第2号 令和3年3月10日(水曜日)
令和三年三月十日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 あかま二郎君
理事 古賀 篤君 理事 谷 公一君
理事 土井 亨君 理事 平口 洋君
理事 簗 和生君 理事 城井 崇君
理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君
秋本 真利君 井上 貴博君
泉田 裕彦君 岩田 和親君
小里 泰弘君 大野敬太郎君
鬼木 誠君 加藤 鮎子君
門 博文君 金子 恭之君
菅家 一郎君 小林 茂樹君
田中 英之君 田中 良生君
高木 啓君 中谷 真一君
中村 裕之君 鳩山 二郎君
百武 公親君 深澤 陽一君
堀井 学君 三ッ矢憲生君
宮澤 博行君 山本 拓君
荒井 聰君 伊藤 俊輔君
尾辻かな子君 岡本 充功君
辻元 清美君 広田 一君
松田 功君 道下 大樹君
山本和嘉子君 北側 一雄君
吉田 宣弘君 高橋千鶴子君
井上 英孝君 玉木雄一郎君
古川 元久君
…………………………………
国土交通大臣
国務大臣 赤羽 一嘉君
国土交通副大臣 大西 英男君
国土交通副大臣 岩井 茂樹君
防衛副大臣 中山 泰秀君
厚生労働大臣政務官 こやり隆史君
国土交通大臣政務官 小林 茂樹君
国土交通大臣政務官 朝日健太郎君
国土交通大臣政務官
兼内閣府大臣政務官 鳩山 二郎君
防衛大臣政務官 大西 宏幸君
政府参考人
(特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長) 高田 陽介君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 内田 欽也君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 新田 慎二君
政府参考人
(カジノ管理委員会事務局監督調査部長) 坂口 拓也君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官) 浅沼 一成君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 間 隆一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 富田 望君
政府参考人
(厚生労働省労働基準局安全衛生部長) 田中佐智子君
政府参考人
(農林水産省農村振興局農村政策部長) 山口 靖君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 福永 哲郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 柴田 敬司君
政府参考人
(中小企業庁次長) 奈須野 太君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官) 久保田雅晴君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 石田 優君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 中原 淳君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 青木 由行君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 井上 智夫君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 吉岡 幹夫君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 和田 信貴君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 上原 淳君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 秡川 直也君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 高田 昌行君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 和田 浩一君
政府参考人
(観光庁長官) 蒲生 篤実君
政府参考人
(運輸安全委員会事務局長) 城福 健陽君
政府参考人
(海上保安庁長官) 奥島 高弘君
政府参考人
(防衛省大臣官房政策立案総括審議官) 川嶋 貴樹君
参考人
(東日本高速道路株式会社取締役兼常務執行役員管理事業本部長) 高橋 知道君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
工藤 彰三君 宮澤 博行君
辻元 清美君 尾辻かな子君
古川 元久君 玉木雄一郎君
同日
辞任 補欠選任
宮澤 博行君 鬼木 誠君
尾辻かな子君 辻元 清美君
玉木雄一郎君 古川 元久君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 大野敬太郎君
同日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 百武 公親君
同日
辞任 補欠選任
百武 公親君 工藤 彰三君
―――――――――――――
三月九日
日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○あかま委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として東日本高速道路株式会社取締役兼常務執行役員管理事業本部長高橋知道君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君外二十八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
本日は、大臣所信に対する質疑を行わせていただきますが、まず最初に、やはり新型コロナ感染症に関連しての質疑をさせていただきたいと思います。
新型コロナワクチンが海外から入ってはきておりますけれども、日本では、なかなかまだこの点に関しては少ないのも現実でもあります。海外からのインバウンドの観光は、その中、ほぼゼロの状態にあるのも現実であり、また、国内並びに海外でのワクチン接種が今後進められていくか、また、仮にワクチン接種が全世界に広く行き渡った後は、人の移動の在り方も変化すると考えます。
現在においては、この一年、旅の行い方というのも様々多様な分野に広がっています。例えばバーチャルツーリズム、移動しないでの旅が誕生したり、旅、観光に求めるものも多様化していると感じております。
政府は、ビジット・ジャパン・キャンペーンを二〇一六年に発表し、インバウンド観光の振興に取り組んでおりまして、本来ならば、昨年、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを終えて、次の観光目標を掲げる予定だったと臆測をしていますが、菅内閣発足後、赤羽国土交通大臣は、会見で、二〇三〇年訪日外国人観光客数六千万人という目標を堅持する旨、総理より指示があったと表明をされております。二〇三〇年訪日外国人観光客数六千万人を目標とする前提は現在も変わっていないのか。
新型感染症により、人の移動、観光の在り方も大きく変化をしている中で、従前の目標設定のままでは現実との乖離が起き、無理があるのではないかと心配もしております。早急に改定又は目標の修正が必要と考えますが、国交省観光庁の御見解をお聞かせください。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
世界全体の国際観光旅客数は二〇一九年には十四億人以上の規模に達し、我が国におきましても、二〇一九年の訪日外国人旅客者数は三千百八十八万人となりました。しかしながら、昨年より、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、水際対策を徹底したことなどから、足下では訪日外国人旅行者数が大幅に減少しております。
しかしながら、日本各地の自然、食、伝統文化、芸術、風俗習慣、歴史などの魅力が失われたわけではございません。UNWTO、世界観光機関によれば、国際観光旅客数はポストコロナにおきまして回復していく見込みでございます。今は大変厳しい状況にございますが、中長期のスパンで見れば、国際観光市場の重要性は変わるものではないと考えておるところでございます。
また、日本政策投資銀行やシンクタンクなどによる外国人を対象としました調査では、日本は公衆衛生レベルを高く評価され、コロナ後に訪れたい国の最上位に位置づけるなど、ポストコロナに向けては好材料も少なくないところでございます。
インバウンドの回復までは、残念ながらもうしばらく時間を要すると考えられますことから、まずは施設改修など、宿、観光地のリニューアル支援、長期滞在に資する魅力的なコンテンツ造成、多言語対応等の受入れ環境の整備などに取り組みまして、全国各地の観光地の魅力と底力を高めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、観光庁といたしましては、引き続き関係省庁とも連携しながら、二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人、消費額十五兆円等の政府目標に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○小宮山委員 ありがとうございます。
私自身も、観光産業というのは、地域の文化や様々なことを理解をしていただく、インバウンドに対しても、大きな資産が日本国内にはあると感じておりますし、また、いずれは自動車産業にも勝る、そういった大きな産業になるということも理解はしておりますが、そのためには、やはり国内をしっかりと移動ができなければいけません。観光政策の基本的な思想、目標を変えないということは、観光に係る産業や従事者が、現在も、また収束後においても、事業も事業者も継続して存在していただくということが前提になると思います。
立憲民主党の埼玉県連の県議にも、バス業界から大変な危機感のある言葉が届いております。
緊急事態宣言は三月七日で終わる想定で動いていたので、再延長となり、学校等の集団移動で利用する団体からキャンセルが相次いでいる、今回の、八日から申請開始となる一時支援金は、バスは対象外となっている状態で、事業継続が厳しい会社も出てきている、至急、事業継続できる給付金が必要であること、また、GoToなど事業再開が見込めない中で、代替案として、ワーケーションやコロナワクチン接種にバス利用の促進策等を検討していただきたい、このような声が私どものところにも届いております。
埼玉県下の民間バス業者からの一例を申し上げましたけれども、これは全国にわたる問題でもあります。公共交通機関の維持は、社会機能を維持するためにも守るべき産業でもあります。ワクチンの優先接種が必要だとの声や、雇用調整助成金についてのより一層の弾力的運用とか、事業継続、運行維持に資する支援策への強い要望が寄せられております。
緊急事態宣言延長の決定の下、今後の観光関連産業、公共交通機関などに対して国交省としては具体的にどのような支援を行うのか、お伺いいたします。
○久保田政府参考人 お答え申し上げます。
交通事業者は、コロナ以前から少子高齢化、人口減少が進み、厳しい経営環境にあったところ、委員御指摘の、昨年来のコロナ禍による輸送需要の減少により、事業継続が大変厳しい中でございます。こういった交通事業は、地域住民の日常生活、そして観光を含む我が国の経済産業活動を支えるインフラとして、極めて公共性の高い役割を担っていただいておると認識してございます。
こうした公共交通機関を支えるために、政府といたしましては、コロナ禍における事業の継続と雇用の維持に向け、持続化給付金、雇用調整助成金、地方創生臨時交付金などや各種資金繰り支援などの業界横断的な様々な支援措置を講じておるところでございます。
国土交通省といたしましては、業界団体を通じて周知を行うなどにより、こうした支援が事業者に最大限活用されるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。
さらに、国土交通省といたしましては、地域の鉄道、バス、離島航路等の運行維持や、感染症防止対策の強化などにつきまして、令和二年度第三次補正予算におきまして約三百五億円、令和三年度当初予算案におきまして約二百六億円などの、公共交通機関を支える手厚い支援を盛り込んでおるところでございます。
今後とも、国民生活、経済活動、そして委員御指摘の観光客の移動に欠くことのできないこれらの公共交通事業者がコロナ禍による危機を乗り越え、しっかりと機能し続けられるよう、あらゆる支援を行ってまいりたいと考えてございます。
ありがとうございます。
○小宮山委員 GoToトラベル事業の予算は、令和二年度補正予算、予備費などで総額二兆七千億円まで膨れ上がっております。これから見ると少しささやかだなと感じるところでありますが、やはりここはしっかりと事業を継続していただくことによって、後での、収束後の回復というのが大きく変わってくると思いますので、ここはもう少し決断をしていただければなと思います。
さて、先日、立憲民主党が提出しました観光政策への提言に関しまして、予算委員会におきまして大臣にはお答えいただきましたけれども、今お話があるように、安全な地域など、地域ごとでの観光の再開というのは現実的な政策だと感じております。その中において提案をさせていただいておりますけれども、マイクロツーリズムの導入の実現性についての御見解を大臣にお伺いしたいと思います。
○赤羽国務大臣 そもそもGoToトラベル事業は、新しい生活様式の下での新たな旅のスタイルの普及、定着といったことを目指した事業でございました。
今停止をしておりますが、これまで実施をした期間の中で分析をしていると、四十七都道府県の旅館、ホテルに来られるお客様はどの県から来ているのか、そういう分析を行っておりますが、大半の県が、第一位が地元の、県内からのお客さんです。二位、三位もほぼ隣接でございまして、結果としては、マイクロツーリズムの旅行というのが萌芽し、定着し始めているのではないかと。
やはり今まで、一泊二日の旅行みたいなことでも結構大げさで、ばたばたとしながら、帰ってくると、疲れに行ったようなものだとか、自宅が一番いいみたいな、そういう記憶も私自身もありますが、そうではなくて、地元の中で、あっ、こんなところに、すぐそばにいい観光地があったんだ、いい温泉があったんだという声もしっかり聞かせていただいているところでございます。
こうしたことというのは、今、県民割引みたいなことを実は十七の府県でやられておりまして、そうしたことも、昨年はGoToトラベルと併用可能ということでありましたので、より割引率が高くなったということも、そうしたマイクロツーリズムの旅行というものにドライブがかかったのではないかというふうに思っています。
いずれにいたしましても、今こうした状況でございますので、国の大方針としては感染拡大を早期に収束するということが最優先でありますけれども、他方で、感染が落ち着いている地域では、それぞれ県独自の支援策を講じておりますし、知事さんからは、そうしたことについても国としてサポートしてほしいという声も伺っておりますので、そうしたことを踏まえながら、観光関連、今大変厳しい状況には変わりありませんので、しっかりと支援を検討していかなければいけない、こう考えているところでございます。
○小宮山委員 今おっしゃっていただいたことの中には、昨年の春から、私もですけれども、野党からの提案と重なるところがあります。早く御決断をいただき、後押しをしていただきたいと思います。
というのも、観光産業自体は、大体国内だけで二十三兆円の産業であります。インバウンドに関しますと、訪日外国人だと五兆円という規模がコロナ前でもありました。明らかに、圧倒的に国内の事業規模の方が大きいということでもあります。
ここをしっかりと活性化することの方が効果は大きいなと感じておりますので、単刀直入に、GoToトラベル事業はどのような条件がそろえば再開するんでしょうか。首都圏の緊急事態宣言も延長され、観光だけではなく、地域の飲食始め産業も疲弊をしております。第四波の懸念もされる中、再開を待つよりも、今は直接的な支援に注力すべき時期だと思っておりますが、大臣の考えをお伺いいたします。
○赤羽国務大臣 再開のルールというのはこれまでと同じでありまして、感染状況とか医療の逼迫状況の判断というのは、これまでも国土交通省単独で決めているわけではなくて、対策本部の分科会の専門家、感染症の専門家の皆様、また政府全体で決定をしております。これは別の言い方で言いますと、ステージ2相当の地域であれば構わない、そういう基本的な見解がございます。
そうしたことで、そうした状況を待っているということでございますが、あともう一つ、直接支給という話、国会の場でもよく出ますが、私、申し上げるのは、具体的に、じゃ、どう支給をするのかと。現実には、これまで四十二の観光地の皆さんとリモート会議も含めて意見交換会を率直にしておりますが、この直接支給を希望されている方というのはほとんど聞かないんですね。
それは、やはり観光需要を起こしてもらって、消費をしてもらう、これが、そうした方がありがたいという声が圧倒的でありますので、その再開を待っているということでございますし、私の地元も有馬温泉、たくさんありますけれども、取引業者も物すごく多くて、一番多いところは、実はびっくりしたんですけれども、四百五十のところと取引をしていると。そうしたところまでどう裨益するのかというのは非常に難しい話でございます。
ですから、そうしたことはなかなか現実的には難しいのではないかなと思いますが、いずれにしても、年が明けてのリモート会議を含めると、やはり、この状況が続くと非常に経営維持も大変だという声は聞いておりますので、そんなに時間を空けずに、ここでしっかりと対応ができるように、具体的な支援策を講じていきたい、こう考えております。
○小宮山委員 なかなか大臣に直接支援をというのは言いづらいのかもしれませんが、結構私どものところには直接の支援、給付金であったり家賃の支援であったりというのは、雇調金もまだ続けてほしいというのはありますので、これら多くの支援があると思います。これに関しましては、先般の立憲民主党からの観光政策の提言の中にも書いてある部分もあるので、是非御参考いただければと思います。
観光産業というのは、やはりしっかりと伸ばしていかなければいけないというのは当然であります。大分先の話になるかもしれませんが、首都圏の交通網についてのお伺いをしたいと思います。
羽田空港アクセス線の整備と直通運転につきまして、国交省より本年の一月二十日に、JR東日本に許可をされております。この点に関して是非お聞かせいただきたいと思いますが、山手線を介して宇都宮、高崎、常磐線方面への連携する東山手ルート、埼京線方面へ連携する西山手ルートが示されております。航空自衛隊入間基地と民間のホンダエアポートがあるものの、埼玉県におきましては、旅客航空路は羽田、成田の両空港を利用することとなります。埼玉に暮らす者としては、埼京線、川越線等の連携、更に言えば直通運転の可能性というのは、極めて今私の周りで高く関心が持たれております。
羽田空港アクセス線との直通運転による首都圏の鉄道網と空路の連携について、特に埼玉県下との関係の展望について、国土交通省の御見解をお聞かせください。
○上原政府参考人 お答えいたします。
羽田空港アクセス線につきましては、平成二十八年四月の交通政策審議会答申におきまして、我が国の国際競争力の強化の観点から、その重要性が指摘されております。羽田空港と多方面とのアクセスの利便性の向上に有意義なものと認識をいたしております。
国土交通省におきましては、先ほど御指摘がございましたとおり、東京貨物ターミナルから羽田空港新駅、仮称でございますが、こちらまでの新線区間につきまして、JR東日本に対しまして本年一月二十日付で鉄道事業許可を行ったところであり、東山手ルートと併せて令和十一年度の開業が予定されております。本事業におきまして、宇都宮、高崎線を通して羽田空港から埼玉県エリアへダイレクトなアクセスが可能となり、時間短縮や乗換解消による利便性の向上などの効果が期待されます。
一方、西山手ルートにつきましては、同答申におきまして埼京線方面へのアクセスが想定されておりますが、今後、事業化に向けまして、JR東日本、東京都を始めとする関係者間におきまして具体的な事業計画の検討を深めていくことが必要であると認識しております。
国土交通省といたしましても、今後の関係者間の検討状況を踏まえながら、事業計画の具体化に向けまして、必要な協力を行ってまいります。
○小宮山委員 交通網というのは、やはりつながってこそ、その便利さや利便性というものが大変向上するんだと思っております。
首都圏の同心円状鉄路の充実についてお伺いしていきたいと思います。
埼玉県内では、都内への連絡を確保する道路、鉄道が充実しておりまして、それに比べて、県内の東西を結ぶ同心円状の交通網は脆弱という特徴がございます。
こうした観点に立つとき、大宮、川越駅をつなぐJR川越線の果たす役割は重要かと思います。特に大宮は、今お話がありましたとおり、今後、羽田へのアクセスが直接つながってくるとなると、この大宮というのは、東北や日本海側に対しての新幹線等が全部乗れるという意味では、発着するので、ここを接続することというのは、非常に地域の観光や様々な産業に対しても大きなインパクトがあります。
近年頻発する豪雨による水害の備えとして、荒川におきましては、第二調整池、第三調整池の整備、堤防かさ上げなどの治水対策事業が進められているところでありますが、このかさ上げ事業に関して、JR川越線の鉄橋の架け換えが併せて予定されているところであります。このような機会をしっかりと活用し、JR川越線の複線化を求める声が地元の地域でも強く、自治体、地方議会を始め、要望活動が展開されているところであります。
首都圏交通網整備における同心円状の道路、鉄道の充実の意義についても国交省の御見解と認識をお聞かせいただくとともに、JR川越線の複線化が待ち望まれている点に関しての見解をお聞かせください。
○上原政府参考人 お答えいたします。
JR川越線につきましては、通勤通学の足のみならず、埼玉県西部地域への観光の促進にも重要な役割を果たしていると認識しております。一日当たりの輸送密度、平均の通過人員でございますが、こちらも五万六千人程度で、近年微増の傾向というふうに認識しております。
これまで、JR東日本では、八王子方面や埼京線を経由してのりんかい線方面への直通運転を開始するなど同線の利便性向上に努めるとともに、車両幅の広い新車両への更新により輸送力の増強を図ってきていると聞いております。
委員御要望のJR川越線の将来的な複線化につきましては、今後の輸送需要の見込みなどを踏まえ、基本的には鉄道事業者の経営判断により行われるべきものと承知しておりますが、まずは、令和二年十一月に設立されました荒川橋梁架け換えに向けた埼玉県による協議会などを通じまして、地元自治体とJR東日本との間で十分な協議が行われていくことが重要と考えております。
○小宮山委員 もちろん協議は重要だと思いますが、是非今後、観光政策六千万人という目標がある中においては、やはりここの部分は検討していただき、後押しをしていただきたいというふうに思います。
さて、建設業における社会保険加入促進義務づけに関して、重層構造にある建設会社間で、元請から下請に対し、年金事業所の受領印のある標準報酬決定通知の写しを添付し提出するように求められる場面があるそうです。
現在、新型コロナで更に進んでおりますが、オンラインによる電子申請が拡大してきている中、元請からの指示を受けた下請工事会社の一部では、電子申請を取りやめて、わざわざ紙で書類提出に戻したという例も出てきております。社会保険の電子申請推進を阻害する要因となりかねません。
是非、この点に関しまして、建設会社、特に元請となる可能性の高い会社各社などに、電子申請による様式に関しての周知徹底を求めたいと思いますが、この点、御見解をお聞かせください。
○青木政府参考人 お答えいたします。
国土交通省におきましては、かねてより、担い手確保のために推進してまいりました建設業における社会保険加入対策といたしまして、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを策定してございまして、元請事業者におきまして、工事現場への作業員の入場時に社会保険加入の有無を確認するよう、私ども、要請をしてきてございます。
このガイドラインにおきましては、現場における年金保険の加入確認の手段といたしまして、現在、官民挙げて普及を進めてございます建設キャリアアップシステムの活用、これを原則としてございますけれども、これを活用しない場合には、お話ございました、標準報酬決定通知書等関係資料のコピー、こういったものの提示を求めているところなのでございます。
御指摘につきまして、決定通知書について電子申請によって発行されるということになりました場合には、電子署名が用いられておりますので、ダウンロードあるいはプリントアウトした場合には日本年金機構の押印がない形となるというふうに承知をしてございます。
社会保険加入対策の重要性というものを考えますと、現場において社会保険の加入を確実に確認していただくことが重要と私ども考えております。その中で、元請事業者といたしまして、書類の偽造防止などのコンプライアンス遵守の観点から、現場において、押印のある通知書で加入確認を行っているところもあると承知をしてございます。
ただ一方で、御指摘ございましたように、行政手続のオンライン化、こういった流れを阻害しないということも重要でありまして、対応を求める御要望も私ども承知をしているところでございます。
今日御指摘いただきましたことも踏まえまして、今後、現場の実情も踏まえさせていただいて、そして、関係省庁、関係団体とも相談させていただきながら、現場における加入確認の手段について、具体的にどういった対応が可能か、適切か、検討させていただきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○小宮山委員 しばしば、やはり建設業に関して、社会保険事務所であったり、その説明や、また、各、いろいろな通知があると、この点に関して、現場の対応する職員さんも含めて、思い違いとか理解のそごというのがあったりするというので、対象になる人がなれなかったり、手続を変えてしまうこととか、様々問題がありました。是非、使う側の立場、その権利を保護するという意味においても、丁寧な対応をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
さて、今いろいろな課題が国交省にはあります。海域においても今多くの問題があるかと思いますが、明日、三月十一日は、東日本大震災発災から十年目の節目を迎えます。この一週間ほど、東日本大震災に関する特集、様々なテレビや紙面等、行われておりまして、先日も、海での対応というものも流されておりまして、私自身も、それを見ながら、海上保安庁が当時、救助、御遺体の収容など、精神的にも厳しい任務に当たられていたこと、改めて感謝を申し上げたいと思いますし、その後のPTSDなど、職員のフォローも重ねてお願いしたいというふうに思います。
東日本大震災、熊本地震といった大規模災害への対応において、海上保安庁は、全国から巡視船艇、航空機を派遣して、海陸を問わず、様々な対応を行ってまいりました。災害発生時には迅速に被災地に駆けつける必要があります。
しかし、震災後は、観閲式などを行う運営の余裕はないのではないかと思っております。私自身も大分前に行きましたけれども、東日本大震災以降においては、災害対応やまた海域の警備など、ここに当たる分、観閲式を行うのは遠慮される、やれる状態にないというふうに聞いており、また、これも再開される見込みも今のところないんだと思います。
ということは、やはり、かなりこの整備、体制というのは逼迫した状態。海上保安庁の仕事の内容から見ると、すぐに人員が育つ、研修をするなども難しいこともあるでしょう。また、船舶に関しても、すぐにできるものでもありません。今増強しているとは存じ上げておりますけれども、この点はまだまだ、日本の海域を守る、そして、最近もかなり地震が多く起きております。
東日本大震災から十年目ということで、災害対応、また、首都直下型地震や南海トラフなど多くの対応をするためにも、海上保安庁としては、やはり職員の働き方の余裕、これは今後法案も出てまいりますけれども、同様に、人員の増員によってしっかりとした体制が取れるのも必要かと考えております。この点に関しまして、国土交通省、海上保安庁としてどのような対応をしているのか、御見解をお聞かせください。
○奥島政府参考人 お答えいたします。
海上保安庁におきましては、これまでも大規模な災害が発生した際には、海陸を問わず、状況に応じ、全国から巡視船艇、航空機を派遣するなど、政府の一員として、被害状況調査、人命救助、支援活動などを実施してきたところでございます。
例えば、豪雨や台風などによる自然災害の発生時には、地方自治体に職員を派遣し、被災状況や生活支援ニーズなどの情報収集を行い、人命救助活動に全力を尽くすとともに、巡視船による給水、食糧支援、入浴提供などといった住民の方々への支援を行っております。
また、近年激甚化するこれら自然災害への対応のほか、警備救難業務や船舶の航行安全業務などを行っておりますが、尖閣諸島周辺海域における対応、日本海大和堆周辺海域における対応など、海上保安庁が対応すべき業務は多岐にわたっており、我が国周辺海域をめぐる情勢は一層厳しさを増しております。
海上保安庁では、こうした状況を踏まえ、平成二十八年十二月、関係閣僚会議において決定された海上保安体制強化に関する方針に基づき、尖閣領海警備体制の強化と大規模事案の同時発生に対応できる体制の整備などを進めているところでございます。
この方針を踏まえ、平成二十八年度から、大型巡視船十三隻、測量船二隻、航空機六機などの増強整備に着手をしており、また、人員につきましても、同方針の決定前と比較して約八百人増員をしているところでございます。
引き続き、着実な人員の確保も含めて、必要な体制整備を推進してまいりたいと考えてございます。
○小宮山委員 昨今、我が国の周辺海域をめぐる情勢は一層厳しさを増しているところでもあります。このような中において、やはりしっかりと警備をすること、海域をしっかりと押さえるという意味においては、まずはやはり海上保安庁の活躍、そして活動というのが重要になってくると思います。
私自身は海なし県の埼玉ではありますが、日本国として見れば、四方を海に囲まれております。この点に関しましては、立憲民主党としてもしっかりと皆さんと議論をし、そして、日本を守る、そのための活動、提案をこれからもしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、最後になりますけれども、明日は東日本大震災から十年という節目を迎えます。二万人を超える多くの方が亡くなり、そしていまだ行方不明者もいらっしゃいます。改めて、お亡くなりになった皆様に哀悼を表し、そして、いまだに被災地での生活、厳しい中にいらっしゃる方々に、また自主避難をされている方々に対し、お見舞いを申し上げたいと思います。
地震、津波、原発事故、未曽有の被災から分かったこと、そして思い知らされたこと、経験を風化させることなく後世に生かしていかなければならないものです。高台避難や高台移転、沿岸部での垂直避難、地籍調査の重要性、安全神話を過信することなく、最悪の状況、過酷な前提についても想定していくこと、避難所の在り方、災害弱者、要配慮者への対応、多くの案件について学ぶことと私たちはなりました。
災害対応において、基礎自治体の役割と、国土交通省出先機関、特に地方整備局の対応がいかに重要であるかも示された震災だったと思っております。迅速な復旧、支援に欠かせない道路の啓開、また、燃料輸送において展開され、極めて有効だったくしの歯作戦を始め、国土交通省の対応には敬意と感謝を持っております。
当時、大畠国交大臣の、本当に政治の決断ということ、その後押しというものの大切さというのも、私自身、間近にいて教えられたことであり、これはしっかりと胸に刻んでいきたいと思っておりますが、一部では、最近、東日本大震災の後の削減、廃止の対象など述べられている国交の出先機関がいかに重要か、被災していない地域の出先から迅速に支援体制を整えて被災地入りができるバックアップ、TEC―FORCEなど、この体制を取れる流動性というのも多くの方々が理解を共有しているかと思っております。
赤羽大臣においては、阪神・淡路大震災の被災地選出でいらっしゃり、一層思いも強いことと推察しておりますが、東日本大震災から十年、国土と交通を所管する大臣として、各地それぞれの事情、状況に即して、柔軟に、また迅速に行政運営をしていくに当たってのお考えをお聞かせください。
○赤羽国務大臣 御質問が大変大きなテーマなので、簡潔に申し上げるのはなかなか難しいのですが、私、やはりいろいろなことを教訓として思っております。
そもそもで言いますと、日頃からの備えというのが防災・減災には尽きる。やはり、個人でもそうですし、地域の在り方、公共事業の仕方、そういったことも全て防災・減災という角度でやるということが大事だと思いますし、神戸では、阪神大震災以降、下町ほど被害を最小化に食い止めることができたということから、学校校区ごとの防災福祉コミュニティーという組織をつくって、地域の防災力向上のために様々な努力をされているということでございますし、また、そうしたことの、人口が減少していくとか高齢化の動向というのは分かるわけなので、その地域ごとに中長期にわたる人口動向を見据えた上のマスタープラン、いざあったときにはどうするかといったことも含めて、そうしたことをもう少し自治体単位で作っていくべきではないか。ハザードマップを活用して、マイ・タイムラインの形成なんかも使っていただきたいと思っております。
そして、いざというときには、私、やはり思っているんですけれども、平時のルールというのが復旧復興では一番の僕はハザードになっていると。ですから、普通のときじゃない災害時にとって、新しいルールを作るのはやはり立法府の責任だというふうに思っていますので、どれだけ政治家が現場に入って、被災者の立場に立った特別な立法ができるか、また、そうしたことを日頃から用意できるかということが重要なのではないかなというふうに思っています。
そして最後に、一番言いたいのは、被災者というと、何か、少々我慢しろとか、ですから、体育館に寝かせても普通と思っていますけれども、私は、人としての尊厳がどこまで保てるのかということが復旧復興政策については一番大事だと。
そんなことを、ちょっと雑駁ではございますけれども、感想を申し上げさせていただいたところです。
○小宮山委員 ありがとうございます。
昨日、立憲民主党といたしましては、復興庁、平沢大臣のところに、私どもがまとめた要望を出させていただきました。
災害時、スフィア基準など、今大臣おっしゃいました避難所の在り方、ここもまだまだ改善しなければなりません。また、まずは社会機能がしっかり維持をできる、これは救援活動にも大きく影響いたします。そういう意味では、インフラの長寿命化や、この点もまだまだやらなければいけないところがたくさんあります。
しっかりとこの点に関しましても、私ども、これからも提案をさせていただくことをお伝えして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、広田一君。
○広田委員 立憲民主党・無所属の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
私の方からも、新型コロナウイルスで亡くなられた方々に心から哀悼の意を表します。また、明日三月十一日で、東日本大震災から十年の節目を迎えます。当時、自分は防衛省の方におりました。本当に、亡くなった方々に対しましても心から哀悼の意を表するところでございます。
それでは、質問に入りたいと思いますが、その前に、先ほどの小宮山筆頭とのやり取りで、ちょっと、若干気になった点がありますので、その点について質問させていただきたいと思います。
GoToトラベルについてなんです。このGoToトラベルについては、私たちもその必要性というものは十分に理解をしております。私自身も、私のことながら、実家が観光関係をやっておりますので、その必要性、そしてありがたさというのは十分認識をしているわけでありますが、ただ、今は感染防止策を徹底しなければならないんじゃないかというのが私たちの立場でございます。
そういった中で、政府の方は、三次補正においてGoToトラベル関係で一兆三百十一億円の予算を計上しました。釈迦に説法でございますけれども、補正予算というのは年度内に執行しなければならないものであります。今のこの感染状況等を考えた場合に、赤羽大臣、三月末までに、GoToトラベル、予算執行できるというふうな見通しを持っていらっしゃるんでしょうか。いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 補正予算の原則は広田先生が言われているとおりでございますが、これは今回、昨年十二月の経済対策が発表されて、観光事業は、やはり地方の雇用、また地方の経済を支えるのに大変重要だと。当時、十月、十一月とこのGoToトラベル事業の経済効果、大変大きなものがあるという中で、他方では、一次補正で予算を組まれていたときに、これも大変大きな予算でありましたが、使い切ってしまうのではないかというような状況がございまして、予備費も計上させていただいたところでございます。
そういう意味で、やはり全国の地方から半年程度の延長をお願いしたいという声があって、経済対策では六月末ぐらいまでをめどにということで、そうしたGoToトラベル事業の延長ということの発表がなったわけでございます。
ですから、そうした十五か月予算でございましたので、なるべく早く執行ができるように、万が一、第一次補正、予備費でもGoToトラベル事業の予算が足りなくなっても、それがシームレスにつながれるようにということで、補正予算に入れさせていただきました。
ですから、ある意味で、三月末までに使い切るということではなくて、予算書にも繰越明許費用という、繰越しをしてもオーケーだということで予算案の審議をしていただきまして、国会の審議を経て、今は、ですから、新年度も使える補正予算というふうに受け止めているところでございます。
○広田委員 大臣の方から、このGoToトラベルを計上した背景とか理由について御答弁がございました。一定理解をするところでございます。
もちろん、繰越明許というようなところも承知をしているところでございますけれども、ただ一方で、この三月末までにGoToトラベル事業の予算が一円も使われないかもしれない。これは幾らかでも執行できるという見通しは持っていらっしゃるんでしょうか。それとも、今の感染状況だとなかなか難しい、こういった考え方なんでしょうか。
○赤羽国務大臣 GoToトラベルの本格的な再開とは別に、この予算の中で、キャンセル見合いに対する支援ですとか、具体的なことで使わせていただいておりますので、今、計上させていただいて成立した予算は、大変ありがたく使わせていただいております。
○広田委員 いや、本体の事業として使える見込みを持っていらっしゃるんでしょうか。
○赤羽国務大臣 お言葉ですけれども、この国会でも、御党の、御党じゃないのかな、広田さん、無所属ですか。立憲民主の代表でも、先日わざわざ当委員会まで来られて、様々な意見を述べられました。そうしたことはやはり国会での発言ですから、それは受け止めなければいけないと思いますし、予算を使わなければいけないということで今その再開を強行するというような状況にはなかなかないと考えるのが、国会における各党の意見を受け止めての我々の今の状況ではないかなというふうに思っていますが。
○広田委員 なかなか執行するのは難しいなというふうな形で理解しました。
その上で、先日、西村大臣の方がテレビ局のインタビューで、GoToトラベルをやる場合は都道府県単位から始める、そういうふうな検討に入っている趣旨のお話をされているんですけれども、その点のやり取りについては赤羽大臣とはされているんでしょうか。
○赤羽国務大臣 関係五閣僚の会議のときには、感染状況と医療の逼迫状況等々で今緊急事態宣言をどうするかという中、また、それに伴ってGoToトラベルをどうするかという、そうした議論の場はございます。
ただ、ちょっと、西村さんがどのテレビ局で言われたかがよく分かりませんし、出番が多い大臣ですので、必ずしも全ての発言を私が承知しているわけではございませんが、今言われたような形でのまだ決定をしているわけではないので、若干、もしそういう発言が本当であったなら、やや、ちょっとこれも余計なことを言わない方がいいかもしれませんけれども、公式発言ということではないんじゃないかなと。
済みません、その発言、私、承知していませんので、申し訳ありませんが、私からはちょっと言えませんが、再開については、今、感染状況を踏まえながら、どういう形で再開をするのがいいのかということを検討しているという段階でございます。
○広田委員 先ほどの小宮山筆頭とのやり取りの中でも、大臣の方からはマイクロツーリズムの重要性についての御指摘があった。一つの選択肢かなというふうには理解はしますけれども、是非、西村大臣とは歩調を合わせて取り組んでいっていただき、繰り返しになりますけれども、私たちもGoToトラベル自身は、それは賛成でありますので、本当に与野党挙げて、これを推進できるようなために、感染防止対策等々にもまずは徹底して取り組んでいただきたいということを強く要請をいたします。
それでは、質問に入らさせていただきます。
まずは、領海警備についてお伺いをいたします。
海上保安庁の皆さん、そして自衛隊の皆さんにおかれましては、日本を取り巻く環境が大変厳しさを増す中でも、二十四時間三百六十五日、任務に精励をされているところでございます。一人の国民としても、頭が下がる思いでございます。心から感謝と御礼を申し上げます。
そういった中で、尖閣諸島周辺の状況についてなんですけれども、赤羽大臣自身が大臣所信の中で、厳しさを増す我が国周辺海域の状況を踏まえて、尖閣諸島周辺海域を始めとする領海警備に万全を期すという旨のことを述べられているわけでございます。
まず、そこでお伺いしたいのが、この尖閣周辺海域の状況について、どう厳しさを増していると認識をされているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○赤羽国務大臣 尖閣諸島の接続水域におきましては、ほぼ毎日、中国海警局の所属の船舶による活動が確認をされておりまして、昨年でいいますと、年間確認日数三百三十三日、連続確認日数も百十一日、これ、いずれも過去最多を更新している、頻度が大変高まってきているというのが第一点です。
また、もう一つ、中国海警局に所属する船舶それ自体が大型化、武装化も進んでいる、情勢は依然として予断を許さない状況にあるというふうに認識をしております。
こうした状況を踏まえて、これまで海上保安庁も何もやっていなかったわけでは当然ないし、広田先生はよく御存じだと思いますが、その中でも、平成二十八年十二月の関係閣僚会議におきまして決定をされました海上保安体制の強化に関する方針に基づいて、これまで巡視船艇、人員、また予算、先ほど海上保安庁長官から御答弁をさせていただきましたが、そうしたものを、尖閣の領海警備体制の強化を計画的に進めてきているところでございまして、常に相手の船舶数より多い巡視船を配備するなど、領海警備に万全を期しているところでございます。
また、様々な事象が発生した場合に備えて、日頃より自衛隊や警察機関との情報共有、連携の強化、また、各種訓練の充実など、必要な取組を今推進しているところでございます。
いずれにいたしましても、海上保安庁としては、引き続き、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという大方針の下に、外務省など関係省庁と緊密に連携をして、事態をエスカレートさせないように、冷静に、かつ毅然として対応を続けてまいりたい、こういう認識で行っております。
○広田委員 大臣の方からは、尖閣周辺の現状と全般的な取組、そしてまた決意についてのお話がございました。その内容については大いに同意するところでございます。
そういった中で、海上保安庁の方にもお伺いをしたいんですけれども、具体的にちょっとお伺いしたいと思います。
これまでの中国公船による尖閣周辺の一日当たりの領海への最大侵入隻数と最長領海侵入時間、並びに尖閣諸島への最接近距離について、それぞれ、いつ発生したのか、示してもらいたいと思います。
○奥島政府参考人 お答えいたします。
中国海警局に所属する船舶等による一日当たりの最大侵入隻数でございますが、これは平成二十五年の四月二十三日及び九月十日にありました八隻でございます。
また、一件当たりの最長侵入時間、これは、令和二年十月の十一日から十三日にかけての五十七時間三十九分でございます。
また、島への最接近距離につきましては、平成二十五年七月一日の魚釣島への約四百五十メートルの接近でございます。
以上です。
○広田委員 こういった中で、非常に、侵入隻数八隻、最長の侵入時間、特にこの最長の侵入時間が令和二年の十月に起きて、これは五十七時間というふうなことであります。平成二十六年のときはこれが二十八時間十五分でございましたので、およそ倍になっているわけでございます。
領海にこれだけの時間、侵入をされるというのは、本当に極めてゆゆしき事態だというふうに思っているところでございまして、そういった中で、この二月一日から中国海警法が施行されたわけでございます。
この海警法についての考え方ということについては、今資料でも菅総理大臣の答弁については示させていただいているところでございますけれども、赤羽大臣に、この海警法に対する評価についてお伺いしたいと思います。
○赤羽国務大臣 海警法について、国際法にどうなのかという議論はありますけれども、こうした他国の法令についてコメントすることはちょっと差し控えさせていただきたいと思っておりますが、そもそも、尖閣諸島周辺の我が国領域内に侵入を繰り返していること自体が国際法違反であるということでございますので、そうしたことは、外交ルートにおいてこれまでも度々中国政府に厳重に抗議をしているというふうに承知をしております。
○広田委員 大臣、ちょっと、これまでの政府全体の見解から見ると、かなりトーンダウンしているように聞こえるんです。
特に、例えば、おっしゃるとおり、領海内でああいった無害通航でない行為なんかをするのは国際法違反だというのは、これは当たり前のことでありますけれども、そのことを踏まえても、例えば菅総理自身、国際法に反する形で海警法が運用されることがあってはならないというふうなことを述べているわけでございます。
そうすると、二月一日以降の今の海警法に基づいた中国海警の領海侵入等々の実態を見たときに、これは明らかに国際法に反する形で海警法が運用されているんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、赤羽大臣の御所見をお伺いします。
○赤羽国務大臣 ちょっと済みません、大事な点なので。菅総理の発言と私の発言が、私が発言しているかのような今御指摘がありましたが、そうしたことはございません。
今言われた、この海警法が、総理も、国際法に反する形で運用されることがあってはならないと、これは私も全く同様でございます。ただ、菅総理も、海警法自体が国際法に云々ということは言及されておりませんし、全く変わらないというふうに思っております。
そして、今の領海侵入云々については、先ほど申し上げたとおり、これは、海警法にかかわらず、海警法ができる以前から繰り返し行われていたこうした行動について、そもそも国際法に反しているということを述べたところでございます。
○広田委員 大臣、ちょっとこの点、結構重要な点なので詰めさせてもらいたいんですけれども、海警法に対する御認識については、それは評価はちょっと態度を保留されているわけなんですけれども、しかしながら、菅総理自身も、この前の二月二十二日の衆議院の予算委員会の場においても、今回、この二月一日から施行された海警法については、これは国際法に反する形で運用されているというふうな質問に対しては、そのとおりだ、当然だというふうな趣旨の答弁をされているわけでございますので、この点、ちょっと閣内でしっかりと調整していただかないといけないですし、しかも、赤羽大臣の場合は、海上保安庁、海洋の秩序等について責任ある立場でありますので、ここに対する認識というものは一緒でなければならないというふうに私は思っているんです。そういう意味で、確認をさせていただいております。
繰り返しになりますけれども、この二月一日から施行された海警法については、国際法に反する形で運用されているという認識を持っていらっしゃるのかどうか。いかがでしょうか。
○中山副大臣 広田議員の御質問に関しまして、まず私の方から補足答弁をさせていただきたいと思いますが、二月二十二日の衆議院の予算委員会における菅総理と岸防衛大臣の答弁につきましては、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動は、中国のいかなる国内法に基づこうと、そもそも国際法違反であるとの趣旨で述べられたものと承知しております。その認識にそごはないと考えております。
その上で、海警法につきましては、曖昧な適用海域や武器使用権限など、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含むと考えております。これらの規定は、実際に適用された場合に国際法違反となり得るものです。
このような観点から、日本政府から中国政府に対して、既に強い懸念表明を行っております。そしてまた、これからも続けてまいります。
ありがとうございます。
○広田委員 大臣、ですから、国際法に反する形で運用されることがあってはならないというふうなことでありますが、二月一日に実際にこの海警法が施行されました、される中で、例えば領海侵入なんかも六回ですかね、されているわけであります。
そういったようなところを含めたときに、海警法が国際法に反する形で運用されているんじゃないか、その確認の答弁をいただきたいということです。
○赤羽国務大臣 繰り返しになって恐縮ですけれども、海警法の成立以前からこうした行動というのは繰り返し行われておりまして、そのこと自体、国際法に反するということで、度重なって抗議をしている、これはもう全く変わりません。
○広田委員 ちょっと委員長、もう何度も同じ趣旨の答弁になりますので、もちろん、国際法の趣旨に照らして、ああいった領海侵入、我が国に対する領海侵入は国際法違反である、それは当たり前、当然のことなんです。
私が聞いているのは、菅総理大臣も言っているように、海警法が国際法に反する形で運用されることがあってはならないということを表明されております。実際、二月一日からこの海警法が施行されました。海警法に基づいて海警が活動しているわけなんです。そうなんですよね。海警法に基づいて、あの尖閣周辺で活動しているわけなんです。その事態を踏まえて、この海警法が国際法に反する形で運用されているというふうに私は考えますけれども、赤羽大臣の御認識はいかがでしょうかということですので、その海警法が、海警法に基づいて、これが国際法に反する形で運用されているんじゃないかということでありますから、これについては、もうそろそろ明確に答えていただければと思います。
○あかま委員長 まず防衛副大臣に答弁いただいて、その後という形でよろしいですか。(発言する者あり)
一旦、速記を止めさせていただきます。
〔速記中止〕
○あかま委員長 それでは、速記を起こしてください。
それでは、赤羽大臣。
○赤羽国務大臣 失礼しました。
済みません、二月二十二日のこのやり取り、事前に聞いておりませんでしたので準備が遅くなりまして失礼しましたが、先ほど防衛副大臣から御答弁がございましたが、仮に中国海警法がこうした活動を裏づけるものであるならば、国際法に反する形で運用されているという見方もあり得るということでございます。
しかし、私どもは、海警法に基づいた活動かどうかということについては、私は今答えることはできないし、先ほどの答弁のとおりで、我々の立場としては、我が国の領海警備ではしっかり守っていく、それについては全く落ち度がなく対応しているというふうに承知をしております。
○広田委員 済みません、赤羽大臣、今の尖閣周辺の海域への活動が海警法に基づいた活動かどうか分からないというふうに言われたら、これはちょっと、二月二十二日の菅総理大臣の答弁とはかなりそごが出てきていると思います。
菅総理大臣は、質問に対して、そのとおりだというふうな趣旨の、当然だという趣旨の答弁をされているわけでありますから、大臣、ここはちょっと御認識を、もうちょっと整理をしていただかないといけないのではないかなというふうに思います。
ちょっと、次の質問にも行きたいわけなんですが、ただ、やはり、先ほど言いましたように、この海警法が二月一日に施行されて、領海警備について、本当に国民の皆さんの関心が非常に高まっているところであります。その状況について、赤羽大臣自身が、日本の領海についての責任を持つお一人でございますので、やはり総理の御見解とそごがあるということは私は問題だというふうに思いますので、そごがあるんだったらあるで構いません、これはまたただしていかないといけませんけれども、この点についてはきっちり整理した上で御答弁いただければと思います。
○赤羽国務大臣 今言われたことは了解いたしました。
○広田委員 是非委員長にお願いしたいんですけれども、ちょっと答弁が、また議事録精査等していただいて整理して、また当委員会に大臣の方の見解の方を示していただければと思います。お取り計らいの方をよろしくお願いします。
○あかま委員長 理事会にて協議させていただきます。
○広田委員 それでは、もう一点、現状の海上自衛隊と海上保安庁との連携協力の実態について。これも、当初、赤羽大臣の方から御説明があったわけでございますけれども、その実態について御答弁をいただければと思います。
○中山副大臣 広田先生、ありがとうございます。
防衛省・自衛隊においては、海上自衛隊の哨戒機によって、尖閣諸島周辺海域を含む我が国周辺海域を航行する船舶等の状況を毎日監視するとともに、必要に応じまして護衛艦等を柔軟に運用して、警戒監視、情報収集活動を実施をいたしております。これにより得られた情報を海上保安庁に適時適切に提供するなど、平素からのその能力を生かして緊密に連携をしているところです。
武力攻撃に至らない侵害への対処については、海上保安庁等の警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であるとの認識の下、平成二十七年、海上警備行動などの発令手続の迅速化のための閣議決定を行いました。
また、あらゆる事態に対処するため、例えば、海上警備行動命令が発令される事態を想定いたしました海上保安庁との共同訓練を積み重ねてきており、海上保安庁との連携は、これまでと比較しまして格段に向上をいたしております。
また、直近では、今月三日、九州西方海空域において、不審船対処に関わる海上保安庁との共同訓練を実施したところでございます。本訓練は、海上自衛隊の技量向上や海上保安庁との共同対処能力の強化を目的といたしておりまして、艦艇間の情報共有、共同追跡、それから監視、原子力発電所といった重要な施設へ向かう不審船の対処要領を演習するものであり、このような共同訓練を通じて得られた共同対処能力は、各種事態に対処するに当たって応用し得るものであると考えております。
防衛省・自衛隊としましては、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、引き続き、海上保安庁などの関係機関との更なる連携強化に努めてまいりたいと思います。
ありがとうございます。
○広田委員 中山副大臣の方から、自衛隊と海上保安庁との連携の重要性について具体的に示していただきまして、ありがとうございます。本当に、これから、やはり海上保安庁と自衛隊との連携強化というのはますます重要になってくるわけであります。
それと、御紹介があったように、三月三日の方には、不審船対応に対する対処をしたわけです。そこで、ちょっとお伺いをしたいんですけれども、こういうふうに、今、海上保安庁と自衛隊の連携強化というふうなものが非常に重要になってきているんですが、その法的根拠というのは一体どういうふうになっているんでしょうか。
○奥島政府参考人 お答えいたします。
海上保安庁が尖閣諸島周辺海域の領海警備を円滑に実施していくため、委員御指摘ございましたとおり、海上自衛隊等の関係機関との連携、これが極めて重要でございます。
このため、海上保安庁は防衛省・自衛隊と、本庁、各管区海上保安本部、現場の各レベルにおいて、日常的に情報交換を行うなど、緊密な連携体制をまずは構築しているところでございます。
さらに、海上保安庁と海上自衛隊との間では、平素から捜索救助あるいは海賊対処といった共同運用を行っておりますほか、これに加え、各種共同訓練などを実施し、連携を深めているところであります。
こうした関係機関との連携協力につきましては、海上保安庁法第五条第十九号「警察庁及び都道府県警察、税関、検疫所その他の関係行政庁との間における協力、共助及び連絡に関すること。」の規定に基づき、実施しているところでございます。
○広田委員 防衛省の根拠規定をよろしくお願いします。
○中山副大臣 どうもありがとうございます。
海自と海保の連携を進める根拠でございますけれども、防衛省・自衛隊としましては、海上保安庁との連携の強化に努めております。
例えば、不審船に関わる共同対処マニュアルの策定に当たりましては、防衛省設置法第四条第一項第二号「自衛隊の行動に関すること。」それから、海上保安庁が行う共同訓練につきましては、防衛省設置法第四条第一項第九号の規定、「所掌事務の遂行に必要な教育訓練に関すること。」を根拠といたしております。
不審船への対処に関しては、警察機関たる海上保安庁が一義的に対処をいたしておりますが、海上保安庁では対処することが不可能、又は著しく困難と認められる場合については、防衛大臣が海上警備行動を発令し、対処することとなります。このような考え方の下、平成十一年十二月に、海上警備行動の発令前後における相互間の役割分担などについて規定する不審船に関わる共同対処マニュアルを策定いたしました。
本マニュアルには、相互の情報連絡体制や海上警備行動の発令前後における役割分担、それから共同訓練など、様々なものが含まれておりますが、いずれも不審船の対処における海上警備行動の円滑かつ的確な実施を目的とすることから、その策定根拠は、防衛省設置法第四条第一項第二号「自衛隊の行動に関すること。」が該当するということになってございます。
以上でございます。
○広田委員 それぞれ御答弁があったんですけれども、本当に、お聞きになって分かるとおり、非常に曖昧な規定なんです。これから海保と自衛隊が非常に連携強化していかなければならないんですが、その根拠法というのが、海上保安庁の規定でも、「その他」の中で読むというふうなことになってしまっておりますし、自衛隊の方も、海上警備行動等はあるんですけれども、しかしながら、海保との連携ということを明確にしてこれはやられていないわけであります。
そこで、赤羽大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、これから、海保と自衛隊の連携協力強化について、私は、法的な根拠を明確化することが、国の領土、領海、領空を断固として守るという国としての意思を明確化することにつながることじゃないか、それが大臣の言う万全を期すということにも資することじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、この点について、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 私ども、武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関たる海上保安庁と自衛隊との連携が極めて重要であるという観点で、平成二十七年の五月の閣議決定で、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動、治安出動等の発令手続の迅速化のための閣議決定を行ったところでございまして、こうした中で、今、海上保安庁と海上自衛隊との連携、スムースに行われているというふうに承知をしております。
○広田委員 この点についても、もうちょっと議論を深めたいんですけれども、これはまた後ほど、後からしたいと思うんですが、最後に、潜水艦事故についてお伺いをしたいと思います。
去る二月の八日の午前十一時に高知県の足摺岬の南東五十キロの沖合で、潜水艦「そうりゅう」が民間商船と衝突した事故が発生をいたしました。尖閣諸島を始め、先ほど来議論しているように非常に緊迫度が高まっている中で、これはあってはならない事故だというふうに思っております。
今後、事故調査委員会、また防衛省の方でもそれぞれ調査が進むことだというふうに認識はしているところでございますが、これはちょっと中山副大臣にお願いしたいんですけれども、これは一定、できるだけ早く、前の「あさしお」と同じように、中間報告があったと思うんですけれども、中間報告を早くしていただきたいということと、あわせて、調査結果が出たら、これは公開の場でしっかり高知県民の皆さんに説明をしていただきたい。この二点について確認をさせていただきたいと思います。
○中山副大臣 広田先生のお地元のそばでありまして、大変御心配をいただいておりますことを心から恐縮に存じますと同時に、二度とこういった事故が起こらないように、防衛省・自衛隊、徹底していきたい、かように考えてございます。
御質問につきましては、本事故について、海上幕僚監部の事故調査委員会が、海上保安庁の捜査に支障のない範囲で事故原因の調査を行っているところ、本件は安全に関わる事案であることを踏まえまして、可能な限り早急に調査結果をまとめて公表したい、かように考えてございます。
その上で、防衛省・自衛隊といたしましては、自衛隊の訓練の実施に当たり、関係各自治体を始めとする地元の皆様方、そしてその皆様方の御理解、御協力を得ていくことが、御指摘のとおり不可欠であるという認識に立ってございます。御指摘につきましては、関係自治体の御意見も伺いつつ検討するなど、丁寧な御説明、それから適時適切な情報提供ができるように、最大限努めてまいる考えでございます。
よろしくお願いいたします。
○広田委員 最後、確認ですけれども、しっかりと公開の場で高知県民に対して説明をしていただく、そういう理解でよろしいでしょうか。
○中山副大臣 元防衛政務官の先生からの御指摘でございます。県民の皆様方、そして全国含めて、国民の皆様に御心配をかけた事案でございますので、御指摘を踏まえまして、しっかりと省内でも検討させたい、かように思います。よろしくお願いします。
○広田委員 これで質問を終了します。どうもありがとうございました。
○あかま委員長 次に、山本和嘉子君。
○山本(和)委員 立憲民主党の山本和嘉子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、まず、道路のことについてお聞きをしたいと思います。
高度成長期以来、太平洋沿岸に偏った一極一軸型の国土構造を災害に強い多軸型へと改めるということで、そして、魅力あふれる地方創生へと、日本海国土軸の必要性ということが言われております。その中で、京都北部の中で計画中の山陰近畿自動車道など地域高規格道路、どういった役割を果たして、その整備は国の制度なのか、そして、その政策上、どう位置づけをされているのかどうかをお聞きしたいと思います。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の広域的な道路ネットワークについては、昭和六十二年に、多極分散型国土を形成するために、高規格幹線道路約一万四千キロが第四次全国総合開発計画において計画されたところです。
その際、京都縦貫自動車道、北近畿豊岡自動車道などは計画されたものの、京都から鳥取に至る日本海沿いの高速道路は計画に含まれませんでした。
その後、平成六年に高規格道路を補完することなどを目的として地域高規格道路が計画され、その際に、御指摘の山陰近畿自動車道も位置づけられたところです。これにより日本海国土軸が強化され、国土全体の強靱性の確保に資するものと考えております。
このように、山陰近畿自動車道などの地域高規格道路については、全国的な自動車交通網を構成する高規格幹線道路と一体となって機能する規格の高い道路です。国土形成計画においても、規格の高い道路ネットワークは、基幹的な高速陸上交通網の役割を果たすことが期待されているとされております。
この地域高規格道路については、原則として、道路管理者である国と地方公共団体のそれぞれが整備を進めるものであり、地方自治体が整備する場合においては、国は財政的な支援を行ってございます。
○山本(和)委員 地元でも待ち望む声が大きくて、やはりしっかり国が財政支援等を進めていっていただきたいという思いで、今、質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、その進めていただきたい理由というのが幾つかありますので、ちょっとパネルもお示しをさせていただきたいというふうに思います。
まずは、大切な命の問題でございます。
今、コロナで医療の役割が大きくなっているというふうに思います。まして高齢化が進む地域ではなおさらでございまして、京丹後市が二年前に行った市民アンケートでは、山陰近畿自動車道への期待効果として、三次救急医療施設である、隣の県の兵庫県の豊岡病院に早く安全に行けるということを期待するとの回答が八五%と非常に多かったということでございます。
また、山陰近畿自動車道の京丹後網野インターチェンジの計画地から豊岡病院、今五十分かかるということなんですが、山陰近畿が整備されたら二十五分で行けるという、時間短縮ということでは本当に待ち望まれるところでございます。
京都府北部が抱える地域医療課題である府内の医師偏在の問題もございます。そして、今申し上げた救急医療へのアクセスの問題、これも含めまして、国としてどう把握されているのか、お聞きしたいというふうに思います。
○間政府参考人 お答えをいたします。
地域で必要とされる医療提供体制の確保につきましては、各都道府県が主体となって取組を進め、国としても支援をしているところでございます。
御質問の医師偏在に関しましては、令和元年度に京都府が策定した医師確保計画において、医療需要に対する医師数を見た場合、現状におきまして、京都市を含む京都・乙訓医療圏において全国的に見ても多い一方で、委員御指摘の京丹後市を含む丹後医療圏におきましては全国的に見ても少ない地域となってございます。
また、救急医療の関係でございますけれども、京都府が策定した医療計画におきまして、三次救急医療を担う救命救急センターは、丹後医療圏に隣接する中丹医療圏におきまして市立福知山市民病院が位置づけられているということでございます。また、二次救急医療を担う医療機関については、丹後医療圏内において四医療機関が整備されているものと承知をしてございます。
○山本(和)委員 京丹後市の消防本部の調査によりますと、京丹後から北部医療センターへの救急搬送数、北部医療センターは京都府内ですけれども、平成二十一年から平成二十五年で約三倍も増えているということでございます。確実に救急搬送が増えているというところでございます。こういった事実も含めまして、やはり一日も早い整備が必要であるということも申し上げたいというふうに思います。
次に、京都府北部にとって山陰近畿自動車道が命の道であるということを今申し上げましたけれども、それと同時に、地域経済の活性化の道でもあるというふうに思います。
観光についてお聞きしたいというふうに思いますけれども、ゴールデンルートと言われた観光ルートの中で、京都市内は、観光業と集客量が、北部とは大変格差が大きいというふうに思います。京都市内への観光の一割しか北部の方には来ないということと、また、使うお金は二%未満というところでございます。そういった格差が起こっているというところでございます。
これはいろいろな各地域でも言えるというふうに思いますけれども、そのことについてどう思われるか、また、格差解消についてもお聞かせいただきたいというふうに思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
訪日外国人旅行者等の地方誘客を進め、観光による地方創生を実現していくためには、例えば、市町村単位で各地域が個別に取組を展開するよりも、各地域が連携して広域的に取組を展開し、地域における長期的な滞在促進に資する取組を推進していくことが重要であると考えております。また、広域的な取組を通じまして広域周遊を促進していく上で、道路などの観光客の足となる交通インフラは重要な役割を果たすものであると考えているところでございます。
広域的な取組を進めるために、観光庁では、観光客の周遊を促進するために、観光地域づくり法人が中心となりまして、地域が一体となって取り組む戦略の策定やそのための調査、さらには、観光コンテンツの充実や情報発信、プロモーションといった取組に対しまして、総合的な支援を行っているところでございます。
例えば、京都の北部におきましても、広域連携DMOであります関西観光本部におきまして、海の京都DMOや豊岡観光イノベーションといった各地域の関係DMOや地方公共団体等と連携いたしまして、地域ならではのコンテンツを盛り込んだ旅行商品の企画開発に取り組まれているところでございます。
観光庁といたしましては、このような広域周遊を促進する取組に対しまして支援を行っているところですが、今後とも、多くの観光客に地方を訪れていただき、地域における長期滞在の促進、観光消費の拡大につながるよう、各地域が広域的に連携して行う観光振興の取組をしっかりと支援してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○山本(和)委員 次に、京丹後市には、航空自衛隊に加えまして、沖縄と同じように在日米軍の主要部隊があります。いわゆるXバンドレーダーというものがあります。我が国とアメリカに飛来する弾道ミサイルを探知、追尾する重要な役割を担う部隊も配置されているというところでございます。
京丹後市の我が国の防衛における戦略的位置づけと、国家安全保障政策上の貢献はどのようなものなのかをちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
今日は、防衛大臣政務官、お見えいただきまして本当にありがとうございます。よろしくお願いします。
○大西大臣政務官 山本和嘉子委員にお答えさせていただきます。
京丹後市には、航空自衛隊経ケ岬分屯基地及び在日米軍経ケ岬通信所が所在しております。航空自衛隊経ケ岬分屯基地には中部航空警戒管制団三五警戒隊が所在し、領空侵犯等に備え、周辺空域を飛行する航空機等を常時継続的に警戒監視するとともに、我が国に飛来する弾道ミサイルを探知、追尾する警戒管制レーダー、FPS3改を運用しております。
このように、経ケ岬分屯基地は、我が国の防空や弾道ミサイル防衛における重要な役割を果たしております。
また、在日米軍経ケ岬通信所に配備されているTPY2レーダーは、いわゆるXバンドレーダーでございます、弾道ミサイルを探知、追尾する能力に優れたレーダーでございます。このレーダーで得られた情報は日米で随時共有されており、我が国の弾道ミサイル防衛のより万全な遂行に寄与しております。
このように、京丹後市に所在する自衛隊及び在日米軍の部隊は我が国の防衛に不可欠の存在であり、平素から部隊の活動を支えていただいている地域の皆様には、防衛省・自衛隊として大変感謝しております。ありがとうございます。
引き続き、御支援、御協力いただきますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
今、政務官からも言っていただきましたけれども、やはり基地の設置によりまして地域の方々も大変御不安な部分もありますので、その辺りのケアも是非お願いしたいところでございますけれども、今回、日本海国土軸、とりわけ山陰近畿自動車道につきましてお聞きをいたしました。
この計画路線の決定から二十六年たっています。災害に強い道路ネットワーク確保が必要でありますし、今いろいろお聞きしました観光地、京都市内との格差もあるところでございますし、格差の解消、これは全国的に必要なことであるというふうにも思いますし、そして、物づくり産業、地域経済ですね、活性化も必要であるというふうに思います。
地域にとって命の道の確保のこともお話しさせていただきましたけれども、とにかく命が懸かっているという意味では、道路の設置というのは急がれる部分があるというふうに思います。
さらには、今、国交省所管外でございますけれども、Xバンドレーダーのお話も聞かせていただきました。国家安全保障上の貢献もあるというふうに思います。
そういった効果、課題、地域活性化に向けて、やはり国が責任を持って一日も早い整備が必要であるというふうに思います。
京都府も、この地域高規格道路は、高規格幹線道路を補完し、地域の自立的発展や地域間の連携を支える規格の高い道路が必要という考えで、国の制度として導入されているということを京都府も申しております。
国の制度として、大臣、せめて、ミッシングリンクと言われております豊岡北から網野ルート、そのルート案すら存在しない状況でもございますし、区間の調査着手だけでも行っていただきたいというふうに思いますが、大臣から一言お願いしたいというふうに思います。
○赤羽国務大臣 いずれの地域におきましても、国土の有効活用のために、私は道路ネットワークの形成というのは大変重要であるというふうに思っております。ですから、ミッシングリンクの解消ですとか、でき得れば四車線化ということはやはり是非進めていきたい、こう思っております。
ただ、全てが全て国が全部決めればいいかということではございませんで、今委員御指摘の網野インターチェンジから豊岡北インターチェンジの区間につきましては、まず網野インターチェンジから京都府と兵庫県の県境までは、京都府におきまして都市計画決定に向けて調査中でございます。また、その西側の県境から城崎温泉までは、これは兵庫県において、今、都市計画決定に向けて調査をされております。そして、城崎温泉から豊岡北インターチェンジまでは、兵庫県において都市計画原案の作成中でございます。そして、そうした県、府のそれぞれのワークに対して、国土交通省はその調査に対して支援を行っているという状況でございます。
いずれにいたしましても、全線の早期整備、これは全線で百二十キロのうち、今、開通はまだ四十五キロでございますので、この全線の早期整備が図られるよう、京都府また兵庫県の地方自治体と協力しながら、しっかりと取り組んでまいりたい、こう考えています。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
大臣、是非、早期実現、今いろいろ質疑で申し上げました命の問題や地域活性化、経済、そういったことも含めて御検討、進めていただくこともよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
次に、京都府北部の中山間地域の諸課題が示す人口減少下の国土管理の在り方について、順次お聞きをしたいというふうに思います。
もう一枚パネルを御用意させていただいたんですけれども、京都府の綾部市というところがあります。綾部市というのは限界集落が多い地域でございまして、活性化を目的に、限界集落と呼ばず、水源の里というふうに呼びまして、条例を策定して、集落の特産品開発、そして定住促進などを行っているというところでして、これは全国に広がっています。
全国で同じような取組を行っているところが百五十七地域あるということも聞いておりますし、こうした取組は国交省が現在策定中の我が国全体の国土の管理構想にどのような示唆を持つかということを、まず大臣にお聞きしたいというふうに思います。そして、この水源の里についての取組についても是非一言お願いできればなというふうに思います。
○赤羽国務大臣 今、我が国は、人口減少下におきまして様々な、国土の管理不全ですとかそれに伴う悪影響の発生、こうしたことが地域によって問題になっております。また、それが地域地域で状況が随分違うわけでありますので、国土の管理の在り方を検討する国土の管理構想というものをこの夏前にも取りまとめをしようということでございます。
綾部市につきましては、実は私、地元の神戸市長田区と綾部市というのはちょっと交流がございまして、毎年アユを随分提供していただいているので、多分そこにきれいな水流があるんだなというふうに思っておりましたが、この水源地域に位置する集落の過疎化、どうしても、水源地域というのは過疎化が進んでいるというのは、私のちょっと気のせいかもしれませんが、そうした傾向があるという、そうしたことで、共通する課題を、この水源の里の条例を制定したということを横展開していただいている。そのことによって、定住促進事業や地域産業の開発、育成に向けて国としても支援を行っている。
こうしたことが、全国で百五十七の自治体が参加されて、全国水源の里連絡協議会が設立し、地方自治体の意思としてやっていただいていることは大変ありがたいというふうに思っておりますので、これは横展開して、国としてもしっかりバックアップをさせていただきたいと思っております。
○山本(和)委員 大臣、ありがとうございます。
限界集落をあえて水源の里と呼んだと先ほども申しましたけれども、ここのパネルにもちょっとお示ししましたけれども、上流は下流を思い、下流は上流に感謝するというふうに定義しておられます。互いに地域が助け合うという思いが更に地域を活性化させるという取組を一生懸命やられているということで、その地域を持続するという思い一心で、様々な取組を行っておられます。そういう地域をしっかりと守っていくということも、やはり国土保全という意味でも、国交省の方でもしっかりとお願いしたいというふうに思います。
このあやべ水源の里は中山間地域でありまして、中山間地域の農業問題について、次はちょっとお聞きしたいというふうに思います。
中山間地域で生計の柱である農業を支援する日本型直接支払制度についてですけれども、構成する制度の一つである中山間地直接支払いの要件を満たして交付を受けた全国の農地六十七万ヘクタールの約三分の一が、要件より広い、多面的機能支払いというのを受けていないという状況があります。また、集落協定を必要とする中山間地域直接支払いを受ける集落内に、対象農地と非対象農地が混ざり合っている、混在しているということですね、という問題もございます。
結局、何がお聞きしたいかと申しますと、日本型直接支払いは制度を再整理する必要があるのではないかなと。例えば、多面的支払いを一階に、中山間地域直接支払いは集落農地を一体的に捉えるという方式に改めて二階として、環境支払い、これは有機農業ですけれども、これは三階という形にして、分かりやすく整理して、集落全体が一体的に取り組めるようにすべきではないかなというふうに思いますけれども、農水省の見解をお聞きしたいというふうに思います。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
農業、農村の有する多面的機能を十分に発揮するためには、委員御指摘の日本型直接支払い、三支払いございますが、その連携をしっかり強化して、より複数の支払いが活用されていくことが重要であると我々も考えております。
農水省が行った市町村に対するアンケート調査によれば、複数の支払いが可能となっている市町村のうち、同一の農用地で支払いを活用している市町村は六割まで一応達しているところではございますが、この活用が更に進むように、農水省としても推進してまいりたいと考えております。
この活用に当たって、地方公共団体への聞き取りなどによれば、活動組織ですとか市町村の事務負担の増大がネックになるという指摘がございますので、デジタル技術を活用して、事務手続の効率化、あとは三支払いの事務支援、体制整備、こういうことを進めまして、三支払いの連携強化を進めてまいりたいというふうに考えております。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
水源の里の地域でいろいろな方にお話を聞かせていただきましたら、この農業の問題、中山間地直接支払い制度ですね、集落協定を結ぶとかも含めて、なかなかちょっと進んでいないというところです。もうちょっとメリットがあればいい。特産品の収益を上げておられるという地域もございますからということもあるかもしれませんけれども、やはり分かりやすい制度が必要であるというふうにお声も聞いております。やはりそういうことを、しっかりと農地を維持する、そして地域を守るという観点からも、分かりやすい制度づくりというのをしっかりお願いしたいというふうに申し上げておきたいと思います。
次に、地域公共交通についてお聞きしたいと思います。
京丹後市は、市内に丹海バスという私鉄のバスがあります。運賃補助で、上限二百円バスというのを実現しております。これは元々、やはり運賃が高くて、乗客も少ない中、ルートの縮小などを行っていた丹海バスが、利便性が低下しているという問題。これでは地方公共交通の維持ができないということで、高校生は通学を毎日行うので、それにバスが利用できないかということで、京丹後市がアンケートを取ったわけです。そうしましたら、そのアンケートに高校生の家庭が、お母さん方がいつも子供を高校に送るということがあった、朝が忙しい、そんなことをしていられないというようなアンケートでの回答があったということですね。そこで、通学バスを上限二百円で仕立てたら、それが当たったんですね。高校生のバス通学が大幅に増えたということでございます。結果的に、補助金の投入額の頭打ちに成功したという事例でございます。今、この手法が評価されまして、近隣の市町に波及しているということでございます。
これは、京丹後市が、バスの独立採算化ではなくて、補助の費用対効果向上へと発想を切り替えた結果であるのではないかなというふうに思います。要は、利用者の倍増を狙うのでありまして、黒字を目指すのではないという、発想の転換というふうに思います。これも、人口減少を防いで地域を維持することにつながっていくのではないかなというふうに思います。
これについて、大臣、どのように思われるか、ちょっとお聞かせいただけたらと思います。
○赤羽国務大臣 全国各地域で、乗り合いバスの維持というのは大変難しい状況になっています。少子高齢化、人口減少化が進む中で、また、かつ、運転者の不足というのも深刻でございます。他方で、高齢者の運転による交通事故、また運転免許の返納というのが進んでいて、まさに地域の足をどう確保するかというのは大変重要な課題。
ただ、これは非常に難しい中で、今御紹介いただきました京丹後市の丹海バスが、市長のリーダーシップで、七百円で二人の利用より二百円で七人の利用をということで、そもそも黒字にするのではなくて補助事業をいかに使っていただくか、そういう発想の転換だというお話がございましたが、結果としてこうした利用者が二倍以上拡大しているということはすばらしい成功事例なのではないかなというふうに思っています。
あと、私の承知しているのでは、富山市、これは相当、合併して大変広くなっていて、交通網の問題がございました。旧市街地は路面電車が結構充実していますけれども、合併されたところは相当広いので、その中で、六十五歳以上の方を対象にしたおでかけ定期ということを、制度を導入すると一回百円で使えて、その方たちは町の商店街で何か様々なメリットがあるというようなことで、非常に成功しているというのは、現場に行って私も認識をした記憶がございます。
いずれにしても、なかなか乗り合いバスの維持というのは本当に簡単じゃないので、こうしたことを国交省自動車局中心に、また地方の運輸局から成功事例として御紹介もさせていただきたいというふうに思います。
○山本(和)委員 大臣、ありがとうございます。
今おっしゃっていただいた富山市の事例なども含めて、やはり地域公共交通の維持というのは本当に大変な問題であるというふうに思います。今、コロナで地域公共交通は大変な思いをされているということでございます。バスに限らず、JRも私鉄も船も、そういった部分でしっかりバックアップを国としてもお願いしたいというところでございます。
次に、交通の利便性、今申し上げた低下しているというところのと同様に、過疎化に影響が大きいのが、商店、スーパーの閉鎖であるというふうに思います。私の地元地域も、伊根町というところで唯一のスーパーが撤退しました。近くのスーパーといっても十キロ先まで行かなくちゃいけない、隣の市に行かなくちゃいけないというような状況なんですけれども、コロナ禍の中でスーパーというのは大事なんですが、迷惑行為というのが最近多いということでございます、暴言を吐くとかクレームを執拗に繰り返すとか。カスタマーハラスメントと言われておりますけれども、このカスハラの実態というのは、二〇一七年に、労働組合のUAゼンセンがアンケート公表で反響を呼びました、テレビでいろいろな番組の特集が組まれたりとかですね。そういうふうに、カスハラの実態というのは大変ゆゆしき問題であるというふうに思います。
そして、国としてその対策、進捗、どのような状況であるのかを厚労省の方からお聞きしたいというふうに思います。
○富田政府参考人 お答え申し上げます。
事業主にハラスメント対策の強化を求めます改正労働施策総合推進法が昨年六月一日から施行されたところでございまして、これに基づく指針で、顧客などからの著しい迷惑行為、これがいわゆるカスタマーハラスメントでございますが、これについても相談体制の整備等の望ましい取組を示しておりまして、相談内容について周知啓発を図ってきたところでございます。
このカスタマーハラスメントでございますが、業種、業態等によりましてその被害の実態や必要な対応も異なることから、業種等の状況に応じた取組が進むように促すことは重要でございます。このため、今年の一月に関係省庁と連携した会議の場を設けまして、防止対策を総合的かつ効果的に推進するために議論をしているところでございます。
また、令和三年度予算案におきましては、各企業においてカスタマーハラスメント対策が進むよう、好事例を含めた企業向けマニュアルの策定、周知を行うための費用も盛り込んでおります。
いわゆるカスタマーハラスメントに苦しむ労働者を守るためにも、引き続き、指針の内容について周知啓発を行うとともに、消費者庁を含む関係省庁と連携協力を図りながら、カスタマーハラスメントの防止のため、効果的な取組を検討、推進してまいりたいと考えております。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
人口減少下の国土管理とはちょっとかけ離れた話なのかと、無関係と思われるかもしれませんけれども、人口減少という意味では、こういったスーパーなどでは慢性的に人手不足という問題があります。そういった中、こういうカスハラは、従業員の雇用の維持に関わってくるという問題があります。
実際、地域のフレッシュバザールというスーパーの労働組合の佐藤さんという方にお聞きをしましたけれども、やはりもう、今人手不足で、このコロナ禍で、辞められたら困るということで、大変大きな問題だという話もお聞きをしております。是非取組を更に進めていっていただきたいというふうに思います。
最後に、今、京都北部の中山間地の諸課題やその解決、解消のための省庁横断的な取組の必要性というのを訴えさせていただきましたけれども、我が国の国土政策を所管する大臣として、人口減少下の国土管理は地域を維持する上で大事な問題であるというふうに思いますので、今後の取組、そして意気込みなどもお聞かせいただければというふうに思います。
○赤羽国務大臣 地域をどう維持していくのかということ、やや後ろ向きな傾向になりがちなんですけれども、それではなかなか展望が開けない部分もあります。
他方、昨年来のコロナ禍の影響によって、働き方が変わり、また住まい方が変わる。人口流動の、例えば東京都への転入人口、転出人口を見ますと、七か月連続で転出人口が超過しているという現象も出ております。
そういう意味では、ある意味で、地方が取り込める、地方の創生の一つの大きなきっかけになるのではないかというふうな思いの中から、実は昨日、国土交通省が主催をして、全国で二地域居住等の促進協議会、そういう協議会を立ち上げまして、これは実は、全国の地方公共団体六百一団体が参加をされております。加えて、ほかの民間ですとか関係団体も御参加をいただいておりまして、大変関心が高い状況でございます。
こうした制約の中で新たな動きを、行政として、国交省だけではないと思いますが、農林水産省ですとか総務省ですとか、様々な省庁連携の中で、新しい社会の変化に追いつくというより先を行くような行政をしっかり心がけていかなければいけない、こう考えております。
○山本(和)委員 大臣、ありがとうございました。
地域を維持して、地域を元気にする、地方創生という言葉も大臣からお聞かせいただきましたけれども、今回は京都に特化していろいろな課題をお聞きしましたけれども、日本全国で言える問題というふうにも捉えておりますので、また引き続き議論をさせていただきたいと思います。
今日はありがとうございました。
○あかま委員長 次に、松田功君。
○松田委員 お疲れさまです。立憲民主党の松田功です。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
中大規模木造建築物を担う工務店の育成支援策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
平成二十二年十月施行の公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律により、公共建築物のほか、民間の中大規模木造建築物においても需要が高まりつつあり、グリーン社会の実現に向け、様々な規模の建築物に木材利用が求められております。
このような背景の中、これまで木造住宅を中心に事業を展開していた工務店が非住宅木造建築の分野に新たに参入するには、設計や施工の管理のノウハウの提供が求められていると考えますが、中大規模木造建築物を担うことのできる工務店の育成支援策についてお聞かせをいただきたいと思います。
○赤羽国務大臣 国交省といたしましては、まず、設計者を育成、サポートするために、本年度より新たに、意匠設計者向けの講習会、また構造設計者向けの講習会を開催をさせていただいております。また、加えまして、木造設計の技術関連情報を一元的に提供するポータルサイトの整備、これを本年二月十七日に公開するなど、支援をさせていただいております。
また、各地域の工務店の皆さんが中大規模の木造建築物を施工できるようにするためには、地域工務店向けの中大規模木造建築物の施工管理マニュアルの作成が必要でございますので、この作成をし、またこの三月には講習会の予定もしておるところでございます。
こうした支援をこれからもしっかり着実に進めていこうということでございます。
○松田委員 大臣は建設技能者の方たちのことをすごく考えていただいていると僕は思っておりますので、引き続き質問を続けさせていただきたいと思います。
建設大工技能者の確保、育成の取組についても、引き続きお伺いいたしたいと思います。
新設住宅着工の約六割は木造住宅です。戸建て住宅に限れば九割が木造で、かつ、木造戸建て注文住宅の五割超は中小工務店と建築大工技能者により供給されております。木造住宅の新築のみならず、適切なリフォームなどによってストックの質を維持するためにも、建築大工技能者の確保、育成が重要と考えられます。
さらに、東日本大震災以降、数次の災害に際して建設された応急仮設木造住宅は、全国から参集した経験豊富な建築大工技能者が現場を担ったことで短期間での完成を可能としてきました。このように、建築大工技能者は、平時、災害時を問わず、我が国の住宅インフラに不可欠な存在であることは承知のことだと思います。
しかしながら、建築大工技能者数は二〇一五年三十五・四万人と二十年間で半減し、高齢化率は三九%と二倍以上になっております。さらに、シンクタンクの予想では、十年後の二〇三〇年には二十一万人にまで減少するとしており、良質な住宅の供給と維持のためには、建築大工技能者の確保、育成は喫緊の課題となっております。
建築大工技能者の確保、育成については総合的な取組が必要と考えますが、どのような見解か、お聞かせください。
○赤羽国務大臣 建築大工技能者、今、お話がございましたように、木造の戸建て住宅の建設の半分を担っていただいております。また、災害時、応急仮設住宅の建設ですとか、様々な応急修理等々に御尽力いただいておりまして、まさに地域の守り手として御活躍をいただいておるわけでございます。
また、他方、この業界というか大工技能者の皆さんはやはり高齢化が相当進んでいまして、数も相当減っている。これは私も地元で様々おつき合いさせていただいておりますが、そうしたことも身をもって実感をしているところでございます。
また、今後、省エネ住宅ですとかバリアフリー化といった住宅ストックの良質化といったときに、住宅建設の大宗を担われている建築大工技能者の皆様のある意味ではスキルアップというのは、非常に、そうした政策目的が実現できるかどうかという大変重要な鍵を握っているというふうに思っております。
そうした意味で、国土交通省といたしまして、建築大工技能者の確保、育成のために、民間事業者団体が建築大工技能者の育成のために行っている、各地で行われる実技ですとか座学の研修等に対しまして支援をさせていただいているところでございます。
こうしたこと、地道なようでありますけれども、一つ一つ続けることによって、我が国の、それぞれの地域の住宅生産体制の整備、また、防災力の維持向上に資するものというふうに考えておりますので、今後もしっかりと住宅局中心にこの政策を遂行していきたい、こう考えております。
○松田委員 よろしくお願いいたします。
引き続き、長期優良住宅の普及促進についてお伺いをいたします。
現状の戸建て住宅において、事業者規模による認定件数の格差が顕著であり、年間供給戸数一万戸以上の大企業の長期優良住宅の認定取得割合は九〇%になっている一方で、年間供給戸数百五十戸未満の小規模事業者による長期優良住宅の認定取得割合は一五%に満たないと国交省の長期優良住宅制度のあり方に関する検討会で報告がされております。
総務省が出している平成三十年住宅・土地統計調査によると、人が居住している住宅ストック総数約五千三百六十万戸のうち、長期優良住宅は約百十三万戸で、約二%しかないとされております。
そこで、長期優良住宅を現在より普及させるためには、現在、認定取得割合が一五%に満たない小規模事業者の割合を増やす必要があるわけですが、鍵とも言える大工、工務店の小規模事業者に対する支援策を現状、どのように講じられているのか。さらに、これまでの支援策では伸びなかった割合を増やすためにはいかがされるのか、今後の支援強化策があればお答えをいただきたいと思います。
○和田(信)政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、中小事業者におきましては、長期優良住宅の認定割合が低い状況となってございます。このため、長期優良住宅を普及していくには、中小工務店への支援、これが非常に重要と認識してございます。
国交省におきましては、中小工務店が製材事業者や建材流通事業者などと連携して実施する長期優良住宅の整備に対して支援を行っておりますが、令和二年度の第三次補正予算におきまして、若者、子育て世帯が整備する場合には補助額の加算を行うなど、支援を拡充しておりますし、令和三年度予算案におきましてもこの措置を盛り込んでいるところでございます。
中小工務店における長期優良住宅の整備を推進するため、しっかりと支援を行ってまいりたいと存じます。
○松田委員 是非しっかりと支援をしていただきたいと思っておりますし、先ほど来お話をしているとおり、建設業において、技能者不足は深刻な状況にあります、大臣も御存じかと思いますが。また、長期優良住宅始め質の高い住宅を供給するために技術を習得する時間をつくるのは、中小工務店には容易ではないんですね。
しかし、政府が推し進める二〇五〇年カーボンニュートラルを達成するためには、住宅分野の貢献が必要となってきます。それであれば、長期優良住宅普及に必要な技術者、とりわけ建設大工技能者を育成することが何より重要であるというふうに御理解いただいているとは思います。
中小工務店向けの地域型住宅グリーン化事業も、ノウハウを持っている同じ事業者が、グループが採択され、実際裾野が広がっていないということもあり、有効な対策が打たれているとは言えていない状況でもあります。そこをまた勘案した上で、中小企業への支援と、技術者確保の、育成の対策を是非今後もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
それではまた、次の質問に移らせていただきます。
次に、既存の住宅紛争処理機能の強化とリフォームの事業者の育成についてお伺いをいたします。
リフォーム瑕疵保険の令和元年度の申込件数は三千七百九十五件にとどまっており、平成二十三年度以降ほぼ横ばいとなっております。この保険の魅力を引き上げる抜本的な対策とリフォーム事業者の育成を支援することにより、紛争の未然防止が重要と考えますが、御見解をいただきたいと思います。
○和田(信)政府参考人 消費者が安心してリフォームを行う環境を整備するためには、委員おっしゃられたようなリフォーム瑕疵保険の活用、あるいはリフォーム事業者の業務の適正な運営、こういったものが重要であると考えております。
リフォームの瑕疵保険につきましては、リフォーム事業者のニーズなどを踏まえまして、保険商品としての魅力向上に向けた商品改善を進めるよう保険法人に促していくとともに、国交省としましても、保険法人によるリフォーム瑕疵保険の普及啓発の取組を支援してまいりたいと考えております。
また、リフォーム事業者の業務の適正な運営の確保につきましては、リフォーム事業者団体登録制度、こういったものを平成二十六年に創設しておりまして、現在十六団体が登録されています。
この制度におきまして、登録団体では、構成員の人材育成のための体制、計画を持って、そして、構成員が行ったリフォーム工事に関する消費者相談窓口を設置していただき、そして、一定規模以上のリフォーム工事において瑕疵保険への原則加入、こういった指導等を行っていただくこと、こういったことをお願いしているところでございます。国交省としましては、このリフォーム事業者団体登録制度、この普及に努めているところでございます。
今後とも、これらの施策を通じて、消費者が安心してリフォームを行う環境の整備を推進してまいります。
○松田委員 是非、安心してできるように進めていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
自転車活用推進の取組状況及び次期自転車活用推進計画についてお伺いをいたします。
自転車通行空間の整備状況として、令和二年三月三十一日現在、二千九百三十キロ整備されているとのことですが、そのうち二千百五十キロ、約七三%が車両混在型となっております。車道の左端に矢羽根マーク若しくは自転車マークがついているだけのものです。自動車を運転したりバスなどに乗用されて御覧になった方は分かると思いますが、かなり危ないです。自転車もですが、車、特に大型車は、すれ違う対向車と左の自転車に気をつけながら、かなり慎重な運転をしなければなりません。
その上でお伺いいたしますが、この車両混在型が大半となっている整備状況をどうお考えになっていられるのでしょうか。現在の自転車通行空間の整備状況について御見解をいただきたいと思います。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、平成二十四年に、警察庁と合同で、自転車道、自転車専用通行帯、また車道混在といった自転車通行空間の整備などについてまとめたガイドラインを策定するなど、安全で快適な自転車通行空間の整備を促進してまいりました。
自転車通行空間の整備延長でございますけれども、議員のお話があったとおり、全体二千九百三十キロ、令和元年度末現在でございますけれども、そのうち、御指摘のとおり、車道混在型形態の割合は約七割を占めているという状況でございます。
自転車通行空間の整備形態は、自動車の速度や交通量などを勘案して検討されますが、車道混在の形態は、自動車の速度が低く交通量が少ない場合や、他の整備形態が当面困難であるが自転車の安全性を速やかに向上させなければならない場合に採用してございます。
このうち、他の整備形態が当面困難であるため車道混在の形態となっている場合には、自転車道や自転車専用通行帯の整備を検討することが必要であるというふうに考えてございます。
国土交通省としては、道路空間の再編による手法も含め、ガイドラインの趣旨を踏まえた安全で快適な自転車通行空間の確保がなされるよう、各整備主体に対して働きかけてまいります。
○松田委員 続きまして、警察庁にもお伺いしたいと思います。
自転車専用通行帯、幅が一・五メーター以上のブルーラインのことですが、と矢羽根型路面表示の場合、自動車の通行や停車のルールの違いと、そのルールの周知についてどのように行っているか、お伺いいたします。
○新田政府参考人 お答えいたします。
自転車と自動車を混在通行とする道路に設置される矢羽根型路面表示等は、自転車の通行位置を示し、自動車に自転車が車道内で混在することを注意喚起するためのものであります。
また、普通自転車専用通行帯は、普通自転車が通行しなければならない専用通行帯を指定するもので、普通自転車を含む軽車両以外の車両は通行してはならないものであります。
この普通自転車専用通行帯は、原則一番左の通行帯を指定することとしており、一方、車両が左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿わなければならないことから、普通自転車専用通行帯が指定されている道路の交差点において左折するときには、交差点手前で普通自転車専用通行帯を通行することとなります。
また、車両が駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならないことから、普通自転車専用通行帯が指定されている道路において駐車する場合には、道路標識等によって駐車が禁止されている場合を除き、原則、普通自転車専用通行帯に入って駐車することとなります。
これらの交通ルールについて、自転車の利用者に対しては、関係機関、団体と連携しつつ、街頭における広報啓発や交通安全教育等を通じた周知を行っております。また、車の運転者に対しましては、指定自動車教習所において、新たに普通免許を取得しようとする者に対して、普通自転車専用通行帯に関する教習を実施するなどしております。
警察としては、このような取組を通じ、自転車の通行方法等の交通ルールについて周知を図り、自転車の安全利用を促進してまいります。
○松田委員 大臣、自転車活用推進社会は、国民の健康にも、またグリーン社会へ向けても非常に好ましいものだと思っております。しかし、それは安全が確保されていることが大前提であります。自転車活用推進への取組を行いましょうという声がけでは安全な自転車通行空間は整備されないということは、お分かりいただいていると思います。
地方自治体で限られた予算の中で業務を行うので、優先順位は福祉サービスとなっていくとなれば、既存の道路に矢羽根マークをつける、ブルーラインを引くという作業が、予算もかからず実行しやすいものとなるわけです。
しかし、自転車通行空間を表示することがしないよりも安全かどうか、それは、その地域の道路事情により変わると思われます。前後に子供を乗せて走っている自転車が、今までは歩道を走っており、それが、車道の端に自転車マークがついたため、車道を走ることになる。そのような場合、後ほど質問させていただきますが、電動キックボードなど、新たなモビリティーが同じ空間を走る、そして、自動車やトラックなどの大型車がその隣を走る、風圧を受けやすくなり、かなり危ないことは皆さんもお分かりのことかと思います。通行する全ての道路利用者にとって安全でなければ、自転車の活用の推進とはなりません。
国土交通大臣として、自転車活用社会への推進と道路利用者全体の安全性確保に向け、どのようなお考えがあるか、お聞かせください。
○赤羽国務大臣 まず、我が国を振り返りますと、十年前の東日本大震災のときに多くの帰宅困難が発生したということを契機に、自転車を活用する通勤の方がたくさん増えたというふうに感じております。また、今般のコロナ禍においても自転車利用の頻度が高まっている。そうした中で、自転車をめぐる、今御指摘のあった問題を含めて、様々な課題が顕在化しているというのも事実でございます。
実は、私を本部長とする自転車活用推進本部というものを設置しておりまして、次期自転車活用推進計画を検討しているところでございます。これは国交省がリーダーシップを発揮しながら、関係省庁とも連携し、歩行者、自転車、自動車の交通安全の確保のための適切に分離された通行空間の整備に加えまして、自転車利用者を含めた交通安全ルールの徹底などを含めて、歩行者、自転車、自動車が適切に共存共栄できるようにこの取組を進めてまいる決意でございます。
○松田委員 是非安全性をしっかりと、大臣も御認識はいただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、もう時間もないので進めてまいります。新型コロナ禍において、フードデリバリーを頼む人が増えております。その配達員の安全についてお伺いをいたします。
貨物運送事業法では自動車を使用しなければ法律の適用範囲外となるわけですが、自転車が運んでいたとしても、荷物を運んで事業を行っていることには変わりありません。今後も増加するであろう業界を健全に発達させるには国交省としてどう関わっていくか、非常に重要なことだと思います。ただ規制すればいいと言うつもりはありませんが、そもそも、免許があるわけではないため、運送事業者としての自覚はないのではないかと思われます。特に、稼ぐために長い距離を少しでも早く届けることだけに注力している気がいたします。
今後更に発展していくであろうこの事業に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○秡川政府参考人 貨物運送事業法では、他人の需要に応じて有償で自動車を使用して貨物を運送する場合に許可を必要としています。二輪の場合ですと、排気量が百二十五ccを超えるようなオートバイで行う運送を規制の対象としています。
これは、安全性や社会的影響の観点で、排気量で一定の基準を置きまして規制を行い、基準に達しないような小さな車体では活動範囲や輸送能力が限定されることから規制は行わないという考え方を取っておりまして、したがって、自転車によるフードデリバリーも規制の対象外となってございます。
ただ、今現在、非常にこれは増加しているというふうに承知しております。今、確認しますと、事業者の方で自主的に安全に対する取組もいろいろ検討しているというふうに聞きますが、この辺を注視しながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○松田委員 引き続き、厚生労働省にもお伺いいたします。
フードデリバリー十三社で業界団体が設立され、問題となっている配達員の交通違反なども業界へ指導いただいていると思いますが、従業員であれば会社が責任を持って安全対策を指導できると思いますが、ウーバーイーツなどのように雇用契約を結ばず個人事業主としている場合、ウーバーイーツ側から安全指導がどこまで望めるか心配なところもあります。
厚生労働省として、安全指導の強化策があればお願いをいたします。
○田中政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省では、交通労働災害防止のためのガイドラインに基づきまして、事業者に対して、管理体制の構築などと併せて、交通法規の教育、交通安全情報マップやイラストを使った危険予知訓練などを労働者に行うことにつきまして周知、指導をかねてより行ってきたところでございます。
御指摘のフードデリバリーサービスの配達員の方は、必ずしも労働者でない場合もございます。
しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、フードデリバリーサービスの需要が高まっていて、配達員の事故防止が課題となっていることを踏まえまして、昨年十月に、国土交通省、警察庁等の関係省庁と連携しまして、飲食店関係の業界団体に対して、配達員の事故防止のための取組を要請しているところでございます。
引き続き、関係省庁と連携してこの周知を図ってまいりたいと考えております。
○松田委員 次に、警察庁にお伺いいたします。
警察庁が出されている状態別死者数の推移を見ますと、全体的に死者数は減っており、自転車乗車中の死者数も減少しております。しかし、構成率を見ますと、自転車運転中の死亡率は、二〇一九年、二〇二〇年と上がってきております。
新型コロナによりフードデリバリーが増加したこととの関連を考えますが、警察庁としてどのような安全対策を行われているか、お答えをいただきたいと思います。
○新田政府参考人 お答えいたします。
令和二年中の自転車関連事故は、全体の件数が前年比で一五・九%減少の約六万八千件である一方、業務運転中の事故件数は三・六%増加の千二百八十一件となっており、自転車を用いた業務運転中の交通事故の状況については注視していく必要があると認識しております。
こうした状況を踏まえまして、先ほど厚生労働省から答弁がございましたけれども、警察庁では、昨年、関係省庁と連携し、関係団体に対して、各事業者における配達員に対する交通ルールの周知や注意喚起等について協力を依頼したところでございます。
また、都道府県警察においては、事業者に対する申入れや依頼を通じ、自転車の通行方法等について配達員へ注意喚起するためのメールの配信や自転車安全講習会の開催などの安全対策を実施しております。
本年二月には業界団体が設立されまして、今後、交通ルールの遵守も含む諸課題に業界全体で取り組んでいくものと承知しておりまして、警察といたしましては、こうした団体や関係団体とも連携し、関係事業者などに対する交通安全の働きかけ、自転車配達員への街頭における指導、啓発、配達を委託する飲食店等に対する協力依頼、こういった諸対策を推進し、業務運転中の自転車の安全利用を促進してまいります。
○松田委員 ちょっと時間もあるので、八番を先にやらせていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
公共交通事業へのコロナ支援策について、大臣にお伺いをいたします。
御承知のとおり、新型コロナウイルス感染拡大により、公共交通は危機的状況に置かれております。昨年秋の臨時国会でも、大臣に強力な支援をお願いする旨質問いたしましたが、十分な支援があったとは言えない状況が続いております。
そこで、三点要望させていただきたいと思います。
一つは、四月三十日まで延長された雇用調整助成金の特例措置を、コロナが収束するまでの再延長。
二つ目は、固定資産税の減免措置を財務省へ働きかけていただきたい。鉄道などの固定費が八割と聞いております。事業規模だけで支援策を講じるのではなく、もう少しきめ細かく事業内容を見る必要があるということです。
三つ目は、地方創生臨時交付金の地域公共交通などへの支援についての後押しでございます。
しかし、この三点を国土交通省の方にお話をさせていただいたら、雇調金については厚生労働省と連携をしますと回答されましたが、固定資産税の減免については難しい、地方創生臨時交付金については以前に自治体に通知はしており、今はもう自治体は使い道を決めているのでは、遅いのではないかというふうにおっしゃられました。
では、大臣が所信において、エッセンシャルサービスである地域の公共交通について、これまで以上に強力に支援を行うと言われたことは何を示すのでしょうか。ほかにどのような強力な支援策を考えておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○赤羽国務大臣 まず、雇用調整助成金につきましては、これまで、バス、タクシーの業界で約千百億円、あと航空、空港関係でも約四百九十億円、全業種の中でも相当上位、たくさん使わせていただいておりますし、これもできるだけ継続を求めていきたい、こう思っております。
また、固定資産税の、これはもう実質的には五〇%近く軽減をされております。それに加えて、今回、納税猶予の特例なども措置をされているところでございます。なお、固定資産税は各地方自治体の最大の財源の一つでありますので、これは地方との兼ね合いがあるということは御承知おきいただいていると思います。
また、地方創生臨時交付金も、全国の地方運輸局長から、全都道府県知事、首長の皆様に直接働きかけを行いました。地方創生臨時交付金のメニューというのはたくさんありまして、その中で公共交通機関のメニューがあるから是非使っていただきたいということで、これまでに三百六十自治体、約一千事業で、公共交通事業者の運行費の支援ですとか、利用促進、感染症対策にも使っていただいております。
それに加えて、国土交通省の予算といたしまして、令和二年度三次補正予算案並びに今御審議をいただいている当初予算案において、合わせて五百億円を超える、路線の維持等々に使える、公共交通機関を守っていくんだという手厚い支援を行うこととしております。
以上です。
○松田委員 数多く質問させていただきました。
働く皆さんの技能を上げることや、また、安全に向けて、交通安全に向けて取組をしていただいて、今後とも安心して暮らせる社会づくりを是非目指していただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
それでは、質問を終わります。
○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
明日で東日本大震災と原発事故から十年を迎えます。改めて、犠牲になられた皆さんへ心から哀悼の意を表するとともに、被災された皆さんへのお見舞いを申し上げます。
二月十三日深夜に発生した福島県沖地震では、震度六強というのが十年ぶりの強さでもあり、また、長く続く揺れ方が大変似ていました。東日本大震災を思い出した方が多かったと思います。
資料の一枚目ですけれども、東北新幹線の電柱が倒れ、全線が再開したのは二十四日でした。今まだ減速をしての運転をしておりますけれども。資料で見ますと、電柱被害が二十本、金具などの損傷が約五百五十か所、トータルで約九百四十か所も被害があったということに驚きました。
東日本大震災以降進めてきた耐震化が未完了だったと聞いています。どのような計画だったのか。また、その計画どおりであれば、今回の倒れた電柱は、耐震化を完成させるのはいつであるのか、伺います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
今回の地震によりまして、東北新幹線では二十本の電柱が折れるなどの被害を受けたところでございます。
東日本大震災を受けまして、国土交通省では耐震基準を強化し、これに基づき、JR東日本では、東北新幹線の高架橋、橋脚等の土木構造物の耐震補強を実施し、おおむね完了していたことから、今回の地震によって土木構造物に大きな被害は発生いたしませんでした。
一方で、電柱につきましては、東日本大震災での被災地など、エリアを決めて重点的に耐震補強を進めており、令和二年末までに、東北新幹線高架橋のコンクリート製の電柱約一万四千本のうち、約二千か所の補強が完了していたと承知いたしております。これらにつきましては、今回の地震で被害は発生しておりませんが、折れた電柱二十本は補強工事が未着手のものでございました。
なお、土木構造物につきましては、一たび被災をすれば人命や長時間に及ぶ輸送障害につながるものですから、耐震補強の進捗状況についても国も報告を受けておりましたが、電柱や車庫設備など、耐震補強の進捗状況は報告を受けておりませんでした。
お尋ねの電柱の耐震補強計画につきましては、現在、JR東日本で、エリアを含めまして見直しをしている状況でございます。現段階では、完了時期についてお答えすることは差し控えたいと思います。
○高橋(千)委員 阪神・淡路大震災のときに、やはり橋脚などが大分壊れまして、そのときに耐震化の見直しを行ったことがありました。私もそのとき、よく記憶しているんですけれども。
今回は、東日本大震災を受けて、また耐震化の強度を図ってきたと。ただ、今、御報告がありましたように、電気系統については未完のところが多過ぎるわけですよね。一万四千本のうち二千、完了しているということでありました。
今、お答えにはなかったんですけれども、事前に聞いたときに、当該の今回倒れた電柱が、予定どおりやっていれば、耐震化が済んでいたのは二〇二八年だというふうに聞いておりました。そうすると、当然、それまでの間にまた大きな地震、ない方がいいに決まっていますけれども、あり得ることは予想しなければならない。しかも、報告を受けていないシステムになっていると。ここを変えなければならないんじゃないかと思っています。
そこで、大臣に伺いますが、今、指摘をしたような、電気系については進捗状況の報告を受けるスキームになっていないと。この際、この点を見直しをして、全体計画と進捗状況を報告をさせて、早めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 電柱の補強というのは、工事ができる時間帯が極めて限られているという制約上があること、これはよく御承知だと思いますが、本来であれば、JR東日本という大会社ですから、そうしたことは、報告云々にかかわらず、ちゃんと早期の実現をしてもらいたいというふうに思いますが、今回のこともございますので、耐震補強計画の見直しについてしっかり指示をしたところでございます。
国交省といたしましても、耐震補強の進捗状況をきちんとフォローするようにいたしまして、できるだけ早期に耐震補強を完了し、御利用の皆様に御不便をかけないように、JR東、しっかり指導してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 今のはフォローという表現でしたけれども、報告を受けるようにするというふうに受け止めてよろしいということですよね。今、うなずいていらっしゃると思います。
確かに、大会社だからというお話でありましたが、その大会社を支援する法案がこの後出てくるわけですから、そう簡単な話ではないと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、住居の被害でありますけれども、福島県では、全壊二十四棟を含む三千三百四十七棟が被害がありました。
災害救助法を適用しましたので、応急修理の活用が期待されると思います。また、先般改正された被災者生活再建支援法では、中規模半壊という形で支援の対象が広がりました。これで救済範囲が広がれば喜ばしいことだと思っておるんですけれども、周知あるいは活用はどうか、内閣府に伺います。
○内田政府参考人 お答えいたします。
現在、福島県内では、三月八日時点で約五千六百棟の住家の被害認定調査が完了するなど、順次、被害状況の把握が進められているところでございます。
災害救助法に基づく応急修理や被災者生活再建支援金につきましては、既に福島市などにおいて受付が開始されているところでありまして、福島県において被災者支援制度ガイドブックを作成し、ホームページに掲載するとともに、福島県耐震化・リフォーム推進協議会において被災者からの相談体制を整備し、二月の十六日から相談受付を開始するなど、被災者への周知を行っていると聞いているところでございます。
また、被災者生活再建支援法につきましては、現時点で三市町、福島市、桑折町、新地町でございますが、において適用されておりまして、昨年の改正により支援金の支給対象として追加されました中規模半壊世帯も、三月八日時点で十九世帯、福島市が十五世帯、桑折町が四世帯でございます、十九世帯あると聞いておりまして、これらの世帯も支援金の支給対象となると考えております。
引き続き、これらの支援制度の周知に努め、被災者の生活再建に万全を期してまいります。
○高橋(千)委員 十九世帯だけれども、新しく対象になるところが出てきたという御報告でありました。周知を徹底していただきたいと思っております。
ちょっと済みません、通告にないんですが、追加して伺いたいんですが、残念ながら、宮城県は災害救助法の適用がありませんでした。県に対して地元の議員たちは求めていたんですけれども、決断がされていないということで。ただ、実際には、福島県と宮城県は隣り合っているところもあって、被害の程度がほとんど同じなのに支援が分かれてしまうという残念なこともあるんですよね。
そういうときに、自治体が今おっしゃった支援法と同様の制度をつくった場合には、交付金で支援をするということも、総務省の分野ですけれども、支援をすることもできるということでは、当然そうなっていますよね、確認だけ。
○内田政府参考人 お答えいたします。
被災者再建支援制度につきましては、都道府県が相互に資金を出し合いまして、いわば相互扶助として行われている制度のところもございますので、あるいは災害救助法につきましても、一定の要件があって適用がされているところでございます。
まず、災害救助法につきましては、私ども、地震の発災直後から、宮城県に対しましては複数回にわたりまして、災害が発生し、多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じた場合であって、避難して継続的に救助を必要とする場合の災害救助法の適用について助言を行ってきたところでございますけれども、宮城県の方の判断として、救助法の適用をする状況には至っていないということだったと聞いております。
また、支援金につきましては、委員御指摘のように、国の制度と同様の制度につきまして、自治体が独自に制度化した場合には、交付税の対象とされる制度があるところでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
宮城県にも助言をいただいたということで、ちょっと残念なことではありますが、自治体が、県ではなく市町村が判断をして同様の制度を取り組んだときには、交付税という形で支援をできるということが確認をされたと思います。
とはいえ、宮城も福島も一部損壊が圧倒的に多いわけです。災害救助法の適用されない宮城県でも、県南地方を中心に被害が大きく見られるんですが、そこで、一点、提案をしたいのは、二〇一九年の山形県沖地震や千葉などの台風十五号で、屋根瓦の被害に対する支援制度をつくりました。社会資本整備総合交付金の活用、資料の2でつけておりますが、これが来年度の予算から恒久的制度として提案をしていると承知をしております。その趣旨と補助率などの内容を説明してください。
○和田(信)政府参考人 令和元年の山形県沖を震源とする地震や、同じく房総半島台風では、住宅等の屋根に多数の被害が発生いたしました。
特に多数の被害が発生しました房総半島台風の屋根被害につきまして、国土技術政策総合研究所等により実態調査を行い、調査結果を踏まえて、昨年十二月に、新築の建築物に対する屋根瓦の緊結、これは屋根瓦を家屋に固定することを緊結といいますが、緊結に関する基準を強化したところでございます。
あわせて、既存の住宅・建築物の屋根を新基準に適合するような改修を促進するため、住宅・建築物の屋根の診断や、その診断結果を踏まえた改修に対して、新たに防災・安全交付金等により支援を行うこととしたところでございます。
具体的には、住宅・建築物の所有者等が屋根を新基準に適合させるための改修等を実施する場合、改修に要する費用の二三%を国と地方で支援することとしてございます。
○高橋(千)委員 今お話あったように、国と地方で二三%。ただし、地方が更に上乗せするのは構わないと思うんですね。一一・五%の補助率というのは、もう少し頑張れないかなという気持ちもあるんですけれども、まずそれが制度化されたことを歓迎したいと思いますし、実際に、例えば山形県沖地震のときに、鶴岡市でやはりこの制度をつくったんですけれども、三十万円以上の修繕に対して二割の補助をする、これは社会資本整備交付金を使っているんですけれども、二〇%補助してマックスが四十万。これに対して、六百五十棟の屋根瓦などの被害があったのに対して、四百十二件の利用があったと聞いております。
また、お隣の新潟県の村上市でも同様の制度をつくって、五百四十六件の被害があったのに対して百六件の適用があったということでは、やはり補助率が若干、もう少しと思いつつも、活用ができるんだということでは大いに宣伝をして、励ましていければいいかなというふうに思っています。今回も使えればいいなと思っています。
あと、この資料の中にあるように、基準風速が三十二メートル毎秒ということで、結構ハードルが高いのかなという心配もあります。
例えば、宮城、福島などは基準風速が三十メートルだということなので、その際も地域防災計画できちっと位置づければよいのだということで確認をしたいのと、周知徹底をお願いしたいと思いますが、もう一言。
○和田(信)政府参考人 お答えいたします。
今回の福島県沖地震でも瓦の被害を受けている家屋、これが結構出てきているとお聞きしてございます。
こうした瓦の被害を受けている住宅・建築物につきましても、新基準に適合していただくよう改修する際には、先ほど申しました事業を活用できることを地方公共団体に既に周知しているところでございますし、今後とも、お問合せ等ありましたら、丁寧に対応してまいりたいと思います。
また、風速三十二メーター以上の区域、これだけだとなかなか厳しいんじゃないかというお話でございます。
エリアの要件として、おっしゃられたように、地域防災計画等で公共団体が指定する区域というふうにつけてございますので、例えば今回の福島県沖地震で被害があった地域においても、自治体の方でしっかりと計画的に、こういったところは改修をしっかりすべきところである、危険なところであったということで指定していただければ、私どもの方で、先ほど申しました事業でしっかりと支援をさせていただきたいと思ってございます。
○高橋(千)委員 確認をしました。ありがとうございます。
次に、大分落ち着いたとはいえ、今冬の大雪被害、大変大きかったです。一月七日からの大雪では、秋田、新潟、富山、福井県の二十二市町村に災害救助法が適用されました。党としても防災担当大臣を通してパッケージでの支援策を示すよう求めてきたところでありますが、赤羽国交大臣も、道路の除雪費補助ですとか特例措置、早期に指示をされた、もちろん現地に足を運んで指示されたこと、承知をしております。
総務省での特別交付税の前倒しや、農水省のハウス被害などへのパッケージ支援など、それぞれ対応いただいたことは承知をしております。感謝しています。
問題は、個々のお宅の屋根雪などが尋常でない量であったことや、生活道路の確保ですね。通学路が子供一人通る分しか道がないほど雪が積もっていたのも久々の光景でありました。雪下ろし中の死亡事故や雪の重みに潰されての建物倒壊なども起こっております。
秋田県は今回、雪で災害救助法の適用になった。雪で適用になったのは、実は秋田県としては初めてのことでありました。菅総理の地元である県南地方が一番多かったんですが、自衛隊に出動を要請しました。
人口二千五百一人の東成瀬村では、村長さんいわく、年越し前に雪下ろしを二回もやったのはまずなかったことであるとおっしゃっていました。自衛隊員が三日間屋根の雪下ろしをやってくださって大変感謝をしているということで、感謝状を持参したところ、連隊長が、自分たちが帰った後もまだ雪が降って大変気の毒に思ったと涙ぐんでくれたとおっしゃっていました。
それで、何か村としても取り組んでいることはないかとお聞きしたんですが、村では、左官さんや大工さんなど高いところを怖がらない方に登録をしてもらって、雪下ろし協力員を集落ごとに配置をしています。協力員が班をつくって一斉に集落を除雪して回る、これに単独の助成をしているわけですけれども、高齢化もあって、七十人いた協力員が今二、三十名までなっているということであります。
それで、実際に、全国、人手不足というのが大きな課題でして、高齢者や障害者などに対して支援策をやっている自治体も確かにあります。でも、人手が足りないので、頼んだけれども、青森の場合は一月待ってくれと言われて、それじゃ雪解けちゃうよみたいな、そういうことが実際に起こっているわけなんです。
そうすると、今言ったように、元々高いところを得意とする仕事みたいな、そういう方たちを生かすことに自治体が活用した場合に、登録制度みたいにやった場合に、防災・安全交付金を活用するなどということで応援できないかということの質問です。
○赤羽国務大臣 今回のように短時間で急激に大雪になったところというのは、いわゆる豪雪地帯と比べると、やはり比較的弱くて大変だったというふうに現地でお話を聞かせていただきました。
確かに、家が高齢者しかいないので誰もできないとか、我が党の井上副代表、実家が富山なんですけれども、誰も住んでいないのでおいっ子に頼んだとか、そうした状況がたくさんあるというのは御指摘のとおりだと思います。
ただ、工夫というのは、今国交省でできることは、この雪処理の担い手不足という課題に対して、除雪ボランティアセンターなどの組織づくりですとか、ボランティアと地域をつなぐコーディネーター育成による担い手確保、また、雪下ろしの安全対策等を促進するためのそうした取組に対して支援を行うという、こうしたことはやっているんですけれども、今ちょっと防安交付金ということは、多分その程度のことは、総務省の特別交付税での措置ですとか、あるいは過疎対策事業債を活用するということで対応しているというふうに承知をしております。
いずれにしても、今回行ったときにたまたま、たまたまではないんですけれども、小此木防災担当大臣がその前に入りまして、私も現地を見ていて、これはやはり総務省と国交省と農林水産省と防災担当大臣とで、しっかり政府としてやらなければいけないということで、そうしたことはすぐ共有して、過不足ないように、予算面で、高橋さんの提案はちょっと検討しますけれども、いずれにしても、政府の中で対応をしっかりさせていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがたいと思っています。といいますのは、大臣がお答えの中にお話があったとおり、やはり屋根雪の重みで建物が倒壊しちゃうわけですよね。そういう意味では予防対策にもなるということで、考え方をやはり整理していく必要があるんだと思うんです。
実は自治体では、今言った青森なんかでは社協が窓口になっているんですけれども、実際に厚労省と総務省と国交省に集まってもらって、その屋根の雪下ろし対策ね、何とかと言ったときに、どこも自分の所管じゃないとおっしゃったんですよ。そうすると、結局、問題意識はあるんだけれども制度としてできていかないということがありますので、是非、大臣おっしゃってくださったように、横連携で少し議論をまとめていってくださることを期待したいと思い、お願いいたします。
さらに、今冬は高速道路などでの大規模な滞留が相次いで起きました。資料の三枚目ですが、十二月十六日から十九日まで、最大時約二千百台の車両が滞留した関越自動車道の状況であります。
これは、右側から上り車線で千七百五十台、下り車線は三百五十台。このきっかけとなった大型車のスタック、これは赤のバッテンがそれぞれについています。実はもう一つ、紺のようなバッテンがついているんですが、これは国道十七号線でありました。
時系列で見ていくと、十六日の日中のうちに国道十七号線で断続的に立ち往生がもう発生していた、日中に。十七時五十二分には上り車線で大型車がスタック。下り車線は二十二時三分なんですよね。実際に通行止めが開始されたのは翌朝の五時四十分です。あれっと思いますよね。
とんでもない大雪だったのはよく分かりますが、だけれども、立ち往生を把握していながら、国道と自動車道と両方止めたくなかったのか、そのまま、立ち往生の中に車を新たに送り込んでいった状態が続いたわけです。
資料の4が、事実関係、原因、今後の対応ということで整理をした資料ですけれども、真ん中のところを見ていただくと、当初NEXCOは自社のみで対応しようと考えていたために県防災局への支援要請が遅れた、整備局は備蓄食料をプッシュ型で送ったが、配布のための人員は要請がなかったため派遣しなかったと。これもちょっと驚く内容ですけれども、そういう対応だったということであります。
そこで、本日はNEXCO東日本にも出席をいただいておりますが、率直に、なぜこうしたことが起こったのか、反省と再発防止について伺いたいと思います。
○高橋参考人 お答え申し上げます。
昨年十二月の大雪に伴いまして、関越自動車道において約二千百台もの大規模な車両滞留が発生し、二日以上も通行止めとなりました。長時間にわたり車内で待機いただくなど、大変御迷惑をおかけしましたことを、改めておわび申し上げます。
今回の関越道における事象は、関越道において立ち往生が発生していたものの、順次排除できるのではないかというふうに考えていたことに加えまして、先ほど先生からございましたように、並行する国道十七号が通行止めになっていたために、同時通行止めを避けようというふうに考えまして、関越道の通行止めのタイミングが遅れたということが大規模な渋滞の発生の要因の一つであると考えております。
今回、大規模な立ち往生が発生したことを踏まえますと、以下のような課題があったと認識しております。まず一点目として、大雪が予想される際の事前の情報提供の在り方でございます。二点目が、早期通行止めと集中除雪の実施でございます。それから三点目といたしまして、車両滞留発生時の情報の正確な把握と関係機関との連携体制の構築でございます。そして四点目として、滞留に巻き込まれた方々への支援物資、それから情報提供の在り方でございます。
このため、当社は、国土交通省北陸地方整備局、それから新潟県警とも連携いたしまして、緊急会議を開催いたしました。その結果、昨年十二月二十五日に、今後の対応について取りまとめたところでございます。
取りまとめました内容には、まず、関係者が連携して、タイミングを逃さず予防的通行止め、集中除雪をちゅうちょなく行う、それからカメラの増設、巡回体制の強化、スノーモービルやドローンの活用による正確な状況把握を行う、自社の人員体制を確保するとともに、対応が難しい場合には速やかに判断して関係機関等への支援要請を行う、それから、あらゆるチャンネルを活用して外出自粛や滞留者への情報提供を強化するなどのことが盛り込まれたところでございます。
当社といたしましては、この取りまとめを踏まえまして、再発防止を具体化して実施しておりますが、現在、国土交通省において検討されております、大雪時の道路交通確保対策中間取りまとめ、この改定も踏まえつつ、必要な改善を図ってまいる所存でございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
時間の関係で、大臣に残りの質問をまとめて伺おうかなと思います。
私、青森ですので、もちろん、ホワイトアウト、何度も経験がございます。関越道の報道があったときに、本当は青森だったら高速道路をすぐに通行止めして一斉に除雪するから大丈夫なのよねとしゃべっていたんですよ。そうしたら、その後、宮城県大崎市の事故がありまして、あら、もはやそうではないのかというふうに非常に残念に思ったことがございました。
今、答弁の中にありましたように、国交省の中で冬期道路交通確保対策検討委員会、これは二〇一八年の五月に中間取りまとめを公表されておりますが、その後もまた同じような事案が続いているということで、今冬の事案を受けて改定を行っていると承知をしています。その最大のポイントを伺いたいのと、私自身が思うのは、やはり滞留が起こりつつあることを認識してからもなかなか通行止めを行わない背景に、物流を止めたくないという意識があったのではないかと。やはり早期に判断して除雪作業を徹底することが、結果としては大事故を避け、早い解決につながると思います。ただ、そのためには、やはり荷主の協力が絶対なければ駄目だ、理解も必要だということで、その点についての国交省の決意も伺いたいと思います。
○赤羽国務大臣 荷主の協力がないと難しいというのは、もうおっしゃるとおりでありまして、無理して運んでいくということがトラブルの原因になっているということでございます。
こうした観点から、一月二十八日に、経産省、農水省、これは荷主の所管省庁とともに、関係の荷主団体千以上につきまして、要請を行わせていただきました。大雪の緊急発表ですとか通行止めの情報というのを、事前にその情報を荷主の方々に迅速に周知をして、理解をしていただいて、適切な対応に御協力をいただく、こうした連絡体制を構築することといたしたところでございます。
今の、大雪時の道路交通確保対策につきましては、これは改めてなんですけれども、人命を最優先にということと、幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避するということを基本的な考え方として、やはり早め早めの判断をする、それは人命最優先、トラブルを回避するということに尽きるかと思います。
ちょっといろいろ、大部でありますので、そうしたことをまとめているということでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。やはり物流のネットワークを維持するということが最優先であったことが、今、人命最優先だというふうに観点が変わったということが、やはり一番大事なことなのかなと思っております。
いっぱいしゃべりたいことがあったんですが、時間の関係で、これで終わりたいと思います。
続き、またお願いします。
○あかま委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝です。
それでは、大臣所信への、大臣への質疑をさせていただきたいというふうに思います。
まずは、IRについてお聞きしたいと思います。
我々は、IRは、ポストコロナにおいて、今はちょっと、海外の方からも来られているのを当然抑制をかけているわけですけれども、インバウンドを今後回復して拡大させていく非常に大きなツールではないかなというふうに思っています。我が国が観光先進国となる上で重要な、本当に重要な取組であるというふうに理解しております。
昨年十二月に国において基本方針が確定をされまして、今後手続が進められていくというふうに考えています。現在、私の出身でもあります大阪府市、さらには横浜市、和歌山県、長崎県、四つの自治体が事業者公募を開始している段階であります。今後、その各自治体は、事業者からの提案を受け、選定をして、その後、選定した事業者とともに区域整備計画というのを作成した上で、国に区域認定の申請を行うというプロセスになっているかというふうに思います。これは事務的な手続だと思います。
しかしながら、事業者の提案に当たっては、制度の枠組みというのが整っているというのが私は大前提となるのではないかというふうに思いますが、カジノ面積の考え方、さらにはカジノ免許の関係など、多数の項目から成るカジノ管理委員会規則というのがいまだ示されていないという状態になっております。やはり、早急に内容が示されることが必要であるというふうに考えます。
カジノ管理委員会規則は、事業者を始めとする関係者との対話も含め、どのようなプロセスを経て制定されるのかを、今日はカジノ管理委員会から坂口調査部長、またIRの推進本部の高田事務局次長もお越しをいただいていますので、坂口部長、答弁をお願いします。
○坂口政府参考人 カジノ管理委員会におきましては、カジノ事業の健全な運営を確保し、カジノ規制を厳格に実施するため、二百六十一項目のカジノ管理委員会規則の内容等について、海外における事業実態や先進事例も含めて幅広く情報収集をしながら検討、審議を行っているところでございます。また、IR事業者や関連団体等からの規則に関する意見等があれば、接触ルールに基づき、適切に対応しているところでもございます。
IR整備法の円滑な施行や、本年十月にIR区域整備計画の認定申請が開始されること等も踏まえまして、今後とも適切に規則制定の準備を進めてまいる所存でございます。
○井上(英)委員 IR誘致を目指す自治体、先ほど挙げましたけれども、その自治体は事業者公募というのをもう既に開始している段階に入っています。ですから、時間的な余裕というのはやはり制限があって、そういう状況にあるというふうに思うんですね。ですから、やはり速やかに規則の内容というのが示されるように、くれぐれもお願いをしておきたいというふうに思います。
その規則を制定する上において、IRは日本で初めてやる制度であります。ですから、我々は、そういった受皿をこれから準備して、IRというのを観光先進国としての一つのツールとしてやろうというふうには思っているわけですけれども、何度も申し上げるように、日本で初めての制度であります。ですから、当然、廉潔性というのをしっかりと確保していただきたいというふうに思いますし、ただ一方で、事業者を適切に監督するということがやはり重要であります。さらには、でも、国際標準を確保して、現実にワークする制度、運用とするべきだというふうに思います。これがやはり、初めての制度というところにひっかかってくるところであると思います。
成功例でありますシンガポールや米国などでは、IR事業者との積極的な対話を実施し、事業運営や実務に対する理解と制度の実効性というのを確認しながら、国際競争力のある制度設計、また変更を実施しているというふうに私は理解しております。
日本においても、IRの実務が分からない行政だけで制度設計するというのにはやはり限界があるというふうに思います。昨年十二月に定められたカジノ管理委員会のIR事業者等への対応方針というのにもしっかりと基づいて、公正性、透明性というのをしっかりと担保していただいた上で、実際に事業運営するIR事業者等との意見交換などをしっかりとやはり実施をすべきではないかと私は考えています。
今後、カジノ管理委員会規則制定に当たって、規則案を作成、公表する前段階から検討の方向性、内容も示しながら、事業者から意見を聞いて検討を進めるべきと思いますが、どのように取り組むおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
○坂口政府参考人 カジノ管理委員会は、カジノ事業の規制、監督という、これまで我が国に存在しなかった全く新しい業務を担うものでございます。カジノ事業の健全な運営を確保し、カジノ規制を厳格に実施するため、海外における事業実態や先進事例も含めて幅広く情報収集しながら、必要な検討、審議を行っているところでございます。
具体的には、海外におけるカジノ事業の実態調査やカジノ規制当局との意見交換を行うとともに、IR事業者や関連団体等からの規則に関する意見等があれば、接触ルールに基づき適切に対応するなど、幅広く情報収集しながら、カジノ管理委員会規則に関する必要な検討、審議を進めており、今後とも適切に規則制定の準備を進めてまいる所存でございます。
○井上(英)委員 是非お願いをしたいというふうに思います。
他国では、事業者と積極的な対話を実際に実施をして制度構築をしていく、事業者と対話すること自体は国際標準であるというふうに思います。ただ、先ほど私が申し上げたように、廉潔性といいますか、やはりそういった、公明正大で透明性のあるというものは絶対にしっかりと確保していただきたいというふうには思いますけれども、そういった中で、事業者の思いというのもやはりしっかりと聞くというのも国際標準でありますし、国際競争力強化といいますか、その国際競争力にIRのジャンルで打ちかてるような環境というのをしっかりと整えていただきたいというふうに思います。
事業者から形だけ意見を聞くというのではやはり意味がありません。双方向の意見交換というのをしっかりして、取り入れるべき意見をしっかりと制度に取り込んでいくことが重要だと思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
カジノ管理委員会の規則の中でも、カジノ免許に関する事項についてというのは、特に早期に明確化される必要があるのではないかというふうに思っています。
IR事業の実施にはカジノ免許というのが必要であります。想定外に免許が付与されない場合には、事業者には予期せぬ投資損失を生じさせることになります。莫大なお金が投資されるというお話も聞いていますので、そういったリスクがあるままではIRという大規模な投資はできないということになります。カジノ免許付与に当たっての背面調査の範囲とか概要など、免許交付の条件などが示されない限り、事業者は投資判断がなかなかできない。また、金融機関も貸付けの判断ができないなどというようなことを危惧されるのではないかなというふうに思います。
現時点でどのような想定をしているのか、また、いつ頃こういった詳細が明らかにされるのかというのをお伺いしたいのと、また、カジノ免許の交付時期というのは、開業のどうしてもやはり少し前になるのではないかなというふうには思いますけれども、区域認定などのタイミングもしっかりと踏まえつつ、できるだけ早期にこの背面調査などを実施をして、例えば仮免許のようなものがないと事業者というのはやはり工事着工もなかなかできないのではないかなというふうに思いますけれども、どのようにお考えか、お伺いしたいというふうに思います。
○坂口政府参考人 カジノ事業は、IR事業の実施による公益目的達成のため、これまで刑法の賭博に該当するものとして禁止をされてきた行為を例外的、特権的に認めるものであり、その実施主体となるカジノ事業者については、関係者も含め、暴力団員等を徹底的に排除するなど高い廉潔性を確保するとともに、高度な規範と責任を求める必要があると考えておるところでございます。
このため、IR整備法におきましては、カジノ管理委員会は、カジノ事業の免許等の申請があったときは、申請者等が十分な社会的信用を有する者であること等を審査することとされておりまして、この審査を行うに当たりましては、諸外国の状況も参考としつつ、徹底した背面調査を実施することを予定しているところでございます。
○井上(英)委員 その背面調査も是非しっかりとやっていただいて、スピード感を持っていずれにしてもやっていただきたいというふうに思います。
カジノ免許の付与条件というのは、大規模投資を行う事業者の投資判断等にも関わるやはり非常に重要な問題だというふうに思っています。段階的審査を取り入れるなど、IR事業に支障とならないように、しっかりと検討していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
次に、契約の認可についてですけれども、事業者がやはりIR事業をする上において、様々な締結する契約について、あると思うんですけれども、それについてカジノ管理委員会の事前認可が必要とされているが、IRの事業規模からすれば、やはり数が膨大になるということが想定されます。それを全て事前認可にするというのは、普通で考えるとやはり現実的ではないのかなというふうに思います。
実際、シンガポールなんかでは、契約の事前認可について同様の規制を適用して、運用はスタートさせたものの、実務上困難であったために契約認可プロセスを修正したというふうにも聞いています。
契約についても、国際標準に合致した、実際にワークする制度、運用というのが必要と考えますが、対象となる契約の範囲や実際の認可プロセスなど、どのようにお考えなのか、お伺いしたいというふうに思います。
○坂口政府参考人 カジノ事業は、これまで刑法の賭博罪に該当するものとして禁止をされてきた行為を例外的、特権的に認めるものであり、契約の相手方を含め、カジノの収益を受け取る者の高い廉潔性を確保するとともに、カジノ施設以外のIR施設の設置運営等に本来活用されるカジノ収益が不正に外部に流出することを防止することは極めて重要でございます。
このため、IR整備法では、契約の相手方の廉潔性に関する基準や、契約内容がカジノ事業の健全な運営の見地から適当であること等の基準を設け、これに該当しない契約の締結を禁止するとともに、第九十五条におきまして、カジノ事業に係る全ての契約や、非カジノ事業に係る契約であっても、委託、資金調達等の、カジノ事業の健全な運営に及ぼす影響の大きい契約につきましては、カジノ管理委員会の事前認可に係らしめることとしているところでございます。
いずれにいたしましても、カジノ管理委員会といたしましては、カジノ事業の適切な監督が行えるよう、必要な執行体制の整備等を進めてまいる所存でございます。
○井上(英)委員 部長、ありがとうございます。
今の部長の答弁も、ずっと聞いていただいても分かるように、やはり廉潔性というのが非常に大事だというのを改めて私も感じていますし、それはやはり、カジノ管理委員会に携わっている皆さん含め、次長もそうですし、心労もあるかと思います。ですから、大変だというふうには思っています。その中で、やはりその廉潔性というのをしっかりと担保してもらって、公明正大に透明性高くやっていただくというのをまず大前提に、しっかりと改めてお願いをさせていただきたいと思います。
その中で、やはり必要な手続、そういったものをしっかりとやっていただきたいというふうに思いますので、カジノ管理委員会においては、せっかくやるので、今後、規則などで詳細な制度設計を行っていくことになるんですが、それは事業者の参入判断にもやはり影響しかねないというような非常に大事な問題、つまりはIRの成否に関わると言っても過言ではないというふうに思っています。廉潔性の確保というのは当然重要であり、当然ですけれども、現実にワークしないと、事業者がやはり日本ではやらないというような判断になることも十分あり得ますので、そういった観点を踏まえながら、しっかりと検討していただきたいというふうに思います。
IR担当大臣の赤羽大臣にお聞きをしたいと思いますが、ここまで、ちょっと細かい点も含めて、今後制定されるカジノ管理委員会規則や運用などについてを聞いてきました。具体的な内容は今後の検討というのになると思いますが、カジノ管理委員会においては、事業者の規制、監督の観点というのを踏まえつつ、事業者などからもしっかりと意見を聞いた上で検討いただくように要望したいと思いますが、政府は観光を成長戦略の大きな柱と位置づけ、感染症、この収束後、コロナ収束後に再び観光を成長軌道に乗せて、そして観光立国を目指しており、その重要な取組として、IRを成功に導くということは非常に重要であるというふうに思います。
そのためにも、IR事業に精通した事業者や専門家などと積極的に意見交換を実施して、諸外国の先行事例を踏まえた国際標準と、そして実務、運用面での実効性が確保された制度、運用というのを日本でも実現する必要があると考えますが、IR担当大臣、所見をお伺いしたいというふうに思います。
○赤羽国務大臣 IR事業というのは、我が国で初めての試みであります。これは、観光立国を進めるに当たって、例えば長期滞在型の観光を増やすですとか、国際的な大型の会議、エンターテインメント、MICEの設備を充実させるとか、こうしたことでは意味があるのではないかと。ただ、他方で、今コロナ禍で、大変、関係事業者も苦戦をしているということもありますし、地方自治体も少し、若干の計画調整をしているということも踏まえております。
いずれにいたしましても、国民の皆様には懸念もある事業であることも確かなので、そのプロセスにおいては、今井上先生が言われたように、透明性をしっかりと保持しながら、また仕上がりがいいものをつくりたい。一つはシンガポール型というのをやはり目指すべきだと思いますが、これは世界を見ると失敗したところも随分ありますので、余り、何というか、こういったはずじゃなかったみたいなことにならないように担当大臣としてしっかりと努めていきたい、こう思っております。
○井上(英)委員 是非お願いをしたいと思います。
各自治体が事業者公募などを始めております。IRはいよいよ、本当にこれから佳境に入ってくるのではないかなというふうに思います。
ここまで質問してきたとおり、日本初のIRを成功に導くには、国際標準と実効性がある制度設計というのがやはりマストだというふうに思っていますし、そういった制度設計ができてこそ、今大臣がおっしゃっていただいたようなIRの成功というのがあるのではないか、ひいては、観光立国の実現につながるというふうに思っています。引き続き、その観点を踏まえて、是非取組を進めていただくように要望をしておきたいというふうに思います。
質疑時間も来ましたので、ちょっと最後、一問ということなので、今日は経産省の福永大臣官房審議官もお越しをいただいていますので、和田住宅局長、済みません、ちょっと飛ばしますので、また次回お願いをしたいと思います。
ドローン、空飛ぶ車ですね、先般、井上万博担当大臣も、これは大阪・関西万博においての大きいイベントの一つだというふうにもおっしゃっておられました。二〇二五年大阪・関西万博に向けて、空飛ぶ車というのを活用できるようにということで、二〇一八年八月、国土交通省と経済産業省が主導して、空の移動革命に向けた官民協議会というのが発足して、二〇二三年、令和五年まで国交省も含めてやっていくということで、今日は経済産業省にもお越しをいただいていますけれども、現状の、やはり一言で言う進捗、本当は大臣に聞きたかったけれども、帰ってくるかな、どうかな。
もうすぐ帰ってきてくれるとは思うので、進捗を含めて、国交省には大臣で、経産省には審議官。審議官、先に答弁していただけますか。本当は国交を先にしてほしいんですよね。(発言する者あり)じゃ、審議官。
ああ、大臣。大臣、済みません。万博の空飛ぶ車に関しての、よろしくお願いいたします。
○赤羽国務大臣 失礼しました。
空飛ぶ車につきましては、これはやはり相当具体的なベンチャーだというふうに思っております。
二〇二三年の事業開始を目標に、官民一体となった協議会ですとか、その下に設置をされました三つのワーキンググループ、今具体的に、機体の安全基準、また操縦者の技能証明、運航安全基準、こうした制度の方向性についても議論を進めているところでございます。
また、東日本大震災からちょうど十年でありますが、福島のロボットテストフィールドも昨年正式に開始をいたしておりまして、ここに既に三十社以上のベンチャーが、そこでしっかり様々な取組をされております。こうしたことで、大阪万博の機会に空飛ぶ車を運航する構想を有している企業とも、前回行ったときに意見交換もさせていただき、先日、菅総理も現地を視察されたところでございます。
本年四月を目途に、この福島ロボットテストフィールドに航空局の技術職員を派遣し、常駐をさせて、しっかり国交省としても最大のサポートをしていきたい、こう考えているところでございます。
そして、この空飛ぶ車の技術実証が速やかに、円滑に行える環境整備を進めていきながら、次世代航空モビリティーの早期実現を更に強力に推進するため、本年四月、これも航空局に関係事務を一元的に担う次世代航空モビリティ企画室も発足をさせていただいて、組織を挙げて取り組んでいきたい、こう考えております。
○福永政府参考人 お答えいたします。
今大臣から御答弁いただいたとおり、各省で連携してしっかりやっております。
本件、経済産業省で具体的なビジネスモデルを民間の方から提案いただいて、制度的課題の抽出を行って、それを是非国交省さんの方でということで、制度整備の課題の方の議論にという橋渡しという形でやらせていただいております。
先ほどいろいろ福島のお話でも御紹介いただきましたが、経産省としては、加えまして、来年度予算において、空飛ぶ車の運航管理や機体の安全システム等の技術開発に向けて、先導調査を行うこととしております。
こうした取組を通じまして、二〇二五年に開催される大阪・関西万博において、地元からも空飛ぶ車の活用が期待されていると承知しておりますので、それの実現に向けまして、万博協会や大阪府、大阪市、民間事業者、国土交通省を含めて、関係省庁と連携して準備を進めてまいります。
ありがとうございます。
○井上(英)委員 ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
まず、JR四国、JR北海道、そしてJR貨物、いわゆる二島貨物について伺います。
まず、コロナ禍で、とにかく交通運輸産業が大きな影響を受けております。その意味では、JR四国、北海道、JR貨物にとどまらず、交通運輸産業に対する支援が必要だと思いますが、特に、JR四国、北海道、JR貨物の二島貨物については、コロナの前から、ある意味構造的な問題もあって大変厳しい状況にあるということで、今国会で支援法案が出てくることについては大変評価をしておりますし、速やかな成立を願っている一人であります。
そこで、大切なことは、そこで働いている人が将来展望を持って、ここで責任を持って、誇りを持って働ける、そういった形をどうつくれるのかが一番大切だというふうに思っております。
そこで、まず伺います。
JR四国そしてJR北海道の両社において、二十代、三十代の若い社員の早期退職が最近目立つと言われています。近年における両社の自己都合退職者数を採用者数と併せて答弁を願います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
JR四国、JR北海道の近年の採用者数と若手社員の自己都合退職の状況を見ますと、この二年間でも、まず、JR四国につきましては、令和元年度の採用者数が百三十九人、うち新規採用百二十三人に対しまして、自己都合退職者数は七十五人、うち三十代までの若手は九割の六十六人。令和二年度現時点での採用者数は百五十一人、うち新規採用者数は百十一人、自己都合退職者数は五十人の見込み、うち三十代までの若手は九割の四十五人。
JR北海道につきましては、令和元年度の採用者数は三百二十九人、うち新規採用は二百六十五人、これに対しまして、自己都合退職者数は百六十五人、三十代までの若手はこの九割五分の百五十八人。令和二年度現時点の採用者数は三百一人、うち新規採用二百四十九人、自己都合退職者数は百八十三人の見込み、うち三十代までの若手は九割五分の百七十七人となっております。
○玉木委員 私も今初めて聞いた数字ですが、深刻だと思いますね。大臣もどうですかね。
これは、そもそも若い人の比率が非常に高い、JR四国においては九割、北海道においては九割五分なんですが、絶対数においても、十年前に比べても増えています。JR四国でいうと、若手は十倍ぐらいになっているというふうに聞いております。
やはり、一定の、技術者は特に育成するにも時間がかかりますから、ある程度の人数がちゃんといないと、安全、安定運行自体が成り立たなくなってしまうという意味では、若い人たちが、繰り返しになりますが、将来展望を持って働けるような支援のスキーム、単に支援だけではなくて、どうやって持続可能になっていくのかというその絵姿をきちんと示すことが必要だというふうに思います。
大臣に伺います。
公的支援を受けていたとしても、そういった働く人が、待遇も含めて労働環境がしっかりしているということ、あるいは人材育成ということも含めて、非常にこれは最優先の課題だと思いますけれども、これについてのまず大臣の見解を伺います。
○赤羽国務大臣 私、一昨年九月に国土交通大臣に就任し、国交省は大変所管の広い役所でございますが、その中でも、公共交通機関の大動脈を担うJR北海道、JR四国の再建というのは、大変難しいけれども、しかし大変最重要の課題だというふうに認識をしております。北海道に視察をする場合、また四国に視察をする場合も必ず在来線を利用している、少しでも鉄道マンの思いとかを共有できればというふうにしておりました。
ただ、今、玉木委員御指摘のように、私が一番ショックだったのは、特にJR北海道は、広いのでやはり道内の転勤がある。給与水準も、私が聞いたところでは夕張の市役所よりも低くなっている。ですから、多くの技術者、若手技術者が、本来は鉄道マンとして仕事をしたい方が多いと思いますが、給料が安くて、道内の転勤があるのであれば、地元のふるさとの役所で、まあ、役所も、地方自治体も技術職が非常に少ないわけですので、そうした道を選ばれているということは、大変、これは何とかしなければいけない。あらゆる組織の盛衰は、私は人材に懸かっているというふうに思っておりますので、ここを一番重要視しなければいけない。
この前、JR北海道の関係者とリモート会議をやって、知事も入れて、今回の我々が考えている支援策についての、そうしたちょっと議論の場があったんですが、JR北海道はやはりこれまで無駄が多いとかといって、一生懸命やってきて、コストカットもしてきた。口にも出して、待遇改善とは言いにくいんですね。
私は最後に、私からの締めの言葉で、今回のスキームの中で、結果として、やはり給与水準も、北海道が誇る、JR北海道という企業にふさわしい、その給与を上げるというのは、人材を確保するという意味で、また若手技術者が誇りを持って安全、安心なJRの職員として頑張れるように、遠慮しないでそこもちゃんと目標に掲げてくれというふうに私は申し上げた。社長は涙ぐんで受け止めていただいた、こんな状況でございました。
これはやはり、そうしたことは本当に、大切な使命と責任を担う鉄道事業でありますので、公共事業を継続していくことは非常に難しい世の中になっていますけれども、そこについてはでき得る限りの支援をしていって頑張っていかなければいけない、こう思っております。
○玉木委員 私も大臣と全く同じ認識です。やはり人が本当に大切だと思っています。
今大臣からもあったように、JR北海道の場合は夕張市の職員さんよりも低いというのはちょっと私も聞いてショックでしたけれども、JR四国も、私聞いてみたら、若くて退職している人はどこに行っているのと聞いたら、やはり役場に行っているんですよね。即戦力で、すごく発注とかで能力を発揮するということで、市役所等々に行かれているという方も多いというのはそのとおりだと思いますね。
なぜそうなるかというと、やはり厳しい、公的支援も受けているということで、なかなかお給料とか待遇を上げにくいということがあるんですが、これは悪循環に陥っても駄目だと思っていて、一つの問題は、北海道もそうですが、四国もそうなんですが、いわゆる不採算路線ということがある。ここの問題をどうするかというのはもう本質的な問題で、ある種の公共性とか、郵政でもありましたけれども、ユニバーサルサービスですといって、地域の足を維持しましょう、これは当然みんな言いますね。我々政治家は特に言います。一方で、民営会社として、民間会社として、独立採算でやってください、上場も目指してくださいということであれば、正直、そこは常に矛盾を抱えながらやらざるを得ない。JR東海の社長さんとJR四国の社長さんの立場は全然違うと思うんですね。それは国鉄民営化の在り方そのものに遡る話にもなると思いますが。
ただ、現状こういう形になっているわけですから、これから大切なのは、やはり、今回、コロナ、あるいは感じて思ったのは、JR北海道や四国が今向き合っている問題というのは、いずれ他のJR各社においても将来的には生じる問題ではないかな。つまり、高齢化とか人口減少とか、この日本が抱える問題を先行して、先取りして直面している、それをコロナがある種顕在化させ、加速化させているということだと思いますので、今後、当委員会でも議論になると思いますが、今回の法律だけではなくて、これからの将来における我が国の持続可能な人流、物流のネットワークを実際どうするんだという在り方そのものに立ち戻った議論をやはりやらなければいけないなというふうに思います。
特に、先ほど申し上げたような両社の不採算路線については、鉄道特性が発揮できる、民間企業としてやれるところと、どうしてもそうじゃないところが、これはこの事実に厳しく向き合わざるを得ないときが来るし、もう来ているのかもしれません。ここについては、それぞれ各社の経営努力、あるいは地方自治体の努力、いろいろなことがあると思いますけれども、一方で、私は、国がやはりリーダーシップを取って、地方の公共交通、特に鉄道の在り方をどうするのかというところは、大臣がリーダーシップを取ってやはり方向性を示すべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
○赤羽国務大臣 大災害があったりすると将来の潜在化している問題が顕在化するというのは、おっしゃるとおりだと思います。阪神・淡路大震災のときも、高齢化というのが言われていたのが、災害公営住宅で平均年齢七十歳以上の集合住宅が幾つもできたとか、そうしたことというのは起こり得ると思います。
公共交通機関を総合的に考えなければいけないんですが、それをやるには相当時間もかかるし、知恵も要る。私はその前に、大臣としては、この四国とJR北海道をどう再生するのかということは喫緊の課題でありまして、私は、何回も足を運んでいくと、可能性は相当あると。例えば、JR四国というのは、四国だけで閉じた世界だとやはり限られていますけれども、これはJR西ともう少し連携性をよくするとか、走っていて、高知から高松まで行きましたけれども、あんなに揺れた在来線というのは珍しくて、もう少しそういうてこ入れをするとかですね。
ただ、他方で、コロナ禍で大学生が授業をリモートで受けられるので、JR四国の社長か会長に言われたんですけれども、大学生がパソコンを持って、四国の中、結構利用者が増えていて、数字に表れていると。これはいいことだな、旅行しながら授業を受けられるというのは、本来、教育のあるべき姿でもあり得るのかなと。
そうした新しいビジネススタイルというのが出てきているし、北海道については、札幌以外の中堅地域というか、私なんかは、道東というのはやはり観光地としては相当の可能性があるので、釧路ですとか旭川とか、函館はもちろんですけれども、そうした拠点ができると、それは相当、JR北海道のやり方というのは違うのではないか。
JR九州も本当は同じような不利な状況であったかもしれませんが、「ななつ星」の列車ですとか、様々な観光列車で相当事業を拡大しているという、うまく、成功事例としては思いますので。
観光産業というのは、今、こういう時期でありますが、トレンドとしては、国の主要産業として我々も関わっていかなければいけないと思っていますし、その中で、生活の足の路線と観光路線というのを、どうしながら、国として関わっていきたい。
ただ、これまで、JRの歴史、国鉄の歴史というのは、客が乗らなくなると廃線してきた。ですから、北海道はもう廃線だらけ。今、赤のところは駄目、でも黄色のところをどうするかというのは、大変な問題ですけれども、私個人としては、黄色のところは何とか死守できるように、国としても少し知恵を出して、金を出して関わりたい。そういうことがやはり大事なんじゃないかな、やはりそれが地元に寄り添うことなのではないかなというふうに今の私としては思っております。
○玉木委員 ありがとうございます。
いつも大臣、四国に来られても、いろいろなところで在来線を利用されたり、お立ち寄りいただいているのは本当にありがたく思っております。
北海道とちょっと四国が違うのは、四国は四つの県で成り立っているので、若干、県によっての取組とか熱とかが多少違うので、その辺もあってなかなか調整が進まないところもあるので、特に国の調整機能とかリーダーシップを是非期待したいということでございます。
次に、そうはいっても、本業が早く立ち直らないといけないというふうに思いますので、私は、GoToトラベルについては、可能となった地域から、いわゆるマイクロツーリズムという言葉がありますが、域内からまず始めてはどうかというふうに思っております。ステージ1又はステージ2相当である地域から再開をしていくということが現実的な対応だと思いますけれども、そのときに、私、これは予算委員会でも提案したんですが、頻回抗原検査をやって、PCR検査は精度が高いんですけれども、ちょっと、結果が出るのに時間がかかるので、多少精度が落ちるといっても、ウイルス量の高いところの検知はそんなに落ちない。抗原検査で十五分、三十分で、チェックしてから利用する。検査とGoToの利活用をある程度組み合わせて、感染拡大防止策と経済を回していくということをいかに両立させてやっていくかというのが次の再開の重要なポイントだと。
また、JRを始めとした鉄道あるいは航空業界を支えるためにも必要だと思うんですけれども、こういった検査をもう少し、観光あるいは経済の再生に積極的に生かしていくべきだということを閣内で是非、観光を所管している大臣として、強く言っていただきたいな。自民党の細田博之先生とも私はこの話をしているんですけれども、観光の再生のためには検査の拡充が実はセットで必要なんだということを、是非進めるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○赤羽国務大臣 GoToトラベルを再開するに当たっては、当然、感染状況とか医療の逼迫状況等々について、これはもうもちろん、何度も繰り返し申し上げておりますが、対策本部の分科会の感染症の専門家の皆さんの御指導をいただきながらというのが大原則ですし、それに基づいて、政府として、これは五人の関係閣僚会議で決めております。ですから、国交省で勝手にやるということにはいきません。
ただ、他方で、今、玉木委員が御提案のように、我々も再開に当たっては、我々としては、今、十分現場では感染拡大防止策は取っていただいているというのはよく分かっているんですが、国民全体の皆様が不安を抱えている状況では、余り観光を推進するのは好ましくないので、国民の皆様が安心して観光が楽しめる環境をつくるというのが非常に大事なので、その中で、今、御提案があったような感染防止対策、抗原検査の利用を入れるとか、それも検討しているところでございます。
ちょっと今、特定的なことは言えませんし、これがどこまで、何というか、難しい話になると、どこまで医学的な意義があるのか、そういう話になるとまたちょっと実行もしにくいので、少し知恵を出しながら、安心で観光を楽しめる環境づくりをどうするべきかという角度で様々御意見をいただきたいと思っております。今後ともよろしくお願いします。
○玉木委員 私は、鉄道とか飛行機に乗って移動することそのものではうつらないと思うんですよ。ここはちゃんと専門家の判断を仰げばいいと思うんですが、そろそろ次の、いかに安全に経済を回していくかというところにモードチェンジをしていかないと私はいけないなと思っていますので、是非そこは大臣からも、そういった主張をしていただきたいなと思います。
もう一つは、実際の運輸に関わるような方々に安全に働いていただく。いわゆるエッセンシャルワーカー、キーワーカーズと言われている方々は、社会を回すために極めて重要だと思いますので、パイロットの方あるいは鉄道の乗務員の方、こういう方々にはワクチンの優先接種はやはりやるべきだと私は思うんですね。国によっては、そういうことをやっている方もいらっしゃいます。
特に国際線のパイロットに関しては、やはり変異株の問題とかもあって、ここはきちんとやったらいいし、そこは国がお金を出して無償で、もちろん検査も無償でやる。あわせて、ワクチン接種の優先順位を高めて、早めに打っていただくということを是非やるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
○赤羽国務大臣 いわゆるエッセンシャルワーカーと言われている方、かつて新型インフルエンザのときだったと思いますが、特定接種という指定、そういう職業を限定してやった例がございまして、今回もそうした業界の方から同じようにという御要望をいただいて、政府の中でも議論したんですが、今回は、国民全員にとにかく短期間に受けていただく。これは、実際は地方自治体がやるので、職種云々というと、そこに物すごい時間がかかるのでということで、今こうした状況になっております。
ただ、他方で、今、我々も議論しているんですけれども、国際線のパイロットだけについては少し特別な配慮をしてもらえないかというのは、内々ちょっと検討しておりますので、そうした方向で頑張りたいというふうに思っています。
○玉木委員 基本的には自治体が、住民票というか、接種台帳に基づいてやるんですが、ただ、高齢者施設についてはある程度職業で抜き出して優先接種が可能なので、それはできると思うんですよ。
特に、これから水際対策を強化をしていく、オリンピックはどうなるか分かりませんが、その水際対策の強化策の一環としても、少なくとも国際線のパイロットについては優先接種の対象に是非していただくことをお願い申し上げ、質問を終わりたいと思います。
○あかま委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
――――◇―――――
午後一時三十分開議
○あかま委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。平口洋君。
○平口委員 自由民主党の平口洋でございます。
明日は三月十一日、三・一一でございまして、今日は三月十日、一日前の祈念すべき日であります。あれからもう十年になるかなという感じがいたしますが、有史以来の、その後の津波も含めて、大災害であったなと。行方不明者を足して二万名ほどの犠牲者が出ているということでございます。
また、去年は七月に豪雨がありましたし、今年は大雪で各地が止まった。あるいは、直前の二月には、また東日本大震災をほうふつとさせる地震が起きたということでございます。それに加えてコロナの問題がございまして、いずれにしましても、これらの災害、あるいは感染症等による流行、これによって亡くなられた方々に対しまして、深く哀悼の意を表したいと思いますし、まだ現在治療中などの皆様に対して、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
そこで、まず第一点として、東日本大震災から十年たちます。この節目に当たって、国土交通省の方の総括というものをお聞きしたいと思います。
○大西副大臣 平口委員から御指摘があったとおり、あしたでちょうど東日本大震災の発災から十年を迎えるわけであります。これまで、国土交通省としては復旧復興に全力で取り組んでまいりました。
これまで十年間の取組により、基幹インフラの復旧整備や住宅の再建、復興まちづくりのハード事業が地震、津波被災地域でおおむね完了するなど、復興は着実に進展してまいりました。
一方で、いまだに不自由な生活を強いられている被災地の方々も多く、また、地区によっては造成地の空き地の課題が顕在化しているなど、引き続き対応が必要な課題も残っています。
来年度からの第二期復興・創生期間を迎えるに当たり、国土交通省としては、昨日閣議決定された復興の基本方針に基づき、残る基幹インフラ事業の早期完了に向けて着実に事業を推進してまいります。
さらに、福島において復興再生の拠点となる市街地の整備を着実に進めるとともに、観光復興の促進や福島イノベーション・コースト構想の推進を図るなど、一刻も早く被災地の皆様の生活や生業が再建できるよう取り組んでまいります。
福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし、この政府の一貫した決意の下、私も全力を尽くしてまいります。
国土交通省といたしましても、引き続き、被災地の皆様に寄り添いながら、被災地の復興の実現に向けて、総力を挙げて取り組んでまいります。
○平口委員 まだ残事業があるということで、残事業に誠意を持って対応してもらいたいと思います。
次に、昨年の七月の豪雨についてですが、これは昨年七月三日から七月三十一日にかけて、熊本県を中心に、九州や中部地方など日本各地で集中豪雨が発生いたしました。梅雨前線が停滞し、九州では多数の帯状の、線状の降水帯が発生したところであります。
三日夕方から四日午前にかけては、鹿児島、熊本といった地帯で大雨が降って、熊本県球磨郡あさぎり町上では、七十二時間雨量が六百六十ミリを超える大変な規模に達しました。熊本県を流れる球磨川水系は、人吉市など十三か所が決壊し、約一千ヘクタールが冠水をいたしました。死亡したのは六十五人と聞いております。
被災地の一日も早い復興を願うものでございますが、その昔、この地域に川辺川というダムの計画がありまして、私も見に行った覚えがあるんですけれども、球磨川での度重なる水害を受けて、昭和四十二年に事業に着手し、平成二十年まで造っていたわけであります。この白紙とされた川辺川ダムの諸元を教えていただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答えいたします。
過去に検討していた貯留型の川辺川ダムは、球磨川水系川辺川において、洪水調節、かんがい用水の補給、発電等を目的とした、高さ百七・五メートル、総貯水容量約一億三千三百万立方メートルのダムです。
昭和四十二年に実施計画調査に着手し、平成二年までに水没地である五木村、相良村の地権者団体との間で補償基準を妥結し、用地買収、つけ替え道路工事、代替地造成工事、ダム本体の関連工事等を進めてまいりました。
その後、用地取得は約九八%まで進捗し、代替地は八地区全てで造成を終え、家屋移転は約九九%まで進み、ダム本体工事の着手に必要となる仮排水トンネルも完成しておりましたが、平成二十一年以降、ダム本体工事や一部のつけ替え道路工事などを残すのみという状況が現在まで継続しております。
○平口委員 今おっしゃったように、用地取得が九八%、家屋の移転も九九%、つけ替え道路に至っては九〇%完成したにもかかわらず、このダムの計画を白紙に戻したという経緯がございます。
今回、川辺川ダムの計画が再び動き出すということですが、水没地域の五木村では、ダムを受け入れて家屋を移転した後にダムを中止すると言われて、いわばダムに翻弄されてきたという歴史があります。このようなことは二度とあってはなりませんが、今後、事業を進める上では、このような半世紀以上にわたるいきさつをしっかりと受け止めて、地域に寄り添って事業を進めるべきではないかと思うところですが、国土交通省の見解を伺います。
○井上政府参考人 お答えいたします。
水没予定地の五木村につきましては、下流の治水のために苦渋の決断の上に大変多くの住民の方々が移転されたことなども十分認識し、今後とも、地元の声を受け止めながら、地域振興施設の再編など水没予定地の振興策についてもしっかり対応してまいります。
○平口委員 次に、道路の除雪費についてお伺いをいたします。
去年の十二月から今年の一月にかけて、北陸を中心に大雪が降ったわけでございます。関越自動車道、あるいは今年一月の福井県の北陸自動車道等において、高速道路上で大規模な車の渋滞が発生したわけであります。これは、例年よりも早い時期から大雪になるとともに、短時間に集中的に降り続いたというふうなことが言えるわけでありまして、降雪地域の自治体では道路除雪費の確保に苦慮していると聞いております。
こうした中で、地方公共団体では、新型コロナウイルス禍において地方税収が大幅な減収となって、例年以上に財政が厳しいということであります。道路除雪費についても財源不足に陥っていると聞いておりますが、こうした地方公共団体が道路除雪費の財源不足を心配することがないように、国が責任を持ってしっかりと対応していくということが求められていると思います。
そこで、今年の冬の道路除雪費について御認識をお聞きするとともに、予備費などを活用した国による強力な支援が必要であると考えますが、国土交通省の見解をお伺いいたします。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
今冬の雪は、昨年十二月の降雪初期から、北日本から西日本の日本海側を中心に大雪になるとともに、十九地点で七十二時間降雪量が昨冬までの記録を更新するなど、短期間に集中的な降雪となりました。
御地元の広島県でも、一月七日からの大雪では、松江自動車道と、並行する国道五十四号が同時に通行止めとなるなど、地域の経済社会活動に大きな影響を与えたところでございます。
このため、道路除雪では、車道の外側に雪をどける新雪除雪だけでは走行空間を確保することができないことから、車道の外側に雪を積み上げる拡幅除雪や道路の外に雪を運び出す運搬排雪が必要となり、例年以上に道路除雪費がかさんでいるものと認識しております。
道路除雪費の不足については、複数の知事や市町村長から支援の御要望をいただいており、今年は例年より早く地方公共団体から降雪状況や除雪費の執行状況を聞き取りし、当初配分に加え、二月十二日に約百十六億円を追加配分したところでございます。さらに、引き続きその後の降雪状況や執行状況について聞き取りを行い、現在、その結果も踏まえ、予備費の活用も含めた臨時特例措置等について検討を行っているところでございます。
国土交通省としては、地方公共団体の道路除雪に必要な予算確保にしっかりと取り組んでまいります。
○平口委員 御答弁のとおり、しっかりと対応していただきたいと思います。
次に、鉄道の耐震化の問題についてですが、去る二月十三日の深夜に発生した福島県沖を震源地とする地震でございますが、これについて、東北新幹線の鉄道について被害が生じております。特に、電柱については少なくとも二十本が損傷し、新幹線の復旧には十日余りを要したということがございます。
同様の事案は過去にも発生していまして、二〇一一年の東日本大震災の際には五百四十本電柱が損傷した。また、高架橋や変電設備なども被災した結果、全線で地震発生から五十日後、運転が再開できたということでございます。
こうした経験を踏まえて、JR東日本を始めとした鉄道事業者は、これまで電柱等の鉄道設備の耐震化を進めてきたと承知しておりますが、現在までの耐震化の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、東日本大震災等におきましても高架橋上にありますコンクリート製の電柱で被害が生じていることから、各鉄道事業者はこのような高架橋上のコンクリート柱を中心に耐震化を進めているところでございます。
具体的には、東北・上越新幹線におきましては、南関東エリアや仙台エリアなどにおいて重点的に耐震補強を進めておりまして、令和二年末までに、高架橋上のコンクリート柱約二万本のうち約二千二百本の補強が完了したと承知いたしております。
東海道新幹線では、ほとんどのコンクリート柱は盛土の上にあり、地震の被害を受けにくいということもございまして、高架橋上にある電柱の耐震化は完了していると聞いております。
また、山陽新幹線では、南海トラフ地震により強い揺れが想定される地域におきまして、高架橋上のコンクリート柱の耐震化については約三割が完了していると聞いております。
○平口委員 今回の地震により被害が生じた電柱は、いずれも耐震化がなされていなかったということがあります。
報道によりますと、震災の被災地や首都直下型地震が懸念される南関東などが優先順位をつけて耐震補強を順次行っているとのことですが、他の地域でも地震の発生が懸念される中、各鉄道事業者において、いま一度耐震化が必要なエリアに見直しがないかを検証し、場合によっては耐震補強計画を見直す必要があると考えますが、政府の考えを伺います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今回の地震により、東北新幹線において折れた電柱二十本のうち十七本は、重点的に耐震化を進めるエリアから外れていたなどから、耐震補強の計画には入っていなかったものでございます。
電柱の補強には、工事実施上の制約、これは夜間工事でないとなかなか補強が進まないということでございますが、今回多くの利用者に支障が生じたことを踏まえ、まずはJR東日本に対しまして、重点的に進めるエリア設定の妥当性を含め、耐震補強の計画の見直しについて指示をしたところでございます。
国土交通省といたしましても、耐震補強の進捗状況をきちんとフォローし、できるだけ早期に耐震補強を完了させるよう指導してまいりたいと考えております。
○平口委員 その方向でお願いしたいと思います。
ついでに、順序は異なりますが、まず鉄道のことが出ましたので。
鉄道は、道路と比べて災害復旧において極めて不利だと思います。特に採算性の悪い路線を通勤や通学のために無理に経営しているという状況もあるわけであります。
四十数年前に、B路線とかC路線とかいって、地方鉄道を廃止するということもあったんですけれども、嫌がる国鉄を説き伏せてやらせたということもこれあるわけでございまして、このような、いわば、地方の政策的に残している、地方で政策的に残されている鉄道の基礎部分については、是非とも国で災害復旧をするように、あるいは自治体の方で災害復旧をするようにと思います。
会津若松の方の只見線でこれが行われたということも聞いておりますけれども、これも福島県だけの話でございます。全国に広げるべきだと思いますが、見解を伺います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
地震等の自然災害により被災した路線の復旧につきましては、鉄道事業者の資力のみでは復旧することが著しく困難である場合、国土交通省では、鉄道事業者の経営体力も考慮しつつ支援を行っているところでございます。
具体的には、経営基盤の脆弱な鉄道事業者における災害復旧事業に関しましては、地方自治体等が鉄道事業者に代わって鉄道施設を保有する、いわゆる上下分離方式を導入する場合には、国と自治体がそれぞれ復旧費用の二分の一ずつを負担する制度がございます。また、この場合には、地方自治体負担分の九五%につきまして交付税措置が可能となっておりまして、国の補助率二分の一と合わせますと、実質的に国が九七・五%を支援できることとなっております。
また、黒字の鉄道事業者に対しましても、平成三十年六月、議員立法によりまして鉄道軌道整備法が改正されまして、委員御指摘のように、一定の要件を満たせば補助することが可能となり、JR只見線のように、地方自治体等が鉄道事業者に代わって鉄道施設を保有する上下分離方式を導入する場合に、補助率を四分の一から三分の一に引き上げることも可能となったところでございます。この場合も、地方負担額の五〇%については特別交付税措置が可能となっております。
こうした上下分離制度を導入することにより、鉄道事業者にとってみますと、施設の維持コストの負担軽減が図られることによって、採算の悪い路線の維持にも寄与することと考えられます。
国土交通省といたしましては、被災した鉄道が早期に復旧されるよう、こうした支援制度などの活用とともに、他の事業との連携も含めまして必要な支援を行い、鉄道事業者の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。
○平口委員 それでは、道路に戻りますけれども、道路橋等のインフラについては高度成長期に整備されたものが多く、これから老朽化が急速に進んでいくということが懸念されるわけであります。地元の広島県においても、去年の十一月に、県が管理する国道百八十三号寿橋において路面が抜け落ち、十日間の全面通行止めとなりました。現在は復旧いたしておりますが、利用者が大変不便を被ったところでございます。
道路橋等については五年に一度定期点検が行われておりまして、一巡目点検で早急に修繕が必要な橋梁が全国で約七万橋、そのうち地方で約六万三千橋が確認されております。特に、地方公共団体が管理する橋梁においては、予算不足や技術職員の不足などにより、修繕の着手率が三割程度にとどまっております。
道路橋等は大切な資産であって、次の世代へ健全に引き継いでいくためには適正な維持管理を行う必要があると思いますが、道路において地方公共団体の老朽化対策をどのように進めていくつもりか、国土交通省の見解をお伺いします。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
議員からも御紹介がありましたとおり、広島県管理の国道百八十三号寿橋においても、橋梁の路面が幅三十センチ程度抜け落ちまして、十日間の全面通行止めとなったところでありまして、利用者の迂回が生じたところでございます。
このように、道路橋など突然使用できなくならないように、適正な維持管理を行う必要がありまして、道路橋やトンネルなどでは、二〇一四年度から国が定める統一基準により、五年に一度の頻度での点検を義務化してございます。
その結果、今お話がありましたとおり、早期に修繕が必要な橋梁は、二〇一八年度までの点検において全国で七万橋が確認され、特に、地方公共団体が管理する橋梁は約六万三千橋で、地方の財政や技術者不足などの課題から、その修繕の着手は二万一千橋にとどまっておりまして、いまだ約四万橋が修繕未着手な状況です。
国土交通省としては、地方公共団体に対して、財政面では道路メンテナンス事業補助制度を活用し、長寿命化修繕計画に基づく計画的な支援を行うこととしています。
さらに、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策では、早期に対策が必要な橋梁などへの集中的な対策を行うことで、五か年で地方公共団体の橋梁の修繕着手率が七割となるよう計画しているところでございます。
また、技術面では、各県ごとに設置した道路メンテナンス会議などによりメンテナンスに関する情報共有を図るとともに、国の直轄診断、修繕代行や地方公共団体向けの研修などを実施しているところでございます。
道路橋などは、お話もありましたとおり、国民の大切な資産でありまして、次の世代に健全な状態で引き継いでいく必要がございます。今後も、不具合が生じる前に対策をする予防保全への早期移行に向け、地方公共団体に対して、財政面及び技術面の両面から必要な支援を行ってまいります。
○平口委員 是非ともその線に沿ってやっていただきたいと思います。
次に、地元の問題で恐縮ですが、広島都市圏の道路の問題について三点ほどお伺いをいたします。
まず第一点は、西広島バイパスの未整備区間である二キロの高架橋延伸についてでございます。
これについては、平成十四年、道路公害訴訟の影響等もありまして、広島市が国に対して着手を見送るよう申し入れた時期もありました。その後、地元行政及び経済界などから事業再開の要望書が出されるなど、地元の機運も高まりつつあり、令和二年度より事業着手していただいたところでございます。
その区間では、庚午出口などを中心に慢性的な渋滞が続いておって、円滑な物流が妨げられております。バスなどの公共交通機関にも支障が出ております。これらを解消する西広島バイパスの都心部延伸区間について、早期整備を図ると考えます。
次に、現在、広島湾の臨港区域では流通業務団地などの拠点づくりが進んでおりますが、この開発の要となるのが臨海部に位置する広島南道路になるわけでございます。南道路が既に整備された区間は物流が効率化しているということなど、効果も目に見えて表れております。
一方で、西側の廿日市エリアでは、広島南道路ばかりか一般道路である臨港道路も未整備であることから、並走する国道二号やバイパス、周辺のアクセス道路も慢性的に渋滞しております。
このように、広島南道路は地域の活性化のために不可欠な道路でありまして、商工センターから廿日市間のうち、特に地域からも早期整備の要望の声が上がっている廿日市の木材港西から廿日市インター間の早期の事業着手に向けた見通し、こういうものを教えていただきたいと思います。
第三番目に、広島県西部地域の国道の課題でございます。
国道二号の廿日市市と大竹市の間の海岸沿いの二車線区間では、台風による高波、地震により、過去からたびたび全面通行止めが発生しております。ほかに適当な道路もないものですから、山陽自動車道を通るしかないというふうなことになっております。山陽自動車道は、廿日市インターから大野インターまで相当距離がありますし、大野インターから大竹インターまでも相当な距離があるわけであります。
このため、平成十八年には、国において、国道二号大野地区沿岸防災対策検討協議会を立ち上げ、護岸の改良工法などを検討いただいたところでありますが、いまだに対策のめどが立っていない状況でありまして、地元からは早期の対策を求める声が上がっております。
国道二号の強化を図ることは国土強靱化を進める観点からも重要と考えますが、今後の対策に向けた見通しをお伺いいたします。
以上、三点についてお答えをお願いします。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
まず、西広島バイパスの早期整備のお話でございますけれども、国道二号西広島バイパスの高架部未整備区間であります広島市中区平野町から西区観音本町間につきましては、広島市や広島商工会議所等からの御要望を踏まえまして、令和二年度より事業を再開し、高架部の現地測量及び地質調査に着手したところでありまして、関係機関や自治体と協力しながら、早期の工事着手に向けて進めてまいりたいというふうに思ってございます。
それから、広島南道路でございますが、特にいただきました、広島南道路の木材港西から廿日市までの間でございますけれども、御指摘のとおり、唯一のミッシングリンク区間となってございまして、早期に事業着手ができますように、広島県などの関係機関と連携しながら、来年度中に事業主体などの整備方針を決定してまいりたいというふうに考えてございます。
最後に、国道二号の廿日市市大野から大竹市玖波間の延長約三・九キロの区間でございますけれども、二車線区間となってございまして、昨年九月の台風十号接近時にも越波による全面通行止めが発生したところでございます。早期に越波対策である護岸整備工事に着手できるよう、環境保全に関する調査や埋立申請などの必要な手続を関係機関と協力しながら進めてまいります。
○平口委員 是非ともその方向でお願いしたいと思います。
次に、ちょっと話が飛びますが、品質確保法という法律がございます。品確法と別名言われるわけでございますが、平成二十六年に品確法が改正されて、基本理念の一つとして、三条六項にございますけれども、「公共工事の品質は、完成後の適切な点検、診断、維持、修繕その他の維持管理により、将来にわたり確保されなければならない。」というふうにされたところでございます。
言わずと知れたことですが、品確法の大きな功績の一つがダンピング防止ということでございまして、厚生労働省の所管になりますが、ビルメンテナンス業というのがございます。この業界において、ダンピングは非常に大きな問題でございました。それはそれとして、平成二十七年にガイドラインを取りまとめて、各省庁及び各都道府県の会計課宛てに通知しておりますが、市町村に至ってはまだまだ不十分なところがあるわけでございます。
ガイドラインではダンピング防止のために低入札価格調査制度等を求めておりまして、各省庁及び都道府県のビルメンテナンス業務の発注関係のものに非常に役に立っているわけでございますけれども、市町村に対する指導について、今から十分やっていただきたいというふうに思いますが、それについて厚生労働省のお考えを伺います。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。
令和元年六月に、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法が改正されまして、発注者の責務として、「目的物について、適切に点検、診断、維持、修繕等を実施するよう努めなければならない。」と規定されたところでございます。
これを受けまして、厚生労働省におきましても、令和三年一月にビルメンテナンス業務に係る発注関係事務の運用に関するガイドラインを改正し、各省庁や地方公共団体等に対し、本ガイドラインを踏まえた対応と関係者の周知徹底の依頼をお願いしたところでございます。
本ガイドラインにおきましては、ダンピング受注を防止するため、低入札価格調査制度又は最低制限価格制度の適切な活用を徹底することなどを求めており、また、本ガイドラインの趣旨を十分に御理解いただくため、業界団体と厚生労働省の共催によりまして講習会を開催するほか、今後、本ガイドラインの履行状況を定期的に調査することとしております。
引き続き、各発注者に本ガイドラインの趣旨を十分に御理解いただけるよう、関係省庁と連携の上、周知徹底に努めてまいります。
○平口委員 周知徹底に努めていただきたい、このように思います。
次に、砂防事業についてお伺いをいたします。
去年七月の九州地方を中心とした豪雨では、全国で九百六十一件の土砂災害が発生し、死者が十六名という、大変痛ましい状況になっております。
平成十一年六月二十九日に広島県において発生した同時多発的な土砂災害では、集中的かつ重点的な整備を図るため、平成十三年度より、広島西部山系直轄砂防事業が現在の広島市、廿日市市、大竹市において着手されたというふうに承知をいたしております。また、この災害を契機に土砂災害防止法が制定され、住宅の立地抑制などのソフト対策を推進するための法整備が整えられてまいりました。
平成二十六年には、直轄事業の区域内において土砂災害が発生し、これを契機に基礎調査の結果に関して公表することなどを義務づける土砂災害防止法の改正が行われ、土砂災害警戒区域の指定についてもめどが立ってきたものと聞いております。
そこでお伺いしますが、広島県内における土石流の土砂災害警戒区域数と広島西部山系砂防事務所管内の市町に係る土石流の土砂災害警戒区域はどのぐらいあるでしょうか。
○井上政府参考人 お答えいたします。
土砂災害のおそれのある区域として土砂災害防止法に基づき指定される土砂災害警戒区域等は、土石流、急傾斜地の崩壊、地すべりの現象ごとに、広島県により指定されます。
このうち、主に砂防事業の対象となる土石流の土砂災害特別警戒区域は、広島県内に一万五千四百四十九か所あります。
さらに、このうち広島市を中心とする広島西部山系地域には二千八百七十七か所あり、国は土石流災害の事前防災対策を目的とした直轄事業を実施しております。また、呉市を中心とする安芸南部山系地域には三千百一か所あり、国は再度災害防止を目的とした直轄事業を実施しております。
委員お尋ねの広島西部山系砂防事務所が管轄している両地域は、土砂災害特別警戒区域が合計で五千九百七十八か所あるなど、県内でも危険箇所が集中した地域になっております。
○平口委員 そこでお尋ねしますけれども、広島県内のうち、西部山系砂防事務所管内にある市町には、広島市、呉市などにも多くの区域数がありますが、呉市に関して見ますと、ほんの一部入っているんですけれども、大半は外れているということでございますが、呉市の面積の割合は約四・二%でございます。これに対して、土石流の土砂災害警戒区域数の割合は八・七%となっておりまして、大変集中しているところであります。
私の選挙区ではないんですけれども、災害も頻発し、土砂災害のおそれも大きい呉地域における砂防の整備の方針について、どのようにお考えでしょうか。
○井上政府参考人 お答えいたします。
広島県内には土砂災害のおそれのある箇所が多く存在し、砂防事業を強力に推進する必要があります。
広島市を中心とする広島西部山系地域では、平成十一年に甚大な土砂災害が発生したことを契機に、国において区域を限定して計画的、集中的に事前防災対策を進めてきております。
一方、呉市を中心とする安芸南部山系地域では、平成三十年西日本豪雨により大量の土砂が流出し、洪水と相まって下流の市街地にあふれる土砂洪水氾濫が発生しました。その再度災害防止対策には、例えば、土砂が市街地に大量に流れ込むことを防止する遊砂地の計画立案や、施工において高度な技術力を要することから、二十三か所において国が直轄事業として整備しております。
また、広島県においても、国の強力な財政的支援を受け、激甚災害対策事業により再度災害防止対策を七十六か所で実施するとともに、平成三十年西日本豪雨で新たに危険が判明した地区のうち九か所において個別補助事業を適用して、事前防災対策を集中的に実施しているところです。
国としては、安芸南部山系地域における事前防災対策について、国と県の適切な役割分担の下、引き続き、県による対応を財政的に支援するとともに、新たに土砂洪水氾濫等の危険が判明した地区のうち、高度な技術力を必要とする箇所に関しては、関係自治体の意向も踏まえつつ、調査の実施などを含め検討してまいります。
○平口委員 是非ともそのような方向で検討していただきたいと思います。
次に、コロナウイルスの問題について少し触れたいんですが、コロナウイルスのワクチン接種が大変大きな問題としてクローズアップされているところでございます。マスコミ等でも日々この問題が報道されない日はないわけでございますが、ワクチン接種をうまくやるかどうかということは、この後に控えるオリンピックやパラリンピックの開催にも影響しますし、ひいては今の政権の命運を左右すると言っても過言ではないと思います。
そこで、今日現在で世界中で感染している人は一億一千七百四十一万人、死者は二百六十一万人。日本は、それに対して、感染者の累計は四十四万人、死者は八千二百九十九人ということになっております。このコロナの問題では、既に、前回も触れましたけれども、航空、空港関連企業は厳しい経営状況となっております。
国土交通省は、航空会社に対して、航空ネットワークを維持するとともに、ポストコロナを見据えた成長戦略の実現に向けて今後の機材投資を支援する必要があるとして、去年の十月に、コロナ時代に向けた政策支援パッケージを策定しまして、十二月の改定によりまして、航空機燃料税を約三百億円、空港使用料を約九百億円減免することとしております。しかし、その後、年末になってGoToトラベル事業の全国一時停止、年明けには緊急事態宣言の発出により、航空業界を取り巻く状況が一層悪化しております。
現在の支援パッケージに加えて更なる支援を行う必要があると考えているのかどうか、お伺いをいたします。
○和田(浩)政府参考人 お答えを申し上げます。
航空業界は、新型コロナウイルス感染症の流行により、大変厳しい状況に置かれております。こうした中、航空大手二社を始め各社では、人件費を含む固定費の削減や、影響の長期化も念頭に置いた上で、資本性資金の調達、また、公募増資等により当面の手持ち資金を手厚くするなどの努力を行っているところでございます。
国といたしましては、これまでも、危機対応融資等の活用による資金繰り支援や雇用調整助成金などの支援を行ってきたほか、令和三年度におきましては、御指摘のとおり、航空会社による今後の機材投資等により安全で安定的な航空ネットワークを確保するため、千二百億円規模で着陸料や航空機燃料税等の減免を行うなど、相当踏み込んだ支援を実施することとしております。
引き続き、航空需要の動向や経営状況を注視しつつ、航空会社の実情をよく伺って、適時適切に対応してまいります。
○平口委員 そこで、広島空港のコンセッションについてお伺いをいたします。
広島空港においては、去年の十二月に広島空港株式会社との間でコンセッション契約が締結され、本年七月に同社による空港運営事業が開始されることになっております。
そのような中で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって航空需要が大幅に減少しているというのは既に述べたとおりでございますが、コンセッション事業を行っている空港会社は大変厳しい経営環境に置かれていると思います。
新型コロナウイルス感染症の終えんのめどは立っておりませんけれども、そしてまた、航空需要の回復も見通せない状況ではありますが、広島空港のコンセッション事業は是非とも成功してもらいたいと考えております。
このような状況で船出となる広島空港のコンセッション事業について、国としてどのように対応していくおつもりか、お伺いをいたします。
○和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。
空港コンセッションは、民間の資金や創意工夫を生かして航空ネットワークの充実や地域活性化を図るものであり、これまで、国管理空港では五件のコンセッション事業が行われております。
本年七月から開始される広島空港のコンセッション事業についても、路線拡充や交通アクセスの充実など様々な取組が実施される予定であり、事業が円滑に開始し実施されるよう、国土交通省としてもしっかりと対応してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化をしており、厳しい経営環境下での事業開始となりますので、空港会社の声をよく聞いて、適時適切に必要な措置を講じてまいります。
○平口委員 是非ともそういう方向でお願いをしたいと思います。
またコロナの問題に返りますけれども、国土交通省はコロナワクチンの接種についてどのような役割を持っているか、それについてお伺いをしたいと思います。
○秡川政府参考人 新型コロナウイルスのワクチン接種につきましては、一日も早く国民の皆様の安心な暮らしを取り戻せるよう、政府一丸となって取り組むべき重要な課題であると認識しています。
接種体制の確保に向けましては、安全、迅速、確実に接種会場まで、ワクチンや必要な物資、あと、注射を受ける接種者等を輸送しなければならず、トラック、バス、タクシーなど物流事業者及び公共交通機関が活用されることになると考えます。
これらの輸送につきましては、一義的には、厚生労働省、製薬会社、自治体の責任の下に行われることになりますが、国土交通省は、物流事業者や公共交通機関を所管する立場から、関係省庁や運送事業者等と連携を取りながら、輸送力の確保等に万全を期してまいりたいと考えております。
○平口委員 そこでお伺いしますけれども、乗り合いバスというのは、通勤、通学、通院など、まさにエッセンシャルサービスとしての機能を持っております。また、貸切りバスは、団体旅行など観光の移動手段として観光振興に不可欠な役割を担うとともに、入国者の輸送など公共的な役割を担っているところでございます。タクシーも同様に、エッセンシャルサービスとしての機能を担っていると思います。
そこで、バスやタクシーは、日常生活を支え、欠かすことのできない公共交通機関でございますけれども、コロナ禍により急激な経営悪化となっております。バス、タクシー事業の存続策について、局長にお伺いをいたします。
○秡川政府参考人 バスやタクシーは、御指摘いただきましたとおり、生活交通や観光振興を支える重要なものでございますが、コロナウイルスの影響によって非常に厳しい状況になっているということでございます。
このため、国土交通省では、数次の補正予算を活用しまして、新技術を活用した感染症対策や観光事業者との連携など新しい取組の実証運行、また、既存の補助路線の欠損額に対する追加的な支援などを盛り込んでおります。
また、スーパーコンピューターのシミュレーションを活用して、バスやタクシーの車両が優れた換気性能を持っていて安全性が高いということをPRしたり、また、文部科学省と連携しまして、修学旅行における貸切りバス利用の促進を図ったり、また、稼働していないタクシー車両の維持コストを軽減するために、臨時の休車制度の期限の延長を図ったりしているところでございます。
今後とも、バス、タクシー事業に必要な支援にしっかり取り組んでまいります。
○平口委員 そのようにお願いしたいと思いますが、企業としてこのようにコロナの影響を大変大きく受けているという分野を国土交通省所管の事業として受け持っているわけでございます。先ほど言いましたバス、タクシーのほかにも、地方鉄道、あるいは旅行業、旅館業、あるいは船舶、いずれも大変苦しいわけでございます。これに対して、今までも過半数の業者さんが依存しておりました雇用安定助成金、これについて、本当に生死を分けるような、こういう問題でございます。
この雇用調整助成金が今年になって若干延びたわけでございますが、現行の緊急事態宣言を前提とすると四月末までというふうになっております。そして、例外的に特別措置を使えるのは、最近、直近三か月の月平均値が三〇%以上減少しているというところに限られているわけでございます。
これに対して、いろいろ会社のヒアリングを行うと、A社、東京、神奈川を中心としたところでは、一般路線バスの輸送人員について、対前年で約三割減、高速バスは全部休みということでございます。また、F社、一般バスの輸送人員については二六%減ということでございまして、依然として非常に状況が厳しいわけでございます。
したがって、雇用調整助成金ももっと活用してもらうようにここで頑張ってもらいたいと思いますが、この辺について厚生労働省のお考えをお伺いいたします。
○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。
雇用調整助成金についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、前例のない特例措置を講じているところでございまして、事業主の皆様の雇用の維持の取組に強力に支援しているところでございます。
一方で、雇用調整助成金で長期にわたり休業による雇用維持を図り続けることにつきましては、働く方々のモチベーションの問題や、新しい産業等への人材の移動を阻害する等の懸念もあるところでございます。
このため、現行の緊急事態宣言を前提といたしまして、日額一万五千円、助成率最大十分の十等の特例措置を四月まで継続した上で、先生からもお話ございました、五月以降は、雇用情勢が大きく悪化しない限り原則的な措置を段階的に縮減することとしておりますが、感染が拡大している地域の企業や、三〇%というお話がございましたが、特に業況が厳しい企業につきましては、二か月間、五月、六月ということになりますが、特例措置を講ずることとしているところでございます。
また、七月以降は、原則的な措置と、地域や業況に係る今申し上げました特例措置を、それぞれ更に縮減することとしております。
なお、雇用調整助成金の特例措置に加えまして、労働者の皆様のモチベーションを維持しつつ雇用を守るという観点から、在籍型出向を活用した雇用維持の取組、企業の皆様の取組に対しまして、私ども、新しい助成金等でしっかりと支援していくこととしてございます。
いずれにいたしましても、雇用調整助成金の特例措置の在り方につきましては、その時々の感染状況や雇用情勢等をしっかりと見極めながら、引き続き適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○平口委員 是非とも、雇用調整助成金は命綱でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
また、これと並行させて、これらの企業、バス、タクシー、旅館、ホテル、土産物店、観光業、鉄道、船舶、航空機、そういう分野でございますけれども、これらの企業に対してやはり何らかの助成措置なり支援策というものが必要だろうと思います。
従前は持続化給付金というものがあったわけでございますが、この支援策について、経済産業省の方のお考えをお伺いをいたします。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
今回、持続化給付金というのは考えておりませんけれども、コロナ本部の取りまとめを踏まえまして、緊急事態宣言地域における飲食店の時短営業、それから外出、移動の自粛の影響を受ける事業者の方を念頭に、一時支援金というのを給付するという対応を政府として取っております。一昨日から申請の受付をスタートさせております。
一時支援金は、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛により影響を受けた事業者ということでございますので、地域や業種を問わず対象になり得るということでございまして、委員御指摘のバス、タクシー事業者、それから旅館業、土産物、こういったものも要件を満たせば対象となり得るため、是非御活用を御検討いただきたいというふうに考えております。
このほかにも、実質無利子無担保融資の延長、それから上限枠の引上げ、新分野展開、業態支援を支援する事業再構築補助金、それから事業承継・引継ぎ補助金、それから持続化補助金、こういった様々な政策を通じて、コロナ禍で厳しい状況に置かれた中小・小規模事業者を支援してまいりたいと考えております。
○平口委員 最後に、GoToトラベルについてお伺いをいたします。
新型コロナウイルス感染症で深刻な打撃を受けた観光業界を支援するために実施されているGoToトラベル事業は、七月二十二日の事業開始から十二月二十八日までの利用実績が約八千七百八十一万人泊、割引支援額が約五千三百九十九億円というふうになっております。
赤羽国土交通大臣は、二月十二日の予算委員会で、一次補正で一兆一千二百四十八億円計上させていただいたが、およそ今、実質上は約一兆円が使用済みで、残余額は一千億円前後だというふうに推定しておりますというふうに発言をされております。
実質上使用済みとされた約一兆円のうち、割引支援額及びキャンセル料の負担額についてお伺いをいたします。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業の予算のうち、本事業の割引支援を受ける旅行商品の販売のため、昨日、三月九日時点で七千二百六十四億円を旅行会社や宿泊事業者に対して配分という形で示しております。また、これに対応する地域共通クーポンのための予算、これも必要になりますので、こういったものを合計いたしますと、一兆三百六十五億円ということになっているところでございます。
また、事業者からの、いわゆるキャンセル料対応費用というものに関しましては、そちらに関しましての申請については、一月十八日から順次受付を開始しておるところでございます。現在集計中ではございますけれども、その申請総額に関しましては、三月八日の時点で一千億円以上という形になっているところでございます。
以上でございます。
○平口委員 それで、キャンセル見合い支援額が関係事業者間で公平に配分されたかどうかというのを国土交通省が事後に確認する必要があると考えますが、御見解を伺います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のキャンセル見合い支援額でございますが、これは本事業の一時停止措置等に伴う無料キャンセルによりまして事業者に生じた負担分として、旅行代金の一定割合を支援することとしているものでございますが、旅行業者から、旅館、ホテル等の関係事業者に対しまして公平に配分されるよう取扱要領というものを定めまして、その中で観光庁より具体的なルールを既に示しているところでございまして、このルールを遵守いただくよう、観光庁において周知徹底を行っているところでございます。
現在受付を行っているところでございますけれども、内容の審査の上、順次お支払いをしておりますけれども、今般の措置による支援が関係事業者の皆様の手に届くよう、引き続き、事務局とも連携をしながら、旅行業者、宿泊事業者に対する周知徹底に努めまして、本制度の適正な運用を図ってまいりたいと思っておりますが、仮に、ルールに基づいた配分が行われないとの情報などが宿泊施設等から寄せられた場合には、必要に応じまして状況を見まして、事務局ともしっかり連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○平口委員 是非そのようにやっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○あかま委員長 次に、岡本三成君。
○岡本(三)委員 こんにちは。公明党衆議院議員の岡本三成です。質問の機会、ありがとうございます。本日ラストバッターとなります。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、赤羽国交大臣にお伺いしたいと思います。
私、菅政権の最大の実績というのはカーボンニュートラル宣言、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言をしたことではないかというふうに個人的に考えています。
現在、地球温暖化の進行が著しくて、その結果、異常気象を招いておりまして、その異常気象の最大の被害国が我が日本ではないかというふうに思っています。毎年大変な、過去経験がないような豪雨に見舞われておりまして、これを防ぐためには二酸化炭素の濃度の上昇を抑えることが非常に大切でありまして、この二〇五〇カーボンニュートラルが、まさしく我が国のためにも、世界のためにも重要だと思っています。
加えまして、経済の再構築ということを考えましても、今後、十年、二十年の単位でデジタル化とグリーンというのは世界の大きな経済の潮流を成しておりまして、日本経済全体を考えましても、これに加えて、国交省が主導しております減災・防災、グリーン、デジタル化、減災・防災というのが十年単位での今後の日本のテーマになっていくのではないかというふうに思っています。
このカーボンニュートラル宣言に基づく施策、普通に考えると、環境省、経産省というのがすぐ頭に浮かびますけれども、私は、国土交通省こそが政府のど真ん中でその大きな役割を果たすべきだというふうに思っています。
実際に、陸海空の輸送、都市、住宅の政策、再生可能エネルギーの技術は経産省がリードするかもしれませんが、どのような再生可能エネルギーの手段であっても、それは陸の上であったり洋上であったり、様々に国土交通省が責任を持っているところに設置をされます。
赤羽大臣、このカーボンニュートラルに向けた国交省の役割、責任、どのようにお考えになって、今後どういう決意で推進していくか、お答えをお願いいたします。
○赤羽国務大臣 まず、二〇五〇年カーボンニュートラルという菅総理の政治的な決断というのは、私も岡本委員と同感でございまして、これまで、ややもすると、こういう省エネルギー対策というのは経済成長の足を引っ張るという、相反するものだというふうに捉えられがちでございました。
また他方、ヨーロッパなんかに行きますと、ヨーロッパの知人からは、日本というのはやはりCO2の排出については随分甘い、認識が甘いというような指摘も受けたわけでございますが、そうした中で、菅総理が二〇五〇年カーボンニュートラルの実現ということを掲げたことによって、政府全体としてグリーン成長戦略や地域の脱炭素化に向けた取組の強化をしていくんだということが宣言となり、これの宣言の下で、私は、日本の経済界も足並みをそろえていかなければいけないということは、もう既に相当大きな効果があったというふうに思っております。
このグリーン成長戦略の、昨年末に十四分野にわたる実行計画が取りまとめられましたが、そのうち実に十二分野におきましては国交省との関係の取組が位置づけられております。そうした意味でも国交省の役割は大きいものだというのは、御指摘のとおりだというふうに思います。
国土交通省、地球温暖化の緩和策に加えまして、気候危機に対応した適応策も含めて、環境関連施策の充実強化を図ってまいりたいと考えておりまして、まず、こうした観点から、住宅・建築物の更なる省エネ対策の強化、また次世代自動車の普及、そして物流の効率化、今もう進んでおりますが、港湾等のインフラを活用した洋上風力の再エネ、水素等の利活用、これも経済産業省との連携で進行中でございますが、こうした様々な課題、もっと言ってみると、実は交通機関なんかも相当CO2を排出しておりますので、そうしたことも含めて、今御指摘のように、政府の中でも国交省が頑張らなければ実現できない、そういう強い自覚を持って頑張っていきたい、こう考えております。
○岡本(三)委員 今、様々御言及をいただきました。全て本当に大切だと思います。
その上で、再生可能エネルギー分野での国交省の役割に関しましても、今御言及もいただきましたが、更に強化をお願いしたいんです。
一昨日、初会合が行われました空港の脱炭素化の推進に向けた検討会では、空港の未利用地に太陽光発電設備を設置することが議論をされています。
URの屋根には、一部には太陽光パネルがもうついておりますけれども、私、全部つけていいんじゃないかと思っておりますし、国交省が管理をしている全ての建物の屋根、空いているんだったら全部つけていただきたいですし、ダムに関しましても、若干かさ上げをすることで大変多くの水力発電の容量の増加になるというふうな研究もありますし、地熱発電のポテンシャルも高い、洋上風力は言わずもがなでございまして、更に国交省の役割を全面的に前に進めていただきたいと思います。
今日は、その中で、住宅分野におけるカーボンニュートラルの推進方策について伺いたいと思います。
国交省は、いわゆるZEH、ネット・ゼロ・エネルギー住宅を推進してきました。ZEHは、要は断熱材ですばらしいものを造るがゆえに、夏は涼しく冬は暖かい。上にパネルを置けば再生可能エネルギーの発電もできるし、加えて、高性能の設備、例えば照明ですとか冷暖房ですとかというようなところを電気効率をよくしてエネルギーを上手に使うという、この組合せをハウスメーカーにお願いをしてきたわけです。
推進の目標では、二〇二〇年までにハウスメーカー等が新築する新築の注文の戸建てで半数以上を目標にしてきましたけれども、現実は二〇一九年度で五万六千戸。これは金がかかるんですね、ZEHというのは。ですから、比較的ちょっと経済的に余裕のある方を中心に営業されているので、大手のハウスメーカーが受けている注文住宅では二〇二〇年までに五割を超していますが、ハウスメーカー等、いわゆる工務店ですとか、そういう多くの地元の大工さん等がたくさん造っています、ここまで入れると二割にも満たないぐらいの実績になっているんですけれども、国交省、これまでの取組の評価、加えて、この遅れている原因、今後どのように普及に努めていくかということを御答弁をお願いします。
○和田(信)政府参考人 ゼロ・エネルギー・ハウス、略してZEHでございますが、これは、太陽光発電等によりエネルギーをつくることで、一年間で消費する住宅のエネルギー量が正味でおおむねゼロ以下となるものであります。国土交通省、経済産業省、環境省、三省がそれぞれの役割に応じて、連携して支援を行ってきております。
エネルギー基本計画では、二〇二〇年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建て住宅の半数以上でZEHの実現を目指すとされており、新築注文戸建てにおける二〇一九年度のZEH供給実績は、大手ハウスメーカーでは委員御指摘のとおり約五割となっており、この部分はおおむね達成しております。
また、エネルギー基本計画では、二〇三〇年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指すともされてございます。委員これも御指摘のように、二〇一九年度において新築注文戸建て全体に占めるZEHの戸数は約二割にとどまってございます。その要因としましては、大手ハウスメーカー以外の、主に中小等々の住宅供給事業者の取組がなかなか拡大していないこと、また、その裏腹に、建築主のコスト負担ということに課題があるかと認識しております。
このため、ZEHにつきましては、国土交通省では、中小工務店によるZEHの供給に対する支援を地域型住宅グリーン化事業ということでこれまでもしてきておりますが、これを更にしっかりと進めて、そして、三省がそれぞれの役割に応じて連携を取りながら、あるいは切磋琢磨していきながら、更に普及に向けて検討していかなければいけない、常に検討していかなければいけないと考えてございます。
○岡本(三)委員 次も大きな決断なので、これは大臣に是非御答弁いただきたいんですが、住宅の省エネ基準適合の義務化についてお伺いしたいんですが、これは二〇一八年に第五次エネルギー基本計画で、二〇二〇年までに新築建築物について段階的に省エネ基準の適合を義務化すると二〇一八年に明記されました。二〇一九年の建築物省エネ法の改正では、これは見送られたんですね。その最大の理由は、負担増を理由に、義務化というのは難しいんじゃないかということで、一年で若干弱腰になってしまいました。
現実的には、欧米の主要国では、これはもう既に義務化が行われているんですね。一部の報道機関では、国交省はこの義務化に向けて検討もされているのではないかというふうな報道もされていますけれども、私、これは二〇五〇年カーボンニュートラルに向けてスピード感を持って取り組むべきだというふうに思っていまして、今後の推進の方策、是非お伺いをしたいんです。
加えまして、二〇五〇年に向けた脱炭素化住宅の推進に関して、ロードマップも国交省でちゃんと示して、ゴールから逆算して、いつまでに何をやるかということを示す時期、スタートダッシュが大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 我が国のそもそも戸建て住宅の中で、大手ハウスメーカーが建てている割合というのは多分二割弱だと思います。八割は、いわゆる地元の工務店ですとか、いわゆる大工さんの人たちが造っている。そうすると、これまではどうしても、本件もそうですし、バリアフリーなんかも同じようなことで、いいことなんだけれども、それを制度、義務化すると、マーケットとしては大変混乱が起こる、ついてこられない業者が出てきてしまう、こうした配慮の中で、なかなか進まないもどかしさというのがありました。
そうしたことでこれまでは来ていましたが、まさに二〇五〇年のノンカーボンの宣言の中で、ここを乗り越えなければいけないということで、様々省内でも検討して、これはやるという方向を決めるということが大事だと思います。
今、岡本委員が言われたようなロードマップ、いわゆる住宅建築物の省エネ基準への適合義務づけを含めた対策の強化についてのロードマップを新たに作成することが必要だということの結論に至って、この検討会を経済産業省と環境省と合同で立ち上げて、具体的に検討を行っていくということを指示したところでございます。ここは一つの大きな分岐点として前向きに捉えて。
恐らく、ZEHなんかがもっと敷衍化してくると、家庭の主婦の皆さんでも、どれだけ省エネが進むと電気代にはねるかということが分かりやすくなれば、もっと敷衍化するというふうに思っていますし、また、高齢者が増えるので、いわゆるヒートショック的な、断熱が全然違いますので、だから、そうしたことも、私は健康という観点でも大切な政策だというふうに思っておりますから、ここは少し大変な決断でありますけれども、政府の中で決定をして、そして現場にもしっかりと説明をしながら、ある一定の業者の方々がついてこられないみたいなことになると、それは所管官庁としては問題でありますので、そこに対するケアも含めて、しっかりと取り組んでいきたい、こう決意をしております。
○岡本(三)委員 是非、力強く推進をお願いできればと思います。
続きまして、バリアフリー全般についてお伺いしていきたいんですけれども、いよいよ二〇二〇オリパラの具体的なイメージが報道もされるようになってまいりました。是非、実現可能な形で実現することを私は個人的に期待しておりますけれども、大臣は以前から、二〇二〇オリパラのレガシーは真の共生社会の実現でありたいというふうな期待、そして決意を述べられて、私、大変それに感銘しています。要は、健常者であっても、障害を持っている方であっても、高齢者であっても、お子さんであっても、男性であっても、女性であっても、みんなが利用しやすいと感じていただくような公共交通の実現、大変大きな手段だと思うんです。
昨年、残念なことに、視覚障害の方々がホームから転落するような事故、一月には日暮里、七月には阿佐ケ谷駅で起きました。その後、ホームドアの設置、もちろんすばらしいんですが、なかなか、金もかかるし、工事は夜しかできないから工期もかかるということで、昨年の十月に、ホームドアによらない転落防止のための視覚障害者安全対策検討会を設置して、検討していただいていると思うんですけれども、これまでの検討状況、今後の見通し、教えてください。
○上原政府参考人 お答えいたします。
視覚障害者の転落死亡事故につきましては、本年一月にも東武下赤塚駅におきまして発生をするなど、後を絶ちません。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。
このような悲惨な事故の防止を目的としまして、委員御指摘のとおり、ホームドアによらない安全対策を検討するため、新技術等を活用した駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会を昨年十月に設置いたしております。
この検討会では、視覚障害者の方がホーム転落された原因を調査するとともに、新技術を活用した転落防止対策として、例えば、ホームの端を歩行している視覚障害者の方をAI機能を持ったカメラで検知をして音声で注意喚起をするシステム、改札等を通過する視覚障害者の方をAI機能を持ったカメラで検知して駅係員に通知し係員が御案内するシステム、支援を希望される視覚障害者の方がスマホのアプリを用いて駅係員等に支援要請を行うシステムなどについて議論を深めているところでございます。
また、歩行訓練士会による視覚障害者の方の白杖の使い方の紹介、あるいは実際のホームや車両を用いた訓練など、視覚障害者の方にも参加いただく取組についても行っているところでございます。
国土交通省といたしましては、本検討会の議論につきまして、今年度中を目途に取りまとめを行いたいと考えておりまして、ソフト、ハード面での様々な取組を組み合わせることにより、痛ましいホームからの転落事故防止を図ってまいりたいと思います。
○岡本(三)委員 これは、たった一つの答えがあるわけではないですし、それぞれ、障害を持たれた方の使いやすさというのも個々人で違うと思いますので、今局長がおっしゃったように、様々な施策を、なるべく多く選択肢としてその方々に提供いただけるような努力をお願いしたいと思います。
その上で、視覚障害の方は日本全国に約三十万人いらっしゃいます。そのうち四万人が東京都にお住まいなんですね。
それで、一月二十九日にメトロが開始したサービスがあります。これは何かというと、副都心線の西早稲田駅等五つの駅で、点字ブロックの上にQRコードが貼ってありまして、それを視覚障害の方が片手に白杖を持ちながら携帯で読み込みますと、そのQRコードが、自分が行きたい場所まで音声で誘導してくれるんですね。
これはすごくよくできていまして、こっちから行くのと向こうから来るのでは、こっちから右といったら向こうからは左ですから、その読み込む角度で、曲がる方向も、どのタイミングでその指示をしてほしいか、五メートル前なのかその瞬間なのか。又は、これは駅の構内ですから、改札を出た後も外に出るまで誘導してくれたり、間違えたら、その間違えたのを感知して、間違えましたと言って、三メートル後ろに下がって次は右に曲がってくださいとか、物すごくよくできたソフトで、これは、東京メトロと民間の会社が五年前から開発をして、百五十人の視覚障害の方に御協力をいただきながら、障害を持った方々も、すばらしくよくできているとおっしゃっていますし、鉄道局の幹部の方も実際お使いになって、すばらしかったというふうにおっしゃっていました。
これは東京メトロが個別でやっていて、非常に限られたところなんですが、駅の中ではほかの路線ともほかの電車の会社ともつながっています。もっと様々な公共交通機関を国土交通省が束ねるような形で、場所が変わればシステムも変わる、アプリも変わるとかということなく、いろいろな場所で使えるような音頭を取っていただけないかなというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
○上原政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきました、専用アプリによる音声案内で誘導ブロック上を誘導するナビゲーションシステムshikAIにつきましても、先ほど申し上げました安全対策検討会、昨年十一月に開催いたしました際にも、皆さんに御議論いただいているところでございます。
視覚障害者の方からは、情報入手手段として有効なものである、また、駅構内の移動あるいはホームドアのあるプラットホームでの移動に非常に便利である、ただ、歩きスマホのような利用になると問題であるといった御意見をいただいているところでございます。
先ほど申し上げましたとおり、検討会におきましては、このshikAIも含めまして、どのようなシステムが視覚障害者の方々に有効か、あるいはその実用化に当たりまして、視覚障害者の皆さんが使用に当たって混乱することがないように、視覚障害者の御意向にも十分配慮しながら今後検討を進めていきたいというふうに考えております。
○岡本(三)委員 これは私、システム会社の社長に直接お伺いしたんですけれども、おっしゃるとおり、歩きスマホのように見えてもいけないので、今後は首から提げられるような、ホルダーで確認できるようなものを提供していきたいというふうにおっしゃっていましたが、これは、視覚障害の皆さん、アプリを使うための訓練が必要なんですね。今、実際に障害者団体の方でその訓練をされていらっしゃいますけれども、その訓練をしてくださる歩行訓練士の方に係る謝礼も当然必要ですし、場所代も必要ですし、様々な経済的なものがネックになって、十分に希望される方に講習を提供できないような状況にありまして、四月までの予約で約四十人ぐらいしかその講習を受けていただくようなことができません。
様々な補助をされているわけですけれども、ホームドアを一個造ろうと思えば何十億もかかるわけですから、ここのソフトの部分を強化するという意味において、障害者団体の方がこのような、このアプリ限定でなくてもいいので、様々な安全の向上のための訓練を受けるときに、その訓練を供給する側に補助をしていくというふうなことを是非御検討いただきたいと思うんですけれども、国交省、あと厚労省にもお越しいただいているので、それぞれ御答弁をお願いいたします。
○上原政府参考人 お答えいたします。
このshikAIの開発メーカーであるリンクス株式会社からは、利用に当たっては、あらかじめ歩行指導員よりアプリの操作方法に関する講習を受けることになっていますが、本日現在で八十九名の申込みがあり、うち講習を終えているのは二十名というふうに伺っております。多分、四月の予約までを入れると委員御指摘のとおりだと思います。
講習を行う歩行指導員の人手が不足していること、あるいは経費の問題等により対応が難しくなっていると開発メーカーからは伺っているところでございまして、利用希望に現時点では応じ切れていない状況であると認識しております。
○こやり大臣政務官 委員御指摘のshikAIを始め、転落防止対策に資する様々な新技術が開発されているものというふうに承知をしているところでございます。
今現在、厚労省におきましては、視覚障害者が安全に移動できるようにするために、歩行訓練を含む自立のための訓練、あるいはその指導者の養成など、障害者総合支援法に基づく支援を行っているところでございます。
今、こうした施策を推進する上で、先生御指摘の新技術を含め、国交省あるいは関係団体とも連携しながら、視覚障害者の安全対策にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○岡本(三)委員 大臣、ちょっとお耳をおかしいただければと思うんですが、このアプリを開発している会社、私は一回も社長にもお目にかかったことがありませんのでよく分かりませんけれども、今回のことの中で分かったのが、このリンクスという会社、shikAIというアプリを作ったんですが、要は、これを日本中の人がダウンロードしても三十万にしかなりません。しかも、ダウンロードは無料です。東京メトロからの謝礼というのは、もう本当にびっくりするぐらいの少額の謝礼で、五年間も一流のエンジニアをつぎ込んでやっているんですね。
何でこんなことをやってくださっているんですかと聞きましたら、社会に対する社会貢献、御礼だとおっしゃるんですよ。これは結構な金がかかっているので、よく株主が許してくれますねと言ったら、自分が全部株主で、配当もしていないんです。ありがたいなと思いました。補助金も別に求めていません。経済的な支援も求めていません。こういう方、多分、このリンクス社以外にもたくさんあると思うんですね。
どこかでこういうふうに本当に高い志で、社会貢献のような気持ちでやってくださっているところに、例えば国交省から感謝状を出したり、大臣が集めて懇談してくださって一言感謝を述べたりすることで、そのように、別に皆さん、感謝されたくて、感謝状をもらいたくてやっているわけじゃないんですけれども、そういう役所というか政府の姿勢を示すことが真の共生社会を実現するためのフロントランナーを生み出すのではないかと思っているんですが、済みません、通告していないんですけれども、そういうふうなことはどこかでお願いできませんでしょうか。
○赤羽国務大臣 実は、国土交通省では今、バリアフリーの推進功労者表彰とか、近々、来週の月曜日かな、もやっております。ただ、そういうことは、別に一回じゃなきゃいけないとか、もっと広げた方がいいというのはおっしゃるとおりですし、要するに、社会のバリアフリーに対する認識の底上げ、レベルアップというか、私は、成熟社会、真の共生社会というのはそういうことだというふうに思っていますので、できることは何でもやらせていただきたいと思います。
○岡本(三)委員 そのような取組の中で、私たちも、点字ブロックの上は歩かないとか、もしそこに立ち止まってしまって、障害を持った方が来たらどくとか、その上に自転車を止めないとか、要は、本当の、真の共生社会のスタートにしていければと思っています。
次に、内閣府の方にお伺いしたいんですが、五年に一度改正される交通安全基本計画の見直し、今されていると思うんですが、三月中には関係閣僚会議を開いて、第十一次の交通安全基本計画が策定される予定なんですが、この中で、ホームドアの設置の促進であったり、今言及をしました誘導アプリ等について、利用拡大を国としても進めていくということをはっきりと明記してくださいと何回もお願いしてきているんですが、これ、現状での内閣府の御見解をお願いいたします。
○難波政府参考人 お答え申し上げます。
交通安全基本計画につきましては、交通安全対策基本法に基づきまして、交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱として作成するということとされているものでございます。
委員御案内のとおり、次の第十一次の基本計画案につきましては現在作成中でございますけれども、先ほど委員から御指摘のありました点につきましては、まず、ホームドアの整備につきましては、その加速化を盛り込むとともに、またもう一点の、ホームドアのない駅につきましても、視覚障害者の転落事故を防止するために、新技術などを活用した転落防止対策の推進について記述をするという方向で、現在最終の調整をしているところでございます。
内閣府といたしましても、新しい交通安全基本計画の下で、関係省庁とも緊密な連携を図りながら、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○岡本(三)委員 最後に大臣にお伺いしたいんですが、これは本当にお手盛り、よいしょじゃなくて、赤羽さんが大臣になってから、これまでもそうだった、これまで以上にやはり国交省の皆さんのバリアフリーに対する姿勢が前向きになってきた、知恵を絞っていただいて動いていただいていると本当に思っています。
実際に、昨年、例えばホームドア、私、北区に住んでいて、赤羽はホームドアがついている駅だと言われるんですが、正確には、八つあるホームの中で、ホームドアがついているホームが二つだけあります、六つにはついていませんということで、ホームドアの設置目標を、駅じゃなくて番線ごとにしていただきました。すごく大切な取組だと思うんですが、金もかかるんですが、いろいろなところに広げていっていただきたいんですね。
先月、二月二十五日に、滋賀県大津市のJR志賀駅において、お母さんがお子さんを連れて、そしてベビーカーで階段を下りようとしていたところ、駅員さん一人だけなんですが、手伝ってくださいとお母さんにお願いされて、駅員さんが一緒にそのベビーカーを抱えていたら、本当にあってはならないんですが、その幼児の方がそこから転がり落ちて、命には別状がないんですが、首の骨を折られて重症です。大変なことなんですね。
それで、今エレベーター、もう三千人以上の利用者の駅になっていますけれども、駅の中でも、これは今達成率が九一・八%になっているんですが、九一・八%って何かというと、その乗り場まで、たった一つでもその動線が確保されていたら、そこはそうなっているという判断なんですが、駅には幾つも入口があって、そのたった一つの動線のために、お年寄りやお子さん連れや障害を持った人が、まだまだ、わざわざ回って時間をかけて行かなきゃいけないところもたくさんありまして、金かかるのも時間かかるのも分かっているんですが、この段差を含めたバリアフリーに関しましても同じように、三千人という基準をもっと低くしていただきたいとも思いますし、動線も多く確保するような、そういう方向性を、ホームと同じように段差のない動線の確保についても、より多くの方がちゃんと利用しやすいような方向性を国交省でしっかりと明確に出しながら、交通事業者の方々と今後取り組んでいただきたいと思います。
バリアフリー全体に対しまして、大臣のこれまでの取組、そして今後の決意、最後に一言いただきたいと思います。お願いします。
○赤羽国務大臣 交通バリアフリー法ができた二十年前当時と比べると、随分これは、ハード、ソフト、進歩しているんじゃないかと思います。
現実に、正式にちょっと分析しておりませんが、一か所しかないようなところというのは、物理的な制約がある駅も多いかというふうに思っておりますが、どんどん質は高めていかなければいけないので、余りに大きな駅で一か所しかないようなところがあれば、それはそれなりに前に進めるような仕組みを考えていきたい。
二十年前のレベルより相当、数段上がっている以上は、求められるレベルも高くしなければいけないし、国民の皆さんに認知がされておりますので、その費用負担みたいなこともなかなか今まで踏み込めませんでしたけれども、こうしたことも含めて議論もさせていただきたいと思っています。
○岡本(三)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○あかま委員長 次に、内閣提出、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣赤羽一嘉君。
―――――――――――――
日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○赤羽国務大臣 ただいま議題となりました日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
JR北海道、JR四国及びJR貨物のJR二島貨物会社につきましては、昭和六十二年四月の国鉄分割・民営化による発足以降、JR北海道及びJR四国は地域の基幹的な交通ネットワークを担い、JR貨物は我が国の全国的な物流ネットワークを支え続けています。しかしながら、他のJR各社が上場を果たしている一方、JR二島貨物会社はいずれも経営基盤の確立の途上にあり、これまで、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による支援を行い、その経営自立に向けた取組を進めてきたところです。
近年のJR二島貨物会社の状況を見ますと、JR北海道及びJR四国につきましては、人口減少、他の交通機関の発達による旅客需要の減退、低金利の長期化等に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、その経営環境はより一層厳しさを増しております。また、JR貨物につきましては、近年は経常黒字を計上しているものの、災害等の影響を受けやすいなど、安定的な事業運営にはなお課題が残されております。
こうした状況を踏まえ、JR二島貨物会社に対する機構による支援について、その内容を充実強化しつつ、継続することにより、これらの会社の経営基盤の強化を図る必要があります。
このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、JR二島貨物会社に対する鉄道施設の整備に係る助成金について、現在、令和二年度末となっている交付の期限を令和十二年度末まで延長することとしております。
第二に、JR北海道及びJR四国について、これらの会社の経営安定基金の運用益の下支えによる経営の安定化を図るため、機構が経営安定基金の借入れを行うための規定の整備を行うこととしております。
第三に、JR二島貨物会社それぞれの経営状況に応じたよりきめ細やかな対応を図りつつ、経営改革などを推進するため、新たな支援措置を講ずることとしております。具体的には、JR北海道及びJR四国に固有の課題となっている、青函トンネル及び本州四国連絡橋における改修費用の負担の見直しを行うとともに、JR二島貨物会社を対象に、生産性向上に資する設備投資に必要な資金の出資、機構に対する無利子借入債務の株式化、これらの会社の経営基盤の強化に必要な資金の貸付けを行う金融機関への利子補給金の支給等の支援措置を創設することとしております。
第四に、いわゆる並行在来線会社に対するJR貨物の線路使用料に係る助成金及び出資費用を確保するため、機構の勘定間における資金の繰入れに係る措置を講ずることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由でございます。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時九分散会