衆議院

メインへスキップ



第9号 令和元年5月8日(水曜日)

会議録本文へ
令和元年五月八日(水曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    鬼木  誠君

      神谷  昇君    木村 哲也君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      古賀  篤君    笹川 博義君

      田中 英之君    高木  毅君

      武部  新君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      鳩山 二郎君    百武 公親君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      望月 義夫君    盛山 正仁君

      簗  和生君    和田 義明君

      荒井  聰君    福田 昭夫君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      日吉 雄太君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    清水 忠史君

      井上 英孝君    重徳 和彦君

      広田  一君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   防衛大臣政務官      鈴木 貴子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         田原 康生君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           齋藤 福栄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     金井 昭彦君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

  門  博文君     武部  新君

  中谷 真一君     笹川 博義君

  福田 達夫君     和田 義明君

  三谷 英弘君     木村 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     三谷 英弘君

  笹川 博義君     百武 公親君

  武部  新君     門  博文君

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

  和田 義明君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     中谷 真一君

    ―――――――――――――

平成三十一年四月二十六日

 大規模盛土造成地の地震対策に関する請願(山本ともひろ君紹介)(第九七二号)

 国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(石川香織君紹介)(第一〇三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長栗田卓也君、道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、鉄道局長蒲生篤実君、自動車局長奥田哲也君、航空局長蝦名邦晴君、観光庁審議官金井昭彦君、内閣官房内閣審議官山内智生君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、総務省総合通信基盤局電波部長田原康生君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、スポーツ庁スポーツ総括官齋藤福栄君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)委員 自民党の中谷真一でございます。

 まず冒頭、けさ大津で、園児の列にまた自動車が突っ込んでしまって、十五人の方々が死傷されたというところでございまして、このことに対しまして、まず心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 こういった事故をなくしていくということも非常にこの自動運転にかかわってくることかなというふうに思うところでございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。委員長始め理事の皆様、また先生方に心から感謝申し上げます。

 それでは、早速質問に移ってまいります。

 まず、政府が考える自動運転の開発、普及におけるメリットはどのように考えられておられるか、教えてください。国交省に。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転は、その実現によりまして、交通事故の削減、高齢者等の移動手段の確保、物流分野における生産性向上など、我が国が抱えるさまざまな社会課題の解決に大きな役割を果たすことが期待をされております。

 具体的には、まず、現在、我が国の交通死亡事故発生件数の九割以上が運転者のミスに起因することから、自動運転により、運転者にかわりシステムが運転操作を実施することにより、こうした運転者のミスに起因する交通事故の大幅な削減が期待されるところでございます。

 また、地方部を中心として公共交通にさまざまな課題が生じてきており、こうした地域での高齢者など交通弱者の移動手段確保が重要な課題となっております。このため、公共交通を補完するものとして、自動運転による新たな移動サービスにより、高齢者等の移動手段が確保されることが期待されております。

 さらに、少子高齢化に加えまして、インターネット通販等による荷物量の急増を背景として、トラック等の運転者不足が課題となっているところ、自動運転により、運転者の負担軽減や省力化が図られ、運転者不足の解消、緩和、ひいては物流分野における生産性向上にもつながることが期待をされております。

 このほか、適切な車間距離や速度の自動制御による渋滞の解消、緩和、最先端の技術、ノウハウの国際展開による国際競争力の強化が期待をされております。

 このように大きなメリットをもたらすことが期待される自動運転につきまして、政府では、自動運転に係る我が国全体の戦略でございます官民ITS構想・ロードマップ二〇一八におきまして、二〇二〇年目途での高速道路におけるレベル3の自家用車の自動運転、二〇二〇年までの限定地域でのレベル4の無人自動運転移動サービスの実用化を目標として掲げ、関係省庁が連携し、その実現に向けた取組を進めているところでございます。

中谷(真)委員 政府は、やはり最初に安全性の向上というところを持ってきておられるということで、私もそこに非常に期待をするところであります。

 先日も池袋で交通事故があって、高齢の方が運転されていたというところで、これも運転者のミスではないかというふうに言われています。三歳の女の子とそのお母さんが亡くなった、こういった事故を本当になくしていかなければいけないなと。それにおいて、この自動運転、非常に大きな期待をするところであります。

 この安全性について、きょう、重点的にお聞きをしていきたいというふうに思います。

 自動運転によって安全性を高めていかなければいけないというところでありまして、自動運転を推進することによって安全性が低下するようなことがあってはいけないというふうに思うところであります。

 それで、今後、自動運転の車というものはどういうふうになっていくのかなということを想像しますと、私の想像では、スマートフォンが走っているような感じになっていくのではないか。

 スマートフォンは家電メーカーがつくるわけでありますけれども、それに対してのソフトというのは、さまざまなIT企業とか、こういったところがどんどん入れていくというような形になっていく。

 今後、車も、車の車体自体は自動車メーカーがつくるかもしれませんが、それに搭載するソフトについては、IT企業とか、そういうさまざまな企業がそれに参入をしてきて、車の性能を上げていくという形になるのではないかというふうに思います。

 そこで考えられるのが、やはりシステムにおけるアップデート、これがあるのではないかなというふうに思います。アップデートによって車の性能が変わっていくわけでありますけれども、これも、今までは自動車に対しての安全性の確認を国交省で行ってきたというところでありますが、アップデートになってくると、これはすごい速度、また回数もすごく多くなってくるというふうに思います。

 このアップデートに対してどのように今後管理をしていくのか、車の性能を担保していくのかというところを国交省から教えていただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車技術の進展に伴いまして、自動車製作者等において、自動車の電子制御装置に組み込まれたプログラムの改変による改造を電気通信回線の使用により行うこと等により、運転支援機能の追加を始め、使用過程時の自動車の性能を大規模かつ容易に変更することが可能となってきております。

 電気通信回線の使用により自動車を電子的に改造する行為は、従来の改造とは異なりまして、短時間に大量の自動車に対して行うことが可能でありますことから、このうち、その内容が適切でなければ自動車が保安基準に適合しなくなるおそれのあるものの適切性が確保されていなかった場合、事故やハッキングが大規模に発生する等、社会的に重大な影響が生じるおそれがございます。

 このため、本法案におきましては、自動車の電子制御装置に組み込まれたプログラムの改変による改造を電気通信回線の使用等により行う特定改造について許可制度を創設し、許可に当たっては、特定改造の適切性の確保に万全を期すため、許可申請者が特定改造を適確に実施する能力を有するかどうか、プログラムの改変による改造を受けた自動車が保安基準に適合するかどうかについて、改造のためのプログラムごとに、あらかじめ国土交通大臣による確認を受けなければならないことといたします。

 この場合につきまして、プログラムの改変による改造につきましては、その目的に応じて内容が千差万別であることから、その適切性が確保されるかどうかについて、原則としてプログラムごとに確認を行う必要がございますが、複数の特定改造を同一の組織、体制のもとで実施する場合にあっては、許可に当たり、必ずしも改造のためのプログラムごとに申請者の能力、体制の適切性を個別に確認する必要はないと考えられますことから、当該許可に係る確認の一部を省略化する等の運用を行うことによって申請者の負担軽減に努める一方、許可を受けた者に対する監査等の事後チェックを適切に実施することにより、自動車の特定改造を行う者の能力及び体制の維持に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

中谷(真)委員 よく、パソコンとか、こういうスマートフォンでもそうですけれども、アップデートすると、操作の要領が変わってうまく操作できないとかって結構あるんですよね。

 車の場合、そうだったら非常に大変でして、レベル3になりますと、特定条件下ではありますが、作動継続が困難な場合、システムに対して、今度は個人として所有者が介入していかなければいけないというような場合があります。

 このときに、これがスムーズにできるようなアップデートの仕方であればいいんですけれども、そういうところもしっかり点検していく必要があるのかなというふうに思うところでありまして、ここのところをしっかり詰めていただきたいというところであります。

 ただ、これを余りに制限していきますと、今度は、たくさんの企業が参入できなくなって、いわゆる開発スピードがおくれるというようなこともあるのかなというところで、その措置をどう図っていくかということは、今後極めて重要な課題になっていくのではないかというふうに思いますが、国交省として適切な方法をぜひ出していっていただきたいなというふうに思います。

 それでは、三つ目でございますけれども、この自動運転車、これまでは、車というのは、いわゆる外からのアップデートとかこういうインターネット回線につなぐというようなことは今までなかったわけでありますが、自動運転になってくると、インターネット回線に接続をするというふうになってまいります。

 そうすると、今までクローズだったものがオープンになるということでありまして、私は、これは非常にサイバー攻撃の対象になるのではないかというふうに考えております。フランスなんかでは、車を使用したテロ事件などもございました。

 そう考えますと、これを遠隔操作できるようになってくるということで、このサイバーセキュリティーが極めて重要になってくるというふうに考えております。この自動運転車に対するサイバーセキュリティーについて、国交省としてどのような対策をとられるのか、お聞きをしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような通信機能を備えた自動車がサイバー攻撃を受けた場合、事故の発生など、社会的に重大な影響を与えるおそれがあることから、自動車のサイバーセキュリティーの確保は非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 このため、国土交通省におきましては、自動車の国際基準を策定する国連の自動車基準調和世界フォーラム、WP29と通称しておりますが、のタスクフォースにおける議論に積極的に参画をいたしまして、議長としてサイバーセキュリティー対策の検討を主導しておりまして、この結果、二〇一七年にサイバーセキュリティーに関するガイドラインを成立させたところでございます。これを受けまして、現在、各国の自動車メーカーは、このガイドラインに沿って車両開発を推進しているものと承知をいたしております。

 さらに、自動車メーカーに対しサイバーセキュリティー対策の実施を義務づけるべく、現在、同フォーラムの自動運転専門分科会において、国際基準案の策定に向けた議論が行われているところでございます。この基準案がWP29において成立、発効した際には、我が国においてもこれを速やかに保安基準に取り入れ、型式指定の際に国がそれへの適合性を確認することとしてまいります。

 国土交通省では、引き続き、安全な自動運転車が市場投入されるよう、サイバーセキュリティーの国際基準の策定に向けて、国際的な議論を積極的に主導してまいりたいというふうに考えております。

中谷(真)委員 このサイバーセキュリティーに関しては、まだ、日本全体を見ますと非常に海外に比べて弱い分野でありまして、そういうふうに考えますと、やはり国内企業等々も育成していく必要があるというふうに思います。

 これは自動運転だけには限りませんが、この自動運転、これがもしサイバー攻撃などを受けて遠隔操作されるようなことがあれば極めて危険でありますから、国交省も積極的に、そういう企業を支援するとか、こういうことを行いながら、どのようにしてサイバー攻撃から自動運転車を守っていくかという観点はぜひ持っていただいて、今後進めていっていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 今後、自動運転車を進めていくに当たって、事故が考えられます。アメリカなどではテスラ等が死亡事故も引き起こしているというところでございまして、この責任がどこにあるのかというところが、これはまた極めて重要な論点になってくるのかなというふうに思います。

 今までは、所有者が車を運転しておりましたから、いわゆる所有者、運転者の責任が非常に大きかったというふうに思います。自動運転になりますと、メーカーの車の性能が極めて大きな要因になってくるというふうに考えます。

 そうなると、今度は、所有者から、メーカーの責任というのはウエートが非常に大きくなってくるのではないかな、普通はこう考えるわけであります。今、国交省は、現行法、いわゆる自賠責においては、基本的に所有者が責任を持つというふうにやっておられるというふうに思いますが、ただ、メーカーの責任もある程度問うていかなければ、メーカーの性能向上も図れないというふうに考えます。

 そう考えますと、今後、この自動運転という形においてどのような対策をとっていかれるのかというところをまず国交省にお聞きをしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転車につきましては、これらの車に搭載される自動運転システムの安全性が確保されない場合、自動車の安全な運行が行われず、重大な事故等につながるおそれがございます。

 このため、本法案では、自動運転システムの安全性を確保するため、当該システムを自動運行装置として、国が定める安全、環境面での技術基準である保安基準の対象装置に追加することといたしております。これによりまして、自動車メーカーは、今後策定する保安基準に適合する自動運転車の設計、製造を行うことが求められることになるわけでございます。

 また、自動運転車の設計、製造過程に原因があるふぐあいについての自動車メーカーの責任については従来の自動車と同様であり、引き続き、現行のリコール制度の枠組みで対応していくことといたしております。

 したがいまして、自動運転車の設計、製造過程に原因があり、保安基準に適合しない又は適合しなくなるおそれのある自動車につきましては、引き続き、自動車メーカーが国土交通大臣にリコール届出を行い、改修する責任を負うことになるということと理解をいたしております。

中谷(真)委員 これは私はすごく難しいと思うのは、自動運転ですから、自動運転のときに事故になったのか、それとも本人が、切りかわって自分でハンドルを握ったときに事故になったのかとか、多分こういう紛争が起きるのではないかと予想できるわけであります。そのときに、どのようにしてその証拠といいますか、こういったものを担保していくのかというところが極めて重要になってくるのかなというふうに思います。

 これはちょっと法務省にお聞きしたいんですが、そのことに対して、今後、この自動運転に対してそういうことが起こり得るという観点でどういう対策をとられるのか、法務省にお聞きしたいと思います。

保坂政府参考人 事故が起きたときの刑事責任についてのお尋ねということでございましたら、これは、犯罪の成否というのは、捜査機関が収集した証拠に基づきまして個別に判断されるべき事柄でございまして、一概には申し上げられないわけでございますが、一般論として言いますと、自動運行装置を使用して事故が生じたという場合に、運転者につきましては過失運転致死傷罪という成否が問題となり、また、自動運行装置の製造に関与した者については業務上過失致死傷罪というのが問題になりまして、いずれも過失犯でございます。その過失における注意義務違反が認められるかどうかというのが、個別の事案ごとに、事故発生状況あるいはその自動運行装置の性能等を考慮して判断されるということになろうかと思います。

 先ほど、事故が起きたときに備えての証拠収集についてということでございますが、その自動車にどういう目的でどういう装置を取り付けて、それを誰に義務づけるのかということにつきましては、まずは、車両の安全の確保、あるいは交通の危険防止という道路交通行政の観点から御検討いただくべきものかなと思いまして、法務当局としてこの場でお答えをすることは適当でないと考えておりますが、御指摘のとおり、事実認定のための適切な証拠収集につきましては、検察当局においても、例えば、ドライブレコーダー等の客観的証拠を有用な証拠として活用することはあるというふうに承知をしているところでございます。

 以上でございます。

中谷(真)委員 航空機事故なんかの場合はフライトレコーダーみたいなものがあったりとかするんですけれども、じゃ、局長、これに対してコメントをお願いします。

奥田政府参考人 済みません、先ほど申し上げればよかったんですが。

 自動運転車につきましては、事故時の原因究明や安全性向上の観点から、自動運行装置の保安基準におきまして、自動運行装置の作動状態をデータで記録する装置の搭載を義務づけることを考えておりまして、当該装置で記録されたデータで、事故時の原因究明のほか、システムのふぐあいの発見によるリコール、また保安基準の改善に活用してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

中谷(真)委員 しっかりとした対応をよろしくお願いします。

 最後の質問です。

 自動運転車を運行するに当たって、インフラが非常に重要になってくるというふうに思います。高規格道路を使用したり、また、通信環境も非常に重要になってきます。また、国としてのサイバーセキュリティーも重要になってくるというふうに思います。

 これに対して、国交省、内閣官房、総務省からお聞きしたいと思います。

池田政府参考人 高速道路が整備されますと、広域的なネットワークが形成されまして、企業立地や観光交流が進むほか、リダンダンシーの確保による防災機能の強化など、多様なストック効果が発揮されることから、これまでも高速道路の整備に重点的に取り組んできております。

 また、高速道路の自動運転については、深刻なトラックドライバー不足の観点からも、早期の実現が期待されていると承知をしております。

 今後とも、このような社会的ニーズの高い高速道路ネットワーク整備に優先的に取り組んでいくことが重要と考えております。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転車の普及に伴いまして、地図情報ですとか道路周辺情報の自動車への配信など、今後、通信ニーズの多様化、増大が見込まれる中、委員御指摘のとおり、通信環境の整備に向けた取組が重要だと考えております。

 このため、総務省といたしましては、既に実用化されております七百メガ帯ですとか五・八ギガヘルツ帯の電波を使う車車間、車と車、路車間、路側機と車の間の通信用の無線システムの高度化の検討ですとか、来年春に商用サービスが開始されます第五世代移動通信システム、俗に5Gと呼ばれますけれども、こういった新しいシステムの運転支援への活用に向けた技術試験などを実施しまして、これらに必要な周波数の確保ですとか、導入に向けた技術的な検討を進めているところでございます。

 いずれにしましても、総務省といたしましては、関係省庁とも連携してこうした取組を引き続き進めていくことで、安心、安全、快適な自動運転の実現に向けて貢献してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

山内政府参考人 お答えいたします。

 国といたしましては、昨今のサイバー攻撃による急速な脅威の高まりなどを受けまして、サイバーセキュリティ戦略本部におきまして、重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画を決定しております。

 ここの中では、ほかに代替することが著しく困難なサービスを提供する事業といたしまして、例えば電力、情報通信といった十四分野を重要インフラとして位置づけております。

 委員御指摘の自動運転につきましては、現時点では重要インフラの中には含まれておりません。しかし、今後、自動運転に係るサイバーセキュリティーの国際基準の策定に向けた議論、社会環境の変化などを勘案いたしまして、関係省庁とも連携をとりつつ、必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

中谷(真)委員 終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。

 時間も限られておりますので、今回、道路運送車両法の一部を改正する法律案ということで、いよいよ自動運転、レベル3、そしてレベル4も視野に入れてこうした改正が行われていくわけでございますけれども、私の方からは、一つは、こうした自動運転の車両の点検整備、このような観点から、もう一つは、具体的に、交通安全、事故をなくしていくという取組が大事になってくるというふうに思いますので、そうした安全の観点から、大きくはこの二つに分けて質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 早速質問に入らせていただきます。

 この自動運転の、今回、いわゆる自動運行装置というものを追加したり、あるいは、今までの、事業として分解整備を行う、点検整備を行う、こういうところの範囲を拡大する、こういうことが制度の中身として盛り込まれているわけでございます。

 今でも、新車を買いますと、多くの車は自動ブレーキのようなものがついてあったり、さまざまな装置がついているわけでありまして、今後こうした装置というものがますます高度化していくというか、そうしたことが考えられます。

 そうしますと、こうした整備、点検を行っているような事業者さんからお伺いをしますのが、こうした新技術にどこまで本当に対応していけるのかなという不安の声を多くいただくことも現場ではよくございまして、実際に零細のそういう工場も非常に多いわけでございます。

 具体的に言いますと、例えば、今でも、自動ブレーキみたいなそういうさまざまな整備をするためのデータというか要領書というか、そういうものがそれぞれのメーカーごとにあって、こうした情報というものをしっかり入手をしていくのが大変なんだというふうなお話であったり、あるいは、今は、車体の整備といっても、車のボンネットをあけて、エンジンをいじってということももちろんあるんでしょうけれども、実際に電子機器のところの故障がないかどうかというのは、専用のスキャンツールみたいなものを用いてそれを発見をしていかないといけない、これもメーカーごとにそれぞれ異なるというお話であるとか、こういうさまざまな新しい知識を身につけていかないと、こういったいわゆる先進的な車両の点検というものを行っていくことができない、こういうお声をいただいているわけでございます。

 こうした整備、点検という体制をしっかり支えていかないと、なかなか、新しい車両を導入していくといっても、実際にその安全を確保していくということが難しくなっていくかというふうに思います。

 こうした課題について、国交省としてどう認識をされ、そしてどのように取り組んでいかれるのかということをまず冒頭、お伺いをしたいというふうに思います。

石井国務大臣 自動ブレーキなど新技術を搭載した自動車の整備を行うためには、自動車メーカーが作成する整備マニュアル、電子装置を診断をするスキャンツール、これらを使いこなすことができる自動車整備士の知識、技能が必要であります。

 国土交通省では、一般の整備事業者でも新技術の整備を行えるようにするため、平成二十三年に自動車整備技術の高度化検討会を設置をいたしまして、関係業界とともに、一定の利用料を支払うことにより各車両の整備マニュアルを自由に閲覧できるようにする環境の整備、複数メーカーの車両に対応した汎用スキャンツールの開発と機能の拡大、自動車整備士に対する新技術に対応した研修制度の創設、拡充といった取組を進めております。さらに、汎用スキャンツールの普及を促進するため、導入する整備事業者に対しまして、装置価格の三分の一の補助を行っております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、これらの施策を講じることによりまして、整備事業者が新技術に対応できる環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 大臣の方からも御答弁いただきましたとおり、今でも取組を進めておられるということでございます。これを、新しく法律改正もするということで、更に前進をさせるということが必要かと思います。ぜひとも御対応の方をよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 もう一つ、よくお話を伺いますのが、こうしたいろいろな新たな機器を入れることもそうでありますけれども、整備をする事業者にとっても、やはり設備投資ということも必要でございますし、これからどういう運営方針というか経営方針でやっていくのかということも決めていかないといけない。そうした中で、こうした例えば認証基準の中身が具体的にどういうものになっていくのかであるとか、どういうものが取組としてこれから対応していかないといけないのかであるとか、こうした新しい制度の導入に当たって、やはり準備をする十分な時間的な余裕がないとこれは大変なんだというふうなお声もいただくところであります。

 早期に、施行に向けてどういう体制をとればいいかというのをしっかりわかるようにということをしていく必要があるかというふうに思いますけれども、これについても国交省の御認識をお伺いできればというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定整備の対象とする作業につきましては、有識者のほか関係業界が参加する検討会において検討を行っているところでありますけれども、現時点では、現行の分解整備作業に加えまして、例えば、自動ブレーキ等の先進技術にかかわる整備作業を想定しているところでございます。

 自動車特定整備事業の認証に当たりましては、これらの作業を確実に行うための設備及び従業員に関する要件を定めることといたしておりまして、具体的には、作業を行うために必要な作業場を有すること、電子的な点検整備を行うために必要なスキャンツールを有すること、必要な知識と技能を備える整備士を有することといった内容を想定しておりまして、その詳細につきましては、さきに申し上げました検討会において検討し、国土交通省令に定めることといたしております。

 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、整備事業者が十分な時間的余裕を持って認証取得の判断を行い、必要な設備投資を行うためには、具体的要件を可能な限り早期にお示しする必要があるものと考えております。

 このため、国交省といたしましては、整備事業者を始めとした関係者の意見を伺いながら、自動車特定整備事業の認証を取得する整備工場にとって過度な負担とならないよう配慮しつつ検討を進め、ことしの秋ごろを目途に認証基準の内容を明らかにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

中野委員 先ほど御答弁をいただきました。

 その中で、またよく御要望として伺いますのが、特に自動ブレーキなどにおきましては、センサーのようなものが正常に作動しているのかどうかという点検が必要になってまいりまして、具体的に、一定の距離を置いて、一定の機器でこれを確かめるということで、エーミングというものが行われるわけでありますけれども、これがメーカーごとによっても違うし、車種によっても違うというふうなこともございまして、こうしたものが点検できるようになるためには、かなり、設備投資という意味ではいろいろなものを負担していかないといけない、こういう声も多うございます。

 ですので、こうした、今後の、具体的にどういう基準になっていくかという議論とも並行していく話だとは思うんですけれども、この共通化というものについては、私は、これはしっかりやっていかないと、なかなかそれを点検する側としては対応が難しくなっていくのではないか、こういう問題意識を持っております。

 具体的に、今後、国交省としてはどのような対応をされるのかということをお伺いをしたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からも御説明いただきましたけれども、自動ブレーキ等に用いられる周辺監視のためのカメラやレーダーにつきましては、取付けの位置や角度が本来の設計から大きくずれた場合、周辺の交通や障害物の位置を正しく認識できず、誤作動につながるおそれもあることから、修理や交換作業を行った際には、調整作業、いわゆるエーミングが必要となってまいります。

 一方、自動ブレーキでありますとか自動運転技術といった先進技術につきましては、実用化当初はメーカー各社がそれぞれ開発を進める競争領域にございますことから、エーミングに用いられるターゲットの種類でありますとか自動車とターゲットとの距離などにつきましては、現状、自動車メーカーや車種ごとに異なる実情もございます。

 このような状況に対しまして、整備事業者からは、自動車メーカーや車種ごとに調整方法が異なることは負担が大きい、特に、必要なターゲットなどがメーカー、車種ごとに異なることは費用面の負担が大きいといった声を寄せていただいております。

 この点につきましては、本年一月に取りまとめられました交通政策審議会における報告書におきましても、中長期的な取組として、エーミングターゲットなどの整備用機器について共通化を図る等、整備しやすい車の設計、開発がなされるよう、環境整備を進めることが望まれるとの提言をいただいているところでございます。

 国交省といたしましては、今後、整備事業者の意見や審議会報告書の内容を踏まえ、技術の汎用化や普及の状況を見きわめた上で、自動車メーカー各社に対し、エーミングの方法や機器について、可能な限り標準化を進めるよう指導を行ってまいりたいというふうに考えております。

中野委員 残り五分弱でございますので、安全ということで幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほども少し話題に上りましたけれども、四月に、例えば、高齢者の方が運転する自動車、池袋で大変痛ましい事故があったということが大きく報道もされました。これから少子高齢化社会が本当に進展していくということで、こうした高齢者の自動車の事故というふうなことも踏まえて、やはり、安全をサポートできる、こうした先進的な技術を備えた車の普及促進というのは非常に大事になってくるかというふうに思います。

 ただ、具体的に、安全サポート車、こうしたものを新しく購入するとなると、かなり負担も大きいということでございますので、こうしたものの普及を促進をしていくための取組というのは、今後、強化していかないといけないのではないか、私はこういう強い問題意識を持っております。

 きょうは経産省にも来ていただいておりますけれども、国交省、経産省、それぞれの立場で、こうした安全サポート車の普及促進について、どう進めていくのかというのをお伺いをしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、高齢運転者による痛ましい交通事故を防止するため、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの先進安全技術を搭載した安全運転サポート車の普及促進に取り組んでおります。

 具体的には、衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全技術の国際基準化を主導し、安全基準の策定を検討すること、また、国際基準の策定に先立って、衝突被害軽減ブレーキの性能を国が確認し、その結果を公表する制度の創設を検討すること等についての取組を進めてきております。

 このうち、国際基準につきましては、ことしの六月の国連の自動車基準調和世界フォーラムで採択されれば、二〇二〇年一月ごろに発効する見込みでございます。

 また、衝突被害軽減ブレーキの性能確認につきましては、昨年、自動車メーカー等の求めに応じまして、衝突被害軽減ブレーキが一定の性能を有していることを国が確認し、その結果を公表する性能認定制度を創設したところであり、去る四月二十三日に、自動車メーカー八社の六十七車種百五十二型式について認定結果の公表を行ったところでございます。

 さらに、これまで自動車メーカーに対して後づけの安全運転支援装置の開発についても要請をしてまいりましたが、これを受けて、一部の自動車メーカーにおいて、昨年より、後づけのペダル踏み間違い時加速抑制装置の販売を開始したところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後とも、これらの取組を通じまして、安全運転サポート車の普及啓発、導入促進を図ることにより、高齢運転者による交通事故の防止に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 サポカーの普及は、高齢化が進む我が国にとっても重要な課題と認識をしております。

 経済産業省では、サポカーポータルサイトの運営や充実、国際シンポジウムの出展など、官民が連携をしてさまざまな普及啓発を行っております。

 サポカーに対するユーザーニーズの高まりも相まって、新車乗用車の販売に占める被害軽減ブレーキ搭載率は、二〇一五年の約四五%から、二〇一七年は約七八%と大きく上昇しており、今後も順調に推移するものと見込んでおります。

 また、今回の税制改正において、自動車税の恒久減税に加え、取得時の負担を一%軽減するなど、自動車の取得及び保有等の税負担を大幅に軽減することとしており、新車への代替を通じたサポカーのさらなる普及が期待できると考えております。

 経済産業省といたしましては、高齢運転者の事故防止、被害軽減のため、引き続き、サポカーの普及にしっかりと努めてまいりたいというぐあいに考えております。

中野委員 済みません、ちょっと最後、時間がないので、大臣、一言だけお願いします。

 きょうも、大津市で保育園児が車の事故に巻き込まれる、保育士の方も巻き込まれる大変痛ましい事故も発生をしております。先月は、神戸でもバスの運転手の事故というのもありました。通学路の安全の問題、こうした事業用の安全の問題、また高齢者の自動車の安全の問題、さまざまございますけれども、国交省として、やはりこの交通安全の問題、もう一度検討して取組を深めていかないといけない、こう思います。

 大臣に、最後一言だけ、御決意をお願いしたいというふうに思います。

石井国務大臣 最近頻発しております交通事故、大変悲惨な事故でありますけれども、こういった悲惨な事故を繰り返さないために、交通安全対策につきまして、道路整備面、車両面、両面で全力でその取組を進めていきたいと考えております。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 私からも、道路運送車両法の一部を改正する法律案などについて質問させていただきたいと思います。

 まず、私からも、けさ起きました滋賀・大津市での保育士や保育園児の交通事故、非常に痛ましい事故となってしまいました。心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいというふうに存じますし、池袋での高齢者の交通事故では母親とお子さんが亡くなられた。先日も、バスの交通事故で亡くなった方もいらっしゃいます。

 本当に頻発しているというか、ニュースに取り上げられることになったので、そういうことが我々の目にいろいろと入ってくるわけでありますけれども、そうした中で、やはりこういう痛ましい事故を減らすという意味で、自動運転の技術開発や自動運転の車のさらなる普及拡大というのは望まれることでございます。

 九割以上が運転者のミスに起因している交通事故の大幅な削減というものも期待されるわけでありまして、そうしたものを目指すに当たって、その一環として、今回、道路運送車両法の一部を改正する法律案が出されたというふうに思っております。

 この法律案についてですけれども、自動車の自動運転の技術開発の急速な発展など、最近の自動車技術の進展や自動車を取り巻くさまざまな状況の変化等に鑑みまして、自動車の安全性の確保及び環境保全を図るために、一定の条件下で自動車を自動的に運行させることができる装置を保安基準の対象装置として追加するとともに、当該装置に組み込まれたプログラム等の改変による自動車の改造に係る行為についての許可制度を創設するほか、自動車検査証の電子化、自動車の型式指定制度に係る是正命令の創設等の措置を講じようとしております。

 そこで、幾つか質問をいたします。

 まず、自動車技術の進展に伴いまして、自動車メーカーにおいて、電気通信回線を活用して、使用過程、今使っているというものですね、使っているときの自動車の電子制御装置に組み込まれたプログラムを改変し、性能変更や機能追加、改造を行うことが可能となっておりますけれども、電気通信回線を使っているわけでございますから、犯罪やサイバー攻撃、サイバーテロなどにつながってしまうおそれがあるわけでありまして、そういったものを予防、防止するためのセキュリティー対策が万全でなければならないと考えております。

 セキュリティー対策は現在どのようになっているのか、また、今後どのようにセキュリティー対策を強化していこうと考えているのか、伺いたいと思います。

石井国務大臣 通信機能を備えた自動車が第三者による不正アクセスを受けた場合、事故の発生など、社会的に重大な影響を与えるおそれがあることから、自動車のサイバーセキュリティーの確保は非常に重要な課題と認識をしております。

 このため、国土交通省におきましては、自動車の国際基準を策定をいたします国連の自動車基準調和世界フォーラム、WP29に積極的に参画をいたしまして、二〇一七年に、車両の安全性を確保するための基本原則がまとめられたサイバーセキュリティーに関するガイドラインを成立をさせたところであります。これを受けまして、現在、各国の自動車メーカーは、このガイドラインに沿って車両開発を推進しているものと承知をしております。

 さらに、自動車メーカーに対しサイバーセキュリティー対策の実施を義務づけるべく、国際基準案の策定に向けた議論が行われているところであります。本基準案がWP29において成立、発効した際には、我が国におきましてもこれを速やかに保安基準に取り入れまして、型式指定の際に国がそれへの適合性を確認することとしております。

 国土交通省では、引き続き、安全な自動運転車が市場投入されるよう、サイバーセキュリティーの国際基準の策定に向けまして、国際的な議論を積極的に主導してまいります。

道下委員 セキュリティー対策は、国際基準の制定に向けて、日本が主導して行っていくということですので、日本の高い技術力、もちろんそれらを更に高めていって、国際基準に合うように、ぜひとも御尽力をいただきたいというふうに思います。

 関連しまして、電気通信回線を活用して改変、改造を行う場合、何が変わったのか、どのように変わったのか、どのように改善されたということを車の所有者や運転者へ通知することが必要だと考えます。

 今、パソコンでもスマホでも、使っていて、OSが更新された、バグが発見されてそれが修正されましたということで、そうした、更新しましたという通知は我々よく見るわけでありますけれども、そうしたことは今後のこうした自動車にも必要ではないかなというふうに思っているんですけれども、見解を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車メーカー等が、自動車の電子制御装置に組み込まれたプログラムの改変による改造を電気通信回線の使用等により行う特定改造等を実施するに当たりましては、プログラムの確実な改変と改変内容に対する使用者等の正しい理解を確保するため、改造に関する情報が当該自動車の使用者等に適切に提供されることが必要であるというふうに考えております。

 この点に関しましては、現在、我が国が議長を務めますWP29傘下のサイバーセキュリティタスクフォースにおきまして、プログラムの改変による改造の適切性を確保するために必要な要件について国際基準の策定作業が進められているところでありまして、その草案において、自動車メーカー等が改造に係る情報の提供に関する措置を講じなければならない旨が規定をされているところでございます。

 今回の法改正では、こうした国際的な議論を踏まえまして、特定改造等に係る安全を確保するため、許可制度を設け、許可を受けた者に対し、改造の目的、内容及び所要時間に関する情報、改造中に使用できなくなる機能に関する情報、改造の成否に関する情報、変更された機能の使用方法に関する情報、その他自動車の使用者等に対する注意事項を始め、改造の安全性を確保するために必要な情報を自動車の使用者等に対し適切に提供する措置を講ずることを義務づけることを予定いたしております。

道下委員 通知というのは、大体スマホに通知されるとか、車のところのディスプレーに出てくるだとか、いろいろあると思いますので、そうした改造、改変において車が使用できなくなることがあるというわけですので、使用者が、改造、改変が自分で時間を選べるように、そういうことも求められているというふうに思いますので、その点も御考慮いただきたいというふうに思っております。

 次に、日本国内で自動車を販売する外国の自動車メーカーや外車にも当然今回の法律案は適用されるというふうに考えますけれども、外国法令における自動運転に関する基準等との差異、違いというんですか、大きな違いはないかもしれませんけれども、一致しない点などの解消に向けて、国として認識している課題やそれらの差異の解消に向けた取組などがあれば伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国内で自動車を販売いたします外国の自動車メーカーに対し本法案による自動運転車に関する基準を適用するに当たりましては、これらの基準の国際調和が図られることが重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 例えば、今回の法案により新たな装置として追加する自動運行装置につきましては、当該装置の作動状況をデータで記録する装置を備えるものとしておりまして、当該記録装置の国際基準の策定に向けた議論が行われております。

 一方、自動車は国際的に流通している商品でありまして、我が国と外国で異なる基準が規定されることとなれば、自動車メーカーは市場に応じて構造、機能を変更しなければならなくなり、開発費用などのコスト増大によりユーザーの経済的負担も増加してしまうことが懸念されるところでございます。

 国交省といたしましては、このような課題に対しまして、国内の検討の場において、輸入代理店の業界団体からの意見も踏まえつつ、自動運転車の基準策定に関する技術的な議論を行うとともに、自動車基準の国際調和を図る場であります国連のWP29におきまして、国内の議論の結果を反映すべく対応してきているところでございます。

 このような取組の結果、WP29において国際基準案が成立、発効した際には、我が国においてもこれらを速やかに保安基準に取り入れ、基準の国際調和を図ることといたしております。

 国交省といたしましては、国内外の自動車メーカーの負担軽減も考慮しつつ、安全な自動運転車が日本の市場に円滑に投入されるよう、基準調和に向け、引き続き国際的な議論を主導してまいりたいというふうに考えております。

道下委員 これまでの質問と答弁で、やはり、今後の自動運転車含めて、WP29の国際基準、国際調和というものが大変重要であるということが私も認識をすることができたわけでありますので、そうしたところでの主導的立場をしっかり生かしながら、日本として頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、今回、適切な完成検査の確保のために、改正内容には、強制力のある機動的な措置の導入等、罰則を強化するとしています。最近では、自動車メーカーの不適切な完成検査が相次いでおります。

 罰則の強化については、是正措置命令又は型式指定の効力停止を行うための報告徴収、それから立入検査に対する虚偽報告等に適用される罰則を強化するというふうにしておりますけれども、それは私は当然だというふうに思いますけれども、完成検査における不適切な取扱い自体に対する罰則はどうなっているのか。その罰則を強化することも必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 道路運送車両法第七十六条におきまして、完成検査の基準等は国土交通省令で定めることとされておりますところ、一連の完成検査における不適切な取扱いを踏まえまして、昨年十月に省令を改正し、これまで通達において規定をしておりました完成検査員の選任に係るルールを当該省令に盛り込むほか、完成検査の記録を書きかえできなくする措置を新たに省令に規定したところでございます。これによりまして、今後は、自動車メーカーがこうした省令の規定に違反した場合には、罰則、三十万円以下の罰金が適用されることとなります。

 これに加えまして、今般の法改正では、自動車メーカーに対し、先般改正を行った省令の規定への違反等の完成検査における不適切な取扱いを是正するために必要な措置を命ずるとともに、当該措置が講じられるまでの間、型式指定の効力を停止することができることとするほか、是正命令や型式指定の効力停止を行うための報告徴収、立入検査に対する虚偽報告等に対して適用される罰則を、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金、法人両罰二億円に強化することとしたところでございます。

 今般の法改正によりまして新たに創設する是正命令及び型式指定の効力停止は、法律の規定に基づく強制力のある機動的な措置であることから、これにより、自動車メーカーにおける完成検査の不適切な取扱いを確実かつ速やかに是正させることができるようになるものと考えております。

 また、型式指定は自動車の大量生産の前提となっておりまして、仮に型式指定の効力が停止された場合、自動車メーカーは、完成検査における不適切な取扱いを是正するまでの間、実質的にその車種の生産をとめることを余儀なくされることとなります。

 さらには、完成検査に関する報告徴収、立入検査についての罰則強化により、型式指定の効力の停止等の行政処分の前提となります、完成検査における不適切な取扱いに係る事実関係の解明を目的とした立入検査等の実効性も大きく向上することとなります。

 このように、従来からの制度を適切に運用することに加えまして、今般の法改正による措置を総合的に講ずることにより、完成検査における不適切な取扱いの抑止に大きな効果が発揮されるものと考えておるところでございます。

道下委員 完成検査等で不適切な取扱いを行った自動車メーカーに対して、是正措置命令、それから型式指定の効力の停止、これは非常に自動車メーカーの経営や利益に多大な影響を与えるということでございますし、また、国交省として、立入検査等を行っている際に虚偽の報告をした者に対しては、今回、罰則を強化して、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金、法人に対しては両罰二億円ということでありますが、もともと、それと比べると、完成検査は、不適切な取扱いを行った者自体に対しては三十万円というのは、余りにもちょっと罰則としては格差があり過ぎるんじゃないかなと。

 もちろん、今おっしゃったように、型式指定の効力の停止ということも非常に行政罰としては重たいというふうに思いますけれども、行政指導というか罰則としては重いと思いますけれども、私は、虚偽報告をした際の例えば法人両罰二億円と同様の罰則強化をすべきだというふうに考えるんですけれども、もう一度ちょっとその点、お考えを伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 罰金の額が少ないのではないかということでありますが、先生に申し上げるまでもありませんけれども、こういった罰則につきましては、それぞれ事柄ごとに法務省とも罰則協議をしまして、並びをとってまいります。

 ちなみに、燃費不正問題の関係でいいますと、やはり同じように虚偽記載等をした場合の罰金は三十万ということになっておりますが、一方、燃費不正も完成検査問題への対応も、報告徴収、立入検査に係る虚偽報告等につきましては、先ほど御紹介いただいたような罰則強化が図られるということでございます。

 なお、これも先生に御紹介いただきましたけれども、その罰則に加えまして、こういった事案が発生いたしますと、メーカーとしては社会的な評価を非常に落とすことにもなりますし、莫大なリコール経費もかかりますし、あと、完成検査は行っていなかったと私どもがみなした車につきましては、過料通知をして、それなりの額を納付をするというようなサンクションも受けますので、そういったことを、最後に申し上げましたけれども、総合的に運用して、完成検査の適切な確保を図っていきたいということでございます。

道下委員 今局長から御丁寧な御答弁をいただきました。

 日本の法的なそういう罰則というのは、結構、本当に悪いことをしたことに対しては重たい罰を与えるというのがあるんですけれども、海外を見ていると、本当に、やったらもうそれでだめというものが結構多いんじゃないかなというふうに思いますので、そういった点も考慮しながら、ぜひ今後また法案に関しては検討していただきたいというふうに思います。

 次に、自動車検査証、いわゆる車検でありますけれども、この電子化に関しまして、自動車整備事業者等に対して国からICチップ記録等事務を委託することとしておりますけれども、委託を受ける自動車整備事業者等に対して、事務機器の導入などに際してどのような負担軽減や支援を行う予定なのか、伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車整備事業者等が、電子化されました自動車検査証への記録等に関する事務の委託を受け当該事務を行う場合には、オンラインで手続を行うために必要なパソコン、インターネット環境、ICカードの読み取り、書き込みを行うための端末、検査標章を印刷するためのプリンターといった機器や、当該事務を行うためのソフトウエアが必要となるものと考えております。

 このうち、機器の導入に当たりましては、記録等に関する事務の委託を受ける者にとって過度な負担とならないよう、市場に流通している汎用的な機器を利用することとするなど、機器の仕様を検討しているところでございます。

 さらに、必要となるソフトウエアにつきましては、国交省において開発をし、無償で配布することを想定しておりますほか、円滑な導入に向けまして、利用可能な機器について前広に情報提供を行うとともに、マニュアルの作成、配布や説明会の開催などを行うことを考えておるところでございます。

道下委員 最近の自動車整備工場は、昔稼いでいたのは板金なんですよね。今は、事故ったときにすぐに部品を交換するという部品代と工賃だけになってしまって、自動車整備工場として利益を上げるものがなかなかなくなってきた。

 そうした中で、少しでも、先ほどのスキャンツールも含めて、そういう機器の導入というのは重い負担になりますし、また、人手不足でございますので、賃金を上げようと思っても、少ない利益の中でなかなか上げづらいということで、自動車整備工場の中でもなかなか大変。私の知っているところでも、今後もうやっていけないというところもよく聞きますので、そういった点、負担の軽減にぜひ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 そこでまた、この自動車整備工場としては、分解整備の範囲拡大というものがあります。この拡大に当たっては、自動車整備士の技術向上に向けた養成、研修の充実が必要であるとともに、整備士になった人の養成、研修のみならず、これから整備士になろうという方が学んでいる整備士養成学校での取組も重要であるというふうに考えますけれども、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案によりまして分解整備の範囲を拡大し、新たに特定整備の対象となる整備作業につきましては、この法案の成立後、省令において規定することとなりますが、現時点では、自動ブレーキ等に用いられるカメラ、レーダーの調整作業を想定をいたしております。

 整備工場がこれらの先進技術の整備を適切に行うためには、自動車メーカーが作成する整備要領書、電子的な故障の有無の確認等に用いるスキャンツール、スキャンツールを用いて故障箇所を特定し適切な整備を行う知識、技能を有する自動車整備士が必要となってまいります。

 このうち、自動車整備士につきましては、新技術の整備に対応するため、最新の知識、技能の習得が必要となってまいります。

 このため、国交省では、関係業界と連携をいたしまして、全国の自動車整備士を対象に、自動車メーカーや整備事業者とともに先進技術の整備に関する研修プログラムを作成いたしまして、全国の自動車整備振興会において研修を実施するとともに、認証工場において整備の統括管理を行う整備主任者に対して、毎年、運輸支局長等が行う研修において、新技術の整備手法について、実習も交えて説明を行うことによりまして、新技術の整備に関する整備士の知識、技能の向上を図っているところでございます。

 さらに、今後新たに自動車整備士の資格を取得する方々に対しましても、その養成課程において、これら先進技術の整備に必要な知識、技能を習得していただくために、自動車整備士の資格体系、自動車整備士養成施設の訓練プログラムについて見直しを行う必要があると考えておりまして、今年度、そのために必要な調査費を確保いたしております。

 国交省といたしましては、引き続き、自動車整備士が先進技術の整備に必要な知識、技能を適切に習得することができるよう、その養成、研修について、関係業界の意見も聞きながら、必要な制度整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

道下委員 本法案では、独立行政法人自動車技術総合機構という名前がよく出てきます。この機構に対して、国は技術的審査や技術情報の管理事務等を行わせるということにしておりますけれども、本法案成立後、この機構の人員や予算は私はふやす必要があるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、どのように考えているのか伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車技術総合機構は、自動車の検査における基準適合性審査、型式指定における基準適合性審査、リコールに係る技術的検証、安全・環境技術に関する研究開発などを行う独立行政法人でございまして、現在約千名の職員を有しております。

 また、その予算は、国費から支出される運営費交付金、施設整備費補助金のほか、型式指定の審査でありますとか検査の受検者から徴収する手数料により確保されております。その内訳は、今年度予算では、運営費交付金約三十四億円、施設整備費補助金約三十五億円、審査手数料収入約九十億円となってございます。

 一方、本法案によりまして、機構では、新たに保安基準の対象となります自動運行装置について、型式指定及び検査における保安基準適合性の審査、特定改造等の許可における保安基準適合性の審査と特定改造等を行う事業者の能力の審査、検査における技術情報を一元管理するためのサーバー設置、指定整備工場が利用するための検査用アプリの開発、問合せ対応のためのヘルプデスク設置といった事務が新たに発生することとなります。

 国交省といたしましては、機構がこれらの事務を適切に実施できるよう必要な人員及び予算を確保しつつ、業務の効率化を図ることで国費の支出や手数料の増額を必要最小限にとどめるよう指導してまいりたいというふうに考えております。

道下委員 やはり手数料の増額というものは個人や企業等に対して非常に重たい負担になるわけでありますので、それがなるべくふえないように取組を働きかけていただきたいというふうに思います。

 最後に、この法案に関しては最後なんですけれども、日本国内における自動車保有台数は八千万台を超えているというふうに先日大臣も法案の説明のときに述べられましたけれども、自動車は、私も含めまして、非常に国民各層に普及しておりますし、まさに私たちの生活になくてはならないものとなっております。

 そんな車社会の日本におきまして、世界と同様、一〇〇%人間が運転することから、今も、自動ブレーキなど、さまざまな安全装置がふえてきていますけれども、自動運転、一〇〇%、車を手離しても運転するというものを、自動運転へ大きく変革していく時代がもう近くまで来ております。

 そうした将来を見据えたときに、自動運転に対する社会的受容性を高めるために、自動運転車に対する国民の理解や安心感の向上に努める取組を国は着実に推進する必要があると考えますが、最後に大臣の所見を伺います。

石井国務大臣 自動運転は、交通事故の削減のみならず、高齢者等の移動手段の確保や物流の生産性向上等、社会が直面するさまざまな課題の解決に資するものとして、早期の実用化が期待をされております。

 一方、自動運転の普及を図り、これらの効用を社会が広く享受するためには、自動運転に対する社会受容性を高めていくことが不可欠と認識をしております。

 このため、現在、国土交通省では、技術開発の促進に加え、国民の理解や社会受容性の向上を図るため、ラストマイル自動運転による移動サービス、中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービス、空港における自動運転の導入、新東名高速道路における後続無人隊列システム等について、さまざまな実証実験の取組を進めております。

 さらに、国土交通省といたしましては、関係省庁と連携いたしまして、自動運転の有用性に関するシンポジウムの開催、広報、PR活動や実証実験、試乗会の一層の展開によりまして、国民の理解や社会受容性の向上に努める取組を着実に推進してまいりたいと考えております。

道下委員 大臣、ありがとうございます。

 先ほども痛ましい交通事故の話をさせていただきましたけれども、やはり、交通事故、自動運転、自動ブレーキ等があれば回避されたものもあると思いますし、今、高齢者に対する、免許の返納等もしておりますけれども、これは、私の一見解としては、高齢者、ある一定程度の年齢の上の方には、そういう安全装置がさまざまついた車の運転を促進するだとか義務づけるということもこれから議論をしなければならなくなってくるのかなというふうに思います。

 そういった意味で、しっかりとした法律や制度の整備に、今後も国交省として、ほかの中央省庁とともに取り組んでいただきたいというふうにお願いをしておきます。

 続きまして、新たな住宅セーフティーネット制度について伺いたいと思います。

 高齢者や障害者、子育て世帯や所得の低い方など、住宅の確保に配慮が必要な方は今後も増加すると見込まれていますが、地方自治体等がそうした方向けに賃貸する公営住宅については、大幅な増加が見込めない状況にあります。

 一方で、民間の空き家、空き室は増加していることなどから、国は、それらを活用して、所得の低い方や高齢者、障害者、子育て世帯など、法律や省令で定める住宅確保要配慮者の賃貸入居を家主が拒まない、断らない住宅をふやそうと、二〇一七年に改正した住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づいて新設した新たな住宅セーフティーネット制度を、二〇一七年十月からスタートしました。

 この新たな住宅セーフティーネット制度は、一つに、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録、二つ目に、登録住宅の改修、入居への経済的支援、三つ目に、住宅確保要配慮者のマッチング、入居支援を柱としています。

 そこでまず、二〇二〇年度の登録住居目標数値と直近の登録住宅数について端的にお答えいただきたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介ありました新たな住宅セーフティーネット制度、二〇一七年の十月二十五日から制度がスタートして、登録を今進めております。

 本制度に基づきます登録に関しては、二〇二〇年度末までに十七万五千戸の登録を目標としておりますけれども、制度開始から約一年半たちました本年四月十五日現在で登録数が八千三百五十二戸、現在、受け付け、審査中のものを含めますと一万一千二十六戸という状況でございます。

道下委員 二〇二〇年度までに十七・五万戸を目標としていて、今は受け付けを含めて一万一千二十六戸ということで、これはどのようにふえていくかというのはちょっとわかりませんけれども、ただ、一般的に考えて、これからあと二年弱で十七・五万戸まで目標を達成するというのはなかなか難しいんじゃないかなというふうに思います。

 なぜこのように、まだ一年半しかたっていないという状況の中で、一万戸程度しか登録や受け付けなどがされていないのかということで、やはり、ちょっと制度についてさまざまな問題があるのかな、住宅登録数が低調であるのは何か理由があるんじゃないかなというふうに思います。

 この制度について、家主、賃貸のオーナーからどのような意見が国交省に寄せられているのか伺うとともに、それに対して国交省はどのような対応、対策をとってきたのか伺いたいと思います。

 あわせて、今度、このマッチング等で自治体もいろいろと事務作業をしているわけでありますので、自治体からどのような意見が寄せられており、また、国交省はそれに対してどのような対応、対策をとってきているのか伺いたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、事業者の関係でございますが、事業者団体からは、制度を十分にまだ承知していないということに加えまして、事務の手間や手数料といった負担等について御指摘をいただいたところでございます。こうした点を改善して、登録実績を大きく伸ばしていくことが必要と考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、賃貸人に対します説明会やセミナー等によって制度の周知を図りますとともに、登録手数料を徴収している四十七の地方公共団体に対しまして手数料の無料化や減額を求めまして、予定を含めまして現在四十五の地方公共団体で無料化若しくは大幅な減免を行うことを確保したところでございます。

 また、昨年七月に省令を改正しまして、登録に係る申請書の記載事項や添付書類を大幅に削減しますとともに、効率的な登録ができます申請システムへの改修を順次進めるなどの取組をいたしております。

 また、公共団体の方からは、事業者の関心が低いために登録申請自体が少ないといったお声をいただいているところでありますが、一方で、例えば大阪府におきましては、国の補助制度も活用いただきながら、居住支援協議会の活動の一環として登録申請者の申請を支援いただくことなどで、本年の四月十五日時点で五千四百九戸、先ほどの登録数八千幾つのうちの五千四百九戸の登録が大阪で行われているところでございます。

 このように、各地方公共団体の取組に応じましてかなり地域差が生じていることから、国交省では、単に制度の周知を図るだけではなく、個別の公共団体に対しまして、先進的な取組を進めております大阪などの対応を他の公共団体に紹介して横展開を図りますとともに、取組がおくれている公共団体などに住宅局の職員がじかに訪問いたしまして、取組の促進を促すなどの対応を進めているところでございます。

道下委員 先進的に取り組んでいる自治体等の取組を他の自治体にもぜひ広めていただきたいと思いますし、私が把握している中では、こうした経済的支援については、平成三十年度当初予算を確保している自治体は都道府県では全部ではないんですね。自治体も本当に少ないんですね。

 まだまだ、その経済的支援の部分、補助制度自体は、例えば家賃低廉化は国が十分の十補助するとか、家賃債務保証料の低廉化は十分の十国が補助する、まあ上限はありますけれども、改修についても三分の二、上限が五十万とか百万とかあるんですけれども、そういったものをうまく使われるように、もっと使い勝手がよいような制度に改善をしていって、この住宅登録数や利用者、入居率を高めるということをぜひ取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 この新たな住宅セーフティーネット制度については、私も今申し上げたとおり、本当に重要な制度だというふうに一定の評価をしておりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、二〇二〇年度までに十七・五万戸という目標達成まではほど遠いわけであります。

 さまざまな制度の改善等、取り組んでいくべきだと考えますけれども、国交省として認識している課題とともに、今後の取組について大臣に伺いたいと思います。

石井国務大臣 セーフティーネット住宅の確保をより一層促進していくためには、制度の一層の周知を図るほか、事業者等から指摘されております登録に係る費用や事務負担といった課題を解消することが重要であります。

 このため、登録に係る手続の簡素化や登録手数料の減免を進めることに加えまして、地方公共団体や事業者団体等と協力をして説明会やセミナー等による制度の周知に取り組むとともに、登録促進に係る先進的な取組の横展開等を進めてまいります。

 さらに、地域の実情に応じた取組が進められるよう、居住支援協議会や居住支援法人による居住支援活動の充実を図るとともに、地域の状況を踏まえた登録要件等を定める賃貸住宅供給促進計画の策定や補助制度の創設を地方公共団体に働きかける等の取組を行っているところであります。

 今後も、セーフティーネット住宅の登録の状況や事業者団体の意向、地方公共団体の意見なども踏まえつつ、登録を促進するためのより一層の取組を進めてまいりたいと考えております。

道下委員 ぜひともより一層の展開をお願いしたいというふうに存じます。

 続きまして、バリアフリー推進について伺います。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催されるわけでありますけれども、それに向けて、日本国内におけるバリアフリー推進が急務だということは国も私たちも十分理解をしております。

 ホテルや旅館など宿泊施設に関しては、バリアフリー改修費用や、外国人旅行客の急増によって宿泊施設の満室が続いて、バリアフリー改修工事が進んでいないというふうに承知しています。

 国交省のアンケート調査では、バリアフリー対応客室の割合は、調査した中では〇・四%ということで、非常に少ない数字になっております。

 今後どのように宿泊施設のバリアフリーを推進するのか、伺いたいと思います。

金井政府参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けまして、宿泊施設のバリアフリー化を推進することは重要な取組であると認識しております。

 このため、観光庁としましては、平成二十九年度より、宿泊施設バリアフリー化促進事業を創設し、バリアフリー改修に対する支援を行うとともに、ソフト面での対応も重要であることから、宿泊施設におけるバリアフリー情報発信のためのマニュアルや、高齢者、障害者等をお迎えするための接遇マニュアルを作成し、その周知徹底を図っているところでございます。

 これらの取組を通じて、また、関係省庁や自治体とも連携しながら、引き続き宿泊施設のバリアフリー化を推進してまいりたいと考えております。

道下委員 ぜひ、日本国内のホテルはなかなか五つ星というのは少ない状況なんですけれども、ただ、中身がいいというふうに、私はいいと思っているんですけれども、ただ、バリアフリーの改善がなかなか進んでいない状況でありますので、これは、障害者や高齢者のみならず、子育て世代もそういうバリアフリーの客室だと非常に便利なので、こうしたものの普及拡大に全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 これに関連して、障害者等の航空機の利用についても伺おうと思ったんですが、ちょっと時間がないので、今回、済みません、局長、また次回にさせていただきたいというふうに存じます。

 次に、道の駅など、国交省所管の公共交通施設における液体ミルク販売について伺いたいと思います。

 ことし三月から国産の乳児用液体ミルクの販売が開始されました。私も、超党派ママパパ議員連盟の会員として、この問題について、国内の乳業メーカー、コストも含めて、また厚生労働省の基準等もありまして、なかなか着手してこられなかったというものもありますが、三月から販売が開始されたことは、私も、乳幼児を育てている親としても本当にうれしいことでございます。

 ことし五月一日にオープンしました北海道浜頓別町の道の駅、北オホーツクはまとんべつには、乳児用液体ミルクやおむつ、お尻拭きを扱う全国でも珍しい自動販売機が国交省と浜頓別町、飲料メーカーの共同で設置されて、おむつ交換や授乳スペースも併設されているそうです。

 乳児用液体ミルクは、コンビニやドラッグストアでの販売、購入も進むと思いますけれども、乳幼児のいる家族にとって、公共交通施設での乳児用液体ミルクの自販機設置や店頭販売が進むと、移動や旅行の際に非常に便利であるというふうに思います。また、地震等の災害時においても役立つと思います。

 今回の道の駅のほかにも、空港や港、鉄道の駅、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアなどにおいても乳児用液体ミルク販売が推進されることを期待しますけれども、国交省としての認識と今後の取組について伺いたいと思います。

栗田政府参考人 少子高齢社会を迎えた我が国におきまして、子育て世代を応援する施策を推進していくことは大変重要と認識しております。

 国土交通省では、平成三十年十一月に、学識経験者、子育て等関連団体、交通事業者団体等から成る子育てにやさしい移動に関する協議会を設置して、幅広い取組を進めているところでございます。

 今、委員から、北海道の道の駅での乳児用液体ミルクの販売の御紹介がございました。そのほかに、先月から、JR東日本の一部の駅の構内の売店においても乳児用液体ミルクが販売されているというような実態について承知をしております。

 このように、国土交通省では、子育て世代の円滑な移動の観点からも、交通関係施設において乳児用液体ミルクを入手できる環境が拡充されることが重要と認識しております。

 このため、先ほど述べました協議会の場を通じまして、一つには本年三月に乳児用液体ミルクの販売が解禁されましたこと、二つには乳児用液体ミルクに対する子育て世代のニーズが高いこと、三つには道の駅などにおきまして販売が既に開始されていること、こういったことを関係事業者等に幅広く周知すること等によりまして、子育てに優しい移動環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

道下委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 日本の自動運転技術政策について伺わせていただきます。

 先ほどから多くの委員が言及をされていますが、大津での事故、また池袋での事故を見ましても、高齢者の方々の運転が大変多くの痛ましい事故を生んでいる現実がございます。

 自動運転について、お配りした資料を見ていただきますと、資料一番、自動運転の意義として、これは自動運転戦略本部を持つ国土交通省の資料なんですけれども、死亡事故の発生件数の大部分が運転者の違反に起因する、いわばヒューマンエラーだということを書いて、現在三千五百三十二人の死者が自動運転技術の発達によって激減するのではないかということを一番大きなお題目として標榜しているということであります。

 ぜひそうなってほしいと思いますし、私たちの立場でできる応援をさせていただきたいと思うんですが、一番わかりやすいこれは目標でもありますので、仮にですけれども、自動運転技術、いわゆるレベル5と呼ばれる、人の、ヒューマンエラーが介在しない世界というのがあまねく行き渡れば、試算上は、表面上は九割の交通事故が避けられるということかもしれませんので、具体的に、KPIとして、何年代に交通事故がどのぐらい減るということを、自動運転の未来を描く上でぜひ大臣に示していただきたいと思うんですが、交通事故死亡発生件数をKPI化するということの意義について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 道路交通の安全につきましては、交通安全対策基本法に基づきまして、政府全体で総合的かつ長期的な施策を実施をしております。

 現在は、第十次交通安全基本計画に基づきまして、令和二年までに交通事故死者数を二千五百人以下とする目標を掲げ、政府を挙げてさまざまな安全対策を推進をしております。

 このような中、自動運転の交通事故の削減効果につきましては、平成二十九年に発生をいたしました死亡事故の九割以上が運転者の違反に起因していることから、自動運転の実用化により、運転者を原因とする交通事故の大幅な低減が期待をされます。

 御指摘の新たな主要評価指標の設定につきましては、自動運転技術の実用化及び普及の状況を踏まえつつ、交通安全に係る政府全体の取組におきまして、関係省庁と検討してまいりたいと考えております。

津村委員 今言及されました令和二年の二千五百人以下という目標については、若干ハードルが高いのかなという印象を持ちます。

 と申しますのも、二年前の交通事故死者数は三千六百九十四人、昨年は三千五百三十二人で、百六十人程度減っているんですが、他方、高齢者の方の事故の比率というのが上がっておりまして、高齢者の方の運転に起因する事故というのもふえておりまして、それは今回のこの事故を見ても、高齢者の数はふえていくわけですから、交通事故発生件数がこれから本当に減っていくのかということであります。

 二年後に今の三千五百人が二千五百人以下と千人も急減するというのはなかなか考えにくい中で、現実的、かつ、ぜひ達成可能な目標を明確に掲げていただきたいというふうに思います。

 自動運転技術についてはいろいろ諸説あって、なかなか未来が読めないところがあるんですけれども、例えば二十五年後には、シリコンバレー界隈では、人間が運転をすることを禁止するであるとか、レベル5になれば、運転の免許というか、運転技術は必要なくなるわけですから、例えば令和生まれの子供たちは、将来自分で車を運転しないという世代になるかもしれません。

 そういう驚天動地な世の中の変化が起こり得るわけで、そこはぜひ、最も技術なり知識をお持ちの国土交通省が、人材育成という意味では十年、二十年、対応がかかっていくものですから、これは、技術の進歩と人間の進歩の時間軸のずれというものがいろいろな社会問題を引き起こしていくのではないか、逆に言えば、いろいろなチャンスを生むのではないかという壮大なテーマでありまして、そういう技術と人間の、技術は毎年でもどんどん進んでいくのかもしれませんが、人間はそこまで追いつかないことでいろいろな問題が起きるという問題意識で以下の質問をさせていただきます。

 質問通告をさせていただいている二番目がまさにそれなんですけれども、人間が引き続きイニシアチブをとる、しかし自動運転の技術がかなり進んだ、今回の法案が想定しているレベル3の世界と、数年後には実用化が見込まれているとされるレベル4、これは、引き続き人間は介在しますが、イニシアチブは自動運転技術、つまり機械が持つ。ここは大きなルビコン川であって、どちらも介在するとはいえ、人間がイニシアチブをとるのか機械がイニシアチブをとるのかでは、全く別の世界が広がると思うんですね。

 これが一気呵成に進むのであれば、場合によっては大きな混乱が生まれないのかもしれませんが、数年にわたってこれが、両方のものが世の中に介在する。つまり、車というものが、今、マニュアルやオートマがあるとはいえ、外形的にはほぼ同じような機械なわけですけれども、二種類の全く別の機械が世の中に同時に存在するということになれば、これは非常に危ないというか、リテラシーの違いが生まれてしまうのではないか、そのことが、場合によっては交通事故の件数をふやすのではないか、車がどんな動きをするのかわからなくなってしまうのではないかという懸念が表明をされています。

 昨年のこれはシリコンバレーの会議だと思いますが、自動運転車に早く免許を与えるべきだ、同時に、できるだけ早く人間から運転免許を取り上げなくてはいけない、自動運転車と人間の運転する車が混在する過渡期というのは極めて危険だし、データ処理上の無駄も多い、そういう議論がなされています。

 このことについて、きのう国交省の事務方の皆さんと議論をしましたら、いや、それはドライバーの方への指導を徹底します、自分が運転する車はこういう仕様になっているということを今まで以上によく勉強していただきますということと、もう一つは、これはアラームを想定しているのか、何か光を点滅させるのかわかりませんが、これは自動運転車ですよということをはたから見てわかるような、そういう仕組みを検討していますという二つのお答えをいただきました。

 しかし、レベル3やレベル4にもいろいろなタイプがあって、日産が開発しているものとトヨタが開発しているものとヨーロッパのものでも全然違うんですよね。そうすると、やはり、かなり規格といいますか物を標準化していかないと、いろいろな種類のものが混在している状態というのは非常にわかりにくい世界になっていくと思うんですけれども、このリテラシーの偏りについて、大臣はどう思われますか。

石井国務大臣 難しい御質問なので、適切にお答えができるかどうかちょっと自信がないのでありますけれども、レベル3、レベル4でもいろいろなメーカーの車が出てくるんじゃないかということはそのとおりなのですが、ただ、その基準については、国際的に調和する基準をつくろうということで、私ども、国連の場でもリードをしておりますので、基準が違う自動運転車が出るということは、私ども、想定はしてございません。

 今、これからお答えするのは、もう津村委員が前振りでお答えしていただいちゃったところなんですけれども、まず、自動車のユーザーや周囲の交通参加者が自動運転装置の機能等について正しく理解することが非常に重要でございます。

 レベル3及びレベル4の自動運転車については、今般の改正によりまして、自動運転の安全性を担保するため、その性能に応じ、自動運行装置が使用可能となる速度やルートや天候や時間等の走行環境条件を国土交通大臣が付する、条件を付した上でその使用を認めるということになっております。

 加えて、レベル3の自動運転車につきましては、システムによる運転の継続が困難になった場合に、運転者による運転の引継ぎが必要となります。

 このため、自動運転車が安全に使用されるためには、これらの作動条件について自動車ユーザーが正しく理解することが必要でございますので、自動車メーカー等に対し、販売店を通じた周知徹底やオーナーズマニュアルへの記載等について働きかけをしてまいります。

 また、本年一月取りまとめの交通政策審議会小委員会報告書では、周囲の交通参加者の安全、安心確保のため、自動運転中であることの車外表示が必要と提言をされております。

 このため、国連におけます自動運転中の車外表示に関する国際基準について議論をリードするとともに、基準策定するまでの間も、国内的には、例えばステッカーの貼付による表示等について、関係者と検討してまいります。

 さらに、関係省庁と連携をいたしまして、自動運転の技術に関するシンポジウムの開催、広報、PR活動や実証実験、試乗会の一層の展開によりまして、国民の理解や社会受容性の向上に努める取組を着実に推進してまいりたいと考えております。

津村委員 次に、自動運行装置を用いた運転中の事故発生時に、民事責任そして刑事責任はこれからどう変化していくのかということについて伺いたいと思います。

 少し専門的といいますか、細かい議論になりますので、他の委員の皆さん、ぜひ、六ページに私が今から取り上げようとしていることが、書籍ですけれども、出ていますので、ごらんいただければと思います。

 自賠責で対応するのか、PL法で対応するのかという議論です。従来は車両の所有者が自賠責の当事者であったわけですけれども、これから、自動運転技術が発達した世界において交通事故が起きた場合は、機械の方のふぐあいによって、あるいはシステムのふぐあいによって事故が起きている可能性が高くなる、ウエートが高まっていくわけですよね。

 そのときに、自賠責、車両の所有者の問題なのか、それともその自動車のメーカーの責任をどこまで追っていけるのか、こういう話でありまして、日本は、PL法が、これはPL法の方の消費者行政の問題でもあるんですが、かなり厳格なルール、運用になっていて、製造物責任をかなり幅広く問う欧米とは違う法形式になっていますので、そこで、今PL法の方で救済しようとすると、被害者救済が滞るのではないか。

 これは、六ページの文章でいいますと、ちょうど上の段の一番最後の行から二段目の一番最初のところにあるんですけれども、「PL保険にしてしまうと、機械に欠陥があったことなどの証明に時間がかかる。ということは、迅速な被害者救済ができない。」これは大問題ですから、自賠責で当面いいとは思うんですけれども、ただ、これは、自動運転技術、レベル4、レベル5が汎用化してくると、やはりおかしなことになってくるのではないかというふうに思います。

 その点、国交省さんも既に自覚されていまして、私がお配りした資料でいいますと、四ページの左下、こちらに、「従来の運行供用者責任を維持しつつ、保険会社等による自動車メーカー等に対する求償権行使の実効性確保のための仕組みを検討する」というふうに書かれていますが、この先の未来には、PL法の改正、PL法を適用することが視野に入ってくるというふうに思うんですけれども、大臣、そういう御認識はお持ちですか。

石井国務大臣 今委員から御紹介いただいたように、自動運行装置を用いた運転中の事故につきましては、国交省におきまして、自動運転における損害賠償責任に関する研究会において検討を進めまして、平成三十年三月に報告書を取りまとめたところであります。

 その結論としては、レベル3、レベル4の自動運転の段階では、車の所有者等の運行供用者は、現在と変わらず車の運行を支配する権限を有し、運行による利益を得ることに変わりはないことから、現行の自賠責法による運行供用者責任を、自動運行装置を用いた運転中の事故にも適用することが妥当とされたところであります。

 その上で、事故が自動運行装置の欠陥によって引き起こされたことが判明した場合については、自賠責保険の保険金を支払った保険会社により、自動車メーカーに対して製造物責任法に基づき求償がなされることとなりますが、その実効性を確保するため、自動運行装置の作動状態を記録する装置の活用手法等について、関係者による実務的な検討を進めているところでございます。

 なお、レベル5の自動運転車が普及した段階での事故発生時の民事責任につきましては、今後の検討課題と認識をしているところでございます。

津村委員 PL法の話が出ると、すぐ消費者庁の方に聞いてくれというふうになるんですけれども、これは自動運転を考える上で非常に大きな論点であります。

 そして、今私が引用した本の筆者の方も指摘されているように、これは、日本と欧米の消費者文化、消費者政策の文化の違いが如実にあらわれる分野でありまして、これから自動運転技術において日本が世界をリードしようとするのであれば、早く目を向けて検討を進めるべき課題だと思いますので、ぜひ、PL法についても、国交省さん御自身がより研究を進められることを提言させていただきたいというふうに思います。

 刑事責任の方について、法務省さんに、きょう政務官が来ていただいているので、伺いたいのですが、これから、メーカーと運転手の間の責任関係は当然変化してくると思うんですけれども、これは、刑法上あるいは刑事責任という意味ではどういう対応をお考えでしょうか。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 刑事責任についてのお尋ねでございますけれども、犯罪の成否については、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でありまして、一概にお答えすることは困難でありますが、その上で、一般論として申し上げれば、自動運行装置を使用して自動車を運転中に死傷事故が発生した場合、例えば、これは、運転者については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第五条の過失運転致死傷罪の成否が、また、自動運行装置の製造に関与した者については、刑法第二百十一条の業務上過失致死傷罪の成否が問題となり得るところでございます。

 これらはいずれも過失犯でございまして、過失、すなわち注意義務違反が認められる場合に成立するものでございますが、その過失の判断に当たりましては、個別の事案ごとに、事故発生の具体的状況のほか、当該自動運行装置の性能、状態等の事情が考慮されるものと考えているわけでございます。

 また、将来、自動運行装置の技術開発が一層進んだ場合において発生した事故に関する刑事責任として現行法がどのように適用されるかにつきましては、その時点において導入される自動運行装置の具体的な性能やそれを踏まえた関係法令等の内容等、さまざまな事情を踏まえて判断すべきものと考えております。

津村委員 警察庁にも伺いたいというふうに思います。

 今回の道交法の改正の議論ではレベル4に対応できないと思うんですが、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、警察庁においては、現在、いわゆるレベル3の自動運転に対応した道路交通法の改正について、国会の御審議をお願いしているところでございます。

 いわゆるレベル4の自動運転については、どのような運行形態をとるのかなどが明らかでなく、また、安全性確保の方法が確立したとは認められないことなどから、現時点で交通ルールを一律に規定することは適当でないと考えております。

津村委員 レベル4の既に実験も始まっていますし、来年、再来年には一部実用化を目標と掲げている自動車メーカーもあるというふうに考えています。

 日本の法律の審議というのは、急に、道交法の改正が数カ月でできるようなペースでは進んでいませんので、日本の国会の現状を見ていただいて、きちんと、半年、一年後の議論を先取りするということをぜひお願いしたいというふうに思います。来年には道交法の改正が改めて必要になるのではないかという問題意識での指摘でございます。

 金融庁さんにも伺いたいと思います。

 自動車運転技術の汎用化が進めば自動車事故が激減するということを国交省は自動運転の意義で述べているわけですけれども、仮にそうなった場合、自動車産業あるいは自動車事故への対応で大きく伸びてきました、日本が世界に誇る損害保険業界は、大きな経営形態の変化を迫られるのではないかというふうに思われます。

 これは、逆に別のリスクに対する保険を研究中だという新聞記事なども見ましたが、これも、まさに金融行政の対応のおくれが、ともすれば損害保険業界の体質を大きく毀損する懸念がありますので、スピード感を持って進めていただきたい行政分野ですが、今、御対応はいかがでしょうか。

長尾大臣政務官 お答え申し上げます。

 自動運転技術の汎用化が損害保険業界に与える影響につきましては、中長期的には、幾つかの影響が考えられるものと承知しております。

 先ほど御指摘にありましたように、交通事故の多くが運転者のミスに起因しているということを踏まえれば、自動運転車の普及によって交通事故の減少が期待される。その一方で、自動運転車と従来の混在に伴う事故や部品損害額の増加の可能性などを踏まえると、万一の事故が発生した場合の備えとして、自動車保険は今後も重要であると考えております。

 また、自動運転車固有の補償を組み込んだ、例えば自動車がサイバー空間へつながることで発生し得るハッキングやコンピューターウイルスの感染によって発生した損害を補償するというような新商品の開発や普及が今後更に進んでいくものと承知をいたしております。

 金融庁といたしましては、自動運転技術の汎用化が損害保険業界に与える影響について、今後とも注視してまいりたいと考えております。

津村委員 釈迦に説法でございますけれども、日本の損害保険業界というのは、非常に、日本経済といいますか、特に債券市場や株式市場においても大きな存在である中で、何とか海上とか、何とか火災とかいう名前のところが多いわけですけれども、今や技術進歩によって、火災の発生というのは大分減っていますし、海上での事故、海難事故というのも大幅に減っています。

 そういう中で、今、大きな収益の柱の一つが自動車事故なわけですけれども、これも大きくリスクが、減ってほしいんですけれども、減っていくと、地震であるとか自然災害の方、あるいはシステムリスク、そういったものへのリスク対応が、重要な分野にシフトしていくのではないかというふうに思います。

 金融関係も法律ではなかなか動かない分野ですので、ぜひ、今おっしゃられたような問題意識で、自動運転技術というのは金融業界にも大きな影響を及ぼすんだということで、検討を進めていただきたいというふうに思います。

 自動車整備関係で二つ質問通告させていただいていますけれども、審査と整備の二つの分野ですけれども、まとめてお答えいただければというふうに思います。

 私の問題意識は、自動車メーカーによって、先ほど申し上げましたように、レベル3だとか、レベル4だとか、将来的にはレベル5だとか、いろんな、多種多様な自動運転車両が混在してしまうことによって、相当、自動車技術総合機構における審査、走行環境条件の審査というのが、そもそも業務量が増大すると思いますし、それへの対応として、自己申告の書類で出してくれというような議論もあるようですが、この近年の自動車メーカーにおける何回もあった審査の不正を考えますと、なかなか真正性を、きちんとなっているかということを確保、確認するのが大変膨大な事務量になるんじゃないかと思うんですが、その審査体制、予算についてどういうお考えを持っていらっしゃるかということ。

 その先の自動車整備ですけれども、今、特定技能外国人労働者受入れで、自動車整備業界は十四業種の中に入っています。若い後継者が足りなくなっている中で、外国人労働者の方の手をかりてでも自動車整備を何とかやっていかなきゃいけないということで、今、量的な確保が難しくなっているような極めて厳しい状況の中で、こうやって自動運転技術がどんどん導入されていくと、一般の自動車整備の現場の皆さんがついていけるのかな、相当政府がサポートしなきゃいけないんじゃないのかな、そんなことを思うんですが、もっと言いますと、外国人受入れとベクトルが真逆なのじゃないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがお考えですか。

石井国務大臣 二つ御質問いただきました。

 まず、自動車技術総合機構でありますが、これまで、型式指定審査につきましては自動車メーカーから、自動車検査につきましては自動車ユーザーからの手数料により、審査に係る要員体制を整備してきたところであります。

 これらと同様に、今般の改正により追加される走行環境条件の妥当性の確認を含む自動運行装置に係る型式指定審査については、道路運送車両法の関係省令を改正をし、審査手数料を設定することとしております。

 また、同じく今般の改正により追加されます自動車の特定改造等に係る許可に係る技術的な審査、車載式故障診断装置を活用した検査における審査用技術情報の管理に関しましては、審査及び管理に係る手数料の納付を新たに規定をいたします。

 これらの手数料によりまして今回新たに追加される業務に係る要員体制を整備することとなりますが、自動車審査の高度化や審査件数の見通し等を踏まえまして、自動車技術総合機構において、より柔軟な人員配置を行っていくことについて検討してまいりたいと考えております。

 続いて、特定技能につきましてでありますが、まず、自動車整備士の不足の主たる要因といたしましては、若者の車離れや職業選択の多様化により、自動車整備士を志す若者が減少していることがあると認識をしております。

 このため、国土交通省では、自動車整備士の確保、育成を図るため、平成二十六年度より、関係団体とともに自動車整備人材確保・育成推進協議会を設置をいたしまして、若者に自動車整備士の仕事や魅力を伝えるポスターやパンフレットの作成、運輸支局長等による高等学校への訪問、より若者の志向を酌んだ動画やSNSによるPRの実施等の取組を進めております。

 自動車整備分野につきましては、現在、タイヤやブレーキなどの修理、交換や車検関連業務が事業の中心となっているところでありますが、国内人材の確保の取組等を行ってもなお現時点において人材が不足していることから、本年四月に創設された特定技能外国人を受け入れることとしたところであります。

 一方、先進技術の整備に対応する人材につきましては、国内人材の養成、訓練を通じ、その確保を進めていることから、特定技能外国人材に対し、自動運転技術に対応する技能を要件として課すことは、現在のところ考えておりません。

 なお、当該技能の要件を課さずとも、先進技術の整備の知識、技能を持った自動車整備士の管理のもと、特定技能外国人材がこれらの整備を行うことは可能でありまして、先進技術の整備需要に応じてこのような対応をしていくことが適当であると考えております。

津村委員 次に、自動運転技術が国土政策、都市政策、住宅政策に及ぼす影響について一問お尋ねしたいというふうに思います。

 ゴールデンウイーク前の平成最後の国交委員会で、福田達夫代議士が国土計画について大変興味深い議論をされていて、注目をさせていただいたんですけれども、少子高齢化、人口の減少が進む中で、国土政策というのは大きな転機を迎えているというふうに思います。そういう中でこの自動運転技術が急速に進むと、この十数年進んでいるコンパクトシティー化の流れが、実は大きな影響を受けるのではないかというふうに思うんです。

 これは私の空想なので、皆さん、別のお考えをお持ちかもしれませんけれども、今、駅近ですね、いろいろな駅の、市の中心部にどんどん高層マンションがバリアフリーで建って、一階や二階にスーパーマーケットだとか病院だとか保育園だとかそういうものが入って、上の方に高齢者の方、あるいは若い方も含めて住んでいる。どんどんどんどん町の真ん中に人が集まってきて、それをつなぐLRTなんかも工夫されて、富山や、我が岡山もそうですけれども、コンパクトシティー化というのは一つのテーマになっているように思うんですが、この一つの重要なきっかけは、やはり、高齢者の方々が車を運転しにくい、できないようになってくる、だとすれば、公共交通機関で、バリアフリーで用を足したいというニーズからきていると思うんですね。

 しかし、自動運転技術が進んでいけば、このニーズというのは違う形になっていくと思うんです。だとすれば、コンパクトシティー化ということについて考え直すきっかけになる可能性があって、これは、さっきあえて私、都市政策、住宅政策という言葉も言いましたが、都市や住宅のデザインというのは何十年単位で考えていかなければいけないものですので、やはり、もう今の時点で三十年後、五十年後のレベル5まで見据えた都市政策、住宅政策の転換ということも考えなければいけないと思うんですが、その辺の検討状況はいかがでしょうか。

石井国務大臣 国土交通省といたしましては、人口減少や高齢化が進む中で、地域の活力を維持するとともに、福祉、医療等の生活機能が確保された安心して暮らせる町を実現するためには、各種の都市機能をコンパクトに集約をし、ネットワークでつなぐコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを進めることは不可欠と考えております。

 一方、自動運転技術の進展、普及は都市に対してさまざまな影響を及ぼす可能性があると考えておりまして、国土交通省におきましては、これらの影響を整理をし、自動運転技術の活用についての検討を行うため、平成二十九年十一月に、都市交通における自動運転技術の活用方策に関する検討会を設置したところであります。

 同検討会における議論におきましては、公共交通への自動運転技術の導入によるドライバー不足の解消と公共交通サービスの維持向上、高齢者や障害者、子連れの方々など交通弱者と言われる方々への移動手段の確保、不要となった駐車場等のスペースを町中の貴重な空間として利活用できるといった効果が考えられる一方で、自動車への依存の高まり、移動の抵抗感の低下等により、さらなる郊外化など人々の居住地選択への影響や、公共交通のサービス低下等を招く可能性がある、乗降のための停車需要の増加による渋滞の発生や駅前広場等の機能低下等も懸念されるといった指摘もいただいているところであります。

 このため、引き続き、自動運転技術の進展、普及を注視しつつ、都市に及ぼす効果、影響を踏まえた適切な対応の方向性等の検討を進めてまいりたいと考えております。

津村委員 冒頭申し上げましたように、令和生まれの子供たちは車を運転しないかもしれない。これは本の見出しなんですけれども、二十五年以内に人間の運転禁止と書いてあるんですけれども、ここにいらっしゃる多くの方がまだ生きているうちに、車を人が運転してはならないというようなことが起き得る状況で、しかし、若い皆さんは、二十年後、三十年後のために住宅ローンを組んで家を買っているわけです。それは当然、駅から近いかとか車の駐車場が確保できるかとか、そういうことも考えながら買っているわけですけれども、それが本当に正しい選択なのかどうかということも変わり得る社会の大きな変化にあるんだということをぜひ踏まえて、住宅政策、都市政策、国土政策を進めていただきたいというふうに思います。

 あと二つ質問をいたします。

 物流についてですけれども、これは、未来の話というよりは、今、目の前の課題として、日本の物流というのは大変過密な状態になっているというふうに思います。アマゾンその他のネットにおけるビジネスの発達で、大変、現場のドライバーの方々の働く環境が過酷になっていますし、それに応じて私たちも、議員立法その他でドライバーの方々の安全、安心を確保しようと日夜議論しているわけですけれども。

 そうした中で、やはり一つ、現場の運転手の皆さんから要望いただくのは、一定の条件のもとでは高速道路の法定速度を緩和してほしい、要するに引き上げてほしいという議論です。

 自動運転技術、特に自動ブレーキなどの技術が、もう今やレベル2、レベル3の段階でも実用化されているわけですから、そうしたことを考えれば、例えば、夜間のみ、大型貨物自動車の高速道路での法定速度を百キロメートル毎時に引き上げるということは、今すぐでもできる現実的な物流政策だと思うんですけれども、レベル2、レベル3、一定の基準を満たしたものについては高速道路での法定速度を百キロに引き上げるという意見についてはどう思われますか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路における自動車の最高速度については、交通事故実態や道路構造等を踏まえ、政令において、普通乗用自動車等は百キロメートル毎時、大型貨物自動車等は八十キロメートル毎時と定められております。

 大型貨物自動車等については、昼夜ともに、高速道路における大型貨物自動車等の死亡事故率が大型乗用自動車、普通乗用自動車等と比較して高いこと、欧州諸国においても大型貨物自動車等について他の車種より低い速度規制が定められていることなどの状況を踏まえると、現行の法定速度には合理性があるものと考えております。

 なお、最高速度の規制については、高速道路を含めて、交通事故の発生状況や実勢速度等を踏まえて適切な見直しに努めているところであります。

 夜間に限って引き上げることはどうかといった御指摘もございましたが、一般的に夜間の方が視界が悪くなることに加えまして、夜間も普通乗用自動車等が同時に走行するものであることから、夜間のみ引き上げるといったことについては慎重な検討が必要ではないかというふうに考えてございます。

津村委員 今、高田審議官は、現行の状況では合理性がということをおっしゃいました。

 確かに、今おっしゃったのは事故率の高さと欧米の事例と、それから夜間は暗いということと、いずれもごもっともなんですけれども、私は、その現行の環境が変化をしているということを申し上げているんです。自動運転技術が進展していることによって前提条件が変わってきているので、当然結論も変わってくるだろうという意味において、私は、このルールは早晩見直す必要があるのではないかということを提言させていただきました。ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 最後の質問は、防衛省の鈴木貴子政務官にさせていただきたいというふうに思います。

 実は、今回、この資料をいただきますと、政府の主な検討会議がたくさんあって、内閣官房で自動運転に係る制度整備大綱サブワーキンググループがあったり、内閣官房の経済再生総合事務局には自動走行に係る官民協議会、いろいろな協議会があるんですが、この今申し上げた自動走行に係る官民協議会というところには、国交省さん、内閣府さん、きょうお呼びの経産省さんだったり総務省さんだったり、そういったところはほとんど入っているんですけれども、防衛省は入っていないんですね。

 私、この自動運転技術というのは、自衛隊の車両、すなわち戦車も含めてですけれども、安全保障の面でも相当ポテンシャルがあると思いますし、場合によっては自衛官の方々の定員の問題にも波及すると思いますし、もっと言えば、もともとこの技術自体が、欧米では、軍事技術、安全保障技術とパラレルに発展してきた歴史もあると思います。そう考えたときに、この官民協議会に防衛省さんが入っていないというのは、これは呼んでいない方が悪いのかもしれませんけれども、ぜひ変えていくべきだと思いますし、これは国交省さんにお願いしているんですけれども、ぜひ防衛省さんを議論の仲間に入れていただいて、しっかり連携していただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 二つ質問通告している問いをまとめさせていただきますが、最後の質問といたしますが、自動運転技術を自衛隊の車両に取り入れる具体的な計画をお持ちかということと、国交省と自動運転技術を共同で研究する枠組みがあるのか、もし十分なものがないのであれば、ぜひつくっていくべきではないかという質問をさせていただきます。

鈴木(貴)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 まず一問目でありますが、自衛隊の車両に自動運転技術を取り入れる計画があるのか否かという点であります。

 現時点では、自動運転技術を取り入れる具体的な計画はありません。といいますのも、自衛隊の車両が公道以外での走行が必要となるといったその特殊性、特性というものはあるということをぜひとも御理解をいただきたいと思います。御指摘の自動運転技術を含め、所要の技術の動向等はしっかりと注視をさせていただきながら、引き続き、防衛省としましては、最適な装備品の調達に努めてまいりたいと考えております。

 そして、二点目でありますが、国土交通省さんと防衛省で共同研究の枠組みについて御意見を頂戴をいたしました。

 現時点におきまして、国土交通省との自動運転技術に関する研究に係る枠組みというものはありません。しかしながら、自動運転技術については、今も議論がありましたように、広く民生で使用されている技術であるということから、必要に応じて、国土交通省との意見交換というものはしっかりと図りつつ、研究開発というものを効率的に進めてまいりたいと思っております。

 あわせまして、関連になりますが、平成二十六年度より、防衛装備庁の施設等機関である先進技術推進センターにおきまして、多目的自律走行ロボットというものの研究については既に行っております。悪天候の環境下であるとか、また、人、車両等の移動障害物が存在する環境、つまり災害派遣等のそういった危険な環境下でありますが、そういった環境下でも自律走行が可能なロボットについての研究というものは平成二十六年から行っております。

津村委員 内閣官房の自動走行に係る官民協議会、そして、国交省のさまざまなワーキンググループ、審議会等にぜひ防衛省をメンバーに加えていただくよう御提言申し上げまして、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 道路運送車両法の一部を改正する法律案について質問いたします。

 この大型連休中も、各地で自動車による死傷事故が多発いたしました。けさも、るる言われておりますように、大津市の県道で、保育園児らが歩いている列に軽自動車が突っ込むという大変な事故が起きまして、死傷者が出ております。

 また、高齢者の運転による自動車事故も社会問題となっておりまして、亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族には哀悼の意を表したいと思います。けがをされた方々には、一日も早く回復されますようお見舞いを申し上げたいと思います。

 こうした交通事故の約九割が、人為的なミス、いわゆるヒューマンエラーによるものであるとされております。

 この間、各自動車メーカーで、事故を減らすために、衝突被害軽減ブレーキ、いわゆる自動ブレーキですね、AEBと呼ばれているものですが、これら運転支援の装置を搭載した先進安全自動車が開発され、普及し始めております。現在では新車台数の八割にこれらAEBなどの装置が装備されているということです。今後は、運転の主体が運転者、人間ではなくて、初めてシステム、装置が運転の主体になるというレベルの自動運転が実用化されようとしています。

 これら自動運行装置を搭載した自動車の製造から使用までの安全性を一体的に確保するためには制度や規制がなくてはならず、本改定案が、安心して自動車を走らせることのできる最低限の技術基準である保安基準の対象に自動運行装置を追加するとしていることは必要なことだと考えます。

 そこで伺いたいと思います。

 自動運転の実用化をめぐりましては、国民の中に期待の声がある一方で、不安の声も実は少なくありません。民間のシンクタンク、第一生命経済研究所が二〇一八年七月二十四日に公表した意識調査では、自動運転の開発、普及による社会の変化に期待をしているかとの問いに期待ありと答えた方が七四・七%あった一方で、自動運転の開発、普及による社会の変化に不安を感じるかとの設問に対しては、不安ありとする人が四七・三%、約半分ありました。不安の内容は、車が安全に作動するかどうかが七〇%、事故が起きた際の責任問題やトラブル対処、保障問題が四六%となっております。

 大臣は、こうした国民の不安の声をどう受けとめ、そして、この不安を解消するためにはどうした取組が必要だというふうに考えておられるでしょうか。

石井国務大臣 今委員が御紹介いただいたように、昨年の七月に民間の調査機関が実施をしました自動車・自動運転に関する意識調査の結果については承知をしてございます。

 まず、車両自体の安全性につきましては、今回提案しております道路運送車両法改正案によりまして、自動運転車の設計、製造から使用までの安全性を一体的に確保する制度が整備されることとなります。

 国土交通省といたしましては、改正法に基づきまして、安全基準の策定や検査の実施を行う等、確実に施行することで自動運転車の安全が確保されるよう万全を期してまいります。

 また、自動運転車の性能について不安等を感じている国民の皆様に対しましても、関係省庁とも連携をいたしまして、シンポジウムを開催することやディーラーの試乗会等を通じて自動運転車の性能等を丁寧に説明していくこと等の取組を進めることで、社会受容性の向上に努めてまいりたいと考えております。

清水委員 これからは、レベル3と呼ばれる自動運転について伺いたいと思うんですね。

 このレベル3という段階では、例えば高速道路上においてシステムによる自動運行の継続が難しくなったときに、例えばインターチェンジからおりるというとき、こういうときに、システムが運転者に対して、かわってくださいと運転の引継ぎを要求します。運転者はそれを受けて運転を引き継ぐこととされている、これがいわゆるレベル3における自動運行システムと言われています。このときに、果たしてうまく引継ぎができるのかという疑問や不安の声があるわけですね。

 例えば、スマホの操作に夢中になっているとか、あるいは居眠りをしていたとか、引継ぎに気づかない、できないというようなことがあるかもしれない、こういう不安の声があるわけですが、この点への対応について、自動運転車の安全技術ガイドラインにはどのように対応しようというふうに記載されているでしょうか。お答えください。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、安全な自動運転車の開発、実用化を促進するために、レベル3及びレベル4の自動運転車が満たすべき安全要件を、自動運転車の安全技術ガイドラインとして昨年九月に策定をいたしました。

 御指摘のとおり、レベル3の自動運転車におきましては、走行環境条件から外れる場合等、システムの作動継続が困難な場合には、運転者がシステムから運転を引き継ぐことが必要となってまいります。このため、自動運転車の安全技術ガイドラインにおきましては、運転者がシステムからの運転を引き継ぐことができる状態にあることを監視し、必要に応じて警報を発することができるドライバーモニタリングシステム等の機能を備えることが求められております。

 また、システムから運転者への運転の引継ぎが必要な場合は、運転者に対してその旨警告を行うよう定められております。

 さらに、運転者に運転が引き継がれるまでの間、システムの機能を維持又は制限した状態でシステムの稼働を継続させる、ガイドライン上の用語によれば縮退運転、フォールバックを行うことによりまして、安全に自動運転を継続するよう求めております。

 加えまして、仮に運転者が運転を引き継げない場合の対策といたしまして、車両を自動で安全に停止させるミニマル・リスク・マヌーバー、MRMを設定することを求めることによりまして、自動運転システムの安全性を確保することといたしております。

清水委員 今局長答えられましたように、引継ぎまでの間、縮退運転、フォールバック、あるいは、運転者が何らかの理由によって運転を引き継げない場合には、自動的に、例えば高速道路上であれば路肩に停止をするというミニマル・リスク・マヌーバー、MRMですね、これらは本当に自動運転を実用化する上で必要な措置だというふうに思うんですね。

 これらの機能は、例えば、レベル3、自動運行装置が実施される段階においては必ず備えるべき機能だというふうに考えるんですが、その点いかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 レベル3の自動運行装置は、国土交通大臣が付する走行環境条件内においてのみ運転者の運転操作に係る能力を代替し、その安全性について保安基準に基づき確認されるものでありまして、走行環境条件外では運転者が運転することを前提といたしております。このため、運転者に運転が引き継がれず、走行環境条件外でそのまま自動運行装置が使用されることとなった場合、もはや安全な運行は期待できず、重大な事故につながるおそれもございます。

 このため、運転者に運転が引き継がれないときは、自動運行装置をそのまま作動させるよりも、減速、停止させる方がより安全であるというふうに考えられております。

 この点、国連自動車基準調和世界フォーラム、WP29において国際基準の議論が行われておりまして、この場におきましても、運転者に運転が引き継がれないときは安全に減速、停止する機能が必要であるとの認識のもと、その要件について検討が進められております。

 具体的には、急減速はせず徐々に減速すること、車線を維持し、安全に実施可能であれば車線変更や路肩に寄せること、ハザードランプを点灯させるなどにより周囲に注意喚起を行うことなどの要件が検討されておりまして、今後、WP29での議論を我が国がリードをいたしまして国際基準化を図ってまいるとともに、本基準案が成立、発効した際には、我が国においてもこれを速やかに保安基準に取り入れ、型式指定の際に国がそれへの適合性を確認することといたしております。

清水委員 レベル3の、今言われました自動運転の段階では、運転者が完全にシステムに運転を委ねるという段階ですから、これはまさしく命を預けると言っても過言ではありません。自動運転の安全を確保して国民の理解を得るという観点からも、こうした装備は標準的に装備するべきだということを述べておきたいと思います。

 次に、自動運行装置の設計が原因で自動運転の自動車にふぐあいが生じるのではないかという不安にどう応えるのか、この点について伺いたいと思います。

 実は私は、二〇一七年四月二十八日の当委員会において、三菱の燃費データ不正事件を受けて改定された道路運送車両法の審議で、二〇一七年度のリコールの発生原因を見ると実に六一%が設計にかかわるものであったということを指摘し、型式指定の審査を厳格に行うべきだというふうに求めさせていただきました。

 当時の藤井直樹自動車局長は、リコール件数の六一%が設計に起因するふぐあいであるということを認めました。また、そのうち設計自体の評価基準の甘さを理由とするものが五三%あるというふうにもお答えになられました。具体的には、車の設計時に評価した部品の性能や使用方法が車の使用環境に対して十分でなかったために、いわゆる想定外であったためにふぐあいが発生した、こういう場合が該当するというふうに答弁されたんですね。

 しかし、一方で、型式指定の審査で生じるさまざまなふぐあいを事前に全部チェックするのは困難だというふうにも答弁されているわけです。その上で、設計段階で使用環境に対する想定が十分でなかったことを原因とするふぐあいが発生した場合は、自動車メーカーはリコールを届け出て自動車の安全確保を担保するというふうに答えられました。

 私はこのときに、リコール発生ありきで自動車ユーザーは購入しなければならないということになりかねはしないかというふうに指摘をさせていただきました。

 今回実用化しようとしている自動運転は、いわゆる天候や気温、それから昼か夜か、道路事情や速度など、まさに走行環境条件というものを自動運行装置ごとに、一台ごとに付すわけですから、この条件というものが、自動運転を継続していいのか、それとも運転者が運転しなければならない環境にあるのかの分かれ目になる、それを決めるということになるわけですから、重要なポイントでふぐあいを起こすということなどがあってはならないと思うんですね。

 各自動車メーカーは、設計自体の評価基準を一層厳しくしていくという責務があるというふうに思いますし、国土交通省としましても、設計段階における使用環境に対する想定が十分でなかった、だからリコールが出たというようなことを今後はやはり許してはならないというふうに思うんですが、その点、どのようにお考えでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生ただいま御指摘いただきましたとおり、自動運行装置を備えた自動車の安全確保は極めて重要であるというふうに考えております。

 そのため、自動車型式指定の審査におきまして、その保安基準適合性につきましては、シミュレーション、テストコース及び公道での走行試験の適切な組合せにより確認することで的確に審査を行う予定といたしております。

 具体的には、シミュレーション試験につきましては、走行環境条件内で自車及び周辺車両の加速、減速、車線変更といった挙動や分合流などの道路環境、天候といった想定されるさまざまな走行パターンを収集した上で、その全てにおいて安全に問題がないことをシミュレーションで証明いたしますとともに、審査機関にあっては、そのシナリオの一部について実際にサンプリング試験を行い、シミュレーションが適切に動作していることを確認するといったようなことを想定いたしております。

 また、テストコースでの走行試験につきましては、走行環境条件内の代表的な条件で安全に自動運行装置が作動すること、走行環境条件を外れる場合を模擬し、運転者に運転引継ぎの警報を発し、引き継がれないときは安全に停止することを確認すること、また、公道での走行試験につきましては、実環境下において自動運行装置が安全に作動することを確認することなどを想定いたしております。

 こうした新たな審査手法につきましては、WP29におきまして国際基準の議論が行われておりまして、国交省といたしましては、この場において積極的に提案を行うことにより、早期の国際基準策定を働きかけているところでございます。

 国交省といたしましては、これらの取組を通じ、国際的な基準調和に留意しながら、自動運行装置を備えた自動車の保安基準適合性について、的確かつ厳正に審査を進めてまいりたいというふうに考えております。

清水委員 ぜひとも国としても厳格な審査を行うよう強く求めておきたいと思います。

 次に、本法案が成立しても、自動運行装置がいつでもどこでも安全に走行できる技術水準にないことから、いわゆる自動運転の導入初期は、今述べられましたように、例えば、昼間だとか晴れでの高速道路本線上における、あるいは渋滞時等の低速走行などが一例として挙げられているわけです。ですから、導入当初ですから、雨が降っていたらうまくセンサーが機能しないだとか、あるいは暗いところでは人影や対向車をよく認識できないとかいうようなことがあるかもしれないので、走行環境条件というものを最低限のものから進めていくということが想定されているわけですね。

 ただ、自動運行装置の技術が向上した場合、例えば一般道、高速道路ではなくて一般道での自動運行が可能となった場合でも保安基準にかかわる条文の改正は必要ないとされていると思うんですが、それは間違いないでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転につきましては、二〇二〇年度を目途に、高速道路におけるレベル3の自家用車の自動運転、限定地域でのレベル4の無人自動運転移動サービスの実現が期待されているところでございます。

 今回の改正は、これらの実現に向け、特定の条件下において当該装置が全ての運転操作を実施するレベル3及び4を対象とするものでございます。

 このような中、一般道での自動運転は、高速道路等と異なりまして、信号認識技術でありますとか歩行者等の検知技術の向上等が必要となりますため、信号機等の道路上の情報を通信で受信しながら自動運転を行う路車協調型技術の開発が進められているというふうに承知をいたしております。

 したがいまして、信号認識技術でありますとか歩行者等の検知技術等の向上を踏まえた路車協調型技術開発の進展を踏まえ、道路運送車両法の関係省令であります保安基準を整備していくことによりまして、将来的には都市部の一般道における自動運転走行に対応できる環境が整うことも想定されるというふうに考えております。

清水委員 今度の改正で、自動運行装置の技術が上がれば、常にシステムが自動で運転するレベル5、それの一歩手前までの自動運転が法改正なしに認められるということになるわけですよね。しかし、国民がそれを受け入れるかどうかという問題があると思うんです。

 例えば、高速道路に限った自動運転であれば、仮に自動運転車の暴走によって事故が起こったとしても、少なくとも歩行者などが巻き込まれる心配はありません。ところが、一般道で、いわゆる歩車混在のところで運行が可能となると、事故によって歩行者などが巻き込まれるかもしれないという不安が国民の中に生まれても不思議ではなくなるわけなんです。

 自動車メーカーが開発する自動運行装置に対して、政府が主体的合理性を持ってその安全性能を評価する責任がやはり生まれてくると思うんですね。つまり、自動車メーカーの技術開発を追認するだけの仕組みになってしまってはいけない。

 自動運転に対する国民の不安を払拭するということのためには、やはり自動運転装置ごとに付与する走行環境条件などについては、それが本当に適合したものなのか、エビデンスが不可欠となってくるというふうに思うんですが、その辺はどのように考えていらっしゃるでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転車の普及に伴う社会的受容性といいますか、そういった御指摘だったと思いますけれども、自動運転の安全性を確保するためには、自動運行装置の安全基準の策定に加えまして、自動運転車のユーザー及び周囲の交通参加者がその機能等について正しく理解することが必要となってまいります。

 レベル3及びレベル4の自動運転車につきましては、今般の改正によりまして、自動運転の安全性を担保するため、その性能に応じて自動運行装置が使用可能となる速度、ルート、天候、時間などの走行環境条件を国土交通大臣が付することといたしております。

 加えまして、レベル3の自動運転車につきましては、システムによる運転の継続が困難になった場合には、運転者による運転の引継ぎが必要となってまいります。

 自動運転車が安全に使用されるためには、走行環境条件や運転者による運転の引継ぎについてユーザーが正しく理解することが必要でありまして、これを確保するため、自動車メーカー等に対し、販売店を通じた周知徹底やオーナーズマニュアルへの記載等について働きかけをしておるところでございます。

 また、本年一月に取りまとめられた交通政策審議会小委員会報告書におきまして、周囲の交通参加者の安全、安心を確保するため、自動運転中であることを車外に表示することが必要との提言をいただいております。

 このため、国連における自動運転中の車外表示に関する国際基準について議論をリードするとともに、基準が策定されるまでの間も、国内的には、例えばステッカーの貼付等による表示等について、関係者と検討をしてまいります。

 さらに、国民に対しましても、関係省庁とも連携し、シンポジウムの開催やディーラーの試乗会などを通じまして自動運転車の性能等を丁寧に説明していくことなどの取組を進めることで、社会受容性の向上に努めてまいる所存でございます。

清水委員 自動車メーカーは当然国民への説明を行うということもあるんですが、政府自身の責任においても、十分な情報提供と説明を果たすことが必要であるということを指摘しておきたいと思います。

 次に、レベル4の問題について質問いたします。

 政府は、二〇二〇年までにレベル4の無人自動運転移動サービスを実現するとの目標を持っています。

 しかし、旅客自動車運送事業者は、走行中の事故により乗客が死亡し、又は負傷したときは、速やかに応急手当てその他必要な措置を講じること等、乗客の安全を確保することが義務づけられております。

 運転者や乗務員なしで旅客の安全は守られるのかとの疑問や不安が、国民あるいはバスやタクシーの運転者らから上がっております。

 国土交通省は、旅客自動車運送事業における運転者、乗務員の果たしている役割について、どのように認識されているでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車による旅客の運送におきましては、安全、安心の確保は最重要の課題でございまして、その運転者には、運送の直接の担い手として安全を確保することが求められているものと認識をいたしております。

 こうした運転者による安全の確保のため、運送事業者には、安全に関する適切な指導監督を運転者に対して実施するなど、必要な措置をとることを義務づけております。

 また、車掌等の運転者以外の乗務員につきましては、運転者による安全な運行を支援する役割を負っているものと認識いたしております。

 一方、車内に運転者がいないレベル4の旅客運送事業におきましても、運転者が運転を行う場合と同様、運送事業者により十分な安全が確保されることが必要と考えております。

 このため、国交省では、事故等の状況把握や旅客の保護など、輸送の安全の確保のため運送事業者が対応すべき事項につきまして、ガイドラインとして今年度前半に取りまとめることといたしておりまして、これに基づきまして、運送事業者が適切に対応するよう働きかけてまいりたいというふうに考えております。

清水委員 レベル4でいいますと、いわゆる運転者やあるいは乗務員が乗らずに全て自動的に旅客を運ぶというようなイメージだと思うんですが、今、ガイドラインを作成するというふうに言われているんですが、やはり、現行の旅客移動サービスを実現する際に定められている、いわゆる現行と同様の安全性や利便性ということをしっかり確保していただけるということでよろしいんでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、運転手が乗っていないような環境におきましても、運送事業により十分な安全が確保されている現在の状態と同じレベルの安全性が求められているというふうに考えておりますので、その点、ガイドラインをしっかり取りまとめて対応を求めていきたいというふうに思っております。

清水委員 ありがとうございます。

 やはり、現行と同様の安全性、利便性を同じレベルで確保していくことなしに無人で自動運転移動サービスの実施をしていくということはあり得ないのではないかということについては確認しておきたいと思います。

 次に、町の自動車整備工場に対する政府の取組について伺いたいと思います。

 本改定案では、自動車整備工場が事業として行う分解整備の範囲にカメラ、レーダーなど電子的な検査を加え、特定整備と名称を改めることとしています。

 全国商工新聞の記事によりますと、現在、自動車整備工場は全国に九万二千もの事業者があり、コンビニ店舗数の一・六倍に当たります。約四十万人が整備要員として働いているわけですが、八割が従業員十人以下の中小企業なんですね。そして、平均年齢も高齢化している。

 自動運転実用化の流れが非常に強まっている中で、中小の自動車整備工場が自動運行装置のメンテナンスや修理をどこまで担えるか、不安はあるけれども、その方向についていくしかない、そういう声も伝えているわけです。

 本改定案では点検整備に必要な情報を自動車メーカーが提供することとされているんですが、それらは最低限のことでありまして、その情報を使いこなせるだけの知識や技能を身につけた整備士を育成することが国としても必要だと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案によりまして新たに特定整備の対象となる作業としては、自動ブレーキなどのカメラやレーダーの調整作業を想定いたしております。

 整備工場がこれらの先進技術の整備を適切に行うためには、自動車メーカーが作成する整備要領書、電子的な故障の有無の確認等に用いるスキャンツール、スキャンツールを用いて故障箇所を特定し適切な整備を行う知識、技能を有する自動車整備士が必要となってまいります。

 このため、国土交通省では、有識者のほか関係業界団体が参加をいたします自動車整備技術の高度化検討会におきまして、一般の整備工場であっても、一定の費用を支払うことにより、自動車メーカーが作成する整備要領書を自由に閲覧できるようにする環境の整備、複数の自動車メーカーの車種に対応した汎用スキャンツールの開発と機能拡大の推進、自動車整備士に対するスキャンツール研修制度の整備拡充といった取組を進めているところでございます。

 このうち、自動車整備士に対するスキャンツール研修につきましては、検討会において合意されたプログラムに基づきまして、各都道府県の自動車整備振興会が、未経験者を対象とする基本研修、基本研修修了者を対象とする応用研修、応用研修修了者を対象とするステップアップ研修など、受講生のレベルに応じて多段階の研修を実施し、さらに、これらの研修を受講した整備士が自社において他の整備士に対してその内容を展開することにより、全国の整備士のスキルアップを図っているところでございます。

 加えまして、認証工場において整備の統括管理を行う整備主任者に対し、毎年、法令により、運輸支局長等が行う研修の受講を義務づけておりますが、この研修においても、スキャンツールを用いた点検整備を始めとする新技術の整備手法について、実習も交えて説明を行っているところでございます。

 国交省といたしましては、引き続き、これらの取組を総合的に講ずることにより、整備工場が新技術の点検整備に対応し、特定整備の認証を受けられるよう、必要な環境の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

清水委員 この間の国交省の調べでも、スキャンツールを保有しない整備事業者が二割以上残されているということがわかっております。

 ただ、このアンケート調査も実はもう四年前のものでして、これを機会に、どれだけの事業者がスキャンツールを今保有しているのか、どのような要求を持っているのかということについても、ぜひ適切な対応を行うことを求めておきたいと思います。

 最後に、いわゆる自動車メーカーの検査不正防止問題について質問をさせていただきます。

 この間、スズキにおいて完成検査に不正があったという報告書が出されております。

 そもそも、完成検査不正というものは、二〇一七年九月二十九日に日産自動車が無資格検査を行っていたということが報告され、大問題となったものです。にもかかわらず、それから二年半もたって再び同様の事案が明らかになったというのは、自動車メーカーの責任は当然ですが、国交省は何をしていたのかという批判は免れないと思います。

 国交省は、日産の不正が明らかになった直後、他の自動車メーカー及び輸入事業者に対して、同様の不適切な取扱いがないか調査して報告するように指示したんですね。これによって、SUBARU自動車が同様の不正があったということを報告してきました。実は、このときスズキにも既に不正があったわけなんですが、なかったという虚偽の報告をしていたわけですね。

 国交省は、スズキに不正があったことをこの時点でどうして見抜けなかったのでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 スズキについてのお尋ねかと思いますが、従来、立入検査につきましては事前通告を前提といたしておりましたけれども、一昨年の九月から無通告を原則とするようにいたしました。

 スズキにつきましては、平成三十年、昨年の五月二十三日に初めて無通告立入検査をいたしましたけれども、その段階では、今先生が御指摘いただきましたような書類の改ざんというのが行われておりまして、私どもとしては、それを発見するに至らなかったということでございます。

清水委員 最後に質問いたします。

 きょうは資料もお配りさせていただいております。これは外部専門家によるスズキの不正問題の報告書なんですけれども、結局、人員削減が問題だった、検査にかかわる人員をリストラでどんどん減らしていた、ここに問題があるということで再発防止策も提起されているわけですが、これをどう今後スズキだけではなく各メーカーに実行させていくのか、そして、この検査体制の人員不足について国交省はどのように指導していくのか、これが求められていると思うんですが、最後にこの質問をしたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 スズキから提出されました四月十二日の報告書では、不適切事案の原因となりました検査員の人員不足を再発させないための業務量の正確な把握及び適正な人員配置等の再発防止策が示されておりますが、国交省といたしましては、同日、スズキに対し、再発防止のための具体的な取組を速やかに実施するよう求めるとともに、四半期ごとに報告するよう指示をいたしました。また、無通告での立入検査等も行い、その進捗状況を継続的に確認していくことといたしております。

 なお、スズキの報告書の提出を受けまして、国交省では、再発防止策の実施状況を含め、報告書の内容が適正かどうか等を確認するため、四月十六日から十九日まで、四工場と本社に対しまして、会長、社長を含む経営陣からの聞き取りを含め、立入検査を実施したところでありまして、その結果は現在精査中でありますが、対応が必要となる場合には厳正に対処してまいります。

 また、検査員の不足につきましては、各社における一連の不適切事案の要因となっているところ、適切な完成検査を確保するためのタスクフォースの中間取りまとめにおきまして、自動車メーカーは完成検査実施者として選任された者を適切に配置しなければならないことを法令で明確化すべきとされたことを踏まえまして、平成三十年十月に省令を改正いたしまして、型式指定の申請の際に完成検査員の配置方針を提出するよう義務づけたところでありまして、その後の各社における運用状況を無通告の立入検査等も通じまして確認をしてまいりたいというふうに考えております。

清水委員 適切に指導していただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それじゃ、道路運送車両法の改正につきましての質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の改正は、自動運転の実現、自動車の自動運転ですね、自動車における自動運転の実現というか、技術の進化、それに伴ってのメーカーや業界団体に対しての必要な改正だというふうにおおむね理解をしているんです。

 自動運転の実現により、社会変革に対する期待というのは非常に高いと思います。官民ITS構想・ロードマップ、概要にも書いていますけれども、二〇一八においても、「自動運転システムの開発・普及及びデータ基盤の整備を図ることにより、二〇三〇年までに「世界一安全で円滑な道路交通社会」を構築・維持することを目指す。」というふうに記されています。

 また、平成二十八年一月、第五期科学技術基本計画に掲げられたソサエティー五・〇の実現に向けて先導的な役割を果たすことは大変価値がありますし、自動走行が実現すれば社会にインパクトを与えますし、交通事故の削減、交通渋滞の緩和、ドライバー不足の解消、さらには環境負荷の軽減といった、従来の道路交通社会の抱える課題の解決や、世界に対する我が国としての貢献にも資すると考えられます。

 そこで、お伺いをいたしますけれども、政府は、自動運転の実用化により、特に都市部の交通量にどのような影響があるというふうに想定をされているのか。また、今後、自動運転車の実用化によって交通量が減少するのか増加するのか。それぞれの場合が考えられるかとは思うんですけれども、交通量と道路容量の関係を見直して、道路空間の再分配、歩道を広げるとか、そういったことを考えられているのか。大塚副大臣、お待たせをいたしましたけれども、お答えいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

大塚副大臣 自動運転の実用化によります交通量の増減につきまして、現時点では確定的に見通すことは大変困難であります。

 また、自動運転の導入は段階的に進むものと予想されますことから、走行する車両が自動運転車に置きかわるには一定の時間を要するために、道路交通への影響につきましても、自動運転の進捗に応じて判断していく必要があると考えます。

 一方で、道路空間の有効活用の観点から、社会経済情勢の変化や周辺道路の整備状況に応じて、交通量が減少した場合には、道路の設計計画を見直しまして道路の一部を歩道に転換するなど、道路空間の再配分に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、自動運転車の普及を含む道路の利用、活用の変化を踏まえまして、必要に応じて柔軟に道路空間の見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 副大臣、ありがとうございます。

 減るかふえるかで大きく環境は変わってくると思うんですけれども、ただ、自動運転が本当に普及していくと、やはり車の数はふえていくのかなというふうにはちょっと思うんですね。やはり便利ですよね、ドア・ツー・ドアで行けるので。そうなったときに、ふえるか減るかはわかりませんけれども、ぜひ有効的な交通量と道路容量の関係というのをまた考えていただけたらというふうにも思います。

 次に、自動走行の実現には、何度も申し上げるように、大いに期待するところではありますが、一方で、安全対策というものについてやはり懸念が示されているというふうにも思います。

 アメリカでは、二〇一六年九月のグーグルの路線バスとの衝突事故を始めとして、同年、二〇一六年の五月にはテスラ車による死亡事故、さらにはまた、二〇一八年三月にはウーバーによる死亡事故、テスラによる二回目の死亡事故など、多数の事故というのが発生しているという非常に残念な報道もあります。

 安全性について最大限注意を払うというのは、これはもう大前提、当然のことでありますが、そのために研究開発というのがおくれをとるというのもいけないというふうにも思います。安全性をやはり確保しつつ、自動走行の実現に向けスピード感を持って進めていただいて、移動革命を早期に実現すべきと考えます。

 本案では、レベル3及びレベル4の自動運転車の設計、製造から使用に至るまでの安全性を保つためのルールというのを定めて、レベル4までの、レベル4というのは限定的なエリアの自動運転ですね、システムによる自動運転ですから本格的な自動運転ということだと思うんですけれども、レベル4までの安全確認の仕組みを規定するとしています。

 常にシステムが運転を行うレベル5が実用化された場合、これはもう当然、政府目標に年限が打っているとかなっているわけではないんですけれども、やはりレベル5というのが我々の目指している最終形だと思いますし、それが実用化された場合、その安全性を確保するため、レベル4までの、今の、現時点での仕組みに加えて、どのようなハードルというか安全確認のための仕組みというのが必要だとお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 道路運送車両法におきましては、自動車は、国が定める安全面、環境面での技術基準、いわゆる保安基準に適合するものでなければ運行の用に供してはならないとされておりまして、自動車のライフサイクル全体にわたって、保安基準適合性を担保するための制度を整備いたしております。

 今回の改正によりまして、レベル3、4の自動運行装置の性能に係る保安基準につきましては、国土交通大臣が付した走行環境条件内で自車の搭乗者、歩行者や他車に危険を及ぼすおそれがないこと、走行環境条件外で作動しないこと、走行環境条件を外れる場合には運転者に運転引継ぎの警報を発し、引き継がれないときは安全に停止することといった規定を設けることを予定いたしております。

 また、型式指定時の保安基準への適合性につきましては、シミュレーション、テストコース及び公道での走行試験の適切な組合せにより確認をすることといたしております。

 さらに、使用過程時については、車検を通じて自動車が保安基準に適合していることを定期的にチェックし、これを運行の用に供することを可能としております。

 一方、御指摘のレベル5の自動運転につきましては、現時点では実用化の目標が設定されておらず、また、どのような車両技術、運行形態となるか見通しが立っていないことから、今回の改正においては対象としておらず、現時点でのレベル5の自動運転車に必要な安全確保のための仕組みについては、現時点では想定することは難しいという状況にございます。

 国土交通省といたしましては、今後、レベル5の自動運転車の車両技術、運行形態の検討、開発の状況でありますとか実用化の見通しを踏まえて、その安全確保のための仕組みについて検討してまいりたいというふうに考えている状況でございます。

井上(英)委員 かぶる答弁もたくさんあって、局長、大変ありがとうございます。

 レベル4でいくとかなり進んでくる。先ほども言いましたように、システムが自動的に運転をするというのがレベル4ですから。ただ、エリアが限られた、限定的なエリアで自動運転で走れるというのがレベル4なので、逆に今度、レベル5はどこの道路でも自動運転で走れるということになるので、どの環境が整えばそのレベル5になるのかなというのは正直素朴な疑問なんですけれども、まだそういう状況にはないということなので、今後、レベル5に一日でも早くなるように、ぜひ、研究開発はもちろん、しっかりと国土交通省としてサポートいただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、今国会に提出されています道路交通法改正案では、自動運転車においても引き続き運転者に安全運転の義務を課しておりますが、システムによる運転時に事故が発生した場合の刑事責任はどのようになるのか、ちょっと聞きたいと思います。

 また、緊急時における手動運転への不対応、また整備不良などにより事故が発生した場合、運転者は刑事責任を問われるのか、さらには、今度、システム自体に根本的にふぐあいがあった場合には自動車メーカーが責任を問われたりするのかというのに関して、いかがでしょうか。

保坂政府参考人 刑事責任についてのお尋ねでございますが、犯罪の成否といいますのは、捜査機関により収集された証拠に基づきまして個別に判断されるべき事柄でございますので、一概にお答えするということは困難でございます。

 一般論として申し上げますと、御指摘のような、自動運行装置を使用して自動車を運転中に人が亡くなったりけがしたりする事故が発生したという場合に、例えば、運転者につきましては過失運転致死傷罪、これは法律でいいますと自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律、その過失運転致死傷罪の成否というのが問題となりますし、自動運行装置の製造に関与した者につきましては刑法の業務上過失致死傷罪、その成否が問題となり得ると考えられます。

 両者はいずれも過失犯ということでございまして、過失といいますのは、注意義務に違反したかどうか、その注意義務違反が認められるかどうかということで成否が決まるわけですけれども、その注意義務に違反があったかどうかにつきましては、運転者の場合であれ製造関与者の場合であれ、その個別の事案ごとに、事故発生の具体的状況ですとか、あるいはその自動運行装置の性能とか状態、そういった事情が考慮されて判断がされるということになろうかと考えてございます。

井上(英)委員 済みません、法務省からきょうは審議官にお越しをいただいて、答弁をいただいています。

 ケース・バイ・ケースだということですね。過失か業務上の過失かという違いがあるにしても、人が運転しているときに失敗すると、やはり人の単純な過失ということになりますし、それは当然かなというふうに思いますので、いずれにしても、私も運転するので、事故をしないように気をつけて運転したいなというふうに思います。

 次に、今回のこの法改正の中で、自動車検査証のIC化というのが追加されるというふうにお聞きをしています。

 車検証がICカード化されることによって、より多くの情報というのを保存することが可能でありますから、マイナンバーカードとひもづけして、ICカードの空き領域を活用して、自動車のメンテナンス記録など、そういったものが書き込めるようになることで、中古車の流通においても、それからまた車両の質の担保につながるなど、いい面もたくさんあるんじゃないかなというふうに考えられますが、国交省として、ICカード化するに当たって、具体的にどのように活用していくのか、また、全省庁で連携して考えていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車検査証とマイナンバーカードの一体化につきましては、自動車検査証の電子化に関する検討会における議論におきまして、道路運送車両法において、自動車を運行の用に供する際には自動車検査証を自動車に備え付けることが義務づけられていることから、マイナンバーカードと一体化した場合、他者に一時的に自動車を貸し渡す場合に、他者にマイナンバーカードを貸し渡す必要が生じ、マイナンバーカードの紛失、不正使用等のリスクにさらされることなどから、自動車検査証をマイナンバーカードと一体化せず、ICカード化することといたしました。

 なお、自動車保有関係手続とマイナンバー制度との連携につきましては、現在、自動車保有関係手続をオンラインで一括して行うワンストップサービスにおきまして、マイナンバーカードが有する本人確認機能を活用することにより印鑑登録証明書の添付を不要としているところであり、この仕組みの利用の促進に努めてまいります。

 さらに、自動車検査証のICカード化の具体化に当たりましては、マイナンバーカードの普及促進の観点も踏まえ、政府全体として最適な仕組みを構築することができるよう、さらなるマイナンバー制度との連携方策について、マイナンバー制度に係る関係省庁とともに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 局長、ありがとうございます。

 マイナンバー、マイナンバーと今何回も答弁でおっしゃって、だんだん言いにくそうになっていましたけれども、ありがとうございます。

 普及させることを、やはりこれは政府として考えていることなので、リンクして便利になっていくようなところがあれば利用していくということは非常に大事かなと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 今回、自動車がメーンなんですけれども、少し自動運転というくくりで派生をさせていただいて、自動車以外の交通機関、鉄道における自動運転化についてお伺いをしたいと思います。

 一八七二年に日本初の鉄道というのが新橋―横浜間で開業して、間もなく百五十年というふうになります。鉄道というのはやはり近代産業を象徴するような事業でありましたし、この間、鉄道工学というのを不断に磨くことで、より便利で快適な鉄道というのが一貫して追求をされてきた。

 日本の鉄道は北海道から沖縄まで敷設をされていますし、新幹線も函館から鹿児島まで結ぶところにまでまいりました。また、鉄道会社間の相互直通運転というのが次々実現することで利便性も非常に高くなっているというふうに思いますが、でも、そういった技術がありますけれども、やはり安全性というのを大前提とした上での地道な試行錯誤の積み重ねによって、世界に冠たる鉄道先進国と言って差し支えないというふうに私は思っています。

 現状の交通技術、先進技術は自動車を中心に自動運転というのが進んでいますけれども、自動車分野では、二〇二〇年、オリパラの年に、公道での地域限定型、先ほども言ったレベル4の無人自動運転移動サービスというのが開始をされることを目指す、さらには、二〇二五年、大阪・関西万博の年までに、今度は全国でその動きを展開させていくことを目指すという政府目標が掲げられています。

 そういった中で、やはり運転士や保守作業員の、鉄道係員の確保だとか、また養成というのも困難になってきている、さらには、経営環境の厳しい地方鉄道においては、係員不足というのが深刻な問題になっています。

 そういった解決策の大きい一つとして、私、鉄道の自動運転というのは非常に希望があるんじゃないかなというふうにも思っていますし、また、それを検討する鉄道における自動運転技術検討会というのを国交省で立ち上げられているというふうにも聞いています。

 昨年度、十二月の三日に第一回の検討会をやって、今年度中に中間取りまとめを行うということを聞いていますけれども、種々ありますけれども、現在の検討会の進捗状況をお聞かせいただけますでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道の自動運転につきましては、これまでに、踏切がない高架構造であるなど、人等が容易に線路内に立ち入ることができない、ゆりかもめなどのいわゆる新交通システムで導入されてまいりました。

 一方、近年の少子高齢化の進展等の状況を踏まえまして、国土交通省におきましては、昨年十二月に、踏切がある等の一般的な路線での鉄道の自動運転の技術的な要件を検討するため、鉄道における自動運転技術検討会を立ち上げ、検討を行っているところでございます。

 同検討会では、自動運転を導入する線区につきまして、従来の運転士等の乗務員により確保されている安全性を低下させることがないことを基本としつつ、モデルケースとして、都市鉄道での自動運転と地方鉄道での自動運転の二つに分けて検討を進めているところでございます。

 具体的には、都市鉄道では、ホームには転落を防止するホームドアがあり、踏切は保安設備のある第一種踏切であること等を前提条件に、地方鉄道では、ホームドアはなく、遮断機、警報機などの保安設備のない第四種踏切もあること等を前提条件に、現在の運転士等の乗務員が果たしている役割等を整理しながら、自動運転を行うために必要な技術的な要件を検討しているところでございます。

 国土交通省としては、一般的な鉄道路線における自動運転の円滑な実現が図られるよう、本年度中の中間取りまとめを目指して、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上であります。

井上(英)委員 時間も来たので、もっと聞きたいこともあるんですけれども、ぜひ、自動運転、鉄道においてもお願いしたいと思うんです。

 やはり、実用化できれば、鉄道の海外インフラ展開に際して大きな武器の一つとなるんじゃないかなと私は思っていますし、自動車の自動運転はメーカーが率先して牽引していますけれども、鉄道は装置産業ですから、その自動運転の導入のためには国がしっかりと牽引していく必要があるかな、それがやはり成否を分けるんじゃないかなと思っていますけれども、次世代の鉄道の象徴となり得る自動運転の導入に向けて、大臣の決意をお聞かせいただけたらと思います。

石井国務大臣 我が国は人口減少社会を迎え、鉄道分野でも、運転士の確保、養成が困難となっております。特に、経営環境の厳しい地方鉄道では深刻な問題になっていること等を踏まえれば、省力化により生産性の向上に資する自動運転の導入は重要な課題と認識をしております。

 また、自動運転を進めるに当たってのさまざまな課題に対しましては、支障物を検知するセンシング技術、準天頂衛星システムによる高精度の位置検知技術、高性能の無線情報通信技術など、鉄道を取り巻く新たな技術を組み合わせて対応する必要があると考えております。

 このような技術開発を自動運転とあわせて進めることは、我が国鉄道技術の海外展開にも資するものと考えております。

 鉄道における自動運転については、さまざまな効果が期待できることから、国土交通省といたしましては、昨年十二月に立ち上げました鉄道における自動運転技術検討会などを活用いたしまして、安全性や利便性の維持向上を図りつつ、積極的に進めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ありがとうございました。終わります。

谷委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。

 最初に、ちょっと脱線しますけれども、モータースポーツの振興について質問させていただきます。

 自動走行の話がきょうは本当に皆さんから語られておりますけれども、あえて言いますと、必ずしもわくわくしないじゃないかとか、楽しくないという声もあるんですね。

 一昔前、トランスミッションもマニュアルトランスミッションでありました。今はオートマですね、ほとんど。やはりマニュアルの方が楽しい。これは、運転の好きな人は、多くの人たちがそうおっしゃいます。

 それと同じようなところもあって、やはりモータースポーツに象徴される、車を運転する楽しみ、それを見る楽しみ、わくわくする楽しみ、こういうことにももっと光を当ててはいかがか、こういう話であります。

 三十年ぐらい前、私が学生時代には、F1が毎晩、夜中に放送されていたような記憶があります。マクラーレン・ホンダとか、フェラーリとか、ウィリアムズ・ルノーとか、ベネトン・フォードとか、そういう世界の、そして選手たちも、中嶋悟選手なんて、私の地元の岡崎の出身の方なんですけれども。鈴木亜久里さんとか、ジャン・アレジとか、ナイジェル・マンセルとか、アラン・プロスト、アイルトン・セナ。セナが事故で亡くなったときは、世界が喪に服したと思います。

 こういう時代を経て、今、どうかということなんですが、実は、去年の六月にル・マン二十四時間ではトヨタが優勝して、日本の車、日本の選手がセットでやって優勝というのは史上初だそうでありまして、大変なことであります。

 あとは、世界ラリー選手権、WRC、これも久しぶりに日本でやろうじゃないかということで、今、招致委員会が発足しているということであります。来年の、二〇二〇年のラリー・ジャパンを目指しているということで活動されているようでございます。

 ことしも、十一月には、これは愛知県ですけれども、テストイベント、セントラルラリー愛知二〇一九というのが、県内の林道を中心としたコースを設定して走る。これはもう決まっているようでありますが、来年、ラリー・ジャパンを目指して活動している。

 こういうことをもっと、自動車というのは日本の基幹産業でありますから、国としても旗を振ってはいかがかと思うんですが、どうでしょうか。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 世界ラリー選手権は、国際自動車連盟が主催するラリー競技の最高峰として、ヨーロッパを中心に開催され、世界じゅうで高い人気を誇る大会と認識しております。

 また、現在、トヨタが参戦し好成績をおさめておりますし、かつては三菱自動車やSUBARUも好成績をおさめるなど、日本にもかかわりの深いイベントであると認識しております。

 こうした国際大会等を観戦する、見るスポーツは、地域の交流人口を増大させ、地域経済の活性化に大きく寄与するものと考えております。スポーツ庁としては、地方自治体による国際大会の誘致の促進等を通じ、引き続き、スポーツによる地域活性化に取り組んでまいります。

重徳委員 ぜひ力を入れていただきたいというふうに思います。

 さて、きょうは道路運送車両法の改正案についてなんですけれども、初めに、独立行政法人自動車技術総合機構の仕事がちょっとふえる、自動車の電子的な検査に必要な技術情報の管理に関する事務を行わせるということでありますが、これはどんな事務がふえて、特に人員体制、やはり、こういう改正に伴って独法とか行政部門が焼け太りするということではいけないと思っております。このあたり、いかがでしょうか。

石井国務大臣 今般導入いたします電子的な検査では、検査用のスキャンツールを用いて、車両に記録された故障コードを読み出し、保安基準に抵触するような重大な故障コードが検出された場合に、検査不合格とする手法を想定をしております。

 この検査の実施に当たりましては、保安基準に抵触する故障コードの一覧など、自動車メーカーが型式に応じて設定する技術情報が必要となります。

 しかしながら、全国の自動車検査場や指定整備工場が個々にこの情報を取得することは負担が大きいことから、機構において、自動車メーカーから提出された情報を一元管理をし、全国の自動車検査場や指定整備工場がこの情報にアクセスすることにより、簡単かつ確実に検査を実施できる環境を整えることとしております。

 このため、機構におきましては、技術情報を保管するサーバーの管理運営、全国の指定整備工場が利用する検査用アプリの開発、管理、指定整備工場からの問合せへの対応といった業務が新たに生じます。

 機構におきましては、これらの業務の実施に当たりまして、それぞれ、専門性を有するシステム会社、問合せに対応する運営会社へ業務委託することを想定をしております。

 その上で、電子的な検査の体制、運用に関する企画立案、国土交通省や委託事業者との連絡調整、非常時における全国への指揮命令のため、本部に四、五名程度の職員を配置するとともに、全国の十のブロックごとに、緊急時の対応や検査現場のトラブルに対処するための職員をそれぞれ一名程度配置することを検討しております。

 国土交通省といたしましても、機構に対しまして、自動化や外部機関への業務委託を通じて業務の効率化を図ることによりまして、増員を必要最低限にとどめるよう指導をしてまいります。

重徳委員 間違っても新しい天下り先ができるというようなことにならないように、指摘をしておきたいと思います。

 通告の問い、次のは、ちょっときょうは何人もの委員の皆さんが質問をされていたと思いますので、全国九万に上る整備工場が、今回の、分解整備が特定整備に変わっていく、エーミングに取り組まなきゃいけない、どのように対応していくのかということについては先ほど来御答弁があるんですが、私、その次の問いに飛びます。

 特に中小の整備工場は、このエーミングに必要となる、いろいろコストもかかります、専門性も、それから作業スペースも新たに必要でしょう、こういったことに対して、やはりちょっと、すぐ取り組める体力のあるところと、そうじゃないところもあるんですが、これは実際には、対応していくためのタイムスパンもかかると思うんですよ。

 最終的には、数多くの整備工場が対応できるようにしていくということを目指さなきゃいけないんだと思うんですけれども、どのようなタイムスパンでどのように対応していくことを想定しているのか、これをお答えください。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動ブレーキ等に用いられるカメラ、レーダーの調整、いわゆるエーミングにつきましては、車両と仮想目標物を正対させた状態で、車両にスキャンツールを接続して、その表示値を確認しながら、縦方向、横方向の角度を微調整することで行う、これは先生御案内のとおりでございます。

 このため、その作業の実施につきましては、調整に用いる仮想目標物、それから、車両とターゲットを正対させることができ、かつ、調整に影響を及ぼすような障害物のないスペース、カメラ、レーダーの角度をデジタルに読み取るためのスキャンツール、エーミングの手順を正しく理解し、実施することができる整備士が必要となってまいります。

 この点に関しましては、国土交通省といたしましては、近年の自動ブレーキ等の普及も踏まえまして、ディーラー以外の中小の整備工場においてもエーミングを行えるようにしていくことが重要であると考えておりまして、例えば、他の整備工場と設備の共同使用を可能とする、また、業界団体と連携し、エーミングに関する研修体制を整備をする、さらに、多様な車種のエーミングに対応可能な汎用スキャンツールの開発を促進するとともに、その導入補助を行うといった対策を講じることといたしております。

 こういった対策を講じながら、特定整備についての認証取得義務につきましては四年間経過措置を置くことといたしておりまして、その期間の中で、こういった取組を国交省としても業界とともに進めながら、自動車ユーザーが広く自動運転車に関する整備を受けられるよう、環境整備を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

重徳委員 経過的な期間も設けるということでありますが、やはり、特に中小、本当に大事だと思います。

 ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、整備の中身が高度化してきて、対応するには、もちろんお金もかかるし専門性も必要だということになってくると、ともすると、大手のディーラーとかそういうところに、数の少ないそういう大手のところに偏りが生じるということになると、結局ユーザーの皆さんに迷惑がかかるということになると思います。

 ですから、中小の指定工場も含めてですけれども、指定工場、認証工場、そういったところがやはり身近にあって、特定のメーカーに限らず多種多様な車種に対応できる、それから、多少営業時間も融通したり。私も電話をすると、休みの日でも携帯に電話が飛ぶようなふうにして、いつでも緊急なことがあったら連絡ください、こういうふうに、中小の整備工場でもそういうところも多いです。こういった努力にも応えるべきだと思いますし、何よりもユーザーの皆さんが困らないようにする必要がある。

 こういった中小の整備工場の位置づけということを、大臣、どのように捉えておられるかということをお答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 新たに特定整備の対象とすることを想定をしております自動ブレーキ等のカメラやレーダーの調整作業につきましては、現状、ディーラーを中心に行われているものと承知をしておりますが、これらの先進技術は新車から搭載が進んでおりまして、保有台数に占める搭載台数はいまだ限定的であること、タイヤやブレーキパッドのように経年や走行によって一律に劣化、摩耗するものではなく、断線等の支障がなければ定期的な整備を要するものではないことから、その整備需要は直ちに急増するものではないと認識をしております。

 このため、整備工場の事業は、引き続き、タイヤやブレーキなど劣化、摩耗する部品の修理、交換や、定期的な受検が義務づけられている車検の関連業務が中心となるものと考えておりまして、当面、認証工場、指定工場、ディーラーの役割に大きな変更は生じないものと考えております。

 他方で、近年の先進技術の急速な普及を踏まえれば、ディーラーのみでは、将来、先進技術を搭載した自動車の整備需要に対応し切れなくなることや、近くにディーラーがなく、先進技術の整備作業を受けるのに困難を伴うユーザーが生じることも想定されることから、ディーラー以外の指定工場、認証工場を含めまして、先進技術に対応できる整備工場を全国に配備していくことが重要と考えております。

 国土交通省といたしましては、今後、中小の整備工場が、先進技術の整備需要を踏まえ、それぞれの経営判断により適切な時期に特定整備の認証を取得し、その結果、先進技術に対応可能な整備工場のネットワークが全国に構築されるよう、必要な環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

重徳委員 ぜひしっかりと対応していただきたいと思います。

 最後になりますけれども、車検の手続、かなり民間活用という方向で国も取り組んでおられるというふうには伺っておりますが、特に、指定工場は今、車検を指定工場で終わらせることができるということになっておりますが、認証工場は、点検整備まではしても、最終的な検査、これはできないことになっていますから、陸運局に車を運ばなきゃいけない、運転していかなきゃいけない、こういうことなんですが、これも、最後は、指定工場が近くにあるときには指定工場の方で検査を終わらせるなんということも考えていくべきではないかというふうに思うんですね。そのために検査員がみなし公務員になっているわけですし、一定程度の検査の当事者能力が定められているわけでありますので。

 そういった活用の仕方も含めて、民間の活用を促進して、全体的に、より効率的な、精度の高い車検制度というものを充実させていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 国にかわって継続検査を行う指定整備工場は全国に約三万工場存在をいたしまして、これによりまして、ユーザーは、国の自動車検査場に行かなくとも、最寄りの指定整備工場において自動車の検査を受けることが可能となっております。

 国交省では、これまでも、民間活用の観点から、指定整備工場が行う継続検査の拡大を推進しておりまして、平成二十九年度には、継続検査の約七六%が指定整備工場において行われております。

 また、現在、指定整備工場は、継続検査を行った後、運輸支局等へ来訪し、車検証を受け取る必要がございますけれども、今回の法改正によりまして、車検証をICカード化することによって、一定の要件を満たす指定整備工場においては、運輸支局等を来訪することなく車検証の有効期間を更新できることとなります。

 これによりまして、そのような指定整備工場は、運輸支局等へ来訪することが不要となるほか、自動車検査証を即日自動車ユーザーに返却することも可能となり、指定整備工場における車検の一層の拡大が期待されるというふうに考えております。

 なお、点検整備から検査までを同一の整備工場が行うことにより責任の所在を明確化するため、指定整備工場は、みずから点検整備を行った自動車に限り、国にかわって保安基準適合性の確認を行うことが認められております。

 そういったことから、委員御指摘の認証工場が点検整備を行った自動車について、他の指定整備工場が検査のみ行うことにつきましては、万が一、検査後の車両にふぐあいが発覚した場合、その原因が点検整備と検査のいずれにあったのか判断が難しくなること、また、指定整備工場が安易に検査料金を得るため、保安基準不適合車に対して合格判定することや、検査を行わないで保安基準適合証を交付する、いわゆるペーパー車検を行うおそれも懸念されることから、適当ではないというふうに考えてきたところでございます。

 国交省といたしましては、引き続き、指定整備工場において、自動車の点検整備と検査が適切に行われることを前提としつつ、指定整備工場の一層の活用拡大を進めてまいりたいというふうに考えております。

重徳委員 終わりますけれども、安全の確保のためのことですから慎重に検討する必要はあると思いますが、その中で民間の活用というのは一層取り組んでいくべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、道路運送車両法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、伊藤忠彦君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。森山浩行君。

森山(浩)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    道路運送車両法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 自動運転に対する社会受容性を高めるため、国は自動運転車に対する国民の理解・安心感の向上に努める取組を着実に推進すること。

 二 これまで予測し得なかった自動運転技術に起因する新たな事故の原因究明及び再発防止を迅速かつ適確に行うため、自動運行装置の作動状況、運転者の状況等の記録を収集し、有効に活用できるよう国において必要な措置を講じるとともに、国際基準策定に係る動向を踏まえつつ、サイバーセキュリティの確保に向けて必要な措置を講じること。

 三 自動車事故の原因究明に資するため、ドライブレコーダー等の車外映像や運転者の操作状況の記録装置の設置率の向上に向けた取組を着実に推進すること。

 四 自動車の検査に必要な技術情報の管理に関する事務を独立行政法人自動車技術総合機構(以下「機構」という。)に行わせるに当たっては、指定自動車整備事業者等において電子的な検査が確実に行われる環境が確保されるように指導すること。

 五 分解整備の範囲拡大に当たっては、自動車整備士の養成、研修の充実を図り、自動車整備要員の確保と整備技術の向上に遺憾なきを期すること。

 六 機構が行う自動運行装置等の複雑なプログラムにより作動する電子制御装置及びサイバーセキュリティに関する基準適合性審査や、不具合情報に基づく技術的な検証をはじめ、急速に進化する世界最先端の自動車技術に後追いとならず迅速に対応した審査等を適確に実施するために必要な体制の整備に万全を期すこと。

 七 自動車製作者等における完成検査の不適切な取扱いを根絶するため、本法により創設される是正命令措置等を必要に応じて実施することに加え、効果的な監査の実施等により、自動車の型式指定制度の適正な運用に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石井啓一君。

石井国務大臣 道路運送車両法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.