衆議院

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第3号 平成31年3月13日(水曜日)

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平成三十一年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    池田 道孝君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      門  博文君    金子万寿夫君

      神谷  昇君    工藤 彰三君

      古賀  篤君    田中 英之君

      高木  毅君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      福山  守君    藤井比早之君

      三谷 英弘君    三ッ林裕巳君

      宮内 秀樹君    宮崎 政久君

      望月 義夫君    盛山 正仁君

      簗  和生君    荒井  聰君

      川内 博史君    福田 昭夫君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      日吉 雄太君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    宮本 岳志君

      井上 英孝君    重徳 和彦君

      広田  一君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   国土交通副大臣      塚田 一郎君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            麦島 健志君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  下司 弘之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 鳥居 敏男君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     福山  守君

  土屋 品子君     三ッ林裕巳君

  宮崎 政久君     池田 道孝君

  盛山 正仁君     金子万寿夫君

  荒井  聰君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     宮崎 政久君

  金子万寿夫君     盛山 正仁君

  福山  守君     小島 敏文君

  三ッ林裕巳君     土屋 品子君

  川内 博史君     荒井  聰君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土政策局長麦島健志君、水管理・国土保全局長塚原浩一君、道路局長池田豊人君、海事局長水嶋智君、港湾局長下司弘之君、航空局長蝦名邦晴君、財務省理財局次長富山一成君、文化庁審議官杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、環境省大臣官房審議官鳥居敏男君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子万寿夫君。

金子(万)委員 金子です。おはようございます。

 奄美群島、小笠原諸島特措法の改正法案に対しまして質問の機会をいただきまして、地元の者として感謝申し上げております。

 早速でございますが、時間がございませんので。

 奄美群島が二十八年の十二月二十五日に本土復帰を果たしました。奄美の群島民、当時は二十余万と言われました、それと、全国におられる、戦後奄美にお帰りになれなかった方々が全国各地に多くおられましたが、その方々の熱い思いと団結、これが復帰をかち取ったと思っております。まさに、郡民運動といいますか、民族の運動のモデル的なものとして歴史に刻まれているわけであります。

 その翌年の二十九年の六月に奄美群島復興特別措置法が制定をされ、そして三十九年には振興特別法、そして四十九年に振興開発特別措置法として変化をして今日に至っているわけであります。

 その次の二十六年の改正時に、現行の奄振法の改定時に奄美群島振興交付金が創設をされました。その大きな項目の一つには条件不利解消事業、航空運賃、船運賃も含めて、それから農産、水産物の輸送費支援、そういう条件不利性がある、それをまず解消するという条件不利解消事業が一つ大きな柱でありましたし、もう一つには、奄美群島の十二市町村がその改正時に十年間を見据えた奄美群島成長戦略ビジョン、これを作成をしたわけでありますが、その成長戦略ビジョンを後押しするのがこの交付金であった、成長戦略交付金であったと思いますが、それから五年、この二つの政策を柱として取り組んできたわけです。

 奄美群島も随分変わりました。元気が出ておりますし、本当に輝きも放ってきている、こういうふうに感じております。

 この法改正に当たりまして、交付金創設から五年間の取組、その成果を国としてどのように評価をしているのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

麦島政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、交付金でございますが、前回の特別措置法の改正において創設をしたところでございます。これによりまして、農林水産物の輸送費や住民の航路、航空路運賃を軽減し、奄美群島の条件不利性の改善に寄与するとともに、地域の成長戦略を支援し、奄美群島の特性に応じた産業の振興等に一定の成果があったというふうに認識をしてございます。

 平成三十一年度予算案におきましては、先生御指摘のように、条件不利性の改善と成長戦略の実現、二本柱について交付金の充実強化を予定をしているというところでございます。

 まず、条件不利性の改善についてでございますが、輸送支援の対象品目に奄美群島で製造されました加工品、原材料等を追加をするとともに、航路・航空路運賃軽減事業の支援対象に準住民を追加をしているというところでございます。

 そして、成長戦略の実現につきましては、交付金に特定重点配分対象事業という枠組みを設けまして、雇用拡充や人材育成、交流人口拡大を図る事業のうち、民間と連携をした新しい取組に対しまして、国費率を十分の六にかさ上げをしますとともに、地方負担分に対しましては新たに特別交付税を措置しまして、市町村の実質負担を軽減するということにしたところでございます。

 これによりまして、例えば、民間との連携により民泊を核とした体験交流事業等を行う取組に対しましては、従前よりも強力に支援をすることが可能になるというところでございます。

 先般、地域で策定をされました奄美群島成長戦略ビジョン後期基本計画も踏まえながら、今後とも、地域の創意工夫による取組をしっかりと支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

金子(万)委員 ありがとうございます。

 新年度の新たな施策についても御答弁をいただきました。

 成長戦略ビジョンを策定したときには、重点項目として農業、観光交流、情報の三本柱でした。今回、それを後期計画として改定をして、文化、定住という二本の柱をそこにつけ加えているわけであります。

 先ほど局長からお話がありましたこの拡充強化策、最も地元が注目しているのは特定重点配分事業であります。これは、民間が主体となって、地域の方が知恵を出して、それで地域の方が主役となって取り組んでいく、それを国や市町村が思い切って応援していく、そして特交措置も入れて、財源としても非常に使いやすさ、一億の事業をすると、千五百万の財源があれば事業ができる。

 しかし、それはただの補助金的なものではなくて、地元の方々が主体的に取り組む、その取組を今もう進められているわけであります。NPO法人ではなくて、合同会社をつくって出資をして、地域の方々が、住んでいる方々が出資をして、基金もつくり、そして、この事業で若者の仕事の場をつくり、働く場をつくり、稼ぐ手段をつくって、そして、人口減少に歯どめをかけながら、奄美のいろんな新しい観光スタイルを情報発信していこうという取組が既に進められているわけでございます。予算額を二十四億四千四百万、補正で五億円とっていただいているわけでございますけれども、地元としても大変期待をいたしているところでございます。

 そこで、前回の法改正では、定住促進というのが大きな柱でありました。若者の流出に歯どめをかけなければならない、人口減少に歯どめをかけることができないと。

 田中政務官は、先月、奄美を訪問していただきました。御一緒できなくて大変申しわけなく思っているのでございますが、その際には、私の出身地でもあります、生まれ在所である瀬戸内町、そして加計呂麻島にも訪問していただいた。その際に、地域の若者と意見交換を、まあ奄美の黒糖焼酎を飲みながらの話であっただろうと思いますけれども、意見交換を行ったとお聞きをいたしておりますが、その感想も含めて、定住促進にどのような支援策を今国交省として考えておられるのか、お願いをいたします。

 もう一つ。塚田副大臣も、今回、奄美を訪問していただきました。黒糖焼酎、大島つむぎといった奄美の地場産業の視察などを行ったとお聞きをいたしております。

 奄美には、鶏飯に代表されるような独自の食文化があり、伝統文化があるわけでございますが、これらを観光資源としてブランド化を図りながら、奄美らしさを内外にPRしていくように、持続的な集客につなげていかなければならないと思っておりますが、塚田副大臣も、訪問されたときの印象も含めて、どのような情報発信のあり方があるのか、その支援策の方向性等についてお答えをいただければと思っております。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 先月に奄美大島と加計呂麻島を訪問し、奄美群島の市町村長を始めとする地域の皆さんと意見交換をいたしました。特に、金子委員の地元の瀬戸内町では、行政のみならず、農業や観光、NPO等のさまざまな立場で活躍する若手の皆さんから、率直な意見を伺ったところであります。

 こうした意見交換を通じて、地域活性化に取り組む若手の皆さんの活躍を大変心強く感じた一方で、奄美群島内に雇用の場が十分にないことから、大学進学や就職を機に地元を離れる若者が多いという点も認識をいたしました。

 これまでも、奄美群島振興交付金により、産業振興や雇用拡充の取組を支援してきたところでありますけれども、今後は、平成三十一年度予算案に盛り込んだ特定重点配分対象事業を活用し、若年層の定住促進につながる雇用拡充、人材育成等の取組により、一層手厚く支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

塚田副大臣 私も、先月、奄美大島を訪問させていただきました。

 朝山奄美市長との意見交換や、名瀬港、奄美空港の整備状況等を確認したほか、世界自然遺産登録に向けた取組や、大島つむぎ、酒造工場の地場産業等を視察し、改めて奄美の持つポテンシャルの高さを実感をしたところでございます。

 金子委員の御指摘の大島つむぎも黒糖焼酎も奄美ならではの産品であり、奄美独自の食文化や伝統芸能を含め、観光資源としてさらなる磨きをかけるとともに、内外の知名度を高めるためにも、効果的な情報発信が重要と認識をしております。

 このため、奄美群島振興交付金を始めとする奄美法の各種特例措置について、地元の声をよく聞きながら、ハード、ソフト両面でのきめ細やかな運用を図ることが重要と考えております。

 特に、世界自然遺産登録に向けた動きを千載一遇のチャンスと捉え、国土交通省といたしましても、地元自治体等との連携体制を構築し、自然や伝統文化など、奄美の特性に即した情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。

金子(万)委員 今、塚田副大臣から、国土交通省として地元自治体との連携体制を構築していきたい、こういうお話がありました。私は大変重要な部分だと思っておりますが、ぜひこれを具体化して取り組んでいただきたいというふうに期待をいたしております。

 奄美群島の開発基金についてもちょっとお話をしたいと思っていますが、もう時間を見ているとなかなかそういうわけにもいきませんので、奄美の世界自然遺産登録について、ちょっとお話をさせていただきたい、質問させていただきたいと思います。

 四つの島々、奄美、徳之島、沖縄北部、山原地域、そして西表島、二〇年の夏ごろには世界自然遺産登録がなされるというふうに見込まれているわけでございます。

 二十三年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島の経験にも、そして、その前に鹿児島県屋久島もあるわけでございますけれども、これにやはり学ぶことがたくさんあるのではないか、こういうふうに思っております。

 前後における小笠原の変化といいますか、特に観光面におけるそういうものに、どういう事例というのがあるのかということを含めて、お聞かせをいただきたいと思います。

麦島政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のように、小笠原におきましては、平成二十三年の世界自然遺産登録を契機に、入り込み客数が増加をしております。具体的には、平成二十二年度までの二万人前後で推移してきた入り込み客数は、ピークの平成二十四年度には約四万人と倍増したところでございます。

 平成二十五年度以降の入り込み客数は落ちつきを見せまして、三万人程度で推移をしてございますが、この間の一人当たりの観光消費額、約十万円と、世界自然遺産登録前に比べて高い水準となっているところでございます。

 こうした状況も踏まえ、小笠原では、自然環境の保護、保全と観光振興の両立を図るために地元が行うエコツアーガイド制度の推進等の取組を引き続き行っておりまして、これを我々としても支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

 奄美におきます受入れ環境整備につきましては、ただいま申し上げました小笠原の事例なども踏まえながら、オーバーツーリズムの防止によります希少動植物の保護という視点と、また、世界自然遺産登録の効果を持続的な観光につなげていくという視点が重要と認識をしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、環境省や地元の関係者の皆様と連携をしながら、自然環境の保護、保全と両立するエコツーリズムの推進を図りますとともに、来訪者の満足度を高めるための二次交通の充実、また、キャッシュレス化の推進等の受入れ環境整備に対し、しっかりと支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

金子(万)委員 ぜひよろしくお願いします。

 大臣にも一言お願いをいたしたいと思いますが、一月に奄美を訪問していただきました。私も御一緒させていただきましたけれども、何十年ぶりかに奄美にというようなお話もお聞きしましたが、奄美を訪問された率直な御感想、それと、今回の奄美群島、小笠原諸島の特措法の延長とその振興策に対する大臣としての決意といいますか思いをお伺いさせていただきたいと思います。

石井国務大臣 本年一月に約三十年ぶりに奄美を訪問いたしまして、奄美群島の各市町村長や奄美基金理事長と意見交換をさせていただきました。また、昨年六月には小笠原諸島の返還五十周年記念式典にも出席をいたしました。現地の方々による振興開発のためのさまざまな取組の成果を見せていただいたところであります。

 今後、これまで整備されてきましたインフラを生かしながら、それぞれの地域の特性を生かした観光を始めとする産業の振興、定住環境の改善等のソフト施策に力を入れて支援することが重要と考えております。

 御審議いただいている改正を踏まえまして国が策定する基本方針につきましては、世界自然遺産登録の動き等も踏まえつつ、速やかに策定をいたしまして、次の五カ年に向けた取組を滞りなく進める環境を整えたいと考えております。

 今後とも、地域と連携をしながら、奄美群島と小笠原諸島の振興に万全を期してまいりたいと考えております。

金子(万)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 奄美群島の振興開発基金、これは奄美群島の産業振興に大きな役割を今日まで果たしてまいりました。今回、この奄振の審議会の中にワーキンググループですかをおつくりいただいて、報告書を見ますと、三点、奄美群島振興交付金との連携をする、奄美基金のシンクタンク機能やサポート機能の充実強化を拡大をする、コーディネーターとしての基金の役割をしっかり明記するという三点が答申をなされたわけであります。

 それを踏まえて、法改正後にこの中期目標も設定するということでありますが、奄美群島開発基金の果たす役割というものの大きさというのは我々も十分承知をしておりますが、ぜひ、そこら辺を具体的に、しっかりと進めていただきたいと思っております。

 この沖縄、奄美が、四つの島々が世界遺産になり、既に日本で一番最初に世界自然遺産登録された屋久島と含めて、南西諸島には五つの島が世界自然遺産海洋ロードとして実現をするわけです。非常に世界的にも注目を浴びるわけでありますし、交流人口もふえてくる。既にもう八十八万の訪問者が八十八万六千人とかになってくる。これは九十万、百万にふえていくことは間違いがありません。

 これをどう地域振興に生かしていくかということも大きな課題でありますけれども、私たちは、観光振興、地域振興、大事なことですけれども、やはりこの世界自然遺産を次の世代に、三十年後、五十年後、百年後もしっかり引き継いでいくことができるような取組が、郡民一人一人の、これは島民生活と連携した自然遺産なんです、これが大事なところだ、このように思っております。

 そういうことを踏まえて、奄美の生活文化、食文化、伝統文化、そして奄美らしい人の生き方、その中にある幸せ感、こういうものを含めて奄美の宝として次の世代にしっかりと引き継いでいく、その意識を、強い意識を今持たなければならない、使命感を持たなければならないというふうに我々は思っております。その覚悟を今、そういう強い強い思いを持っております。

 ですから、この奄美の法延長の施策を取り組みながら、それらをしっかり努めていくという島民としての強い決意をも申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 奄美群島振興開発特別措置法そして小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案ということで、質問をさせていただきます。

 先ほど、自民党の金子万寿夫先生、御地元ということで質問をされました。私は奄美が地元というわけではございませんけれども、私の選挙区の兵庫県尼崎市というところは、奄美出身の方が、阪神工業地帯でして、移住されてきた方が大変に多い、そういう地域でございます。一説によると何万人かいらっしゃるんじゃないか、こういうお話もございまして、県人会など、郷土会、こういうものも大変に盛んでございますし、奄美の民謡、芸能といった取組というのも非常に盛んだ、そういう地域であります。

 亡くなられました尼崎の冬柴鉄三代議士も非常に奄美振興ということで力を入れておられまして、私もその後を継いだということで、関西と奄美のかけ橋としてしっかり頑張っていこうということで取り組ませていただいております。

 そういうこともございまして、奄美群島には何度も足を運ばせていただき、金子万寿夫先生とも御一緒に、金子先生も尼崎に来ていただくこともございます、そういうことで取り組ませていただいている、ちょっとそういうことをお話しさせていただきました。

 まず冒頭、この奄美、小笠原の関係で大臣にお伺いをしたいんですけれども、昨年の五月、公明党奄美ティダ委員会として現地視察もさせていただきました。また、小笠原に関しましても、離島振興対策本部ということで地元の御要望もお伺いをさせていただきまして、奄美そして小笠原、この振興について、公明党として離島振興ビジョン二〇一八というものを昨年石井大臣のところにもお持ちをさせていただいた、こういうことでございます。

 この奄美、小笠原に関しましては、前回の改正、これは離島振興法の改正も受けてということでございましたので、かなり大きな改正もさせていただき、例えば奄美に関しては、ソフト的な事業も含めて、奄振交付金ということで交付金の制度も創設をいたしました。また、小笠原に関しましても、小笠原航路の、船の改修というのが大きな課題となっておったかというふうに記憶をしております。これについても、新造ということで、新しくなった、こういうこともございます。

 こうした前回の法改正を受けましてさまざまな取組を進めてきたわけでございますけれども、奄美、小笠原といいましても、それぞれ置かれた課題も違いますし、この五年間の取組の中身も違ってくるというふうに思います。

 冒頭、大臣の方から、前回の改正からの取組の総括、そしてまた、奄美、小笠原振興に向けた今後の課題、取組についてどのように御認識をされているのか、これをお伺いをしたいというふうに思います。

石井国務大臣 奄美群島、小笠原諸島とも、港湾等のインフラ整備は着実に進んできたものの、地理的な要因による自然災害への対応が引き続き必要であるとともに、生活面でも依然として本土との格差が残されております。

 奄美群島では、前回改正で奄美群島振興交付金を創設をいたしまして、農林水産物の輸送費や航路、航空路運賃の軽減を支援をしてまいりました。依然として人口流出は続いておりますが、社会減は縮小傾向にあります。また、世界自然遺産登録に向けた取組とも相まって、入り込み客数が着実に増加をいたしまして、平成三十年は過去最高の八十八万人台を記録したところであります。

 小笠原では、本土と一千キロメートル離れておりまして、交通アクセスや医療等の生活環境面になお課題がございますが、Iターンが盛んでありまして、人口はわずかながら増加傾向が続いております。

 今後は、災害対応に万全を期すとともに、昨年の公明党の離島振興ビジョン二〇一八でも提言されておりますように、観光等の豊かな地域資源を生かした産業の振興や交通アクセス等の定住環境の改善にハード、ソフトの両面から取り組んでいくことが重要と考えているところでございます。

中野委員 大臣から総括的なことで御答弁いただきました。ビジョンもしっかり踏まえて対応していただくということも触れていただきました。

 まず、奄美についてお伺いをしたいんですけれども、前回の改正、産業振興をしっかり図ろうということで、やはりその大きな柱となるのは観光の産業であろうというふうなことを訴えさせていただいたと記憶しております。

 そのためには、人流、物流コスト、やはり奄美の、島であるということがございますので、どうしても条件が不利である、人流、物流コストを安くする支援というのが重要である、こういうことで、航空運賃の割引も行って、支援も行っていただいております。また、こうした支援も活用いたしまして、成田や関空からのLCCの就航についても実現をすることができました。

 先ほど大臣が触れていただいたように、交流人口については非常にふえてきた、こういうことを感じております。これを引き続き、やはりこのトレンドをしっかりと上昇に乗せていくというためには、人流、物流コストの軽減、特に航空運賃の軽減というのが非常に重要であるというふうに思います。引き続き、こうした支援についてもしっかり行っていくべきだ、こういうふうに訴えさせていただきますけれども、国土交通省の答弁をいただきたいというふうに思います。

麦島政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、交流人口の拡大は、奄美群島におきまして産業振興、定住促進を図る上では非常に重要であるというふうに認識をしてございます。

 国土交通省におきましては、平成二十六年度から、東京、大阪、福岡、鹿児島と奄美群島を結びます航空路線を対象といたしまして、冬期における運賃割引の取組を支援してきたところでございます。

 この間にバニラエア、スカイマークが就航するなどした効果と相まって、奄美群島への入り込み客数は近年着実に増加をしております。宿泊施設の新設が進み、有効求人倍率についても上昇するなどの状況が見られるところでございます。

 奄美群島の玄関口でございます奄美空港におきましても、混雑緩和のためターミナルビルを拡張したところでございまして、航空運賃軽減等の地域の取組を引き続き支援をし、交流人口のさらなる拡大を図ってまいりたいと考えております。

中野委員 交流人口の拡大に、引き続き航空運賃の低減も含めて支援ということで答弁をいただきました。

 実際、私が昨年奄美大島に行かせていただいた際、交流人口が非常にふえているということが非常に話題になりました。他方で、課題だなというふうに感じましたのが、受入れ体制がなかなか追いついていないのではないかという御指摘を現地の方からもいただきました。

 例えば、人手の不足というのも非常に深刻だというふうに伺いまして、今、クルーズ船ですとかいろいろな取組を検討されているというふうに思うんですけれども、実際にそうしたインバウンドでお客さんが入ってくるというふうになると、じゃ、例えば、観光バスを多く準備をしないといけない、そのための運転手が確保できないですとか、あるいは、外国人の観光客もふえてきておりますけれども、必ずしも、外国語表記とかも含めて、こうしたインバウンドの対応というのもまだまだ体制がとれていないのではないかであるとか、あるいは、繁忙期についてはホテルもとりにくくなっているであるとかですね。

 奄美大島もそうなんですけれども、奄美群島の徳之島、沖永良部、あるいは喜界、与論といったほかの島も含めて、やはりこうした交流人口がふえていく、あるいは今後更にふやしていく、こういう中で、受入れ体制の整備というものをしっかり進めていかないと活性化にうまくつながっていかない。奄美群島全体としての発展という意味では、やはりこの受入れ体制整備の促進というのが非常に重要であるというふうに思っております。

 今後のこうした取組につきまして答弁をいただきたいというふうに思います。

麦島政府参考人 お答えをいたします。

 近年の入り込み客数の増加によります産業振興、地域活性化の効果を、先生御指摘のように、奄美大島だけではなくて群島全体に波及させていくためには、各島に足を運びたくなるような魅力ある受入れ環境というものをしっかりと整備をしていくことが必要であるというふうに考えてございます。

 これまでも、各島の観光施設整備とか群島全体をつなぐ長距離の自然歩道、奄美トレイルと言ってございますが、これの整備等々を行うと同時に、御指摘のような宿泊施設の不足を補う民泊の推進等を奄美群島振興交付金によりまして支援をしてきたところでございます。

 いずれにいたしましても、二〇二〇年夏の世界自然遺産登録に向けた動きを追い風にいたしまして、こうした受入れ体制のさらなる充実を図るために、地元の声にきめ細かく耳を傾けながら、引き続き必要な支援を実施してまいりたいというふうに考えてございます。

中野委員 ありがとうございます。

 平成二十六年の数字を見ると、入れ込み客数が七十万ということで、そして最近の数字を聞くと八十八万ということでございますので、非常な割合でふえていっている。このふえていっていること自体は大変すばらしいことだというふうに思っております。これを、全ての島にやはりこうした影響というのを波及をさせていく、あるいは、これをしっかりと産業として発展の核としていくためには、やはり受入れ環境整備、これの促進というのに更に力を入れる必要があるというふうに思いますので、今後の支援というものをぜひお願いをしたいというふうに思います。

 先ほどお話のありました世界自然遺産登録、二〇二〇年の登録に向けてということでお話をしていただきました。

 この奄美、琉球の世界自然遺産登録というものにつきましては、もともと登録自体はもっと早い段階で目指しておったわけでございます。地元の方々も、大変にそれを楽しみというか非常に心待ちにされていたというふうにも思っておりますけれども、昨年、この世界自然遺産登録への記載について延期という勧告を受けて、一旦取り下げるということになったというふうにも承知をしております。大変皆さん残念に思われておったと感じております。

 この次の登録ということに向けまして、これは必ず登録をするという、必ず実現をするように国としても万全の準備というものをぜひしていただきたい。これは環境省が担当になるというふうに思いますので、ぜひこの登録に向けての取組ということで答弁をいただきたいというふうに思います。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録に関しましては、諮問機関である国際自然保護連合、IUCNからの延期勧告を踏まえまして、必要な作業を進めた上で、先月一日に推薦書を再提出したところでございます。

 今後は、IUCNによることし夏ごろの現地調査等を経て、来年夏ごろに開かれる世界遺産委員会において世界遺産への登録の可否が審議される予定でございます。

 環境省といたしましては、関係機関や関係自治体等とも十分な協議を重ね、IUCNの指摘に真摯に対応してまいりました。再推薦の経緯や内容については御理解いただけるものと考えていますが、確実な登録に向けて、引き続き万全を期してまいります。

中野委員 最後に、小笠原につきましても一問質問させていただきます。

 小笠原諸島、先ほど来、災害への対応あるいは老朽化への対応というふうな課題も指摘をしていただきましたけれども、小笠原諸島は、何といいましても本土から遠く離れているということもございまして、例えば高度な救急医療に対してどう対応するかであるとか、島民の皆様の安心した生活を支えていくということが非常に大事だというふうに思っております。そのためにも、ぜひ航空路の開設、これについては非常に要望が強いものだというふうに思っております。

 東京都も含めて、小笠原の航空路の開設に向けてさまざまな議論もしていただいているとは承知をしておりますけれども、これについて、国の現状の認識と、これをしっかり国としてもぜひ後押しをしていただきたい、このようにお願いを申し上げますけれども、これについても答弁をいただきたいというふうに思います。

麦島政府参考人 お答えをいたします。

 小笠原諸島におきます交通アクセスの改善につきましては、島民の皆様の生活の安定、また離島振興の観点から重要であるというふうに認識をしてございます。一方、世界自然遺産登録地域でありますことから、自然環境への影響につきまして十分な検討が必要というふうに考えているところでございます。

 御指摘の小笠原の航空路に関しましては、平成三十年七月に開催をされました、東京都と村が設置してございます小笠原航空路協議会におきまして、今後一千メートル以下の滑走路案について検討する旨、東京都より報告がなされたところでございます。

 航空路の実現に向けましては、自然環境への影響や就航機材の確保等の課題に関します十分な検討、そして、その検討を通じました関係者間の合意形成ということが非常に重要であるというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、東京都が進めます検討についてよく話を伺いながら、引き続き、専門的見地から助言を行うなどの取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 奄美、小笠原政策について伺います。

 まず、本日議題となっております奄美、小笠原の振興開発特措法の位置づけでございます。

 冒頭申し上げておきたいと思いますが、私は、この両特措法につきましては、現在五年置きに延長を繰り返している状態ですけれども、これを恒久法として法的な安定性を高めた上で、短期的な社会経済環境の変化についてはより柔軟に、五年以内であっても見直していくべきだということをお訴えしたいと思います。現に、五年間で延長していることの弊害が生まれているということも、この後指摘させていただきたいというふうに思います。

 そもそも、奄美と小笠原の特措法を他の離島振興と別扱いしているその理由は、恐らく五つほどあるんだと思います。これまで国交省あるいは農水省の事務方の皆さんと議論をしてきましたが、私なりに整理すると、この法案が特別扱いになっている理由は五つほどあると思います。

 一つは、地理的な遠隔性とでも申しましょうか、鹿児島から約四百キロから五百キロ離れている奄美、東京都から南に一千キロ離れている小笠原。離島といっても、これだけ遠い離島はほかにございませんので、極めて遠いというのが一つです。

 そして二つ目は、距離が南にこれだけ離れていることによる気候の違いです。日本の多くは温帯の気候だと思いますけれども、奄美や小笠原は亜熱帯の気候に属するということが二つ目。

 そして三点目は、これも地理的な理由から派生するものですが、安全保障の意味合いが非常に強い。安全保障の要衝であるということが三つ目。

 そして四つ目は、これもそのことから派生する問題ですが、アメリカに統治された歴史があるということ。

 そして最後に、これはほかの離島とも同じといえば同じなんですが、短期的に社会経済環境が変化する可能性を持っていること。

 こうしたことが奄美、小笠原を特出しにして議論する理由なんだというふうに私なりに整理をしております。もし違えば後で御指導をいただきたいんですが。

 このうち、一番から三番、地理的な要因については、これは五年間で変わるものではありませんから特別扱いすることはいいんですけれども、むしろ恒久化してきちんと位置づけするべきではないか、私はそう考えます。

 ちょっと四点目はおいておきますと、五点目の、短期間で社会経済環境が変化する、このことは、むしろ五年間固定するのではなくて、より柔軟に改正していくことの方が重要なのではないか、その弊害が生まれているのではないか。これはこの後すぐ議論させていただきます。

 問題は、四点目の、まさにアメリカが統治してきた歴史。戦後処理の問題がこの法案の一つの本質であって、五年間でこの特措法が延長を繰り返されてきたのは、ある意味では、非常に触れにくい戦後処理の問題を先送りするのに好都合な仕掛けだったのではないかというふうに問いかけをさせていただきたいと思います。

 後ほど農地法の問題に触れさせていただきますし、何のことを言っているのかなと思われる委員の方は多いと思います。私がお配りした資料の五ページのところに、小笠原村の村議会議員さんが小笠原諸島には今なお小作人制度が残っているんだという話をるる書かれていますので、おおむね事実のとおりだということですから、後でお読みいただければと思いますが、その話に行く前に、まず、この五年間の延長とする理由を大臣がどう整理されているか確認をさせてください。

石井国務大臣 奄美、小笠原の今後の振興開発のあり方を検討するため、昨年、特別措置法に基づく奄美群島振興開発審議会及び小笠原諸島振興開発審議会において審議を重ね、両法律については、これを延長し、両地域の振興開発を引き続き積極的に推進していくべきとの意見具申をいただいたところであります。

 その上で、これらの法律改正の前提となる条件不利性については、その時々の状況に応じて相対的に変化するものであり、その程度や支援策は、一定の期間を置いて、その都度的確に状況を把握をし、判断をする必要がございます。

 両法は、奄美、小笠原という限られた特定の地域のみを個別に対象にしたものであり、短期間でその社会的、経済的状況が変化し得ることから、他の地域振興立法とは異なり、有効期限を五年といたしまして改正法案を提出をしているところでございます。

津村委員 私の先ほどの分析は、これまで五年ごとの改正のたびに問われてきた、なぜ五年間で改正するのかという問いに対する歴代大臣の答弁、これは今おっしゃられたとおりです。奄美、小笠原という極めて限られた特定の地域のみを個別に対象としており、短期間でその社会経済情勢が変化し得るため、五年ごとに制度のあり方を国会で審議する、今、大臣はまさしくその答弁をなぞられました。

 私は、そのこれまでの経緯を踏まえて先ほど五点に整理させていただきまして、まさに大臣は五点目の、短期的に社会経済環境が変化するということを改めて、むしろそこに絞ってお答えになったという理解であります。

 皆さん、お配りした資料の三ページ目をごらんいただければというふうに思います。これは、今回、奄美につきまして措置されました交付金によって航空運賃の割引支援をするという話で、先般の一般質疑で政務官と議論しましたけれども、今回、法律自体は単純延長でございまして、ここも一つの突っ込みどころなんですが、五年間で結局法律事項が変わっていないんだったら、五年ごとに見直すというのは余り根拠がないじゃないかということも一つ言えるわけですけれども、しかし、他方で弊害も生まれております。

 今回、法律事項ではありませんが、交付金制度の交付要綱の変更が予定されておりまして、奄美につきましては、準住民、つまり住民票を移して本土の大学に通っている学生さんたちを準住民という設定にして、運賃割引、帰省するときとか、支援してあげようじゃないかと。これは大変結構で、約二千人の方が対象になるようですけれども、皆さん、これをよく見てください。下の升、特定有人国境離島については、この準住民への支援というのは二年前から始まっています。

 つまり、特定有人国境離島から奄美と小笠原を特出ししてしまって、それを五年置きの見直しとしてしまった結果、平成二十九年に他の離島については準住民という制度をつくったにもかかわらず、奄美については、同時に本来なすべきだと私は思うんですけれども、まあ今特措法の改正の時期じゃないからということで、五年に一回見直せばいいやということで、二年おくれてしまっているわけです。

 私は、先ほども申し上げたように、奄美、小笠原については、本来、離島振興と一緒で、恒久法として設定した後、こういう新しいアイデアが出てきたときには、本来なら、先んじることはあっても、おくれることはあってはいけないというふうに思うんですね。

 この二年間のおくれは一体何なんですか、大臣。

石井国務大臣 今、委員からの資料でもお示しをいただきましたが、奄美群島では、平成二十六年度から奄美群島振興交付金を活用した住民や旅行者向けの航路、航空路運賃の割引制度が開始をされ、特定有人国境離島では、平成二十九年度から準住民を含む住民向けの運賃割引制度が開始をされております。

 奄美群島振興交付金は、災害に強い営農施設の整備や世界自然遺産登録を見据えた自然環境の保全等、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金より幅広い施策を支援対象としております。

 準住民を対象とする制度の拡充については、地元自治体が特定有人国境離島における制度の運用状況を踏まえた検討をしていたところであり、今年度、準住民に係る制度要望をいただいたことから、必要な予算上の対応を行うこととしたところでございます。

津村委員 今の大臣のお答えは、島民の方々のせいにしているわけですね。

 今までも要望は聞いてきた、だけれども、二年前には特に要望は上がってこなくて、特定有人国境離島についての制度が始まった後、それを眺めていた島民の方々が今回要望されてきたから直ちに措置したということを今おっしゃったんですけれども、当然、二年前に国境離島について措置するときに、奄美の皆さんにもどうですかというふうにこちらから聞くべき話であって、五年に一回しか奄美のことは考えなくていいというたてつけになってしまっているために見落としたんじゃないですか、はっきり言って。

 だから、私は、こういう五年に一回しか考えなくていい制度はやめて、制度をむしろ恒久化した上で柔軟に運用するべきじゃないかということを申し上げているんです。大臣、いかがですか。

石井国務大臣 法律事項でない事項については、五年ごとに改正をしなければいけないということではありませんので、運用でございますから、それは五年の途中でも可能かと思います。

津村委員 国交省の中の人事もあるんだと思います。奄美、小笠原法案が五年に一回かかるときには、優秀な方を配置されたり、あるいは省内のリソースを使ってしっかり考えようというふうに、やはりそこは集中されるんだと思います。その中で運用面の見直しも同時に行っているんだと思います。私は、五年に一回この山谷をつくる、そういうサイクルはやめた方がいいということを申し上げているのであって、法律事項に限った話ではないということを申し上げたいと思います。

 関連しまして、小笠原についても伺いますが、この表をごらんいただきますと、小笠原については今回もこの措置はなされていません。下にありますように、小笠原の場合は、おがさわら丸が黒字でございますので、あえてサポートしなくてもいいというのが事務方から聞いた今の見立てだと思います。それでいうと、小笠原村の方から要望がないということも伺いましたけれども、これはむしろこちらから聞くべきことではないんですかね。

 ほかの有人離島では準住民の方の運賃割引をやっているのに、小笠原は、特出ししてしまったために、そして、そこの民間の小笠原海運が黒字であったために、じゃ、まあいいやということになっているわけですけれども、これはいわば逆差別じゃないですか。いかがですか。

石井国務大臣 小笠原諸島は、本土から千キロメートル離れた外海の離島であり、交通アクセスの改善は、島民生活の安定や離島振興の観点から重要であります。

 現在、小笠原諸島への唯一の交通手段は、片道二十四時間、六日に一便の定期船のみとなっておりますが、平成二十八年度に就航いたしましたおがさわら丸に関しましては、国がその建造費について補助を行い、その結果、片道一時間半の時間短縮となりました。

 小笠原においては、運賃低減の支援は行っていないものの、委員からも御紹介いただきましたが、おがさわら丸を運航する小笠原海運株式会社が住民に対し独自の割引を行っており、住民は二五%割引、小笠原出身学生は三五%の割引となっております。

 小笠原補助金については、東京都と小笠原村から要望内容を聴取し運用しておりますが、現在、運賃補助について、さらなる割引の御要請等は、小笠原村から御要望はいただいていないという状況であります。

津村委員 質疑を進めていきたいというふうに思います。

 皆さんにお配りいたしました配付資料の一ページ目、これは旧島民の方々へのアンケートでございます。

 これも特措法のときにしかアンケートをされていないわけですけれども、今回、大臣が、今現在住んでいらっしゃる島民の方々の意向というものに基づいていろいろなことを決めているということを先ほどからおっしゃっていますし、もう一つの要素は、小笠原については強制的に移住させたという戦時中の経緯がありますので、それが小笠原返還後に、欧米系の方々は返還前ですけれども、日本系の方々は返還後に帰島を許されたという経緯の中で、まだ帰っていない、あるいは帰りたいけれども帰れない方がどれだけいるのか、こうしたアンケートには当初非常に重要な重みがあったと思います。

 しかし、今、小笠原返還から五十年たって、帰りたいけれども帰れないという、それぞれ個人の御事情はわかりませんが、経済的な意味では、引っ越しのための費用というのは、これは公費でサポートしているわけですし、御本人が本気で帰りたいと思えば、制度上これを制限するものは特にないんだと思います。

 私は、この旧島民の方々、今推計しかされていないと思いますけれども、二千四百人ぐらいと推計されているというふうに伺っていますが、その中で、右上のところをごらんください、平成三十年四月に、そもそも発送数が六百八十件、回答が百六十四件です。その中で、更に言いますと、父島、母島、硫黄島で条件が大分違うわけですけれども、硫黄島は帰れないわけですから、これは、社会インフラが整っていませんし、後で確認しますけれども、帰れないというのが政府の正式な見解なので、そこの方々に帰りたいかどうか聞くということも酷な話でもありますし、父島、母島と硫黄島は少なくとも分けて考えないと、同じ結果にまとめちゃうようなことじゃないと思うんですよ。

 そういう意味で、このアンケートというのはいろいろな意味で不備があると思いますし、あえて申し上げると、五年に一度、同じフォーマットでおざなりにこうやって続けていることが、私は、さっきも申し上げたように、日本の戦後処理、小笠原に関する戦後処理の思考停止になっているんじゃないかと。

 平成も終わります。私は、この戦後処理案件を、今回の特措法審議においてきっちりけりをつけるべきだというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

石井国務大臣 今委員から御紹介いただいたように、今年度、国土交通省におきまして、小笠原諸島旧島民意向調査を実施をいたしましたが、本調査は、帰島を希望されている方の帰島阻害要因を分析をいたしまして、帰島促進のための支援策を検討するために実施をしているものでございます。

 復帰後五十年が経過し、回答者数の減少とともに現状把握も難しくなってきておりますが、調査で不足する部分につきましては、旧島民の帰島援助を行っている公益財団法人小笠原協会にヒアリングするなど、補完して意向把握に努めております。

 本調査によりますと、帰島の阻害要因といたしまして、病気や出産など緊急時の対応や交通アクセスに関することなどが大きな要因として挙げられておりまして、法を延長し、帰島を希望する旧島民の受入れに対応していくための環境整備等を引き続き講じていく必要があると考えております。

津村委員 質問を進めますが、先ほど私が申し上げた硫黄島と父島、母島の位置づけの違いについてただしたいというふうに思います。

 昭和五十九年五月、小笠原諸島振興審議会は、硫黄島には一般住民の定住は困難であり、同島は振興開発には適さないとの意見具申を行っているというふうに思います。昭和五十九年五月三十一日、当時、中曽根内閣でこうした意見具申がされていますけれども、この政府の見解は現在でも変わらないでしょうか。

石井国務大臣 昭和五十九年五月に小笠原諸島振興審議会より、火山活動による異常気象が著しいこと、産業の成立条件が厳しいことから、一般住民の定住は困難であり、同島は振興開発に適さないという意見具申がなされました。

 現在でも火山活動が活発であるなど状況に変化はないことから、見解は現在でも妥当なものと考えております。

津村委員 そのとおりだというふうに思います。

 硫黄島の近郊では、火山活動が活発になって新しい島が生まれるかもしれないというような、そういう報道もございます。今、日本の領海が広がるかもしれないというテーマでもあるので、大変注目されているわけですけれども、ことしになって火山活動が活発化しているという報道もございます。

 そうした中で、またもう一つ、この昭和五十九年の小笠原諸島振興審議会の根拠としているものは、そのときの判断というのはこういうロジックなんです。

 そもそも硫黄島と父島、母島の条件が違う四つの要素というのがまず掲げられていまして、ア、イ、ウ、エと書いていますけれども、まずアは、火山活動による異常現象が著しいこと。イ、産業の成立条件が厳しいこと。ウ、戦没者の遺骨が残存すること。エ、多くの不発弾があること。この昭和五十九年の時点で、戦没者の遺骨や不発弾の問題は、今日においてそれらが硫黄島のあり方を左右する要因とは考えられない、復帰当初のテーマだったと。私は戦没者の遺骨の話はこの後やりますけれども、そういった上で、火山活動による異常現象が著しいことと産業の成立条件が厳しいことに対する客観的かつ適切な評価によって決定されるべきものであるというロジックのもと、さっきの結論になっているんですね。

 大臣がおっしゃったように、火山活動による異常現象が著しいことというのは、今なおそうですし、もっとそうなんですね。産業の成立条件が厳しいことも、条件は変わらないと思いますし、当時の旧島民の方々が高齢化している、何しろ七十四年たっているわけですから、そのことを考えると、更にこの条件も厳しくなっていると言えるかもしれません。

 そう考えると、この硫黄島と父島、母島は、やはりしっかりと峻別して議論をしていかなきゃいけないんだということがまず一つあると思います。

 そうした問題意識のもとで、冒頭御紹介しました小作人制度の話に、農水省さんと議論に入っていきたいというふうに思います。

 ごらんいただきますと、先ほどちょっと私が早目に触れましたので、御関心のある方はもしかしたらこのブログをもうお読みになったかもしれませんけれども、小笠原諸島は、当時アメリカ統治下だったものですから、農地解放の対象にならなかったわけですね。その状態で一九六八年に小笠原返還となったわけですけれども、そのときには、もともとの、小作人だった方々、農地解放を何しろしていませんから、小作人だった方々の権利をどう守るのかという議論があって、そして特別賃借権という小笠原特有の制度を設けてそういう方々の帰島を促す措置をした。これは当時の知恵なんでしょう。

 そして、そのことも含めて、農地法が適用されないということになったものですから、農地法の本来の役割である、農地を農地以外のものにすることを規制するという部分が抜け落ちてしまって、いまだに小笠原の、これはもう旧小作人の方かどうかにかかわらず、今小笠原で農業をやっている方はみんなこの状態にあるわけです。農地法の適用外。

 これは非常に不自然な状況でありまして、ここにも下線をしておりますけれども、一つは、特別賃借権というのは、登記に出てこない、見えない権利なものですから、自分たちが、例えば皆さんが小笠原で土地を買ったとして、そこには見えない状態で、もしかしたらこの特別賃借権なるものが後々権利主張されるかもしれないという今不安定な状況にあるんです。そうすると、そんな状況では何が出てくるかわからないから、土地を買うのをためらうという方が当然出てくると思うんですね。その結果、小笠原諸島全体の産業振興がなかなか進まない原因の一つというふうに村議会議員さんが言っているわけです。

 もう一つは、農地が宅地転用できやすいという特性を持っているために、農地法の適用外にあるために、農地の価格が上がってしまって農地の流動化が進まない、農業生産向上に支障を来してしまいます、こうなっているわけです。

 もし、今なお旧小作人の方々が大勢いらっしゃって、その方々の権利との調整ということが大きな問題として今なお残っているということであれば、これは歴史的経緯のあるものですから大切にしていかなきゃいけないと思いますし、これまでの経緯を否定しようと言っているのではないんです。

 左側をごらんください。特別賃借権は今どうなっているのか。

 昭和四十五年当時は、ございますように、父島が二十九件、母島が三十一件、硫黄島と北硫黄島がそれぞれ百と三、合計百六十三件申出があったそうです。その後、平成十一年、今からちょうど二十年前の三月ですけれども、に調査をしたところ、これは、硫黄島と北硫黄島は何しろ帰っちゃだめなわけですから、もうそこで耕作している方は当然転移によりゼロですけれども、父島で三人、母島で一人という状況です。

 私、ちょっと人を介してですけれども、昨日、小笠原村の役場に、この四人の方は今どうなっているんですかということを伺いました。今、お一人だけだそうです。息子さんが継がれて耕作をされている方がお一人だけ。その方の権利は当然守られるべきだと思いますし、これまできちっと措置されてきたものを正当に継がれているわけですから、それは当然そうすべきだと思うんですけれども、それ以外の方、お一人を除くと、旧小作人の方がここで耕作しているという状況は、息子さんの代までたどっても、ないんですね。

 この状況で、私は、特別賃借権の制度を、今後についてを申し上げているんですが、維持していくメリットが見出せないと思っていまして、小笠原諸島の産業振興がなかなか進まない原因の一つなのであれば取り除くべきだというふうに思います。

 まさに、平成から新しい時代に変わるというのはたまたまかもしれませんが、小笠原返還から五十年を経てこの特措法を今議論するのであれば、そういう政治判断があってしかるべきだと思うんですが、農水省はいかがですか。

小里副大臣 今るるお話をいただいたところでございますが、小笠原諸島におきましては、昭和四十三年の本土復帰時には、旧農地のほとんどが荒れ地状態でありました。そのため、すぐに農地法を適用すると、農地として受けられる権利保護が受けられなくなっておりました。すなわち、農地法は荒れ地には適用されないためにそのようなことが起きるわけであります。そこで、農地法の施行を暫定的に停止をして、かわりにかつて耕作を行っていた島民に特別賃借権を与えて、その耕作権利を保護してきたところであります。

 これもまた委員からお話がありましたが、平成十五年に東京都が公表したところによりますと、特別賃借権の設定を申し出た人数は百六十三名でありました。そして、平成十一年時で耕作を行っている人数はそのうち四名であると聞いているところであります。

 農地法の施行停止を含む小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置につきましては、小笠原諸島振興開発審議会の意見具申におきまして、その見直しや整理には時間を要することから、まずは実態を把握して課題を抽出すべきであるとされております。

 このことから、今委員のお話もうなずける点がたくさんあるところでございますけれども、農林省としましては、制度全体を所管している国土交通省と連携して、まずは実態を把握してまいりたいということでございます。

津村委員 平成十一年のときに四人だったというところから先に進んでいない、二十年間調べていないということが今はっきりしたわけですけれども、先ほど申し上げましたように、村役場に伺えば、一人しかいないということは一日ですぐ多分お答えいただけるんだと思います。もし違ったら別の機会にお叱りいただいても仕方ないと思いますけれども、そう聞いています。

 今、実態把握ということをおっしゃいました。うなずけるところもあると言っていただきましたので、ぜひこれを機会に、今どういう実態になっているのか、これは農水省さんが農地法の所管だと思いますので、お調べいただいて、また場所を変えて質問させていただきたいと思いますので、これはきちっと進めてください。多くの皆さんはどう思われるかわかりませんけれども、私は、もうこれは整理できる段階に来ているのではないかというふうに思っています。

 そして、もう一つ、少しデリケートな部分なので、今触れなかったことを触れますけれども、これはやはり硫黄島の扱いというのがどうしても頭をよぎることなんだというふうに思います。

 私は、父島、母島と硫黄島の違いを冒頭強調させていただきまして、父島、母島については、既に島に帰る制度的な制約はほぼなくなっている中で、いわばナチュラルな実態として、今、耕作するということを選んでいる方が一人しかいない、だったら整理できるんじゃないかということを申し上げましたが、硫黄島の旧島民の方の中には、やはり政府の帰島困難という判断に対して疑問を持っていらっしゃる方は、それはいまだにいらっしゃるわけです。

 そういう方々の思いというのを政府はある意味で一刀両断しているわけですけれども、それは政治判断として仕方がない面があると思うんですが、そういう方々の思いを考えると、この特別賃借権というのは、実態としては耕作できないものの、権利としては今でも硫黄島に設定されているわけですから、その方々の思いまで整理できるのか。これは確かにデリケートな話だと思います。

 ですから、先ほど申し上げたように、これはしっかり分けて議論することで前に進むんじゃないか、一緒にしてしまうと、そういう硫黄島の方々の思いを酌むという要素が出てきて父島、母島まで動かなくなってしまう、これでは、これから二千四百人の島民を三千人にしていこうという小笠原振興の一つの障害になってしまうのではないか、そういう問題意識を指摘しておきたいというふうに思います。

 遺骨収集の話に移ります。六ページ、七ページ、八ページを使いますが、ストーリーがあるのは八ページですので、御関心のある方はお読みいただければと思います。

 硫黄島における遺骨収集の現状でございますが、毎年、十三億円、十四億円をかけて遺骨収集を続けています。六ページの右上をごらんください。平成二十二年、当時、菅直人政権ですけれども、地図が見つかりまして、硫黄島の中のここに日本の戦没者を埋めたというアメリカ側の資料が出てきて、それは資料があるから進んだということなわけですけれども、当時、十三億とかのお金で八百二十二人とか三百四十人とかということで、これは地図があったからということですけれども、大きく進みました。

 その後も、政権交代も経てですが、自民党政権の方々も、これは大事だということで新しい法律もできて、毎年、十三億、十四億かけて遺骨収集を進めています。私は、この事業は非常に重要だと思いますから、続けていただきたいというふうに思っています。

 一枚おめくりいただきますと、私、遺骨に関しては二つの段階があると思うんです。まだ見つかっていない遺骨を捜す、収集するというのが第一段階、そして第二段階は、現在の技術ですから、その遺骨が誰のものか特定することができるわけですね。DNA鑑定という技術がこの十年ほどで確立されています。

 そういう意味において、今何が行われているかというと、当初、シベリア抑留者は、遺骨もはっきりある、そして身柄もある程度特定しやすいということもあって、シベリア抑留者の遺骨については、千体前後のDNA鑑定で身元特定、そして遺骨の返還が進んでいる。これを一般の戦没者にも当てはめていこうということが数年前から取組としてありまして、沖縄が先行しています。

 ただ、沖縄は何しろ亡くなった方が大変多い地域でもありまして、なかなか、いわばマッチングといいますか、DNAの照合というのが進んでいませんで、七ページの右をごらんいただきたいんですけれども、今まで沖縄では五柱、そして硫黄島では二柱しか御遺骨を返還したというのはございません。

 ただ、その左側の千三百四十六とか四百五十九、データ抽出済み数というのをごらんいただきたいと思うんですが、これまでの取組によって、DNA抽出が既に終わっているものが硫黄島だけで四百五十九、そして、南方の全ての戦闘地域ですけれども、千三百四十六柱あるんです。南方等戦闘地域というのは、これは日本が戦った全ての地域のことを言っているわけですから、千三百四十六のうち三分の一以上が硫黄島です。つまり、硫黄島については、先ほどの地図があったことも含めて、非常に特定がしやすいんですね。

 ただ、まだ、沖縄が先行していて、硫黄島についてはほとんどマッチングはされていない、本格的には取り組まれていません。これをぜひ一日も早く、硫黄島についてもDNA鑑定の方を進めていくべきだと思うんです。

 あえて言えば、一枚戻っていただきたいんですけれども、十三億円かけて新しく見つかっている遺骨というのは十七とか四十二とかなんですね。これについては、もうお金の問題じゃないので、数が少ないからやめればいいとかいうことではなくて、これは続けていただきたいと思うんですけれども、せっかくそうやって見つかった遺骨をDNA鑑定するための予算が、上をごらんいただきたいんですけれども、一億五千万とかなんですよ。これは沖縄とか全部含めてですね。ここをもうちょっとやりませんかということが言いたいんです。せっかく硫黄島だけでも四百五十九柱、そして南方の戦闘地域が千三百四十六柱もDNA抽出が済んでいるんですから。

 これは希望者はたくさんいるんですよ。この八ページ目の物語がまさにそうなんですけれども、自分の父親、自分の親族が硫黄島で亡くなったことがわかっている、自分はDNAを提供する、だから鑑定してくれというのを厚労省は今断っているんですよ。これはひどい話だと思うんですね。まあ恐らく予算がないからということもあるんでしょうけれども、この千三百四十六柱のDNA鑑定は一日も早く、高齢者の方がふえているわけですから、遺族の方々。

 これは、上野さん、どうですか。

上野大臣政務官 お答えいたします。

 さきの大戦では大変多くの方が亡くなられました。政府として遺骨収集事業に取り組んでいるところでありますけれども、いまだ帰還を果たしていない御遺骨がたくさん残されているところであります。

 今、委員からも御指摘がありました、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の施行を踏まえて、平成三十一年度予算案においては、遺骨収集のための経費として約二十三億六千万円を計上をしています。また、このうち戦没者遺骨の身元特定のためのDNA鑑定に必要な経費として約一億六千万円を計上しています。

 さらに、一柱でも多くの御遺骨を御遺族にお返しをできるよう、記名のある遺留品や埋葬者名簿がなくても、ある程度戦没者が推定をできる場合には、その遺族に対してDNA鑑定を呼びかける試行的取組を現在沖縄で行っているところであります。

 この結果を踏まえて、南方等の戦闘地域における対応について検討を行っているところであり、その上で、予算という話もございました、必要な対応についても検討してまいりたいというふうに思います。

津村委員 この機に日本の戦後処理についてきちっと前に進めていただきたいという問題意識で、農地法の話、あるいはそもそも特措法を五年で区切ることの不可思議さ、あるいはDNA鑑定の予算が足りないという話についてるる質問をさせていただきました。今後ともぜひ取り組んでいただきたいというふうに思いますし、私も取り上げさせていただきます。

 現在の小笠原、奄美の振興について触れる時間がなかなかなかったので、最後に二つだけ指摘をして、一つだけその中で質問して、質問を終わらせていただきます。

 小笠原の非常に大きなテーマであります航空路開設について、私は、これは東京都に任せ過ぎているんじゃないかという観点で見ています。

 九ページ、そして十ページをごらんいただきますと、国管理空港がどれだけ全国にあるかということなんですけれども、九ページの別表第二は国管理空港です。稚内とか、北海道にたくさんありますけれども、これは普通に地方空港といえば地方空港に思えるんですが、やはり国が管理することによって、遠隔地域についてはしっかりサポートしていこうという、これは国の意思があると思うんです。

 そういう意味で、小笠原については、今、都が主体となって進めることによって、少し私、時間がかかっちゃっているんじゃないかと思うんです。

 十ページをごらんいただいてもわかりますように、空港整備については、実際、お金を多く払うのは国なんですね。仮に地方管理空港のままにしたとしても、十分の八とか九とか、いずれ国がサポートすることになるのであれば、早い段階から国がしっかりと、国管理空港に指定することも含めて、主体的にもっとこの問題を進めていくべきじゃないかということを申し上げたいと思います。これはいずれまた議論させてください。

 そして、最後に問いとして伺いたいのは、奄美の観光振興の話であります。

 かなり数字がふえてきている。島民の方々の何倍もの人数の方が毎年奄美を訪れている。十一万島民なのに八十万人というロットで観光客がふえている。これは、すばらしいことでもあるんですが、なかなか大変なことでもあります。

 地元から、二次交通、バスやタクシーですね、それからホテルのキャパシティー、あるいは、これからLCCが更に普及していくためには、外国人観光客、台湾の方々も含めたキャッシュレス化というのが大きなボトルネックになっている、こんな指摘も伺ったところですが、大臣、ここはどういう形で応援されていくのか伺いたいと思います。これを最後の質問にします。

石井国務大臣 奄美群島で持続的な観光振興を図るためには、受入れ環境の整備により来訪者の満足度を高めるとともに、リピーターを獲得していくことが必要と考えております。

 とりわけ、世界自然遺産登録に向けた動きも踏まえまして、奄美でのキャッシュレス化を進めることは、外国人観光客の受入れという観点からも重要と認識をしております。

 このような地域の受入れ環境整備に向けた取組に対しましては、奄美群島振興交付金等により支援することとしております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、二次交通や宿泊施設のキャパシティーも含めまして、観光振興を進める上でのボトルネックの把握に十分努めるとともに、地元自治体等と連携をしながら、入り込み客数のさらなる増加に対応できるよう、必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。

津村委員 ありがとうございました。終わります。

谷委員長 次に、川内博史君。

川内委員 委員長、理事の先生方のお許しをいただいて発言をさせていただく機会をいただきましたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 奄美群島振興開発特別措置法の改正案について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 ずっと継続されてきたこの奄振法、奄美の皆さんに大変貢献をしてきた法律であるというふうに思いますし、また、今後も貢献をしていかなければならない法律であるというふうに思いますけれども、前回の継続のときに設けられた航路・航空路運賃軽減事業、これは奄美の皆さんにめちゃめちゃ喜ばれているというふうに思います。

 この航路・航空路運賃軽減事業というのは、その前の平成二十一年の継続のときに、衆議院、参議院で、住民の皆さんのさまざまな交通運賃の軽減に奄振法を対象としていくべきではないかという附帯決議がついて、そこから検証、検討が始まって、二十六年の実際の事業の創設というものに結びついたわけでございまして、LCCの就航などもあり、津村先生からも、毎年八十万人が訪れる島になったねということで評価をいただいたわけでございます。

 今般、さらに、奄美群島の住民の皆さん方への運賃軽減事業だけではなく、準住民にも支援対象を追加するよということでお考えをいただいているわけでございますけれども、きょうは事務方にも来ていただいているので、準住民とはという定義をまず教えていただきたいと思います。

麦島政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のように、今回の予算案におきまして、この航路、航空路の運賃軽減事業、対象の拡充を予定してございまして、準住民というのに拡充したいと思ってございますが、この準住民につきましては、一つは、奄美群島外の学校等に在学する者で住民票はそちらに移されているような方というのが一つ念頭にございます。

 もう一つは、例えば、将来的に奄美に移住するということもイメージしながら、お試しで奄美群島に行かれるという方も制度のイメージとしては持ってございますが、いずれにしても、交付金の制度でございますので、地域の皆様方がどういう形で交付金を活用していくかという検討を踏まえながら、我々は、今後、この交付金の活用の中身について詰めてまいりたいというふうに思ってございます。

川内委員 今御説明がございましたけれども、地域の皆さんともよくよく相談をしながら検討して、中身を詰めていきますということです。

 大臣、そこで、私からの提案なんですけれども、交流人口をふやすという意味においては、滞在期間が長い、例えば十日以上滞在しますよとか、あるいは一カ月以上滞在しますよというような方々も対象にしてはいかがか。

 さらに、奄美出身者というのは、各地で、これはもう大臣も、私が言わずもがなですが、郷友会などを組織して、ふるさとを物すごく愛していらっしゃるし、何かあれば奄美でみんなで集まるということをされる方々が多いわけでございまして、そういう意味では、奄美の出身者及びその家族などもこの支援の対象に加えて、しょっちゅう奄美に帰れるよ、親戚に会えるよ、友達に会えるよというような事業に拡充をしていくべきではないか。

 そういう検討をぜひしていただきたいというふうに思いますが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

石井国務大臣 奄美群島におきましては、大学進学や就職を機に地元を離れる若者が多く、Uターン等による定住促進や交流人口拡大のためには、航空運賃が高額であることが課題となっております。

 このような中、三十一年度予算案におきましては、奄美群島外の学校等に在学する者で奄美群島の住民に扶養されている方に加え、交流人口の拡大に向け、将来的な移住を準備している方等についても住民並みの運賃割引を適用できるよう、必要な措置を盛り込んだところであります。

 具体的な対象範囲の設定等については、今後地元において検討がなされるものと考えておりますが、さらなる対象者の拡大につきましては、今回の措置の効果を検証しつつ、また、地域の御要望を踏まえ、検討すべき課題であると考えております。

川内委員 何か、原稿を読むだけの冷たい答弁なので残念なんですけれども、ぜひ、今私が提案をしたことを踏まえて御検討いただけるものというふうに理解をしたいというふうに思います。

 さらに、奄美の皆さんというのは、琉球とか奄美とか、独特の音楽のリズムがあるんですよね。本土は一、二、三、四ですけれども、琉球、奄美というのは、ンタ、ンタ、ンタ、ンタなんですね。裏打ちなんです。だから、すごく乗るわけですね。奄美の町中には、もう本土では見かけなくなりましたけれども、ダンスホールがあるんです。そこにみんな集まって、独特の奄美ステップというステップがあって、それで老いも若きも踊ったり歌ったりするんですけれども。

 今回のこの奄振法の中で、金融、税制による産業振興への支援として、製造業、農林水産物等販売業、旅館業及び情報サービス業等のために用いる設備の取得等に対して税制優遇という項目があるんです。奄美を訪れる人々が、夜、食事をします。そして、独特の島の焼酎を飲みます。さらに、地元の人たちとダンスホールでダンスを踊ったりして交流します。観光客の皆さんや地域の住民の皆さんが交流するそういう場所に対しても、サービス業に対しても、この税制優遇の対象業種を拡大すべきではないか。そうすることによって、更に交流人口がふえていく、ああ、楽しいところだな、いいところだなというふうに思っていただけるのではないかというふうに思っております。ぜひ検討に加えていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 奄美群島における工業用機械等に係る割増し償却制度についてでありますが、これは、民間事業者へ設備投資のインセンティブを与えることにより、投資の促進を通じた地域経済の活性化に資するものであります。

 その対象業種としては、製造業、農林水産物等販売業、旅館業及び情報サービス業等としておりましたところ、これら四業種は、設備投資を伴う製造業のほか、奄美群島広域事務組合が策定をいたしました奄美群島成長戦略ビジョンに位置づけられる重点三分野に基づいた業種でありまして、いずれも地域において主要な産業であると言えると思います。

 この割増し償却制度の対象業種につきましては、こうした地域の取組や要望を踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

川内委員 ぜひ、こういう人たちからも要望が出ると思いますので、御検討に加えていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。

 そこで、この奄美群島振興開発特別措置法というのは、法律上、奄美市そして大島郡の皆さんに、島々に適用しますよということが第一条に書いてあるわけですけれども、奄美のちょっと上に三島村、十島村という離島がございまして、これは昭和四十九年まで大島郡だったんですね。だけれども、占領政策との関係で、もともとこの奄振法の対象にはなっていなかったんですね。大島郡だったけれども、対象にはなっていなかった。だけれども、昭和四十九年まで大島郡で、その後、鹿児島郡に郡がえされたんです。

 私は、三島村、十島村という地域は、離島振興法あるいは有人国境離島法の対象にはなっているわけですけれども、奄振法の中のソフト事業というのは非常に魅力的だ、運賃軽減事業などを始めとして物すごく魅力的な法律の体系になっているわけですけれども、もともと大島郡であった三島村、十島村もこの奄振法の対象にしていただいて、この三島村、十島村の人たちも、よそに出かけるとき、あるいは三島村、十島村を訪れる人々がいらっしゃるとき、この航路運賃の軽減事業の対象などにぜひしていただきたいというふうに考えております。

 だから、奄美群島振興開発特別措置法を奄美群島等振興開発特別措置法にしていただいて、等に三島村、十島村も入るよというふうにしていただくと、更にこの奄振法というものがみんなに喜ばれる法律になるのではないかというふうに思うんです。

 今回いきなりというわけにはいかないでしょうから、審議会などで御議論いただくときに、国会でそういう意見があったよということをお伝えいただいて、検討の対象に加えていただきたいというふうに思うところでございますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

石井国務大臣 奄美群島につきましては、昭和二十八年十二月の復帰に伴いまして、翌昭和二十九年に議員立法によって奄美群島復興特別措置法が制定された経緯がございます。

 同特別措置法の制定当初から、対象地域は北緯二十九度以南にある現在の奄美群島とされてきておりまして、その後の特別措置法の延長におきましても対象地域は変更されておりません。

 委員御指摘の三島村、十島村などトカラ列島につきましては、これまでの離島振興法による支援措置に加えまして、平成二十八年に制定されました有人国境離島法に基づき、平成二十九年度から、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金による航路運賃や輸送コストの低廉化に対する支援が行われているところでございます。

 こうしたことから、離島振興法及び有人国境離島法に基づいて三島村及び十島村で進められている取組を支援することが重要であり、委員御指摘の点については慎重な検討が必要と考えております。

川内委員 今大臣御説明いただきましたけれども、支援措置が奄振法の方が手厚いので、慎重な検討が必要だということでございますけれども、慎重に御検討いただいて、文化的には十島村などは明確に奄美の文化なので、ぜひぜひ御検討いただければというふうに思うところでございます。

 さらに、もう一つ聞かせていただきたいのは、この奄振法で事業が行われる奄美大島の大変貴重な自然の砂浜である嘉徳海岸というところに、今回コンクリート護岸工事が行われるということで、全く人工的な構造物のない自然な砂浜だったわけですけれども、これが大変話題というか、みんなの議論の的になっていて、この嘉徳海岸というのは、日本のジュラシックパークあるいはジュラシックビーチというふうにも言われている。

 それはなぜかというと、二〇〇二年に、オサガメという二億年前から姿形を変えていないという大変貴重な亀が上陸をした記録があるという砂浜で、もちろん、アカウミガメ、アオウミガメというウミガメの産卵も見られるし、希少な生物が、その自然な砂浜、そしてそこに流れ込む嘉徳川から砂を供給されることによって物すごくきれいなビーチを形成しているという大変な貴重な砂浜であるというふうに私は思うんです。

 きょう、環境省にも来ていただいているんですけれども、そういう自然な砂浜、めちゃめちゃ貴重な砂浜だと私は思うんですけれども、環境省的にはこの嘉徳海岸に対してどういう認識でいらっしゃるかというのをまず教えていただきたいと思います。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の嘉徳海岸につきましては、平成二十九年三月七日に奄美群島国立公園として指定されてございます。国立公園は我が国を代表する自然の風景地であり、嘉徳海岸についても、風景の保全上重要であるというふうに認識しております。

川内委員 国交省に教えていただきたいんですけれども、日本の砂浜の中で、コンクリート護岸のない自然な砂浜、本当に手つかずで残っている砂浜というのは今どのぐらいあるのかということを、わかれば教えていただきたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 日本全国の海岸が約三万五千キロメートルございますけれども、そのうち、砂浜を擁するいわゆる砂浜海岸につきましては約四千八百キロメートル存在をしております。しかしながら、この砂浜海岸のうち、コンクリート護岸が設置されているかどうかという点では、残念ながら把握はしておりません。

 ただ、推測ではございますけれども、いわゆる、背後に守るべき対象のない、防護対象のない海岸、これを一般公共海岸と呼んでおりますけれども、これが、先ほど申し上げました三万五千キロのうち八千五百キロメートルほどございます。そこには防護のために手を加える必要がございませんので、全てが砂浜があるということではもちろんないんですけれども、その中には相当程度、いわゆるコンクリート護岸等のない砂浜が存在しているというふうには考えてございます。

川内委員 環境省に教えていただきたいんですけれども、国立公園の中で、コンクリート護岸のない自然な砂浜というのはどのくらいあるんでしょうか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 網羅的に承知しているわけではございませんが、例えば三陸復興国立公園の十八鳴浜、あるいは山陰海岸国立公園の鳥取砂丘、また西表石垣国立公園の西表島の南風見田の浜などがございます。

川内委員 いずれにしても、国立公園の中のコンクリート護岸のない自然な砂浜というのは貴重な砂浜であるというふうに言えると思うし、そこにまたウミガメが産卵し、二億年前の亀が上陸した記録があるということで、何でそこにコンクリート護岸を設置するかというと、平成二十六年に台風が襲来し、その台風によって砂が削り取られたから、だから集落を守るために仕方なくそういう対策をするんだよということなわけでございますが、もちろん、集落は守らなければならないというのは、これはもうみんな、そうだねということになるというふうに思うんです。

 では、コンクリート護岸でなければならないのかということになるわけですけれども、現状、国交省に教えてほしいんですけれども、嘉徳海岸は、平成二十六年に砂浜が削り取られて以降、嘉徳川から砂が供給されて砂浜は順調に回復しているというふうに、砂の供給は順調であるというふうに考えてよろしいかということを、まず事実関係を教えていただきたいと思います。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の嘉徳海岸につきましては、奄美大島の瀬戸内町にある砂浜海岸でございまして、平成二十六年の十月の台風の波浪によりまして砂浜やその奥にございます砂丘が大きく侵食をされまして、浜崖が人家や墓地に迫ったことから、海岸管理者である鹿児島県が平成二十八年度から防災・安全交付金を活用して侵食対策事業に着手をしているところでございます。

 砂浜の動向ということだというふうに思いますけれども、この事業を実施するに当たりまして、県が、海岸あるいは水生生物、環境の専門家、あるいは地元住民等で構成をいたします嘉徳海岸侵食対策事業検討委員会を設置をして、工事の進め方等について検討したところでございますけれども、その中の議論といたしましては、一旦、台風で侵食された砂浜は自然に回復してくる見込みであるというようなことが議論をされているというふうに承知をしております。

川内委員 だから、順調に砂が供給されて回復をするであろうということなわけですけれども、そこにコンクリート護岸を設置して、自然な植栽は施すわけですけれども、非常に貴重な砂浜ですから、私は慎重にすべきではないかというふうに思っていて、世界自然遺産にも登録されるわけですから、島全体として、自然環境に物すごく配慮しているよということが大事なんじゃないかなと思うんです。

 環境省にお尋ねしたいんですけれども、防災対策を施す上でも自然の生態系を生かした防災対策、防災の工法、工事の仕方というものがあるんだよということで、環境省さんが提唱するEco―DRRという考え方があるというふうに聞いておりますが、このEco―DRRという防災・減災の手法とはいかなるものかというのを教えていただきたいと思います。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 生態系を活用した防災・減災、英語の頭文字をとってEco―DRRと称してございますが、これに関しましては、昨年四月に閣議決定された環境基本計画において、災害リスクの低減に寄与する生態系の機能を評価し、積極的に保全、再生することで、生態系を活用した防災・減災を推進することとしています。

 環境省といたしましては、地域づくりを担う自治体等にこうした考え方の普及を図るなど、Eco―DRRの推進に向け、引き続き積極的に取り組んでまいります。

川内委員 閣議決定された環境基本計画の中で位置づけられているということですから、当然、国交省もこれを知っているわけですよね。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 国交省としても、環境基本計画にそのような位置づけがあることは承知をしております。

川内委員 大臣にちょっと嘉徳海岸についての御見解をお聞きしたいんですけれども、嘉徳海岸での防災・減災について、コンクリート護岸工事をせずに、自然環境を傷つけない方法で、今、環境省そして政府として閣議決定しているEco―DRRという方法で防災・減災ができるのであれば、私はそうすべきではないかというふうに思います。

 何か工事の着工は近いらしいですけれども、砂は順調に供給されておりますので、台風のシーズンも、まだ夏まではもうちょっとありますので、ここで一旦踏みとどまる、そしてもう一度よく検討するということをされたらいかがかというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいというふうに思います。

石井国務大臣 砂は供給されていると思いますが、砂崖が造成されるほど大量の砂が供給されるには相当の時間が恐らくかかるだろうというふうなことは認識をしております。

 砂浜は、貴重な自然環境や景観を構成をしまして、海辺の地域の生活を支える場としても重要であり、またさらに、高波等に対する防護の機能を有しております。そのため、海岸の防護におきましては、住民の安全を確保しつつ、できる限り自然な砂浜を保全することが重要と考えております。

 嘉徳海岸では、自然の砂浜はそのまま生かした上で、住家等を抱える背後の侵食された砂丘について、防護対策を行いながら、護岸の前面に盛土と植栽を行うなど、可能な限りもとの姿に復元しようとしております。

 こうした整備方針は、専門家や地元住民が参画した場で検討された上で決定されておりまして、自然な砂浜を生かした海岸沿いの防災への取組として評価すべきものであると考えております。

 国土交通省といたしましても、引き続き、砂浜の防護機能を生かしまして、自然な砂浜を可能な限り保全しながら、背後の住民の生命財産や国土を守る海岸保全対策に取り組んでまいりたいと存じます。

川内委員 今、大臣から御説明があったんですけれども、御説明はよくわかりますが、他方で、Eco―DRRという自然の生態系を生かした防災・減災の対策というものが大事だよということを閣議でも決定をされていらっしゃるということで、鹿児島県あるいは国土交通省の担当局がそのことを知っていたのかいないのかという問題もあろうかと思いますけれども、琉球、奄美の南西諸島においては、この非常に貴重な自然の砂浜が残っているのは、先ほど御説明があった西表島と嘉徳海岸だけなんです。二カ所だけなんです。その一カ所をコンクリート護岸を設置する。

 まあ、植栽は施しますよ。施すとしても、世界自然遺産登録の登録地域として奄美はこれから登録されていくわけですが、登録される対象地域にはリュウキュウアユというものがすんでいて、嘉徳海岸の横を流れている嘉徳川にはリュウキュウアユがすんでいるわけです。そういう状況にある中で、さらなる慎重な検討が必要とされるのではないかということを、工事着工前ですから、もう遅いよと言うかもしれませんが、指摘をしておきたいというふうに思います。

 最後に、森友学園問題について聞かせていただきたいと思います。

 衆議院の財務金融委員会で国政調査権が発動されて、業者に対して、値引きの根拠となった試掘穴のことについて業者に聞いてくださいねという指示が出たわけですけれども、政府としてその後どのように御対応をされているかということをまず教えていただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の件につきましては、平成三十一年三月一日の衆議院財務金融委員会の理事会における御議論、委員長からの御指示を踏まえまして、三月十二日に大阪航空局より設計業者に対しまして確認文書を発出したところでございます。

川内委員 さらに、きょうちょっと議論したいのは、平成二十八年に、これは値引きしなきゃいかぬのかなということで、では値引きの根拠の資料をつくらなければならないねということで、財務省、国交省が業者に指示をしてつくらせた試掘調査報告書というものがあるわけですね。この試掘調査報告書が、三・八メートルという深さの記述のある唯一の紙なんです。

 これは平成二十八年四月五日以降何日かの間でつくられているわけですけれども、他方で、平成二十八年四月五日、同日に財務省は森友学園の敷地を、四十六枚の写真を撮っています。この四十六枚の写真と試掘調査報告書に完全な矛盾がある、そごを来しているということを指摘をしたいというふうに思うんです。

 きょうは資料をお配りしていないので、委員の先生方には、ちょっと、何のこっちゃみたいに、わからないかもしれませんが、四十六カ所の財務省の資料、写真、それと、この試掘調査報告書の説明及び写真には決定的な矛盾がある。

 同じ時期につくられている書類ですけれども、このそごについて、政府として、これは財務省、国交省、きのう質問レクで、両省で協議して、お互いに矛盾があるね、そごがあるねということを認めるのか認めないのか、政府として認めるのか認めないのかについて御答弁をいただきたいということを申し上げてございますので、お答えをいただきたいというふうに思います。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十八年四月五日につきましては、近畿財務局、大阪航空局、そしてまた工事業者側が集まりまして、地下埋設物の撤去費用の見積りのための各種資料の提出を依頼しまして、ごみの状況については後日報告を求めるということにしておりましたが、その際、現地におりましたので、あわせて現地調査を行ったところでございます。

 現地調査におきましては、全体的なごみの状況を確認していたものでございまして、正確に、穴がどこに、何カ所あるのかといったことを確認を行ったものではございませんで、職員の方は、例えば、大きな穴があり、四方にごみが山積みになっているといった状況など、目についたところを写真に撮っていたというところでございます。

 一方で、委員御指摘の工事業者から提出された試掘報告書につきましては、四月五日に国から依頼した地下埋設物の撤去費用の見積りのための資料として提出されたものでございまして、工事業者が写真を撮って、穴の深さや地下埋設物の状況について提出したものと承知をしております。

 このように、両者は精度について差があると考えておりまして、交渉記録の写真や位置図と試掘報告書を突合して、両者の穴の位置が異なる理由等について説明するのは難しいというふうに考えているところでございます。

川内委員 説明は難しいと。精度に差があるという説明を聞かせてくださいと私は申し上げたわけじゃないんです。精度に差がある、この資料に。とはいえ、決定的なそごがありますよねと。

 やはり財務省というのはさすがですよね。どの位置からどっちを向いて写真を撮ったかというのを全部プロットしてあるわけですね、平成二十八年四月五日の時点において。他方で、業者がつくった資料に、敷地の中のどこに穴を掘ったか、試掘したかということがプロットしてある。

 そうすると、財務省さんの職員の方が、近畿財務局の職員の方が写真を撮って、本来はそこに穴が写っているはずなのに写っていないという決定的な写真が近畿財務局のこの資料の中にあるわけです。

 精度に差はありますよ、資料の精度に。しかし、この二つの資料、そして、業者から来た平成三十一年の二月四日の回答書に書いてある業者の証言をあわせ読むと、これは、この資料にそごがあるということは認めなければならないのではないか。そごがあるから、じゃ、どういうことなのということで業者に話を聞くということになるわけですから、これは国交省、財務省でよくよくこの二つの資料を見比べていただいて、そごがあるねということをまず認めるのか認めないのかということを私は聞いているわけで、説明してくださいとは言っていないんです。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御質問の中で、近畿財務局の方で写真を撮り、位置図を、矢印のついたものを作成していたということでございます。

 その点について若干御説明をしますと、この位置図につきましては、四月五日、当日写真を撮りました近畿財務局の職員が、職場に戻った後で記憶に基づいて作成したというふうに申しておりまして、どこまで正確に、その矢印の点も含めて、作成したかはわからないというふうに申しているところでございます。

 加えて、精度に差があると申し上げました。

 いずれにしても、四月五日の方で取り上げていただいているのは、近畿財務局が撮りました写真でございます。一方で、比較されておりますものは試掘報告書の関係ということでございますので、試掘報告書につきましては、先ほど国土交通省の方からも御答弁ございましたように、衆議院財務金融委員会での理事会での御指示を踏まえて、現在確認中というふうに承知をしているところでございます。

川内委員 富山次長さん、近畿財務局の職員の方が僕はかわいそうだと思うんですよ。このいやしくも財務省近畿財務局の職員がつくった資料を、財務局に戻ってつくった資料なので正確かどうかわかりませんと言われちゃ、じゃ、行政文書の正確性とかあるいは公正性というのは一体どこにあるんだということになるわけじゃないですか。

 しかも、四十六カ所写真を撮っていて、どっち向きに撮ったかまで全部覚えていて、財務局に戻ってから描いたんですか。そんなことないでしょう。その場できちんと記録をして、正確な資料をつくったはずですよ。

 それはおいておいても、いずれにせよ、どっちも行政文書なんですから、我々国民は、どちらも行政文書として見たときに、この行政文書間に事実にそごがあるので、そのそごについてどういう御説明になるんですかということを聞くわけですが、まず、そごがあるということを認めるのか認めないのかについて、ずっとお認めにならないわけですけれども、財務省と国交省で協議して政府としての見解を出してください、そごがあるのかないのかということを答えてくださいとずっと言っているんですけれども、もう一度お願いします。僕は、そごがあるということは認めなきゃいかぬと思いますよ。だから調査が必要なんだから。

谷委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども御答弁申し上げましたが、比較されている片方の試掘報告書の方については確認中ということでございますので、そういった状況で今委員お話しのような断定的な御答弁を申し上げることは難しいかと考えております。

川内委員 時間が来ましたので、終わらせていただきます。

谷委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今法案は奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情による不利益を解消するためのものであり、我が党も賛成の立場であります。

 今回は奄美特措法について質問したいと思います。

 前回の改正で、ソフト事業に使える交付金が創設されました。

 昨年一月、奄美市議会が議決した要望書によると、航路・航空路運賃低減事業、農水産物輸送コスト支援事業などの条件不利性改善事業は一定の成果を上げていると述べた上で、さらなる拡充を求めております。

 二〇一九年度からどのようなメニューが拡充されるのか、国土政策局にお答えいただきたい。

麦島政府参考人 お答えをいたします。

 奄美の交付金につきましては、今回の三十一年度予算案に盛り込みました拡充は大きく二つの柱がございます。

 一つは条件不利性の解消ということで、航路、航空路の運賃軽減事業の対象の拡充、また輸送費、これは加工品とか原材料等々を支援対象にするということでございます。

 もう一つ大きな柱は、成長戦略の促進という観点から、地元が雇用の拡充とか交流人口の拡充とかそういうソフト事業、特にソフト事業に取り組みやすくする環境整備ということで、国費率を上げると同時に、特別の交付税制度、特交措置を講ずるような新たな措置を予算に盛り込みをさせていただいているというところでございます。

宮本(岳)委員 ありがとうございます。

 麦島さん、お久しぶりでございます。国土交通省にお戻りのようでありまして。

 今回、航空路・航路運賃軽減事業の対象に準住民が加わっております。

 準住民の定義として、奄美群島外の学校等に在学し、奄美群島の住民に扶養されている学生とともに、知事が市町村と協議して別に定める者とございます。ここには移住、定住促進施策の一環として行う事業で島を来訪する人も入ることがあり得ると私は思うんですが、よろしいですか、それで。

麦島政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の交付金の制度拡充におきます準住民でございますが、一つは、先生御指摘のように、島外の学校等に在学する者で、扶養されている方で住民票を移されているような方、これを対象にいたしたいというふうに思ってございます。

 加えまして、今回の準住民の中では、例えば、将来の移住等々を念頭に置きながら、お試しでそこに渡航するというようなことも制度としては想定をしながら、予算案に盛り込みをさせていただいてございますが、交付金制度でございますので、地元がどのようなメニューに使いたいというふうに考えられるかということも今後十分踏まえながら、我々として交付金の執行に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 移住、定住施策の一環として行う事業で来訪する人の最有力候補は、島から出た住民の子弟だと思うんですね。帰省一般を全て指定することはできないと思うんですけれども、帰島して定住することを視野に入れ、その準備のために、現在まだ勤めたり生活している場所と奄美を行き来するような場合にも、知事が市町村と協議して定めれば、これは準住民として適用は可能でしょうか。

麦島政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の点につきましては今後十分詰めたいと思っておりますし、奄美の地域活性化という側面から、定住人口の促進という視点から見ると非常に重要な論点かと思いますが、一方で、そういう方々をどういう形でほかと不公平がないような形で取扱いをすることができるかということも含めて、その点なども含めまして、今後、地域とよく相談をしながら内容を十分詰めてまいりたいというふうに思ってございます。

宮本(岳)委員 島を出た子女に帰島を促す上で、学生時代だけでなく働き始めても運賃の補助をして、気軽に帰島できるようにしてほしいという要望も聞いております。そうして、島の出身者が島の振興にかかわれるように、環境整備にぜひ力を注いでいただきたいというふうに思っております。

 さて、今国会に本改正案が提出され、審議される予定であると聞いて、私は昨年の末に、妻とともに奄美大島に行ってまいりました。奄美パークにある日本画家田中一村の記念館を訪ねるとともに、奄美大島の豊かな自然と歴史文化遺産をしっかりと見てまいりました。

 二日目には、島の南部にある古仁屋港から加計呂麻島へも渡ってみました。残念だったのは、加計呂麻島にある安脚場戦跡公園が、災害からの復旧中とのことで、道路も通行どめで、近づくことさえできない状況だったことであります。

 安脚場戦跡公園は、連合艦隊の泊地を防衛するために旧日本陸軍が奄美大島要塞として砲台を設置し、一九四一年からは海軍によって砲台が整備された歴史遺跡であります。観光パンフレットにも載っており、私は、当日現場に向かうまで、そのような状況であることを全く知りませんでした。聞いてみると、もう二年近くも工事をしているという話でありました。

 これは一体いかなることなのか、御説明いただけますか。

麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御訪問いただきました安脚場につきまして、行かれた際に閉まっていたということに関しましては、大変、地域も含めまして、申しわけなく思っていると思います。

 それで、いずれにいたしましても、これからの交流人口の拡大とか入り込みに対応しました受入れ環境の整備という観点からは、そういう、開いているか閉じているかという情報を含めて、情報発信というのは非常に重要な視点だと思います。

 それは、地元の市町村のホームページ等々への公開に加えまして、例えば、今、奄美の空港におきまして新たな外向きの情報の発信のコーナー等々もつくりまして、空港に入られた方にその場で、群島内のいろいろな観光施設等々、今どういう状況かというような情報を発信できるような取組も進め始めているところでございますので、御指摘のようなところも含めまして、今後、情報提供のあり方については十分注意をしてまいりたいというふうに思ってございます。

宮本(岳)委員 それで、その安脚場の戦跡公園の復旧はどういう状況になっていますか。

谷委員長 麦島局長、復旧の状況についてお答えください。

麦島政府参考人 先生、大変申しわけございません、その点は御通告をいただいておりませんで、私、今、ちょっと資料等々持ってございませんので、改めまして御説明に上がらせていただきたいと思ってございます。

宮本(岳)委員 いや、きのう通告いたしましたけれどもね。

 二〇一七年八月発生の台風五号の影響で、土砂崩れの修復をずっと続けてきたと。三月中に工事が完了する予定だとおっしゃっているので、間もなく完了するやに、確認していただけますか。

麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘ということで、確認させていただきまして、御報告申し上げたいと思います。

宮本(岳)委員 先ほど述べましたように、奄美大島南部の瀬戸内町付近は、戦前は要塞化が進められ、加計呂麻島の呑之浦には、特攻兵器である震洋の基地も置かれておりました。災害復旧に時間がかかったとはいえ、安脚場砲台は戦跡公園として整備されておるわけですけれども、多くの戦跡が手入れされることなく、荒れるに任されているという状況もあると聞いております。

 これは大臣に少し御所見をお伺いしたいんですが、奄美の歴史を知る観光資源として、こういった戦跡をしっかり整備してこういうものを紹介していく、これは大事だと思うんですけれども、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 戦跡というのも、ある意味で観光資源の一つであるというふうに認識をしております。

宮本(岳)委員 奄美大島は、豊かな自然のみならず、独自の文化、歴史を持つ地域であります。戦時中は要塞化が進められ、戦後はアメリカ軍の統治下に置かれ、島ぐるみの復帰運動を経て、一九五三年、日本に返還された歴史がございます。史実に直接触れることのできる戦争遺跡の保存と活用は、奄美の振興にとって非常に大切な視点だと思います。しっかりと支援をしていただきたいと重ねてお願いしておきたいと思います。

 次に、大型クルーズ船の寄港問題についてお伺いしたい。

 奄美の南部、瀬戸内町でクルーズ船誘致の話が持ち上がっていると聞きますけれども、港湾局長、詳細を承知しておりますか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの奄美大島の瀬戸内町におけるクルーズ船の寄港地の開発の状況について、私ども承知をしておる範囲でお答え申し上げます。

 まず、国土交通省では、奄美大島と徳之島をモデルケースといたしまして、クルーズ船の寄港地の候補地検討に当たって評価すべき課題等を整理するとともに、候補地の評価と実現可能性等について概略検討を行うため、島嶼部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査を平成二十八年度、二十九年度にわたって実施をしてございます。また、その結果を平成二十九年八月にホームページ上で公表をいたしたところでございます。

 この調査の中で、現地の水深、波浪の状況、漁業への影響、サンゴ礁等の環境への影響、ビーチなどの観光資源の存在、こういった点を踏まえて、九カ所を寄港の可能性のある候補地として選定をさせていただきました。

 この候補地の一つとして、ただいま委員お尋ねの瀬戸内町の地域でございますが、西古見地区と呼ばれておる地域を候補地に挙げさせていただいたところでございます。

 これを受けて、瀬戸内町は昨年十月に、クルーズ船寄港地に関する検討協議会を地元において設置をされたと承知をしております。瀬戸内町における寄港の効果でありますとか課題等を調査分析し、クルーズ船寄港地のあり方について現在議論を進めておられると承知をしてございます。

宮本(岳)委員 その後、瀬戸内町がこの場所に寄港することを希望する船社を募集したと聞いておりますが、どういう船社が応募してきたか、おわかりですか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 第二回の同協議会におきまして、その議論の中で、具体的に寄港に関心を示すクルーズ船社から考え方を聞いてみようということが議決をされて、それを受けて、第三回、二月に開催されておりますが、その場に、ロイヤル・カリビアン社が、寄港に関心がある旨意向表明した上でその協議会に参加をし、プレゼンテーションをされたというふうに承知をしてございます。

宮本(岳)委員 もちろん、私はクルーズ観光船全てに反対しているわけではありません。観光に限ったことではありませんけれども、奄美の振興において、自然環境への配慮、住民合意が大前提だというのは言うまでもないと思うんです。とりわけ、奄美、沖縄では今、二〇二〇年の世界自然遺産登録を目指した取組が進められております。

 そこで、環境省に聞きますけれども、奄美、沖縄世界自然遺産登録に向けた経緯と今後のプロセスを説明していただきたい。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録に関しましては、諮問機関であるIUCNからの延期勧告を踏まえまして、必要な作業を進めた上で、先月一日に推薦書を再提出させていただきました。今後は、来年の夏ごろに開かれる世界遺産委員会において世界遺産への登録の可否が審議される予定でございます。

 環境省といたしましては、関係機関や関係自治体等とも十分な協議を重ね、IUCNの指摘に真摯に対応してまいりました。確実な登録に向けて、引き続き万全を期してまいります。

宮本(岳)委員 この世界遺産登録は、アマミノクロウサギ、イシカワガエル、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコ等々の生物多様性に注目し、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島を資産として推薦しているものであります。昨年五月に、IUCN、世界遺産委員会から延期勧告が出されて申請を一旦取り下げましたけれども、ことし二月に新たに申請を提出いたしました。この夏には、今お話があったとおり、改めて現地調査が入り、今が非常に大事な時期であることは間違いありません。

 観光で多くの人に訪れてもらいたいことに異論はないわけでありますが、一方で、オーバーツーリズムによる自然環境の破壊や、外来種が入り、生態系に重大な被害を及ぼす危険性も高くなります。

 環境省に重ねて聞きますけれども、日本政府の推薦書の持続可能な適正利用の推進というところでは、世界遺産登録による知名度向上に伴う観光利用の増加とそれに対する利用の適正化は、遺産価値の保全と持続的利用における最重要課題の一つである旨を指摘するとともに、鹿児島県が二〇一六年三月に策定した奄美群島持続的観光マスタープランにおいては、奄美群島の自然環境や文化の特徴を踏まえ、エコツーリズム等の少人数型で質の高い体験利用を奄美群島の観光の中心に据えていくことを目指している事実が紹介されていますけれども、事実ですね。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 推薦地に関しまして、御指摘のように記載してございます。

宮本(岳)委員 そこで、港湾局に聞くわけですが、先ほどのロイヤル・カリビアンというところのクルーズ船、そして、あなた方が想定したのは、世界最大、二十二万トン、乗組員も含めれば七千人という超大型クルーズ船でありますけれども、こういうクルーズ船の寄港地を奄美大島につくるということが、なぜ、少人数型で質の高い体験利用を奄美群島の観光の中心に据えるというこの鹿児島県の方針に沿うことになるんですか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘、二十二万トン級という具体的なお話でございますが、ロイヤル・カリビアン社が現時点において奄美大島に具体的な開発計画を保有しておる状況とは承知をしてございません。クルーズ船を寄港させる寄港地として関心を示されているという段階でございます。

 先ほど御答弁申し上げましたが、地元の協議会でロイヤル・カリビアン社がプレゼンテーションをした内容を拝見しましても、寄港に当たっての地元との共生のあり方、地元の地域産業へのインパクト、効果をこうやって与えたいというような考え方、そういったものが示されたと承知をしておりまして、具体的に船の大きさでありますとかそういった規模が示されておるとは承知をしてございません。

 したがって、二十二万トン級というようなものを前提として、影響がどうなのかと世界遺産登録との関係について問われましても、なかなかお答えするのが難しゅうございますが、いずれにいたしましても、推薦書にお示しをされております周辺管理地域に西古見地区は該当いたしますので、周辺管理地域の要件としまして、推薦地の環境に影響を与える脅威の排除、低減、地域の生物多様性の保全と地域社会の持続的発展との両立の実現等を行うこととされておりますので、この周辺管理地域の目標に沿った形での寄港地開発を進めることが重要であると認識をしてございます。

宮本(岳)委員 事実確認ですが、あなた方が奄美大島、徳之島における寄港候補地と九つ挙げたものは、最大どういう船が泊まることを想定して選んだんですか。

下司政府参考人 寄港候補地の選定に当たりましては、船の航行の安全性の観点から、水深十二メートル、これは、委員おっしゃるとおり、最大級の船舶に該当いたしますが、そういう船も安全に停泊ができるという条件で、七百数十メートルの回頭水域、あるいは水深が十二メートル確保できるという条件のもとで候補地の選定をしたという経緯でございます。

宮本(岳)委員 そういう想定でこれは選んでいるんですよね。

 それで、これは環境省に改めて聞きますけれども、延期が適当とされた昨年五月のIUCNの勧告において、推薦地の価値に影響を与える脅威としてどのような指摘がなされておりますか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 推薦地の価値に影響を与える脅威として、ノネコ、ノイヌを含む侵略的外来種、固有種の交通事故、野生生物の違法採取、観光影響が指摘されてございます。

宮本(岳)委員 まさに、侵略的外来種、固有種の交通事故、野生生物の違法採取、観光影響が指摘されております。

 私は幸運にも加計呂麻島でアマミノクロウサギに遭遇したんですけれども、私でも遭遇できるほど逃げ足の遅いウサギでありました。人が持ち込んだ野良猫や野良犬によって簡単に捕らえられ、殺されてしまうので、島を挙げて対策をしておりました。

 港湾局、世界遺産申請にこれだけ気を使わなければならないときに、なぜこのような大型クルーズ船の寄港地候補をわざわざ奄美大島や徳之島に九カ所も選定したのか。

 政府は、この選定に先立って、旅客やツアーを企画、運営する企業からの要望、関与があったのかとの質問主意書に対して、昨年六月二十三日の答弁書で、船社から、クルーズ船の日本への寄港の増加、その一環として特に奄美群島への寄港の増加について要望を受けた事実を認めております。

 そこで、具体的に聞きますが、奄美群島への寄港の増加について要望した船社は何という企業か、いつ、どのような要望を受けたのか、答弁していただけますか。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 要望があった船社はロイヤル・カリビアン・クルーズ社でございます。要望の内容は、寄港地としての奄美について多大な期待を寄せている、クルーズ振興に関する指導を期待しているという趣旨の要望でございました。

 なお、日付に関しましては、二十八年度であったことは承知しておりますが、ちょっと今、日付までは、後ほど確認させていただいて、お答え申し上げたいと思います。

宮本(岳)委員 ロイヤル・カリビアン社から、寄港地としての奄美について多大な期待を寄せている、クルーズ振興に関する指導を期待していると言われて、国土交通省港湾局は、瀬戸内町西古見地区を含む九カ所の寄港候補地を選定し、一昨年八月十四日に発表いたしました。

 港湾局の発表の何と翌日、八月十五日には、瀬戸内町は西古見集落で住民説明会を行っております。地元報道によると、この日と九月六日の二回の住民説明会で、西古見地区の住民三十六人中二十八人の賛同を得たとされております。

 一昨年十二月議会では、集落住民と町内四経済団体からのクルーズ船誘致の陳情書を採択、県に対して誘致に伴う支援を要請いたしました。これに対し住民から疑問の声が上がり、昨年三月議会で町長は計画を白紙に戻すと表明し、改めて検討協議会を設置したという経過がございます。

 調査結果公表の翌日に、早速、その一つの地区で住民説明会を開催するなどということは、国と瀬戸内町があらかじめ示し合わせていなければやれるわけがないんです。これは事前に連絡をとり合って瀬戸内町が行ったことですね。間違いないですね。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私が御説明申し上げました国交省が実施した調査でございますが、この調査の実施に当たりましては、現地の調査も行ってございます。当然、現地の関係者の協力を得て調査を実施したところでございます。

 このため、調査結果の内容についても、必要に応じて、現地の関係者、例えば瀬戸内町等に対して情報共有を行っておりますので、瀬戸内町については調査の進捗状況等について把握、承知をある程度しておったかというふうに考えてございます。

 なお、調査結果の取りまとめに当たりましては、これは国土交通省の判断で九カ所の選定を行いました。

宮本(岳)委員 港湾局は候補地を選定するに当たって、寄港候補地の条件というものを掲げております。

 係留施設の設置水深が十二メートル以上であることとか、静穏度のよい場所であることとか、サンゴ礁がないなど環境への負荷が小さいこと等々を挙げております。

 改めて環境省に確認いたしますが、この港湾局が示している寄港候補地の条件というものは、環境省と協議した上で、これなら世界遺産申請との関係で大丈夫と環境省がお墨つきを与えたものですか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 当該資料につきましては、国土交通省において検討がなされたものと承知しておりまして、その作成過程で当省は特段の協議等を受けているものではございません。

宮本(岳)委員 この条件というようなものは、環境省もあずかり知らないような代物であります。

 私は、先ほども述べたように、クルーズ観光船一般を否定するつもりはありません。しかし、瀬戸内町も含めて、奄美大島の人々がこぞって待ち望んでいる世界自然遺産登録が台なしになるようなことだけはあってはならないと思うんです。

 港湾局が訪日クルーズ旅客二〇二〇年五百万人を掲げてクルーズ船受入れのさらなる拡充に突っ走る背景には、明日の日本を支える観光ビジョンで訪日外国人旅客者数二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人などと掲げたことがあると思うんですね。

 そこで、大臣に基本的認識をお尋ねするんですが、観光先進国も結構でありますけれども、それは、自然環境を破壊したり、そこに暮らしている人々をないがしろにすることではないと思うんですけれども、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 クルーズの振興を通じました訪日クルーズ旅客の拡大は国土交通省の重要政策の一つであり、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 環境への配慮や地域住民の合意形成は、クルーズ船の寄港地開発に際して重要な要素であり、こうしたことに十分配慮して進めるべきものと考えております。

宮本(岳)委員 もちろん、この問題は本特措法の改正とは直接かかわりません。我が党は、本改正案には賛成をいたします。しかし、私は、いつから港湾局は大手クルーズ船運営会社の下請機関に成り下がったのかと情けなくなりました。

 ロイヤル・カリビアン・クルーズ社から、クルーズ振興に関する指導を期待していると言われれば、たちまちその意向に沿って、奄美、徳之島に寄港候補地を選定する。しかも、一昨年の七月二十六日には、この同じロイヤル・カリビアン・クルーズ社は、熊本県八代港とのカップリングで、国土交通省から国際旅客船拠点形成港湾としての指定を受けております。さらには、昨年六月二十九日には、鹿児島港も国際旅客船拠点形成港湾に指定され、ことし三月九日には、鹿児島県がやはりこのロイヤル・カリビアン・クルーズ社と協定を締結した経過がございます。八代、鹿児島、そして奄美と、超大型クルーズ船が運航される可能性が大だと言わなければなりません。

 くれぐれも、国民から、住民よりも企業の意向を優先していると不信の目で見られることがないように、しっかりと情報公開し、説明責任を果たした上で、あくまで住民合意で進めるべきことを強く求めて、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それじゃ、二十分ということで、限られた時間ですので進めさせていただきたいと思います。

 今回、奄美群島振興開発特別措置法、そして小笠原諸島振興開発特別措置法、それぞれの延長ということでありますけれども、我々、冒頭申し上げておきますけれども、歴史的経過も踏まえて、本法案には賛成、その後諮られている附帯決議には反対という立場になっています。

 附帯決議に関しましては、金子筆頭、矢上筆頭を始め、各理事、オブザーバーの皆様方に大変御苦労いただいて、文案を含めて決して反対という意味ではないんですけれども、五年間、五年間、ずっと、毎回毎回継続していく特別措置法ですから、本当に附帯決議自体は余り中身が変わっていないんですね、過去のも見ていただいたら多分わかると思うんですけれども。これだけ内容が変わっていないなら、本当に必要ならば、やはり本則に書き加えていって、毎回毎回附帯決議をつけていくというのはちょっと違うんじゃないかというふうに我々は感じております。

 ただ、必要性も含めて、我々は法案には賛成をさせていただくということをまず申し上げておきたいと思います。

 奄美群島に関しての特別措置法は、昭和二十九年、復帰した翌年にこの特別措置法、小笠原諸島は、復帰した四十三年の翌年、四十四年にこの法律が制定をされています。そして、今日まで延長を重ねていきました。奄美法においては制定から六十五年、小笠原法についてはちょうど五十年という経過があります。

 長くこの特別措置による支援を続けておりますけれども、これまでの支援の成果と、今後どのような方向で支援していこうと思っているのかがまず一点と、それからまた、別に離島振興法や沖縄振興の特別措置法というのもありますけれども、この法律の有効期限というのは十年なんですね。今審議されているこの特措法は五年となっていますけれども、この違いは何かあるのかお答えいただきたい。

麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美群島、小笠原諸島とも、先生御指摘のように、本土復帰以来、特別措置法のもとで振興開発を実施した結果、道路、港湾等のインフラ整備が着実に進み、また、各種ソフト施策の効果も相まって、産業の振興や住民の生活の利便性の向上が図られてきたというふうに考えてございます。

 しかしながら、引き続き、本土から遠く離れた外海に位置しているなどの地理的な条件、特殊な不利性を抱えているというふうに考えてございます。経済面、生活面で、本土との格差が引き続き存在をしているというふうに見ております。引き続き、法を延長し、振興開発の取組を進める必要があるというふうに考えているところでございます。

 両法につきましては、奄美、小笠原という極めて限られた地域を個別に対象としたものでございます。このため、短期間でその社会的、経済的な状況が変化するということから、先生御指摘のように、他の地域振興立法とは異なり、有効期限を五年として改正法案を今回提出をさせていただいているということでございます。

 なお、今後とも、本特別措置法による施策の効果等については、的確な把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 柔軟に対応するのに五年ということですけれども、本当に法案の中身も含めて柔軟に対応していただくというふうにお願いしたいというふうに思います。

 そしてまた、以前審議されたときには、五年前、平成二十六年のこの時期、三月でありましたけれども、目的の規定の改正とか、みずからの責任で地域の裁量に基づく施策の展開を後押しする交付金の創設など大きく改正しているのに比べて、今回は単純に延長という形になっていますけれども、法的な制度改正という必要はなかったのか、そしてまた、創設した交付金なんかが地元の方に満足いただいているのか、お答えいただけますでしょうか。

麦島政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美法、小笠原法が年度末に期限を迎えることを踏まえまして、奄美群島振興開発審議会及び小笠原諸島振興開発審議会におきまして、地元の意見を聞きつつ議論を重ねてきたところでございます。

 両審議会によりまして、昨年八月、意見具申がなされたところでございますが、この意見具申におきましては、現行法を延長し、引き続き、港湾等の事業に対します国庫補助率のかさ上げ、また、奄美群島におきましては交付金の交付や独立行政法人奄美群島振興開発基金による債務保証や融資の実施、また、小笠原諸島におきましては補助金の交付や帰島の促進等の特別の措置を講じ、振興開発の取組を進めていくということが求められたところでございます。

 また、今回、両法の期限を延長することにあわせまして、地元の要望を踏まえつつ、平成三十一年度予算では、奄美法に基づきます交付金において輸送費、運賃支援の充実や成長戦略の推進に係ります制度の拡充等を、また、平成三十一年度税制改正におきましては、帰島促進等の特例措置の延長を盛り込むということにしたところでございます。

 このように、私どもとしましては、今回の取組につきましては、地元の要望を十分に踏まえたものになっているというふうに考えているところでございます。

井上(英)委員 本年の二月一日ですかね、ユネスコ世界遺産センターに対して、奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島の世界自然遺産推薦に係る推薦書というのが提出されました。昨年に、諮問機関であるIUCN、国際自然保護連合から、生物多様性に富む米軍北部訓練場跡地が推薦地に含まれていないことなどを疑問視されて、登録延期勧告を受けて推薦書を一旦取り下げられたということであります。

 来年の夏ごろに世界自然遺産の登録というのがある、可否が決定されるということでありますけれども、登録がなされた場合、やはり観光客がどんどん増加してくる。そうなってくると、やはり、ごみの問題なんかも含めて、自然破壊というのにつながっていくんじゃないかと思うんです。そしてまた、小笠原においては、もう世界自然遺産登録されています。

 それぞれの群島それから諸島において自然環境の保護と観光振興の両立というのが必要になってくるんですけれども、それぞれの取組についてお伺いをいたします。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美、沖縄、そして小笠原、それぞれの地域でございますが、いずれの地域におきましても、地域連絡会議及び科学委員会を設置いたしまして、関係行政機関と地域の団体及び学識者等との連携を行いつつ、世界自然遺産としての価値を将来にわたって維持していくための科学的知見に基づく適切な保護管理を行っております。

 具体的には、希少な野生生物の保護増殖や外来種対策等の自然環境の保護の取組とともに、観光振興との両立を図るため、関係機関等と連携しながら、適正利用のためのルールの策定、実施等を進めているところでございます。

 環境省といたしましては、今後とも、これらの取組を進め、世界自然遺産としての貴重な自然環境の保護に取り組んでまいります。

井上(英)委員 難しいことだと思うんですね。ただ、どちらもなし遂げていただかないといけないというふうに思いますので、環境省含めて国交省も頑張っていただくようにお願いをいたします。

 個別にちょっと聞きたいんですけれども、まず奄美群島についてお伺いをいたしますけれども、ちょっと時間もありませんので、まとめてお聞きをしますので、麦島局長、塚原局長、お答えをいただけたらというふうに思います。

 まず一つ目は、先ほども申し上げているように、観光客というのがこれからやはりふえていくんじゃないか。外国人観光客が昨年度で五千人程度ということになっています。全体では八十万人ぐらいの観光客の方がおられるんですけれども、外国人の方は五千人程度ということで、これからまだまだ、訪日観光客全体では三千万人という規模にもなってきていますので、恐らくふえていくんじゃないかな。だから、そのときの外国人観光客に対する環境整備の充実を麦島局長にお答えいただきたい。

 それから、やはり奄美群島は、台風、記録的な集中豪雨というふうな災害が非常に多い。そういう中で、ずっとそういったインフラの整備というのはしていただいてきているとは思うんですけれども、改めて災害に強い地域というか群島にしていかなければならないと思いますけれども、そこを塚原局長にお答えいただけますでしょうか。

麦島政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島の外国人の延べ宿泊者数は、先生から数字の御指摘がございましたが、平成二十六年に千九十三人であったところが、平成二十九年では四千九百九十三人というふうな形で、五倍近くまで増加をしてきているという状況でございます。

 二〇二〇年夏の世界自然遺産登録が期待をされる中で、外国人観光客の増加が見込まれる状況でございます。観光産業の活性化のためにも、奄美の持つ多彩な魅力を積極的に海外へ情報発信し、交流人口の増加を図っていくことが必要であるというふうに考えてございます。

 このような中で、国土交通省におきましては、東京、大阪、沖縄等と奄美群島を結びます路線を対象に航空運賃の割引等を行う観光キャンペーン事業、これを実施することで、東京、大阪等を経由して奄美群島を御訪問される外国人観光客のさらなる増加を後押しをしてまいりたいというふうに考えてございます。

 そして、これらの取組に加えまして、奄美群島内の例えば無料の公衆無線LANの整備の促進やキャッシュレス化への対応などの外国人観光客の受入れ体制整備につきまして、地元からの御要望も十分に踏まえつつ、それらへの支援を含めまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美群島におきましては、大規模な水害や土砂災害が発生いたしました平成二十三年の大雨の対応といたしまして、短期集中的に再度の災害を防止するための事業を実施するなど、河川、砂防、海岸事業などを着実に推進してきております。

 河川につきましては、この平成二十三年の大雨で被害を受けました大美川等におきまして集中的な河川改修を実施してきておりますけれども、まだ一部未整備のところがございますので、引き続きその対策を進めております。またさらに、その他の河川におきましても河道掘削等を行っております。

 砂防につきましては、これも平成二十三年に土砂災害がございました川内川等におきまして緊急対策を完了したところでございまして、現在、引き続きまして、それ以外の土砂災害のおそれのある箇所におきまして砂防堰堤等の整備を進めております。

 また、海岸につきましては、平成二十六年の台風による波浪の災害がございまして、嘉徳海岸におきまして侵食対策を進めているところでございます。その他の海岸におきましても高潮対策等を進めているところでございます。

 国といたしましては、引き続きまして、鹿児島県の御要望をお伺いしながら、奄美群島の防災対策を支援してまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 次に、小笠原諸島について聞きたいと思います。小笠原の空港問題については麦島局長に、そして医療体制については、厚労省から迫井大臣官房審議官にお越しいただいていますので、お答えをいただけたらと思うんです。

 小笠原諸島へのアクセス、現状は、約六日に一便、おがさわら丸というのが、三代目のおがさわら丸で、当初二十五時間半かかっていたのが二十四時間になったということであります。

 ある方に言わせると、不便さが島の自然と独自の文化を守ってきたというような方もおられます。ただ、一方で、お住まいの別の島民の方は、やはり重病のときに手おくれになるんじゃないかという懸念を抱いておられる。

 空港という議論がずっとありますけれども、小笠原航空路協議会の検討の進捗状況を麦島局長に、そして、先ほども申し上げたように、小笠原諸島では標榜診療所があるんですけれども、やはり救急搬送時、どのような対応になるのか。今、現状では約九時間、八時間四十分ぐらいかかるというふうにも言われていますけれども、今後の島内の医療体制の充実というのをどのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。

麦島政府参考人 お答えをいたします。

 小笠原諸島への交通アクセスにつきましては、先生御指摘のように、片道二十四時間の定期船のみとなっているところでございます。航空路の開設につきましては、離島振興の観点のみならず、まさに島民生活の安定という側面からも重要であるというふうに認識をしてございます。一方で、世界自然遺産の登録地域でもございます。自然環境とどのように調和を図るか、検討が必要な部分もあるというふうに認識をしているところでございます。

 小笠原航空路に関しましては、平成三十年七月に開催をされました、東京都と小笠原村が設置しております小笠原航空路協議会におきまして、今後一千メートル以下の滑走路案について検討するという旨、東京都より報告がなされたところでございます。

 航空路の実現に向けましては、先ほど申し上げましたように、自然環境への影響とか、加えまして、就航機材の確保等々の課題がある、この検討が必要であると同時に、関係者間の合意形成ということも重要であるというふうに認識しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、東京都が進める検討についてよくお話を伺いながら、引き続き、専門的な見地から助言を行っていく等、取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 小笠原諸島における医療提供体制につきましては、東京都保健医療計画及び小笠原諸島振興開発計画に基づきまして整備をされております。

 父島では小笠原村診療所、母島では小笠原村母島診療所において島内における医療の提供をしているものというふうに承知をいたしております。

 国におきましては、これらの診療所に対しまして、東京都の事業計画に基づきまして運営費の支援や医療機器購入費の支援等を行っておりまして、引き続き支援に必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 最後に、大臣にちょっとお伺いをしたいんです。

 特に小笠原諸島においては、最近人口が微増しているということで、二千五百余りの方。これも、微増というのも本当に微増なんですけれども、目標も含めて、二千四百名ぐらいが目標だという考え方もあるし、三千名が目標だというのもあります。

 そういった中で、やはりもっと具体的な目標を、人口が全ての条件ではないともちろん思うんですけれども、明確にしていかなければいけないかなというふうにも思います。もちろん、国がやること、それから都や県に任せているようなこと、あると思うんですけれども、その辺をしっかりと交通整理をしていただけたらと思います。

 小笠原諸島は、東京から南に約千キロ離れた太平洋上に散在する三十余の島々の総称であります。中でも、沖ノ鳥島は我が国の最南端、南鳥島は我が国最東端に位置しており、同諸島により我が国の排他的経済水域の約三割というのを確保しているなど、領海等の保全の観点からも、そして、冒頭申し上げたように、歴史的経過の観点からも非常に大事でありますし、引き続き定住を促進するということも重ねて重要なことだというふうに思います。

 ただ、一方で、やはり本州内には陸の孤島と言われるエリアというのがあるというのも事実であります。やはりミッシングリンクを解消するというのが喫緊の課題だというエリアもあるわけです。

 ですから、やはりそういったことも含めて、この特別措置法の重要性も含めて、実効性だとかそういったものもきっちりと五年後には証明できるような、そういう取組というのも必要だというふうに考えるんですけれども、大臣の見識をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 小笠原諸島におきましては、昭和四十三年の本土復帰以来、特別措置法のもと、インフラの整備等諸施策が実施をされ、一定の成果を上げてきたところであります。また、固有の野生動植物や希少種も数多く生息するなど、自然の宝庫といった魅力を有し、人口も増加をしております。

 今後、更に定住を促進するためには、従来からの基盤整備の効果を生かしつつ、産業振興、雇用拡大等ソフト面にも重点を置いた対策を講じていく必要がございます。

 このため、自然環境や戦跡等の地域資源を生かしたエコツーリズムを推進するなど、持続的な観光を振興してまいります。また、島に住み続けられる環境を整えるため、医療や教育等の環境整備にも力を入れてまいります。

 国土交通省といたしましては、関係省庁等と連携をいたしながら、施策の周知や効果の検証を行いつつ、今後とも、小笠原の定住の促進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

井上(英)委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、広田一君。

広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。

 ラストバッターでございますので、委員の皆様方におかれましては、もうしばらくよろしくお願いを申し上げます。

 いわゆる奄美及び小笠原振興開発特別措置法につきまして、我が会派は賛成であります。その上で、何点かお伺いをしたいと思います。

 まず、目的についてお伺いします。

 両法律では、第一条に、奄美群島と小笠原諸島の自立的発展が目的の一つとして規定がされております。この自立的発展とは何かというふうな問いに対して、過去の答弁を見ますと、例えば、平成二十六年の三月十四日の衆議院での国土交通委員会の質疑では、地域の魅力と資源を活用して、公共事業に過度に依存することなく、内発的産業による雇用が創出され、経済社会の面で発展することが継続的に期待できるというふうにしているわけでございます。

 現状、先ほど来の議論の中でも、いろいろな施策を講じていき、そして成果も上がっているというふうに承知をするわけでございますけれども、この奄美群島と小笠原諸島の自立的発展の達成度についてどう評価をされているのか、お伺いします。

石井国務大臣 両地域とも、港湾等のインフラ整備は着実に進んだものの、地理的要因による自然災害への対応が引き続き必要であるとともに、生活面でも依然本土との格差が残されております。

 奄美群島では、前回改正で奄美群島振興交付金を創設をし、農林水産物の輸送費や航路、航空路運賃の軽減を支援をしてまいりました。依然として人口流出は続いておりますけれども、社会減は縮小傾向にございます。また、世界自然遺産登録に向けた取組とも相まって入り込み客数が着実に増加をいたしまして、平成三十年には過去最高の八十八万人台を記録をいたしました。

 小笠原では、本土と一千キロメートル離れており、交通アクセスや医療等の生活環境面になお課題がございますが、Iターンが盛んで、人口はわずかながら増加傾向が続いております。

 今後は、災害対応に万全を期すとともに、観光等の豊かな地域資源を生かした産業の振興や交通アクセス等の定住環境の改善に、ハード、ソフトの両面から取り組んでいくことが重要と考えております。このため、両法律の期限を延長いたしまして、その目的に明示されております地域の自立的発展に向けた取組を引き続き行うことが必要と考えております。

広田委員 今、大臣の方から、奄美においては社会減が縮小している、また、小笠原諸島においては人口が、わずかでございますけれども増加をしている、そういった成果等についてのお話があったわけでございます。

 これは麦島局長で構いませんけれども、そういった取組を進めながら、ちょっと難しい質問になるかもしれませんけれども、何年後にこのいわゆる自立的な発展を実現するというふうに予測をしているんでしょうか。

麦島政府参考人 お答えを申し上げます。

 いつの時点で自立的発展になるのかという点につきましては大変評価が難しいと思っておりますが、いずれにしましても、今回、今法律の延長を御審議をいただいてございますけれども、この五カ年におきます取組につきましては、その効果につきまして、十分にその把握に努め、その情報を提供しながら、一方で、条件不利性の改善状況等々のデータもそろえながら、その時点時点で皆様の御判断、御審議を仰ぎたいというふうに思っているところでございます。

広田委員 答弁ございましたように、いつ達成をするのかというのは非常に難しいことなんだろうというふうに、そのとおりだというふうに思うわけでございますが、しからば、いつ達成するかわからないのに、離島振興法とか沖縄振興特別措置法、これは十年なんですよね、どうしてこの二つの法律だけ五年になってしまったのか。

 先ほど、限られたエリアというふうな井上委員に対する御答弁もあったんですけれども、確かに限られておりますけれども、奄美群島も小笠原諸島も非常に幅広いエリアを対象としておりますので、ちょっと腑に落ちずに先ほどの御答弁を聞いておったんですけれども、これらも踏まえて御所見を賜れればと思います。

麦島政府参考人 お答えを申し上げます。

 奄美法及び小笠原法、五年の有効期限ということで、今回、改正法案の御審議を賜っているところでございます。

 この理由につきましては、これまでも御説明を申し上げておりますが、我々としましては、この奄美につきましても小笠原につきましても、一定の限られた地域を対象としている中で、やはりそれを取り巻く経済社会環境の変化が非常に局地的に起きるということも踏まえながら、我々の意識としましては、少なくとも五年について、その成果を十分に検証しながら、そのときのあり方を御審議賜りながら法律のあり方を検討していただくというつもりでこの施策について取組を進めているというふうに考えてございます。

広田委員 繰り返しの答弁でございますので、もうこれ以上はお聞きはしませんけれども、不断に、五年であるということのメリットを逆に生かされて、適時適切な御対応ができるように各施策を講じていただければなというふうに思います。

 それでは次に、代替船の整備についてお伺いをいたします。

 これも先ほど若干触れましたけれども、現在、東京から父島を運航する定期船のおがさわら丸、これが経年劣化をいたしまして、その代替船である新おがさわら丸が平成二十八年に就航をいたしました。これは、新船効果もあって、二年連続で利用者もふえているということでございます。同様に、我が高知県の方でも、宿毛から沖の島、鵜来島間もそうでございますけれども、今後、ほかの地域においても、老朽化の進んだ船舶の代替として新造船の建設が進められるんだろうというふうに思います。

 一般的に、新造船をする場合は、地域公共交通確保維持改善事業費、この補助金の中のメニューの一つでございます離島航路構造改革補助金を利用することになるわけでございますけれども、そこでお伺いをいたしますが、この離島航路事業者が市町村の場合なんですが、その補助対象事業、補助対象経費、そして補助金の額、つまり補助割合は、現状はどのようになっていますでしょうか。お伺いします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 離島航路の補助制度におきましては、唯一かつ赤字の離島航路における船舶を代替建造する場合、一定の割合の補助を行っておるところでございますが、先生が御指摘されましたような公設民営の場合には、補助率は三割ということになっております。

広田委員 いや、公設民営ではなくて、まさしく離島航路事業者が市町村である場合であります。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 一定の要件を満たす船舶につきましては、補助率は一割となっております。

広田委員 そうなんです。一割、一〇%でございます。

 一方で、電車の車両であるとか路面電車、またバス、こういったものの購入に当たっての国の補助割合というのは、実は三〇%、三割なんです。

 離島を結ぶ船舶と鉄道や電車、これは同じ公共交通でございます。特に、離島を結ぶ船舶の場合が、先ほど来御指摘があったように、それが内地からの代替手段のない唯一の交通手段ということになれば、これは、人を運ぶだけではなくて、その島で住まわれる皆さんの生活必需品も運ぶなど、島民の皆さんの日常生活を支える、まさしく命の路線になるわけであります。公道であります。その意味においては、電車であるとか鉄道以上に公共性は高いと言えるのではないかなと考えるわけであります。

 しかも、離島航路の場合は宿命的に非常に赤字が常態化しているところが多いというふうに今承知をしているわけでございまして、だからこそ、離島航路の運営費補助金という制度もあって、実績の欠損額に対する国や自治体からの一定割合、五〇%だというふうにお聞きしておりますけれども、支援措置があるわけでございます。

 よって、離島航路の代替船の整備に対する支援というのは、私は経済政策というより社会政策であるというふうに考えます。そう考えますと、鉄道や電車と比べて補助割合に三倍もの差があるというのは、余りにも合理性に欠け、バランスが悪いのではないかなというふうに思うわけでございますけれども、少なくとも、この補助割合、電車や鉄道と同等の三割に引き上げるよう検討すべきではないかなというふうに思いますが、御所見をお伺いします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、離島航路が地域の住民の生活の足として果たす役割というのは非常に大きいものがあるというふうに考えておるところでございまして、このため、離島航路につきましてはさまざまな補助制度がございます。

 先ほど申し上げましたように、船舶を代替建造する場合、公設民営の場合は最大三割の補助をさせていただいておるということでございますけれども、実際、各地域におきまして、船舶の高齢化を踏まえて、代替建造を行いたいというニーズは年々高まっておるところでございまして、多くの事業者の方々にこの補助制度を御活用いただいておるところでございます。

 離島航路の補助制度全体を考えますと、実は船舶の代替建造のほかにも、運営費補助でございますとか、あるいは離島の住民の方に対する運賃補助なども行っているということでございます。そういった全体の予算をどう考えていくかということかなと思っておるわけでございますけれども、現在は、予算の制約もある中で、代替建造については最大で船価の三割という水準になっておるということでございます。

 いずれにいたしましても、全国の離島航路を維持していくためにどのような支援のあり方が望ましいかという点については、不断の検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

広田委員 不断の検討ということだろうと思います。また、財務当局との調整が必要であり、限られた予算、財源の中で非常にやりくりをされているわけであります。近年の予算額を見ましても、補正予算がつけばまだしも、非常に厳しい財政制約の中でやられていることは十分に承知するわけであります。

 ただ、海事局の中のそういった予算のやりくりというのは非常によくわかるんですが、公共交通というふうな観点に立ったときに、ほかのモードとのバランスというものを考えたときに、特に唯一の交通手段でもあるわけでございますから、そういったことを踏まえると、私は、一割というのは余りにも低過ぎるんじゃないか、せめて同じぐらいの引上げというものは必要じゃないかなというふうに思いますので、最後、もう一度、御決意も含めてお伺いをしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、さまざまな財政的な制約はあるわけでございますけれども、そういった中で、どういった支援のあり方が最善の方法であるか、引き続き検討を深めてまいりたいというふうに思っております。

広田委員 もう時間が参りました。

 先ほど、重徳委員の方からは渋い質問をというふうに言われて、できたら無電柱化の推進状況等も質問したいなというふうに思っておりましたけれども、時間が参りましたので、これで質問の方を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、伊藤忠彦君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会保障を立て直す国民会議の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。津村啓介君。

津村委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 奄美群島及び小笠原諸島の振興開発基本方針の策定に当たっては、地元の創意工夫が十分に発揮できる内容となるよう留意すること。

 二 奄美群島及び小笠原諸島における定住の促進に資するため、医療・介護等生活環境の改善について具体的かつ充実した施策の実施に努めるとともに、両地域における交流人口の増大や物価格差の是正等のため、人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策の充実について検討を加え、所要の措置の実現を図ること。

 三 奄美群島振興交付金制度は、主にソフト面での支援施策として、地域が主体的に施策を実施するためのものである趣旨に鑑み、積極的な活用が図られるようきめ細かな配慮をすること。また、奄美群島の特性に即した産業を図るため、大島紬・黒糖焼酎等の地域の特性を生かした地場産業のより一層の振興が図られるよう配慮すること。

 四 奄美群島及び小笠原諸島は、自然環境面において極めて貴重な地域であることから、その振興開発に当たっては、自然環境の保護・保全に積極的に取り組むとともに、エコツーリズム等の自然環境の保護・保全と両立する持続的な観光振興が図られるよう配慮すること。

 五 離島航空路線が住民の生活路線であること、他地域との交流の活発化に欠かせないインフラであること等に鑑み、地元の意見や自然環境との調和に十分配慮しつつ、本土・奄美群島間の航空の利便性向上や小笠原諸島における航空路の開設を含め、必要となる取組に努めること。

 六 奄美群島及び小笠原諸島は、台風の常襲地帯に位置するとともに、南海トラフ地震に伴う津波被害も想定されるなど、災害を被りやすい地理的・自然的条件にあることから、必要な防災・減災対策を推進すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。

石井国務大臣 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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