衆議院

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第6号 令和3年3月24日(水曜日)

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令和三年三月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 あかま二郎君

   理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君

   理事 土井  亨君 理事 平口  洋君

   理事 簗  和生君 理事 城井  崇君

   理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    井上 貴博君

      泉田 裕彦君    岩田 和親君

      小里 泰弘君    加藤 鮎子君

      勝俣 孝明君    門  博文君

      金子 恭之君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      鈴木 貴子君    田中 英之君

      田中 良生君    高木  啓君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      鳩山 二郎君    深澤 陽一君

      堀井  学君    三ッ矢憲生君

      山本  拓君    青山 大人君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      辻元 清美君    広田  一君

      松田  功君    道下 大樹君

      山川百合子君    山本和嘉子君

      北側 一雄君    吉田 宣弘君

      高橋千鶴子君    井上 英孝君

      古川 元久君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   外務副大臣        鷲尾英一郎君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    小林 茂樹君

   国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 高明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中佐智子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            馬場崎 靖君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         東川 直正君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  吉岡 幹夫君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  大坪新一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  高田 昌行君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (観光庁長官)      蒲生 篤実君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    奥島 高弘君

   参考人

   (東日本高速道路株式会社代表取締役兼専務執行役員建設事業本部長)     森  昌文君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     小寺 裕雄君

  菅家 一郎君     勝俣 孝明君

  辻元 清美君     青山 大人君

  松田  功君     山川百合子君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     菅家 一郎君

  小寺 裕雄君     門  博文君

  青山 大人君     辻元 清美君

  山川百合子君     松田  功君

    ―――――――――――――

三月二十三日

 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

あかま委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東日本高速道路株式会社代表取締役兼専務執行役員建設事業本部長森昌文君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房長瓦林康人君、大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官馬場崎靖君、大臣官房技術審議官東川直正君、総合政策局長石田優君、水管理・国土保全局長井上智夫君、道路局長吉岡幹夫君、鉄道局長上原淳君、自動車局長秡川直也君、海事局長大坪新一郎君、港湾局長高田昌行君、航空局長和田浩一君、観光庁長官蒲生篤実君、気象庁長官長谷川直之君、海上保安庁長官奥島高弘君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、大臣官房審議官小林高明君、大臣官房審議官榎本健太郎君及び労働基準局安全衛生部長田中佐智子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山本拓君。

山本(拓)委員 どうも。何年かぶりに質問に立たせていただきます。

 まず、大臣にお尋ねしますが、北陸新幹線が、御案内のとおり、二〇二二年度末開業というのが、具体的に申し上げますと、独立法人通則法によって、毎年、大臣から所管の委託先の鉄運機構に指示を出しております。昨年度の指示も、二〇二二年度末で指示を出しています。ちょうど年度替わりで、来年度、四月一日に目標数値を出さなあかんのですが、一年遅れるわけです。

 というアバウトな話は聞いていますが、具体的に、法令上、来年度、いつに指示を出すのか、もう今年度末で、年度末ですから、教えてください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 現在、国土交通大臣が鉄道・運輸機構に対して指示している第四期中期目標及びこれを踏まえて機構が作成している第四期中期計画におきましては、北陸新幹線金沢―敦賀間の具体的な完成、開業年度目標としましては、平成三十四年、令和四年度末までに完成、開業させることを目指すこととなっております。

 今般、同区間の工期が遅延するとともに、事業費の増嵩が見込まれる事態となったことを受けまして、昨年十一月に、北陸新幹線の工程・事業費管理に関する検証委員会を設置し、工期遅延、事業費増嵩に至った事実関係の検証を行うとともに、工期短縮策、事業費縮減策の検討を行ってまいりました。

 その結果、昨年十二月の中間報告におきまして、工期については、安全確保を大前提としつつ、天候や地質不良などのリスク要因が想定の範囲内に収まる場合には、工期遅延は一年程度と見込まれるとの結論を得たところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、本年度中に鉄道・運輸機構の第四期中期目標及び第四期中期計画を変更するべく、現在、所要の手続を進めているところでございます。

 具体的には、独立行政法人通則法の規定に基づきまして、独立行政法人評価制度委員会に対して、中期目標の変更についてお諮りしているところでございまして、今後、その意見を踏まえて機構に対し中期目標変更の指示を行い、それを受けて機構から中期計画の変更が認可申請される予定となっております。

山本(拓)委員 大臣、これはいろいろな手続は分かるんですが、一つの方針として、法令に基づいて独立行政法人に目標を与えるというのは、これは法令で決まっていますので、役人さんの説明はいいんですが、日程だけは守るようにお願いできますか、大臣。

赤羽国務大臣 今回のこうした工事の遅延と費用の増加という事態、大変あってはならないことだというふうに深く受け止めております。

 そうしたことで、様々、これが起きた原因分析をしながら、昨年十二月でしたか、与党のPTの場におきましても、大臣として責任を持って、これからの工程、一年以内で収めるということ、また、そのプロセスをしっかりと、地方自治体の皆様に大変御迷惑をかけておりますので、工事の進捗状況等々、しっかり公開しながらチェックをしていく、そして目標どおりの完成をしていくということは、私自身申し上げたところでございます。

山本(拓)委員 是非とも約束は守っていただきますように。

 それともう一つ、今回の一連の、鉄道・運輸機構に対して業務改善命令を出して、理事長、副理事長は責任を取ってお辞めになって、そしてその後釜に、前の鉄道局長、いわゆる官房長を現役出向させましたよね。これは大変勇断だと思います。任命をされた大臣のその意図を教えてください。

赤羽国務大臣 鉄運機構の今回のいろいろなパフォーマンスを見て、やはりしっかり組織の在り方、抜本的に手を入れなければいけないというふうに私は思いました。

 そういう意味では、大阪支社を北陸支社に改廃をして、より地元に密着をしながらという体制を取り、また、今回は理事長は公募ということで内定をしたところでございますが、本省からもしっかりとしたサポート体制を取りながら責任を取るという意味で、水嶋という、官房長でありますが、鉄道行政にも大変詳しい、また非常に、個人的にも私は、この大変な状況を乗り切れる人材だということで指名をし、こうした人事を取らせていただいたところでございます。

山本(拓)委員 余人をもって代え難い人を派遣したということはいいと思います。ただ、何をさせるかですよね。やはり情報を明らかにせなあきませんね。

 今回の、いろいろな仕組みを変えたり云々よりも、本質的に一番問題なのは、この際明らかにすべき、今回の一連のこととは別に、今後の新幹線を考えると、鉄運機構の、これは全部税金で成り立っていますし、そして本庁からも大臣肝煎りの人材を派遣しているわけですから、そこでまた従来のようなクローズ体制があってはならないですね、明らかにするとおっしゃっていますから。

 それで、問題は、お願いしたいのは、今回、二千六百五十八億が、金が足らぬということで地元も負担したんですが、九百一億の物価上昇という項目があります。この中身を幾ら聞いても分からぬのですよ。前辞めた理事長は、普通、建設物価というのは公にします、積算根拠を、これを明らかにしなかったんですよ。是非とも大臣は、明らかにするように、詳細ですよ、積み重ねですから、それを指示していただけますか。

赤羽国務大臣 整備新幹線の事業におきましては、何事においても透明性の確保というのは大変重要だというふうに思っておりますし、今回、北陸新幹線でこうした遅延、失態をしたわけでありますので、今、山本委員おっしゃられるように、この件につきましても、しっかりと透明性の確保を図るように指導してまいりたい、こう考えております。

山本(拓)委員 じゃ、ついでにお願いしますが、これは国交大臣ですから、全て知っている、知っていなきゃいけないことです、ここで話す話さぬは別として。一つだけ参考に申し上げておきますと、今回の新幹線、ちょっとやり過ぎなんですよ、余りにも。なぜかというと、明らかにするというよりも、大臣が頭に入れて、水嶋前の局長にもちょっとよく指導しておいてほしいんですが。

 ちなみに、工事原価というのは知っていますか。知っていますよね、工事原価。公共事業の発注主ですから。この工事原価に利益が含まれていると思いますか。局長、分かる、誰も分からぬね。あっち向いたらあかんよ。じゃ、まあいいや、時間がないから。要は、例えば中国なんか、日本の企業が中国で仕事を請けようとすると、工事原価に掛ける、別に利益率二〇%アップ、明確にしているんですよ。

 今の現状を申し上げますと、もう時間がないから、さらっとあなたに言っておきますけれども、請負工事費というのは、工事価格と消費税がプラスされます。その工事価格というのは、工事原価と一般管理費がプラスされます。そして、一般管理価格というのは工事原価掛ける経費率です。工事原価は直接工事費と間接工事費です。間接工事費は共通仮設費と現場管理費です。共通仮設費は直接工事費と経費率、そして積み上げによるアルファです。そして、現場管理費は、直接工事費と共通仮設費を足したものを経費率で掛けます。

 このなぞなぞのルールが、これは昔からなんですが、これの積み重ねが、というのは分かるでしょう。いろいろなところで予定価格がありますから、その積算根拠、土建屋さんも仕事ですから、原価と利益率、これをどこで取るんですかという話。このルールを、この際、恐らく事務方の局長も知らぬと思うわ。昔から知っている人がいますから、ちゃんと踏まえてから、根本的にそこがありますから、今後、それだけはちょっと頭に入れておいていただきたいという思いをいたしております。

 そういう生データを明確にしないと、物価上昇が九百億だの、そしてまた、私が申し上げたいのは、全部明らかにするとおっしゃるんなら、まずあなたたちがそれを明確にしないと、全ての公共工事が膨れ上がっていくばかりで、下請の中小企業だけ割を食って利益が上がらない、やればやるほど仕事が赤字出るという構造がずうっと続くということだけは頭に入れておいていただきたいと思います。

 一番分かりやすい話が、電柱地中化低コスト工法というのは前から言っていますよね、大臣も、電柱低コスト化。実はこれだって、電柱コスト、これがいい例ですが、一つ申し上げておきますか。電柱コストというのは法律で決めて、前から言っているんです。それで、ここに、国交省のホームページにも、電柱地中化の工程もホームページにアップしています。

 要するに、電柱地中化というのは、交差点なんかで、災害が起きると電柱が倒れて消防車とか入らぬものですから、架線してある電線を地下に入れましょうということですね。整備前の状況とか埋設場所の、そこはいろいろなものが埋設されていますから、それを調査する、試掘する、それから障害物を撤去する、こういうルートが決まっているんです。

 前々から、道路局の前の特に局長なんかは、モデルで安くする方法を考えましょうとずうっと一貫して言ってきております。そしてまた、基本的に、今もそれを安くするということを言っていますが、ただ、基本的に、昨年一年間、今年の初めに、国交省の直轄工事の入札が出たんですね。ざっくり、これは、最近は全部ホームページに落札結果がオープンになっていますから、これを見ていますと、予定価格と落札率、もうみんな九〇%、大体横並びですね。これが、逆に、何でこうなるかというと、もういつも同じような、談合をしていませんということを前提にすれば、しているわけありませんから、まず。だから、元々の構造が、従来のとおり一緒のことをやっているから値段が変わらない。しかも、悪あがきが、先日、国交省の道路局が発表した、低コスト手法の採用は直轄国道でも三四%進んでおりますという報告をホームページでアップしているんですが、どこが安くなっているんですかと。それは、一万円ぐらい安くなっているかもしれません。

 根本的にどこを安くするかというと、何が高いか知っていますか、大臣。要するに、地下に入れることぐらいは、電線とか電話線ですから、知れているんですよ、掘って。問題は、その下に下水管、上水管、ガス管、いろいろなものがあるから、それを調査して、そしてまた想定外のも入っていて、それを除くのに手間がかかるんです、物すごく。だから、それをやめて、調査だって今、音波探知でずっと調査できますから、それを見て、それを避ける工法で、管線は今、もう安い、安いというか、丈夫なやつがいっぱいありますからね、下水管で使っているやつが。下水管でいっぱい使っているやつがありますので、そういったものをしっかりと採用する。

 その素材を、もっと安くなる方法はないかということで、今、最近、NETISですか、新技術、それに登録しろということで、みんなそういう人たちは登録して、FEP管というんですか、フレキシブルに曲がるやつですね、それをやれば、別にこんなもの、わざわざ調査してどかさなくても、それを避ける形で曲がりますから、そういったものをやったらどうだということを言っているんですが、一切それは採用しないというのが現状です。

 こんな調子で、これは何でかというと、この入札には、要するに、この工事発注には、前の調査の設計のことがオープンになっていないんですよ。ここをどういうふうに調査し、どういうふうに避けるか、また移設、変えるか。これを判断するので、低コストができるかできないか。仮に試算すれば、一々それをやらなくても、電話線とか、そこはこんな管ですから、曲がるような管でずっと、丈夫なやつでやれば、全ての今のあなたの予定価格の半額で済むと言われている。実際、半額ですよ。それは絶対やらない、あなたが指示しても現場はやらない。ましてや、もう通達を出していますよね、いろいろ。

 という話で、これ以上しゃべるとちょっと時間がなくなるので、よく現状を検討していただきますようにお願いします。

 それと、次に、公共事業における新技術の活用システムでありますけれども、これは大臣、昔から、公共事業における新技術活用システム、国交省、NETIS、i―Constructionと言っていますよね。これというのは、実を言うと、どこも進まないんですよね。

 例えば、鉄道局に、コストが高いなら、もう安い工法を幾らでもやったらと。そうしたら、NETISとかこれは、大臣が言うやつは、直轄工事だけを言っていますので、公共事業は対象でないんですよという返事でした。確かに、その資料には、まあ、担当がいるから、後で確認しておいてください。

 大臣、知っていましたか。あなたがいつも国会で言っているi―ConstructionだのNETISは、直轄工事だけであって、公共工事ではないという文書が、審議官から全国の、出ているんですが、御存じでしたか。

赤羽国務大臣 今言われている、直轄工事で公共工事じゃないというのは、ちょっと私、よく理解できないんですが。

 このNETISは、そもそも、国が国の責任で行う公共工事のうちの直轄工事において、施工コストの削減ですとか品質の向上を図ることを目的として民間企業で開発された新しい技術等を地方整備局で評価し、共有できるようにしたシステムです。

 ですから、これは、国の直轄工事のために、そうした目的で立ち上げたシステムですけれども、これに登録された、情報公開された新しい技術の情報はインターネットで公開されていますので、地方公共団体ですとか鉄道事業者においても実際に活用された事例がございます。ですから、そういう意味では、幅広く使っていただけるということには何ら支障がないというふうに承知しております。

 ただ、多分、先生が言われるのは、鉄道技術に関することを評価して登録しろということについては、現状は、地方整備局、鉄道技術に関する知見ですとか、それを審査する体制がないので、なかなかそうしたことには今、対応にはお応えができていない、これが現状だというふうに私は承知をしております。

山本(拓)委員 ちょっと事例が悪かった。直轄工事と公共事業と、あなたも今、役人が作った原稿を読んでいると、これは直轄工事という指示を出していますよね。だから、本来、直轄工事と……(赤羽国務大臣「いや、私が作ったんですよ。役人が作ったものじゃない」と呼ぶ)いやいや、あなたがそう言ったから。だから、役人さんの原稿を棒読みして、だまされたらあかんよと言っているんです。

 だから、鉄道局のことは、別に、例えばの例で言っただけで、直轄工事というのは、もういいかげんに、この直轄工事というものを文書から削除したらどうかなと思うんですが、それはされませんか。これは、まあいいか、大臣、分からなかったら検討してみてくださいね。

 だから、そこらを、直轄工事と公共事業は、確かに違いはないとおっしゃいますが、具体的には、直轄工事と公共工事は、役人レベルでは違うという話で、現に、うちは直轄工事ではないので、税金でやっていても、国交省の指示はそうではありませんからということになっているのが現状です。

 これ、令和二年七月一日のこの文書、大臣官房総括審議官、各地方整備局宛ての、活用の促進にというのが書いてあります。ここにちゃんと、直轄工事等におけるということで、逆に明記しておりますので、あえてこんな直轄工事と書かなくても、公共工事全般と書けばそれでいいわけです。それだけのことをちょっと頭に入れて、しっかりと頑張っていただきたいと存じます。

 それと次は、建設現場で、最近、遠隔の工事がどんどん進んでおります。今まで重機というのは、御案内のとおり、厚生労働省、今日、厚労省の担当、来ていただいているんですが、要するに、建設現場の作業員というのは、厚労省の所管で、安全のマニュアル、講習を受けております。

 ところが、最近は、遠隔技術がどんどん進みまして、無人で、遠隔で動く技術がどんどん進んできております。そうなると、重機には人が乗っていないんですよ。重機には人が乗っていなくて、遠隔で操作しています。これをどこが所管するんだという話に、今ちょっとややこしくなっています。

 そこで、大臣にしっかりと確認していただきたいのは、これ、確かに、今までどおり、重機に関する環境は、人がいなくても厚労省が所管するんですが、ただ、発注は国交省が発注します、国交省が、現場は。だから、その現場が発注するときに、積算する予定価格にはこの重機の費用も入りますので、重機の費用というのは、ほとんど、御案内のとおり、もう買いません、リースです。リース屋さんの立場からすると、これから遠隔のリースの機材を整備するには、新しく、最近は既存の重機に、上にプラスオンするだけで遠隔重機になる装置もありますから、そういうカメラとか幾つかのやつを標準化してもらわないと、ばらばらでは非常にコストが高くなる。だから、そう考えると、厚労省の担当と国交省の遠隔の発注担当と、そこが一回そろそろすり合わせをして、やっていただきたい。

 だから、今日、大臣にお願いしたいのは、そこらも含めて、厚労省の担当と、大臣が指名する遠隔の担当と、一回同じテーブルにのって、共通仕様に向けて協議を始めることを指示していただけますか。

赤羽国務大臣 公共工事において大変災害が多くなって、無人化施工ですとか遠隔操作が必要な場面が多くなっているのは事実ですし、そうした遠隔操作に関する機器類が、私も標準化を進めるというのは非常に大事だというふうに思っております。

 ただ、現状は、厚生労働省は、そうしたものを安全にどう使うか、どう配置するかといった観点、安全の観点から厚労省が関わり、機械そのものというのはまさに国交省の領域でやっているというふうに承知をしております。

 加えて、国交省と厚労省、同じテーブルにということでございますが、既にそうしたことは一緒のテーブルに着いて検討も進めているところでございます。

山本(拓)委員 あなたにそういう報告をした人の名前だけ、後で教えてください。

 こんな、要するに、私は、切実な要望が出てきているから、私が申し上げたいのは、このままほっておくと、各重機業界ごとに免許制をつくったり何をつくったりといろいろなのが出てきているものですから、だから、もっと早く、私が大臣に、もうこれ以上言いませんが、ちゃんと、いや、僕は、厚労省は、正直悪いけれども、環境だけなんですよ。でも、厚労省の要求事項は大事なんです、要求事項は。それを、何を要求事項というと、この中に、無人のときに人が入ったら止める、これは厚労省の要求事項です。それを実現するためには、二十四時間の監視カメラと映像が必要です。これも要するに共通せなあかん。

 そういう具体的なことですから、そういう意味では、その結果を出すということは、大臣の思いに、指示を出していただけますか。

赤羽国務大臣 そうしているつもりですし、そのようにいたしたいと思います。

山本(拓)委員 そうしている、先を見込んでいる大臣ですから、当然そのとおりにしていると思います。しかし、現場には伝わっていませんので、はっきりと、今日は、伝えますということで、評価いたします。

 それと、港湾局にお聞きしますが、昔から、スマート港湾ということで、年間に一千万、コンテナが輸入してきます。一千万、コンテナが輸入してきますが、その中に、ほとんどスルーでみんな輸入していますから、飛行機の輸入は結構検査が厳しいんですが、コンテナは一つ一つ調べるというのは難しいです。結局スルーしています。だから、今後、コンテナの輸入が大変リスクの高いスキームだということが指摘されています。

 以前、橋本内閣のときに、それをやるべきだということで、シンガポールは全て自動で、コンテナをクレーンで降ろしたら自動走行車に乗っけて、それをずっとやるときに、それを、我々が飛行機で手荷物検査をするようなエックス線、エックス線の大きな壁をすうっとスルーさせる仕組みで今シンガポールは運用しています。日本は、それをやろうとするとドライバーまで被曝しちゃうので、ちょっとそこらあたりが非常に嫌がってやりません。

 だから、もちろん、荷主は、港湾業者もいますから、もう名古屋で既にトヨタの自動走行をやっていますから、今後、これは政治判断ですよ。役人じゃないですよ、政治判断。役人さんは、それは縦割り行政で、関税のことは知りませんといつも言っていますから。これは政治家として、全体の、国の安全を守るために、あなたのところは自動走行だけをする仕組み、スマート、それだけを指示を出してもらえれば、あとは財務省が、そこを通るのならそこに置かせてくれということで、通るやつがおかしいかどうか、大体全部キャッチできますので。

 そういう意味では、将来的にスマート港湾を考える場合に、そのような方針を部下に出すお気持ちはあるかないか。もう時間がないから余計なことはいいですよ。ありませんなら、それでも結構です。だから、検討します、ちょっと、どちらか言っていただけますか、政治家として。

赤羽国務大臣 私、かねてから、シンガポールの港湾設備についてはよく視察もしていますし、以前の仕事でも関わっておりましたので、そうした方向に進むことは、やはり世界最先端を行くのはシンガポールの港湾だというふうに思っております。

 ただ、港湾関係者の方々と、そうしたことも丁寧に港湾局も対応を図りながら、効率的な港湾物流の実現に貢献していきたい、こう思っておりますので、そうした方向でこれからも丁寧に検討を進めていきたい、こう思っております。

山本(拓)委員 さすがは政治家。ありがとうございました。

 それと、もう時間がありませんので、続けて、あとは政府参考人に質問だけして、順次答えていただきたいと思います。

 まず、気象庁長官においでいただいていますね。あなたは、今年一月に新しい長官になられて、あの社屋にされております。

 申し上げたいことはいっぱいあるんですが、時間がありませんので、しっかりと方針、そしてまた、地方の気象台と避難指示を出す自治体の課長とのアナログの電話のやり取りではなしに、テレワーク等のやり取りも含めて新しい方針を述べていただきたいということ。

 もう一つは、水、ダムの件でありますけれども、河川、ダム、災害で予算が、維持費がないということで、二級河川なんかは総務省が金を出してしゅんせつを始めていますね。それも一回限りです。だから、そういうことを考えると、今後、新しいダムの新設とかいろいろ大事ですが、既存のメンテナンスコストを捻出する方法、これを、どこからも予算が出ませんので、例えば小水力のスキームをつくるとか、いろいろな捻出方法のメニューをそれぞれの自治体に提示して支援するお考えはあるかないか、これは水局です。

 それで、最後に航空局。航空局については、ドローンが法改正を今度しますけれども、ドローンの法改正は、今度法改正をすれば事故調査委員会ができて、そういう審査も厳しくなるスキームをつくりますが、たとえ今国会で通るとしたって、実行されるのが一年半後です。ただ、それまでの間に、事故が起きてきます、問題が起きてきます、新しいドローンも入ってきています。そこは現在の航空局長がしっかりとリーダーシップを取っていただかなくてはなりませんが、そのときに一つお願いしたいというか、ドローンが、事故が起きたときに、原因は誰かということが誰も分からぬのですね、原因が。

 自動車の場合は、最近ドライブレコーダーが入っていますから、それで明確になりますし、本格的な飛行機は、ボイスボックスとかいろいろな証拠が後から出ます。ドローンの場合は、落ちたら誰も見ていませんので、後はどうせ責任問題になりますから、そういう意味では、二十四時間のカメラとか、その他の最低限の機材、これも早く、どういう商品かは別として、どういうコンテンツがあのドローンに装備が必要かというのを、今現在でも求められていますので、そこらの指針というか、現状の、今日までの事故分析をして、最低限、防止するというよりも、事故原因が第三者に証明できるような備品、部材を明確に今から整理しておいていただきたいと思うので、その点の航空局長の御意見を伺いたいと思います。

 それを続けて、もう時間がありませんが、その範囲の中で答弁していただければ、私の質問は時間どおり終わりますので、よろしくお願いいたします。

長谷川政府参考人 気象台と自治体との関係についてお答えいたします。

 気象台が発表する警報などの防災気象情報については、オンラインで都道府県に提供され、そこから市町村に提供されているほか、インターネットを通じて気象台から市区町村への提供も行っております。こうした気象情報を有効にお使いいただくためには、日頃の顔の見える関係を自治体との間で構築することが大変大事だというふうに考えておりまして、委員御指摘のテレビ会議システムなどのシステムも活用しながら、その取組を進めているところでございます。

 今後とも、地元気象台と自治体との連携を強化して、地域防災力の強化に貢献してまいりたい、このように考えております。

井上政府参考人 限られた予算の中で維持管理をより合理的、効率的に行い、必要な対策を着実に進めていくことは重要であると考えております。

 国土交通省においては、ダム管理者自身が水力発電を行い、管理用の電気を賄う取組などを行っており、その分、通常の施設維持管理に係る費用を捻出できるものとなっております。

 今後とも、議員御指摘のように、小水力エネルギー等を有効利用しつつ、河川等の維持管理を適切に行ってまいります。

和田政府参考人 お答えいたします。

 無人航空機についてですが、事故が起きた場合の原因分析を行い、事故の再発防止を図ることは重要と考えております。

 そして、御指摘いただいた装備の面でございますけれども、例えば、事故の原因を明らかにするために有益な映像でありますとか位置情報を記録するもの、それから、他の障害物との衝突を防止するシステムなどの装備も考えられるところでございます。

 国土交通省といたしましては、ドローン技術の進展も踏まえながら、無人航空機の使用形態に応じて、装備面以外の対応も含めまして、どのような事故防止対策を講じていくか、しっかり検討してまいりたいと考えております。

山本(拓)委員 どうもありがとうございました。

あかま委員長 次に、松田功君。

松田委員 おはようございます。立憲民主党の松田でございます。

 桜も咲いておりますが、コロナでなかなか皆さんも余裕を持って花見を、見ることもできない状況でありますけれども、本当に市民の皆さんのことを常日頃考えながら活動してまいりたいと思っておりますし、大臣、桜の花のようにぱっといい形でまた質問の御回答をいただけるとありがたいので、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの大型車両駐車場の増設と深夜割引適用時間の拡大について質問をさせていただきたいと思います。

 トラック輸送は、日本経済を支える物流基盤として、また、緊急救助物資輸送を行うライフラインとして社会的に重要な役割を担っております。経済や暮らしを支えるため、なくてはならない機能でありますが、高速道路の活用なしでは成り立ちません。トラック輸送の高速道路活用は、SDGs、持続可能な開発目標達成や、グリーン社会の実現につながります。

 そこで、物流輸送に当たり高速道路を利用する中において、高速道路のパーキングエリア、サービスエリアなどの大型車両駐車場、大型駐車升の不足が言われてきております。

 主な原因として、三点。

 一つ目が、厚生労働省の改善基準告示を遵守するため、必ず休憩を取ることになっており、高速道路を四時間走行すれば三十分、東京―九州間などの長距離運行で拘束時間十六時間を超える場合は八時間休憩を取る必要があり、サービスエリア、パーキングエリアなどでの長時間駐車を余儀なくされることになります。

 そして二つ目ですが、ジャスト・イン・タイム方式の普及により、集配時間の指定が厳格化してきております。荷物の集荷、出荷時間から、配達、納品時間までの時間調整をするようになるためで、荷主、着荷主の庭先か周辺での待機がベストではございますが、現実的には難しく、路上駐車をするわけにもいかず、結果、サービスエリア、パーキングエリア等で駐車場が時間調整の場所になっているところであります。

 そして三つ目でありますが、高速道路料金の深夜割引適用時間までの時間調整のためであります。平成二年の規制緩和による過当競争の結果、業界内の運賃が下落し、高速道路料金の負担がトラック事業者の重荷となってきたため、深夜の割引帯を利用しようと、サービスエリア、パーキングエリアで時間調整をされることになりました。

 このような状況下で、NEXCO三社においては、大型升だけでなく普通車兼用升を含む数値ではありますが、二〇一八年度は二十六か所、プラス三百八十四個、二〇一九年度は四十三か所、プラス六百二十八個、二〇二〇年度は、予定でありますが、五十三か所、プラス千百八十九個と、増設をしていただいております。

 しかし、名神高速草津パーキングエリアにおいては、大型駐車升が増設されたものの、用地が限られていたことから、増設前と比べて出入りがしづらいものとなってしまった箇所もございます。

 大型升の増設は必要でありますが、ほかの利用者の通行、駐車を邪魔するような整備もまずいですし、料金所出口付近の大型車の待機も問題であります。

 都市部に入る手前の地域での大型車両の駐車場の増設が業界から望まれているようですが、物流の交通行政全般を考えなくてはならない問題と考えております。

 赤羽大臣のお考えを是非聞かせていただきたいと思います。

赤羽国務大臣 トラック運送事業、物流は、我が国の経済を支える重要なインフラであります。

 近年、需給バランスでどうしても起こってしまうかもしれませんが、適正な運賃が取れない、そのことによってなかなか若い世代のトラックドライバーを確保、育成できない、これは大変大きな問題だということでございます。

 その中で、働き方改革の中で、やはり働きがいのある職場、健康を損なわないような職場ということで、恐らく、先ほど言われていました厚生労働省からの改善基準告示の遵守というのは取られたものだと思いますので、渋滞があるから、これを否定的に考えることはできないのではないかと思います。

 他方、出品と納品の間の時間調整ということ、これは多分、どうしても荷主の方が強い立場で、そうしたこと、ジャスト・オン・タイムというようなことの要求があり、かつ、これまでは、そのための待機時間も料金に込み込みみたいなこと、これはあってはならないということで、その手当て、法改正もさせていただきましたし、様々なことをしているところでございます。

 昨年年末から今年の二月にかけての大雪のときにも、トラックが大変、多くのトラックが滞留しましたが、この原因の一つに、こうしたジャスト・オン・タイムで、毎日輸送というようなことがされている実態というのも遠因の一つだというふうに我々は考えておりますので、いずれにいたしましても、こうしたこと、荷主の皆さんの理解を得ながら、適正な物流の在り方というのは考えていかなければいけない、こう思っております。

 その中で、さはさりながら、特に、今御指摘のような大型車の駐車スペースの不足というのはやはり全国各地で指摘をされておりますので、御紹介いただきましたが、若干、ちょっと数字が私どもの手元と少し違うんですが、二〇一八年度には二十六か所の休憩施設で約五百台分、二〇一九年度には、これは圏央道の厚木パーキングエリアなど四十三か所の休憩施設で約千三百五十台分、そして今年度は、東名高速の足柄サービスエリアなど五十三か所の休息施設で約八百十台分の駐車升を拡充する予定、また、過去にはこうしてきたわけでございますが、来年度には更に六百から七百台分の駐車升の拡充を検討しているところでございます。

 駐車升の拡充、できるところはしっかり拡充しながら、無理のない適正な物流の在り方も他方探りながら、健全な成長をしていかなければいけない、こう考えております。

松田委員 大臣の方も御理解をいただいているように思います。特にコロナ禍で物流が大きくまた変わってきている状況も出てきて、利用者も増えるということで、特に都市部に物流が向かうところで、都市部の近くでの待機が非常に多くなってきているというのも現状でありますし、また、出口の手前から時間帯調整のために止まってしまっている状況も現状で見受けられる部分もありますので、是非、御理解の上、お進めいただきたいと思います。

 続いて、トラックドライバーの労働環境改善のためにも、やはり、高速道路の割引適用時間の拡大などもすることによって、必ずしもサービスエリア、パーキングエリアで滞留しなくても済むような環境整備を進めることも考えられます。

 安全な運行のためにも、また労働環境の改善のためにも、深夜割引時間帯の拡大が望まれますが、いかがでしょうか。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 深夜割引でございますけれども、一般国道の沿道環境を改善するため、交通容量に余裕のあります高速道路の夜間利用の促進を目的としておりまして、ETCを利用してゼロ時から四時の間に高速道路を通過する車両の料金を三割引きとする割引制度でございます。

 委員御指摘のとおり、通過する時間帯が少しでもゼロ時から四時の時間帯にかかっていれば割引が適用されるため、ゼロ時直後に料金所を通過するための時間調整を目的として、料金所直前のスペースやサービスエリア等において車両が滞留するといった課題が生じているところでございます。

 例えば、東名高速の東京本線料金所をゼロ時直後に通過するために、直前の海老名サービスエリアで時間を調整する車両が原因となって、サービスエリアが混雑するといった課題が生じてございます。

 また、労働環境改善のために、利用者団体から適用時間帯の拡充の要望が出されていることも承知してございます。

 現在、社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会において割引の在り方について議論を進めているところであり、その結果も踏まえながら、深夜割引制度の具体的な見直しについての検討を進めてまいります。

松田委員 是非よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、質問を移らせていただきます。

 大型第二種免許の取得者の人材不足について質問をさせていただきたいと思います。

 深刻さを増している少子高齢化や高齢者の運転免許の自主返納者の増加などによる交通弱者の移動の確保から、地域公共交通の重要性は増しております。その中において、バスドライバーの人材不足が地域公共交通にも影響が出てきており、新たな人材確保のために、まずは大型第二種免許の取得をしていただくことが重要になります。

 大型第二種免許の取得者が増加しないのは、バス運転者の労働環境が人手不足により激務になっているため、若い方たちが有資格の職業にもかかわらず選択されにくい状況となっているのではないかと思われます。非常に悪循環な状況であります。あわせて、大型免許取得に費用がかかることも要因の一つかと思われます。

 その状況で、バスの運転者の全国平均年齢が、二〇一九年度ですけれども、五十一・二歳と、十年前に比べて四・四歳上昇しております。さらに、大型第二種免許の保有者のうち六十歳以上が全体の五六・六%を占めており、高齢化に歯止めがかかっておりません。

 大型自動車第二種免許の二〇一九年の末の保有者数は約八十七万人、そのうち女性が約一万五千人と、直近十五年で約二五%減少し、平均年齢は六・一歳上昇しております。そのため、免許保有者の約二・二人に一人、約三十九・五万人が六十五歳以上の高齢者となっています。

 現在、公営交通職場においても人員不足や高齢化が進んでおり、今まで以上に、人材確保に向け、養成、運転者の育成をしていかなければなりません。民間が撤退した地域の交通弱者の住民にも交通インフラは必要でありまして、それが公営交通の存在意義ではないかと思います。

 バス運転者の大型二種免許取得養成助成事業では、公営事業者が除かれて、補助金として交付されております。この人材不足の中、一人でも多くの大型二種免許取得を目指していただくことが重要で、公営事業者を除かず、そこにも拡充して幅広くしていくことが、交通政策基本法にもある人材確保の支援にもつながると思います。

 国土交通省としての大型二種免許取得養成支援を進めていただき、次世代を担う若い世代の方の人材育成を進めることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

秡川政府参考人 バスは日常生活を支える非常に重要な地域公共交通ですが、運転者の有効求人倍率を見ますと、令和元年度で二・三五という数字になっておりまして、全職業の平均の一・五と比較して人材不足が非常に深刻な状況にございます。御指摘の、大型二種免許を取得しやすい環境を整えるということも非常に重要だというふうに考えております。

 これまで、国土交通省では、業界団体と連携いたしまして、免許取得費用の助成を図ってまいりました。加えて、令和二年度から、厚生労働省や業界団体と連携いたしまして、就職氷河期世代の正社員就職を支援するために、免許取得の短期間の取得、あと、バス会社への就職をサポートする事業を実施しております。これは民営、公営の別を問わず、助成の対象とさせていただいております。

 今後とも、バス事業者の人手不足の解消に向けまして、大型二種免許の取得促進を図ってまいりたいというふうに思います。

松田委員 民営、公営問わず、これはやはり人材を確保していくということの意味において、公営は行政の方から出せばという形にどうしてもなりつつあるので、そのことは超えて、やはり人材を増やしていくということの原点に返っていただいて、いろいろなところで除く、除くという、公営は除くというふうになってしまって、本来それは人に対する投資であるということに、原点に立ち返っていただいて、そういう除外をできるだけなくしていけるところはなくしていっていただきたいと思いますので、その辺についても、今後も是非御検討をいただきたいと思います。

 済みません、時間の方がちょっと押してきているので、四番の質問に行きたいと思います。

 路面電車事業の補助金についてでございます。

 新型コロナウイルス感染症がいまだにまだ完全収束の見通しが立っておらず、公共交通事業では引き続き大きな影響が出ております。

 公営事業の運営も影響を受けている状況で、公営事業では雇用調整助成金が使用できないことから、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用が重要なものとなっております。しかし、この臨時交付金は多目的に使用できることもあり、自治体の交付により、交通事業者、さらに公営交通事業者に対する交付金使用が多く見られない現状となっております。

 地域公共交通確保維持改善事業費補助金交付要綱に、令和二年度補正予算で地域公共交通感染症拡大防止対策事業が盛り込まれましたが、この要綱において、補助金対象の鉄軌道事業者から地方公共団体と大手民間鉄道事業者を除くとされております。鉄道事業の中で事業規模の小さい公営の路面電車事業が除外をされております。地域交通における感染防止対策の補助対象事業者に鉄軌道事業者、地域鉄道も対象となっているにもかかわらず、補助の対象にならないのでございます。しかし、バス事業、地域バスは、公営事業者も補助の対象事業者となっております。

 路面電車の横をバスが並走して運行しているにもかかわらず、補助対象に違いがあるのか、疑問でございます。路面電車を始めとしたLRTは、運行形態がバスに類似し、他の鉄軌道事業に比べ事業規模が小さいことから、バスと同様に、公営、民間を問わず補助金の対象とすることが望まれますが、御対応の方をお聞かせをいただきたいと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、公営の路面電車等事業者を含む鉄道事業者は、利用者が減少し、厳しい状況に直面していると認識しております。外出控えやテレワークの普及等の行動変容によりまして、輸送需要の減少が当面継続すると見込まれ、厳しい経営状況が続く可能性があると認識をいたしております。

 このため、第三次補正予算においては、公営を含む鉄道事業者と観光事業者等との連携により感染症対策にも配慮した実証運行等を行う場合に、国としても支援を行うこととしております。さらに、令和三年度当初予算においても、観光振興事業費補助金によりまして、公営を含む鉄道事業者について、感染症対策に対する支援の対象としているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地方運輸局を通じましてこれらの制度の周知を行うとともに、様々な施策を組み合わせることによりまして、持続的な鉄道事業の運営に向けてしっかり対応してまいります。

松田委員 事業費が、そのものではなくて別のところから、観光事業の方から感染対策費用が出ているというふうに今お伺いをさせていただきましたが、感染症対策というのは国民の健康、安全に向けて重要なところでありますので、それは皆さんお分かりだと思います。別のところから費用が出ているから大丈夫ということだけでなくて、その形であれば、またそれがきちっと感染症対策に使われているかどうかを確認を是非していただきながら進めていくことが重要であると思います。自治体の方から出るから大丈夫だ、これから出るから大丈夫と言いながら、実はそこに行っていないということにならないように、きちっと確認をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

あかま委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十九分開議

あかま委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。広田一君。

広田委員 立憲民主党・無所属の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 赤羽大臣は参議院本会議の方から戻られたばかりでございますので、しばらく休憩をしていただきまして、質問の順番を変えて、まず、前回質疑の積み残しであります領海警備に関連して、海警法の施行状況、認識についてお伺いをいたします。

 菅総理は、この海警法につきまして、その運用により東シナ海や南シナ海などの海域において緊張を高めることは全く受け入れられない、第二点として、国際法に反する形で運用されることがあってはならない、そして三点目として、我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならない、こういうふうに述べているところでございます。

 二月一日に海警法が施行されてから、中国海警による尖閣諸島周辺への領海侵入が繰り返されております。三月はまだございませんけれども、二月だけで六回です。

 この状況を踏まえて、お手元の資料にございますように、二月二十二日の予算委員会で菅総理は、尖閣内への領海侵入は海警法が国際法に反する形で運用されていると認められるわけですねという旨の質問に対して、当然ですと答弁しております。

 一方、三月十日の当委員会で赤羽大臣は、同趣旨の質問に対して、仮に中国海警法がこうした活動を裏づけるものであるのならば国際法に反する形で運用されているという見方もあり得るとした上で、しかし、私どもは、海警法に基づいた活動かどうかについては私は今答えることはできない旨の答弁をされています。

 つまり、菅総理は、海警法が尖閣諸島周辺海域に適用されている前提で当然ですと答弁していますが、赤羽大臣は、適用されているか否かについて明確にされておりません。よって、海警法が尖閣諸島に適用されているかどうかについて我が国としてどう考えているのかという重要な事柄について、認識にそごがあるといけないので整理をしていただきたいと理事会にお願いをしていたわけですが、その結果について、解釈権を有する外務省から御答弁をいただきたいと思います。

 鷲尾副大臣、いかがでしょうか。

鷲尾副大臣 尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動はそもそも国際法違反でありまして、これまで中国側に厳重に抗議してきております。

 また、海警法であろうとほかの法律であろうと、我が国が主権を有する海域で中国が国内法に基づき管轄権を行使しようとすることは、日本の主権を侵害するものであります。

 二月一日の海警法の施行以降も、中国海警船が法執行と称して領海侵入を行う事案が発生しており、日本政府として厳重に抗議してきております。中国は海警法の管轄海域の範囲を明らかにしておりませんが、中国が海警法を尖閣諸島周辺水域に適用しようとしているのであれば、日本の主権の侵害であります。

 その上で、海警法には国際法との整合性の観点から問題がある規定を含むと考えていることは、累次にわたり政府から答弁をしてきております。

 以上です。

広田委員 この認識は、この前の二月二十二日の衆議院の予算委員会で岡野局長の方から御答弁があったものと同趣旨だというふうに理解をするところでありますが、それを受けて、先ほど言いました、菅総理大臣の御答弁と赤羽大臣の御答弁についてそごがあるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。

 鷲尾副大臣、よろしくお願いします。

鷲尾副大臣 御指摘の二月二十二日の総理答弁でございますが、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動は、海警法に基づこうと、ほかの中国のいかなる国内法に基づこうと、そもそも国際法違反であるという趣旨で述べられたものと承知しております。

広田委員 ただいま、中国のいかなる国内法に基づこうとというふうにおっしゃいましたけれども、私は、中国のほかの国内法については一切言及しておりません。海警法に絞って何度も質問をしております。よって、菅総理がほかの中国の国内法をも含むと幅広に曲解されているとはどうしても考えられないわけでありますので、今の御答弁の解釈というのはちょっと無理があるのではないでしょうか。

 鷲尾副大臣、いかがでしょうか。

鷲尾副大臣 同じ答弁の繰り返しになって恐縮なのでございますけれども、総理の御答弁として、海警法に基づこうと、ほかの中国のいかなる国内法に基づこうと、そもそも国際法違反であるという趣旨で述べられたものと承知をいたしております。

広田委員 そうすると、確認なんですが、そごはないという理解でよろしいんでしょうか。

鷲尾副大臣 認識としてのそごはないと承知をいたしております。

広田委員 それでは、お伺いするんですけれども、日本経済新聞が二月二十五日の朝刊で、日本政府は、海警法施行を受けて、中国海警局の尖閣周辺での活動に対する批判と国際社会への発信を強めてきた、一日の施行後は、海警法が国際法に反する形で運用されることがあってはならないと指摘をしていた、その後、次第に発言を強め、菅首相は二十二日の衆議院予算委員会で、海警法が国際法に反する形で運用されているかどうかを問われ、当然だと主張した、こういうふうにあります。さらに、第三者から見て、あの日のやり取りを見れば、当然このような理解になるわけでございます。

 そこで、確認なんですけれども、菅総理は、海警法が国際法に反する形で運用されているかどうかを問われ、当然だと答弁をしたわけでありますが、こういう認識で、鷲尾副大臣、よろしいですね。

鷲尾副大臣 何度も申し上げますけれども、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をして行う海警船舶の活動につきましては、海警法に基づこうと、ほかの中国のいかなる国内法に基づこうとも、そもそも国際法違反であるという趣旨で述べられたものと承知しております。

広田委員 委員長、そろそろまた整理をしていただきたいんですが、鷲尾副大臣の御答弁を私は前提といたしまして、その上で、菅総理大臣は、海警法が国際法に反する形で運用されているというふうに御答弁をされているわけであります。ということは、この海警法が尖閣諸島に適用されていることを大前提として御答弁をされているというふうに理解をしているわけでありますけれども、鷲尾副大臣はそういうふうには理解をされていないということでよろしいんでしょうか。

鷲尾副大臣 何度も申し上げて恐縮なんですけれども、海警船舶の活動が、当然ながら、我が国領海で独自の主張を行うということであるならば、それは国際法違反であるということで、これまでも厳重に抗議をしてきているところであります。

広田委員 ちょっと、もう一回だけお聞きしますけれども、そうすると、外務省は、二月一日以降、中国が海警法を尖閣諸島周辺水域に適用しているというふうにお考えなんでしょうか。

鷲尾副大臣 中国政府が海警法の管轄海域の範囲を明らかにしていない中で、海警法が適用される地理的な範囲について我々の側からお答えするということは適切ではないというふうに思っております。

 二月一日の海警法の施行以降も中国海警船が法執行と称しまして領海侵入を行う事案が発生していることは、日本政府として重大に受け止めておりまして、あらゆる可能性を念頭に置いて対応していく必要があると考えております。また、累次にわたって厳重に抗議をしているところであります。

 いずれにせよ、尖閣諸島周辺の海域で独自の主張を行う海警船舶の活動は、そもそも国際法違反であります。

広田委員 ただいまの鷲尾副大臣の答弁ラインは、三月十日の赤羽大臣の答弁ラインとほぼ同じでありますが、菅総理の答弁ラインとは全く違うんです。菅総理は、海警法は国際法に反する形で運用されているというふうに認識をしているというふうに答弁をしております。

 つまり、海警法が国際法に反する形で運用されているということは、尖閣諸島を念頭に置いた質問でございますので、それは当然のことながら適用されているというふうに解するのが普通なわけでございますので、そう考えますと、今の鷲尾副大臣の御答弁というのは、この海警法が尖閣諸島周辺に適用されているかどうか言うことができないというふうなことであれば、それは菅総理の答弁とはそごがあるということになると思いますので、その辺をどういうふうに整理をされているんでしょうか。

鷲尾副大臣 冒頭から何度も申し上げているんですけれども、総理の御答弁というのは、外務省として、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動というのは、海警法に基づこうとも、ほかのいかなる国内法に基づこうとも、そもそも国際違法である、そういう趣旨で述べられたものと承知をいたしております。

広田委員 実は、それも二月二十二日、私はもうとっくに質問しているんです。今、鷲尾副大臣がおっしゃったことを菅総理に質問しているんです。それについてお互い確認をした上で、その上で海警法が国際法に反する形で運用されていますねというふうに問うたら、当然ですというふうに答えましたので、鷲尾副大臣の御答弁はとっくにクリアした上で、その上で法律を絞って、海警法に絞って私はお伺いをした結果、菅総理は、これは国際法に反する形で運用されているというふうに答弁をしておりますので、そう考えますと、海警法は尖閣諸島周辺に適用されているというふうに解するのが自然ではないでしょうか。

あかま委員長 広田委員、今のは質問、ちょっと最後の方だけしっかり整理して質問していただけると。

広田委員 はい。

 というふうに思いますけれども、鷲尾副大臣の御見解をお伺いします。

鷲尾副大臣 今ほど申し上げてきたとおりの総理の御答弁の趣旨でございます。

広田委員 委員長、ちょっと整理していただけないでしょうか。

あかま委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

あかま委員長 速記を起こしてください。

 広田君。

広田委員 それで、先ほど小宮山筆頭の方からお話があって、今の鷲尾副大臣の御答弁を含めて、また整理を理事会の方でしていただくということでございますので、委員長、お取り計らいの方をよろしくお願いいたします。

あかま委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

広田委員 その上で、若干認識を共有したいというふうに思いますので、質問を重ねたいというふうに思いますが、鷲尾副大臣、海警法については目を通されていますか。

鷲尾副大臣 全て目を通したわけではございませんが、概略につきましては承知をしているところでございます。

広田委員 海警法というのは八十四条の法律から成っているわけでございますけれども、そのキーワードは何だというふうにお考えですか。

鷲尾副大臣 キーワードといいましても、様々な論点があると存じております。

広田委員 そうすると、海警法のキーワードということについては認識は持っていないということですか。

鷲尾副大臣 キーワードというのは、それぞれ委員の先生方、御関心の高い分野が様々ございますので、その委員の先生方個人個人でキーワードと捉えるところの様々な差異はあろうかと思いますけれども、国際法上、問題があるように考えられるような規定が存在するということを、注視をもって、関心を持って私ども捉えているということでございます。

広田委員 まさしくそのとおりであって、それを具体的なキーワードで言うと、管轄海域の適用範囲が曖昧だということなんです。管轄海域なんですね。これは十二回、この海警法には登場するんです。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、この管轄海域について、適用範囲が広く、曖昧だとの指摘があります。それは今、鷲尾副大臣が御答弁したとおりであります。これは第一列島線まで含むんじゃないかというふうに言われているんですけれども、ただ、少なくとも中国側から見た場合に、中国の考える領海は管轄海域に含まれると理解すべきだというふうに考えますが、鷲尾副大臣はいかがでしょうか。

鷲尾副大臣 中国政府の考える領海の範囲内が海警法適用とされる、例えば第三条でありますけれども、海警法を適用するとされる中国の管轄海域及びその上空の範囲が不明確であるというふうに認識をしておりまして、仮に中国が主権等を有さない海域で海警法を執行すれば、当然国際法に違反します。

広田委員 私が聞いているのは、中国が考える管轄海域に、当然のことながらやはり領海というのは含まれるというふうに認識をされていないんですか。

鷲尾副大臣 中国政府の考える管轄海域でありますので、我が国政府として様々なことを考えているところだとは思いますけれども、軽々にその管轄海域がどこであるということを決めつけるというわけにはいかないと思います。

広田委員 そうすれば、一般論で結構なんですけれども、一般論的にこのような領海警備をする際に、その国の、当該国の領海内というものを法執行の対象とするというふうには考えられると思いますけれども、これについてはいかがですか。

鷲尾副大臣 なかなか即答はしかねるところもあるんですけれども、他国の国内法でありますから、海警法は。(広田委員「だから、一般論でいいですよ、一般論」と呼ぶ)一般論として、他国の国内法について有権的にお答えできる立場にはないと存じております。(広田委員「いや、それは答弁拒否ですよ。申し訳ないですが、答弁拒否」と呼ぶ)

あかま委員長 広田委員、改めて、じゃ、質問をまたコンパクトに。

広田委員 いや、ちょっと都合の悪い質問に対しては他国云々というふうにおっしゃって、今までさんざんぱら海警法について議論してきたわけですよね。なぜこの管轄海域というものについて、少なくとも第一列島線まで幅広く対象としているから曖昧だというふうに言っているんですけれども、少なくとも中国側が考える領海というのは管轄海域に含まれるんじゃないかなという、これは当たり前の認識の共有をしようとして私は質問しているわけです。

 それについてちょっと答弁拒否をするというのは問題だと思いますので、これは鷲尾副大臣、しっかりと答弁してください。

鷲尾副大臣 広田先生の御趣旨は理解するところでありますけれども、一般的に他国の国内法について有権的には解釈ができない。しかし、我が国に対して、主権侵害であるということについて、これについては明確に、それはもう国際法違反だということは申し上げる、こういうことであります。

広田委員 そうすると、この前の2プラス2で、海警法について重大な懸念を持っているというふうになぜおっしゃるんですか。他国の法律について介入しているわけじゃないですか。おかしいじゃないですか。

鷲尾副大臣 何度も申し上げますが、有権的に解釈しているわけではなくて、広田委員もおっしゃっておられたとおり、管轄海域について曖昧な点があるということを深刻に懸念をしているということを表明した次第であります。

広田委員 その懸念をしているときに、少なくともこの領海というものが含まれるかどうかについても外務省として判断をすることは差し控えたい、そういうふうな理解でよろしいんですか。

鷲尾副大臣 他国の国内法の解釈につきましては、これまでも申し上げてきたとおり、有権的にお答えする立場にありませんけれども、その上で申し上げれば、今ほど広田委員が御関心の管轄海域につきましては、中国の内海、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚及び中華人民共和国の管轄するその他の海域とされていましたけれども、二月一日施行の中国海警法の条文からはこの記述が削除されたという経緯がありまして、その指すところが曖昧ということでございます。

広田委員 ようやく、領海が含まれるということを認められたわけなんですけれども、そうすると、中国の方には、中華人民共和国領海及び接続水域法というものがあります。その第二条で、尖閣諸島については中国の領土であるというふうな規定があるんですけれども、その点については御承知でしょうか。(発言する者あり)

あかま委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

あかま委員長 速記を起こしてください。

 鷲尾外務副大臣。

鷲尾副大臣 承知をしております。

広田委員 そうすると、海警法は管轄海域に尖閣周辺が含まれるというふうに解するのは当然ではないでしょうか。(発言する者あり)

あかま委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

あかま委員長 速記を起こしてください。

 鷲尾外務副大臣。

鷲尾副大臣 先ほど御説明したとおりでありますが、二月一日に施行された中国海警法の条文からは、さきに申し上げた記載、記述が削除された経緯がありまして、その指すところが曖昧であるということでございます。

広田委員 もうこれでこの点についての質問はやめますけれども、鷲尾副大臣の誠実さというのは私も非常によく分かっております。恐らく、政治家同士で話すと非常に意気投合するところではないかなというふうに思いますが、外務副大臣というお立場があって、そのような極めて曖昧な答弁をせざるを得ないというふうなところは理解をするところでありますけれども、しかしながら、なぜここにこだわるかというふうにいうと、もし、この海警法というものが、中国側から見て尖閣諸島は領海であるということでこれが適用されてしまいますと、海警法に書いているような様々なことを今後やられる蓋然性というものが高まっていくわけです。それに対して、私たちは海上保安庁とそして海上自衛隊で備えなければいけないんです。

 例えば、今回の海警法の中には、魚釣島にある灯台というものも、法執行することによって撤去することができるというふうに読める規定もあるんです。やはりそういうふうなところも想定して、もし適用されているんだったら、我々は対処方針というものをやっていかなければならないということでありますので、ですから、この海警法が尖閣周辺に適用されているかどうかというふうな認識を持つことは、これからの尖閣諸島周辺の領海警備や南西地域の防衛を考えるときには極めて重要なことになるわけです。

 外務省のお立場と今の鷲尾副大臣のお立場というのは非常に理解するところではありますけれども、是非ともこの点ということを踏まえていただいて、是非、政治家として、副大臣として、この問題に向き合っていっていただきたいというふうに思うわけでございますので、その上で、この海警法の運用についてはしっかりと外務省としても注視をしていくというふうなことについての、最後、御決意を述べていただければと思います。

鷲尾副大臣 委員御指摘のとおり、大変重要な施行がなされたわけでありますから、国際法違反に対しては断固抗議をしていくとともに、しっかりと我が国の領土、領海、領空を守ってまいりたいというふうに思っております。

広田委員 どうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、積み残しというか、整理しなければならないことは、それはちょっと淡々とやらさせていただきますけれども、是非、敬愛する鷲尾副大臣におかれましてはしっかりと職責を果たしていただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 それでは次に、海上保安庁と海上自衛隊の連携強化についてお伺いをいたします。

 先日、十日の質疑で、奥島長官からは、海上自衛隊との連携が極めて重要であると述べられた上で、緊密な連携体制の構築や、海賊対処などの共同運用や共同訓練を実施して連携を深めているという心強い答弁がございました。

 一方で、その連携協力の法的根拠はと聞くと、海上保安庁法第五条第十九号の、警察庁及び都道府県警、税関、検疫所その他の関係行政庁との間における協力、共助及び連絡に関することの規定に基づいていると御答弁されております。つまり、防衛省のボの字も自衛隊のジの字もないわけでありまして、この点については心もとないものであります。

 今回、この点について、領海警備、南西地域防衛の要となります海保と海自の連携協力について、私はその他規定で読むというのはいかがなものかというふうに思うわけでありますけれども、そもそもこの規定ができたのがいつになるのか、奥島長官、いかがでしょうか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の規定でございますが、これは昭和二十三年、海上保安庁法が成立した年でございます。

広田委員 やはり昭和二十三年の非常に古い、前の規定になるんです。そのときの海保と自衛隊との関係を考えると、やはりなかなか、そういうその他規定になってしまうのは仕方がなかったのかなというふうに思いますけれども、それ以降に、特に九年前の尖閣国有化以降、海保と海自の連携そして協力というものが強化をされてきたことを考えれば、今のこの第五条十九号の規定というのは運用実態に合っていないのではないかなというふうに思います。

 今の時代背景や現状に合わせて、これについて見直すべきだというふうに考えますけれども、奥島長官、いかがでしょうか。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、海上保安庁が尖閣諸島周辺海域の領海警備を円滑に実施していくということのためには、海上自衛隊等の関係機関との連携といったことが重要であると認識をしてございます。

 海上自衛隊との連携、これにつきましては、先ほど委員からも御指摘がございましたけれども、五条十九号の規定に基づき実施しているところでありまして、現在、この規定に基づいて、海上保安庁は、防衛省・自衛隊と、本庁、各管区海上保安本部、現場の各レベルにおいて日常的に情報交換を行うなど、緊密な連携協力体制を構築しているところでございます。さらに、先ほど、実態面、運用あるいは共同訓練の話、委員から御指摘がございましたけれども、そういったことも通じて十分な連携を深めているところでございます。

 我々、現在、これでしっかり協力をしてやっていっておりますので、今後とも、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と連携して、事態をエスカレートさせないよう冷静かつ毅然として対応を続ける、領海警備に万全を期してまいりたい、このように考えてございます。

広田委員 ただいまの長官の御答弁を聞けば聞くほど、なぜ自衛隊のジの字も防衛省のボの字もその根拠規定に書かれていないのかなということについては、私は、多くの委員の皆さんが疑問、違和感を持たれるんじゃないかなというふうに思います。

 昭和二十三年当時であれば、確かにいろいろな意味で自衛隊と海上保安庁の皆さんとの間には緊張関係があったかもしれませんけれども、しかし、その後、非常に連携強化されております。そういう訓練等だけではなくて、防衛省のエース級も海上保安庁の方に派遣されて、いろいろな仕事もそういう面でもやっているわけでございますので、そういったことを考えたら、私は、これは自衛隊というか防衛省を追記するというふうな状況になっているんじゃないかなというふうに思うわけです。

 これまでも国交省の法案を見てみますと、既に予算措置でやっていることなんかについても、今回の踏切法なんかも、やはりしっかりと法案に明記をすることによって、より一層実効性を高められるというふうな形で法案の提案もされて、私たちも賛成をしているわけであります。今の現状があるからいいというふうなことではなくて、日々過酷な状況で緊張感を持って任務に精励している海上保安庁と海上自衛隊の実態を鑑みたときに、また海保と海自が一致協力、団結して、領海警備に当たっては本当に隙は見せないという国家意思を示すためにも、まずは第五条第十九号に防衛省・自衛隊を明記、追記をするということを、長官、ちょっと検討を、勉強をしていただきたいというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど来申し上げてございまして恐縮でございますが、関係機関との連携協力につきましては、現行の海上保安庁法に基づき、関係機関と情報共有、連携の強化、各種訓練の充実などを実施しているところでございます。

 自衛隊との連携ということは日々深めてございますが、更にどういった連携強化の方策があるのかということにつきましては今後とも継続して検討してまいりたい、このように思います。

広田委員 長官のお立場は非常に理解をするところがありますので、大臣、これについて、やはり大臣としてのちょっと御所見、質問通告はしてはいないんですけれども、今るる私が述べたような事柄を踏まえたときに、やはりこれから海上保安庁と海上自衛隊との連携強化、先ほど鷲尾副大臣と、尖閣に適用するかしないかでもかなりやり合ったんですけれども、非常にこの周辺が緊張感が高まる中で、海保と海自の連携強化というのは、これまで以上に私は重要になってくると思います。

 もちろん、奥島長官がおっしゃったように、非常にここに御留意されて、その連携強化を深めているということは十分に理解をするわけでありますけれども、だからこそ、その他規定で今のこの二つの組織の関係というものを位置づけるというふうなことは、やはり、今のこの時代状況を考えると、実態に合っていないんじゃないかなというふうに思います。

 すぐこれを追加するとか明記をするということは難しいかもしれませんけれども、是非、今のこの現状を踏まえた中で、この点について検討、議論をしていただければなというふうに思いますけれども、赤羽大臣の御所見をお伺いします。

赤羽国務大臣 今の現状下、領海警備において、海上保安庁と自衛隊との連携強化というのが必要だという御指摘はそのとおりだと思いますし、今も海上保安庁法に基づいて、特に平成二十七年の五月の、「いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、」ということで、海上警備行動、治安出動等の発令手続の迅速化のための閣議決定を行ったり、平成二十八年十二月に関係閣僚会議で決定された海上保安体制強化に関する方針に基づいても、そうした連携の強化、各種訓練というものを実施しているところでございます。

 広田委員のような主張をされている方もいらっしゃることは事実ですし、そうしたことを別に否定するつもりはございませんが、そのこと自体、私個人の見解は、政治的なメッセージというのはやはりはらむと思います。なぜ今法改正なのか、何が必要なのか、それは十分説明ができないと、私はこの地域で、我々は領土問題は存在しない、こう言っていますが、周辺の国は違うことを主張されていて、そこはやはり体制をしっかり整えるということは大事だとしても、同時に、やはり外交という形を通して緊張状態をエスカレーションさせないということも、これは両方大事だというふうに思っております。

 目的は一緒だと思っておりますので、そうしたことを考えながら、私は、現時点では、今の現行法の中で、実際的に海上自衛隊・防衛省と海上保安庁の連携強化に努めていくということが今やるべき大事なことなのではないかというふうに考えております。

広田委員 大臣のおっしゃることも理解できるところでありますが、ここはちょっと見解が違うところだというふうに思います。この点については、またいろいろ議論をしていきたいというふうに思いますけれども、是非とも、いずれにしろ、海保と海自の連携強化については、より一層深化をしていただければなと思います。

 それではちょっと、残った時間で、がらっと変わってしまって恐縮ですが、タクシーの支援策についてお伺いをしたいと思います。ワクチン接種に関連して、タクシーを活用することについてお伺いをしたいと思います。

 この点について、例えば静岡市の田辺市長は、高齢者が接種会場やかかりつけ医にワクチン接種に行くためのタクシーのクーポン券の配付を検討していることを明らかにしました。ほかにも宮城県の塩竈市であるとか、さらには水戸市、そういったところでも同様な動きがあるわけでございます。

 本当に今、コロナ禍でタクシー業界の皆さんは非常に厳しい経営状況に追い込まれております。そして、あわせて、いよいよワクチン接種が高齢者の皆さん、障害者の皆さんに始まるというときには、何らか、支援策の一つの答えとしてタクシーの利活用があるのではないかなというふうに思いますけれども、この点についての赤羽大臣の御見解と支援策についてお伺いします。

赤羽国務大臣 ワクチンの接種自体はそれぞれの地方自治体が行うもので、地域地域でそれぞれ、様々なやり方があるというふうに承知をしております。

 他方で、私もこの間、観光地、四十三の地域の皆さんと意見交換をする中で、やはり大変コロナ禍の影響を受けているタクシー業界、またバス業界の方たちにも新たな需要の創出をという強い意見の中で、ワクチンの接種者を会場まで輸送することについてという御要望がたくさん出ております。

 コロナの関係閣僚会議の場でも、私からも田村大臣、西村担当大臣にも申し上げ、そのことについては、基本的な原則としては国がちゃんと費用を見るということは確認をしておりますので、そうしたニーズがあれば、スムースに回っていくように私たち国交省としてもサポートしたい、こう考えております。

広田委員 大臣、この動きは今全国各地で出ておりますけれども、まだまだ十分に広がっているとは言えない状況でありますので、是非ともこの点について、周知徹底しながら支援策を講じていただくように、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、日本の観光再生宣言についてお伺いをいたします。

 内容については、お手元の資料にお配りをさせていただいておりますので、この点について赤羽大臣の方に、この日本の観光再生宣言をどう評価されているのか、そして政府として、観光の灯を消さない、観光の生産性を向上させるなどするために具体的な支援をすべきというふうに、どのように考えているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 三月一日に日本観光振興協会より日本観光再生宣言というものが提言をされ、直接御持参され、お会いもさせていただきました。コロナ禍で大変な深刻な状況に陥っていらっしゃる苦境の中で、観光の持つ役割、意義を問い直し、ニューノーマルの時代における新たな観光の在り方を目指して関係者一同頑張ろうという決意の表れだということで、重く受け止めたいというふうに思っております。

 直接お会いして率直に話をする中で、観光業界また宿泊施設は感染拡大防止を徹底して、宿泊施設などから感染クラスターも発生させていないのに、マスコミですとか国会ですとか様々なところで観光が感染の元凶であるかのように指弾されている現状は大変悔しくて、心が折れそうだという率直な意見も出ております。

 こうした中で、中身、三点書いてありますが、今申し上げたようなニューノーマルの時代での新たな観光の在り方、これはまさにGoToトラベル事業の目指すべきところと軌を一にしておりますし、二つ目は、このコロナ禍という制約下で、デジタル化を進める契機とするということですとか、他業界とのネットワークや集積されたビッグデータを生かす、また、観光産業の生産性の向上、地域に眠る観光資源の磨き上げ、レジリエンスなど、新たな視点の取組をしてレベルアップを図り、優秀な人材の確保や育成に取り組んでいこう、そして、どの地域でも少子高齢化、人口減少が進む地域が多いわけでありますが、地方創生のキープレーヤーとして地域貢献していこうということでございました。

 私は、こうしたこの大変なときに、この制約を逆に前向きに受け止めての試みについては最大限対応していかなければいけない、こう思っておりまして、国交省といたしましてというか政府として、昨年十二月に、感染拡大防止と観光需要回復のための政策プランを策定いたしました。

 その中で、ちょっと幾つか簡単に紹介しますが、国立公園等における自然の中での宿泊ですとか、お城や古民家での滞在、また滞在型観光、ワーケーションの推進など、新たな旅のスタイルの定着、また、デジタルトランスフォーメーションの推進ですとか、中でも、予算措置させていただいておりますが、全国百程度の観光地で、例えば観光地の中に残る廃屋を撤去する費用を公的に二分の一出そうとか、逆の、グレードアップすることについてもそうしたことを踏み込んで、魅力ある地域へのリニューアル、こうした取組も進めているところでございます。

 いずれにしても、観光関連産業は九百万人の雇用も抱えておりますし、地域の主たる産業である地域が大半でありますので、しっかり地方のために頑張ってまいりたい、こう考えております。

広田委員 時間が参りました。

 今回のコロナ禍で最も影響を受けている業種の一つが観光業であります。先ほどの大臣の答弁にあったように、本当にその中でも前向きな取組をしているところについては絶大な支援をしていただくように強く要請しまして、質問を終了します。

 どうもありがとうございました。

あかま委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

あかま委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、午後の質疑ということで始めさせていただきたいと思いますが、今日は、東京の外環道の工事現場で陥没事故というのが、事象というのがありましたので、それについてお聞きをしたいと思います。

 先立って、森社長にお越しをいただいています。どうもありがとうございます。御無沙汰しております。また、道路局長、そして鉄道局長、おつき合いいただきますようによろしくお願いをいたします。

 昨年十月十八日に、東京外環道路の地下トンネル工事のルート上にある東京都調布市の市道、調布市道において陥没事故が発生した。NEXCO東日本に設置された有識者委員会は、これは報道です、報道では、今年の二月十二日、小泉委員長が、施工ミスが主要因だとする調査結果をまとめた、想定以上に細粒分が少ないなど、それを確認した段階で慎重に掘削する方法があったがというような発言があったというふうに報道でお聞きをしています。

 施工ミスがあったという議論がありましたので、まずは、この施工ミスという委員長の発言について、国交大臣、どのように思われるのか、そしてまた、この調査結果報告をどのようにお考えか、大臣、お答えいただけますでしょうか。

赤羽国務大臣 先週金曜日、十九日に開催されました第七回目の有識者委員会におきまして、特殊な地盤条件下において、シールドカッターが回転不能になる閉塞を解除するために行った特別な作業に起因するシールドトンネルの施工が、陥没、空洞事象の要因と推定され、施工にミスがあったというのじゃなくて、細かくて恐縮なんですけれども、施工に課題があったことが確認されたということでございます。

 いずれにしても、シールドトンネルの施工が原因となりまして、調布市の市道で陥没が発生し、道路事業を所管する大臣として、地域住民の皆様に御迷惑をおかけし、また御不安を与えていることについては心からおわびを申し上げたいというふうに思っております。

 国交省といたしましては、この住民の皆様の御不安を取り除けるように、有識者委員会による報告書を踏まえまして、東日本高速道路会社が行う今後の進め方の検討、これはもちろん、賠償の在り方ですとか、再発防止とか、様々なことについては、住民の皆様に寄り添った、しっかりとした形で説明をしていただけるように、国交省としても最大限協力してまいりたい、こう考えております。

井上(英)委員 この外環道のトンネル施工を進めるための技術的な検討を行うために、同社が設置されている東京外環トンネル施工等検討委員会というのもあって、今回のこの有識者委員会というのもありますけれども、建設を進めるための検討と、それから工事をしていくうちにこうやって出たいろいろな問題をまた検討する有識者会議というのが、性質上、同じメンバーが一部おられるということになっています。

 そういう意味では、中立性にやはり疑念を持たせてしまうのではないかというのがあって、こういうときには公正中立な第三者委員会というのが調査をする必要があると考えるんですが、吉岡道路局長、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 この有識者委員会では、これまでも中立的な立場で外環事業に対する専門的な助言をいただいている東京外環トンネル施工等検討委員会から、有識者のみで構成する有識者委員会を立ち上げ、新たに地盤工学の二名の有識者に加わっていただき、検討が進められたと認識してございます。

 具体的には、各委員は、土木学会の地盤工学委員長、トンネル工学委員会及びシールド小委員会の相談役、専門委員、応用地質学会の名誉会員であるなど、トンネル工学、地質・水文学、地盤工学、施工法を専門とする各分野において第一線で研究や実務に当たられており、有識者委員会では、これらの方々に、公平かつ中立に、各々の専門の立場から、見地から御検討をいただいたものと聞いてございます。

井上(英)委員 先ほど局長がおっしゃっていただくみたいに、各分野の専門家ということで、重なるところというのは全く否定をしているわけではないんですけれども、ちょっとそういう意味での、李下に冠じゃないですけれども、別に、怪しい、そういうことを申し上げているのではないんですけれども、検討委員会と有識者委員会でやはりしっかりとそういう検討をまたしていただけるように、そういったことも踏まえていただくということもまた頭の中に入れておいていただけたらなというふうに思います。

 それでは、森社長に今日はお越しをいただいているので、森社長にもお聞きしたいと思いますが、先ほど大臣も答弁があったように、やはり陥没事象というのが、落ちたというのは非常に不幸なことであって、やはりそういった補償も含めてしっかりとNEXCOには対応していただきたいというふうに思っていますが、今年の二月、先月にNEXCO東日本が開催した住民説明会での説明資料には、補償の方針についてという項目があって、建物等に損害が発生した場合において、原則として従前の状態に修復、原状復帰ですね、復元するなど原状回復、補修するということや、家賃の減収相当額、地盤補修工事完了後において生じた不動産売却損、また疾病などによる治療費といったもの、もろもろについても補償するということで方針が記載されております。

 住民説明会では具体的な説明がなかったと報道されています、これも報道ですけれども、報道されています。住民に対してはいつ頃具体的な補償の内容を提示されるおつもりかお聞かせいただきたいのと、また、陥没エリアから離れているところでも家屋に被害を受けている方がいるという話も聞いています。住民説明会にも参加させていただいていません。もちろん、コロナという問題もありますので、非常に限定的にやられている、これはもう仕方がないのかなというふうには思っていますけれども。

 説明会に参加した住人に対して、団体交渉しない、個人のやり取りの内容を公にする行為は控えてほしいなどと書面につけ加わっていると。損害を負わせた側が余り、条件を要求する立場であるということに対して、納得がいかないという声も聞こえてきます。なぜ団体交渉しないのか、併せて、森社長、見解をお伺いしたいと思います。

森参考人 お答えいたします。

 久しぶりの答弁でございますが、残念なことは、この久しぶりの答弁で、冒頭でおわびをしないといけないことでございます。

 今回の東京外環の工事に伴いまして、陥没あるいは空洞を発生させてしまったこと、これ自身は、その地下を、トンネルを掘らせていただいていた、これが原因になって地上に陥没が発生をしたということ、委員会からも御指摘をいただいておりまして、事業者として心からおわび申し上げる次第でございます。

 今委員の方から御指摘いただいたように、委員会からおまとめをいただいた後、二月十四日、十五日にかけまして、地域で、地権者の方あるいはその周辺に住んでおられる方々にお集まりいただきまして、説明会を行いました。

 その中で、基本的には、建物等に損害が発生した場合、少なくとも、私どもとしても、従前の状態に戻す、修復、復元するという、原状回復することを基本とさせていただいて、それに伴って、実際に発生した損害、先ほど委員からも御指摘いただいたような、家賃減収だとか、あるいは疾病の治療といったようなことについても補償しますということを文書でお見せさせていただいているところでございます。

 実際に、その後、私どもの方、その地域にお住まいの方々、大体一千世帯いらっしゃるんですが、その一千世帯の方々に個別で全て訪問をさせていただいて、実際にはお会いできていない方もまだいらっしゃいますけれども、個別に訪問をさせていただいて、例えば必要な調査をさせていただく、そして、今分かっているものに関してはもう応急に補修もさせていただくということで、今、私どもの方で聞いている情報としては、既に十七件、家屋等々の応急補修をさせていただいたということになっております。

 それ以外にもまだいろいろ調査をしてほしい等々の要望がございますので、一件一件、しっかりと寄り添いながら対応させていただければというふうに思っておりまして、特にここにお住まいの世帯の方々、皆さんそれぞれ個々にいろいろな事情を抱えておられる状況がございますので、基本方針はお示しをさせていただきましたので、今後は、できるだけ一件一件にちゃんとしっかりとお話をさせていただいて、その御要請に応じた補償をしっかりとさせていただくということで考えているところでございます。

 具体的に、また、補償対象の地域外についても、今回損害の申出がございましたら、しっかりと調べさせていただいて、必要な対応はさせていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

井上(英)委員 森代表取締役、ありがとうございます。

 様々な声がありますので、団体交渉が絶対いいというふうにも私は思っていませんし、個人個人でそれぞれ対応、いずれにしても、被害に遭われた方の相談というかそういったもの、それで補償が必要であるならきっちりとやっていただくということが非常に大事ですので、その辺はお任せしたいと思いますが、せっかく一生懸命、担当者の皆さん方も、今言われるように個別に対応したり様々やってくれているのに、誤解を与えて、加害者側の方が何か偉そうに見えるというようなことを言われるだけでももったいないといいますか、その辺は気をつけていただけたらというふうに思っています。

 次に、NEXCO東日本のこれも発表でお聞きをしているのは、今年の一月にはまた別の場所でも空洞が見つかったというふうに聞いています。それもしっかりと対応を順次していっていただいているというふうにちらっとレクのときにお聞きをしていますが、そういうこともあって、そういった国交省の対応状況、さらに、この工事の再開がやはり今後、この外環道路の必要性自体は多分皆さん大きく疑っていないというふうには思っています。でも、もちろん、被害に遭われた方々の原状回復、原状復帰も含めてきっちりと補償するというのは、これはもう大前提ですけれども、それも踏まえて、工事の再開の条件、見通しというのをお答えいただけたらと思います。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 陥没、空洞事象の原因となった本線シールドトンネルについては、今後、家屋補償など必要な補償を誠意を持って対応しつつ、まずは工事により影響を受けた地盤の補修などを行っていく必要があると考えてございます。

 また、有識者委員会により、今後のシールドトンネル施工を安全に行うために再発防止対策も取りまとめられたことから、東京外環事業におけるシールドトンネル工事の再開に当たっては、各事業者がこれを踏まえて各々の再発防止対策を検討していくものと認識しております。

 一方、今後の外環道工事の全体スケジュールについては、原因となった本線シールド工事に伴うこうした一連の対応状況も踏まえながら、各事業者が連携して検討を行っているところでございます。

 いずれにしましても、国土交通省としましては、住民の方々の不安を取り除けるよう、今後の進め方などの検討及び住民の方々への説明について最大限努力するとともに、各事業者と連携してしっかりと検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

井上(英)委員 もうあと二分なので、上原局長に最後お聞きをしたいと思うんですけれども、このシールド工事ですね、こういうちょっと事象がありましたけれども、今後、リニアも含めて大深度の工事、同種のがあると思いますけれども、しっかりとそういう疑念を払拭していただけるか、お答えいただけたらと思います。

上原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のシールド工法による大深度地下でのトンネル掘削工事につきましては、第一首都圏トンネルのうち、東京都品川区から町田市の間の三十三・三キロメートル区間及び第一中京圏トンネルのうち、愛知県春日井市から名古屋市の間の十七・〇キロメートルの区間において計画されているところでございます。

 先週十九日、調布市の陥没を受けた有識者委員会の報告書が公表されましたが、リニア中央新幹線の事業主体であるJR東海としても、この報告書を十分に踏まえて工事を行うこととしております。

 具体的には、地盤の特性に応じた工事の施工方法など工事の安全確保に関し、有識者委員会の検討結果を受けて、実施すべき対策について検討していく。トンネル掘削工事を開始する前には、工事を行うルート沿線の住民の皆さんを対象に、有識者委員会の検討結果を受けた対策等を含め、工事の内容についての説明会を開催する予定であると聞いております。

 国土交通省といたしましては、安全に十分に配慮し、このような説明会等を通じて地域の理解と協力を得ながら適切にトンネル掘削工事を実施するよう、JR東海を指導してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 どうもありがとうございます。

 森社長、ありがとうございました。

あかま委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 立憲民主党の青山大人でございます。

 幾つか質問をさせていただきます。

 まずは、国道六号千代田石岡バイパスについて伺います。

 実は今日、私、今朝もその現地を行って見てきましたけれども、やはりこの千代田石岡バイパスの中で、土浦市中貫から常磐道千代田石岡インターチェンジの付近は二車線の道路であり、慢性的に渋滞が発生をしており、交通上も大きな課題がございます。

 しかし、この区間、いまだ事業化されていない区間でもございます。地元からは、もう何十年もたっており、早期に事業化を求める声が大変強いですが、当該区間の新規事業化の見通しについて、まずはお伺いします。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 国道六号千代田石岡バイパスでございますけれども、かすみがうら市の市川から石岡市の東大橋までの延長五・八キロの区間が事業中でございまして、現在、埋蔵文化財調査、用地、改良工事、橋梁工事を実施しているところでございます。

 これまで多くの土地の所有者の方々の御協力を得て、順次工事を実施してきたところですが、一部の土地の買収見込みが立たない状況を踏まえまして、地元で推進する会議を設立しまして、これまで三回にわたり用地取得状況について共有を図ってきたところでございます。

 残る用地についても、地元自治体と連携しつつ、土地所有者の方々と交渉を重ねているところですが、現時点では用地取得のめどが立たない箇所もあることから、今年一月に、土地収用法に基づく事業認定の申請を国土交通大臣に行ったところでございます。

 引き続き、任意交渉に最大限の努力を続けてまいりますけれども、今後も用地取得ができない場合に備え、事業認定の告示がなされた後、茨城県収用委員会における収用手続も進めていく予定でございます。

 一方、御指摘の土浦中貫から千代田石岡インター間の未事業化区間につきましては、御承知のとおり、二車線で二万九千台の車両が通行していて、四か所の交差点もある、朝夕の時間帯を中心に渋滞も発生している状況で、課題があるというふうには認識してございます。

 御指摘の区間につきましては、四車で開通している土浦バイパスや、隣接している千代田石岡バイパスの今事業中区間を連絡する重要な区間でございますけれども、六号の交通状況や隣接する千代田石岡バイパスの今事業中区間の進捗状況などを踏まえながら、今後、この区間の整備方針について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

青山(大)委員 私は、同じ質問を二年前の予算委員会の分科会でいたしました。そのときの政府参考人の答え、今のについて、まさに、特に土浦中貫から千代田石岡インターチェンジのまだ事業化されていないところにつきましては、全く同じ答弁でございました。

 あれから二年が経過しているわけでございます。千代田石岡バイパスの北側については、今御答弁いただいたように、実際、進んでおるのも、私も目の当たりにしています。しかし、私が今聞きたかったのは、その南側の部分、二年前と同じ答弁では私は納得しません。もう一度、再答弁お願いします。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 千代田石岡バイパスには、まずバイパスになっている区間を優先して事業をやっているということでございますが、今年、令和二年の三月に開催した検討会を地元でやっておりまして、御指摘の区間を含めて、当面の進め方については、国、茨城県でも確認を行ったところでございます。

 また同じ答弁になって恐縮でございますけれども、隣接する事業区間の状況も踏まえながら、周辺状況も勘案しながら、事業実施に向けた検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

青山(大)委員 御承知のように、その北側の部分は、おっしゃったように、地権者の件もありますし、遺跡が結構埋まっていることは承知なので、なかなか進まないのも事実なんですよね。

 そういった中で、まさに私が繰り返し言っているまだ事業化されていない区間、この区間に、今度、地元のかすみがうら市がスマートインターチェンジなんかも造りながら工業団地を造ろうという計画も、多分知っていると思います。だから、まずはここの事業化を重ねて要望しますし、今回、こうやって参議院の予算委員会もやっている中で、大臣が大変忙しいのは私もよく分かっていますので、本当だったら大臣にこの質問を聞いてほしいのが本音ですけれども、そこは、私は別に、そこの地元の声がしっかり皆様たちに届くことが一番だと思っていますので、まさに、この土浦市中貫から千代田石岡インターまでの間のところは、ここは事業化に向けて是非ともお願いいたします。この質問はこれからも継続してやっていきます。

 それでは、次の質問に行きます。

 首都圏中央連絡自動車道、通称圏央道について伺います。

 これも二年前の予算委員会分科会で質問したときには、二〇二四年度までに全車線四車線化ということでございます。その後の進捗状況の見通しについて伺います。そして、その際にも、現在、今、対面通行なので非常に事故の危険がある中で、その事故対策も重ねて伺います。そして、坂東パーキングエリアを整備中とのことでしたが、具体的な供用開始時期、そして、圏央道常総インターチェンジとつくば中央インターチェンジの間の仮称スマートインターチェンジの供用開始時期の見通しについても重ねてお伺いします。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず四車線化の部分でございますけれども、圏央道の久喜白岡インターから大栄ジャンクション間の四車線化につきましては、平成三十年度より財政投融資を活用しまして、令和四年度から順次完成、令和六年度までの全線完成を目指して事業を進めているという状況でございます。

 茨城県内の路線延長七十・四キロのうち、既に工事に着手した区間の延長は二十四キロ、工事の着手率は延長ベースで四割となっておりまして、工事の全面展開に向けた動きを加速している状況でございます。

 それから、安全対策のことで、ワイヤロープの話かなということでございますけれども、全国の暫定二車区間におきまして、技術が確立されました土工部及び中小橋について鋭意設置を進めているところでございまして、当該暫定二車線区間につきましても、四車線化を急ぐ一方で、土工部、中小橋の区間につきましてワイヤロープ設置を進めており、令和二年度に六・六キロ、それから令和三年度は四・〇キロの設置を行う予定でございます。令和四年度以降は順次四車化という話もありますので、その状況を見ながら設置を検討していきたいということでございます。

 それから、当時は夜間のことも御質問をいただきまして、その関係も、インター部でしか、局部的にしか照明が設置されていないというところもありますので、更なる夜間の視認性の向上が必要だというような意見もありまして、従来よりも反射率の大きな塗料を使用した区画線に加えて、車線中央上に視線誘導として設置しているラバーポールというのがありますけれども、それを幅広の反射材を備えたタイプに交換するとか、あるいは対向車線の注意を促す高輝度の看板の設置などの対策も進めてきたところでございまして、この追加対策、この二つの対策ですけれども、昨年度は、幅広反射材を備えたラバーポールを約二十キロにわたって設置する、そういうことをしたほか、高輝度の注意板を十一か所で設置したということでございます。

 あと二つ、インターについて御質問いただいた、坂東パーキングエリアでございます。これは、江戸崎パーキングエリアと菖蒲パーキングエリアのほぼ中間となる坂東市内のパーキングエリアでございまして、これにつきましては、今、東北道へ向かう上り線側のパーキングエリア等については坂東市による用地買収が進められておりまして、また今年二月にはNEXCO東日本による作業ヤード造成のための伐採工事も完了いたしまして、三月から造成工事に着手したところでございます。

 また、常磐道へ向かう下り側のパーキングエリアについては、令和二年十月より、NEXCO東日本が用地取得に必要な用地調査を実施しているということでございます。

 引き続き、これは四車線化の完成時期に合わせた早期完成を目指して、用地取得、工事を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 最後に、つくばのスマートインターについても御質問をいただきました。

 これにつきましては、二十九年度に事業化後、用地買収、必要な設計を令和元年度中に完了いたしまして、令和二年度からつくば市が主体となって用地買収を今進めているというところでございます。

 しかしながら、これは一部用地が難航しておりまして、つくば市と、今、東日本高速道路会社が連携して、積極的に地権者の説得を試みているところと聞いております。

 現時点では、全地権者の同意が得られないということから、工事に着手することが難しい状況でありまして、用地買収完了後、速やかに工事に着手する予定と聞いているところでございます。

 以上でございます。

青山(大)委員 時間が残り五分ですので、次に行きます。

 首都圏新都市鉄道、通称つくばエクスプレスです。

 これは、コロナ禍でも、私もここを使っていますけれども、やはりすごい、満員でございます。二年前、まさに予算委員会分科会で質問したときに、二〇三〇年代に現在の六両から八両化にするということが、その後、つくばエクスプレスの広報の方で発表されました。

 ただ、幅が十年間と非常に長いので、その辺の八両化の整備見通しについて、現在の状況をお聞かせください。

上原政府参考人 お答えいたします。

 つくばエクスプレス八両編成化事業につきましては、事業主体である首都圏新都市鉄道株式会社におきまして、二〇一九年五月に事業実施を決定し、公表されました。現在、八両編成車両の運行に必要な設備関係工事等に鋭意取り組んでいるところでございます。

 具体的には、秋葉原駅、新御徒町駅のホーム延伸に係る土木建築工事については二〇二〇年八月に完了し、現在、浅草駅、南千住駅の土木建築工事を行っているところでございます。

 今後、沿線の他の駅におけるホーム延伸工事や、総合車両基地の留置線の延伸工事を進めていくこととなりますが、工事の作業時間が終電から始発までの限られた時間となることや、全線地下又は高架区間で作業スペースが限定されるなど、工事の物理的制約があると聞いております。

 このため、同社は、二〇一九年五月の計画公表の際、供用開始予定時期は二〇三〇年代前半と決定いたして公表しておりますが、現時点でその予定時期に変更はないと聞いております。

青山(大)委員 そして、もう時間がないので次に行きます。

 茨城県で、霞ケ浦二橋について質問します。

 茨城県が二〇五〇年までに掲げる大きな構想の一つに、日本で二番目に大きい湖である霞ケ浦に橋を架ける霞ケ浦二橋というものがございます。これは、一九九一年、平成三年、当時の石岡市、出島村、玉里村、そして美浦村で準備会が発足し、現在は茨城県内十一の市町村が加わり、霞ケ浦二橋建設促進期成同盟会が中心となって、その実現に向け、様々な活動を行っております。私も茨城県議会議員時代に、建設促進期成同盟会の顧問として関係機関に要望活動を行ってきました。

 一昨年十二月、茨城県議会の産業の育成・振興に関する調査特別委員会でも霞ケ浦二橋の必要性が強調されており、また、霞ケ浦二橋は、首都圏直下地震などの災害発生時における首都圏からの避難経路を補完するルートにもなり得ます。

 霞ケ浦二橋について、国として、そろそろ茨城県と連携しながら具体的に取り組む段階に来たという認識でございますが、今後の取組についてお伺いします。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 霞ケ浦二橋は、地域高規格道路の千葉茨城道路を北へ延伸し、霞ケ浦の二つの入り江に橋を架け、東関東自動車道水戸線に接続しようとする道路構想であり、平成三十年十一月に策定された茨城県総合計画に示されていると承知しております。

 現在、当該地域においては、茨城県が県道竜ケ崎阿見線バイパスや茨城空港アクセスなどの整備を重点的に進めており、霞ケ浦二橋については、沿線開発の状況、費用対効果等も勘案しながら、長期的な視点で取り組む考えであると茨城県から聞いてございます。また、地元市町村では担当者勉強会が開催され、他の架橋事例を参考にしながら、実現の方策を研究されているとも聞いてございます。

 この道路構想は、茨城県の県南地域から県央地域に至る広域交通ネットワークの充実強化を図るものであり、茨城県の発展を支えることが期待される重要な基盤インフラの一つであると国土交通省としても認識してございます。

 国土交通省としては、この構想の具体化に向け、今後、茨城県から要望や相談等があれば、適切に対応してまいります。

青山(大)委員 以上で質問を終わりにしますが、今日は、茨城県南地域の皆さんたちが非常に関心がある質問だけに絞ってさせていただきました。一番最初の国道六号千代田石岡バイパスの未事業化区間、この事業化に向けては是非とも早期に、重ねて要望し、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

あかま委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後一時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十八分開議

あかま委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 乗客乗員合わせて約三千七百名のうち、七百十二名が感染し、十三名が亡くなったダイヤモンド・プリンセス号の全ての乗客乗員が下船したのが昨年三月一日でした。それから丸一年をもってダイヤモンド・プリンセス号集団感染事故の検証を求める全国連絡会が立ち上がり、九日、報道機関に声明文を発表しています。

 大臣は、この声明文を御存じでしょうか。

赤羽国務大臣 通告いただきまして、声明文自体、様々探したんですけれども、率直に申し上げると手に入らなかったんですが、先ほど高橋委員から頂戴いたしました。ありがとうございます。

高橋(千)委員 忙しい中だったとは思いますが、読んでいただけたでしょうか。(赤羽国務大臣「はい、読みました」と呼ぶ)はい。

 この声明文は、政府機関と第三者機関、あと乗客、当事者の参加による検証を行うことを求めております。当事者しか分からない当時の船内の様子、貴重な写真や記録、証言を提供していただくことも、今後のクルーズ船はもとより、感染症対策にとっても重要だと考えるからであります。

 二月四日の予算委員会で、当時厚労省の副大臣として対応に当たった橋本岳議員から、検証すべきではとの質問があって、菅総理は、新たな感染症への備えにも直結するのでしっかり検証していくと答えております。

 本委員会でも、大臣は、ダイヤモンド・プリンセス号についてはいずれきちんと検証を行うと答えていたと思います。私も、その瞬間は無理でも、いずれはきちんとしてくれるということを確認してきたと思っているんですが、正直、今の事態に驚いているわけです。

 それで、連絡会は、下船後、ダイヤモンド・プリンセス号を運航するカーニバル社からは一切の連絡もないと訴えています。事実関係を確認したいと思います。

赤羽国務大臣 いや、驚かれていると言われて、少し驚いたんですけれども。

 国交省としては、あの事故を受けて、クルーズの在り方ということで、様々、このダイヤモンド・プリンセス号を所有している会社ですとか、そうした検証は行っております。これは、国際クルーズのみならず、クルーズ船自体の今後の在り方ということも大変重く受け止めているので、外務省とも連携しながら、国際ルールの在り方等々も詰めております。これは詳しくは海事局長から答弁させます。

 そうした意味で、何もやっていないということではないし、また、あと、政府全体としては、当然、この当時からオペレーションをやられていた、検疫ということで、厚生労働省の下で、まさに橋本岳副大臣が現地対策本部長としてやられていたわけでありますので、私は、政府として、これはこれまでずっと答弁しておりますが、落ち着き次第、この検証をするというふうに思っておりますので、当然そういうことはなされるだろうというふうに、また、なされるべきだというふうに私も思っています。

大坪政府参考人 大臣が答弁されましたが、国交省としては、まず、国内運航を前提にして、再び安心してクルーズを楽しめるように、感染拡大防止のために船舶及び港湾において必要な措置を検討するという視点から、感染症や危機管理の専門家とともに、ダイヤモンド・プリンセス号事案から得られる課題や教訓について検討をしました。この検討において、カーニバル・ジャパン社からも当時の状況については聴取しています。この検討に基づいて、船舶と港湾の業界団体がガイドラインを公表しており、関係者が連携して、国内クルーズの安全、安心の確保に努めているところです。

 また、国際クルーズについては、まだ先になると思いますが、これも大臣の答弁にありましたが、外務省でこの複数の関係者、立場の違う国の役割分担等についての検討を行っておりまして、これに国交省も参加しているところです。

 また、カーニバル・ジャパン社については、そこに確認したところ、元乗船者やその御家族には誠実に対応しているとのことで、これまでのところはトラブルになった事例はないと聞いています。

 また、今回の連絡会については、カーニバル・ジャパン社が言うには、報道で知ったのみであり、連絡会からの要請とか通知といったものは受けていないということであります。

高橋(千)委員 順番に聞いていこうと思っていたものを、一遍に大臣がおっしゃるので。

 昨年の九月十八日に、クルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめを公表をしておりますよね。その中で検証という言葉が出てくるんですけれども、ほんの一ページちょっとということで、これは極めて、検証と呼ぶにはちょっとおこがましいかなという、大変失礼ですけれども、そういう印象を持った。

 要するに、連絡会の皆さんが、一年、いろいろ待って、一つの区切りとしてこれから求めていこうとしている中で、やはり、指摘をしているような、当時の証言とか記録をちゃんと活用してほしいということにはまだ応えたものにはなっていないと思うんですね。

 それで、まず伺いますが、厚労省としては検証作業をされたのか、そして、もしまだなら今後する予定があるのか、お答えください。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 ダイヤモンド・プリンセス号に係る対応の経緯につきましては、昨年五月に一定の整理を行いまして、報告書として取りまとめ、公表しているところでございます。

 先生御指摘の詳細な検証につきましては、今まさにコロナの感染症の収束に向けて全力で取り組んでいるところでございまして、事態が収束した後に、今般の対策に係る検証の一環として取り組んでいくことになるというふうに考えております。

 具体の検証の方法等につきましては、政府全体として感染症に係る対応を検証する段階において具体的に決定することになるというふうに考えております。

高橋(千)委員 これから必要だということをおっしゃっていただいたと思うんですね。

 少し私なりに振り返ってみたいと思うんですけれども、昨年一月二十日に横浜から乗船した香港の男性が、二十五日に下船後、二月一日、コロナウイルスの陽性反応が出ました。ほとんどの乗客たちは、二月四日に横浜港で下船する予定が、翌日から十四日間の船内隔離というまさかの展開になりました。

 私は昨年二月六日の予算委員会で質問しておりますが、この時点で、PCR検査を行った乗客二百七十三名のうち、三十一名の結果が出て、うち十名が陽性だったと。三人に一人ということで衝撃が走ったわけですが、その後、そこまでの高率ではないけれども、でも、五人に一人、結果としてはということがあったと思います。

 私は、クルーズ船というのは、やはりジムあり、プールあり、サウナあり、汗をかき、飛沫感染する要素が集中しているじゃないかと指摘もいたしました。また、船内の乗客から、湿度が上がらないとの写真入りメールをいただいたり、部屋によっては窓がない、つまり換気が不十分なところもあると。今だったら当たり前の感染しやすい要素が集中していた、このことも振り返る必要があるのではないかと思います。

 また、問題は、乗客に正確な情報がほとんど入らなかったということなんです。二月一日に那覇港で長時間にわたる検疫を受けるわけですが、これは乗客が多いので当然長時間になってしまうんですが、聞かれたことは、武漢に行ったか、その程度だったといいます。

 私がずっと疑問に思っていたのは、それぞれの乗客にとって、自分が濃厚接触者なのかどうかというのは分からないわけなんですね。情報が入らないし、同じ部屋、同じ行動を取っていた団体ならいざ知らず、クルーズ船は一つの町に例えられるくらい広いわけです。一般的な手洗い、マスクなどの感染症対策を取りつつも、下船を信じて疑わず、いつもと変わらぬ日々を過ごしていたことは、連絡会代表の一人である平沢保人氏が公開している、艦詰日記というのを書いているんですが、その中で詳細に書かれています。その中で、同じテーブルを囲んだくらいでは、部屋番号はおろか、顔もうろ覚えの関係で、濃厚接触者なのかどうかは分かろうはずもないと言っているのはうなずけることだと思います。だからこそ、こうした証言を今聞かなければならないと思うんです。

 それで、大臣も厚労省も検証が必要だということは言ってくださったんですが、やはりこれは呼びかけていただいて、厚労省も、国交省も、外務省も、関係省庁一緒になって、また、第三者やそして当事者も参加をさせて検証を行うべきだと思いますが、その考えはないか、伺います、大臣に。

赤羽国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府としての検証は、そのとき検疫をやり、結局は、この事案についても我々も随分サポートしましたけれども、あくまで指揮下に置かれていたという立場でありました。ですから、検疫の部門がトップで、そこに対しての指示を受けて、海上保安庁なり、様々な港湾管理者との連絡をして、接岸をするとか、毎日の汚物をどうするかということで、湾外に出すとか、そうしたことをオペレーションをしていたということであります。

 ですから、そうした経緯の中で、一番全体像が分かっているのは、検疫をつかさどった厚労省であり、現地対策本部を見ていたところだというふうに思いますので、もちろん私から、厚労大臣と関係のところには申し上げますし、また、そうした政府の総括というか取りまとめをするときに、国交省として果たしてきたことについてどうだったかというのは、当然のことながらやらなければいけないと思っております。

 現場の皆さんとしてそれがどうかというのは私が今決めるわけではありませんし、現場の話を聞くということは大事だというふうに思いますので、そのやり方というのは私が今ここで具体的には申し上げられませんが、ヒアリングをするとか、そうしたことはあり得るのではないかなと思います。

 ただ、私も、中のことは詳細は分かりませんけれども、当時を思い返してみますと、二月の三日に、実は菅当時の官房長官の下に関係大臣が夜集められまして、そのときははっきりしたことは分からなくて、何か十名ほど陽性者がいる可能性があると。それをどうするかという話をして、真夜中までかかったんですが、早速、海上保安庁の船で、港湾局の責任者と厚生労働省の医務官が代表してダイヤモンド・プリンセス号に横づけして、そして、お客さんがパニックにならないように、それに、まだ船長さんも詳しいことを伝えることができていないので、そうしたことからオペレーションを始めたということを記憶しています。

 それで、かつ、初めての、新型コロナウイルスの正体も当時全く、正体は今でも分かっていませんけれども、様々なデータとか知見も集積されておりませんでしたので、何というか、何も分からない新たな感染症に対してのことを少しずつやっていったということだったというふうに思っております。

 ちょっと一言だけ申し上げたいと思うんですが、なるべく隔離した方がいいというのは多分当時からあったと思うんですね。ですから、個室に入ってもらっていた。ですから、ヒアリングすること自体、私も大事だと思いますが、お客さんが全て全体を分かっていたかというと、恐らくそういう状況ではなかったんだろうなと。ですから、そういう意味では、現地対策本部長だった橋本副大臣ですとか、当時の、中に入っていた医務官は正林さんという、多分、今、健康局長かな、彼が一番、全体を掌握していたのではないかなと。

 ですから、そうした下の中で、繰り返しになりますが、政府としての総括は行われるべきだというふうに思っておりますし、今日こうした御質問が出たということは、私から一義的には厚労大臣にしっかりお伝えをしようと思っております。

高橋(千)委員 実は、昨日も厚労省が中心になってやるべきじゃないかというふうなお話があったんですが、私は決してそうではないと思っているんです、どちらも大事だと思っているので。

 さっき、やはり証言も聞かなくちゃということを少し言ってくださったので、今日は政務官もいらしていますし、大臣にも聞いていただきたいんですが、連絡会が記者発表して、新聞各紙にも一部掲載されました。それを見て、七十代の女性から次のような電話が入ったということです。

 検証するという記事を読んで、電話しました。私は、船内にいた二月七日から三十八度三分の熱が出て、五日以上苦しみました。何度も医務室に電話してもつながらず、厚生労働省は何回電話しても誰も出ません。DMATの人も来てくれません。本当に困りました。その後、いきなり両手を抱えられて、荷物を一切持てないまま車に乗せられて、途中、トイレにも行けず、ある病院まで連れていかれました。本当にひどかった。着いてみて、それが群馬であることが分かった、そこまで一切トイレにも行けなかったと。あんな経験は二度としたくない、船の実態をみんなにももっと知ってほしい、そう思って電話をしましたということです。

 どのように思われるでしょうか。まるで犯人のように両腕をつかまれて、どこに連れていかれるかも分からず、トイレにも行かせてもらえず、これはある意味人権侵害じゃないか、こう思うんですね。

 大変な緊張感と混乱の中で、検疫の方も医療チームも本当に御苦労されたことは分かります。だけれども、こうしたことをやはり曖昧にしてはならないと思うんです。政務官にも一言、感想でもよろしいですので、お願いします。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 本当にダイヤモンド・プリンセス号、当時、様々混乱があったものだというふうに理解をしております。

 その上で、委員御指摘の件でございますけれども、私ども、今、ちょっと個別の事実関係、承知していないものですから、お答えは控えさせていただきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 率直な感想でよかったんですけれどもね、残念ですね、そういうことが言えないというのは。でも、そういうことがいっぱいあったんだということを受け止めてもらわなきゃ。聞いてもらわなかったら、やはり記憶がはっきりしているうち、あるいは残っているうち、写真とか全部、そういううちにやってほしいということを重ねて言いたいと思うんですね。

 国交省は、昨年、毎週のように、新型コロナウイルス感染症への対応についてという、こういうペーパーを出していましたよね。更新更新して、お部屋に届けていただきました。

 それで、改めて引っ張り出してみたんですけれども、確かに、横浜港に停泊して十四日間の隔離、その権限は検疫所長にあると説明されています。これ自体も拡大解釈じゃないのかな、ちょっと整理が必要だと思うんですが。

 問題は、国交省は検疫の前段階で、港湾管理者に検疫所との連携や感染対策への協力を要請し、厚労省にクルーズ船の入港情報を提供したのは一月二十四日、これは港湾局です。同日、外国のクルーズ船社の日本代理店に対して、中国発着の外航の客船、クルーズ船内のアナウンスの実施と健康カードの配布について協力要請を行ったのは海事局です。そのほかにも、検査キットの輸送やら乗客の輸送やらで、海保や自動車局やそもそも観光庁など、あらゆる場面で国交省は関与せざるを得なかったわけでありますよね。当然だと思うんですよ。クルーズ船をこれまで誘致してきた、増やしてきた、そのあらゆる場面で関わってきたわけですから、本当に国交省としても御苦労されたわけです。

 そういう意味でも、第一義的には厚労省だというふうに言わなくても、やはり両方責任があるよという立場に立っていただければいいのではないかと思います。大臣、さっき、厚労省に言うと言ってくれましたので、ここは指摘にしたいなと思います。

 それで、伺いたいのは、昨年の九月十八日に、クルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめを公表し、感染拡大防止のガイドラインの作成、要するに、何泊もしないとかPCR検査を義務づけるなど工夫を行って、国内クルーズ船は再開しましたが、御存じのように、緊急事態宣言とともに一旦止まったわけです。

 国交省にしてみれば、早く外国船を再開したいと思っているのではないかと思うんですね。三月三日の日経新聞は、外国クルーズ船、再出航へ協議会を発足との記事を載せています。世界で運航を再開しているクルーズ船は約二十隻しかなく、うち三隻が日本船である、外国船社にとっても期待が大きい地域だとの協議会幹部の声を紹介しています。

 プリンセス・クルーズのホームページを見ますと、今年七月から、今年です、七月から十月の企画として、横浜発着、日本、韓国、ロシア、台湾を回るということで、ディスタンスを取ったり消毒の徹底をしたり、感染防止対策をしっかり取っていることを紹介しつつも、「この一瞬が、永遠に輝く 思い出に」とうたっています。つまり、夏には再開するんだなということが分かるんです。

 ただ、永遠に輝くためにも再開は慎重であるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

大坪政府参考人 先ほど、国際クルーズの再開についてのお話がありました。

 私の方から、感染対策を検討したというのは、国内クルーズを前提に検討したもので、それに従って業界ガイドラインを作り、今、国内クルーズが徐々に動き始めて、また感染の拡大によって止まってしまった。今度は国内のクルーズを、これから徐々にまた再々開しようという状況にあります。

 国際クルーズについては、当然、関係国もありますし、はるかに複雑な調整が必要になります。したがって、国際クルーズ用のガイドラインもこれから作らなければいけないという状況で、実際に運航するとなれば、寄港する予定の港、それからほかの国ですけれども、そことも調整が要ります。当然、これは水際対策に影響しますので、プリンセス・クルーズ社の計画というのも、これは恐らく見込みで言っているのだと思いますが、このような様々な状況を鑑み、国際クルーズについては慎重に検討していかなければいけないので、水際対策に非常に依存しているということを申し上げたいと思います。

高橋(千)委員 確認をします。

 国内クルーズは徐々にと、まだ今までどおりの規模ではないと思うんですが、緊急事態宣言が解除されたので戻していくという考えであろうということをまず一つ確認をしたいというのと、外国船のクルーズに関しては、今、プリンセス・クルーズが、確かにこういうホームページに載せているんだけれども、だからといって何も決まっているわけじゃないということで、やはり国際ルールづくりもやっていくということを言っているし、実際に、幾ら感染対策をしたとしても、同じようなことが仮に起こってしまった場合、その受皿とか調整というのはまだまだできている状態ではないのだから、今、その再開という話が俎上に上っているわけではないということでよろしいでしょうか。

大坪政府参考人 委員御指摘のとおり、まずは、今現段階というのは、国内のクルーズで、なおかつ同じところに戻ってくる、ほかの港に寄港しないとか、あるいは寄港したとしても非常に短い距離、一か所寄るとか、そういう短期間のクルーズから徐々に始めようとしているところです。

 これは十月に再開して、数か月運航しましたが、その間、徹底してガイドラインを遵守し、その間に感染症事案は起こっていません。これから再々開する上でも、ある意味、非常に慎重に事を進めて、関係者が全員、注意に注意を払って、この再開に向けて動こうとしているところです。

 国際クルーズについては、やはりこれも更に調整が必要なことで、まずは水際対策に依存いたしますし、国際クルーズ用のガイドラインも今検討の途上にあります。これらを踏まえて再開の時期を探るということになると考えています。

高橋(千)委員 ここは確認をさせていただきました。

 やはりこれは、今日あえて聞きませんけれども、厚労省から見ても、医療提供体制、三千七百人の乗客を受け入れるということは、また同じことが起こったらそのシナリオはないというのが今現状だと思うんです。

 さっきいろいろ、お部屋の制限のこととかおっしゃいましたけれども、もし本当にそうであれば、この一つの町がずっと動いていて、隙間なく、何か、一人感染したら離すこともできない、その余裕もないような状態で本当にいいんだろうかとか、そういうことも含めてルールをつくらなきゃいけないし、幾らPCR検査を受けて乗り込んだとしても、やはり外国船籍というのは寄港するのが、どこかの国に寄るのがルールなので、寄ってしまったときに、じゃ、そのたびに検査するんですかとか、そういうことがやはり問われてくると思うんです。そういう意味でも、本当に慎重でなければならないと思います。

 実は、国交省の中間取りまとめの中に、IMO、国際海事機関における国際ルール作りも視野に我が国が主導的な役割を果たすというふうにうたっているわけですね。私は、いいことだと思うんですが、主導権をやはり果たすというのであれば、なおのこと、しっかりとこのダイヤモンド・プリンセスの問題を検証することが必要だということを重ねて指摘して、今日は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

あかま委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 早速、質問に入りたいと思いますが、まず最初に、大臣に確認的にお伺いしたいと思いますけれども、GoToトラベルについて、現状では、当分の間、再開をするような状況にはないというふうには思われるんですけれども、ただ、ゴールデンウィークとかを非常に期待していらっしゃる方もいると思います。一部地域、感染が広がっていない地域においては、場合によってはゴールデンウィーク前にも再開される、そういう可能性というのはあるんでしょうか。どうなんでしょう。

赤羽国務大臣 そもそも、GoToトラベル事業は、原則全国で展開をするということで、国の事業として始めています。もちろん、ブロックごととか、そういう応用が全くないとは言えませんけれども、今、基本的にはそうしたことを考えておりますので、全国が一斉にステージ2相当以下になるということは非常に重要だし、そこがならないと政府の中でもなかなか難しいという判断、今もそういう状況ですから。ですから、ちょっと、これは私一人というより、西村担当大臣とか田村厚労大臣の方が所管でありますけれども、ゴールデンウィーク前にそうした状況に劇的になることが望ましいですけれども、なかなか簡単ではないのではないかなというふうに、今、私の立場としてはそう思っております。

古川(元)委員 私もちょっと難しいんじゃないかなと思うんです。

 じゃ、何らかの状況で、状況が改善したところで再開をするということは検討しておられると思うんですけれども、そういう再開する場合の条件として、いろいろな状況が変わってきているわけです。

 例えばワクチン接種も始まっています。ですから、例えばワクチン接種を済ませた人、こういう人に対しては旅行するときに何か割引をつけるとか、また、最近は、旅行前にPCR検査をしてもらって、陰性の人で旅行を企画するとか、そういうことも行われているわけなので、旅行前にPCR検査を行って、陰性を確認した上で旅行を行うような、そういうものについて検査費用を助成するとか、感染リスクの少ない人についての旅行を喚起するような方策を取ってはどうかなというふうに思うんですね。そうしますと、例えばワクチン接種すれば旅行が割引になるとなれば、ワクチンどうしようかなという人が、それであれば打とうかという、ワクチン接種を推奨することにもなると思います。

 また、やはり今の一番の問題は、この新型コロナの問題は、無症状の人がいて、そういう人たちが感染を広げているというところじゃないかと思うんですが、検査件数が増えれば無症状感染者を見つけるきっかけにもなって、そういった意味では、旅行に行く人も増え、そして、そういうワクチン接種に行く人も増えるとか無症状の人が見つかるという意味では一石二鳥じゃないかなと思うんです。再開するときに向けての条件整備でそういうようなことを考えてはどうかと思うんですが、いかがですか、大臣。

赤羽国務大臣 まず、その前段として申し上げなければいけないことは、GoToトラベル事業、昨年の十二月二十八日まで、一部地域が欠けていたところもありますが、延べ人数でいきますとおよそ八千七百万人泊の御利用があって、その中で、滞在中も含め、滞在後の一週間後ぐらいまで含めて、感染されたのは四百名前後だったということであります。

 ですから、今の仕組みの中でも、観光関係の皆様の誇りというか自負は、そうしたしっかりとした感染拡大防止を取ってきたし、観光地域でクラスターが起こったことはないという、それは私もそういうふうに思っております。

 他方で、これだけ全国で感染状況が広がり、まだ、緊急事態宣言は解除されたとはいえ、リバウンドに対して大変各地域の知事さんが警戒心を持たれている、対策を取らなきゃいけないと言っていた状況の中で、これが落ち着いてからにはなりますが、いずれにしても、国民の皆様が安心して旅行を楽しめる、そうした環境をつくるというのが我々の仕事だと思っておりますので、そうした場合に、今委員言われたように、PCR検査ですとか抗原検査を受けるところに、陰性の証明ですから、何らかの、ちょっと具体的には制度設計はしておりませんけれども、そうしたことの費用負担ができるとか、何か少しそれを促せるような仕組みにするということは検討しております。

 ただ、ワクチン接種についての方は、いわゆるワクチンパスポートの導入について様々な議論があることでありますので、ここについてはなかなか、同列には少し、考えるのは慎重に対応しなければいけないのではないかなというのが、まだ結論は出ておりませんが、省内で議論している途中経過でございます。

古川(元)委員 私は、このコロナとのつき合いはまだ数年は続くと思うんですね。ですから、感染リスクをゼロにするということは無理だと思うんです。しかし、なるだけリスクを少なくする。さっき大臣が使われましたけれども、やはり、安心できる状況ですね。安全とまで言えない、絶対安全ですとは言えないけれども、まず安心ですよという状況を作るということが、人が動く、じゃ、旅行に行こうかとか、そういうことにもやはりつながるんだと思うんですね。

 ですから、やはり、こういうことであれば安心ですよ、取りあえずは、絶対安全とは言えませんけれどもということの、そういう環境を作る、これが非常に大事なことじゃないかと思いますから、是非そこは前向きに検討していただいて、こういうのも、再開するときにはこうしますよということをなるだけやはり早めに、繰り返し私はいつもこの委員会で言っていますけれども、再開する直前の一週間や二週間前というんじゃなくて、再開をするときにはこういうふうにしますよとか、やはり、そういうものを、条件を早めに出していただくというのが、関係者の皆さん方にとって、少しでも準備ができる、そしてまた安心できることだと思いますので、是非そのことをお願いしたいと思います。

 同時に、これも何回かここで繰り返し申し上げていますけれども、やはり観光業とかあるいは公共交通機関なんかの苦境は、GoToトラベル、これで救えるものではないんだと思うんですね。ですから、以前から申し上げていますように、ここまでやはりこの状況が続いて、まだまだしばらく長期化しそうだという状況を考えますと、このGoToトラベル以外に観光業とか交通運輸産業に対する支援、ここを何とか守っていかないと、数年後にインバウンドも含めて戻ってきたときに、宿がないとか、あるいはそこに行く足がない、そういうことにもなってしまいかねませんから、やはりこれはGoToトラベル以外の何か、こういう観光立国を目指している我が国なんですから、支援策を考えて、そして実施する、そういうことを国交省としてやるべきときに来ているんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

赤羽国務大臣 その点は大変おっしゃるとおりだと思いますが、これまで、言わずもがなでありますが、雇用調整助成金、相当拡充して、これの継続、延長させていただいております。恐らく、観光関連の皆さん、一番裨益しているのではないかなというふうにも思っておりますし、これは制度が続くまで、所管大臣としてしっかりとお願いしていこうと。

 資金繰りにつきましても、これまでも無利子無担保融資等々やってきましたが、昨日の対策本部で決定いたしましたが、政投銀ですとか商工中金が、これまで民間金融機関との協調融資というのは従来原則でありましたが、これを停止して、単独でも積極的に支援できる、これは、ホテル、旅館業を意識した特別の対策でございます。

 また、地域の公共交通機関に対しましては、REVICなどの政府系ファンドが債権の買取りを行うなど支援を行うということも同時に決めましたし、これは、補正予算とこの当初予算の中で、公共交通の地域の鉄道路線、バス路線、離島路線、こうしたものを維持するために加えて、感染症の防止対策の強化ということで、補正予算と当初予算合わせて五百億円を超える大変大きな支援もさせていただいているところでございます。

 それと、観光、宿泊事業者に対しては、キャンセル料についての支援も、見合いの支援も行いましたが、それに加えて、それに係る手続に対する、約一〇%を乗せるような形で取っておるということでございます。

 いずれにしても、古川委員言われたように、いざこのGoToトラベルを再開するときに、宿泊事業者が潰れてしまったとか、公共交通機関が本当にそれが支えられなかったという事態はあってはならないわけでありまして、これはしっかりとそうしたことに目くばせをしながら、常に現場からの必要な、適時適切な対応、しっかりとしていきたい、いかなければいけない、こう思っております。

古川(元)委員 観光業というのはやはりサービス業なので、サービス業というのは、いろいろな、無利子無担保で融資してといっても、これは、戻ってきたときに実は倍取り戻せるものじゃないんですよね。サービス業で今失われた需要というのは後から取り戻せるものじゃないので、そういう融資とか何かでつなぐというだけでは、やはりこの苦境を乗り切るというのはなかなか難しいんじゃないかと思うんですね。ですから、是非そういうことも検討していただきたいということをお願いしたいと思います。

 次に、カボタージュ規制についてお伺いしたいと思います。

 カボタージュ規制というのは、国内輸送を自国船籍に限るという国際慣習に基づく規制でありまして、日本では、船舶法に基づいて国交大臣が特許を出さない限り、日本船舶以外は日本の各港の間で物品又は旅客の輸送をしてはいけないということになっています。その堅持をすることは、海洋基本計画でも明記されております。にもかかわらず、先日、JR九州高速船所有のパナマ船の新造船クイーンビートルについて、特許を与えた。

 本来であれば、これはやはり日本船籍に変えさせて、国内で輸送を認めるべきだったものだと思うんですが、なぜ日本船籍に変えさせずに、結果としてカボタージュ規制に風穴を空けることにつながるような特許を認めることになったんですか。

大坪政府参考人 JR九州高速船は、日韓定期航路における旅客専業の唯一の日本船社です。同社は、日韓の交流人口の更なる拡大を図るために、同航路に投入するべく、大型高速船クイーンビートルを新たに建造したところです。

 しかし、令和元年夏頃より日韓間の関係悪化を背景に輸送人員が大きく落ち込むとともに、新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年三月六日の閣議了解に基づく要請に従って、日韓間の定期運航の中止を余儀なくされ、クイーンビートルは博多港に係留されてしまっている状況となっています。

 同社からは、経営状態が深刻化する中で、乗組員の雇用を維持し、企業としての存続を図るため、クイーンビートルを博多港発着の国内遊覧運航に投入すべく、船舶法に基づく沿岸輸送特許の申請があったところです。

 三月八日に特許申請があったクイーンビートルの国内遊覧運航につきましては、あくまで日韓定期航路再開までの時限的なものであるということを明確にした上で、運航事業者が日本船社であり、かつ乗組員全員が日本人であること、また、起終点が同一であり、二地点間の輸送ではないことなど、様々な条件を付して、三月十日に緊急避難的な措置として特許したところです。

 なお、運航エリアが博多港周辺に限定されていることから、ほかの国内事業者に影響が及ぶことはなく、また、船舶の安全性については、日本の基準に準拠して確認しております。

古川(元)委員 要は、今の話だと、政府の要請に基づいて停止した、また、財政、経営状況が悪くて赤字だから、限られた範囲内だから認めたということですか、それは。

大坪政府参考人 特許に当たっては、我が国における安定輸送の確保の観点から支障を生じないこと、また、日本の海上運送事業者による物品又は旅客の輸送に支障を生ずるものではないことといった条件があり、これらの審査基準に照らして個別に判断しています。

 今回の場合は、先ほど述べたように、まず日本の船会社であること、それから、日本の基準も準拠していますので、輸送の安全にも影響がありません。起終点が同一で博多港周辺しか行かないので、ほかの国内事業者に影響も与えようがない。このような様々なことを考慮して、特許の基準に従って慎重に判断を行ったというものであります。

古川(元)委員 これはなぜ、じゃ、日本船籍に船籍変更する、そうしてやってください、そのための支援はする、そういう手だては取れなかったんですか。

大坪政府参考人 このカボタージュ規制は、特許を与えない限り、日本籍船でなければならないというふうになっていますが、特許を与える条件というのがあって、先ほど述べたような審査基準に従って特許を与えています。

 もちろん日本籍船にするという選択肢はあり得ますが、様々な状況を勘案し、また非常に期間限定的であるということなども含めまして、これを日本籍船に変えるというよりは、この特許の条件、基準に当てはめれば、今回、期間限定で、日韓航路が開くまでの間これに特許を与えても特許の基準は満たすというふうに判断をして、特許を与えたものであります。

古川(元)委員 じゃ、今後も、その条件を満たせば特許を与えるということですか。

大坪政府参考人 ほかの案件については、個別の輸送事案ごとに慎重に判断することとなります。

 先ほど述べた審査基準に照らして個々に判断しますので、今回与えたもの、今回例外的に様々な条件を付して緊急避難的な措置として特許を与えていますが、先ほど言いました、個別の輸送事案ごとに審査基準に照らして慎重に判断をするというその方針は、今後も変わることはありません。

古川(元)委員 局長、自分の言っていることが、さっきとちょっとずれていると思うんですよね。

 特許の基準に当たったからと言いながら、今回は特例的に、そして緊急避難的に認めたというのは、それは、基準に当たっただけじゃなくて、基準に更にそういうことで、そういう状況があったからという話になっているんじゃないですか。先ほどの、前の答弁と今の答弁と、ちょっと違うんじゃないですか。どうですか。

大坪政府参考人 先ほど言いました基準にかんがえますと、国内で、例えばパナマ籍といった外国籍船を人員の輸送に使おうとした場合に、先ほど言ったような基準に当てはまるようなケースというのは非常に限定的です。

 この基準自体は非常に、それ自体は解釈の余地はあり得ますが、この基準に照らして、この緊急避難的という意味は、この基準に当たるケースというのは非常に少ないというものです。例えば、日本の海上運送事業者による輸送に支障を生じないというのは、例えばこのパナマ籍と日本籍との間で税負担等に差があって公平さが欠ける、ほかの日本の海運事業者に悪影響を与えるという場合がありますが、今回は、地理的な条件等を考えれば、与えようがないというものであります。

 委員のおっしゃるとおり、本来、この特許というのは例外的な措置であり、日本籍船で運航するというのが原則でありますので、できるだけそのような状況が望ましいと思いますが、今回については、様々な条件に照らせば、日本の海上輸送、安定的な輸送にも影響を与えないということから、この許可を、特許を行ったものであります。

古川(元)委員 これは最初の質問にちょっと答えていないと思いましたけれども、何で、じゃ、日本籍船に変えて、しかもなかなかこれは、さっきから申し上げているように、簡単にはこの状況は解消できないんじゃないかと思うんですよね。ですから、そういうことを考えたら、なぜ日本籍船に変えるということで対応をしなかったんですか、ここは。

大坪政府参考人 日本籍に変えるという判断は、我々がもし特許をしなければ、企業の判断としては、このまま運航できない、あるいは様々なハードルを乗り越えて、多額の、税負担も生じるんですけれども、それをもって日本籍にする、その二つの選択肢しかないということになります。

 今回のケースは、繰り返しになりますが、極めて期間限定的で、会社の経営状況も非常に悪く、船員の雇用も危ぶまれているという状況の中で、かつ、特許の基準を考えれば、ほかの海運事業者にも影響を与えない、安定的な輸送にも影響を与えないということですので、期間限定的にこの特許を与えるというのが合理的であるというふうに考えた次第です。

古川(元)委員 最初に申し上げたように、日本籍船にして、そのための支援をしてあげればいいんじゃないかと思うんですよね。

 やはり外国船籍というのは、先ほどの高橋委員のダイヤモンドクルーズの話もありましたけれども、日本の法律、税制が及ばない、しかも税金の負担もないということでありますから、やはりそこは、そういうこの原則、カボタージュ規制のこれは、とにかくなるだけ守っていくという。

 どうも今回のは非常に恣意的に、特別な場合だといっても、行われたんじゃないか。やはりこのことが、幾ら、講じた手だてとしては適法で、それなりに理解が得られるものであったとしても、やはり行政として、税制上の公平性とかそういうものを考えると、本来あるべきものじゃないんじゃないかと思うんですね。

 今回の一件で、内航海運やフェリーとか旅客船など国内海運産業に関わる人たちは、将来に大きな不安を持つようになっております。こうした不安を払拭するためには、今回の件、これを今後の参考とはしない、前例とはしないということを明確に約束することが必要だと思いますが、大臣、いかがですか。

赤羽国務大臣 まずちょっと、私の理解では、今回特別な対応だったと思います。それは、古川先生言われたように、今回のコロナ禍の長期化の中で、このJR九州の船会社を本当に潰してはいけないという判断が海事局であったと思いますよ。ですから、極めて特例的に、そして、おっしゃるように、日本船籍船に変えろということなんですけれども、そうするとそれなりのやはり費用負担が発生しますから、筋論という意味では、私は、古川委員の言われていることはよく分かるけれども、この平時じゃない中での本当に会社を潰さないという、これは先ほど先生自身もそういうふうなことが必要だと言われたことの一環というか、同じ思いの中で海事局として対応したんだというふうに思っております。

 ですから、これはあくまでもコロナ禍の特例的な対応であって、このことによってこのカボタージュ規制が何かアリの一穴みたいになって、おかしなことになるということはあってはならないというふうに思っておりますので、そこはしっかりとコントロールしていきたい。これは本委員会での大臣の発言ですから、それは議事録に残るということで、それなりの、私が言うのも変ですけれども、重みがあるのではないかと思っております。

古川(元)委員 私も、全然、潰せなんて言っているわけじゃないんですよ。これは支援しなきゃいけないんです。ただ、支援の仕方がちょっと違うんじゃないんですかということなんですね。

 特に内航海運の状況は、もう大臣も御存じのように、別にこのコロナがなくても相当厳しい状況の中でやっているわけです。こういう中で、やはり今回のがアリの一穴になるんじゃないかという非常に不安が広がる。広がっているわけです、実際、そういう声は、海運組合とか何かからも、大臣も聞いていらっしゃると思います。

 やはり、そういう中だからこそ、そういう不安を払拭するということは非常に大事であって、まさに日本は、これだけ海に囲まれた、だから本当に海運事業というのは極めて重要な、そこはまさに国策としてもしっかり支えていかなきゃいけないんだと思うんですね。そこにそういうような、アリの一穴みたいなことがあってはならないと思いますから確認させていただいたんですが、先ほどの大臣の言葉をしっかりこれは重い言葉として受け止めさせていただきますし、是非そこは国交省としても、今の大臣の言葉を受け止めていただきたいと思います。

 それにちょっと関連して、少し附属的なことを質問したいと思いますが、今回のような事例で、パナマ船籍の乗船に関して、船員の船員保険は付保されているんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から、こういった方々について船員保険は付保されているのかというお尋ねでございます。

 付保されているかどうかというのは被保険者に当たるかどうかということになるかと思いますが、この船員保険制度の被保険者につきましては、船員保険法上、船員法第一条に規定する船員として船舶所有者に使用される者等とされているところでございます。

 こういったパナマ船籍の船舶に乗船する船員であったといたしましても、船員法に規定する船員として船舶所有者に使用される者であれば、船員保険の被保険者として各種保険給付を受けることとなっているところでございます。

 こういった具体的に船員法に規定される船員に該当するかどうかといったことにつきましては、船員法を所管する国交省の御判断によることになるというところでございます。

 以上でございます。

大坪政府参考人 先ほど船員法の適用の話がございましたが、今回は、本件クイーンビートルの船員については、船員法が適用されています。このため、我々も、船員は船員保険に入っていますし、船員法上の我々の手続の中で、各船員が船員保険に入っている、加入しているということも確認しております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 では次に、確認ですが、これは日本の就業規則の適用は受けられるんですか。

大坪政府参考人 クイーンビートルに関する就業規則については、日本法人であるJR九州高速船株式会社が作成し、船員法に基づく届出がなされて、船員法上問題ないことを確認しておりますので、クイーンビートルの船員については、この就業規則が適用されます。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 それでは、もう一つですが、船内で労災があった場合に、船員保険法上の職務上労災の適用は受けられるんですか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 一般論でございますけれども、船籍のいかんにかかわらず、船員のうち、労働者であって、日本国内の事業主に雇用されていること、また、船員法の適用のある船舶に乗り組んでいるか、乗り組むために雇用されていること、この双方の要件を満たせば、労災保険の対象となるところでございます。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 やはり船員の皆さん方の不安にしっかり応えていただきたいということをお願いして、この質問を終わりたいと思います。

 時間がなくなってしまいましたが、最後に一つだけ、高速道路の料金についてお伺いしたいと思います。

 五月一日から、中京圏の高速道路料金について、大都市近郊料金水準に整理、統一、そういう名目で、対距離制が導入されることとなりました。

 しかし、資料を見てみますと、東海環状自動車道の整備の加速化、一宮ジャンクション付近や東名三好付近における渋滞解消のためのネットワークの拡充に必要な財源確保の観点からというふうにされているんですね。

 ということは、これは実質上の値上げじゃないかと思うんですが、いかがですか。

吉岡政府参考人 お答え申し上げます。

 中京圏の料金体系の見直しに当たり、社会資本整備審議会の中京圏小委員会の意見を踏まえ、名古屋高速や名古屋第二環状に対距離制を導入する、さらに、東海環状自動車道内側における料金水準を、高速自動車国道の大都市近郊区間の水準並みのキロ当たり二十九・五二円にそろえることとしたところでございます。

 その結果、例えば、東名高速、名神高速等の放射方向の高速道路のみを利用する交通はやはり値上がりとなります。

 これにより確保される財源を活用し、地元自治体や利用者団体等からも要望のあった、一宮ジャンクション及び東名三好インターチェンジ付近の渋滞対策や東海環状自動車道の整備を促進するということにしたところでございます。

 一方、名古屋高速、名古屋第二環状においては、対距離制の導入により、短距離区間を利用する交通は値下がりとなるため、名古屋高速、名古屋第二環状のみを利用する交通に加えて、例えば、東名高速と名古屋高速を連続して利用する交通も値下がりとなる場合があります。

 このように、利用する経路により、値上がりとなる場合や値下がりとなる場合もありますが、現在の利用状況に変化はないと仮定した場合、全体としては値上がりとなる車両の割合が多くなると認識してございます。

古川(元)委員 今日はもう時間がなくなりましたので終わりますが、やはり高速道路を、せっかくあるものをどううまく活用するかということは非常に大事なことだと思います。また、何か、距離制にして、短いところは安くなりましたといいながら、実は全体で値上げになって利用者負担が多くなるということは、これもいかがかと思いますから、この辺についてはまた次の機会に議論させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

あかま委員長 この際、御報告いたします。

 本日予定しておりました特定都市河川浸水被害対策法の趣旨説明と参考人決議は、本日は行わないこととなりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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