衆議院

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第4号 令和元年11月13日(水曜日)

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令和元年十一月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    大塚 高司君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      門  博文君    神谷  昇君

      小林 茂樹君    古賀  篤君

      佐々木 紀君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    出畑  実君

      冨樫 博之君    中村 裕之君

      鳩山 二郎君    藤丸  敏君

      堀井  学君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    務台 俊介君

      簗  和生君    山本  拓君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      今井 雅人君    重徳 和彦君

      長尾 秀樹君    西岡 秀子君

      古川 元久君    道下 大樹君

      矢上 雅義君    谷田川 元君

      山崎  誠君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    高橋千鶴子君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      青木 一彦君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            吉塚 靖浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 一見 勝之君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  大坪新一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  高田 昌行君

   政府参考人

   (観光庁次長)      高橋 一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     出畑  実君

  田所 嘉徳君     冨樫 博之君

  長坂 康正君     務台 俊介君

  鳩山 二郎君     上杉謙太郎君

  望月 義夫君     藤丸  敏君

  広田  一君     重徳 和彦君

  馬淵 澄夫君     山崎  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     鳩山 二郎君

  出畑  実君     鬼木  誠君

  冨樫 博之君     田所 嘉徳君

  藤丸  敏君     望月 義夫君

  務台 俊介君     小田原 潔君

  重徳 和彦君     広田  一君

  山崎  誠君     長尾 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     長坂 康正君

  長尾 秀樹君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 港湾法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、国土交通行政に関する実情調査のため、去る六日、十七名の委員が参加し、鶴見川多目的遊水地、横浜港南本牧埠頭及び気象庁本庁の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を報告を申し上げます。

 まず、鶴見川多目的遊水地についてであります。

 鶴見川流域では、急激な都市化で一気に大量の雨水が河川に集まり、水害が頻発するようになったため、河川と流域が一体となって治水対策に取り組むという総合治水対策が進められております。

 鶴見川多目的遊水地は、この総合治水対策の一環として、今回視察をした越流堤などを整備することによって、鶴見川の洪水を一時的に貯留する洪水調節施設であり、先月の台風十九号による大雨の際は、鶴見川の水位が上昇し、約九十四万立方メートルの洪水を一時的に貯留しました。

 これは、平成十五年六月に運用を開始してから三番目に多い量であるにもかかわらず、多目的遊水地内にある横浜国際総合競技場は、河川水が遊水地に越流しても浸水しないピロティー方式を採用しているため、会場としてワールドカップラグビー二〇一九大会を無事開催することができたとの説明を聴取をいたしました。

 次に、横浜港南本牧埠頭についてであります。

 現在、我が国では、コンテナ港湾の国際競争力を強化するべく、国際コンテナ戦略港湾政策が進められております。そのため、国際戦略港湾の一つである横浜港の整備状況等を把握するため、視察することとしたものであります。

 現在、二〇一九年度の完成を目指し整備を行っているMC―4ターミナルは、供用を既に開始しているMC―3ターミナルと同様、水深十八メートルの岸壁を有し、世界最大級のコンテナ船にも対応可能なターミナルとなっております。

 また、コンテナを搬出する際のゲート処理に時間がかかり、ゲート前にトレーラーが長時間待機している問題が生じていることから、処理の効率化等を図るためのシステムであるCONPASの実証実験に取り組んできたとの説明を聴取をいたしました。

 次に、気象庁本庁についてであります。

 最近の異常気象と激甚化する災害に対応するため、気象の観測体制強化や予測精度向上が求められております。そのため、気象業務の現状を把握するため、視察することとしたものであります。

 具体的には、多くの観測データを用いて常に監視し、天気予報や警報、注意報の発表を全国の気象台に指示をする予報現業室、地震や火山の状況を常に監視し、地震の発生や火山の状況に応じて警報等を発表する地震火山現業室、及び波浪の状況を常に監視し、波浪や高潮に関する防災情報を発表する地球環境・海洋現業室といった気象業務に関する現業室などを訪問し、説明を聴取をいたしました。

 以上が視察の概要であります。

 なお、今回の視察に当たり、私どもの調査に御協力をいただきました皆様方に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 以上でございます。

     ――――◇―――――

土井委員長 次に、内閣提出、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官瓦林康人君、水管理・国土保全局長五道仁実君、鉄道局長水嶋智君、自動車局長一見勝之君、海事局長大坪新一郎君、港湾局長高田昌行君、観光庁次長高橋一郎君、水産庁漁港漁場整備部長吉塚靖浩君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君及び環境省大臣官房審議官上田康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神谷昇君。

神谷(昇)委員 おはようございます。自由民主党の神谷昇でございます。

 本日は、発言の機会を賜りまして、まことにありがとうございます。

 私は、港湾法の一部を改正する法律案につきまして質問を申し上げたいと思います。

 洋上風力発電は、我が国の再エネ比率を高める上でも重要な電源でございますけれども、現状の導入量はほんのわずかであります。

 昨年、導入のための再エネ海域利用法が成立し、本年四月から施行されております。今後、この法律の運用によって洋上風力発電の本格的導入が期待されておるところでございますけれども、円滑な導入のために、現状を正確に分析し、課題の報告が重要であります。

 私は、二十年ぐらい前にデンマークのコペンハーゲンに行ったときがあります。ちょうどコペンハーゲンに飛行機が着陸しようとしたときに、洋上を見ますと何十という洋上風力発電が回っておりまして非常にびっくりしたことを覚えているところであります。先行するヨーロッパを参考にしながら、いかに我が国でも導入促進をしていくかが大変重要であります。

 そこで、まず、ヨーロッパと日本の洋上風力発電の導入量について、それと我が国の洋上風力発電の優位性や課題について、国土交通省にお尋ねをいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 欧州の洋上風力発電の導入量は、二〇一八年末時点で約千八百万キロワット以上であるのに対し、我が国の洋上風力発電の導入量は約二万キロワットとなっております。

 一般的に、洋上風力発電の事業性の目安としまして、平均風速七メーター・パー・セック以上、水深三十メーター以浅の海域が導入の適地とされており、北海道、東北の日本海側、九州北部等はこの自然条件に当てはまる海域が多いとされています。

 これまで我が国において洋上風力発電の導入が進まなかった要因としまして、洋上風力発電設備の設置及び維持管理に必要な基地港湾が現在ないことや、設置や維持管理に要する期間も含め長期にわたる埠頭の利用が確保できる仕組みがなかったことが挙げられます。

 今般、基地港湾に関する新たな制度の創設や国等による既存の港湾施設の改良により、これらの課題を図ってまいります。

神谷(昇)委員 今のお話を聞いておりますと、ヨーロッパは千八百万キロ、それについて二と、もう話にならぬわけであります。しかし、これから頑張っていただきたいと思っております。

 再エネ海域利用法の運用によりまして、今後、我が国でも洋上風力発電の導入が加速されるというふうに思っております。現状と、海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾制度の期待度と効果についてお尋ねをしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電設備の設置及び維持管理には、高い耐荷重性を備えた岸壁や、長尺資機材の保管、組立てが可能な規模の荷さばき地を備えた埠頭を有する港湾が必要となります。

 しかし、そのような要件を満たす港湾が現在なく、将来的にも数は限定となる見込みであり、参入を希望する多数の発電事業者に対して利用調整が必要となることが予想されます。

 また、発電事業は長期にわたり、設置のみでなく維持管理の期間も含め埠頭の利用を確保する必要がありますが、港湾法は、埠頭の利用について短期の使用許可を前提としており、長期安定的な使用に対応する規定がございません。

 このため、国が基地港湾を指定し、基地港湾の埠頭を広域に展開する発電事業者に長期安定的に貸し付けることができるよう特例を設けますとともに、貸付けを通じ、埠頭における複数の発電事業者の利用調整を図ることとしております。

 これらの措置を講じることにより、事業の見込みが立ちやすくなり、洋上風力発電事業のより一層の円滑な導入に資することを期待しております。

神谷(昇)委員 今のお答えをお聞きしておりますと、やはり、ヨーロッパに大きくおくれた原因は、いろいろな制度が不備であった、そういうことで、私は、三十年ヨーロッパにおくれている、そういうふうに考えております。

 しかし、いろいろな法律が整備されまして、今後、洋上風力発電の促進のためには、今おっしゃったような基地制度が重要であります。また、再エネ海域利用法と港湾法の運用をしっかりと行っていただいて、そして民間の方の導入を一層促進しながら、ヨーロッパに追いついていっていただきたいというふうに思っております。

 この再エネ比率を高めるということは、やはり、我が国としてパリ協定を守っていく上でも非常に重要な課題であるというふうに認識しておりますので、港湾局長におかれましては、この辺、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っておるところであります。

 世界各国のGDPの伸びを見てみますと、一九九五年から比較しますと、二十年余りでございますけれども、中国は何と十五倍以上の伸びであります。アジアでも急速に伸びている国が幾つもあります。世界平均で考えますと、大体二・五倍であります。

 そうすると、二・五倍といいますと、日本でいいますと千二、三百兆円のGDPがあるわけでありますが、日本は現状は五百五十兆でありますから、何と一・一倍、世界平均を大きく下回る、これはもう話にならぬわけであります。

 一九四五年に完膚なきまでもたたきのめされた日本が、急速に一九九〇年まで、世界の奇跡と言われて成長しながら、そこでいまだにとまっている。この原因は、いろいろとあると思うんですけれども、私は、その原因の大きな要因は、我が国における交通インフラへの投資が急成長の国に対して大きく劣っているのではないかというふうに思っています。今こそ、将来を見据え、グローバルスタンダードを考えながら、大胆に交通インフラ整備をすべきときであろうと考えております。

 我が国でも国際コンテナ戦略港湾づくり等に取り組んでおりますけれども、しかし、近年、コンテナ船の大型化が予想以上に進んでいる中で、我が国の大水深バースの建設がついていっていない、すなわち世界のグローバルスタンダードから大きくおくれてきている。

 そのために何が起こっているかといいますと、北米、欧州航路で国際基幹航路の絞り込みが行われている中で、国際基幹航路の我が国への寄港便数が減少しておりまして、これはまさに危機的状況となっています。

 上海、青島、釜山、シンガポール等アジアの主要港で、二十万トンクラスで、一隻で二万TEUクラスの大型コンテナ船がばんばんと入港している中を、日本は今後どう対応していくかが非常に重要であります。

 横浜港ではマイナス十八メーター岸壁が一バースございますけれども、同じ国際戦略港湾の阪神港ではいまだマイナス十八メーター岸壁ができておりません。

 そこで、早急に阪神港にもマイナス十八メーター岸壁をつくって、東と西で大型コンテナ船を受け入れる、そのための機能強化が必要であると考えております。グローバルスタンダード化の観点からもお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

赤羽国務大臣 今先生御指摘のように、まず、我が国は四方を海で囲まれている島国だということで、お話しのように、海事、港湾戦略というのを強化しなければ、我が国の成長戦略にとって大変重要な指摘だというふうに思っております。

 かつて、これは言わずもがなですが、手元の資料で、一九八四年には、例えばコンテナの取扱いでいいますと、神戸は世界で四位、横浜が十位、大阪も三十一位という状況でありましたが、二〇一八年、昨年の状況を見ますと、神戸は六十三位、大阪も七十五位、日本のトップの東京ですら三十位。ベストテンに中国が八個も入っている。加えて、コンテナの取扱い、一九八四年の一位のロッテルダムは年間で二百五十五万TEUですが、今、上海は四千二百万TEUと二十倍近くになっている。ですから、一つは、やはり中国自体の急成長の中で物の取扱いがふえているといったことがこの背景にすごくあるというふうに思っております。

 さまざまなことを講じなければいけないということで、もちろん、先生の御指摘のように、大深度バースというか、深い港をつくるというのもその一つでありますが、その前に、やはり物を集めなければいけない、集貨、そして物をつくり出す、高度化していかなければいけない、つくり出すから創貨、そして港自体の競争力を強化しなければいけない、競争力強化。集貨、創貨、競争力強化ということで、今、国際コンテナ戦略港湾政策というのがとられてきております。

 その中でありますが、御指摘のように、例えば、大規模なコンテナターミナルについても、水深十六メーター以上の岸壁を見ても、釜山港は二十六バース、上海港は三十九バース、シンガポール港は二十七バース、我が国は十三バースなんですね。十八メートルに至っては、釜山港は四バース、上海港は七バース、シンガポール港に至っては十五バース、そして日本は横浜の一バースだけ。

 こうしたことでございまして、高規格のコンテナターミナルの整備を進めていかなければいけないというのはもちろんでありますが、私はやはりそれだけですとなかなか、今の日本の少子高齢化の中で、経済成長もちょっと落ちついているわけでありますので、それだけじゃなくて、まず、集貨ということでいえば、国内の荷物を国際コンテナ戦略港湾に集めるということと同時に、アジア広域からの集貨をしていかなければいけない。随分、釜山港に持っていかれていますので、その釜山港からどう返していくのか。

 阪神港は、近年、インセンティブを出して、釜山港に流れているものを一生懸命とっていこうと。辛うじて、それは効果が出ていると思います。

 もう一つ、創貨という意味では、バースのところの背後地にある物流施設の整備をして高度化していく、やはりいいものをつくり出していくということをやっていく。

 三つ目に、高規格コンテナターミナルの整備をしていくということであります。十八メートルを今、本牧で一つつくりました。今後もその状況を見て、阪神港も検討しなければいかぬ時代が来るかなと思っておりますが、その以前に、できれば効率化、AIターミナルの実現ですとかコンテナターミナルの渋滞の解消とか、これはシンガポールなんかにも随分先行されていると思いますから見習いながら、そうした集貨、創貨、競争力強化ということの三本柱で進めていくということが私は大事なのではないかと。

 阪神港については、地元で先生お詳しいと思いますが、そうした韓国に流れている荷物の回復ですとか、また、神戸の六甲アイランド地区とかポートアイランドでは、埠頭のヤードを広くして、再編をして高度化利用しようとか、また、水深十六メーターの岸壁の耐震強化を進めたりとか、また、既存のターミナルでは、先ほど申し上げましたAIターミナルを実現するなど、ソフトとハード一体となった取組を進めておるところでございます。

 先生の御指摘のとおり、最初の話に戻りますが、やはり我が国の特性を考えると、海事、港湾、競争力強化が本当に必要だということで、しっかり取り組んでいきたい、こう考えておるところでございます。

神谷(昇)委員 大臣、まことに御丁寧に御答弁いただきましてありがとうございます。

 私も同じ書類もとりまして、一九八四年、あれから三十四年たちました。あの一九八四年のときには何ら名前が載っていなかった中国の港が、ベストテンにもうメジロ押しであります。それだけ中国の経済成長を、発展を裏づけている。

 大臣、やはり、泉大津の助松、私の裏なんですけれども、マイナス十二メーター岸壁がありまして、これを十四メーターにしようと。そのときに、十四メーターにすれば五万トンのコンテナ船が来るな、まあ、五、六万トンでもう大型は終わりかな、その当時はそんな話やったんです。ところが、何と、どんどんどんどん大きくなって、もう今二十一万トンです。世界の大型化は、我々が予想するよりもはるかに大きくなっている。

 そうしますと、船が先か港が先か、これはもう、そして取り扱う荷物が、集めるのがどうか、そういう前に、やはり、いらっしゃいという体制を整えることが私は大切だと思いますので、今の大臣のお話を聞きますと十分おわかりいただいていますので、ひとつ、それらを実行するために予算措置を頑張っていただきたいというふうに思っております。

 我が国では生産性革命に取り組んでいるところでございますけれども、中小企業の生産性がここ二十数年、上がっておりません。阪神港におきましても、外来トレーラーによる交通渋滞が日常化しております。原因は、コンテナをとりに来たトレーラーが何時間も待たされるからであります。

 今後、大水深バースが整備され大型コンテナ船の寄港でコンテナ取扱量がふえると、ますます交通渋滞がひどくなると思いますけれども、この早急な対策について国土交通省はどうお考えでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 コンテナターミナルのゲート前渋滞の発生は、ゲート処理能力の不足、特定の時間帯へのトラックの集中、ヤード内荷役の滞留などの複合的な要因によるものと認識しております。

 阪神港におきまして、コンテナ搬出入車両のゲート前待機時間が一時間以上に及ぶとの調査結果もございます。

 このため、港湾管理者である神戸市及び大阪市において、トレーラーの待機場所やコンテナシャシープールを確保するとともに、各ターミナルにおきまして、ゲートオープン時間の拡大などにより交通渋滞の緩和を図っております。

 国交省におきましては、ゲート処理の効率化のために開発した新・港湾情報システムCONPASを横浜港南本牧埠頭で実証事業を実施しており、二〇二〇年度末までの本格運用を目指しております。

 阪神港におきましても、このCONPASの導入が早期に実現されるよう、港湾運営会社、港湾管理者等と連携して取り組んでまいります。

神谷(昇)委員 待ちが三時間も四時間も及ぶときがあるので、早急にひとつ対策を立てて実行していただきたい。

 大阪湾には、ちょうど私の住んでいるところ、堺泉北港がございます。ここは、中古車の輸出港としては日本有数でありまして、また全国的に見ますと十一位の取扱いの貨物量となっております。阪神・淡路大震災で神戸港が使用不可能なときに、かわりに大きくその存在価値を示したわけであります。

 大阪湾にあって、神戸港、阪神港と今後一層連携をさせて、大阪湾への貨物の集積を一層図るためにも、この堺泉北港の機能強化が極めて大事であります。この機能強化についてお尋ねをしたいと思います。

門大臣政務官 御地元の堺泉北港のことについて御質問いただきました。お答えをさせていただきます。

 堺泉北港は、近畿圏の原油輸入量の約七割、それから近畿圏の石油製品の輸出・移出量の約五割を占めるなど、その後背地にあるエネルギー、化学の生産拠点と相まって、近畿圏を代表する一大産業拠点として形成をされております。

 また、関東、九州を結ぶ内航フェリー、それからローロー船、ローロー船というのは旅客を乗せないカーフェリーですけれども、ローロー船の拠点であると同時に、今先生からお話がありましたように、西日本最大の中古車輸出拠点として重要な役割を果たしております。

 昨年の台風二十一号では高潮により護岸等が被災をしましたが、その復旧は昨年度中に完了したところであります。

 しかしながら、重要インフラの緊急点検の結果、堤防等の海岸保全施設の改良が必要と判断したことから、大阪府において、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策の一環として昨年度から事業に着手されたところであり、国としても、防災・安全交付金により支援をさせていただいております。

 今後、自動車輸出需要のさらなる増加や、トラックドライバーの不足を背景とした海運へのモーダルシフトの進展が見込まれており、中古車やローロー貨物を取り扱う埠頭が現在分散しており非常に非効率と聞いておりまして、今後、改善、そして大型船舶への対応が必要であるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、現在、助松地区、汐見沖地区において、新たな岸壁、泊地の整備や埠頭用地の確保を目的とした埠頭再編事業を進めているところであり、引き続き、堺泉北港におけるこれらの事業を着実に推進してまいります。

 以上です。

神谷(昇)委員 御答弁ありがとうございました。

 大阪湾には、阪南港も含めまして四つの港湾がございまして、国際的な港湾とかいろいろとあるんですけれども、この四つを今後一層連携させて、そしてまた、日本のこの辺の貨物の取扱量がふえるように、一層促進するような方策を考えていただいて、また実行していただきたいと思います。

 きょうはいろいろとありがとうございました。

土井委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 早速、今回の港湾法の改正について質問させていただきたいと思います。

 先ほど大臣答弁されておりましたとおり、我が国は四方を海に囲まれておりまして、全ての物流は海あるいは空を通して行われております。これももう言わずもがなですけれども、重量ベースでは貿易の九九・六%は海上で輸送されておりまして、さらに内航においても、重さと距離を掛けてトンキロとよく言いますけれども、約四〇%プラスアルファぐらいは海上で輸送されております。

 つまり、それらの荷物や人がやりとりをされる港、これがないと我々の生活は成り立たないわけでありますけれども、その割には、私はいつも、この国土交通委員会に所属をしておりまして、我が国、国民の皆様も含めて、海というものに対する関心がまだまだ十分ではないな、こういうふうに感じている一人でありまして、少しきょうは港湾政策の骨格の部分を確認させていただきたいと思います。

 まず、今回の法案では、一つは洋上風力発電の基地としての港湾の新たな付加価値を高めていく。そういう意味では、港湾に対する投資、この投資効果を新たな港の機能を付加をすることで高めていくということで、もちろん大賛成でございます。

 その上で、やはり、物流のいわば拠点、出入り口としての港でございますけれども、これも今回の法案の説明用に国交省の方でつくっていただいた資料にもございますとおり、我が国の貿易額はこの約十年で一・六倍に増加をしております。さらに、その輸送の効率を高めるためにコンテナ船の大型化が進んでいる、先ほどの神谷先生もおっしゃっていただいていたとおりであります。

 こうした中で、今回の法案の趣旨でもありますけれども、国際基幹航路の維持拡大ということが目的で法改正をするわけですが、改めて確認をさせていただきたいと思いますけれども、この国際基幹航路の維持拡大がなぜ重要なのかという最大のポイントにつきまして、まず赤羽大臣から答弁を求めたいと思います。

赤羽国務大臣 具体的なことでお答えしたいと思いますが。

 国際基幹航路が我が国を通らずに、例えば釜山で寄港して欧州航路へ行ったり北米航路に行くような事態が起こると、当然、我が国の立地企業にとりまして、国際物流に係る費用また所要日数の増加につながる、コスト的な負担がある。

 また、実際に国内の荷主からは、積みかえ時の遅延リスクですとか荷が傷むというそうしたリスクなどもあるというふうに懸念の声も聞いています。

 それが続くと、結局、国内に生産拠点を有して製品を海外に輸出する製造業の競争力の低下を招くことになってしまって、ひいては製造拠点そのものも海外に流出してしまうのではないか。

 ですから、そういった意味で、四方が海で囲まれている我が国にとっては、特にこの国際基幹航路の運航便数の維持又は増加は必要不可欠なことだというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 まさに大臣御答弁いただきましたとおり、先ほども港湾局の御答弁の中にもありましたとおり、アジア各地で大変港湾整備に力を入れておられます。

 この基幹航路という意味ではなかなか日本は苦戦をしているわけでありますけれども、それぞれの港湾、例えばシンガポール、発展著しいわけですけれども、日本の国のように、シンガポールの国の中からどんどん荷物が出てくるような、そういう使い方がされている港湾かというと、少し違うというわけであります。

 日本の国は、先日も発表がありましたとおり、対前年で、少し減少したとはいえ、貿易は黒字でありますので、大変国の中にたくさんの荷物がある。つまり、この国の中でいろいろなものを製造して、それを輸出をして稼いでいる国でありますから、そのコストが上がってしまうということはどうしても避けていかなければならないわけであります。

 そういう意味で、今大臣にも御答弁いただいたとおり、この基幹航路を維持強化するために何をやっていくのか、こういうことが重要になってくる、こういうふうに思います。

 その上で、これも今回の法案の説明で国交省が資料を用意してくださっておりますけれども、この基幹航路数が、シンガポールにしても、上海は少し横ばいなんですけれども、釜山にしても、着実にふえている中、日本は特に京浜、阪神をメーンにコンテナ輸送に力を入れているわけですけれども、なかなか厳しい状態が続いているわけであります。

 限られた予算と税制度を駆使をしながらこの競争を戦い抜いていく、簡単なことではないとは思いますけれども、いわゆる基幹航路の維持強化という意味で、港湾政策上重要なポイントは何なのかということを、港湾局長でよろしかったでしょうか、御答弁をお願いしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今グローバルな競争が行われる中で、欧州、北米航路等の寄港をふやそうと考えております。この際の港湾に求められる要件としましては、まず、貨物が多くあること、利用コストが低廉であること、利便性が高いことの三つがあると考えております。

 今、貨物量におきまして、釜山港では、二千百六十六万TEU、欧州、北米航路の寄港便数が週五十二便なのに対しまして、京浜港では、コンテナ貨物取扱量が八百二十九万TEU、欧州、北米航路の寄港便数が週二十二便となっておりまして、相対的に我が国港湾の地位が低下しております。

 また、利用コストにつきまして、国際基幹航路に就航する一万七千TEU積みの大型コンテナ船で一寄港当たりの入出港コストを比較した場合、釜山港で三百九十万円、横浜港では五百三十万円と相対的に高くなっております。

 また、利便性におきましても、コンテナヤードの不足とかゲート前の渋滞などの課題を戦略港湾は抱えているなど、貨物量、利用コスト、利便性の三点におきまして、相対的に近隣諸国の競合港に劣後している状況にございます。

 このため、国際戦略港湾への集貨、産業集積による創貨、大水深コンテナターミナルの整備やゲート前の渋滞対策などの競争力の強化といった、三本柱から成る戦略港湾の政策に取り組んでまいりました。

 今後、これらの取組を更に深化させますとともに、今般の法律によりまして、国際戦略港湾の港湾運営会社が作成する運営計画に船社等に対する営業活動等を位置づけ、当該事項に関して、国土交通大臣が必要な情報の提供等を行うことにしております。

 加えまして、コスト面での競争条件の改善のために、財務省等に、とん税、特別とん税の見直しを要望させていただいているところでございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 いただいた時間がまだ少しありますので、ちょっと通告をしておりませんが、もし可能なら引き続き港湾局長に御答弁をいただきたいんですが。

 今、そうしたさまざまな取組をしている中で、やはり国交省から法案説明用にいただいた資料を拝見しておりますと、京浜港も阪神港も残念ながら横ばいで、少し減ったりしてしまっているところもある中で、阪神港が、大変細かいことですが、一航路ふえていまして、お聞きするところによると、マースクが基幹航路を一つふやした、こう聞いているわけですけれども、どんな取組の結果こういうことになっているのかというのを、可能なら御紹介いただければと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 マースク等、国際基幹航路の便数がふえております。これは、政府間のトップセールスも含めまして、また港湾運営会社からのさまざまなインセンティブも含めまして、このような航路が実現したと聞いております。

伊藤(渉)委員 済みません、通告なしで。ありがとうございました。

 まさに、基幹航路一つふやすのにも、相当、トップセールスも含めて御苦労をいただきながら取組を進めていただいている、そのことを我々もしっかり応援をしていかなければならないと思うわけであります。

 時間もありますので、最後の質問にさせていただきます。

 今、港湾局長に少し答弁の中でも触れていただきましたけれども、やはり、船会社といいますか運航会社といいますか、荷物を運んでいる方々からすれば、できるだけ利便性の高い、しかもコストの低い、こういうところに船を寄せていくことになるわけでありまして、その中で、今回、税制の方の要望で業団体の方からも上げていただいているのが、とん税と特別とん税の新たな形を創設していただきたい、こんなことを要望でいただいておるわけですけれども、現状のとん税と特別とん税が国際基幹航路の維持拡大という観点からどういう課題があるのか、このことを御答弁で御教示いただければと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 国際基幹航路に就航するコンテナ船の我が国国際戦略港湾への寄港回数の維持又は増加を実現するために、近隣諸国等の競合港とのコスト面での競争条件で劣後することのないよう、入出港コストの低減を図る必要がございます。

 その入出港コストの一つであるとん税、特別とん税は、一年分をまとめて一括納付できる仕組みが設けられておりますが、例えば欧州航路に就航する超大型船がウイークリーサービスを提供するためには十数隻のコンテナ船が必要となり、おのおののコンテナ船ごとに一括納付することとなるため、船会社の負担が結果的に大きくなっております。

 一方、競合港となる釜山港では、とん税、特別とん税を徴収しておりません。

 このような状況を踏まえまして、国際基幹航路に就航するコンテナ船が国際戦略港湾に入港した場合に係るとん税、特別とん税につきまして、軽減措置が講じられるように、令和二年度税制改正におきまして財務省、総務省に要望を行わせていただいているところであります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 税制改正、文字どおり我々政治の仕事でございまして、国際競争力の強化、それはとりもなおさず、ある意味、一つの形として貿易で立国をしている我が国にとって極めて重要な税制改正の取組だというふうに認識をしております。

 他方、この財源は地方の税収、財源にもなっていますので、そのことに十分配慮をした上で、国際競争力の強化につながるよう我々も全力で努力をしてまいりたい、その決意を申し上げまして、私の質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 共同会派、立国社の道下大樹でございます。

 まず、港湾法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。

 一つ目に、洋上風力発電の導入促進であります。

 立憲民主党としては、原発稼働ゼロ法案を国会に提出しております。この洋上風力発電の導入促進には積極的に取り組んでおります。

 この洋上風力発電でございますけれども、国が今進めようとしているこの導入促進に向けて、海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾というものを指定していくということでありますが、ただ、その中で、この指定の要件には、地耐力を強化した岸壁でなければならないということであります。

 今現在、そういった地耐力がある岸壁があるのか、また、現在想定している指定を予定している港湾数と、改めて地耐力を強化するために、これは工事をするためには予算が必要だと思います、その予算をどのように計算していくのか、また、発電事業者に埠頭を長期間貸し付ける際には貸付料を支払ってもらうということでありますが、この計算等についてどのように今検討しているのか、伺いたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 基地港湾につきましては、埠頭の地盤強度、広さ等の要件、再エネ海域利用法の促進区域の指定に向けた検討状況、地元の意向等を十分に勘案した上で今後指定することを想定しております。したがいまして、現時点で指定予定の港湾数は決まっておりません。

 また、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向けましては、先月、秋田県と長崎県で協議会を開催したところでございます。

 また、基地港湾の埠頭では、重厚長大な資機材を扱うことができるように、地盤強度を上げるための地耐力の強化を行う必要がありますが、現時点でこのような基地港湾はございません。したがいまして、どの港湾を基地港湾として指定するかにつきましては定まっていないことから、地耐力の強化に必要となる予算額についても現在のところ未定となっております。

 最後に、埠頭の貸付料につきまして、埠頭の改良に要した事業費、埠頭を借り受ける事業者等の見込み等を考慮し、基地港湾ごとに今後適切に設定する予定でありまして、具体的には、埠頭の改良を行うために要した費用を一定期間内に回収することを検討しているところでございます。

道下委員 本年七月三十日に経済産業省と同時発表した、再エネ海域利用法における今後の促進区域の指定に向けて有望な区域等を整理しましたということで、今特にこの有望な区域として四区域が指定されているということで、大体目星はつけているかなというふうに思いますけれども、この法案が仮に成立がされた場合には、早急にそういったことの検討も進めていただいて、発電事業者等が計画しやすいように取り組んでいただきたいと思います。

 次に、国際基幹航路の維持拡大についてでありますけれども、この取組に関して、国土交通大臣は港湾運営会社に対して海外ポートセールスに有益な情報の提供を行うとしております。これはどういう情報についてニーズがあるのかということと、今までの国土交通省の活動で入手していたものはすぐに情報提供できると思いますが、国交省として把握していない情報について求められたときに、どのように入手して、そして情報を提供しようと考えているのか、伺いたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 国際戦略港湾の港湾運営会社が海外荷主や外航船社等に対する営業活動を効果的に進めるためには、諸外国における港湾の整備、運営の状況や船社間の共同運行に関する最新の情報などを適時適切に入手することが必要となります。

 国は、国土交通大臣等の政府要人によるトップセールスや、政府間の協議等を活用した相手国政府への働きかけ等の政府が主導する取組を通じまして、船社等への営業活動にも有益となる各種の情報を収集しているところでございます。

 本法案では、国土交通大臣の責務として、情報提供等の支援を行うことを規定いたしました。

 今後、港湾運営会社のニーズを適切に把握しつつ、港湾運営会社が行うポートセールスに有益な、申し上げたような情報につきまして積極的に取得し、適時適切に当該会社への情報提供を行ってまいりたいと考えております。

道下委員 国交省の外から積極的に情報を収集しということでありますので、私が想定するのは、外務省、大使館だったり領事館だったり、そういったところや、国交省と関係する商社等もあるのかなというふうに思いますが、積極的にアンテナを伸ばしてそういった情報収集に努めていただいて、ニーズのある情報の提供に取り組んでいただきたいと思います。

 今、先ほど来委員の方々がお話しされていますけれども、やはり世界的にも、国際競争力が強いところは強く、どんどん力を伸ばしてきているところで、日本が若干おくれているという状況でございます。そういった意味で、日本の経済の力というものをしっかりと維持そして高めていくためにも、この国際基幹航路が着実に維持拡大、それらを推し進めていかなければならないと思います。

 今回の法改正でこれが格段によくなるのかというと、そうではないというふうに思っております。この法改正のみならず、国交省として、関係省庁や業界団体としっかりと連携、協力、協調しながら、この取組を進めなければならないと思っております。赤羽大臣のお考えを伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 今先生御指摘のように、これは今後、先ほど私、御答弁させていただきましたように、そもそも、四方を海で囲まれている我が国にとって、この海事また港湾政策、国も関与して充実させていくことが非常に大事だ、多分それは同じだというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたが、この国際コンテナ戦略港湾政策、三つの柱があると申し上げました。一つは集貨、そして創貨、競争力強化でございまして、この中で、先生御指摘のように、それぞれ、関係省庁ですとか企業、団体との協調を含めて、国も積極的にかかわっていくということが大事だと考えております。

 ちょっと具体的に申し上げますと、集貨につきましては、アジア広域から東アジア主要港を経由していた貨物を我が国の国際コンテナ戦略港湾経由に転換するための、先ほどの差額の支援ですとか、また、国内及びアジア広域からの集貨に資するフィーダー航路網の充実等を図っているわけでございます。

 また、二つ目の創貨につきましては、流通加工を伴う上屋ですとか倉庫を建設する民間事業者への無利子貸付制度を通じて、流通加工系企業等の港湾背後への誘致の促進ですとか、また、これは農林水産省にもお願いして、農水産物の輸出促進の支援を行っているところでございます。

 また、最後の競争力強化につきましては、国がみずから出資するということも加えまして、大水深のコンテナターミナルの機能強化ですとか、世界最高水準の生産性と良好な労働環境を有するAIターミナルの実現等に取り組んでいきたい、こう考えておるところでございます。

 こうした三本の柱を立てながら、それぞれ、関係省庁、企業、団体とも連携を深めていきたいと考えております。

道下委員 御答弁ありがとうございます。それらに向けて、ぜひともよろしくお願いしたいというふうに存じます。

 港湾法の一部を改正する法律案についてはこの程度にとどめまして、次に、トラック行政について伺いたいと思います。

 昨年の貨物自動車運送事業法の一部改正法が議員立法で成立したのは、物流機能の維持、そして運送業の健全な発展及びトラックドライバーの労働条件改善のためでありまして、与野党を超えて取り組んだ成果であると考えております。

 改正法の四つの柱について、荷主対策の深度化については本年七月に、規制の適正化並びに事業者が遵守すべき事項の明確化については本年十一月にそれぞれ施行されました。残されているのは、標準的な運賃の告示制度に関する規定であります。

 改正法附則によりますと、この施行まで残り約一年の猶予がある一方、令和五年度末までの時限措置であるために、労働条件の改善、事業の健全な運営の確保のためには早期の施行が求められていると思います。

 そこで、この昨年改正された貨物自動車運送事業法で、国土交通省が標準的な運賃を定め、告示できる制度を導入しましたけれども、その標準的な運賃について、運輸審議会に諮った上で設定することとされております。早期の告示に向けて、それらも含めた告示までのスケジュール感について伺いたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のように、トラック事業者は荷主との力関係が弱い立場に立つものでございまして、トラック事業者にとっては取引の適正化が何よりも重要でございます。とりわけ、運賃を適正に収受することは、人件費の確保につながる重要な事項でございます。ごく最近は、人手不足を背景に一部で運賃を上げられるという荷主の動きはあるものの、総体的な力関係は変わっておりません。

 したがいまして、昨年の議員立法によります貨物自動車運送事業法の改正により、標準的な運賃の告示制度が設けられたものというふうに承知しております。

 現在、各地の事業者の年度決算のデータをもとにしましてトラック運送業に関する原価を算出するなど、その集計、分析を行っているところでございまして、可能な限り早く施行できるよう、必要な準備を進めてまいる所存です。

道下委員 可能な限り早期にということでありますけれども、事業者によって異なりますけれども、新年度に向けて、年明けから運賃交渉を始めるところも多いかと思います。そういった意味で、本当に早期の告示を強く要請したいと思います。

 では、その標準的な運賃というものは、どのような形で告示をされるのか。ここからここまで何キロだったら幾らとか、若しくは、こういうふうに計算して出しますよというふうに計算式で出すのかなど、どのように出すのか伺いたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック運送業の運賃につきましては、これは事業者さんでさまざまなやり方で今運賃表をつくっておいでになられますが、大きく言いますと、路線と言われております長距離を運送する方は運送距離に応じた運賃を設定をされていますし、区域ということで、集荷など、あるいは貨物を配送するような狭い地域で運送されている方は、時間に応じて運賃を設定されておられる方もおられます。

 私どもといたしましては、こういう実態を踏まえまして、どういった運賃を告示することが適切か、トラック事業者さんの御意見も丁寧に聞きながら今後検討してまいりたいと思っております。

道下委員 しっかりと事業者の方からの意見を踏まえた上で告示をしていただきたいというふうに思います。

 今御答弁ありましたけれども、いろいろな運送形態があるというのと同時に、いろいろな事業者、大規模だったり小規模だったり、得意分野があったりとか、いろいろあります。そうした中で、貨物運送事業は、元請から第何次下請というふうに、非常に多層構造になっております。私が聞いたところによると、第七次とか第八次下請とか、いろいろあるそうでございます。

 実運送事業者がドライバーに対して、ほかの産業と比べて見劣りしない賃金を支払い、また、事業者が適正な利潤を確保できる水準が大前提だというふうに思っております。

 そういった意味で、標準的な運賃というものをどこに合わせて設定しようとしているのか、これはちょっと大きな問題だと思いますので、赤羽大臣に伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 今、道下議員御指摘のように、このトラック業界、私も地元のトラック業者の皆さんといろいろ話す機会が多いんですけれども、やはり多層構造というのは大変問題が大きいというふうに認識をしております。

 これまでも、さまざまな支援策なり施策をとっても、元請のところにはその施策が反映しますが、六次、七次というような下請の末端、実運送業者までなかなか届かないというのが現実でございます。

 ですから、今回、議員立法の中で、今先生御指摘のように、この標準的な運賃というのは大変皆さんも関心が高くて、またそれをどう決めるかというのも非常に難しい問題で、丁寧にしなければいけないという、今、一見局長の答弁だったと思いますが、こうしたことについて、言わずもがなですけれども、まず運賃と料金を明確に分けるということをした上で、私はやはり、下請の最初の実運送業者を念頭に標準的な運賃というものを決めるべきだと。

 ですから、実運送業者においては、本来発生している費用の原価とその機能を持続的に維持していくための適正な利潤というものをしっかり含まれて、標準的なものとして示すことが重要と考えております。

 いっとき、ひどいときには、私、業界の会合でよく言ったんですが、トラック業者から運賃を提示できない、言うと、ほかの業者がたくさんいるみたいな、そうしたちょっといびつな話はしないで、こうした適正な運賃が通用するようなことをやはり考えていかなければいけない、こう考えております。

道下委員 ありがとうございます。

 標準的な運賃は実運送事業者に合わせてという御答弁でございました。それはやはり重要だと思っております。

 その一方で、元請が下請業者をいじめているというのは私はごく一部だと思います。ちゃんと元請と下請で協力関係があって、下請に対して十分な賃金と費用を支払っているところもあると思うんです。

 そういった意味で、実運送事業者に合わせて標準的な運賃を設定すると、今度は元請が荷主さんとの交渉でなかなかやりづらくなるんじゃないかなというふうに思っていまして、元請等の一般管理費等についてもちゃんと標準的な運賃に上積みされれば私は理想的だなと思うんですけれども、この点についてどのように考慮しようと考えているのか、国交省の見解を伺いたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 現段階におきまして、告示を行う運賃は、実運送のコストを積み上げて積算をすることによりまして、荷主に対しても説得力を持つものでないといけないというふうには考えております。

 一般的に、元請事業者は下請事業者に比べると荷主との交渉力はあると考えられますこと、また、元請の運賃を基準に考えました場合に、一般管理費が荷主にとっていわゆる削り代というような形で捉えられることは、これは適切ではないというふうにも考えておるところでございます。

 いずれにしましても、実運送事業者の運賃について対象とすることを想定しておるところでございまして、今後、関係者の意見もよく聞きながら対応していきたいと思います。

 仮に、元請事業者が、荷主との関係で十分な運賃が収受できないことを理由にしまして、下請事業者と十分な協議なしに通常支払われるべき運賃より著しく低いものを不当に定めた、こういう場合には、私ども、関係省庁と連携をしまして、改正法を踏まえた荷主への働きかけなどを行っていく所存でございます。

道下委員 元請、そして実運送事業者、それぞれがしっかりと適正な収入が得られるように、ぜひとも御検討いただきたいというふうに思っています。

 先ほど大臣からも運賃と料金という話がありました、しっかりと分けると。そのとおりでして、運送以外にも、積込みや取卸し、荷待ち、入出庫、仕分等のさまざまな運送以外の仕事に対する料金や燃料サーチャージというものもございます。そうしたものをひっくるめて、運賃とか料金とか、さまざまだと思うんですけれども、これらを今回の標準的な運賃の告示に当たってどのように計算したりしてそこに内包しようと考えているのか、伺いたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック事業者が収受するものには運賃と料金がございます。確かに、待機時間に係ります費用だとか、あるいは積込みや取卸しの費用だとか附帯作業に係るようなものもございまして、さまざまなコストが発生しておりますので、今後、これを、運賃なのか料金なのか、運賃の範囲はどこまでなのか、二十九年に私ども約款を出しておりますので、それを念頭に置きながら仕分をして、適切に運賃収受あるいは料金の収受ができるように考えてまいりたいと思っております。

道下委員 ありがとうございます。

 本当に、運送事業といっても、単に段ボールを運ぶとか生鮮食料品を運ぶだけではなくて、もちろん、片道運送だけじゃなくて、目的地まで行ったらそこからまた荷物を運んで戻ってくるとかというのもありますし、どれだけ荷待ちをするかによってもさまざまあります。

 それに、よくガソリンスタンドで見かけるのがタンクローリーですね。タンクローリーも、石油精製所からしっかりとガソリン等を積んで、ガソリンスタンドに運んで、おろしたらもう後は空っぽです。片道運送なんですね。そういったこともある。本当にさまざまな荷物の種類、荷種というふうに言うみたいですけれども、これらもしっかりと考慮した上で、ぜひ標準的な運賃の告示をお願いしたいというふうに思っております。

 トラック行政について最後の質問でございますけれども、物流機能の維持、トラックドライバーの労働条件改善などのために、この改正貨物自動車運送事業法の着実な実行が重要でありまして、その中でも特に、私が今質問で取り上げさせていただきました標準的な運賃の早期告示が強く求められています。その点も含めて、今後のトラック行政における赤羽大臣の決意を伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 この業界、特に一番問題なのは、やはり労働不足、人手不足が相当深刻だと思います。これを改善するためには、トラックドライバーの皆さんの労働条件の改善というのは必須だというふうに思っております。

 そのために適正な運賃を実現しなければいけない。やはり、中小のトラック事業者も商売をしながらコストが割れるような運賃が横行するというのは、それは正常な状態じゃないと思っておりますので、こうしたことはしっかりと、適正な、標準的な運賃を示したい。

 かつて、規制緩和で運賃が自由に決められるようになって、先ほど申し上げましたような正常じゃない状態が見られておりました。これは、実は、逆に言いますと、景気がよくなると今度は荷主の方が弱くなるようなケースもありますので、そうしたことも踏まえて、常にコストに加えて適正な利潤が乗るような運賃を保持するということが、まずトラックドライバーの皆さんの労働環境改善の第一歩だというふうに考えておるところでございます。

 同時に、さまざまな、議員立法で御指摘のような幾つかの柱がありますので、トラック業者もみずからしっかりとした、社会保険を履行するとか安全性を担保するというようなことも努力していただきながら、やはり双方ともに状況がよくなるような、物流なくして経済の成長なしというふうに私は思っておりますので、しっかりとしたものを実現したいと決意をしております。

道下委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 続きまして、今般の台風等によって被災した鉄道に対する支援について伺いたいと思います。

 この点については、前回の委員会でも、私、質問いたしましたけれども、その後、いろいろと支援方法について検討が進んだと思います。

 十一月七日に政府として取りまとめた被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージにおきまして、国土交通省関係の中で、地域住民の交通手段の確保として、一つには被災鉄道事業者の早期復旧支援と、二つ目に生活の足の確保というのがありました。詳細な説明を求めます。

水嶋政府参考人 まず、鉄道の復旧についてお答えを申し上げます。

 台風十九号や先月二十五日の大雨の影響によりまして、現在も七事業者、十一路線において運転を休止しているところでございまして、そのうち、橋梁の流失などの被害を受け、運転再開見込みが立っていない路線が七路線ございます。このうち、特に地方鉄道については早期復旧に向けてしっかりとした支援が必要であると考えておりまして、委員御指摘のパッケージの中にも、地域住民の交通手段の確保について取りまとめが行われたところでございます。

 被災した鉄道への支援といたしましては、円滑な復旧工事を実施するため、鉄道事業者と国土交通省関係部局から成る連絡調整会議を設けておりまして、本省及び地方局において、道路や河川などの他の事業と連携をして復旧工事を迅速に実施することとしております。

 また、技術的な課題につきましては、鉄道・運輸機構などによりまして、被災した地方の鉄道事業者に対して、被災状況の詳細な把握や復旧方法の検討等の技術的支援を実施しているところでございます。

 委員御指摘の財政的な支援につきましては、今回の台風十九号などで被災をいたしました地域鉄道のうち長期に運休が生じている鉄道路線に対して、経営基盤の脆弱な鉄道事業者が行う災害復旧事業費に関しまして、一定の要件を満たす場合には、国による支援を手厚くすることを検討中でございます。

 国土交通省としては、これらの支援制度を活用して、被災した鉄道の早期復旧に努めてまいりたいと考えております。

瓦林政府参考人 生活の足の確保についてお答え申し上げます。

 今回の被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージにおいては、地域住民の方々にとりまして通学、通院等の重要な手段である地域鉄道が多く被災したことを踏まえまして、地域鉄道の代行バスの運行経費に対する支援を盛り込んでおります。

 対象となる事業者、補助率等、制度の詳細につきましては今後財務当局と調整していくことになりますが、台風十九号により被災し、長期にわたり運休する地域鉄道を対象に、代行バスの運行赤字に対して補助等の支援を行っていきたいと考えております。

 また、しなの鉄道の不通区間につきましては、通学需要に対応するため、並走する北陸新幹線による代替輸送が行われているところでございまして、このことも本対策パッケージに盛り込んでおります。

 国土交通省といたしましては、本対策パッケージを踏まえまして、被災した地域鉄道が復旧するまでの間における生活の足の確保につきましてしっかりと取り組んでまいります。

道下委員 バス代行運送に対する補助について、これも今新しい仕組みとして検討されているということでございますけれども、聞いたところによりますと、財務当局と調整しているんですけれども、その補助割合が三分の一か四分の一ということをちょっと聞いておりまして、それでは少ないのではないかなというふうに思っております。それは、十分に地元の利用者の方々の状況等をしっかりと踏まえた上で、財務当局と調整の上、これを二分の一だとか、更に補助割合を高めていただきたいというふうに思っております。

 また、先日、私ども私鉄関係の議員連盟で、ヒアリングを行った後、赤羽大臣に直接要請書を、各組合、また企業、団体の方々とお届けさせていただきました。

 ぜひとも、この鉄道施設の災害復旧事業、一つには鉄道事業者も負担しなければならない制度と、もう一つは、国二分の一、そして地方二分の一、こちらの方が十分に制度としては、これは鉄道事業者に負担がないものですから、これらが、私は、今回被災した全ての鉄道事業者に制度として当てはまるようにと。

 例えば、箱根登山鉄道は、親会社がしっかりとしていて、そこで赤字分を補填しているものですから、赤字とは認められていないというふうに伺っています。でも、そこでもやはりこれは大変なものでございますので、ぜひとも、こういった点も含めて、できる限り多くの鉄道事業者が負担のないように進めていただきたい。

 もう一つは、バス事業者においては、河川の氾濫より前にバスの車庫の近くの下水管や雨水管から水があふれて、そしてバスが浸水してほとんどが廃車になってしまったとかいうところもありますので、これは、河川堤防のみならず、自治体が管理する雨水管、下水管の整備強化をしっかりとバックアップしていただきたいというふうに思っております。

 最後に、今度はタクシーの実質運賃改定について伺いたいと思います。

 国土交通省が消費税率引上げと同時期の実質運賃改定を見送ったことで、ハイタク業界では労使ともに怒りと落胆が広がり、深刻な状況であります。この悪影響を長引かせないために早急な実質運賃改定を実施すべきと前回の委員会でも質問させていただきましたが、大臣からは残念ながら明確な答弁は得られませんでした。

 そんな中、赤羽大臣、御承知だと思いますけれども、十一月六日に大分で全タク連の全国事業者大会が行われて、現職大臣としては初めて赤羽大臣が出席されて挨拶をされたということで、そこで赤羽大臣は、「私自身が来たことに意義があると受け止めてほしい。国土交通省としての誠意だ。業界の皆さんに寄り添っていく。なるべく早く(運賃改定が)実現できるよう頑張っていきたい」と表明された。また、北海道など四協会の会長が発言して、それを受けて赤羽大臣は、「額はまだ言えないが、業界のために補正予算(での財政支援措置)は必ずやる」と明言。また、自家用車のライドシェア問題には、「わが国の公共交通は安全が大前提だ。運行管理や整備に責任を負う主体を置かないビジネスモデルは認めるわけにはいかない」と従来の行政スタンスを維持されたということで、非常に力強い御発言だと思います。

 これらの御発言も含めまして、私としては、ぜひ一日も早い実質運賃改定実現、進めていただきたいと思いますが、大臣から一言お願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 タクシーにつきましても、先ほどの鉄道のローカル線につきましても、それぞれの地域のなくてはならない公共交通機関だということでございます。ここの公共交通機関がやめられてしまったりすると、災害のときのみならず、平素から高齢社会を支えていくことはできないというふうに思っております。

 そうした意味で、この業界の皆さんが健全に運営ができていくかどうかしっかりと所管官庁として見守り、そして応援できることは応援したいというふうに思っております。

 ただ、消費税と同時のことは、やはりいろいろな、政府の中で、消費税が上がるときと運賃が上がるときというのはどうなのかという、そういった御意見が出て、若干全国ハイヤー・タクシー連合会の皆さんの思うところとは違ったことに対して、継続審議になったということに対して、国土交通省の責任者として大分まで足を運んだということでございます。

道下委員 終わります。

土井委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、国民民主党長崎一区選出、西岡秀子でございます。

 本日は、初めて国土交通委員会で質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭、さきの台風、豪雨災害により犠牲となられました皆様に心より哀悼の意を表し、被災され、今なお困難な状態におられる多くの皆様に心よりお見舞いを申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 本日は、政府提出の港湾法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 まず、本改正案は大きく二つの柱がございます。

 まず一つ目の、海洋再生エネルギー発電設備等拠点港湾制度の創設についてお尋ねをいたします。

 先ほどから重複する質問がございましたので、なるべく重複を避けるために、若干質問の順番等を変更して質問させていただきます。

 二〇一八年に再エネ海域利用法が成立をいたしまして、その法律に基づき、全国から海域の絞り込みが行われております。

 先ほど御答弁の中でもございましたけれども、先般、秋田、長崎で協議会が開催されまして、促進区域が十一カ所指定をされる中で、現時点では四区域が有望海域ということで協議会が開催されたというふうに伺っております。

 また、何カ所拠点港湾をつくるかということもまだ未決定ということでございましたけれども、今時点で結構でございます、港湾指定、また、その後、洋上風力発電の電力会社の選定、また岩壁の改修工事も含めたこれからのスケジュールについて、今わかっている段階で結構でございますので、御説明をお願いいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、促進区域の指定のプロセスを順次進めているところでございますが、本年七月末に、既に一定の準備段階に進んでいる区域として十一区域を整理し、このうち四区域につきましては、有望な区域として協議会の設置や国による風況・地質調査を開始したところであります。

 再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾、いわゆる基地港湾でございますが、埠頭の地盤強度や岸壁水深、広さ等の要件、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電の導入見通し、地元の調整状況等を十分に勘案した上で今後指定することを想定しております。そのため、法律に基づき手続を進めますけれども、現時点で、どの港湾を指定するかにつきましては、定まっているものではございません。

西岡委員 ありがとうございます。今時点ではスケジュールについてもまだ具体的な見通しが決まっていないということで理解をさせていただきます。

 次に、今回、発電事業者へ長期貸付けを認めるという法改正が行われますけれども、当然、自然環境の保護、調和ということは大前提の上で、既に港湾を利用しているほかの事業者又は漁業者の皆様との間で利害の調整や運用面の調整を図る体制というのが必要だと思いますけれども、この体制についてはどのような形をとられるのか、御説明をお願いいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ海域利用法におきましては、同法第九条に基づき、促進区域の指定や海洋再生可能エネルギー発電事業の実施に関し必要な協議を行うための場としまして、経済産業大臣、国土交通大臣及び関係都道府県知事が協議会を組織できることとされています。

 協議会には、関係自治体の首長や漁業関係者等の利害関係者等が参加することとされておりまして、漁業関係者等の意向を踏まえ、利害調整や運用面の調整を適切に図ってまいります。

西岡委員 十分にほかの事業者の皆様や漁業者の皆様との協議をしっかりとって、今後運用していただきたいと思います。

 次に、本法律案の中には一部、港湾の公平な利用というものを制限するような項目も含まれていると考えております。拠点港湾の指定、貸付けに当たってはより厳格な要件また基準が求められると思いますけれども、この公平性という観点をどのように担保されるようにお考えなのかを御説明をお願いいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 基地港湾の指定に当たりまして、公平性、透明性等を確保するために、基地港湾の指定に関する国の考え方について、交通政策審議会港湾分科会の意見を聞いた上で、港湾法第三条の二に規定する港湾及び開発保全航路の開発等に関する基本方針に記載し、港湾管理者、風力発電事業者その他の港湾利用者にあらかじめ明示をする予定であります。

 また、再エネ海域利用法における事業者の選定に当たりましては、経済産業大臣及び国土交通大臣が、事業者から提出された公募占用計画につきまして、供給価格や事業実現性を総合的に評価するとともに、事業者が不正又は不誠実な行為をするおそれがないかなどを審査しまして、公平性、公正性に留意しつつ評価をしていくこととしております。

 さらに、基地港湾の埠頭は、複数の事業者が利用し、災害時などの公益上の特別の必要がある場合には第三者に使用を認めるなど、公共性、公益性を有するものと考えております。

 加えまして、当該埠頭の貸付けに当たりましては、国が発電事業者間の利害の調整や港湾管理者等関係者との連携を適切に行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 電力会社の選定については公募で行うという御説明でございましたけれども、この公募することができる発電会社への基準、例えば海外資本の発電会社について、どのような対応といいますか、公募での基準ということの中で、海外資本ということについてどのような判断をされているのかということをお尋ねいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ海域利用法における事業者の選定に当たっては、経済産業大臣及び国土交通大臣が、事業者から提出された公募占用計画について、供給価格や事業実現性を総合的に評価するとともに、事業者が不正又は不誠実な行為をするおそれがないかなどを審査し、公平性、公正性に留意しながら評価をしていくこととしております。こうして選定された発電事業者に基地港湾の埠頭を貸し付けることとしております。

 また、我が国におきまして洋上風力産業を育成するためには、既に導入が進んでいる欧州の先進的な取組を取り入れることも重要と認識をしております。

 したがいまして、国土交通大臣及び経済産業大臣としては、公平性に留意しながら、海外資本か否かにかかわらず、適切に審査、評価してまいります。

西岡委員 今の御説明ですと、海外資本も、さまざまな先進的な技術を取り入れるために選定する可能性があるということで理解をいたしました。

 ただ、長期的な貸付けを行うということで、三十年間という時間の中で、その先に、例えば譲渡、売買するという可能性も、これは大変厳格な基準のもとでしか考えられないので、現実的に起こり得るかどうかという判断についてもお尋ねをしたいのですが、そのような中で、例えばその業者に譲渡、売却するというような可能性があるのかどうかということについて、私自身はそのあたりについて危惧を持っておりますけれども、そのようなことについて、どのようなお考えを今の時点でお持ちなのか、御説明をお願いいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 整備された施設は国等が保有する行政財産であることから、国有財産法等により、原則として譲渡が禁止されております。したがって、発電事業者への譲渡は想定をしておりません。これは、海外資本の発電会社であっても同様と考えております。

西岡委員 ありがとうございます。今の御説明で、貸し付けることはあるけれども、例えば長期貸付けの後に譲渡するということはないということで理解をさせていただきました。

 もう一点。洋上風力発電施設を設置する場合に必要な船として、SEP船というものが必要となります。現在、国内には一隻しかないということでお伺いをいたしておりますけれども、今般の漁港の指定を含め、今後の建造計画、その具体的な構想がもしありましたらお尋ねをさせていただきます。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力発電を推進するに当たりましては、洋上においてその施設の建設作業を行う特殊な船舶、いわゆるSEP船の確保が重要であると考えております。

 これまで、我が国におけるSEP船は、港湾における建設工事等への対応を主たる目的としており、洋上風力発電の建設には必ずしも適切ではない小型のものが中心でありました。再エネ海域利用法の施行により洋上風力の普及に向けた環境整備が進むことで、その需要が喚起され、我が国事業者によるSEP船の新造も大きく後押しをされると考えております。

 既に、我が国造船事業者等におきましても、大型SEP船建造の動きが見られております。私どもが把握するところでは、国内企業により建造されたSEP船の数は現在一隻でありますが、計画中の案件を含めますと計五隻となっております。

 洋上風力発電事業の推進におけるSEP船利用の重要性に鑑み、今後も引き続きSEP船の建造動向について注視をしてまいります。

西岡委員 それでは、この法案の二つ目の柱であります、国際基幹航路に就航するコンテナ船の寄港回数の維持拡大についてお尋ねをいたします。

 私も、先ほど御報告がありました、委員会による横浜南本牧コンテナターミナルの視察に参加をさせていただきました。資料でもお配りさせていただいておりますし、先ほどから議論があっております世界の主要な港のコンテナ取扱いの量というものが、中国、韓国、東南アジアに比べて、我が国の港湾での取扱量が大変低下をしている。このことの原因についても先ほどから答弁がございました。

 また、大臣から、集貨、創貨、競争力の強化、この三本柱で取り組むというお話がございましたけれども、まさに荷物を国内のみならず海外から集めていく、このことが今後のコンテナターミナルの維持拡大に大変重要な視点だと私も考えております。

 今このような大変日本にとって厳しい状況の中で、この国際コンテナ戦略港湾というものにどのように今後戦略を立てて取り組んでいかれるのかということについて、簡単に御説明をお願いいたします。

高田政府参考人 現在、欧州、北米航路を始め、中南米やアフリカ等の多方面、多頻度の直航サービスを充実させることも一つの政策目標としまして、先ほどから申し上げた国内や東南アジア等からの広域集貨、大水深のコンテナターミナルの整備、AIターミナルの実現によるコンテナターミナルの生産性向上を始めとした取組を進め、集貨、創貨、競争力強化といった戦略港湾政策のさらなる深化を図ってまいりたいと考えております。

西岡委員 もう一点。現在のコンテナ業界の状況としては、例えば、一九九五年には上位三社の占める割合というのは一七・三%であったものが、ことしは上位三社の占める割合が四四・八%まで高くなっております。これはMアンドAの動きによるものが大変大きいと思いますし、二〇一七年に日本においてもONEが設立をされまして、今、持ち株会社は日本にあり、本社はシンガポールにあると伺っております。この意味でも、やはり集貨、荷物を集めていくというところが大変大きなポイントとなるというふうに思います。

 その中で、資料をお配りをいたしておりますけれども、日本の港湾の中には三種類の港湾の区分けがございまして、国際戦略港湾、国際拠点港湾、重要港湾、やはり、この全国の港湾、また地方の港湾も含め、どのような形でネットワーク化をして我が国としての物流の総合力を発揮していくのかということも大変重要なことではないかと考えております。

 この全国的な物流ネットワークということについて、どのように取り組んでいくお考えなのか、この戦略についてお尋ねをさせていただきます。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 臨海部に産業や都市が集積する島国の日本では、重量ベースで海外との貿易の九九・七%が港湾を経由しております。

 このため、我が国全体として効率的かつ安定的なコンテナ物流ネットワークを構築する観点から、国際コンテナ戦略港湾における国際基幹航路の運航便数の維持又は増加に取り組むことを最優先事項としつつも、全国の生産、消費地の近傍に港湾を適切に確保し、各地域の荷主ニーズにも的確に対応してまいりたいと考えております。

 また、世界的な人口増加や新興国の発展による資源エネルギー需要の増大に伴う調達コストやリスクの増加が懸念される中で、大型船を活用した安定的かつ効率的な海上輸送ネットワークを形成するための国際バルク戦略港湾政策についても引き続き推進をしてまいります。

 さらに、長距離ドライバーの労働力不足の問題が顕在化する中で、フェリー、ローロー等を活用した国内複合一貫輸送ネットワークの強化に資する港湾の機能強化も進めてまいります。

 今後も、我が国全体として、効率的かつ安定的な海上輸送ネットワークの形成を通じまして、国民の安全、安心で豊かな暮らしを実現するために、着実に取組を進めてまいります。

西岡委員 直接この法改正とは関係ないことになりますけれども、地方港湾の関連で一つ。

 長崎県の国境離島である対馬、こちらは、南部は厳原港、北部は比田勝港に、比田勝港は国際ターミナル港でございますけれども、今、日韓関係の影響を受けまして、昨年年間四十一万人を超えた韓国からの観光客が激減をし、韓国からの観光客が経済を支えていただけに、大変厳しい経済状況になっております。七月、八月だけで十億円の経済損失があったと試算をされておりますし、九月の観光客が同年同月比から九〇%減少をいたしております。

 先般、県も補正予算に追加する形で対馬観光誘客対策事業費として計上をいたしまして、国内旅行客を呼び込む施策、香港、台湾からの誘致などの施策、また国境離島新法を活用したさまざまな取組を続けております。この十一月からさまざまな施策に取り組み始めておりますけれども、民間における交流は続いているものの、今の状況がやはり長期化する様相となっております。

 国として今取り組んでいただいていること、また、国としてもお取組をぜひいただきたいと考えておりますけれども、このことの取組について御説明をいただければと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、対馬には、昨年、約四十一万人と、多くの韓国人旅行客の方々においでをいただいておりますが、訪日旅行控えや釜山との定期航路の減便、運休等によりまして、この夏以降、御指摘のとおり、その数は相当程度減少しているものと承知してございます。

 こうした状況を受け、長崎県におきましては旅行商品の造成への支援等を実施いただいているところでございますが、観光庁といたしましても、こうした取組と協働いたしまして、多くの国内旅行客に対馬を訪れていただけますよう、旅行会社と連携して、対馬の豊かな食や自然景観の魅力を生かした滞在型の旅行商品の企画、販売の促進等に取り組んでまいります。

 また、日韓の相互理解の基盤でございます韓国との交流につきましても、日本政府観光局による情報発信や韓国の旅行会社等との連携を継続いたしますとともに、他の幅広い国々からも多くの観光客にこれら地域を訪れていただけますよう、プロモーションや地域の観光コンテンツの充実、受入れ環境の整備を更に進めてまいります。

 韓国はもとより、内外から幅広く多くの観光客の皆様に対馬を訪れていただけますよう、地域の関係者のお話を引き続きよくお伺いしつつ、旅行業界と連携して観光需要の喚起に取り組んでまいります。

西岡委員 大変心強い御答弁をいただきましたけれども、長期化する様相でございますので、国の方からもぜひ引き続き御支援をいただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 先ほど御答弁の中で災害時の岸壁の使用についての御説明がございましたけれども、赤羽大臣におかれましては、先般の大臣所信におきまして、事前防災の観点から、岸壁強化ということを述べていただきました。

 今回の法改正についても、洋上風力発電施設の導入拡大の側面から、指定された港湾の整備や岸壁の耐久性の強化というものが必要となります。

 自然災害や緊急事態が発生した場合の今回指定された漁港の使用については先ほどお話がございましたけれども、例えば、発電施設が自然災害によって大きな被害を受けた場合に、従前の港湾機能への支障となるおそれというものも十分考えられると思います。こういう場合にどのような対応をされるかということについて、御説明をいただければと思います。

赤羽国務大臣 今御質問の中にもありましたが、今回は、発電事業者への貸付けの条件の中に、いざといったとき、自然災害の発災時で必要があると認めた場合には第三者に対して当該埠頭を使用させるというのを入れる、これは国交省の省令において定めることを検討しております。

 また、この洋上風力発電設備そのものは、電気事業法及び港湾法に基づく技術基準の法令要求事項を満たす必要がありますので、風圧ですとか地震等に対して構造上安全であるということを確保することとしております。

 さらに、洋上風力発電を設置するに当たりましては、船舶航行等を阻害することがないように、航路との隔離を確保するということも定められておるところでございます。

 また、洋上風力発電設備が、万が一、倒壊や部材の落下が発生した場合には、発電事業者が責任を持って倒壊した設備等の撤去を行うことを国から発電事業者への占用許可の条件とすることを検討しておりまして、港湾機能への支障が発生しないように適切に対応してまいりたい、こう思っております。

西岡委員 大臣、丁寧な御答弁ありがとうございます。

 もう今の状況では、いつどういう災害があってもおかしくないという状況もございますので、ぜひさまざまな側面から万全の体制で進めていただきたいと思っております。

 関連いたしまして、これもちょっと法改正とは別の話になりますけれども、例えば南海トラフ地震につきましては、今後三十年以内に八〇%の確率で発生する可能性があるという予測が出ているということで、この状況というのは、もう待ったなしの対策をとらなければいけないような確率での予測が出ているということで、さまざまお取組をいただいているというふうに思います。

 特に、海岸、岸壁の対策というのが南海トラフの場合重要でございますけれども、この対策について、今どのような取組がなされているのか、取組の今後の見通し等ございましたら御説明をお願いいたします。

赤羽国務大臣 今のお話でありましたように、政府の中央防災会議で、向こう三十年で発生率が八〇%という確率、大変深刻だというふうに、私たちもそう認識をしております。

 南海トラフ地震等の大規模地震、津波から国民の皆様の命と財産を守るために、私たちは、ハード、ソフト両面からの防災対策、減災対策が必要だということで認識をしております。

 まず、ハードにつきましては、地震、津波被害から港湾及び背後地を防護するための海岸堤防等の整備、また、非常災害時にも海上物流ネットワークを維持するための耐震強化岸壁の整備等に取り組んでいるところでございます。

 ソフト面につきましては、各港湾管理者とともに港湾BCPの策定を行うとともに、港湾ごとに津波避難訓練等の実施に取り組んでいるところでございますし、その推進をしていきたい、こう考えております。

 冒頭申し上げましたように、国交省としましても、南海トラフ地震の切迫性等を踏まえまして、大規模地震、津波に対するハード、ソフト両面にわたる総合的な防災・減災対策を進めて、しっかり国民の皆様の命と暮らしを守っていけるように万全の対策をとっていきたい、こう考えております。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 引き続き万全の、これは南海トラフだけではございませんけれども、さまざまな予測、可能性が数字的に出ていることについては、特に緊急性を持ってお取組をいただければと思います。

 ちょっとまた質問が戻りますけれども、地方港湾の整備促進、機能強化についてでございます。

 まさに先ほどから大臣も、また質疑の中でもあっておりますけれども、この港湾というのは、海に囲まれた我が国にとりまして、人の流れ、また物流の拠点として、特に地方にとっては地方創生のかなめであると言えると思います。地域の活性化ですとか産業振興、特に、基幹産業、造船を中心としました物づくり産業にとっては大変大切な拠点でございます。

 先ほど大臣も、やはり港湾の役割が衰退していくと物づくりも衰退していくというお話もありましたけれども、まさに私もそのような危機感を持っております。

 こういう意味でも、やはり地域の港湾設備というものを有効に活用していくということは全国的に大変重要なことだと思いますし、それぞれの役割と申しますか、今回、法改正が行われる重要港湾はそれぞれのそういう役割を果たすということで、三種類の港湾指定もございます。それ以外の港湾についても、それぞれの地域のなりわいを支えている大変大切なところでございますし、今、港湾、海岸というのは、まちづくりと直結をした大切な拠点という意味でも、地方創生という視点に立っても、港湾というものの整備、拡充、また活用というものにぜひ取り組んでいただければと思っております。

 ちょっと御紹介でございますけれども、配らせていただいた資料には、特に九州はアジアと近い地域でございまして、特に、先ほど釜山からの荷物のお話もございましたけれども、九州地方整備局港湾空港部の方でつくっていただいておりますけれども、KYUSHUコネクトポート構想ということで、中長期的に、やはり港湾、海岸を、九州一体となって構想をしっかり立てて戦略的に取り組んでいこうということでございますので、九州だけではないですけれども、それぞれの地域で、それぞれの県単独でできることではありませんので、やはり大きな固まりとしての構想というのも大変必要な視点ではないかと考えております。

 最後になりますけれども、大臣が所信で述べられておりましたTEC―FORCEの派遣、またi―Constructionの取組というものが、ICT、ドローン、AIなどの新技術を活用した中で、例えば被害状況の迅速な把握ですとか被害の発生や拡大を防止するという意味で、災害発生時もそうですけれども、また復旧復興に大変大きな役割を果たしていただいている。このことをまた、大臣も所信で述べられておりますので、ぜひ強力に今後とも推進をしていただきたいということを最後に申し上げ、時間となりましたので、これで私の質疑を終わらせていただきます。

 本日は、まことにありがとうございました。

土井委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立国社の伊藤俊輔でございます。初めて自分の会派を略称で呼びました。

 引き続き、港湾法一部改正について質問をさせていただきたいと思います。質問が重なるところもあるかと思いますし、また基本的なことを含めてお聞きをさせていただきたいと思います。

 私は、議員になる前、会社の経営をさせていただいておりました。航空貨物の事業やあるいは船の取次業など、空と海の物流業にもかかわってまいりました。

 二〇一二年あたり、日中関係が悪くなったとき、工場がとまったり、航空貨物などは全く動かない、半年以上貨物が動かないということもあって、当時、民間人の一人として、政治が経済の足を引っ張っている、そういうふうに感じてきたものであります。

 今、日韓関係もそうですし、民間に影響があることを危惧をしておりますけれども、できる限り政治が民間の足を引っ張らないように、強く感じながら、質問にも立たせていただきたいと思っております。

 これまで物流の現場業務の経験をした一人としても、常に顧客から求められていたものは、単純ですけれども、コスト、より低コストであること、スピード感を持ってやること、あるいは最適な路線ということが選択の主な軸でありました。新しい路線をつくるためにも、適用した国や地域の現地の情報や経験を提供しながら工場の誘致をするなど、新しい需要を生み出すことの重要性も現地で当時感じておりました。また、一つ一つの手続の煩雑さやリードタイムの短縮なども、当時、数十年前からの課題でもありました。

 承知のとおり、日本の食料の六割、エネルギーの九割以上が、その多くが海外輸入に依存をしているこの日本においても、貿易量九九・七%は港を通じた海上輸送が担っておりますので、国家戦略として、改めて今できることは協力をして、最大限対応しなきゃいけないと強く感じております。

 さて、国際コンテナ戦略港湾政策、導入当初は深化と加速とうたわれた二〇一四年の最終取りまとめ及び本年の最終取りまとめフォローアップと、それぞれの段階における政策の目標ということがありました。

 最終取りまとめにおける当初の目標の達成状況と、そしてまた達成できていない場合はその理由をどのように考えているのか、さらに、現在進行中の最終取りまとめのフォローアップに基づいた施策について、従来の政策にどのような改善を行って推進をしていくつもりなのか、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 国際コンテナ戦略港湾政策の政策目標につきましては、御承知だと思いますが、例えば欧州航路につきましては、平成二十六年に策定して、五年後の目標ということで、週二便を三便にふやすということでございますが、残念ながら結果は、今、週一便で、未達成という状況でございます。

 また、北米航路につきましては、デイリー寄港を維持拡大するということで、これは辛うじて維持ができているということで、達成をしているのではないかというふうに思っております。

 こういったことにつきまして、現状、先ほどから何度もお話をさせていただいておりますが、コンテナ船の大型化が進み、また、海運会社がそれぞれ合従連衡して大型化をして効率化を図っていく中でどういうグループをつくっていくのかというようなこととか、さまざま、あとは、根本的には、例えば中国なんかは大変な成長ですので、中国自体から出されるまた入れる荷物の量が圧倒的に違うという中で、大変厳しい状況の中でどう対応していくのかということになると思います。

 そうした意味で、先ほども答弁しましたが、三本柱、集貨、創貨、競争力強化ということで、集貨では、港湾運営会社が行う国内外からの集貨活動の支援をしっかりしていこうということとか、創貨では、戦略港湾背後の物流施設をどう高度化していくのかという支援を行うということとか、三つ目は、大深度バースというか、十六メーターバース、また十八メーターバースについての開発に加えて、港湾運営会社への国の出資ということで、しっかりと国が前面に出て連携をとりながらという、そういった取組が必要なのではないか。

 ただ、客観的に見て、世界の伸びが、世界というか、中国を含む東アジア、東南アジアの伸びが大変な勢いですので、この中でどう知恵を出してやりくりしていかなければいけないか、簡単な道じゃないと思いますけれども、島国である、また貿易立国である我々にとって大変重要だと思いますので、また伊藤先生からも御指導いただきながら、しっかり政策を進めていきたい、こう考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 大臣からも、冒頭、他の委員の答弁でありましたけれども、近年、世界、アジア港湾において、日本の競争力、国際的な地位は低迷をしているのではないかなという懸念があります。コンテナの取扱量を見ても、大臣からのお話のとおり、上位を見れば歴然ですけれども、中国が八つ、ほとんどがアジア圏の中で、中国の台頭ということになっていると思います。

 日本は、東京が二十九位、横浜五十八位、神戸六十四位、名古屋が六十八位、大阪七十七位、認識どおりだと思います。経済的な大きな、比較というところも、同じような状況になっているのかなと思いますけれども、世界の経済の流れを見れば、企業の時価総額を見ても、世界のトップ五十にはトヨタ一社しかないという、皆さん同じような認識の中で、そういったことが港湾の中でも物流の貨物量にあらわれているのではないかと思っております。

 政府はこれまで、地位向上に向けて国際的なコンテナの政策を推進してこられたと思っております。その結果、コンテナ取扱量は改善しつつあると思いますけれども、中国を始めアジア諸国の港湾の取扱量の増加は脅威でもありますし、中国を始めとするアジア諸国の港湾の取扱量の増加、これを見て、結果的には我が国の港湾のコンテナ量は差をつけられているような状況にあると認識をしております。

 かかる現状の認識、そしてまた、我が国の港湾がこのような現状にある理由を改めてお聞きをしたいと思います。分析と現状把握が大事だと思いますので、改めてお願いします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、我が国港湾のコンテナ貨物量の伸びを大きく上回るアジア諸港におけるコンテナ貨物量の増加ですとか、スケールメリットを追求するためのコンテナ船のさらなる大型化、加えまして、船社間の共同運行体制の再編等による寄港地の絞り込みが大きく進展する中で、国際基幹航路に就航するコンテナ船の運航便数の減少が結果的に生じたものと認識をしております。

 ただし、先ほど御指摘のとおり、国際基幹航路運航便数は下げどまりつつあり、国際コンテナ戦略港湾の集貨、創貨、競争力強化の取組は一定の成果を上げつつあると考えております。

 しかしながら、コンテナ船の大型化やコンテナ船社間の共同運行体制の再編等により寄港地の絞り込みが更に進行する見込みでありまして、引き続き予断を許さない状況と捉えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 コンテナの取扱量と同様に、定期航路の減少傾向、これも懸念するところであります。

 現状を言えば、京浜港においては、二〇一〇年週三十六便だったものが二〇一九年には二十二便と、約三分の二になっております。阪神港では、二〇一〇年に週十七便だったものが二〇一九年には九便と、ほぼ半減をしている状況です。

 一方、海外の港に目を向ければ、他の委員からもございましたが、増加傾向にある、こういうことを見ると、明らかに異なる傾向にあると思っております。

 我が国の経済的な低迷の背景ということが恐らく大きいと思いますけれども、寄港数の減少について、短く、国交省の答弁をいただきたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在も国際戦略港湾政策の柱の一つとして、これまで、大水深岸壁の整備等、競争力強化の取組も進めているところでございます。

 現在、水深十六メーター以上の岸壁として、京浜港で六バース、阪神港で七バースが供用をしているところでございます。しかしながら、水深十六メーター以上の岸壁が必要となるコンテナ船に対応する我が国の岸壁総延長は、年間取扱貨物量が同程度の韓国や香港、台湾等と比較しても短いなど、大水深岸壁の整備による競争力の強化は今後とも重要な課題と捉えております。

 こうした状況を捉えまして、現在実施中の大水深岸壁の整備等を着実に実施するなど、引き続き国際コンテナ戦略港湾の競争力強化を図り、コンテナ船の大型化への対応も図ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 複数の要因の中にはコンテナの大型化ということが言われておりますけれども、この十年を見ても、最大の船舶のコンテナ積載数は約一・五倍程度増加をしております。

 一方、コンテナ船が大型化をすると、それに合わせて岸壁のクレーンを大きくしたり、あるいは港湾の水深も深くしなければならない、なかなかすぐにできることではないと思います。時間もお金もかかることだと思いますし。そして、やっと設備面が対応できたとしても既にコンテナ船が更に大型化をしているということも、イタチごっこになることも想像もできます。何よりも、大型船の寄港にはまとまった貨物が必要だということが大前提になるかと思います。

 このように、一般的に、コンテナ船の大型化は、対応可能な設備のある、ある程度貨物の集積のある、限られた港に寄港の絞り込みが生じるんだろうと思っております。このため、選ばれる港となるためにさまざまな取組をされているわけでありますけれども、我が国において、コンテナ船の大型化に対する対応、具体的な取組と、そしてまた、あわせて、先日、国交委員会でも横浜港の視察をさせていただきました。

 国際戦略港湾の一つである横浜港においても、集貨の施策の効果もあって六年ぶりにコンテナ数がふえて、三百万TEUを上回ったと聞いております。もちろん、集貨施策だけではなくて積み重ねの結果であると思いますけれども。競争力強化策として、横浜港における十八メートルのバース、MC―3及びMC―4の岸壁の拡充、これが今後どれほどの効果、意味を持つのか。この認識もお伺いしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 コンテナ船の大型化が世界的に進展し、我が国に寄港するコンテナ船の平均船型は、委員御指摘のとおり、年々大型化が進んでおります。

 例えば、現在、京浜港に寄港する船舶の平均船型でございますが、北米航路で約八千TEU積み、欧州航路では一万一千TEU積みとなるなど、六年前と比較しましても、それぞれ約一・六倍、一・四倍に大型化、平均船型は拡大しております。

 こうした状況によりまして、現在、我が国に寄港する国際基幹航路の約八割が水深十六メーター岸壁で着岸可能な船舶を主力としていることや、現在供用中の水深十六メーター岸壁が高い稼働率を有していることを踏まえまして、水深十六メーター岸壁の機能の確保というのは喫緊の課題であると感じております。私どもといたしましては、まさに選択された港となるため、限られた予算の中で今後もこれに集中的に取り組んでまいりたいと感じております。

 また一方で、世界では一万三千TEU積み以上のコンテナ船が百隻以上建造予定でありまして、これらが今後導入される見通しであることに鑑みまして、コンテナ船の大型化がますます進展していくと見込まれるところであります。このため、現在、横浜港の南本牧埠頭におきまして、世界最大級のコンテナ船も利用可能なMC―4、水深十八メーター岸壁の整備を進めているところであります。

 国交省といたしまして、我が国港湾のコンテナ取扱状況や大型船の就航動向を引き続き注視しながら、時機を逸しないように、必要な港湾整備を進めてまいります。

伊藤(俊)委員 ちなみに、十六メートルの十三バース、そして十八メートルのMC―3を含めて稼働率が高いということでありましたけれども、稼働率がわかればちょっと教えてもらいたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、水深十六メーター以上の岸壁として、京浜港で六バース、阪神港で七バースが供用しておりますが、これらの岸壁につきまして、一定期間の占有率が平均五〇%以上となっております。特に、南本牧のコンテナターミナルの三バースの占有率につきましては、平均を上回る約五三%となっておるなど、所要の整備効果は得ていると感じております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 水深十六メートルが十三バース、そして十八メートルが二バースとなる見込みでありますけれども、例えば、釜山港を比較してみれば、現在二十三バースの大水深の岸壁、二〇二二年には三十一バース、二〇三〇年には四十五バースという計画をされております。これら岸壁は一万八千TEU以上の超大型のコンテナ船に対応できるものになっております。

 岸壁だけ限ってみても、二〇二二年の三十一バースという計画に比べると、やはりかなり差があるんだろうなと感じております。バース数やクレーン等の港湾設備の差をどう考えているのかと、さらに、その差が今後の物流にどれだけの影響を与えるのかという認識をお伺いしたいと思います。お願いします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに韓国、中国、シンガポールといったアジアの主要港でございますが、アジアの経済発展に対応して物流の効率化を図るために、多くの大規模なコンテナターミナルを整備をしているところでございます。

 まさに水深十六メーター以上岸壁、釜山港二十六バース、上海港三十九バース、またシンガポール二十七バースを供用している一方で、我が国で十三バースというふうになっているところでございます。

 私ども、これらの状況を踏まえまして、国際戦略港湾に取り組む姿勢を明確にし、重点投資を行ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 バース数などに加えて、釜山港などは広大なバックヤードを有している。さらに、港湾の背後には工業団地、倉庫。保税区域ですので、関税も免除になるという倉庫や、あるいは工場の誘致と、世界じゅうから集積した物資の加工を行うなど、ロジスティクスの一大ハブ的な様相も呈しておりますけれども。バックヤードや工業団地の話になれば、港湾の背後に山地を控えるような我が国の国土の特性もあってなかなか難しいことかと思いますけれども、国土の立地等々も含めてどのように考えておられるか、短く答弁をいただきたい。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 隣国の韓国を一例として挙げますと、韓国は、約五千万人の人口の約五割が集積するソウル近郊から約三百二十キロメーター離れた釜山港、この一港に集中投資を行っております。また、韓国の港湾での取扱い貨物全体の約七割に相当する二千万TEUを釜山港一港で取り扱っているというのが現状であります。

 一方で、我が国、島国日本でございますが、我が国全体として効率的かつ安定的なコンテナ物流ネットワークを構築するという観点から、我が国全体の約七割のコンテナ貨物を取り扱う国際コンテナ戦略港湾における国際基幹航路の運航便数の維持又は増加に取り組むことを最優先事項としまして重点投資を行いつつも、一方で、全国津々浦々に位置する生産、消費地におきましても、近傍に港湾を適切に配置し、各地域の荷主のニーズ等にも的確に対応をしているところでございます。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 今、貨物の種類でいえば、現在、電子商取引あるいはEコマースなどネットでの荷物、貨物も増加しているのではないかと想像しますけれども、港湾においてもこういった電子商取引等ネットの貨物などというのは、その推移などは把握されているかどうか。これは質問通告しておりませんので。

高田政府参考人 今のを港湾の電子化ということと捉えますと、現在、実情を申し上げますが、我が国の国際海上コンテナ物流におきましては、関連する多様な民間事業者の間で、紙媒体による情報の受渡しが主流となっているところでございます。

 このため、情報化ということで今捉えておりますのは、紙ベースが主流となっていることに鑑みまして、各事業者が共通して利用できる港湾関連データ連携基盤を構築しまして、情報の電子化と連携を促進することで、複数入力の削減や伝達ミスの解消、トレーサビリティーの向上などの国際物流コンテナにおける生産性の向上に取り組んでいこうとしているところでございます。

伊藤(俊)委員 質問の趣旨が違って、質問通告していなかったんですが、僕らも現場で最近はネットでの買物が多くなって電子商取引などの貨物がふえている、港湾においてもそういった貨物がどれだけふえていくのか、あるいは、これからどれだけのニーズがあるのかということを把握されているかどうか。これは多分、恐らく国交省以外のところの管轄でもあるかと思うので、質問通告していないので答弁を控えていただいていいと思うんですが。

 現場では、ネットで買物したものが、要は、釜山港などは保税の区域に、関税免除のものに関してはリードタイムを短くして、買物したらすぐにそれが発送できる状態になっていることのニーズが貨物をふやしているんじゃないかということも現場で言われていることでありまして、まさに、これから貨物がふえていく中において、日本も、港湾も対応していかなきゃいけないんじゃないかなという、これは意見としてとどめさせていただきたいと思いますが、そういったことも分析をしていただいて、貨物の把握をしていただきたいな、そのように思っております。

 そして、日本の港湾の方向性を考えますと、先ほど来、岸壁の整備などハード面においても必要かと思いますし、欧米の基幹航路の維持拡大に重きを置いていくのか。あるいは、十六メートル程度の岸壁をフル稼働させて、多頻度、多地域からコンテナ船を広く受け入れるのか。日本の立ち位置、国際物流において日本の適した役割というものを考慮した上で、我が国がとるべき方向性、その認識をお伺いしたいと思いますけれども、どちらも大事なんですが、どのような認識か、簡単にいただきたいと思います。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに全国津々浦々に人口と資産が分散する我が国におきまして、先ほども御説明させていただきましたが、我が国全体としては効率的かつ安定的な物流ネットワークを構築しようということを考えております。

 一方で、国際競争の中におきまして、我が国全体の七割のコンテナ貨物を扱う国際コンテナ戦略港湾におきまして、やはり、船舶の大型化等に対応した国際基幹航路の運航便数の維持又は増加に取り組むことを最優先事項とし重点投資を行いつつも、全国津々浦々に位置する生産、消費地におきましても港湾機能の強化ということに努めてまいりたいと考えているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 選択と集中という中において、どこに一番重点的に力をかけるかということも考えながらやらなきゃいけないんだろうと思っておりますが。

 長距離の欧米の基幹航路あるいは国際基幹航路を維持する、実現するという方向性を重視するのであれば、先ほど来、税制改正の要望でもありましたけれども、外貿コンテナ貨物船に係るとん税、特別とん税など大幅な軽減措置あるいは一括での負担軽減ということも含めて講ずる必要性を私個人も感じておりますけれども、その認識、一言お伺いしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、国際戦略港湾への寄港回数の維持又は増加を実現するために、近隣諸国の競合港とコスト面でも競争条件で劣後することのないように、入出港コストの低減を図る必要があると感じております。

 競合港となる釜山港でありますが、とん税、特別とん税を徴収していない状況にあります。

 このような状況を踏まえまして、国際基幹航路に就航するコンテナ船が国際戦略港湾に入港した場合に係るとん税、特別とん税につきまして、軽減措置が講じられるように、国交省として、令和二年度税制改正におきまして、財務省、総務省に要望を行っているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、維持するのであれば必要なことだと思いますので、対応していただきたいと思います。

 先ほど、IT化あるいは電子化、自働化の中で、ペーパーレス、いろいろ御答弁いただきましたけれども、港湾の競争力強化の施策においては、ハード面の部分と、そしてまたハード面以外のこういったIT化、電子化あるいは自働化の導入、あるいはAI、IoTなどの活用と、いろいろ多岐にわたるんだろうと思っております。ここにおいても諸外国からおくれをとっているようにも感じておりますけれども。

 先日の横浜港視察の際にも、ゲート前で並んでおられるトラックがたくさんありました。手続の簡素化や自働化など、改善の必要性も感じておりますけれども。

 名古屋港では、二〇一一年四月、ゲート入構の前段階でトレーラーが携行する書類やコンテナを照合確認をする集中管理ゲートが設置をされて、これによりゲートの処理時間は、導入前百五十八・四秒から、導入後は十四・九秒と大幅に短縮をされたと聞いております。

 コンテナの関連情報の一元化あるいは事前登録制度、ゲート処理時間の短縮、書類不備車両の排除などが向上させた原因の一つだと思いますけれども、世界の港湾においてもさまざまな面で自働化が進行しておられると思います。

 名古屋におけるトラックの集中ゲート管理、あるいは横浜港でも今CONPASの試験導入ということをされておると思いますけれども、今後、ほかの港湾においても必要なことだと思いますけれども、横に汎用していくのかどうか、その計画、認識をお伺いしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘のとおり、国交省でこれまで渋滞解消に向けた取組としまして、名古屋港の集中管理ゲートや横浜港のIoTを活用したコンテナ輸送効率化の取組など、関係者と協力して実証事業を進めてまいりました。

 具体的には、横浜港南本牧コンテナターミナルにおきまして、情報通信技術を活用したゲート処理能力向上のため、通称CONPASを開発し、実証を行った結果、搬出時のゲート処理時間が約二割、搬出時のゲート前の待機時間が約五割それぞれ削減されたことが確認できております。

 今後は、横浜港の南本牧コンテナターミナルにおけるCONPASの早期の本格運用や南本牧以外のターミナルへの展開に向けて、関係者との調整などの導入に向けた取組を加速してまいります。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 ポートセールスについても質問をさせていただきたかったんですが、ちょっと一問簡単にさせていただきたいと思いますが。

 物のインターネット、IoTが生み出す付加価値というものは大きいものがあると思います。とりわけ、サプライチェーンにおいてロジスティクス面が生み出す経済価値というものは膨大なものになると言われておりますけれども、例えばオランダのロッテルダム港では、企業のサプライ・チェーン・マネジメントの中に港湾物流を組み込んでおります。アイランドリンクスという最適な輸送経路を提案するシステムが、港湾から顧客までの、通関、倉庫、鉄道、バージあるいはトレーラーなどを組み合わせた複数のルートを提案し、輸送の方法、距離、出発あるいは到着時間、CO2の発生量まで、そういう観点を、顧客が最適な物流を選択できるようになっていると聞いております。

 このようなことを含めて、今後、ポートセールスにおいて、単なる港の使い勝手や便数のアピールに比べてよほど強力なアピールポイントになるんだろうと思っております。国交省の認識をお伺いしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 サプライ・チェーン・マネジメント、加えましてEコマース等々、非常に重要なことだと認識をしております。

 私どもとしましても、昨年六月に閣議決定されたIT新戦略におきまして、我が国の国際海上コンテナ物流におけるあらゆる関係者を利用可能とする港湾関連データ連携基盤を二〇二〇年までに構築することが位置づけられたところでございます。

 こうしたことも含めまして、二〇二〇年度までの港湾関連データ連携基盤の構築を目指し取組を進め、コンテナ物流における生産性の向上を図ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ポートセールスにおいては、港湾運営会社だけではなかなか、自治体の出身者も多いということもあって、外国の知見や経験なども不足しているということを見れば、また強力な官民一体となっての戦略が必要なんだろう、そのように思っております。そしてまた、IT化等々においても共通のプラットフォームの構築を進められていると思いますけれども、ぜひ早く実現できるように努めていただきたいと思っております。

 最後に、洋上風力について一つだけ、SEP船についてお伺いしたいと思います。

 洋上風力の建設には専用船のSEP船が必要になると思いますけれども、現実においては、五洋建設が百四十億円でJMUに発注をし、もう二〇一八年十二月に引渡しが終わっている。大型ではこの一隻だと聞いておりますけれども、そのほかにも発注が今されているところであります。

 これらのSEP船の用船料が高いということを見ても、数が限られるSEP船において、国も全体の状況を把握して、用船料の高騰の防止あるいは効率的な稼働を実現するために計画的なSEP船の配船ということが必要ではないかなと思いますけれども、そういったことの認識を最後に聞いて、終わりたいと思います。

土井委員長 高田局長、簡潔にお願いをいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に関しましては、国が定めたガイドラインにおきまして、中長期的な観点から年間の洋上風力発電の導入量に隔たりが生じないこと、特に初期の段階において洋上風力発電産業の成熟度度合いも加味し段階的に導入促進を図ることとしております。

 このような取組などを通じまして、SEP船の効果的、効率的な利用が図られるように努めてまいります。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 終わります。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 港湾法は二つの内容がありますが、時間の関係で、国際戦略港湾については討論の中で問題点を指摘したいと思います。

 洋上風力発電の導入促進に向け、二〇一八年十一月に再エネ海域利用法が制定され、ことし四月に施行されました。再生可能エネルギーを、二〇三〇年には導入水準二二から二四%という国の目標から見ても、洋上風力発電への期待は大きいものがあると思います。

 秋田県の日本海側は、国内で最も風況がよい地域であり、もともと風車が林立している地域であります。市民は誰しも、風力発電について、クリーンなエネルギーならよいと思っていました。しかし、いつの間にかこの地域は風車だらけになって、山形と秋田にまたがる鳥海山の美しい風景が風車によって壊れてしまったなどの嘆きも出るようになっています。つまり、既に陸地には余るほどの風車が立っており、電気は足りているにもかかわらず、今度は洋上という計画なわけであります。

 資料の1はことし六月二十八日付日経新聞でありますが、秋田で一気に進む洋上風力発電計画を図に示したものであります。私のふるさと能代市から、南は由利本荘、にかほ市まで、日本海側はほぼ全域、五百基以上の計画が進んでおりますが、この青い線の位置は海岸にいかに近いかをあらわしています。

 この中で四カ所、全国十一カ所のうち四カ所を国は要望区域として公表しておりますし、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定を目指す法定協議会が二カ所、能代、三種、男鹿地域と由利本荘地域の二カ所で設置をされています。

 そこで質問しますが、今度の法案は、都道府県管理である港湾を洋上風力の拠点港湾に指定し、発電事業者に最大三十年間貸し付ける制度を創設します。特定の者に長期間また占有的な利用を認めることは、これは、港湾の公共的性質に反し、極めて例外的な措置であると思いますが、大臣の認識を伺います。

赤羽国務大臣 現行の港湾法では港湾区域における公募占用計画の認定の有効期間が二十年だったものを、今回三十年に延長するというのが法改正でございます。

 御指摘のように、港湾の公共施設たる性質の例外的な取扱いとも言えるかと思いますが、洋上風力発電の導入拡大による低廉で安定な国産電源の確保、まさに東京電力福島第一原発の事故から我が国のエネルギー政策は大きく見直されて、政党を超えて再生可能エネルギーを推進していくという中で、風力発電につきましては安定的な国産の電源の確保ということが期待されているわけでありまして、そうした意味での国民の皆様への裨益を勘案して、今回、埠頭の長期的な利用を認めたものというふうに考えております。

高橋(千)委員 極めて例外的であるということはお認めになったと思います。これまで、これだけの長期間というものは前例がないと思っております。

 その上で、やはり、今の洋上風力発電がいかに重要なものかという大臣の認識が示されたと思いますが、だからこそ、この計画の中身がどのようなものなのかということは本当に慎重に見ていかなければならないと思うんです。

 資料の2は、欧州における洋上風力発電基地港湾の例ということで、デンマークのエスビアウ港の絵が紹介されております。

 八メガワット級風車であれば、ブレードと呼ばれる羽の長さは八十メートル、重さ三十五トン。ナセルと呼ばれる真ん中の軸の部分ですね、この中に精密部品が入っているわけですけれども、重さ三百九十トンとかなり重いです。タワーは九十メートル、四百十トン。

 これらを組み立てる、あるいはメンテナンスも含めて、大変な面積が必要だと思いますが、その面積、そして、この重さに耐える地耐力というのはどの程度のものなのか、イメージできるようにお答えください。

 そして、国内には存在しないのだと先ほどから答弁があるわけですけれども、どのようにするのか伺います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 基地港湾の埠頭につきましては、海外から輸入される発電設備の重厚長大な資機材の取扱いが可能な七ヘクタール程度の広さ及び三十トン・パー・平米程度と通常の十倍程度の地盤強度を備えている必要がございます。

 そのような要件を満たす港湾は現在のところありません。

 今後、既存ストックを最大限に活用しながら、必要以上に整備をしないように、集中的に対応してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 三十トン・平米ということで、通常の十倍ということは、補強といってもただごとではないわけなんです。そして、それに近い地耐力を備えていて、かつ面積もあってなんという港湾が何もしないであるわけがなくて、当然、コンテナ港ですとか、それをよけるわけにはいかないわけで、かなりのことが予想されるということなわけです。

 同時に、今、ブレードなども国内では生産されておらず当然輸入に頼るために、輸入船、それから先ほどお話があったSEP船などが接岸できる水深、これは十二メートルくらいと聞いていますが、必要だと。これを存在させるために、国が予算をつけて補強して事業者に貸し付けるわけです。一体どれほどの事業費がかかって、問題は、それを何年で回収するつもりなのか。お答えください。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 基地港湾の埠頭では、重厚長大な資機材を扱うことができるよう、地盤強度を上げるための地耐力の強化を行う必要がございます。一方、先ほど申しましたように、現時点ではどの港湾を基地港湾として指定するかについては定まっていないことから、地耐力の強化に必要となる事業費についても未定となっております。

 埠頭の貸付料につきましては、埠頭の改良に要した事業費、埠頭を借り受ける事業者数の見込み等を考慮し、基地港湾ごとに適切に設定するということも考えているところであり、具体的に、既存施設の最大限の活用を念頭に置きながら、埠頭の改良を行うために要した費用を一定期間内に回収をすることを検討しているところでございます。

高橋(千)委員 まだないから未定だと。ただ、全く見込みも示せないで議論を進めていいのかということを指摘しておきたいと思うんです。

 何年で回収するのかと聞きました。だって、最大三十年貸し付けるから、三十年で回収しますなんていったら、森友じゃあるまいし、そういう議論ではないはずなんです。そして、撤去。万が一の撤退のリスクのときにどうするのかということもあるわけなんですよね。銀行が出資者になっていて、撤退のときはその銀行が保証するんだというふうな議論もございます。

 そうした点でももっと詳しいことを示せるようなことでなければだめなんだということを指摘をしたいし、極めてリスクの高い事業なんだということを指摘をしながら、具体の話をしたいと思います。

 秋田県由利本荘市の洋上風力発電計画は、海岸南北三十キロ、陸からわずか一・四キロ離れた洋上に、総出力八百三十八・二メガワット、九・五メガワット級の風車を八十八基、これを二列で建設するという計画であります。

 名乗りを上げている事業者は、秋田由利本荘洋上風力合同会社、株式会社レノバ、コスモエコパワー、JR東日本エネルギー開発、そして東北電力の四社が出資した共同事業体です。

 先月二十一日に同社が行った環境アセス説明会には、市民ら二百五十六人が参加しました。

 これだけ風車が建ったら夕日を見られる状態ではない、もっと沖に建てられないのか、景観を守りたい、景観は私たち住んでいる者にとっての心の糧、壊さないでほしいといった声が上がったのに対し、会社側は、海の中に風車を建てるので風景は変わらざるを得ないと述べた上で、数を減らしてきましたよとか、並べ方を工夫したりしていますとおっしゃって、満足いただけない方がいることは承知している、おわびするしかないと述べました。

 再エネ海域利用法のスキームではこうした一般市民は利害関係者ではないので、おわびするしかないの言葉などで、意見を生かされないことになるわけです。

 五千六百筆もの反対署名も提出されておりますが、どう生かしていきますか。

赤羽国務大臣 再エネ海域利用法の、同法九条に基づきまして、促進区域の指定ですとか海洋再生可能エネルギー発電事業の実施に関し必要な協議を行う場が定められております。この協議会には、経済産業大臣、国土交通大臣及び関係都道府県知事が協議会を組織できると規定されており、今先生御指摘の秋田県由利本荘市沖の海域につきましても、当該協議会が組織をされたところでございます。

 当該協議会には、地元の代表者としての関係自治体の首長さんや漁業協同組合等の利害関係者、また学識経験者、関係行政機関の皆さん等が参画をしておりまして、地元の意見はこの協議会を通じて反映されるものというふうに考えております。

 また、促進区域の指定の前には、区域指定の案に関する公告縦覧の手続、また関係行政機関の長との協議、関係都道府県知事及び協議会からの意見聴取の手続も必要とされているところでございます。

 こうした法に定められた枠組みを通じまして、地元の皆さんの意見を適切に反映し、洋上風力発電事業の円滑な推進が図られるようにしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 法定協議会の事務局であるエネ庁に聞きます。

 今大臣おっしゃったように、市民の代表ということで市長が出ているわけで、市民が利害関係者の扱いにはなっていないわけですね。しかも、原則公開とあるんですけれども、傍聴が認められているのはマスコミだけです。また、議事要旨を作成しなければならないとあるので、これは議事録ではないんですね。

 それで、由利本荘・にかほ市の風力発電を考える会が情報公開で議事録の公開を求めたところ、存在しないとの回答でした。そうなんです。議事要旨だけが義務になっていますので、これ自体はホームページでアップされていますけれども、文脈がわからないんです。

 参加もできなければ内容の公開もしない、これでよいのであろうか。今からでも議事録を作成し、市民の傍聴を認めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ海域利用法第七条に基づき閣議決定されました基本方針におきまして、透明性確保と地域との連携を促進する観点から、御指摘の協議会は原則公開することといたしてございます。

 こうした基本方針の趣旨と同時に、例えば、実施するに当たりましては、会場の大きさ等の会議の円滑な運営という観点も踏まえまして、これまで開催されました秋田県の二区域、長崎県の一区域の第一回の会合におきましては、協議会の公開の手段といたしまして、協議内容を広く国民にお知らせすることのできる報道関係者の方々の傍聴を認めるとともに、議事要旨の作成、公表をしているところでございます。

 ただ一方で、この促進区域の指定に向けたプロセスにおける公平性、公正性、透明性の確保は重要なものだと認識してございます。

 今後の協議の開催に当たりまして、より多くの方々がより具体的な協議内容に接することができることが何か検討できないかということにつきましては、それぞれの県や協議会の構成員の方々と検討していきたいと考えてございます。

高橋(千)委員 検討できないかということで今お答えがありましたので、ぜひ検討していただきたい。少なくとも議事録はつくっていただきたいと重ねて要望したいと思います。

 それで、先ほど紹介した事業者の説明会において、事業者は、風車を建てる位置をもっと沖にという要望があったのに対して、もっと沖になると海が深く漁業が盛んなところなので難しいと答えたとあります。

 ただ、沖で魚をとってもやはり浜に戻ってくるわけですから、陸に近い、浜に近い風車の行列というのが何ら影響がないのだろうかということを知りたいなと思うんですね。

 十月八日の能代、三種、男鹿地域の法定協においても、水産庁は、利用頻度が少ない区域を中心に選んだとは思うけれども、三十五万キロワットのエリアについて漁業が行われていない場所を選ぶのは日本全国で見ても難しい、つまり、当該海域には使っている漁場もまざっていることになると認めていらっしゃいます。

 水産庁として、対象区域の漁業の形態がどうなっているかということと、形態を変えることも含んでいるんだろうか、影響をどう考えているのか、伺いたいと思います。

吉塚政府参考人 秋田県由利本荘市沖におけます協議会の対象となる海域におきましては、ヒラメ等の刺し網漁業や、サケ・マス小型定置網漁業等が行われているところでございます。

 海洋再生可能エネルギー発電施設の設置による漁業への影響につきましては、協議会において、発電施設の形態や海域の特性に応じた漁業影響調査の実施方法について協議した上で、選定事業者等により調査が行われることとされていることから、現段階において影響の内容について述べることはできません。また、漁業形態を変えることも想定しておりません。

高橋(千)委員 ごめんなさい。今、想定しておりますと言ったのですか。どっちでしたか。

吉塚政府参考人 想定しておりません。

高橋(千)委員 安心しました。

 国交省に伺いますけれども、今話したガイドラインがあるんですけれども、再エネ海域利用法第八条第一項第五号の「発電事業の実施により、漁業に支障を及ぼさないことが見込まれること。」と、もともとある。これに基づいて、促進区域内海域の占用を許可するに当たっては、選定事業者が当該設置までに協議会の構成員となっている関係漁業者の了解を得ることを当該許可の条件とするとあるわけですね。

 十月八日の法定協においても、事務局である国交省から、関係漁業者の了解のないまま発電施設の設置を行うことはできないという発言がありました。これは非常に重い発言だと思うんですけれども。

 ただ、このガイドラインの言葉どおりでいうと、漁協やシショの代表が了解すればよいという意味なのか、協議会に、つまり、この協議会の中で法定協に参加したことをもって了解したというふうにとられては困るという発言もあった、当然だと思うんですよね。これから影響調査をやるという今の水産庁の報告でしたので、そういう意味ではないと思うんですね。

 なので、手続的にはどういうふうに了解を確認をするのかということを伺いたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 促進区域内海域の占用を許可するに当たり、選定事業者が当該設置までに協議会の構成員となっている関係漁業者の了解を得ることを当該許可の条件としております。

 したがいまして、協議会への出席、欠席にかかわらず、協議会の構成員となっている関係漁業者の了解を得ることを当該許可の条件としております。

高橋(千)委員 わかりました。ですから、出席している人が了解と言っただけではないという意味だと思って伺いました。

 それで、改めて広く漁業者の声を確認することが大前提だと思います。そのために水産庁としてどういう支援を行っていくのか伺います。

吉塚政府参考人 まず、協議会におきまして、漁業者団体の代表者の発言や意思決定につきましては、個々の団体の中で意見集約を図った上で適切になされているものと考えております。

 また、水産庁では、有望な区域におきまして海洋再生エネルギー発電に対する漁業者の正しい理解が深まるよう、本件制度に係ります情報の提供、他地区での事例の紹介などの対応を行っているところでございます。

高橋(千)委員 ぜひ、正しい理解というお話がありましたけれども、前回の例えば漁業法のときでも、国会で議論されていることが本当に漁業者のところには届いていなくて、何が起こっているのか気づいていなかったという声がありました。本当にそうしたことがあってはならないと思いますので、そういうプロセスの点でも水産庁が力を発揮してほしいという意味で指摘をさせていただきました。

 そこで、由利本荘市の合同会社の環境アセス準備書、これは十月に縦覧されておりますが、低周波音についてはいずれの調査箇所でも環境省の指針以下にとどまっていると書いてあります。

 指針というのは、二〇一七年の五月二十六日付の「風力発電施設から発生する騒音に関する指針について」を指すと思うんですけれども、ここでは、全国の風力発電施設周辺で騒音を測定した結果からは、二十ヘルツ以下の超低周波音については人間の知覚閾値を下回り、また、他の環境騒音と比べても特に低い周波数の騒音の卓越は見られないとあり、これを根拠にして、事業者は、聞こえない音は問題ないというふうにしているわけであります。

 ただ、この指針のもとになった研究会の報告書では、今、由利本荘で建設しようとするような九千五百キロワットに比べても、最大三千キロワットのデータしか実際にないですし、人の健康という意味での疫学調査はされておりません。そこで、考える会からは、既存の風車を使っての健康影響調査を行うべきだと意見書が上がっており、市を通してもう環境省に届いていると聞いています。

 環境省として、今できる疫学調査を行うこと、また、今後大型の洋上風力が建設されていくとしたら、その後の調査についてもやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境省においては、風力発電施設から発生する騒音について、平成二十九年に指針を取りまとめ、公表し、施設の設置事業者や運用事業者、地方公共団体に活用いただいているところでございます。

 本指針において、国内外で得られた研究結果では、風力発電施設から発生する音に含まれる騒音には煩わしさを増加させる音が含まれること、風力発電施設から発生する音が人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低いこと、超低周波音、低周波音と健康影響については明らかな関連を示す知見は確認できないことが示されているところでございます。

 個別の事案における調査や対策については、指針を踏まえ、個別の事業者等において実施されるものと認識しており、環境省としては、風力発電施設の大型化など今後の動向を踏まえつつ、引き続き科学的知見の収集に努めてまいる所存でございます。

高橋(千)委員 今の答弁は納得できません。事業者がやるべきだとおっしゃいました。事業者はアセスをやっています。だけれども、基準がないんですよね。ないから環境省の指針をもとにして言っている。

 環境省は、アセスに対する大臣意見の中で、知見は今ないので適切に先例などを踏まえて学びなさいと言っている。当たり前じゃないですか。それを誰がやるかといったら、環境省がやる以外にないんですよ。疫学調査がないんです。

 会が独自にやった健康調査もありますが、耳鳴りがする、頭痛がする、畑で仕事をしていれば一時間ももたない、そういう声があるんですね。だけれども、なかなか声を上げづらい、医者に行けば気のせいだと言われ、役所に行けば業者に言えと言われ、町内が分断されて大っぴらに言えないというのが共通して出されているんです。環境省がそこに向き合ってこないで、調査をしてこなかった。

 個別の案件じゃなくてもいいですよ。一般的でもいいんです。それはもう日弁連が、二〇一三年にやってくださいということを言っています。何らかの疫学調査をやるべきだと思いますが、もう一度お答えください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境省としては、風力発電施設の大型化など今後の新たな動向等を踏まえつつ、引き続き科学的知見の収集、これに努めてまいる所存でございます。

高橋(千)委員 これまでにない洋上風力をやるわけですから、今おっしゃったように、大型化を踏まえて検討するとおっしゃったので、ぜひお願いしたいと思います。

 先月二十一日の説明会の中で、会社側は、健康被害が公式に認められる状況になったら私どもは事業を行えない、事業はやめると明言をしています。朝日新聞の秋田版二十四日付にこれは報道されております。こうした、事業者が言っている以上、きちんとした責任を果たしてほしいということを言いたいと思います。

 さて、ことし七月に、由利本荘市の長谷部市長を先頭に市議会代表らが先進地視察を行って、四会場での結果報告、広報も行っています。

 また、資料の3から見ていただきたいんですが、秋田魁が七回にわたって連載して詳細にレポートを書いています。私は、極めて真面目で精力的な調査である、このように思っています。

 ただ、その調査のまとめを、人の健康被害や事故も海外で起きていないとか、景観と調和がとれているというだけに終わらせないで、秋田でやろうとしている風力発電との違いを踏まえて検討する必要があると思います。

 読む時間がありませんので、アンダーラインを引いているところを見ていただければと思うんですが、秋田でやろうとしている九・五メガワット級の風力、七十基から八十基という計画が、世界に例のない規模なんだと。これはもう視察しても明らかなわけなんです。

 そういうところから議論が始まって、いろいろな取組を紹介していて、資料の5を見ていただきたい。「海風の行方 四」というところなんですが、ここは、オランダの北西部アイセル湖にあるウエスターメイヤー洋上風力、三メガワットが四十八基、岸から六百メートルの近さなんですけれども、岸の方には七・五メガワットの風車三十八基が並んでいるんです。

 ただ、二段目に書いていますが、大部分は地元農家の共同投資で、反対していた自然保護グループと協議して自然包括型デザインをコンサルが設計したとあるんですね。

 特に注目したのは、アンダーラインが引いてありますが、風車が民家に落とす影を年間六時間未満と規制して、六時間以上になれば停止するシステムをつくって、それでも不満がある世帯にはコントローラーを渡して停止することができますよ、こういうやり方をしているという取組を紹介しているんですね。

 大臣にぜひ感想を聞きたいと思うんです。洋上風力も、確かに発電コストを下げようとすれば大型化せざるを得なくなります。ただ、本来の目的である環境に優しいエネルギーという点では、こうした一定の規制を住民参加で行う、地域住民に寄り添ったやり方も可能なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 地元の意見をどう聞くかというのは先ほど御答弁したとおりで、再エネ海域利用法に定められた協議会を通じて意見をくみ上げる、できるだけ地域住民に寄り添いながら、丁寧に地元の意見を拝聴しつつ、円滑に推進していくということが大事だと思います。

 このオランダの、感想ですから少し自由に、今見た中の三段目に、漁業組合の人たちには、魚礁効果により漁獲がふえたとのデータを示し、納得してもらったという話が書いてありますが、私、実は以前デンマークに視察したときに、あそこも洋上風力が多くて、漁業組合と当然もめなかったのかと質問したんですが、最初は結構もめたんですけれども一緒にやっていったということと、同時に、かなりいい魚礁がふえたというような話で、今は本当にウイン・ウインでやっているというような話もございました。

 いずれにしても、いろいろな事例があると思いますので、しっかりと、先ほどの答弁に戻りますが、協議会を通じながら、寄り添いながら丁寧に地元の皆さんの意見をできるだけくみ上げていくべきだというふうに思っております。

高橋(千)委員 魚礁の話は前から長崎の五島の話などでも出ていることで、私が言いたかったのは、住民と、どう制御していくかも含めて、寄り添ってやっていきたいということを指摘をしたわけなんです。

 残念ながら時間が来ましたので、エネ庁に質問できなかったんですけれども、エネ庁の議論の中でも、やはり再エネの主電力ということを検討する中で、自家消費や地産地消、地域自己完結の発電も進めていくということで検討していますので、こうした道もあるんだということで、そういう議論をしたかったということを指摘をして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。重複するところもあると思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 二〇一二年の固定価格買取り制度の導入後、再生可能エネルギーの普及というのが急速に広まってまいりまして、洋上風力発電にも期待が高まっているというふうに思っています。

 再生可能エネルギーのうち、コスト面などの手軽さとか高い買取り保証で、まず太陽光発電というものの人気が高まりましたけれども、再生可能エネルギーは多数ありますので、風力発電にもやはり期待が高まってきているというふうに思います。

 洋上風力発電のメリットは、陸上に比べてより大きな風力を持続的に得られるため、安定的に大きな電力供給が可能になる点、もう一つは、洋上であるため、やはり騒音や、万が一の際の人的被害のリスクが低く、設置場所の確保がしやすいという点があると考えます。これらのメリットから、風力発電の洋上化の動きというのが活発になっていると思います。

 また、三年前、二〇一六年の港湾法の改正によって、港湾区域内において、洋上風力発電事業のための長期の占用ルールというのが整備をされました。昨年には、一般海域での、海域の先行利用者との利用調整を含めた長期占用ルールというのが整備をされまして、今後ますます事業の具体化というのに向け弾みがついたというふうに考えます。

 浮体式装置を使用した洋上風力発電は、実用化に向けて日本でも研究が加速しております。現在、日本では福岡県、長崎県、そして福島県にて浮体式の装置の実証研究事業というのが行われておりましたが、洋上風力発電は、やはり水上に設置するため、陸上よりも頑丈なつくりにしなくてはならない上、波や強風などの陸上よりも厳しい気象条件にさらされる。よって、メンテナンス費が非常にかかるというふうに思います。

 したがって、非常に多くの資本を必要とするので、発電にかかる費用というのも高くなってしまうんじゃないかなと思います。大体、洋上風力の発電に、比べると、一・五倍から二・六倍の資本というか、経費が必要だというふうにも考えます。

 価格競争が激しい電力市場において競争力を高めるために、やはりさらなる技術革新というのが求められるんですが、その技術革新にはさらなる多額の資本というのが必要になる。現状では、政府の支援にやはり頼らざるを得ないという状況になっているのではないかと思います。実際に大手商社の丸紅さんは、採算が合わないとして、茨城県の鹿島沖で進められていた洋上風力発電事業から撤退をされました。

 そこで、国の実証実験を除くと、洋上風力の導入実現がまだありません。経済産業省などの主導で始まった福島県沖合の実証実験では、四年前に洋上風力が三基、福島沖ですね。このうち、三菱重工業が建設した、浮体式として世界最大級の七千キロワットの発電能力を持つ施設は、油圧式システムのふぐあいが相次いで、設備利用率は三%ほどだったというふうに聞いています。

 経産省は、ふぐあいも相次いだことと、今後も施設を維持すれば費用がかさみ採算がとれないとして、撤去する見込みとなっていると聞いています。

 日立においても、二千キロワット、五千キロワットの風車を建設したが、ことしに入って、風力発電の生産から撤退を発表するということになっています。

 それだけを聞いていると、十分に環境が、関連産業が育っていないと思うんですけれども、その辺の見解を、経産省、きょうはお越しいただいているので、答弁お願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、再エネ導入拡大においては、洋上風力というのが海に囲まれた日本においては非常に重要な鍵だというふうに考えてございます。

 昨年この委員会で御審議いただきまして成立に至りました再エネ海域利用法を始めとしまして、今回まさに御審議を頂戴しています港湾法の改正等々によって、まずその導入環境を整備していくということが何より重要だというふうに考えてございます。

 産業という側面は非常に重要でございます。洋上風力の発電は、メーカーのみならず、それを導入、建設する建設業、さらにはこれをメンテする産業、さまざま産業がその場に根づいていかなければならないということだと認識しておりまして、この産業サプライチェーンをどうつくり上げていくかということに取り組んでいきたいと考えています。

 一方で、ヨーロッパが中心でございますが、大きな競争力の強い産業ができ上がってきておるわけでございますが、これもまさに制度的な、FITの導入、さまざまな環境整備があって、長年かけて長期にわたり計画的な導入拡大が図られてきた。このこととあわせて産業基盤が整備されてきているものというふうに考えているところでございます。

 そういう観点から、再エネ海域利用法の着実な運用、実施、この港湾法の改正を含めたさまざまな制度環境の整備ということによって、まずは、国としましては制度環境を整備していくことが重要であるというふうに考えており、それと両輪として産業の育成策を講じていきたい。

 研究開発、これは、福島の洋上浮体というのは浮体式という未来型の先を見据えた研究でございますが、着床式が今現状では主流でございますので、こういったものについてのコストダウンをいかに図っていくか。メンテナンス、建設を含めてさまざまな支援策を講じていき、しっかりと産業の育成、整備とエネルギーの導入拡大ということを図っていきたい、こういうふうに考えてございます。

井上(英)委員 ぜひ部長が答弁いただいたようにしていただきたいなというふうにも思いますし、答弁だけではなくて、実際に進捗していってもらえるように、ぜひしっかりと支援をしていただきたいなというふうに思うんですが。

 本年の七月に、再エネ海域利用法上の促進区域の候補区域が発表をされました。そのうちの四区域、秋田県の二カ所と千葉県、長崎県の合計四カ所が有望区域に指定をされまして、今後、本四区域において促進区域指定に向けた手続というのが進められることになっているというふうに思います。

 この再エネ海域利用法の施行に向けて、促進区域の速やかな指定のため、経産省とともにさまざまな既知情報を収集して、これをもとに促進区域になり得る有望な区域をしっかりと選定して、当該区域について、協議会の設置や国による詳細調査など、促進区域の指定に向けたプロセスというのを進めていっていると思われますが、今の進捗状況を、部長、お願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月に再エネ海域利用法を成立させていただきまして、その後、ことしの四月に施行してございます。これを受けて各自治体及び事業者の方々はさまざまな取組をお進めいただいているところでございまして、この中で、都道府県や事業者の方々から情報提供を頂戴しまして、この情報をもとに、ことしの七月末に、既に一定程度の準備段階に進んでいる区域といたしまして十一区域を選定いたし、公表したところでございます。

 この中で環境整備が特に進捗していると見られます四区域につきまして、有望な区域として整理いたしまして、協議会の組織や国による風況・地質調査の準備を開始しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、秋田県の二区域、由利本荘市沖、及び能代市、三種町及び男鹿市沖、この二カ所でございますけれども、を十月八日に、そして長崎県の五島市沖の一区域を十月十日に、それぞれ第一回会合を開催したところです。また、十一月十八日に予定してございますが、千葉県銚子市沖の協議会というのも第一回会合を開催する予定でございます。

 今後、速やかにこのプロセスを進めていくことが重要だと認識しているわけでございますが、一方で、地元のさまざまな関係の事業者の方々、関係者の方がいらっしゃいます。しっかりした理解を得て進めることが重要でございますので、丁寧に、かつ速やかに進めていきたいと考えてございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 ぜひお願いをしたいなというふうに思うんですけれども、やはり地元の理解というのが要ると思うんですね。

 次に、洋上風力発電設備の設置の基地となる港湾の確保というのが挙げられていますが、基地港が指定された地域などでは経済への波及効果が発生するんじゃないかと。先ほど、関連産業も含めてさまざまあるというふうに部長からも答弁がありました。

 そういう意味での地元の理解というのは進むかなと思う一方で、地元の意向にやはりさまざま引っ張られるのではないかなというふうにも懸念しています。

 風が十分に吹くか怪しいエリアで促進区域が指定されたりとか、そういったことはないようにぜひしていただきたいなと思うんですけれども、事業運営上、必ずしも最適ではない基地港が指定されたりするようなことがあってはならないし、特に、洋上風力発電の促進区域の直近にある港湾が必ずしも基地港として適当なのかどうかもあります。

 あらかじめ、発電事業者や地元自治体、それから漁業者や船舶運航者を始めとする利害関係者に対して、促進区域と基地港の指定に関し、どのような考え方で運用されていくおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 促進区域につきましては、気象、海象等の自然的条件、航路、港湾の利用や保全、管理への影響、発電設備と港湾との一体的利用等の基準に関しまして国があらかじめ調査を行い、これに基づき、適合する区域を経産大臣及び国交大臣が促進区域として指定をすることとなっております。

 また、指定の際には、区域指定の案に関する公告縦覧の手続や関係行政機関の長との協議、関係都道府県知事及び協議会からの意見聴取の手続が必要とされております。

 加えて、促進区域と一体的に利用する海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾、いわゆる基地港湾と呼んでおりますけれども、埠頭の岸壁水深、地盤強度、広さ等の要件、再エネ海域利用法の促進区域の指定に向けた検討状況、さらに地元との調整状況等を十分に勘案した上で国土交通大臣が指定をするということになっております。

 なお、基地港湾の指定に関しましては、現時点では未定ではございますが、既存の港湾施設を最大限に活用しながら、必要以上に指定することのないように留意をしてまいりたいと考えております。

 これらを踏まえ、国交省といたしましては、経産省と連携しつつ、再エネ海域利用法と港湾法を含めて、双方を適切に運用してまいります。

井上(英)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 洋上風力発電施設は長期かつ大規模に水域を占用する固定的な大型施設で、より公正かつ公平な手続により事業者の選定を行うとともに、発電施設の設置や維持管理が適切に実施されるということを確認する必要があると思います。

 また、準備も長期にわたることや、円滑な資金調達、確実な事業実施、準備期間を含めた長期間にわたる選定事業の地位の明確化というのが必要だと思うんですけれども、平成二十八年七月、港湾法の一部を改正する法律というのが施行されて、占用公募制度というのが創設をされました。

 今回、港湾法に基づく公募占用計画の認定の有効期間を二十年から三十年に延長するということもありますけれども、このメリットについてお伺いをいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年の港湾法改正時には、港湾区域に設置される見込みの発電設備の設計寿命は二十年以内でありました。そのため、港湾区域における公募占用計画の認定有効期間を二十年とさせていただいたところです。

 一方、最近では、設計寿命二十五年の風力発電設備が相次いで商品化されておりまして、今後、基地港湾の整備拡大に伴い、港湾区域におきましても、一般海域で設置される設備並みの大規模な発電設備を設置することが見込まれています。

 このため、今回の港湾法改正における基地港湾制度創設にあわせまして、港湾の開発、利用、保全との整合性の確保に留意しながら、港湾区域内における公募占用計画の認定の有効期間を三十年に延長するものであります。

 これによりまして、より長期的、安定的な利用が確保され、それによる事業見込みも立てられやすくなりまして、洋上風力発電事業のより一層の円滑な導入に資することと考えております。

井上(英)委員 局長、ありがとうございます。

 いずれにしても、洋上風力発電、ぜひ頑張って推進していっていただきたいと思うんですね。ですから、種々、さまざまな課題というのもありますけれども、経産省としっかりと、スクラムといいますか、やっていただいて、事業者も喜んでいただいて、それを享受する国民も喜べるような環境というのをしっかりと整えていただけるように、種々において善処いただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、国際基幹航路について、法案のもう一つの改正ですけれども、それについてお伺いをいたします。

 我が国も、港湾の国際競争力強化に向けて、過去にはスーパー中枢港湾政策というのもありました。また、平成二十二年度からは、現在の国際コンテナ戦略港湾政策というものに取り組んできたということは私も承知をしております。

 しかしながら、アジア主要港に寄港する国際基幹航路の便数というのは横ばい又は増加する一方、私の地元である大阪港それから大臣の地元である神戸港を含めた阪神港においては、便数はこれまで減少傾向も続き、最近ようやくふえているといっても、本当に微増なんですね。僕が市会議員をやっているころ二百万TEUに行くか行かないかで、今二百十万TEUですから、十万TEUで、上海の四千万TEUの取扱いから考えたら、微増というより横ばいのレベルだと思うんですね。

 そういう中で、やはり過去のことをあれこれ言ってもしようがありませんので、今の大阪港や神戸港、要するに阪神港だとか、それからまた、東京港、横浜港を含めた京浜港の状態のままでいいとは、誰も恐らく思っていないというふうに思います。

 我が国産業の国際競争力の強化や国民の雇用、さらには所得の維持、創出のためにも、我が国への国際基幹航路の寄港の維持拡大というのを図る国際コンテナ戦略港湾政策については、より強力にやはり進めるべきだというふうに考えています。

 もう時間もありませんのであれですけれども、やはり、国際コンテナ戦略港湾というのを進めているんですけれども、なかなか成果があらわれていないなと。少なくとも、外貿のコンテナの取扱量だけを見ても、なかなかそれは反映されているというふうには正直思えないんですね。

 国交省からすると、国際コンテナ戦略政策、この政策をやってきたからこれぐらいの被害で済んでいると、ひょっとしたら港湾局長なんかは答えたいのかもわからないんですけれども、それでは余りにもやはりネガティブで、決してそういう斜陽産業ではないと思いますので、いかに国際基幹航路というのが日本に呼べていないかということだけだと思うんですね。

 そういった中で、もう本当に時間もないので大臣に直接お伺いをしたいと思うんですけれども、これまでの流れを変えて、我が国の国際戦略港湾というのが世界の主要港と戦えるぐらい大きく飛躍していくためには、小出しに政策を打っていくのではなく、国、それからまた地方自治体、そしてまた港湾運営会社がしっかり連携して、双方が知恵を絞って、できる政策というのを一気に集中して講じていく必要がある。

 国際基幹航路の寄港促進に向けて、本法案に限らず、予算やまた税制要求などにもしっかりと、まあ取り組まれていると思いますし、今後も更に一層取り組んでいただきたいと思いますが、大臣の指導力、ぜひ期待したいと思いますので、答弁をよろしくお願いいたします。

赤羽国務大臣 ありがとうございます。

 我が国の港湾政策は、今おっしゃったように、かつては全日本で、いろいろな港で底上げをしようか、メーンポートを強くしようかという結構論争があったんですが、言っていただいたようなスーパー中枢港湾以降、メーンポートを強くしようということでさまざまな手が打たれてきた。

 しかし、御指摘のように、やはり中国一つもっても、この三十年間でコンテナの取扱いというのは何十倍もふえている。オール・ジャパンと上海一港でもかなわないみたいな話の中で、どうするのかというのは大変難しい状況だというふうに思っています。

 多分、役所が書いた答弁では、横浜港は北米航路が新規開設されたとかちびちび書いてあるんですけれども、やらないよりはよかったとは思うけれども、しかし、このままでいってもなかなか難しいというのは御指摘のとおりですが、沈没するわけにいかないので、今回の法改正で国が関与できるような部分もありますし、もう少し省庁間の連携をするということを、ちょっと知恵を出して、本当に必死の覚悟で、精神論じゃありませんけれども、やっていく。その中に、やはり効率化を高めていくということでAIなんかも入れて、競争力強化の部分はしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。

 以上です。

井上(英)委員 先ほども大臣もおっしゃったように、国際コンテナ戦略自体を決して否定しているわけでもありませんし、それがなかったら本当にどんなことになっているのかなと逆に心配するぐらいで、でも、やっている以上は、やはりその成果として、目に見えてコンテナの、今はやはりコンテナが主要ですから、そのコンテナの取扱量がどれだけふえるのかというのを数字で見てみたいと思いますので、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

土井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、港湾法の改正案について反対の討論を行います。

 本法案は、国際コンテナ船の寄港する回数を維持、増加させるため、国際戦略港湾の港湾運営会社に国土交通大臣が情報提供、指導助言とともに、国の職員派遣など人的支援を強めようとするものです。これは、国際基幹航路の寄港数が減少するなど、行き詰まりが明白な国際コンテナ戦略港湾政策を引き続き推進するための仕組みづくりにほかなりません。

 国際基幹航路の寄港数の減少は、港湾整備の進捗が主要因ではなく、日本から出荷する貨物そのものが減少していることにあります。その経済的背景には、日系企業の生産移転による産業空洞化などがあります。

 その上で、法案に反対する理由の第一は、国際コンテナ戦略港湾政策では、大型化するコンテナ船の寄港を可能にするため、大水深バースなどコンテナターミナルや臨港道路の整備を推進してきました。こうしたインフラ整備事業だけで、当初五千五百億円だった総事業費が、いつの間にか一兆二千億円まで膨張しています。巨額の大規模開発事業を継続、推進することは認められません。

 第二に、港湾運営会社制度は、もともと、民の視点を取り込んだ運営を促進するとしていました。ところが、今改正案は、国から職員を派遣するなど、国の関与を強める方向であり、全く自己矛盾だと言わなければなりません。国際基幹航路の寄港数の減少の要因を直視すれば、新たに国の関与を強めても、日本への寄港便数がふえる保証は何もありません。

 今求められているのは、過大投資と国を挙げての国際戦略港湾政策を中止する決断です。戦略港湾整備の見込み額一兆二千億円もの事業費を削減し、国民の命と財産を守る防災・減災対策に最優先で予算を投入すべきと考えます。

 なお、洋上風力発電設備等拠点港湾の創設は、長期にわたって特定の企業に国民の共有財産である港湾を提供するものであり、いまだ国内にない地耐力を備えた港湾への補強や、その回収見込みはあるのかなど、慎重な見きわめが必要です。

 再生可能エネルギーとして洋上風力への期待が高まる一方、コスト削減のための大型化が避けられない現状にあって、地元住民の生活環境、自然環境などへの影響が懸念されます。

 区域指定や事業者選定に当たっては、住民合意を前提とし、企業が地域への社会的責任を果たすことを求めていくべきであると申し述べて、討論といたします。

土井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、港湾法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小里泰弘君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。福田昭夫君。

福田(昭)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    港湾法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 創設される海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾制度については、発電事業者による港湾施設の長期使用が想定されることから、旅客運送事業者、貨物運送事業者、漁業者といった先行利用者への影響が最小限となるよう運用に留意し、非常災害時に港湾施設の公共性にも配慮した運用がなされるよう努めること。

 二 地震や台風など災害が頻発する我が国の特性、自然環境の変化に鑑み、洋上風力発電設備に係る設計施工、維持管理について、国民の生命及び財産並びに海洋の安全確保が適切に図られるよう、必要に応じ、適時適切の見直しを行うこと。

 三 海洋再生可能エネルギー発電事業者が行う洋上風力発電設備の設計施工において、海洋環境の激変による海洋生物への影響を最小限にとどめるための適切な助言及び指導を行うこと。

 四 海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾における港湾施設の発電事業者への貸付けに当たっては、将来の洋上風力発電分野の健全な発展に資するとともに、電気料金への転嫁により消費者が不利益を被ることのないよう、適切な貸付料の設定を行うこと。

 五 発電事業者の経営破綻や資金不足により、海洋再生可能エネルギー発電設備等取扱埠頭において事業者が設置する施設や洋上の発電施設が放棄されることがないよう、保証金や積立制度の義務付け等の、撤去費用を確保するための効果的な対策の検討及びその具現化を図ること。

 六 港湾の国際競争力の強化が我が国における産業活動及び国民生活を支える重要な課題であることに鑑み、国際戦略港湾に関する施策については、効率的かつ集中的に実施するとともに、AI等の最先端技術の活用等によるターミナル運営の生産性向上のための必要な措置を講ずること。また、各地域の港湾が物流コストやリードタイムの低減等を通じて、産業競争力の強化や雇用と所得の創出に重要な役割を担っていることに鑑み、国際戦略港湾以外の港湾についても、引き続きその機能強化に努めること。

 七 港湾運営会社への公務員の派遣等に当たっては、港湾運営会社からの要請を十分踏まえつつ、国際基幹航路の維持・拡大に資する適切な人材の派遣を行うこと。また、公務員の新たな天下りの手段との疑念を抱かれることのないよう、その運用に万全を期すこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 港湾法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御意見、また、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

土井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

土井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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