衆議院

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第15号 令和元年5月29日(水曜日)

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令和元年五月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    池田 佳隆君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    鬼木  誠君

      門  博文君    神谷  昇君

      工藤 彰三君    古賀  篤君

      佐々木 紀君    田中 英之君

      高木  毅君    武部  新君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      鳩山 二郎君    百武 公親君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      藤丸  敏君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    望月 義夫君

      盛山 正仁君    簗  和生君

      荒井  聰君    初鹿 明博君

      福田 昭夫君    道下 大樹君

      森山 浩行君    小宮山泰子君

      日吉 雄太君    緑川 貴士君

      山岡 達丸君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    清水 忠史君

      田村 貴昭君    井上 英孝君

      重徳 和彦君    広田  一君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   国土交通副大臣      牧野たかお君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉開正治郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房物流審議官)         松本 年弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            麦島 健志君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     大西 宏幸君

  小島 敏文君     佐々木 紀君

  土屋 品子君     百武 公親君

  中谷 真一君     大岡 敏孝君

  藤井比早之君     池田 佳隆君

  望月 義夫君     藤丸  敏君

  道下 大樹君     初鹿 明博君

  下条 みつ君     緑川 貴士君

  清水 忠史君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     藤井比早之君

  大岡 敏孝君     務台 俊介君

  大西 宏幸君     宮路 拓馬君

  佐々木 紀君     小島 敏文君

  百武 公親君     三ッ林裕巳君

  藤丸  敏君     望月 義夫君

  初鹿 明博君     道下 大樹君

  緑川 貴士君     山岡 達丸君

  田村 貴昭君     清水 忠史君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     土屋 品子君

  宮路 拓馬君     大隈 和英君

  務台 俊介君     武部  新君

  山岡 達丸君     下条 みつ君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     加藤 鮎子君

  武部  新君     中谷 真一君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房物流審議官松本年弘君、大臣官房技術審議官五道仁実君、総合政策局長栗田卓也君、国土政策局長麦島健志君、土地・建設産業局長野村正史君、水管理・国土保全局長塚原浩一君、道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、鉄道局長蒲生篤実君、自動車局長奥田哲也君、観光庁長官田端浩君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、総務省大臣官房審議官吉開正治郎君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君、防衛政策局次長石川武君、地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松本文明君。

松本(文)委員 質問の時間をいただきましたことに、まず感謝を申し上げます。

 御承知のとおり、昨日、大変悲惨な通り魔事件が起こりました。行き場のない強い怒りを覚えるわけでありますが、この事件に巻き込まれた皆さんに心からお悔やみとお見舞いを申し上げ、質問に入らせていただきます。

 きょうの質問は、住宅地を縦横に走っております道路、とりわけ私道について質問をしてまいります。

 道路に関する法律は道路法を始めとしてたくさんあるわけでありますが、私道を規定する法律はどういう法律か、お示しください。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私道に関しましては、民法で民事上の権利義務の関係を規定しておりますほか、地方税法では、公共の用に供する道路に該当する場合の固定資産税の減免、また、道路交通法では、それが一般の交通の用に供する場所である場合には、それにかかわりますいろいろな規制等が規定されているところでございます。

 また、建築関係で申し上げますと、建築基準法上、建物の規制として一定の道路に接道することを求めておりますが、これを四十二条において、第一項二号から五号まで、またその二項の特例規定を含めまして、一定の私道についてもその接道の対象として規定をし、認めているところでございます。

松本(文)委員 この私道の道路台帳はどこにあって、どなたが管理をされているのか、お示しください。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 それぞれの法律なり制度に基づきまして、各立場において台帳等の情報を管理されているところでございます。

 我々の方の関係で申し上げますと、建築基準法に基づきます四十二条の対象となる私道に関しましては、建築基準法施行規則第十条の二におきまして、特定行政庁が指定道路に関する図面、調書を作成することとされておりまして、特定行政庁たる公共団体において適切に管理をされているところと承知しております。

松本(文)委員 現実にはそんなに適切に対応されているとはとても思えないわけでありますが。

 私道の管理責任はどなたにあるのか、教えてください。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私道につきましては、いわゆる私有地の一部でございますので、基本的には、民法等に基づきまして、その所有者などがその管理の責任を有されていると理解しております。

 ただ一方で、建築基準法等によって一定の規制がかかっている場合には、その規制の観点において、公共団体側が一定の関与をされる部分もあるというふうに理解しております。

松本(文)委員 日本大百科全書によりますと、公道とは、行政が一般交通の用に供するために行政がつくった道路、私道とは、私人が私人の敷地を使って一般交通の用に供するためにつくった道路、こう解説をされております。

 公道も私道も目的は一般交通の用に供するためのもの、こう解されるわけでありますが、一般交通の用とは何なのか、どの程度のことなのか、わかりやすく解説をしてください。

池田政府参考人 委員御指摘のいわゆる一般交通の用という用語についてでありますけれども、道路法を始め、多くの法令で用いられているところでございます。

 これらの意味につきましては、それぞれの法令ごとに確認をしていく必要がございますけれども、道路法におきましては、不特定の一般大衆の用に供するという意味であり、要は、公衆に差別なく公開されていればよいと解されているところでございます。

松本(文)委員 人の通行、車の通行、車椅子の通行、救急車両の通行、上下水道、電気、ガスなどの基本的な生活インフラの敷設など、公共福祉の向上のために道路の担っている使命は重大であります。この使命に公道と私道の違いはないと考えるのでありますが、御見解を伺います。

池田政府参考人 いわゆる公道の代表であります道路法に基づく道路については、大きく、交通機能、空間機能、二つの機能がありまして、具体的には、交通機能は、自動車や歩行者、自転車が安全、円滑、快適に通行できる通行機能であります。また、空間機能としては、地下鉄や上下水道、電線などの収容空間としての機能があります。

 委員御指摘の私道につきましても、多かれ少なかれ、同様の機能を果たしている面もあると考えております。

松本(文)委員 資料一の写真を見ていただきたいのでありますが、手前は青梅街道、都道に接し、そしてその先が区道、公道につながっている私道であります。

 この写真右を見ていただけるとわかるんですけれども、「私道 車両進入禁止」、こう書かれて、そこに鉄柱が立っております。この鉄柱には鍵がかけられておりまして、この道路に車を入れようと思ったら、この私道地主の方から鍵をお借りして外さなきゃならない、これが現実であります。これではとても、救急車両、火事が起こったとき、救急車の要請をお願いしたとき、急に道路に入れない、これが現実であります。

 体の悪い方々がタクシーで病院通いをする、雨の中、雪の中、タクシーで帰ってきても、公道でおりて、それから対応しなきゃならない。宅配業者も、大きな荷物を運ぶのに大変苦労をしております。この道路、沿道に約四十軒程度のうちは建っていると思うのでありますが、そこに暮らす人たちの日常生活に大きな支障が出ております。

 この私道は、ちなみに、公衆用道路として登記をされ、非課税となっております。こうした状況に、中野区は、地主さんのお宅に伺って、何とかこの状況の改善をお願いするわけでありますが、らちが明きません。こうした状況が都内に幾つか散見をされます。

 この鉄柱を除去するために、強制撤去をするために、根拠となる法律があるのかないのか。区の職員の方は、法的根拠がどこにもないために、お願いをするしか手はないんですと非常に苦しい立場であります。地域住民、暮らす人たちは、こうした状況を改善したい強い思いを持っておりますが、地主の方の了解が得られないために、長年間、地域のトラブルが絶えません。

 この際、撤去の方法を御教示願います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 私道につきましては、基本は私有地という位置づけの存在でございます。建築基準法上の道路になっている場合におきましては、建築基準法の規制によって、その道路となっている部分について、建築物又は建築物に附属する塀等については禁止ができますけれども、そうでないものにつきましては、基準法上、直接的な禁止規定の対象とはなっておりません。

 ただ一方で、今回の場合が当たるかどうかというのは若干疑義がありますけれども、基準法上の道路としての実体を失っているような、そういった場合があるのであれば、それは逆に、接道の義務をその沿道の敷地が果たしていないことになりますので、その敷地自体の建築物自体がいわゆる基準法に反している状態、したがいまして、その建物の使用を制限したり禁止したりという形をもって、間接的に、その道路の管理をいわば間接強制という形で求めることは可能でございます。ただ、そういった実態になるというふうに評価できるかどうか、これは特定行政庁が実態を見て判断されるところだと存じております。

 ただ一方で、そういった私有地という状況ですと、今申し上げたとおり、なかなか管理が困難でございますので、我々の方といたしましては、この基準法に基づくいわゆる細街路につきまして、このセットバック等の際に、その敷地自体の所有権を公共側が取得する、そうした管理権自体を公共が持つということをなるべく進めたいということで、社会資本総合整備交付金等でその御支援をさせていただいているところでございます。

松本(文)委員 よくわからないんですが、中野区が、これは建築基準法上、第何条第何項に違反をしているから強制撤去いたします、こう言えるのか言えないのか、この鉄柱を撤去をする方法があるのかどうか、もっとわかりやすく端的に御説明を願いたい。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、建築基準法は、あくまでも建築物を規制する法律でございます。したがいまして、建築物に該当するものについては、その建てる場所について規制が可能ですが、そうでない、建築物でないものについて直接的に規制をすることはできない形でございます。

 したがいまして、先ほどの私有地たる道路ですが、私道の中に建築物と評価できないポールが立っていることを、これは建築物ではございません、若しくはその附属物ではございませんので、直接的に建築基準法で禁止対象とはなっていないということになります。ですので、基準法に基づいてこれを撤去を求めるというのは、直接的にはできないというふうに理解しております。

松本(文)委員 建築基準法上、この撤去を求めることは困難であるということでありますが、それでは、この撤去を求めるために、どういう法律があるのかないのか、教えてください。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 当方、私の所管している住宅局の中では、直接的に該当する法律はまずございません。

 ほかにも、道路、私道を対象にしている法律の中でいいますと、道路交通法等において、これが一般交通の用に供する場所に該当するかどうか、該当するのであれば、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならないという規定が道交法の第七十六条にあるというふうに承知しておりますが、その解釈が、もってこれが当たるのかどうかにつきましては、所管外でございますので、私の方で明確な解釈はちょっと困難でございます。

松本(文)委員 局長、質問内容、原稿はそのまま既にお渡しをしてあります。私は、政府に対して、こうした鉄柱を具体的に写真をお示しして、この撤去方法を教えてくださいということをお願いしているのでありまして、建築基準法ではできません、道路法でできるのかできないのか、そこら辺のことをわかりやすく御説明いただきたい、その旨お願いをしたわけでありますが、今の答弁では、中野区の職員、地域住民は、どうやったらいいのか、悩みは深まるばかりであります。

 次の質問に移ります。

 長年、具体的に管理をされないままに使われる私道の舗装が傷んでおります。上下水道管も傷みます。ガス管も同様です。土地の利用形態が変わる中で、それぞれの容量も不足してきます。沿道住民がそれらの改善を求めた場合に自治体はどのように対応しているか、御存じだったら御説明を願います。

池田政府参考人 私道の舗装などの更新につきましては、住民の方からの要請に対しまして、自治体として、まずは私道の所有者の責任で行うべきというような対応をしているというふうに思われます。

 自治体によっては、一定の基準を満たすものについて独自に自治体で補助制度を設けているところもあると承知しておりますけれども、私道の権利を有する地権者の同意を得ることが採択の要件になっている場合が一般的であるというふうに伺っております。

松本(文)委員 私道に手を加える場合、舗装をしたり下水管を布設がえしたりということに対して、それぞれ自治体が補助制度を持っておりまして、かかる費用の九割、これを補助する制度になっております。

 ところが、問題なのは、私道の持ち主から了解を得るということが大原則であります。

 その了解のとり方でありますが、それぞれ、図面を示して実印を押してもらって印鑑証明をつけなければならないということであります。その際、私道の持ち主がどなたであるのか、沿道住民は登記所へ行って調べるところから始めなくちゃいけない。調べた結果、もう私道の持ち主はそこに住んでいない、不明者、亡くなっている方、あるいは住居表示が変更される前のまま登記をされているということでありまして、私道の持ち主を特定するのに沿道住民がやらなくちゃいけない。役所がやるわけじゃない。大変に苦労をしております。

 そこに住んでいる地主さんの理解は早いのでありますけれども、そうではなくて、私道の持ち主、登記上の持ち主が全国に点在をしている。沿道住民は、そこを一人ずつ訪ねて、事情を説明し、お願いをする。いいですよ、こう言っていただいたとしても、見知らない人が訪ねてきて、実印を押してください、印鑑証明をとってくださいといった依頼になかなか応えていただくことが困難、こういう状況が続いております。これでは、快適な住環境を整備するというのに時間と労力のみがかかって前に進まない。

 ある私道沿道では、三十年前から舗装の本格舗装をお願いし、努力をし、ようやく、三十年余過ぎたことし、その私道の持ち主の了解が得られる、こういった状況であります。これでは安心、安全のまちづくりを進めることは困難だ、こう思うのであります。

 私道に対応する法律をしっかりつくる。建築基準法上の道路に、少なくとも生活インフラの敷設、管理、これをやるのに、私道の管理を放棄してどこかへ行ってしまって何もいじっていない、こういう私道持ち主の権利をやはり制限しなきゃならない、法の見直しが必要だ、こう考えますが、大臣、最後の答弁を求めて、質問を終わります。

石井国務大臣 私道の管理は、民法の原則に従い、所有者本人が行うこととされております。所有者本人の同意を得ずに通行障害防止等に係る措置を講じることができるようにする法律は、その特例として、公共性の観点から一定の強制を行うことになると考えられます。

 しかしながら、そのような民法の特例につきましては、所有者に対し、適正な手続のもと、正当な補償を行うことが必要になると思われますので、その検討につきましては慎重であるべきものと考えているところでございます。

松本(文)委員 ありがとうございました。終わります。

谷委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 私からも、冒頭まず、昨日川崎で起きました大変に痛ましい殺傷事件につきまして、亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

 また、政府全体挙げまして、子供の安全を守るための取組というのを改めてしっかり検討していただきたいと要請もさせていただきます。

 では、早速質問に入らせていただきます。

 まず冒頭、建設業で働く職人の方の処遇の改善に向けた取組、特に今、キャリアアップシステムというものを導入しておりますので、これにつきまして大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 建設業の処遇改善、さまざまな取組を今進めておりまして、例えば公共工事の設計労務単価、これは七年連続で引き上げた。平成二十四年と比較しますと約四八%、もう大変に増加をさせたわけでございます。そしてまた、先日こちらの委員会の方を通過させていただきました担い手三法の改正、これも、特に、例えば下請の企業に対して人件費等も含めてしっかり必要な経費が行き渡るように、こういうことも法律の中にはしっかりと盛り込ませていただいているというわけでございます。

 加えて、今現場の方で取り組んでいただいておりますのがキャリアアップシステム、これを導入することでございます。

 一人一人の技能者の方にカードを持っていただきまして、そして、現場で、どういうところで仕事をしたのかということ、働いてきた経験がその中に見える化をされる、これを活用していくことで技術のある人に対してしっかりとした処遇を行っていくということが可能になっていくのではないか、こういうふうに思っております。

 そこで、大臣に御質問なんですけれども、キャリアアップシステム、現在まだ導入して間もないということでございますので、やはりこれからの普及促進に向けた後押しというのが非常に大事になってくるかと思います。国としてしっかりとバックアップ、また後押しをしていただきまして、そしてこれが具体的に働く方の処遇の改善につながっていくように、こういう取組を進めることが大事であるというふうに思いますけれども、大臣の答弁をいただきたいというふうに思います。

石井国務大臣 建設業における担い手確保の観点からは、技能者の処遇改善を図ることが特に重要と考えておりまして、技能者一人一人が技能や経験に見合った評価や処遇を受けられる環境を整備することが不可欠であります。

 このため、建設現場における就業履歴や保有資格等について、業界横断的に蓄積、登録する仕組みである建設キャリアアップシステムの導入を業界全体で進め、技能者の処遇改善が図られる環境を整備することとしておりまして、この四月から建設キャリアアップシステムの本格運用を開始したところであります。

 国土交通省といたしましては、建設キャリアアップシステムの普及を更に促進するため、専門工事業団体が職種ごとに作成をいたしました能力評価基準に基づきまして、技能者一人一人の技能水準の対外的なPRを可能とするための能力評価制度や専門工事企業の施工能力の見える化の導入を進めてまいります。

 また、建設キャリアアップシステムにつきましては、本格運用から間もない時期であることから、システムの意義の浸透を図りつつ、さまざまな機会を捉えて、建設企業や技能者に対し登録申請を強く働きかけてまいりたいと考えております。

 今後とも、技能や経験に応じた適切な処遇が実現するよう、建設業界と連携をしながら取組を進めてまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 まだ始まったばかりのシステムでありますので、国からその意義をしっかり訴えていただきまして、これが具体的に処遇の改善につながっていくような、こういう仕組みにしていくんだ、こういうことを強く訴えていただくことがまずは大事かというふうに思います。しっかりと後押しをしていただき、そして具体的にやはり働く人の処遇改善に結びつく、こういうところまでしっかり国が後押しをしていただければというふうに改めてお願いをさせていただきます。

 続きまして、公共交通の関係につきまして質問をさせていただきます。

 交通の安全ということで、痛ましい自動車事故も続いている、こういう質問も以前させていただきました。特に、バスの事故ということで、私の地元の兵庫県の神戸の市営バスでもことし事故もございましたし、また、つい先日も、今度は観光バス、これは名神高速でありましたけれども、こうした長距離のバスの事故もあった。

 こうしたバスの安全対策というのは、二〇一六年、軽井沢のスキーバスの大変に痛ましい事故がございまして、これを受けて、法律も変えたり、さまざま対策をとってきたところでありますけれども、やはり近年、ニュースを見ますと、バスの事故ということで、相次いでいるという感じがいたします。

 いま一度、安全対策というものについてしっかり徹底をしていかないといけない、このように考えておりますけれども、政府の方から答弁をいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、事業用自動車における安全の確保は非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 このため、バス事業者に対しまして、道路運送法の関係法令に基づきまして、過労防止のための運転者の勤務時間の適切な管理、乗務前及び乗務終了後の運転者に対する点呼、運転者に対する適切な指導監督等を通じて運行の安全確保を求めるとともに、適時に監査を実施して、法令違反が認められた場合、行政処分を行うことにより、事業者にその遵守を徹底しているところでございます。

 また、貸切りバスにつきましては、平成二十八年一月に十三名の乗客の若者が亡くなった痛ましい軽井沢スキーバス事故が発生いたしました。

 これに対しまして、国土交通省では、事故発生直後に立ち上げました軽井沢スキーバス事故対策検討委員会が取りまとめました総合的な対策、具体的には、貸切りバス事業許可の更新制導入、各ブロックごとの適正化機関による貸切りバス事業者の巡回指導などを順次実施しておりまして、事故対策検討委員会において、これらの取組をフォローアップしてきているところでございます。

 さらに、平成二十一年に策定いたしました事業用自動車の総合的な安全対策を見直しまして、平成二十九年六月に事業用自動車総合安全プラン二〇二〇を取りまとめたところでございます。

 この中で、乗り合いバス及び貸切りバスにつきまして、事故削減目標を改めて設定するとともに、利用者を含めた関係者の連携強化による安全に関する一体的な取組の構築を施策の柱にするなどの新たな対策を講じたところでございます。

 そのような中、先生御指摘のとおり、先月の神戸市JR三ノ宮駅前における乗り合いバスの事故でありますとか、今月の名神高速における貸切りバス事故などの事故が発生いたしましたけれども、これらの事故の発生直後、事業者団体を通じて、バス事業者に対して安全確保の取組の徹底を要請したところでございます。

 国土交通省といたしましては、これまでの施策を今後とも着実に推進するとともに、事故の原因を適切に分析することにより、必要となる安全対策の強化を含め、確実な事故防止を図ってまいりたいというふうに考えております。

中野委員 事故が起これば大きな対策を打つわけでありますけれども、安全を徹底する文化を根づかせるというのは、やはり不断の努力というものが必要だというふうに思います。

 自動車局としましても、また、公共交通全体という意味ではやはり安全をつかさどる国交省でございますけれども、やはり常にこうした取組を、本当にこれで十分なのか、こういうことを検証しながら改めて進めていっていただきたいとお願いを申し上げます。

 バスに関しましては、特にバスドライバーの不足ということも大変に言われておりまして、私も御要望もいただくこともございます。

 そして、例えば私の地元では、バスのドライバーが全然足りないということで、地元のバス会社も、PRも含めて人材確保のためのいろんな取組をしないといけないということで、行っていただいたりもしております。

 しかし、ドライバーが足りないということは公共交通を確保していけないということでございますので、やはりこれは国を挙げてしっかりと人材確保というものに取り組んでいかないといけないのではないか、こういうことも感じております。

 このバスドライバーの人手不足の対策、しっかり国として講じていく必要がある、このように思いますけれども、現在の取組、また、今後どのように行っていくのかにつきましても答弁をいただきたいというふうに思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 バス事業は、我が国の日常生活や経済活動を支える重要な公共交通機関としての役割を担っていることから、その担い手を確保していくことは非常に重要であるというふうに認識をしておりまして、必要なバス運転者を確保するためには、労働生産性を向上させるとともに、多様な人材の確保、育成を図る取組が重要であると考えております。

 このため、バスを含む自動車運送事業につきまして、昨年五月三十日に自動車運送事業の働き方改革に向けた政府行動計画を策定をいたしまして、関係省庁と連携をいたしまして、労働生産性の向上でありますとか多様な人材の確保に取り組んでおるところでございます。

 また、令和元年度予算では、求職者の不安解消や中小企業の多いバス事業者の負担軽減を図り、効果的、効率的な担い手の確保、育成の仕組みを構築するためのモデル事業を実施することといたしております。

 加えまして、日本バス協会におきましても、昨年三月にバス事業における働き方改革の実現に向けたアクションプランを策定し、バス事業における働き方改革の実現に向けて、業界として取り組む事項や時間外労働の削減に関する数値目標などを定め、積極的に取り組んでいくことといたしております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、官民連携により、バス運転者の確保に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

中野委員 特にドライバーの確保という意味では、バス事業の、二種免許を取るというのもかなりハードルもあるというふうにも聞いておりますし、また、若者の、そうした運転する仕事そのものに対する、何というか、離れているというか、そういう仕事を余り選ばなくなってきている、いろんなこともお伺いをいたします。

 どういう取組が効果的なのか、いろんなPRも含めて、ぜひこれは官民協力をしながら進めていっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 続きまして、バリアフリー化の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 来年が二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの東京大会ということでもございます。バリアフリーの取組については、しっかり、このオリパラを契機にということで全力で進めていっていただきたい、こういう御要望を先日いただきました。

 例えばバスでいいますと、車椅子で乗るにはノンステップバス、こういうのが必要でございますけれども、東京に関して言うと、かなりこれも進んできている、相当程度これは普及をしているというふうにもお伺いをいたしましたけれども、例えば地方部に行くと、これがまだまだ普及が進んでいない。バス会社自体もかなり経営の体力もなくて、なかなか導入が進まなくて、実際に、では車椅子でバスに乗って移動しようと思うとかなりハードルがある、こういうこともお伺いをいたします。

 本来であれば、こうしたオリパラ大会も開くということで、こうしたものは全てバリアフリー化をしていくべきであるというふうにも思います。そうした取組を加速をしないといけない、こういうふうに痛感をしております。

 特に、鉄道の施設もそうでありますし、バスもそうでありますし、また、多くの方が利用する公共交通機関につきまして、バリアフリー法も昨年改正をしたところではございますけれども、この新しい法律も施行をしているわけでございますので、こうした今のバリアフリー化の現状、そして今後どのように取組を進めていくのかということにつきまして、答弁をいただきたいというふうに思います。

栗田政府参考人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としまして、全ての国民が共生する社会の実現を目指し、全国で更にバリアフリー化を推進することが重要と考えております。

 現在、二〇二〇年度までのバリアフリーの整備目標を定めて関係者が連携して取り組んでおりまして、公共交通機関におけるハード面のバリアフリー化も一定程度進展しております。

 二〇一七年度末時点における公共交通機関のハード面のバリアフリー化の進捗ですけれども、例えば、一日の利用者数が三千人以上の旅客施設における段差解消につきまして、二〇二〇年度までに原則として一〇〇%とする目標を定めております。これに対しまして、鉄軌道駅が八九%、バスターミナルが九四%、旅客船ターミナルが一〇〇%といった達成状況になっております。

 また、車両のバリアフリー化につきまして、二〇二〇年度までに約七〇%とする目標を定めておりまして、これに対しまして、鉄軌道車両が目標を上回る七一%、ノンステップバス、これは委員御指摘のように地域的なばらつきがございますが、全国では約五六%という導入状況となっております。

 バリアフリー化の進捗状況の把握、評価につきまして、昨年成立いたしました改正バリアフリー法に基づきまして、高齢者、障害者等が参画する会議を本年二月に設置したところでございます。

 今後、この会議を活用して、高齢者、障害者等の声を丁寧に伺いながら、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした公共交通機関等のバリアフリー化を一層推進してまいりたいと考えております。

中野委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 きょうも、下関北九州道路につきまして、前回の続きをさせていただきます。

 前回、三月三十一日の関門会からの要望の件を質問をさせていただきました。我々としては、安倍総理の名前が連ねてある要望書を関門会が提出をした、このことが下関北九州道路の扱いが大きく変わるきっかけになったのではないかということで、この三月三十一日の要請活動のことを聞かせていただいているところです。

 前回、石井大臣は、この点について、取扱いが変わったことについてこう答えているんですね。「直接のきっかけは、私が問題提起を平成二十八年の夏にやったということでありますけれども、私の問題提起は、関門会の要望がきっかけになったということはございません。全くございません。そのことは、私自身の問題ですから、はっきりと言っておきます。委員はそうではないかというふうに疑問を呈されましたが、そうではないと私自身はお答えをいたしたいと思います。」こういうふうに言い切られました。

 一枚、資料に年表でまとめさせていただいておりますが、そうであるとしたら、この三月三十一日に八人の国会議員の方が要望に来て、要望書には安倍総理の名前も載っている。しかも、二月の二十四日に安倍総理を囲んで懇親会をやった、その席で要望に行こうという話が出たということも書いてある。その要望書を受け取った石井大臣は、その一年前の緒方林太郎議員の質問主意書に対して答えたとおり、政府としては、この海峡横断プロジェクトについては、個別プロジェクトに関する調査は行わない、こういう非常に冷たい回答をしていないと整合性がとれないわけですよね。

 そこで、大臣に確認をしたいんですけれども、このとき、八人も国会議員が来ていると、なかなか、ゼロ回答に近いことを言うのは言いづらいことだと思うんですが、それでも、このときは、個別プロジェクトに関する調査は行わないというこれまでの方針をはっきりと伝えたんでしょうか。そこを確認させてください。

石井国務大臣 平成二十八年に関門会より下関北九州道路の要望を受けたことは覚えておりますけれども、三年前の要望に対してどのように具体的に答えたということは覚えてはおりません。

 下関北九州道路については、既につながっている関門トンネルや関門橋のバイパス機能の確保など、他の五つの海峡横断プロジェクトとの違いがあるのではないかという問題提起を事務方にしたのは、これまでお答えしているとおり、平成二十八年の夏ごろでございます。

 したがいまして、関門会の要望を受けました平成二十八年三月当時は、下関北九州道路は他の五つの海峡横断プロジェクトと同じという認識のもとでお答えしたのではないかと思っております。

初鹿委員 そうだと冷たい回答をしていないといけないわけですが、記憶にないということなんですよね。

 ですから、私が、このときの大臣に対して説明した資料は非常に重要なんだということを前回も求めたわけです。一年未満の保存期間のものですから文書は残っていないものと考えますというのが大臣の答弁でした。それに対して私は、そのときも、これは重要だからきちんと捜して提出してくださいということを求めましたが、道路局長、きちんとこれは捜していただいたでしょうか。その結果、どうだったでしょうか。

池田政府参考人 平成二十八年三月三十一日の関門会の要望時の、そのときの道路局長、企画課長、それと担当の課長補佐などに全て確認をいたしましたけれども、立ち会ったということは本人からは確認できないという回答を全ての者から得ているところでございます。

 また、事前説明で使った説明資料や要望のときのメモ等につきましても、捜してみましたけれども、残っていなかったということでございます。

初鹿委員 当時の道路局長や担当の課長なども立ち会っていないと言っていて、資料もない。やはりこれは非常に不自然なんだと思うんですよね。

 衆議院としても、予備的調査の要請を我々させていただきまして、調査をすることになりましたので、国交省については、しっかり調査を行って資料を捜し出していただきたいと思います。よろしくお願いします。ここが私は一つの鍵ではないかと思っておりますので、ぜひ徹底的に調べていただきたいと思います。

 その上で、大臣、二十八年の夏ごろに問題提起をしたということであります。ちょうどこの関門会の後に地震がありました。そこから夏までの間に、大臣なりにこの状況というのを調べたり確認したりということがされた上で、ほかの海峡プロジェクトとは違う、そういう認識に至ったんだろうというふうに思うわけですが、事前の段階で、問題提起をするまでの間に説明を受けていると思うんですよね、事務方から。その資料というものは存在するんでしょうか。あればこれを提出していただきたいんですけれども。そして、どういう説明をしたのか、わかる範囲で教えていただきたいのですが。

池田政府参考人 今御指摘のありました、平成二十八年夏ごろ、それからそれ以降につきまして、下関北九州道路の必要性を再整理するに至った資料につきましては、既に御提出させていただいております平成二十八年十月七日に大臣に御説明した資料と、十一月十六日の国会答弁に係る大臣に説明した資料のほかにつきましてはございませんでした。

初鹿委員 その二つの資料は、大臣がこれはほかのプロジェクトとは違うんだということを認識をした後のものですから、その認識に至るまでの間に、例えば、トンネルと橋が両方同時にとまることがある、そういうことの説明があったのかなかったのかということが重要になってくると思うんですけれども、両方とまっていたということだとしたら、この委員会で私も質問して、五回あって、両方とまった最長の時間は十七分だ、そういう事実なわけですよね。そうであると、両方とまることを理由にするというのはちょっと無理があるんじゃないかと思うわけですね。

 ですから、どんな説明がされたのかということが重要なんだと思いますが、今大臣、ちょっと手を挙げていたので、お答えいただけますか。

石井国務大臣 これは私の記憶でありますけれども、私が問題提起をする前に事務方から説明を受けたということはございません。

 地元からのいろいろな要望で、地元の状況が、だんだん私も理解を深めていった。なおかつ、平成二十八年四月の熊本地震において、関門橋、関門トンネルが非常に緊急物資の輸送路として重要な役割を果たしたということを改めて認識をし、この代替路の重要性というのをやはり認識をするに至った、そういったいろいろな状況を自分の中で徐々に消化していって、二十八年の夏ごろに、ほかの海峡プロジェクトとは違うのではないかという問題提起をするに至ったということでありまして、その間、事務方から何か説明を受けたということはございません。

初鹿委員 では、その夏ごろに、大臣がもしかしたらこれは違うんじゃないかというふうに思った、それから、事務方には、違いがあるかどうかとか、実情はどうなのかということを改めて整理をさせたということでよろしいんでしょうか。うなずいていただいたので、そういうことだと思います。

 では、ちょっともう時間がなくなったので、最後に一つ確認なんですけれども、二十年に凍結したときに、当時の冬柴大臣は、こちら、資料をつけさせていただいておりますが、「画期的な技術開発や財政の大幅な改善があり、仮に将来、整備段階に格上げを検討する場合であっても、国会の場で個別路線毎に議論するような手続きを経ることとする。」これを打ち出しているわけですね。記者会見でも言っています。

 これは今でも維持されているのかということと、この考え方が維持されているとしたら、今は調査の段階ですが、これが、じゃ、実際に事業化するという段階になったときに、具体的にどういうことをこのときイメージしたのか。個別に国会で議論をすると言いますが、事業ごとに法律を出すということにはならないと思うので、具体的にどんなイメージなのかということを教えてください。

池田政府参考人 海峡横断プロジェクトについては、整備段階に格上げを検討する場合にあっても、国会の場で個別路線ごとに議論するような手続を経ることとするということを平成二十年に発表しております。これは、事業化に当たっての手続というふうに認識を現在もしております。

 国会の場での手続については、仮に事業化を今後考えていくことがあった場合においては、その具体的な内容を取りまとめてまいりたいというふうに考えております。

初鹿委員 ここが私は非常に不透明だと思うんですよね。ただ予算に入れて、予算の中で予算を審議するからということにはならないと思うんですよ。個別に国会で議論をするということですので、どういう議論の仕方をするのかということをできるだけ早く明らかにしていただきたいということを最後に申し述べまして、質問を終わらせていただきます。

谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 本日は一般質疑の日でありますので、宿泊業の働き方改革や辺野古の埋立てをめぐっての政府の考え方をただしてまいりますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。

 まず、宿泊業の働き方改革と外国人の採用についてであります。

 一つ目は、宿泊業の働き方改革についてでありますが、一と二、まとめてお答えをいただきたいと思います。

 資料の一をごらんください。観光庁は、日本の宿泊サービスの特性と課題及び今後の取組、生産性向上や魅力ある職場環境づくりにどう対応してきたのか、また、今後どう対応していくのかを教えていただきたいと思います。簡潔にお答えください。

田端政府参考人 お答えいたします。

 我が国の宿泊業は、きめ細かなサービスや清潔感などに特徴があり、おもてなしの精神に根差した宿泊サービスの提供は、旅行者の快適性、安心、安全の確保に大きな役割を果たしています。

 一方で、宿泊業においては、生産性が必ずしも高い水準とは言えないことや、人手不足であるといった課題があると認識をしています。

 このため、観光庁としましては、業界団体とも連携して、さまざまな業務を一人の従業員が行うマルチタスク化の推進や、ICTの活用や機械化などによる生産性の向上の取組のほか、女性、高齢者などの活躍によります優良事例の情報発信、セミナーの開催などによる魅力ある職場環境づくりの取組などを推進をしております。

 こうした取組を進めてきた結果、宿泊業における生産性の伸び率については、全産業の平均の伸び率を上回るなど、一定の改善が見られることから、引き続きこのような取組を推進してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 観光庁とそれから宿泊業の皆さんの生産性向上に向けての事例集が発表されておりますが、これを読んでみますと、それぞれよく頑張っているなというふうにも言えると思いますし、これだけ逆におくれていたのかなというふうにも言えますけれども、今後ともぜひ頑張ってほしいと思っていますが、このマルチタスク型人材とは、一人三役できる、そういうことなんですか。確認をさせていただきます。

田端政府参考人 マルチタスク化ということでございますけれども、フロント業務であるとか接客、レストランサービスなど、こういうような業務を一人で複数業務やる、こういう意味合いでございます。

福田(昭)委員 それでは二つ目でありますが、宿泊分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針、要領についてであります。

 これも、一と二、まとめてお答えいただきたいと思いますが、資料の二をごらんいただきたいと思います。

 宿泊分野における特定技能者の受入れの必要性と受入れ見込み数及び一号特定技能外国人が従事する業務について教えていただきたいと思います。簡潔にお答えください。

田端政府参考人 お答えいたします。

 業務でございますけれども、この一号の特定技能外国人には、宿泊サービスに必要なフロント、企画、広報、接客、レストランサービスなどの業務をマルチタスクで従事をしていただくということをまず想定をしております。

福田(昭)委員 それでは、この一号特定技能外国人が従事する業務については、フロント、企画、広報、接客及びレストランサービス等とありますけれども、こうした外国人についても、専門的な業務プラスアルファとして、例えば単純業務などにも取り組んで、一人三役ということにも取り組んでもよろしい、こういうふうに理解してよろしいですか。確認をさせていただきます。

田端政府参考人 委員今御指摘の業務も含めまして、この一号の特定技能外国人は、宿泊サービスに必要なこれらの業務に従事する日本人が通常従事をすることとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えないと考えております。

福田(昭)委員 その際は、ぜひ特別手当などで給与もアップしてくれるということが一番重要かなと思っております。それでは、観光庁長官、ありがとうございます。

 次に、国の機関等は行政不服審査法第二条に規定する審査請求人にはなれないことについて、これから政府と議論したいと思います。

 一つ目は、基本的な問題点についてであります。

 第一点と第二点、まとめてお答えください。

 まず第一点、行政手続法第四条、国の機関等に対する処分等の適用除外はいつ成立をし、いつから施行されているのか、第二点、行政不服審査法の全部改正はいつ成立し、いつから施行されているのか、お答えをいただきたいと思います。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点、行政手続法でございますけれども、御指摘の第四条を含めまして、平成五年十一月に成立し、平成六年十月一日から施行されております。

 それから、第二点の行政不服審査法でございますが、昭和三十七年に制定されましたけれども、それ以降、行政の公正性等に関する意識が大きく変わってきたこと、また平成五年に行政手続法が制定され、さらに平成十六年に行政事件訴訟法が抜本的に改正されるなど、関係制度の整備、改正が行われてきたことを踏まえ、全面的に見直したものであります。改正法は平成二十六年六月に成立し、平成二十八年四月一日から施行されております。

福田(昭)委員 今皆さんお聞きいただきましたように、行政不服審査法は平成二十六年六月に全部改正されて、平成二十八年四月一日から施行されたということであります。

 そこで、第三点でありますけれども、行政不服審査法はなぜ全部改正したのか。今、大体経緯は言われたと思いますが、行政手続法第四条で規定されておりますように、国の機関等に対する処分等は適用除外だということが、実は今回全部改正された大きな理由の一つになっております。

 そこでお伺いいたしますが、沖縄防衛局は国の機関ですか、それとも、どういう施設ですか。

辰己政府参考人 お答えいたします。

 沖縄防衛局は防衛省の地方支分部局で、現在、普天間代替施設建設事業の埋立ての事業の主体となって行っています。

福田(昭)委員 沖縄防衛局はまさに国の機関ということになるわけでありますが、沖縄防衛局はなぜ辺野古に飛行場をつくっているんですか。

辰己政府参考人 現在進めている事業につきましては、現行の普天間飛行場、これにつきまして、宜野湾の市街地の真ん中にございますので、非常に危険性が高いということで、これを除去するという必要があることから、地元とも協議をした結果、辺野古の沿岸域を活用した上で、辺野古崎を中心とした地域に飛行場をつくることが適切だということで、現在、事業を進めているところでございます。

福田(昭)委員 そうすると、沖縄防衛局は、国と国との取決めに基づいて辺野古に飛行場をつくっているということになります。そうすると、それはまさに沖縄防衛局の固有の事務ではないですか。違いますか。

辰己政府参考人 沖縄防衛局は、この埋立事業につきましては、公有水面埋立法における事業者としてこの事業を進めているところでございまして、これにつきましては、一般私人と同様に、埋立てに関する承認を受けた上で事業を行っているところでございます。

福田(昭)委員 埋め立てた後、そのまま使わないというわけじゃないでしょう。埋め立てた後、そこに飛行場をつくらないと沖縄防衛局の仕事は完成しないわけですよ。そうしたら、飛行場をつくるために埋立てしているわけだから、これは沖縄防衛局の固有の事務の一環じゃないですか。そういうふうに解釈するのが当たり前だと思いますよ。

 そうしますと、行政手続法第四条には、国の機関等に対する処分等の適用除外が新たに規定されて、「国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)」まさに沖縄防衛局長が名宛て人になっているわけでありますが、「及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。」と書いてあります。

 まさに沖縄防衛局長は、国と国との約束に基づいて国の固有の事務を沖縄防衛局が実は実施をしているわけですよ、そうすると、この行政不服審査法に基づいて審査請求人としての資格がないということになりますけれども、このことについてはいかがですか。

辰己政府参考人 沖縄防衛局は、先ほども申しましたように、公有水面埋立法に基づいて、まず、一般私人たる事業者と同様の立場で、今回の埋立てについて沖縄県知事から承認を受けた上で事業をしているということで、行政不服審査法の七条の二項、この適用除外の対象になるものではないというふうに考えています。

福田(昭)委員 一般私人は、埋立てをしても飛行場はできないんですよ。埋立ては飛行場をつくる工事の一環じゃないですか。ですから、そういう成り済ましはだめ。法律破りですよ、これは。政府がそんなことをやっちゃだめ。

 今、森友文書の改ざんでもはっきりしたけれども、政府がまさに法律をねじ曲げる、それもこの一つですよ。

 では、第四点に行きますけれども、平成二十八年の最高裁判決はいつ言い渡され、その内容はどういうものだったか、ちょっとお答えください。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、前回の沖縄県の承認取消しの違法性が判断されました最高裁判決につきましては、平成二十八年十二月二十日に言い渡されております。

 この判決の中で、裁判所の審理判断は、処分がされた時点における事情に照らし、処分に違法等があると認められるか否かとの観点から行われるべきものであるなどとして、承認の取消しが行政不服審査法第二条の処分であることを踏まえた上で、当該承認の取消しが違法であるというふうに判断をしております。

福田(昭)委員 私は、この判決は事実誤認をしていると思います。

 日本の裁判について、社会部の記者として一生懸命取り組んできた人の話でありますけれども、日本の裁判というのはボクシングと一緒だと。つまり、出された証拠に基づいてだけ裁判所は判断する。だから、どっちかというと有効打を打った方が実は勝ってしまう。

 また、ある弁護士がこんなことも言っています。日本の裁判というのは、行政と戦うときに、行政の弁護士やあるいは検事と戦っているんじゃない、裁判長と戦っている、裁判長と行政側の弁護士と検事がぐるになって、その人たちと戦っている、こういう印象だと。だから、日本の裁判というのは検察が起訴したらば九九%有罪になるじゃないですか。

 ですから、日本の裁判のあり方もちゃんと変えないとだめ。裁判官も、現地に学べという言葉があるんだから、みずから現地に行って調査をして、何が事実なのか、真実なのか、それをしっかり判断をして判決を下さないとだめだと思います。

 それで、今回も、平成二十八年十二月二十日の最高裁第二小法廷の地方自治法に基づく判決文を読んでみますと、明らかに事実誤認をしております。

 まず一つは、沖縄防衛局長には行政不服審査法に基づく審査請求人としての資格がないということを判断しておりません。それから、前の知事が許可した二点、埋立法に基づく要件の第一号要件に合致しているというふうに言っておりますけれども、その理由が、判決文を読んでみるとびっくりします。

 普天間飛行場の施設面積が約四・八平方キロメートルであるのに対し本件施設等の面積が約二平方キロメートルであり、そのうち埋立面積が約一・六平方キロメートルであることなどから埋立ての規模が適正かつ合理的である、沿岸域を埋め立てて滑走路延長線上を海域とすることにより航空機が住宅地の上空を飛行することが回避されることや、本件新施設等が既に米軍に提供されているキャンプ・シュワブ等の一部を利用して設置されることなどから、埋立ての位置が適正かつ合理的である、こう判断したというんです。

 この後でも質問することになっていますが、これは残念ながら、辺野古の埋立ての飛行場が仮に完成したとしても、即普天間飛行場は返ってこないんですよ。返還条件の一つに、辺野古につくる飛行場には約一・三キロメートルぐらいの滑走路しかできない、これでは緊急時に耐えられないということで、今の普天間飛行場にあるような、二・八キロメートルのような長い滑走路がなければ緊急時に対応できないから、返還の条件として、そうした長い滑走路が確保できるような民間の飛行場を提供しろと書いてある。

 提供する場所は、まだ、二十数年たって、決まっていないじゃないですか。だったら、辺野古の飛行場が完成を仮にしても、普天間はすぐ返ってこないんですよ。防衛省では、これはまだめどが全く立っていないわけです。ですから、この一番目の要件、これはちゃんと満たしておりません。

 それから二つ目、二つ目の要件も、これまた事情が変わってきました。二号要件ですね。

 環境影響評価書の内容が検討の対象とされた上で、護岸その他の工作物の施工、埋立てに用いる土砂等の性質への対応、埋立土砂等の採取、運搬及び搬入、埋立てによる水面の陸地化において、現段階でとり得ると考えられる工法、環境保全措置及び対策が講じられており、さらに災害防止にも十分配慮されているとして、第二号要件に適合すると前の知事は判断したわけでありますが、しかし、その後、軟弱地盤等が発見されたんじゃないですか。

 ジュゴンがどこへ行っちゃったかわからないとか、サンゴ礁を全部移植してないんじゃないかとか、さらには、決定的なものとして、軟弱地盤が見つかっちゃって、七万七千本もくいを打たなくちゃうまくいくかどうかわからない、これとてまだはっきりしていないわけですよ。まさに事情が変わっちゃったから、二号要件だっておかしい。

 ですから、この裁判所の判決は事実誤認も甚だしい。だから、これもやはりしっかりと、もう一度再審査請求などをして改めるべきだと思います。裁判所そのものも反省してもらわなくちゃならない、このように思います。

 それでは次に、二つ目ですけれども、行政不服審査法の法案改正要綱から見た問題点について指摘をしたいと思います。

 まず、目的等についてでありますが、資料の三をごらんいただきたいと思います。

 第一点は、目的等についてであります。「1 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とすること。」国、地方公共団体などは含まれておりません。国民です、まさに。

 国民のための実は行政不服審査法でありますが、国や地方公共団体のためではないというふうに思いますが、いかがですか。

鈴木(淳)副大臣 行政不服審査法は、行政庁の違法、不当な処分を受けた者が侵害された権利利益の救済を図るための制度を定めるものでございまして、第一条第一項は、それを端的に表現する趣旨で「国民の権利利益」と規定しております。

 審査請求することができる者につきましては、第二条におきまして、行政庁の処分に不服がある者は審査請求をすることができるとされており、行政庁の処分により法律上の権利利益を害された者であれば、日本国籍を有する自然人たる国民に限らず法人や外国人も含まれ、また、国の機関等にありましても、これらの者と同様の立場で処分を受けた場合につきましては、審査請求ができることとされております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 それは誤った解釈です。

 大臣、第二条に、これから聞きますけれども、審査請求については第二条に規定してありますが、「行政庁の処分に不服がある者は、」この「者」に国と地方自治体がどうやって含まれると、どこに書いてあるんですか、言ってください。

鈴木(淳)副大臣 先ほど述べましたように、行政不服審査法第一条第一項は、立法趣旨を簡潔に表現する趣旨でありまして、「国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」と規定しているところでございますが、同法第二条におきましては、審査請求することができる者につきまして、「処分に不服がある者」と規定をし、国民に限定してはおりません。

 そのため、外国人や法人など国民以外の者であっても、「処分に不服がある者」に該当する場合には国民と同様に審査請求をすることができるものでありまして、国の機関でございましても、一般の私人や事業者と同様の立場で処分を受けた場合におきましては、審査請求をすることができるとされているところでございます。

福田(昭)委員 副大臣、外国人だとか法人、企業は「者」に入りますよ。しかし、国や自治体は入りません。そんな解釈、どこに通用するんですか。これは安倍政権が絶対的権力だから通用しているだけですよ。国や自治体は入りません。

 これから行きます。第三点、適用除外について。今話が出ましたけれども、第七条第二項について、どのように書いてあるんですか。

 この法案要綱にもしっかり書いてありますけれども、適用除外、五の2です。「国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しないものとする」と書いてありますよ。

 だから、国や地方公共団体、しかも沖縄防衛局の固有の事務を今回やっているわけですよ。これに該当しないんですか。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました行政不服審査法の七条二項でございますけれども、国の機関等も一般の私人や事業者と同様の立場で処分を受けた場合には不服申立てができる、これは改正前の旧法の考え方でもございますけれども、この考え方を前提に、一般の私人や事業者が立ち得ないような固有の資格において処分を受けた場合には審査請求をすることができない旨を確認的に規定したものでございます。

福田(昭)委員 その解釈も間違っていますよ。

 なぜ新法を全面改正したのか。それは第四点ですけれども、そうした旧法では曖昧だったものを、特別の不服申立ての制度を第八条に明文化したんですよ。国の機関又は地方公共団体等が審査請求することができない処分、今回のようなことですよ、又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立て制度を設けることを妨げないものとすると書いてあるんですよ、第八条に。

 第八条で、国や自治体が、今回の辺野古の基地のように、行政不服審査法で審査請求できないものについては、新たな法律をつくって特別の不服申立て制度をつくっていいよと書いてあるんですよ。新法はそのためにつくった、このことをよくわかっていませんね。どうですか。

吉開政府参考人 今御指摘いただきました行政不服審査法の第八条でございますけれども、この法律では審査請求ができない処分につきましても、別の法令で特別な不服申立ての制度を設けることができる旨を念のため規定したものでございます。

 いずれにいたしましても、国の機関が一般の私人や事業者と同様の立場で処分を受けた場合には、行政不服審査法に基づき審査請求をすることが可能とされているところでございます。

福田(昭)委員 総務省も、そこまで法律をねじ曲げちゃだめだよ。自治体に対して、あんたら、どういう指導をしているんだ。法律を守れといって指導しているんじゃないか。それが、全く法律を守らなくていいということだよ、これは。

 先ほどからも言ったように、平成二十六年に全部改正したのは、行政手続法に明文化されているのに行政不服審査法では少し曖昧だから、これを明確にしましょうということで第八条を設けたわけですよ。

 旧法の行政不服審査法では、第四条の第二項に、「前項ただし書の規定は、同項ただし書の規定により審査請求又は異議申立てをすることができない処分につき、別に法令で当該処分の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。」こういう規定なんですよ。

 ですから、これでは国や自治体がどうなのかというのがはっきりしないんですよ、実は。旧法の行政不服審査法では。それで、全部改正をした中で、行政手続法と同じように、まさに平仄を合わせて第八条を設けたわけですよ。

 それは総務省がやったんだよ。その総務省が法律をねじ曲げてどうするんですか。まさに日本の国は、先ほども申し上げたように、裁判所もそんたく裁判をする、そんたく判決をする。もう法治国家じゃないじゃないですか、これ。とんでもないですよ。

 ですから、そういった意味で、とんでもない判決が出ているわけでありますが、最後に、やはりまず防衛副大臣に、沖縄防衛局長が行政不服審査法に基づいて審査請求したのは適法だったと考えているのかどうか、私は違法だと思っていますが、お答えをいただきたいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 今委員御指摘の件につきましては、防衛省としても、不服申立てができる対象を一般私人に限定しておらず、国や地方公共団体の機関が行政処分を受けた場合にも審査請求の申立てを行うことが認められているところでありまして、沖縄防衛局長が受けた埋立承認の撤回処分は、一般私人たる事業者の埋立免許につき撤回処分を受けるのと同様に、埋立てを行うことができる法的地位を失うもので、一般私人が権利利益を害された場合と同様であり、行政不服審査法に基づき、審査庁である国土交通省に審査請求及び執行停止を申し立てる資格があるものと考えております。

福田(昭)委員 時間が来ましたので、国土交通大臣の所見もお伺いしたいと思っていましたが、多分同じ答えだろうと思います。安倍内閣は、まさに法律破りを堂々とやっているということを指摘しておきたいと思います。

 最後に、安倍総理は先日、本会議において、日米地位協定を見直す考えはないと答弁をしておりますけれども、沖縄のこの問題も北方領土の問題も、日米地位協定の抜本的な見直しができない限り、こうした問題は解決できないんじゃないでしょうか。

 ぜひ、正常な日米関係を築くためにも、日米地位協定の見直しに向けて、関係省庁、やはり恐れずに、正々堂々と、法律に基づいて、特に国際法に基づいて、日米地位協定がいいものなのか悪いものなのか、しっかりと見直すことを要請をして、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、午前中の審議、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 質疑の時間をありがとうございます。

 自動運転の実用化に向けた政府の取組について、最初にお尋ねをしたいと思います。

 百三十年という自動車の長い歴史の中で、新しい波、技術革新の時代を迎えているわけですけれども、国交省では、道の駅を拠点とした自動運転サービスの実用化を目指して、おととしから全国十三の地域で実証実験が行われました。このうち、私の地元秋田県の上小阿仁村でも実証実験が行われまして、おととしの開始式のセレモニーでは石井大臣にもお越しをいただきました。ありがとうございました。

 秋田県は、全世帯に占める高齢世帯の割合が全国で最も高いんですけれども、二〇四〇年には実に五七%を超えると言われています。これは平均の数字ですから、町や村では一段また割合が高くなっていくわけです。

 上小阿仁村では、人口減少、少子化、そして、それに伴う人手不足の中で、住民の移動、またお買物、そして通院、不便にならないような対策として、また、農業県ですので、新鮮な農産物の出荷を維持したりという物流の支援策の一つとして、高齢化した地域の消費行動、また、安心の生活を支える、地域の経済の好循環をつくり出すエンジンになり得るこの自動運転サービスに期待をしたいところですけれども、上小阿仁村は、中山間地域で、県内有数の豪雪地帯であります。

 冬道を使った実験もこのほど行われましたが、地域の活力づくりに向けて、前を向いて進めているこの村の取組、大臣、どのように評価されているでしょうか。

石井国務大臣 国土交通省では、中山間地域における道の駅等を拠点といたしました自動運転サービスの実証実験を、全国十八カ所で実施をしております。

 このうち、道の駅かみこあににつきましては、平成二十九年度に八日間の短期実験を、さらに、平成三十年度には四十二日間の長期実験を実施したところであります。この実験の結果、地元からは、自動運転は生活の足の確保や物流の確保のために有効な手段であり、実現に向けた取組を進めていきたいと聞いているところであります。

 また、実証実験におきましては、積雪時の走行空間の確保や歩行者の安全確保など幾つかの技術的な課題はあるものの、実現に向けて解決できるものと考えております。

 さらに、社会実装に向けては、地域主体による運営体制の構築なども必要であります。

 国土交通省といたしましては、上小阿仁村での実証実験は全国の先進事例となり得るものと考えておりまして、引き続き、上小阿仁村における自動運転サービスの実現に向けて、支援をしてまいりたいと考えております。

緑川委員 未来を見据えて、長い先を見た取組、これは持続可能な暮らしを支えていくために大切な取組でありますので、ぜひ後押しをいただきたいというふうに思います。

 自動運転の運用上の技術的な課題についてはけさの内閣委員会でお尋ねをいたしましたので、ここからは、暮らしを根底で支えている物流についてお尋ねをしたいと思います。

 この物流の中で、トラック運送業者と言われる方々は六万二千者、そのうちの大半を占めるのが、九九・九%、中小企業であります。

 物流を取り巻く現状についてという国交省の資料によれば、これは質問通告しておりましたが、ちょっと時間の関係で、自分で答えます。トラックドライバーが不足していると答えている運送業者の割合は、不足とやや不足を合わせて、おととし時点で六三%であります。六万二千者の六三%、つまり四万者近くが人手不足という数字になります。

 自動車運送事業の働き方改革についてという国交省の資料を抜粋したもの、今お手元にお配りをしているんですが、それをちょっとごらんいただきながら説明したいと思います。

 大型トラック、中小型トラックのドライバー、これはどちらも、一の年間労働時間、そして二の所定外労働時間、残業時間ともに全職業平均より長い一方で、三、ごらんいただくように、年間賃金は平均より低くなっております。

 また、資料にはつけておりませんが、トラックドライバーで働く人のうちの二十九歳以下の若い層は九%、一割を切っております。全体の半数近くが四十歳から五十四歳という状況です。

 バブルが崩壊してから、この業界の規制緩和による競争が激しくなりました。この三十年間、変わらない運賃で、昔ながらの運賃で荷物を運ぶことが常態化をしてきた。また、トラックの燃料である軽油も、この三十年、二倍に高騰している。そうしたしわ寄せが現場のドライバーに行っていたように私は思います。

 これからの令和の新たな時代に向けて、トラック業界における働き方改革について、まず、運送業務における詳細な課題をお尋ねする前に、大臣、働き方改革についての御所感を伺いたいと思います。

石井国務大臣 トラック運送業は、国民生活や我が国の経済を支える重要な産業でありますが、近年は、ドライバー不足が大きな課題となっており、担い手の確保等が重要な課題となっております。

 トラック運転手の有効求人倍率につきましては、直近では約三倍と、全職業平均と比べて高く、その労働環境については、他の産業と比べ、長時間労働、低賃金の状況にございます。

 このような状況にありますトラック運送業の担い手の確保等を図るためには、長時間労働の是正を図るとともに、労働生産性の向上等を図ることが必要不可欠であります。

 一方で、荷主や配送先の都合により荷待ち時間が発生するなどといった業務の特性や取引慣行等の問題があるなど、個々の事業主の努力だけでは解決できない課題もあることから、荷主とも一体となった取組を進めることが必要であります。

 このため、野上官房副長官を議長といたします自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議において取りまとめられました政府行動計画に基づきまして、労働生産性の向上、多様な人材の確保、育成、取引環境の適正化等を図っているところであります。

 引き続き、荷主所管官庁などとも連携をいたしまして、トラック運送業の働き方改革をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

緑川委員 荷主との関係、つまり、荷待ちの問題であるとか荷役作業の効率化、やはり、長時間労働の根本の原因を生み出しているそういうものに対してのアプローチは大変重要であると思います。

 後ほどまた詳しく触れたいというふうに思いますが、人手不足というふうに一口に言いましても、やはり需要と供給のバランスがあると思います。つまり、供給である人手は、従来と実は数字上はほぼ変わりません、同じなんですが、それに対して、需要、つまり仕事の量がふえているのがトラック運送業の実情であります。

 トラックドライバーの人手不足の問題は、離職者が多いというよりは、むしろ仕事としての需要が著しく高まっていることにあります。

 例えば、ネット通販、自宅にいながらのお買物、そして食事の宅配。外での買物が難しい世帯にもこれは便利なサービスなんですけれども、こうした個人あるいは企業への小口配送の一形態である宅配便の取扱いが非常に伸びていることが大きく影響をしています。

 国内で配送されている小口荷物の数は、宅配便とトラック便を合わせれば年間で八十億個と言われています。つまり、国民一人当たりに直せば、年間で一人当たり七十個弱の宅配便、トラック便が来るという計算になります。このうち、特に宅配便の取扱数がふえています。二〇一七年度は四十二億五千百万個です。直近の五年間で、この数が毎年一億から二億個ふえていることになります。

 こういう宅配便の再配達の割合も、これは実におよそ二割、年間八億以上の宅配便が再配達になっています。トラックドライバーの全体の一割に当たる労働力が再配達に回されているというふうに言われています。つまり、ドライバー一人当たり、再配達が結果としてなくても、一日百五十から二百個配達している状況です。

 人口減少によって町の商業施設あるいはサービス機能が縮小している地方で、このネット通販は住民が安心して生活できる上ではますます欠かせないものですが、今後、ネットを使える世代がまた高齢になっていけば、その利用者はますますふえていくことになります。

 人手不足やドライバーの負担軽減に向けてはどのように取り組んでいくお考えでしょうか、大臣。

石井国務大臣 トラックドライバーが不足する中、EC市場の拡大に伴う宅配便の需要増に対応していく上で、現在約一五%となっております宅配便の再配達が大きな課題となっております。

 このため、関係省庁とも連携をいたしまして、オープン型宅配ボックスの設置を促進をいたしますとともに、昨年五月には、宅配事業者、EC事業者及び関係省庁で構成をいたします宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会を設置をいたしまして、十一月には、オープン型宅配ボックスに加えて、コンビニや営業所等を活用した多様な受取方法の提供など、再配達削減の取組事例を取りまとめ、公表をいたしました。

 また、この連絡会における議論を踏まえまして、本年三月には、利用者があらかじめ指定する場所に非対面で配達をする、いわゆる置き配に関する検討会を新たに設置をし、実施に当たっての課題や対応策等について検討を行っているところであります。

 国土交通省といたしましては、引き続き、本検討会等の場を活用いたしまして、事業者や関係省庁と連携をしながら、宅配便の再配達削減に取り組んでまいりたいと考えております。

緑川委員 大臣から御紹介いただいた、コンビニで荷物を受け取ることができる、企業を中心に実験的な取組、駅の中で、生活動線上での、宅配ロッカーを置いたり、さまざまな取組、企業としての取組はありますが、個人と企業で再配達の割合は異なっております。

 企業に対する再配達の割合は小さい、つまり、再配達の割合が二・二回というふうに言われていましても、結局、企業が小さければ個人が非常に再配達の割合が高いということですから、これは二回も三回も自宅に荷物を届けるような場面が多いということです。

 私も、地元の家を留守にしていることが多いので、宅配ボックスを置いております。やはり個々人の意識の高まりが何より重要であるというふうに思います。

 この宅配便の増加以外にも人手不足の感を強めるものとして、業界が長年抱えている課題の一つが、トラックの荷物を積める量に対して実際どれだけ積んで輸送したかという割合、積載効率の問題がございます。

 トラック一台当たりの積載効率は、現在およそ四割と言われています。つまり、トラック自体は荷室の半分以上を空のままにして走っているということになります。

 この積載効率を上げる企業の取組として、例えば、複数の大手食品メーカーが共同でお金を出して物流会社をつくって、全国のネットワークを生かしながら、小口の荷物から冷凍食品、またクール便などの共同配送も進められているところでございますが、この積載効率のあり方を含め、大臣の御認識、そして改善に向けた御対策を伺いたいと思います。

石井国務大臣 トラックの積載効率につきましては、ネット通販の普及等による貨物の小口多頻度化等を背景といたしまして近年低下を続けており、二〇一七年現在で約四〇%となっております。

 トラックドライバーの働き方改革を推進する上で、積載効率を向上させることが急務となっておりますが、そのための方策として、共同配送は有力な方策の一つであります。

 国土交通省といたしましては、これまでも、物流総合効率化法によりまして二つ以上の者の連携による物流効率化の取組を認定をいたしまして、各種支援措置により後押しをしてきたところでありますが、この取組を更に推し進めるため、平成三十年十一月より、共同物流等を促進するための研究会を開催をしております。

 この研究会におきましては、荷主も含めた、業界の垣根を越えた連携を一層推進するため、経済産業省とも連携いたしまして、共同物流の先進事例を取りまとめるとともに、システム、物流資機材や手順の標準化等、国として講じるべき方策について検討を進めているところであります。

 国土交通省といたしましては、こういった取組を進めることによりまして、引き続き物流の共同化を推進してまいりたいと考えております。

緑川委員 荷主との連携、そしてまた、先ほど紹介した、複数の企業がお互いに協力をし合いながら、出荷のピークに合わせたり、また、荷物の形や重さが異なるものをいかに効率的に運んでいくか、あるいは、最近では、中小のトラック運送業においても、積み合わせ輸送といって、一つのトラックで十数社を回っていく、荷物を積んで運ぶという取組もあるというふうに聞いております。

 このコストの圧縮、あるいは効率化の成功事例が今後更に広まっていくことで、食品業界以外にも、この共同配送を行う、こういう荷主がふえていくことにつながればというふうに考えています。

 この積載効率以外の課題として、ドライバーが荷主から荷物を受け取る、納品するための待ち時間、先ほど御答弁のありました荷待ちと呼ばれるものが長時間化していることも課題であります。

 もう一つが荷役作業の効率化ですが、例えば十トントラックであれば、千ケース以上にもなる段ボールを、手作業で積卸しが必要になるような荷役作業も、この時間を延ばしている大きな要因です。

 これらの問題に対しても、対策について伺いたいと思います。

石井国務大臣 過去実施をいたしました調査では、荷待ち時間がある運行について、平均拘束時間約十三時間半のうち、荷待ち、荷役に伴って発生するドライバーの拘束時間の合計は、約四時間半となっております。

 長時間労働の是正や労働生産性の向上を図り、働き方改革を進めていく上では、荷待ち、荷役時間の短縮が必要不可欠でありまして、そのためにも、荷主の理解と協力が重要となります。

 このため、運賃と、附帯作業料、荷待ち時間料等の料金との別建て収受を促進するため、標準貨物自動車運送約款の改正を行いました。

 また、厚生労働省と共同で取引環境・労働時間改善協議会を設置をし、荷主と運送事業者との連携でのパイロット事業を実施をし、その成果のガイドラインとしての取りまとめを行っております。

 さらに、荷待ち時間、荷役作業等の記録の義務づけも行っております。

 また、荷待ち時間実態調査に基づきまして、荷待ち時間が長い品目別での荷主、運送事業者等での労働時間改善に向けた取組、また、物流機能の安定的確保に向けて、企業等、国民、物流事業者が一体となって取り組むホワイト物流推進運動の推進等といった取組を進めているところでございます。

 今後も、引き続き関係省庁とも連携をしながら、荷主の理解、協力が得られるような環境整備を進めてまいりたいと考えております。

緑川委員 いずれ、六万二千者のトラック運送事業者がいらっしゃいますので、御紹介いただいたパイロット事業の取組、その成果をまとめたガイドラインの周知、そして具体的な改善事例、しっかりと共有をいただきたいというふうに思います。

 積載効率の問題に少し関連するかもしれませんが、トラック業界でやはり従来からの課題のもう一つが、帰り荷の問題がございます。

 荷物を目的地まで運んだトラックの荷台、その日、役割を終えたわけですが、事務所までの帰り道は空になるわけです。空荷で走るのはもったいないから、帰りも荷物を積んで生産性を高めようというのが帰り荷の発想であります。

 しかし、この帰り荷を純粋に業務の対価として考えていれば問題にはならないんですが、帰り荷だからといって、燃料コストまた車の減価償却費を度外視して、不当に安い運賃で依頼を受けてしまうというケースが従来から多くあります。それが結果として価格の引下げ競争を生んで、多くの運送会社の経営を苦しいものにさせている、そういう要因につながっていると聞きます。

 このところは、荷物の集配需要は高まっていることで、大手を中心に運賃の値上げに踏み切っているところですが、現在の値上げも、ライバル企業の運賃を横目に見ながら、気にしながらの値上げであります。

 業務遂行に必要な本当のコストを計算して、それに基づいた適切な利益設定を考える、それで算出される運賃であるべきというふうに考えますが、国として、どのような対応をとっていかれるでしょうか。

石井国務大臣 トラック運送業の働き方改革を進める上では、荷主の理解、協力を得て取引環境の適正化を進めていくことが必要でありまして、そのためにも、運賃・料金の適正収受等を図ることが重要であります。

 このため、国土交通省では、適正な運賃・料金の収受に資するよう、原価計算の手引の作成、運送に必要なコストに関する荷主、運送事業者双方の共通理解の促進に向けたガイドラインの作成等を行ったところであります。

 また、昨年末の議員立法によります貨物自動車運送事業法の改正において新たに設けられました標準的な運賃の告示制度につきましては、法令を遵守しながら持続的に運営を行っていく際の参考となる運賃を示すことにより、ドライバーの労働条件の改善等を図るようにしてまいりたいと考えております。

 今後も、引き続き、法令を遵守しつつ、トラック運送機能の持続的確保が図られるよう、運送に必要なコストが賄われる環境を整えるため、取組を進めてまいりたいと考えております。

緑川委員 こうした、表ではなかなか見えにくい、安受け合いしてしまうような実態、これを国としてしっかり改善を図っていくこと、これも一つの働き方改革であるというふうに思っています。

 また、トラックドライバーの休憩時の問題というものも言われます。

 駐車場が足りないという声。仮眠や時間調整のために長時間駐車するということは当然なんですが、トラックドライバーは、四時間連続で運転した場合には、三十分の休憩をとることが義務づけられております。運行記録計、いわゆるタコグラフでこれは把握できますが、物流業界では、運行管理が厳格化してはいるんですけれども、高速道路のサービスエリア又はパーキングエリアで立ち寄る回数がそれだけふえていくということになっていますが、その休憩所が満車になっていて、次まで、次の区間、二十五キロ以上の区間もあると言われていますが、そこまで走らなければいけない問題も出てきています。

 NEXCOの昨年の調査によれば、大型車については、平日の夜間を中心に、七〇%以上のサービスエリア、パーキングエリアで駐車升が不足していると言われます。また、大型車の駐車升に小型車がとまっている、だから大型車がとめられない、こういうクレームもNEXCOで寄せられているということです。

 国として、こうしたものにどのように対応されていくでしょうか。

石井国務大臣 高速道路の休憩施設におけます駐車スペースの不足につきましては、例えば東名高速の海老名サービスエリアで時間帯によって大型車の駐車升が不足しているように、課題となっている箇所があることは認識をしております。

 このため、NEXCO三社におきまして、利用状況や混雑状況等を踏まえまして、駐車升を、二〇一八年度には二十六カ所の休憩施設で約五百台拡充をいたしまして、今年度には三十四カ所で約千二百台拡充する予定としてございます。

 また、本年四月十二日より、NEXCO中日本が、豊橋パーキングエリアの下り線におきまして、ドライバーの確実な休憩機会を確保するための駐車場予約システムの社会実験を開始したところであります。

 加えて、全国で休憩施設の間隔がおおむね二十五キロメートル以上あります約百区間について、その半減を目指し、道の駅への一時退出を可能とする実験を全国二十カ所で実施をしているところでございます。

 国土交通省といたしましても、今後とも、利用者からの御意見等を踏まえまして、引き続き、高速道路会社と連携いたしまして、休憩施設の使いやすさの改善に努めてまいりたいと考えております。

緑川委員 もちろん、都心部中心にそうした駐車升をふやす取組が進められておりますけれども、各地域でも、やはり一部で混雑するところが私の秋田県内の地域でもございますので、そうしたきめ細やかな、くまなくそうした場所をチェックしていただきたい、その上で今のお話のような対応を図っていただきたいというふうに思います。

 日夜、荷物を運ぶ人がいて成り立っているというのは、トラック便や宅配だけではありません。身近なスーパーやコンビニ、また自動販売機、これはどれも同じであります。そういう便利な消費生活を支えているのがトラック運送であり、このままの調子で発注、注文がふえれば、どこかでやはり破綻が来て荷物をさばき切れなくなります。深刻な状況であることを共有をさせていただいて、トラックドライバーの働き方、また、集配業務のあり方、実効性のある御対応を求めてまいりたいというふうに思います。

 このトラックドライバーの長時間労働、高齢化の課題は、バス業界でも深刻であります。これに絡む運転手のなり手不足というものが、これは直接地域の足に影響しているわけです。

 資料をまたごらんいただきたいと思いますが、一の、バス運転手の年間の平均賃金は、全職業の平均よりおよそ二割長い一方で、三の年間の賃金はおよそ一割低い状況です。

 日本バス協会のおととしの調査では、三十両以上保有しているバス会社三百十社のうちの八五%以上が運転手不足と答えています。

 このまま運転手が減り続ければ、路線をいよいよ縮小せざるを得ない、対応が難しいという地域も出てきておりますが、国として、この地域の足、公共交通をどのように確保、支援していくお考えか伺います。

石井国務大臣 バス事業は、我が国の日常生活や経済活動を支える重要な公共交通機関としての役割を担っていることから、その担い手を確保していくことは非常に重要と認識をしております。

 地域の足を支えるバスの運転者を確保するためには、労働生産性の向上や多様な人材の確保、育成を図る取組が重要であり、国土交通省では、連節バスの導入や乗り合いバス路線の再編、二種免許の取得支援等の取組を関係省庁と連携をして推進をしております。

 また、日常生活の基盤となるバスや乗り合いタクシーの運行等に対する支援を始めといたしまして、地域公共交通活性化再生法も活用いたしまして、地域に最適な生活交通の実現を目指して、さまざまに取り組んでいるところでございます。

 こうした施策を通じまして、引き続き、地域の公共交通の維持、確保、さらには利便性の向上に向けた取組をしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

緑川委員 このバス業界、もちろん労働組合があります。ただ、六十五万人の組合員から成る交運労協というところでは、労使間ではこの労働環境をもはや解決できない状況であるというふうに話をしています。

 また、秋田県内の路線バス、少し触れさせていただきますと、民間会社の撤退が進んで、自治体による代替運行がふえているところがあります。路線をなくさないでほしいという切実なお声がある一方で、やはり、採算がとりにくい、自治体が財政負担をしながら維持費用が膨らんでいるという状況です。公共交通のあり方と費用負担のバランスが求められるところであります。

 このバス運転手なり手不足の背景のもう一つが、大型二種免許の取得のハードルの高さであります。

 道路交通法では、大型二種免許の受験資格は二十一歳以上で、普通免許を保有してから三年以上というふうに規定をされていますが、それよりも若い高卒者の運転手志望者をふやしたいということで、この年齢要件の引下げを業界では求めております。

 政府は、教習の充実といった安全対策が講じられれば受験資格を特例的に見直すことを認める方向性が妥当というふうにまとめる提言を出していますが、今後の具体的な取組、いかがでしょうか、参考人。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、旅客の人命を預かるバス、タクシー等を運転するために必要な第二種免許には、ただいま委員より御指摘のありましたとおり、年齢が二十一歳以上であることなど、厳格な受験資格が設けられております。

 一方で、平成二十九年六月に閣議決定された規制改革実施計画等において、受験資格の見直しを始め、第二種免許制度のあり方について総合的に検討するとされたところでございます。

 これを受けまして、警察庁では、今御指摘がありましたとおり、有識者会議を平成三十年度に開催し、この三月に提言が取りまとめられました。

 提言では、第二種免許取得前の教育を充実させるなど、適切な安全対策を講ずることができる場合には、受験資格を特例的に見直すことが適当であるとされております。

 提言を踏まえまして、警察庁におきましては、二十一歳以上という年齢要件を含めた受験資格を特例的に引き下げるためにはどのような内容の教育をどの程度行う必要があるか、本年度に実験教習を実施しまして、その効果を検証することなどとしております。

 こうした調査研究を行うなど、総合的な検討を進めていきたいと考えております。

緑川委員 質の確保は大変重要であります。その前提で、現場のお声をしっかり集めて、形にぜひしていただきたいというふうに思います。

 秋田県内の路線バス、また触れますと、昨年の九月から、インターネットの地図アプリのグーグルマップ、これで、秋田中央交通、秋北バス、羽後交通、この主要三社の全路線を検索できるようになっております。増加するインバウンド、訪日客の利用も想定して、各国の言語また音声検索にも対応しているということです。住民と観光客の両方にメリットがあるというふうに思います。

 こうした取組、また、デジタル技術の急速な進展は、やはり身近な移動手段の利便性の向上につながっていく。大臣、こうした取組を政府としてどのように応援をしていただけるでしょうか。

石井国務大臣 デジタル技術の進展は、バス等地域の交通の利便性向上につながる可能性があることから、国土交通省ではさまざまな支援を行っております。

 バスにつきましては、時刻表等の情報発信の促進のため、バス事業者が時刻表やバスの位置情報等を提供する際の標準的な形式を国土交通省が作成をしておりまして、この形式を全国のバス事業者に活用していただくよう、講習会の開催などを行っているところであります。

 また、バスも含みます複数の交通手段の検索、予約、さらには決済までをスマートフォン等を用いて一括して行えるサービス、モビリティー・アズ・ア・サービス、頭文字をとってMaaS、マースというふうに読みますが、このMaaSは、移動の利便性の向上をもたらし、公共交通の利用増加等にもつながる可能性がございます。このため、国土交通省として積極的な推進を図っているところでありまして、今年度は地方部を含めた地域の課題に対応した実証実験への支援を行うこととしております。

 今後とも、国土交通省といたしましては、公共交通におけますMaaSを始めとするデジタル技術の活用を積極的に推進してまいりたいと考えております。

緑川委員 こうしたネットあるいはスマホのアプリを活用するという動き、タクシー業界にも広がりを見せております。

 タクシードライバーの数は、二〇〇五年をピークにして、現在はピーク時のおよそ四分の三にまで減りました。地方の交通利便性を高めていくために政府が現在検討を進めている一つが相乗りタクシーと言われます。

 タクシー運行の効率性を高める、深刻になっているドライバー不足への対策について、具体的に伺いたいと思います。

石井国務大臣 タクシーは、利用者のニーズに応じたドア・ツー・ドアの輸送を提供することができる公共交通機関として重要な役割を担っております。

 一方で、タクシーの空車走行の割合は全国平均で約六割となっておりまして、運転者不足が言われる中、ITを活用した効率的な配車を通じて運行の効率を高め、多様なニーズに対応していくことが重要と認識をしております。

 このため、国土交通省におきまして、先月に事前確定運賃のルールを策定をしたところでありまして、配車アプリを活用して運賃を確定することにより、タクシーを利用しやすくしていきたいと思っております。

 また、御指摘の相乗りタクシーでありますが、これは、配車アプリを活用して、複数の利用者を一台のタクシーで効率的に運送することを可能とするものであり、現在、導入に向けたルールの検討を行っているところであります。

 このほか、変動迎車料金など、ITを活用した新たな運賃・料金サービスの導入を通じまして、タクシーの運行の効率を高め、多様なニーズに適切に対応してまいりたいと考えております。

緑川委員 いろいろなタクシードライバーの確保の対策、さまざまなものがあるというふうに思いますが、一つ懸念を少し申し上げたいと思います。

 地方の市町村などが自家用車で運送サービスを提供する自家用有償旅客運送がございますが、この中で、これはドライバーに一種免許の効力が過去二年以内において停止されていないといった条件を求めてはいますが、タクシー業務に必要な二種免許は要りません。ですから、一般人がタクシー業務を行えることにつながる懸念がございます。

 それが結果として、業界の人手不足を緩和させるとはいっても、タクシー事業の競争の激化を促す。そうなれば、タクシードライバーの所得の向上、ひいては、労働条件の改善にはなかなか結びつきにくいのではないかというふうに考えますが、大臣、このあたり、御認識はいかがでしょうか。

石井国務大臣 自家用有償旅客運送制度は、地域における移動手段の確保が、道路運送法による許可を受けたバス、タクシー事業者によることが困難である場合に、地域の関係者の合意のもと、道路運送法による登録を受け、市町村やNPO法人等が自家用車を用いて有償で運送できることとする制度であります。

 この自家用有償旅客運送につきまして、三月七日に開催をされました未来投資会議において、地域での移動手段確保のため、総理より、利用者の視点に立ち、現在の制度を利用しやすくするための見直しが必要であること、このため、タクシー事業者が委託を受ける、あるいは実施主体に参画する場合について、手続を容易化する法制度の整備を図ることについて指示があったところでありますが、この制度の前提となる要件につきましては、引き続き維持することとしております。

 したがいまして、国土交通省といたしましては、自家用有償旅客運送とタクシー事業が競争関係になるとは考えておりません。

 国土交通省といたしましては、バス、タクシー、自家用有償旅客運送制度を適切な役割分担のもと組み合わせまして、地域の交通ネットワークを構築することが重要であると考えておりまして、未来投資会議での議論を踏まえながら、省内に設置をいたしました地域交通フォローアップ・イノベーション検討会におきまして、引き続き、持続可能な地域交通を実現するための検討を行ってまいりたいと考えております。

緑川委員 現場に配慮した改革を進めていただきたいというふうに思います。

 業界における働き方改革の機運の高まり、また、技術の進展によって、やはり今後は、業界のあり方が中長期的に変わっていくという中で、今着手できる労働環境の改善、そして、若い人、女性の雇用促進をあわせて進めていくことが、運送業の人手不足を緩和させる道筋となるのではないかというふうに思います。

 時間が来ておりますけれども、最後に、建設業の人手不足について、二問あわせて御答弁いただきたいと思います。

 昨年は、熱中症を含めて、建設現場の死亡災害の事案がふえております。いずれにしても、背景には、管理者、労働者ともに、人手不足による深刻な影響が及んでおります。

 若者を含めた建設業の担い手の確保、そして育成への対策を含めて大臣からの御所感と、そして、建設現場では、今、ICTの活用が進んでおりますけれども、建設土木工事だけではなくて、解体や林業、また産業廃棄物の処理や金属リサイクルなど、さまざまな業種、幅広い現場で使用されることもふえてまいりました。今、国交省ではi―Constructionを提案していますが、人手不足の解消、また、生産性、安全性、そして省エネ性能の向上に向けて、建設現場が抱える課題の解決に向け、今後どのように取り組んでいくのか、あわせて伺いたいと思います。

石井国務大臣 建設業におきましては、建設業を希望する入職者をふやす取組が重要な課題となっております。

 このため、業界とも連携しながら、適切な賃金水準の確保や長時間労働の是正、技能者の就業履歴や保有資格を蓄積をし、適正な評価と処遇につなげる建設キャリアアップシステムの構築など、誰もが安心して働き続けられる環境整備を図りながら、技能者の処遇改善の取組を推進をしております。

 また、昨日、衆議院において可決いただいた建設業法等の一部改正案におきましては、適正な工期を確保するため、著しく短い工期による請負契約の締結を禁止するとともに、施工時期の平準化の取組を進めるための措置を講じることとしておりまして、これらを通じまして建設業の働き方改革を促進をしてまいります。

 また、国土交通省では、建設現場の生産性革命、i―Constructionを二〇一六年から推進をしております。

 具体的には、ICTを活用した施工につきましては、土工を皮切りに、調査、測量から検査までのあらゆる建設生産プロセスにおいて全面活用する取組を進め、維持管理分野や建築分野にも拡大をしております。また、プレキャスト製品の活用や流動性を高めたコンクリートの活用など、現場の効率化、さらには、年間を通じて工事量を安定化する施工時期の平準化等に順次取り組んできたところであります。

 これらの取組により、i―Constructionが浸透して、建設現場の生産性や安全性向上を加速化することで、建設業に従事する方々の休日の拡大や賃金の上昇による働き方改革や担い手の確保にも結びつくよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

緑川委員 駆け足の質疑で失礼をいたしました。御対応ありがとうございます。

 最後は、人を中心としたやはり技術革新ということを念頭に働き方改革を進めていきたい、それを求めて、質問を終わります。

谷委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。よろしくお願いします。

 最初に、下関北九州道路について一点質問します。

 五月十七日、下関北九州道路に関する予備的調査を野党共同で院に要請をいたしました。衆議院規則に基づく要請であります。

 四月に、国土交通副大臣が、統一地方選挙のさなかに、安倍総理と麻生副総理にそんたくしたとの発言がありました。行政がゆがめられたのではないか、国民の疑念が広がっています。それを解明するのが国土交通委員会の使命でもあり、その解明に向けて、もととなるのが私たちが要請した予備的資料であります。なぜ、下関北九州道路だけが復活をしたのか、財政措置が講じられたのか、その国土交通省の石井大臣の意思形成過程における大事な文書であります。

 国交省、しっかりと受けとめていただいたでしょうか、この資料の提出についてはどうなるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 下関北九州道路に関する予備的調査につきまして、五月二十二日、衆議院国土交通委員会から調査局長に対し、調査が命じられたと承知をしております。

 国交省といたしましては、今後、衆議院調査局からの要請に応じまして、調査の実施には誠実に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 ぜひ、速やかにこれらの文書、資料が提出されるよう、委員長においてもお計らいをいただきますように要請をさせていただきたいというふうに思います。

谷委員長 委員長の方からは、調査局に既に命じてあります。

田村(貴)委員 JR九州の日田彦山線の災害復旧について質問します。

 二〇一七年の七月、九州北部を襲った豪雨水害によって、福岡県、大分県では甚大な被害が生じました。北九州市と大分県日田市をつなぐJRの日田彦山線、この日田彦山線が、福岡県の添田駅、そして大分県の夜明駅、この間で、約二十九キロ間、線路が寸断されるなどの被害を受けて、いまだに復旧に至っておりません。

 この豪雨では、日田彦山線と交差をする久大線、この久大線も十七億円の被害を受けたところでありますけれども、発災後から復旧工事が始まり、当初は復旧に三年かかると言われていましたけれども、一年で復旧されました。また、二〇一六年の熊本地震では豊肥線が四十八億円の被害に遭い、二〇一七年の台風十八号の被害では、日豊線が、三十一億円の被害が生まれました。JRは、いずれの災害被害に対しても、JRの独自の力をもって復旧しています。

 お伺いしたいのは、なぜJR九州は日田彦山線に限って復旧をしていないんでしょうか。国交省、お考えを聞きたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 JR九州によれば、日田彦山線は、他の被災路線と比べまして、復旧費用が多額であること、また輸送人員が大きく減少していることから、一定の収支改善効果がなされなければ復旧後の継続的な運行が困難であると聞いておりまして、その点に関しましての検討が必要だというふうに承知しているところでございます。

田村(貴)委員 いやいや、それはおかしいですよ。今から述べていきますけれども、災害ですよ、災害だったら直ちに復旧する、これが基本じゃないんですか。

 二〇一五年、この国土交通委員会でJR九州の完全民営化法案が審議されました。私もこの場で質問に立ちました。ちょうど答弁席には、参考人としてJR九州の青柳社長が答弁されたことは、ここにおられる委員の皆さんも御承知かというふうに思います。

 その国会審議の際に、JR九州の青柳社長は、九州の鉄道ネットワークの維持、ローカル線の廃線、また鉄道の災害復旧について、どういうふうに答弁されたのでしょうか。説明をしていただきたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 JR九州の青柳社長は、JR九州完全民営化のための二〇一五年のJR会社法改正時の国会審議の際、それぞれの項目につきまして次のように述べております。

 まず、九州の鉄道ネットワークの維持につきましては、鉄道ネットワークの維持は、鉄道事業を中核とする当社にとって重要な役割であることは再々申し上げておりますが、上場によりその役割が変わるものではないと考えておりますと述べております。

 また、ローカル線の廃線につきましては、三セク化又は廃止ということは検討しておりませんと述べております。

 鉄道の災害復旧に関しましては、これまで二十八年間、種々の災害をこうむりましたが、これまでのところその復旧を果たしてきたわけでございますので、今後とも復旧に努めるよう努力をいたしますと述べていると承知しておるところでございます。

田村(貴)委員 上場をもって、完全民営化をもって合理化をしない、鉄道ネットワークはちゃんと維持していきますよと言ったのが、四年前の青柳社長のこの国交委員会での答弁だったんですよね。これはしっかり守ってもらわなくちゃいけないんですよ。

 にもかかわらず、JR九州は、今、福岡県、大分県、沿線自治体に対してどういうことを言っているか。バス案を提示している、また、バス専用道を入れたBRT案を提案している、さらに、鉄道を維持していくというのならば、年間一億六千万円の収支改善を自治体に求める、こういう三つの提案をしているわけであります。

 鉄道ネットワークは、今答弁ありましたように、JR九州は、維持していく、完全民営化によっても、重要であり、上場によってその役割は変わらないと言われたじゃないですか。なぜこれが守られないんでしょうか。あのときの、この衆議院国土交通委員会での議論は何だったのか。株式上場、完全民営化をしても、路線の廃止はしないよねと各党の議員さんが確認の質問をしたんです。そして、今答弁があったように、明確な回答があったわけなんです。今、この約束が覆されようとしていることは重大であります。国土交通省の的確な指導を求めるところであります。

 先ほどの答弁で、日田彦山線の被害が多額であるといったところの話でありますけれども、これは、国の支援、行政の支援によって大幅に圧縮されることについて尋ねたいと思います。

 鉄道軌道法に基づく災害復旧事業費は、超党派の議員提出法の改正で、全会一致で昨年成立しました。黒字の鉄道会社においても適用されることになりました。地方と国が被災額の四分の一ずつの補助金を出す、鉄道会社の負担を二分の一にするというものであります。

 資料をお配りしています。そのスキームが一の資料であります。黒字会社の赤字路線も対象にというところの項目で、要件が三つほど書かれています。この要件を受けるためには、大規模災害であること、被災路線が過去三年間赤字であること、復旧費用が路線の年間の収入を超えること、こうした約束事があるんですけれども、一、二、三の要件に照らして、日田彦山線は適用可能なんでしょうか。いかがですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月の通常国会におきまして鉄軌道整備法が議員立法により改正され、黒字の鉄道事業者も支援が可能となったところでございますが、そのためには、今お話のありましたように、激甚災害その他これに準ずる特に大規模の災害であること、被害を受けた路線が過去三年間赤字であること、復旧費用が被害を受けた路線の年間収入額以上であることの要件を満たすことがまず必要となります。

 その上で、日田彦山線につきましては、これらの要件を満たすものと考えますが、財政支援を行う上では、このほかに、本制度が黒字事業者の赤字路線に対する特別な追加的な支援制度であることから、その支援の効果を担保するために長期的な運行の担保に関します計画が必要であり、これらの点も含めて日田彦山線復旧会議において関係者で検討が進められていると承知しているところでございます。

田村(貴)委員 黒字の鉄道会社であっても、災害が多発しているから、これは国と行政の方で支援をしましょうと、全会一致で改正鉄道軌道法が可決されたんですよね。そして、このスキームが受けられることが今の答弁でもはっきりいたしました。

 お伺いしますけれども、この改正鉄道軌道法は、バスをもって復旧すると、対象とされるんでしょうか。適用となるんでしょうか。しないとなるならば、その理由について教えてください。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道軌道整備法に基づく助成措置は、同法第一条、目的規定におきまして「鉄道の整備を図ることにより、産業の発達及び民生の安定に寄与することを目的とする。」と規定されているところでございます。

 また、助成の対象につきましては、同法三条第一項第四号におきまして「洪水、地震その他の異常な天然現象により大規模の災害を受けた鉄道であつて、すみやかに災害復旧事業を施行してその運輸を確保しなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの」と規定されております。

 したがいまして、鉄道事業ではないバスに関しましては、鉄軌道整備法による補助対象にはならないというふうに承知しております。

田村(貴)委員 確認しました。バスではこの支援が受けられないということであります。

 更に支援は深まるのではないでしょうか。

 当初七十八億円の被災だというふうに言われました。うち、今福岡県が橋梁改修事業などで、既に二十二億円の支援措置が図られています。ですから、今、五十六億円の被災額になっています。この後、さらに、第二彦山川橋梁の改修が修繕で済むならば、修繕費は圧縮されます。さらに、第三彦山川橋梁の復旧に国の支援が得られるならば、この復旧費用は三十四億二千万円程度にまで圧縮されると沿線の自治体の長から私は伺いました。今、五十六億円と言われていますけれども、国の支援が適用されるならば、三十四億二千万円、ここまで復旧費用が縮小される。その二分の一ですから、JRの負担は十七億円であります。

 冒頭、私が述べましたように、地震や台風被害でこの額を超える復旧を、JR九州は改正鉄道軌道法が成立される前にちゃんと復旧しているわけですよ。そして、ちゃんとその費用も持ってやってきたと四年前の質疑で社長は述べていたわけなのであります。七十八億円と当初喧伝されたJR九州の負担額は、十七億数千万円まで縮小される見込みがあります。

 私は、鉄道軌道法の支援を受けて、直ちに鉄道による再建、復旧を行うべきだというふうに考えます。JR九州にとっては非常に好機だというふうに思うわけです。そういう好機を捉えて、国土交通省は指導すべきではありませんか。

 また、災害路線の復旧に当たっては、やはり沿線住民の交通権を守る、これが第一義的な課題であります。交通事業者の責務だというふうに思います。まずは、被災したんだから被災鉄道を復旧する、そして、この支援措置については、こういういい制度ができ上がったんだから適用して、そしてその方向で国土交通省はJR九州にちゃんと指導していただきたいと思いますけれども、いかがですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のありましたように、日田彦山線の復旧費につきましては、当初約七十億円と想定されていたものが、福岡県と大分県の河川の災害復旧事業によりまして、約五十六億円までに低減しているというふうに見込まれていることは承知しております。

 いずれにいたしましても、日田彦山線の復旧方針等につきましては、JR九州、沿線自治体から成る日田彦山線復旧会議におきまして検討がなされているところと承知しております。

 本年四月には、JR九州から、交通ネットワークを維持するための案として、従来から提示している、年一・六億円の収支改善を前提とした鉄道による復旧、運行主体をJR九州とする一部区間を専用道化するBRTによる復旧、運行主体をJR九州とするバスによる復旧の三案が示されております。

 現在、これらの案につきまして、沿線自治体が一旦持ち帰りまして、地域の方の御意見を伺うこととなったと承知しているところでございます。

 JR九州に対しましては、地域に対する丁寧な説明、議論を行うよう、引き続き必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 国土交通省の鉄道局はそういう認識かもわかりません。しかし、福岡県庁は、できるなら鉄道で再建をしていただきたいと言っていますよ。

 それから、被災自治体、この日田彦山線というのは、北九州市から大分県の日田市まで、長い区間なんですけれども、被災路線というのは一部区間なんですよね。一番財政力が厳しいところ、小さな町、村を襲った被害なんです。被災自治体の首長さんはこう言っています。天災で被災した自治体と住民に新たな負担を強いる理不尽な案に憤りを感じていると。三案出された、そして、鉄道ならば年間一億六千万円、この負担を自治体に持ってくることは憤りを感じていると自治体の長は言っているんですよ、この復興会議の中で。参加はしていますけれども、私は直接こういう意見を聞きました。

 まさにこの三つの案は、JR九州にとってみたら日田彦山線の廃止、廃線の意図が透けて見えるものであると指摘せざるを得ないというふうに思います。

 私は、やはり、被災路線の復旧に当たっては、無条件でまず被災を復旧する、その後の経営維持については自治体の側からもちゃんと意見を出す、アイデアも出す。私もアイデアを出したいと思います、この沿線に住んでいるので。そういう手順を踏むのがやはり真っ当なやり方ではないでしょうか。

 先ほども、五十六億円まで被害額は圧縮されたといったところは確認できました。先ほど私が述べたところの第二彦山川橋梁、第三彦山川橋梁、ここの部分について、修理でおさまるならば更に補修費は圧縮されるし、国がその支援をするならば五十六億円というお金も減るのではないか。この見込みについては、局長、いかがですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 復旧費用の具体的な中身に関しましては、我々も非常に関心を持っているところでございますので、今後の推移に関しましてはしっかりと注視してまいりたいと思います。

 よろしくお願いします。

田村(貴)委員 確認ですけれども、今の第二、第三彦山橋梁の修繕とか改修、これは国の方でぜひお願いしますと被災自治体の方は要望しているわけですけれども、それは検討に値するということでよろしいでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 地元自治体の方でそのような御希望があるということは承知いたしました。

 鉄道局としてやれることは限られておりますが、関係部局もございますので、部内で検討してみたいと思っております。

田村(貴)委員 今、五十六億円という復旧費用は確認されましたが、これが更に縮減、圧縮される見込みもあるということも確認しました。ぜひそういう方向に動いていただきたい。そうすれば、鉄道軌道法の支援によって、JR九州、自社の負担は十七億円ぐらいまでいくじゃないか、だからできるじゃないか、沿線住民も沿線自治体もこのことを強く主張していることをぜひ聞きとめていただきたいというふうに思います。

 さらに、この復旧費用のことについてお伺いをしたいというふうに思いますが、別の角度からの質問であります。

 国鉄の分割・民営化によって、北海道、四国、九州、この三つのJR会社には経営安定基金が設置されました。JR九州に設置された経営安定基金は三千八百七十七億円でありました。お配りした資料二ですけれども、この三千八百七十七億円の使途については、国土交通省からの、九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令で定められているところであります。この三というところには、「鉄道網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための費用」というふうに定められています。

 これは、平たく言うと、国交省の担当者の方にも聞きましたが、鉄道ネットワークの維持向上のために車両や鉄道施設に使うものであるというふうに説明を受けたところであります。車両や鉄道施設に使うことができるという定めであります。

 鉄道資産のためのこの費用、当初八百億円だったというふうに伺っていますけれども、現在、残高は幾らになっているか教えていただけますか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 JR九州の経営安定基金の取崩しに伴い、鉄道網の維持向上に資する鉄道事業の用に供する資産への設備投資を行うための費用として振りかえられました八百七十二億円につきましては、平成二十九年度末におきまして約四百六億円残っているものと承知しております。

 以上でございます。

田村(貴)委員 四百六億円残があるということであります。だったら、その費用の中から、マックス五十六億、ミニマム十七億、私、今言いました、充てる資金というのはあるじゃないですか。

 鉄道ネットワークの維持向上のために車両や鉄道施設に使うものですよね。この基金の三に書かれている費用について、これは鉄道の被災復旧に充ててはいけないとはこの省令に書いていませんけれども、充ててはいけないんですか、充てることもできるんですか。いかがですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 経営安定基金につきましては、JR九州の完全民営化に際しまして、同社の経営の自主性を確保するとともに、鉄道ネットワークを維持していくという経営安定基金が果たしていた機能も実質的に確保するとの考えのもと、鉄道ネットワークの維持向上に資する資産への設備投資に振りかえることとしたものであります。

 このため、経営安定基金を振りかえた資産の活用方法につきましては、JR九州の経営の自主性を尊重し、同社においてまずは判断されるべきものと考えております。

 以上でございます。

田村(貴)委員 鉄道事業者の判断ということなんですね。ですから、鉄道のネットワークの維持向上のために、被災路線のために、その被災した路線の復旧のために、その施設のために使ってはならない、そういうことではない、使うこともできるんだ、それは事業者の判断であることは今確認しました。そういうふうにちゃんとJR九州にサジェスチョンしていただきたいんですよ。

 鉄道軌道法の改正で、二分の一、ちゃんと行政が支えますよというスキームもできたんでしょう。更にそれも下がっていく。そして、赤字だからということで、わざわざ三島特例で経営安定基金、JR九州には三千八百七十七億円、これを渡した。そして、この被災路線にも充てることができる残金が四百六億円残っているということもこの場で明らかになりました。

 直ちに、そういう方向もあるということで、BRTとか、あるいは自治体に負担を求めるとか、そういうことではなくて、ちゃんと復旧に当たるべき、ストレートに当たっていくべき、こういうふうにJR九州と話合いをしていただきたいというふうに思いますけれども、局長、いかがですか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道を含めました地域の公共交通は、地域の経済社会活動の基盤でございます。その確保は重要な課題であると認識しているところでございます。また、当然ながら、交通事業者におきましても、地域の公共交通の確保に重要な役割を果たすべきものと考えておるところでございます。

 また一方で、地域の公共交通につきましては、地域のニーズや課題を踏まえ、交通事業者のみならず、自治体等の地域の関係者が検討を行い、各交通機関の特性に応じまして、当該地域にとって最適な公共交通体系を構築していくことが重要であると考えているところでございます。

 日田彦山線の復旧方針等につきましては、現在、JR九州、沿線自治体から成る日田彦山線復旧会議において検討がなされております。引き続き、地域の関係者におきまして十分に議論していただくことが重要であると考えているところでございます。

田村(貴)委員 その議論のあり方が、被災自治体とそれから沿線住民、沿線自治体の思いとは離れたものになっているということをきょうわざわざ言っているわけです。

 一つ確認しておきますけれども、JR九州の鉄道部門での経営状況について、今、二十九年度二百八十二億円の黒字というふうに伺って、三十年度も大体そういう推移でいくのではないかというふうに聞いているんですけれども、鉄道事業も黒字経営でありますか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 完全民営化後のJR九州の鉄道部門の営業損益につきましては、平成二十九年度は二百八十二億円の黒字、平成三十年度は二百六十七億円の黒字となっているところでございます。

田村(貴)委員 会社も単年度で黒字を出している、そして、復旧に充てる、そういう見込みも展望もあるということです。

 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、災害で不通になった道路や橋が復旧されないことはありません。鉄道は災害が廃止のきっかけとなっているんです。地方創生が安倍政権のもとで声高に叫ばれていますけれども、大都市と地方の格差拡大に拍車をかける鉄道路線の廃止は、まさに逆行するものではありませんか。

 石井大臣、ローカル線の存続の議論ではないんです、これは。災害によって被災した地域の大事な住民の足をいかに早く復旧させるかというところが議論なんです。ここが一番大事なところです。被災路線を復旧させるために、大臣も国土交通省もその立場に立ってJR九州を指導していただきたいと重ねて要求しますけれども、大臣、御所見を聞かせてください。

石井国務大臣 日田彦山線につきましては、平成二十九年七月に被災して以降、添田―夜明間で運休が続いており、沿線自治体の方々から鉄道による早期復旧を強く求める声があることは承知をしております。

 日田彦山線の復旧方針等につきましては、現在、JR九州、沿線自治体から成る日田彦山線復旧会議において検討がなされているところであり、国土交通省といたしましては、引き続き、地域の関係者において、これらの点について十分に議論していただくことが重要と考えております。

 その際、JR九州におきましては、被災した日田彦山線の沿線の皆様のお考えを真摯に伺いながら、丁寧な説明、議論を行うべきと考えておりまして、国土交通省といたしましても、地域において円滑に議論が進むよう、日田彦山線復旧会議への参加等を通じて必要な対応を行うとともに、引き続きJR九州に対して必要な指導を行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 その復興会議ですけれども、九州運輸局は参加していますよね。どういう立場で参加しているかというと、アドバイザーとして参加されているわけですよ。そのアドバイスの方向が、沿線住民と被災自治体の思いと乖離しているんです。

 私は、福岡県の添田町の町長さん、東峰村の村長さん、沿線住民の皆さんから意見も聞いてきた、代行バスにも全部乗って沿線を調査してきた、その上に立ってきょうは質問させていただきました。ぜひ、その復興会議の中で、アドバイザーとして九州運輸局がいるんだったら、私がきょう示した方向でしかこの問題は解決しないという方向でアドバイスをしていただきたい、指導していただきたいと思います。

 最後に、資料三をお配りしています。これは昨日の西日本新聞の記事でありますけれども、JR九州の大株主であるアメリカの投資ファンド、ファーツリー・パートナーズの投資責任者への直接インタビューの記事であります。

 ファーツリーから今後、赤字路線廃止や列車減便など、鉄道事業に関する懸念がされているところなんです。そこで、西日本新聞が直接、投資責任者に確認したところ、こういう回答だったという記事であります。今も、これからも、鉄道事業に干渉するつもりはないと大株主は明言している。将来にわたって鉄道事業について提案などするつもりはないと明確に答えているわけであります。

 ですから、JR九州にとってみれば、懸念材料もなくなったわけです。大株主の意向に振り回されなくても、ちゃんとこれまでどおり被災した鉄道はすぐに復旧する、この方針でいくことが可能なんですよ。

 四年前に青柳社長がこの委員会で約束したことをしっかり履行していただきたいとJR九州にも強く要望したいと思います。そして、政府はしっかりと被災者、沿線住民の立場に立ってJR九州と向き合っていただきたい。そのことを強く要求して、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 きょうは、一般ということで、自転車等の交通安全問題を始めとした交通関係についてお伺いしたいと思うんです。車両法等で、きょうは道路局長、自動車局長、来ていただいているんですけれども、長官官房審議官もきょうは警察庁からお越しをいただいているということで、ありがとうございます。早速質疑に入らせていただきます。

 自転車の活用推進については、平成二十九年、二年前、五月一日に自転車活用推進法というのが施行されました。昨年六月には同法に基づいて自転車活用推進計画というのが閣議決定をされるなど、国土交通省を始め関係機関が連携して取組を進めてきているというふうに思っております。

 自転車は、環境に優しい交通手段であるとともに、災害時の移動、輸送や国民の健康増進、渋滞緩和などにも資することなど効果も期待され、温暖化対策などの環境への配慮、健康増進による社会保障費の抑制、道路交通の円滑化による生産性の向上などが社会的な重要課題となっている中で、自転車の活用というのが一層重要になるというふうに考えています。

 先日、自転車議連も皇居を一周されたというふうにも聞いています。

 国は、自転車通行空間の整備を始めとして自転車の利用促進に努めてきていますが、その際、自転車の利用者はもとより、歩行者や自動車利用者も含めた交通の安全性の確保というのが大前提になるのではないかと思います。

 しかしながら、実際は、自転車の利用が進むにつれて、安全面の課題というのも浮かび上がりつつあるのではないかと考えます。

 本日は、自転車利用の安全性確保や交通マナー向上への取組についてお伺いをしたいと思います。

 まず初めに、国土交通省は、警察庁とともに合同でガイドラインを策定し、歩行者と分離された自転車通行区間の整備というのを進めていると認識しています。町中にある、矢羽根ですか、矢の後ろの羽根の絵を形どった自転車の通行空間なんですけれども、その整備を進めていると聞いていますけれども、現在の自転車通行区間の整備の進捗状況と今後のさらなる整備への取組についてお伺いをいたします。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

池田政府参考人 今委員御指摘のように、自転車の活用推進を図っていく上で、自転車と歩行者の交通安全の確保が非常に重要であると考えておりまして、そのために、自転車通行空間の整備、これが重要であると考えております。

 このため、国交省では、警察庁と合同で平成二十四年にガイドラインを作成しまして、地方公共団体に対しまして、自転車道、自転車専用通行帯又は矢印形の路面標示、こういった自転車通行空間の整備の内容をまとめた自転車ネットワーク計画の策定を働きかけているところであります。

 この結果、平成三十年度末時点で百六十九の地方公共団体が自転車ネットワーク計画を作成しておりまして、歩行者と分離された自転車通行空間の整備状況は、平成二十九年度末で約千七百五十キロメートルとなっております。

 引き続き、国交省としては、地方公共団体にこの自転車ネットワーク計画の策定を働きかけるとともに、計画に基づいて自転車通行空間の整備を地方公共団体が行う場合には、防災・安全交付金を重点的配分するなど、支援してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 次に、自転車に関連した交通事故。先ほども言いましたけれども、安全というのが大前提になっているんですけれども、自転車に関連した交通事故の発生状況について、事故発生件数及び死者数が近年どのように推移してきているのか、また、自転車が関連する交通事故が起きる要因をどのように分析しているのか、警察庁にお伺いをいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自転車事故の発生件数と死者数の推移についてお答えいたします。

 平成三十年中に発生した交通事故約四十三万件のうち、自転車が関連する交通事故は約八万六千件で、平成二十年の約十六万件と比較して約四七%減少しているように、自転車が関連する交通事故は減少傾向にあります。

 また、死者数については、平成三十年中の交通事故の死者数三千五百三十二人のうち、自転車乗用中の死者数は四百五十三人で、平成二十年の七百二十七人と比較して約三八%減少しております。

 次に、自転車の交通事故の要因についてお尋ねがございましたが、自転車が関連する事故の特徴としましては、自転車側に法令違反が多いということが挙げられます。

 具体的には、自転車が関連する死亡、重傷事故の約七割に、自転車側の安全不確認、ハンドルやブレーキの操作不適、信号無視、一時不停止などの法令違反が認められます。

 また、自動車との衝突事故が多いということも挙げられます。

 具体的には、自転車が関連する死亡、重傷事故の八割弱が自動車との衝突であり、その半数以上が出会い頭衝突事故となっております。

井上(英)委員 今審議官が答弁いただいたように、件数は減っている、それから死亡者数も減っている、事故においては約五〇%減っている、それから死亡事故については約四割弱減っているということで、ただ、要因は、やはり自転車事故を起こしている方の八割が、自転車のドライバーといいますか自転車を乗っておられる方の法令違反というのがわかっているということであります。

 その辺について引き続きお聞きをしたいんですけれども、自転車通行区間を整備することにより、原則として歩行者と自転車というのを分離することができるという方針、これは一定、非常に大事なことだと理解をしております。ただ、そうなると、自動車と自転車をいかに安全に共存させられるかというのが必然的に重要であるというふうに言わざるを得ません。

 しかしながら、例えば、自転車通行区間を整備しても、路上駐車がなされている場合、結局、それを迂回して自動車道に出るとか、そういったことも起きます。

 路上駐車に特化して、自転車に適切な位置を走行してもらうためにも、そういった取締りがやはり必要不可欠になってきますけれども、警察庁において、この自転車通行区間への路上駐車など、駐車違反の取締りを始めとした自転車の安全環境の構築についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような違法駐車は、自転車などの安全な通行を妨げるだけでなく、交通渋滞の悪化など円滑な交通の障害となるほか、緊急自動車の活動に支障を及ぼすなど、国民生活全般に大きな影響を与えるところでございます。

 このような違法駐車に対しましては、各都道府県警察において、地域住民の意見、要望などを踏まえた上で、悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いた、めり張りある取締りが行われているものと承知しております。

 また、平成十八年施行の改正道路交通法により、放置駐車違反の確認などについては民間に委託することができるとなっております。この委託による放置駐車違反の確認などにつきましては、これを行う駐車監視員が重点的に活動する場所、時間帯などを駐車監視員活動ガイドラインにおいて定め、公表することとしておりますが、自転車専用通行帯など自転車の通行空間が確保されたという場合には、その路線をそのガイドラインに基づく重点路線などに指定をいたしまして、取締りを強化し、違法な駐車車両等の排除に努めるということとしております。

 今後とも、自転車通行の妨げとなるような違法駐車を始め、悪質性、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いた取締りを推進するよう各都道府県警察を指導し、安全かつ円滑な道路空間の確保に努めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 審議官、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、もう駐車違反というのは、別に自転車の走行に限らず、やはり適切に対応していただくというのはぜひお願いをしたいと思います。

 ただ、先ほども言いましたように、もともと、僕らの子供時代の感覚でいくと、自転車というのは歩道を走っている感覚がやはりあるんですね。当然、法令上は自転車が車両なので、道路を走るということで、今、矢羽根も含めて、道路に自転車を走らせるように考えられていっているんですけれども、それで歩行者の安全というのは格段に上がるので、そこは喜ばしいところでもあるんですけれども、自動車と自転車が並走しているというのは、一瞬、見るとやはり怖いというか。

 先日も、大阪の地元の旧一号という、国道一号線の旧一号線のところに、矢羽根もあって、当然、でも、もともと一号線というところですから、物すごい大きい交通車両がどんどんどんどん通っていくんですね。

 それはレクに来ていただいた担当者とも話はしたんですけれども、矢羽根の中にも矢羽根の幅がありますので、それの左側を走っているのか、タイヤは矢羽根の範囲におっても、自転車に乗っている体自体は道路に出ている場合もあったりするんじゃないかなとか、そういうのを考えていくと、やはり大型のバスだとかトラックなんかも非常に事故をしてしまうというようなことが起きてくるんじゃないかなという気がするんですね。

 だから、理想と現実のギャップというのをどれだけしっかりと埋めていって、やはり安全というのを大前提にしていくかというのが非常に大事かなというふうに思います。

 来年には、国土交通省においては、自転車通勤を奨励する法案というのが多分出てくるんじゃないかというふうにも予想されていますけれども、更に自転車通勤を奨励していくことになると、町の道路を自転車が走る台数というのが、まあまあ今よりは比較的上がってくる可能性もありますし、そういった中で、自動車と自転車の並走というので事故がふえたりとか、そういったことが起きないようなためにどうしたらいいかということをやはり考えていただく必要があるんじゃないかと思います。

 また、法案が出てくれば、そのときのメンバーでしっかり御議論いただけることかと思いますけれども、そういったことも踏まえて法案もおつくりいただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 一方で、先ほどもありましたように、交通事故の際には、自転車の利用者側でも何らかの法令違反を起こしているケースというのが八割を占めているということなどから、自転車利用者の運転マナーというのも問われているのではないかと考えます。

 自転車も車道を走行するものという認識が広がり、町じゅうで車道を走行する自転車をよく見かけるようになりましたが、例えば、交差点で、赤信号でもとまらず通行したり、歩道に乗り入れて走行を続けるなど、マナーが悪い運転もしばしば見受けられます。

 自転車を安全で快適な交通手段として活用していくためにも、自転車通行空間の整備だけでなく、自転車の利用者に対する法令の周知、マナーの教育というのが大変重要ではないかと考えますが、警察庁は今後、自転車利用のマナー向上にどのように取り組むお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げましたとおり、また委員からの御指摘もありましたとおり、自転車が関連する死亡、重傷事故の多くは、自転車側に法令違反が認められるということでございますので、自転車利用者に対し、御指摘のとおり、交通ルールの遵守、それから交通マナーの向上というものをしっかり求めていくことが重要だと考えております。

 このため、警察といたしましては、五月の自転車月間や全国交通安全運動、ことしは春の全国交通安全運動は五月に行われましたが、こうしたさまざまな機会を通じて、自転車の利用者に信号を守ることや交差点において安全確認することなどを呼びかけるため、ポスターやチラシを活用した広報啓発、あるいは交通安全教育などを行っております。

 また、自転車利用者の違反行為に対する指導取締りを行うとともに、信号無視あるいは遮断機がおりた踏切に立ち入るなどの危険行為を繰り返した自転車運転者に対しましては、平成二十七年に施行されました改正道路交通法に基づきまして、自転車運転者講習の受講命令を行うといった諸対策を推進しているところでございます。

 今後とも、こうした取組を自治体等の関係機関、団体とも連携しながら行ってまいりまして、交通ルールの遵守、それからマナーの周知を図り、自転車の安全利用を促進してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、ちょっと時間がないので要望にしておきますけれども、自転車の保険への加入の義務づけについてお伺いをしようと思っていたんです。

 恐らく、自治体レベルでどんどんどんどんそういった対応というのがふえていっているというふうには聞いているんですけれども、ことし三月二十九日の国土交通省内の有識者会議で、自転車の保険への加入の義務づけについては、制度づくりは非常に困難で、自転車利用が阻害されるおそれもあるということで、保険の一律の加入義務づけというのは、当面は全国の自治体の条例制定に委ねていく、後押ししていく方針ということで聞いていますけれども、また不断の努力で検討というのはしておいていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、今度は、自転車とはちょっと変わりますけれども、同じく交通の安全性やマナーの観点から最近話題になることが多いゴーカート、遊園地でいうゴーカートが町中を走っているんですけれども、ちょっとしたゲームのキャラクターのような格好をしたカートの群れを東京や私の地元でも多く見かけます。そのサービスを展開しているマリカーというところのサイトによれば、普通免許があれば誰でも運転ができるということになっています。

 インバウンド観光客に大変人気があるようですけれども、通常の車両のドライバーから見れば、明らかに違和感がありますし、それから安全性にやはり疑問を感じざるを得ないという現状があります。

 道路交通法上はミニカーで、ヘルメットの着用義務がなく、道路運送車両法上は原動機付自転車という位置づけになっています。シートベルト着用義務もないという現状であります。

 さすがに安全性に問題があるとして、国土交通省は昨年四月に、安全対策を強化すべく、視認性を向上させるための部品の設置やシートベルトの着用というのを義務化をする告示を制定して、その告示では、平成三十二年、つまり令和二年四月、来年の四月からということになっています。

 これらの措置でいわゆるカートへの対策として万全とお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。大塚副大臣。

大塚副大臣 公道を走行するカートの安全対策につきましては、近年、先ほどお話ございましたように、外国人観光客を中心にカートの利用が増加をいたしまして、負傷事故も発生しているということを受けまして、平成二十九年六月、国土交通省に検討会を立ち上げまして、公道を走行するカートの車両ハード対策について検討を行ってまいりました。

 この結果、先ほどお話ございましたように、平成三十年四月に保安基準の改正を行い、以下のことを実施いたしました。まずは、乗員保護の観点から、二点又は三点式シートベルトの取付け、また、周りの車両からの視認性が極めて悪いといった問題を解決するため、テールランプの取付け位置の規定、さらに、タイヤがむき出しになっていることから、歩行者と接触した場合の巻き込み防止の観点から、フェンダーの装備義務などを図ってまいりました。

 これらの対策は、令和二年又は三年より順次実施をされてまいります。

 また、実施以前にあっても、主なレンタルカートの事業者に対しまして、被視認性の向上にあわせて、二点シートベルト取付けなどの早急にできる対策を行うよう指導をしてまいりました。

 国土交通省といたしましては、これらの基準強化による対策が実施された後も、その効果や事故の実態等を踏まえながら、追加的な対策の必要性について検討を行いまして、公道を走行するカートの安全に万全を期してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 副大臣、よろしくお願いいたします。

 車両法上、シートベルトをつけなくてよかったとか、やはりちょっと盲点をつかれているんじゃないかなという気がするんですね。

 片や、天井もあって、普通の車、一般的な、オープンカーはちょっと別として、しっかりとした普通の車でもシートベルトをして走っているのが現実ですから、もう完全にむき出しの、それで非常に車体が低いので、何かあったときにも非常に危ない、危険性の高い、そんな状況下ですので、指導レベルというのもありますけれども、準備等もあって令和二年からということにもなっていますけれども、なるべく、今は大きい不幸な事故が発生していないというのが本当に不幸中の幸いだとは思いますけれども、しっかりと指導していっていただけたらというふうに思います。

 このカートに乗っている方たちで、やはり、先ほども申し上げたように、外国の方、要はインバウンドの観光客の方が非常に多いというふうにも思います。

 警察庁によりますと、二〇一七年三月から二〇一八年二月までに、公道カートによる交通事故というのは五十件発生していると聞いていますし、そのうちの四十三件が外国人旅行者であるというふうにも聞いています。

 この事故の原因は、その車両自体の安全性というのに加えて、やはり車と少し違うカートの特性だとか、それでまた、日本の交通ルールにふなれであるというような問題もあるのではないかと思いますので、もう警察庁には聞きませんけれども、今後、そういったインバウンドの観光客の皆さん方に、交通ルールの周知も重要だと思いますし、さまざまな対応、対策というのをお願いして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。ありがとうございます。

 きょうは、建設業、とりわけ大半を占めます中小企業の実情を踏まえた質問をさせていただきたいと思います。

 昨年頻発しました災害を踏まえて、事前防災という考え方のもと、減災・防災、国土強靱化のための三カ年緊急対策というものが策定をされました。昨年中から始まっていますので、あと二年ということなんですけれども、総額七兆円、うち国交省の予算が三・六兆円と、大変大きな予算規模になっています。

 平年の公共工事の規模と比べればかなり上乗せになるんじゃないかと思うんですが、一方で、受注、施工する側の建設業界、これは、大手のゼネコンもあれば本当に地域の中小零細まで、たくさん、規模はさまざまであります。

 予算をちゃんと消化し切れるのか、円滑に執行できる見通しなのか、心配される課題がないのか、こういったあたりについて国交省の認識をお尋ねします。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 受注者サイドの執行体制についてのお尋ねをいただきました。

 まず、現場を支える担い手の現状について、建設技能労働者の過不足率や有効求人倍率を見ますと、とび工や鉄筋工など建設躯体工事の一部職種や、大規模な災害からの復旧復興工事が続いています中国、九州地方や、あるいは建設投資の旺盛な都市部などの一部地域において人手不足感は強くはなっておりますが、全国的に見れば、足元では工事の施工を担う人手はおおむね確保し得る状況にあると私どもとしては認識しております。

 こうした中、国土交通省では、ただいま御指摘ありましたように、平成三十一年度当初予算においては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に対応するための臨時特別の措置もあわせて、約六兆円弱の公共事業関係費を確保しておりますけれども、この緊急対策の着実な執行を図るためには、例えば、公共工事の発注にかかわる適正な予定価格の設定、あるいは工期の設定、そして施工時期の平準化といった取組を着実に推進していくことが重要になってまいります。

 例えば、昨日衆議院において可決をいただきました建設業法等の一部改正法案においても、中央建設業審議会における工期に関する基準の策定や、著しく短い工期による請負契約の締結の禁止、あるいは公共発注者に対する施工時期の平準化のための方策を講ずることの努力義務化などの規定を設けることとしておりますけれども、これらの取組も含め推進することにより、円滑な施工確保に資するものと考えております。

 国土交通省といたしましては、これらの施策を通じて建設業における人手の確保に向けた対策にしっかりと取り組んで、引き続き、国土強靱化対策などが着実に実施されるように、万全を期してまいりたいと考えております。

重徳委員 今、野村局長から、さまざまな方策を、法改正も含めて、手だてを講じているという御答弁がございました。

 その中で、適正な予定価格という御答弁がありましたけれども、この予定価格について少しお聞きしたいと思います。

 公共工事の品確法で、予定価格を適切に定めるということになっているんですけれども、昨今、今おっしゃる人手不足とか資材高騰、こういったことで、入札参加者が集まらない不調、それから、入札額が予定価格を上回る不落がふえている、これは地域によるのかもしれません、ふえているという報道も多いですね。全般的には物価上昇局面と言い得るような場面もあると思います。

 予定価格の設定が後手後手になっちゃうと、結局、不調、不落ということが生じやすいんじゃないかと思われるんですけれども、予定価格、これはどのように、適切に運用されているということであれば、実勢価格がきちんと反映されているのかどうかなども含めて、今の予定価格の運用状況について御説明を願います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事品確法においては、発注者の責務として、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の取引価格、施工の実態等を的確に反映した積算を行うことにより、予定価格を適正に定めることが規定されております。

 このため、国土交通省の直轄工事におきましては、積算に用いる価格が実際の取引価格と乖離しないよう、毎年改定される設計労務単価、毎月更新される材料価格など、最新の実勢価格を用いた予定価格の設定に取り組んでいるところでございます。

 また、契約後に賃金水準や物価水準が変動があった場合には、工事請負契約書のいわゆるスライド条項に基づき、請負代金の変更を行うこととしております。

 また、地方公共団体に対しても、総務省と連名で通知を行うなど、取組の周知徹底を図っております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関とも連携し、予定価格の適正な設定に取り組んでまいります。

重徳委員 原則論はお述べになったと思いますが、地域によって、不調、不落が多い、ふえているという地域もあるようなんですね。そうなった場合には、結局、入札参加者から見積書を徴するなどによって、要するに、やり直ししたり、その結果、工期がおくれる、こういうことになっていくわけですから、そういうことが多発するようでは、何のための予定価格なのか。予定価格があるがゆえに、そういう余計なコストといいましょうか、そういったロスが生じるということになってしまうと思うのですけれども、この辺の不調、不落についてどう認識されているのか。

 特に、国直轄だけじゃなくて、地方もこれは同じ状況であるというふうに思っておりますので、できるだけ、後手後手の対応じゃなくて、予定価格が適切な運用となるように指導力を発揮すべきじゃないかと思うんですけれども、このあたりの認識をお願いします。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、市場の実勢を反映した設計労務単価や材料価格を活用した予定価格の設定を行っているほか、年間を通じた人材、資機材の有効活用を図るための施工時期の平準化、計画的な受注の検討を促すための各発注機関の発注見通しの統合、公表、確実な施工を図るための適切な工期設定など、多岐にわたる施策を講じてまいりました。

 また、本年二月には、より一層の対応として、調達環境の厳しい工種や建設資材における見積りを積極的に活用した予定価格の設定、計画的な技術者の配置に資する余裕期間制度の活用の原則化などの対策を講じることとしたところでございます。

 あわせて、地方公共団体に対しても、総務省と連名で通知を行うなど、取組の周知徹底を図っております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関とも連携し、公共工事の円滑な施工に取り組んでまいります。

重徳委員 ぜひ今まで以上に取組を強化していただきたいと思います。

 もう一つ、別の観点なんですけれども、中小企業の、建設業界の人手不足に関連して、先般の法改正で、例えば技士補というものの資格を設けて、それを補佐として配置する場合には、監理技術者を、本来専任で現場に当たらなきゃいけないところを、複数現場の兼任が可能だというようなルール改正、要件緩和というものが進められたと思います。

 こうした人繰り、資金繰りも含めてですけれども、こういった余力を中小の企業においても適切に持たせられるような施策を講じるべきじゃないかという観点からしますと、建設業界はランキングがありますね、企業の格付がAランクからDランクまであって、これは、経営規模だとか、あるいは技術評価点というようなことを加味して格付があって、各等級別にいわゆる発注標準というものが設けられている。どのぐらいの規模の事業、工事を受けられるかということが決まっているというわけなんですが、企業数のベースでいうと、A、BよりもC、Dの方が当然非常に多いわけで、地域においては、地域の実情にも精通しているし、とりわけ災害のときの対応には欠かせない存在だ。そういうC、Dのランクの企業というものをどう維持、育てていくのかということが非常に重要なところじゃないかと思っております。

 とりわけCランクの発注標準は、予定価格六千万円以上三億円を上限とする、こういうふうに決まっていると認識しているんですけれども、この三億円という上限自体、ちょっとお聞きしたところでは、平成三年に二億円、平成八年に二・五億円になって、平成十一年から三億円にされた、こういう経緯があるようであります。

 もちろん、厳密には企業それぞれによりますけれども、Cランクの企業といっても、地元ではきちっと元請となり得る企業も結構多いですから、そういうところがある程度大きなロットの仕事を受けることによって人繰り、資金繰りが安定していくということで、その地域を守っていくという観点も含めて、企業を育成していくことができると思うんです。

 これは三億円というふうに決まっているんですが、これも決めの問題かもしれませんが、これを少しでも上限を上げていくことによって中小企業も元請として参画しやすくなるだろう、当然こう考えられるわけです。

 この三億円というラインについてもう少し見直しをして、積極的に能力のある企業を育てていく、こういう観点が必要なんじゃないかということなんですけれども、この辺、国交省としてどのように認識されていますか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省の直轄工事においては、企業の経営規模等による経営事項審査点に、直轄工事の受注実績、総合評価の参加実績、地方公共団体の受注実績による技術評価点を加算した総合点数により、企業の等級区分、ランクづけを行っているところでございます。

 その際には、適正な競争が行われるよう、企業の施工能力や登録される建設業者の分布などのバランスを見て、等級区分及び契約予定金額の基準、いわゆる発注標準、Cランクでございますが、先ほど委員御指摘のとおり、六千万から三億というものを定めているところでございます。

 中小企業の受注機会を確保するためにも、分離分割発注の徹底、地理的条件の適切な設定に取り組むとともに、Bランク工事のうち予定価格が比較的小さく技術的難易度が比較的低いものにあっては、Cランクの建設業者の参加を可能とする取組も行っているところであり、Cランク業者の企業育成に資するものと考えております。

 Cランクの発注標準につきましては、直轄工事における事業量や工事の内容、中小企業の受注機会の確保等の観点も考慮しつつ、関係者の意見も踏まえ、適切に定めてまいります。

重徳委員 ぜひ検討していただきたいと思います。要望申し上げます。

 最後にちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、来年の東京オリンピック、特需と言われておりますけれども、この時期が終わったら景気が悪化した、こんなことにならないようにしなきゃいけないと思いますし、我が国の元気玉というものをどんどんと打ち出していくということも必要なことではないかと思います。

 オリンピックが終わったら、これまで首都圏でもちょっと後回しになっていたようなプロジェクトも投資が再開されることになると思いますし、全国的にも、二〇二五年には大阪万博がありますし、それから新幹線も北海道とか北陸で延伸していくということがあると思います。

 私の地元の愛知県でもリニア中央新幹線が名古屋まで二〇二七年につながるわけなんですけれども、リニアは民間の事業でありますけれども、これを機に、愛知というか、東海、中部ですか、こういった若干広域的な観点から、日本の元気玉になるような構想というものを今お考えであれば、お答えいただきたいと思います。

石井国務大臣 リニア中央新幹線につきましては、平成二十七年に閣議決定をされました国土形成計画におきまして、国土構造にも大きな変革をもたらす国家的見地に立ったプロジェクトであるとされております。

 国土交通省では、リニア中央新幹線がもたらします移動時間の劇的な短縮によるインパクトを最大化し、全国に拡大すべく、スーパーメガリージョン構想の検討を行いまして、今月の二十日、最終取りまとめを公表いたしました。

 この構想では、我が国の成長を牽引する三大都市圏のポテンシャルを一層高めるとともに、リニア駅を交通結節の核とした広域的な高速交通ネットワークを形成し、対流を活発化することが重要としております。

 これらの推進に当たりましては、行政、経済界等、さまざまな主体が引き続きアイデアを出し合うことが重要であり、国土交通省といたしましても、連携協力しながら、都市づくり、地域づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

重徳委員 ちょっと抽象的な御答弁で、もうちょっと具体的に欲しかったなと思いますが。これは、私も地元の議員としての責任を果たしていきたいと思っておりますので、こうした国土ビジョンを時代に合わせて示していく、そして実行していくというのは、政治の大変重要な使命だと思っておりますので、皆で力を合わせて取り組んでまいりたいと思います。

 どうもありがとうございます。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮籍の全ての船舶に対する本邦の港への入港を禁止しているほか、平成二十八年二月十九日以後に北朝鮮の港に寄港したことが我が国の法令に基づく手続等によって確認された第三国籍船舶、国際連合安全保障理事会の決定等に基づき凍結又はその他の関連する措置の対象とされた船舶であって、その国際海事機関船舶識別番号が明示されるもの及び同年十二月九日以後に北朝鮮の港に寄港したことが我が国の法令に基づく手続等によって確認された日本国籍船舶の本邦の港への入港を禁止をしております。

 関連する国際連合安全保障理事会決議は、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ、不可逆な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めていますが、いまだにその実現には至っておりません。また、拉致問題については、現時点においても解決に至っておりません。

 政府においては、こうした北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、平成三十一年四月九日の閣議において、引き続き平成三十三年四月十三日までの間、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づき、これらの船舶の本邦の港への入港を禁止することを決定いたしました。本件は、これに基づく入港禁止の実施について、同法第五条第一項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。

 以上が、本件の提案理由であります。

 本件につき速やかに御承認いただきますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

谷委員長 本件につきましては、質疑、討論ともに申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、内閣提出、参議院送付、航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国において、二〇二〇年半ばの初号機納入を目指して、新たな国産航空機の開発が現在進められております。また、当該国産航空機の開発を契機に、国内の航空機産業が発展、拡大していくことが期待されております。このように、国産航空機の就航後、我が国は航空機設計国となることから、国際民間航空条約上の航空機設計国の責務を果たす必要があります。

 また、昨今、航空機乗組員の飲酒に起因する不適切事案が連続して発生しているとともに、無人航空機の急速な普及に伴い、航空機と接近する事案や第三者が負傷する事案が発生しております。このため、航空機乗組員に対する規律強化と、急速に普及している無人航空機のさらなる安全確保を図る必要があります。

 さらに、近年の航空機システムのデジタル化、高度化に対応し、民間能力を活用した合理的な航空機の安全確保の仕組みへ改める必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、国産航空機の安全性への信頼を確保するとともに、その円滑な輸出を後押しするため、国産航空機の航空機メーカーに対して当該国産航空機のふぐあい情報の国への報告を義務づけるとともに、迅速かつ適切に修理改造ができるよう、国による修理改造手順の承認制度を創設することとしております。

 第二に、航空機の運航等のさらなる安全を確保するため、飲酒等の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間に航空機の操縦を行った場合の罰則を強化するとともに、無人航空機の飛行の方法について、飛行前点検の遵守や航空機との衝突予防等を義務づけることとしております。

 第三に、近年の航空分野における技術の進展を踏まえ、民間能力も活用して合理的に航空機の安全確保を図るため、国が十分な整備能力を有すると認定した航空機使用者によって適切に整備が実施されている航空機について、原則は一年である耐空証明の有効期間を延長できる仕組みの構築を行うこととしております。

 第四に、運輸安全委員会による事故等に関する調査についても、我が国が国際民間航空条約上の航空機設計国の責務を適切に果たすため、調査対象となる航空事故の兆候の範囲を拡大するとともに、調査を終える前においても、事故等の原因関係者等に対して必要な勧告ができることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六月七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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