会派一致で決議を上げた八号線についても指摘をいたしました。

 大阪では、大阪都構想なるものをめぐって、知事と市長が同時に辞職し、クロス首長選挙とか入れかえ選というようなことをやろうとする動きが出ておりまして、きょうにも知事や市長が辞職表明するとも報じられております。

 そのような強引なことをしてまで彼らが進めようというのが、二重行政の解消とかいう話であります。大阪市と大阪府があるから二重行政、大阪市大と大阪府大があるから二重行政、図書館も水道も、病院に至るまで、府立と市立の二つがあるのは無駄だという理屈であります。しかし、そうだとすると、このなにわ筋線というものは何なのかと言わなければなりません。

 大阪は、東京とは違い、碁盤の目のように地下鉄網が整備されてまいりました。大阪のキタエリアとミナミエリアを結ぶ地下鉄は、既に四本もあるわけであります。この上なにわ筋線をつくれば、二重どころか五重ではありませんか。このような無駄で無意味な過剰投資は直ちに中止することを強く求めて、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 なにわ筋線の話の後ということで、私はなにわ筋線には触れないんですけれども、大阪市民としては大事なインフラじゃないかなというふうに思っていますので、本当の話なので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 私からは、航空業界で続いています飲酒に絡む問題についてお伺いをしたいと思います。

 昨年十月に日本航空の男性副操縦士が過剰な飲酒によりロンドンで現地警察に逮捕され、有罪となった件を始め、ANAウイングス、スカイマーク、日本エアコミューターなど、次々に不祥事が発覚をいたしました。

 国交省では、昨年十一月に航空従事者の飲酒基準に関する検討会というのを立ち上げて再発防止策を検討する一方で、航空会社への立入検査や管理強化、教育徹底を文書で指導するなどしており、また、日本航空には事業改善命令という行政処分が下されるなど、乗務員の飲酒問題が大きく取り上げられてまいりました。

 それにもかかわらず、昨年十二月には日本航空の客室乗務員が乗務中に飲酒する事案、ことしになって、お正月ですね、一月三日にANAウイングスの機長から規定値以上のアルコールが検出され、副操縦士に口裏合わせを依頼する事案だとか、また、先月、二月十九日にも全日空での飲酒での遅延。全日空グループでは、飲酒が理由で便が遅延、欠航した場合はホームページなどで説明するとしていたにもかかわらず、この飲酒遅延については、乗客に体調不良というふうに伝えて、飲酒であるということは伝えておりませんでした。

 ちょっと残念な不祥事が続いていますけれども、国交省のこの検討会は昨年十二月に中間取りまとめというのを発表されて、運航に影響を及ぼすアルコール濃度を明確化するとともに、アルコール検知器を使った検査の義務化や不正を防止するための職員の立会い、そして、検査情報の記録、不適切事案の報告の義務化などの再発防止策というのをまとめられたとお聞きしています。

 基準を決めることはもちろんなんですけれども、飲酒問題が大きく取り上げられて以降も不祥事が相次いでいるということを考えると、これらの基準というのが本当に遵守されるか、航空会社に対する指導監督、時には支援といったものも継続的に行っていかなければならないと考えますけれども、この実効性がどのように担保されるのか、国土交通省にお伺いをいたします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、今先生御指摘のように、昨年十二月に公表いたしました航空従事者の飲酒基準に関する検討会の中間取りまとめを踏まえまして、全ての操縦士を対象とした数値基準の設定、アルコール検知器を使用した乗務前後の検査の義務づけと検知された場合の乗務停止、全社員へのアルコール教育の徹底など、一月三十一日に操縦士の飲酒基準を策定をいたしております。

 また、飲酒事案の再発防止のためには、飲酒問題が安全上の重要な問題であると個人レベルで認識をすることが必要でございます。このため、会社内において個別に面談を行うなどで全社的に意識改革を浸透させていくことが重要であると考えておりまして、各航空会社に対しましてこの徹底を求めてきているところでございます。

 国土交通省といたしましては、全ての航空会社に対し、飲酒基準への適合状況について安全監査等により確認をし、厳しく指導監督を行うことで飲酒基準の遵守を徹底させてまいりたいと思っております。また、飲酒に係る不適切な事案を発生させた航空会社及び操縦士等に対しましては、報告徴収や立入検査を実施の上、行政処分等を実施するなど、引き続き必要な措置を講じてまいりたいと思っております。

井上(英)委員 ぜひしっかりと指導監督をしていただけたらというふうに思うんです。

 昨年十月に、冒頭申し上げたように、副操縦士さんがロンドンで捕まって、イギリスの航空法に定められた規定値を超えたアルコールを帯びた状態というのが判明した。我が国にも多くの外国の航空会社というのが就航していますから、アルコールチェックする体制が、我が国を出発する外国の航空会社も、当然我が国の航空会社もそうですけれども、我が国の空港を利用されている外国の航空会社にも十分その体制が及ばなければいけないというふうに考えます。

 アルコール濃度の数値基準というのは外国の航空会社にも適用され、違反すれば航空法に基づく罰則もあり得るということでありますが、事業者としての監督を直接行っていないことから、我が国の航空会社と比べて、外国の航空会社に対してのチェックが十分に行き届かないという可能性もあるんじゃないかと危惧されますけれども、いかがでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、新たに飲酒基準を適用するに当たりまして、日本に乗り入れております全ての外国航空会社に対してその基準内容を周知するとともに、外国の航空会社の指導監督を行っております外国航空当局に対しまして、当該飲酒基準についての情報を提供し、指導監督に係る協力要請を行っているところでございます。

 また、日本に乗り入れております外国の航空会社に対しましては、駐機中の外国航空機への立入検査、いわゆるランプインスペクションというのを実施しておりますが、その際に感知器を用いましたアルコール検査を実施することで、基準の遵守状況を確認をして、指導してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 外国の航空会社もぜひきっちりとやっていただきたいと思うんですけれども、航空機の操縦というのは人命に当然直結することから、安全というのが最優先でありますし、そのための細心の注意というのが求められると考えます。

 飲酒の影響で操縦する人が一人でも判断能力が鈍ると、フライト自体が非常に大きな危険を伴います。そのことは、実際に操縦にかかわる航空会社の皆さんが、先ほど一社一社、また一人一人という答弁もありましたけれども、当然、航空会社の皆さんが一番わかっているはずだというふうに思うんですね。

 結果として、これだけの不祥事というのがちょっと発覚することとなりましたので、まず、航空会社の乗務員の飲酒に対する意識について、率直に、大臣、どのように持たれているのか、そしてまた、航空局の見解というのをお伺いしたいと思います。

 その上で、特殊な勤務条件で長時間の緊張を強いられるという独特の職場背景というのもあります。飲酒を一つの問題とするのだけではなくて、航空会社全体の課題として捉えて意識改革を進めていくという必要があると考えますが、航空会社が信頼回復に向けて意識改革を進めていくに当たり、国交省としてどのように取り組まれていかれるのか、大臣、お答えをお願いいたします。

石井国務大臣 飲酒に関する意識向上や飲酒に関する航空法等の遵守の徹底が強く求められる中、同様の事案が連続して発生しておりますことは、これらの違反行為等が安全上重要な問題であるという認識や法令遵守への意識が欠如していると言わざるを得ず、極めて遺憾であります。

 国土交通省といたしましては、航空従事者の飲酒基準に関する検討会におきまして、客室乗務員や整備士等も含めまして飲酒基準について年度内をめどに取りまとめるとともに、業界団体とも連携をいたしまして、動画等の教材の作成、リーフレット等の活用により、飲酒問題に対する意識改革を進めていきたいと考えております。

 また、飲酒事案を発生させている会社を含む全ての航空会社に対しまして、飲酒対策の実施状況について、現場の運用レベルでの取組状況なども含め、安全監査等を通じ、より丁寧かつ厳格に指導監督を行うなど、航空の安全に対する信頼をできる限り早急に回復できるよう、全力で取り組んでいきたいと思っております。

井上(英)委員 我々もたびたび飛行機を利用させていただくので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、話題をかえて、次世代の住宅ポイント制度についてお伺いをしたいと思います。

 ことし十月、来年度の十月から消費税が一〇%に引き上げられますけれども、国土交通省でもいろいろな反動減対策というのを講じる予定だというふうに伺っています。そこで、住宅関係で、次世代住宅ポイント制度というのが創設されるということなので、お聞きをしたいと思います。

 次世代住宅ポイント制度というのは、環境、安全、安心、健康長寿、高齢者対応、子育て支援、働き方改革に資する住宅の新築やリフォームを行う場合にポイントが付与される制度ですが、何かもうごった煮みたいになっていますけれども、まず、ポイント付与の具体的な条件、受け取ったポイントの利用方法ですね、どのようにそのいただいたポイントを利用できるのかというのをちょっと御紹介いただきたいのと、次世代住宅ポイントの対象となる住宅の新築やリフォームが全体のどの程度を占めると想定されるのか、お答えいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 次世代住宅ポイント制度につきましては、新築においては、先ほど先生の方から御紹介いただきました、環境であれば省エネ性能、安全、安心であれば耐震性能、そういったものについて一定以上の性能を有します住宅の新築を行う場合、又は、リフォームにつきましては、それと同じように、省エネリフォームとか耐震性のリフォーム、またバリアフリーリフォーム、そういったリフォームを行われる場合にポイントを付与いたしまして、そのポイント上、さまざまな商品と交換ができるようにする、そういった制度でございます。

 取得したポイントの使い道に関しましては、先ほど御紹介ありました、環境や安全、安心、健康長寿、高齢者対応、子育て支援、働き方改革、これらに資するものをなるべく広く交換商品として集めたいと思っております。

 具体的な商品については、公募によって選定することとしておりますけれども、例えば想定するものといたしましては、省エネ家電のような省エネ、環境に資するもの、また、防災関連商品やスポーツ用品のような健康関連、また、掃除や洗濯のような家事負担の軽減に資するもの、また、ベビーカーなどの子育て関連、地域振興に資するもの、こういったものを中心に選定することを想定してございます。

 また、その対象になる割合でございますけれども、まず新築関係につきましては、全体、年間で対象となりますのが、我々としては約三十万戸と見込んでおります。年間の持家、分譲、いわゆる持家系でございますが、その戸数に対しましては約六割程度と見込んでおります。

 また、リフォームに関しましては、通常、リフォームの多くが、いわゆる壊れたところの修理とか維持、これに関するものが多いものでございますから、今回対象となりますいわゆる性能向上につながるリフォームの割合は、全体の一割程度と見込んでいるところでございます。

井上(英)委員 その利用対象物となるものが、幅広く多くのものが利用いただけるようにぜひしていただきたいと思います。

 過去にも住宅ポイント制度というのが累次実施されてきたというふうに思うんですが、これまでの住宅ポイント制度の実施期間や利用実績というのを少し紹介いただくのと、今回の次世代住宅ポイント制度というのは過去の制度と比べてどのようなものなのか、どのような点が違うのかということをお答えいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 ポイント関連につきましては、過去、住宅エコポイント、また省エネ住宅ポイントというのを二度実施をしております。それぞれ、住宅エコポイントに関しましては、やはり三十万円相当を上限としてポイントを支給させていただきました。

 当時、住宅エコポイントにつきましては、全体で百七万戸余りを新築であれば対象にして支給をいたしました。省エネ住宅ポイントについては、ちょっと期間の長さが違いますけれども、十八万戸程度を新築については対象として、ポイントを発行したところでございます。

 今回の制度が前回二つとどう違うかでございますが、まず、実施のタイミングが、前回と比較いたしますと、前回、八%の引上げ時には、引き上げて、実際、駆け込みと落ち込みが起きた後に、対策として、住宅ローン減税や何かに後から加える形で省エネ住宅ポイント制度を創設して実施をいたしました。今回は、前回のそういった状況に鑑みまして、消費税が上がる前のタイミングから、あらかじめ、ローン減税の拡充等とあわせて、ポイント制度についても予算に組み込ませていただいたところでございます。

 また、その中身につきましても、先ほど申し上げましたように、前回は、省エネ性の高いもの、若しくは省エネに資するリフォームのみを対象としておりましたけれども、今回は、省エネに限らず、より幅広く、耐震性やバリアフリー性能など、また家事負担の軽減、そういった観点からも、良質な住宅、若しくはそれに資するリフォーム、これを対象にして支援をする制度としているところでございます。

井上(英)委員 先ほどもありました二つほどのポイントということなんですけれども、上がってからだったんですよね、過去は。今回は上がる前からだということで、住宅ローン減税なんかは、でも本当にありがたい制度だというふうに思うんですね。我々の世代とかもうちょっと下ぐらいの世代の方なんかは、これから住宅、マイホームを買うのに非常にありがたい制度だというふうにも聞いています。

 ただ一方で、先ほど言われた省エネ住宅ポイントなんかは半年間で、先ほど言われたように、期間が非常に短くて、十八万戸ですかね。ですから、数としてはちょっと少ないような気もするんですね。そのときの省エネ住宅ポイントの予算額が九百五億円ぐらいだったというふうに聞いているので、今回のこのポイント制度は予算額一千三百億ということなので、一割、二割ぐらいがちょっと予算額としてはふえたのかなという気はするんですけれども。

 ただ、住宅投資というのを下支えするのに、この予算額で十分というふうに思われているのか、お答えいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 前回の省エネ住宅ポイント制度は、二〇一四年、平成二十六年の十二月二十七日に、予算案、当時は補正予算の閣議決定がございました。それ以降に契約等を行ったものを対象として、募集自体はその成立以降の三月からでございましたけれども、対象となった契約期間で見ますと、十カ月間でございます。その十カ月間を対象として九百五億円を消費したというところでございます。

 今回の住宅ポイント制度は、消費税一〇%の事前からということで、そういう一〇%の契約の対象が出始めることしの四月以降に契約等を行うものを念頭に、年度末までの十二カ月間を予定しているところでございます。

 そういう意味では、十カ月と十二カ月ということでございますが、引上げ前の四月から九月の間の六カ月間につきましては、その全てが一〇%契約ということでポイントの対象になるわけではございませんので、その分は若干軽くなるということでございます。

 今回の予算案では、対象を、先ほども申し上げましたように、省エネ以外にも広げていくことも踏まえまして、期間的には先ほど申し上げた差でございますけれども、必要予算として、前回の一・四四倍になりますが、一千三百億円を計上しているところでございまして、年度末までの対策実施には十分な予算を確保してきていると考えているところでございます。

井上(英)委員 今回の反動減対策では、次世代住宅ポイント制度のほか、先ほどもおっしゃられたように、住宅ローン減税の拡充、すまい給付金も予定されているというふうに伺っています。

 消費税の引上げというのはやはり恒久的でありますので、一時的な反動減対策にとどまらず、先ほども申し上げたような若年層の子育て層だとか低所得者層など、相対的に住宅を持つということに対して大変な方々に今後も安心して住宅購入をしていただけるよう、息の長い施策というのが求められるというふうに思いますけれども、大塚副大臣、思いをどうぞ。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 住宅は国民の生活を支える大きな基盤であり、また、住宅投資は内需の柱としての役割を担っておるところでございます。

 当面は消費税税率引上げに伴う経済的影響を抑制しつつ、中長期的には、安全で質の高い住宅ストックの形成や、住宅の資産としての価値向上が重要であります。

 このため、引き続き、安心R住宅制度の普及等による既存住宅の流通・リフォーム市場の活性化や、ブロック塀を含む住宅・建築物の耐震性の向上、さらには新築住宅も含めた省エネルギー性能の向上に努めてまいります。

 また、住居者の視点からは、若年、子育て世代や高齢者等が安心して暮らすことができるよう、三世代同居、近居の促進や、サービスつき高齢者向け住宅の整備、セーフティーネット住宅の登録促進等の取組を進めてまいります。

 今後とも、国民の住生活に対する多様なニーズに応えつつ、各世代がそれぞれの暮らし方に応じた良質な住宅が確保できるよう、住宅政策の展開に積極的に取り組んでまいる所存でございます。

井上(英)委員 副大臣、ありがとうございます。ぜひ、安心、安全な、しっかりとした住宅を皆さんが購入できるように、息の長い政策をお願いしたいというふうに思います。

 次に、政府が昨年十二月十四日に閣議決定をしました防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策についてお尋ねをいたします。

 本対策は、改定された国土強靱化基本計画において、起きてはならない最悪の事態のうち、昨今の災害の発生状況を受けた優先度の高いプログラムに重点化して、国、地方公共団体、民間が、二〇二〇年、来年までの三カ年で集中的に実施するものというふうにお聞きをしています。

 全体で七兆円ほどの事業規模とされておりますけれども、国土交通省所管では三・六兆円ですかね。まず、どのような考え方、達成目標に基づいて事業や取組を選定しているのか、また、事業規模はどのぐらいの程度というのを想定されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 国土交通省では、国民の命を守り、暮らしと経済を支える重要インフラとして、所管する道路、鉄道、港湾などの交通インフラ、河川、砂防などの防災関係インフラ等を対象としまして総点検を実施し、これらの結果などを踏まえまして、ソフトとハードの両面から三年の緊急対策を実施するということとしております。

 政府全体の緊急対策の事業規模はおおむね七兆円程度でございまして、そのうち国土交通省分はおおむね三・六兆円程度でございます。

 緊急対策を行うに当たりましての基本的な考え方としまして、災害が地域住民等の人命に与える被害の広がりや程度、災害が重要インフラに与える被害の広がりや程度、社会経済や人々の暮らしなどに与える影響の広がりや程度、被害や影響が発生した場合の早期機能復旧の困難性などを総合的に勘案しまして、リスクや緊急性が高い箇所を抽出して、三カ年緊急対策を集中的に実施することとしております。

 対策の達成目標としまして、例えば河川につきましては、洪水時の危険性に関する緊急対策として、全国約二千三百河川において、氾濫による危険性が特に高い区間の河川内の樹木伐採、土砂掘削等を実施することによりまして、浸水した場合に多くの家屋被害が生じるおそれのある箇所等において、樹木、堆積土砂等に起因した氾濫の危険性をおおむね解消するなどの目標を設定しているところでございます。

 国土交通省としましては、緊急対策を三年間集中で、着実かつ迅速に実施してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 局長、国交省では計六十七項目の緊急対策というのを実施されるというふうなことなんですけれども、この三カ年で、ソフト、ハード両面の対策として、まず、これで本当に完了するのかというのをお聞かせいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 今委員御指摘のとおり、国土交通省では、対策の中で、ソフト、ハードから成る六十七項目ごとに危険性や緊急性の高い箇所において対策を完了させることなどによりまして、災害時のインフラの機能の確保等に三年間で万全を期してまいりたいと考えております。

 これらの三カ年緊急対策の国土交通省の予算としまして、国費で、平成三十年度の第二次補正予算では六千三百二十三億円、国会で御審議中の平成三十一年度予算案の中では臨時特別の措置として七千三百八億円が盛り込まれておりまして、引き続き予算の確保に努め、対策の目標の実現を目指してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 その上で、緊急対策の箇所選定に当たっては、危険度の高い個別の箇所への重点化ということだと思うんですけれども、今後大きく災害が起こると言われている、蓋然性が高い地域全体への重点化といった視点、観点も必要ではないかなと思います。

 例えば南海トラフですね。南海トラフ地震については、今後三十年間で七〇%から八〇%の確率で発生が想定されている。先日は、東北地方の太平洋側に、エリアによっては違いますけれども、高いところですと九〇%だとかいうような数値も出てまいりました。これは、三十年後に地震が起こると言っているのではなくて、逆に言うと、あした起こってもおかしくないということでもあります。

 インフラの防災・減災対策というのは、先ほどもあったように、住宅政策も一緒ですけれども、非常に足の長い取組だというふうには思うんですけれども、この緊急対策において、そういった観点からの箇所選定というのが行われるべきだと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 切迫する南海トラフ巨大地震などの大規模地震対策につきましては、ことし一月に対策計画の改定を行ったところでありまして、想定される具体的な被害特性に合わせ、実効性のある対策に重点化して取り組んでいく必要があります。

 例えば、南海トラフ巨大地震につきましては、短時間で巨大な津波が押し寄せ、沿岸部を中心に広域かつ甚大な被害が想定されることから、避難路、避難場所の整備やゼロメートル地帯の堤防の耐震化、そして津波観測情報の提供の迅速、高度化、また、TEC―FORCEの体制、機能の拡充強化等を推進をしてまいります。

 今後とも、リスクや必要性の高い箇所から優先的に、計画的に、三年間集中して講じる緊急対策を行うとともに、国土交通省の現場力を最大限に活用しまして、災害から国民の命と暮らしを守るためのハード、ソフト対策を総動員し、防災・減災対策に全力で取り組んでまいります。

井上(英)委員 副大臣、ありがとうございます。元気な答弁、ぜひその元気さを政策に反映していただけるようにお願いできたらと思います。

 もう時間も限られていますので、社会資本の維持管理・更新についてをちょっとお伺いしたいと思います。

 高度経済成長期に集中的に整備された社会資本の急速な老朽化というのが懸念をされています。昨年十一月に国土交通省が発表した将来推計によれば、道路、河川などを始めとした十二分野において、今後三十年間で、二〇一九年度から二〇四八年度までの維持管理・更新費の合計が百七十六兆五千億から百九十四兆六千億に及ぶという試算が出ています。

 この試算は、施設が劣化して機能にふぐあいが生じる前に修繕等の対策を講じる予防保全というのを導入した試算だというふうに聞いていますけれども、事後保全ですとどれぐらいの費用がかかるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 昨年十一月、国土交通省が所管します十二分野のインフラを対象としまして、近年の取組の実績や新たな知見等を踏まえ、今後三十年後までの維持管理・更新費の推計を実施しました。

 予防保全の考え方についての数値は今委員に御紹介いただいたとおりでございますが、インフラにふぐあいが生じてから対策を行う事後保全の場合には、今後三十年間の費用の合計は約二百五十兆円から約二百八十兆円ということでございます。一年当たりの費用ということでは、三十年後には二〇一八年度の約二・四倍、そういう推計結果でございました。

井上(英)委員 事後保全ですね、事が起こってからの対策でいくと、金額にして約九十兆円ぐらいふえるということであります。ですから、いかに予防保全というか事前に、この間レクでお越しいただいた方は、ひび割れができたら、こつこつまめにひび割れのメンテナンスをすることによって少しでも長く継続的に使えるように、老朽化を少しでもおくらせるというような細かいことをやることによって、もちが違うという話なんですけれども。

 今後、インフラのメンテナンスを行っていく上において、やはり人の問題だとかさまざまなまだまだ課題というのが、当然、費用の問題もありますし、ありますけれども、今後、AIなんかも含めた新技術の活用というのが非常に大事になってくるかと思いますけれども、現在の検討状況も含めて、今後どのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 インフラの維持管理を計画的、効率的に進めていく上で、新技術の積極的活用を図ることは大変重要であると認識しております。

 既に、ドローン等のロボット技術につきましては、高いところですとか下水道タンクの内部など、人による状況確認が困難、あるいは、仮設等をつくることが必要で高いコストを要する箇所における点検等への活用に向けた取組を進め、点検等の作業の効率化を図っているところでございます。

 さらに、ドローン等を用いた点検等で取得されます膨大な情報を技術者みずからが確認し、点検結果等の判断を行うこととなりますために、点検等の作業の効率化に加えまして、人の判断部分、ここの効率化も必要と考えております。

 このため、ビッグデータの膨大な情報をもとにAIが施設の異常箇所を自動検出する等の処理が可能となりますように、技術者によるこれまでの正しい判断を蓄積した、AIが学習するためのいわゆる教師データの整備を進めている、こういった取組も進めております。

 引き続きまして取り組んでまいりたいと思います。

井上(英)委員 これで質疑を終わらせていただきます。

 野村局長にはまた後日聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、広田一君。

広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。

 最後のバッターでございますので、委員の皆さんにおかれましては、もうしばらくの間、よろしくお願いを申し上げます。

 本日は、鉄道政策、そして時間があれば住宅政策について質問させていただきたいと思います。

 まず、鉄道政策でございますけれども、大規模な自然災害に伴い被災をした鉄道の早期復旧に係る課題についてお伺いをしたいと思います。

 昨年七月の西日本豪雨災害の復旧においては、道路分野とか河川分野、これの連携を図ることによって一体的な工事を実施をすることができました。これによって復旧時期というものを前倒しをすることができた好事例があります。これは、関係者の皆さんの連携であるとか共同、こういったことの重要性というものを改めて認識をした事例だろうというふうに思うところでございます。

 一方で、課題も出てまいりました。復旧工事を進める上での課題といたしましては、工事の進め方につきまして、鉄道沿線の地権者の皆さんの御理解を得ることができずに、本来であれば、重機を使うと短期間でできる復旧作業にもかかわらず、去年の夏の非常に暑い、酷暑の中、作業員の皆さんが手作業で行った事例も出ております。結果として復旧に時間を要してしまった、さらには、現場の作業員の皆さんには過重な負担を強いることになったわけであります。

 このような事態を改善するためには、復旧に係る地域の全ての皆さんとの連携とか共同、これを積極的に図っていくことはもちろんのことでございますけれども、法的には、道路法に規定されているように、やむを得ない必要がある場合は一時的な土地の使用などが可能となる、こういった法整備が必要になるというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 昨年七月の豪雨災害などでは、鉄道事業者が管理をしていない隣接斜面から土砂が流入する災害が発生をしており、鉄道事業者は、必要に応じて、隣接斜面の所有者と協議の上、流入土砂の撤去等を行っているところであります。

 被害を受けた鉄道事業者からは、道路法に規定されているような、土地の一時的な使用などが可能な制度が求められているところであります。

 これを受けまして、現在、鉄道局におきまして、道路法の規定などを参考に、民間事業である鉄道においてどのような対応が可能か、検討を進めているところであります。

 なお、委員からも御紹介いただきましたが、平成三十年七月豪雨の際には、鉄道事業者と国土交通省関係部局から成る連絡調整会議を設置をいたしまして、道路や河川などの関連事業と連携、調整することにより、円滑な鉄道の復旧を進める仕組みを構築をしたところであります。

 国土交通省といたしましては、このような仕組みも活用いたしまして、被災した鉄道が早期に復旧されるよう、必要な支援を行ってまいります。

広田委員 石井大臣の方からは、現在検討中ということでございますけれども、西日本豪雨が発生をしてからはや八カ月経過をしました。

 実は、昨年の十一月に、隣にいらっしゃいます津村議員さんの方からも、これに関連した御質問がありました。それからもう四カ月が経過をしているわけでございます。その際にも、石井大臣の方からは、関係者等との検討中であるという旨の同様の御答弁があったというふうに記憶をしているところでございます。

 大臣、桜が散れば梅雨が来て、台風シーズンも到来をいたします。鋭意精力的に検討していただいているということは理解するところでございますが、さすれば、成案を得るのはいつまでに得るつもりなのか、また、もう少し具体的な検討状況、これは鉄道局長でも構いませんので、御答弁をいただければと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、局内におきまして、専門の検討チームをつくっております。この案件に関しましては、他人の私権との関係の調整という問題もございますので、そういった面も含めて、法律的な論点などの深掘りをしておるというところでございますが、今先生からお話しいただいたように、スピード感を持ってやるようにという御指摘でございましたので、しっかりと部下を督励して、検討させていきたいと思っております。

 よろしくお願いします。

広田委員 今、私権等の調整等もしなければならない、また、検討チームをつくっているというふうなお話がございました。

 若干聞き方を変えますけれども、道路法六十八条に準じた規定になるんだろうというふうに思うわけでございますが、これに準じた規定をつくる際に、現時点で一番何が課題になっているのか、何が論点になっているのか、もう少し具体的に示していただければと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 道路と鉄道の比較におきまして大きな差異がありますのは、道路はいわゆる公物というものでございまして、公物をどう守るか、公物の復旧をどうするかという観点からああいう規定が置かれているのではないかと思っております。一方で、鉄道はあくまでも民間事業によるものでございますので、公益性というのは非常に高いんですが、そういった意味では、道路と同列に論じられるかどうかということに関しましての今検討を深めているところでございます。

広田委員 確かに、御指摘のところは、ある意味根本的な問題点、論点になるんだろうというふうに思いますが、ただ、交通政策基本法ができてから、鉄道も含めまして、やはり公共交通をどうするのか、それを走る道路とか鉄道等々の公共性というものは非常に高まっているんだろうと思います。

 そして、あわせて、これだけ頻繁に災害が発生をする、こういう時代になったわけでございますので、それを早期に復旧をしていくということになった場合に、やはり総合的に考えて、道路法の六十八条に準じた規定は、なるべく早く、台風シーズンが来るまでにはきちっとした整備の方向性は出していかなければいけないんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点、蒲生鉄道局長の御決意も含めて、御見解をいただければと思います。

蒲生政府参考人 今お話がありましたように、非常に災害が厳しくなっているこのごろでございますので、しっかりした形で検討を進めたいと思っていますが、なるべく早くというだけの回答になりますけれども、しっかり取り組みたいと思っております。

 よろしくお願いします。

広田委員 きょうはこれ以上詰めませんけれども、なるべく早く成案を得るように鋭意努力をしていただければと思います。

 次に、災害復旧における負担のあり方についてお伺いをします。

 現状では、鉄道事業者が管理をしていない隣接している斜面から土砂が流れ込んで災害が発生をし、その復旧を行う場合、公共工事にならなければ、被害者でもある鉄道事業者が費用を負担をすることになっているところでございます。

 例えば、JR連合の調査によりますと、西日本豪雨災害によって、山口県の山陽本線の光駅から島田駅間は、これが鉄道用地外であって、所有が沿線自治体だったらしいですけれども、そこから土砂崩れが発生し、三度にもわたって鉄道用地内に土砂が流入、その都度、鉄道事業者みずからが土砂を撤去をし、そして再発防止ではないですけれども、これは鉄道用地外では補修をすることができませんので、対策としては、鉄道用地内に土砂流入を防ぐようなコンクリート壁を建てる工事を行ったということであります。

 同様な事例が、広島県の呉線の水尻駅であるとか、あと、広島県の瀬野駅から八本松駅間でもあるわけでございます。

 このように、鉄道用地以外からの土砂や流木の流入によって被害が拡大をしている、こういったことに鑑みれば、先ほど挙げた事例のように、鉄道事業者のみの負担で土砂を撤去したり、防護壁をつくったりするというのは、余りにも私は不合理ではないかなというふうに思います。

 そうではなくて、やはり、鉄道事業者だけではなく、地権者、先ほどであれば地方自治体もそうですけれども、国も関与した負担のあり方を見直して、これも法整備、法改正も含めて私は改善すべきではないかなというふうに思いますけれども、御所見をお伺いをいたします。

石井国務大臣 昨年七月豪雨などでは、鉄道事業者が管理する用地外の斜面が被災をし、鉄道事業者が当該斜面の地権者に承諾を得た上で、みずからの負担で復旧している事例がありました。

 このように、自社で管理する斜面以外が被災した場合にも、JR四国など経営の厳しい鉄道事業者等に対しましては、鉄道軌道整備法に基づく支援制度により、鉄道事業者が実施する斜面対策を支援をしているところであります。

 また、斜面からの土砂流入による鉄道の被害を未然に防止することも必要なことから、昨年秋に重要インフラの緊急点検を実施をいたしまして、三カ年で緊急に対策を講じる必要のある斜面を抽出をいたしました。

 あわせて、これらの未然防止のための斜面対策に対して支援する制度を創設をしたところでありますが、この制度でも、鉄道事業者が管理する用地であるか否かにかかわらず、鉄道事業者が実施する斜面対策を支援することが可能といたしております。

 国土交通省といたしましては、こういった支援制度を活用いたしまして、他事業との連携も含めて、災害を受けた場合の早期復旧や災害の未然防止を図ってまいりたいと考えております。

広田委員 御答弁がございましたように、確かに、経営が厳しい会社に対する支援と経営が比較的順調にいっているところでは、文字どおり違う対応になるのかもしれませんが、ただ、事の根本というのが、自分が所有をしていない、敷地外から、しかも、地方自治体が管理しているところから土砂が流入をして、その撤去とか、その対策についてまで鉄道事業者のみの負担でやるということが本当に適当なのかどうか。

 これは、会社の経営状態云々ではなくて、やはり制度のあり方として、私は改善をしていかなければいけないなというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃられたように、やはり他人の土地からもらい事故のようなものになってしまうというケースが最近とみにふえておりますし、他人の土地の部分の管理がうまくいっていないところなどもありまして、そういったケースがふえているのは承知しておりますので、そういった今の現状に合わせた制度としてどういったものがとり得るのか、鉄道局としてもしっかり検討してみたいと思っております。

広田委員 今御答弁があったように、しっかりと検討をしていただいて、改善をしていただきますようによろしくお願いを申し上げます。

 それでは次に、鉄道施設の維持更新に関連してお伺いをします。

 鉄道を始めとする公共交通の最も大切な使命の一つは、安全な鉄道輸送を確保することであります。それを担保する対策の一つが老朽化対策でございます。特に、トンネルや橋梁などの土木構造物の老朽化の実態は厳しく、橋梁年齢は平均五十七年、トンネル年齢は平均六十四年と老朽化が進んでおり、劣化が深刻化をいたしております。

 これに対して鉄道事業者は、予防保全の観点から、計画的に鉄道施設の老朽化対策を講じているのは御承知のとおりでございます。しかしながら、地方路線の比率の高い、つまり赤字路線を多く抱える鉄道事業者にとりましては、設備更新費用が経営に重くのしかかって、安全確保に支障を来して、路線によっては安全水準に格差が生じているんじゃないか、こういったことが懸念をされるわけでございます。

 これに対しましては、国交省としては、鉄道施設総合安全対策事業費補助、これで、将来的な維持管理費を低減して長寿命化に資する施設の維持、こういったことについて支援をしております。この制度と取組自体には評価をしたいというふうに思いますが、しかし、課題、問題なのは、その財政的な支援が鉄道事業者の需要に本当に追いついているのかどうかということであります。

 今年度の予算額については、これは立憲の森山委員への答弁でもございましたけれども、五億四千万円だというふうに承知をしております。これについて蒲生局長の方からも、額としては非常に厳しいというふうな認識を示されたわけでありますけれども、来年度については、こういったことを受けて、どれだけの額を要求し、確保しようとしているのか、まずこの点についてお伺いをしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、鉄道施設総合安全対策事業として、老朽化対策のほか、耐震、豪雨対策、浸水対策、踏切保安設備の整備等により、鉄道の安全を総合的に支援しております。

 この鉄道施設総合安全対策事業に係る来年度の予算額は、六十六・一億円を計上しております。

 ただ、このうち老朽化対策事業に係ります来年度予算額につきましては、予算成立後に策定される実施計画において確定するため、現時点ではお答えを差し控えさせていただきます。

広田委員 答弁できない、予算が成立してからということであります。

 さすれば、今年度五億四千万円だったということは、これはもう既に委員会で答弁をしております。これについて、蒲生局長は非常に厳しいというふうな認識を示されたわけでありますが、今年度は、じゃ、具体的に何カ所、この予算で対応、対策を講じたんでしょうか。

蒲生政府参考人 老朽化対策予算に関しましては、鉄道事業者からの補助要望を積み上げて要求いたしまして、必要額を確保しているところでございますが、今手元の資料は、ちょっと私、持っておりませんので、具体的に何カ所という部分に関しましてはこの場ではお示しできませんが、いずれにいたしましても、補助要望を積み上げて要求しておるということにつきまして御答弁差し上げております。

広田委員 今年度の取組、五億四千万円の範囲内で一体何カ所できたのか、これは後でまた資料等をいただきたいんですけれども。

 局長、この額については非常に厳しいという御認識をさきの委員会では示されております。来年度はこれ以上確保していくということについてはどうなんでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 大変予算額としては厳しいということを先般この場でも申し上げましたが、そういった問題意識をしっかり反映するような形での予算を確保できるように今準備をしているところでございますし、予算が成立いたしましたら、その点に関しましても御報告申し上げられると思っております。

広田委員 また予算成立後、適切な額が確保されているのかどうか、しっかりと議論をしていきたいというふうに思っております。

 最後に、JR四国に対する支援について若干お聞きをしたいと思います。

 四国は残念ながら新幹線が唯一存在しないエリアでございまして、また、四国には百万人都市も存在をいたしておりません。つまり、JR四国は、ほかの地域と比べましても収益の柱が見当たらない、非常に厳しい経営環境にあるわけでございます。

 しかも、将来的には厳しいどころか、現状も厳しくて、過日、徳島新聞の方に、二〇一三年から二〇一七年度の平均の線区別の収支状況が掲載をされました。それによると、四国の場合は一線区を除いて全て赤字であることが判明をしたわけでございます。しかも、営業係数を見ますと、徳島県の牟岐―海部間が一六五八。一六五八というのは、つまり百円稼ぐのにコストが千六百五十八円かかるということでございまして、まことに厳しい状況であります。

 こういったことを踏まえて、四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会2といったものが発足をしたわけでございますけれども、これに国土交通省のメンバーも入られておりますので、この議論の状況についてどのように評価されているのか、また、これらの取組は四国全体で、まずは地域が主体的に取り組むべきだと思いますけれども、その上で、具体的に何を示せば国として支援のあり方を明確にできるのか、お伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 四国におきましては、二〇一七年八月に四国四県とJR四国で四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会2を立ち上げて、四国における鉄道ネットワークのあり方について、地域の関係者と幅広く議論を行っているものと承知をしております。

 地域の公共交通については、地域のニーズや課題を踏まえ、地域の関係者が検討を行い、その地域にとって最適な公共交通体系を構築していくことが重要であると考えており、四国において地域の関係者が主体的に検討を行う場を設け、議論を行っていることは評価すべきものと考えております。

 この懇談会には国土交通省も参加をしておりまして、地域の関係者とともに、四国における鉄道ネットワークのあり方についてしっかりと議論に参画してまいりたいと考えております。

広田委員 時間が参りましたので、以上で質問を終了いたします。

 どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 奄美群島及び小笠原諸島につきましては、それぞれ昭和二十八年、昭和四十三年の本土復帰以来、これまで国による特別措置を講じ、関係地方公共団体や島民の方々の不断の努力により、基礎条件の改善とその振興開発を着実に実施してまいりました。

 しかしながら、両地域は、本土から隔絶した外海に位置しているなど、厳しい地理的、自然的特性等の特殊事情による不利性を抱え、なお本土との間に経済面、生活面での格差が存在しております。自立的で持続可能な発展に向けて、地域の特性に応じた産業の振興による雇用の拡大と定住の促進を図るため、引き続き、特別の措置を講ずるとともに、地域主体の振興開発の取組を進めていく必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 両法律の有効期限を五年間延長し、地方公共団体が策定する振興開発計画に基づく港湾等の事業に対して国庫補助率のかさ上げを行う等、特別の措置を引き続き講ずることとしております。

 その他、これに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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