衆議院

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第5号 令和元年11月27日(水曜日)

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令和元年十一月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    大塚 高司君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      門  博文君    神谷  昇君

      木村 哲也君    国光あやの君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      小林 鷹之君    古賀  篤君

      佐々木 紀君    佐藤 明男君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中曽根康隆君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      宮路 拓馬君    簗  和生君

      山本  拓君    荒井  聰君

      伊藤 俊輔君    岡本 充功君

      後藤 祐一君    西岡 秀子君

      広田  一君    古川 元久君

      道下 大樹君    矢上 雅義君

      谷田川 元君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    高橋千鶴子君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   農林水産大臣政務官    河野 義博君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小平  卓君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   青柳 一郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小宮大一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           上田  弘君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         安部 伸治君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河本 健一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         東川 直正君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  北村 知久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (気象庁長官)      関田 康雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松澤  裕君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     佐藤 明男君

  三谷 英弘君     木村 哲也君

  宮内 秀樹君     小林 鷹之君

  望月 義夫君     藤丸  敏君

  古川 元久君     後藤 祐一君

  馬淵 澄夫君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     杉田 水脈君

  小林 鷹之君     小寺 裕雄君

  佐藤 明男君     国光あやの君

  藤丸  敏君     望月 義夫君

  岡本 充功君     馬淵 澄夫君

  後藤 祐一君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     宮路 拓馬君

  小寺 裕雄君     宮内 秀樹君

  杉田 水脈君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     鳩山 二郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件につきまして調査を進めます。

 この際、去る二十日、国土交通行政に関する実情調査のため、長野県に視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、理事小里泰弘君、金子恭之君、工藤彰三君、根本幸典君、小宮山泰子さん、委員矢上雅義君、高橋千鶴子さん、そして私、土井亨の八名でございます。

 このほか、現地参加議員として、篠原孝君、井出庸生君が参加されました。

 本視察は、本年十月に発生した台風第十九号により、千曲川の河川堤防、鉄道、道路といったインフラ施設に大きな被害がもたらされたため、調査を実施することとしたものであります。

 それでは、視察場所における調査の概要について御報告いたします。

 初めに、上田市諏訪形地区を視察し、上田市長、上田電鉄及び国土交通省より説明を受けました。

 同地区においては、洪水によって本来の右岸側から左岸側へと流れが変わったことにより、左岸側の堤防の侵食が進み、上田電鉄の橋梁の落下に至りました。

 現在、欠損した堤防については、国の緊急復旧工事による仮堤防が完成するとともに、落下した橋梁については、復旧に向け上田電鉄による測量調査が開始されております。

 現地においては、今後の復旧の見通しや、上田駅から城下駅間の代行バスの運行費補助も含めた復旧事業への国の支援のあり方について、意見交換を行いました。

 次に、東御市海野地区については、今回の視察箇所では、最も千曲川の上流部に当たるもので、長野県が管理をする部分となっております。護岸が大きく欠損したことに伴い、しなの鉄道上にかかり海野宿につながる市道白鳥神社線の道路橋が崩壊しました。

 長野県知事及び東御市長の要請を受けた国の権限代行による二十四時間体制の施工により、急ピッチで河川及び道路の応急対策工事が進められ、現在は完了しております。

 次に、長野市穂保地区におきまして、千曲川の堤防決壊箇所を視察いたしました。

 昭和五十八年九月の洪水による千曲川の堤防決壊を契機として、この地区では、堤防のかさ上げを行い、完成形の堤防となった上に、堤防川裏側に桜堤が住民参加で整備されてきました。

 今回の堤防決壊の原因は有識者による堤防調査委員会において調査中でありますが、大量の越水が発生したことで川裏のり面の洗掘が生じており、堤防決壊により東京ドーム二百個分の約九・五平方キロメートル、最大浸水深約四・五メートルの広大な浸水が発生しました。

 国は、堤防決壊が確認された十三日より緊急復旧に着手し、現在、決壊箇所の仮堤防とともに、当該仮堤防を囲む鋼矢板仮締切り堤防が完成しております。

 TEC―FORCEの排水活動などにより浸水は解消しておりますが、いまだ市街地やリンゴ畑には大量の泥が残っている姿を見ますと、早期の本復旧の必要性を痛感いたしました。

 最後に、穂保地区の堤防決壊により浸水被害を受けた長野新幹線車両センターを視察いたしました。

 同センターにおいては、約二メートルの地盤面のかさ上げを行っていたにもかかわらず、構内の変電所や通信機器室等の施設とともに、留置線上及び検査庫内の新幹線車両が浸水しました。

 JR東日本から、今後の同センターの復旧のあり方とともに、今回を教訓とした車両の退避手順について検討する旨の説明がありました。

 以上が視察の概要でございます。

 なお、今回の視察に当たり、私どもの調査に御協力をいただきました皆様方に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 以上でございます。

    ―――――――――――――

土井委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長野村正史君、大臣官房技術審議官東川直正君、総合政策局長蒲生篤実君、土地・建設産業局長青木由行君、都市局長北村知久君、水管理・国土保全局長五道仁実君、道路局長池田豊人君、住宅局長眞鍋純君、鉄道局長水嶋智君、航空局長和田浩一君、観光庁長官田端浩君、気象庁長官関田康雄君、内閣府大臣官房審議官村手聡君、大臣官房審議官小平卓君、政策統括官青柳一郎君、総務省自治行政局公務員部長大村慎一君、消防庁国民保護・防災部長小宮大一郎君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、大臣官房審議官諏訪園健司君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、大臣官房参事官上田弘君、農村振興局整備部長安部伸治君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官河本健一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君及び環境省大臣官房審議官松澤裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。

岡本(三)委員 皆様、おはようございます。公明党、衆議院議員岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今、委員長の視察の御報告を伺いまして、改めて今回の災害の甚大な被害を身に感じたところであります。今回の千曲川の氾濫におきましては、浸水した面積は九百五十ヘクタールに達しておりまして、これは千曲川だけではなくて多くの支流や水路の氾濫が同時多発的に起きたということが考えられます。

 政府におきましては、これまで防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策におきまして七兆円の国土強靱化が行われてきましたけれども、私、率直に言いまして、これまでの防災・減災は軸足が地震にあったのではないかなというふうに思っています。

 東日本もありましたし、今後、南海トラフや首都直下も備えなければいけないので、軸足が地震であったことが悪いと言っているわけではありませんけれども、台風十九号のようなことを経験し、今後も、同様、更に大きな集中豪雨が起きるということを想定して準備をしていかなければいけないということを考えますと、もうちょっと水害に対する備えにも軸足をしっかりと置く必要があるのではないかなと思っています。

 その証拠と言ってはなんですが、この三カ年緊急対策、全体の総予算が七兆円なんですが、治水、水害のために使われる予算は約八千億円、九分の一です。

 そういうことを考えますと、来年以降、大変水害を心配されている国民の方が多い中で、今後の防災におきましてはより水害に対する準備をしていくということが重要な課題となってくると思っていますけれども、来年以降も予想される記録的な集中豪雨に対しましてどのように対応される方針なのかということをまずお伺いしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、各地で大水害が発生しており、今後、気候変動の影響により、更に降雨量が増大し、水害が頻発化、激甚化していくことが懸念されております。

 このため、その影響を定量的に治水計画に反映させるべく、国土交通省では、平成三十年四月に気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会を設置し、先月十八日に提言が取りまとめられたところでございます。この提言等を踏まえ、国土交通省としては、社会資本整備審議会に設置された気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会において検討を開始したところでございます。

 国土交通省といたしましては、小委員会での議論も踏まえ、実効性のあるマイ・タイムラインなどの避難体制づくりなどソフト対策の充実を図るとともに、将来の気候変動の影響による降雨量の増加などを考慮した治水計画への抜本的な見直しなど、流域全体でのハード、ソフト一体となった水災害対策を進めてまいります。

岡本(三)委員 私自身も反省しなければいけないと思っています。議員にしていただいて七年になりますけれども、やはり私自身も防災・減災の軸足の七割ぐらい地震にあったように思っておりまして、これからは両足でしっかり立ちながら、事前防災のための取組を政府にも提案させていただきたいと思います。

 その上で、この十九号に関して、新聞報道によりますと、東京大学などのチームが千曲川の堤防決壊を何と三十時間前に予測をしております。このチームは、河川の地形、通常の水の量、そして気象予想に基づく今後の水の流入量、雨雲の進路等々膨大なデータを解析いたしましてシミュレーションしておりまして、驚くべきは、今回、五十九の堤防決壊のうち五十四の場所に関しまして、三十時間前に決壊の可能性が高いと予測をしております。大変すばらしいプログラムを走らせているというふうに思います。

 先日、この委員会の主要なメンバーで気象庁を訪問させていただきまして、気象庁の方々の物すごい努力、責任感、緻密な分析をお伺いいたしましたけれども、そこで私たちもこの集中豪雨の予想に必要なものは、スパコンのスペックの高さとその上を走らせるプログラムの、非常に洗練したプログラムだということを伺いましたが、どう考えても気象庁のスペックの方がスパコンに関しては大学よりはいいはずですけれども、もしかしたら、プログラムに関しては民間の新しいAI等の知恵も活用するときが来ているのではないかというふうに思うんですね。

 一方で、気象業務法では、法律で国民への民間からの洪水等の予測情報の提供は制限されています。当然です。さまざまにいろいろなチャネルで不確かな、不正確な情報が提供されてしまいますと国民の混乱を招くからだと思うんですけれども、これだけ科学技術が民間でも活用され、AIの技術の進展もあります、大学機関も非常に洗練されたプログラムを走らせているということになると、私は、ちょっと発想を変えて、気象庁が民間のさまざまなそういう知見を取り込んで活用して、気象庁の中でまとめて一括して提供するように、気象庁が今までうちが一番だからほかの話は聞かないみたいなスタンスだったと全く思っていませんが、今後は民間のさまざまな知見を活用しながら気象庁の情報として提供していくというスタンスが必要なんだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

関田政府参考人 お答えいたします。

 気象や洪水の予測に関連する技術につきましては、気象庁以外の大学等の研究機関や民間事業者においても最先端の研究開発が行われているということは認識させていただいております。

 こういった新たな予測技術につきましては、研究開発を実施しております各機関と連携を図り、その予測の精度や有効性を検証した上で、国が発表いたします気象や洪水に関する情報の充実を図るため、その活用に向けて検討してまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 ぜひお願いします。

 先ほど申し上げたように、これは一つの例ですが、この東京大学のチームは、もう一度申し上げますが、五十七カ所の実際に決壊した場所のうち五十四カ所を三十三時間前以前に可能性が高いと予想していますので、ぜひひとつ、ここも対話のカウンターパートとしながら今後進めていただきたいと思います。

 続きまして、一つ国土交通省にお礼を申し上げたいんですけれども、私、この委員会で十月三十日に質問に立たせていただいたときに、国交省のホームページに行きますと「荒川氾濫」というフィクションの映像が流れておりまして、こういうふうな状況になるので事前にマイ・タイムラインも含めて準備を進めてくださいという物すごいリアルな映像があると。

 私も見たんですが、それを見たら水害に備えなければいけないなという気持ちになりますけれども、残念なことに、その映像には文字情報がないんですね。ですから、耳の不自由な方は、その映像を見ても怖いなと思うだけで、自分が何をしなければいけないかということがイメージできません。

 ですから、ぜひ文字情報をそこにつけてくださいとお願いをしたんですけれども、何と一週間後にはもうつけていただいておりまして、まだまだこのほかの映像にも文字情報をつけていただきたいものはたくさんありますけれども、お願いしたことを真摯にすぐ対応していただいたことをお礼を申し上げたいと思います。

 その上で、今回、十九号では、那珂川や久慈川など、国交省の河川事務所で氾濫発生情報を出さなかった事案が出ています。第一義的には、現場が混乱していたと言われていますけれども、そんなことが理由で情報が提供されないようなことがあってはいけないと私は思っています。

 国交省の中で徹底した原因究明をすることが必要だと思いますけれども、現在検証チームを立ち上げているそうですが、犯人捜しということではなくて、何が原因だったかというその仕組みをしっかりと明確にして、今後同様なことが起きないための対策を立てたいという意味で御質問させていただきますが、この検証結果、いつ出るんでしょうか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 台風第十九号において、住民の避難行動にとって重要な情報の一部が提供できなかったことにつきまして、深くおわびを申し上げます。

 台風第十九号では、洪水予報河川の那珂川と久慈川において氾濫発生情報が発表されない事例がございました。現時点で考えられる要因としては、今回の台風第十九号では非常に広範囲で同時多発的に氾濫が発生したことから、職員の作業を並行して実施する必要があったということが考えられます。

 こういった課題を検証し、対応案を検討するため、国土交通省水管理・国土保全局と気象庁による河川・気象情報の改善に関する検証チームを設置し、十一月十四日に第一回会議を開催したところでございます。検証チームでは、今回のような同時多発的な災害にも対応できるよう、災害時の体制のあり方、効率的な作業手順、それを支えるシステムの見直しなどを検討してまいりたいと考えております。

 今後、ワーキンググループ等の開催をし、政府全体の検証作業とも連携しながら、今年度末までに改善策を取りまとめてまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 たまたま冬だからいいですけれども、初夏でこれからも物すごい集中豪雨があるような状況で、もうあの十九号から二カ月たとうとしているのに、これから考えていきますみたいなことって本当に残念な答弁だと思うんですね。それぞれの河川事務所に働いていらっしゃる方って何百人もいるわけじゃないので、一人一人、その事情、状況を聴取しても、そんなに時間がかかるわけではないので、これは真剣にお願いしたいというふうに思います。

 ほかの質問もしたいので、質問はここで取りやめますが、ぜひちゃんとやっていただきたいと思います。

 何でこの質問をさせていただいたかというと、いまだに河川氾濫の情報を出すときに目視が基本だとかおっしゃっている方がいるんですね。物すごく水位が上がったときに国交省の職員の方が命がけで見に行くみたいなことが絶対あってはいけないし、しかも、住民の方から氾濫していますよという電話が仮にあったとしても、その電話がいたずらかもしれないし、もっとちゃんとした体制をつくった方がいいと思っているんです。

 それで、確かにたくさんカメラは備え付けられていますけれども、たらればですけれども、百メーターごとに全ての河川にカメラがあって、今、技術も進んでいるので物すごい小さなカメラで高性能で、それぞれの河川事務所が高速道路の本部みたいにカメラをばあっと映像で見ながらチェックするようなことがあってもいいような状況に、気候変動はたどり着いているのではないかなというふうに思います。

 国交省も同じ思いを持っていらっしゃるというふうに感じていますが、例えば、私、東京都北区の荒川のすぐ隣、岩淵水門のすぐ隣の志茂というところに住んでいるんですけれども、その横に一級河川が二つ流れています。一つは荒川で、一つは新河岸川。隅田川の上流のところを新河岸川と呼んでいるんですけれども。荒川の地域には、同じ一級河川なんですが、カメラがたくさんあります。新河岸川には一つもないんですね。

 けれども、どっちが氾濫したって住民は水浸しになるわけなんですけれども、何でかとよくよく考えますと、荒川は国管理で、新河岸川は東京都管理なんですね。どっちがどうということではなくて、東京都がちょっと対策が、後手というふうに私は言いたいわけではなくて、どこがどういうふうに管理されていても、物すごく緻密に川の情報を監視していくようなことが必要なんだというふうに思っているんです。

 政府は、重要インフラ緊急対策として、監視カメラの設置の二分の一の補助を実際にやっていただいています。ただ、地域のところでおくれているというのは確かで、これは東京だけではなくて他の都道府県でも、国管理のものと自治体管理のものではかなり差がある、防犯カメラの設置の状況に関して差があるということをよく聞きます。

 今回、補正を組まれる可能性が高いというふうに認識していますけれども、今後、都道府県が特に設置をしていただくような後押しをするために、助成の金額をしっかりと補正の中に計上をして、中小の河川であっても監視カメラの設置が進むように対策を講じるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 済みません、今の御質問にお答えする前に、先ほどの那珂川、久慈川での最終的な氾濫発生情報が出せなかったことの局長の答弁で十一月十四日に第一回の会議を開催したというのは、このことの事案についてちょっと誤解があったんじゃないかと思うのでもう一度説明させていただきますが、これは大変重要な事案なので。

 まず、那珂川でそうしたことが発生した日に、私は記者会見で省を代表しておわびを申し上げ、その日のうちに、那珂川の現地と大井川県知事のところにも足を運んで、現地を視察した上でおわびをしたわけでございます。

 そうした中で、当然、なぜ起こったのかということは、関東地方整備局中心にさまざまな議論と分析はやっていた。二月間、別にほっておいたわけではなくて、先ほど言った十一月十四日の第一回の会議というのは、そのほかに、さまざまな情報の発信のあり方、例えば、NHKなんかでもよく指摘されているんですけれども、大雨特別警報を解除した後に洪水が来るというタイム差についてどうなんだとか、また、「川の防災情報」のホームページにアクセスが集中してつながりにくくなったというようなこととかさまざまなことがあって、また、地方自治体との、茨城県以外のところでも、連携の中で混乱が生じたということも踏まえて、そうしたことを踏まえて、今、全体的な気候変動による新たな防災対策の見直しの一環の中でこうした会議を開催したということでありますので、二カ月間ほっておいたということでは当然ないわけであります。

 ちょっと補足して言いますと、氾濫が起こったという最後の情報を発出するにはやはり確認をしなきゃいけないので、大井川知事からは、真夜中の段階でその確認をすること自体、省員の結構リスクもあるので、先ほど岡本議員からも言っていただいたんだけれども、そうしたことも踏まえて、本当にどうあるべきかということをもう一度お互い議論して考えていきましょうというようなお話もいただいたということを、ちょっとつけ加えて申し上げたいと思います。

 今の水位計ですとか監視カメラについてでありますが、このことは実際御指摘どおりでございまして、平成三十年七月の豪雨で、中小河川でリアルタイムに洪水時の状況を把握する手段がない、結局、住民の皆さんの避難行動に重大な影響を与えてしまっている、そうした大事な情報を発信することができなかったということで、水位計とか河川監視カメラの増設を進めているところであります。

 なるべく多くつけたいということで、例えば、夜間でも月明かり程度の明るさで静止画の撮影が可能な簡易型のカメラも開発させていただいて、今、令和二年度末までに全国で約二千カ所の設置を進めているところでございますけれども、今回、台風十九号を中心に、河川の氾濫状況、いろいろなことが指摘されておりますので、こうしたことを踏まえて、更に設置の箇所数をふやしていくために必要な予算の確保に努めて、人家への影響が大きい箇所からになると思いますけれども、中小河川中心に簡易型のカメラを設置するべく、しっかりと充実を図っていくように取り組んでいるところでございます。

岡本(三)委員 大臣、補足の説明ありがとうございました。

 続きまして、ちょっと時間の関係で、ダム運用の見直しについては答弁をお願いせず、ちょっとお願いだけさせていただきますが、昨日、政府は、台風十九号の被害を踏まえまして、ダム運用の見直しに向けた関係省庁会議を、第一回会合を開催されました。

 ダムの目的、当然、利水と治水とあるわけで、この利水と治水のバランスの中でさまざまジレンマがあるんだと思うんですけれども、やはり、気象予想が非常に正確になっている昨今、三十年前と比べると、もうちょっとダムの運用を私自身も柔軟にした方がいいというふうに思っておりまして、大規模な集中豪雨が予想されるときには、一週間ぐらい前からダムの水の放水を早目早目にやって水位を下げて、どういう集中豪雨が来ても十分に対応できるような運用、また、その利水とのバランスも今後ぜひ御議論をいただきたいと思います。

 御答弁を準備していただいていた方、本当に申しわけありません。ちょっと次へ行かせてください。

 十月三十日、この委員会で質問させていただいてお願いをしたもう一つに、荒川調整池の整備促進があります。荒川の氾濫を防ぐために、その上流でありますさいたま市に調整池をつくっていただいておりまして、今回、第一調整池が機能していて、台風十九号のときにはそこに三千五百万立米の水をためたことによって、荒川の水位というのはかなり抑えられることができました。

 私が荒川の隣に住んでいるからではないんですけれども、率直に思うんです。事前防災として東京を守るということだけではなくて、もし東京が大きな水害に見舞われて電気も走らなくなったときに、仮にほかの地域で大規模な災害が起きたときに、その災害から命を守るために適切な指示が出せるだろうか、運用ができるだろうかということをいつも思います。

 だから、首都集中というのを、もっと分散しなければいけない議論はそのとおりだと思いますけれども、現実としていろいろなものが東京に集中している今、東京が洪水で水浸しになったら日本じゅうが守れないというふうな状況になってしまうおそれが十分にあるんじゃないかと思うんですね。

 その意味で、東京をしっかりと守るということは日本を守るということだというふうに、現実的にそうなってしまっていると思います。

 この荒川が、想像を絶するような集中豪雨が来たとしても守るためにということで、さいたま市の第一調整池の横に第二、第三調整池の建設を今進めていただいています。ただ、環境アセスにも時間がかかります。地域住民の方とのさまざまな議論もあります。予算もあります。物すごい時間がかかること、お金がかかることはわかるんですけれども、何と、この第二と第三ができなければ東京は本当に心配なんですけれども、第二、第三の調整池が完成するのが令和十二年なんですね。

 物すごい時間がかかるのはわかるんですが、例えば環境アセスもさいたま市ともうちょっとさまざまな議論をいただけないか、予算も早目につけていただけないか、そこを利用されている地域の方ともさまざまな会合の回数を早目に多く持っていただけないか。

 ちょっとずつ縮めて、一年でも二年でも五年でも早目につくっていただいて東京を守っていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 今回の台風十九号で、私も視察をさせていただきましたが、荒川上流域の越辺川ですとか都幾川で決壊や浸水被害が発生したわけでありますけれども、この上流のダム群、先ほどお話ございました荒川の調整池また岩淵水門などの治水施設が効果を発揮しまして、洪水被害の軽減に寄与したということでございます。改めて事前防災対策の重要性が認識されたところでございます。

 また、今お話しのとおり、この荒川第二、第三調整池は、首都圏の甚大な被害防止のための効果が大きく、また、当然首都圏は我が国の中枢機構でありますので、中枢機構を守るためにも早急に整備をする必要があるということは、今回の災害を通して改めて認識を強くさせていただいたところでございます。

 本事業、今、さいたま市の条例に基づいて環境アセスの手続また用地の調整、取得などを進めているところでございますが、従来のテンポではなくて、こうしたことがいつどこであっても不思議ではないような状況でありますので、今御指摘のとおり、でき得る限りプロセスを加速できる範囲は精いっぱい加速して、関係者の御協力もいただきながら、事業を一日も早く完成することを目指していきたい、こう考えております。

岡本(三)委員 ぜひお願いいたします。

 最後に、私、十一月一日に、障害者四団体の皆様とともに赤羽大臣に面談をしていただきました。

 その際に、本当にバリアフリーを実現できるようなハード、ソフト対策を加速度的にやっていただきたいということをお願いいたしました。来年、二〇二〇で世界じゅうから障害を持った方がいらっしゃったときに、日本は障害者の方にとっては後進国かと言われることがないようにということで、二つお願いをしたんですね。

 一つは、障害者の方が鉄道を利用するときに、一番初め、ICカードで入られます。ただ、割引を受けるために、おりるときに障害者手帳を見せて、そして駅員の方に手続をしていただいて割引をしていただくんですけれども、関西では、ICカードの中に障害者の方の情報がもう入っていて、入るときも出るときもピピッで出られます。関西でできて東京でできないということはおかしいので、国土交通省からぜひ御指導いただきたいということが一つ。

 もう一つは、電車に乗るときに、私もよく目にしますけれども、駅員さんが移動型のスロープを持っていって、そしてそれをつけて車椅子の方が乗りおりをされます。車椅子の方も、三十分前に駅に行って、忙しい駅員さんにお願いするのも心苦しいと。駅員さんも忙しいんです。電車も動くし、重みで上下があるのでスペースが必要なのはわかりますけれども、もうちょっと工夫をして一人で車椅子の方が自由に乗りおりできるようなことができないと、エレベーターがついてもバリアフリーができているとは言えないと思うんです。

 対話の中で、赤羽大臣からは、大臣御自身がこういうことを議員のときに進めていらっしゃったので前向きに取り組むというようなことを言っていただきましたけれども、本当に申しわけないんですが、議事録で言質をとりたいので、大臣の口からどういうふうに進めていただけるか御答弁をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 十一月一日の日に、岡本議員始め皆さんの御尽力で障害者団体の代表の方とお会いすることができ、話を聞かせていただきました。

 私自身も当選以来、もう二十六年になりますが、バリアフリー社会の構築について一生懸命やってきたというふうに思っております。

 改めて、来年、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの最大のテーマは、レガシーとして何を残すか。バリアフリーというか、共生社会の構築ということが一番求められているということは、国土交通省として所管の関係事業団体にもしっかりと宣言をしていきたい、こう考えております。いいかげんなことは許されないというぐらい強く申し上げておきたい。

 一つ目のICカードにつきましては、御指摘がありましたので、先日、十一月十五日に当該ICカードを導入していない関東圏の鉄道事業者三十三社を集めて、関西圏で実施されているようなやり方で導入を進めるようにという検討を求めたところでございまして、これがどう進捗するかというものをしっかりと責任を持ってフォローしていかなければいけない、こう考えております。

 二つ目の、車椅子の使用者の方が単独で列車に乗降できる環境づくりというのは大変重要だというふうに思っておりますが、なかなかこれが進んでこなかったというのは、段差、すき間の具体的な整備の目安値が定まっていなかったということが原因だというふうに思っておりまして、実は昨年の十月から、このことについて、学識経験者、障害者団体、鉄道事業者等から成る検討会を立ち上げさせていただきまして、実証試験等を通じて議論を行ってきたところでございます。

 本年八月に、車椅子使用者が単独乗降しやすい段差とそのすき間の目安値を取りまとめたところでございまして、例えば、コンクリート軌道で直線のホームという条件では、くし状ゴムの活用などにより、段差三センチ、すき間七センチというのが安全な目安値だろうということの報告が出ております。

 こうしたことを受けて、できるだけ多くの鉄道事業者でこうしたことの目安値に合った改善を進めていって、二〇二〇年東京オリパラについては、世界じゅうの障害を持たれている方が来られても不自由な思いをさせないようなしっかりとした共生社会をつくれるように、全力を挙げて取り組んでいきたい、こう考えているところでございます。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたけれども、映像に字幕をつけてくださいというふうにお願いをしたら一週間でつけていただいたり、障害者の方にただ会うだけではなくて、会ったときにしっかりと一人一人のお話を聞いていただいて、それ、やれるでしょうというふうに大臣から役所の方に御指示をいただいたり、今の御答弁でも非常に決意のこもった、約束ともとれるような御答弁をいただいたり、本当にフットワーク軽く、手の打ち方が速い国土交通省だなということを思っておりますので、職員の方々にも感謝をするとともに、国土交通委員会のメンバーとして、より安全な、住みやすい日本をつくるためにともに頑張ってまいりたいということを決意して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、簗和生君。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 台風十五号そして台風十九号等によりまして、被災をされそしてお亡くなりになられた皆様方に心からお悔やみを申し上げ、そして、被災された全ての皆様に改めてお見舞いを申し上げる次第でございます。

 本日は、この被害の影響の復旧の取組について質問をしてまいりたいというふうに思います。

 栃木県では、台風十九号によりまして、県内全域と言ってもいい広範にわたりまして甚大な被害が発生をしました。地元の六の自治体においても非常に多く被災箇所がございまして、現場を回って話を聞いてまいりました。

 その中で、やはり一番大きいのが、二度と同じ被害を繰り返さないように、復旧に当たってはそうした観点から万全の復旧工事をしてもらいたいというようなお話でございました。そして、最も私が心に痛く思ったのは、一九九八年に那須水害というものがございましたが、そのときに指摘をしたその工事をしてくれなかったので今回もまた同じ被害が起きてしまったんだよということを言われたときでございました。

 こういう観点から、今回の復旧に当たりましては、いわゆる改良復旧、しっかりと機能向上をして、同じような大雨等にさらされても同じ被害は起こさない、再度災害を防ぐ、そういう観点からの復旧事業を行っていただきたいということでございます。

 そこで、今回、地方自治体等が管理する河川等に関しても、災害復旧の中で、この改良復旧、こういう事業を活用して実施ができる、その制度自体は持っておりますので、こうしたものの周知、そしてそれをしっかりと徹底をして、地方がこの事業を実施してもらう、それに当たっての今回の国交省の一連の対応、それから、現在の改良復旧の活用状況等について、現状の今の認識を伺いたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地をより災害に強く安心できる地域にしていくためには、原形復旧のみならず、例えば河川においては堤防のかさ上げや川幅を広げるなど、機能を強化する改良復旧事業を行うことは極めて重要であると認識しております。

 国土交通省においては、自治体に対して、平時より改良復旧を含む災害復旧事業について出前講座や研修会等を開催しております。また、発災後の十月十八日に、改良復旧事業の活用について文書により通知するとともに、派遣をしているリエゾンを通じ被災自治体に周知の徹底を図っているところでございます。

 現在、被災自治体において復旧に向けた計画を立案中であり、国土交通省としては、被災自治体の要望を踏まえ、改良復旧に関する周知も含め災害査定官がさまざまな助言を行うなど、改良復旧事業が適切かつ積極的に活用されるよう引き続き全力で支援をしてまいります。

簗委員 発災後すぐに文書で発出していただいた、通知を発出していただいたということは、非常に効果的だったというふうに思っております。

 引き続き、災害査定を進める中で、地方がしっかりとこの制度を活用して、改良復旧、一つでも多くそういった事業が進むように支援をお願いしたいというふうに思っています。

 特に地元では、大田原市においての蛇尾川、約百五十メートルにわたって堤防が決壊をしています。また、那須烏山市における荒川というところも三カ所堤防が破堤したという状況があります。こういったところ、非常に改良復旧での復旧のニーズが高いものですから、しっかり支援をお願いしたいというふうに思います。

 それで、もう一つの論点ですが、今回、やはりこれまでの想定の水位を上回る大雨が降って影響が生じたんじゃないか、そうした声でございます。

 実際に、那須烏山市においては、これも、一九八六年に茂木水害、先ほど申しました九八年は那須水害というものがありまして、非常に浸水被害が、住宅、多かったんです。今回も那須烏山市においては、約二百の住家が床上、床下合わせて浸水被害を受けています。実際、現場を見に行くと、やはり、茂木水害のときはここだった、今回はここまで上がったということで、明らかに、実際に私が見ても浸水被害が高いところまで上がっているという状況がありました。

 すなわち、これまでの想定を見直して、今回の復旧に当たっても、再度災害を防ぐという観点から対策を講じなければいけないというふうに思っております。

 そこでお伺いをしたいんですが、那珂川水系の河川整備計画というものが従前からございます。今回、那須烏山市において被災をした向田地区あるいは宮原といった地区は、この計画の中で、那珂川中流部の治水対策ということで対策の実施が計画をされていたわけでありますが、実際にはまだ具体的な対応は未着手でございました。

 これはやはり理由があって、那珂川水系、延長が百五十キロありまして、栃木県から茨城県まで流れておりますので、対策を下流からやっていくという観点ではどうしてもやはり対応がそちらの方から成っていくということで、そういう事情もあったんだと思います。

 しかし、今回のこの被害を受けて、より積極的にこの対策を打っていかなければいけないでしょうし、また、先ほど言ったように、整備計画の見直しも含めて対応していかなければいけないというふうに思っております。

 こうした観点から、現状の整備計画が住民の期待に応え得るような適切なものであるかどうか、これを改めて確認をしてもらうとともに、対策を講じるに当たっては、短期間ですけれども、この水域全体を、しっかりと全体を見て、継ぎはぎ的にではない対策を講じる必要があると思いますが、現状の認識と取組の状況について伺いたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の台風第十九号により、那珂川では、水系全体の洪水防御の代表地点として設定した野口基準地点より上流域の平均雨量が、戦後最大の流量を記録した昭和六十一年八月洪水を上回るとともに、野口基準地点の水位は観測史上最高を観測しております。

 この豪雨により、国の管理する堤防が三カ所、栃木県管理の堤防が九カ所、茨城県管理の堤防が二カ所で決壊するなど、甚大な被害が発生いたしました。決壊や越水した箇所において、その原因分析も踏まえ、今後、再度災害防止をするため、那珂川全体の治水安全度を高める治水対策を検討していく必要があると考えております。

 このため、今回の洪水による堤防等の被災状況や流量規模等を確認した上で、有識者による現行の河川整備計画について点検をしていただく会議を開催する予定としております。その結果を踏まえ、地域の意向等も確認しながら、計画の見直しについて検討を進め、地域の安全度の向上を図ってまいります。

簗委員 今、見直しも含めということでございますので、ぜひ、より抜本的な見地から今回検討をして、万全の対策を講じていただきたいというふうに思います。

 この那須烏山市は非常に、先ほど、床下、床上が多かったということでありますが、さらに、浄水場も、非常に地形的に低いところにあるものですから今回被害を受けまして、全体の世帯の約四割に当たる四千戸が断水になりました。

 そういうこともありますので、復旧に当たっては、改良復旧で再度災害防止に努めていただきたいと思いますが、その点から御答弁をお願いしたいというふうに思います。

五道政府参考人 那珂川を含む被災した河川の復旧に当たっては、洪水時の水位を下げ、安全かつ確実に洪水を流すことが最も重要であり、再度災害防止の観点から、各河川の特性や流域の状況を踏まえ、原形復旧のみならず、機能強化をする改良復旧を適切かつ積極的に活用することが重要であるというふうに考えております。

 今後、那珂川水系の治水対策の立案に当たっては、国、県、市町と連携し、河道掘削や遊水地などさまざまな手段を適切に組み合わせた検討を行い、被災地の復旧復興のため、引き続き全力で事業を進めてまいります。

簗委員 ぜひお願いしたいと思います。特に那須烏山市においては、下境、向田、城東、宮原といった地区、毎回水害に遭っています。ぜひお願いしたいと思います。

 次の質問に移りますが、ダムのお話でございます。

 異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流というものですが、今回も、発災後いろいろな報道において、先ほどもちょっと質問がございましたけれども、事前に十分な量を放流をして治水機能を最大限に活用できていたのかといった報道がなされていました。

 これについては、国交省もしっかりと実際のところを説明をして、しっかりやっているということであればそれはちゃんと周りに話をしていかなければいけないと思いますので、改めて、今回六つのダムが緊急放流したということでございますが、事前の放流、これをどのように対応して、水位を事前に下げられるところまで下げていたのか、この現状の実際のところをお話を伺いたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 台風第十九号では、国土交通省が所管する百四十六のダムにおいて洪水調節を実施しておりますが、そのうちの六ダムでは洪水調節容量を使い切る見込みとなり、ダムへの流入量と同程度の放流量とする緊急放流、異常洪水時防災操作に移行したところでございます。

 一方、洪水が始まる前には、洪水調節に利用する容量を増加させるため、水位が下がっていた一つのダムを除く五つのダムにおいて、二日、三日前から水位を下げる操作を行っているところでございます。

 事前に水位を下げる放流には、洪水時の治水のための計画を実施する予備放流と、利水者の協力を得て実施する事前放流の二種類があり、これら五ダムでは、そのいずれか、また両方を行っているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後とも、関係利水者との調整を行い、事前放流のための実施要領の策定を促進することなどにより、事前放流の取組を促進し、洪水被害の軽減に努めてまいりたいと考えております。

簗委員 五つのダムで、予備放流、事前放流のいずれかを対策として講じていたということでございます。

 ただ、今回のこの六つのダム、私のところも塩原ダムというのが含まれておりますが、この今回のダムにとどまらず、全体を見ると、まだまだやはり、先ほどお話にあった、利水者との調整の中で実施要領というものを策定して、事前にちゃんと調整をした上で最大限放流ができるようにしておく、そういう取組についてはまだ十分ではないというふうに思っております。

 そこで、具体的な数字を伺いたいんですが、この実施要領の策定状況、これについてお伺いしたいと思います。管理者別にあると思いますので、その内訳もお願いしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 利水者の了解を得て事前放流の実施要領を定め、実施体制を整えたダムにつきましては、現在、国土交通省が所管する五百六十二ダムのうち五十四ダムとなっております。管理者別といたしましては、国が管理する百一ダムのうち二十二ダム、水資源機構が管理する二十三ダムのうち五ダム、道府県が管理する四百三十八ダムのうち二十七ダムとなっております。

簗委員 今伺うと、全体の十分の一にも満たないという状況でございますし、特に道府県管理が非常にまだ策定が進んでいないという状況でございますので、この取組をもっと本気で加速化していただきたいというふうに思います。

 最後にお伺いしますけれども、この実施要領の策定も含めて、実施体制の整備を進める上での課題としてどんなことを認識しているか、そして、事前の放流の実施の拡大に向けて具体的に今後どのように対応していくか、伺いたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 降雨が予測される場合には、ダムにおいてできる限り水位を下げ、洪水調節するための容量を確保していくことは有効な手段であり、国土交通省といたしましても、事前放流の取組を推進していきたいというふうに考えてございます。

 事前放流については、利水容量の一部を洪水前に放流するものであるため、利水者の御理解と御協力が必要であり、台風等の通過後も貯水位が回復しないおそれがあることなどが、利水者との合意を得る上での課題となっているところでございます。また、ダムによっては施設の改良が必要となるものもあります。

 こうした中、昨日には、既存ダムの貯水容量を活用して洪水調節機能を強化するため、関係省庁が密接に連携して取り組むため、関係省庁で構成される、既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議が開催されたところでございます。

 国土交通省といたしましては、事前放流のさらなる拡大に向けて、この検討会議を通じて関係省庁と連携を深めつつ、関係利水者との調整を行うとともに、水位回復の予測技術の開発や地方公共団体との連携などの取組を進めることにより、洪水被害の軽減に努めてまいりたいと考えております。

簗委員 ぜひしっかりとお願いしたいと思います。

 続きまして、観光の関係のお話になりますけれども、今回の台風十五号、十九号の影響によりまして、非常に、宿泊予約のキャンセル等、観光需要の落ち込みが顕著に発生をしております。

 栃木県全体でも約一万二千五百件のキャンセル、これは県の発表ですけれども、そのように報告されています。また、地元の有数の観光地である那須、那須町においても、今回大打撃となりまして、秋の行楽シーズンの観光客入り込み数は、宿泊キャンセル等の影響で過去十年で最低を記録しているということで、町から発表がされております。

 そういう状況でございますので、今回、この需要の落ち込みに対してしっかりと国として支援をしていただきたいということで、いろいろな要望もいただいて、対策パッケージをまとめていただいたという経緯がございますが、改めて、今回のこの落ち込みに対して、回復させる取組の現状を観光庁から伺いたいと思います。

田端政府参考人 今般の令和元年台風第十五号及び第十九号の被害により、被災地域においては相当程度の宿泊予約のキャンセルが生じているものと承知をしており、観光需要の喚起が重要であると考えております。

 このため、被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ、十一月七日に決定をいたしましたが、これに基づきまして、旅行者に各地域を安心して訪れていただけるよう、観光庁及び日本政府観光局のホームページやSNSにおいて、交通アクセスを含めた観光地の状況について情報発信をまず行っているほか、海外メディアを活用しました地域の魅力の戦略的な対外発信に向けて取り組んでおります。

 また、被災地域におけます一泊以上の旅行・宿泊商品を対象に、旅行・宿泊料金を一人泊当たり最大五千円の支援を行うこととしており、現在、地方公共団体や旅行会社等への説明会の開催や、また、円滑な制度運営に向けました意見交換を行うなど、関係者と連携の上、旅行・宿泊商品の早期の販売開始に向けて取り組んでいるところであります。

簗委員 対策パッケージとして打ち出していただいたということで、これは早急に実施ができなければ意味がありませんので、今、秋の行楽シーズンですし、また、今度は年末年始のハイシーズンが参ります。すぐに実行できるように地方とも連携をしていただきたいと思います。

 その上で、プロモーションですとかふっこう割というのは過去の災害でも実施をしていただいていると思うんですけれども、どのような効果を検証できているかということを確認したいのと、また、それを踏まえて、今回、被災地の観光産業を真に支えていくという意味で、実効性のある対策にしていく上でどんなことを考えていくのか、改めて伺いたいと思います。

田端政府参考人 ふっこう割やプロモーションにつきましては、昨年の平成三十年七月豪雨や北海道胆振東部地震の際にも実施をしてきていますが、延べ宿泊者数が前年と同程度かまたそれ以上まで回復するなど、発災後急激に落ち込んだ観光需要を喚起する一定の効果があったと認識をしております。

 今回のふっこう割やプロモーションについても、その効果が最大限に発現されるように、地域の御意見をしっかり踏まえながら、地方公共団体や日本政府観光局、また旅行業界など幅広い関係者と連携することが重要であると考えております。

 引き続き、被災地はもちろん、我が国全体を含めた観光需要の喚起に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

簗委員 十一月七日に対策パッケージをまとめていただきまして、その後また、これは地方に、都道府県にお金を交付するものですから、その中で、地方が今度、補正予算を組んで議会を通してなどとやっていると、一、二カ月かかっちゃうようなケースもあるものですから、今後、課題として、打ち出した対策をすぐに実施できるような、そんな改善も含めて、よりよい制度にしていただければと思います。

 次の質問ですけれども、国土交通省の人員の不足の状況、これは非常に大きな問題だというふうに思います。

 地方の河川事務所の出張所等の現場の職員、人員が十分ではなく、非常に災害時は大変な状況を強いられているということを聞いています。地方整備局、開発局の定員は一貫して純減が続いていて、このまま純減が続けばTEC―FORCEの派遣にも影響する可能性も指摘をされているという状況でございます。河川出張所、道路出張所は、出水時に二十四時間体制で河川等の状況や管理施設の状況を確認して、関係者との連絡調整、対応指示等に当たっているわけでございまして、ここをしっかりと手厚くしておかないと再度災害を防げない、一番大きなこれからの課題だと思っています。

 そこで、改めて、今の現状、どれだけ不足しているか、ちょっと伺いたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 地方整備局の出張所は全国に六百二十七設置されておりまして、今委員お話がありましたとおり、国がみずから整備、管理する河川や道路等の巡視、点検、あるいは維持修繕工事の監督等に加えまして、災害時には、水位や雨量の監視、施設の操作、緊急対策工事の監督など、現場の最前線の業務を担当しているところでございます。

 一方、出張所の人員は、十年前には約二千三百名であったものが現在では約千八百名と、定員合理化の結果、この十年で約五百名も減少しております。また、一名又は二名の体制で組んでいるというそのような出張所が、十年前には全体の六%程度であったものが現在では三三%、三分の一を占めるにまで至っております。

 このように、出張所をめぐる状況は大変厳しいものとなっております。

簗委員 今お伺いして、一人、二人体制の事務所が三割を超えているというのは本当に大変な危機的状況だと思います。このままでは絶対に、また災害が起きたときに対応し切れない状況になると思いますので、国土交通省として、国民の生命を守る、その使命をしっかりと引き続き果たしていく上で、政治の責任として、国民の要請に応えて、現場の職員の苦労を軽減して、その職責を引き続き全うしてもらうべく、必要な手だてを講じていく必要があると思いますが、増員に向けての大臣の意気込みをよろしくお願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 御質問、大変ありがとうございます。

 私も、この一連の中で全国の地方整備局また出張所に足を運びましたが、今、簗委員の御指摘のとおりでございます。大変、本当にこの人数でよくやっているなという状況の中、二十四時間体制で回しているというのが現状でございます。

 そんな中で、今回、台風十九号では、全国の地方整備局からやりくりしながら、被災地に一日最大七百四十八名、延べでいいますと約二万八千名を超える過去最大のTEC―FORCE隊を被災地に派遣させていただいて、民間の地元の業者の皆さんと二十四時間体制で緊急排水ですとか土砂撤去、激甚災害の早期指定に向けた被災状況調査等の支援を行いながら、また、ある場合には国の権限代行による復旧工事を実施してきたところでございます。

 被災自治体の首長さんからも、異口同音に、本当にお世話になった、これからの気候変動による激甚災害の頻発化を考えると、このTEC―FORCE隊の人員はぜひ確保、充実させていただきたいというのが、ほとんど全員の方に言われているところでございます。

 定員削減の厳しい状況は今官房長から御答弁したところでございますけれども、そうした地方の声を受けて、また、国民の皆さんも、このことを大変多くの議員の皆さんからも御指摘がございますので、令和二年度の地方整備局及び北海道開発局の定員要求におきましては、前年度より百人以上上積みをして七百七十二名要求しているところでございますし、私自身も、総理、官房長官に対しましても、この点については特段の御配慮をいただかないと大変なことになるということは再三申し上げておりますので、明年に向けて、地方整備局が、現場が本当にしっかりと国民の皆さんの命と暮らしを守るという最大の使命と責任を果たせるような体制をつくるように、最大限の努力をしてまいりたい、こう決意をしております。

簗委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 では、最後の質問になりますが、今のは人員の増員のお話でした、今度は全体としての予算の増額のお願いでございます。

 頻発化、激甚化する自然災害から国民を守るためには、今般の台風被害を踏まえた課題を徹底的に検証をして、中長期的なインフラ整備方針や計画を定め、それを着実に実施をしていくことが肝要であるというふうに思っております。三カ年計画はもとより、そして今回の災害復旧も確実に進めること、これは当然ですけれども、それ以外のところで、事前防災の観点から、今般被害が発生していないところも、その可能性のあるところはしっかりと対策を講じていく必要があると思っています。

 とりわけ感じるのが、今全国的にこれは課題だと思うんですが、河川の河床が非常に上がってきて、その対応が、掘削等ができていない、放置されているという状況があると思います。予算的に非常に厳しい状況が特に地方にあると思うんですが、これをやはり、治水の基本として水位を下げるというのが基本でしょうから、まず、全国的に河道を掘削してしっかり河床を下げるという支援を国として重点的にやるべきだというふうに思っておりますが、現状認識はいかがなものでしょうか。

五道政府参考人 治水対策におきまして、河川の水位を低下させることが最も重要であり、早期に対策可能である河川の掘削は重要な手法の一つというふうに認識しております。

 都道府県が管理する河川につきましては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策により、氾濫による危険性が特に高い区間等において河道掘削や樹木伐採等を、令和二年度までの完了に向け、重点的に支援しているところでございます。

 また、今回の台風第十九号における河川の合流点付近の決壊などによる甚大な被害を踏まえ、河道掘削などの事前防災対策を今後更に推進していく必要があると考えており、予算の確保に努めつつ、都道府県が管理する河川における対策をしっかり支援してまいります。

簗委員 もう時間が来ましたので、最後に、大臣に改めて、国民の要請に応えて、今後の防災・減災、国土強靱化を着実に実行していく上での予算を飛躍的に増大させる、その上での御決意を御表明をお願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 今回の一連の災害を見ましても明らかなように、近年の気候変動による災害の激甚化、頻発化、それによって被害の甚大化が大変深刻な状況になっているということでございます。

 緊急三カ年対策はしっかりと推進すると同時に、気候変動に合わせた抜本的な防災・減災対策を今省内で検討して、来年の夏ぐらいにはお示しできると思いますので、そうしたことにおいて、各地方自治体においても、それぞれの中長期的な防災・減災対策ができるように十分な予算の確保と、同時にまた、ハード面だけではなくて、ハード、ソフト一体となり、また、国、県、市、連携しながらの、国民の皆様の命と暮らしを守れるような対策をしっかりと講じていこう、こう考えているところでございますので、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。

土井委員長 簗君、時間が終了しておりますので。

簗委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 では、これで終わります。引き続きよろしくお願いします。

土井委員長 次に、田所嘉徳君。

田所委員 皆さん、おはようございます。ただいま指名されました、茨城一区選出、自民党の田所嘉徳でございます。

 私の地元も今回の台風災害では深刻な被害を受けましたので、質問の時間をいただいて本当に感謝をいたしているところでございます。

 令和新時代を迎えて、平成を振り返りますと、戦争のない、よかった時代でありますが、一方で、自然災害の厳しさが大変見せつけられた、そういう時代だったというふうに思います。

 令和新時代は災害のない、穏やかないい時代になってもらいたいというふうに思うわけでありますけれども、即位礼のパレードが延期されるような、そういう象徴的なこともありましたが、自然の営みはまさに人知の及ばないもので予測不可能であります。そういう中で、しっかりとした対策をするということが大変重要だろうと思っております。

 寺田寅彦は、戦争は外交で回避できるかもしれませんけれども、最後通牒もなく突然襲う自然災害は国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしいものはないと言っております。さらに、文明が発展していけばいくほどその被害も甚大になっていくということを言っておりますが、まさに至言であるというふうに思っております。

 令和新時代をいい時代にするためには、これはまさに一丁目一番地が災害に強い国づくりだろうというふうに思っているわけであります。

 そこで、先ほどの決意の中でも、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策、これもしっかりと進めていくということが表明をされました。しかし、先ほど岡本委員からも指摘がありましたが、どうも水の対策の割合が低いということもございましたが、それとともに、これは緊急点検やあるいは既往の点検に基づいて配分されていますので、非常に自由度の低いものであります。ですから、そういう点をちょっと考えながら効果的なものにしていかなければならないというふうに思っております。

 三カ年で七兆円、さらには通常分で四兆円ぐらい国土強靱化というものには予算化がされているんだと思っておりますが、まさにこれには大変なお金がかかるということでありますので、的確な執行あるいは配分というものが重要だというふうに思っております。

 私は、平成二十七年の関東・東北豪雨、鬼怒川沿川を選挙区としております。そして、今般の台風十五号、十九号でも被害を受けたところでありますので、その現実の状況を踏まえて聞いていきたいと思っております。

 関東・東北豪雨では、避難の情報が出されなくて、四千三百人の逃げおくれができてしまったということであります。そういう中で、その後の平成三十年七月豪雨を踏まえて、ことし三月に避難勧告等に関するガイドラインが改定をされまして、レベル一からレベル五までの警戒レベルの制度が導入をされました。

 今回の台風十九号において避難の実効性向上にどんな効果があったのか、この新しい変更についてお聞きをしたいと思います。

小平政府参考人 お答えいたします。

 今先生おっしゃいましたように、ことしの三月にガイドラインを改定いたしまして、避難に関する情報であるとか防災気象情報などの防災情報を、災害の切迫度に応じて五段階に分けて、わかりやすく提供するということをしてございます。具体的には、警戒レベル三で高齢者等避難、警戒レベル四で全員避難ということを呼びかけをしてございます。

 ただ、先生がおっしゃいましたように、ことしの台風十九号では百名に近い死者、行方不明の方が出たというのは事実でございます。その中では、報道等によりますと、自宅で被害に遭われた高齢者の方、また、屋外、特に自動車での移動中に被災された方々が多かったということも承知してございます。

 やはり、わかりやすい防災情報の提供ができたのか、若しくは提供された情報がちゃんと伝わったのか、それが行動に結びついたのかなど、さまざまな課題があるということは認識しているところでございます。

 今回の水害を受けまして、中央防災会議のもとにワーキンググループを設置いたしまして、警戒レベルの導入による効果や課題について把握、検証した上で、関係機関とも連携し、必要な対策を進めてまいりたいと思ってございます。

田所委員 レベル四を超えると全員避難だというようなことも打ち出されていたようであります。しかしながら、避難勧告とか避難指示というものも併存していたわけでありまして、中には、どっちが優先順位が高いんだ、切実なんだ、わからないというような人もいるような中で更にこういう選択肢がふえたわけでありますが、これをしっかりと行動に結びつくようなものにしなければやはり意味がないということでありますし、現実を見ると、やはり、避難をしながら、あるいは高齢者が自宅で被害に遭った、人的被害の中で非常に割合が多いと思います。

 これはやはり、的確な情報発信という点でこれからしっかりまた考えていかなくちゃならない。適時適切な情報提供ができればあるいは回避できたものもあったのではないかということも考えながら、しっかりと取り組んでいってもらいたいというふうに思っているわけであります。的確な情報が出せるような、そういう課題を突きつけられたというふうに考えてもらいたいと思っております。

 次に、国交省のリエゾンを含んだTEC―FORCEが大変大きな効果を生んだと地元からも評価をされております。災害状況の現地調査から浸水地域の排水、これは大変たくさんの機材を持ってきて行っていただきました、道路清掃、そしてリエゾンの技術的支援など、専門的見地から活躍をしてくれまして、大変有効なものでありました。

 そういう中で、このTEC―FORCEの出動状況と活動の内容について説明をしてもらいたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、台風第十九号の被災地に、全国の地方整備局や気象庁、国土地理院、国土技術政策総合研究所等から、一日最大で七百四十八名、延べ二万八千名を超えるTEC―FORCEを派遣しているところでございます。

 具体的な活動としては、被災自治体へリエゾンを派遣することにより支援ニーズを直接把握し迅速な応急対策や緊急物資の確保を実施する、また、ドローン等の活用により河川や道路等の迅速な被災状況調査を実施する、河川の決壊等により浸水した地域に全国から二百台を超える排水ポンプ車等を派遣し排水活動を実施する、約百台を超える散水車や路面清掃車等を派遣し道路に堆積した土砂の除去等を実施する、また、専門的な知識を有する隊員による被災原因調査等による技術的助言を実施するなど、被災地の支援に当たってまいったところでございます。

 今後とも、自治体に派遣しているリエゾン等を通じ被災者、被災地のニーズをきめ細かく把握し、復旧方法の指導を行うなど、地域に寄り添いながら、被災地の復旧復興に全力で取り組んでまいります。

田所委員 大変有効なものであるということでありますので、出動できるような人的備え、そして訓練というものも積んでいただきたいと思っております。

 政府は、できることは何でもやるという姿勢でこの対応に当たっておりますけれども、私は、できることを何でもやるというのは、ちょっと何か言葉だけのものだなというふうには感じたわけでありますけれども、実際に、私、その行動を見てみますと、この姿勢、覚悟というものは非常に重要だというふうに思っています。

 それは、プッシュ式に、オーダーによらないで、いろいろなものを、物資を送っていく、必要なときに不足を来さないようにするということでありますが、これとあわせて、先ほど言いましたTEC―FORCEのような人的な支援についても、プッシュ式のような、そういう積極的な支援というものをしっかりと充実させていくべきだと思っております。

 次に、復旧に当たって、役所だけの力ではこれはなかなか難しい中で、身近な即戦力として、地域の建設業関係者の協力というものが大変重要だろうというふうに思っています。

 そういう中で、この協力関係そして活動状況がどんなものであったのか、これを説明してもらいたいと思います。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地域の建設業は、社会資本の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の確保を担う地域の守り手として重要な存在でございます。

 このため、国土交通省では、災害が起きていない平常時におきまして、地方整備局等が建設関係団体や建設会社と災害対応の協定を締結するとともに、協定内容に基づいた実践的な訓練を実施し、災害時の対応力の強化に取り組んでいるところでございます。

 また、災害時には緊急の工事が必要となるため、災害復旧における入札契約方式の適用ガイドラインというものに基づきまして、災害協定の締結状況や被災地域での施工実績、また本店の所在地などを踏まえまして、早期かつ確実に施工できる建設業者と随意契約を締結することにより円滑な対応を行っているところでございます。

 こうした取組によりまして、先般の台風十九号の応急復旧におきましても、地域の建設業者の活躍で仮堤防の設置や道路啓開などを実施したところでございます。

 今後とも、平常時及び災害時の対応を通じまして、地域の建設業者の協力のもと、より迅速かつ円滑な復旧が図られるよう取り組んでまいります。

田所委員 堤防やあるいは道路等の仮復旧、そして復旧というものを一刻も早く行わなければならないという中で、しっかりと地元の建設関係業者に協力をしてもらう、これはやはり信頼関係というものが築かれていなくてはなりませんので、そういったことを含めて、平常時からのしっかりとした協定や準備というものをしてもらいたいというふうに思っています。

 次に、鬼怒川の氾濫では、鬼怒川緊急対策プロジェクトが行われまして、ハードの整備で六年間で約六百億円を投じて堤防整備や河道の掘削等の工事を計画的に進めているわけであります。そういう中で、着実にそれも進んでおりまして、今般の台風十九号等ではその効果が顕著でありました。

 しかし、今度の台風では、地元の、同じ地元のですよ、那珂川、久慈川が氾濫して、堤防整備率の低さがそのまま被害にあらわれているという状況であります。

 先ほど簗委員から、下流から整備をしてくるからなかなかという話がありました。上流は大変だと言っていましたが、その下流ですら無堤地区があって整備がされていないということもよく理解をしてもらいたい。

 久慈川、那珂川、これは全国でも最低の整備率でありますので、均衡ある投資というものも私は必要なのではないかなというふうに思っているわけであります。

 全国では、阿武隈川とか千曲川、有名な河川含めて七十一河川の百四十カ所が決壊したということであります。これらを復旧していく、対応するには巨額な予算を必要とするというふうに私は思いますけれども、そういう中にあって、再度災害防止という観点から、改良復旧を含めてハードの整備が鬼怒川のようにしっかり進められるのかどうか、赤羽大臣にお聞きをしたいと思います。

赤羽国務大臣 二十七年九月の関東・東北豪雨で大きな被害を受けた鬼怒川については、今委員御指摘のように、堤防の整備、河道掘削、漏水対策など再度災害防止対策のためのハード対策とマイ・タイムラインなどのソフトを一体化した緊急的な治水対策として鬼怒川緊急対策プロジェクトが現在着実に進められており、その効果が発揮できたということは大変よかったことだというふうに思っております。

 今回、今お話にありましたように、全国で七十一河川百四十カ所で決壊しました。中でも国直轄が七河川十二カ所切れたというのは、これはもう未曽有の出来事でありまして、私も、全ての河川、現場視察をいたしまして、さまざまなことを教訓、課題として突きつけられたと思っております。

 なかなか治水整備というのは、先生よく御存じだと思いますが、一朝一夕じゃできない、時間のかかることでありますし、例えば阿武隈川も、大変大きな川ですので、郡山市で堤防が強化されるとその周辺の弱い地域が今度はやられて、今回、本宮市と須賀川市で大変な状況になってしまったというふうなことがあって、これは国だけでとか県単位でとか市単位でやっては効果が発揮できない。やはり水系、流域全体に立って、上流、下流、どのように計画的に対策をとっていくのかというのが非常に大事だということも突きつけられたというふうに思っております。

 特に、それに加えまして、先ほど御答弁もしましたが、近年の気候変動によって災害自体が激甚化、頻発化しているということも踏まえて、国交省の中で、気候変動に伴う新しい、災害規模が大きくなった、頻発化した中で、本当の意味で国民の皆さんの命と暮らしを守るための防災・減災対策を今構築をしておりますので、それに合わせて、全国の地方自治体でも国と一緒になってしっかりとした対策がとれるように、まずは予算編成、しっかりと獲得できるように頑張っていきたい、こう決意をしているところでございます。

田所委員 赤羽大臣の力強い決意をお聞きしまして非常に心強く思うわけでありますが、経済対策においても防災・減災の施策が検討されておりますけれども、どれだけ本気で取り組むのかということだろうというふうに思っております。

 確かに、国土強靱化、巨額の費用を要しますけれども、新時代を迎えて、激甚化する自然災害を前にして、しっかりと国土の安全確保のために投資をするということを意思決定するときだというふうに思っております。安全確保を先送りしてはならないということだというふうに思っているわけであります。

 あわせて、ハードの限界、ソフトの対策というものが大変重要であります。鬼怒川では五百一ミリ降ったということがありますが、箱根では今般千ミリを超えたというようなこともあるようで、これだけの豪雨があれば、これはどんな堅固な堤防を建築しても災害を封じ込めることはできないということだろうと思っております。

 本川が整備されても、内水が行き場を失って内水被害が起きる、この割合の方が多くなってくるということですから、これはなかなか難しい。ハードだけではやはり限界があるからソフトの対策とあわせてしっかりと安全確保する、これは鬼怒川の災害からスタートした考え方であります。

 その一つの重要なツールがハザードマップでありますけれども、従来は、従来想定、L1想定ということでつくられておりました。東日本大震災で想定外というようなことがたびたび言われて、想定し得る最大規模、L2想定対応に改定しているところでありますけれども、これは自治体によって大きな格差があります、対応状況が。

 その上で、本来の目的である防災、避難に資するものとなるように、国においてどのような指導をしているのか、また、今般の被害を受けて改定する必要もあるというふうに思うのですけれども、この対応、どう進めようとしているのかお聞きをしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 市区町村は、国又は都道府県が指定する洪水浸水想定区域においてハザードマップを作成することとされております。

 委員御指摘のとおり、平成二十七年の水防法の改正により、浸水区域を想定する際の前提となる降雨を引き上げたことから、国又は都道府県において、順次、区域の見直しを進めており、本年三月末時点で、国管理河川では、四百四十八河川のうち全ての河川で指定済みでございます。また、都道府県管理河川では、千六百二十七河川のうち八百八十三河川、五四%で指定済みとなっているところでございます。

 この区域指定の見直しを受けて市区町村ではハザードマップを順次、作成、改定、公表してきているところでございまして、本年三月末時点で、作成対象の千四百三十七市区町村のうち四百四十七市区町村、三三%で公表されているわけでございます。

 国土交通省では、想定最大規模降雨に対応した洪水浸水想定区域の指定が進むよう都道府県に対しまして防災・安全交付金による財政的な支援を行っているとともに、市区町村に対しましては、水害ハザードマップ作成の手引きの周知、ハザードマップの作成や活用に関する相談窓口の設置、ハザードマップ作成支援ツールの提供などの技術的支援を行っているところでございます。

 今回の台風第十九号では、洪水ハザードマップの作成の対象としていない県管理河川、中小河川において氾濫が発生するなど、浸水被害が生じました。このため、河川の横断データや水位等の基礎的なデータが計測されていない中小河川においても、浸水が想定される範囲などを設定する手法の検討を進めるとともに、洪水ハザードマップの作成が促進されるよう、引き続き市区町村を支援してまいります。

田所委員 L2対応、想定し得る最大規模ということでつくり直されている、改定されているということでありますが、これが都道府県管理だとまだ半分程度ということでありますから、基本は、しっかり統一されないということはやはり問題がありますので、しっかりとした整備推進をしてもらいたいというふうに思っております。

 調査によると、ハザードマップに関心があって見ている人は避難率が一〇%高い、あるいは避難のタイミングが一時間早かったという調査結果もあるようであります。一番の基本として、しっかりとしたそういう情報というものがわかるようにすべきだというふうに思っております。

 そういう中で、一言つけ加えれば、大変情報通信技術が発達している中で、避難所とかその容量、さらにはそこに至る安全性の高い避難経路、そして危険箇所がこういうところにあるだろうというような複合的なデータが示せるような、そういうものをこれからやはり考えていくべきであろうと。電子的に更新もできる映像などとともに、リアルな情報によって避難等の行動のしっかりとしたインセンティブになるというようなこともあるというふうに思っております。

 先ほども言われましたが、カメラとか、あるいはAIでいろいろな演算をしておくということ、さらには雨量などからそういう情報をしっかりと考えて対応をつくるというようなこと、さらには、堤防等にセンサーをつけておけば決壊はわかるわけでありますから、先ほど、氾濫の情報が出せなかったと、大臣が非常に深刻に受けとめているということでもありましたが、やはりそういうことを含めて、そういう技術的なもので解消していく、そういうことも考えていかなければならないというふうに思っております。

 第四次産業革命などと言われますけれども、科学技術の利用によって人々が大きく利益を得る時代というものになるんだろうと思っておりますが、まず人を守るためにこそ使うべきだというふうに思っておりますので、そういった複合的な情報が提供されるような、そういう防災のシステムをぜひつくってもらいたいというふうに思っております。

 避難等におきまして、マイ・タイムライン、大変重要だということが、先ほど来大臣も言っておりますし、国土交通省も推奨しております。しかし、ソフトの対策として切り札となるんだけれども、かけ声ほどに浸透していないというのが実情だろうというふうに思っております。

 これは防災意識の高揚のためにも大変意味のあることでありますので、さらなる充実と普及を図らなくてはならない、そういうものだろうというふうに思っておりますが、その点について赤羽大臣にお伺いをいたします。

赤羽国務大臣 ハザードマップの有用性というのは、今の委員の御指摘のとおりだったと思います。

 私も、一連の災害地域を回っておりますと、やはりハザードマップどおり浸水し、被害が大きかった。何とかならないのかなということを本当に私も痛感をしておりますが、ハザードマップ、この改定前のハザードマップについては、恐らく全国で九八%ぐらいの市町村で作成をして、もうそれはホームページに出されているんですが、なかなかわかりにくい、難しいということであった。

 マイ・タイムラインと私も答弁しましたが、マイ・タイムラインの作成というのはそんなに簡単ではなく、私は、思っているのは、自助、共助、公助という観点からいいますと、やはり共助、地域で守り合うということがすごく大事なのではないかと。

 私の地元の神戸は阪神・淡路大震災がございまして、そのときの一番大きな教訓は、日ごろからのコミュニティーがある地域ほど被害を最小化できたという反省に立って、小学校校区単位に防災福祉コミュニティーという組織をつくって、その訓練を、もう二十六年になりますが、着実にやられております。

 やはり、地域で守り合う、そういう行動があって初めてマイ・タイムラインの作成というのが可能になるのではないか、国民の防災意識を高めることができるんじゃないかと思っておりますし、同時に、国交省でできることはしっかりやっていこうということで、小中学校で行う防災学習への教材の提供ですとか、マイ・タイムライン検討の手引きの公表ですとか、さまざまなことを実施主体であります市区町村の取組を支援するという形で進めていきたい、こう考えているところでございます。

田所委員 わかりました。

 ただ、全国千三百四十七の自治体で、取り組んでいるのはまだ五十五ということでありますので、さらなる意識高揚のために、このマイ・タイムライン、これは私の地元の下館河川事務所が始めたんだというふうに思っておりますが、しっかり進めてもらいたいと思います。

 そこで、例えば低いところで浸水の可能性が非常に高いとわかっているところもあります。そういったことが地域防災計画という形で、その地域の特性を踏まえた防災を可能とするための計画を住民たちがつくっていくということが大変意味がある、地域の自助、共助の力にもつながっていくというふうに思っているわけであります。

 そういう中で、地区防災計画がつくられて、そして市町村地域防災計画につながっていく、これがソフトの大変大きな対策として意味があるというふうに思っております。この策定と取組状況についてお伺いをしたいと思います。

小平政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘いただきました地区防災計画、これは、地域の住民がふだんから災害のリスクを把握して、移動手段やルートなどの避難計画を立てて、まさに地域としての防災力を高めるための仕組みとして内閣府が一生懸命取り組んでいるものでございます。

 まだ始まってから数年しかたっておりませんけれども、昨年度の時点で日本じゅうで三千二百カ所ほどの地区で取組が行われておりまして、最終的に地域防災計画に反映するというところまで至っているのは今のところ二百四十八というところでございます。

 内閣府におきましては、この地区防災計画の策定が一層進むように、ガイドラインを作成する、検討に当たっている地区へアドバイザーを派遣する、優良事例を横展開する、それから、これに携わっている自治体の職員がネットワークを組んでおりまして、地区防'zと呼んでおりますけれども、そういったものを通じて経験や課題の共有などの取組を行うことで計画の策定支援を行っております。

 引き続き、この地区防災計画の策定を促進し、地域の防災力、共助の力がより一層強くなるように努めてまいりたいと思います。

田所委員 ハードの整備や公助の限界というものがある中で、やはり自助、共助というものが大変重要であります。そういう中で、地域の防災意識を上げる、ソフトの力というものをしっかりとつける。そういったハード、ソフトの災害対策に更に力を尽くしてもらうように願いまして、終わります。

土井委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。

 今回は、赤羽大臣になられての初めての質疑でございます。よろしくお願いいたします。

 さて、台風十五号は、強風により千葉県内を中心に甚大な被害を生じさせました。また、台風十九号等は、記録的雨量が広範囲にわたり、関東、東北、信越など極めて広い範囲に河川氾濫、堤防決壊、浸水被害などを生じております。

 改めて、被災された皆様の御冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。

 本日の質疑、国土交通委員会におきましては、災害の集中的質疑ということでありますが、本日も朝からさまざまな課題が提案され、また解決策も提案されております。ぜひ本日の質疑が防災・減災、そして災害復旧につながることを心から願っております。

 さて、私の地元埼玉県の西部地域においても多くの被害が生じております。越辺川堤防決壊による浸水被害の生じた特別養護老人ホームについては大きく報道でも扱われましたが、この老人ホームに隣接する地域では、重度障害者施設や米菓製造業、またヘリポートなど、住宅も含めて、多数の被害が、浸水いたしました。

 国交省においては、TEC―FORCE、リエゾン支援などで復旧においての力をいただきました。相模原市の本村賢太郎市長からも、このTEC―FORCEの方々またリエゾンの支援というものは、地域において有効であるということを感謝されておりました。

 私自身も、先週は長野県の国交委員会での視察、そして災害対策特別委員会の視察で被災地に、月曜日には福島県、宮城県に行ってまいりましたけれども、このときにも、TEC―FORCE、また国の支援のあり方、大変心強く、地方自治体ではやり切れないそのあり方というのが非常に感謝をされている姿というものに相対しましたし、また、この分野というものに関しては、本日も指摘が先ほどもございましたけれども、TEC―FORCEについてはやはり充実をさせていくこと、これが、各地域で何かあったときに効率的に支援策また災害復旧対策というものが、応急復旧ができるんだと確信をしておりますので、この点はまずもってお願いしたいと思います。

 さて、越辺川の堤防決壊のところもそうですが、河川の合流点に近くて、地形的には水害も生じやすい場所であったということは、実際には広く地元では認識されていると言っても過言ではございません。

 川越市とふじみ野市の市境にある地域で今回浸水被害の生じた住宅地では、一昨年の十月、台風二十一号の際にも浸水被害を生じました。事前に畳や荷物を二階に上げたり、高齢者の方は避難をさせたり、乗用車を別のところ、高台に駐車をしていくなど対応を行い、また、自治体による対策工事やポンプ運転や連絡などの運用面での改善もあり、被害を小さくするための自助努力がとられたところでもあります。しかし、今回の雨量においては、やはり浸水被害を免れることはございませんでした。

 二〇一四年の八月の広島での豪雨災害の際、山際まで開発が進んだ住宅地で土砂災害が生じた際にも、川の合流地点や浸水が過去にも起こった地形のところで、都市化に伴い過度に開発が進んだため被害に遭ったと言われる地域は全国にあります。今回も、浸水した地域では、昔は人が住まない地区と言われたり、地名に沼や水を連想させる文字が含まれている場合が多かったような思いがあります。

 先週二十日に、長野県の視察で篠原代議士が紹介してくれましたけれども、洪水の水位標がありました。過去の水害の記憶を土地の方々がみずからの手で後世に残していくという道しるべでございます。これ自体は、こうやって水害がある、トーテムポールのように、山の道しるべのように、水位がここまで来たというのを示しているものでありますので、これがあることによってここは水につきやすいということで、土地の価格や、またそこに入ってくる方々には障壁になる、敬遠されるのではないかということで、外そうということも言われますが、土地の方々が、やはり、この被害を二度と起こさせないために、記憶をするために置いているというお話を伺いました。

 こうやって過去の災害を教訓に、次の世代につないでいくということは大変大切なことであり、今回の災害についてもしっかりとした記録を残し、次世代に生かしていくことが何よりも大切だと考えております。

 災害時にはまた、高齢者施設の水没による被害は命の危険が伴う被害につながる事例が多いように感じております。これは、高齢者や障害者施設がいわゆる安い土地、ほかの活用が見込めないような土地に立地していることが多く、そしてそのような土地は往々にして川のほとりであったり、今回もですけれども、ハザードマップの水没危険のある地域である場合が被害を拡大させた要因の一つであると考えております。

 台風十九号では、川越の高齢者、障害者施設だけでなく、全国では、特別養護老人ホームなど高齢者関係では二十五施設が浸水被害、障害者、障害児施設では三十一施設が浸水被害、保育所も十九カ所の浸水被害に遭っております。

 河川局長を経て現在は日本水フォーラム代表理事となっております竹村公太郎さんは、堤防によって守られた低地は、明治以降、急速な工業化の中心地となりました、国土の約七割が山林や原野という事情を考えればほかに方法はありませんでした、しかし、堤防がなければ氾濫してしまうような低地に全人口の五〇%、資産の七五%が集中するいびつな土地利用の国になってしまったのも事実です、そして、地方の被害が目立ったのは治水工事が都市に比べておくれていたのが一因です、でもそれ以上に気象の凶暴化の影響が大きいと思います、長期的には土地の利用の制限といった荒療治も必要です、川沿いの野方図な土地開発が最近の被害拡大につながっていると言えます、浸水想定区域の利用制限などに手をつけない限り根本的な解決にはつながりません、このような指摘をされております。

 東京は、今回こそ大被害は免れましたけれども、それは、国交委員会で視察した鶴見川の遊水地や、また、越水、決壊した上流部、ダムなど、江戸時代から続く関東平野での治水や、東京の周辺の犠牲があったからでもあります。

 また、今回のインフラ維持管理に大きな費用がかかり、堤防などインフラ整備が追いつかないうちにまた次の被害が生じる可能性を鑑みれば、やはり、災害リスクの大きい地域の居住制限や都市計画の改正なども必要と考えられます。

 土地利用に対する規制に対して、開発許可を、未利用地の有効活用と、地方自治体のもと、また建築制限を行うことで民間からの訴訟リスクがあり、建築許可をとめられない現状から改めて、地域ごとにゾーニングをはっきりさせて、国としては建築規制をかけていくことも必要と考えます。

 危険の予見される場所は新たな開発を制限する、仮に建設や開発がされる場合には、予見される災害が生じたとしても災害を最小限にとどめられるような構造であることの確認を要件とするなども検討すべきと考えられるのではないでしょうか。

 この点について、大臣の御見解をお聞かせください。

赤羽国務大臣 御質問ありがとうございました。

 まず、防災・減災につきましては、与野党、私、関係ないと思っておりますので、ぜひ具体的な御提案をいただきたいと思っております。

 また、TEC―FORCEにつきまして御評価いただいた、まずは大変感謝しております。TEC―FORCEの隊員も、大変な状況でありますけれども、そうした皆さんの激励の声が大変ありがたく意気に感じて、頑張っていただいていると思っております。

 いろいろなお話があったんですけれども、私も被災地をずっと回っておりまして、先ほどの御質問にもありましたけれども、ハザードマップで危険な地域と言われたとおりに浸水がされて被害が大きい。去年の西日本豪雨の広島の話もそうですし、倉敷の真備町も典型的なところだったと思います。今回も、越辺川の、あの東松山市のショッピングモールのところも、明らかに低いところで、そのままあふれてしまったというような話もあったと思います。

 ですから、そうしたことの中で、最初に、特別養護老人ホームみたいなところにあっても、多分、そういう厳しい条件の中に建てられている、以前、小宮山議員とも一緒に視察した岩手県の岩泉のところでも大変痛ましい事件になってしまったわけでありますが、他方で、今回、御地元の川越キングス・ガーデンの特別養護老人ホームは、大変多い方が入っていたわけでありますけれども、日ごろから訓練されていて、全く、一人の事故も起きずに、無事ちゃんと避難していただいたというのも、大変大きな教訓だったというふうに思っております。前段はそれまでで。

 今回、これだけ被害が大きくなる、災害が頻発化して激甚化する中で、他方で、危ないと指摘されているハザードマップが、結構、皆さん相当、有用性だというのは先ほども御質問もあった、しかし、その有用性が土地利用に生かされていないということについて、やはり当然議論をしなければいけなくなるというふうに思っております。

 現状は、御承知だと思いますが、開発規制については、地方公共団体が条例で災害危険区域として指定している地域については、都市計画法に基づく開発許可制度において、その区域内での宅地開発を原則として禁止しているわけでありますが、多分、そうじゃなくて、住宅が張りついているところがたくさんある。

 やはり、そうした地域に行きますと、昔からいる方たちというのはそこに住んでいなくて、後から、サラリーマンとして入ってきている方たちが、便利だからとか、また川沿いで非常に風景がいいとか、そうした住宅地が多いということが現実だと思いますので。

 現状の、張りついて住まわれている方たちを目の前にどういう規制をかけるのかというのは大変難しい話がありますし、ややもすると、そうしたことを法令化すると資産価値が落ちるみたいな話というのは、実はいろいろ出てくることも予想されますが、原点は、国民の皆様の命と暮らしを守る対策をとるということが一番大事だと思っておりますので、これは国交省はもとよりでありますが、法務省を始め関係省庁ともしっかりと連携をとりながら具体的な検討を進めてまいりたい、こう決意をしております。

小宮山委員 ありがとうございます。ぜひ具体的な検討を進めていただきたいと思います。

 ハザードマップのところにある障害者施設や福祉施設、多くあります。この方々が移転をするとなると、大手新聞が誤報で出した例ですけれども、移転をすると出た途端に、いろいろな不動産業者とか物すごい額の土地のあっせんとかがばっとやってこられるそうです。さすがにそこまでの費用も出ないわけですから、それは誤報であったと言って帰っていただいたそうですけれども、やはりそれを機にビジネスに、食い物にしようとする人たちがいるのもありますし。

 また、国交省ではコンパクトシティーなどを提案しております。人口減少の中、やはり、まちづくりという意味においては、しっかりと、町の過度なスプレッド化、不要なスプレッド化というのをとめる、そんな策というのもこの観点からもぜひ進めていただければと思いますので、検討のほど、よろしくお願いいたします。

 さて、水害が出ると、本当に多くの土砂が町中になだれ込む、そして川も埋めるなどということが起きております。治水対策としての堤防かさ上げや増強工事などの際に用いられる建設資材用の土砂として、近隣地域での建設残土や堤防が崩れ出た土砂のうち使用可能なものを活用していくべきではないかとの意見が寄せられました。

 二十五日に視察した丸森町では、河川の川底を一部掘削して水の流れを確保したり、また、今後は、田畑や市街地、さまざまなところに堆積している災害土砂の処理が課題になってくると思います。今はこれを、通常の処理法では土砂は廃棄物としての扱いをされるんですが、これを廃棄せずに、極力そのまま資材として土砂を活用することも必要なのではないかと考えます。

 被災地での土砂の片づけは重要であります。河川の底の堆積物の掘削というのも今後課題になってくると思います。災害で発生した土砂も建設残土なども、処理というと、通常の廃棄物ではなく、土地のものは土地で消費をする、そういった考えのもと再利用を選択肢に入れるべきではないかと思いますが、この点に関しまして、現状及び可能性についてどのように考えるか、国交省の見解をお聞かせください。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 近年の豪雨災害の事例におきましては、災害時に発生した土砂からまず廃棄物等を取り除き、その上で有効できる土砂か否か総合的に判断され、有効利用できる土砂につきましては造成地等に活用しております。

 活用事例として、例えば、平成三十年七月に発生した西日本における豪雨災害の事例では、広島県坂町で発生した土砂約九万立米、呉市で発生した土砂約二十三万立米を広島港の埋立てに利用しているところであります。また、同じく被災した小田川等の河道掘削で発生した土砂を活用し、堤防の強化等を実施しているところであります。

 引き続き、災害時に発生した土砂につきましても、通常の建設残土と同様に、可能な限りその有効活用を促進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 地方自治体、場合によっては地元で使う土砂を他県から買い入れていることもございます。ぜひ、使える土砂があるならば、それを再利用を積極的に進めていただければと思います。

 それでは、災害時の空港での足どめ、訪日外国人情報提供についてお聞かせいただきたいと思います。

 台風十五号では、空港から移動できず、多数の利用者、関係者ともども、長時間、空港内にとどまらざるを得ない事態が生じました。千葉県内に大きな被害をもたらした台風十五号、成田空港では約一万三千人が空港内で夜を明かしたと聞いております。

 成田空港での足どめ客数は、東日本大震災当時よりも訪日外国人の数が大幅に増加していることもありますけれども、当時の約八千五百人、昨年九月の二十一号の台風時に関西国際空港で孤立された約八千人と単純比較しても、極めて多数に上っております。

 日本人の空港利用者も多くが巻き込まれましたけれども、成田空港は海外からの外国人観光客などにとって最大の空港でもあり、これら外国人の方々が情報取得に苦労され、空港で不安でかつ日本に対して残念な気持ちを募らせて一晩を過ごしたと想像すると、私も残念な気持ちになります。

 空港にとどまらざるを得なかったのは、鉄道の運休、高速道路の通行どめなどによって交通アクセス遮断の状況となったことから生じておりますが、昨年九月の台風二十一号で多くの孤立者の生じた関空では、寝袋一万二千個を追加準備、またハラール対応の非常食も備えることとするなど、災害時の状況を教訓にした備えの拡充をしたと聞いておりますが、このような拡充、支援というのはこれからも必要かと思います。

 国交省としてどのような支援、整備をするのか、伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 関西国際空港では、昨年九月の台風二十一号襲来時に多くの滞留者が発生したことを踏まえまして、空港を運営する関西エアポート社が事業継続計画、BCPでございますけれども、これを抜本的に見直しました。

 この中には、滞留者一万二千人を想定した食料や飲料水、寝袋等の災害用備蓄品を備えることが規定されており、既にこれらの準備が整えられているところでございます。

 また、この計画では、空港全体の総合対策本部を早期に設置し、空港関係者との情報共有を図ることで、旅客等の安全確保や空港機能の早期復旧等に向け連携することとしております。

 さらに、成田国際空港では、本年九月の台風十五号襲来時、多くの滞留者が発生したことを踏まえまして、空港アクセスの状況や航空機の混雑状況に応じた航空機の着陸や交通量の制限といった空港運用上の対応を行うこと、また、SNS等を最大限活用し、航空便の運航情報や空港アクセス等に関する情報を利用者に多言語できめ細かく発信をすることといった対策を実施することとしております。

 これらを踏まえまして、国土交通省といたしましては、利用者目線に立った上で、空港アクセスの確保や利用者への情報提供のあり方等の視点も盛り込んだBCPを全国の空港で今年度末までに策定することを目指すとともに、空港アクセス機能が途絶した場合を想定した訓練を実施することによりまして、災害への対応の強化を進めてまいります。

小宮山委員 成田国際空港株式会社の田村明比古社長は、十月二十四日の記者会見において、国土交通省、航空関係各社とも、事業継続計画、BCPを策定する考えを表明されました。

 国交省は、十一月十五日、空港が台風や地震などで被災するなどした場合に備えて、各空港でBCPを作成する際の参考用指針案を公表、今年度中に地方空港を含む全国九十五空港でのBCP策定を目指していると伺っております。

 来年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。また、ビジット・ジャパン・キャンペーンのもと、外国人の訪日を更に増加させることで経済成長を各地の活力にしていこうとしておりますが、さまざまな自然災害から逃れることはできない災害大国でもある日本、より多くの方が出入国されるようになる中で、災害発生などによる交通混乱や不十分と感じられてしまう情報提供の状況のままでは、観光立国への道筋に大きな障壁となることを懸念しております。

 台風十五号、台風十九号を始め、近年の災害発生時の交通網、関係施設の状況などを踏まえて、ビジット・ジャパン・キャンペーンのより一層の推進を念頭に、どのような訪日観光客への取組を行っていくのか、お伺いいたします。

赤羽国務大臣 災害に対する情報というのは、言葉の通じる日本人でも大変不安で心配なわけでありまして、的確に情報を発信しなければいけない、これはこれまでの議論で御答弁したとおりでございますが。その中でも、外国人の皆さん、初めて来る方も多いわけでありまして、その中で台風災害に巻き込まれるみたいなことは大変心細い話だと思いますし、ちゃんとしたことを伝えないと命にもかかわるものだというふうに重大に考えておるところでございます。

 今お話がありましたように、台風二十一号の際の関西国際空港での事案ですとか、台風十五号の際の成田空港滞留については、これはやはりできるだけ最少化しなければいけないということで、さまざまな議論をしてまいりました。

 まず、国内のアクセスがとまることがわかっていながらその時間帯に着陸するようなこと、飛行機がどんどん来ると滞留者がどんどんふえてくるので、そうしたことを事前に、着陸はできないという発信を前広にして、そもそも成田空港とか関西国際空港に来させない、別のところに振り分けるようなこともしたり、また、鉄道が計画的な運休をするというようなことはどうするのかということについて、タクシー事業者についてしっかりと連絡をとってサポートしてもらうようなこともやっていかなければいけないということでございます。

 そして、今御質問の外国人旅行者に対しましては、多言語で迅速かつ丁寧な情報発信を行わなければいけないということがございまして、台風十九号では、日本政府観光局、JNTOの公式SNSやウエブサイトでできるだけきめの細かい発信を心がけてまいりました。

 それに至るに当たっては、数多くのフォロワーを持たれる外国人の有識者の方ですとか、報道関係の皆さんの協力も得てそうした取組を進めていまして、例えば、昨年十月から始めた日本政府観光局の公式ツイッターのフォロワー数がこの一連の台風災害の前後で約三倍に増加しまして、閲覧数は延べ約七百十九万回に達するなど、一定の成果が上がったものというふうに思っておりますが、これを、より着実に届くようにということで不断の見直しを進めておるところでございまして、観光庁で、十月二十九日に、有識者の方、交通事業者、観光関係者、地方自治体また報道関係者、幅広い皆さんに参画をいただいた検討会を立ち上げたところでございまして、今後とも、外国人の皆様に御不便がいかないようなよりよい情報発信、情報が届くようなシステムを、不断の改善を進めていくということを進めておるところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 今、大臣にお答えいただきました日本政府観光局のツイッター、本当にアクセス数がふえたということもありますし、ただ、そうはいいましても、北海道でのブラックアウトの事例ですと通信がつながらない、千葉県もそういったところもありました。

 不断の努力でさまざまな想定をしなければいけない。成田空港で足どめされた方、羽田空港で足どめされた方、そこに行こうとした電車、駅で足どめされている方、情報収集されている方、若しくは、私の地元、埼玉県の小江戸川越においても、さまざまな理由で電車がとまったときに観光客が帰る道、方法を随分探している事例もあります。もちろん多言語においては、最近はJRなど、聞いておりますと、車内の案内も英語と日本語両方で車掌さんが頑張ってアナウンスしているという事例もよくあります。

 さまざまな努力がまだまだ、観光客が四千万人、六千万人を目指す国としては、必要なんだと思いますが、一番不安で、また自分が乗るべき飛行機に乗れなくなる、そんな状況にあるときにこそ、日本であるならば的確な情報が得られるというその環境づくりというのは重要かと思いますので、今回の台風被害なども通じての減災に向けてのより一層の備えというのを国交省また観光庁におきましては行っていただくことをお願いしたいと思います。また期待をしたいと思います。

 さて、福祉避難所の立地などについての質問に移りたいと思います。

 川越市では、さっきから出ておりますけれども、高齢者施設が水没いたしました。福祉避難所協定が結ばれている、すなわち福祉避難所を開設する候補地、災害が起こってから指定ができますので、その施設が計二十七カ所ありますけれども、このうち半数がハザードマップ上で実は浸水被害が想定される地域に立地をしております。これは二十七日のNHKのハートネットでも特集がありましたので、報じられたことでもあります。大変残念なことではありますが、また浸水被害に遭ったりする。

 また、福祉避難所というものはプレートなどが掲示されますので、災害が起きたらすぐに福祉避難所として機能すると思われている方もいらっしゃるようでありますので、なかなか受入れ等が、この情報というのが、被災者の可能性のある方々に伝わっていないというのも事実かと思っております。

 要配慮者支援施設のうち、避難確保計画の作成について、国土交通省の資料、水防法等に基づく要配慮者利用施設における取組状況によれば、平成三十年三月三十一日時点では、水防法に基づいては五万四百八十一施設、うち計画の作成済みは八千九百四十八施設、土砂災害防止法に基づいては一万七百二十施設、計画の策定済みは千五百五十三施設ということになります。

 福祉避難所の候補地については、公開している自治体としていない自治体もありますが、福祉避難所の候補地として協定を結ぶなどして各自治体で予定している施設などが、ハザードマップ上、水害など予見される地点にどの程度所在しているのか、件数や比率などについて政府では何らかの把握をしているか否か、また、調査などを行っているか否かもお伺いしたいと思います。

小平政府参考人 お答えいたします。

 福祉避難所を含めました指定避難所の指定状況につきましては、指定避難所を指定する際に、市町村から都道府県を通じて内閣府に指定避難所の名称や住所等について報告されることとなっておりますけれども、市町村が指定した福祉避難所などが浸水想定区域や土砂災害警戒区域等の区域内に立地するのかについて、内閣府としては把握をしてございません。

 指定避難所につきましては、想定される災害による影響が比較的少ない場所の施設を指定することとされておりまして、その旨、市町村に対しても説明会等で周知してきたところでありまして、今後とも十分に周知してまいりたいと思います。

小宮山委員 把握をしていないけれども、今後、把握する予定はあるんでしょうか。

 実は、福祉避難所に来られる要支援の方々のことを考えると、ふだんからそういう方と接していることが多い介護職の方などがいる施設というのが対象になることが多いように思います。立地ではなるべくそういうところを避けるようにということではありますけれども、そこで対応が必ずしもできるとも限りませんので、各市町村の指定というのは大変、ある意味理にかなっている部分もあるかと思います。とはいえ、まずもって、先ほど調査を行っていないとおっしゃっていましたが、今後、調査など、さまざまなそれに対しての支援も含めまして検討されるべきと思いますが、まず、調査をされる予定はあるんでしょうか。

小平政府参考人 お答えいたします。

 定期的に避難所の状況については報告を求めているところでございますが、これまで十分に、内容をかなり細かいところまで聞いているわけでは必ずしもございません。内容の充実については図っていかなきゃいけないと考えているところでございますので、そこにつきましては、先生の御指摘も踏まえてまた検討はさせていただきたいと思います。

小宮山委員 ぜひ、ハザードマップなどに重なっているところがあるならば、指定した市町村はわかっておりますので、早急にそのデータ等を収集して、またこれに対しての検討も重ねていただければと思います。ありがとうございます。

 さて、内閣府の調査の報告書、指定避難所等における良好な生活環境を確保するための推進策検討調査報告書、平成三十年八月につくられたものですが、市町村からのヒアリングにおいても、福祉避難所に指定される前に候補地へ避難を行おうとする動きが生じてしまうことの是非なども考えるべきところだと考えます。事前に災害時などの、どのように対応し、どのように避難をしていくかについて、啓蒙、周知徹底にも課題がまだ残っております。

 協定を結んでも、福祉避難所の候補地となっている老人ホームや障害者施設や養護学校では、定められた定員のもと平時からの入居者、利用者もあり、災害時に福祉避難所に指定された場合でも、避難してこられた支援を要する方々を受け入れにくいという現実もあるようです。やはり対応ができる人数というのも限度があり、むしろ全員を受け入れられるだけの余裕はないと考えるのが、今の人手不足という状況も考えて、根底にあるということは忘れてはなりません。

 医療機関も含めて、公共施設、小中学校などにおいて、福祉避難所としても機能できるような施設や備品の整備を行っていることというのがそうなると重要かと考えます。特に、福祉避難所に行く前に、何回か、自分の家の近所の避難所に行ってそこから移動していくという事例がありますので、まずは小中学校などのバリアフリー化の義務化がされていないためには、この対応ができないと思います。

 バリアフリー化の整っている学校施設など、またユニバーサルデザインの導入は、災害時には福祉避難所的な活用が可能であり、避難所としての備品、設備などを整えるべく手当てしていくべきだと考えておりますが、この現状の取組についてお聞かせください。

小平政府参考人 避難所の施設についてでございますけれども、内閣府におきましては、市町村に対しまして、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針というものを出しておりまして、これに基づきまして、平時から災害用トイレの備蓄や整備、避難所として指定する施設のバリアフリー化を促してはいるところでございます。

 また、今回の台風十九号に伴う災害におきましても、災害救助法が適用された自治体に対しまして、例えば仮設トイレであるとか仮設のスロープ等を整備した場合には災害救助法に基づいて国庫負担を行うなど、福祉避難所として活用する際にも必要となるような設備、備品の整備を可能としているところでございます。

 また、実際、今回かなり広い範囲で被災がありましたけれども、関係する自治体に、県を通じたり、若しくは職員がみずから現地に赴きまして、被災地のニーズや課題を把握するとともに、紙おむつであるとか段ボールベッド等の福祉避難所に役に立つような必要物資のプッシュ型支援を進めたところでございます。

 内閣府といたしましては、引き続き、関係府省と連携しながら被災者へのきめ細やかな支援に万全を図ってまいりたいと思ってございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 二〇一八年の通常国会において、バリアフリー法改正の審議の際、赤羽大臣は国土交通委員として質疑に立たれておりました。大変示唆に富んだ、いい質問だったと私は思っております。バリアフリー法の上で特定建築物となる一般の学校についてバリアフリー化の推進を求めて、内閣府防災並びに文科省に対しても答弁も求められておりました。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのレガシーにするには、再度バリアフリー法の改正も必要かと私は考えておりますが、バリアフリー、ユニバーサルデザインなどこういったことに大変御理解のある赤羽大臣からも、この課題について改めて大臣として何をされるのか、委員とはまた違う立場になられました、ぜひ御所見と課題について、また決意についてもお聞かせいただければと思います。

赤羽国務大臣 ユニバーサルデザインの社会をつくるということはいささかも揺らぎなく、特に、明年、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会も迎えますので、しっかりとレガシーとなるように進めていくというのは先ほど述べたとおりでございます。

 学校についてどうなのかということの通告がありましたが、学校の施設は現実にはもう災害時の避難所となっている場合が多いということと、当然、教育的な観点、やはり小中学校というか幼稚園のときからできればバリアフリーが当たり前という教育をするということがすごく大事だと思います。

 私の、ちょっと、自分の子供が二人いるんですけれども、長男は同級生に障害を持たれている子供がいて、その代というのは障害者に対する対応というのが非常に自然というか、もう自然に育まれている。下の娘はそういう経験がないので、やはりそういうことが苦手だというようなことがあって、やはり教育的な効果というのは非常に大事だという観点から、学校の施設もぜひバリアフリー化を進めたいと思いますし、施設だけではなくて教育も進めていくべきだと。

 ただ、現状は、よく御承知だと思いますが、バリアフリー法に定められている義務化は特別支援学校に限られております。その他の学校につきましては、それぞれ、障害を持たれた生徒さんの状況に応じて、地域の実情に応じて条例により対応する仕組みとなっておりまして、現状は、地域の実情に応じた条例策定を地方公共団体に国交省としては働きかけているところでございます。

 現在、全国で十二都府県四市二区で条例制定されているところでございますので、条例を進めていくようにプッシュしていくということと同時に、法改正も、この点だけじゃありませんけれども、視野に入れておりますので、きょうの御意見も承って、しっかりと取組、検討方、文科省とも連携しなければいけませんので、しっかりと前向きに進めたいと思っております。

小宮山委員 期待しております。

 さて、福祉施設などの被災の場合について、被災されますと、同じ場所で再開か、移転をするか、若しくはやめるかという選択肢があるかと思いますが、移転先の用地の確保や整備費等確保に当たり国としてどのような支援が行われているのかお伺いしたいと思います。

 また、厨房機器など日々の必要な設備を交換し現在の施設に戻るとしても、通常の仮設住宅ではなく、ヘルパーや介護職員が施設居住者を見られるように、同一建物の複数の部屋が使える場所の確保も課題となってくるかと思います。このような集団での建物を利用する仮設、みなし仮設住宅というのも可能なのか、御見解をお聞かせいただければと思います。

諏訪園政府参考人 お答えいたします。

 被災しました高齢者、障害者などの福祉施設の復旧に迅速に取り組む必要がある、このように認識しているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージに基づきまして、福祉施設の建物や建物と一体となっている設備の復旧工事に対しまして、自治体を通じ補助金を交付し、財政支援を行うこととしているところでございます。

 当該補助金は、災害前と同じ場所、形状、寸法、材質でもとに戻すという原形復旧が原則でございますが、国に御協議いただき、その必要性があると認められる場合には、移転改築も可能としているところでございます。

 被災自治体などと緊密に連携しまして、一日も早い施設の復旧に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

小宮山委員 ぜひお願いいたします。

 さて、千葉県で大規模な停電が生じた台風十五号の発生後、赤羽大臣の無電柱化推進への取組についての積極的な発言が随分取り上げられました。また、与党の補正の中にも無電柱化の推進のようなことが言われている等の報道がございました。

 これらの真意というものはいかがなんでしょうか。原形復旧が基本でありますが、改良復旧なども含めて、無電柱化を進めていくというときには必要かと思いますが、この大臣の熱意、決意をお聞かせください。

赤羽国務大臣 千葉県の特に南部地域の視察をさせていただいたときに、木が倒れてそれが電線にかかって大変多数の電柱が倒壊をし、その結果、長期間の停電が生じてしまった。今、現代社会の今の世の中で、長期間の停電というのは、まさに命と暮らしに重大な影響があるということなので、無電柱化を進めるということは、私、そのときに申し上げたとおりでございます。

 国交省としましても、これまで三カ年、二〇一八年から二〇二〇年の中で千四百キロメートルの無電柱化の計画に加えまして、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策で、それに加えて、緊急輸送道路のうち風による倒壊の可能性の高い一千キロメートルの無電柱化に着手することにしております。ただ、主体は、電力会社など電線管理者が主体的なものですから、経産省、総務省、また関係事業者に加えて、これをどう進めていくのかということもしっかりと進めていきたいと思います。

 やはりこれだけの被害が起こったということで、その費用負担をどうするのかというのは国民の皆さんにも理解は得られるものだというふうに私個人は思っておりますので、そうしたこともしっかり視野に入れながら、無電柱化、昔からある話なんですがなかなか費用負担の件で前に進んでこなかったことをしっかり反省しながら、前に進めるように精いっぱいの努力をしていきたい、こう考えております。

小宮山委員 ぜひ、無電柱化の推進をすることによって減災、防災に資する、そんなような復旧、再生ができることを願っております。

 全壊、半壊、大規模半壊などの認定基準について伺いたかったんですけれども、時間になりましたので、またの機会にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

土井委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立国社の福田昭夫でございます。

 今回の台風十九号では、栃木県も大変大きな被害を受けました。先ほどは、簗委員が栃木県の東側の被害をもとに質問をいたしました。私の方は栃木県の西側を中心とした被害をもとに質問をさせていただきますので、赤羽大臣始め、ぜひ政府関係者は簡潔にお答えいただきたいと思っています。

 そこで、質問の順番を変えます。時間がありませんので、二番目の、原形復旧制度から改良復旧への転換、それから、政府が進めております事前着工、これをしっかり周知徹底するということについて各省庁の考え方をただしてまいりたいと思っております。

 まず、一つ目は国土交通省です。

 第一点は、資料の一をごらんいただきたいと思っていますが、被害の甚大化に対応する改良復旧の必要性の現場写真であります。

 これは、日光市を源流とする行川の、鹿沼市の見野の災害現場であります。ここは四年前にも大きな被害を受け、取水口の改良、堤防が復旧されましたが、このたびは前回を上回る被害を受けました。現況復旧ではだめだという一事例ですけれども、このような場所はたくさん、今回の台風の被害では全国各地に見られているかと思っております。

 政府として、来月に策定する予定の経済対策では改良復旧に取り組むという方針が出されているようでありますが、そうした報道もありますが、そのとおりだということで確認をさせてもらってよろしいですか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原形復旧のみならず、堤防のかさ上げや川幅を広げるなどの改良復旧というものを行うことは極めて重要であると認識しております。

 今現在、被災自治体におきまして復旧に向けた計画を立案中でございまして、国土交通省といたしましては、被災自治体の要望を踏まえ、改良復旧に関する周知も含め、災害査定官がさまざまな助言を行うなど、改良復旧事業が適切かつ積極的に採用されるよう、引き続き全力で支援してまいります。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 この資料の一のところは、この左側の竹やぶの後ろに実は個人住宅があるわけですが、四年前もうちの中を水が流れ、それから前の畑、田んぼも全部やられて、今回は、この取水口のところからあふれただけじゃなくて、右側の方のあれが積んであるところでありますけれども、ここは自宅から実は十メートルぐらい川とは離れていました。しかし、今回は、ここを見事にやっつけて、まさに自宅の後ろまで、間に実は市道が走っていましたけれども、この市道も全部流した上で、今度は自宅の右側を流れていって、田んぼもやっつけ、行川がぐるっと曲がっておりますけれども、そちらに流れ込んでいった。そういう被害の現場であります。

 本当に気の毒としか言いようがない被災の現場で、まさに、単なる復旧ではだめだ、原形復旧ではだめだという事例でございます。ぜひ、十二月に立てる経済対策の中では、その点、十分に考慮して立てていただきたいと思っております。

 第二点は被害を受けた鉄道事業者の支援についてでありますが、資料の二は、これは地元の鉄道の鉄橋の部分がやられた現場写真でございます。

 これは質問はいたしませんけれども、全国各地といいますか、今回の被害で、いろいろなところで鉄道が大変な被害を受けました。鉄道は、御案内のとおり、我が国では、国鉄が民営化されて以来、実は全て私鉄ということになっているわけでありますが、しかし、鉄道は非常に重要なインフラでございますので、ぜひしっかり支援をして鉄道が使えるようにしてほしいな、こう思っております。

 続いて、農林水産省にお伺いをいたします。

 第一点は、これも被害の甚大化に対応する改良復旧の必要性についてであります。

 資料の三をごらんいただきたいと思っていますが、これは、四年前にやはり同じく被害を受けた日光市の中山間地にある大きな土手でございます。上に鉄骨が見えますけれども、これはシンビジウムの栽培をしているところでございますが、ここは実は四年前では市の復旧の計画が石積みでありました。しかし、それは過大だということでゼロ査定になり、しかし、その後、農水省の幹部が再査定に来てくれて、石積みではない、土手の復旧ということになりました。でも、今回の大雨でまた二カ所に大きな被害を受けました。

 これも、もし石積みであったなら、もしかして今回の大雨にも耐えられたのではないかということも考えられます。もちろん、たらればはありませんけれども、農水の現場でもこうした改良復旧が望まれるところではないか、こう思っております。

 次に資料の四をごらんいただきたいと思っていますが、これは、さくら市の喜連川の圃場整備で、河川の拡張の用地を確保したものの、下流が河川改修ができないので、江川という川が越水して圃場やビニールハウス等に大きな被害を与えた現場です。写真を見ていただければわかりますように、河川の両側に大きな土手といいますか、ありますけれども、この川幅だけ実は拡張する計画があるわけですけれども、しかし、残念ながら、下流の方がまだ河川改修が進んでおりませんので、見切り発車で圃場整備をしたところ、このようなことで今回大きな被害を受けたという現場でございます。

 ですから、やはりこうした圃場整備なども、申請事業ではありますけれども、地権者全員の協力を得て、工事の順序を間違えないということが大切なんだなという現場なので、御紹介をしておきたいと思います。一日も早い解決が必要だなと考えております。

 農水省の改良復旧の必要性について、ちょっと聞いておきたいと思います。

安部政府参考人 被災をしました農地等の復旧については、原形復旧が原則ではありますけれども、再度災害防止に向けた取組も重要であると認識してございます。被災した施設ごとに、自治体等の意見も伺いつつ、どのような対応が可能か、丁寧に技術的な支援を行っているところです。

 御指摘をいただきました農地ののり面でございますけれども、もともと土の斜面であったものを、平成二十七年の災害時に、のり面の下にコンクリート擁壁を設置しますとともに、のり面勾配を緩くする工法で復旧をしたものですけれども、しかしながら、今回の台風十九号によりまして擁壁の上部のり面の一部が再度被災をしたことから、のり崩れの要因を十分に検討し、同様の災害が生じないように復旧工法等の技術的支援を行い、再度災害の防止に努めてまいります。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 土木災害にしても農水災害にしても、とにかく降る雨の量が違ってきているということで、これは後で質問の中でやりたいと思っていますが、また風の強さも違ってきている。そういうことを踏まえた上で、原形復旧から改良復旧に大幅に転換すべきだということをぜひ指摘をしておきたいと思っております。

 第二点は、被害を受けた連棟ハウスが移転する場所に原形復旧できない場合の対応についてであります。

 地元の農協の人に伺いますと、四年前も実は水害でハウスがだめになり違うところへ移転しました、また今度の水害でやられてしまいました、たまたま三連棟ハウスなので、ビニールハウスなので、高台に移転しようとしたが、実は面積が足りずにその場所には一棟しか再建できない、これは補助の対象にならないと言われたんだ、こういう話で大変心配しております。

 農業に意欲のある人がやはりもう一度再開できるようにするためには、例えば規模縮小ということも、本来なら改良復旧するんだからよくした方がいいんですが、規模縮小をしても農業をこれからもやる意欲のある人についてはそれも認める、こういうことが大事かと思っていますが、その辺はどんなふうになっていますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の災害により被災した農業用ハウスについては、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の被災農業者支援型により再建、修繕を支援しているところでございます。

 その際、場所を移転して再建することは可能であり、委員お尋ねのような、やむを得ず規模縮小を行う場合も支援の対象としております。

 農林水産省といたしましても、被災された農業者の方々が一日も早く営農を再開できるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 それでは第三点ですけれども、ビニールハウス内のイチゴ、ニラ、花等の被害に対する助成がないのかどうかということであります。

 資料の五の一と二をごらんいただきたいと思いますが、ここはシンビジウム農家であります。五の一の方は、残念ながら、この脇にもう一棟ビニールハウスがありましたが、これが流れてしまいました。この農家も四年前にもやられました。五の二を見ていただきますと、シンビジウムに泥がかかっております。こういう泥がかかるとやはり花として使えなくなってしまう、こういう話であります。

 このほか、栃木県の鹿沼市はイチゴとかニラの栽培が非常に盛んなものですから、そういうものがあるわけでありますが、今回のこうした被害に対して、農水省としてどんな対応があるのか教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 たび重なる台風の影響によりまして、ハウスの倒壊や損傷、こういうものとともに、ハウス内の作物に、御指摘のとおり、浸水などによりまして被害が生じております。

 このため、農林水産省では、被害を受けました農業者の皆様に対しまして、早期営農再開のために必要となります種子とか種苗、こういった生産資材、それから追加的に必要となります農薬、肥料の購入経費、こういうものに対しまして支援を行っているところでございます。

 これらの支援策につきまして、説明会の開催、パンフレットの配付を通じて周知をしているところでございます。

 被災された農業者の皆様が一日も早く経営再建できますよう、我々も全力で取り組んでまいります。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 そして、その次は林野庁でございます。

 林野庁については一点だけ質問したいと思いますが、林道の復旧について、激甚災害の指定を受けていれば、一カ所工事費四十万以上であれば国の負担九四%で林道施設災害復旧事業の対象になるという話でございますけれども、その際、国土交通省の道路や河川、あるいは農水省本省の農地や農業施設等については工事請負費だけじゃなくて設計委託料も国庫補助の対象になる、こういう話でありますが、林道についてはそれがないのではないかと地元の森林組合あるいは地権者などが大変心配をいたしております。

 このところの本当のことはどうなのか、林道の復旧作業についても査定用の設計委託費等が国の補助の対象となって、それが実施設計となるような仕組みがあるのかどうか、教えていただきたいと思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 林道の施設災害復旧事業における測量・設計委託費についての御質問でございますけれども、農地とか農業用施設といったほかの災害復旧事業と同様の取扱いとなっております。

 具体的には、査定前の計画概要書の作成に要する測量・設計費の経費につきましては、激甚災害に指定された場合や特殊工法を実施する場合、その費用の二分の一を国が補助することとしております。

 また、災害査定時において、現地の状況から工法を決定するための調査費等の計上が認められた場合は、当該調査費が事業費の一部として国庫補助の対象となっております。

 さらに、森林組合が事業主体になる場合におきましても、都道府県が補助する費用について、同様の考えで国が補助することとされているところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 どうも地元の森林組合では、県と市の補助しかないということで誤解をしていたようでありますから、その辺、しっかり指導していただければと思います。

 それでは、二点目は省略いたします。

 四つ目は環境省ですが、これは要望だけしておきたいと思います。

 今回、被災した農業用ハウス等と圃場等に堆積した稲わら等の処理について、農水省と環境省が連携して対応することとしておりますが、この連携スキームは非常に私はすばらしい仕組みだと思っていますので、これもまた、よくわかっていない市町村などもありますので、しっかり周知徹底をしていただくことを要請しておきたいと思います。

 次は経済産業省でございます。

 実は、今回の災害で中小企業がたくさんやられました。また、商店街もやられました。そうした中で、今回の経産省の支援の仕組みは、私は大変よく確保していただいたなと思っております。

 第一点の中小企業等グループ補助金の柔軟な適用について、それから第二点、小規模事業者持続化補助金の幅広い適用について、それから第三点、商店街補助金の適用について、第四点、石油製品販売業早期復旧支援事業の適用について、これは四点、簡潔にまとめてお答えいただけますか。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省では、生活・生業支援パッケージにおきまして、国が最大限、全力で支えてくれると被災事業者にはっきりわかる対策を数多く盛り込んでおります。

 御指摘のございましたグループ補助金は、特に被害の大きい宮城県、福島県、長野県、栃木県におきまして、被災事業者がグループを形成して工場、店舗等の施設や機械設備などの復旧を行う際に、原則として、補助上限十五億円まで、その費用の四分の三を補助するものでございます。

 また、持続化補助金は、被災した小規模事業者向けの支援として、例えば、機械設備や業務用車両の新規購入、店舗改装、事業再開時の広告宣伝などさまざまな費用について、さきに述べた四県では補助上限二百万円、その他の災害救助法適用地域がある被災十都県では補助上限百万円まで、原則としてその費用の三分の二を補助するものでございます。

 商店街補助金は、被災した商店街の共同施設の改修等について最大四分の三を補助し、集客イベント等に取り組む費用については定額又は三分の二補助するものでございます。

 さらに、さきに述べた四県では、中小企業基盤整備機構が行う仮設店舗整備に対する支援も実施いたします。

 こうした支援策を通じて、被災した事業者の事業再開をしっかりと支援してまいります。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地におきましてサービスステーションは被災者の生活再建や被災地域の復旧等に必要不可欠な燃料供給を担っていますことから、被災したサービスステーションの早期の機能回復、これは非常に重要だと思っております。

 このため、私たち経済産業省としまして、石油製品販売早期復旧支援事業におきまして、台風十九号により損壊した計量機、自家発電機、タンクローリー等の補修や入れかえを補助率四分の三以下、サービスステーション一カ所当たり上限三千五百万円で支援する方向で今準備をしております。

 こうした事業を通じまして、被災地におけるサービスステーションの復旧を全力で後押ししてまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 今回の対策で特によかったと思っておりますのは、グループ補助金が非常に柔軟な適用ができるようになってきたということ、それから、地方ではやはりガソリンスタンドがどんどんどんどんなくなってしまうような状況にある中で、こうした復旧支援事業は非常に大切だというふうに思っております。

 そこで、まとめてお伺いしたいのは、国土交通省も農水省も原形復旧から改良復旧に転換しようという考え方が出てきていますが、経産省としてもぜひ原形復旧から改良復旧へ転換するという考え方が必要だと思いますが、今度、来月つくる予定の経済対策の中でそんなことを検討しているのかどうか、お答えをいただければと思います。

渡邉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の補助金につきましては、原形復旧にとどまらない被災事業者の復興を後押ししてまいります。

 具体的には、グループ補助金におきましては、事業再開、売上げ回復を促すため、従前の施設等への復旧では事業再開や継続、売上げ回復が困難な場合、製造ラインを新製品に対応できるよう転換するなどの、いわゆる新分野事業に要する施設等の整備に係る費用を支援対象といたします。

 持続化補助金におきましては、原状復旧を要件としておらず、例えば、事業再開に向け新たに移動販売に取り組むための費用等も支援の対象としております。

 商店街補助金におきましては、現在の安全基準に適合した新たな施設への改修費用を支援の対象としてございます。

 また、これらの補助金におきましては、既に施設等を購入した事業者につきまして、特例として、交付決定の前であっても、発災以降に復旧等に使用した経費であることが認められれば、さかのぼって補助対象経費として認めていく予定としてございます。

南政府参考人 サービスステーションについてお答えさせていただきます。

 先ほどの石油製品販売業早期復旧支援事業におきましても、補助金の上限額の範囲内であれば、損壊した計量機等の設備を性能のよい最新の設備に入れかえることも認める方針で事業を行っております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 事業主の皆さんが大変喜んで、元気が出て、頑張ってくれると思います。

 それでは、次に厚生労働省ですが、これは答えは結構です。台風十五号、十九号の災害に伴う雇用調整助成金の特例の適用でありますけれども、今回、十九号に対しては特例の特例がまた出たということでありますが、こうしたものもしっかり有効に使いながら事業再開に向けて頑張ってほしいなと思っております。

 次は観光庁です。

 今回の台風の影響により落ち込んだ観光需要の回復に向けた支援を、先ほども質問がありましたが、私の地元、日光、鬼怒川温泉でも相当のキャンセルが出ております。しかし、どうも聞くところによりますと、十一月の七日時点でもう締め切ってしまった、こういう話があって、実はキャンセルはいまだに続いているというような状況であります。

 私が旅館ホテル組合の事務局から聞くところによると、地元の鉄道が十二日間運休したということもあるんですけれども、鉄道が運休したのに自動車で来る人さえキャンセルが出たという話もあるぐらい、実は今回の台風はそれほど大きな被害を与えたということであります。

 今回の予備費を使った観光需要の支援はこれでいたし方ないかもしれませんけれども、今後、補正予算で経済対策もやるわけですから、その中でぜひそうしたものも改めて、ちゃんとキャンセル件数をある程度、今回は申請しなかったというところもあるみたいですから、キャンセルが本当にどれぐらいあったのかというのをある程度正確に把握をした上で追加対策としてしていただくように、あるいは、観光地では冬場は全くお客が来ないという地域もありますので、そうした冬場の観光振興策として、何かプロジェクターマッピングという非常にすばらしいあれもあるようですから、そうしたこともあわせて助成ができるような、そういう検討も観光庁にはお願いしておきたいと思っております。

 続きまして、内閣府です。

 内閣府で、被災住宅再建の認定に当たっては、床上浸水一メートル以上の大規模半壊と一メートル未満の半壊との違いを周知徹底することについてお願いしておきたいと思っています。

 栃木県内では、早い時期に地元の新聞が、床下浸水、一メートル未満は補助金の対象とならないという報道をしたために、県民の皆さんが大変な誤解をしている場合が多いようであります。

 そこで内閣府に伺ったら、いやいや、こんなにちゃんと周知徹底しているんですよという資料をいただきました。

 しかし、そうしたものがしっかり住民の皆さん、県民の皆さんに伝わっていないと、実は、いや、半壊はだめなんだとか、一部損壊もだめなんだみたいな、そんなことになりかねませんので、これもお願いをしておきたいと思っております。

 そして次は、国交省、農水省、経産省の復旧事業について。三省全てから今、改良復旧に取り組むんだという考え方を伺っておりますので、ここでは質問を取りやめます。

 それから、農水省、環境省、経産省所管の復旧事業については全て事前着工が認められているようでありますので、ぜひこれについても各自治体に、都道府県や市町村に周知徹底していただきたいと思っています。

 実は、ここで提案をしておきたいと思っていますが、三省とも事前着工を認めているのに、その通知の仕方が、地方分権が二〇〇〇年にスタートして、市町村、都道府県、国が一応、対等、平等の関係で協力するとなりましたが、実際はそうなっておりませんが、国の周知徹底の仕方が、都道府県と政令指定都市にしか実は通知を出さないんですね。そうすると、都道府県から市町村に行くんですけれども、でも、せっかくそういう地方分権の時代がスタートしているので、それぞれ省庁で、ホームページにアップしているといえばアップしているんですが、ぜひ、都道府県と政令指定都市だけじゃなくて全ての市町村に通知を出す、そういうふうに通知の仕方を改めてほしいと思っていますので、これは、たくさんの省庁が来ているので、要請をしておきたいと思っております。

 それでは、少し時間が残りましたので、ここで最初の方に戻りまして、一番の方ですけれども、ここ数年頻発する台風、大雨等の自然災害の大きさに対する認識と今後の対応についてということでありますが、(一)から(三)までは、質問取りの中で聞きましたら、政府としてまだ決まった考え方がないんだということでありますので、ここは要請だけしておきたいと思います。

 先日、マスコミの報道番組を見ていましたら、今回の台風を地球温暖化型台風、それから、下流の方で時間差で洪水が起きたことを流域洪水と呼んでおりました。

 地球温暖化型台風、流域洪水と呼んでおりましたが、政府としてはまだその原因についても定義づけについても特定していないということでありますので、今回は質問いたしませんけれども、ぜひ、地球温暖化対策、気候変動対策は待ったなし、こうなっておりますので、環境省も含めて、きょう環境省は来ていないかもしれませんが、環境省も含めて、政府としての方針をしっかり決めるように要請をしておきたいと思います。

 そして、四つ目ですけれども、ダム、遊水地は万能でないということを周知徹底する必要について指摘をしておきたいと思います。

 第一点は今回ダム等が有効に機能した事例についてでありますが、今回たまたま有効に機能したのは八ツ場ダム、渡良瀬遊水地、鶴見川遊水地などと聞いておりますが、全体としてどのようだったのかということについては先ほどの質問で答えもありましたので、これは省略をいたします。

 順序を変えまして、第二点、ダム操作の難しさと万能でないことの周知徹底が必要なことについてであります。

 ダム操作につきましては、ダムごとに操作規則があるようでありまして、その規則に従って操作することになっているようでありますが、問題は、多目的ダムについては、堆砂容量、利水容量を残して洪水調節容量だけ放流していくことになりますから、洪水調節容量を超えるような雨が降ってダムの決壊のおそれがあれば緊急放流をしなくてはならないというところが、非常にダム運用の難しい、厳しいところだと思います。

 栃木県内でも塩原ダムが緊急放流をいたしました。言いかえれば、ダムも遊水地も万能ではない。そのことを関係自治体や地域住民にしっかり徹底して、やはりいざというときには逃げるしかないんだということを、ぜひ防災訓練などでしっかりやっていくことが必要だと思いますが、国交省の考えはいかがですか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、ダムや遊水地、堤防等治水施設については一定の外力を対象に設計されており、施設の能力を超える洪水が発生するということがあり得るわけでございます。

 ダムが洪水調節容量を使い切る見込みになったときには、御指摘の緊急放流、すなわち異常洪水時防災操作に移行することとなり、その際には、ダムの放流に関する情報が住民の円滑な避難に結びつくことが重要だというふうに考えております。

 このため、昨年の西日本豪雨を踏まえ、平時から、ダムの操作方法全般に加え、放流情報の内容や意味、ダムが異常洪水時防災操作に移行する際に避難が必要であることなど、また、住民や報道機関への説明会、避難訓練、ホームページ等を通じ、住民に周知する取組を進めているところでございます。

 引き続き、ダム等の施設能力を超える洪水が発生した際に、避難の必要性等について、自治体とも連携しつつ、さまざまな機会を通じ、住民への周知に努めてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問といいますか、問題提起をしたいと思いますが、資料の六の一と二をごらんください。

 これは、鹿沼の思川、粟野地域でありますが、思川の越水の様子、地元の新聞の記事でございます。これは本当はもっと被害が大きくて、粟野川というのが思川に合流しております、この天満橋の上流で。この粟野川も越水をし、思川も越水した。それで、大変な水が出たために天満橋下流で越流をして、「大量の水」、こう書いてありますが、還流した。こういう形で、思川がショートカットされて大きな被害を与えて、柳橋のところで実はまた越水をして、この柳橋のところには、思川の手前にずっと市道が走っていたわけですが、その市道も押し流してしまった、そういう現場でございます。

 その次の六の二をごらんいただきたいと思います。これは思川開発事業の概要です。

 今、見直しをした結果、建設中でありますが、これをごらんいただくとわかりますように、右の図であります、ここに「南摩ダム」とあります。この南摩ダムは、水をためるために、もともと水がありませんから、黒川や大芦川から水を持ってきてここへダムをためて、水を開発をして利水をする、こういう話でございます。

 しかし、今回、この目的に、左の方の「事業の概要」の中に「洪水調節」と書いてありますが、ここへダムをつくっても残念ながら全く洪水調節ができないことが今度の災害ではっきりしてしまいました。

 氾濫した方は、私がつけ加えておきましたが、思川の北側に粟野川という川があります。この二つが大洪水となって実はこの思川の大越水を引き起こしたわけです。ですから、この南摩ダムに水がたまっても、これはどうにもならないです。ですから、変な言い方をすれば、ダムをつくる場所を間違っていたんじゃないの、こう言われるような南摩ダムでございます。

 しかも、下流に行きますと渡良瀬遊水地があって、今回は渡良瀬遊水地が機能して何とか下流に被害を大きくさせなかった、こういう報道がありますけれども、まさに渡良瀬遊水地を含めた、思川、渡良瀬川流域でどういうふうに洪水対策をしていくか、そういう見直しが必要だと思っています。南摩ダムの有効性と必要性についての再検証は必須だと思っています。

 さらに、利水については、暫定水利権を取得しているのが茨城県の古河市と五霞町です。それから栃木県の小山市です。この暫定水利権、何と、大臣、古河市は、南摩ダムが完成するまでに五十年以上、暫定水利権を毎年毎年申請して、水をとらせていただいて水道を供給しています。半世紀ですよ。ダムがなくても水はとれたんだから、これはちゃんと法定水利権を与えるべきですよ、大臣。五十年。小山市で多分二十五、六年になる。五霞町は既に埼玉県の企業局から水をとっていますから、もう別に思川から取水しなくても大丈夫なんですね。

 それから、新規開発するのが栃木市と下野市と壬生町です。今、県の企業局と一緒になって広域水道事業供給計画をつくっています。この三市町は、今、地下水で水道水を賄っています。南摩ダムで水を開発したら、それを最大六割、表流水にかえるというんですよ。こんなばかなことをやっても、多分、もしそれが可能になったときに、三市町の住民は、そんなに高い水道料金じゃ要りません、みずから井戸を掘って対応しますよとなりかねない。そういう非常に無駄なダムです。

 ですから、これをやめて、ここにかける分、まだあと一千億弱あると思います、それをちゃんと護岸工事とかいろいろなところに振りかえれば、私は、ただ予算をふやすだけじゃなくて、国土交通省が持っているそうした予算を、ダムをしっかり見直して、本当に流域ごとに洪水対策をどうするかと見直して、そのお金をきちっと振りかえて使っていけば、国土交通省は大変喜ばれる省になる、こう思っておりまして、そういう提起だけしておきたい。

 いずれまたしっかりこの問題については時間をとって質問をさせていただきたいと思いますので、赤羽大臣の英断をぜひ期待をして、質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

土井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

土井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。荒井聰君。

荒井委員 荒井聰であります。

 私は、最初に選挙に当選したときが奥尻の津波のあったときであります。二百人死んだかな。それから、九五年ですか、阪神・淡路大震災があり、そして二〇一一年に東北大震災があった。いずれも、私がたまたま与党にいたときに大きな地震、災害が起きるという。災害についてしっかりと対応しろ、対策を練れと……(発言する者あり)いや、そんなことはないでしょう。そういうことなんだなと思いまして、災害については非常に関心を持ってきていました。

 ソーシャルキャピタルという言葉がございます。これは前の気象庁長官の橋田さんが、最初ではないと思うんですけれども、ソーシャルキャピタルという言葉を使い出しました。これは、災害を通じて、他人への信頼、そういうものが向上しなければ災害復旧ができないということ、あるいは、それが強ければ災害復旧が早くできるということを意味していて、そういう学説を引用しているわけで、まさしく先ほど大臣がおっしゃった阪神・淡路大震災のときの話もそうだと思います。

 現実に、阪神・淡路大震災を契機にして、あのとき、アマチュア無線が大活躍するんですね。アマチュア無線しかなかったと言った方がいいかもしれない。それを契機としてミニFMの制度がつくられました。

 それから、ボランティアが大挙して神戸に押しかけるんですけれども、それの対応が難しくなってしまって、どうしようかということがきっかけで、当時の自民党の加藤紘一先生も中心になってNPO法案というのをつくることになりました。これによって、共助の仕組みというものが整理されるきっかけになったんだろうと思います。

 さらには、東北大震災については、これをきっかけに電力の自由化あるいは原発政策の大転換というものが図られることになるわけです。

 私は、今回の大きな災害も、これを契機にして、大きな社会構造の変化、あるいは災害に本当に強い、あるいは復活の早い、そういう日本社会をつくるきっかけにしなければならないなというふうに思っています。

 ところで、大臣、気象庁が日本で最初につくられたところは函館だということを御存じですか。この中で知っていた方はほとんどおられないと思います。

 気象台をつくった男は荒井郁之助といいまして、私の名前と同じ、関係あるかどうか全然わかりません、多分ないんだと思うんですけれどもね。

 この人は、江戸幕府の最後の海軍奉行でした。彼は、当時の江戸幕府が持っていた最新の軍艦である開陽丸の船長でもありました。この海軍の開陽丸を持っていたために、明治政府は、蝦夷地共和国をつくろうとしていたその勢力を潰すことができなかったんですね。しかし、残念ながら、荒井郁之助は操船を誤って、江差沖で座礁、沈没させてしまいました。それを見て明治政府が攻めて戦いに勝つわけですけれども、もしも操船を誤っていなければ、あのときは大風か大雨か何かに出かけちゃうんですけれども、それがなければ今ごろ北海道は独立国家になっていたかもしれないなというふうにも思うんですけれども。

 その思いがずっと彼に、彼は地理課長もやるんですけれども、地図の製作については卓越した技術力を持っていたようなので、しかし、それもやめて、最後にやった仕事が気象台をつくることだったんです。この気象台は、ですから函館につくりました。彼の思いがずっとあったんでしょうね。

 私は、このことがずっと、災害とかそういうものに、荒井郁之助が体験したというか経験した悔しさというか、そういうものが気象とか災害の政策の根幹につながっているんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、きょうは旧河川局と、新しい省庁は何と言うんでしたかね、旧河川局と気象庁の皆さんを中心に議論をしたいと思います。

 その前に、先ほども小宮山さんから話がありましたけれども、電柱の話がございました。十五号の台風で電柱がばたばたと倒れた。

 電柱が倒れるのは、実は東北大震災のとき電柱は倒れているんです。この教訓を十分に私は踏まえなかったのかと。

 一番言いたかったのは、福島第一原発の、原子力発電所に入ってくる一番大事な電柱が地震によって倒壊したんです。これによって電力が喪失したということ。それから、東北新幹線も、電柱がばたばたと倒れて、送電線が倒れたために復旧に非常に苦労したんです。にもかかわらず、今回、電線に対して、電柱に対して、あるいは鉄塔に対して十分な対策ができていなかったんじゃないか。簡単に、何か二日か三日ぐらいで改修できるというような発表をしたようですけれども、どうもそのときは、政府は改造内閣にするために忙しくて、関心はずっとそっちの方に行ってしまって、おろそかになってしまったのではないかというふうにも思います。

 この電柱対策は、これから必ず来るであろう首都直下型地震にとっても大変大きな課題でありますし、電柱が倒れるということは道路が塞がってしまうということですから、このあたりの対策も含めて、経産省、どう考えているのかお答えください。

河本政府参考人 お答えいたします。

 近年の災害による設備被害を踏まえますと、委員御指摘のとおり、送配電の設備の強化、そういったものが極めて重要であります。今回の電柱あるいは鉄塔の倒壊についても同様でございます。

 経済産業省といたしましては、電力レジリエンスワーキンググループを開催いたしまして、台風十五号、十九号による停電の復旧プロセスにつきまして徹底的な検証を現在行っておりまして、十月末に中間論点整理を取りまとめたところでございます。

 その中で、送配電設備の強化に資する対策といたしまして、鉄塔や電柱の技術基準の見直しを含めた検討や無電柱化の推進等を提示したところでございます。特に、鉄塔、電柱の技術基準の見直しに関しましては、専門的な会議体を新たにつくりまして、具体的な検討を進めておるところでございます。

 こうした検討を踏まえまして必要な対策を着実に実行に移しまして、電力インフラのレジリエンス強化、これをしっかりと行ってまいりたいと思っております。

 以上です。

荒井委員 この話はもうこれぐらいにしたいんですけれども、実は電柱地中化の話というのは、二十数年前に、当時、今参議院議員をやっている佐藤信秋君が、道路企画課長だったと思いますけれども、彼を中心に勉強会を設置しまして、電線の地中化というものの法案もつくり、その予算も計上するという、最初の第一ステップを踏みました。

 ただ、先ほども大臣もおっしゃっていましたけれども、費用負担の持ち方でなかなか難しくて、その後、つい三年前でしょうか、小池百合子さんが中心になって簡易な電線の地中化というための法案をつくったわけです。これは……(発言する者あり)ああ、そうか。ごめん、そうですね。

 しかし、やはり基本的には財源の持ち方ということが、電力会社は民間会社ですから、そこがどうなっていくのかという、財源を生み出すことが大変難しくてなかなか進まないんだろうと思いますけれども、しかし、直下型地震が来たときには、重要な道路が電信柱が倒れたことによって通行ができないということが考えられますので、消防自動車も行かない、あるいは救急車も行けないという事態をぜひ避けるための対策ということが絶対必要だというふうに思います。

 それでは、旧河川局、少しお話をしたいと思います。

 今度の水害は相当な想定外の雨量がという話があったわけですけれども、しかし、気象庁は三日前に、今度の豪雨に関しては、今までにないような、狩野川の台風のような、そのような被害が想定されるということを再三通告をしていたんですよね。ですから、三日ぐらい前からそれなりの準備があってしかるべきだというふうに思うんですけれども、そこはどうでしたか、水・保全局長。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、大きな被害が出たということでございます。

 治水施設は一定の降雨を前提に整備がされており、これを超える降雨があれば氾濫するということが考えられます。また、施設の整備の前提としている降雨の範囲内であっても、施設の整備途上であればまた氾濫をしてしまうということがあろうかというふうに思います。

 今回の台風第十九号では、東日本を中心に、十二時間の降水量が百二十地点で観測史上一位の値を更新するなど記録的な大雨となり、多くの河川で過去の最高水位を更新したところでございます。こうした記録的な大雨と、河川の整備途上ということもあり、国、県が管理する河川の百四十カ所で堤防が決壊する、また、その他の地点から越水などにより広範囲に浸水が発生し、結果として甚大な被害が発生したものというふうに認識しております。

 引き続き、関係機関とも連携しながら、被災した地域に寄り添い、被災地の復旧復興のために全力で事業を進めてまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 治水関係の最高責任者でありますから、今まで相当な公共予算を使って治水ダムを、あるいは多目的ダムをつくっているわけで、その運用についてどのように考えているのか、事前放水をしたのかしなかったのか、あるいは、河川法の五十五条を使って、治水目的のダムだけではなくて利水のダムについても協力をさせるというような方策もあったと思うんですけれども、そこのところは考えなかったのか、その点はどうですか。

五道政府参考人 台風第十九号におきましては、国土交通省が所管する百四十六のダムにおきまして、洪水を貯留することにより下流の水位を低下させ、洪水の防止、軽減を図ったところでございます。その一方で、先ほどから議論があります六ダムにおきまして緊急放流ということでございます。

 事前の放流ということでございますけれども、洪水時の治水のために計画的に実施する予備放流と利水者の協力を得て実施する事前放流、両方ございますけれども、このうち、今回、事前放流を行って水位を下げたダムは、関東地方を中心とした三十三ダムということでございます。

荒井委員 私は、もっと事前放流あるいはそれに備えるための準備というのをやるべきではなかったかなというふうに思います。

 先ほど気象と医療とを研究しているあるドクターの発表を聞いていたんですけれども、先ほど小宮山委員もおっしゃっていましたけれども、障害者とかあるいは病人とか、そういう人たちの避難をするためには三日ぐらい前から準備しないとできないということを、医療の立場ですからそういうふうに言っていたと思うんですけれども、したがって、三日というのは今回もいろいろな意味でキーワードになっているんだろうと思うんですよね。そこの準備というのは私は十分ではなかったのではないかということを思います。

 中でも、私もダムの技術屋ですからある程度わかっているつもりですけれども、一個一個管理しているんですよね。しかし、そういう時代は過ぎたんじゃないか、あるいはそれを克服できるんじゃないか、あるいは、国管理のダムと県管理のダムとを一体的に融合的に管理をしていく、そういう手法をもはや開発するべきなんじゃないか。

 どうしても技術屋というのは、私も技術屋ですから、物をつくるのに関心を持ってしまって、それをどう運用するかとか、どう市民にそれを徹底させるかということについては不得手ですよね。でも、そういう不得手を乗り越えて、ダムの流域管理とか一体管理とか、そういうことに乗り出す時期に来たのではないでしょうか。

 人工知能が開発をされているこの時代に、複数のダムの管理ができないということの方が私はむしろおかしいんじゃないかなと思うんですけれども、局長、どうですか。

五道政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今現在、ダムの操作につきましては、ダムごとに定められた操作規則に従って操作を行っているところでございます。

 複数のダムを統合管理した操作を行おうとした場合には、この個々のルールとは異なる操作を行うことになり、それには、雨の降り方の予測であるとか、そのような相応の理由に基づいた操作が必要になるというふうに考えてございます。

 今現在、自然現象の不確実性や降雨の予測技術の精度に制限がございまして、現時点では複数のダムを統合管理するということには困難があるということだと思います。しかしながら、今委員御指摘のとおり、さらなるダムの有効活用をするためには、降雨予測の精度向上、技術開発に取り組むとともに、御指摘のAI等の活用についても研究をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 昨日、既存ダムの貯水容量を活用して洪水調節機能を強化する、関係省庁で構成される既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会が開催されているところでございます。そのような中で、水位の回復の予測の技術であるとか降雨の予測技術も踏まえまして研究を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

荒井委員 この資料、お出しをいたしました。これは気象庁が、二年前から危険度分布を、予測するそういうシステムが動き出したんですけれども、ちょっとこれについて、気象庁長官、説明してください。

関田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま荒井先生から御指摘いただきましたとおり、我々の方では流域雨量指数というふうに呼んでおりますけれども、これは、降った雨が川に流れ込んでいくというところを簡単なモデルでシミュレートした結果、その河川においてどの程度洪水の危険度が高まっているかというものを五段階の色で示した、こういったものでございます。

荒井委員 このシステムをもっと活用したら、もっと精度の高い、洪水被害の地域がどういうふうになるのか、あるいは、その際にどこのダムをどういうふうに運用したらこれが縮むのか広がるのかとか、そういう議論ができると思うんですね。

 大臣、ハードの予算は何百億、何千億とすぐ出ますけれども、ソフトの予算というのはなかなかつかないんですけれども、私は、スーパーコンピューターを河川局に入れて、こういうことのシミュレーションをどんどんやっていくべきだというふうに思います。つまり、流域管理ができるようなシステム、あるいは気象庁と連携をしていくというようなことをぜひやっていくべきだというふうに思います。

 片一方ではかなり精度の高い情報を持っているわけですよね。片一方では一個一個管理をしていくという、これは伝統的な管理の仕方で、確実な管理なのかもしれませんけれども、それをそろそろ乗り越える時期に来ているんじゃないかなというふうに思いますので、大臣、そこをお考えをいただければというふうに思います。

赤羽国務大臣 質問ありがとうございます。

 実は私も、地元の神戸にスーパーコンピューター「京」がありまして、何回か行ったときに、スパコン「京」はそこの気象予報ができるというような、そういう説明を受けて、それが我が国の災害対策に利用されているのかというと、そこは余り連携がとれていないというのが現実だということを私もちょっと認識しまして、これはもったいないなというふうに思いました。

 今まさに先生が指摘されているように、これまでの想定を超えるような災害が気候変動等々の理由によって激甚化、頻発化しているので、それに対する対応をしなければいけない。

 その中で、先ほどから申し上げているように、ハードの対策にも対応しますけれども、それだけでは多分限界がある。ですから、ソフト。ソフトも、アナログみたいな従来的なことだけではなくて、午前中、岡本委員からも御指摘もありましたが、やはり民間というか、大学とか研究機関の最先端の技術というのも取り入れながら効率化を求めていく。そして、本当の意味でのハード、ソフト両面の対策をとるべきなんだろうなというふうに思っておりますので、また引き続き御指導いただきたいと思っております。

荒井委員 次にハザードマップの話なんですけれども、ハザードマップというのが、一番、住民あるいはそこの被害に遭いかねない人たちにとっては頼りの綱だったと思うんですけれども、必ずしもうまく利用されていなかったんじゃないか。それは、ハザードマップがつくりづらいということで、各市町村でも正確につくれていたのかどうか。正確である必要はないんだと思うんですね。

 それから、どのぐらいの雨が降ればどのぐらいのハザードになるのかということが刻々と動いていくようなものであるならば、それは多くの人の関心を呼ぶんだと思うんですけれども、一回できたら、ハザードマップです、こうなっているだけであって、ハザードマップの対象には入っているけれども、本当にハザードが来るのか来ないのかということに関して市民はわからないんだと思いますよ。

 したがって、降る雨量によってハザードマップが縮んだり広がったり、あるいは浸水の深度が上がったり下がったり、そういう動的なハザードマップというものを考えていく、あるいは、AIがこれだけ発達しているわけですから、そのぐらいのことを考える時期に来ているのではないかというふうに思うんですけれども、河川局長、どうですか。

五道政府参考人 ハザードマップにつきましては、住民がしっかり避難行動に結びつくということが重要だというふうに考えてございます。

 今お話がありました、外力を変える、また、リアルタイムのハザードマップを表示するというようなことにつきましても、住民の避難行動にとって非常にわかりやすいものになっていくのではないかというふうに思っております。

 今現在は、市町村が、午前中もございましたけれども、L1、L2というような形の想定の降雨に対しましてハザードマップをつくっているところでございます。

 その中で、今お話ございましたように、なかなか時間と手間がかかるということも踏まえまして、国土交通省では洪水ハザードマップの支援ツールというものをつくってございます。

 このツールは、国土地理院が提供する地図を基図として、国又は都道府県が示す浸水想定区域のデータ、また市町村が用意する避難施設の情報を簡単に重ね合わせることができるような形の支援ツールの提供も行っているところでございます。

 委員御指摘の、リアルタイム、また外力を変える、またわかりやすいハザードマップをつくっていくというようなことも含めまして、しっかり活用されるように取組を進めてまいりたいというふうに思います。

荒井委員 それは大変いいことだと思います。

 それはいつぐらいから運用しているんですか、その簡単なツールというのは。

五道政府参考人 支援ツールにつきましては、今国土交通省のホームページで無償で公表しております。今、いつからというのが、ちょっと資料を持っておりません。申しわけございません。

荒井委員 今度の台風で一番国民がよく見ていたのは、やはりNHKではなかったかというふうに思うんですね。NHK、その次に気象庁、そして最後に旧河川局、こんな順番で関心を呼んだんじゃないかと思うんです。ここは、国民にどう危険性をわかってもらえるのかということにもっと集中して、その仕組みを、これは国交省の話ですから国交省が中心になって、NHKと協力をし、関係省庁も含めてそういうものをつくるべきじゃないかなと思うんですね。

 ハザードマップなんかも、あのNHKの、ここはこれだけ雨が降っています、ここはこれだけ浸水していますとか溢水しましたとかという、そういうことを言うところの後ろ側に、栃木県の何々町のハザードマップです、あるいは何々町のハザードマップです、こう出てくれば、一目瞭然でわかりますよね。

 自分たちが今どのあたりにどうなっているのかということが理解できるような、そういう仕組みというものをぜひつくるべきだというふうに思います。手がけているということなので、ぜひそれを積極的に進めていただきたい。

 このハザードマップを市町村につくらせるというのは無理だと思いますよ。だから、そのツールみたいなもので、必要なデータを入れれば自動的に出てくるみたいな、今のIT技術だったらそういうのができますよ。そういうことをやるべきだということを指摘をしたいというふうに思います。

 それから、気象庁、せっかくこれをつくったわけですから、これの利用度はどうだったのか、ちゃんと検証したのか。一キロメッシュでの洪水警報の危険度がこれでわかるわけですから、これとハザードマップとを重ね合わせるような、そういう仕組みにすればもっと利用がされたと思うんだけれども、どうですか。

関田政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、洪水警報の危険度分布の今の活用状況でございますけれども、まず、この危険度分布につきましては、内閣府の避難勧告等に関するガイドラインにおきまして、市町村の発令する避難勧告等の発令基準に用いる情報として位置づけられているところでございます。

 実際にどの程度活用されているかという点でございますが、昨年度、平成三十年七月豪雨で被災いたしました四百八十の市町村を対象に、気象庁がアンケート調査を行っております。このうち六八・三%の市町村がこの情報を確認したという結果が得られております。今年度の利用状況についても、今後、同様の調査をしていきたいというふうに思っております。

 続きまして、ハザードマップとの重ね合わせの点でございますけれども、先生からまさに御指摘いただきましたとおり、ハザードマップ等が示すその土地がもともと持っております危険性の情報、これは私どもはリスク情報という呼び方をしておりますが、このリスク情報と、まさに我々気象庁のリアルタイムの大雨による危険度を示す危険度分布を重ねて表示して町の皆様に活用していただくということは、大変防災上に大きな効果があるというふうに考えているところでございます。

 この点につきましては、ことし三月に取りまとめをされました、これは気象庁が昨年設けた防災気象情報の伝え方に関する検討会、この検討会の報告書でも、危険度分布やハザードマップ等について、一覧性の乏しい現状を関係者と連携して改善すべきという指摘をいただいているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、現在、気象庁とそれから水管理・国土保全局の緊密な連携のもと、危険度分布とリスク情報とを地図上に重ね合わせた表示を早期に提供できますよう、鋭意取り組んでいるところでございます。

荒井委員 本当に旧河川局と緊密な連絡をとってやれているんですか。何となく不安なところがあります。

 技術者というのは、私も技術者ですからよくわかるんですけれども、自分の世界を持っていて、自分の世界で完結しているところがあるんですね。それを人に伝える、あるいは外にアピールしていく、そしてその結果、相手の人の行動に結びつけるというのが本当は行政なんだけれども、そこが余り得意じゃない人たちが多い。そういう意味で、気象庁の職員なんかは、もうほとんどドクターだと思いますけれども、極めて優秀な人が多いけれども、それをどう伝えるのかということに関しては全く下手くそだというか、そんな感じは持ちます。

 その意味では、ことしからですか、危険度、五段階の警戒レベル、一、二、三、四、五という、よりわかりやすい形を出したですよね。これなんかは一つの大きな進歩だと思います。旧河川局も、こういう感じの危険度というものを工夫して、どう伝えていくのかということにもっと関心を示すべきだというふうに思います。

 行政だけでは、もうここから先は無理だと思うんですね。どうやって地域の人たちあるいは民間の人たちに協力してもらって意識を高めていくのか、あるいは、自分たちの命を守るための仕事、作業ができるように条件整備をしてやるのかということに、もう少し行政全般がそこに関心を持つべきだというふうに思います。

 その中で、一番の直接住民との接点のところというのは、私は損害保険だと思うんですね。損害保険を掛けるか掛けないか。自分たちが危険なところにいるいないということに関して、損害保険を掛けていく掛けていかないというのが一番最初につながっていく。これは民間の損害保険会社ですから、官が何とかかんとかと言うのはあり得ないんですけれども、そこのところが今どうなっているのか。

 昨年も大きな災害が出ました。昨年の災害のときにも損害保険が約一兆円支出しているそうです、これは西日本の降雨、大雨の結果。ことしも、台風十九号、二十一号までを含めると約一兆円ぐらいになるだろうというふうに言われていまして、この結果、損保というのは無税で積立てをしているんですね、緊急のお金が出るかもしれないということで。そのお金が、本則で二%なんですけれども、もうそれじゃとても足りないということで暫定的に今六%にしているんですけれども、来年はそれじゃもっと足りないという状況のようであります。この損害保険というのをもっと国民にPRできるような、そういう仕組みが必要なのではないかなというふうに思います。

 それから、民間の気象関係の会社が随分たくさん立ち上がってきました。去年、北海道でブラックアウトがあったんですけれども、そのブラックアウトのときに、札幌市民が一番頼りにしたのはヤフーの情報でした。いかにアイフォーンの電池を切らさないようにというか、充電の設備を求めてあっちこっちに歩き回っている市民がたくさんいたんですけれども、そのアイフォーンから入ってくる情報によって、自分たちの避難所がどこに開設されたか、どういう状況なのかというようなことを得ていました。これなどは民間会社ですよね。

 今、気象庁はこういう民間会社の利活用というのにも関心を持ってきたようですけれども、実態はどうですか。

関田政府参考人 お答えいたします。

 気象庁でも、防災情報伝達という観点では、民間事業者の協力を得て、しているところでございまして、一つの例といたしまして、先ほども話題に出ました危険度分布、これの情報伝達について、民間事業者と連携して、スマートフォンの防災アプリ等を通じてプッシュ型で通知する、これを希望者に提供するという取組もことしの七月から始めたところでございます。

荒井委員 飛んでくるかどうかわからないような北朝鮮からのミサイルに対してはJアラートというでっかい警戒情報を出しましたけれども、もっと身近な危険なことに関して、こういう対策をしっかりと政府として構築をしておくべきだというふうに思います。

 今回の浸水で亡くなった方の四分の一が避難途中の車中で亡くなったというふうに言われています。もっと早くに避難するべきだということが出されていれば、この死者の四分の一は防げたのではないかなというふうに思います。

 そういう意味では、どうやったら死を免れるのか、被災を免れるのか、そういうソフトのところに意を用いるべきだというふうに思います。

 かつて、日本のあちこちで、災害が多かったんですね、洪水被害が多かったときに、地域防災協会といったような組織があったようであります。しかし、これがどんどんなくなってしまって、消防団に組み入れられてしまったんだろうと思いますけれども、水害のための、水害が起きたときにすぐ動くような地方組織だったようで、この人たちが災害のときには物すごく活躍したというふうに言われていて、その人たちのおかげで死を免れたというふうに言われています。

 実際、浸水の危険が起きたとき、危ない、逃げろというのを防災無線で言っても、あるいはテレビで何を言ってもなかなか動かない。それよりも、一番その人たちに動く機会を与えたのは、その地域の町内会長さんだとかあるいは消防団の誰かとかが扉をドンドンドンドンとたたいて、おばあちゃん、逃げなさいということを伝えるのが一番効果的だと。ところが、地域からどんどん人がいなくなっていますから、そういう機能がなくなってきている。結局、高齢者や小さな子供たちの死者がふえていくということにつながっているのではないかというふうに思います。

 ここ、余りもう時間がなくなったので、最後に、あっ、河川局長、何かしゃべりたそうだね。

五道政府参考人 御指摘なのは水防団だというふうに思います。

 水防活動というのは、治水施設の整備とあわせて、地域の安全確保に重要な役割を担っているということでございます。

 しかしながら、全国の水防団員というのは年々減少してきておりまして、平成三十年の四月現在では、三十年前の六十三年四月と比較して二割減、約八十五万人ということでございます。

 しっかり国土交通省といたしましても、水防団の活動がしっかり活性化する、また誇りを持って水防活動ができるような形の取組を進めてまいりたいというふうに思います。

 あともう一点、先ほどハザードマップ支援ツールはいつからかということでございますけれども、平成二十八年四月二十六日から公表しているところでございます。

荒井委員 通告していましたので、最後に大臣からお答えいただきたいんですけれども。

 今回の災害で、東京のタワーマンションが水浸しになって、受電設備が水浸しになって電気が来なくなったということが言われていましたけれども、これは何度も経験しているんですよね。福島第一原発のあの受電設備は地下に置いてあったんですね。それで水浸しになったんです。あの設計図を見て、これは欠陥設計図だといって指摘したのが当時東芝の社長だった土光さんです。技術者として、受電設備が地下にあるのは、水が来たときに全部アウトになる、だからやめろと言ったんですけれども、当時の東京電力は言うことを聞かなかったということがありました。それにもかかわらず、今度の阪神、空港でやはり同じく受電設備を地下に持っていた。そして、今回のタワーマンション。

 これはやはり、重要な施設やあるいは高層の施設、さらにはハザードマップ内の施設については受電設備は地下に置くなと、設計基準の改正をするべきではないかというふうに思います。

 また、もう一つ、各地方自治体も含めて災害対応の人材が不足しています。いろいろな工夫はしているんでしょうけれども、もう限界だと思います。地方も含めて公務員のなり手も少なくなっているこの状況の中で、国家公務員の定員削減というのはもうそろそろ見直しをした方がいい。決して日本は大きな政府じゃありません。むしろ世界的に見たら小さな政府ですよ。

 そういうことを踏まえて、政府の中で定員削減のあり方について抜本的な議論をする時期に来ているのではないか、これをやらないと地方の災害というのは復旧できないですよということを最後にお話しさせてもらって、最後に大臣から何かしゃべってもらって。

土井委員長 赤羽大臣、簡潔にお願いいたします。

赤羽国務大臣 簡潔にお答えするのはなかなか難しいんですが。

 同じことを繰り返しているということを、やはり繰り返さないようにするということが非常に大事であって、電気設備のことも常に、私も全く同感でございますので、経産省と学識経験者ともどもに、きょうから検討会を立ち上げておりますので、具体的な結論が出るように、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 以上です。

荒井委員 以上です。終わります。

土井委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの後藤祐一でございます。

 きょうは、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 台風十九号の被災に関連して、きょうは特にダムを中心に伺いたいと思いますが、その前に、まず、東京オリンピックの自転車ロードレースの会場となっております相模原市の国道四百十三号、青野原と青根の間で二カ所の大規模崩落がありまして、大変な状況になっております。

 これについては、国土交通省が大規模災害復興法に基づいて工事を代行していただいているということに改めて感謝を申し上げたいと思いますが、相模原市の工事分への支援も含めて、年内の暫定開通、そして年明けてできるだけ早くの工事完成に向けての全面的な協力をお願いしたいと思いますが、大臣の意気込みをいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 この区間は、おっしゃっていただきましたように、男子ロードレースコースの大変重要なルートでございまして、地元の市長さん始め関係の議員の皆様からも御要望をいただいたところでございます。

 国道四百十三号線の緑区の青野原から青根の約五・九キロにつきましては、今お話がございましたが、大変な土砂災害が発生して、今なお通行どめとなっておりますので、相模原市から要請のありました約一・三キロにつきましては、国が直轄権限代行によって、十月二十九日から工事に着手いたしました。今進めておりますが、崩落土砂の撤去ですとかのり面対策を実施しておりまして、国がやらせていただいているところは年内に本格復旧まで完了するということでございます。

 また、今、相模原市の工事区間につきましても、この五・九キロで暫定復旧工事が終了することから、五・九キロ全て通行どめの解除を年内に予定をしておりますが、年明けて相模原市が、本格復旧に向けた工事につきましては、国としても技術的なアドバイスを含めてしっかりとサポートすることによって、一日も早く本格復旧できるように頑張っていきたいと思っております。

後藤(祐)委員 前向きな答弁、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 もう一つ、人的な面について二つお願いしたいと思います。

 一つは、午前中の質疑でもありましたが、今回、国土交通省のTEC―FORCE、大変ありがたい、大成果を上げておられます。今御指摘のありました本村賢太郎相模原市長も、このTEC―FORCEに大変感謝をしておられます。

 ただ、今回の被害以上にもっと多くの箇所で起きた場合、本当に足りるのかどうか大変心配です。これは増強すべきではないかということと、今回たくさんの箇所で土砂崩れが起きていて、当面、まあ何とかなったという状態にはなっているところが多いんですが、また大雨が降るともう一回同じところが崩れちゃうんじゃないかというところがたくさん残っています。

 こういったところを直さなきゃいけないんですが、今度の補正予算あるいは来年度予算で、予算面で手当てしていただくというのももちろんお願いしたいところなんですが、実は、神奈川県のように、これまで土砂崩れについてそれほど経験がほかの県に比べると多いわけではないようなところですと、国土交通省の砂防事業あるいは林野庁の治山事業、こういったことに係る技術職員がそれほどおられません。

 ぜひ、こういった都道府県に対しての人的な面も含めた御支援をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 今御指摘をいただきましたように、地方自治体それぞれが技術職が大変少なくなっているのが現状でございまして、そうしたこともあって、今回、国交省からTEC―FORCE、延べ二万八千名を超えるTEC―FORCE部隊を派遣させていただきました。大変ありがたいという声もいただいておりますし、地元の首長さんは異口同音に、ここは減員をされないように頑張ってほしいということでございます。

 午前中の御質問、幾つか同じ質問がありまして、来年度、前年に比べまして百人以上多くの増員を求めるところでございますし、私自身も総理また官房長官にもこのことは訴えておりますので、何としても、減員を食いとめるというのではなくて増員をして、地方自治体をしっかりカバーできるような体制をつくらなければいけない、こう決意をしているところでございます。

後藤(祐)委員 応援したいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、ダムの話に行きたいと思いますが、お手元の資料二枚目に、今回の台風十九号で事前放流をした三十三ダムがどれか、そして緊急放流をした六ダムがどれか、そして、真ん中辺で、事前放流の実施要領を定めているのはどのダムか、全部一覧にさせていただきました。国土交通省、ありがとうございました。

 この中で、事前放流を最も大胆な形で行ったであろうダムとして、草木ダムというのがございます。一枚目がその概要なんですが。

 この草木ダムは、その左下の図を見ていただきますと、低下前水位というのが四百四十三・九メーター、これは標高ですけれども、これを予備放流で四百四十・六メーターまで下げたんですが、その後、事前放流で四百二十六・四メーターまで下げております。

 ただ、ここの事前放流というのは、実施要領においては、下限水位が四百三十六・〇メーターまでしか下げちゃいけないということになっていたんです。その実施要領で定められている下限水位よりも更に九・六メーター、かなり深くですね、というところまで事前放流をしたという意味においては、しかも、利水者との調整が必ずしもできていなかった中で九・六メーター更に放流したというのは、大変な勇気だったと思いますし、すばらしい運用だったと思うんですが、文書の上では微妙なところがあったりもするわけです。

 ぜひ、国土交通大臣として、この草木ダムの運用というのは大変すばらしいものだったと私は思いますけれども、大臣としての評価をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 御質問ありがとうございます。

 草木ダムにつきましてはさまざまな、結果としてはよかったと思っておりますが、条件がやっぱりありまして、この事前放流につきましては、利水者との協議というのが今前提になっているわけで、利水者の御理解をいただいたということが一つ。もう一つ、最新の降雨予測が正確だった、間違いない降雨予測が来たことによって、利水者の御理解もいただいた。加えて言いますと、この草木ダムは水資源機構のダムなので、相当専門家も、習熟している者もいた。

 こうしたことで、こうした条件がそろっていたということで、結果としては、慎重かつ適切な判断ができたものだというふうに評価をしております。

後藤(祐)委員 適切な判断だというふうにはっきり言っていただいたことは、現場の所長さんなんかも大変心強いんじゃないかと思いますが、現場でクリティカルな判断をしていただくというのは酷だと思うんですね。

 三ページ目でございますが、昨年の西日本豪雨災害を受けて、実際、緊急放流を愛媛なんかの肱川ではやって八人の方が亡くなっていますが、こういったことを受けて、国土交通省での検討会、異常豪雨の頻発化に備えたダムの洪水調整機能に関する検討会の提案というのがまとまっていて、その中で、上の方ですが、「ダム管理の現場に過度のクリティカルな判断を求めるべきではない。」とか、「関係者が十分な理解と共通認識のもとで事前に操作について合意しておく必要がある。」ということになっているわけですが、現実には、二ページ目にあるように、この実施要領、国土交通省直轄あるいは水資源機構のダムにおいてはかなり定められておりますし、定めていないところでも今回、事前放流、これは多分全部やっていると思いますが、各都道府県のところは、定められているところは極めて少ないわけですよね、という中で今回の台風を迎えたわけでございます。

 ぜひ、利水者との調整が調い切らないときもあると思うんです。調い切らない場合でも、先ほどの草木ダムのように下限水位を更に下回るような事前放流を、現場のクリティカルな判断を求めることなく、文書でしっかりとそういう場合はやっていいんだというようなことを明文化すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 このダムの洪水調節は大変難しい問題だし、非常にリスクもある、だからこそ丁寧にやらなければいけない、後藤委員の趣旨もそのようだと思っております。

 それがゆえに、きょうの報道もありますが、昨日、十一月二十六日に、内閣官房におきまして、関係省庁で構成する既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議が開催されたところでございまして、今回の台風十九号を中心とする災害でダムの洪水調節についてさまざまな御指摘、今、後藤委員が言っていただいたことも含めて、検討するということでスタートしましたので、それはしっかりと私もフォローしていかなければいけない、こう思っております。

 また、やはり事前放流というのは大変効果があるというふうに私たちも思っておりますが、現実は、よく御承知だと思いますが、多目的ダムの五百六十二のうち、国とか水資源機構のいわゆる直轄は百二十四カ所、地方自治体のあれは四百三十八カ所、それぞれ二十七カ所ずつが利水者との協議が調っているということでございまして、できるだけこうしたことを、この検討会議の結果にも委ねますが、地方自治体に対しても利水者との話合いを進めるようにアドバイスをしたり、同時に、利水者の方も、これを受けやすいような制度もやはりつくっていかなければいけないというふうに考えておりますので、そうしたこともこの会議の中でしっかり、我が省からも当然出ておりますので、意見を述べて、しっかりした制度をつくっていきたい、こう思っております。

後藤(祐)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 きのうの夕方、利水者側の、役所も含めた会議が立ち上がったようでございますけれども、きょう、経済産業省、厚生労働省、農林水産省、利水者を所管する省から政務三役にそれぞれお越しいただいておりますけれども、この事前放流について、なかなか事前放流の調整が利水者と調いにくい現場の状況というのは場合によってあると思うんです。それでもやはりやっていかなきゃいけないわけです。

 そのために会議も立ち上がったわけですから、ぜひそこの調整を積極的に進めていただきたいということと、仮に利水者との調整が調っていない状況で今回のような台風が来たときには、そのような状況でも事前放流をやっていいのだ、あるいは、もともと決めていた下限よりも更に深掘って、草木ダムのような事前放流をしてもいいのだというふうにしないと、人の命にかかわる話です、しかも、お金を補填する制度もあります。

 だから、こういったものを活用して、ぜひ利水者との調整が調っていないようなケースの事前放流、あるいは下限水位を下回るような事前放流についても容認をいただきたいと思いますが、これについて、厚生労働、農水、経産、それぞれの政務三役から御見解をいただきたいと思います。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 水道水源の約七割を河川等に頼る我が国におきましては、水道の水源として利用されるダムは、安定した水の供給源として国民生活や社会経済活動の基盤となっております。

 後藤委員御指摘の利水容量の一部を事前に放流する措置は、その後に十分な水量が回復しないといったリスクを抱えているところもあります。水道の安定供給にも影響を及ぼしかねないものと認識をいたしております。

 しかしながら、近年、台風十九号を始め、断水等の生活被害や人命被害を伴う大規模な洪水被害が頻発、激甚化している状況を踏まえますと、緊急放流による水害のリスクが予見され、かつ一刻を争う状況下では、河川管理者等の裁量で判断することもやむを得ないと考えております。

 既存のダムを活用した洪水調節機能の強化につきましては、昨日、官邸におきまして、既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議が開催されました。議長は内閣総理大臣補佐官でございますけれども、開かれたところでありまして、着手をいたしました。

 厚生労働省といたしましても、関係省庁と連携いたしまして取り組んでまいりたいと考えております。

河野大臣政務官 河川管理者が管理するダムにおきまして、限度水位を下回る事前放流を行う場合には、利水者との調整の上実施することとなっておりますけれども、近年、想定を超える降雨によりまして災害が頻発しており、河川管理者と利水者との調整が間に合わない場合、河川管理者の判断において行うものはやむを得ないものというふうに考えております。

 事前放流の実施に当たりましては、その後の水不足が生じないよう水系内で弾力的に水の融通を行うことや、水不足が生じた場合の対策等についても検討が必要であるというふうに考えてございます。

 なお、既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた検討を行うに当たりまして、農林水産省といたしましては、利水者である農業者の方々の不安を軽減し、御理解を得て、ダムの洪水調節機能の強化に協力をしてまいりたいというふうに考えております。

松本副大臣 お答え申し上げます。

 限度水位を下回る事前放流を行う場合でありますが、当然、利水者との調整というものが必要となるわけでありますが、近年、想定を上回る降雨による災害が頻発をするなど水害による被害が激甚化している状況を踏まえますと、緊急放流による水害リスクが予見され、かつ一刻を争い、利水者との調整が困難な状況下におきましては、河川管理者などの裁量で判断することがやむを得ない場合もあるというふうに考えているところであります。

 水力発電の七割を占めるダム式水力発電では、電力の安定供給という重要な役割がありますし、また、工業用水につきましては、工業の健全な発展に資することを目的としていることから、国民生活や経済活動の基盤となっております。

 こうした点も踏まえまして、電力の安定供給確保の観点からの配慮もなされることが必要であること、また、発電事業や工業用水等の利水において、利水容量の減少に伴う経済的損失が生じた場合に適切な損失補填が行われることへの留意等は必要であるというふうに考えているところであります。

 いずれにいたしましても、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、現在、検討会議を立ち上げまして、検討に着手をしているところであります。経済産業省といたしましても、関係省庁と連絡、連携をしつつ、発電事業者等の理解を得まして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 大変前向きな答弁をいただきました。これはもう時代が変わったということだと思いますし、現場での利水者との調整も今の答弁で随分やりやすくなる面があると思います。ぜひ、きのうから始まった検討会、今の方向で進めていただきたいと思います。

 一方で、事前放流ができるのにやらず、緊急放流に至ってしまったダムもあります。残念ながら、私の地元の城山ダムがその一つであります。四ページ目に詳しく水位が示しておりますが、説明は省きますが、実は、標高百四メートルのところにあるオリフィスゲートというところを使えばあと八メートル深いところまで事前放流をやろうと思えばできたんですが、全くやっておりません。実施要領も策定されておらず、実施要領が策定されていない中でも事前放流をやったダムは幾つもあります、大変残念な結果になっているわけでございますが。

 全国の六つある緊急放流を行ったダムについて、これは大臣に伺いたいと思いますが、特にこの城山ダムと水沼ダムについては実施要領を策定しておくべきだったし、実施要領がなくても何らかの調整をするなり、あるいは、調整ができていなくても事前放流をするべきだった事案だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 城山ダムにつきましては、よく御承知だと思いますが、管理者は神奈川県で、水沼ダムは茨城県でありますので、このことも含めてしっかりと台風十九号の一連の流れの中で総括をして、これからの対策をとらなければいけないというふうに思っております。

 現在確認しているところでは、先ほどの答弁でちょっと漏らしたんですけれども、利水者との協議が調っていないダムの中で、物理的に事前放流ができないという構造の問題もあって、ちょっとこれは確認が必要なんですが、城山ダムについても、事前放流ができにくいため放流設備の改良が必要だというところもありまして、このことはちょっとまだ十分確認がとれていないんですけれども、そのことも含めてしっかりと総括をしていきたいと思っております。

後藤(祐)委員 四ページ目にあるように、城山ダムは最低水位百十二・〇七メートルですが、百八メートルのところと百四メートルのところに、治水上の放流するためのゲートがあるので、技術的には全く可能であります。ぜひそこは神奈川県によく言っていただきたいと思います。

 最後に一問、これから検討していくことになる中で、まず、事前放流の実施要領の作成を全てのダムで義務づけるべきではないかということと、その実施要領なり、あるいは別の文書でもいいんですが、先ほど申し上げた、下限水位を下回るような事前放流をできるよう文書できちっと認めるということ、あるいは、損失補填制度を県のダムなんかについてもきちっと用意すること、こういったことを今後の検討でぜひやっていただきたいと思います。

 それと、きのうの会議の中でも、約九百ある利水専用のダム、これを治水に活用するという方向が示されましたが、ぜひ確実に来年の台風シーズンの前に実行していただきたいと思いますが、これについての大臣の意気込みについて最後に伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 私たちも、これは後藤委員の思いと同じだと思うんですが、できれば事前放流の方が安全だと、緊急放流というのはやはり相当リスクもあるという認識でございます。ですから、そうしたことができるような環境を整えなければいけないということで今検討会議が持たれているということでございます。

 先ほども申し上げましたように、多目的ダムについては、国直轄について補填制度はありますからそれは問題ありませんが、県管理の場合についても同じような制度をつくるように督促をしているところでございますし、利水ダムについても、国直轄の方については今予算要求をして新しい政策をつくろうと思っていますので、丁寧に運びながら、今こういう状況ですから三政務もやらないというのはなかなか言いにくい、それだけ大きな災害でしたので、ですから、そうした好意に甘えることなく制度としてしっかり前に進めやすいように、担保ができるようないい制度をつくるように頑張りたいと思っております。

 以上です。

後藤(祐)委員 前向きな答弁、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 終わります。

土井委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 国土交通委員会での質問は久しぶりでありますけれども、今回、重大な災害を我々は受けて、重要なことを学んでいかなければならないと思っています。そういう観点で、きょうは、皆様に資料を提供して、少し議論をしていきたいと思っています。

 一つ目は、河川の話であります。

 今回、緊急三カ年で予算をつけて河川整備をした、そういった箇所が残念ながら被害を受けたのか。台風十九号、台風十五号、こうした災害がありましたけれども、台風十九号に特化してきょうは議論したいと思います。

 決壊、越水、溢水箇所について、全て、八十二カ所ですか、国直轄のものについて資料をつくってもらいました。その中から幾つかピックアップをしたわけでありますが、一つ目の論点は、かなりの浸水戸数があるのに三カ年の緊急対策を実施していなかった、被害が出たけれども三カ年の対象になっていなかったのはどういうことなのかということであります。どこに手当てをしていくかということをこれから考えていく上で、我々はやはり学ばなければいけないと思います。

 これだけ被害が出たにもかかわらず、なぜ三カ年の緊急対策になっていなかったのか。この横に書いていますが、浸水想定戸数が基準を、これは二千戸ということでありますが、下回っていたためだ、こういうことでありますが、本当にこの二千というのが適切だったのか。これだけ多くの、因果関係は不明といいながら、七名の方が市全体でお亡くなりになっている、こういう状況の中、これが本当に適切だったのかということを問うわけであります。

 大臣、これからどこに箇所づけをするかという意味において、この二千というのはやはり見直していく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 今回の防災・減災、国土強靱化三カ年の緊急対策につきましては、当然、総事業費七兆円という限られた枠があって、その中の国費三・五兆円の中でどう重点的に優先度をつけるかということの中で、二千戸ということで選ばれたというふうに思っております。加えて、三カ年で決着がつけられる工事だということで全国で選ばれた。

 しかし、残念ながら、今御指摘の阿武隈川の本宮市、ここに私も足を運びましたが、ちょっと済みません、今この本宮市について詳細に正しく答えられるかどうかはあれなんですが、そのときに行った話では、阿武隈川というのは、ちょっと午前中の答弁でも言いましたが、大変大きな川で、これまでも洪水というのが何回かあって、そして今回も、本宮市の南の郡山市の堤防を相当強化したんですけれども、そこを強化すると弱いところに水が集まってしまって、本宮市とその南の須賀川市では大変な被害が出てしまった。

 ですから、今回もいろいろな教訓があるんですけれども、やはり、水系というか流域全体でどういうふうな順序を持ってやっていくのかという意味では、国と県とそれぞれの市が共有しながら、限られた財源をどううまく使っていくのかということが大事なんだというふうに私は思いました。

 それで、今回、三カ年に加えて、今我々が思っているのは、気候変動によって災害の規模が大きくなり頻発化しているので、新たな気候変動に対応する、今後また同じようなというか、これ以上の災害が来るということは十分予測されるわけでありますから、そうした予測に基づいて抜本的な防災・減災対策をとらなければいけない。そのときには、そうしたこともしっかりと踏まえながら、最大限の対策ができるように対策をとらなければいけない、こう決意をしているところでございます。

岡本(充)委員 私が言っているのは、この二千というので一律に切った結果ここにつかなかったという話でありますから、要するに、流域の想定される戸数が二千戸を下回っているので予算がつかなかったけれども、結果として千戸の住宅が床上床下浸水をし、七名の方が亡くなっているというこの重大さを考えると、これは二千戸に満たないから予算をつけていなかったということでいいのかということを聞いているんです。

 そういう意味では一律にやるべきではないと言っているので、そういう意味で、弾力的にやるという御答弁がいただければそれで結構なんです。

赤羽国務大臣 よくわかりました。ただ、一つは、どこかでガイドラインをつくらないと、各都道府県全部がいろいろ危ないところを、手を挙げているわけですから、今委員おっしゃられたように、数字で切るんじゃなくて水系全体で危ないところをやるという御趣旨なら、全くそのとおりだと思います。

岡本(充)委員 その一方で、その次です、阿武隈川の伊達市、阿武隈川上流、それから信濃川、千曲川の千曲市、ここは、予算がついていたけれども工事は実施中若しくは未着手でありました。そして、結果としてここも決壊をしたわけでありますが、床上床下浸水もなく人的被害もなかったわけであります。

 そういう意味でいったら、ここにお金をつけた、越水をして水はあふれたけれども被害がなかったという地域には予算がついていたということになります。重要な施設があったということではありますけれども、現に被害が出ていない、こういう状況を鑑みると、やはり限られた予算ですから、どこにつけるか。

 結果論ですから、後から言うのは簡単です、確かに。ただ、やはりこうした経験を踏まえて次の予算の箇所づけを考えていくべきだという意味で、今回、被害が出ていないところに予算がついていたということもやはりこれからの予算づけに反映させていくべきだ、こう思うわけですが、大臣、いかがですか。

赤羽国務大臣 そういう御意見は受けとめますが、やはり今回の対策をとったことによって災害の発生を防いだというところも数多くありますので、そのことについては、結果として、全て災害の責務を負えということであれば甘んじて受けますけれども、なかなか簡単な作業じゃないのではないかと。開き直るわけじゃありません、よりよいものを求めますけれども、やはり、やったところが全部無駄になったわけじゃないということは検証できると思いますので。

 もっと財源があればカバーできる範囲が大きいわけでありますが、今の制約の中で、結果としては、今回の災害の教訓を生かしながら、次なるものはよりよいものをつくらなければいけないと思います。

岡本(充)委員 それを踏まえて、もう一つ重要な話ですけれども、上下流バランスの問題から工事ができなかった、それで、千曲川でも大変大きな被害が出ていますが、これについても、下流の信濃川の放水路の工事の進捗状況がまだ十分でないがゆえに河道掘削ができていなかったという話でありますが、こうした上下流バランスなどについても、実際に、下流の最大流下能力ですか、どのくらいなのか、それを見きわめた上で、少しでも河道掘削ができることがなかったのか、こう思うわけです。

 きちっと綿密に計算をした上で、こういう大規模な災害が起こる可能性のある地域については、河道掘削、ゼロか一〇〇ではなくて、一部実施というようなことでも、少しでも進めるというようなことをやるべきではないかと私は考えて、きのう大分役所の方と議論したわけでありますが、ぜひ大臣、そういう意味で、きちっと計算をして、できるのであれば、一部実施を含めて、上下流バランスがあったとしても工事を進めていく。特に被害が大きく想定される地域ではやるべきだということを私は指摘をしたいわけですが、いかがですか。

赤羽国務大臣 この千曲川のことも、私、現場に行きました。ちょっと済みません、今手元にないんですけれども、まず、下流の工事をちゃんと、相当大がかりなことをやって、それで、上流の細くなっているところだと思いますけれども、そこについてはなるべく川の面を広げていくような努力もしましたが、結局はそこが原因の一つとなってあふれてしまったということであります。まあ、なかなか想定をするというのは難しいわけではありますけれども。

 加えて、一般論でありますけれども、これは国が全部決めてばんばん工事ができるというわけじゃありませんので、地権者とか地元の自治体のいろいろな状況とかというのもあるのでそんなに簡単じゃないことはもうよく御承知だと思いますが、そうしたことも踏まえながら、今回、大変大きな、台風十九号というのは恐らく歴史に残る災害だと思いますので、こうしたことの教訓は無駄にしないで、しっかりと前に進めるように対策をとっていこうと思っております。

岡本(充)委員 私、災害対策特別委員会の理事をやっていまして、向こうで本当は質問したかったわけですけれども、今回、国土交通委員会で大臣とじかにやらせていただく機会があったのでお願いしておきたいんですが、これは国だけじゃありません、都道府県の管理の河川も含めて、やはりもう一度この表をきちっとつくり直して検証していくということが必要だと思います。まだこれは、時間が足りないということで、できておりません。ぜひ国土交通省として協力していただきたいし、次の土砂災害はもっと全然できていなくて、確認中というのがオンパレードで並んでいます。

 私は、ぜひそれを御協力をお願いしたい、きちっと検証をするべきだと思いますので、国交省として協力していただけるという御答弁をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 協力するというか、責務として取り組んでいきたいと思います。

岡本(充)委員 ぜひお願いします。

 その上で、この土砂災害、いろいろまだ確認中ですが、六ページ目、大変気になる地域があって、既に一定の工事をしたけれども死者が出てしまったという相模原市の牧野地区というところでありますけれども、ここの地区の災害のハザードマップをいただきました。そうしたら、これはカラーになっているものですけれども、隣の日連地区のところでは今回土砂災害のあった地域が、ハザードマップの地域が載っているんですが、実際、この地域、牧野地区西部で配られたハザードマップでは、これは右上で切れているんですよ。つまり、今回の災害の箇所が写っていないハザードマップをその地区の人には配っていた、こういう話でありまして、やはりこうしたハザードマップのあり方も私はもう一度丁寧に見直すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。役所で結構です。

五道政府参考人 今御指摘の土砂災害ハザードマップの件でございます。

 土砂災害ハザードマップに関しましては、土砂災害防止法に基づいて作成するということでございます。

 委員御指摘の相模原市のハザードマップについては、土砂災害警戒区域としては、神奈川県のホームページでは確認できるものの、地区ごとで配付されたハザードマップでは一部が含まれていなかったということでございます。

 国土交通省といたしましては、土砂災害のリスクのある住民の方々に正しく土砂災害のリスクを認知していただくということが重要だと考えてございます。今回の事例も踏まえまして、自治体に対して、他に同様の事例がないかどうか確認を行って、適切な対応をとってまいるように促してまいりたいというふうに思います。

岡本(充)委員 ハザードマップ、ホームページから見られるというのは私はやはり不親切だと思いますから、ぜひ地域で配るものをもう一度見直していただきたいし、大臣、実はこれは災害対策特別委員会で私発言したんじゃないかと思いますけれども、河川の浸水想定図、私の選挙区なんかは大変重要なんですけれども、幾つかの河川が同時に越水、溢水する可能性があるわけです。

 特に、国管理河川と県管理河川。国管理河川の流域ならこれで出るんです。二本に分かれていたとしても、その本流、支流がどういう影響を及ぼすか出ていますが、すぐ横に県管理河川があった場合には、これはあわせて出ていないんです。

 ちょっとほかの地域はわかりませんので私の選挙区でいうと、木曽川と、木曽川は国ですね、それから県管理の日光川、こうした川が、両方がほぼ近い地域にあるわけですから、越水する若しくは堤防が残念ながら破堤するということが想定されるわけです。こういうことがあったときに一体どういう影響があるのか、こうした重複した災害が起こる可能性についても評価をするべきだということをこれまでも繰り返し言ってきていますが、なかなかこうした、県管理、国管理の河川の災害が重なった場合の浸水想定が出ていません。

 こういったことも含めて、現実的な想定をするという意味においては、管理を問わず災害想定をきちっとつくるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

五道政府参考人 御指摘の、ハザードマップをつくる河川の状況でございます。

 基本的に、法的には、洪水予報指定河川若しくは水位周知河川というものについてハザードマップをつくるようになってございます。今回の水害におきましても、それに満たない小さい川、中小河川が氾濫している場合には、ハザードマップ、まず想定浸水区域を指定するということになっていないということでございます。

 今御指摘のように、複合して、両方であふれた場合にどうなるのか、そういうことがやはり住民にとって非常に有用な情報であるということは十分理解ができますので、そういうことについて、どういうことができるかも含めて、しっかり検討してまいりたいというふうに思います。

岡本(充)委員 検討が長いんですけれどもね。ぜひちょっと前向きに進めていただかないと。

 現実的に、一級河川にだけ雨が降るということはなくて、すぐ横の二級河川にも雨が降るわけですから。そういう意味では、管理は分かれているかもしれませんけれども、雨雲は分かれませんからね。

 そういう意味で、やはり、複合してどういうことが起こるのかというのを出していただきたいし、今回もそういう河川があったのではないかということで、県管理河川についても情報をいただきたいということで、先ほど、責務として大臣にやっていただけるということですから、きちっと検証して、災害対策委員会などで私は取り上げていきたいと思っています。

 私は自分の地元の川しかわからないから、最後にもう一つだけ聞きますけれども、私は大都市近郊の堤防の液状化対策がどうなっているのかというのをずっと聞いてきました。特に、東京でいえば荒川の河口だとか、大阪だと淀川の河口だとか、それから私の選挙区でいえば長良川の河口部、こういったところの地震のときの液状化対策はまだまだ進んでいないと思います。

 緊急点検でしていただいて、そして県管理の補助事業として、また私の地元でいえば鍋田川の今液状化対策をやってもらっています、緊急対策で。しかし、これは本当に、沈んでしまえば、先ほどの話ではないですけれども、二千軒では済まない。東京も大阪も、名古屋も、愛知県も、二千軒では済まない多くの住民がお住まいであります。そういった地域の対策こそ急いでやるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、鍋田川の河口部、ここについてはどのような進捗でいくのか、改めて御説明をいただきたいと思います。

五道政府参考人 御指摘の、ゼロメーター地帯に広がる木曽川、鍋田川の堤防の耐震対策ということは、大変重要であるというふうに認識をしております。

 木曽川堤防の耐震対策必要区間は約二十三・七キロメートルでありまして、そのうち、地震による堤防の沈下量が大きく、施設の建設を行う上で想定する津波の高さ、いわゆるL1津波に比べて低くなると想定される区間、約四・一キロ区間を優先的に実施をしているところでございます。

 この優先対策区間のうち、これまで、左岸、源緑地区などの約一・七キロメートルが完成しており、現在、右岸、鎌ケ地地区の約一・四キロの工事を行っているところでございます。残りの未着手の約一・一キロの整備につきましても引き続き防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策により実施をし、優先対策区間全体の耐震対策を令和二年までに完了するようなことで進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、鍋田川の耐震対策工事でございますけれども、緑風橋から下流側区間約六百メートルについて三カ年計画に位置づけ、既に約百五十メーターが完成し、現在、約四百五十メーターの工事を三重県が実施しており、令和二年までに完了するような工程で進めているところでございます。

岡本(充)委員 ぜひそういう意味で、大きい被害の予想される地域、しっかり対策をしていただきたいと思います。

 終わります。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 台風十九号では、七十一河川百四十カ所が決壊し、中小河川の内水氾濫も広範囲で起きました。資料の1にあるように、政府は、昨年の西日本豪雨を受け、全国の河川を対象に危険箇所を緊急点検し、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を実施、予算づけをして、整備を進めてきたところだと承知をしています。

 まず、今回の決壊箇所がこの緊急点検の対象になっていたのか、国管理、県管理、それぞれどうなっていたのか、お答えください。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の台風第十九号では、国管理河川において十二カ所、県管理河川において百二十八カ所の堤防が決壊し、甚大な浸水被害が発生したところでございます。

 これらの堤防決壊箇所については、国管理河川十二カ所中五カ所、県管理河川百二十八カ所中十一カ所で、樹木伐採や河道掘削の三カ年緊急対策の対象となっていたところでございます。

高橋(千)委員 今の答弁だと、樹木伐採の対象になっていたというのが国管理河川が五カ所、それから県管理河川が十一カ所だと。余りにも少ないなと思いますが、実は、この数字は今初めてお答えいただきました。ずうっと資料要求をしていたんですが出ておらなかったということなので、ああ、その程度なんだということがまずわかったわけです。

 それで、資料の二枚目に、堤防の方の緊急対策がどうなっているのかという資料をまとめてつけております。完成堤防あるいは暫定堤防というふうにあって、そして、全て対象外というのは、これは三カ年緊急対策のところですね。

 これを見ていただくとわかりますけれども、国管理河川は、堤防の方は、完成しているという形なのか、一つも対象になっておらない。そして、都道府県管理河川の方も、青印をつけておきましたけれども、本当に少ないですね、八カ所くらいですかね、その程度であった。しかも、樹木伐採などについても十一カ所であった。これが今の到達であるということがわかったわけです。また、言ってみれば、緊急対策になっていなかったので、そもそも緊急対策が今回の台風災害に対して貢献はしなかったということもまた言えるのかなと思っております。

 そこで、例えば、先週、委員会として視察に行った千曲川の穂保地区は、堤防に並行して桜堤を盛土で造成し、幅を計画より広げ、かつ高くした、完成堤防でありました。既に緊急工事は終わっていたわけですけれども、どこにその桜があったのかなとわからないくらい大きな壊れ方に大変衝撃を受けました。

 しかし、完成堤防で緊急対策の対象外となれば今後はどういう扱いになるのか、このような対象外だった河川は原形復旧にとどまるわけにはいかないと思うんですが、どうでしょうか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 台風第十九号により堤防が決壊した国管理河川については、現在、決壊要因の究明に向け、専門家から成る堤防調査委員会等で検討しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの結果を踏まえ、完成堤防の区間も含め、原形復旧ではなく、堤防強化や河道掘削などの必要な対策を加え復旧することが必要だというふうに考えてございます。

 台風第十九号で決壊や越水等による甚大な被害が生じた河川については、今後、洪水時の水位を下げ、安全かつ確実に洪水を流すことを最優先に、堤防強化、河道掘削、遊水地整備など、どのように組み合わせて、水系全体で適切かどうかを検討した上で、抜本的な治水計画の立案をし、流域全体での治水対策に取り組んでまいります。

高橋(千)委員 原形復旧ではなく強化を行うこと、そして、掘削や遊水地など水系全体で対策をとっていくと答弁があったと思います。そのとおりだと思います。

 それで、改めて、緊急点検というのをどのように行って、つまり、どうやって対策箇所を決めてやったのか、簡単にお答えください。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 重要インフラの緊急点検については、平成三十年七月豪雨、平成三十年台風第二十一号、平成三十年北海道胆振東部地震など、直近の災害でインフラの機能確保に関して問題点が明らかになった事象に対して、国民経済、生活を支え、国民の生命を守る重要インフラがあらゆる災害に際してその機能を発揮できるように、全国で実施したところでございます。

 河川に関する三カ年緊急対策の実施箇所については、樹木伐採、河道掘削、堤防強化など対策項目ごとに河川整備計画で位置づけられているものから一定の基準と照らし合わせて選定しており、例えば、樹木伐採、河道掘削については、氾濫した場合に二千戸以上の家屋が浸水するおそれがある箇所、また、氾濫した場合に市役所などの重要施設が浸水するおそれのある箇所等、上下流バランス等を考えながら、速やかに実施できる箇所から選定をしているところでございます。

高橋(千)委員 その二千戸のところで、先ほど岡本委員からも指摘があったというのはそのとおりかなと思っております。

 今お話があったように、実際に被害があって急がれるところをまず重点的に選んだ、そういう意味では、都道府県も、選ぶに当たって、本当にもっともっと必要なものがある中で絞られてきたのかなというふうなこともあるかなと思っております。

 それで、少し具体の話をしていきたいと思うんですが、まずおさらいですけれども、今の堤防の緊急対策が二種類、これは資料の3につけてあります。

 一つ目は、氾濫水の深い水深による人命への危険性等に対応した堤防強化対策などを実施すると。もう一つの、下の方は、逃げおくれに対応した危機管理型ハード対策等の実施をする。この二つの堤防強化策が、まず緊急対策の中に入っているということであります。

 もう一つが、4を見ていただきたいと思うんですけれども、河道等というふうに書いておりますが、樹木繁茂、土砂堆積及び橋梁等による洪水氾濫の危険箇所等の緊急点検、流下阻害や局所洗掘によって洪水氾濫による著しい被害が生ずるそうした河川約二千三百四十河川について、樹木伐採、掘削及び橋梁かけかえなどの緊急対策を実施するということで、国が百四十河川で、都道府県が二千二百河川ということになっているわけです。

 ただ、やはりここの部分ですよね、要望が一番大きいのはここではないかと、ずっと前から言ってきたよと、河床のしゅんせつをするべきだというふうな声は、もうどこに行っても聞くわけであります。

 そこで、この写真にある、樹木が生い茂っており川幅が狭くなっている、千曲川でもそういう光景を見ましたけれども、そっくりだと思うのが、先週私が行った福島県いわき市の県管理河川夏井川であります。全長六十七キロ、流域面積は七百五十平方キロメートル、福島県内で流域面積が最も広いと言われております。この河川で七カ所決壊し、二千七百戸が浸水被害を受けました。完成堤防なんですけれども、河道掘削等の整備を、やはり緊急対策をつけていました、やると決めていました。それで、上流と下流で行うことにしていたんですが、上流は、洪水期が終わってからやるんだということで、十月末着手の予定だったので間に合わなくて、台風が来ちゃった。下流の方は、何と入札が不調に終わりました。

 こうした緊急対策が着手できていないところ、あるいはほとんど始まったばかりのところも多いです。なのに、期間は、ここにあるように二〇二〇年までというのは、現実的ではありません。

 大臣、十分な期間と財政が必要と考えますが、答弁をお願いします。

赤羽国務大臣 高橋さんにそう言っていただけるのを大変心強く思います。

 三カ年の緊急対策というのは、先ほど局長の答弁にありましたように、近年の激甚災害を総括しながら、再度災害防止ということで、また、かつ三年間で決着がつくところということで選ばれた。その選び方にいろいろな御意見があるのはそれはしっかり受けとめたいと思いますが、それだけでは終わらないというのはもう今回の一連の災害で明らかでありまして、中長期的に気候変動に対応できるような抜本的な防災・減災対策をとっていかなければいけない。

 以前からもこうした課題というのはあったんですけれども、公共事業に対する否定的な意見も大変世の中的にもあった中でなかなかそうしたことが制限があった、だから財源が限られていてなかなか手がつけられなかったというのも事実としてありますが、今やはり世の中全般に、もう一度、国土強靱化ということは大事だ、国民の命と暮らしを守るための対策をとらなければいけないという強い世論の追い風も感じておりますので、しっかりとしたデータを出して、これは財政当局ともいろいろやらなければいけませんが、しっかりと来年以降、中長期的に対応がとれるように精いっぱい頑張りたいと思っております。

高橋(千)委員 公共事業を一くくりには当然できないわけで、私たち、生活密着の、地に足ついた、またコストも当たり前の値段のそうしたもので、必要なものはどんどん進めていくべきだという立場に立っているわけです。

 それで、資料の5を見ていただきたいと思うんですね。これは宮城県の登米市津山町横山地区といいますけれども、台風十九号で橋桁に流木が詰まり、土砂が詰まっております。これだけ橋が低いと、当然詰まるし、被害を大きくするなというのは一目瞭然かと思うんですね。この橋が国道四十五号線なんです。一級河川南沢川、北沢川、見えないですけれども、川と平行して走っているのは県道北上津山線であります。ことし八月にも、横山地区災害から人命財産を守る会から要望書が出されたばかりでありました。

 私が伺ったときに、国道を高くすることはできるんだけれども、ただ、ここだけ高くしても、結局、河川どうする、県道どうするということと一体でなければできないよねというお話なわけですね。それは県道も同じなんです。一定程度進めてきたんだけれども、じゃ、河川どうするということになるので。お互いににらめっこ、譲り合いしていても進まないわけですね。

 このような箇所というのはきっとほかにもあると思います。国交省が調整力を発揮して進めるべきと考えますが、大臣の認識を伺います。

赤羽国務大臣 こうした事例というのは、この国道だけではなくて、例えば鉄道の橋脚なんかも同じような話がございます。どうしても、鉄道にかかる橋脚については、国交省の中でありますけれども鉄道局の予算で、河川と別々にということだとなかなか前に進まないというのが現実でありますので。

 こうしたことは、再三答弁でも申し上げておりますが、国、県、市、また関係省庁が連携をとりながら一体としてやっていこうということで、この箇所につきましても、十一月二十二日に、国と宮城県と登米市など関係の市町村が参画する形で、減災対策協議会というものの中に大規模浸水被害対策分科会を設置して議論を開始したところでございますので、しっかり、今の趣旨を受けながら、前に進めるようにしていきたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 私が行った日に、この後、国交省が来ますと言っていましたので、動くということには確信を持っておりましたが、更に心強い答弁をいただいたかと思っております。

 それで、今月二十二日に国交省は、台風十九号による被害に対する緊急的な対策の推進に向けて、東北、関東、北陸の三つの地方整備局に六ケ所、河川でいうと四カ所の緊急治水対策出張所を設置しました。

 資料の6が、そのうち吉田川の緊急治水対策出張所の流域を示したものでありますけれども、宮城県の、地元、大崎タイムスがこれを報じまして、東北地方整備局の河川計画課が、より安全度を高めるため、対策メニューなどを検討しているというコメントを載せております。うちの地元議員も、国交省が本気でやる気になったのかと期待を寄せているわけであります。

 そこで、例えば、右側の鹿島台の方なんですけれども、ここは、前にも私、少しここで紹介したかもしれませんけれども、排水機場の能力強化、勾配が少なく水が流れないところであって、それで洪水の原因になってきた、そこでもう一本排水路をつくってほしいということが要望として強く出されております。また、左側の大郷町では、堤防のかさ上げをしてほしいと住民が以前から要望していたところでありました。

 本格復旧に当たっては、せっかくこうやって出張所をつくって本格復旧を目指す、そういうときには前々からの住民の声が反映されるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 今月の二十二日、台風第十九号により甚大な被害を受けた吉田川において、災害復旧工事等を専属で担当し迅速な工事監督や関係機関調整等を行う、吉田川緊急治水対策出張所を設置したところでございます。

 また、同日でございますが、先ほど大臣から御答弁いただきました分科会を設置したところでございます。この分科会の中には、国、県、自治体が連携して進めていくということで、地域の意見も反映できるようになっているということでございます。

 今後、被災現場に近い出張所の利点を生かし、地域の要望も伺いつつ、災害復旧工事等を迅速に進めていくとともに、国、県、自治体等が適切な役割分担をしながら、水害に強いまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 近さを生かしということで、大変ありがたいなと思って聞いておりましたが、心配なのは人員体制でありますね。午前の部でも簗委員において、出張所の体制が減っているんじゃないかということが指摘をされておりました。

 今回は、これまでになく決壊箇所が多く、求められる仕事量はふえているわけです。地方整備局自体が人手不足になっているのではないでしょうか。思い切ってふやすべきだと思いますが、大臣の見解を伺います。

赤羽国務大臣 これまでも行政改革という名のもとで随分削減されてきたというのは、午前中ですか、局長の答弁からも具体的な数字を申し上げたとおりでございます。

 今回、私も、東北地整、関東地整、北陸地整、全て回りましたが、出張所では、本当に限界の中で二十四時間体制で対応してきたというのが現実でございまして、今後のことを考えると、この体制ではやはり持続的にはできないということは強く感じておりますので、別の委員の方にも答弁しましたが、来年は、前年度に加えて百人以上、上の人員要求をしているところでございますし、そのことが必ず実現するように、これはやはり例外として扱っていただかなければ国民の皆様の命と暮らしを守ることができないという思いで取り組んでいきたいと思っております。

高橋(千)委員 来年はプラス百人以上ということで、先ほども答弁を聞いておりましたけれども、建設にかかわる地方整備局の定員数は、予算ベースでいいますと、二〇一〇年度は一万八千三百五人から二〇一九年度は一万六千四百人、一割減らされているんですね。ですから、百人ふやしても、そのペースからいくと間尺に合いません。そして、若い人が耐えられなくてやめていっているという現状もございます。

 そうしたことをしっかり踏まえて、それは十年分を一年で取り戻すのはなかなか難しいかもしれませんけれども、そのことをしっかり踏まえて、大臣、頑張っていただきたいと思っております。ここは、再度の答弁はいいですよね。

赤羽国務大臣 百人で要求したわけじゃなくて、前年度比、プラス百名ということです。

高橋(千)委員 プラス百人でも、計算からいうと足りませんよというお話をしました。もう一回、数字を後で見ていただければと思います。でも、そういう決意を伺いましたので、ぜひお願いしたいと思います。

 台風十五号の前に、油の流出や順天堂病院の孤立などが大きく報道され、甚大な被害があった佐賀県の六角川流域に行ってまいりました。

 国交省の九州地方整備局のホームページによれば、六角川についてこのように述べています。「佐賀平野の水害常襲地帯である低平地を蛇行する六角川。安全で豊かな六角川に変えようと、今日も軟弱地盤と闘っています。」この「軟弱地盤と闘っています。」という表現にはっとしたわけですけれども、有明海の六メートルに及ぶ干満差のために、満潮時には海面より低くなり、水はけも悪く、地下水のくみ上げによる地盤沈下もあって、水害が起こりやすく、かつ、水分を多く含んだ軟弱地盤が改修の障害になっているということです。建物をつくるときにも地盤改良が非常に困難である、そういう本当に特殊な事情がありました。

 そのために、潟土と呼ばれている泥がたまって、掘削、掘っても掘ってもまたすぐもとに戻ってしまう、そういうハンディを持っています。ずっと平野で水の流れが悪いことや、河道を狭くしている潟土を私もこの目で見て、本当にこれは大変だなと思いました。

 そういう中で、資料の7の緊急治水対策は、ハード、ソフト、そして遊水地など、総合的な対策をやっているということは全くそのとおりだなと思うんです。

 それで、資料の8です。

 大変申しわけありませんが手で直していますが、十一月十五日に私は行きまして、下の方が行ったときの写真でありまして、牟田辺遊水地というんですが、田んぼです、ちょっと見にくいんですけれども、水門が立っております。それが、八月の豪雨のときには、水門の頭だけが見える、明かりがちらっと見えておりますが、水がたまっておりまして、遊水地の機能を果たしたということを伺ってまいりました。ほかにも今、採石場を活用して貯水池をつくる予定であるということも聞きました。

 遊水地は、当委員会でも横浜市の鶴見川の多目的遊水地を拝見をしてきたところでありますけれども、あそこまで大々的でなくても、何しろ期間も財政もかかるわけでありますので、もっとこうした身近なところにつくることが可能なのではないか。遊水地などについては緊急対策の中には入っておりませんが、こうしたメニューの充実が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 この六角川水系、私も就任直後に足を運びまして、ここも物すごい広大な浸水と、また油が流れて大変な状況の中で、水門を閉め切らずに、上に浮いた油をすくい取って、そして下から水を出すというすごい大変な技術で、結構きっちりやれたというふうに思って、現場力のすごさを改めて感心したところでありますが。

 この中で、牟田辺遊水地が今回の洪水に対して貯留した機能を発揮したということでありましたけれども、内水が随分出て、約三千戸に上る大規模な浸水被害が発生してしまったわけでございます。

 ですから、ここの六角川、おっしゃるように地盤も大変難しいところでもございますが、御指摘の遊水地等の洪水調節施設の整備をしなければいけないということと、当然でありますけれども、堤防の整備や強化、河道掘削、さまざまな手段を組み合わせながら洪水時の水位を下げて、これまで洪水多発地域でありましたけれども、安全かつ確実に洪水を流すことができるようにすることが最も重要だと考えております。

 この緊急対策のメニューにないということではありませんで、これからしっかりつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今の最後のところ、ほかの県からも要望が出ておりますので、メニューにないところだけれどもしっかりやっていきたいということだったので、確認をさせていただきたいと思います。

 やはり、都道府県管理河川というのは、非常に総延長が長く、また多く、そういう中で、河川改修や水位計がまだまだであるとかハザードマップなどとか、技術的、専門的分野が求められていると思います。そして、そういう中で予算を、やはりなかなか間に合わないんだということを理由に、長いこと、先ほど言った堤防のかさ上げができないであるとか、しゅんせつの要望が出されておりながら手をつけられずにいたことも多いかなと思っております。

 私自身も水害の現場に行って、すぐそこまで工事は進んでいるんだけれども間に合わなかったということなどに随分遭遇をいたしました。水門をつける予定になっていたんだけれども間に合わなかったねと残念がっていた声なども聞きました。

 そういうことをやはり突破するためには、都道府県の河川に関する予算、やはり増額が必要だと思いますけれども、まず、この十年間での増減とかはどのようになっているのか、伺いたいと思うんです。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県が実施する河川事業に対する補助事業としては、平成二十二年以前から実施している再度災害防止対策に係る補助事業と今年度新たに創設した個別補助事業があります。

 御質問の都道府県の河川に関する予算につきましては、再度災害防止に係る補助事業の事業費は各年度の水害の発生状況によるため年度による増減はございますけれども、平成二十二年度で約二百三十億、令和元年度で約三百億でございます。また、今年度新たに創設した個別補助事業の事業費は、令和元年度で約五百九十億となっているところでございます。

 このほか、社会資本総合整備計画に基づく都道府県の河川事業については、防災・安全交付金により支援しているところでございます。

高橋(千)委員 大臣にもう一回伺いたいと思うんですが、比較ができないとおっしゃるんですよね。それで今説明をいただいた再度災害のところと個別事業のところで比較した。

 でも、令和元年を比較してしまうと、令和元年というのは、先ほどから言っている緊急対策が入っているんですから、通常の予算の一・五倍になっているんですよ。そこで比較しちゃうと、すごくふえたじゃんという話になっちゃって、それじゃだめだというのと、やはり、災害が起きたところに対処している予算だけではなくて、ずっと議論してきて、予防のために、防災のために、減災のためにと言ってきたところをどう見るのかという点では、やはり交付金が、社会資本整備交付金だとか、今は防災・安全交付金になってきているけれども、その中でどれだけ河川に、都道府県に支えになっているのかということをきちんと調査をして、そして必要な予算を確保していくという必要があると思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 そういう御指摘を受けて、しっかりやっていきたいと思います。

 ただ、ちょっと、以前、我が党は防災・減災ニューディールというのを何年か前に発表したんですが、当時はやはり予算の裏づけがついてこなくて、なかなか、地方を回っていてもそうしたものに対する反応というのが余りよくなかったわけでありますが、この緊急三カ年というのは、いろいろな制約はあるものの、やはり防災・減災対策、明らかに国の予算だけではなくて地方の予算についても反映しておりますので、ようやく、全国の地方自治体も挙げて防災・減災対策をやっていこうということになっておりますので、私が申し上げたいのは、この三カ年で終わらずに、やるべきこと、中長期的なことも、しっかりと予算の裏づけをとりながら進めていきたいと決意をしております。

高橋(千)委員 時間になりましたので、一言だけお話をして終わりたいと思うんですが、被災者はきっと来年もまた来るんじゃないかというふうに思っています。だから、自分の身の振りをどうしようかというのも悩んでいらっしゃいます。

 そういう中で、この間はどうしても、何十年もかかるダムの計画だとか、それ自体をいい悪いと言う前に、そこだけになっていたとか、頼っていたとか、そういう計画がやはり今までは一定あったわけですね。そこをやはり、まず、今すぐできること、お金がなくてもできることというのはたくさんあるんだ、それを住民が指摘をしてきたんだということの立場に立ってしっかりと対応していただきたいなということを指摘して、終わります。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 時間も二十分と限られていますので、質疑に入らせていただきたいと思いますが、まず冒頭、今回の災害で亡くなられた方にお悔やみを改めて申し上げたいというふうに思いますし、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 その中で、今回は防災情報についてを聞かせていただきたいと思います。

 きょうは、内閣府から統括官、それから消防庁から防災部長にお越しをいただいていますけれども、防災部長の質問はちょっと飛ぶかもわからぬのですけれども、その辺、ちょっと御容赦いただけたらというふうに思います。

 近年、防災情報について改善が図られており、いろいろな情報が整備されてきましたが、防災情報に対する住民の理解というのはまだまだ進んでいないような気がします。

 ちょっと古い資料ですけれども、気象庁が、平成二十八年、三年前の十二月に行った防災情報の利用活用状況調査によりますと、大雨に関する情報の認知度というのは六割弱、利用率は四割前後ということがあって、なぜ情報を使用しないかという理由については、情報を受けてどう行動すればよいのかわからない、危険度がわかりにくいということであって、そういう調査の結果も踏まえて、恐らく、本年三月に避難勧告等に関するガイドラインというのが改定されたというふうに思います。

 改定前は、先ほど申し上げたように、特別警報についても、信頼性確保のために発表には慎重を来さなければならず、特別警報の頻度がふえるほど自治体や住民にとってその重要性が薄れるということも確かであるため、誤解を生じさせないなど、まあオオカミ少年にならないようにということだったと思うんです、そういった多くの課題があると考えられており、昨年七月の西日本豪雨の被災地では、避難指示が出されていたが自宅にとどまり命を落としたという住民も多かったというふうにお聞きをしています。

 こうした反省を踏まえて、このガイドラインの改定後は、住民はみずからの命はみずからが守るという意識を持っていただいて、みずからの判断で避難行動をとるとの方針が示されました。この方針に沿って、気象庁や自治体などから発表される防災情報を用いて住民がとるべき行動を直観的に理解しやすくするよう、五段階の警戒レベルというのを導入し、防災情報が提供されることとなり、二〇一三年八月の特別警報の運用開始以来最も大きな発令基準の見直しというのがされたということであります。

 わかりやすく発令基準を示したことで住民側の主体的な避難を促すということはできるようになったと思うんですけれども、しかしながら、ことし六月の豪雨では、広島市など、全住民が対象となるレベル四の避難勧告が導入後初めて示されましたが、避難対象の一市三町の計約四十六万一千二百人のうち、実際に避難した人は七百七十五人で、避難率は〇・一七%にとどまる結果となった。

 決して、この数字が悪い、そういう議論はする気はありません。広目に告知している場合もありますし、避難対象となっていても、する必要がないという自己判断をされている方もおられると思いますので、少ないことをどうこう言う気はないんですけれども、一つの指標としてそういう数字だった。

 今般、防災情報が五段階の警戒レベルを明記して提供されることになりましたが、今までの防災情報からどのように変わったのか。それからまた、国や都道府県が出す防災気象情報と市町村が発令する避難情報の中身というのはどのように違うのか。さらには、今回警戒レベルの発表基準というのが見直された結果、ことしあった台風の十五号、それから十九号ではどのような効果が発揮できたとお考えなのか。もう一つ、さらには、この警戒レベルが有効に利用されるためには取組を推進すべきだと考えますけれども、今後の見解、取組推進への対策というのをお伺いしたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 まず、防災気象情報と避難情報の関係と五段階の警戒レベルの導入の関係でございますけれども、居住者等にとっての違いについて見ますと、市町村が発令する避難勧告あるいは避難指示といった避難情報は、避難行動を居住者等に促す情報でございます。一方で、国や、気象庁も含めてですが、都道府県、こちらが提供する大雨警報ですとか特別警報、あるいは土砂災害の警戒情報、氾濫危険情報といった防災気象情報というのは、居住者等がみずから避難行動をとる際の判断に参考となる、これは居住者にとってということでございます。

 昨年の七月豪雨におきまして、これらの多様な主体からさまざまな予報、警報というのが出されて、受け手である居住者等に正しく理解されていたかといった課題があったという認識のもとで、本年三月に避難勧告等に関するガイドラインを改定したというところでございます。

 この改定においては、さまざま何種類もある情報に関して、居住者等がとるべき行動をまず五段階に分けて、居住者等に行動を促す情報、あるいは居住者等がみずから行動をとる際の判断の参考となる国、都道府県からの情報というものをそれぞれ五段階の警戒レベルに対応させるということで、出された情報からとるべき行動を直観的に理解しやすいものとしたところでございます。

 ただ、今回、台風十五号、十九号の水害を受けまして、実際にこの五段階の警戒レベルに変えたことがどのような効果があったのかというところは把握、検証が必要だと考えております。

 中央防災会議のもとに今般ワーキンググループを設置いたしまして、この警戒レベルの導入による効果や課題についてもしっかりと把握、検証した上で、関係機関とも連携して必要な対策を今後しっかりと進めてまいりたいと思います。

井上(英)委員 ちょっと時間もないので次に行きますけれども、警戒レベルを発表しても、まあ言葉はちょっと悪いかもわかりませんけれども、やはり空振りに終わったり、それから、避難を促した結果、かえって被害が拡大するという可能性もありますし、地方公共団体等が避難勧告等を適切なタイミングで適当な対象地域に発令できるかなど、多くの課題があると思います。

 この秋、十月二十五日に、東日本での記録的な大雨の場合では、避難準備、それから高齢者等避難開始、これはレベル三に当たると思うんですけれども、が発表されていたんですけれども、結果的には避難勧告や避難指示というのは発表されなかった。だから避難できなかったということをおっしゃっている方もおられる。

 しかしながら、避難ができる状態でないということで、あえて避難勧告や避難指示を発令しなかったというふうにも聞いています。レベル三に当たる避難準備、高齢者等避難開始が発令されても、雨が降っていて避難場所が遠くて歩いて行けないと考える高齢者なんかを始め、そういうふうに考える方々もたくさんおられる。

 一方で、七月の鹿児島での大雨の際には、一気に避難所に人が集まったことで、結局、振り分けないとだめだ、場所をかわってもらわないと、もう一回避難所を移ってもらうというふうなことも起きたというふうにも聞いています。

 避難勧告や避難指示などを住民に迅速かつ確実に伝達できていたのか、この検証というのは、先ほどおっしゃっていただいたように、非常に重要であります。防災・避難情報を発令する、適切なタイミングで行うことへの見解と対策、どのように整理していくかをお答えいただけますでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、自然災害から居住者等の生命を守るためには、避難行動を開始すべき適切なタイミングで、市町村が空振りを恐れずに避難勧告等を発令することが重要であると考えております。

 先ほど申し上げましたガイドラインにおいては、台風等の接近に伴い大雨あるいは暴風により避難行動が困難になることが予想される場合には、市町村は居住者等に対して早目に、暗くなる前とか、早目に避難勧告を発令することというふうにガイドライン上しております。

 しかしながら、状況によっては事態が急変するということで、災害が突然切迫した状態となることもございます。このような場合には、夜間あるいは風が強いというような状態であってもちゅうちょなく避難勧告等を発令すべきというふうにしております。ただ、その際の避難行動というのは、必ずしも避難所に出向くということではなくて、垂直避難であるとか、近隣の安全な場所に退避をするということもあろうかと思います。

 御指摘のあった自治体の件について、我々としても承知しておりますけれども、こういった事例も含めて、先ほど申し上げましたワーキンググループの中で、避難勧告の発令のタイミングについても、よく実態を把握、検証した上で、対策の検討を進めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 防災部長、お越しいただいているんですけれども、防災部長には防災の行政無線のことでちょっとお聞きしようと思っていたんですけれども、やはり、窓や雨戸を閉め切っているため聞こえないとか、それからまた耳の悪い方など、そういう方々への防災情報の伝達の対策をお聞きしたかったと思うんですけれども、しっかりと善処していただくようにちょっとお願いをしたいと思います。

 次に、防災・避難情報を出しても住民が避難しないこともあり、情報の発信側と受け手側との意識の差というのは大分あるのかなというふうに思います。住民の行政依存、それから情報依存姿勢というのがあり、住民の方々に、先ほど申し上げたように、ガイドラインの考え方、みずからの命を守る主体性というのが備わっていないような感じもいたします。

 平時にどれだけ意識啓発するかというのが、やはり大きな課題ではないかなというふうに思います。これを改善するためには、ハザードマップなどで住民に危険性を事前に周知徹底することが必要不可欠ではないかなというふうに考えます。

 先ほども申し上げた十月二十五日の記録的大雨災害では、ハザードマップでは浸水想定区域外のところで、千葉県の長柄町の避難中の方が車の水没でお亡くなりになったというようなケースもありました。平成二十七年にハザードマップを変えるということで千葉県もやっていたんですけれども、その改定途中というか、改定できていなかったということでありました。

 確かにハザードマップというのは非常に重要なものでありますが、ハザードマップ上危険と示されていないところが安全というわけではないので、どの程度自分の家や地域はリスクがあるのか知ることが大事で、行政側も、提供し得る情報をできるだけ速やかに更新して、住民に地域のリスクを伝えていくという姿勢が求められるというふうに思います。

 国土交通省にお伺いいたしますが、スマホなどを持っていない方々や、それからまたハザードマップ、まあハザードマップの周知徹底というのはもちろんなんですけれども、持っていない方や目の悪い方などにそのような情報をどのように伝達していくのかというのを局長にお伺いしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、洪水ハザードマップにおいて、住民が避難行動につなげるということが重要だというふうに思っております。

 ハザードマップの周知については、各自治体により、印刷物の配付に加えて、インターネット、また自治会での掲示板の活用、説明会の実施、避難訓練での活用等、多様な手段を用いて行われているところでございます。

 国土交通省といたしましても、ハザードマップに関する広報を行うとともに、全国のハザードマップを閲覧できるポータルサイトを設ける、またそういうようなことで認知度向上に努めているところでございます。

 さらに、平成二十八年四月には、改定をさせていただいたハザードマップ作成の手引き、そういうようなところで、避難訓練、防災教育等に利活用している優良事例を取りまとめさせていただいて、住民に深める取組をしているところでございます。

 引き続き、大規模氾濫減災協議会の場を通じまして市町村にハザードマップの活用事例を紹介するとともに、平時からの理解が進むように努めてまいります。

井上(英)委員 それじゃ、大臣にお伺いしたいんですけれども、台風第十九号による大雨で、茨城県内を流れる那珂川での氾濫発生を常陸河川事務所や水戸地方気象台が把握していたにもかかわらず、警戒レベル五相当の氾濫発生情報が発表されなかったということが判明しました。報道によると、市の広報を受けて水戸地方気象台の職員が常陸河川国道事務所へ連絡したが、同事務所からは職員の巡回で確認できていないとの回答があったと。

 水防法では、指定河川の洪水予報に関して、国土交通大臣と気象庁長官が報道機関に関し共同で発表するということになっていますけれども、河川事務所と気象庁はなぜ共同で発表することとなっているのか、気象庁単独で洪水予報というのは出せないのかというのをお伺いしたいのと、また、氾濫発生情報とは氾濫が実際に発生している状況であり、気象台、河川事務所、自治体のどこが把握した場合であっても、共同発表に限らず即座に発表するべきだという仕組みを構築すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 若干、細部、不確かなところがありますので、もしあれでしたら局長からフォローしてもらいたいと思いますが、そもそも役割がちょっと違っていまして、気象庁が予測した雨量を用いて国土交通省が河川水位の予測計算を行って、その結果に基づいた洪水予報を両者が共同で発表するというのが原則であります。

 ただ、この台風十九号の那珂川ですとか久慈川で最後の氾濫発生情報が発表できなかったというのは、この両者で発表するということの仕組みにあったのではなくて、やはりひとえに、国土交通省の現場の事務所の中でのさまざまな混乱の中で、これはもう人的な、致命的なミスだったと思いますが、そうしたことにあったというふうに考えています。

 しかしながら、これだけではなくて、それぞれの地方自治体との連絡とか、ちょっとさまざまな課題がありまして、こうしたことも含めて、先ほど局長からの答弁にもありますが、水管理・国土保全局と気象庁によって河川・気象情報の改善に関する検証チームというのを設置しまして、今回のような同時多発的な災害にも対応できるような災害時の体制のあり方、また効率的な作業手順などについて検討し、今年度末までに改善策を取りまとめてまいりたいと思います。

 さまざまな御意見があることもしっかりと受けとめて、よく検討したいと思っております。

井上(英)委員 大臣のおっしゃるとおりで、今回はちょっとあれで、まあ、ふだんは両事務所ともコミュニケーションもとれていると思いますし、そういうふうにもお伺いをしているんですけれども、一緒にするということがもし弊害であるなら、そういうこともやはり考えていかないといけないんじゃないかという指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 次は、もう時間も限られているので、住民が自主的に避難行動をとるための参考となる、国や都道府県が発表する土砂災害警戒情報等の警戒レベル相当情報と、市町村が発令する避難情報の関係についてを伺いたいと思うんです。

 いろいろな例もあるんです。避難勧告、同じレベル四でも、地区に絞って発令した場合、その発令をされていない地区での警戒レベルの数字に対するそごというのが、やはり変わってくるというふうにも考えられます。その際、どちらに合わせたらいいのか。

 同じ警戒レベル四になっているんですけれども、避難勧告を出している地域とそうじゃない地域で、どちらに合わせたらいいのか混乱が生じる可能性も非常に高いのではないかなと思いますけれども、避難情報と防災気象情報の違いを理解している人が一般の方々でどれだけいてるかという問題があります。

 防災気象情報のあり方についても検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、昨年の七月の西日本豪雨の際に、さまざまな防災気象情報についてのレベル化ということで整理が必要だということで、五段階に整理したということですけれども、例えば、ちょっと混乱しやすい話として、土砂災害警戒情報というのは警戒レベルとして四ということですけれども、洪水警報というものは警戒レベルが三というふうになっている。氾濫の危険情報等についてもレベル間に差があるということで、ここら辺、わかりにくい。

 また、表現ぶりについても、どこまで住民等にとって理解がされているのかというところもよく検証が必要だろうと思いますので、先ほどワーキンググループでの検討ということを申し上げましたけれども、防災気象情報の出し方、また理解のさせ方についてもよく検討していきたいと考えております。

井上(英)委員 最後に長官にちょっとお伺いをしたいんですけれども、今回の台風十九号で、千曲川などで大雨特別警報が解除された後に氾濫発生情報が発表されたという地域があった。報道によれば、大雨特別警報が解除されたので自宅に戻ったら、その後、川が氾濫したという地域もあったというふうに聞いていますけれども、そういうことも発生していますので、やはり先ほどからの検証を行う必要があるかと思いますけれども、今後の見解を長官にお伺いしたいと思います。

関田政府参考人 お答えいたします。

 最初に、大雨特別警報の解除の考え方なんでございますけれども、解除の判断につきましては、基本的に降雨の状況に基づいて行うこととしております。今般の事例につきましても、一連の雨が弱まり、その後もまとまった雨の見込みがないと判断した段階で、特別警報を解除したものでございます。

 こういった状況がございますので、個々の河川氾濫に対して警戒を呼びかける情報といたしましては、大雨特別警報ではなく、指定河川洪水予報を御利用いただくということとしております。その際には、警戒レベル四相当の氾濫危険情報の段階で避難の徹底が大変重要であるというふうに考えております。

 一方で、今先生から御指摘いただきましたとおり、大雨特別警報の解除後の河川氾濫への警戒の呼びかけ方、これにつきましては私どもといたしましても重要な課題というふうに認識しておりまして、この点につきまして、先般から話題に出ております水管理・国土保全局との共同の検証チームの中で十分に検討を進め、効果的な警戒の呼びかけなど、必要な改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 済みません。ありがとうございました。

土井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会


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