衆議院

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第7号 平成31年4月17日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十一年四月十七日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    上杉謙太郎君

      尾身 朝子君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    門  博文君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      古賀  篤君    繁本  護君

      田中 英之君    高木  毅君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    望月 義夫君

      盛山 正仁君    荒井  聰君

      初鹿 明博君    福田 昭夫君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      日吉 雄太君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    田村 貴昭君

      宮本  徹君    井上 英孝君

      重徳 和彦君    広田  一君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小野  洋君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  森下  哲君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     繁本  護君

  谷川 とむ君     尾身 朝子君

  望月 義夫君     藤丸  敏君

  簗  和生君     上杉謙太郎君

  道下 大樹君     初鹿 明博君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     簗  和生君

  尾身 朝子君     谷川 とむ君

  繁本  護君     神谷  昇君

  藤丸  敏君     望月 義夫君

  初鹿 明博君     道下 大樹君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、環境省大臣官房審議官小野洋君、地球環境局長森下哲君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。

古賀委員 おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。

 今回は、質問の機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。

 それでは早速、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律、通称建築物省エネ法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 この法律の歴史を振り返りますと、建築物省エネ法は、エネルギーの使用の合理化に関する法律、通称省エネ法から建築物に関する省エネの規定を切り出す形で平成二十七年七月に成立しております。省エネの必要性は広く理解されていることもあり、採決は全会一致だったということであります。

 その後、エネルギー消費性能表示や省エネ性能向上計画の認定、容積率の特例といった誘導措置が平成二十八年四月に先行施行され、平成二十九年四月一日には、二千平米以上の、住宅を除く大規模建築物の省エネ基準への適合義務等の規制措置が施行されることで本格施行となりました。

 建築物省エネ法の成立から四年弱、本格施行から約二年が経過し、今回、この国会で改正案が提出されているということでございます。

 まず最初に、今回の法改正の目的、そしてパリ協定の中間目標との関係について石井国交大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 平成二十八年十一月に発効いたしましたパリ協定を踏まえまして、我が国は、二〇三〇年度の温室効果ガスの排出量を二〇一三年度と比較して二六%削減することが求められております。

 このパリ協定を踏まえまして平成二十八年五月に閣議決定された地球温暖化対策計画におきましては、二〇一三年度から二〇三〇年度までに新築される住宅及び建築物について、エネルギー消費量を原油換算で合計六百四十七万キロリットル削減することが目標とされております。

 本法案は、パリ協定における目標も踏まえまして、住宅・建築物の省エネ性能の向上を目的としまして、中規模のオフィスビル等の適合義務制度の対象への追加、マンション等に係る届出義務制度の監督体制の強化、注文戸建て住宅及び賃貸アパートの住宅トップランナー制度の対象への追加、戸建て住宅等における建築士から建築主への説明義務制度の創設等の措置を総合的に講じることとしております。

 将来におけるエネルギー消費量は、今後の関連施策の推進状況や市場の状況等に左右されることもあると考えられますけれども、本法案に盛り込まれました施策が的確に実施される等の前提で行った試算によりますれば、パリ協定を踏まえて新築の住宅及び建築物において目標とされているエネルギー削減量を達成することができると見込まれておりまして、社会資本整備審議会にも報告をし、御確認をいただいているところでございます。

古賀委員 大臣の今の御答弁で、パリ協定の中間目標の達成に向けて、今回法改正ということだと理解しております。

 それでは、以下、私の方から提出資料を一枚用意させていただいております。大変、国交省がつくった資料でわかりやすくなっておりますので、この資料に沿って質問させていただきたいと思います。

 まず、これまで二千平米以上の、住宅を除く建築物にのみ課されていた省エネ基準への適合義務が、この表でいいますと、ここの部分ですね、中規模、三百平米以上二千平米未満の中規模建築物にまで課せられるようになるということであります。また、国土交通省の調べによりますと、大規模、中規模の監督につき、所管行政庁において無届け物件に督促をしていない割合というのは三四・九%、不適合物件に指示を行っていない割合は七六・五%と高い率になっている中、今回のこの法改正では、民間の審査機関を活用し、所管行政庁の審査手続を合理化することで監督が強化されるという内容になっております。

 先ほどのパリ協定の中間目標達成のために、こうした規制、監督の強化は必要と考えております。しかしながら、先ほどのこの表でいうと、大規模のここの部分ですね、この部分で年間三千件程度あるという数字、この適合義務化対象の建築物が、今回のこの中規模の部分、一万四千件程度あると伺っていますが、そうすると、これは足して一万七千件ということで、これまでの六倍弱にもこの対象が拡大する、増加するということになります。

 そうすると、この適合義務化の建築に関する、そもそもコストが大幅に増加しないかどうか。また、これだけ対象がふえる中で、確認審査の遅滞が発生するのではないか。さらには、所管行政庁が民間の審査機関を適切に活用して監督ができるのかどうか、つまり今回の規制、監督の強化で民間と行政の現場に混乱が生じることがないのか。また、それに対してどのように対応する予定なのか。この点について石田住宅局長にお伺いしたいと思います。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 本法案におきましては、中規模のオフィスビル等の適合義務制度への対象の追加、また、マンションなどに係ります届出義務制度の監督体制の強化に係る措置を盛り込んでおりますけれども、これらの措置を効果的に推進するためには、委員御指摘いただきましたとおり、所管行政庁及び民間審査機関におけます計画の審査業務が円滑に行われることがまことに重要でございます。

 適合義務制度につきましては、所管行政庁又は民間の省エネ判定機関が計画の審査を行うこととされておりますが、現在の大規模物件では、約九割の物件の計画が民間の省エネ判定機関において審査されている実情にございます。中規模建築物の計画の審査につきましても、既に実務を担っております民間の省エネ判定機関を中心にこれが行われることになると考えております。

 これらの機関に対しましてアンケート調査をいたしておりますが、適合義務制度の対象が拡大されるまでの二年間の準備期間におきまして、約九割の機関が中規模建築物の計画の審査に必要な体制を整備することは可能であるという回答をいただいたところでございます。

 このように、中規模建築物の計画の審査に必要な体制を整備することは十分可能というふうに考えておりますけれども、省エネ判定機関の準備状況等をこの後も丁寧にフォローアップいたしまして、必要に応じて体制の充実に向けて調整等を図ってまいりたいと考えております。

 また、届出義務制度につきましても、本法案で、省エネ基準に適合していることを証明する民間審査機関による評価書が提出される場合、その評価書を活用することで、行政機関の方の申請手続の合理化を進めることとしております。この際利用されます民間審査機関における評価書も、既に一定程度普及しております住宅省エネ性能表示の活用が想定されているところでございます。

 大きな混乱は生じないと考えておりますが、この点につきましても、円滑に実施されるよう状況を注視いたしまして、必要に応じて体制の整備に向けた調整等を図っていきたいと考えております。

古賀委員 局長の御答弁で、きちんと対応できる、また、準備期間があるということですので、今御答弁いただいたように、法案が成立した暁には、今度、施行に向けてしっかりとした準備をお願いしたいと思います。

 続きまして、この表でいいますと、この下の部分であります。小規模の建築物あるいは住宅の部分について質問させていただきます。

 今回のこの改正で、三百平米以下の小規模建築物、小規模住宅については、こちらが建築物で、住宅でありますが、今伺った適合義務あるいは届出義務というのは、小規模については課されないということであります。

 一方で、省エネ性能の向上の努力義務、左側に省エネ性能向上と書いてありますけれども、ここの部分というのは、省エネ基準適合の努力義務に変更した上で、建築士から建築主への説明義務が課されるということであります。

 この新築建築物のエネルギー消費量、二〇%余りを占めると言われておりますこの小規模の建築物についても、やはり省エネを進めていく必要があると考えます。しかし、先ほど質問でもお伺いしたように、いたずらに現場に混乱が生じるということになっては好ましくはないと一方で考えるところであります。

 小規模建築物の施工においては、町の小さな工務店が請け負うこともあるんじゃないかと考えます。こうした町の工務店が省エネの技術に習熟している状況も考えなければいけないと思います。もちろん、この省エネ技術に習熟して、むしろこの省エネを売りにしている工務店もあると思いますけれども、なかなか省エネ技術まで手が回らないといった工務店も多くあるんじゃないかと推測するところであります。

 また、建築士から建築主への説明義務があるということでありますけれども、書面の交付を義務化しているだけでありまして、例えば、建築主が確認した、説明を受けたという旨の署名捺印等を求めているものでもなく、また、説明を要しない旨の意思表示を建築主がした場合には適用を受けない、適用されないというふうにも聞いているところであります。そうすると、法律が義務化されても実行されないようなことも懸念としてあるわけでありますが、やはりきっちりと実行していく必要があるというふうに考えております。

 省エネ技術に対応できない小さな町の工務店が工事を受注できない、そんなことにならないように、行政の側から幅広く丁寧にフォローする必要があると考えております。政府の考え方、対応を石田住宅局長にお伺いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の新築の戸建て住宅の約九割は木造の住宅でございますが、その約半分が年間の供給戸数が五十戸に満たない工務店等によるものと推計されております。そういうことから見ましても、中小規模の工務店が我が国の住宅市場の中で非常に大きな役割を果たしております。

 本法案に盛り込まれました、小規模住宅などを対象といたします説明義務制度を円滑に推進する上におきまして、こうした中小工務店が省エネ基準の内容や基準の適合状況の確認のために必要な省エネ計算の方法などについて的確に御理解いただけることが非常に重要でありまして、その準備のための期間を考慮して、説明義務制度の施行日を法律の公布から二年以内という設定にさせていただいております。

 御指摘のように、中小工務店には、省エネ基準等に習熟していない者も割と多く存在しておりまして、アンケート調査を行ったところでは、中小工務店の約半分が省エネ計算ができないとの回答をいただいているところでございます。

 このため、平成二十四年度から、中小工務店等を対象として、省エネ技術に関する講習会を開催してきておりまして、これまでに延べで十三万人の方に御参加をいただいております。本法案に盛り込まれました施策の内容を含めて、引き続き、全国各地でこういった講習会等を展開していきたいと考えております。

 また、省エネ基準の適否を簡易に判断できるようにすることも重要だと考えておりまして、そのための計算シートを整備することを予定しております。当該計算シートに関します情報についても、先ほど申し上げました全国各地で行います講習会において提供していきたいと考えております。

 さらに、具体の住宅建設そのものに対する支援につきましても、中小工務店がグループを組んで共通のルールのもとで取り組む省エネ性能が確保された住宅の供給について、平成二十四年度より、財政措置を講じて支援をさせていただいています。引き続き、この点も進めていきたいと思っております。

 今後とも、本改正案に盛り込まれました説明義務制度の推進とあわせましてこうした施策を推進することで、中小工務店の供給する住宅の省エネ性能向上に努めてまいりたいと考えております。

古賀委員 今の御答弁、本当にいろいろな取組を予定されているということでありますので、しっかりと実行に移していただければというふうに思います。

 それでは、最後の質問に入りますけれども、この表でいいますと、右側の改正案の一番下の点線の枠の部分であります。ここにトップランナー制度ということで記されております。住宅に関する省エネ性能の基準を定め、省エネ性能の向上を図る住宅トップランナー制度についても、今回、対象の拡大が行われるということになっております。

 住宅トップランナー制度というのは、家電のトップランナー制度などを参考として、高い省エネ性能を有する新築住宅の供給を促進するための方策の一つとして、平成二十年の省エネ法改正で導入されたものと認識しておりますが、今回のこの法改正によって、一定戸数以上の注文戸建て住宅、また賃貸アパートも対象となるということであります。

 具体の一定戸数というのは政令で定めるように聞いておりますが、注文戸建て、賃貸アパートのうちのどのぐらいの割合が対象となるのか、また、今回の対象拡大の目的について住宅局長に伺います。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 住宅のトップランナー制度は、規格化された住宅を大量、反復して供給する事業者に対しまして、省エネ基準を上回ります高い省エネ性能の達成を努力義務として課すことによって、効率的に省エネ性能の向上を図ろうとする制度でございます。

 現在の住宅トップランナー制度では、建て売り戸建て住宅において年間百五十戸以上を供給されている大手事業者を対象としておりますけれども、この百五十戸という戸数の設定につきましては、対象となる事業者による年間の供給戸数の合計が我が国の建て売り戸建て住宅の年間供給戸数の総戸数のおおむね半分になるような水準ということで設定をさせていただいております。

 本法案におきましては、先ほどお話ありましたとおり、このトップランナー制度につきまして、注文戸建て住宅及び賃貸アパートを対象に追加することとしております。

 対象とします事業者の年間供給戸数に関しましては、先ほどの建て売り戸建て住宅と同様に、それぞれの分野の供給総戸数のおおむね半分が対象になるような形での設定を行いたいと考えております。

 具体的には、注文戸建て住宅については年間三百戸以上を供給する事業者、賃貸アパートにつきましては年間一千戸以上を供給する事業者を対象とさせていただきたいと考えているところでございます。

古賀委員 答弁ありがとうございます。

 質問については以上なんですが、以下二点、申し上げたいことがございます。

 今回、中規模の建築物までこの適用を拡大する、省エネ基準への適合義務は建築確認手続と連動して行うということになっています。

 しかし、建築確認の制度については、先般のレオパレスあるいは大和ハウス等の不正事案が相次いでいるということが一方であるわけであります。

 この建築基準法の基準への不適合の問題につきましては、先月、三月八日の当委員会において我が党の伊藤忠彦委員、理事から質問があり、石井国交大臣から、外部有識者委員会を設置し、再発防止策をその委員会において取りまとめていただく旨の御答弁がございました。

 再発防止策の検討には、建築確認検査制度のあり方の検討も含まれているということであります。建築確認検査制度がしっかり機能しないと、今回のこの改正で中規模建築物に適合義務を課しても意味がないというふうに考えます。

 この場での質問はしませんけれども、適切な再発の防止、また、建築確認制度の実効性担保をぜひお願いしたいと思います。

 そしてもう一点。今回のこの改正は、パリ協定の中期目標の達成が目的となっております。

 この講じられた措置、大変大事だ、必要だと、この法改正の内容については当然賛同するわけでありますが、先ほど申し上げたように、現場に混乱が生じないように、重ねてでありますが、お願い申し上げると同時に、中間目標の先には、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指す、こういった長期の目標の達成もこれから考えていく必要があるということであります。

 この目標というのは大変お高い目標だというふうに認識をしておりまして、省エネの努力というのは、不断の取組、不断の努力というのが必要となってくるわけであります。

 ぜひ国交省、環境省を始め各関係省庁ともしっかりと連携をして、これから先、この長期目標をどうやって達成していくのか、その点についても、ぜひ石井国交大臣を先頭に一層の取組をお願い申し上げたいと思います。

 いろいろな点、質問させていただきましたけれども、大変どの点も国交省、しっかり検討いただいているということを評価させていただきたいと思います。

 私からの質問は以上でございます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 きょうは、法案審査、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部改正ということで、つい先週も、この東京都、一部地域で桜の上に雪が降り積もりました。また、昨年夏は、熱中症で幼い命が失われる。この気候変動は着実に私たちの生活に影響を及ぼしている。これは我々実感をするところであります。よって、その対策は大変急務でございます。

 二〇一六年十一月四日に発効したパリ協定では、先進国、開発途上国の区別なく全ての国が削減目標を五年ごとに提出をし、国内の実施状況を報告するとともにレビューを受け、さらには、五年ごとに世界全体での実施状況を検討することになっております。

 このようなサイクルを通して、二度目標、つまり、世界の平均気温上昇を工業化以前から二度以内に抑えるという目標を達成できるように各国が徐々に取組を強化していこう、こういう仕組みであります。

 日本は、パリ協定が採択される以前の二〇一五年七月、二〇二〇年以降の温室効果ガス削減の目標である日本の約束草案として、国内の排出削減、吸収量の確保によって、二〇三〇年度に二〇一三年度比でマイナス二六%の水準にすることを決定をし、二〇一六年五月には、この削減目標の達成に向けた具体的な対策を位置づけた地球温暖化対策計画を策定をしたと承知をしております。

 初めて削減目標の策定やそのための国内措置の実施などを義務づけられた途上国に対する支援につきましても、我が国は、二国間クレジット制度、JCMなどを通じて継続して貢献するためにも、日本の省エネ技術の進展は極めて重要、これに資する法案というふうに理解をしております。

 そこで、最初に大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、運輸部門、業務部門、家庭部門を始め、温室効果ガス削減に向けての国交省の役割は、やはり、私はいつも申し上げるんですけれども、目に見えるもののほとんど全てを行政として見ているのが国土交通行政ですので、その役割は極めて重要だと考えております。

 また、資源小国である日本における省エネ技術は、一つの資源開発とも言えると私は考えております。

 省エネ技術の進展に向けたビジョンあるいは決意、まずは大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 我が国のエネルギー消費量の約三割は住宅・建築物に関連する業務・家庭部門におけるものでありまして、また、約二割は交通政策に関連する運輸部門におけるものであるなど、温室効果ガスの削減を通じた地球温暖化対策につきまして、国土交通省の役割は非常に大きいと考えております。

 地球温暖化対策の推進に向けましては、環境、経済、社会の統合的な向上に資する施策の推進を図る観点から、徹底した省エネルギーを推進することが、平成二十八年五月に閣議決定をされました地球温暖化対策計画の中でも、地球温暖化対策の基本的考え方として位置づけられております。

 こうした観点から、国土交通省におきましても、関連する部門における省エネ対策に積極的に取り組んでいるところであり、本法案の関連する住宅・建築物や自動車等の省エネ性能の向上に取り組んでおります。

 省エネ対策を進める上で、御指摘のとおり、関連技術の向上により効率的にエネルギー消費等の低減を進めることは大変重要な視点と考えており、国土交通省といたしましても、先進的な省エネ技術を活用した住宅・建築物の建設に対する財政的な支援、住宅・建築物分野の先進的な省エネ技術に関する情報の関連事業者への提供、自動車の環境性能の向上を促す燃費基準の設定や財政的支援等を推進をしているところであります。

 また、本改正案に盛り込まれた、高い水準の省エネ性能を有する住宅の供給に係る努力義務を大手住宅事業者に課す、住宅のトップランナー制度の拡充等は、すぐれた省エネ技術の開発や普及を促す効果があると考えております。

 今後とも、地球温暖化対策の推進の重要性を踏まえ、これらの施策によりまして、関連技術の向上を促進しつつ、住宅・建築物や自動車等に係る省エネ対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 この気候変動の問題は、非常に長期的に見れば、世界全体の経済活動に制約を及ぼしてくる可能性も多分に含まれておりまして、そのときに、我が国が持つこの省エネ技術が大変高い価値を持つものに変化をしていく、そういう非常に可能性の高い取組だと思っております。

 そういう意味では、パリ協定に基づいて定められている、今検討されている途中かもしれませんけれども、いわゆる長期計画の中におきましても、暮らし、住宅部門ということをしっかりと位置づけて、国土交通省には更に取組を強化をしていっていただきたい、また、それをしっかり我々としてもサポートしていきたい、こういうふうに申し上げておきたいと思います。

 続きまして、今もございましたけれども、日本の省エネ技術、これは着実に進展をしている、こういうふうに認識をしておりますけれども、一方で、この法案の審査の中で、住宅・建築物の分野は、運輸などの他の産業に比べると省エネルギー化が、進んでいないと言うと言い過ぎのような気がしますけれども、少しそのペースがおくれているといいますか、マクロで見るとそういう状況になっているというお話を伺いましたけれども、その原因についてはどのように理解をされているか。住宅局長、よろしくお願いします。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 二〇一六年度におきますエネルギー消費量は、一九九〇年度比で、業務部門では二四・二パーの増加、家庭部門では一五・五パーの増加となっております。産業部門では約一三・五%減少し、運輸部門が約二パーの増加にとどまっているのに比べて、かなり増加が多い状況でございます。

 この点につきましては、いわゆるエネルギー白書によりますと、業務部門についてはオフィスオートメーション化の推進による影響、また、家庭部門につきましては、世帯数が増加してきたこと、また家電製品の普及などが要因としてふえてきた部分があるということが指摘されているところでございます。

 産業部門の製造業を中心としました省エネルギー化や、運輸部門の自動車の燃費の改善などによる消費エネルギーの減少、微増と比べまして、今申し上げた点が増加に影響しているというふうに理解をしております。

 こうした状況の中で、住宅・建築の分野では、建築物省エネ法に基づきます適合義務制度やトップランナー、また、省エネ性能の高い住宅に対します税制、財政、融資上の支援など、総合的な対策を推進してまいりましたけれども、これに加えて、本法案に盛り込まれました各種施策を推進することで、住宅・建築物分野の省エネ対策を更に推進していきたいというふうに考えているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに取組の加速、今回の法改正の中で、一つは、いわゆる小規模住宅につきましてもトップランナー制度の対象拡大をしておりまして、持家であれば注文住宅、貸し家であれば賃貸アパート、こういったところに対象拡大をする。

 省エネ技術の進展という意味では、これは極めて重要であると思うのと、一方で、事業者の側に立つと、やはりそこにはコストが発生をしてきます。また、住宅取得者においても、そうした省エネ性能の高い住宅を買いたい、こう思うようないわゆるインセンティブ、メリットシステム、こういうことをやはり制度の中にビルトインしていかないと、なかなか進みづらいのではないか、こう考えるわけですけれども、この点につきましても、住宅局長、どのようなお考えですか。答弁をお願いします。

石田政府参考人 今御指摘いただいた中のまず住宅トップランナー制度につきましては、設計に関する規格に沿って住宅を大量に供給する事業者に対しまして、先進的な省エネ技術が採用された住宅の供給を促すため、市場での技術開発の状況等を踏まえて、高い水準の基準を、目標年次を設定した上で達成することを努力義務で求めるものでございます。

 現在、住宅トップランナー制度自体は、みずから定めた設計に関する規格に沿って大量供給をすることによって大きな影響を与える、供給量の多い事業者を対象としてやっております。

 この中に注文戸建てや賃貸アパートに関する大規模事業者も入れることによりまして、各事業者みずからが定めた設計に関する規格に沿った供給を図っていくということでございますので、その負担等につきましては、いわゆる、その大量供給によるコスト減がかなり機能するものと考えております。

 また、本制度の対象とならない中小事業者などにつきましても、トップランナー基準の達成状況を自発的に宣言、公表するというような仕組みも導入することで、関係事業者と連携しながら、より一層これが幅広く推進できるようにしていきたいと考えております。

 また、これの負担の問題でございますが、こうした取組とあわせまして、消費者が物件選択の際に省エネ性能の表示に係る情報を容易に把握できるように、住宅事業者に対して情報提供サイト等への省エネ性能の表示を促す、そういったことで、その表示のあり方を含めて検討していきたいと考えております。

 これによって、省エネ性能がいいということは、当然ながら光熱費等がある程度浮くということになりますので、そういったことも含めて消費者の選択が可能になるように促していきたいと思っております。

 また、財政的な面等につきましては、こういった措置とあわせまして、国交省、環境省、経産省の三省連携によりましてゼロエネルギー住宅に支援をさせていただくとともに、先導性の高い住宅の省エネプロジェクトに対して財政的な支援を行うなど、さまざまな財政、税制、融資制度上の支援をあわせて行うことを考えております。

 今回の三十一年度におきましても、次世代住宅ポイント制度を創設させていただきますけれども、これについても、高い省エネ性能の住宅への支援の中の一部として行うこととしているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 いわゆるゼロ・エネルギー・ハウス、ZEHの推進、これは極めて重要だと思っておりまして、今、経産省、環境省、国交省、三省で予算的措置もしながらサポートしていると思います。その点も我々もしっかり応援をしていきたいと思います。

 最後に、通告でいくと三番目と四番目、セットで聞かせていただきます。この法案の当初の制定時にも大変議論の一つでありましたけれども、既存建築物の省エネ性能の向上について御質問をいたします。

 特に、大型の建築物を対象にすることができるのかが重要ではないかとこれまでも指摘をされておりますけれども、本法案制定時から今日までの既存建築物の省エネ性能の向上の状況、そして、その状況を受けて、今後の建築物の省エネ性能向上への取組の具体的なお考え、これを最後に聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

石田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 既存ストックに係ります対策を推進することは非常に重要でございます。このため、現行の建築物省エネ法におきましても、大規模な、若しくは中規模な既存建築物の増築、改築についても、適合義務制度や届出制度の対象として措置をしているところでございます。また、大規模な建築物を中心といたしまして、既存建築物の改修工事、省エネ改修に関しまして財政上の支援を、この過去三年で約四百件させていただいているところでございます。

 こういった取組も含めまして、現在、既存建築物の省エネ性能向上を図っているところでございますが、先ほどお話ありましたパリ協定を踏まえた温暖化計画におきましても、既存住宅や既存建築物の改修によるエネルギー削減の目標が設定されております。原油換算で八十三・六万キロリットル相当を削減することとなっております。

 この目標を達成するためには、二〇三〇年度までに、住宅については合計で百五万戸程度、建築物につきましては合計で二億七千万平米程度の省エネ改修が必要というふうに試算をしております。

 現在までのところ、先ほど申し上げました施策の推進を含めまして、省エネ改修の進捗は、この目標の達成に向けておおむね順調に推移してきていると理解しております。

 この後、先ほどのさらなる計画の推進等に向けまして、よりその目標達成を確実なものにするため、既存ストックについてのさらなる省エネ対策を講じていくことが非常に大切だというふうに思っております。

 まずは、本法案において、既存建築物の増築、改築につきましても、適合義務制度や届出義務制度、説明義務制度が一定の場合対象になってまいります。こういったものの推進、また、予算制度若しくは税制制度の活用、先ほど申し上げました次世代住宅ポイント等の活用、こういったものを進めることによりまして、既存の住宅・建築物ストックに係ります省エネ対策により一層取り組んでいきたいと考えているところでございます。

伊藤(渉)委員 以上で質問を終わります。

 この省エネ技術の進展、大変地味な部分もございますけれども、非常に可能性の大きいといいますか、重要な取組でございますので、我々もしっかり応援をさせていただきますことをお誓いし、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。きょうも質問をさせていただきます。

 まずは、きょうは建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案の審議ということなので、この法案について一問だけ質問させていただきます。

 私も、この法律が重要だということも理解をしておりますし、省エネ住宅を推進をしていく必要があるというふうに考えているんですけれども、いろいろ説明を聞いていて、本当にそうなるのかなということで若干疑問に思うところがあるので、そこをお伺いさせていただきたいんです。

 今回、延べ面積三百平米未満の小規模の住宅や建築物の新築等の際に、設計者から建築主への省エネ性能に関する説明を義務づける、それによって省エネ基準への適合を推進している、そういう説明をしていただいているんですが、直観的に、省エネの性能を持つ建物になると、建設コストは上がるんだと思うんです。その説明を受けたときに、小規模の住宅を建てるような建築主の場合、今出せるお金に限度があるので、値段が高くなるんだったらできるだけ抑えたいという意識の方が強く働く場合があるのではないか。

 そうなってくると、省エネ基準に適合する住宅だと、長期的には、例えば二十年で回収できますよという説明を受けたとしても、逆にむしろ、説明を受ければ受けるほど、ちょっとお金を考えたら、ここでその金額は出せないなと、後ろ向きになってしまうことも可能性としてあるのではないかなというふうに思いました。

 そこで、説明を義務づけることでこの適合が進んでいくというふうに考えているその理屈を説明していただきたいんですが、お願いいたします。

石井国務大臣 小規模の住宅や建築物は、建築に関する専門的知識を持たない個人が建築主であることが多く、住宅・建築物の省エネ性能に関する建築主の理解の不足が省エネ性能向上の課題の一つになっていると考えられます。

 一方で、小規模の住宅や建築物は、建築主自身が当該住宅等の居住者や利用者になることが多く、設計時点における建築主に対する省エネ性能に関する情報の提供が省エネ性能向上のきっかけとなるケースも少なくないと考えられます。

 実際に、省エネ基準に適合しない住宅を購入した方へのアンケート結果によりますと、約三五%の方が、説明があれば省エネ住宅としたと回答しているところでございます。

 また、省エネ性能の高い住宅は、消費者にとって、光熱費の削減効果だけでなく、ヒートショックの防止等による健康増進につながるというメリットもあると考えております。

 国土交通省では、建築、医療の専門家等と連携をいたしまして、断熱改修を行った住宅の改修前後の室温や居住者の健康状態を分析するプロジェクトを実施をしておりまして、断熱改修によって室温が上昇し、それに伴い居住者の血圧も低下する傾向がある等といった知見が得られつつあります。

 消費者向けに省エネ基準適合に係る費用対効果を周知することに加えまして、説明義務制度による建築士から建築主への省エネ性能に関する説明の際に、あわせて、今申し上げたプロジェクトを通じて得られた知見についても提供することを促すこととしておりまして、こうした取組を通じ、説明義務制度の効果的な推進に取り組んでまいりたいと考えています。

初鹿委員 丁寧な説明、ありがとうございます。

 今の説明を聞いていても感じたんですけれども、建築主に対して、省エネ住宅をつくることのメリットとか費用対効果とか、そういうことの説明をやはり十分にしていくということがまず最初ではないかなと思いますので、その点をしっかり取り組んでいただきますようにお願いさせていただきます。

 それでは、下関北九州道路について質問に入らせていただきます。

 月曜日の日に野党四党で現地北九州に行きまして、今ある関門橋、そして関門トンネルを通過をし、そして、建設予定地である日明地区から、北九州側です、日明地区から対岸を望んで見てきたところであります。

 そこでいろいろヒアリングをして気がついたことや、そこでわかったことなどもありますので、その点も含めて質問をさせていただきたいと思います。

 我々、行きまして率直に感じたのは、地元の知事さんや市長さんが非常に道路を熱望しているという、その熱意は非常に感じました。ただ、その一方で、この費用対効果はどうなんだとか、この二つのトンネルと橋のバイパス機能としての機能が本当に備わっているものなのか、そういう説明については十分にできていなかったのではないかなということを感じた次第であります。

 問題は、そういう、本当に必要なのかどうかがきちんと検証がまだまだであるにもかかわらず、一旦中止をされていた道路がとんとん拍子で復活をし、国の直轄事業の予算がついたという、このとんとん拍子に進んでいるということに我々としては疑問を感じるところなわけであります。

 それに対してこのそんたく発言ということがあったわけですから、やはり何らかのそういう力が働いて国の直轄事業になったのではないか、そう言わざるを得ないのかなということを感じているところです。

 そこで、これまで質疑の中で、国の直轄調査の予算がついたのは三月二十九日だから三月二十九日に決まったんだという説明を何度もされてきているわけですけれども、やはり、十二月の二十日の副大臣と吉田参議院幹事長との面会を契機にして、そのあたりから国の直轄調査にするということはもうほぼ決まっていたのではないかというふうに疑わざるを得ないなということが至るところで見えるわけですね。

 その一つとして、三月十九日の日にこの期成同盟会が、大臣を始め各所に要望に行っております。その際の大臣の答えというのが下関市と山口県のホームページに記載をされているんですが、そこでもうかなり踏み込んだことを大臣はおっしゃっているんですよ、これが事実であればということですが。

 そこを考えると、確かに、最終的に予算をつけますと決めたのは二十九日なのかもしれませんが、もっと前の段階でもうほぼ決まっていた、決めるつもりでいたということは間違いないんじゃないかと思います。

 大臣、伺いますけれども、この山口県の公表資料によると、大臣は要望に対して、「来年度、直轄で調査を行う方向で考えている。あわせて整備手法も検討していく。」「これらについて、予算成立後、正式に発表する。」もう決まったも同然のことを言っているんですよ。

 次のページを見ると、阿達政務官は結構これは慎重に答えて、「地元の検討結果を踏まえて、早急に検討を進めたい。」割と普通の答えをしているんですが、大臣はかなり踏み込んでいるなと。

 前国土交通大臣の太田議員については、「(国で調査を行うこととなり)次の段階に入ってよかった。」次の段階に入ってよかったと言い切っちゃっているんですよ。これも何らかの情報が行っていたのかなと疑わざるを得ない発言なんですが、こういうふうにホームページには載っています。

 それで、下関の方はどうかというと、これは二十九日に予算が決定した後に発表した談話なんですけれども、そこのところに、「「下関北九州道路」については、先日の中央要望において、石井国土交通大臣から、「来年度から、国が直轄調査を行う方向で検討している。」」そう答えていると書いてあります。

 まず大臣、この面会のときに、国が直轄調査を行う、そういう方向で検討しているんだということを答えたというのは、それは事実でよろしいんでしょうか。

石井国務大臣 三十一年度の政府予算は本年の三月二十七日に成立をいたしまして、事業の箇所づけについては三月二十九日に公表しているという状況でありますので、三月十九日というのは、もう直前の状況ということでございます。

 御指摘の三月十九日の下関北九州道路整備促進期成同盟会等による要望におきまして、下関北九州道路の直轄調査に着手する方向で検討している旨お伝えをしたところであります。

初鹿委員 だから、伝えているということですよね。直前だからもう決まっていて、決まっているのも当然なんだろうなと私も思うんですけれども、報告書が出て、報告書を見て検討をするというようなことを言っていましたけれども、報告書は三月八日に出て、十日ぐらいで検討されて出ている。やはり、報告書がきちんと出る前から私は検討がされていたと考えるのが自然ではないかなと思います。

 ちなみに、このときに大臣に対して説明していると思うんですよ。大臣も当然原稿を用意して答えていると思いますので、そのときの発言の原稿や大臣に説明をした資料というものを提出をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

池田政府参考人 三月十九日に国土交通大臣が要望を受けた際の資料につきましては、確認して報告をしたいと思います。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 では、視察に行った際のお話を少しさせていただきますが、視察ルートを皆さんのお手元にお配りをさせていただいておりますが、こういうようなルートで行ってまいりました。

 そこで、最初に関門橋が見えるところで、このトンネルと橋の管理をしているNEXCO西日本の九州支社の方から説明を受けたんですが、そのときに言われたんですけれども、まず、大臣が必要性があるということの主張をされる中で、今の関門トンネルも非常に老朽化して、頻繁に落下物や、あるいは補修のために通行どめがあるということをおっしゃっているんですが、この老朽化対策の工事についてはもう終わっていると。十年に一回程度のスパンでやっていっているそうなんですが、もう終わっていて、ここに工程表もつけておりますが、今はやっていないということなんですが、それは事実ですか。

池田政府参考人 関門トンネルは昭和三十三年三月の開通で、開通後六十一年が経過した海底トンネルでございます。

 関門トンネルは、コンクリートの継ぎ目などから海水の漏水が一日当たり約四千八百トンございまして、その塩分によりまして鉄筋がさびやすいなど、損傷は通常のトンネルより進みやすい特徴がございます。また、大型車両の通行も多くて、車道の床版の損傷が進行しております。

 このことから、近年、平成二十年から二十二年に延べ二百二十七日間通行どめを行いまして、車道床版などの補修をしておりました。また、その後、天井板の損傷も進行していたことから、平成二十六年に連続六十日間の通行どめをいたしまして、天井板の取りかえが行われたところでございます。

 海水の漏水はこれからも継続すると考えられますので、今後とも、定期的に大規模な補修工事などの対策を実施していく必要があると考えております。

初鹿委員 現状は終わっているんですよね。今の段階では、新品同様とは言わないけれども、交通に支障がないような状況にはきちんとなっているということを西日本の方は説明されていました。

 つまり、三十年度、どこかの段階で十年ごとの更新、リフレッシュの工事というものは起こるんでしょうけれども、当面ないんですよね。だから、老朽化によって必要だというのは若干違うんではないかなと思います。

 その上でお伺いしますけれども、では、関門橋が開通してから、開通したのは昭和四十八年ですけれども、四十五年間あるわけですが、四十八年以降で、関門トンネルと関門橋の両方が同時にどちらも通行どめになったということが何回あって、それぞれどれぐらいの時間なのか、それをお答えください。

池田政府参考人 関門トンネルと関門橋の二つの道路の同時通行どめにつきましては、関門トンネルが二日に一回の割合の通行どめと、関門橋の雪などによる長時間の通行どめが重なった場合に発生をしております。西日本高速道路株式会社が発足をいたしました平成十七年度以降では、五回、同時の通行どめが発生していまして、最大で十七分間の通行どめになっております。

 なお、平成二十九年度の関門トンネルの通行どめは年間二百七回で、同様の、圏央道の暫定二車線区間で年間二十九回であることに比べると、十倍と極めて多いということで、これは、トンネルの幅員も狭くて、落下物等の障害が発生すると全面通行どめをしないとというような、こういう状況にあることが原因であります。

 また、関門橋においても、工事や事故で年間二百七十三回の規制が行われているところでございます。

初鹿委員 ちょっと、関係ないことを答えないでくださいね。

 同時にとまったのは十七分と言いましたか。十七分なんですよね。要は、北九州と本州をつなぐところが全く通れなくなる、完全に分断されるということは、今のところ、十七分だから、ほぼないんですよ。どっちかは通れる。それも、積雪で橋が通れないときにたまたま工事をやっているとか、そういう状況があったときに同時にとまる。だから、全く完全に分断されるということはそんなにないということが今の答弁でわかったと思います。

 それでは、積雪だ、あと台風だということを関門橋では通行どめの理由としているんですが、じゃ、積雪があったときに、新しくつくった橋はとまらないのか、台風のときにはとまらないのかということです。

 地図をつけておりますが、こことここなんですよ。これぐらいの距離で、台風が来たときに、じゃ、こちらのとまったときの風速とこの予定地の風速とで違いがあったのか。また、積雪量、こちらで通行どめになったときの積雪量と、そのときのこちら側の積雪量でちゃんと比較がされているんでしょうか。

 バイパス機能というけれども、つくったはいいけれども、関門橋が通行どめになるときはこっちの橋も通行どめになるんだったら、バイパスにも何にもならない、代替機能にはならないわけですから、この比較はちゃんとされているんでしょうか。そして、積雪量や風はちゃんとわかりますか。

池田政府参考人 関門橋付近の積雪量につきましては、NEXCOの調査によりますと、平成二十六年から平成三十年の間の積雪深、〇・五センチから二センチということになっております。

 また、関門橋付近の風速につきましては、同じくNEXCOの調査によりますと、平成二十七年八月二十五日の台風において、平均風速は三十一・三メートル毎秒となっております。

 一方、下関北九州道路の建設地、日明地区でございますけれども、現時点ではデータはございません。

 今後、国の直轄調査の中で建設予定地の気象データの調査も行ってまいりたいと考えております。

初鹿委員 つまり、こちらがとまったときにこっちがあるから通れるんですよという理屈は、全く今の段階でわからないんですよ。雪が降ったり台風でとまったときに、同じような雪の降り方だったり台風の風だったりしたら、どっちも動かなくなるんですよ。だから、そのことを考えると、代替機能が必要だというのもわかるんだけれども、代替機能にならないじゃないですか。

 それもきちんとこれまで調べていなくて国の直轄調査になっているというのは、やはり、ちょっと不自然ではないかなと言わざるを得ません。

 そしてまた、現地で説明を受けたときに、この橋がつながると、皆さん、これを見ていただきたいんですよ、こうやってループ状に道路がつながるんだという説明を受けました。ところが、北九州側は割と近くに、一キロぐらいのところに高速道路が来ているんですが、下関に渡ると、道路は県道です。下関の市街地まで行くのにかなり距離があります。つまり、渡った先、山口県側の道路の整備が必要になってくるんじゃないか。というよりも、これがないと、橋を渡しただけじゃ意味がないんだと思うんですよ。

 そこで伺いますけれども、ここ日明地区からこっちに渡った彦島の、橋ができ上がるところの地点から例えば高速道路までつないだ場合、国道につないだ場合、県道の二車線になるところにつないだ場合、こういうふうにつなぐことになるんですが、それぞれ何キロになりますか。そしてそれは、そういう道路が今後必要になるという認識でいるのか、そこをお答えください。

池田政府参考人 ただいま御指摘がありました、橋梁の構想がございますところから彦島有料道路までについては、直線で約二・三キロメーターでございます。また、同様に国道百九十一号線までは約三・九メーターでございます。また、高速道路の壇之浦パーキングエリアまでは六・八キロメーターでございます。

 今委員御指摘ございましたように、この海上部の検討とともに、今年度、地元の公共団体においても陸上部の概略のルートや構造の検討が行われる予定になっておりまして、高速道路へのアクセスも含め、下関側の道路ネットワークについては、国と地方公共団体が連携して検討を進めてまいりたいと考えております。

初鹿委員 つまり、下関側の道路がきちんと決まらないと橋なんてつくれないんですよ。それが今後の検討というのも、やはり手順として逆じゃないかと思います。

 最大だと、高速道路につなげようと思うと六・八キロですよね。国道まででも三・九キロという説明でした。橋だけでも二千億かかるんじゃないかと言われております。そこまでつなぐとなると、また更に数億円、数十億、数百億、場合によっては数千億になるかもしれません、高規格道路でやったら。

 そういう過大な予算が今後必要になってくる道路であるということを指摘をさせていただいて、質問を終わります。

谷委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案ということでございますが、ついこの間、平成三十一年四月二日、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会というものの提言が出ております。

 その中で、十二ページですけれども、エネルギー効率の向上というところで住宅のことについて記載をされております。最もすぐれたエネルギー効率設備、これをやるんだと。そのため、脱炭素社会、二〇五〇年までに八〇%削減という目標の中で、このような形で最もすぐれたエネルギー効率の設備を入れていくべきであるという提言をいただいているわけです。

 各国の状況を見てまいりますと、ドイツだと、二〇五〇年目標、八〇から九五%、フランス七五%、英国八〇%、カナダ八〇%、米国八〇%と軒並み同じような目標を掲げているわけなんですけれども、日本においては、一つは新築の建物が多い、こういう特徴があります。九十万戸以上が、年間、新築で建てられている。だから、既存の住宅も大事なんですけれども、新築の部分というのが非常に大きな削減効果があるのではないか。それに対して、中小企業、地元の工務店が着工している件数が多いというのも特徴であります。ここに、技術が持てるようにちゃんとやっていくんだということも今回の法案には書き込まれております。

 ただ、例えばアルミサッシなどが、シングル、一重のガラスである、二重のガラス、三重のガラスというようなものが、全てのメーカーが基本的には全てラインナップをそろえていって、その中で生産をしているがためにそれぞれのコストがなかなか下がらないというような話もお聞きをすることがあります。性能が高いものにラインを移していくことによって性能の高いものの値段が下がっていく、いわゆる経済的な合理性が高まっていくというようなものもあるかと思います。

 まず一つ目、最もすぐれたエネルギー効率設備を入れていくということに関しまして、しっかり指導していくということなんでしょうけれども、経済合理性との関係におきましてしっかり進めていくんだというようなことでよろしいでしょうか。

石田政府参考人 今御指摘いただきましたパリ協定長期成長戦略懇談会提言におきましては、「住宅や建築物など一度作られると数十年の寿命を有するインフラについては、インフラ更新の段階で、その時点で最も優れたエネルギー効率設備が導入されるよう、今から施策が打たれるべき」との提言をいただいているところでございます。

 この提言を踏まえまして、今後、政府としての長期戦略が策定され、その長期戦略のビジョンを地球温暖化対策計画等に反映していくプロセスを通じまして、具体的な施策の検討が進められていくと認識しております。

 いずれにいたしましても、この提言の御指摘のとおり、住宅・建築物の省エネ性能の向上に向けましては、全体の省エネ性能の底上げとあわせまして、高い性能を有する住宅・建築物の供給を促進するトップアップ、これが非常に重要だというふうに考えております。

 このため、これまでも、三省連携のもとで、いわゆるZEH、ゼロ・エネルギー・ハウスの支援や、先導性の高い住宅・建築物の省エネ化のプロジェクトへの支援などを行いますとともに、今回提出しております法案におきましても、注文住宅や賃貸アパートのトップランナー制度への追加をしております。これによって、先ほど先生御指摘ありましたとおり、性能のすぐれたものが大量供給の中に組み込まれることによって市場での流通及びその生産のコストを下げていくということに非常に意味があるというふうに理解しております。

 こうした施策を推進しますとともに、長期戦略等を踏まえて、さらなる省エネ対策の充実に向けた検討を進めることによりまして、全体の省エネ性能の向上の底上げとあわせたいわゆるトップアップの施策にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

森山(浩)委員 これは世界の流れがありまして、一つは、いいものを安くつくるというのは当然経済的に合うわけですけれども、それに加えまして、カーボンプライシング、いわゆる炭素取引税というようなことで、炭素取引制度というような形で、世界の中で日本がどれだけの炭素を減らしていくかというようなことが、国際的に取引をされていくようなことも、全体として枠がどんどんかかっていくというようなことも考えられます。

 そんな中で、日本が環境性能を上げていく、特にこの住宅や建物というのは、非常に、おっしゃったように大きな影響がありますので、しっかり取り組んでいただくということが大事かと思います。

 今回、建築物の義務の部分を広げていくという話なのですが、例えば、建築物全体でいきますと、平成二十八年度九二%から、九五%というような形で省エネ基準の適合率が上がっております。大規模、中規模、小規模、小規模の部分も六九から七五に上がっている。住宅の方も、五九%から二十九年度には六二%というような形で、届出義務があったり、あるいはきちんと義務化をしていった部分については、新築が多いということもあるんでしょうけれども、どんどんこの数字が上がってきているという実感がございます。

 こうなってくると、今回見送った部分、いわゆる住宅の部分とそれから小規模の建物の部分、これについて、届出義務を適合義務に合わせていくということが今後は大事になってくるのかなというふうに考えます。

 これは国土交通省さんが出しておられる資料ですけれども、届出義務、大規模、中規模、小規模とあって、小規模の部分については、伝統的な木造住宅に関し、省エネルギー基準への適合義務化により建てられなくなるなどの意見もあるというような形で、二〇三〇年度を目標とし、それまでに適合義務に合わせていくというような工程表が出ています。二〇一九年度までは努力義務になっています。

 ここから先、どのような形で、一つは検証することですね、今回の結果を検証し、そして見直しをしていくのかというような期日について、お考えありますか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、中規模のオフィスビル等の適合義務化の措置を講じますとともに、住宅等、あと小規模の建築物等につきましては適合義務化の制度の対象とはせずに、届出義務制度の監督体制の強化や建築士からの説明義務制度の創設、また、トップランナー制度の対象拡大等の措置を総合的に講じることで、全体としてのいわゆる底上げといいますか、適合率の向上を図っていこうという形の取組を今回入れております。

 今後につきましては、まずはこの法案に盛り込まれました措置の推進状況、またそれによる効果を丁寧にフォローアップをしながら、また、先ほどお話ありました、今後の政府全体で行われます長期戦略を踏まえた対策の検討とあわせて、適合義務化の対象の拡大などを含めましたさらなる省エネ対策の充実に向けまして検討を進めていきたいと考えているところでございます。

森山(浩)委員 二〇三〇年度には適合義務になっている、これ自体は変わりませんか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、現在の閣議決定等の文章におきましても、規制の必要性や程度、バランス等を十分に考慮しながらという形でございます。まさしく、今回のこの形におきましても、実際上、今の適合の状況等を勘案して、この措置ということの決定をしたところでございます。

 今後とも、我々としては、なるべく、省エネ対策の拡充を前向きに早く進めたいと思っておりますが、そのためにも、まず、今申し上げました、適合の状況なり若しくは国民の御理解の状況なり、そういったところを踏まえる必要がございますので、あとまた、先ほどの長期の目標の中で、どういったことが住宅・建築分野で我々として求められるか、それがまだ少し見えないところもございます。それを踏まえて、なるべく前向きな対策を組みたいというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 半年前までの状況であれば、今おっしゃったことというのはそうかなというところで、諸外国も大体似たような、横並びで来たところでございます。

 ただ、二〇一八年の十月の八日、気候変動に関する政府間パネル、IPCCが発表した、最新の一・五度の地球温暖化に関する特別報告書というのが発表をされております。

 世界の炭素排出量、二〇三〇年までに二〇一〇年の水準から四五%以上削減し、さらに、二〇五〇年までに炭素の排出量と吸収量が等しくなるカーボンニュートラルを実現しなければならない、科学者たちは、一・五度の温暖化により、陸域で深刻な熱波が発生する回数がふえ、特に熱帯地方でその傾向が顕著になることに強い確信を持っている、また、高高度地域、東アジア、北米東部などで極端に強い嵐の発生回数がふえることには中程度の確信を持っている、二度温暖化した世界ではそうした荒れた天候のリスクは一層大きくなる、中緯度地方の猛暑の日の気温は、一・五度温暖化した世界では三度、二度温暖化した世界では四度高くなる可能性がある、二度の温暖化は世界の陸域の約一三%で生態系を破壊する可能性があり、多くの昆虫、植物、動物が絶滅するリスクを増大させることになる、温暖化を一・五度以下に抑えることができればそのリスクを半減させることができるという形で報告書が出ておりまして、これに対して、気候のための学生ストライキというものが起こっています。フライデーズ・フォー・フューチャーと言います。

 政府を始めとする大人たちの気候変動対策への無関心や消極的な対応に対して、一・五度以上上昇した過酷な世界でこれから生活していくことになる子供たちが、大人たちの真剣な気候変動対策を求めた気候のための学生ストライキ、平和なストライキのため金曜日に学校をストライキし、国会前などで静かに座って抗議を行うということで、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさん十六歳が二〇一八年八月にプラカードを掲げてストックホルムの国会議事堂前に座り込んだことから始まる。三月十五日現在、百二十五カ国以上、二千カ所以上で、少なくとも百六十万人の学生によるストライキが行われており、グレタさんは二〇一八年三月にノーベル平和賞にノミネートされている。

 日本においても、フライデーズ・フォー・フューチャー・ジャパンというような活動が行われているというような状況でございます。

 今、大人である私たちがどれだけのことができるのか、そして、特に海洋生物などについては、不可逆と言われるようなところについて、これは見直しを全体的にしていかなきゃいけないんじゃないかということなんですけれども、これについて認識をされていますか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生御紹介いただきました一・五度特別報告書、これが出されましたこと、またその概要については存じ上げております。

 これを踏まえて、先ほど、先生最初に御指摘ありました政府全体としてのパリ協定長期成長戦略懇談会、これが持たれる一つのきっかけにもなっていると我々としては理解をしているところでございます。

 まさしくこれが、懇談会の提言がまとまったところでございますので、これを踏まえて、今後、政府全体挙げて、それに向けてのどういう取組をしていくか、戦略等をつくる段階にこれから移るというふうに承知をしております。

 我々としましても、住宅・建築分野を預かる立場として、その中で積極的な役割、取組を果たしていきたいと考えているところでございます。

森山(浩)委員 これは政治マターだと思いますので、大臣に後ほどお伺いしますが、もう一点、健康についてです。

 日本の住宅、寒いんだということで、夜八度の中で寝ていて、布団の中、三十度である、起きた瞬間に脳梗塞、心筋梗塞あるいは肺炎といったいわゆる呼吸器系疾患などの部分、あるいは風呂に入ったときにヒートショックだ、こういうような形で、多くの六十五歳以上の方の死因となっております。

 都道府県別に見ますと、北海道、青森そして沖縄、このあたりが非常に下位にあります。こういう疾患が非常に少ない。がん以外のこういう心疾患あるいは循環器系の疾患が多くなっているという中で、この部分、北海道、青森、温度を高く保つというような住宅の状況になっているのではないかというように予測をされておる部分でもありますけれども、これについての調査などはありますか。

石田政府参考人 住宅の温熱環境の改善を通じましてヒートショックの防止等を図ることにつきましては非常に重要な課題と認識しておりまして、住生活基本計画の中でもその旨が既にもう明記をされているところでございます。

 また、その実態及びその効果につきましては、居住者の健康と断熱性能との関係について、日本高血圧学会によるガイドラインでは、高血圧予防としての防寒、暖房は科学的根拠が不十分とまだされているような状況でございます。

 我々の方としましては、十分なエビデンス、調査研究に基づく証拠がまだない、不足しているということの御指摘もあることから、エビデンスを充実させた上で消費者への周知を図り、こういった温暖環境の改善を通じた健康への効果、これを周知、PRし、省エネ改修の推進にもつなげていきたいというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 得られつつある知見というような形で、スマートウエルネス住宅等推進事業なんかの中でも少し数字が挙がっていますけれども、大々的な調査をきちんとやって、厚生労働省なんかとも一緒にやるんでしょうけれども、きちんとやっていただいて、これは健康においても非常に大きな影響があると思います。

 それで、大臣、全体を通じてですけれども、一つは、地球温暖化が進んでいる中で、半年前とは状況が違うんだという認識のもとに、どう進んでいかれるか。今回の法案については一歩前進というのは間違いない、私たちも評価をしておりますけれども、更にどう見直していくのか、どう方向性をつけていくのか、これは政治の課題だと思います。プラス、これは、国交省だけではなくて厚労省などとも連携をしながら、健康の部分についての大々的な調査を通じて、この件、発展をさせていくという部分についてどうお考えでしょうか。

石井国務大臣 昨年十月にIPCCにおいて取りまとめられました一・五度C特別報告書等も踏まえまして、我が国におきましても、パリ協定の長期目標の実現に向けた長期戦略の検討が進められております。

 昨年八月より、パリ協定長期成長戦略懇談会において、パリ協定の長期目標の実現等に向けた我が国の気候変動対策の方向性等に関する検討が進められ、二〇五〇年までにカーボンニュートラルで災害に強靱な快適な町と暮らしを実現する等の提言が今月上旬に行われております。

 この提言を踏まえました政府としての長期戦略の策定に向けた検討が現在進められており、本年六月のG20までに策定する予定と承知をしております。

 本戦略は、パリ協定の長期目標の実現等に向けた我が国の地球温暖化対策の長期的なビジョンを示すことを目的としており、本戦略のビジョンを地球温暖化対策計画等に反映していくプロセスを通じまして、具体的な施策の検討が進められていくものと認識をしております。

 長期的な地球温暖化対策を進める上で、住宅・建築物の省エネ性能の向上は大変重要と考えておりまして、まずは本法案に盛り込まれた施策を的確に推進していくことが重要と考えております。

 その上で、長期戦略や当該戦略を反映した地球温暖化対策計画等の見直しを踏まえながら、本法案に盛り込まれた施策の推進状況も丁寧にフォローアップをいたしまして、さらなる省エネ対策の充実に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

 また、省エネが健康にもいいということにつきましては、関係省庁や関連事業者と連携をしながら、より信頼性の高いエビデンスの充実に取り組んでまいりたいと考えています。

森山(浩)委員 いずれにしましても、時間がないという部分だと思います。非常にタイムリーな法改正でありますので、更に加速をしていただきますようにお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 国民民主党、小宮山泰子でございます。

 本日は、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案、本会議に続きまして質疑をさせていただきます。

 まず最初なんですけれども、けさの国土交通委員会理事会で、下関北九州道路の新しい資料が提出されました。そこで、一点お伺いさせていただきたいと思います。通告はございませんけれども、よろしくお願いいたします。

 さて、今週月曜日、四月十五日に、国民民主党の原口国会対策委員長を始めとする野党各党の議員が北九州市で現地視察を行い、六つの海峡プロジェクトのうち、どうして下関北九州道路だけ復活できたのか何度も確認をしましたが、数字が全く示されなかったそうです。これがけさの資料につながり、平成二十八年十月七日時点で、下関北九州道路についてのみ数字を用いて必要性を検討しているが、ほかの五つのプロジェクトには触れておりません。これでは比較ができません。比較ができる資料を要求されて、きょうの資料提供につながったんだと思います。

 この提供資料を見ていまして、私も拝見させていただきましたけれども、今回の復活というのは、それでは、ほかの五つのプロジェクトの復活を示唆されているのかともとれますし、また、とはいえ、福田内閣のときに、経済的な状況を鑑みて、この案件は全て凍結をされていると認識をしております。あの時代よりも今の日本の財政状況というのは必ずしもよくなっているとは思えませんし、借金を見れば、相当膨れ上がっている部分もございます。

 そこで、大臣、この五つの海峡プロジェクトとどのように比較をしたのか、比較に用いた資料の提出、また、できれば、ほかの五つの海峡プロジェクトは復活しておりませんが、復活していない状況等についての数値も含めた資料というものを改めて御提出いただければと思いますが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 けさ理事会に提出した資料は、私が事務方に問題提起をしたものですから、それに対して事務方がどう説明をしたかという資料でありまして、これ以上の資料はございません、私に対する説明資料としては。

 ただ、じゃ、なぜほかの五つの海峡プロジェクトと違うかということでありますが、ほかの五つというのは、東京湾口、伊勢湾口、紀淡海峡等々でありますが、ここには、現状、トンネルも橋もございません。関門海峡は、現状、トンネルがあり、橋があり、そしてその現状の道路にいろいろな問題があるということがほかの五つの海峡プロジェクトと関門海峡との全く性格の異なる部分だというふうに認識をしております。

小宮山委員 大臣の認識、わかりましたので。

 それでは、そのほかもあるかもしれませんが、改めて、比較ができるような資料の提出をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

石井国務大臣 性格の違いというのは、私、今答弁したとおりでありまして、地図を見ていただければわかりますけれども、ほかの五つの海峡には、現状、トンネルも橋もございません。

小宮山委員 口頭でなく、できれば資料としていただけることをお願いしたいと思います。

 委員長、この点に関しましては、改めて理事会の方で御協議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

谷委員長 後日、理事会で協議させていただきます。

小宮山委員 では、改めまして、ぜひこの分野に関しまして、とはいえ、ほかの海峡プロジェクトにおいても、恐らく望まれている方々はたくさんいらっしゃると思いますし、その利便性というものは認識されるからこそ、最初にプロジェクトがつくられたんだと考えますと、やはりこの点に関しまして、一つだけ復活ということに関しては改めて検証は必要なのかと思いますし、ほかの道も探れることもあるのかと思っておりますので、今後ともしっかりと私どもは検証させていただきたいと思っております。

 それでは、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 法律の目的におきましては、総合的な枠組みの構築、省エネ対策の強化を通じて住宅・建築物の省エネ性能の向上を図り、持続的な経済成長及び地球温暖化対策に寄与するということが求められているものであります。

 そして、今回の改正案では、オフィスビル、マンション、戸建て住宅の省エネ基準への適合の推進などが行われることとなります。

 しかし、この中で、さまざま民間からのお話もございますけれども、大臣が本会議での答弁におきまして、住宅・建築物省エネ対策は、中小の住宅生産者等の事業者に与える影響や消費者に与える影響などを的確に把握しながら検討を進めることが重要と考えていますとおっしゃっていただきました。事業者、消費者双方に、あるいは建築業、建設業にかかわり、広範囲に経済的影響がないかという懸念が読み取れるものですから、十分な対応を行っていかなければならないと思います。

 では、具体的にこのような対応実行が必要となってくるといった、対策の根拠とされているのはどのようなものなのか。事業者や消費者に与える影響について、特に注視している懸念点及び懸念が現実のものとならないようにとる対策の内容についてお聞かせください。

石井国務大臣 住宅・建築物の省エネ対策は、中小の住宅生産事業者や消費者に与える影響などを的確に把握しながら検討を進めることが重要であり、本法案に盛り込まれた施策につきましても、このような観点から慎重に検討を進めてまいりました。

 特に適合義務制度の拡大につきましては、着工禁止という強い規制措置を伴うことから、市場への影響を丁寧に把握、分析することが重要と考えられます。

 このため、関連事業者から供給される住宅・建築物の省エネ基準への適合状況の把握、中小工務店に対するヒアリングやアンケート調査による省エネ基準への習熟状況等の把握、省エネ基準に適合させるために消費者サイドに必要となる追加コスト等の試算等を行ってまいりました。

 こうして把握された事業者や消費者に対する影響に関する情報も踏まえまして、住宅及び小規模建築物につきましては、省エネ基準への適合率が低く、適合義務制度の対象とした場合、市場の混乱を引き起こすことが懸念されること、関連事業者に省エネ技術について習熟していない者が相当程度存在していること、省エネ基準への適合のための投資に係る効率性が大規模、中規模の建築物に比べ低いと試算されること等の課題があることから、適合義務制度の対象とはせずに、届出義務制度の監督体制の強化、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大等の措置により、省エネ性能の向上を図ることとしております。

 さらに、本法案の施行に際しましても、例えば事業者向けの講習会の場を活用いたしまして、説明義務制度において建築士が建築主に対して丁寧できめ細かい説明を行うことを促すなど、的確な運用に努めるとともに、関連事業者や消費者に与える影響について、十分に把握、分析を行ってまいります。

小宮山委員 ありがとうございます。

 今回、従来の、二〇二〇年以降全ての新築住宅に省エネ基準の適合を求めることは見送られることとなりました。中小工務店や建築士を始め木造住宅建築にかかわる関係者の皆様が最も関心を寄せ、影響について懸念を持たれた部分でありますので、まずは、しばらく、当面の間はというにすぎませんけれども、適合義務化が見送られたことに少し胸をなでおろしているという方も多くいるように感じております。

 ただし、基準適合は見送られたものの、改正により、戸建て住宅など延べ床面積三百平方メートル未満の小規模の住宅・建築物の新築等の際、建築主から評価及び説明不要の意思表示がない限り、建築士から建築主に、省エネ性能に関して書面による説明が義務づけられることとなります。基準適合義務化ではありませんが、負担が課せられる建築士が皆、問題なく行えるのかという懸念はやはり大きいところであります。建築士の負担を軽減するため、簡易な計算法を使えるようにするなどの対応も必要ではないかと考えます。

 木造住宅において、構造の強度、安全確認のための計算法として、許容応力度計算法とともに、簡易な手法として壁量計算法による確認が行えます。省エネ基準への適合判定のための計算においては、熱橋やひさしの出ぐあいにより日射が遮られるかなど詳細な計算が求められている建築単体で見れば、こうした方法そのものは理にかなっておりますが、隣地の建築物の状況など敷地固有の条件も加味されなければ、実態に合わない計算結果を求めていることとなります。

 簡易な計算法として、建築物の外皮仕様、壁、床、屋根、開口部の性能を種類分け、体積や表面積などをもとに、どの程度の性能を有するのかを等級、グレードで示すことなども考えられます。

 省エネ性能について、必ずしも全ての建築士が現在詳しくない現状にある中で、支障なく説明義務が果たされるのかどうか懸念の声も多く、国土交通省の見解を求めるとともに、混乱が生じないように、先ほども大臣に触れてはいただいておりますが、どのような対応を行うのか、改めて具体的にお聞かせください。

石井国務大臣 説明義務制度に基づく建築士による説明が適切に行われるためには、建築士が省エネ基準の内容等について的確に理解をしていることが必要であり、その準備のための期間を考慮いたしまして、説明義務制度の施行日を法律の公布から二年以内としております。

 建築士を始めとする関連事業者の省エネ関連の技術力の向上につきましては、中小工務店を対象といたしました講習会を実施をしております。平成二十四年度から平成三十年度までに延べ十三万人が受講しております。

 今般の建築士による説明義務制度の円滑な推進に向けて、本改正案に盛り込まれた施策に関する内容も含め、施行までの準備期間において、こうした講習会を引き続き全国各地域で行うことを予定をしております。

 さらに、省エネ基準への適否を簡易に判断することができる計算シートを整備することを予定をしております。

 具体的には、断熱材、サッシ、冷暖房設備等に関する設計の基本的な情報を記入することにより、簡易に省エネ基準への適否を確認できるものを考えており、こうした計算シートに関する情報についても講習会において提供していくこととしております。

 また、説明を受ける消費者が本制度を適切に理解していることも重要でございますので、消費者等に対しましても、施行までの準備期間において、メディアの活用やパンフレットの作成等を通じて、本制度に関する周知を進めてまいります。

 これらの取組によりまして、説明義務制度を円滑に実施するための環境整備に努めてまいりたいと存じます。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

小宮山委員 ありがとうございます。

 大臣は、風通しのいい日本伝統的構法による住宅への配慮に関して、本会議答弁におきまして、「現行の届出義務制度では、所管行政庁が認める場合に、壁や窓などの断熱性能に関する基準を適用除外とするなど、伝統的構法による住宅の供給に配慮をしているところであります。 本法案では、小規模住宅等に係る建築士から建築主への説明義務制度の創設を盛り込んでおりますが、本制度でも同様の緩和措置を適用するとともに、所管行政庁による運用が円滑に進むよう、対象とする住宅の仕様を例示すること等を検討しております。」と述べていただいております。

 新設される説明義務制度に関して、所管行政庁が認める場合の緩和措置の内容について、もう少し御説明をお願いいたします。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、現行の届出義務制度におきましては、所管行政庁が気候及び風土に応じた住宅であることにより外皮基準に適合されることが困難と認める場合には、壁や窓などの断熱性能に関する基準について適用除外としますとともに、エネルギー消費量に関する基準におきましては、一般的な住宅が省エネ基準で必要とされる設備を採用すれば、その基準を満たせるという形に緩和をしているところでございます。

 現行の届出制度は三百平米以上のものを対象としていることから、伝統的な構法の住宅が対象になるケースは非常に限定的でございましたが、今回創設されます説明義務制度では、三百平米未満の住宅も対象となるため、伝統的構法の住宅が、大部分がその説明義務の対象となってくると考えられます。

 こうしたことを踏まえまして、説明義務制度の創設に当たりましては、届出義務制度と同様の緩和を適用しますとともに、所管行政庁による運用などが円滑に進みますよう、国として緩和対象とする住宅の仕様を例示することを検討しているところでございます。

 例示する仕様につきましては、例えば伝統的構法の住宅において一般的に使用されております土塗り壁等の活用の状況を一つの目安として検討したいと考えております。

 また、本緩和措置が円滑に適用されますように、関連事業者に対しまして、今申し上げました住宅の仕様の例示について周知いたしますとともに、所管行政庁における認定制度の運用状況などに関しても情報提供を行うほか、所管行政庁に対しまして円滑、柔軟な制度の運用を促してまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 小規模建築物である戸建て住宅においては、環境に配慮した二酸化炭素削減や使用エネルギーの削減に向けては、建築物そのものの断熱性能のみならず、さまざまな手法や住まい方が影響してまいります。

 以前の質問でも取り上げました、日本建築家協会が実施した二十数棟の伝統的木造住宅のエネルギー使用量調査では、土壁を用いた、壁、床ともに断熱材の入っていない住宅であっても、基準エネルギーよりも数十%も少ないエネルギー使用量で暮らしている実態が明らかになるなど、ほとんどの調査住宅では、外皮性能を満たさずとも、ほかの快適要素や暮らしの工夫で低エネルギーな暮らしが実現されておりました。

 外皮性能、断熱性能については数値では評価されていますが、湿気、湿度など、居住の快適性に大きく影響するにもかかわらず、評価の指標に入らないものもございます。また、結露の問題、とりわけ外皮性能が数値上高性能となった際に増加も想定される内部結露とどのように関係していくのか、建築の寿命や居住者の健康への影響などについての調査研究も急務だと考えております。

 そこで、湿気、湿度などについての評価、取扱いの検討、内部結露と外皮性能の関係並びに建築の寿命との関係、あわせて健康への影響についての調査研究の必要性について、国土交通省の見解を簡潔にお聞かせください。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 断熱性能の高い住宅の供給の促進を図る上では、適切な湿度の維持や結露の防止、これは非常に留意することが必要だと考えております。

 湿度に関しましては、断熱化や気密化を図るに当たりまして、劣悪な湿度環境とならないよう、適切な換気等を行うことが重要になってまいります。

 また、結露に関しましては、欠損のない適切な断熱材の施工や防湿層の設置等を講じることが一般的ではありますけれども、調湿機能が高いとされます土塗り壁等については、適切な湿度の維持を通じて、結露の防止や快適性の確保等に効果があると指摘されているところでございます。

 国土交通省では、平成二十八年度から、伝統的構法を採用しながら環境負荷の低減を図るモデル的な住宅の整備に対して支援を行いますとともに、そういった対象になった住宅におけます省エネ効果や湿度、温度等のデータの収集、蓄積を進めてきているところでございます。

 こうしたデータも活用しながら、例えば土塗り壁につきましては、調湿機能による結露の防止や快適性の確保等に効果があることなども考慮しながら、先ほど申し上げました緩和対象となります住宅の仕様の例示について、そういう点も生かしながら検討していきたいと考えております。

 また、湿気によります結露が健康に与える影響や結露発生の防止策につきましても、今後調査研究を行ってまいりたいと考えているところでございます。

小宮山委員 これまでも伝統的構法の振興に関して質疑を重ねてまいりましたけれども、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会に関して、伝統的構法をより採用しやすくなるためのデータ整備や告示などの整備を積極的に進めていくべきだとの観点から質疑も行ってまいりました。

 改めて、伝統的構法をより採用しやすくなるためのデータ整備や告示などの整備について、昨年五月以降の進捗状況、取組、今後の見込みについて御説明ください。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 仕様規定に適合しない伝統的構法によります場合、地震に対する安全性の確保のために、建築基準法によりまして、構造計算がまずは要求されているところでございます。

 このため、国土交通省では、構造計算の際に活用可能な継ぎ手や仕口、木と木のつなぎ口でございますが、の接合部のデータベースの整備を進めておりまして、専門家の確認が終了したものについて、平成二十九年三月からその利用のための公開をしております。

 昨年五月以降も、それまでに公開いたしました五十三件に加えまして、工学的な検証が終わりました十五件の接合部等のデータを追加しているところでございます。また、設計時の参考となりますように、そのデータベースの使い方を紹介する事例の作成を今進めているところでございます。

 さらに、構造計算を行うことなく伝統的構法を採用しやすくするために、実験等で安全性が確認できた壁や接合部の仕様を基準化してきているところでございます。

 最近では、前回の五月にもお答え申し上げました、一階の柱と土台を鉛直の方向に固定しない接合の方法や、土塗りの垂れ壁、腰壁等の仕様について、仕様規定として、その後、告示に追加をしているところでございます。さらに、現在、大黒柱などの太い柱で構成された架構、柱とはりで組んだ構造でございますが、それについて、実験等による知見が得られつつありますので、仕様規定に今年度中にも追加をすべく検討を今しているところでございます。

小宮山委員 ぜひ、伝統的構法、さまざまな知恵の入ったものでありますので、これからも検討していただき、実際に建てられるような状況というのを進めていただければと思います。

 さて、本会議におきまして、住宅・建築物の省エネ性能の向上を進めることにあわせて、建築物の状況を踏まえて周辺の緑化を進めることはエネルギー消費を抑制する効果があること、また、建築物周辺の緑化は居住者や利用者にとって快適で豊かな環境の提供になること、また、建築物周辺の緑化を進めることの効果につきましても周知を進めていきたいとの大臣の答弁がございました。

 国交省では、これまでも、建築物、特にビルなどの屋上緑化や壁面緑化について、エネルギー消費量低減やヒートアイランド現象対策、美観向上など多面的な目的も認めながら取組を進めてきております。建築物省エネ法に関する講習会で緑化の効果について取り扱うことは、省エネ基準への適合を求め設計していく上で、緑化についても計算の中に取り入れていくことを可能としているのか、確認したいと思います。

 また、既に義務化されている大規模建築物並びに今回適合義務化となる中規模建築物の壁面緑化、屋上緑化などを省エネ性能の計算に入れることができるようになるのか、さらには、性能評価、説明義務化となる小規模建築物についても、周辺緑化や植栽の効果について性能評価計算に用いることができることになるのか。将来に向けては、建築物本体ではないこの緑化等の活用が省エネに有効であるとの認識は、とても心強く大臣の答弁を聞いていたところでもありますが、この点に関しまして、大臣の真意を改めて確認をさせていただければと思います。

石井国務大臣 住宅・建築物の壁面緑化、屋上緑化を進めることや建物の状況等を踏まえて周辺の緑化を進めることは、夏季において日射の室内への流入を抑制することを通じまして、冷房に係るエネルギー消費を抑制する効果があると認識をしております。

 一方で、例えば、新築時におきましては冷房に係るエネルギー消費を抑制する効果のある植栽につきましても、生物である植栽の管理が十分でない場合にはその効果が短期間で失われてしまう、そういった場合も想定をされまして、建物本体の断熱性能に比べますと、省エネに関する効果の安定性に欠ける面が、省エネ基準に反映させる上での課題となってございます。

 このため、壁面緑化、屋上緑化や植栽等の周辺の緑化の効果につきましては、現在のところ、省エネ基準への適合可否の判断要素に盛り込むことは困難と考えております。

 なお、壁面緑化、屋上緑化につきましては、過年度調査におきまして、その省エネ効果等のシミュレーションを行うなど、データの集積、蓄積を進めております。これらのデータも活用しまして、専門家の方々の御意見も伺いながら、壁面緑化、屋上緑化や植栽等の周辺の緑化による省エネルギー効果につきまして、引き続き調査研究を推進をしてまいりたいと考えております。

 また、本法案に盛り込んだ施策の円滑な推進に向けまして、関連事業者等に対する講習会を実施していくことを予定をしておりますが、こうした機会を活用いたしまして、屋上緑化、壁面緑化や植栽等の周辺の緑化を進めることの効果につきましても周知を進めていきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今回の法案の対象からは外れていますけれども、建物というのは、それだけではやはり省エネにはならないんだと思います。さまざまな環境というものも影響すると思いますので、この性能調査を続けていただければと思います。

 また、本日、大変丁寧にお答えいただいておる関係で、少し先にまず進ませていただいて、時間があれば戻りたいと思いますが、次、地方公共団体の条例による建築物エネルギー消費性能基準の付加について、質問を続けていきたいと思います。

 現行の建築物エネルギー消費性能基準については、日々の平均外気温をもとに市町村単位で全国を八つの地域に区分した上で、地域区分ごとに基準値を設定する形で運用しております。しかし、同一市町村内でも気象条件にばらつきがある場合、地域によっては、国が定める基準のみでは建築物の備えるべき省エネ性能の確保を図ることができないという面もございます。

 今回の改正にて、地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特性により、省エネ性能基準のみによっては省エネ性能を確保することが困難であると認める場合においては、条例で省エネ性能基準に必要な事項を付加することができることとされております。

 そこで、地方公共団体での条例によるエネルギー消費性能基準の付加が妥当であると認められるのはどのような場合か、詳しく御説明をお願いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生お話ありましたとおり、現在の基本的な省エネ基準につきましては、全国を八つの地域に分けまして、市町村を基本単位として適用をしております。

 ただ、先ほど先生お話もありましたとおり、今回の条例で基準を強化するケースとして、例えば、平野部と山間部がある市町村において、気候が相対的に寒冷である山間部、こちらにおいて基準を強化する、また、南北に長い市町村におきましては、気候が相対的に南北で異なる場合がございます。そういったときに、寒冷である例えば北部側なりで基準を強化するといったものを想定をしております。

 説明義務等においてもこの基準が問題となってまいりますので、そういった意味で、なるべく地域のエリアに応じた内容で適用ができるように今回の措置を設けさせていただいたものでございます。

小宮山委員 それでは、条例で定めることができるというのは、通常の基準に比べてより厳しい、高い水準を定めることができるということになるんでしょうか。あるいは、より低い水準の基準を定める形で制度の上書きも行えるのか、この点についても御見解をお聞かせください。

石田政府参考人 今回の改正案におきます条項に基づく条例につきましては、よりきめ細かな形でいわば省エネの確保を図っていくための措置でございます。

 したがって、強化を行うことを想定しておりまして、今回の改正を盛り込みます制度において、基準の緩和を行うことはできない形になってございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 エネルギー消費性能基準を示して、同基準への適合を求めていくことのみを突き詰めていきますと、建築物は高気密、高断熱化を進める外皮性能向上への基準へとなっていくのではないでしょうか。

 しかし、住宅において省エネを達成するもう一つの枠組みとして気候風土適応住宅があり、各地域の特定行政庁がその地域の気候風土に適した住宅について独自のガイドラインを認定することができるものとされております。

 短期の利益誘導を目的とする家づくりに対して、気候風土適応住宅は正反対の位置にあります。断熱材を例にすれば、量産型住宅でよく使われる発泡プラスチック系の材料は、断熱性能ではすぐれておりますが、廃棄処分方法が不確定のままなのが現状です。近年、海洋微小プラスチックごみ、マイクロプラスチックごみの問題に対して、SDGsへの取組などでも議論を集めるところとなってきております。

 断熱性能が高い、省エネルギー性能が高いというだけで採用していくことばかりが正しいとは言えないのが、環境に着眼していかなければならない現代の課題だと考えます。

 気候風土適応住宅は、国のガイドラインにおいて、地域の気候及び風土に応じた様式、形態、空間構成、そして構法、材料・生産体制、景観形成及び住まい方などの特徴を多面的に備えている住宅であることにより、外皮基準に適合させることが困難であると想定させる要素を含む住宅であることと定義されております。

 複数の行政区において検討もされてきましたけれども、省エネ基準への適合義務化が見送りになったこともあり、議論は鈍化、あるいは、地域によっては議論そのものが消滅していると聞いております。

 今回の改正による地方自治体での条例によるエネルギー消費性能基準の付加と気候風土適応住宅のガイドライン認定とはどのように関係してくるものなのでしょうか。省エネ性能基準に関して地方自治体が独自の判断により条例で定めることができるようにするに当たっては、基準の強化について定めるだけではなく、例外規定のような形ででも、地域の気候風土や暮らし方を反映させる基準のあり方が建築物、特に住宅に対して行えるようにしていくのがよいと考えますが、見解をお聞かせください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありました、地域の気候風土に適応した住宅につきましては、これまでも、大規模、中規模の住宅に係ります届出義務制度の運用に当たりまして、所管行政庁が認める場合に、壁や窓など断熱性能に関する基準を適用除外とするなど、地域の気候風土に適応した住宅に配慮を行っているところでございます。

 今回、説明義務制度を導入することにより、これまでは余り対象になっておりませんでした伝統的なそういった住宅が、規模の小さいものも説明義務の対象になることから、そういった地域の気候風土に適応した住宅の供給配慮の観点がより一層重要になると考えております。さっき申し上げました届出制度に係ります緩和措置と同様のものを説明義務制度においても適用することとしております。

 また、さらに、ニーズがふえるだろうことから、所管行政庁によります基準の緩和手続がより円滑に進みますよう、国において、緩和対象とする住宅の仕様を例示することを検討しているところでございます。

小宮山委員 本年二月三日には、埼玉県の飯能市内の会場にて、和の住まい推進リレーシンポジウム・イン飯能が開催されております。主催は埼玉の木づかい運動実行委員会、共催として、飯能型気候風土適応住宅推進協議会が開催されました。

 リレーシンポジウムでは、国土交通省、林野庁、観光庁からも取組についての講演の後、どうしたらもっと当たり前に、普通に、ふだんに木の家に住むことができるかについて、さまざまな立場から意見交換が行われたと聞いております。

 飯能型気候風土適応住宅推進協議会は、飯能地域に即した、飯能型の気候風土適応住宅のガイドラインについても検討されています。地域材の使用の基準、屋根、外壁、開口部、壁、床、建具などの仕様、金具に頼らない接合や小屋組み、軸組みなどの構造などについてガイドライン案で示されております。

 行政は一般的に、間違いのないように、判断によって不利な事象なども生じないようにと慎重に政策決定をしていくという面があると思います。せっかく地場産の木材を活用して良質な木造建築、木造住宅を振興していこうと熱意を持っているところがあっても、さまざま慎重な対応によってはしぼんでしまいかねず、また、現に、今回の小規模建築物での省エネ基準適合が先送りになったことで、各地で気候風土適応住宅の議論が下火になりつつあります。

 気候風土適応住宅についての議論が下火になっている理由の一つには、法的位置づけの弱さというのもあると指摘がされているところでもあります。せっかく検討も進みつつあった気候風土適応住宅はよくできた適用除外の取組だと思っておりますが、より位置づけを明確にしていく必要があると思いますが、この点に関しまして、大臣の見解をお聞かせください。

石井国務大臣 気候風土適応住宅に対する省エネ基準の緩和措置は、断熱性能は高水準でなくとも、通風の確保など、地域の気候、風土、文化を踏まえた工夫の活用により、すぐれた居住空間の確保を図る伝統的構法による住まいづくりの重要性に配慮をして措置されたものであります。

 本法案により創設され、同様の緩和措置が適用される説明義務制度の施行に当たりましては、こうした緩和措置の趣旨について、関連事業者等への理解を促すことも重要と考えております。

 こうした観点から、建築物省エネ法に基づく建築物のエネルギー消費性能の向上に関する基本的な方針におきましてこうした内容を明確に記述するとともに、今後実施していくことを予定をしております関連事業者等に対する講習会におきましても、周知を進めていきたいと考えております。

 さらに、気候風土適応住宅につきましては、説明義務制度の運用に当たって、建築士から建築主への省エネ性能に関する説明の際に、本緩和措置の趣旨についても情報提供を促してまいりたいと考えております。

 これらの取組によりまして、伝統的構法による住宅の供給と省エネ性能の向上の両立に取り組んでまいりたいと考えています。

小宮山委員 ありがとうございます。

 日本の伝統的構法によってつくられる住宅や建築物というのは、自然とともにあるというのが一番の特徴かと思います。また、その中では、床の間、掛け軸などによって四季を感じたり、冠婚葬祭であったり、さまざまなことの掲揚ができたり利用ができる。そういう意味では、想像力を豊かにすることのできるのも、伝統的建造物で培われた和の住まい方かと思っております。

 国交省では、現在も、和の住まいの推進として、日本の、さらにそれぞれの地域の住宅のあり方を捉えつつ、それらがつくり続けられる意義を提示しております。

 気候風土適応住宅の議論は、まさに和の住まい推進そのものであり、国土交通省でしっかり後押しをしていくべきであると考えております。この点に関しましての大臣の御決意をお聞かせください。

石井国務大臣 和の住まいの推進は、我が国の各地域の気候、風土、文化に根差した住まいづくりを通じまして、伝統的な住まいの文化のよさの再発見と普及につながるとともに、伝統産業や観光業などの振興、地域の活性化に資する重要な課題と考えております。

 平成二十八年三月に閣議決定をいたしました住生活基本計画におきましても、目標と基本的な施策の一つとして、伝統的な技術の承継、発展を掲げ、地域材を用いた良質な木造住宅や和の住まいの普及啓発等を推進することを位置づけております。

 このため、伝統的な住まいの要素や住まいの知恵等をわかりやすくまとめた手引書、「和の住まいのすすめ」を国土交通省のホームページに掲載するほか、全国各地における和の住まいリレーシンポジウムの開催等によりまして、和の住まいの推進に取り組んでいるところであります。

 気候風土適応住宅の供給は、地域の気候及び風土等に根差した住まいづくりに寄与するものであり、和の住まいの推進の一環として進めることが重要と考えております。

 このため、和の住まいに関するシンポジウム等におきまして、気候風土適応住宅に関する情報につきましても積極的に提供するなど、和の住まいの推進と気候風土適応住宅を連携して進めることによりまして、地域の気候風土等に応じた住まいづくりを積極的に促進してまいりたいと考えております。

小宮山委員 昨今のマンション等や住宅には畳の部屋もないという意味においては、和の住まいというのがなかなか認識がしづらいというのも現実だと思いますので、この点に関しましてはさらなる推進をしていただければと思います。

 一番最後、先ほど飛ばしました既存住宅の建築物の省エネに関して、新築だけではなく既存ストックの対策というのが大変重要かと思います。

 これにつきましては、省エネリフォームに対する財政上の支援の充実というのもさまざま努力をされております。既存ストックでの省エネ改修について、広報の仕方、工夫などによって、大手だけが、やはりその利益に資するのではなく、個人事業主であったり工務店であったりとか、地域においても資するべきであることは多々あるかと思います。

 最後に、消費者が取り組んでみようと第一歩を踏み出しやすいようにするべきと考えておりますが、この点に関しまして、国交省の取組について御説明ください。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、既存ストックに係ります改修の対策を推進することは非常に重要であると考えております。

 ただ、既存ストックの省エネ改修につきましては、改修前の住宅の状況や改修の内容などに応じまして、必要となる費用、またその効果が大きく左右されるという特徴がございます。

 このため、どういったケースでどういった改修を行うことが効果的か、また、どういう支援制度が活用できるかなどについての情報を消費者や地域の中小の工務店に提供していくことが非常に大事だと思っております。

 具体の改修事例の分析などによりまして、効果的な省エネ改修の進め方、また具体的事例を整理して消費者や中小工務店に提供いたしますとともに、先ほど一部答弁させていただきましたが、ヒートショック防止等の健康関係のそういった情報もあわせて周知を図っていきたいと思っております。

 また、中小工務店におきます省エネ改修を支援するため、今年度からは、中小の工務店等の関連事業者によるグループで省エネ性能等のすぐれた木造住宅の供給を支援する地域住宅グリーン化事業の補助対象に、既存住宅の省エネリフォームというものを新たに追加するという取組もさせていただいております。

 こういった取組によりまして、既存ストックの省エネ改修の促進を進めていきたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございました。

谷委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 早速質問に入らせていただきます。

 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部改正案について質問します。

 国のエネルギー基本計画では、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化するとしていますけれども、本法案では、延べ床三百平米未満の建物とマンションなどを含む住宅への義務化は見送られました。これはなぜでしょうか。それから、いつまでこれは続けるおつもりなんでしょうか。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 住宅及び小規模の建築物につきましては、省エネ基準への適合率が低い水準にとどまっているため、適合義務の制度の対象とした場合に市場の混乱を引き起こすことが懸念されること、また、関連します事業者に、省エネ関連の技術についてまだ習熟をしていない者が相当程度存していることなどの課題があることから、今回の法案においては、住宅や小規模建築物につきましては適合義務制度の対象とはせずに、届出義務制度の監視体制の強化、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大などの複合的な措置を講じることによりまして省エネ性能の向上を図ることとしております。

 まずは、これらの施策を的確に推進することによりまして住宅・建築物の省エネ性能の向上に取り組み、これらの施策の推進状況、また、これによる適合率の向上の状況等を踏まえて、今後の施策のより一層の拡充を図っていきたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 義務化見送りに対して、住宅の省エネルギー性能向上などに努める六団体は反対の声を上げているわけであります。

 例えば、気候変動は待ったなしなのに対策を後退させてどうするのか、そもそも閣議決定された基本方針ではなかったのか、住宅の温熱環境の改善は国民の健康の問題でもある、義務化した方が住人の可処分所得は増加する、景気の減速にもつながる、こうした意見が出されているわけであります。

 そして、多くの事業者は二〇二〇年に義務化されると聞いて真面目に取り組んできた、かけたはしごを外してしまうのかというふうにも言われているわけであります。

 こうした訴えが出ていることに対して、石井大臣、いかが受けとめておられるでしょうか。

石井国務大臣 一般社団法人日本エネルギーパス協会ほか六団体が、二〇二〇年までに新築住宅・建築物の省エネ基準への適合義務化を求める声明を発表されていることは承知をしております。

 しかしながら、住宅や小規模建築物の適合義務化につきましては、ただいま局長から答弁を申し上げたとおり、さまざまな課題がございまして、社会資本整備審議会におきましても主要な関係業界団体から慎重な声があったところであります。

 このため、まずは、本法案に盛り込まれました届出義務制度の監督体制の強化、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大等の施策を的確に推進することによりまして、これらの住宅・建築物の省エネ性能の向上に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 その上で、現在、我が国におきましては、パリ協定の長期目標の実現に向けた長期戦略の検討が進められております。具体的には、今月上旬に行われました提言を踏まえまして、本年六月のG20までに政府としての長期戦略が策定される予定と承知をしております。

 今後、この長期戦略や当該戦略を反映した地球温暖化対策計画等の見直しを踏まえながら、本法案に盛り込まれた施策の推進状況も丁寧にフォローアップをいたしまして、さらなる省エネ対策の充実に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 そのパリ協定の目標達成なんですけれども、建築分野では、二〇三〇年までに二〇一三年比でCO2を二六%削減しなければならない、IPCC一・五度目標の提起も受けて、さらなる削減量を追加していかなければならない状況にあるにもかかわらず、義務化の無期限延長をするというのは、これは納得できる話ではないと思います。アメリカやドイツ、フランス、イギリス、韓国に更におくれをとっていくことになるということを指摘せざるを得ないというふうに思います。こうしたところの見直しを求めたいと思います。

 法案については以上でありますけれども、本委員会でたびたび議論となっている下関北九州道路の問題について質問をしたいと思います。

 まず、四月十二日、本委員会で我が党の宮本徹議員が指摘をし、そして要求した問題についてであります。

 宮本議員が要求した文書、資料について、国土交通省が調べるとしたものについて、その後どうなったでしょうか。まずは、安倍首相も名前を連ねた関門会の下関北九州道路の早期実現に向けての要望書、これは省内にありましたか。それから、応対の記録、メール、メモはありましたか。

 二つ目。二〇一六年八月ごろに大臣が下関北九州道路の政策判断について省に問題提起をしたと言われる検討資料、文書等、これらについて、その後の調べた状況をお聞かせください。

池田政府参考人 関門会につきまして、平成二十八年三月三十一日に国土交通大臣に要望に来られたことについて承知しておりますけれども、その際の面談の記録等は、調べましたが、ございませんでした。また、省内には、そのときに関門会の方から持ってこられた要望書についてもございませんでした。なお、地元の報道等で、要望書についても、内容については私の方で確認をしたところでございます。

 また、二つ目でございますけれども、平成二十八年の夏ごろに、この下関北九州道路が他の五つの海峡横断プロジェクトとの違いがあるのではないかという大臣の問題提起を受けまして、道路局で整理をした資料を、本日の理事会で提出したところでございます。

田村(貴)委員 引き続き捜していただきたい。局、部、課においても、それから、インターネット、メール等の中に入っている可能性もありますので、引き続き捜していただきたいと思います。

 これはこの問題の根幹の部分ですよ。国土交通副大臣がそんたくをした、総理と副総理にそんたくをした、これは選挙の中での公言ですよ。本委員会でも答弁をされていた方がこういったことを言って辞任した。ですから、本委員会がこの問題に対して解明をしていかなければならないわけであります。

 そして、関門会の資料、なかったということなんですけれども、大臣は覚えておられないんですか。要望書、省内にはなかったと言うんですけれども、きのう事務方に聞いたら、ネット上で見ましたと。だから、大臣も御存じのはずであります。

 二〇一六年三月三十一日、この要請時のことを、石井大臣、思い出されたでしょうか。そのときに、何を話されて、どういうふうに対応されましたか。

石井国務大臣 まず、先ほど委員が平成二十八年八月ごろに私が問題提起したとおっしゃいましたが、私、夏ごろというふうに答弁をしておりまして、八月とは申し上げておりませんので、その点、御理解いただきたいと思います。

 また、平成二十八年三月三十一日の関門会の要望ですけれども、私、具体的な日付は覚えておりませんでしたが、平成二十八年に下関北九州道路の要望を受けたことは覚えております。

 ただ、御承知のとおり、たくさんの要望を受けて、それに対して対応しておりますので、三年前の要望に対してどのように答えたかということは、具体的には覚えておりません。

田村(貴)委員 これは、大臣、私もなかなかの要望書だなと見たわけですけれども、安倍総理を始め大臣経験者、政権与党の議員十四人が名前を連ねているわけですよね。これは大事な案件だとは思われなかったんでしょうか。記憶もない、面談記録もない、これは信じがたい話であります。

 では、大臣にとって、この関門会からの下北道路早期実現に向けての要望書というのは聞くに値しない要請だったということなんでしょうか。今読んでみて、大臣、この要望書についてはどのように受けとめておられるんですか。今、どうなんですか。

石井国務大臣 先ほど委員も御紹介いただきましたけれども、私が下関北九州道路がほかの五つの海上プロジェクトと違いがあるのではないかという問題提起を事務方にいたしましたのは平成二十八年の夏ごろでございます。

 したがいまして、関門会から要望書を受けた平成二十八年の三月三十一日ですか、この当時は、恐らく下関北九州道路というのはほかの五つの海上プロジェクトと同じ仲間、同じ仲間といいますか、要するに凍結グループの中に入っている、そういう認識だったのではないかと思っておりまして、恐らく相当そっけない対応をしたのではないかと想像をいたします。

 今見ますと、下関北九州道路は、ほかの五つの海上プロジェクトとは違って、別にして、ゼロベースで必要性を検討するというふうに整理をし直したわけでありますから、今同じような御要望があれば、それに基づいたお答えをしたんだろうというふうに思います。

田村(貴)委員 そっけない対応をしたのではないかと言われますけれども、時系列から見たら、やはり、安倍総理がわざわざ名前も書いている、そして第二関門橋建設促進と言ってきている、そして大臣経験者がこれだけ名前をそろえて関門地域の人たちが要請している。むしろ、しっかりとインプットされたんじゃないんですか。なぜならば、その五カ月後には、大臣は大きな政策転換に踏み出しているわけでありますから。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、石井大臣は、関門トンネルや関門橋のバイパス機能確保など、下関北九州道路がほかの五つの海峡横断プロジェクトと違いがある、その認識が膨らんだと今おっしゃいました。二〇一六年の夏ごろということですね。そして、事務方に問題提起をしたということであります。では、その問題提起はどういう問題提起なんですか。事務方に何を指示されたんですか。

石井国務大臣 それは、今委員から御紹介いただいたとおり、この下関北九州道路はほかの五つの海上プロジェクトとは違いがあるのではないかという問題提起をしたということです。

田村(貴)委員 それだけなんですか。

 それは、凍結をして、そしてこれを解凍して、そして今から予算化していくという大きな政策転換の話のときに、余りに具体性に乏しいと言わざるを得ません。

 凍結したものを解凍して動かすのであれば、それは、政府は答弁も方針も受け継いできているわけですから、それなりの理由が要るわけであります。

 二〇〇八年三月十二日、時の冬柴大臣が次のように答弁しています。効率的な道路整備のあり方を踏まえて、今後調査を行わないとしたわけであります。つまり、財政面でこうした海峡プロジェクトはできないとしたわけであります。

 国土交通省は凍結道路を今年度予算化しているわけです。効率的な道路整備のあり方が、あれから十年以上たって、できるようになったんですか。財政事情が好転したんですか。それは一体どういう根拠を持ってこういう予算化に踏み切っているんですか。あのときの冬柴大臣の答弁に照らして、効率的な道路整備のあり方ができないから凍結したんだと。じゃ、今解凍するに当たっては、これに対抗する理由がないといけないんですよ。どうなんですか。

石井国務大臣 今、委員はあたかも、予算化したということで、事業化したかのような御指摘でありましたけれども、事業化をしたわけでは決してございません。事業化をするに当たりましては、今後、直轄調査を行った上で、計画段階評価や環境アセスメント、また、都市計画決定、新規事業化、事業採択、それぞれの段階において判断がされるということでございます。

 それで、御質問は何でしたっけね。(田村(貴)委員「もう一回言うと、効率的な道路整備のあり方です」と呼ぶ)ああ、効率的な。

 平成二十八年に私は国会で答弁いたしまして、ゼロベースで必要性を見直すというふうな答弁を国会でいたしましたけれども、そのゼロベースという中には、PFIなどの民間活力も含めた整備手法ということも念頭にございましてゼロベースというふうに言っておりまして、今後、そういった民間活力の最大限の活用ということも検討していく予定でございます。

田村(貴)委員 大臣、私が言ったのは、冬柴大臣が、財政上の問題、効率的な道路整備のあり方に照らして凍結すると言ったんです。ですから、これを覆すちゃんとした理由はあるんですかと聞いているんですよ。

石井国務大臣 恐らく平成二十年当初は通常の公共事業という発想であったのではないかと思いますけれども、今申し上げたように、税金を投入するだけではなくて、民間の資金を最大限活用していく、そういう整備手法も検討していくということでございます。

田村(貴)委員 先日、野党合同で、この下関北九州道路の現地調査を行ったところであります。

 地元の方は、PFI方式、私も二年前に大臣に質問したときに、こういったことも出ているからゼロベースだというふうに言われたんだけれども、二キロですよ、海峡をまたぐ二キロの橋をPFI方式で果たして成功できるだろうか。それは、委員の方々、いろいろ疑問が出されました。そして、今度、国が直轄して予算化するわけですよね。これは国が事業主体になっていく可能性は大ですよね。だから、ここの議論というのは非常に大事なんですよ。

 当時の冬柴大臣は、海峡プロジェクトは夢として検討され、路線としても挙げられた、しかしながら、現在の状況から、こういうものにこのまま着手できるような状態ではない、ここまで答弁されているわけですよね。

 着手できるような財政状況が今生まれているんですかということを私は聞いているわけですよ。しかとお答えいただきたいと思います。財政状況。

石井国務大臣 先ほどから答弁しておりますように、したがいまして、税金のみの公共事業ではなくて、民間資金を最大限活用する整備手法を検討していくということでございます。

田村(貴)委員 じゃ、国が主体となって事業を進めるということではないんですね。

 これは、では、国交省の方に伺います。どうなんですか。

池田政府参考人 平成三十一年度に国の方で直轄の調査に着手したわけでございますけれども、この着手につきましては、現在の国道二号の慢性の渋滞、あるいは関門トンネルの通行どめの頻発化という深刻な課題に対応するために、平成二十九年度より地元の福岡県、山口県、北九州市などがルートや構造、整備手法の調査を行い、ことしの三月八日に取りまとめが行われたところでございます。

 この調査結果を踏まえて、海上部のさらなる調査には高度な技術力が必要なために、国において、この海上部の構造検討やPFIの活用を含む整備手法の検討を始めるということでございます。

田村(貴)委員 結局、当時の政府の意思、効率的な道路の整備のあり方に照らして事業を再開するに当たって調査費をつけた、この合理的な理由はないわけなんですよ。

 二〇一四年二月十九日、時の太田国交大臣、リダンダンシーとかに国が合わせて主導していくということでもありません、ですから調査を行っていない、こういう答弁もありました。

 リダンダンシーの検討は、二〇〇八年の凍結に至るまでさんざんやってまいりました。それでも、夢のような事業は現実的ではないということで凍結になった経過であります。

 国交省の方に伺いますけれども、関門橋と関門トンネル、この二つの道路が同時に通行どめになった事例について教えてください。

池田政府参考人 関門トンネルと関門橋の二つの道路が同時に通行どめになりますのは、関門トンネルが二日に一回の割合で通行どめになっておりますことで、その上で、関門橋に雪などが重なったときに長時間の通行どめがありまして、その両者が重なった場合に発生していることでございます。

 西日本高速道路株式会社が発足しました平成十七年度以降では五回発生していまして、最大で十七分の通行どめとなっておるところでございます。

田村(貴)委員 いつの話ですか。

池田政府参考人 現時点で、今申し上げました平成十七年度以降五回ということで承知をしております。具体的な日付については、今手持ちのデータがございませんので、後ほど御報告させていただきます。

田村(貴)委員 雪で十七分間、関門橋が通行どめになったと。

 そこから数キロ離れたところに新しい海峡型の道路を建設するという構想の予算化なんですよ、調査の。

 じゃ、今度新しく、数キロしか離れていないところの道路にも同じ大雪が降る、積雪がある、ここの道路は通ることができるようになるんですか。一キロメートルの関門橋が通行どめになった、その前の二キロの下関北九州道路は、こうした気象状況、災害時には大丈夫で通行できるということなんでしょうか。リダンダンシーのことを石井大臣は大分言われましたけれども、この点について私は疑問を持っています。いかがですか。

池田政府参考人 幹線道路ネットワークの多重性、代替性の形成は、リダンダンシーの確保の上で、防災機能の強化の上で非常に重要なことと考えております。

 例えば、昨年の七月の西日本豪雨の際に、広島から呉において、広島呉道路が盛土崩壊により約三カ月通行どめになりました。近接いたします東広島呉道路は三日間で復旧いたしまして、代替路として広島―呉間の交通を速やかに確保することができたところでございます。

 このような事例からも、下関北九州道路につきましては、関門トンネルや関門橋に対する災害時の代替機能の確保といった効果は期待されるというふうに考えております。

田村(貴)委員 局長、質問をちゃんと聞いてください。私、今詳しく言いました。数キロしか離れていないところにもし橋梁型の下関北九州道路をつくったときに、同じ気象条件があって、同じ災害があったときに、こちらの方は通ることができる、通行料金を払って道路を進行していいというふうなことが想定できるんですかと言っているんですよ。どうなんですか。

池田政府参考人 災害等における交通の遮断はいろいろなケースが考えられますし、考えていかないといけないと思っております。

 そういう意味で、下関北九州道路の構想につきましては、関門トンネルや関門橋に加えた道路となることから、仮にこういったものが実現すれば、災害時の代替機能の確保には大きな効果があると考えております。

田村(貴)委員 結局、回答がないわけですよ。明確な根拠もないわけですよ。

 私、ここに暮らしていますけれども、本当に、一つ大きな地震があったときに、熊本地震でもそうですよ、あのときはインフラが全部ストップした。新幹線もとまり、高速道路もとまり、そして一般道は大渋滞になる。災害というのは、そういうものなんですよ。ですから、災害が起こったときに、関門トンネルは通れなくなる、関門橋にも影響があるんだけれども、下北道路だけは動きますよ、そういう根拠はない、このことを指摘しておきたいと思います。

 結局、二〇〇八年に政府が凍結して、それを復活させる正当な理由がないんです。あのときも実は自公政権ですよね。そして、あのときの担当大臣は公明党の大臣。そして、今も自公政権。そして、今も公明党の大臣。何が変わったのか、どこが変わったのか。一つ変わったとすれば、安倍政権になったからということであります。

 関門会という自公の国会議員グループをつくりました。安倍総理を囲み懇談して、関門会の総意として第二関門橋の早期建設促進の要請を行うことにしたというのが三年前の話であります。

 そして、二〇一八年十月二十五日、首相官邸において、参議院の自民党吉田幹事長に対し安倍首相は、早期建設に向けた活動をしっかり取り組むようにと言ったとも言われています。そして今月、国土交通副大臣の、安倍総理にそんたくしました、直轄事業に引き上げたという発言があったわけであります。

 これは、石井大臣が二〇一六年の夏ごろに思い立って方針転換したということではないんじゃないんですか。もっと大きなところで政治的な力が働いて、そして、これはもうみんなでやっていこうという中で、とにかく建設を進めていこうという話ができているんじゃないかな、私はそういうふうに思うわけであります。

 防災機能やバイパス機能というのは、当時の凍結した理由からは成り立たないんです。それ以前にはさんざん議論されてきたからであります。

 ちゃんと説明をしていただきたいと思います。国費を使うわけです。百八十度、路線を変更するわけなんですよ。

 初鹿議員から先に資料も配られていましたけれども、私も同じ資料を配らせていただいております。山口県のホームページであります。

 三月十九日、石井大臣に対して、下関北九州道路整備促進期成同盟会などが要望書を提出したときのやりとりであります。このときに石井大臣は、「来年度、直轄で調査を行う方向で考えている。あわせて整備手法も検討していく。」というふうに返答したというふうに書かれています。

 三月十九日時点というのは、政府予算案、成立していません。参議院で審議中であります。予算も成立していない中で、予算成立が前提である国直轄の調査費の箇所づけについて大臣が地元の人に回答する、これは大臣、いかがなものでしょうか。よろしかったんですか。

石井国務大臣 お答えする前に、委員からは、平成二十八年三月の関門会の陳情の中に安倍総理の名前があることをもって、私にかなり影響を与えたんではないかと、私の内心のことまでお考えいただいて、御想像していただきましたが、これは私のことですからはっきり申し上げますと、平成二十八年の夏に、この下関北九州道路はほかの五つの海峡プロジェクトとは違うんではないかという問題提起をいたしましたが、平成二十八年三月の関門会の要望がこの私の問題提起に、きっかけになったということは全くございません。それははっきりと、私のことでありますから、はっきりと申し上げておきます。

 それで、今の御質問でありますけれども、本年三月十九日の下関北九州道路整備促進期成同盟会による要望におきまして、私より、下関北九州道路の直轄調査に着手する方向で検討している旨、お伝えをいたしました。

 この三月十九日というのは予算が成立する直前の段階で、この時点では、実施計画の検討段階でありまして、調査内容や調査規模を含めまして、関係機関と直轄調査を行う方向で調整をしていたということでありまして、不適切であったとは考えておりません。

田村(貴)委員 その前に、大臣、関門会からの要請が自分には影響していないと言われた。だとするならば、あのときの応接、面談記録、それから、その文書そのものの保管状況、そして担当部署に対する保管とか指示、そうしたものが何で明らかにされないんですか。

 そして、大臣がいみじくも、自分の頭の中で、五つの中で、下関北九州道路は違うと考えるに及んだ、そして職員に対して問題提起した、そのときの何で事跡とか対処の方法について資料とかが出てこないんですか。おかしいじゃないですか。そこを明らかにしないと、大臣が、前回私も質問しましたけれども、調査費を地方に対して国が補助をつけた、今度直轄にする、ここのところの理屈が成り立たないんですよ。成り立たない。だから、ちゃんと答えていただきたいというふうに思います。

 国交省の方に伺います。

 資料をお配りしているんですけれども、先ほどの資料の裏面です。これは国交省からきのうもらった道路事業の流れでありますけれども、今、四千万円の下関北九州道路直轄調査費というのはどの段階にあるのか、ちょっと示していただけますか。

池田政府参考人 今お配りいただいております資料のとおり、道路調査はこの左から右に向けて流れる全体の工程の中で進んでいきます。左からの道路交通の現況の調査、それから概略ルートの検討ということで進んでいくわけですけれども……(田村(貴)委員「どこですか」と呼ぶ)この資料の左のところに道路交通調査、現況の把握というのがあると思います。こういうところをスタートといたしまして、次に計画段階評価の局面で概略ルートの比較検討が行われまして、概略検討が決定しまして、その後、環境アセスメントや都市計画のことが進んで採択に至るということでございます。

田村(貴)委員 そういう状況にある。

 じゃ、ここのフローの中で、調査をしていく、そしてこのプロセス、これは国会には諮られるんですか。

 二〇〇八年、冬柴大臣は、こういう路線を格上げするようなことが起こった場合には国会にもお諮りしなければならないと答弁されていますけれども、今からの下北道路の進捗に当たって、これは国会に諮る事項になるんでしょうか。どうですか。

池田政府参考人 海峡プロジェクトを今後調査を行わないと公表しました平成二十年三月でございますけれども、当時の国会での議論でございます。その後の公表で、整備段階に格上げをするような場合にあっても、国会の場で個別路線ごとに議論するような手続を経ることとするということでございまして、これは事業化に当たっての手続であると認識をしております。

 そういうことから、下関北九州道路につきましても、今後、調査が進みまして、整備手法の検討も踏まえながら、仮に事業化する場合には、国会の場での手続についても整理をしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 たくさんの問題点そして疑問点はますます出てきました。引き続きこの問題について取り上げていきたいというふうに思います。

 きょうは以上で質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それじゃ、きょうは省エネ法案の質疑をさせていただきたいと思います。

 限られた時間ですので早速入りますけれども、重なっているところもあるかと思いますけれども、御容赦いただきまして、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 まず、二〇一八年、昨年十二月、年末に開催した社会資本整備審議会建築分科会建築環境部会の会合で示した、今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方についてという第二次報告案の、この報告案では、延べ面積三百平方メートル、三百平米未満の小規模建築物について、省エネ基準の適合義務制度の対象としないという趣旨を明記された。

 ZEHの普及、ZEH、これは、住まいの断熱性や省エネ性能を上げて、そして、太陽光発電などでエネルギーも生んで、それの収支がプラス・マイナス・ゼロになるという住宅を目指すという考え方ですね。そのZEHの普及で家庭部門におけるエネルギー消費構造を抜本的に改善できると期待が高まり、工務店や設計事務所が適合化を目指して真面目に取り組んできたにもかかわらず、二〇一〇年から議論されてきた住宅の省エネ化が、一年後の実施を前に、延べ面積三百平米未満の小規模建築物についてなぜ義務化を見送ることになったのか、お伺いしたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 高い省エネ性能を有しますいわゆるZEHの供給促進は、住宅分野の省エネ対策を進める上で非常に重要でございまして、今、経産省、環境省と一緒になりまして、三省連携のもとでの財政支援などに努めております。

 そうした効果もありまして、平成二十九年度におきましては、中小工務店によるものを含めまして四万二千戸のZEHが供給されているような、それが進んだ面がございます。

 一方で、住宅市場全体で見ました場合、省エネ基準の適合率がまだ六割と低い水準にとどまっております。また、適合の義務制度の対象とした場合に、市場の混乱を引き起こすおそれがあること、また、関連する事業者に省エネ関連の技術について習熟していない者が相当程度まだ存在していることなどの課題があることから、御指摘の審議会の議論の中でも、今回の適合義務化の最初は三百平米以上の非住宅に限定をした上で、そのかわりに、届出義務制度の監督体制の強化、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の拡充などの総合的な対策によって小規模建築物や住宅の省エネ性能の向上を図るという取組を図ることとしたところでございます。

井上(英)委員 行く行く小規模も考えていかなければならないと思うんですけれども、平成二十九年度、二年前に、延べ面積二千平米以上、二千平方メートル以上の大規模な建築物が適合義務化されましたけれども、この内容が円滑に施行されているのか、また、今回、適合義務制度の対象範囲が中規模建築物、住宅以外ですけれども、中規模建築物に拡大されましたけれども、拡大した理由、そして、いつごろに適合義務制度の対象となるのか、どれぐらい施行するのにかかるのか、また、本法案は規制強化となり、地域における住宅生産の担い手である工務店、設計事務所などの意見というのはきっちり反映されていると思われているのか、お伺いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、二十九年四月から施行を開始しました大規模な建築物の適合義務化の関係でございますが、適合義務化をする前に平均して建築確認等の日数が約六十七日でございましたが、法施行後の三カ月の平均が六十四日ということでございますので、法施行後の前後におきまして大きな変化が生じておりません。適合義務化に起因する混乱や確認審査の遅延等は発生していない、円滑に今進められているというふうに認識しております。

 また、今回これを中規模の建築物に対象を広げるわけでございますが、その考え方につきましては、まず、中規模建築物の省エネ基準の適合率が九割程度の水準に達していることから円滑に義務化が進められると考えられること、また、比較的新築件数の数が少ないことから審査体制も円滑に整備ができると見込まれることなどを総合的に勘案して、対象追加とすることにしたものでございます。

 その施行に関しましては、その体制準備もありますことから、法律の公布の日から二年以内に、現段階では二〇二一年四月ごろを想定しておりますけれども、施行を実施したいというふうに今考えているところでございます。

 また、この法案の中身を詰めるに当たりましては、先ほど御指摘にありましたとおり、中小工務店等の御意見を丁寧に把握した上で検討を進める必要があることから、国交省の担当官を各地にお伺いさせていただいて中小工務店の直接の御意見をヒアリングするなど、いろいろ各所の御意見を踏まえた上で今回の制度内容の決定に至ったものでございます。

井上(英)委員 ぜひ、聞いてあげられる意見はしっかりとすくい上げていただけたらというふうに思いますし、先ほど言われるみたいに、日にちだけですけれども、建築確認、六十七が六十四日ということで、そんなにおくれていることはないということなので。

 ただ、建築確認自体は本当に、六十七日、六十四日かかること自体が長いのか短いのかという根本的な議論は一方でありますけれども、自治体も含めて人海戦術でやっていますので、なかなか大変なところはあるかと思いますけれども、ぜひ二年以内に、二年でやられるということなので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 次に、届出義務制度の監督体制の強化についてお聞きしますけれども、届出義務は、不適合の場合、所管行政庁が指示、命令することができる制度で、現在、三百平米以上二千平米未満の建築物と、住宅は届出義務の対象となっています。

 しかし、二〇一七年度に所管行政庁に行った調査によると、無届け物件に届け出るよう督促していない行政庁は約三割存在をしております。省エネ基準不適合物件に指示していない行政庁は約八割存在しているという結果が出ました。無届け物件への督促や省エネ基準不適合物件への指示を行う上で、約七割の所管行政庁が省エネ基準への適合審査に係る業務負担が大きいと挙げています。

 届出制度の対象である大規模、中規模についても届出物件への督促が行われていない所管行政庁が相当存在しているということについて、十分機能していないんじゃないかと考えるんですけれども、その実効性を向上させる取組をお聞かせいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の届出制度におきましては、大規模、中規模の住宅につきましては、着工の二十一日前までに行政庁の方へ届けることが義務づけられておりますが、御指摘のとおり、その届けられたものの審査、それをやるのに公共団体の方がかなり事務的負担が大きく、その後の、無届けのものの催促、若しくは、その届出の内容が不十分な場合に、それへの指示等が十分に行えていないという現状がございます。

 そのために、今回の改正におきましては、民間の方の評価書を活用することによりまして、審査期間を短く、三日前に出せばいいということにさせていただいて、そういった意味では、内容の審査も簡素化することで、公共団体が、十分に性能を持っているものについて、書類の審査に係る事務手間を非常に減らすことができる形になると考えております。

 その浮いた事務的な能力、これを届出がされていない物件や基準不適合物件への対応の強化に回していただくことによりまして、今回の改正が届出物件の性能の向上に効果的につながっていくことを期待しているところでございます。

井上(英)委員 今、局長の答弁で、民間審査機関を活用するという答弁だったんですけれども、ちょっと省略をさせていただいて、じゃ、民間審査機関の活用による合理化にあわせて、所管行政庁を適切に指導する必要があるのではないかというふうに考えるのに対してどのようにお考えか、また、民間機関の活用による合理化により省エネ性能の向上がなぜ見込まれるとお考えなのか、そして、民間機関による評価は一体どういった方法で予定しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回法案に盛り込みました届出制度における改善につきましては、先ほど申し上げましたとおり、民間審査機関の活用を考えております。この審査機関の活用によりまして、事務的な、公共団体の側の人的パワーが浮きますので、それを無届け物件への対応、若しくは、先ほど申し上げましたとおり、性能の低いものへの改善、これにつなげようと思っております。

 今現在も、一部の公共団体におきまして、そういった取組をちゃんとしているところがございます。そういったところでは、通常、今平均で六割程度という形になっております適合率が、七割から八割ぐらいまでその適合率が上がっているという実績がございます。先ほど申し上げた取組をすることで、そういった改善が図れるものと考えております。

 ただ、そういった対応をしていただくためには、その課題として、どういった対象に対してどういう指示をするのか、そういったことをちゃんと公共団体ができるのかということが課題になってまいります。

 その辺につきましては、指示等の進め方に係ります指針を、我々の方、国の方から所管行政庁に示すことが必要と考えておりまして、その中に、指示等の対象とします物件の考え方、また指示に対します手続の進め方、そういったものをガイドラインに明記して、策定、公表して、実効性を上げていきたいと考えているところでございます。

井上(英)委員 省エネ性能の向上も含めて、要はきっちりと、民間審査機関にしっかりと所管行政庁が指導してもらうということで、全てを網羅して、効率を上げていくということだと思うんですけれども、その辺の指導の方法をしっかりと検討いただいて、民間機関にも遜色ないように協力をしてもらえたらというふうに思いますので、お願いをしたいと思います。

 次に、説明義務制度についてお伺いします。

 小規模の建築物、住宅を含む場合、今回の改正案で、設計士や建築士から建築主、施主への説明の義務づけにより省エネ基準への適合を推進するということであります。

 説明に来られた担当の方と話していたんですけれども、例えば、省エネ性能がきいていない建物を設計して、またそれを今度はそっちに変えるとなったときに、工期等が延びたり費用が過度にかかるようになったりとか、さまざまなことが予測をされるんですけれども、その辺の課題についてどのようにお考えか、そして対策をお聞かせいただけたらと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律で盛り込みます説明義務制度につきましては、省エネ基準に適合しない設計となっていた住宅などにつきまして、説明を契機として建築主に計画の見直しを行うよう促すことが主な目的でございます。

 したがいまして、本制度では、計画見直しの必要性についての判断が必要となる情報を建築主が的確に理解できるように説明が行われることが必要になります。

 また、説明義務制度の導入に当たって、先生御指摘がありましたように、設計の業務に大きな手戻りが生じることのないように、建築士が設計の早い段階から建築主の省エネ性能に関する意向を把握して対応することが重要であるというふうに考えております。

 今後、全国各地で予定しております講習会などで制度の趣旨、内容に関する説明を行うこととしておりますけれども、その中におきまして、制度のプロセスをわかりやすく示しながら、設計の早い段階で意向把握を適切に行うことの重要性について、十分な注意喚起を図っていきたいと考えております。

井上(英)委員 先ほども言いましたように、設計士さんや建築士さんが施主さんにきっちりと説明を早い段階でしていただくということがやはり必要になってくると思うんです。その技術をまたそれぞれの設計士さんや建築士さんに習得してもらう必要があると思いますので、その辺の質問を続けさせていただきます。

 日本建築士連合会が実施したアンケート調査で、建築士が、一次エネルギー消費量及び外皮性能それぞれについて、計算、仕様基準への適合確認ともに可能と回答した事業者というのは五割なんですね。五〇%の事業者しかそれはできないというふうに逆に言うと答えておられて、仕様基準への適合確認を、どちらもできないと答えた、多分、できないというより、やったことがないというのが正確だと思うんですけれども、回答した人が事業者の三割おられるという国土交通省の資料であります。

 また、リビングアメニティ協会、これもお聞きしたんですけれども、リフォームとかの協会ですけれども、昨年七月二十六日から八月二十七日の、十日間ほどのインターネット調査を実施した結果でも、従業員の規模が小さい事業所ほど計算できないという割合が高くなる傾向というふうにお聞きをしています。

 必ずしも省エネ基準に習熟していない建築士も少なくないと思われる中で、建築士による説明は適切に行われないのではないかというのが危惧されています。

 見識を伺うとともに、建築士による説明が適切にできるようにどのように担保されるのか、育成取組についてお伺いしたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回盛り込みます説明義務の関係につきましては、建築士から建築主への説明が適切に行われることが非常に肝要となってまいります。

 これまでも、平成二十四年度から、そういった中小工務店等を対象とした省エネ技術に関します講習会を全国で開催をしておりまして、約十三万人が延べで受講いただいております。こういった取組を、今回の施行は二年後に想定しておりますので、その間も引き続き全国各地で行うことを予定しております。

 また、今回の改正にあわせまして、省エネ基準への適否を簡易に判断することができる計算シートも整備することとしておりまして、その計算シートに関する情報につきましても、先ほど申し上げました講習会において提供していくなど、適切な説明が確実に行われる環境整備を図っていきたいと考えております。

井上(英)委員 また、この省エネ基準の考え方で、我が国固有の伝統的構法の住宅というのがあるんですね。両側真壁の土塗り壁を採用しているということでいいんですよね。夏は風通しがよくて冷房が要らないとか、特に沖縄なんかではそういう建物があって、まあ冬は暖房を使用することがない気温だということもありますけれども、説明義務制度の導入に当たって、一定の配慮がそういったものには必要かなと。そういう建物は省エネ基準への適合というのが困難だというふうにも聞いていますので、ぜひその辺はしっかりと検討していただきたいなと思います。

 それじゃ、最後に、時間もありませんので、一般消費者である建築主の建築物の省エネ性能についての興味はどれだけあると思われているか。

 設計段階での説明を義務づけただけでは、社会全般の省エネ性能に対する理解が深まるのかというのは、ちょっとまだまだ疑問なところもあります。設計士による建築主への説明は必要でありますけれども、前段階として、一般消費者に対する啓蒙活動が必要だというふうに思いますし、設計者や建築士の知識や技能の向上というのを図ることも並行して必要だと思いますけれども、いかがお考えか、大塚副大臣、お答えいただけますでしょうか。

大塚副大臣 お答えをさせていただきます。

 例えば、住宅の新築、購入を検討している方々に、アンケート調査におきましては、七割近い方々が住宅の新築、購入時に省エネ性能についてぜひ検討したいという御意向があるという結果が示されているなど、一般消費者の方においても、住宅の省エネ性能に関して一定の関心があるものと認識をしております。

 井上議員御指摘のとおり、住宅の省エネ性能の向上を図っていくためには、住宅の居住者など一般消費者の方に対して、省エネ性能を高めていくことの意義や効果についての周知を進めていくことにより、省エネ性能への関心を更に高めていただくことは大変重要な課題であるというふうに認識をしております。

 このため、これまでも、関係省庁や関係団体との連携のもと、省エネ住宅のメリットを解説したパンフレットの配布等によりまして、消費者向けの周知を進めてきたところでございます。

 本法案におきましても、一般消費者が建築主となることが多い小規模住宅や建築物を対象に、建築士から建築主への省エネ性能に関する説明義務制度を盛り込んでいるところでございます。

 この運用に当たりましては、省エネ性能に加えて、光熱費の削減、居住者の健康維持や快適性の向上など、省エネ性能を高めていくことの効果等につきましてもあわせて提供することを促していくことを検討しているところでございます。

 これらの取組により、一般消費者に対しまして、省エネ性能を高めることの意義や効果につきましても、積極的にこれから周知徹底をしてまいります。

井上(英)委員 一分ほど早いですけれども、大塚副大臣のしっかりとした熱意ある答弁をいただきましたので、これで終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

谷委員長 次に、広田一君。

広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 最後のバッターでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、第十一条関係の、新たに適合義務制度の対象とする中規模建築物に関してお伺いをいたします。

 四月二日の本会議で、石井大臣の方から、新たに適合義務制度の対象とする中規模建築物は、既に届出義務制度の対象であるため、関連事業者の負担を大幅に増加するものではない、こういった認識を示されておりますけれども、まずその理由についてお伺いをするとともに、おっしゃるとおり負担増にならなければいいんですけれども、例えば、実際の建築現場では、予算の都合などによって、空調とか照明、サッシの形状など、省エネ関係の変更が生じることがございます。それに伴って省エネ率が下がるなどして完了検査が通らず、引渡し時期がずれ込んでしまうことになりかねない、そんな事態を避けるために、変更申請をするなど煩雑な対応が強いられ、結果として負担が増加をするのではないかというふうな懸念があるわけでございます。

 よって、これらのことも十分に留意しつつ、トータルとして負担が増加しないように対策を講じた上で法の施行に当たるべきというふうに考えますけれども、この点についての御所見をお伺いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、中規模建築物につきましては、既に適合率が九割程度の水準になっておりまして、届出の際の、要はいろいろな書類の作成等についてはある程度定着をしているというふうに思っております。

 そういった意味で、比較的円滑に適合義務化が図れると思っておりますが、それとあわせまして、今先生御指摘のありましたような、建築確認の際に出したものと、確認後に生じた設計の変更につきましては、現在の大規模建築物の場合、省エネ性能に関する設計の変更で安全性などに影響を与える場合を除きましては、完了検査の際にまとめてチェックをする、確認をするというような形で手続を合理化をすることもしております。そういったことで、建築確認後の手続においても、混乱や遅延が、大規模建築物の場合、この義務化の前後で発生したということはないというふうに承知をしております。

 中規模建築物につきましても、市場が混乱することなく円滑に適合義務化を進められますよう、大規模建築物と同様の手続の合理化も行いますとともに、施行まで二年間の準備期間がございますので、講習会の開催などによりまして、関連する事業者等に手続の周知徹底や内容の周知を図ってまいりたいと考えております。

広田委員 ぜひ、関係者の皆様方に対する周知徹底についてもよろしくお願いを申し上げます。

 特に懸念されている声の一つといたしましては、例えば補助金事業について言うと、年度末に完成予定が多い、集中をするわけでございます。そうした中では、やはり前もって、この日に完了検査をというふうに民間の検査機関の方々と日程調整等もするわけでございますが、先ほど申し上げたとおり、さまざまな、特に省エネ関係で変更が生じた場合に、その日程等についても変更しなければならない、それが例えば複数重なった場合には年度末に間に合わないというふうなリスクも生じるわけでございますので、そういったことも含めて、ぜひともきめ細かい対応をしていただきますように、まさしく市場の混乱が起きないように御配慮をしていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、地球温暖化対策計画と新築住宅における省エネ基準適合の推進に関連してお伺いをいたします。

 今回の改正で、住宅への適合義務化は見送りとなりました。このこと自体は、規制の必要性や程度、バランスを勘案し、いわゆる市場の混乱を起こさないという観点に立てば、現実的で妥当であるとの評価ができます。

 その一方で、地球温暖化対策計画に照らして言えば、確認しなければならないこともあるわけでございます。それは、この地球温暖化対策計画は、二〇一六年、平成二十八年の五月に閣議決定をされています。閣議決定されておりますから重い計画なわけでありますけれども、この計画では、新築住宅における省エネ基準適合の推進について、二〇二〇年までに新築住宅について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化するというふうに明記をされております。

 一方、今回、新築住宅への義務化というものは見送ったわけでございますので、それに伴う法の施行というものが二年後の二〇二一年というふうに言われております、そうすると、二〇二〇年までに新築住宅について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化する、こういう目標は達成できないということになるわけでございますけれども、この達成できなかった原因と、今後どのように対応する考えなのか、石井大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 今般の法案につきまして、住宅につきましては、委員から御指摘いただいたような課題がございますので、適合義務制度の対象とはせずに、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大等の措置により省エネ性能の向上を図ることとしております。

 今後につきましては、まずは本法案に盛り込まれた措置の推進状況を丁寧にフォローアップしつつ、適合義務化の対象の拡大を含め、さらなる省エネ対策の充実に向けた検討を進めていくことが重要と考えております。

 また、現在、パリ協定の長期目標の実現のための政府としての長期戦略の策定に向けて検討が進められておりまして、本年六月のG20までに策定する予定と承知をしております。

 本戦略は、パリ協定の長期目標の実現等に向けた我が国の地球温暖化対策の長期的なビジョンを示すことを目的としておりまして、本戦略のビジョンを地球温暖化対策計画等に反映していくプロセスを通じまして、具体的な施策の検討が進められていくものと認識をしております。

 こうしたプロセスの中で、地球温暖化対策計画において、長期戦略のビジョンや、説明義務制度の創設など本法案に盛り込まれた施策の内容を反映させることについて、関係省庁との連携のもとで検討してまいりたいと考えております。

広田委員 大臣の方からは、今後どのような取組をするのかの基本的な考え方、方向性については示していただいたんですが、なぜ達成できなかったか、その原因についての具体的な言及はなかったわけでございますが、これは石田局長で構いませんので、この辺の原因について、いま一度御答弁をいただければと思います。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の改正におきまして、小規模建築物及び住宅につきましては適合義務化の見送りをさせていただきました。

 これについては審議会等でもかなり御議論をいただいたところでございますが、一つには、やはり省エネ基準の適合率が住宅の場合ですとまだ六割前後と、そう高くない状況が続いております。これを義務化することによる市場の混乱等がまず懸念されること。

 また、それを担います中小を始めとする工務店の方々、これらの方々の中で、やはり省エネ関係のノウハウや技術についての習得がまだ十分とは言えない状況が存在していること。

 さらに、国民の方から見ますと、省エネを義務化することになりますと、当然ながらその分のコストが上がることになりますが、そのコストが大規模建築物等と比べますとやはり回収に少し時間を要するということを踏まえますと、その辺についての国民の理解も含めて、十分な納得が得られる状況にあるかという点でも課題があるということ。

 そういったもろもろを総合的に踏まえまして、そういった義務化ではなく、説明義務制度の創設やトップランナーといった違う形の仕組みを総合的に講じることで適合率の向上を図っていくということにさせていただいたところでございます。

広田委員 るる御説明があったわけでございますが、そういったさまざまな要因、原因については、当初、この地球温暖化対策計画において、二〇二〇年までに適合義務化するというふうなことを規定したんですが、やはり、そうすると、国交省としての見通しというものが甘かった、そういうふうな理解でよろしいんでしょうか。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 我々の方といたしましても、いろいろ我々の方の施策の関係を推進してまいりました。ただ、残念ながら、我々の方の期待したところまで、適合率の向上や、若しくは国民の理解等が十分に行き渡ったかというと、そうではなかったというふうに思っております。

 引き続き、より一層の施策の推進に向けて頑張っていく必要があると考えているところでございます。

広田委員 ぜひとも、更に取組を進めていただきたいと思います。

 そこで、環境省の方に確認なんですけれども、地球温暖化対策計画の取りまとめは環境省でございます。

 「二〇一七年度における地球温暖化対策計画の進捗状況」によりますと、計画においては、少なくとも三年ごとに我が国における温室ガス排出などを勘案して計画に定められた目標などについて、今回の住宅もそうだと思いますけれども、検討を加えて、その結果に基づき、必要に応じて見直すというふうにされております。

 今年度は策定から三年が経過をするわけでございますけれども、見直しについての検討状況についてお伺いをいたします。

小野政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、我が国におきましては、二〇一六年の五月に地球温暖化対策計画を策定いたしまして、二〇三〇年度に二六%削減目標の達成に必要な対策、施策を実施いたしております。

 当計画につきましては、先ほど委員からございましたように、少なくとも三年ごとにその目標及び施策について検討を行い、必要に応じて見直すということといたしておりまして、今年度がちょうどその計画策定から三年間を経過するということでございます。

 現在、環境省の方におきましては、その見直しの進め方、対応について検討を進めておるところでございます。

 以上でございます。

広田委員 今御答弁があったように、環境省において地球温暖化対策計画の見直しについての検討が始まっているということでございます。

 先ほど申し上げたとおり、取りまとめは環境省なんですけれども、個々の施策については各省庁が担当するわけでございます。そう考えますと、今回、二〇二〇年の住宅の適合義務化、これが達成できなかったわけでありますけれども、先ほど石田局長の方からその要因についての分析のお話があったわけでございますので、今年度、その計画が改定されるという見通しでありますから、であれば、同時並行的に、国交省においても、地球温暖化対策計画の見直しを踏まえて、住宅について、今後、適合義務化、どのようにしていくのか、新たな目標設定について検討すべきだというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府全体として、長期的な戦略のまず策定から入り、そして温暖化計画の見直しという流れになると聞いております。

 我々の方としましても、長期的な戦略を踏まえたより一層の取組、当然、その中には適合義務の対象の拡充等も含めて、より一層の取組をどうしていくべきか、我々の方としても検討を進めさせていただきたいと思っております。

広田委員 そのことも踏まえて、一点、最後に確認なんですけれども、今回、適合義務を見送ったとしても、当初、地球温暖化対策計画にある、新築された住宅及び建築物について、エネルギー消費量を原油換算で合計六百四十七万キロリットル削減する、こういうふうな目標、全体的な目標には変更がない、こういう理解でよろしいんでしょうか。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 地球温暖化計画で、建築物、住宅の新築関係で六百四十七万キロリットル相当の削減を求められております。

 今回の対策を講じることによりまして、それが適切に実施されればその目標はクリアできるというふうに見込まれるということについて、我々の方で推計をし、それを審議会の場でも御議論いただいて、それはお認めいただいた、適切であるという評価をいただいたところでございます。

広田委員 時間が参りました。

 住宅への適合義務化については、先ほど局長が答弁されたようなことを踏まえて、慎重に、また現実的に対応していただきますように強く要請して、質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、伊藤忠彦君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山泰子さん。

小宮山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 省エネ基準の適合義務制度の対象の拡大が市場の混乱につながることのないよう、関係政省令等の制定から施行までに十分な準備期間を置いた上で、制度を運用する地方公共団体等の関係機関、関係事業者等に対する制度の周知を徹底すること。

 二 届出制度の審査手続の合理化を踏まえ、制度を運用する地方公共団体に指針を示す等により、省エネ基準不適合物件への指示・命令等がより的確に行われるよう促すこと。

 三 説明義務制度等が円滑に導入されるよう、省エネ基準の簡素化等を進めるとともに、省エネ基準や省エネ改修に関する技術等に係る中小工務店等向けの講習会等の実施を積極的に推進すること。

 四 地域の気候風土に対応した伝統的構法による住宅・建築物の建設に支障を与えないよう、省エネ基準の適正化を検討するとともに、伝統的構法による木造住宅等の省エネ性能の向上を引き続き支援すること。

 五 住宅・建築物単体の省エネ性能の向上に併せて、植栽等の建物周辺の緑化を進めることによる省エネ効果に関する調査研究を推進すること。

 六 地中熱を活用した冷暖房設備など、現行の省エネ基準では評価手法が確立されていない技術について、適切な評価手法を検討すること。

 七 国民に対して、住宅・建築物の省エネ性能の向上の必要性、断熱性能の向上がヒートショックの防止など居住者の健康の維持等に資することの検証結果を含む効果や本法に盛り込まれた制度等の内容をわかりやすく説明し、本法が円滑に施行される環境を整備すること。

 八 既存の住宅・建築物の省エネ改修を更に促進するため、住宅事業者による、省エネ性能に関する情報の積極的な提供を促すこと等により、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)等の更なる普及を促進し、省エネ性能に優れた住宅が市場において適切に評価される環境を整備するとともに、既存ストックの更なる性能向上に向け、財政・税制上の支援措置を講ずること。

 九 パリ協定を踏まえた温室効果ガス排出量に係る住宅・建築物分野の二〇三〇年度の目標達成に向けて、本法に盛り込まれた措置を的確に実施し、その効果等を丁寧にフォローアップすること。また、二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの削減を目指すという長期的目標の達成に向けて、戸建住宅を含むすべての住宅・建築物の省エネ対策の充実に向けた検討に引き続き取り組むこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。

石井国務大臣 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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