第2号 令和2年11月17日(火曜日)
令和二年十一月十七日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 あかま二郎君
理事 古賀 篤君 理事 谷 公一君
理事 土井 亨君 理事 平口 洋君
理事 簗 和生君 理事 城井 崇君
理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君
秋本 真利君 井出 庸生君
泉田 裕彦君 岩田 和親君
小里 泰弘君 大塚 高司君
鬼木 誠君 加藤 鮎子君
門 博文君 金子 恭之君
菅家 一郎君 工藤 彰三君
小寺 裕雄君 小林 茂樹君
鈴木 貴子君 田中 英之君
田中 良生君 高木 啓君
中谷 真一君 中村 裕之君
西田 昭二君 鳩山 二郎君
深澤 陽一君 細田 健一君
堀井 学君 三ッ矢憲生君
山本 拓君 荒井 聰君
伊藤 俊輔君 岡本 充功君
篠原 豪君 辻元 清美君
広田 一君 松田 功君
道下 大樹君 山本和嘉子君
北側 一雄君 遠山 清彦君
高橋千鶴子君 井上 英孝君
古川 元久君
…………………………………
国土交通大臣 赤羽 一嘉君
内閣府副大臣 赤澤 亮正君
国土交通副大臣 大西 英男君
国土交通副大臣 岩井 茂樹君
国土交通大臣政務官 小林 茂樹君
国土交通大臣政務官 朝日健太郎君
国土交通大臣政務官 鳩山 二郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官) 佐原 康之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官) 久保田雅晴君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 東川 直正君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 石田 優君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 中原 淳君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 青木 由行君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 井上 智夫君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 吉岡 幹夫君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 和田 信貴君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 上原 淳君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 大坪新一郎君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 和田 浩一君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 金井 甲君
政府参考人
(観光庁長官) 蒲生 篤実君
政府参考人
(海上保安庁長官) 奥島 高弘君
参考人
(中日本高速道路株式会社取締役常務執行役員保全企画本部長) 源島 良一君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十七日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 鬼木 誠君
門 博文君 小寺 裕雄君
菅家 一郎君 細田 健一君
工藤 彰三君 井出 庸生君
深澤 陽一君 西田 昭二君
荒井 聰君 篠原 豪君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 工藤 彰三君
鬼木 誠君 秋本 真利君
小寺 裕雄君 門 博文君
西田 昭二君 深澤 陽一君
細田 健一君 菅家 一郎君
篠原 豪君 荒井 聰君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○あかま委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として中日本高速道路株式会社取締役常務執行役員保全企画本部長源島良一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、大臣官房技術審議官東川直正君、総合政策局長石田優君、国土政策局長中原淳君、不動産・建設経済局長青木由行君、水管理・国土保全局長井上智夫君、道路局長吉岡幹夫君、住宅局長和田信貴君、鉄道局長上原淳君、海事局長大坪新一郎君、航空局長和田浩一君、政策統括官金井甲君、観光庁長官蒲生篤実君、海上保安庁長官奥島高弘君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐原康之君及び大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平口洋君。
○平口委員 自由民主党の平口洋でございます。
私、この国土交通委員会で質問に立たせていただくのはきょうが初めてなものですから、どうかよろしくお願いをいたします。それと、質問に立たせていただいて、大変ありがとうございます。
早速議事に入りますが、コロナウイルスが露見して、一月半ばに我が国でも発生いたしまして、はや十カ月になろうとしております。しかしながら、一向にコロナウイルスが衰える気配がないわけでございます。その間、日本経済においても、直接関係するところを始めとして、徐々に経済に影響を及ぼしているところでございますけれども、中でも、特に航空需要について、過去に例を見ない規模で、大規模な減少が続いているということでございます。航空、空港関連企業は極めて厳しい経営状況になっているということでございます。
このような状況の中で、国土交通省は十月二十八日に、コロナ時代の航空・空港の経営基盤強化に向けた支援施策パッケージを公表しておりまして、その中で、航空ネットワーク維持のための施策として、令和二年度下期分の国内線の着陸料及び停留料について、旅客需要の減少を踏まえた引下げを行うこととし、国内線全路線を対象に、過去最大規模となる一律四五%の減免を実施しているところでございます。
国内線ではこのような措置が講じられておりますが、国際線については支援策が見当たらないところでございます。
国際線の旅客数は、九月で前年同月比九七%減、十月見込みでやはり前年同月九七%減となっており、いまだに、引き続き厳しい状況にあるということでございます。
この施策パッケージの中でも、航空会社の資金繰りや資本強化を支援するために、日本政策投資銀行の危機対応融資等の活用や資本性劣後ローンの供給等が考えられておりますが、その際の利子について、厳しい経営状況に鑑み、国において負担することが必要ではないかと考えております。
中小企業においては実質無利子の融資が行われておりますが、大手の航空会社についても更に一歩踏み込んだ支援が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
○和田(浩)政府参考人 お答えを申し上げます。
航空は、国内外の人的、物的交流に不可欠な公共交通として国民の社会経済活動を支えるとともに、訪日外国人旅行者六千万人の政府目標の達成など、ポストコロナの成長戦略の実現にも不可欠な、いわば空のインフラでございます。
このため、需要回復に速やかに対応できる供給体制や需要回復後の成長投資の確保に向けて、国としてしっかり支援していく必要があると考えております。
航空需要は過去に例を見ない規模で大幅に減少している状況が続いていますが、御指摘のとおり、特に国際線は、いまだに対前年比で一割にも満たない状況となっています。
国土交通省としては、関係省庁と連携し、感染拡大防止の観点から水際対策を徹底しつつ、段階的に出入国規制を緩和しているところであり、こうしたことで経営環境の好転も図っているところです。
また、航空業界では、国際線、国内線、貨物事業などもあわせて、総合的な観点から経営改善に向けて取り組んでいます。
航空業界としては、固定費削減等の経営努力に努めるとともに、金融機関からの融資を受けつつ、国に対しては、着陸料に限らず、航行援助施設利用料や航空機燃料税等も含んだ公租公課のさらなる減免を要望しているところであります。
かつてない大変厳しい状況ですので、必要な支援措置が講じられるよう、国土交通省としても最大限努力してまいりたいと考えております。
○平口委員 航空の場合は特に影響が大きいので、単なる税金をまけてくれとか公租公課を後回しにしてくれとかいうふうなことでは十分ではないと思いますので、ぜひともこれから利子の減免ということについても考えていただきたいというふうに思います。
航空会社のみならず、貸切りバス、乗り合いバス、タクシーといったような運送事業者や鉄道事業者、旅客事業者など公共交通事業者や宿泊業者、旅行業者などについては、GoToトラベル事業によって需要を持ち直している面もございますけれども、陸海空いずれも新型コロナウイルスの感染症が、大きく受けて、依然として非常に厳しい状況に置かれているところでございます。
これらに対する雇用調整助成金というもの、これは非常にありがたいと考えております。そして、評判も、当初は、行き渡らないとか、いろいろ不満があったんですけれども、今は非常に円滑に交付されているということで、どこの事業者も喜んでいるところでございます。貸切りバスでは九六%、乗り合いバスでは七〇%、タクシーが八〇%、そして鉄道業者が五一%、旅客船事業者が七四%というふうに、非常に高率の雇用調整助成金をいただいているということでございます。
そこで、厚生労働省にお伺いいたしますけれども、この雇用調整助成金の特例措置に関する、本件十二月末現在の助成金の累計が一体幾らになるのか、そして予算残額はどの程度となるのか、そのうちの国費がどのぐらいになるのかを教えていただきたいと思います。
○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。
雇用調整助成金の執行状況でございますが、十一月十三日現在で約二兆円という状況でございます。
それから、このうち国費ということでございますが、国費につきましては、雇用調整助成金で申しますと約六千億円、今、補正と一般会計の予備費で措置をいただいてございまして、全体として六千億円の財源を国費で確保してございまして、その他一般、雇用勘定、雇用保険の勘定でございますが、そちらで約一・二兆円、予算上用意しているところでございます。
○平口委員 六千億円の国費を投入して二兆円余りの融資を行ったということで、融資というか補助を行ったということでございますが、これを十二月末現在でカットされるわけですね。したがって、十二月末現在で終わるとなると非常に困る業界も出てくるわけでございますので、できれば期限を年度末の来年三月末まで延長してもらいたいという希望が大変強うございます。その見通しはどのように考えておられるのか。さらに、私は、来年三月末まで延長した場合には十分な予算を確保すべきと考えておりますが、どの程度の予算が必要になるのか、御見解を伺います。
○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。
雇用調整助成金の特例措置についてでございますが、今先生から御指摘ございましたとおり、現在の特例措置につきましては、本年十二月末までの延長とさせていただいたところでございます。
この特例措置につきましては、八月に延長する旨お示ししたところでございますが、その際、感染防止策と社会経済活動の両立を図る観点から、休業者数や失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、通常制度に向けて段階的に戻していくとさせていただいたところでございます。
産業界の皆様からは特例措置の延長を求める声を大変多くいただいておるところでございまして、一方で、働く方々のモチベーションの問題など、特例措置を長くする影響等の副作用についての懸念の御意見もあると承知しておるところでございます。
いずれにいたしましても、雇用調整助成金の特例措置の一月以降の取扱いにつきましては、雇用情勢等を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えてございます。
また、年度末までの執行がどの程度になるかということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、雇用調整助成金の執行につきましては、既に約二兆円の執行になっているということでございます。今後は、休業数の減少を踏まえますと、執行が落ちついていくものと想定しているところでございまして、その見込み額を計算するというのはなかなか難しいところでございますが、その上で、仮に今後、これまでの執行ペースが続くと機械的に推計した場合、年度内に約三兆円台の執行が見込まれるということでございまして、この推計を前提とすれば、更に一兆円の支出が生ずるということでございます。
こうした支出につきましては、雇用保険財源内のやりくりや、先般措置した、先ほども申し上げましたが、一般会計の予備費により財源確保を図っているところでございますが、いずれにいたしましても、引き続き、執行状況をよく注視し、必要な予算の確保につきましてしっかりと努めてまいりたいと考えてございます。
○平口委員 いずれにしても、一兆円ぐらいの財源が必要だということでございますので、今から補正予算が組まれるところでございますけれども、ぜひともこの一兆円の予算を獲得していただきたい、このように思います。
次に、GoToトラベル事業についてお伺いをいたします。
新型コロナウイルス感染症で深刻な打撃を受けた観光業界を支援するとともに、旅行先の地域経済を活性化するために実施されているGoToトラベル事業でございますけれども、七月二十二日の事業開始から十月三十一日までの利用実績が約三千九百七十六万人泊、宿泊、旅行代金の割引支援額が約千八百八十六億円と、広く利用されているところでございます。
これについて、私は、委託をして業者に丸投げするんじゃなくて、もう少し行政の旅行、観光担当部局を活用したらどうかということで、運輸局には、各地域に運輸局がございますけれども、それには観光部というのがちゃんとある、都道府県にも観光担当の部局があるということで、この指揮系統をどうして使わなかったのか。それについて、委託するにしても、それらの行政機関を通じて委託をするしないの判断をしたらどうかというふうに思うわけでございます。
まず、この委託費と手数料、これについて幾らだったのかお伺いするとともに、どうして直接こういう行政部局を使おうとしなかったのか、それについて伺いたいと思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業の実施に当たりましては、旅行、宿泊商品の割引を行う全国各地の多数の宿泊事業者、旅行事業者や地域共通クーポンの利用対象となる全国数十万以上の店舗施設等に関する登録審査事務やそのサポート、問合せ対応、これらの参加事業者における感染症対策の実施状況の把握、指導、参加事業者に対する給付金の支払いなど、非常に多くの業務を短期間に効率的に行うことが必要となりますが、臨時的に発生するこれらの業務を国や地方公共団体の既存の組織のみで実施することは困難であると考えたところでございます。
このため、民間事業者に必要な事務処理を委託することにより、民間の既存の組織やシステム、ネットワーク等を有効に活用し、迅速な事業の執行と事業効果の最大化を図ることとしたところでございます。
他方、本事業の適切かつ円滑な実施を確保するためには、当然ながら、国としてもしっかり対応することが重要であると考えており、観光庁に専門チームをつくり、制度の骨格の制度設計や運用に当たることはもとより、地方運輸局観光部におきましても、事業の周知を目的とした説明会の開催、地域共通クーポンを取り扱う店舗の募集、宿泊施設に関する感染症対策の実施状況の調査などの業務を行ってきているところでございます。
また、地方自治体におきましても、本事業と連携しながら独自の旅行、施設宿泊割引を実施するなど、各地域の観光需要の回復に取り組んでおられることと承知しております。
今後も引き続き、地方自治体と連携を図りながら、国、事務局一体となりまして、事業の適切な執行に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
なお、委託の費用でございますが、結果的に選定いたしましたツーリズム産業共同提案体からは約千八百九十五億円という提案があったところでございます。これは、公募の際の上限額と設定した金額から約四百億円減額される形となっている次第でございます。
以上でございます。
○平口委員 その千八百九十五億円というのは決して小さい数字じゃないわけですから、この分を行政の方に回してやるというのも考えられるところじゃないかというふうに思いますし、特に、地方公共団体は、このGoToトラベルの事業に参画して、その中で地方独自の補助制度なんかをやったりしているものですから、そういうものとの整合性を図るためにも、ぜひとも直接こういう行政機関、都道府県の観光課といったようなところを活用するべきじゃないかということを申し上げて、それで、このGoToトラベル事業について、非常にありがたいという声が強いわけでございますので、これも、来年の一月ぐらいですか、には終わるというふうに聞いておりますけれども、これを更に延長して、ゴールデンウイークのころまで続けてもらいたいというふうな声があるんですが、この点についてはいかがかというふうに思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員から御指摘のありましたように、GoToトラベル事業に関しましては、既に大変多くの方に御利用いただいており、新型コロナウイルス感染症により大きな影響のあった観光需要の回復や地域経済の活性化に一定の下支え効果があったものと考えております。
本事業の延長につきましては、各地の強い御要望も踏まえ、政府として、今後の感染状況、観光需要の回復状況、予算の執行状況を踏まえまして、検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○平口委員 次に、造船業についてお伺いをいたします。
私は、個人的なことを言うようですが、今から四十四年ぐらい前に韓国に行ったことがありまして、そのころ日本の造船業は花形産業でございまして、韓国で日本の造船業を見習うということで、現代財閥の方がつくったビデオを見せてもらったことがあるわけでございますけれども、韓国も立派な旅客船を輸出しているんだということだったんですが、当時、韓国では、側だけをつくって、エンジンはみんな日本から輸入しているというふうな状況でございました。
それから四十四年たったんですけれども、造船業界の実情は当時と真反対になりまして、二〇一九年の世界全体の新造船の建造は、大まかに言って、日本対中国対韓国で三対四対四の比率となっているということでございます。
今後建造する船の受注が問題になるわけですけれども、二〇一九年のデータでは、国別の新規受注量は日本対中国対韓国で二対四対五というふうな比率であるというふうに聞いております。
我が国造船所の手持ち工事量、これは通常、約二年以上必要とされているわけでございますけれども、それが二〇二〇年六月末の時点で千四百万トン余り、これを二〇一九年の竣工実績で割ると、わずか一・〇五年分、つまり、このまま受注がなければ一年後にはつくる船がなくなるというふうなことがあるわけでございます。
一番大きな原因は、中国、韓国といったような造船所の提示する船の価格が、我が国の造船所の価格よりも大幅に安いということになるということでございます。その低価格の原因は、中韓両国の造船所に対する公的補助の結果なのではないかという指摘があるわけでございます。我が国も、こうした補助は日本の造船業に悪影響を与えるとの判断に基づいて、WTOの紛争解決ルールに従って韓国と二国間協議を実施しておりますが、いまだ解決が図られていないということでございます。
ここでお尋ねいたしますが、大変厳しい状況の中、中韓造船所に対する厳しい競争をしなければならない我が国造船業に対して、市場競争をゆがめないように留意しつつ、政府から中韓が行っている支援と同様の効果を持つ支援等を行うことはできないかというふうに思うんですが、いかがかと思います。
○大坪政府参考人 韓国においては、経営難に陥った造船事業者に対する救済など、政府による大規模な公的助成が行われまして、これにより、市場を歪曲し、船の価格の水準を押し下げ、我が国に著しい損害を与えています。我々はWTO協定に基づき申立てを行いまして、現在、WTOプロセスとしての二国間協議を行っているところです。
また、WTO以外にも、多国間の政策協議の枠組みであるOECDの造船部会などにおいて、造船市場における公正な競争条件の確保に向けて、協議や調整を行っています。
大規模な政府支援を行う中国、韓国との受注競争に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響によって新規商談が停滞しておりまして、我が国造船業は厳しい業況にあります。
国土交通省としては、我が国造船業がこの厳しい状況を生き抜き、発展していけるように、船舶を供給する造船業と船舶を導入する海運業、その両面から競争基盤の強化を図る、その方策について、公正な国際ルールにのっとった形で、できる限りの対策を講じてまいりたいと考えております。
○平口委員 しっかりやっていただきたい、このように思います。
次に、流域治水の考え方でございますけれども、気候変動の影響による自然災害の激甚化、頻発化、その甚大化を受けて審議会で答申をいたしました。この答申を受けて、水管理・国土保全局は、処理能力を超過する洪水が発生することを前提に、あらゆる関係者が協働して流域全体で行うという流域治水への転換を推進することとしています。
もちろん、それも大事なことでしょうけれども、まず、その前に、一級河川で都道府県が管理する区間においても甚大な水害が発生しているわけでございますので、このような高度な管理が求められるようになっている状況を踏まえると、直轄管理区間への管理区分の見直しを行う必要性があると思います。
さらに、道路の方も、道路の老朽化対策ということで、建設後五十年を経過した橋梁の割合は、現在約三〇%であるのに対して、十年後には五五%となるということで、多く老朽化が進んでいくことが予測されているわけでございます。
この場合に、都道府県が所管する措置着工済みというもの、それと市町村が管理する橋梁で措置着手済みとなっているものと国の場合とを比べてみますと、二十六年度の点検で、国の方は九六%、都道府県の方が五六%、そして、市町村の方は四九%というふうな数字になっております。
いずれにしても、このようなでこぼこがあるということは、直轄で管理している区間の適切かどうかという問題があるわけでございますので、この直轄管理区間を見直すということが必要であるというふうに思います。
以上、このような考え方でございますが、この点について所見をお伺いしたいと思います。
○井上政府参考人 お答えいたします。
気候変動の影響により激甚化、頻発化する水災害に対して、国民の命や暮らしを守るためには、一級河川の県管理区間を含め、治水対策の抜本的な強化が必要と認識しております。
河川の堤防の決壊など甚大な被害が県管理区間で発生した場合には、高度な技術力、機械力を要する一部区間において、国が権限代行で対応しているところです。
また、国管理区間に県管理区間の支川が合流する地点においては、本川とのバランスをとりつつ、集中的に事業が実施できるように、新たな個別補助制度を創設しているところです。
さらに、委員御指摘の、一級水系の県管理区間の直轄編入についても、治水対策推進の一つの方法と認識しています。
これらさまざまな方策のうち、どの方法をとるかについては、災害の発生状況や河川の整備状況、河川の管理をどのような形ですべきか、そういうようなことを具体的に踏まえた上で、一番よい方法は何かという観点から総合的に考えていくことが重要と認識しております。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
指定区間をふやせという御指摘でございましたけれども、今後の指定区間のあり方につきましては、広域的な利用状況の変化や老朽化の進展の状況、組織・人員体制などを考慮しつつ、地域の実情も勘案した上で、引き続き検討していく課題だというふうに認識してございます。
また、老朽化に地方と国で差があるということでございましたけれども、地方の老朽化に対しましては、財政面としては、今年度より創設しました道路メンテナンス事業補助制度を活用し、支援していくところでございますし、技術的には、高度な技術力を要するものについては、国による直轄診断、代行等を実施していくということで頑張っていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○平口委員 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、十一月十日の閣議において追加経済対策の策定が指示されました。その中で、追加経済対策の三本の柱の一つとして、国土強靱化と安全、安心の確保というのが挙げられております。
大臣は、先日の委員会において、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策について、三カ年の経過後も、中長期的視点に立った計画的な取組として、防災・減災が主流となる社会づくりに全力を挙げてまいるというふうに発言されておりますが、大臣に、緊急対策後の新たな対策の必要性についてどのように認識されているのか、お伺いをいたします。
○赤羽国務大臣 昨年九月十一日に大臣に就任させていただいて以来、一年余りの間に三十回以上の被災地の視察を重ねてまいりましたが、いずれの地も、気候変動の影響によって災害が激甚化、頻発化し、被害も相当深刻化をしておると。お会いした首長の皆さんが、全て全員が、この防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策は大変ありがたかったけれども、今後も中長期的に安全、安心な国土がつくれるように継続をお願いしたいという声がたくさんございました。
また、与党の自由民主党、公明党からも、骨太方針の審議の中で大変心強い応援もいただいたところでございまして、現在、こうした状況を踏まえまして、国交省といたしましては、この三カ年緊急対策後も必要十分な予算の確保に努めて、防災・減災が主流となる安全、安心な社会の実現に全力を傾けてまいる所存でありますし、それが私の責任だと考えております。
以上です。
○平口委員 ありがとうございました。
以上で私の質問を終わります。
○あかま委員長 次に、岡本三成君。
○岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず初めに、大臣にお伺いをいたします。
住宅政策におけるURの役割について確認をさせていただきたいと思います。
このコロナの時代に入りまして、日本のみならず世界じゅうで格差が更に拡大しているというような報道がなされています。その中で、どのように住まい、つまり生活の基盤を守っていくかというのは非常に重要な問題でありまして、とりわけセーフティーネットをどれだけ強化していくかということが格差問題解消の第一歩だというふうに思います。
URは、もともとは、昭和三十年代に、都心に対して、大都市に対して人口流入する、その受皿として整備がなされましたけれども、その歴史的な役割を終わりまして、新たな使命を帯びていくものだというふうに私は理解をしています。
今、若い世代からそしてお年寄りまで、さまざまな方に入居をしていただき、新しいコミュニティーをつくるという役割を担っていただいておりますけれども、自治体が運営をしていらっしゃる公営住宅に加えまして、七十一万八千戸もあるわけですから、このURに、ある一定水準のセーフティーネットの役割を担っていくということが、日本全体で格差問題に取り組んでいくということに対して非常に重要な役割を今後背負っていただけるようなことを期待しているわけですけれども、今後のURのセーフティーネットに関する役割についてどのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。
○赤羽国務大臣 今、岡本委員のお話にありましたように、UR住宅というのは、発足当時、いわゆる中流の勤労者に対する受皿の住宅ということからすると、相当変化をしている。入られている方自体ももう既に高齢化していますし、建物も老朽化している。
そうした中で、他方、今回のコロナウイルス禍で、多くの皆さんが住宅を失う、セーフティーネットが必要になる方がたくさんいらっしゃっている。
今、幸いにも、厚生労働省と国土交通省の間で、また公明党からの提言もるるいただいておりまして、住宅のセーフティーネット化ということをしっかりとやらなければいけない。そのときの一番の、何というか、ファンクションができるのが、国がかかわっているUR住宅だというふうに私も思っております。
そうした意味で、もう既に変貌しておりますが、今はUR賃貸住宅は、高齢者、子育て世帯など、いわゆる民間のマンションやアパートから入居をなかなか受け入れられない、制約を受けがちな弱い立場の方の受皿として住宅セーフティーネットの役割を担っているというところでございますが、同時に、全体の経営の中で可能な範囲で、市場家賃では居住の安定が図れない方々を対象とした、地域の実情に応じた、公営住宅等を補う機能も持っているというふうに考えておりますので、こうしたことを含めて、今、目の前のコロナ禍で住宅が大変難しくなっている方も含めて、今後、高齢化がますます進んでいくわけでありますので、そうしたセーフティーネット化の必要性というのは非常に重要だというふうに考えておりますから、UR賃貸住宅を有効に活用しながら、厚労省ともしっかりと連携をして、住宅セーフティーネットの政策をしっかりと進めていきたい、こう考えております。
○岡本(三)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。
その上でちょっと各論をお願いしたいんですけれども、今後、新しくセーフティーネットの対象として支援をすべき方々に対して、ある一定の優先順位を持ってURに御入居いただけるような仕組みをつくることが重要だと思います。
一方で、URに長く住み続けた方の中で、先ほど大臣もおっしゃったように、現実問題、高齢化が進んでおりまして、今、入居者の平均年齢はもう既に六十歳を超えておりますし、世帯でいいますと、世帯主が六十五歳以上のお宅が入居者の約五割になっております。
これは厚労省から資料を取り寄せてわかったんですが、二十五年以上、二十五年です、URにお住まい続けて、高齢者になった後にURを退去された方、それはいろいろな退去の理由はあると思いますけれども、普通に考えると、七十代、八十代まで長く住んで、それでも出るというのは、何かポジティブな理由がある方もいらっしゃるかもしれませんが、家賃を払い続けることが難しいという方もいらっしゃり、特に年金の収入だけの方ですと、二十五年以上住んでいたのにやむなく出なきゃいけないという方が直近で約六千世帯いらっしゃいます、六千世帯。過去五年間平均すると五千世帯以上です、毎年。そういう方々に、高齢になったときに、いや、お金払えないんだったら出ていってくださいというふうなことが、本当にセーフティーネットを考えた役割というものを持たせるときにどうなのかなというふうな問題意識を持っています。
同じ問題意識を国交省にも持っていただいていて、であるがゆえに、さまざまな工夫をされた住宅、例えば優良賃貸住宅や健康寿命サポート住宅など、バリアフリー化をして、それに加えて家賃の減額をしていただいているような部屋数もあるわけですけれども、これがまだまだ少なくて、全部合わせても、家賃補助が、国として出しているのが、わずか年間二十八億円です。二十八億円しか家賃の支援をしていなくて、社会的なセーフティーネットの役割を果たしているというふうには到底言えないと思います。
一番いいのは、そういう、全員ではありません、限られた本当に厳しい方に対して、現状お住まいの方にも家賃の支援をしていただくような仕組みを広げていただきたいと思いますし、又は、URの場合に、空き部屋ができたら早い者勝ちというルールになっていて、これは悪いことではないと思うんですが、例えば、昔は大きな部屋に住んでいたけれども、何十年もお住まいの中で、URにはいろいろな部屋の間取りがありますから、小さい部屋に移りたい、安い家賃でいきたいというような方が事前に登録をしておくことによって、家賃のお安い部屋が出たときにその同じURの中で越すようなことですとか、とにかく、長年お住まいになった方が人生の最後の直前で無理やり、まあ、無理やりというか、出なければいけないような、そういう状況をちょっとでも改善できるようなさまざまな工夫をお願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○和田(信)政府参考人 お答えいたします。
UR団地は、一般的に規模が大きく、さまざまな間取りあるいは家賃の住宅があり、募集住戸も一定程度発生しているため、団地内等での住みかえのハードルが比較的低いという特性がございます。このため、収入や世帯構成の変化等により家賃の支払いが困難となった方につきましては、まずは同じ団地内で、コミュニティーや生活環境が変化することなく、世帯構成等の変化に応じた間取りの、比較的低廉な家賃のUR賃貸住宅への住みかえができるよう、URにおいて丁寧な対応を行っております。
また、委員の御指摘にもありましたように、健康寿命サポート住宅というものがございます。これにつきましては、階段の上りおりによる負担が少ない一、二階の既存の空き住戸を中心にバリアフリー改修等を行い提供を進めているものであり、家賃の減額等も入ってございます。
また、こういった住宅の一、二階の既存の空き家住戸を中心にということから、供給戸数の増加には一定の制約があるものと認識しておりますが、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○岡本(三)委員 ぜひお願いいたします。
続きまして、バリアフリーについてお伺いしたいと思います。
大臣は、所信の演説の中で、バリアフリー対策は成熟した国家の品格を体現するものであるというふうに表明をされて、私は非常にすばらしい名言だと思ったんですね。
それで、特にきょうはホームドアと点字ブロックを取り上げさせていただきたいんです。
ホームドアに関しましては、七月の二十六日に、JR阿佐ケ谷駅で目が悪い方がホームから転落をしてお亡くなりになるという事故がありました。その視覚障害の方は、私、同世代で、実はマッサージ師さんをやっていらっしゃって、日曜日にボランティアで高齢者施設にマッサージに行く途中にその駅でホームから転落をされ、入ってきた車両に命を奪われてしまったわけですけれども、この直後の七月三十日に私も現場を同僚議員と一緒に見に行きましたけれども、ホームドアがあったらと本当に思ったんですね。
そこで、国としても、ホームドアの設置、JRそして鉄道各社とともに取り組んでいただいておりますけれども、今後更にスピードアップをしていただきたいというお願いなんです。
特に、現状、JRの駅についている、ついていないという目標をつけていただいておりますけれども、私、東京都北区に住んでいますが、例えば赤羽駅は、京浜東北線にはついていますが、そのほかの路線にはついていません。それでも、ホームドアがついているというふうな、そういう数字になって発表されているんですが、今、国交省の中で、今後どういうふうに取り組むかというふうな新しい指針を議論されるというふうに聞いていますけれども、本当はホーム数で、幾つのホーム数がホームドアがついているかというふうな目標を立てるべきだというふうに思いますし、よりスピード感を持ってやっていただきたいと思っているんですね。
現状、ホームドアを設置するときには、その費用を事業者が三分の一、自治体が三分の一、国が三分の一ずつで、事業者は民間企業ですから、どうしてもその財政的なものがネックになって進まないわけですけれども、私、こういうふうに、年間、ホームから落ちる方が何千人もいらっしゃるようなこういう時代に、国がもっと予算を投入して、一気につけていくぐらいのことをやってもいい時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 まず、ホームドアにつきまして、現行の交通政策基本計画では、十分御承知だと思いますが、令和二年度までに、駅数ですけれども、約八百駅に整備するという目標の中で、令和元年度末で八百五十五駅に整備されている。
ただ、今、岡本さん言われているように、駅についていても必ずしも全てのホームについているわけではないというのが実態なので、令和三年度以後の新たな整備目標をどうするかというのは今検討しているところでございますが、今言われたように、きめ細かな進捗をフォローするという意味では、番線単位の数値目標を設定することとしたいと思います。
ただ、番線というと、私なんかは、個人的に言うと、全国で一万九千七百八十六番線ある、これは何か逆に言うとぴんとこない部分もあって、そのうちの三千番線というと、大きい駅に偏っていて、駅の広がりがないという逆の部分もあると思いますので、これは、私は、省内的には、番線数に加えて駅数も、両論併記というか、両方とも表示をして、とりあえずわかりやすいようにしていくということが大事だというふうに思っておりまして、今これは検討中でございます。
しっかりと野心的な数字を掲げてやっていきたいと思っておりますので、そういう意味では、今年度の第三次補正予算と来年度の当初予算でしっかりと確保しなければいけませんが、なかなか、これは内々の話なんですが、国交省の非公共の予算というのは極めて厳しくて、これはもう少し政府の中で我々が頑張らなければいけないんですが、そうした制約の中で、まさに東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーは、真の共生社会を実現する。そういう意味では、こうしたホームドアを始めとするバリアフリー化を進めるというのは、まさに政府が掲げた一番大きな政策目標のはずでありますから、しっかりとその予算獲得に頑張っていきたい。
ただ、これに加えて、今、実は、鉄道局における有識者検討会をしていただいておりまして、バリアフリー化をどうやって広く展開していくかというと、裨益される利用者の方、これは大きく言うと国民総じてなんですが、そういう人たちにも広く薄く負担も考慮していいんじゃないかというような御意見もございます。
こうしたことも踏まえて、私は、そうした御理解が得られれば、この政策、なかなかホームドアというのは、一つ一つ費用のかかる、予算の大きいものですから、それが新しい仕組みの中で前に進むようなことであれば、そうした選択を決断するというのも一つの考え方だなというふうに思っております。
しっかりと検討を深めていきたいと思っております。
○岡本(三)委員 加えて、点字ブロックについてもお伺いしたいんです。
私、最近も盲人の協会の皆さんと、大臣にも対談、懇話をさせていただくようなお時間をいただき、さまざま議論を重ねてきていますけれども、点字ブロック、非常に重要なものですけれども、ただ、例えば、車椅子を御利用の方等からすると、その点字ブロックが障害となって動きづらいというようなところもたくさんあって、私は、いま一度、さまざまな障害団体の方から一堂にお話を聞いて検討し、何がバリアフリー社会として最も皆さんに部分最適ではなくて全体最適なのかということを、国交省がリードしていただいて、やるタイミングに来ているんじゃないかなというふうに思うんですね。
とりわけ、今民間ではIT技術が非常に進んでおりまして、点字ブロックの中にビーコンを打ち込んで、そして、つえの先でそれを感知しながらスマホと連動させて誘導していくみたいなことも、実証実験をやっているようなところもありますけれども、ある部分最適が全体としては最適化されていないようなことが、このバリアフリーの社会にあってはいけませんので、よく現場の障害を持った方々の意見を聞くような場を持って、日本に非常にフィットする、最先端の、しかも利用者の方が使いやすいようなバリアフリー社会を構築していただく努力をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
視覚障害者誘導用のブロックにつきましては、今御指摘をいただきましたように、車椅子を使用されておられる障害者などにとりまして、通行の妨げになっている場合があるという声があることを承知しております。
一方で、誘導用のブロックにつきましては、視覚障害者の方が安全に移動される上で必要不可欠なものでありまして、両者の関係をうまく両立させることはかなり困難を伴う問題であると思っております。
こうしたいろいろな関係者の方々の御意見を踏まえて検討する場としまして、バリアフリー法に基づいて、当事者の方々の参画をいただきます移動等円滑化評議会がございます。その下に、特性に応じたテーマ別意見交換会という枠組みを設けておりまして、今回の問題につきましても、この枠組みを活用しながら、関係者の御意見を丁寧にお伺いしつつ、御指摘のような新技術の活用も含めて検討してまいりたいと思っております。
○岡本(三)委員 最後に、今後の国土交通省が所管する業界に対する経済的な支援についてお伺いをしたいんです。
コロナ禍に入りまして、第一次、第二次の補正の中でさまざまな支援をしていただいておりますけれども、今後は、さまざまな分野で顧客のニーズが変わってきます。その変わる顧客のニーズに対応して、新たなマーケットを切り開くようなところにもしっかりと支援をしていくようなタイミングに来ているというふうに思います。
例えば、バスやタクシーの業界では、物すごい高性能のフィルターが入っている空気清浄機を全てのタクシーにつけようという動きがあります。その空気の状況をモニターで見られて、実際にお客さんが、外にいるよりも、このタクシーの中、バスの中の方が空気の環境はよりクリーンじゃないかということも視覚化して見えるようなことをやっていこうというふうにしているんですが、そうすると、顧客のそういう公共交通を使うようなバリアも下がってまいります。
同様のことを、例えば、船舶であっても、鉄道であっても、いろいろなところにぜひやっていただきたいというふうに思っているんですが、要は、さまざまな前向きな設備投資、研究開発をぜひ国交省に支援していただきたいと思いますし、加えまして、人材の支援もお願いしたいんですね。
例えば、労働移転が必要な分野もあると思いますけれども、自分自身のスキルアップによって、より大きな役割を仕事の中でできるようなこともあると思います。
国交省はいろいろな資格試験をやっていますが、測量士であっても、建築士であっても、重機のオペレーションであっても、そういう資格試験に関しては厚労省丸抱えみたいなところもありますけれども、国交省が一体となって、例えばその受験や講習の費用を支援をしてあげるとか、もっと回数をふやしてあげるとか、試験を受けられる場所を全国にもっとふやしてあげるとか、人材力を上げるということからも、経済的、財政的な支援をぜひお願いしたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
○岩井副大臣 岡本委員にお答えをいたします。
まず、公共交通機関におきましては、緊急事態宣言下であっても必要な機能を維持することが求められてきておりまして、今回の事態、コロナ禍の中であっても、公共交通の事業者やその従事者の皆様におかれましては、感染のリスクや不安を抱えながら、その責務を果たすべく、本当に献身的に従事をしていただいております。エッセンシャルサービスとしての公共交通の公共性を改めて認識をしておりますし、皆様方に対して改めて感謝を申し上げたいと思います。
一方で、地域交通事業者は、新型コロナウイルスの影響以前から、人口減少、そして少子高齢化の進展によりまして、大変厳しい経営状況に置かれているということもございます。
今回のコロナ禍ということになりまして、より深刻な危機に瀕していることから、持続的な運行確保に向けて、これまで以上に強力に支援を行う必要があると認識をしております。
委員御指摘のありました件につきましては、まず、今般、総理大臣から指示のございました経済対策として、感染症対策の新技術、委員からは新たなマーケットというお話もありましたけれども、それに関係する新技術などを活用した地域公共交通の維持、活性化のための支援を盛り込むべく、現在調整をしているところでございます。公共交通の機能が維持されるように、しっかりと取り組んでまいります。
また、人材につきましては、人材というのはさまざまなもとのかなめでございます。しっかりと対応できるように、今後検討をしていきたいと思います。
以上です。
○岡本(三)委員 前向きにチャレンジする皆さんを応援することをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○あかま委員長 次に、広田一君。
○広田委員 立憲民主党の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
冒頭、私も三カ年緊急対策について質問するつもりでございましたけれども、先ほど平口議員の方から適切な御質問がございました。この三カ年の充実強化につきましては、私も大賛成でございます。地元の皆さんとも協力、連携して高知の方からも声を上げていきたい、このように考えております。
特に、まだまだ緊急に実施すべきところも残っておりますし、さらには、今後のことを考えたら、老朽化対策とかダブルネットワーク、こういうことにも対象を広げて取り組んでいかなければならないというふうに思っておりますので、この点については、大臣のリーダーシップでぜひとも進めていただければというふうに強く要請をしたいというふうに思います。
このように、国土強靱化を掲げ、防災・減災対策に政府を挙げて取り組んでいるところでございますけれども、そのときに、耐震補強とは真逆の不良工事がなされていることが明らかになりました。もし大地震が発生すれば橋が崩落するおそれがある、高速道路利用者の命にかかわることであり、緊急時の輸送道路としての機能も果たせなくなってしまう、そういった危険性があります。これは、安全、安心どころではありません、あってはならないことでございます。
そこで、まず赤羽大臣にお伺いします。
第一点は、この耐震偽装疑惑を防災・減災の観点からどう捉え、どう認識をされているのか。
また、この疑惑工事は、約六億円で落札した工事費が倍以上の約十三億円に膨れ上がるという、通常では考えられない増額変更がなされております。加えて、不良工事を見抜けなかったNEXCO中日本の管理監督責任も問われております。さらに、この当該工事に伴うパワハラ問題については、宮内農水副大臣の関与も先般の農水委員会の方で議論もされたところでございます。
このように、この工事案件はさまざま解明すべき点があるわけでございます。これを放置しておきますと、防災・減災に対する国民の信頼は地に落ちてしまいます。これらの問題については徹底した真相究明をすべきであると考えますが、以上二点について赤羽大臣の御所見と決意をお伺いをいたします。
○赤羽国務大臣 まず、広田委員がおっしゃるように、気候変動による激甚災害の頻発化、日本各地どこの地域も大変な被害がもたらされている現状でありますし、そうした中で、防災・減災、国土強靱化の緊急三カ年という特段の対応をし、そしてまた明年度以降も中長期的な大型のそうした対策をとろうとしているときに、こうした施工不良というものは公共工事に対する国民の皆様の信頼を損ねるものですし、何よりも、安全、安心を毀損するという意味では決してあってはならないことだというふうに私は思っております。当然であります。
それにつきまして、先日、中日本高速道路会社の社長に、十一月十二日ですが、この施工不良の原因を徹底的に原因究明する、そして、しっかりそれを報告をするように、また同時に、外部の有識者による調査委員会でも徹底検証していただくように指示をしたところでございます。ですから、徹底した原因究明をまず中日本高速道路会社としてやる。それに対して、それは、目的としては、当然そのことで再発を防止しなければいけない。
私自身も、素人でありますけれども、今言われたような入札のあり方、これは一般論として言うと、私も調べると、その最初した入札の額よりも、資材が高騰するとかさまざまな条件で、必ずしも同じ額で終わっているということではないわけでありますが、こうした額が二倍以上になっているということは私自身もちょっと解せないし、また同時に、広田さんが言っているとおりなんですけれども、発注者として施工管理とか検査の体制とかがしっかりしていなかったというのも、私はあるまじきことだったというふうに思っておりますので。
いずれにしても、発注者である中日本高速道路株式会社自体がしっかりと原因究明をして、ちゃんと、まあ、よくわからないことが多いものですから、はっきりさせるようにということは指示したところでございますので、こうしたことは国交省としても引き続きちゃんと責任を持ってフォローしていきたい、こう考えております。
○広田委員 大臣とは本当に問題意識が共有できるということを今の答弁でよくわかりました。
そこで、NEXCO中日本さんにもきょう来ていただいているわけでございますが、大臣からお話があったように、この徹底究明の指示も、国交省、大臣からもあったところでございます。
まず、竣工して間もないにもかかわらず長さ一・六メートルのクラックが走るという不良工事について、NEXCO中日本がどうしてわからなかったのか。そもそも、この工事は低入札工事でありまして、入札業者には粗雑工事は行わない旨の誓約書を提出をさせております。それは、逆に言えば、発注者側にも徹底した施工管理、監督責任が求められるのは言うまでもありません。耐震補強工事なのに鉄筋が八本も入っていないという重大な事態について、吉岡建築設計の告発があるまでわからなかったわけでございます。
コンクリート施工管理要領に基づいて実施すべきである鉄筋検査、型枠検査、そしてコンクリートの打設立会、そして出来形検査、これをしたにもかかわらず不良工事がわからなかったということでよろしいんでしょうか。
○源島参考人 お答え申し上げます。
このたびは、弊社が発注いたしました中央自動車道をまたぐ橋梁の耐震補強工事におきまして、鉄筋が不足するという施工不良が発生いたしました。お客様を始め関係者の皆様には、多大な御心配、御迷惑をおかけし、まことに申しわけありませんでした。この場をかりておわび申し上げます。
施工不良が判明したことは、当社の施工管理、検査体制について不十分であったと言わざるを得ず、非常に重く受けとめておるところでございます。そのため、徹底した調査を行い、外部有識者による調査委員会で御意見をいただきつつ、原因を究明し、再発防止策を検討してまいりたいということでございます。
よろしくお願いします。
○広田委員 徹底した調査はもちろんやってもらわなければならないんですが、私が質問したのは、鉄筋検査を始め、施工要領に基づいて義務づけられている一連の検査、立会いをしたにもかかわらず不良工事を見抜くことができなかったのか、それでいいのかという質問でございますので、この点について御答弁願いたいと思います。
○源島参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、コンクリートの打設の手続につきましては、受注者から当社に鉄筋組立ての検査願が提出され、その検査合格後にコンクリートの打設がなされるものでございます。
今回、受注者からの立会い検査願が提出されないままコンクリート打設が進められたものですが、当社としても、そのような不適切な手続のまま工事が進められ、竣工を認めたということは、当社の施工管理、検査体制について適切ではない部分があったと言わざるを得ず、非常に重く受けとめているところでございます。
こうした点につきましても調査委員会で検証してまいります。
○広田委員 確認なんですが、そうすると、鉄筋検査、型枠検査、打設立会並びに出来形検査も含めて、日時がわからないということでよろしいんでしょうか。
○源島参考人 今回、鉄筋不足が発覚いたしました緑橋のA1橋台について御報告申し上げます。
この橋台におきましては、鉄筋コンクリート構造物を二回に分けて施工しておりました。先ほど申し上げましたように、コンクリート打設の手続については、発注者から当社に鉄筋組立ての検査願が提出され、その検査合格後にコンクリート打設がなされるものでございます。
一回目のコンクリート打設では、当社が鉄筋組立ての立会い検査を行いました。二回目のコンクリート打設の箇所でございますが、ここが今回の鉄筋の不足が判明した箇所でございまして、当社は鉄筋組立ての検査を実施しておらないというふうな状況でございました。
こうした状況が、当社としても、やはり不適切な手続のまま工事が進められたということでございまして、当社の施工管理、検査体制について適切でない部分があったと言わざるを得ないと思っておりまして、非常に重く受けとめているところでございます。
○広田委員 そうすると、二回目のコンクリート打設については立会いをしていないということでございますが、そもそもこの緑橋については、既に竣工して引渡しもされているんじゃないですか。
○源島参考人 お答えいたします。
この緑橋につきましては、既に竣工検査を終えて引渡ししていただいているということでございます。
○広田委員 そうであるとするならば、先ほどの立ち会っていない二回目のコンクリート打設について、立ち会っていないということがわかった時点で、これは重大な問題であるというふうに指導監督しなければいけないのではないでしょうか。
○源島参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、その段階で我々の方でそれを確認できなかった、そのまま竣工してしまったということが大きな課題であるというふうに思っているところでございます。
○広田委員 重ねて聞きますが、その二回目のコンクリートの打設立会をしなかったということに気づいておきながらそれを放置をしてしまった、そういう理解でよろしいんでしょうか。
○源島参考人 二回目のコンクリートの打設において、立会いをせずに打設をしてしまったことについては、気づいておらなかったということでございます。
○広田委員 これはあり得ない話ではないでしょうか。立ち会っていないのに、竣工をして引渡しを認めているわけですよね。これはやはりあり得ない話ですよね。
じゃ、写真等でも全く確認をしていない、あれ、おかしいなと思ったけれども何も対応していなかったというふうなことになってしまいますけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。
○源島参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、こうした事態はあってはならないことでございます。
こうした点を、どうしてこういうふうになったのかといった点をしっかり調査し、そして、有識者委員会でも議論していただいて、検証してまいりたいというふうに思っているところでございます。
○広田委員 大臣、今のやりとりをお聞きして、これは非常にあり得ない、まさしくずさんなやり方がやられているわけであります。
これは、第三者委員会云々も当然ですけれども、国土交通省としてもしっかり検証していかなければいけない問題ではないでしょうか。
○赤羽国務大臣 まずは、私は、中日本高速道路会社という大組織ですから、そして、日本の高速道路の何分の一かを担っているわけであって、私自身もそうしたことというのはあり得ないというふうに思っておりますので。
今ちょっと答弁を聞いて気になって、先日も社長には言いましたけれども、有識者会議で調べてもらうのではなくて、まず、自分たちがやったことですから、自分たちがどうだったかということを原因究明するというのは当たり前のことで、その究明したことが第三者でも理解をしていただけるのかどうかということを有識者会議で諮るものだというふうに、私はそう整理しているんです。
ですから、当然、自分たちの組織のあり得ないことが起こってしまったことは、まず自分たちが原因究明するのが当たり前だと私は思っております。
○広田委員 源島さん、今大臣がそのようにおっしゃっているわけです。ですから、第三者の前に、自分たちでこの件については、これはあり得ないことが起きてしまった、この徹底究明をしていかなければならないわけでございますけれども。
この話は、現場の方でもいろいろな意見があると思うんです。なぜこういうことになったのか、こんなようなことが見過ごされてしまったのかということについて、現時点で現場からはどのような報告が上がっているんでしょうか。
○源島参考人 お答えを申し上げます。
私の説明が言葉不足で申しわけございません。もちろん、手前どもで一生懸命、徹底的に調査をした上で、外部の有識者の皆さんの調査委員会に御意見をいただいて、その上でまとめるというふうにしていきたいと思います。
現地の方ということで、まだ詳細なヒアリングには至っておりませんので、その辺については、今ここに、手元に資料がないものですから、ちょっとお答えできませんので、よろしくお願いします。
○広田委員 いや、もうこの問題が発生して結構日にちがたっているんですよね。ですので、まず事実確認をしっかりやってもらいたいんですけれども。
繰り返しの問いになるんですが、コンクリートの打設立会については立ち会っていなかったということなんですけれども、その前段階として、鉄筋検査、型枠検査、これもしなければいけないわけです。そして、最終的には出来形検査もやらなければならないんです。この三つはやっているんですか。
○源島参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘ございました鉄筋、型枠、そうした一連の検査は、しっかり我々としてもやらなくてはいけないというふうな位置づけでございますので、それは、御指摘のとおり、私どもとして、これが今回確認することができなかったというのは非常に大きな問題だというふうに認識しているところでございます。
○広田委員 済みません。やっているか、やっていないのか、このことについてちょっと明確にお願いします。
○源島参考人 お答え申し上げます。
緑橋につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、立会いができなかったということでございますけれども、ほかの、今回……(広田委員「緑橋、緑橋。ちょっと整理していただけますか」と呼ぶ)
○あかま委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○あかま委員長 速記を起こしてください。
源島保全企画本部長。
○源島参考人 お答え申し上げます。失礼申し上げました。
緑橋につきましては、先ほど申し上げましたように、鉄筋は、鉄筋の検査をしていなかった、それから、型枠等、そうした検査も確認できていないというのが現在の状況でございます。
○広田委員 そうすると、今回のこの案件というのは、うっかりミスではないということですよね。たまたまコンクリート打設については何か連絡ミス等があって立会できなかった。まあ、これもあってはならないことなんですけれども、そうだとしても、鉄筋検査とか型枠検査までやっていないということになると、これは明らかに意図的じゃないかというふうに言わざるを得ません。
なぜこんなことになってしまったのか、このことについて、まさしく説明をする責任があるというふうに考えております。
これから調査をするというふうなことでありますけれども、これは調査以前の問題として、まず現場として、なぜこんなことになってしまったのかという、これは既に意見は聞いていると思うんです、これが発生してからもう二十日以上たつわけですから。現場は、なぜこんなことが起きたというふうに言っているんでしょうか。
○源島参考人 お答え申し上げます。
現場の方の意見でございますが、現在、ちょっとヒアリング中でございまして、そして、まだちょっと、そういうふうな状況だということでございます。
○広田委員 まだヒアリング中で、その中で、源島さん自身が認識している問題点というのはどういうことなんでしょうか。
○源島参考人 お答え申し上げます。
やはり全体的な工事の管理の中で、どうしてこういう部分を確認できなかったのか、見抜けなかったのか、そういった点が、どこにどういう課題があったのかという部分をはっきりさせることが一番大事じゃないかなというふうに思っているところでございます。
○広田委員 この問題については、後ほど城井委員の方からも質問があるというふうに思います。
そもそも、先ほど言ったように、これが発覚して二十日ぐらいなんです。しかも、この工事というのは、五年も十年も前の話じゃなくて、つい一年前のことであります。それなのに、なぜこういうことが起きてしまったのかという基本的なことでさえまだわかっていないということでありますので、これについては、ぜひ、委員長にもお願いしたいんですけれども、この問題に対する集中審議をしていただきたいので、お取り計らいの方、よろしくお願い申し上げます。
○あかま委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○広田委員 あと、この工事については契約金額の増額問題というものもございます。
まずお伺いしたいんですが、天神橋ほか六橋の耐震補強工事の予定価格、落札金額、落札率、そして最終契約金額は幾らでしょうか。
○源島参考人 お答えいたします。
本件工事の契約制限価格は八億一千六百三十一万八千円でございます。これに対します落札金額が六億二百四十二万四千円でございます。したがいまして、落札率は七三・八%ということになってまいります。最終的な契約金額でございますけれども、十三億二千九百十万一千六百六十四円ということで、金額は全て税込みでございます。
○広田委員 これは大臣にもお伺いしたいんですけれども、一般的に増額変更の限度は私は三割までというふうに理解をしているんですが、緑橋と同様の耐震補強工事で、最終契約額が落札額の倍以上もふえるということはよくあることなんでしょうか。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
中日本会社が発注した、二〇一九年度竣工した全ての工事について確認したところ、全二百九十件ございまして、うち三件で最終契約額が当初契約額の二倍となっていたと聞いております。
しかしながら、施工手順とか施工時間の変更とか沿道環境への影響、あるいは道路交通への影響などもございますので、個々の現場条件で増額の理由、幅は異なるので、一概に増額の幅が一般的であるかどうかということをお答えするのは難しいということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。
○広田委員 極めて少ない件数だというふうなことでございますので、個々にこれは判断をしていかなければならない問題でもありますけれども、ぜひ委員の皆さんには、これは極めて異例のことだということについても御理解をしていただければというふうに思います。
その上で、契約額が約七億円ふえるためには、先ほどお話があったように、落札率が七四%と低いために、単純計算しましても約十億円の増額が必要だというふうに考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○源島参考人 お答えいたします。
こうした工事の積算に当たりましては、通常、当初契約と主要資機材等が同一又は類似する変更の場合には、設計金額の算定に原則として落札率を考慮することとしています。一方、施工条件が異なる場合や主要資機材が異なる場合等には、落札率を考慮せずに算定してございます。したがいまして、設計変更の額が必ずしも落札率を考慮した額とはならないという認識でございます。
こうした契約前における基本的条件の設定を含め、詳細な増額の理由及びその妥当性について、弊社でしっかりした調査を行った上で、外部の有識者の皆さんの御意見をいただいて、検証してまいります。
○広田委員 そうしたら、ちょっと変更理由についてお伺いしたいと思うんですが。
設計変更では、特に工法に大幅な変更があったのかも含めて、変更理由を具体的に金額の多い順で示していただければと思います。
○源島参考人 お答えいたします。
本件工事で増額理由が、金額が一番多いというものが昼夜の工事を夜間工事に変更したものでございます。
具体的には、当初、中央自動車道の昼夜連続の集中工事で計画していたものを、渋滞を極力最小化することを検討し、多くの工種において夜間工事に変更することといたしました。また、原山橋などの一般道路の管理者と施工方法について協議いたしまして、昼間の片側交互規制による工事から夜間の片側交互規制による施工方法などへ変更を行っております。これらの夜間工事とした場合には、労務費等が増加することになってまいります。
また、二番目でございますけれども、工事開始後に判明した施工条件の変更に伴う増額でございまして、具体的には、地盤を掘削しましたところ大きな石が多数ございまして、土の掘削方法を変更したりしたというもの、あるいは、既存の構造物の配筋した位置を把握するために、コンクリートの取壊し、その断面修復を行ったもの、そうしたものがございます。
○広田委員 確認なんですけれども、昼間の工事にするのか夜間工事にするのかというのは、当初の設計段階で、これはプロ中のプロであったら、現場も見て、そして交通量も確認して、昼間でやるのか夜にやるのかというのは、これはしっかり詰めた上で私は発注しているというふうに思うんです。それがなぜ、昼間の工事ではだめで、夜間にしなければならないというふうになったのかという理由を示していただきたいのと、それと、あと、夜に変わったとしても、恐らく単価というのは一・五倍程度だというふうに思います。一体、何人ふやして、どの、何日間この夜間工事をやって、その結果、金額はどうなったのか、この点についてお示し願えればと思います。
○源島参考人 お答え申し上げます。
なぜ昼夜間から夜間に変わったかということでございますが、工事発注、その後の関係機関との協議によりまして、先ほど申し上げましたように、工事による渋滞の影響を最小化するだとか、あるいはいろいろな周辺の環境等を踏まえて、そうした変更をさせていただいたということでございます。
また、具体の中身、その増額の中身でございますけれども、大変申しわけありませんが、今手元にちょっと詳細な資料を持ち合わせておりませんので、ちょっとお答えできない状況でございます。
○広田委員 金額だけでも示してください。今回の、昼間から夜間に変わったことによって幾ら増額したのか。
そして、今御答弁できないということでありますので、その資料については委員会の方に提出を願えればと思います。
○源島参考人 お答えいたします。
夜間工事に変更したことによる増でございますけれども、約四億五千万というふうな状況でございます。
○広田委員 皆さん、そもそもの工事が全てひっくるめて六億円、昼間から夜間に変わって、そして増員しただけで四億五千万円、これは一体どういうことなんでしょうか。この中身、徹底審査、そして原因究明をしなければならないということを強く申し上げて、質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、松田功君。
○松田委員 立憲民主党の松田功でございます。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
建設キャリアアップシステムについてお伺いいたします。
民間工事、住宅分野も含め、業界全体として、現場従事者の処遇改善、担い手確保のための施策としてこのキャリアアップシステムは有効であると思いますが、現状、建設技能者のCCUSへの登録は、業種によってばらつきがありますが、平均して一〇%、大工に至っては一・一%と言われております。こちらは建退共加入者のみの数値でありますが、全体としての数値とは多少異なるかもしれませんが、大きく変わることはないと思います。現状、非常に登録者数が少ないという事実はあると思われます。
処遇改善を行い、若者に就業していただくためにも、目に見える形でキャリアを示すこのシステムに大きな期待をしております。
このシステムへの取組について、期限も含め、具体的にお示しをいただきたいと思います。大臣にお願いします。
○赤羽国務大臣 今、松田委員が御指摘のように、建設業界、やはり高齢化が進んでおりますし、担い手の育成、確保というのは大変重要なことだと思います。
そうした意味で、一人一人の皆さん、建設技能労働者の皆さんのキャリアがしっかりとわかる、それが賃金の上昇につながる、また健全な、最後やめるときの退職金を受け取れる、こうしたことは非常に重要で、そうしたことの試みとしては、非常に大事な試みだと思っております。
ことしの三月二十三日に、私から、業界団体のトップの皆さんとのそういう会議の場で、官民施策パッケージというものを取りまとめさせていただいて、その中で、建設キャリアアップシステムは業界共通の制度インフラとして育てていきたいということを訴えさせていただきました。
いきなり全部というわけにはなかなかいかないので、まず、令和二年度におきましては、国直轄の公共工事でキャリアアップシステムを義務化するというモデル工事を指定したりとか、また、キャリアアップシステムを利用した場合には得点が上がるというような推奨モデル工事というのを各地方整備局で実施をしております。
また、本年十二月には、キャリアアップシステムを活用した建設業退職金共済の電子的な積立てのトライアルを予定しているところでございます。
同時に、本年十月にガイドラインを発出して、社会保険の加入確認につきましても、この建設キャリアアップシステムを原則化していく、こうしたことの取組を進めておるところでございますが、私も今、地方をいろいろ回ってさまざまな懇談をする場で、なかなか、地場の工務店の皆さんとか中小の皆さんからすると、総論としてはよくわかるんだけれども、現実には負担があるし、その負担がある割には加入のメリットが感じられない、こうしたようなお声も聞いているわけでございまして、こうしたことをしっかり聞きながら改善をしていかなければいけないのではないかと。
建設技能者のレベルに応じた賃金支払いの実現に向けた仕組みをつくっていくことを今検討しておりますし、また、カードリーダーの設置を不要とする顔認証機能の実装に向けた検討も行っているところでございます。
また、総合評価における加点なども、これは地方公共団体における取組の促進もお願いしているところでございまして、こうした建設キャリアアップシステムのメリットが、こうした現場の皆さんにも行き渡るような努力をしていかなければいけない、こう考えているところでございます。
引き続き、今、同パッケージに位置づけられておりますのは、令和五年度からの建設業退職金共済の建設キャリアアップシステムへの完全移行、そして、それと連動した、あらゆる工事における建設キャリアアップシステムの完全実施というものを掲げておりますので、業界団体と連携しながら取組を進めてまいりたい、こう考えているところでございます。
○松田委員 ぜひよろしくお願いします。
引き続き、官民施策パッケージに示されている建設キャリアアップシステムについてお伺いさせていただきたいと思います。
技能レベルに応じた賃金支払いの実現について、今現在は、三十五職種のうち七職種ほどの実現とレクで伺いました。
こちらも担い手の確保として非常に重要なことでありますので、具体的な施策についてお答えをいただきたいと思います。
○青木政府参考人 お答えいたします。
お話ございましたように、建設キャリアアップシステム、これは、若い技能者にキャリアアップと処遇の見通しを示すということ、そして、技能と経験に応じた給与を引き上げるということ、そして、ダンピング、安値受注、こういったことが起こらないような市場構造にしていく、こういう大変重要な課題と思ってございます。
お話ございましたように、このキャリアアップというのは、保有資格、就業履歴等に応じましてレベルを一から四に分けて、カードの色とかそういうものを設定しているんですが、これの、レベルに応じた賃金の支払いの実現に向けまして、まず、レベルに応じた賃金目安を各専門工事業団体において作成、公表することを働きかけてございます。現在、現時点では、七職種、十団体においてレベル別の賃金目安を公表していただいております。
この賃金目安をもとに、下請が技能者に対しまして適正な賃金を支払う取組とあわせまして、元下間の見積書を適切に計上して請負金額に反映させるということが大変重要になってまいりますので、国土交通省におきましては、標準見積書改定ワーキンググループというのをこのたび設置をいたしまして、そして各専門工事業団体が作成しております標準見積書の改定に向けまして具体的な検討に着手をしている、こういう状況でございます。
○松田委員 それでは、引き続きまして質問に移りたいと思います。次に、令和三年度の公共工事設計労務単価についてお伺いをさせていただきます。
公共工事設計労務単価は、八年連続引き上げられておりますが、伸び率でいえば過去最小となっております。二〇二四年に建設業へも働き方改革関連法が全面適用されることも踏まえて、引き続き政策的な引上げが必要だと思いますが、政府のお考えをお聞かせください。
○青木政府参考人 お答えいたします。
この設計労務単価につきましては、毎年十月に調査を行いまして、公共工事に従事いたします技能労働者に実際に支払われております賃金実態を把握いたしまして、適切な単価の設定を行うということでございます。
働き方改革との関係で申し上げますと、昨年度の公共事業の労務費調査におきましては、これは、既に建設業界も含めて適用されております労働基準法改正に伴いまして、一定の有給休暇が義務化されました。これに対応いたしまして、建設業界で有給休暇の取得状況を確認する調査を行いまして、この義務化分の有給休暇取得、これが可能になるような費用、これを新しい労務単価に反映をしたところでございます。
これからも、働き方改革関連法の全面適用に向けまして、建設業界で今さまざまな取組が行われております、この中で、休暇の取得状況あるいは労働時間の変化、こういった労働市場の賃金支払いの実態を正確に把握をいたしまして、しっかりと適切な労務単価の設定に努力してまいりたいと存じております。
以上でございます。
○松田委員 次に、公共工事設計労務単価と雇用に伴う必要経費の関係についてお伺いをしたいと思います。
公共工事設計労務単価とあわせて、雇用に伴う必要経費四一%が示されておりますが、弱い立場にある下請業者の必要経費を確保する、この適正な取引を実現させるための具体的な施策をどのように考えられているか、お答えをいただきたいと思います。
○青木政府参考人 お答えいたします。
技能労働者の処遇改善、働き方改革、これをしっかり進めていきますためには、御指摘がございましたように、請負代金、これが下請、孫請間にも適切に支払われまして、そして適切な賃金、そして御指摘ございました雇用に伴う必要経費、これが技能者まで行き渡っていくということが処遇改善を図っていく上で大変大事と思ってございます。
御指摘のように、労務単価公表の際には、そういったことを注意喚起する意味も込めまして、必要経費分も参考表示する取組、これを実施してきているところでございます。
また、賃金などの必要経費について、元下間の見積書に適切に計上していただいて、そして請負金額に反映させるということがまた大切になってまいりますので、例えば、平成二十五年からは、いわゆる法定福利費の内訳明示、これを推進しておりますほか、それから、安全衛生経費でございますとか、あるいは先ほども御答弁申し上げましたレベル別の賃金支払い、これにつきましても検討を進めているところでございます。
ただ一方で、下請事業者への代金支払いが適切に行われていないという現場の声も依然としてございますもので、私ども、下請取引の実態調査などにおいてその実態を把握するとともに、駆け込みホットラインというものを設置しておるんですが、こちらで違反疑義情報を収集いたしまして、不適正な取引が認められた事業者に対しても指導を実施しているところでございます。
また、加えまして、こういった賃金を円滑に支払うことができるためには現金支払いということが大変重要でありまして、さきに成立しました新担い手三法で、下請代金の労務費相当分を現金支払いするということが規定されたことも受けまして、ガイドライン等によりまして周知徹底を図るとともに、また、毎年、資金需要が増大いたします夏と冬、この二回、下請代金の現金支払いを行うよう、事業者団体を通じまして、通知などの取組を進めているところでございます。
〔委員長退席、谷委員長代理着席〕
○松田委員 本当に、下請業者の皆さんというのは非常に厳しい状況で、弱い立場であるということでありますので、この辺についてもしっかりと意見を聞いて進めていただきたいと思います。
次に、工期についてお伺いをいたします。
適正工期確保について、四週八休を実現し休日がふえることで、現場従事者の賃金、給与が減少することがないようにするための具体的な施策についてどのようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
○東川政府参考人 お答えいたします。
建設工事の週休二日の確保とともに、それによりまして建設労働者の賃金、給与が減少しないようにすることが、将来の担い手を確保する観点から極めて重要であると認識しております。
本年七月には、中央建設業審議会が作成、勧告いたしました工期に関する基準というものがございまして、週休二日の確保が適正な工期設定に当たっての考慮事項として位置づけられているところでございます。
また、直轄の土木工事におきましては、この基準に先立ちまして、工期設定指針を本年三月に策定いたしまして、適正な工期設定に取り組んでいるところでございます。
加えまして、本年度から、原則として、全ての直轄土木工事で週休二日対象工事として発注するとともに、発注者が適正に費用を負担するために、週休二日の確保に必要な経費として、労務費、機械経費、間接経費の補正を行っているところでございます。
この週休二日の必要経費の補正につきましては、建設業団体の皆様から、一部ではございますけれども、十分でないという意見もいただいているところでございまして、現場の実態をしっかりと調査して適切に対応してまいりたいと考えております。
また、こうした国の取組につきましては、国だけではなく、県や市町村を含めた発注者が参画する地域発注者協議会や都道府県の公共契約連絡協議会などを通じまして、地方公共団体にも周知啓発に努めているところでございます。
引き続き、適正な工期設定や必要経費の計上に取り組みながら、建設業における週休二日の確保にしっかりと取り組んでまいります。
○松田委員 四週八休、これは具体的に、働いている方がきちっと休みがとれることも明確になりますし、また、賃金が適正に支払われているかどうかもこれでわかりやすくなっていくということで、しっかりと、これが実現に向けて、特に地方公共団体の方の工事に対しては、しっかりとこの辺の取組ができるような形に持っていくことが有効であるように思われますので、しっかりそれに向けての取組を進めていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
次に、品確法改正に伴う、発注関係事務の運用に関する指針、運用指針についてお伺いをいたします。
この運用指針では、工事中の施工状況の確認などとして、下請業者への賃金支払いや適正な労務時間確保に関し、その実態を把握するように努めるとあります。先ほど来質問しておりますように、弱い立場にある下請業者に適正な賃金及び労働環境をどのように担保するかが問題です。国交省としても、各自治体においても発注業者責任を負うべく、実態把握、結果の公表がされるように働きかけをすべきと考えますが、現状と今後の施策について、具体的な回答をお願いいたします。
〔谷委員長代理退席、委員長着席〕
○東川政府参考人 お答え申し上げます。
公共工事の品質確保や建設現場の働き方改革のために、下請業者の労働者への賃金支払いや適正な労働時間が確保されることは重要でございまして、発注者としての責任が果たされるよう、改正品確法の運用指針に基づいて取組を進める必要があると考えております。
まず、下請業者の労働者への賃金支払いについてでございますけれども、建設現場で働く労働者の方々には、元請、下請に限らず、適切な水準の賃金が支払われることが重要と考えております。
公共工事では、労働者に発注者が賃金を直接払うということではないために、発注者としては、労務単価や積算基準に基づいて適切に積算を行うことが重要で、労務単価につきましても、最近では八年連続で引き上げるなど、現場の実態に基づき、適切な設定に努めているところでございます。
一方で、下請事業者への代金支払いが適切に行われていないという声も依然としてあることから、先ほど下請取引に関する実態調査等の取組の御紹介がございましたけれども、発注者の取組といたしまして、新たに国の直轄土木工事におきまして、下請企業への見積り依頼に当たり、労務賃金の内訳明示を要請し、これを尊重することを宣言、公表してくれた入札参加者につきましては、実態を確認の上、評価する取組を試行しているところでございます。評価は、入札段階あるいは工事成績の段階で実施しているところでございます。
また、適正な労働時間確保については、直轄工事に関しては、工期に関する基準に基づきまして、先ほど御説明したように、適正な工期設定に取り組んでいるところでございます。
引き続き、業界団体等の意見も聞きながら、下請業者の労働者への賃金支払いや適正な労働時間が確保されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
また、地方公共団体に対しましても、我々国のこうした取組を発注者協議会や入札契約担当課長会議などを通じまして共有し、自治体の取組を促すとともに、改正品確法の運用指針の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
○松田委員 発注者としての責任はどこまで及ぶか、難しいところだと思いますが、公共工事に関しては、運用方針にもありますように、下請事業者に対しても責任を持つように、指導監督をぜひしていただきますようお願いを申し上げたいと思います。ここをやっていただかないと、本当に建設業の皆さん、なかなか現場としてのキャリアも上がっていくというのは難しい状況でもありますので、しっかりまず公共事業からも強く指導していただきますよう、よろしくお願いいたします。
次に、著しく短い工期の禁止に違反した場合についてお伺いいたします。
この違反に関する通報について、元請、一次下請が違反の疑いを通報できることになっていますが、こちらも、力関係があるため、今後の仕事を考えると通報できないのではないでしょうか。特に一次下請業者以降の下請業者は通報をためらうと思います。
通報者が不利益をこうむることのないような方策が必要なのではないでしょうか。通報しやすくするためにどのような実効性を担保されるおつもりか、お答えをください。
○青木政府参考人 お答えいたします。
建設工事において適正な工期を確保していく、これは品質の確保、安全の確保、そして働き方改革の推進上、極めて重要と思っております。
既に、新担い手三法におきまして、御指摘ございました著しい短い工期、これを請負契約は締結してはならないということにいたしまして、本年七月には、中央建設業審議会において工期に関する基準、これが作成されたところでございます。
また、建設業法令遵守ガイドラインを改定いたしまして、さまざまな機会を捉えまして、元下問わず、周知徹底を図っているところでございます。
こういった新しい規定、そして著しい短い工期が設定されないようにしていく、こういったことが適切に運用されていくためには、御指摘ございましたように、下請からも、弱い立場にいらっしゃる方が通報しやすい環境を整備することが重要な課題というふうに思ってございます。
国土交通省におきましては、各地方整備局等に建設業法令遵守推進本部あるいは駆け込みホットラインを設置いたしまして、通報などの情報提供に対応して現場対応する取組を行っているところでございますが、そこでは、通報していただいた方に不利益が生じないように、そして情報提供をちゅうちょすることがないよう、環境づくりに努力しているところでございます。
以上でございます。
○松田委員 建設の下請、孫請現場、本当に皆さん、苦労されている状況であります。本当に、なかなか通報しにくい。仕事の取引、これは建設業に限ったことではないかもしれませんが、特にそういった状況の中で、ざっくり感の中で仕事をしていて、なかなかきちっとした形でないので、若者の皆さんも将来に向けての職先として選ぶ難しさというのがあるということをぜひ感じていただきながら、しっかりと取組をしていただきたいというふうに思っております。
また、公共工事設計労務単価についても、一次下請以降の多層構造についてもぜひ目を配っていただき、建設業の労働環境改善にぜひ今後も御尽力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、運送関係の質問に入りたいと思います。
昨今の新型コロナウイルスにより、物流の重要性が実感をされております。物流を担う運輸産業は、我々の、国民のライフラインであると言っても過言ではありません。この運輸産業の重要性が、送料無料という表現により価値が阻害されているのではないかと思い、質問をいたします。
送料無料という表現は、宅配便サービスの価値を下げ、再配達を増加させている一因ではないかと言われております。配達にも再配達にもコストや労力がかかっているのですが、この送料無料という言葉は、消費者に、輸送コストや労力が安いものという誤った認識、若しくは、輸送コストや労力に対する無関心を助長しているようにも思います。まずは、送料無料という表記を、送料は弊社負担や、送料別というような適正表現で示していただくことが必要ではないでしょうか。
環境省が、「クールチョイス できるだけ一回で受け取りませんかキャンペーン」という宅配再配達防止に取り組むプロジェクトを、地球温暖化防止施策の一環として行っております。
国土交通省としても、再配達防止を進めることで環境へも配慮し、また、ドライバーの地位向上と人材確保という人への配慮もできますので、ぜひ、送料無料の表記の適正表現への変更を推進していただきたいと思います。それが、エッセンシャルワーカーである物流に携わる人、そして物流を安定に支えることになると思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。
○赤羽国務大臣 まず、物流にかかわる皆様におかれましては、この新型コロナウイルス禍の中で、感染のリスクもある大変な不安を抱えながらも、国民の生活や我が国の経済を支えていただいていることに、改めて心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
今言われたようなことを私もよく感じるところがありまして、かつて、たしか物流のヤマトとアマゾンが送料無料をやめるということで、大変、これは私はよかったんじゃないかと思います。
まさにこれは、送料無料という言葉だけではなくて、経済界において、物流というのはただで持っていくような、乗りが当たり前みたいな時代がありました。荷主が圧倒的に強くて、物流業界はそれを泣きながらやらざるを得ないというのは、これはもう極めて不健全だというふうに思っております。
加えて、高齢化が進んでいますので、ラストワンマイルの問題というのがあって、おっしゃるように、何回も何回も最後のところでは在宅を確認するまで運ぶという、大変非常に厳しい状況もあるというふうに承知をしております。
ですから、送料無料というこのワーディングを変えるだけで随分変わるということでは、私はそんなに根が浅いとは思っておりませんので、この物流業界が抱えることは、どう解決をしていくのかというのはしっかりと取り組みながら、また、物流を担っていく、その価値はしっかり世の中として認められるように、特に荷主の皆さんに、それを自覚をして適正な運賃を出すということがまず根本だと思っておりますので、そうしたことも踏まえて、今、二〇二一年度から計画期間として、新たな総合物流施策大綱の作成に向けた議論をやっておりますので、こうしたこと、本当に、経済を支えていただいている物流を価値あるものにしていけるように取り組んでいきたい、こう思っております。
○松田委員 ぜひ大臣、価値あるもの、そういった状況にしていくことで、次の担い手、若い人たちが、やはり担い手の確保の観点からも非常に重要であるというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
次に、新型コロナウイルス感染症拡大により危機に瀕する公共交通の維持、確保について質問いたします。
これは大臣が、公共交通に関して、エッセンシャルサービスであり、持続的な運行を維持、確保していけるよう、これまで以上に強力に支援を行ってまいりますと発言をされました。具体的にどのような支援策を講じるのか、お答えをいただきたいと思います。
○赤羽国務大臣 我が国の地方都市は、総じて少子高齢化、人口減少化が進んでいて、こうした中で、公共交通機関、路線バスですとか地方鉄道等々といったのが、経営を維持するのが非常に厳しくなっている、こうした状況があるのはもう御承知のとおりでございます。それに加えて、このコロナ禍で、ステイホームというか、外に出られる方が少ない中、これは本当に大変な中で御苦労いただいている。
そうしたことに対して、我々、国土交通省のこれまでの予算措置というのは、何というか、ちょっと語弊を恐れず言えば、間接的な支援しかできなくて、今回は、総務省の地方創生臨時交付金の中で、さまざまな地方自治体の工夫の中で公共交通機関を守っていただいた、そういった思いがございました。
その中で、私は今、令和二年度の第二次補正予算では、十分な感染拡大防止対策のもとで、地域公共交通を確保するための支援を行っておりますが、今要求をしている令和三年度の当初概算要求において、地域公共交通確保維持改善事業として取り組んでいるバスの運行経費等に対する補助の増額要求をしっかり取り組んでいきたい、こう考えております。
加えて、総理から指示がありました経済対策におきましても、感染症対策の新技術など、公共交通機関、しっかり頑張って活用していただいておりますので、そうしたこともしっかりと応援をさせていただきながら、ウイズコロナ時代における公共交通機関として、しっかり維持、運営できるように全面的にバックアップをしていきたい、こう考えております。
○あかま委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。
○松田委員 ありがとうございました。
ぜひ大臣にはお力添えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、山本和嘉子君。
○山本(和)委員 立憲民主党の山本和嘉子でございます。
早速質問に入らせていただきます。
新型コロナウイルス感染拡大がとまらない状況が続いておりますけれども、そういう中で、コロナ禍で大変な思いをされている方々に対して支援を続けていかなければならないというふうに思います。
とりわけ地域の生活や経済活動を支え続ける鉄道やバス、タクシー、それら交通運輸産業は、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言の期間や長引くコロナ禍においても国民の足として、そして物流網の担い手として頑張ってきていただきました。これからもそうだというふうに思っています。
それら交通運輸産業はサービス維持が求められるエッセンシャルサービスである、また、そこで働く労働者はエッセンシャルワーカーである。大臣が今どう考えていらっしゃるか、いま一度確認をしたいというふうに思います。お願いします。
○赤羽国務大臣 私は、この場でも、それ以外の場でも、公に何度も発言をさせていただいておりますが、このコロナウイルス禍の中で大変な思いをされている、よく医療関係の皆さんに対してエッセンシャルワーカーという、こういう称し方をされておりますが、私は必ず、それと同時に、公共交通機関に携わる皆様、物流や公共交通機関を担っていただいている皆様も当然エッセンシャルサービスの中で働くエッセンシャルワーカーだと言って、尊重すべきだということを主張してまいりましたし、常に感謝の気持ちを持って接しさせていただいております。
○山本(和)委員 コロナの緊急経済対策で、今現在、納税猶予の特例や固定資産税などの軽減が講じられておりますけれども、交通運輸産業の需要がいまだ本格回復しない中であります。来年は、ことしの猶予分もあわせて追加納税が発生するというふうに思います。また、固定資産税の軽減は、そもそも中小のみの適用でございますけれども、企業規模によらず、交通運輸産業全体が経営、雇用面で重大な、深刻な局面であるというふうに思います。
代表的なところでいいますと、JR西日本、収入は前年比六割減というふうに聞いておりますし、それはもう極めて深刻な状況であるというふうに思います。固定資産税などは、租税公課は約三百六十億円というふうにも聞いております。
大臣が今、交通運輸産業がエッセンシャルサービス、そしてエッセンシャルワーカーの方々、本当に頑張っていただいているというふうにおっしゃっていただいたので、所管大臣として、税務当局、財務当局、これからどのような姿勢で向き合われる覚悟なのか、教えていただければというふうに思います。
○赤羽国務大臣 これはよく御承知のことだと思いますが、鉄道やバスの公共交通機関につきましては、大変な状況の中で、これまでも、雇用の確保、また経営の維持の観点から、雇用調整助成金ですとか、また国税、地方税の納税の猶予、また、大手についても含めて、政投銀の特別の融資等々、こうしたことを政府として実施をしながら、事業継続に向けた支援を行っているところでございます。
令和三年度の、来年度の税制改正の要望、今要望しているところでございますので、交通運輸、観光業界に対する税制支援措置を活用した資金繰り対策に対する所要の措置として、緊急経済対策で講じられた納税猶予の特例措置の延長等をしっかり要望しているところでございます。
そうしたことを何とか実現しながら、また、具体的には、それぞれの運輸事業者に、しっかりと連携をとって、適時適切な、しっかりとした対応をしていきたい、支援をしていきたい、こう考えております。
○山本(和)委員 この厳しい局面を乗り越えようと、社会的使命を果たそうと必死で皆さん頑張っていただいているというふうに思います。ぜひ更に応援をしていただきたいと思いますし、私の地元のバス会社なんかは、バスの消毒を本当に日々心がけておられまして、車内の消毒を進めることによって安心して乗っていただけるようなことを頑張っていただいたりもしております。そういうことからも、国民生活に欠かすことのできない公共交通ということで、その従事者を守っていただくことと、やはり資金繰り支援も更によろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
次、GoToトラベルについて質問したいと思います。
政府は、第三波の感染拡大を受けて、GoToトラベルについて、個々人が何をしていいのか、何をしてはだめなのか、基準を早急にやはり示していっていただかないといけないというふうに思っています。
また、観光の本格回復は更に先になるように私は思っておりますので、期間延長など、今後の制度のスケジュールをどのように考えておられるのか。四月、五月のゴールデンウイークまで延長されるのか。
確かに、GoToで助かっておられる観光業の方々はたくさんいらっしゃるというふうに思いますけれども、商工会議所などの経済界は、GoToキャンペーンの期間延長を求めているというふうにも聞いております。しかしながら、感染者がふえている中で、このまま延長していくのか。
大臣も所信の中で、できるだけ息長く事業を実施というふうにもおっしゃっていました。延長は確定といったところだというふうに私は思いますけれども、感染が拡大する中で本当にそれでいいのか、見直さなくていいのか。感染拡大を招きかねないことになっていくというふうに思います。
大臣は十三日の会見で、国民は賢明に判断しながら利用していると思うというふうにおっしゃっておられましたけれども、やはりここは国民の判断に任せるのではなくて、大臣の賢明な判断もいただきたいというふうに思いますが、どう思っていらっしゃるか、お願いします。
○赤羽国務大臣 ちょっと、正確に御理解をいただいていない部分があるかと思いますので、少し長目になるかと思いますが、御答弁させていただきます。
まず、このGoToトラベル事業というのは、このコロナ禍、ウイズコロナの時代において、経済活動をしなくていいのかどうか。当然、観光関連産業は、特に地方都市の場合、地方経済を支えている主な経済であります。加えて、裾野の広い産業であって、観光業、旅行業のみならず、貸切りバス、ハイヤー、タクシー、ローカルの鉄道、地元のお土産物屋さんですとか外食産業、また、ホテル、旅館等の取引業者の、全国で約九百万人の雇用を支えているとも言われているということでございます。
そうした中で、感染拡大防止と経済社会活動の両立という、大変難しいですけれども、やはりこれは乗り越えなければいけないテーマの中で、GoToトラベル事業を開始するに当たっては、ウイズコロナ時代の新たな安全、安心な旅のスタイルを必ず普及、定着させていきたいと、壮大な、私は、ある意味では実証実験、試みだというふうに思っておりまして、これまでの旅行とは違って、これに参加をする旅行事業者のみならず、御利用される国民の皆様に対しても、感染拡大防止はかなり厳しいハードルを求めております。
事業者に対しましては、ちょっと細かくなりますけれども、チェックインについては全て、全員検温もして、平熱以上の場合は保健所に連絡をとって対応する。これまでは、旅館業法ですか、泊まることを断ることはできないというのがこれまでの法律でありましたが、GoToトラベル事業については、検温が平熱以上で、保健所が、こうした感染の疑義があるというようなサジェスチョンがあった場合には泊めてはいけないということを強く求めておりますし、また、全員の身元というか本人確認、これはトレースする場合にも大切ですから、本人確認を求めていたり、また、ホテル、旅館施設内でも三密を回避するための、ちょっとこれは細かいことなので具体的なことはあれですが、さまざまなことを求め、また、食事の場でも感染拡大がしないような対策を強く求めております。
そして、それを、誓約を受け取って、そして自分の旅館、ホテルはこういうことをしていますというのをホームページとか、あと、フロントにしっかり掲げながら、それを実行していただく。本当にちゃんとやっているかどうかというのは、各地方運輸局から抜き打ち的な検査、実地検査もして、それを徹底していく。
そして、旅行者の皆様には、新たな旅のエチケットということを、再三にわたって、つくって、いろんな、今は例えば飛行機の機内ですとか、それぞれのところで動画でも流してもらっておりますが、そうした新たなウイズコロナ時代の旅のあり方ということも徹底をしているところでございまして、そうした意味で、この七月二十二日から十月末までで約四千万人の利用があり、その中で感染が確認された方は百五十人弱、恐らく二十五万人に一人ぐらいの割合というのが現実でございます。
こうしたことで、延長するかどうかというのはまだ決まっておりません。ただ、地方を回っておりますと、地方の皆さんから大変、これについては継続をしていただきたいということを強い要望を受けておりますので、そうしたことで、国土交通省としても、これからの予算折衝でそうした方向で取り組んでいく。
基本的にはそう考えておりますが、そうした場合であっても、この感染拡大防止というのは大前提でありますので、GoToトラベル事業を展開することによって感染が拡大するようなことがあってはならないというのは、これはもう当たり前に認識をしていることでございます。
以上でございます。
○山本(和)委員 大臣、ありがとうございました。
今、大臣からいろいろ、感染症対策とか、しっかり地元と、その地域と連携してやっていただいているということも御説明をいただきましたし、世論調査で、きょうも朝日新聞に出ていましたけれども、GoToを継続すべきでないという方が数が多かったものですから、今こうやって大臣がお示しいただいたことを広く知っていただくことによって、安心してGoToを利用していただくということができるのではないかなというふうに思いますので、これからもしっかりお願いしたいというふうに思います。
GoToの、ちょっと中身についても少し聞いておきたいんですけれども、GoToトラベル参加の宿泊業者は、十一月二日現在、全国二万六千五百二十六者ということでございます。
総務省の経済センサスにおける宿泊業の数は、旅館、ホテルで三万一千五十二者を分母とすると、登録完了は八五%というふうに聞いております。不参加はいまだ一五%もあるという勘定になりますけれども、不参加の理由は何なのか。また、不参加事業に参加を促す何らかの方策を検討するべきではないかなというふうに私は思いますけれども、何でそういうことを聞くかといいますと、今盛んに、デジタル化、デジタル化というふうに言われておりますけれども、デジタルにほど遠い高齢者の営む民宿などもあるというふうに思います。参加したいと思っても参加できない方もいらっしゃったというふうに思いますので、公平ではないのかなというふうに思いますけれども、そのあたり、どうか教えていただければと思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業に参加登録をしている宿泊事業者は、十一月十六日時点で二万七千二百三十四者となっており、既に八割程度御登録いただくなど、順調に増加しておりますが、中小の宿泊事業者の中には登録申請の手続に負担を感じておられる事業者の方もいらっしゃると承知しております。
観光庁といたしましては、事業の効果を全国に及ぼすために、事業者の皆様に平等に事業に参加できる機会をつくることが重要であると考えており、このような中小事業者においても、事業への参加をお望みであれば、円滑に事業に参加できるよう丁寧にサポートしてきたところでございます。
具体的には、本事業においては、事業者の皆様の円滑な登録申請のために、全国各地での説明会だけでなく、オンラインでの説明会の開催や、ウエブサイト等を活用した本事業の広報等にも積極的に取り組んでおります。
また、インターネット環境のない宿泊事業者も多数いらっしゃることに配慮いたしまして、事業者の登録申請につきましては、オンラインだけでなく紙ベースでの申請も受け付けており、あわせまして、八月上旬には全国の宿泊事業者に対しまして、申請要領や申請書等の書類一式を、いわゆるプッシュ型で郵送していたところでございます。
このような取組に加えまして、記載事項の不備等により登録作業が滞りがちな事業者様には、事務局から積極的に連絡してフォローすることで申請作業を円滑化するなど、プッシュ型の支援も実施しております。
今後ともこのような取組を通じまして、少しでも多くの観光関連事業者様に御参加いただき、円滑な事業の運用に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
さっき、大臣もちょっと触れられましたアフターコロナ、ポストコロナについてちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、GoToトラベルは、単なる観光需要の喚起策を超えて、アフターコロナにおける持続可能な観光業への転換策の役割として期待されるのではないかなというふうに思います。
例えば、全国一斉に休日に集中する旅行需要の分散、そして平準化というのも大事だというふうに思いますし、例えば、平日旅行のポイント割増しや特定有名エリアへのオーバーツーリズム、京都でいいますと、京都市内はもうコロナ前は観光公害と言われていたぐらいなんですけれども、地元周辺地域への旅のマイクロツーリズムの促進を目指しての、地元若しくは近中距離圏の旅行ポイント割増しなど、持続可能な観光への転換をする制度を期間延長に合わせて積極的に検討すべきではないかなと思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の、アフターコロナにおける持続可能な観光業との関連に関しましては、十月二十三日の新型コロナウイルス感染症対策分科会におきまして、専門家の皆様より、小規模で時と場所が分散されている、いわゆる小規模分散型旅行につきまして、年末年始の人の流れを分散させるべく、官民連携して推進するよう提言を受けたところでございます。
これを受けまして、観光庁におきましては、旅行業者や大手航空会社、鉄道事業者等に対し、小規模分散型旅行を促進するキャンペーンの実施につきまして協力要請をしたところでございます。
具体的には、各社におきまして、平日の旅行について、旅行業者が旅行者に対してポイントを多く付与する等の平日の旅行促進策、GoToトラベル事業の公式ホームページや観光・交通事業者を通じまして、有名な観光地以外の魅力などの広報、観光・交通事業者において取り組まれている、マイクロツーリズムを含む、時間や場所、旅先での行動などを定番からずらす旅行のPRなどの取組を進めていただくことといたしまして、観光庁におきましても、これらのキャンペーン全体の発信、PRを行うこととしております。
持続可能な観光の推進といった観点からは、年末年始に限らず、このような取組を進めていくこととともに、引き続き、小規模分散型旅行の推進を始め、出張等の機会を活用し、出張先での滞在を延長するなどして余暇を楽しむブレジャー、テレワークを活用し、リゾート地や温泉地等で余暇を楽しみつつ仕事を行うワーケーションなどの新たな旅のスタイルの普及等に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○赤羽国務大臣 冒頭、私の発言で、国民の皆様は賢明に判断されていると言ったその趣旨というのは、何を言ったかといいますと、最初に、全国知事会から、GoToトラベルを始めるに当たって、地元とか近隣に行けるような制度設計ができないか、そういう話がございました。ただ、近隣が安全かどうかということも、なかなか医学的な担保もできないし、難しいことがあるので、そうしたことは物理的にも難しいということもあったので、今の形でスタートいたしました。
振り返ると、各地のそれぞれの県で、県独自の県民割引等々をしていただいたということも後ろ支えがあり、また、国民の皆様は、やはり、遠出をする、長時間新幹線に乗るとか飛行機に乗るよりは近場のマイカーで行けるところを選んだといったことで、それは自発的にされた。それを国民の皆さんの賢明な判断でやられた結果、七月、八月のデータはありますが、四十七都道府県のうち六割か七割ぐらいが、どこから来たかというと、一番が、地元の県が一位なんですね。ですから、もうほとんどが近隣、周辺だということがあらわれまして、そうしたことで、我々は土俵を用意して、そこでどう展開されるのかというのは、もちろん当然、感染拡大防止は精いっぱいやりますけれども、そうしたことというのは、おのずと地元の皆さんの御努力とか国民の皆様の判断というものが結果としてあらわれているということを申し上げたということでございます。
ただ、平日がどうしても薄くなるというのは、これまでも平日のお客さんはインバウンドで補っていたというようなこともありますし、もし継続ができるのであれば、土日祝日と平日の需要の平準化をどうするのかといったようなことは当然検討しなければいけないというふうに考えております。
加えて、このGoToトラベルというのはずっとやっていけるような話じゃありませんので、実行期間の中で、それぞれの観光地が、一人でも多く地元の観光地のすばらしさを紹介していただいて、リピーターを多くつくって、観光地としてしっかりひとり立ちしていただけるような取組だというふうに、私はそう考えております。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
今大臣も、各地域で安全対策をしっかり取り組む、そういった中で、このGoToは持続するものではないけれども、これからの観光業をしっかり考えていかなければならないということでおっしゃっていただきました。
私の地元の京丹後市というところですけれども、市独自の条例を制定していまして、新型コロナウイルス感染症対策条例というのを定めて、市民や観光事業者だけでなくて、市外からの旅行者も感染防止への協力を求めて、安心して観光してもらえるような、安全と安心を観光の付加価値として頑張っていらっしゃる地域もあるということをちょっと御紹介しておきます。
続いて、済みません、少し飛ばしまして、海上保安庁についてお聞きしたいというふうに思います。
海上保安庁は、我が国の領域と排他的経済水域を合わせた、実に国土の十二倍の広さに及ぶ広域にて海難救助や海洋汚染の防止、船舶航行の秩序の維持、海上での犯罪の予防、鎮圧、犯人の捜査及び逮捕など、さまざまな任務を担っていただいています。加えて、昨今の尖閣警備、大和堆での違法漁船の取締り、業務量はもう拡大の一途にあるというふうに私は思います。人員や装備の増強は大きな課題であるというふうに思います。
ことしの当初予算は二千二百五十四億円、定員は一万四千三百二十八人。警察で比較すると、人数では、一万三千人から一万五千人の神奈川県警と愛知県警ぐらいに匹敵するというぐらいの人数の規模でやっていらっしゃる。日本の領土は全国二十五万人の警察が担当しておりますけれども、領土の十二倍の面積の海は海上保安官一万五千人足らずで担当しているということでございます。
単純な比較は難しいですけれども、昨今の課題を前にして、増員や装備拡充がどうしても必要であるのではないかなと思いますけれども、そのあたり、いかがでしょうか。
○奥島政府参考人 お答えをいたします。
我が国周辺海域では、尖閣諸島周辺海域においては、ことしに入ってから中国公船の接続水域内における連続航行日数や領海侵入時間が過去最長となっておりますし、また、大和堆周辺海域においては、外国漁船の違法操業が確認されるなど、依然として予断を許さない状況となっております。
このような情勢の中、海上保安庁では、平成二十八年十二月、関係閣僚会議において策定された海上保安体制強化に関する方針に基づき、尖閣領海警備や大和堆周辺海域における外国漁船の違法操業への対応等の重要事案に適切に対応するため、巡視船、航空機などの整備を進めているところであります。
この方針を踏まえ、平成二十八年度から、大型の巡視船十二隻、測量船二隻、航空機六機の増強整備に着手をし、巡視船五隻、測量船一隻、航空機一機がこれまでに就役をし、定員におきましても約八百人が増員されたところであります。
委員御指摘の内容につきまして、定員や予算の確保は重要な課題と認識しておりますので、今後とも、我が国周辺海域の厳しい情勢を確実に見きわめ、関係省庁と緊密に連携しながら、我が国の海の安全、安心に万全を期してまいります。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
国交省の外局である海上保安庁は、予算や定員について国交省の枠内で管理されるのが原則ですけれども、現在、尖閣周辺、大和堆など、極めて特殊な状況への対応が不可欠であると私は強く思っています。そのことから、予算、定員管理について、国交省枠から海上保安庁を一時的でも外した方がいいんじゃないかなというふうに思います。それを大臣として内閣に働きかけるというのも一つではないかなというふうに思います。
中国や北朝鮮の船が違法をすればするほど、日本国の道路や治水や砂防などの予算や人員が減らされかねないという、合理性、関連性の極めて薄いことですけれども、妙な話になりかねないというふうに思いますけれども、そのあたり、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 海上保安庁に対する応援的な御質問、大変ありがとうございます。
今、長官から御答弁させていただきましたように、海上保安庁の体制というのは政府全体のやらなければいけない最重要の課題だという認識をいただいて、平成二十八年十二月の関係閣僚会議で海上保安体制の強化に関する方針が決定されて、そして毎年度、こうした、着実に増強、定員と巡視船、航空機等々の補強を図っているわけでございまして、そうした中で着実に体制はふやしていただいているというふうに思っております。
そうした、今御質問をいただいた声をしっかり受けとめながら、国土と領海がしっかり守れるような万全の体制はしっかり維持していける、体制をつくっていけるように努力していきたい、これは言うまでもないことだと思っております。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
NHKスペシャルでも、この間ちょっとテレビでやっておりましたけれども、やはり海上保安官の大変さ、厳しさを増しているというふうに思います。
先日、海上保安学校も視察をさせていただきました。女性もおられて、大変皆さん頑張っておられますので、未来ある彼らのためにも、ぜひよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
最後の質問になりますけれども、造船についてちょっとお聞きをしたいと思います。
ことし二月、造船大手のJMU、ジャパンマリンユナイテッド舞鶴事業所で、新造船終了の発表をされました。造船の町舞鶴市では、地元経済への深刻な影響を懸念して、造船事業がなくなるのは市経済にとって最悪の緊急事態というふうな声が上がりました。
事の発端は、二〇〇九年ごろから、新船建造競争で、中国、韓国がWTO違反に当たる巨額の補助金を背景に過剰供給したあおりを我が国が食らったというふうに聞いております。そして、倒産寸前の韓国大手が一兆円もの国費投入で救われたことも一因とされているのではないかという指摘も聞いております。
造船は物づくり舞鶴の象徴で、日本海側では唯一、造船の町でありまして、戦略的価値は十分あると考えられます。JMUが撤退の判断を変えるような、また、我が国造船業界にとっては納得できない現在の国際競争、その環境のゆがみを正す、つまり、競争力を高められる環境整備など、何らかの政策を国として強力に打ち出すべきではないかなというふうに思いますけれども、そのあたり、お聞かせいただければというふうに思います。
○大坪政府参考人 我が国は、韓国における造船事業者に対する救済等の公的助成が市場を歪曲して我が国に著しい損害を与えているとして、WTOに申立てをして、現在、二国間協議をしているところです。
また、多国間の枠組みとして、OECDの造船部会などで、造船市場を歪曲する公的支援を阻止、是正する、そういう公正な競争条件を確立すべく、協議を進めています。
一方、我が国では、WTO協定に整合する形で、海事分野の生産性向上や技術開発の取組を支援しておりまして、今後も強化していきます。
我が国の造船は省エネ性能では勝っているのですが、その優位性を発揮できる国際環境づくりが重要です。国際海事機関、IMOにおいて、新造船の燃費性能に関する国際規制の策定を主導してきていまして、現在運用中です。
これに加え、現在は、新造船に加えて、過去に建造された就航済み船舶の燃費性能に関する国際規則の提案を行っています。けさほども報道されましたが、今週開催されているIMOの海洋環境保護委員会での合意、二〇二三年からの導入を目指して取り組んでいます。
これらの取組を通じて、性能の悪い船、古い船が相対的に不利になって、これらが市場から退出して、省エネ性能にすぐれた我が国の新造船受注につなげていきたいと考えています。
このように、公正な国際ルールに沿った形で、我が国の競争力の強化につながるような支援と環境整備に今後一層力を入れて取り組んでまいる所存です。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
例えば製鉄の町で溶鉱炉の火を消すといえば、簡単にはもとに戻らなくなるというふうに私は思います。それと同じような、悲しい、大きな判断だったのではないかなというふうに思います。
舞鶴は、日露戦争のころから港で生きてきた町、造船の町です。新船建造が再びできるような産業政策としての環境整備等、配置転換や利息とか、また関係企業への苦境のフォローは、ぜひ所管大臣としてしっかり行っていただきたいと思いますけれども、大臣、最後、一言お願いします。
○あかま委員長 申合せの時間でございますので、答弁は簡潔に。
○赤羽国務大臣 時間が過ぎているみたいですので。
そのように、造船業は大変大事ですし、今治造船などのように世界でも三本の指で頑張っているところもありますので、しっかり支援をしていきたいというふうに思っております。
○山本(和)委員 終わります。
○あかま委員長 次に、城井崇君。
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。
国土交通委員会での質疑の機会をいただき、ありがとうございます。きょうは、赤羽国土交通大臣との政治家同士の議論ということでお願いをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
早速質問に入ります。
GoToトラベル事業についてお伺いしたいと思います。きょうも同僚議員からも質問がございました。
ここ最近、北海道や東京、大阪で、新型コロナウイルス感染が急増いたしております。お手元の資料をごらんください。二〇二〇年十一月十四日の毎日新聞や十一月十五日現在の各自治体公表資料によりますと、確保済みの病床利用率、全入院患者、重症患者ともにありますが、また、感染経路不明者の割合が、新型コロナの流行状況指標のステージ3、つまり感染急増を指すところの目安を既に超えております。このような状況でのGoToトラベル事業の継続に不安の声が大きく上がっています。
しかし、国の事業なので、国の判断がなければGoToトラベル事業をとめることはできません。感染防止と社会経済活動の両立を図りたい政府の狙いは理解をするといたしましても、それは、感染が収束したり、感染拡大が落ちついているのが前提ではないかというふうに考えます。
感染拡大地域にGoToトラベルで旅行をするのは自己責任だと放置するのでは、国民の命を守る国の責任を果たしているとは思えません。先ほど大臣からも実証実験との答弁がございましたが、国民の命にかかわる点を十分に踏まえていただきたいというふうに思います。
そもそも、GoToキャンペーン自体をとめるか、あるいは、国が流行拡大地域を対象除外とするか、地域の判断で対象除外を行えるようにするか、臨機応変に対応すべきです。あわせて、対象除外とする地域の観光関連産業への支援も行うべきであります。大臣、この対象除外と除外地域への追加支援について、お考えをお聞かせください。(赤羽国務大臣「最後のところだけいいですか。質問を最後のところだけ」と呼ぶ)
○あかま委員長 質問の方を、繰り返し、ちょっと最後の方をお願いしますということですので、よろしくお願いします。
○城井委員 対象除外と除外地域への追加支援について、大臣のお考えをお聞かせください。
○赤羽国務大臣 このGoToトラベル事業、ちょっと誤解があるような御質問のところがあったので、言わずもがなかもしれませんが、GoToトラベルで旅行するのは自己責任だといって放置するというような気分でやったことは全くございませんので。これは何回も繰り返し説明もさせていただいておりますし、コロナのリスクがゼロにならない現状の中で、どう経済活動を回していかなければいけないのか。これは雇用が九百万人もかかわっている。地方経済、日本じゅうどこへ行っても、観光で支えられているところがたくさんあるはずですよ。九州だってたくさんあると承知をしています。そこの中でどうしたらいいのかというぎりぎりのところでやっているわけで。
そして、感染について、やるやらないというのも、ルールは決まっているわけです。たくさん、確かにふえている、これは注視をしておりますけれども、これは分科会という専門家のところで決めていただいたルールにのっとって我々はやっているわけです。都道府県知事が、分科会のステージ3というふうに認定をしたら、これは政府に相談をする、そして政府で一緒になって検討しながらどうするのかということを判断する。これはもう決まったルールですから、私がそれを守っていないかのような話をされるのは、非常に、ちょっと、そうしたことは事実でありませんので、この国会というのは非常に重要な立法府の場ですから、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
加えて、あわせて対象除外とする地域の観光関連のということの御質問ですが、これは、現実には、東京が最初、七月二十二日から入れなかったということでございまして、そのことについてとか、あと、加えて九州の、ことしの令和二年度の七月豪雨災害で、熊本県の人吉温泉ですとか大分県の天ケ瀬温泉ですとか、そうしたところでまだ参加できていないところについては、しっかりとこのGoToトラベル事業について、九州は特に再開ができるかどうかということを見きわめながら、その枠組みで応援をするのか、それ以外で応援するのかというのは、いずれにしてもちゃんと考慮しなければいけないと考えております。
ただ、それとは別に、これまでも、観光関連の皆様については、雇用の維持と経営の継続ということで、これも繰り返し御答弁させていただいておりますが、雇用調整助成金の拡充と期限の延期等々をやらせていただいたり、また、持続化給付金の支給ですとか公租公課、特に旅館関係ではNHKの受信料の猶予とか延期等々といったことをやっている。これは、そうしたことは継続してやるし、先ほどの御質問に答えたように、来年度も公租公課についての猶予は今要望しているところでございます。
ですから、今御答弁させていただけるのはそういうことで、今後、除外するところというのはまだ出ておりませんので、除外するところについてはどうするかということについて、そうしたことは今具体的にお答えするような状況ではありません。ただ、除外するということは、それだけGoToトラベルを利用できない地域でありますから、それなりの応援体制を考えなければいけないと私は思っております。
○城井委員 私の言葉足らずがあったのかもしれませんが、そのような国民の受けとめにならないように十分に配慮して取組をいただきたいという趣旨で申したつもりでございますので、お受けとめいただければと思います。
先ほど専門家の御意見もいただきながらということでございましたが、そうした部分を踏まえながら対応いただくというのは当然のこととしても、最後に決めるのは政治であるというところ、特に、先ほど大臣からは継続の要望が強いという御答弁もありましたけれども、直近のANNの世論調査では、GoToトラベルの対応は感染者数がおさまるまで全国でやめた方がよいという回答が五三%に上り、感染者数がふえた地域を外して継続の三三%や、このまま継続の一一%は上回っています。こうした国民の受けとめについてもしっかり踏まえていただきたいということをお願いしたいと思います。
その上で、大臣、今ほどの、具体的なというお話でございましたが、北海道では、感染の急拡大を受けて、独自に定めた五段階の警戒ステージを現在の3から札幌市のみ4に引き上げて、同市内の不要不急の外出自粛や同市と道内のほかの地域との往来自粛を求める方針であるという報道がございました。
道内の移動を自粛することになったら、国からも、当然、その外から推奨して人を送るようなことはやめようというのが筋かというふうに思います。北海道や札幌市の対応方針が明確になった場合に国はどのように対応するかということをお答えいただけますか。
○赤羽国務大臣 もう既に北海道知事とも連携をとっておりまして、北海道知事の意思が一番重要なわけですが、北海道知事としては、こうした状況の中でああした宣言を発令したものの、GoToトラベル事業をやめてほしいという意思は全くございませんということをいただいております。
○城井委員 地元自治体ともしっかり連携をいただきながらということは重要かというふうに思います。また、国民の受けとめということも踏まえて今後の対応をしっかりやっていただければということをお願いしたいと思います。
続きまして、中央自動車道をまたぐ橋梁の鉄筋不足による施工不良についてお伺いをいたします。
この件については、先ほどからの御答弁で、大臣と問題意識を共有していると考えています。これは単なる施工不良では片づけられません。利用者の安全を脅かす重大事案であります。大臣からも、原因究明するとの答弁をいただきました。先ほどからのやりとりを聞いておりましても、工事の段取りを考えれば、意図的に見逃さなければ起こり得ない出来事だというふうに考えています。
そもそも、設計図どおりに鉄筋を配置したかチェックするときに、チェックの書類や日報や現場写真があるはずであります。ところが、きょうの委員会でのやりとりでも明らかになりましたように、NEXCO中日本からは、その鉄筋の配置について立会い届が出されないままコンクリート打設がされたという答弁でありました。気づいていなかったという答弁でありましたけれども、これはあり得ないというふうに考えています。
また、NEXCO中日本からは、鉄筋検査はしていない、型枠検査や出来高検査は確認できていないということでありました。こうした工事の過程一つ一つをたどって確認をしながら前に進む工事過程を考えますと、うっかりということにはならないというふうに考えています。
もともと六億円だったところを、昼から夜に工事を変更しただけで四億五千万円の増額ということも含めてでありますが、大臣、今ほど、きょうの委員会でも確認をされた、この国会答弁で確認された部分につきまして、大臣はどのように認識をされているか、厳しい対処を当然していただけると思いますが、改めてお聞かせいただけますか。
○赤羽国務大臣 先ほど広田委員の御質問にもお答えさせていただきましたとおりでありまして、これをやっているもともとの中日本高速道路株式会社として、会社として責任を持った原因究明をする、そして、その原因究明が果たして世間的に通用するのかどうかということは有識者会議で議論していただく。
その有識者会議には、きのう発足をさせましたので、身内の会議とならないように、主たる委員も国土交通省から指示しておりますし、技術的な専門の課長もオブザーバーとして出席をいたしますので、これは本当に安全にかかわることでありますから、厳正な対応をしていきたい、こう考えております。
○城井委員 ぜひ、第三者からも理解される形でということで大臣からも御答弁がございましたが、この点、本当に人の命、安全にかかわる話ですので、決して当事者や施工業者の事情を丸めることなく対応をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。
続きまして、地域の公共交通の持続可能性及び九州地方の豪雨による鉄道の復旧支援についてお伺いいたします。
新型コロナウイルスの影響によって鉄道各社も厳しい経営に追い込まれています。例えば、大手公共交通事業者の一つでございますJRグループを例にとりますと、二〇一九年度の影響を含めて、九月末までで約二兆円を超える収入減少と報告を受けております。GoToトラベル事業が始まっても、新幹線や特急列車など中長距離輸送の利用状況は対前年四割から五割というふうになっておりまして、十分な回復にはつながっていないというのが現状だというのが現場からの報告でした。
感染を気にして、公共交通を使って移動することへの不安はまだまだあります。通勤や出張、観光など、そもそもの需要や機会の減少は深刻で、都市間の輸送も影響が大きい状況です。こうした中で、ほかの大手事業者もどうかと見ましたら、同様の状況がある、苦境にあるということでございました。
地域の公共交通の持続可能性をいかに担保するか。中小事業者向けの部分については、先ほど、本日の大臣答弁でも触れられましたけれども、中小事業者のみならず大手の公共事業者、特に現場からの要望の強い資金繰りの支援について行うべきではないかというふうに考えますが、大臣、お考えをお聞かせください。
○赤羽国務大臣 もう既に国として、JRや大手私鉄も含む大手の鉄道事業者に対しては、先ほど言いました政策投資銀行からの危機対応融資等々の資金繰りの支援は行っているところでございます。
○城井委員 その上でいただいている御意見でありまして、その支援が十分であるかという点を改めてチェックをいただきたいというふうに思っています。
今回、鉄道各社が迎えている苦境が日ごろのいわゆる経営難というところからも更に度を越しているという状況があるものですから、そうしたところを踏まえると、これからお伺いする部分にもかかわってくるというところがあるので、ぜひその点はやっていただきたいというふうに思っておるわけであります。
その部分が何かと申しますと、それは災害復旧であります。
令和二年七月豪雨など、自然災害によって被災した路線の復旧作業という、こうした大きな課題がございますが、これは資料の二枚目をごらんいただければと思います。
例えば九州地方では、JR肥薩線、JR久大線については、その復旧に数百億円という莫大な費用がかかるという意見もあります。ただ、これらの路線については、今のところ、国の予算補助などを適用する法令がないというふうに聞いています。
JR日田彦山線については、地元でも激論がある中、JR九州の全額負担によるBRT化での復旧の方向ですが、この際にも、残念ながら、補助などを適用する法律が存在しないという状況であります。
経営が好調な平時ならば、民間企業を中心に自力復旧を促すことも選択肢かもしれません。ただ、新型コロナで明らかに経営悪化している鉄道会社にこれまで以上の復旧費用負担を、現在、期待するというのは難しいというふうに考えます。
大臣、国による予算補助や法令適用の範囲拡大による補助が必要だと考えますが、大臣のリーダーシップで実現をいただけないでしょうか。
○赤羽国務大臣 九州、特に熊本地方を毎年のように豪雨災害が襲って、JR九州のある意味でローカル線、観光線とか地元の皆さんの通勤通学を支えていただいているものが大変被害を受けているというのは、これは真剣に受けとめていかなければいけないと思っておりますが、ちょっと、今、御質問の中で、JR九州に対しての法令適用がないというお話でしたが、これはそうではありませんで、鉄道軌道整備法に基づく法律、これにつきましては、特に、平成三十年の六月に、ここで、議員立法だったと思いますが、改正をしていただいて、ちょっと局長がいないのでよくわかりませんが、法改正して、JR九州のような黒字会社でも赤字の路線については支援対象化できるということでございます。加えて、特定大規模災害等鉄道施設災害復旧事業に基づく予算補助という支援制度もございます。
このBRTにつきましては、このJR日田彦山線も、鉄道として復活するのかどうか、鉄道として再生する場合は今言ったような支援制度を受けられるという選択もございましたが、これは、JR九州の事情、また地元の調整の結果、鉄道ではなくて、BRTのシステムでの鉄道からの転換を選択されたということだというふうに承知をしております。
そうしたことですが、いずれにしても、毎年のように、気候変動の影響もありましょうし、線状降水帯の、梅雨時期の長雨等々で大変な被害を受けているというのも間違いないことでありますので、これは、公共交通機関として維持ができるようにしっかりと向き合って、国交省としてもできる限りの、また、必要であれば、新しい適時適切な対応も検討していかなければいけない、こう考えています。
○城井委員 私が今質問で申し上げたところは、その改正後の鉄道軌道整備法を踏まえても対象に入らないのではないかというふうに現場からは伺ったものですから、今の質問を申し上げたんですけれども。
大臣、では、肥薩線や久大線についてはこの鉄道軌道整備法の補助の範囲に入るという認識でよろしいですか。
○赤羽国務大臣 ですから、そういう細かいことを詰められるのであれば、局長をちゃんと呼んでいただければと思いますが、私がきのう聞いている段階では、これも適用になるというふうに承知をしております。
ですから、ここは議事録で残りますので、具体的なことを確認したいのであれば、ぜひ担当の局長を呼んでいただければと思います。
○城井委員 大事なところだと思いましたので、質問の文書と同じものを通告で差し上げてお聞きをしております。特に、法律適用、有権解釈権のある大臣の発言はとても大事だというふうに思いましたので、ここで質問させていただいているということでありますが、今ほどの、適用対象になるという御答弁でありましたので、確認させていただきました。ありがとうございました。
続きまして、新型コロナを踏まえた自動車関連諸税のあり方についてお伺いいたしたいと思います。
自動車産業は、生産波及効果二・五倍を誇る、日本を牽引する基幹産業の一つですが、消費増税や新型コロナの影響で、消費増税前一年間と比較して、国内の販売台数が九十五万台のマイナスとなっています。これは、国内自動車メーカー一社が失われるくらいのインパクトであります。このマイナスは、経済損失に置きかえると六・三兆円、雇用喪失に置きかえると二十八・五万人との予測に当たります。これに加え、海外向けの減少の影響も大きく、大きな経済損失と雇用喪失に至らぬための経済対策が必要です。
さらに、新型コロナウイルスにより、東京一極集中の脆弱さが露呈をしました。見方を変えれば、地方都市圏への移住を促す仕組みの必要性が増しています。
公共交通が十分でない地方では、自動車は生活の足となります。しかし、現在の自動車への税負担は個人にとって重過ぎるという印象でございます。地方在住者はもちろんのこと、移住者に個人負担を強いて、移住に二の足を踏まぬように、仕組みの改善が必要だというふうに考えています。
以上述べましたように、簡素で公平、そしてユーザー重視の観点から、この自動車関連税制の不条理な部分の解消が必要だというふうに考えますが、この改正の出口をどのようにつくるかということを、先日、会派の国土交通部会で国土交通省の担当の方にお尋ねをしたところ、政治での御議論をということでした。
この改正の出口を、大臣、どのようにおつくりいただけるか、大臣が主導すべきだと考えますけれども、お考えをお聞かせいただけますか。
○赤羽国務大臣 これは、税制改正につきましても、よく御承知のことだと思いますが、年度末に向けての与党税調、政府税調の中で決着がつくものだというふうに承知をしております。
来年度の自動車関係諸税の改正につきましては、今お話ありましたように、ことしはコロナウイルス感染症による影響が相当色濃く出ていますので、そうしたことに配慮をしつつ、また、環境負荷の低減に対する要請ですとか市場への配慮等々の観点を重視した要望を現在行っているところでございます。
結論は十二月になろうかと思いますが、そうした関係者の御要望も踏まえて、しっかりと国交省としても対応していきたい、こう考えております。
○城井委員 ぜひ大臣にはリーダーシップをお願いしたいと思いますが、以下、何点か具体的な提案を申し上げ、大臣の見解を確認したいと思います。
国土交通省にかかわるところとそうでないところとありますが、国土交通省にかかわる部分での御答弁をお願いできたらというふうに思っています。
まず一点目、車体課税でありますが、これを抜本的に見直して、簡素化、負担の軽減を図るべきだと考えています。自動車重量税は廃止を前提に、まずは当分の間税率を廃止すべきではないか、また、自動車税、軽自動車税の環境性能割も含めた税額引下げによる負担軽減措置を講ずるべきだと考えています。
大臣のお考えをお聞かせください。
○赤羽国務大臣 これは、税制の具体的な項目は、特に例えば自動車諸税は経済産業省とのかかわりもありますし、まだ水面下の検討とかはこれからですので、具体的なことは先ほどの私の答弁に尽きてしまうんですが、自動車関係諸税の改正についてはということで先ほど申したとおりなんですね。
ただ、同時に、税制ですから、当然、必要な財源となっているという部分も考慮して税務当局が対応されると思いますので、そうしたことの中で、結局、おのずと結論が得られると思いますが、繰り返しになって恐縮でありますけれども、ことしは特にコロナウイルスの感染症の影響が色濃いということと、また、これからは環境問題というのが今まで以上に大切な、スポットライトが当たっておりますので、そうしたことを推進していく。
また、あと、自家用と、国交省の立場でいうとタクシーですとかトラックですとか、そうしたことについては優遇のところがありますので、これはやはり営業活動をしていく上での大変重要な部分だと思っておりますので、そこはしっかりと主張して実現をかち取っていきたい、こう考えています。
○城井委員 ありがとうございます。
続いて、燃料課税についても抜本的に見直し、簡素化、負担の軽減を図るべきだと考えています。具体的には、当分の間税率の廃止、複雑な燃料課税の簡素化、タックス・オン・タックス、いわゆる二重課税の解消を行うべきだと考えています。
国土交通省の立場からで結構ですので、見解をお聞かせください。
○赤羽国務大臣 国土交通省の立場もありますが、同時に、政治家でもありますので、地方財源の主力アイテムでもありますから、そうしたことを考慮しながら、まあ、強いて言うなら、トラック業界からはこうしたことについては声も強く、要望がございますので、そうしたことをしっかり受けとめて、税制改正にしっかり取り組んでいきたい、こう考えております。
○城井委員 続いて、自動車の使用に係るユーザー負担の軽減も図るべきだと考えています。
具体的には、自動車保険の所得控除の対象化や高速道路料金の引下げ、そして、サポカー補助金の年齢制限の拡充などを検討、実施すべきだと考えています。
ここでは、高速道路料金の引下げと、そして事業用自動車についてのサポカー補助金の年齢制限の拡充について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○赤羽国務大臣 まず、高速道路料金については、現状、混雑している大都市部の一部を除きまして、一般道路が渋滞する通勤時間帯における平日の朝夕割引、また、観光振興のための休日割引を導入するなど、利用しやすい料金となるように取り組んでいるところでございます。
他方、よく御承知だと思いますが、この高速道路の料金収入によりまして、新たな道路整備ですとか維持管理の財源になっております。特に、災害が多発しておりまして、全国の自治体からは暫定二車線を四車線化といったことが大変強い要望で出ておりますので、こうした全国からの喫緊の課題についてもしっかり対応していかなければいけないというのが我々の立場でございます。
あと、サポカー補助金につきましては、これは高齢ドライバーによる交通事故の防止を目的に創設されたものでございまして、こうした発生状況を踏まえて、引き続きそのあり方を検討してまいりたい、こう考えております。
○城井委員 ありがとうございます。
関係業界からは、そのほかにも、保有や利用への課税のあり方の議論をぜひ促進してほしいということ、あるいは、地方での移住移動策の充実をお願いしたい、こうした声も届いております。引き続き、現場の声をお伝えしながら、よりよく制度を磨いていきたいというふうに思います。
最後に、防災・減災、国土強靱化にかかわる三カ年緊急対策の予算執行状況についてお伺いいたしたいと思います。
きょうも同僚議員から何人か御質問がありました、この三カ年緊急対策ですけれども、令和二年度当初予算の部分では、令和二年九月末時点で四七%の契約率にとどまっておりました。地方自治体からは心配の声が多数出ておりますが、予算執行が少ないから防災・減災のための予算を減らすということがあってはならないと考えています。新型コロナの影響への対応とともに、各地で頻発する災害への事前防災対策を来年度予算にしっかり反映すべきであります。
大臣所信で言及のありました「中長期的な視点に立った計画的な取組」とは具体的に何を指すか、そして、経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇の第二章の二に「必要・十分な予算を確保」とありますけれども、ここは本日の答弁でも触れられましたが、具体的に、与党からも要望が出ておるような、例えば五カ年計画になるのか、あるいは予算数十兆円規模になるのか、こうした具体的な部分について大臣からお考えをお聞かせいただければと思います。
○赤羽国務大臣 防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策の本年度の契約率が四七%で大丈夫かというまず質問ですが、これはもう何回も予算委員会で答弁しておりますが、今、公共事業の平準化ということも意識してやっておりますので、これは別に人手が足りなくて契約率が滞っているということではございません。
令和元年度の予算につきましては、同時期で四三%でございましたが、最終的には年度内で九六%の契約率があったということでございまして、私たちは、ことしもしっかりと順調に執行ができるというふうに考えております。
加えて、その三カ年が終わって、各地域からも、まだまだ防災・減災を進めなければいけない地域がある、箇所がある、また、加えて老朽化対策も必要だというお話もございます。そうしたことが中長期的に計画的にできるようにということで、しっかりとしたものを獲得していきたい、こう思っております。
自由民主党、公明党からも大変ありがたい応援もいただいておりますが、具体的なことはまだ何も決まっておりませんので、数字としては何もありませんが、これは抽象的になりますが、必要十分な予算が確保できるように、しっかりと、これからですけれども、予算折衝してまいりたいと思っております。
○城井委員 命を守る観点で九州からも取組の継続を強く要請して、質問を終わります。ありがとうございました。
○あかま委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○あかま委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
四カ月ぶりの委員会ですのでたくさん課題があるんですけれども、目下最大の問題である新型コロナとGoToトラベルについて質問します。
コロナの感染が拡大しており、特に北海道では、ここ一週間で十万人対比二十八人でトップ、クラスターも多発をしております。資料の1は十二日付の朝日新聞でありますけれども、この中であるように、日本医師会の中川俊男会長は十一日の定例会見で、第三波と考えてもよいのではないか、このように見解を示しました。また、翌日の分科会では、出席した複数の専門家や知事らから、第三波だと認めてリスクの高さを国民と共有すべきとの意見が出たということですが、西村担当大臣は、四月、五月の大きな流行、七月、八月の大きな流行、夏の流行に匹敵する大きな流行、波を言いたくないみたいで、来つつあるということは言いましたけれども、第三波という使い方は避けているということなんですね。
それで、改めて伺いたいんですけれども、政府は第三波と考えているのか、そうでないというならばその理由についてお答えください。
○赤澤副大臣 何を第一波、第二波と呼ぶのかは政府として具体的な定義があるわけではございませんが、新型コロナウイルス感染症の感染状況については、新規陽性者数は、四月、五月と、それから七月、八月の感染拡大を経験し、発症日ベースでは、七月末をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいでありましたが、十月以降増加傾向となり、十一月に入りその傾向が強まっているということでございます。これから寒くなる中で、乾燥し密閉した空間で生活するようになると感染しやすくなり、更に感染が拡大して大きな流行となるおそれがあり、強い危機感を持っているということでございます。
昨日の新型コロナウイルス感染症対策本部では、今般の感染拡大に対応したクラスター対策のさらなる強化などを取りまとめたところでございます。今後、これに基づき、感染対策と呼びかけの強化に取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 定義がないことによって使っちゃいけないんでしょうか。流行とまで言っていて使わないということ、専門家や医師会が、皆さんがお話しされていること、またメディアも使っているわけですけれども、そこに何かひっかかるものがあるんでしょうか。
○赤澤副大臣 先ほど申し上げましたとおりでございまして、政府としては第何波ということについての定義を持っておりませんので、それについて発信することがないことについては御理解を賜りたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 そこにこだわる必要はむしろないと思うんですね。定義がなくても明らかにそうである。
きょうは、資料二枚目を見ていただければわかると思いますけれども、波と言いたくないんだったら山と言ってもいいかと思うんです。PCRの陽性者数のグラフです。四月十日に第一波のピークが来ておりますが、このときは七百八人。第二波は八月七日で千五百九十五人。そして第三波は、まだふえるかもしれませんが、過去最大、千七百二十三人でありました。
五月二十五日、緊急事態宣言を解除したとき、世界の感染者数は五百三十万人、死者三十四万人でした。半年たって、世界は今、五千四百三十七万人を超える、まさに十倍以上の感染が広がり、死亡者は百三十一万人を超えています。
第二波、第三波は必ず来ると言われていたこと、緊急事態宣言のときの山をはるかに超えているのが今の実態であります。それでもGoToキャンペーン、トラベルだけではありません、推進でよいのでしょうか。大臣には後で聞きますので、内閣府の考えをもう一度伺います。
○赤澤副大臣 済みません、今の問いについて御通告があったというふうには承知はしておらないんですが、御指名でございますのでお答え申し上げれば、やはりGoToキャンペーンについても、私どものもとには観光関係者を中心に大変これに助けられているという声も届いておりますし、経済の混乱を避けるという意味では大変大きな意義を有するものだというふうに思っております。
私どもは、全力で感染防止策を講じていく、それとあわせて、経済活動についてもGoToキャンペーンで両立を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 経済活動の両立、やはりそのことが波という言葉を避けているのかな、逆にそう思わざるを得ないんですね。そうすることによって、別に経済を全部閉じてしまえと言っているわけじゃないんです。だけれども、感染の拡大を防げなかったら、もっと大きな打撃を経済界でも受けるわけですから、その点についてもっと議論をしていきたいなと思っています。
きょうは厚労省にも質問をいたします。
副大臣、もしあれでしたら、退席されても結構です。
今、全国で百件以上のクラスター班が動いていると聞きます。
資料の3を見てください。これは私の地元の青森県の健康福祉部がつくった資料ですけれども、十月十八日現在の青森県の飲食店クラスターです。弘前市のたった一つの飲食店で、たった一人の感染者から始まって、全県の保健師を集中し、積極的疫学調査を行って、お店の関係者、その家族、その利用者と広がって、これは全部見ていただけばわかるように、何例目が何十代で男性か女性か、ここまで追いかけているわけです。一月後、4の資料も見てください、これがかなり広がっていて、三次感染までつかまえているんです。十四日の時点で、飲食店クラスター関連は百八十六人に上りました。残念ながら、学校の一時休校とか営業の自粛なども判断をしたわけであります。
ですが、私が思うには、厚労省のクラスター班やDMATの援助によって、徹底した追跡調査、医療機関への搬送などの判断もスムーズに行われ、現在、弘前は収束に向かっています。
ここまでわかっているということは、逆に、ルートの解明と行政検査を徹底して行った結果だということなんですね。差別につながる犯人捜しをするという意味ではなくて、感染のルーツや発生の状況を把握することで、またなるべく情報を公開することによって、徹底した検査とあわせて対策、封じ込めも可能だと思いますが、厚労省に伺います。
○佐原政府参考人 お答えいたします。
感染拡大防止のためには、早期にクラスターの発生を把握し、封じ込めていくことが重要であります。
このため、厚生労働省においては、国内の感染症の専門家の方々で構成されるクラスター対策班を設置し、自治体からの要請に応じまして専門家チームを派遣し、感染源や感染経路の検討、感染拡大防止策の提案等の支援を実施しております。今後も引き続き、感染拡大を防止するための対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 ちゃんと通告していますけれども、今のお答えはどういう意味なんでしょうかね。今おっしゃったのは、クラスター班が、早期に封じ込めは大事ですから、今後もやっていきますというお話だったんですけれども。
今、弘前の事例は既に事前にお見せをしております。こうした形で感染のルーツや発生の状況を把握することによって、徹底した検査と封じ込め、できるんじゃないかと思いますが、いかがですかと聞きました。
○佐原政府参考人 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症に係る検査につきましては、検査が必要な方が迅速、スムーズに検査が受けられるようにするとともに、感染拡大を防止する必要がある場合に広く検査が受けられるようにすることが重要と考えております。
このため、地域における感染状況を踏まえて、感染拡大を防止する必要がある場合、現に感染が発生した施設に限らず、地域の関係者を幅広く行政検査として公費で検査することが可能であることを明確化し、都道府県に対して積極的な検査の実施を要請しているところでございます。
○高橋(千)委員 積極的な検査には全部国が支援をするということでよろしいですか。今私がお話ししたのは、ここはクラスターを全部つかんでいて、三次感染までつかんでいて、行政検査をやっているんですよね。そういうことをやっていくということでよろしいですね。
○佐原政府参考人 はい。引き続き、地域の関係者を幅広く、行政検査として公費で検査することが非常に重要なことと考えております。
○高橋(千)委員 確認しました。
積極的にと言いながら、それは自治体で判断してくださいと言われては困るわけです。今回のは、厚労省がかかわったからここまでできたと私は大変評価しているんですよ。だけれども、それがほかでもできるようにしていただきたい。これから、さっきお話しした経済活動との兼ね合いの問題もありますからね、ここが徹底されることが条件だと私は思っているからであります。
そこで、先ほどの資料の2に戻っていただきたい。山をもう一度見ていただきたいと思うんですが、七月二十二日、第二波の兆候が出てきたところで、GoToトラベルを前倒しのスタートをしました。東京は別格だから除外することに賛成したと、この委員会で尾身会長が強調されました。
その東京の解禁は十月一日であります。実際、これは減ってきているわけですよね。だけれども、第一波と比べるとほとんど同じ兆候、第一波並みの感染はあるわけですよ。そこからまた上がってきている、こういうことは言えると思うんです。
そこで、大臣に伺います。GoToトラベルの見直しはしないのか。三千九百七十六万人泊という実績があるといいますけれども、これだけ人が移動して、感染拡大に影響していないと言い切れるんでしょうか。
○赤羽国務大臣 GoToトラベル事業の継続、継続というか事業の展開の大前提というのは、もう何度も御答弁させていただいておりますが、感染拡大の防止、その上での経済社会活動の活性化ということでございます。
まず最初の質問は、見直しをしないのかということは、これはもうルールで決まっていますので、分科会の御提言にあるように、ある都道府県がステージ3と判断した場合には、GoToトラベル事業に係る感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい、そして、いずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県と調整する必要があるということで、そのルールにのっとって対応していきたい、こう思っております。
北海道が感染者数が急激に拡大しているというのは、当然のことながら注視をしながら、緊張感を持って、また北海道知事とも連携をとりながら対応を、もうしているところでございますが、それは引き続き継続をしていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 ルールで決まっているとおっしゃいましたが、北海道については、注視していくという答えであって、検討もまだ始まっていないということだと思うんですね。ですから、前から言っているように、一体いつ決めるのか、そしてどうやったらとまるのか。とまるときがある、全部とまれと言っているんじゃないですよ、とめる仕掛けがないということを問題にしています。
NHKがデータに引用しているアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の調査によると、ことしの一月の二十二日にはまだほぼ中国でしか感染者がいなかった、でも今や世界二百十六カ国に広がっています。人の移動で新型コロナウイルスが国境を越えてきたように、国内でも県境を越えた移動が感染を全国に広げてきたと考えるのは自然ではないでしょうか。
当初、GoToキャンペーンは、イート、商店街とあわせて、三省所管の事業を経産省が一括して事務局に委ねると考えられていました。ただ、持続化給付金の再委託問題があったので、赤羽大臣自身がトラベルは単独でこちらが所管するということを決断したと思うんですね。
だけれども、不思議なのは、最初のキャンペーン、三省あわせてのキャンペーンの企画競争募集要項、これは五月二十六日ですが、新型コロナ感染症の再流行などによる緊急事態宣言の再度の発出など新たな事態が生じた場合、事業の実施中においても見直しを図ることがあり得ると、三カ所もただし書きがあります。三カ所です。それが、観光庁が六月十六日に公示した企画競争入札説明書では一カ所も書かれておりません。つまり、もしものときのブレーキを外してしまったことになる。なぜでしょうか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業の運営事務局の公募に当たりましては、本年六月十六日より観光庁において実施した企画競争の説明書におきまして、まず、「業務の目的」のところで、「今後の感染状況や、感染症の専門家のご意見、政府の全体方針等を踏まえつつ、実施時期、実施方法、実施範囲等について観光庁と相談しながら、段階的かつ柔軟に実施することとする。」と記載するとともに、「企画競争実施に際しての留意事項」といたしまして、「本事業は、実施途中段階においても、感染症の状況等を踏まえて、柔軟かつ臨機応変に対応することが求められるものであることを踏まえた上で、企画提案書の提出をすること。」と記載されておりまして、五月二十六日より経済産業省において実施した企画競争の募集要領における表現とは異なりますが、事業の途中段階におきまして感染状況等を踏まえた対応が必要になる可能性があるとの趣旨につきましては、変更がないものと認識しているところでございます。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、引き続き、感染拡大防止に向けた取組を徹底するとともに、感染状況を見きわめつつ、政府全体の方針に基づきまして、分科会の提言に沿って各都道府県ともしっかりと連携をとりながら、適切に対応したいと考えております。よろしくお願いいたします。
○高橋(千)委員 今、長官がお話しされましたけれども、事業の途中においても見直しを図ることがあり得ると書いていたものが、段階的、柔軟に実施する、これが同じ意味なんでしょうか。大臣、これで本当にブレーキは持っているとおっしゃいますか。
○赤羽国務大臣 ちょっと細かい文言は、済みません、観光庁の長官のとおりだと思いますが。
しかし、実際、七月二十二日に全国一斉にスタートするという当初の予定を、あのときの状況を踏まえて、現実には東京都の発着を外したわけですから、これはもう最初からそうしたことが現実にあり得たわけですので、そうしたことは、今参加している事業者の中の共通の認識として、極めて厳しい状況、ステージ3になって、地元の自治体と政府の検討の中で、ある地域が対象から除外される可能性があるということは、全て皆さん承知しているものというふうに私は理解をしております。
○高橋(千)委員 わかりました。では、そこは、厳しい状況であると大臣が認識されているということですので、きちんとした判断をされていただきたい、このように思います。これは、後でもう一度、要望でお話ししますけれども。
それで、一方で、段階的、柔軟にと呼ぶべきなのか、事務局を通しての事業者に対するいろいろな指示、これは現場を大変混乱をさせています。
GoToトラベルの割引対象は観光を主たる目的とするということを基準にしますということが、十一月六日から決められました。この事務連絡は十月二十九日に発出されています。会社宛ての領収書には補助を出さないとされました。その理由はなぜか。ネット予約がふえ過ぎて割引率を勝手に絞った案件がありましたけれども、予算の枯渇を恐れてなのか、これをまずお答えください。
あわせて、ビジネス関係はだめといってもスポーツ合宿が主力の地域もあるんですね。これは大丈夫なのか。それから、いわゆる会議、研修、学会、展示会などのMICEなどは、受入れ側にとっては大きな地域振興のチャンスということもあって、需要喚起策という趣旨にも合致すると思うわけですね。ここら辺が大変曖昧になっています。はっきり答えてください。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業におきましては、旅行商品ごとに本事業の支援の対象である旨の認定自体はしておりませんが、本事業の開始以降、旅行商品の販売実績や内容の実情も明らかになっていく中で、本事業本来の趣旨にそぐわないと判断されるものにつきましては、本事業の支援の対象から外す措置をとらせていただいているところでございます。
具体的には、個別具体に支援の対象外とするか否かを判断することとしておりますが、一部の参加事業者におきまして本事業の趣旨にそぐわない旅行商品等の販売が確認されていることを踏まえ、この基準、考え方につきまして明確化し、十月二十九日に本事業の公式サイトに、旅行者及び事業者の皆様に周知させていただいたところでございます。
具体的な判断の基準、考え方につきましては、観光を主たる目的としていること、感染拡大防止の観点から問題がないこと、旅行商品に含まれる商品やサービスの価額が通常の宿泊料金の水準を超えないこと、旅行者自身が旅行期間中に購入又は利用するものであること等を社会通念上の観点も含めまして、総合的に判断することとしております。
また、あわせまして、ビジネス出張に関しましては、企業の業務の必要性に基づいて行われ、企業において経費として支払われることが一般的であるところ、本事業は企業の負担軽減を目的としたものではないとともに、より多くの旅行者に御利用いただく観点から、本事業の支援の対象外とさせていただいているところでございます。
御指摘のスポーツ合宿やMICEにつきましては、地域振興に一定の効果があるものと承知しております。ただ、ビジネス出張と同様に、企業の業務の必要性に基づき行われ、企業において経費として支払われる場合につきましては支援の対象外とさせていただいております。ただ、個人の負担によります場合は、支援の対象とさせていただいているところでございます。
○高橋(千)委員 本来の趣旨にそぐわないものが出てきたとおっしゃいました。でも、それは、七月二十二日に見切り発車をして、準備が整っていない中で、しかも、説明が最初からちゃんとできていなきゃいけないんですよ。今になってそんなことを言っている。これはもう明らかに事務局のミスです。それを認めていただきたいと思います。
大臣に本当に知っていただきたいんですけれども、十月二十九日にこの通達が出されました。そしてその後、本当にちっちゃな町の観光協会などに、夜中の、朝の二時ですよ、メールが来るんです、次から次と。十月末までの予算の執行状況を一円単位まで出しなさい、それを五日までに出しなさい、そうしなければ予算の状況がわからないと。ここまで現場は混乱をさせられているんです。
それは経済がどうのとおっしゃるけれども、そのしわ寄せが本当に現場に来ている。最初は、地域の観光産業全体に広く裨益して、地域経済全体に効果的に資する事業だとおっしゃっていました。でも、それを本当に担うべき人たち、第三者機関と呼ばれる人たちが苦しい思いをしている、そのことを本当に知っていただきたい、このように思います。
ちょっと、短く答えてください。予算の配分はどこまで行われていますか。執行状況を見て配分の中止や返還もあると聞きますが、いかがですか。
○蒲生政府参考人 予算に関しましては、GoToトラベル事業において、全ての参加登録事業者に販売可能な予算枠をあらかじめお知らせする必要があるため、各社から御提出いただいた販売計画をもとに予算枠を配分、いわゆる通知したところでございます。
九月から十月にかけて予約が好調に伸び、一部の事業者において、当初配分した予算枠が不足する状況となったため、現在、大手事業者のみならず、中小事業者を含む全ての事業者に対しまして、販売計画を丁寧に聞きながら、随時、必要な予算枠を追加配分しているところでございます。
このように、個別に聞き取りを行う中で、既に十分な予算枠の配分がなされているために予算枠の配分の追加を見送らせていただくことや、今後の予算枠の消化に進捗が見られない場合には既に通知した予算枠をお戻しいただく場合もある旨の連絡がなされた事業者もいると承知しているところでございますが、仮に、予算枠が不足する場合につきましては、事務局に御連絡いただければ、機動的かつ柔軟に配分を行ってまいる、そういう方針で対応しているところでございます。
○高橋(千)委員 資料の最後を見てください。これが実際に事業者に通知されたメールの中身です。
真ん中の赤い線を引いてあるところを読ませていただきます。「予算の配分について」。「ご登録いただいた販売実績見込み、および配分予算の執行状況を考慮し、予算配分の追加は見送らせていただきます。引き続き販売を継続していただきますようお願いいたします。」と言った後に、「今後の予算の消化に進捗が見られない場合には、すでに通知した予算をお戻しいただく場合もありますので、あらかじめご了承ください。」
これはもう恫喝されたと現場は思っているわけなんです。
もともと精算払いですから、予算を余しちゃったら返すことができるわけなんですよね。だけれども、今、いろいろな現場の混乱があって、そして、ビジネスに全部付随して合宿もだめなのかしらとか、イートがホテルのレストランを使えないのかしらと、この間ずっといろいろなことがあったんです。それで、なかなか伸びなかったということがあったんですよね。
でも、その最初にもらった予算というのは実績の半分なんですよね。その後追加をするということで、実績を見てやっていくということは、何が起きるかといいますと、結局、実績に応じての配分、これは大手のひとり勝ちになってしまう、そういう仕組みになりませんか。大臣に伺います。
○赤羽国務大臣 当初、配分の仕方として、私が承知しているのは、仮の、これまでの実績で出しました。ところが、中小の皆様の中でも相当予算が足りなくなってビジネスができなくなっているという声を、私のところにも随分いろいろな声が届きましたので、そうしたことについても柔軟に発動して、当面の引き合いというかがあることを、しっかりと御商売していただくように追加措置をしていくということで、そうしたことで現場は回っているというふうに承知をしております。
○高橋(千)委員 せっかくさっき大臣に聞いてくださいとお話ししたのに、現場の混乱の実態をどう見ているのか、それをお答えいただきたいと思います。
それから、こういうちっちゃな、何人もいない事務局で運営している観光協会などにとって、毎日来るころころ変わるメール、その対応だけでも大変なんですよ。それが、実績に結びつかなかったらもう予算を引き揚げると言われている。
これは本当に、最初言った、中小も含めてやりますよということとは全く違うじゃないですか。そして、大手の予約サイトを使っているところはばんばん、今、前よりも高いところを使おうということで、格差はぐんぐん広がってくるんですよ。そういう実態になっているということをお認めになりますか。
○赤羽国務大臣 小規模の旅行業者の皆様からもそういう現実の声を、僕も全国で二十二カ所、現時点で懇談会をさせていただいておりますので、聞くことがございますので、なるべく整理をしようとしております。
ただ、その過程の中で、スタートしたときにはそういう商品がなかったんだけれども、例えば車の免許の合宿なんかもGoToトラベル事業に利用するとか、これはすぐとめなければいけないだろうと。先ほど長官が申し上げたように、そうした本来の趣旨を逸脱しているだろうというのが散見してきて、それでちょっとモグラたたきみたいな形になるわけです。そこをとめる。そのときには、やはりGoToトラベル事業のQアンドAとか、また、全参加者に対してメールを全部送って徹底をする。事務局への問合せで対応が違うというような御批判も随分ありまして、そうしたこともあってはならないということでやっておる。ただ、そのメールを送ることによって、多分、中小の、少人数でやられているところにとっては負荷が大きいという話もありましたので、なるべくそれは改善していかなければいけないと思っております。
基本的には機会平等で、あとは相当、結果まではなかなかフォローはし切れないわけでありますが、今後、延長とかという話があったときには、それも、裨益がなるべく数多くの方ができるような工夫は当然しなければいけない、こう考えております。
○高橋(千)委員 その延長について伺いたいんですね。いつまで、どのくらいの予算規模で考えているのか、お答えください。
そして、私は、今、延長したいというのであれば、まず、今のこの状態をどう見るのかということをきちっと検証して、残りの配分、さっき長官はちゃんとおっしゃらなかったけれども、一兆一千億円の予算を全部配分しちゃったわけじゃないわけですよね、実際には。その残りの配分を、今までの延長線上ではなくて、やはり都道府県に委ねた、本当に地域重視の企画に見直しをしていくべきだ、そこはやはり大臣に決断してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 ちょっと技術的なことは長官に確認していただきたいんですけれども、都道府県に委ねるというのは、なかなか、今の仕組みの中では多分できないでしょう。多分できないです。別に、都道府県に窓口があるわけじゃありませんから。GoToトラベル事務局のもとに、今回参加を、感染拡大防止策を講じるということで承認をいただいた参加者に直接契約をされているわけでありますから、当然、マクロとして、地域の使われ方の偏在がどうなのかといった、そうしたことは見ておりますけれども、恐らく高橋さんの質問はそういうことなんじゃないかと。余り地域の格差が出ないようにとか、そうしたことは配慮しなければいけないと思います。
ただ、あと、延長がいつまでかというのは、まだこれは全然具体的なことは財務当局とも折衝をしておりませんので、どう言うかわかりませんが、でき得れば、ことしを振り返ると、春休みとかゴールデンウイークはほとんど営業はされなかったところが大半でありますので、そうしたところまで何とかカバーできればと思っておりますが、これは全然具体的な話ではなくて、だからあえて言わない方がよかったかもしれませんが、私はかねがねそういうふうに思っているということでございます。
○高橋(千)委員 そうであれば一旦中止するということもできると思いますよ。別に、この先もやっていくんだという気持ちがあるのであれば、少し見直しをする、立ちどまるということが必要なんじゃないでしょうか。
観光協会などの第三者機関がほとんどない県もあります。青森県ではたった一つ、登録がですよ、観光協会はいっぱいありますけれども、たった一つ。宮城、茨城、埼玉、神奈川、三つというように、極端に少ない県もあり、自分がわかる、私自身がわかる東北で見ても、広い県内を網羅する規模ではないことは一目でわかります。そういうところで、身近で相談するところがない宿泊業者などは結局予約サイトを使うしかないわけなんです。
そういう形でやはり大手のひとり勝ちというのが進んできたんだということ、格差が、利用するお客さんは同じ人が何度でも使えますけれども、どんどん格差が利用する側にも受け入れる側にも起きている、この現実をしっかりと見て、格差が拡大すると同時に感染も拡大しているということもちゃんと見て見直しをするべきだ、このことを重ねて指摘をして、終わります。
○あかま委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上です。
それでは、大臣の所信的発言に対する質疑ということで、余り時間がありませんので、早速入らせていただきます。
まずは、きょうも何名かの委員の先生方からGoToトラベルの話がありましたけれども、GoToトラベルについてお聞きをさせていただきたいと思います。
まず、GoToトラベルは、本来、宿泊代金については三五%割引であるはずが、一部、オンライン予約サイトの割引の上限を三千五百円にされたということを私も十一月一日のニュースで知ったんですけれども、大臣は、三五%割引が継続できるよう、即座に観光庁に対策を講じるように当時指示されたというふうにお聞きをしています。
ちょっと勉強不足なところもあるので御教示いただきたいのですが、まず、もともとの予算の配分の仕組みというのがどのようになっていたかお伺いしたい、これがまず一点。
時間もありませんので、ちょっとまとめて聞かせていただきますけれども、二つ目は、大臣の指示を受け、特定地域への集中を避けるために、設定されていた地域別の予算枠というのが撤廃をされました。先月の十六日に大臣が記者会見でされたということですが、もともとこのキャンペーンは、地域的に広くお金を配り、小さな旅行業者も対象にするため、予算が割当て制だったというふうに思っていますが、地域別の予算枠が撤廃されたことにより、今後、一部地域への偏りが出てくるのではとの懸念がありますが、その点についての大臣の見識。
まとめて、大臣、大変済みませんが、あと、事業者に対する予算配分については、GoToトラベルの申込みは、オンライン・トラベル・エージェント、OTAに偏っております。対面手続をとる事業者というのがやはり不利ではないかという懸念がありますが、そのような申込み形態別の利用実績のデータみたいなのがもしあったらお教えいただきたいのと、そのOTAと、それから対面手続をとる事業者の間での公平性、公正性というのを確保するためにどのような予算配分を行っているのか。また、OTAの予算が足りなくなった場合、追加配分なんかは考えておられるのか。
大変多くなりましたけれども、大臣、もしよければ御答弁いただければと思います。
○あかま委員長 観光庁の方で答弁できますでしょうか。(井上(英)委員「事実的なのは長官でも結構です」と呼ぶ)
観光庁長官。
○蒲生政府参考人 まず、予算配分の考え方に関しまして申し上げます。
GoToトラベル事業におきましては、全ての参加登録事業者に販売可能な予算枠をあらかじめお知らせする必要があるために、各社から御提出いただいた販売計画をもとに予算を配分いたしました。
その後でございますけれども、今委員のお話にありましたように、九月から十月に大手予約サイトを中心に予約が好調に伸びまして、当初配分した予算が不足する状況となったために、大手予約サイトに限らず中小事業者も含めた全ての事業者に対し、販売状況を丁寧に聞き取りながら、随時必要な予算を追加して配分しているところでございます。
引き続き、中小事業者の皆様の御意見をよくお伺いしながら、事業のよりよい運用ができるように実現したいと思っております。
あと、予算の地域枠のお話もございました。
当初、やはり特定の地域に過度な偏りが生じないよう、予算を配分する際に地域ごとの枠を設定しておりましたが、中小事業者を含む多くの事業者から、利用者のニーズに沿ってさまざまな商品を柔軟に販売したいとの御要望をいただいたために、予算の地域的な制約を撤廃することといたしました。
一方で、特定の地域に過度な偏りが生じないよう事業の効果を全国に及ぼすということは引き続き重要なことと考えておりますので、地域ごとの予算の執行状況について丁寧に把握しながら、例えば災害の被災地については特別な配慮をするなど、必要に応じまして適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
あと、手元にありますのは、それぞれのOTAとか現行の大手とかの数字でございますが、これは裸の数字になっておりますので、これをここでこのまま申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますが、後で先生の方に、これをパーセンテージにしたもの等々で、全体の姿が見えるような形での御報告を差し上げたいと思います。
○井上(英)委員 OTAの予算が再度足りなくなった場合というのは、再度追加配分は、これは大臣に聞いた方がいいのかな。はい、長官。
○蒲生政府参考人 OTAも含めまして、大手もそうなんですけれども、中小も含めて、それぞれの事業者様におきます今の売上げ、そういったものについて、今後の販売計画、そういったものを踏まえた上で、そういったものについて支障が生じないような形での対応というものをとっていきたいということで、そういった方針で臨んでいるところでございます。
○井上(英)委員 だから、追加はあり得るということやね。単刀直入にそう答えてもらっても結構なので。わかりました。
当初はちょっと大臣に聞こうかなと思ったんですけれども、ちょっとテクニカルだったので、長官でも結構ですので。
いずれにしても、GoToトラベル、いろいろな声もありますけれども、今確かに感染者が、陽性者ですね、非常にふえているという中で、それぞれの旅行に行かれる方も、またそれぞれで慎重に御判断いただけたらというふうにも思いますし、一方で、GoToトラベルの意義自体は決して我々は否定するものではないというふうに思っていますので、いずれにしても、しっかりと、このGoToトラベルを含めて、実際感染がふえているという事象はGoToトラベルを利用されている方の中では少ないという話も聞いていますので、その辺、旅行に行きたいと思う方々のそうした気持ちと、それからまた受け入れる側の、ホテルや宿を含めた対応する側の環境というのもしっかりと整えていただいて、万全に行っていただけたらというふうに思います。
事業が、このGoToが始まって、一カ月おくれで地域共通クーポン券というのが始まりました。このGoToトラベルの地域共通クーポンについて伺わせていただきたいと思いますが、まず発行方法ですが、クーポンは、事業者によって紙のクーポンか電子クーポンに分かれる。電子クーポンは取扱店舗が少ないのでちょっと使いづらいというふうにお聞きをしています。その実態について観光庁はどのように把握しているのか、今後何らかの対応をとる予定はあるのか、長官、よろしいでしょうか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
地域共通クーポン取扱店舗につきましては、十一月十五日現在で登録店舗数が三十四万店舗、そのうち電子クーポンを取り扱う店舗につきましても十七万店舗と、順調に店舗数が拡大してきているものと承知しておるところでございます。
電子クーポンは、店舗側で電子クーポンの読み取りのために特段の設備が必要でなく、換金精算に当たりましても、紙クーポンと異なりまして、半券の郵送等の手続が不要であることなど、店舗側のメリットも大きいと考えております。
こうした点も含めまして、地域の各店舗に丁寧に御説明し、取扱店舗数をふやしてまいりたいと考えているところでございます。
○井上(英)委員 ぜひ取扱店舗をふやしていただく不断の努力というのをお願いしたいなというふうに思いますが、このクーポン、旅行先の周辺地域にある取扱店舗であれば、コンビニなどの全国展開している店舗でも使用できるということであります。ちょっと違和感を覚える声もよく聞きます。
そもそも、GoToトラベルは地域の観光産業支援という考え方で開始されたということを踏まえれば、厳しい経営環境に直面する地域のお土産屋さんや飲食店などでの使用というのが望ましいように思います。
全国展開しているコンビニさんも、もちろん、フランチャイズでそれぞれの地域の産業だとか商業に寄与されておられるので、完全に、我々、言っている趣旨からずれているというふうには決して思わないんですけれども、その辺の制度の趣旨に反するという声に対して、大臣、どのように思っておられるか、お聞かせをいただけますでしょうか。
○赤羽国務大臣 言わんとすることもよく理解はできるんですが、どの観光地に行っても今やコンビニはありますし、そのコンビニというのは、多くが、もともとその地域で酒屋さんをやっていたところとかパン屋さんをやっていたところとかという人が大半です。
これは観光地の、また地方経済を支えるということで始めたわけであって、その観光地域で、それがコンビニで使われようが、ほかの外食で使われようが、そこはなかなか線を引くのが現実的に難しい。コンビニはだめだとか。
あと、ちょっとこの前、記者会見で、ユニクロも入っていまして、ユニクロはおかしいんじゃないかという。確かに、言わんとすることはわかりますけれども、ユニクロをどうやって排除するのかという話もありますし、地方から来た人が銀座のユニクロで買物したいといったときに、それは認めないということはどうなのかというちょっと議論がありまして、なかなかそこは、事務局でそうした意味での制限はかけない方がよかろうということで、とりあえずこうさせていただきました。
○井上(英)委員 大臣、ありがとうございます。
本当に大臣のおっしゃっているのもよくわかりますので、そういう意味での、そういう声が上がったときのきっちりとした説明、今の大臣のお話を聞いて、多分大方の方は納得していただけると思うので、そういった声も含めて、しっかりと説明をしていただけたらというふうに思います。
先ほど大臣もおっしゃったように、その地域地域に行って取扱店舗できっちりと使っていただくということは、その地域の産業振興や商業振興に必ず寄与するわけですので、その辺は、おおらかといいますか、そういう考え方も大事なのかなというふうに思います。
次に、先ほどありましたけれども、このGoToトラベルの事業の延長についてちょっと聞かせていただきたいと思います。
十月三十日に開かれた本会議の各党代表質問で、参議院の、大臣の公明党の山口代表から、GoToトラベルの事業延長についてという要望があった。菅総理も、感染状況や予算などの状況を見て検討するという発言がありました。
現在、GoToトラベルの利用実績は伸びていたようですが、ここ最近、再度、第三波と言われているような、感染者がやはり急増してきています。キャンセルする方もふえている傾向にあるというふうにもお聞きしています。
先日、ある新聞社が、十四日、十五日両日で、GoToトラベルの期間延長について全国の世調をしておられましたけれども、賛成が三七、反対が五一というふうになっていた。年代別や地域別の差はもちろんありますけれども、新型コロナウイルス感染流行の第三波に緊張感というのが非常に高まってきているというのは現実かなというふうには思いますが、放置をすれば、冬に向けて急速な拡大が懸念をされて、移動や営業の再自粛が現実味を帯びる中、この事業の延長をするかどうか。
もちろん、片方だけの議論にはいかないというふうに思っています。全てとまることで経済活動がとまって、また違う被害とか、また別の被害がやはり発生するということも避けていくことも考えないといけないので、一概に片面だけを我々は申し上げて議論するつもりはありませんけれども、改めて、この事業の延長をどのようにお考えか、大臣、お聞かせいただけますでしょうか。
○赤羽国務大臣 私の決意というか、このGoToトラベル事業を始めるときに、当然、先ほど御紹介いただいた世論調査よりもっとひどい状況の中でスタートしたわけですね。当然、移動の中で感染リスクが高まるんじゃないかということは、相当、評論家の方も随分テレビで言われたりとかして、私は、国民の命より業界を大事にするのかみたいなことを随分言われて、非常に、何というかな、何とも言えないような思いだったんですが。
しかし、私は、壮大なこのGoToトラベル事業をやるに当たって、これをやって感染拡大、クラスターは絶対に出さないんだ、それはまず私が責任者としての決意ですし、また、ここに参加をしていただいている旅行事業者、宿泊事業者も全て同じ気持ちで参加してくれなければ参加してもらわなくて構わない、感染拡大防止を徹底できない事業者は参加する資格はないということは、それは観光庁にも徹底して申し上げました。ですから、そこに入れなかった方たちもいらっしゃるかもしれませんが、それはやむを得ないと思います。
加えて、利用者の皆さんに対しても、多分、本人確認とか、従来の旅行からいうと相当煩わしい。ホテル、旅館で、多分カラオケなんかもほとんどクローズとなっておりますし、相当今までとは違うんですけれども、これはウイズコロナ時代の新たな旅のスタイルだということで協力をお願いして、そして、これは大変大きな事業ですけれども、この結果、振り返ったら、やはり旅の移動は感染拡大にはそういう意味では直結しなかった、こう言っていただけるようにするのが我々の闘いだというふうに思っております。
ですから、この延長云々ということはまだわかりませんけれども、するに当たっては、その精神というか、思いとか約束事は当然守っていく、感染拡大防止は大前提だというふうに思っています。
他方で、世論調査でいろいろな数字が出ているのはよく承知していますが、私もこの間、できるだけ地方に行って、観光地の皆さんと懇談をさせていただいておりますが、やはりびっくりするぐらい、きのうもおとといも釧路の阿寒湖のところで観光事業者の方々と話しましたが、GoToトラベル事業がなければもう廃業すら考えざるを得ない深刻な状況であったとか、また、現実に、この事業の終了予定日以降、二月以降はほとんど事業が入っておらず、激変緩和のための措置をとりつつも、事業の延長をお願いしたい、こういった声を聞くんですね、どこに行っても。まあそれぐらい、私も改めて驚いておりますが、そうした声も大事にしながら、しっかりと対応していかなければいけないというふうに思っております。
○井上(英)委員 大臣、ありがとうございます。
大臣のおっしゃるように、本当に、全業界、今、日本国内の全業界が非常にやはりしんどいことに結局はなっているんですけれども、当時、特に旅行業界だとか観光業界というものの打撃というのは非常に大きくて、今でも外国人の方なんかは、当然、インバウンド、来ていませんし、本当に厳しい状況だった。その中で、このGoToトラベルというのをスタートさせていくことによって、大臣が言われるように、感染対策というのを、これも可能な限りだと思うんですけれども、やはり考え得る対策というのをしっかりと打った上でGoToトラベルというのをスタートさせてきたという経過があると思います。
先ほども少し触れましたけれども、感染者が決してGoToトラベルによって爆発的にふえているというわけではないという数字も出ていますし、その辺は我々も理解をしています。一方で、感染ということがふえてくると、この世論調査にもあったようなやはり心配、懸念される声というのは必然的に高まってきますので。これは、でも、国民一人一人、本当にどちらが答えとして正しいのかというのを判断する材料というのがなかなかない中で、非常に難しい判断どころだと思うんですね。
でも、それを一定このように継続して、今、現時点でやるということは我々もしっかりと理解をしたいと思いますし、そのために、今後も感染対策をきっちりとやっていただいて、これは国交委員会の所管だけではないですけれども、農水さんがやっているGoToイートですかね、やはり、マスクを外して食事をする機会がふえる、そういった問題もこれから本当に、まあ、それはそれでまた、それぞれ農水でも議論があるかとは思いますけれども、そういった複合的な、いろいろな要因もありますので、それを複合的にまた対策していくということが非常に大事かなというふうに思いますので、今後もしっかりと対策をやっていきながら、本当に各業界、それからまたGoToトラベルに関しては、やはり、旅行に行きたい、国民のそういう思いも何とか遂げられるように、みんなで頑張っていくしかないかなというふうに改めて思います。
もう時間もなくなってきたので、最後に観光庁長官にお伺いしたいんですけれども、菅総理より、九月に開かれた観光戦略実行推進会議において、観光需要を回復するために必要となる政策プランというのを観光庁を中心に年末までに策定するというふうに指示があったというふうにお聞きをしています。具体的には、観光は文化施設や国立公園を含め多くの役所も関係する政策で、省庁横断的に、前例にとらわれず、政府一体となって取り組んでほしいとありますが、現時点での検討状況と政策プランについてお伺いしたいと思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
観光は、我が国の成長戦略の柱、地方創生の切り札であり、感染拡大防止の徹底に継続的に取り組み、観光振興との両立を実現する必要があることから、GoToトラベル事業によりまして、ウイズコロナ時代における新たな安全、安心の旅行のスタイルの普及、定着を目指しつつ、国内旅行の需要を強力に喚起しているところでございます。
今後の観光需要の持続的な回復に向けましては、感染拡大防止策を講じながら、ワーケーションを始めとした新たな旅のスタイルの普及等による旅行市場の拡大や、インバウンドの回復までの期間を活用し、魅力的な滞在コンテンツの造成支援や宿泊施設の高付加価値化等への支援、また多言語対応などの訪日外国人旅行者の受入れ環境整備等に取り組むことが必要でございます。
昨日の観光戦略実行推進会議での菅総理からの御指示も踏まえ、こうしたテーマを含め、当面の観光需要を回復するための政策プランを、次回の会議での取りまとめに向けまして、関係省庁と連携し、作業を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○井上(英)委員 どうもありがとうございました。
○あかま委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
早速質問に入りたいと思いますが、まず、今し方も議論になっていましたGoToトラベルについてお伺いしたいと思います。
まず、大臣に伺いますが、今、感染拡大が広がっている、第三波ではないかという懸念がされているわけなんですが、今後の感染拡大状況によっては、現時点ではこのままGoToトラベルを続けるということのようなんですけれども、今後の拡大状況によってはこれを見直す、まあ、一番最悪はこれ全部中断とかですけれども、そこまでに至らなくても、地域を除外するとか、やはりそういう見直しはあり得るというふうにお考えですか。
○赤羽国務大臣 これはいつも、東京を除外したときもそうですけれども、感染拡大の状況があって、そして、それを政府とその地元の自治体の長と検討しながら東京を除外したという決断をした、それが原則だと思いますので、あるかないかと言われれば、それはあり得るというふうに思います。
○古川(元)委員 では、見直す場合に、どういう状況になったら見直すのか、そういう基準とか、あと、見直すに当たって、それこそGoToイートについては何か、きのうの政府のあれだと、この週末のときから四人以下にしてくれというような、急に目の前のですよ。ですから、そういう見直しの手順、どういう手順でやるのか。
前も、東京を除外したときも、もう既にだあっと予約が入っていて、それで除外になった、それで、キャンセルがだあっと出た、そのキャンセル料を負担するという話になったわけですよね。
そういった意味では、やはり、見直すことがあるんだったら、どういう基準、どういうことになったら、どういう形で見直すのか、ちゃんと基準とか手順、そういうものをはっきりしておくという必要が、それは、旅行する利用者にとっても、またホテルとか観光業界の人たちにとっても大事なことだと思います。
この辺の基準とか手順、それはどういうふうに考えているんでしょうか。
○赤羽国務大臣 基準については、きょうの委員会でも再三御答弁しているとおりですが、政府の対策本部の分科会で、ある都道府県がステージ3と判断された場合には、GoToトラベル事業に係る感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい、そして、そのいずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県と調整する必要があるという提言をいただいておりますので、こうしたことを踏まえて、しっかりとこのプロセスにのっとってやっていかなければいけない。
御質問のもう一つの点ですが、やはり、これはGoToイートと違って、私の理解は、GoToトラベルは事前に予約をしている場合が大半ですから、そのリードタイムというか、参加される事業者また旅行者の皆さんに対しても一定の周知期間というのは設けなければいけないというふうに考えております。
加えて、キャンセル云々についても、これは感染拡大防止という観点から、旅行者の皆さんにちゅうちょなくキャンセルをしていただける環境をつくる、こうした意味で、前回もキャンセル料は取らない、また、事業者について、実損部分については国が負担するということで整備をしておりますので、もし仮にそういうような状態になって、キャンセルについての対応も必要であれば、同じような対応になるというふうに承知をしております。
○古川(元)委員 今大臣がおっしゃった一定の周知期間というのは、大体どれくらいをイメージしているんですか。一週間ですか、二週間ですか、どれくらいですか。
○蒲生政府参考人 現場での混乱や、又は事業者における準備の関係もございます。
特にシステム関係などにつきましての準備も必要になりますので、一定程度の期間が必要になると思いますが、感染拡大の状況などを踏まえますと余り長い時間はとれないと思っておりますので、一週間か二週間ぐらいとなるのかなというふうに私としては考えておるところでございますが、いずれにしましても、専門家の皆様の御意見などを踏まえて、政府の方針に従って対応することになろうかと思っております。
○古川(元)委員 大臣、コロナとつき合っていくためには、当分の間、やはり、感染防止のブレーキと、そしてそういう中で経済活動を何とかするというアクセル、これをうまくいいあんばいで、どっちを踏んで離してとやる。ブレーキは、やはり急ブレーキは危ないんですよ。急ブレーキでなくて、やはり優しくブレーキを踏んでいかなきゃいけない。
そういった意味では、いろいろなところの混乱を防ぐためには、一定の周知期間、できるだけこれはやはりある程度長くあった方が、それはソフトランディングしていくんだと思いますし、ただ、急に全部やめるとかそういうことじゃなくて、やはり、徐々にいろいろな制約をしていくとか、そういう、ちゃんとある程度客観的な基準とか。
今の長官の話だと、またこれは一週間か二週間と。一週間と二週間は全然違いますからね。やはりこの辺も、リードタイム、こういうふうですということを事前に、予測可能なように、ちゃんとそこは具体的な、一定の周知期間とかそういう抽象的な話じゃなく決めていただく、そういうことが大事だと思いますので、ぜひそういった意味で、基準とか手順というものを客観的に明確にわかるようにしていただきたいというふうに思います。
その上で、次に、この間、GoToトラベル、いろいろやってきました。この間、いろいろな問題もあったと思います。
大臣として、これまでの成果とか、あるいは問題点、どのようにこれを政府として分析して評価しているのか、それについて御答弁いただきたいと思います。
○赤羽国務大臣 これは繰り返し御答弁もしておりますが、ウイズコロナ時代における感染拡大防止と経済社会活動の両立ということを目的として、新たな旅のスタイルの定着、普及を目指した、それも、旅行業者とお客さん、国民の皆さんの相互の協力によってこれを何とか成功させたいということで始めさせていただいている。やはり相当大きな試みでありますし、全国で人が動くということで、それなりのリスクがあるのではないかということを大変心配もしながら、専門家の皆さんと相談をしながら始めたわけでございます。
全国の知事会も、当初は全国一斉に行けるような制度ではなくて、地元とか周辺に限らないかという御提言もいただきました。物理的な仕組みは難しくて、なかなかそういう制度をいじるということはできなかったんですが、七月、八月の分析をしますと、ほとんどの地域が、地元若しくは近隣の皆さんが来られている。それも、マイカーを使われて、長距離の新幹線とか飛行機はなかなか使われなかったということで、国民の皆様が懸命に自衛的な対応で利用されていた。そして、九月のシルバーウイークぐらいから、加えて十月一日の東京発着と地域共通クーポンの利用可能ということから相当勢いが出てきたのではないか。
私、この間、二十二カ所の地域で、観光関係、運輸関係の皆さんと懇談を一カ所二時間ずつぐらいやらせていただいておりますが、本当に、このGoToトラベルがあって、何とか廃業の危機というのを考えなきゃいけないところを乗り切ることができたというふうなことも言っていただいておりますし、もうちょっと細かいことを言いますと、観光地の中でも、お土産物屋さんというのはなかなか、当初全然売上げがなかった。これは、やはりこういうときですから、なかなか行った人もお土産を買って近所に配るというような雰囲気がなかった。しかし、この十月一日から地域共通クーポンがあって、そうしたことも随分地元の消費が進んで大変ありがたいというお声も聞いたということは、大変やってよかったな、こう思っております。
他方で、大世帯なものですから、さまざまなことがあって、現場の皆さんに御迷惑をかけている部分もございますが、先ほど御答弁も長官からありましたが、十月一日以降、特に急激な利用の増加によって、一部事業者において割引上限額の引下げというような、こちらが想定していないことが発生したことですとか、あと、運転免許、先ほど申し上げましたが、観光を目的にという以外の旅行商品の造成をしてちょっと混乱があったとか、また、ちょっと事業者の皆さんへの給付金の支払いに時間を要しているとか、さまざまな運用上の課題が生じているのも事実でございます。
こうしたことについては、一つ一つ、今、観光庁とGoToトラベルの事務局と定期協議というのをしっかり持ちながら、長官と向こうの責任者のトップで、それぞれの部門の責任者が集って、そこで決めたことは全部徹底する、ですから、そこで決まったことはGoToトラベル事業のホームページに載せる、そして参加事業者には全部メールを送って周知徹底する、こうしたことを行っているわけでございます。それが今の現状でございまして。
今、予算がある限り、こうした感染拡大防止を前提とした地域経済の再生というこの当初の目的をしっかりと実現できるように、緊張感を持ちながら遂行していきたいと思っております。
○古川(元)委員 大臣、これはやはり税金で賄われている事業です。もちろん効果があることは間違いないと思っていますが、一方で、公平性とか公正性の観点からさまざまな問題も指摘されているわけであって、そういうところはやはりきちっと見直しをしていかなきゃいけないんじゃないか。
特に、ちょっとさっきの大臣の、前の井上さんの答弁で言っていたのは、延長は、一月以降、まだするかしないかは決めていないんですか、今の段階では。もう延長することは決まったのか、あるいはまだ決まっていないのか。延長するというのを決めるんだったら、いつごろぐらいに決めるのか。やはりこれも予見可能性とかそういうのがありますから、その点は、大臣、どういうお考えなのか、そこを教えていただけますか。
○赤羽国務大臣 延長をするには予算の裏づけがなければできませんし、これは第三次の補正予算ということになるかと思いますので、その予算編成が成らない段階では、私のレベルで決定云々ということはお答えすることはできないところではありますが、私は、国土交通省の責任者としては、延長は求めていきたい、こう思っておりますし、事業者の皆さんからもよく言われて、なるべく早く、まさに予見性を持ってアナウンスをしてもらった方が予約の入り方等々があるということは十分承知をしておりますので、そうしたことは踏まえながら財務当局とも折衝していかなければいけないと思っています。
○古川(元)委員 私は、ちゃんと制度を見直した上での延長はあっていいんじゃないかと思うんですが、いろいろな問題点を正していく、そのことはぜひ、制度の抜本的見直しをしていただきたいということをお願いしたいと思います。
次に、公共の交通機関の支援についてお伺いしたいと思うんです。
さっき大臣もおっしゃいましたけれども、GoToトラベルで結構マイカーを利用している。実は、密を気にして、余り電車とかバスとかそういう公共交通機関を利用しないで使っている人が多いんですね。
しかも、GoToトラベルはやはり基本的に宿泊などとセットじゃないと、単に鉄道やバスとか船とか飛行機を利用するだけではだめなので、なかなか乗客が、公共交通機関、ふえている効果は限定的なんですね。御存じのように、航空会社は非常に深刻ですけれども、それ以外のところも、鉄道会社等を含め、経営状況が非常に悪化しています。
こういう状況はまだしばらく続くんじゃないかと思うんですが、そういうことを考えると、もうちょっと公共交通機関の乗客をふやすことに目的を絞った何か施策を打つ必要があるんじゃないか。例えば、名前は、GoToトラベルに並べれば、GoToライドというような、そういう名前ででも支援策を検討してはどうかと思うんですね。
ただ、これをやるときに、GoToトラベルみたいに、GoToトラベルは、要するに、ホテルとか旅館とか観光業の人の支援だといいますけれども、実際にはこれは利用者に支援するという形。だから、一部の人に偏っているとか、大手のところとかに偏ったり、そういう問題点があるわけでありますから、そういう、利用者に支援するという意味じゃなくて、需要をふやすために、各公共の交通機関、鉄道会社でもバス会社でも、あるいは船舶でも、そういう会社が独自のアイデアで行う需要喚起策、その実施の費用を補助する。
そういった意味では、今、これは経産省の方だと思いますけれども、GoTo商店街、イベントとか何かをやるのにもそこの支援でしますけれども、そういうような形で、乗客がなかなか戻ってこない、それで経営が大変厳しい、こういう公共交通機関を支援する、そういう施策を検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 公共交通機関の質問に答える前に、先ほどGoToトラベルの高級旅館云々という話は、そういうことを言われていますけれども、途中の分析ではありますけれども、宿泊単品では一万円未満のものが約六四%を占めているですとか、平均宿泊は今一万三千円台だとかというのが数字でございます。こうしたことはしっかりとアナウンスをしていきたいと思います。
それとは別に、公共交通機関の維持というのは、これもきょうの御質問で答弁させていただいたとおりでありますけれども、もともと、少子高齢化、人口減少化の地域で公共交通を維持するというのが大変厳しい中で、新型コロナウイルス感染症禍というのは大変ダメージであって、私は、コロナウイルスがおさまった後に公共交通機関というのが本当に維持ができるのかどうかというのは、相当深刻に考えています。
残念ながら、いろいろな間接的な支援というのはあるんですけれども、国交省としては、その支援がなかなか、ないとは言わないんだけれども、額も小さいので、路線バスがしっかりと路線を維持できるような支援というのを令和三年度の当初予算また今回の補正予算も含めてしっかりと獲得しなければいけないということで、これは省を挙げての取組をしていきたい、こう思っております。
あと、なかなかGoToライドというのを、ちょっとなかなか、御提案ですけれども、乗り物に乗るためにというより、それは、我々国交省の立場でいいますと、例えば、バスが今換気に対して懸念があるとすれば、バスの換気というのは非常に精度が高いということをホームページとかで国交省でもアナウンスをしておりますが、そうしたことをアナウンスして応援をしていくとか、あとは、もう少し言いますと、まちづくりで、高齢者が多くても、地元の鉄道というか、例えば富山市なんかは典型的な例だと思いますけれども、地元で公共交通機関が使いやすくなるようなまちづくりを進めていく。これは通常国会で法改正もさせていただきましたので、そうしたことも当然配慮しながら進めていかなければいけないんじゃないか。
そういうことが中長期的な意味での公共交通機関を維持することなのではないかと思いますが、GoToライドで古川先生が何か具体的なアイデアがあれば、また御指導いただければと思いますので、よろしくお願いします。
○古川(元)委員 本当に、ただでさえ人口減少とかで公共交通機関の将来経営も厳しいというふうに見られたところに今回のコロナ禍で、相当、これは本当に将来的に考えてもやはり深刻な状況になってきているんだと思うんですね。
しかも、やはり密を避けようと思ったら、じゃ、乗客が減ったから本数を減らしましょうとやったら、これは密になっちゃうからということで、要するに、本数を減らす、それでまた本数が減れば減るだけ不便になるから、また利用者も減るという悪循環に陥っていっちゃいますから、そういった意味では、密を避け、かつ利用者の利便性を維持しというふうになると、どんどん走らせれば走らせるほど、動かせば動かすほど赤字になってもやはりやっていかなきゃいけない。
でも、そこは、国として、言ってみれば、こういうものというのは血管と同じなので、やはり一度途絶えてしまったら、なかなかもとに戻すというのは非常に難しい。ですから、やはりそういった意味では、この厳しい局面、将来に向けてしっかり支えていくんだと。
ちょっと、今までと全く局面の違う、発想の違う形で、こういう公共交通機関に対する支援というものを国土交通省として考えていくべきじゃないかと思いますが、時間になりましたので、最後にちょっと大臣の決意をお聞かせいただければと思います。
○赤羽国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりですが、これまでの延長ではなくて、国交省としても、ちょっと腰を据えて財政当局と交渉して、しっかりした支援策を講じるべく頑張っていきたいと思っております。
ぜひ応援をよろしくお願いいたします。
○古川(元)委員 それでは、時間になりました。終わります。どうもありがとうございました。
○あかま委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十二分散会