衆議院

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第10号 令和2年5月8日(金曜日)

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令和二年五月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    小田原 潔君

      大塚 高司君    大西 英男君

      鬼木  誠君    門  博文君

      神谷  昇君    小林 茂樹君

      古賀  篤君    佐々木 紀君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    堀井  学君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      簗  和生君    山本  拓君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      西岡 秀子君    広田  一君

      古川 元久君    馬淵 澄夫君

      道下 大樹君    矢上 雅義君

      谷田川 元君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    高橋千鶴子君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      青木 一彦君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   国土交通大臣政務官    和田 政宗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小平  卓君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            齋藤  馨君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            山上 範芳君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  北村 知久君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  大坪新一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  高田 昌行君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長野村正史君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官山上範芳君、土地・建設産業局長青木由行君、都市局長北村知久君、道路局長池田豊人君、鉄道局長水嶋智君、海事局長大坪新一郎君、港湾局長高田昌行君、航空局長和田浩一君、観光庁長官田端浩君、内閣府大臣官房審議官小平卓君、金融庁総合政策局参事官齋藤馨君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮内秀樹君。

宮内委員 おはようございます。

 不要不急でない、重要な政府提出法案につきまして真剣に議論を行ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、道路は、国民生活や経済活動の根幹でありまして、経済社会の状況の変化に対応してしっかり見直していくことが重要だというふうに考えております。

 インフラというのは、もちろん、つくること、整備することは重要でありますけれども、つくったものをどのようにしてうまく使っていくのかということが、またこれが一つ大切なことであるというふうに思います。インフラ自体は、せっかくの国民の税金を使ってつくったものでありますけれども、これにいかに付加価値をつけていくのかということが、二十一世紀に我々の、国土交通委員会に課せられた私は責任であるというふうに思っております。

 その観点からきょうは質問させていただきたいと思いますけれども、これらの道路政策、今回の道路法改正の政策の重要なポイント、今回の改正に対する所感をお聞かせいただきたいというふうに思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 これまで、社会経済活動の基盤として道路の整備を進めてきたところでございますけれども、ただいま委員御指摘のように、整備された道路を効果的、そして安全に利用できるように、時代の要請に応じて付加価値をつけていくことは重要であると考えております。

 本法案は、デジタル化の推進や自動運転技術の進展を踏まえまして、現下の人手不足への対応などの物流生産性の向上に向けた物流業界からの御要望、また、地方創生の観点から、駅前の交通結節点の利便性向上や道路空間をにぎわいのある空間としたいという地方公共団体からの御要望、また、近年の激甚化する災害を踏まえまして、スピーディーな復旧工事が必要であるという地方公共団体からの御要望など、近年の道路を取り巻く政策課題に対応いたしまして、道路を多くの方により利活用していただくとともに、災害時の迅速な対応を可能にするなど、整備された道路の付加価値を高めるための改正であるというふうに認識をしております。

宮内委員 例えば、今、高速道路のETCというのはかなり定着して、非常に利便性が高まっていると思うんですね。

 あれをつけるときにいろいろ議論があって、つけたけれども、最初は渋滞ができるような状況で、なかなかETCレーンを使う方が少なかったんですけれども、装置を車につけること、これを促進したわけですね。特に、トラック事業者の方々に付与する中で、どんどん普及することによって、このETCが普及をし、それで、そのことに伴うところのサービスが、夜間割引とか長距離割引とか、そういうものをどんどん使うことによって、昼間と夜の車の数を調整したりとか、そういうことで利便性が高まったということがありました。まさにあのような発想で、これから新しいものを社会に合わせながらつくっていくということが私は求められているというふうに思います。

 そこで、今回の法律改正案の中に、特殊車両の通行許可についてということがございます。

 これは、随分前から私、許可までに要する時間が長いということでお願いをしてきたわけでありますけれども、特に、例えば重量車両、公共事業のための重機を運ぶようなトラックが、例えばそこの場所に行くまでにさまざまな市町村を通らなきゃいけない、そのときに、一つ一つの道路通行許可を得るのに時間がかかって時間がかかって、整備局で何時間もかかって申請をして、そしてその後、申請した後、何カ月も、その許可が出るのにかかる。もうこんなことはやめましょうよ、道路をせっかくつくったのにどうして使いづらいようなことをするんだということでずっと申し上げておったんですが、今回の道路法改正においてここを踏み込んで、今回はしっかりと、なるべく早くそれを整えるんだということを聞いております。

 そこで、現在どのぐらいの時間がかかっているのかという点、それから、電子データ化はどの程度機能しているのか、現在の状況。今回の新たな制度の導入によって手続に要する期間はどれぐらい早まるのか、この点についてお聞かせください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 特殊車両の通行に関しましては、物流の大型車両のニーズの高まりに伴いまして、許可の申請件数が増大し、申請から許可までの日数が長期化しておるところでございます。

 平成二十九年度には平均約五十一日を要していたところですけれども、その後、道路構造の情報の電子データ化の加速などさまざまな取組を行いまして、昨年は平均約二十八日となっておりますけれども、いまだ長時間がかかっているという状況だと認識をしております。

 また、電子データ化に関しましては、許可の申請のあった経路のうち、電子データで自動処理をして許可したものは、現在、四割に至ってきております。

 お尋ねの新たな制度導入後の手続の日数でございますけれども、ETC二・〇の搭載をしていただくことが前提にはなりますが、この約四割、電子データ化で許可ができている約四割の経路の通行については、新たな制度の手続に要する日数はなくなることから、即時に通行ができることになります。

 また、残りの部分ですけれども、六割あるわけですけれども、先ほどの四割の審査がなくなりますから、処理の件数は四割減となりまして、処理のスピードアップが見込まれております。その結果、現在約一カ月ですけれども、平均二、三週間には短縮できるものと見込んでおります。

 電子データ化を進めることで、更にこの日数を短縮できるように取り組んでまいりたいと思います。

宮内委員 まさに、早く進めていただきたいという気持ちでございます。電子データ化を全部完成すれば、ワンタッチでできる、こんなイメージだというふうに思いますので、一日も早くこれを進めていくということが法律改正した後は重要なことだと思いますけれども、法案では、成立後二年以内の施行に向けて準備をしているということですけれども、これはもっとスピードアップできないかというふうに思いますが、その点についていかがでございますか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 新たな制度の運用に当たっては、車両の登録や道路構造などについての電子データをもとに通行可能経路を全て検索できる、そういうシステムをつくっていくことが必要になります。

 このシステムは、全国約六万橋の橋梁、約二千のトンネル、約十万の交差点、こういったもの全ての特殊車両の通行の可否を、個々の車両の重量とか幅とか長さに応じまして、即時に判定するような、こういうシステムになります。

 このため、このシステムには膨大な演算を同時に行うプログラムが必要になりますので、これに時間を要すると見込んでおります。

 したがいまして、法案では、成立後二年以内の施行としておりますけれども、今御指摘ありましたように、物流業界からも早期の施行の要望がございます。今後、工程を工夫するなりして、できるだけ早く施行できるように取り組んでまいります。

宮内委員 ぜひ、一日も早い完成をということで、スピードアップをしていただけたらありがたいというふうに思います。

 先ほどもちょっと御答弁でも出ましたけれども、ETC二・〇という、もともと、ETCができた後、このETC自体に付加価値をつけようじゃないかと。いろいろなデータがETCから入ってくる、このビッグデータを活用して、それを逆にドライバーに返す、あるいは設置している例えば物流事業者に返すというようなことで、かなりまた新しい道路の使い方ということができるようになるというふうに思うんです。

 一般的に、ETC二・〇、二・〇、こう言われていますけれども、ETC二・〇というのは、利用者に対するサービスとしてどのような利点があるのか、これをお聞かせいただけたらと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 ETC二・〇は、従来のETCの機能であります自動料金収受の機能に加えまして、道路上の通信機器と車両が双方向通信を行いまして、画像による車両への情報提供ができることや走行の履歴を情報収集できる、そういうシステムであります。

 ETC二・〇を搭載した車両では、このようなシステムのことから、カーナビの画面に広域的な道路交通情報が画像によって提供されるというサービスのほか、今御指摘ありましたように、希望される物流事業者の方には運行実績を提供できるようなこともできます。

 また、料金面での優遇として、ETC二・〇の搭載車を対象に、圏央道の料金割引や大口・多頻度割引の割引率の拡充、あるいは休憩施設への一時退出する場合の長距離逓減割引の継続などを現在も実施をしております。

 今後とも、魅力的な機能の充実や高速道路会社と連携した車載器の購入助成、料金割引との連携など、早期普及の促進策を講じて、その拡充を進めていきたいと思います。

宮内委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ビッグデータをいかにして活用するのかというのは、これからまだまだ知恵が出る世界だというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に移ります。

 災害時の迅速な道路啓開や災害復旧を行うための代行制度が拡充されたという点は評価をいたしておりますけれども、しかしながら、災害時の迅速な緊急輸送道路を確保する観点や、安全、景観の観点からも、無電柱化、これがやはり必要だと。ミスター無電柱といたしましては、この道路法の改正においても拍車をかけていきたいというふうに私は思っておるわけであります。

 今般の歩行者利用増進道路でも、無電柱化のための無利子貸付けを措置していただいたりしておりますけれども、今後の無電柱化を進めていくに当たっての取組と意気込みを大臣からお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

赤羽国務大臣 まず、宮内委員におかれましては、この無電柱化政策について、自由民主党の中で一貫してリードしていただいております。まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 無電柱化というのは、振り返りますと、まず、随分前から、景観条例の制定の中から無電柱化ということが訴えられたというように私は記憶しておりますが、なかなか、財政的な面とか、進んでこなかったのが現実でございますが、昨年、特に台風十五号、私も大臣に就任した直後に千葉県の房総地域に視察をさせていただきましたが、ことごとく古くなった電柱が倒れて、そこが電線に支障を生じて、そしてあの大規模な停電が長く続いてしまった。停電が続いたということと同時に復旧復興の妨げにもなったというのは大変大きな課題だということで、たしか館山だったと思いますが、私は館山の地域で、ぶら下がりで、やはりこの無電柱化はしっかりと推進をしていかなければいけないということをお約束を申し上げたところでございます。

 そうした大変重要な施策でございますが、これまで、よく御承知だと思いますが、平成三十年度にまず無電柱化推進計画というものをつくりました。また、いわゆる防災・減災、国土強靱化のための緊急三カ年の集中対策におきまして、二〇二〇年度までの三カ年で二千四百キロメートルの無電柱化に着手をして、取組を加速をしているところでございます。

 今回、このお願いをしております法改正で創設をさせていただきます歩行者利便増進道路、この制度は、歩行空間とあわせてオープンカフェ等のにぎわい空間を確保するというものでありまして、ある意味では、空間確保の観点で無電柱化の必要性が高いという上に、車線を削減して歩道にするなど道路改良を伴うことから、私は無電柱化を行うよいチャンスなのではないかというふうに考えておるところでございます。

 また、この歩行者利便増進道路の指定は、道路管理者である国や地方公共団体が行うこととなりますので、この指定に合わせて無電柱化の実施もされるように、これから地方公共団体に対してもしっかりと働きかけていきたいと思います。

 また、今回措置をさせていただきます無利子貸付制度も活用するとともに、やはり、一つは電力事業者、経済産業省と電力事業者、しっかりとこれは足をそろえていかなければいけませんし、有識者の皆さんも入っていただいて、関係省庁による委員会を設置し、検討を進めていきたいと思っております。

 こうした中で、費用の負担をどうシェアしていくのか、こうしたことはもう率直に私も経済産業大臣と意見交換しておりますので、やはり国民の利益になることをしっかりと、応分の負担も、お互い知恵を出しながら考えて、この無電柱化というのが、絵に描いた餅じゃなくて、具体的に加速ができるようにしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。

宮内委員 ありがとうございます。

 まさに大臣がおっしゃられたように、電力事業者と考えを合わせながらしっかり進んでいく、その仕組みをどのように我々がつくっていくかというのが大切だというふうに思います。

 今、電力事業者のお話が出ましたものですから、停電対策として、電線管理者による無電柱化、単独地中化も必要ではないかという議論もございました。また、電力事業者といたしまして、国や地方公共団体と同様に無電柱化計画をつくって進めていく必要もあろうかというふうに思います。

 それらの観点から、電力事業者の今後の取組等々について、資源エネルギー庁から、その考えについてお伺いしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、無電柱化は強風による飛来物等を原因とする電柱倒壊を抑制できる利点などがありますため、電力の安定供給やエネルギー政策上の観点からも推進すべきものと認識してございます。

 かかる認識に立ちまして、経済産業省といたしましても、無電柱化推進計画や防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策等の実現に向けまして、電力会社も協調して取り組むよう求めてきているところでございます。

 さらに、本通常国会に提出をさせていただきました強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案、いわゆるエネルギー供給強靱化法案におきましても、送配電事業者に対しまして送配電設備の更新計画の策定を求めるということとしておりまして、この計画の中には無電柱化の計画を含むということを想定しているところでございます。

 あわせまして、この送配電事業者が、この計画の実施に必要な投資回収を適切に行いつつ同時に国民負担を抑制するための託送料金制度の見直しも、この法案において行うこととさせていただいているところでございます。

 この法案を成立させていただきますれば、当該更新計画に基づきまして、電力会社による主体的な取組を更に促してまいりたいと考えてございます。

 また、御指摘いただきました電線管理者による無電柱化につきましても、現在主流となっております電線共同溝事業によらない方式での実施は制度上可能となっているものと承知してございますけれども、これについても、費用対効果を踏まえながら、追加的な対応を含めて検討してまいりたいと考えてございます。

 こうした取組を通じまして、国土交通省様など関係省庁ともしっかりと連携をさせていただきながら、無電柱化をしっかり推進してまいりたいと考えてございます。

宮内委員 それでは、最後の一問とさせていただきたいと思います。

 やはり、無電柱化法案ができても、年間七万本の電柱が新しく立っている、この中の約七割は宅地開発によるものということでございまして、宅地開発や土地区画整理事業を行う面開発事業者に対しましても何らかの指導や支援が必要と考えますが、いかがでございますか。

土井委員長 北村都市局長、簡潔に御答弁お願いします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 無電柱化の推進に関する法律におきましては、道路事業だけでなく市街地開発事業等の面整備が行われる場合でもこの無電柱化を促進するということになってございまして、この実効性をどのような形で進めるかが重要でございます。

 これにつきまして、先般から私どもいろいろ、地方公共団体また事業者団体にもこの法の趣旨等を図る通知を発してございますし、また、面整備、区画整理事業等では補助も行っています。

 さらに、今後、具体的に面整備をやる場合に、何がネックになっていて、どうしたら進められるかということで、設計、施工時の課題の克服とか低コスト化、こういったものを関係者の意見を聞きながら具体的に進められる方策を検討してまいりたいと思いますので、そういう形でしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

 以上でございます。

宮内委員 具体的に、ぜひ力強く進めていっていただけたらありがたいと思います。

 どうもありがとうございました。

土井委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず冒頭は、コロナウイルス対策について、関連するものを二問続けて大臣にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 このゴールデンウイーク中に緊急事態宣言が全国で延長をされました。その中で、これまで、公共交通機関を支えているさまざまなセクターがございますけれども、タクシー事業者は大変厳しい経営環境になっておりまして、大臣の肝いりで、現在、一定の条件のもとで、有償貨物運送事業、いわゆる宅配事業をタクシーがさせていただいております。

 これは大変助かっていると好評でございますけれども、これが現在、期限が五月十三日までとなっておりますので、ぜひとも、緊急事態宣言が延長されたことに鑑みまして、この宅配事業も延長をお願いしたい、要望でございますけれども、これが一問。

 そしてもう一つが、先日成立をいたしました令和二年度補正予算の中で、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーン、国交省が中心になって進める事業が計上されております。

 予算委員会での審議の中でも、こうした事業が今必要なのか、こういう質疑もあったと承知をしておりますけれども、私は、十分な期間を確保して入念に準備をする上でも、このタイミングで予算を計上しておくことが極めて必要だと考えております。改めて、本予算の意図するところも伺っておきたいと思います。

 また、この事業の概要を見ますと、旅行業者等を経由で期間中の旅行商品を購入した消費者に対して、代金の二分の一相当分のクーポンなどを付与するとされております。

 そこで、旅行代理店を経由をする、この旅行代理店にも、大手から中小までさまざまございますので、そうしたさまざまな代理店を対象にしていただきたいというのが一つと、さらに、旅行代理店等を経由せずに宿泊施設等で直接予約した場合なども本事業の対象とすること、またもう一つは、移動手段として、電車、バス、船舶はもちろんですけれども、タクシーあるいは自家用車による高速道路利用も含めて、全ての移動手段がひとしく割引対象になるよう詳細設計をお願いをしたいと思いますけれども、赤羽大臣の御答弁をお願いいたします。

赤羽国務大臣 伊藤委員から二点御質問いただきましたので、まず一点目の、今回の緊急事態宣言期間の延長を踏まえたタクシー事業者によります貨物運送の特例措置の延長について御答弁させていただきたいと思います。

 まず、この特例措置につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして国民の皆様の生活の仕方が変わってきた、ステイホームということで外出を自粛していただくという中で、食料品等の配送のニーズの増加、こうした状況が出て、タクシー事業者が許可を受けた上で有償で貨物運送することを特例的に認めることといたしたわけでございます。

 これは実は、すごい短期間でありますが、五月一日時点で全国約九百社のタクシー事業者の方々が許可を受けて、これを実際行っていただいております。

 この特例につきましては、実はサービスの利用者の皆さんから大変御好評をいただいておりますし、加えてタクシー事業者の皆様からも、コロナウイルス感染の拡大に伴って本来の旅客運送の需要が大変減少する中で、新しいビジネスモデルとして、タクシー事業そのものの継続を支える新しい試みだということで、大変歓迎もしていただいております。

 今般、五月四日に、緊急事態宣言の期間が五月末までに延長されることが決定をいたしました。加えて、専門家会議では、食事につきましてはデリバリーや出前を活用するといった新しい生活様式の実践例も公表されたところでございますので、こうしたニーズの変化、また業界からの要望も踏まえまして、この特例的な運用は九月三十日まで延長をして認めることといたしまして、実はけさの大臣会見で発表したところでございます。

 九月三十日ぐらいまで延長しないと、なかなか新しいビジネスについて投資をした投資の回収もならないということで、さまざまな検討の結果、とりあえず九月末まで、地域ごとの緊急事態宣言の解除の有無にかかわらず、全国で特例を認めることといたしたわけでございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、国民生活に不可欠なサービスの維持、確保、また、厳しい状況にあるタクシー事業者の皆さんの支援に我々もしっかりと努めてまいりたい、これが第一点でございます。

 二つ目は、ゴー・トゥー・トラベル事業につきましては、これは具体的には、宿泊や往復の交通手段等を含む旅行商品の割引というのが一つのフェーズ。もう一つは、観光地の地場の土産物店ですとか飲食店、観光施設、また交通機関、地場の足回りですね、こうした、幅広く使用ができて地域地域に裨益するような地域共通クーポンの発行によりまして、観光需要を強力に喚起して、それがひいては地域経済再生に資する、大変大事な事業だというふうに考えております。

 しかし、これは今伊藤委員が言われたように大変大きな事業でありますので、この準備として、全国各地の自治体や観光産業の皆様への丁寧な説明、また参加事業者の募集、旅行者への広報などなど、実際には事業を開始するまでには相当な期間を要するものというふうに認識をしておりまして、国会で今こんなときに必要かという御質問もいろいろありまして、私どもの説明も不足していたかと思いますが、補正予算が成立したからといって直ちに大きな人の流れにつながるといったものではないと当初から考えております。

 他方、このゴー・トゥー・トラベル事業への期待について申し上げると、観光産業の復興を切望されているそれぞれの地域の皆様や観光業界そのものからも、このゴー・トゥー・トラベル事業があるからこそ、どんな苦境下でも何としても踏ん張っていこう、事業を継続していこうという大きな動機づけ、一条の希望の光になっているというふうに伺っておりますし、また、業界の皆様からは、それぞれの顧客、お客さんから、せめて予約、購入だけでも早く行うことで、苦しい状況に置かれた業界、そして地域そのものを支援していきたいという声も寄せられているというふうに承知をしておりますので、なるべく、地域経済にとって少しでも早く事業効果が発現できる、そうした工夫もしていきたい、こう考えております。

 感染症の状況が落ちつき次第、本事業をスムースに開始するべく、今から粛々と実施のための準備を進めていく必要があると考えております。

 また、本事業の実施に当たりましては、今御指摘のように、大手の旅行代理店だけではなくて、もちろん地域の中小旅行会社を通じて販売する場合、また、御指摘のとおり、最近いろいろな宿泊業の皆さんと話をすると、直接宿泊施設に予約をする、販売する場合もあり、大変広いわけでございまして、こうした場合も広くこの割引支援の対象とする制度にしていきたい、こう考えております。

 また、観光地までの移動手段につきましては、鉄道ですとか航空機、長距離バス等の公共交通機関を使う場合に加えまして、自家用車で高速道路を利用する場合につきましても、こうした料金が旅行商品に含まれるということが条件になるわけですけれども、割引支援の対象にできるだけしたい、努めていきたい、こう考えております。

 いずれにしましても、新型コロナウイルス感染症の発生以来、大変な苦境の中、感染拡大防止のために営業の自粛に大変御協力をいただいている関係者の皆様の切なる願いと御期待に応えられるように、しっかりとした事業を展開していきたい、こう考えております。

伊藤(渉)委員 大臣、大変ありがとうございます。

 まず、目下の厳しい経営環境を乗り越えていくために、タクシー事業の宅配事業の延期を大変スピーディーに決めていただきまして、関係者の皆様も本当に安堵していると思います。

 また、大臣が答弁でおっしゃったとおり、この後の光が見えることで、今この厳しい局面を乗り越えていこうと、旅行にかかわる全ての事業者の皆様は、歯を食いしばって頑張っていただいております。そうした中で、今大臣の御答弁は本当に皆さんの励みになると思いますので、私も多くの関係者の方にお伝えをしていきたいと思います。

 続きましては、今回の法案審査であります道路法につきましてお伺いをいたします。

 まず一つは、特殊車両の新たな通行制度の創設について。

 これは先ほど宮内先生からも御質問がありましたけれども、一つ目は、審査日数、これの短縮はかねてから私も当委員会でも取り上げておりますけれども、物流の生産性向上にとって喫緊の課題であります。

 国交省を中心に、きょうまで道路情報の電子データ化を着実に進めてきていただいたおかげで、今回新たな通行制度の導入にこぎつけていただいている、そういうふうに承知をしております。大変画期的なことだと思います。

 この制度を物流事業者が利用するために必要な条件、いろいろ整備しておられると思いますけれども、現時点で想定していることについてお示しをいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正は、通行手続の迅速化を図ると同時に、過積載の違反を抑止する観点で導入したいと思っております。そのために、通行後に経路や重量の違反の確認が行うことができる車両に限って通行前の手続の簡素化を導入したいと考えております。

 そういう趣旨において、経路違反について事後に確認できるために、車両が通行した経路を自動で記録して、国がそれを通信によって収集できることにするために、ETC二・〇の車載器が搭載された車両であることを条件にしたいと思います。

 また、重量違反の車の事後の確認については、積載した貨物の重量が国で後で確認できるように、通行後には、荷主からの運送依頼書などの重量を証明できる記録を保存しておいていただくことを条件にしたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 また今後、そういう関係者の方にわかりやすく、法案成立後、事業開始までの間に周知をお願いしたいと思います。

 時間もあと残りわずかですので、あと二つをちょっと続けて御質問させていただきたいと思います。

 一つは、この新制度における今後の課題です。

 特殊車両が目的地とする場所は、新たな工事現場などということが多いんですね。その場合は、目的地にたどり着く、いわばラストワンマイルみたいなところは電子データ化されていない道路が大変多いと想定をされます。こうした場合は、目的地近傍までは新制度で経路を確認し、ラストマイルは現行制度で審査を受ける、このように両制度併用ができれば、従来より申請日数の短縮につながると考えますので、この点についてどうお考えかを一つお伺いします。

 もう一つは、やはり特殊車両の通行時間帯の条件緩和についてですが、現在、特殊車両には、夜間二十一時から六時の通行時間帯条件が付されております。これによって、例えば、現場では、六時までに目的地に到着して、その後、待機した後、積載物をおろして、二十一時以降に復路につく、こういうケースがたくさんあります。また、待機場所は、目的地周辺の路上に駐車をせざるを得ないというような状況もあるというふうにお聞きをしております。

 こうした状況を改善する一助とするために、これは事業者からの要望ですけれども、夜間の通行条件を、例えば十七時から朝の八時というように、少し長くするというようなことが国交省にも要望がされていると承知をしております。これらの実現に当たって、当然安全性などを確認しなきゃいけませんので、社会実験という形でデータ収集を行っていただけないか、この辺の現状認識についてお伺いします。

 以上、二問でございます。

池田政府参考人 お答えいたします。

 まず第一点目でございますけれども、今お話ありました、通行を予定する経路の中で、一部は電子データ化されているけれども、ラストマイルのように電子化されていない区間もあわせて入っているというケースがあろうかと思います。

 このような場合には、電子データ化されている区間については新たな制度を利用していただいて、電子データ化されていない区間のところについてのみ現行制度の許可をいただくというような運用を考えております。

 さらに、新たな制度の利用の際には、その二つを、同時の許可申請を受け付けることができるようにして手続の負担を軽減し、速やかに通行できるような工夫をしたいと考えております。

 二点目でございますけれども、一定の重量、寸法を超える車両が通るときに、同時に他の車両が、懸念のある橋梁を通行するときに、損傷を避けるために一台だけで通ることや、交差点で大きい車が曲がるときに対向車と接触する危険を回避するために、これもその当該車両だけで通行するような、こういうことを条件にする区間がありまして、そういうような条件をつけると、他の車両に待ってもらうというようなことで一時的に交通障害になりますので、できるだけ交通量の少ない、今は二十一時から翌朝の六時までに限った通行にしておるというところでございます。

 このようなことで、夜間の通行に限定していただいておりますけれども、今お話ありましたように、事業者から、長時間の待機時間が生じるなどのことで、何とかこれをもう少し長くできないかというような要望もいただいております。

 この限定の趣旨が先ほど申しましたようなことですので、市街地の交通や通勤の混雑への影響から、一律には難しいかとは思いますけれども、いろいろな事業者や地方公共団体や交通状況を見まして、例えば交通への影響が少ない区間についてはもう少し通行の時間の延長をできないか、そういったことについて検討してまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

土井委員長 次に、広田一君。

広田委員 立国社の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは道路法等の改正の審議でございますが、私も、前半、お許しをいただいて、新型コロナウイルス対策について何点かお伺いをしたいと思います。

 まず、道路とは逆になって恐縮でございますが、航空関係についてお伺いをしたいと思います。

 国の内外を問わず、人流、物流を活性化し、経済活動を活発化させることが、島国である日本が国際社会を生き抜き、世界に類を見ない人口減少、少子高齢社会を乗り越える要諦でもあります。そのために、航空関連産業の果たす役割は極めて重要であります。

 今般の新型コロナウイルスの影響で、国際線、国内線ともに需要が大きく減退をしております。私もふだん利用させていただいております高知―東京間も、通常は一日往復二十二便だったのが、今や四便に減便をされております。

 定期航空協会の資料によりますと、ことしの二月から五月までの四カ月間で約五千億円以上、年間では一兆円規模の減収というふうな資料がございました。最近では、ANAホールディングスの片野坂社長さんによれば、これが今は二兆円規模になるとも言われております。つまり、公共交通の中でも減収額は極めて甚大であります。

 この実態を踏まえまして、今般の緊急経済対策として、空港使用料等の支払い猶予、航空機燃料税も含めた国税、地方税の納税猶予、政投銀からの緊急融資などが講じられているわけです。これは一定評価するところであります。

 その上で、若干具体的にお伺いをいたします。

 今回の減便で、燃料であるとか着陸料、そして保安料といったものについては、それ自体が大幅に減少をしております。一方で、飛行機が飛んでいないので、停留料などはふえているかもしれません。

 今年度の予算を見てみますと、航空機燃料税が五百四十七億円です。また、空港使用料が二千四百九十九億円計上されているわけでありますけれども、そもそも、新型コロナの影響で予算の減額が見込まれる中で、今回講じられたいわゆる猶予というのは実際どれぐらいの額になるというふうに見込まれているのか、この点をお伺いをするとともに、経済対策として、公租公課とはいっても、ほかの税であるとか社会保険料同様に、航空業界に特有の航空機燃料税とか空港使用料なども同様に支払い猶予にした理由は何か、あわせてお伺いをいたします。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員からお尋ねのありました件でございますけれども、まず、空港使用料等につきましては、令和二年度の予算ベースで約二千五百億円、御指摘のとおりです。航空機燃料税につきましては、同様のベースで約七百億円が見込まれているところでございます。

 この実際の猶予額でございますけれども、これは各社の運航状況等によって決まるということでございまして、減便などがございますので、現時点でそれを正確に見積もることは困難でございますけれども、空港使用料等につきましては半年間の猶予を実施、それから、航空機燃料税につきましては一年間の猶予が受け得るということで承知をしてございます。

 それから、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、先行きが見通せない中、航空業界におきましては、資金繰り、これが最大の課題となっています。そのため、今般の緊急経済対策におきましては、空港使用料等の支払い猶予や航空機燃料税を含む国税、地方税等の納税猶予の特例により、資金繰り負担を軽減することといたしたところでございます。

 引き続き、今後の状況を注視しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

広田委員 まず、今回の猶予額について、これは定かではないというふうな御答弁があったんですけれども、しかし、政府は、今般の緊急経済対策で事業規模が百十七兆円なんだ、これは世界最大級なんだというふうに言っており、その緊急経済対策の項目の中にも、資金繰りの中で、今般のこの猶予というのが含まれているはずであります。

 そうであるとするならば、この猶予額が一体幾らになるのかというものがなければ、政府が言っている緊急経済対策の規模感すら、その前提が疑われるわけでありますので、猶予額がわからないというのは、これは私は問題だというふうに思いますし、もし半年間であるとか一年間ということであれば、やはりそれに基づいてしっかりとした猶予額というものを出すというのが責任じゃないかというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになってしまいますけれども、実際の猶予額は各社の運航状況によって決まるということでございまして、減便の状況も日々刻々と変わってきているというような状況でございます。

 先ほど申し上げましたように、空港使用料等につきましては、予算ベースでは二千五百億円、これを半年猶予するということでございますが、ここからどのぐらい減便するかによって実際の猶予額が決まってくると思いますし、航空機燃料税につきましても同様の考え方でございます。

広田委員 そうすると、確認なんですけれども、先ほど言いましたように、今回の政府が行った緊急経済対策の百十七兆円の中に、この航空機燃料税とか空港使用料、こういったものが額として含まれていないという理解でよろしいんでしょうか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 規模としては含まれております。このほか融資なども含まれておりまして、日本政策投資銀行による危機対応融資の枠、これは航空以外の業種も含めまして全体で五兆円の計上ということでございますので、この内数の中に入っているというふうに承知をしております。

広田委員 内数の中に入っているんだったら、なぜ猶予額を示せないんでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたとおり、各社の運航状況が日々刻々と変わっているので、今の時点で正確に猶予の額が幾らというふうに申し上げることができないというふうに申し上げているところでございます。

広田委員 私は、猶予額を推計ですら示せないというのは、これは極めて問題だというふうに思います。

 さまざまな前提条件等を付すのは仕方ありませんし、局長御答弁のように、今後どうなるか見通せないというのはよく理解できます。ただ、さはさりながら、こういった本当に数百億円規模の話になるわけでございますので、幾つかの前提を置いた上でも、やはり猶予額が一体幾らになるのかということを示す責任が私はあるのではないかというふうに思います。

 ぜひともその試算をやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 さまざまな前提を置くことによってどのくらいの猶予額になるかという計算はできますので、日々の減便状況を踏まえながら、航空会社の経営状況も踏まえ、どのくらいの影響があるのか、これを把握するような努力をしたいと考えております。

広田委員 ぜひよろしくお願いします。

 そして、もう一点お伺いしたいんですけれども、空港使用料についてなんですが、これは海外の航空会社にも適用されるんでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 海外の航空会社にも着陸料等の猶予は適用されることになっております。

広田委員 そうしますと、今回の支払い猶予が外国の航空会社にも適用されるということになれば、日本以外の国が、航空会社に対して、海外においては今使用料の減免措置をとっているわけであります。そういうふうに実施をしている場合、日本の航空会社を含めた他国も減免の対象になっているとするならば、日本は今は減免ではなくて支払い猶予であるというふうな観点に立つと、海外とは、不公平感というのが出てくるのではないでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 諸外国におきましても、空港使用料や租税等の猶予や減免などの支援策を講じているところでございます。

 各国、これは、それぞれの国が置かれた状況によって、均一な措置を講じているわけではございませんので、諸外国の例も参考にしながら、我々も必要な対策を考えていくということにしたいと考えております。

広田委員 その現状については私も理解をするところではございますが、私が質問をしているのは、日本の航空会社が海外においては減免措置を受けている一方で、日本においては海外の航空会社は支払いの猶予にとどまっているということを考えたら、これは不公平になるんじゃないかというふうに聞いているんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国における支援措置も、各国、それぞれまちまち、ばらばらでございますので、先生御指摘のように、競争力という観点からの検討も含めて我々支援策を考えていく必要があるというふうに承知をしております。(広田委員「質問に答えていないです」と呼ぶ)

土井委員長 もう一度、広田君。

広田委員 海外の事例等も勘案しながら、また日本の航空会社の財務内容等も検討して今支払い猶予というふうな措置を講じているというのは理解できます。それは理解できるんです。しかし、国際社会、そして海外の国は、先ほども申し上げたとおり、着陸料については減免をしており、また、日本の航空会社も、額はともかくとして、その恩恵をこうむっているわけであります。しかるに、一方で日本の場合は、海外の航空会社は支払い猶予にとどまっているわけでありますから、そういう観点に立つと、国際的に見るとこれは不公平感が出ているのではないかなというふうに私は思うんですけれども、これが不公平でないとすれば一体どういう意味なのか、教えていただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 航空会社が置かれている状況が日々刻々と変化をしてまいります。これはまた各国によって状況が異なるということでございますので、先生御指摘の競争力という視点も含めて今後の対策を考えていくということになると思います。

広田委員 ぜひ、諸外国の取組、特にイコールフッティングの観点も出てくるかというふうに思いますけれども、そういった中で、比較考量しながら今後取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そこで、赤羽大臣の方にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、これまでの議論を踏まえまして、大臣自身、会見などでも、事態が長期化し、更に事態が悪化した場合、資金繰りの状況を踏まえて、さらなる支援策について総合的に検討し、適時適切に対応するというふうにしていますけれども、大臣の言うこの更に事態が悪化とはどういう事態を想定をされているのか、そして、さらなる支援策とは具体的にどのようなことを検討されているのか、お伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 各航空会社は、今、広田委員御指摘のように、この新型コロナウイルス感染発生からまた拡大の状況の中で、便数、旅客数とも大変大幅に激減しておる。特に、ゴールデンウイーク期間中、繁忙期のはずの期間も前年比で約九六%減となるなど、大変厳しい経営状況だということは御指摘のとおりだと思っております。

 こうした中で、緊急対策に基づいて、今局長が答弁したとおりの支援策を講じているわけでございますが、この状況が更に長期化するといったことが続くと、各航空会社とも、大変な状況が更に厳しい状況になるということでございますので、これは本邦の各航空会社としっかり対話を重ねながら、何が必要なのか、恐らく大型の融資が今一番必要だというようなことは承知をしておりますので、そうしたことも踏まえて、各航空会社の資金繰り等を注視しつつ、どのような追加支援策が必要なのかということをしっかりと、航空会社の立場に寄り添いながら、できる限りのことを精いっぱいやっていきたい、こう考えております。

 加えて、先ほどちょっと、局長とのやりとりでありますけれども、着陸料の支払いのことですけれども、多分、局長の答弁と少しすれ違ったと思いますが、このことは、別に国際ルールとして、相対主義というか、相手側が減免をしているからこちらも減免しなければいけないといったルールがあるというふうには承知をしておりません。そのことによって競争力がどうかということにつながるので、そのことで海外のエアが逃げてしまうというようなことがあることを踏まえて、どう対策をとるかということだというふうに思っております。

 加えて、内外無差別というのは、例えば今回の我々の国の措置が、本邦の航空会社だけやって海外の航空会社に対してとらないというのは、これはまずいということで、同様の対策をとっているということだと思っております。ちょっとあえてつけ加えさせていただきたいと思います。(広田委員「さらなる支援策は」と呼ぶ)

 さらなる支援策につきましては、しっかりと、長期化の状況も踏まえながら、何が必要なのか、今のところはやはり緊急の融資が重要だということは伺っておりますけれども、今後の展開の中で、何が必要なのかということ、何ができ得るのかということはしっかりと検討しながら適時適切な対応をしていきたい、こう考えております。

広田委員 更に事態が悪化したということについては、これが長期化をするというふうなことでございますけれども、大臣、まず、この長期化というのは、具体的に何カ月というふうなことを考えられているのかどうか、これを確認したいというふうに思います。

 そして、さらなる支援策、大型の融資について言及されたわけでありますけれども、確かにこれは必要だというふうに考えます。一方で、やはり、国土交通省としてできること、国土交通省の判断と責任でできることもあろうかというふうに考えるわけでございます。

 先ほどの猶予のことから更に一歩踏み込んで減免というふうなところまで行くのかどうか、そういったことも検討の選択肢としてあるのかどうか、この点について確認をしたいと思います。

赤羽国務大臣 今の段階で具体的なことを検討しているわけではございませんが、いつまで長期化するかという状況もわかっておりません。

 新規の今の感染状況というのは若干おさまってきていると思いますが、そうしたことが急速に航空の需要回復につながるかどうかというのはまだ見通しができないところでございますので、この需要の回復を見ながら、また、航空会社それぞれの体力もしっかりと、彼らからの要望をしっかり聞きながら、でき得ることはしっかりと検討して、必要であれば万全の対策をとっていかなければいけない、こう考えております。

広田委員 もちろん万全の対策というふうなものはとっていただきたいなというふうに思うんですけれども、今回私が質問しているのは万全の対策の中身でございますし、大臣がおっしゃったように、さらなる支援策というものが融資以外にないのかどうか、減免も含めたさらなる支援策というのも選択肢にあるのかどうかというふうなことであります。

 特に、国税を使用した減免を考える際には、自国の航空会社を支援するということを最優先に考えるんだったら、やはり日本のみが負担をしております航空機燃料税、こういったところの減免に私は取り組むべきだなというふうに思っております。

 だから、そういった意味で、やはり、先ほどのゴー・トゥー・キャンペーンの話じゃないですけれども、先、先を読んでこの事業については準備し取り組むというふうにおっしゃっているのであるとすれば、私は、航空会社に対する支援策というものを、先、先を読んで、どういった具体的な支援策があるのかということを検討し、それをこういう国土交通委員会の場で議論するということが重要だというふうに思います。

 具体的に質問しておりますので、大臣の方からも具体的に御答弁をいただければと思います。

赤羽国務大臣 具体的な御要望が航空会社から今出ているわけではございませんし、また同時に、今委員が言われたような空港使用料にしても航空機燃料税にしても、その使い道は空港整備に使われるわけでありまして、そうしたことも、それを猶予、また更に一歩踏み込んで減免みたいな話になっていけば、当然、空港整備の方にも支障を生じるわけで、そうしたことも総合的に勘案をして対策をとるというのが大事なんだと思っております。

 当事者の航空会社との具体的な話合いがされる前に、仮定の話でこうした委員会で議論するというのは、私はちょっと適当なのかどうかというふうに思っております。ですから、事態が仮に長期化をする、状況が更に悪くなるといった段階の中で、航空会社にとって何が必要なのかということをしっかりとヒアリングをしながら、我々としてできる限りの万全の対策をとりたい、これが基本的な姿勢だということを、今できる答弁としてはそれだけでございます。

広田委員 大臣、最後に確認なんですけれども、日本の航空会社も財務内容というのはいろいろあろうかというふうに思います。それについてはぜひつぶさに検討していただきたいなというふうに思うのと同時に、やはり、先ほど申し上げたとおり、航空機燃料税の減免等も含めて、これは検討の選択肢にあるのかないのか、この点だけ最後確認をしたいと思います。

赤羽国務大臣 同じ答弁になって恐縮でありますけれども、現時点で、そうした仮定の話で私は答弁することはできないということでございます。ですから、あるともないとも、大変申しわけないんですけれども、今の時点でお答えすることは適当ではないと思います。

広田委員 私は、仮定の話ではなくて、日々刻々と変わる状況を考えたら、あらゆる事態を想定をして検討すべきだということを強く要請をしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは次に、バスの車両等のリース代の負担軽減についてお伺いをしていきます。

 新型コロナウイルスについて、やはり固定費を一円でも安くするという観点に立てば、今、例えば家賃の減免支援ということについて与野党で協議をして、本日の政府、与党、野党の連絡協議会においてもこの点が議論されるというふうに承知をいたしております。

 そういった中で、バス事業者であるとか卸業の方にこの固定費に関してお聞きをしますと、バスや運送車両のリース代、これが一番きつい、これが厳しいとの声が上がっております。

 あるバス会社に現状を聞くと、無利子無担保の融資で借金をした資金で賄っているそうでありますけれども、手元流動性を確保する観点から支払いの先延ばしができればとの要望が出ております。

 また、ある卸業の方に聞くと、家賃と車両のリース代はほぼ同じ金額だそうであります。家賃については大家さんが二カ月間半分にしてくれたそうでありますけれども、一方、リース代はそのまま支払っているということであります。

 このような声が上がっていることは国の方も百も承知でありまして、三月九日には経済産業省としてリース業界に文書で要請して、国土交通省もそれを受けて三月二十五日に通知を出しているところでございます。

 このリース料の一定期間の支払い猶予や一時的な減額についての要請に対するリース業界の対応状況をどう認識し、評価しているのか、お伺いをいたします。

島田政府参考人 リース事業についての御質問に対してお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、最近の新型コロナウイルスの感染症の拡大に伴いまして、バス事業等を営む中小企業等の資金繰りに重大な懸念が生じているというふうに認識しているところでございます。

 こうした状況を踏まえ、委員御指摘されておりましたが、三月の上旬に、リース業の業界団体でありますリース事業協会、それから日本自動車リース協会連合会に対しまして、リース料の支払いの猶予等の申込みが企業等からあった場合には柔軟かつ適切に対応するよう、文書で要請をしたところでございます。

 現在、バス事業者や運送事業者を始め、各地で中小企業等から、一定期間の支払い猶予あるいは支払いの一部繰延べといった要請なりの相談が寄せられておりまして、リース事業者においてもこれらについて既に対応しつつあるというふうに聞いているところでございます。

 今後も引き続き、事業者へのこういった内容の再周知も含めて、国土交通省としっかりと連携をしながら、中小企業者の経営に寄り添ってまいりたいと考えてございます。

広田委員 それぞれ相談等が来ていることについては承知をしているということでございますけれども、数字的に実態把握をしているのかというふうに問われたら、これはなかなか難しいんだろうというふうに思います。

 そこまでは現時点では求めませんけれども、ぜひお願いしたいのは、このことが、これは国交省ともぜひ連携してやってほしいけれども、周知徹底がまだなかなかなされていないのではないかなというふうに思います。少なくとも社長さんレベルだと、こういったことがなされている、要請がなされていること自体、知らない方もまだまだ結構いらっしゃるのが実情ではないかなというふうに思います。

 通知を出してから一月以上たっているわけでございますので、さらなる周知徹底、これを行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

島田政府参考人 委員のただいまの御指摘もしっかりと踏まえまして、先ほども申し上げましたが、中小企業者の経営がしっかりと進めていけるように寄り添ってまいりたいと思っております。

広田委員 済みません、中小企業事業者の皆さんに寄り添うということは、まずその大前提として、こういった減免また猶予等の周知をしているということをやはり知っていただくということも、それが初めの一歩に私はなるんだろうというふうに思いますので、寄り添うということは、この周知徹底というものを更に進めていくというふうな理解でよろしいんでしょうか。

島田政府参考人 関係事業者の皆様への再周知も含めて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

広田委員 しっかりと取り組むということでございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 それでは、道路法第十七条第七項に関連してお伺いをいたします。

 この規定は、国による地方管理道路の災害復旧等を代行できる制度の拡充についてでありますけれども、今回の改正は、指定区間外国道、つまり三桁国道の道路啓開並びに都道府県道、市町村道の道路啓開、災害復旧について管理の特例の規定を設けて、自治体からの要請に基づいて、災害の規模なんかを問わず、対象範囲をそれぞれ全線に拡大した内容であります。これは、自然災害の頻発化、激甚化を踏まえれば、私は適切な対応であるというふうに考えております。

 最近の地方管理道路の災害復旧などの代行事例を見ますと、令和元年の台風十九号では、道路法第四十八条に基づいた道路啓開が一件、大規模災害復興法第四十六条に基づいた災害復旧が六件の計七件であります。

 そのうちの一つに、相模原市の国道四百十三号線がございます。ここは八カ所被害に遭ったわけなんですけれども、そのうち二カ所を国が代行をいたしました。二十四時間体制で迅速に対応していただいたそうで、かつてこの国土交通委員会にも所属をしておりました本村賢太郎市長も、とても感謝をしていたところでございます。

 このように、代行制度に対する評価は高いと考えます。

 そこでお伺いしたいんですけれども、この令和元年の台風十九号では一体どれくらいの地方自治体から要請があったのか、これについてお伺いをするとともに、これまで激甚な災害に限定していたものを、今回の改正によりまして、災害の規模などは問わないことになります。そうしますと、ハードルが下がる一方で、要請対象の災害というものが大きく広がるわけでありますので、地方自治体からの要請件数というのは増加をしていくのではないか。そうした場合に、そういった要請の増加に対応する迅速な代行を実施するための体制整備が課題になってくるというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 令和元年の台風十九号の災害におきましては、発災後、被災した地方公共団体に対しまして、権限代行の要請の有無を照会いたしました。この際には、地方公共団体から六カ所の代行の要請がございまして、この六カ所全てについて国が代行して復旧を行うこととしております。

 今お話ありましたように、今回の道路法改正で、都道府県道や市町村道まで道路法に基づいての迅速な代行の採択ができるようになるということから、これまで以上に地方公共団体の要請が増加するということを念頭に置いております。その代行制度を迅速かつ適切に運用することが重要と考えております。

 そのために、災害時には、現在も、発災しましたら、地方公共団体に対して地方整備局からリエゾンを始めとするTEC―FORCEを派遣して、早い段階から被災状況を集約しまして、想定される代行事業を見きわめていくというようなことをやっておりますけれども、これまで以上にこのTEC―FORCEを始めとする体制を、迅速かつ的確な代行整備のためには強化していく必要があるというふうに考えておりまして、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 また、施工業者との間でも事前に協定を結んで、発災したときに速やかな対応をしていただいておるところでございますけれども、協定を締結することだけではなくて、日ごろから訓練を通じてこの協定業者さんとの連携をより強化して、迅速な対応をしていくようにこれからも努めてまいりたいと思います。

広田委員 実績としては六件の要請があって、その全てに対応したということであるとすれば、これからハードルが下がるわけでありますので、要請件数がふえる。その要請に対して全て応えようとすると、やはり先ほど申し上げたような課題等々について、ぜひ適切な対応ができるような体制整備を進めていただければなというふうに思います。

 そして、今回の改正によって、指定区間外国道の道路啓開、都道府県道と市町村道については道路啓開と災害復旧について、改正道路法第十七条の第七項の管理の特例規定によって、災害の規模などを問わず対象範囲を全線に拡大をしたところであります。

 一方、三桁国道の災害復旧につきましては、既に災害の規模などは問わず補助国道全線を対象にした道路法第十三条第三項の規定があるわけでございますけれども、今回の改正で管理の特例としてこの部分が整理されなかったのはどういった理由なんでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたように、指定区間外の国道の災害復旧の工事の代行につきましては道路法第十三条の規定がございます。

 この指定区間外の国道の復旧工事代行でございますけれども、国道の維持、修繕その他の管理を定めたこの第十三条に関係しているということではありますけれども、一方で、今回改正いたします、地方管理道路に関する道路啓開、災害復旧に関する工事の代行を定めた第十七条第七項、こちらにも関連性、両方に関連性があるということは御指摘のとおりであると思います。

 一方、この第十三条は、昭和二十七年に道路法が制定されたときからございまして、国道に関する規定の中に位置づけられて、広く地方公共団体にも定着をしているということもございますので、今回は、指定区間外の国道の災害復旧に関する代行の規定につきまして十三条の方に残しまして、改正には入れないことにしたところでございます。

広田委員 この管理の特例の改正は、先ほどお話があったように、地方自治体の要請があれば今回迅速に代行できるようにするということが、ある意味肝の一つなんだろうというふうに思います。

 この道路法第十三条第三項には、これは都道府県からの要請という規定は私はないというふうに理解をしているんですけれども、こういった場合は、三桁国道の災害復旧についても、やはり地方自治体側からの要請に基づいて災害復旧をするというニーズがあるのではないかなというふうに私は考えるわけであります。

 ですから、地方自治体からの要請ということを含めた三桁国道の災害復旧というふうなところについてはどの規定で読むのか、これについてお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 現在、指定区間外の国道の災害復旧工事は十三条の規定でございます。

 実際に災害が起こったときに、今御指摘ありましたように、地方公共団体からの要請というのは代行業務を判断するときの重要な材料だと思っておりますので、先ほど言いましたように、体制の強化もしてしっかりと見きわめて、そういう要望を把握した上での判断をしたいと思っておりますけれども、この十三条で既に指定区間外の国道の災害復旧は位置づけられておりますので、あえてそれを十七条の方に移すということについては今回改正の中に取り入れなかったということでございます。

広田委員 時間が参りましたけれども、ちょっとよくわからないんです。

 今回、十七条第七項でははっきりと、要請があって、それに基づいて代行業務をやると。しかしながら、第十三条第三項にはその要請という文言がないんですよ。ここだけちょっとすっぽり抜け落ちている。

 ただ、昭和二十七年からの規定で定着しているんだから云々という話があるんですけれども、それは理解するとしながらも、せっかく網羅的に要請に基づいて迅速な代行をしていこうというのが今回の法改正の趣旨であるとすれば、私は、この第十三条第三項の規定についてもしっかり要請という文言を入れるなりして整理をすることが、より一層法律として適切ではないかなというふうな観点から質問をさせていただきましたので、この点を含めて、ぜひ運用面でそごが生じないように取り組んでいただきますように強く要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 立国社、国民民主党、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、今般の新型コロナウイルス感染症によりまして亡くなられた皆様に心からお悔やみを申し上げ、罹患されている皆様には一日も早い御回復をお祈りをいたします。

 また、医療関係者を始め、今、国民生活を、感染症の罹患の危険性と戦いながらも日々御尽力いただいている全ての皆様に感謝を申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。

 本日は、道路法の一部を改正する法律案の質疑でございますけれども、私も、お許しをいただきまして、前半、新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねをさせていただきます。

 まず、私の地元長崎市におきまして、停泊中のイタリア船籍の大型クルーズ船コスタ・アトランチカ号から、四月二十日に初めて陽性者が確認されました。

 この船籍には、乗客の方は一人も乗っておられないんですけれども、乗務員の方が、日本人二名を含む六百二十三名の方が乗船をされておりました。そのうち百四十九名の方が陽性者と判明をいたしております。

 発生時より、国土交通省を始め厚生労働省、外務省、そして防衛省・自衛隊の皆様、関係各位には、早速現地に入っていただきまして、今日まで多大な御尽力をいただいておりますことに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 また、地元におきましても、当初の検体採取を始め全面的な医療支援をいただいている長崎大学、また検視の当局、医療関係者の皆様、また御尽力いただいている全ての皆様にも心から感謝を申し上げます。

 今回、六百二十三名という多くの乗務員の方の検体採取、そして陽性、陰性の判断がわずか四日弱でできましたのは、長崎大学の熱帯医学研究所という研究所の全面的な支援、そして自衛隊の皆様が検体採取に御協力をいただいたお力だったと思っております。また、この陰性、陽性の判断につきましては、PCR検査ではなくて、長崎大学が開発しました蛍光LAMP法の器材を使いまして行ったということでございます。

 自粛要請を船に出して以降、クルーの交代などで下船された方がおられたということで、大変、長崎市民、近隣にお住まいの住民にも大きな動揺や不安が広がり、また、陽性者が多数出たということで、万一その中で多くの方が重症化した場合に、長崎の医療体制への懸念も大変大きいものがございます。

 ただ、さまざまお力をいただきました御尽力のおかげで、既に帰国された方が陰性の方で二百十七名、きょうも五名の方が帰国されると伺っております。陽性のうち入院されている方は現在五名でございまして、今船内に四百二名の方がおられ、その内訳としては、陰性者二百五十八名、陽性者百四十四名となっております。

 これまでの国土交通省のお取組、そして今後の見通しも含めまして、御説明をいただけることがあればよろしくお願いいたします。

大坪政府参考人 長崎市内の三菱重工業長崎造船所に二月以降停泊中のクルーズ船、コスタ・アトランチカ号では、百四十九名の陽性が確認され、うち五名が入院中と聞いております。

 本件の対応につきましては、我々、関係省庁とも連携しながら長崎県への支援を行っています。国土交通省としては、船舶の技術や運航に知見を有する立場から、長崎県庁へ職員四名、また船会社の日本支社へ職員二名を派遣し、長崎県、船会社などとの連絡調整を行っています。

 これまで、陰性判明者の早期の帰国につなげるため、外務省などと連携し、クルーズ会社による帰国便の手配等に関する支援を行いまして、きのうまでに二百十七名が下船しています。

 今後についてですが、引き続き、陰性判明者の帰国の支援を行っていくとともに、陽性判明者のうち十四日間の健康観察期間を終えた方の帰国、それから本船の早期出港についても関係省庁と連携し適切な対応を行ってまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 この発生につきましては、さきのダイヤモンド・プリンセス号に続く大型クルーズ船の集団感染という事態となったわけでございますけれども、ダイヤモンド・プリンセス号における対応につきまして検証の必要があるという議論があったところではございますけれども、船内の空調の問題も含めて現在検証が続けられていると聞いております。全て乗務員は今個室におられますけれども、陰性者と陽性者が同じ船内にいるということの感染拡大の危険性のリスクというものがやはり心配をされます。

 今回、ダイヤモンド・プリンセス号での検証結果や知見を生かして対応していただいていると思いますが、この件について御説明いただくことがあればお願いいたします。

大坪政府参考人 ダイヤモンド・プリンセス号への対応を踏まえたクルーズ船の感染症対策については、今後、政府全体でしっかりと検証されるものと承知しています。国土交通省としては、この一連の検証を通じて、必要な安全対策を検討してまいりたいと考えています。

 今回の長崎の事案への対応につきましては、我々国交省としては、ダイヤモンド・プリンセス号のときに当時船会社の日本支社に派遣していた複数の職員を、同じ人を今回長崎県に派遣しておりまして、ダイヤモンド・プリンセス対応の経験を生かすようにしております。

 具体的には、停泊中のクルーズ船において発電などの必要な機能を維持するために、そのための対応に関する助言、また、陰性の船員の速やかな下船など、一連の作業が円滑に進められるように、関係省庁や関係事業者との連絡調整を行っております。

 引き続き、関係省庁とも連携し、適切な対応を行ってまいります。

西岡委員 乗務員の方が無事に帰国をされ、そしてまた市民生活にも安心が戻るように、引き続きの御尽力をお願いしたいと思います。このクルーズ船における感染症対策については、インバウンド政策においても大変今後の大きな課題であるというふうに思いますので、ぜひこのことについてのお取組も引き続きよろしくお願いいたします。

 次に、五月四日に、六日までとされていた改正特措法に基づく緊急事態宣言が三十一日まで延長されることとなりました。

 政府は、一週間感染者がゼロの県は十四日の専門家会議の意見を聞いて解除できる可能性、また、感染拡大地域十三県も要件を満たせば認める可能性があるということに言及をされました。

 緊急事態宣言延長や解除の基準というものが国民に対して明確でない中で、大変出口が見えにくい状況が国民にとってはあるというふうに認識をいたしております。

 一気に警戒が緩んで、また感染が拡大するという懸念もあるわけでございますけれども、今回の延長を受けて、大臣の所感と今後の取組について、大臣よりお話をいただければと思います。

赤羽国務大臣 五月四日の政府の対策本部におきまして、全都道府県を対象に緊急事態宣言が五月三十一日まで延長されて、あわせて基本的な対処方針が変更されました。

 この変更された基本的対処方針に基づきまして、同日、省内でも対策本部を開催して指示をしたところでございますので、その内容について簡潔に答弁させていただきたいと思います。

 まず、基本的対処方針におきましては、十三の特定警戒都道府県とそれ以外の三十四の特定都道府県とでは取組の強度に差異があるということは認めつつも、基本的には、引き続き外出の自粛を求めているところでございます。

 特に、都道府県をまたぐ人の移動については引き続き自粛を促す必要があるというふうな観点から、国交省でこれまで、ゴールデンウイーク期間中も含めて、空港や鉄道駅等でまず広域的な移動自粛の呼びかけを行う。また、高速道路の土日祝日三割引というのを適用しない、適用除外とする。また同時に、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアのレストランですとか土産物店の営業自粛を要請する。また、主要空港でのサーモグラフィーの設置などで、発熱者については御搭乗を自粛を要請、お願いをする。こうした取組を進めてきましたが、今回の宣言によりまして、引き続き、こうした措置も五月三十一日まで実施を継続するということを決定をし、徹底をさせていただいたところでございます。

 また、接触機会の低減という部分につきましては、国交省は、交通、物流、また、ホテル、宿泊、公物管理、公共工事等、緊急事態宣言時に事業の継続を求められているという分野がございまして、こうしたところの現場勤務につきましては、感染拡大防止策をしっかりととっていただきながら事業の継続に取り組んでいただく。しかし、他方で、こうした事業でも、オフィス勤務につきましては、出勤者数の七割削減を目指してしっかりと感染拡大防止に努めていただくということも徹底させていただいたところでございます。

 更に加えて、今回の基本的対処方針に盛り込まれております各事業者、関係団体において、感染防止のガイドラインの作成ですとか、また同時に、公共交通や物流の機能の維持をどうしていくのかといったことも踏まえて、よく事業者の皆さんと意思疎通を図りながら対応策をとるようにということを指示を行ったところでございます。

 いずれにしましても、緊急事態宣言の期間が延長されて厳しい状況が続いているわけでございますが、この五月三十一日までの一カ月間で必ず、全国の感染拡大の収束に向けた重要な一カ月間と認識をして、全省、気を引き締めながら、緊張を持って取り組んでいきたい、こう考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 引き続き大臣にお尋ねをいたします。

 先ほど広田委員からも言及がございましたけれども、今、この緊急事態宣言の延長を受けまして、休業要請の影響で、またそれ以前からの減収の影響で、飲食業を始めとして、店舗、事業所の家賃を払うことができない事業者が急増をしている現実がございます。家賃については、本当に待ったなしの状況になっていると認識をいたしております。全野党で、四月二十八日に事業者家賃支払い支援法案を既に提出をいたしております。

 報道によりますと、自民党、公明党、それぞれ与党案をまとめられて与党で合意されたという報道もございましたけれども、なかなかやはり、この対策、政策によっては、この政策から漏れてしまう、支援が受けられない業者様がたくさん出ることが予想されますので、私たちが提出をしている野党案も含めまして、それぞれのいいところを集約をいたしまして、与野党一致で早急に、幅広く多くの皆様に支給が届く法律をぜひ成立をさせていただきたいというふうに考えております。

 きょうも政府・与野党連絡協議会が予定をされておりますけれども、大臣にも政府の一員としてぜひ力強い御尽力をお願いしたいと思いますけれども、野党案への見解も含めて、大臣の御所見をもしいただければと思います。

赤羽国務大臣 私ごとでありますけれども、私は実家が小さなパン屋で育ちまして、賃料を払いながらの小さな商売というのは、平時から固定費というのは大変負担が大きい。いわんや、この新型コロナウイルスの拡大の中で、売上げ、収益とも激減を続けているこうしたテナント事業者の皆さんにとって、こうした月々の固定費である家賃の支払いというのは死活問題につながっていると、大変切実な声も数多く伺っているところでございます。

 こうしたことを受けて、国交省としては、これまで、三月三十一日に、まず、賃料についてはぜひ、国交省ですから、どうしてもテナントというよりオーナーサイドに対して、しっかりと減免とか猶予を含めて柔軟な対応をしていただきたいと。オーナーとテナントというのは私たちはやはりパートナーだと思っておりますので、そのパートナーが両方ともつらい中で生き続けられるようにということで、しっかりと対策を行っていただきたい。

 同時に、オーナーサイドも、身銭を切るだけじゃ大変だということで、四月の十七日には、一応、パッケージ施策として、賃料減免や猶予に応じたビル、店舗の賃貸事業者への支援策として発表させていただいたことがございます。一つは、賃料の減額分につきましては税務上の損金算入を認めること。もう一つは、国税、地方税、社会保険料、これを一年猶予すること。そして、特に、固定資産税と都市計画税につきましては、令和三年度でありますけれども、全額又は半額の免除を行うこと。そして、金融庁から金融機関に対しては既往債務の返済猶予等の要請をされているということを周知して、それをしっかり活用して、現場でテナントの皆さんとしっかりと賃料についての話合いを進めていただきたいということをお願いしてきたところでございます。

 そうした中で、大手のテナントについては、相当早くから、クローズする、そうした段階で賃料についての減免については対策が講じられているというふうに承知もしておりますし、中小ですとか地方でも、やはり大変厳しいところから、賃料の半額とか、猶予、減免といったことがぼつぼつ出てきたという状況の中で、全国の地方自治体でも、多分四十余りだと思いますが、現状で、独自の取組がされているというふうに承知をしております。

 こうした地方の取組は、それぞれの地域実情、それは相当さまざま、東京と地方では賃料の水準も相当違いますので、それぞれの地域事情に応じた支援策を用いていただく。そうしたことについては、国としても、地方創生臨時交付金なんかを使いながら、現場での話合いが円滑に進むようにしっかりと応援していかなければいけないということを考えているところでございます。

 こうした中で、国会において、与党、野党それぞれが、この家賃問題、多分、本来は現場のオーナーとテナントの皆さんの話合いが進んで、それに地方、国が応援するということは、私は望ましいと個人的には思っておりますが、それ以上に加速させるために、より踏み込んだ支援策をということで、与党、野党それぞれが対策を用意されているというふうに、これは報道で承知をしておりますので、そうしたことが速やかに国会の場で議論されて、最終的には、現場で漏れなく、家賃、賃料の支払いに苦しまれている方が一人でも多く救われるような状況を国交省としてもしっかりとサポートしていかなければいけない、こう考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 さまざま、各党、いろいろな状況を踏まえて政策を練り上げていただいていると思いますけれども、やはり貸付けが前提という制度ですと、厳しい方にとっては本当に大きなハードルだと思いますので、幅広く多くの方が支援を受けられるという方向でぜひ取りまとめをお願いをしたいと思います。

 時間的に大分迫ってきましたので、コロナ対策についてはあと一点お伺いをさせていただきます。

 最近、地震が多発いたしておりまして、また、梅雨の時期も迫っております。いつどんな災害が起こるか予見できない状況でございまして、御承知のように、避難所はまさに三密の状態でございます。こういう状況の中では、避難指示の出し方も従来とは異なる状況も想定しなくてはなりませんし、避難場所を分散化することも大変重要ですし、自宅にいながら、自宅の中で避難をするということも今まで以上に考えていかなければいけない局面が出てくると思います。

 その場合、やはりハザードマップで自分の住まいがどのようなリスクがあるかということを従来以上に知っておくことが大変重要だと思いますし、そのための広報活動も大変重要だと思います。今、内閣府防災担当の方で既に取り組まれていることも含めて、今後の取組について御説明をお願いいたします。

小平政府参考人 お答えいたします。

 大災害の発生に備えまして、国民一人一人に災害リスクやとるべき行動の理解を深めていただくこと、これは先生がおっしゃるように大変重要だと思っております。

 特に、今お話ありました避難の関係ですけれども、まず、ハザードマップにつきまして、各戸に配布、回覧をしお住まいの方々に確認をしていただく、自分はどういうところに住んでいるのかと確認をしていただく。それから、避難という言葉ですけれども、これは難を避けることでございまして、避難所に行くということでは必ずしもございません。安全な場所にいる人は避難する必要がないこと、また、避難先はいわゆる避難場所、避難所に限るものではなくて、安全な親戚、知人宅等も含め避難先となり得ることについて住民の理解を促すように、四月二十一日に市町村へ通知をしたところでございます。

 それから、避難所の関係でございますけれども、今、コロナウイルスが蔓延している状況で災害が起きたら三密になるのではないかという御指摘もございます。災害が発生して避難所を開設する場合に備えまして、例えば、可能な限り多くの避難所を開設すること、ホテルや旅館などの活用を検討すること、親戚、友人のお宅等への避難を検討すること、換気、十分なスペースを確保すること、保健所、医療機関等と連携した発熱者、感染者への対応をすることなどについて、四月一日と七日に関係省庁連名で通知を出してございます。

 それからもう一つ、四月二十八日でございますけれども、避難所としてのホテルや旅館の活用可能性につきまして、厚労省、観光庁、また、消防庁、内閣府連名で、避難所確保を円滑に進めるように通知を出したところでございます。

 今後も関係省庁と連携いたしまして、避難所における新型コロナウイルス感染症対策に必要な事項について、自治体の意見を伺いながら、より具体的な助言等を随時進めてまいりたいと思ってございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 あらゆる可能性を今からやはり準備をしておくということが大変重要だと思いますので、引き続きのお取組をよろしくお願いいたします。

 あと三問ありましたけれども、大変申しわけございませんけれども、道路法の一部を改正する法律案に入らせていただきます。

 今回の改正は大きな五つの柱から成っております。その中でも、地方においては地域公共交通のネットワークのあり方というのが、まちづくりと一体となって大変重要な課題となっております。

 まず、集約型公共交通ターミナル整備として、民間と連携した新たな交通結節点づくりを推進するために、バスタ新宿をモデルとしたいわゆるバスタプロジェクトを全国に展開をして民間事業者が運営できるようにするという、今回、法改正の中で、このバスタ施設を特定車両停留施設として道路附属物と位置づける法改正でございます。

 まず、特定車両停留施設についてお尋ねをいたします。

 今回の法改正には当然反映をされているというふうに思いますけれども、バスタ新宿を運営する中で、課題であるとか問題点、どういうものがあったのかということをお尋ねをしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 バスタ新宿は、新宿駅周辺に高速バスのバス停が分散しておりまして非常に利便性が悪かったものですから、それを集約して、道路の混雑緩和と利用者の利便性向上を目的に整備をいたしましたけれども、現在の制度では、この施設がバスやタクシーの専用施設としての法的な位置づけがございませんので、一般車両の乗り入れは要請の形でやっておるということが一つございます。

 また、バスタ新宿の中の待合所における商業施設の規模やその種類などについても限定的になっているということで、利用者からのいろいろな要望も上がっているという課題がございます。

 このような課題を踏まえまして、今回の道路法改正では、今御指摘ありましたように、特定車両停留施設ということで、道路附属物に新たに位置づけて、バスやタクシーなどの道路管理者が指定する種類の車両のみの停留施設にするということと、コンセッション制度を活用しまして、商業施設の占用の許可を柔軟化して、民間ノウハウを生かした効率的な運営を目指すということにしておるところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回、地方への展開も予定をされております。

 お配りした資料に、複数の地域で進められておりますけれども、特定車両停留施設といっても、それぞれの地域の事情に合った施設が想定され、地方自治体におきまして計画をされているところでございます。

 私の地元長崎市においても今計画をされておりますけれども、長崎駅は、二〇二二年の新幹線の暫定開通に伴いまして駅舎が百五十メートル移動することによりまして、乗り継ぎの利便性が大変低下をすること、多くのバス停が分散をしていること、そして、長崎においては大変路面電車が、市民の、県民の足でもございますし、また、観光客の皆様も大変利用されているものでございますけれども、この路面電車が、今、陸橋を渡らないと乗れないという、バリアフリーの観点からも大きな問題が長年指摘をされているところでございます。

 また、地域の商店街との連携というのも大変大きな課題でございます。その中で、やはり、駅の面する国道の交通量が大変多いということがありまして、いろいろなパターンを考えていくときの大きな課題となっております。

 今、コロナウイルス感染症の影響で会議ができない状況になっておりまして、ちょっと今計画自体が進んでおりませんけれども、この地方の展開について、国交省の方から、お取り組みいただいていることについて、御説明をいただきたいと思います。

池田政府参考人 現在、全国の各地におきまして、鉄道駅周辺には高速バスのバス停の分散がありまして、非常に利便性の問題が顕在化しているところであります。

 このような状況に対しまして、バス停を集約して、交通結節点機能を強化した集約型のターミナル、こういったものを整備するプロジェクトが全国さまざまな地域で進んでおります。

 今御指摘ありました長崎駅の周辺においても同様の課題があると認識をしておりまして、検討が進められているところであります。

 この長崎駅周辺の再整備につきましては、今委員から御指摘ありましたように、長崎県庁、長崎市及び国も入りまして、また、路面電車等の交通事業者等も参加した検討会議が発足しております。この検討会議の中で、最適なバスターミナルの内容を取りまとめていきたいと思いますし、引き続き国としても積極的にこれに参画をしたいと思います。

 国交省としては、全国で展開するいわゆるバスタプロジェクトの整備の促進に向けて、財政的な面、技術的な面、さまざまな面で支援を行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 時間の関係で最後の質問になりますけれども、民間事業者が運営して、テナントの賃料も取ることができるというコンセッション方式が導入されるということになっておりますけれども、この導入されることの意義、そして、導入後、このことをどのように検証して、また見直し体制はどのように考えておられるのかということについて、御説明をお願いいたします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション制度は、公共施設の管理者が所有権を有しつつ、民間事業者が利用料金を収受して整備や運営管理の一部を行うものでありまして、民間事業者のノウハウを活用した施設運営管理の効率化を図るということがメリットとして挙げられます。

 また、あわせて、民間事業者が利用料金を収受して施設の運営管理を行うことから、一般的には、施設の運営管理に係る公共側の負担軽減にもつながるというメリットもあるものと認識をしております。

 一方、コンセッションの制度導入によりまして施設の運営を民間事業に任せるわけですけれども、任せる場合にも、道路管理者が公共性の確保につきましてしっかりと監督をいたしまして、その結果を踏まえ必要な見直しを指示できる規定を考えております。

 また、利用料金につきましても、特定の者に対して不当な差別的な取扱いをしないことなどの原則を規定をしまして、不適切な場合には道路管理者として利用料金の変更を命令できることにもしております。

 このように、コンセッション方式を導入する場合にも、民間事業者のノウハウを活用しながら公共性を確保するという両者の両立を、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 コロナ感染症の影響で公共交通機関が大変打撃を受けておりますので、公共交通機関を守るということがこの法改正の大前提となると思いますので、引き続きの御支援を心からお願いして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立国社、道下大樹でございます。

 私から、道路法の一部を改正する法律案と、やはり新型コロナウイルスに関連した質問をさせていただきたいと思います。

 まず、道路法の一部改正についてでありますが、今回の改正法の大きな柱の一つに、物流生産性の向上のための特殊車両の新たな通行制度の創設というのがございます。先ほども他の議員の方々が御質問されましたけれども、この特殊車両通行制度デジタル化ということで、これが大変重要である、そしてこれの実現を早期に行うべきだというようなお話もありました。

 私もそのように思うわけでございますけれども、この特殊車両通行制度デジタル化システム、先ほども、トンネルや橋梁、さまざまな道路のデータを入力し、さらに、瞬時に経路が自動的に出てくるというようなシステムをつくるにおいて、本当にさまざまな時間、そしてプログラミング等の労力が必要だというふうに考えておりますが、この特殊車両通行制度デジタル化システム、このシステム構築までの、例えば、受発注の状況だとか、いつごろできるのか、そのスケジュールを伺いたいと思います。

 なぜ伺うかというと、今、新型コロナウイルスの関連で、テレワークだとか、さまざまな会議だとかはウエブ会議ということで何とかうまく工夫されていますけれども、でも、やはり発注者である国交省と受注者側であるシステム業者とのやりとりが停滞するおそれがあるのではないか、また、幾らテレワークといっても、システムをつくるに当たってのシステム業者における作業の停滞というものも私は心配するところでありますが、この点について伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 新たな制度の運用に当たりましては、今御指摘がありました電子データをもとに通行可能な経路の検索を行うなどのシステムの構築が必要になります。

 このシステムの構築に係る費用は、令和元年度の補正予算で措置をいたしまして、今年度に契約ができるよう、その手続を現在進めているところでございます。

 全体のスケジュールにつきましては、システム構築の期間がございますので、法律が成立いただきましたら、二年以内の施行ということを予定しております。

 また、御指摘の新型コロナウイルス感染症によるスケジュールの遅延の影響でございますけれども、現時点では具体的なおくれについては想定をしているものはございませんけれども、今後とも、よく注意をしながら、体制を工夫して、おくれることがないように進めてまいりたいと考えております。

道下委員 ぜひ遅延のないように進めていただきたいということと、あと、このデジタル化が実現して、事前にさまざまな情報入力というときに、今でも、コロナ対策でのさまざまな支援策について、例えば雇用調整助成金だとか又は特別定額給付金の申請、マイナンバーカードを入力しても更に暗証番号を入れなきゃいけなくて、すごく手間取っている。やはり、こういうすばらしいシステムができる、実現されるにおいては、入力においても非常に簡便、簡略化されるように、そういったところも含めて使い勝手のよいシステムというふうになるように、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 このデジタル化とともに、高速道路の渋滞などの緩和に含めて、双方向的に道路状況だとかをはかる上で必要なのがETC二・〇であります。

 このETC二・〇の利用率の向上に向けて国もいろいろと取り組んでおられますけれども、今、中型車以上では利用率が五七%で大体横ばいなんですね。これを更に上げていく必要があるというふうに思います。

 例えば、大口・多頻度割引制度でも、ETC二・〇の割引率は通常の割引率よりも一〇ポイント高いんですね。ただ、これは毎年毎年の時限措置で、今でも令和三年の三月までしかこれが、割引率が一〇ポイント高いというこの制度が来年の三月までということで、なかなか、いつまで続くのかわからないということで、ETC二・〇の利用率も向上しないんじゃないかなというふうに思います。

 私は、この割引率の優遇をもっと長期化若しくは恒久化すべきだというふうに思いますけれども、そういった点について、お考えを伺いたいと思います。

池田政府参考人 ETC二・〇の利用率は、令和二年度の二月時点で、高速道路を利用する車の中型車以上は五九%になっておりますけれども、これからもこの普及に努めていかなければならないと認識をしております。

 ETC二・〇を搭載した車については、カーナビの画面に広域的な道路交通情報が提供されることや、希望される物流事業者は運行実績の提供が受けられることなどのメリットがありますので、しっかりとこういったメリットについて周知をしていくとともに、今お話ありました料金面のことでございますけれども、ETC二・〇の搭載車を対象に、令和三年の三月まで、自動車運送事業者に対しまして、大口・多頻度割引の割引率を一〇%拡充する措置なども実施をしているところでございます。

 今後とも、ETC二・〇の利用率向上に向けましては、利用者にとって魅力的な機能の充実を図るとともに、令和三年四月以降の大口・多頻度割引の取扱いを含め、利用しやすい料金となるように検討を進めてまいりたいと考えております。

道下委員 ETC二・〇の利用率向上に向けては、ぜひNEXCO各社とも連携をして優遇を進めていくということと、やはり、このETC二・〇の利用率について、目標数値を示して、例えば七〇だとか八〇だとか、できるだけそういう目標数値を定めた上で、そこに向けてさまざまな予算措置を実行していくという、事業者も先を見通せるような策をぜひ講じていただきたいというふうに思います。

 次に、今回の道路法に関して、また大きな柱であります特定車両停留施設について伺いたいと思います。

 この特定車両停留施設においてコンセッション方式を採用するメリットについては、先ほど西岡議員の御質問に対して御答弁いただきましたので、割愛をさせていただきます。

 もう一つ、この特定車両停留施設においては、停留料金の算定、これは、今回の法案の条文では、第四十八条の中では条例又は政令で定めるというふうに記されております。具体的には条例や政令ということなんですけれども、これについて、これだけではまだちょっと、余りにも抽象的でわかりづらいなというふうに思うんです。

 私自身は、大手のバス事業者から中小・小規模バス事業者なども含めて、みんなが使い勝手のいい、いわゆるバスタ新宿のような特定車両停留施設というものが全国各地に設置され、そして運営されることが望ましい、そう考えると、できる限り低廉で、安いということですね、停留料金が安い、それで、その施設が皆さんが使い勝手よく、かつずっと長期的に利用される、そんな施設であるべきだというふうに考えています。

 そこで、条例や政令で定める前に、国交省として、この停留料金に関して基準だとかガイドライン、理念や趣旨というか、そういうところも含めて何か事前にそういったものを示す予定なのか、どのような基準を考えているのか、伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今回新たに導入する特定車両停留施設の利用料金でございますけれども、特定の者に対しまして不当な差別的な取扱いをしないこと、施設利用者の負担能力に鑑み利用を困難にしないものであること、周辺の類似施設の利用料金に比して著しく均衡を失わないものであること、こういったことについて不可欠でございます。このことは非常に重要でございますので、今回の法律の改正のそのものにも明確に規定をしていきたいというふうに考えております。

 また、利用料金は運営権者が定めて、あらかじめ道路管理者に届け出ることにしておりますけれども、この届けられた料金が、今申し上げました原則に対して適切に定められているかどうかを道路管理者が確認をして、不適切な場合には変更を命令できることとしております。

 また、実際の運用に当たりましては、全国の道路管理者に対して、利用料金が適切であると判断をする場合に、その判断の基準になるようなものについて、先行事例のノウハウを共有するなどして、国としても必要な措置を更に講じてまいりたいと考えております。

道下委員 運営事業者やその自治体等で話し合って決めてほしい、あと近隣の相場を見て話し合って決めてほしいということでありますけれども、それでいけば、全国でどのような基準というか、横並びになるのか、それともあっちは高いのにこっちが安いとか、それで混乱も起きるんじゃないか、やはり国としてある程度の何か基準というものが今後求められてくるんじゃないかなというふうに私は思いますので、何かしらの基準というかガイドラインというか、停留料金の計算方式のものを私は示すべきだなというふうに思いますので、御検討をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 今回の道路法改正において、もう一つ、歩行者利便増進道路というものがございます。これは私も本当にすばらしいものだなというふうに思いますし、私自身、例えば、生まれてはいませんけれども、六年半住んだのが北海道の旭川市で、旭川市は、五十嵐広三元官房長官が旭川市長のときに、全国で初めてだと思います、駅前の道路が常時、歩行者天国ということになりました。

 それで中心部の町の活性化が進みましたけれども、今は郊外店舗も大きくできて、町の中心部がなかなか人通りが少なくなってきて、今またこれを、再開発含めて人の流れを都心部に持っていこうということを考えております、そういったところが全国に各地あると思いますが。

 そうした今後の中心街のまちづくりにおいては、この歩行者利便増進道路の整備というものも大きな促進策の一つと考えますが、もう一つ、私はぜひ、環境問題という観点や、マイカー利用から公共交通機関、公共交通の利用へシフトしていくということがこれからのまちづくりには重要かと思います。

 よく挙げられるのが、ヨーロッパの町では、このエリアはマイカーはだめだよ、バスだけとか、地下鉄のみとか、路面電車のみとか、そういうのがあります。やはり、そういう大きな大英断で、まちづくりと公共交通への利用の抜本的シフトというものを私は進めていくべきだと思います。

 そうした何かモデル地区を指定した上で、そういう先進的に取り組むというところを、私はどこか、幾つか全国各地の都市で行うべきではないかなというふうに思いますが、こうした環境問題も加味した上でのまちづくり、今回の歩行者利便増進道路、こうした施策を生かしていくという考え方について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 我が国の少子高齢化が進み、人口減少化が進む中で、都市中心部のまちづくりのあり方というのは大変長らく議論されてまいりました。中心市街地活性化なんというのも、私がかつて経済産業副大臣をやっていたときも、そうしたプロジェクトチームが、有識者会議が行われ、さまざまな議論をされてきました。

 そうした意味で、今、道下委員御指摘のように、都市部中心街のまちづくりにつきましては、環境問題に配慮することですとか、私は、スローライフ、歩いて暮らせる町というのを進めていくというのは非常に大事な観点であり、また、今回そうした意味で歩行者利便促進道路の整備というのは一つの大変重要なツールになるというふうに考えております。

 先日、実は、富山市にLRTの開通の式典がございまして足を運びました。富山市は、かねてより中心市街地の活性化について大変御熱心に取り組んでいるところでございまして、既存の路面電車ですとかJRの在来線を活用して整備されたLRTまた路線バス、こうしたことを整備して、交通体系網をしっかりとつくって、その公共交通機関に合わせてまちづくりというのをしっかり進められている、数少ないと言ってはあれですけれども、現状では大変難しいことをなし遂げた、歩いて暮らせるすぐれたコンパクトシティーの一つの大変参考にすべき事例だということで、大変、私は感心もし、感動もして帰ってきたところでございます。

 そうした中、なかなか難しいわけでありますけれども、これまでも国交省におきましては、地域公共交通サービスの強化に向けて、先日御審議いただきました地域公共交通活性化再生法に基づいてバス等の公共交通サービスの改善、また、モビリティーサービスに関しましては、スマートシティー、このスマートシティーは、今委員言われたように全国で十五カ所のところでモデル地区としてトライアルをしておりますし、MaaSにつきましても、全国で十九カ所で同じようにモデル地区を設定して、先行モデル事業として展開をしているところでございます。それに加えて、交通結節点における乗りかえですとか待合環境の改善及び支援などにも取り組んできているところでございます。

 そして、今回の歩行者利便促進道路につきましては、これは言わずもがなでございますが、車道を削減して歩道を広げる、道路空間の再整備を行うことで、地域の魅力向上ですとかにぎわい創出を目的としたものでございますので、これを進めると同時に、相まって、マイカー利用から公共交通利用へのシフトも進めていける施策だというふうに認識をしております。

 具体的には、この法改正成立後、都市部の中心市街地において歩行者利便増進道路を指定する場合には、道路空間のにぎわいづくりと公共交通の利用促進をあわせて検討していただけるように、それぞれの地方公共団体にも働きかけてまいりたい、こう考えております。

 以上です。

道下委員 ありがとうございます。

 時間も限られてきましたので、道路法改正案についてはこの点にとどめまして、次に、新型コロナウイルス関連で、JRについて伺いたいと思います。

 JRについては、皆様御承知のとおり、例えば、二〇二〇年三月期の通期の連結決算で、JR東日本は最終損益が五百三十億円の赤字、JR西日本も二百七十七億円の赤字、JR東海は辛うじて九十七億円の黒字ということになっております。本当に、大手三社でも厳しい状況になっておりますが、私の地元、JR北海道は更に厳しい状況というふうになっております。

 そうした中で、JR北海道に関しては、他のJR三社とJR九州と違いまして、今いわゆる国の管理下に置かれているわけでありまして、昨年度と今年度、国の監督命令が出されまして、その中でさまざまな経営再建に向けた計画を実施しているところでございますが、今回の新型コロナウイルスの影響による大幅減収により、こうした、今まで通常での計画で、そして再建計画を行ってきた、これはもう難しい、私は、そうした通常の計画、そして実行、それに対する国交省の検証、これはもう変えていく必要がある、変えなければならないというふうに思いますけれども、その点について国交省の見解を伺いたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、JR北海道におきましては、平成三十年七月の監督命令に従いまして、経営改善を確実なものとするため、中期経営計画などを策定していただきまして、その取組を推進していただいているところでございます。

 国土交通省としても、これらの取組に係る数値目標の達成状況について、四半期ごとに同社とともに検証を行っているところでございます。

 御指摘のとおり、JR北海道におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりまして、鉄道輸送人員及び鉄道運輸収入が減少しております。四半期ごとの検証の対象のうち、売上げ増加や観光需要の取り込みなどに係る目標につきましては、その影響を直接的に受けるものというふうに考えております。

 今後の四半期ごとの検証に際しましては、今申し上げましたような新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける目標の達成状況につきましてはその影響も踏まえて評価を行うなど、計画に基づく取組の実施状況を適切に検証してまいりたいというふうに考えております。

道下委員 今、国交省は、JR北海道から出された計画、それに基づいて実施されているのか検証して、そして二年間で約四百億円台の支援金を交付しているわけでございますけれども、後出しなんですね。

 四月二十四日付の日経新聞において、JR北海道の島田修社長は、年二回に分けて国から約二百億円の支援を受けている、十九年度分の残りは五月末入金予定だが四月中に得られるようお願いした、二〇二〇年度分は半年ごとから四半期ごとに入金を見直すなど少しでも早めてもらえるよう交渉中だ、また、年三十億円程度の国への借入金返済も猶予を求めているということでございました。

 ちょっと済みません、あわせて伺いたいと思います。

 二〇一九年度からのこの二年間で、国はJR北海道に対して約四百億円台の支援を実施していますけれども、二〇一九年度分については、JR北海道に対して、いつ、幾ら交付されたのか。また、二〇二〇年度分についてはどうなるのか。さらに、計画、そして実施、そして、検証して交付するんじゃなくて、先に支援金を交付すべきだ、私はそのように思うわけであります。ぜひ、この点について伺いたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和元年度からの二年間でJR北海道に対して実施する四百十六億円の国による支援の支払いに関しましては、同社からの事業実施に係る報告に基づきまして、鉄道・運輸機構による審査などを経た上で、その都度、支払いを行っているところでございます。

 まず、令和元年度分につきましては、昨年十二月二十五日に七十一億円、ことしの四月二十八日に百三十四億円をお支払いをしておるところでございます。この四月の支払いからは、JR北海道からの要請に応えて例年よりも早期に支払いを実施しているところでございまして、同社の四月末の資金需要に間に合うよう、四月二十八日付でお支払いをしたということでございます。

 令和二年度におきましても、残額の二百十二億円につきまして、同社からの報告に基づく審査などを経た上で、速やかに支払いを行う予定でございます。

道下委員 ちょっと答弁漏れがあったと思いますけれども。もう一つ、借入金についてお願いいたします。

水嶋政府参考人 借入金についてお答え申し上げます。

 鉄道・運輸機構及びその前身でございます日本鉄道建設公団は、JR北海道の経営基盤の強化のため、平成十年度、十一年度及び平成二十三年度から令和二年度まで、JR北海道に対して無利子貸付けを行ってきているところでございまして、今年度末でその累計が総額千五百二十三億円となる予定でございます。

 このうち、平成十年度及び十一年度の二百九十二億円の無利子貸付けにつきましては、平成二十五年度より約定に基づきまして既に返済が開始されておりまして、昨年度末までに百七十一億円が返済をされました。今後、令和六年度までに残りの百二十一億円の返済を行っていただく必要がございますが、今年度の無利子貸付けの返済は、九月に十四・六億円、来年三月に十四・六億円というふうになっております。

 これらの債務の返済を猶予することにつきましては、同社における資金調達の状況や猶予した場合の後年度の返済への影響などを総合的に勘案する必要があるものと考えておりますが、いずれにいたしましても、新型コロナウイルスの感染拡大によるJR北海道の経営への影響につきましては、現時点ではまだその全体像を見通せておりませんので、今後の状況の推移等をしっかり見きわめた上で、必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

道下委員 今、新型コロナウイルスの影響を受けて、通学定期券の支払いについても手数料なしで支払っているだとか、さまざまなことをやっているJR各社、また北海道でございます。JR北海道、返済猶予をぜひしていただきたい。資金を貸し付けているのは鉄道・運輸機構だというふうに伺っております。複雑かもしれませんけれども、国交省として、ぜひ鉄道・運輸機構に対してというか一緒に、借入金の返済猶予、これを早目に示していただきたい。そうすることによって、JR北海道もある程度見通しがついて、今の経営、そして安全対策というものに専念できるんじゃないかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと済みません、時間がもう切れてきましたので、次に、貸切りバス事業について伺いたいと思います。

 貸切りバス事業の許可更新、今多大な影響を受けているのは観光等の貸切りバス事業者も同様でありまして、ここ数年の地震、台風、豪雨災害、外交上の影響などに続いて、今回の新型コロナの影響で、貸切りバス事業者の許可の更新の条件、三年連続赤字かつ債務超過ではないという、これをクリアできない事業者が発生するおそれがあります。

 私の地元北海道でも、外交上の問題で訪日外国人観光客が減少した年、その次が、北海道胆振東部地震で団体ツアーのキャンセルが長期間続いた、それで今回の新型コロナウイルスということで、厳しい経営がここ数年非常に続いております。そうした貸切り事業者が実際にあります。

 そこで、三年連続赤字で債務超過だということで、事業の許可の更新条件がクリアできないということが言われております。もしかしたら全国にも同様の事業者があるかもしれません。ぜひ条件緩和などの措置を講じるべきと考えますが、国交省の見解を伺います。

青木副大臣 お答えいたします。

 貸切りバス事業許可の更新につきましては、最近の事業年度が債務超過かつ直近三事業年度の収支が連続して赤字でないことが要件とされておりますが、現在の新型コロナウイルスの感染症の影響などにより、大変な現状だというふうに理解をいたしております。

 現時点においても、事業継続が可能なことが説明できる場合に限りまして、柔軟な運用をしております。そして、現状のコロナウイルスの感染拡大による経営状況の悪化につきましては、一時的な影響であることを踏まえ、より柔軟に運用してまいりたいと考えております。

道下委員 ぜひ柔軟な運用をよろしくお願いします。

 時間が来てしまいました。済みません、土地・建設産業局長、金融庁の総合政策局参事官、申しわけございません、また次回、質問させていただきます。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 冒頭、一言述べさせていただきたいと思うんですが、今回の道路法、皆さんさまざまおっしゃっているように、余りにいろいろな要素が盛り込まれております。全体三時間で終わらせるには不十分ではないでしょうか。しかも、前回やった地域公共交通、そして次に来る都市再生特別措置法ともリンクをしています。そういう意味でも十分な審議が必要だと思います。

 新型コロナウイルスで緊急事態宣言が延長されたばかりです。こうした中、これだけのボリュームの法案審議を短時間で粛々と進めることはやはり考えるべきだ、これは理事者の側も、また両筆頭、各理事の皆さんも、ぜひ今後の運営について検討していただきたい、このように要望しておきたいと思います。

 では、本題に入ります。

 まず、特定車両停留施設、いわゆるバスタについて質問します。

 資料の一枚目にありますように、先ほど紹介もありましたけれども、バスタプロジェクト、全国展開をしてきました。二〇一六年開業のバスタ新宿は、十九カ所あった各社のバス停留所を集約し、コロナ問題が表面化するまでは、日に平均約三万人が高速バスを利用、年間三千万人に達するなど、利便性が上がったと歓迎されていることは承知をしています。

 今回は、バスタを特定車両停留施設と呼び、道路法上の道路附属物に位置づけるといいます。所有者である道路管理者、大概、国道なので国だと思いますが、その所有権を残したまま運営権を民間事業者に設定する、いわゆるコンセッション方式を採用するということです。

 そこで伺いますが、これまで、バスターミナル、トラックターミナルなど、自動車ターミナル法で規定されていたと思いますが、民間事業者がやっていたものをどうして国などが整備する公共施設にするのか。しかも、公共施設でありながら特定車両にのみ停留を認めるというのは矛盾していると思いますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたように、鉄道駅周辺におきまして、高速バスのバス停の分散などで利用者にとっての利便性が低く、また、そのバスの乗降などで周辺の道路の混雑や事故などの課題が発生しているところが多くございます。こういった社会的な課題の解決をするために、分散するバス停を集約した施設を今回の改正で特定車両停留施設として道路附属物といたしまして、公共施設に位置づけることでございます。

 今回、この特定車両停留施設について特定車両に利用を限定いたしましたのは、一般車両とバスなどが混在しまして、施設の中での渋滞、周辺の渋滞、あるいは事故、こういったもののリスクを減らして、より利便性の高い公共施設としてのバスターミナル、特定車両停留施設とするための措置として限定を考えたところでございます。

高橋(千)委員 道路はみんなのものであって、だからこそバスタ新宿は一般車両を断ることができなくて、それで、混在しているからということで、今回、特定車両ということで位置づけたんだと思います。ですから、コンセッション方式を今やるわけですけれども、コンセッションというのは、もともと公共であるべきものがスタートなわけですよね。

 私たち、水道法改正、記憶に新しいわけですけれども、命の水という表現もあったように、水道は生きるために絶対必要なものである、本来公共が管理するのが当然だという立場に立って、外資などに運営権のみ売却するということに対して大きな反対がありました。

 しかし、バスターミナルは、もともとバス事業者自身が建設、運営するものだったわけですよね。停留施設にした場合、利用料金は他の一般の停留施設と比較して不当に高くても安くてもならないし、また、特定の車両に不当な差別的取扱いを行ってはならないとあるわけです。

 この原則と折り合いをつけて、どう契約をしていくのかということが問われていくと思うんですが、運営権の設定は何年と考えているのか、また、設定する運営権の中身に何を盛り込み、どのような試算のもとにその料金を決めるのでしょうか。つまり、駐車料金のみではなくて、商業施設などがありますので、そのテナント料など、それを回収するという形で設定をするのか、あるいは、もう運営権はお任せしたんだよというふうにしちゃうのか、そういうことも含めて大臣に伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のコンセッションに際しまして、道路管理者と運営権者が契約をすることになります。

 この契約の内容につきましては、運営事業の内容や期間などを定めていくわけですけれども、この期間につきまして、特定の、何年までというような限定はございません。

 そのほか、今おっしゃられましたような内容につきましても、包括的にこの契約の中で料金とあわせて決めていくということを想定しております。

高橋(千)委員 なので、これは大臣に通告をしておりました。

 つまり、水道法とかは国で法律のスキームは決めるわけですけれども、じゃ、契約をどういう中身にするのかということをやはり県議会とかで議論するわけですよね。そういうものが何もないわけですよ、これは国営なんだから。国の施設を、運営権を売り渡す、だけれども、それがどうなるのかというのが全くわからない、白紙委任になるわけです。なので、考え方を大臣に伺います。

赤羽国務大臣 ちょっと済みません、正確に理解しているかどうかわかりませんが、高橋委員の懸念は、運営権者が公共性に反して営利的に走るということはよくないのではないかというような御指摘ではないかというふうに、ちょっとこれは間違っているかもしれません、そこを懸念されているのであれば、これは、まず運営権者の選定というのが非常に大事だというふうに思っております。

 これは、今回、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法に基づく手続にのっとって、公共性の確保に留意して選定を行うということが一つと、そして、この運営権者が利用料金なんかを定めるわけでありますが、先ほど局長が答弁したように、その料金については、さまざま法律的にも規定が明確にされているということでございます。それで、不適切な料金設定になったら命令、変更できるということを書いている。

 また、運営事業者の事業内容や事業期間などについては、道路管理者と運営権者との契約において個別案件ごとに定められることになっておりますけれども、この契約自体も、道路管理者としては、先ほど述べたような適切な利用料金を前提に、また、回収可能な投資に基づいて締結されることになっておりまして、多分、ちょっとこれは踏み込んで言う話じゃないかもしれませんが、コンセッションで、いわゆる回収の対象が運営に関する部分のみになる公設民営のケースが多くなるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 また、契約におきましては、利用料金のほか、公共性の確保の観点から、災害時における緊急輸送の確保等の必要な措置についても定めるということにしておりまして、今回、特定車両停留施設の運営を民間に委ねる場合であっても、公共性の確保を最優先として進めていくという考え方で行っていきたい、こう考えております。

高橋(千)委員 前提であると。まあ言ってみれば、任せてくださいという話なんですよ。そこが問題だと言っている。どこもチェックできないじゃないですか。公共性をどうやって発揮していくのかということなんです。

 今大臣おっしゃったのは、公設民営の部分だけと。ですから、バス、タクシー、トラックの停留の料金のところで回収するんだよという趣旨で確認をさせていただきたい。

池田政府参考人 お答えいたします。

 コンセッションをした場合に、運営者に任せっきりということではなく、利用料金の設定については、あらかじめ道路管理者に届け出ていただいて、不適切な場合には道路管理者が変更を命ずることができるような仕組みにしております。

 また、利用料金のほかにも、公共性の確保がきちっとできるように、管理者が運営権者に対して必要な措置がとれるというようなことをしております。

 事業の内容や事業の期間、それとその料金、そういったもの全体を道路管理者と運営権者が合意をするということでもって、公共性の確保を最優先にした運営を考えていきたいと思います。

高橋(千)委員 これは、これ以上してもかみ合わないので。

 これは問題だと思うんです。要するに、道路管理者がやるんだと言っていますけれども、公共性の確保について、どういうふうに確保するのか、どうあるべきなのかを議論ができないんですよ。議会のチェックが全くない、それを指摘しているわけ。

 つまり、水道法だって、命の水は大事ですよと言っているけれども、でも、企業がやめると言ったらどうしますかとか災害になったらどうしますかといったときに、結局、水道管は、建設インフラは全部公共が持ちますから、最悪の場合は公共が引き取りますから、そういう議論をしてやったわけですよ。じゃ、何のために民間にやるんですか、新しいところだけ、楽なところだけ運営をやらせるんですね、そういう議論だったんです。

 これは逆に、もともと民間が責任を持ってやるべき運営を、国が一部引き受けて、コストを軽くしてあげてやるわけですよ。だけれども、料金が安ければいいというものじゃないですよ、それは運転手にだって響くわけですから。そういうこと全体を見て、本当に公共性があるのかどうか、透明性が確保されるのかということをきちっと報告をしていただかなきゃならないと思うんですね。これはまたいずれかの機会でやりたいと思うんです。

 資料の二枚目にあるんですが、上の方は品川駅の西口広場。バスタの事業費は、聞いたら八百億円と言っているわけですね。ただし、道路改良事業ということで盛り込まれているんですよ、道路の附属物だから。そういう扱いなんです。それに、民間事業が、デッキとか商業施設、それから次世代型ターミナルというのが含まれて、これが五百億円と言われている。それプラス、二〇二七年にはリニアが地下に、駅になるというふうな計画になっています。

 また、神戸の三宮は西日本最大級のバスタになりますけれども、国費は幾らですかと聞いたら百八十億円だという答えがありました。これは見込みです、あくまでも。ただ、これは一期計画で、三菱地所などが整備する高層ツインタワーの核となることで、官民総事業費は一千億円とも言われています。

 つまり、確認したいんですけれども、結局、国としても、バスタ単品だということではなくて、全体のこうした再開発の中の一部である、そういう位置づけをわかった上で、そしてそのために一定の負担をするということでやっている、それは当然ですよね。

池田政府参考人 今回の特定の停留施設ですけれども、これは、冒頭の御質問のときに答弁させていただいたとおり、バス停の分散によって非常にいろいろな交通上の問題が起こっていることを解決するための公共施設ということで、公共事業として行うべきものという認識の中で位置づけをしております。

 その上で、民間事業者が参画をした形でのコンセッションがもしあり得る場合は、そういうことで、柔軟な運営と効率的な管理ということで民間事業者に入っていただくことも考えている、こういうような全体の考え方で進めております。

 それと、今、再開発との関連のお話がありました。基本的には再開発とバスタというのは別のものでありますけれども、実際には品川におきましても三宮におきましても再開発と同時に現在進められておりまして、そこは、上手に連携して行うことで、よりコストも下がり、効率的な施設になるようにということで進めているものでございます。

高橋(千)委員 お認めになったと思います。

 コンセッションは国の事業費の縮減、効率化につながるということが道路分科会では説明されているんですよね。だけれども、本当にそうかということなんですよ。

 結局、今、再開発と一体となってやると報告がありました。そして、これは自治体からも要望が出ています。そうすると、このバスタの部分は事業費を国が持つということになったとすれば、その分自治体が楽になるわけですよね。でも、今度はそうすると、大きなこともやれますよねということで、全体として結局巨大開発の呼び水にならざるを得ない。もともとそういう計画ができているということはやはり指摘をしておかなければならない、このように思っております。

 次の法案にまた関係しますから、きょうはここまでにしておきたいと思います。

 それで、特殊車両の新たな通行制度について伺います。

 道路法四十七条第二項、道路は一定の規格の車両が安全、円滑に通行できるようにつくられており、この規格を超える車両は原則として通行できないとあります。この規格を超える車両が特殊車両と呼ばれていると思うんですけれども、この特殊車両の通行がなぜ許可制になったか、その意義と、現在、無許可走行や過積載などについて、どのような形で取締りが行われ、どのような指導をしているのか伺います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 道路は、一定の重量や寸法の車両を想定して設計されております。そのことから、橋梁の耐久性確保、交差点での安全通行確保、この観点で、一定の重量や寸法を超える車両の通行は原則禁止ということとしております。

 一方で、いろいろなニーズから、やむを得ず通行せざるを得ない大きい車両がございます。こういった車両については、事前にその経路を道路管理者が確認をしまして、当該車両のみで橋梁を通行するなどの義務づけをして通行を認めること、こういったことをするために許可制度を従来より設けているところでございます。

 そのような観点で考えますと、許可された経路と違うところを走る車両については確実に取締りを行って、道路の保全や交通の安全を図っていく必要がございます。

 取締りにつきましては、現在は、通行中の車両を道路に隣接する敷地に引き込みまして重量を計測して取り締まる現場の取締りと、道路上に設置されました道路重量計測装置で計測した結果に基づいて取締りを行うもの、大きくこの二種類がございます。

 直轄国道での取締りにつきましては、平成三十年度に、先ほど申しました現地での取締りは六百九回実施をしまして、違反を確認して警告や措置命令を行った件数は千百四十三件でございます。

高橋(千)委員 直轄国道の一番直近の数字で六百九回、それから違反が千百四十三件ということでありました。

 資料の3につけているんですけれども、実は、上の方に書いているのは、通行する特殊車両の約三割が過積載車両であって、道路に悪影響を及ぼすだけでなく重大な事故を引き起こす要因になっているという指摘がある。これは本当に重大なことだと思うんですね。また、下の方にあるように、老朽化も進んでいるということで、道路を守るということは非常に大事なことではないか。

 ですから、今度の改正を評価するに当たって、いろいろなポイントがあるとは思うんですけれども、道路の保全、そしてドライバーの安全、安心が担保されるのか、このことをやはりポイントにしたいなと思ったわけです。

 それで伺いますが、ETC二・〇搭載を条件として登録制度にし、通行可能な経路をカーナビやスマホなどで受信できる事後チェック制度になると聞いています。ETCというと料金収納や割引などのイメージがあるんですけれども、次世代型ETC二・〇は、双方向の通信機能を持って、全国の高速道路一千七百カ所のITSスポットと呼ばれるアンテナから道路情報を受信することで、落下物や渋滞や追突注意や事故や、規制中、災害時の迂回路などの情報が得られると聞いております。

 そうすると、このETC二・〇の特性というか安全情報を生かして特殊車両の通行可能経路も随時更新されていくようになるのかということ、それから、違反走行については、その記録を残しておいて後でチェックをするということなんですが、常時でなくてもいいので、リアルタイムで監視することも可能なのか、伺います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 事故や災害などによります通行どめが発生した場合は、通行どめ箇所の情報が全国の道路管理者から日本道路交通情報センターの方に集約されることになっておりまして、その集約された情報を、カーナビやテレビやラジオ、こういったものを通じてドライバーや利用者の方に広く提供をされております。

 ETC二・〇でございますけれども、このカーナビへの提供の際に活用をされておりまして、ETC二・〇で情報提供を受ける場合は画像による提供を受けるというようなことがございますけれども、情報提供の迅速性については、現時点では、ETC二・〇が他よりも優位になっているというような状況は、現時点での技術ではございません。

 それからもう一つ、今回の新制度で、ETC二・〇を搭載していただいて通行した経路を収集できるシステムですので、それを用いて事後の経路違反の確認をする、そういう仕組みを考えております。

 今御指摘ありましたリアルタイムでということでございますけれども、現在の技術では、同時に多数通行する特殊車両をリアルタイムでフォローしていく、モニターしていくという技術については、まだ極めて困難な状況でございます。

高橋(千)委員 これはぜひ検討していただきたいと思うんですね。毎日ずっと見ていろという意味ではなくて、やはりそういう監視があるんだよということが大きな抑止力にもなるということが言えるのではないかということで、指摘をしておきたいなと思います。

 資料の四は、大型車通行適正化に向けた関東地域連絡協議会の資料ですけれども、「首都圏大規模同時合同取締を実施しました」とあって、頑張っているなと思ったんですね。違反を放置すると、写真のように、道路に穴があいて損傷するということが紹介されていますし、一昨年度は、首都圏だけで八十九台計測し、三十台が違反をしていたということで、これは地図もついております、どのようなところで取締りをやったかというのも書いているわけです。

 それで、質問は、こうしたこれまでの取締りは引き続き行うということで確認をしたいということ、指定登録確認機関に審査などを委託したとしても国の責任は変わらないし、そもそも違反走行をなくすためにどういう取組をしていくのか、大臣に伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 先ほど局長からも御答弁させていただきましたが、特殊車両の通行に関しましては、御指摘のように、過積載などの違反車両が横行しておりまして、道路の老朽化を加速させてしまう要因となっております。ですから、これをなくしていく必要がある。違反車両の減少には現場での取締りが最も効果的であり、今後も、回数をしっかりふやすなど、強化してまいらなければいけないと考えております。

 こうしたことにつきまして、今、国などの道路管理者としての権限や責任は変わらないのかという確認がありましたが、これは全く変わりません。

 そして、指定登録確認機関は、もうこれは御承知だと思いますが、この新たな制度におきまして、主に、道路構造等についての電子データをもとに、登録を受けた車両が通行可能な経路を判定する事務を行うということでございまして、無許可、違反通行などの車両に対して現場で直接行う取締りなどの事務をこの指定登録確認機関に行わせるということは予定をしておりません。

 こうした指定登録確認機関制度を設けることで事務を効率化することによって、現場での取締りに注力できる体制の確保を図ってまいることができる、そう考えております。

 また、ETC二・〇は通行した経路を事後に確認できるシステムでもありますので、新たな制度では、ETC二・〇を活用して違反通行の抑止を図ってまいることも効果的だというふうに認識をしております。

 以上です。

高橋(千)委員 責任は変わらないという御答弁でしたので、しっかりとお願いしたいと思います。

 それで、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、自動運転の問題で質問したいんです。

 昨年十一月の自動運転に対応した道路空間に関する検討会の中間取りまとめでは、「インフラ整備は、規制や制度等による社会的課題の解決とは違い、意思決定してから効果を発揮するまでに時間を要する。ついては、規制等の検討に先んじてインフラに係る基準等を整備し、その効果を早期に発揮させる必要がある。」というふうに書いているんですね。つまり、インフラが先行して整備していけば実社会への導入を促進させることができるという。私は、これは実は非常に気になる書きぶりではないかなと思っております。

 そこで伺いたいのは、高速道路におけるトラック隊列走行、これは、二〇二〇年に新東名高速での後続車無人走行を技術的には実現し、二〇二一年までには後続車有人の商業化、二二年度以降に後続無人の商業化を実現するという政府目標があります。そうすると、高速道路にも今回の法案になっている磁気マーカーを整備するんでしょうか。その際、単価がどのくらいと見ていて、その費用を誰が払うのか、お答えください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 高速道路におけるトラックの隊列走行はGPSなどによる自動走行を基本とすることを考えておりますけれども、その際に、防護フェンスや橋梁の下ですとかトンネルでGPSの測位精度が低下するという課題がありまして、この課題に対して、磁気マーカーやそのほかの技術で、このGPS測位精度の低下の解決策の一つになるのではないかということで、さまざまな検討や実証実験がされております。

 しかしながら、現時点では高速道路でこのGPSなどを補完する技術は確立ができておりませんので、高速道路の整備については今具体的なものを想定ができておりません。そういったことで、実用化を前提とした整備コストについても現時点ではお示しできる段階にはないと考えております。

 また、同様の段階で、同じことですけれども、コスト負担についても今後の大きな検討課題ではありますけれども、現時点では、道路管理者や民間事業者、さまざまな主体が想定されるといったことで、今検討が進んでいる状況でございます。

高橋(千)委員 現時点で技術は確立しておりませんというお答えでした。

 そうすると、やはり昨年十一月二十日の基本政策部会で、部会長が、政府目標が近過ぎる、要するに目前に迫っているということで、本当にここで議論するにふさわしい場かしらという発言までされているわけですよね。これは、インフラ整備を先にするというふうな取りまとめになっているけれども、ちょっと急ぎ過ぎなのかなということを指摘したいと思っています。

 それで、昨年八月の第二回の検討会で、日本自動車工業会から、後続車無人による隊列走行の実証実験について報告がされています。時間の関係で資料は後で見ていただければと思うんですけれども、資料の六に、そのとき自工会が出した資料、有人の場合と無人の場合のそれぞれのメリット、それからデメリットを記してあります。

 そのときの自工会の発言で、後続車有人では政府目標にはならないかもしれない、だけれども、事業者から聞くと、走行中のドライバーの運転負荷が軽減されるので、結果としてドライバー不足対応になるし、臨機応変に隊列を編成、解除も可能なので、非常にメリットがあると発言をされております。

 ですから、このメリットを見ていくと、有人だと隊列を解除したり、さまざま、要するに休憩に入るときなんかも臨機応変にできるんだけれども、とにかく無人だと隊列を整えておかなきゃいけないので、割り込みもあるし、先頭車のドライバーの大変な技術が必要である、熟練でなければならない、そういうことがあるんですよね。

 大臣に最後に伺いたいと思うんですが、実は、自工会が指摘しているように、有人の方が臨機応変に対応できて、またドライバーのストレスがなくていいんだということはすごく大事に受けとめるべきだと思うんです。トラックドライバーはずっと過労死トップです。働き方改革による上限規制も五年間猶予されて、それ以降も一般労働者よりも長い時間働いていいということになっちゃうわけなんですよね。このままでは人手不足が解決するわけはないと思うんです。

 やはりドライバー不足を本当に解消するためには、働き方そのもの、長時間労働を下げていくということと処遇改善で取り組むべきだと思いますが、伺います。

赤羽国務大臣 基本的に、高橋委員の後段の部分はおっしゃるとおりだというふうに思っております。

 トラック業界は我が国経済を支える大変重要なインフラでありますけれども、なかなか、トラックドライバーの賃金水準が低いとか長時間労働だということと相まって、人手不足が深刻だ、このまま放置するわけにはいかないということで、平成二十九年に、荷主とトラック事業者の間の取引のガイドラインでございます標準運送約款の改正を行いました。

 ここで、適正な運賃を講じて、かつ運賃と料金の区分けをするとか、また待機時間もしっかり反映させる、こうしたものが書かれたわけでありますが、なかなか約款の改正だけでは実効性が十分に得られないということで、一昨年の秋の臨時国会で議員立法により貨物自動車運送事業法が改正をされ、荷主を所管する関係省庁、農林水産省、経済産業省等々も入って荷主に働きかける制度をつくり、また、国土交通大臣が望ましい適正な運賃水準を標準的な運賃として告示する制度、これは先日やらせていただきましたが、創設をさせていただいたわけでございます。

 こうした取組をしながら、今、荷主の皆さんに向けてのセミナーの開催などをしながら、取引適正化を浸透させて、ドライバーの皆さんの労働環境の改善につながるような取組を進めているところでございます。

 技術革新につきましても、現状、いろいろな課題があると思いますが、しかし、やはり人手不足を乗り越えるためには技術革新による生産性の向上というのは必要だと思いますし、また、取引適正化をしっかりやりながら、冒頭申し上げたような、大変大事な産業でございますトラック運送業の持続的な発展と担い手不足の解消に取り組んでまいりたい、こう考えております。

高橋(千)委員 物流の専門紙カーゴニュースでは、今、海外コンテナがほとんどとまっておりますから、逆にそれを要するに振り分けて、過積載しなくてもちゃんとやれる、休みもとれるというふうなこともありだよね、それで大臣が言うようなV字回復のときに活躍するのを確保しておくというふうなことが書いてあります。

 私は、ポストコロナもそういう意味では大事な見直しのチャンスだと思うんです、働き方そのものを。そういうことも提起をして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 道路法案の質疑ということで、重なるところもあるかと思いますけれども、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、早速質疑に入らせていただきますけれども、やはり、我が国の物流、特にトラック輸送に関しましては、我が国の国内貨物の輸送量の約九割というのを担っており、経済や生活のライフラインとして当然欠かせない存在ですし、また、昨今、この新型コロナウイルスの拡大によって、暮らしや経済への影響というのをやはり最小限に食いとめるためにも、ネット通販だとかそういったこともあって、トラック輸送を中心とする物流の確保というのが大きな課題というふうになっています。

 ただ一方で、この業界は、やはり、いつも言われています人手不足、それから特にドライバー不足の問題というのが深刻化しています。より一層の生産性の向上というのが求められています。

 加えて、令和六年、四年後の四月には時間外労働に関する罰則つきの上限規制の導入というのも見据えられていて、働き方改革というのは加速していく必要が迫られているというふうに承知をしております。

 また、トラックが走る我が国の道路は、通行車両の幅それから重量等について一般的制限値が定められています。制限を超える車両は原則通行できませんが、制限を超える車両であっても、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊である場合に限って、必要な条件を付して通行を許可する特殊車両通行許可制度というのが設けられています。

 こうした中、物流における大型車両のニーズの高まりに伴って、特殊車両の通行許可の申請件数というのが増加をしてきた、審査に要する日数が長期化してきたとお聞きをしております。このような審査日数の長期化というのは、当然、物流を妨げるだけでなく、ドライバー不足の対応、それからまた、先ほども言いました働き方改革の実現といった課題の解決に向けてやはり足かせになっているものであり、物流の効率化の観点から、速やかに通行手続の迅速化というのが求められている。

 今回の道路法改正におきましては、この状況を踏まえて、特殊車両の通行前の手続を簡素化する新たな制度を創設していただいたというふうに承知をしております。これによって、あらかじめ登録を受けた特殊車両というのは即時に通行ができるようになるとのことですが、一方で、即時に通行できる経路は道路構造の情報が電子化されている道路に限られるというふうにもお聞きをしております。

 そこで、国土交通省道路局長にお伺いをいたしますけれども、新しい制度には、地方管理道路を含めた道路構造の情報のデータベース化というのが必要であり、目的地に至るラストワンマイルですね、これは、ラストワンマイルと言うんですけれども、実際は距離的な話ではなくて、お客様へ商品を届ける最後の物流区間という意味のラストワンマイルまでデータベース化が進んでいなければ、新たな制度を設けていってもなかなか意味がないと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたように、新たな制度をできるだけ多くの特殊車両の通行に適用していただくためには、いまだ道路構造の情報の電子データ化が完了していない、お話もありましたラストワンマイルなどの都道府県道、市町村道、こういったものの電子データ化を更に進めることが重要であると考えております。

 これに関しまして、国の方で都道府県道や市町村道についての電子データ化を代行することや、車載型センシング技術などの新技術の導入をしまして、電子データ化の取組を加速をしてきておりまして、ことし五月までに、都道府県道や市町村道については、過去の申請があった道路については約八割完了ということを予定をしております。

 新たな制度が施行されるまでの間にこの電子データ化をできるだけ進めて、新制度が多くの車両に利用いただけるようにしたいと考えております。

井上(英)委員 今、局長の答弁もありましたように、要は、ユーザーの方が利用しやすくなるというのは喜ばしいことですし、そのための環境整備ですね、要は、電子データをどんどんどんどん集めてもらうということもしっかりと努めていただけたらというふうに思います。

 特殊車両の通行に関しては、昔から課題となっている過積載などの違反というのがまた一方で出てきて、道路の老朽化が進展する中、今回、通行前の手続を簡素化することによって、便利にはなる一方で、道路の損傷を加速させる要因でもある過積載が増加するというようなことになったら、またこれは違う問題が発生してまいりますので、こうした問題に対して、今回、新たな制度では、登録を受けた車両の通行について、先ほどからもありましたけれども、ETC二・〇などの機器も用いて、通行後に確認を行うことで過積載等の違反を抑止するというふうにも聞いています。

 この新たな制度では、どのようにこの過積載を抑止するのか、ETC二・〇を活用すれば通行した経路を確認できるとしても、積載した貨物が重量を超過しなかったことなどはどのように確認されるのか、改めて、具体的に教えていただけたらと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 新たな制度では、通行した経路をETC二・〇のシステムで国が把握することで、これを活用して事後の確認を行いまして、経路違反の車両をこれまで以上に効率的に特定するということを見込んでおります。

 また、重量の関係につきましては、荷主からの運送依頼書など、積載した貨物の重量を証明できる記録の保存を今回の新制度を利用する方には義務づけて、事後に国が報告を求めることで重量違反の抑止ということを図っていきたいと思います。

 また、重量違反の車両については、車両の通行を道路上で発見できる自動計測装置、これはまだ数が十分じゃないんですけれども、これを今後増設をするなどの取組を進めて、違反車両の特定を更に進めていきたいと考えております。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 本末転倒というか、便利になったんやけれども、結果的に道路が傷んだりするようなことが加速するようなことになってもだめなので、しっかりと、ルールを守っていただいた上で便利になるように、それもまた環境整備を整えていただけたらというふうに思います。

 今回、こうやって簡素化した手続で登録が楽になるということなんですけれども、その中で、登録等の事務を一定の要件を満たす法人にお願いするということですけれども、その理由と、実際に指定される法人としてはどのような団体が想定されているのか。

 例えば、元国家公務員ですね、要は、天下りが多数再就職しているような、天下りが起きているような法人が指定されるというようなことはないのか。また、人件費や物件費ですね、委託費も含めた物件費などを考慮すると、現行と比較して手数料が高くなるというようなことにはつながらないのか、お伺いをいたします。

池田政府参考人 新たな制度における車両の登録や経路の検索、こういったものは電子データをもとに行うことになります。

 この際に扱う電子データは膨大な規模が想定されておりますので、このような電子データの処理を行うために、外部の指定法人に一元的にアウトソーシングをして効率化を図るということを考えております。

 この指定法人の業務は扱う内容がその事業者の利益に直結する経路データというもの等がありますので、公正公平に行われるという必要や個人情報の流用を防止するということから、営利を目的としない法人を指定することを考えております。

 その際に、指定に当たっては、必要な能力と体制を有することなどの客観的な基準で厳正に審査をする予定でありまして、今御指摘ありました、元公務員の再就職の有無によってその審査が影響されることはないようにしていきたいと考えております。

 また、お尋ねの手数料でございますけれども、指定法人にアウトソーシングすることで高額になるようなことがないように、国が一律に実費を勘案して政令で定めるということにしておりまして、この額を定めるに当たりましても、現行の許可制度の申請者の費用の負担を踏まえながら、利用しやすい額になるように検討していきたいと考えております。

井上(英)委員 そういう団体が全てだめだとか、そういうことを申し上げているわけでは決してないんです。もちろん、先ほど言われたように、能力だとか、要は、キャパシティーがきっちりとできる法人じゃないと恐らくだめでしょうし、その必要性がしっかりと説明できるというか、担保できるようにお願いをしたいなと。

 また、そうやってやっているんだけれども、結果的には今までの経費よりもたくさんかかるようなことになるとこれまた問題というか、別のまた問題が発生しますので、ぜひその辺も頭の中に入れながら推し進めていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続いて、歩行者利便増進道路についてお尋ねをいたします。

 本改正案では、歩行者が安全、快適に回遊、滞在できる、地域と一体となってにぎわいを創出する道路空間を構築するために、歩行者利便増進道路というのを創設されるというふうに聞いています。私の地元大阪の御堂筋も、今は車中心の六車線の、北から南行きの一方通行の道路なんですけれども、これから歩行者中心の道路に転換をしていこう、魅力ある道路空間づくりというのを進めようというふうにしています。

 このようなにぎわいの創出には民間の創意工夫というのをうまく引き出す工夫というのも必要であるというふうに思っています。こういった御堂筋などにおいては、地域のにぎわいづくりに資する道路空間整備が重要であると考えますが、今回のこの制度を活用したにぎわい創出による地域活性化についてお聞かせいただけますでしょうか。

池田政府参考人 全国の目抜き通りと言われるような道路については、地域のにぎわいをつくるために、車の通行を抑制して、道路上でオープンカフェやイベントなどが実施できるように道路空間の再整備を行うことが求められている、こういった道路もたくさんあると認識をしております。

 委員からお話ありました、大阪のメーンストリートである御堂筋におきましても、大阪市において、今お話ありましたように、車線数を削減して歩道を広げる道路空間の再編を内容とした御堂筋将来ビジョンを作成されて着実に進められておると認識しています。

 このような全国のニーズに対応するために、今回の道路法改正では、新たに歩行者利便増進道路制度をつくりまして、にぎわい創出が可能となる道路構造の基準を新たに策定することや、オープンカフェに使用する施設などを民間団体等が設置するときの占用基準の緩和を進めることとしております。

 今後、新しい制度が積極的に活用されるように、全国の地方公共団体関係者と連携を図ってまいりたいと考えております。

井上(英)委員 御堂筋は、大阪にとっては、先ほどおっしゃっていただいたメーン通りですし、国にとっても、こういう道路を創設していく上においては非常に大規模な、いい事例になるんじゃないかなというふうに思いますので、ぜひしっかりとやっていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 これまでの車中心の道路空間から人中心の道路空間に転換していくというふうにお聞きをしています。にぎわい空間のほかに、子供や高齢者、ベビーカーを押している方だとか、あらゆる歩行者が安全、安心して通行できる道路空間や、低速モビリティーなどの新たなモビリティーに対応した道路空間というのが求められているとしていますが、このような道路空間を整備していくために、具体的にどのような施策を講じていく必要があるとお考えかをお聞かせいただけますでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 歩行者利便増進道路は、道路空間、にぎわいをつくることを目的としておりますけれども、その際に、歩行者やベビーカー、車椅子などあらゆる利用者の安全、円滑な通行の確保、これが前提となったものであると考えておりまして、この趣旨を踏まえた構造の基準を新たにつくる予定としております。

 具体的には、歩行者が積極的に滞留する空間とは別に歩行者が安全、円滑に通行する空間を確保するということや、その空間についてはユニバーサルデザインにも配慮する、こういったことを具体的に規定をしていきたいと思います。

 また、今後想定される低速モビリティーなどの新しいモビリティーへの対応でございますけれども、これもにぎわい空間と同様に新しいニーズでありまして、これに対応する道路空間のあり方や、今後それをやっていく上での手法の検討、こういったものも急がれるものと思います。

 このために、今後、このような多様なニーズに応えるための道路空間構築に向けた課題の抽出や具体的な施策などについて、現在、有識者から意見を聞く会も設けて検討しているところでございます。

井上(英)委員 きのう、くしくも、十二歳ぐらいの子が自動車にひかれてお亡くなりになったというような報道があったんですね。ですから、やはり、歩行者とかそういう自転車に乗っておられる方もそうですけれども、車と交わらないような空間になればそういう事故も発生しないわけですし、今後また未来に向けて、道路局として中心になって、歩行者の安全を守れるような、そういう道路空間というのをぜひお願いをできたらなというふうに思います。

 続きまして、歩行者中心の道路空間を構築するためには、通行の邪魔となる電柱をなくすということも重要ではないかなというふうに思います。無電柱化の推進に関しては、現在、緊急輸送道路等において電柱の新設禁止措置などもとられています。先生もおられますけれども、無電柱化に御苦労されている。

 歩行者が安心、快適に通行、滞留できる空間を整備するという歩行者利便増進道路の趣旨に鑑み、歩行者利便増進道路にあっても電柱をなくしていく必要があるというふうに思いますけれども、歩行者利便増進道路に限らず、良好な景観形成のため無電柱化が重要であると考えますが、一層推進するために、国土交通省として、今後の取組について、国交大臣、意気込みをお聞かせいただけたらと思います。

赤羽国務大臣 先ほども御答弁させていただきましたが、これまで国交省としては、景観法の制定のときに私もちょうど委員で、京都の町家づくりとか無電柱化のまちづくりを視察した経験がございまして、これは景観的にもやはり無電柱化を進めていこうということでありましたが、かけ声だけでなかなか進まなかった。

 それはやはり、国として計画を定めず、また財源的な担保もしなかったということが原因だったと思いますが、平成三十年度に無電柱化推進計画というものをつくり、また、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策で財源もついて、二〇二〇年度までの三カ年で二千四百キロメートルの無電柱化に着手し、取組を進めているというところでございます。

 また加えて、今回も、無利子貸付制度も活用してそういう体制をつくりながら、国交省だけではなかなか進みませんので、これは電力事業者を所管している経済産業省とも手を組みながら、これからのあるべきまちづくり、また、災害に強いという両方の側面から、無電柱化は具体的に、着実に進めていかなければいけないと思って、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

井上(英)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 今回の道路法改正では、災害時における地方公共団体が管理する道路の啓開、災害復旧の国交大臣による代行制度というのを拡充して、当該地方公共団体からの要請があれば、一定の要件に該当するという場合には、地方公共団体が管理する道路の代行ができるという法案であります。

 もう時間もありませんので、そこの代行に関しては、体制整備をしっかりと取り組んでいただくように道路局長にお願いをしておきます。

 最後に、道路の防災対策の推進というのがますます重要になってきますけれども、改めて、近年、本当に自然災害の激甚化、頻繁化というのが起きていますので、これまで以上に強い道路ネットワークというのが必要だと思いますけれども、国交大臣の思いをお聞かせください。

赤羽国務大臣 災害の甚大化で、道路が途絶をするということで被害が長期化するということ、大変大きな問題だと思っております。

 そうした意味では、四車線化されたところというのは早期復旧が可能で、実は昨年の台風十九号を終えてから、この間、全国の首長さんは、この四車線化の要望が一番多くありました。

 そういう意味では、現状ではまだまだミッシングリンクも約二千キロ、二割もありますし、開通済みの区間でもそのうちの四割が二車線区間であります。

 こうしたことをしっかりと、一日も早く、解消に向けまして、今年度は、ミッシングリンクの解消、約百四十キロの開通を見込んで整備を進めてまいりますし、暫定二車線区間につきましても、財投を活用して百十キロメートルで四車線化に着手をするということになっております。

 四車線化を進めると同時に、そこに行き届かないところはのり面ですとか盛土の耐震等の対策も講じながら、防災に強いというのは非常に道路に大事なことだと思っておりますので、しっかりと整備を進めていきたい、こう考えております。

井上(英)委員 どうもありがとうございました。

土井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、道路法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。

 まず、災害によって被害を受けた地方管理道路の道路啓開、災害復旧の国による代行の拡充については、迅速な災害復旧と地方自治体の負担軽減のためにも必要なことであり、賛成であります。

 その上で、反対する第一の理由は、これまで民間事業者自身が整備してきたバスターミナルを公共施設として整備できるようにすることで、特定企業を優先的に優遇する都市再生事業など、大規模再開発事業を後押しするものになりかねないからです。

 法案は、バス、タクシー、トラック等の事業者専用のターミナルを新たに特定車両停留施設と呼び、道路法上の道路附属物として位置づけた上で、運営権を民間会社に設定するコンセッション制度を活用します。コスト縮減、効率化のためだといいますが、もともとが公営である必要はないため、理由になりません。

 特定車両停留施設、いわゆるバスタが、全国の大規模再開発事業の中心施設として位置づけられていることは、既に事業化あるいは現在検討されているものを見ても明らかです。七百億円もの公費をつぎ込んだ新宿バスタを始め、リニア開業時の二〇二七年の概成を目標としている国道十五号・品川駅西口駅前広場事業や、総事業費が一千億円を超える国道二号等神戸三宮駅前空間事業を始め、札幌、仙台、大宮、新潟などがありますが、バスタ制度は、巨額でリスクも高い再開発事業を国などが中心になって担おうとするもので、認められません。

 反対する理由の第二は、歩行者利便増進道路制度は、大手不動産会社など大規模開発事業を進める特定事業者に、公共的空間である道路の占有を最長二十年もの期間認めることになり、住民の意向を無視した再開発事業に利活用されかねないからです。

 今般の法案では、道路管理者の判断によっては、地域外からの公募を可能とし、占有期間も最長二十年まで認めるとしています。多額の初期投資が回収できるよう、大規模再開発などを担うまちづくり団体や開発事業者の要望に応えたものにほかなりません。また、法案には、住民との協議、調整を円滑に進める仕組みがなく、これでは、住民の意向を無視した開発も可能となり、認められません。

 最後に、自動運転について、道の駅などを中心とした限定的な利用から、一般道、高速道路での利用を視野に磁気マーカーなどの自動運行補助施設が位置づけられました。

 トラックの隊列走行は、安全面、精神面でもドライバーの負担強化となり、労働力不足対策などと言うべきではありません。むしろ、トラックドライバーは、過労死トップという現状を重く見て、時間労働や処遇を改善するために国交省が役割を果たすべきです。

 自動運転は、事故防止のための補助的な機能など、期待される側面もあると思いますが、それ以上に安全対策や事故トラブルの際の責任の所在など課題は多く、インフラ整備ありきで、先を急ぐべきではありません。

 以上述べて、反対討論とします。

土井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小里泰弘君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会・無所属の会の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。西岡秀子さん。

西岡委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    道路法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 人手不足で厳しい対応が求められている物流業界の生産性向上のため、新たな特殊車両の通行制度を創設するに当たっては、事業者に利用しやすく障害にも強いシステムを構築するとともに、可能な限り速やかな施行に努めること。また、新たな制度が施行されるまでの間、現行の通行許可制度における審査の迅速化を引き続き進めること。

 二 新たな特殊車両の通行制度の利用はETC二・〇の搭載を要件とすることから、ETC二・〇の普及に向けた支援など必要な措置を講ずるとともに、ETC二・〇を通じて把握した通行情報を有効に活用して道路の維持管理や渋滞対策を推進すること。

 三 交通結節拠点となる特定車両停留施設について、道の駅と同様に災害時には防災拠点として機能するよう必要な措置を講ずるとともに、バスロケーションシステムによる情報提供、バリアフリー化、MaaSなど新たなモビリティ・サービスヘの対応等、利用者に対し利便性の高いサービスを提供するものとして整備を進めること。

 四 歩行者中心の道路空間となる歩行者利便増進道路では、民間の創意工夫を引き出せるよう柔軟な運用を行うとともに、まちづくりを担う地方公共団体、地域の民間事業者等との連携を図りつつ、地方創生にも資する賑わいのある道路空間の構築に向けた必要な措置を講ずること。

 五 自動運行補助施設について自動運転技術に係る国際基準との調和が図られたものとなるよう基準の整備等必要な措置を講ずるとともに、今後の自動運転技術の急速な進化に対応できるよう、自動運転車両専用の走行空間の確保を始めとした自動運転社会における道路空間の在り方について引き続き検討を進めること。

 六 人口減少・少子高齢化の進展に伴い、地方で公共交通事業の縮小やサービス水準の低下が懸念されていることに鑑み、道の駅を活用した中山間地における移動支援サービスについては、高齢者など利用者の確実な地域の移動手段となるよう必要な措置を講ずること。

 七 災害に強い道路を構築するため、地方公共団体における道路の維持・修繕を担う技術者の確保及び育成への支援に努めること。また、災害に対する即応力を高めるため、地方公共団体や復旧作業を行う建設業者との連携を一層推進するとともに、国の体制の充実を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 道路法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

土井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

土井委員長 次回は、来る十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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