第13号 令和元年5月22日(水曜日)
令和元年五月二十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君
理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君
理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君
理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君
秋本 真利君 鬼木 誠君
門 博文君 金子 俊平君
神谷 昇君 木村 弥生君
工藤 彰三君 小島 敏文君
古賀 篤君 田中 英之君
高木 毅君 谷川 とむ君
土屋 品子君 中谷 真一君
鳩山 二郎君 福田 達夫君
藤井比早之君 藤丸 敏君
三谷 英弘君 宮内 秀樹君
宮崎 政久君 盛山 正仁君
簗 和生君 荒井 聰君
福田 昭夫君 道下 大樹君
森山 浩行君 小宮山泰子君
下条 みつ君 日吉 雄太君
伊藤 渉君 北側 一雄君
清水 忠史君 井上 英孝君
重徳 和彦君 広田 一君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
国土交通副大臣 大塚 高司君
国土交通大臣政務官 工藤 彰三君
国土交通大臣政務官 田中 英之君
政府参考人
(スポーツ庁スポーツ総括官) 齋藤 福栄君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 松本 貴久君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 渡辺由美子君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 五道 仁実君
政府参考人
(国土交通省土地・建設産業局長) 野村 正史君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 池田 豊人君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 石田 優君
国土交通委員会専門員 宮岡 宏信君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
加藤 鮎子君 木村 弥生君
小島 敏文君 金子 俊平君
望月 義夫君 藤丸 敏君
同日
辞任 補欠選任
金子 俊平君 小島 敏文君
木村 弥生君 加藤 鮎子君
藤丸 敏君 望月 義夫君
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五月二十一日
下関北九州道路に関する予備的調査要請書(川内博史君外四十二名提出、令和元年衆予調第三号)
は本委員会に送付された。
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五月二十二日
ライドシェア(白タク)の合法化に反対することに関する請願(末松義規君紹介)(第一〇九〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
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○谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官五道仁実君、土地・建設産業局長野村正史君、道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、スポーツ庁スポーツ総括官齋藤福栄君、厚生労働省大臣官房審議官松本貴久君、大臣官房審議官渡辺由美子君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○谷委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。
○盛山委員 自民党の盛山正仁でございます。
きょうは、こうやって御質問の機会を頂戴しまして、まことにありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
御案内のとおり、昨年は、豪雨災害、あるいは台風、そしてまた北海道胆振東部の地震というふうに、大変災害の多い年でございました。そして、いつものことではございますけれども、災害が起こった後、大体、地元の多くの建設業者の方が地元でその災害の復興復旧というのを担ってこられることが多いと思います。
建設業は、地域の安全、安心の守り手として、国民生活や社会経済あるいは地域経済を支える上で必要不可欠な、なくてはならない存在だと私は思います。しかしながら、建設業におきましては、余り労働環境がよろしくないというんでしょうか、長時間労働もそうでございますし、ペイという点でもなかなかほかの業種と比べて見劣りがするような状況になっておりまして、働き方改革を促進する必要があります。
そして、この四月の一日から働き方改革法が施行されているわけでございますけれども、御案内のとおり、建設とそして自動車運送、この二つにつきましては五年間の猶予期間が設けられる対象となっている。逆に言うと、それだけ働き方改革を実現することが難しいから、先延ばしになっているということではないかと思います。
そこで、お尋ねをしたいと思いますが、建設業における働き方改革の現状について国土交通省はどのように認識をしており、そして、どのようにして長時間労働是正、こういったものに取り組むのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○野村政府参考人 二〇一七年度の建設業における年間の実労働時間の平均は二千五十四時間となってございまして、全産業の平均と比べて三百時間以上長く、製造業と比べても約百時間長い状況となっております。
また、他産業では、ここ十年ほどの間で労働時間の短縮が進んできている中、建設業は横ばいで推移している現状にございます。
そして、年間の出勤日数についても、建設業は年間二百五十二日であり、全産業の平均や製造業と比べて高い水準にあります。
さらに、休日の状況につきましては、例えば、労働組合のアンケートの結果ではございますけれども、いわゆるエンジニア、技術者では九・五%しか週に二日の休暇を取得できていない状況となっております。
このような状況を踏まえつつ、また、建設業の特性を勘案し、今の御指摘のとおり、建設業における時間外労働の上限規制については五年の猶予が与えられることとなりました。
この長時間労働の是正など、建設業の働き方改革につきましては、まず、発注者の理解と協力を得ながら進めていくことが喫緊の課題と認識しております。
このため、これまでも、政府全体として取り組むため、関係省庁連絡会議を立ち上げ、建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインを策定し、民間発注者や建設業団体を始め、さまざまな関係機関に対して周知徹底を図ってまいりました。
また、国交省では、まず直轄工事で、他の発注者の参考となる取組を率先して進める観点から、週休二日工事に取り組んでおりまして、地方公共団体に対してもこうした取組の浸透を図っております。
さらに、建設業団体においても、国交省の取組と歩調を合わせ、時間外労働の段階的な規制や休日のさらなる確保など、各団体の現状を踏まえながら、自主的な取組を進めていただいているところでございます。
○盛山委員 今局長から、精力的にいろいろな取組をしておられる、こういう御回答がありました。それはそれで大変大事なことであり、ぜひしっかりやっていただきたいと期待するわけでありますけれども、しかしながら、それが仮に現実にうまくワークしておれば、昨年の働き方改革法で、この四月一日から建設業について五年間の猶予をする必要はなかった、こういうことにもなるわけでありまして、まだまだ取組が必要である、こういうことじゃないかと思います。
同様に五年の猶予を得ました自動車運送につきましては、昨年の暮れ、議員立法で、トラックの働き方改革法につきまして、全会一致の形で、やはりこれの場合には荷主さん、川下業者と言われる運送業者は大変弱いということで、川上の荷主さんの責務ということも踏まえた、そういうものを盛り込んだ法案をつくったわけでございます。
今回の建設業法及び入契法の改正の法律案、これにつきましても大変大事であると思っておりますし、今の局長の御答弁の中にも、発注者の御理解が必要である、こういうような言葉があったかと思います。
なかなか、建設工事の内容、どういうふうな段取りでどう進めていくか、そういった理解、これがまだまだ発注者の方々に十分理解されていないのではないかなと思います。
そういった点に関しまして、この法案、成立したらということになるんでしょうけれども、適切な工期設定のために、どのように民間発注者を含む多くの発注者の方々の理解、こういったものに取り組んでいくのかをお答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 適正な工期の設定に向けては、建設業者による生産性向上などの自助努力とあわせて、今委員から御指摘がありましたとおり、この課題についても発注者の理解と協力を得ながら取組を進めていくことが不可欠であると考えております。
このため、これまでの取組に加えまして、本法案では、発注者、受注者、有識者の三者で構成される中央建設業審議会で、工期に関する基準、これを策定し、発注者を含めた請負契約の当事者に勧告することとしております。
また、建設業者には、工期に関する見積書を交付する努力義務を規定するとともに、発注者に対しまして、著しく短い工期による請負契約を禁止するという規定を盛り込んでいるところでもございます。
これら受発注者双方に対する措置を通じて、適正な工期による契約締結を促進してまいります。
○盛山委員 ぜひ、発注者の方々に御理解を賜り、そして建設業者と両者相まって、働き方改革の実現、働き方というんでしょうか、建設業界における労働環境の改善に御尽力いただきたいと思います。
それで、次の質問なんですけれども、建設業界というのは慢性的に人手不足というものが言われている業界の一つではないかと思います。働き方改革を今後実現をしていく、残業時間の規制その他、週休二日もそうでありますし、そういったことを実際に進めていきますと、逆に、人手が足りない、一層もっと人手が要る、こういうことにもなるのではないかなと思う次第でございます。
労働力の方でなかなか限界があり、そしてまた、働き方改革を実現していく、そのためには、一人一人の生産性を上げていくということが大変大事じゃないかなと思います。
また、伺っておりますと、建設業の就業者は六十歳以上が約四割というふうに、非常に高齢化が進展をしております。限りある人材の活用と同時に、若い方にこの建設の分野に入っていただこうというためには、いろいろな規制の合理化、技術者に関しての規制の合理化、こういうこともしていくことが必要ではないかと思います。
もちろん、安全性というのは、この建設に限らず、何事におきましても一番大事な根幹ではございますが、それにあわせて、適切にうまく生産性を上げていく、こういうことに対してどのように国土交通省はお考えか、お答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 生産性向上を図っていくためには、人材を有効に活用していくこと、これが重要であると考えております。
このため、本法案におきましては、工事現場に配置する技術者に関する規制を合理化をし、まず、元請の監理技術者に関しまして、これを補佐する制度を創設し、その技士補がいる場合は複数現場の兼任を監理技術者に認めるとともに、下請の主任技術者に関しましては、一定未満の工事金額等の要件を満たす場合には設置を不要とするということといたしました。
なお、この措置、例えば監理技術者の兼務の範囲は、その職務の適切な実施に支障を生ずるおそれがない最小限の現場数とし、また、主任技術者の配置の合理化に当たっては、施工技術が画一的な工種を対象とするほか、上位請負業者の主任技術者として一定の指導監督的な実務経験を有する者を専任で配置することとしております。
国交省といたしましては、このように、建設工事の適正な施工を的確に確保しながら、引き続き生産性向上に向けた取組を推進してまいります。
○盛山委員 ありがとうございます。
そのような施策をうまく進めて、全体の生産性の向上、そしてまた、若い方にとっても、やりたいなと思わせるような、そういう職域にしていただきたいと思います。
次に伺いたいのは、建設に限った話ではないんですが、仕事に波があるということはよくある話でございます。
建設の場合には、年度末ですとかそういった時期を含めまして、工事の繁忙期、閑散期に大変大きな差があります。工事が集中する繁忙期には、一般的には、これまで残業で、長時間労働でカバーをしております。他方、閑散期におきましても、繁忙期においての労働力を確保するために、余剰な人員ではあっても、労働力、従業員を多数抱えるといったようなこともあると伺っております。
この施工時期あるいは工事の平準化というものは大変大事なことであると思うんですが、今回の入契法の改正によりまして、入札契約適正化指針の記載事項に施工時期の平準化が位置づけられることになるわけでございますが、この法案の改正、成立によりまして、今後、特に地方公共団体の平準化をより一層進めていくためにどのような取組を行おうとしているのか、お答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 建設現場の生産性向上や建設業の働き方改革を推進する上で、施工時期の平準化は非常に重要な課題であると考えております。
地方公共団体の平準化の取組でございますけれども、国交省が調査を行った平成三十年の取組の状況を若干紹介をさせていただきますと、例えば、都道府県では、債務負担行為を活用している団体は全ての都道府県、そして、速やかな繰越手続を実施している団体は三十八都道府県となっており、取組が進んでいるところでございますけれども、一方、市区町村におきましては、債務負担行為を活用している団体が四百四十七市区町村、速やかな繰越手続を実施している団体は四百四十二市区町村と、取組を実施している団体自身は増加基調にあるものの、いまだ低い水準にあると考えております。
こうした現状を踏まえて、本法案では、入札契約適正化法を改正して平準化の取組を規定することで、特に地方公共団体の平準化の取組を促進することとしております。
具体的には、入札契約適正化指針に、公共発注者が取り組むべき事項として、施工に必要な工期の確保や施工時期の平準化を図るための方策を定めることによって、地方公共団体などに努力義務を課すとともに、国から地方公共団体に対しまして必要な措置を講ずるよう要請することや、地方公共団体から取組状況の報告を求め、公表することが可能となります。
地方公共団体の平準化の取組状況について報告を求め、公表することにより、地方公共団体がみずからその現状を把握することが可能となって、その推進に大いに有効であると認識しております。
今後とも、総務省とも連携をしながら、具体的な取組を進めてまいりたいと考えております。
○盛山委員 率先垂範という言葉がありますけれども、これまでも取組をされているところかとは思いますが、国が率先して平準化の取組を進め、そして、地方公共団体にも御指導あるいは御助力をぜひお願いしたいと思います。
次に、先週の十七日の金曜日でございますが、この衆議院の国土交通委員会の視察ということで、私も、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会開会式の会場となります新国立競技場の建設現場を視察をさせていただきました。
この建設現場におきましては、当初、下請業者の職員の方が過労死をなさるという痛ましい事故もあり、そして、それを踏まえてということなんでしょうけれども、働き方改革を進めて、作業時間は八時十五分から十七時まで、そして、残業その他が仮にあっても二十時には閉所をする、あるいは健康相談室の設置、看護師の常駐、こういう取組がなされているとお聞きをしまして、なかなかいろいろ現場では工夫をされているんだなと感心しました。
また、建設小町さんと呼ばれているようでございますが、女性の職員の方が生き生きと勤務されている状況、そして、職長さんが会をつくられて連絡をうまくされている状況、こういったことを目の当たりにしまして、大変力強く思ったわけでございます。
こういったオリパラの国立競技場のようなところは、最先端の、一番進んだ建設現場だとは思うんですけれども、こういうような建設の就労の状況、これを全国各地にやはり進めていくことが大事だと思います。
今回のこの法案の改正内容を踏まえまして、建設業全般の働き方改革、生産性向上に向けた大臣のお考えを伺いたいと思います。
○石井国務大臣 国土交通省といたしましては、発注者の理解と協力を得ながら、建設業の働き方改革と生産性向上を進めていくことが喫緊の課題と認識をしております。
そのため、本法律に規定をされております著しく短い工期による請負契約の締結の禁止や中建審による基準の作成、実施の勧告のほか、公共工事入札契約適正化法の適正化指針に追加をいたします施工時期の平準化の推進、工事現場の監理技術者、主任技術者に関する規制の合理化を迅速かつ円滑に施行いたしまして、民間事業者を含む発注者への働きかけを通じ、働き方改革及び生産性の向上を図ってまいります。
さらに、二〇二五年度までに建設現場の生産性の二割向上を目標に、建設生産プロセスにおけるICTの活用や、施工時期の平準化等による建設現場の生産性革命、i―Constructionを進めております。
国土交通省といたしましては、本法案の規定を適切に運用することなどによりまして、時間外労働の罰則つき上限規制が適用されるまでの五年の猶予期間内で、建設業における働き方改革と生産性向上の取組を更に加速化させてまいりたいと考えております。
○盛山委員 大臣、ありがとうございました。ぜひとも力強い取組をお願いしたいと思います。
五年前、平成二十六年には、この建設業法、入契法とあわせまして、品確法と我々言っておりますが、公共工事の品質確保の促進に関する法律を改正をいたしたところでございます。いわゆる担い手三法というふうに呼ばれているわけでございますが、この担い手三法が施行されてから現在までの成果について、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 平成二十六年に改正されました、いわゆる担い手三法のうち、公共工事品質確保法においては、発注者の責務として、企業が適正な利潤を確保できるように、予定価格の適正な設定やダンピング対策、設計変更に伴う請負代金の額及び工期の適切な変更等に取り組むことが規定されたところでございます。
これを受けて、国交省におきましては、直轄工事において率先してダンピング対策などに取り組むとともに、公共団体に対しても総務省と連名で要請を行うなど、促進をしているところでございます。
結果について、若干のみ御紹介させていただきますと、例えば、いわゆる予定価格の歩切りを行う歩切り制度については、見直しを行う予定はないという後ろ向きの回答をした公共団体が、平成二十七年一月の四百五十九団体から平成二十八年十二月にはゼロ団体となった、あるいは、設計変更事務の運用に関するガイドライン等を策定している都道府県が、平成二十七年三月では三十二団体だったところ、平成三十年八月には全ての都道府県において策定されるなど、公共工事品質確保法の取組に一定の改善が見られているところだと思います。
国土交通省といたしまして、引き続き、品確法、いわゆる公共工事品質確保法に基づく取組を進めてまいりたいと考えております。
○盛山委員 局長、ありがとうございました。
今、担い手三法という話がありましたが、今回も、きょうここに御出席をされておられます各党で、品確法の改正に向けて、今、最終の調整を行っているところでございます。
主な内容というのは、去年災害が多かったということを踏まえましての災害時の緊急対応、そして二つ目は、今も議論になっております働き方改革、生産性向上への取組、そして、これまで、どちらかというと工事そのものに注目していたわけでございますが、工事に大変関係が深い調査や設計といった、そういうところに少し対象を広げるべきではないかな、そんなことで、今、最終の調整を図っているところでございます。
今後、きょう御議論の建設業法、入契法、そしてまた、近々に我々提出する予定であります品確法、これらが一緒になりまして、三位一体という言い方がいいかどうかわかりませんが、建設業の働き方改革、生産性向上、持続可能な事業環境の確保を進めていく必要があると考えておりますが、最後に大臣からのお考えを伺いたいと思います。
○石井国務大臣 今委員から御紹介いただきましたように、今般、議員立法による公共工事品質確保法の改正が予定されていると伺っております。
国土交通省といたしましては、品確法が改正をされれば、随意契約、指名競争入札の活用による迅速かつ円滑な災害復旧の実施、債務負担行為や繰越明許費の活用による施工時期の平準化や、建設生産プロセスにおけるICTの活用などによるi―Constructionの推進などの具体的な取組が促進されると期待をしております。
建設投資の約四割を担う公共工事の品質確保の重要性に鑑み、これまで議員立法で公共工事の受発注者の基本的な責務を唱えてきた公共工事品質確保法が、政府提出の建設業法及び入札契約適正化法の改正案とともに改正されれば、働き方改革、生産性向上、持続可能な事業環境の確保といった建設産業を取り巻く環境の改善がより一層前進していくと期待をしているところでございます。
○盛山委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○谷委員長 次に、伊藤渉君。
○伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
引き続きまして、建設業法及び入契法の一部改正法案の質疑に入らせていただきます。
この委員会でも繰り返し申し上げているとおり、この国土交通行政にかかわる、今回は建設業ですけれども、これも多くの中小企業、小規模事業者の支えがあって成り立っておりまして、これらの各企業も含めて、賃上げを伴う経済の好循環を実現していくためには、いわゆるBツーB、企業間の取引の価格の改善ということを進めていかなければなりません。
そうした観点から、まず一問目は、各論ですけれども、鉄骨の加工業者、これの取引条件の改善について御質問をさせていただきます。
例えば、ビルの建設などに使われる鉄骨、この鉄骨加工業者、通称ファブと呼ばれますけれども、この取引について、かつて実態調査を行いましたところ、元請である建設業者が、下請である鉄骨加工業者が施工した鉄骨の出来高部分、でき上がった部分に相当する代金を支払う際に、代金の一部を保留をし、契約工事全体、つまり施主から受けた工事全体が完成するまで、鉄骨そのものは納まっているのに一部代金が支払われないという事例があることが判明をしております。
また、この支払い保留については約一五%の建設業者が行っておりまして、保留の理由につきましても、工事目的物の瑕疵を担保するため、あるいは、自社の資金繰りが悪化するのを避けるため、あるいは、特に理由はないが慣例となっているためなど、本来、契約上の瑕疵担保条項で対応すべきものや下請人の責によらないもの、明確な理由もなく行われているものであることが明らかになってまいりました。平成二十八年十二月に国土交通省が調査結果を発表をされていると承知をしております。
これを受けまして、国土交通省と経済産業省の連名で、建設業団体に以下のような概略、要請がなされております。
一つは、元請人が出来高部分に対する支払い又は工事完成後における支払いを受けた場合、あるいは元請人が下請人から建設工事の目的物の引渡しを受けた場合における支払い保留は建設業法の規制を受けるほか、取引上優越した地位にある建設業者が、その地位を利用して取引の相手方に対し不利益を与えることは、独禁法の優越的地位の濫用に該当するおそれがあること、また、鉄骨加工業者と下請契約する際には、こうした点に留意をして取引の適正化を図る必要があること、また、月ごとの出来高部分について支払い保留を行う場合であっても、例えば翌月の支払い時においてその保留部分を解除する契約内容にするなど、多岐にわたって通知をしていただいております。
この点につきまして、この鉄骨加工業者、通称ファブとの取引条件の改善の進捗状況について、国土交通省にお伺いいたします。
○野村政府参考人 伊藤委員御指摘のとおり、鉄骨加工業者と建設業者との取引条件の改善に向けた取組について、平成二十九年三月、国土交通省と経済産業省の局長連名による要請文書を百六の建設業者団体に発出し、取引の適正化を求めております。
この要請文の発出以降、国土交通省では、例えば、建設業許可部局が建設業者に指導のために立入検査に入るときなどに、改めて要請文書の周知を実施しているところでございます。
また、毎年十一月を建設業取引適正化推進月間と定めまして、講習会の開催などにより、建設業の適正取引化及び法令遵守に関する活動を集中的に実施しておりますけれども、その中でも、経済産業省の職員の方を招いて、要請文書に関する説明を行ってきたところでございます。
委員に御紹介いただいた実態調査は、特定の業種に限った調査ではないため、鉄骨加工業に関しての実態を把握することはできませんけれども、この中で、平成二十九年度から、支払いの実態をより正確に把握できるように、下請負人に対して出来高の何割を支払っているかという質問に変更したところ、出来高全額を支払っていると回答した割合は、平成二十九年度調査の七二・六%から平成三十年度七四・五%と、若干ではありますが、改善をしたところでございます。
国土交通省といたしましては、今後とも、鉄骨加工業者と建設業者との取引関係の実情に注意を十分払いながら、引き続き、取引環境の適正化に取り組んでまいりたいと考えております。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
言わずもがなですが、企業の経営において、キャッシュフローというのは極めて重要です。これがルールにのっとって行われるように、引き続き御指導をお願いしたいと思います。
また、あわせて、いわゆる鉄骨関連で、今、現場で、実はかれこれ一年ほど耳にしていることは、やっとニュースにもなりつつありますけれども、ボルトが足りなくて現場がとまっている。大きい物件ほど、先に先に発注が立ちますので、ボルトの予約があって、小さい物件ほど、やろうと思っても、ボルトがないから前に進まない。これも、いわゆる建設業のボトルネックになりかねないリスクを持っておりますので、きょうは、特にこの点、通告をしておりませんので、ぜひお願いをしておきたいと思います。
続きまして、建設業の働き方改革について、これも、やはり現場でよくお伺いをする例を少し御紹介をしながら御質問したいと思います。
これは住宅建設のいわゆる工事店にお伺いをしたんですけれども、大体、通常、朝八時ぐらいから現場で仕事を始めます。よって、工事関係者は、その前に自分の会社に集まって打合せを行います。ですから、会社から現場までの移動時間が大体一時間だとすれば、現場が八時から動くのであれば、会社には七時に通常集合します。
この一日の労働時間を考えてみますと、現場の終了が夕方の五時だとしますと、移動時間をプラス一時間、また、会社に帰ってきて、あしたの準備なんかをしてから帰られますから、朝七時から夜六時までの十一時間ということになります。
時間内を仮に八時間とすると、時間外は三時間。おおむね、現実、今も土曜日はやはり動いておりますので、一週間で、三時間掛ける平日五日で十五時間。プラス、土曜日というのは、休日出勤になるとすれば十時間、一週間で計二十五時間、時間外労働が発生をする、単純に言うとそういうことになります。これは四週間で百時間ということになります。
この時間数は、私が建設業の現場を拝見するにつけ、現時点においてはごく当たり前に発生している労働時間だと思います。これを五年後、二〇二四年四月までに法定内に抑えていくためには、施工者はもとより発注者の理解が極めて重要になるというふうに考えております。
また加えて、働く皆さんの賃金、これは少なくとも、これは本当は上げていかなきゃいけないわけですが、変わらないようにするためには、工期を延ばし、かつ発注単価を更に改善をしていかなければならないというふうに考えます。
といいますのは、一週間、五人で、土曜日まで含めて六日かかる仕事、つまり、総人工三十人、これを五日間で終わらそうとすれば一日六人が必要なわけですから、単純に考えれば工事費は一・二倍ということになります。
なかなかそう単純にはいかないと思いますけれども、受発注者双方への理解を促して建設業界の働き方改革を進め、後継者の確保に努めていかなければならないと考えておりますけれども、建設業の働き方改革について、大臣の御決意、御所見をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 国土交通省といたしましては、発注者の理解と協力を得ながら建設業の働き方改革を進めていくことが喫緊の課題と認識をしております。
そのためには、本法律に規定されております、著しく短い工期による請負契約の締結の禁止や、中建審による基準の作成、実施の勧告のほか、公共工事入札契約適正化法の適正化指針に追加をいたします施工時期の平準化の推進を迅速かつ円滑に施行し、民間事業者を含む発注者への働きかけを通じ、長時間労働を是正し、働き方改革を進めてまいります。
また、本年三月から、設計労務単価を七年連続で引き上げたほか、週休二日工事における補正係数を継続をいたしました。
これらの取組が現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、適切な請負代金で契約をし、技能労働者の賃金水準を確保することなどについて、本年三月、私から建設業団体のトップに対しまして、直接要請を行ったところであります。
加えて、公共工事の入札契約におきましても、この四月から、低入札価格調査基準の上限を予定価格の九二%に引き上げるなど、ダンピング対策を強化しているところであります。
建設業の関係団体においても、国土交通省の取組と歩調を合わせ、各団体の現状を踏まえつつ、長時間労働是正に係る自主的な取組を進めていただいております。
国土交通省といたしましては、本法案の規定を適切に運用することなどによりまして、罰則つき上限規制のかかるまでの五年の猶予期間内で建設業における働き方改革の取組を更に加速化させ、担い手の確保を進めてまいりたいと考えております。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
つい先週、新国立競技場の現場をこの国土交通委員会で視察をさせていただいて、大変すばらしい現場でありました。ああいう現場がふえればふえるほど若い方もこの建設業という職種で働いていただく方がふえていくんだろうな、こう痛感をしたところでありますので、引き続きの取組をよろしくお願いしたいと思います。
続きましては、今大臣からございましたとおり、国土交通省、大臣指導のもとで公共工事設計労務単価の改善を累次に行っていただきまして、現場の状況はかなり改善をしてきたというふうに認識をしております。
さらに、その上で、やはり現場に行くと、地方自治体の発注あるいは民間発注の工事、ここにこの国土交通省の直轄工事でやっているような流れをどう波及させていくかというのがポイントだというふうに思っております。
我々国会サイドも、これまで、建設職人の健康安全確保法などの成立をさせ、こうした価格の適正化が浸透をするように取り組んできたところであります。
特に、地方自治体及び民間発注による工事の価格の適正化についての取組、国土交通省にお伺いをしたいと思います。
○野村政府参考人 まず、国土交通省直轄工事では、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を踏まえて適正な予定価格を設定する、設計労務単価が改定されたときにはそれを速やかに反映させるという取組を行っておりますけれども、地方公共団体に対しましても、労務単価の改定の結果をできるだけ早期に活用するように促すなど、実勢価格を適切に反映させた適正な予定価格を設定するよう要請しております。
また、民間工事につきましては、当事者の合意により請負契約額が決定されるものではございますけれども、やはり、労務単価が改定された場合には、適正な水準の賃金が発注価格に適切に盛り込まれるように、民間発注者団体に対して、これも累次要請を行ってきたところでございます。
こうした取組を引き続き力強く進めていきたいと考えております。
○伊藤(渉)委員 ぜひよろしくお願いします。
それを進めるために、最後、御質問です。
要請をすると同時に、現場がどうなっているかをやはり把握をしていただく必要があると思っていまして、私の聞くところによりますと、今ございましたとおり、国交省の直轄工事は、最終下請業者がどの程度の単価で仕事を受注しているかを調査をしているというお話を聞きました。そうであれば、その同じ業者が民間や自治体発注工事も仕事としてやっていると思うわけです。
であれば、その同じ業者の方に、国交省が直接発注した工事の最終請負単価等を調査するときに、並行して、その会社が同じような仕事を自治体や民間から受けている、その現状がどうなっているか、これは手間もかかりませんし少し数多く聞くだけのことなので、こうした現状把握を進めていただけないでしょうかと思うわけですが、どうでしょうか。
○野村政府参考人 委員御指摘のいわゆる公共事業労務費調査、これは、直轄工事だけではなくて、公共団体工事に従事した技能労働者に支払われた賃金を調査してございますけれども、対象工事が都道府県及び政令市にとどまっているほか、発注者別に調査結果を公表する形にはなっていないところでございます。さらに、いわゆる請負金額そのものまでは調査をしてございません。
一方で、毎年度、全国の一万四千の建設業者に対しましては、いわゆる下請取引等実態調査というものを行っております。
これは、下請取引の実態を把握するために、支払い期間やその方法などについて調査をすると同時に、その結果の公表、さらには、不適正な取引が認められた建設業者に対しまして是正措置を講じるように指導する、繰り返し不適正な取引が行われているおそれのある建設業者や調査に未回答の建設業者に対しましては立入検査などを実施するなど、下請取引における適正な価格での支払いを直接指導するような形の調査ともなっております。
そのような私どもの調査と、それから業界団体でもそれぞれ自主的な取組を講じていただいておりまして、今、業界全体で処遇改善に取り組んでいこうという機運は、確かに私は盛り上がってきているかと思っておりますけれども、これからも官民一体で取り組んでまいりたいと考えております。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
今ありましたとおり、調査した結果を全て公表する必要があるとも思いませんし、できることであれば、今申し上げたとおり、地方自治体、民間発注工事にこの国土交通省が取り組んでいる流れがより強く波及するように、引き続き取り組んでいただけますことをお願いし、質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、福田昭夫君。
○福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。
本日は、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案などにつきまして、時間の範囲内で政府の考え方をただしてまいりますので、簡潔にお答えをいただければと思います。
まず、総括的な問題点についてであります。
一つ目は、今回の法律の改正で、将来の建設産業にどのような効果をもたらすと期待しているのか、お答えをいただきたいと思います。
○石井国務大臣 建設業は、国土づくりの担い手であると同時に、地域の経済や雇用を支え、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の確保を担うなど、地域の守り手として国民生活や社会経済を支える役割を担っております。
国土交通省といたしましては、発注者の理解と協力を得ながら、建設業の働き方改革と生産性向上を進めていくことが喫緊の課題と認識をしております。
そのため、本法律に規定をされております工期の基準の作成、実施の勧告、著しく短い工期による請負契約の締結の禁止、施工時期の平準化の推進など、迅速かつ円滑に施行し、働き方改革を実施をしてまいります。
また、本法律では、工事現場の監理技術者や主任技術者に関する規制の合理化、建設資材製造業者に対して改善勧告、命令ができる仕組みを規定をしておりまして、これらを通じて生産性の向上を進めてまいります。
国土交通省といたしましては、本法案の規定を適切に運用することなどによりまして、建設業における働き方改革と生産性向上の取組を更に加速化させてまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 ありがとうございます。
この国土交通省の資料によりますと、KPIも掲げておるようでございます。建設業への入職者数を現在よりも一・五万人程度ふやしたい、それから、技術者、技能労働者の週休二日制の割合も一〇〇%にしたい、それから、下請代金のうち、少なくとも労務費相当分を現金払いとする割合も一〇〇%にしたい、こういうKPI目標もあるようでございますから、そうした建設業界の絵姿になるように、まずしっかり努力をしてほしいなと思っております。
そうしたことについて、一つ一つ、ちょっとこれから具体的な点で質問させていただきますので、お答えをいただきたいと思います。
まず、二つ目は週休二日制実現への取組についてでありますが、第一点は、国土交通省の目標であります二〇二四年度に原則一〇〇%実現に向け、今後どのように取り組んでいくのか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 お答えをいたします。
先ほど御紹介したとおり、建設業においては、他産業に比べての長時間労働、あるいは休日も非常に取得しにくいというふうな現状、現時点ではそのような現状でございます。
この法案では、著しく短い工期による請負契約の締結を禁止するほか、公共工事の発注者に対しまして、必要な工期の確保と施工時期の平準化を図るための方策を講ずることを努力義務化して、休日をとりやすい環境の醸成を図っていくこととしております。
また、国交省では、直轄工事で週休二日工事の適用拡大などに取り組んでいるところでございまして、地方公共団体に対してもそのような取組の浸透を図っているところでございます。
それから、業界団体においても、時間外労働を段階的に規制していく取組を自主的に行っているというところでございます。
本法案の成立により、適正な工期設定や平準化を促進し、そしてまた、このような民間の動きとも相まって、建設業の働き方改革を加速をさせていきたいと考えております。
○福田(昭)委員 そうした取組をする中で、第二点になりますけれども、建設業界の多くが日給月給制だというんですが、この日給月給制の技能労働者の給与を下げずに週休二日制を実現するため、どのような取組を行っていこうとしているのか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 特に、週休二日を実現するに当たっては、御指摘のように、いわゆる日給月給制の労働者の方などにも配慮をして、適正な賃金が確保されるよう取り組んでいくことが重要となってまいります。
国土交通省におきましては、公共工事設計労務単価について、七年連続で引上げを行ってきたところでございまして、平成二十四年度に比べまして四八%の引上げになっております。
このような設計労務単価の引上げについて、それが現場の技能者の賃金水準の上昇という好循環につながっていく必要があると考えておりまして、私どもは、建設業関係団体に対しましては、繰り返し適切な賃金水準の確保を要請してきたところでございます。
また、適正な賃金の確保に向けて、まず公共工事において民間発注者の参考となる取組を率先して進めていき、そして、それを民間工事に広げていくということが重要であると考えておりまして、具体的には、国直轄工事におきまして、週休二日を確保した工事において労務費等の補正を行っております。
こうした取組を地方公共団体にも促していく、そのために、総務省と連名で通知を行っていくとともに、全ての都道府県や市町村が参画する地域発注者協議会という場においても周知徹底しているところでございます。
これらの取組をこれからも進めてまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 局長が次の質問まで答えてくれましたけれども、三つ目、今話にありましたように、平成二十四年度以降、七年連続で引き上げた公共工事設計労務単価の引上げ効果、今の話の中ではどんな効果があったかという話がありませんでしたけれども、どのような効果があったのかと評価しているのか。
また、技能者の賃金上昇に向け、さらに、今もちょっとお答えがありましたけれども、まず、しっかり、設計単価を上げても、実質的に本当に技能者にその上げた分が反映されているのかどうかということを確認する必要があると思っていますが、そうした取組をどうやってやっていくのか、お答えをいただきたいと思います。
○石井国務大臣 国土交通省におきましては、公共工事設計労務単価につきまして、平成二十四年度に法定福利費を反映させる形で引上げを行って以降、直近の改定となります平成三十一年度まで、七年連続で引上げを行ってまいりました。
この結果、厚生労働省が行っております賃金構造基本統計調査におきましては、建設労働者の賃金が六年間で一八%上昇しておりまして、こうした賃金の上昇傾向は、この間の建設投資の堅調な推移に基づく技能労働者需要の増大と相まって、労務単価の引上げの成果が効果をあらわしつつあるものと評価をしております。
国土交通省といたしましては、労務単価の引上げが現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、法定福利費の確保と社会保険の加入の徹底を図るとともに、繰り返し、建設業関係団体に対し、適切な賃金水準の確保を要請をしてまいりました。
この結果、業界団体側の自主的な取組といたしまして、例えば、日本建設業連合会によりまして、下請業者の見積りを尊重する労務費見積り尊重宣言が行われ、全国建設業協会では、労務単価改定分を下請契約に反映をする単価引上げ分アップ宣言が行われるなど、業界全体で技能労働者の賃金水準の確保に取り組んでおります。
また、この四月から、技能者の就業履歴や保有資格を業界横断的に蓄積をいたします建設キャリアアップシステムが本格運用を開始をしております。今後も、技能や経験に応じた適切な処遇が実現するよう、システムの普及拡大と能力評価基準の整備などに努めてまいります。
今後とも、技能労働者の適切な賃金水準の確保に向けまして、官民一体で取り組んでまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 私の経験でも、例えば設計単価が一日一万円としても、実際に労務者に支払われる額が三千円だったということが今までは一般的でありましたので、こういうものをしっかり指導ができるような、そういうこともぜひ考えていただければというふうに思います。
次に、四つ目でありますけれども、四つ目は、地方自治体における予定価格及び最低制限価格の事前公表、現状はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 お答えいたします。
まず、最低制限価格につきましては、入札前に公表いたしますと、当該価格近傍へ入札が誘導されるとともに、同額での入札者間のくじ引きによる落札が増加するなど、建設業者の真の技術力、経営力による競争を損ねる弊害が生じ得ることから、公共工事品質確保法に基づく運用指針や入札契約適正化法に基づく適正化指針により、入札前には公表しないものとしているところでございます。
また、予定価格につきましては、最低制限価格と同様の弊害が生じかねないことから、原則として事後公表とした上で、仮に事前公表する場合でも、適切な積算を行わない建設業者がくじ引きにより受注するなどの弊害が生じた場合には、速やかに事前公表の取りやめなどの適切な措置を講ずるよう要請しているところでございます。
調査結果がございまして、国交省が平成三十年度に実施したところによりますと、最低制限価格を事前公表している地方公共団体は、都道府県では二団体、市区町村では百三十三団体、予定価格を事前公表している地方公共団体が、都道府県では十四団体、市区町村では六百五十五団体と、いずれも一部の公共団体では依然として事前公表が行われております。そして、その理由については、職員の不正行為の防止などを挙げているところでございます。
国土交通省といたしましては、予定価格あるいは最低制限価格を入札前に公表すると、建設業者の真の技術力、経営力による競争を損ねる弊害が生じ得ると考えられることから、引き続き、地方公共団体に対しまして、総務省と連携して、これらの要請を徹底してまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 まだ県や市区町村で事前公表しているところがあるということでありますが、多分平成二十五年だったと思いますが、国土交通大臣と総務大臣連名で、事前公表で不都合な点があれば是正するようにと多分要請をしていると思いますけれども、その効果はあったのかどうかということについてお答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 今ほど御答弁申し上げたとおり、若干、平成三十年度段階でも一部の公共団体では行われているところではございますけれども、方向といたしましては、それぞれその数は縮小する方向に向かっておりまして、まだ全て事前公表しないというところまでは至っておりませんものの、確実に、私ども、あるいは総務省と連名で行っております要請については、それに応えていただいているものと考えております。
○福田(昭)委員 栃木県内のある大きな市の話ですけれども、一時は、一般競争入札でも、入札に参加した全業者、三十業者が全て最低制限価格、同額ということで、電子抽せんにより落札業者を決めていたということがありましたけれども、今はそうしたことがなくなっているのかどうか。
今も電子抽せんで落札者を決めているというのが、先ほどお話のありました団体であるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 直近のところで、くじ引きによる入札がまだ残っているかどうか、ちょっと新しいデータは持っていないと思いますけれども、やはり、先ほど指摘されたような、予定価格の周辺に集まる、あるいは最低制限価格の近傍に集まるということは、事象としては生じておりましたので、最近に至っても、場合によってはそういう事象は生じているというふうに認識をしてございます。
○福田(昭)委員 くじ引きによる落札ということであれば、本当に競争入札なの、こういう首をかしげるような話もありますので、そうしたことがなくなるように、今後ともしっかり指導していってほしいなと思っています。
五つ目でありますが、五つ目が、今回の改正に当たって、入契法の法律と今後提出される予定の公共工事の品質確保の促進に関する法律の一本化について、なぜ今回考えなかったのか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 まず公共工事品質確保法でございますけれども、先ほども答弁ございましたけれども、建設投資の約四割を担う公共工事の品質確保の重要性に鑑みて、公共工事の品質確保に関する基本理念や受発注者の基本的な責務などを規律し、これを公共工事の当事者に広く呼びかけるため、これまで公共工事品質確保法は議員立法により制定、改正されてきたと承知をしております。
一方で、入札契約適正化法は、公共工事の入札契約に着目をして、その適正化の基本となるべき事項を定めるとともに、情報の公表、不正行為などへの対応や施工体制の適正化など、行政庁において講ずる措置などについて必要な規定を設けるため、これまで政府提出により制定、改正をされてきたところでございます。
入札契約適正化法に関しましては、今般、公共工事における長時間労働の是正を図る観点から、施工に必要な工期の確保や施工時期の平準化を図るための方策に関する項目を入札契約適正化指針に追加する改正を行うこととしております。
一方、公共工事品質確保法につきましては、全国的に頻発する災害への対応、あるいは、働き方改革、生産性向上が急務になっていることを踏まえて、これらに対応する公共工事の基本理念や受発注者の基本的な責務を新たに位置づけることについて、今国会におきまして、与野党の皆様方で議論がなされ、議員立法による見直しの検討がされているところと承知をしております。
○福田(昭)委員 おっしゃることはよくわかりますけれども、しかし、いずれにしても、公共工事にかかわる取決めを決める法律でありまして、しかも、今回の背景、必要性を比べてみるとそれがはっきりしてきますけれども、資料の一と二をごらんください。
今回の法律改正の背景、必要性ですけれども、まず入契法の方が、一つが建設業の働き方改革の促進、二つ目は建設現場の生産性の向上、三つ目が持続可能な事業環境の確保、そして、次に出される予定の品確法でありますが、一つが災害への対応、二つ目が働き方改革関連法の成立、三点目が生産性向上の必要性、四点目が調査、設計の品質確保と書いてあります。
これを見れば、大体同じようなことを今回改正しようとしているわけで、こういうものはやはり、閣法と議法という違いはあっても、建設業界や国民の皆さんにわかりやすい法律とするというのが大事じゃないかなと私は思っておりますので、これから提出する議員の皆さんには、大変申しわけない、皮肉になってしまうかもしれませんが、しかし、今後ぜひこういったことは考えるべきだということを申し上げておきたいと思います。
それでは次に、二番目の、建設業の働き方改革についてであります。
一つ目は、長時間労働の是正についてであります。第一点は、中央建設業審議会が作成する建設工事における適正な工期設定等の基準はどのように定められるのか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 お答えをいたします。
工期に関する基準は、個々の工事について具体的な工期を算出する定量的なものではなくて、工期を設定するに当たって考慮すべき事項が定性的に定められるものと考えております。
具体的には、例えば全工程に共通する事項としては、雨や雪などの自然的な要因、あるいは週休二日、年末年始などの不稼働日などに配慮して設定されるべきこと。また、各工程において考慮すべき事項として、例えば準備段階では、用地買収や建築確認などのほか、工事場所の周辺環境、近隣状況、仮設工作物の設置、資材等の製作、あるいは施工段階では、地下埋設物の存在、掘削土の排出、受電の時期等々、後片づけ段階では、工事の完成検査を始め、各種の検査、仮設工作物の撤去などの事項が定められることとなるのではと考えております。
○福田(昭)委員 それが実効性を持つような形で浸透していけばいいのかなというふうに思っていますが、そうなるようにぜひ努力をしてほしいと思います。
第二点は、施工時期の平準化について、地方自治体の取組が国に比べておくれているということでありますが、更に加速するために、今後どのように取り組むのか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 今御指摘もございましたとおり、平準化は非常に重要な課題でございますけれども、特に、比較的取組がおくれている市区町村を中心に、地方公共団体発注工事において更に平準化の取組が進むことが重要だと認識をしてございます。
今の状況につきましては、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、債務負担行為の活用と速やかな繰越手続の実施につきまして、都道府県と政令指定市ではある程度取組が進んでいるところでございますけれども、市区町村では、増加基調にありながら、いまだ低い水準にあるというのが認識でございます。
こうした現状を踏まえながら、本法案では、入札契約適正化法を改正して平準化の取組を規定することで、特に公共団体の平準化の取組を促進していきたいと考えております。
具体的には、先ほどもお答えしましたとおり、入札契約適正化指針に、工期の確保、施工時期の平準化を図るための方策を位置づけることとしておりますが、これによりまして、地方公共団体などに努力義務が課されるとともに、国から地方公共団体に対して必要な措置を講ずるように要請することや、地方公共団体からの取組状況の報告を求め、公表することが可能となるところでございます。
地方公共団体がみずからその現状を把握することが可能となって、それぞれが取組を進めていく、そういう推進に大いに有効なものと認識しております。
これからも、総務省と連携しながら、取組を進めてまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 市区町村がなかなか債務負担行為を設定しにくい。それはやはり、国庫補助事業などに取り組むということになると国や県からの指示待ちということが多いわけですが、その指示が遅いと予算を議会で設定できないということになりますので、この辺、何らかの工夫が必要なのではないかと思っていますが、いかがですか。
○野村政府参考人 委員御指摘のとおり、なかなか債務負担行為の活用が進まない。
公共団体側の理由としては、もちろん、例えば議会との関係を挙げる声もございますけれども、一方で、今の御指摘のとおり、特に、国からの交付金事業、あるいは個別補助金事業というものについては、やはり早期発注を行うことがなかなかリスクを伴うというふうなことを指摘する声もあることは確かでございますので、それは、私どもも、国の側も、公共団体において債務負担行為が活用されやすいような環境を図っていく、そのために何か手だてがないかということを不断に検討していく必要はあろうかと考えております。
○福田(昭)委員 単年度予算主義がいろいろ影響している点が大きいわけでありますけれども、できるだけ早目に市区町村とも連携をとっていくということが平準化については大事かなというふうに思っていますので、ぜひ御検討いただきたいと思っております。
第三点は、建設業の時間外上限規制の施行はなぜ五年間延期になったのか、お答えいただきたいと思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
建設業については、働き方改革関連法の施行前まで、その長時間労働の実態等を踏まえ、一般の産業と異なり、厚生労働大臣告示である労働時間の延長の限度等に関する基準、時間外労働の限度を定めているものでございますけれども、これの適用除外としてきたところでございます。
本年四月から施行しています働き方改革関連法においては、この時間外限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせる等の枠組みを整備しておりますが、その際、建設業については、長年の適用除外の取扱いを改め、五年間の猶予措置を設けた上で、罰則つきの上限規制を適用するということとさせていただいているところでございます。
この五年間の猶予措置を設けた理由は、施主から工期を厳格に守ることを求められるとともに、天候不順などの自然的条件により作業日程が圧迫されるなどの業務特性や取引慣行上の課題があることを踏まえ、業務の実態に即した形で上限規制を適用していくためには、取引慣行上の課題等を解決していく時間が必要であるということからでございます。
厚生労働省といたしましては、令和六年四月の建設業における上限規制の適用に建設業界が円滑に対応できるよう、国土交通省と連携して、必要な環境整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○福田(昭)委員 時間外規制につきましては、大企業はことしの四月から、中小企業は来年の四月から、こういうことになっておりますけれども、そうすると、建設業は大企業も含めて五年間延期、こういうことなんですか。
○松本政府参考人 今ほどお答え申し上げましたとおり、建設業につきましては、五年間、全て延期されているところでございます。
○福田(昭)委員 それでは、第四点目は、旅館、ホテル業の時間外上限規制の施行がなぜ五年間延期にならなかったのか。
この旅館、ホテル業も今大変な人手不足で、しかも、旅館、ホテル業については、御案内のとおり、従業員が忙しいのは朝と夜、昼間は少しあいている、こういう大変ほかの職場とは違うような職場になっておりますが、そうしたものが五年間延期とならなかったのはどういうことなのか、お答えをいただきたいと思います。
○松本政府参考人 今ほど申し上げましたとおり、本年四月から施行しました働き方改革関連法におきましては、建設業、このほかにも、例えば自動車運転業務等につきましてもでございますけれども、五年間の猶予期間を設けた上で上限規制を適用していくこととしております。
これは、従来より時間外限度基準告示の適用除外等の取扱いをしておりました事務事業につきまして、実態に即した形で上限規制を適用していくためには、それぞれの取引慣行や法制度上の課題等を含めて解決していく時間が必要であるということでございます。
一方で、旅館、ホテル業につきましては、従来より一般の産業と同様に時間外限度基準告示を適用してきており、総理大臣が議長を定める働き方改革実現会議、これは平成二十九年三月に働き方改革実行計画を決定しているところでございますが、その内容や、また、その後、六月に、労働政策審議会の建議におきましても、上限規制の猶予措置の対象とはされておらないところでございます。一般の産業と同様に、本年四月から上限規制を適用させていただいているというところでございます。
ただ、先生御指摘のとおり、宿泊業等の特性はあるわけでございまして、私どもも、宿泊業については、先進事例などを掲載した「働き方・休み方改善ハンドブック 宿泊業(旅館・ホテル業編)」というものも作成をいたしまして、皆様方が円滑に働き方改革の取組を進められるよう努めているというような状況でございます。
○福田(昭)委員 この旅館、ホテル業、宿泊業につきましては、この次の機会にもうちょっと詳しくいろいろ質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは二つ目でありますが、二つ目は、現場の処遇改善についてであります。
第一点は、下請負代金のうち労務費相当分を現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないということになっておりますが、この適切な配慮をしなければならないということはどういう意味なのか、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 建設工事現場で働く建設技能労働者の方々、職人さんの手元には、適時適切に賃金が支払われることが重要でございます。そのためには、少なくとも下請代金の労務費相当分については手形ではなく現金で支払われ、そして、速やかに下請事業者からその技能労働者の方に対して賃金を支払うことができる条件を整える必要があると考えております。
そのため、これまで労務費相当分の現金払いにつきましては繰り返し関係方面に要請を行ってきたところではございますけれども、その結果、現在、労務費の九割以上が現金で支払われるようになってきてございます。
今回、さらなる取組を促す観点から、法律に、配慮をするような、配慮義務として規定することとしたものでございます。
○福田(昭)委員 今回の法案のKPIを見ますと、二〇二五年には一〇〇%にしたい、こういう目標を掲げておられますけれども、適切な配慮という言葉ではどうも弱いんじゃないかと、私からすると考えられるんですね。
配慮しましたと言われたらそれで終わりかな、こういうふうにも考えられますので、もう少し強い言葉で、例えば、努めなければならないとか、そういう言葉の方がよかったのではないかと考えますけれども、いかがですか。
○野村政府参考人 いわゆる配慮義務という今委員御指摘のような形で規定をしているため、例えば、罰則によりこれを担保するものではございませんけれども、一方で、賃金の支払いというのは、使用者と被用者との間の雇用契約というものが、基本的にはそれぞれ民民の契約に基づく履行という形でなされるということも考慮した上で配慮義務ということにさせていただきましたけれども、これは繰り返し私どもも、先ほど答弁したとおり、関係団体等には現金払いとすることを要請をしてきておりまして、そして、その結果、数字の上ではかなりそれが実施されているということでございます。
これは、やはり要請ということをこれからも繰り返し繰り返し行うことによって、それをさまざまな機会を通じて行うことによって、適切な、まさに配慮として、それらの行動が実現していくように、私どもとしては訴えていきたいと考えております。
○福田(昭)委員 やはり労務員にとっても、週休二日制がきちっととれる、あるいはちゃんと労賃もいただける、これは大事な点かなというふうに思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
それから、第二点は、下請負企業を含めて社会保険へ加入することが建設業許可の条件とすることの効果について、お答えをいただきたいと思います。
○野村政府参考人 社会保険加入対策につきましても、従来より建設業界とも連携しながら進めてまいりました。
そして、まず公共工事に従事する企業ベースでは、昨年の十月時点において九七%まで、これも加入率が向上してきたところでございます。
一方で、特に民間工事では、公共工事に比べて社会保険の加入率は相対的に低い水準にある現状でございます。
今般、建設業法を改正しまして、社会保険加入を建設業の許可あるいは更新許可の要件とすることによりまして、公共工事、民間工事の別にかかわらず、企業ベースでの社会保険加入が更に進むことが期待をされるところでございます。
さらに、現在、ガイドラインに基づいて、元請企業が下請企業を選定する際に社会保険加入状況を確認し、未加入企業に対して加入指導をする取組等を行っておりますが、これが許可、更新許可の要件となる場合には、これらの元請による確認の手間も軽減されることとなることが期待されるところでございます。
加えて、今後は、社会保険への加入が建設業を営む場合の必須要件となることから、翻って技能者の処遇改善や公平公正な競争環境の構築にもつながっていくものと考えております。
○福田(昭)委員 ぜひとも、働く人にとって、やはり社会保険へしっかり加入するということは安心につながることですので、必要なことだと思っていますので、これもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、建設現場の生産性の向上についてであります。
これからは、ちょっと時間の関係で、一括してお答えをいただくようにしたいと思います。
まず、限りある人材の有効活用と若者の入職促進についてであります。
第一点は、元請の監理技術者の有効活用をどう考えているのか。第二点は、下請の専門工事一括管理施工制度の創設によって何が変わるのか。一括してお答えください。
○野村政府参考人 建設業においては、将来的な技術者不足が懸念されているところでございます。限りある人材を活用するということと、さらには、若い技術者の養成、あるいは入職促進を図っていくこと、これが今、喫緊の課題となっております。
今御指摘のありましたとおり、今回の法案では、まず、監理技術者の専任配置要件を合理化して、複数の現場にそれぞれ監理技術者を補佐する者を専任で配置した場合には、監理技術者が当該複数現場を兼務することができることといたしております。
それから、主任技術者につきましては、これも合理化をしながら、下請の主任技術者につきまして、一定の金額未満の下請工事で一定の要件を満たす場合、主任技術者の配置を要しないという、そういう合理化の措置を行うこととしております。
そして、戻りまして、先ほどの監理技術者の配置の合理化に関しまして、今回の法案では同時に、技術検定制度について、現在の学科試験と実地試験から成る形を第一次検定と第二次検定という形で再編成をした上で、第一次検定に合格した者を技士補として新たに資格を付与することとし、この一級技士補を先ほどの監理技術者を補佐する者の要件とすることとしております。
それにあわせまして、この一級の一次検定につきまして、二級の合格者であれば必要な実務経験の年数を経ることなく受検できることとして、早期に技士補の資格を得られるように措置することとしてございます。
これによって、まず監理技術者につきましては、このように、監理技術者を補佐する者として若手技術者に施工体制において明確な立場が与えられて、早期に責任ある立場で現場に従事させることが可能となって、ひいては若い技術者のモチベーション向上や建設業界に入職する動機づけの強化につながると考えております。
それから、主任技術者の合理化に関しましては、これは、職人は有しているけれども主任技術者たり得る技術者が不足しているため受注機会が得られない建設業者について、今回の制度改正によれば、受注機会を得ることが可能となると考えておりまして、これも、主任技術者の合理的な配置が、建設現場における技術者不足というものが懸念される中で、限りある人材の有効活用につながっていくものと期待をしてございます。
○福田(昭)委員 それでは、二つ目ですけれども、建設工事の施工の効率化の促進についてであります。
第一点は、建設資材の活用を促進するためにどんな仕組みを考えているのか、第二点が、建設資材製造業者に改善勧告等ができると生産性の向上に結びつくのかということについてお答えいただきたいと思います。
○野村政府参考人 建設現場の生産性を高めていくためには、工場などで製作されました建設資材を積極的に活用していくということが重要であると考えております。
しかしながら、工場などで製作されました資材に関しまして重大な欠陥などが発生した場合には、現行規定では、当該建設業者に対して再発防止の指示等をすることができるのみでありまして、例えば、工場などで製作された建設資材が当該建設業者以外の者が施工する他の工事現場で使用される場合にまで安全確保を図ることができないおそれがございます。
このような場合も想定しながら、建設工事の適正な施工を確保するために、建設業者などに対する従来からあった指示の規定とあわせて、建設資材の製造業者に対しても再発防止の改善勧告や命令をできることとしたものであります。
これによりまして、先ほども言いましたように、他の建設業者でも安心して使われる、仮にそのようなふぐあいが生じたということがありましても、資材製造業者において必要な安全確保措置が行われれば、当該建設資材を将来にわたって安心して使用することができるようになると考えているところでございます。
○福田(昭)委員 時間が残り少なくなってまいりました。
次に、持続可能な事業環境の確保についてでありますが、一つ目は、経営業務管理責任者に関する規制の合理化についてでありますが、これは第一点だけお答えください。
建設業経営に関し過去五年以上の経験者が役員にいることを必要とする規定を廃止しても問題はないのかどうか、簡潔にお答えください。
○野村政府参考人 経営業務管理責任者に関します今回の改正でございますけれども、これは、建設業の実情に照らして、今後の事業承継の障害になるということを懸念しての措置でございまして、従来、役員個人の要件を規定していたところ、これを、組織の中で適切な経営管理責任体制を有することということをチェックすることによって担保しようとするものでございます。
その具体的な基準については、今後、関係団体の意見や他の事業法における事例も参考に下位規定によって基準を定めることになりますけれども、基本的な考え方でございますけれども、現在は、許可を受ける建設業に関して、五年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者、これは基本的には役員経験のある者ということでございますけれども、そういう者を役員などとして配置することを要件として求めているところでございますけれども、この現行要件に加えて、建設業の役員又は相応の管理職の経験を通算五年以上有している者、あるいは建設業以外の業種における役員経験を五年以上有している者にそれぞれ少し広げて、そして、その場合は、その者を適切に補助できる能力を有する者を役員を補佐する役職に配置するという形で、その経営体制というものが担保されるという形を整えるということを基本的に考えているところでございます。
○福田(昭)委員 質問時間が来ましたので終わりにしたいと思いますが、私、公共工事は、良質な社会資本を整備し、快適な生活環境をつくるとともに、地域の経済を下支えする重要な役割を果たしていると思います。
しかしながら、やはり無駄なものはやっちゃいけない。真に必要なものをやる。人口減少時代に対応するためには、やはりその無駄なものの典型は、何度も指摘しているように、ダムです。
京都大学の藤井聡先生は国土強靱化の提案者でありますけれども、その藤井先生も、ダムをつくれとは言っておりません。
ぜひとも、国土交通省は、真に必要な公共事業をちゃんと選んで、予算をつけて実施していく、そういう国土交通省になってほしいなと。そして、働き方改革によって、建設業もそれこそしっかり、適切に仕事が進められるように、そういう大転換を国土交通省がされることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、小宮山泰子さん。
○小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。
まず、今国会に提出された、先日既に成立しておりますけれども、建築物省エネ法の委員会審議の際にも触れました、気候風土適応住宅に関して一点お伺いをさせていただきたいと思います。
現在、国土交通省では、地域における木造住宅の生産体制の強化、環境負荷の低減等を図るため、地域の木材関連事業者、流通事業者、建築士事務所、中小工務店等が連携して取り組む省エネルギー性能や耐久性等にすぐれた木造住宅・建築物の整備を支援する、平成三十一年度地域型住宅グリーン化事業の公募を五月三十一日まで行っております。
同事業では、事業者が連携して取り組む、長期優良住宅や認定低炭素住宅、ゼロエネルギー住宅など、耐久性や省エネルギー性能にすぐれた住宅・建築物について補助が行われるものとなっております。
気候風土適応住宅は、グリーン化事業で求めている性能とはまた別の観点、別の価値観を持ちつつ、それぞれの地域産材を用いた住宅となっております。石場建てであったり土壁を用いるなど、伝統構法に根差した住宅などが範疇に入ってくる気候風土適応住宅に対しても国土交通省では支援を行っていただいているところではありますが、建築基準法に則して設計し、建築確認を行っていく上で手間も費用もかかるなど、伝統構法による建築物、住宅は、大量につくりやすいというものでもございません。
サステナブル建築物等先導事業においても、実験的に支援をいただきながら事例を重ねておりますけれども、現在までに同事業に基づいて二十事例ほどあると伺っておりますが、とはいえ、数年間、三年ほどですか、わずか二十事例にとどまっているとも捉えることができます。
耐久性、省エネ性能向上への支援とともに、伝統構法などに基づく建築物など、気候風土適応住宅への支援も、助成金、及び、このような付加価値のつく建築があること、建築可能であることの建築士、工務店、施主となる消費者などへの周知を含め、より積極的に取り組んでいくべきだと考えております。
この伝統的構法や昔ながらの建築物、そういったものが、観光地などでは、海外からも多くの方が、実際には評価をされ、そこのためにもインバウンドも多く、観光客を集め、経済的にも地域にも影響をし、いい循環をもたらしていると考えております。
この点につきまして、大臣の御見解と御決意を改めてお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 伝統的構法による木造住宅は、地域の気候風土を踏まえた工夫の活用により、すぐれた居住空間の確保を図るものでありまして、例えば調湿機能が高いとされる土塗り壁につきましては、結露の防止や快適性の確保等の効果があるとされております。
こうした伝統的構法による住宅の普及を図るため、国土交通省では、平成二十八年度より、伝統的構法を採用しつつ環境負荷の低減を図るモデル的な住宅の整備に対し支援を行っておりまして、こうした取組事例について住宅事業者や建築主等に対し広く周知を行ってまいりたいと考えております。
また、全国各地における和の住まいリレーシンポジウムの開催等によりまして、和の住まいの推進に取り組んでいるところでありますが、こうした機会に、伝統的構法の住宅に関する情報についても積極的に提供しているところであります。
さらに、今月十日に成立をいたしまして、十七日に公布をされました改正建築物省エネ法におきましても、伝統的構法の住宅の供給に配慮いたしまして、新たに創設される説明義務制度において、これまで届出義務制度において措置されてまいりました地域の気候風土に適応した住宅に対する緩和措置を適用することとしているところであります。
今後とも、これらの取組によりまして、気候風土適応住宅などの伝統的構法の住宅の普及促進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。
○小宮山委員 ありがとうございます。
特に、土壁などの調湿機能について触れていただいたことに感謝を申し上げます。なかなか、省エネ法などではこの湿度に関して言われることがない。また、伝統的構法や日本の建築物、日本の文化は、自然とともにあるがために、木が一本一本違うように、一戸一戸全てが違うという意味では、画一的なデータがなかなかとりづらいというのも現実にあると思います。
ぜひ、これからも、国交省におきましては、伝統的構法や、また、和の住まい方も含めまして、リードしていただきますよう要望させていただきます。
それでは、本委員会へ付託となっております建設業法の改正について質問させていただきたいと思います。
本法案は、建築業を取り巻く社会経済情勢の変化に伴い、長時間労働の是正、現場の処遇改善、生産性の向上、持続可能な事業環境の確保のための改正と認識をしております。
今回の改正において、これまで、五年以上の経営業務の管理者としての経験を有する者がいることが求められていた建設業の許可基準が改められ、経験を有する個人がいることではなくて、法人として経営業務の管理が適正に行える状況を整えているかどうかが確認されることとなります。
五年以上経営業務管理経験のある者を必要とする規定について、若手経営者への業務引継ぎ、継承や、建設業以外の業種との兼業を行う事業者にとって支障となる可能性があるものとともに、五年以上の経験を証明、確認する作業にも相当の手間がかかっておりました。
改正第七条の一において、経営業務の管理を適正に行うに足り得る能力を有するものとして国土交通省令での基準が定められているが、どのような基準を想定しているのか、確認をさせてください。
○野村政府参考人 今御指摘の国土交通省令で定める基準については、先ほども御答弁申し上げたとおり、これから関係団体の意見あるいは他の事業法における事例も参考に検討を進めることとしております。
現在のところ、まず、経営業務管理体制については、今、許可を受けようとする建設業に関して基本的に役員の経験を有する者をその会社の役員等として配置することを求めているところ、その経験の役職の幅を広げて、役員又は相応の管理職の経験とすること、あるいは、業種の幅を広げて、建設業以外の業種における役員経験でも可とすることとともに、そのような者を役員として配置をするとともに、その役員として配置する者を適切に補助できる能力を有する者を補佐的に配置するということを検討しているところでございます。
それから、この条項の中で、さらに、社会保険加入などの義務を履行しているという、先ほどからの議論にありました点についても、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力の一つとして、この規定に基づいて確認をすることとしております。
○小宮山委員 今局長の方から指摘ございましたけれども、経営業務管理責任者の配置に加えて、国土交通省令で定める要件として、社会保険に加入していることなどが予定されているということでもあります。
国土交通省令の社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインにおいて、適切な保険の範囲が示されております。法人事業及び五人以上の労働者がいる個人事業所においては、健康保険については、年金事務所で加入する協会けんぽに加入するか、年金事務所で健康保険の適用除外承認申請による承認を受けて国民健康保険組合、国保組合に加入する、二通りの方法が適切な保険として認められております。
国保組合は、国民健康保険法に基づき、都道府県知事の許可のもと設立され、医師、弁護士、理容業、建設業など職種別に設立され、それぞれの組合が定める地域内に居住する事業者とその従業員が加入しており、全国に約百六十ほど組合があります。建設業にかかわる一人親方や職人などが加入する国民健康保険、国保組合としては、全建総連の運営する建設国保などがあります。
国民健康保険制度において健康保険料の収納率の低下が問題視され、またさらには、市町村から都道府県へと主体が移ることにおいて、更に収納効率が、向上というのが難しくなっているとの懸念も広がっております。これに対して、国保組合においては高い収納率が維持され、自立した運営が行われるなど、国庫補助もあるものの、国全体を考えれば、むしろ少額、小さな負担で済んでいると考えております。
社会保険への加入が建設業許可新規取得並びに更新の要件として定められているものは今回の改正に伴う国土交通省令での定めからとなりますが、これまでも要件とする方針が示されてきた中で、各地で誤解が生じておるようです。適正に国保組合に加入しているにもかかわらず、国保組合から抜けて協会けんぽに加入し直さなければならないとの誤解を招いて、誤った判断や指導助言が行われている場合があると伺っております。
その上で、平成十七年十二月の通知において、適用除外の承認が必要であるにもかかわらず申請を行っていなかった者の申請の期限が平成十八年三月末と示されており、それ以降に誤った判断に基づいて国民健康保険を抜けて協会けんぽに加入し直した者が、誤った判断、誤った解釈であることに気がついて、もとの国保組合への加入に戻したいと考えても、戻ることが、つまり適用除外の承認を受けることができなくなっております。
国交省では、五人未満の従業員を使用する事業者や一人親方などであって、現在既に建設業に係る国民健康保険組合に加入している者については、さらに、必要な健康保険に加入しているものとして取り扱われるものであり、社会保険未加入対策上改めて協会けんぽに入り直すことを求めているものではないこと、さらには、従前から国民健康保険組合に加入している個人事業主が法人化した場合、あるいは常時使用する従業員が五人以上に増加した際に必要な手続を行って加入しているものであれば適法に加入しているものとなり、年金制度は厚生年金に加入し、医療保険制度は国民健康保険組合に加入している事業所であれば、改めて協会けんぽに入り直すことを求める必要はないということについて、関係者への周知徹底に努めているとは思いますけれども、今回の改正で社会保険への加入が建設業の許可要件となるけれども、適切な保険への加入に関しての誤解を招かないよう、十分な周知徹底、さらには、国民健康保険、国保組合を抜けてまで協会けんぽに加入し直そうとする事業者に対して、制度の情報提供を丁寧に、また適切に行うことが重要かと考えております。
この点に関しましてどのように対応していくのか、御答弁をお願いいたします。
○石井国務大臣 社会保険制度では、法人や個人事業主の別や規模等によって法令上加入すべき保険の種類が異なることから、加入すべき適切な保険について、関係者に正しく理解をしていただくことが重要と考えております。
国土交通省では、平成二十四年に社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを策定をいたしまして、適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないなどの取組を進めているところであります。
一方で、ガイドラインの適切な保険に対する理解が徹底されていないとの声もあったことから、国土交通省といたしましては、適切な保険についての注意点を都道府県や建設業団体に通知したほか、元請、下請企業の建設業団体、建設企業、地方自治体等を対象とした説明会において適切な保険について説明を行うなど、これまでも周知徹底を図ってきたところであります。
また、加入すべき社会保険をフローチャート形式で確認できるリーフレットを作成をし、個々の労働者が事業所の形態や年齢に応じて加入すべき社会保険が確認できる取組もあわせて進めているところであります。
特に、平成二十九年度から令和元年度までの三年間において、地方自治体や建設業団体、建設企業等が参加をいたしました社会保険加入推進地域会議を全ての都道府県において開催することとしており、改めて、この機会を活用し、適切な保険に関する周知徹底を行っているところであります。
国土交通省といたしましては、引き続き、さまざまな機会を捉えまして、社会保険の適切な加入に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えています。
〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
○小宮山委員 引き続きまして、厚生労働省に伺います。
誤った判断や誤解に基づく助言などにより、国保組合を抜けて協会けんぽに加入する手続を行うなどした者について、希望すればもとの国民健康保険組合への加入に戻れるようにする、ある種の救済措置が整えられるべきではないかと考えております。この点に関しましての御見解をお願いいたします。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
先生の御指摘のありましたケースにつきましても、一定の手続のもとに協会けんぽに加入をしておりますし、また、我が国の国民皆保険のもとでは、医療保険の基本的な給付は、国民健康保険組合でありましても協会けんぽであっても同じというようなことを考え合わせますと、なかなか御本人の希望でまた国保組合に戻るということは難しいというふうに考えております。
ただ、先ほど来先生から御指摘ございましたように、今現在、国保組合に入っている方には、いわゆる適用除外、そういう制度がございますので、こういった点について誤った指導が行われないよう、私ども厚生労働省としましても、都道府県あるいは適用の窓口となります日本年金機構などともよく協力をしながら、改めて周知徹底をしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○小宮山委員 誤った判断を誘導する原因、何だと考えているんでしょうか。場合によっては、元請、下請、そして、発注先の求めに応じて行ってしまうときがあるようであります。当然、社会保険事務所の方では受け付けるでしょうけれども、個人の判断というのが、誤った判断、抜けなくてもいいものをわざわざ抜けて不利益を生じるということも、後から気がつくということもございます。
この点に関しまして、今、事業主なり発注元に対しての周知徹底、これは二次、三次、四次と下請の部分に対してですけれども、きちんと厚生労働省におきまして周知徹底をしていただきたいと思うんですけれども、改めてその点に関しまして審議官の見解をお願いします。
○渡辺政府参考人 御指摘のございました事業主レベルでの周知ということにつきましては、これは厚労省だけでなく国交省さんとも協力をしながらということが必要になると思いますが、御指摘のありました適用除外制度の周知につきまして、改めてしっかりと徹底していきたいと思っております。
○小宮山委員 建設業にかかわっておられる一人親方や個人事業主の皆様は、技能、技術で勝負されている一方、社会保険の取扱いとか税金に関することなど、全てを子細に把握するということは事業の内容から見ても難しく、見落としがちでもあるということもあります。国土交通省、厚生労働省、日本年金機構を始め、関係者から重ねて丁寧な周知や指導を行いますよう強く要望いたします。
そして、あわせて、今ありましたけれども、やはり、変更してしまって、協会けんぽに入らなくてもよかったのに入り直してしまったがために適用除外が外れてしまう、この点に関しましては、ぜひ、改めて、厚生労働省なりの中で猶予期間なりを設けることを検討していただくことを要請したいと思います。
さて、平成二十八年の六月の中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会中間取りまとめでは、委員会の審議の際に、ペーパーカンパニーや不良不適格業者を排除するため、現行の経営業務管理責任者要件は不可欠との指摘があり、企業において当該要件が過度な負担とはなっていないとの意見もございました。
経営業務管理責任者を要件とする許可基準の緩和、見直しは、不良業者等による参入増加の懸念も残るのではないかと考えられますけれども、国土交通省の御見解をお聞かせください。
○野村政府参考人 お答えをいたします。
今回の経営業務管理責任者の要件に関する改正でございますけれども、これも先ほど申し上げたとおりで恐縮でございますけれども、これまでは、その許可を受けようとする企業の役員の経験、個人の経験として、かつて役員等の経験をしたということを求めておったものを見直して、これを、許可をとろうとする企業、その組織の中で適切な経営管理責任体制が確保されていることを求めることとしたものでありまして、その意味では、考え方を合理化をしたというところはございます。
ただ一方で、建設工事は一品ごとの注文生産でありまして、一つの工事の受注ごとに、その工事の内容に応じて、例えば資金の調達、資材の購入、技術者などの配置、これらを行う必要があるなど、やはり他の産業と異なる経営能力が必要とされているところでございます。
このため、建設業者が適切に経営業務を管理する能力を有しているかについては建設業の許可に当たって重要な観点であることから、引き続き、建設業者が適切な経営管理責任体制を有することを許可要件として立てながらそれを確認をしていくというプロセスは、許可に際して堅持をしたいと考えております。
委員御指摘のように、不良不適格業者が参入することのないよう、許可の審査に当たっては、この許可基準、これから下位規定により明確にするところもございますけれども、しっかりと適切、厳格な運用に努めてまいりたいと考えております。
○小宮山委員 現行法上において、建設業同士の合併に伴い消滅する事業者が得ていた建設業の許可は、合併後の存続会社に承継されず、新法人、存続法人により改めて許可申請を行い、審査の後に許可について認められるなどの処分が行われることとなります。
このため、新たな許可を得るまでの間、工事などを行うことができない期間、おおむね一カ月から四カ月ほどにわたってという期間が生じてしまいます。
改正案では、第四節「承継」が新設され、建設業の譲渡、譲受け、合併、分割並びに相続時について、建設業の許可の承認に関しての規定が整えられることとなっております。
建設業の許可区分を分けての譲渡や分割、相続を認めていないのは、既存の建築物や進行中の案件に関しての責任の所在などが曖昧になることを避け、瑕疵担保責任などの承継にもつながるものなのかなと推測をしているところでありますが、二十九業種ある建設業の許可区分を別々の者に譲渡したり分割、相続することを可能としていない理由について、御説明を簡潔にお願いします。
○野村政府参考人 ただいま委員から御指摘がありましたとおり、今回は、基本的に、複数の許可業種を持っていても、それを別々の者に譲渡するという形については特例を適用しないということとしております。
これは、今ほど委員が御指摘されたような事情ももちろんのこと、例えば、建設業の実態としまして、複数の建設業について同一の営業所で営業を行っているケースが多い、あるいは、許可要件として営業所で専任の技術者を置くということになっておりますけれども、その一人の専任技術者がその営業所で行っている複数の建設業の専任技術者を兼ねているということなど、事業者全体として、そういう複数の許可業種に係る建設業が営まれている実態がございます。
このため、業種別に譲渡等をできるようにした場合には、それらの建設業の実態を踏まえると、技術的な要件を満たさなくなる蓋然性が基本的に高いということを私ども判断をしまして、この制度においては、いわゆる政策的な判断としまして、建設業の全部を承継する場合に限定をするという取扱いにすることといたしております。
○小宮山委員 仮に許可区分別の会社への分社化などを行おうとした場合、分社化後のそれぞれの社で許可をとり直すとか、若しくは、分社化後のいずれかの社にもとの全ての建設業許可を承継しておくとともに、許可を承継していない社において新たに許可を申請するといったこととなるのでしょうか。この点に関してお答えください。
○野村政府参考人 今ほど申し上げたとおり、基本的には、建設業の全部を引き継ぐという場合に適用することとしておりますので、例えば、あるA社が建設業を分けて分社化をするというときに、B社、C社に分けて分割するときに、C社に分割をしようとする業種を、A社の段階では一旦廃業した上でB社に引き継ぐものだけを残したとなれば、B社には丸ごと行くわけですから、その場合、今委員お話があったような、どっちかの一方にはこの特例を適用できるということは、可能性としては考えられるところでございます。
いずれにしましても、そうじゃない側、あるいは、そういうことをしないで、業を分けて分割をしてそれぞれに引き継ぐ場合については、新たに承継した事業者において建設業の許可を取得していただく、そういう必要が生ずることは御指摘のとおりであります。
この場合については、新たに申請する業者においては、これまでどおり、御指摘のとおりの許可の空白期間というものは存在することになりますけれども、例えば、事前に許可申請の内容について調整を行うことなどによって、その許可の空白期間をなるべく短縮することでその影響が最小となるように配慮していきたいと考えております。
〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕
○小宮山委員 そういたしますと、建築業の会社分割で、もとの会社は都道府県知事の許可であった上、分割後の会社が大臣許可を得ている、あるいはほかの都道府県知事の許可を得ている場合を示す法第十七条の二第三項のイ、ロのような、これは今提示したことでありますが、そのような事例というのは起こり得るのでしょうか。御説明ください。
○野村政府参考人 例えば、会社分割が行われる場合に、承継元の、譲り渡す側がその一部を分割して既存の会社がそれを承継するという、吸収分割のパターンが想定されるところでございます。
このような分割が行われる場合、もちろん、その場合も、今ほどの御指摘のように、一部分割した中に、建設業については全部の業種が含まれているという必要があるわけでございますけれども、さまざまな合従連衡といいましょうか、これからは、企業連携とかが生ずる中で、分割する会社が都道府県知事許可でありました、それを承継する会社が大臣許可を得ている、あるいは他の都道府県知事の許可を得ているという場合はございます。そうすると、そこに複数の許可行政庁が登場するということになりますけれども、そういったケースは想定され得ないことはないという前提のもとに、一応、法技術上の措置といたしましても、今御指摘のあった法第十七条の二第三項第三号イ、ロの規定を置いているところでございます。
○小宮山委員 公共工事の入札に当たっては、各発注機関が定めているランク分けにより参加できる工事規模などが定められているとしております。発注機関によって異なりますけれども、AランクからDランクまでの四段階とかCランクまでの三段階とか、分けられるようになっておるようです。経営状況や経営規模、技術力、そのほかの項目などを数値化して評価が行われており、また、地域事情や発注機関の目的に即した判断も行われると認識しております。
建設業のランク分けは発注機関それぞれの判断で行われるものと考えますが、建設業の譲渡、合併、分割などが行われた場合はどのように扱われることになるのか、見解を求めます。
また、譲渡、合併、分割時におけるランクづけの取扱いなどについて、各省庁、各地方自治体、各発注機関に対して何らかの通達や指導の類いを出すかもあわせてお伺いいたします。
○野村政府参考人 建設業者が公共工事の入札に参加する際には、許可行政庁において行う経営事項審査と発注機関が行う競争参加資格審査を受審する必要がございます。
経営事項審査や、例えば直轄工事の競争参加資格審査におきましては、従来より、事前打合せあるいは随時受付といった制度を設けることによって、例えば、建設業の譲渡などが行われた際に新たな経営実態に即した評価を速やかに行えること、そういう体制をとっております。
そういう意味で、経営事項審査や競争参加資格審査につきましては、今回の改正で盛り込まれる事業承継の規定は直接に影響しないということで、この経営事項審査、競争参加資格審査それぞれに取扱いに変更はございませんけれども、実態的には、今ほどの答弁のように随時受付といったようなことも行っているために、現在の取扱いでも支障は生じないものと考えております。
一方で、しかしながら、建設業者の営業に空白期間が生じないようにすることは非常に重要であるということでございますので、本法案の趣旨を踏まえて、成立の暁には、経営事項審査や競争参加資格審査の取扱いの変更の有無にかかわらず、委員御指摘のとおりに、各発注者に対しましては適切に周知を行ってまいりたいと考えております。
○小宮山委員 国土交通大臣による建設業の許可とみなすに当たって、許可番号などが新たに設けられ、また、許可証が新たに発行されることとなるのでしょうか。あるいは、従前の都道府県知事より受けた許可番号、許可証のままみなすこととなるのか。御確認いたします。
○野村政府参考人 都道府県知事により許可を受けた建設業者が、今回の改正で盛り込まれる承継の認可により国土交通大臣の許可を受けたとみなされた場合には、建設業の許可番号については新たに国土交通大臣許可の番号を付すということになりますので、ある意味、これまでなれ親しんだ許可番号が変わることになるということは御指摘のとおりでございます。
それから、許可証につきましても、許可番号の変更等を踏まえた修正を行うという形になると承知しております。
○小宮山委員 質疑時間の都合におきまして、申しわけありません、少し先の方に通告の順番を進めさせていただきます。
改正案第二十条の二において、工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供について新たに規定されております。工事等に影響を及ぼす事象としては、法文上、地盤の沈下について明記されているほか、国土交通省令で定めることとなっております。
工事予定地に遺跡、古墳など発掘作業が求められることが考えられる場合、あるいは、さきの大戦での化学兵器の類いなども含めた化学物質や、工場跡地もありますよね、不発弾などが残っている可能性がある場合などについても、義務づけられる情報提供に含まれることとなるのか。国土交通省令で定められる内容について御見解をお聞かせください。
○野村政府参考人 注文者が提供するべき情報につきましては、今後、詳細に検討した上で省令に定めていきたいと考えておりますけれども、現時点におきましては、例えば、地中の状況などに関する事項、支持地盤の深度、あるいは地下水位、地下埋設物、土壌汚染などの事項、あるいは周辺環境に関する事項、近隣対応、騒音、振動、日照阻害などの事項について定めることを現在考えております。
この改正では、注文者があらかじめ知っている情報を建設業者に提供することにより、施工における手戻りを防止することを目的としており、その意味で、例えば土地取得の経緯、あるいは近傍の事象により、その可能性について了知しているものを想定しているところでございます。
今御指摘のありました、遺跡、古墳など発掘作業が求められる可能性、あるいは化学物質や不発弾などが残っている可能性については、それぞれの建設工事現場において可能性があり得ることは当然否定できませんが、その土地において発見されるかまで通常はなかなかわからず、その発見は偶然に左右される極めて蓋然性の低いものであることが通常でありますことから、現時点ではそのようなものまで情報提供を義務づけることは想定していないところでございます。
○小宮山委員 法第二十六条の三第一項において、元請が主任技術者を配置している場合、下請においては主任技術者の配置を不要とするが、その場合に、第二十六条の三第八項、さらなる下請の発注が禁止とされることとなります。三次下請、四次下請、あるいはそれ以上など重層構造での、建築にはこの重層構造というのは特徴的なものかもしれませんが、受発注が起こる建設の現場において、今回の主任技術者の配置義務合理化の効果はどのように見込んでいらっしゃるのでしょうか。この点に関しましてお願いいたします。
○野村政府参考人 今回の法案では、主任技術者の配置を合理化して、下請の主任技術者について、一定金額未満の下請工事で一定の要件を満たす場合には、主任技術者の配置を要しないこととしております。
これは、先ほども御答弁いたしましたけれども、職人は抱えているけれども主任技術者たり得る技術者が不足しているという業者がいたときに、なかなか受注の機会が得られない、そういう現状にあるところ、今回の制度改正により受注機会をふやすことが可能となるということが考えられます。
また、法案では、主任技術者の配置の合理化に当たって、主任技術者を不要とされた下請建設業者からのさらなる下請を禁止することとしています。これは、さらなる下請を認めた場合には、適正な施工の確保に係る事業者及び技術者の責任の範囲が不明確となる可能性があるということを勘案して禁止するものであります。これによって、重層下請構造の改善にも結果としてつながっていくものと考えております。
今回の制度改正によって、将来的な技術者不足が懸念される中で、主任技術者の合理的な配置が可能となって、限りある人材の有効活用が進むことを期待しているところでございます。
○小宮山委員 今までもそうですけれども、重層構造なるがために、実質にはピンはねのような状態で、手取りが下に行けば行くほど本当に小さくなっている。元請で出していた額の分ではないことが起きてしまっています。今回のこの禁止の規定によって多くの職人や現場が守られ、そして、適正な福利厚生費などが支払われることによって安全が確保できるようになることを期待をしております。
次に、中央建設業審議会による建設工期の基準作成についてお伺いしたいと思います。
さまざまな要素が関係するために、単純化して定量的に基準を定めるということは容易ではないというふうに考えておりますけれども、その上で、各発注機関等は、入札制度を運営してきた実績を持つことから、建設に係る工数を積み上げて妥当な工事金額を見積もってきており、工事の工期についても一定程度以上に見積もっていけるものだと考えております。
この建設工事の工期に関する基準はどのように作成するのか、また、どのような規定となる見込みなのか、お聞かせください。
○野村政府参考人 この中央建設業審議会において策定する基準でございますけれども、これは、例えばいろいろな諸元を入れたら自動的に個々具体的な工事について工期が定量的に算出されるというふうなものではなくて、工期を設定するに当たって考慮すべき事項を定性的に定めていく、そういう考え方に基づいて工期設定をしてくださいというふうな形のものになろうかと考えております。
これは、例えば全工程に関する基準としては、自然的な要因であるとか、あるいはお休みによって稼働できない日であるとか、そういったものを考慮しなさい、あるいは、準備段階、施工段階、後片づけ段階で、それぞれ各工程においては、例えば、準備段階では、用地買収のこと、建築確認の進みぐあいのこと、あるいは近隣状況などのことを考慮しなさい、施工段階では、地下埋設物の存在のこと、掘削土をどうやって排出するかということ、あるいは受電の時期とか設備の試運転などのことを考えてください、後片づけ段階では各種の検査のことを考えてください、このようなことをそれぞれの工事のプロセスごとに定性的な形で書いていくことを現在検討しているところでございます。
○小宮山委員 法第十九条の五に関係しますけれども、建設工事を施工するための通常必要と認められる期間に比べて著しく短い期間の工期となるというんですが、この著しく短い期間というのはどのような判断になるんでしょうか。この点についてお聞かせください。
○野村政府参考人 工期につきましては、それぞれ具体の工事において、工事の内容や工法、投入する人材、資材などの量によるところがございまして、なかなか一律の判断というのが難しいと考えております。
例えば、先ほど申し上げた、休日、雨天による不稼働日など、まさにこの審議会が定める工期基準で示した事項がそれぞれ考慮されているかどうかということの確認、あるいは過去の同種、類似工事の実績との比較などを行うとともに、それぞれ建設業者による工期、建設業者側も工期を見積もる努力義務を課しますので、その内容などを踏まえて、工事ごとに個別に判断されるべきものと考えております。
まさに、著しく短い工期に該当するかどうかを判断するに当たっては、まず、建設業者などからの通報、相談などを端緒として、著しく短い工期であるなという疑いが高まったものについては、更に発注者側から資料の提出や報告を求めること、そして、さらには必要に応じて有識者の意見も伺いながら、実際にそれが著しく短い工期であるかどうかということを確認し、そして、確認した場合には勧告を行うこととして運用していきたいと考えております。
○小宮山委員 最後の質問とさせていただきたいんですけれども、工期の確保、施工の時期の平準化を図るための方策についてですが、この中においても、公共工事の施工時期の平準化については、市区町村など地方自治体においての取組推進が必要であります。
公共工事の発注機関、特に市町村など、施工時期の平準化推進に向けての取組はどのような事例が行われているのか、この事例は省いても構いません、御説明と、先進事例について広報、周知の取組について、やはりどういったやり方がいいのか、ぜひ、市町村に向けてどのようなことをされるのか、お聞かせください。
○野村政府参考人 公共工事の約三分の二を占める公共団体発注の工事、ここにおいて平準化を進めること、とても重要になっております。
先ほど来申し上げているとおり、特にやはり市区町村においてまだ低い水準にあるということを踏まえまして、国土交通省では、こういう平準化に向けた取組を多くの公共団体に広げるために、いわゆるさしすせそ、さは債務負担行為の活用、しは柔軟な工期の設定、すは速やかな繰越手続、せは積算の前倒し、そ、早期執行のための目標設定という五項目をさしすせそと称して、これをさしすせそ事例集と、ちょっと発音が難しいんです、これを公共団体が参加する会議などにおいて周知に取り組んできたところでございます。
先進事例ということで、時間もありませんので、ちょっとさわりだけですけれども、例えば北海道のある市では、かなり早い段階から明確に建設業者の経営環境の健全化、労働者の処遇改善、資機材確保の円滑化を図ることを目的として掲げた上でゼロ市債を設定しているということを取り組んでいるなど、非常にいい事例がございます。
そういう事例も盛り込んだ上で、これは現在第三版を公表しているところでございますが、適宜、先進事例、改定しながら、引き続き周知に努めていきたいと考えております。
○小宮山委員 先進事例や、また、さしすせそというわかりやすい表示の仕方というのは大変いいなと素直に思うことにいたしました。
さて、スマートフォンとかさまざまIT技術が発達しております。また、建設現場というのは、さまざまな方もいらっしゃいますし、近隣の方も注目しております。スマートフォンなどQRコードの読み込みなどで情報がしっかりととれるようにするとか、こういったこともぜひ御検討いただくことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。
建設業法及び公共事業の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
先日十五日までに、ゼネコン主要二十六社の一九年三月期の決算が出そろいました。連結ベースの売上高が初めて二兆円を突破した大林組を筆頭に、大手ゼネコンらの業績は好調でありまして、二十六社中十九社が増収、そのうちゼネコン大手四社、清水、大成、鹿島、大林は、今期、新規受注高が六年連続で五兆円台になるなど、大もうけしております。
これだけ大もうけしていれば、普通なら、建設業界のイメージもよくなりまして、学生の方々も建設業で働きたいな、こういうふうに入職を希望するようになり、人手不足にあえぐことにはならないはずだと思うんですね。ところが、現実はそうなっておりません。
本年五月七日、日経クロステックウエブの記事に掲載された独自調査を私、見まして、驚きました。ここでは、身近な若者や自分の子供に建設業界への就職を勧めたいと思うかという問いに対し、一般の人で、非常にそう思うと回答したのは、何とわずか一%なんですね。ややそう思うと答えた方と合わせても一二%にとどまる。何よりも、建設業界で働いている方々ですら、同じ設問に対して、非常にそう思う、ややそう思うと答えたのは合わせて二四%しかおりませんでした。全くそう思わない、余りそう思わないと答えた方が合わせて五割なんですね。
つまり、建設業界で働いている方々も、建設業で働くのは勧めない、自分の息子や若者たちに勧めたくない、こう思っている現実というのをやはり改善していかなければならないというふうに思うんです。
なぜ勧めないのかというのは、一般の方も、あるいは建設業で働いている方々も共通しているんですけれども、労働時間が長い、それから危険を伴いそう、そして給料が安そうというふうになっているんですね。労働時間が長いというのをきついというふうな表現に置きかえるならば、まさしく、きつい、危険、安いという三拍子そろいまして、建設業界を敬遠してしまうということが、昨今、建設業界の著しい人手不足になっているのではないか、とりわけ若い人たちの入職を阻害している要件ではないか、こういうふうに考えます。
これらを是正することが本改定案のやはり目的でなければならないというふうに思いますので、その立場に立って質疑をさせていただきたいと思います。
初めに、長時間労働の是正、工期の適正化について質問します。
新名神高速道路、高槻―神戸間の工事は、実に六名の死亡者と多数の負傷者を出した工事です。この工事について、発注元のNEXCO西日本は、事故現場を含む高槻から神戸の間の距離、約四十・五キロですが、この工期を二年間前倒しをする方針を二〇〇九年に示しておりました。
国交省は、この工期前倒しの方針について事前に把握されていましたでしょうか。これは道路局長にお尋ねしたいと思います。
○池田政府参考人 新名神高速道路の高槻ジャンクションから神戸ジャンクションの間の開通目標につきましては、平成二十一年の十二月に、平成三十年度の目標から二年前倒し、平成二十八年度の目標にする旨をNEXCO西日本が発表したものと承知をしております。
この発表に際しまして、事前に、この件については、当時の関係者に聞きましたところ、国交省の方には相談はなかったというふうに聞いております。
○清水委員 事前には聞きおいていなかったということですが、三十年度の完成工期を二十八年度に前倒ししたことについては、そのことは発表の後は御存じだったということだというふうに思います。
この前倒しが適正だったのかどうかということが非常に問題でして、例えばこの新名神高速道路でいいますと、二〇一六年四月に神戸市北区で起きた橋桁落下事故では、お二人の方が亡くなり、八人がけがをいたしました。事故から三年たちました先月に、当時の元請業者の現場所長に有罪判決が下されております。
地元紙によりますと、落下前の橋桁は鋼材や支柱を組んでつくった土台の上に置かれていたんですが、作業員からは土台の強度不足を不安視する声が上がっていたそうでございます。ただ、工事が大幅におくれていたために、今さら組み直せないなどとしてそのままにされたというんですね。当時、現場で働いていた方々も残業続きだったというふうに言われております。前日に土台がずれているという情報も寄せられたわけですが、多くの作業員は橋桁に乗ったまま作業をしていたということなんですね。まさしく命にかかわる場面で安全より工期が優先されたのではないか、このように報じられているわけなんです。
著しく短い工期による請負契約の締結を禁止するという本改定案は、長時間労働を是正することはもちろんのこと、それにとどまらず、やはり、このような事故を根絶していく、建設現場の安全確保につながっていく、そういう法案であるべきだというふうに思うんですが、石井国土交通大臣の所見をお聞かせください。
○石井国務大臣 本法案では、著しく短い工期での請負契約の禁止など、工期の適正化を図る規定を設けることとしておりますが、その目的の一つは、建設業の働き方改革を進める観点から、適正な工期設定を通じて長時間労働を是正することであります。
加えて、今回の改正によりまして、発注者の理解も得て適正な工期が確保されれば、余裕を持った工程管理が可能となり、例えば、長時間労働による注意力の低下の防止、現場就業者に対する安全教育の時間の確保が図られるという効果をもたらすものと考えられます。
この点で、工期の適正化は、労働災害の防止など、現場の安全確保にも寄与するものと考えております。
○清水委員 ありがとうございます。
労働災害の減少にも寄与するものだという御答弁をいただきました。
ところで、今大臣の方からも答えていただいたんですが、適切な工期を設定する、ゆとりある工期を設定するということが長時間労働を是正していくんだ、そして労働災害を減少していくんだというこの法案なんですが、実は、ちまたに、私も驚いたんですが、工期短縮を促進するという書物が出ているんですよね。
私もびっくりしたんですが、ここでは、工期短縮にはさまざまなメリットがあるというふうに書かれておりまして、例えば、工期短縮が人手不足の解消につながることを御存じだろうか、このように書かれていたり、あるいは、工期短縮によりまして建設工事現場の最重要課題である労働者の安全を守ることができるかもしれないというふうに書かれているんですよね。
表面だけ切り取っていろいろ言うつもりはないんですが、まさしく、今回、適正な工期をとろうというふうに言っているのに、工期を早めることによって、短縮することによっていわゆる長時間労働をなくすだとか労働災害をなくすだとか、真逆のことを推進しているような本を読みまして、私、非常に違和感を感じたわけなんですね。
更に言うと、早く終われば次の仕事で稼げるから早く終わらせるべきだとか、絶対工程を算出して余裕工程は後回しにする、そのことが工期の短縮になるということなども提唱しているわけなんです。私はこれは、先ほど紹介しました事故の問題などを捉えましても、実態を見ないものだと言わなければならないと考えております。
私は石井大臣の決意をお伺いしたいんですが、今後も、建設現場では、利益確保のため、発注者やあるいは最上位下請が利益を上げるために、工期を短縮しなさいという圧力をいわゆる下請などにかけていくということも考えられると私はこの本を見て懸念したところなんです。
国交省として、あくまでも、本法案の趣旨、長時間労働を是正する、いわゆる生産性を向上し、若い人たちの入職を促進する、そして労働災害を減少させていくというこの趣旨を徹底し、やはり適正な工期をしっかりと確保していくんだ、著しい短い工期は禁止をするんだということでこうした巻き返しなどを退けていく、そういう強い決意をぜひ聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○石井国務大臣 適正な工期設定を進めることは、建設業の働き方改革の推進に加え、将来の担い手確保のために極めて重要と認識をしております。
適正な工期の実現に向けては、発注者のみならず、元請事業者や上位下請業者を含む関係者の理解と協力を得ながら、下請契約においても工期の適正化を進めていくことが不可欠であります。
このため、本法案においては、発注者、受注者、有識者の三者で構成をされます中央建設業審議会で工期に関する基準を策定をし、請負契約の当事者に勧告をしてまいります。
国土交通省といたしましては、発注者や元請事業者を含む関係者に対し、本法案の趣旨や適正な工期の必要性について周知徹底を図っていく所存であります。
○清水委員 ぜひとも、周知徹底、努力をしていただきたいと思います。
次に、賃上げの問題について質問させていただきます。
公共工事の設計労務単価は七年連続で上昇しております。二〇一二年に比べても約四割上がっているんですね。しかし、現場の、特に中小の建設業の現場では、賃金の上昇というものは本当に微々たるものだということなんです。設計労務単価と日給の格差が広がるばかりだという全建総連の方々の調査も見せていただきました。
このように、設計労務単価というのは、本来は賃金に適正に反映されなければならないはずなんですよね。ところが、そうなっていない。
私、質問したいんですけれども、本改定案では、下請代金のうち労務費相当分を現金払いにするということが記されております。手形ではだめですよ、ちゃんと現金払いしてくださいよと。これは必要なことだと思います。重層的な下請構造のもとで、この業界の中では、やはり労務費そのものが低く抑えられているということもあると思うので、そのあたりもしっかり目配りをしていくということが重要でしょう。
同時に、暮らしていける、やはり建設業で働くことが魅力あるという適正な賃金を受け取るためには、やはり、法定福利費、それから、これは建設職人基本法でも求められたものですが、安全衛生経費、これらが現場労働者に対して、下請まで確実に支払われなければならないと思うんです。それも含めて労務費だということでがっちゃんこして支払われるということになれば、これは正確に賃金に反映されないということになると思うんですね。
資料の一をごらんいただきたいと思います。この資料の一は、法定福利費の受取状況、実態調査の結果ということで、国土交通省に出していただいたものなんです。
この法定福利費がどれだけ受け取られているかということなんですが、公共事業では、一次、二次下請で法定福利費を一〇〇%以上確実に受け取れた工事の割合が約六割を超えておりますけれども、三次以下では約四割しか受け取れていないということがわかっております。また、民間発注工事でも、三次下請以降になりますと、一〇〇%以上法定福利費を受け取ることができたのはやはり四割にとどまっているわけですね。
ですから、確実に支払われていないわけなんですよ。場合によってはゼロ%から二〇%といって、ほとんど法定福利費が受け取られていないというようなことも国交省の調べで明らかになっているわけです。
私、思うんですけれども、安全衛生費も含めまして、最下位の下請事業者にまで支払うことを確実に行うためには、もちろん、国交省さんはこれまでも内訳明示ということで努力されていることは承知しているんですが、やはり実態がこうなっている以上、もう一歩踏み込んだ取組というのがこの法定福利費などを一〇〇%しっかり払わせていくという上で重要だと思うんですが、そこはいかがですか。
○野村政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、例えば法定福利費に関しましては、内訳明示をされた標準見積書の活用の徹底、あるいは標準請負契約約款にもそういう記載を盛り込むというふうな取組を行うということをやってまいりました。
一方で、今御紹介された調査のように、下請次数の高い企業ほど必要な法定福利費を受け取れていないということも調査の結果では見てとれているところでございます。
それから、安全衛生経費につきましても、これは労働災害防止対策を適切に実施する上で必要な経費でありまして、これも建設業法令遵守ガイドラインによって企業を指導してきたところでございますけれども、更に、現場で安全に安心して働くことができるように、安全衛生経費の確保に向けた取組を進めることが重要と考えております。
そのために、私どもとしては、例えば、ちょうどつい先日、今月十五日には、建設業団体あるいは発注者団体、行政関係機関等を構成員とする建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会、こういったものを組織しているんですけれども、そこにおいて、活用がおくれている市区町村発注工事を始めとして、公共、民間工事における見積り、契約段階での法定福利費内訳明示の活用徹底を図ること、あるいは、公共工事においては特に、その実施に関する数値目標、目標年度を設定し、これをフォローアップすることなどについて本年度における協議会の重点課題としたところであって、今後、具体的に取り組むべき施策について、更に取りまとめを行うということにしてございます。
それから、安全衛生経費でございますけれども、建設職人基本法に基づく基本計画を踏まえて、現在、建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会を設置しまして、実態把握なども踏まえながら議論を行っているところでございます。
これにつきましても、本年三月から五月にかけて、施策を検討するために必要な基礎データの作成を目的といたしまして、建設業者に対して、建設工事の安全衛生経費の実態に関する調査を実施しております。
今後、この調査の結果を踏まえながら、検討会において更に意見をいただきつつ、安全衛生経費が下請負人まで適切に支払われるような施策の検討を進めていきたい。
法定福利費と安全衛生経費、一緒にお答え申し上げましたけれども、そのようなことを今後考えております。
○清水委員 さまざまな取組を検討されているということでございますので、ぜひ、もう一歩踏み込んだ取組を強化していただきまして、法定福利費、安全衛生経費、確実に支払われるよう努力をしていただきたい。要望しておきたいと思います。
次に、特定技能一号と認定された建設現場で働く外国人労働者の問題について伺います。
特定技能を持つ外国人建設労働者については月給制を採用するというのが国交省の方針だということを伺いましたが、これは間違いありませんか。間違いないかどうかだけ。
○野村政府参考人 建設業におきましては、受注状況や季節により業務の繁閑が生じやすく、工事現場で働く技能者について、例えば日給制や時給制を採用している場合は賃金の変動が発生することがございます。
このため、建設分野における特定技能外国人の受入れに当たっては、当該外国人にとってわかりやすく、そして安定的な処遇を確保するという観点から、月給制による賃金支払いを求める方針としております。
また、安定的な処遇の実現は、有為な外国人材の確保や不当、不安定な待遇を理由とした失踪等の発生防止にもつながるものと考えております。
○清水委員 月給制を採用する方針だということがわかりました。
特定技能の外国人に月給制を適用するというのであれば、同じ外国人の建設業の技能実習生や、あるいは東京オリンピック・パラリンピック関係に従事されている外国人建設就労受入れ事業でも、やはり月給制を採用するべきではないかというふうに思うんですが、このあたりは検討されているんでしょうか。
○野村政府参考人 お答えをいたします。
外国人材に対する安定的な処遇の確保に向けて、建設分野の技能実習生それから外国人建設就労者についても、やはり、賃金の支払いにおいて、より配慮された手続を求めるということが妥当だろうと思っておりますが、これは、制度が技能実習も就労者制度も進んでおるということで、既存の制度ということもございますので、関係機関と十二分にすり合わせる必要がございますけれども、この技能実習生や外国人建設就労者につきましても月給制による賃金支払いが可能となるかどうか、そういう方向で、現在、それらの関係機関とともに検討を進めているところでございます。
○清水委員 検討を進めているということでありました。
やはり、不当な処遇をなくし、日本人と同等以上の報酬を支払っていくということでありますので、ぜひその徹底を求めていきたいというふうに思います。
最後に、新国立競技場の問題について質問をしたいと思います。
五月十七日に、衆議院国土交通委員会といたしまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開会式や陸上競技が行われる新国立競技場の建設現場を視察させていただきました。
ここでは、日本スポーツ振興センター、JSCから、新国立競技場整備事業における健康管理に係る取組について説明を受けました。
ここでは、時間外労働の短縮化の促進を目的に、現場内詰所の原則二十時閉所などを徹底するということに取り組んでいるということを御紹介いただきました。非常に大事なことだと思うんです。九時から五時にするとか、残業は六時までしか認めないとか、あるいは作業開始前に健康チェックをするとか、あるいは、相談窓口を求めて、すぐに悩み事や精神的な苦しさがあるときには連絡をしてください、そういう相談窓口が求められているということなど、さまざまな取組が行われていることを教えていただきました。
これらが導入された経緯について、きょうはスポーツ庁に来ていただいているんですが、教えていただけるでしょうか。
○齋藤政府参考人 お答えいたします。
新国立競技場の整備事業において、平成二十九年三月、下請事業者の従業員が過労により自殺する事案があり、これを契機として、労働基準監督署から元請及び下請の一部事業者に対し、時間外労働が一カ月八十時間を超えたケースがあること、労働時間の……(清水委員「済みません、もう少し大きな声で」と呼ぶ)失礼いたしました。時間外労働が一カ月八十時間を超えたケースがあること、労働時間の把握が不十分であることなどが指導されました。
これらを踏まえ、元請事業者である大成建設JVにおいて、先ほど御紹介のありましたとおり、全従事者の健康管理に係る取組として、現場内に健康相談室を設置し医師や看護師を配置すること、現場内事務所の二十時閉所を徹底するなど、時間外労働を短縮化することなどに取り組むこととしたものであります。
○清水委員 二〇一七年三月に、新国立競技場建設現場の一次下請の従業員が二十三歳という若さで過労自殺をされた。この方は、一カ月に二百時間近い残業、時間外労働が認定されているわけでして、こうしたことを是正するということで始まった取組だということの回答でした。
どうして、この亡くなられた現場作業員はこのような過酷な時間外労働をしなければならなかったのかということが問題になるんですよね。
この労働者が従事していた工事の工期が、地盤改良工事に携わっていたというふうに私、承知しているんですが、そもそもこの工期が適正だったというふうにJSCは見ていたんでしょうか。それはスポーツ庁、把握されていますでしょうか。
○齋藤政府参考人 平成二十七年八月に関係閣僚会議が決定した整備計画においては、新国立競技場の完成が大会に確実に間に合うよう、工期の期限は二〇二〇年四月末とした上で、国際オリンピック委員会等の要請を踏まえ、同年一月末を工期短縮の目標とした技術提案を求めております。
これに対して、大成建設JVから、技術提案において、法令遵守を前提として、工期の期限を二〇一九年十一月末とする提案がなされ、発注者である日本スポーツ振興センターの技術提案等審査委員会で学識経験者が審査をし、工期短縮の信頼性が高いと評価されたものであると承知しております。
○清水委員 いや、そうじゃなくて、新国立競技場全体の工期のことを今おっしゃったと思うんですが、私が聞いているのは、この過労死された方が取り組んでいた地盤改良工事の工期が適正だったというふうな認識だったのかどうか。
きょうは、この法律は、いわゆる長時間労働をなくすということで、適正な工期を求めていくという審議をしているわけですからね。この私の質問にちゃんと答えていただきたい。もう一回お願いします。
○齋藤政府参考人 御指摘のありました地盤改良工事につきましては、当初、二〇一七年の四月三十日を末とする契約が結ばれておりました。
ただ、実際には、地中障害物が出てまいりまして、これは想定していなかった事態ということでありまして、これにより、当該地盤改良工事については延長が必要になったという状況がございます。
これについては、当該地盤改良工事の契約自体を四月三十日の契約期限から六月三十日まで延長した上で対応したというふうに承知をしております。
○清水委員 それで、工事は六月三十日に完了したんでしょうか。
○齋藤政府参考人 本件については、JSCに確認をさせていただきましたが、六月三十日で完了しているというふうに報告を受けています。
○清水委員 これは日本経済新聞、二〇一七年七月十四日のウエブ記事によるものなんですが、この過労自殺された男性の会社は、地盤改良工事自体の工期は二〇一七年六月三十日、今言われたとおりなんですが、十日おくれの七月十日に完工した、このように答えているんですよね。報道されています。
ですから、今言われたこととは矛盾するんですが、いずれにしても、おくれていたということは間違いないというふうに思うんですよね。
確かに、最初の四月三十日までという工期については適切だったかもしれませんが、やはり現場というのは生き物です。今言われたように、地中障害物が見つかって、工期そのものを延ばさなければならない。しかし、その地中障害物を取り除くためには、当初予定していなかった新たな重機だとか新たな作業だとか、そういうものが生じるわけですから、もともと設定していた工事期間とは、当然その幅が変わってくるということは容易に考えられるわけなんですよね。
実は、この問題で、私たち日本共産党の国会議員団は、二〇一七年八月一日に、JSCの方々と懇談をして聞き取りさせていただいたんですが、ここで、JSCの担当者が、作業の時間やボリューム、仕事量ですね、そこまで審査したわけではないと。もともとの工期期間についても細かく見たわけではないということを吐露されているわけです。この場には、国交省の方もスポーツ庁の方もおられたわけなんですね。
ですから、私は、本当にこの法案の、著しく短い工期を禁止する、本当に長時間労働を是正し、労務災害を減少させていく、そういう法律の実効性をしっかり担保させていくということが大事だと思うんですね。それでこそ、この法案の背景から生じた問題意識を具体化し、目的である週休二日を実現していこう、週休二日ができたとしても賃金は減ることのないように、若い人たちが入職できるように努めていこう、この法案の狙い、目的を実現させていくことができるんじゃないかなというふうに思うんです。
最後に、石井大臣にお伺いしたいと思います。
今回、この法案が、著しい工期を、請負契約を締結してはいけないと新設させたことは本当に重要だと思うんですが、これを実効あるものにするためには、やはり、問題が生じてから、それを把握してから是正するということもそれはもちろんあると思うんですが、せめて、入契法が適用される公共事業、これに関しては、国土交通省が工期期間を主体的に確認する、チェックする、そして問題があれば指導する、そういう姿勢が重要ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 今般の法案では、公共工事の発注者が取り組むべき事項を定める適正化指針の記載事項に、公共工事の施工に必要な工期の確保を追加することといたしました。
さらに、公共工事を含む全ての建設工事の請負契約について、中央建設業審議会において工期に関する基準を策定し、その実施を勧告することといたしました。
また、著しく短い工期による請負契約を締結した場合において、特に必要があると認めるときは、発注者に対して必要な勧告をし、勧告に従わないときはその旨を公表することができることとしております。
全ての公共工事に関しまして、国土交通省が主体的にその工期を確認することは困難と思いますが、今般の法案に盛り込まれた措置を通じまして、適正な工期の確保が実効性あるものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
○清水委員 確かに、全ての公共事業をチェックするというのは一足飛びにできるものではないと思いますが、入契法に基づく公共事業というのであれば、先ほど私が述べました新名神高速道路や、あるいは今回の新国立競技場の建設現場も含まれるわけですから、ぜひ努力をしていただきたいと思います。
建設業が若者にとって魅力ある産業として発展していくためにも、長時間労働や事故をなくし、たくさんの賃金を受け取って働き続けることができるものにしていくことが求められているというふうに思います。我が党も努力することを申し上げて、質問を終わります。
○谷委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上です。
もう多くの方が質疑をされていて、重なるところもあるかもわかりませんけれども、よろしくお願いをいたします。
それじゃ、建設業法の改正についてお聞きをいたします。
建設業は、インフラの整備などで地域の経済社会を支えるのみならず、災害が発生した際には迅速に応急復旧や復興に当たるなど、地域の守り手として重要な役割を果たしております。
しかし、これまでの建設業は、長時間労働で、週休二日もままならず、魅力のある職業とは言いがたい状況にあったと思います。この結果、若年者の入職というのが極めて少なく、著しい高齢化が進んでおります。このままでは、なりわいとしての今後の持続可能性というのがやはり懸念をされます。
今後も建設業がその役割を果たし続けるためには、この法律案によって建設業における働き方改革や生産性向上の取組というのを後押しすることによって、また、特に若年者にとって魅力的な産業へと変貌を遂げて、現在及び将来の担い手の確保というのを図っていかなければならないと考えます。
そしてまた、建設業の働き方改革は、五年間という猶予期間が設けられているとはいえ、現状を鑑みますと、残された時間というのは非常にわずかでありますし、早急に取組を進めていかなくてはならないと考えます。
そのためには、工期のしわ寄せが労働者に及ばないよう、あらかじめ余裕を持った適正な工期というのを設定していく必要があるということが重要であると考えます。
その件で、今回の法改正により、著しく短い工期による請負契約の締結というのが禁止をされますが、まずは民間工事、お聞きしたいと思うんですけれども、民間工事において適正な工期設定を促していくためには、まずは発注者の理解というのと意識改革というのが必要だと考えますが、具体的にどのように取り組むのか、大塚副大臣にお聞きしたいと思います。
○大塚副大臣 適正な工期設定を通じまして、長時間労働を是正するとともに、週休二日を確保するためには、建設業の将来の担い手を確保する観点からも極めて重要であるというふうに認識をしております。
また一方で、適正な工期の実現に向けては、建設業者による生産性向上などの自助努力とあわせまして、発注者の理解と協力を得ながら取組を進めていくことが不可欠でございます。
このため、本法案におきまして、発注者、受注者、有識者の三者で構成される中央建設業審議会で工期に関する基準を策定し、発注者を含めた請負契約の当事者に勧告をいたします。
また、私が副議長を務めております建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議、民間発注者を所管する関係省庁にも参加をいただいておるところでございまして、本会議におきましても、適正な工期設定を始めとした本法案の周知徹底を図るとともに、各省庁を通じまして民間発注者にも周知してまいりたいというふうに考えております。
加えまして、まず、直轄工事でほかの発注者の参考となる取組を率先して進める観点から、週休二日工事の適用拡大などに取り組んでいるところであります。
引き続き、地方公共団体に対しましても、こうした取組の浸透を図ってまいります。
○井上(英)委員 副大臣、ありがとうございます。ぜひ周知徹底をお願いしたいと思います。
次に、公共工事についてお伺いをしたいんですけれども、公共発注者については、予算の単年度主義によって工期に制約というのが生じていることから、年末や年度末に工事が集中して長時間労働を余儀なくされているだとか、一方で、年度当初はやはり仕事がなくて暇にしているなどといった声を耳にします。
地方自治体の中にも、柔軟に工期を設定したいという意向、気持ちがあるものの、予算単年度主義による縛りで実施できない例や、地方自治体の人事異動の多くが四月に実施されるため、四月に着任した担当者が業務になれるまでに時間がかかるということで発注がおくれてしまっているというような事例もあるというふうに聞きます。
そこで、各地方自治体による平準化の現状について、国土交通省としてどのような認識をお持ちなのか、また、平準化が進まない要因についてどのように考えているのかをお聞かせいただけますでしょうか。
○野村政府参考人 お答えをいたします。
年間を通じて地域の建設業が持続的に活躍できる環境を整えるという点で、国のみならず地方公共団体においても、施工時期等の平準化を進めることは大変重要なテーマでございます。
この平準化を進めるためには、債務負担行為やあるいは繰越明許費を活用して年度をまたいで工期を設定することにより、工事量が少なくなる特に四月から六月までの年度初めの現場稼働の偏りを解消するという姿勢を持つことが重要でございます。
この現状について、若干数字を挙げて恐縮でございますけれども、平成二十九年度の建設総合統計に基づいて算出したデータとして、公共工事の四月から六月までの月当たりの平均出来高を年度を通じた月当たりの平均出来高で割った数字、つまり、平たく言えば、年度平均に対して四月―六月の各月がどれぐらいの割合にあるかという、それを見ますと、国発注工事では〇・八八であるのに対して、都道府県では〇・七二、市区町村では〇・五九となっており、特に市区町村において、やはり四月―六月、現場稼働の偏りがやや大きいという数字になっております。
公共団体の平準化の取組については、先ほどより紹介している、その取り組んでいる事柄の状況で見ても、市区町村において、やや取組が、ふえてはいるものの低い水準であるという数字が見てとれるので、やはり、そこのあたり、これからは更にきちっと働きかけをしていくことが必要なんですが、一方で、今御指摘もありましたように、私どもも、どうして平準化が進まないのかということを、生の声も聞かなくてはいけない。
これは都道府県に対して実施したアンケート調査ではございますけれども、その中では、例えば債務負担行為や繰越明許費の活用について、財務部局や議会の理解を得ることが難しいことであるとか、特に市区町村においては、予算規模が小さくて工期が短い工事が多いため、年度をまたいだ工期を設定することについて理解を得ることが難しいことなどを課題として挙げる声がございました。
このような声を十分踏まえながら、更に平準化が進むよう、私どもも、いろいろ工夫しながら取り組んでいきたいと考えております。
○井上(英)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
今回の法案では、必要な工期の確保や施工の時期の平準化というのが入札契約適正化指針というのに位置づけられることになっています。やはりこの規定の実効性をどのように担保していくかということが重要だと思います。
今回のように法律に位置づけることにより地方自治体の取組が進むのではないかと私も期待をしておりますが、重ねてちょっとお伺いをしたいんですけれども、今回の改正を受けて、地方公共団体発注工事の平準化が更に進むよう具体的にどのように取り組んでいかれるのか、そしてまた、この平準化に関する積極的な取組を促すために、平準化の取組状況を見える化していくということも有効だというふうに思うんですけれども、どのような見解をお持ちか、お聞かせいただけますでしょうか。
○野村政府参考人 これまでも、施工時期の平準化につきましては、例えば、総務省との連名をしっかり書いた上で文書による要請を行うほか、文書だけではなくて、国や公共団体が構成する、担当者が集まる会議などで直接働きかけを行うということをしてきたところでございますけれども、今回の改正によって、公共発注者が取り組むべき事項を定める入札契約適正化指針に必要な工期の確保あるいは施工時期の平準化を図るための方策を位置づけることができれば、公共団体等に努力義務が法律上かかるということで、それに基づいて、国から地方公共団体に対して更に要請を行うこと、そして、地方公共団体から取組状況の報告をしっかりと求めてそれを公表するということができることになろうと思います。
そして、やはりこの公表ということは私は重要なことだと思っておりまして、それぞれの取組の状況を公表することによって、地方公共団体がみずからその現状を把握することが可能となるということで、今委員の御指摘になった見える化ということ、やはりこれは、それぞれが、今自分たちがおくれているのか進んでいるのかというようなことを客観的に把握するためにも、そういう方策は考えていかなくてはいけないと考えております。
それらの方策については、今後も、総務省とも連携しながら、そしてまた、当事者の公共団体の意見もしっかりと聞いた上で、まさに平準化の取組状況の見える化とその公表の方法も含めて、具体的な検討を進めていきたいと考えております。
○井上(英)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
やはり、適正な工期というのが設定されることによって長時間労働が是正されるということは非常に歓迎すべきことでありますし、ただ一方で、賃金が減って働く人々の生活が苦しくなってしまうというのでは意味がないというふうに考えます。特に建設業は日給の労働者も多いというふうに言われており、週休二日の推進が収入の減少に直結しないように処遇の改善というのを図っていくというのも、一方で喫緊の課題だと我々は考えます。
今般の法案では、下請代金のうち労務費相当部分について現金払いをするように規定が新設されましたけれども、配慮義務にとどまっております。元請、下請間では賃金がきちんと支払われていたとしても、その下請から、さらに一次、二次、世に言う孫請間では、公共発注工事であってもきちんと支払いがなされていないという例もあるとお聞きをしています。私の地元でも、そういう未払い、不払いがあったときに、役所なんかに業者さんが陳情に行くと、それは民間同士の契約の話だといって対応もしてもらえないというような現状があります。
民間発注工事であれば、一方でそれはまだ納得できるんですけれども、これは私の持論なんですけれども、発注者が地方公共団体である公共事業においては、やはり、下請や孫請、さらにそれらの会社で働く労働者にまで資金や賃金がしっかりと行き渡るようにしっかりすべきではないかというふうに考えます。
これも重ねて聞きますけれども、真面目に事業に取り組んでおられる下請事業者がきちんと請負代金を得られるようにどのように実効性を上げていかれるお考えなのか、そしてまた、週休二日など働き方改革を進める中でどのように適正な賃金の確保というのを図っていくおつもりなのか、お伺いいたします。
○野村政府参考人 まず、請負代金が下請、孫請まで適切に支払われて、そして、賃金がそれらの労働者までしっかりと行き渡ることは、働き方改革を進める上で非常に重要な課題だと考えております。
国土交通省におきましては、従来からの取組として、建設業法令遵守ガイドラインを改定をして、下請代金の支払い手段を改善していくことについてしっかりと周知を徹底するということ、それから、元請事業者は下請事業者に対して下請代金の支払いを現金払いにより行うよう、毎年資金需要の増大が予想される夏期と冬期の二回に建設業団体を通じて通知する、さらには、下請事業者に適切に支払われているかどうかを実態把握をするために下請取引等実態調査などにおいてそれを確認し、不適正な取引が認められた事業者に対しては個別に指導を実施する、それから、建設業取引適正化推進月間において、建設業者を対象とする講習会を、さまざまなテーマに基づいて、これまで以上に積極的に実施するなどの取組を進めてきたところでございます。
そして、加えて、今回、下請代金のうち労務費相当部分については現金払いをするよう配慮を求める規定を新設したところでございます。
まさに、労務単価も引き上げてきたということではございますが、その効果は、やはりしっかり実賃金として行き渡るということを達成するということは重要なことでございます。
これにつきましても、私ども、労務単価の引上げとともに、まさにそれが技能者の賃金水準の上昇という好循環につながるように、関係方面に繰り返し要請してきたところではございますけれども、まずは公共工事において、他の公共工事あるいは民間発注者の参考となるようにさまざまな取組を率先して進めるという考え方をとって、さまざまな取組もしております。
例えば、国直轄工事においては、週休二日を確保した工事などで労務費等の補正も行い、それが更に公共団体において取り組まれるように、これも、フェース・ツー・フェースの場、全ての都道府県や市町村が参画する地域発注者協議会等の場において直接働きかけを行っていくなどをして周知徹底をしていく、それらの取組を進めることによって適正な賃金の確保というものを図っていきたいと考えております。
○井上(英)委員 ぜひその実効性をしっかりと確保していってもらいたいなというふうに思うんですね。
やはり、建設業界ですと施主ですね、それから運輸業界だったら荷主だとか、圧倒的に上位なんですね。やはりそういった下請さんや孫請さんというのが、賃金も含めた工事代金の未払いや不払いというのが起きることによって、さまざまな大きい弊害が生じてきますので、ぜひともお願いをしたいと思います。
人手不足についてお聞きをしたいと思いますけれども、やはり、先ほど、冒頭も申し上げたように、人手不足というのは非常に喫緊の課題だと思います。
人手不足感が強くて、長時間労働で休暇も十分にとれないという実態で、次世代を担う若年の技術者の確保というのが非常に重要な問題でありますけれども、若者の入職促進にどのようにつなげていくお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○野村政府参考人 今回、技術者の配置にかかわる制度を合理化するということの中で、まず、技術検定制度、これを一次検定、二次検定に再編成をして、一次検定に合格した者、これに技士補として新たに資格を付与するということに取り組むこととしております。
この一次検定については、二級の第一次検定においては十七歳以上であれば、そして、一級の第一次検定については二級の合格者であれば、技士に必要な実務経験の年数を経ることなく受検ができる、そういうことにしようとしておりまして、早期に技士補の資格を得られるように努めるということを考えております。
そして、先ほどから御紹介しているように、監理技術者の制度の合理化に伴って、技士補を現場で専任で配置をするということがこれから行われるとすれば、そういうキャリアステップというものが見える化されるとともに、先ほどの答弁ではありませんけれども、若手技術者が施工体制の中で明確に、自分はこういうポジションが与えられて、そこでこういう役割を果たすんだということが自覚をできて、まさに責任ある立場で従事させることが可能となれば、若者の技術者のモチベーションの向上、そして建設業界に入職する動機づけが強化されると私どもとしては期待しておるところでございます。
○井上(英)委員 ぜひお願いをしたいと思います。
そういった中で、人口もどんどんどんどん減っていくわけですから、やはり人材の確保も大事なんですけれども、一方で、ICTなどの活用によって、建設業現場の、効率的に、そして生産性を向上させていくということは非常に大事かなと思うんですけれども、国交省では、i―Construction貫徹の年と本年をされているということでありますけれども、そういった工期の短縮や費用の縮減といったものを、いかなる成果を上げることを目標とされているのか、大塚副大臣にお聞きしたいと思います。
○大塚副大臣 人口減少社会を迎えている我が国におきまして、社会資本整備を支え、地域の安全、安心の確保を担う建設業が今後もその役割を果たしていくためには、働き手の減少を上回る生産性の向上と担い手確保に向けた働き方改革が喫緊の課題でございます。
このため、国土交通省では、調査、測量から設計、施工、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスによるICTの活用や、施工時期の平準化等に取り組む建設現場の生産性革命を二〇一六年から推進しております。
私も先日、レーザースキャナーを使った測量や、三次元マシンコントロールバックホーによる施工に取り組む現場を視察し、i―Constructionの重要性や有効性を実感をしてまいりました。
ことしはi―Construction貫徹の年と位置づけており、具体的には、ICT施工の対象を地盤改良工やのり面工等に拡大、また、事業全体で三次元データを活用するBIM、CIMを用いた三次元情報活用モデル事業の実施、これまで十カ所に設置をしておりました相談窓口を各都道府県の五十三のi―Constructionサポート事務所に拡大するなどに取り組んでいるところでございます。
これらの取組により、i―Constructionが一層浸透し、地域の建設現場の生産性向上が加速することで、建設現場の生産性を二〇二五年度までに二割向上することを目指しているところでございます。
その効果は、建設業に従事する方々の休日の拡大や、賃金の上昇による働き方改革や担い手の確保に結びつくものであり、引き続き取組を推進してまいります。
○井上(英)委員 ありがとうございます。ぜひ効率的なICTなどの活用というのもしっかりとやっていただきたいと思うので。
もう時間も来ました。
この法案には、持続可能な事業環境の確保を図るための規定というのも盛り込まれています、事業承継や相続の規定が新たに設けられるとか。
そしてまた、公共工事を発注する際の工事の実績評価というものの中身をもっと柔軟に、やはり誠実に仕事をしている建設業者がより多くの仕事というのを受注できるようにしていかないとだめです。
実際、でも、現場に行けば、公共工事に参加したいんですけれどもと言ったら、いや、実績がないからだめですといって、卵が先か鶏が先かわからないような、そういう議論が事実、起きているんですね。
ですから、そういうことのないように、民間の工事でそういう経験があるだとか、ほかの自治体でのそういう工事の経験があるだとか、そういったさまざまな条件も加味しながら、やはり健全な、建設業者がしっかりと仕事がやれるような環境というのを整えていただくことをお願いして、私からの質疑は終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、広田一君。
○広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。
ラストバッターでございますので、各委員の皆さん、もうしばらくの間、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、まずお伺いしたいと思います。
公共工事の中長期的な見通しに関してお伺いをします。
政府は、昨年も相次ぎました自然災害を受けて、防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策を昨年度から実施をしているところでございます。
この緊急対策には、三兆円台半ばの国費を投入する方針であります。これによって、河川、砂防、道路を始め、森林、漁港、ため池、治山から、学校施設などの防災・減災対策に取組を進められるということでございます。
我が高知県の方も台風常襲地でございまして、また、南海トラフ地震対策は待ったなしでございます。よって、この取組については官民ともに期待をする声が上がっているわけでございますが、同時に、対策が終わった三年後は一体どうなるのかという不安や心配の声がこれまたあるのも事実でございます。
確かに、先般、清水委員の方から、スーパーゼネコンが史上空前の利益をたたき出している、こういうふうな御指摘もありました。一方で、特に地方の建設業者の皆さんは、順調な仕事はこなしているとは思いますけれども、しかしながら、先が見通せないということで、人材確保であるとか設備投資にちゅうちょしているということだというふうに考えます。
平成の時代は、景気対策であるとか構造改革であるとか、こういったことで公共工事というのがジェットコースターのように乱高下をすることがございましたが、この令和の時代は、平準化、予見性といったものをキーワードにして、厳しい限られた予算の中ではありますけれども、将来に対する公共投資のあり方というものをしっかりと示すことが、建設業者の皆さんも積極的かつ安定した人材確保や設備投資にも取り組めるというふうに考えるところでございます。
よって、このことが、本法案の目的でもございます働き方改革の促進であるとか事業の持続性確保の大前提になるというふうに考えるところでもありますし、また、この法案の、建設業法の第二十七条の四十関係で、復旧工事の円滑かつ迅速な実施を図るための建設業者団体の責務が規定をされているわけでございますけれども、そういった責任を果たせることにもつながるのではないかなというふうに思うわけでございます。
以上のような点を踏まえまして、この公共工事の中長期的な見通しをお伺いをするとともに、その見通しを立てることが事業の持続性の確保と働く皆さんの働き方改革にも資すると考えますが、石井大臣の御所見をお伺いをします。
○石井国務大臣 地域の建設企業は、社会資本整備の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の確保を担う、地域の守り手として重要な存在と認識をしております。
昨年十二月には、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策が取りまとめられ、三年間で、政府全体でおおむね七兆円の事業規模の緊急対策が決定をされました。
国土交通省では、平成三十一年度当初予算におきまして、この三カ年緊急対策に対応するための臨時特別の措置も合わせて、五兆九千六百六十三億円の公共事業関係費を確保しております。
引き続き、インフラの老朽化対策や防災・減災、国土強靱化等に必要な予算の確保に努めてまいります。
さらに、国土交通省におきましては、地域の建設業が持続的に活躍できる環境を整えるため、競争性、透明性の確保に留意しつつ、分離分割発注の徹底に努めるとともに、個々の工事の内容に応じまして、地域要件の設定や総合評価落札方式における災害時の活動実績等の加点評価等の措置により、地域企業に配慮した工事発注がなされるよう努めているところであります。
また、公共工事品質確保法に基づきまして、企業が適正な利潤を確保できるよう、予定価格の適正な設定やダンピング対策等に取り組んでおります。
国土交通省といたしましては、今般の建設業法及び入契法の改正によりまして、働き方改革の促進や生産性の向上を図り、担い手の確保の取組を強化するとともに、引き続き、地域の建設企業が持続的に活躍できる環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○広田委員 大臣の方から今御答弁があったわけでございますが、大臣、おっしゃるとおりだと思います。
その上での質問でございまして、実際問題、緊急対策であるとか補正予算であるとか、そういったところで仕事がふえていくということは結構なことだというふうには思いますけれども、ただ、その一方で、将来に対する見通しといったものがなかなか立たないということで、結果として、人材の確保であるとか、こういったところにちゅうちょしてしまうような現状があるわけでございます。
また、先般質問させていただいたんですけれども、これから老朽化対策が令和二十年度だけでも二兆七千億円費用がかかる、道路だけでそれだけかかるというふうな状況を考えた場合に、やはり中長期的な見通しをしっかりと示していくということがこれからますます重要になってくるんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点についての御所見を改めてお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 これはもう委員よく御承知かと思いますけれども、単年度予算主義の中で、中長期的な予算を確定的にお示しすることは極めて困難であります。
ただ、私ども国土交通省としては、必要な予算の確保にはしっかりと今後とも努めていきたいと考えております。
○広田委員 大臣、現状はそのような御答弁にもなろうかというふうに思いますが、先般の衆議院の本会議で新防衛大綱と中期防の質疑がございました。防衛大綱の別表には、何をこれから整備をしていくのか、購入していくのかというのが具体的に書かれ、また、中期防衛力整備計画では、それをより具体化したものがあるわけでございます。
確かに、単年度主義ということはもちろんでありますし、また、こういったことが財政の硬直化というものをもたらすというふうな御指摘もあろうかというふうに思いますけれども、しかしながら、これからの公共事業投資のあり方としては、私は、中長期的な見通しをしっかりと示していく、こういうことがより一層求められてくるんじゃないかというふうに思いますので、この点については、ぜひ不断の検討をしていただきますように、強く要請をしておきたいというふうに思います。
それでは、次に参ります。
現在審議をされております法案といったものは、三つの柱から成り立っているわけであります。一つは働き方改革の促進、二つ目は生産性の向上、そして三つ目は持続可能な事業環境の確保ということであります。
そこで、まず、生産性の向上に関連し、建設業法第二十六条関係についてお伺いをしたいと思います。
今回、限りある人材の活用と若い方々の入職促進ということで、工事現場の技術者に関する規制の見直しを図っているところでございます。
具体的には、元請の監理技術者に関し、一定の技術のもと、複数現場の兼任を可能としています。また、下請の主任技術者に関しても、一定の要件のもとで設置を不要としています。
これらの改正が人材の有効活用と若い方々の入職促進に資する理由についてお伺いするとともに、これによって工事の質といったものの確保などが、課題なんかが生じないかどうか、この点も含めてお伺いをしたいと思います。
○野村政府参考人 深刻な人材不足が進んでいる中で、今委員が御紹介をされたように、今回の法案の中で、現場に設置する技術者について、監理技術者、主任技術者、それぞれ合理化を図るということにしております。
ただ、その合理化を図るに当たって、例えば監理技術者につきましては、いわゆる監理技術者を補佐する者として、一級技士試験の第一次検定に合格した者を技士補として、監理技術者が兼務が可能な現場それぞれに技士補は専任で置くということであります。
したがいまして、これまでは、監理技術者それぞれ、例えば二カ所ならば一人ずつ二人だったものが、監理技術者は兼務はするけれども、それに準ずる一次検定合格者がそれぞれの現場には専任で配置をされるという形が整えられるということであります。
また、主任技術者の配置の合理化に当たりましては、まず、施工技術の内容が画一的な工種というものを対象とするほか、上位請負業者の主任技術者がその業務をカバーするということなんですが、その上位請負業者の主任技術者は一定の指導監督的な実務経験を有する者を専任で配置をするということを条件としておる、そういうことを担保して、適正な施工の確保に支障がないように留意して、この制度を運用していきたいと考えております。
また、入職促進ということに関しましては、今ほど言いましたように、技術検定を第一次検定と第二次検定に分けるということで、一次検定については、実務経験というものを要せずに受けるというふうなことをすることによって、若い方がそのような技士補という資格が得られるような形になるということでございます。
そうすれば、先ほど来御説明しているように、やはり現場の中で、自分のポジション、そして、そのように責任のある立場で施工にかかわるという形になって、その中で、みずからがたどるキャリアステップというものが見えてきて、そして、モチベーションが生まれて、この業界の中で引き続き仕事をし、その中で自分のキャリアを磨いていこうというふうなモチベーションが生ずることにつながる、そういうことを期待しているものでございます。
○広田委員 るる詳細な御説明を頂戴したわけでございますけれども、いずれにしても、今回のこの改正というものが、先ほどお話があったように、若い方々のモチベーション、そういったところの向上に資するように、ぜひ取組を進めてもらいたいと思います。
こういった中で、監理技術者また主任技術者の皆さんの職務というのは非常に重要なものでございまして、そして、先ほど来お話があったように、非常な人材不足等も生じているわけでございます。
自治体側も、監理技術者が不足しているため入札が不調、不落になって、災害復旧が思うように進まない、こういったような問題も抱えております。
よって、今回のように配置の緩和や合理化をすることも大事だというふうに思いますが、同時に、例えば若い方々が、先ほど野村局長もおっしゃったように、モチベーションを高めるために、監理技術者になれる門戸を合理的な範囲内で広げることも私は必要だというふうに思っております。
そういった中で、監理技術者の資格要件に、一級施工管理技士、また一級建築士、技術士というものがあるんですけれども、一級建築士は、高校卒業の場合、二級建築士の資格を踏まえれば実務経験は七年です。あと、技術士は、技術士補の資格を有した上で、総合技術監理部門であれば同じく実質七年であります。
一概に単純に比較はできないと思いますけれども、一方で、一級施工管理技士の場合は、高校卒業の場合、今、委員の皆様方のお手元に資料もお配りをさせていただいておりますけれども、実務経験が十年から最長では十一年六カ月以上なければなりません。
ほかの二つに比べても三年も長いわけでございまして、無論、この最長十一年というのはそれなりの理由があろうかというふうに思いますけれども、今の御時世、人口減少、担い手不足、働き方が進んでいる中で、また、モチベーションを上げていく、こういったことを思ったときに、十年を超える実務経験を求めるというのは、私は、もう見直しの時期に来ているんじゃないかな、このように考えますけれども、この点についての御所見をお伺いします。
○野村政府参考人 特に監理技術者でございますが、これは建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるいわばかなめとしての役割を担うというものでございまして、それの資格である一級施工管理技士には十分な知識経験を有する者の配置を求めているということでございまして、したがって、その受検資格についても、高校の指定学科を卒業した際には、現在、十年間など一定の実務経験を求めることとしております。
これまでも、例えば二級の合格者については、一級の受検資格、合格後五年間ということにしております。例えば、二級そのものは、高卒後、指定学科で三年ということで、二級を経てくれば少し短くなるということはございます。さらに、主任技術者としての実務経験が一年以上ある場合には更に二年短縮できることとするなど、適正な施工の確保に支障がないように留意しながら、早期の受検を可能としているところではございます。
一方、監理技術者たり得る技術者が不足して工事を受注できないという声もあることから、今回、今ほど御紹介のあった監理技術者の配置の合理化を行うこととしておりますけれども、まずは、その効果あるいは影響の把握に努めながら、一方で、ICTを活用した施工管理技術の進展なども踏まえて、引き続き、技術者配置のあり方や受検資格の要件のあり方については検討を進めていきたいと考えております。
○広田委員 時間が参りましたし、今後検討していただけるということで、鋭意見直しをしてもらいたいと思います。
今、大学の卒業者が、指定学科以外、つまり学生時代に勉強していない方が、卒業後四年六カ月で受検資格を得るわけであります。それが、ずっとやってきた高校卒業生の指定学科の方が十年以上もかかるというのは、これもちょっと合理的でないと思いますので、そういった観点も含めて見直しを図っていただきますように強く要望して、質問を終了します。
どうも失礼しました。ありがとうございます。
○谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
――――◇―――――
○谷委員長 この際、御報告いたします。
昨二十一日、議長より本委員会に送付されました、議員川内博史君外四十二名からの下関北九州道路に関する予備的調査の要請につきましては、理事会の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、本日、調査局長に対し、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。
次回は、来る二十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会