第11号 令和3年4月14日(水曜日)
令和三年四月十四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 あかま二郎君
理事 古賀 篤君 理事 谷 公一君
理事 土井 亨君 理事 平口 洋君
理事 簗 和生君 理事 城井 崇君
理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君
秋本 真利君 井上 貴博君
泉田 裕彦君 岩田 和親君
小里 泰弘君 加藤 鮎子君
門 博文君 金子 恭之君
菅家 一郎君 工藤 彰三君
小林 茂樹君 田中 英之君
田中 良生君 高木 啓君
中谷 真一君 中村 裕之君
鳩山 二郎君 深澤 陽一君
藤丸 敏君 堀井 学君
山本 拓君 荒井 聰君
伊藤 俊輔君 岡本 充功君
高木錬太郎君 辻元 清美君
松田 功君 道下 大樹君
山本和嘉子君 北側 一雄君
吉田 宣弘君 高橋千鶴子君
青山 雅幸君 井上 英孝君
古川 元久君
…………………………………
国土交通大臣
国務大臣 赤羽 一嘉君
外務副大臣 鷲尾英一郎君
厚生労働副大臣 三原じゅん子君
国土交通副大臣 大西 英男君
国土交通大臣政務官 小林 茂樹君
国土交通大臣政務官 鳩山 二郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 益田 浩君
政府参考人
(特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長) 高田 陽介君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 石田 晋也君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 山内 由光君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 高杉 優弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 日原 知己君
政府参考人
(経済産業省通商政策局通商機構部長) 黒田淳一郎君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官) 久保田雅晴君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 東川 直正君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 中原 淳君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 和田 信貴君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 上原 淳君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 秡川 直也君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 和田 浩一君
政府参考人
(国土交通省北海道局長) 後藤 貞二君
政府参考人
(国土交通省国際統括官) 山上 範芳君
政府参考人
(観光庁長官) 蒲生 篤実君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 大森 恵子君
参考人
(独立行政法人都市再生機構副理事長) 伊藤 治君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
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委員の異動
四月十四日
辞任 補欠選任
三ッ矢憲生君 藤丸 敏君
広田 一君 高木錬太郎君
井上 英孝君 青山 雅幸君
同日
辞任 補欠選任
藤丸 敏君 三ッ矢憲生君
高木錬太郎君 広田 一君
青山 雅幸君 井上 英孝君
―――――――――――――
四月十三日
海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○あかま委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構副理事長伊藤治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、大臣官房技術審議官東川直正君、国土政策局長中原淳君、住宅局長和田信貴君、鉄道局長上原淳君、自動車局長秡川直也君、航空局長和田浩一君、北海道局長後藤貞二君、国際統括官山上範芳君、観光庁長官蒲生篤実君、内閣官房内閣審議官益田浩君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長高田陽介君、金融庁総合政策局参事官石田晋也君、法務省大臣官房審議官山内由光君、外務省大臣官房審議官高杉優弘君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官達谷窟庸野君、大臣官房年金管理審議官日原知己君、経済産業省通商政策局通商機構部長黒田淳一郎君及び環境省大臣官房審議官大森恵子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。
○中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之です。
質問の機会をいただいたことに心から感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。
今日のテーマは、分散型国土形成ということであります。
高度経済成長期に我が国は、効率を重視して、首都圏に人口やインフラを集中してきたところであります。その後もこの流れを止めることができずに、地方では人口減少や空き家の増加など、様々な課題を抱えております。
ところが、新型コロナウイルス感染症が発生をして、集積のリスクというのを浮き彫りにしたわけです。事実、東京都の社会減も初めて見られるというようなことになっていまして、国民の皆さんも、それから企業も、集積のリスクの方が、デメリットの方をメリットよりも感じる、そういう時代になったわけであります。これは非常に大きなパラダイムシフトだと私は思っています。
そして、社会のリモート化が一気に進みましたので、従来、地方に住んでいると、仕事がないとか、持病の医療が心配だとか、教育格差があるとか、そうした不安があったわけですけれども、そういったものがこのリモート化によって一気に解消される時代を迎えることになりました。リモートワークで一部上場企業にも勤務ができるであるとか、GIGAスクールで教育格差は心配なくなるですとか、オンライン診療で持病の管理ができるというようなことが地方でもできるようになります。
こうしたことというのは地方で暮らす不安を大きく解消するわけでありまして、こういった時代を迎えるに当たって、感染症のリスクを軽減して、また、巨大地震や集中豪雨、大風の災害などからそういったリスクを回避する意味でも、首都圏一極集中から分散型国土形成に強い意思を持って転換すべきだと思いますけれども、国土交通省の考えや取組について伺っていきたいと思います。
○赤羽国務大臣 首都圏一極集中がマイナスが多いですとか、同時に、地方創生が大事だということは、もう数年前から言われてきておりますが、なかなかそうしたきっかけが起こらなかった。そういう意味で、昨年来のコロナウイルス禍の長期化また拡大化というのは、大変な負の影響も強いわけでありますが、他方で、働き方の改革が実際に行われる中で、現象として住まい方の変化というのが起きているというのが、今、中村委員の御指摘のとおりであります。
東京都への流入人口と流出人口、八か月連続で流出人口の方が超過しているという、極めてこれまでで珍しい現象が続いているというのも、こうしたことの裏づけであるというふうに思っております。
今後どうなるかということはあれですけれども、私は今、観光関連の皆さんと全国で四十七か所、意見交換をさせていただいておりますが、まさに少子高齢化、人口減少、過疎化で悩まれている。各地方において、こうした現象をきっかけとして地方創生をしていかなければいけない、大変、そうした前向きな地方の首長さん、関係者の皆さんが多いというのも事実でございます。
我々は、昨年来のコロナの発生、長期化の兆しの中で、国交省の中で各局に、今後のウィズコロナまたアフターコロナの時代変化にとって、置いてきぼりを食わないというか、先手を打てるような国土交通行政がどうあるべきかということはしっかりとブレーンストーミングするようにという指示を出しておりました。
様々な、各局が横断的にそうしたことに対応しなければいけないという指示の中で、こうした地方への流れというものがあれば、その流れを支援できるような国土交通行政、様々な関係がありますけれども、そうしたことはしっかり、先手先手で手を打って、国民の皆様のそうした期待に応えられるようにしなければいけない、こう考えておるところでございます。
○中村(裕)委員 大臣から、地方への流れを推進できるような先手を打った対応をしていきたいというお話がございました。
今から約五十年前ですけれども、一九七二年に田中角栄自民党総裁候補が「日本列島改造論」を打ち出しています。その意図するところを御紹介したいと思いますけれども、工業再配置と交通、情報通信の全国的ネットワークの形成をてこにして、人、物、金の流れを巨大都市から地方に逆流させる地方分散を推進すること、これを意図しているわけです。今聞いても全く古臭くない田中角栄総裁候補の「日本列島改造論」だというふうに思います。
大臣おっしゃったように、転出が超過をするという珍しい現象が起こっていて、今後どうなるかは分からないということですけれども、そうした流れを国交省は前向きに捉えて、国土の在り方として、日本国のBCPとして地方分散を促していく必要があると思います。
そこで、この「日本列島改造論」にもある交通、情報通信の全国的ネットワークの形成をてこにしてということを考えると、この分散型国土形成を進める上では、公共事業というのは大きな役割を持つことになります。
そして、公共事業を事業化をしていく手続としては、事業評価を踏まなくてはならないわけです。これまで国土交通省として、事業化するに当たって事業評価を行ってきたところですけれども、その事業評価というのは、どうしてもBバイCを中心にする事業評価だったと思います。やはり、数字で表す効果というのを、どうしても財政当局も重視をしてきたと思います。
しかし、首都圏一極集中、地方の過疎化という国土形成がその結果なされたということを考えると、この公共事業評価を見直すことは必須だと私は考えます。BバイCに偏重している事業評価をこの際見直すべきだと考えますけれども、国土交通省の考えをお伺いしたいと思います。
○赤羽国務大臣 これまで、かつて公共事業を、どう生産性を上げるかとか、効率的にしていくのか、限られた財源の制約の中でどうするのかという議論の中で、いわゆるBバイC、金銭換算可能な効果を対象とした費用便益の分析というのがなされた。
これは若干誤解もあるんですけれども、それだけではなくて、災害時における人や物流の輸送の確保等、貨幣換算が困難な効果についてもそうしたことは加味されてはおりますが、やはりBバイCの方が圧倒的に分かりやすい。BバイCが駄目なところは、余り、やはり公共事業としては駄目という評価が色濃く残ってきたのは、私も個人的にはそう感じておるところでございます。
ただ、今回、このコロナ禍の影響というのは、こうしたこともやはり相当影響は受けていて、例えばインフラの手法につきましては効率的であることがよいとされておりましたが、このコロナ禍、ウィズコロナの時代では密が駄目で、密が駄目だということは、効率的なことが必ずしもいいという価値観だけではないといったような評価方法、そういった点も変えていく必要があるということもございますし、土木事業も、その土地その土地に合ったオーダーメイドということがあることが受け入れられることが多いものですから、全国一律の評価でなくて、個別の事業の評価を行うという考え方に変えていく必要があるだろうというのは、これは実は、有識者から構成されている公共事業評価手法の研究委員会でも、こうした議論を今進めているところでございます。
いずれにいたしましても、今後、コロナの感染症の今の、まだ長期化が続いているという中に加えまして激甚災害が頻発している、こうした状況の中で、防災・減災、国土強靱化に資する公共事業の在り方というのも当然考えていかなければいけないわけでございますので、こうしたことの中で、地方の創生に資する、新しい時代の、新しい生活様式における公共事業の在り方というものの評価というのは定着させるべく、しっかりと取り組んでいかなければいけないというふうに、それは御指摘のとおりだというふうに思っております。
○中村(裕)委員 ありがとうございます。
個別の事業の評価に変えていく必要がある、また、新しい時代の評価というのを考えていかなければならないという前向きなお話をいただきました。
しかし、実際にそういった評価の流れに持っていくにしても、やはり財政当局などは、このBバイCをなくするわけにはいかないんだと思うんです。どうしてもこのBバイCというのは残っていくんだと思います。このBバイC自体も見方を変えていく必要があると思います。
私がよく、BバイCが悪い、BバイCが悪いと言うと北海道の美唄市の人は怒るんですけれども、本当にこの課題、問題意識というのは前からありまして、そういった中で、リモート化で地方に暮らす不安がなくなってきているわけですけれども、それでも全てが解消できるわけでなくて、どうしてもリモートにできない部分というのはありますから、例えば出産ですとか救急医療、そうした課題というのは、地方に暮らしていて、脆弱な医療体制の中で、どうしても不安を抱えることになります。
高速道路が整備されることによって、三次医療機関若しくは出産できる医療機関に、例えば一時間以内でアクセスできるエリアが広がるというのは非常に大きな便益だと思います。国土形成上、通行台数に限らず、そうしたエリアが広がるということを是非便益として評価すべきだということを、私、一つ提案をさせていただきたいと思います。
こうしたように、BバイCの評価そのものの見直しも進める必要があると考えますけれども、国土交通省の所見を伺いたいと思います。
○東川政府参考人 お答え申し上げます。
費用対効果分析、いわゆるBバイC分析と呼んでおりますけれども、これにおいては金銭換算できる便益のみを対象にして、例えば道路事業では、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少の三つの便益を対象としているところでございます。
議員御指摘のとおり、高速道路整備によりまして救急医療施設へのアクセスの改善、こういった効果は、貨幣換算することが、金銭換算することがなかなか難しいものですから、この三つの便益では十分に評価できていないというふうに考えているところでございます。
この金銭換算できていないで計上できていない効果、これにつきましては金銭換算するための研究、努力を各事業部局で続けておりますけれども、なかなか難しいところもございます。
そんな中で、例えば治水事業におきましては、災害廃棄物の処理に伴う負担が解消される効果を令和二年度から計上するなど、こういった研究、努力を続けていきたいというふうに考えている次第でございます。
また、貨幣換算がやはり難しいなという効果も当然存在するわけでございまして、例えば、災害時の浸水により発生する停電被害を受ける人口を推計し評価するなど、可能な限り定量的な評価を研究、実施、検討しているところでございます。
いずれにしましても、このBバイC分析は、事業評価を行う上で重要な要素であるという認識の下ではございますけれども、そこにとどまらない効果が御指摘のように広く存在すると認識しておりまして、評価の在り方についても引き続き議論を行ってまいります。
○中村(裕)委員 いろいろと検討していただいているということは分かりましたけれども、やはり、国土形成ということを考えたときに、通行台数というのは道路自体の問題であって、国土の在り方としてどうあるべきかということを考えた上でBバイCの評価を工夫していただければと思います。
もう一つ、BバイCの関係ですけれども、BバイCの評価には社会的割引率というのが設定をされていて、これは平成十六年からですか、当時三%台後半だった日本国債の実質利回りを参考に、今は社会的割引率を四%に設定をされているところであります。それから二十年たって、日本国債の実質利回りは今や一%にも満たない低金利が定着しているわけです。
国土交通省では、公共事業評価手法研究委員会の分科会で、社会的割引率をどう設定するかについても検討されていると承知しておりますけれども、これはどのような議論が行われているのか、政府参考人から御説明いただきたいと思います。
○東川政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省においては、いわゆるBバイC分析を実施する際に用いる社会的割引率につきまして、御指摘のように、平成十六年に策定いたしました、国土交通省の統一的な取扱いを定めました公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針の中におきまして、十年物国債の実質利回りなどを参考に四%と設定しているところでございます。
社会的割引率は必要に応じ見直しを行うということではございますけれども、また、十年物国債の実質金利は、近年〇%付近で推移しております。一方、公共事業の事業期間や社会資本の利用期間が長いため、この変化の激しい金利のみをもって見直すのかどうするのかということも、十分検討が必要だというふうに考えております。
そういった意味で、公共事業評価手法研究委員会を現在開催しておりまして、令和二年六月と十一月に二回、この有識者委員会を開きました。
その中で、社会的割引率の議論でございますけれども、四%であることは最近の金利動向を踏まえると現状に全く合わないという御意見、また、四%は維持しつつ、二%に変更した際のBバイCを記載するなど複数の社会的割引率のBバイCを併記してはどうかという御意見、また、将来、人口減少や少子高齢化により金利が上昇する可能性に鑑み、四%を維持するべきではないかという意見など、様々な意見をいただいているところでございます。
いずれにしましても、この有識者委員会で議論を進めまして、改善に向けた意見をいただき、必要に応じ評価手法に反映させてまいりたいと考えております。
○中村(裕)委員 大変いろいろな議論がなされていることが分かりましたけれども、平成十六年の四%決定時の経過を見ると、私は、当然下がるんだろうというふうに思っていますし、下げるべきだというふうに思います。BバイCが一に満たないために、なかなか事業を進められない地方の気持ちを考えていただいて、そうした結論を早く出していただくように期待をいたします。
それでは最後に、大臣にまたお伺いしたいと思いますけれども、今までにない現象が起こった、コロナによって、東京都の人口、流出人口が上回ったということが起きました。やはり、集積のメリットよりも集積のデメリットを感じる人、また感じる企業が増えているんだというふうに思います。まさにパラダイムシフトが起こったと思っています。
こうした中で、分散型国土形成を進めるべきでありますし、進めるに当たっては、新型コロナウイルス前に定められた国土形成計画等を見直していく必要があります。新たに分散型国土形成という理念を、そうした様々な計画に反映していく必要があると考えますけれども、大臣の決意も含めて所見を伺いたいと思います。
○赤羽国務大臣 先ほど御答弁させていただきましたが、コロナウイルスの長期化、拡大化、そしてまた頻発する大規模災害、またSDGsといった新しい概念、こうしたもので多様な価値観が生まれているというふうに思っております。
こうした中で、まず、二〇五〇年を見据えた国土づくりの方向性と課題を調整する国土の長期展望について、様々な議論を重ねておるところでございますが、これは、そうした新しい多様な価値観を反映させる形で、本年六月、最終取りまとめを行う予定でございますが、この中の委員からは、昨今の急激な状況の変化に対応するために、今、二〇一五年からおおむね十年間を計画期間としている現行の国土形成計画を見直して新たな国土形成計画の策定に着手するべきじゃないか、そうした御意見もいただいているところでございますので、今、中村委員からの御指摘もございましたが、同じ趣旨だと思いますので、重く受け止めて、新たな国土形成計画の策定も含めた検討をしっかりと進めていきたい、こう考えております。
○中村(裕)委員 ありがとうございます。
国土形成計画並びに二〇五〇年を見据えた長期展望ということでございますが、あの田中角栄総理大臣が日本列島改造論を打ち出して、それがやはり最終的には成っていないということを考えると、相当本気で、内閣を挙げて取り組んでいただく必要があると思いますので、赤羽大臣の取組に心から期待を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○あかま委員長 次に、岡本三成君。
○岡本(三)委員 おはようございます。公明党、岡本三成です。
質問の機会をいただきました。ありがとうございます。
今日は、住宅のセーフティーネットにおけるURの役割についてお伺いをしたいというふうに思います。
コロナ禍の中で、住宅が生活における非常に重要な、大きな役割を今まで以上に果たしておりまして、その居住の環境について、多くの国民の方が将来不安を抱いているような状況になってしまっています。
元々、このUR、その法律の、根拠法の第三条に、社会経済情勢の変化に対応した居住環境の向上を通じて、賃貸住宅の安定的な確保を図り、国民生活の安定向上に寄与することを目的とするというふうに、具体的に、国民生活の向上に寄与することが目的とされている機構であります。
また、URの中期目標、その中には具体的に、高齢者、子育て世帯等政策的に配慮が必要な方々に対する住宅セーフティーネットとしての役割への重点化を図るというふうにUR御自身が宣言をされています。
実は、現在、このコロナ禍の中で、所得が急激に減って大変御苦労されている方がたくさんいらっしゃいます。これは、もし公営の住宅であれば家賃の減免は行われておりますし、セーフティーネットとして民間の住宅が活用されているときも減免は行われておりますが、URにおいては、分割で払うことは認めていても、家賃の減免は一円も行われていません。
また、御夫婦で長年URにお住まいで、最後、年金でお暮らしの方が、例えば、御主人が亡くなってしまうと奥様一人の年金ではもう住めなくなってしまって、何十年もそこで暮らしたそのコミュニティーから違う所に引っ越さなければいけなくなっている例も本当に多く見られるようになってまいりました。
本来ならば、こういうものは、公営住宅の役割、責任が大きいわけですけれども、現実的な今の地方自治体の状況を考えると、公営住宅の今後の拡大ということ、改善はなかなか容易ではないというふうに思っています。したがいまして、今こそ、独法ではありますけれども、国の機関であるURのセーフティーネット、住宅セーフティーネットにおける役割をより大きくして、新たな仕組み、安心してUR住宅に長年住み続けることができるという新たな仕組みを考えるときだというふうに私は考えています。
また、URの中のコミュニティーも超高齢化が進んでおりまして、UR御自身、認識があるように、世代間のバランスの取れたコミュニティーの形成や高齢者が安心して住み続けられるような取組、繰り返しになりますけれども、現状を鑑みた安心して居住者の方がURに住み続けられるような新たな仕組み、御検討いただきたいと思っているんですが、まずは赤羽大臣の答弁をお願いいたします。
○赤羽国務大臣 コロナ禍の長期化、また拡大化によりまして、収入が激減して生活に困窮され、住まいに不安を抱えている方がたくさん出てきている、そうしたことも含めて、我が国の住宅政策、特に公的な住宅政策については、安心して住み続けられるということをしっかり頑張るということは、大切なというか重要な視点だというふうに認識をしております。
他方で、これまでのURというか公団住宅と公営住宅の違いというのも厳然とあった時代から、公団住宅の居住者ももう現役ではなくなり、高齢化が進み、所得自体も減少している、そうした中でどうすみ分けをしていくのかというのも、非常にこれは、ナイーブな部分も含めた上で、大変難しい、丁寧にやっていかなければいけない話だというふうに思っております。
今現状やられているのは、岡本委員御指摘のように、まず家賃の支払いを猶予した上で、分割払いができませんかといった丁寧な対応ですとか、余り私は、こうしたことがいいかどうかは別にして、制度としては、同じ団地内で低廉な家賃の部屋に住み替えもできるようなことも対応させていただいているということでございます。
加えて、今、近傍の家賃が上昇した場合にはURの賃貸住宅の家賃も引き上げるという仕組みになっておりますが、さはさりながら、なかなか難しい部分がございますので、継続居住者の家賃改定につきましては、本年四月から、収入分位の二五%以下の高齢者層に加えまして、二五から五〇%の高齢者等につきましても家賃を増額しないということとしております。
今後更にどのような対応が可能かも検討してまいりたい、こう考えております。
また、先日、参議院で公明党の西田議員の提案を受けて答弁させていただきましたが、特にこうした状況下の中で住宅が困窮されているという方を、まさにセーフティーネットの対応ということで、URが居住支援を行われているNPO法人ですとか福祉法人に対しまして、彼らを公募して、そして一定期間、低廉な家賃で空き住戸を貸与する。そしてその貸与、二、三年という年限かと思いますが、その法人がその空き住戸を使って住宅困窮者の方に更に安い家賃でお貸しをして、また自立支援も行っていただく。これは、なかなか私どもでは現場まで手が届かない部分もあるという指摘もありますので、この新しいスキーム、この四月から実施をしているところでございます。
こうした意味で、やはり公的住宅としてのセーフティーネット政策の部分もしっかりと重点を入れながら対応していかなければいけない、こう考えております。
○岡本(三)委員 これまでもURの皆さん、非常によく取り組んでいただいているというふうに認識しています。ただ、社会情勢が急激に変化しているので、更なる御尽力をお願いしたいという趣旨で質問させていただいています。
続きまして、今日、URの伊藤副理事長、おいでいただいておりまして、ありがとうございます。
URは大変よくやっていただいているという認識の上で御提案、お願いしたいことがありまして、URの決算、非常に好調です。法人全体としても、決算が三百億円から四百五十億円の黒字。賃貸住宅の部門においては、その黒字の好調さ、更に続いておりまして、平成二十六年から二十九年までの年平均は、利益四百九十五億円。直近二年間は投資をしていただいておりまして、これは重要です、新たな投資をしていただいているのでここまでの利益はありませんけれども、大変大きな利益が上がっている状況です。
URの賃貸は今七十二万戸、平均の家賃は月七万三千百円。仮に、全てのUR賃貸を、年間五万円の家賃の減額、月四千百六十七円減額した場合には、その総額は三百七十五億円。それでもまだ黒字です。もし、この減額を、例えば高齢者の六十五歳以上の世帯だけにした場合には、かかる費用は約二百億円。物すごい黒字が維持できます。
もちろん、借金の返済等、様々なことを抱えていらっしゃることはよく理解しておりますけれども、要は、URの賃貸にお住まいの方々を支援するために必要なお金というのは、何千億や何兆円じゃないんですよ。数百億円の単位で、多くの方々に、国からの支援をしっかりとしてもらっているというふうに感じていただける金額なんです。非常に費用対効果がいい政策だと思っております。
これで、URの方、実際に家賃の減額を御検討いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、住まいのセーフティーネットの役割を果たすことは、当機構の重要な目的であると認識をしております。
なお、一方、独立行政法人として、経営の健全性を確保して運営することも必要であるとも考えております。
当機構の経営は、ただいま数字をお示しいただきましたように、近年、比較的堅調に推移をしているところでございますが、一方で、多額の有利子負債を抱えていることから、平成二十五年十二月二十四日の閣議決定、独立行政法人改革等に関する基本的な方針というものですが、これに基づきまして、機構として経営改善計画を策定し、令和十五年度末までに有利子負債を平成二十五年度末から約三兆円以上削減することを中長期的な経営改善目標としているところでございます。
金利上昇等のリスクを抱える中、安心してお住まいいただける賃貸住宅の提供を継続していきますためにも、引き続き、財務体質の強化を図り、経営体としての基盤を安定したものとしていくことが不可欠であると認識をしております。
低所得の高齢者の方々あるいは子育て世帯の方々への減額措置の拡充につきましては、地域における公営住宅等の制度とのバランス、ほかの入居者の方々との公平性あるいは負担の在り方等も含めまして検討する必要があると考えておるところでございます。
○岡本(三)委員 UR、独法ですから、様々考えなければいけない視点があります。
住宅局長にお伺いしたいんですけれども、これは国の政策として住宅セーフティーネットをしっかりと更に支援をしてくださいというふうに要請をしています。URの中だけで完結してくださいということは思っていないし、それは余りにもバランスが悪いと思っています。国交省がしっかりと予算措置をして、URのその家賃の減額に対して財政措置をしていくということは、私は重要だと思っているんですね。
繰り返しになりますが、ちょっと言葉は失礼、たった数百億円で、七十五万世帯の方々に、全力で国はやれるだけの住宅セーフティーネットの役割を果たしていますというふうなメッセージが送れるわけです。これは国からも予算措置をして、URとともに、この方々が安心して将来的に住み続けられるような住宅の環境をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○和田(信)政府参考人 URの賃貸住宅につきましては、高齢者や子育て世帯など、民間市場で入居を拒まれるなどの制約を受けがちな方のための住宅セーフティーネットの役割を担っており、その家賃につきましては近傍同種家賃の制度を採用し、入居者の方には市場家賃を負担していただくことを原則としております。
その中で、従前からの継続居住者等の居住の安定に配慮しまして、家賃の減額等も行っており、入居者の約一割強の世帯が家賃減額の適用を受けてございます。
また、収入や世帯構成の変化等により家賃の支払いが困難となった方について、同じ団地内での、世帯構成等の変化に応じた間取りの比較的低廉な住宅への住み替え、この円滑化について更に検討しなければいけないと思っておりますし、あわせて、国土交通省としましても、高齢者や子育て世帯などの支援について、住宅セーフティーネットの中心的な役割を担う、地域における公営住宅等の取組とのバランス、あるいは民間賃貸住宅にお住まいの方との公平性などにも留意し、岡本委員のこの御指摘も踏まえまして、更に検討をしてまいります。
○岡本(三)委員 更なる御検討を是非お願いいたします。
繰り返しになりますが、UR、本当によくやっていただいているというふうに思っておりますし、改善しています。ただ、社会の変化が激しいんですね。ですから、その変化に対応する形で、新しい仕組みづくりにも是非目配り、御検討、そして実際の行動をお願いしたいと思います。
最後に、せっかく来ていただいておりますので、伊藤副理事長に二つ質問させてください。
一つは、URのコミュニティーをよりよく運営していくために、実は今、URの中では、そこにお住まいの高齢者の方が、自治会のリーダーシップで有償ボランティアを募集して、例えばURの中の室内の修繕や、また買物サポート、高齢者見回りをやったりしています。
URは当然、独法ですので、価格入札をしながら、そこのURの中のお掃除等をやっている事業者さんを選んでいただいているわけですけれども、遠くで雇われた高齢者がわざわざそこのURまで来て、そこの中の清掃をしているような、そういう光景もよく見ますが、そこにお住まいの方が、有償で、給料をもらって働けるような形、また、今やっていらっしゃる方々はほとんどボランティアで、少ない金額でやっていらっしゃる方も多くいらっしゃって、一般的な給料よりは少なくても働きたいというようなボランティア精神の方もいらっしゃいます。いろいろなことがありますので、そこにお住まいの方々が、URの中の清掃等、修繕ができるような仕組みを是非御検討いただきたいというのが一つ。
あと、デジタル庁ができます。高齢者の方は、デジタルデバイドで問題を抱えていらっしゃる方も多くいらっしゃいます。
URの中では、高齢者のスマートフォン教室を開いてくださっているようなところもありますけれども、まずは集会所にWiFiをしっかりと入れて、無料のWiFiにして、そして、いろいろなコミュニティーの連絡についても、LINE、Zoom等も使えるようにして、この入居者の方、とりわけ高齢者の方々のITリテラシーを高めるような努力もお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤参考人 お答えいたします。
第一点目、高齢者の方々の雇用の場をという御質問でございますが、私ども機構におきましては、多様な世代が生き生きと暮らし続けられるミクストコミュニティーの実現を目指して、地域の医療福祉拠点化を推進をしております。
その中で、高齢入居者の方々の活躍の場づくりも大切なことだと考えておりまして、コミュニティー活動拠点の導入のほか、コロナ感染症拡大により離職した方など向けに、当機構のグループ会社の採用情報をホームページでお知らせをいたしましたり、あるいは、団地内に出店します店舗の一部につきまして、団地内の居住者の方を雇用していただくことをお願いするなど、工夫をしてきたところでございます。
当機構が発注する業務契約制度につきましては、委員御指摘のとおりの事情でございますが、その中で何が可能かということについては検討をする必要があると思っております。
それから、WiFi環境につきましては、今年の二月から、四団地の集会所や管理サービス事務所におきまして、WiFi環境を整えて、ICT活用の有効性やセキュリティー対策を含むWiFi運用上の課題等について検討を始めたところでございます。
今後、これらの効果の検証、あるいは課題への対応策の検討を行い、多様な世代が安心してお住まいいただける、よりよい環境づくりを進めてまいります。
○岡本(三)委員 私は、もう既に住宅というのは社会保障の一部になっているというふうに思っておりますので、更なるURの前向きな活動を期待いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、辻元清美君。
○辻元委員 立憲民主党の辻元清美です。
今日は、三原厚生労働副大臣にもお越しいただきました。後ほど雇用の問題などをお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、赤羽大臣、公共交通をどうやって守っていくのかということ、非常に大きな課題になっております。基本的認識をお伺いしたいと思います。
私は、公共交通で働く人たちというのは、エッセンシャルワーカーを支えるエッセンシャルワーカーだと思っているんですね。どういうことかといいますと、お医者さんや看護師さんも、バスや電車に乗って病院に行っている方は多いと思うんです。学校の先生もそうなんですね。厚生労働省の例えばコロナ担当の本当に若い官僚の皆さん、今、必死で何とかしようと頑張ってくださっている方々も、地下鉄に乗ったり、バスに乗って通勤して来られています。ですから、交通が止まる、又はなくなってしまうということになれば社会が崩壊する、エッセンシャルワーカーを支えるエッセンシャルワーカーだ。
ところが、この公共交通の現場で働く人たちは、テレワークしたくてもできません、現場に出ていかなきゃいけないから。
例えば、アメリカなんかでは非常にこの認識が強くて、ワクチン接種の優先順位もカテゴリー2なんですよ。七十五歳以上の高齢者と同時に、公共交通で働くバスの運転手の方とか駅で働く方、乗務員の方は、接種をする順番になっています。
また、ドイツではカテゴリー3、六十歳以上の方と運送、交通部門、同じようにワクチンの接種ということで、相当この公共交通を支える人たちに対して重視されているんですね。
大臣は前回、ワクチンの優先順位を上げるのは難しいな、パイロットとかは考えられるというようなお話でした。後でちょっとまとめて聞きますので。
私は、あるバスの若い運転手の方からこういう話を聞きました。高齢者の両親と暮らしている、毎日、自分が感染しないか、やはり物すごく心配で相当なストレスだ、最初の頃はちょっと体調が悪かったらコロナちゃうかと思って、夜眠れなかった。
公共交通は、安心、安全、安全運行してもらわなきゃ困りますから、様々なストレスで夜も眠れなくなってしまったら困るわけです。検査も受けられない。事業者は経営が非常に今困難ですから、PCR検査を受けたくても受けられない。ボーナスもカットされているというような非常に厳しい状況に、もうこれは一年以上たって置かれている。
まず、基本的な認識として、感染という危険と隣り合わせで働いている、そしてさらには、ボーナスなどもカットされたり、そういう仕事であるにもかかわらず、看護師さんなんかもそうですけれども、非常にしんどくて、ボーナスカットされていることは社会的にも問題になりました。しかし、バスや電車は走って当たり前と思われているんですよ。
ここの、非常に国交省、発信、弱いんじゃないか。私は、ワクチンだってもうちょっと早く打てるようにした方が、安心して、エッセンシャルワーカーを運ぶエッセンシャルワーカーとして働いてもらえると思うんですね。
この今の、現場で働く人たちの危険と隣り合わせ、どういう御認識でいらっしゃいますか。
○赤羽国務大臣 私は、所管大臣としてということもありますが、個人的な政治家としても、この物流関係、公共交通事業者の皆様に対しましては、私は、エッセンシャルワーカーのためのエッセンシャルワーカーということではなくて、まさしくエッセンシャルワーカーそのものだということを、医療関係の方を乗せているという側面だけではなくて、物流そのものに携わる部分でもまさにエッセンシャルワーカー、この機能なくして国民の生活、経済活動は成り立たないという意味で申し上げておりますし、かつて、ちょっと今、地域は忘れましたけれども、トラック運転手の息子さんが学校に、卒業式かな、来なくていいというような事案があって、それは私、もうはっきり記者会見の場で、看過することはできない、けしからぬというようなことも表明をさせていただいております。
そうした意味で、そうした思いは、発信が弱いということの御批判は甘受しますが、私の思いは、まさに物流関係、公共交通関係は、我々国民の経済生活、社会活動を支えていただいている、日々の暮らしを支えていただいているエッセンシャルワーカーそのものだというふうに思っております。
ワクチンのことにつきましても、そうした、かつて、新型インフルエンザのときの位置づけとして、特定接種としてこうした公共交通事業に関わる方々もグループ分けされておりましたし、今回もそういう業界の皆さんから優先接種ということの御要望もいただいて、政府の中でも議論させていただきました。
ただ、今回は国民全員を基本的には対象とした接種なので、現場の地方自治体の中で、この業種、エッセンシャルワーカーの業種を特定して、そこを抽出してという作業自体、大変時間がかかるという、そうした説明があり、そうしたことではなくて、とにかく一日も早く全員の、国民の皆様への接種を完了させるというのが優先すべき今回の試みだというふうに、そうした了解をいただいて、こうした状況になっているわけでございます。
ただ、具体的には地方自治体単位でやるわけですので、地方自治体で様々な、地方自治体で、なくてはならない公共交通事業者ということで特定をいただければ、優先的にしていただくということはいろいろ表明をしておりますし、国際線のパイロットについても特段のちょっと配慮がやはり必要なのではないかということを政府部内で、こう申し上げているところでございます。
いずれにいたしましても、辻元委員の言われていること、全く私も同感でございますが、公共交通事業を支えるというのは、まさに国民の生活、経済活動、暮らし向きの基本中の基本でありますので、ここの人員が足りなくなったりとか、回していけないというような状況というのはあってはならないことだというふうな強い認識を持って対応していきたい、こう考えております。
○辻元委員 今、ワクチンについて、地方自治体ごとに御判断もあり得るかなというような御答弁でした。
それはちょっと、地方自治体に丸投げと今いきなり答弁されましたので、もしもそういうお考えをお持ちなら、ちょっと政府内ででもやはり調整しないと、混乱しても困りますので、調整をしていただけますか。
○赤羽国務大臣 私、それぞれ地方自治体の具体的なオペレーションをする際に、そうした要望があれば、例えば、コロナ会場、接種会場までの運搬をタクシー事業者ですとかバス事業者に依頼するということは、私もそう希望もしておりますし、そう実際やられている地方自治体もあります。そのときにドライバーになる方が優先的に接種をするという配慮もされている地方自治体もありますし、私はそうあってほしいとも思っておりますので、そういうことは、ちょっと政府部内での整理というのはどういうことなのかよく分かりませんが、そうしたことについては、もちろん厚生労働大臣とは、費用の面も含めて、配慮してほしいということは常に申し上げているところです。
○辻元委員 今、タクシー事業者が、後でちょっとそれを聞きたいんですけれども、私は、GoToワクチンというタクシーを走らせたらどうかと思っているんですけれども、後で提案したいと思うんです。
地方自治体でワクチンの優先接種をしているところもあると聞くとおっしゃいましたので、もしもその事例があれば、後で結構ですので、ちょっと知りたいのでお届けいただきたいということをお願いしたいと思います。
それで、大臣は公共交通の重要性は本当に分かっていらっしゃると思います。やはり、走らせ続けてほしいというのが国の方針です。三密にならないように、電車の本数を減らしたりバスを極端に半分にしたりすると混雑するから、今の定時ダイヤでできたら頑張ってほしいというのが国交省の方針だと思います。
ただ一方、大臣も一月に、国土交通省新型コロナウイルス感染症対策本部で、テレワークの推進もおっしゃっているんですよ。そうすると、これは政府としては、公共交通の現場の事業者、また働く皆さんに、走らせ続けてくれと一方で言いながら、乗るな、テレワークしろ、できるだけ乗るなという、この相矛盾する方針を出しているわけですね。
この走らせ続けてくれ、でも乗るなと政府が言う限りにおいては、政府の方針に従って、赤字を出しても頑張っているわけですから、やはり相応の支援が必要になってくると思うんです。ですから、この二律背反の方針を出し、それに対して十分な支援が今行われているかどうか、大臣、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 まず、基本的には路線は維持してほしいというのは申し上げてまいりました。ただ、その中で、例えば鉄道事業者それぞれが終電の切上げ、これはやはりやらざるを得ないのではないかということの御相談もあり、そうしたことは、ほぼ全ての鉄道事業者で終電の繰上げをしているというふうに思っております。
加えて、やはり、公共交通の路線を維持していただくということと、感染拡大防止のための密を回避するテレワークの推進というのは相反するというふうに、そういう見方もあるかもしれませんが、それは、形はそうかもしれませんが、両方とも、国民生活を維持しながら感染拡大防止を進めていくという意味では、私は、鉄道事業者、公共交通の事業者の皆さんも御理解をいただいての政策だというふうに、そう理解をしております。
加えて、それに対する需要減に対して、また、様々なリスクを、現場の感染リスク、不安を乗り越えてオペレーションしていただいているということに対してはしっかりと支援をしていかなければいけないということで、ちょっと具体的なこと、様々ありますが、雇用調整助成金の拡充ですとか、地方創生臨時交付金の中でも公共交通事業を支えるですとか、これは政府全体でやらせていただきましたし、それに加えて資金繰りの支援等々もやらせていただく中で、公共交通事業を所管する国土交通省として、しっかりと公共交通機関に対する予算を確保しなければいけない。令和二年度の二次補正、三次補正、そして当初予算、これまでにない相当大きな額を積ませていただいて、路線バスですとか、そういう路線の維持ができるような、直接支給できるような仕組みもつくらせていただいておるところでございます。
ただ、これで十分なのかというと、感染状況の長期化というのは今続いているわけでございますので、全国の各運輸局で交通事業者と綿密な連携を取りながら、必要な支援はしっかりとこれからも講じていかなければいけない、こう認識をしております。
○辻元委員 どれぐらいの損益が出ているのか、これは国交省の方で把握されているんでしょうか。
今、支援のお話がございましたけれども、国交省も予算をつけていますが、しかし、大枠は、雇用調整助成金で雇用を守ってください、そして、あと、融資で何とかしのいでほしいというのが大枠になっていると思うんですね。
JR、それから大手民鉄、中小の私鉄、バス、ハイタク、航空、船舶とありますけれども、昨年度、どれぐらいの営業収益が減少したか、この把握はされているんでしょうか。
○久保田政府参考人 お答え申し上げます。
コロナによります交通事業者への影響、これは、昨年度の公表されているベースで申しますと、例えば鉄道につきましては、昨年度第三・四半期の決算におきまして、純利益ベースで、JR旅客六社の合計で対前年同期比で約一・四兆円の減少、それから関東の大手民鉄九社の合計で対前年同期比約五千億円の減少、また航空につきましては、大手二社のこれは昨年度の通期見通しでありますけれども、会社の方としては、純利益が対前年度比約九千億円の減少。
各公共交通の各モードの状況につきましては、法令等に基づきまして、収支を含めた令和二年度、昨年度の事業報告を今年六月中におおむね国土交通省に提出をいただくことになってございます。その内容を精査した後、各モードの経営状況等を公表してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
以上でございます。
○辻元委員 これは、どれぐらいの損益が出ているかという実態が分からないと、どれぐらい支援をすればいいのか、また、この支援で本当に持ちこたえられるのかどうか。特に地方の鉄道やバスというのは、この委員の皆さんの御地元もそうですけれども、たった一本のバスがどれだけ命綱になっているかというのは実感されていると思うんですね。
ですから、今、六月というお話がございましたけれども、この実態調査、分かれば、本委員会に提出をお願いしたいと思います。
委員長、お取り計らい、よろしくお願いします。理事会に提出をお願いいたします。
○あかま委員長 理事会で協議させていただきます。
○辻元委員 例えば、幾つか御紹介したいんですけれども、出雲大社と松江を結ぶ「ばたでん」というのがあるんですね。これは一畑電車といいます。これは観光だけではなくて、地元の人の通勤通学の非常に大事な電車になっています。定期で通っている人、それから定期外で通っている人、定期外の人たちで約六割も乗車率が下がっている、貸切り運行は七〇%以上減になっているとか。
この一畑電車は、単に電車を走らせているだけではなくて、ショッピングモールとか百貨店なども併設して、地域のまちづくりにも非常に大きな力を発揮しているわけです。ですから、その中心のこの「ばたでん」が止まる又は困るとなれば、ほかを削減していく、切っていくということになってしまうんですね。冬のボーナス、ここで働いている人たちは大きく減っています。自治体も支援しているんですけれども、それだけではちょっと、もう一年以上たっていますので、一年前の緊急事態のときよりも相当厳しくなっている。
私の地元の大阪空港交通なんかは、もうお話を聞いたら泣いています。皆さんも、空港関係の路線、御存じの方はそうだと思いますけれども、七四%の減収、乗り合いは九二%減少。もうみんな休みを取ってくれということで、雇用調整助成金でやっていますけれども、一時帰休して、それから給料を減らされるんじゃないかということで、非常に厳しい状況になっているんですね。
ですから、是非そういう地域地域の実情をしっかり把握をしていただきたいと思うんです。大臣、お願いします。割合、細かく見ていらっしゃると思うんですけれども、私たちは、私たち立憲始め野党は、どちらかというと労働組合とのおつき合いが深いですよね。そして、民鉄協などは大臣なんかもよく、バス協とか、おつき合いあると思うんですけれども、今、働く者も事業者も一緒になって何とか維持しなきゃということですから、しっかり情報収集してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 それはもう全くおっしゃるとおりでありまして、全国の地方運輸局にはプッシュ型で、特にバス事業者、交通モードの中でも一番大変な状況だというふうに認識をしておりますので、全社に問いかけろということは昨年も指示いたしました。四千数百者あったと思います。全部に連絡をし、ただ、なかなか、反応が全てあったというわけではない。そうした中で、本当に寄り添いながら適切な支援策を講じることができるように、また、やった支援策が知られていないということもよくあることなので、そうしたことがないように、全国の運輸局長には強い指示を出しておりますし、それが実際なされたかどうか、私、全国各地を今回っていますので、そうしたことをよく分かっていますかというやり取りもさせていただいている中で重ねて指摘をする例もございますので、そうしたことは遺漏なきようにしっかりと対応していきたいと思います。
○辻元委員 今、その中で、雇用調整助成金、それから融資、借金して、助成金で何とかしのいでちょうだいと。補正予算も合わせて、直接の支援の予算は約五百億ぐらいですよ。でも、これは、日本モビリティ・マネジメント会議の調査によれば、公共交通全体の減収入は六・五兆円。そして、JRと大手民鉄だけで、これは有限責任監査法人トーマツの調べでは五・六兆円。これに対して、直接支援は五百億円程度なんです。
私、十倍掛かけて五千億にしても、なかなかしんどいぐらいの規模。これはなぜかというと、緊急事態宣言が出たすぐと違うんですよ。一年たって、それで更に変異株なんかが出てきまして、どうなっていくか分からない中で、もう持ちこたえられないというところが出てきている。前よりも厳しいんですね。ちょっと一桁、支援額が違うんじゃないかと思うんですね。
そこで、ちょっとこの話は後でまたしたいんですが、雇用調整助成金、三原副大臣、何か聞きますと、六月で打ち切るというようになっているんですか。いかがでしょうか。
○三原副大臣 お答えいたします。
雇用調整助成金につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、前例のない特例措置を講じることにより、事業主の皆さんの雇用の維持の取組を強力に支援してきたところでございます。
一方で、長期間にわたり休業による雇用維持を図り続けることには、働く方々のモチベーションの問題や、新しい産業等への人材の移動を阻害する等の懸念もあるところであります。
このため、日額上限一万五千円、助成率最大十分の十等の特例措置を四月末まで継続した上で、五月以降は、原則的な措置を段階的に縮減することとしておりますが、感染が拡大している地域の企業や、特に業況が厳しい企業については、二か月間、特例措置を講じることといたしております。
七月以降は、雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置と地域や業況に係る特例措置をそれぞれ更に縮減することとしておりますが、いずれにいたしましても、感染状況や雇用情勢等をしっかりと見極めながら、適切に対応してまいりたいと思っております。
○辻元委員 「適切に対応」の中には延長も、今までも二回延長されていますので、延長も含めてやはり考えざるを得ない状況かなという認識でよろしいですか。
○三原副大臣 雇調金の特例措置の七月以降の取扱いにつきましては、雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置及び地域や業況に係る特例措置をそれぞれ更に縮減することとしているという今の答弁と同じでございますが、その具体的な取扱いにつきましては、休業者数、完全失業者数、完全失業率、有効求人倍率といった雇用指標に加えて、その時々の感染状況等も踏まえながら、総合的に判断していく必要があるというふうに考えております。
○辻元委員 総合的に判断すれば、今の状況だと厳しいんじゃないか。
国交省にお伺いします。
貸切りバスとか、それからタクシー、雇用調整助成金を今受けている、また、申請して間もなく受ける、検討中、合わせると大体何%ぐらいの事業者が受けているということでいいんでしょうか。
○秡川政府参考人 国土交通省で毎月実施しています影響調査によりますと、本年二月の時点におきまして、雇用調整助成金の活用について、給付済み、申請済み、申請に向けて検討中と回答している前向きな貸切りバス事業者の割合ですけれども、九七%、タクシー事業者は八九%となっております。
○辻元委員 貸切りバス九七%、タクシーは八九%が雇用調整助成金に頼っているわけです。鉄道は六五%です。地域鉄道六四%。乗り合いバス七六%。大臣、これは六月に切られちゃったら、ばたっと倒れますよ。
ですから、一言で結構ですからね。
特に公共交通というのは、今財務省なんかで議論されているのは、雇用調整助成金の特例によって休業を促すことから、再就職を支援することに労働政策の軸足を移していくべきではないかというようなことが、財務省の財政制度分科会で議論されていたりするわけです。
しかし、公共交通というのは、それでなくても、バスの運転手や、それから、給料が安いんですよ、普通の、一般の平均よりも給料が低いということで、タクシーも高齢者が多いわけですね。そんな中で、ほかに移ってくださいって、今なくなってしまったら、労働者がいなくなったら、後で取り返しがつかないんですよ。
ですから、厚労省にしっかりその現状を大臣としてお伝えになって、こんな、六月で急にばさっと切ったらえらいことになりますから、実情を伝えていただけるかどうかだけお答えください。
○赤羽国務大臣 財政審議会の議論は、恐らく、平時に向けてそうあるべきだという議論をされているのではないかなというふうに思っておりますが、私はまさに、まだ平時ではないというふうに認識もしておりますし、公共交通事業者とか、観光事業者もそうなんですが、典型的な集約型労働型の業界でありますので、最後までその対象にし続けていただきたいということは強く申し上げておりますし、是非これは与野党を超えて、政党からの応援もお願いしたいと思います。
○辻元委員 応援をいたしますので、よろしくお願いします。
次ですが、次に頼っているのが融資なんですよね、借金です。
そこでお聞きしたいんですが、例えば地域鉄道、地域の鉄道とか、先ほどタクシーは厳しい状況でしたけれども、どれぐらい融資に頼っているのか、お答えください。
○上原政府参考人 お答えいたします。
全国の地方運輸局を通じまして、直近の本年二月末に実施いたしました調査では、危機対応融資など資金繰り支援の使用状況は、給付済み、申請済み、検討中を合わせまして、九十五者の地域鉄道のうち約七二%の六十九者となっております。
○秡川政府参考人 同じ数字ですが、タクシー事業者の場合は九九%となっております。
○辻元委員 今お聞きになっていただいたように、タクシーは九九%、借金で何とかしていると。地域鉄道は七二%が融資に頼っております。貸切りバスだと九四%、乗り合いバス七一%、鉄道は六五%、融資に頼って、借金で何とかやっているわけです。これも、もう一年以上たちまして、持ちこたえられなくなってきているんじゃないかという、非常に危機感を持っているわけです。
では、これはどれぐらい借金があるのか、この総額というのがなかなか分からないんですけれども、労働組合の私鉄総連が、自分たちの組合がある事業者にアンケートを取ったんです。全部で二百四十九組合あるんですけれども、そのうちの半分弱、百一の回答がありまして、借入金総額が三千四百九十九億円と。しかし、これは半分弱ですから、倍掛けても七千億とか、場合によっては、大手なんかはもっとやっているかもしれませんので、一兆近くの借金で支えているというのが現状なんですね。
そこで大臣にお伺いしたいんですけれども、まず、今の事業者がどういう実態にあるかということをしっかり分かっていただきたいと思うんですね。
地方の例えばバス事業者の中には、返済猶予や新規融資が認められず、元本返済を迫られたり、返済計画を求められるということで、人員整理が始まりかねない、そういう厳しい実態の声も私の方には届いているんですが、大臣の方に届いているでしょうか。
○赤羽国務大臣 バス事業者、鉄道大手をバックにするような事業者から、大変、中小、小規模零細でやられている貸切りバス事業者、様々あるというふうに承知をしております。バス事業者だけでも四千者以上あるというのは、それ自体も驚きでありますが、そうしたところは、余り一律に言うことはできませんが、傾向としては、やはり財務体質が非常に弱いところが多いというふうに思っております。
そうした中で、バス事業者に対して支援というのは、これは需要喚起をしていくしか本当はないわけでありますが、なかなか、その効果も一番及んでいない業界だということで、ちょっと、様々なことを今検討しているところでございますが、いずれにしても、御質問のバス事業者、大変厳しい状況にあるというのは、そうした認識におるところでございます。
○辻元委員 先ほどから申し上げておりますように、それでなくても平常のときからしんどかったわけですね。それで、運転手不足とかがありますので、お金を借りることができないということで人をリストラしていくということになれば、もう復活できなくなっちゃうと思うんですね。
金融庁にも来ていただいていますので、金融庁に二点、お伺いします。
コロナの長期化に伴いまして、先月の三月二十三日に、新型コロナの影響を特に受けている飲食・宿泊等の企業向けの金融支援等についてというのをお出しになりました。
財務省、経産省、金融庁、農水省というクレジットで、国交省は入っていないので、心配なのでお聞きしますが、この「等」に公共交通機関は入るのかということが一点目。
そして、この文書を見ますと、「民間金融機関による支援の強化」というのが二番目に入っておりまして、「長期の返済猶予と新規融資の積極実施の徹底等」を要請と。
これは、今出た、例えば地域の鉄道とかバス、タクシーなんか九九%、もう既に融資を受けているわけです。今受けているから、もう一回受けさせてほしいと、一年以上たってというて断ったらあかんよ、新規も受け付けなさいよ、それから返済猶予をしなさいよというような意味と受け取っていいんでしょうか。
この二点、お願いします。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、最初の点でございますけれども、三月二十三日の、今お話ありました金融支援策につきましては、新型コロナで特に深刻な影響を受けます飲食、宿泊事業者等を中心に、ここに、公共交通機関を含む様々な事業者の事業の継続を支援するために取りまとめたものでございます。
また、二点目でございますけれども、「長期の返済猶予と新規融資の積極実施の徹底等」を要請とあるが、この点につきまして、旅客運輸業等も対象に含まれるということかという点につきましては、金融庁といたしましては、新型コロナウイルスの影響を受ける様々な事業者に対しまして、返済猶予や新規融資を含む支援を徹底することが重要であると考えてございます。
三月二十三日の金融支援等や、あるいは、二十五日にも私どもの方で金融機関に対しまして要請文等を出していますけれども、そこでも、再度の条件変更や新規融資を積極的に実施すること等につきましても、旅客運輸業等を含む幅広い事業者を念頭に、金融機関での支援を徹底するよう要請したものでございます。
○辻元委員 ということは、追加の融資が受けられないとか、元本の返済を迫られたり、これは返済計画を立てろと金融機関が強く言うところもあるらしいんですけれども、今、見通しが立たないわけですよね、コロナがいつ収束するか。返済計画って立てられないわけです。そういうことを理由に貸し渋りをしてはいけないというのが今の御答弁で、金融庁及び政府の方針であるということ。そして、これは公共交通機関にも、国交省が入っておりませんけれども、適用されるということを確認させていただきました。
そこで、もう一つ、社会保険料なんですね。
これは三原副大臣にお聞きしたいんですが、この間までは、一年間、コロナ特例法の下で、社会保険料の猶予というか、無利子無担保でやっていたわけですね、納付猶予。これは、固定資産税とか社会保険料、非常に負担になっているわけです。
ところが、今年の一月から通常の換価猶予に戻して、一%の金利がつくんですよ。これも通常時と同じ金利をつけているわけです。この特例をもうちょっと延ばした方がいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○三原副大臣 社会保険料につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症を踏まえまして、税制の対応と同様の措置として、無担保かつ延滞金なしで一年間納付を猶予できる特例を設けていたところでございます。
この社会保険料の納付猶予の特例の期限後、なおその納付が困難な事業所につきましては、従来から設けられている猶予の仕組みの活用により、事業所の状況に応じて分割納付も認めるなど、柔軟に対応していくこととしております。
社会保険料の納付が困難な事業主の皆様に、こうした既存の猶予の仕組みをより御活用いただけるよう、関係機関とも連携し、一層の周知広報に努めてまいりたいと思います。
○辻元委員 JRとか大手の特に民鉄なんかは、物すごい数の人を雇っているわけですね。この一%というのが相当きついわけです。
さっきお示ししましたように、融資でやっているわけですよ、借金で。雇用調整助成金もどうなるか分からない。社会保険料も一%、これは通常時と一緒です。去年までは一・六%で今年は一%、これはほかの金利とかと見比べてやっているわけですから。
ですから、これは強い要望としてもう一度、うんうんと赤羽大臣、首を振っていらっしゃいますので、政府内で、これ以上コロナが、前よりしんどいんですよ、一年前より、どれぐらい長引くか、ワクチンもまだまだですよ、もたもたもたもたやっていて。ですから、これは政府内で話し合っていただきたいということを、強く要望をしておきたいと思います。
何点か、支援策についてなんです、提案も含めて、残り時間でと思うんですが、まず、先ほど、高速乗り合いバス、もうほとんど借金でやっています。これは、今まで支援、どんなことをしたのか。そして、これは追加の支援、三次補正なども使って、必要と思いますが、これはいかがでしょうか。
○秡川政府参考人 高速バスですけれども、コロナの影響で輸送需要が大幅に減少しておりまして、厳しい経営状況に置かれているというふうに認識しています。
国交省では、令和二年度の二次補正予算で、バス車内の抗菌施工などの感染防止対策への支援とか、あと、車内の乗車密度を一定に保つ運行の実証という形で、運行費に対する支援を行っています。
また、三次補正では、これらに加えまして、新技術を活用した感染防止対策というのも新しくメニューに加えております。現在、その支援の要望の募集をしているところなんですけれども、できるだけ早くそれを施行して、支援を実際に行ってまいりたいというふうに考えております。
○辻元委員 今、追加支援も行うというように受け止めましたので、大臣、よろしくお願いします。
先ほど大臣の方から、地方創生臨時交付金の活用と、地域地域の実情に応じてバスやタクシーを応援していくということで、この横展開も努力されているんですけれども、更なる努力をお願いしたいと思うんです。
例えば、大阪の堺市でこういう事例があります。おでかけ応援カードというのを六十五歳以上の方に出していて、通常は、南海バス、近鉄バス、阪堺電車、堺市乗り合いタクシー、百円で乗れるんですね。これを、この交付金を使って、去年の十月から十二月まで運賃無料にしたんです、六十五歳以上の人に。そうすると、前年同月比よりも売上げが上がったと。これは、自治体、自治体議員、事業者、労働組合が知恵を絞って活用して、前よりも売上げを伸ばしていると。
かつ、ですから、こういう事例をどんどん横展開で更にキャンペーンをしてほしいことと、もう一つの事例として、先ほどタクシーを使ったワクチンという話がございました。私、特に高齢者、これからワクチンを打ちに行くのに梅雨に入りますね、雨。それで、熱中症もこれから心配になってくる。特に、ワクチンを打った後、高齢者が集団接種の会場から帰るときに、熱中症にかかる又は副反応が出るというようなことも懸念されます。
ですから、GoToワクチンタクシーというか、既に事例は幾つかあるようなんですけれども、そういうところには、この交付金と併せて別の予算でも、これは高齢者の命を守ること、ワクチンを促進することにつながりますので、これは田村大臣か河野大臣か知りませんけれども、ちょっとそういう予算も取ってサポートすることを考えたらいかがかと思うんです。
日本中の大抵の地域、私、大阪府高槻市というところに住んでいますけれども、タクシーは電話で呼ばな来ません、町走っていません。ですから、呼ぶと呼び賃もかかるんですよ。そして、また行くわけですね。相当かかるわけです。
そういうことを、国交省、頑張っていただきたいんですが、いかがですか。
○赤羽国務大臣 まず、地方創生臨時交付金は、全国で約八百の自治体で千六百の事業を通して公共交通事業の方の支援をしていただいて、これは大変ありがたいことだというふうに思います。
ただ、いろいろ首長の皆さんと話すと、やはり感染状況が悪くなったときに、医療の対応で、そこの予算は余り食い込みたくないというのも本音にありますので、公共交通事業を主管している国交省の予算としてちゃんと対応するべきだということで、先ほど御紹介していただいたような予算を計上しているということでございます。
加えて、堺のおでかけ定期券の事例も、今、国交省のホームページにも掲載させていただいて、地方自治体等にもメールマガジンで発信をさせていただいておりますが、これは地方創生臨時交付金が使われていますが、例えば、そうではなくて、そもそも富山市なんかは、おでかけ定期券という、年間千円を払っていただければ高齢者の方は百円でどこでも使えるという、これは非常に、中心市街地の活性化ですとか利用者の増加、また高齢の方が外出の機会を創出して、健康にもいいといったようなことを森市長からもるる説明いただいているところでございます。ですから、こうしたことはしっかりと御推奨して、応援もしていかなければいけない。
加えて、ワクチンの接種につきましては、もうこれは全額国費で対応するということは政府としてはっきりさせていただいておりますので、地方運輸局を通しまして、地方自治体について周知徹底をして、必要であれば御利用していただくということを一生懸命やっていきたい、こう思っております。
○辻元委員 最後に一言申し上げて終わります。
例えば、私、海外の事例も調べたんですけれども、どこの国も公共交通、大変になっているわけですね。イギリスなんかは相当の額を、五千億程度、やはり直接もう支援しようとしています。フランスなんかは、約一兆四千九百五十億円入れて交通再興計画、今すぐ直接お金は入れないんだけれども、全土、全駅バリアフリーにしてしまえとか、それは、事業者もバリアフリーにするためにはこれから費用がかかるわけです。とか、ホーム柵をつけるとか、脱炭素化への鉄道車両の支援とか、将来に向けての設備投資の補助率を上げたりして、今はしんどいんだけれども、将来、コロナをきっかけに交通を再生するという将来投資に予算をつけているんですよ。
ですから、私は、日本でも、この際全部バリアフリーにしてしまおう、ホーム柵もやってしまおう、それは国が将来ちゃんと面倒を見ますから今頑張ってくれと言ったら、事業者も頑張りがいがあると思うんです。ですから、そういうちょっと発想を変えた支援も、是非大臣、検討していただきたいということを最後に申し上げたいと思います。
また公共交通や観光について質問させていただくので、よろしくお願いします。
三原副大臣、ありがとうございました。公共交通の深刻さ、よく分かっていただいたと思いますので、是非、雇用調整助成金や社会保障の方も持ち帰って、よろしくお願いいたします。
終わります。
○あかま委員長 次に、伊藤俊輔君。
○伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。
今日は、まず羽田の新ルートについて質問をさせていただきたいというふうに思います。
東京都心の上空を通過し羽田空港へ離着陸する新たな飛行ルートについては、令和二年三月二十九日から運用開始をされ、一年が経過をされました。国土交通省は、東京オリンピック・パラリンピックに合わせ、国際競争力の強化のため、羽田空港の機能強化を進めていただいていると承知をしております。新ルートの運用により、国際線の発着回数は、年間六万回から九・九万回に増加すると試算をされております。
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により、便数は大幅に減少をしております。オリンピックは今年の八月に延期となり、海外からの一般客の受入れもなくなっております。公表データによると、去年三月の新ルート運用開始から十二月までの都心上空を通過し着陸した航空機は、約七千二百機となっております。
新ルートの下に住む住人の皆さんからも、東京都心を飛ぶ、低空で飛ぶことのリスク、騒音や落下物等への懸念も強いというふうに聞いております。南風時の着陸の場合、品川区周辺では航空機の高度は三百メートルということで、ルートの真下に住んでいる方々は、テレビの音やあるいは会話もかき消されるほどの状況だというふうに聞いております。
新ルート運用一年、その運用状況と地域からの騒音や落下物等の状況をまずはお聞きをしたいというふうに思います。
○和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、羽田空港においても、国際線、国内線共に大幅な減便が発生をしております。例えば本年三月二十一日から始まる一週間におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大前の昨年一月と比較をして、約四八%の減の週約二千二百五十便となっております。
それから、騒音につきましては、新経路下の十九地点で常時測定を行っており、運用開始から昨年十月までの半年間の実績によれば、約九割の地点で、住民説明会においてお示しした推計平均値と同等又はそれ以下となっております。
それから、落下物についてでございますが、現在まで、新飛行経路を飛行した航空機からの落下物は確認はされておりません。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
新ルートは、最大で約百三十回の余力がある。現在、五十八回ということで、約四割ぐらいの余力になって運用されているんだろうというふうに理解をしております。新ルートの運用から約五か月間の間で、四千六百件ほどに上る、問合せと苦情なのか、国交省にもあったともお聞きをしております。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、想定していたインバウンド数の増加や国際線の増便が行われなかったことから、新ルートを使用せずに、便数的にも従来のルートのみでの運用が可能だというふうに考えております。
航空需要が落ち込んでいる現状を鑑み、国交省は新ルートの運用を一旦停止すべきではないかと考えますけれども、大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○赤羽国務大臣 この羽田空港の新飛行経路につきましては、よく御承知だと思いますが、平成二十六年から、東京都や千葉県等の関係自治体、また議会の代表、有識者の皆さんで構成される首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会で議論が重ねられてきました。
その中で、一つは、もちろん、首都圏の空港機能を強化して我が国の国際競争力を強化していこうということが一つの柱でございますが、もう一つは、かねてより懸案事項でありました、従来ルートですと、特に南風のときに千葉市の中央区の上をずっと長年飛んでおりまして、この騒音を何とか軽減できないかという強い御要請がございました。
ですから、この二つの点についての解決というか、改善をどうするかということを様々議論をいただいて、その議論の上で、国交省として令和元年の八月に新ルートの導入を決定したところでございます。
今、もちろん、コロナ禍ということで減便が続いておりますし、だからといって、この新飛行経路の必要性がゼロになったのかというと、私はそうは思わないわけでございまして、これまでの協議会の議論の経緯とか結論は、しっかりとやはり重く受け止めなければいけないのではないかと思っております。
しかし、他方で、その決定をした当時と比較しても、航空機ですとか航空管制の技術革新も目覚ましく進展をしておりますので、私は、やはりこの新飛行経路、様々な御懸念もありますので、固定化をすることは回避する。当然、その飛行ルートの下の地域は騒音があるということを気にされている、私の実家の上もすごくターンオーバーして、結構大きいとされている地点なんですが、そうしたことを回避するための技術的選択肢をやはり検討すべきではないかということを私から昨年六月、指示をいたしまして、有識者と、またパイロットの方々にも参画をいただきながら、今、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を立ち上げて御議論いただいているところでございます。
こうしたことで、より騒音が改善され、安全なルートを確保できるような、こうしたことを選択肢の一つとして実現したい、そういう思いでおりますので、しっかりと議論を注視しながら、しっかり促進をしていきたい、こう考えております。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
これまでの議論の積み重ねもそうですし、大臣の見識も理解をしているつもりであります。
新ルートの運用により、深夜、早朝以外の国際線の発着回数は年間六万回から九・九万回になるとされておりますけれども、三・九万回増加をするその内訳を端的に教えていただければと思います。
○和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。
三・九万回の内訳でございますけれども、滑走路処理能力の再検証によりまして約一・三万回、それから、新飛行経路の導入等によりまして約二・六万回ということになってございます。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
国交省は、新ルートについて関係自治体等から固定化回避等の要望があることを踏まえて、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を去年六月に設置をし、騒音軽減や固定化を回避するための活用できそうな技術的選択肢を検討していると伺っております。
検討されているルートについては、新ルートに代わり導入する見通しは立っているのでしょうか、その中身をお伺いしたいと思います。
○和田(浩)政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の直近の開催が、本年三月十七日、第三回目でございます。ここの場におきましては、海外事例調査等を踏まえまして、羽田空港への導入可能性がある六つの飛行方式に絞り込み、導入する場合の課題を整理いたしました。
羽田空港への実際の導入に向けては、今後、国際基準との整合性の確認、また安全性の評価、騒音影響の検証、運航者との調整等を行う必要がございます。このため、現時点では導入の見通しをお示しすることはできませんが、引き続き、関係者と協力、相談しつつ、しっかりと検討を進めてまいります。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
平成二十五年十一月から六回にわたり開催をされた首都圏空港機能強化技術検討小委員会において、羽田空港機能強化のための技術的選択肢の検討が行われたが、そもそも、海上ルート、従来ルートのままでの発着回数の増加をする方法についてどれだけ具体的な検討をされたのか、お聞きをしたいと思います。また、それは公開の場で行われたことがあるのか、それも併せてお伺いしたいと思います。
○和田(浩)政府参考人 お答えいたします。
御指摘の技術検討小委員会におきましては、あらゆる方策について御議論をいただきました。
このうち、東京湾を最大限活用した従来からの経路につきましては、一時間当たり八十回の離着陸を取り扱ってまいりました。小委員会では、改めて、D滑走路、新しい滑走路ですね、こちらの運用開始後における航空機の滑走路占有時間の実績を踏まえて再検証を行った結果、一時間当たり八十二回に発着回数を増加させることが可能であるということが判明をいたしました。また、それ以上の更なる発着容量増加、これを実現するためには、滑走路の使い方や飛行経路の見直しが必要であるという結論に至ったところです。
この小委員会での議論の内容につきましては、毎回、会議後に委員長から記者ブリーフィングを行うとともに、資料及び議事要旨についてもホームページで公表をしているところでございます。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
公開の場での議論もしてほしいという声もあります。また是非検討していただきたいというふうに思います。
羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会委員の平田輝満茨城大学大学院准教授によると、平成二十五年七月の二十五日に発表した「首都圏空港の容量拡大方策と騒音負担のあり方に関する研究」において、容量拡大方策の一つとして、海上ルートのままで管制運用の高度化により、一〇%の増便が可能になるというふうにしておりますけれども、このことについて検討されたことがあるのかどうか、そして、平田准教授が主張されている内容での増便の可能性についても併せて見解をお伺いしたいというふうに思います。
○和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の平田准教授による研究でございますけれども、主に滑走路の効率的な使用という観点によりまして、二千五百メートルで運用しているA滑走路から大型機を、そして、三千三百六十メートルで運用している長い方のC滑走路から中小型機を離陸させられないかという御提案というふうに認識をしております。
しかしながら、平田先生も委員として御参画をいただいております先ほどの技術検討小委員会におきましては、気象条件や重量等の制約なく安全な離陸を確保する観点から、大型機は滑走路長の長いC滑走路から離陸するという前提を各委員に御理解をいただいた上で、技術的選択肢について御議論をいただいたところでございます。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
様々なこういったことの将来的な視点も含めて、是非検討をしていただきたいというふうに思います。
次に、ロンドン・ヒースロー空港の滑走路においては、今二本とお聞きをしております。発着回数は年間で四十七万回であります。一方、羽田空港は滑走路が四本でありまして、従来ルートでは約四十五万回と、今は少し羽田の方が多くなったとも聞いております。二本と四本を比べて倍になるとは思いませんけれども、なぜこんなにも差が生じているのか、お聞きをしたいと思います。
あわせて、離発着をする航空機の間隔を設定をするための後方乱気流区分が、ヒースローと羽田では異なるのでしょうか。羽田も後方乱気流区分の細分化をされたのであれば、従来ルートでもう少し増やせる余地があるのではないかとも思いますけれども、お聞きをしたいというふうに思います。
○和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。
ロンドン・ヒースロー空港は、長距離線の大型機が離着陸できる二本の滑走路が平行に配置をされている一方、羽田空港は、四本の滑走路が井桁の形というふうになっております。
そのため、羽田空港は、出発機と到着機が複数箇所で交錯、これはお互いに影響し合うということでございますけれども、そういうことのために、一定の間隔を空けて運用する必要がございます。したがって、ヒースロー空港とは処理能力が異なるということでございます。
それから、後方乱気流区分のお話でございますけれども、EUと日本と、そこはちょっと考え方が違うところが一部ございます。
それで、航空機の間隔を設定するための後方乱気流区分が細分化されると、滑走路の処理能力を算定するためには、この後方乱気流区分の細分化、これは飛んでいる飛行機同士の間隔が若干詰められたり広げたりということになりますけれども、これだけではなくて、離着陸における滑走路の占有時間等も考慮する必要がございます。このため、後方乱気流区分の変更により直ちに滑走路の処理能力が増加するものではございません。
○伊藤(俊)委員 大型のものから中型、小型と主流が変わってきているということもありますし、間隔的にも改善の余地があるのではないかというふうに思いますので、併せて技術的な検討をも含めてお願いをしたいというふうに思っております。
もう一問質問したいと思っておりましたが、時間があればちょっと戻りたいと思いますが、この羽田の新ルートに関しては、やはり都心低空飛行の降下のリスクというものを考えるべきだというふうに思います。世界で年間平均六機程度ですかね、墜落をするということもあります。住宅の上をできるだけ飛ばさない、まして、東京のど真ん中を縦断、着陸、飛行するべきではないというふうに考えます。
技術的な選択肢をよく検討していただくこと、また、従来ルートでの増便の可能性等も検討していただきたいというふうに思います。まずは、早急に新ルートの運用の一時凍結も要請をしておきたいというふうに思っております。
次のテーマに移りたいというふうに思います。観光事業支援の在り方についてお聞きをしたいと思います。
政府は、地域観光事業支援として、感染状況がステージ2以下の都道府県において実施をする同一都道府県内の旅行割引などについて、国として一人一泊当たり最大七千円を支援することを決定をしております。四月の一日以降、準備が整った都道府県から開始をすることとされており、実施の判断や制度設計等は都道府県の決定に委ねられている制度であります。
その実施期間において、当面五月の三十一日宿泊分までとされております。当面というふうに言われているように、延長もあり得るというふうな理解をしておりますけれども、参加を検討する都道府県や都道府県に要望する観光事業者からすると、先のことは分からないですので、何とかこの二か月間、この機会を逃したくないという思いになるのではないか。その結果、都道府県が感染状況を過小に評価をする、実施をしてしまうのではないかという可能性も考えてしまうわけでありますが、そういう懸念も含めて、この二か月間という期間においてその認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
今回の支援の判断基準でございますが、今委員御指摘のとおり、ステージ2相当以下の都道府県が判断しておりまして、観光庁といたしましても、今回の支援の採択に当たりましては、必要に応じまして、当該地域の感染状況について、当該都道府県や内閣官房を始めとする関係省庁に確認する等の対応を行うこととしております。
また、実際の運用に当たりましても、ステージ3相当以上と知事が判断した場合は、また、都道府県が緊急事態措置を実施すべき区域とされた場合には本支援の活用を停止する、蔓延防止等重点措置の対象とされた場合には、知事が重点措置を講じるべきと判断した区域について、当該措置を講じる期間中、本措置の活用を停止することを条件としております。
したがいまして、今回の支援を活用した事業の実施に当たりましては、こうした条件に即し、まずは都道府県において各地域の感染状況等を見極めながら適切に御判断されるものと考えておりますが、観光庁といたしましても、今回の支援の採択及び採択後の事業の実施に当たりましては、先ほど申し上げましたように、必要に応じまして、当該地域の感染状況について、当該都道府県や内閣官房を始めとする関係省庁に確認する等の対応を行うこととしております。
今回の支援の事業期間でございますけれども、これにつきましては、先ほど委員御指摘のとおり、当面五月までとしておりますが、感染状況によりましては補助対象期間を延長することも想定している旨を都道府県にお配りしたQアンドAでも触れておりますし、説明会でもその旨説明させていただいております。
今後の感染状況等を見極めながら、関係省庁とも連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○伊藤(俊)委員 極めて厳しい経営環境にある事業者、観光事業者を支援する必要性というのは十分理解をしております。現在の変異株の急増も、そして第四波に入ったと考えられるような現状、これまで以上に慎重な対策を求められるというふうに思っております。ステージ2ならよくて、ステージ3になったらやめるという、そういうことで、本当に認識でいいのかということも本当に考えなきゃいけないときだろうというふうに思っております。
蔓延防止のエリアの線引きも難しく、効果も限定的だ、緊急事態宣言を出すタイミングに入っているのではないかというふうに考えるわけでもありますけれども、経済との両立をする前に、事業者への直接支援の拡充をやはり求めるべきだというふうに思っております。
立憲民主党は、観光産業持続化給付金の法案も出させていただいております。厳しい経営環境にある観光事業者等を支援する必要性は、与野党を含め同じ認識だというふうに思っております。是非大臣にも前向きに、そして早急に、観光事業者への持続化給付金法案、立憲民主党からも出させていただいています、検討していただきたいというふうに思います。最後に認識をお伺いしたいというふうに思います。
○赤羽国務大臣 議員立法の取扱いにつきましては、私の立場から発言は控えるべきだというふうに思っております。
ただ、一般論として、私も四十七の観光地でこれまで意見交換、徹底的にやらせていただきましたが、やはり需要喚起を求める意見が圧倒的に強い。ですから、GoToトラベルだけではなくて、県内の旅行ですとか市のキャンペーンですとか、様々、感謝されておりました、そうした観点。また、直接給付も、私何回か申し上げておりますが、技術的になかなか、ちょっと難しいのではないかな、いいアイデアがあれば対応したいと思いますが。
いずれにいたしましても、観光関連産業は地方経済を支える重要な産業である、これは伊藤委員もよく御承知いただいておりますので、しっかりと支援をしていきたい、こう考えております。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
直接支援の拡充を求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、道下大樹君。
○道下委員 立憲民主党・無所属の道下大樹でございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
時間も限られておりますので、早速質問をさせていただきたいと思います。
まず、アイヌに対する差別的表現と再発防止について伺います。
アイヌを先住民族と明記した、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律案、いわゆるアイヌ新法がこの国土交通委員会で二〇一九年四月十日に質疑され、賛成多数で可決、私はそのとき、附帯決議の趣旨説明をさせていただきました。
同年四月十九日に成立した同法の第四条及び附帯決議三では、アイヌに対する差別行為の禁止、根絶を定めております。
また、アイヌの歴史や文化などについて広く知ってもらうため、二〇二二年度から施行される新学習指導要領に基づく高校教科書にアイヌ民族に関する記述がある教科書は、歴史総合、公共など九科目の合計三十八点。これにより、アイヌ民族に関する正しい理解が進むことを期待しております。
しかし、残念ながら、そんな中、本年三月十二日、ある民放の番組において、アイヌに対する差別的表現がありました。本当に私は憤りと落胆をいたしております。それについて具体的に説明するのも本当に、私は心が、胸が痛むということで、説明はここでは遠慮させていただきますけれども、出演者及び放送局は謝罪されましたけれども、北海道アイヌ協会理事長は、極めて遺憾で、強く抗議するとする声明を発表されました。
この事案について、アイヌ新法、ウポポイを所管する国交大臣の見解を伺いたいと思います。
○赤羽国務大臣 まず、今回の事案につきましては、世論に大変大きな影響力を持つ、また、かつ日本を代表する放送事業者の番組において御指摘のような差別的な表現が行われたことは、アイヌの方々を傷つける極めて不適切なもので、誠に遺憾だと思っております。
また、このことについて、三月二十二日、同社の社長が謝罪会見をされましたが、その中で、制作担当者にアイヌ民族の皆様が差別を受けてきたことへの理解が足りず、放送した言葉も、直接的な差別表現であることは認識が欠如していたという説明がございましたが、こうしたコメントを出してくること自体が、私は大変、正直言うとあきれるというか、本当に、残念という言葉が適切なのか、あきれるという言葉の方が、もう少しよく分かっていただきたい、こう重ねて思うわけでございます。
国交省といたしましては、アイヌの方々がいわれのない差別を受けない社会、さらには、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現が重要であると考え、北海道の地にウポポイの施設もオープンさせていただいて、今、全力で支援をさせていただいているところでございます。
アイヌの伝統や文化に関する知識の普及啓発、ウポポイの適切な運営等を通じまして、引き続き国民の多くの皆様の理解を深めるよう全力で努めてまいりたい、こう考えております。
○道下委員 赤羽大臣の心を、お気持ちを示された、本当に御答弁ありがとうございます。
今回、それぞれ謝罪されましたけれども、実は、ここに出演したお笑い芸人さんは、元々、台本を得たときに、見たときに、もらったときに、こういう表現はいいんですかというふうに確認をして、プロデューサーに確認したそうなんです。そうしたらそれがスルーされたということで、これは私は、お笑い芸人さんよりも、やはり放送局の大きな責任があるというふうに思っております。
この問題があって、実は、ネット上では、アイヌ否定論を主張し、差別的表現であることを知った上で言葉狩りだというふうに反発して、アイヌ民族への差別に意図的に加担する動きが見られます。非常に私は、この動きを危惧しております。
去る四月六日開催の総務委員会でも、私、この問題について質問いたしまして、アイヌ政策を所掌する内閣官房は、総務省、法務省と連携して、アイヌに対する差別行為の再発防止に向けた対策の検討を進めていると答弁がありました。
そこで、人権問題やヘイトスピーチ解消法を所掌する法務省に、今回の問題についての見解と、アイヌ民族に対する差別やヘイトスピーチの禁止、解消、根絶に向けた今後の取組について伺いたいと思います。
○山内政府参考人 委員御指摘の本年三月十二日の一部民放の情報番組内における表現、これはアイヌの人々を傷つける極めて不適切なものであり、誠に遺憾であると思っております。
この点は、先ほど委員も御指摘のアイヌ施策推進法第四条、これは、何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他権利利益を侵害する行為をしてはならないと定めております。このことに照らしましても、アイヌの方々に対する差別を助長するような言動はあってはならないものと考えております。
法務省の人権擁護機関では、人権啓発活動の強調事項の一つとして、アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそうということを掲げまして、啓発冊子の配布、あるいはインターネットバナー広告など、各種の人権啓発活動を実施してきたところでございますが、今回の件を受けまして、内閣官房を中心に、法務省、総務省も参加した形で、この再犯防止に向けた検討も進めているところでございます。
法務省といたしましては、こうした検討を通じて、関係省庁とも連携いたしまして、引き続き、アイヌの人々に対する偏見や差別の解消に向けた人権啓発活動、これをしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
また、ヘイトスピーチについても御指摘がありました。
ヘイトスピーチにつきましても、法務省人権擁護機関では、ヘイトスピーチについては許さないというメインコピーをしたポスターを掲示したり、あるいは、若年層を念頭に置いた漫画形式の啓発冊子の作成、配布、あるいはSNSを中心とした人権啓発活動、これも行っているところでありまして、今後とも、このヘイトスピーチに関連しましても、人権啓発活動、これもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○道下委員 ありがとうございます。
先ほど国土交通大臣から御答弁がありましたし、今、法務省から、そして先日は総務省、これは放送法だとかを所掌していますので総務省、そしてアイヌ施策を所掌する内閣官房それぞれから、これは絶対に許されない差別的表現である、再発防止に取り組むという力強い姿勢を示していただきました。本当に、政府全体として取り組んでいただきたいということを改めてお願い申し上げます。
アイヌに限らず、被差別部落、障害者、性差別、外国人国籍などなど、差別はあってはなりません。ネット上にばらまかれたデマ、誤った情報をそのままにしておくと、国民の中にあたかも正しい情報として広がってしまうおそれがあります。差別の解消、根絶に向けて、強い姿勢で早期に取り組むことを要望させていただきます。
それでは、次に、ミャンマー情勢について伺いたいと思います。
赤羽大臣は、大臣就任後初の海外出張先として、二〇一九年十二月にミャンマーを訪問されたと承知しております。ミャンマー政府要人と会談し、覚書を交わされたというふうに伺っております。
そのミャンマーでは、ことし二月に軍がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チーさんら二千七百人以上を拘束し、抗議活動をするデモ隊を弾圧し、その犠牲者は今七百人を超えていると言われておりますが、その犠牲となった方を、軍が遺体を運び出してしまっているので、この人数はもっと多いというふうにも言われております。
こうした事態となっているミャンマー情勢について、国交大臣の御見解を伺いたいと思います。
○赤羽国務大臣 まず、ミャンマーにつきまして、私、国交大臣の初の海外出張先であるというのはそのとおりなんですが、実は、経済産業副大臣のときも、二〇一三年に足を運びまして、そのときはまだまだ軍部政権の末期でありました。これから経済再生が始まるという状況の中でありましたが、かつてのラングーンというのは、東南アジアで一番最先端の都市であった。ですから、私の想像以上に、中産階級と呼んでいいような層の厚さというのを非常に感じていて、非常にミャンマーに対する期待というのを感じておりました。
それで、六年後に、二〇一九年の十二月に足を運びまして、まず、閣僚の皆さんとの交流もしましたが、特にハン・ゾウさんという建設大臣は、一九八〇年代前半に我が国の技術研修を受けに来日されて研修を受けられたという経験で、日本の技術のすばらしさと研修内容のすばらしさ、ミャンマーの橋梁技術トップで一生懸命やっていただいておりますが、大変親日的で、親日というのは、感情だけじゃなくて、日本に対するリスペクトというのが大変あるところでございます。
そうした中で、本当にミャンマーの経済復興というか国家建設というのは、非常にこれからも可能性は相当大きくなるだろうというふうに認識もしておりましたし、事実、日本企業も、インフラ投資とかまちづくり等々で相当一生懸命やられているというふうに思っておりました。
しかしながら、この二月一日、まさにアウン・サン・スー・チーさん始め政権幹部が拘束をされ、ミャンマー国内に緊急事態宣言が発布をされて以来、ミャンマーの国軍、警察の実力行使によって、多くの、無数の市民の皆さん、死傷者が発生し続けているというのはあってはならないことだと思っておりますし、大変な衝撃を受けましたが、こうしたことは言語道断だというふうに受け止めているところでございます。
○道下委員 ありがとうございます。
そこで、今、国交省としても、ミャンマーにおける様々な土地開発事業に関与されているというふうに伺っております。ヤンゴン複合都市開発事業、ヤンゴン博物館跡地開発事業、ヤンキン都市開発事業、これについて、今現在、停止中というお話でありますけれども、どういう理由で停止を伝えているのか、また、誰に対してその停止の意思を連絡しているのか、伺いたいと思います。端的にお願いできればと思います。
○山上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の事業でございますが、三件とも、海外交通・都市開発事業支援機構、いわゆるJOINが出資等の支援をしておる都市開発事業でございます。
これら都市開発事業につきましては、現在、現地の作業員、そして資材の不足などの理由によりまして、工事中断中と聞いております。
また、中断の判断につきましては、プロジェクトに携わる関係企業間で連絡を取り合っているというふうに聞いております。
これら都市開発事業につきましては、民間プロジェクトでございまして、工事の中断に関しては、事業主体でございます民間企業において判断されているものと承知をしております。
○道下委員 作業の中止は民間企業が判断したということ、そしてもう一つは作業員の問題と建築資材の問題ということで、今、世界各国は、ミャンマー軍に対して、これは一刻も早くこのクーデターは止めるべきだ、弾圧は止めるべきだという姿勢で動いているという中で、日本が、また国交省が関与するものについて、中止をするにしても、そういう理由ではなかなか、それが現実かもしれませんけれども、私は、やはりこれは、なぜ作業員が集まらないのか、建築資材がその現場に行かないのか、それはクーデターが起きているから、そこにちゃんと人や物が行かないという理由だと思います。
そうであれば、私は、そういうことも含めてしっかりと日本政府の、そして国交省の姿勢を、強い姿勢を示すために、大使館などを通じてミャンマー軍に対して、太いパイプを持っているということでありますので、それはしっかりと、このクーデターというか、この弾圧行動を一日も早くやめるべきだというふうに強く主張し、連絡をするべきだ、伝えるべきだというふうに思います。
国交省のこの開発事業よりも、ODAの関係で日本はミャンマーに対して多額の支援をしております。支援額を公表している国の中で日本はミャンマーに対する最大の支援国で、ODA、政府開発援助、私の知っているところでは、二〇一九年度では一千九百億円を超えていると言われております。
個々の事業の説明は結構ですので、全体的に、この進んでいる案件は今どうなっているのか、外務省に伺いたいと思います。
○高杉政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国は、ミャンマーの民主化に向け、様々な支援を行ってきた最大の援助国でございます。我が国の対ミャンマー経済協力の今後の対応につきましては、ミャンマーにおける事態の鎮静化、民主的な体制の早期回復に向けてどのような対応が効果的か、総合的に検討してきている状況でございます。
お尋ねのODA案件の現状でございますけれども、案件の規模、対象地域、実施主体等によって状況が様々異なりますので、一律に申し上げることは困難でございます。クーデター以降、現地情勢により中断している案件もございますし、継続できている案件もございます。
○道下委員 全体的な説明がありましたけれども、その事業が行われている地域の状況に応じて、止まっているところもあれば継続しているところもあるということであります。
軍の支配というか、支配下にあるのは中心部で、それ以外の、少数民族だとか武装勢力とかいるところもあると思うんですけれども、そういった地域事情は様々ありますが、ただ、これが、日本政府が主体的に考えて中止をしているのかどうか、ここが私は大変重要なんじゃないかなというふうに思います。
その点、今、高杉審議官、ミャンマー軍に対して、そういう強い姿勢で、弾圧行為をやめなければもう中止だということを伝えた事例はありますか。
○高杉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、我が国の対ミャンマー経済協力の今後の対応につきましては、ミャンマーにおける事態の鎮静化、民主的な体制の回復に向けてどのような対応が効果的か、総合的に検討するということにしております。
我々としては、事態が非常に緊迫している中で、国軍に対して働きかけを行っているところでございます。ただ、その具体的方針、内容につきましては、情勢に影響を及ぼすおそれがございますので、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにせよ、我が国としましては、引き続き、国軍に対しまして、暴力の即時停止、被拘束者の解放、民主的な政治体制の早期回復、この三点を強く求めてきているところでございます。
○道下委員 情勢に影響を与えるのでここでの答弁は差し控えるということで、やはり、外務大臣や総理が答弁されなければ、決めなければ、なかなか難しいことかもしれませんが。
四月十二日に行われた衆議院の決算行政監視委員会で、我が会派の山内康一議員がこの点について質問をしました。その中で、やはり強い姿勢を示すべきだというような質問をされましたけれども、菅総理からは、事態の推移や関係国の対応を注視しながら、どういった対応が効果的かよく考えていきたい、これがずっとちょっと続いているんですよね。もちろん、外務省の中でじっくりと、どういうような対応が効果的か検討されているかもしれませんが、なかなかそれが、私たち国民や他の国々やミャンマーの国民、今民主化を求めている国民には伝わっていないと思います。
山内議員も指摘されていますが、ミャンマー軍との太いパイプがあって、大使がそこで連絡を取り合っている、これは一つ我々としてはいいことかもしれませんが、メリットとデメリットがある。日本がミャンマー軍とつながっている、それで、ミャンマー国民に日本は敵だと思われるかもしれない。ここは非常に慎重に交渉、パイプを使っていただきたいというふうに思います。
今日はお忙しいところ、鷲尾外務副大臣、お越しいただきまして、ありがとうございます。
今も質問等いたしましたけれども、日本政府はODAの新規供与は当面見送るとの方針でありますけれども、継続案件も含めた全面停止を求める意見が国内外から出ております。
私は、ミャンマー軍に対して、弾圧行為を即時停止するよう毅然とした姿勢を示すことが重要と考えます。ここで全面停止をやるとミャンマー軍とのパイプが切れるとか、いろいろと懸念もお持ちかもしれません。私は、事態打開を図り、そして対外的にも日本の姿勢を示すためには、ODA事業を、全面ではなくて、少しずつでも、地域とか、その事業、一つ、二つ、三つを停止していく、そして交渉して、向こうが交渉に応じるというか、弾圧行為を縮小したり止めてきたらまた再開する、それでも弾圧行為を続けていけば更に停止をしていって全面停止というような、段階的な行動が必要かと思いますが、それが交渉を進める上で効果的かと思いますけれども、日本政府は今後ODAについてどのようにしていこうと考えているのか、副大臣、よろしくお願いいたします。
○鷲尾副大臣 先ほど審議官からもお答えしているところもあるんですけれども、やはり何が効果的かというところにつきましては、今、様々な、アクションも含めて、そして注視も含めて、注視しているだけじゃないんですね、注視に加えましてアクションをしっかりと行いながら、いろいろな主体と今関わっております。
その関わる中で、先ほど申し上げましたけれども、暴力の即時停止、それから被拘束者の解放、民主的政治体制の早期回復、これを我々は求めているわけですね。この求めていることが国軍に受け入れてもらえるようにするために何が効果的なのかということを、今、アクションも含めてやりながら考えているところでありまして、これは、ちょっとお答えが同じになって、結果、恐縮なんですけれども、今、国会のこの場で具体的にどうこうということはなかなか言えません。
委員がおっしゃった段階的にということも当然我々は視野に入れながら、何が効果的かということを一番に考えて、これからもODAの案件につきましても検討を重ねてまいりたいと思っております。
○道下委員 是非とも外務省を含めて検討を進めていただきたいと思いますが、この検討を進めている時間も多くの方々が犠牲になり、弾圧を受けて、あるときには一日で八十名、二百名という犠牲者が出ている状況なんです。これは一日も早く止めなければなりません。是非とも速やかな姿勢を、対応を、外交交渉を進めていただきたいと思います。
ミャンマーには、軍の資金源になっているのではないかと言われる二つの大手複合企業があると言われております。米国は、その二社に資産凍結などの制裁を科しました。米国のブリンケン国務長官は、各国の政府や企業に、軍の資金源を断つため、ミャンマーへの投資を見直すよう呼びかけました。日本企業の中には、その二社と関係し、取引している企業もあります。
私は、投資の見直しや取引停止を呼びかけるべきだというふうに考えますけれども、日本政府として、日本の企業や経済団体に今後どのような対応を呼びかけるのか、これは経済産業省に伺いたいと思います。
○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。
今御議論ありましたとおり、ミャンマー各地において、国軍、警察による市民に対する実力行使、これによりまして多数の死傷者が発生しておりまして、政府として、こうした事態を強く非難しているところでございます。
こうした中で、経済産業省といたしましては、クーデターの発生以降、関係省庁やジェトロと連携をいたしまして、現地日本企業の状況把握に努めるとともに、国際社会の様々な動きを含めまして、ミャンマー情勢について迅速に発信をし、日本企業にも情報提供を行っているところでございます。
個々の企業の事業活動について政府から具体的に言及することは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今後とも、日本企業の判断材料として、正確かつ迅速な情報提供に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○道下委員 情報提供はいいんですけれども、是非、日本政府が、そういう取引をやめるようにとか、そういった強いことも呼びかけるように御提案をいただきたいというふうに思います。
時間が参りましたので、地域観光支援事業について、先ほど、伊藤委員と質問がかぶるので割愛をさせていただきますが、まだまだ、感染状況を見て、都道府県も申請したいんだけれども、この地域観光支援事業に応募していないところがたくさんあります。まだ六県というふうに伺っております。
ですから、私は、GoToトラベルはコロナ収束後なんですけれども、その前の、今回の支援事業だけではなくて、今この感染拡大が続いているときの直接支援、観光事業者への直接支援を、我々も議員立法を出しました、是非国交省から検討いただけるのであれば提案していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日は、IR担当大臣としての赤羽大臣に質問をいたします。
特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針が昨年十二月十八日に決定されました。資料の1にその概要をつけておきました。当初の予定では、区域整備計画の認定申請期間が今年一月四日から始まる予定でしたけれども、コロナ禍もあって、十月一日から来年四月二十八日までと後ろ倒しとなっています。
正直、すごく驚きました。コロナ禍の中で、あるいはポストコロナを見据えても、大規模な集客狙いの総合リゾート、密の象徴ともいうべきカジノとは。むしろIR計画そのものを見直すときではなかったかと思いますが、大臣の認識を伺います。
○赤羽国務大臣 各政党、この件についてはそれぞれの御意見があるというのはよく承知をしておりますが、私たちの立場というか、国交省は、あくまで立法府である国会の審議を経て成立をしたIR整備法に基づいて、我々としては粛々と必要な手続を進めていくという立場であるという点が一つあります。
もう一つは、海外IR事業者の足下の業績、確かにコロナ禍の影響を受けているわけでありますが、この我が国のIRの開業時期というのは、まだ一つの目安でありますけれども、二〇二〇年代後半以降というふうに想定しておりますので、そうしたことも含めて、各地方自治体においては、様々なリスク評価も含めIR事業を検討された上で、コロナ収束後のIR整備を見据えて区域整備計画の申請に向けた準備が着々と進められているというふうに承知をしているところでございます。
こうした状況の中で、国交省からも、申請に支障がないか、このコロナの影響下でどうかということ、そのやり取りはそれぞれの地方自治体とする中で、結論的には、今御紹介ありましたように、申請期間を二〇二一年十月から二〇二二年四月までと、当初の案から九か月後ろ倒しにしたところでございます。
最後に、IRの整備自体は、我が国の観光でなかなかうまくいかないと言われてきた大型MICEの誘致ですとか、長期滞在型の促進、また消費単価の拡大、こうした課題の解決に資するものというふうに認識をしておるところでございます。
以上です。
○高橋(千)委員 足下の業績、カジノ関係業者の業績が今コロナの中で大変であるということを踏まえながら、二〇二〇年代後半であるからと、最終的にはリスクを鑑みて審査を、出してくるんだからというのが大臣のスタンスなのかなと思います。
ただ、逆に言うと、自治体としても、国策だからと、インバウンド六千万人のそこの成長戦略と一体なんだからということで自治体は組み立てているわけですから、そこの判断はもっと早い時期にあっても、冷静に見るということがあってもいいのではないか、このように思っています。
それで、進めたいと思うんですが、先月末に私は横浜市に伺って、予定地とされている山下埠頭の見学、また、カジノ抜きのハーバーリゾートを提案している港運協会、そして、市当局からもお話を伺ってまいりました。資料の2はその横浜市の資料ですけれども、もちろん国のスケジュールと基本一緒ですが、想定のスケジュールについて、国と事業者と横浜市、三段になっていて、それぞれがいつ何をやるのかが分かりやすく示していると思います。
当初は、認定が延期されたということを今お話ししました。それで、基本、横浜市では、二〇一九年十二月までに世界のカジノ事業者がコンセプト募集に応じました。ところが、昨年五月に、最有力候補だったラスベガス・サンズが撤退声明をし、今現在、事業者名は非公表ではありますが、応募しているのは一者のみということであります。
事実関係を伺いますが、区域整備計画の認定は上限が三件となっています。現在準備中の自治体は四件と聞いていますが、現状どうでしょうか。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
IR整備法に基づき地方自治体とIR事業者が共同して作成する区域整備計画につきましては、申請のあったものの中から、今委員から御指摘ございましたように、上限を三として国土交通大臣が認定することとされております。
申請が行われる期間は、政令において、先ほどからお話が出てございますように、本年十月から来年四月までとなっており、その期間に実際に幾つの自治体から申請が上がってくるかということは必ずしも明確ではございませんけれども、現在、IR整備法に基づき実施方針を作成し、事業者の公募を行っている自治体は、委員御指摘のとおり、四自治体と承知をしております。
○高橋(千)委員 大臣は、この間繰り返し、認定の審査に当たっては、なぜここが選ばれたのか明らかになるようにする、透明性は確保しなければならない、このように答弁をされています。
ということは、現状は、今、増えるかもしれないとおっしゃいましたけれども、上限三件に対して応募が今四件、準備していると。
それで、これは上限といいますから、外れるのが一件のみという決まりではないですよね。なぜここかということがはっきり言えるということは、三件とは限らない、下手すればゼロもあり得るということを確認をします。
それから、自治体が、今言ったように、一者のみしか応募がない、それで随契になったら、それも今どき透明性が図れないと思いますが、その点についてはどうお考えですか。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
認定に関しましては、IR整備法九条におきまして、「認定を申請することができる。」となっておりまして、また、「その認定をすることによって、認定区域整備計画の数が三を超えることとならないこと。」ということが条件として書かれているというものでございます。
○高橋(千)委員 ですから、場合によっては、もう一回聞きますけれども、なぜここが選ばれたかを明確にするためには、選ばれないよね、見てみたら選ばれないということだってあり得ますねということを聞いています。
それから、今自治体がやっている事業者の公募の中で一者しかなかったときに、一者応札になっちゃう、そういう中でも随契やむを得ないというふうな考えですかと、二つ聞きました。ちゃんと答えて。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
今現在、まだ申請が行われているわけではございませんので、確たるお答えをすることは難しいということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、上限を三を超えることがないように認定をするということでございまして、その認定におきましては、なぜここを選んだのか、認定するのかというところの透明性、公正性、そういったことには確保を図ってまいりたいというふうに考えてございます。(高橋(千)委員「二つ目の質問」と呼ぶ)はい。
一者からしかなかったという場合でございましても、三を超えることがないようにということではございますが、一者だから必ず認定されるということではないというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 二つ目の質問は自治体の話です。自治体が、認定事業者がたった一者しか応募がなかったらそこに決まっちゃう、それで透明性が図れますかということを聞いています。
○高田政府参考人 失礼いたしました。
自治体の公募の選定につきましては、自治体の判断することというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 こういうこともはっきりおっしゃれないということは、やはり、大臣がおっしゃったように、なぜここが選ばれたのかというところに疑問符がつくんですよ。透明性が図れないんだったら、何によってそれが正しいものなんだということを証明するのか、それの答えを準備していただきたい、このように思います。
IRは民設民営ですが、この資料にあるように、区域整備計画は都道府県とIR事業者が共同して作成し、認定申請を行うとしています。その理由はなぜでしょうか。また、事業者と都道府県の役割分担はどのようになるんでしょうか。簡潔にお答えください。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
IR事業は民設民営を基本としておりますが、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するという公益目的の実現のために特別に認められる事業であることから、地方自治体の発意により行われることとされております。
そのため、IR整備法では、地方自治体が実施方針を策定し、IR事業者を公募により選定した上で、IR事業者はその枠組みの中で事業を実施することとされております。
また、IR区域の整備の推進に当たっては、地域の創意工夫と民間の活力を生かすこととされているため、区域整備計画については、地方自治体が地域の振興を始めとした区域整備計画全体の意義、目標等について示し、IR事業者がIR事業の具体的な事業形態、収支計画等について示すというIR事業者と地方自治体の役割分担の下、両者が共同して作成することとしております。
○高橋(千)委員 刑法の例外としてカジノを認めたと。その中でカジノ事業の収益を活用してということになるわけですから、それが公益目的でなければならないということが縛りになっているというお話なのかなと思って聞いておりました。基本方針にも書いてあります。
資料の3にあるように、四月二日にカジノ管理委員会がカジノ事業等の規制について規則案を示して、パブコメ募集を始めています。カジノ行為の種類及び方法、実施基準も示されて、写真がついていますが、バカラ、ポーカー、ルーレット、シックボーなど、九種二十一分類、いわゆるカジノ標準装備なんだということ。それから、電子ゲームは、これはどんどん新しくなっている分野なのかなと思います。当たり前かもしれませんが、いよいよもってカジノそのものなんだと動揺するわけであります。
規則案の考え方の第一に、これは資料の一番目に書いてありますが、偶然の事情により金銭の得喪を争うものと、堅苦しい表現だけれども、要するに賭博ですということの説明だと思うんです。ここで負ける人がいる、勝ちより負けが上回らないと収益は出ないわけで、その負けを当てにして、IR全体、面積でいえば三%のカジノが九七%に収益をもたらす、そういう構図に改めて衝撃を覚えます。
そこで伺いますが、基本方針では、カジノ事業の収益を公益目的に確実に還元するため、IR事業は一体性が求められるとあります。そのため、事業者はIR事業以外の兼業を禁止されておりますが、一方で、附帯事業が認められています。区域内外にかかわらずとあるのは、どのようなイメージでしょうか。簡潔にお願いします。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、カジノ事業を含むIR事業は、カジノ事業の収益を活用して公益目的を実現するために認められるものでございまして、カジノ事業の収益を公益目的に確実に還元するため、IR事業者については、IR事業以外の事業の兼営を禁止しているところでございます。
一方で、法令上、IR施設を設置し運営する事業を支える事業として、附帯事業を行うことが認められております。
附帯事業の具体的な内容につきましては、基本的には民間事業者の創意工夫により決まるものですが、区域外で行う附帯事業としては、例えば、利用者の利便性に資する交通アクセスの確保などが想定されるところでございます。
○高橋(千)委員 交通アクセスなどが想定されると。同時に、区域内であって、民設民営であるけれども、自治体はインフラ整備、例えば耐震化ですとかそういうことを、持ちつ持たれつというか、そういう関係になっているんじゃないのかなと思います。
それで、資料の4は「広報よこはま」特別号ですけれども、真ん中を見ていただきたいんですね。「コロナ禍からの経済再生、将来を見据えた政策」と書いてあります。本当に、大都市である横浜といえども、生産年齢の減少や老年人口の増加、これに伴う消費や税収の減少による経済活力の低下、厳しい財政状況が課題だとして、二〇六五年には収支差二千百七十億円にもなる、このように訴えています。イラストの男性が、これから生まれてくる将来の世代のためにも今からしっかりと備えていかないといけないよねとつぶやいているわけですよね。将来世代のために、今からしっかりと備えるためにIRなんだというのに、とても違和感を覚えます。
そもそも、IR整備法第一条の目的の中に、出だしに、「我が国における人口の減少、」から始まっているわけですから、政府は何の違和感もないかもしれません。ですが、このような地域の抱える課題の対策としてカジノの収益を生かすIR計画というのは、やはり矛盾するんじゃないでしょうか。これは大臣に伺います。
○赤羽国務大臣 私、まずこの整備計画の審査をする立場ですので、横浜市のことについての言及はできないというのは御理解いただきたいと思います。
一般論で言えば、そうした人口構成とか構造的な問題で将来の地方の財源をどうするかとか、様々な、共通というか、多くの似たような課題を抱えていると思いますが、それがどういう手段で対応するかというのは、それぞれの自治体でお決めになることだというふうに思っております。
IRにつきましては、これは観光政策の中でやっておりますので、国際的な会議ですとかイベント等を誘致して、滞在型の観光モデルを確立することによりまして、観光の消費額を増加させたり、その地域における雇用の創出ですとか税収の拡大、この税収の拡大というのは、先ほど申し上げましたが、カジノ行為粗利益から自治体には一五%の納付があり、七〇%も様々なことに使われる、そういう仕組みになっているということでございます。
ただ、それをどう活用するか、選択するかというのは、どこまで行っても地方自治体がお決めになることだというふうに認識をしております。
○高橋(千)委員 一歩間違えば、負の遺産を抱えることになるかもしれないわけです。そのこともやはり見て、これが本当に将来世代に引き継ぐためにやることかという点で、私は指摘をさせていただきました。
基本方針で必須とされているMICEについて、資料の5です、必ず、国際会議場と展示場、両方を備えることが必須とされています。
パターンが三つあって、千人規模の会議場に十二万平米の極めて大規模な展示場を組み合わせる場合と、パターン三は、六千人の会議場に、一般的だということで二万平米、こういうふうなパターンを出しております。
これは、日本に現在ある国際会議場や展示場の規模と比較して、日本ではこの標準には合わないんだということをおっしゃると思うんですが、今どのようなイメージか、また、それだけの規模のMICEの誘致が可能だとする根拠を伺います。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
IR整備法に基づき設置することとされている国際会議場施設及び展示場施設につきましては、民間の活力を生かして、我が国にこれまでないようなスケールとクオリティーを有するものを整備することにより、大規模な国際会議等を展開し、大きな経済効果や雇用創出効果をもたらすことを目指しております。
具体的な規模要件につきましては、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案に対する附帯決議も踏まえまして、諸外国のMICE施設の規模等を勘案して、特定複合観光施設区域整備推進会議における議論を経て、政令で定められたものでございます。
具体的には、今御指摘ございましたように、諸外国における大規模なMICE施設として、国際会議場は六千人以上、展示場は十二万平方メートル以上のものが実際に存在するということも踏まえまして、国際競争力を確保する観点等から、日本のIRにおける当該施設の規模要件を定めたものとなっているところでございます。
○高橋(千)委員 誘致の根拠についてはお話をされなかったのかなと思います。
箱を造ったら人が来ますかと市の当局に聞きました。東京からもう剥がせるくらい来るんだとおっしゃっていました。確かに、パシフィコ横浜のMICEの稼働率は、国内ではトップであって八三%、延べ四百二十八万人を集客しているので、まだまだ足りないということをおっしゃっていたかと思います。
これは私、別に横浜の話だけをしているわけじゃないんですが、ただ、まだどこにもない、しかも会議場と展示場セットの、世界で最大のスケールを、最大とは言えないかもしれませんね、ハノーバーの見本市は四十六万平米ですから。世界のクオリティーに負けないということをおっしゃればおっしゃるほど箱が大きくなって、当然投資額も大きくなるわけです。
二〇一九年三月二十日の経産委員会で、我が党の笠井議員が、国内のMICE施設について、民間が整備していますかと聞いたときに、投資額が多額であるために、ほとんどは地方自治体が整備していると。IRの場合は、カジノの収益などで、何らかの形でそれを補うということを認めていたのかなと思います。そもそも、MICEの実績そのものもコロナ前のものしかないわけで、そこは冷静に見る必要があると思います。
そこで、あわせて、魅力増進施設のイメージとは何でしょうか。我が国の伝統、文化、芸術などを発信するといいますが、カジノ事業者が行うものだと思いますが、どういうものかということと、それから、宿泊施設、これは今のMICEの資料の下に書いてありますが、総客室面積十万平米以上、最小客室面積四十平米掛ける二千室、スイートルーム五百室、これだけの規模を備えていなきゃいけない、これより少ないといけないという意味なんですよね。これはどうしてでしょうか。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
魅力増進施設につきましては、我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設であり、具体的には、劇場、演芸場、音楽堂、競技場、映画館、博物館、美術館、レストランなどを指しております。こうした魅力増進施設の運営につきましても、カジノを含むIR施設を運営する事業者が行うこととされております。
また、宿泊施設につきましては、IR整備法の政令におきまして、全ての客室の床面積の合計がおおむね十万平方メートルであること、客室のうち最小のものの床面積等が国内外の宿泊施設における客室の実情を踏まえ適切であることを要件としておりますが、これも、先ほど申し上げました附帯決議を踏まえまして、特定複合観光施設区域整備推進会議における議論を経て定められたものでございます。
○高橋(千)委員 ちょっと時間がなくなってきましたので、急いでやります。
今、魅力増進施設のイメージ、これは横浜の資料をつけておきました。資料の六枚目ですが、本当に日本的なもの、本来の日本的なものを知ってもらおうというそのコンセプトはよく分かるんですが、逆に言うと、別にそれはIRになくても、一泊数百万もするホテルに泊まるお客様であれば、歌舞伎を見るんだったら歌舞伎座に行くというふうに、本物を見ようとするんじゃないのかなということで、そこで、そういうものとセットで二千万から三千万の集客を見込んでいるという、大体どこもそういうふうな発想になると思うんですが、それが本当に過剰じゃないのかということを言わざるを得ないなと思うんですね。
コロナ前の東京ディズニーランドでも一千六百六十万人、ディズニーシーは千三百五十万人と比べても、大変大き過ぎる数字なんですね。日本の全体の六千万の目標の三分の一から半分を横浜だけでやろうという計画を今作っている。
だけれども、コロナ前の二〇一七年の横浜市全体の観光集客実人員は三千六百三十一万人、元々集客力があるんですよね。ということは、何もカジノを持ってこなくても、元々ハーバーリゾート計画があったように、過大投資ではない、カジノ収益頼みではない、本来の集客力を引き出す方向性があるんじゃないかなと考えさせられているわけであります。
一般論ですが、もう一つは送客施設です。今度は、IRから外にお客さんを送り出そうというイメージは、これは7の資料ですが、一体、じゃ、IRに来る人というのは、主目的は何でしょうか。どういう人をターゲットにしているんでしょう。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の目指すIRは、単にカジノというだけでなく、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で長期に滞在し、日本のすばらしさを楽しめるエンターテインメント施設とするものです。
具体的には、これまでにない規模と良質のMICE施設を整備し、大型の国際会議やイベント等を誘致するとともに、家族で楽しめるエンターテインメント施設や大規模で良質な宿泊施設を整備することにより、外国人観光客の長期滞在を促進したいと考えてございます。
○高橋(千)委員 何のために来るのかと聞きましたよ。
○高田政府参考人 外国人の長期滞在を促進するために整備をするということでございます。
なお、どういった国から実際に外国人が来るのかというところに関しましては、各自治体が作成する区域整備計画において記載される予定でございます。
○高橋(千)委員 残念ながら時間が来たので言い切りにしますけれども、どういう方たちが来るのかということもはっきりしないわけですよ。いろいろなものがあるよと。いろいろなものがあるのを目的に、わざわざIRには来ないんです。単にカジノだけじゃなくて家族で楽しめると言っていることと、最高級のホテルとか、全くかみ合わないんですよ。これは冷静に見る必要があると思います。結局自治体は、事業者が出してきた、二千万人集めますとかという、それをそのまま計画にのせて、全く現状と合わないんじゃないですか。今の実態と合わないです。
大臣が、三月十日の井上議員の質問に対して、世界を見ると失敗したところも随分ありますので、こういったはずじゃなかったみたいなことにならないようにと御自身がおっしゃっているわけです。大分世界の情勢は分かっていると思いますので、これは改めて慎重な対応を求めて終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、青山雅幸君。
○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。
本日は、大変貴重な質問の機会、ありがとうございます。私からは、リニア中央新幹線のトンネル工事に関連する水問題について質問をさせていただきます。
どういった水問題が起きるかというと、南アルプス、このトンネル工事をやる南アルプスというのは、静岡県の中部地方を流れる大井川という河川、これの水源になっております。この大井川というのは、周辺住民六十二万人の水源になっております。それだけではなくて、この大井川流域には、日清であるとかスズキであるとか、非常に大きな大工場が進出しております。また、お茶であるとか水田であるとか、いろいろな農業用水にも使われている、極めて大事な、静岡県にとっては大変大事な水源となる川でございます。
その川、川は当然その水がどこかから供給されなければいけないんですけれども、まず、この大井川の、流れ込む川の水源として、JRは雨量四千二百ミリということで想定しております。これは資料1の下の方の「説明」というところに書いてあるんですけれども、JRの方は年間降水量四千二百ミリと言っているんですけれども、これは静岡市がメッシュ平均値データでやりますと、まず、そもそも二千百ミリということになっております。
次に、この水、年間二千百ミリ程度の水が雨として降ってくるわけですけれども、この資料2を御覧ください。A3の資料で、右上に赤く四角で、これは私どもの事務所で囲んだんですけれども、これはJRが作ったものですけれども、幾つかのモデルの中のうちの一つですけれども、十六億立方メートルが毎年雨として降ってくると。年による変動がプラスマイナス四億立方メートルあると。こういう話ですから、保守的に降水量が少ない年を考えると十二億ということになります。
そのうちの約三分の一、そこに蒸発散と書いてあります、三分の一が蒸発するというふうに考えると、一番不利な年、日照りの年などは、三分の一が、七百ミリ分が、先ほど言った二千百ミリの降水量のうち七百ミリが蒸発してしまう。
そうすると、残りはどこで賄われるかというと、実は、これが南アルプスの山の中の、山体の中の断層に沿ってある破砕帯という、非常に密度の低い、がらがらしたようなところ、そこに水がたまっています。それが地下水となって大井川に流れ込んでいる。これが今、問題となっているわけです。
先ほどのような計算をしますと、大井川の水量の四〇%は、この被圧地下水あるいは地下水で賄われているということが想定できるわけですけれども、これは三分の一がなくなったら、ただでさえも今、大井川、水がれ問題がずっと言われているものですから、大変なことになってしまうわけです。
取水制限とか、多い年には五〇%とかされている年もあります。約半分、半分までいきませんが、四〇%水量が減ってしまえば、もう取水制限、五〇%どころか九〇%しなければいけなくなってしまうわけです。
そういう前提でお伺いしますけれども、まず、国土交通省にお伺いしたいんですけれども、各地のトンネル工事で歴史的に水がれ公害が発生しているという事実があると思います。
有名なのは丹那トンネルですね、これは新幹線が通っているところですけれども。地下水がほぼ抜けてしまって、その量が何と芦ノ湖三杯分。そのために、ここでは、昔豊かな水田地帯だったんですけれども、これはできなくなって、それで有名な丹那牛乳になっているわけです。
そのほかにも、リニアの実験線、そのうち本物の線になるわけですけれども、山梨県大月市の例や、長崎新幹線での久山トンネルで、諫早市多良見町井樋ノ尾地区というところで水がれ被害あるいは公害が発生しているようですけれども、そのことは承知されているでしょうか。
○上原政府参考人 お答えいたします。
一般に、トンネルを周辺の地下水の水位よりも低い位置で掘削をする場合、トンネルには水圧がかかりまして、十分な止水対策が講じられない場合には、トンネル内に地下水が入り込み、地下水位が低下することになります。これにより、基本的にはトンネル直上部あるいはその周辺にある井戸やため池などでは水がれが発生する場合がございます。
このようなトンネル工事による渇水は、委員御指摘の静岡県の丹那トンネルの工事や、あるいは山梨リニア実験線工事、九州新幹線西九州ルートの久山トンネル工事等で発生したことは承知をいたしております。
委員御指摘の丹那トンネルは、東海道線熱海―函南駅間をつなぐため、大正七年に建設が開始され、昭和八年に竣工し、昭和九年に開通したものでございます。
この工事中の大正十三年頃から、トンネル直上の丹那盆地、あるいはその周辺の田代盆地や、そこまでの軽井沢集落等におきまして、渇水問題が発生したとされております。当時は、現在のような薬液注入等の止水技術が十分でなかったと承知をいたしております。
また、九州新幹線西九州ルート、久山トンネルにおきましては、平成二十九年に湧水を確認し、トンネルの周辺五地区で地下水位が低下し、湧き水、飲料用や、沢水の、これは農業用でございますが、この減渇水が発生いたしましたが、鉄道・運輸機構におきまして、給水車による給水等を実施しているところと承知をいたしております。
○青山(雅)委員 今、山梨県大月市の例は答えられなかったですけれども、併せて次の問題で聞きます。
今紹介されたとおり、諫早市では給水しないといけなくなってしまった。それから、丹那では、先ほど御紹介したように、水田が、もう稲作ができなくなった。大月市では、これは私、直接そこに、大月市にお住まいの方に聞いていますけれども、簡易水道が機能しなくなって、給水車で、井戸で水を用立てしなければならなくなった。
その井戸にしても、リニアのトンネルより下に掘る必要があって、井戸水は取水できるんですけれども、くみ上げのための電気代が非常にかかる。ところが、それが三十年分しか補償されないというようなことになっているようですけれども、そういった事実は把握されているでしょうか。
○上原政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、トンネル工事が原因で生活用水や農業用水等が枯渇したり減水する等の被害が発生した場合の対応につきましては、国土交通省の直轄の公共事業では、公共事業に係る工事の施行に起因する水枯渇等により生ずる損害等に係る事務処理要領に従って行われているところでございます。
鉄道の工事につきましても、鉄道・運輸機構により行われている整備新幹線の工事では、この要領に従って対応をしているところでございます。
この要領では、応急措置として給水用の車両を配備する等、また、機能回復として別の場所に井戸を設ける等の代替施設の新設等が定められております。新設された代替施設の維持管理費の負担につきましては、生活用水の場合はおおむね三十年を限度とするということが規定されているところでございます。
一方で、今回問題になっております、リニア中央新幹線の南アルプストンネルの掘削に伴う補償に関しましては、JR東海は、昨年、令和二年三月六日に、大井川中下流域の水資源の利用に影響が出た場合の対応についてという文書を公表しております。
この基本的な考え方は、先ほど申し上げました公共事業の直轄事業の事務処理要領に基づき対応することとしておりますが、一方で、静岡工区における補償期間につきましては、適切な対策を講じるため、あらかじめ限度を定めることはせず、三十年を超えることも含めて、機能回復や費用を負担させていただくことを考えているということを公表しているところでございます。
○青山(雅)委員 ごめんなさい、私が聞き落としたのかもしれないんだけれども、山梨県大月市で給水車などを出さなきゃいけなくなっているという事実があるかないか、それだけ端的に、ちょっと時間の関係で。
○上原政府参考人 お答えいたします。
JR東海によれば、山梨県リニア実験線延伸工事におきまして、トンネル工事により、実験線周辺で一部の沢や河川等の減水や水がれ等が確認をされているところでございます。
○青山(雅)委員 それで、今回は、先ほども言ったように、その水系に六十二万人が暮らしているという大変大規模な話なんですね。そうすると、給水車で行くといっても、とても間に合わない。それから、三十年に限らず補償すると言うけれども、これがずっと続いたら、それこそJR東海がもっているのかどうかも分からない、大変大きな問題なんですね。
ですから、起きないようにしてもらうしかないわけです、現実には。補償すると言ったって、小さな集落なら、それこそ給水車を持っていったり井戸を掘ったりでいいですけれども、六十二万人が暮らす大変大きな地域に、そういったことを全部できるわけがないわけですね。ですから、ここは慎重にやっていただきたいというのが今日の趣旨なんです。
こういった被害が起きないようにするには、当然のことながら、事前調査が十分でなければいけないわけです。ところが、南アルプスの地中、どこに水が貯留しているかというと、先ほど言ったように、断層が動くことによってできて、岩盤が砕けてできた破砕帯という、こういう空隙に水がたまっているわけですね。そのこと、この前提自体はそれでよろしいか、国土交通省に、簡単でいいです、お答えください。
○上原政府参考人 お答えいたします。
先ほど委員御指摘のとおり、このトンネル掘削による湧水を実際の現場でどれだけ少なくできるかということは非常に重要な課題であるというふうに考えております。
これまでのような、先ほどから出ております水がれ等の工事の状況を踏まえまして、南アルプストンネルでは、本坑トンネルの掘削に先立ち、トンネル断面の小さい先進坑を掘削して地質や地下水等の状況を把握し、さらに、先進坑の先端部から、最新の技術を用いた、おおむね五百から一千メートル程度の高速長尺先進ボーリングによりまして、先進坑より更に前方の地質の把握と併せて、トンネル湧水量、湧水圧、さらには化学的な成分分析等を行うことによりまして、破砕帯の位置や破砕帯に含まれる地下水の起源、地表面付近の地下水との連続性などを推定することを予定しております。
委員御指摘のとおり、この破砕帯や亀裂には地下水が滞留している場合がございますので、これに高い水圧がかかりますと施工上も大変危険な状況となります。
リニア中央新幹線では、JR東海が全国新幹線鉄道整備法に基づき、昭和四十九年から平成二十年まで地形、地質等の調査を行いまして、また、二十三年から平成二十六年にかけてJR東海により行われた環境影響評価におきまして、「一部において断層付近の破砕帯等、地質が脆弱な部分を通過することがあり、状況によっては工事中に集中的な湧水が発生する可能性がある。」というふうにされておりまして、国土交通省といたしましても、破砕帯のそうした状況については把握をしております。
○青山(雅)委員 今のお話を聞くと、まず、国交省は、破砕帯に水があることが分かっていると、大変精密な検査でもしているようにお答えになりましたけれども、実は、これは資料3を御覧ください。今、JRが、水が出てくるよと今おっしゃった、工事中に水が出てくるよとおっしゃったのが、この赤い丸で囲んだ部分です。そこに破砕帯があります。そこに、ノンコアボーリングといって、中に何があるかという地質を調べないボーリングしかしていません。それから、透水試験といって、どのくらい水が通るのかという、それもしていません。
それで、していないのにもかかわらず、資料4を御覧ください。ここにトンネルを掘っていくと、こういうふうに水がばあっとあふれてたまってしまって水没するからできないんだ、こう主張しているわけですよ。これは、きちんと調べてこういう主張をしているのなら分かるんだけれども、せっかくノンコアボーリングしながら、なぜか知らないけれども、コアボーリングはやらない、透水試験もやらない。これで、なぜ、先ほどおっしゃったような精密な検査、きちんとした検査と言えるのか。
私は、これ、JRが言うように本当にここのところがこういう状況になるのか、それはコアボーリングをすべきだと。私は事前にちょっと国交省に聞いたら、山の中だから難しいとか言っていたんだけれども、ノンコアボーリングができるんだからコアボーリングができないわけはないんですね。コアボーリングというものができれば、そこを利用して透水試験もできるんだから、やれるはずです。これ、やると言ってください、国交省。
○上原政府参考人 お答えいたします。
議論を整理させていただきたいと思います。
先ほど私が申し上げました高速長尺先進ボーリングにつきましては、これは、工事の掘削に当たって、更にきめ細かくその地質を、ボーリング調査とかそういう粗い調査ではなくて、まず、この先進ボーリングによりまして、地質の把握、それからトンネルの湧水量、湧水圧、化学的な成分分析等をまず行う。その先進ボーリングの結果、破砕帯等や地質の変化が想定される場合においてはコアボーリングをその地区で行いまして、地質の性状を詳細に調査することといたしております。
さらに、そのコアボーリングの結果、破砕帯の存在により、先進掘削時に多くのトンネル湧水が想定される範囲におきましては、先進坑の掘削がその範囲に近づいた時点でトンネル掘削工事を一時中断し、トンネル周辺や切り羽前方に対し薬液注入を行い、トンネル湧水を低減する、そういう非常にきめ細かい対策を今検討しているところ、予定しているところでございます。
先ほど委員御指摘ありました、コアボーリングをノンコアボーリングをしている地点で行えばいいじゃないかという御指摘につきましては、実際のその工事に当たりまして止水対策を行うに当たりましては、仮に現時点で地表から複数箇所でコアボーリングを行ったとしても、これらにより、実際にトンネルが通過する地山の地質の全容を把握することは困難でございます。
したがって、こうしたコアボーリングに代えて、この先進ボーリングによる調査をまず行って、更にきめ細かく対策を取っていくということを考えているわけでございます。
○青山(雅)委員 全くの詭弁ですね。そもそも、これはアセスをやっているわけですよ、国土交通大臣が。それで、何と言っているかというと、「河川水の利用への影響の回避」というところで、農業用水、工業用水、水道用水で、河川流量の減少は河川水の利用に重大な影響を及ぼすおそれがある、このことを踏まえ、必要に応じて精度の高い予測を行い、その結果に基づき水系への影響の回避を図ることと、ちゃんと書いてあるんですよ。
これ、何で言っているかというと、ここのところを静岡県側から、つまり、高い方からトンネルを掘っていけば山梨県側に水が抜けないわけですよ。ところが、今、これは資料4を御覧いただければお分かりのとおり、機械が水没するようなことが起きちゃうから、低い方、山梨県側から掘ると言っているわけですよ。それが妥当かどうかというのを調べるのに、このアセスで言っているような精密な検査をしなきゃいけないのに、それを実際の工事でやりながらやるからいいんだと言ったら、もうそっち側からやっちゃっているじゃないですか、水が抜けちゃうじゃないですか。その話をしているのに、何で、事前の計画でそれをまず、JRの言っていることが本当かどうか調べなきゃいけないと言っているのに、後からやるからいいんだと。後からやったら、もう水抜けちゃっているわけですよ。
時間がないので、答弁が非常に長いので、最後まで行かないと困るので、ここのところはまた後で大臣に聞きますけれども、資料5を御覧ください。
実際には、コアボーリングをやっているところはあるんですね、これは場所がちょっと違いますけれども。このコアボーリングをやった結果に非常に大きな問題があるんです。資料5を御覧いただくと、これは、線があるのがコアボーリング、塗り潰した赤い丸があるところは水が勢いよく噴き出したところです。それが資料6に出ています。ぽんと、矢印がスパイクのように跳ね上がっているところが水が出たところ。どういうところに出るかというと、先ほどから言っているように、破砕帯から出るわけです。
非常に問題なのは、資料7を御覧ください。この資料7に、六百九十から七百メートル、七百三メートルくらいのところに、十メートル以上の厚さにわたって、明らかに隙間があるわけですよ。ここの間にある地質を全部コアボーリングで取って、こういうふうに積み重ねているわけですけれども、つまり、ここの間に大きな水がたまっている可能性がある。だけれども噴き出していないということは、下に抜けているんですね。たまっているから、気圧が違うせいでぴゅっと出てくるんですけれども、イメージしてもらえば分かるんですけれども、滝のように下に向かってごうごう流れていれば、これは噴き出してこないわけですよ。
これをどのくらいやっているかというと、逆に水を上から入れて、透水試験の中で、どのくらい下に流れ込んでいくかということで、そこがどうなっているか分かるわけですよ。ところが、これは透水試験をやっていないんですよ。そのことは、資料8の静岡県の指摘、有識者会議の指摘で、ピンク色のところ。先ほど私が言ったコアボーリングをしなさいよというのは、資料8の最初のページの二つのところ。ここの、六百九十メートルから七百二十メートルのところにある空隙に対してきちんと透水試験とかしろと言っているのが、こちらの方です。
より大きな問題は、ここの六百九十から七百二十をきちんとケアさせていないから、どれだけ水がたまっているのか、どれだけ水が抜けちゃうのかが全く分からないでやっているわけですよ。しかも、コアボーリングは一か所しかしていないんですよ。
まるで国土交通省は、すごく一生懸命JRの方は調べて精密にやっていると言っているんだけれども、こんなのでは、水がどれだけあるのかも分からないのに、水がなくならないよと言われたって、とても信頼できないわけです。これについてきちんと調査をしなきゃいけないと思うんですけれども、短く答えてください、大臣にもお話を聞きたいから。
○上原政府参考人 お答えいたします。
まず、もう一度、議論を整理させていただきたいと思います。
先ほど来の委員の御指摘で、例えば丹那トンネルの経験でございますとか、そうした実際の工事においてトンネルの湧水をどうやって最少化していくか、止水対策をしていくかという議論。
それから、丹那トンネル等でもそうですけれども、トンネルの直上部あるいはその周辺部におきまして、大井川上流域における地下水位の低下などによってどういう影響があるか。これは、自然環境への影響が考えられますので、その問題。
さらに、先ほど来御意見をいただいている環境影響評価その他については、トンネル掘削によって、トンネル直上部や周辺だけでなく、トンネルから距離が離れた中下流域の河川、表流水や地下水にどのような影響を与えると考えられるかという問題。
この三つの問題に分けて考えますと、まず、本当にその湧水を最少化する止水対策については、先ほど申し上げましたような先進ボーリングを行っていくという対策を考えております。
それから、直上部やその周辺、先ほどの丹那トンネルの、そうした事例を踏まえた自然環境への対策につきましては、今後、有識者会議でそれを議論することにしておりまして、現時点までは、まだ有識者会議でその議論をいたしておりません。
最後に、大井川中下流域の地下水に与える影響、先ほどから、ボーリングによる透水係数等の調査、これは水収支解析という手法がございまして、その水収支解析を前提とした大井川中下流域の地下水に与える影響につきましては、今、モデルを用意をして整理をしているところでございますが、先ほど来委員御指摘のJR東海によるモデルだけではなくて、静岡市のモデルも活用して、今議論をしているところでございます。
また、大井川の元々の、そもそもの利用実態や化学的な成分分析からは、中下流域の地下水は上流域の地下水から直接供給されているわけではないということが判明をしております。
ただ、この水収支解析には当然不確実性が伴うものですから、これにつきまして、現在、そうした不測の事態が生じた場合のリスク対策について、有識者会議で議論が行われているところでございます。
○青山(雅)委員 全くさっきから議論になっていないんですね。
私は、工事をする前にきちんと評価をし直さなきゃいけない、JRの出しているものがいいかげんだったことが分かっているわけだから、そのために、ちゃんと工事をやる前にそれをやるべきだと言っているものを、工事をやりながらやりなさいと言っているわけですよ、ずっと。だから、工事が止まっちゃっているんですよ。
工事をやりたければやればいいわけです、そこのボーリング調査なんてすぐできるんだから。それをそんなにも嫌がるということは、つまり不利な結果が出るということを予想しているからなんですよ。
そして、先進坑を先に掘ればいいとおっしゃっている。それがボーリング代わりになると言うけれども、先進坑は、山梨側から、下から掘るんですよ。そうすると、その先進坑から抜けちゃうわけですよ、結局水が。
これは委員の皆さんも御想像いただければ分かるんですけれども、プールがあって、プールの上の方からパイプを差し込んだって水は抜けません。ところが、下からプールに差し込めば、水は全部抜けちゃうじゃないですか。そんなことぐらい、ちょっと考えれば分かるはずなんですね。だけれども、それを平気で、先進坑を先に掘って、それで調査するからいいと。先進坑から全部抜けちゃうじゃないですか。
そういういいかげんなことで六十二万人の水源が失われたら、どうやって責任取るんですか。国交省はアセスでちゃんと言っているじゃないですか。これは大臣の意見として、そういうことが起きないようにちゃんと調査をしてやれと。その指摘を受けているのに、何でその簡単なボーリング調査をそこまで嫌がるのか、私は全く分からないんですよ。
国土交通大臣にその御意見をお伺いしたいんですが。
○赤羽国務大臣 済みません、ボーリング調査云々ということについて、私、直接その状況をよく掌握しているわけではございませんが、もちろん、この水問題につきましては、その沿川の地域住民に大変大きな影響があるということはそのとおりだと思っております。
であるがゆえに、様々な懸念があるということを承知して、今、有識者会議、昨年四月から回を重ね、今十回開催している、熱心に議論いただいているというふうに思っております。
そうした地元の皆さんの御懸念を払拭できるように、また、私、一般論として、結果がまずいから、そのまずく出るのが分かるからそうした工事は避けているんだというようなことが、もしそうであったら、そういうことはあってはならないというふうに思いますので、そこについてはこの有識者会議でしっかりと議論していただける、それが大事だというふうに思います。
○青山(雅)委員 結局、何を言っているかというと、静岡県の方の有識者会議では、調査が不十分だと。しかも、その調査に物すごく時間やお金がかかるものをやってくださいと言っているわけじゃなくて、JRが既にやった場所でいいから、コアボーリングをもう一度やって、透水試験という、コアボーリングをすればすぐにできる試験をやって、実態を本当に把握して議論してくださいよと言っているだけなんですね。それをしないで、ただ会議だけやったって、結論が出るわけないわけですよ。
別に、やればいいわけですよ。それで危惧されるようなことがなければ、静岡県が危惧していることがなければ、県知事だって工事いいですよと言うでしょうし、だけれども、それをやらないから疑念ばかり深まるんです。
その点について、大臣、重ねて御見解をお伺いしたい。
○赤羽国務大臣 私は専門家じゃありませんから、このプロジェクトを見守る責任者でありますので、そうした懸念、そのプロセスについて透明性がないようなことは、それは認めるわけにいかないので、しっかりとした対応をしてもらう。それは有識者会議、極めて我々はちゃんとリスペクトしているメンバーでやっていただいていると思いますので、そこでしっかり議論してもらう、そういうふうに鉄道局長には指示したいと思います。
○青山(雅)委員 今、大臣、非常に大切な答弁をいただきました。透明性を大事にする、そして、きちんと議論するということを有識者会議にも指示するとおっしゃったので、今後、その点を見守らせていただきながら、また必要があれば質問させていただきます。
本日は、貴重な時間、ありがとうございました。
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○あかま委員長 次に、内閣提出、海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣赤羽一嘉君。
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海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○赤羽国務大臣 ただいま議題となりました海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
我が国の造船業は、国際競争の激化や新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷により、かつてない厳しい状況にございます。この未曽有の危機を乗り越え、世界屈指の国際競争力のある力強い産業として成長し、引き続き地域の経済、雇用や我が国の安全保障に貢献できるよう、生産性向上や事業再編等を通じた造船業の事業基盤の強化を強力に推進していくことが重要です。あわせて、熾烈な競争にさらされている我が国の海運業の競争力強化を図るとともに造船業に対する発注を喚起するため、海運業者による高性能、高品質な船舶の導入を促進する必要があります。
さらに、海運業の担い手である船員につきましては、高齢化が顕著であり、新規就業者数は増加しているものの若手船員の定着が課題であるため、船員の労働環境の改善を図る仕組みを構築し、船員の働き方改革を進めていくことが必要です。あわせて、内航海運業について、船員の働き方改革の実効性を高めるとともに経営力の向上を図る観点から、取引環境の改善や生産性向上のための措置を講ずる必要があります。また、船舶の安全性向上、運航の効率化等を推進するため、ITを活用した新たな技術の導入を促進する必要があります。
加えて、外国クルーズ船内における新型コロナウイルス感染症の拡大事案を踏まえ、外国クルーズ事業者等における輸送の安全や旅客の安全に関わる事態に対し、国として円滑かつ迅速に対応するための環境を整備する必要があります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、造船業者による事業基盤の強化に向けた取組や海運業者による高性能、高品質な船舶の導入を、金融支援等により支援するための計画認定制度を創設することとしております。
第二に、船員の使用者に対し、船員の労働時間等を管理させるための労務管理責任者を選任し、船員の実情を考慮して、労働時間の短縮等の適切な措置を講ずることを義務づける等の規定を創設することとしております。
第三に、内航海運業者に対して船員の労働時間を考慮した適切な運航計画の作成などの必要な措置を義務づけるほか、内航海運業者と取引を行う荷主への勧告、公表制度等に関する規定を創設するとともに、船舶管理を効率化する観点から、内航海運業の登録制度の対象として船舶の管理をする事業を追加することとしております。また、遠隔から船舶の航行を支援する業務についての認定制度を創設し、認定を受けた者が行う当該業務の対象となる船舶等については定期検査等を省略できることとしております。
第四に、我が国において発着、寄港する外国のクルーズ事業者等に対する報告徴収に関する規定を創設することとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由でございます。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、何とぞ御審議をよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会