衆議院

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第4号 令和2年11月27日(金曜日)

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令和二年十一月二十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 あかま二郎君

   理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君

   理事 土井  亨君 理事 平口  洋君

   理事 簗  和生君 理事 城井  崇君

   理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    泉田 裕彦君

      岩田 和親君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    加藤 鮎子君

      門  博文君    金子 恭之君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      国光あやの君    小林 茂樹君

      鈴木 貴子君    田中 英之君

      田中 良生君    高木  啓君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      中村 裕之君    鳩山 二郎君

      深澤 陽一君    堀井  学君

      三ッ矢憲生君    宮崎 政久君

      山本  拓君    荒井  聰君

      伊藤 俊輔君    岡本 充功君

      辻元 清美君    広田  一君

      松田  功君    道下 大樹君

      山本和嘉子君    北側 一雄君

      高橋千鶴子君    井上 英孝君

      古川 元久君

    …………………………………

   国土交通大臣

   国務大臣         赤羽 一嘉君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   国土交通副大臣      岩井 茂樹君

   国土交通大臣政務官    小林 茂樹君

   国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室次長)         吾郷 俊樹君

   政府参考人

   (内閣官房成長戦略会議事務局次長)        松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            中原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  吉岡 幹夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  高田 昌行君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 後藤 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 金井  甲君

   政府参考人

   (観光庁長官)      蒲生 篤実君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (気象庁長官)      関田 康雄君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     中曽根康隆君

  門  博文君     宮崎 政久君

  金子 恭之君     国光あやの君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     金子 恭之君

  中曽根康隆君     加藤 鮎子君

  宮崎 政久君     門  博文君

    ―――――――――――――

十一月二十七日

 国土交通行政を担う組織・体制の拡充と職員の確保に関する請願(池田真紀君紹介)(第五一一号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第五一二号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第五一三号)

 同(山岡達丸君紹介)(第五一四号)

 同(稲富修二君紹介)(第五八一号)

 同(大岡敏孝君紹介)(第五八二号)

 同(神谷裕君紹介)(第五八三号)

 同(櫻井周君紹介)(第五八四号)

 同(清水忠史君紹介)(第五八五号)

 同(武内則男君紹介)(第五八六号)

 同(寺田学君紹介)(第五八七号)

 同(福田昭夫君紹介)(第五八八号)

 同(本多平直君紹介)(第五八九号)

 同(松田功君紹介)(第五九〇号)

 同(道下大樹君紹介)(第五九一号)

 同(宮本徹君紹介)(第五九二号)

 同(本村伸子君紹介)(第五九三号)

 同(森田俊和君紹介)(第五九四号)

 同(柚木道義君紹介)(第五九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

あかま委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、国土政策局長中原淳君、水管理・国土保全局長井上智夫君、道路局長吉岡幹夫君、住宅局長和田信貴君、鉄道局長上原淳君、自動車局長秡川直也君、港湾局長高田昌行君、北海道局長後藤貞二君、政策統括官金井甲君、観光庁長官蒲生篤実君、審議官高田陽介君、気象庁長官関田康雄君、内閣官房アイヌ総合政策室次長吾郷俊樹君、成長戦略会議事務局次長松浦克巳君、内閣審議官梶尾雅宏君及び厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。深澤陽一君。

深澤委員 おはようございます。自由民主党の深澤陽一です。

 今回、初めて国土交通委員会の場で質問をさせていただく機会をいただきました。自民党の理事の皆様を始め、諸先輩方に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 さて、今回は、この質問の直前の十一月二十五日に、国土交通委員会として、運輸業や宿泊業界の皆様とGoToトラベルについて視察を兼ねて意見交換を行いまして、そこに私も参加をさせていただきました。そのことを中心に質問をさせていただきたいと思いますが、その前に一つお伺いしたいというふうに思います。

 私は、本年四月二十六日に行われました静岡第四区の補欠選挙で初当選を果たすことができました。静岡四区は、それまでは、昨年十二月十九日に御逝去された望月義夫先生が同選挙区を担われておられました。私が言うまでもなく、望月義夫先生は、国土交通行政に非常に精通され、地元の港湾、道路、治山、砂防、都市計画への御尽力はもとより、特に港湾政策に関しましては、全国の港湾を有する地域の皆様から大変頼られた存在でありました。また、それに応えてこられたと承知をしております。

 私がこの国土交通委員会に所属をさせていただいているのも、地元の皆様を始め多くの方から、望月先生が残された経験、思想、また事業をしっかりと継承していただきたいという思いを感じての面がございます。一朝一夕にはかないませんが、委員長を始め委員の皆様に御指導いただきながら、地元の皆様、そして国民の皆様の期待に応えられるよう、当委員会で努力をしてまいる所存ですので、よろしくお願いいたします。

 そこで、まずは、地元のことで大変恐縮ではございますが、清水港の港湾整備についてお伺いしたいと思います。

 清水港は、大型のコンテナ、パルプ船を受け入れられる物流機能を有し、クルーズ船対応や観光拠点として、国内だけでなく、インバウンドの受皿にもなって、さらには農林水産物の輸出拠点としても機能を有する、日本の産業サプライチェーンを担う港であります。そして、今後も、時代の変化に伴い、さらなる機能強化が求められておりますが、今後の清水港の港湾整備について、国土交通省としての現状の認識と今後についてお考えをお伺いしたいと思います。

高田(昌)政府参考人 お答えいたします。

 開港百二十一年目を迎える清水港は、自動車産業や製紙業等を始めとした地域の基幹産業を支える海上交通の重要な拠点として、清水の町とともに大きく発展を遂げてまいりました。

 具体的には、新興津地区に二〇一三年に二バース目が供用された高規格コンテナターミナルを中心に取り扱われるコンテナ貨物は、二〇一九年には全国第八位、約五十六万TEUのコンテナ取扱量を誇っております。

 また、日の出地区に二〇一七年に供用された岸壁で受け入れているクルーズ船については、現在でこそコロナ禍の中で非常に厳しい状況ではありますが、昨年の寄港回数は二〇一五年の四倍の四十回を達成したところであります。

 さらに、二〇二一年に予定されている中部横断自動車道の全線開通により、背後圏の拡大とさらなる利便性の向上が見込まれる中、農林水産物、食品の輸出拡大や物流の効率化、低炭素化に向けた検討など、官民が一体となって清水港の活性化や機能強化に向けて取り組まれていると承知をしております。

 国土交通省といたしましても、港湾における防災機能の強化のための津波に対する防波堤の粘り強い化や、農林水産物、食品輸出促進のための施設整備に対する支援を行ってきたところであります。

 一方で、地元からは、大水深岸壁が不足し、大型パルプ船等が滞船しているといった課題があるとお聞きをしております。国土交通省といたしましては、御地元の要望を丁寧に伺いながら、今後とも清水港の機能強化に向けた取組を着実に進めてまいります。

深澤委員 御答弁ありがとうございました。

 まさに、清水港、函館とともに、農林水産物の輸出拠点として整備をされております。今後、農水産物の輸出、今一兆円弱でありますが、二〇三〇年までに五兆円を目指す、そのために、今、農水大臣が中心でありますけれども、これはもうインフラを有する、まさに国土交通省の所管の事項だと思っておりますので、ぜひ国土交通大臣始め多くの皆様の御尽力を、また活用をぜひお願いしたいと思っております。

 続きまして、GoToトラベル事業についてお伺いいたします。

 今月二十一日に菅総理大臣が、新型コロナウイルス感染症対策分科会からの提言を受けて、GoToトラベル事業の運用見直しを表明され、既に鈴木北海道知事、吉村大阪府知事が、それぞれ札幌市、大阪市におけるGoToトラベル事業の停止の表明をされ、それを踏まえて関係閣僚がGoToトラベルからの一時除外を決定いたしました。

 分科会からの提言の中では、もともと、政府も分科会も、新型コロナ感染状況がステージ3になった場合、対象の都道府県を事業の対象外にすることを検討していたため、今回、一部の地域でステージ3若しくはステージ3相当の地域があると分科会が判断したため、政府に対して今まで以上に強い対策を求めた提言を提出されたと御説明をされております。そして、再びステージ2になれば、事業の再開も求められております。

 また、提言では、都道府県知事の意見も踏まえ、検討すべきと示されていたため、今回対象となる都道府県知事に御意見を伺ったのだと思います。しかし、このお伺いが、知事側に判断も責任もあると受けとめられてしまっている印象を受けます。あくまで除外の決定は政府側で、都道府県知事は助言者でありますが、連携を求めている都道府県に対して、改めて、政府として、判断は政府側にあるということを確認をさせてください。

 そして、引き続き、社会経済活動を支えるためにGoToトラベル事業は必要であると認識しておりますが、今回、一部で事業が停止されることで自粛ムードが全国的に広がり、社会経済活動が再び弱くなることが予想されます。今後の計画を見直しながら、GoToトラベル事業の継続を前向きに検討し直す必要があると私は思っておりますが、GoToトラベル事業の現状の認識と今後について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

岩井副大臣 深澤委員にお答えをいたします。

 政府の分科会からは、従来、ある都道府県がステージ3相当と判断された場合には、GoToトラベル事業に係る感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい、また、いずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県と調整をする必要があるとの提言をいただいているところでございます。

 これに加え、十一月二十日に開催された分科会からは、「感染拡大地域においては、都道府県知事の意見も踏まえ、一部区域の除外を含め、国としてGo To Travel事業の運用のあり方について、早急に検討して頂きたい。」との提言もいただいたところでございます。

 GoToトラベル事業は国が実施する事業でございますので、事業の運用に関する判断は国が最終的に行いますが、その判断に当たっては、分科会のこれまでの提言に沿って、各都道府県の感染状況に関する都道府県知事の判断も十分に踏まえる必要がございます。

 引き続き、政府として、都道府県知事としっかり連携をとらせていただきながら、関係閣僚で協力をして、適切に事業を運用してまいりたいと考えております。

 また、事業の効果と運用の方針ということでございますが、まず、効果については、本事業においては、十月一日より、東京を発着する旅行も支援の対象に含めたことに加え、地域共通クーポンの利用も開始させていただいた結果、事業開始の七月二十二日から十月三十一日までの利用実績は、宿泊割引の利用者数は少なくとも延べ約三千九百七十六万人、割引支援額は約一千八百八十六億円、地域共通クーポンの利用実績につきましては、十月一日から十一月九日まで、少なくとも約二百一億円となっております。

 GoToトラベル事業開始以降、宿泊、旅行を始め、新幹線や航空等の交通分野においても営業状況は改善しつつあり、十月以降、特に旅行会社の予約人員や国内航空の輸送人員に伸びが見られます。また、多くの観光・交通関係企業からも、GoToトラベル事業に対する高い評価、今後への期待を多くいただいているところでございます。

 運用方針でございますが、本事業が感染拡大の要因となってはならないことは言うまでもないことでありまして、引き続き、高い警戒心を持って感染状況を注視するとともに、感染拡大防止に向けた取組を徹底し、都道府県ともしっかりと緊密に連携を図らせていただきながら、命と暮らしを守り抜くために適切な運用を今後とも行っていきたいと思っております。

深澤委員 岩井副大臣、御答弁ありがとうございました。

 今、国が実施する事業であって、GoToトラベルは国が判断をするということで明確にお答えをいただきました。これからも、都道府県との連携、あるいは必要によっては市町村との連携、これが重要になってまいりますので、ぜひとも、これからも国が全面的にしっかりと責任を担って、立場を担って頑張っていただきたいと思います。

 もう一つだけ、あえて意見で申し上げますけれども、GoToキャンペーン、これはベターな政策でありまして、ベストな政策ではないということをやはり考えていただきたいと思います。

 GoToトラベルで非常ににぎわっている、一方で、地域で、例えばこれはイートの話なので関係ないんですけれども、トラベルじゃないんですけれども、今まで地元のお客様、今までのなじみのお客様を大事にしている個店や、あるいは小規模なお店ですと、どちらかというと、GoToイートやGoToトラベルに頼らず、今までの方を大切にしてこられた。それが、GoToトラベルで一見さん、あるいはたまたま寄られたお客さんが来て、その店じゃなくても、近所でクラスターなり感染が発生すると、一夜にしてお客さんが来なくなってしまうというようなことがありまして、実は最近も、すぐにGoToトラベルやめてくれ、GoToキャンペーンやめてくれというLINEが、メッセージが結構来まして、そういった意味では決してベストな政策じゃない、ベターな政策である中で、これは、大きな観点ではやらなきゃいけない、継続しなきゃいけないけれども、そういった細かなところまで御配慮をいただきまして、政策に反映できる部分はできる限り政策に反映していただきたい、このようなお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、GoToトラベル事業のうち、十一月二十五日、国交委員会で行った視察に基づいて質問をさせていただきたいと思います。

 まずは運輸業について、タクシー、ハイヤー事業の日本交通株式会社と、貸切りバス、乗り合いバス事業を行う東京バス株式会社に伺ってまいりました。

 日本交通においては、特にタクシー事業に関しては、日中は通常の利用状況には近づいてきましたが、夜の利用が戻らない分、そのままマイナスに影響しているとの現状を伺いました。

 また、東京バスにおいては、貸切りバスの利用のほとんどが修学旅行であったため、修学旅行の目的地として東京が外されてしまっている中では大変厳しいという話も伺いました。

 そのような中で、タクシーに関しては、ウイルスを除去する高性能フィルターを設置し、その効果を見える化するためのモニターまで設置したニューノーマルタクシーの導入を進めておられ、貸切りバスに関しては、もともと換気性能にすぐれていることから、そのことをアピールするために、バス自体にみずからの高い換気性能をアピールするラッピングバスの普及に努めておられました。

 それぞれ、今自分たちでできる努力をしており、政府としても彼らの努力を後押しするための力強い対策が求められておりますが、最近のタクシー業界及びバス業界の経営状況と国土交通省による支援についてお答えいただきたいと思います。

秡川政府参考人 お答えいたします。

 タクシーですけれども、まず、昨年の十月に比べまして、ことしの十月は輸送人員が二五%減少、それから、貸切りバスにつきましては、十月の車両の稼働率が四〇%ということで、一番悪い月はことしの五月だったんですけれども、そのときに比べれば改善はしていますが、依然として厳しい状況というふうに認識しております。

 そのため、今御紹介ありましたけれども、この間御視察いただきました、高性能フィルターによって車内のウイルスを除去するとともに、車内の空気清浄状態をモニターによってお客さんに見える化するということを進めているところであります。

 また、貸切りバスのすぐれた換気性能、ラッピングバスの御紹介をいただきましたが、そのバスの換気性能のわかりやすいチラシをつくって全国の学校に配付するとか、あと、きのうニュースでやっていましたけれども、タクシーの換気性能をスーパーコンピューターの「富岳」で分析をしていただきまして、その結果、エアコンをかけて窓を閉めた状態で九十秒で車内の空気が完全に換気される、非常に換気性能がいいということも科学的に実証していただいております。

 このような取組を通じまして、車内での感染リスクを抑えるとともに、利用者の不安を解消することで、タクシーとか貸切りバスを積極的に御利用いただける環境をつくってまいりたいというふうに考えております。

深澤委員 御答弁ありがとうございました。

 やはり、見える化、いかに利用者に見てもらうか、確認してもらうかということが大事だと思いますので、さらなるテクノロジーを使った、導入したそれぞれのサービスの充実に向けて、ぜひさらなる支援をお願いしたいと思います。

 最後に、視察の中で、宿泊業界についてお伺いします。

 日本ホテル株式会社とは対面で、沖縄にありますカヌチャベイリゾートあるいは城崎温泉旅館協同組合とはリモートで、それぞれ意見交換を行いました。

 その中で、日本ホテル株式会社からは、先ほどの東京バスさんと同じように、東京は危ないというイメージから機会損失が起こっている、そのための需要喚起策をお願いをされました。

 また、カヌチャベイリゾートからは、不確かな情報で沖縄の状況を判断されてしまっていると感じており、新型コロナウイルスに関するしっかりとしたデータ開示と、さまざまな対策の意思決定のプロセスの明確化を求められました。

 国民みずから安全か安全でないかを判断するための情報提供というのは、何をもって安全かという難しい問題はありますが、より詳細でわかりやすい新型コロナに関する情報提供は必要だというふうに思います。

 全国旅館生活衛生同業組合連合会の中でも、コロナ禍における対策として、百五十もの項目のチェックマニュアルを一万五千の会員に配付して、経営が厳しい中でもお客様を受け入れる態勢の努力をしていただいております。

 宿泊業界に関しては、それぞれできる限りの感染防止対策をやっていただいておりますが、しかし、国民に安心を与え、行動につなげるまでは至っていないというふうに感じております。そういったところに政府の支援が必要だと思います。

 GoToトラベル事業に関しては一定の効果があるという御意見もいただきましたけれども、新型コロナウイルスに多大な影響を受けている宿泊業界に対して、観光庁としての現状の認識と、今後の支援策についてのお考えをお答えいただきたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 宿泊業を始めとした観光関連産業は、新型コロナウイルス感染症発生直後より大変深刻なダメージを受けているところでございます。

 このような状況を踏まえまして、これまで、各運輸局に特別相談窓口を設けるなど、新型コロナウイルス感染症による影響や事業者のニーズを把握すべく積極的に取り組んでおり、それらの声を踏まえまして、新型コロナウイルス感染症拡大防止、事業の継続と雇用の維持、失われた観光需要の回復の三点について、重点的な支援を実施してまいりました。

 このうち観光庁では、新型コロナウイルス感染症拡大防止につきまして、宿泊関連事業者への支援として、令和二年度当初予算や令和二年度第一次補正予算等において計上した予算制度を活用し、例えば、三密を避け、ゆったりと過ごせる客室内浴室、食事・滞在スペース等の整備、施設内での感染拡大を未然に防ぐためのサーモグラフィー等の導入、ワーケーション実施のためのWiFi環境、スペースの整備、各施設での感染症対策を実施する際の従業員向け研修などへの支援を行っているところでございます。

 また、先進的な感染症対策に取り組む宿泊施設に、課題解決に向けた多様な分野の専門家を派遣する宿泊施設アドバイザー派遣事業によるサポートも含めまして、こうした支援制度を活用しながら、安全で安心な新しい旅のスタイルのもとでの新たなビジネス展開の取組を支援しているところでございます。

 事業の継続と雇用の維持につきましては、政府部内の関係各所に働きかけ、これまで、雇用調整助成金の要件緩和や持続化給付金制度の創設、NHK受信料の免除などを実現してきたほか、令和二年度第二次補正予算におきましても、雇用調整助成金の上限額の引上げや、実質無利子無担保融資の融資限度額等の引上げなど、さらなる支援策が盛り込まれておるところでございます。

 また、令和二年度第二次補正予算におきましても、中小企業経営力強化支援ファンドの創設など、観光関連産業において活用可能な資本性支援策も設けられているところでございます。

 これらの取組によりまして、雇用調整助成金は約八割の宿泊事業者が活用し、また、八割の宿泊事業者が各種資金繰り支援策の給付を受けるなど、一定の支援が届けられております。

 さらに、観光需要の回復につきましては、七月からスタートしたGoToトラベル事業によりまして進めているところでございます。

 観光庁といたしましては、引き続き、関係省庁と連携し、安全で安心な新しい旅のスタイルに対応した感染症対策等に関する個別の取組を支援してまいる所存でございます。

 以上でございます。

深澤委員 少しオーバーしました。失礼しました。

 ありがとうございました。

あかま委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 さきの大臣所信に対する質疑でも、岡本委員の方から、住宅政策におけるURの役割についての質問もありました。とてもいい質問でありまして、私も、その問題意識、共有をするところでございます。私の地元も多摩ニュータウンを始めとする多くのUR住宅を抱える地域でございまして、私からも、これからのURの役割等についても幾つか質問させていただきたいというふうに思っています。

 日本のUR住宅は、同じ年代の方々が一気に入居をし、四十年、五十年がたって一気に高齢化となっていることをベースにして、家賃の問題や、あるいはエレベーターの設置を含むバリアフリーの問題、あるいは建てかえの問題や空室の対策、若い世代にも住みたいと思っていただけるような住宅の環境、あるいはコミュニティーや商店街の維持など、解決できていない問題は日々大きくなっているのではないかというふうに感じております。

 特に、家賃の問題とバリアフリーの問題等で、結果的に長年住み続けていた住宅から出ていかざるを得ない方が出てくるとすれば、それをできる限り守れる手だてが必要だというふうに思っています。

 そのセーフティーネット、守る役割がこのURにはあるんだというふうに思っていますが、御承知のとおり、URは、住宅に困窮する勤労者の、中所得者層への住宅供給の役割をこれまで果たしてきた。時代が大きく変わって、現在においても、そもそも、低所得者向けの住宅ではないという認識を強く持っているというふうに感じております。

 私は、ここが根っこの部分ではないかなというふうに常々感じておりますけれども、住宅セーフティーネット法でも、UR住宅も、公営住宅などともに公的賃貸住宅の一つとして、高齢者を含めた住宅確保要配慮者に対するセーフティーネットの一角を担うものと位置づけられております。

 改めて、時代とともに、これからのUR住宅の役割として、低所得者の方々を始めとする、格差を解消できるような、セーフティーネットの役割を担っているということをより明確にするべきだと思いますが、赤羽大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 伊藤委員におかれましては、この委員会のたびごとに、このUR賃貸住宅についてさまざまな御懸念とか課題を提示していただいて建設的な意見をいただいておりますことに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 UR住宅につきまして、今お話がありましたように、当時は、戦後の日本の経済の高度成長期の中で、住宅事情が大変足りないときにつくった、公的な、いわゆる中間所得層、中堅サラリーマン層の新しいタイプの住宅だった、そう思っておりますが、これは、時の経過とともに入居者も高齢化をされ、多くが定年退職されている。所得も随分、現役のときより当然のように減っている。その中で、そうしたUR住宅のあり方ということも変化せざるを得ない。

 他方で、国が持っているというか、公営住宅というのは基本的には地方自治体のあれですから、国としては、このUR住宅をどう活用していくのかというのは大変重要な課題だというふうに思っております。

 いっとき、行政改革の中で、UR住宅というのを非常にそぎ落とそうというような流れもかつてあったというふうにも承知をしておりますが、今はさまざまな、子育て世帯ですとか高齢者の皆さんとか、なかなか民間の賃貸住宅では入居を断られるような世帯というのも現実にあるわけですし、今回のコロナウイルス禍が長引く中で、収入の激減でなかなか住宅の居住が継続しにくくなったというそういう世帯に対して、国としての施策が行使できる非常に重要な公的な住宅として位置づけなければいけないし、そういう部分を担っているというふうに私は思っております。

 今御指摘のように、民間住宅で入居が拒まれるような、制約を受けがちな弱い立場の方たちの受皿として、住宅セーフティーネットの役割を担っていると思っておりますし、今回のような、コロナ禍のような中で収入の状況が悪くなったときには、そうした実情に応じて、さまざまな対応、UR賃貸住宅はさまざまな部屋もあるし家賃層も随分あるので、今までと同じような居住環境を維持できるという意味では、一つの大きなセーフティーネットの役割を担っている存在だと思っておりますし、そうした位置づけというのは、いろいろな顔がありますけれども、非常に重要なUR賃貸住宅の特性だというふうに思っております。

 ますます、住宅セーフティーネットの役割というのは非常に重要でございます。昨日、参議院の予算委員会でも同様の御質問がありましたので、厚生労働省が、今、住宅確保支援金という形で担っていただいておりますので、セーフティーネット住宅については、厚生労働省ともしっかりと連携をとりながら、両省で責任を持ってフォローしていきたい。その中で、UR賃貸住宅というのは非常に大切な役割を担うことを期待しているというか、そういうふうに捉えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 UR住宅は既に、高優賃と言われる住宅、あるいは健サポ、健康寿命サポート住宅など、一部、低所得、高齢者の方々への家賃の減免等も取り組んでいただいていると思います。

 しかし、残念ながら、既存にお住まいの、これまで長くお住まいの方々においての家賃の減免というものは、現実的にはできていない状態が続いているのではないかという問題を持っております。

 もし健サポのような住宅に引っ越しができれば家賃の減免ということにもつながるんだろうというふうに思いますが、なかなか引っ越しすることも難しい現状、そしてまた、公営住宅など家賃の安い住宅に移動ができれば救済もできますけれども、これもなかなか難しい現状だというふうに思います。

 UR内での柔軟な移動ができるような対策、対応ももちろん必要でございますけれども、結果的に家賃、お金の問題で退去することがないように、退去せざるを得ない、そういう方が出ないように、既存のお住まいの方々の家賃の減免というものも現実的に手だてを講じるべきだというふうに思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 URの賃貸住宅につきましては、一般的に団地の規模が大きく、さまざまな間取り、家賃の住戸があり、募集住戸も一定程度発生しているため、団地内等での住みかえのハードルが比較的低いという特性がございます。このため、収入の変化等により家賃の支払いが困難となった方については、まず同じ団地内で、コミュニティーや生活環境が変化することなく、世帯構成等の変化に応じた間取りの、比較的低廉な家賃のUR賃貸住宅への住みかえができるように、URにおいて丁寧な対応を行っております。

 さらに、URにおきましては、家賃の支払いが困難となった方につきまして、個別の事情に応じて、家賃の支払いを猶予した上で、家賃の分割払いの提案、あるいは住居確保給付金に関する情報提供や行政の福祉窓口の紹介を行うなど、可能な限り、居住の安定を図るため、必要な配慮を行っているところでございます。

 また、こうした取組に加えまして、例えば、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の状況に鑑み、分割支払いの期間については最大十カ月まで延長を行うということとしております。

 国土交通省といたしましては、UR賃貸住宅にお住まいの高齢者等の居住の安定を確保する観点から、引き続き、厚生労働省とも連携しつつ、URに対して、居住者の希望等に丁寧に対応するよう、取り組んでまいりたいと存じます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 さまざまな対策を講じていただいていると思いますけれども、しかしながら、現実的には、近傍同種等の考えもあります。その中から、高優賃や健サポのようなそういう制度、ロジックがないと、家賃の減免ができていない現状なんだろうというふうに思っています。やはり、機構法二十五条四項もありますけれども、家賃の減免というものに関して、現実的に対応できるような対策を強く求めておきたいというふうに思います。

 そして、もう一つ、エレベーターの設置についてお聞きをしたいと思います。

 UR住宅のエレベーターの設置はいまだ不十分な状態だというふうに思っています。

 きょう、資料を二枚、添付をさせていただきました。

 URの住宅、一万五千三百五十一棟のうちで一万六百三十七棟を占める踊り場着床型と言われる階段室型、この三つの部類の一番左のものが一番多いんですけれども、現在、エレベーターの設置率は、一・八%しか設置がされていないという現状です。

 この踊り場着床型は、一棟に対して複数のエレベーターの設置をしなきゃいけないことや、各階段の踊り場ごとに停止するために、各住居まで半階分の階段を上りおりをしなきゃいけないという、完全なバリアフリーになれないということもありますけれども、しかしながら、設置によって、利用者の利便性もそうですし、また、工事中の居住者への負担が少ないというメリットもあって、設置が進められているというふうに思います。

 直近の設置実績も、もう一枚つけさせていただきました。平成二十七年から令和一年まで、これを見る限りでも、なかなか設置状況は少ないというふうに思います。

 さて、大臣も五階建てのエレベーターのない団地を上りおりしたことがあると思いますけれども、非常に厳しい状態だというふうに思います。高齢の方ならなおさら、買物に行く際も、また、忘れ物をしてとりに戻るときも、毎日のことですから切実だというふうに思っています。三階、四階、五階に住んでいる方々は、高齢になれば足腰が弱くなり、いずれは引っ越しを余儀なくされる可能性も極めて高い。若い世代であっても、買物をして、そして子供を抱えてバギーを持って五階まで。若い世代であっても、エレベーターなしの五階というのは望まれないことだろうというふうに思っています。

 事前に、エレベーターのつく計画や、構造上の問題も含めて、設置の可能性みたいなものもわかれば、より早い段階で柔軟な対応ができると思うんですけれども、住んでいる方々や自治会も含めて、その計画は全くわからない状態だということだと思います。

 赤羽大臣も、これまで、UR、住宅政策に熱心に取り組んでいただいているというふうに思います。現在、エレベーターの設置率、そしてそのスピード感を見てどのように感じられるか。これは国がもっと早くの段階で設置をしておかなきゃいけなかった問題ではないかなという問題意識もあります、国の住宅政策として建ててきた建物ですから。

 改めて、URの負担もありますけれども、国がもう少し支援をして、スピード感を持って設置ができるように求めたいと思いますが、見解をお聞きしたいと思います。

赤羽国務大臣 UR賃貸住宅のエレベーターの設置というのは、私自身も相当努力をして、国会でも取り上げてまいりました。ただ、正確に事実関係を申し上げないといけないし、必要であれば局長の答弁でフォローしてもらいたいと思いますが、階段室型の、踊り場型というか、あれは多分、築年としては相当古いと思います。多分このエレベーターの議論が出てきたときにはもう既にその多くが建築をされていて、物理的に、あのときもいろいろな工夫があって、どうやって設置をしようかと。階段の外側に設置をしなければいけない、今、伊藤委員言われたように、それをつけても半階分は階段で上がらなければいけないという、極めて後づけというのは難しいということなんですね。

 工事も、そのときにはカバーをするので、そこの部分の居住者にとっては非常に暗いとか、工事の時間も、非常に難しい工事なのでということもあって、私は、一生懸命やってこなかったことというよりも、技術的に難しいし、また、一階から五階までの十世帯の人たちがやはり喜んでくれないとなかなか工事もできないというふうな背景もあったと思います。

 言わずもがなですけれども、現実は、高層の、六階以上のURについて、全体で三十七万五千戸ありますが、これはもう一〇〇%ついている。これはもう当たり前だと思います。この多くが新しい構造物だと思います。中層の、三階から五階建ての片廊下型というのは、全体で一万八千戸あるうちの、これも八五%ついている。

 一番問題なのは、今申し上げたように、階段室型の、これが一・八%だということであって、なかなかこれは、伊藤さんが出してくれた平成二十七年から正確に言うと二十九年、三カ年で、ちょっと私も何でこんなにこの年だけ少ないんだと。これは、実はその前の年は設置基数は三十二基とか十基とか、それなりに頑張ってきたんだけれども、この三年間だけ特にひどくて、平成三十年四十五基、それ以後は毎年、基本的には四十基のペースでエレベーターの設置をしているということでございます。

 加えて、これが進むように、多分、市町村の負担というのも難しいところもあるかと思うので、バリアフリー法に基づくマスタープラン制度の中に、市町村の区域においてバリアフリー改修工事をした場合は、これまでの補助率を、五分の一から三分の一に引上げをもう実行しているところでございます。

 今できる制約の中でこのバリアフリーの設置を着実に進めていくというのは頑張りますが、それだけじゃなくて、もう少し工夫をしながら、一番大事なのは居住者の方が階段の上りおりという負荷を回避できるような工夫も加えながら、バリアフリー化を全体で進めるというのは私も大賛成なので、そうしたことはしっかりと知恵を出して取り組んでいかなければいけないかなと思っております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 全体的にはエレベーターの設置も取り組んでいただいているんだと思いますが、結果としてこういう現状だという認識を新たにしていただいて、来年、再来年と、この設置率一・八%ができる限り上がるように、また国としての支援も含めてお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、GoToトラベルについてもお聞きをしたいというふうに思います。

 政府は、二十四日、札幌市、大阪市、GoToトラベルの対象から除外ということになりました。東京都はまだ継続はできておりますけれども、これは、東京都がステージ3相当として国へ一時停止の要請がなければ、国から除外することはなく継続をするということでいいのかという点と、そしてまた、除外された地域と除外されていない地域が混在した状態でGoToトラベルがこれからも継続をしていくという認識でいいのか、端的にお伺いしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 政府の分科会からは、九月十一日の分科会におきまして、ある都道府県がステージ3相当と判断された場合には、GoToトラベル事業に係る感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい、いずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県と調整する必要があるとの提言を受けておりました。

 これに加えまして、十一月二十日の分科会では、新たに、感染拡大地域においては、都道府県知事の意見も踏まえ、一部区域の除外を含め、GoToトラベルの運用のあり方について早急に検討していただきたいとの提言がございました。

 札幌市と大阪市を目的地とする旅行につきましては、本事業の適用を一時的に停止する措置は、このように、分科会の提言に基づき、北海道、大阪府の両知事によるステージ3相当との判断及びGoToトラベル事業の一時停止に関する要請を踏まえまして実施するものでございます。

 その他の地域につきましては、引き続き、各都道府県知事と十分に連携しつつ、感染状況等に応じまして適時適切に判断を行ってまいりたいと考えております。

 なお、東京都につきましては、現時点では国の分科会のステージ3相当と判断されたとは承知しておりません。また、感染状況や医療提供体制の状況を最もよく把握している知事の判断を十分に踏まえる必要がありますが、GoToトラベル事業を一時停止すべきとの御意見もいただいておりません。

 いずれにいたしましても、本事業が感染拡大の要因となってはならないということは言うまでもないことであり、引き続き、東京都ともしっかり連携して、感染拡大防止を徹底しつつ、適切に事業を運用してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

伊藤(俊)委員 知事含め、都道府県からの要請がなければこれは継続をしていくということの認識と理解しました。

 一つは、除外された地域においては、発着を、発も着も対象にすべきだというふうに思います。そしてまた、GoToトラベルにおいては、国の事業ですので、最終的に責任を持って国の判断をしていただきたいと思いますし、また、東京都においては、スタート時は除外をされたというスタートがありました。そういったことの判断も、また、再開をする、除外されたところの再開においても、その基準も含めてしっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 そして、今、アジア圏の中でも、中国などは感染拡大を抑えつつ経済回復をしていると思います。韓国や台湾、ベトナムなど、いいところはいろいろ比較をしていかなきゃいけないというふうに思いますが、検査を徹底をして感染拡大防止をしつつ経済を安心して回す方向にシフトをしているそういう国々に対して、日本の場合は、マスクの着用や消毒、手洗いなどの徹底、国民性もあって、国民の努力もあって感染がここまで抑えられてきたからこそ経済との両立という政府の方針なんだろうというふうに理解をしますけれども、現在、感染者がふえてきております。

 医療機関も逼迫をしつつありますし、人の移動によってウイルスの感染拡大の可能性ということも否定はできないという中から、せめて、これからGoToキャンペーンのように経済を回さなきゃいけないという観点から立つと、抗原検査や抗体検査など、できるだけ検査を拡充していくということが大事だということを改めて思います。

 GoToトラベルのような事業を開始する地域に限定してもいいと思いますが、こういう抗原検査のキットなども、今、来年の一月までに二千万個受注できる、そして増産の要請もしているということを聞いております。国土交通省としても、こういう経済を回すための手だてをやるときには、例えばこういう検査も含めてセットにするとか、そういったことの考え方も他省庁と連携をして柔軟に検討していただきたいというふうに思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 伊藤議員の今言われた御提言を別に否定するわけじゃないし、前向きに検討しなければいけないとも思っております。

 改めて申し上げるまでもなく、この新型コロナウイルス感染症がこれだけ長期化し、拡大化している中でどうするか。この五月、六月、緊急事態宣言が出されて、ステイホーム、ほとんど外に誰も出ない、それで一時的におさまって、またそれが解除された。徐々にではあるけれども、経済活動を進めていかなければ、国民の命と暮らしを守るという意味で経済活動もしっかりと支えなければいけない。大変難しい両立だというふうに思っております。

 その中で、コロナウイルスのリスクというのがゼロになかなかならない中で、ウイズコロナ時代における、私の所管は観光業でありますので、新しい旅のスタイルの定着、普及をするためにこのGoToトラベル事業という新しい事業を開始し始めた。

 しかし、それに当たっては、まず、旅行業者、宿泊業者という事業者に対して、大変厳しい感染拡大防止策、全員にチェックインのときに検温をし、調子の悪い方には、必ず保健所に連絡をとる、そしてそれをトレースをするですとか、当然ですけれども、チェックインのときには全部の身分証明を確認するですとか、飲食施設ですとか入浴施設等々の、またエレベーター内の三密対策も行うとか、相当今までの旅行ではあり得ないぐらいのことを求めて、それに応えていただいている。

 加えて、旅行者に対しても同様で、健康状態がすぐれないときは参加しないでほしいということを言ったり、旅行に参加されたら毎朝の検温をするですとか、その中に、実は、COCOA、厚生労働省の推奨しているアプリも、これもしっかりと、全員なかなか義務づけというのはできないんですけれども、それをしっかり導入してやってくれということも書かせていただいて、そういう旅行商品、参加するときには一応誓約をとってやっている。

 それが、ぎりぎりのところでやっている中で、四千万人泊が利用している中で、多分二百人弱ぐらいの、毎日若干、少しずつふえていますけれども、そうしたところで感染の状況がおさめられているというのは、一つのそういう成果ではあるのではないかと思いますが。

 感染症、これから広がるので、今の感染の拡大防止対策でいいとは思っておりませんので、状況を見きわめつつ、今言われたようなことも、これは厚生労働省と少し連絡もしなきゃいけませんし、ちょっと勝手には決められないんですが、そうしたことも含めて感染拡大防止のより強い対策をというのが伊藤議員の御趣旨だと思いますので、それは全くそういう思いでしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 先日、日本医師会の中川会長も会見で、感染防止策が結果的に最強の経済対策になる、こういうことも言われております。できる限り、経済を回すという意味で、あらゆる局面を想定をして対策をとっていただく準備を、他省庁とも連携をしてやっていただきたいというふうに思います。

 そして最後に、先ほどの質問でもありましたけれども、タクシーの空気清浄機の問題を私からも要請をしておきたいというふうに思っています。

 タクシー事業者は、もう御承知のとおり、このコロナ感染症が拡大する中においても、高齢者や妊婦を含むさまざまな地域住民の運送を担うなど、公共交通機関として使命を果たしていただいているというふうに思います。

 二次補正においては、地域公共交通感染拡大防止対策事業において、バス等は対象となって空気清浄機等が設置を進められているかというふうに思います。乗り合いタクシーではない一般タクシーの事業者においてはその補助対象とならなかったということだと思います。

 今、令和三年度の予算概算要求などで、東京オリンピック・パラリンピックなどを見据えて、補助対象としていくことを局長の方で発言されているということも承知をしております。前向きな答弁をいただいていると思います。

 しかしながら、けさのニュースでも、運転手の方が例えばくしゃみをして、これからの冬場ですけれども、窓を閉めていれば、その飛沫の度合いというものはかなり強くなっていくと。これは、運転手側、ドライバー側を守るためにももちろんそうですけれども、ドライバー側から、今、車内での飛沫の検証というものもメーカーでされていると思います。

 そういったことも鑑みると、今目前に迫っている感染拡大防止策としての観点からも、これは早急に導入をするべきだというふうに思います。少なくとも三次補正予算において検討していただきたいと思いますし、予備費の中から例えば早急に対策として求めるということも必要なのではないか、という局面ではないかなというふうに思っています。

 効果もあるということで答弁をされておりますので、ぜひこのタクシー事業者も補助対象として、早急にこの高性能フィルターつきの空気清浄機等の設置に要する経費に対して支援をしていく必要があると思いますので、お願い申し上げたいというふうに思います。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘いただきましたとおり、タクシーは、新型コロナの影響下におきましても、国民生活に不可欠なエッセンシャルサービスとして事業を継続していただく必要があるというふうに考えております。

 そのため、新技術を活用しました高性能フィルターによって車内のウイルスを除去するとともに、車内の空気清浄状態をお客さんに見える化するモニターを導入する、そのことを支援することによって不安を解消していこうということを今検討してございます。

 このような取組を通じて、車内での感染リスクに対するお客さんの不安を解消して、タクシーを積極的に御利用いただけるよう、なるべく早く実現してまいりたいというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 前向きな答弁だと思いますけれども、三次補正あるいは今の予備費からできるだけ早く導入ができるように検討していただきたいというふうに思います。

 大臣、いろいろありがとうございます。URの問題も引き続き御尽力いただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

あかま委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、雇用調整助成金について伺いたいと思います。

 国交省所管分野の交通、運輸、観光など、本当に今回のコロナ禍で甚大な影響を受けている事業者がたくさんあります。本当に、先が見通せない状況だと思っております。

 今のところ、この雇用調整助成金については十二月までとなっております、この特例措置について。私は、十二月末以降も延長はするけれども内容は縮小する方向で検討中という話を聞いておりました。私は、この雇用調整助成金の特例措置の内容を維持した上での延長を強く国交大臣に求めたいというふうに思って質問をしようと思ったんですが、けさ、田村厚生労働大臣が、この特例措置は二月末まで延長するということを記者会見で発表された。上限日額、助成率は現行水準のままというふうに伺っております。これは本当にありがたい話だというふうに思いますけれども。

 しかしながら、それ以降の縮小ということも考えられるのではないか。三月以降、もし延長になっても、こうしたものが感染状況を見て縮小されるおそれもあるというふうに思いますので、私は、引き続き、これらは感染状況をしっかりと見た上で、しかも、なかなか、これは観光も含めてなんですけれども、交通分野、運輸分野、まだまだ影響は長く続くと思いますので、それ以降もしっかりと延長を国交大臣として、これは関係するのは厚生労働省であったり、財務省も大変関係してくると思いますので、強く働きかけていただきたいというお願いとともに、あわせて、公租公課等の負担軽減措置の延長等、これは今は中小企業が対象となっておりますが、大手企業も、大きい企業であっても、これは大変厳しい状況であるのは変わりありません。また、その系列企業も大変な状況にありますので、対象範囲を拡大するよう強く求めたいと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 これは議員が大変よく御承知で、釈迦に説法かと思いますが、公共交通機関また並びに観光業というのは、大変多くの人手をかけてその使命と責任を果たしていただいている、まさにエッセンシャルサービスの業界だというふうに思っております。そんな中で、大変厳しい状況の中、お客さんも少ないのに、公共交通機関ではその路線は維持している。さまざまな御努力に対して、やはり雇用調整助成金の拡充というのは非常に重要だということで、それも政府として実行してまいりました。

 これまでの、十一月六日までに、手元にあるのは、バス、タクシーでは約八百億円、トラックでは約四百億円、航空会社では約三百五十億円、宿泊業では約千六百億円と、総計、この四つの業界で雇用調整助成金は約二兆円弱支給されている。私は、経営の継続という意味では大変大きな効能があったのではないかというふうに思っております。

 そうしたことの中で、この十二月末で終わりということに対する延長を求められ、国土交通省としても、政府の中でしっかりと話をしてまいりました。けさ、田村厚生労働大臣から二月末までの延長ということが発表されましたが、この文言というのは、十二月末までに延長したときの、ごめんなさい、二兆円弱というのは、失礼しました、今の四つの業界だけではなくてということです、全体で、です。

 延長については、十二月末までに延長したときも同じ文言でございますので、別に、今の状況で、特段二月末までに収束するだろうというようなことではなくて、それに向かって努力をするのは当たり前ですけれども、そうした中で、当然、状況を見ながら、適時適切に、業界の皆様の必要に応じた形で国土交通大臣としてはしっかりと要望もし、継続が必要であれば、そうした対応をしていきたい、こう考えております。

 あと、公租公課についても同じようなことで、税制については、まだ、税制改正、年末に向けてでありますけれども、そうした要求は出しておりますし、大手の航空会社、JRについても、これは政策投資銀行の特別な融資等々も駆使しながら、また、航空会社については、航空ネットワークのパッケージの対策もしながら、着陸料の軽減等々、一歩踏み込んだ形もやらせていただいておりますので、いずれにしても、公共交通機関というのは国民生活を支える重要なネットワークだというふうに認識をしておりますので、そうしたことにしっかり、使命に応えていただけるような支援策はしっかりと講じていく決意でございます。

道下委員 力強い御答弁をいただきました。また、公租公課については、大手企業への拡大、範囲を拡大することも、ぜひ強く求めていただきたいというふうに思っております。

 次に、GoToトラベルについて伺いたいと思います。

 今回、答弁者として、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身分科会長にもお越しいただきたいとお願いしたんですが、諸事情により来られないということで、きょうは内閣官房の方々、お越しいただきまして、ありがとうございます。また、尾身分科会長には、落ちついたときにお越しいただいて、お話を伺いたいというふうに思っております。

 新型コロナウイルス感染拡大で甚大な影響、被害を受けている観光関連産業や地域経済への支援を目的として、このGoToトラベルというのは、当初、私は、四月、観光庁から説明を受けたときには、新型コロナの流行収束後に実施する予定ということで説明を受けておりました。そういった観光需要喚起策はいいなというふうに思っておりました。しかしながら、その後、予算が通過した後、収束していない中で事業を開始し始めた。途中で、これはウイズコロナ、ポストコロナじゃなくて、ウイズコロナの新たな観光のあり方を模索していくという実証実験的に進めてきたということは、私はちょっと疑問を感じております。

 そのよしあしはともかくとして、このGoToトラベル事業が、観光関連産業や観光地の経済、また公共交通も含めて、本当に経済に大きな効果をもたらしたということは、私もそのように受けとめております。

 ただ、しかしながら、今、きのうの国内における新型コロナ感染者は二千五百四人と過去二番目、重症者は前日比三十四人増の四百十人と過去最多。死者も二十九人と過去最多に迫る勢いが出ております。また、ごく一部の地域ではなくて、全国的に感染者が拡大をしております。分科会も、そして西村担当大臣も、勝負の三週間である、菅総理もそのようにおっしゃったというふうに思います。

 私は、このままGoToトラベルを続けていいのであろうかと。それこそ、このまま続けてしまうと、全国的にステージ3だとか、又はステージ4に一気に広がってしまうのではないかというふうに非常に危機感を持っております。

 そこで、幾つか伺いたいというふうに思っております。

 まず、分科会が十一月二十日に出した提言において、「Go To Travel事業が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは現在のところ存在しない」と記載されておりますけれども、主要ではなくても要因の一つというふうに分科会として認識しているのでしょうか。事務局を担当する内閣官房として、どのような報告というかニュアンスで受けとめているのか、伺いたいと思います。

梶尾政府参考人 お答え申し上げます。

 GoToトラベル事業においては、検温や体調の確認、換気や消毒、三密の回避、接触確認アプリの利用推奨など、事業者及び旅行者双方における感染防止対策を徹底するということになっているというふうに承知しております。

 御指摘の、十一月二十日の第十六回新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言においては、今御指摘ありましたとおり、「Go To Travel事業が感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは現在のところ存在しない」とされておりますが、今御指摘のありました、要因の一つというような形では報告は受けておらないというところでございます。

道下委員 受けておらないということですか。

梶尾政府参考人 ただいま申し上げました、「感染拡大の主要な要因であるとのエビデンスは現在のところ存在しない」ということでいただいておりまして、それ以外の表現では御報告はいただいていないというところでございます。

道下委員 報告は受けていないということなんですが、これは私は事務局、今、本当はやはり分科会長に伺いたかったんですけれども、報告は受けていないということですが、私は、十一月二十五日の分科会提言でもあれだけ強いメッセージを発して、GoToトラベルの一時停止ということも提言されているということを考えれば、予防的措置ということの意味を踏まえても、何ら主要でもないし要因の一つでもないというふうに私は分科会としては考えていないというふうに思っております。

 第一、エビデンスはないけれども、いろいろな、全国というか、北海道や日本医師会の会長らも、エビデンスはないけれどもGoToトラベルが感染拡大の大きなきっかけとなったというような発言をあちこちでされておりますので、私としては要因の一つであるという認識を持っております。

 次に、分科会十一月二十五日提言で、「必要な感染防止策が行われない場合は、ステージ3相当の対策が必要となる地域とそれ以外の地域との間の往来はなるべく控えること。」というふうに記載がありましたけれども、この「往来」というものは、都道府県の境の移動の自粛も含まれているとの定義で内閣官房として報告を受けているのかどうか、どのようなニュアンスで伝えられているのか、伺いたいと思います。

梶尾政府参考人 十一月二十五日の第十七回新型コロナウイルス感染症対策分科会において、「必要な感染防止策が行われない場合は、ステージ3相当の対策が必要となる地域とそれ以外の地域との間の往来はなるべく控えること。」と提言いただいているところでございます。

 この提言につきましては、ステージ3相当の対策が必要となる地域とそれ以外の地域との間の移動について一律に控えるよう求めるというものではなくて、「必要な感染防止策が行われない場合」、すなわち感染リスクが高い状況を控えてほしいと提言いただいているものというふうに認識しております。

 また、「ステージ3相当の対策が必要となる地域」というのは、必ずしも都道府県全域というふうなことで該当するとは限られておりませんので、そうした場合には都道府県をまたぐ移動の自粛を求めるものにはならないというふうに承知をしてございます。

道下委員 なかなか、この提言というのは非常に、文言、文章をつくるのも大変苦労されていると思いますが、「必要な感染防止策が行われない場合」だとか、先ほどお話があったような「往来」という言葉を一つとっても、読む我々国民にとってみれば非常にわかりづらい。

 そして、この文言の定義だとか、その裏に、行間に含まれているものを踏まえて国民が受けとめる、そして専門家が受けとめるものと、提言に基づいてGoToトラベルについてどうするかというふうに考えている行政機関との認識のずれがあるというふうに私は思っております。

 後でこの「往来」については国交省の方にも聞いていきたいと思いますが、次に、今回提言を受けた形でのGoToトラベルの一時停止について伺いたいと思います。

 先ほども議員から、何人かからお話がありました。北海道と大阪府の両知事から西村担当大臣に対して、ステージ3相当の状況であるため、札幌市と大阪市をGoToトラベルの割引対象から外すよう口頭で要望があったと承知しておりますけれども、政府が始めた事業を都道府県知事みずからが割引対象から外してほしいというふうに意見を国に具申しなければならないのは、私は無理があるのではないかと思っております。

 意見ではなくて、要望ではなくて、これは、今、北海道がとか大阪市がとか、こういう医療機関、病床の逼迫状況であります、こういう数字ですというデータを、情報を国に提出する、若しくは、国が示した、そして都道府県が判定するというこのステージ、今北海道は、札幌市はステージ3相当にありますというその情報だけ国に具申をする、国に提供する。それに基づいて国が、GoToトラベルをどうするか、一時停止するか、そのまま続けるか、そういうふうに判断して決定すべきだと私は思っているんです。

 自治体は、特に首長もそうですけれども、先ほど申し上げましたGoToトラベルのさまざまな経済的効果、波及効果、十分認識して、今大変な状況に置かれている観光産業や地域の経済がGoToトラベル事業で潤っている、少しでも潤っているということは十分理解している。しかし一方で、医療機関の責任も持っている。そうした知事に、このGoToトラベルの事業を一時停止してほしいという要望を言わせるのは余りにも酷だと私は思っておりますが、大臣の考えを伺いたいと思いますとともに、分科会の提言では知事からの意見を踏まえとしていますけれども、知事からの意見がなくても政府が一時停止を決定することはあり得るのでしょうか。

 例えば、東京都は今重症患者がふえております。医療逼迫の状況が目前に迫っております。専門家も危機的状況だと訴えていますが、東京都知事からの意見や要請は今のところありません。このままの場合、GoToトラベルは継続されるのでしょうか。国交大臣に伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 国の事業でGoToトラベルの事業をやっていますので、これの継続をするとか一時停止をするとかということは国の責任である、これはちょっと誤解なきように、これはあくまでそうだということです。我々の責任でやる。我々というか、私が所管しておりますが、これは総理以下、官房長官、西村担当大臣、田村厚生労働大臣と国土交通大臣である私の五人の関係閣僚で決定をしているということです、これはあくまで。

 ただ、そして、それに加えて、文言上のルールとして知事がとか国がとかと言っていますけれども、現実には、感染状況の担当大臣の西村大臣は、それぞれの感染状況が厳しくなっている知事とは、現状はどうですかというようなやりとりというのを物すごく綿密にされております。

 だから、何か、国が何にも言わない、知事から何か言ってくるまで何も言わないとか、そういうようなことじゃなくて、当然ですけれども、国民の皆様の命と暮らしを守るというのは我々にも当たり前のように責任もありますし、知事さんだってあるわけで、それは共有してやっているということであります。

 例えば、さまざまなデータ、数字は厚生労働省から、国もデータとして持っていますが、例えば、さまざまな項目があるんですけれども、非常にわかりやすいのは、病床全体で、最大確保の病床の占有率という、どのぐらいベッドが埋まっているか。これは実は、私の地元の兵庫が、私が持っている二十五日時点のあれですが、六八・三%という一番厳しい数字なんです。

 私、びっくりしたんですが、これは、兵庫県はちょっと独特のやり方をしていまして、軽症者も全て病院に全員入ってもらっている。ほかの地域は、軽症者は指定したホテルを使っている。兵庫県はそれはやっていない。ですから、西村さんから兵庫県知事に確認をしたところ、そうしたやり方をしているので、いざ深刻になってきたときには、まだ十分余裕があるというようなことが、それは確認しないとわからないということなんです。

 そうしたことは、やはり現場の知事さんに確認をして、知事さんの責任でやってもらう。見通しは、我々、詳細はやはり知事さんの意見を踏まえるということです。

 北海道についても、当時は都道府県全体という仕組みで考えていたんですが、北海道知事からは、札幌は非常に医療状況が逼迫しているけれども、私が聞いている範囲ですけれども、それ以外の地域、札幌以外の地域というのは、まだ感染状況もおさまっているし、静かだし、それを一律、網をかけるということは少し問題があるのではないか、それはまさに北海道の経済産業を支えなければいけないという側面から、そういう御意見もあったというふうに聞いております。

 その中で、しゃくし定規の話ではなくて、さまざまなやりとりの中で、極めて厳しい札幌市と、大阪も恐らく同じような状況で、大阪市内。今回、一時停止は都道府県単位ではなくて一部地域ということで、そうした状況がいいのではないかという提案もあり、その中で、関係閣僚会議で検討し、分科会の専門家の方たちの指導を受けながら、こうした札幌市と大阪市に対する旅行は十二月の十五日まで一時停止をするというのは、これはもう、もちろん政府の決定として決めさせていただいた、こういう仕組みでございます。

道下委員 そうはいってもなんですよ。知事が、対策本部で今の状況を議論をして、そして、この後、GoToトラベルの一時停止について要請いたしますということをさせる、会議で話をして、そして連絡させるんですよ。

 私は、国交大臣とは、情報とか地域の実情を知事から、都道府県から国に上げる、そこまでは私はいいと思うんです。ただ、それに基づいて、知事が、GoToトラベルの一時停止をしてほしいとか要請するという意見を言うことは、私はこれは酷だというふうに申し上げているんです。あくまで知事から上がってくるのは情報だけ、事実だけ、数値だけ。私は、そこでとめていただきたいというふうに思っております。

 医療の状況ですけれども、病床確保数とかいろいろありますが、これは実は、すぐに使える病床ではないというデータもあります。また、札幌市だけではなくて、今、旭川市でも非常に医療的に逼迫されています。

 そう考えると、赤羽大臣が十一月二十四日の記者会見で、予防的措置を図る観点からということで、札幌市と大阪市を目的地とする旅行の割引の一時停止を決めましたけれども、ちょっと古いんですが、二十三日時点で、GoToトラベルを利用した旅行客のうち陽性が判明したのが百八十七名、そのうち旅行先で判明したのは四十五人、つまり、帰ってきてから判明したのが百四十二人なんですね。

 そうすると、目的地から除外するのと、私は、帰ってきてから、つまり、これは一つの例として札幌なんですけれども、札幌のことを言うと大変私も心が痛むんですけれども、札幌市民がほかのところに行って、もしかしたらそこで感染して帰ってきて、そして陽性が判明して、地元の札幌市の医療機関を圧迫してしまうということにつながるのではないかというふうに思っております。

 そうした意味で、分科会の十一月二十五日提言で、三週間を集中して、早期に強い措置を講じてください、その一つにGoToトラベル事業の一時停止というふうに書いております。今、このような、札幌を目的地とするようなGoToトラベルの割引を一時停止している、こういう措置だとか、あと、ほかの地域、特に東京二十三区だとか、また、中部圏ということでいうと名古屋市だとか、そういう話も、そういう具体的な都市名も分科会長がお話しされました。

 こうしたことを踏まえて、国交大臣として、GoToトラベルの今のこの見直しはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

赤羽国務大臣 これはちょっとわかりにくいかもしれませんが、感染状況に対しての政策の必要性云々ということは、一義的には、担当大臣である西村担当大臣が尾身先生たちの分科会の専門家の皆さんと打合せをし、地元の知事さんたちと連携をとって、いろいろな意味で総合的な判断をし、そして、必要だということでいえば、正確に言えば、知事からの提案というより西村さんからの提案で、医療的な対応をどうするか、飲食業の時短はどうするのか、GoToトラベルはどうするのか、GoToイベントはどうするのか、そういったことの中で、私は、状況の中で決まったことについて、GoToトラベルの執行者として細部を詰める、そういう仕組みでありますので、私が全体を決めているわけじゃないということをまず申し上げておきます。これは無責任という意味ではなくて、そういう仕組みだということでありますし、目的地というのは、目的地の中で感染状況をふやすということで医療関係の負荷をかけさせないということです。

 ただ、私が申し上げたいのは、感染状況とか医療の逼迫度合いというのも日々変わっているわけでありますし、あの時点ではああいう決め方をしましたけれども、状況は刻々と変わっていくので、それは、それに対して安閑とする気持ちもございませんし、総理を始め、この三週間が非常に重要だということは、私もそういう認識でございますので、今決まっていることはそうですけれども、状況を見ながら、また、感染症の専門家等のアドバイスを聞いている西村さんでありますけれども、そういう関係閣僚とも連携をとりながら、適時適切に対応するということに尽きるというふうに思います。

道下委員 適時適切に対応していただきたいんですが、このGoToトラベルをとめるだとか、いろいろなことをするにも、事前に知られていないんですね。だから、急に決まって急にばたばたするのは、振り回されるのは我々国民だというふうに思っておりますので、早目早目に、こうなるよという、こういうシミュレーション的なものを国民に示していただきたいというふうに思っています。

 また、私は、GoToトラベルはコロナ収束後の観光需要喚起策としてはベストだと思っておりますが、私は、今やるべきものは、大手旅行代理店やホテル等に偏らない、中小の旅行代理店やホテルや旅館等にしっかりとその効果がもたらされるようなことを行うべきだと思っています。観光産業版持続化給付金だとか助成金だとか、今、ウイズコロナのときには、そういったもので支援をしていくべきだというふうに思っております。

 まだまだGoToトラベルについて質問したいんですが、時間となってしまいましたので、次の質問に移らせていただきます。

 次に、アイヌ政策についてです。

 私の地元北海道には、コロナの影響で開業が二度延期となったウポポイ、何とか七月に開業になりましたが、開業後、国が設定した年間百万人という目標の達成は難しいものの、十一月二十三日時点で累計十七万七千人余りもの来場者が来られました。本当に、頑張ってこられたウポポイの皆様や関係の省庁の皆様に心から敬意を表します。

 そんな中、ウポポイ職員などに対する誹謗中傷、ヘイトスピーチなどが、インターネットや直接そういったものが送られてきたりとか、そういうものが発生してしまっています。残念です。来場者として何度もウポポイに来場し、そして、職員に対していろいろな発言、暴言をする方がいらっしゃったり、動画を撮ってネットで流すという方もいらっしゃいます。

 私は、こうした誹謗中傷、ヘイトスピーチの実態について、本当にこれは解消していかなければならないと思っておりますが、今はアイヌ民族文化財団がこの対応に追われているという状況でありまして、スタッフ不足、そして対応としても大変きつい。そして、やはり受ける当事者が対応しなきゃいけないということが非常に大変であるということでお話を伺っております。

 私は、国が、ウポポイを担当する国土交通省や文部科学省や内閣官房が、しっかりと毅然とした対応をとるべきだと思っております。

 こうした今のウポポイに対する誹謗中傷、ヘイトスピーチの実態についての認識と対応状況及び法的措置の検討やアイヌ民族全体に対する偏見や差別の実態についての認識、そして、差別禁止法等の立法措置の必要性について、それぞれ、国交大臣、内閣官房から伺いたいと思います。

吾郷政府参考人 アイヌ民族に対する偏見や差別についてのお尋ねでございますけれども、アイヌの人々に対する差別の現状につきましては、平成二十九年に北海道庁が実施いたしました北海道アイヌ生活実態調査におきまして、結婚、職場、学校など、さまざまな場面におきまして、アイヌの方々に対するいわれのない差別が残っていることが示唆されていると認識しているところでございます。

 政府といたしましては、こうしたアイヌの人々に対する差別につきましては、共生社会の実現を目指すアイヌ施策推進法の趣旨に反するものであると考えております。

 アイヌ施策推進法第四条におきましては、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念を定めているところでございまして、これに基づきまして、アイヌ文化に対する国民の理解の促進や人権教育の推進など、差別の解消に資する施策を推進してまいります。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ウポポイは、民族共生象徴空間でございますが、アイヌ文化を正しく理解できる拠点として、また、将来に向けて、先住民族の尊厳を尊重し、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴として位置づけられています。

 昨年五月に施行されましたアイヌ施策推進法においても、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を目指すものであり、アイヌの人々に対する差別の禁止も規定されております。

 一方で、御指摘のとおり、ウポポイで働くアイヌ民族文化財団職員に対する誹謗中傷や、個人ブログやSNS等において、ウポポイに対する差別的な投稿があることも承知しております。

 国土交通省といたしましては、アイヌの人々がいわれのない差別を受けない社会、さらには、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、引き続き、ウポポイのPR活動の強化やコンテンツの充実などにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 また、ウポポイで働く財団の職員に対する誹謗中傷への対応についてでございますが、アイヌ民族文化財団から具体的な相談があった場合には、その内容に応じ、人権擁護を所管する法務省等と連携し、適切に対応してまいります。

道下委員 しっかりとよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

あかま委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 小宮山泰子でございます。

 今国会初めての一般質疑をさせていただきます。

 国交省はたくさんの所管があるんだなというのを、準備をしているときに改めて痛感したところでもございますが、先週この委員会でも審議していただきました、今国会では交通政策基本法の改正が議員立法によって成立の見込みとなってまいりました。

 交通政策基本法の改正に当たっては、改正趣旨として、国内交通網は、通勤通学等の生活基盤であり、また、地域における企業の立地や地域内、地域間の交流等の促進に資するものであり、一部の路線、区間に、採算性が低いとしても、適切な整備、運送サービスの提供が行われないと、若年層の流出等を招き、地方における地域社会の維持発展に影響を及ぼすおそれがあるなどと言及をしています。

 改正案では、公共交通機関に係る旅客施設等の安全及び衛生の確保について新たに盛り込んでおり、「国は、国民が安全にかつ安心して公共交通機関を利用することができるようにするため、公共交通機関に係る旅客施設及びサービスに関する安全及び衛生の確保の支援その他必要な施策を講ずるものとする。」と明記をしております。

 本年、新型コロナウイルス感染症があり、拡大を招かないようにするため、利用者にも、また、サービスを提供する事業者、従事する者にも、感染拡大をしないためのさまざまな衛生面確保のための努力をしております。このことも、この衛生面確保のための項目に加えております。

 地域公共交通は、「地域住民の日常生活若しくは社会生活における移動又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者の移動のための交通手段として利用される公共交通機関をいう。」と定義があります。この地域公共交通の活性化及び再生に関する法律で示されたとおり、まずお伺いいたしますが、タクシーは公共交通機関に含まれるのでしょうか。御確認させてください。

秡川政府参考人 先生御指摘いただきましたとおり、タクシーは、法律において公共交通事業者であるというふうに規定されております。

小宮山委員 交通政策基本法の改正が成立し、法施行となれば、公共交通機関について、衛生の確保の支援そのほか必要な施策を講ずる責務を国に求められることとなります。

 国土交通省自動車局では、ハイヤー、タクシーの安全衛生の確保のための取組として、車載用の空気清浄機及び浮遊物やちり、飛沫物などの量を見える化することのできる機械の設置の検討を行っていると伺っております。

 過日、タクシー、ハイヤー関連の事業者団体及び関連労働組合の労使双方の御出席もいただいて開催されましたタクシー政策推進議員連盟の会合において、三次補正と言わず二次補正で、予備費が二兆円使われずに残っているんだから、少しでも早く取り組むべきであるとの指摘も聞かれました。

 また、先日、視察におきましても、関係者からヒアリングを通じて、新型コロナ感染症のPCR検査を受けに行く移動や、さらには陽性と判明した者の送迎などもタクシー事業者が行ってくれております。

 日本のハイヤー、タクシー事業は厳格に免許制のもとで行われており、安全を担保するためにも、管理監督の責任を持ち続ける公共交通である、そのためにも、国としてタクシーの安全衛生のための取組への支援をどのように進めていくのか、現在の検討状況、進捗などもお聞かせください。

秡川政府参考人 お答えいたします。

 タクシーは国民生活に不可欠なエッセンシャルサービスでありまして、利用者と運転者の双方が安心して乗車できるよう、タクシーの安全衛生のため、取組を進めていくことが重要だというふうに考えております。

 具体的には、先日御視察をいただきました、新技術を活用した高性能フィルターによって車内のウイルスを除去したり、あと、車内の空気清浄状況をお客さんに見える化するモニターを導入する、それを支援していくということについて検討を進めております。

 この取組を通じまして、車内での感染リスクに対するお客さんの不安を解消して、タクシーを積極的に御利用いただけるように、必要な支援をできるだけ早く行ってまいりたいと考えております。

小宮山委員 車両当たりおよそ十万円ほどの費用がかかるなど、さまざまな費用もかかることがあります。ぜひ、しっかりとこの点は早期に対応していただくこと、そして支援をお願いしたいと思います。

 さて、令和二年七月豪雨被害など、近年は激甚化した自然災害が頻発しております。税理士会の令和三年度税制改正に関する建議書に、自然災害により、家屋の全壊、半壊被害、家財や自動車への被害、農地、農機具、事業所、施設への被害が生じた場合に、修繕、建てかえ、買いかえが必要となる際の災害損失控除の創立の提案が入っておりました。

 今国会においては、被災者生活再建支援法が成立することになり、中規模半壊世帯が新たに定義され、被災者の生活再建につながる控除の充実が期待されております。被災者生活再建支援法による支援金、火災保険、地震保険、共済保険など保険金によって必要な一部が賄えるなどしたとしても、差額は自己資金や融資を受けるなどして用意することとなっております。

 現行の雑損控除制度では、災害による損失と盗難や横領による損失は同じ扱いとなっております。損害額の確定の仕方、繰越控除期間の設定、控除の優先順位、対象損害の範囲など、制度としてまだまだ細かく検討、決定するべき事項も多いですけれども、被災者の生活再建や事業継続の一助となり、土地建物の有効利用を支えることにもなるので、国土交通省からも強く要請されるべき内容と言えます。

 災害損失控除の創立に関して、国土交通省の御見解をお聞かせください。

金井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度上、災害の損失を計上できる雑損控除は、災害発生後三年間の繰越しが可能となっております。このため、御提案のような控除の期間を長くすることによる効果は災害発生後四年目以降に出るということになりますが、災害対応においては、応急対応など、即効性とスピード感がまずは大切と考えており、税制だけでなく、歳出も含めた総合的な対応を検討することが重要でございます。

 御指摘の災害損失控除につきましては、所得税法の基本的な考え方にかかわるものである上、控除の順序を変更いたしますと、例えば配偶者控除が先に適用されることとなり、世帯構成によって繰越額が異なってしまい不合理となるといったことや、余りに長期にわたる控除を認めると、制度の濫用や納税者間の公平性が損なわれるおそれがあるといった課題があるものと承知いたしております。また、税制は、全体の制度設計のバランスを勘案する必要もあり、慎重に検討する必要があるものと考えてございます。

 国土交通省といたしましては、このような点に留意しつつ、政府全体の検討と足並みをそろえまして、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 本日も、GoToトラベル事業のあり方について、さまざまな質疑が繰り返されております。新型コロナ感染症の感染拡大の中でGoTo各事業が検討され、補正予算への盛り込みが行われているところでありますが、ことしの春、GoToトラベル事業が検討された当時においては、一段落したら、収束をしたらというようなことでこのGoToトラベルの予算が第一次補正に入ってきて、この時期なのかという議論が随分行われました。

 このGoToキャンペーンが始まった時点でのGoToトラベル事業の、コロナ感染症の一段落や収束とは、当初どのような状況のことを想定していたのか、改めて御説明をお願いいたします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスの影響によりまして、裾野が広く多くの地域の地方経済を支える観光産業は、深刻なダメージを受けたところでございます。

 このような状況を受けまして、政府として、新型コロナウイルスの感染の状況が落ちつき次第、強力に観光需要を喚起するべく、GoToトラベル事業を開始することといたしました。当時は、感染状況を注視し、専門家の皆様の御意見や政府全体の方針等を踏まえ、本事業の開始のタイミングを慎重に見きわめていたと認識しております。

 そのような中、五月の二十五日に緊急事態宣言が解除され、六月十九日からは都道府県をまたぐ移動も全て自由になったものと承知をしております。

 その上で、本事業の取扱いにつきましては、七月十六日の政府の分科会にお諮りし、東京都を発着する旅行を除いてGoToトラベル事業を実施しても差し支えないとの御提言をいただいた上で事業を開始したところでございます。

小宮山委員 先週末、二十一日から二十三日、勤労感謝の日を含む三連休をまたいで、総理からGoTo事業に関しての一旦停止などの表明がなされました。先週までのさまざまな対応から見ると、一転をしたというイメージもあり、正直驚きました。

 何をどのように評価して要請や指示を表明しているのか、判断のもととなっているデータや基準についても明らかにする必要があるのではないかと思っております。単に、より一層気をつけてくださいと言うだけでは混乱を招くばかりであります。

 先日の視察におきましても、沖縄のカヌチャベイリゾートの白石社長からは、十月以降の沖縄で新型コロナ感染拡大がふえているわけではなくて、GoToトラベルと感染拡大の相関関係の具体的なデータ、根拠の開示が必要だというふうにとれる意見がございました。

 西村大臣が、その前には初詣での分散化の提案がございましたが、この際も、何を根拠に要請されたのかなと私自身考えていたところであります。その後、第三波とも言える感染拡大の、急激な拡大が広がっていったので、当時、西村大臣がどのような判断をされていたのか、その背景がやはり知りたいところでもあります。

 政府の判断の根拠になっているデータ、決定プロセスの開示を行うことで、事業者も判断に確信を持ち、ひいては感染拡大防止にもつながると考えておりますが、大臣の御見解をお聞かせください。

赤羽国務大臣 済みません、西村担当大臣の判断の詳細というのは、ちょっと私の所管じゃないので、責任を持って答えられませんが、そもそも論で言いますと、このGoToトラベル事業を始めたときに、事業者の方々に参加申請していただいたそのときに、そこの中に、コロナ感染の状況によってはこの事業は一部又は全部停止することもあり得るということを書いてありましたし、それを了解をした上で申請をし、許可をしている、こうしたことでございますので、こうした途中での一時停止というのは、私の立場としてはあってほしくないとは思いますが、そういうことはあり得るべしということであって、突然の話ではないということでございます。

 同時に、感染拡大の要因になってはいけないということは、これはもう貫いているわけであって、そのことについてはどういう状況でも変わらない。

 また、ちょっと字面になって恐縮なんですが、いわゆる国の分科会で言われるステージ3相当と地元の知事さんたちが判断をしたということをもって国としてどう対応するのか、医療関係、先ほどの外食の時短ですとか、その中に、GoToトラベルの対応をどうするのか、そうしたことが始まる、そういう仕組みでやっております。

 ただ、それが非常にわかりにくいとか、よく、阪神・淡路大震災のときもそうでしたし福島の原発のときもそうですが、テレビでさまざま専門家と称する方たちが発言されることによって、リスクコミュニケーションというのは非常に難しいというのは教訓でありますが、あくまでも本当は、感染、分科会の専門家と政府ということと、現場の実情では知事という、そのところを軸に、おっしゃるように、どういうプロセスでどう決めたかというのは、やはりちゃんと説明責任を果たしてわかりやすくしていくというのはリスクコミュニケーション上大変重要なことだと思っておりますので、それは今、そうした御提言を受けて、しっかりと改善していきたいと思っております。

小宮山委員 ぜひ情報提供を、この点は大臣がしっかり対応していただけるということであります。やはり、これが事業者の安心にもなり、また旅行する方々への注意喚起にも当然つながるんだと思います。

 日本において、GoToトラベルの割引がなくても旅行はできます。GoToトラベルの施策自体は必ずしも反対をするものではありませんが、やはり時期であったり、また地域の事情、関係地方自治体や、また小規模事業者への事務手続、申請手続とかの支援など、改めて運営の見直しというものを要請させていただきます。

 さて、店舗のバリアフリー化等について質問させていただきます。

 小規模店舗事業者の多い生活衛生関連事業者の皆様から、店舗のバリアフリー化の改装、改築、リフォームへの補助の要請が強く出ておりました。

 私自身、昨年足を骨折し、電動車椅子をレンタルをし生活をしてみましたが、正直、小規模事業者や個人商店などでは段差などの解消ができないことも多々あります。明石市ではこのための補助金などを出し、多くの方がユニバーサルデザインの店舗に入ること、利用ができるような施策もされておりました。小規模店舗など、バリアフリー化やその認知が進むことによって、新たな観光需要を喚起することにもつながると考えております。

 観光庁としては、どの程度、このバリアフリー化、ユニバーサルデザインの導入によっての潜在的な需要があると考えているのか、また、その関係での取組をしていましたら御説明をいただければと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 官民の調査におきまして、身体に障害を持たれている方が約四百三十六万人、これは令和元年度の障害者白書でございます。また、健常者も含めまして、足腰に不安を抱えている人の九一・七%は旅行の意向がございますが、そのうち約半数が旅行を諦めているという状況が判明しております。身体障害者の方々の旅行に対する障壁が取り除かれれば、一定程度の旅行需要喚起につながると認識しているところでございます。

 そういう中、観光庁といたしましては、例えば、宿泊施設についてはバリアフリー改修費用の二分の一の補助の支援や、宿泊施設におけるバリアフリー情報発信のためのマニュアル作成等の支援などを実施しており、また、さきの民間調査におきまして、バリアフリーの情報不足を感じたことがあると回答した方が九四・七%いることも踏まえまして、さきの通常国会で改正法が成立した高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づきまして、新たに、バリアフリー化に取り組む観光施設を認定する制度、こういったものを創設いたしまして、必要な情報発信を強化することとしております。

 観光庁としては、こうした取組を通じまして、障害者の皆様も旅行に出やすい環境を整備し、潜在的な観光需要の喚起につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小宮山委員 ありがとうございます。

 障害者政策でもありますバリアフリー法、さきの国会で改正をいたしました。ぜひ具体的な、また現実的に、この分野、多くの方が旅行に行き人生を謳歌できる、それまでどの店に入れるかで食べる先を決めていた障害のある方々に対しては、何を食べたいかということで判断ができるような、そんな支援を充実させていただければと思います。

 さて、時間の関係で、申しわけございません、空き家対策にあっては、時間がありましたら。また次回にさせていただくかと思いますが、ちょっと先に進ませていただきます。

 外環道のトンネル建設工事が行われている地域において、工事場所の上部の宅地、道路などで陥没や空洞が見つかっております。二〇一〇年には、千葉県内の圏央道トンネル工事箇所などにおいても複数箇所で陥没が起きていましたけれども、このときは山林でした。今回、住宅地での陥没事故であり、より一層の不安と不信感が広がっております。

 十月十八日に陥没が見つかった後、また二十一日にも別の場所でボーリング調査中に空洞が発見されるなどしておりますが、現状として、どのような状況になっているのか御説明ください。

吉岡政府参考人 本事象につきましては、調布市市道において十月十八日に陥没事象が発生し、その後、十一月三日、二十一日にそれぞれ空洞が確認されたところであり、互いに近接し、かつ東京外郭環状道路のトンネル工事区間の上で発生していると認識しております。

 これまで、最初の陥没の発生を受け、シールドトンネル工事を一旦中止するとともに、東日本高速道路会社において、有識者委員会の御意見を聞きながら、安全対策や原因究明のためのボーリング等の現地調査を進めてきたところでございます。

 安全対策としては、陥没箇所について直ちに充填を行うとともに、新たに見つかった空洞についても、直ちに地表面に変化を及ぼすものではないが、空洞を早期に充填することが望ましいとの有識者委員会の御意見を踏まえ、直ちに充填作業に着手し、一つ目の空洞については十一月二十四日に充填作業を完了し、二つ目の空洞についてもおおむね二週間程度で作業を完了する予定と聞いております。

 さらに、今後、さらなる空洞がないか確認するために、追加調査についても、これまで掘削してきた区間を含め、本日、有識者委員会の御意見を聞いて、速やかに実施していくこととしております。

 また、これら陥没及び空洞とシールドトンネル工事との因果関係の早期究明に向けて、現在、これまで進めてきたボーリング調査などを十二月初旬までに完了すべく鋭意作業を進めているところであり、その後、速やかに有識者委員会で原因等について議論を行う予定であると聞いております。

 国土交通省としましても、住民の方々の不安をできる限り早く取り除けるよう、東日本高速道路株式会社の調査や原因究明に協力してまいります。

小宮山委員 陥没に関しては、下水道の管渠の陥没や漏水など、そういったものも影響しているとも言われております。また、陥没というのは、これまでも国交委員会で私何度か質問もさせていただいていますが、下水道管渠の老朽化に起因する道路の陥没は毎年三千から六千カ所ほどの規模で起きていると承知しておりますが、下水道に起因する道路陥没の直近の状況について確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道管渠の老朽化等による道路陥没は、平成二十年度で年間約四千百件に対して、平成三十年度では年間約三千百件となっており、その件数は減少傾向となっております。なお、このうち五十センチ以下の小規模な陥没が八割以上を占めている状態にございます。

小宮山委員 人口減少社会を迎えている中で、下水道事業で取り組むべきは、新たな管渠の布設、エリア拡大ではなくて、埋設後三十年以上たっているようないわゆる老朽化管渠の改修、更新にもっと注力すべきだと考えます。さらには、都市計画を改めることも含めて、下水道対象エリアの縮小も視野に入れる必要があるのではないかと提案させていただきます。

 改めて、老朽化管渠の改修、更新を推進していく上で新たな取組などあれば、御紹介いただければと思います。

赤羽国務大臣 今、小宮山委員の御提案どおりなんですけれども、これからの少子高齢化、人口減少化の中で、下水道は、全体の最適化という視点から、下水道と浄化槽の適切な役割分担に基づく縮小の見直しをもう進めておりまして、下水道などの集合処理区域は、全国で、東京二十三区の面積の二・五倍に相当する十六万三千ヘクタールを縮小している、もうこれは進めております。

 同時に、老朽化もこれは相当深刻で、全体の四十八万キロの下水道管渠のうち三分の一が二十年後には五十年、もう既に布設三十年たっているということでございますので、この老朽化対策はしっかりと進めなければいけないということで、平成二十七年の下水道改正法で点検等の基準を設けて、予防保全の考え方、順次更新するということを新たにしたところでございます。

 その中で、近年、下水道システム全体の機能維持に不可欠なものから優先順位をつけて、まあ当たり前ですけれども、優先順位をつけて、重点的、計画的に更新を行う、そのためのそれぞれガイドラインを策定して、下水道管理者が行うストックマネジメントを国としてしっかり支援をしていくということでございます。

 また、技術開発の中で、画像からふぐあい状況を自動認識するような効率的な点検や調査技術も推進しているところでございまして、ややもすると、下水道事業というのは、地方自治体の事業ということで、これまで余り問題がなかったけれども、今言われたように、ぽつぽつ老朽化があって問題になってきていまして、下水道というのは日常生活になくてはならないものでありますので、こうしたことを、国としても一歩前に出て、しっかりと対策をとらなければいけないと思っております。

 また御指導をよろしくお願いします。

小宮山委員 一歩前にと決意を述べていただきましたけれども、合併浄化槽もかなり機能的には進んでおります。生活排水というのは、地域ではなく、今、日本人の生活様式であれば、洗濯機で使う洗剤は都心もそうでないところも全て一緒になっているということを考えると、総合的な生活排水の処理ということを検討しなければいけない。そういう意味においては、場合によっては国土交通省がこのようなことを、下水道も合併浄化槽もある意味一括して対応するということも検討すべきかと思いますので、ぜひこの点は御提案させていただきます。

 さて、新型コロナ禍において、GDP、年率換算で二八・一%減、戦後最悪を記録しているということも報道がありました。

 先日、地元を回っていて、昨年は若い家族が住んでいた家が、御近所の方によると、住宅ローンが払えずにどうも引っ越したみたいだというような家が何軒かあるというお話もありました。不動産関係団体からは、現在の住宅ローン控除の控除期間を延長し、住宅ローンを利用しての住宅購入者の負担軽減を図ることが望ましいのではないかとの現実的な提案、要望がなされたところでもあります。裾野の広い住宅建築、住宅販売の後押しともなる税制は経済全体への効果も大きいと期待をしております。

 住宅ローン控除の期間延長について、住宅政策を所管する国土交通省としての見解をお聞かせいただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど委員御指摘のように、内閣府より発表されました七月から九月までの四半期別GDP速報において、民間住宅分野について、年率換算ではマイナス二八・一%と大きく落ち込み、四四半期連続の減少となっております。

 住宅投資は経済波及効果が大きいことから、住宅投資を喚起することにより日本経済全体を回復させていくことが重要であると認識しております。

 国土交通省としまして、住宅の購買層に対して、ブレーキ感が生じないよう、現在の住宅ローン減税における控除期間十三年の措置を継続していくことを要望してございます。今後の税制改正のプロセスにおきまして、しっかりと主張してまいりたいと考えております。

小宮山委員 先ほど、質問しようとしていたのを時間の関係で飛ばしましたけれども、入り組んだ狭隘道路の所有者などの権利関係が明確になることで不動産取引等の可能性も増加すると考えます。

 狭隘道路の取組などをやることによって密集地の空き家、空き地の活用が進むことも必要かと考えております。最後にこの点だけお聞かせいただければと思います。

和田政府参考人 密集市街地におきまして狭隘道路の拡幅整備を進めていくことは、日照や通風の確保など良好な居住環境の形成、災害時の避難路確保の観点から重要であり、また、密集市街地の空き家、空き地の活用促進にも寄与するものと認識しております。

 国土交通省におきましては、狭隘道路の解消に向けて、社会資本整備総合交付金等により、権利関係を明確にするための測量、分筆登記に要する費用、拡幅整備のための用地買収、舗装に要する費用などに対する支援を行っております。

 また、地方公共団体における狭隘道路の解消に向けたモデル的な取組を取りまとめ、国土交通省のホームページで公表するなど情報提供を行っており、引き続き狭隘道路の解消に向けた取組を一層推進してまいります。

小宮山委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 気象庁のホームページを開きますと、トップページの右肩に広告枠という表示がありまして、広告が表示される場合があります、ふぐあいではございませんと不思議な書き込みがあります。ことし九月十五日からウエブ広告の掲載が始まりましたが、翌日に基準違反の広告が発覚したとして掲載を取りやめてから二カ月、この空白の枠のままであります。

 七月六日に発表された広告募集を見ますと、見る人によって掲載の内容が違う、いわゆるカスタマイズ広告であること、虚偽又は過大広告、宗教団体や政党の宣伝などを除けば何でもありという印象を受けました。それでも不適切、基準違反というのはよほどの事態だなと思ったわけであります。

 一体、具体的にどのような点で不適切となったのか、今後どうする考えか、端的にお答えください。

関田政府参考人 お答えいたします。

 気象庁のホームページへのウエブ広告掲載の取組につきましては、一定程度の広告料収入が見込むことができ、これをホームページの運用経費に充当することで行政コストの軽減が期待できるということから実施するということをさせていただいたものでございます。

 実施に当たりましては、ホームページへの適切なウエブ広告掲載のため、広告掲載基準を定めまして運用することといたしました。具体的には、法令違反、虚偽や誤認、誇大広告や有利誤認等のおそれがない広告に限り掲載することができるとしたところでございます。

 この広告掲載基準に基づき、ただいま委員から御指摘ありましたとおり、本年九月十五日十四時からウエブ広告の掲載を開始したところでございますが、広告掲載開始後に、一部ウエブサイトにおきまして、誇大広告のおそれがあるなど、広告掲載基準に沿わない広告が掲載されました。このため、広告運用委託事業者が該当する広告を個別に掲載停止するなどの対応を行いましたが、このような基準に沿わない広告が掲載された原因についてしっかりと調査する必要があると判断いたしまして、掲載開始翌日の九月十六日十時にホームページへのウエブ広告の掲載を全て停止したところでございます。

 気象庁といたしましては、今般のような事案が二度と発生することがないよう、現在、不適切な広告掲載に至った原因の究明や、それから再発防止策について調査、検討を行っているところでございます。

高橋(千)委員 十分予想された事態ではあると思うんですね。だけれども、翌日にこうした問題が発覚するということ、そのこと自体が本当に問われるんじゃないかと思います。

 気象庁のホームページは、省庁が運営するホームページの中でもとりわけアクセス数が多いと思われます。それを具体例と比較してお答えください。また、その理由をどう捉えていますか。

関田政府参考人 お答えいたします。

 気象庁ホームページのアクセス数でございますが、平成三十一年三月、これは昨年の三月でございます、昨年の三月から昨年末までの十カ月間で約六十八億回のページビューがございました。

 それから、比較としまして、国土交通省のホームページでございます。これには、観光庁、海難審判所、運輸安全委員会、国土交通政策研究所が含まれておりまして、海上保安庁と気象庁は含まれていないものでございますが、この国土交通省のホームページについて、同様の期間、昨年の三月から昨年末の十カ月間で約十三億回のページビューがあったというふうに伺っております。

 気象庁ホームページのアクセス数が多い理由につきましてですが、これについての客観的なデータはございませんので、はっきりしたことをお答えするのは難しいところでございますが、気象庁ホームページでは、日々の生活に御利用いただいている天気予報や週間天気予報、あるいは地震や大雨などの防災情報などを掲載しておりますので、日常的にアクセスしていただいているためというふうに推測しているところでございます。

高橋(千)委員 国交省の全体の窓口が十三億回に対して、気象庁は六十八億回。一日、約一千八百万ページビューになるわけですね。それだけやはり天気予報というのは身近に、国民が誰でもアクセスできると同時に、やはり防災情報というのが非常に貴重な役割を果たしている。だからこそ、気象庁が広告を募集すれば、その効果があるということで、いろいろな人たちが、いろいろな媒体がこれを狙ってくるというのは当然予測される事態でもあった。しかし、本当にそれでいいのかということをやはり考えるべきだと思うんです。

 交通政策審議会の気象分科会の議論の中では、広告という点では民業圧迫にならないかという指摘もありました。文脈としては、これは受益者負担を提起してそのセットで議論されているので、民間気象会社から批判が出るのも無理からぬ話だと思います。

 また、避難情報などアクセスが集中する際にホームページ自体が重くなる。今だってアクセスできなくなるという事態が起こっているわけですよね。そういう意味でも、やはりどうなのかということが問われると思います。

 運営費、大体二億四千万円、これは広告収入で賄うという計画でありましたけれども、それをわざわざ広告収入でやらなきゃいけないことなんだろうか。気象庁の年間予算は六百億円前後なんですね。アベノマスクを一回配付した分で年間予算が賄えるわけです。これはちょっと節約し過ぎじゃないですか。

 大臣、広告掲載はやめて気象庁の予算をもっとふやすべきだと思いますが、いかがですか。

赤羽国務大臣 なかなかふやせない過程があったからこういうことをやっていたのではないかというふうに、行政コストの軽減が期待できることは何でも、こういうことだったと思います。私も、これを最初聞いたときに、一応いろいろ確認して非常に責めたんですけれども、官房長が見るに見かねて、余り、ちょっと背景があるのでという、まあここで言うような話じゃありませんが。気象予報じゃなくて、そうした予見性がちょっと足りなかったんじゃないかと。

 ですから、答弁として申し上げたいのは、まず肝心なことは、ウエブ広告の掲載によって何か重くなってアクセスできないというのはまさに本末転倒ですから、そんなことがあってはならない、これはもう明確にしておきたいと思いますし、このことで、交通政策審議会気象分科会の御指摘、民業圧迫にならないかという、そうした懸念が提示されたことについてはしっかりとクリアしなきゃいけない、これも申し上げたとおりです。

 同時に、今、これだけ激甚災害が頻発化する、また線状降水帯の予報というのは非常に難しいという中で、高齢者の皆さんが安全に避難していただくためには、やはり気象の予報の精度を上げるというのは非常に重要なことだというのは、これはもう省内でも指摘しているところでございまして、今、令和三年度の概算要求に向けて、線状降水帯の予測精度を向上するための必要な予算を要求しております。

 その中で、例えば線状降水帯の原因となる洋上の水蒸気の観測能力を高めるために、画期的なんですけれども、省庁というか役所を超えて、海上保安庁の測量船四隻に高度な観測機器を設置するための予算を盛り込んだり、これはもちろん気象庁の観測船も二隻ございますので、そうしたオペレーションもするというようなことも今要求をしているところでございます。

 いずれにしても、私も、気象庁の予算をもう少し潤沢にしたいというふうな思いは強くしておりますので、与野党を超えて皆さんからの御支援もいただければ大変ありがたいと思っております。

高橋(千)委員 精度を上げるということは必要なことだと思います。ただ、今大臣おっしゃったように、激甚災害などの最中あるいはおそれがある、そういう緊迫したときに、開いてみたら全然関係ないコマーシャルが載っている、それがどうなのかということも含めてやはり検討していただきたいと思います。

 資料の1を見ていただきたいんですが、今月十日、気象庁は、一九五三年から半世紀以上続けてきた生物季節観察について、動物は全廃、桜の開花など六種目九現象に絞るということを発表しました。

 資料の2は日経新聞の二十二日付社説ですが、「気象庁の動物観測は無意味か」という見出しは、これは関田長官の意味がなくなったというコメントに応じた見出しと思われます。三段目の七行目から読みますけれども、「ホタルやカエルなど、都市部で観測しづらいものは多い。 だが、動植物を見かけなくなったり出現時期がずれたりする記録自体が重要」なんだと指摘をしていること、「生物多様性の喪失や気候変動の影響が問題となるなか、データを残す意義は小さくない」と述べています。最後のくだりで「人間でなければとらえきれない微妙な変化もあるはずだ。気象業務の担い手には五感も大切にしてほしい。」と結んでいるのは全く共感できます。

 テレビでおなじみの気象予報士の森田正光さんや日本自然保護協会なども声を上げています。人によって行う観測など、気象庁の存在そのものが問われる問題ではないでしょうか。

赤羽国務大臣 私が聞いているのは、この生物季節観測というのは昭和二十八年から実施してきていると言っておりますが、私が今回の答弁で説明を受けたのは、生物の生態環境の変化が著しくて、なかなか目的に沿った観測ができにくくなっていると。具体例はどうなんだという話の中で、例えば水戸の地方気象台では、トノサマガエルが初めて見つかった日を、以前は三月の平均気温と意味のある相関が見られたことからそれを使っていたんですが、最近は、そもそもこのトノサマガエルの個体数が減少して、これを観測することができなくなったというような事情があり、そうしたことから、目的に適した六種目九現象に絞ることとしたというふうに承知をしております。

 ただ、私は、気象の科学的な技術を進めていくということと同時に、その地域地域の歴史的な特性というか、そうしたことというのは、やはり人がかかわるというのは非常に重要だというふうに思っておりまして、今回も、特段に、地域特有の気象情報に精通をされている全国の気象台のOB、OGの皆さんに、まだまだ元気な方がたくさんいらっしゃいますので、新たに気象防災アドバイザーとして、今回改めて私から委嘱をして、市町村の防災対策の支援について、市町村と連携をして一層御活躍をいただくというようなことも取り組んでまいりたい、こう思っております。

 機械には頼らないで、コンピューターの予測結果についても、必要な修正は予報官の人的な知見もしっかりと活用していきたい、こう考えております。

高橋(千)委員 機械に頼らず人がかかわることの重要性を述べていただきました。大変ありがたいと思います。

 二〇〇六年六月に全国百五カ所の測候所の無人化方針が閣議決定され、二〇一〇年までに帯広と鹿児島の名瀬測候所を残して全廃されました。私は、当時、チリ津波の警報を軽視して五十三名の犠牲を出した経験から測候所をつくったという岩手県大船渡の歴史や、漁業者や農家にとって測候所の情報がかけがえのない情報であるということを、青森県深浦町を訪ねて学びました。全国各地からたくさんの意見書もありました。生の人間が目で見る、触れる、山、海、風、雪の様子、そうした情報の意味を強調したところでありました。

 結局、広告の問題しかり、気象庁は、少ない予算と人員削減の中で、効率化という名目で、気象庁本来の仕事、人による観測をほぼ手放すという。重大な問題であります。くしくも、今月、気象庁は百三十八年ぶりに、明治政府のもと、気象、地震観測を始めた原点の地である虎ノ門へ新築移転をされました。やはり、この原点を忘れずにやっていただきたいということを強く望みますということを指摘をして、次に進みたいと思います。

 それで、資料の三枚目を見ていただきたいんですが、これは二十五日付の日経ですが、厚労省のアドバイザリーボードが二十四日、「「このままの状況が続けば、通常の医療では助けられる命が助けられなくなる」と指摘した。」と報じています。三段目にあるように、入院者数や重症者も増加が続いて、手術や救急患者の受入れ制限などの事例も出始めていると分析している。また、中川俊男全国医師会長は、二十五日、全国で医療提供体制が崩壊の危機という懸念を表明しました。

 資料の4を見てください。十七日の委員会のときは青のグラフだけを示しました。陽性者の数なんですが、これは第三の波と指摘したわけですが、その直後に二千人台まで上がって、まだピークではありません。これに、赤のグラフ、重症者の数を重ねました。昨日、全国で四百十人、過去最高を記録したわけです。第二波、第三波は、陽性者の数は、最初の、緊急事態宣言を行った四月、五月に比べれば猛烈に山が高かったわけですが、重症者の数はやはり最初の第一波のときの方が高かったわけですね、ついこの間まで。ここが政府の一つの安心材料だったのではないか、そう思うんです。しかし、今は明確に、第二波から第三波へ、下がることなく上がり続けているわけです。

 ECMOなどの機器の不足によって命の選別が起こり得ること、重症者受入れにかかわる体制のためにコロナではない病気の方にも命の危険が迫るという状態ではないか、この認識を伺いたいと思います、厚労省に。

間政府参考人 お答えいたします。

 まず、感染状況につきましては、今委員御指摘のありましたように、十月以降に増加傾向が強まっておりまして、地域によって多少差異はございますけれども、全体としましては二週間で二倍を超える伸びとなりまして、過去最多の水準となっております。その意味で、医療提供体制への負荷が高まっておりまして、地域により厳しい状況になっているというふうに認識をしております。

 今委員御指摘のありましたように、新型コロナ感染症の患者さんへの治療、そしてそれ以外の一般医療の患者さんの治療、これは両立することが非常に重要でございまして、委員御案内のように、これは都道府県が主体となりまして病床確保計画を策定していただいているところでございます。

 それはいろいろな段階があるわけですけれども、この現下の厳しい情勢を踏まえまして、フェーズを早目に上げて、要するに、病床の確保を早目早目に行うようにお願いをしてございますし、また、入院患者さんについて、医師が入院が必要がないと判断して、かつ宿泊療養施設において丁寧な健康観察を行うことができるような場合には、必ずしも入院を要しないというような運用に見直しをいたしまして、また、そういう運用を徹底することなどについて都道府県にも依頼をし、対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 また、委員から、ECMOの話、医療機器などの話が、足りないんじゃないかということの御指摘もよくいただくのですけれども、ECMOという呼吸管理をする機械に関して言いますと、十一月二十五日時点で私どもが把握している範囲では、全国で千五百台余りあるわけでございますが、そのうち、二十五日時点では千二百台が使用可能であるというふうに聞いております。

 その意味では、そういったものが直ちに不足するという状況にはないと考えておりますけれども、これも、重症者は感染がふえ始めてからおくれて出てくるという傾向がございますので、各地のECMOの状況については引き続き把握をしながら、緊張感を持って注視していきたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 第一波の緊急事態宣言のときから見て陽性者がふえているにもかかわらず同様の対応をしなかった、その背景には、やはり最初の、医療提供体制が本当に逼迫したあの危機を一旦脱したという認識があったんだと思うんですね。

 ベッド数を把握するようになって、一定、要するに、カバー率がどのくらいですかということを全部把握するようになりました。それは大事なことだと思うんです。ただ、そこにステージを合わせておりますと、結局、いつまでたっても医療関係者は息をつけないんですよ。逼迫して本当に緊急なときにやっとの思いで乗り切ったと思ったら、乗り切ったから、またある程度、全体、移動してもいいですよとか、そういうふうになってきたことがやはり問題だったんじゃないか。息をつけるときにちゃんとした対応をしなければ、あっという間に、またこの重症者に対して対応し切れなくなる、そこをやはり今医師会を始め専門家の皆さんが訴えているんだと思うんですよ。その認識をやはり聞きたかったなと思って、ちょっと指摘をさせていただきたい、このように思います。

 それで、資料の5は、第十七回新型コロナウイルス感染症対策分科会で出された政府への提言であります。この二十五日の分科会の提言は、ステージ3相当の強い対策を求めております。

 答弁、申しわけないんですが、副大臣、中身は読まないで、時間がないですので、政府への提言ですから、国自身が判断して実際にやることは何でしょうか。

赤澤副大臣 今、短目にという御注文がありましたので、多少はしょりながらいきますが、先生御案内のとおり、法令上は、国は、全体方針を定め、総合調整、指示の権限を留保しているということです。方針を定めるに当たっては学識経験者の意見を聞くとなっています。

 そのフレームの中で私がやはり非常に大事だと思うのは、これまで、国民の御努力、あるいは最前線で働く方たちの御努力、全ての関係者の御努力で科学的知見をすごく積んできているので、全体方針の精度が上がってきているということだと思います。

 総合調整の中でも、例えば緊急事態時は、よく覚えておられると思いますが、接触は最低七割、極力八割程度減らしてくれというような広く大きく構える方針でしたが、今回は、エリアや業種を絞るなど、めり張りのある対策を講じるというようなことで、やはり方針の中身が、科学的知見に基づいて、総合調整の中身が、ある意味、言い方としては精度が上がってきている。それは、国として、分科会などの有識者の意見を聞きながらしっかり取り組んできたことの成果だろうというふうに私は思っています。

 あわせて、当然財政的支援などもやっておりまして、営業時間の短縮要請が提言されました。これに応じる自治体については、国の一定の関与のもとで、五百億円の協力要請推進枠をつくり、また、二十四日には、総理からの指示で、配分対象となる酒類を提供する飲食店等の店舗数、各都道府県の店舗数に対して当初二割としていた上限も撤廃したりといったことで、いろいろな事態を踏まえながら、臨機応変に総合調整の中身を変えながら、財政支援とか、あるいは総合方針を的確に出す、めり張りのきいたものをやるというようなことで対策の実を上げ、感染拡大防止とそれから社会経済活動の両立を図り、国民の命と暮らしを守り抜きたい、そういうことでございます。

高橋(千)委員 最初に知事の意見を留保とおっしゃいましたよね、留保でいいんですよね。それで、総合調整を行っていく。そのときの精度が上がってきているということをおっしゃったと思います。アドバイザリーボードが頻繁に開かれて、かなりの詳細なデータをとった上で提言をしているということは注目すべきことだと思っております。

 それで、済みません、今度は大臣に伺いますけれども、下段の一の4に、「Go To Travel事業の一時停止を行うこと。その際、今後の状況に応じて、当該地域からの出発分についても検討すること。」とあります。既に尾身会長は出発も対象にすべきだとコメントしておりますし、大阪、北海道だけではなく、愛知、東京もステージ3に相当とも述べておられます。

 国交省は、駆け込み需要とも言える三連休を見送ってから、大阪、札幌着に限って十二月十五日までのGoTo停止を発表しましたが、それは二十四日ですので、二十五日に更に踏み込んだ提言が出された、これを受けて追加の見直しはされますか。

赤羽国務大臣 まず、三連休を見送ったということは、これは別に恣意的なことではなくて、ちょっと誤解があるので訂正をしておきたいと思います。

 あと、この二十五日の提言がございます。「今後の状況に応じて、当該地域からの出発分についても検討すること。」という提言はやはり重く受けとめますので、西村担当大臣と、関係閣僚を含めて、適時適切に対応するべく、検討することになるかと思います。

高橋(千)委員 ただいま赤澤副大臣も、臨機応変にとお答えをいただいたわけですよね。それで、大臣は、重く受けとめるというお話をされました。

 この二十五日の提言の前の二十三日に全国知事会の緊急提言がありまして、やはりこれも、機動的な対応を求めるということがあったわけであります。やはり、こういう問題というのは様子見じゃだめだと思うんですね。

 この提言をよく見ますと、GoToトラベルの見直しにばかり注目が集まって、最も重要なステージ3相当の対策が十分に共有をされていないとあるんですね。要するに、GoToトラベルが感染に関係するかしないかという議論を随分やっていたわけですけれども、これが言っているのは、やはり「営業時間の短縮及び人の往来や接触の機会を減らすことが必要」だと言っている。だからイートも見直すべきだと言っているんですね。

 だから、人の往来を減らす、接触の機会を減らす、なるべくテレワークで、ここまで言っていて、緊急事態宣言の前に似た状況になってきているわけですよ、その中で、政府が補助金を出して人の移動を促進するという、トラベルだけは別格、これは若干やはりおかしいんじゃないでしょうか。

赤羽国務大臣 ですから、事実、プロセスを踏んで札幌市と大阪市に対することは停止をしたわけですから、絶対にそれは停止をしないなんということはもちろんございません。今後もそれは変わらないということです。

高橋(千)委員 菅総理は、暮らしを守れなければ命を守れないと述べてGoToの継続を強調されておりましたが、守れる命が守れない、そこまで言われている中ですから、本当に機敏な対応を望みたい、このように思います。

 それで、約一兆一千億円のトラベル事業費のうち既に旅行事業者に配分されたのはどのくらいなんでしょうか。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点におきましては、給付金の予算額約一・一兆円のうち約七千億円程度、これは約六割程度になりますが、その予算枠を配分しているところでございます。

高橋(千)委員 この配分を聞くのに何週間もかかったわけですけれども、約六割、七千億円ほどだということでありました。ですから、四千億円と事務費の一部がまだ残っているんじゃないかと思うんです。

 私は、提案したいと思うんですが、残りの予算は都道府県にトラベル交付金と位置づけて配分すべきだと思うんです。自治体はもともと観光業に対してもさまざまな補助をやっています。ただ、予算が少なくて規模が小さいんですね。すぐ枠がいっぱいになっちゃう。それこそ自治体の判断で、感染拡大がちょっとここの地域は大変だなというところは、むしろ自粛するかわりの補償策として、自治体がちゃんと支援をしてあげる。

 だけれども、県内の旅行を大いに応援するとか、修学旅行などで密を避けるためのかかり増し経費、これは北海道であっという間に枠がなくなっちゃったんですけれども、要するに、六人部屋を三人部屋にするとか、大型バスを一定チャーターするとか、そういう三密対策ということでやっているかかり増し経費を補助するとか、そういうところはやはり自治体に支援を、今やっているものを膨らましていくということで応援すればいいんじゃないか。そうすれば、別に、トラベルの事務局は、もともと旅行社の集合体ですから、本来業務なんですよ。なので、事務局の仕事を、一旦なくなったからといって、本来業務そのものは残るわけですから、そこに応援することには結果としてなるわけですから、私はこういう見直しも思い切ってすべきだと思うんです。大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 私は、このGoToトラベルを開始して、現状、全国で二十四カ所、さまざまな観光地に行って、関係者の皆さんと二時間以上ずっと丁寧に懇談をしておりますが、この中で、それぞれの県独自の県民割引とあわせて使うということについて、それは私たちは奨励をしておりますし、そうしたことについても高い評価を得ておりますが、もうGoToトラベル事業も相当すごく、年末年始、一月いっぱい、相当数予約が入っております。これをしっかりと実行したいというのが関係者の皆様の強い意向であって、これを全部今この時点でなしにして県民割引に特化するというようなことは、ちょっと物理的に、そういうことはちょっと私からすると非現実的なのではないかなというふうに思っております。

 加えて、よく中小とかそうしたところにもその手が届くようにということで、それはもう当然そう思っておりますし、現実、高級店とか何か大手だけが潤っているみたいな話がございますが、宿泊の代金も平均して一万三千円程度、レンジでいきますと一万円未満の部屋が六割か七割、ちょっと今正確ではありませんが、そうしたことを占めているということであって、いわゆる報道で出ているような、大手や高級店しか潤っていないみたいな報道というのは、かなり正確さを欠いているというふうに思っております。

高橋(千)委員 一昨日のリモートの視察の中でも、本当にGoToで助かっている、進めてほしいとおっしゃっていた城崎温泉の旅館組合の芹沢会長が最後におっしゃったことは、やはり、そうはいっても、オンラインについていけない施設があったりとか、直販システムのステイナビという予約サイトがございますけれども、申請を手伝って説明したんだけれども、難しくてとうとう心が折れてしまって、結局手数料を払って普通のOTAに申し込むしかなかった、そういう人たちを取り残さないでほしいという要望があったのも事実なんですね。

 だから、やはり、大手だけじゃないんだと大臣は一生懸命おっしゃいますけれども、現実にはまだまだそうしたことが残っているわけですから、命を守ること最優先ということでは、そこもやはりもう一度考えていただきたいと要望して、終わります。

あかま委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、限られた時間ですので、早速質疑に入りたいと思うんですけれども、ちょっと準備させていただいた質疑の前に要望なんですけれども、長官はちょっと出席要請をかけていなかったので大臣に、観光庁を含めて要望しておきたいのは、GoToトラベル、私の住む大阪それからあと北海道の札幌、除外。知事の要請もあって、そういうことになりました。それが、たしか二十四日火曜日の夜、ちょっとばたばた感もあって、大臣も夜遅くまで本当に御苦労さまです。

 それで、決まったんですけれども、その日のうちに、二十四日付で、業界といいますか関係者の皆さん方には、観光庁名でGoToトラベル事業者宛てに、当面の措置についての通知というのがありました。

 この中身を少し見させていただくと、旅行に行けるのは一日までとか、キャンセルは三日まで行けるとか、ちょっと微妙に、一週間なり十日なりといった違いもあって、混乱されないように、変わった内容を徹底して周知できるように、それをしっかりとお願いしたいということを要望しておきたいというふうに思います。

 それでは、質疑に入らせていただきますけれども、私の方からは、内閣府の所管から国交に変わったIRですね、所信でも大臣は触れておられたと思いますけれども。

 まずIRは、日本の伝統文化、芸術などの観光資源を生かして日本の魅力を世界へ発信し、国際競争力の高い、魅力ある滞在型観光というのを実現するものであり、観光、地域経済の振興、さらには日本経済の成長につながるというふうに我々は考えています。

 現在は、先ほども申し上げているような新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響で、観光産業やサービス業に今非常に大きな打撃を与えています。

 社会経済活動に制約が課されている状況ですけれども、感染症が一定程度収束していけば、人と人との現実の交流やつながりというのはやはり欠かすことができないものでありますし、ビジネスや観光などによる人の動きというのも段階的に回復していってくれるものだ、またそうしていかなければならないと改めて決意をしています。

 やはり観光は世界的にも著しい成長分野だと思っています。ポストコロナにおいてもインバウンドというのは当然大きな可能性もありますし、IRはインバウンドを拡大させて、そして観光立国を実現させるためにも必要不可欠だと。政府もそうお考えだと思いますし、我々もそう思っています。

 IRを推進していくということは重要な取組だというふうに思っていますけれども、改めて、コロナ禍がありましたけれども、コロナ禍中ですけれども、IRを推進していくという意義を、まず大臣からお答えいただきますようにお願いいたします。

赤羽国務大臣 我が国の観光政策は、近年、さまざまな政策の結果、インバウンドが急激に伸びて大変大きな産業となっている、これは事実だと思いますが、他方で、長期滞在ですとか大型の会議、エンターテインメントの誘致というのはなかなか進まない。日本の現状の、今の施設の状況ですとか観光の政策のあり方、これはやはり改善していかなければいけない。

 その中で、IRの施設で、世界で勝ち抜くMICEビジネスの確立を目指し、これまでにない規模と良質の、大型の国際会議ですとか国際イベントを誘致する。そして、来ていただいた方たちが、本人だけじゃなくて家族で来られて長期的な滞在をしていただく。

 長期的な滞在をすると、当然、その中で、昨年のラグビーワールドカップのとき、そういうような模様が呈されましたが、全国各地域、日本のすばらしさ、観光地を訪れていっていただいて、結局、そのリピーターづくりというか、日本の観光づくりに寄与していただく、そうした仕組みがこのIRの新しい試みだというふうに思っております。

 ただ、現状は、新型コロナウイルス禍の感染、世界じゅうの拡大と長期化で、それぞれの事業者も相当影響を受けていることから、当初予定していた整備計画の申請ですとか、さまざまなことがちょっとおくれておるのは事実でありますが、こうした中でも、地方自治体では、変わらずその御意向を示されているところも幾つかございますので、そうした方たちの、我々の立場は、国で法律を決められた、その法律にのっとって、地方自治体からの申請を受けて、そこに粛々と審査をして進めていくというのが基本的な立場で、これは以前と変わらないということでございます。

井上(英)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 細かいところは審議官にお答えをいただこうと思っていますけれども、感染症の状況等も踏まえて、今大臣がおっしゃっていただいたように、ちょっとIRの動きというのが少し停滞ぎみだと思います。ポストコロナの時代を見据えて、取組というのを一方でやはり速やかに、準備も含めて進めていくということは重要であります。

 去る十月九日から、観光庁において、基本方針の修正案、そして新たな区域認定申請期間のパブコメが実施をされておりましたけれども、現在取りまとめ中かなというふうにも思うんですけれども、たしか十一月の七日でパブコメは終わったと思うので取りまとめ中かと思いますけれども、その状況や寄せられた意見の概要をお聞かせいただけたらと思います。

高田(陽)政府参考人 お答え申し上げます。

 基本方針につきましては、今委員からの御指摘がございましたように、カジノ管理委員会からの意見を踏まえた修正案などにつきまして、十月九日から十一月七日までの間、パブリックコメントを実施したところでございます。

 現在、提出いただいた御意見について、観光庁において精査を行っているところでございまして、提出いただいた御意見については、基本方針を策定、公表する際に、御意見に対する考え方とあわせて公表する予定でございます。

井上(英)委員 審議官、何か代表するような、何かパブコメのそういうコメントみたいなのはありましたか、特に。今は取りまとめ中だということで、しっかり、ちょっと取りまとめた段階でお教えいただけたらというふうに思います。

 次に、スケジュールについてお伺いしたいんですけれども、IR実現に向けた今後の政府のスケジュールについてをちょっと伺いたいと思います。

 今後、パブリックコメントの取りまとめが進めば、国のIR推進本部で基本方針というのが確定ということになるかと思います。基本方針確定というのがいつごろを想定されているのか。

 また、二〇二一年の、来年ですね、一月四日から七月三十日とされていた、自治体から国への、先ほど大臣にも答弁いただきましたけれども、法律にのっとって、自治体が国へ整備計画の区域認定申請というものの期間が九カ月延期をして、二〇二一年十月一日から再来年の四月二十八日までということも十月に発表されました。その期間内に自治体が申請して、その後、審査を経て国交大臣が区域認定を行うということになるんですけれども、当然、しっかりとした審査というのが必要なのはもう大前提です。ですけれども、IRの効果を早期に発現するためにも、スピード感を持ってやっていただきたいというふうに思いますけれども、改めて、区域認定をいつごろを想定しているか、基本方針と重ねてお伺いいたします。

高田(陽)政府参考人 お答え申し上げます。

 基本方針の決定の具体的な時期はまだ未定でございますけれども、今後の基本方針の決定プロセスといたしましては、カジノ管理委員会を始めとする関係行政機関の長との協議を行った上で、IR推進本部での決定を経て策定、公表するということになってございます。

 また、先ほど委員から御指摘ございましたように、申請期間につきましては、二〇二一年十月から二〇二二年四月までという案をパブリックコメントさせていただいたところでございますけれども、区域整備計画の認定を行うに当たっては、公平かつ公正な審査を行い、すぐれた区域整備計画を認定する観点から、基本方針を策定、公表した後、区域整備計画の審査を行うまでの間に有識者委員による審査委員会を設置することとしております。

 こうしたことから、審査に必要な期間は、審査委員会での議論ですとか、実際に申請を行う自治体の数にも左右されますので、認定の時期をあらかじめ決めることはできませんけれども、審査終了後、審査委員会の審査結果に基づき、国土交通大臣が認定を行うということになっております。

井上(英)委員 いずれにしても、少しちょっとおくれぎみですので、スピード感を持って、当然、公明、公正に、しっかりとやっていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 基本方針が確定すれば、今後、更に詳細な制度構築、運用、そして解釈などの整理というのが進められていくことになると思います。IRは日本で、当然ですけれども、初めての試みといいますか、制度でもありますし、国としてしっかりと規制、監督する観点というのも非常に重要であります。

 一方で、やはり、IR事業の実務と乖離した制度、運用となっては絶対にいけないというふうにも思っています。IRはあくまでも民設民営事業でありますし、他国の先行事例なども踏まえつつ、民間事業としての実務の流れというのを十分に把握した上で、民間の活力、創意工夫というのを生かすことのできる、現実にワークする実効性の制度、運用とすべきだというふうにも思っています。

 質問通告のときに、委託契約なんかについての質問もさせてもらえたらということであったんですけれども、カジノ管理委員会を呼んでほしいということだったので、そこまでのあれはまた今後進めていきたいと思うんですけれども、そういった観点も踏まえて、IRの整備法の範囲内で現実的な制度設計、重要な運用、解釈というのがなされるべきだというふうに思っていますけれども、その辺の思いをお聞かせいただけますでしょうか。

高田(陽)政府参考人 お答え申し上げます。

 基本方針の決定後、IR誘致を目指す自治体は、IR事業者と共同で区域整備計画を作成しまして、国土交通大臣に認定の申請を行うこととされております。今後、こうした区域整備計画の作成に当たっては、その記載内容や添付資料に関して具体的な検討が進められていくものと承知しております。

 国といたしましては、我が国にふさわしいIRを選定すべく、これらの計画をしっかりと審査していくということは当然のことではあります。ただ、委員御指摘もございました、民設民営のIR事業において自治体や事業者の過度な負担とならないよう配慮するなど、選定作業に当たっては適切に対応してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 IRについては以上です。審議官、ありがとうございます。

 では次に、先日、熊本に豪雨災害の視察に行かせていただきました。そのときの状況も踏まえて、井上局長にちょっとお聞きをしたいんです。

 土砂によって埋まった住居や水流による落橋、橋が落ちている箇所なんかもあって、それを目の当たりにしてまいりました。その中で繰り返し伺ったのが、観測史上最大の降雨状況であったこと。これにより、これまでに経験がないレベルに水位が急速に上昇したということであって、熊本県の人吉市では浸水深が二階の高さに至った。また、球磨村では、土地のかさ上げなどの対策がとられていたにもかかわらず、甚大な被害が生じたということであります。

 今回の豪雨に限らず、五十年に一度とか、これまでに経験がないという表現の豪雨によって、河川の氾濫というのが毎年のように残念ながら続いているという感じがいたします。

 やはりそういったことから考えると、河川計画を見直していくというようなことも考えていく必要もあるかと思いますし、また、それに基づく整備を行ったらどれぐらい期間がかかるのかということもありますけれども、その辺の、局長、思いを聞かせていただけますでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、各地で大水害が発生しており、今後、気候変動の影響により更に降水量が増大し、水害が頻発化、激甚化することが懸念されています。

 このため、国土交通省としては、このような状況を踏まえ、治水計画を、過去の降雨実績に基づく計画から、気候変動による降雨量の増加などを考慮した計画に見直してまいります。

 治水施設の整備については、河川を取り巻く社会的状況や地域住民の河川に対するニーズも時代とともに変化することから、長期的な目標については、その達成するまでの時期を示すことは難しいと考えておりますが、堤防や洪水調節施設の整備効果の有無は、まちづくりや企業立地に大きく影響することから、当面行う整備内容を明らかにし、おおむね二十年から三十年で計画的に整備を推進することとしております。

 また、治水施設の整備が完了するまでの間も、その時点で施設能力を超える洪水が発生することもありますので、被害防止の、軽減の対策を図ってまいりたいというふうに考えております。

 国土交通省としては、こうした企業、住民を含むあらゆる関係者が協働して、流域全体で治水対策に取り組む流域治水の考え方に基づき、ハード、ソフト一体の事前防災対策を加速化させてまいりたいと考えております。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 本当に、毎年のように被害が起きて、やはり、被害が起きてから改めて、これをやっていたら、あれをやっていたらよかったということになってしまいますので、その辺も踏まえて、今後しっかりと対応いただけたらというふうにも思います。

 この視察で複数の首長さんともお会いをさせていただきましたけれども、ダムを含めた治水対策の検討というのを要望する声というのがありました。たしか先週ですか、ダムも選択肢の一つとしてというようなことを公表、報道されていましたけれども、それでいいんですよね、そういう解釈で。

 では、この球磨川の水系の治水に関するプロジェクト、きょうは金子先生もおられますし、地元のあれですけれども、そういった策定を、地元のそういうダムを容認するという意向も受けとめて、今後どのような方針で策定を進めていかれるおつもりか、お聞かせいただけますでしょうか。

井上政府参考人 今回の豪雨は、線状降水帯の形成により記録的な大雨となり、球磨川本川の中流部から上流部、支川川辺川の各観測所において、観測史上最高の水位を記録しました。

 この結果、人吉市街部、球磨村渡地区では広範囲で浸水が発生し、八代市坂本町から球磨村にかけては氾濫流による家屋倒壊も確認され、さらには、球磨川にかかる道路橋、鉄道橋も多数が流出するなど、流域に甚大な被害をもたらしました。

 球磨川における今後の治水対策の方針は、被災地域の復興の姿を描く際の前提となるものであることから、特に地元自治体等の御意見を聞く必要があると考えており、このため、十月に地元自治体と一緒に球磨川流域治水協議会を立ち上げ、流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水プロジェクトの策定に向けて検討を開始したところです。

 先日、熊本県知事から、新たな流水型ダムの御提案がございました。この知事からの、早急な地域社会の復興に向けという御意見も含め、また、流域市町村からの御意見もしっかり受けとめた上で、流域を俯瞰した抜本的な治水対策の検討を進めてまいります。

井上(英)委員 ぜひスピード感を持って早急に取り組んでいただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 いろいろ通告もしていたんですけれども、時間が来ているので、最後に一問、お聞かせいただきたいと思いますが、防災・減災、国土強靱化のための三カ年の緊急対策について、国土政策局長にお伺いをしたいと思います。

 先ほどもありました、七月の豪雨で想定外の被害が生じました。一方で、平成三十年七月豪雨などによる災害を契機にされた、この三カ年の緊急災害対策として実施された樹木伐採また河道掘削、こういったものが、視察した際にも、非常に効果があったといって評価をいただいたというのも直接我々はお聞きをいたしました。

 この緊急対策も、三年間ということで、今年度が最終年度というふうにもなっていますけれども、対策の進捗状況を含めて、そしてまた、今後、一定終わっている地域の効果の検証をしっかりとやって、また次の対策というのもやっていかないといけないと思いますけれども、その辺の国交省としてのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度が最終年度となる防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策につきましては、国土交通省としても、約二千三百四十の河川で樹木伐採、掘削等を行うなど、全六十七項目の対策を着実に実施してきておりまして、全て目標を達成する見込みとなっております。

 これまで対策を実施した箇所では、例えば、鹿児島県の羽月川で行った河道掘削等によって、本年七月豪雨に伴う洪水、これは観測史上最大の十二時間雨量でしたけれども、二・一メートル水位を下げることができまして、それによって浸水被害が防止されました。そのほか、砂防堰堤の整備による土石流の捕捉や道路排水構造物の補修等による冠水防止など、既に目に見える効果が上がってきているところでございます。

 引き続き、近年、災害が激甚化、頻発化していることも踏まえつつ、国土強靱化基本計画に基づき、必要十分な予算を確保し、ハード、ソフトの施策を総動員することで、防災・減災、国土強靱化の取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

井上(英)委員 ありがとうございました。

あかま委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 まず、コロナ禍における住宅政策についてお伺いしたいと思います。

 今、株価は上がっていますけれども、コロナ禍で内外とも大変厳しい経済状況にあって、特に外需に頼れない状況の中で、いかに内需を拡大していくか、それが非常に大事な経済政策になってくるんじゃないかと思いますが、その中で、やはり住宅産業というのは内需産業の象徴でもありまして、多様な関連産業とか生産誘発効果が大きい。そういった意味でも、民間の住宅投資を刺激することは、これはこのコロナ禍における景気対策としては極めて有効ではないかというふうに考えております。

 そういった意味で、政府、どのような形の民間住宅投資の拡大策を検討しておられるか、ぜひそこを具体的に教えていただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 今月十六日に内閣府より発表されていますように、七月から九月までの四半期別GDP速報におきまして、民間住宅分野について、年率換算でマイナス二八・一%と大きく落ち込み、四四半期連続の減少となっております。

 議員御指摘のとおり、住宅投資は経済波及効果が大きく、内需の柱と言ってもよいものであることから、住宅投資を喚起することにより、日本経済全体を回復させていくことが重要であると認識しております。

 また、住宅関係の団体からも、住宅投資促進策として、住宅ローン減税の延長、贈与税非課税の拡充、ポイント制度の創設などについて要望をいただいているところでございます。

 国土交通省としまして、このような要望を踏まえ、住宅の購買層に対して、ブレーキ感が生じないように、現在の住宅ローン減税における控除期間十三年の措置の継続を要望するなど、住宅税制の拡充、必要な予算上の措置、こういったことについてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

古川(元)委員 局長、しっかりと対応していくと。何度か要望されているという話は今聞いたんですけれども、では、その要望についてのちゃんと回答というか、これはいつまでにきちんとそこは示される予定なんですか。

和田政府参考人 税制につきましては、現在、税制改正のプロセスにございますので、この中で我々主張しているところでございますが、通常でありますと、来年度税制、年内には結論が出るものと考えております。

 また、予算上の措置につきましても、現在、要求、編成作業を行っているところでありますので、これも同様の時期に整理がついていくものと考えておりますので、それまでの間、しっかりと我々の考えが反映できるよう、やっていきたいと思っております。

古川(元)委員 ぜひ、ここは思い切った措置をとっていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、今、このコロナ禍でテレワークが進んでいるわけでありますが、一方、やはりテレワークを促進するためには、住まいの中にちゃんとテレワークができる環境、スペースが必要で、そういった意味では、前にこれは大臣にもちょっとお話ししましたけれども、まさに今こそ居住面積倍増のような、そういうことを目標に掲げて、それに資するための支援策をやっていく必要があるんじゃないかと思います。

 また同時に、感染症対策の社会構造的な抜本的な対策は、これはやはり東京一極集中を是正していくことじゃないかと思うんですね。どんなにいろいろな対応をしても、東京は人が多過ぎるので、やはりどうしても密になって、そこで感染が拡大して、それがまた地方にも波及するような、そういう構造、これをなかなか防ぎ切れないんだと思います。

 そういった意味では、やはり構造的に一極集中を是正をして、地方への移転を促進をする。少しずつ、地方移転も今関心を示す人が多くなっているみたいですが、これをより加速させるためには、やはり住まいがキーワードになるんじゃないかと思うんですね。やはり移転する住まいがあれば、じゃ、移ろうかということになるわけであります。

 ですから、地方への移転を住まいの観点から促進するような政策、やはりそういうことも必要じゃないだろうかと思います。ですから、住宅をテレワークに適した形に改造するとか、あるいは大きなうちをつくるとか、また、東京圏の住宅を売却して地方に住宅を買う場合には、それに優遇措置を与えるとか、そういうテレワークや地方移転を促進するような住宅政策というものを国交省できちんとひとつまとめて提案する、そして実行したらどうかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 私の所信の演説の中にも書かせていただきましたが、私も、この新型コロナウイルス禍、感染症の拡大、また長期化の中で、社会に与える変化は少なくないと。実質、働き方が変わっていて、今、古川先生が言われるように、住まい方も変わっている。やはり、リモート会議をやるには書斎がないとだめだ、高い、狭い東京都心で住むよりも地方にと。こういうことを概念的だけではなくて、データとしても、東京への転出人口と転入人口を比較すると、四カ月連続で転入人口が上回っておるという極めて珍しい現象が続いております。(発言する者あり)転出が。ごめんなさい、転出が上回っている。

 私も地方をずっと回っておりますと、温泉地の旅館なんかが、平日はいわゆるオフィス対応というか、ワーケーションというのも我々の自覚以上に相当進んでいるということもあり、私は、そうして働き方が変わると住まい方が変わって、その中でやはり価値観も変わっていくのではないか。

 我々、古川さんも同じ世代だと思いますが、家族を犠牲にして、役所のため、会社のためにやってきたというワーカーホリックぎみの、美徳とされてきた時代から、そうじゃないんじゃないかという、価値観も随分変わっていくのではないか。その中に、当然、私は、東京一極集中という、これは、皆ずっとこれを改善しなければいけないと言ってきたことがなかなか変わらない。しかし、それは、このコロナ禍という大きな制約の中で、変わるチャンスとして捉えていくということが非常に大事だと思っております。

 役所の中では、国土政策局ですとか、住宅局、都市局、それぞれにそうした変化を予想し、予見しながら、あるべき行政のあり方、縦割りではだめだということも含めて、これは総理からも、縦割りをやめて、あしき前例主義も打破するということは、これは私は、古川先生が言われるように、社会の変化に行政が先を行くような対応をしなければいけないということだと思いますので、そうした御指摘も踏まえて、これは国交省だけではなかなかまとめられないところもありますので、関係省庁とも連携しながら、住宅のあり方、住まい方等々について、しっかりと提言できるように努力していきたいと思っております。

古川(元)委員 ここは、大臣、働き方が変わったら住まい方も変わるんじゃなくて、むしろ、住まいのあり方が変わると働き方も変わるんじゃないかと思うんですね。

 きのうも、レクに来てくれた、質問取りに来てくれた官僚の皆さんともお話ししましたけれども、霞が関の官僚で、例えば官舎に住んでいる人で、うちでテレワーク環境があるかといったら、ないですよ。私もかつて役所にいたことがあるんですけれども、あの狭い官舎だと、結局、うちに帰ると居場所がないから役所にいる、そういう上司も結構いたんですね。この上司、ちっとも帰らない、どうしてかって聞いてみると、いや、うちに帰りたくないんだと。

 要は、うちに、奥さんとの関係はどうかわかりませんけれども、私も独身寮でしかなかったですけれども、基本的に小さいですからね。あの場だったら、やはり、奥さんと関係が悪かったら、うちに帰ったら、あるいは子供がいたりしたら、私も今でもうちに帰ると居場所がないですよ。東京にいて一人のときは何となく自分の住みかはありますけれども、名古屋に戻ると本当に邪魔者扱いされるみたいな、やはりこれは、もっと広くて自分の部屋があったらって思うんですよね。そういった意味では、住みかが広くなると、むしろ早く帰ろうとか、やはりそういうふうにもなるんじゃないかと思うんですね。

 ですから、そういった意味では、むしろ、住まい方を変えることで働き方やライフスタイルを変えていく。そういった意味では、この住まいを軸にしたやはり我々の暮らし方、ライフスタイルを変える、ぜひそれを目指していっていただきたいと思います。

 次に、先日、国会の方でも、私なんかもちょっと共同呼びかけ人になって、気候非常事態宣言の決議というものを衆参で決議をさせていただきました。菅総理も二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現というものを表明されたわけでありますけれども、まさに今、国を挙げて脱炭素社会実現に取り組んでいかなければいけない状況に至っていると思います。

 その中で、やはり、住宅分野でのCO2削減、これも極めて重要だと思います。

 そして、この住宅分野で、具体的にこのCO2削減のためにどういう対策を講じていくつもりなのか。特に、ZEHと言われる、このZEHの整備は、住宅分野におけるCO2削減の中心的な施策であると思いますが、その整備促進のためにはどのような施策を行おうとしているのか、お答えいただけますでしょうか。

和田政府参考人 委員御指摘のとおり、住宅・建築分野は我が国のエネルギー消費量の約三割を占めるため、脱炭素社会を実現していく上で、そこの省エネ性能の向上を図ることは極めて重要であることと認識しております。

 現在、昨年改正された建築物省エネ法に基づいて、注文戸建て住宅や賃貸アパートを大量に供給する事業者のトップランナー制度の対象への追加、マンション等に係る届出義務制度の監督体制の強化を既に実施しております。

 また、来年の四月には、小規模な住宅等について、設計者から建築主への説明を義務化してまいります。

 さらに、ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEHでございますが、太陽光発電等によりエネルギーをつくることで、一年間で消費する住宅のエネルギー量が正味でおおむねゼロ以下となるものであります。住宅分野における省エネ性能の向上を推進する上で極めて重要な役割を担っているものと考えておりますし、また、それゆえに、経済産業省、環境省と国土交通省、三省で連携して、その普及に向けて支援を行っております。

 現在、二〇五〇年までの脱炭素社会の実現に向けて、地球温暖化対策計画等の見直しが行われているところでございます。経済産業省、そして環境省と連携しながら、このZEHも含めて、具体的な対応策をしっかりと検討して実施に移していきたいと思ってございます。

古川(元)委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 ちょっと残り時間が少なくなってしまいましたが、残り時間でGoToトラベルの運用見直しについてお伺いしたいと思います。

 一昨日、政府分科会の方で、GoToトラベルの一時停止を行うことが提言されました。これを受けて、今後、政府はどう具体的なアクションを行うのか、やらないのか、その辺についてお答えいただけますか。

松浦政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、二十五日の新型コロナウイルス感染症対策分科会におきまして、ステージ3相当の対策が必要となる地域においては早期に強い措置を講ずるよう提言されたところでございます。

 具体的に申し上げますと、必要な感染防止策が行われない場合は、ステージ3相当の対策が必要となる地域とそれ以外の地域との間の往来をなるべく控えること、その際にはテレワークなどの在宅勤務を積極的に推進すること、GoToトラベル事業の一時停止を行うこと、その際、今後の状況に応じて、当該地域からの出発分についても検討することなどが提言されているところでございます。

 一昨日の提言を踏まえました対応につきましては、観光庁と連携いたしまして、政府として検討していきます。引き続き、強い危機感を持って取り組んでまいりたいと思っております。

古川(元)委員 これは、ここが勝負の三週間と言われながら引き続き検討していくというのでは、結局どんどんどんどん感染者がふえていく状況をとめられないんじゃないか。分科会は、やはり強い危機感に対しての反応が非常に弱いんじゃないかと思うんですね。

 これで、結局困っているのが現場の人たちですよね。利用する人もそうですし、観光業やあるいはホテル業の人たちが、大変場当たり的で、もうなし崩し的で、将来も予見がどうなるのかわからないという状況で、非常に困っていると思います。

 そこで、ちょっとお伺いしますが、今、大阪と札幌について適用停止になっていますけれども、これは今のところ十二月十五日までになりますが、これを、予定どおり十五日になったらやめるのか、あるいは、それとも延長するのか、それはどういうプロセスでいつごろに決めることになるのか、教えていただけますか。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 同じく新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言におきましては、短期間、三週間程度でございますけれども、集中してより強い対策を講じることとされ、その中で、都道府県がステージ3相当と判断した場合において、GoToトラベルからの一時的な除外を検討するよう求める一方、感染がステージ2相当に戻れば再び事業を再開していただきたいと提言されているところでございます。

 今般、委員御指摘のように、札幌市、大阪市をGoToトラベルの対象から一時的に外す措置も、この提言に沿いまして、地域における感染状況や医療提供体制について最もよく把握している都道府県知事の総合的な判断を踏まえて政府として決定したものでございまして、事業の再開やその延期につきましても、そのときの感染状況等を踏まえて、同様の対応になると考えております。

 引き続き、都道府県と緊密に連携するとともに、事業者、旅行者の双方に対して、混乱が生じないよう丁寧な説明や情報発信を行ってまいりたいと考えております。

古川(元)委員 これは大臣、聞いていてわかると思いますけれども、何にも答えていないんです。

 先日、これを聞いたときに、これは蒲生さんだったかな、私が聞いたら、急に見直されても困るんだから、やはり周知期間、一週間から二週間はとりますと言ったでしょう。全然、今回の見直し、とっていないじゃないですか。

 これは、見直しをやめるときもそうですよ。十五日に、じゃ、本当にこれは中止になるのか。十五日にもうこれは終わって十六日から普通になるのか。戻るのか、あるいはそうじゃないのかというのが、今の話だと、いつどういう形で決まるかもわからない。また直前になって決まるようでは、これは非常に予見可能性が事業者とか何かにとってもとれないんだと思うんですね。

 ですから、これはどうも、きのう聞いてみると、これも国交省というか観光庁は、西村大臣と、実際に決まったら、決まったのに合わせて制度設計やそういうことをやると。でも、何かGoToトラベルも、国交省というか観光庁は下請みたいな感じになっているようですけれども、政府の中で。

 やはりこれは本当に、利用する人や、特に事業者の皆さん方の予見可能性というものを考えると、ある程度の、やはり事前に、延長するのか、あるいはもうこれで終わりになるのか、そういうわかるような形の、それで、どういう形でどういうプロセスで、いつごろに延長するのか見直すかも決めますよということをはっきりさせなきゃいけないと思うんですけれども、これは大臣が担当ではないのかもしれませんが、これはやはり政府として、その辺は、しっかり現場の人たちの予見可能性を担保するようなプロセス、そして期間をきっちりとっていただくように、大臣からもこれは西村大臣なんかにも言っていただきたいと思いますが、いかがですか。

赤羽国務大臣 GoToトラベルの設計自体は私が責任ですので、政府のそうした決定を受けて、二十四日、一時停止を、措置を講じるということについては、既存の予約された方は、例えば、その情報を知らないで週末札幌まで行って、そんなことは聞いていないというようなトラブルがないように、決定の二十四日から一週間は、既存の、された予約についてはGoToトラベルの対象の旅行として認めるといった措置は講じております。ですから、そうしたことではないと思います。

 先ほど、十二月十五日についてどうかというと、当然、実は毎日のように関係閣僚会議も、きょうもこの午後やりますし、断続的にやっている中、また西村担当大臣は、それぞれの当該地域の知事とも相当綿密に連絡をしながらとっておりますので、十二月十五日の、その前後の状況を見ながら、関係閣僚会議、また当然、当該の知事の意見も含めて決定するものだというふうに思っております。

古川(元)委員 時間が来たので終わりますけれども、本当に、観光業やホテル業の皆さん方は大変厳しい中で事業をやっていらっしゃいます。やはり、こういう皆さんの不安を少しでも減らすためには、予見可能性というのは非常に大事なことだと思いますから、そういうことを踏まえて、見直しするのかしないのか、そういうこともきちんと決めていただきたい。そのことを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

あかま委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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