衆議院

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第4号 平成31年4月9日(火曜日)

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平成三十一年四月九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    池田 道孝君

      石崎  徹君    上杉謙太郎君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      門  博文君    金子 俊平君

      神谷  昇君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      古賀  篤君    田中 英之君

      高木  毅君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      西田 昭二君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      望月 義夫君    盛山 正仁君

      八木 哲也君    簗  和生君

      荒井  聰君    初鹿 明博君

      福田 昭夫君    道下 大樹君

      森山 浩行君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    日吉 雄太君

      伊藤  渉君    北側 一雄君

      宮本  徹君    井上 英孝君

      重徳 和彦君    広田  一君

    …………………………………

   国務大臣         石井 啓一君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   国土交通副大臣      牧野たかお君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  宮本 岳志君     宮本  徹君

同月九日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     木村 弥生君

  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君

  福田 達夫君     金子 俊平君

  藤井比早之君     石崎  徹君

  望月 義夫君     西田 昭二君

  簗  和生君     八木 哲也君

  道下 大樹君     初鹿 明博君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     藤井比早之君

  金子 俊平君     福田 達夫君

  木村 弥生君     池田 道孝君

  西田 昭二君     望月 義夫君

  宮路 拓馬君     鳩山 二郎君

  八木 哲也君     上杉謙太郎君

  初鹿 明博君     道下 大樹君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     秋本 真利君

  上杉謙太郎君     簗  和生君

    ―――――――――――――

四月二日

 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

同月八日

 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案(内閣提出第二四号)

三月二十六日

 ライドシェア(白タク)の合法化に反対することに関する請願(佐々木隆博君紹介)(第四〇四号)

 同(長尾秀樹君紹介)(第四〇五号)

 同(本多平直君紹介)(第四〇六号)

 同(吉田統彦君紹介)(第四一八号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第四二三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第四二四号)

 同(道下大樹君紹介)(第四二五号)

 同(宮川伸君紹介)(第四二六号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第四二七号)

 同(松田功君紹介)(第四四一号)

 国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(荒井聰君紹介)(第四三七号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第四三八号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第四三九号)

 同(山岡達丸君紹介)(第四四〇号)

 同(池田真紀君紹介)(第四九五号)

 アイヌ政策の拡大に反対することに関する請願(中山成彬君紹介)(第四九四号)

四月二日

 ライドシェア(白タク)の合法化に反対することに関する請願(伊藤俊輔君紹介)(第五二八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第五四六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第六〇〇号)

 国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(神谷裕君紹介)(第五二九号)

 同(本多平直君紹介)(第五四七号)

 同(道下大樹君紹介)(第五四八号)

同月八日

 ライドシェア(白タク)の合法化に反対することに関する請願(早稲田夕季君紹介)(第七〇一号)

 同(吉川元君紹介)(第七四一号)

は本委員会に付託された。

四月九日

 リニア中央新幹線の工事を直ちにやめることに関する請願(第八八号)は「宮本岳志君紹介」を「穀田恵二君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案(内閣提出第二四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 この際、国土交通大臣及び国土交通副大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。国土交通大臣石井啓一君。

石井国務大臣 塚田一郎前国土交通副大臣においては、四月一日に北九州市内の会議において事実と異なる発言をしたことに関し、行政に対する信頼を損ない、また国政に遅滞をもたらすことがあってはならないとの判断のもと、四月の五日に国土交通副大臣を辞任いたしました。

 行政の公正性に疑念を与えかねない発言については厳に慎まなければならないものと考えており、このたびの塚田一郎前国土交通副大臣の発言により国会そして国民の皆様に大変な御迷惑をおかけしたことは、まことに遺憾であります。私としてもおわびを申し上げます。

 今後、新たに就任しました牧野国土交通副大臣を始め、他の政務二役とも連携をし、国土交通行政の諸課題に全力で取り組んでまいる所存であり、引き続き、委員長、委員各位の格別の御指導をよろしくお願い申し上げます。

谷委員長 次に、国土交通副大臣牧野たかお君。

牧野副大臣 国土交通副大臣に就任いたしました牧野たかおでございます。

 谷委員長を始め理事、委員の皆様の格段の御指導をよろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長池田豊人君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 まず大臣、これまで、副大臣が辞職をすることになったにもかかわらず、コメントを出すのが随分と遅くなって、きょうになったということは、私は非常に遺憾だなというふうに思います。できれば、できるだけ早く大臣としての見解を述べるべきだったということを指摘をさせていただきます。

 今大臣から発言がありましたので、改めて求めることはせずに質問に入らせていただきます。

 まず、この下関北九州道路の問題ですけれども、この道路は、二〇〇八年に海峡横断プロジェクトについて見直しが行われ、六つのルートが全て凍結をされました。それから十一年たって、福岡県知事選挙が行われているさなかの応援の演説で、塚田副大臣が、総理、副総理の地元だから、そんたくをして予算をつけたという発言があり、辞任をするに至っている、そういうものであります。

 そこで、私も先日の内閣委員会で質問をさせていただいて、そのときに、この副大臣の発言というのが、これがそのとおりだったのかということをお伺いをしました。そうしたら、塚田副大臣は、吉田参議院幹事長からは私が会合で発言したような趣旨の発言はございませんでした、だから、事実ではないので撤回をさせていただきますと。発言はなかった、そういうことを言っているんですね。

 その吉田参院幹事長の発言だといって塚田副大臣が言ったのは、新聞の記事をつけさせていただいていますが、ここに、「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」、そういうふうに言ったということですね。

 そこで、きのうの理事懇談会に、去年の十二月二十日に副大臣と吉田参院幹事長が面会をしているそのやりとりについての省内メールを提出をしていただきました。

 一枚資料をめくっていただくと、そこにメールが、配付をさせていただいておりますけれども、二重丸がついているのが吉田参院幹事長の発言で、黒丸が塚田副大臣の発言ですが、ここで、もう見ていただければおわかりのとおり、総理、副総理という言葉が何度も出てくるんですね。

 まず最初に、これは記者がいるところで発言をしているようですが、総理、副総理の地元とは関係なく、中国、九州の経済や後世のため、オール・ジャパンで必要な道路、大会の挨拶でも、総理、副総理のことには言及しなかったと。わざわざ言及しなかったと言いながら、総理、副総理ということを言っているわけですよ。マスコミが退席した後は、総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろうとわざわざ言っているんですよ。それを受けて副大臣は、地元の調査結果をしっかり受けとめ、前向きに検討していきたい、そういう発言をしているわけです。

 ですから、塚田副大臣が、私が会合で発言したような趣旨の発言はございませんでした、会合で発言したそのとおりの発言はなかったかもしれませんが、趣旨の発言はあったんじゃないんですか。これは誰がどう考えたって、吉田参議院幹事長は、この道路は総理、副総理の地元の事業である、それをはっきり、だからやれと言ったら国交省もやりづらいだろうから、そこはわかっているよな、そんたくしてくれということを暗ににおわせて発言をしている。そういう発言ですから、塚田副大臣が、趣旨の発言はございませんでしたじゃなくて、趣旨の発言はあったんですよ。

 道路局長、その場で同席されておりましたよね。まず確認ですけれども、この吉田参院幹事長は、この道路が総理や副総理の地元の事業であるということがわかるようにお伝えしていたんですよね。そうですよね。それで、それだからこそ、この事業、予算をちゃんとつけてくれということを求めたんですよね。そうですよね。よろしいですね。

池田政府参考人 総理、副総理の地元事業であることを理由に、国で調査することを求められたことはなかったと思います。

初鹿委員 私が聞いたのは、総理、副総理の地元の事業であるということがわかるように発言はしましたよね。違いますか。

池田政府参考人 この議事録にもございますように、総理、副総理の地元とは関係なく、中国、九州の経済や後世のため、オール・ジャパンで必要な道路であるという発言をしたと記憶しております。

 また、この議事録に記載されている内容に、今の時点で私がつけ加えるべき内容はないと思います。

初鹿委員 関係なくというのは、その扱いの仕方には関係なくということであるけれども、この名前を出した時点で、この道路は総理、副総理の地元に関係する事業であるということは明示をしているわけですよ。

 ですから、塚田副大臣のこの、趣旨の発言はございませんでしたというのは、明らかに私はこれは誤りである、趣旨の発言があったと指摘せざるを得ません。

 ですので、やはり塚田副大臣にここに来ていただいて、改めて真意を聞かないと本当のことがよくわからないので、委員長、改めて塚田前副大臣に委員会に来ていただくように求めさせていただきますが、いかがでしょうか。

谷委員長 後日、理事会で協議させていただきます。

初鹿委員 じゃ、次に進めさせていただきますが、では、道路局長、お伺いしますけれども、この下関北九州道路の国直轄調査の予算をつける最終権限、決定権があるのは道路局長でよろしいでしょうか。

 それと、特定の公共事業一つ一つに箇所づけをしていくに当たって、副大臣にどのような権限があるのかについてもあわせてお答えください。

池田政府参考人 今回の直轄調査の予算計上につきましては、道路局で取りまとめ、副大臣を含む政務三役に説明をし、国交省として決定をしているところでございます。

 また、本件の下関北九州道路への道路調査費の計上につきまして、副大臣から道路局が指示を受けたことはございません。

初鹿委員 私が聞いたのは、まず、この予算を決めるに当たっての最終決定をしたのは道路局長ということでよろしいでしょうか。

池田政府参考人 今回の予算計上につきましては、道路局で取りまとめ、副大臣を含む政務三役に説明し、国交省として決定しているところでございます。

初鹿委員 先ほど、副大臣からこの道路についての指導といいましたかは一切なかったと言っておりますが、本当に、十二月二十日に吉田参院幹事長と副大臣が面会して以降、この下関北九州道路の件に関して、副大臣から道路局長及び担当課長などに対して、道路の予算のこと、この国直轄調査、予算をつけるつけない、そういう話は一切なかったということでよろしいんでしょうか。

池田政府参考人 本件の下関北九州道路につきましての道路調査費の計上について、副大臣から道路局が指示を受けた事実はなかったと考えております。

初鹿委員 そうなると、このメールでいただいている、塚田副大臣が、地元調査結果をしっかり受けとめ、前向きに検討していきたいと吉田参院幹事長に答えていますが、その参院幹事長に答えたとおりの、答えたことに従った行動を塚田副大臣はとらなかったということなんでしょうか。そういうことでよろしいんですか。

池田政府参考人 議事録にございますように、この十二月二十日の時点で、地元の調査結果を受けとめ、前向きに検討していきたいという発言がございました。こういったことを私どもも聞いております。

 その後につきまして、副大臣より具体的な調査計上の指示を受けたことは、道路局としてはなかったと考えております。

初鹿委員 じゃ、この二十日の段階でも、二十日のこの面会のときも、検討するようにということを言われなかったと。ただ横で聞いていて検討したということなんですか。

池田政府参考人 この議事録に記載されている内容につけ加えるべき内容は、私にはないと考えております。

初鹿委員 やはりこれ以上聞いても塚田さん自身がいないと議論が深まらないので、ここでやめておきますが、何らかの指示がなかったとは私は思えないので、きちんと説明をしていただきたいと思います。

 ちなみに、国の直轄調査になった事業は、これはほぼ事業化されるものなんじゃないんでしょうか。過去に、国の直轄調査の対象になって調査をした、その結果、ここの事業は事業化するには値しない、そういう判断をして事業を事業化しなかった、しないという判断をした、そういう事業というのはあるんでしょうか。

池田政府参考人 今後、下関北九州道路につきましては、直轄調査の結果を踏まえまして、計画段階評価、都市計画、環境アセスメント及び新規事業採択時評価の各段階で整備の是非について判断をしていくこととしております。

 このように、道路調査は、事業化を客観的に判断するための検討材料を整理するものでありますので、事業化を決定したものではございません。

 なお、直轄調査に着手した後に長期間事業化に至っていない道路がございます。

初鹿委員 調査が決まって長期間事業に至っていないものはあっても、この調査によって事業をするには値しないと判断したものはないんですよね。ないんですよ。よろしいですよね。ないんですよね。見当たらなかったんですよね。今うなずいておりますが、ないんですよ。つまり、国の直轄調査が行われることになると、ほぼこれは事業化されるということなんです。

 つまり、今回、調査予算として四千万円ついておりますが、これは、四千万円で終わるものではなくて、総事業費が二千億とも三千億になるとも言われている、そういう予算を決めたことにつながるようなことなんですよ。これだけの巨額の予算が総理のそんたくだということで進められているとしたら、私は非常に問題だということをまず指摘をさせていただきます。

 その上で、年表をお配りをさせていただいておりますが、こちらを見ていただきたいんですが、私は、塚田副大臣のこの発言から物が動いたわけではないというふうに感じました、この間見てきて。

 年表のところを見ていただきたいんですが、二〇一五年八月二十四日。緒方林太郎議員が質問主意書を出しているんですね。後ろにその原文をつけさせていただいておりますが、ここの答弁で、二〇一五年の八月の段階では、下関北九州道路を含め、海峡横断プロジェクトについては、個別プロジェクトに関する調査を行わないこととしておりと。二〇一五年の八月の段階では、この海峡横断プロジェクト、六つあるものですけれども、この一つ一つ個別のプロジェクトについて国は調査を行わない、そう断言した答弁をしているんですよ。

 ところが、年表を見ていただいて、ちょっと下におりていただいて、二〇一六年の十一月十六日、これは衆議院国土交通委員会で石井大臣が吉田宣弘議員の質疑に答えておりますけれども、これも後ろに議事録をつけさせていただいておりますが、この下関北九州道路については、既につながっている関門トンネルや関門橋のバイパス機能の確保など、他の五つの海峡横断プロジェクトとの違いがあると認識していると。今まではほかの海峡横断プロジェクトと同じ扱いをしていたのに、ここで急にほかの五つとは違うんだという認識を示すんですね。そして、ほかのプロジェクトとの違いを踏まえながら、地域で検討していただいて、一度、ゼロベースで必要性を再整理することが必要と考えていると。

 明らかに二〇一五年の答弁からここで方針が変わっているんですよ。方向転換を明らかにしたんです。

 この後、裏をめくっていただいて、平成二十九年、二〇一七年の二月二十日、衆議院予算委員会において、また吉田議員が石井大臣に質問をして、ここで、国土交通省としても技術面、予算面から必要な支援を検討したいという答弁をして、これが各自治体が行う調査に対する補助をつけるということにつながった、七百万円の補助をつけることにつながった。これが二年間続くということになった。

 つまり、この二〇一五年から二〇一六年の十一月までの間に、海峡横断プロジェクト、六つある中で、この下関北九州道路だけを別の扱いにするということが、そういう方針転換が行われたことになるわけです。

 何があったのかなということで、この表を見ていただくと、二月二十四日、安倍総理を囲んで懇談会が開かれたわけです。関門会というものがつくられていたということです。

 一番後ろにその資料をつけさせていただいておりますが、関門会という、下関、北九州にゆかりのある議員が有志でつくった会だということですが、二月二十四日に総理を囲んで懇親会をやってこの道路の話になった。それで、三月三十一日に国土交通大臣のところに要望に行くんですよ。

 その要望書もつけさせていただきましたが、ここを見てください。何と、代表は田中和徳議員で、事務局が西村明宏議員になっておりますが、各議員の名前が挙がっているんですが、賛同議員が十二名挙がっておりますが、その一番上に安倍晋三という総理大臣の名前が書いてある。総理大臣みずから一つの道路の事業の要望に名前を出す、そんなことが過去にあるのかなと私は驚いたんです。

 まず、道路局長、過去、こういう道路事業とかそういう個別の事業の要望で、総理大臣が名前を出して要望してきたことというのはあるんですか。

池田政府参考人 平成三十年度の一年間に国土交通本省及び地方整備局で受け取りました山口県の道路事業に関する要望書を確認したところ、総理の名前の入った要望書は確認をすることはできませんでした。

初鹿委員 多分、ずっと過去をさかのぼっても非常に珍しいんだと思うんですよ。つまり、この時点から、この下関北九州道路は総理案件、安倍案件になったんじゃないんですか。

 そこで、石井大臣に伺いますが、石井大臣は安倍総理に任命されているわけですよね。まさに安倍総理は任命権者です。

 まず、この要望書を受け取って、下関北九州道路が安倍総理の地元の事業であるということを認識をされましたか。それが一点。そして、任命権者である総理からの要望、これは私からすると指示に当たるんじゃないかと思いますが、そういう指示だという受けとめをして、これに対して何らか検討しなければならないということを考えたかどうか。まずその二点、お伺いします。

石井国務大臣 下関が安倍総理の地元であるということは大臣になる前から知っておりました。それは公知の事実であります。

 この関門会の要望書、これは、二〇一六年の春、時期はちょっとはっきり覚えていませんでしたけれども、春に要望書をお受けしたということは覚えておりますけれども、総理からの指示があったとは全く思っておりません。

初鹿委員 じゃ、大臣、この要望書を受けて、下関北九州道路について、ほかの海峡横断プロジェクトと別の扱いをするよう検討する指示を関係部署に出したことはありませんか。

石井国務大臣 この関門会の要望書を受けて、そういう指示を出したことはございません。

初鹿委員 では、二〇一五年の緒方林太郎議員の答弁からこの吉田議員の答弁に至るまでの間、明らかに方針転換が行われていると思いますが、その方針転換を、いつ、どのような場で方針転換をするということを検討し、決めたのか、それについてはっきり答えてください。

石井国務大臣 ちょっと時期ははっきり覚えていないのですけれども、私、平成二十七年十月に大臣に就任いたしまして、その後、地元の自治体、知事さんあるいは市長さん、北九州市長さん等から、この下関北九州道路についての御要望をたびたび受けてまいりました。

 その後、平成二十八年の四月に熊本地震等がございまして、その際、救援物資を運ぶ道路としての関門道路、関門トンネルあるいは関門橋の重要性について、改めて認識を深めたということもございます。

 そして、たびたびそういう御要請を受けて、あるいは熊本地震等、さかのぼれば東日本大震災ということもありましたけれども、やはり災害時の代替路の確保等々、あるいはいろいろ御要請を受ける中で、やはりこの下関北九州道路というのはほかの五つの海峡プロジェクトとは性格を異にするなと。

 この下関北九州道路は、現在ある関門トンネルや関門橋としての、バイパス機能を果たしていく。なおかつ、今の関門トンネルも非常に老朽化をして、頻繁に、落下物やあるいは補修のために平均して二日に一回ぐらい通行どめ等がある、頻繁に渋滞を起こす。そういう実態等も地元の自治体から聞くにつれて、やはりここはほかの五つの海峡プロジェクトとは性格を異にするのではないかという思いが私の中でだんだんと膨らんできまして、時期は明確に覚えておりませんけれども、これは一度、六つの海峡プロジェクトを全体として扱うのではなくて、この下関北九州道路についてはちょっと性格が違うのではないかということを道路局の方に投げかけたことはあります。

 ただ、道路局の方に、それを私から頭ごなしにやれといった指示は一切行っておりません。

初鹿委員 いずれにしても、方針転換が明らかにされたわけですので、ここが、いつ、どのような経緯で、どんな議論があって方針転換がされたのか、今、大臣が熊本地震の例を挙げてされましたけれども、そういうことも含めて、どういう事実があったのかということをきちんと、国交省の中で検討した資料が残っていると思いますので、それを全て提出をしていただきたいと思います。それがこの問題の実態を解明することになると思いますので、委員長、ぜひ取り計らいをお願いをいたします。

谷委員長 後日、理事会で協議をさせていただきます。

初鹿委員 では、時間が来ましたので、本日のところはここで終わらせていただきますが、まだまだ本当のところはよくわからないので、引き続き審議をするように求めさせていただきまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

谷委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 国民民主党の津村啓介でございます。

 冒頭、石井大臣から、塚田副大臣の辞任理由につきまして、事実と異なる発言をされたからという御説明がありましたが、それでよろしかったですか。

石井国務大臣 辞任理由は、事実と異なる発言をして、それで行政に対する信頼を損ない、国政に遅滞をもたらすことがあってはならないということで辞任をしたというふうに承知をしております。

津村委員 塚田さんの発言には三つの部分があると思うんです。一つは、大家さんが吉田幹事長と一緒に副大臣室に来た、下北道路の件ですという事実の指摘。二つ目は、吉田幹事長が私の顔を見てというやりとりの後、総理とか副総理がそんなこと言えません、そんなこと実際ないんですよ、森友とか、いろいろ言われていますけれども、でも私はそんたくしますという部分。最後に、私はそんたくします、この事業を再スタートするには、一旦国で調査を引き取らせていただく、今回の新年度の予算で、国で直轄の調査計画に引き上げました。

 この三つの部分のうち、どこが事実と異なるんですか。

石井国務大臣 これは先週の決算委員会で御本人が答弁されていたと思います。ちょっと記憶の限りで申し上げますと、そんたくをしたということについて事実と異なるというふうに、あるいは、吉田幹事長の発言に関して事実と異なるというふうに答弁されていたというふうに記憶をしています。

津村委員 大臣、きょうは、そのそんたくという言葉が非常に重要なキーワードになっている質疑だと思います。この場合、そんたくをした、していないというのが非常に大きな分かれ道ですけれども、この場合の、今回問題になっているそんたくとはどういう意味ですか。

石井国務大臣 一般的に、おもんばかるという意味かと思います。

津村委員 塚田副大臣がおもんぱからなかったとお考えになるのはなぜですか。

石井国務大臣 御本人が発言を撤回をしたということであります。

津村委員 御本人は発言を撤回されましたが、このメモが出てきました。

 このメモのやりとりは、おもんぱかったということを強く示唆するものだと思いますけれども、このメモについてどういう御感想ですか。

石井国務大臣 このメモにございますように、吉田幹事長は、総理、副総理の地元とは関係なく、中国、九州の経済や後世のため、オール・ジャパンで必要な道路ということで、必要な道路ということで要請をされたというふうに受けとめております。

津村委員 この中で塚田副大臣の発言が二つございます。一つは、マスコミがいるところで、地元の調査結果をしっかり受けとめ前向きに検討していきたい、その後、マスコミ退席後、財務大臣にも要望していただき感謝というふうにおっしゃっています。

 国土交通副大臣が、財務大臣にも要望していただき感謝とはどういう意味ですか。

石井国務大臣 これは私の発言ではないので、ちょっとその真意はよくわかりませんけれども、通常、いろいろな事業で財務省と協議をいたしますから、財務大臣に要望していただくことに感謝したのではないかなというふうに思いますけれども、これは私の想像であります。

津村委員 要望を受けた、吉田さんからこれは塚田副大臣に対して本当は要望されている場面なわけですけれども、もう既にその先のことをおっしゃっているわけですね。自分たちがこれを事業として採択した場合に、その先に財務省との折衝があるから、その場で財務大臣に、まあ麻生さんですけれども、御理解いただくというていを整えるためには財務大臣にも要望していただく必要があって、もうそれを既にしてもらっているから感謝、こういうことだと思うんですけれども、違いますか。

石井国務大臣 私は発言した当人じゃありませんから断定することはできませんけれども、一般的に言いますと、いろいろな事業は当然財務省と協議をいたしますから、協議相手の財務省にも要望していただいて感謝をしたのではないかなというふうに想像しております。

津村委員 なぜ総理や副総理の意向をそんたく、受け取っていない方が感謝するのかよくわからないんですが、大臣はどう理解されますか。

石井国務大臣 いや、ですから、一般的にいろいろな事業は、当然、財政を握っている財務省と協議をして決めていきますから、国土交通省だけではなく財務省にも要望していただいたことに感謝をしたのではないかと思いますが。

津村委員 もう一度伺うんですけれども、このやりとりをごらんになった今なお、大臣が塚田副大臣にそんたくはなかったと御判断される理由は何ですか。

石井国務大臣 まず、吉田幹事長が明確に、総理、副総理の地元とは関係なく、オール・ジャパンで必要な道路とおっしゃっているということ、もう一つは、塚田副大臣が御自分の発言を撤回をしたということであります。

津村委員 総理、副総理の地元とは関係なくとおっしゃったのはおっしゃったんだと思うんですけれども、三回も、わずか十五分のやりとりで、しかも、十五分のやりとりをかなりつづめて、全部読んでも一分ぐらいしかかからない非常にコンパクトにまとめたものの中に三回、総理、副総理と出てきて、あえて反語のように繰り返しておっしゃっているわけですよね。

 関係なくと言いながら関係あると言っているようなものだと思いますし、それを裏づけるのが塚田さんの発言で、総理とか副総理がそんなこと言えません、そんなこと実際ないんですよ、森友とか、いろいろ言われていますけれども、でも私はそんたくします。

 つまり、ストレートに言われていないことをおもんぱかったからそんたくなのであって、総理、副総理の地元とは関係なくというふうに言わせておいて、それをおもんぱかったからそんたくなわけですよ。

 だから、大臣がさっき関係なくという御発言を引かれたのはむしろ逆で、明示的にあらわれていないことを暗示的に受けとめたという意味で、そんたくそのものじゃありませんか。

石井国務大臣 塚田前副大臣は、御自身の発言を撤回をしたということであります。

津村委員 塚田副大臣はある意味どうでもよくて、撤回されたかもしれないけれども、事実としてこれが出てきたんです。これは国交省さんが出されたもので、塚田副大臣が発言を二転三転されていますので、それのどこかを切り取るつもりは私はないんです。このメモについて、これはそんたくの証拠そのものじゃないかということを言っているんです。違うとしたら、違う理由をちゃんと説明してください。

石井国務大臣 そんたくと発言をした塚田前副大臣自身が、御自身の発言を撤回したということでございます。

津村委員 私は、塚田さんがやめるべき理由は、発言ではなくて行動にあると思っているんです。だから、発言を撤回されてもこの問題行動は残っているんです。そして、それは国交省で決裁ルートに乗って行われたことなんです。

 大臣、前回ここで、政務官、政務三役の決裁権について私やりとりさせていただきました。そのときの議事録がございますが、私からは、政務三役に決裁権限があるのかと問うたところ、国家行政組織法の規定を引かれて、政務三役を決裁ルートから排除するものではないと考えておりますとおっしゃって、だとすると、決裁文書に政務三役が署名捺印しなければその決裁はおりないということでよろしいですねと私畳みかけたんですけれども、石井大臣は、そういうことになりますとおっしゃっています。

 今回は、塚田副大臣が決裁権者として署名捺印されて、この案件は決裁されたということでよろしいですね。

石井国務大臣 これは事務的なことなので、本来は政府参考人にお聞きいただければいいと思うんですけれども、箇所づけについて決裁をするということは基本的にはなかったと思います。私もサインをした記憶は過去四年間ございません。

津村委員 物理的なサインはともかくとして、箇所づけの結果には大臣は責任を負わないという意味ですか。

石井国務大臣 当然、国土交通省の行政全般を所掌しておりますので、あらゆることについて責任があろうかと思いますけれども、箇所づけ、膨大な数の箇所づけがありますから、全部を知っているわけではありませんし、こういう知事さんから陳情があったような案件についてはその方針等を伺っておりますけれども、それについて何か、決裁文書で回して決裁を行ったというよりは、予算書というか、あれは何というんでしょうかね、予算が成立した後の、ちょっと書類の名前を忘れましたけれども、そこに記述をするということをもって、記述してあるということをもって、国土交通省として決定をしたということになっているかと思います。

津村委員 手続のことをるる長くおっしゃられましたけれども、結論から申し上げますが、副大臣は決裁権者のお一人ということでよろしいですよね。

石井国務大臣 一般的には決裁権者のお一人であります。

 これについても、先ほど道路局長が答弁しましたように、道路局で方針を決めて、政務三役に指導を仰ぎながら、最終的に国土交通省で決定をしたというものであります。

津村委員 この文書の中でもう一つ問題だと私が思うのは、池田局長の、必要性ははっきりしている道路ということを明言されていることです。

 調査はこれからなんじゃないんですか。客観的に判断するために予算をつけるということをさっき局長御自身おっしゃったけれども、なぜ必要性ははっきりしているなんて最初から言えるんですか。これは局長の大問題発言だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

石井国務大臣 私も、これは平成二十八年度の国会答弁だったと思いますけれども、この下関北九州道路については、ほかの五つの海峡横断道路と違ってゼロベースで必要性を再整理すべきだというふうに申し上げていたところでございます。

津村委員 全然ゼロベースじゃないじゃないですか。必要性がはっきりしていると書かれていますよ。

石井国務大臣 現在の関門トンネルあるいは関門橋が、特に、関門トンネルと接続している国道が非常に渋滞をしている。関門トンネルが頻繁に、工事等、それから補修や、あるいは落下物等でありますけれども、これで通行どめの実態がある。さらに、同じ場所に、トンネルと橋という形式の違いはありますけれども、ほぼ同じところにございますので、防災上のやはり脆弱性というのもある。そういった点から、下関北九州道路の必要性については、やはり一定の必要性はあるのではないかというふうに考えています。

 ただ、それが本当に事業化するかどうかということは、今後、直轄調査を開始をいたしまして、計画段階評価、環境アセスメント、都市計画決定、それから新規事業採択、それぞれの段階で判断をしていくということになろうかと思います。

津村委員 国直轄の調査の信頼性を疑わせるようなことだと思うんですよね、事前に必要性ははっきりしていると言ってから調査するというのは。それは、大臣はそう思われませんか。

石井国務大臣 ある程度必要性のある道路でなければ、やはり調査は行わないと思います。

 それは、例えば、現道が非常に渋滞をしているですとか、あるいは災害時で頻繁に通行どめになるとか、そういう個々の道路の現実性の課題があって、それに対するやはり対応の必要性があって調査をする。何にも必要がないのに調査をするということは、むしろないんじゃないんでしょうか。

津村委員 総理の陳情の話に移りたいと思うんですけれども、先ほど初鹿さんから質問がありましたように、関門会の一員として総理から陳情を受け取られています。ただ、それ以外にこれまで総理から受け取った記憶はないと先ほど局長はおっしゃっていたんですが、仮にも直属の上司である総理から、一関門会員としてとはいえ、こういう陳情を受け取って、その後判断が変わると、それはもう総理の指示があったと受けとめたんじゃないかと思われるのはごく自然なことだと思うんです。陳情を受け取るべきではなかったんじゃないですか。

石井国務大臣 これは、先週の参議院の決算委員会で総理がこの関門会の要望書を説明をされて、御自身も初めてそのとき知った、要望されていたということは初めて知ったと。関門会という懇親会の仲間ではいたけれども、総理自身はこの要望書を出されているということは先週まで知らなかったということはございます。

 それから、私自身も、関門会からの御要望ということで、この関門海峡に御縁のある議員さんたちで要望に来たいということを、要望を受けましたけれども、その中に総理があるというのは、その中のメンバーの一人として総理がいるというのは後で知ったということであります。

津村委員 実態として、後から知られた可能性は十分あると思うんです、膨大な事務量だと思いますので。しかし、だとすると、そこに名前が載っていることに何の意味があるんでしょうか。本人もわからないところで名前が使われて、後でそんなの知らないというのは、やはりそれは無責任だと思いますよ。

 これから、特に決裁ルートの上にある方からの陳情というのを受けるべきではないと思うんですが、これからそういう、物事の決め方の慣行について御提案申し上げているんですが、決裁権者の上の方からの陳情を受けるというのはやめられた方がよろしいんじゃないですか。

石井国務大臣 これも先週の参議院の決算委員会で総理御自身がおっしゃっていますが、総理は陳情する立場にないと。私も総理から陳情を受けるようなことは考えておりません。

津村委員 陳情する立場にない方々が陳情をやりとりされたから言っているわけで、ないんだったらやめればいいじゃないですか。ただでさえモリカケ問題で大変この行政の信頼性について世間のチェックが厳しくなっているときに、あえてこういうことをされてしまうと、総理に御迷惑をかけるんじゃないですか、大臣。最後の質問にします。

石井国務大臣 これは私、関門会の要望を私がやったわけじゃなくて、要望を受けた方でありますから、その中にたまたま総理の名前があったということで、総理御自身もそういう要望が出たことは全くお知りになっていなかったということかと思います。

 この要望を受けたからといって、それで総理の地元だからといってそんたくするということは全くあり得ないということは申し上げておきたいと思います。

津村委員 終わります。

谷委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十八分開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 塚田前副大臣の発言にかかわって、私も質問いたします。

 あの発言は、うそならば、選挙に向けて有権者を欺いて支持を広げようとした。真実ならば、総理、副総理へのそんたくで税金をつけ、選挙に利用する、税金の私物化。どちらに転んでも、とんでもない発言であります。

 昨日出てまいりました昨年十二月の吉田、塚田会談の記録のメールを見ますと、ほんの数行の中に、吉田参議院議員の発言として、総理、副総理というせりふが三回も出てくるわけです。総理、副総理の地元であることを暗に強調しているように見えるわけですよね。

 石井大臣、このメールの記録というのは、塚田前副大臣のそんたく発言とぴったり符合するんじゃないですか。

石井国務大臣 塚田前副大臣は御自身の発言を撤回したと承知をしております。

宮本委員 撤回したのは、うそで撤回したのか、事実を言ってしまったのが問題になるので撤回したのか、そこはまだ、どちらなのかというのは究明していかなければならないわけですが、塚田前副大臣の演説会での発言は大変リアリティーがあったわけですよ。その場の雰囲気で、あんな詳細に話を思いついて人間ができるものなのか、多くの国民がそう思っております。

 それで、吉田議員からは、塚田、わかっているな、総理の地元と副総理の地元の事業なんだよと言われたということでございます。

 道路局長に確認しますが、この会談の場で、総理の地元と副総理の地元の事業だというせりふが吉田議員からあったんじゃないですか。

池田政府参考人 総理、副総理の地元事業であることを理由に、国で調査することを求められたことはなかったと思います。

宮本委員 いや、だから、総理の地元と副総理の地元の事業だというせりふはあったのかということを聞いているわけです。

池田政府参考人 議事録におきましても、総理、副総理の地元とは関係なく、中国、九州の経済や後世のため、オール・ジャパンで必要な道路であるというような発言を吉田議員の方でされているところでございます。

 そのほかにつきましては、私の方で追加するようなことはございません。

宮本委員 ほかに追加することがないというのは、これは、でも、十五分のうちほんの数十秒分しか書いていないわけですよ。ほかの部分については覚えていないということですか。

池田政府参考人 私の方で、この議事録の内容につきまして、ここが欠落をしているのではないかとか、そういう意味でこれに追加するようなものはないというふうに考えております。

宮本委員 ですから、あと十四分以上分が欠落しているわけですよ、私たちに公開されているものは。あと十四分以上分、同じことを十四分間繰り返して話したわけじゃないでしょう。記憶があるんじゃないですか。

池田政府参考人 この議事録に記載されている内容に私の方で現時点でつけ加えるべき内容はないというふうに考えております。

宮本委員 つけ加えることはないというのは、記憶がないからないのか、どういうことなんですか。書きたくないからないのか、記憶にないからないのか。

池田政府参考人 書きたくないからということではございません。

 この議事録に記載されている内容を今見たところ、私の方で、これは落ちていたんじゃないかとか、そういうことについて思い当たるところがないということでございます。

宮本委員 思い当たるところはないということですから、残りの十四分は思い出せないということなんだと思うんですよね。ちゃんと記憶を思い起こしていただきたいと思うんです。

 この塚田副大臣が演説会でおっしゃった吉田議員のせりふと今回のマスコミ退席後の吉田議員のせりふと、ちょうど何かつながるなという感じに見えるんですよね。

 つなげるとこうですよね。塚田、わかっているな、総理の地元と副総理の地元の事業なんだよと言ってそんたくを促し、その後に、総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう、与党、公明党、野党で協力して進めていくと。これはこういうせりふがあったとしか思えないようなつながり方になっていくわけですよね。

 ですから、これはそういうことなんじゃないですか。総理、副総理と言うと国交省もやりにくいだろう、このせりふの意味は、実態は総理の地元と麻生さんの地元の安倍麻生道路だ、だけれども、露骨にやると世論の批判を招くので、あえてカムフラージュして進めていこう、こういう話だったというふうにしか思えないんですよね。違いますか。

池田政府参考人 総理、副総理の地元事業であることを理由に、国で調査することを十二月二十日に求められたことはなかったと思います。

宮本委員 それは、本人だってそんたくしたと言っているわけでしょう。

 委員長、これ以上ここで議論してもはっきりしませんので、塚田前副大臣そして吉田議員の本委員会への参考人招致を求めたいと思います。

谷委員長 後日、理事会にて協議いたします。

宮本委員 次に、国で直轄調査の予算がついた過程について改めて御確認したいと思いますが、まず、地域高規格道路の候補路線について、どこを優先して国の直轄予算をつけるのか、これについて客観的なルールというのはあるんでしょうか。

池田政府参考人 地域高規格道路の候補路線を含めまして国が個別路線の道路調査を実施する際には、データに基づきまして、渋滞や交通事故などの道路交通の課題の状況及び周辺の道路の整備状況などを総合的に勘案した上で調査の着手を判断しております。

 なお、地域ごとに地形や気候、産業構造などが異なります。また、地域ごとに、物流の効率化や地域の活性化や観光振興、医療の問題、防災など、地域が抱える課題は多様でありますから、このような地域の実情を踏まえながら、個別ごとの調査の実施の判断をしております。

宮本委員 定かなルールがあるわけじゃなくて、個別ごとに総合的に勘案して決めていると。もっと言えば、大臣、副大臣、政治主導で判断で決まっていくということが可能なものになっているという話だと思います。

 もう一点お伺いしますが、この地域高規格路線の候補路線というのは今何路線あって、二〇一九年度予算で国の直轄調査の予算が初めてついた路線というのは何路線あるんでしょうか。

池田政府参考人 二〇一九年四月一日時点で、地域高規格道路の候補路線は百八路線になります。そのうち、二〇一九年度の予算で国の直轄調査の予算がついた路線は本件の路線のみでございます。

宮本委員 つまり、百八路線あるうち、この路線だけが国の直轄調査の予算がついたという話ですよ。まさに政治案件として予算がつけられていったのではないかということをうかがわせるものだというふうに思います。

 もう一つ聞きますけれども、候補路線の段階で新たに初めて国の直轄調査の予算がついたものは、過去五年ではどういうものがあるんですか。

池田政府参考人 過去五年で国の直轄調査の予算が新たについた路線は五路線でございまして、昨年度は国道百二十一号の日光地区の予算がついております。

宮本委員 それで、今回この路線だけが初めて予算がついたということですが、下関北九州道路について国の直轄予算の計上を決めたというのは、最終判断したのはどなたなのか、その過程について、経緯や理由を記した文書というのは存在するんでしょうか。

池田政府参考人 関門海峡においては関門トンネルと関門橋の二つの道路で連絡されておりますけれども、関門トンネルを含む国道二号及び三号について、慢性的な渋滞が発生しております。

 また、東日本大震災の教訓や平成二十八年四月の熊本地震の救援に際しまして、関門トンネル、関門橋が果たした役割を踏まえた代替路の重要性が再認識をされたところでございます。

 このようなことから、下関北九州道路につきまして、平成二十九年度より、福岡県、山口県、北九州市などによりまして道路のルートや構造、整備手法などの調査が実施されており、この三月八日に下関北九州道路調査検討会が開催され、調査検討の取りまとめがされております。

 この調査結果を踏まえまして、道路局の方で取りまとめを行い、副大臣を含む政務三役にも説明をし、国交省として直轄の調査の決定をしているところでございます。

宮本委員 午前の質疑のやりとりだとか、あと、参議院でもやっておりました。それから、きのうもレクがございましたけれども、個別の道路については、いろいろ決めるときには、日ごろから大臣、政務三役に説明していて、指導や助言を得ながら決めていっているということでいいわけですよね。

池田政府参考人 今御指摘のとおり、日ごろからの個別路線の整備方針の説明の際に、政務三役の方から指導や助言をいただきながら、箇所づけ等の方針に反映をしていっているところでございます。

宮本委員 午前中の答弁では、国直轄の調査費をつけることについて副大臣からの指示はなかったという答弁をされていましたが、日ごろの説明の中で、副大臣からの助言というのはあったんですか。

池田政府参考人 下関北九州道路につきまして、前塚田副大臣より個別の指導や助言はございませんでした。

宮本委員 個別の指導や助言はないということですけれども、十一月二日の自民党本部でも、下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会、道路局長は一緒に塚田副大臣と参加されております。十二月二十日の吉田、塚田会談にも参加しているわけですけれども、こういう場も含めて、この道路について副大臣と話し合った機会は一度もないということですか。

池田政府参考人 今御指摘のありました十一月二日の会合の場、あるいは十二月二十日の吉田議員が訪問された、このことを除いて、具体的に前塚田副大臣から道路局の方に下関北九州道路についての御指示を受けたことはなかったと思います。

宮本委員 十二月二十日を除いてということは、この十二月二十日の塚田副大臣のせりふというのは、事実上の指示に相当するものだというふうに捉えたということですね。

池田政府参考人 御要望を受けた後に、この御要望を踏まえて検討するようにということを、日ごろから一般的にお話を受けております。

 十二月二十日につきましても、そのような形で、この議事録にありますように、地元の調査結果をしっかり受けとめ、前向きに検討して、あ、ごめんなさい、済みません、ちょっと訂正させていただきます。この二十日のときにも、そのような一般的なお話をしていただいたかと思います。

宮本委員 十二月二十日は、一般的な話じゃなくて、個別の道路の話なんですよね。その場で、要望については受けとめて、検討してくれという話があったということですね。

池田政府参考人 一般的と申しますのは、私どもが日ごろからたくさんの要望を受けておりますけれども、その際に、要望の後に、こういった要望を踏まえて引き続き検討するようにというのは、日ごろからお話を受けております。十二月二十日もそれの一つであったように思います。

宮本委員 つまり、塚田副大臣から明確な要望を受けて、検討するようにという指示もあったという発言であります。まさに、そんたくした副大臣が道路局長に事実上の指示を行っているということじゃありませんか。

 次にお伺いしますけれども、大臣にもお伺いしますが、二〇一八年十月二十五日、安倍首相は、下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会の会長としての吉田議員と官邸で会談をしております。これは大臣じゃないですね、道路局長に聞きます。

 西日本新聞は、安倍総理は、早期実現に向けた活動をしっかり取り組むようにと述べたと報じております。当然、この総理の発言は、道路局長、当時、国交省として把握していますよね。

池田政府参考人 今委員御指摘のことについては最近知りましたけれども、その当時においては承知しておりませんでした。

宮本委員 いやいやいや、報道されたものを国交省は把握していないんですか、メディアで。これは西日本新聞の報道だと思うんですけれども。道路についての報道というのは、普通は国交省の皆さんは、あらゆる報道、専門紙まで含めて丹念に追っかけていると思いますけれども、最近まで知らなかったんですか、こういう話があったことを。国交省としてですよ。

池田政府参考人 私としては、そのお話は最近まで承知しておりませんでした。

宮本委員 局長は知らなかったけれども、国交省としては把握していた可能性はあるということですよね。

池田政府参考人 私としては存じておりませんでした。

宮本委員 局長は知らなくても、国交省は知っていると思いますよ。

 この総理の指示を受けて、一週間後に、昨年十一月二日、自民党本部で下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会の設立総会が開かれ、その場で吉田議員は、下関北九州道路の早期実現が求められる、今後は国が調査を引き継ぎ、事業化に向けた具体的検討を行うことが必要だと述べているわけですね。総会には塚田副大臣が参加し、きょうの思いをしっかり受けとめて、最大限努力していくと語っている。そして、昨年十二月二十日の吉田、塚田会談。そして、四千万円の国直轄予算の計上。

 大臣、時系列をたどったら、これはどう考えても、昨年十月二十五日の安倍総理の発言から、国直轄調査の予算がつく流れが生まれているということじゃないですか。

石井国務大臣 昨年十月ですか、官邸における会談、私も最近まで知りませんでした。どういったものだかは、私はよくわかりません。

宮本委員 時系列を見たらはっきりします。十月二十五日の総理の指示を受けて吉田議員が動き、塚田さんに大会に来ていただき、塚田さんと会談し、そして塚田さんが道路局長に検討しろと言い、それで実際に四千万円の予算がついたということじゃないですか。安倍総理の発言がきっかけで予算がついていった。まさに安倍道路になっているんじゃないですか。

 そして、下関北九州道路は、冬柴大臣がもともととめる決断をしていたものであります。

 二〇〇八年三月十二日の本委員会で冬柴大臣は、我が党の穀田議員の質問に対して、海峡横断プロジェクトという調査は、今後は行わないという決断をしましたと答弁されております。

 その後も、午前に紹介があったように、二〇一五年八月四日の質問主意書の答弁でも、政府としては、下関北九州道路を含め、海峡横断プロジェクトについては、個別プロジェクトに関する調査を行わないと答弁をしております。

 ところが、一転して、二〇一六年十一月十六日には、石井大臣は答弁で、他のプロジェクトとの違いを踏まえながら、地域で検討していただき、一度、ゼロベースでの、必要性を再整理することが必要だと答弁しております。

 何がきっかけなのか。午前も議論がありました。いろいろなことを石井大臣は述べられましたけれども、石井大臣が述べられた話というのは、二〇一六年以前も同じ状況なんですよ。調査中止の結論をひっくり返すには、余りにも説得力がない説明だったというふうに思います。この下関北九州道路を動かすことが先にありきで、動かすための理由として後づけで考えただけじゃないかというのが、私が聞いていて聞こえてきた話でございます。

 それで、午前の初鹿議員への答弁で、大臣が道路局に、他の海峡横断プロジェクトと性格を異にするのではと提起した、こういう趣旨の発言がありましたが、これは、何年何月ごろに道路局に提起したんですか。

石井国務大臣 海峡横断プロジェクトにつきましては、平成二十年三月に、六つのプロジェクトでありますが、個別プロジェクトに関する調査は行わないこととしておりました。

 一方、私、大臣就任直後に、福岡県知事などから下関北九州道路の具体化に関する要望を受けました。関門海峡については関門トンネルと関門橋の二つの道路で連絡されておりますけれども、関門トンネルを含む国道二号及び三号については、慢性的な渋滞が発生をしております。

 また、平成二十八年四月に熊本地震がございまして、救援物資の輸送等に関門トンネルや関門橋が大きな役割を果たし、代替路の重要性を再認識をしたところでございます。

 これらを踏まえまして、下関北九州道路については、既につながっている関門トンネルや関門橋のバイパス機能確保など、他の五つの海峡横断プロジェクトとの違いがあると私の中で認識が膨らんでまいりまして、こういったことについて事務方に問題提起をしたところでございます。

 時期については、平成二十八年の夏ごろだったと思うのですけれども、明確には覚えておりません。

宮本委員 今いろいろなことをおっしゃいましたけれども、それは二〇一六年以前も同じ状況だったわけですよ、関門海峡をめぐる状況というのは。中止したころともそう変わっていないですよ。

 ただ、変わったのは、その間に、関門会、安倍首相が要望書に名も連ねている関門会の皆さんからの要望は石井大臣のところに行ったということなんですね。夏ごろに道路局の方に提起したという話です、二〇一六年夏ごろ。その前にまさにあったのが、関門会の皆さんとの懇談ということになるわけですね。

 午前の答弁を聞いていて不思議だなと思ったんですけれども、要望書に安倍総理の名前があるのは後で知ったというふうにおっしゃいましたね。大変不自然ですよね。要望書は、冒頭からこう書いているわけですね。去る二月二十四日に安倍総理を囲み懇談会を開催させていただいたところ、その際、第二関門橋の早期建設促進の件が話題となり、関門会の総意として要請行動を行うこととなった。

 三月三十一日に要望書を受け取って、懇談を大臣はされているわけですよね。この懇談の際に、こういう要望書を受け取っておいて、安倍総理の名前が出ることはなかったんですか。安倍総理の名前もそこで出たんじゃないですか。どうですか、大臣。

石井国務大臣 いや、はっきり覚えていないんですけれども、関門会が陳情に来たいということで、そこで陳情を受けたわけですけれども、その中にたまたま安倍総理の名前があったということであります。

宮本委員 はっきり覚えていないということですけれども、時間ですから終わりますけれども、総理と囲んで、このことを動かすために要望書にわざわざ総理の名前も入れ、冒頭にも総理の話を入れて要望されているわけですよ。それを後で知ったなんて、全く説得力がない答弁だと言わなければなりません。

 質問時間が来たから終わりますけれども、これはまだまだ質疑をしなければならないことを申し上げまして、質問を終わります。

石井国務大臣 午前中の質問でもお答えをいたしましたが、私が関門会の要請を受けて、あるいは安倍総理をそんたくをして問題提起をしたということは全くございません。これは私自身のことですから、はっきり申し上げたいと思います。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、内閣提出、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国務大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりましたアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 平成二十年、衆参両院の本会議において、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が行われ、その前年には、国際連合において、先住民族の権利に関する国際連合宣言が採択されるなど、国内外において、先住民族への配慮を求める要請が高まっております。

 また、アイヌの人々からは、従来の福祉政策や文化振興に加え、地域振興、産業振興、観光振興を含めたさまざまな課題を早急に解決することが求められており、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策を総合的に推進していく必要があります。

 さらに、政府においては、北海道白老郡白老町に、アイヌ文化の復興等に関するナショナルセンターとして、アイヌ語で大勢で歌うことを意味するウポポイを愛称とする民族共生象徴空間を整備しているところであり、二〇二〇年四月の開業に向けて、今後とも必要な準備を円滑に進めていく必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、目的規定においてアイヌの人々が日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるとの認識を示すとともに、アイヌ施策の推進に関し、基本理念、国の責務等を定めることとしております。

 第二に、政府は、アイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本方針を閣議決定により定めることとしております。

 第三に、市町村が作成するアイヌ施策推進地域計画が内閣総理大臣による認定を受けた場合には、当該認定を受けた計画に基づく事業に関し、交付金の交付等の特別の措置を講ずることとしております。

 第四に、国土交通大臣及び文部科学大臣は、民族共生象徴空間を構成する施設の管理を、その指定する法人に委託することとしております。

 第五に、アイヌ施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣に、アイヌ政策推進本部を設置することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る三月二十七日、アイヌ施策の実施状況等調査のため、北海道を視察しましたので、参加委員を代表して、私からその概要を御報告申し上げます。

 当日の参加委員は、自由民主党の伊藤忠彦君、岩田和親君、金子恭之君、根本幸典君、松本文明君、立憲民主党・無所属フォーラムの矢上雅義君、国民民主党・無所属クラブの津村啓介君、公明党の中野洋昌君、日本共産党の宮本岳志君、日本維新の会の井上英孝君、社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦君、そして私、谷公一の十二名であります。

 このほか、現地参加として、立憲民主党・無所属フォーラムの荒井聰君、自由民主党の堀井学君、国民民主党・無所属クラブの山岡達丸君が参加されました。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、北海道白老町で二〇二〇年四月二十四日のオープンを目指して整備が行われております、アイヌの文化復興等に関するナショナルセンターとなる民族共生象徴空間において、和泉国土交通省北海道局長から象徴空間の整備状況などについて説明聴取しました。

 民族共生象徴空間は、中核区域である国立民族共生公園、国立アイヌ民族博物館等で構成されており、既に平成二十九年に、この象徴空間に関し、白老町における整備、二〇二〇年四月の一般公開、年間来場者百万人の目標等について閣議決定されております。また、象徴空間の管理に関する措置としては、先ほど石井国務大臣から提案理由の説明を聴取したアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案において、象徴空間の管理の委託及び入場料等の徴収に関する措置等について規定されております。

 ポロト湖畔に整備されている国立民族共生公園は、舞踊、工芸等のアイヌ文化の体験等を行うフィールドミュージアムとして、現在土地造成工事や体験交流ホール等の施設の建設工事が実施されておりました。また、国立アイヌ民族博物館は、アイヌの歴史や文化等に関する正しい認識と理解を促進する展示及び研究拠点であり、平成三十年二月に建物建築工事に着手しており、本年九月末に予定される建物完成に向け、整備が進められておりました。

 次に、象徴空間の一般公開に向けた準備の拠点となっております旧社台小学校において、村木美幸アイヌ民族文化財団民族共生象徴空間運営本部長代理などから、展示及び舞踊等の準備状況について説明聴取しました。

 同財団は象徴空間の管理を行う法人として指定されることが見込まれており、国立アイヌ民族博物館に展示予定の工芸品等の準備を行うとともに、ユネスコの無形文化遺産に登録されているアイヌの伝統芸能としての歌や踊りを象徴空間において披露するための練習を行っております。展示品や伝統芸能に関する説明聴取等により、アイヌ文化の保存及び継承のための人材育成の重要性について認識いたしました。

 その後、苫小牧港湾事務所において、自治体関係者、アイヌ関係者、学識経験者それぞれ三名ずつ、合わせて九名の方々と意見交換を行いました。

 意見交換では、まず、出席いただいた関係者からそれぞれ意見を聴取いたしました。

 北海道の自治体関係者については、当委員会側から、象徴空間及び同法律案に基づく新たな交付金制度を活用する今後の計画をお聞きし、白老町における来場者に対応したインフラ整備及び地域産業の活性化等の方針並びに平取町における交付金事業の考え方が示されました。

 また、アイヌ文化の振興等に現場で取り組んでいるアイヌの方々については、当委員会側から、慰霊施設における慰霊のあり方について伺い、国内のアイヌ民族全体とアイヌでない方も参加し、一緒に慰霊を行いたいとの要望等が述べられました。

 さらに、当委員会側から、交付金事業に対するアイヌ関係者からの意見聴取のあり方について伺い、交付金事業への期待の高さから、予算額の今後のさらなる拡充の要望等が述べられました。

 このほかに、アイヌ語の方言や舞踊の地域性に対する認識、象徴空間の管理運営に関する会計の透明性確保に向けた取組と来場者目標の達成見込み等について意見交換を行いました。

 また、学識経験者については、当委員会側から、諸外国の先住民族政策と比較した同法律案への評価及び先住民族の権利に関する国際連合宣言における先住民族の権利をアイヌ民族に保障することに対する所見をお聞きし、同宣言における自決権等の権利をアイヌ民族に関して法制化した場合の効果と問題点等が述べられました。

 以上が調査の概要であります。

 委員会といたしましては、今回の視察で寄せられた関係者からの要望や意見を当委員会の場に反映させ、一層議論を深めてまいりたいと存じます。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力いただきました多くの皆様に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十三分散会


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