第16号 令和元年6月7日(金曜日)
令和元年六月七日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君
理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君
理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君
理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君
青山 周平君 秋本 真利君
池田 道孝君 鬼木 誠君
門 博文君 神谷 昇君
工藤 彰三君 古賀 篤君
田中 英之君 高木 毅君
武部 新君 谷川 とむ君
土屋 品子君 中曽根康隆君
中谷 真一君 西田 昭二君
鳩山 二郎君 福田 達夫君
藤井比早之君 藤丸 敏君
堀内 詔子君 三谷 英弘君
宮内 秀樹君 宮崎 政久君
盛山 正仁君 簗 和生君
荒井 聰君 福田 昭夫君
道下 大樹君 森山 浩行君
小宮山泰子君 下条 みつ君
日吉 雄太君 伊藤 渉君
北側 一雄君 清水 忠史君
井上 英孝君 重徳 和彦君
広田 一君
…………………………………
国土交通大臣 石井 啓一君
外務副大臣 あべ 俊子君
国土交通副大臣 牧野たかお君
国土交通大臣政務官 工藤 彰三君
国土交通大臣政務官 田中 英之君
防衛大臣政務官 鈴木 貴子君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 蝦名 邦晴君
政府参考人
(運輸安全委員会事務局長) 篠部 武嗣君
国土交通委員会専門員 宮岡 宏信君
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委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 青山 周平君
加藤 鮎子君 中曽根康隆君
小島 敏文君 池田 道孝君
宮崎 政久君 武部 新君
望月 義夫君 藤丸 敏君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 秋本 真利君
池田 道孝君 西田 昭二君
武部 新君 宮崎 政久君
中曽根康隆君 加藤 鮎子君
藤丸 敏君 望月 義夫君
同日
辞任 補欠選任
西田 昭二君 堀内 詔子君
同日
辞任 補欠選任
堀内 詔子君 小島 敏文君
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六月四日
精神障害者の交通運賃に関する請願(村井英樹君紹介)(第一四五二号)
国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(清水忠史君紹介)(第一五五六号)
同月七日
国土交通省の機構拡充・職員の確保に関する請願(西岡秀子君紹介)(第一六一八号)
同(荒井聰君紹介)(第一七七七号)
同(尾辻かな子君紹介)(第一七七八号)
同(金子恵美君紹介)(第一七七九号)
同(櫻井周君紹介)(第一七八〇号)
同(長尾秀樹君紹介)(第一七八一号)
同(福田昭夫君紹介)(第一七八二号)
同(山岡達丸君紹介)(第一七八三号)
同(柚木道義君紹介)(第一七八四号)
精神障害者の交通運賃に関する請願(福田昭夫君紹介)(第一六八六号)
気象事業の整備拡充に関する請願(荒井聰君紹介)(第一七六一号)
同(尾辻かな子君紹介)(第一七六二号)
同(金子恵美君紹介)(第一七六三号)
同(櫻井周君紹介)(第一七六四号)
同(長尾秀樹君紹介)(第一七六五号)
同(福田昭夫君紹介)(第一七六六号)
同(山岡達丸君紹介)(第一七六七号)
同(柚木道義君紹介)(第一七六八号)
震災復興、国民の安全・安心の実現への建設産業の再生に関する請願(荒井聰君紹介)(第一七六九号)
同(尾辻かな子君紹介)(第一七七〇号)
同(金子恵美君紹介)(第一七七一号)
同(櫻井周君紹介)(第一七七二号)
同(長尾秀樹君紹介)(第一七七三号)
同(福田昭夫君紹介)(第一七七四号)
同(山岡達丸君紹介)(第一七七五号)
同(柚木道義君紹介)(第一七七六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)
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○谷委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長蒲生篤実君、航空局長蝦名邦晴君、運輸安全委員会事務局長篠部武嗣君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、通商政策局通商機構部長渡辺哲也君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○谷委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。
○森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。
きょうは、航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案についての御質問をさせていただきます。
先日、六月五日でございますけれども、本委員会におきましてのMRJ関係施設及び県営名古屋空港の視察に参加をさせていただきました。五十年ぶりの国産航空機の製作というような現場ということでございました。
アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、ブラジルに次いで、設計国としては五つ目ということになります。世界の中でも日本の存在感を発揮していくという中では、非常に大事な事業ではないかなというふうに感じております。
工場を見せていただいたわけなんですが、もう既に組立て等が始まっていたり、あるいは試験なども、強度の試験も含めて随分精密にやられておるなと感じたんですけれども、印象に残りましたのは、えらいきれいに塗装していますねというお話をしたときに、実は、外国の方が見に来られたときにもそこを指摘されていましてと。きれいに塗ってあるので、この塗装をきれいにやっていると、空気抵抗の問題なので、例えば燃費の問題であるとかそういった部分についても非常によくなるんだ、こういうお話でありました。
非常に精密な設計と、そして精緻な作業が必要なものであって、これを日本からしっかり海外へ発信をしていくというのは大変大事なことであるなというふうに感じております。
JAXA、いわゆる宇宙の開発において、ロケットが実用化してから、これが安定的に打てるようになる、あるいは海外にもどうですかと売り込みに行けるようになるのにやはり数十年かかっております。五十年間のブランクを経て、この国産航空機の産業がしっかりと世界へ羽ばたいていけるようにしていくというその基礎的な部分、安全をしっかりと確保するというところが国土交通省としての役割であろうというふうに考えております。
そういう点でいいますと、今回、六月一日十四時ごろですけれども、全日空の一七一便に重大インシデントという形で起きておりますけれども、この概要について御説明いただけますか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
六月一日の十四時ごろ、サンノゼ空港発成田国際空港行きの全日本空輸一七一便におきまして、二つある空調系統の双方が相次いで不作動となり、機内の与圧が低下する重大インシデントが発生をいたしました。乗員乗客百六十三名にけがはございませんでした。運輸安全委員会が調査官四名を指名して、原因調査を行っているところでございます。
国土交通省では、同社に対しまして、運輸安全委員会の調査の進捗に応じた必要な措置を講じるとともに、その進捗を待たずして、想定し得る原因を考慮して当面の再発防止策を検討し実施するよう指示をいたしておるところでございます。
航空輸送において安全は大前提でございまして、同社の再発防止に向けた取組を確認するとともに、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
こういうような形で、重大インシデントは年に数件ということですけれども、しっかり報告をされて、それに対応していくということが非常に大事なことだと思います。
我々が子供のころには、御巣鷹山で飛行機が落ちたとか、逆噴射があったとか、子供心にも飛行機というのはちょこちょこ落ちるものだというような印象を持っていたところでもありましたけれども、最近、大きな航空事故というのが国内において多発するというような状況にはなっておらないという部分も含めまして、安全確保には引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
昨年十月、ボンバルディア社が三菱航空機に対しまして、航空機の型式証明に関する機密情報を不正に使用したとして提訴されていますけれども、今回の国産航空機MRJの安全性審査への影響はないんでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十月、今御指摘のように、カナダのボンバルディア社が三菱航空機等に対しまして、航空機の型式証明に係るボンバルディア社の機密情報を不正に使用したとして、情報の使用差止め及び損害賠償等を求める訴訟を提訴いたしました。
一方で、本年一月には、三菱航空機がボンバルディア社に対しまして、ボンバルディア社がMRJの開発及び型式証明取得を阻害する意図で違法な反競争的行為を行ったとして反訴を提訴したと承知をいたしております。
民間同士の訴訟でございますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、これらの訴訟によりますMRJの安全性審査や開発スケジュールへの影響はこれまで出ておりません。
国土交通省といたしましては、情報収集に努めつつ、設計、製造国としての責務を果たすため、引き続きMRJに対する安全性審査を適切かつ円滑に進めてまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
影響はないということですけれども、やはり、こうやって、参入をするというときに最初のハードルが非常に高いと言われておる航空機の業界であります。何か日本の安全性を疑わせるような形で各国からいろいろな意見が出るということに関しても、国として、できることに関してはしっかり守っていただくとともに、正確な情報を出していくというような形で対応をお願いしたいというふうに思います。
そのMRJなんですけれども、たびたび開発のおくれ等が報道されておりまして、これも心配をしている方も多いのではないかというふうに思いますけれども、現在の受注状況、あるいは、今後、採算ベースに乗るにはどのぐらいの年数あるいは機数みたいなものがあるのか、お教えいただけますか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
三菱航空機によりますと、MRJはこれまでに、我が国及び米国の航空会社などから計三百八十七機の受注を得ているというふうに承知をいたしております。
具体的な今後の受注見込みにつきましては、民間企業の契約の話でございますのでコメントを差し控えたいと思いますけれども、今後の受注拡大に向けましては、まずは三菱航空機においてMRJの型式証明を取得してその安全性を立証することが、現段階では何よりも重要であると考えております。
なお、航空機の開発におきましては、開発に係る初期投資が大変大きくございまして、安定した採算がとれるようになるまでは非常に長い時間がかかるというのが一般的でございます。
国土交通省といたしましては、設計、製造国の責務を果たすために、MRJの安全性審査を適切かつ円滑に進めることで、民間側の取組を後押しすることにつながっていければというふうに考えております。
○森山(浩)委員 三百八十七機というようなことで、注文あるいは予約も含めてということでありますけれども。
この間の工場におきましては、四つのラインがありまして、月産でいったらやはり何十機も何百機もつくれるというような話ではとてもないんだということでございますので、これは、採算がとれるまで後押しをするといっても、かわりに売って歩くわけにはいきませんから、しっかり、安全でいいものだということを、情報を出していただいて後押しをするという形、そして、万が一にも事故が起きないようにしっかり検査をしていくというようなことでバックアップをしていただければなというふうに思います。
今回の法律でありますけれども、型式証明を受けた者等による航空機の使用者に対する情報の提供、これが義務ではなくて努力義務というふうにされております。これは努力義務で大丈夫なんでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
近年の航空機事故の件数は減少しておりますけれども、航空機の使用者等による不適切な整備に起因する航空事故の割合が増加しておりますことから、今回の法改正では、航空機の使用者に対しまして、当該航空機の整備を適切に実施することにより、みずからの航空機の安全性を維持することを義務づけることといたしております。
これに伴い、航空機の使用者が航空機の安全性を維持するために適切に整備をすることができるようにするために、当該航空機を設計した航空機メーカーなどに対しまして、必要な技術上の情報を提供するように努めなければならないことといたしております。
具体的には、当該航空機の整備すべき箇所、時期及び実施の方法、ふぐあいが発覚した場合の修理方法などを使用者に提供するように求めることとしております。
航空機整備に関する航空機使用者への適切な情報提供は、航空機の安全確保はもとより、カスタマーサポートの観点からも、航空機使用者にとっては航空機の選択の際の重要なポイントになりますことから、国土交通省といたしましては、三菱航空機に対して、MRJに対する情報提供を適切に行うよう指導してまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 やはり本来は義務なんじゃないかなというふうに思いますけれども、これは情報開示しなきゃ売れないというようなことだということですから、様子を見ながら、もし何かそれでふぐあいがあるようであれば義務に格上げをするなどというふうなことも頭の隅に置いていただいて、今回のことに関しましては、ビジネスに任せるという考え方だということを理解をいたしました。
さて、今回の改正によりまして新設をされますふぐあい情報の収集制度及び修理改造手順の承認制度により、国産航空機の安全運航を維持していくためには、国の指導監督能力の強化、これが必須ではないかというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
我が国がMRJの航空機設計国となりますけれども、国際民間航空条約上、航空機設計国は、国産航空機のふぐあい情報を収集するとともに、必要な安全対策を関係国に周知することを通じて国産航空機の安全性を継続的に維持することが求められます。
この責務を果たすために、今回の改正案では、新設する具体的な制度は二点ございます。
第一点目は、欧米を始めとする航空機設計国と同様に、国産航空機の航空機メーカーに対して、国内外の航空機使用者からふぐあい情報を収集し、国土交通大臣に報告することを義務づけます。国土交通省は、報告されたふぐあいの安全性への影響を適切に評価し、航空機メーカーに対して適切な措置を講じさせることで、MRJの事故やトラブルの発生の未然防止を図ってまいります。
二点目は、国内外で使用される国産航空機に不測の大きな損傷が発生した際に、航空機メーカーが作成した航空機の修理改造の手順を国土交通大臣が事前に承認することによりまして、航空機使用者が迅速に修理をし、速やかに航空機を運航に復帰をさせることを可能とさせるものでございます。
これらの制度を確実に実施していくために、国側の安全性審査能力や航空機メーカー等に対する監視、監督能力の維持向上に取り組んでまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 今御説明いただきましたように、航空機の設計国になるということは、世界に対しても大きな責任を持つことになりますし、それに対する事務や事業というものも飛躍的にふえるものというふうに感じております。体制をつくるという意味でいいますと、MRJの就航後に、航空機検査等にかかわる職員のマンパワーそれから技能、これをどのように確保していくのかというのが非常に大事だと思っております。
私の地元に大阪府立大学がありまして、航空工学が非常に有名であります。航空工学を学ぶ学生さんの中には、もちろん整備士になられたりする方も多いわけなんですけれども、一から飛行機をつくりたいなというような思いで、その場合は海外に行くしかないなというところが、今回、国産航空機というような形で国内にも活躍の場ができてくるというような部分を含めまして、人材を夢のあるような形で引っ張ってくる、こういうことができるのではないかと思います。
また、量の面でも、二〇二〇年までに訪日旅行者数が年間四千万人ということを政府が目標に掲げておりまして、航空機の発着回数、これも増加をするというような計画になっていると思います。
航空機の安全確保、いわゆる質の部分と、そして量の部分とを含めますと、今の航空局の人数で本当に大丈夫かな、これはふやす必要があるんじゃないかなというような部分も感じるところでありますけれども、そこはいかがですか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、MRJの開発の進捗に合わせまして、県営名古屋空港に設置をいたしました航空機技術審査センターの体制を大幅に拡充をしてまいりました。また、質的にも、航空機開発経験者や航空機運航経験者を採用するとともに、宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAや航空会社を始めとする研究機関や民間企業との活発な人事交流を行うことによって、専門知識を有する人材を確保しております。
また、MRJに対する審査能力を向上させるために、米国の航空当局と連携して専門研修を拡充するとともに、米国、欧州の航空当局の安全性審査担当者と密接に連携して安全性審査を実施してまいりました。
今後、航空機設計国として運航開始後の安全性の維持に重大な責任を負うことになりますことから、引き続き、航空機の検査官の体制の強化、あるいは研修の充実等安全性審査の能力の維持向上に努めてまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 大臣、ぜひ、質と量、両面よろしくお願いしますね。
それでは、航空機乗組員に対する規制の強化についての部分でございます。
昨年からの航空機乗組員の飲酒による不適切事案、これが指摘をされておりまして、今回の法案にも盛り込まれています。国土交通省のこれまでの認識、そして対応についてお知らせください。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
今般、人命を多数預かる航空機の乗組員等が立て続けに飲酒に関する不適切な事案を起こしたことは、まことに遺憾であります。
今後、このような事案が二度と発生しないよう、まず、我が国における航空会社に対する規制といたしまして、アルコール検知器を使用した乗務前後の検査の義務づけと検知された場合の乗務の停止、全社員へのアルコール教育の徹底、飲酒に係る不適切事案についての報告の義務化、安全統括管理者の責務として飲酒対策を明確化し必要な体制を整備するなど、飲酒に関する統一的な基準を策定いたしまして、この飲酒基準への航空会社の適合状況について安全監査等によりまして確認をし、厳しく指導監督を行うことで、その遵守を徹底させてまいりたいと考えております。
また、こうした組織に対する対策に加えまして、乗組員個人に対しましても、アルコールの数値基準を設定をするとともに、今般御審議いただいております法改正で、飲酒等の影響で正常な運航ができないおそれがある間に航空機の操縦を行った場合の罰則の強化をさせていただきたいと考えております。
国土交通省といたしましては、航空会社に対する飲酒基準の遵守の徹底と個人に対する規律の強化の双方に取り組むことによりまして、航空の安全に対する信頼をできる限り早期に回復できますよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 先日の視察でも、フジドリームエアラインズさんの飲酒の検査の現場に連れていっていただきました。しっかりやられているなと思いました。
車の飲酒は、以前、厳罰化の前には、ちょっと飲んで乗るぐらい何てことないや、ひっかかったら罰金を払えばいいやというような意識であったものが、厳罰化以来、徐々に件数が減っていくというような状況があったかと思います。
車については、日常のという形で、免許も非常にたくさんの方が持っているわけですが、航空機につきましては、ほとんど、特に旅客機については仕事としてやっている方々でありますので、今回、書き込むということは第一段階でありますけれども、これでしっかりと意識の改革ができるように、アナウンスを繰り返しやっていただくというようなことが大事ではないかなと思います。
また、数値などもきちんと定めていくというようなことも、もしかしたら必要になってくるかもしれません。そういうことも含めて、今後の取組をお願いをしたいというふうに思います。
それでは、無人航空機の安全についてでございます。
現在、航空法では、二百グラム未満のドローンについては規制の対象外ということになっております。この理由についてお知らせください。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
航空法では、無人航空機につきまして、空港周辺等での飛行を原則禁止するとともに、目視の範囲内で飛行させるなど、遵守すべき飛行の方法を定めておりますが、これらは、航空機の航行の安全や地上の人や物の安全を確保するという観点から定められております。
こうした制度の趣旨のもと、二百グラム未満の小型の無人航空機につきましては、飛行可能な時間や飛行可能な範囲が限定的であることから航空機に衝突することが想定されにくいこと、飛行中にふぐあいが生じ地上に落下したとしても人や物に大きな被害が生じることは想定されにくいことから、航空法上はこのような無人航空機は規制の対象外としているところでございます。
○森山(浩)委員 飛行機に当たったり、落ちてきたりしても危なくないから、まあいいんだというような話でいいんでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
二百グラム未満といいますと、手のひらサイズぐらいのことをイメージしていただけるといいと思いますけれども、非常に小型の無人航空機でございますので、飛行可能な範囲でありますとか、そういった時間なども限定的ですので、航空機に衝突をしたりとか、あるいは地上に落ちた場合の影響の度合いといったようなことを勘案いたしまして、規制の対象外としているということでございます。
○森山(浩)委員 そうですよね。ラジコンの飛行機とどう違うのかというような話になってきたりもするかもしれませんので、二百グラム未満というのが一つのラインと。
これは、ドローンというのは大体どんなものに使われていますか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
二百グラム未満の非常に小型のドローンは、一般的には、ホビーといいますか、趣味といいますか、そういう形で飛ばされたりしているケースが多かろうと思います。
ビジネスなどに使ったりとか、あるいはいろいろなインフラの点検などに使ったりするようなものは、もっと大型のものということになると思います。
○森山(浩)委員 そうですよね。私、以前テレビ局におりましたので、当時の仲間が、今、世界遺産になろうとする仁徳天皇陵を空撮をするときに使っているとか、あるいは農薬散布のために使っているとか、大きいものに関しては、そのような形でビジネスで使うようなものが多いのかなと思います。
今般の法改正によりまして、ドローンの操縦者に対して、飲酒時、お酒を飲んだときの飛行禁止を義務づけるということでありますけれども、これは、車や飛行機と違いまして、乗っているわけではありません。乗っていない状況のもので取締りというのは、実際できるものでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
アルコールや薬物の影響によりまして正常な飛行ができないおそれがある間に無人航空機を飛行させる行為は極めて危険だということから、今般の改正によりまして、飲酒時の飛行について罰則を伴う禁止行為として規制することで、違反の行為に対する抑止力は向上するものと考えております。
一方、昨今の急速な無人航空機の普及状況を鑑みますと、実際に飛行させるたびに遵守状況を事前に確認するということはなかなか現実的には難しいと思っております。
そこで、違反が発生した際の通報や報道等を通じまして、国土交通省としては、事後的に状況を調査し、今後の再発防止に向けて、飛行ルールについて理解を深めていただくよう、関係機関とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
また、飛行ルールを知らずに航空法違反で検挙されることがないよう、国土交通省として、国民に広くルールを理解してもらうために、あらゆるチャネルを通じた周知活動が重要であり、引き続きこれに取り組んでまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 免許についても、ルールについても、しっかりと国民に周知をするということが大事だということで、先ほどの乗務員の方の話と同じかなと思います。
何か、免許なり、厳しくなる前に早くドローンの免許を取っておいた方がいいよというような話が愛好者の間では出ていたりするようでありまして、これなんかも、一定のルールというものを早急につくっていくということが大事かなと思っています。
今なんですけれども、じゃ、ドローンを何に使うのといったときに、例えば山奥に荷物を運ぶとかいうような形で、いわゆる目視外、目に届く範囲を超えてドローンを飛ばしていくというような部分についてはニーズが高いというふうに言われています。
これは、民間のニーズを含めまして、どのようにお考えでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
無人航空機の飛行の基本ルールといたしましては、他の航空機や地上の人、物件の安全確保の観点から、航空法に基づき、目視の範囲内で飛行することが原則となっておりますが、一方で、無人航空機の利活用促進の観点からは、安全を確保し、カメラによる監視などを行うなど一定の代替措置を講じた上で、目視外の飛行を認めていくことが必要であると考えております。
このため、国土交通省におきましては、平成三十年九月に、飛行を承認するための審査基準を改定いたしまして、山間部等の人が立ち入る可能性の低い地域において、目視外での飛行を可能とするような要件を定めたところでございます。
こうした措置を受けまして、同年十一月から開始をいたしました福島県南相馬市や埼玉県秩父市等での無人航空機を用いた荷物運送というものを皮切りに、目視外の飛行が徐々に始まっているところでございます。
また、今後、無人航空機の利活用を着実に拡大させるためには、無人航空機が社会的に信頼される手段として受け入れられることが必要でありまして、無人航空機の将来的な利活用の状況を踏まえながら、無人航空機の飛行のさらなる安全を図っていくことが必要であると考えております。
こうした観点から、官民で構成します協議会で昨年まとめられました空の産業革命に向けたロードマップ二〇一八におきまして、二〇二〇年代、有人地帯での目視外飛行の実現に向けて、技術開発の進展に合わせて段階的に制度の整備等を進めていくこととしているところでございます。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
議論が進むことを逐一皆さんにお知らせをしながら、ドローンというのはどんなふうに使えるのか、あるいは、これは危ないよとルールの部分についても周知を図りながら進めていっていただきたいというふうに思います。
それでは、航空機検査制度の部分ですけれども、今般、MRJのための改正とあわせまして航空機検査制度の見直しを行っていますけれども、現行の航空機検査制度の役割、それから評価、これまでどうであったかということについてお知らせください。
○蝦名政府参考人 国土交通省では、近年の航空機の安全確保を取り巻くさまざまな環境の変化に対応した制度の見直しを行うために、昨年三月、交通政策審議会のもとに、学識経験者、民間有識者から構成されます航空機検査制度等検討小委員会を設置いたしました。この委員会の中で、現行の検査制度の役割と評価についても御議論をいただいておるところでございます。
その中では、具体的に、昭和六十年の御巣鷹山事故以降、定期航空運送事業の乗客死亡事故は発生しておらず、全体の航空機事故件数も長期的に見て減少傾向であること、要因別の航空事故発生状況を見ても、近年は気象条件等の外的要因やヒューマンエラーなどの人的要因が大半であり、機材ふぐあいによるものはわずかであることから、航空機の検査制度はこれまでの我が国の航空機の安全確保に一定の役割を果たしてきたというふうに評価をされております。
一方で、国が一機ごとかつ一年ごとに行う耐空証明検査や、航空機の安全確保に重要な装備品を一点ごとに検査する予備品証明検査など、国の直接検査による、航空機の安全を確保する従来の我が国の検査制度は、民間の業務実施体制の監督強化により民間能力を活用している諸外国とは異なっており、必ずしも時代のニーズに即したものとは言えなくなっているのではないかといった課題も指摘をされております。
こうしたことを踏まえまして、今回の航空法の改正案では、民間能力を活用しつつ、時代のニーズに即したものになりますよう、航空機の検査制度の改善を行うこととさせていただいているところでございます。
○森山(浩)委員 よくやっているよという評価をされているということですけれども、その中で、今、重要な装備品の予備品証明検査、これを直接やるのはもう時代おくれだ、あるいは外国ではやっていないというような指摘があったかと思いますが、これは、長年やってきたものを廃止して大丈夫なのでしょうか。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
これまで我が国では、エンジンやプロペラなどの一部の重要な装備品のみにつきまして安全規制の対象としておりましたが、現代においては、航空機に使用されている装備品等は飛躍的にデジタル化、高度化しておりまして、一部の重要な装備品のみの安全確認では航空機全体の安全性を確保することが困難となってきております。
デジタル化、高度化している装備品等を国が一点ごとに完成品の検査を行うことは実効性に乏しく、当該装備品等の製造、修理などを行うメーカーや修理事業者の能力を国が認定し、認定を受けたメーカー等みずからに安全を確認させることが国際的に一般的な枠組みとなっております。
さらに、今般、MRJの型式証明取得によりまして、我が国は航空機及びその装備品等を輸出していくことになりますけれども、欧米等の諸外国におきましては、航空機に装備する全ての装備品等について安全規制をかけておりまして、欧米基準との相違がございますとMRJの円滑な輸出の障害となる可能性もございます。
こうした状況を踏まえまして、今般、予備品証明を廃止いたしまして、安全規制の対象を全ての装備品に拡大するとともに、現行においても機能している、国の認定を受けたメーカー等にみずから製造、整備等を行った装備品の安全性を確認させる制度に一本化することとしたものでございます。
今後とも、国土交通省といたしましては、民間事業者の能力認定及びその後の監視、監督に万全を期すことといたしまして、民間事業者が装備品等の製造、修理又は改造の作業開始から作業完了まで一貫して安全基準への適合性を確認することにより、装備品等の安全性を確保してまいりたいと考えております。
○森山(浩)委員 主要な部品から全ての部品を検査するように変える、そのために民間の力を活用するということですが、一方で、日本貨物航空やIHIによる記録の改ざんあるいは検査の不正が判明をしているというような状況であります。
民間能力を活用しながらの検査体制の合理化ということ、これは本当に大丈夫か、また、不正事案を踏まえて、どのような対応をとっていくことによってこれをいい仕組みにしていくのかということについてお考えをお聞かせください。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法改正の趣旨は、国による航空機や装備品といったものの一点ごとの検査から、それらを製造、修理又は改造する民間事業者の能力を国が認定し、その後も認定の更新や継続的な監視、監督を行うことにより安全を確保する制度への移行を図るものでございます。
国土交通省としましては、今般の認定事業場による不適切事案の発生を受けまして、この法改正に加えまして、従前は事前に通告をしていた国の認定事業場に対する随時検査を今後は抜き打ち検査において実施をする、あるいは認定事業場が実施した検査記録の裏づけまで確認するなど検査方法を見直す、また、認定事業場に対しては業務量に応じた適切な人員配置がなされているか定期的に報告を義務づけるなど、管理体制を強化するといった運用面での抜本的な見直しを実施して、認定事業場に対する監視、監督を強化してまいりたいと思います。
こうした措置によりまして、今後、認定事業場の不適切事案を未然に防止するとともに、万一不適切事案が発生した場合には、引き続き適切かつ厳正に行政処分を行うことにより、航空機の安全確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○森山(浩)委員 新たな制度です。今後、どのような形になっていくかというのをしっかり見ながら運用をしていただきたいと思います。
それで、平成二十年ですからおよそ十年ですか、運輸安全委員会が設置をされて十年経過をしておりますけれども、我が国の航空の安全に果たしてきた役割についてお答えください。
○石井国務大臣 運輸安全委員会は、航空、鉄道事故に加えて船舶事故調査を追加すること、国家行政組織法第三条に基づく委員会として、より高度な独立性を有する事故調査機関とすること、行政機関に加えて原因関係者に対する勧告権限を付与すること等の機能拡充の上、平成二十年十月に設置をされました。
運輸安全委員会は、発足以来、航空事故等につきましては二百七十七件の事故等調査報告書を発出いたしまして、事故原因の究明に取り組むとともに、国土交通大臣及び原因関係者への勧告、海外の原因関係者に対する安全勧告等を実施し、安全対策や政策立案のための提言を行ってまいりました。
運輸安全委員会においては、今後も、調査能力の向上や国際連携等を図り、公正中立な事故調査機関として、適時適切な事故調査と再発防止策の提言を通じて航空安全に重要な役割を果たしていただきたいと考えております。
○森山(浩)委員 重要な役割を公正中立に果たしてきたというような評価だということであります。
今回の改正で、航空事故の兆候の範囲が拡大されています。ボストンの空港で日本航空機のAPUバッテリーから出火した事案から六年がたっておりまして、本来ならば六年前にこれは改正するべきであったのではないかなというふうにも思いますが、現在になった理由、それから、運輸安全委員会設置法第二条第二項第二号、航空事故の兆候における、航空事故が発生するおそれがあると認められる事態については、過去の事例からどのような事態を想定しておられますか。
○篠部政府参考人 お答え申し上げます。
国際民間航空上、各国において調査の対象とすべきとされている航空事故の兆候、重大インシデントは、航空機の航行中に発生いたしました、事故につながる蓋然性が高い状況を伴うインシデントと定義されて、航行中の事態に限定されております。
しかしながら、駐機中に起こったバッテリー発火といった事態は、仮に航行中に生じていれば航空事故につながる蓋然性も認められるため、米国など主要な航空機設計国においては、自国で設計、製造された航空機の安全性を担保する責務を果たすとの観点から、条約で調査対象とすべきとされている航行中の事態に加えて、付加的に調査対象としておるところでございます。
我が国も、航空機設計国となることを契機といたしまして、自国で設計、製造された航空機の安全性を担保する責務を果たすとの観点から、このような駐機中に起こったバッテリー発火といった事態を調査対象に加えて、発生国からの調査委任等にしっかり応えることができるよう、今回の改正を行おうとするものでございます。
また、今後、他の航空機設計国の調査事例や、近年海外において航空機が航行していない状態において発生した事例等を踏まえて、国土交通省令において調査事例となる事案について規定することとしており、具体的には、駐機中の航空機の装備品等から出火した事態、地上試運転中にエンジンの破損等が生じた事態等について調査対象として規定することを想定いたしております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
また、特定調査というような形で、外国の調査機関に直接報告をするようなものも広がっていくということで、これは、今回の航空法あるいは運輸安全委員会設置法の一部を改正するというような形で、国産航空機をつくる、また設計国になるという部分の準備の法律であるというふうに認識をしておりますし、非常に重い責任になってくるかと思います。
先ほど要望いたしましたが、人員をしっかり確保するとともに、能力の向上を図る、また、民間の皆さんにもしっかり緊張感を持ってやっていただく、協力体制を築いていくというような形で、総合的に国産航空機の応援をしていただきたいというふうにお願いいたしまして、私からの質問といたします。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 日本の航空政策について伺います。
お配りした資料の一ページをごらんいただきますと、米軍基地負担に関する提言と題しました、もともとは二ページのペーパーを御紹介しています。
これは、去年の七月に全国知事会が初めて採択をいたしました米軍基地負担に関する提言というものですけれども、この右側のアラビア数字2番、「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」と書かれております。
これは主権国家として大変重たい提言といいますか、こうしたことを提言しなければいけないこと自体、非常に遺憾なことだと思いますけれども、この提言を受けた国交大臣の受けとめを伺いたいと思います。
○石井国務大臣 委員から御紹介いただいたように、昨年の七月、全国知事会が採択をいたしました米軍基地負担に関する提言におきまして、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法などを原則として米軍にも適用させることとする提言がなされていることは承知をしております。
米軍機に対する航空法の適用除外につきましては、我が国が締結した国際約束である日米地位協定等に基づき、米軍が我が国において活動することが認められていることを踏まえ、その履行を担保するために航空法の特例法が定められたものと承知をしております。
その性格に鑑みますと、米軍機に適用される航空法の規定を見直すに際しましては、米国との調整を要するものと考えております。
○津村委員 米国との調整をぜひやっていただきたいというのが私の質問の趣旨でございます。
委員の先生方には釈迦に説法でございますけれども、日米地位協定につきまして、二ページから七ページまで御紹介をしております。これは全国知事会の資料そのものです。全国知事会のこの提言に添付された参考資料の中で、日米地位協定に関する記載をそのまま、大部になりますけれども、六ページにわたって御紹介しているものでございます。
日米安保条約の六条に基づいて日米地位協定は結ばれているわけですけれども、日米地位協定自体は非常に簡単な条文でありまして、そのもとにある合意議事録、そしてそれを議論する日米合同委員会という存在が、実はいろいろなことを決めている舞台であり、いろいろなことを決めているものでありますけれども、これが、国会の議論を経ずに、本当にさまざまな国民生活にかかわる決め事をしているんですね。
その合意議事録は、二〇〇〇年代になりまして外務省のホームページ等によって公表されているわけですけれども、逆に言えば、二〇〇〇年代に至るまで公表もされない、どういうことが合意されたかも公表されないまま、日本の航空行政はもちろん、環境問題であるとかさまざまな問題について決め事がされてきたわけであります。
少し先のページになりますけれども、十二ページにその日米合同委員会の組織図を御紹介しておりますが、日本側の代表は外務省の北米局長ということで、事務方の会議体が相当さまざまなことを、本来であれば法律で定めるような、あるいは国会でその妥当性を議論するような、条約に近いようなことをさまざま決めているということが私は問題の本質だというふうに思っております。
今大臣が御言及をいただきましたのは航空法の話で、本日は航空法の議論ですけれども、九ページをごらんいただきますと、今大臣が御紹介になりました航空法特例法について抜粋をさせていただきました。
航空法特例法は、この右側、四角に囲んだ三つの条文が全文でありまして、これが全てですけれども、非常に読みにくいですので、左側に書籍の紹介をさせていただいております。
まず、第一条では、飛行場や航空保安施設の設置に際し、国土交通大臣の許可を受けなければならないという義務は適用しない、つまり、米軍基地の飛行場や米軍機の飛行を援助する電波、灯光施設などを設置するのに日本政府の許可は要らないとなっているんですね。
これは非常に重要な条文でありまして、いわゆる北方領土問題において、二島返還、四島返還、いろいろな議論がありますけれども、そこに米軍、アメリカが基地を設置するということが、この航空法特例法においては、ある意味認められているわけです。
ちょっと私たちの肌感覚では、そんなことはしないだろう、あるいは、そんなことを言っていたら、とてもじゃない、北方領土問題は解決しないだろうというふうに思うわけですけれども、しかし、この条文上は否定されないわけですね。実際にそのことが、プーチン大統領と安倍総理の間での一つの議論のネックになっているという分析もあります。それは私にはわかりませんが、北方領土問題にもはね返るほどの、これは重要な条文であります。
第二条については、耐空証明のない航空機の飛行を禁止し、騒音基準適合証明の義務、有資格者以外の操縦教育禁止、外国航空機が日本国内で飛行するための許可を得る義務などは適用しない。つまり、外国航空機が日本国内で飛行するための許可は要らないということなんですけれども。
さらに、第三条では、航空法第六章の規定を適用しない。この第六章というのは、かなり細かいものになりますけれども、速度制限ですとか最低安全高度の遵守、あるいは夜間飛行での灯火義務、飛行禁止区域の遵守、こういったものが定められているわけですけれども、一番最後の三行に飛んでいただきますと、「航空法で定めた最低安全高度は、人口密集地では航空機から水平距離六百メートルの範囲内の最高障害物の上端から三百メートル、それ以外の所では地面や建築物や水面から百五十メートル」。この百五十メートルというのが、ドローンが飛んでいい百五十メートル以内の世界と飛行機が飛ぶ百五十メートル以上の世界の境界線になっているわけですけれども、米軍機についてはこれは関係ないよということになっています。
ちょっと話が行ったり来たりして恐縮ですけれども、例えば、一ページ戻っていただいて、八ページ、これは全国でどれだけ米軍機の飛行の苦情があったかというところなんですけれども、これは群馬県が突出しているんですが、群馬県ですとか島根県、広島県、鹿児島県、さまざまな地域で、これは、百五十メートルあるいは三百メートルの飛行最低高度が守られていないから、小学校とかの真上を百五十メートルよりも近いところで飛んだりするからこういう苦情が起きているわけですけれども、そういうことが現に起きているということであります。
大臣に伺いますけれども、日米地位協定の立法趣旨につきましては先ほど少しお触れになりましたが、時代環境も変わっております、あるいは日米関係にもさまざまな変化がある中で、敗戦直後の日米地位協定あるいは航空法特例法の見直しについて、議論はされていないんでしょうか。
○石井国務大臣 航空法の特例法は、我が国が締結した国際約束である日米地位協定等に基づき、米軍が我が国において活動することが認められていることを踏まえ、その履行を担保するため、昭和二十七年に制定をされました。そして、その履行を引き続き確保する必要があることから、現在に至っているものと承知をしております。
○津村委員 少し具体的に伺いたいと思いますけれども、事前通告した問いの三番であります。
アメリカでは人口密集地域での低空飛行訓練というのは行われていないというふうに仄聞をしています。軍事的な理由でさまざまな通常の民間航空機とは違う扱いが必要なことは想像できるんですが、日本の自衛隊ができないこと、そして米軍もアメリカ本土ではやっていないことを、なぜ日本の国で米軍がやることはできるんですか。
○鈴木(貴)大臣政務官 お答えをさせていただきます。
まず、米国における飛行でありますけれども、その際に適用される最低安全高度というものは、国際民間航空機関並びに日本の航空法により規定をされている最低安全高度と同じということをまず申させていただきたいと思います。
その上で、米軍が訓練を通じてパイロットの技能の維持そしてまた向上を図るということは、即応態勢の機能を維持する上で不可欠の要素であり、日米安保条約の目的達成において極めて重要であると考えております。
一方、米軍は全く自由に訓練を行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであるということは言うまでもありません。米軍は、低空飛行訓練を行う際には、日米合同委員会合意に従い、基本的に人口密集地域を避けるなど、適切に運用しているものと承知をしております。
いずれにしましても、防衛省としましては、米軍機の飛行に際し、安全の確保が大前提であるということは強く認識をしております。引き続き、米側に対し、日米合同委員会合意等を遵守するとともに、安全面に最大限配慮をしていただき、また、周辺地域に与える影響というものは最小限にとどめるように求めてまいりたいと思っております。
○津村委員 今政務官に大変丁寧に御答弁いただきましたけれども、私がこれまで事務方も含めて議論をした中では、やはり、日米の運用の実態の格差といいますか違いについて、防衛省さんと外務省さんのいわばはざまになってしまっていて、必ずしも実態を正確に把握されていないのではないかという印象を持ちました。
きょうはその指摘にとどめますけれども、やはり米軍が、米軍の役割の大きさというのは私も深く認識するところですけれども、アメリカ本土ではやっていないことを日本ではやっている、それも、曲芸飛行に近い非常に危ない飛行、本当にそれが訓練なのかというふうに目を疑うような実態もあるという指摘が多々ございます。
それがこうした苦情につながっているわけで、合理的だと思われないから苦情が、群馬県なり島根県、全国ですけれども、あるわけで、そうしたことには、防衛省、外務省、そして国交省も、この質問を一つするのにそれはうちの役所じゃないという話がたくさんあったんですけれども、これは省をまたがって、日本国の話ですから、ぜひ御関心を持っていただきたいというふうに思います。
質問通告の問いの七、外務省への質問にちょっと飛ばせていただきますけれども、国内法と国際法の関係性の話であります。
配付資料の十一番をごらんいただければと思うんですが、外務省の答弁、米軍の位置づけについての答弁が少し変わっているのではないか。だんだん、戦後、時を経て、本来であればより国際法の常識に近づいていくべきところが、国際法の常識から遠ざかっているのではないかという疑問について問わせていただきます。
左側、昭和三十五年、一九六〇年の条約局長の答弁では、まず、冒頭書いてありますとおり、施設・区域は、もちろん日本の施政のもとにあるわけで、原則として日本の法令が適用になる、ただ、米軍の必要な限り、地位協定に基づいて個々の法令の適用を除外している。つまり、米軍関係のことにおいても、原則としては日本の法律が適用された上で、地位協定に基づいて適用除外があるよと。一番最後にもう一度出てきますが、原則として、当然、日本の主権、統治権下にある、日本の法令が適用になるというのが出ているわけです。これは昭和三十五年ですから、まさに日米安保条約改定の年であります。岸内閣のときですね。
右側ですけれども、昭和四十八年の大河原アメリカ局長の答弁では、これが逆転をしています。一般国際法上は、外国の軍隊が駐留する場合に、地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定がある場合を除いては、接受国の国内法令の適用はない。つまり、原則ない、適用ないのが原則で、地位協定あるいはそれに類する協定に明文の規定がある場合のみ、それが適用されるということであります。
これは原則と例外が逆転してしまっていると読めるんですけれども、これは外務省の判断が変わったんでしょうか。
○あべ副大臣 委員にお答え申し上げます。
外国軍隊に対する受入れ国の法令の適用及び免除の原則につきましては、第一に、一般に、国家はその領域内で主権を有しておりまして、属地的にその領域内にある者には、外国人を含め、その国の法令が適用されるところでございます。
第二でございますが、一般に、受入れ国の合意を得まして、当該受入れ国内に、外国軍隊及びその構成員などは、受入れ国の法令を尊重する義務を負うところでございます。その滞在目的やその範囲内で行う公務につきましては、受入れ国の法令の執行また裁判権などから免除されると考えているところでございますが、こうした基本的な考え方は国際的に広く共有されているところでもございます。
第三でございます。派遣国と受入れ国の間で、外国軍隊の活動が滞在目的に沿った形で問題なく行われるように、個々の事情を踏まえ、受入れ国の法令の適用について具体的調整を行うべく、地位協定を含む個別の取決めが結ばれることが一般的でございまして、こうした中で、外国軍隊に対する受入れ国の法令の適用について調整が行われるようになるところでございます。
その上で、御指摘の一九六〇年の国会審議における答弁、米国の施設・区域に日本の法令が適用されるのかという質問に対しまして、在日米軍の施設・区域は日本の領域であり、当然、属地的に我が国の法令が適用されるという第一点目に焦点を当てて述べたところでございます。
また、御指摘の一九七三年の国会審議における答弁におきましては、先ほど第二点目で申し上げた点、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員などは受入れ国の法令を尊重する義務を負うが、その滞在目的の範囲内で行う公務については、受入れ国の法令の執行や裁判権などから免除されるものと考えているというところに焦点を当てたところで御説明させていただいているところでございます。
先ほど御説明いたしました三段階から成る考えにつきましては従来から一貫しているところでございまして、御指摘の国会答弁、当時も現在も同様でございまして、したがって、政府の立場が変更されているという御指摘は当たらないというふうに考えております。
以上でございます。
○津村委員 皆さん、配付資料の十ページをごらんください。横田空域について説明をさせていただいております。
図表をごらんいただければ我が国の民間航空機がいかに迂回をして飛行しているかということがわかると思いますが、三行目から四行目に、「域内にある厚木基地、入間基地などを離着陸する米軍機や自衛隊機の管制業務を横田基地の米軍が行っている。」ということであります。
この法的根拠は何でしょうか、大臣。
○石井国務大臣 米軍が航空管制業務を行っている法的根拠につきましては、日米地位協定第六条に基づいて取り交わされました、昭和五十年の日米合同委員会における航空交通管制合意がそれに当たるものと承知をしております。
○津村委員 その航空交通管制合意ですか、それは国会で議論されたんですか。また、いつ公開されたんですか。
○石井国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、日米合同委員会における合意と承知をしております。
これにつきましては、その概要が公表されていると承知をしております。
○津村委員 これは外務省に伺った方がいいと思いますけれども、いつ公開されたんですか。
○谷委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○谷委員長 速記を起こしてください。
あべ外務副大臣。
○あべ副大臣 委員にお答え申し上げます。
具体的な通告がなかったため、今調べさせていただいておりますので、可及速やかにお答えさせていただきたいというふうに思っております。(津村委員「紙もきのういただきましたけれどもね」と呼ぶ)
○谷委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○谷委員長 速記を起こしてください。
石井国土交通大臣。
○石井国務大臣 航空交通管制合意でありますから私の方からお答えをいたしたいと思いますが、先ほど概要は公表されているというふうに申し上げましたけれども、合意文書そのものにつきましては公表をしていないと承知をしております。
これは、日米間の忌憚のない意見の交換や協議を確保するため、日米合同委員会での議事録、合意事項については、日米双方の同意がなければ公表されないというところでございます。
○津村委員 私の認識では、今の御発言は大問題発言で、全文が公表されているはずですよ。公表されているものは全文じゃないということですか。
○谷委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○谷委員長 速記を起こしてください。
この際、暫時休憩いたします。
午前十時八分休憩
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午前十一時七分開議
○谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
残余の議事は後日行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時八分散会