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第2号 令和2年3月6日(金曜日)

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令和二年三月六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    泉田 裕彦君

      小田原 潔君    大塚 高司君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      門  博文君    神谷  昇君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      古賀  篤君    佐々木 紀君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    堀井  学君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      簗  和生君    山本  拓君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      中島 克仁君    西岡 秀子君

      広田  一君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    道下 大樹君

      矢上 雅義君    谷田川 元君

      伊藤  渉君    北側 一雄君

      高橋千鶴子君    井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   内閣府副大臣       平  将明君

   国土交通副大臣      青木 一彦君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室審議官)        宮崎 祥一君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  秡川 直也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小平  卓君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本 貴久君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            山上 範芳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         東川 直正君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 一見 勝之君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  大坪新一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  高田 昌行君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (気象庁長官)      関田 康雄君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    奥島 高弘君

   参考人

   (独立行政法人住宅金融支援機構理事)       田中 敬三君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     小寺 裕雄君

  古川 元久君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     泉田 裕彦君

  中島 克仁君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     宮内 秀樹君

    ―――――――――――――

三月五日

 土地基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 土地基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人住宅金融支援機構理事田中敬三君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房長野村正史君、大臣官房公共交通・物流政策審議官瓦林康人君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官山上範芳君、大臣官房技術審議官東川直正君、総合政策局長蒲生篤実君、土地・建設産業局長青木由行君、水管理・国土保全局長五道仁実君、道路局長池田豊人君、住宅局長眞鍋純君、鉄道局長水嶋智君、自動車局長一見勝之君、海事局長大坪新一郎君、港湾局長高田昌行君、航空局長和田浩一君、観光庁長官田端浩君、気象庁長官関田康雄君、海上保安庁長官奥島高弘君、内閣官房内閣審議官安居徹君、国土強靱化推進室審議官宮崎祥一君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長秡川直也君、内閣府大臣官房総括審議官渡邉清君、大臣官房審議官小平卓君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、大臣官房審議官松本貴久君及び中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まずは、防災・減災対策についてお伺いをしてまいります。

 昨年の台風十九号、これを振り返りますと、想定外の地域に想定外の雨量があって、想定外の被害が発生をいたしました。そこには多くの教訓があると思います。特に、備えが十分であった地域では被害が少なくて、備えが足りなかった地域で多くの被害が発生した、そういう印象であります。

 そこで、これまで長年、計画的に整備を進めてきた治水施設が一定の効果を発揮した例が多くあろうと思いますが、改めて事例をお伺いしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年東日本台風では、広範囲で多数の堤防が決壊するなど、甚大な浸水被害が発生いたしました。こうした中でも、過去に整備をした治水施設が浸水被害の防止、軽減に効果を発揮したところでございます。

 例えば、利根川上流域では、試験湛水を行っていた八ツ場ダムを含め、上流ダム群や渡良瀬遊水地などの調節池において、合計約四億立方メートルの洪水を貯留いたしました。

 また、勾配が緩く水がたまりやすい地形の中川、綾瀬川流域においては、首都圏外郭放水路や三郷放水路などにより、流域内の降水量の約三割を流域外の江戸川等に安全に排水いたしたところでございます。

 これらの治水施設は、首都圏における浸水被害の軽減に寄与ができたものというふうに考えてございます。

 さらに、狩野川流域では、昭和三十三年の狩野川台風の際は、死者・行方不明者約八百五十名、家屋浸水約六千八百戸の甚大な被害が発生いたしました。

 令和元年東日本台風では、この狩野川台風を上回る総雨量を観測いたしましたが、本川から約六割の流量を狩野川放水路に流すことにより、本川からの氾濫を防ぎ、人的被害がゼロ、家屋浸水被害も内水等による約千三百戸に抑えることができたところであります。

小里委員 説明をいただきましたように、治水施設の効果というものは明らかでありまして、事前防災の必要性を改めて実感するところであります。

 私の地元の鹿児島県川内川におきましては、平成十八年に未曽有の大水害を受けました。これを受けて、再度災害防止のために、河川激特事業、あるいは激特後の事業、さらにはまたダムの再開発等々の抜本的な事業が施されました。これにより、一定の効果があったと認識をするところであります。

 今回の台風十九号災害等を受けまして、まずは、再度災害防止の観点から、同じような雨量があっても越流をしないような整備をしてまいらなければならないということを強く認識するところであります。

 信濃川や阿武隈川を始め、台風十九号によりまして大きな水害が発生をした七水系におきまして緊急治水対策プロジェクトを行っていくわけでありますが、その概要をお伺いいたします。

御法川副大臣 昨年の令和元年東日本台風では、国管理河川においても、今御指摘のあったような阿武隈川や千曲川等において十二カ所で堤防が決壊するなど、甚大な被害が発生しておりまして、これを受けまして、今御指摘のあった七つの緊急治水対策プロジェクトを一月三十一日に取りまとめをしたところでございます。

 このプロジェクトは、国のみならず、県そして関係市町村が連携をしながら、流域全体でのハードそしてソフト一体となった対策を行うということでございます。

 具体的には、河川における対策といたしましては、おおむね五年から十年で合計四千二百億を超える事業を実施いたしまして、被災した堤防等の復旧のみならず、河道掘削、遊水地の整備、堤防整備等の改良復旧を集中的に実施いたします。

 次に、流域における対策といたしまして、雨水貯留施設の整備やため池の活用等により雨水の流出抑制を図るとともに、家屋移転あるいは住宅地のかさ上げ、浸水が想定される区域の土地利用制限など、土地利用や住まい方の工夫を行ってまいりたいというふうに思っております。

 今年度は補正予算などに約六百二十億円を計上しておりまして、既に水位を下げるための河道掘削等には着手をしているところでございます。

 引き続き、被災地の復旧復興に全力で取り組みまして、より災害に強い地域づくりを進めてまいりたいというふうに思います。

小里委員 おおむね五年から十年間で約四千二百億円の予算を計上したということであります。

 令和元年度補正で、全体事業費の二割程度、六百二十億を積んだということでありますが、その後の予算確保が大きな課題となってまいります。令和二年度当初予算案では、災害復旧費として五百七十六億円が計上されておりますけれども、これは、過年災や当年度の災害分、あるいは各県における復旧事業費等も入っておりまして、これを勘案してまいりますと到底足りないわけであります。この後の予算確保にしっかり努めてもらいたいと思います。

 また、例えば、阿武隈川上流の現整備計画で見ますと、六十年に一度の雨量に耐える基準で策定をされております。今回、台風十九号では百八十年に一度の雨量となりました。他の水系でも現計画の想定を超える雨量となっております。今回の規模の台風が別ルートをたどった場合には、未曽有の水害、すなわち、想定を超える水害が他の河川でも発生することが十分に予想をされます。被災した七水系以外の河川においても、スピード感を持って事前防災対策に取り組んでいく必要があろうと思うところであります。

 全国の河川において緊急的に実施すべき事業がどれだけあるかを明らかにして、事前防災対策を計画的、集中的に推進をしていくべきであろうと思いますが、大臣に方針をお伺いいたします。

赤羽国務大臣 昨年の令和元年東日本台風を始め、近年の激甚災害の様子を総括しておりますと、やはり、近年の気候変動に伴いまして災害が激甚化をし、また頻発化をしている、また、その被害も甚大化、深刻化しているということでございまして、抜本的な防災・減災対策、治水対策をつくらなければいけないということが一つでございますし、加えて、国民の皆様の防災意識を高めていただく努力もしなければいけない、こういうふうに思っております。

 そうした意味で、まず、この抜本的な対策が国民の皆様の命と暮らしを守ることのできる抜本的な防災・減災対策であるかどうかといったこと、そして、そうした対策の全体像をわかりやすくお示ししていくということが重要であると認識をしております。

 また、激甚災害が、今委員御指摘のように、今後、どの地域でいつ起こってもおかしくないという現状を踏まえながら、そうした認識で取り組んでいかなければいけない、こう考えているところでございます。

 こうした考えに基づきまして、今回の台風で甚大な浸水被害が発生した七つの水系につきまして、今御法川副大臣から御答弁させていただきましたように、本年一月に緊急治水対策プロジェクトを作成しまして、今回同様の台風でも本川から越水させないことを目標とした、緊急的に実施すべき対策の全体像を明らかにしたところでございます。

 今後、この七水系以外におきましても、全国の一級水系を対象に、緊急的に実施すべき具体的な治水対策の全体像をお示しして実行に移していきたい。そして、これにとどまらず、今、緊急三カ年対策をとっておりますが、それ以後も、中長期的に全国どの地域も安全で安心な国土づくりができるように、しっかり予算獲得にも努力していきたい、こう考えております。

 以上です。

小里委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 地域がいつまでも災害の危険にさらされているようでは、そこに人は住めなくなるし、産業も廃れていくわけであります。地域がまちづくりの基盤となる安全対策について将来に向けて見通しを持って臨んでいけるように、二十年から三十年の長期的な計画にとどまらず、これに加えて、五年から十年、十五年といった短期、中期的な事業計画を予算規模も含めて示した上で、スピード感を持ってやっていっていただきたい、そんなふうに改めて思うところでございます。

 先ほど答弁いただきましたように、八ツ場ダムを始めとして、ダムや遊水地が洪水を貯留して、洪水調節機能を果たして多くの地域を被害から守っております。鹿児島県の川内川でも鶴田ダムの再開発事業が実施をされまして、洪水調節容量が従来の約七千五百万立方メートルから九千八百万立方メートルに増大をいたしました。既存のダムを最大限に活用したダム再生とあわせて、河川事業とが一体となって地域の安心、安全を確保している例であります。

 また、農業用ダムや電力用ダム等の既存の利水ダムについても、事前放流、例えば台風が来る三日前ぐらいから水位を下げる等準備をしておくことによりまして、洪水調節容量を確保してしっかり備えていく、こういったことも活用を図っていくべきであろうと思うことであります。

 ダム再開発の推進、利水ダムのさらなる活用に向けての推進策、方針をお伺いしたいと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年東日本台風においては、国土交通省所管の百四十六のダムにおきまして水をため込み、下流になるべく水を流さないようにする洪水調節機能を発揮したところでございます。

 このように、上流部のダム等により洪水調節を行うことは、流域の治水安全度を高める上で極めて重要であり、ダムの新設を着実に推進するとともに、既設ダムの機能向上により比較的早期に整備効果を発現できるダム再生事業を積極的に推進してまいりたいというふうに考えてございます。

 先ほど委員からお話がございました川内川流域の鶴田ダムでは、放流設備をより低い位置に増設するとともに、発電のための容量を河川管理者が買い取ることにより、洪水調節容量を約一・三倍に増加させるダム再生事業を実施し、平成二十八年四月からの運用開始により、流域の治水安全度の向上を図ったところでございます。

 現在、国土交通省所管ダムでは全国二十四のダム再生事業を実施しているところであり、令和二年度予算案において直轄事業として新たに三事業の実施計画調査着手のための予算を計上するなど、今後ともダム再生に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 また、こうした治水を目的とするダムだけではなく、電力や農業用水など専ら利水を目的とする既存のダムにつきましても、利水のための貯留水をあらかじめ放流する事前放流を拡大させていただきまして、一時的に治水のために容量を増大をさせておく取組を関係省庁や利水者と調整しながら進めているところでございます。

 今後とも、激甚化、頻発化が予想される洪水に対応するため、ダム再生事業や事前放流などの既存ダムの活用により、洪水調節機能を強化し、流域の治水安全度の向上を図ってまいります。

小里委員 ありがとうございます。

 温暖化による気候変動によりまして、洪水の激甚化、頻発化が予想されております。

 気候変動シナリオによりますと、気温が二度上昇した場合に、降雨量は約一・一倍となって、流量は約一・二倍、洪水発生頻度は約二倍となる試算があります。

 気候変動による洪水の頻発化、激甚化を見据えた治水計画の見直しが必要であろうと思いますが、大臣における方針をお伺いいたします。

赤羽国務大臣 昨年十一月から、社会資本整備審議会気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会におきまして、今委員御指摘のように、気候変動による降雨量の増加などを考慮した抜本的な水災害対策への転換について議論を進めているところでございまして、ことしの夏ごろをめどに取りまとめをというふうに思っております。

 こうした小委員会の議論を踏まえつつ、まず、国交省としましては、河川整備基本方針などの治水計画を、これまでは過去の降雨実績からつくっておりましたが、それを将来の予測に基づくものに見直してまいりたいと思っております。

 そして、河川管理者におきましては、こうした降水量の将来の予測に基づいた上で、国、県、市の連携のもとで、上流、下流や本川、支川の流域全体を見据えた河川計画をより一層充実させていきたい。そして、河川管理者による取組に加えまして、今五道局長から御答弁させていただきましたように、既存ダムですとか貯留施設の整備の充実も図ってまいりたいと思っております。

 こうしたハード対策に加えまして、ソフト対策としても、ハザードマップの周知徹底ですとかマイ・タイムラインの作成など、実効性がある避難体制づくりを促進するとともに、住民の方が適切な避難行動をとれるような正確でわかりやすい情報提供の充実、改善に努め、そして、民間企業と連携した地方整備局のTEC―FORCEの体制強化などを推進してまいりたいと思っております。

 国交省としては、気候変動による、激甚化するまた頻発化する災害に対しまして、国民の皆様の命と暮らしを守れる防災・減災が主流となる安全、安心な社会づくりに全力を傾けてまいる所存でございます。どうか御指導よろしくお願いいたします。

小里委員 お話をいただきましたように、まさに将来の予測に基づく対応というものが大事になってくるであろうと思います。まちづくり、住まい方等の工夫も含めて、気候変動をもとにした対策をしっかり立てて実行していただきたいと思います。

 河川だけでなくて、防災・減災対策は各分野に及んでまいります。例えば、昨今の災害におきまして地方管理道路の国による権限代行あるいは防災機能を持った道の駅の有用性が言われたところであります。また、道路の無電柱化、高速道路の四車線化等についても必要性が改めてクローズアップをされたところであります。

 それぞれしっかり推進を図っていくべきと考えますが、国交省の方針をお伺いいたします。

池田政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、道路に関しましても、昨年度の西日本豪雨や本年度の台風十五号、十九号などにおきまして、電柱倒壊による孤立集落の発生や復旧活動の障害が生じました。

 また、高速道路につきましても、四車線区間については土砂崩れの際も通行どめの期間が短期間で済んだ一方で、二車線の区間については通行どめの解消までに時間を要した事例がございました。

 一方、道の駅につきましては、災害復旧の拠点や避難所として活用された事例が報告されております。

 このような実績を踏まえまして、今後、次のような対策に重点を置く必要があると考えております。

 まず、台風などによる電柱倒壊への備えとして、無電柱化については、三カ年の二〇一八年から二〇二〇年までに千四百キロを進めることとしておりましたけれども、さらに、緊急輸送道路のうち、風による倒壊の可能性の高い箇所の中でより緊急性の高い市役所等の周辺約千キロを加えた約二千四百キロの無電柱化を進めることとしております。

 今後、引き続いて、残る箇所の無電柱化についても早期に進めていく必要があると考えております。

 次に、高速道路の暫定二車線区間については、高速道路会社が管理する区間だけでも全国で約千六百キロ残っておりまして、令和元年度より年間約百キロのペースで四車化を進めておりますけれども、今後も、引き続き、残る区間の四車化を促進させることが重要と考えております。

 また、今、道の駅のお話がございましたけれども、今後、市町村が策定している地域防災計画に位置づけられた全国で約五百カ所の道の駅を対象に、耐震補強や無停電対策を進める必要があります。

 また、大規模災害のときの広域的な復旧復興の拠点として機能する道の駅については、新たに防災道の駅として国が認定をしまして、自衛隊などの救援活動のスペースや緊急ヘリポートなどの整備を進めていく予定であります。

 さらに、今お話がございました国の権限代行による道路啓開や災害復旧につきまして、全ての道路種別について国が権限代行が行えるよう、権限代行の制度を拡大する内容とした道路法の一部の改正案を今国会にも提出しているところでございます。

 このように、来年度までの防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策の着実な実施に加えまして、その後も引き続いて防災対策を推進していくことが必要であるというふうに考えております。

小里委員 それぞれしっかり推進を図っていただきたいと思います。

 ここまで答弁いただきましたように、気候変動への対応は待ったなしでありまして、また、予想される大地震等も視野に置きながら防災・減災、国土強靱化を加速していく、その必要性に疑問の余地はないと思います。

 政府においては、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策として総額七兆円の対策を進めているところでありまして、期限は来年度末となっております。防災・減災の取組は三年で終わるようなものではなくて、継続的、計画的に更に進めていかなければならないと考えます。

 防災・減災の取組を強化、加速化をして災害に屈しない国土づくりを進めていくためには、三カ年緊急対策の後も計画的にかつ十分な予算の措置が必要であると考えますが、政府の方針をお伺いいたします。

平副大臣 国土強靱化担当副大臣でございます。また、防災の担当副大臣として、昨年は台風十五号、十九号の災害の対応などをさせていただいたところであります。

 近年、災害が激甚化する中で、国民の生命や財産を守る国土強靱化の取組を進めることは喫緊の課題であると認識をしております。また、一昨年の末に、今御指摘がありました防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策を取りまとめ、集中的な取組を進めているところでございます。

 それに加えて、昨年の台風十五号、令和元年房総半島台風、台風十九号、令和元年東日本台風などの被害を踏まえ、河道掘削や堤防強化などの水害対策を中心に更に国土強靱化の取組を強化させ、令和元年度補正予算では一兆円を超える予算を確保をしています。

 三カ年緊急対策後については、昨年の災害対応から得られた知見や三カ年緊急対策の進捗状況などをフォローアップをし、国土強靱化基本計画に沿って、必要な予算を確保した上で、オール・ジャパンで国土強靱化を強力に進め、国家百年の大計としての、災害に屈しない、強さとしなやかさを備えた国土づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

小里委員 従来の想定の範囲内での今の御答弁であったろうと思います。

 ここまで論じてまいりましたように、災害は想定を超えてきております。気候変動等も考慮しながら、新たな基準で、まさに大臣がおっしゃったように、将来への予測に基づいた対応を行っていく必要があろうと思います。しっかりと取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 次に、新型コロナウイルス対策についてお伺いをしてまいります。

 新型コロナウイルス感染症は感染拡大の一途をたどっておりまして、対策は、水際対策から、国内における感染拡大の防止へと重点を移しているところであります。知恵を結集して終息に向かわせるべき、まさに正念場にあると認識をいたします。

 国土交通省は、航空、船舶関係等における水際対策に引き続き努める必要があるとともに、これ以上の国内感染を予防していく、その役割は極めて大きなわけであります。まさに、鉄道、自動車、航空、船舶関係など、人の移動を担い、さらには観光を所管をすることから、極めて大きな役割を担っていると思うところであります。

 まずは、今回、大きな関心と懸念が寄せられてまいりましたダイヤモンド・プリンセス号への対応についてであります。

 二月十九日以降、PCR検査で陰性の乗客について順次下船をして、外国人の乗客乗員については二月十七日以降、下船、帰国するなどの経過をたどって、三月一日現在で全ての乗員乗客がおりたと認識をしております。

 現在、発電機等の最低限の機能維持のための最低限の運航クルー、代替クルーで勤務をしておりますが、今後、船内の消毒を施した上で造船所に曳航をし、清掃、備品交換の後に本来のクルーによる航路への復帰という段取りになっていくと認識をいたします。

 国交省としては、他省庁と連携をしてこれを支援していくことになろうと思いますが、その辺の方針をお伺いしたいと思います。

大坪政府参考人 ダイヤモンド・プリンセス号につきましては、三月一日までに全ての乗員乗客の下船が完了し、船舶所有者であるプリンセス・クルーズ社の管理のもと、大黒埠頭にて、本日から船内の消毒が行われるものと承知しております。

 同社からは、消毒作業の終了後、船を移動させ、将来の運航再開に向けて清掃や備品交換等の作業を実施する計画であると聞いております。消毒終了後の作業の場所、範囲については、同社にて現在検討中と聞いております。

 国土交通省としましては、船舶の技術や運航に知見を有する立場から、船が必要な機能を維持しつつ一連の作業を円滑に進められるように、関係省庁や関係事業者との連絡調整等、適切な支援を行ってまいります。

小里委員 鉄道、バス、タクシーなどの運送事業や、道の駅、バスタ、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにおきまして、職員や一般利用者への感染拡大予防策としてどのような対策を講じているか、御紹介ください。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止を図るため、本年一月下旬以降、累次にわたりまして、関係業界団体等を通じて、鉄道、バス、タクシー等の公共交通機関や道の駅等の不特定多数の者が利用する施設において感染予防対策の徹底を図っているところでございます。

 鉄道、バス、タクシーにおきましては、従業員のマスク着用や手洗いの励行、始業点呼時における運転手の体温申告、発熱やせき等の症状がある場合における乗務中止、速やかな医療機関への受診、また、利用者に対しましては、駅やバスターミナル等における消毒液の設置、ポスター掲示や車内放送によるマスク着用、手洗いの呼びかけなどの取組を着実に行っているところでございます。

 さらに、道の駅、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアにおきましても、従業員のマスク着用、手洗いの励行、利用者向けの消毒液の設置など、感染拡大の防止のための取組の徹底が図られているところでございます。

小里委員 マスク、消毒薬等の調達状況はどんな状況でしょうか。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 マスク等感染症予防対策に必要な資材につきましては、現在はマスク等が品薄の状況にございます。タクシーやバスの事業者からも、マスク等の確保が喫緊の課題だという御意見をいただいているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、国土交通省におきましては、タクシーやバスの運転手を始めとした公共交通に従事する方々のマスク確保を図るため、二月の十四日より厚生労働省及び経済産業省と調整を進めてまいりました。

 その結果、厚生労働省と日本衛生材料工業連合会と調整を行いまして、同連合会からまずは一万二千枚のマスクをタクシー事業者に提供いただけることとなり、二月の二十一日にタクシー事業者の団体に発送をいただいたところでございます。

 御指摘いただきました各運送事業者におけるマスク、消毒液その他の備品の調達につきまして、今後も、関係省庁に御協力をいただきながら、必要数が確保されるよう取り組んでまいります。

小里委員 今はあっても一カ月先が心配だ、そういう声も聞くところであります。ぜひ優先順位もつけながら、関係省庁が連携してしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 同時に同空間で大量に移動する鉄道、バス等の利用者に対しましては、時差出勤、テレワークを呼びかけているところであります。感染のリスクをなるべく下げることがまさに必要でありますが、どのように対策を講じているのか、また、その結果、利用の状況にどのような変化があらわれているのかお伺いをいたします。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十五日に決定されました新型コロナウイルス感染症対策の基本方針におきましては、「まさに今が、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で、極めて重要な時期である。」と示されておりまして、国内感染拡大の防止の観点から、テレワーク、時差通勤による公共交通機関の混雑緩和を図ることが重要と認識をしてございます。

 国土交通省におきましては、テレワークや時差出勤の積極的な活用を図るため、関係業界に広く要請を行いまして、先月二十五日から、鉄道事業者の協力を得て、駅構内、車内放送等においてテレワーク、時差出勤の積極的な活用の呼びかけが開始をされ、また、同二十六日からは、バスターミナルやバスの待合所においても同様の取組が開始されるとともに、ほかの公共交通機関や道の駅等の不特定多数の者が利用する施設においても漏れなく同様の対応がなされるよう要請しているところでございます。

 加えて、先月二十六日には、赤羽大臣より、経済産業大臣、厚生労働大臣とともに、経済三団体と連合の代表の方に対し、テレワーク、時差出勤の着実な実施を直接、要請をいたしました。

 こういった対応の結果、車両内の混雑状況につきましては、JR山手線の外回りで最も混雑する上野駅から御徒町駅間及び内回りで最も混雑する新大久保駅から新宿駅間のピーク時間帯の混雑が、呼びかけ前と比べいずれも二割強の減少。駅の利用状況につきましても、首都圏の主要ターミナル駅においてピーク時間帯の鉄道利用者の減少率を調査したところ、三月四日時点で、呼びかけ前に比べ約二割の減少。

 さらに、バスの利用状況につきましても、バス事業者から聞き取りましたところ、一部事業者におきまして、ピーク時間帯の利用者が呼びかけ前と比べて約二割減少といった効果が得られているところでございます。

小里委員 航空関係、船舶関係における、引き続いての水際対策はどんな状況でしょうか。また、国内感染拡大防止対策として、業界団体に対してどのような要請を行っているのか、その要請に対する対応状況はどんな状況か、お聞かせをいただきたいと思います。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 水際対策につきましては、閣議了解に基づく、中国湖北省、浙江省、韓国大邱広域市等での滞在歴のある外国人に対する上陸拒否の措置を受けまして、航空、船舶分野それぞれにおいて、本措置の徹底のための取組を講じているところでございます。

 具体的に申し上げますと、航空会社、空港管理者、旅客船事業者等へ措置内容の周知を行いますとともに、海外の出発空港や出発港におきまして、航空会社や旅客船事業者により中国湖北省等での滞在歴を確認すること、また、中国便と韓国便の全航空便や我が国に寄港する船舶における健康カード、質問票の配付などの着実な実施を求め、これらの対応が図られているところでございます。

 加えまして、本日の閣議におきまして、水際対策の抜本的強化に向けたさらなる政府の取組が閣議了解されました。

 本日の閣議了解のうち、国土交通省の関係では、日本時間三月九日月曜日午前零時以降に香港、マカオを含みます中国又は韓国を出発する航空旅客便については、当分の間、到着空港を成田空港、関西国際空港に限るよう関係する航空会社に要請すること。また、三月九日月曜日午前零時以降に同じく中国又は韓国を出発し本邦の港に入港しようとする船舶については、当分の間、旅客運送を停止するよう関係する運輸事業者に要請することとされました。

 国土交通省といたしましては、政府としての今般の決定に基づき、必要な対応を行ってまいります。

 また、国内感染拡大対策につきましては、従業員のマスク着用や手洗いの励行、空港や旅客船ターミナルにおける消毒液の設置、ポスター掲示や、機内、船内、空港内、旅客船ターミナル内でのアナウンスによる手洗い、アルコール消毒等の呼びかけなど、感染拡大の防止対策につきまして、業界団体等に累次にわたって要請を行ってきたところでございます。

 こうした要請を受けまして、事業者におきましては、各対策の着実な実施が図られているところでございます。

小里委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 急激な需要減によりまして、分野を問わず企業の経営環境は大きく悪化をしつつあります。経営を何とか持ちこたえさせる、そのための手だてを講じていかなければならない、そういうタイミングであろうと思うところであります。

 例えば、航空業界で見ますと、直近の数字で申し上げると、本邦航空会社、この二月から三月、四月、三カ月間だけで約二千億円を超える減収の予想でありまして、この三カ月だけで年間の営業利益の半分が吹き飛ぶ、そんな計算になるわけであります。まさに青息吐息の状況に陥りつつあると認識をしなければなりません。

 例えば、韓国やシンガポールでは、着陸料減免等の支援措置を打っているということも聞いているところであります。ここは、日本におきましても、着陸料、燃料税等の公租公課全体も含めて支援策をしっかり打っていくべき時期であろう、速やかに打てるものから打っていくべきタイミングであろうと思うところでございます。

 その辺の検討状況をお伺いいたします。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 本邦航空会社からは、中国路線を中心に大幅な国際線の運休や減便が発生しているとともに、国内線につきましても、修学旅行を始め団体旅行のキャンセルでありますとか出張自粛等による個人予約の落ち込みによりまして、本年三月の予約が対前年比で三割から四割程度減少しているというふうに聞いております。

 このため、航空業界からは、委員御指摘のように、空港使用料の減免措置の拡充のほか各種助成の拡充、そして、マスク等の必要物資の優先的な入手等について要望を受けたところでございます。

 国土交通省といたしましては、実施可能なものから実施に移しておりますけれども、今後も、国際線、国内線の需要の動向等を注視しながら、必要な方策を検討してまいります。

小里委員 我々もしっかり議論していかないといけないと思いますが、かなりこれは急いで対応を打っていかないといけないというタイミングであろうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 国内旅行についてでありますが、国内旅行を検討している方に対して、情報提供を行うとともに、旅行中の感染予防及び感染症対策について適切に案内すべきと考えますが、どのように対応しつつあるかお伺いいたします。

田端政府参考人 今般の新型コロナウイルスの拡大に伴い、日本人の旅行者の旅行の手控えなどが発生していると認識をしております。

 委員御指摘のとおり、国内旅行を検討している方に対して、旅行中の感染予防及び感染症対策について適切な案内が重要であると認識をしております。

 まず、観光庁として、国内旅行を検討している方に対し、観光庁あるいは旅行業者等からの情報や、また、みずから厚生労働省のホームページや相談窓口を活用するなど、最新の情報を入手をしていただくとともに、せきエチケットや手洗いなどの感染防止に心がけていただくよう、観光庁のホームページを通じて案内をしております。

 また、旅行業者、宿泊事業者に対して、従業員や添乗員のマスク着用や手洗いのほか、宿泊施設における感染症対策のチラシを掲示をするということなど、感染症予防対策の徹底等について要請をしております。

 引き続き、関係業界、関係省庁と緊密に連携しつつ、対策に万全を期してまいります。

小里委員 新型コロナウイルスによる感染拡大を起因としまして、外国人観光客は大きく減少して、国内にありましても、イベントの自粛、テーマパークの閉鎖、修学旅行の中止等が相次ぎまして、内外問わず旅行者が減少、老舗の旅館の廃業も報じられるなど、ホテル、旅館を始め、観光、旅行関係事業の経営環境は大きく悪化をして、大きなまた不安に直面をしているところであります。雇用の維持や資金繰りの問題を始め、ホテル、旅館等、観光産業の現場からは日々経営に関しての悲痛な声が寄せられているところであります。

 それぞれの感染拡大の防止、風評被害の発生防止に努めるとともに、ダメージの規模や要望を把握をして、現時点で活用可能な支援策を紹介し、また関係部局と連携した支援を行っていくべきと考えますが、相談窓口などの体制はどのようになっているのか、また現時点における具体的支援策の状況についてお伺いをいたします。

田端政府参考人 新型コロナウイルス発生によります観光産業への影響としまして、中国政府によります団体旅行の禁止措置、また、航空路線の大幅な減少、クルーズ船のツアー中止など日本の状況のほか、御指摘ありました日本人旅行者の旅行の手控えなどがございまして、各地域の観光産業にも宿泊キャンセル等の大きな影響が出ております。また、今回新たに行うこととなった水際対策の抜本的強化措置によりまして、更に状況が厳しくなるものと考えております。

 このため、観光庁といたしましては、地域の観光業を支える宿泊事業者やバス事業者を始めとした観光関連事業者の方々から御相談や御要望を丁寧にお伺いをするとともに、これらの方々が直面している状況をしっかり把握するため、一月三十一日に各地方運輸局に特別相談窓口を設置をいたしました。

 まずは、この特別相談窓口を通じまして、関係省庁と連携して、セーフティーネット貸付制度の要件緩和等による資金繰りの支援、雇用調整助成金制度の要件緩和等による雇用の維持などに取り組んでおります。

 また、宿泊事業者等の観光関連事業者に対しましては、マスク着用や手洗いなどの感染予防対策の徹底を要請をするとともに、正確な情報発信に努めることで風評被害の発生防止に取り組んでまいります。

 引き続き、観光産業のニーズをしっかり把握をして、対策に取り組んでまいりたいと考えております。

小里委員 日々状況は変わってまいります。現場の状況、ニーズを適宜把握をして対応していかなければならないと考えます。

 まずは今、水際対策から国内感染拡大予防対策へと重点が移ってきて、そして、いよいよ経営支援のための支援策も今動きつつあると思います。

 さらに、今度は反転攻勢に向けて次の段階を迎えていくわけでありまして、それぞれの段階に応じて、急ぐべき議論は急いでしっかり支援策を打っていくべきであろうと改めて思うところでございます。

 そこで、最後、大臣にお伺いしたいと思います。

 昨年は、日韓関係の悪化や相次ぐ大災害によりまして観光産業は痛手をこうむりました。これに今般の新型コロナウイルスが追い打ちをかけまして、企業の経営環境は更に悪化をしているわけであります。

 しかし、必ず事態はおさまるわけであります。反転攻勢のときは必ず来ると信ずるところであります。まずはそれに向けてしっかり頑張っていく。そして、再起に向けましては、大変な努力を要すると思いますけれども、インバウンドも国内観光も着実に需要を回復をして、経営の安定を図っていかなければならないと考えるところであります。

 そのために、本当に必要なところに必要な支援策を段階的に策定をしながら届けていかなければならないと考えます。現場で耐えて頑張っておられる関係者の皆様に、将来に向けて希望を持って取り組んでもらうためにも、まずは、現時点でできる支援策の充実、徹底を図るとともに、再起に向けての支援策の策定、実施に向けまして今から準備をしメッセージを発していくべきと考えます。

 大臣の方針をお伺いいたします。

赤羽国務大臣 今般のコロナウイルスの事案については大変な厳しい影響が出ているというのは、先ほど観光庁長官から御答弁させていただいたとおりでございますが、他方、例えば、激甚災害で我が国土が相当やられているとかそういう状況とは全く違うわけで、我が国の観光資源自体そのものは毀損されているわけじゃありません。ですから、今おっしゃっていただいたように、環境が整って反転攻勢に出られるときに本当に打って出られるような対策をとらなければいけないと私も考えております。

 そのために、今、こうした厳しい状況の中で、一件も観光関連事業者を倒産させないという意気込みで、資金繰りの手当て、そしてまた雇用の確保、こうしたものを最大限、これは中小企業庁とか厚生労働省の関係省庁とも連携が必要でありますが、今要件緩和を最大にしていただいておりますので、そうしたことが、知らないで倒産するというようなことが起きないように一生懸命やるということが一つ。

 同時に、風評被害で、どうも日本は相当感染しているみたいなことがもうやや高まっておりますので、正しい事実をJNTOのSNSですとかホームページですとか、観光庁のホームページももちろんでありますが、国内外に正しい情報を発信して、風評被害を起こさない、こうしたことをしっかり努めていきたいと思います。

 そして、来るべきときに備えて、今、政府全体で観光業が大変だということを認識いただいておりますので、昨日も未来投資会議でそうしたことも議題になっておりますが、官民一体となったキャンペーンを始め、観光業界にとって一番喜んでいただける、また一番意味のある対策をしっかりと打っていけるように、今からしっかりと準備をしていきたいと思っておりますので、さまざまな御意見もいただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

小里委員 ありがとうございました。

 では、最後、整備新幹線についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 整備新幹線の着工の当初は、田んぼの中を空箱が走るようなものだとか第二の国鉄だとか、大変な批判も浴びたものでありましたけれども、供用されてみますと、その建設効果、経済波及効果は歴然でありまして、延伸をするほどに大きな効果があらわれているところであります。

 整備計画路線のうち、建設中区間のまずは早期の完成、そして敦賀―新大阪間など未着工区間の整備、さらには四国、羽越、山陰など基本計画路線の整備を望む声はまた極めて大きなものがあるわけであります。

 新幹線建設推進における大臣の意欲をお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、整備新幹線の全国ネットワークを張っていく取組というのは、大変、予算も相当かかるということとか、なかなか御理解がいただけないということで大変な状況の中、委員の御尊父の小里貞利先生が大変その中心者として役割を担っていただいたということ、改めて心から感謝と敬意を表したいと思っております。

 新幹線ネットワークの整備、これは地域相互の交流を促進し、観光振興ですとか企業立地など地方創生に重要な役割を果たしているということは改めて申し上げるまでもないと思いますし、近年開通しました北陸新幹線の金沢開業ですとか九州新幹線の全線開業の例を見ても、その効果は衆目の一致するところだというふうに承知をしております。

 ですから、今後は、整備新幹線、これからの計画は、まず整備計画路線の確実な整備にめどを立てることが最優先の課題というふうに考えておりまして、今、小里委員、整理して御質問いただきましたように、まず、現在整備中の三区間につきましては、平成二十七年一月の政府・与党申合せにおける完成、開業目標時期に合わせて、しっかりと財源を確保しながら着実に工事を進めていく、これが一番大事なことだというふうに考えております。

 また、整備新幹線の未着工区間につきまして、北陸新幹線の敦賀―新大阪間につきましては、環境影響評価を着実に実施しているところでございまして、今後は整備財源の確保を行うことが必要だというふうに認識をしております。

 九州新幹線の新鳥栖―武雄温泉間につきまして、佐賀県との間で整備のあり方について率直な協議を行うべく、今、私自身が佐賀県の山口知事との対話に努めているところでございまして、さまざま、佐賀県の思いとか主張もあると思いますので、しっかり平場で率直な意見交換をしながら、よい知恵が出せるように頑張っていきたい、こう考えております。

 こうした課題にしっかり取り組むことによりまして、整備計画路線の確実な整備にめどを立ててまいりたいと思っております。

 最後に、基本計画路線につきましては、実は各地域からさまざまな御要望をいただいておるところでございます。国交省におきましては、幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査に取り組んでいるところでございまして、これは令和二年度の予算案におきましても所要の調査費が盛り込まれておりまして、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワークの検討に資するよう調査を進めてまいりたい、こう考えております。

 いずれにしましても、整備新幹線に対する御要望というのは、全国各地域、大変強いものがございますので、財源のこともあってなかなか簡単には、えいやというわけにはいきませんけれども、なるべく御期待に沿えるように最大の努力をしていきたい、こう考えております。

小里委員 今、最後に大臣がおっしゃいましたように、財源の確保がまず推進に当たっての大きな課題であります。新たな財源を確保しては延伸を図ってきた、そういう整備新幹線の歴史であろうと思います。

 例えば、国費とあわせまして、東海道新幹線など既設新幹線の譲渡収入の活用あるいは整備新幹線の貸付料収入の活用が基本にありまして、貸付料収入については将来の貸付料を当てにした借入金の活用も行ってきたわけであります。

 平成二十七年の建設中三区間の完成前倒し決定に当たりましては、前倒しに必要な財源として、建設中区間、新しい区間分の貸付料収入も前倒し活用をすることとしました。さらには、並行在来線に関連する貨物調整金制度の見直しという苦肉の策も講じたわけであります。

 また、令和元年度以降、建設中二線区の人件費、資材の高騰、耐震設計基準の変更などによる建設費増加に対応をしていくためには、さらなる貸付料財源の活用、既設新幹線譲渡収入活用の復活、これは一時中断をしておったわけでありますけれども復活をしたわけでありまして、こういったことでしのいでまいりました。

 結果として、整備新幹線の貸付料、これは開業後三十年間もらうことになっておりますけれども、いわばこの全てを担保にして前借り済みであります。国費につきましても、北海道新幹線が完成する令和十二年度までは予約済みであります。

 更に国費を増額していくのか、新幹線貸付料徴収期間を延長するのか、あるいは、全く新たな財源を模索するのか、建設財源をいかに確保していくかが大きな課題であります。この辺を含めた方針をお伺いいたします。

赤羽国務大臣 整備新幹線の整備推進のために、財源の確保が非常に重要な課題というのはもうおっしゃるとおりだと思います。

 そして、今小里委員からさまざま御説明いただきました建設中区間につきまして、建設費が予定よりも増加している、その辺の対応をするためにさまざまな工夫をしてきたというのは、先ほど申し上げました委員の御尊父の小里先生始め先輩たちが、本当に大変な中やりくりしていい知恵を出していただいたものだというふうに思っております。

 これからも、この財源を確保するというのは簡単な話ではなくて、今こうしたことを決めているということではありませんけれども、まず、北陸新幹線の敦賀―新大阪間等整備新幹線の未着工区間について、今後、与党において財源確保のための方策は幅広く検討されるものと承知をしておりますので、国交省としましても、与党とともにしっかりこのことについては全力で取り組んでいきたい。

 それだけしか申し上げられませんけれども、また御指導賜りますようよろしくお願いしたいと思います。

小里委員 以上で終わります。ありがとうございました。

土井委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 公明党、岡本三成です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、国土交通省の皆さん並びに政府の皆さん、新型コロナウイルスの拡大防止のために昼夜を問わず全力で活動していただいていることに、心から敬意を表します。

 その上で、このコロナウイルスへの対応に当たり、経済活動全体に大変大きな影響をもう既に及ぼしておりまして、今後その影響が大きくなる危険性を秘めているがゆえに、国土交通省として今後どのように取り組んでいかれるかということを中心にお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 来日外国人のインバウンドが急激に減っていることは周知の事実でありますけれども、同様に、国内でもさまざまなイベントが自粛が行われておりまして、また、学校の休校も相次いでおりますので、国民全体に自粛のムードが広がっております。

 この結果、とりわけホテル、旅館業界については大きなインパクトがあり、加えまして、航空機や観光バスを始めとした公共交通機関でも利用者が減っておりまして、観光業界全体、そして旅客運輸業界全体に大変大きな影響が及ぼされております。

 愛知県蒲郡市の老舗旅館では、業績悪化で廃業になっているところがあります。加えまして、神戸を拠点とします国内最大級のルミナスクルーズ、これは今月二日に民事再生法の手続開始を申し立てていらっしゃいます。

 国交省として、現時点でコロナウイルス感染による観光業界や旅客運輸業界全体についてどのような影響があるというふうに把握していらっしゃるのか、また、今後の見通しについて現時点でどのように捉えていらっしゃるか、御答弁をいただければと思います。

赤羽国務大臣 国土交通省といたしまして、先ほどから御答弁もさせていただいておりますが、まず、各地方の運輸局に特別相談窓口を設置し、プッシュ型で観光関連事業者を中心に状況をヒアリングし、御相談に乗らせていただいているところでございますが、今お話ありましたように、まず宿泊部門については、当初は中国関係のキャンセルが相次ぎ、ほどなく、中国とは関係ない日本人のキャンセルが続いているということで、極めて深刻な状況が続いております。

 加えて、旅館、ホテルのみならず、貸切りバスですとかタクシー事業、フェリー、こうしたところの関連のところも、その影響を受けて、二月、三月はほとんど仕事がないというような状況がありまして、一部倒産、また、自主的に、休業した方がましだというような、そうした大変厳しい状況が出ているということでございます。

 こうしたことについて、まず、今政府を挙げて、中小企業庁のセーフティーネット貸付け、また厚生労働省の雇用調整助成金といった制度が、それぞれ大変要件緩和もしておりますので、けさも省内で指示をしたところでありますが、例えば貸切りバス事業者、これはほとんど中小というか小規模事業者が多いものですから、こちらからこういう制度があるんだということは全社に徹底するように働きかけろと。この制度を知らないで倒産をしたり廃業するというようなことがあってはならない、そこは全て国土交通省として責任を持っていくんだという自覚でやって、全てちゃんと報告を上げてきてほしいという指示をしたところでございます。

 こうしたことをやっていく、その前提として、今、きょうも閣議了解で新たな水際対策が強化されたところでありますが、最大の支援策は、この感染防止をとにかく一日も早くなし遂げるということが最大の支援策と決めて、この水際対策を始め、国交省としてできるものは感染の封じ込めについて全力を挙げたい、こう思っております。

 加えて、その資金繰りと雇用の維持ということをしながら、今後は、来るべきとき、これは先ほどの小里先生の御答弁にもさせていただきましたが、我が国の観光資源そのものが毀損されているわけではないので、環境が落ちついて反転攻勢をする時期が必ず来る、そのときに、大々的に日本各地のすばらしさを堪能していただけるような、そうした準備、そのために、風評被害が起こらないように正確な情報発信を国内外にしながら、そして、今、観光業界としてもどんな対策をとるのが一番効果的なのかということを、寄り添いながら、いわば官民一体となって、政府を挙げてしっかりと取り組んでいく準備を、弾込めをしていきたい、こう考えております。

岡本(三)委員 今大臣御答弁いただきました中の雇用調整助成金関連について、厚労省にお伺いしたいと思います。

 中国人の関連するもの以外、国内需要も落ちているので、要件を取っ払って雇用調整助成金の対象にしていただいたことは非常に適切だと思います。

 現在、支給限度は、七十五円引き上げられまして八千三百三十五円となっておりますけれども、コロナの特例措置でありますので、この上限をもうちょっと引き上げられないのかというふうに率直に思います。

 加えまして、この本則、大企業二分の一、中小企業三分の二の補助ですけれども、三月四日に、緊急事態宣言を出した地域では、大企業は三分の二、中小企業は八割に引き上げていただきました。適切な措置だと思います。

 現在、政府がインフル特別措置法改正をして、新型コロナウイルスの感染でも緊急事態宣言が出せるように法整備の準備をしていらっしゃるというふうに思いますけれども、全国一律ということは難しいかもしれません。加えまして、緊急事態宣言がなされていない地域でも、必要に応じましてこの補助率を上げていくというふうな施策も必要だと思いますけれども、この雇調金につきまして、今後厚労省はどのように更に運用を適切に拡大していくかということを、準備している状況をお聞かせいただければと思います。

達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話がございました、北海道におきまして緊急事態宣言が発出されたということを踏まえまして、助成率の上乗せや、雇用保険の被保険者とならない、週二十時間未満の非正規雇用の労働者の方を対象とした支援などを特例措置として実施することと今いたしております。

 詳細につきましては現在検討中でございますが、先生お話がございました、今後、同様の宣言をなさるような自治体が出てきた場合については、同様の取扱いをしていきたいというふうに考えているところでございます。

 今後も、新型コロナウイルス感染症の雇用への影響につきましては十分注視いたしまして、また、さまざまな状況を念頭に置きながら、必要な対策について検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(三)委員 この雇調金の対象を正社員のみならずパートに拡大いただいてということも評価をしております。

 加えまして、補助率の拡大も調整をしていただいていることに敬意を表しますけれども、それでも、この限度額の八千三百三十五円、またこの補助率に対しましても更に拡大をしていく必要が私はあると思っておりますので、ぜひ前向きな拡大の施策につきまして御検討いただければと思います。

 続きまして、経産省にお伺いしたいんですが、先ほど大臣の御答弁の中で、資金繰りの対策として、セーフティーネット貸付資金というものの拡大、そして、これを実際に使っていただけるように周知徹底していきたいというふうな御答弁がありましたけれども、この貸付け、金利が高いんですね。

 中小企業事業ですと一・一一%、国民生活事業ですと一・九一%。それぞれ、長期の貸付けに対する金利ですので、固定金利としてはそれほど高くないというようなことをおっしゃる方もいらっしゃいますが、今中小企業はどういうふうに民間金融機関から借りているかというと、設備投資資金を五年で借り入れても、五年の金利が高いので、例えば三カ月や六カ月の短期をロールオーバーをして借りかえをしながら五年つなぐようにして、短期金利で、一%以下の金利で借り、つなぐというのが常識的になっておりまして、これは、日本公庫からお金を借りたい、流動性を供給してもらいたいと思っても、はっきり言って、非常に高い金利というふうになっております。

 実際に、緊急事態ですので、この金利の水準についても、民業圧迫と言われない程度ということをいつも公的機関の方はおっしゃるんですけれども、民業を若干圧迫するようなことがあっても、必ず中小企業は守るという気持ちで対応していただくためには、十分な流動性の供給とともに、金利の見直しについてももう一段踏み込んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

渡邉(政)政府参考人 お答えいたします。

 セーフティーネット貸付けは、社会的環境の変化等、外的要因により一時的に状況が悪化している中小・小規模事業者等の資金繰りを確保し、経営を安定させることを目的とする制度でございます。

 また、セーフティーネット貸付けの金利につきましては、先ほど先生の方から御指摘もございましたように、貸付期間五年以内の標準的な金利の場合、中小企業向けの適用金利で一・一一%、小規模事業者向けで一・九一%となってございます。

 日本公庫は、民間金融機関と異なり、利ざやを取らない収支相償を原則として金利を設定しているところでございます。このため、金利水準は、日本公庫が調達する資金の金利、経費及び貸付先の信用コストを踏まえたものとなっております。

 さらに、日本公庫の顧客である中小企業は大企業と比較して信用コストが高いことを踏まえれば、日本公庫の金利水準は決して高いものではないとも考えてございます。

 日本公庫は、民業補完を原則としながらも、事態の変化や執行状況、事業者の負担等の影響も勘案しつつ、さらなる金利引下げ措置も含め、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 含めというのは、やっていただける可能性が高いというふうに勝手に思いますけれども、これはぜひ検討していただきたいんです。

 原理原則はわかっているんですが、現実、先ほど申し上げたように、五年の設備投資を五年の定期の金利として借りている企業はほとんどなくて、それは金利が高いからです、やはり半年や三カ月の変動金利を回して、低利の中で何とか事業を存続させているような中小企業は多いですから。原理原則はわかるんですが、緊急事態ですので。

 これは、総額五千億円規模の緊急的な流動性供給を検討していただいていますけれども、金利の一%から二%ぐらいというのを仮に全額ゼロにしたって、かかるコストというのは五十億円から百億円ですから、五十億から百億は大きな金額ですけれども、経産省の予算全体からすれば、そんなに大きな金額でもありません。

 緊急事態に中小企業に対する支援のメッセージを送るには十分効果のある、費用対効果のいい政策だと思いますので、前向きな施策の実行をぜひお願いしたいと思います。

 続きまして、私、今週、東京都北区にあります観光バスの会社を視察に参りました。この会社、東京では二番目に大きなバスの保有をしておりまして、百五十七台保有しています。この百五十七台で、今週伺ったのが月曜日だったんですが、観光事業として運用ができているバスはゼロです、ゼロ。九台動いていたんですが、その九台は、ある団地から駅まで、公共交通がないので、朝と夕方の時間帯だけ動かしている。これが九台で、残りは全部駐車場にとまっているんですね。大変な状況です。

 修学旅行はどんどんキャンセルになっています。これは、政府が小中高の休校を要請したので、当然適切な措置だと思います。民間の旅行もどんどんキャンセルになっていますけれども、政府の要請であることもあり、キャンセル料を取っておりません。ですから、そのしわ寄せは全部観光会社に来ております。このような経済的損失を何とか財政的な措置で埋めていただけないかなというふうに強く思っているんです。

 加えて、ある北区の私立の学校の理事長からこういう話も伺いました。国内の修学旅行をキャンセルするときには、申しわけないけれども、その旅行代理店やバス会社の方に泣いていただいてキャンセル料は払っていないけれども、この私立の高校は修学旅行が海外なんですね。そうすると、海外の航空会社はキャンセル料をまけてくれませんので、半額の航空運賃を払ったそうです。これに関しましても、政府の要請を受けて全てを自粛しているので、ある程度公的な財政の支援をしていただけないかというふうなお話も伺いました。

 文科省の方にお伺いしたいんですけれども、政府の要請を受けた形で適切に学校がこういう対応をとっているときに、修学旅行等で損失が発生したときに、学校に損失が発生している場合はその学校に対して、そして最終的な事業者に損失が発生している場合はその事業者に対して、政府での支援をぜひ御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスの感染症の影響により、現在、修学旅行を延期又は中止する決定がなされている学校、自治体が存在していることについては、委員御指摘のとおり、承知しているところでございます。

 例えば、修学旅行について、当面延期する方針を決定し各学校に通知した自治体、海外への修学旅行を中止し国内へ行き先を変更した学校、行き先や日程の変更を含めた検討を行うよう各学校に指示した自治体など、学校や教育委員会等の設置者の判断で対処いただいているところでございますが、キャンセル料など追加的費用が発生した場合の取扱いにつきましては、旅行業者との契約約款に基づき自治体が負担する場合や保護者に御負担をお願いする場合のほか、現在調整中との自治体、これが実態でございます。

 このような状況を踏まえ、文部科学省といたしましては、修学旅行の延期又は中止に伴うキャンセル料について、まずは、保護者の負担状況、各自治体における対応状況等を今丁寧に把握しているところでございますが、その上で、観光庁などの関係省庁とも連携を図りつつ、今後どのような対応ができるか検討を進めてまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 緊急事態ですので、個々の保護者に負担してもらうとか言っている場合じゃないと思います。政府支出をしっかりと確保しながら、民間にそのしわ寄せが行かないような対応をぜひお願いしたいと思います。

 通学定期券についても言及させてください。

 通学定期券、例えば、三月は休校になっていますので、これをキャンセルしようと思うとキャンセル料がかかります。このキャンセル料も、各交通機関で、キャンセル料が無料のところもあれば、発生する、その水準が違うところもあるんですけれども、これも何とか政府支援の対象にしていただきたいと思います。

 加えまして、四月から学校が再開をしたときに定期券を買わなければいけないんですけれども、定期券を買うためには通学証明書が必要となりますけれども、それをとるためにまた学校に行かなきゃいけないとか、大変やらなきゃいけないことが多いんですね。

 ただ、生徒には今不要不急の外出は控えるようにお願いをしているところでありまして、このように、四月以降の対応につきまして、どのようにしていくかということも含めて、学生に、そしてその保護者に大きな負担がかからないように、国土交通省、とりわけ鉄道局の皆さんに施策をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 通学定期についてのお尋ねがございました。

 まず、今回の休校の措置に伴いまして、学校に行かなくてもよくなったということでございますので、通学定期の払戻しをしたいということになろうかと思います。そうしますと、まず、通学定期の払戻しに当たっては、多くの鉄道事業者におきまして、休校時点にさかのぼって払戻しをするという特例的な措置を今講じておるところでございます。

 また、通学定期を払戻ししてしまいますと、新しい通学定期を購入する際に通学証明書が通常でございますと必要となってしまうということでございますが、これも、新しい通学定期購入と古い定期券の払戻しを同時に行っていただければ通学証明書は不要とすることができるということでございますので、現在、鉄道事業者においてそのような御案内をしていただいておるということでございます。

 また、これも細かい話でございますけれども、定期購入窓口が混雑するのではないか、そのときに感染のリスクが高まるんじゃないかという御心配の声もあるというふうに聞いておりますけれども、これも、新年度開始直前に定期を御購入いただくのではなく、前もっての御購入を呼びかけるといったことを進めることで可能な限りの混雑緩和に努めたいというふうに思っているところでございます。

 いずれにしろ、頂戴いたしました御意見を踏まえまして、国土交通省といたしましても、利用者の利便に配慮して、適切な御案内等ができるように、必要に応じて鉄道事業者を指導してまいりたいと考えているところでございます。

岡本(三)委員 もう一つだけ。

 定期航空協会の調査によれば、きのう時点で、コロナウイルスの感染の拡大防止を実現するために、国際線では、三月の予約、去年と比べましてマイナス五二%、国内線でもマイナス三六%であります。ことしの二月から四月の三カ月間で約二千億円以上の減収が見込まれています。二千億円がどのくらいの規模かというと、SARSのとき、二〇〇三年は年間でマイナス千七百億円、今回は三カ月間で二千億円。もう全然レベルが違うんですね。

 先ほども若干質問にありましたけれども、しっかりと国内航空会社を支援していくというのはユーザーを守る意味からも重要だと思っておりまして、空港使用料、着陸料の減免措置、航空燃料税の軽減措置、これはSARSのときもリーマン・ショックのときも行っています。それよりも、今回、よりシビアな状況になっておりますので、当然、今回も行っていただける方向で御検討いただけるということだと思いますけれども、ぜひ御答弁をお願いします。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、過去の事例として、九・一一の同時多発テロ以降、需要の低迷が続いている中で、平成十五年にSARSが発生をし、そして平成二十年にリーマン・ショック等が発生をしということで、国際線を中心に航空産業を取り巻く環境が著しく悪化をして、その影響が長引いたことを踏まえて、それぞれの翌年度から着陸料の軽減措置を実施しております。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、本邦航空会社からは、国際線につきましては中国路線を中心に大幅な運休や減便、また、国内線につきましても、団体旅行のキャンセル、予約の落ち込みという非常に厳しい状況が生じていると承知をしております。

 このため、航空業界からは空港使用料の減免措置の拡大等につきまして要望をいただいているところでありますので、この声をしっかりと受けとめて、国際線、国内線の需要の動向等を注視しながら、必要な方策を検討してまいります。

岡本(三)委員 では、残りの時間を使いまして、海上保安庁業務について質問させてください。

 海上保安庁の皆さんには、日ごろから、海難救助、犯罪の防止、鎮静、そして海上の防災、交通安全等々、二十四時間不眠不休で活動していただいていることに、本当に、心から敬意を表します。

 一方で、警察、消防、そして自衛隊に関しては、報道等でも取り上げられることが多いので、光が当たっているわけですけれども、海上保安官の皆さんに関しては十分に光が当たっていないと思って、私は申しわけない気持ちでもあります。保安官の皆さんは、尖閣諸島近海の警備、又は大和堆での北朝鮮を中心とした不法漁船の取締り等々、本当に不眠不休で働いていただいています。

 政府も、これに対応いただきまして、二十八年から体制の強化に取り組んでいただいておりまして、船艇や航空機の整備につきまして、これまでにないスピードで大幅な予算措置が行われまして、体制の拡充もしていただいておりますけれども、私はまだ不十分だと思っているんですね。

 それで、我が党に寄せられた情報では、巡視船の定期点検等の予算が少ないため、海保の乗務員の方は、公休日、お休みであっても出勤して船の整備に当たっていただいていたり、急激な事案に対応するために、例えば大型の船艇でメーンエンジン四基のうち二基が故障していても、外国船の違法取締りのために実際に出動されたりしています。

 余りにも申しわけないというふうに思っているんですけれども、海上保安庁全体に対しまして、予算を更に確保する、人員を更に拡充をする、どういうふうに国交省として取り組んでいくつもりか、お話を伺いたいと思います。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁の巡視船、航空機などの体制強化につきましては、平成二十八年十二月に関係閣僚会議で決定されました海上保安体制強化に関する方針、これに基づき進めているところであります。この方針に沿いまして、運航に必要な経費、これにつきましても増額をしており、必要な予算につきましては措置されているところでございます。

 一方、委員御指摘のように、エンジンなどにふぐあいがあった場合においての運用ということでございますけれども、業務上の必要性から、そういった場合においても、業務に支障がなければ監視、取締り活動等に従事することはございますが、予算の執行に当たりましては、現場に負担がかからないよう、エンジンの迅速な修理、円滑な燃料の調達など、各地の事情をつぶさに把握して対応することを心がけ、節約の工夫もしながら対応しているところでございます。

 いずれにいたしましても、業務を支える運航に必要な経費などにつきましては、重要でございますので、引き続きその確保に努めてまいりたい、このように考えてございます。

岡本(三)委員 長官、ありがとうございます。

 燃料予算が少なく、燃料費ぎりぎりの中で活動していただいているという話も聞きますし、また、備蓄タンクを保有していない現状にあって、海上自衛隊のようにタンクを保有する方がより適切な運用ができるという意見もあります。国会でも、更に予算を拡充できるようにしっかりと議論をして、皆さんの活動を後押しをさせていただきたいと思います。

 若手の方々をより多く採用していただくため、人員の確保、これも大切なポイントだと思いますけれども、今海上保安庁の中で人員確保のために努力されていること、また、国会の中で私たちが応援させていただくために、皆さんから御要望があれば長官からぜひお話を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、巡視船、航空機の整備等を着実に推進している状況の中、人材の確保や育成も大変重要であると認識をしております。

 まず、人材の確保に関しましては、採用人数を、海上保安学校におきましては平成二十六年度以降四百人から約六百人へと、また、海上保安大学校におきましては平成二十八年度以降約四十五人から約六十人へとそれぞれふやし、基盤となる学生の確保を図っているところでございます。

 また、令和二年度からは、新たな人材確保策といたしまして、海上保安学校の学生採用試験の受験資格を拡大いたしますとともに、当庁の幹部職員を更に養成するために大学卒業生を対象とした新たな試験を設け、これらの試験をそれぞれ実施する予定としているところでございます。

 一方で、採用の増加に伴い職員に占める若手職員の割合がふえ、二十代の職員が全体の三割を占めております。そのため、毎年度、定年退職者の約八割の職員を再任用し、このベテラン職員の知識や経験を生かして指導を行うなど、技術の伝承を図り、若手職員の育成も行っているところでございます。

岡本(三)委員 大臣、最後にお伺いしたいんですけれども、若手の保安官の方々のお話を聞くと、やはり大臣が例えば海上保安大学校や保安学校の卒業式に来ていただいたりすると、大変士気が上がるそうです。国民の代表である政治家、そして国交省の代表である大臣が、さまざまな場面でより多く激励をしていただいたり、より多く視察をしていただいたりすることこそが、この海上保安官の皆さんに対する国民の感謝の気持ちを示す最大の、そして最良の手法だと思います。

 昨年の九月の保安学校の卒業式に、大臣、行っていただいておりますけれども、今後、大学校を含めまして、これまで以上に大臣の激励をお願いしたいと思います。

 加えまして、もう一つ問題意識として持っておりますのは、先ほど長官の答弁にもありましたように、中長期的な海上保安庁の戦略を立てていく必要はないかということなんです。

 もし自衛隊であれば、防衛大綱があります、中期防もあります。これは、自衛隊ではなくて海上保安庁が海を守るから、向こうも警察権で来るので、国と国との変な争いにならない。つまり、海上保安庁の拡大が進めば進むほど、運用が適切になればなるほど、平和な日本を守れる、戦争が起こらないということにつながっていきますので、この海上保安庁全体に対しての大臣の今後の決意というものをお伺いできればと思います。

赤羽国務大臣 海上保安庁における若手人材の育成は大変重要だというのは御指摘のとおりだと思っております。

 私も、海上保安大学校、また海上保安学校の卒業式、これは年三回ございますが、昨年に引き続きまして、三月の二十一、二十二ですか、保安大学校と保安学校の卒業式に出席をし、入学式もあるんですけれども、卒業式は、これから社会に出る、海上保安の現場に巣立つということで、その場での激励を求められているということで出席をさせていただいているところでございます。

 加えて、ちょっと後先になりますけれども、日本が頑張るということと同時に、今海上保安庁は、世界の海上保安庁に声をかけて大変大きな規模の会合をやって、安倍総理にも出席をいただき、私ももちろん出席をしておりますが、やはり、国際ネットワークで、警察権で海上の保安を維持するといったこともずっとやっておりますので、そうしたことを試みながら、また、それを発信すると、やはりすばらしい会合でもあるし、特に若い皆さんたちにとっては大変誇りと励ましにもなると思っておりますので、そうしたことも情報発信しながら、若手の人材育成、大変大事なことだということで注力をしていきたい、こう考えております。

岡本(三)委員 ありがとうございます。以上で終わります。

土井委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立国社の福田昭夫でございます。

 昨年十月から十二月期の実質GDPが、消費税の引上げや台風被害、暖冬の影響などで年率にしてマイナス六・三%と大幅に落ち込み、この一月から三月にかけては、コロナウイルスの影響もあり、経済のさらなる落ち込みが心配をされております。

 本日は、一般会計六兆七千三百六十三億円、東日本大震災特別会計三千六百六十二億円、財政投融資二兆四千五百五十五億円と巨大な予算を執行する国土交通省の所管事務事業のうち、特に、きょうは、赤羽大臣にお聞きしたいことを二点に絞って、提案を含めた質問をしてまいりますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 まず、水防災意識社会の再構築に向けた水害対策の推進についてであります。

 まず最初に基礎的な数字をお聞きしたいと思いますが、国交省所管ダムの、ダム検証後、整備中の事業数と残事業費について教えてください。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年度に整備中である国土交通省所管のダム事業のうち、新設のダム事業は三十七事業、既設ダムを改造するなど機能を向上させるダム再生事業は二十四事業、計六十一事業でございます。

 その残事業につきましては、令和元年度以降で、新設のダム事業は約一兆二千億円、ダム再生事業は約七千億円、合計で約一兆九千億円でございます。

福田(昭)委員 昨年の三月一日現在、私が伺ったときには、七十カ所の事業で、総事業費が四兆六千四百五十八億円、残事業費が二兆百十億円でありました。それから残事業費が少し減ったことになりますけれども、それでも一兆九千億円もの残事業が残っているということであります。

 大臣、私は、これだけのお金があったら、本体事業にまだ取り組んでいないダムなどはやめて、使い道を変えるべきだと思います。このままだと百年たっても人口はふえません。新しく水を開発しても、使ってくれる人や企業がいません。農業用水も余っております。

 例えば、先ほども申し上げましたけれども、本体工事に入っていないダムは全部やめて、関係自治体へは今までの負担金に利子をつけて返還する、利害関係者に対してもしっかりとした対応をしてやめる、そして、そうしたお金を、河川の護岸の整備や調整池の設置、河道の掘削やしゅんせつなどを行って、生きた金として使うべきではないか、そのように思っております。

 大臣、この中にはやめられるダムがあるんじゃないかと思っていますが、そうした、お金の使い方を変える、生きたお金にしていくという考え方について、大臣はどう思われますか。

赤羽国務大臣 まず、生きたお金を使っていくということは、私ももちろん賛成であります。ただ、他方、私も、大臣に九月十一日に就任以来、台風十五号、十九号、相次ぐ激甚災害で被災地に足を運び、どこに行きましても、やはり、近年の気候変動によって災害が激甚化し頻発化をして、その結果として被害も甚大化、深刻化しているということで、何度も答弁させていただいておりますが、抜本的な治水対策、防災・減災対策を講じなければいけないということで、昨年十一月から、社会資本整備審議会に諮問して、ことしの夏を目途に、本当に意味のある、国民の皆さんの命と暮らしを守るに資する防災計画を講じるべく、今努力をしているところでございます。

 そうした一つ一つの中で、本当に無駄なダムはどうするのかといったことが検討されるものというふうに承知をしておりますが、一般論として、昨年の台風十九号の中で、特に、上部で、ダムですとか遊水地でできるだけ水をためて、そして下流からは、今先生が言われたように、着実に、河道掘削ですとか堤防の強化を中長期的に計画的にやっていくということ、やはり両方とも大事だなと。

 本川、支川、上流、下流、流域全体を見通した対策を国、県、市、協調の中でやっていくということが大事なのではないかということですので、ダムが、着手していないのが全て無駄だということは、いささか私はどうなのかなというふうに思っております。

福田(昭)委員 大臣、じゃ、この後、これはおかしなダムじゃないかという指摘もしたいと思います。

 二つ目の質問ですが、今までの治水の基本的な考え方と国や都道府県の河川整備計画の策定状況についてでありますが、伺うところによりますと、一九四七年のカスリン台風を契機に、河川の治水は、上流はダム、中流は遊水地、下流は放水路や河道の整備が基本的な考え方だ、こうなっておるそうでありますが、しかし、それから七十二年を経過いたしておりますけれども、そうしたことがどのように実際進んでいたのかというのをやはり再検証する必要が私はあると思うんですね。

 この考え方、上流はダム、中流は遊水地、下流は放水路や河道の整備、この基本的な考え方は変わっておりませんか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 治水の基本的な考え方ということでございます。

 治水の基本は、河川の水位を下げて安全に水を流すということが治水の基本でございます。そのために、今大臣からも御答弁させていただきましたように、堤防をつくったり、河床掘削したり、また、川幅を広げる引き堤というようなもの、放水路、遊水地、ダム、そういうようなものを組み合わせて、流域全体を見据えて、堤防を水が越えないように安全に流す治水対策が基本だというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 それでは、時間の関係で先に行きますけれども、三つ目が、近年の水害を踏まえて、事前防災の観点から防災・減災、国土強靱化の取組を強化するんだということでありますが、その中で、考え方として、降雨量のAI予測とか、事前放流を拡大をして、ダムの洪水対策能力を、処理能力を倍増させるんだというような考え方があるようでありますが、これについては、私もぜひそれはやってほしいというふうに思っております。

 四つ目は、既存ダムの有効活用についてでありますが、先ほどの答えではダムの再生事業に二十四事業取り組んでいるという話でありますが、この再生事業でどのようなことをやろうとしているのか、お答えいただきたいと思います。

五道政府参考人 お答えを申し上げます。

 ダムの再生事業でございますけれども、既存のダムに対しまして、例えば放流管を増設していくということであるとか、他ダムとの連携によりまして、例えば河川管理者が利水のための容量を買い取って治水の容量をふやすというようなことを進めているところでございます。

福田(昭)委員 去年の、西日本豪雨災害で岡山県や愛媛県の事例を見れば、ダムが万能じゃないというのをはっきり示しているわけですね。緊急放流によって残念ながら死者をふやしてしまった、そういう事例もあるわけでありますので、ダムや調整池も万能ではない、そういう考え方に基づいて治水対策を進めるべきだと思うんですね。

 今回の台風十九号では、例えば八ツ場ダムだとか渡良瀬遊水地とか、あるいは鶴見川遊水地が有効に働いたということがあったということでありますが、それは、今回ではそのとおりだと思いますけれども、しかし、それ以上の雨が降れば当然越水をしたりするわけでありますから、ダムも調整池も万能ではないという基本的な考え方に基づいて、いざというときには、最後は逃げるんだ、そういうことをしっかり関係自治体や関係住民にも伝えておくということが大事だ、そう考えております。

 そこで、五つ目でありますけれども、今回、荒川を中心として、台風十九号の被害状況を踏まえたリーディングプロジェクトというのをつくりました。つくりましたけれども、そこに実は思川開発事業、南摩ダムが入っております、三十一件のうちに。しかし、今回計画をされているこの南摩ダムは、残念ながら思川と利根川の洪水調節ができません。そのことを今お示しをしたいと思います。

 皆さんのお手元にあります資料一をごらんください。

 昨年の台風十九号で、鹿沼市の粟野町の中心街と農村地域が見事に水浸しになりました。中心の市街地では何と、びっくりするなかれ、一メーター五十センチも水に浸っちゃった工場や商店街がありました。どうしてこんなことが起きたのか。

 ごらんいただきたいと思いますが、鹿沼市はこうした多くの小河川が走っております。南摩ダムは、黒川上流から、そして大芦川上流から水を導水して南摩にダムをつくるというのが思川開発事業であります。この目的は、洪水調節と、それから水の維持と、それからさらに水道水を開発するというのが目的であります。

 しかし、この水道水の開発をしても、多分使ってくれる住民がいないかもしれません。

 それは、栃木市と下野市と壬生町でありますが、この人たちは、今地下水で十分間に合っておりますから、この南摩ダムの水に、表流水に最大六割地下水から切りかえるといっても、高い水を買うことになりますから、もしかするとこの三市町では、ダムをつくって浄水場をつくって供給しても、使ってくれないかもしれません。

 さらに、洪水対策にはなりません。

 これをごらんください。南摩川というのは、ほとんどふだん水はありません。水がないので、黒川、大芦川から導水してここにためるという計画になっています。

 今回の水害でありますが、今回の水害は、この下の方にあります思川、これが物すごい増水をしてなかなか流れなくなったところへ粟野川というのがぶつかっております。この粟野川の水が流れなくなりました。いわゆるバックウオーターですね。バックウオーター現象がここに起きて、この水色に染めてあるところが全部水浸しになったということであります。ここで越水が起こり、破堤して浸水したということになっております。

 それで、御案内のとおり、南摩川は、その下流で思川と合流をして、思川となって下流に流れていって渡良瀬遊水地に行く、こういう形になっております。ですから、ここへ南摩ダムをつくっても思川の洪水調節になりません、基本的に。ですから、今回、荒川を始め三十一のリーディングプロジェクトができたわけでありますが、南摩ダムまで指定してあるわけですが、とてもとても無理な話だと私は思います。

 今回、この下流の渡良瀬遊水地が実は水をためる役割を果たしました。あるいは、渡良瀬川の上流の草木ダムなどもそういう役割を果たしました。ですから、そういう意味では、やはり流域全体としてどういう洪水対策をつくるかということが大事であると思っておりますが、大臣、このように、南摩ダムが思川、特に上流の洪水調節はできないということをおわかりいただけたでしょうか。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽国務大臣 栃木県の知事をやられた福田先生に反論するというのは大変恐縮なんですけれども、このことを、御質問ですので、ちょっと確認をしましたら、私も、足りないところがあれば局長から補足させていただきますが、まず、我々の見解としては、この南摩ダムの建設を行う思川開発事業自体は、思川流域を始め利根川沿川地域にとっても利水、治水上ともに重要な事業であるというふうに考えているということでございます。

 利水につきましては、そもそも、平成十三年渇水のときに思川流域の鹿沼市で夜間の減圧給水が行われたこともあり、栃木県、鹿沼市、小山市等の利水者が、南摩ダムは必要な水源であると考え、事業に参画していただいているところでございます。これが一つです。

 また、治水につきましては、思川では平成十年、十四年、二十七年と洪水被害が発生したということもありますし、また、昨年の台風十九号では、南摩ダム建設予定地の下流の鹿沼市、小山市においても越水が発生をしております。

 こうしたことから、本事業は、かつて、平成二十二年に策定をされました全国統一の要領に基づくダム検証を行って、そして、学識者の皆さんの意見を聴取した上で、平成二十八年に事業継続とする対応方針も決定したところでございますし、加えまして、定期的にやっておる事業再評価でも、令和元年八月にも事業継続とする対応方針を決定したところでございます。

 現在、用地買収も九九%まで進捗をしておりまして、栃木県、茨城県等の関係自治体の方々ですとか、鹿沼市、小山市等の利水者からも継続的に事業推進の要望がなされていることから、国交省としては、引き続き事業を進めてまいるというのが基本方針でございます。

福田(昭)委員 大臣、鹿沼市は四年半前も、行川、黒川、大芦川、荒井川、こちらの方で大きな被害を受けました。今回も受けました。ですから、この川の水害を南摩ダムでとめるということは不可能なんです、基本的に。そういう意味で、申しわけないけれども、現地を私の方がよく知っておりますので、本当に。

 それで、利水の話も、実は、隣の茨城県の古河市などは、南摩ダムができるまで五十年以上も暫定水利権を毎年毎年申請して、許可をもらって水道水を確保しているんですよ。五十年以上ですよ、大臣。ダムがなくたって水はとれたんですよ。暫定水利権というのはどういう意味だか御存じですよね。ダムをつくったら法定水利権をやるから、暫定的に水利権をやるよという仕組みですよ。さらに、人口が減っていっちゃうんですよ。古河市なんかは気の毒じゃないですか。五十年ですよ。半世紀も、ダムがなくたって水道水はとれたんですよ。本当に、こんなとんでもないやり方はないです。

 小山市も二十五年ぐらいになりますね。それから、茨城県の五霞町なんかは、暫定水利権を取っていますけれども、思川には全く接していませんから。今、埼玉県の企業局から買っていますよ、もう既に。ですから、もう五霞町も十分必要ないし。

 古河市は気の毒ですよ。古河市は水道水を欲しいと思いますけれども。これは法定水利権を上げたらいいですよ。ダムがなくたってちゃんと五十年以上とれるんですから。ダムなんか必要ないんですよ、これは。

 ですから、そういう意味で、鹿沼市だって、これは今厚生労働省の方が水道も広域化計画というのをやっていますけれども、鹿沼市などは、例えば私の地元の日光市とか宇都宮市から水道水を供給してもらったり、あるいは買ったりすれば十分間に合っちゃいます。例えばだけれども、災害時だけでもということで、水道水を市の境界でバルブでつないでおいて、渇水だ、水が足りないといったら、そのバルブをあければ日光や宇都宮から水は幾らでも鹿沼市に届いてしまいます。

 さらに、先ほど申し上げたように、今、栃木市や下野市や壬生町では市民団体が反対運動を起こしています、そんな高い水は要りませんよと。

 ですから、こういうものをしっかり見直していくというのが私は行革の党出身の赤羽大臣の役目かな、こう思ってお話をさせていただいているところであります。ぜひこういうものは再々検証が必要だ、私はこのように思っております。まあ、これ以上は言いませんけれども、きっと詳しい事情はよくわからないでしょうから。

 それでは次、六つ目でありますが、六つ目は洪水浸水想定区域の精度向上と周知徹底についてであります。

 現在、水防法に基づいて国又は都道府県知事が指定、公表した洪水浸水想定区域をもとに、市区町村が洪水予報などの伝達方法や避難場所等を記した洪水ハザードマップを作成して周知しております。

 しかしながら、現地の人々との感覚と一致していないものがたくさんあって、実際、台風で大水が起きたときに、いやいや、ハザードマップの区域に入っていなかったとか、いろいろな問題が起きておりますが、その精度を向上させると同時に、それをしっかり周知徹底をしていく必要があると思いますが、これについてはしっかり考えておりますか。

五道政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、水防法では、洪水により大きな被害が発生するおそれのある河川について、国土交通大臣又は都道府県知事が洪水予報河川又は水位周知河川として指定し、想定し得る最大規模の降雨により浸水が想定される区域を洪水浸水想定区域として指定することとしております。

 令和元年東日本台風の洪水により堤防が決壊した七十一河川について浸水想定区域と実際の浸水実績の比較を行ったところ、県が管理する四十三河川において、水防法に基づく浸水想定区域の指定の対象となっておらず、その水害リスクを伝える区域の公表がなされていないところでございます。

 このような中小河川では、浸水想定区域の設定に必要な河川の横断データや水位等の基礎的データがほとんど計測されておらず、従来の方法では浸水想定区域を設定することが困難であるということでございます。

 このため、国土交通省では、都道府県が航空測量による三次元地形データ等を活用して簡易に水害リスクのある区域を設定できるように、中小河川の水害リスク評価に関する技術検討会を設置しておりまして、ことし六月までにその検討結果をまとめて、都道府県向けの手引を作成し、周知を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 また、この手引を活用して都道府県が水害リスクのある区域を設定したときには、水防法に基づく、都道府県知事が設置している大規模氾濫減災協議会の場を通じまして関係市町村へその周知を図り、ハザードマップに反映していただくことによって住民の適切な避難行動に結びつけてまいりたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 精度を向上させるということが大事なことだと思いますし、さらに、栃木県の荒川のように、指定されていない市町村の洪水浸水想定区域を作成する場合には、当該市町村とよく協議をして、当該市町村から要望があった場合につくる、そういうことをぜひ守ってほしいと思います。これは要望しておきます。

 今回、何か要望もしていないのにつくっちゃった、しかも、もう国土交通省のホームページにアップされちゃったというので、いろいろ地元で大騒ぎになっているので、そういうことを絶対しないように、指定された区域だけをちゃんとつくるということを守って、もし指定区域外までつくるときには、地元の市町村とよく協議した上でつくる、そういうふうにぜひしてほしいと思います。

 それでは、時間がなくなっちゃうので次に行きたいと思いますが、次は観光による地方創生についてであります。

 大臣、大臣は、観光で地方創生したいんだ、こう思っているという話なものですから、ぜひここは議論をしてみたいと思います。

 一つ目は、新型コロナウイルスの影響での宿泊者や旅行者のキャンセルが生じるなど、大きな被害を受けている旅館、ホテル等の宿泊施設及び旅行業者等、観光関連産業に対する支援等についてでありますが、これは、先ほど小里委員や岡本委員から細かに要望があって、お答えがありましたので、私としては省略をさせていただきますが、今後、コロナウイルス対策の新しい特措法ができて、さまざまな経済対策もきっとつくられるんだと思いますので、ぜひそこの中でしっかりと対処してほしいというふうに思っております。

 それでは、二つ目です。二つ目の、訪日外国人旅行者数、二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人の達成についてであります。

 達成についてはさまざまな工夫が必要なんだと思っておりますが、一と二、あわせて伺いますけれども、特定複合観光施設、いわゆるIRでありますが、一応箇所は三カ所と決められているはずでありますが、IRを、私はもともと反対でありますけれども、カジノをつくることに反対でありますが、これで政府としてはどれぐらい外国人旅行者数をふやそうとしているのか、あるいはクルーズ船や航空機の増便などでどれぐらいふやそうとしているのか、簡潔にお答えください。

秡川政府参考人 政府におきましては、観光を成長戦略の柱と位置づけておりまして、二〇三〇年六千万人の目標を実現するために、これまでもさまざまな取組を実施してきております。

 IRはこの目標を実現するための選択肢の一つと考えておりまして、これまでにない規模と機能を持ったMICE施設を整備して国際的な会議やイベントを誘致するとか、家族で楽しめるエンターテインメント施設や多様なニーズに対応できる宿泊施設を整備することにより、長期滞在の訪日外国人旅行者……(福田(昭)委員「そういうことは要らないから。どれぐらい予定しているのか、人数だけ言って」と呼ぶ)はい。例えば、日本のモデルの一つになっていますシンガポールでは、二〇一〇年の導入前後で外国人旅行者が一・八倍に増加しております。日本においても……(福田(昭)委員「シンガポールはいいんだよ。日本でどれだけ予定しているの」と呼ぶ)

 具体的な数字につきましては……(福田(昭)委員「簡潔に答えてください」と呼ぶ)はい。これから地方がそれぞれ区域整備計画で上げてくるということなんですけれども、そのような効果が期待できるようなすばらしいIRを整備して、六千万人に貢献していきたいというふうに考えております。

福田(昭)委員 人数だけ言えばいいんだよ。全く見込みもないということだね。わかった。

 次に、クルーズ船と航空機はどうですか。人数だけ言ってください。余計なことは要りません。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、訪日クルーズ旅客数は、訪日外国人旅行者数三千百八十八万人の約七%に相当する二百十五万人となっております。また、外国船籍のクルーズ船につきましては、延べ千九百三十二回、全国の六十七港湾に寄港しております。

 クルーズ船は、寄港地周辺にインバウンド旅客による観光消費等大きな経済効果をもたらすとともに、昨今では、クルーズ船への地元食材の提供などを契機としまして、地元産品の輸出振興につながる事例も見受けられます。(福田(昭)委員「余計なことは要らないです。人数だけ」と呼ぶ)

 人数につきましては、引き続き、今般の新型コロナウイルスの感染症の影響等も踏まえまして、今後、政府全体でもクルーズ船に関する対応をしっかりと検証されるものと承知しておりますが、これを踏まえまして、私どもとしましても、一連の対応を総括し、クルーズを安心して楽しめる環境を整えてまいります。

福田(昭)委員 余計なことは要らないと言っているでしょう。

 クルーズ船の目標が二〇二〇年は五百万人だったんでしょう。しかし、残念ながら今は二百五十万ぐらいだということなんでしょう。だから、とてもとても目標には達しないという現状にあるということですね。

 それで、やはり観光による地方創生を実現するためには地域資源の活用が大事です、こういうふうに大臣は所信で述べております。そこで、第三ですけれども、国立公園の有効利用が私は必要だと考えております。

 現在、環境省が国立公園満喫プロジェクトを実施して、年間約六百万人以上の方々が国立公園を訪れているそうであります。

 そこで、私が大臣に提案したいのは、国立公園の適地にスイスの登山電車みたいなものを導入して、春、夏、秋、冬、日本の四季折々のよさを満喫してもらうインフラを国交省と環境省、林野庁で取り組んで、事業は民間に任せて、観光のメッカをつくり、雇用の場をつくり地方創生につなげる、そして東京一極集中の是正にもつなげていく、そういうビッグプロジェクトをぜひ赤羽大臣のときにしっかり検討して調査を始めるべきじゃないかな、こう思っておりますが、いかがですか。

田端政府参考人 国立公園の関係につきましては、観光資源として極めて重要でありますので、私ども、環境省と観光庁挙げて、今の満喫プロジェクトというものをしっかり進めています。

 いろいろ、コンテンツの造成などをしっかりするというようなこと、また、国立公園に至る公共交通機関とか、あるいは多言語対応の受入れ環境整備というのは重要だということでここの支援をしてきていますので、先生御指摘のように、国立公園の魅力アップをしっかりと今後も進めてまいる考えでございます。

福田(昭)委員 やはり、国立公園はみんな、地方、田舎にあるんですよ。だから、こういうところをやはり、北海道とか東北とか関東とか、あるいは中部地方とか、適地に。しかも、今、雪が中国やアジアの人たちにとって最高の魅力じゃないですか。この雪を生かすためには、やはり登山電車で、ラッセル車で雪かきをしながらお客さんを運んでいくというのが、冬場もちゃんとお客さんが来てくれるような環境づくりになるんだと思います。

 例えばですけれども、日光と尾瀬国立公園の整備をする、福島から、新潟から、あるいは群馬から、栃木からそれぞれ乗り入れして、許可車以外は全部車の進入禁止、そういうようなことにして、SDGsのモデルをそういう形でつくっていくということが、私は、地方創生にも観光振興にもつながる、そして六千万人にも近づく、こういうふうに思っているので、ぜひ調査でもしてほしいな、こう思っております。

 それでは、その次に行きますけれども、第四番目、羽田空港新ルートに関する懸念であります。

 資料の二をごらんいただきたいと思いますが、ことしの東京オリンピック・パラリンピックに向けて羽田空港に第四ルートを開設するとのことですが、しかし、羽田は世界一着陸が難しい空港になるとの指摘がありますけれども、これについて国土交通省としてどう考えているのか教えていただきたい。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 羽田空港は、飛行経路を見直して、ことしの三月二十九日から一日五十便の国際線を増便するという予定にしております。

 特に、新しい飛行経路の安全面では、降下角を三・四五度、通常は三度なんですけれども、それを引き上げることについて、安全面での懸念の声が聞こえております。

 これにつきましては、我々、そもそもこれを提案したときに安全面でのさまざまな検証を行ったところでございますけれども、一月末から実機飛行確認というのを実施しております。この実機飛行確認の際に、実際に運航したパイロットからの声をお伺いいたしまして、これについては、事前に注意点が周知されていたため問題なく対応できたというふうに伺っておりまして、新飛行経路の運航上の安全性に問題はないというふうに考えております。

福田(昭)委員 何かそれは非常に心配ですね。

 私、ここにきょう本を持ってきましたけれども、日本航空のパイロットを長く勤めて、それこそ、日本の安全な着陸のシステムでありますスタビライズドアプローチというんですか、そういう方式を考え出して、今、日本のパイロットはみんなそれを全日空も含めて使っている。

 それは、降下度はやはり基本は三・〇だ、三・五度では急降下で非常に危険が高い、特に、尻餅をついて大変な事故につながる、オーバーランにもつながる、しかも、尻餅をついた飛行機がその後ろくな修理もせずに飛ぶと事故につながる、御巣鷹のときの飛行機もそうだ、こういう指摘があります。ですから、こういう熟練したパイロットの経験のある人たちの指摘をやはり真摯に私は捉えて検討すべきじゃないかと思っています。

 ここでこの著者たちが言っているのは、なぜそんなことになっちゃうのか、それは横田空域が邪魔をしているからだ、横田基地の、横田の空を制する権限が邪魔をしているからだ、これをやはり直す必要があるんじゃないか、こう言っております。大臣、いかがですか。

赤羽国務大臣 まず、今先生がお示しされました書物、著書を私も読みまして、大変心配をしましたので、昨日、JALと全日空の今回の実機の試験をやってもらったパイロット、またパイロット部門の責任者に来ていただいて、率直にお話を伺いました。

 ちょっといろいろ差しさわりがありますけれども、私もやってよかったなと思ったのは、本に書かれてある人、まあ先輩なので彼らも申し上げにくいというところもあるんですけれども、相当時代が違っていて、この間、飛行機の性能も随分違っているということのような話もございました。これは余り外では言えないんですけれども、ちょっとあえて、御質問でしたので。それは大事なことだから。

 私が思ったのは、安全性ということを言えば、今の羽田の入り方よりも新経路の方がよっぽど安全だということを言われました、フラットですから。伊丹とか福岡よりもはるかに羽田の新経路の方が安全だということは全員言われておりました。それは僕も新しい発見でありました。

 ただ、言われたのは、この前の実機は夏ではありませんでしたので、夏の場合は、飛行機の構造上、ちょっと私も専門家じゃありませんので、少し高くなるので、だから、そのときは、三・四五度のまま入るよりも、千五百フィートのところで三度に変えてフラットで入った方がありがたい、そういうアドバイスというか御意見も伺いました。

 きのうその御意見をいただいたこともありまして、今後、その機長さんたちのお話をいただきながら、国交省、また専門家の皆さんも交えてしっかりと検討していかなければいけない。そうした懸念はやはり払拭しないと、新しい経路をやる以上、事故を起こすなんていうことはあり得てはならないことなので、そうしたことは万全の対策をとっていかなければいけないというのが一つです。

 横田空域につきまして、御質問につきましては、これは過去八回にわたり削減を実施してまいりまして、直近では平成二十年九月にも大幅に削減をされたわけでございます。

 こうしたことは、実は羽田空港を利用する航空機の利便性向上に大変寄与していただいているということをちょっと御答弁したいと思います。

福田(昭)委員 大臣、本が出版になったのは先月です。二月の二十日です。新しいんですよね。しかも、この方たちが経験から言っている。香港が一番難しいと言われているそうですが、香港は三・一度。それよりも降下率が高いわけですよ。だから、もし事故があったらどうしますか。ですから、それは国交省の役人の意見だけ聞いていたのではだめだと思いますよ。(赤羽国務大臣「いや、それは違いますよ」と呼ぶ)いいでしょう。委員長を通したやりとりにならないとまずいようですから。

 それで、実は、横田空域の話ですけれども、大臣、日本が戦争に負けてから七十五年、ことしは。朝鮮戦争も終わってから六十五年。米軍がここにいて、ずっと横田空域を持っているということを異常だとは思いませんか。

赤羽国務大臣 国交省といたしまして、これまでも、我が国の空域を一元的に管制するという観点から、関係省庁と協力しながら米軍と調整してまいりましたし、これからも調整をしてまいりたい、こう考えております。

福田(昭)委員 朝鮮戦争も六十五年休戦しています。半世紀以上、戦争をやっていないんですよ。そうしたら、やはりアメリカと正々堂々と議論すべきじゃないですか。本当にアメリカを守るための基地はどれだけ必要なんですかということを正々堂々と議論をして、やはり、本当に必要な基地だけ残してもらうということを考える必要があると思いますよ。それだけ指摘しておきます。

 もう時間が切れましたのでやめますけれども、ぜひ、そういった意味では、今回の大変な状況を踏まえて、今後、経済対策をしっかりやるべきだということを言って、質問を終わります。

土井委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 立国社の馬淵でございます。

 国土交通委員会での大臣所信の質疑の機会をいただきました。ありがとうございます。

 私は、大臣の所信、先日述べられましたこの所信に基づいて、また、昨年この国土交通委員会でも質疑をさせていただきました、ちょっとそのおさらいも含めて、幾つかの点で、この四十分という時間の中で、多くの論点で議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 まずは、大臣には予算委員会で質疑をさせていただきました。冒頭には、大臣から御丁寧にお見舞いの言葉もいただきました。ありがとうございます。

 私自身、昨年の十一月四日に交通事故に遭いまして復帰をしたわけでありますが、その当時、吉野山中ということもありまして、ドクターヘリによる救急搬送、あと十分おくれていれば日没に差しかかって、陸送であれば、私、腹腔内の出血が激しくて、内臓破裂をしまして、命がなかったと言われました。本当に九死に一生を得た思いであります。そんな中でのドクターヘリの運用改善も含めて、きょうは複数の点で御質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず、冒頭、予算に関連するところで、人員の増、ここについての御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 お手元に資料を配らせていただきましたが、今回、国交省の人員につきましては大幅に増員されたというふうに認識をしております。お手元に資料、1でありますが、百一人ということで純増。これは、平成十三年の中央省庁再編以降、初の人員増ということであります。過去を振り返りますと、私も一年四カ月国交省におりましたが、ずっと十八年間連続で減じてきたということでありまして、振り返ると二割減というようなことで減員となってきたということであります。

 今回、百一名の増員ということでありますが、この増員バランス、つまりは、地方整備局で人員増強ということでありますが、北海道開発局の定員は減となっておりますので、全体で増員だけれども北海道では減員というこの状況の中でのバランスの問題についてどのようにお考えなのか。ふえていることは大変私はいいと思っており、減災、防災のためにも必要なことだと思っておりますが、このバランスの観点について、大臣、どのようなお考えであるか、御所見を伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 国土交通省の現場を支える地方整備局、北海道開発局の定員というのは、今、馬淵先生お話ししていただきましたように、平成十三年の発足以降、毎年純減をしておりまして、今約二割、昨年の一連の台風災害の対応も、現場も大変厳しい人員の中で大変な状況でやりくりした。その中で、避難につながる迅速な情報伝達の点ですとか、災害発生時における機敏な初動対応などでいろいろ過失も起こしてしまって、大変御迷惑をかけたといったことも反省材料でございました。

 ただ、そうした中で、被災地を回る中で、被災地の首長さんほぼ全員が異口同音に、地方整備局、また全国のTEC―FORCEの活動というのには大変感謝されておりまして、そうしたことを私は政府の中でも率直に申し上げました。何も言わないとことしも純減をせざるを得ないという中で、何としてもこれは守ってほしいと。ことしは昨年以上にまた災害が大きくなるかもしれないし、対応しなければいけない箇所もふえている。河川事務所もふやさなければいけない。人員がいなければ話にならないし、これを民間の皆さんに任せるわけにはいかないという必死の思いでさせていただいた結果、地方整備局、初めて百一人の増員になったということは大変感謝もしているところでございます。

 先生御指摘のように、確かに北海道の開発局は減員になっておりますが、この北海道も、四十四人の減員で、これもよく御承知だと思いますが、例年の合理化ですと百十九人のマイナスで、さまざまな対応もしなければいけないということで七十五人の増員ということも加わっておりまして、トータルしますとマイナス四十四人でありますけれども、これは北海道開発局自体としては例年になく守られた数字だとも評価していると思います。

 これはどうしても、昨年の台風十五号、十九号の対応に大変だった地域から手当てをしたというようなこともあったと思いますので、それはそれとして、北海道も大変重要な地域でありますし、災害も多い地域でもございますので、そうしたことも含めて、決して焼け太りというようなことで批判されないように、ふえた定員の中でしっかりとした体制が組めるように、そして北海道についても目くばせをしっかりしながら取り組んでいきたいと思いますので、また御指導のほどよろしくお願いします。

馬淵委員 ありがとうございます。

 北海道に関しては、もっと減員になるようなところをそこは何とか食いとめたという御答弁だというふうに受けとめます。寒冷地でもありますし、やはり、地方整備局にかわる北海道開発局ということで、ここはしっかりと見ていただきたいと思います。

 今大臣御答弁ありましたように、お配りしました資料にありますように、東北地整、関東地整、北陸地整、この東日本、ここは増強していただいている。また、中国、四国、ここは一昨年の豪雨災害等々も含めてということだと思います。こうした対応をしていただいて、なかなか人員については全省庁極めて厳しい状況にある中で、百一名というのは大変大きな、ある意味大きく転換をさせたきっかけだなというふうに私も理解をしております。

 ただ、やはりそこで懸念するのは、せっかくこういう形で増にしていただいていますが、こうした人員の増員が長期的な雇用なのかどうかということです。一時的であっては何も意味がない。例えば、これが任期つき採用あるいは有期雇用というような形で一時的であると、結果、国土交通省のある意味足腰である、特に建設部門の足腰である地方整備局の強化ということがなし得なくなります。

 そこでお尋ねですが、こうした百一名の新規採用、もちろんこれは細かに今どうだということが答えられないことは百も承知しておりますが、いわゆる任期つきの採用等ではなく、任期つきの採用等の問題というのは、おのずと民間、あるいは自治体の方々を選びやすくなってしまう。今人手不足で非常に厳しい環境の中で、民業圧迫や、あるいは自治体にしわ寄せが行くようなことがないように、ある意味長期の新規採用だということでの理解でよろしいでしょうか。大臣、お答えいただけますか。

赤羽国務大臣 大変鋭い御指摘をいただいたと思っております。

 本当に、純増したのは大変うれしいことなんですが、それに見合った永続的な採用をするというのはそんな簡単じゃない中で、基本は、新卒者に加えまして社会人経験者を含めた新規採用など、任期つきの短期の雇用でなくて、永続的に、中長期的に防災・減災というのは取り組まなければいけないことだと思いますので、そうしたことに資する採用ができるように精いっぱいの努力をしていきたいと思っております。

馬淵委員 明確に御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 いわゆる新卒者あるいは経験者、これはある意味必要な採用の方法だと思います。あと、定年退職の再任用などというのも含まれるのかもしれませんが、中には自治体からの要請を受けて自治体からの出向者というような受け付けもあるとは思うんですが、私が申し上げたいことは、とにかく足腰になる大切な人材の育成という意味においては、長期の雇用、これを中心に、今回、百一名増員ということが図られたわけでありますから、しっかりとその部分は守っていただきたい、また、こういう方向性を打ち出していただきたいということを加えておきたいというふうに思います。

 そして、先ほど申し上げたドクターヘリにつきまして少しお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げたように、多分、ドクターヘリに乗った方というのは、ひょっとすると経験の中で何か視察等でおありの方もいらっしゃるのかもしれませんが、ドクターヘリで救急搬送された国会議員というのはそう多くはないと思います、何の自慢にもならないんですが。身をもってその重要さを私は知ることになりました。

 このドクターヘリは、大臣、御党の公明党でも重要政策として、山口代表を始め皆さんがいろいろなところで発信をされています。

 ただ、一点加えさせていただければ、これは私たち民主党時代もドクターヘリということを強く主張してきたものでありまして、二〇〇七年の、当時の特措法ですね、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法、この成立に向けて我々も努力をしたということは加えさせていただきたいと思いますが、大臣の、御党公明党さんにとっても重要な政策の一つである、これが全国的に広がっていったことによって救われた命というのが多数あるというふうに認識をしております。

 私も先ほどちょっと申し上げましたが、事故があったのが午後でした。熊野からの帰りの国道一六九で、吉野山中、ちょうど下北山村から上北山村に差しかかる山道で擁壁の端部に激突という状況でありました。

 もちろん救急隊員や警察の方も駆けつけてくださいましたが、陸送では四十分ほどかかりました。私の容体を見て、すぐにドクターヘリの要請をしていただき、これはもう本当にあっという間に、ヘリは二十分ほどで到着をしていたんですが、なかなかにおりてこられない、強風のためにおりられないということでありました。ランデブーポイントという、着陸地点をどうするかということが喫緊の課題ということで、私は、頭部は損傷が全くなかったものですから意識ははっきりしておりました。その通信を聞きながら、ランデブーポイントをどうするかということで、幸いにも、そこから少し離れたところに小中学校のグラウンドがありまして、そこをランデブーポイントとして着陸し、本当にあと十分という瀬戸際のところで、ドクターヘリでの救急搬送によって私は一命を取りとめることができたわけでありますが。

 実は、私自身も、国交大臣時代にこのドクターヘリの質問を受けておりました。

 これは、平成二十二年の十月の二十八日、国土交通委員会、当時、私は大臣でありましたが、御党の長沢広明参議院議員が質問された部分であります。

 これは、当時、高速道路をランデブーポイントにすることに関しての質問でありました。救急車が高速道路まで患者を運び、高速道路まで行って患者を乗せ、そして、そこからドクターヘリが空送するということであります。

 平成十七年に、国交省と警察、消防、厚労省の間で、高速道路におけるヘリコプターの離発着に関するガイドラインがまとめられました。そして、私が質問を受けた当時までで、平成十二年から二十二年の質疑までで、高速道路本線での離着陸というのが実績値として十一回でありました。当時の議事録でも、私、そんなふうに答えております。これは本線であります。

 当時、私の方は、長沢委員に対して、高速道路の本線の離発着も含めた整備を進めるべきだという質問に対しまして、条件を整理しながら高速道路会社が設置できるよう指導していく、このように答弁をしております。

 これは何を申し上げているかというと、当時、長沢議員のその論点というのは、高速道路、皆さん、大体イメージあると思いますが、道路の両端に照明灯がついております。これが内側にカーブをしているがために、なかなかにヘリコプターがおりられないということで、こういったことについては、道路の敷設の段階あるいは改築段階で垂直に立ち上げて、LEDの照明灯によって光指向性がはっきりしますから曲げる必要がないということで、ヘリコプターが本線にも離着陸がしやすいようにすべきではないか、こういうことでありました。

 当時、私は、高速道路会社も含めて関係機関と協議をしながら検討してまいりたいというふうに答えたわけであります。

 こうした中で、政府参考人で結構です、当時そのような質疑を受けて、どのような今現状になったかということで、十年前のこの指摘に対して、現在における高速道路のランデブーポイントの整備状況、これについてお答えいただけますでしょうか。

池田政府参考人 高速道路上のランデブーポイントでございますけれども、現在、都道府県ごとに設けられましたドクターヘリ運航調整委員会、ここにおきまして、高速道路会社と消防などの関係機関が調整をいたしまして、離着陸場の整備や運用手順の策定を行っております。

 平成三十年度末までに、SA、PAなどに設置される救急活動の支援ヘリポート、これは九十二カ所の整備が終了しておりまして、高速道路上のヘリの運用基準についても四十都道府県で定められております。

 こういったところの中で、平成三十年度には、高速道路へのドクターヘリの離着陸の回数は年間で百二十九回という状況でございます。

 先ほど本線上の離着陸のお話もございました。

 本線上の離着陸場についても、先ほど申し上げましたドクターヘリ運航調整委員会の中で具体的におりられる場所を決めていっておるわけでありますけれども、今お話のありました照明の直線形の使用につきましても、平成二十四年のLED照明の導入以降、新たに建設するものについては直線形を採用して、離着陸の可能な場所がふえるようなことにもつながっているものと考えております。

 引き続き、高速道路会社を始め関係機関と協力して進めてまいりたいと思います。

馬淵委員 ありがとうございます。

 当時も長沢議員との議論の中でありましたが、本線に離発着することも重要ですが、それ以前に、整備の段階でSA、PAあるいはその他の施設で安全に離発着できるようなヘリポートの整備、これを推進すべきだということも当時認識をしておりました。

 その意味で、今局長から御答弁いただきましたように、大変これは進捗したということでありまして、お手元の資料3にありますように、離着陸の回数も、本線は実はこれはもう減っているんですね、もうほとんどない。つまり、それだけ救援活動のヘリポート、あるいはSA、PAなどの援用等が進んだということでありまして。

 ただ、この回数を見ますと、今局長からの答弁もありましたように、昨年百二十九回と。かつては本当に一桁台だったものが、これだけ整備が進んだことによって、高速道路での重篤な事故に対する、命を救うという、役に立つドクターヘリの運用が可能ならしめられているということであり、私も、当時所管をしていた立場も含めてこのように御答弁をさせていただきましたが、しっかりと進めていただいていることについてはありがたく思っております。

 照明の変遷も、先ほど局長の御答弁がありましたが、平成二十四年から導入化であり、もう仕様書も標準化されておりますから、今後、新築されるもの、改築されるもの、全てLEDの垂直形ということでありますので、当時からは随分進んだということで、大変これもありがたく思っております。このような形で顕著に増加したということは、当時の質問を含めて、国交省の対応として前に進めていただいたということだというふうに理解をしております。

 その上で、ここは確認の意味で質問させていただいたんですが、先ほどちょっと申し上げたように、一方、夜間の飛行に関しては実は厳しい制限が課されております。

 これに関しましては、航空法の施行規則第百五十八条一項、二項、ここで、夜間飛行は禁止をしているわけではありませんが、実は、夜間を飛ぶためには、ヘリの操縦者、パイロットが、過去三カ月で同じ型式のヘリを、少なくとも離着陸を三回以上行い、かつ、その三回のうち一回は夜間において行われなければならないということで、間接的な規制が課されているわけであります。

 私も、奈良県で救出していただきましたので、その後すぐ、知事あるいは関係部局、また、当時、運用ヘリに乗っておられたドクターにも質問をさせていただいたり、あるいはちょっと面談の機会をいただいてお尋ねをしました。

 この夜間飛行というのは、やはり二次災害を引き起こす可能性が高いということから、なかなかに難しいんだということのお話もございました。

 特に奈良県の場合は、地域事情で恐縮ですが、吉野山中というのは、林業のところでありますので、林業従事者の方々が木枯らしといって木を、伐採後、運ぶために寝かしておくなど、さまざまなことを行うために線を張っていたりしまして、これがどこにあるかというのは林業従事者しかわかりません。かつて、こうした架線にひっかかって事故もあったということもあり、なかなか夜間飛行というのは難しいというか、無理だという答えしか出てこないというのも重々承知をしているわけでありますが。

 ただ、私はそれでも、救える命があるということを考えると、例えば吉野山中のようなところは難しいかもしれませんが、少なくともドクターヘリの運用実績を分析をすれば、全国の道路網の中での事故多発地域において、例えば、これは消防庁などでは、夜間の飛行を可能ならしめるのは事前の踏査が必要だ、このようにおっしゃっておられます。

 例えば、これも事前踏査を行って、事故多発地域において夜間飛行がひょっとすれば可能になるところが出てくるのではないかということも含めて、こうした観点から、いや、難しいで終わらせるのではなくて、検討をするという一助として、何らかの御提案なり、大臣なりのリーダーシップで、こういったことも含めて考えられないかということについては、大臣、お考えいただくようなことはいかがでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

赤羽国務大臣 ドクターヘリは、改めて申し上げるまでもなく、救命医療という大変重要な役割を果たしておるわけでございまして、特に、救命という任務の性質上、夜間飛行を行うニーズも高いものと認識をしております。

 航空法におきましては、今先生が言われたように、本来は視認性の低い状況下で安全な運航を確保する必要があるヘリコプターの夜間飛行についてはさまざまな規制がされているところでありますけれども、航空法第八十一条では、ドクターヘリ等による救難救助運航は適用除外という項目がございまして、ここにつきましては、夜間を含め、例えば、空港等以外の場所における離着陸許可を不要とするというような必要最低限の規制に抑えているですとか、ほかもございまして、飛行禁止区域上空の飛行を許可をするですとか、また最低安全高度以下の飛行も許可する、こうしたことも盛られているところでございます。

 もちろん、安全を抜きにしてはなかなか難しいわけでありますが、安全ということを盾にし過ぎて救命医療ということの使命が果たせないようにならないように、これまでもさまざま改善してきたことも実績としてあるわけでございますので、こうしたことは実情を踏まえて前向きに検討するようにしたいと思っております。

馬淵委員 私は、全国どこでもやれというふうに申し上げているのではなくて、事故多発地域で、そして夜間にもそういった事故で救急搬送が必要となるであろう箇所については何らかの手だてがないかということについて、現状の把握と分析、そしてどのような対処方法があるかということについて、今前向きに検討してまいりたいという御答弁をいただきましたので、ぜひ取り組んでいただきたい、このように申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、大臣の所信の中にもありました防災あるいは減災、これも、バリアフリーとともに、大臣の最も注力する観点ではないかというふうに思います。

 この防災の対策の部分に関しましては、前回、私、十月三十日にも質問をさせていただきましたので、ちょっとその部分のおさらいだけさせていただきたいと思います。これは、内閣府をお呼びいたしました。

 前回、十九号被害を受けての、避難場所と避難所の違いがわかりにくいというお話や、あるいは新幹線車両基地の浸水被害のことを取り上げたんですが、前回の十月三十日、平副大臣に来ていただきまして、避難場所と避難所の違いのわかりにくさについて指摘をしたところ、「御指摘を踏まえて、防災部局と、あと自治体と議論をしたいと思います。」と答弁をされました。

 その後、議論の進展状況というのはどのようになっておりますでしょうか。内閣府の政府参考人、お願いいたします。

小平政府参考人 お答えいたします。

 住民の皆様方がふだんから地域における災害リスク等を理解して、災害時に適切な避難行動をとっていただくことが重要である、先生がおっしゃるとおり、指定緊急避難場所と指定避難所の役割の違いについても正しく理解していただくことが大切でございます。

 昨年の台風十九号を受けまして、昨年十二月に、中央防災会議の下に有識者から成るワーキンググループを設置しておりまして、避難場所と避難所の違いも含めまして、避難体制の強化を検討しているところでございます。検討に当たりまして、ワーキンググループのメンバーとして自治体の首長さんにも御参画をいただいているほか、全ての市町村を対象としたアンケートを実施してございまして、課題や対策に関する意見を聴取してございます。

 今、それも含めまして、ワーキンググループにおいて具体的に検討を進めさせていただいておりますけれども、災害が発生した場合においては、緊急に避難する場所が指定緊急避難場所であるということ、それから、住民の皆様方にハザードマップをごらんいただいて自分の家がどういうところなのか、そういうことについても知っていただくなどの、発災時にとるべき行動の理解促進を出水期までに住民に対して行うことを検討してございます。

 最終的には、こういったものにつきましてきちんと周知徹底をしていく必要があると思っております。昨年も行いましたけれども、地方を行脚いたしまして、御説明をしながらその定着について努めてまいりたいと思ってございます。

馬淵委員 済みません、今、ワーキンググループでの取りまとめということも含めて、出水期までには進めてまいりたいというお話がありましたが、リテラシーキャンペーンも含めて周知徹底、これは確認ですが、ワーキンググループは年度内の取りまとめとされていますよね。私が平副大臣に指摘をした部分については、全自治体にもアンケートをとって今進めていただいている、取りまとめていただいて、出水期までに全自治体に対して、その変更も含めて、リテラシーキャンペーンも含めて行うということでよろしいですか。

小平政府参考人 お答えします。

 非常にタイトな日程ではございますけれども、そのように対応したいと考えてございます。

馬淵委員 もう一点だけ、済みません。

 出水期とは何月を指しますか。それだけ。

小平政府参考人 河川によって違うのは事実でございますけれども、今いわゆる梅雨期を狙っておりますので、大体六月から、できれば、恐らく七月ぐらいを念頭に行いたいと思っておりますけれども、具体的なスケジュールにつきましては、今、検討の中身を早く詰めて、自治体に対する説明なども含めて段取りをつくってまいりたいと思ってございます。

馬淵委員 出水期は六月ですよ。余り後ろにずらさないように、バッファーをとりたい気持ちはわかりますけれども。出水期といえば六月からですから、それに間に合うように、自治体に対して、具体的な行動がなされるように、先ほど赤羽大臣もことしも大きな災害が起きるかもしれないと御懸念を示されています。

 防災担当としての内閣府はしっかりと、きょうは副大臣をお呼びしていませんけれども、ぜひ、きょう議事録に残りましたから、出水期までにしっかりと実行に移すということを約束したということは肝に銘じていただきたいというふうに思います。

 そしてもう一点、おさらいというところでありますが、これは国交省の方なんですね。前回、私、質疑のときにさせていただきましたのが、新幹線の長野の車両基地が浸水をして全車両が廃車ということになりました。

 そのときの大臣の御答弁というのは、「全国の鉄軌道者に対しまして、浸水被害が発生した場合に運行への影響が大きい施設における浸水対策について、緊急点検を指示したところでございます。」このように言っていただきました。そして、さらにその上で、「車両基地の中で、」「今後、今回の災害の大きさを反省としながら、浸水による影響の大きさやその対策の有効性等について現在検証作業を行わせているところでございます。」こう御答弁をいただきました。

 では、これは政府参考人に、その検証結果はいかなるものでありましたでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年の十月の台風十九号で、JR東日本の長野新幹線車両センターにおいて新幹線列車十編成が浸水するという被害が発生したところでございます。

 これを受けまして、国土交通省では、同様の事象の再発防止を図るため、全国の鉄軌道事業者に対し緊急点検を指示しているということを、前回、十月三十日に御答弁を申し上げた次第でございます。

 その後、その点検結果を踏まえまして、昨年十二月に、「新幹線における車両及び重要施設に関する浸水対策について」の考え方を取りまとめまして、公表させていただいたところでございます。

 現在、この取りまとめを踏まえまして、新幹線を運行する各鉄道事業者において、車両避難計画の策定を含む具体的な浸水対策を検討中でございまして、その内容や実施目標時期などにつきまして、本年春には国土交通省に報告をさせることとしているところでございます。

馬淵委員 これも、本年春ということですから、年度末をめどにということだと思います。

 浸水対策について、十二月二十四日発表のリリースを見ますと、浸水対策及びその実施目標時期については来春めどと、これは去年ですから、この春を目途に国土交通省へ報告とあります。

 前回の質疑のときには、私は質問の中でハリケーン・サンディに関する現地調査ということについて指摘をさせていただきました。あのときは、恐らく局長は御存じなかったんだと私も理解をしております。そのような報告書が一方で国土交通省で出されながらも、つまり、あのときに私が申し上げたのは、ハリケーン・サンディの災禍に対して、当時、近畿整備局長もされておられました上総さんが団長となって取りまとめをなされて、そして、ニューヨークのコニーアイランドの車両基地にあった百両の車両を高い場所に退避させるというタイムライン、具体的な方策まで行っていて、無事に車両が退避で浸水を免れたという報告をし、これが必要だと国交省で一方で語っているにもかかわらず、ハザードマップの中で浸水地域にかかる長野の車両基地については置き去りになっていた。

 これは鉄道局を私はとやかく言っているわけではありません。やはり国土交通省として、本来であればこうした知恵を、知識を共有しなければならないにもかかわらず、それがなされていなかったわけですね。大臣は、先ほど私が申し上げたように、御答弁でしっかりと検証していくというふうにおっしゃっておられますが、大きな役所です、やはり往々にしてこういうことが起きかねないんですね。

 したがいまして、大臣におかれましては、こうした報告ということも含めて、しっかりと各局が情報を共有しながら、今、水嶋局長のお話にありましたように、これは対策と目標時期について報告をこの春にするということでありますが、襲来時期、出水時期、これは六月、七月、まあ六月だと私は思っておりますが、六月ということであれば、単に報告を受けるだけではなく、具体的にその実施をそれまでに行うように指示を出していただかなければなりません。重要なことはこの部分です。大臣、ぜひ、そこに対して強いリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 新幹線の件につきましては、そのようにさせていただきたいと思います。

 加えて、その前のハリケーン・サンディのことは、多分、水局からの報告だったと思いますが、それがなかなか鉄道局との意思疎通を欠いたのではないかと。そういったことは、縦割りの中で、あってはならないことでありますが、ありがちだというふうに反省をしまして、私の所信の中でも御報告しましたが、本年一月、私を本部長として、国交省の全部局が連携して、総力を挙げて、命と暮らしを守る防災・減災を実現にということで、そうした本部を立ち上げました。

 これは、分野別の取組を横串を刺しながら、国民の皆さんの視点に立った抜本的、総合的な対策を、これもことし夏ごろまでに取りまとめて、防災・減災が主流となる安全、安心な社会をつくろうとして、相当力を入れて、大臣プロジェクトとして立ち上げたところでございますので、せっかくお金をかけていい報告ができたことが生きて、国民の皆さんに裨益ができるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

馬淵委員 ありがとうございます。

 重ねて申し上げますが、出水時期までの実施ということについて、しっかりとここは役所としてこれは実効ならしめるということに責任を持っていただきたいというふうに思います。

 続いて、コロナウイルスについてであります。

 これは影響についてであります。事細かくということではありませんが、数値をしっかりと国民の前にも明らかにしていただきたいなということでお尋ねをしたいと思います。

 二月二十七日の衆議院の予算委員会で、これは他党の委員の質問でありましたが、直近の出入国を含めた状況というのを確認したところ、直近一週間における中国本土からの新規入国者数は一日当たり千人を下回る程度まで減少しているとの答弁がありました。

 これは、法務省、きょうお呼びしていますが、直近一週間及び二月の中国人及び外国人全体の入国状況の概数はどうなっているか、二月の数については前年との比較でどうなっているか、これはもう端的に、数字だけで結構ですからお答えいただけますか。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは直近一週間の新規入国者数についてでございますが、直近一週間、これは二月二十七日から三月四日まででございますが、この期間における外国人全体の新規入国者数は、概数で一日当たり一万人を超える程度となっております。また、同期間における中国人の新規入国者数は、概数で一日当たり五百人を下回る程度となっております。

 また、昨年二月と本年二月の外国人全体と中国人の新規入国者数の比較ということでございますが、まず、昨年二月における外国人全体の新規入国者数は二百三十六万九千五百九人であり、一日当たり約八万五千人でございましたが、本年二月の外国人全体の新規入国者数は概数で百万人を下回る程度まで減少しておりまして、一日当たりにしますと三万五千人を下回る程度でございます。

 また、昨年二月における中国人の新規入国者数は五十六万七千三百六十九人で、一日当たり約二万人でございましたが、本年二月の中国人の新規入国者数は概数で六万人を下回る程度まで減少しておりまして、一日当たりにしますと一日当たり二千人程度まで減少しております。

 以上でございます。

馬淵委員 数字を確認をさせていただきました。もう大変な、インバウンドにとっての深刻な事態が生じていると言わざるを得ません。

 この数字をもってどうこうではありませんが、こうした状況があるということを踏まえて、もう時間が余りありませんので、ちょっと次に行きたいと思いますが、ぜひ、赤羽大臣、観光政策も所管をされているわけであります、このインバウンドについて、至急な、喫緊の対策が必要だというふうに思っております。

 お手元に資料をお配りをしましたが、大和総研の資料でありますが、大和総研が三カ月程度で終息するのではないかと見た場合に、中国人の旅行者は百五十万人ぐらいがマイナスになって、中国人以外も百五十万人マイナスということで、三百万人マイナスになるのではないか。一年程度延びたとすると、六百万、六百万の一千二百万ということで、大変な経済的損失が発生しかねないということであります。

 ここは、ぜひ国交省としても、推移を見守るなどという甘い言葉ではなくて、シナリオ、ケースを想定しながら、しっかりと御準備をいただきたい、また、そういったことについて国土交通委員会の中でもたださせていただきたいというふうに思っております。

 時間が余りありませんので、ちょっとはしょって恐縮ですが、羽田の新ルートについて質問させていただきます。

 先ほど福田委員からもございましたが、私どもの同僚議員の松原議員からも分科会での質疑がございました。

 羽田空港の新ルートということでありますが、この新ルート、羽田についてのさらなる離発着の強化ということで、これはオリパラを想定しての強化ということで、大臣所信にもございました。

 そこで、今回、こうした中で、短目に、端的にお願いしたいんですが、大臣からお答えいただきたいんですけれども、かつては、オープンスカイも含めて、成田、羽田、そして茨城といった首都圏の空港、これを一体として運用していくんだという意思を持って我々は進めてまいりました。

 これについて、この羽田の新ルートで国際線を強化していくということにつながっていくとなれば、この位置づけが変わってしまうのかどうか、これについて、大臣、端的にお答えいただければと思います。

赤羽国務大臣 もともと、羽田空港は国内線の基幹空港、また、成田空港は国際線の基幹空港として位置づけておりまして、それは変わりません。

 確かに、御懸念は、成田から羽田へのシフトが一定程度生じているのも事実でありますが、他方で、成田が旅客数も就航便数も就航都市数もこの十年間ふえておりまして、将来、十年後の六千万人となると、両方のパイをふやしていくということはもう必須だと思っておりますので、そうした原則は変えずに取り組んでいきたいと思っております。

馬淵委員 済みません、もう時間が参りましたが、一点だけお尋ねをしたいと思います。

 先ほど、福田委員からも横田基地の空域の話がありました。空域の削減の話を大臣は答弁されましたが、実は、今回、私は画期的なことがあったと思っています。

 それは何かというと、この新ルートの設定のために、米軍との協定によって、一部空域を通過する際は例外的に米軍の管制下に置かれないということが今回決まっている。これは横田基地としては史上初めてだというふうに私は聞いておりますが、このような例外規定を米軍が初めて認めたわけです。

 これがなぜ重要かというと、これは削減ではなくて、出たり入ったりのところの管制のその煩雑さを避けるためにということで米軍も認めた。

 今後、首都圏の中で空域を削減するというのはなかなか大変だと思うんですが、今申し上げたようなことが可能になったということであれば、今後も、ルートを十分にこれもまた広げていくことが可能になるかもしれないということがあります。

 大臣、これが一つのきっかけとなるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

土井委員長 赤羽大臣、簡潔にお願いします。

赤羽国務大臣 今回の措置は事実なんですが、まあ、余り過大評価をしていただかなくていいのかな、こう思っております。

 いずれにしても、先ほど答弁したとおり、関係省庁と連携の上、しっかりと一歩一歩進めていきたいと思います。

馬淵委員 ありがとうございました。終わります。

土井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

土井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。谷田川元君。

谷田川委員 野党共同会派、立国社の谷田川元です。

 きょうは、国民の最大の関心であるコロナウイルス問題について質問いたしますが、その前に、おとついの大臣所信に関して一つ申し上げたいと思っております。

 この間の大臣所信は、大臣みずからの言葉で、現場第一主義を信条としてきた、特に阪神・淡路大震災を経験されてと、非常に心に響くものがありました。ただ、一つ残念なのが、羽田空港のことについては言及があったんですが、成田空港について何もなかったんですよ。

 特に、成田空港は、この一月三十一日に機能強化案が、大臣の承認がされているんですよ。これは大体五千億円ですよ、事業費。非常に大事な点なので、ぜひ大臣、大臣の成田空港の機能強化に向けた決意をお聞かせいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 成田空港に言及されていないという御指摘は全く当たっておりません。

 よく見ていただければいいんですけれども、首都圏空港の機能強化という中に、先ほど馬淵議員の質問の中にもありましたが、首都圏空港というのは成田空港、羽田空港、茨城空港だというふうな御指摘もあったとおりであります。私はその思いで使っておりますし、加えて、今委員御自身が言われたように、B滑走路の延伸やC滑走路の新設について許可を出したわけでありまして、成田空港を重視していなければこうした措置はやっていないわけでありますので、それはちょっと大きな誤解だというふうにあえて申し上げさせていただきます。

谷田川委員 誤解であれば結構です。やはり、羽田空港と名指しされているにもかかわらず、成田のナの字もないんですよ。ぜひそれは、大臣、配慮いただきたいと思います。

 それでは、コロナウイルス対策について質問したいんですが。

 私、結構地元の方々と話す中で、今一番政府に対して不満なのが、どうして中国からの入国制限をもっと早くやらないんだ、それに尽きるんですよ。それと、もう一点は、クルーズ船への対応ですね。陰性になった方をおろして、そして公共交通機関を利用して帰宅させてしまった。その後、そのまま無事であればいいんだけれども、何と六名の方が陽性になってしまったんですよ。ですから、これは余りにもおかしいんじゃないか。この二つが、私、地元でいろいろな方と話した中で、皆さん、そのことを多くの方が指摘しているので、このことを触れていきたいと思うんです。

 それでは、まず資料一を見ていただきたいと思うんです。

 きのうですか、安倍総理が、中国、韓国からの入国を制限する、思い切ったことをおっしゃいましたけれども、もっと早くにやっていただきたかったなというのが率直な私の思いなんです。

 お手元は、韓国からずっとありますけれども、ちょっとアメリカの。一月三十一日に大統領発令がされて、当時の現地時間ですかね、アメリカの。それで、二月二日現地時間午後五時に発効ということで、アメリカはもうその段階で既に中国からの全ての外国人の入国を禁止しているんですね。

 それで、私は、この事実を考えますと、日本も早期に中国本土からの入国を拒否すべきだったと考えますが、政府の見解を伺います。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 政府におきましては、これまで、新型コロナウイルス感染症が蔓延している中国の地域から来訪する外国人や、感染症が発生しているおそれのある旅客船に乗船する外国人について、当該地域や旅客船を政府対策本部において報告して公表しているところです。

 法務省は、これを踏まえまして、入管法五条一項十四号に基づき迅速に上陸拒否の措置を講じることとしておりまして、これまでに、中国湖北省及び浙江省、韓国大邱広域市及び慶尚北道清道郡を対象地域として、これらの地域に滞在歴のある外国人等について、特段の事情がない限り、入管法五条一項十四号に基づき上陸拒否をしてきました。

 さらに、昨日の政府対策本部における報告、公表を踏まえ、今回新たに、韓国慶尚北道の一部並びにイラン・コム州、テヘラン州及びギーラーン州に滞在歴のある外国人についても、特段の事情がない限り、あす午前零時から上陸拒否することとしております。

 そして、この措置が遅いのではないのかという御指摘でございますが、二月一日から政府は湖北省に滞在歴等がある外国人について上陸拒否をしているところでございますが、これは、中国における新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、日本時間一月三十一日未明に、世界保健機構、WHOが、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言したことや、無症状であっても検査の結果ウイルスへの感染が確認されている者がいる状況に鑑みまして、一月三十一日中に閣議了解を経まして、その翌日、二月一日から、湖北省に滞在歴等がある外国人等につきまして上陸拒否する対応を開始したところでございます。

 政府としましては、引き続き、的確に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえて対応してまいりたいと考えておるところでございます。

谷田川委員 一月二十四日に中国政府から通知が出されまして、一月二十七日から中国人の団体旅行等が禁止されたということなんですよ。

 国土交通大臣、この情報を大臣はいつ耳にされましたか。

赤羽国務大臣 同日中に観光庁より報告を受けました。

谷田川委員 そうすると、一月二十四日に報告を受けたということだと思うんですが、中国政府が中国人の団体旅行を規制するということは、相当、中国政府もかなり警戒しているということだと思うんですよ。

 そう考えますと、中国政府のこの対応ぶりを見て、やはり大臣も、危機感を抱いて、日本も中国からの入国禁止をとるべきじゃないかということを思われませんでしたでしょうか。

赤羽国務大臣 その時点では中国からの個人旅行はフリーでありましたということもあったということです。

 加えて、この入国に関する措置については、国土交通大臣として答える立場にはございません。

 ただ、観光を所管している大臣としては、この一月二十七日の中国政府の対応に対しましては、相当インバウンドに影響があるなということは心配をしました。

谷田川委員 確かに、国土交通大臣というのは観光も所管しますので、やはり中国からの入国規制をするということは観光に打撃があります。だけれども、長い目で見れば、水際対策を完璧にしないといけないということを大臣も所信でおっしゃっていましたけれども、やはりそのことをこの際は一番重要視すべきだと私は思うんです。

 それで、一応、二月一日から、十四日以内に湖北省における滞在歴がある外国人の入国を拒否する決定がなされましたが、この決定の前に、赤羽大臣は、この件でしっかり意見を述べる機会が閣議等でございましたでしょうか。

赤羽国務大臣 この一月三十一日の閣議了解に先立ちまして、第二回の新型コロナウイルス感染症対策本部が開催をされましたが、入国に関することでございましたこともあり、私からは発言はしておりません。

谷田川委員 確かに、入国にかかわることは第一義的には法務省であると私も理解します。しかし、これは国家的な危機なので、政府対策本部も、全ての閣僚がメンバーで、その会議に臨んでいるわけですよね。ですから、ぜひやはり、それぞれ大臣が、自分の所掌とはかかわらず、これはこうすべきじゃないかという議論があってしかるべきだと私は思っておるんです。

 せんだっても、衆議院の予算委員会で我が会派の枝野立憲民主党代表が、総理が会議に出て十分か十五分ぐらいで終わっている、そういうことを指摘したら、総理が反論していただきまして、いろいろな会議をやっている、こういうふうにおっしゃっていましたね。私のもと、いわば総理室で行っております、ここには、厚労大臣、あるいは場合によっては、当初、外務大臣も出席することがありましたが、各省の次官がここには出席しております、事実上、ここで相当な議論を行いますとの答弁がありました。

 また、官房長官からも、厚生労働事務次官をヘッドとして、総務省や文科省、関係省庁の次官、そこに専任として局長を一人ずつ出して、そこで全体の取りまとめを行っているとの答弁がありました。しかし、残念ながら、この会議の模様については、議事要旨だとか議事録とかは一切公開されていません。

 ただ、こうした会議については、私は記録を残すべきと思うんですよ。

 せんだっての参議院予算委員会でも我が会派の蓮舫議員も指摘しましたが、公文書管理法に基づいた行政文書の管理に関するガイドラインというのがあるんです。そこには、歴史的緊急事態に対応する会議等における記録作成の確保が規定されております。すなわち、歴史的緊急事態とは、「国家・社会として記録を共有すべき歴史的に重要な政策事項であって、社会的な影響が大きく政府全体として対応し、その教訓が将来に生かされるようなもののうち、国民の生命、身体、財産に大規模かつ重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急事態」、こう定義しているんですね。

 先日の蓮舫議員に対する北村担当大臣の答弁は、蓮舫さんが、このコロナウイルスの問題は緊急事態に当たるんじゃないか、東日本大震災に匹敵するものじゃないかということで、北村担当大臣に歴史的緊急事態に当たらないかと質問したんですが、大臣の答弁は、現時点で該当しないと判断しているわけではないと。非常にわかりにくい答弁だったんですけれども、裏を返せば、将来的に歴史的緊急事態になり得るということを認めたと私は受けとめています。

 そこで、私はこういった会議について記録を残すべきと考えますけれども、公文書管理担当の内閣府の見解を伺います。

渡邉(清)政府参考人 個別の会議に関しまして、どのように文書を作成、保存するかにつきましては、所管業務に知見があり、また責任を負う各府省の各部局におきまして、公文書管理法やその施行令及びガイドラインに基づいて適切に行っていただくというのが基本であると考えております。

 その上で、公文書管理法は、国、その他の諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務を全うすること、これを第一条、目的の規定に掲げており、この目的の達成に資するため、意思決定に至る過程並びに事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、検証できるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き文書を作成するという文書主義を掲げております。

 また、先ほど述べたガイドラインにおきましても、こうした跡づけ、検証に必要となる行政文書につきましては、原則として一年以上の保存ということで定めております。

 これらの規定類を踏まえまして、適切に御判断いただけるものと考えております。

谷田川委員 それじゃ、今の答弁を踏まえて、先ほど私が指摘しました安倍総理、菅長官が言及した会議について、しっかりと記録を残すべきと思いますが、それぞれの会議を所管する内閣官房と厚労省に見解を伺います。

安居政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス対策については、国内外の状況が時々刻々と変化する中で、まずは感染拡大の防止に全力で取り組んでいるところであり、現時点においては、御指摘の連絡会議の記録についてはまだ作成に至っておりません。

 今後、事態への対処を進めていく中で、内閣官房において適切に作成してまいりたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、国内外の状況が時々刻々と変化している中で、まずは感染拡大の防止に全力で取り組んできているところでございます。

 現時点につきましては、幾つかの会議の記録というのはまだ作成に至っておりませんが、今後、事態への対処を進めていく中で適正に作成してまいりたいと考えております。

谷田川委員 お二人の答弁はほぼ同じような内容だったと思うんですが、一つだけ確認させてください。

 しっかりメモは残っていますね。メモは捨てていませんね。御答弁願います。

安居政府参考人 お答え申し上げます。

 私自身は、参加しておるとき、おらないときございますけれども、各省庁にこれから議事作成に向けて協力を要請する予定でございます。

谷田川委員 会議に出た人は必ずメモをとっているはずですよ。メモがないとそれから作成できないじゃないですか。だから、私は、メモは残っていますね、メモをとっていますねということを確認して、メモをとったやつは捨てていませんねということを今聞いたんですよ。端的に答えてください。

安居政府参考人 お答え申し上げます。

 走り書きのようなメモは、捜せばあるのではないかと思います。

谷田川委員 捜せばあるなんて言わないで、堂々と、メモはありますというぐらい言ってくださいよ。そんな答弁をするから国民から不信を招くんですよ。そう思いませんか。

 メモをとらないと議事録をつくりようがないじゃないですか。ごく常識に考えてくださいよ。いかがですか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 例えば新型コロナウイルス感染症対策専門家会議、こうしたものの記録あるいは議事録というものは残しておるところでございます。

谷田川委員 いや、私が聞いているのは、衆議院予算委員会で枝野代表が指摘して、それに対して菅官房長官が、厚労省の事務次官をヘッドにした会議をやっていますと。その答弁に対して、その会議の記録はしっかりメモをとっていますねと聞いているんですよ。いかがですか。

安居政府参考人 お答え申し上げます。

 これから各省庁に照会をかけますので、記憶をたどっていただいてメモをいただくか、参加された方がメモが残っているのであれば、それをいただくという形になると思います。

谷田川委員 ちょっと確認しますね。

 先ほど私が、衆議院予算委員会で枝野代表の指摘に対して安倍総理と菅長官が言った会議は別々だと私は聞いています。その会議は議事要旨とか公開されていませんよね。公開されていないと私は思っていますので、ちょっと改めて確認させてください。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の会議とは、新型コロナウイルス感染症対策に関する連携調整チームというふうに承っておりますが、その会議の記録については、現在はまだ作成はしておりません。

 ただ、これは、先ほど申し上げたとおり、事態への対処を進めていく中で適正に作成してまいりたいと考えております。(谷田川委員「いや、メモをとっているかということを。とっているでしょう」と呼ぶ)もちろん、メモあるいは資料などは残っています。

谷田川委員 端的に答えてくださいよ。隠そう隠そうと思わないでくださいよ。簡単に言えるじゃないですか、メモをとっていましたと。堂々と言ってくださいよ。(発言する者あり)そういうふうに聞こえますよ。

 大臣、国交省は、対策本部での大臣の発言、私全て拝見しました、すごくよくまとまって、国交相の号令一下、ちゃんと浸透しているなと、あの文書を読んだだけで私非常によくわかりました。

 ただ、その決定に至るまでの決定過程ですか、恐らくいろいろな会議をやっていると思うんですよ。そういった会議のメモというのもぜひ残しておいてもらって。やはり将来の検証に私は必要だと思うんですよ。こういったコロナウイルス問題というのは東日本大震災に匹敵するような重大事故だと私は思っていますので、ぜひ国交省のそういった会議の文書も、記録をしっかり残すべきと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 見ていただいて感謝していますが、私ども、政府で対策本部をやるたびに、基本的には国土交通省、まあほかの省も一緒だと思いますが、それぞれ対策本部を開いておりまして、それについての私の発言とか議論されたこと、また決定されたことは文書として残し、ホームページで公開しております。それはちゃんとやっている。

 それ以前の各局の打合せとか、そういうことまで議事録に残すということが、何というか、私はちょっと、なじむのかどうかというのは議論があるところじゃないかと思います。そこでさまざまな議論があって、そして、各局からの報告が上がったのは全部残るわけですから。

 私は、対策本部での議事録とか今のスタイルで、私の責任で、あのホームページを見て、あれ以外のものが別に語られたというようなことはありませんし、今言われたように、今回の一連の中で、政府の中で国土交通省がとった対策についてどうだったかというのは十分検証できるものだというふうに思います。

谷田川委員 私は、大臣はすばらしい考えのもと実行されていると思います。大臣には敬意を表したいと思うんですが、残念ながら、政府全体で、誰が決めたかわからないんですよ。

 例えば、この間の小学校、中学校、高校の一斉休校の問題だとか、結果的には、あれは、議論を聞くと、安倍総理の一存で最終的に決めたと。その間に、いろいろな人の意見を聞いて、最終的にこういうデータ、エビデンスに基づいて決めました、そういうのがわからないんですよ。だから、それが本当に正しかったかどうかを後々検証するためにも、しっかりそういった政策決定過程での会議の議事録というのはとっておくのが、まさに公文書管理法に基づく歴史的緊急事態といいますか、そういうことだと思うんですよ。

 文書管理法というのは、福田内閣のときに、福田総理の肝いりで、公文書というのは国民共有の知的資源、こう位置づけられたわけですよね。ぜひその観点で、まあ国交省はそんなに心配していませんけれども、他の省庁にもぜひそうすべきだと、大臣、働きかけていただきたいと私は思っていますが、いかがでしょうか。(発言する者あり)結構です、答弁は結構ですけれども、私は、大臣、国交省が一生懸命やれば、他の省庁も、国交省はそこまで一生懸命やっていると思って、ついていっていただきたいということを強く要望したいと思います。

 それで、もう時間がないので、ひとつ資料二を見ていただきたいんですけれども、これは、クルーズ船の陰性反応が出た人を公共交通機関を使って帰すことをしてしまいました。ところが、その後、六人の方が陽性反応が出ちゃったんですよ。これは、本当に申しわけないけれども、政府の失態だと私は言わざるを得ません。

 それで、時系列をちょっと見ていただきたいんですが、二月十一日に、何と、厚労省の検疫官がクルーズ船内で業務をして新型コロナウイルスに感染しちゃったんですよ。どうも、その直後に、安倍総理の発言によると、安倍総理は二月十六日の時点で、順次下船してもらう、もうそのまま公共交通機関を使って帰って構わないという決断をされているように類推されます。しかし、その後、二月十七日にまた厚労省の職員が感染しちゃったんですよ。そして、二月十八日、アメリカの疾病対策センターが、アメリカ人を更に十四日間隔離することを発表したんです。

 この事実を考えますと、赤羽大臣、やはり、クルーズ船、確かに十四日間とめ置かれたので、その人をまた別のところに隔離するというのは難しい判断かもしれないけれども、しかし、最低でも、公共交通機関を所管する赤羽大臣として、この経緯を踏まえれば、公共交通機関を利用するのはやめてもらいたい、そう主張すべきではなかったでしょうか。いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 ダイヤモンド・プリンセス号の中に対する対処につきましては、これはもうまさに検疫そのものですから、疫学の立場の上で、専門家である厚労省の専門官の立場で全てを決めたものです。専門家ではない我々が、公共交通機関を所管しているとはいえ、我々の立場は、そうした検疫法にのっとって、そうした決定に従って、そういう、できるお手伝いをするということですから、公共交通機関で、検査で二回やって陰性の方たちだから下船させて、多分、想像ですと、船内の部屋に隔離しておくことというのは、感染とは別の、大変つらいところの、そうしたこと、御高齢の方も多いということから、下船させようという判断が多分あったんだと想像します。

 そのことについて、あの時点で疫学上問題がないと。私は、そのときに、後に陰性が陽性にまた転じるというようなことが知見として恐らくなかったんだと思います、初めてのことなので。それはちょっと私わかりませんけれども。

 いずれにしても、疫学上の専門家である立場の方の決定に対して、政府の一員として、公共交通機関で移送することということで、これは結構大変だったんですけれども、バス事業者を段取りしたりとか。それは我々の仕事ですから、ちゃんとやったということなんです。

 私は、そこで、公共交通機関としてお手伝いできませんと言うことは、国土交通大臣の立場として、そうしたことはやはり、当然政府の一員ですから、私としては言えなかったと思います。

谷田川委員 いや、公共交通機関じゃなくて、九百何人の方がどういうところに住んでいるか私はわからないけれども、例えば、公共交通機関をできるだけ利用しないで、家族の方とか親族の方が迎えに来てくださいとか、あるいは方面が同じだったらバスをチャーターしてやるとか。

 だから、少なくとも、一般国民が利用するバスとか鉄道を利用したら、感染のリスクが高まるじゃないですか。だから、公共交通機関をできるだけ使わないで帰ってもらいたいと。実際、今、そういった下船した方々に、健康チェックカードで、公共交通機関を自粛願いますと書いてあるじゃないですか。

 ですから、大臣、それは、大臣としては、やはりそういう意見を言うべきじゃなかったかと私は思うんですが、改めていかがでしょうか。

赤羽国務大臣 それは、例えばPCR検査が陽性だという方を公共交通機関に乗せるというような話であれば、委員のおっしゃるとおりであると思います。それは無理ですと。しかし、それは厚生労働省の専門の方が、疫学上、二度検査をして、大丈夫だという判断のもとでの指示ですから、それは、その場では、できませんという判断はなかったということです。

谷田川委員 これ以上大臣には言いませんが、私の方からちょっと要望として思うのは、やはり、政府の対策会議というのは全閣僚が出席しているわけで、そこでいろいろな意見をぶつけて、それで、いろいろなエビデンスに基づいて最終的に決定するならわかるんですけれども、今、何か安倍総理が、周りの人だけで勝手に決めて、これをやれ、そういう印象を国民は持っているんですよ。だから、公共交通機関を所管する大臣としては、少なくとも公共交通機関を使って帰すのは自粛してほしい、やめてほしいと私言うべきだと思うんです。

 なぜそう言うかというと、CDCが、十四日間隔離することを言っているわけですよ。アメリカだけじゃないんです。オーストラリアだとかほかの外国も、チャーター機で迎えに来て、その後本国に行って、十四日間隔離しているんですよ。それはもう大臣だって御存じのはずだと思うんだけれども。

 だから、私は、そこで大臣がリーダーシップを発揮して、公共交通機関を利用するのは避けてもらいたい、そう言ってほしかったなと思います。まあ、いいです、これはもう。これ以上言うと、かみ合いませんので。

 最後に、大臣、十月三十日の私の国土交通委員会の質問で、本当にありがとうございました。私が、利根川の銚子地先が、まだ堤防がないところから洪水が起きて床上、床下浸水が起きた、早いところ築堤すべきじゃないかという質問をしましたら、早速六億二千五百万円余りの予算をつけていただきまして、厚く御礼申し上げます。

 そこで、その工事の今後の進捗状況について、簡単で結構ですから、お答えいただければと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、利根川河口部の銚子市市内における事業でございます。

 令和元年度の災害対策推進費と補正予算を活用して、河床掘削、堤防整備を加速しているところでございます。

 災害推進費で実施する一キロの堤防整備は、三月中に工事契約をして、十一月末の完成を目指しているところでございます。

谷田川委員 いろいろありがとうございました。

 公文書については、赤羽大臣が公文書担当大臣になられればよかったなということを思いをいたしました。

 いずれにしましても、コロナウイルス対策、国民が一番心配していることでございますので、政府の皆さんの万全の体制を強く要望しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立国社共同会派の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、コロナウイルスの関連含め質問させていただきたいと思います。

 現在、感染者がふえている、広まっている、そんな中において、まずもって、緊張感のある現場で御対応いただいている各職員含め関係者の皆さんにも敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 私も、二〇〇二年から二〇〇三年のSARSが起きたときに、ちょうど中国の北京大学に留学をしておりました。現地で現在同様のことを経験をさせていただいた一人であります。

 身近な方がお亡くなりになったりしても、SARSが原因だということは発表は全くされずに、その当時も中国の初期対応というものに対して、情報発信がされない、あるいは、初期の大事な期間、国として安全宣言を当時出されていて、私自身も、留学している一人として、SARSを理由に一時帰国をすることは許されないということを指示をいただいたのを今も記憶で覚えております。初期対応で情報を縮小したり隠蔽をしたり、あるいは感染者含め小さく見せようとすれば、後ほどやはり大きな損害になるということも、あわせて当時実感をしたところであります。

 日本の初期対応においても、そもそも、今まさに与野党で議論になっておりますけれども、新感染症に指定をなぜできなかったのかということも含めて、もしSARS同様に新感染症であれば、強制力を持って早期の停留や隔離や検査あるいは渡航拒否など幅広く対応ができたのではないかなという懸念も持っておりますし、また、緊急事態宣言含め、新型インフルエンザのいわゆる特措法の適用含めて、今まさに与野党で議論させていただいておりますが、こういったことも含めて、地方自治体への行動の、策定含め、アナウンスももっとスムーズに発信ができたのではないかということも思っておりますけれども。

 いずれにしても、当初のチャーター便で帰国をされた方で検査拒否をされた方が自宅に帰らざるを得なかったような事案とか、あるいは、クルーズ船内の対応、検査をせずに二十三人、結果として下船をされていたような結果も、あるいは、下船をされた方々においては、船内で検体をとったのは下船の一週間前という方も多々おりました。下船までの間の一週間で感染の可能性というものも否定はできない、そういう中においても、結果的に感染をされたという方も出てきている中において、その対応のことが、多くの方が懸念をしているところだと思います。

 多く、政府の職員の方々や検疫官あるいは医療関係者など、検査をせずに下船をして職場に復帰をされていたということも報道されておりますし、先ほど谷田川委員からもありましたように、厚労省では三名、そして同省の公用の運転手の方が一名、そして内閣府の職員で一名、検疫官で三名の感染者も出ている、そういう現状だと思います。

 今でも検疫官や医療関係者などは検査をしない方針というふうに思いますけれども、こうした一つ一つの対応、あるいは認識の甘さというんですかね、感染者をふやすことにつながりかねない、国民の皆さんが不安を増幅させるような結果になっている一つの要因ではないかな、そのように思っております。

 クルーズ船に乗船をされた政府職員以外の医療関係者の状況だけ見ても、二月の三日から三月の一日の約一カ月間で約六百九名の方が乗船をされて、その方々においては個別に検査を受けたかどうかもわからない、下船後にどのような健康状態になられているのかも個別に確認をしていないということでした。本当にこういうことでいいのかということも思いますけれども、国交省にも念のため、対応いただいていると思いますが、確認をさせていただきたいと思います。

 ダイヤモンド・プリンセス号へ国交省の職員も多く派遣をされていると思います。現場で対応された職員、並びに海上保安庁の方も陽性の方の移送等々も携わられたと聞いておりますので、全員検査を受けられたのかどうかということを念のためお伺いしたいと思います。

野村政府参考人 今般、ダイヤモンド・プリンセス号をめぐるオペレーションの中で、同船に実際に乗船した国土交通省職員は七名おります。

 この七名につきましては、二月二十五日にPCR検査を受け、そして、二月二十八日に全員陰性との結果報告を受けているところでございます。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 海上保安庁におきましては、二月五日に、厚生労働省からの要請により、それまでにPCR検査を受け陽性反応が確認された乗客十名、これを巡視艇により搬送いたしております。

 搬送に当たりました職員十名につきましては、検疫官の指示に従い、防護服を着用して十分な防護措置を講じた上で対応に当たったところでございます。

 また、これらの職員におきましては、二月十七日に厚生労働省から示されました、三十七・五度以上の発熱が四日間以上続くといったPCR検査の目安となる具体的な症状が搬送の二週間経過後も認められなかったことから、これまでにPCR検査を受けておりません。

 なお、これまでに搬送に当たりました職員に体調不良などを訴える者は発生してございません。

伊藤(俊)委員 体調を崩された方がいないということに関しては率直によかったと思いますけれども、船内に乗っていない方のもちろん対応を含め、職員の皆さんの健康状態を含め、しっかりとチェックをしていただきたいと思います。

 そしてまた、海上保安庁におかれましては、結果的に、二週間経過をして体調不良の方が出ていないということですけれども、まさに陽性の方を搬送されるという大事な任務をされたということですので、本来は検査を受けていただいた方がよかったのではないかな。そしてまた、専門的な方ですら今感染の事例がありますので、専門家で、しかも準備をしたからといっても、こういった対応に当たるときにはしっかりと、検査含め、御指示をしていただいた方がいいんだろう。これは意見にまたとどめさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、きょう多くのコロナの関係の質問が重なると思いますので、少し割愛をさせていただきながら質問させていただきたいと思います。

 一点、先ほど谷田川委員からも、クルーズ船を下船をされた方が隔離など制限なく公共交通機関を使って帰宅をされたということに言及されました。私も、この判断においては、結果的に感染者が出ているという現状も含め、そしてまた、下船をされた後、そこのエリアも含めてですが、今まで、宿泊施設だったりあるいは飲食店、いろいろな事業体で影響を受けていた方々も、一瞬、下船をされたときに来客がふえたりしたという現場の声も聞いております。そういうことを受け入れていいのかどうかも、民間の皆さんが物すごく不安を抱えながら対応したんだろうと思います。

 感染者が結果として出ていることを鑑みると、こういったことの一つ一つがやはり風評被害にもつながりますし、もし行政の方がもっと多くいらっしゃった場合には、どこにその方が寄られたかとかも含めて、事業者の方にとっても大きなデメリットにつながりますし、公共機関を使われるということの判断は、先ほど大臣も答弁で、検疫官、専門的な知見であった、あるいは、陽性の方なら公共機関を使わなかった等々の答弁ありましたけれども、結果的に見れば、もう少しこういう対応を変える方法があったのではないかと個人的に思います。

 これは結果的な話ですので、重なりますが、簡単でも大臣に答弁を一言いただければと思います。

赤羽国務大臣 国土交通省が公共交通事業者にお願いをしてオペレーションをしたというのは先ほど答弁したとおりでございます。

 ただ、こうした前例のない事態を経験して、おさまった後に、必ず、この一連のオペレーションがどうであったかという総括はなされるべきだというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 一つ一つ専門家の意見があったとしても、最終的な判断は大臣だと思います。交通機関を使うか使わないか含めて、大臣が意見を言える立場でありますから、これはしっかりと、これはもう意見にとどめさせていただきますが、こういう一つ一つの判断で、恐らく見えない風評を含めて、影響を受ける方が出てくる可能性がありますから、ぜひ、その対応を含め、重く受けとめていただきたいなと思っております。

 観光業、製造業を含め、あらゆる業種で経済的な影響ははかり知れないと思います。これにおいても多くの皆さんから質問がありました。個別の質問は割愛させていただきたいと思いますが。

 SARSのときには、約八カ月間、終息までかかりました。当時のSARSのときと比べれば、皆さん御存じの、承知のとおりですが、インバウンドの数は全く違いますし、中国人の方の占める割合も三〇%を超えている、あるいは、世界経済における中国の規模も約一六パー、一七パーと言われて多くを占めている、中国の製造のラインがとまれば多くの部品供給ができないような職種も出てくるし、製造業も大きな影響を受ける。

 こういう実情の中で、本当にリーマン・ショックのとき以上に支援をしなきゃいけないんだろうと思いますし、経済への影響もその状況に匹敵するということは懸念をしなきゃいけないと思いますが、それに重ねて、今、GDP年率六・三%減という厳しい現状、そして消費増税の影響、複数に要因が重なること、あらゆる業種であと何カ月もつのかと、本当にそういう思いで支援を待たれている方もたくさんいらっしゃると思います。

 個別の案件というよりは、一大臣として、政府含めて、その支援の輪をより拡充していただくよう求めていただきたいと思いますが、一言答弁をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 今般のコロナウイルスの拡大につきましては、ちょっと済みません、私の記憶が定かではありませんが、SARSのときは現実には国内で感染された方はたしかなかったと思いますので、そうした意味で、SARSの方が致死率とか、私の記憶ではちょっと激しかったのではないかと思いますが、国内の感染度という意味では今のコロナウイルスの方が現実的には感染が広がっているということで。そしてまた、加えて、地域的にも、どこかに偏在をしているわけじゃなくて、全国各地でその危険性があるということで、経済がすごくシュリンクをしている、観光関連も一番厳しくその影響を受けているというふうに思っております。

 旅館とかホテルだけではなくて、先ほど申し上げましたが、貸切りバスですとかフェリーですとか、またタクシー等々の事業者についても、現実には、これまでも厳しかったんだけれども、今回の案件が決定打となって倒産をされてしまった方ですとか、商売をしてもお客さんが来ないので実質的には休業した方がまだ損は最小化できるというような、そうしたやむにやまれぬ対応をされている方も少なくないというのは、手前どもの全国の運輸局の相談窓口とかを通して掌握をしているつもりでございます。

 これが長引けば長引くほど事は深刻になるので、一番のことは、政府の水際対策も相当厳しいことを先ほど決定をしたわけでありますので、とにかく感染を封じ込むというのを、これが最大の支援策と決めて、政府の一員としてやらなければいけない。

 雇用をどうするかとか資金繰りをどうするのかという目の前のことは、先ほど御答弁をさせていただきましたように、中小企業庁のセーフティーネット貸付けですとか保証で随分枠も出ていますので、それを漏れなく使っていただく。

 また、雇用調整助成金も相当緩和をしてもらっておりますので、更に使いやすいことを政府の中でも求めてまいりますが、それを使えば潰れなくて済んだのにということがないようにしっかりとやっていく。

 そして、観光事業につきましては、今回、自然災害でどこかの地方がすごくやられているというようなことはありませんので、日本の観光のファンダメンタルというのは基本的には変わっていないと思いますので、この感染状況が落ちついたら反転攻勢に出られるように、観光業者の皆さんが喜ばれるような、また意味のあるような支援策が講じられるように、今から観光庁また関連の航空局、鉄道局等々にも指示を出しておりますが、意味のある対策が一気呵成にできるように、しっかりと取り組む準備をしておきたい、こう思っております。

伊藤(俊)委員 ぜひ強い要請を求めたいと思います。

 経済的なのはもう各分野に広がっておりますけれども、私も、国政に来るまでは十四年間、会社経営をやっていた経験もありました。二〇一二年のときには、日中関係が一番厳しいときに、国際物流の関係の仕事をやっておりましたけれども、中国の工場がとまったりとか、政治的な要因で打撃を受けたときに、一年間物流がほとんど動かないような中で、資金繰りをどうするかとか、そういうことを多岐に経験をしましたし、それ以上に、このコロナにおいては全業種にかかわるような大変な打撃だと思いますので、午前中も金利の問題等々もありました、質問していただいた委員もいましたけれども、この期に及んで、事業者によっては三%とか四%になるような、支援といってもそんな利率で本当にいいのかということも、対象者からしたらとにかく支援してもらいたいという思いが強いと思いますので、ぜひ強く要請をさせていただきたいと思います。

 続きまして、タクシー、バスの運転手の方々のリスクの対策、支援においてお聞きをしたいと思いますが、私もバスやタクシーのユーザー、もう毎日のように使わせていただいております。乗るたびに、運転手の方々からは、もう本当に厳しい状態だと。体調が悪い方々を病院に運ぶということも多々任務としてありますし、そしてまた、明らかに体調が悪い方においても乗車を断ることはできないという中において、どういう判断をすればいいのかなと、運転手の方を含め毎日葛藤しているんだろうと思います。

 恐らく、事業者においては、マスクの着用あるいはアルコールの消毒、あるいは始業、終業の体温チェックだったりとか、さまざまなことをやっていただいていると思います。あるいは、窓の換気においても、これは国交省の方から業界の方に、乗客がおりた後は窓をあけて換気をするということも通知をしていただいたということを聞いております。改めて、業界において、健康管理、運転手の対策をまた皆さんにも考えていただきたいと思います。

 また、一点、タクシー業界にマスクを一万二千枚送られたということが報道になりました。東京都からは同時期に、バス、タクシーの業者三団体にマスク十五万枚を提供したと言われています。タクシーの運転手は全国で二十八万千五百七十人と言われる中で、国が一万二千枚という数字をどう考えればいいのかと率直に思いまして、国の支援としてこれしかできないのかという思いでした。

 一言、答弁いただきたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 バス、タクシーの運転手は、不特定多数の乗客と近距離で接することから、国内におけます感染の拡大を食いとめるためには、従業員一人一人がマスク着用の感染予防対策に取り組むことが重要です。

 皆さん御承知のとおり、マスクは現在品薄の状況でございます。タクシーやバスの事業者の方からは、マスクの確保は喫緊の課題だ、急いでくれという話がありましたので、二月十四日から、厚生労働省、経済産業省と私どもで会議を持ちまして、マスクについての調達を議論してきたところでございます。

 それを受けまして、日本衛生材料工業連合会から一万二千枚のマスクをタクシー事業者に提供していただいたということでございます。

 これで終わりではございません。経産省からは、今月には東南アジアの縫製工場においてガーゼマスクを増産している、それが日本に入ってくるというふうに聞いております。

 私どもは、厚生労働省、経産省との会議をまだ続けておりますので、引き続き、公共事業、非常に重要な業務を担っていただいているバス、タクシーの運転手の皆さんにマスクが行き渡るようにしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 ぜひさらなる支援をしていただきたいと思いますが、マスク一万二千枚と聞くと本当に国の支援として大丈夫かと端的に思ってしまいます。

 インフルエンザ対策等々で備蓄をしているマスクも活用すべきじゃないかということも野党から求めておりました。今まさに、内閣官房だと思いますが、取りまとめていただいて、使う方向で今もう進んでいるんだろうと思いますけれども、国が約七百四十三万枚の備蓄、そして、内訳でいうと国交省も約五十万枚備蓄をしている。

 当然、国交省においては、海上保安庁を含め、必要な部分が大きいのではないかなということも理解をした上で、今、現場、医療機関を含め、マスクが不足をし、そしてマスクなしで対応しているような過酷な話も、異常な話も聞かれる中で、あるものを速やかに活用すべきだとこれは誰もが思うと思いますが、国交省の備蓄分、この五十万枚、これは新型コロナ関連でどのように活用されるのか、されているのか、お聞きしたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 三月四日の参議院予算委員会理事会に、各府省庁におけるマスクの保有枚数が報告されておりますけれども、その中で、国土交通省におけるマスクの保有枚数につきましては、三月二日の照会時点における各部署からの回答に基づいて、御指摘のとおり四十九万三千四百枚と報告をしております。

 これらは主に、今もお話ございましたけれども、現場業務に従事する職員、例えば、閉鎖空間である船舶に乗船をして領海の警備、外国船舶への立入検査等の現場の海上保安業務に従事する海上保安官、あるいは、管制塔等の閉鎖空間において二十四時間の交代制勤務で航空管制業務に従事する航空管制官、さらには、自動車の検査、登録の手続を受けるために来訪する不特定多数の方を相手にして窓口業務に従事する地方運輸局職員などが日々使用するものとして保有しているものではあります。

 この活用ということでございますけれども、現在、政府全体として各府省庁におけるマスクの配付可能数等を調査しているところであり、国交省としてもその中で精査を進めております。

 国土交通省といたしましては、必要な現場業務等については確実に行き渡るということを基本的な前提としながら、民間の皆様に最大限何枚配付可能となるか精査をしてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 速やかに、必要なところにぜひ使っていただきたい。対応、やはり判断も少し遅いのではないかなという懸念をいたします。よろしくお願いします。

 そして、クラスターになり得る施設などが今多く言われておりますが、やはり、私も東京ですけれども、満員電車というのは一つの懸念になっていると思います。時差通勤やテレワークなどの対策をやっても、なかなか、いまだに回避はできていない現状かなと思っております。

 私も、毎日電車で通って国会に来ておりましたので、過酷な状態で来ておりましたけれども、今一時的に車を活用させていただいて、満員電車を避けておりますけれども、サラリーマンの方はそう避けられるものではないと思います。

 その中で、時折、空調も車内で回っております。ウイルスにおいてはこの空調がいいのか悪いのかということは専門家の見地が必要かと思いますが、私は、ウイルスにおいては空調というのはよくないんじゃないかなと率直に思っています。そして、窓をあけるということに関しても、検討されて実行されているのかどうか。簡単に御答弁いただけたらありがたいんですが、満員電車における、窓をあけることを含めて、対応が今、そういうことを具体的にされているかどうか。

山上政府参考人 お答えを申し上げます。

 公共交通機関の換気につきましては、従来より議論されているところでございます。

 鉄道車両につきましては、一定の空調を、外気との換気を行っているというところでございまして、空調をしっかりやることにしておりますし、また、首都圏の鉄道なんかでは結構な頻度で乗降の際に扉が開きますので、その際にも換気の効果があらわれるというふうに言われております。

 いずれにいたしましても、換気の効果につきましては、厚労省とともに検討して、しかるべく対応してまいりたいと思っております。

伊藤(俊)委員 窓をあけるということにおいては答弁がありませんでしたけれども、今そういうことが検討されて、窓をあけることがいいか悪いかも含めて、満員電車に乗っていると、遅延をすればですけれども、過酷なあの中で、二十分、三十分遅延すればもう閉じ込めになるという状態も、日ごろの満員電車自体の改善も含め、国交省としても急務だと思いますので、改めて御検討いただきたいと思っております。

 時間が限られておりますが、次に、エネルギーのこと、省エネ住宅を含め、断熱性、断熱材を含め、一言お聞きをしたいと思います。

 日本の住宅の断熱性は、他国と比較して極めて低いと言われております。外国の方が日本で暮らすと、家が寒いとよく言われることがあります。最近では少しずつ緩和されてきていると思いますけれども、欧米先進国では、住宅の省エネ基準の適合義務が課せられております。

 昨年の常会においても、建築物省エネ法の改正において、省エネ基準への適合義務について、建築物については対象が拡大されたものの、住宅については義務づけが見送られております。

 住宅の断熱性能を含む省エネ基準への適合義務化を行うべきだと思いますが、その考えをお聞かせいただきたい。そしてまた、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略が策定をされております。住宅・建築物について、具体的な対応をお聞きしたいと思います。

眞鍋政府参考人 住宅・建築物の省エネルギー対策についての御質問をいただきました。お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたような、昨年五月に公布されました改正建築物省エネ法におきましては、住宅・建築物分野での実効性の高い総合的な対策といたしまして、中規模のオフィスビルなどの適合義務制度の対象への追加、戸建て住宅などの設計者から建築主への説明義務制度の創設、さらには、注文戸建て住宅や賃貸アパートを大量に供給する事業者を住宅トップランナー制度の対象に追加するなどの措置を講じたところでございます。

 今御指摘いただきましたような、住宅について、省エネ基準への適合義務化の対象にはいたしませんでしたが、これは、省エネ基準への適合率が住宅についてはまだ六割程度ということになっておりますので、適合義務制度の対象とした場合には市場の混乱を来すことが懸念される、あるいは、関連する事業者にまだ省エネ関連の技術について習熟していない方が多いというような課題があることから、一律の適合義務の対象にすることはいたしておりません。

 あとは、今お伝えいただいたようなパリ協定に基づく長期戦略に基づくさまざまな対策がございます。住宅・建築物分野については、カーボンニュートラルな暮らしへの転換ということで幾つかの対策が打ち出されておりますけれども、新築や既存住宅のリフォームなど多岐にわたる対策を進める上で、関係省庁と連携しながら、建築物省エネ法による規制措置とあわせまして、補助、税制、融資などの支援策を総合的に講じる、これによってこの目標を達成してまいりたい、このように考えてございます。

伊藤(俊)委員 ぜひ、エネルギーの観点からも、あるいは地球温暖化、環境の観点からも、この分野をもっと積極的にしていただきたいと思います。

 質問が全部はいかなかったので、次回また質問させていただきたいと思います。ありがとうございます。

土井委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立国社の中島克仁です。

 同僚議員また理事始め皆さんの御理解を得まして、質問に立たせていただくことを感謝申し上げます。

 私からは、二月二十五日予算委員会分科会で、サービスつき高齢者向け住宅、いわゆるサ高住の実態について、私の地元山梨で報道されている案件とあわせて質問をさせていただいた続き、引き続いて御質問をさせていただきたいと思います。

 何のことかわからないといけないので、少しおさらいをさせていただきますが、サービスつき高齢者向け住宅、以下、サ高住と呼びます、国土交通省、厚生労働省共管のもと、二〇一一年に制度化された高齢者住宅支援制度であります。

 国交省が建設補助、融資、また、資料の一枚目にございますが、安倍政権の一億総活躍社会実現のための新三本の矢、その一つ、介護離職ゼロを達成するための介護の受皿として増設していく方針が示され、平成二十八年には、サ高住を二万戸ふやすという数値目標を具体的に盛り込んだニッポン一億総活躍プランも閣議決定をされました。

 資料の二枚目、このような経緯から、サ高住は全国的に爆発的に増加をし、昨年十二月末の時点で登録件数は二十五万三百五十二戸、七千四百八十四棟となっております。

 資料の三枚目でございますが、これは地元山梨での報道記事であります。新日本通産がサブリース業者として運営するサ高住が、昨年七月から十二月にかけて十二件の廃業届を提出した。一度にこれだけの数の廃業届は大変異例です。

 資料の四枚目でございます。これは私が作成をいたしました、同社が運営していたサ高住を時系列にして表にしたものであります。字が小さくて読みづらいかもしれませんが、これを見ると、不可解なことが何点か認められます。

 大きく三つについてですが、全体の半分近い十五施設、これは青塗りにしてある施設が廃業届を出した施設でございますが、全体の半分近い十五施設が平成二十八年以降建設をされていること、そして二点目が、平成二十八年以降建設された十六施設のうち半分の八施設が廃業に至っていること、また、平成二十八年以降、融資先が独立行政法人住宅金融支援機構となっていることが、ぱっと見ただけでも目立つわけであります。

 今回の事例、もう結論から言うと、山梨での案件は、サ高住をオーナーから一括して借り上げ、入居者に貸し出すサブリース業者により問題が発生しています。

 シェアハウスかぼちゃの馬車を運営していたスマートデイズの破綻や、不正融資を行っていたスルガ銀行などが記憶に新しいところでありますが、山梨県においても、サ高住のサブリース契約において賃料がオーナーに支払われなくなり、オーナーは多額の負債を抱え立ち行かなくなっている、オーナーだけではなくて、サ高住入退居を繰り返しまた退去をさせられるのではないかと不安におびえる入所者の方々がたくさん出ている、こういう案件であります。

 勧誘の手口は、国策を掲げ、家賃収入保証、補助金適用、社会貢献等をうたい土地利用者を勧誘し、建設資金を借り入れさせてサ高住を建設させたにもかかわらず、業者の運営不足等により入居が進まず、家賃支払いが滞り、果てには廃業してしまう、その業者は雲隠れしてしまっている、こういう事案でございます。

 この問題を明らかにしていくためには、徹底的な調査、本件に対しての調査もそうですが、これは山梨県だけで起こっているとはちょっと思えない。赤羽大臣には、前回、分科会で徹底的に調査する必要があるということをお願いをいたしました。前回、しっかりと調査をすると御答弁いただいております。

 大臣、調査されましたでしょうか。

赤羽国務大臣 まず、さきの二十五日の分科会での質問で委員にはこの問題を取り上げていただき、指摘をいただきましたことにまず感謝を申し上げたいと思います。

 そうした詳細の御質問をいただきまして、私から、まず、山梨県等で多数発生したということでございますので、山梨県や甲府市を通じて、廃業に至った経緯また所有者の状況等々について今確認をお願いしているところでございます。

 他方、この融資元である住宅金融支援機構に対しまして、例えば、委員からも御指摘ありました、複数件の融資が短期間に集中したという事情、また、それ一件一件の融資審査の手続また金額等の妥当性、また、融資実行後、この業者の現場がどうなっているかというモニタリングの経緯、こうしたものをしっかりと整理をして報告するようにというふうに求めているところでございます。

 まだ結果は来ておりませんが、問題意識を強く持ってフォローしていきたい、こう思っております。

 加えて、国は、毎年一回定期的に、サ高住の登録主体である都道府県等を対象といたしまして、廃業などによる登録抹消事案の報告を受けております。しかし、いろいろこの質問の後に省内でも議論しまして、もう少しちゃんと運営実態を把握する必要があるのではないか、その定期的な報告の中で、都道府県から、運営事業者から求める報告内容をもう少し拡充しなければいけないのではないかということが一つの、一つというか、我々の打合せではそういう結論が一つ出た。

 もう一つは、先生の御指摘もありましたので、近年の廃業などによる登録抹消事案について詳細に把握するために、定期的な調査とは別に臨時の調査をしっかり行っていこうということを決めたところでございます。

 この制度そのものを所管する厚生労働省とも問題を共有して、連携をしながら、調査項目の検討を行い、来年度早々にしっかりとした調査を実施しながら、また、臨時の調査についてはできるだけ早期に取りまとめたいというふうに考えております。

 以上です。

中島委員 調査をしていただいておるが、まだ結果は出ていない。新型コロナウイルス対応もあると思います、お忙しい中だとは思いますが、今現在、今リアルタイムに困っていらっしゃるオーナーさんもいますし、そして分社化した二十社に入所しておられる方も、もしかしたらまた廃業してしまうんじゃないか、また退去を命ぜられるんじゃないかと。

 さらに、国策です。来年度の予算にもこのサ高住を増設するための二百五十億円の予算が組まれている。この国策を手口に、先ほどかぼちゃの馬車をちょっと事例に出しましたが、類似というか酷似しているんです、知れば知るほど。きょうこの場で皆さんに全部お話しすることはできませんが。お忙しいのは重々承知しておりますが、早急に調査をしていただきたい。

 きょうは、午前中、厚生労働委員会でも質問をさせていただき、加藤大臣にも要請をさせていただきました。厚生労働省とも共管ということでございますので、ぜひ早急に対応していただきたいと思います。

 今回の案件、今融資のプロセス等々も調査が必要だと大臣はおっしゃいましたが、資料の四枚目の内容について、やはり住宅金融支援機構から、前回は御答弁いただけなかったわけですが、やはり機構の融資のあり方、ここが今回の問題を明らかにしていく起点になるということで、きょうは機構からもお越しいただいておりますので、改めてお尋ねをしたいと思います。

 まず、前回の質問でもお聞きしましたが、資料の五枚目、住宅金融支援機構は、サ高住の住宅融資御案内ということで、私は、このサ高住建設は機構が中心的な役割を果たしているというふうに理解をしていたんですが、前回お尋ねをしましたら、融資は、機構は、実行ベースで一・七%にとどまっておる、にもかかわらず、また資料の四枚目を見ると、平成二十八年以降特にですが、全体の約五〇%近くが、新日本通産の融資、機構がかかわっておる。

 この理由について、御説明を再度いただきたいと思います。

田中参考人 お答え申し上げます。

 住宅金融支援機構におきましては、サービスつき高齢者向け住宅の供給を支援する観点から、特に対象を限定することなく融資の申請を受け付け、適格性を審査した上で融資を行っているところでございます。

 サービスつき高齢者向け住宅の供給に関しましては、民間金融機関におきましても融資を行っていることから、必ずしも住宅金融支援機構が選択されているとは限らず、結果として、登録棟数に対する機構融資の利用割合は二%程度という実績となっているものと理解してございます。

 その一方で、長期固定金利等の住宅金融支援機構の融資の特性を踏まえまして、過去に機構の融資を利用された方等が別の物件におきましても機構の融資を選択するということは考えられることであると認識しておりますが、大臣からいただいた御指示も踏まえまして、複数件の融資が集中した事情について整理してまいりたいと考えてございます。

中島委員 あくまでも適正だったけれども、融資が集中した理由についてはまだよくわからない、調査していくということですが、見ただけで、全体で一・七%しかないのに、同社に対しては五〇%融資をしておる、大変不可解に私は感じます。

 改めて、融資のプロセス、細かいこととは思いますが、そもそも、単純なことです。この青色に塗られた施設が廃業しておる、平成三十年、二十九年と融資をして建築をしたサ高住が数年で廃業しておる。これは融資が本当に適切だったと機構は考えるんですか。

田中参考人 お答えいたします。

 個別の私企業の経営状況や個別の融資申込みにつきまして、この場で具体的な内容をお答えすることはいたしかねますので、一般論でお答えを申し上げたいと思います。

 融資審査におきまして確認する事業計画の妥当性という観点で申し上げますと、融資審査の段階で、当該事業の収支計画などの事業計画概要、運営事業者の財務情報等の書類を提出いただきまして、それらの情報から得られる範囲で、その事業が安定的に成立すると判断可能かどうかを見ております。

 つまり、機構は、融資可否の判断を行う時点で把握できる情報をもとに、お申込みいただいた事案ごとに、事業計画等が妥当か否かを確認した上で融資の承認を行っております。

 このような観点から申し上げますと、融資の判断を行う時点において……

土井委員長 答弁、簡潔に。

田中参考人 妥当な判断を行い、適切なプロセスが踏まれていると考えております。

 ただし、その後の状況等によりまして、運営事業者の信用力の変動、運営環境の変化等が……

土井委員長 簡潔にお願いします。

田中参考人 発生し得ることもあり得るものと考えてございます。

 この点につきましては、融資審査の限界もあるものと考えてございますが、大臣の御指示を踏まえまして、融資審査の手続等につきまして整理してまいりたいと考えてございます。

中島委員 もう時間がないので端的に。

 適切なわけないじゃないですか、これが。今、一般論としておっしゃいましたが、サブリースですから、運営会社の運営能力等々、今もろもろ話をしましたが、融資して数年で廃業している、これは、そのプロセスが正しかったと言えるわけないじゃないですか。大臣、どうですか。

赤羽国務大臣 私も、委員の質問を受けてちょっと、若干この表も精査いたしました、全部正しいかどうか、こちらで責任を持って。

 言われていることも思うけれども、しかし、それだからといって、住宅金融支援機構が、かぼちゃの何ですか、そういうのと同じような類いということはあり得ないですよ、これは国がやっているわけですから。大半の利用者には、大変ありがたがられてやっているわけですので。

 ということもあるので、ただ、結果がこうだというのは委員の思われていることと同じものを感じるから、ちゃんと厳しく報告してこいということで指示しているわけです。

中島委員 あのかぼちゃの馬車に酷似している、あのとき不正融資したのはスルガ銀行ということですが、私は、機構がそうだと言っているわけではありません。そのためにも、ここは明確に事実を確認したいということで、私は今前提で言いましたが、サ高住も否定はしていません、前回のときも言いましたが。

 ただ、二〇二五年問題というのは、もうこういう実態をはらんでいる、危険だということを含めて、この案件をしっかりと調査していくということ、そのためには、住宅金融支援機構の不明なところについてやはり事実確認をするというところから入っていかないと、この問題は解決できないんだ、そういう思いです。

 これも前回お聞きしたんですが、このサブリース業者、同社は、オーナーたちに、賃料が滞る、最終的には廃業に至った理由について、融資を受けていた住宅金融支援機構からの融資が断ち切られたと。数人のオーナーから、私、実際に聞きました。しかし、これは正確ではないですね。融資はされておりますので、恐らく新規の融資が受けられなくなった、そういうことを意味しているんだと思います。

 これも改めて聞きますが、同社に対して機構が新規の融資をしないということは事実でしょうか。

田中参考人 お答えいたします。

 個別の私企業や個別の融資申込みにつきまして、この場で具体的な内容をお答えすることはいたしかねます。

中島委員 私、事実だと思うんです。事実だと思うんです。これも前回言いましたが、私、オーナーさんから、いわゆるにせの契約書、そういったものが実在するということも承知しております。

 あえて、私は、むしろ機構は被害者なんじゃないか、そういう思いの中で、この実態を、真実を明らかにしていきたいという思いでお聞きをしましたが、個別案件ということですけれども、これは個人情報保護法にも当たらないと思います。当たらないと思います。しかも、政策の可否というか当否を、予算が使われて、これは補助金も使われていますから、その政策の当否をつまびらかにしていくための事実確認ですので、ぜひこれを明確にしていただきたい。

 委員長にお願いをいたしますが、住宅金融支援機構による本件融資の検討過程、検討要素、融資価格の決定基準、要素、いずれもの決定、審査プロセスについて、機構内で、誰が誰の調査のもとで判断したかも含めて、資料を要求したいと思います。お計らいください。

土井委員長 理事会で協議をいたします。

中島委員 時間となりましたので終わりますが、大臣には調査、そして理事会での資料の要求、ぜひよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 新型コロナウイルス肺炎の感染者が国内でも一千人を超えて拡大をしています。お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表したいと思います。

 今後、PCR検査の保険適用が現実に始まれば潜在的だった感染者数が大幅に顕在化するのではないかと思っております。日本からの入国を制限あるいは行動制限をする国が、世界五十三カ国・地域にまで広がっている大変深刻な事態です。

 専門家会議が瀬戸際だと指摘をして一週間、国の突然の一斉休校要請に対し、子供たちも保護者も、あるいは受皿となる学童保育なども、大変な混乱で悲鳴を上げています。関連産業、ツアー客が激減した観光産業も大きな痛手を受けており、政府の責任ある対応を求めたいと思います。

 一方、イベントの中止や休業などが広がる中でも、鉄道やバスなどは従前どおり運行しています。公共交通などの感染対策、労働者の感染防止対策はどのようになっているのか、子供を休ませても大人が運び屋になるのではという危惧もあるわけでありますので、お答えをください。

赤羽国務大臣 まず、公共交通機関というのは、やはりそう簡単に休めないというか、その使命と責任というのは重大だというふうに私は思っております。

 同時に、ここで感染拡大をさせるわけにはまいりませんので、まず、公共交通機関に働く従業員の皆様への対策として、これはタクシーでもバスでも鉄道でも共通でございますが、マスク着用ですとか手洗い、またうがいの励行、そして、毎日の検温も実施して健康状態の把握をする、発熱ですとかせきとかちょっと調子が悪い場合には乗務は中止する、そして速やかに医療機関への受診を求める、休むときには休みやすい環境の整備を、対応を行うということの徹底をお願いしておるところでございます。

 また、公共交通機関を利用していただくお客さんに対しては、駅のところにアルコール消毒液の設置ですとかポスターの掲示、また、車内放送等でマスクの着用ですとか手洗い等の呼びかけを実施しておるところでございます。

 これに加えて、二月二十五日に決定をされました新型コロナウイルス感染症対策の基本方針にのっとりまして、とにかく公共交通機関の混雑緩和をしていかなければいけないということで、テレワーク及び時差出勤を推進しようということで、鉄道、バス等の車両、駅、バスターミナル等におけるアナウンスにより、利用者の方々に対しテレワーク、時差出勤の積極的な取組を行っておりますが、それに加えて、二月二十六日には、私と経済産業大臣、厚生労働大臣とともに、経済三団体また連合の御代表の方に対し、テレワークや時差出勤の着実な実施を具体的に直接、やってほしいということで、要請をしたところでございます。

 こうした取組の効果として、早速、細かくは申し上げませんが、鉄道の出勤時間、先ほどJR山手線の数字も出しましたが、ピーク時で約二割強の減少の状況が見られておるところでございます。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 二点、ちょっとお話をしたいかなと思うんですけれども、最初は、国交省から膨大な、取組についてというリーフをいただいて、とにかく通知を出しまくりかなという、通知を出すだけかなという思いがございました。そういう指摘をしたかったかなと思っているんですが、今、大臣が経済団体を回ってきたことや、あるいは、先ほど伊藤委員が指摘をされましたけれども、タクシーにマスクを配った、一万二千枚は本当に少ないなと正直思ったんだけれども、だけれども、現物給付というのは大事なんですよね。だって、物がないんだから、お金では解決できない問題なんです。

 ちょっとやり玉に上げて失礼なんですけれども、今、厚労省が、特別支援学校を休校にして、かわりに放課後デイサービスなどになるべく多く、長い時間子供たちを引き受けてくれと言っている割には、マスクだとかアルコール消毒液などを支援しますかといったら、それは経営の中で何とかやってもらいますといって、出ないんですよね。やはり、国の指示のもとに取り組んでいることなのに、どうしても避けられない方たちにどうしてそれができないのかなと思いますので、今の一万二千枚をもっとふやして、タクシーだけじゃなく鉄道やバスなどにも支援をしていただきたいということを言いたい。

 あと、休みやすい環境と大臣おっしゃいました。やはり、今、運転関係の方たちの働き方というのは本当に大変なんですよね。確かに私も電車がすいているとは思います。けれども、ワンマンカーであることにはそれ以上楽にはならないわけで、やはり働き方ということもあわせて議論していかなければならない、これは指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、例えば、資料の1に、ダイヤモンド・プリンセス号の三月一日時点の乗客乗員の現在の状況という資料がございます。三千七百十一名の乗員と乗客が、今現在、ようやっとゼロになったわけですが、この方たちが、入院したり、急病や付添いなどで下船をしたり、あるいは、外国のチャーター機で帰国をしたり、濃厚接触者は宿泊施設に移動したり、こういう内訳が書いているわけなんですけれども。これはよく映像で皆さんも見るんだけれども、でも、そこには、関係した乗客乗員のほかに、その方たちを運んでくださったバスの運転士さんたちなどがいるわけなんですよね。こういう人たちの健康対策というのもやはり大事なんじゃないか。

 それで伺いますけれども、国交省がかかわって確保したバスの運転士さんなどがどのくらいいるのか、また、その方たちのその後の健康調査などがフォローできているのか、お願いします。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘いただいたダイヤモンド・プリンセス号の乗客の輸送以外にも、武漢から帰国をされた方々を輸送しましたバスの運転手もおりまして、合計で申し上げますと、バス運転者四十七名、実員数、延べではなくて実員数四十七名でございます。

 こういったオペレーションにかかわった人につきましては、厚生労働省と調整をしまして、順次PCR検査を受検させるという形でやらせていただいております。発熱等の症状があった場合にはすぐに報告するようにフォローも行っておりますけれども、現時点では、検査結果は全て陰性であり、発熱の報告もございません。

 ただ、まだ全員受けられておりませんので、早期にPCR検査を受検できるよう、厚生労働省と調整をしておるところでございます。

高橋(千)委員 こういうときは実人員で答えるんですね。ふだんは延べで何かすごく多く見せるんですが、逆にこういうときは実人員で答えたというのはちょっと驚いたんですけれども。

 PCR検査、順次とおっしゃいました。きのうの時点では全然やられていないということだったので、やるということで確認をさせていただいて、その間の健康フォローをきちっとお願いをしたい、このように思っています。そうじゃなかったら、今せっかく大臣もおっしゃってくれた、使命を果たさなければならない方たちにお願いをするわけですけれども、その方たちの安全、健康を守るということはやはり国交省が頑張っていただきたい、このように思っております。

 昨日はアメリカで、同じプリンセス・クルーズ社のクルーズ船がまた集団感染、きのうの時点で二十一名という報道があったと思うんですが、大変衝撃を受けています。私は、やはりクルーズ船ならではの感染リスクということがあるのではないか、このように思っております。

 改めて、おさらいのような感じではありますけれども、資料の2にダイヤモンド・プリンセス号への対応というのとその他のクルーズ船への対応という資料を載せておきました。

 三千七百十一人の乗客乗員を乗せた豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号は、一月二十日横浜で乗船し、一月二十五日に香港で下船した男性、いわばたった一人の感染から始まって、約七百名の感染者、六名が死亡するという大惨事になりました。三日時点の集計で、外国のチャーター機で帰国した外国人七十四名が感染していたと発表をされています。

 専門家会議の座長でもある国立感染研の脇田所長は、船内での隔離が有効に行われたとコメントをしました。菅官房長官も、適切だと思っているとコメントをいたしました。私は、このダイヤモンド・プリンセスのオペレーションにかかわった全ての皆さんの御苦労に本当に敬意を表したいと思います。だけれども、さすがにうまくいったとは言えないだろう。また、仮に言うとしても、今ではないと思っております。

 昨日報道されたのは、ダイヤモンド・プリンセス号で長期間隔離された人たちの心のケアに当たった災害派遣精神医療チーム、DPATの一カ月間の活動報告でしたけれども、三百八十五件の相談が寄せられたこと、死にたい、船から飛びおりたいといった深刻な訴えが九十一件に上ったほか、長期間の個室隔離に伴う不安や不眠の声も百一件あったといいます。心配していたことが現実に突きつけられたという気がいたします。また、このチームの医師の中からも感染者が確認をされています。

 IHR、国際保健規則第三十二条、「参加諸国は旅行者をその尊厳、人権及び基本的自由を尊重して扱い、且つ、かかる措置に伴う不快感や苦痛を最小限に抑えなければならない。」と定めています。この国際保健規則違反と私は言えると思うんです。

 大臣に、この間の対応について認識を一言伺います。

赤羽国務大臣 済みません、ちょっと質問が、脇田所長のコメントについてなのか、そうじゃなくて、ダイヤモンド・プリンセス号のこの一連のということですか。どちらのことでしょうか。

高橋(千)委員 うまくいったと思うのかと聞くと、それは厚労省ですと言われるので、そういうことではなくて、そのことも念頭に置きながら、今回のダイヤモンド・プリンセスのオペレーションについてどのような認識をされているのかを伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、大変申し上げにくいんですけれども、これは検疫法の規定に基づいて厚生労働省が主体となって実施されたものだと。ですから、この座長のコメントについて私は答弁する立場にはございませんが、先ほどどなたかの質問にもお答えしましたが、いずれ、この一連のオペレーションが終わったときには、そうしたそれぞれの対応がどうであったかという総括は必ずなされなければいけないと思っております。

高橋(千)委員 十四日間停留、とめ置きということ自体は検疫法に基づく検疫所長の判断だったかもしれません。ですが、これには政府全体としてかかわってきたわけであります。

 先ほど十九日に下船させる判断がどうだったのかという話がありました。普通の形での健康観察をしながら見ていくのであれば当然二週間、二週間でも多いという議論さえもあったわけですから、下船させるのが当然だったと思うし、そこに向けての検査などを速やかにやっていけばもっと早く下船もできたし、そこから二週間ということもあったかもしれない、国際的な批判も浴びなくてよかったかもしれない、私はこのように思っております。

 いずれにしても、なぜこういう問題になったかというのは、何度も言うようにクルーズ船という特徴があるからなわけですよね。WHOの船舶衛生ガイドの中でも、歴史的に船舶は世界じゅうに感染症を伝播させる、そういう役割を果たしてきたということから始まっているわけで、国立感染研でさえも、乗船している全ての人を個別に隔離することはできず客室の共有が必要であった、また、客室がある以上、お客さんがいる以上、乗員は結局サービスをしなければならなかった、そういう条件があったということを認めていらっしゃるわけなんですよね。ですから、やはりこれは全体として、国交省も船舶を所管する立場として一緒に検証していただきたい、このように思っております。

 そこで、三年前、港湾法の改正がありました。官民連携による外航クルーズ船受入れ拠点形成のため制度を創設するという内容でしたが、横浜港は、官民連携国際クルーズ拠点形成計画書においてダイヤモンド・プリンセス号の母港化を目指しておりました。確かに昨年一年間でダイヤモンド・プリンセス号は横浜港に三十三回入港をしています。

 では、横浜検疫所はこれだけの大型船の検疫の経験があるんでしょうか。また、今回のクルーズも、本当は横浜港は終着であって、那覇港で検疫を済ませているので、四時間半くらいかかったと聞いていますが、コロナウイルスの件がなければ横浜港では特に検疫をやる予定ではなかったと思いますが、これは事実確認です。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 横浜検疫所におきましては、日ごろから横浜港に入港するクルーズ船に対しまして、臨船検疫の方法の一つでありますけれども、着岸検疫というのを実施しておりまして、検疫官が直接乗り込んで検疫を実施しているところでございます。

 また、今回のダイヤモンド・プリンセス号の検疫につきましては、我が国の一次港でございました那覇港で二月一日に那覇検疫所から仮検疫済み証を交付していたところ、二月二日のIHR通報の内容を踏まえまして那覇検疫所が仮検疫済み証を取り消しまして、横浜検疫所が改めて横浜港で検疫を行うこととなったということでございます。

高橋(千)委員 聞いていることに答えてください。着岸検疫をやったというのは桁が違うでしょう。数千のオーダーの検疫は、横浜港は経験がありません。そうですね。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 ダイヤモンド・プリンセス号も日ごろから横浜港に入っていますので、あの規模のクルーズ船の検疫というのも、直接、検疫官が乗り込んで検疫を実施しているという実績はございます。

高橋(千)委員 でしたら、後で資料を出していただきたいんですが、数千の規模のことはないと思いますよ。今回だって、那覇港で検疫したから、何もなければ横浜ではやる必要はなかったんですよ。そうでしょう。そこをちゃんと言わなかったらだめなんですよ。

 二〇〇九年の新型インフルエンザのときは、ダイヤモンド・プリンセスの臨船検疫をやっています。ただし、横浜ではなくて鹿児島港と室蘭港です。だから、横浜港は経験がないでしょうと言っているんですから、それをちゃんと認めてください。母港化を目指していながら、まだそういう事態であるということを指摘をしたいと思います。

 大臣に言いますけれども、観光庁は、先ほど来議論がありましたけれども、訪日外国人旅行者数の目標を二〇二〇年までに二倍増の約四千万人、二〇三〇年までには三倍の六千万人と打ち立てています。うちクルーズ船は、二〇一五年百十一万強だったものが二〇二〇年五百万人の目標とされました。今回の事件で大幅減になったというのは、先ほど来議論されているところなんですが。

 厚労省と国交省の両方に聞くんですが、そもそも検疫がこれだけのインバウンドに追いつく体制だったのかということなんです。国交省としては、インバウンドを拡大し、港湾を整備し、飛行機も増便しとやってきて、今回のような大規模な船舶検疫、十四日のとめ置きと集団感染、こうしたことも、あっても大丈夫、あるよねということも想定していたのでしょうか、そのことを伺います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 迅速かつ適切な検疫を実施するために必要な人員につきましては、観光立国推進基本計画などに沿って、訪日外国人旅行者の増加に対応するために必要な人的体制を計画的に整備してきたところでございます。

 クルーズ船の検疫に必要な人員につきましても、観光庁が試算した訪日クルーズ旅客の推移をもとに計算し、必要な体制を整備しているところでございます。

 今後とも、訪日外国人旅行者の増加に対応した検疫体制の整備を図ってまいりたいと考えております。

赤羽国務大臣 国交省としまして、クルーズ船の振興を進める中で、検疫の手続を含むさまざまな事案を想定して受入れ環境の整備を進めてきたところでございます。

 例えば横浜港では、船舶を停泊させる錨地を確保するとともに、長期間の係留を可能として、十分な後背地を有する岸壁、また、今回もそうしましたが、現地対策本部ですとか搬送する旅客の待機所としても活用可能な旅客船ターミナルなどの必要な整備を行ってきたところでございます。

 ただし、先ほども申し上げましたが、今回の事案を通して改善すべきところはなかったのかといった不断の見直しは当然するべきだと思いますし、クルーズ船は、こうしたことをさまざま指摘されておりますが、この間、観光の資源としても大変成功してきた案件だというふうに思っております。しかし、今回の事案を受けて利用するお客さんたちの気分がシュリンクしている。だから、安心だということをしっかりと示さなければなかなかクルーズ船の振興というのは進まないというふうに、私はそう思っておりますので、それはもう必要に迫られて、しっかりとした対策をとらなければいけない、こう考えております。

高橋(千)委員 資料の三枚目を見ていただきたいと思うんですね。なぜ私がこの質問を行ったかということなんですが、予算委員会でコロナウイルス肺炎の質問を準備する過程の中で、昨年九月十三日の第十四回新型インフルエンザ対策に関する小委員会の議事録の中にこんなやりとりがありました。竹下インフルエンザ対策推進室長補佐の発言です。

 二〇二〇年には訪日外国人の旅行客数も四千万人にするとの政府の目標が掲げられており、今後、更に運航便の増加が見込まれると考えております。インフルエンザ対策の中で国交省のインバウンドのことが議論されている。それで、特定検疫飛行場は全国五つ、しかし、発着枠にもう余裕がなく、千歳と那覇を新たに追加します。特定検疫港湾については、九州・沖縄地区においてクルーズ船の入港実績が著しく増加しているため、四港湾のみでは対応困難なので、長崎、鹿児島、那覇を新たに追加して受入れ枠の増加を図ると述べているわけです。これで七つの港湾、七つの空港が特定検疫の対象になったわけです。

 特定検疫というのは、本来、新型インフルエンザ等が発生した場合の、要するに、平たく言うと、人手が足りないので集約をする、そのために決めてきたものなんですね。ところが、インバウンドに対応して、その特定検疫空港も港湾も逆にふやしてきた。それに対応できるのかということなんです。

 これが全国の検疫所の設置状況です。今私が読み上げた特定検疫港湾とかがどこら辺かは皆さんも見ればおわかりだと思います。本所、支所、出張所合わせて百十カ所、これはもうほとんど数字が変わっておりません。

 その次のページを見てください。検疫官定員の推移ということで、二〇〇九年度、下の段を見ていただきたいんですけれども、検疫官の定員が三百五十八人だったものが、二〇二〇年度は六百四十六人になっています。これだけを見ると、ああ、インバウンドのためにこれだけの検疫官をふやしたんだなと思いますよね。下の方に、空港と船舶とそれぞれどれだけ利用者がふえてきたかということも出ているんです。だけれども、今言ったように、検疫をしなければならない港や空港がどんどんふえているわけなんですね。

 次のページを見るとわかりますように、これは港の例でありますけれども、一つの支所や出張所が幾つも兼務をしています。これは、港担当の人が港だけではなくて、青森のようなところは空港も港も両方行っています。仙台の支所から釜石や宮古にまで行っている。そういう兼務をして、ようやっと今の体制をもっているんです。ですから、一・五倍にふやしたからといって、これだけの規模の検疫に耐えられるとは思えないんですね。

 それだけではなくて、地方空港ではチャーター便がふえています。ですから、直通便のほかにチャーター便まである。それに応えて検疫官が行かなきゃいけない。こういう体制になっているわけなんです。

 今回のダイヤモンド・プリンセス号のような事案があれば、六百四十六人の検疫官、全国からかなり集めなければ対応できない、こういう事態になるんじゃないですか。どれだけが出動したんでしょう。ふだんだったらマックスでも六人くらいでやっているわけでしょう。どうなんですか。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 ふだんの空港の検疫、海港の検疫でございますけれども、事前に情報を収集した上で、特段の疾病関係の問題がなければ、なるべく国際交通をとめないようにスムースに対応させていただいております。それでも、今議員御指摘のとおり、日本じゅうの空港、海港が、インバウンドの効果で飛行機、船、ふえてきていることも片や事実でございます。

 そのために、我々の方も、年々検疫官の増員をお願いしているところでございまして、特にここ数年におきましては、増員の規模も随分とふやしていただいているところでございます。

 ただ、先ほど御指摘いただいたとおりで、有事というか、こういったダイヤモンド・プリンセス号のようなことが起これば、それはもう大事でございますので、日本じゅうの検疫所の方から応援もいただきながらこういった事案に対処するということは紛れもない事実でございます。

 そういったことも含めて、やはり人員増、体制強化を不断の努力で進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 紛れもない事実とお認めになりました。

 ただ、これだけの政府の目標を本当にやろうとすれば、これは追いつかないであろうと私は思うんです。政府の目標も少し見直しをするべきではないか、インバウンドだけではない見方も、内需をもっと高めることも必要なのではないかなと思っているんです。

 この五百万人クルーズ旅客を打ち出した日本再興戦略二〇一六は、翌年の港湾法改正につながっているんですが、こう書いています。「寄港地を探しているクルーズ船社と、クルーズ船を受け入れたい港湾管理者との間の、需要と供給の「マッチング」サービスを国において開始し、利用可能な岸壁をクルーズ船社に紹介するなどの取組を行い、クルーズ船寄港の「お断りゼロ」を実現し、我が国へのクルーズ船の寄港を促進する。」

 日本再興戦略はお断りゼロが目標であります。今、どうでしょうか。ダイヤモンド・プリンセス号を十四日以上もとめ置き、かつウエステルダム号をお断りしました。ウエステルダム号が入港を希望していたのは、まさに特定検疫港湾にプラスした那覇港でありました。

 大変残念ながら時間が来てしまったんですが、今回のウエステルダム号の上陸拒否は、最終的には法務省の入管法のあれでありますけれども、港湾の管理者への通達と海事局からの申出というものがあったわけですよね。国が決めたことですからということで、閣議了解がここに書いてあります。

 しかし、感染のおそれがあるだけで入港を拒否し、しかも、この十二日のを見ていただければわかるように、どこの国の船であってもおそれがあるということで拒否できるというところまで広がっちゃったんですよ。まさにお断りばっかりなんですよ。

 本当にこのまま進めるんでしょうか。まさに人権にかかわる問題ではないかと思いますが、大臣、一言お願いします。

赤羽国務大臣 二月六日の閣議了解につきましては、これも同じ答弁であれですけれども、疫学的な判断から閣議了解に至ったものであります。それも同じように、それでよかったのかどうかということは総括、反省を加えられなければいけないと思いますが。ただ、このことについて言えることは、こうしたことが将来起こり得るので、国際法上ルールを決めなければいけないというのは、もう与党からも指摘をいただいているところでございます。

 もう一つ、具体的な事案につきましては、日本人のお客さんが四名、もう一人クルーがいらっしゃったと思いますが、ここは国土交通省の海事局が中心となって定期的に連絡をとらせていただいて最後までフォローし、最後に乗せたのは外務省の飛行機で戻ってきましたが、そうしたことはしっかりとやらせていただいたということは、御承知だと思いますが、御報告だけさせていただきます。

高橋(千)委員 一言で終わります。

 法務省には、申しわけありません、時間が来てしまって質問ができませんでした。

 将来のルールを決めるべきだというお話がありました。そうだと思います。超法規的に解釈がどんどん拡大していくというのはよくないと思うんです。諸外国だって、今確かに入国制限しています。日本は制限されている国なんです。だけれども、その基本は保健省なんじゃないですか。検疫法の世界なんじゃないですか。そこをちゃんと見きわめなければ、政府の対策本部で決めたら何でもできちゃうということはあってはならないんです。

 そのことを強く抗議をして、ちゃんとルールを決めて冷静に対応していただきたい、そのことを求めて終わります。ありがとうございました。

土井委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、早速、大臣所信に対する質疑をさせていただきたいと思いますが、まずは新型のコロナウイルスについてお聞きしたいと思います。

 本当に、コロナウイルスで亡くなられた皆様方にはお悔やみを申し上げたいというふうに思いますし、今なお感染されている皆様方含め、全ての、患者だった方も含めて、お見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 COVID―19につきましては、中国人旅行者などが減少したため、観光業に大きな影響というのを及ぼしているかと思います。同時に、企業のサプライチェーンにも深刻な被害を及ぼしているというふうに考えています。

 民間の調査によれば、このCOVID―19により、日本企業の八八%、約九割が生産、物流に支障があるというふうに回答されています。問題が生じていないとする企業はたった一二%にとどまっています。事態の深刻さというのが明らかになったのではないかなというふうに思います。

 これは、中国側の生産停止のほかに、道路閉鎖による物流遮断やトラックドライバーの不足など、中国国内における物流の問題が原因ということであります。また、中国からの製品、部品等の輸入が滞るということで、大きな影響を受けているという企業もあるというふうに聞いています。

 SARSのときに比べると、少なからず存在感を増した中国の混乱というのは、世界の物流に与える影響というのがまた大きいものがあるのかなというふうに思います。

 航空便や定期コンテナ輸送の欠航が相次いでおります。一月下旬の春節の休みからとまっていた企業活動というのは、徐々に再開されているとはいえ、いまだ完全には動き出していないという状況にあるというふうに伺っております。

 COVID―19の影響により日中間の物流量、貨物輸送量はどの程度落ち込んでいるのか、また、日本企業や物流事業者への影響を含め、現状の認識をお答えいただけますでしょうか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、今般の状況に際しまして、日中間の物流に関係する事業者への定期的なヒアリングを通じまして、荷動きなどの動向の把握に努めております。

 これまで把握しているところでは、日中間の貨物の動きといたしまして、中国側での感染拡大に伴う春節休暇の延長や二月半ばまでの事業所の操業停止、これらによりまして、一月及び二月の輸送は、例えば航空フォワーダー大手五社では輸出入の貨物取扱量が対前年比約一割減となるなど、輸出、輸入とも、また、海上輸送、航空輸送ともに総じて落ち込みが出ております。

 ただし、中国側で二月十日以降に営業や生産活動の再開が始まるとともに、また、港湾、空港における貨物の滞留などの緩和が進みつつある結果、二月下旬以降、荷動きが戻り始める兆しも出ている模様と承知しております。

 物流業界には、本格的な回復には中国側の事情もあって時間がかかるのではないかとの見方もあるところでございまして、国土交通省といたしまして、引き続き、貨物輸送量の動向を注視していくこととしております。

 また、事業者の関係でございます。

 日中間の物流に従事する外航海運、航空、フォワーダー、港湾運送等の事業者の経営への影響につきましては、日中間の貨物輸送量の減少に伴いまして、いずれの業種でも、幅はあるものの、売上げの減少が見込まれております。

 各所への影響につきましても、今後とも、きめ細かく情報収集、状況把握に努めてまいります。

井上(英)委員 減っておったと。まあ、ちょっと盛り返しているかなという雰囲気はあるということなんですけれども。

 昨日、政府は、未来投資会議というのがあって、企業のサプライチェーンの中国依存度を引き下げるということを打ち出した。生産拠点を国内に戻すとか、まあ国内回帰の考え方ですね、中国以外の第三国に移したりすることを促す補助金や税制上の優遇措置というのを検討していく、早ければ今年度の補正予算に上げていくというような話もありました。

 実際、経済産業研究所によると、一七年の数字ですけれども、部品輸入に占める中国からの割合というのは二一・一%に上っているという状況で考えると、中国でこういうことが起きると、やはり必然的にそういった問題というのは出てくるかなというふうに思います。

 そういった対策をこれから考えていくわけですけれども、やはり、今後、事態が悪化する場合も想定していかなければならないというふうに思いますが、国内の物流にも、悪化した場合は、さらなる悪影響、支障が出てくるというふうに思います。

 物流に関する国土交通省の対応について、どのようにお考えか、お伝えいただけますでしょうか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 申し上げるまでもなく、物流は国民生活や経済活動を支える社会基盤でありまして、いかなる状況においても、サプライチェーンを支える役割を的確に果たしていくことが重要となっております。

 このような観点から、今般の状況に際しましては、各物流事業者において従業員等の感染予防対策の徹底を図っていただき、利用者や荷主に対する運送サービスがしっかり維持されなければならないと考えております。

 このため、国土交通省におきましては、新型コロナウイルス感染症対策本部の方針を踏まえまして、物流の業種ごとに、業界団体を通じて、個々の事業者に対しまして、従業員の時差出勤の推進や手洗いの徹底、事務所、営業所等におけるアルコール消毒液の設置や定期的な消毒等、これらの措置を的確に実施するよう要請し、各社において取り組んでいただいております。

 また、ドライバーなどの現場の担い手の方々の確保につきましては、学校の休校による従業員の休暇取得等を勤務シフトの調整等により対応することで、現時点においては、国内物流サービスはおおむね平常時と変わらない水準で荷主などのニーズに対応できているものと承知しております。

 今後も、引き続き、物流をめぐる状況の変化を注意深く見きわめながら、適時適切な対応をとることに万全を期してまいりたいというふうに考えております。

井上(英)委員 ウイルスの状況も刻々と変わっていきますので、適宜適切な対応というのをしっかりとっていただいて、先ほど言われるように、国民生活に支障が出ないような物流というのをしっかりと確保していただけたらというふうに思います。

 次に、このコロナウイルスの関係で、建設現場でのお話をちょっと大臣にお聞かせいただきたいと思いますが、国土交通省は、建設現場で新型コロナウイルスの感染拡大を防止するよう求めたというふうに聞いておりますが、具体的な取組、そしてまた、実際コロナウイルスで現場がとまったりすることによって工期がおくれた場合なんかの支援策についてお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 実は、この新型コロナウイルス感染症について、実はというか、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な二週間だということで、最初打ち出しました。

 ちょうどそのころ、私の知り合いで建設業にかかわっている方から連絡がありまして、年度末を迎えるに当たって、政府の方針に協力をして外出を控えたりとかテレワークとかをしたいんだけれども、これは公共事業の工期を守れなくなってしまう、ですからここは、二週間ほど、その期間は工期をとめてもいいような、とめたことにより発生する費用は公的に見てもらえるようなことをしてもらわないと、打ち出しだけしても現場が大変だというような、そういったことがありまして、実は、二月二十七日付で、国土交通省として、直轄の工事と業務におきましては、受注者の申出がある場合には三月十五日まで一時工事を中止する、また工期の延長の措置を行うことはオーケーだということにしました。

 なお、この措置に伴って生じる経費、例えば、建設機械のリース料ですとか現場事務所の維持費ですとか、また現場に常駐する技術者の皆さんの給料や手当などについては、この場合は発注者たる国土交通省が適切に負担することといたしております。

 また、地方公共団体に対しましても、この直轄工事における取組を、こうしているといったことは周知をしておりまして、できるだけ現場でも、国だけではなくて地方公共団体でも、工期の見直しや請負代金の変更など、施工中の工事における対応について通知を発出しておるところでございまして、それから、民間の関係団体等にも周知をして、そうしたことが起こらないように、国の方針に、皆さん、お願いして協力していただくわけでありますから、そのことに対する、見合う支援策はしっかりと講じていきたい、こう考えております。

井上(英)委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、i―Constructionについてお伺いをしたいと思いますが、国交省では、このi―Constructionについて、前大臣のころから、生産性の革命といいますか、効率性の向上の大きな柱として、一貫して推進をされてきました。

 その普及に当たっては、中小企業と建設事業の多くを占める公共工事への浸透が鍵であり、国交省は、地方自治体と中小建設業にICT施工のシェアを広げるために、平成二十九年度から現場支援型モデル事業というのを三カ年にわたって進めてきたと思います。二十九年には九件、三十年には十件、そして令和元年度の今年度には八件。都道府県についてはちょっと省略させていただきますけれども。

 この事業が、令和元年度で、三カ年で一旦終了というふうにお聞きをしています。今後、このi―Constructionをステップアップしていくためにも、どのような支援を行おうと考えているのか、また、この施工を更に横展開、どんどん全国展開していくためにはどのような点を課題と捉えて取り組んでいかれるおつもりか、お聞かせいただけますでしょうか。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、建設現場の生産性向上に向けまして、平成二十八年度からi―Constructionを推進しているところでございます。

 このうち、ICT施工でございますけれども、平成三十年度には、直轄で対象となり得る工事の約六割で実施しておる一方、都道府県等におけるICT土工の実施状況は約二割にとどまっているという状況でございます。

 その主な理由としてなんですけれども、現状、都道府県などの小規模な工事ではICT建設機械を活用した際のスケールメリットが出にくいということ、あるいは技術者にICT施工の経験やノウハウが十分浸透していないということなどと考えているところでございます。

 このため、国土交通省といたしましては、こうした課題を解決するために、小規模なICT施工に対応した積算基準を設定すること、また、i―Constructionサポート事務所と称しまして、全国五十三カ所の河川国道事務所などに相談窓口を設置しているということでございます。また、先ほど御指摘いただいたICT施工の経験のない技術者に対しまして、専門家から施工計画立案などの指導助言を行う現場支援型モデル事業を三年間取り組んできたということでございます。

 今後、さらなる普及促進に向けましては、中小建設業に対しましてICT施工について指導できる専門家をふやすことが重要というふうに考えておりまして、専門家の育成に必要な経費を新たに令和二年度予算案に盛り込ませていただいたところでございます。

 今後も、地方公共団体や中小建設業の意見を聞きながら、積算基準の改善や研修の実施なども含めまして、ICT施工の普及促進に必要な取組を鋭意進めていきたいと考えております。

井上(英)委員 国内で、少子高齢化もありますし、そしてまた、今年度から始まっている特定技能の外国人労働者の件でも、もちろん、やはりしっかりとした方に働いていただくというのが当然ですから、数に私はこだわっているわけではないんですけれども、目標としている数字にはなかなか、桁違いぐらいで、まだまだ進んでいないというような現状もあります。

 そういう中で、やはり建設現場の将来の担い手というのが不足しているというのはかなり喫緊の課題ではないかなというふうに思いますので、このICT施工の導入によって機械土工の生産性の向上というのを進めていっていただきたいと思います。

 一方で、建設機械の搬入なんかが困難な場所等での工事に当たっては、人力の施工というのに頼る部分というのが残ると考えています。

 人力の施工についても生産性を改善しなくては、全体としての生産性向上につながらず、かつ建設現場の環境改善と将来の担い手の確保というのが十分になされないおそれがあると思いますが、担い手確保のために、改めて国交省の取組を副大臣にお伺いしたいと思います。

御法川副大臣 今お話ございましたが、建設業では他産業を上回る高齢化が進んでございます。大体四分の一ぐらいが高齢者ということですが、この方たちの大量離職による担い手の減少というのを見込んでございます。将来、建設業を支える担い手の確保は喫緊の課題でございまして、まずは処遇の改善、そして今御指摘のあった生産性の向上、この二つが重要だと認識をしてございます。

 処遇改善につきましては、業界とも連携をしながら、公共工事設計労務単価の八年連続の引上げによる適切な賃金水準の確保、社会保険への加入の徹底、技能者の職業履歴や保有資格を業界横断的に蓄積をしていく建設キャリアアップシステムの普及促進などの取組を推進してございます。また、適正な工期設定による週休二日の推進などの働き方改革を促進するとともに、本年一月に策定をいたしました女性の定着促進に向けた建設産業行動計画に基づく取組等々の取組を推進してまいります。

 次に、生産性向上でございますけれども、先ほどから話がありますi―Constructionを推進してございまして、小規模な現場においても、例えば、ドローンを活用した地形の測量であったり、電子小黒板というのがございますけれども、こういうものを用いた施工の管理などの新技術の積極的な活用に取り組むとともに、施工時期の平準化であったり、工事現場の技術者の配置の合理化などによる生産性向上に取り組んでございます。

 今後も、業界と連携しながら、担い手の確保に向けた対策をしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

井上(英)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 昨年十月に、改正の入契法に基づいて適正化の指針というのを一部変更して、それが閣議決定されたとお聞きをしています。公共工事の発注者が講ずべき措置として、施工時期の平準化を図るための措置を講ずることなどが新たに規定されたと聞いていますけれども、結局どのような内容が端的に追加されたのか、また、公共工事の発注者に対してはどのような取組を求めて、その取組によってどのような効果が期待されているのか、局長、お答えいただけますでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月に、いわゆる新担い手三法の一環といたしまして入札契約適正化法が改正されまして、御指摘ございましたこの入札契約適正化指針におきまして、必要な工期の確保あるいは施工時期の平準化を定めることとされました。

 これに伴いまして、適正な工期設定、施工時期の平準化の取組が国、地方公共団体などの公共事業の発注者について努力義務になるとともに、国から地方公共団体等に対しまして法律に基づいて取組を要請すること、そして、その状況について報告を求めて、必要であれば公表するということが可能になりました。

 お話ございましたように、昨年十月にこの入契法の指針を改正をいたしまして、休日や準備期間、降雨日、こういったものを考慮した適正な工期設定、それから、施工時期の平準化を図りますための債務負担行為の活用や速やかな繰越手続、中長期的な発注見通しの公表など、具体的な取組を新たに規定をしたところでございます。

 そして、同じ十月に、改正適正化指針に沿いまして適正な工期設定、施工時期の平準化の取組等を徹底するように、総務省と連名で地方公共団体に対しまして要請をいたしましたところでございます。

 加えまして、さまざまな会議の場などで公共団体に対して直接働きかけますとともに、昨年十一月に、この入契法に基づきまして、施工時期の平準化につきまして、実態調査を実施してございます。

 現在、この結果について取りまとめ作業を行っておりまして、今後は、この調査結果を踏まえまして、公共団体ごとに平準化の取組状況の見える化を図りまして、さらなる取組、こういったことで取組を進めてまいりたいというふうに思っております。

 関係省庁、公共団体とも連携しながら、今回の改正、これを生かしまして、工期設定、施工時期の平準化の取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

井上(英)委員 もう時間も終わりかなと思いますので、ここで終わろうかなと思いますけれども、田端長官、二度ほど参考人でお越しをいただいたのにまた聞けずに、本当に済みません。

 これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

土井委員長 次に、内閣提出、土地基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣赤羽一嘉君。

    ―――――――――――――

 土地基本法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽国務大臣 ただいま議題となりました土地基本法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年、土地をめぐる状況は、土地基本法が制定された平成元年当時と比べ大きく変遷しており、人口減少等の進展に伴う土地利用ニーズの低下等を背景に、所有者不明土地や管理不全の土地が増加し、これらの土地が生活環境の悪化の原因やインフラ整備、防災上の重大な支障となるなど、対応が喫緊の課題となっております。

 こうした諸課題への対応のため、土地政策の基本理念等を見直し、適正な土地の利用及び管理を確保する施策の総合的かつ効率的な推進を図るとともに、その前提となる地籍調査を円滑化、迅速化するための措置等を一体的に講ずる必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、土地基本法において、適正な土地の利用及び管理について基本理念を明らかにするとともに、登記等の権利関係、境界の明確化などを内容とする土地所有者等の責務を定めることとしております。

 第二に、同法において、今後の土地政策の方向性を明示するため、政府が策定する土地基本方針を創設することとしております。

 第三に、地籍調査の円滑化、迅速化を図るため、国土調査法等を改正し、新たな国土調査事業十カ年計画を策定するとともに、所有者探索のための固定資産課税台帳等の利用、地方公共団体による筆界特定の申請などの調査手続の見直しや、地域特性に応じた効率的調査手法の導入等を行うこととしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由でございます。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会


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