衆議院

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第6号 令和2年4月3日(金曜日)

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令和二年四月三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    小田原 潔君

      大塚 高司君    大西 英男君

      鬼木  誠君    門  博文君

      神谷  昇君    小林 茂樹君

      古賀  篤君    佐々木 紀君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    藤井比早之君

      堀井  学君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    簗  和生君

      山本  拓君    荒井  聰君

      伊藤 俊輔君    西岡 秀子君

      広田  一君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    道下 大樹君

      矢上 雅義君    谷田川 元君

      伊藤  渉君    北側 一雄君

      高橋千鶴子君    井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房技術参事官)         笠原  隆君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 一見 勝之君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     大塚 高司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長蒲生篤実君、住宅局長眞鍋純君、鉄道局長水嶋智君、自動車局長一見勝之君、観光庁長官田端浩君、内閣府大臣官房審議官村手聡君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、大臣官房技術参事官笠原隆君及び文化庁審議官杉浦久弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。

古賀委員 おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。

 前回の参考人質疑に続きまして、きょうは二十分質疑時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、せっかくの質疑でございますので、大臣に直接、三点ほどお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回は、バリアフリー法の改正の参考人質疑に続いてでございますが、その前に、三月の二十五日にこの委員会で視察が行われ、土井委員長を始め理事の方々、そして委員の数名、私も参加をさせていただきまして、具体的には、はとバスの本社だったり、東京空港交通リムジンバス、あるいは羽田空港の国際線ターミナル、そしてホテルとしてザロイヤルパークホテル東京羽田、あと東京地下鉄、東京メトロの方に視察に行ってまいったわけであります。

 さまざまな施設でのバリアフリー化の現状だったりあるいは取組についてお伺いし、現場を目の当たりにしたわけでありますけれども、同時に、現在のこのコロナウイルス感染症の影響の状況として、はとバス本社、あるいは今申し上げましたザロイヤルパークホテルの方での現状、具体的には、バスの利用者だったり客室の稼働率が著しく低下している、八割減、九割減といった大変厳しい状況を伺ってきたわけでございます。

 このように、現在、新型コロナウイルス感染症の影響で飛行機やバス、あるいはタクシー、鉄道、こういった交通会社だったり、ホテル、旅館等の宿泊施設、大変、観光関係の業界は大打撃だという状況でございます。当然、大臣は、今のこうした現状をしっかり把握されていることと思いますし、来週には政府でも経済対策を打つというようなことを伺っているわけでございます。

 一方で、一年延期されました東京オリンピック・パラリンピック、この準備も、一年延期という中で、今から来年に向けての準備をしていかなきゃいけない、こういった要素もあるわけであります。

 足元では経済活動が低下している、外出を控えてくださいという要請が出ているといった状況の中で、このコロナウイルスが、感染の収束した後には、反転攻勢ということでさまざまな対策を打つということだと思いますけれども、ただ一方で、一年先を見据えて、オリンピックがあるから、そのときにどういう交通機関をしっかりバス始め整備しておかなきゃいけないのか、あるいは、宿泊施設、まだバリアフリー化もなかなか進んでいないような現状もございますが、今から準備しないと、このコロナウイルスの対策で、何とか、資金繰りも厳しいということでいろいろな対策を講じるんだと思いますけれども、辛うじて会社が残っている、しかしながら、一年後、オリンピックがあったときにはその体制が整っていないということでは大変困るわけであります。

 ですから、反転攻勢期前からそういったことを想定しながら、業界がきっちりと維持できて、そしてオリンピックのときには、例えばバス会社においても運転手さんを含めしっかり体制が整備されていないと、いざ外国の方をお迎えするときにしっかり迎えられないということが心配されるわけであります。

 この点について、ぜひ大臣の御見解を伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 今委員御指摘のように、新型コロナウイルス感染症の影響で、観光業、観光業といいましても、旅行業、宿泊業のみならず周辺の、今お話に出ましたような貸切りのバス事業、ハイヤー、タクシー、レンタカーですとかフェリー、航空機もそうですし、また、飲食業また物品の小売業、さまざま、大変裾野の広いところで大変深刻な打撃が出ているということでございます。

 おっしゃるように、東京オリパラだけではありませんが、反転攻勢をかけるといっても、そうしたことを支えていただく事業者がそのときに潰れてしまったりとか立ち上がることができないような状況であるということは、大前提が崩れてしまいますので、大変厳しい中ではありますが、まず、早期に収束を目指すということが大前提で、加えて、その間事業者の皆さんが潰れないように、事業を継続できるようにということで、資金繰りの支援とそして雇用の維持、この二つは政府を挙げてやっているところでございます。

 貸付けのセーフティーネット保証につきましても、また雇用調整助成金についても、何段かに分けまして、その内容の要件緩和ですとか補助率の拡大ですとか、そうしたことを伝えながら、加えて、中小企業の皆さんは特に、債務を更にふやしたくないということもありますので、既存債務の返済の猶予ですとか、あと公租公課、公共料金、こうしたものの減免ですとかまた支払い猶予といったもの、できるだけ今の事業者が傷まないような、中小企業者の側に立った効果的な支援策をしっかりと進めて、具体的には、東京オリパラでは、大会関係者また選手の宿泊施設ですとかまたその移動についてバス事業者始め観光関係の皆様には大変お世話にならなければいけないので、そうしたことがしっかりスムースに円滑にできるように、この一年余りでありますが、大変な状況でありますけれども、歯を食いしばりながら全力で対応していきたいと考えております。

古賀委員 昨日テレビを見ていましたら、観光ガイドさんも、非常に外国人の観光客が減って大変苦しい状況だというような報道もされておりました。ぜひ広い視点で、大臣、今の御発言に基づいてしっかりした対策、対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、今回のバリア法の改正について御質問させていただきます。

 今回、大きな一つの柱として、政策のソフト面での強化ということがあるというふうに認識しております。一方で、ハードの面でもまだまだ課題が多いということも指摘させていただきたいと思います。

 一例としまして、例えば特別特定建築物における面積基準、これは二千平米という基準があって、そこは義務基準の適合義務がかかる、あるいは、例えば駅の整備の面で、一日平均利用者三千人以上のところを優先的にバリアフリー化してきているというような現状があると認識しております。

 そこでちょっと、きょうこういった資料を用意しておりますが、一枚目をごらんいただきたいんですが、今申し上げました、一日平均三千人以上の利用者の駅が都道府県ごとにどういった数があって、そこがどうバリアフリー化が進んでいるかという表でございます。

 北は北海道から南は沖縄県までございますが、いろいろな、段差が解消されている駅、そして移動等の円滑化基準第四条に適合している設備により段差が解消されている駅という区分けがございますが、一番右を見ていただきたいと思います。そうすると、更に、法律にのっとって段差が解消されている駅の率というのが載っておりまして、例えばですが鳥取県、島根県、あるいは九州でいうと宮崎県、こういったところは一〇〇%という数字が入っております。

 ただ、よく見ますと、例えば鳥取県、駅が七十五駅ある、うち三千人以上の利用されている駅は四駅、その四駅がバリアフリー化が完了している。宮崎県、七十六駅あって、二駅だけが三千人以上、それ以外は、これを含めて十七駅が解消されている等々の数字があります。

 これは何を意味しているかというと、こういった県ではバリアフリー化が進んでいるなということではなくて、つまり、三千人以下の駅がかなりあって、そこの駅はどうなっているのかということが恐らく課題として浮かび上がってくるんじゃないかと思うところであります。

 つまり、申し上げたいことは、地方のバリアフリー化というのは、なかなかこの三千人あるいは何かの基準で決めて進めていっても進んでいかないんじゃないか。利用者が多いから優先的にと、予算の制約がありますのでそういった考えというのは決して否定するものではありませんけれども、これから、地方創生だったり、人口減少、高齢化といったときに、どうやって地方の活力を、あるいは地方で生活を維持していくかということを考えますと、やはりこういった基準ではなくて、高齢者の方がどれぐらいいるのか、障害者の方がどれぐらいいるのか、今の駅のバリアフリー化の現状はどうなっているのか、こういったことをよりしっかり把握した上で、地域の要望も伺いながら優先的に整備を進めていく、このことが地方創生だったり、あるいは地域の交通機関を維持する上で大変重要になっていくのではないかというふうに思うところであります。

 実際、国交省でも、バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会という場がございまして、そこではこの三千人という基準を引き下げる方向での検討がされているというふうにも伺っているところであります。

 私は、この数字を下げるというよりは、今申し上げたように、よりきめ細やかな把握をしていただいて、その上で進めていくということが大事なんじゃないかということを指摘しているわけでございます。

 ぜひ、大臣に、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 委員は大変お若い、前途洋々の議員ですので、ちょっととりあえず私も二十五年間を振り返って申し上げますと、この表、多分二十五年前ですとほとんどが数%ということだったと思います。

 この表の欠陥というのは御指摘のとおりでありますが、その数%、二十五年前、交通バリアフリー法が二〇〇〇年にできる前のときは、全国の駅でエレベーターがある駅というと珍しくて、わざわざ見に行った、そうするといつも一番端っこの方にちっちゃなエレベーターがついているだけで、私、その現状をどう変えていくのかというのが大変大きな戦いでありました。

 当時は、福祉施設というか、少々使い勝手が悪くても我慢しろというようなそういう雰囲気が世の中を支配していて、バリアフリーという言葉も通じないような、これは和製英語ですから、通じないような状況でありました。この社会の概念を変えていかなきゃいけない、福祉政策ではなくて、二十一世紀のあるべきまちづくり、当然のことがバリアフリー化だという、そうした世の中の認識を変えていく戦いがこの二十年間だったのではないかと思っております。

 そうした中で、やはり、まず基準を決めて、駅の施設ですと五千人以上というところから始め、そこがほぼクリアして三千人、これも恐らく九〇%以上クリアしました。その結果、今御指摘のように、やはり偏在が起こって、どうしても地方は後回しにされていると。

 先日、群馬県の桐生市の市長さんも来られたんですが、そこは二千二百人ぐらいだったのかな、そこの行列というのは、実はその行列って前に進まないんですよね、三千人を超えないと。これは何かおかしいし。地元の市長さんは、少し負担をふやしてもつくってほしいと。そうした地元の実情というのは実は大変重要であって、ここまで来て三千人以上が随分進捗をしましたので、マクロ的には。今後は、二〇二一年以降は新しく目標を変えますので、おっしゃられるように、地元地元の実情に合わせて優先度を決めていただくということが大事だというふうに思っております。

 なお、三千人以下の駅も着手してこなかったかというとそうではなくて、五千八百七十八駅あるんですが、そのうちの千三百九駅、三割弱、これも地元の高齢者施設があるとかそうした事情で対応してきておりますので、ようやくバリアフリーが当たり前の世の中になりつつあると思っておりますので、これは、今後、まだ行き届かない、まあ次元の、レベルの違うバリアフリーの政策を進めていかなければいけない、委員の御指摘のとおり進めていきたいと思っております。

古賀委員 大臣、本当にありがとうございます。

 私もしっかり問題意識を持って取り組んでいきたいと思っておりますし、やはり、今の大臣の御発言にあったように、ステップ・バイ・ステップでこれから更にバリアフリー化ということだというふうに理解しました。ありがとうございます。

 続きまして、心のバリアフリーの推進というのが今回のもう一つの柱だと理解しております。

 それで、お手元の資料、二枚目をごらんいただきたいんですが、この二枚目の資料は国交省からいただいた資料なんですが、これはバリアフリーの整備ガイドラインというものでございます。

 そして、私、この優先エレベーターについてちょっと御質問させていただきたいんですが、二段目といいますか二つ目に、優先エレベーターのピクトグラムというのがございます。そして、優先エレベーターでの使用例ということで、下に、エレベーターのこういうところに張ってありますよということがございます。

 この優先エレベーターというのは、やはり、車椅子だったりあるいはベビーカーを押している方が優先的に使っていただきたいということでこういうものをつくっている。ただし、これは民間事業者が自発的にやっているもので、こういうことをガイドラインで示されているようですけれども、国交省自身、直接余りかかわられていないように伺っているところであります。そして、実際、この二段目のピクトグラムと三段目のピクトグラム、車椅子の絵が入っていなかったり入っていたりして、ちょっと統一感がないなというふうにも思うところであります。

 そして、三ページ目の資料、これは国交省の今年度予算の資料となっておりますが、エレベーターの利用円滑化ということで、今回、予算が一千百万ついて推進していくということでございます。そして、このエレベーターについての事業内容というのは、エレベーター利用マナーの向上に向けてインターネット広告等を作成し周知するというようなことが書かれていまして、ここに書いてあるマークには車椅子とベビーカーがしっかり入っているということでございます。

 私、日ごろよく駅とか空港でエレベーターを使いますけれども、大変よく見かける光景として、こういった車椅子の方とかベビーカーの方が待っている中で、先にエレベーターに着かれた若い人、健常者が先に乗っていってしまう、そしてずっと待たれているという光景をたびたび目撃するわけであります。

 こういったことを考えると、マナーについて、いや、善意だろう、あるいは、これからいろいろな啓発、教育をされるということですけれども、その前の段階として、やはりしっかりとしたこういったピクトグラム、こういうのをちゃんとつけてくださいよ、そして、エレベーターに今どういった設置状況、このマークがついている状況なのか、こういったことも把握をしながら、その上で教育をしていくということをしないと、幾ら啓発しても、実際エレベーターに張っていなかったらどうしようもないわけですし、この広報も、エレベーターに張るのではなくて、いろいろな移動の通路に張ったりというようなことも伺っているわけであります。

 ですから、国交省として、やはりこういったピクトグラム、今、直接タッチされていない、あるいはエレベーターにどれぐらい張っているかも把握がないようなことも伺うわけですが、しっかりと把握した上で、積極的にこういった優先的な利用も推し進めていただきたいと思いますが、大臣の考えを伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 御指摘の点は障害者団体の皆さんともしっかり話を進めながら統一方を検討をしていきたいと思っておりますが、先日、参議院の委員会でトイレのことの指摘がありまして、最初は障害者用のトイレという表示が、だんだんいろいろな対応ができてきて、東京都では多機能トイレとか誰でもトイレみたいな話になったときに健常者が使うようになって、障害者の皆さんが大変使いにくくなってしまったと。これはやはり障害者の皆さんの立場に立たない表記の仕方ということで、私は改めて学習したようなところでございまして、そうしたことは使われる方たちの立場に立ってしっかり検討していかなければいけない。

 あえて言えば、こうしたものがなくてもそれが当たり前のような世の中にするということが、やはり、私が冒頭申し上げたユニバーサルデザインというか共生社会の目標なのではないか。今回、法改正で公立小中学校のバリアフリー化というのを義務化させていただきますけれども、これは、ハードの面を通しながら、教育的な効果というか、小さいころからバリアフリー社会、ユニバーサルデザインの社会が当たり前だ、これはやはりそうしたものを身につけていくということが非常に大事なのではないか。

 私も子供が二人いるんですけれども、長男の同期に障害を持たれている同級生がいて、その代の子たちというのは非常にユニバーサルデザインの感覚が教える以前に身についていて、下の子はそうした経験がないので、明らかにそういう差が出るというのを私は親として感じまして、そうしたことをやはり、表記をするというのは大事ですけれども、それ以前に、教育の中で共生社会のあり方というのを大人もともに学んでいくということが非常に重要なのではないか、そうした思いでソフト面の法改正を今回させていただいているということをつけ加えたいと思います。

古賀委員 大臣、本当にありがとうございました。

 最後に、文科省に一点伺いたいと思います。

 今回のバリアフリー法の改正で、公立の小中学校もこの基準の適合義務の対象となるというふうになります。文科省はこれまで、避難施設というくくりの中でどれぐらいバリアフリー化が進んでいるかという把握をしているというふうに伺っております。

 今回のこの法改正を受けて、ぜひしっかりと、バリアフリー化の状況、エレベーターがどれぐらい設置されているかということも含めて、状況を把握したり、あるいはより具体的な指針を出していただきたいと思いますが、文科省の考えについて伺います。

笠原政府参考人 学校施設は、障害のある児童生徒等が支障なく学校生活を送ることができるようにする必要があるとともに、御指摘のありました災害時の避難所としての役割も果たすことから、バリアフリー化は重要であると考えております。

 まず、具体の指針について御指摘がございました。学校施設のバリアフリー化の重要性や整備における留意点を取りまとめました学校施設バリアフリー化推進指針というのがございますが、これを今回の法令改正を踏まえまして改定をすることも考えてございます。また、さまざま取組を紹介する事例集を作成しておりますけれども、この周知の横展開も図ってまいりたいと思ってございます。

 また、調査、把握についてでございますけれども、今回の改正法案を踏まえまして、公立小中学校におけるバリアフリー化の実態を調査するなど、現状をしっかりと把握するとともに、国庫補助等による財政支援を図るなどにより、学校設置者の取組が進むよう支援してまいります。

古賀委員 ぜひ、文科省も、国交省と連携をしっかり図られてのバリアフリー化の推進をよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

土井委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 おはようございます。公明党、岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回のバリアフリー法の改正は、共生社会の実現に向けまして、更にハード、ソフト両面から推進を図るもので、高く評価をしております。とりわけ、法改正の中でも、公立の小中学校をバリアフリー基準適合義務の対象に加えたということに関しましては、公立の小中学校が災害時には九四・九%の学校が避難所に指定されているということを考えても、大変評価に値するものだというふうに思っています。

 その上で、きょうはまず、駅のバリアフリーについてお伺いをしたいと思います。

 国交省はこれまで、点字ブロックやエレベーター、エスカレーターなどによる段差の解消、障害者用のトイレ、ホームドアの設置など、駅のバリアフリー化に目標を定めて推進してきていただきました。

 期限を区切っておりまして、平成二十二年までは、一日の乗降客数五千人以上の二千八百の駅を対象に進めてまいりまして、平成二十二年以降は、一日の乗降客数三千人以上、三千四百五十駅を対象に目標を推進してきました。平成三十年度で切ってみますと、三千人以上の乗降客の駅のバリアフリーの実績は、点字ブロックで九四・七%、段差解消で九〇・四%、車椅子トイレ設置で八六・八%、大変高い水準まで実績を残していただいています。ホームドアでいいますと、十万人以上の駅で四四・一%であります。

 実は、この目標が、最終が本年度、令和二年度末で終わることになっておりまして、政府の基本方針が現状かなり進んでいるということを考えますと、いよいよ次の目標を設定する時期に来ているのではないかなというふうに思っています。

 私、個人的には、乗降者数二千人以上を更に一つの目標にするといいのではないかなと思っていますけれども、ちなみに、二千人以上三千人未満の駅数は二〇一八年度時点で四百九十八駅ございまして、その四百九十八駅が所在している市町村で基本構想が作成されている駅というのは二百七十駅あります。まず、この二百七十駅をバリアフリー化の目標にすべきではないかと思いますが、そのことも一考いただきました上で、新たな目標設定というものを、どの時期に、どういう水準で定めようとお考えになっているかということを伺いたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、バリアフリー法に基づきまして、その中の基本方針において、鉄道駅等の旅客施設につきましては、二〇二〇年度末までに一日当たり平均利用者数が三千人以上の施設について原則全てバリアフリー化することを目標に取り組んでおりまして、おおむね着実に整備が進んでいると考えているところでございます。

 例えば、鉄道駅に関しましては、二〇一八年度末時点で三千人以上の駅は三千五百八十六駅ありますが、このうち三千二百四十一駅がバリアフリー化されておりまして、進捗率は委員御指摘のとおり九〇・四%となっております。

 二〇二一年度以降の鉄道駅などの旅客施設に関しましてのバリアフリーの整備目標につきましては、二〇二〇年度末までの現行の目標の期限から途切れることなく次の目標が設定できるよう、二〇一九年十一月より、当事者団体、関係事業者、有識者等から成る検討会において検討しているところでございます。

 この検討に際しましては、高齢者、障害者等の意見を伺いながら、現行目標の課題等について議論しているところでございますが、御指摘の地方部における課題等、バリアフリー基本構想等に位置づけられた鉄道駅等の旅客施設について、一日当たり平均旅客数が三千人という要件を引き下げるなど、整備目標の対象を拡大する方向で検討を行っているところでございます。

岡本(三)委員 続きまして、特出ししてホームドアについてお伺いをしたいんですが、駅で起こる事故の中でやはり最も重大な事故というのは、ホームから転落することだというふうに思っています。

 平成三十年度では、ホームから転落する事故は二千七百八十九件報告をされておりまして、このうち、視覚障害者の方が転落されましたのが六十三件であります。視覚障害者団体の調べでは、障害者の四割の方が転落若しくは転落しそうになった経験があるというふうにお答えになっています。

 このホームドアが一番進んでいないわけで、先ほど申し上げましたように、十万人以上の駅のうち、設置されているのが四四・一%、全国の全ての駅に対する比率でいいますと、八・三%にすぎません。

 何で進んでいないかというと、高いんですね。一カ所設置するのに、そこの条件にもよりますけれども、大体五億円から十三億円と大変高額になっています。平成三十年度、国の助成の実績を見ますと、地下鉄を除く駅で設置希望が百四十三件あったんですけれども、補助されたのは六十五件であります。その最大の理由は予算の制約でありまして、この六十五件の助成総額で三十二億四千万円でありまして、仮にこの予算が三倍ありましたら、ほぼ全て要請のあったところに関しては設置ができたということになります。

 先ほど申し上げましたように、駅で起きる事故の最も重大なものがホームからの転落であるということを考えますと、これが、例えば一千億、二千億かかるんだったら別ですけれども、現在の三十二億が例えば百億円ぐらいになっていけば、希望されたホームドアほぼ全てが設置できるということを考えますと、費用対効果の高い補助ではないかと私は思っているんですけれども、ホームドアの予算の確保について、どのような方針で今後臨まれるかということを伺えればと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ホームドアは、列車との接触、ホームからの転落防止のための設備として非常に効果が高く、その整備を推進していくことが極めて重要であるというふうに認識をしております。

 このため、これも委員御指摘のとおりでございますけれども、交通政策基本計画におきまして、二〇二〇年度までに全国八百駅にホームドアを整備する目標を設定して、計画的に整備を推進してきたところでございまして、二〇一八年度末時点で七百八十三駅まで整備が進んでいるという状況になっております。

 現在、これも先ほど総合政策局長の答弁がございましたけれども、二〇二一年度以降の新たな目標について、視覚障害者団体を含む有識者等による検討会において具体的な検討を進めておるところでございまして、ホームドアのさらなる計画的整備が図られるよう議論を深めてまいりたいと思っております。

 御指摘の予算でございますけれども、ホームドアの整備にはホーム補強などを行う必要がある場合も多うございまして、一ホーム当たり数億円から十数億円の費用を要するなど、コスト面が大きな課題の一つと認識をしております。

 国土交通省といたしましては、整備費用に対する助成を行うことにより整備を促進してきたところでございますけれども、引き続き、予算の確保に努力してまいりたいと考えておるところでございます。

岡本(三)委員 このバリアフリーの予算なんですけれども、バリアフリー全体で年間大体、過去五年間を平均しますと、約九十一億円です。私は大変少ないと思っておりまして、この予算の確保、増加をお願いしたいと思っております。

 加えまして、この予算は、バリアフリー予算というものが決まっているわけではなくて、実は四つの個別の予算からちょこっとずつもらってきてやっています。その方がよりバリアフリーの推進が進むということであれば、私は、手法は役所で決めて、最も適切なものであるということでいいと思っていますけれども、その四つというのは、地域公共交通の確保に関するような予算、都市鉄道に関する予算、駅に関する予算、訪日外国人の受入れに関する環境整備の予算、それぞれの予算からちょっとずつもらいながら進めているわけですけれども、それがもし使いやすいのであれば、確実にこの四つの予算からバリアフリーの部分を毎年毎年獲得しながら全体の予算をふやしていくということを確認をしながら、予算全体の増加ということに関しても取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、自治体が作成しますマスタープラン、基本構想の推進についてお伺いしたいと思います。

 平成十八年の新法におきまして、地方自治体、市町村は、国が定める基本方針に基づきまして、高齢者や障害者等の利用施設が集まった地区についてマスタープランを作成することを努力するということが定められております。

 しかし、現在のところまで、この基本構想を定めている自治体は三百三自治体でありまして、その作成率は約二割であります。

 今回の法案の中でも地方自治体の責務が更に追加をされていますけれども、マスタープラン、基本構想の一層の推進が必要ではないかというふうに考えています。

 基本構想もないのに具体的な事業というのが前に進むというのは、どうしても考えづらいんですね。

 私は、どうして自治体で基本構想が策定されないのかということに疑問も持っています。もしかしたら、強制力のない、作成することができるという条文の規定が大きなハードルなのかもしれませんし、又は、作成してもインセンティブがない、インセンティブが少ないということがその問題なのかもしれませんけれども、自治体の方々にこの基本構想をつくっていただくということをどのように推進していくのかということにつきまして、方針をお伺いしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、平成三十年に導入されましたマスタープラン制度等につきまして、その進捗が全国で約二割にとどまっているということでございまして、その進捗がおくれているということに関しましては、我々も認識しているところでございます。

 現在、地域におきましての取組に関しまして、例えば、基本構想とかマスタープランに入れたものに関して優先的に補助をしていくような仕組みなどについても考えていきたいと思っておりますし、なおかつ、実際つくる上でいろいろな事業者さんとの関係等々になれていない自治体も多うございますので、これに関しましても、地方運輸局などを通じまして、そういった面でのノウハウを提供するとか、さらには、そういう形ででき上がったマスタープランについての横展開というか、こういったものがつくられているということをしっかりPRしていくことに関しましても今考えているところでございまして、しっかりとこれから進むように取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 続きまして、ユニバーサルタクシー乗車拒否問題につきましてお伺いしたいと思います。

 ユニバーサルタクシーは、誰もが気兼ねなく乗れるタクシーを目指しまして、一台に六十万円国が補助をして推進をしておりますけれども、障害者団体の方々のアンケートによりますと、約三割の方が乗車拒否を実際に経験しているというふうな調査結果もあります。

 私、タクシー会社の方にも、ドライバーの方にもお伺いいたしましたが、腹を割って話すと、やはり、ドライバーの方ほぼ皆さんが歩合で働いていらっしゃいますので、収入を考えると、障害を持った方をしっかりとケアをしながら手間をかけて時間をかけて乗車いただくというのは、自分の収入に直結してくるわけですね。ですから、皆さんそれぞれにお手伝いしたいと思ってもなかなか厳しいようなときもあるというふうに伺いました。

 また、タクシー会社の中には、ユニバーサルデザインのタクシーに関しまして十分な研修を行っていないですとか、さまざまな問題もあるようであります。

 昨年十一月二十六日に、国交省は、適切な実施の徹底について通達を出されていますけれども、その中に、違反者には厳正に対処するというふうな文言を載せていただいていますけれども、具体的にどのようにこの乗車拒否問題を改善していこうというふうに考えているのかということをお伺いしたいと思うんです。

 とりわけ、ただ単に、先日、参考人の方に来ていただいてここで聞かせていただいたときに、心のバリアフリーというのは思いやりみたいなふわふわっとしたものじゃありません、仕組みづくりですというふうに言われたことが私はすごく残っておりまして、どのような仕組みづくりをしていくか。そして、その最大のハードルの一つがドライバーの方のインセンティブが少な過ぎるということであれば、そのインセンティブをどのように上げていくかということに関しましても国土交通省の取組が必要だと思います。

 この乗車拒否問題、現状をどういうふうに認識していらっしゃるか、そして、今後どのように改善していこうとされているかということをお伺いできればと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘をいただきました、DPI日本会議さんが昨年の十一月十二日、タクシーの乗車拒否の問題につきまして公表されました。それに限らず、障害当事者の方々から、私ども、乗車拒否について声をいただいておるところでございます。

 まとめていただきましたDPI日本会議さんの発表の中には、実はよくやっていただいたという声もありまして、東京では、スムーズで丁寧に作業してもらった、接客も丁寧だ、運転手は定期的に研修を受けていた、あるいは、愛知では、誠意を持ってやってくれた、大阪でも、他の運転手も手伝ってくれた、こういう声もございます。

 こういったことをやはり広げていく必要があろうかと思っておりまして、私ども、どういう問題があってどういう対応をすべきかというのを、二カ月に一度ほど、当事者の方々や車両メーカーの方、タクシー事業者の方々と意見交換をして、問題点を摘出しようとしておるところでございます。

 先ほど委員御指摘いただきました六十万円の車両の補助の際には、年に二回のバリアフリーの研修、これを運転手さんに義務づけをしているところでございまして、スムースにバリアフリーの施設が設置できるようにということも考えています。

 また、給与のお話も御指摘いただきましたけれども、実は運転手さんの給与はほぼ歩合でございまして、タクシーの割引、身体障害者の方の割引は一〇%でございますが、これが歩合になりますと五%を運転手さんが負担しなきゃいけないというようなことをしておられる会社もあります。これは、私ども、先ほど御指摘をいただきました通達の中でも、そういったことがないようにということでやらせていただいておりますし、余りにも続くようでございましたら、これにつきましては会社名の公表ということもさせていただいています。

 さらには、それはどちらかというとマイナスをプラスにするものでございますが、更にプラスをプラスにするインセンティブといたしまして、例えば運転手さんの表彰をやっております。この間、三月十八日に、関東運輸局で三十一名の運転手さん、非常にバリアフリー対応ができた運転手さんを表彰したということもございます。そういったことも進めていきたいと思っています。

土井委員長 岡本君、時間が迫っております。

岡本(三)委員 障害者に優しい国は国民に優しい国ですので、更に推し進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 立国社、小宮山泰子でございます。

 本日は、高齢者、障害者等の移動の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し質疑をさせていただきます。

 前回、二〇一八年の法改正は、二〇一四年に障害者権利条約の批准を受けての大改正で、共生社会の実現、社会的障壁の除去を基本理念に、公共交通事業者によるハード、ソフト一体的な取組の推進、バリアフリーのまちづくりに向けた地域における取組の強化などが主な改正でありました。同年には議員立法でユニバーサル社会実現推進法も成立させていただき、公共交通のバリアフリーは著しく進展をしてきていると認識をしております。

 今回のバリアフリー法改正は、心のバリアフリーに重点が置かれている点、バリアフリー基準適合義務の対象が公立小中学校に拡大されたこと、特に、避難所となり得る公立小中学校への義務化は大きな進展の一歩であり、また、この点に関しましては、前回附帯決議をつけさせていただいたことに対して国土交通省におきまして更に進めていただいたことに感謝をするとともに、今回から文科省におきます主管も追加されておりますので、公立小中学校へのバリアフリーの実行、実現には期待をしたいと考えております。

 三月三十一日には、バリアフリー法改正に対して参考人からもさまざまな御意見を伺う機会がございました。

 中央大学研究開発機構の秋山哲男機構教授におきましては、今後の期待として、調査段階から当事者参加、インクルーシブデザインへの努力、心のバリアフリーの仕組みづくりの必要性、地方都市の鉄道の無人化や地域のモビリティーとアクセシビリティーの一体化対応と地方都市の公共サービスへのモビリティーの発想の必要性を語っていらっしゃったこと。

 NPO法人ちゅうぶ代表理事の尾上浩二さんからは、空港バス、長距離バスのバリアフリー化、ホームドアの設置促進、ホームと車両乗降口の段差、すき間解消、また、三千人未満の駅などのバリアフリー化、無人駅の問題。

 また、全日本視覚障害者協議会代表理事の山城完治さんからは、視覚障害者の安全で安心な歩行バリア、落ちる、ぶつかる、つまずく、迷うをなくすことだ、命の危険を伴う事故は、二〇一〇年以降毎年、毎週一件以上視覚障害者の駅ホームからの転落事故が起きているなど、本当に現実的であり、また示唆に富むものでございました。

 また、委員会としましては、はとバスや羽田空港、そして営団地下鉄への視察もさせていただいたところでもあります。

 この中からまた質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、建物のバリアフリー化について質問させていただきます。

 国土交通省が二〇一九年八月にまとめた、二千平米未満の店舗・飲食店等のバリアフリー化の実態把握に関する調査結果によりますと、面積別バリアフリー化、建築物移動円滑化基準への適合率は、二割以下のバリアフリー化にとどまっているそうです。

 バリアフリー化が進んでいない最大の原因と考えられるのは、バリアフリー法のもと、店舗、飲食店など店舗が多数入っている二千平方メートル以上の特別特定建築物にバリアフリー整備基準が課せられてはおりますが、建物内に入っている個々の店舗内についてはバリアフリー整備基準は規定をされていないことにあると思います。つまり、建物はバリアフリー化されているのに、中に入っている店舗の中の段差や固定椅子のため、車椅子では入れないお店が多く存在していることでもあります。

 平成三十年バリアフリー法改正時の附帯決議に、小規模店舗についての実態把握、UD化に向けての、ユニバーサルデザイン化に向けての所要の措置を講ずることといたしましたが、今回の改正案提出までの国交省の対応、目標などの概要についてまずは簡潔に御説明ください。

眞鍋政府参考人 前回のバリアフリー法改正以来の取組について御説明申し上げます。

 前回のバリアフリー法の改正時の附帯決議において、小規模店舗のバリアフリー化の実態把握に努めるとともに、ユニバーサルデザイン化に向けて所要の措置を講じることとされております。

 この附帯決議を踏まえまして、私どもでは、全国の特定行政庁等の協力をいただきまして、平成三十年十一月から平成三十一年一月までに確認申請が行われた小規模店舗のバリアフリー化基準の適合状況、これを調査いたしまして、先ほど御説明のありました小規模店舗のバリアフリー基準への適合率、これを約二割というふうに明らかにしたわけでございます。

 こうした実態調査の結果も踏まえまして、国土交通省では、小規模店舗のバリアフリー化の促進に向けまして、地方公共団体の担当者を集めた会議などの場を通じまして、地域の実情を踏まえた条例による義務づけ対象規模の引下げに向けた前向きな対応を繰り返して要請してきております。

 また、本年の一月になりますが、学識経験者、高齢者、障害者の団体、あるいは事業者の団体などで構成される、建築物のバリアフリー化のガイドラインである建築設計標準の見直しのための検討会、これを立ち上げたところでございます。この中の中心的な課題が、小規模店舗を効果的にバリアフリー化するための知見や優良事例をまとめるということでございまして、令和二年度中にこのガイドラインをまとめ、関係省庁と連携して関係業界に周知したいというふうに考えてございます。

小宮山委員 ぜひ、このワーキンググループの結果というのは、期待をして待たせていただきたいと思います。

 とはいえ、小規模店舗のバリアフリー化推進のためには、まず、二千平方メートル未満の建築物に対しても、新築、大規模改修時にバリアフリー整備義務を課すことが必要ではないかと考えております。また、建物自体のバリアフリー義務化とともに、店舗内のバリアフリー整備基準を策定することが必要かと思いますが、この点に関しまして大臣の御所見をお聞かせください。

赤羽国務大臣 まず、今回の法改正につきまして、委員会として、現場の視察ですとか大変有意義な参考人の皆さんからの御聴取をいただいたこと、大変感謝を申し上げたいと思います。資料を読ませていただいて、私も大変勉強になっております。

 私、先ほど申し上げましたように、二十年余りこのバリアフリー化に取り組んでまいりましたが、率直に言って、最後に残ったのがこの小規模のお店のバリアフリー化なんですね。私、この二十年間を振り返って、やはり現実をどう変えていくのかという中で、法で義務化すれば簡単にバリアフリー化が進むかというとなかなかそうじゃないと。現実、この二千平米以下の小さなお店というのは、恐らく、商店街で空き店舗なんかが利用されて若い人が起業でお店を始めているようなところがあって、そこにバリアフリー化のことを、若干高いハードルを掲げるというのはどうかみたいなことが現実的にはあって、非常に歯がゆいわけでありますが。

 そうした中で、今、検討会も、先ほど局長から答弁させていただいたように、方向的にどうするかということは検討しながらも、同時に、やはり、ここのお店はそうしたバリアフリー施設があるといったことを発信してもらって、障害者団体の人に使ってもらえる、世の中で小さなお店でも、バリアフリーといっても、多分、段差解消とかトイレを少し広くするとかそうしたことだと思いますので、そうしたことが進むですとか。特に東京オリパラ、大変重要なものですから、この東京オリパラに向けてバリアフリーの飲食施設のガイドの作成をしているとか、若しくは、ホストタウンに所在する飲食店につきましてはバリアフリー化に対する補助制度も創設をしたところでございます。

 また、本年一月に、飲食とか小売業の業界団体の皆さんと官民一体となってチーム・ウエルカムという組織をつくりまして、ちょっとした工夫でできる店舗等のバリアフリー対応事例を積極的に共有していこう、そういう運動論も立ち上げて、私も、初回、参加をさせていただきました。

 少しずつではありますが、こうしたやはり少しのバリアフリー化を進めるということが、共生社会がしっかり進んでいくんだということをどう社会に認知させていくのかということを、不断の努力をしながら、また法的な検討もあわせてしっかりと進めていきたい、こう考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 昨年、国民民主党の女性議員たちと兵庫県の明石市に視察また研修に行かせていただいたときに、市長の方から、やはりバリアフリーのまちづくりということで、小規模の店舗などの段差解消などのために上限二十万円での改修費用を出していらっしゃいました。これは有効な手だてかなと思います。大きな額ではないかもしれませんけれども、これによって多くの方々が店舗を選べるということは大切だと思います。

 特に、私自身も、昨年、第五中骨骨折、いわゆるげた骨折をしたときに、電動車椅子を借りて活動しておりましたが、そのときに、いつも行っている個人商店とかレストラン、そういったところに段差があったがために入れなかった経験をいたしました。これ自体は、いつも障害者の方々がおっしゃる、自分たちが何を食べたいかで店を選ぶのではなく、日本ではどんな店に入れるかでしか選べないということをおっしゃっていたことを、私自身も実感したところであります。ぜひ、大臣におかれましても、更にこの課題に関しましては後押しをしていただくことを要請いたします。

 さて、二〇一七年五月に、IPC、国際パラリンピック委員会にバリアフリー対応の客室が不足していると指摘されたように、我が国のホテルのバリアフリー化は諸外国に比べて大きくおくれていると感じております。

 一般客室の段差を解消し、ドア幅八十センチ以上にするなど、ユニバーサルデザイン化のガイドラインや義務化をする自治体もありますが、新築や大規模改修に伴うものが対象となるので、大半の既存ホテルにおいてはバリアフリー、ユニバーサルデザインにはなっていない。車椅子を利用する障害者やパラアスリートのホテルの選択肢は狭いままであります。バリアフリー対応ではない一般客室で不自由を強いられているというのも、現実でもありましょう。

 パラリンピックも一年後になりましたので、この間に更に改善が進むことを願っておりますが、先ほどお伝えしたとおり、私自身は電動車椅子を二カ月ほどレンタルしてバリアフリー体験も重ねさせていただきました。ホテルに泊まった場合、車椅子が大丈夫だというホテルの説明を聞いた上で一般の部屋に入ったんですが、狭いがために、車椅子の方向転換ができませんでした。外に出ようと思ったときには、車椅子に座って動かそうとすると、扉が内開きになっているので、両方一遍に操作することができなくて閉じ込められたような状態に一瞬なりまして、大変焦ったんですけれども。

 その後、パラリンピアンの大日方さんにお目にかかったときに、泊まったんだ、あなた閉じ込められたでしょうというようなことを突然指摘をされました。非常にびっくりしたんですが、恐らく、多くの障害をお持ちの方また車椅子ユーザーの方々は同じような経験をしているんだなということを実感をいたしました。

 つまり、多くの場面で、健常者が考えるバリアフリーとよくやゆされますけれども、そういったことが起きているというのも実感をいたしました。高齢者、障害者の協議会で意見を聞いたのに、実際にでき上がった施設等は使いづらいものになっていたなどという報告も聞こえてまいります。

 これは、バリアフリー施設等の設計やデザインをする方々が、バリアフリーを卓上で学び、スロープがあれば大丈夫のように、実際には角度が急過ぎるなど、実際使用するには向かない設計、また、確認する側も適正化が判断できないというようなことが、建築の確認ですね、できないということが重なっているのも日本の現状ではないでしょうか。

 そこで、国の提示する整備方法のバリアフリールームは、いわばフルスペック整備であるがために、設置に費用、面積がかかり、事業者も導入が進められないということを鑑みると、現状のままでも、扉幅や手すりの設置などで配慮がなされた一般客室のユニバーサルデザイン化を義務づけることが必要と考えますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

眞鍋政府参考人 ホテルのバリアフリー化についてのお尋ねがございました。お答え申し上げます。

 ホテル、旅館のバリアフリー化の推進に当たりましては、御指摘のとおり、車椅子使用者用客室に加えまして、一般客室のバリアフリー化を進めることも望ましいことだと考えてございます。

 ホテルなどの客室の大きな割合を占める一般客室に一律の基準を義務づけることについては慎重な検討が必要とは考えてございますが、昨年三月に、障害者団体の方々や有識者などで構成される、ホテル等の客室の設計に関する検討会、これを取りまとめたときに、ホテルなどの一般客室部分に関する設計のガイドライン、これもあわせて策定しておりまして、現在、周知に努めているところでございます。

 さらに、東京都あるいは大阪府においては、バリアフリー法に基づく条例によりまして、ホテル、旅館等の新築に当たり、車椅子使用者用客室だけではございませんで一般客室についても一定のバリアフリー化を義務づける、こういう条例を定めているところでございます。

 私どもといたしましては、他の地方公共団体でも、地域の実情に応じて、このような取組について前向きに検討するよう要請してきているところでございます。

小宮山委員 引き続いて、歴史的建造物のバリアフリー整備についてお伺いしたいと思います。

 名古屋城天守閣木造復元事業では、史実に忠実な復元を理由にエレベーターを設置しない方針で計画が進められると聞いて、実はこの点が物議を醸しているところでもあります。

 税金を投入して新たに建てる公共建築物にもかかわらず、バリアフリー整備を行わず障害者が利用できないとなると、また、機能低下をされた方が使えないということになると、障害者権利条約や障害者差別解消法、バリアフリー法の共生社会の理念に反してしまうのではないでしょうか。

 歴史的建造物についてもバリアフリー法の対象とし、既存の建築物などの大規模改修時に可能な限りバリアフリー化整備を行うこととし、また、新規に復元建造物などを設ける際はバリアフリー化整備を義務とすることも決断が必要かと考えます。

 文化庁と国土交通省で判断が分かれるところかもしれませんが、政府の見解をお聞きします。

眞鍋政府参考人 歴史的建築物の復元に当たりましてのバリアフリー化について、お答え申し上げます。

 今、名古屋城のお話が出ましたが、名古屋城の復元に関する具体的な計画については承知しておりませんし、また、その取扱いについてもまだ未定と聞いておりますので、一般論でのお答えをお許しいただきたいと思います。

 文化財保護法に基づき指定された国宝あるいは重要文化財などにつきましては、文化的価値の保存、継承に配慮することが必要と考えられることから、バリアフリー法に基づく義務づけの対象からは除外される仕組みとなっております。

 一方で、バリアフリー法におきましては、高齢者、障害者などが日常生活又は社会生活において利用する施設を設置し、又は管理する者が、移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努めなければならないというふうに定められているところでもございますので、個別の歴史的建築物の復元に当たりましては、こういったバリアフリー法の規定、枠組みも踏まえながら、当該建築物の設置者などにおいて適切に計画していただくことが重要ではないかと考えるところでございます。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 障害のある人や高齢者を含む全ての人がより快適に文化財に親しむことができるよう、文化財の活用のためのバリアフリー化は重要である、このように考えております。

 一方で、史跡等文化財の整備に当たりましては、史跡が有する価値を適切に保存し、次世代に確実に伝えることが重要であるとともに、個々具体の文化財の特性や物理的な環境によっては一律に基準を定めることが技術的に困難な場合もございます。

 このように、文化庁といたしましては、こうした文化財のバリアフリー化と史跡等の文化財の価値を保存する形での整備につきましては、できる限り両立が図られることが大切だ、このように考えておりますけれども、それと同時に、復元建造物のバリアフリーのあり方やその対策に関しましては一律に基準を定めることは困難であるという実情もございます。

 したがいまして、復元建造物につきましては、施設の所有、管理者におきまして、文化財の特性に応じて具体的かつ適切に判断されていくことが重要である、このように考えているところでございます。

小宮山委員 時間の関係で先に進めさせていただきますが、空港アクセスバス、長距離バス、いろいろ努力をされています。

 視察に行きましたはとバスさんでも、空気の循環、車内の関係を聞いていた最中に、バスの方でバリアフリーのための車椅子乗車の講習などを一生懸命続けている姿、本当に感銘も受けましたし、こういった方々もぜひ支援をしていただきたいということを伝えさせていただき、またさらに、その導入も、一定割合などを検討していただくことを要望いたしまして、次に行かせていただきたいと思います。

 電動車椅子を利用している際、新幹線を利用するのも、実は予約にも大変苦労いたしました。数日かかるような状況でもありましたが。大臣も、就任直後、視察もされて、複数の車椅子が同時に同一車両に乗車できるようにするなど、積極的な発言をされておりました。

 例えば東京駅は、自動車の車寄せがないため、また、大きな駅になるほど誘導する職員との合流までに時間がかかる、新幹線に乗る場合は大体三十分前に駅に到着してくれと言われ、ホームの方に連れていかれて、またここから何十分も待つというようなことも経験をいたしました。

 本来ならば、福祉車両が横づけできる駐車スペースも必要ですし、新幹線もフリースペースの増設など改善を進めるべきでしょう。今後、機能低下をした高齢者や障害者など、誰もが国内を移動し、観光を楽しめる環境整備は急務であります。

 大臣の理想とする新幹線のあり方やバリアフリー、ユニバーサル社会推進について御示唆をいただければと思います。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽国務大臣 新幹線は世界に冠たる高速鉄道だというふうに思っております。その速度の速いこととか、パンクチュアリーというか時間厳守性とか。ただ、客観的に見て、バリアフリーの施設というのは大変おくれているというふうにかねがね思っておりました。今はルールでは十六両編成で二席以上ということが指針となっておりまして、それを守られているわけでありますが、これは東京オリンピック・パラリンピックを迎えるには余りにも貧弱だというふうに思っておりまして、かねてよりJRと検討してきたところでございます。

 今のところは、通路からはみ出すので車内販売が来ると一回外に出なければいけない、こうしたことが当たり前のように行われているというのはやはり是正しなければいけないということで、何とかフリースペースの確保ということを、これは大変難しい問題で、最初は難航しておりましたが、昨年十二月だったと思いますが、JR各社の社長に出席してもらって、私たちの思いをして、これはしっかりやりたいということで、そうしたことで会議を進めております。

 翌一月には、JR東海の最新の車両ができたということで実車しましたが、私たちの思っていることとは相当乖離があるということで、それをしっかりと改善してくれということをはっきり申し上げました。

 恐らく、フリースペースを実現するという方向になっておりますし、それは大きな一歩であると思いますけれどもまず第一歩ということで、世界に冠たる、さすが日本の新幹線は質的にも速度的にもサービス的にもすばらしい、こう言っていただけるように頑張っていきたい、こう思っております。

 バリアフリーというのは、私は国の品格のあらわれだというふうに思っておりますし、やはり日本は成熟国家としてふさわしいユニバーサルデザインの社会というものを世界に示していけたらというふうに思っておるところでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ユニバーサルサービス、バリアフリーの進捗状況が国の品格にあらわれるというようなことだと思っておりますので、私もそれに賛同いたします。(赤羽国務大臣「ちょっと」と呼ぶ)大臣、何か。

赤羽国務大臣 ハード面だけじゃなくてソフトも、予約も、ウエブ予約ができなかったとか、二日前までに予約しないと、当日はもうそこはキープできないというようなこともありましたので、ウエブ予約もできるようにし、特にバリアフリー対応の席は、この十四日のダイヤ改正から、当日も一般用には販売しない、確保するということも実現しましたので、ちょっと御報告をさせていただきたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 私が車椅子を使ったときはまだ実現していなかったので大変苦労をいたしましたので、次は、できれば体験はしたくはないのですが、皆さんの報告を、障害者、当事者の方からの報告を受けたいと思います。

 さて、小規模駅のバリアフリーの整備の推進についてお伺いしたいと思います。

 三千人未満の駅のうち二二%のみしかバリアフリー化がなされておりません。この現状を見ますと、やはり社会的障壁除去のためには、最終的には単独乗降可能な駅のホームの整備というのは、迅速な人的対応システム確立等、事業者の取組というものは期待されるところではございますけれども、障害というのは、土地や地域を選んで、大きな駅を選んでいるものではございません。そういったことにおいては、検討会を立ち上げて、無人化のバリアフリー整備のガイドラインを策定し、事業者にその遵守を求めることも必要だと考えますが、この点に関しまして、国交省の見解をお聞かせください。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 鉄道を障害者の方に御利用いただく場合におきまして、障害のある方とない方との取扱いを可能な限り同様なものとすることが大変重要であるというふうに考えておるところでございます。

 無人駅についてのお尋ねがございました。

 鉄道駅については、現状、総駅数九千四百六十四駅のうち四千四百七十八駅が無人駅となっておりますけれども、無人駅であっても、障害者の方が利用する駅については、障害者の方に可能な限り御不便なく鉄道を御利用いただくことが重要であると考えております。

 このため、鉄道事業者の方におきましても、これまでさまざまな取組を実施してきたところでございまして、障害者の利用実態を踏まえた上で、必要に応じスロープや内方線つき点状ブロックなどの施設整備を図ってきております。

 また、利用が一定程度見込まれる時間帯における巡回、見守りや介助要員のスムーズな派遣などの人的な対応体制の整備を行っている事業者もございます。

 国土交通省におきましても、無人駅における安全や利用者利便の確保について、その実態を把握いたしますとともに、必要な対策について鉄道事業者との間でさまざまな議論を行ってきたところでございますけれども、今後も議論を重ねまして、対策の充実に努めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 UDタクシーのことをお伺いするところですが、ちょっと先に進ませていただきます。

 指摘をさせていただきたいのは、UDタクシー、私自身は電動車椅子のウィルというのを使いますが、登坂力、十度を超すと急角度の危険のランプがつきます。スロープをおろすような車両、UDタクシーや例えばバスなどは、おりる場所によって角度が変わってきます。そういったところにおいても、まだまだ新たな車両の開発や補助金などの施策においては、やるべきことがあるかと思っております。

 特に、UDタクシー、横から乗るのはさまざまな困難がありますので、通常のUDデザインの、ユニバーサルデザインの車両などは、後ブースから乗るのが通常になっております。こういったところもぜひ参考にしていただきたいと思います。

 そして、全てはここから発するところでありますが、移動の権利についてお伺いしたいと思います。

 障害者は、公共交通機関を利用しての移動を伴う際、通勤、通学、旅行あるいは日常の移動、いずれの場合においても、障害を持たない者に比べてさまざまな制約を受けているのが現実です。社会的障壁を除去していき、障害者にもより一層の移動の自由を確保していただくためには、障害者のアクセシビリティー、移動の権利があることを明確にすることが必要ではないでしょうか。

 障害者権利条約一般的意見二号では、「アクセシビリティは、障害のある人が自立して生活し、社会に完全かつ平等に参加するための前提条件である。」と示されています。IPCアクセシビリティーガイドでは、「アクセスは基本的人権であり、社会的公正の基本である。社会的公正とは、人々を個人として受け入れ、社会生活に完全に参加するための公平で平等な機会へのアクセスを保障すること」と明記されております。

 今後、バリアフリー法においても障害者の移動の権利について明記していくことが重要な課題となると考えますが、国土交通大臣の御所見をお聞かせください。

赤羽国務大臣 移動権の問題というのは、これまでも何度も審議をしてきたところでございます。大変難しい問題でありますが、結論的に言うと、この移動権で保障されるような内容を体現できるようなユニバーサルデザインの社会づくりを目指して私自身は取り組んできたつもりでございます。

 特に、二〇〇六年だったと思いますが、国連で障害者権利条約が、また、日本政府も二〇一三年にそれに調印をした。そうした中で、我が国の整理は、そのもとで障害者基本法などを通してそうしたものを担保されて、バリアフリー化を進めているということでございます。

 この移動権を日本の法律の中に入れるということ、なかなかコンセンサスがとれない状況でございまして、平成三十年のバリアフリー法の大改正のときもこうした議論は同じような状況でございましたが、私、当時、政府の原案の中で、移動権はなかなか入れられないのはよくわかるけれども、何とかもう少し、物理的なものだけではなくて、基本理念というものが大事なのではないかということで、今御紹介いただきましたように、社会的障害の除去ですとか、共生社会の実現というものを法の基本理念に入れさせていただいたところでございます。

 現状ではなかなか難しいとしかお答えができないんですけれども、こうしたものが将来、継続に検討しながらも、実態としてはしっかりとしたものを進めていかなければいけない、今申し上げられるのはそうしたことでございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 私も大臣とほぼ同じ方向で移動の権利については考えるところではありますけれども、バリアフリー法改正、前回以降も、さまざまなところでこの移動の権利というものが現実的には確保されるような状況が生まれてきたこと、そして、今回、心のバリアフリーということに重点を置かれたこと、インクルーシブもそうですけれども、そういったところにおいてはそろそろ機が熟してきたのかなと考えております。移動の権利については、今回の法改正には盛り込まれませんでしたけれども、障害者権利条約の理念の反映という点からも、今後引き続いて検討していくことを要望させていただきます。

 また、最後になりますけれども、地域主権改革に係る第一次、第二次の一括法の施行に伴い、道路法及びバリアフリー法が改正され、国の政省令等で規定されていた道路の構造等の技術的基準について、県道や市町村道等の基準を地方公共団体が条例により定めることに変更されています。

 バリアフリー法に関係します移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する条例の地方自治体における制定状況については、都道府県、政令市については既に制定済みですが、全ての自治体について制定されているか否かも国交省で把握すべきだと考えます。

 バリアフリー法改正を契機に、誰もがより安全に安心して移動できる道路が整備されるためにも、今後、各自治体での条例整備状況の把握、条例のもとでの整備、管理の推進が図られるように促していただくことを重ねて要望いたします。

 最後になりますけれども、この数年、バリアフリー法は確かに改正をされましたけれども、そもそもで言いますが、障害者権利条約の精神を語る上での、ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちを抜きに私たちのことを決めないでとの言葉は欠かせません。

 多くの当事者の方々、そして障害をお持ちでない方々もともに住みやすい日本をつくるために、また移動の権利を確保するために努力されること、またそのための支援を国交省、文科省に依頼をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立国社共同会派の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、質問させていただきたいと思います。

 現在、新型コロナウイルスの猛威が続いております。経済的にもかつてない大きな局面を迎えておりますし、国交省管轄でも、旅行業、宿泊業、貸切りバス、あるいは航空、JR、タクシー、トラックなどさまざまな、全てにおいて先の見えない落ち込みだと思います。

 それらの支援に加えて、雇用が維持できているのか、このことも重要であります。雇用が継続できているのかも国交省で早急に調査をしていただきたいと思います。

 また、入国後の二週間の自主隔離の際、空港での水際の対応から、公共交通機関を使わなくても、レンタカーの手配や、あるいは、断られることがないようにホテルの確保とか、そしてまた病院、PCR検査など、その連続性を含めて対策を早急につくらなければ、本当の意味で感染者を防ぐことはできないんだろうと思います。重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、延期されたオリンピック、パラリンピックに向けても、さきの参考人の意見陳述でも、ピンチをチャンスに変えてという言葉もありました。レガシーとしてバリアフリーが大きく促進するように求めて、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、多目的ベッドつきのトイレの整備状況についてお聞きをしたいと思います。

 今回、バリアフリー法改正において、障害者用トイレ等を利用する上で必要となる、配慮に係る国等の責務が盛り込まれております。

 障害者用トイレについては、多機能のトイレ、さまざまな設置が進められている中で、多目的のベッドつきのトイレも重要だと思っております。子供のおむつがえだけではなくて、高齢者あるいは障害者等を含む、より多くの方々がその必要性を共有するものだと思います。

 私も、地元で障害者の事業所を回らせていただき、切実な声をたくさんいただくことがあります。お母さんからは、障害を持つ子供が成長すると介助するのは物すごく困難だ、そしてまた、男性の介護士が足りない、不足をしているということも大きな問題だ、男性が介助をしても、汗だくで、本当に労力が要る、そういった実情をぜひ理解をしていただきたいという切実な声がたくさんあります。そして、外に出かけるときはベッドつきのトイレがどこにあるのかが物すごく重要だ、ショッピングモールなどへ買物に行く際もベッドつきのトイレが併設をしている他県まで行っていますとおっしゃっておりました。

 ベッドつきのトイレの拡充と、そしてまた、どこにあるのかわかりやすいマップなども求められましたけれども、各自治体で、バリアフリーの進捗、あるいは、多機能トイレの設置場所などがわかりやすいマップの作成も進められていると思います。

 私の地元町田市でも、きょう添付資料を配らせていただきました、ちょっと細かくてわかりづらく大変恐縮ですけれども、このマップも、私たち、地元の町田市は四十三万人の町でして、旧五カ町村で、大きく分けると五個の地区に分けられております。その五個の地区ごとに、公共事業に、どこに設置をしているか、あるいは買物、サービスの分野ではどこにあるか、そういうことが右側の黒い丸印で書かれております。

 丸印の左から、みんなのトイレ、あるいはオストメイト設備、授乳室、多目的シート、車椅子対応駐車場、思いやり駐車区画ということで、丸印等々でわかるようにマップになっております。右から三列目の列が多目的シート、いわゆるユニバーサルシートの設置のトイレであります。

 公共施設においては、市民センター等、恐らく各一個以上はあるのかなと思いますけれども、恐らく多くの皆さんが利用したいのは、買物とか、ショッピングモール等々に設置をしているところがどのくらいあるかということが、現実的に必要とされているんだろうと思います。

 「買い物・サービス」のところを見ると、この旧五カ町村、四十三万人の町で、ショッピングモールではなくて、ホームセンターに二つだけ設置をされております。そしてまた、ファミリーレストランに一つ、そしてガス会社に一つということで、実情からいうと、買物に行って、食事あるいは洋服など衣服等々を買えるショッピングモールみたいな施設にはなかなかなくて、ホームセンターなどに二つだけということが実情であります。感覚的にも少し少ないという印象だと思っております。

 やはり国としても、公共施設のみならず民間の施設においても、設置状況を、自治体と連携をして、できるだけ把握をする必要があるのではないかと思います。

 現在、自治体と連携をして、民間施設を含め、どれだけのベッドつきのトイレ、いわゆるユニバーサルシートの設置ができているのか、把握をされていれば教えていただきたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 今、伊藤先生の御指摘になりました大型のベッドが設置されているトイレでございますが、これに関しましては、具体的な数字は現在把握していないところでございますが、各地域におきまして、そういった設置が非常に進んでいるというふうに承知しているところでございます。

 我々といたしましては、現在、こういったベッドがついているトイレ、そういったものを、バリアフリー法のガイドライン等におきまして、公共事業者や建築物の設計者等に対しまして、その設置を強く推奨しているところでございます。

 以上でございます。

伊藤(俊)委員 民間施設も含めてなかなか数は把握をされていないということですので、ぜひ、私たち四十三万人の町ですらこういう状態ですので、全国でどういう実態かということをしっかりと把握をしていただきたい。そしてまた、ユニバーサルシートの設置の拡充を改めて求めたいと思います。

 次に、UDタクシーの改良についてお聞きをしたいと思います。

 今回のバリアフリー法改正の中でも、心のバリアフリーに関し、公共交通事業者等に対する役務の提供方法に関する基準への適合義務が創設をされており、UDタクシーに車椅子で乗車するときのスロープ板の適切な操作について基準が設けられる見込みとなっております。

 この背景には、UDタクシーによる車椅子使用者への乗車拒否が顕在化したこともありますが、乗車拒否は、実際、運転手さんが高齢のドライバーでしたり女性のドライバーでしたり、その労力の問題などありますので、全てが悪質なものではないと思いますが、しかし、その原因として、スロープ板の設置、撤去時に時間、労力がかかること、よりスムーズにできるように適時研修等の必要性も言われているところであります。

 やはり、スロープ板のその工程が六十ぐらいから二十ぐらいになったとはいえ、日産、トヨタなど、メーカーによっても異なるとは思いますが、長期で見たときに、新たにこの工程の少ないスロープ板の改良又は車両の開発をしていくことは必要なんだろうと思います。

 また、それまでの間は、乗車拒否が軽減をするように、スムーズな設置、撤去の研修だけでは恐らく難しいのではないかと思いますので、何らかのインセンティブも必要なのではないかと思います。

 乗車拒否を軽減するための事業者へのインセンティブに対して、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 タクシーの乗車拒否につきましては、道路運送法でこれは禁止をされておりまして、悪質な事案については監督処分などを行っております。ただ、UDタクシーの場合、さまざまな要因で乗車拒否が行われているというふうに私ども考えております。

 例えば、委員の御指摘にもありましたが、まず、構造、これについては車両メーカーがハード面の対策を進めておりまして、去年の三月に、六十三工程必要だったものを二十四工程に縮めるなどを行っております。

 また、知識、これにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、バリアフリーの車両の補助を出すに当たって、年に二回以上の研修を、位置づけをさせていただいているところでございます。

 それから、給与の問題もございます。これについても改善を求めているところです。

 さらには、更に進んだインセンティブといたしまして、三月十八日に関東運輸局で、取組のすぐれた優良な運転手さん三十一名を表彰させていただきました。

 この表彰を例えば全国に広げるというようなこと、また、今回の表彰は事業者の方々から推薦をいただいた方を表彰いたしましたけれども、当事者団体の方からも推薦をしていただいて、例えばバリアフリーマイスターというような称号をお渡しすることによって運転手さんの励みにしていただくということも考えさせていただきたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 実態として四分の一が乗車拒否されたという調査も団体の中からある中で、なかなか乗車拒否は減らないんじゃないかな、そのようにも思いますけれども、更に努力をしていただいて、まずは運転手さん含めその研修等々の徹底をしていただきながら、事業者へのさらなるインセンティブ等々も考えていただきたいと思います。

 そして、次に、鉄道など公共交通機関での障害者の皆さんによるICカードを使った割引制度についてお伺いしたいと思います。

 現在、関西では、障害者の方が介助者と一緒に鉄道等に乗車をする際、障害者手帳を見せることなくICカードで割引制度を受けられております。関西地方の公共事業者で構成をする「スルッとKANSAI」が発行するICカードであります。障害をお持ちの方々や団体の皆さんからは、障害手帳を見せる、出すことも心情的によいものではなくて、また、手続の煩雑さや時間なども鑑みて、関東圏でも「スルッとKANSAI」同様のシステムの導入が求められていると思います。

 昨年の十一月の二十七日に国交委員会にて、既に赤羽大臣にも、十一月の一日、障害者四団体等から申入れがされていると思いますし、十一月の十五日には既に関東圏鉄道事業者三十三社を集めて関西圏と同様に導入を進めるように検討を求めたところ、責任を持ってフォローしていかなければならないという答弁をされております。

 また、三月十日の国交委員会では、多分技術的なことということも検討がされているのだと思いますが、必ず実現できるように指導、要請をしていきたいと答弁をされております。

 大臣も非常に前向きに取組をされていることに本当に感謝を申し上げたいと思いますが、その後の進捗について大臣にお聞きをしたいと思います。

赤羽国務大臣 今、伊藤委員のお話どおり、昨年十一月一日に、公明党のバリアフリーのプロジェクトチーム、岡本委員がいらっしゃいますけれども、その段取りで、障害者の団体の皆さんから、ICカードが関東圏は使えないという御要望をいただきました。十五日に、おっしゃったように、関東圏の三十三鉄道事業者を集めまして、関西圏同様にこうした導入を、検討を依頼したいということを申し上げたところでございます。

 二十七日にもこの委員会で岡本委員から同じ質問をいただき、参議院の方の三月十日の国土交通委員会でも、我が党の宮崎参議院議員からも同様の御要望をいただいているところでございます。

 これは一回だけ会合をしているだけじゃなくて、これは西日本でもやっていることですから東日本も同じようにやっていただきたいと、若干の物理的な、多分システム云々の時間があるとは思いますけれども、これは必ず実現していただくように、今、実務的な議論を進めているところでございまして、しっかりとしたいい報告ができるように、こう考えているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 まずは鉄道に導入がされると、また横展開もあるかと思います。地元でも、バス等も導入してほしいという声もありますが、まずは鉄道のところだと思いますので、ぜひ、システムの導入に向けて、強くまた要望させていただきたいと思います。

 次に、飲食店のバリアフリーについてお聞きをしたいと思います。

 大事な観点ですので質問が重なるところがあるかと思いますが、国交省が二〇一九年八月にまとめた二千平米未満の店舗・飲食店のバリアフリー化実態把握に関する調査結果によると、三百平米未満では、日用品販売店舗は一三・七%、飲食店では一四・一%、食堂又は喫茶店では九・八%と、新築の店舗でも八割以上がバリアフリー化されていない実情だということであります。

 現在の国の二千平米という基準はやはり現状からいうと合っていないのではないかな、そのように感じるところでもありますが、今回なぜこの基準が改めて下げられなかったのかということも認識をお伺いしたいと思います。

 あわせて、バリアフリー法で二千平米未満の店舗にはバリアフリー整備義務がないこと、加えて、各自治体の条例で定めているところは二十にとどまっております。まだまだ少ないと思いますし、バリアフリーを理解していただき広めていくためには、全ての自治体で議論していただき条例で定めていくのが望ましいと思います。国から強制することはできませんけれども、条例を定める自治体がどのようにふえていくか、促進をしていくのかをお伺いしたいと思います。

 また、更に加えて、二千平米以上の特別特定建築物に整備義務が課せられておりますが、店舗内のバリアフリー整備基準がないことも引き続き問題だと思います。店舗内の整備基準を策定すべきだと思いますが、あわせてお聞きをしたいと思います。

眞鍋政府参考人 飲食店のバリアフリー化についてのお尋ねをいただきました。お答え申し上げたいと思います。

 飲食店や物販店舗などのいわゆる店舗でございますが、今ありましたように、二千平米未満のものについては、バリアフリー法に基づく基準の適合義務が課せられてはございません。こうした小規模店舗につきましては、大規模なものに比べますと敷地や空間構成上の制約が大きいことなどを背景に、昨年実施した実態調査によりますれば、新築などを行った小規模店舗のうちバリアフリー基準に適合しているものは約二割となってございます。

 こうした状況の中、小規模店舗についてバリアフリー基準を全国一律に義務づけるということにつきましては、関連する省庁や業界からも、事業者の経営への影響も大きいということから、慎重な検討が必要との御指摘をいただいたところでございます。

 なお、バリアフリーの適合義務づけの対象規模でございますが、御指摘をいただきましたように、条例で引き下げることが可能でございます。国土交通省では、公共団体に対しまして、地域の実情に応じてこうした御検討をいただくように要請をしているところでございます。

 ちなみに、飲食店を取り上げてみますと、条例によって対象規模を引き下げている自治体は、現時点で八都府県六市区となってございます。

 こうした既に条例を制定している地方公共団体の取組状況などを詳細に提供するというようなことで横展開を図るという観点から、引き続いて、地域の実情に応じた条例の検討につきまして働きかけをしてまいりたいと思います。

 また、あわせて御指摘をいただきました店舗の内部についてのバリアフリー化についてでございますが、ことし一月に、学識経験者、高齢者・障害者団体、事業者団体などで構成される建築設計標準の見直しのための検討会を立ち上げました。この中のメーンテーマといたしまして、小規模店舗を効果的にバリアフリー化するための知見あるいは優良事例をガイドラインとして令和二年度中にまとめるということにしてございます。

 この中で、店舗までのアクセス経路にとどまらず、店舗内のバリアフリー化を進めることが重要との御指摘もあったことから、このガイドラインの策定に当たりましては、障害者団体などの皆様の意見も丁寧に伺いながら、店舗内におけるバリアフリー上の工夫、あるいは優良事例もあわせまして積極的に盛り込んでいきたい、それをまた業界団体や公共団体にも周知してまいれればというふうに考えてございます。

伊藤(俊)委員 これまでなかなか進んでいないところもありますので、きょう大臣の答弁でも、少しずつこれまで前に進んできたという御答弁をいただいております。大きく変わってきたんだろうと思いますけれども、日本では、特に建築物のバリアフリーがおくれていると思います。まず新しい建物からでも適用することで、必ず十年後、二十年後の景色が変わると思います。それをやるのがまた政治の仕事だと思いますので、ぜひ前に進めていただけるように改めて求めたいと思います。

 そして次に、今回、関連をして創設をされる障害者等へのサービス提供について国が認定する観光施設の情報提供を促進する制度として、必要な措置を講ずるとあります。具体的に何をするのか検討されていれば、まず教えていただきたいと思います。

田端政府参考人 近年、我が国におきまして、高齢者、障害者等であります旅行者の数が増加しておりますが、旅行者は、旅行先での土地カンもなく、現地の施設のバリアフリーに関する情報入手が特に重要になっています。

 このため、高齢者、障害者等の方々が御旅行中に利用する宿泊施設や飲食店等でバリアフリー化に取り組む施設を国が認定をし、これらの施設のバリアフリー対応に関する情報提供を促進する仕組みを創設することといたしました。

 具体的な制度内容につきましては関係団体等の御意見を丁寧に伺いながら検討を進めてまいりますが、施設側の工夫や取組によって、ハード面でのバリアフリー機能が補われ、利用者が施設を気持ちよく利用できるような仕組みにしたいと考えております。

伊藤(俊)委員 こういう制度の促進の中に恐らく当てはまるのかなと思いますが、今、飲食店とかホテル、あるいは美容とかあらゆる業種において、民間のサイト、アプリがあります。私も、日々、多くの皆さんが使われていると思いますが、民間とも積極的に連携をしていただいて、バリアフリー対応店がわかるような情報提供、そしてまた、コスト的な支援も含めてですが、促進をすることはかなり有効であると思います。

 東京都では、最近、三月の二十七日にできた「だれでも東京」というサイトでは、バリアフリー対応店として東京では五十一軒、これは飲食店だと思いますが、新宿ではまだ五軒の掲載だそうです。

 行政の発信というのはなかなか限界があると私も思いますし、既に民間のサイト等々ありますので、例えば民間でいえば「食べログ」などにも既にバリアフリーの対応店が掲載をされていると思います。障害者の当事者の団体からは、かなり間違った掲載も多いとの声があります。事業者に正確なバリアフリーの理解がされていなくて、対応店だと思って記載をしている、そんなケースも多々見受けられます。

 改めて、正確に、バリアフリーの理解が深まるように事業者への周知を図る手だても必要だと思いますし、また、国も積極的に支援、情報提供も含めて連携をした方が効果的だと思いますので、この点、お聞きをさせていただきたいと思います。

田端政府参考人 認定をいたしました観光施設が、みずからのウエブサイトでバリアフリー情報を提供するということだけでなく、御指摘があります、バリアフリー情報を必要としている旅行者に必要な情報を効果的に伝えていくということのためには、情報の紹介にたけた民間事業者の御協力を得ることが必要であります。

 具体的には、御指摘もありましたいろいろなサイト、多くの旅行者が宿泊施設や飲食店の情報を探すためにふだんから利用している予約サイトや検索サイトに御協力をいただいて、旅行者にとってよりわかりやすい形で効果的に情報が提供されるよう工夫をしてまいります。また、利用者の視点からどのようなバリアフリー情報が必要とされているのか、引き続き、関係団体等からも丁寧に御意見を伺い、民間事業者の皆様に共有をしていきたい、こう思っております。

 民間のノウハウとネットワークを活用しながら、高齢者、障害者等である旅行者にバリアフリー情報がしっかりと届く仕組みとすることができるよう、努力をしてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ぜひ、有効なことだと思いますので、重ねて言いますけれども、行政が作成するよりも、多くのユーザーが利用しているあらゆるサイトやアプリなどの連携でスピーディーに多くの成果を出していただくことを、具体的な検討をお願いします。大臣、お願いします。

赤羽国務大臣 昨年秋にG20の観光大臣会合が北海道の倶知安町でありまして、その中で三件の民間の方からプレゼンスをしていただきました。そのうちの一つが「WheeLog!」という、障害者の女性がやられている、そうした紹介サイトを経営されているところでございまして、大変、民間の事業者の中でも、当事者でありますので、非常に評判のいい、我々国交省から見てもしっかりしたところだと。まだそんなに大きなところじゃありませんけれども。

 そうした障害者の皆さんでみずからやられているところもちゃんと、しっかりと酌み取りながら、国交省として、支援はできるわけでありますので、しっかりそうした支援をして、そうしたことを展開していくということが、先ほどちょっと移動権の御答弁の中でさせていただきましたが、法的なことをやることと同時に、そうした実態論を進めていくということが非常に大事だというふうに思っておりますので、力点を置いて頑張っていきたいと思っております。

伊藤(俊)委員 大臣、前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。ぜひ促進をしていただきたいとお願いしたいと思います。

 最後に、ホテルのバリアフリーについてお聞きをしたいと思います。

 ホテル等のバリアフリーの環境、一層の整備を進めていくために、現在、法令では一%以上、国際的には三%から五%と言われている中において、バリアフリールームの設置率のさらなる引上げが課題だと思います。一般客室のバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化をより進めていく必要性があるとも思います。

 また、あわせて、補助等による支援のほか、バリアフリールームの稼働率が低い原因、その分析もしっかりとしていただくことと、そしてまた、稼働率がよい事例があれば、そういったものも情報収集をしっかりとしていただいて横展開をしていただきたいなと思いますが、その点、教えていただきたい。

眞鍋政府参考人 ホテルのバリアフリー化についてお尋ねいただきました。

 まずは、ホテルの客室についての車椅子使用者用客室の設置基準についてでございます。

 国土交通省におきましては、平成二十九年の十月に学識経験者や障害者団体等から構成される検討会を設置いたしまして、ホテル、旅館の実態調査、諸外国における基準の内容、障害者団体からのヒアリングなどを行いまして、平成三十年の六月にその検討結果をまとめてございます。この結果を踏まえまして、三十年の十月にバリアフリー法に基づく政令を改正いたしまして、一定規模以上のホテル、旅館の建築等を行う場合には、従来、車椅子使用者用客室を一部屋以上設けることとしていたところ、昨年の九月からは、建築等を行う客室総数の一%以上の設置を義務づけるというふうに規制を強化したところでございます。

 海外におけるバリアフリー化の基準につきましては、浴室やシャワー設置がないものなども含まれているので、一律に比較することは難しいなというふうに考えてございますけれども、まずは、昨年九月に施行された新たな基準を的確に運用するということが大事かと思ってございます。

 また、ホテルのバリアフリー改修についての支援策も用意しておりますので、そうしたものの活用も含めまして、バリアフリー化を総合的に推進する必要があると考えてございます。

 また、稼働率についてお尋ねをいただきました。

 これにつきましても、平成二十九年十月から十二月に行いました調査結果によりますと、一般的には、車椅子使用者用客室の稼働率は客室全体の稼働率に比べますと二割程度低いという傾向がございます。さまざまな要因が考えられるところでございますけれども、誰もが利用しやすい魅力ある空間整備に努めていただくことが大事ではないかということで、関係団体に要請してございます。

 平成三十一年三月には、多様なニーズや宿泊施設の特徴に対応した客室モデルのバリエーションの追加などをガイドラインとしてまとめまして、これを公表したところでございます。

 去る三月の二十五日に国土交通委員会の先生方に御視察をいただいたロイヤルパークホテル東京羽田につきましては、車椅子使用客室についても、内装の色彩などに工夫を凝らすなど、デザイン性を高めたものとなっているというふうに承知してございます。

 こうした工夫を横展開するのが非常に重要かなと考えてございまして、今後、そうした対策についても努めてまいりたいと考えてございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 ホテルの一般客室のユニバーサルデザイン化と国際基準に向けて進展していくことを求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

土井委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。

 国民民主党の古川元久です。引き続いて質問させていただきたいと思います。

 先ほど大臣からの御答弁でもお話がありましたけれども、以前に比べれば日本のバリアフリーの整備はかなり進んだということはそのとおりだと思います。ただ、それは過去と比べての話でありまして、じゃ、未来の日本の社会の姿を考えたときに、今のバリアフリーの整備で本当にハード面での整備が進んだと言えるかどうか、それには私は大きな疑問があります。

 大臣、「未来の年表」というベストセラーの本を読まれましたか。これはぜひ読んでいただくといいと思うんですけれども、「未来の年表」というのは、これからの人口減少、そして超高齢社会の日本の姿がどうなるか、それを描いた本でありまして、大変なベストセラーになっています。

 最近一番新しく書かれた、その著者の河合さんが出された、かなり今までの本をわかりやすくした、絵柄にした「二〇二〇年代の日本」というのがあるんですけれども、この中にこんなページがあるんですね。「八十代が街に押し寄せ、電車、バス、窓口、売り場が大混乱」。その中の記述に、「駅のエレベーター前には階段を使えない高齢者の長い列ができるし、場合によっては駅員の介助も必要になってくる。若者と比べて電車やバスの乗降に時間がかかるため、正確だったダイヤは乱れていくかもしれない。」そういう記述があるんです。

 私は、今の日本の抱える最大の構造問題は、急速に人口が減少していく、同時にその中で、人口が減るだけじゃなくて高齢者の割合がどんどんふえていくと。二〇二五年問題と言われていますけれども、団塊の世代がまさに二〇二五年になると、みんな後期高齢者になる。そういうところになると、障害を持っている方だけじゃなくて、高齢の方は当然、やはり足腰が弱くなったりとか車椅子に乗らなきゃいけないとか、ある種、障害を持っている方と同じような生活環境になるんですね。

 そういう状況に合った形のバリアフリーの整備ガイドラインに今なっているか。これが定められたときの発想は、やはり将来の、急速に高齢の方がふえる、しかもそれを手助けするような若い人たちの数は少ない、そういう状況には適していないんじゃないかと思うんですね。

 ですから、この機会にこのガイドラインを抜本的に見直して、急速な人口減少と超高齢化が進む、やはりそこに合わせた形の新たなバリアフリー整備ガイドラインを策定すべきじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

赤羽国務大臣 古川委員の御提言のとおりだと私も思います。

 私はその言われた著書は読んだことはございませんが、私の経験からいいますと、一九九五年、阪神・淡路大震災に遭遇しました。あれは、ある意味では、将来来るべき日本の高齢社会が相当前倒しにしてあらわれたという部分もございました。例えば災害公営住宅については、その居住者の大半が七十歳以上、自治会もつくれないというような現実があって、相当想像力を豊かにしながら、まちづくりというか、社会づくりをしていかなければいけないということを痛感したのが私の体験でございます。

 今御指摘のように、バリアフリーの整備基準も、別にこの法律ができたときのものを、そこを維持するというような発想はございませんし、不断の見直しをしていかなければいけないと思っております。

 例えば、平成三十年三月には、このときには、エレベーターのところでは、先ほど申し上げましたが、電動の車椅子が中で方向転換できるようなとか、人数も多く乗れるようにというようなことで、複数化ですとか大型化の義務づけのバリアフリーの基準省令の改正も行いましたし、新幹線のことも今鋭意努力をしておりまして、これも近々、実現するために、交通バリアフリーの基準の省令の改正もする予定でございます。

 そうした意味で、やはり社会の実情に合った、また、その先を行くような基準改正というのは古川委員の御指摘のとおりだと思いますので、こうしたことについては不断の見直しをしながら、なかなかゴールがあるようでないのかなと思いますが、理想のユニバーサルデザインの社会を目指してしっかり頑張っていきたい、こう考えております。

古川(元)委員 今後、人口が急速に減少を続ける、しかも、高齢者の割合がどんどんふえていく。これはどう考えても、例えば我々がいなくなった次の世代、次の世代とかの、まあ五十年後ぐらいになったらわかりませんけれども、少なくともここから数十年は、どんなに頑張っても人口がふえるなんていう状況にはならない。もう人口は減るという前提の中で、やはりその中でもちゃんと暮らしやすい社会をどうつくるかということを考えなきゃいけないと思うので、ぜひそこは、足元だけじゃなくて、二、三十年先の社会、この人口の構造については、ほぼもうこれは見えている話です。ですから、その社会像を前提にして、抜本的にやはりこのバリアフリーの整備ガイドラインも見直しをいただきたいということをお願いしたいと思います。

 同じような観点で、住宅のバリアフリーの整備基準を定める長寿社会対応住宅設計指針、これも一九九五年に策定以来見直しがされていないわけでありますけれども、これは、やはり車椅子を利用する人から利用者のニーズに合っていないという声が出ているんですね。特にお風呂なんかは、やはりこれではなかなか車椅子が必要な人にとっては大変不便だと。ですから、こうした当事者の意見も反映させた上でこの整備基準も見直しが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

眞鍋政府参考人 御質問いただきました長寿社会対応住宅設計指針でございますが、平成七年に策定しております。

 その後、高齢者の居住の安定確保に関する法律、いわゆる高齢者住まい法が平成十三年に制定された際、この法律に基づく基本方針の定めによりまして、高齢者が居住する住宅の設計に係る指針というのを策定いたしました。

 この内容は、先ほど申し上げました長寿社会対応住宅設計指針の内容を継承するものと位置づけましたので、もとの指針は現在廃止してございます。

 この高齢者の居住する住宅の設計の指針でございますが、その後、平成二十一年に、心身の機能が低下し又は障害が生じている高齢の居住者がいる場合に個別に配慮する際の指針を追加して、拡充した改正を行ってございます。

 しかしながら、それ以来、しばらく時間がたってございます。当時、有識者から成る検討委員会を立ち上げて、障害者の方々の意見も反映いたしましたけれども、ことし一月に立ち上げました建築設計標準の見直しの検討会、こちらには、学識経験者や障害者団体など、多数の方がお入りいただいております。この中で、重度の障害をお持ちの方やその介助者の方々の利用に配慮した設計のあり方についても御議論いただくことにしております。

 この建築設計標準の見直しの結果を踏まえまして、これは令和二年度中に完成するということを目指してございますので、その成果も踏まえつつ、先ほど申し上げました指針についても必要な点検を行うことが必要と考えてございます。

古川(元)委員 住まいというのはやはり暮らしの一番基本ですからね。

 これも先ほど申し上げましたけれども、やはりどんどん高齢者が、それこそ、今のままいくと高齢のひとり暮らしの人もふえてくる。そういう中で、一人で体が不自由な中でも住めるような、そこは住まいのあり方も根本的に見直すということが必要じゃないかと思いますから、やはりそうした視点からの見直しをぜひ行っていただきたいと思います。

 特に、共同住宅。共同住宅に住む人はふえています、私もマンションに住んでいますが。また、最近、高齢者の人たちが、一軒家に住んでいたけれども、過ごしやすさとかあるいはセキュリティーとかを考えるとマンションの方がいいというので、一軒家を売ってマンションに移り住むような人たちもふえています。今後もそうした傾向はやはり進むんじゃないかと思うんです。

 ただ、一方で共同住宅は、バリアフリー整備が努力義務のために、まだ整備がなかなか進んでいないというのも事実だと思います。こうした状況のままだと、今後、高齢で車椅子でないと動けない人が部屋から出られなくなっちゃって引きこもったりとか、また、バリアフリー整備が行われていない住宅は敬遠されて、今空き家の問題もありますけれども、実はマンションなんかの空き室の問題も相当大きな問題なんですね。バリアフリー整備がちゃんとされていないと、どんどんそういう不良な空き室をふやすことになってしまうんじゃないか。

 こうしたことを考えても、共同住宅のバリアフリーの整備義務につきましては、アメリカでは法律で四戸以上、大阪府では条例で二十戸以上と、一定規模以上の共同住宅については義務を課しているんですね。

 やはり共同住宅については日本も法律上の義務を課すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

眞鍋政府参考人 共同住宅のバリアフリー化についての御質問についてお答え申し上げたいと思います。

 共同住宅につきましてもバリアフリー化を推進することは非常に重要というふうに認識してございます。

 しかしながら、バリアフリー法に基づき現在義務づけ対象となっている、高齢者、障害者も含めさまざまな不特定多数の者が行き交う施設、出入りする施設ということとは性格が異なりますので、基本的に特定の居住者により利用される建物と位置づけ、一律にバリアフリー基準の義務づけの対象にすることはしておりません。

 しかしながら、基準適合に係る努力義務の対象とした上で、地域の実情に応じて条例により基準適合を義務づける対象にすることは、御指摘のように、可能でございます。

 現在、大阪府を含む七都県六市区において条例により共同住宅を基準適合義務づけ対象に加えているということでございまして、これは、全国で供給される新築の分譲マンションで、棟数ベースでいいますと約三割がカバーされている、こういう状況になっているわけでございまして、こうした条例によりバリアフリー化が進められるということについては望ましいことと考えてございます。地域の実情に応じた条例の制定を推進するという観点から、こういった条例の横展開を図るという観点で公共団体に要請しているところでございます。

 ただ、こういった規制措置だけではありませんで、やはり誘導措置が必要と考えてございます。住宅金融支援機構によるバリアフリー化された共同住宅の取得に係る金利の引下げですとか、あるいはバリアフリー改修に対する税制上の優遇措置、融資や財政措置、そうしたものにあわせて取り組むことが重要と考えてございます。

 また、バリアフリー化された住宅についての情報提供、これは、住宅性能表示制度ですとか、住宅関連団体の御協力をいただきまして、そうした制度の活用、情報提供についての要請をしているところでございます。

 そういった規制措置、誘導措置をあわせまして共同住宅のバリアフリー化を進めてまいれればと考えてございます。

古川(元)委員 しっかり進めていただきたいと思いますし、国レベルでも一定基準以上については義務づけする、そういうことが、より地方で、条例で更にそれをもっと厳しくするということにもつながるかと思いますから、ぜひそのことをお願いしたいと思います。

 次に、学校のバリアフリー整備について御質問いたします。

 今回、公立の小中学校にバリアフリー整備の基準適合義務を課すことは、これは大きな前進だと思います。ただ、これは新築と大規模改修のとき、このときしか義務はないんですね。実際に、これもさっきからお話し申し上げておりますように、どんどん人口が減少していく。特に、若年人口が減っている。出生数もとうとう九十万人を昨年は割りました。そういう中では、今後新しい学校なんてどれくらいできるのかというふうに思いますし、また、そういう状況の中で、本当に大規模改修がどれくらい進むのか。そういうことを考えますと、これはよほど思い切って力を入れてやっていかないと、なかなか義務を課しても進んでいかないんじゃないかな、そういう懸念をいたしております。

 障害者権利条約の求めるインクルーシブ教育を推し進めるためにも、また、公立の小中学校は災害時には避難所として利用されておりますから、そういった意味でも、バリアフリー化、ちゃんとこれは、新築と大規模改修のときには義務づけたけれども、そうでないものも含めてやはりやっていくように、具体的な数値目標や実施計画、そういうものを策定してバリアフリー化を強力に進めることが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

眞鍋政府参考人 学校のバリアフリー化についてお答え申し上げます。

 今回の法案による改正によりまして、公立の小中学校をバリアフリー基準の適合義務づけの対象に追加するということを考えているわけでございます。既存の公立の小中学校についてはこの義務づけの対象にはなりませんけれども、文部科学省において財政的支援などが既に講じられているところでございまして、引き続き両省で協力し合いながらこれを進めてまいりたいと考えてございます。

 なお、数値目標につきましては、私ども国土交通省では、バリアフリー法に基づく基本方針におきまして、バリアフリー基準の適合義務づけ対象である床面積二千平米以上の特別特定建築物全体、これをストックで見たときのバリアフリー化について、目標六割、現在、平成三十年度末時点で五九・九%ということで目標をほぼ達成する段階まで来てございますけれども、そうした特別特定建築物全体のバリアフリー化の目標については、今回の公立の小中学校を加えるということも踏まえまして、全体の中で検討してまいりたいと考えてございます。

 また、学校単独の数値目標につきましては、文部科学省さんの方で対応を検討されるものと考えてございます。

古川(元)委員 これは文科省、どうなんですか。学校について、ちゃんと具体的な数値目標とか実施計画を策定するんですか。

笠原政府参考人 今、国土交通省の方からも御答弁ございましたけれども、まず、全体としては、移動等円滑化の促進に関する基本方針ですとか、そういう中で定めるものにつきましては、国土交通省さんと連携しながらさせていただければと思っております。

 あと、先生御指摘の学校単独での目標ということでございますけれども、学校施設につきましては各地方公共団体の責任において設置、管理されておりまして、限られた財源のもと、耐震化ですとか老朽化対策ですとか、児童生徒の安全に直結するような問題も山積してございます。そういう中で、各地方公共団体におきましても優先順位をつけながら計画的な整備を行っているというふうに承知しております。

 いずれにしましても、文部科学省といたしましても、まずは、バリアフリー化の実態を把握するとともに、設置者の考えを十分に聞いた上で、国交省さんとも連携しながら検討させていただきたいと思います。

古川(元)委員 これは、大臣、聞いていてわかると思いますけれども、文科省のこんな後ろ向きな答弁は私はちょっと意外でしたけれども、やはりここは本当に、小中学校は、避難所としてもこの整備は本当に喫緊の課題だと思います。

 これは各省庁ごとじゃなくて、内閣として、政府として大臣からも言っていただいて、特に、避難所にもなる公立小中学校のバリアフリー化の推進については、やはりちゃんと具体的な目標を、ほかの建築物と同じじゃなくて、一体じゃなくて、ちゃんと学校に限って数値目標や実施計画を立てるように、ぜひ大臣、リーダーシップをとってください。

赤羽国務大臣 今回の提出させていただいている法改正の中に学校の義務化を入れたわけでありますので、今の文科省の答弁だとちょっとまずいなというふうに思います、率直に申し上げて。

 多分、文科省というのは、各都道府県の教育委員会が現場をいろいろ、さまざま決めている、そういう構造的なことでああした答弁になったというふうに理解しますが、これはやはり国の方向性として決めることだし、私、何よりも、いわば教育的な効果というか、やはり小学校のときからしっかりとした、ユニバーサルデザインというものは当たり前なんだということを教えるという意味では、施設をそう変えていくというのが一番わかりやすい教育だというふうに思っておりますので、それを進めるべく考えていきたい。

 学校が少なくなるというんですけれども、多分、私の感覚でいうと、その中でも合併して新しくできるというような学校も出てくると思いますので、そうしたときには必ずこのバリアフリー化とか耐震化というのは進んでいくと思います。

 学校の耐震化についても同じような状況があって、最初は遅々として進まなかったわけでありますが、これは相当ドライブをかけて、補正予算なんかも使って、国の政策として学校の耐震化を進めていこうということで、多分この十年間ぐらいで公立の小中学校はほぼ一〇〇%となっていると思いますので、同じような形でバリアフリー化をしっかりと政府の責任として進めていきたい、こう考えております。

古川(元)委員 大臣の答弁を聞いて安心しました。ぜひよろしくお願いします。

 そのちょっとつながりで、直接バリアフリーとはつながらないかもしれないですけれども、小中学校のバリアフリーを整備するときに、これは避難所なので、でも、結構まだエアコンがないところも多いんですね。私の地元なんかもやはりエアコンがついていない。しかし、真夏や真冬にこれをそういう避難所として使うときには、本当にそこに行くこと自体が命の危険にもなりかねない。ですから、そういった意味では、やはりバリアフリー整備と同時にエアコンを整備する、これもセットでやっていただきたいと思います。

 あと、今は、何かあったときにいろいろな情報をとるのは、やはりスマホとかそういうネット関係からとるのが多いんです。そのときに一番問題になるのは、やはり電源なんですね。ですから、私も被災地を訪問すると、タコ足なんかで、たくさんで充電しているみたいなのがありますけれども、こういうのも、避難所になるようなところについては非常用の電源とかちゃんと大量のコンセントとかがあって、避難所になったときに、それこそデジタルバリアフリーじゃないですけれども、そういうものがちゃんと使える、やはりそれも、エアコンとかそういう電源の整備、そういうものをセットでやっていただきたいと思います。いかがですか、それは。

笠原政府参考人 先生の方からも、学校施設は、障害のある児童生徒等が当然支障なく学校生活を送ることができるようにする必要があるとともに、災害時の避難所としての役割を果たすことから、その整備というのは重要というふうに認識をしてございます。

 先生御指摘の空調の整備についてでございますけれども、災害等の影響で普通教室への設置がおくれておることと、あとは、全国的に特別教室等への設置がおくれておりますので、令和元年度補正予算ですとか令和二年度の当初予算におきまして、まずこれらの教室への設置を優先するということにしてございます。

 もう一つ、公立小中学校の体育館への空調の設置でございますけれども、これは、先生も御指摘ございましたように、防災の観点もございますので、緊急防災・減災事業債の活用というものを周知しながら整備の推進を図ってまいっております。

 また、もう一つ、電源の問題の御指摘もございました。

 文部科学省といたしましても、有識者会議の報告をもとに、必要なコンセント数ですとか電気容量の確保について普及啓発を図ってございます。また、国庫補助の対象となる公立学校の防災機能強化事業におきまして、避難所となる体育館の防災機能を高める際に、あわせてデジタル機器にも対応した電源の整備を行うことも可能となってございます。

 今後とも、地方公共団体の要望を踏まえまして、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

古川(元)委員 さっきよりは前向きな感じがしますけれどもね。

 これも、大臣、文科省だけにあれするより、確かに教室のエアコンなんかも大事ですけれども、やはりいつ災害が起こるかわからないんですね。そういった意味では、これも政府として、避難所対応になっているところのエアコンの設置とか、あるいはデジタル機器に対応できるような電源の設置、そういうものも、学校は文科省の所管だからというのではなくて、政府として推進していただきたい、そのことをお願いをさせていただきたいと思います。

 ちょっとその関連で、少し質問の順番が前後するんですけれども、災害というのはいつ起こるかわからないんですよね。実は、今、この新型コロナウイルスがこれだけ蔓延して、三密は避けろと言っているんですけれども、何か災害が起きて避難所に集まったら、これはまさに三密の世界であって、こんな状況だと、これは本当に何かあったときに避難所に行っていいのかと。

 みんな実は、もし今それこそ大地震が起きるとか、あるいは洪水が起きたり、そういうことだって、それはいつ起きるかわからないので、やはりそういうことを考えますと、避難所への避難を要するような大規模災害が発生した場合にどこに避難するのか、これを今からちゃんと政府として決めて、各自治体とか、それから住民にも周知をするということも、この新型コロナウイルスの感染が広がっている中で必要なことじゃないかと思うんですが、この辺の対応は今政府としてどうなっていますか。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、基本的対処方針を定めて政府を挙げて取組を進めておるところであり、現状で災害が発生した場合には、この対処方針を踏まえ感染症対策を徹底する必要があると考えてございます。

 避難所の確保については、これまで各自治体に対しまして、災害に備えて必要な避難所を確保するために、必要かつ適正な規模の指定避難所を指定することとして、その設置を促しておるところでございますが、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえますと、避難者の密度を低くして十分なスペースを確保できるように留意する必要があると考えてございます。

 そのために、この四月の一日に、手洗い、せきエチケット、換気などの避難所における基本的な感染対策の徹底に加えまして、通常の災害発生時よりも可能な限り多くの避難所の開設を図るとともに、ホテルや旅館の活用等も検討するように関係省庁連名で自治体宛てに通知をさせていただいたところでございます。

 今後も、引き続き関係省庁と連携して対応を図ってまいりたいと考えてございます。

古川(元)委員 これは検討しているだけではだめで、ちゃんと決めて周知しないと。いつ起きるかわからないんですから。しかも、三密を避けてという話がありましたけれども、どっと押しかけて、いや、もうここはいっぱいですからここに行ってください、あっちに行ってくださいと。じゃ、その辺の周辺でちゃんとあるのかどうか、そういうことも含めてかなり具体的なことまで詰めておかないと、いざ事が起きたときに混乱をするということになろうかと思います。

 避難所としてそういう民間の宿泊施設を利用する、これは、私、そもそも今人がいなくてあいているんですから、そこをサポートする意味でも、ぜひそれはちゃんと決めて、もうそれこそ今から、協力してもらうところには、そのときにはお願いしますねということでちゃんと伝えておく、そこまでやっていただきたいと思いますので、ぜひそこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それで、時間が余りなくなってきましたので、ちょっと法案から離れるんですけれども、もう一点、新型コロナウイルス関連のところで一つお伺いしておきたいことがあります。これはぜひ大臣にお願いと、聞きたいと思うんですが。

 このコロナの感染蔓延によって、東京オリンピック・パラリンピックが延期されることになりました。延期によって観光関連産業に生じる影響はかなりやはり深刻じゃないかと思うんですね。

 つい先日、私も委員会の視察ではとバスに行ったら、オリンピックまでは人もたくさん来るだろうからというので、古い車両に合わせて新しい車両を、バスを納入した、普通だったら新しいのが来たらもう古いのは消却しちゃうんだけれども、オリンピック、パラリンピックまでは需要が多いからというので維持したと。

 実は、延期になったことによって、これは一年間ずっと持っていなきゃいけないわけですね。このコストというのは相当あるわけであって、やはりいろいろなところで、観光関連で、ことしやればそれで終わった、費用が出なかったものが、来年に延びたことによってさまざまなコスト、追加費用が出てきたとかそういうところがあるわけなので、きちんとやはり国交省の関連のところを、これは政府全体として本当は調べるべきだと思いますが、一年延期によってどういう影響が出ているのか、やはりちゃんと調査をするということをまずやってもらいたいと思いますし、そして、調査をした上で、延期によって生じることになった追加費用については、これは何らかの補償をする、そういう仕組みを考えるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

赤羽国務大臣 古川委員は財務省御出身で、その辺は一番よくわかっていると思いますが、まず、この東京オリパラについて、国交省の関係でいいますと、先ほども申し上げましたが、大会関係者とか選手のための移動ですとか宿泊関連、こうした具体的にお願いをしているところがございます。そのことが一年延期になることによって生じる費用という面では、それはしっかりとした対応をしなければいけない、これは基本的にそう考えておりますし、それの詳細は、関係省庁、東京都、組織委員会、事業者と連携しながら検討していくということでございます。

 ただ、先ほどの、これはいろいろなケースがあって難しいんですけれども、それぞれの事業者が東京オリンピック・パラリンピックを見込んで民間の企業として投資したとかやったことについて、全てをコンペンセートできるかというと、これは、どこで線を引くとか、なかなか難しい問題があるのではないかというふうに思っております。

 経済対策は、これから、今、総理の指示も出まして、精力的に補正予算ということで対応するということでございますが、ちょっと営業補償的なことは、総理もきのうの本会議で答弁されておりますが、それはなかなか難しい。ですから、観光業に関しては、繰り返しになりますが、資金繰りと雇用の継続についてしっかりとした手を打つ、と同時に、少しこうした感染症が落ちついたら間髪を入れずに反転攻勢で従来にない対応型の需要喚起の対策をとる。こういうことを基本的に考えていきたい、こう考えております。

 しかし、所管の分野の事業者の皆さんについては、これまでもこちらから乗り込んで丁寧なヒアリングをしておりますが、そうしたことは継続的に行っていきたいと思っております。

古川(元)委員 この辺は、本当にコロナの影響に加えて二重の重荷になっていますから、やはりそこはしっかり状況を調査して把握して、直接補償が難しいんだったら、じゃ、ほかの形で何かサポートできないか、ぜひそのことを考えていただきたいと思います。

 最後に、これは実は、ちょっと大臣、済みません、質問通告していませんが、一点。

 けさかな、きのうの夜だったかな、何か防衛省が、この新型コロナで、もし職員の中で感染した場合に業務が滞りがないようにというので、チーム分けした勤務体制にするという報道がなされていました。

 今、民間企業なんかは、Aチーム、Bチームと分けて、とにかくもし職員の中に感染者が出てもそこで滞らないようにと。

 今、霞が関は本当に大変だと思います。しかも、私もかつて仕事をしていたからわかるんですけれども、かなり三密な世界で、もしあそこで出たら本当に全部課がとまってしまうとか、そういうことになったら本当にやらなきゃいけないことができない。だから、そういった意味では、民間企業やあるいは、まあ報道によればですけれども、防衛省のように、国交省においてもやはりそういうチーム制にして、民間企業なんかだと、例えば社長と副社長は常に一緒にいない、分かれている。だから、役所だったら局長と審議官は一緒にはしないとか、やはりそういうリスク管理を考える必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

赤羽国務大臣 そうしたことを想定しながら、日ごろのオペレーションとは違うオペレーションはしておりますが、なかなか、国会対応を始め、よく御承知だと思いますが、現実の問題もあるので苦しいところですけれども、今、時差出勤も相当やっておりますし、テレワークも随分やっております。加えて、大臣へのレクなんかは、寒くても窓をあけながらとか、入る人数は決めてとか、記者会見についても各社一名ずつとか御無理をお願いして、できるだけ、そうした使命と責任が与えられている自覚を持って、感染の中に入らないということをしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。

古川(元)委員 ぜひこれは、ここに大臣も副大臣も政務官もみんないますけれども、それこそこれも、やはりリスク管理、我々もそこは、やはり役所が、皆さんが機能不全になってはいけないので、そういうことは当然、我々野党側としてもそういうことについては配慮して協力していきたいと思いますので、ぜひやはりその辺を考えていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本法案は、バリアフリー法案と呼ばれているわけですけれども、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律であるわけで、移動が重視されていると思います。

 障害者権利条約の第二十条には「個人の移動を容易にすること」とあり、「障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。」と明記をされています。特に(a)では、「障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。」とあります。

 きょう、小宮山委員からも御指摘がありましたけれども、我が党としても、この間ずっと、移動の権利について法案に盛り込むよう求めてまいりました。改めて大臣に認識を伺います。

赤羽国務大臣 先ほど小宮山さんの御質問で相当踏み込んで答えたつもりでありますが、こうした移動権の権利を守る社会であらなければいけないというのは、私も全くそのとおりでございます。

 ただ、そうしたことを具体的に法律に入れるかどうかというのは、平成三十年の法改正でも相当議論しましたが、なかなか、十分なコンセンサスが得られない。その中で、相当抵抗しました。あのときは与党のプロジェクトチームの公明党の座長ということで、理念をしっかり入れようということで、まず社会的障壁の除去ですとか共生社会の実現ということを入れさせていただきながら、障害者団体の皆さんも、一歩前進ということで御認識をいただいたのではないかというふうに思っております。

 こうしたことは、先ほど申し上げましたとおり、法律的にどうなのかということは検討を続けながらも、具体的なことをしっかり進めるということは非常に大事だと。私は、移動権というものを、ちょっと逆説的に言うと、法律に入れれば全てバリアフリーが進むような、そうした実態ではないのではないかと。ですから、私は両方とも大事だというふうな思いで責任者として取り組んでいきたい、こう考えております。

高橋(千)委員 よく政府の関係者は、こうすべきじゃないかと言うと、全てはできないみたいな答弁をするんですね。全てとは言っていないんです。書くことが出発だという立場で議論をしています。

 もともと障害者の権利条約というのは、二〇〇六年、国連で採択をされて、二〇〇九年には我が国でも批准しようという動きがありました、もう御存じのことであります。しかし、まさに、三十一日に意見陳述した尾上浩二参考人など当事者の皆さんが、国内法が整わないままの批准はすべきではないと指摘をされ、二〇一一年の障害者基本法、二〇一二年の障害者総合支援法、二〇一三年、障害者差別解消法、そして障害者雇用促進法などの改正をもって、二〇一三年に批准を決めたという経緯があります。旧ハートビル法と旧交通バリアフリー法が統合されたのが二〇〇六年であり、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画で、社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという、障害の社会モデルが強調されました。

 こうした中で、本法案では、国や公共交通事業者、行政、そして国民の責務をそれぞれ求めていると思います。その前提に権利条約が据わっていることはむしろ当然のこと、必要なことだと思いますが、もう一声、お願いします。

赤羽国務大臣 済みません、答弁は余り変わらないで同じなんですけれども。

 別に否定しているわけではありませんが、現実的にそうしたことを法改正できるかというとなかなかそうした状況ではないというのが現状でございますが、私も二十年以上、障害者団体の皆さんと親しくおつき合いをし、御指導いただいている立場から、そうした思いは十分受けとめているつもりでございますし、できれば、法定化というのを別に否定しているわけではありませんが、それは継続しながら、検討しつつ、同時に、じゃあ法定化できるまで何もしなければいいのかというと全くそういう話じゃないはずなので、具体的なことを進めていきながら、障害者の皆様だけではないんですけれども、誰にでも満足していただけるユニバーサルデザインの社会を一歩ずつ前に進めていくんだという思いで職務に専念していきたい、こう考えております。

高橋(千)委員 まず、思いを共有していただいているということは、やはり大臣、踏み込んでいただいている、このように思っております。ユニバーサルなわけですから、決して障害者だけの問題ではなくて、結局みんなのために今やっていることだというのでは矛盾しない問題があると思いますので、よろしく御検討をお願いしたいと思います。

 車椅子のまま乗れるタクシー、ユニバーサルデザインタクシーは、トヨタのジャパンタクシーや日産の二社が今導入をされて、二〇一八年度末で一万二千五百三十三台導入されております。三十一日の参考人質疑でも、このUDタクシー利用の際に、二七%、乗車拒否に遭ったと調査結果も紹介をされて、当事者参加のもとでのさらなる改善を求める意見がありました。

 後で気づいたんですけれども、この同じ日に認定要領が、三十一日、改正をされていました。

 それで、ジャパンタクシーがユーチューブなどで詳しく解説しているのを見ましたので、非常にセットに時間がかかり過ぎて、あるいは乗車スペースの確保が大変困難であるなど、運転手の負担が大変大き過ぎる、またそれをじっと待っている利用者さんも大変つらいなというふうに思ったところです。

 そのことがひとり運転手の責めにならないよう、私は、やはり補助員をつけるとかそうしたことがやはり望ましいと思っておりますが、参考人からも指摘のあったインセンティブにつながる支援を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

一見政府参考人 委員御指摘のUDタクシーにつきましては、これは高齢者の方にもあるいは身体障害者の方にも乗車しやすい車ということで導入しているわけでございますので、やはり乗車拒否があるというのはよくないことだと思っております。

 乗車拒否の問題は、構造だとかあるいは知識だとか給与だとか、さまざまな問題がございます。その中で、委員からも御指摘ありましたけれども、認定基準も改正をいたしまして、構造的な部分、より身障者の方が乗っていただきやすいように改定をしてきているところでございます。

 補助員をつければ確かに乗っていただくのは非常に楽になると思いますが、これは人が一人ふえるということになります。それぞれの会社の御判断ということになりますが、コスト面だとか人手不足だとか、なかなか困難な問題ではないかなというふうに考えておるところでございます。

 こういった問題をちょっと横に置きまして、インセンティブをどういうふうにつくっていくことができるか。先ほども申し上げましたけれども、運転手さんの表彰制度などで励みになるようなこともあろうかと思っております。こういったことを当事者団体の方々あるいは事業者の方と話を進めていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 給与の制度ですとか困難な要件がわかっていてそれがなかなか前に進まないということでは、表彰されるのはうれしいかもしれないけれども、なかなか実効性あるものにはならないと思うんですね。

 もちろん、補助員、常に二人で乗ってろとかという議論ではなくて、例えば東京駅などでも、協会で交代で出していた方たちがいなくなりましたよね。そういう面、当たり前に、表玄関であるところにもそういう体制がとれないでいるわけですよね。そこなんかはいち早くやっていく、しっかり支援していくということができるんじゃないか。これは提案をさせていただきます。

 スムーズな移動というのは、同時に安全な移動でなければならないと思うんですね。

 研修について、例えば全国福祉輸送サービス協会、ユニバーサルドライバー講習などがあるんだけれども、それは福祉タクシーの乗務員向けなので、要するに、直接、UDタクシーの習得としては適切でないという指摘がありました。

 標準仕様として認定を受け、資料にもありますように、バリアフリー減税などの対象にもなるわけです。ですからこそ、スムーズなセットについて習熟するための研修は徹底するべきだと思いますけれども、法案ではどのように担保されるでしょうか。

一見政府参考人 委員御指摘をいただきましたように、バリアフリー施設を導入する場合にさまざまな支援策もとっております。

 その中で、UDタクシーを導入する場合には補助金を交付するということにしておりますが、その補助金の交付の条件といたしまして、年に二回以上の講習を受けてもらう、研修を受けてもらうということにしております。

 こういった研修によりまして、先ほど御指摘もいただきました、例えば乗車拒否がないようなやり方をしてもらうとか、あるいは、安全についてもしっかりと確保しながら身体障害者の方々を車両にお乗せするというようなことを進めていただきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、この法案でも、ソフト面の対策というのが盛り込まれております。そういったところでも更に研修については充実をしていくように図ってまいりたいと考えておるところでございます。

    〔委員長退席、小里委員長代理着席〕

高橋(千)委員 昨年の十一月二十六日付の、ユニバーサルタクシーによる運送の適切な実施の徹底について、この通知では、最後のところにこう書いてあるんですね。特に、車両購入時に実車を用いた車椅子乗降の研修を受けても時間の経過とともに操作方法がわからなくなるなどの指摘があることも踏まえ、実車を用いた研修の年間複数回の受講を確保されたいと。つまり、一回や二回やっても忘れちゃうくらい複雑なんですよね。だから、それを運転手の責めにだけしてはならないということで、しっかりと支えていただきたい、これは指摘にとどめたいと思います。

 次に、先週、本委員会の視察に参加させていただきました。はとバスの苦労も聞きました。空港リムジンバス、羽田国際線ターミナルのバリアフリーなど、前進していることを学ぶことができました。

 ここでは、国内初導入の車椅子対応エレベーターつきリムジンバスで、当日いただいた資料でも、開発段階から当事者参加で行ってきたことや、試作車評価会での主な意見などが紹介されておりましたし、試乗した委員長始め委員の皆さんも恐怖感はないとおっしゃっていたわけであります。

 ただ、率直に思ったのは、リムジンバスは、高速バスなどもそうなんですが、荷物を入れるという構造上、移動円滑化基準認定除外の自動車になっているわけですよね。そのスペースの一部でエレベーターを取り付けているということで、非常に時間もかかるし、大変だなと率直に思って、もともと路線バスで広く普及されている低床バスのように、上げなくても乗れる方が簡単なんじゃないかなと。荷物の置場だけ分ければいいんじゃないかと率直に思ったんですね。お一人の乗車に約五分、最大二人分しか乗れないというのも、現在はそれほどの利用もないということなんですけれども、もっと利用を広げていくためには、ちょっと見直しも必要なんじゃないかなと思うんです。

 電動車椅子のユーザーの方から要望を受けました。この方は、関西空港リムジンバスに乗った際に、やはり九十度回転させるのは、電動の場合は大変手狭感があり、困難だったと。それから、天井にある非常用ボタンを、押しにくいので、それこそ路線バスのように、手の届く横の位置ならよいなということがありました。

 リムジンバスの導入は、まだ台数も少ない今だからこそ、当事者の意見を取り入れ改良を行うことで更に普及を進めることができると思いますが、いかがでしょうか。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 空港バスなどのリムジンバスにつきましては、委員御指摘のように、床下に収納スペースを設けるということから、なかなか導入が難しい、設備をつくるのも困難なところでございますが、最近では、御視察をいただいたような、新たな車両がつくられております。

 まだこれはつくられたばかりでございます。つくられたばかりでございますけれども、空港バスにつきましては、三年前は二台であったものが今年度は二十七台というふうにかなりふえてくることは事実でございまして、このつくられたばかりの車両につきましては、今後もさまざまな議論をいたしまして、構造などをよりよいものにしていく必要があろうと思っております。そういう意味では、当事者の方、車両メーカーの方、あるいはバス事業者の方が入っていただく会議体、これを定例的に開催をしまして御意見を聞いてまいりたいと思っております。

 また、バリアフリー法の基準省令の適用除外であったのでなかなか導入が進まなかったということもございまして、この見直しについても私どもしっかり考えてまいりたいと思っておるところでございます。

高橋(千)委員 適用除外の見直しについても検討していくということで、やはりバリアフリーを全体としてやっていくということのお答えだったと思います。

 関空の場合は、今の電動の車椅子ユーザーの方の話ですけれども、東京リムジンバスと違って乗りおりできるバス停が限られている、スペースは一緒なんだけれども限られているために、第二ターミナルでおりたいんだけれども、第一ターミナルでおりて空港のシャトルバスに乗りかえないといけなかったと。これもまた移動の円滑化につながる大きな問題だなと思いますので、こうしたことも一体となって議論していただけるように要望しておきたいと思います。

 次に、ユニバーサル二〇二〇行動計画で位置づけられた心のバリアフリーですけれども、文科大臣と共管になっております。学習指導要領の改訂もあったと思いますが、学校教育の中で心のバリアフリーをどう位置づけているのか、伺います。

    〔小里委員長代理退席、委員長着席〕

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校教育におきまして心のバリアフリーを推進することは、障害のある子供と障害のない子供がお互いを尊重し合う大切さを学ぶ観点から、極めて重要であると考えております。

 平成二十九年三月に公示をされました小学校それから中学校の学習指導要領におきましては、その総則におきまして、「特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに、障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること。」などについて規定をしているところでございまして、その指導の充実を図ることとされております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、こうした学習指導要領の内容も踏まえまして、心のバリアフリーの推進に努めてまいります。

高橋(千)委員 今お話ししていただいた学習指導要領の規定、ここは資料の2につけておきました。幼稚園と小学校の部分だけを抜粋をしておりましたけれども、今読んでいただいた「障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会」ということで、赤字のところが加わったところだと思います。

 それで、特別支援学校の子供と交流や共同学習、これは貴重な経験だと思うんですね。ですが、心のバリアフリー学習推進会議の参考資料によれば、学校間交流の実施状況が、小学校でいうと一六%、中学校だと一八%、高校二六%で、余り多くはないのと、年に二回から三回が主で、次に多いのが年一回です。だんだん学校が上の学校になっていくと特定の学年だけで実施をして、その理由は、教科の時間がやはり必要だということで、受験があるからなのかなと思いますけれども、時間がとれなくなってくる。

 ただ、私、このアンケートをずっと見ていて疑問に思ったのは、一般の生徒が特別支援学校に行ったりあるいは来てもらうという特別なイベントみたいな位置づけなんだろうかと。もともとクラスの中やあるいは子供たちの家族に障害のある人はいるわけで、普通学級に在籍しながら支援学校に通う子供も多いはずで、もっともっと日常の中で心と社会のバリアを学ぶ、そういう環境が大事だと思いますが、お願いいたします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど委員から、例えば、小学校では特別支援学校との間の学校間交流が一六%ぐらいにすぎないのではないかといったような御指摘もございました。

 そういったことに加えまして、現在、小中学校の大体八割ぐらいには特別支援学級も設けられておりまして、こうした特別支援学級が設けられているところも含めまして、小中学校でそうした学級に所属する子供との交流、共同学習を行っている割合というのも八割ぐらいあるというふうなことでありますので、それがどれぐらいの頻度で行われていて、確かに、特別な行事のようになっているかどうかということは大変課題として認識をしておりますけれども、それぞれ、かなり多くの学校で取り組まれているという実情はあるのだろうというふうに考えております。

 従来から、交流及び共同学習の推進に取り組んできておりますけれども、先ほど委員から御紹介いただきましたように、平成三十年には、有識者等から成る心のバリアフリー学習推進会議におきまして、こうした交流及び共同学習の推進方策についての提言を取りまとめていただきまして、その趣旨を踏まえました積極的な取組を促す通知を都道府県教育委員会等に対して発出をいたしましたところです。

 この通知におきましては、委員御指摘のように、単発の交流機会を設けるのみにとどまらず、年間を通じて計画的に取り組むこととすること、あるいは、障害について形式的に理解させる程度にとどまらず、児童生徒等が主体的に取り組む活動とするといったような留意事項が示されているところでございまして、日常的な相互理解の重要性についてもこうした通知の中で示し、取組を促しているところでございます。

 学校現場におきましては、例えば、クラブ活動や給食の時間など日常的な場面におきまして、障害のある子供と障害のない子供がともに活動する取組が行われている、そして相互理解が深められているといったような例も承知しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、交流及び共同学習の趣旨や日常的に行われているこうした取組の事例につきまして各種会議等において周知を行うなど、引き続き、交流及び共同学習等を通じた心のバリアフリーの推進に努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 なぜこの質問をしたかといいますと、二〇一三年の学校教育法施行令の改正の中で、一定の障害のある児童生徒は特別支援学校に原則として就学するという従来の仕組みを改めて、個々の児童生徒について、障害の状態や本人の教育的ニーズや本人、保護者の意見、教育学や医学や心理学など専門的見地からの意見、あるいは学校や地域の状況を踏まえて総合的な観点から就学先を決める、その際に、障害者基本法十六条に基づいて十分な情報提供も行い、可能な限りその意向を重視することが求められているというふうになったと承知をしています。

 医療的ケア児が、現在、特別支援学校に八千名いるわけですけれども、その約四分の一は実は自宅や病院や施設で訪問教育を受けている状態。だけれども、公立の小中学校に在籍するケア児は八百五十八人いるわけなんですね。今は学校に看護師を配置するなどして普通の学校生活が送れる状況になっているし、文科省としてもそういう方向なんだということを説明いただいて、ケア児を持つお母さんが、私がそのことを教えたときに、鳥肌が立ったといって喜んでくださったんです。

 だから、そういう立場で、日常の中で学んでいくんだということが大事だと思って、文科省もそういう方向になってきているんだということで質問したわけでございますので、ぜひ、単発ではなくと答弁していただきましたので、引き続きお願いをしたいと思います。

 それで、きょう話題になっていた学校のバリアフリーの問題なんですけれども、やはり、現状がどうなっているのかというのをぜひつかんでいただいて答えていただきたい。それから、既設の学校については努力義務となっておりますけれども、やはりここについても進めていくべきだと思いますがどのように取り組むか、お願いします。

笠原政府参考人 まず、先生の方から現状についてのお尋ねがございました。

 文部科学省では、避難所に指定されている公立学校施設の現状の調査を行っております。平成三十一年四月一日現在、要配慮者の利用が想定される学校について、スロープ等の設置により段差が解消された校舎は六六・六%、多目的トイレが設置された校舎は六五・二%になってございます。また、新築ですとか増築等を実施した一定規模の公立小中学校のうち、エレベーター、多機能トイレ、スロープのいずれも整備している施設は約九割となってございます。

 もう一つ、既存の公立小中学校施設のバリアフリー化の推進に関するお尋ねがございました。

 文部科学省におきましては、今回の改正法案も踏まえまして、学校施設のバリアフリー化の重要性や整備における留意点等をまとめた学校施設バリアフリー化推進指針というのがございますけれども、それを改定するとともに、災害に備えて平時からバリアフリー化を図ることの重要性を伝えつつ、自治体の取組を紹介する事例集を改めて周知して横展開を図ってまいりたいと思っております。

 また、国庫補助制度によっても財政支援の方をさせていただいておりますけれども、既存施設の改修時におきましても、バリアフリー化対策に係る事業を優先的に採択をしているところでございます。

 引き続き、必要な予算の確保に努めながら、各地方公共団体の取組をしっかり支援させていただきたいと思います。

高橋(千)委員 資料の三枚目に、「公立学校施設のバリアフリー化に関する国庫補助」というのがあります。

 この中で、ではバリアフリーってどこまでやるのよというときに、少なくとも、エレベーターやスロープや多目的トイレ、こうしたことが基準になっているはずなんですね。それで新築のときは当たり前にやっていて、九割を超えていると。だけれども、最初にお話しされた避難所対応としてどうかといったときには、スロープと多目的トイレがあるかというその程度なのであって、実際のバリアフリーが全体としてどのくらいかという答えにはなっていないんですね。そこをしっかりと捉えていただきたい。

 それから、避難所にもなるからという議論だけじゃなくて、そもそも学校というのは、授業参観に保護者も来て、保護者の中に障害者がいるのは当たり前なんです。あるいは、先生方だって、車椅子で先生をやっている人たち、いるわけですよね。

 そういう意味で、不特定多数の施設じゃないからということで今まで対象にしてこなかった、このこと自体に、やはり遅かったなという指摘をしたいし、そういう意味で、既存の施設も含めてバリアフリーを進めるべきだということで重ねて指摘をしたいと思います。

 最後に、駅のホームドアについて大臣に伺いたいと思います。

 山城参考人から、転落事故が絶えないこと、実際どういう状況で事故が起きているのか、リアルな実態もお聞かせいただきました。

 資料の4にあるように、ホームの転落事故は二〇一七年度で二千八百六十三件、そのうち視覚障害者の転落が六十五件、ほぼ横ばいと言える状態で、放置できません。内側に下がってくださいというアナウンスが聞こえても、どっちが内側かわからないで誤認して逆に動いてしまうことがあること、指摘されたように、駅の無人化がふえていて助ける体制がないということ、大きな問題であります。

 一昨年五月十七日の参議院の国交委員会において、我が党の山添拓議員が、ホームからの転落事故を取り上げて、ホームドア設置がやはり義務となっていない既存の駅についても今のままでよいのかとただした際に、石井前大臣が、「ホームドア整備は、新たな収益を生むものではなく、整備に多額の費用が掛かることを踏まえ、その整備を義務付けする対象は、駅の新設又は大規模な改良を行う場合に限る」、こういう答えをしているわけなんです。

 私は、この新たな収益を生まずという大臣の答弁がいかがなものかと率直に指摘をしたいと思うんですね。ホームドアは、目の見えない人はもちろん、都内で多発する飛びおりを防ぎ、全ての乗客の安全を守る上でも欠かせないものです。収益の問題ではない。大臣の認識を伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 そもそも、二十年前にほとんどの駅にエレベーターもエスカレーターもなかったというのは、当時はやはりエレベーター、エスカレーターをつけても経済的な波及があるわけじゃないということでなかなか進まなかったという現実があったと思います。しかし、そうであってはいけないんだ、公共施設としてバリアフリーが当たり前の世の中をつくろうということがそもそもであって、エレベーター、エスカレーターはほとんど、新設のところは全部ついてきた。

 他方、ホームドアの話というのは、私が十数年前に聞いたときは、率直に言って相当高価なものだなとか、余り見たことがなかったのでどんな感じか。当時は新幹線の駅も転落防止のはついていなかったという現実。しかし、それが、やはり首都圏が先行して相当つけ始めて、これはやはりあった方がいいなということを認識し、相当関西圏はおくれているんですけれども、関西圏もようやくつき始めたということでございます。

 やはり、目標を決めて、十万人以上ということでとりあえず始めています。三十年度末までに、今、八百駅の目標に対して七百八十三、来ていますので、エレベーターのときも一緒ですから、十万人というのも多分下げて拡大していくということにしていかなければいけないと思いますし、これはやはりふえていけば、恐らく技術開発なんかも進んで、ホームドア自体の費用も、多分コストも相当低減していくのではないかということも期待しておりますので。

 いずれにしても、このホームドアは、もはやユニバーサルデザインというか、バリアフリーにとって大変重要なファクターだというふうに認識をしておりますので、経済的な問題はもちろんありますけれども、しっかりそれが進められるように、国としても最大の支援をしていきたい、こう考えております。

高橋(千)委員 前大臣は二十年前と同じ答弁をしたという意味だと思います。赤羽大臣がそうではなかったということで、大変ありがたく思っております。

 全国で八百駅の目標に、今七百八十三駅まで来て、あと一歩だ、前倒しで達成できる、こういうふうに説明をされているんですね。だけれども、十万人以上という意味でいいますと、まだ二百七十九駅のうち百二十三駅くらいですか、ほとんど届いていないということと、ホームドアがついたといっても全部のホームではないわけで、結局、片側はついていても向かい側はついていないとか、一カ所ついていれば一駅と数えている、そういう実態もありますので、そこから見るとまだまだ遠い。確かにお金もかかるし、一遍にはできないのはわかっています。だけれども、これはやはり加速させる必要があるということで頑張っていただきたいということを訴えて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 かなり重なった質疑も多くなってくるとは思うんですけれども、御容赦をいただいて、御答弁のほど、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 まずは、今回の法改正の中身にあります学校のバリアフリー化についてお伺いをしたいというふうに思います。

 今回の法改正で、バリアフリー基準適合義務の対象拡大ということで、公立小中学校というのが追加をされました。災害時において避難場所などになる学校なども当然たくさんあるため、この追加というのは非常にいいことだというふうに思います。

 現在のバリアフリー法においては、特別支援学校のみがバリアフリー化の義務づけ対象となっており、そのほかの学校は義務づけの対象とはなっていない。特別支援学校以外の学校についても早くからバリアフリー化を義務づけるべきであったのではないかというふうに改めて感じています。

 そこで、お伺いをいたします。

 なぜ特別支援学校以外の学校はこれまでバリアフリー化の義務づけの対象となっていなかったのか。今回公立小中学校に限ってバリアフリー化を義務づけることとした理由もあわせてお答えをいただきますように、お願いします。

眞鍋政府参考人 学校のバリアフリー化についての法律改正、その効果についてでございます。

 共生社会の実現に向けまして、障害者を含む全ての方が利用しやすい環境を整備する観点から、また、児童生徒が子供のときからバリアフリーとは何かを学ぶことによりまして、バリアフリーが当たり前であると思える環境を構築する観点から、学校施設についてのバリアフリー環境を整備することは大変重要というふうに認識してございました。

 しかしながら、バリアフリー法に基づくバリアフリー基準への適合義務づけについては、これまで、不特定多数の方が利用するか、又は主として高齢者、障害者などの方が利用する一定規模以上の建築物を対象としております。学校施設については、今御指摘がありましたように、特別支援学校のみを義務づけの対象にしており、条例により追加するケースを除きますと、その範囲にとどまっているというものでございます。

 公立の小学校、中学校につきましては、これまで、こうしたことから義務づけの対象にはしておりませんでしたが、特別支援学級が八割の学校に設置される、在籍する児童生徒がこの十年間で倍増するなど、定常的に障害者用の利用が想定される状況になってきているということが大きな変化かと思います。また、近年、新築、増築、改築されたものの九割以上においてバリアフリー化が既に行われておりまして、原則として、基準の義務づけが新たな負担を課すものにはなりにくいというふうに考えられております。

 それから、約九割が地方公共団体により避難所に指定されておりまして、バリアフリー化されることで災害時の高齢者、障害者等の方々の安全、安心の確保にもつながる、こういう効果も期待されるところでございます。

 これらの点を踏まえまして、今回の法案の改正により、公立の小学校、中学校をバリアフリー基準の義務づけの対象に加える、こういうことにしたものでございます。

井上(英)委員 全然いいことなので、ぜひ進めていっていただきたいと思います。先ほど答弁にもあったんですけれども、やはり避難場所とか、今は本当に、水害も含めていろいろな災害が起きる可能性もありますし、ぜひ粛々と進めていっていただけたらというふうに思います。

 きょうは文科省から笠原技術参事官もお越しをいただいています。お聞きをしたいと思いますが、今回の法改正によりバリアフリー化の義務づけがかかるのは公立小中学校を新築又は増改築する場合であり、既存の公立小中学校についてはバリアフリー化は努力義務にとどまっているというふうになっています。

 新築又は増改築の際にバリアフリー化を義務づけることは、ぜひともこれを契機に進めていただきたいと思いますが、既設の公立の小中学校のバリアフリー化というのも、先ほどの避難施設の観点からも、やはり既設の学校も進めていく必要があると思います。先日、参考人もそのようなお話をされておられました。

 今回、義務づけの対象とならない既設の公立小中学校のバリアフリー化についても、既存の補助制度の拡充、そういったものを含めた支援措置の充実というのを図る必要があると思いますが、強力に推進するためにどのように文科省として進めていく気があるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

笠原政府参考人 今回のバリアフリー法改正によりまして、既存建物についてもバリアフリー基準適合の努力義務が課されることから、バリアフリー対策のための工事に対する需要というものは増加するというふうに見込んでございます。

 文部科学省におきましては、新造改築時はもとより、既存施設へのエレベーターの設置や多目的トイレの整備等、バリアフリー化に対応するために必要な経費の一部を国庫補助してございまして、これらについては優先的な事業採択の方もさせていただいております。

 引き続き、学校施設のバリアフリー化が一層推進されますように、まずはその必要な予算の確保をするということでそれに努めまして、各地方公共団体の取組を支援してまいりたいと思ってございます。

井上(英)委員 ぜひ予算をとっていただいて。

 どうしても、やはり財政規模の小さいところは非常にしんどいことになるのかなというふうに思います。先日、参考人もおっしゃっていただいたように、大阪市のように財政規模が大きいところは、今もう整備率が小中で九六%という話もありました。財政規模が大きいと、その意味ではいろいろなお金の使い方というのができますのでいいんですけれども、やはり財政規模の小さいところで一定のそういう既設のものに建てるとなると更に負担率が変わってきますので、そういったところへの配慮といいますか、ぜひ進めていただけたらと思いますので、文部科学省も頑張っていただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、駅のバリアフリー化についてお伺いいたします。

 先日お越しになっていた山城参考人からも、過去に大きな事故があったということがありました。昨年十月に視覚障害者の女性がホームから転落されて亡くなられるという不幸な事故が発生をして、その駅では点字ブロックの改善が以前から視覚障害者福祉協会から求められていた、でも、ちょっと対応がし切れなかったというふうにもお聞きをいたしました。以前から視覚障害者のホーム転落事故については問題視されているにもかかわらず、やはりなぜ起きてしまうのかというふうに思います。

 国土交通省でも駅のホームにおける転落事故防止に向けてハードとソフトの両面から安全対策というのは行っており、ハード面として効果的だと言われている可動のホームドアで、同省は、利用者の多い都心の駅を中心にということで、十万人の乗降客のあるターミナルからということで進めてくれているとは思います。

 やはり、首都圏を始めとした大都市部にどうしても集中をしてしまうということがあります。地方での整備が進んでいないんですけれども、さらなる整備計画を策定して着実に進めていく必要があると思いますけれども、大臣にお伺いをしたいと思います。

赤羽国務大臣 ホームドアの設置につきましては、十万人以上ではなくても、障害者団体の皆さんのニーズとか混雑の度合い、ピークがひどいときとかということは対応はしておりますが、いずれにしても、これまではまだ目標の八百に対して七百八十三駅しかついていない。

 最初、始めたときはなかなかホームドアまではというような感覚もありましたが、今は、相当効果もあるし、大事な施設だということも定着をしておりますので、これは、鉄道会社も負担しなければいけないので、どうしても首都圏が先行しておりますが、全国、地方でも使えるように、少し知恵を出して、工夫をして前に進めるように、二〇二一年以降の目標は、バリアフリー、総じて目標を改めることになっていますので、ホームドアについてもきっちり受けとめて考えていきたいと思っております。

井上(英)委員 ぜひ大臣、よろしくお願いをしたいと思います。

 本当に、先ほどおっしゃっていただいたように、事業者の負担もあって、どうしても厳しいところもやはり出てくると思うんですね。ですから、そのギャップを何とか、先ほどおっしゃっていただいた知恵とか工夫を最大限に活用して、していただけたらというふうに思いますし、先日、参考人のお話ですと、同じ柵でも固定柵は、やはり開口部分ができるということで、余りというようなお話もあって、その辺がまた改めて、視覚の障害を持っておられる方々の意見というのを本当に拝聴させていただかないと、やはり健常者にはなかなか気づきにくいということもありますので、大臣、ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に、駅のホームと車両の段差の問題をお聞きしたいと思います。

 昨年、駅ホームと車両との段差とすき間の目安値というのが定められました。この目安値を定めたというだけでも、国交省も含めて、鉄道局、一生懸命やっていただいたというふうには想像できるんですけれども、車椅子ユーザーが単独でやはり乗降を可能とするためには、この段差解消というのは非常に重要であります。

 既に事業者においては、この目安値に沿って段差とすき間解消の整備というのが始まっているというふうにもお聞きをしています。

 この取組を推進するためには、二〇二一年から新たな基本方針というのを策定されると思いますけれども、駅ホームと車両との段差とすき間の解消に関して、目安値じゃなくて、目標値というのを定める必要があると思いますけれども、局長、いかがでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、車椅子使用者の方が鉄道駅において単独で列車に乗降できる環境の整備は大変重要であると認識をしております。

 単独の乗降に当たっては、ホームと車両の段差、すき間をできる限り小さくすることが望まれますけれども、一方で、ホームと車両の接触防止など、安全を確保する必要も当然あるということでございます。

 これまで、段差、すき間の具体的な整備の目安値がなかったことから、国土交通省の方で、学識経験者、障害者団体、鉄道事業者等から成る検討会を立ち上げまして、実証実験等を通じて議論を行ってきたところでございますが、その結果、令和元年八月に車椅子使用者が単独乗降しやすい段差、すき間の目安値を取りまとめ、昨年の十月にバリアフリー整備ガイドラインを改定したところでございます。

 具体的には、ホームと車両の接触防止といった安全運行の確保などの観点を踏まえまして、比較的車両の揺れや軌道の変位などの影響が少ないコンクリート軌道のホーム直線部における目安を段差三センチ、すき間七センチとしたといったような目安値を定めたということでございます。

 今回お示しした目安値を踏まえまして、鉄軌道事業者におきましては、段差、すき間の縮小に向けた取組を具体的に進めていただいているところでございますけれども、実際の対策の実施に当たりましては、各駅ごとのホームの形状でございますとか車両の仕様の違いなど、個別具体的な課題がございますので、まずは鉄道事業者において、それらの事情を踏まえて整備を進めていっていただくことが重要であるというふうに考えております。

 国土交通省としては、今後の整備状況を注視いたしまして各事業者の整備実績の把握に努めまして、段差、すき間の改修が計画的に行われていくように、必要に応じて整備目標を設定するなどの検討を行ってまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひお願いしたいと思います。ネゴシエーションもありますので大変だとは思うんですけれども、やはり、解消していけるように、それが一日でも早く解消できるように、ぜひ鉄道局長、頑張っていただきたいというふうに思います。

 共同住宅のバリアフリーについてお聞きをしようと思っていたんですけれども、ちょっと住宅局長、いいですか、飛ばして。済みません。

 ホテル、旅館のバリアフリー化についてちょっと聞きたいというふうに思います。

 オリパラが来年ということにもなりました。七月二十三日からということになりましたけれども、我々大阪は、大阪・関西万博というのを二〇二五年に見据えていますけれども、この開催もちょっと今の現時点では何とも言えないんですけれども、そういったときに、たくさんの方がお越しになったときに、ホテル、旅館のバリアフリー化というのは非常に大事だというふうに思います。

 バリアフリー法案においては、バリアフリー化の義務づけ対象となる規模を地域の実情に応じて地方公共団体が条例により引き下げることができる仕組みとなっているというふうに承知をしております。

 大阪府では、先月、大阪府福祉のまちづくり条例というのを改正して、床面積の合計が千平米以上のホテル、旅館の一般客室のユニバーサルデザイン化というのを義務化する条例に改正されました。

 ほかの都道府県も含めた自治体の状況、それから、これからどのように各地域に条例制定も含めた働きかけというのを進めていかれるおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

眞鍋政府参考人 ホテルのバリアフリー化についてのお尋ねにお答えしたいと思います。

 御指摘いただきましたように、バリアフリー法では、二千平米以上のホテル、旅館を対象といたしましてバリアフリー基準の適合義務づけを行っているところでございます。ただし、地域の実情を踏まえて、条例により対象規模の引下げあるいは基準の強化を行うことが可能となっております。現在、ホテル、旅館については、八都道府県六市町村において条例による対象規模の引下げが行われております。

 今御指摘いただきましたように、大阪府においては、千平米以上のホテル、旅館について、バリアフリー基準が対象としている車椅子使用者用客室だけではなくして、一般客室についても一定の基準を義務づけるというような条例改正が本年三月二十七日になされて公布され、本年の九月の一日から施行予定というふうに承っております。

 このように、特定の客室だけではなくて一般客室についてもバリアフリー化を義務づける取組は、大阪府のほかには東京都において既に例があるということでございますが、こうした先進的な事例について横展開を図るため、これまで私どもは、公共団体の担当者を集めた会議などにおきまして、既に条例を策定済みの地方公共団体における具体的な取組状況、その課題などを情報提供するとともに、地域の実情を踏まえた条例による義務づけ対象規模の引下げに向けた前向きな対応を御検討いただきたいというふうに要請してきたところでございます。

 今後、この大阪府などの取組についてもあわせて周知してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ぜひ局長、よろしくお願いいたします。

 もう時間も限られていますので、最後に大臣にちょっとお伺いをしたいんですけれども。

 精神障害者への運賃割引についての質問をさせていただきたいと思います。

 精神障害者に係る交通運賃の割引の取扱いについて、前常会の際に、精神障害者の交通運賃に関する請願というのが採択をされました。

 障害の中にも、身体、それから知的、精神とあるんですけれども、身体障害者の皆さんに関しては、昭和二十五年ですか、当時、国鉄のころに割引運賃というのが導入されて、知的障害者の皆さんに関してはJRになってから、平成三年に導入をされたということになっています。精神障害者の皆さんに関しての割引というのがまだありませんけれども、大臣、どのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。

赤羽国務大臣 障害者の皆様に対する公共交通機関の運賃の割引につきましては、基本的に事業者の方々の自主判断で行っていただいております。

 精神障害者の割引につきましても、交通事業者に対し理解と協力を国交省として求めてきたところでございまして、実は、平成三十年の十月には、これまで導入されてこなかった航空業界でもその割引を導入するとか、増加傾向にはあるわけでありますが、まだ例えばJRは対応しておりませんので、そうした意味ではまだまだの状況でございます。

 委員御指摘のように、昨年の百九十八通常国会でこれが採択されたということは、やはり立法府の意思として、大変重いものとして受けとめておりますので、これは厚生労働省と少し打合せというか検討してすり合わせて、交通事業者が割引ができやすい環境をつくる方向で検討をしっかり進めていきたい、こう考えております。

井上(英)委員 もう時間も来ましたので、本当にありがとうございました。自動車局長、ちょっと済みません、時間がなくなりました。

 ありがとうございました。

土井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小里泰弘君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山泰子さん。

小宮山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 本法の基本理念に則り、社会的障壁の除去のために合理的配慮について理解が深まり的確に提供されるため、必要な環境整備を推進すること。

 二 障害者が公共交通機関の利用において、様々な制約が存在する状況に鑑み、障害者権利条約の理念を踏まえて移動の権利について検討を進めること。

 三 インクルーシブ教育の推進及び災害時の避難所として利用する必要性から、設置主体の別、規模を問わず、高校、大学も含めた全ての学校施設のバリアフリー整備を推進すること。

 四 公立の小中学校が災害時の避難所になっているケースが多いことに鑑み、既設であっても、数値目標を示し、そのような施設のバリアフリー化を積極的に進めること。また、既設の公立小中学校のバリアフリー化に対する財政支援を充実すること。

 五 移動円滑化基準適用除外認定車両を見直し、鉄道のない地方空港の空港アクセスバス路線に重点的にバリアフリー車両の導入が促進されるように必要な措置を検討すること。

 六 生活利便施設である物販、飲食店の数は二千平米未満の小規模店舗が大半を占めることに鑑み、二千平米未満の小規模店舗及び特別特定建築物内における店舗内部の障壁となっている入口の段差解消、扉幅の確保、可動席の設置等のバリアフリー整備を進めるため、ガイドラインを作成すること。あわせて、条例によるバリアフリー基準適合義務の対象規模の引き下げ及び建築物特定施設の見直しを要請すること。

 七 地方の旅客施設のバリアフリー化を進めるため、基本方針に一日の平均的な利用者数が三千人未満の駅も含めた整備目標を定めるよう検討すること。また、無人駅の増加に伴い社会的障壁が拡大しないよう、無人化に際し事業者が取り組むべき事項をガイドラインに定めた上で、当該事業者が遵守するように必要な措置を講ずること。

 八 駅ホームからの視覚障害者の転落事故が全国で毎週一件以上発生していることに鑑み、ホームドアの設置、バリアフリー設備の表示や駅の構造等情報提供の充実を進めるよう、必要な措置を講ずること。

 九 障害者が居住可能な共同住宅についての実態把握の調査等必要な措置を講ずること。

 十 ホテルの一般客室におけるユニバーサルデザイン化の推進及びバリアフリールームの設置率を国際的な水準に引き上げるために、必要な措置を講ずること。

 十一 ユニバーサルデザインタクシーが活用されるためには、運転者の負担軽減とともに、研修支援に必要な措置を講ずること。

 十二 建築物やユニバーサルデザイン等の設計に際しては、当事者からの意見を反映させるため、建築士の資格取得における教育内容や設計業務に当たる者に対する研修等においてインクルーシブデザインによる設計が行われるよう制度の構築を検討すること。

 十三 移動等円滑化評価会議及び同地域分科会において、地域の特性に応じた施設、先進的な施設の整備等を通じ、多様な障害当事者が参画を継続的に実施する等必要な措置を講ずること。

 十四 障害者権利条約に則り、歴史的建造物のバリアフリー化を進めるため、歴史的建造物を再現する場合等におけるバリアフリー整備の在り方について、高齢者、障害者等の参画の下検討が行われるよう、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に心から深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

土井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

土井委員長 次回は、来る八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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