衆議院

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第8号 令和3年3月31日(水曜日)

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令和三年三月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 あかま二郎君

   理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君

   理事 土井  亨君 理事 平口  洋君

   理事 簗  和生君 理事 城井  崇君

   理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    井上 貴博君

      泉田 裕彦君    岩田 和親君

      小里 泰弘君    加藤 鮎子君

      門  博文君    菅家 一郎君

      工藤 彰三君    小林 茂樹君

      鈴木 貴子君    田中 英之君

      田中 良生君    高木  啓君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      中村 裕之君    鳩山 二郎君

      深澤 陽一君    藤丸  敏君

      堀井  学君    三ッ矢憲生君

      山本  拓君    荒井  聰君

      伊藤 俊輔君    岡本 充功君

      辻元 清美君    松田  功君

      道下 大樹君    山本和嘉子君

      北側 一雄君    吉田 宣弘君

      高橋千鶴子君    井上 英孝君

      西岡 秀子君    古川 元久君

    …………………………………

   国土交通大臣政務官    小林 茂樹君

   国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君

   参考人

   (中央大学理工学部教授) 山田  正君

   参考人

   (千葉大学大学院園芸学研究科教授)        秋田 典子君

   参考人

   (武蔵野大学客員教授)

   (アクアスフィア・水教育研究所代表)       橋本 淳司君

   参考人

   (元日本福祉大学教授)

   (国土問題研究会副理事長)            磯部  作君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     中曽根康隆君

  金子 恭之君     藤丸  敏君

  古川 元久君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     門  博文君

  藤丸  敏君     金子 恭之君

  西岡 秀子君     古川 元久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

あかま委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 本日は、本案審査のため、参考人として、中央大学理工学部教授山田正君、千葉大学大学院園芸学研究科教授秋田典子君、武蔵野大学客員教授、アクアスフィア・水教育研究所代表橋本淳司君及び元日本福祉大学教授・国土問題研究会副理事長磯部作君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、山田参考人、秋田参考人、橋本参考人、磯部参考人の順で、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず山田参考人、お願いいたします。

山田参考人 中央大学の山田と申します。

 今日のお配りしております、「流域治水で国民の命と資産を守り美しい山河の保全と創造をはかる」という資料に基づいて、私の意見を述べさせていただきます。

 まず初めに、こういう場をいただきまして、日頃感じていることを陳述できる機会を与えていただきましたことに感謝しております。

 一ページ目に私の経歴を書いておりますので、学生時代から、今、ちょうど一月で七十歳になったんですけれども、今日が私、退職の日でして、ちょうど最後の退職の日にこういう機会を与えられたことをありがたく感じております。

 ずっと一貫して、洪水災害であるとか、川のいろいろな水質、ウォーターフロントの創造とか保全とか、そういうことに関わってきました。

 二ページ目なんですけれども、これは公にされている資料なんですけれども、戦後の洪水による資産の被害額、及び、折れ線グラフが死者数になっております。

 それで、戦後のある時期、一九四〇年代後半から五〇年代にかけては、毎年のように千人以上、伊勢湾台風では五千人以上の方が亡くなっておられたのに対して、どんどんどんどん、治水事業を展開することで、このグラフのように、これは縦軸は対数グラフですので御注意ください、折れ線は対数グラフです。それで、この図から、どんどん死者数は減ってきたとは分かるんですけれども、この十年ぐらいは数十人から百人を超す水害被害の方が出ております。

 この数十人から百人を超すオーダーというのは、実は、面積が二十五倍もあるアメリカ合衆国における、この同じ図を描くと同じオーダーになります。つまり、日本は、アメリカの二十五分の一の面積であるにもかかわらず、死者数はこれだけ多いんだということを理解できると思います。

 次に、三ページ目に、これは我々の研究室で調べた、常総市の、縦軸が避難した人の割合です。常総市は、数年前に大きな洪水が起きまして、縦軸二十キロぐらい、約二十キロぐらいの区間が氾濫しております。

 じゃ、このぐらいの氾濫に対して大勢の人が逃げてくれたのか。その場合には、水平に逃げるというのと鉛直に逃げるというのと、両方持っていますけれども、これを見ていただくと、もうあふれているにもかかわらず、なかなか逃げてくれません。

 これは、一常総市じゃなくて、洪水災害が起きるたびに、私の研究室は、学生諸君が一緒になって現地に行って、九州の方まで行って調査したりしますけれども、大なり小なりこういう傾向を持っております。これがなぜ、避難すればいいじゃないかというんだけれども、なぜ避難しないんだろうか、そこが一つのキーポイントになります。

 一つは、小さいときからの防災教育なんかをもっと充実すべきかなとか、あるいはコミュニティー間で過去の洪水の歴史を学び合うとか、そういうものがだんだんだんだん都市化とともに薄れてきているんじゃないかとか、幾つか考えられます。

 さらに、洪水は、普通は、死者、亡くなる方とか、あるいは家とかがなくなる、あるいは中小企業なんかの工場が水浸しになってしまうということはありますけれども、それを受けて、四ページ目の右を見ていただくと、これも常総市かと思いましたけれども、若者が、十五歳から六十四歳ぐらいまで、これはもっと若い世代なんですけれども、若い人がどこか町を離れていってしまう。だから、亡くなる、あるいは資産がダメージを受ける以外に、若い人がその町からいなくなってしまうということになります。

 次の五ページ目ですけれども、流域って何だろうか。これは国土交通省の研究所がまとめてくれたような資料から取ってきておりますけれども、流域というのはなかなか分かりにくいものです。

 六ページ、見てください。利根川の流域です。ここには、六都県、百五十二市町村、人口が千三百万人という膨大な流域を持っています。片や、県内を流れる十数キロの川とか二十キロの川とかいうのもあります。だから、小さい川からこんな大きな川まで、流域といっても様々です。この中で流域治水という概念をどうやって醸成すればいいのか、これは非常に厄介なことです。

 元々利根川というのは、御存じのように、徳川家康が今の形に持っていったわけですから、千葉県の東の方の人たちは歴史的に利根川という意識はないんですね。今やっとこうなったものですから、上から下まで同じ利根川ですよと言っても、歴史的にそんな感性がなかなかない中で、流域という概念をどうやってこれから若い人に伝えていけばいいか。

 七ページ目。かといって、国、文科省なんかでも、防災教育というのもだんだんだんだん増えてはきております。しかし、私の目から見ると、まだまだ防災教育というのは足りないんでしょうか、足りないと思います。

 例えば、私の娘婿は、ある土木系コンサルタントで防災教育の出前講座みたいにして小学校や中学校に行っていますけれども、これはほとんどボランティアなんです。仕事の合間にしかボランティア的な活動ができない。もうちょっとちゃんとした、専門家の話を聞けるような防災教育にならないかと思っております。

 ところで、八ページ、流域治水というと、国土交通省が社会資本整備審議会の中でこういうものを打ち出し始めた頃、しっかりとそれを見て、私も専門家ですから、それをある人なんかに話すと、ああ、ハードをやめてソフトに転換したのねと言うから、いやいや、そんな簡単なことではないと。ハードとソフトのベストミックスを考えるんですよ。ハードでやらなきゃいけないところはハード、だけれども、ハードじゃなくてソフトでやれるところはソフト、そこを流域の人たちと一緒に真剣に、国及び流域、県、市町村あるいは関係ステークホルダーの間でしっかりと学ぼうというのがこの趣旨かと思っております。

 九ページ、これは一級河川の、それぞれ河川整備計画というのを作ります。ところが、これを見ていただくと、関東、北陸、東北で、計画降雨というのがありますけれども、二日で三百ミリとか四百ミリとなっていますけれども、令和元年東日本台風時には、二日じゃなくて一日で、二十四時間でこの雨を超えてしまっております。

 つまり、最近の雨は非常に短期間にとんでもない大雨、計画していたような雨を超えるような雨がもう至る所で降っているんだということで、地球温暖化に伴う気候変動のせいではないかということで、コンピューターシミュレーション、どんどん今進んでいまして、やっています。その結果、十ページ目にありますように、大体、二度C上昇したときには一・一倍、あるいは、北海道なんかは一・一五倍が降るとシミュレーションされております。

 ところで、この数字はかなり信頼できる、今の最も進んだコンピューターシミュレーションだと思っておりますけれども、これは実は統計学で言う平均値です、期待値です。

 十一ページを見てください。これは、ちょっと説明し出すと長くなりますから、もう結論的に言いますと、二度C上昇で日本全体が一・一倍とか一・一五倍降ると言っていますけれども、これは期待値、平均値ですから、そこから外れる雨だって当然起きます。じゃ、そのときにどうすればいいのかということになります。

 最後に十三ページを見ていただくと、繰り返しますけれども、ハード対策とソフト対策のベストミックス、さらに、それを、国なら国、県なら県とか、市なら市が、それぞれ独立にいろいろなことを考えるんじゃなくて、被害最小化であるとか人命最優先するだとか、そこのところをしっかり議論する法的根拠を出すのが、今度の特定都市河川法改正とか、それ以外の水防法の改正とかに含まれているものかと私は理解しております。そのためには、グリーンインフラももう最大限使うとか、あるいは、ハザードマップを全国津々浦々の川にまで見せて、どんな小さい川でもちゃんとハザードマップを整備するんだとか、そういうことが重要なことかと思っています。

 さらに、これは、治水というと、すぐ洪水対策ですかと言われるんですけれども、私は、そうじゃなくて、平常時の、ふだんの川とのつき合い方も大いに含まれていて、それが都市計画であったり地域計画であったり、平常時の計画、その平常時の計画が洪水時にも大いに役に立つ。道路一本造るにしても、それを二線堤として使えないかとか、そういうふうな都市計画と川とのもっと深い連携、それを担保するのが今度の改正かと私は理解しております。

 また御質問があれば、そのときに細かい説明をさせていただきたいと思います。

 以上です。(拍手)

あかま委員長 ありがとうございました。

 次に、秋田参考人、お願いいたします。

秋田参考人 よろしくお願いします。千葉大学大学院園芸学研究科の秋田と申します。本日は、このような貴重な機会をいただき、ありがとうございます。

 それでは、早速、資料に沿って意見陳述をさせていただきます。

 まず、表紙を御覧ください。

 やや見づらいかもしれませんが、これは川だけ地形地図というもので、利根川の流域の部分を切り取ったものです。この地図では、山から海まで、川が毛細血管のように大地に張り巡らされていることが分かります。私たちが川の恵みの中で暮らしていることを改めて認識し、川とともに暮らしていく知恵を紡ぐ場づくりが、今回の法改正を通じて力強く前進することを願っています。

 二ページ目を御覧ください。

 私は、都市工学、都市計画を専攻し、現在はランドスケープ学という分野の教員を務めております。二〇一一年の東日本大震災の発生から十年間、現地の復興に深く関わり、災害とまちづくりの在り方について、研究、実践の両面から検討を重ねてまいりました。

 三ページ目を御覧ください。

 災害とまちづくりに関する研究や実践から、私自身が流域治水の取組の中で最も重要だと考えることは、山田先生と同じですが、治水対策とまちづくり、すなわち都市計画など都市側の施策との連携です。

 これは当たり前のことだと思われるかもしれませんが、これまで、ともすると、まちづくり側は治水に対しては河川管理者任せ、あるいはお互いに情報が一方通行で、まちづくりと治水対策の連携が十分に取れているとは言えない状況でした。

 この治水対策とまちづくりの連携の実現において、私が現時点で特に重要だと考えるのは、連携のための基盤構築と制度化、そして総合政策としての流域治水の実践です。

 まず、連携のための基盤構築と制度化では、連携の前提となる水害や治水、まちづくりに関わる情報の透明化、双方向化、さらに、そうした情報を共有し、流域治水に関わる各主体が縦割りや横割りを超えて縦断的、横断的に減災に取り組むことができるプラットフォームの形成です。

 総合政策としての流域治水の実践では、まちづくりと治水の双方が、ハードとソフトの両面に総合的に関わることが求められます。こちらも山田先生と同様ですが、これまでハード対策は治水、ソフト対策はまちづくりという役割分担意識があったように思います。

 しかし、流域治水の実践においては、まちづくり側のハード対策である緑地の確保や透水施設の整備、避難施設など、まちづくり側の減災の成果を治水対策と連携させていくことが重要です。一方で、治水側も、住民の合意形成などのソフト側に積極的に関わることで、治水事業に対する住民の理解を促進し、減災を加速化させることが可能になると考えます。

 治水側とまちづくり側がハード、ソフト双方の総合的な取組を連携して実践することで、国民全体が流域治水を他人事とせず、全員参加の流域治水の取組の基盤が形成されると考えます。

 四ページ目を御覧ください。

 先ほど述べた二つのポイントについて、具体的な例を取り上げながら説明したいと思います。

 まず、第一の、連携のための基盤構築の制度化と情報の透明化、双方向化について、コミュニケーションツールとしてのハザードマップの進化をテーマに説明します。

 治水とまちづくりの連携の基本となるコミュニケーションツールの一つが、ハザードマップです。治水側としては、情報はどんどん更新、公開し、透明化を図っていると考えていられると思います。確かにそのとおりなのですが、現状では、ハザードマップは、住民にとって理解が困難な場合や、まちづくりにおいて扱いにくい状況があります。その理由として、ハザードマップは、災害の種類別、河川別、確率別など数や種類が多様であり、複雑化していることが挙げられます。

 四ページ左下の図は、私の大学のある千葉県松戸市の大学キャンパス周辺のハザードマップです。ハザードマップは洪水と内水で別に作成されており、最大リスクも、十メートル以上、三メートル以上と異なっています。これをどのように使い分けるのか、住民が正確に理解することは容易ではありません。

 また、ハザードマップは、想定最大規模、計画規模など、災害のリスク別に示されます。四ページ右下の図は、関東圏の計画規模のハザードマップを示しています。この場合、松戸市にハザードは示されません。つまり、左側の松戸市のハザードマップは想定最大規模で示されているということが分かります。

 五ページ目を御覧ください。

 こちらは、大阪府寝屋川市の洪水ハザードマップです。同一自治体でハザードマップが河川別に作成されています。両方の河川の影響を受ける地域の住民は、大雨が降ったときにどの情報を見ればよいのでしょうか。

 災害ハザードマップは、高度に専門的な技術に基づき計算、作成されているため、作成過程がブラックボックス化しやすく、結果だけを見た住民は、なぜそうなるのか理解することが容易ではありません。特に、災害経験のない住民の場合はなおさらです。

 一方で、複数のハザードが統合されて結果だけが表示されると、更に住民にとって分かりにくく、実感が伴わない場合がございます。このように、ハザード情報は精緻化すればするほど住民の理解から離れていくことに十分に留意する必要があります。

 河川技術者がハザードマップを持参して住民に説明するだけでは、なかなか、住民が適切にリスクを理解し、避難行動につなげたり、場合によっては集団移転につなげることは困難です。このため、ハザードマップの作成、公表、周知の過程で、情報の提供側、情報の受け側が双方向でやり取りをするプロセスを設け、そうした場に多様な主体が参加することが重要だと考えます。

 日本の川は、一つとして同じものはありません。それぞれの川に個性があります。

 行政関係者は数年で異動があり、同じ川を見続けることができません。一方、地域住民は、過去の水害の記録を持っていたり、毎日川を観察するなどして、より小さな変化にも敏感に気づきやすいなど、実態に即した知識、情報を持っています。こうした科学的知見、地元の経験から得られた知恵を統合し、集合知とすることが、今回新たに設置される協議会では期待されます。

 六ページ目を御覧ください。

 次に、まちづくり情報と治水情報のすり合わせについて説明したいと思います。

 前述のとおり、これまで、まちづくりにおいて治水に関する情報は余り反映されず、市街地が形成されると、治水側がそれをカバーするように治水計画を作成するという形になっていました。

 六ページ左下の図を御覧ください。千葉県の利根川水系江戸川左岸圏域河川整備計画を示しています。

 この中で、例えば、先ほど挙げました、私の大学のキャンパスがある松戸市は、市内が坂川水系と真間川水系の二つの圏域に区分されております。ちょっと図面では見づらいかもしれませんが、そのようになっております。また、河川の管轄も国と県に分かれており、市の範囲と流域圏も一致していません。東京湾沿いの船橋市は、市域のごく一部のみが流域圏に含まれています。

 また、この流域計画は千葉県だけで独立して記載されていますが、実際に江戸川はそれだけで独立して流れているわけではなく、複数の県にまたがって流れている利根川の流域に含まれます。

 こうしたことから、広大な流域圏の全体を計画し、まちづくりと連携させることは容易でないことが理解できると思います。しかし、このような課題を理解した上で、連携のための基盤形成と制度化を進めることが何よりも重要です。

 六ページ右下の図は、同じく千葉県内の小規模な自治体の中心部に実施する治水事業の概要を示したものです。治水事業費は約百億円、事業期間は昭和六十年から平成四十七年です。

 治水事業計画がこのように超長期であるのに対し、まちづくりは五年、十年単位で進められます。また、まちづくりのスピード感は非常に速く、このように高度経済成長期以降に急速に市街化が進んだ地域では、既に市街地の拡大が収束し、急激な人口減少に見舞われている場合もございます。治水とまちづくりのスピード感、時間スケールの違いをどのように埋めて効果的な治水対策を行うかということは、まだまだ検討の余地が残されています。

 七ページ目を御覧ください。

 以上のような課題を踏まえると、縦割りやスケールを超えた横断、縦断的取組を実現できるプラットフォームの構築がいかに重要かということが理解できるかと思います。また、そこで形式的ではなく実質的な協議が行われることがとても重要だと考えます。今回はそれが法制度化するということで、協議会の役割に大いに期待し、そのプロセスを注視したいと考えています。

 このような横の連携に加え、縦の連携も重要です。治水対策は、ともすると鶏と卵の関係になる危険性を伴います。すなわち、河川管理者が住民に、この場所は危ないので防災対策を十分に行ってくださいと伝えるだけでは、住民はリスクを押しつけられてしまったと感じてしまい、河川管理者の方が先にハード対策をするべきだと考え、ハードもソフトも進まなくなってしまう可能性があるということです。

 七ページ右上の図は、水とともに暮らす地域で住宅がかさ上げされているものです。このように、現地を訪問すると、昔からの知恵に基づき、様々な水害対策がなされていることもあります。こうした住民の主体的な取組を引き出しながら、行政関係者と住民が協働で水防を進めるという意識を持つことが、地域での防災の機運を高める上では重要だと考えます。

 八ページ目を御覧ください。

 次に、二つ目のポイントである、総合政策としての流域治水の実践について説明します。

 これは、治水とまちづくりの双方がハードとソフトの両面に取り組むことであるとさきに述べました。まず、まちづくり側にできるハード面の取組に関しては、例えばグリーンインフラの採用が挙げられます。これは山田先生もおっしゃったことです。例えば、具体的には、都市に水を集める機能のある公園を造ったり、調整池を市民の親しめる空間にしたり、都市内の緑地を保全し、地表面に雨水浸透を促す土地利用を促進することも流域治水に貢献します。

 このような、まちづくり側で取り組める治水対策は、全員治水を進める上で不可欠です。治水対策は、ともすると上流あるいは国や県の河川管理区域内にとどまりがちです。しかし、例えば基礎自治体レベルでは河川のない地域もあります。流域治水を一部の地域の負担にさせず、国民全員でこれに取り組むためには、各地域がそれぞれの地域の特性に合わせて治水に参加できる方法を準備する必要があります。

 また、治水とまちづくりの連携による魅力的な地域づくりの取組も各地で見られるようになっています。特に都市部においては、川の存在や魅力に気づくことこそが、全員参加の流域治水において最初の一歩になります。

 九ページ目を御覧ください。

 今度は逆に、治水側によるソフト面の取組の重要性について説明します。

 左下の図を見てください。例えば危険性の高い場所で集団移転をする場合、こちらに示すように、様々なプロセスを長い時間をかけて経ることになります。このプロセスは総合的判断の積み重ねであり、科学的情報の一方通行だけでは、コミュニティーの合意形成や住民の具体的な行動につなげるのは困難です。

 また、九ページ右上の図は、ある地域のハザードエリアを示したものですが、集落の一部のみがその対象になっています。ほんの僅かな場所の違いで、同じ集落の中にハザードエリアとそれ以外が含まれる場合、コミュニティーの分断を招くおそれがあります。ハザードマップの作り手と受け手が十分に意思疎通し、慎重に住民の理解と合意形成を図る必要があります。

 九ページ右下のグラフは、一九八二年とかなり古いものですが、洪水により被災した後に集団移転した住民の防災に対する意識を調査した結果です。これによると、そのエリアが危険だと思っていても、実際は移転まで考えない人が最も多く、災害が発生する前に移転することの難しさを示しています。

 まちづくりでの最終手段である防災集団移転に至る前にも、取り組めることはたくさんあります。被災する前に住民の協力を引き出すためには、ハードとソフトの連携と協働、そして、そのエンジンとなる多様な主体が連携するプラットフォームでの実質的な協議が重要です。

 本法律で創設される様々な仕組みを通じて防災・減災を実現するためには、運用がとても重要です。実質的協議、連携が運用の中で実現されることを心より期待しております。

 ありがとうございました。(拍手)

あかま委員長 ありがとうございました。

 次に、橋本参考人、お願いいたします。

橋本参考人 おはようございます。武蔵野大学、環境システム学をやっております橋本淳司と申します。

 利水、治水といった水問題、それから、流域をフィールドとした環境教育を専門にしております。

 本日は、この法案、賛成という立場ではございますが、法案の概要のこの四つにつきまして、それぞれについて追加で検討いただきたいという提案を持ってまいりました。

 まず、流域治水の計画、体制の強化という一つ目の部分についてです。

 流域水害対策協議会というものがつくられるという予定になっておりますけれども、これは、水循環基本法に定める健全な水循環が維持されるよう、国、流域自治体、企業、住民等が連携を深めていくべきだと考えます。

 水循環基本法において健全な水循環というものが規定されておりまして、人の活動及び環境保全に果たす水の機能が適切に保たれた状態というふうに明記されております。流域治水においてもこの精神が全く当てはまるものだというふうに理解しております。

 そして、水循環基本法第三条には、流域に関わる水循環について、流域として総合的かつ一体的に管理されなければならない、第十四条には、雨水浸透能力又は水源涵養能力を有する森林、河川、農地、都市施設の整備その他必要な施策を講ずるというふうにありまして、今回の法案と密接に関係している部分があります。

 今回の法案では利水ダムの活用ということも検討されておりまして、利水ダムの活用を円滑に進めるためにも、利水と治水といった両面から流域を意識した国土形成計画、国土形成計画の中には、災害に強い、しなやかな国土というものがありますけれども、そういったものが必要になっていくのではないかと考えます。

 二ページ目を見てください。流域の水害対策計画に当たっては、流域全体における土地利用の影響を考慮する必要がある、特に山間地の土砂災害が及ぼす影響に十分配慮し、流域自治体相互の連携を深めるという提案をさせていただきました。

 左側に野球場の絵がありますけれども、流域といったものはこんなようなイメージではないかということです。今回の法案では主にダイヤモンドの部分、内野の部分ですね、ここの部分の強化が非常に進んでいるなと思いますけれども、流域というのは水源から海までが流域です。そして、日本の流域の特徴として、水源から海までの距離が短い、それから水源から海までの距離が急峻であるという特徴があるので、この外野手のいる部分、ここの部分を連携して考えていくことが都市の防災を考える上でも非常に効果的であろうということです。ですから、内野、下流域ですね、の守りだけでなくて、外野、上流や中流域の守りも固める全員野球の流域治水というものが必要だと思います。

 実際、山を歩いてみますと、豪雨後にメガソーラー発電が崩れていたり、砂防ダムが豪雨が降る前にもう既に埋まっていたりといったことがあります。そういったことを、どうしてそのようなことが起きてしまうのかということを解明していくということが必要だと思います。

 次のページです。土砂災害の原因を、開発及び開発手法、土質、地質、地表・地下水などの流れから総合的に検証していく必要があるだろうということです。何か災害が起きたときに、これが悪いんだと一つのものだけが決められることが多いんですけれども、実際にはいろいろなものが複雑に絡み合って災害が起きているということですので、そういったことを解明していくということが必要だと思います。

 左側のマップなんですが、林業における皆伐や施業方法と土砂災害の関連性について示したものです。地図の中で赤く塗られているものが皆伐された場所、そして青く塗られているところが土砂災害が発生した場所です。平成二十八年の台風十号で、岩手県岩泉において、土砂災害の発生箇所と皆伐地を自伐型林業協会が作成したマップとなっております。

 森林の洪水流量の低減効果というのはよく知られるところであります。この右側の黄色く塗られている部分、樹冠の遮断量であるとか蒸発散量であるとか土壌層の厚さ、土壌の団粒構造、土砂災害の防止、こういったものが主な森林の洪水流量の低減効果があるものとされておりますけれども、皆伐などが行われるとこれが低減してしまうということですね。それが、豪雨が降る前に砂防ダムを埋めてしまったり、下流域の河床への影響といったものもあります。

 右側の写真は、平成二十七年七月の九州北部豪雨の、福岡県朝倉での皆伐地が斜面崩壊したというものです。これは一度皆伐してしまうとこの被害が連続的に起きるというのが特徴でして、発災から四年たった写真が右側なんですけれども、谷筋が埋まってしまっているということなんですね。再造林しても、森林の洪水の流量の低減効果を発揮するには、やはり、小さな木ですと森林の役目を果たさないという部分がありますので、そこの部分には長い時間がかかってしまうということです。

 次のページに行きます。ここでは、林業の施業方法と土砂災害の関連性について示しております。林業施業を行う場合に、大規模林業、大規模な皆伐を行う場合、作業道が非常に幅広く造られています。こういった林業作業と土砂災害との関連性というものも解明していく必要があるだろうということです。

 これは、作業道が崩壊してしまった例が左側に載っております。これは、下側にある模式図の赤い部分を削って、この土を黄色い部分に移動をさせて広い作業道を造ったというケースです。こうしますと、山の中を降ってくる雨ではなくて、山の中を流れてくる水というものがこの新たに施工された黄色と茶色の間に入り込んで、そして斜面の崩壊を起こしているというケースがあります。

 次のページに行きます。こちらは土質、地質との関係性です。近年の土砂災害というのは非常に強い雨といったものに注目が集まっていますけれども、もう一つ、どういう地盤に雨が降ったかということも非常に大きなポイントとなっています。

 近年の土砂災害で崩れている場所を調べてみますと、多量の降雨、これはもちろんなんですけれども、それと同時に、花崗岩が風化して真砂土が形成されている部分、こういった部分が非常に崩れやすい。ですから、同じ雨が降っても崩れやすい場所と崩れにくい場所がある、開発しても崩れやすい場所と崩れにくい場所があるということが一つのポイントになるであろうと思います。

 それから、真砂土に覆われている土地であっても、上が別の地層で覆われている場合、降った雨では直接真砂土に当たらないので、崩れない。しかし、山の中に徐々に徐々に地下水が蓄積されてくることによって、真砂土が水をいっぱいに含みまして、その真砂土が一気に上の地盤ごと押し流してしまう。こういう、粒子と粒子との間に水が入り込むために摩擦が弱くなって、コアストーンだけでなくて、上に乗っている地質とか岩盤もろとも崩れてしまうという現象が起きます。

 この崩れている箇所の写真なんですけれども、令和元年の東日本台風、台風十九号において、宮城県の丸森町、ここで崩れている場面の写真です。ここは典型的な今申し上げたような地盤でして、ここで、真砂土に含まれた水が、一定期間は保たれていたんですけれども、それがたまりにたまって上の地盤ごと大きく流してしまう、こういった地盤の弱い地域で皆伐などが重なってくると、非常に被害が大きくなってしまうということです。

 六ページ目を見てください。ここでは、法案の概要の二項目めであります氾濫をできるだけ防ぐための対策です。

 今回の法案において、雨水貯留浸透施設の整備、これが都市部で進んでいくというのは非常にいいことだと考えます。ですが、この雨水貯留浸透施設の造り方というのはいろいろなパターンがありますし、それがどういうところに設置されるかによって水の動きが変わるという部分があります。ですから、地形や地質、土質、地下水位、周辺環境、こういったものを考慮していくということが必要で、ですから、一度敷設したものがどれだけの期間、どのぐらいの効果を発揮していくかというモニタリングが、この施策を続けていくに当たって非常に重要なポイントとなると考えます。

 七ページ目を御覧ください。今回の法案の中で、河川法についての部分なんですけれども、基本高水の議論が必要になってくるのではないかということです。なかなかこの基本高水の議論というのはいろいろな意見があって、進まない部分があるんですけれども、これの考え方というのをこれからどうしていくかというのが非常に大きなポイントになるのではないかと思います。気候変動によって、雨がたくさん降るようになるということですね。そういうことが予測されている中で、この基本高水を超える洪水が発生しやすくなるのではないか、そうすると、相対的に、現在目標としている計画規模、安全度ですね、これが低下してしまうのではないかということです。

 では、どうするかということなんですけれども、論点は三つあります。

 気候変動によって変化する基本高水を治水計画の中でどうやって位置づけていくのか。例えば、今の計画規模はそのままに、基本高水流量を変更する。まあ、変更するといっても、設定するのは非常に難しい、そして、予算、時間の関係があって、計画した事業ができるのにやはり数年かかってしまうというところが1の問題点です。2の問題点は、基本高水流量はそのままにして、増加分は超過洪水対策で対処する。

 では、この超過洪水対策というものをどうやっていくのか、どのように人命を守るのかということ。

 そして三番目が、やはり気候変動というのは不確実なために、治水計画というのを継続的に見直していく必要もあるだろうということです。

 最後のページです。やはり人の命を守るということが一番重要なんじゃないかということです。

 四番目の、被害の軽減、早期復旧復興のための対策という中で、超過洪水に当たって避難が大事、この避難というものを、どういうところに自分たちが住んでいるか、そして、きちんと逃げていくかということが今回の法案の中できちんとまとめられるべきだというふうに考えています。そして、そのためには、流域治水への主体性を育む学校教育、社会教育というものが必要だというふうに思います。ですが、教育を幾らやっても行き届かない部分というのが出てくるんじゃないか。

 令和二年七月豪雨のときの球磨川流域で死者数が六十五人出ています。このときというのは、七月四日の未明、午前一時くらいですね、線状降水帯が発生して、午前三時半に球磨村に避難指示が出ています、真夜中ですね。そして、午前五時五十五分に球磨川が氾濫して、恐らく七時ぐらいに人々が亡くなっているんじゃないかということなんですね。そのときに亡くなっている人、平屋に住んでいる人が三十人溺死している。それから、高齢者、要介護者、移動、誘導の困難者、介護施設で十四名が溺死している。

 今、この介護施設などに訓練というものが求められていますけれども、このときも訓練を事前にしていた。訓練をした上で、この施設の担当者の方がお年寄りたちをシーツで搬送しているんですね、一階から二階に。それでも間に合わなかったという現実があります。そうなってきたときに、やはり地域での協力体制といったものをどうやって図っていくかということがとても重要になってくるだろうと思います。

 結びに。自治体、企業、住民が、自身の所属流域というものとその特徴というものを把握すること。さっき野球場で示しましたけれども、自分が東京ドームにいるのか神宮球場にいるか分からない状態で流域治水をやろうと言われても、よく分からない。なので、自分の所属流域というものをはっきりさせる。そして、利水、治水の両面から流域の整備に貢献して、災害時には連携して被害を最小限に抑えていくことが大事だと考えます。

 以上になります。ありがとうございました。(拍手)

あかま委員長 ありがとうございました。

 次に、磯部参考人、お願いいたします。

磯部参考人 磯部でございます。

 「はじめに」というところに書かせていただきましたけれども、専門は地理学でございまして、環境省の委員が多かったんですが、旧建設省で一九九九年に委員をしたことを今思い出しております。

 災害の研究は、一九七六年に台風十七号というのが豪雨災害をもたらして、それ以後やっております。

 特定都市河川では、境川、武蔵と相模の国の境の、そこを数年前に克明な調査をいたしております。

 とりわけ平成三十年七月豪雨、いわゆる西日本豪雨災害ですけれども、倉敷市真備町というようなところで大量の死者を出したという中で、その辺りの研究を最近は進めております。

 流域治水関連法案につきまして、今までの個別のをまとめてこういう形でやっていくということは、非常に評価できると思っております。流域治水、流域全体での治水対策、それも、集水域だけじゃなくて氾濫域まで含めて行っていくということは非常に評価できます。

 ただ、流域圏といいますのは、一九七七年の第三次全国総合開発計画で既にもう出ておりまして、そういう点では、流域という観念、もう四十年ぐらいになっているという中で、遅きに失したとは言いませんけれども、もっと早くてもよかったのではないかと思っております。

 特定都市河川浸水被害対策法の第一条で、市街地の進展だけでなく、その後に、当該河川ということで自然条件等の特殊性を追加したということ、地理学でいいますと地域性と申しますが、それを考慮しながらやっていくという点で評価できますし、さらに、対象河川を、今、特定都市河川は八河川が指定されておりますけれども、それだけではなくて、一級河川、さらには二級河川、あるいは準用河川にまで拡大していくということも非常に評価できると思います。

 また、ダムの事前放流の実施を今回明記されたということも非常に評価できます。

 私は、先ほど申しました西日本豪雨災害で、高梁川流域で今調査を行っております。中国電力の発電用の利水ダムの新成羽川ダムという大きなダムがございますけれども、それが緊急放流を行うという中で、下流の高梁、総社、倉敷等で水害が発生しております。とりわけ、五十一名の方が亡くなった倉敷市の真備町では、高梁川のバックウォーター現象で、支流の小田川やその支流の高馬川、あるいは末政川などが水位が上昇して、堤防高が低いところで越流、決壊して水害が発生しております。

 私は、気象庁が、これは七月の五日の二時に緊急の記者会見をして、とんでもない豪雨が降るよということを予告されております。それを受けて岡山県等も会議をしたりしておりますけれども、新成羽川ダムが少し放流するんですが、その後放流を減少させて、慌てて六日の夕方ぐらいから緊急の放流をかけていくということになっていまして、それが発災の原因だと思っております。

 国交省は河川法五十二条で災害防止の指示をできることになっておりまして、これをしていなかったという辺りを私は論文に書いております。そういうのを踏まえてといいますか、それに、令和元年の台風十九号等で緊急放流、あるいはそれに類するようなことがあったために事前放流を決定されたという、国が一昨年の十一月にそれを明言されていきますけれども、そういうところは非常に評価できます。

 ただ、この関連法案で問題点あるいは課題というのがございますので、それを申し上げます。

 条文の中に流域治水という言葉がないんですね。私も精読してみましたが、流域治水関連法案といいながら流域治水が入っていないという辺り、なかなか、国民の認識を得るには、是非入れていただきたいなと思っております。

 それから、そこの特定都市河川の法律の一ページのところに、これはスライド的に書かれている概要のものなんですけれども、流域治水のイメージというのがございまして、「治水ダムの建設・再生」を書き入れています。新たなダムの建設を計画しているといいますか、これまで治水というのが、ダムというのをかなり重点的に、ここ数十年と言っていいと思いますけれども、行っております。その中で、西日本豪雨あるいは台風十九号による豪雨、昨年の球磨川の豪雨災害というようなものが発生しておりますので、この辺りを問題だと考えております。

 とりわけ、西日本豪雨では、先ほど岡山県の高梁川のことを申し上げましたけれども、愛媛県の肱川でもダムが洪水の原因になっているということがありますので、流域治水という中で、河道掘削とか堤防整備とか遊水地とか貯留施設、これを挙げられている以上、それをまず優先にして流域治水を考えていただきたいと思っております。

 西日本豪雨災害の高梁川に戻りましても、バックウォーター現象と先ほど申し上げましたけれども、これもダム、あるいはつけ替え工事というようなことで、なかなか堤防高の低いところが、それを修理といいますか、かさ上げをしていなかったというようなところから越流、越水しておりますので、その河川整備の不十分さというのもありまして、やはり、流域全体を考えながら、一つのダム、あるいはそういう単独のじゃなくて全体を見るというのが今回の法案の趣旨だと思いますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 そのためには、河道の流下能力の把握とか、河道の維持管理とか、そこに書かせていただきましたが、恒常的に行う必要があると思いますし、河川管理の瑕疵について、より住民の安全に配慮した考え方が必要だと思っております。避難は単位自治体の役割になっておりますが、とりわけ基礎自治体の役割なんですけれども、河川整備、管理、河川管理者が直接責任を負う方向で打ち出していくことが必要だと思っております。

 滋賀県が、そこに書かれた流域治水の条例を作られておりまして、本当に数日前に、日本地理学会が社会貢献部門で表彰をしております。

 流域治水で実施する事業につきまして、実施する地域と流域全体を見通した防災と環境などに関する事前のアセスメントと事業効果の継続的な検証が必要だと思います。ですから、治水事業をするにしましても、流域全体で、やはりそういう事前と事後の評価をしていく必要があると思います。

 それから、流域水害対策計画などへの流域住民あるいは学識経験者の参加保障。これは、学識経験者等は多少書かれておりますけれども、やはり住民、これも流域全体の住民ですね、流域治水というわけですから、その辺りの住民参加、合意形成が必要だと思います。河川法十六条あるいは十六条の二の河川整備に関する方針、計画への住民参加、合意形成などを具体的、制度的に保障していく必要があると思います。

 集団移転につきましても、私も、東日本大震災の辺り、十三回ぐらい行って調査しておりますけれども、やはり、高台は造ったけれども、そこに十分入れないといいますか、入らないといいますか、住民との意思の疎通が十分でないというところが見受けられます。

 それから、都道府県を超えての流域の一体的な流域治水が必要だと思います。高梁川の場合も、支流の成羽川というのは広島県から流れてまいっておりまして、それに対して岡山県の場合は、なかなか県境を越えての状況が把握できかねていたと思っております。ちょっと私、広島県の海ごみ関係の委員もしておりますけれども、そういう中でも、他府県に流れている川につきましては余り重要視しないというような、やはり都道府県の、あるいは自治体の枠を超えての流域管理が必要かと思っております。

 それから、事前放流とか避難のために、降雨予測あるいは流出解析、水位情報把握、情報伝達手段などなどについて、これまで以上の技術革新とか情報の高度化、それから開示をきちっとしていくということが必要だと思います。ここがまだまだ遅れているのではないかと思っています。

 それから、複合災害への想定ということで、この条文の中にも、洪水時、雨水出水時又は高潮時というように併記されているんですが、高潮と洪水というのは、台風が来れば同時発生をしますし、それに満潮が重なってというようなときには、洪水の水位というのが一気に上がるわけでして、こういう点も流域全体を考える中で必要かと。

 それから、要配慮者施設等につきましては、危険地域への立地回避と、障害に応じた適切な対策が必要かと思います。私、日本福祉大に勤めておりましたので、障害者といっても様々な方がいらっしゃいます、それに応じたものをやっていかないといけない。西日本豪雨災害のときなんかも、施設の方に伺うと、様々な方が福祉避難所に避難されてきてなかなか対応できなかったということもございましたので、お願いします。

 最後に、流域治水とともに、私は流域管理が必要ではないかと思っております。

 と申しますのが、豪雨災害では大量の災害ごみが発生して、海にまで流出し、海ごみになります。今、プラスチックごみ等が重大な問題になっておりますが、ここは国土交通委員会ですので、流木とかロープなどなどがスクリューなどに絡まったり、破損したりして、船舶の航行障害を起こしたりもしております。そういう点では、治水というだけじゃなくて、管理をしていただければということです。

 水田や森林の保水能力の向上を目指すというのは、先ほど皆さんもおっしゃっておりましたので、流域全体のという意味では、国土交通委員会も、農水とかその辺りのことも含めて必要かと思っております。

 それと、地球温暖化、気候変動、さらに、最近では気候危機とまで言われておりますけれども、この条文の中には対応するということが書かれておりますが、やはりそれを止めていくという対策が必要ではないかと思っております。とりわけ国土交通委員会とされましては、やはり運輸部門の、今、CO2の排出量というのは産業部門に次いで多くなっておりますので、そういう辺りで、これをどう止めていくかということを含めて対応ということを考えていく必要があるのではないかと思っております。

 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

あかま委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。簗和生君。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、流域治水関連法案の審議に当たりまして、参考人の先生方に、これまでの豊富な調査研究等に基づく現場目線の貴重な御意見、御示唆を賜りましたことに、まず心から御礼を申し上げたいと思います。

 限られた質疑時間でございますので、早速質問に入らせていただきますが、この流域治水の取組については、これまでも取組はありましたので、今後どのような点に改善の余地があり、そして、この法改正を契機としてどのような取組がより強化されるべきかといった観点から御回答いただければというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、この法案の大変重要なポイントとして、あらゆる主体の参画による治水対策ということで、協議会を設立するというものがあるというふうに思います。

 山田参考人の御指摘の中で、国、地方自治体、地域のステークホルダー等が法的根拠を持って活動できるようになるのが大きなポイントという御指摘をいただきましたけれども、このあらゆる主体の参画に係る現状と、それから、今後この協議会がより実質的に機能をしていく上で重要な点につきまして、御見解をいただければと思います。

山田参考人 私の感じているところでは、流域治水と言うと言葉は美しいですけれども、あらゆるステークホルダーが一堂に会すると、お互いの利益が相反する場合が強烈に出てくると思います。

 このときに、そこを、例えば、洪水と津波というのはどこが違うのかというと、津波はともかく勢いで海岸に全部押し寄せてきます。ところが、洪水というのは、重力で上から下に流れてきますから、どこかに水をためたら、その水はたまりますけれども、こっちは助かるわけですね。こっちを助ければこっちは危ないとか、逆のことが起きちゃうわけですね。

 例えば、霞堤をもう一回復活しようよとか言い出すと、田んぼの中に水を入れることになります。では、それに対する補償はどうするんだとか、あるいは、それは法的に補償するのか、ちゃんとそういう法律があるから補償するのか、あらかじめ予算を作っておいて、そういうことがあったら補償するのか。あるいは、これはアメリカの例ですけれども、アメリカは連邦洪水保険制度というのを持っています。だけれども、これもまた、うまくいっているようでうまくいっていないところもあります。というのは、ハリケーン・カトリーナみたいな余りにも大きなものが来ちゃうと、余りにも出費が多くてとてもやっていけないというようなことがありますので、その辺の、得する人、得するというのは変ですよね、ベネフィットの多いところをどううまく調整するか、これが水マネジメントというものじゃないかと思うんですよね。

 というのは、マネジメントというのは、やりくりするという意味ですからね。日本語だと管理となっちゃうんですけれども、実は、マネジメントは、ともかく何とかやりくりする、そこの部分を法的に担保できるようなものが今後必要かなと思っております。

簗委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 続きまして、秋田参考人に質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど、治水対策とまちづくりの連携の視点から、縦と横の連携によるプラットフォームを形成し、実質的協議の場をつくることの必要性について御指摘をいただきました。

 今回の法案では、より水災害リスクの低い地域への居住や都市機能の誘導というものが重要な要素としてあります。浸水被害防止区域というものを創設しまして、住宅や要配慮者施設等の安全性を事前確認に、個々の開発、建築行為を許可制として、また、防災集団移転促進事業のエリア要件を拡充し、安全なエリアへの移転を促進するというものが今回の法案の柱になっております。

 そこで、お伺いをしたいんですけれども、移転のハードルの高さについて御指摘をいただきましたが、集団移転も含めて、より水害リスクの低い地域への居住や都市機能の誘導を円滑に進めるなど、まちづくりの取組の中に治水対策を包摂していくという点に関しまして、これまでの取組をどのように評価をされ、今般の法改正を含め、今後こうした取組を拡大させていく上でどのような点が重要になるか、御見解をいただければと思います。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 高台移転につきましては、例えば東日本大震災で非常に多くの地域が移転をしております。その中で、今回の法案の中では触れていないんですけれども、特に重要なことは、移転先をどのように見つけるかということです。移転先がどこかということは、その移転される住民の方にとって非常に気がかりなことですし、もう一つが、移転元をどうするか。自分たちがいなくなった後、この土地はどうなるのかということです。この両面について、今回の中ではちょっと十分に触れられていないんですけれども、そこがかなりネックになって高台移転が進まないということがございます。

 また、もう一つ、情報につきましても、早い段階から、リスク情報からお知らせするということが大事で、特に住民合意形成がうまくいかないときというのは、もうこれは決まっていますから、ここはリスクがありますからというふうに結果だけをお伝えすると、なかなか住民の方は納得してくださいません。迷っている状況から、例えば高台移転先はどこにしようか、これぐらい候補先があるんだけれどもその中でどこがいいかとか、あるいは、移転の元地、自分たちが住んでいた場所が一体どうなってしまうんだろうということの心配を解消するために、例えば、この場所は農地にしてはどうかとか、あるいは公園、緑地にしてはどうかとか、そのような、元々いた場所、これから行く場所についての十分な納得と協議、あるいはそのための予算など、検討するための予算などもしっかり準備することが重要だと思っています。

 以上です。

簗委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 続きまして、森林・林業関係者との連携、協働について取り上げてみたいと思います。

 あらゆる主体が参画する協議会という点につきましては、先ほど橋本参考人から御指摘がありましたように、森林関係の関係者をいかに構成員として参画をしてもらいまして、そして一体となって治水対策をしていくかということ、大変重要になると私も考えておるところでございます。

 先ほど橋本参考人の御指摘で、林業における皆伐や施業方法と土砂災害の関連性から、河川行政と農林行政の連携の必要性という御指摘をいただきましたけれども、水災害においては、流木が河川の流れを遮る、そういったことによりまして災害の発生につながっているケースもこれまで多く見られていますので、林業政策、具体的には、林野庁の森林整備、治山事業等とより連携して対策を推進していくことが大変必要になるというふうに思っております。

 そこで橋本参考人にお伺いしますが、現状の治水対策において森林・林業関係者の参画の状況、それから、行政における土木部局と林務部局との連携の状況についてどのように評価をされていらっしゃるか。また、今後の展望について御意見をお伺いしたいというふうに思います。

橋本参考人 御質問ありがとうございます。

 林業分野、農林分野と治水との連携というのは、流域治水においては非常に大きなポイントになっていくだろうというふうに考えておりますけれども、残念ながら、現状を考えますと、それぞれのセクターが別々に動いていて、連携しているというふうには見受けられません。実際に災害が起きた場所に行ってみても、皆伐と土砂災害の関連性、洪水の関係性などについて地元の人たちも気づいていない、そういったことが非常に多いということです。

 ですから、土地と地盤と林業施業、崩れやすい土地において大規模な伐採をしたり大きな作業道を造ってしまう、そういったことが土砂災害につながってくるのかどうか。これを、データを見る限りは重なっているというふうには出ているんですけれども、そのメカニズムをきちんと把握して、新しい林業施業、崩れない林業施業、こういったものを考えていくということがとても重要だと思います。

 もう一つ。森林環境税というものがあります。この森林環境税を活用する。

 例えば、流域の自治体が上流域を整備するのに、森林環境税を持ち寄って行うというようなことができないだろうか。もちろん、自治体個別に配賦されているものですから、それぞれの自治体が使いたいに決まっているんですけれども、上流の治山に使うことによって自分たちの水の安全性を確保するというようなことで共同プロジェクトをつくることができれば、流域の中の連携というものも自然に発生していくのではないか。

 お金を軸としたステークホルダーの構築というものができると、森林、農林、それから治水といった分野の連携がきちんと図れるというふうに考えております。

簗委員 林業関係との連携という点では、山田参考人も、緑のダムということで、そういった論考も記されていらっしゃるのを拝見したことがありまして、是非、山田参考人からも御見解をいただければと思います。

山田参考人 緑のダムという本を書きました。そのときは、私の書いた、分担した部分では、緑のダムというのはないということを書きました。

 それはどういうことかといいますと、東京大学の林学の名誉教授である太田猛彦先生がNHKブックスで、現在は森林飽和ということを使われています。これは、有史以来、日本は今、最大の、森に緑がある時代なんだ、あり過ぎている問題なんだということです。

 問題は、だから、私が山に保水能力がないなんということを主張しているわけではないんですよ。大体百ミリから百五十ミリぐらいの雨はもってくれています。だけれども、今議論しているのは、四百ミリとか五百ミリとか六百ミリの雨のときに、それが、保水能力を五ミリ増やすとかというのが、みんな過剰に期待し過ぎるから、そこはないですよということを言っているわけで、それよりは、渓流沿いの、将来、雨が降ったときに流木となってくるようなものがあり過ぎて、ぐちゃぐちゃの流木になっていて、それが雨のときにどっと出てきて、山間部の橋梁を詰まらせて大氾濫を起こすことが多いので、私なんかは、渓流がちゃんとできているのかできていないかというのを見る森林レンジャーみたいなものの創設とか、それから、この五年ぐらいの間に、全国の都道府県で、林業の専門学校が全部できたそうです。彼らがそういう、ちゃんと調べてもらえるような、仕事ができるとか、山を調べるわけですね。

 あるいは、定年退職したような自衛官が入ってもらう。なぜかというと、銃を持つ許可証を持っているわけです。そこで、イノシシが出てくる、熊が出てくるというようなところを調べなきゃいかぬときに、そういう人たちがやってくれるとか、そういうこともあり得ると思いますので、ちょっとした提案をさせていただきたいと思っております。

簗委員 では、時間も限られていますので、最後の質問にさせていただきます。

 住民が参画した治水対策ということで、参考人の皆様から大変貴重な御意見をいただきました。

 本法案では、ハザードマップの作成エリアを現行の大河川等から中小河川等まで拡大して、リスク情報空白域を解消するということが大きな眼目となってございます。

 また、要配慮者利用施設における避難の実効性の確保のために、当該施設に係る避難計画、訓練に対する、市町村が助言、勧告できるようにするというふうにもされているところでございます。

 これは、あらゆる主体が参画するという点でいえば、ハードのみではなくて、流域の自治体や住民が主体となってソフト面の対策を強化していくことがより求められるということも意味しているというふうに思います。

 先ほど、秋田参考人から、情報の双方向化、地元の経験を合わせた集合知という視点からのコミュニケーションツールとしてのハザードマップということも御指摘をいただきました。

 また、磯部参考人からは、河川整備に関する方針、計画への住民参加、合意形成を制度的に保障する必要性という御指摘をいただいたところでございます。

 そこで、両参考人にお伺いをしたいんですけれども、ハザードマップの作成等を始めとした地域の主体性が求められるこれまでの取組において、住民本位、現場目線の治水対策というものがどの程度なされてきていると評価できるのか、また今後の展望について、両参考人からお伺いしたいと思います。

 では、まず磯部参考人からお願いします。

磯部参考人 それでは、お答え申し上げます。

 今のハザードマップにつきまして、私、地理学でございますので、自然地理学の分野等で作成をしております。

 今回の西日本豪雨、先回のといいますか、二年前の西日本豪雨におきましても、ハザードマップ、やはり市町村によってかなり差がございまして、総社市というところは、住民あるいは市の職員が歩いて綿密なのを作っていたと。

 とりわけ総社市下原というところはNHKにも取り上げられましたけれども、自分たちで歩いて作って、先に高いところに行ってそこを水平に歩いていくとか、そういう訓練を何度もやっていて、そこは死者ゼロだったんですね。そういう点で、やはり参加をきちっとやっていくということが必要だと思っております。

 やはりコンサルとか、そういうところの能力も高いところはございますが、地域を知っているという点では、住民がどこへどう逃げるというのが分かっておりますので、それと自治体が手を組んでやっていくような、それのシステムをつくっていく必要があるのではないかと思っております。

 以上でございます。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 現在も、水防団など地元のコミュニティーで非常に努力して、水防に取り組んでいらっしゃる方々もいます。しかし、そういう方々の高齢化など、地元で水防に関わる人々のサポートも十分必要だと思いますし、また、これまでほかの参考人からもお話あったように、まずは水防に関する時間や教育、人、そういうものが十分にかけられていない状態だと思います。

 したがいまして、住民の方々の意識を高めていただくためには、まず、時間、人、コスト、そういうものをもっともっと水防にかけるべきだと思います。

 この水防、流域治水という考え方ができたのは、そもそも地球温暖化、これによるものであって、今までの経験が生きないという部分もございます。ですので、もちろん経験も重要なんですけれども、科学的知見も必要です。

 先ほど山田委員から、ボランティアで専門家の方がリスクについて教育に行っているというお話がありましたけれども、ボランティアではなく専門家の方がきちんとお金をかけて現地に入り、それから、住民の方が知っている情報だけではカバーし切れないことが起こるということを理解していくことが重要だと思っております。

 以上です。

簗委員 では、時間が来ましたので終わります。

 参考人の先生方、貴重な御意見、ありがとうございました。

あかま委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 ありがとうございます。立憲民主党の荒井聰でございます。

 私の専門は、大学では水文学をやりました。ですから、水問題についてはずっと関心を持っておりまして、中川昭一先生が初めて当選をしたときに、私と、それから農水省の、後で岡山の農政局長をやりますけれども、農業の専門家と、それから、財政として、その後大蔵省の事務次官になりました勝栄二郎君と四人で、よく水問題を中心に勉強会をやったことがあります。

 というのは、中川昭一さんのお父さんが九州大学の農業土木の出身で、北海道庁、北海道開発局で水問題をずっとやっていたという専門家、それが若い頃からの影響があったのではないかというふうに思います。

 最初に山田先生にお聞きしたいと思います。

 河川法五十二条では、従来から、必要があれば河川管理者は利水ダムに対して事前放流をすることができるという規定があるにもかかわらず、これはほとんど使っていないと思います。私の記憶では、一回だけやったかなぐらいの感じだと思うんですけれども。

 この利水ダムに対する事前放流が、今回の法的な根拠をつくるというのがこの流域治水の大きな眼目になっているんですけれども、法的に認められているにもかかわらず、かつてできなかったということをどうお考えなのか。そして、この法律ができたからできるというふうに思われる、その根拠なりなんなりはどうお考えでしょうか。また、かつてできなかった大きな理由というのは何だったんでしょうか。

 私は、農水省で利水の方の専門家として、技術者として仕事をしていましたけれども、利水と治水の長年の対立というものがあって、そこをなかなか克服できなかったというふうに思っています。そういうことを経験をしておりました。最近では随分よくなってきたと思いますけれども、そこの点は、山田先生はどうお考えでしょうか。

山田参考人 利水ダムも含めて事前放流ができなかった、今度やろうという方向に向かっているが、昔できなかった理由は何かと。

 それは、私が学者、研究者として外から見ている判断ですけれども、まず一つは、戦後、電力がないときに、ともかく水力発電で電気をつくろうと。そのときには治水という概念は余り入っていないんですよね、利水ダムそのものに。まず電気をつくることだと。

 ところが、それからだんだんだんだん、電力の発生源も火力の方に持っていったり、原発の方に行ったわけですけれども、そうなってきて、なぜ事前放流ができないかというと、そのためには、これから十二時間後に三百ミリ降るよとか、四百ミリ降るよという予測ができないと、事前に放流しちゃうわけですから、空振りしちゃう可能性があるわけですね。そうすると、貴重な水資源をただ流してしまう、それに対する補填は誰がするのかという問題ですね。これが一つ。空振りを恐れる。

 もう一つは、雨も降っていないときに放流するわけですから、その川の下流末端に至るまで、キャンプファイアしている人はいないかとか、魚釣りしている人はいないかとか全部調べてからじゃないとできない。ところが、それは一民間電力会社ではとてもそこまで、何十キロ下流まで全部調べることは無理だということで、民間企業としての利水ダムはなかなか事前放流ができなかったと思います。

 ところが、ここに来て、この十年来、国土交通省及び気象庁のレーダー雨量計というものが発達してきました。だから、極端なことを言えば、素人でも雨雲がこっちに来ているよというのが分かるようになってきたわけですよね。つまり、降雨予測というのがかなり、専門家じゃなくてもできる時代がやってきた。

 さらにもう一つは、放流した後、どこか支川に御迷惑をかけないかなという下流見合いの放流というのは、これは結構難しいです。水理学的に計算しなきゃいかぬ。その計算は、パソコンの発達が非常に身近になった、どこの事務所でもパソコンレベルでやれるようになった。それまでは、大型コンピューターを使ってやっと下流に御迷惑をかけない放流の仕方というのは理論上できるけれども、そんな大きなコンピューターをどこでも使うわけにいかぬと。エンジニアリング的には、レーダー雨量計の発達とコンピューターの発達が大きいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 次に、橋本先生にお聞きしたいんですけれども、久しぶりに真砂土という言葉が出てきて、非常に感激をしました。私も地質学をやって、真砂土地帯の斜面が流出していく、そういうことを経験したことがありますので、いいなという感じを持ちましたけれども。

 結局、災害というのは、避難が大事なんですよね。先生最後におっしゃっておられる避難について、どういうふうにその避難を誘導していくのかということも含めて、国、流域自治体、企業、地域住民が一体となって避難の実効性を確保する。この実効性を確保するための手だてとして、危険なところ、危ないところというのを、例えば介護施設だとか、なかなか、災害弱者という言葉が最近出ていますけれども、そういうことに対する事前の準備というものが大事なんだということをお述べになっております。

 さらには、学校教育とか、そういうものも大事だということを書いておられます。東北大震災のときの津波で大川小学校の子供たちが大きな犠牲を出しましたのも、学校の先生も含めてしっかりとした災害教育をしていれば、あるいは助かったかもしれないなというふうに思います。国全体の教科書で書くことも必要なんでしょうけれども、それはむしろ、地域地域の自治体が出すような読本、特別な教科書みたいなもので災害教育を徹底させていくということが重要だというふうに思います。

 さらに、もう一つ先生が述べられているのは林業の関係です。

 この林業の関係というのは、先ほど山田先生が余り効果ないとおっしゃったけれども、私は必ずしもそうではないと。というのは、かつて天竜川の治水について金原明善が、これは明治時代になりますからずっと古いんですけれども、それが中心になって植林事業を徹底的にやり、山を治めることによって治水事業を成功させていった。植林事業というのは、その地域地域のコミュニティーをつくることにも大きな意味があったんだろうというふうに思います。

 この二点、学校教育の話と林業について、先生の御見解をいただければと思います。

橋本参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、教育の部分についてお話ししたいと思います。

 おっしゃるとおり、流域の表情というものは非常に多彩です。自治体ごと、自治体の中でも幾つかの流域を持っている自治体もありますので、それぞれ個別に、学校なら学校が所属している流域というものを把握して、そこにどのように雨が集まってくるのかということを研究して、練習する必要があります。ですから、個別の学校ごと、読本といったレベルにおいてやっていく必要があるだろうと。

 そして、ある例ですけれども、例えば、夏休みに自分のところのハザードマップを見ながら避難所まで家族で行ってみるということを実践している学校があります。これは非常にいい事例ですので、こういったものを紹介しながら横に展開していくといいのではないかなと。

 それから、地元には災害の伝承碑があります。ですから、災害の伝承碑などを課題に選んで、あるときにはここまで水が来ていたのだ、あるときはここまで津波が来ていたのだといったことを学んでいくということがとても重要だと思います。

 そして、やはり地域でどのようにやっていくかということと、同じ一言で災害といいますけれども、豪雨と台風と津波ではやはり逃げ方が違う。さきの熊本の球磨川の氾濫などは、夜中に大雨が降り出してから、僅かな時間で災害が発生するわけですね。こういうケースと、台風のように事前に、例えば五日後ぐらいにここにやってくるんだということで準備するというケースは違うんですね。そういったことを細かく踏まえながら、台風のときはどう動くか、それから、豪雨が来たときにはどう動くかといったことも考えていく必要があるだろうと思います。

 続きまして、林業との関係です。

 林業でとても重要だなと思われるのが、木がきちんと生えているかということと同時に、この土壌というか、土壌が厚いかどうか、そして、団粒構造になっているかということですね。ここは、降った雨がどのくらいしみ込んでくるかということに関連しています。

 ですから、山の中をどのように水が動いていくのかという山体地下水の研究、それから、山の中を水と空気がどのように移動していって、どこに出るのか、ここの流れを解明するということがとても重要なんですけれども、実は、伝統的な林業を見ると、そういったことを意識しながら林業施業を行っている地域がかなり残っています。そういったところが手本となって、そういったところというのは林業が盛んなんですけれども、災害にも強い。ですから、災害に強い林業手法と、そうでない林業手法があるということだと思います。

 以上です。

荒井委員 ちょっと時間がなくなりましたので、お二方にはまとめて御質問させていただきたいと思います。

 秋田先生には、流域にはかつて、土地改良区だとか、水防団だとか、あるいは林業組合なんかもそうかもしれません、そういうところが一団となってコミュニティーをつくって、地域の防災に備えていたんですね。その一つの核が祭りだったんだと私は思っています。

 今でも信玄堤の上で祭りが行われているというのは、私は優れたコミュニティーのつくり方だと思うんですけれども、そういうものがどんどんなくなってきている、農家も林家も非常にその地域の中でいなくなったので、水をしっかり制御しようという人たちが少なくなってしまった、そういう中で地域のコミュニティーを再構築するということは物すごく難しいんですね。

 これは山田先生がおっしゃっていますけれども、水問題の専門の政治家がいなくなった。そうなんですよね。本来、政治家の最大の仕事というのは、その地域の水をしっかりコントロールするということだったはずなんですよ。それがいなくなってしまった。どうしていなくなったのかというと、それは選挙で票に乗らないからですよ。農家もいなくなれば林家もいなくなるわけですから、そういうところを立て直していかないと本当のコミュニティーはできないというふうに思いますけれども、そこのところはどうお考えでしょうか。

 それから、磯部先生には、最後の方で、河川管理には流域治水の目的に照らした再構築が、河川管理体制は再構築が求められる、この提案はとても意味の重たいものだというふうに思います。そして、事前放流や避難のために、降雨予測、流域解析、水位情報、情報伝達の手段や人々の移動手段について、これまで以上の技術革新が必要だという御提案がございます。これについて、もう少し具体的な何かがございましたら、御説明いただきたいと思うんですけれども。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。時間もございませんので、手短に。

 コミュニティーの立て直しということは、まちづくりでも非常に課題になっております。これは一朝一夕には解決できるものではありませんが、現在考えられる方法としては、コミュニティー同士の連携などしてお互いに補い合うこと、それから、関係人口など外の人に入ってきてもらうこと。

 今回のコロナ禍で、地方への移住などの動きも見られております。地方の魅力を高めるための取組ということが必要になってくると思います。

 以上です。

磯部参考人 お答え申し上げます。

 流域につきましては、一級河川につきましても、下流部は国交省がお持ちですけれども、中流部から上流は県とか、それから更に支流になっていくと市とかになっておりまして、今回の西日本豪雨のときなども、その伝達手段が非常に一元化されていなくて、やはり国交省を中心に、その辺りはきちっと見ていく必要があるのではないかと思います。それが一つでございます。

 それから、降雨予測とか、その辺りの技術的なところというのは、降雨予測等、最近非常に、アメダス等で精度化は進んでいるんですけれども、逆に言うと、まだアメダスの位置なんかも非常に粗いんですよね。ですから、どの谷に降っているとかというのがなかなか把握できていない。そういう点では、更に密な観測網が必要だと思います。

 それと、それを情報伝達する手段。今、スマホ等で見られる人はいいんですけれども、それが見られない高齢者あるいは障害者などがやはり今回亡くなっている方が多いという中で、どういうようにしていくか。それから、避難情報は市町村が出すことになっておりますけれども、そこへの伝達が非常にうまくいっていなかったということもあります。そういう点では、その伝達手段等をきちっとやっていくようにしていくという技術革新とともに、開示あるいは伝達、そこをどう制度化してやっていくかということだと思います。

 以上でございます。

荒井委員 どうもありがとうございました。

 終わります。

あかま委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、四人の参考人の先生、貴重な御意見をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 私は、九州・沖縄比例ブロックから選出をさせていただいております。九州地方は、平成二十四年七月九州豪雨災害、これから始まって、平成二十九年の九州北部豪雨災害、これは朝倉地域の大量の流木が押し寄せたという災害です。平成三十年の七月豪雨、令和元年八月の前線に伴う大雨、これは佐賀県の白石町で、病院が孤立をしたという映像がテレビでも流れた御記憶があるかと思います。また、令和二年、昨年七月の豪雨、これは熊本の球磨川、先ほど参考人の皆様からも御紹介があった事例がありました。

 私は福岡県久留米市に住んでおりますけれども、ここは三年連続で浸水被害に見舞われております。

 平成三十年に山ノ井川で私が経験したこと。これは、山ノ井川というのは久留米市の城島町という地域に下流域を持って筑後川と接続しているんですけれども、地域の方に聞くと、そんなに雨は降っていなかったのにどんどんどんどん水位が上がってきたというふうな、そして、結果、越水して地域が水につかったというふうなことをお聞きしました。

 そこをもって、私はスポット的に物を見ることはいけないんだなというふうに感じまして、当時、福岡県知事にでございますけれども、山ノ井川と筑後川が接続する久留米市城島町地域は筑後川の下流域に位置しており、有明海の潮位や上流域での降雨また農業排水などの影響を強く受けるため、樋門の開閉や現状のポンプ操作では適切な流水管理が追いつかない、筑後川流域全体の流水量を適切に管理できるような総合治水対策を構築することというような求めをいたしました。また、あわせて、前記対策の構築に向けた市町村、関係省庁、農業団体等を交えた協議会を設置すること、こういうことも求めました。

 何が申し上げたいかと申しますれば、今回の法案は、このような私の取組を全て包含をしておることについて、非常にうれしく感じているところでございます。

 ただ、この法案が成立してからも、様々な対策を取るに当たって、その前提となる一番大切な源になるものはデータだろうと思っております。先ほど山田参考人からも、様々なデータに基づく非常に貴重な御意見をいただいたところでございますけれども、対策を講ずるその必要なデータ、これは、降雨データ、河川に流れる流量データ、また水位データ、現実に発生した浸水データなど、様々なデータを基にこれから対策を打たなければいけないと思うのですが、繰り返しですが、このデータの一番源になるのが私は降雨データだと思っております。この降雨データというものは、どこにどれだけの雨が何時間降ったかというようなことであろうかというふうに思います。

 このデータを収集するために、恐らく各所に雨量計というものが設置されているのかなというふうに思いますけれども、ここで一番最初に山田参考人にお伺いしたいのは、雨量計の設置の在り方、これは必要十分であるとお考えか、また、課題があるとすればどういう課題があると御認識をされておられるかについて、御意見を賜れればと思います。

山田参考人 まず、雨の測り方ですけれども、現状は三通りの雨の測り方をやっています。

 一つは、直径二十センチの転倒升型雨量計といいます。要するに、雨が降ったら、ぱったんぱったんと升が倒れる、その回数を数えるもので非常にアナログな器械、だけれども、これは非常に信用なります。そのほかに、国土交通省及び気象庁が、XバンドレーダーそれからCバンドレーダー。何が違うかというと、使う電波の波長が違うんですけれども、このCバンド、Xバンド及び地上雨量計で測っています。

 ところが、地上雨量計は主に、設置するわけですから、毎年毎年維持管理しなきゃいけないので、余り高い山にはないんですよね。標高が大体三、四百メーターの道路脇みたいなところに設置することが多いので、山の中腹なんかに置いてあることは極めて珍しいです。

 ですから、私、さっき、銃を持った人が欲しいと言ったのは、私、十年間、山の中で雨を測り続けたんです、学生と。そのときにも、熊が出るわ、牛ぐらいの鹿が、北海道大学におりましたので、そのときにハンターを連れていくんですよね。本当に撃つわけじゃなくて、ハンターがいてくれると安心して仕事ができたんです。

 ところが、それが高い山にないがゆえに山の中腹ぐらいの雨がよく分からないので、それから維持管理が大変なので、地上雨量計を減らそうというような方向があります、全体的に。でも、これは非常にまずいことです。Cバンド、Xバンドレーダーというのは、それぞれの果たす役割がありますので、これもきっちり、アナログ的な測り方も今後ともしっかり残さないと、非常に強い雨が降った場合には、Xバンドレーダーは電波が減衰して見えなくなるときがあるんですね。そのときの補完機能としての地上、転倒升型雨量計というのも必要かと思っております。

吉田(宣)委員 御意見、本当にありがとうございます。

 また山田参考人に続きも質問したいのですけれども、今おっしゃられた降雨データに関する課題ももちろんなんですけれども、収集されたこのデータというのは、恐らく、専門家の先生を始め、いろいろなもので解析作業を経る、解析された結果は対策に生かされなければいけないと思います。対策は、現実社会の中で、ハードであれば形を伴って実現をし、ソフトであればシステム又は国民の意識の中で実現をされていくんだろうというふうに思います。

 ここから少し、いささか、ちょっとぶっちゃけた質問になりますけれども、ここで、今、このようなデータから対策に移るまでに、例えば、行政ではまだ扱っていないけれどもこんなすごい技術があるよとか、まだないけれどもこんな技術が今こういう研究機関で研究をされているよとか、こんなICTやAIの活用ができればいいなとか、そういうふうなところでお感じになられるところがありましたら、御所見をお伺いしたいと思います。

山田参考人 山の方の話はさっきしましたけれども、実は下流部で、高潮対策等にも十分なデータが必要で、それがないときめの細かい広域避難ができない。それで、新技術として二つあります。

 測る方としては、フェーズドアレー・レーダーという新型のレーダーをこれからも着実に、まだ実験段階ですけれども、オペレーションには使っていませんけれども、これが普及していくことが必要かと思います。それから、従来型レーダーも、必ず、ああいうIT系はどんどんどんどん、技術革新が激しいので、それを適切な維持管理、更新する仕組み。それからもう一つは、広域避難といいますと二百万人ぐらいの人を避難させなきゃいけないんですけれども、高潮用の水位計とか、それがちょっと少ないような気がします。

 それに基づいた避難ですけれども、東京で江東デルタ地帯、低平地ですね、小学校、中学校、幼稚園とか、あの辺を全部合わせると約二千校の指示を出さなきゃいけないところがありますけれども、これを人間でやれというのはもう無理かと思います。こういうところにAIを積極的に使っていくという新技術も絶対必要かと思っています。二千か所に最適に避難指示を出せというのは、もうほとんど人間では無理かと思っております。

 以上です。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 同じ質問を今度は秋田参考人にもしたいのですけれども、少し観点は、秋田参考人から先ほど、ハザードマップについて非常に分かりやすい問題提起、また国民の視点に立った御意見をいただいたと思います。同じ質問を、こんな技術があったらいいなとか、こんな技術があるよとか、AIの活用、ICTの活用について、ハザードマップの観点から何か御意見がございますれば、お教えいただければと思います。

秋田参考人 ありがとうございます。

 様々な技術が発達すればするほど、先ほど申し上げましたように、ブラックボックスというものが増えていくというところをどう埋めていくかということが重要かと思っています。今すぐに取り組めることは、やはり、それを翻訳する方、専門家の方がきちんと地域に入って、これを説明していくことだと思っています。

 例えば、まちづくりでも、地域の環境を改善するためには、まちづくりの専門家が地域に深く入って、時間をかけて地域の方々に理解していただく、例えば密集市街地などで理解していただくということをやっているんですけれども、これを今度は水防の方についても、しっかり地域に入っていただいて翻訳していただく、そのための予算も十分に必要だと思いますし、あるいは、先ほど言ったように、教育などの中でも反映していくことが必要だと思っています。

 また、先ほどの質問の答えでも言ったんですけれども、気候変動というのは、なかなかこれまでの経験が役に立たないこともありますので、地域の方々の経験とそれから技術、両方を合わせていくことが必要だと思いますので、地域の方々がその気候変動を感じられるようなAI技術のようなもの、そういうようなものもどんどん導入していく必要があると思っています。

 以上です。

吉田(宣)委員 貴重な御意見を本当にありがとうございます。

 また同じ質問を今度は橋本参考人にも申し上げたいのですけれども、橋本参考人からは、先ほどの意見陳述で、山間地から下流域への俯瞰した流域治水の在り方、この非常に大きな視点で御提示いただいたことを本当に心から感謝申し上げます。私も全く同じ思いでございます。また、雨水貯留浸透施設整備にも触れられました。

 この観点から、今申し上げた、例えばこんな技術があったらいいなとか、こういうAIの技術、こういうICTの活用の仕方があるよとか、そういった見地から何か御所見がございましたら、お教えいただければと思います。

橋本参考人 御質問ありがとうございます。

 令和元年の台風十九号のときに、さっき御質問にあられたことと同じ現象が水戸市で起こりました。那珂川流域は、水戸市に降った雨は百二十六ミリで、十月十二日の午後三時には雨が上がったので、皆さん避難を解いて帰られた。ですけれども、山の方を見てみますと、大田原とか常陸大宮の辺りは二百十六ミリの雨が降っているんですね。それが翌日の午後三時にやってきたということです。それで被害に遭われた。

 こういった観点で、水の情報をデザインしてお伝えしていくということが重要なんじゃないか。つまり、天気予報のアメダスのデータだと、皆さん、自分の市町村の天気予報だけを見ている。水戸に百二十六ミリの雨が降っているという情報が水戸市にとっては重要なんですけれども、それを水の流動という単位でデザインの編集をし直すと、これから上流から、どのくらいの雨が降っていて、それがどのように流れてくるかというふうに分かる。そうすると、行動が変わるんですね。今あるアメダス情報を流域のこの網に乗せるというのは、簡易的には見せられるんですけれども、更に進んで、水の流れも含めて天気予報を見せることができると、行動につながるのではないのかと思っております。

 以上です。

吉田(宣)委員 やがて時間が参りますので、最後に、磯部参考人にも質問させていただきたいと思います。

 参考人の方からは、要配慮者施設等の危険地帯への立地回避、障害に応じた適切な対策というふうな御提言をいただきました。全く私も思いを同じくしております。

 その点に関して、これから様々な避難計画、個別の避難計画の策定ということが一番求められるかと思います。ただ、この避難計画を適切に実施するということも大切になってくるかと思います。その点、行政が果たすべき役割、最低限ここまではやってもらわないと避難できない、そういった最低限の行政の役割について御所見をいただければと思います。

磯部参考人 それでは、今の行政につきましてということですが、福祉避難所とか、今、行政の方でかなり用意といいますか、準備をされておりますけれども、これが非常にまだ数が少ないといいますか、キャパが少ない、全員が逃げてしまうとほとんどあふれ返っているという状況と、それから、それぞれの水害、とりわけ水害につきましては、低平地に日本では非常に人口密度が高いものですし、人口数も多いものですので、そこでの、どこに、市の境を越えてとか、あるいは県境を越えてとか、その辺りまで含めた広域の避難体制をきちっと出していく、それでキャパシティーを持った避難所をつくっていくということだと思います。

 それから、福祉避難所につきましては、やはりこれは福祉避難所ということで一まとめにしてしまうだけじゃなくて、きめ細かな災害の程度あるいは種類によって、それを十分行政が把握して、それでどういう体制を取っていくかということをやっていかないと、地域の方に任せるだけではなかなか難しい。特に高齢化社会になってまいりますと、全員が要支援、要援護者になってしまうというようなところもございまして、その辺りは行政がきちっとした体制を取っていく、そういう意味で申し上げております。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 四人の参考人の先生、本当にありがとうございました。

 これで質問を終わります。

あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 今日は四人の参考人の先生、お忙しい中御出席いただき、また貴重な御提言をいただき、ありがとうございました。今回の法案、束ね法案で、大変中身が多いんですけれども、皆さんがいろいろな角度からお話ししていただいたことで、流域治水のイメージが少し分かってきたかなというふうに思っております。

 早速質問したいと思います。

 まず山田参考人に伺いたいんですけれども、私は、この流域治水法案が本当にうまくいくかどうかというのは、鍵はやはり住民参加ということではないかなと思っているんです。最初の質問に対して先生が御指摘いただいた、やはりこれはもう利害の対立そのものなんだとおっしゃっていること、本当にそれを常に感じるわけですね。

 例えば、上流と下流の関係、水門を開ける閉めるの判断で、でもやはりそれは下流を守るためにはやむを得なかったんだと言っても上流の人が納得できないとか、そういうことを、いかにお互いにリスクを理解し合いながら、こうする判断が必要だよねということをやはりたどっていかなければ駄目だと思いますし、また、先生、利根川の地図、流域を示していただいたように、極めて広域で、都道府県もまたがる。そうした中で、実際に、じゃ、合意を図っていくのはやはり首長レベルなのかなとか、そういうことを思ってしまうわけですね。

 ここを何としても乗り越えていくためにどんなアイデアがあるか、伺いたいと思います。

山田参考人 今まさに言われた、流域治水をやると、地域地域のベネフィットの闘いになる、闘いになると言うと何か厳しい言い方ですが、なると思います。歴史的にもそうですよね。

 利根川には中条堤というのが、土地がありまして、上から来た水はここで止める。だから、下流は助けるけれども、その上はもう水浸しになる。昭和の半ばぐらいまではむしろ旗を立てた大闘争がありましたけれども、それはやはり情報の共有が少ない時代だったからじゃないかと思うんですよね。それから、下流の人は、上流の、例えば、苦労して村が立ち退いてくれてダムができたおかげで東京に飲み水をもらっているんだ、そういうありがたいなという気持ちの教育がちょっと足りなさ過ぎますよね。

 そういう、お互いが理解し合う、だけれども、そのためには、いいインタープリターかファシリテーターが今後必要になってくるんじゃないかと思っています。つまり、どういう意見でも一応受け入れて、分かりやすく説明できるインタープリターというかファシリテーターという、そういう人の養成というのが絶対必要なのかと思っております。これはなかなか、一朝一夕ではそういう人の養成というのは無理ですけれども、行政の深い経験者とか、大学の先生なんかで幅広く研究をやっている方とか、そういう方なんかが間に入ってくれるような仕組みづくりも必要かなと思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。簡潔に、とても分かりやすくおっしゃっていただいたと思います。

 いつもそれを、私、国交省に何度も聞くんですが、なかなかお答えをいただけなくて、協議をよくやっていきますとしかおっしゃってくださらないので、やはりそれだけでは進まないだろうと思うので、伺わせていただきました。ありがとうございます。

 次に秋田参考人に伺いたいんですが、ハザードマップの問題、精緻化されていけばいくほど住民にとって分かりにくいんだ、種類もいっぱいあるんだということをお話しされたこと、とてもよく分かります。

 私も、例えば、地震の避難所に行けば水の真ん中に避難所があって、公民館に避難をしていたら、そこにハザードマップがあって、ぴたり賞だった、ぴたり賞だけれども、何の役にも立たなかったという、これは西日本の話なんですが、そういう経験をいたしました。やはり、そのハザードマップがどんなによくできていたとしても、それが住民にとって使えるものでなければ意味がないのであろうと思います。

 また、今日聞いてなるほどなと思ったのは、リスクの高さ、要するに、百年、千年に一度のハザードマップをいつも見ているのかどうか、頻繁に起こるリスクをいつも見ているのかどうかという問題もあると思うんですよね。

 岩手の沿岸部の自治体では、本当に、今、津波の最大のに向けてハザードマップを作ったけれども、今度は日本海溝が起きればもっとそれを乗り越える津波が来るんだぞと言われて、もう逃げ場がないじゃんといって困り果てているわけなんですね。

 そういった点で、ハザードマップを、マイ避難カードなどというのを取り上げたことがありますが、やはり個人に引き寄せる努力と情報の出し方というのが決め手かなと思うんですが、もう一言いただければ。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおりで、先ほど山田参考人もおっしゃったことなんですけれども、やはり、翻訳者、インタープリター、専門家が間に入って、リスクの程度の違いとかについても住民は全然、十分理解しているとは言えない状況だと思うので、まずそれを伝えていくような組織みたいなものですかね、そういうものをつくっていくということが非常に重要だと思います。

 また、特に、上流に守っていただいている下流域ですね、私は特に都市のことをやっていますので、都市の中心部というのはなかなか上流で守っていただいているということが理解しづらいので、それに関しては、都市の中でも、水防の施設、先ほど申し上げたような、水をためるような公園だとかあるいは緑地だとか、そういうものを保全して、都市の中でも水防を見える化して、人々の意識を高めていくということが非常に重要だと思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 次に、橋本参考人に伺いたいんですけれども、先ほど土砂災害と皆伐についての御指摘がございました。その示された地図が岩泉の災害、水害についての地図だったので、私も視察に行ったことがありますので、大変衝撃を受けました。

 一方では、今農水省では、CO2を吸収しやすい林を植えるんだということで、皆伐を逆にやっている。これもまた、どうもちぐはぐだなという気がしております。

 むしろ、皆伐ではなく、間伐の後の始末がよくできていないことが土石流を発生させて被害を大きくしたりとか、そういうことはもうかなり前から議論をされてきたと思いますし、ある意味、そういう意味では人災でもあるのかな、そういうふうに思うんですね。

 今回、土砂災害警戒区域というのは、開発規制の対象となる浸水被害防止区域に、元々指定されているところはそのまま指定しますという、新たに指定しなくても、そういうふうなスキームになりました。

 ただ、問題は、それじゃ危険な区域がいっぱいだわ、ちゃんと開発規制するんだわと思う一方で、でも、既得のものは、つまり元々あるものは規制の対象外であるとか、それがどれだけ必要なことなのかということの理解が進むのかということでのバランスというんでしょうかね、有効性があるのかなというのはちょっと心配しているところなんですけれども、御意見をいただければと思います。

橋本参考人 御質問ありがとうございます。

 やはり、まず命を守るということは非常に重要なことなんだろうというふうに思います。その上で、既得の事業といったものの施業であるとか土砂災害への影響というものは、十分にまだ解明されているとは言えません。

 先ほども、皆伐が進んでいると。皆伐地で災害の箇所が重なっているというデータはあるんですけれども、そこを更に細かく見ると、どういう施業をしたからこれがまずかったんじゃないか、じゃ、施業の方法を変えれば林業があっても大丈夫ということになりますので、やや、もうちょっと細かく、どういった林業施業したことがこの土砂災害につながり、それが河床を上げてしまったのかであるとか、あとは、間伐をした後も、単純に切り倒し間伐をしてそれが流れてきてしまうというケースはあるんですけれども、等高線と平行に置いた場合、土砂を食い止める働きもあるというようなこともあります。

 ですから、ちょっと細かい話をしておりますけれども、具体的に見ていくと、施業といったことまで踏み込んで見ていく必要があるだろうと思います。

 以上です。

高橋(千)委員 要するに、検証といいますか、それぞれの、大きく言うと、それは山が荒れていたからだよねというような表現になるかもしれないんだけれども、ただ、それぞれに原因がやはりあって、きちっと検証をしていくということがあって今の政策に生きていくということなんじゃないかなというふうに聞いていて思いました。ありがとうございました。

 かつて、やはり私も、災害対策、全国歩いていますので、十何年も前から、これは異常気象じゃないかと指摘する質問はよくあったんですね。ただ、そのせいだけにしてしまうと、じゃ、もうどうしようもないことなのかみたいなことになってしまって、どうしようもないことではなく、今できること、あるいは今までやってきたこととの関係で、どう私たちは対策を打っていくのかということがやはり問われているんじゃないのかなということを思って質問させていただきました。

 さっき秋田参考人に一言、質問のときに論点を一つ足すのを忘れていまして、ハザードマップは移転するほどのものなのかということ、つまり、リスクの高さと、やはり危険だから移転しなきゃいけないものなのかという踏ん切りをどうつけるかということを、やはり難しいよなということでちょっと考えていたので、後でお時間があればもう一回伺います。済みません。

 磯部参考人に伺いたいと思います。

 二〇一八年の七月の西日本豪雨で、岡山の真備町では五十一名が犠牲になる大きな被害がございました。先生は、高梁川や愛媛の肱川などの検証に関わってきたわけでありますけれども、この事案を通してダムの事前放流についてのルールづくりが進んで、今回の法案にも法定協議会のような形で大きく盛り込まれたということは、私はよかったなと思っております。

 先生自身が災害を通して見てきたことと、今回の事前放流のルールをつくったからうまくいくよというだけではなくて、課題として、じゃ、どううまくやっていくのかということで問題意識がございましたら伺いたいと思います。

磯部参考人 ありがとうございます。

 今御質問いただいた件につきましては、やはりダムが非常に今多くなっております。高梁川水系でも、今、新成羽川ダムと申しましたけれども、あと県営の河本ダムとか農水関係の小阪部ダムとか、もうたくさんのダムがございまして、それをどう調整していくかというようなことも必要になってくると思います。

 そこが、先ほど流域管理とまで申しましたけれども、かなり一元化しておかないと、いつどこでどのダムが出すかというのがかなり重要になってまいりますので、その辺りをこれから調整していく必要があるだろう。ただ、気象予報が、まだ完全にとは言いませんけれども、非常に正確になってきておりますので、それを運用していく。洪水が起こらない放流量というのがございますので、それを計算して出していけば十分対応できるとは思っております。ただ、横の連携をどうするかということになっていくのではないかと思っております。

 それからもう一件だけ申しますと、河川の整備を今まで十分してなかったところもありまして、堤防高等が低いところがございますので、その辺りをかさ上げしながらやっていくということが必要かと。

 それから、伝達につきましては、今、かなり、中国電力なんかも下流まで一気に宣伝車を走らせるようなこともやっておりますので、その辺りをこれから制度化していく必要があると思います。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ダムもやはり流域の中に、先生がおっしゃったように、幾つもある、一つだけで議論はできないよねということだと思いますよね。ですから、今回の住民参加が、そのことも含めて、ダムの在り方も含めて議論になっていくというのが一番いいのかなと思っておりますけれども、もしありましたら、もう一言。

磯部参考人 住民参加といいますか、住民あるいは専門家を入れて、その辺りをこれから計算して、あるいはそれぞれの対応を緻密な形でやっていく必要があるとは思っております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。終わります。

あかま委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、早速質疑させていただきたいと思いますが、今日は四名の先生方、本当にありがとうございます、お忙しいところ。

 まずは、山田参考人にお伺いをしたいと思います。

 現在、気候変動に伴う温暖化の進行といいますか、見通しといいますか、やはり気候変動で、毎年のように豪雨だとか台風だとか、様々な水災害が影響を与えてきています。まあ、地震は、気候変動、直接関係しているかどうかはちょっと別ですけれども、ただ、地震によって津波という大きい災害も発生します。

 そういう中で、こういう温暖化の現象が進行しているような状況の中での水災害への影響というのについてどのようにお考えか、ちょっと抽象的ですけれども、先生、お答えいただけたらと思います。

山田参考人 私自身も、環境省の審議会の一分科会で、地球温暖化に伴う適応策を取りまとめる委員会のメンバーです。そこで、地球温暖化の本当のプロの方々が集まって、情報交換して、報告書を作っております。

 その中で、例えば最近起きている非常に強い雨、短時間に計画をはるかに超えるような大雨というのは、地球温暖化のせいかと。最初の頃は、いろいろな参加者の先生たちも、いろいろな疑問も持っていました。それは、我々のデータというのはせいぜい六十年ぐらいしかないんですよね、まともなデータというのは。戦後のデータで六十年。ところが、そのデータで、だんだんだんだん、我々が年月を経ると、六十年が八十年、百年になると、とんでもない外れるデータも起きますよというのが、これは統計学、当然、統計上そうなるわけです。仮に地球が温暖化しなくても、データがだんだんだんだん長くなればとんでもない外れ値も出てくるというのも、統計学の教えるところです。それに対して、やはり、いろいろな証拠から地球温暖化の効果が出始めたな、影響が出始めたなというのが、その三、四十人いる専門家のほぼ共通の認識です。

 それで、先ほどの資料にもありましたように、例えば雨が一・二倍ぐらい降りますと、例えば北海道における石狩川は、ほぼ石狩平野全部、水につかっちゃいます。そのぐらいのものです。つまり、一・一倍、一・一五倍というのは非常にデリケートなところの数字でして、一・二倍になると、もう石狩平野全部、水につかっちゃうぐらいのものです。

 そういうことで、今後とも、じゃ、どの辺まで、どこかに基本高水をどう考えればいいかなんというのがありましたけれども、本当にそういうところに今来ているんじゃないでしょうか。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 統計学的にはやはり温暖化というのが影響しているかなというお答えだったかというふうに思うんですけれども、やはりこれもなかなか難しい、非常にグローバルな課題でもありますので、我々としても気をつけてしていきたいなというふうに思うんですけれども、次に、秋田参考人にお伺いをしたいというふうに思います。

 秋田参考人は、先ほどから、特に流域治水への主体性を育む学校教育それから社会教育が必要であるというふうにおっしゃっておられて、そうだなと改めて思います。

 私も、出身は大阪市の港区というところで、御存じかどうか分かりませんけれども、海遊館という水族館があって、本当に風光明媚と自分で言うのも手前みそですけれども、非常にいいエリアで、十分ほど歩いていくと川があって堤防があってという地域で生まれ育ちましたので、やはり水害というものに対して非常に敏感に育ってきたといいますか、雨が降っていくと川が増水していくのを目の当たりに見てきましたし、常に高潮とか洪水とか、そういったものに対しての意識というかは非常に高いですし、また地域では、うちでは淀川水系になりますので、淀川左岸水防団事務組合というのもありますので、そういう水防団もなかなか、我々はよく海とおかと言うんですけれども、おかの皆さん方には余りそういう意識が、やはり薄いというふうに思うんですね。

 でも、今のこういう状況を見ると、先生のおっしゃる、やはり育む学校教育、社会教育というのは非常に必要だと思いますけれども、どのようにして、教育上、この流域治水というのを広めていくお考えがあるかというのがまず一点。

 それから二つ目は、流域治水を推進するために、河川等における対策強化や水をためる対策に加えて、災害に強いまちづくりを進めるということは重要であると。災害に強いまちづくりといえば、昨年、災害のおそれが高い区域での開発規制の強化とか町中などの安全性などの向上を柱とする都市計画法を改正したんですね、それで都市再生法を改正した。今回のこの流域治水と含めて相乗的な効果というのをどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 大阪は水の都ということもよく知っております。私、大阪出身なんですけれども。

 まず、今回の気候変動のことで一番重要なのは、今まで、水の恵みを受けていた人たちが水の危なさも知っていて、恵みと危険の両方を交換していたような状況だったんですけれども、気候変動によって、今まで水の恵みあるいは水を身近に感じていなかった人たちにも被害が及ぶということが非常に重要で、そこをどうカバーしていくかということがとてもポイントになってくると思います。

 それで、教育もそうですし、あと、先ほど申し上げましたように、そういった場所でも取り組める、水をためる公園だとか緑地だとか、そういうまちづくり側でのハードの整備というのを進めていくことで、今まで影響を受けていなかった、あるいは水と親しんでいなかった人たちにもそういうことを知っていただくということがとても重要だと思っています。

 あと、二つ目の開発規制の強化についてですけれども、これは様々な部局の連携によって、危ないエリアにできるだけ人を増やさないという方向性は非常にいいと思っています。

 ですが、一つ課題は、先ほど高橋先生、それから荒井先生からもお話があったんですけれども、じゃ、最終的に集団移転する場合どうするのかということなんですが、今、例えば、洪水ではなかなかないんですけれども、津波で特に危ないと言われている地域では、自主的に転出できる人たちが、特に若い世代ですね、転出してしまって、高齢者の方々がそういう危ないエリアに取り残されるというふうな状況も起こっています。そうした場合には、やはり集団移転などをしなければ、その人たちは自分たちで避難することもできない、それから助ける方もいないというふうな状況が起こりかねないので、そういう方々には非常に丁寧に合意形成を行って、どうするかということを一緒に考えていくということがとても重要になってくると思います。

 ですので、こういうことも地域の差というのがすごく生まれてくると思いますので、地域地域に合った対策というのを積極的に取り組んでいくことが必要だと思っています。

 以上です。

井上(英)委員 そうなんですね。やはり地域地域で全然意識が違うというのは本当にあると思います。

 大阪ということだったので、資料にも寝屋川の件が書いていましたけれども、我々も、僕は高校は京橋だったので、寝屋川の友達もたくさんいてるんですけれども、寝屋川も第二寝屋川なんかでも、そんな水害ががあっと起きるというようなイメージは当時余りなかったんですよね。

 でも、今は非常にそういう意味での心配といいますか、懸念がありますけれども、地域地域で本当に違うので、その辺はやはりみんなが共通して思えるような何か教育というのが非常に大事かなというふうに思います。

 もうあと残り五分ということなので、橋本先生にお伺いをしたいと思います。

 橋本先生は、流域治水の観点から、土砂災害の場合に、森林の在り方というのにも問題提起をされている、先ほどもそういうお話がありましたけれども、土砂崩れと森林伐採、その関係というのをどのように見ておられて、そして、どのような対策が必要だというふうにお考えでしょうか。

橋本参考人 お答えします。

 土砂災害の原因を、開発、森林の開発、ソーラー発電、いろいろな開発がありますね、開発そして開発手法、地質、土質、そして地表と地下水の流れ、こういったものを総合的に検証する必要があるというふうに考えています。

 先ほど、流域は全体でやっていくということをお示ししたように、森林ということになりますと、先ほどの野球場の図の外野のフェンスの方にあると思うんですけれども、一方で、中流域も非常に重要でして、農業分野との連携ということで考えますと、田んぼ、湿地の一つだと思いますけれども、田んぼに一時的に水をためていくという施策もあると思います。

 一方で、ため池の老朽化という問題があります。二〇一八年の七月の西日本豪雨のときには、広島、岡山、京都で、三十二のため池が決壊しています。ですから、田んぼにためられるから大丈夫ということではなくて、そういったことをきちんと保全、点検しながら流域治水を展開していく。山の崩れ、それから田んぼ、そういったものも総合的に見ていく必要があるのだろうと考えます。

 以上です。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 やはり、本当に専門的なお話になってくるので、なかなか我々も勉強不足で大変申し訳ないんですけれども、先生方のお話を聞かせていただきながら、しっかりと知識を積み上げていかないと駄目だなというふうに、いつもこう思うんですね。

 また、そういう意味での、森林伐採というか、様々な、根の、樹木の細根で網の目のように土壌層はなっているとか、そういうことをふだんなかなか余り考えないといいますか、災害のことをメインで考えることが余りないので、どうしてもそういう意識が低くなってしまうというのがあるので、やはり気をつけていきたいというふうに思います。

 それでは、磯部参考人に聞きたいと思うんですけれども、先ほどありましたように、事前放流の話もありましたけれども、災害時の避難などの対応について、行政の役割とか責任というものについてどのようにお考えか、お聞かせをいただけますでしょうか。

磯部参考人 御質問、どうもありがとうございます。

 避難の行政の対応ということでございますが、今、自助が非常に強調されてきているんですけれども、やはり亡くなった人、真備なんかでも九割が高齢者あるいは要援護者ということになっておりまして、やはり自助では難しい人が亡くなるわけでして、そこへやはり公的なところの援助がどうしても必要だと思っております。

 それは、日頃からやはり、今、個人情報保護法等がございますが、きちっと行政の方が把握して、それで対応していくということになっていくんじゃないか。もちろんそれは、行政マンが全て行くというよりは、近所でということになると思いますけれども、そのサポート体制等を事前にはっきりしておかないと、誰かが行くであろうとかいうことではやはり難しい人が亡くなるという点で、行政がきちっとしていく。

 それから、先ほども申しましたけれども、避難場所等も、弱者に対してのサポートができるような体制を取っていく。床に寝るというのは、段ボールベッド等で多少改善はされているんですけれども、やはり要支援者の方にとっては、要援護者の人にとっては、それだけでは到底無理でございますので、そこの辺りを行政側も事前にキャッチしてやっていくというようなこと。

 それから、やはり、今過疎化が進んだり、そこのところを、それは、先ほどの森林保全にしましても、林業あるいは農業等をどう位置づけるか、防災だけじゃなくて、全体を見通した産業の位置づけも必要だと思っております。

 以上でございます。

井上(英)委員 参考人の先生方、どうもありがとうございました。

あかま委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、御多忙の中で、参考人の皆様におかれましては、大変貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。

 時間の関係上、早速質問に入らせていただきます。

 先ほどからも議論があっております、近年、大変豪雨災害が大規模化、頻発化をいたしております。私、地元が長崎でございます。昭和三十二年の諫早大水害、また、昭和五十七年、長崎大水害におきまして、行方不明の方も含めて、二百九十九名の方が亡くなったり行方不明になられたという、大変風水害の被害の多い地域で私も生まれ育ちました。また、九州も近年、大変災害が頻発化いたしております。

 昨年、国会におきまして、気候非常事態宣言というものを国会で議決をいたしました。やはり気候変動の影響が大変最近の豪雨災害に大きな影響を及ぼしているというふうに考えておりますけれども、まず山田参考人と橋本参考人にお尋ねをいたします。

 これから流域治水という概念の下で治水対策を考えていくときの、また治水計画をいろいろ見直していくことの大前提として、先ほどからも議論があっている、想定する雨量をどういうふうに考えて治水対策や計画を立てていくかということが大変重要であり、難しい課題であると認識をいたしております。

 それぞれ、山田参考人、また橋本参考人からの御所見をいただきたいと思います。

山田参考人 短期的に考えなきゃいけないことと長期的に考えなきゃいけないことがあるんじゃないかと思っております。

 一つは、流域協議会をちゃんと法的に担保の下につくるんだということがこの改正の一つの大きい柱ですけれども、それに対して、それを決めたときの、それで計画をつくっていったときの、それでも災害が起きたときに責任はあるのかないのかという問題ですよね。

 これも、私もいろいろ調べてみましたら、例えばアメリカの場合は、その計画を決めた役所群に対する免責事項があります。つまり、ある一定、それはもちろん単純なミスみたいなのは裁判にかけられますよ、だけれども、例えば堤防が、あるときに、一週間ぐらい非常にハイウォーターが続いてどどんと壊れた、これは管理瑕疵があるじゃないかというようなことは、アメリカでは免責事項で問われません。そういうものがないと、この協議会の責任が一体どこにあるのかという問題が出てきます。

 それから、では、壊れたときに、それで大勢の人が亡くなったときに、亡くなった住民はもうそれで泣き寝入りかというと、さっき言いましたように、アメリカの場合には連邦洪水保険制度というものがあって、それでカバーするようにしています。

 だから、中長期的にはそういう免責事項と洪水保険というようなものを両方考えないと、ここから下で壊れたら責任ありますよと言われたら、みんな何にも言えなくなっちゃって、想定以上のことを考える余裕はなくなります。責任の範囲内だけしっかり守ろうということになっちゃいます。これが中期的に考えなきゃいけないものかなと思っております。

 以上です。

橋本参考人 お答えします。

 先ほども申し上げたんですけれども、基本高水というものをどういうふうに捉えていくかということが今後非常に大きな問題になってくるんじゃないかと思います。

 やはり基本高水というのが治水政策の一つの大きな重要なものとなっておりますから、それを気候変動によってどのように考えていくかということになると思うんですけれども、設定するのが非常に難しいのではないか。それから、仮に大きなものを設定したとしても、それを実現するのは時間も予算もかかるであろう。それから、かといって、そのままにしてしまったらば超過するリスクが非常に高くなっていると思うので、超過洪水対策をどのように行うかということになってくると思います。

 ですから、先ほど山田先生もおっしゃっていましたけれども、短期的に考えるという部分では、人命をいかに守るかという部分です。それから補償という部分だと思います。

 それから、長期的にということを考えていくと、仮に超過洪水があってもよいというまちづくりをするというふうに決めたとすれば、例えばオランダがルーム・フォー・ザ・リバーという政策をしておりますけれども、元々あふれるんだよということでまちづくりをしているということですね。これは洪水対策だけでまちづくりをしているわけではなくて、将来のここに住む人たちがどういうまちづくりをするかという非常に長期のビジョンを合意形成して行ったというケースがあります。

 こういったことも参考にしながら短期と中期で対応していく、そして、気候変動は非常に不確実ですので、定期的な見直しを流域内の人口動態などと併せながら考えていく必要があると思います。

 以上です。

西岡委員 ありがとうございます。

 山田参考人、橋本参考人から大変示唆に富む御指摘をいただいたと思います。短期的、長期的、中長期的に、しっかりそこを分けながら考えていかなければいけないということで、今後大変な課題をいただいたというふうに思っております。

 続きまして、秋田参考人にお尋ねをいたします。

 秋田参考人におかれましては、東日本大震災の災害区域におけるまちづくりで大変お取組をいただいた御経験を基に、この流域治水とまちづくりについて先ほど様々な御示唆をいただきました。

 全員参加の流域治水の取組とまちづくりの在り方という面でいくと、先ほど御指摘があったように、この協議会の果たす役割が大変重要だということをおっしゃっておりましたけれども、その中で、科学的知見と地元の経験を合わせたその集合知が期待されるようなやはり協議会にしていかなければいけないというお話がございましたが、それがうまく機能していくためには何が重要かということを、秋田参考人の御経験を基にお話をちょっといただきたいと思います。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、協議会の実質化、実質的な協議というものが最も重要だと思っています。逆に言うと、今までも流域治水に関する協議会というものはあったんですけれども、どちらかというと、それぞれ役割があって、それぞれの役割で話をするというふうな状況だったかと思います。

 一番重要なことは、決まったことを話すのではなくて、そこできちんと協議をするということなんですね。先ほども申し上げましたように、これはもう決まったことだから変えられませんというふうな前提で話をすると、実質的協議というのは非常に難しいと思っています。

 ですので、何かやることが完全に決まる状態以前の、もっと幾つも選択肢がある中で協議をしていく、さらには、これは運用の方法だと思うんですけれども、やはり住民の方だとか、あるいは自治会の方、あるいはNPO、多様な主体が参加できる協議会にするということが非常に重要だと思っております。

 以上です。

西岡委員 続けてちょっと秋田参考人にお尋ねをいたしたいんですけれども、住民の考えですとか思いをしっかりその場で表明していくために、そこの行政と住民をつなぐコーディネート的な、専門性を持って、また住民の立場にも立って考えていくという、やはり専門家の存在というのが大変重要かと思うんですけれども、その点について御所見をいただきたいと思います。

秋田参考人 御質問ありがとうございます。

 これは山田委員とも全く同じことなんですけれども、やはり通訳者、翻訳者みたいな存在が非常に重要で、例えば今日は我々がそういう役割を果たしているのかもしれないんですけれども、こういう人たちにきちんと予算をつけて、地域の中に入って水防について意識を高めていく、それから、住民も専門的な知識をきちんと理解していって、その中で協議会で発言していくということが非常に重要だと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 それでは、磯部参考人にお尋ねをいたします。

 先ほどからも議論が度々あっておりますけれども、要配慮者施設などの危険地域への立地というものをやはり回避をしていくということは、大変重要な視点だと思います。

 ただ、既に立地している施設については、なかなか、やはり移転をしていくというのは様々な困難が伴うというふうに思いますけれども、この要配慮者施設というところの危機が迫ったときに、人命を守っていくという観点でいくと、やはりどうしても移転をするべきだという施設の立地があると思うんですけれども、そこを移転をしていただく取組というのも一方で必要になってくると思います。

 また、ちょっと福祉施設ではないですけれども、例えば学校施設や保育園等も含めて、大変、広島に私も豪雨災害のときにボランティアで伺ったときに、学校施設や保育所の施設が被害を受けているという実態を目の当たりにいたしまして、やはり防げることと防げないことというのがありまして、この立地を考えていくというのも大きな政治の課題であるというふうに思いましたし、そういうところが逆に避難所になっているという問題もあるというふうに思います。

 先生、その辺りの御所見をちょっとお伺いをしたいと思います。

磯部参考人 どうもありがとうございます。

 今おっしゃったとおり、避難施設になるべきところなんですね。福祉避難所も、大体、今、福祉施設がなっておりまして、そういう点では、もう完全に先行投資として、行政がそういう位置づけをしてやっていく。一番の弱者の人を、小学生も低学年になったらそうだと思いますし、保育園、幼稚園等、初めから、逃げるというよりは、もうそこに逃がしておくといいますか、そういうところへ立地をして、そこに皆さんも避難をできるような体制にする。冷暖房、あるいはそこへ備蓄とか、それをきちっとやっていけば、一石二鳥になっていくんですよね。

 それを、困難な人を緊急事態で逃がすというのは、私も今、まだと言った方がいいかもしれませんけれども、日本福祉大にいまして、その近くで、布土という地区で防災のことをいろいろやって、仙台での国際の防災会議にも区長さんに行っていただいたり、いろいろしたんですけれども、そこにも、元の小学校の跡地が今、福祉施設になっております。やはり、公共の施設のところが、安かったり広いところがあるとそういう立地になっていくんですけれども、それを先行投資で行政が先にいいところに移して、そこへ健康な人も逃げていくというような体制をこれからつくっていくべきだと思います。

 ですから、そこをどれだけこれからできるかということで、じゃないと、緊急のときに誰かが行って逃がすというのは本当に大変です。車椅子、お運びになったことがあるかもしれませんが、電動車椅子なんて、男性四人かかっても、なかなか、階段を持ち上げていくというのはほぼ不可能なことになってまいりますので、その辺りを事前にということを考えております。

 以上でございます。

西岡委員 磯部参考人、ありがとうございます。

 本当に大きな課題だと思っておりますので、またいろいろ御所見をいただきながら取り組んでいきたいというふうに思います。

 最後の質問になるかと思いますが、橋本参考人にもう一問お聞きをしたいと思います。

 先ほどから、想定外の雨量というお話があっておりますが、今日のお話にも通じるんですけれども、橋本参考人が書かれた記事を以前読ませていただいたときに、想定外の立地というものもあるという記述をされておりまして、読ませていただいておったんですが、今日のいろいろなお話の中にも通ずるところがあると思うんですが、特に土砂災害については、私の地元も大変土砂災害危険区域が多いところでございまして、そこにも古くから住民の皆さんが住んでいらっしゃるという中で、やはりこの豪雨災害に備えていくということも一方でやっていかなければいけないことなんですが、これからいろいろな立地を考えていくときに、どのような考え方でこの立地を考えていくべきかということを、ちょっとお話をいただければと思います。

橋本参考人 御質問ありがとうございます。

 想定外の立地、想定外の住まいというものが……(西岡委員「想定外の土地利用というお話をちょっと読ませていただいたことがありまして。申し訳ありません」と呼ぶ)ありがとうございます。想定外の土地利用と。

 メディアなどでは、豪雨災害が起きますと、想定外の雨量という言葉が喧伝されまして、いささか独り歩きしている感じがいたします。

 そもそもそこは、本来であれば開発してはいけなかった、本来であれば昔の人はそこには住まなかったというところに、この近代化に伴って土地利用が進んできたという、こういったことがあります。ただ、そういったことについては、非常に今回の法整備でいろいろな対策がなされてくるのではないか。

 もう既に先行している部分で、宅地建物取引業法の施行の規則を一部改正する命令というのが昨年スタートしておりまして、不動産取引のときにハザードマップを提示するというようなことがあります。それから、土砂災害の地域に、想定地域への開発というものも今後制限されるというふうになっております。

 ですので、想定外のところに住んでいる人がいかにそこから避難できるようになるかというようなことと、例えば、不動産業にとっては、想定外の土地というものは非常に扱いにくいというか、そこが想定外の土地だよということは、言ってしまうと、そこの土地が取引できなくなったり暴落してしまったりということがあります。そういったことを、どうやってその土地を盛土などをして不動産として使っていくかというようなこととか、土地に対する歴史の情報として、実は、鬼怒川の豪雨災害の後、一か月後に、氾濫原に一戸建てが建前を、スタートしたというようなこともあります。なので、こういう危険なところだよということを認識をしていく、それの情報を周知していくということも大切だというふうに考えております。

 以上です。

西岡委員 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

あかま委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言申し上げます。

 本日は、貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございます。委員会を代表して御礼申し上げます。

 次回は、来る四月二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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