第5号 令和2年3月31日(火曜日)
令和二年三月三十一日(火曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 土井 亨君
理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君
理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君
理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君
理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君
秋本 真利君 小田原 潔君
大塚 高司君 大西 英男君
鬼木 誠君 門 博文君
神谷 昇君 神山 佐市君
小林 茂樹君 古賀 篤君
佐々木 紀君 田所 嘉徳君
田中 英之君 谷川 とむ君
中村 裕之君 長坂 康正君
鳩山 二郎君 穂坂 泰君
堀井 学君 三谷 英弘君
宮内 秀樹君 簗 和生君
山本 拓君 荒井 聰君
伊藤 俊輔君 西岡 秀子君
広田 一君 古川 元久君
馬淵 澄夫君 道下 大樹君
矢上 雅義君 谷田川 元君
伊藤 渉君 北側 一雄君
高橋千鶴子君 井上 英孝君
…………………………………
国土交通大臣政務官 門 博文君
国土交通大臣政務官 佐々木 紀君
参考人
(中央大学研究開発機構・機構教授) 秋山 哲男君
参考人
(NPO法人ちゅうぶ代表理事) 尾上 浩二君
参考人
(一般社団法人全日本視覚障害者協議会代表理事) 山城 完治君
国土交通委員会専門員 宮岡 宏信君
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委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
土屋 品子君 穂坂 泰君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 神山 佐市君
同日
辞任 補欠選任
神山 佐市君 土屋 品子君
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本日の会議に付した案件
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
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○土井委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
本日は、本案審査のため、参考人といたしまして、中央大学研究開発機構・機構教授秋山哲男さん、NPO法人ちゅうぶ代表理事尾上浩二さん及び一般社団法人全日本視覚障害者協議会代表理事山城完治さん、以上の三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から御忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いをいたします。きょうはありがとうございます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、秋山参考人、尾上参考人、山城参考人の順で、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いを申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おきお願いをいたします。
なお、御発言は着席のままで結構でございますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、まず秋山参考人からお願いをいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○秋山参考人 中央大学の秋山と申します。
最初に簡単に自己紹介だけして中に入りたいと思いますが、私は、都立大学におきまして三十数年間、アクセシビリティーとそれからモビリティーの研究をずっとやってまいりました。その間、博士論文もこの分野でとりまして、なおかつ国や地方自治体のさまざまな計画に携わってきました。
今回、ここでバリアフリーの法案について御意見を述べさせていただくのに、合計四点ほどメモに書きました。一つは、国際的な比較を通して日本のバリアフリーがどういう形になっているか。二点目は、今までのバリアフリーがどうなっていたか。三点目が、今回の法律の概要。そして四点目に、その評価という流れでお話をしていきたいと思います。
最初に、一番目に、国際的な比較を通した日本のバリアフリーの評価ですが、一の一で、「欧米の努力が日本に影響したもの」ということで、米国、ここにスウェーデンが抜けていますが、スウェーデンについてはきょう割愛しました、ノーマライゼーションの極めて重要な国ということですが、それから、英国、そして国連と、三つ書きました。
最初に、米国は、やはり、ベトナム戦争以後の、建築物をバリアフリーにしないといけないという建築障壁撤廃に関する法律がつくられた。各国とも、同様に、この時期にほとんどの建築の法律が欧州などではつくられています。
それから、リハビリテーション法は、これは公共交通をバリアフリーにしなさいということで、予算が政府が補助あるいは自治体が補助したものについては全てバリアフリーにしなさいという法律でした。
それから、ユニバーサルデザインは、アーキテクチャル・バリアズ・アクトという一九六八年の法律が出たけれども、これがやはり、余り障害者に使いよくないとか、デザイン的に悪いというので、ユニバーサルデザインという考え方が出てきたわけです。
そして、その後ですけれども、ADAと呼ばれる障害を持つアメリカ国民法ができて、これが国連の障害者差別禁止法にも影響をしております。そして、日本には、もちろんバリアフリー法への影響とかユニバーサルデザインの影響に至っております。
そして、英国については、DPTAC、これは日本にはないんですが、障害者が全体の平均、十五名いましたら八名以上を障害者の委員で占めるという全国的な組織でございます。これによってガイドラインを決めていくという英国の独特のやり方を通したということで、今でもこれが続いております。障害者の差別禁止法も英国ではつくられています。
そして、国連は二〇〇六年に、恐らく米国などの動きとか英国とかさまざまな動きを総括する中で、差別禁止法、二〇〇六年にできまして、日本が二〇一三年に批准をしたわけです。
そして、日本への影響というのは、このときに社会モデルそれから合理的配慮、これは米国のADAの中にリーズナブルアコモデーションとして既に一九九〇年代には載っていたんですね、それから、障害者差別解消法、これは日本でつくられたものです、こういう影響がまずあった。
二点目ですけれども、日本のバリアフリー対策を区分で見ますと、一九七〇年代から二〇〇〇年ぐらいまではこれは手探りの努力の時代だったということで、最初に福祉が頑張って、次に建築に影響が出て、次に交通という、そういう手順になってきたと思います。
そして、二番目に、自立して動き始めたのが二〇〇〇年の交通バリアフリー法からというふうに考えていただきたいと思います。
三番目に、独自の努力に入り始めた時代というのは、二〇一〇年からと書いていますが、実質はオリパラ以降と思います。オリパラは、かなりのエネルギーを持ってバリアフリーが進んだ一つと理解をしております。
一の三の、二〇二〇年までの成果ですけれども、例一で、公共交通のバリアフリーがかなり進んだというところです。施設では、大体八割から九割という整備率で進んできた。車両については、船舶はまだ五割を満たしていませんが、ノンステップバス、鉄軌道、航空機などの整備が進んできております。
二つ目としては、空港のバリアフリーが世界トップクラスになったということです。これは、スカイトラックスという英国の会社なんですが、空港を評価する部門で、初めて移動困難者の部門が、PRMと呼びますが、そこでできた評価の結果、羽田が第一位で、二位が成田、関西が三位です。十位以上に六社も入っております。そして、ほかの分野ですと百位以内にやっと四つぐらいしか入っていない。そういう状況を考えますと、かなりバリアフリーの水準が高いということがわかります。
二の、今までのバリアフリーの流れですけれども、二〇〇六年に、対象施設の拡大で路外駐車、都市公園、建築物、そして対象者の拡大が行われました。そして、二〇一八年には、共生社会の実現という基本理念をかなり大事にした考え方を示したり、社会的障壁の除去という。それから、二つ目に、貸切りバス、遊覧船も対象として入れないといけないということで車両を拡大したこと。三点目は、バリアフリーの重点的、一体的整備をやるわけですけれども、こういうことを市域全体、都市全体に拡大したということがあります。そして四点目に、心のバリアフリー、当事者による評価とか評価会議などがスタートしましたけれども、心のバリアフリーは、多分、今回の法案にかなり依存する、そういう形でつくられたように思います。
そして、次のページの、「今回の法律の概要」ですけれども、皆さん御存じだと思いますので、今回の法律の大きな点はソフト的対策の取組をやったということで、四番目から行きたいと思いますが、今回の法律の特徴というのは、二〇一八年で基本理念を示して、ハード中心であったバリアフリー化に対して、二〇二〇年の法律は心のバリアフリーや公共交通事業者のソフト基準とか協議応諾義務などのソフト面も加えて、高齢者、障害者等の対応をいかに図っていこうかという努力の特徴がありました。
そして、その中で、四の二の、「今回のバリアフリー法改訂で評価できること」というのは、一つはソフト施策を重視したこと。これについては、中身については、我が国のバリアフリーはハードでは国際的に遜色ないレベルまで達しています。例えば、二年ほど前に欧米の空港の調査をして、ハード面では私どもの評価は四点か五点だったんですね、五点満点で。
ところが、ソフト面がどうも、二点とか三点とか、やや心もとないということで、ハードをやはり日本は重視してきたねということで、今回は、ソフト面に力を入れる必要があるんだということを気づいていただいたという、重要な法案であるというふうに思います。
それから、二つ目は、公立小中学校のバリアフリーに踏み込んだこと。これは、今まで文科省は、ここをずっとバリアフリーをやらないで来たんですが、ようやくやる努力をするという流れの中に大きく入った。これはとても重要なことで、今後これをスピード感を持ってやれば、災害時にとってもとても役に立つ対策の避難所としての役割も十分担えるんじゃないかというふうに思います。
三点目ですけれども、「バスターミナル機能を有する道路施設を対象としたこと」ということですが、道路法によってバスターミナルがつくられたのがバスタ新宿なんですが、評価をずっとしてやってきたんですが、やはり使いにくいんですね。空港と比べると格段にレベルが落ちます。これは、バリアフリーの水準というよりは、一般的な都市の水準より落ちるので、やはりこういう法律があることによってバスタ新宿はもっとよくなるはずであるという理解をしました、今回の法律の評価については。
今後の期待ですけれども、一つ目は調査段階から当事者参加を入れるということで、インクルーシブデザインの研究者でジャムさんという英国の人は、調査の設計表から障害者が入っていくことが大事であるということを言っております。
それから、国連の権利条約で、藤井克徳さんから伺っておりますけれども、私たち抜きで私たちのことを決めないでという言葉が国連のところでいかにたくさん出てきたか。
それから、成田空港で、私が座長をやっております、インクルーシブデザインを実践していくことが必要だと考えて二年ほど実践をしてきました。そのルールは下の方に書いてございます。そして、できた成果も、やはりインクルーシブをやるとこんなに違うんだということをある程度見てとれると思います。
それから二つ目に、心のバリアフリーの仕組みが必要というのは、心のバリアフリーのかけ声はとても大事だし今後やるべきだと思うんですが、英国あるいは海外の空港の調査をしたときに、向こうには仕組みがちゃんとある、日本はまだ仕組みがこれからだという。今回、その仕組みの一歩を何とか踏み出そうとする努力は見られるんですが、やはり仕組みがあるのとないのとでは大違いである。
具体的に申しますと、JALとANAとエジプト空港があるとすると、そこの間にはサービスの差があるはずだ、したがって、一元化してやらないとだめだよというのが欧州あるいはアメリカの政策です。日本はそこがまだばらばらのサービスなんです。これでは、エジプト航空に乗った人はサービスが非常に悪くて、JAL、ANAはとてもいいじゃ話にならない。
これは、IPCの理念、IPCというのはインターナショナル・パラリンピック・コミッティーが、ガイドラインを各国ともつくりなさいと言ったときに、英国あるいはブラジルそして日本、それぞれ独自でつくっているのは、各国ともでこぼこ、バリアフリーにでこぼこがあってはいけないんだ、そういう考え方です。
したがって、航空間もでこぼこがあってはいけないんだ、あるいは鉄道間もでこぼこがあってはいけないんだ。そのところがかなり重要ですので、そういったことを意識して心のバリアフリーの仕組みをつくっていただきたい。
三点目は、地方の鉄道の無人化とか人口低密度地域のモビリティーとアクセシビリティーが両方とも壊れかけている。壊れかけているというかやれていない。これについて積極的な関与がどうしても必要である。
私は、ある鳥取の田舎町に行って高齢者のドライバーの調査をしたら、九割の人が運転をして、今後やめるつもりがない。そして、これをどうするかというお話もなかなかまだまだ先の話で。そして、なおかつバリアフリーとあわせて一体的にやらないといけないというのが、この三番の問題というふうに考えております。
あと、参考についてはお読みいただければと思います。これについては、羽田空港と成田空港はパンフレットがちゃんと、五十ページ近くにわたるパンフレットがそれぞれありますので、いつでも御提供いたしたいと思います。
以上です。(拍手)
○土井委員長 ありがとうございました。
次に、尾上参考人、お願いいたします。
○尾上参考人 NPO法人ちゅうぶ代表理事の尾上浩二と申します。
きょうは、お招きいただきまして、ありがとうございます。
提出いたしました資料に基づいて発言をさせていただきます。
私は、子供のときから脳性麻痺の障害がありまして、養護学校、入所施設を経まして、地域の中学校、高校に進んだ後、大学に入学をいたしました。その学生時代から、四十年以上にわたり障害者運動にかかわってまいりました。現在、日常的に電動車椅子を利用して生活をしております。
私は、特に大阪でのバリアフリー運動に当事者の立場からかかわってまいりました。全国に先駆けて制定された大阪府福祉のまちづくり条例や大阪市ひとにやさしいまちづくり、いずれも一九九三年でございますけれども、こういったものを推進してまいりました。さらに、この国会では、二〇〇〇年の旧交通バリアフリー法制定時にも参考人として意見陳述をさせていただいたものであります。
そういった経験をもとに、今回の法案への評価を述べさせていただきます。
まず一つ目ですけれども、心のバリアフリーと社会モデル、障害者差別解消の関係でございます。
今回の改正法案のキーワードが心のバリアフリーということだと思うんですが、心のバリアフリーとは一体何か、その意味を明確にすることが重要なのではないかと思うんですね。
決して思いやりといったような情緒的な解釈に流れることのないよう、二〇一七年に決定をいたしましたユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画、そこで記されました次のような三点に基づいて進めていくことが重要だと考えます。
その三点というのはこういうことです。
一つ目、「障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。」二つ目、「障害のある人(及びその家族)への差別を行わないよう徹底すること。」三つ目、「自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。」こういったことが書かれているわけですね。
今回の法律改正を受けて今後進められる国の基本方針やあるいは自治体のマスタープラン、その中で心のバリアフリー特定事業というものも設けられると聞いております、そういったもの、そして、各種研修などにおいて、この社会モデルの理解、そして障害者差別を行わないよう徹底する、このことが今回のバリアフリー法改正の中での心のバリアフリーということの肝であるということをぜひ御確認いただければと思います。
そして、二つ目でございます、学校のバリアフリーの義務づけです。
本改正で、小学校、中学校のバリアフリーが義務づけされることは高く評価をいたします。小さなときからともに学び共生の体験をする、そのことが心のバリアフリーの基本であり、学校のバリアフリーの義務づけは、インクルーシブ教育の基礎的環境整備という意味で非常に大きな意義があると思います。また、学校は、避難所や投票所といった地域住民にとって重要な地域施設であります。そういったものの整備としての意義も大きいと考えます。
特に、この問題、ハートビル法、一九九四年につくられたものですが、それ以来、四半世紀にわたる長年の課題でしたが、ようやく今回の改正に至ったというのは本当に期待をするところなんですが、着実にこの期待を現実にしていただけるようにバリアフリー化が進むようにしていただければなと思うんです。
今、少子化の時代の中で、小学校や中学校が新設されるということはほとんどないと思うんですね。ということは、つまり、学校というのは既存物なわけです。ということは、このバリアフリー法では既存物は努力義務なんですね。今回の改正の実効性を持たせるためには、国、自治体ともに、数値目標の設定や実施計画を策定する、並びに十分な予算措置を行う、そういったことをお願いをしたいと思います。
また、移動円滑化促進地区や基本構想重点地区、そういったものの中で学校の積極的な位置づけというのを今後つくられる基本方針の中で示していただければと思うんです。
この点にかかわって、私自身がかかわった二つの経験、事例をお話しいたします。
まず一つは、そういう目標や実施計画の必要性ということですが、大阪市のひとにやさしいまちづくり整備要綱というもの、一九九三年、そのときから、小学校、中学校も含めて、学校のエレベーターなど、これを整備基準としておりました。と同時に、一九九一年から計画的に学校のバリアフリー化を進めてきたわけです。その結果、去年の七月現在、大阪市立の小学校二百七十六校、中学校百二十七校、すなわち合計四百十八校中四百三校、九六・四%にエレベーターが設置されるようになったわけです。
つまり、今回義務づけするとともに、どうやって実施計画まで持っていくか、あるいはそれに伴う予算を確保するかということが重要ではないかと思うところであります。
そして二つ目ですけれども、兵庫県の明石市、この春にマスタープランができましたけれども、全市方針として学校のバリアフリー化を掲げるとともに、移動円滑化促進地区において、小学校は二十八校中十四校、中学校は十三校中六校、要は半分ぐらいが生活関連施設というふうに位置づけられています。
こういった事例も含めながら今後の基本方針の中でしっかりと位置づけていただければということと、あと、学校に関しましては、高校、大学、そして私立の学校、今回残念ながらバリアフリーの義務づけになっていないものにおいてもバリアフリー化が推進するような施策を進めていただければと思います。
さて、三点目でございます、バリアフリー設備の適正な利用ということです。
円滑な利用、その前提は、表示や情報提供であります。例えば、地下街への連絡ビルにエレベーターが設けられることがあったりするんですが、どのビルにエレベーターがあるか、ぱっと一目で見てわからないんですね。わからなければ、使いようがありません。バリアフリー設備の表示や情報提供ということを徹底していただきたいということと、そして、適正な利用の具体的な内容については、社会的障壁の除去、利用者の利便性の向上という視点から当事者参画のもと決めていく、そういったことをしっかりと進めていただければと思います。
四点目ですけれども、今回設けられますソフト基準適合義務ということについて、この実効性確保、そしてUDタクシー車両のさらなる改善をお願いをしたいと思います。
去年十月、障害者団体の調査によりますと、UDタクシー利用の際に、二七%、四分の一を超える車椅子利用者が乗車拒否に遭った、そういう結果が明らかになっています。残念なことであります。
バス、タクシーなどでの乗車拒否防止策として、このソフト基準適合義務、着実に効果が上がるようにしていただければと思うんですが、そのためには、対応に当たる職員への研修を義務づけるとともに、研修を受けられる仕組み、いわば仕事として研修を受けられるといいますか、そういう仕組みを導入をしていく、そして、研修修了者数を事業者が毎年定期報告をするようにしていただきたいということですね。
それとあわせて、スムーズに乗降できるよう、やはり現在のUDタクシーはまだまだ乗降に手間がかかり過ぎます。これは当事者参画が不十分な状態で開発された結果だと思うんですね。当事者参画のもと、UDタクシー車両のさらなる改善と認定要領の見直しも進めていただきたいと思います。
さて、五点目でございます、用途別の規模設定や社会的障壁除去のための基準設定など、建築関係の抜本的見直しをお願いしたいと思います。
小規模店舗、ホテル、共同住宅といった建物関係については、課題が山積をしている状況であります。建物関係については、抜本的な見直しがぜひとも必要な状況にあると考えています。
例えば、今回の改正でホテルや飲食店の認定と情報提供が盛り込まれていますが、そもそも利用できる店舗が限られている、そのことに問題があるのではないでしょうか。例えば、先週開設されました「だれでも東京」という情報サイトを調べてみますと、車椅子利用可能な店舗、飲食店は、新宿でわずか五店舗、御茶ノ水で二店舗しかない、そういうヒットしない状況なんですね。
特に、物販や飲食など日常的に利用する小規模のバリアフリーは大きく取り残されたままにある、そのことを御認識いただき、早急な対応が必要だということを確認したいと思います。例えば、入り口の段差解消、扉幅の確保、車椅子でも着席できる可動席といった項目だけでも基準化するだけで、大分変わるのではないでしょうか。
また、二千平米以上のテナントビルでは、ビル全体はバリアフリー化されていても、各店舗の中に残念ながら段差が設けられたり、固定席のみで車椅子で着席できない、そういった場合が往々にしてございます。
率直に申しまして建物関係は、現行法では全ての用途で一律に二千平米以上の規模面積のものを対象にするという、非常に、ある意味で粗っぽいといいますか、そういった規定が問題なのではないかなと思うんです。用途によって規模が異なるのは当然であります。それぞれの分野で一定の割合をカバーするような、用途別の規模設定が必要ではないでしょうか。
さらに、二〇一八年のバリアフリー法改正で、一条の二、基本理念として、社会的障壁の除去と共生社会の実現が創設されました。そのことを踏まえて、各用途の機能、サービスを利用する際の社会的障壁の除去に資するよう、店舗内やホテル居室内などの機能、サービスに着目した整備項目、情報バリアフリーも含めた整備項目を設け基準化することが必要ではないかと考えます。
そして、六点目、マスタープラン、基本構想、委任条例の促進に向けた自治体支援の強化をお願いしたいと思います。
この基本構想、バリアフリー法の中ではとても大切な仕組みだと考えていますが、この十年間、基本構想の策定は低調なまま推移してきております。また、二〇一八年に設けられましたマスタープラン制度、これは今後の発展に期待をいたしますけれども、まだ大きなインパクトをもたらすまでには至っておりません。委任条例も、二〇〇六年以降十四年を経た現在でも、わずか二十の自治体どまり、そういう状況にあります。マスタープラン、基本構想、委任条例、これらの促進に向けた施策や自治体支援の強化が必要と考えます。
七点目として、より一層の取組が求められる課題ということを申し上げます。
本改正以降検討されるバリアフリー基本方針などにおいて、以下の項目について十分な検討と明確な目標を定めていただければと思います。
空港バス、長距離バスなどのバリアフリー化。わずか十七台しかバリアフリー化されたものがないという現状、こういった現状を変えていくために、基準適用除外認定というものを速やかに解除いただきたいと思います。ホームドアの設置促進、並びにホームと車両乗降口の段差やすき間の解消。あるいは、三千人未満の駅などのバリアフリー化。無人駅問題対策、並びに無人駅におけるバリアフリー対策。さらに、新幹線や特急車両におけるフリースペース設置。さまざまな課題、これらをより一層取り組んでいただければと思うわけです。
それと、二〇一八年の改正で創設されました評価会議、これは当事者が参画をし評価をする大切な仕組みですが、これをより一層充実をしていただきたいと思うわけです。とりわけ、全国に十設けられました地域分科会、今、去年は年一回ずつしか開催されていません。年一回だと、名刺交換で終わってしまいます。そうではなくて、やはり国並みに年複数回開催をいただきたいと思います。
最後に、障害者権利条約の国連審査を踏まえて、さらなる見直しをお願いをしたいと思います。
二〇一四年に批准をしました障害者権利条約に関して、今後、国連での審査が予定をされています。コロナウイルスの関係で時期は流動的でありますが、ことしから来年には国連障害者権利委員会から勧告が出される予定であります。障害者権利条約との整合性という観点からも、さらなる法律の見直しをお願いをしたいと思います。五年後ということまで待つことなく、障害者権利委員会からの勧告を受けて早急な見直しをお願いをしまして、私の発言にかえさせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
○土井委員長 ありがとうございました。
次に、山城参考人、お願いいたします。
○山城参考人 一般社団法人全日本視覚障害者協議会の代表をしています山城完治といいます。
きょうは、こういう場にお招きいただきまして、ありがとうございます。私たち視覚障害者の問題を公的に発言する場は余りないので、本当にありがたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、私の自己紹介的なことなんですけれども、私は、沖縄で一九五六年に生まれまして、十五歳まで沖縄の盲学校で学んできましたけれども、それ以降、一九七二年に東京に十五歳で出てきました。以降、東京に住んでいるんですけれども、一九七九年に私たちの今の東京の会に入会しまして、それからずっといろいろな活動をしていますけれども、とりわけ九〇年代からは、私たちはいわゆるまちづくりと言っていますけれども、安全な歩行、移動の運動を中心に、自分のライフワークかなと思って取り組んでいるところです。
さて、この機会ですから、視覚障害者の問題を見ていただくために、視覚障害者の社会参加、平等を進めるためにというところがありますけれども、私は、学問的なことはわからないですけれども、運動する中で、三つの不自由と三つのおくれを克服していくことが課題だというふうに考えています。
三つの不自由というのは、歩行、移動の不自由、それから二つ目、情報の入手、発信の不自由、就労の不自由、これがあると思います。それから、三つのおくれですけれども、制度と技術開発のおくれ、視覚障害者に対する啓発、理解のおくれ、それから、民主主義や人権、その土台である平和を求める運動のおくれ。これを総合的に解決していかなきゃ私たちの社会参加と平等は進まないんじゃないかなというふうに考えています。
ちょっとだけ言いますと、情報の問題でいいますと、例えば私たちは今点字を使っていますけれども、まだまだ文字処理というのはなかなか難しいですし、制度的にも、そういう機器などの制度は少ないですし、それから、技術開発的にいっても、まだまだ視覚障害者の、私たちの目となるものの開発というのはおくれているというふうに思わざるを得ません。
三つの不自由というのは、考え方としては、治療でいいますと対症療法だというふうに思います。そして、三つのおくれは根本療法。これを総合的にやっていかなきゃいけないかなというふうに考えています。
さて、本題にだんだん入っていきますけれども、今回、私は、法案というよりも、視覚障害者の歩行、移動の実態を知っていただくという面から、とりわけ命の危険にかかわるという点で、駅ホームからの転落の問題、それから車にはねられる事故の問題を取り上げていきたい、そして最後に法案に対する要望、これは実態に基づく要望ですけれども、これを提起させていただきたいというふうに考えています。
歩行、移動の問題で、これは総論的に言いますと、私は、落ちる、ぶつかる、つまずく、迷う、見えぬ歩行の四バリア、これをなくしていくということが安全、安心な歩行、移動につながるというふうに考えています。
ちょっとずつ書いてはありますけれども、落ちるの問題。この落ちるは大体けがを伴うことですし、そのことをちょっと一つだけ書いてありますけれども、五段以下の段差を設けない原則が必要じゃないかなと思っています。意外と、小さい段差、一段とか、二段とか四、五段まではなかなか段差があるということがわからないことが多いです。弱視を始め、そういうことがあってけがをするということが往々にあります。
それから、つまずく、落ちる、ぶつかる、これはもう日常茶飯事。
ぶつからずに歩くことはできない、これが視覚障害者の状況です。いろいろな道路や駅での構造物、それから人にぶつかることもありますし、いろいろなところがあります。
つまずくというのは、弱視者が、特につえを持っていない人がつまずくということは往々にあるんじゃないかなというふうに思っています。それで、けがをするということにもつながります。
それから、迷う、これが視覚障害者の一つの特徴ですよね。情報がないわけですから、自分が今どこを歩いているのか、視覚障害者は、自分が今どこにいて、どっちを向いて、どう歩くかというのが問題なんですけれども、どこにいて、どっちを向いているかというのがわからない。
例えば、この部屋にいますと、これは結構広い部屋ですから、広いから入ったときに部屋だと思わないことだってあるわけですよね。皆さんは、人がいて、机があるから部屋だとわかるかもしれないけれども、それをさわらないと、そういうこともわからないというのが現状だということなんですよね。そういうことが歩行、移動に大きく影響していくというふうに思います。
次に、各論ですけれども、まず転落事故の問題です。
転落事故の状況を、こんなにまだまだ転落事故が後を絶たないんだということを資料一と二に掲げてあります。
資料二というのを見ていただいてもいいですか。資料二には事故件数が書いてあります。
これは、国土交通省が二〇一〇年からまとめていますけれども、それに私たちの情報を加えたものですけれども、接触を伴わない転落事故が六百六十九件、そして、接触、まあ死亡ですけれども、二十件もあります。国でいうと、これは九年間ですから、毎年六十件から七十件ぐらい、平均すると事故が起きているわけなんですね。大体一週間に一度は全国どこかで視覚障害者がホームから落ちているということになります。これは私は異常事態だと思います。ホームというのは欠陥商品じゃないかと思うぐらいのことではないかなと。これを改善するということが社会の大きな課題だというふうに考えます。
次に、なぜ落ちるかということが書いてありますけれども、見える人は、ホームを歩くときに縁を見て、そこに自分で壁をつくっているんです、落ちちゃいけないと。落ちちゃいけないという壁をつくって、それを持つことができるんですけれども、視覚障害者にはこれができないわけですよね。だから落ちるわけなんです。ちょっと例をかえて言いますと、酔った方、酩酊した方がホームから落ちるというのはそういうことだというふうに思っています。だから、視覚障害者にとって、可動式のホーム柵がなければ、落ちるというのは防げないというふうに思います。
次に、なぜ可動柵が必要かということを書いてあります。
これは事例に基づいていきますけれども、資料の一ですね。一番目に書いてあるのは、一の七十二番、最近の日暮里の事故ですけれども、日暮里というのは、一つのホームに電車が両方から入ってくる島型ホームというホームなんですけれども、片方はホームドア、可動柵がある、そしてもう片方はないわけなんですね。このあるかないかというのが視覚障害者にはわからない、ということによって落ちる。例としては、恐らくこれは夜に起きている事故なんですよね。こういうこともありますので、恐らく、違う、いつも使わないホームを使ったんじゃないかと思われるんです。これはあくまでも思われるですけれども。ですから、自分がこのホームには可動柵があるんだなと思って落ちたのではないかというふうに思われる例です。
それから二番目の例は、七十番、押上の例だとか、六十九番もそうですけれども、これらは、自分のホームで電車を待っているとしますね。そうすると、自分が乗る方じゃなくて向こう側のホームに電車が来た。それで、これを自分の方に来たと。まあ、勘違いですよね、わからないわけ。どうしても、誤認せざるを得ないということもあるんですけれども、それを自分の方だと思って乗り込もうとしてホームから落ちるわけです。
この押上の例は典型じゃないかなと思っているんですけれども、階段の近くなんですね。階段をおりて、おりたらホーム。そうしたら、おりたらすぐ向かい側のホームに電車が来ているんですよね。そうしたら、当然、おりたら、自分の側に電車が来たんじゃないかなと思っちゃうんですよね、流れとして。ですから、これは防げないという二つ目の例です。
それから三つ目は、四十四番の例、これは目白であった例ですけれども、彼は大塚駅という割合幅の広いホームをいつも使っていたんですね。それで、その日はなぜか山手線の内回りに乗っていて、電車を乗り越しちゃったんですね。乗り越したら、次は池袋ですから、普通は池袋でおりますよね。だけれども、池袋でおりるとホームを変えなきゃいけない、階段を上りおりして。ですから、次の目白駅に行ったわけです。目白駅は、大塚と違ってホームが狭いんです。端っこは特に、彼が落ちた目白側は特に狭い。足を、股を広げると点字ブロックが両方に触れるぐらいの幅なんですね。それを恐らく彼はいつもの大塚のホームと思ったわけですね。それで落ちた。
奥さんが一緒に歩いていたということらしいんですけれども、奥さんは後ろからかばんを持っていたらしいんですね。そうしたら、突然彼がいなくなったんですよ、ぽとっと落ちて。そしてホームから電車にはねられて亡くなったという、そういう事故なんですけれども、これらは全てやはり可動柵がなければ防げない事故なんですね。そういうことをぜひ御理解いただきたいというふうに考えます。
余り時間がないですけれども、固定柵の問題があります。
固定柵も、柵というから落ちなくなるのかなと思いますけれども、固定柵というのも、あきっ放しですから、落ちるんですね。私が知っているだけでも東急で三人はいます。そういうふうに、落とし穴のある対策というふうなことを書きましたけれども、固定柵はやはりかえって危険な面もあるというふうに御理解いただきたいと思います。
それから次に、可動柵の問題はありますけれども、そうはいってもなかなかできてこないという意味でいうと、駅員さんや係員さんの役割というのは非常に大きいと思います。やはり転落するものだという前提に立って、どういうところで落ちるのか、落ちたらどういうふうに助けるのか、そういうことも実践的な研修などがぜひ必要です。
ここで資料一の五十六というのと五十七を見ていただきたいんです。
五十六は新京成の駅で落ちている例ですけれども、これは駅員さんがいなかったんですね。これは恐らく、この落ちた人は女性なんですけれども、網膜色素変性といいまして、ちょっと暗くなると全盲になっちゃう、そういう、幾ら視力があっても、ちょっと暗くなるとすぐ全盲になってしまうというような眼疾なんですね。そういう中で、駅員さんがいないところで、私が見に行ったら暗くなっているところでしたけれども、それが要因になって、駅員がいないということと合わさったんじゃないかなというふうに思われます。
それから、五十七番の例は、これは錦糸町で、私たちの仲間ですけれども、駅員さんが助け上げてくれた例です。これが一つ目。
それから、私の体験というのも書きましたけれども、これは詳しく説明する時間がだんだんなくなってきますけれども、要は、私も、随分前ですから少し視力もよかったし、よかったというか、ちょっと見えて今よりよかった、それから体力的にも元気があったというのもあって、おりて助けたんですけれども、二人では助け上げられないなということを痛切に感じました。それともう一つは、駅員さんがいてくれて電車をとめてくれれば、もっと安心してやれるのになというふうに思いました。三人目が来ていただいたので上がりました。
これと対比するようですけれども、二〇〇一年にあった新大久保の事故、これは三人亡くなっているんですけれども、だから、私が言ったのと同じで、二人では上げられないんですよね、なかなか。たしかこの時間は七時ごろでしたから、電車の来る頻度が大きい。だから、私も、その時間だったら恐ろしいなと思って今さら怖い思いになるんですけれども、そういうことがあるので、駅員さんによる対策というのは非常に大きいなというふうに考えています。
駅に関する要望はいいことにしまして、次に、自動車事故のところに行きたいというふうに思います。
自動車事故、これも命にかかわるという点では私たちにとって重要な問題です。
資料三に十件の事故の事例を挙げました。これは国交省の資料に私が聞いたのも入れて十件になって、二〇一〇年からのものですけれども、まず国交省は視覚障害者といって調べるわけではないですので、まだ制度的に調べる制度がないということがあります。これは半分は、私、知っている仲間なんですよね。だから、特徴は、これは氷山の一角だというふうに思っていただきたいというのが一点です。
道路横断による事故、車にはねられる事故をなくすために、まず、道路を横断する横断歩道の機能を視覚障害者が十分使えるようにならなきゃいけない。そのためには、最低、音響式信号機とエスコートゾーンが必要です。
音響式信号機があることによって、私たちはまず、そこに横断歩道があるということがわかります。それから、信号の色、青信号がわかります。それと、大まかな渡る方向が、ピヨピヨと鳴りますからわかるということです。そしてエスコートゾーンは、その渡る道筋をきちっと示すわけですね。特に道路が広いところだと、私たちも調査したこともありますけれども、曲がりくねって結局戻っていたとかぶつかったりして戻っていたとか、そういう悲惨なこともたくさんありました。
そういうことがあって、横断歩道を私たちが使えるような機能、そのためには、音響式信号機、エスコートゾーンを横断歩道の設備の基本としていただきたいというふうに思います。
私の体験を次に書いておきましたけれども、あるときに、横断歩道を渡ろうと思ったら、自分と同じ方向で車が動いたので、あっ、青だなと思って渡ったら、向こうに行ったら何か人がいるみたいで、しまった、信号無視しちゃったなと思ったんですけれども、ちょっと待てよ、私は信号が見えないから信号は無視できないなと思って、ああ、無視しているのは、設置する行政が私の存在を無視しているんだなというふうに思い至ったという経験があります。これはやはり人権の問題でもあるのかなというふうに私は思います。
たくさん要望を書きましたけれども、この中で、視覚障害者の参加の問題をぜひ、私たちの声を反映させる仕組みを取り入れていただきたいというふうに思っています。
ちょっと長くなりましたけれども、どうもありがとうございました。(拍手)
○土井委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の皆さんの御意見の開陳は終わりました。
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○土井委員長 これより参考人の皆さんに対する質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。
○古賀委員 おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。
きょうは、まずは、お忙しい中、そしてコロナウイルス対応の大変厳しい状況の中で三人の方にお越しいただきまして意見陳述をいただいたことに、心から感謝を申し上げたいと思います。
十五分という限られた時間でありますので、本当に皆様方にお聞きしたいことはたくさんあるんですけれども、時間の制約があるということをぜひ御理解いただきたいことと、今伺っている限り、バリアフリー化に向けての大きな方向性の違いはなかったんじゃないかというふうにも理解しているところであります。
大体いつもこうやって立って質疑をさせていただくのですが、座ってお話しいただいていましたので、私も座って質問させていただきたいと思います。
まず、秋山参考人に伺いたいと思います。
先ほど自己紹介でもありましたように、これまで長年にわたりまして、政府の中で、いろいろな会議の場、検討の場で御尽力賜りましたこと、大きな役割を果たされたことに、心から敬意を表させていただきたいと思います。
先ほど質疑の中で、紙も配られたわけでありますが、「今後の期待」というところで、三つ目、地方都市の鉄道の無人化や人口が低密度な地域のモビリティーとアクセシビリティーの一体的対応の必要性があるというような御指摘をいただきました。地方では非常に自動車の運転の率が高いとか、また、昨今いろいろな高齢者の自動車事故がふえてきておりますので、そういう意味でも大変大事な視点じゃないだろうかというふうに思います。
私がまず一点目に指摘あるいは質問させていただきたいのは、ハードの面であります。
これまでバリアフリー化の対象というのは、例えば、建築物について一定の規模以上、二千平米以上、あるいは公共交通機関で一日当たりの平均的な利用者数三千人以上というような条件を付してバリアフリー化を進めてまいりました。これは予算の制約ですとか優先順位があるということだと理解しておりますけれども、更にバリアフリー化を前に進めていくにおいては、この基準以下であってもやはり進めていく、対象としていくことが大変重要じゃないかというふうに思います。
その点は秋山参考人以外も、尾上参考人からも同じような御指摘があったと承知しておりますし、山城参考人からも、具体の話として、ホームの幅が違うところでホームから落ちられた、あるいは五段以下の段差をつくらないような原則というような御指摘があったところですけれども、まさにそういう御指摘のように、機械的な三千人とか二千平米ということではなくて、実際にそこを使われている高齢者がどれぐらいおられるのか、あるいは障害者の方がどれぐらいおられるのか、そういった本当に必要とされている方の数字の把握だったり、あるいは、今の既存施設が、先ほどの五段という話がありましたように、本当にバリアがあって早急に対応しなきゃいけないというような施設のことの把握をした中で、必要に応じて整備を行っていくべきではないかというふうに私は思うわけですけれども、ぜひ秋山参考人にそのあたりの考えについてお伺いしたいと思います。
○秋山参考人 秋山です。
ただいまの駅及び建築物などの基準を設けた整備につきましては、ある程度賛成でございます。ところが、場所によって、これについては、あくまでも管理側の発想で三千とかあるいは二千平米というふうに切っていると思うんですね。ユーザーオリエンテッドでは決してないんですね。
ユーザーオリエントで考えたときに、アクセシビリティーという観点というのは、段差を削るとか、あるいはエレベーターをつける、そういうものがアクセシビリティーの施策としては重要なんですが、それ以前にもっと重要なモビリティーという観点を忘れていませんかと。
つまり、地方の田舎のところで住んでいる人たちのモビリティーをどうやって救済するか。それは、鉄道とバスと、それからスペシャル・トランスポート・サービス、移送サービスとか、あるいは個人のさまざまな交通システム、それを一体化してやらないともう無理な状況に来ているんだ。つまり、基準をつくれば済むというお話ではなくなっているところ、相変わらず基準の議論を地方にも当てはめようとしている。
これは基本的に無理難題の話と解決できる話と二つあって、解決できる話はそのまま解決できるんですが、無理難題は、まだ十年、二十年先、残っていくわけです。その残っていくことに対して責任を持った対策をしっかりやってくださいと。
それについてはモビリティー全体で考える。具体的には、鉄道駅、四駅あったとしたら全部無人駅だとする、ある自治体があったら、一駅を重点的にバリアフリーにしていくというやり方、そこに二次交通をつなげていくというやり方があるだろうと。
そういう意味で、知恵の出しどころを、その辺はもう少し突っ込めば考えられると思いますので、これは、鉄道事業者、バス事業者、そういういわゆるさまざまな壁、自治体の壁、これをどうやって越えていくかという極めて実験的な都市のつくりになると思いますので、ぜひそこを進めていただきたいなというふうに思っております。
以上です。
○古賀委員 ありがとうございます。まさにユーザー視点という視点、大変大事だというふうに思っておりますので、そこはしっかり認識しながら取り組んでいきたいと私も思うところであります。
次に、引き続き秋山参考人に伺いたいのですが、先ほど、一点目の指摘と同じところの「今後の期待」というところで、調査段階からの当事者参加というような御指摘もございました。まさにそこも、今おっしゃったように、ユーザー視点を早い段階から入れていくということでは大変大事な指摘だろうというふうに思います。
一方で、大変専門家でいろいろな現状を見てこられたと思うんですが、現状はどうなっているのか、そういった当事者参加の仕組みになっていないのか、そういった現状がどういうことかということと、当事者参加について、やはり抽象的に指摘してもなかなか難しいので、ある程度ルール化するようなこともできないのかということも思うわけですけれども、そういった当事者参加の現状、あるいは今後の方向といいますか対応についてお話を伺いたいと思います。
○秋山参考人 秋山です。ありがとうございます。
現状については、二〇〇〇年に交通バリアフリー法をつくったときに、障害者の意見をよく聞くことという言葉が入ったと思うんですね。これについて、バリアフリーの基本構想などでは、さまざまな、多様な障害者にできるだけ入っていただこうということで会議が成立したと思うんです。
こういう点はいいと思うんですが、障害者も、すごく優秀な障害者と、そうでない人もたまにいらっしゃったりする。あるいは、自分の分野はわかるけれども他人の分野はわからないというような問題があるので、私は、成田空港でインクルーシブデザインを実践的にやりました。
先ほどの例ではないんですが、一人の障害者では無理だ、二人の障害者でも無理だと思いましたので、視覚、聴覚、発達障害、その他情報関係、つまり十人ぐらいの障害者の人たちに参加していただいて、なおかつ専門家も十人ぐらいいて、それから、実際に物を整備する人たちも教育しないといけませんので、その人たち十人ぐらいと、一日七時間を三十回ぐらいやっています。テーマを二時間ずつ区切って、十幾つのテーマ、そしてつくり上げたのが、今の成田空港はまだ途中ですけれども、インクルーシブでつくり上げました。こういう努力をすることによって障害者のユーザーオリエンテッドのことができるんだと。通り一遍のお話だとやはりできないんじゃないかというところもございます。
それから、もう一つ別の視点ですけれども、最近やはり、例えば交通事業者も教育しないといけないということで、ある交通事業者に伺いますと、ガイドラインを読んでもわからない、こんなに厚いし、どこを見ても何となくわからないと。そうしたら、やはり直接教えるしかないねということで、地方空港を我々専門家六人が回って、ここがこういう点で問題で、こう改善しなければならないということを指導して、ユニバーサルデザインのレベルを上げるということをやってきました。
そういう解決策もあるだろうということです。
○古賀委員 ありがとうございます。
そして、済みません、三点目に引き続き秋山参考人に伺いたいんですけれども、先ほど、「今後の期待」のところの二点目で、心のバリアフリーの仕組みづくりが必要という御指摘がありました。でこぼこであってはいけないというようなお話があって、その御指摘もごもっともだと思うところであります。
そして、これまでの日本のバリアフリーの取組だったり、あるいは国際的な評価等の御意見、御説明もあったわけですけれども、これからこの法案が、まさに心のバリアフリーは大変依存している、大事なポイントだという御指摘があったわけですが、一方で、日本が今独自の努力に入り始めた時期だというようなお話もありました。この法改正を通して、日本がどういった方向に行くであろう、あるいは期待されているのか、この点をぜひ伺いたいと思います。
○秋山参考人 もう少し細かく海外の空港の実情をお話ししますと、日本の羽田空港の国際空港は、コンシェルジュというのを百人ぐらい雇って、そして、その人たちが障害者のお手伝いも一般の人のお手伝いもしていたんですが、海外ではそれと違う方法をやっていました。EUでは、法律をつくって、航空事業者がやるのではなくて、そこのところで一括して全ての到着者に対してやりなさい、あるいは出発者に対してやりなさいということで、一定のところに集めて、そして、その人たちに対して対応するということをやりますと、かなり水準が高くなります。
これはアメリカも同じようにやっていましたので、日本だけが見ていればいいのかな、それじゃだめでしょうということで、それを制度化にこぎつける第一歩、今、今回の心のバリアフリーはそういうふうに見ております。小さく今スタートしたなと思いますので、これから大きく変わっていく流れはここ数年で変わっていけばよろしいかな、そういう理解をしております。
以上です。
○古賀委員 ありがとうございます。
だんだん時間もなくなってきたわけでありますが、尾上参考人に一点伺いたいと思います。
きょう提出いただきました資料に、大阪市のエレベーター設置の校数がございました。先ほど各参考人のお話の中で、小中学校を今回対象とするということで、避難所だったり、この紙にもあるように投票所だったり、あるいはインクルーシブ教育だったり、こういった観点で学校のバリアフリー化が大変大事だと。私もそのとおりだというふうに思います。
ただ一方で、学校のいわゆる改修あるいは設備というのは、耐震化だったり、あるいは老朽化の対応だったり、こういったことに今まで追われてきたという現実が一方であって、多分、全国的に見ると、かなりこの大阪だったり御指摘いただいた地域では進んでいるんだろうというふうに思います。
改めて数字は文科省なりに確認したいと思いますけれども、尾上参考人が見てきて、どうしてこの大阪なり、こうやって進んできているのか、大分前から取組をされていたという御説明がありましたけれども、どこがポイントなのか、もし何か参考になる視点があれば、簡潔で結構ですので、お聞かせいただきたいと思います。
○尾上参考人 どうもありがとうございます。
まず、大阪のまちづくりの歴史をちょっとひもときますと、一九七〇年代、八〇年代はとても全国的にも誇れるようなものはなかったというのが正直なところです。関西圏でいいますと、神戸や京都は比較的進めてきたのが、大阪は全然進んでいなかったのが正直なところで。一九九〇年代ぐらいから、私たち当事者運動の方からいろいろな提起をさせていただいて、そして、その当時の行政の担当者ともいろいろと、ちょうちょうはっしいろいろなやりとりをしながらですけれども、いい知恵を出しながら進めてきた。最初の段階からやはり当事者の声を大事にしてきたというのがまず一番ベースにあるかなと思います。
それと、二つ目が、先ほど申しましたとおり、やはり基準としてしっかり示していく。つまり、それは、大阪市としての考え方をいわば社会に示すということと、みずから率先垂範をしていく。その基準を示した限りは、やはり、単に大規模改造があるときにやりましょうではなくて、計画的にみずから主体的にやるというような、担当部署がちゃんと主体的な責任を持ってやっていただけるかどうかという、その二つにあるかなと。
当事者参画と担当部署といいますか、私がそのころ言っていたのは、まちづくりというのは、どこかのある部署だけでやるのではなくて、オール大阪でやるんだ、全ての部署でやってほしい。その二つに尽きるのではないかと思っています。
○古賀委員 まさにおっしゃるとおりで、当事者も含めて一緒になって取組をすることが大変大事だということを再認識したところでございます。
きょうは山城参考人には伺いませんでしたけれども、当事者の声としてしっかり受けとめて、次回の委員会で、きょういただきました三人の参考人の声を受けとめての質疑を次回させていただきたいと思います。
時間が来ましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○土井委員長 次に、道下大樹君。
○道下委員 共同会派、立国社の道下大樹でございます。
きょうは、三名の参考人の皆様、お忙しいところ、そして新型コロナウイルスの感染拡大等で本当に心配が多い中で御出席をいただきまして、ありがとうございます。
時間も限られておりますので、早速、質問をさせていただきたいと思います。
まず一問目は、尾上参考人と山城参考人に伺いたいと思います。
前半は尾上参考人に伺いますが、今回の本改正案について、小中学校の校舎のバリアフリー化を進めるということ、これは高く評価されております。改正案では、共生社会実現に向けた機運醸成を受けて、市町村、学校教育等と連携して心のバリアフリーを推進するとしております。私は、障害のあるなしにかかわらず一緒に学ぶインクルーシブ教育というものを進めることが心のバリアフリーを推進する基本、大前提ではないかなというふうにずっと前から考えておりますが、その点についての御見解を。
そして、山城参考人には、盲学校でこれまで通学されていたということなんですけれども、例えば同じ校舎の中で一緒に学ぶとか教科によって一緒に学ぶということ、目の見えない子供と目の見える子供と一緒に学ぶ機会、そういったことも、私は心のバリアフリーを子供のときにそういう心を養う土壌になるんじゃないかなというふうに思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
○尾上参考人 ありがとうございます。
共生社会、障害者権利条約ではインクルーシブな社会ということですが、インクルーシブな社会はインクルーシブ教育から始まるというふうに言われております。御指摘のとおり、子供のときからともに学び、共生の体験をするということが基本にならなければならないと思います。
私自身も、中学校から地域の学校に進んだんですけれども、最初、戸惑いがありました。戸惑いがあって、周りの友達に話しかけられなかったんですね。といいますのも、養護学校のときは障害のない人というのは先生とか親なんですね。同じ世代の障害のない子供と出会うことがなかったわけです。障害者である私が感じた戸惑いということからしますと、障害のない人が、障害者と日常的に接したことがなければ戸惑うのも当然かな、そういう意味で意識上のバリアが形成されるんだろうなと思います。
子供のときから分け隔てられる環境で意識上のバリアが形成されてしまって、大人になってから事後的に心のバリアフリーというのでは、なかなかやはり進展しないのではないかと思うんですね。子供のときからのやはりインクルーシブ教育が重要だと思いますし、先ほども申しましたとおり、そのために、今回、学校バリアフリー義務づけ、これを実効化させるためのやはり数値目標の設定、実施計画の策定、十分な予算確保をぜひともお願いをしたいと思います。
○山城参考人 私も、学校の教育における障害教育ですかね、重要だというふうに思います。ただ、二つの面があるんですね。晴眼者、健常者に障害を知っていただくという面と、それから、これは視覚障害者の特徴にもなるかもしれないんですが、自分の障害を仲間とともに、仲間がやっていることを参考にしながら自分の障害を知っていくという面もあるんですよね。ああ、こんな工夫をしているのかというようなことが、これが一人ではなかなかわからない。地域に視覚障害者はいるんですけれども、自分の障害を、視覚障害というものをなかなか理解できないというところも出てくるんですよね。
それと、やはり、仲間と交流していくという面を、学校教育を進めながら同時に進めていくという対策が必要だなというふうに考えています。
以上です。
○道下委員 貴重な御意見、ありがとうございます。
私自身もそういった、今、山城参考人からお話を伺った、やはり、自分自身の障害を知る、そして仲間とともに進んでいくということを改めて認識させていただきました。ありがとうございます。
続きまして、秋山参考人と尾上参考人に伺いたいと思います。
秋山参考人の資料では、我が国のバリアフリーはハード面では国際的に遜色ないレベルまで達しているというふうに記載されています。これは、駅だとか空港だとか、あとモビリティー、バスだとか、こういったものは他の欧米諸国と比較して遜色ないということだと思うんですけれども。
私は、それはそうだと思いますが、もう一つ、建築物については、今回、残念ながら、床面積二千平米未満の建築物や既存の建築物のバリアフリー義務化など、これが進めることができなかったというふうに思います。
秋山参考人の資料の中で、今後の課題というか、期待することというところにそういった建築物についても書かれていなかったんですけれども、この建築物のバリアフリーの義務化についてどうお考えなのかということと、同様に、尾上参考人には、先ほども御見解いただきましたけれども、既存の建築物、小規模店舗のバリアフリー化、これは、具体的というか、どういうのが理想なのかということを伺いたいと思います。
私もアメリカに四年前に三週間行かせていただいたときには、もうありとあらゆるものがバリアフリーなんです。これはもう目からうろこが出る経験でした。そういったものを進めていくためには、やはり法律に明記することが重要だと思いますが、お二人に伺いたいと思います。
○秋山参考人 秋山です。
ただいまの、我が国のバリアフリーは遜色ないということを申し上げたのは、交通を全体的に見回しての話です。
建築については、私は専門の外側という位置づけにありまして、余りちゃんと研究をしていません。ただ、アメリカの建築障壁撤廃に関する法律というのは、これができても守らないので、アクセスボードというのをつくって監視して、これを改めなさいというようなことがアメリカでは起きたんですが、どうも日本の建築のバリアフリーはアメリカをモデルにしたんじゃないか、そういうにおいを感ずるんですね。
それで、やはりもう少し管理監督側ではなくてユーザー側の、例えば、商店街にむしろ網をかぶせて、そこに対してバリアフリーをしなさいというようなことをやる必要性があるだろうというふうに思います。
そして、実際に建築の基準を決めていくときに、委任条例を使わずに、バリアフリーの罰則、委任条例というのは、今回のバリアフリー法の委任条例は罰則規定が存在するので結構厳しいんですね、それを避けて、単なる地方自治法のまちづくりのところでやってしまおうというところがちょっとあるんじゃないかと。
やはり、法律として、バリアフリー法の委任条例を使ってきちっとやるということをかなりやらないといけないということと、それから、扉の寸法八十センチとか段差十センチだとか、それから通路、こういう問題を、簡易な方法でやる例もあると思うんですが、もう少し突っ込んで、私は二十年ぐらい前に建築の人と議論するときに、対象者をゼロにしたらどうかという提案をいつもしていました。何で建築はそうなんだろうという。まあ交通も、三千人以上とかそういうことになるんですが。いっそのこと、どこか実験的に特区をつくって、ゼロにしたところを見せてほしいなというふうに思います。ゼロにすることによって、管理がうまくいかなければ人を投入すればできると思いますので、そのあたりの努力がやや足りないなという理解をしています。
以上です。
○尾上参考人 先ほども申し上げましたけれども、全ての用途で一律二千平米以上というのは、もうこの二十六年間全然変わっていない、やはり時代の変化に対応できていないというふうに言わざるを得ません。やはり建物関係の抜本的な見直しが必要であります。
といいますのも、事前にいただきました参考資料というものを見ますと、百二十八ページに国交省の昨年八月の調査がございます。それを見ますと、例えば、日用品販売店舗というのが三百平米未満のものが九二・五%、あるいは食堂又は喫茶店では九六・四%が三百平米未満という数字になっています。
私たちの日常感覚で置きかえれば当たり前だと思うんですね。体育館なんかは二千平米以上のものが結構あると思うんですけれども、二千平米以上のコンビニとか二千平米以上のレストランというのは、私は余り見たことがないんですよね。これが国の法律で二十六年間変わっていないというのが正直不思議であります。やはりそれぞれの分野で一定の割合をカバーするよう、用途別に対象面積を定めるよう、早急に見直しをしていただきたいということ。
もう一つは、先ほど秋山先生の言われた意見とちょっと私は評価が違いまして、アメリカの建物の側の部分だけでADAの、つまり実際にサービスを使えるかどうかという、そこを日本は残念ながら取り入れていない。つまり、実際に使えるかどうか、その建物が提供する用途やサービスにおいて差別はあってはならないという考え方が実は日本のバリアフリーの考え方に欠けていた。これが二〇一八年の改正で社会的障壁の除去ということで入ったんだから、これに伴って、本当は今回、建物は見直されるべきだったというふうに私は考えています。
以上です。
○道下委員 ありがとうございます。
私も、二〇一八年の法改正にも質疑をさせていただいた、この二年、この短い中でのさあ改正というときに盛り込まれるかなと思ったら、この二千平米未満は盛り込まれなかった、非常に残念だと思っております。
そうした中で、次に尾上参考人に伺いたいと思います。
資料の八番目にもありますとおり、障害者権利条約の国連審査を踏まえてさらなる見直しを、今後、国内では障害者差別解消法の改正、そして、できればその基本である障害者基本法の改正、こういったことも当事者の皆様は要望というか希望されております。
そういったものの改正も踏まえて、では、これらを受けて、今回のバリアフリー法というのはどうあるべきかという御見解を伺いたいと思います。
○尾上参考人 ありがとうございます。
現在、障害者差別解消法の見直しが行われていたり、あるいは障害者基本法の改正を求める声があるというのは、背景には、先ほど申しました障害者権利条約の国連審査があるからなんですね。その障害者権利条約ではアクセシビリティーという言葉がキーワードであったり、他の者、障害のない人との平等ということがキーワードであります。
また、IPC、パラリンピック国際委員会がアクセシビリティーガイドというのを出していますが、その中では、アクセスは人権であるというふうにいって、アクセシビリティーとインクルージョンの原則ということを掲げています。
障害のある者がない者と同じ体験、同じ水準のサービスを得られるかどうか、これが実は日本のバリアフリーの考え方で欠けている部分なんですね。
先ほどインクルーシブデザインという話がありました。障害のある人とない人が、同じ体験、同じ水準のサービスを得られるかどうか、個々の権利性や分け隔てられることなく使えるかどうかということが重要なのではないかと思います。
こういったことが国連の審査の中でも問われると思いますので、繰り返しますけれども、五年後まで待つことなく、国連からの勧告を受けて、早急な見直しをぜひお願いをいたします。
○道下委員 御意見ありがとうございます。五年を待たずにということ、しっかりと私も、そしてまた委員会でも受けとめさせていただきたいというふうに思います。
時間がもうそろそろ終わるので、最後の質問とさせていただきます。
お三方に伺いたいと思います。
このたび、新型コロナウイルスの影響を受けて、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックが一年程度の延期になりました。オリンピックは来年の七月二十三日、パラリンピックは八月二十四日開幕というふうに決まったようではございますけれども、競技会場だとか交通機関、さまざま今までつくりました。もちろん、当事者の方々の意見も入れたと思いますけれども、この一年延期になったということで、私は、障害当事者の方々や建築の専門家、もう一度そういったものを、現地を調査して、本当に使い勝手がいいのかどうか、こういったものを、検証じゃなくて調査、そして意見を出していただいて、そしてそれを改善に役立てるということがこの一年間やれることじゃないかなというふうに思いますが、山城参考人、そして尾上参考人、そしてまた専門家である秋山参考人の三人から、短い時間で恐縮でございますけれども御意見いただければと思います。
○土井委員長 簡潔によろしくお願いいたします。
○秋山参考人 はい。秋山です。
恐らく、評価をするときに、一カ所だけ、分散してやるんじゃなくて、一人の人が共通して全施設を見回って、そしてその上で評価を下すということをやれば、かなり問題点とか改善点は明確に出てくると思いますので、ぜひそういうチャンスをつくっていただければと思います。
以上です。
○尾上参考人 一年間延びたことを奇貨としまして、御指摘のとおり、改めて、やはり当事者の目からしっかりとチェックする機会、更に高めていく機会をいただければと思いますのと、もう一つ、もともとこれは間に合わないと言われていたホテルの整備あるいは新幹線や特急車両のフリースペースの整備、一年間猶予ができたわけですから、この一年間で、やはりホテルと新幹線等のフリースペース、この整備を期限を切ってしっかりとやっていただければと思います。
○山城参考人 私も、延期の話が出たときに、私たちの運動にとってもやはりチャンスにしていかなきゃいけないというふうにまず思いました。
私たちも、やはり現地でいろいろ見たりさわったりすると、なるほどということがわかるということが多いんですね。ですから、そういうチャンスを本当にいただきたいし、私たちが調査ができるような状況をぜひつくっていただきたいなというふうに思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○道下委員 どうもありがとうございました。
短い時間でいろいろと御意見をいただきまして、ありがとうございます。今回いただいた御意見を今後の法案質疑や、暮らしやすい、働きやすい社会づくり、まちづくりに生かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。
○土井委員長 次に、伊藤渉君。
○伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
まず初めに、今般の新型コロナウイルス関連肺炎でお亡くなりになりました志村けんさんを始め、全ての皆様の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、この感染拡大防止に全力で当たってくださっている全ての関係者の皆様に心から敬意を表したいと思います。
本日は、バリアフリー関連法案についての参考人質疑に対しまして、大変お忙しい中、秋山先生、そして尾上代表理事、山城代表理事、お運びをいただきまして、大変にありがとうございます。
早速ですけれども、以後、座って御質問させていただきたいと思います。
まず初めに、今回の法案で最も重要なことの一つが、心のバリアフリーということをどう推進していくかということだと思っています。これにつきましては、短い時間ではありますけれども、三人の参考人の皆様にそれぞれ意見をお伺いをしたいと思います。
私は、これはバリアフリーの世界ではありませんけれども、農福連携、農水省が農業の現場で障害者の方を雇用するという取組をする中で、こういう現場のお話をお伺いする機会がありました。
まず、障害を持った方を雇用する前の現場では、もっと効率的に作業がどうやったらできるのか、ある意味ぴりぴりとした緊張感があったと。そうした現場で障害をお持ちの方を受け入れることによって、現場のいわゆる健常者の方が感じたことなんですけれども、障害を持った方、彼らはとにかく元気に挨拶をしてくれるし、ハンディを抱えながら一生懸命働く、僕たちも小さなことで落ち込んでいる場合じゃないなと前向きになったと。そういう心の影響を受けることによって、結果として仕事の効率が上がった。こういうお話をお伺いをしました。
事ほどさように、現代社会にあって、とかく生産性という言葉が使われますけれども、それだけでははかり切れない、そうしたところに視野を広げていくという意味で、心のバリアフリーへの取組というのは極めて重要だと考えております。また、それが進むことによって、ハード面のバリアフリーもさまざまな知恵が出てきて進んでいくのではないか、こう期待をしている一人であります。
そう考えたときに、この農福連携の現場で感じたことも踏まえますと、一つは、やはり体験をするということ。これは、健常者の方であれば、障害を持つということ、その中で暮らすということはどういうことなのかを体験をするということ。そしてもう一つは、双方向。つまり、健常者の方が障害を持った方にできること、一方で、障害を持った方から健常者の方が学ぶこと、この双方向がとても大事だと。そして、何といっても身近に感じるということがとても重要だと思っております。
私も、身内の一人に視覚障害を持つ者がおりますけれども、その方とお話をすることによって学ぶことがたくさんございます。この体験、双方向、そして身近に感じる、こういったことを取り入れながら心のバリアフリーを私は進めていくべきではないかと考えながらきょうこの場に来させていただきましたけれども、三人の先生方にそれぞれ御見解をお聞かせいただければと思います。
○秋山参考人 秋山と申します。
心のバリアフリーは私は仕組みづくりが大切だと言うのは、単に、何というんですか、普通の形でその人たちが接するだけでは形にならないと思うんですね。そのときの自分の感情で浮き沈みがありますので、やはりちゃんとした仕組みをつくって進めるということが一点です。
その上で、例えば、心のバリアフリーを実践するときに障害になる可能性がこれからあるだろうというのが情報関係、特にICTに絡む、スマホなども含む、その操作性が非常に難しい人とそうでない人の差がついてくる、こういうものをどうやって埋めていくかということをちゃんと考えないといけないなと。
そこのところが心のバリアフリーの極めて重要なところで、先ほど尾上さんがおっしゃったように、他の者との平等を障害者の人たちが感じ取れる社会をつくるためには、そのあたりのマイナスをいかになくすかという、あるいは取り残される人をできるだけ少なくしていくという努力が、やはり一方で必要なんだろうなと。
そういう観点で心のバリアフリーを進めることがとても大事だなというふうに思っております。
以上です。
○尾上参考人 心のバリアフリーに関してですが、冒頭に申し上げましたとおり、心のバリアフリーというのは社会モデルの理解が広まっていく、そういったことだと思うんですね。
だとすれば、今後、さまざまな研修や、あるいは、きょうは国交の場ではありますけれども、例えば学校教育においても社会モデルということを学ぶ機会ということをぜひふやしていっていただければなというふうに思いますのが一つ。
そして二つ目が、さまざまな、いろいろな場で当事者と一緒につくっていく、当事者参画を更により一層推進をしていくということが大事かなと思います。
特に、基本構想の中で当事者の意見を聞くというふうには言われましたが、どうしても、課題出しのところまでは当事者の意見を聞いていただくんですが、具体的な事業計画とかそこの段階になると当事者の意見は余り聞かれていなくて、でき上がったのを見て、えっ、何でこんなふうになっているのみたいなことが、残念ながら今でもあるんですね。
全てのプロセスにおける当事者参画の推進ということが、やはり心のバリアフリーの上ではとても大切なことではないかと思います。
○山城参考人 私、いつも感じていることがあるんですね。バリアフリー法が改正されたりしている中で、やはり、例えばJRなんかでは、駅遠隔操作システムといって、駅員さんがいない駅がふえているんですよね。バリアフリーといいながら、だんだん私たち視覚障害者にとっては心配も一方でふえてきているというのが現状なんです。
私は、一つは全体的に障害を知っていただくという問題と、それから、その職場、障害者と接するところの職員がきちっと対応できる、機械の操作も含めて、何というんですかね、職場の主人公になっていただいて、私たちのアクセスを進めていただく担当者が今必要なんだなと。
バリアフリー法がこれからもっと発展していくためには、人による対応、人によるバリアフリーというのを進める。それはやはり国を挙げて、予算もかけて進めていただく。そういうことが、これからの私たちの安全、安心な社会参加につながっていくのではないかなというふうに思っています。
以上です。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
この心のバリアフリーというものを進めながら、世の中全体のいわばユニバーサルデザインを進めていく。そのときに、今、例えば駅の話を具体的に山城代表理事におっしゃっていただきましたが、私が思い描く理想の姿は、仮に、これから人口減少の社会ですから、例えば、駅にどうしても駅員の方を置けない駅も出てくる、これは避けられないような気がします。一方で、そこを利用される普通の方が障害をお持ちで困っている方を見ればその方が自然にサポートできる、こういう世の中をつくることこそが心のバリアフリーの本来の進め方というか姿か、そんな思いを抱く私は一人であります。
そういう意味で、次は秋山先生と尾上代表理事にお伺いしたいんですが、いわゆるユニバーサルデザインとかバリアフリーを進める上での人材育成という観点であります。
何事にも、先ほど来出てきておりますとおり、当事者と一緒につくっていく、これはもちろん極めて重要なことでありますし、それが当たり前になってこないといけない。一方で、必要なときだけ当事者の方とかかわっているだけでは、本当にこのバリアフリーというものがそれぞれの、例えばお仕事としてサービスをやっている方の、何といいますか、骨肉にならないというか、体質、もうバリアフリーを進めるということそのものが当たり前の世の中にするというのが多分心のバリアフリーだと思いますので、そういう意味では、先日、羽田空港を見せていただいて、これは秋山先生が大変深くかかわられたと聞きました。まさにそこには、バリアフリーそのものを体質化された職員の方がお見えになるなという印象を私は持ちました。
こうしたバリアフリー、ユニバーサルデザインを進めていく上での人材育成、その人材とは、バリアフリーというものを本当に自分の体質として持った、そんな人を育てていくための人材育成ということについて、秋山先生と尾上代表理事にお伺いしたいと思います。
○秋山参考人 秋山です。
非常に難しい課題かもしれませんが、私の経験値からお話をさせていただきます。
人材育成は、教室で講義をしてそれで育成できるとは全く思っておりません。現場の中で、直接現地に障害当事者の方々と一緒に歩いていく中で発見することが往々にして多いですね。羽田空港の国際ターミナルは、そうやって障害者と一緒に議論しながらつくってきました。
そして今回、足らないところが情報ということで、視覚障害者の人と聴覚障害者の人を二人ずつお願いして、一つのルートを三回通りました。一回目は単に通行して、ここですねという確認です。二回目に通るとだんだん問題が見えてきます。それで自由に問題を言い合って。三回目に通ったときには、対策まで議論が行き始めていくというところで。
やはり教育というのは、そうやって繰り返してやって、自分たちが確認していって、そのときに、視覚障害の方々も、専門家もそうですし、それから空港の職員もわかったと思うんですね。
そういうプロセスが僕は教育だと思っていまして、バリアフリー教育は一朝一夕ではできないと思いますので、かなり丁寧にやって人を育てないといけない。社会モデルというのは、まさにそのことをきちっと理解していただくために、一緒に歩いて、これは大事なんだということをその場で具体的に理解をしていただくというのが今回の人材育成ではとても重要だというふうに思っております。
あらゆるところはそういう当事者が参加しながらやっていくことが一番いいと思いますので、そういう機会の中で、専門家も入って一緒にやるというのがとても大事だと思います。
以上でございます。
○尾上参考人 ありがとうございます。
御指摘のとおり、仕事でというか、必要なときだけかかわっているだけでは骨肉にならないというのはおっしゃるとおりだと思うんですね。
例えば、私は車椅子を使っていますが、友達と一緒に同じ店に行こうと思ったときに、同じ友達なのになぜ一緒に入れないんだ、そのときの悔しさって、やはりあると思うんですね。そういう感覚を持っている人がどれだけふえるかということだと思います。
それが、先ほどから申し上げていますとおり、子供のときからともに学びともに生きるという共生体験ということを、やはり市民ベースで広げていくことがまず大事だということが一点です。
それとあと、おっしゃられるユニバーサルデザインの担い手の養成ということで、兵庫県の明石市のマスタープランでは、担い手の養成ということで当事者リーダーの養成ということ、並びにユニバーサルデザイン、バリアフリー整備の専門家の養成といったことを明石市の今後の行政計画として掲げておられます。
ぜひ、こういった事例なんかも参考にというか、明石市においてもこれから試行錯誤しながら実践的に進めていくわけなんですけれども、当事者リーダーの養成並びにユニバーサルデザインやバリアフリーの専門家の養成というのは、国、自治体、さまざまなところで力を合わせてやっていくことではないかなと思います。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
時間になりましたので終わりますが、今、大変貴重な御意見をいただいて、私がもう一つ問題意識として思っているのは、先ほど秋山先生も尾上代表理事もおっしゃったとおり、やはり何事も現場に行かなければわからないことがたくさんございます。
しかし、とかく現代社会は、いろいろ、ある意味、ICT等が発達をして、しかも一人に課せられているさまざまな業務量が、まあ感覚的ですけれども、かつてよりもふえている気がして、現場に足を運ぶ機会がつくりづらくなっているというのが、私は今の世の一つ大きな課題ではないかと思っております。
まだ私の中で、それをどう解決していけばいいか、その解決策を発見し切れておりませんけれども、きょうの御意見をしっかり参考にさせていただいて、自分自身の思索も深めていきたいと思います。
本日は、大変にありがとうございました。
○土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日は、三人の参考人の皆さん、本委員会に参加をいただき、また貴重な御意見を賜りました。心からお礼を申し上げます。
まず、尾上参考人と山城参考人、当事者の立場として一言伺いたいことがあります。
今の新型コロナウイルス肺炎問題で、当事者として心配していること、あるいは要望など伺えればと思います。
○尾上参考人 全ての人がすごく不安になっているという状況の中で、どうしても、ウイルスというのは見えないものですから、その不安感が差別や排除につながってしまわないだろうか。かつて、無らい県運動という、ハンセン病の人たちを排除するといった歴史が残念ながらございました。
今回のこのコロナウイルスにしっかり対策をしていかなきゃいけないということとともに、いろいろな違いや多様性がある、その全ての人が、多様性が尊重される社会、ここを壊されることのないようにしっかり対策をしていただければと思います。
○山城参考人 私は、具体的になりますけれども、特に私たちの仲間で、あんま、はり、きゅうを開業している仲間が多いんですけれども、患者さんが激減しています。それで、個人営業ですから、雇用関係もないし、もうこれはもろにこの被害が及んでいるわけなんですよね。これに対する対策はないものかなと思っています。
それから、あんま、はり、きゅうでは、やはり、私たちの仲間で、訪問マッサージという、家庭に訪問してマッサージをするという仕事をやっている人だとか、それから、企業のヘルスキーパーといって、あんまなどをして健康を管理する、そういう仕事についている人も、仕事がなくなったり、それから、今休みなさいというふうに言われているとかいうことがたくさん出ています。
そういう対策をぜひ、視覚障害者ですから、特に自営業者は、文字の読み書きも困難で、どうしたものかなとみんな困っているわけなんですね。そういったところに対しても、きちっと対策がとられるようなことをお願いしたいなというふうに考えています。
以上です。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
今のはり、きゅうの問題なども、まさに大きな影響を受けているというのは当然だろうと思いますし、個人事業主という形で対応ができるはずですので、経済対策の中にしっかり盛り込んでいただければいいなと思いました。
また、尾上参考人の、あの無らい県運動を思い出すという指摘、本当にそうだと思うんですよね。あれだって、いわゆる感染症ということでの扱いが、本人や家族への差別、そして長年にわたる隔離政策につながっているわけですから。差別や排除、私はウイルスよりも恐ろしいのがこれらの人々の恐れなんじゃないかなというふうに今非常に感じておりますので、大事な指摘だなと思いました。ありがとうございました。
次に、お三方に伺いたいと思うんですが、障害者の権利条約、また障害者差別解消法に照らして御意見をいただきたいと思います。
今回の法改正のポイントは、心のバリアフリーであると思います。例えば、第四条の国の責務は、円滑な利用を確保する上で必要となる適正な配慮、「その他の移動等円滑化の実施に関する国民の協力を求めるよう努めなければならない。」国が国民の協力を求めるよう努めよと書いているわけです。また、第七条、国民の責務で、「必要な協力をするよう努めなければならない。」とある。
国民の理解や協力を求めることは、協力というのが必要だとは思います。ただ、それを心の問題、国民の側の問題にしてよいのかというのは疑問が残ります。国や行政の責任でやるべきことがあるのではないか。
障害者の権利条約、第十八条「移動の自由」、第二十条「個人の移動を容易にすること」と明記されております。また、先ほど尾上参考人からも意見があったように、権利条約については、ことしの夏が日本審査、秋から来年にかけての間に必ず総括所見が出るというタイミングでもあります。
それぞれにかかわってきた立場から、心のバリアフリーについて伺いたいと思います。
○秋山参考人 秋山です。
心のバリアフリーと権利条約の関係についてということですが、二条にユニバーサルデザインと合理的配慮というところが出ておりまして、これをどうやって実践するかということで、私は、インクルーシブデザインで障害当事者に最初から入っていただいて、さまざまな設計とか実務をこなしていくという、これを今やっている最中でございます。
それと、長年なんですが、障害者のモビリティーの問題については、日本は国民にやや任せている部分があります。とにかく、鉄道ではなくて、もうちょっと、ドア・ツー・ドアのサービスは、欧米はほとんど行政が補助を出してやっているんですが、日本は残念ながらそこに至っていない。民間型の交通が何十年も続いていますので、そこのところが手薄になっているなという。いわゆる、アメリカでいうとパラトランジット、英国でいうとダイヤル・ア・ライドとか、スウェーデンだとファルトシャンストとか、さまざまなそういうサービスが日本はないに等しいので、今後どういう展開をするのかなというところで、まさに国民の協力と政府が頑張ってやる部分との接点のところで相変わらず国民にまだ依存しているけれども、それで大丈夫かという、そういう議論があります。
以上です。
○尾上参考人 まず、心のバリアフリーというのは、先ほどから繰り返し申しましたとおり、思いやりとかみんなで助けましょうというよりは、社会モデルの理解である、あるいは障害者差別をなくすということだ、このことをしっかりと進めていただきたいというのが一点ですけれども、更に申し上げますと、日本のバリアフリー、確かに、交通バリアフリー法以来のこの二十年間、進んできた部分はあります。でも、残念ながら、まだまだ質としては決して高いものではないというふうに思います。
例えば、十一人乗りの狭いエレベーターの前でたくさんの人が並んで、車椅子で乗るためには三回、四回待たなきゃいけない。では、これは国民意識で、みんなで変えましょうということだけでは解決しないと思うんですね。やはり、十一人乗りという小さなものではなくて、例えばIPCのガイドラインで示されている十七人乗りのエレベーターが最低基準になるような。
そもそもハードの足りない部分をソフトで補うというのはやはり無理があると思うんですね。ハードはハードとして整備をする、ハードの質を更に上げていく、それと同時に、社会モデルを広げるという意味で、心のバリアフリーというか、学校教育からちゃんと進めていくという、その二つが必要ではないかと思います。
○山城参考人 私は、心のバリアフリーとくくられるとあれなんですけれども、場合があると思います。
例えば、私、先ほど言いましたけれども、駅のホームから落ちたときの対応、これをやるには相当な力が要りますよね。しかも、これはやはり駅員さんの助けがないと、おちおちやれないですよね。こういうことはあると思います。やはり責任を持つところはきちっと責任を持つ。
そこも、バリアフリー法も含めて、落ちない駅ホームをつくっていくということはあると思いますけれども、そういうことと、それから、声をかけていただいて、どこか、今何か困っていますかというようなこととは違うと思うんですね。その違いというものをきちっと当事者を含めて議論していかないと、今、バリアフリー法がこれから発展するためには、先ほどちょっと言ったかもしれないけれども、人による対策を進める、これがこれからの安心、安全にかかっているなというところは私は強く思っています。
そういうことなので、ぜひそういうことを考慮していただきたいなというふうに思っています。
以上です。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。それぞれに、具体的で、とてもわかりやすかったなと思っております。ハードの次はソフトというんだけれども、そのソフトの中身自体も、それこそ秋山参考人がおっしゃったように、国民任せではないのよという意味で、もっとできることがあるんじゃないかということを考えていきたいなと思っております。
山城参考人は、先ほどホームの転落事故のことをお話しされました。今も、駅員のいないホームなどのことをおっしゃったと思うんですね。
二〇〇六年のバリアフリー法審議の際に、参議院での参考人質疑で、山城参考人はそのときも出ていらっしゃいますけれども、「ホームは欄干のない橋である、全盲者の歩行は綱渡り」という表現をされて、やはり本当にその恐怖をあらわしていると思いましたし、全視協の会員の中でも転落したことのない人はほとんどいないということをおっしゃられたと思います。
私たち自身も、正直、見えていても怖いくらい、地下鉄のホームなどは狭くて大変だと思うんですね。そういう中で、ずっと可動柵を進めてきたなどというけれども、十四年たってもまだ転落事故は減っていないという状況であります。
なので、例えば情報の出し方にもっともっと工夫ができないのかなということ、それから、人の対応というのは絶対必要だと思いますけれども、要するに、ハードを圧倒的に進めつつも、今できることはもっと声を上げていく必要があるかなと思いますが、もう一言、お願いいたします。
○山城参考人 私が一番心配しているのは、先ほどちょっと言いましたけれども、駅遠隔操作システムというのがあって、JRは駅員がいないところをふやしているんですよね。もっと先ほど具体的に言えばよかったんですけれども、例えば、新幹線の切符を買いたいなというときだとか、こういうときは、今は本当に、駅遠隔操作システムじゃなくても、駒込はだめよ、巣鴨に行きなさいとかいうことになっているんですよね。
それとか、駅遠隔操作システムになっている十条の駅などのところを見ると、前あった有人改札がもうなくなって、外側に駅員がいる。辛うじて、私たちの運動で駅員は残しているんですけれども、前のところにはいないんです。だから、前のところにあるのは、何かどこかにボタンがあるから、これを押せということらしいんですけれども、そういう対応なんですね。だから、本当に当事者の声が聞かれていないなということを思うんですね。
そこら辺のところが、バリアフリー法を改正するというときに、もっともっと私たちの実態から積み上げていったバリアフリー法の改正にならないものなのかなといつも強く思っています。
以上です。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。数値であらわせる、可動柵ができましたよとか、そういう実績だけではなく、今おっしゃった、当事者じゃなければわからない細かい点などをやはり常に反映させていく仕組みというのが必要なのかなというふうに今思いました。ありがとうございました。
尾上参考人にも伺いたいと思うんですが、先ほど陳述の中でありましたUDタクシーの問題。確かに改良もされている。ジャパンタクシー、動画でセットするところを見たんですけれども、極めて時間がかかって、正直気の毒だなと思ったんですね。ステップを全部出して固定するという作業を運転手さん一人でやるのも気の毒だし、それをじっと待っている利用者の方も大変気の毒である。
これを、もちろん改良というのはあるんですが、単に乗車拒否してはならないと書いただけではやはり解決しないんだろう。やはりもっと、そこに助手が要るとか、もっとできる、先ほど山城さんが何度も言っているように、人ですよね、そういう点での支援が必要じゃないかなと率直に思うんですけれども、御意見を伺いたいと思います。
○尾上参考人 UDタクシーの問題については、二つ、それぞれ問題があると思うんですね。
せっかく導入されても、そして、その導入の際に職員研修を義務づけているにもかかわらず、このビデオを見ておいてというぐらいで済ませているような会社もあるのが正直なところなので、それはそれでやはりちゃんとやってもらわなければいけない。その意味で、ちゃんと実際に研修を義務づけて、研修修了者の数をちゃんと報告する仕組みをやはり持っていく必要があると思います。
それと同時に、御指摘のとおり、今のUDタクシーは、ユーチューブなんかで見ますと、世界最速で乗降を手伝える人、運転手さんのビデオを見たら、それでもやはり三分半か四分ぐらいかかっていたかなと思うんですね。やはり、今のUDタクシーの構造自身が、スロープ板を複雑に組み合わせて、かつ中で回転をしなきゃいけないという、車両のレベルが低いと思います。
それはなぜかというと、やはり開発段階のときにどこまでちゃんと当事者の声が聞かれたか。先ほど山城参考人がおっしゃられたとおり、本当に、当事者の声を聞いてもらえればもっとよくなったはずなのにな、そういうふうに思います。
ぜひ今後、このUDタクシーの車両の改善ということ、そして、その車両の改善の前提に、国交省の認定要領を更に見直しをしていく、そのことを進めていっていただければなと思います。
○高橋(千)委員 大変参考になりました。ありがとうございました。
これで終わります。
○土井委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上です。
それでは、限られた時間ですので、早速お話を聞かせていただきたいと思うんですけれども、きょうは、参考人三名の方、時節柄、出にくいところをわざわざお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、聞かせていただきたいと思うんですけれども、まず秋山参考人にお伺いをしたいと思います。
先ほどお話がある中で、一定、施設は整備が進んできたと。障害者トイレが八六・七、段差解消が九〇・四、視覚障害者誘導用ブロック九四・七。さらには、車両も、船舶、ノンステップバスと、それぞれ整備率が上がってきているということをおっしゃっておられたんですけれども、そういう中で、今回は、先ほどからるる委員各位がお聞きしている心のバリアフリーも含めて、学習指導要領に組み込まれるとか、公立小中学校のバリアフリーの基準適合義務の対象拡大というのが進んできたということで、一定の成果だというふうに思っておられるということでありました。
先ほど山城参考人も少しおっしゃっていたんですけれども、ですから秋山参考人と山城参考人にちょっとお伺いをしたいんですけれども、私たち抜きで私たちのことを決めないでということを秋山参考人の資料でありますけれども、調査段階からの当事者参加というのが逆になぜ進まなかったのかというのが、僕は個人的には非常に不思議に感じています。
なぜそれが逆に進まなかったという要因か、お教えいただけたらと思いますので、秋山参考人と山城参考人にお伺いしたいと思います。
○秋山参考人 当事者参加というところで、ある程度は進んでいましたけれども、大体、一つの基本構想を地方自治体がつくるときに、二、三名程度を入れるところがほとんどだったんですが、新宿区で私が入れたのは、七、八名入れたんですね。そうしたら、途中で、こんなに大勢の会議は開くのは嫌だといって、課長はそのまま開かずに数年たってしまった。つまり、地方自治体がそれだけの人を入れてやるエネルギーを持っていなかったという部分もございます。
それから、二点目は、当事者参加をやる場合にはかなりエネルギーがかかりますので、羽田や成田空港のようにモデル的に頑張れるところはかなり一生懸命やれるんですが、モデル的に頑張ろうとしない自治体とか、人材がいないようなところで頑張れないというところもございますので、頑張っていただくためにどうしたらいいかというのが今私が抱えている課題でもあります。
そういう意味で、当事者の意見を聞くチャンスがあればできるだけ拡大して聞くということをやり遂げていかざるを得ないというのが今の現状というふうに思います。
以上でございます。
○山城参考人 私もそういうことをしょっちゅう経験しています。資料にもちょっと書いたんですけれども、私たちが要請をして話合いに行こうとしたら拒否されるということもありますし、例えば、東京都の福祉のまちづくり条例などの、私たちは要求があるんだから委員にしてほしい、代表を。それもずっと断られているんですね。
要するに、やはり心ある人というかそういう人を受けとめて、参加させるということが大事ですよ。そういうふうにしていかないと、例えば、委員に一人ぐらい入れておけばいいじゃないかというような、そういうやり方ではなくて、もしやりたい人は手を挙げてくれ、そういうことをどんどん言っていただいて、そこに私たちも参加する、そういう姿勢を、やはり一定、制度でまずつくっていただいて、そういう機運をつくっていくということが大事じゃないかなというふうに考えています。
以上です。
○井上(英)委員 山城参考人、制度をつくらないと、入れてくれと言ってもやはりなかなか入れてもらえないものでしょうか。
○山城参考人 それは本当に厳しいです。
そうはいっても、形を、やはり常識をつくっていくということですよね。そういう意味で制度をつくっていくということがないと、やはりその仕事をするというのはそれこそエネルギーが要るわけですよね。よし、頑張ろう、頑張るということはやはり常識なんだよというようなことを言っていただくということが大事じゃないかなというふうに思います。
○井上(英)委員 では、次に尾上参考人にお伺いをしたいと思います。同じ大阪ということで。
正直、今回バリアフリー法に学校が入るということに対して、僕はすごい違和感があったんですね。それは、先ほど参考人がおっしゃっていただいたように、大阪市内の場合は結構先進的に、進んでいたんですね。ですから、僕の卒業した小学校も中学校も全部エレベーターはもうついていますし、先ほども、整備率がもう九六%以上という書類も、大阪の宣伝をしていただいて本当にありがとうございます。そういうこともあって、逆に何でこんなことが今まで明文化されていないんだということを当初国交省の担当の方にも申し上げたぐらいに、そういう意味では非常に進んでいるということですけれども、まだまだ足りない部分はあると思います。
その中で、先ほども、ちょっとこれから尾上参考人に知恵をかりたいと思うんですけれども、逆に、二千平米の問題というのもあったと思うんです。これがやはり今回も改正にはならなかった。それはやはりどこに、何に原因があるというふうに思われるかというのを端的にまずお聞かせいただけたらと思います。
○尾上参考人 私、外から見ているだけなので、なぜこの改正法案でも今回盛り込まれなかったのか、どういう政策判断があったのかは外から見るしかないんですけれども、正直申し上げまして、二〇一八年の改正のときに、この国交委員の先生方で、やはりこの二千平米以下のものの取組がおくれているのではないかという御指摘があって、附帯決議をつけていただいて、ようやく今回、先ほどちょっと御紹介をしました、三百平米未満のものが飲食店なんかは九〇%以上だみたいなデータも出てきた。たしか二〇一八年の法改正のときに、これは団体として国交省さんの担当の方とお話をしたときに、そういうデータもないというふうな言われ方をしていました。
やはり、データもないところで科学的なというか客観的な政策というのはできないのではないのかな、ようやくこういうデータが出始めてきたというのが正直なところではないかなというふうに思います。
○井上(英)委員 今回も、先ほどもおっしゃっていたように、車椅子の利用可能な飲食店というのが新宿で五店舗、御茶ノ水で二店舗しかヒットがないというところを見ると、やはりそういうことも踏まえて、これから、そういった課題、また一方で、何がそれが実現するための障壁になっているのかということも我々もしっかりと的確に考えて、これからまた不断の努力でやっていく必要があると思いますので、そこは我々も精いっぱい知恵を出してやっていきたいというふうに思います。
尾上参考人にもう一問聞きたいんですけれども、先ほどUDの話がありました。やはり職員の研修もまだまだ足りていないんじゃないかというようなお言葉も先ほどありましたけれども、一方で、タクシーは歩合制で、お一人乗せると収入が減って、運賃が一割引きで、それがドライバー負担になるというようなお話もちらっと僕は聞いて、そこからやはり乗車拒否をされるドライバーの方がおられるというような話も聞きました。
その一割負担というのを事業者がやってくれている事業者もあるというふうには聞いているんですけれども、全てのタクシーの事業者がその一割を負担していくということで、運転手、ドライバーの皆さんの意識改革というのは格段に進むんじゃないかなという意識もあるんですけれども、参考人、いかがでしょうか。
○尾上参考人 御指摘のとおり、会社によって違いはあるみたいですけれども、よく聞くのは、障害者割引の一割引きが運転手さんの水揚げから引かれるという状態になるというふうにお聞きしています。
やはり、本当に会社として障害者割引を進めるということならば会社全体で負担をすべきだというふうに思いますし、これはある新聞にタクシーの運転手さんが投書されていたので、なるほどなと思ったんですけれども、このUDタクシー、もちろんいろいろな改良や研修、そういったことを進めながらですけれども、同時に、その運転手さんが言われるのは、例えば、それで実際、車椅子の乗客を乗せるのに時間がかかったりする、じゃ、その分のいわば追加的な手当みたいなものを例えば会社が補うというふうな形で、いわばUDタクシーで障害のあるお客さんを乗せれば乗せるほどインセンティブが働くというふうな仕組みなんかもあわせて検討する必要があるのかなというのも、改めてその運転手さんの投書を見て思った次第です。
○井上(英)委員 もう時間も来ましたのであれですけれども、秋山参考人と山城参考人にちょっとお聞きをしたいんです。
秋山参考人の資料で、地方都市の鉄道の無人化や人口が低密度な地域のモビリティー、アクセシビリティーの一体的対応の必要性があると。やはり地方都市というのは、もう日本全体が少子化で、若い現役世代がどんどん減ってくるという中で、先ほど伊藤委員のあれもありましたけれども、ICTだとかAIというのが進んでくるようになって、効率的な面でどんどんどんどん無人化というのが進んでいく傾向にあると思うんですね。
一方で、先ほど山城参考人なんかのお言葉にもあったように、やはり必要な駅の職員の配置だとかそういったものというのは、これからの時代の、想像できる時代の流れと少しそごがあるといいますか、を感じるんですけれども、その辺を、秋山参考人、山城参考人、それぞれどのようにお思いになっているか、お聞かせいただけますでしょうか。
○秋山参考人 秋山です。
地方都市の問題は、千四百万人程度いらっしゃると思うんですが、本当に深刻の度合いを増していて、対応をどんなに頑張ってももう手おくれの状態にあるんだという認識をまず持っていますが、交通問題も非常に難しくて、住民は、自分は今運転していて、十年後はどうかという責任を持てないんですね。そういう人たちに一人一人インタビューをしてデータを集めてきたんですが、ようやく役所の方で、もう自分たちでタクシー会社を立てたりバス会社をコントロールするとか、そういうことをやらないとだめだよというところまで一つの自治体は来ました。そうしないともたないんだと。
ここに対して、バリアフリー以前のお話がたくさんあって、モビリティーをちゃんとしないといけないよと。それとバリアフリーとをあわせてやるということで、無人化したところについては、それは、ちゃんとした送迎サービスがきちっとできていれば対応できると思うんですね。そういうところが今抜け落ちているものですから、これから先、大きな事故がたくさん起きると慌ててやるというようなことであってはいけないので、できるだけ早く、地方の障害者、高齢者も含む外出をどうやって支援するかということを本当に真剣に考えないといけない時期に来ていると私は考えております。
もちろん、バリアフリーをやることで無人化のところを有人化しようというのはあってもいいんですが、そこも結構難しい問題ですので、地方自治体が責任を持たない限り、そこのところは両者が歩み寄らないとうまくいかないんじゃないか。鉄道事業者と地方自治体。だから、かなり、これから先、新しい政策を打って出ないといけないのが地方都市というふうに思っております。
以上です。
○山城参考人 私も、例えばバスの、私たちバスなんかも利用する人が多いんですけれども、特にバス停のバリアフリーは制度の位置づけが弱くて、バス停の点字ブロックもなければバス停がどこにあるのかわからないというふうなところがたくさんあって、資料の要望の中にも入れたんですけれども、そういうことはありますし、先ほど駅の問題を言いましたけれども、それは確かに大変だなということはわかります。わかりますというか、においがしますというぐらいかもしれませんけれども、こういったことは、でも、このままにしているわけにはいかないですので。
やはり、国や自治体、それから事業者、当事者も入って議論したり、それから、国は率先してそこにお金を回すというようなことが、そういうことを、だってもうこのままじゃ大変だというのはわかっているわけですから、これを解決するという前提に立った努力というんですか、こういう取組が必要なんじゃないかと思います。
以上です。
○井上(英)委員 どうもありがとうございました。
○土井委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
改めて、参考人の方々に一言申し上げさせていただきたいと存じます。
本日は、本当に大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、大変貴重な御意見を賜りましたこと、改めて御礼を申し上げます。まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げ、御礼の御挨拶にさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)
次回は、来る四月三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十九分散会