衆議院

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第14号 令和2年5月22日(金曜日)

会議録本文へ
令和二年五月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    小田原 潔君

      大塚 高司君    大西 英男君

      鬼木  誠君    門  博文君

      神谷  昇君    熊田 裕通君

      小林 茂樹君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    谷川 とむ君

      土屋 品子君    中村 裕之君

      長坂 康正君    鳩山 二郎君

      深澤 陽一君    堀井  学君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      簗  和生君    山本  拓君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      中島 克仁君    西岡 秀子君

      広田  一君    古川 元久君

      馬淵 澄夫君    道下 大樹君

      矢上 雅義君    谷田川 元君

      伊藤  渉君    北側 一雄君

      高橋千鶴子君    井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            堀本 善雄君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            石田 晋也君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    坂田  進君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  眞鍋  純君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     笹川 博義君

  長坂 康正君     熊田 裕通君

  西岡 秀子君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     長坂 康正君

  笹川 博義君     大塚 高司君

  中島 克仁君     西岡 秀子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・建設産業局長青木由行君、住宅局長眞鍋純君、金融庁総合政策局審議官堀本善雄君、総合政策局参事官石田晋也君及び消費者庁審議官坂田進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小田原潔君。

小田原委員 自由民主党の小田原潔であります。

 質問の機会を頂戴し、まことにありがとうございます。実は、国土交通委員会での質問、議員生活八年目にして初めてであります。

 昨年七月に発表された我が国の平均寿命は、男性が八十一・二五歳、女性は八十七・三二歳。世界に誇る長寿国になっていること、大変喜ばしいことでありますが、他方、仮に、生まれてから二十年程度教育を受けた後四十年働いたとしても、その後、二十年以上、無収入の期間を迎えるということでもあります。私自身、老後の確実な収入は国民年金だけになるでしょう。毎月一桁万円の年金で暮らしていくのは心細い気持ち、よくわかります。近年、家賃保証のついた不動産管理やサブリース案件を組んで、大家さんとして安定した収入を得続けたいという方がふえるその実態も、そういうことを考えれば、理解できるものでありましょう。

 しかしながら、昨年世間を騒がせました女性向けシェアハウスのサブリース案件で詐欺まがいの勧誘が多数行われ、数百人のオーナーが損失をこうむった事案は、記憶に新しいところであります。また、この法案概要の目的として挙げられている、KPIアンケート結果で、管理業者とトラブルを経験したオーナーが四六%もいるという現状、業界のあり方は、見過ごすことができない状況でありましょう。

 そこで、今回の法律で適正を図るということであろうと思いますが、平成二十三年に賃貸住宅管理業者登録制度ができ、国土交通省の賃貸住宅管理業者登録簿に任意に登録することとなっていますが、今回、この国土交通大臣の告示に基づく登録制度を法制化したことでどのような改善が見込まれるのか、教えてください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、国土交通省では、この賃貸住宅管理業につきまして、平成二十三年から告示に基づく任意の登録制度を実施いたしまして、これによりまして管理業務のルール化、標準化、こういった取組を進め、一定の適正化の役割を果たしてきたとは思ってございます。

 しかしながら、現行の登録制度では、管理業者への義務づけが登録を選択した事業者のみに限られているということ、そして、不適切な行為があったときに業務停止などの有効な行政処分を行うことができないため、規制の実効性の担保が十分でないといった課題がございます。

 このため、今回提出をいたしました法律案では、賃貸住宅管理業を営む者に対して登録を義務づけ、そして、管理受託契約についての重要事項説明、オーナーへの定期報告、専門的知識を有する業務管理者の配置などを義務づけるとともに、違反者に対しては、業務停止などの監督処分、罰則の対象とすることといたしております。

 また、サブリース事業につきましても、賃貸住宅のオーナーから借り上げるためのマスターリース契約の締結の際に重要事項説明を義務づけますとともに、サブリース業者、それからサブリース業者と組んで勧誘を行う者にも不当な勧誘等を禁止して、違反者には、これも業務停止等の監督処分、罰則の対象とすることといたしております。

 これらの措置を講ずることによりまして、賃貸住宅の管理業務の適正化に向けて、実効性を確保することとしたいと考えてございます。

小田原委員 ありがとうございます。

 実は、知人を介して、世間を騒がせた案件の被害者の方が、実名を明かして、私に、質問のときこういうことを言ってほしいというメモを下さいました。全ては紹介できませんけれども、きちんとした方なんですけれども、だまされてしまった悔しさ、巨額の借金が残ってしまったときの不安などがにじみ出る、そういうメモでありました。

 この方は、仲介会社それから販売会社の方から、サブリースの案件を大変ずさんに説明を受けたと明かしていらっしゃいます。チラシには、銀行借入れの期間と合わせた三十年保証とうたい、口頭では、三十年一括借り上げだから大丈夫、保証期間が過ぎても家賃はそう変わらないと聞いていると説明して、勧誘していました。

 この方の思いは、仲介会社、販売会社が勧誘の際サブリース条件について説明できないように、サブリース条件はサブリース契約を引き受ける会社に一本化し、詳細の説明を義務化すべきだと訴えていらっしゃいました。

 この法案によって、全てのサブリース業者に対し、勧誘時における、故意に事実を告げず又は不実を告げる等の不当な行為の禁止、サブリース業者と所有者との間の賃貸契約の締結前の重要説明事項の義務づけ、サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者についても契約の適正のための規制の対象とし、賃貸住宅管理業を営もうとする者について国土交通大臣の登録を義務づけ、そして、その登録を受けたら事務所ごとに賃貸住宅管理の知識経験を有する者を配置し、管理受託契約締結前に具体的な管理業務の内容、実施方法について書面を交付して説明、管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理、業務の実態状況について、管理受託等の相手方に対しても定期的に報告等を義務づけるなど、どちらかといえば業者への規制色が強いようにもお見受けします。

 これは、現状に問題があるからそれを解決するための制度が必要だ、ここは合点がいくんですけれども、業界ですとか業務のあり方が本当に適切化するためには、規制だけではなく、優良な業者を育成あるいは誘導していくという策を講じる必要もあると思いますが、御意見を聞かせてください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、今回の法律案につきましては、賃貸住宅管理業者につきまして、法律上さまざまな義務、規制を課すことにいたしまして、管理業務の適正な管理を確保してまいります。

 ただ、一方で、御指摘のとおり、優良な業者への育成、誘導を行うということ、そして、事業者、業界にかかわる者がスキルを向上させていくこと、そしてモラルも向上させていくこと、こういったことを通じて、業界の健全な発展、育成を図ることも大変重要な課題と思ってございます。

 このため、今後、事業者団体とも連携をいたしまして、この法律の施行とあわせまして、例えば、従業者のレベルアップのための研修の実施、あるいは優良な管理事例の共有、横展開、そしてオーナー、入居者への制度の普及啓発、業界のコンプライアンス体制の構築などの取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

小田原委員 ありがとうございます。

 昨年話題になった案件では、幸いとしてと言っていいのかわかりませんけれども、この案件にかかわった銀行が、これは厳密に言うと法人そのものは加害者であったかどうかというのは疑問の残るところなのでありますが、何しろ、サブリース業者自身がもう解体してなくなってしまった以上、本来、その責任をとってほしいから、詐欺罪であるとか粉飾決算であるとか役員の賠償責任を問うとか、さらには、実体のない取引であったということで、正攻法の法的責任を問うということができませんでした。結果的に銀行が借金棒引きというような形で解決を図り、本当に、若くして数億円の借金だけをしょってしまったということは避けられたというふうに理解をしております。しかしながら、今後も、初めからだますつもりで案件を仕組んだとしか思えないような悪質な業者を駆逐し、また、そういう悪意が起こらないような制度の徹底をお願いしたいと思います。

 ところで、冒頭申し上げましたこの法案の目的、効果、KPIアンケートで、業者とトラブルを経験したことがあるという回答をしたオーナーが四六%と申しました。これを令和十一年度に一五%とするという目標ですが、その根拠や過程について教えてください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 この法案の企画立案に至るプロセスにおきまして、国土交通省といたしまして、賃貸住宅管理の委託につきましては、全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETと申しておりますが、こういったことを通じまして、近年、トラブルの数、これが非常に増加傾向にあることなど、その実態を把握してきたところでございます。

 一方、昨年、今御指摘ございました、私どもの方で改めて実施をいたしました賃貸住宅管理に関するアンケート調査を行いましたところ、管理業者との間でトラブルが発生したと回答したオーナーが、割合で四六%に上るということを把握したものでございます。

 そこで、今般、新法を提案するに当たりまして、この四六%という比率、これを少なくとも三分の一以下に抑える、これをKPIとして掲げたところでございます。

 この法律案の適切な執行を通じまして、賃貸業者による業務の適正化を図るとともに、先ほどお話し申し上げました、オーナーに正確な知識、的確な判断力を身につけていただく、業者のレベルを上げていく、こういったことを通じまして、管理業者とオーナーとのトラブルが減少するよう、関係機関と連携しつつ取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

小田原委員 ありがとうございます。

 管理業務というのは、もともと大変難しいものであります。難しいというその本質は、借りている人と貸している人の間の人間関係が壊れそうなことを解決しなきゃいけない、そういう仕事が多いからでありましょう。

 もともと、物件を借りている人は、家賃は安ければ安いほどいいし、設備はオーナー負担で新しければ新しいほどいいと思うのも当然でありましょう。オーナーはオーナーで、逆でありましょう。家賃はできるだけ高くお支払いいただきたい、修繕管理は、借りている方が自発的に、いつもきれいに機能するように管理してもらいたいと思うものでありましょう。さらには、最もトラブルになりやすいケースというのは、出た後の現状をどのようにもとに戻すか、そのコストは誰が払うか、敷金からどれぐらいそれを払うか。大変ぎすぎすしたというか、余り相手に言いたくないなと思うようなことをお任せするわけですから、トラブルになりやすいのはよく理解ができます。

 先ほど御紹介したお手紙、メモの中には、長期のサブリースを禁止してくれというお声がありました。

 サブリース会社は、運用が難しくなれば簡単に条件を変更します、最初の数年だけ実態とかけ離れた高額な家賃保証を提示し、その後条件を変更する行為、まさに詐欺的です、契約の中には、三十年など長期保証で、解約時には数千万円を要求する場合もあります、そもそも、二十年や三十年など金額として保証できない長期間のサブリース契約を認めるべきではないと考えます、サブリース契約が解約できないということで泣き寝入りするしかありません。このように、切実な思いをつづられています。

 こういったシェアハウスの事案のように、不正融資まで行って悪意の勧誘をすることは許されることではありません。また、高齢者を言葉巧みに誘導して、理解不足なまま契約を結ばせることがあってはなりません。

 しかし、サブリースの貸し主となる以上、余り傷口に塩を塗るようなことを言うつもりはないのですけれども、貸し主となる以上、その人は住宅賃貸業者になります。いかにサラリーマンの副業であっても、また、所有者が高齢者であっても、自分が不動産賃貸業を営む者になるんだというのは事実であります。また、不動産賃貸は、その本質が投資であるということには変わりがありません。投資の最終判断と結果責任はオーナー本人となる、その事実から逃れることはできません。

 したがいまして、不動産のオーナーになる場合、契約を結ぶ前に現地に行ってみて、交通の便を実感して、女性が夜中にひとり歩きしても安全な道があるのかどうかなど、町並みや近隣の住環境を把握をして、底地の相場や家賃の相場、売買事例、建築の坪単価を調べ、自分が計画しているその算段が妥当であるかどうか、自分で自信を持つということが大前提でありましょう。

 そこで、お伺いします。

 賃貸住宅の管理業務、また、この業界の適正のためには、オーナーになる人への最低限の投資家教育と申しますか、啓発が不可欠と思いますが、この法案の枠組みの中で、どのようにそういったオーナーさんへの心構えとか投資家として最低限気をつけなければいけないことなどの啓蒙をしていくか、教えてください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、賃貸住宅管理業務、業界の適正を図りますためには、この法律案で必要な規制を加えましてその適正を図っていくということ、それに加えて、御指摘ありました賃貸住宅の管理業務あるいはサブリース事業の事業リスクなどについて、やはりオーナーとなるからには、みずからリスクを回避していく、そしてトラブルを防止していく、そのために必要となる基礎的な知識の向上、そして判断力を身につけていただく、これが重要と考えてございます。

 このため、国土交通省といたしましては、今回法律に盛り込みました規制内容はもちろんのことでございますけれども、例えば、経済事情の変化により家賃は減額リスクがあるということ、それから、事業者の経営状況の悪化によって家賃減額請求が行われるケースがありますけれども、これには必ずしも応じる必要はないこと、あるいは、管理に当たって、契約内容によってオーナーが負担すべき維持保全等の費用が発生するということなど、賃貸住宅の管理をめぐってトラブルが想定される事柄につきまして、業界団体とも連携いたしまして、例えばリーフレットなどによりまして周知徹底を図っていきたいと思っております。

 また、消費者庁さんあるいは金融庁さんとも連携をいたしまして、サブリース契約についての誤った認識の防止に向けた注意喚起でございますとか、あるいは、金融機関におきましてサブリース事業のリスクを伝えていただくような、こういった取組につきましても実施してまいりたいと考えてございます。

小田原委員 ありがとうございます。

 長寿化に合わせて安定した暮らしをつかみ取る、そういうきっかけを広げていくことは大変重要だと思いますし、大いにこれからも増進していくべきだと思います。

 しかし、他方で、不動産のオーナーになり、それを人にお貸しするということは、本質において非常に難しい。特に、起こるはずのないことが起こったときの対処やその金銭的な手当てというのは、そう簡単なものではありません。

 住んでいる人が火災を起こし、その上の階とか横の階で大きな人的被害が出た場合、本当に保険だけでカバーできるのかとか、また、上の人が高齢化をして、お風呂のお湯をずうっとこぼし続けて、下に雨漏りして中の木が数年後に腐るとか、そういった生々しい事案とそのコストというのはなかなか、重要事項説明書だけで理解してもらえるものなのか、難しいところがあると思います。

 だからこそ、オーナーになる人はそういったこともよく勉強した上で、そして、そういった不測の損害や事態を自分はきちんとコントロールできるんだという自信と自覚を持って投資をしていただけることを切に望むばかりであります。

 本日は質問の機会をいただき、また、この業務全体、業界全体の健全な発展をお祈りをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 おはようございます。公明党、岡本三成です。質問の機会を、ありがとうございます。

 今回の法案は、近年トラブルがふえておりますサブリース業者と所有者の賃貸借契約の適正化を図る意味で、大変重要な法案であります。とりわけ、二〇一八年四月の株式会社スマートデイズによる女性専門シェアハウス、かぼちゃの馬車の破綻をきっかけに、サブリース問題が大きな社会問題となりまして、これまである意味、一部放任主義をとってきたこの管理業務に関して、しっかりと規制の網をかけようとするものであります。

 私、このスマートデイズの破綻、二〇一八年の四月以降、この被害者の方々、弁護団の方々と、何回も面談を国会で重ねてまいりました。そのたびに国土交通省の皆さんにも御出席をいただき、きょう参考人で来ていただいている金融庁の皆さんにも来ていただきながら、一緒に解決をしてまいりました。

 昨日、この弁護団の代表である山口広先生とお話をいたしました。問題がここまで大きくなったその根源的な理由の一つには、やはり行政の対応が不十分だったということは否めないというふうに山口弁護士がおっしゃっていらっしゃいました。

 今回のかぼちゃの馬車問題では、加えまして、一般市民が信頼を置いております金融機関も大きくかかわったということが大きなショックとなっております。

 現在、国土交通省、このスマートデイズの問題が起きた後、この法案の提出までに一年半以上かかっておりまして、私、正直ちょっと、規制に乗り出すのが遅かったんじゃないかなというふうに思っているんですね。

 今、管理業者、所有者あるいは入居者との間でさまざまな問題を消費者庁を中心に吸い上げていると思っておりますけれども、国土交通省として、問題はどういう種類に、またどういう傾向にあると把握されているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

 加えまして、今回、スマートデイズは、任意の登録制度に基づく登録をしておりませんでしたので、賃貸借住宅の業務管理者として処分がされておりませんし、加えまして、廃業届が出されておりますので、宅建業法に基づく処分も行われておりません。

 この賃貸住宅管理登録制度は、二〇一一年に運用が始まっておりまして、なぜこれまで任意としてきたのか。二〇一六年の見直しの時点でも任意が継続されたわけですけれども、もう少し早く義務化されるべきだったというふうに思いますけれども、これまでの全体の流れ、そして現在の問題をどういうふうに分析されているか、まず国土交通省にお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、管理業者と賃貸住宅のオーナーとの間でトラブルが増加している、頻発していることを受けまして、昨年、国土交通省で、トラブルの実態等を把握するために、管理業者、オーナー、入居者、この三者を対象とした調査を実施したところでございます。

 この調査の結果を見ますと、サブリース業者が契約締結時にオーナーに対しまして賃料減額のリスクなどを説明している、この割合は六割程度にとどまっているということ、そして、これに起因をしていると思いますけれども、契約途中で大幅な賃料減額等を求められたというような事案、そしてさらには、サブリース業者から想定していなかったような修繕費用を請求されたというようなトラブル、こういうものが見られております。また、オーナーと管理業者との間で、賃料などが管理業者から入金されない、あるいは、管理業者から管理業務に関する報告がなく、適切な対応がなされているか、把握がオーナーとしてできないといった問題がある等が明らかになってきたところでございます。

 一方、新たな制度整備ということになりますと、管理業者にさまざまな義務を課すということになります。そして、その必要性、規制のあり方、法制度に位置づけるべき措置等々につきまして、幅広い検討が求められてきたというふうに思ってございます。

 御指摘ございました賃貸住宅の任意の登録制度、これは平成二十三年に創設をしたところでございますが、先ほども申し上げたとおり、事案の進展に伴いまして、登録の限界、問題点、これも見えてきたということでございます。私ども、それにあわせまして、有識者の検討会、これを平成二十八年、三十年、開催をさせていただいて、そして、それぞれ御提言をいただき、その対応を進めてまいったところでございます。また、業界の方々とも意見交換しながら、実効のある規制など、あるいは質の向上などについても検討を重ねてきたところでございます。

 そこで、先ほど申し上げたアンケート調査を実施して、ある程度の立法事実、これをきちんと把握した上で、より実効性のある規制のあり方について検討を進めまして、今般、法律案を提出させていただいたところでございます。

岡本(三)委員 続きまして、金融庁の方にお伺いします。

 このかぼちゃの馬車問題では、スルガ銀行が大きくかかわっておりまして、ローンの申請時に、そのローンの申込者の承諾を得ることなく、無断で、ローンを実際執行したいがために、源泉徴収票の書きかえ、残高を大きく改ざんして、返済能力があると見せかける。不法行為であると同時に、会社に対する背任行為でもあります。

 今回、スルガ銀行がその債務者の申立てと和解を受け入れまして、オーナー二百五十七人、ローン残高四百四十億円、これを全て、土地建物を納入することを条件として債務を一切解消するということで、これは大変重要な決断をしていただいたと思っておりますけれども、この債務解消の手続は今どこまで進んでいるか、教えてください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 スルガ銀行につきましては、シェアハウス向け融資における関係書類の改ざん等の問題を受けまして、金融庁におきまして、平成三十年十月に業務改善命令を発出いたしまして、この命令におきまして、金利引下げ、返済条件見直し、金融ADR等を活用した元本の一部カットなど、個々の債務者に対して適切な対応を行うための体制の確立を求めたところでございます。

 スルガ銀行は、業務改善命令を受けまして、可能な限り顧客の理解と納得が得られる最適な解決方法を提供するなどとし、本年三月二十五日には、一部のシェアハウス債務者について、東京地方裁判所の調停勧告に基づきまして、シェアハウス融資債権を第三者に譲渡し、シェアハウス債務者が当該第三者に担保物件、シェアハウスの土地建物をもって代物弁済することで債権債務関係を解消した旨を公表したものと承知してございます。

 スルガ銀行に対しましては、引き続き、可能な限り個々の債務者の理解と納得を得て解決することを目指していくなど、私どもとしても、適切な対応を行っているのか、継続してしっかりとモニタリングをしていきたいと考えております。

岡本(三)委員 これはほとんど組織ぐるみで、スルガ銀行がやったことはとんでもないんですけれども、最後、調停を受け入れたことは正しい決断だと思います。

 一方で、ほかの銀行からローンを引いている、又は頭金を結構入れちゃった、又は全額自己資金でやった方もいらっしゃるんですが、この方々は一切救済されないんですね。ですから、これは金融庁として、他の金融機関もしっかりと監督をする、また、国土交通省も、賃貸管理会社等にしっかりと今後指導していくというようなことで、今回、この被害に遭った方々で、まだ救済されていない方々を置いていかないでほしいんです。

 今回、この被害者になった方に私は多くお目にかかりましたけれども、多くの方は、すごく真面目な、働き盛りの三十代、四十代の方なんですね。不動産のローンが長年借りられるということは、若い方しかほとんど借りられません。ある程度不動産リテラシー、金融リテラシーも高いんです。なので、要は、詐欺にだまされたみたいな、一年で二倍になりますみたいな出資法違反にひっかかるような人とは全く違って、将来年金だけでは不安なので、自分の人生、自分でしっかり守っていきたいので真剣にやった人たちが、自分の将来をだめにされるような状況に陥っているわけです。もう大変許しがたい行為だというふうに思います。

 国交省、金融庁、ともに実は猛省をいただきたいと思っているんですが、国交省は、昨年七月に、管理業者、家主、入居者、いろいろなところにアンケートをとっておりますけれども、そのうち、金融機関からの融資について、十割融資、自己資金なしで建てたというのが一五・五%、九割融資が一六・九%。九割、十割を合わせると三二%、三分の一はほとんど手金なしで建てたと言っているんですね。

 何でそんなことが起きるかというと、例えば、八千万円の物件を買うときに、その管理業者と販売業者がぐるになって、借入人と一緒に、これを一億円とうそをつきましょうと言って、銀行に一億円の物件だと言います。銀行は、では二千万円は手金ねと、八〇%、八千万円貸すので、ローンの金額は八割ということで八千万円の融資がおります。そうしたら、その八千万円を全額払って、これで十割ローン完成なんですね。そんな事案は民間のほかの銀行にもたくさんあります。

 金融庁、ぜひ監督していただいて、金融機関のローン債権も、本来八割融資だと思っていたら十割融資みたいなローンがちまたに出回っているわけですから、しっかり監督していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁が平成三十一年三月に公表いたしました投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果におきまして、各金融機関による自己点検、当庁のモニタリングの中で、不動産関連業者等による不適切な行為につきまして、必ずしも金融機関が融資審査で察知することができず融資を実行した事例、具体的には、例えば、不動産関連業者が物件の評価額の基礎となる賃料の実績を水増しするなどして物件の価格をつり上げる、あるいは、不動産関連業者が顧客と同意した売買価格よりも高い価格の売買契約書を金融機関に提出することにより、自己資金を有しない顧客に物件取得による資金全額を引き出すなどの不適切な行為が確認されているところでございます。

 一般論でございますけれども、金融機関におきましては、サブリース向け融資に限らず、顧客からの融資に関する相談については、将来的な返済能力等にも十分留意しつつ、顧客本位の立場で、顧客に対し考えられるリスクをしっかり説明するなど誠実な業務を行うことが重要でございまして、こうした観点からも、先ほど申し上げたような事例は問題があるものと考えてございます。

 金融庁といたしましては、金融機関が顧客の知識経験、リスクの理解度、財産、収入の状況等について主体的に把握した上で、顧客本位の立場で融資業務を適切に行うよう、引き続き、金融機関に適切な対応をとるよう、しっかりと監督をしてまいりたいと考えてございます。

岡本(三)委員 最後に、大臣にお伺いします。

 今回の法案では、任意登録制度を改めて、登録義務を課すわけですけれども、多くが今後、省令で決まっていく内容になっています。

 財産を分割管理するといっても、本来であれば、信託して別にして、管理業者が潰れてもその金は残っているようにしなきゃいけないんですが、別口座名義にするだけ。これは、管理業者が潰れたら、債権者が持っていっちゃうような形になっているんですね。もっと厳しくすべきだと思いますし、何よりぜひこの省令でお願いしたいのは、重要事項説明書の中に、先ほど小田原議員の質問でも、その被害者の方がおっしゃっていたように、赤字で、特出しで書いてほしいんですね。

 一つ目は、管理事業者が倒産したら、この約束は全部なしですからと。あなたは別に約束されたわけじゃなくて、私が潰れたら、あなた、この契約はないんですからねという、その管理会社のクレジットリスクをとっていることをしっかりと伝える。

 二つ目に、今書いている家賃はとりあえず今考えている家賃ですが、全く約束されたものではありません、将来、需給バランスによって家賃も下がっていきます、そんなリスクをわかっていてサブリース契約するんですかみたいに、わかりやすい言葉で、そのリスクをしっかりと投資家、オーナーの方に説明していただけるようなことも含めて、省令の設定をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 まず、岡本委員におかれましては、今回のこのサブリース案件で被害に遭われた当事者の皆様並びに弁護団の御代表の皆様と何回もお会いしていただき、また、現場のそうした皆さんの声と意見を持って建設的な御提案をいただいておりますことに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 今回のお願いをしているこの法改正を契機に、善意のオーナーがサブリース事案で泣き寝入りをすることのないような、そんな事案を撲滅できるように、しっかりとしなければいけないということで、そういう決意で臨んでいるわけでございます。

 今、具体的な省令はこれからでありますので、そうした意味で、再発が本当に防止できるようなこと、それとまた、省庁を挙げて、我々が責任を持ってしっかりやり切っていくんだという、当たり前のことですけれども、もう一度決意を新たにして、省令改正も含めて臨んでいきたい、こう決意をしております。

岡本(三)委員 ありがとうございます。終わります。

土井委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 共同会派、立国社の中島克仁です。

 賃貸住宅の管理業務の適正化に関する法律案の質疑でございまして、先輩議員、同僚議員の格段の御配慮をいただきまして質問させていただくこと、心から感謝申し上げます。

 まず大臣に、提出されている法案の趣旨について確認をさせていただきたいと思いますが、法案の柱、ポイントは、サブリース契約の適正化ということで間違いないか、確認をさせていただきたいと思います。

赤羽国務大臣 本法律案提出のときにも御説明をさせていただきましたが、現在、賃貸住宅というのは、単身世帯また外国人の居住者の方の増加を背景に、賃貸住宅の志向も高まっている。今後も、国民の皆様の生活の基盤としての重要性は一層増大していくと想定をされております。

 従前は、この賃貸住宅の管理につきましては、オーナーの方みずからが実施するケースが中心でありましたけれども、昨今では、オーナーの方の高齢化ですとか、相続に伴う兼業をする、そうした進展、また管理内容自体が大変高度化している等々で、管理業務を専門の事業者に委託するケースが大幅に増加しているというのが実態でございます。

 しかしながら、先ほどから御質問でるるありましたように、賃貸住宅の管理をめぐりましては、サブリースに係る契約の締結や管理業務の実施をめぐり、管理業者とオーナーの方の間のトラブルが増加しているのも事実でございまして、こうしたことを踏まえて、事業者による賃貸住宅の管理業務の適正な運営を確保するとともに、オーナーと事業者が締結するマスターリース契約の適正化を図り、そして、必要な措置を講じて、こうした不幸な事案が再度発生しないような、そんな思いで、今回この法案を提出させていただいたところでございます。

中島委員 背景として、賃貸経営を管理業者に一括するサブリース方式が増加している一方で、サブリース業者と所有者、入居者との間のトラブルも増加しておるということ、それも含めて、今回の柱がサブリース契約の適正化ということを確認させていただきました。

 三月六日に、本委員会、一般質疑でございましたが、私から、資料の一枚目にお示しをさせていただいております、昨年山梨で起きましたサービスつき高齢者向け住宅、いわゆるサ高住について、新日本通産というサブリース業者がサ高住を運営、昨年の七月から十二月の間に十二件が廃業した、一度にこれだけの数の廃業は大変異例という内容について質問をさせていただきました。

 少しだけおさらいしますが、この事案は、国策として進められるサ高住増設、これはもう安倍政権の新三本の矢、介護離職ゼロ実現のための介護の受皿づくり、そこでサ高住が増設、いわゆる国策として進められた。これにおいて、新日本通産というサブリース業者と所有者、さらに、国の補助金、国の機関からの融資が加わり、建設が進んだものの、昨年より、先ほども言ったように、七月から十二月の間に十二件の廃業が相次ぎ、結果として、現在、土地建物の所有者、御高齢の方がほとんどです、御高齢の方がほとんどで、最高齢の方は九十歳の方、一億数千万の負債を抱えて立ち行かなくなっているという案件です。

 加えて、サブリース業者、所有者、融資をした金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構に当たりますが、この三者の構図で裁判に現在発展しているという、極めて異例な事態となっている案件でございます。

 資料の二枚目でございますが、これは前回もお示しした資料でございますが、新日本通産が山梨県内で運営していたサ高住を時系列で表にしたものであります。これ以外にも、静岡県の磐田市、そして埼玉県の鴻巣市でも、磐田の件であれば建物も建っていないという状況でありますが、これも、詳しく説明すると長くかかってしまいますが、概略だけお話をいたします。

 この表で、青で塗られた施設が廃業した施設です。これを見ますと、幾つか目につくところがあります。これも前回質問いたしましたが、全体の半分近い十五施設が平成二十八年以降建設されていること、そして、平成二十八年以降建設された十六施設のうち半分の八施設が廃業に至っていること、平成二十八年以降の融資先、そのほとんどが独立行政法人住宅金融支援機構となっていることであります。

 先ほども言いましたが、平成二十八年、その前年の二十七年の秋には、安倍政権、一億総活躍社会の実現ということで新三本の矢が示され、介護離職ゼロ、その受皿のためのサ高住が、国策として増設することが示された時期とも一致します。

 この件について、三月六日、大臣にも御質問をさせていただいたわけですが、大臣からは、住宅金融支援機構の融資の適正性について、複数件の融資が短期間に集中したこと、一件一件の融資審査の手続、金額等の妥当性、また、融資の実行後のモニタリングの経緯、さらには全国調査について調査する旨、御答弁をいただきました。

 今週初め、私も国交省からこの調査の報告を受けたわけでありますが、これは資料の七枚目になります。山梨県のサービスつき高齢者向け住宅に関する調査結果という、これは、お示ししてあるのは概要でございますが、この件について大臣にも報告がされたと承知しております。

 この報告書について大臣にお尋ねをしたいんですが、この調査報告は、大臣が調査すると三月六日に御答弁いただきました、住宅金融支援機構の融資の適正性について、複数件の融資が短期間に集中したこと、一件一件の融資審査の手続、金額等の妥当性、また、融資の実行後のモニタリングの経緯が、大臣、この調査報告書、明らかになっているとお考えでしょうか。お答えいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、中島委員におかれましては、三月六日の国土交通委員会、また、その後の、予算委員会の分科会だったと思いますが、二度にわたり御質問いただき、また、きょうも現場からの声を届けていただきますこと、まず心から感謝を申し上げたいと思います。

 三月六日の国土交通委員会でこの案件、御提示をいただきまして、私からは、山梨県内でこうしたサービスつき高齢者向け住宅の廃業が多数発生したということにつきまして、ちょっと詳細がこのときはよくわかりませんでしたので、住宅局にその運営状況を、新日本通産という会社の運営状況ですとか、住宅金融支援機構の対応を調査するよう指示をいたしました。その結果、今お示しをいただきましたが、その調査の結果について、住宅局から私に報告がございました。

 この会社が運営していた三十七件のサ高住のこれまでの経過、そして今現在の運営状況、そのうち、廃業した物件の廃業理由ですとか、入居者やオーナーの状況等について、これは住宅局が山梨県等と連携しながら確認した内容も、報告をまず受けております。

 加えて、住宅金融支援機構の対応に関しまして、このように融資が集中した事情ですとか、これら物件に関する融資審査の手続、金額等の妥当性、融資執行後のモニタリングの経過などについて住宅局が同機構から聴取した内容の報告を、これも住宅局から受けたところでございます。

 ただ、今御質問ありました融資そのものの妥当性についてということにつきましては、今おっしゃられるように、機構と運営事業者及び一部のオーナーの方と係争中でありますし、また、機構の融資判断の基準などを開示することで今後の機構の業務遂行にも影響が出るというおそれもありますので、そうした面での調査結果の内容についてここで御答弁させていただくというのはちょっと差し控えさせていただきたい、こう思っております。

 しかし、いずれにしても、この問題は相当、善意のオーナーの方も大変な被害を受けているというふうなことも承知をしておりますし、大変重要な案件でありますし、委員からも国会において三たび御質問いただいておりますので、私としてはしっかりと注視してまいりたいと思っております。

中島委員 大臣から今お答えいただきましたが、係争中ということで、私がこの質問をしたのは三月六日で、その後、提訴をされた、係争になったわけであります。

 この報告書、概要を資料としてお示ししておりますが、それぞれ項目立てされている内容、それに添付された内容がそれに沿っているものかなと思っていたら、結果として報告されたのは、今大臣御答弁いただいたような経過や補助金の状況、現在のサ高住運営状況とか廃業の理由、入居者、オーナーの状況ということであって、私が六日に大臣にお尋ねしたのは融資の妥当性ですね。

 先ほどもお示しした資料の二枚目にあったように、融資をされてサ高住が建設をされたものの、それから一年、二年で廃業に至ってしまっている。先ほど静岡県のケースも言いましたが、建物さえ建っていない。この融資が適正だと、単純に、誰が聞いてもこれが適正だとはちょっと思えないんじゃないか。

 さらには、融資額が、私も地元の山梨県で何カ所か見に行きました、もちろんオーナーさんたちとも何度も話をしておりますが、その融資額、建物の額として本当に適正なのかということも大変疑問に思ったからこそ、三月六日のときに、お調べをいただきたいというふうに大臣に要請をさせていただいたということでございまして、係争中であるからちょっとお答えできないということはちょっと残念だなと。もちろん、その間、新型コロナウイルスのこともありましてということではありますけれども、この調査自体で私自身、ちょっと納得できないなというところは御理解をいただきたいと思います。

 今大臣お話をされましたが、三月六日に質問させていただいた後の十六日に、オーナー七人が新日本通産を集団訴訟いたしました。同時に破産申立ての手続も行っています。そして、三月二十四日には、集団訴訟のオーナーが住宅金融支援機構と地元の銀行に対して、新日本通産の運営能力を十分調査せず融資契約を結んだとして、支払い停止を求めて調停を申し入れております。

 オーナーさん方の住宅金融支援機構に対しての調停の申立て、支払い停止を求めていることを、大臣はどのように受けとめておられますでしょうか。

眞鍋政府参考人 済みません、私の方からお答え申し上げます。

 今御質問いただきました、建物、土地の所有者が住宅金融支援機構に調停を申し立てている件についてでございます。

 本件につきましては、機構が融資した一部のオーナーが機構に対して今後の返済方法に関する調停を申し立てる方針である、そのような報道があったことは承知してございます。

 現時点においてまだ調停の申立て書は到達していないというふうに聞いてございますけれども、当事者間の係争に関すること、調停に関することということでございますので、詳細あるいは見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

中島委員 済みません、大臣、ちょっと順番を変えましたので、申しわけないです。

 今、ちょっと詳細はよくわからないということだったんですが、調査書の中に、廃業されたサ高住のうち十一件はまだ廃業のままであって、未開業のものもあると。そのオーナーさん方は、先ほど少し触れましたが、御高齢な方がほとんどで、全く賃料が入ってこない中で、この先どうしていったらいいのか、ましてや、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、サ高住は、もちろん高齢者住宅とはいえ、その八割が要介護者、そして三割が要介護三以上の、実質、サ高住という名前の介護施設となっているケースも多々あります。

 そういう特殊事情から、こういったオーナーさん方、これも後ほど触れようかと思いましたが、先ほど国策で進められたと言いましたが、今回、オーナーさん方は、これは安倍政権の国策としてサ高住建設が進められていますと。さらには社会背景ですね、少子高齢化、核家族化、人生百年時代と言われておりますが、そういう状況の中で、御自身もいずれ介護が必要になったときにそこに入れますよと。あとは、社会貢献にもなりますという、そういった話しっぷりで勧誘をされ、入られた。そして、政策としては介護離職ゼロということ、その受皿として進められておると。そういったオーナーさん方が、今、新型コロナの影響もあり、更に不安を抱えながらおられる。

 では、ちょっと確認ですが、今現在、そのオーナーさん方、廃業して賃料が入ってこないオーナーさん方には、どのような対応がされておるんでしょうか。

眞鍋政府参考人 お答え申し上げます。

 今、山梨県などを始めとするサービスつき高齢者向け住宅を登録した公共団体、都道府県ないしは中核市でございますが、そちらの方からオーナーの御意向などを伺い、その状況を把握しているところでございます。

 今般の事案に関するオーナーの皆様方の中には、サービスつき高齢者向け住宅の廃業に伴って、今議員がおっしゃったような家賃収入が途絶えて、建設費の返済に支障が出ておられる方がおられると承知しております。

 また、そのオーナーの方には訴訟を起こしておられる方もいらっしゃいますので、その方々についての訴訟の内容についてはコメントを控えさせていただきたいと思いますが、廃業した物件の中には既に別の事業者により運営が再開されたものもあるというふうに承っております。

 ただし、まだ廃業中である物件についてもございますので、こうした物件についてのオーナーの方々に運営再開の御意向が仮にあるとするならば、厚生労働省やあるいは山梨県などと連携いたしまして、今後どういった対応ができるのか、可能であるのかということについて検討を進めてまいりたいと考えております。

中島委員 今、もちろん新たな運営会社が見つかればということもあるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、そもそもこの融資が本当に適正だったのか。ここは私、百歩譲って、機構さんもちゃんとした審査をされたということかもしれませんが、結果として、融資を行い、そして一、二年もしないうちに廃業に至ってしまった。そして、昨今の介護人材不足とか、まして、先ほども言ったように新型コロナのことで、今後その見通しが全く立っていないわけです。こういう状況の中で、新たな業者が見つかればそれはそれでいいじゃないかということでは、私、いかぬと思います。

 ちょっと、時間もないので、先に進みます。

 一方で、資料の八枚目、九枚目にお示ししておりますが、昨年の一月、平成三十一年一月には、新日本通産がサブリース業者として関係する埼玉県鴻巣市のサ高住建設融資において、住宅金融支援機構の職員が処分されております。「就業規則違反に伴う機構職員の処分について」ということ、これはプレスリリースされているものでございます。

 確認をさせていただきたいんですが、この案件、新日本通産の融資についてのことで間違いないか、不適切な行為は本当にこれだけなのか、お尋ねをしたいと思います。

眞鍋政府参考人 お答え申し上げます。

 議員の方で配付いただきました資料には個別の企業名は書いてございませんけれども、私ども、この案件については、新日本通産の関連の案件であるというふうに聞いてございます。

 また、プレス資料の中に記述がございますけれども、この職員が担当した融資案件全件について機構の内部で調査をしたところ、他に不適切な事務処理は確認されなかった。また、平成二十八年度以降に賃貸住宅融資などの窓口業務を担当した方、全部で百二十二名いらっしゃるということですが、その全員に対して不適切な事務処理の有無を確認したところ、ここで紹介されているような書きかえ、廃棄、隠蔽などの不適切な事務処理は確認されなかったということでございますので、ほかにはないものと承知してございます。

中島委員 先に進みますが、資料の六枚目ですね。

 今度は、四月二日に、いわゆるサブリース業者、新日本通産が、住宅金融支援機構を相手取って、損害賠償を求める訴訟を起こしました。住宅金融支援機構の不当な融資停止で新規事業が滞るなどして、十億四千七百万円の資産が失われたと訴えているわけであります。

 この記事、また訴状によると、機構が、平成三十年十二月、賃貸契約の内容が融資当時と現時点で異なることを理由に、同社が手続を代行する新規融資を停止した。同社が契約期間を当初の三十五年から二十五年に変更したことなどを契約の偽造と機構は指摘したとされています。

 これに対して、新日本通産側は、偽造ではなく、軽微な契約変更だと主張していて、このような提訴内容になっておるということですが、今、それ以外、先ほどの埼玉の以外に違法な、違反なことはなかったと言いましたが、これは前回のときにも私は指摘しておりますが、改めて言いますが、新日本通産のサブリース契約の契約書、いわゆる虚偽の契約書は九件あるというふうに私は聞いております。

 こういったケースが、機構側に問題があったのか、新日本側に問題があったのか。私は、どちらの味方ということではございません。まず、こういった、本当に、今回の一連の流れの中で、今お答えいただいたように、機構側の違反はなかったということですが、新日本側の、いわゆるこの訴訟の内容に書いてある偽造された契約書は何件あったんでしょうか。

眞鍋政府参考人 配付資料にもございました、議員御指摘の運営事業者、新日本通産でございますけれども、事実上営業停止状態となったのは住宅金融支援機構が融資を停止したためであるということで、機構に対して損害賠償請求の訴訟を提起した。この報道にあるとおり、その後、機構にも提訴の手続がなされているというふうな報告は受けてございます。

 まさに争いの内容そのもの、当事者間の係争に関することに触れることになりますので、この場で事実関係について詳細を申し上げることについては控えさせていただきたいと思います。

中島委員 ですから、二月、三月と、提訴になる前に、私は何度か質問させていただいているんです。

 今、訴訟中ということでお答えいただけませんが、これは概要を見て、資料の六枚目の上の、ポンチ絵みたいになっていますけれども、機構は、オーナーには調停を申し立てられ、いわゆるサブリース会社の新日本通産からも訴えられている。これは一体どうなっちゃっているんだと。やはり、所管する国交省として、これは補助金も使われておりますし、国の機関の融資でありますから、ちゃんと国民に説明する責任があると私は思います。

 冒頭にも、今審議されている法案も、サブリース業者と所有者との賃貸契約の適正化を図るということが今審議されている法律、サブリースの契約の適正化をちゃんとやるんだという目的の法案であります。

 今回のことを、裁判中とはいえ、国交省、先ほども言ったように、こんな異例の事態に陥っている状況をやはりみずから積極的につまびらかにしていくことが、まさに今回の法案の審議、その趣旨に沿うのではないかと私は思いますが、大臣、御見解をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 今おっしゃられたように、中島委員が指摘されたこの事案で被害を受けられた方はたくさんいらっしゃるわけでありますので、そうしたことを重く受けとめるというのは大事ですし、傍観的にはなってはいけないと思っております。住宅局にも指示をしております。

 ただ、私がコメントをここですること自体が裁判に対する影響を与えざるを得ないので、そのことはお答えはできないんですが、今言われた、多分中島委員も被害に遭われた方たちのさまざまなお話を聞いて、こうやって御熱心に取り上げていただいているということは、よく、重く受けとめますので、こうした事案が再発しないように、また、今、目の前のこの人たちに対してできることは何かということも、しっかりと検討していきたいと思っております。

中島委員 私は、大臣、前回の質疑のときに、先ほど岡本委員もサブリースの問題としてスルガ銀行、かぼちゃの馬車事案を取り上げておりましたが、前回の質疑で、住宅金融支援機構、スルガ銀行と一緒にはちょっとないんじゃないかみたいなことを御答弁されておって、私は、それに対して、私は逆です、そんなわけはないんです、そんなわけはないと思うんですが、先ほどお示しした調査書を見ると、本当にこれはコンプライアンス大丈夫かなと、ちょっと私、心配になってくるんです。

 先ほども言ったように、今回のケースは国策を手口と言ったらなんですけれども、例えば誇大広告ということも規制していかなきゃいけないということを考えると、今回は、それはもちろんそんなつもりはなかったかもしれませんが、一億総活躍社会、新三本の矢の一つが介護離職ゼロです、そのためにサ高住をふやしていきます、オーナーさんどうですかと。そして、介護不安につけ込んで、こういう事態を招いているわけです。

 こういうことに国の機関である機構がかかわっている、これは、みずからやはり積極的に問題を解決していく、その姿勢が求められるんだということは、改めて強く指摘をしたいと思います。

 そして、百歩譲っても、やはり、先ほど二枚目の資料で示したように、融資をして、その後、建物も建てられない、一方で、二年で廃業してしまう。これは、オーナーさんのみならず、利用されて入居している方々、これはもう言うまでもなく、ついの住みかとして入られている。こんなことが繰り返されたら、誤解なきように言っておきます、私は医者です。医者で、そして在宅医療をやっていた医者なので、当初から、サ高住に入居されている方に何度も往診にも行きました。そして、そこで懸命に地域の基盤を支えようとしてやっていらっしゃるサ高住の運営の方々、本当に頑張ってやっています。

 サ高住は、先ほども言いましたが、核家族化の影響や少子化の影響で、特別養護老人ホームがこれ以上なかなかふやせない中で、私は切り札だと。でも、その切り札がねじ曲げられて、このような状況でどんどんどんどんふえていくなんということは、絶対にあってはならぬと私は思います。

 そういう思いから、私は、赤羽大臣、別に、個人的によく話をしたことはございませんが、三月六日の御答弁であれだけ突っ込んで調査をすると言っていただいた。非常に責任感があって、正義感もある方だと私は思っています。

 だからこそ、今回の案件を赤羽大臣みずからリーダーシップをとっていただいて、もちろん、訴訟になっている内容についてということもございますが、改めて、この案件について、先ほど言った融資の適正性を含めて、今後、赤羽大臣が取り組んだから将来すばらしいサ高住が我が国に配備されている基盤となっているとなっていただけるように、ぜひリーダーシップをとっていただきたいと思いますが、時間になりましたので、最後に御答弁いただいて、終わりたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、誤解なきようにちょっと申し上げたいんですけれども、機構とスルガ銀行、スルガ銀行がやった事案というのは決して認められないわけです。金融機関ののりを明らかに越えている。それと住宅支援機構が一緒だということは、あってはならないし、あるはずもないと言っているのが、私はそう思って発言をした。

 しかし、今回の事案がどうだったかというのは、もう裁判になっていますので、私がこのことについて言えば影響が出るので言えないということは御理解いただきたいというのが一つと、もう一つ、このサ高住の問題は、安倍政権がやっているからというんじゃなくて、時代のニーズ、要請で出てきた政策だと思っております。

 ですから、多くの方がこの制度を受けて、よくなっているわけでありますが、この事例のように、ひどい例もあるわけであって、私はずっと思っているんですけれども、これは国交省と厚生労働省の共管的なところなので、お互いが、ややもすると自分の範囲じゃないと。箱は国交省、サービスは厚生労働省みたいな、やはりそういう気分があるのではないかなと、これはちょっと私見なんですけれども。

 やはり、これは厚生労働大臣と、コロナ対策で忙しいんですけれども、この件は継続している案件ですから、厚生労働省と国交省と、もう一度しっかりとこれを、両方がしっかり本当の意味で共管だ、責任を持ってやるんだという思いで、この事案が無駄にならないように、再発防止がしっかりできるようないい制度にしていきたい、こう決意をしたいと思います。

中島委員 まさに大臣がおっしゃったような内容だと思うんです。

 でも一方で、今、現実に数億円、多額の負債を抱えて、先ほど岡本委員も言いましたが、現実にいるということに対してもお含みいただいて、リーダーシップをとって、ぜひ努力していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立国社共同会派の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案について質問させていただきたいと思います。

 近年、資産運用や土地活用などで不動産収入のサブリース契約が急速に増加をいたしました。オーナーさんからすると、専門的な知識がなくても、三十年間あるいは三十五年間という長期にわたって家賃保証等、空室になっても家賃が保証される等、魅力的なものだとは思います。一方で、サブリース契約のトラブルは増加傾向にあり、悪質な事業者等をどう見きわめるかということが課題になっているんだろうと思います。

 私も以前、民間で会社を経営していたときには、もう十年以上前になりますけれども、不動産の購入でサブリース契約をしたことがあります、経験があります。また、その他の案件でも、さまざまな事業者からサブリース契約の営業、提案を受けたことがあります。

 当時は悪質な事業者だと思ったことはありませんけれども、それでも今思えば、まず最初に、土地の上に建てる建物の建設費、これが妥当なのかどうかということの判断が、経験のない方にはしっかりと相みつをとったり考えないと適切な金額がわからないということが、まずその判断が難しいということ。

 そしてまた、三十年、三十五年という保証においての収支の計画を見ても、今回も一つ問題になりますけれども、家賃の相場よりも高い値段で設定をされていたという実感があります。当時も、もう既に近くに大手のマンションやアパートやサブリース契約がふえてきている中で、満室になっていないということも見ながら、その相場の家賃よりも五千円から一万円高いような値段設定で勧誘をされておりましたので、これは実態として満室にならないんじゃないかなということも当時感じておりました。

 あるいは、家賃変動においては、改定においては、説明は当時ありましたけれども、やはり、さほど高いリスクではないよというような説明を受けました。ほかにも、積立金等々で十年に一度大規模修繕等、修繕費はそこで賄えるからオーナーにそういった過度な負担がないよというような説明でありました。私の実体験であります。

 そもそも、三十年、三十五年という長期にわたっての家賃保証というビジネスモデルは、サブリース会社にとって、そもそもは建築費、最初の建物を建てるところでまず収益を得る、それに加えて、このサブリースという一括借り上げ、そのための手段にすぎないのではないか、そういうスタートであったのではないかと思います。

 今でも、もし途中解約になっても当初の建設費の方で利益を得ている、なので解約をしても大丈夫だというふうに言われている方も中にはいらっしゃいます。現在、健全に事業展開をされている事業者であっても、住宅が余る時代に入って、賃貸住宅の借り手の需要、その実情を見ても、これから先、三十年、三十五年という家賃保証のビジネスモデルが成り立っていくのか、そしてまた、今既に、本当に成り立っているのかという懸念もあります。御見解をお聞かせいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるサブリース事業でございますけれども、サブリース業者がその賃貸住宅を借り上げる際に、今お話ありましたように、三十年といった長期の契約期間を設定して、その間オーナーに支払う家賃を保証するとうたって勧誘を行うということが広く行われてきている、御指摘のとおりでございます。また、あわせて、その中で、管理に手を抜くことで空き室が出るというような不適切な事例、これも私ども承知をしているところでございます。

 この賃貸住宅の借り上げに際しまして、サブリース業者が、メリットとして、空室があっても賃料が保証される、あるいは追加的な費用、先ほど修繕の話もございました、こういったものは大丈夫です、かかりませんというようなことを強調される一方で、これも御指摘ございました、賃料の減額リスクがあるというようなことであるとか、あるいは、オーナー側からの契約解除には実は制約があるとか、そういったリスクを十分説明せずに、オーナーにリスクを誤認させた状態のもとで契約を締結させまして、事後的に家賃減額等を求められるといったトラブルが生じてきている、このように認識しているところであります。

 このため、提出させていただいております法律案におきましては、家賃の減額リスクを含めたサブリース事業のリスクについてオーナーが十分理解していただいた上で契約できるように、また、賃貸住宅のオーナーから住宅を借り上げるためのマスターリースの契約手続において、重要事項説明の義務づけなどの規制を課すこととしているところでございます。

 こういった規制を通じまして、お話ございました三十年家賃保証などをうたい文句として住宅経営の勧誘について行うということにつきましても、オーナーが家賃の減額リスクなどを正確に理解していただくということ、それから、住宅の管理の適正化も含めて、その事業としての適正化が図られていくものというふうに考えているところであります。

伊藤(俊)委員 特定のビジネスモデルについて言及するというのはなかなか難しいんだろうと思います。

 しかしながら、三十年、三十五年という、予測はできても本当にそのとおりいくかわからない、そういう事業モデルに対して、しっかり捉えて考えなきゃいけないときに来ているんじゃないかと私は思います。悪質なサブリース契約などでも被害が出ている、そういうケースもありますし、今健全に経営ができていても、万が一にもこのビジネスモデルが成り立たなくなったときには一斉に被害が出るということも懸念をしなきゃいけないというふうに思います。

 サブリース会社に対していろいろなアンケートはとっていただいている、それで、どんなトラブルケースがあるかとかということも集約をしていただいていると思いますが、実際にサブリース会社に対して、企業の運用の状況であったり、あるいは家賃の改定等々の状況、あるいは入居者数や今の空室数あるいは解約数など、そういった実態調査みたいなものをしたことがあるのか、あるいは、数年のスパンで少なくとも実態調査をするべきではないかというふうに思います。大臣の見解をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 今回の法案提出の前に、このサブリースに係るトラブルが頻発しているということを受けて、国土交通省として、昨年、家賃の改定状況等、サブリース事業に係る実態についてアンケート調査をいたしました。御承知だと思いますが。

 そこで、先ほどからも局長が答弁をしておりますが、マスターリース契約締結時においてさまざまなリスクの重要事項を説明している割合は六割程度にとどまっている。やはりこれが相当実態なんじゃないかなと。そして、一五・八%のオーナーが、契約途中での大幅な家賃減額等の予期せぬ条件変更を求められた。そういったこともあって、今回この法案の改正案を提出させていただいているわけでございます。

 伊藤さんが言われる、私より詳しいと思うのであれですけれども、三十五年間そういう保証ができるのかなと、やはり普通に考えると相当リスクがあるんだろうなと思うわけで、しかし、それに見合ったビジネスだということは、普通に考えると何か仕組みがあるんじゃないかなと。やはり商売というのは、片っ方が余りに都合のいいようなことというのは成り立つわけがないんだというふうに、私はちょっと、政治家になる前、商社で仕事をしていたので、そういうふうに思っているんです。

 ただ、他方で、じゃ全てが悪いかというわけじゃなくて、高齢者の方とか、相続を受けて急にこのオーナー的なことをやらなきゃいけなくなったという方にとっては、全て全部、自分が全てやるということはなかなかこれも難しいので、そこを補助してくれるという意味ではありがたい制度でもある、だからこのビジネスチャンスが出てきたのではないかと。

 ですから、私、今回法改正をさせていただきますし、加えて、先ほど小田原委員から御指摘もありましたが、やはりこの業界の健全な育成というのが大事だと思っております。

 サブリース業界は、これもちょっと余り踏み込んで言えませんけれども、急激に伸びてきたところが多くて、やはりもう少し、何というか、ちょっとこれ以上言うとまた問題があるんだけれども、少しやはり健全な、利益主義に走らないような、やはりある意味ではすごく人のためになるいい事業のはずなので、そこだということの中で、余裕を持ってやっていけるような健全な業界とか、また同時に、オーナーの皆さんも、やはり余りうまい話がそんなに転がっているわけじゃないので、それ相応のリスクがあるんだということを、先ほど岡本委員からもはっきり書けと。そういったことはやはりちょっと特殊な状況だという前提の中で、省令なんかもしっかり定めていかなければいけないということを、きょう質疑を通して改めて思いましたので、また引き続き御指導いただきたいと思います。よろしく。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 大臣もよく承知のことだと思います。やはり、空室率とか、そういったことを調べるだけでも、短期間の間にどれだけ解約があるかとか、運営がちゃんと回っているかということを見るだけでも、先ほどのサ高住の話もありました、早く問題を捉えることができるんだろうと思います。そういった実態調査をぜひ実行していただけることを検討していただきたいなと思います。被害者が出てからでは遅いと思います。

 そして、このビジネスモデルにおいても、三十年、三十五年、素人ながら、一般の方から見れば、知識がない方から見ても本当に魅力的なんだろうと思いますし、また、若い世代の皆さんからしても、将来、本当に思いを持って、今のうちに運用していきたいという思いでスタートしている方もいますし、悪質な案件では、意図しないことにだまされてしまう方もいるということですので、このビジネスモデルは、もう少し踏み込んで実態調査をしていく必要があるのかなと。

 あえて聞きますけれども、建築の部分、それからサブリースとしての運用の部分、二階建てになっていることにおいて、むしろサブリースのこの運用において利益が出せるような本当に業態になっているのかということも懸念するんですけれども、わかる範囲で答弁いただきたいと思います。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今お話ございましたように、過去のトラブル事例などを私ども分析を進めますと、やはり新規の開拓、そこで、建築で、恐らく、なかなか細かいところまで踏み込んで我々が把握するには限界があるんですけれども、利潤を上げる、そして一方で賃貸住宅の管理の品質というところがおろそかになる、そのことによって空室がふえて、そしてその会社自体の経営がやや傾いてくると、借地借家法に基づいて、もともと契約になかったような減額請求をするということが一つの悪循環として発生しているという面はあるのではなかろうかな、こういうふうに認識をしてございます。

 今回、新しい規制なども導入させていただくわけなんですけれども、更に今後、賃貸住宅を取り巻く社会経済情勢の変化もありましょう、また、この規制がどのように効果を発揮するか、そういったことも含めまして、お話ございましたようなサブリース業者の経営状況でありますとかサブリース事業を取り巻く環境変化、こういったものを捉えつつ、サブリース事業に関する実態、これをきちんと定期的に把握をした上で、また更に適時適切な対応をしていく、このようにしてまいりたいと考えてございます。

伊藤(俊)委員 ぜひ実態を捉えていただきたい。これもまた実態調査をしないとわからないことだろうと思います。

 家賃の減額についても、サブリース会社の方が優位性を持ってできているのではないかという懸念が、かなりトラブルの中でも言われております。家賃改定は契約時にも事項として必ず入っているんだろうと思います。毎年なのか、二年に一度なのか、三年に一度なのか、改定をするということは入っている。しかし、その理由として、周辺の環境の変化とか、あるいは経済の状況の変化とか、あるいは入居者数、運営の状況とか、あらゆる、多岐にわたって、広い解釈でうたわれていて、オーナー側が結果的に弱い立場でこの交渉に応じなきゃいけないという状況が生まれるのではないか。そして、家賃でもし裁判になったときにも、費用対効果を見ても双方にメリットがない、泣く泣く、五千円、一万円の家賃の改定に応じなきゃいけないんだろうというふうにオーナー側が思っている状態が今の現状じゃないか、そういうふうに思っております。

 すなわち、法的には、家賃三十年、三十五年保証、あるいは契約十年更新とか、そういったことが契約に書かれていても、基本的には守られていなくて、減額の請求、安易にできるようになっているのではないか。同様に、解約においても、オーナーから解約を提示することはハードルが高くて、サブリース会社からは解約あるいは家賃改定というものが容易にできる、そんな現状になっているのではないかと。その問題意識についてお聞かせいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 サブリースをめぐりましては、先ほどからお話を申し上げていますように、特に家賃の定額保証をめぐって、借地借家法に基づく減額請求というのが予期せぬ形で突きつけられるといったトラブル、こういったものが発生しております。また、御指摘ございましたような解約についてもトラブルが発生しているところでございます。

 中でも、借地借家法三十二条、これは、契約の、どのように約定していたとしても、それにかかわらず、これは御紹介ございましたけれども、経済事情の変動、あるいは近傍同種の建物の賃料の比較によりまして賃料が不相当となったときには、当事者は、これはサブリース業者とそれからオーナーと両方ということなんですけれども、賃料の増額、減額の請求を行うことができるということです。

 これは、趣旨としては、時間の経過とともに、さまざまな事情の変動によって、一度合意された賃料であっても不相当になることもあり得るから、そこは両者の公平を図るということで、請求できる権利を認めたものということでございます。したがって、一方の当事者が増減の請求を行った場合においても、それを受け入れるか、どの程度の金額を増減の額として受け入れるかは、当事者同士の合意によって決まるものでございます。

 ただ、このサブリースの問題において深刻なのは、この規定の存在を知らないオーナー、知らされていないオーナーが安易にサブリース経営に参入するということ、そして、実際に空室が発生しているだけ、あるいはみずからの経営状況が芳しくないというサブリース側のある種の事情で、本来なら減額請求を認められない場合にも、知識と経験の不足している、いわば弱者であるオーナーが減額請求を受け入れてしまうというところが、大変問題が大きいものと思っております。

 この点、この法案におきましては、重要事項説明を義務づけることで、賃料の減額リスクを認識していただいた上で適正な契約を締結できる環境を整えるということ、そして、さらには、今申し上げたような借地借家法の減額請求の適用の考え方、これにつきましても、関係省庁、業界団体と連携しながら周知に努めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 オーナー側を守る手だてがあるといっても、実情はそうなっていないのではないかということ、そしてまた、再三にわたって例えば家賃改定に応じないオーナーさんに対しては解約ということになれば、最終的には応じなきゃいけなくなるのではないかということがありますので、ぜひオーナー側を守れる体制に、どうしていくかということも考えなきゃいけない。

 そういう面では、もしサブリース会社との契約が解除になった場合、あるいは破綻になった場合、オーナーさんからすれば、自主管理に切りかえができるとか、あるいは再委託ができるとかということを念頭に、そういう体制を整えなきゃいけないんだろうと思います。先ほど大臣からもそういう御答弁をいただいたと思います。

 すごく大事な観点だと思いまして、アンケート等の中あるいはいろいろな声を聞くと、オーナー側からの中途解約をすると、全室空室にしてから契約解除が行われる場合があったり、あるいは、サブリース会社が最終的な借り手となっていて、個人情報をオーナーが知らないということがあります。今回の法律案でも、報告の義務づけが課せられているということで、少し、一歩、そこの部分では進むのかなと。

 要は、引継ぎがしやすいように情報がオーナーにもしっかりと伝わっていると、自主管理あるいは再委託ができる可能性がそこで少し見出せるのかなという気はしますけれども、基本的に弱い立場になっているオーナー側が少しでもリスクを回避するためにも、切りかえができる仕組みをできるだけ整える必要がある。御意見をいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まずもって、サブリースのオーナーにつきましては、既に御答弁申し上げましたけれども、やはり、正しいサブリースに関する知識、判断力、これを身につけていただくような努力、これをまず私どもとしてはしっかり行ってまいりたいと思います。

 ただ、一方で、現実問題、サブリースのオーナーとなっていらっしゃる方の多くは賃貸住宅経営に関する知識や経験が乏しいこと、これが多数ということが一般的でございます。したがいまして、先ほど御指摘がありましたような業者破綻といったケース、こういったものを考えますと、例えば、オーナーが新たな管理業者への委託を希望される場合には、新たな管理業者を探すための情報を提供する、そういった仕組みが重要であろうというふうに考えておりまして、今後、業界団体とも連携して取組を進めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ぜひ、さまざまなことを検討していただいて、オーナーさんが自主管理等々、切りかえられる体制をつくっていただきたいなと思っております。

 そして、まさにこのビジネスモデルは、契約をするオーナーさん側がやはり知識を高めることというのも大事になります。しかしながら、専門的な方々を相手に、なかなか交渉するのは難しいという中において、私は、サブリース会社が提示する収支計画を見てリスク等を適切に判断するのは難しいという観点からも、最後のとりでになるのは金融機関ではないかと思います。

 これは、さまざまな事案で、金融機関ですら適切なジャッジができないケースが出てきていることは懸念しなきゃいけないんですが、一般的には、知識のないオーナーさんが金融機関に頼るところというのは物すごく大きいのではないかというふうに思います。融資を判断する際に金融機関でのチェックを、強化をどうやってしていくのかということが必要な観点だと思います。

 これは、金融庁さんが平成三十一年三月に行ったアンケートでも、さまざまなこと、留意事項が挙げられていて、もう対応に当たっていただいているんだとは思いますけれども、それでも、今現状のトラブル等々を見ると、もう一歩踏み込んで考えなきゃいけないという局面に入っているんだろうと思います。

 そこでお尋ねしますが、現在、金融機関で適切なチェックができるように金融庁でどういうことが行われているのか、あるいは、国交省から何らかの具体的な手だてを金融庁、こういったところにお願いをしているのかということをお聞きしたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも金融機関におきましては、サブリース向け融資に限らず、顧客からの融資に関する相談につきましては、将来的な返済能力等にも留意しつつ、顧客本位の立場で、顧客に対して考えられるリスクをしっかり説明するなど、誠実に業務を行うことが重要であると考えております。金融庁としては、さまざまな機会を通じて、こうしたことについて繰り返し発信、要請等を行ってきているところでございます。

 サブリース向け融資について申し上げますと、融資審査において物件の賃料水準や売買価格の妥当性を十分に検証する、あるいは、顧客にとって、将来にわたって管理、修繕、改修等の費用を勘案して採算がとれるのか、融資の全期間にわたるシミュレーション等を行い確認する、さらには、紹介業者やサブリース業者等の適切性を検証するなど、金融機関としての専門的知見を生かして、顧客からの融資に関する相談にしっかりと対応するということが重要であると考えてございます。

 金融庁といたしましては、金融機関においてこうした対応が徹底されるよう、引き続き、モニタリング、監督等を通じて確認して、対応をしっかりしていきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、サブリース問題につきましては、多くが金融機関に融資を申し込まれてやっておられるということから、私どもは、金融庁と密接に連携して取組をこれまでも進めてきているところでございます。

 既に金融庁におかれましては、金融機関に対しまして、長期的な事業、収支計画について、賃料減額など、ストレスとか、そういったものを勘案した収支シミュレーションによる賃貸事業の妥当性、返済可能性の見きわめを行うこと、さらには、顧客に対して、サブリース契約の条件等のリスクについて顧客が十分に理解しているか確認し、必要に応じリスクを説明することを注意喚起し、点検を要請していただいているところでございます。

 今後、この新法の施行に当たりまして、改めて、金融機関を指導監督される立場でいらっしゃいます金融庁との連携、これを一層強化をいたしまして、対応してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 今も、金融庁、消費者庁あるいは国交省と連携をして、いろいろなオーナーさんに対してもアプローチをしていただいているんだと思いますけれども、やはり、私も業界を経験したことがありますけれども、融資がおりやすいように、専門的に、まず、利回りが高くなるような計算をするんです、利回りが高くなるような設定。どのくらいの利回りだったら融資がおりやすいかということを熟知していますので、そういったところに行くように、まず、逆算をしながら家賃をどのくらいに設定するかということが行われているわけでして、そしてまた、融資のジャッジをするときには、サブリースの計画だけではなくて、ほかに、資産、担保、いろいろなことを加味して判断されるんだと思います。

 まさに総合的な判断なんですけれども、もう少しこのサブリースの契約の収支に対して、チェック機能を強化することを考えることが必要ではないかということを思います。ぜひそういった観点から考えていただいてジャッジをしていただきたい、対応に当たっていただきたいと思います。

 最後に、過大広告について一言質問したいと思います。

 単純に、今までの質問も同様なんですが、三十年家賃保証とか、安心して三十年お任せくださいとか、そういった文言というのは既に、減額、要は家賃の改定ということが絶対にこの三十年の中であり得る話ですから、まさに過大広告に当たるのではないかと私は思います。そういった面は、かなり幅広い解釈や文言になるんだと思うんですが、その辺の見解を教えていただきたい。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ありましたように、サブリース事業におきまして、一般に、家賃保証それから空室保証との表現を用いまして、広告あるいはオーナーになろうとする方への勧誘、これが広く行われて、そして、リスクを認識していないオーナーがサブリース業に参画をして、さまざまなトラブルが発生しているというふうに承知をしております。本法案におきましては、これも御紹介ございましたけれども、誇大広告の禁止、不実告知の禁止等を義務づけることといたしているわけでございます。

 具体的にどのような表現がこの誇大広告に該当するか、これはガイドライン等におきまして、現場できちんと動くように明確化する予定でございますけれども、例えば、家賃減額リスクがあるにもかかわらずその旨を告げない、あるいは記載をしない、あるいは、三十年間絶対に家賃は下がらない、著しく優良であると誤認させるような広告を行うことなど、サブリース事業におけるオーナーへの家賃保証に対する誤った認識を持たせる行為、これが対象になるものと考えているところであります。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 本法案でなかなか全て防げるとは思いません、入り口だと思いますけれども、さまざまな問題が大きくなる前に、ぜひ本当に実態調査をしていただきながら、あらゆる観点で捉えていただくことが必要だと思うので、実態調査を大臣にも求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

土井委員長 次に、矢上雅義君。

矢上委員 本日は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案の質問ということで、まず、このサブリース事業の社会的問題性を象徴する直近の案件として、かぼちゃの馬車という案件の訴訟がございます。

 そこで、これを簡潔に御説明いたしますと、被害弁護団の報告書によるものの概要ですけれども、案件の概要としまして、サブリース事業者からの賃料収入により、一棟当たり平均一億三千万円余りの借入金は三十年間で余裕を持って確実に返済できると言われた被害者オーナーが、銀行からシェアハウス等の物件取得のための資金の融資契約をさせられたものであるということで、オーナーの情報不足や老後資金への不安につけ込んだ悪質な行為ではないかと言われております。よくあります元本保証をうたいながら先物取引や投資信託などの契約を進めるような金融商品的な詐欺行為に当たるのではないかという批判も行われております。

 この案件の特徴として、二つございます。まず、融資の申込みに際して、銀行員が借入申込者の預金通帳や収入証明書類等の違法改ざん行為に関与したのではないかという疑い。第二点目に、当該サブリース業者等が、建築工事費や土地取得費、それに関連する取得経費等に大幅な上乗せをして、このような事実を知りつつ銀行が融資を行い、被害者オーナーに多額の借入れをさせたのではないかという疑惑が訴えられております。

 最終的に、二〇一九年九月に、全ての関係者が東京地裁の調停勧告を応諾した上で、二〇二〇年、本年三月二十五日に、付随する問題はともかく、主たる問題については解決したということでございます。

 そこで、被害者訴訟に関する現状認識、及び、今回の新法案を活用して、現在進行中の他の訴訟等があるとすれば、何らかの手当ては可能であるのか、お伺いいたします。

青木政府参考人 お答えいたします。

 サブリース事業をめぐりましては、御指摘ございましたスマートデイズ社の投資用シェアハウス、かぼちゃの馬車のほかにも、家賃減額リスク、経営に関するリスク、これを説明せず勧誘が行われることによりまして、多くのオーナーが被害を受け、訴訟に発展する事案が発生しているものというふうに認識してございます。

 今回御提案しております法律案につきましては、現在進行中の訴訟などの解決に直接的に対応できるものではございませんけれども、今後こういったサブリース事業をめぐるトラブルを未然に防止していく観点から、さまざまな規制を課すということを御提案申し上げているところでございます。

 なお、既にサブリース事業を行っているオーナーに対しましても、サブリース業者の経営状況の悪化だけで家賃減額請求には必ずしも応じる必要がないことなどの注意喚起を行うこと、あるいは、法律の施行後にサブリース事業を行うサブリース業者が不当な勧誘行為などによって行政処分がなされた場合におきましては、処分を受けたこと、あるいは是正内容を公表していくといったことを通じまして、さらなるトラブルの発生の未然防止に向けた取組もあわせて進めてまいりたいと考えてございます。

矢上委員 まず、この新法案が現在進行中の訴訟等に直接対応できるものではないということを前提として質問を続けますけれども、先ほど申しましたかぼちゃの馬車の救済スキームがかなり精密にできておりまして、ちょっと説明させていただきます。

 仮にオーナーと銀行の間に一億円の債権債務が残っていたと仮定した上で、まず、銀行がおわびとして解決金五千万円を出す。債権債務の一億円に対する解決金五千万ということで、これらを一部相殺して、残債務債権は残り五千万円となります。そして、銀行は、残った残債権の五千万円を、シェアハウスを購入したい第三者に債権譲渡を行う。銀行から残債権の五千万円を第三者に債権譲渡した上で、オーナーは残債務が五千万円残っていますから、今度は第三者に対し代物弁済を行い、債権譲渡された債権については全て完済する。しかも、このスキームによりますと、所得税の課税対象となる評価益とか譲渡益が存在しないような形でのスキームをつくってございますので、救済されるべきオーナー、家主は所得税等の課税負担もないということでございます。

 ただ、問題として残っておりますのは、主たる問題といいまして、普通、一億五千万円融資を受けるときに、住宅ローンで一億円、残りの五千万円については例えばフリーローンということで抱き合わせ融資を行いますけれども、今回、恐らく、調停勧告で処理したのは、その一億円部分の主たる債務についてであると思いますので、残る金利の高いフリーローンについての付随する問題はまだ残っておると思います。

 このようなかぼちゃの馬車で提案された救済スキームなどを活用した上で、今後、サブリース事業に係る被害を拡大させないために、過去の被害事案等について、関係省庁と連携し、情報を蓄積、活用していくべきではないかと考えますが、お伺いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 サブリース事業の被害をめぐりましては、これは金融機関が非常に関与、関係していることが多い、あるいは、オーナーに対して適切な能力、知識を身につけていただく、こういった観点から、特に、金融庁、消費者庁と連携した対応が重要と考えておりまして、かねてより、その三省庁で連絡協議会を立ち上げまして、個別事案を含めて、さまざまな情報共有、分析そして対応、こういったことを進めてきているところでありまして、この法案もこの協議の中で生まれたものであります。

 この法案の施行後も、引き続き、金融庁、消費者庁と連携をいたしまして、例えば、サブリース事業に関する被害事案でございますとか、あるいは、御指摘もございました解決スキーム等を収集、分析いたしました上で、サブリース契約についての誤った認識の防止に向けた注意喚起ですとか、あるいは、金融機関によるサブリース事業リスクの伝達をオーナーに対して行うとか、こういった取組を実施してまいりたいと考えてございます。

矢上委員 ぜひ、これまでの事例等を研究されて、今後新たな犠牲者が出ないようにお願いいたしたいと思います。

 次に、今回、サブリース事業の質問をつくるに当たっていろいろな文献を調べましたところ、それとかネットの広告を見ましたところ、かなり多くの一流企業と言われる会社までサブリース事業に参入しております。私どもが若いころから、古くはワンルームマンション投資とか会員制リゾートマンション投資などで、同じような事例が繰り返されてきたわけでございます。

 今回、サブリース事業について述べますと、昭和の終わりから平成三年にかけてのバブル期にかけて地価が異常に高騰しました。都市部、特に首都圏では土地の売買さえ困難となっている状況でした。そこで、テナントビル建設とか地域開発の一手法として編み出された事業形態がサブリース事業でございます。当時は新しい時代の成長産業として研究が盛んになされた経緯もございます。いわば、サブリース、一括借り上げ転貸借事業を中核とする、地主、不動産会社、ディベロッパー、建設会社、銀行をプレーヤーとする共同事業体としての様相も見せていました。しかし、春は長く続かず、バブルの崩壊とともに地価や家賃も低迷し、サブリース事業者からの家賃減額請求訴訟も多発することとなり、サブリース事業に借地借家法第三十二条が適用されるか否かが各地の裁判所で争われることとなりました。

 幾つか調べてみたんですけれども、判例及び学説においても幾つかの見解が存在します。

 一つには、サブリースの実態上、共同事業体であることから、事業者間での利益の配分にすぎないのではないか。事業者の一人である借り主、サブリース事業者は、借地借家法の予定する社会的保護を受ける立場にないことから、借地借家法第三十二条の適用は受けず、貸し主に対して家賃減額請求権を有しないとする立場が一つです。

 二つ目が、サブリース契約は、賃貸借契約や業務委託契約、請負契約などの複合契約である。そこには賃貸借契約も含まれるので、当然に借地借家法の適用を受けることから、借地借家法第三十二条の家賃減額請求権を有する。しかし、判例によりましては、減額請求を認める場合と、共同事業体としての信義則上、請求権の行使を認めないという立場もございます。

 幾つも枝分かれしておるものですから、今回のサブリース事業者に対する問題としまして、国土交通省としては、この借地借家法第三十二条の適用について、サブリース事業者に適用をどう考えるのかをお答えいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたサブリース方式におけるマスターリース契約につきましては、これは御指摘のように幾つかの訴訟があったわけなんですけれども、平成十五年の最高裁判決、これがいわばリーディングケースとなっておりまして、借地借家法の適用を受ける、そして、同法の第三十二条に基づく賃料の増減請求の規定が適用されるというふうに承知をしてございます。

 一方で、先ほどお話し申し上げましたように、この条文の趣旨は、事情の変動によって、賃貸人と賃借人との公平を図り、両方の当事者に対して増減を請求できる権利を認めた、こういうものでございまして、それが受け入れられるかどうか、そういったことにつきましては合意によって決まるということなんですが、一方で、そういった規定自体があるということを知らないオーナーがおられるということ、そして、一旦空室リスクが発生したときに、あるいは経営状況がサブリース業者が芳しくなくなったときに減額請求をオーナーが受け入れてしまう、ここが非常に問題だということなので、私ども、今回の法案の施行に当たりましても、この借地借家法の減額請求の適用の考え方を、関係省庁、業界団体と連携しながら、しっかりと周知に努めてまいりたいと考えてございます。

矢上委員 このサブリース事業者に対する借地借家法第三十二条の適用については、かなり長い間争われてきた問題であり、それぞれの解釈を支持する方々もおられることから、いろいろな誤解も生じてくると思いますので、今回の新法案の成立に当たって、きちんとした判例上、学説上の整理をきちっとつけた上で臨んでいただきたいと思います。

 続きまして、先ほど申しましたように、一つの産業としてこれまで認知されていたサブリース事業がなぜこれほどまで社会問題に発展したのかという視点から御質問したいと思うんです。

 もともと、本来、地価の高い都市部での需要が見込まれていたことからサブリース事業が事業として発展したわけなんですけれども、近年の少子高齢化の進行により、地方において自主管理が困難な高齢地主がふえてきたことと、また、相続を起因として、東京とか大阪にお住まいのサラリーマンの方がいきなり地方の土地建物を相続した結果、相続を起因とする不在地主が急増してきたという背景がございます。そこに、また数年前の相続税の税率アップ等で、控除要件の規制等で節税対策が主眼となり、そこに拍車をかけたということでございます。

 そのため、本来なら立地条件に恵まれた都市部であればこれほどまで大きく問題にならなかったんですけれども、立地条件に恵まれない地方へサブリース事業が先ほどの理由から一気に拡散したことから、さまざまな社会問題、弊害が起きてきております。

 確かに相続税対策にもなりますし、入居者募集から家賃滞納対策、日常のメンテナンスを含む個別の対応を家主自身でしなくてもよいというメリットがあります。ただし、一方では、立地条件が不利な地域では空室がふえてしまうということで、期待していた家賃収入が望めず、いずれ経営が破綻する可能性が高くなるというデメリットも現実に存在しております。

 都市部と地方の立地条件の格差はともかく、高齢地主や不在地主にとりましては、フルセットでサービスを受けられるサブリース事業が時代の需要に合致したという側面は否定できません。

 現状では、既にサブリース事業者だけでなく、住宅メーカー、商社系事業者、ビル管理事業者、不動産業者、金融機関など、全国的に広範囲の関係者が参入しているのが現状です。

 私も、ここ数日ネット等で広告を見ましたけれども、もう皆様方が御存じのあの有名企業から、ハウスメーカーから、また有名なビル管理事業者等を始め、ほぼ全て網羅するような形で、部分的ではあれ、若しくはサブリース全体としての取組をもう既にされております。一部の悪質なサブリース事業者もいれば、また、改善に向けて努力する事業者もいるのが現状のようです。

 しかも、入居者も含め、これほど大規模、全国的に拡大していることから、今回の新法案のように、厳格かつ適切な指導を前提にして、一つの産業として育成する視点はあるのか、お伺いいたします。

赤羽国務大臣 御質問ありがとうございます。

 矢上委員に丁寧に説明していただきましたので私からはあれなんですが、先ほどちょっと、伊藤委員からの質問でもちょっとそれは問題意識として持ちながら、今、矢上委員からバブル時代の話を聞いて、私も同じような世代ですので思い出して、やはりバブル時代のように、家賃というか、どんどん上昇していくという前提があれば、三十年間の家賃保証みたいなことというのはあり得たんだろうけれども、それが非常にしにくくなって無理が生じているというのも一つの要因なんだろうなと。これはちょっと感想みたいな話なんですけれども。

 他方で、これは矢上委員、言っていただきましたが、高齢者がふえていて、やはり、相続で引き継いだという方もあって、田舎の土地をどうするかみたいな話というのはふえている話で、そこについてはやはり時代のニーズに合ったところでもあると思います。

 おっしゃるように、サブリース業者だけじゃなくて、こうしたことは、サブリース事業の広告、宣伝の段階ですとか、営業、融資ですとか、建設とか、さまざまな段階で、関連する建設業者、不動産業者、金融機関等、本当にさまざまな業界がここのところにかかわってくるので、そうした段階段階で、その業者間が密に連携をしながら、そこにある課題というのは取り組みながら、加えて、その課題が存在するということをオーナーの方たちにも周知、告知、徹底していかなければいけないんではないかと思います。

 これは非常に難しいんですけれども、何回か答弁しましたが、やはり必要なニーズがあるというのは、求められているものがあるということは確かだと思いますので、それをやはり健全に、健全な業界として育てていけるように、いろいろな大企業も参画をしているという今お話がございましたが、それだけの、ビジネスとしての必要性とかということが着目されているがゆえだと思いますので、そうしたことがやはり、慈善事業とまではいきませんけれども、非常に人のためになるという視点が強い側面だと思いますので、そうしたことが、そうした趣旨に沿ったような形で業界が健全に発展できるように、監督省庁としてしっかりと指導していかなければいけないと思っております。

矢上委員 これほどまで社会問題になったけれども、社会、時代のニーズとして、産業としてもう既に存在しているということでございますので、先ほど申しましたように、しっかり過去の事例、情報等を収集した上で、健全な対応をしていただきたいと思います。

 続きまして、誇大広告若しくは虚偽の説明が多いのだという御批判もたくさんありますので、ちょっと自分で調べてみたんですけれども、ネット広告には、一流企業のネット広告にも全て、家賃保証、空室保証と大きく、いまだに出ております。

 あれ、家賃保証、空室保証という言葉自体が悪いものなのかなと思っておったんですけれども、よくよく考えますと、サブリース契約の内容は契約期間中の約定金額での全室一括借り上げですから、契約期間中であれば当然約定金額で全て借り上げるわけですから、家賃保証も空室保証という言葉も違法性はないんですよ。

 そうしますと、私もちょっと誤解していたんですけれども、家賃保証とか空室保証という言葉自体が契約内容との間にそごがない以上、どのような使われ方をした場合に規制の対象となるのか、お伺いいたしたい。

青木政府参考人 お答えいたします。

 この提出しております法律案におきましては、サブリース事業に関する行為規制といたしまして、御指摘ございました、誇大広告の禁止あるいは事実不告知の禁止等を義務づけることとしております。

 御指摘のとおり、家賃保証あるいは空室保証との表現を用いること自体が直ちに誇大広告、事実不告知に該当するものではございませんが、あわせて賃料減額リスクの表示あるいは告知が行われていない場合には、これは誇大広告や不実告知として規制の対象になるものと考えてございます。

矢上委員 今、御説明を簡単にそしゃくしますと、家賃保証とか空室保証という言葉自体には悪意はないとしても、あわせてリスクの可能性があるんだよということをきちんと表示しなければ、家主に誤解を与える不適切な表現だということですか。再度確認を。

青木政府参考人 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のとおりでありまして、保証だけということでは直ちにそういうことにはなりませんが、あわせてリスクの表示など告知、これをしないと、オーナーの動機形成において非常にトラブルを発生するということになりますので、規制の対象になるということでございます。

矢上委員 それでは、以上の確認を踏まえた上で、少し本法案の具体的な内容等について質問したいと思います。

 今回の法案は、特にサブリース問題における家主、オーナー保護の観点が主張されておりますけれども、あえてお聞きしたいんですけれども、この直接の受益者である入居者の問題についてお聞きします。

 本法案では、賃貸住宅管理業者に対して、管理内容等について入居者に説明することが法律上明記されていないと思いますけれども、例えば、経年劣化による大規模な補修を行った場合には、入居者の意に反して家賃が急激に上がる可能性も出てきますし、また、補修の内容次第では、入居者の居室の利用が大きく制限を受ける場合もございます。入居者保護のため、管理業務内容について、事前説明の義務を管理業者若しくは家主へ課すべきだと考えておりますけれども、御見解をお伺いします。

青木政府参考人 お答えいたします。

 提出しておりますこの法案につきましては、第一条の法目的にもございますとおり、賃貸住宅管理業者の管理業務の適正化を図ることで入居者の居住の安定の確保を図ること、これを目的としてございます。そこで、その管理主体であるオーナーに対する各種規制を設けることによりまして、管理業務の受け手である入居者の保護を図ることとしているところでございます。

 具体的に申し上げますと、入居者へ管理内容を周知すること、そして、その方法等につきまして、管理業者からオーナーに重要説明事項として説明させるということにしてございまして、これによりまして、入居者に対する管理業務の内容の説明ということを担保することといたしたいと思っております。

 あわせまして、入居者からの苦情や対応状況等につきましても、管理業者からオーナーに定期報告をさせることで、入居者に対する適切な管理業務の実施を担保することとしたいと考えてございます。

矢上委員 要するに、本法案におきまして、入居者の居住の安定を目的としておるということが前提となり、間接的な規制をきちんと施せばそれらの目的は達成するということで、あえて明示しなくても、法として内在しているということですね。

 それでは、続きまして、ほかの法との関係についてお聞きしますけれども、賃貸住宅管理業については、国土交通省告示に基づく任意の登録制度として適用されてきましたが、今回、新法として規制することとなりました。入居者募集や賃貸住宅管理業務は、これまで地場の不動産業者等も本業として行っていたことから、なぜ本法案が新法として必要なのか。

 また、既存の宅建業法との、既存の法体系との関係についてお伺いしたいとともに、新規に規制するということは、憲法第二十二条で保障する営業の自由を制限するものでございますので、今回の制定に当たり、必要最小限の規制であるということの担保についてはどのようにお考えでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘ございましたように、私ども国土交通省では、平成二十三年から、告示に基づく任意の登録制度ということで賃貸住宅管理業の問題に対応してまいりましたが、やはりこの登録制度では、管理業者への義務が登録を選択した事業者のみに限られること、また、有効な行政処分を行うことができないために規制の実効性の担保が十分でないといった課題があったために、今回、法律による一定の規制の必要があるとの考えに至ったわけでございます。

 一方で、御指摘のございましたように、賃貸住宅管理業というのは、これは住宅のオーナーから委託を受けて管理を行う業態、管理ということでございます。

 これに対しまして、宅地建物取引業は、宅地建物の売買、あるいは売買、賃借の仲介といった、いわゆる取引を扱う業態ということでありまして、この規制を行っております宅地建物取引業法の体系におきまして賃貸住宅管理業を位置づけるということが困難と考えられることから、今回、賃貸住宅の管理業務の適正化を図ることを法目的といたしまして、新法として提案させていただいているところでございます。

 また、御指摘ございました憲法との関係も含めてということでございますけれども、今回の法規制の導入に当たりましては、憲法上の営業の自由との関係も踏まえまして、調査等に基づく立法事実も踏まえた規制の必要性のほか、規制導入に当たって必要となる社会的コストと、それから、オーナー、入居者との間のトラブルの未然防止、良質な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保という効果、この両者の比較を行った上で、規制の必要性、合理性を精査させていただいたところでございます。

矢上委員 わかりやすく御説明いただきました。

 要するに、宅建業法の対象とするものは土地建物の取引を適切に行うということであり、今回の法律ができないと、賃貸管理業務等に対する対象分野がカバーできないということだと思います。

 それと、憲法との問題ですけれども、これまでの告示行為とか任意登録制度を含めて、さまざまな手法を駆使した結果、今回新法で規制せざるを得ないという結論に到達したということでようございますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの分析を行うに当たりましては、私どもが告示でいろいろ展開してまいりましたけれども、トラブルなどが発生した事案、そういったものも十分踏まえての精査というふうに御理解賜ればと思います。

矢上委員 それでは、続きまして、本題に戻りまして、サブリース契約における家主の保護という観点から、民法上の救済措置の検討等に含めて質問いたします。

 賃貸住宅の家主は、賃貸住宅経営の事業者であり、原則として消費者保護法制の対象とされていませんけれども、本法案では家主を主な保護対象としており、今後、一定の保護が図られることが期待されます。

 将来的な契約変更によっては家賃の減額や追加的な修繕費用が発生する可能性があるにもかかわらず、一部の悪質なサブリース事業者により、三十年間家賃収入が継続的に保証されるとか管理の手間がかからず大きな費用負担もないなど事実と異なる説明がなされた結果、契約が結ばれることもあり、自己破産や自殺に追い込まれるなど問題が発生しています。

 しかし、サブリース業者等が本法案に違反した場合でも契約を直ちに解除できませんし、仮に解除が可能であっても、解除から発生する損害は甚大なものとなります。最悪の事態に至らないためにも、消費者契約法のように、民事訴訟における損害賠償請求等における場面で家主の立証責任の軽減などの救済策も検討していく必要もございます。

 以上の視点から、今回の新法案が成立した後、ざる法にならないためにも、実効性のある具体的なガイドラインの策定に取り組む必要があると考えます。これに当たりまして、基本的な方針をお伺いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 サブリース事業におけるトラブルを未然に防止していくためには、例えば、何が誇大広告あるいは不当な勧誘行為として規制の対象となるか、これを具体的に明示することによりまして、その規制の実効性を確保していくことが重要であるというふうに考えてございます。

 そのため、消費者庁あるいは金融庁との連携、あるいは業界団体への現場の実態に関するヒアリングなどを通じまして、具体的な規制の対象となる広告や勧誘行為等につきまして収集、類型化いたしまして、誇大広告としてどのような広告が禁止されるのか、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる、いわゆる不実告知行為とはどういった行為を指すのかなどの具体的な事例をきちんと明示しながら、実効性のあるガイドラインを策定してまいりたいと考えてございます。

矢上委員 ぜひとも、今回のような誘導政策的な法律は、きちんとしたその後の運用、指針、ガイドライン等が明確にならないと、ざる法のような状況になりますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、先ほど申しましたように、万が一民事訴訟になった場合に、家主からする立証責任が非常に過大な負担となっているということで、例えば、現場で問題になります勧誘者問題ですね、サブリース事業の契約に当たって勧誘者の方がまず動きますけれども、勧誘者に対する業務規制をしっかり担保するためにも、サブリース事業者と勧誘者の関係性が誰の目から見ても客観的に判断できるようにすることが必要だと思います。

 例えば、一つの事例として、スーパー等に併設されている薬局では、本来なら常時薬剤師を置くべきところを、時間帯により、研修を受けた上で登録を受けた者を店頭販売説明責任者として配置しております。このような事例も参考に、勧誘者となり得る者については、例えば、サブリース業者との間で勧誘者の登録制度を設けて、一定の簡易な講習を受けた者を勧誘者として登録することも考えられます。これにより、サブリース事業者と勧誘者の関係を客観的に判断できることとなり、その判断に基づき、勧誘者に対する監督処分や罰則を適切に講じていくことも可能となりますし、また、サブリース事業者と勧誘者との関係性を明確にすることは、サブリース事業をめぐる訴訟に発展した場合に、被害者の立証責任の軽減につながることが期待できるとともに、将来にわたりサブリース事業が健全な産業として発展するための一助になるとも考えます。

 感想でも構いませんので、お答えいただければ。

土井委員長 簡潔に、青木局長。

青木政府参考人 お答えいたします。

 今回、勧誘者につきましても一定の規制をかけることにいたしましたけれども、これは、サブリース業者がマスターリース契約の締結について勧誘を行わせる者、こういうふうに条文上なっておりますけれども、これは、マスターリース契約の締結によって自己の事業にメリットを享受するなど、契約締結に向けまして特定のサブリース業者との特定の関係性があると認められる者が、サブリース業者との資本関係、契約関係の有無を問わず該当する者というふうに考えております。

 具体的に勧誘者の該当性を客観的に判断できるよう、今後、勧誘行為に関する具体性の明示とあわせまして、現場の実態を踏まえた、勧誘者に該当する具体例を明示した実効性のあるガイドラインを策定してまいりたいと考えてございます。

土井委員長 矢上君、時間が来ております。

矢上委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 民間賃貸住宅は、住宅総数五千三百六十万戸の約三割、千五百三十万戸を占めているといいます。そのうち、任意ではあるが賃貸住宅管理業の登録業者、今は四千四百八十八件までわかっておりますが、その管理戸数は八百二十五万戸、約半数になっています。

 賃貸住宅を転借して管理を行うサブリース事業は昭和六十年ごろから始まったと言われておりますが、民間賃貸住宅の所有者の八割が管理業務の全て又は一部を業者に委託をしているという中、サブリースをめぐる相談が年々ふえている、それが今回の法案の提出になったと思っております。

 私自身は、アパートの引っ越しというのは何度も経験していますけれども、つくづく、大家さんが身近にいて、顔が見える関係が本当は一番いいなと思っているんですけれども、国としては、今後、民間賃貸住宅にあっては、やはり今のサブリース方式が主流になると考えていらっしゃるのか、大臣に伺います。

赤羽国務大臣 私、個人的には、大家さんというのはやはり顔が見える、そういう世代でありましたので、そうしたものがなじみでありますが、先ほどから答弁していますように、オーナー自体が大変高齢者になっていて、なかなか、細かい、また難しい事務ができないとか、また、自分のふるさとでそうしたものが相続で発生して実質的には任せざるを得ないというようなこと等々あると、主流になるかどうかということはちょっと別にしましても、今後、高齢化が進む今の時代状況がこのままいけば、そうしたことというのは、そういうニーズは増加していくのではないかというふうに思っております。

高橋(千)委員 ニーズは確かに、先ほど来大臣が答弁をいただいていたと。また、一方では、不動産投資ということがビジネスとして大きく取り上げられてきたということも背景にあったと思うので、その点をどう見るかということが一つあるのかなと思っております。

 それで、話を進める前に一つ伺いたいんですけれども、国交省が三月三十一日付で、不動産関連団体に向けて、「新型コロナウイルス感染症に係る対応について(依頼)」とする通知を出しました。これはあくまでもテナントさんの問題で、住居の話ではなくて、飲食店を始めとする事業者の中で賃料の支払いが困難なテナントに対しては、支払い猶予に応じるなど柔軟な措置の実施を検討してほしい旨、書かれております。

 本委員会でも繰り返し家賃問題が取り上げられ、与野党の家賃助成策が議論されてきたところなわけですけれども、何とか実を結びたいと思っているんですが、不動産関係では家主には支援がないのかと、この通知がかなり波紋を呼んだようであります。

 大臣の答弁をずっと聞いていると、そのときは固定資産税という形で支援をするんだからと答弁をされているんだけれども、でも、それでも間に合わないという声が随分上がっていた。そういう背景もあって、居住用においても、賃借人から強気の値下げ交渉を受けて、長期ローンでアパートを取得している家主が困っている、こういうことが聞こえてくるようになったんですね。

 それで、改めて考えたんですけれども、そもそも、サブリース契約という中で、一入居者からすれば、仕事がなくなり家賃を減額又は猶予してほしい、当たり前のことで、応援したいわけですよね。でも、こうした関係性の中で支援を打つとしたらどうすればよいのか。

 この間、サブリース業者とのトラブルで最も多いのが、家賃の減額を家主に迫るというものだったと思いますが、このコロナ禍を理由に減額を迫ってくる。しかし、さっきから言っているように、家主にとってはローンの支払いがあるというところで、だから、本当は一利用者に、サブリース業者じゃなくてですよ、一利用者に、家賃を払えないという方たちに補助する仕組みがすっきりすると思うんですけれども、今のような関係になっている場合どういう手が打てるのか、まず伺います。

青木政府参考人 御指摘のように、現在、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、例えば飲食店などは事実上お店も開けない、売上げがもうゼロといった、そういったことで賃料の猶予、減免の依頼が来て、ただ、おっしゃるように、それに応じますと、オーナーの方が今度は例えば資金の返済などで行き詰まるというような問題、これはおっしゃるとおりでございます。

 そういった観点からも、国土交通省として、猶予等の検討のお願いをすると同時に、御指摘ございましたけれども、固定資産税の減免であるとか、あるいは賃料減額分の損金算入、それから先ほど申し上げた、特に金融機関からお金を借りておられる方、こういったことも想定して、金融庁さんの方から金融機関に対する既往債務の返済猶予等の要請、これを行っていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、こういった交渉の中で、テナントとオーナーが信頼関係を維持強化をして、そしてパートナーシップを維持強化してこの危機を乗り越えるということが大変重要と考えておりまして、国土交通省としても取組を更に進めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 それはいいことだと思います、そうやってほしい。

 聞いたのは、問題は、間にサブリース業者が入って、家主がいて、利用者がいるという場合に、きちんとした支援ができるだろうかということを考えて聞いたんです。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘は、サブリースの住宅ということでございますね。

 おっしゃるように、今回さまざまな経済上の問題が発生する中で、恐らく、入居される方によりましては家賃のお支払いがなかなか厳しくなるというようなことも生じてくる可能性はあるのかなというふうには思います。

 そういった点につきましては、厚労省さんの方からもさまざまな支援策、こういったことも用意されているところではございますし、そして金融庁の方からも、先ほど言いましたようにさまざまな既往債務についての配慮、こういったこともいただいているところでございます。

高橋(千)委員 全然かみ合わないんですけれども。

 今の仕組みからきて、なかなか簡単な支援策というのが出てこないんじゃないかと。おっしゃるように、借りる、一個人の話ですよ、が、ちゃんと支援が行き届いていれば問題はないと思うんですけれども、やはり今のサブリース契約の仕組み自体がそういう矛盾を引き起こすんじゃないか、そういう問題意識を持って質問させていただきました。

 ちょっと話を続けていきたいと思うんですね。

 我が党の宮本岳志前衆議院議員がレオパレス21の問題を初めて取り上げたのは、二〇一三年四月十五日の予算の分科会でありました。それから、とうとう今回、法改正につながったと思っておるわけです。

 このレオパレスが当初どんなふうに勧誘をしていたのか、これがわかるのが資料の一であります。

 「一括借上げシステム レオパレス21の理念を確かな形にする、独創的なシステム。」、こううたっております。一括借り上げシステムとは何か。最長三十年間にわたって家賃を保証するシステム、入居者の募集からアフターケアまでの全てをオーナー様にかわって行い、アパートの資産価値を高いレベルで均一化すると。

 資料の二は、これは三十年間の概算収支計算表です。

 これを見ますと、一番左上を、一年目というところを見ていただくと、所得金額、マイナス八百七十三となっているでしょう。これは単位は万円ですけれども、最初の一年目だけが赤字で、翌年からは黒字になり、そして、だんだんだんだん、収支が合うのがようやっとというところが、所得がふえていって、最後は所得が一千万円を超えて安定してくるという夢のようなプラン表を示していたのであります。実際はどうなったのかは、皆さんも御存じだと思います。

 そこで伺いますのは、今回の法改正で、家主が管理受託契約をサブリース業者と結ぶ前にどれだけの情報を説明するのか。こうした表を見せられて、すぐに判断できるものか。今後どんなトラブルが起きるかを見通して、全部、リスクを契約に盛り込むとか、これは極めて無理があると思うんですね。どこまで説明するべきなのか、定期報告はどのくらいの頻度でされるのか、これをお答えください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 提出しております本法案におきましては、賃貸住宅管理業者に対しまして、管理受託の内容そしてその履行に関する重要事項について、契約の締結前に説明と書面交付を義務づけることといたしております。

 具体的な内容につきましては、下位法令そしてガイドラインにおきまして明確化することといたしておりますが、説明すべき事項といたしましては、管理業務として実施する事項、実施方法、入居者への対応に関する事項、定期報告の内容、管理業者の免責に関する事項等を想定してございます。

 これらによりまして、オーナーの方がこのような契約締結時に把握しておく事項を事前にしっかり認識することができることとなると思います。

 さらに、管理受託契約の内容といたしまして、事前に契約書に明記しておくべき事項を標準契約書として明確化し、その利用を推奨してまいりたいとも考えてございます。

 御指摘ございました定期報告の頻度についてでございますが、これは、管理する賃貸住宅の規模、実施する業務など、管理受託契約の内容によって報告すべき事項の実施頻度が異なると考えられますために、個別にオーナーとの契約等で定められたものを義務づけることといたしますが、少なくとも年一回以上の報告は必要というふうに考えてございます。

 また、ガイドラインにおきまして、例えば、管理業務として家賃等の収受を行う場合には毎月の報告、それ以外の場合にあっても四半期ごと以上の頻度で報告を行うことを推奨することを予定してございます。

高橋(千)委員 だとすれば、今私が紹介したような、三十年間で確実に所得がこんなになります、こういうことを説明するというのはどうなるんでしょうか。これは逆に過大広告になるかと思うんですが、どうですか。

青木政府参考人 御指摘の点につきましては、サブリース業者に対しまして、文書でもちまして、今御指摘のあった賃料の減額リスクなども説明義務を課しているところでございまして、このことによりまして業務の適正化を図ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 答えていないんですけれども。

土井委員長 もう一度、では、高橋委員。

高橋(千)委員 過大広告になりませんかと聞いています。

青木政府参考人 失礼いたしました。

 例えば、家賃の十年間あるいは三年間保証ということで、家賃の減額リスクを説明しないということになりましたら、そういった広告は誇大広告にもなります。あるいは、現場でそういう説明をいたしますと、不実告知ということになって、禁止対象になります。

高橋(千)委員 問題は、一般的な広告であれば過大広告だと思うんですが、今後半でおっしゃった、不実の問題だと思うんですよね。

 契約を結ぶ段階で、本当はこんなに高い家賃を取らないはずなのに、これで三十年間うまくいきますよ、しかも、下がることは絶対ないですよということを言うのは、あくまでも不実な説明だと思うんですよ。

 ただ、それをいきなり全部のみ込めるか。おじいちゃん、おばあちゃんのところに、突然やってきて、隣の土地に今アパートを建てれば節税対策になりますよと言われて建てちゃった人はいっぱいいるわけですよ。

 そういう中で、途中で気がついて、やはり大家さんが訴えることができるのか、救済する仕組みがあるのかということ。いきなり裁判に行かなきゃだめなんですよとなったら、これは余りにもリスクが高過ぎますよ。それを聞いています。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、サブリース方式の賃貸住宅のオーナーの方には、経験、専門知識に乏しい個人の事業者が多いということでございまして、事業者との間に、経験、専門知識に大きな格差がございまして、サブリース業者の中には、いわばこういった格差を利用して、十分な説明を行わずに、契約内容を誤認させたままで契約を締結させるという悪質業者が存在して、トラブルに発展する事案が多発しているというふうに考えております。

 このため、先ほど申し上げましたように、この法律案では、マスターリース契約締結前の重要事項説明を義務づけることによりまして、契約の適正化を図ってまいります。

 また、あわせまして、オーナーの方を含めて、サブリース業者等が行う不適切な行為、こういったものを確知された場合には、国土交通省に対する申出制度を設けることといたしてございまして、不当な勧誘等のマスターリース契約締結前の行為から、申出を端緒として、私ども、報告徴収、立入検査等の必要な調査を行い、必要に応じまして、指示処分、勧誘の停止などの措置を講じることといたしているところでございます。

高橋(千)委員 そうしたらそれを、契約するときに、困ったらここに相談すればいいんだということをしっかり義務づけるようにしたらいいんじゃないでしょうか。

 これは、相談がふえているといっても、消費者庁に行くわけですよね。そうすると、消費者じゃないとかそういう議論になっていて、現実にたどり着かないわけですよ。それで結局、訴訟するしかない。でも、それは、さっきから言っているようにリスクが高過ぎるでしょうということで、きちんと重要事項の中も全部理解して、あなた、書いてあったでしょうと言われても困るんだと。

 そこを最初にやっておくべきだと思いますが、いかがですか。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、知識経験に乏しいオーナーの方が、今回の法律の規制の内容、そういったことについてもきちんと認識していただくために、例えば、消費者に近いところにおられます消費者庁であるとか、あるいは、多くの場合、先ほどから申し上げていますように、投資に当たっては金融機関が入ってきますので、金融庁の御支援もいただきながら、金融機関の方でオーナーの方にさまざまな情報を与えていく、そういったことによりまして、不適切な行為の防止、そしてオーナーの方々を支援する、こういったことをやってまいりたいと思います。

高橋(千)委員 だから、消費者庁に、一番身近で行くんだけれども、消費者じゃないと言われるということを今問題にしているわけでしょう。

 今、そう言った以上は、ちゃんと窓口を、受けられるように、ちゃんと対応できるようにしてください。それは要望します。

 それで、さっき矢上委員も指摘をされておりましたけれども、サブリース業者が、みずからも借り主であることを盾に、家賃の引下げを要求してくる、こういうトラブルが多かったんですね。だから、そこに線引きがないのか。一人の学生だったり、そういう入居者と業者が同じ、私も借り主ですといって要求してくる、これはやはり線引きをするべきだ。借地借家法の見直しということも当然念頭にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 お話ございました借地借家法三十二条、この規定を適用することで思わぬ減額請求を受ける、こういったオーナーの方がおられる、こういったトラブルが発生している、御紹介申し上げたところでございます。

 一方で、この三十二条は、先ほど申し上げましたように、さまざまな経済事情の変動など、こういったことで賃料が不相当になったときに、当事者双方が賃料の増額、減額の請求を行うということができるものでございまして、この趣旨は、社会経済事情の変動によりまして、一度合意された賃料であっても不相当となることもあり得ることから、賃貸人と賃借人の公平を図り、契約を結ぶ双方の当事者に対して賃料の増減を請求できる権利を、民事上の一般原則である事情変更の法理に沿って認めたものということでございます。

 また、一方の当事者が賃料の増減の請求を行った場合においても、その請求を受け入れるか、どの程度の金額を増減額と位置づけるかは、当事者同士での合意で決まるものということになってまいりますので、御指摘ありましたようなサブリース業者による賃貸減額請求できる権利自体に制約を加えるということには、なかなか困難が伴うのではないかというふうに考えてございます。

 一方で、この問題につきましては、こういった規定の存在を知らされていないオーナーがサブリース経営に参入していること、また、空室が発生あるいはみずからの経営状況が芳しくないといった、それだけでは本来なら減額請求が認められないような場合にも、知識経験が乏しいオーナーが受け入れてしまうというところに問題の所在がございますので、本法案におきまして、重要事項説明でそういった減額リスクなどにつきましても説明を義務づけるといったこと、それから、今申し上げたような借地借家法の減額請求の適用の考え方につきまして、関係省庁、業界団体と連携しながら周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。

高橋(千)委員 重要事項説明が万能薬みたいにさっきから御答弁をされていますが、やはり立場が圧倒的に弱いんだという立場に立って言っていただかなければ、原則はそうだからとか、同じ権利は残しておかなくちゃというだけでは済まない。やはり、トラブルがあって今回こうした法案を出してきたのに、結局同じことが繰り返されるのではだめなんだと指摘をしたいと思います。

 進みたいので、資料の三枚目を見ていただきたいんですが、先ほどちょっと話題にもなりましたが、二〇一五年一月の相続税法改正で基礎控除額が引き下げられたのを契機に、相続税対策になりますよと勧誘され、アパート経営に乗り出す地主が急増したといいます。その多くがサブリース契約を前提にしたアパートだった。土地と建物を一緒に売るランドセット商法ということで進んできた。その後、土地を持たないサラリーマンにも、安全な老後の備え、三十年間家賃保証といううたい文句で迫ってきた。先ほど話題になったかぼちゃの馬車のスルガ銀行のように、銀行が積極的に貸し出している。普通はそう簡単に組めないローンを安易に認めていく、そうしたことがなかったのかと思うわけですね。

 これが資料の三枚目の、金融庁の昨年三月に出した投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果の一部ですけれども、ここにあるように、融資の構図が、一棟建て、土地も建物も、向け融資が紹介業者を通して持ち込まれていたということで、これが、さっき言ったように、まさか組めないようなローンが安易に組めていった。これは、一つの地方銀行がそういうことをやったとか、そういう問題では私はないと思うんですね。

 そこで、金融庁の問題意識と調査結果のポイント、どう対策をとってきたのか伺います。

堀本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問のアンケート調査についてでございます。

 これは、投資用不動産向け融資のうち一棟建て土地建物向けの融資の一部について、委員御指摘の、金融機関が中長期的視点からリスクの検討が不十分なまま、高額かつ高利回りの担保つき融資を積み上げるといったことがないか、あるいは、お客様の掘り起こしや、お客様からの審査関係資料の受領といったお客様との接点、これについて不動産関連の紹介事業者に依存することで、金融機関とお客様との間のリレーションが希薄になりまして、事業や顧客の状況を把握しづらくなっているのではないか、そういった問題意識からアンケート調査を実施したものであります。

 このアンケート調査の結果、金融機関の一部には、長期的な事業、収支計画の妥当性を見きわめることが徹底できていない、あるいは、顧客財産、収入の状況を紹介業者に依存し過ぎず金融機関みずから実態を把握する、こういった点で改善の余地があるといった事例が見られました。他方で、融資後も賃料や修繕費等の実態を確認するなどの期中管理を行ったり、あるいは、将来に備えた余剰資金の積立てをお客様に提案しているという事例も見られました。

 金融庁としては、このアンケート調査に対する回答の分析を踏まえまして、一部の金融機関に対して、立入検査も含めまして詳細な実態把握を行っております。また、適切な投資用不動産向けの融資慣行、これが金融機関に浸透するように、また投資家に対して十分な注意喚起がなされるように、所管業界との意見交換とか、あるいは個別の金融機関とのモニタリングの機会を通じて、問題意識を幅広く発信をさせていただいているところであります。

 今後とも、金融庁としては、金融機関が顧客の状況について主体的に把握をするとともに、顧客との直接のリレーションを構築する、こうしたことで顧客の投資に対するリスクに対する理解を促進しまして、かつ、金融機関自身も融資業務を適切に行う、こういったことの対応を促してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 顧客の顔を見ずに、紹介業者が持ち込んできたものを認めてしまう、一棟建ての土地建物つきの本当に大きなローンを認めてしまう。ただ、これを、一部の銀行が不十分だったというだけでは済まないと思うんですね。

 金融庁自身が、その後のマイナス金利の問題ですとか、やはり前のめりになってきたことがあったんじゃないか。これは部分的な問題ではないという反省もあるんでしょうか。

堀本政府参考人 今般のアンケート調査に関してでございますけれども、アンケート調査の背景としまして、金融機関の業務について、さまざまな融資を適切にしていかなきゃいかぬということについて課題があるというふうな前提のもとでアンケート調査をやらせていただいております。

 その上で、このアンケート調査も踏まえまして、繰り返しになりますが、立入検査も含めて詳細な実態把握及び金融機関に対する指導等をしてまいっているということでございます。

高橋(千)委員 金融庁に対してはここまでにしますけれども、やはり全体として、最初に委員の皆さんがおっしゃっていたように、これをビジネスとして見たときに、前のめりになってくる、その中で悪質なものが出てきて、ただ、それが、悪質な業者がいたというだけの話にしてはだめなんじゃないかという問題意識から指摘をさせていただきました。今後も見ていただきたいと思います。

 もう一つ、どうしても言わなきゃいけないのが、資料の四が、四月二十九日付の毎日新聞です。「レオパレス改修工期虚偽」とあります。

 傍線にあるように、「同社が二〇一九年十月末、不良物件の改修時期について、実際には二年半以上かかる可能性があると認識しながら、「二〇年十二月末をめどに完了させる」と意図的に楽観的な見通しを公表した疑いがある」というふうに書いています。

 年表が下についていますけれども、二〇一八年四月に、住居を仕切る壁が天井裏に設置されていないなどの施工不良が見つかったと発表された。ここからスタートしているんですけれども、この四月というのは、レオパレスがプレスリリースをやった日なんですね。

 だけれども、国会の答弁をずっと追っかけていきますと、国交省は、同じ年の一月十九日に、オーナーさんから指摘をされてこのことを知っていますということを答弁をされています。

 次の段、続きがあるんですけれども、外部調査委員会を経て、昨年十月三十一日、対象物件の何と九八・二%で調査が終了し、明らかな不備のある物件が、一万三千二百五十二棟が不備があった。ことしじゅうに終わらせると言っていたわけだけれどもそうなっていないということで、傍線を引いているところ、石井前大臣が会見で、国として指示してきた期限までに完了しない旨の報告があったことは大変遺憾と批判をしていたということもあります。

 これは、国交省に報告をしてやってきた、けれどもそれが守られていない、進んでいないという問題なんですね。この点についてコメントをいただきたいと思います。

眞鍋政府参考人 お尋ねいただきましたレオパレス21でございますが、昨年十月末に、ネイル六シリーズの明らかな不備について完了する、軽微な不備のみの物件の改修計画を報告する、こういったものを本年六月中に行うことを公表しております。また、その他のシリーズで明らかな不備のある物件の改修を本年十二月中に行うこと、こうしたことを公表しておりました。

 これに対して、本年四月の三十日時点の改修工事の進捗でございますけれども、ネイル六シリーズの明らかな不備のあるものについては、約八割、六千二百十二棟で工事着手したものの、まだ工事完了は一割強の九百九十四棟にとどまっておりまして、十分な進捗が図られていないことは、私どもも極めて遺憾というふうに考えてございます。

 一方で、四月の三十日、同社から、コロナウイルスに関するさまざまな影響を受けまして、四月以降改修工事の実施を見合わせていることから、期限を延長する旨の報告が再度ございました。

 私どもの方からは、改修工事の再開について、所有者、入居者の意向を最優先させるとともに、感染予防の対応を徹底させること、遅延の原因を分析し、その改善策を報告すること、事態の推移、それから影響を見きわめて、できるだけ早期の改修完了を図るべく、改修計画を見直して報告すること、以上のようなことをあわせて指示してございます。

 残された不適合の改修については同社が責任を持って確実に実施すべきであることは言うまでもございませんけれども、私どもは引き続き同社の取組状況を厳しく監視、指導し、入居者の安全、安心を守ってまいりたいと考えてございます。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来てしまったんですが、聞きたかったのは、こういう問題に対しても今回の法律が役に立つんだろうかという問題意識なんですよね。

 さっきから重要事項説明の話ばかり出てくるんですが、どちらかというと、お金の話。だけれども、実際に、こういう物件の違法建築だとか不良だとかというのは、オーナーさんがそばにいるわけじゃないので、なかなか気づかないわけですよ。気づいたときには時効になっているわけなんですね。言った言わないはたった三年ですから、もうそれで時効になっちゃっているとか、あるいは、ゴールドネイルシリーズ、これは二十年たっちゃって顕在化して、やっとわかった、そうしたら、もう時効ですよと威張られちゃう、こういう事態になっているんですね。

 やはり、三十年契約だったら三十年は保証するとか特例を設けるとか、そういうことをぜひ検討していただいて、こういう物件の問題でもやはり家主の保護ができるように検討していただきたいということを要望して、終わります。

土井委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、法案質疑に入らせていただきますけれども、もう多くお聞かせをいただいておる中で重なる部分も本当にたくさんあると思いますけれども、御答弁いただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 賃貸住宅は、住宅ストックの四分の一以上、約一千四百五十八万戸という数を占めている、多様な居住ニーズに応えるものとして必要不可欠であるというふうに思います。国民が日々の生活を送る基盤として、また、良好なストックとして長期間にわたり活用される上でも、適切な維持管理というのが行われるということが非常に重要であるというふうに考えます。

 賃貸住宅の管理業務の適正化につきましては、平成二十三年十二月に、国土交通省告示による任意の制度として、賃貸住宅を貸す人、それから借りる人、管理する人の信頼と安心を高めるために、賃貸住宅管理業者登録制度というのが開始をされました。平成二十八年に制度の見直しというのが行われて、その法制化については検討を継続していくということで今日に来ております。

 当時は法律によらず任意の登録制度とされておりまして、現在実施している任意の登録制度について、まずどのように評価をされているのか、そしてまた、今回法制化するとした理由をお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、国土交通省では、賃貸住宅管理業につきまして、平成二十三年から国土交通大臣の告示に基づく任意の登録制度を実施してございまして、四千五百社が登録しているところでございます。これによりまして、賃貸住宅の管理業務のルール化、標準化が図られるなど、業務の適正化に一定の役割を果たしてきたところでございます。

 しかしながら、繰り返しになりますが、この現行の登録制度では、管理業者への義務づけが登録を選択した事業者のみに限られるということ、そして、不適切な行為があったときに業務停止などの有効な行政処分を行うことができないため、規制の実効性の担保が十分でないといった課題が存在してございます。

 このため、今回の法律案では、賃貸住宅管理業を営む者に対しまして登録を義務づけるということ、そして、さまざまな義務に対しまして、違反者には業務停止などの監督処分、罰則を科することといたしております。

 また、あわせまして、サブリース事業につきましては、マスターリース契約締結の際に重要事項説明、これを義務づけますとともに、サブリース業者、そしてサブリース業者と組んで勧誘を行う勧誘者にも不当な勧誘等を禁止いたしまして、これも、違反者には業務停止などの監督処分、罰則の対象とすることといたしております。

 これらの措置を講じることによりまして、賃貸住宅の管理業務の適正化に向けて、実効性を確保したいと考えています。

井上(英)委員 国土交通省は、賃貸住宅管理業者と家主、そして、たな子と言われる入居者とのトラブルの実態、賃貸住宅管理業者の事業形態や、家主との管理業務の契約状況などを把握し、賃貸住宅管理業の現状や課題を検証した上で、賃貸住宅管理業者登録制度における未登録業者の登録促進、登録制度の見直しなど、賃貸住宅管理業の適正化につなげることを目的にして、昨年、令和元年の七月から八月にかけてアンケート調査というのをやられたというふうにお聞きをしていますけれども、その結果を踏まえて、この法案にどのように反映されているのか、お答えいただけますでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、サブリース業者、賃貸住宅のオーナーとの間でトラブルが頻発していることなどを受けまして、国土交通省といたしまして、法制化を視野に入れて、管理業者とオーナーとの管理業務の契約の実態、そして、管理業者とオーナー、入居者との間のトラブルの実態について把握をいたしますために、昨年、御指摘のように、管理業者、オーナー、入居者を対象とした調査を実施いたしました。

 この調査結果によりますと、サブリース事業者が契約締結時に、将来の家賃変動の条件、賃料減額のリスク等を説明している者の割合、これは六割程度にとどまっているということでありました。また、オーナーがサブリース物件を取得する際に受けた営業については、自発的にサブリース経営をされた方は二割で、八割程度の方が何らかの営業、勧誘を受けているということ、そして、その勧誘を行った者というのが系列の例えば不動産業者、建設会社ということで、サブリース業者以外の者が関与している割合が六割程度であったということでありました。また、オーナーと管理業者との間のトラブルにつきましても、賃料が管理業者から入金されない、あるいは、管理業務について報告がないといったことが問題点として明らかになりました。

 こういった明らかになった立法事実を踏まえまして、本法案におきまして、例えば、サブリース業者による重要事項説明の義務づけでございますとか、あるいは、サブリース業者、勧誘者による不当な勧誘行為の禁止、さらには、管理業者による金銭の分別管理、オーナーへの定期報告の義務づけなどを規定することといたしまして、賃貸住宅の管理業務の適正化を図ることとしているところでございます。

井上(英)委員 今お答えいただいたように、アンケートで、非常に、まあ好き勝手にやっているところはやはりやっているというような感じのアンケート結果ではないかなというふうに思うんですね。

 平成二十三年の、先ほども冒頭申し上げたように、任意の登録制度の開設で、今まで八年経過をしています。この間、サブリース事業をめぐって、かぼちゃの馬車という話もありましたけれども、女性用シェアハウスを販売していたスマートデイズ社の経営破綻によって、八百名を超える所有者の賃貸事業というのが行き詰まって、自己破産者、さらには、不幸なことに自殺者を生むというような事態にまで結局発展した。大きな社会問題に当時なった事案が起こったということです。

 その社は、任意の登録制度に基づく登録を受けていなかったことから、賃貸住宅管理業者としての処分は行われず、また、宅地建物取引業の免許を受けていたが、破産手続の開始決定を受けて廃業の届出がなされたことから、宅地建物取引業に基づく処分もなかったと聞いています。

 本法案の提出は、サブリース問題が大きな背景に当然あると思いますが、サブリースのどのような点がやはり問題なのか、改めて現状認識をお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるサブリース事業につきましては、賃貸住宅経営に十分な知識と経験を持たないオーナーの方、これが今現在ふえているわけなんですが、こういった方が、サブリース業者に一括して賃貸で任すことができるということで、入居者募集あるいは維持管理、入居者対応等の手間が省けるということ、それから、一定の賃料収入を得ることができるといったことから、ニーズが増大しているということであります。

 しかしながら、サブリース業者につきましては、オーナーに対しまして、マスターリース契約に際してそのリスクを十分に説明せずに、結果としてオーナーが十分にそのリスクを理解しないまま賃貸住宅経営に参入してしまうということ、そして、空室発生等のリスクが顕在化したときに、サブリース業者の減額請求に対しまして、知識と経験に乏しいオーナーが安易にそれに応じ、一方的にリスク負担を負わされがちであるといった、こういった問題があるというふうに認識してございます。

井上(英)委員 そうですね。安易に、やはりちょっと甘い言葉というんですか、それにだまされてしまうといいますか、それが詐欺のところまでいくのかどうかはちょっと私は詳しくはわかりませんけれども、結果的に、そういう専門外のことに、甘い言葉で事業を始めてしまって、非常に気の毒な思いをされている方がおられるということであります。

 サブリースをめぐる問題は、サブリース事業者からオーナーへ、契約に関する重要な項目の説明が、先ほど答弁にもあったように不十分なこともあったり、また、オーナーが知識経験を十分有していない場合において、サブリース業者がこれにつけ込んで、誤解を招く誇大広告や不適切な勧誘によって賃貸経営のリスクというのを誤認させて、契約を結ばせるということがやはり問題の本質かと思います。

 今回の法律案においては、このようなサブリース問題に対して、どのような措置を講じて、どのような効果が期待されるのか。局長、答弁をお願いします。

青木政府参考人 お答えいたします。

 本法律案では、サブリースに関しますトラブルを未然に防止するため、サブリース業者そして勧誘者に対しまして、著しく有利と見せるなどの誇大広告の禁止、事実を言わない、あるいは事実でないことを言うなどの不当な勧誘の禁止を行うこととしてございます。

 また、サブリース業者に対して、オーナーが十分にリスクを理解した上で契約締結ができるように、マスターリース契約締結前の重要事項説明、そしてそれの書面交付、それから、契約締結時にも書面交付を義務づけることといたしてございまして、これらの措置を講ずることによりまして、オーナーは適切なリスク判断を行うことができる環境のもとで契約締結の判断を行うことができるようになるというふうに認識してございます。

 また、サブリース業者などに不適切な行為があったときには、業務停止等の有効な行政処分を行うことによりまして、被害の拡大防止と、それからあわせて、その行政処分などの抑止力で不適切な事案の発生の未然防止にもつながると考えてございます。

井上(英)委員 今御説明いただいたように、本改正案では、勧誘者に対して一定の行為規制を行うというものとともに、監督処分、罰則を科すこととされています。

 勧誘者の勧誘の判断はするのもなかなか難しい、勧誘者の勧誘の判断というのはどこまでなのかというのもなかなか難しいものであるとは思われますが、勧誘者が違反行為を行った場合、サブリース事業者も処分されることと思われますが、処分があるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 マスターリース契約に関する契約行為の適正化に当たりましては、勧誘者に対する行政処分や罰則だけでは実効性が確保されない場合も想定されますため、勧誘を行わせたサブリース業者に対しても、必要に応じて勧誘者の違反行為の責任を連帯させてとらせるということが重要でございます。

 このため、この法律案では、勧誘者が不当な勧誘行為等を行った場合、必要があると認めるときには、国土交通省は、その勧誘者に加えまして、勧誘を行わせたサブリース業者に対しても違反行為の是正措置の指示、そして、これに従わない場合の契約に関する業務停止命令や罰則に係らしめることとしているところでございます。

井上(英)委員 サブリース事業者の誇大広告とか、先ほどもあった勧誘者の不当勧誘に規定を設けられても、規定の遵守がされなければやはりサブリースの適正化というのは期待できないというふうに考えますので、サブリース事業者に対する義務づけについて、どのように実効性というか担保、実効性を確保していくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

青木政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、サブリース業者や勧誘者が行う不適切な行為につきまして、国土交通省に対する申出制度を設けることといたしまして、その申出を端緒といたしまして、報告徴収、立入検査などの必要な調査を行いまして、必要な場合には指示処分、勧誘の禁止などの措置を講じることといたしております。

 具体的には、全国に所在いたします国土交通省の地方整備局におきまして、トラブル事案を受け付け、そして報告徴収、立入検査などの監督体制を構築することを想定してございます。

 また、あわせまして、消費者庁や金融庁などの関係省庁や業界団体とも密接に連携をいたしまして、サブリースに関する苦情、相談について共有をいたしまして、不適切な行為の把握に努め、適正化に向けた措置を講じてまいりたいと考えてございます。

井上(英)委員 サブリースによる賃貸経営の大きな問題点というのは、先ほども言いましたけれども、今まで賃貸経営の経験がない一般の方などに対して、誇大広告や不実告知によって賃貸経営リスクを正しく伝えず、契約を結ばせてしまうことだというふうに思います。

 賃貸住宅のオーナーとサブリース業者との契約というのは、事業を営む者同士の契約であるものの、知識や経験に乏しいオーナーにとっては、事業者というよりも、むしろ消費者の一面があるんじゃないかなというべき存在です。

 この点からは、消費者行政としても、注意喚起や意識啓発などの取組というのがなされるべきだと考えますが、きょうは、消費者庁の坂田審議官、お越しをいただいています。消費者行政として、サブリース問題についてどのような取組を行っていかれるのか、また、今後どのような対応をしていくのか、お伺いをしたいと思います。

坂田政府参考人 お答え申し上げます。

 アパート等のオーナーから事業者が部屋を一括で借り上げ、転貸するサブリースに関しては、賃料減額などのトラブルが発生しております。こうしたサブリース契約におけるオーナーについては、一定の場合には、消費者契約法などの消費者として見ることができる場合もあり得ると考えております。

 このため、消費者庁においては、これまでも国土交通省及び金融庁と連携して、アパート等のサブリース契約を検討している方に向けて注意喚起を行ってきたところでございます。

 本法案が成立した暁には、引き続き国土交通省等と連携いたしまして、本法案の消費者向けの周知や消費生活相談員向けの研修など、サブリースに関する消費者トラブルの防止のための取組を進めてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 消費者庁も含めて、国土交通省も挙げて、しっかりとしていただけたらと思います。

 最後に、大臣にお伺いをしたいんですけれども、サブリース問題は、かぼちゃの馬車の事例では、サブリース契約で多くのオーナーがスルガ銀行でローンを借りていて、その返済が困難となるオーナーというのが続出をして自己破産、そして、あるいは、それが自己破産の目前となってしまったようなケースもたくさんありました。

 また、多くのオーナーがスルガ銀行でローンを組むことができたのは、スルガ銀行がスマートデイズ社と当時結託して、不正審査があったのが後に明らかになりました。スルガ銀行の不正融資問題に代表されるように、金融機関の融資姿勢も大きな問題があったのだというふうに思います。金融機関が適切に審査を行って、非現実的な事業計画に基づいた賃貸経営に融資を行わなければ、もう少し被害も少なくなったのではないかなというふうにも思います。

 だから、当然、金融庁も含めて、やはりしっかりとして、今後こういうことが起きないようにお願いしたいと思うんですけれども、サブリース問題は国交省だけで対応する問題ではなく、今回法律をつくったとしても、悪質な事業者というのは法律を抜け穴として、イタチごっこになるようなおそれもあります。

 サブリース問題の解決に向けては、関係者、先ほど言っている金融庁も含め、消費者庁も含め、そして国土交通省も含めて、継続的に取り組んでいくことが必要だと思いますけれども、これらの問題解決に向けて、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 例のスルガ銀行の問題は、これはもう何というか、とんでもない話で、これはもう詐欺そのものだと思っていますから、それは別にして、ただ、これだけ不誠実な、詐欺もどきというか、そうした事案が出ているということは、相当私は根が深いと思います。

 この業界について、法改正をしただけですぐ状況が一変するというような甘いものではないとまず思っておりますし、今、消費者庁は前向きな答弁もしていただいておりますから、消費者庁、また金融庁とも連携をして、やはり政府を挙げて、高齢者の皆さんとか善意のオーナーの弱みにつけ込まないということ、あってはならないことが、社会正義がちゃんと通るように、国交省としても、できる限りの、大変大きな課題だとよく認識をして取り組んでいきたい、約束したいと思います。

井上(英)委員 ありがとうございました。

土井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案につきまして採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小里泰弘君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。矢上雅義君。

矢上委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設に当たっては、当該業務の適正な運営確保と不良業者の排除を実現するため、関係省庁が連携して実効性あるガイドラインを作成し、賃貸住宅管理業を営もうとする者に対し、賃貸住宅管理業に係る登録制度の周知徹底を図るとともに、賃貸住宅の所有者及び入居者の登録制度に関する認知度の向上を図ること。

 二 サブリースをめぐるトラブルの防止や適正な契約締結を推進するため、関係省庁が連携して賃貸住宅の所有者等に対し、特定転貸事業者又は勧誘者による不当な勧誘等があった場合の相談先等、必要な情報の提供を積極的に行うとともに、地方公共団体や関係機関等と連携し、相談体制の充実のための必要な取組を進め、本法の実効性が担保されるよう、適時適切に監督を行うこと。

 三 特定賃貸借契約に係る被害者救済の観点から、特定転貸事業者等に対する誇大広告等及び不当な勧誘等の禁止に当たっては、禁止される広告や、「故意に事実を告げず」又は「不実のことを告げる」行為の類型をガイドライン等において明示すること。あわせて、不当な勧誘等をめぐる訴訟における被害者の立証責任の軽減を図ること。

 四 管理受託契約及び特定賃貸借契約前に説明すべき重要事項については、契約内容の認識の不一致によるトラブルを防止する観点から、宅地建物取引業法の重要事項説明や災害リスクを踏まえ、賃貸住宅の所有者の保護が適切に図られる内容とすること。

 五 サブリースをめぐり社会的な問題に発展している事例があることを踏まえ、賃貸住宅の所有者等とサブリース事業者や勧誘者との間の契約内容の認識の不一致などのトラブルを未然に防止する観点から、関係省庁、関係事業者等に対して法律の趣旨の周知徹底を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして御熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、そして委員の皆様方の御指導、御鞭撻、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 皆様、まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

土井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

土井委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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