第15号 令和3年5月12日(水曜日)
令和三年五月十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 あかま二郎君
理事 古賀 篤君 理事 谷 公一君
理事 土井 亨君 理事 平口 洋君
理事 簗 和生君 理事 城井 崇君
理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君
秋本 真利君 井出 庸生君
井上 貴博君 泉田 裕彦君
岩田 和親君 小里 泰弘君
加藤 鮎子君 門 博文君
金子 恭之君 菅家 一郎君
工藤 彰三君 小林 茂樹君
佐々木 紀君 田中 英之君
田中 良生君 高木 啓君
中谷 真一君 中村 裕之君
鳩山 二郎君 深澤 陽一君
堀井 学君 三ッ矢憲生君
山本 拓君 荒井 聰君
伊藤 俊輔君 江田 憲司君
岡本 充功君 辻元 清美君
広田 一君 松田 功君
道下 大樹君 山本和嘉子君
北側 一雄君 吉田 宣弘君
高橋千鶴子君 井上 英孝君
古川 元久君
…………………………………
国土交通大臣
国務大臣 赤羽 一嘉君
国土交通副大臣 大西 英男君
国土交通副大臣
兼内閣府副大臣 渡辺 猛之君
国土交通大臣政務官 小林 茂樹君
国土交通大臣政務官 鳩山 二郎君
政府参考人
(特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長) 高田 陽介君
政府参考人
(人事院事務総局職員福祉局次長) 練合 聡君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 村手 聡君
政府参考人
(警察庁交通局長) 高木 勇人君
政府参考人
(カジノ管理委員会事務局監督調査部長) 坂口 拓也君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 川窪 俊広君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 丸山 秀治君
政府参考人
(財務省主税局国際租税総括官) 武藤 功哉君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮崎 敦文君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 小林 高明君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 堀内 斉君
政府参考人
(林野庁林政部長) 前島 明成君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 小野 洋太君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官) 久保田雅晴君
政府参考人
(国土交通省大臣官房官庁営繕部長) 下野 浩史君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 中原 淳君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 吉岡 幹夫君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 和田 信貴君
政府参考人
(観光庁長官) 蒲生 篤実君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 土居健太郎君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 井出 庸生君
辻元 清美君 江田 憲司君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 佐々木 紀君
江田 憲司君 辻元 清美君
同日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 井上 貴博君
―――――――――――――
五月十一日
航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
国土交通行政の基本施策に関する件
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○あかま委員長 これより会議を開きます。
この際、渡辺副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通副大臣兼内閣府副大臣渡辺猛之君。
○渡辺副大臣 国土交通副大臣兼内閣府副大臣の渡辺猛之でございます。
あかま委員長を始め理事、委員の先生方の格段の御指導を賜りますように、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
――――◇―――――
○あかま委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長瓦林康人君、大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、大臣官房官庁営繕部長下野浩史君、国土政策局長中原淳君、道路局長吉岡幹夫君、住宅局長和田信貴君、観光庁長官蒲生篤実君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長高田陽介君、人事院事務総局職員福祉局次長練合聡君、内閣府大臣官房審議官村手聡君、警察庁交通局長高木勇人君、カジノ管理委員会事務局監督調査部長坂口拓也君、総務省大臣官房審議官川窪俊広君、法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎君、出入国在留管理庁出入国管理部長丸山秀治君、財務省主税局国際租税総括官武藤功哉君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、大臣官房審議官小林高明君、大臣官房審議官堀内斉君、林野庁林政部長前島明成君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君及び環境省大臣官房審議官土居健太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。
○中谷(真)委員 自民党の中谷真一です。
本日は、質問の機会をいただきまして、委員長を始め先生方には心から感謝申し上げます。
それでは、早速質問に移りたいと思います。
まずは、私の地元のことであります。「君は太平洋を見たか 僕は日本海を見たい」、これは中部横断道のキャッチフレーズであります。中部横断道は、一九八七年に第四次総合開発計画が閣議決定をされ、高規格道路として構想された道路であります。本年九月に、私の地元、双葉から新清水、これは念願の道路でありましたが、これが開通する見込みというふうになっております。非常に難工事でございまして、本当に、関係者の御努力でこれがつながるということは、地域発展には大きく寄与していただけるというふうに確信をしているところでありまして、このことは本当に地元、非常に喜んでいるところでございます。
ただ、やはり道路というのは、これはつながらなきゃ駄目でありまして、この中部横断道は新潟から静岡までつながる、そういった道路であります。そう考えますと、私の地元、長坂―八千穂間がまだ事業化されておりません。この間を事業化し、この高規格道路を通さなければ、新潟から静岡までつながらないというものであります。これをできる限り早く事業化していただきたいというところであります。
この今の現状について、国土交通省にお伺いしたいと思います。
○赤羽国務大臣 中部横断自動車道につきましては、全線約百三十キロメートルのうち、御承知のように、八十三キロメートルが開通をいたしまして、また十三キロが現在事業中でございます。この事業中区間であります南部インターチェンジから下部温泉早川インターチェンジまでにつきましては、本年九月の開通を目指し、現在工事を推進しているところでございます。
そして、残るミッシングリンクは、未事業区間であります、御指摘の長坂から八千穂間までの区間のみとなるわけでございます。この未事業化区間につきましては、令和元年八月に環境影響評価方法書を公表いたしまして、地元の山梨県及び長野県において都市計画及び環境影響評価の手続を開始したところでございます。
国交省といたしましては、今お話ございましたように、中部横断自動車道のミッシングリンクの解消に向けまして、引き続き、山梨県等の関係自治体と連携いたしまして、事業の必要性に対する地域の理解が得られるように取り組むとともに、山梨県、長野県が行うこれら手続が円滑に進むよう必要な協力を行ってまいり、しっかりと事業を促進してまいりたい、こう考えておるところでございます。
○中谷(真)委員 大臣から、事業を促進するという力強いお言葉をいただきましたので、私ども、地元としてもしっかり努力していきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に移ります。
今現在、コロナ禍であります。私、山梨から永田町に出てくるときは電車を使うんですが、新宿までは特急「あずさ」、そして新宿からは丸ノ内線に乗って朝参ります。そうすると、電車の混雑、満員電車が非常に気になるというところであります。これはみんなそうじゃないかなというふうに思います。
また、東京は非常に人が集まっていますので、通勤時間も非常に長くなっているというふうに思うところであります。これはどれぐらいの通勤時間がかかっているのかというところもあります。また、車両渋滞等々ございます。
こういった通勤時間とか満員電車とか車両渋滞というのは、私、非常に東京は過密になっているので、非常にそれが強くなっているのではないかなというふうに思っているところであります。
電車の過密、これは、インドの電車なんか、人がいっぱい群がって乗っていますけれども、それに近いぐらい、私も秘書時代、千葉県の市川から永田町に通うときは総武線というのを使っていたんですけれども、これなんて、もうすごい状況でありました。すし詰めの電車でありまして、これはやはり解消しなきゃいけないとか、この間、フィリピンに行きましたら、フィリピンの大使館の方が言っていたのは、渋滞が余りにすご過ぎて、フィリピンに赴任してから一番長い時間を過ごしているのは車の中だとか、こういうことではなかなか生産性が上がらないのではないかというふうに思うところであります。
そういった通勤時間とか満員電車とか車両渋滞とか、こういったものは、集め過ぎているがゆえにこういうことが起きているのではないかという問題意識を持っているところでありまして、そういう意味では、この今申し上げた三つの事項は、他の先進国に対してどういう状況なのかというところを教えていただきたいと思います。
○久保田政府参考人 お答えいたします。
通勤時間につきまして、我が国の鉄道利用者の通勤時間の平均所要時間、直近のデータでは二〇一五年でございますが、首都圏が六十七・七分、中京圏が六十一・一分、近畿圏が六十二・二分で、首都圏が最も長くなっておるところでございます。
それから、満員電車につきまして、これは三大都市圏におけます都市鉄道の混雑率、これは最も混雑している時間帯一時間の平均でございますが、二〇一九年の調査では、東京圏が一六三%、大阪圏が一二六%、名古屋圏が一三二%でございまして、東京圏が最も高くなっております。
なお、この二つにつきまして、ちょっと海外との比較は、なかなかデータがございません。
それから、車両渋滞につきましては、これは海外の民間企業が二〇一九年に公表しております世界主要都市の渋滞ランキング、これは対象が五十七か国で対象都市が四百十六都市でございますが、東京はその中で三十二番目に渋滞が激しいとされております。
なお、この調査では日本は五都市が対象となってございまして、東京はその中で一番渋滞が激しいとされてございます。
以上でございます。
○中谷(真)委員 これをどう捉えるかというところでありますけれども、六十七分、片道ですからね。一日二時間以上みんな電車に乗っている。これは生産性が下がっているんじゃないんですかと言いたいわけであります。
私、地元は山梨でありますが、私の地元だと、大体車での通勤でありますけれども、二十分乗って会社に行くといったら結構遠いですよね。まあ大体二十分以内で車で通勤をするというところでありまして、そう考えますと、やはりもう少し私は分散していく必要があるんじゃないかというふうに思うところであります。
また、電車の乗車率も、これはかなり改善をしてきているというふうには言っておりますが、一六三%ですからね。これも、過密した電車、非常に混雑した電車の中に二時間も乗っている、一日二時間も乗っているというのは、これは私は、生産性を下げているというふうに思うところでありまして、もっと広く国土を使うべきじゃないかというふうに思うところであります。
そう考えますと、これは私は、東京一極集中が問題というふうに考えているわけでありまして、日本の生産性に対して極めて大きな影響が出ているんじゃないかというふうに思っているところであります。これは、別に東京に対していろいろ言うということではなくて、東京に住んでいる人も幸せじゃないですから。ですから、もっと広く国土を使うということを、もっと推進をしていく必要があるというふうに思います。
また、国土を広く使わなくて集中させてしまうと、今まで全国に準備してきたインフラも無駄になってしまいますから、このインフラを使ってどのように広い国土を使っていくか、こういうことも考えていく必要があるんだというふうに思うところであります。
そう考えますと、やはり空間デザイン、グランドデザインをどうしていくかということが重要になってくるというふうに思います。その基本的デザインは、この日本の国土をどういうふうに使うのか。東京一極集中というか、集めることを企図しているのか、それとも、日本の国土を広く使おうとしているのか、これについて国土交通省の見解をお伺いします。
○中原政府参考人 お答え申し上げます。
現行の第二次の国土形成計画においては、東京一極集中の是正を重要な課題と位置づけておりまして、地域の個性と連携を重視する対流促進型国土の形成を推進することとしております。
諸機能の東京への一極集中は、特に昨今では、首都直下地震等の巨大災害が切迫する中で、災害時の被害拡大のリスクを高めることが懸念されております。また、今回の新型コロナウイルスの感染拡大では、東京の過密が抱える課題を、実感を持って再認識しているところでございます。
このため、東京一極集中の是正に向けて、例えば、接触機会の軽減のためのデジタル化の推進やテレワークの拡大等による新しい働き方や暮らし方の推進、豊かな自然、特色ある産業、固有の歴史、文化、伝統など個性ある地域づくりや二地域居住の推進など、将来世代を含めて、誰もが安全で豊かさを実感できる国土づくりを進めていくべきと考えております。
○中谷(真)委員 今の回答では、国土を広く使おうとしているということでよろしいんですね。
それだったらば、やはりそういったことをしっかりと打ち出してやっていかなければいけないと思うんです。それを言いながらも東京一極集中はずっと続いてきたわけでありまして、このコロナ禍でちょっと今止まっておりますけれども、今後どうしていくのかということを考えたときにも、それを分散させていくとかということを考えるという意味では、やはり、空間デザインや国土形成をどういうふうにしていくか、これをしっかりと国民に分かるように打ち出す必要があるというふうに考えております。
空間デザイン、国土形成の構想はどのように作成されているか、お伺いしたいと思います。
○中原政府参考人 お答え申し上げます。
国土の利用、開発及び保全を推進するための総合的かつ基本的な計画でございます国土形成計画は、国土の自然的条件を考慮しながら、社会情勢の変化や人口等の将来予測に基づき、経済、社会、文化を始め、総合的見地から策定するものでございます。現行の国土形成計画は、国土審議会の調査審議を経て、平成二十七年八月に、おおむね十年間を目標とする計画として閣議決定されております。
国土形成計画は、策定後の状況の変化に的確に対応するために、おおむね十年から十五年程度を目標としておりますけれども、計画の策定に当たっては、三十年から五十年程度の長期間を展望しつつ検討しているところでございます。
○中谷(真)委員 先ほどの国土形成計画というのはここにあるんですが、これは大体十年ということであります。その三十年とかを考えたもの、その計画を、むしろそっちの方をもっと国民に広く知らしめなければいけないのではないかというふうに思うところであります。何か東京一極集中を排すといいながら東京一極集中になっていますし、また、十年ということですので、場当たり的になっているんじゃないかというふうに思うところなんですね。
ですから、こういうふうな拠点をつくって、それをどうつないでいくんだというような大きな構想、人口動態をどうしていくんだとか、こういったことを明確にするというところと、また、もっと長期的な、三十年、四十年、先ほどの中部横断道だって三十五年かかっているわけですから、五年かかってまだできていないんだから、そう考えますと、もっと長期的な視野に立ったものを作成すべき、これは国土交通省だけじゃないんですが、ほかの分野も関わってくることでありますけれども、そういうものが必要と考えますが、国土交通省の見解を伺いたいと思います。
○小林大臣政務官 お答えいたします。
現在、国土審議会というところで、御指摘の東京一極集中の問題も含めて、二〇五〇年を見据えた国土づくりの方向性、そして課題を整理するための「国土の長期展望」の検討を行っておりまして、間もなく、今年の六月中にも最終取りまとめを行う予定であります。
この中では、地域においてデジタル技術等を活用することで、利便性が高く、安心して暮らし続けることができる地域生活圏を形成していくなど、新たな視点からの議論を行っているところであります。
国土計画は、国の将来像を明らかにするグランドデザインでありまして、長期的な視点に立つことは、お述べのとおり、大変重要であります。今後も、このような計画を策定する際には、この点を踏まえて検討を進めてまいります。
以上であります。
○中谷(真)委員 長期的展望に立った、具体的というか、これをしっかりと国民に明確に示せるようなものを是非作って、そしてみんなでそれを目指していくというような姿を是非つくり出していただきたいというふうに思うところであります。
それでは、次の質問に移ります。
済みません、時間がないので急ぎますが、高齢者の免許返納についてお伺いします。
池袋の事件以降、非常に進んでいるというふうに感じています。私の地元でも、みんな何か返していっているような、返していっている人の数が増えているような気がします。私の支持者で、七十歳の方で免許返納した方が、移動するためにタクシーを呼んだら、タクシーの運転手の方は七十五歳だったとか、こんなこともあるわけであります。本当に正しいのかという、一つの事象を捉えてやるのではなくて、しっかりデータを見ながら進めているのかというところを非常に疑問に思うわけであります。
私は、この免許返納を強力に推進していくということはよくないというふうに思っているところでありまして、私の地元、山梨大学教授の伊藤安海先生は、免許を返す人の方が正常だと言うんですよ、ひやっとするから。返していない人の方が危ないと言うんですよ、もう気づかなくなっているから。というような状況もありますし、高齢者の免許返納よりも、免許の空間的、例えば、私の地元でいけば甲府市しか駄目だよとか、あとは時間、六時以降は駄目だよとか、そういう、免許を制限した方がいいというふうにも言っております。
このことについてどう考えているのか、警察庁にお伺いしたいと思います。
○高木政府参考人 高齢運転者の交通事故情勢についてまず申し上げさせていただきますと、過去十年間における七十五歳以上の高齢運転者による死亡事故発生件数は、平成二十三年から三十年まではおおむね横ばいで推移しておりましたけれども、令和元年及び二年は減少しております。
いわゆる運転免許証の自主返納によって高齢運転者の事故がどれだけ減少しているかについては、一概に申し上げることは困難でございますけれども、運転免許証の自主返納制度の周知等を含めて、関係機関、団体が一体となって交通事故防止対策に取り組んできたことが、高齢運転者による事故減少に寄与しているものと認識をしております。
他方、令和二年の免許人口十万人当たりの死亡事故件数を年齢層別に見ますと、七十五歳以上の高齢運転者は七十五歳未満と比較して約二・一倍となっております。したがって、客観的に、運転リスクが高まっている方等に対して運転免許証の自主返納制度の周知をさせていただくことも、交通事故防止の観点からは必要なことと考えております。
また、各都道府県警察に安全運転相談窓口を設けて、高齢運転者等からの相談に応じて、加齢に伴う身体機能の低下を踏まえた安全運転の継続に必要な助言、指導を行うなど、運転の継続を希望する高齢運転者の支援にも取り組んでいるところでございます。
さらに、令和二年の道路交通法改正においては、申請により運転することができる自動車を安全運転サポート車に限定するなどの限定条件付免許制度を導入したところであり、同制度により、運転に不安を覚える高齢運転者などに対して、自主返納だけでなく、より安全な自動車に限って運転を継続するという中間的な選択肢が設けられることによりまして、高齢者の安全運転やモビリティーの確保にもつながるものと考えております。
○中谷(真)委員 自主返納をどんどん進めていくのではなくて、やはり継続して運転できるためのサポート、これをしっかり準備していく方が私は正しい方向だというふうに思っております。
それはなぜかというと、やはり運転中止と健康の関係もあるんですよね。私の地元のようなところでは、車を失ったら本当に移動しないんですよ、家の中にずっといますから。そうすると、非常に健康に悪いんです。これについて、厚生労働省は、この運転中止と健康の関係について、どういう見解か、お伺いしたいと思います。
○堀内政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省といたしまして、運転に特化いたしました高齢者の健康への影響に関する研究というものは行っておりませんが、高齢者が集まるサロンに参加している人は虚弱の割合が低い、他者との交流などの社会参加の機会が多い人は、その機会が少ない人と比べて要介護認定に至りにくい、そうした研究結果があることは承知しております。
このため、これまでも、介護予防の観点から、外出機会や社会参加の機会などを確保するために、地域の高齢者が集まり、体を動かしたり交流を行う通いの場などの取組を推進しているところでございます。
現在、コロナ禍という状況にはございますが、引き続きこうした取組が着実に進められるよう、新型コロナウイルス感染症の感染防止への配慮も含め、自治体の取組を支援してまいります。
○中谷(真)委員 これは国民の幸せに物すごく影響がありますので、しっかりとそういう、本当に今やっていることが正しいのかどうかというエビデンスの下、こういった施策を進めていくべきというふうに思っているところでありまして、是非よろしくお願いいたします。
質問を終わります。ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、吉田宣弘君。
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。
本日もこのように質疑の機会を賜りましたこと、あかま委員長、理事の皆様、それから委員の皆様に厚く感謝を申し上げたいと思います。先ほどの中谷委員の本当に実りある質問に続けとばかりに、しっかり国民の皆様に資する質問に努めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて国土交通省が果たすべき役割、これは多岐にわたると承知をしております。交通産業政策しかり、また建築に係る政策でも、果たすべき役割は多々存在するというふうに思います。
この点、赤羽大臣の今国会における所信表明演説に対する我が党の岡本理事の質問では、カーボンニュートラルに向けた国土交通省の役割、そして責任、遅れているZEHの推進、住宅の省エネ基準適合の義務化など、とても重要なやり取りが展開されたと、私は大変に感銘を受けながらお聞きをさせていただきました。
私は、本日は国産材の利用促進という観点から、このようなカーボンニュートラルに向けての国土交通省の施策、また林業に関わる所管をしている林野庁とも、この点、多く連携を取っていただくことになってくるんだろうと思いますし、そういった角度から質問をさせていただきたいと思います。
これまで、国土交通省では、官庁営繕における木材利用というものを推進をしてきた、そのように承知をしているところでございますが、木材利用を推進してきたその理由について、まずお聞きをしたいと思います。
○下野政府参考人 お答えいたします。
平成二十二年に施行されました公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律におきまして、木材の利用を促進することは、地球温暖化の防止、循環型社会の形成、森林の有する国土の保全、水源の涵養その他の多面的機能の発揮及び山村その他の地域の経済の活性化に貢献するとされております。
そのため、国土交通省では、本法の目的に鑑みまして、自ら整備する公共建築物において率先して木造化、木質化を推進するとともに、国の木造建築物に関する技術基準類を整備し、各省庁や地方公共団体への普及に努めてきたところでございます。
公共建築物の整備において木材を利用することは、木材の適切な供給及び利用の促進を通じた林業の持続的かつ健全な発展を図り、もって森林の適正な整備及び木材の自給率の向上に寄与するものと考えております。
今後とも、農林水産省を始めとします関係省庁と連携し、公共建築物における木材利用の普及拡大に積極的に取り組んでまいります。
○吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。
今御答弁ございました公共建築物等における木材の利用推進に関する法律、この施行からやがて十年が経過をしようとしているところでございます。この間、平成二十年度に床面積ベースで七・五%であった木造率、この木造率は、今分かっている最新の数値でどのような状況になっているのか、お示しいただければと思います。
○前島政府参考人 お答え申し上げます。
公共建築物の床面積ベースの木造率は、平成二十年度の七・五%から、最新値である令和元年度には一三・八%に上昇しております。
○吉田(宣)委員 結果が着実に出ているということでございます。
ところで、この公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の背景の一つには、日本の森林資源が非常に豊富であるということがあったと承知をしております。
では、現在のこの森林資源の現状と木材供給の供給量の関係、これはどのようになっているのか、またお示しいただければと思います。
○前島政府参考人 お答え申し上げます。
令和元年における木材供給量の実績は丸太換算で三千百万立方メートル程度、これを立木伐採量に換算いたしますと五千万立方メートル程度と推計されるところでございます。
一方、我が国の森林資源は、木材を収穫してもなお毎年七千万立方メートル程度増加しておりまして、総蓄積で約五十二億立方メートルに達しております。
資源量の面からは今後の木材供給の増加に十分対応し得るものの、路網整備や労働力の確保など、条件整備を図ることが不可欠だと考えております。
このため、現在検討中の森林・林業基本計画におきましては、木材の生産や運搬に対応した路網の整備、林業の生産性向上や従事者の確保といった施策を展開しながら、木材供給量を拡大し、国産材の利用を更に推進する考えでございます。
○吉田(宣)委員 まだまだポテンシャルがあるということでございますし、ただ、それに当たっては様々な環境整備も必要であるというふうな御答弁でございましたので、しっかり私も皆様の情報をまた共有させていただきながら、そういった整備の取組、私も進めていきたいと思います。
ところで、先日、私の地元、福岡の久留米市なんですけれども、この久留米市の公明党の市議会議員さんが地元の材木店を訪問された。その際に、今、アメリカで大変に住宅の需要が高まっているというふうなこと、その状況を受けて、アメリカからの材木の輸入といいますか、日本に入りづらくなってきている、そういった影響を受けて、今度は国内において、九州で生産をされる木材が関東方面にかなり供給をされていて、今度は九州で使うための材木が将来不足してくるのではないだろうかという御懸念の、御心配のお声をいただきました。
ここでは、別に、私の地元である福岡県久留米市だけに限ったことではなく、輸入木材と、それから国産材の供給も含めて、このような現状の下、日本において林野庁はどのように御認識をなさっておられて、かつ、どのように御対応されていこうとしておられるのかについてお聞かせいただければと思います。
○前島政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の製品材などの需要の約五割を占めます輸入木材につきましては、北米の住宅着工の回復による産地価格の高騰、中国、欧州における木材需要の回復、増加や、世界的なコンテナ不足による運送コストの増大、我が国への入荷の遅れなどの影響によりまして、不足感や先行き感の不安感の広がりとともに価格が上昇しておるところでございます。
また、輸入木材の代替といたしまして、国産材製品への引き合いも強くなっております。国内の加工工場も既に稼働率を上げて対応しておりますが、生産が間に合わない品目もありまして、全体として製品価格が上昇するなどの状況が生じているところでございます。
こうした状況におきまして、正確な情報を把握し、需給の変動に適切に対応することが重要と考えております。国産材の加工、流通事業者などからヒアリングを行うとともに、川上から川下までの関係団体による意見交換の場を設置いたしまして、関係者間での情報共有を図っているところでございます。また、業界団体に対しましては、需要に基づいた適切な発注などの協力要請を行ったところでございます。
今後は、需給の動向が地域によって差異があるということがございますので、地域ごとに意見交換の場を設けるなど、現場に近いところでの情報共有を図ってまいる考えでございます。
さらに、今回、輸入木材の供給におけるリスクが顕在化したことも踏まえまして、中長期的な観点からも、輸入木材からの転換も含めました国産材製品の安定供給に向けまして、効率的なサプライチェーンの構築を推進してまいりたいと考えております。
○吉田(宣)委員 国際的な情勢を踏まえた、本当に、国内におけるサプライチェーンの構築、これは非常に大切だと思います。どうかよろしくお願いいたします。
次に、今度は国土交通省にお聞きをしたいと思いますけれども、住宅の構造についてちょっとお聞きします。
木造住宅、これはもちろんのこと、例えばSRC、鉄筋鉄骨コンクリート造、それからRC、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、また軽量鉄骨造、様々な構造が建築物にはあるというふうに承知をしております。
この中で、住宅製造時のCO2排出量、これは当然のことながら木造が一番少ないというふうに思われます。ただ、建築物の種類によっては、例えば高層マンションなど、これを全部木造で造るというのは、これは事実上不可能なんだろうな、困難であろうなというふうに思いますけれども、例えば部分的に、SRCの高層マンションであっても木材を利用することは可能ではないか、そのように思います。
そこで、これまで建築基準法を改正して木造の利用範囲を広げてきた取組について、国土交通省からお聞かせいただければと思います。
○和田政府参考人 木造建築物、これを内訳で少し見ますと、三階以下の住宅、これは約八割が木造でありますが、その一方で、住宅でない建築物や四階以上の住宅では木造の割合は低くなっておりまして、木造建築の拡大を図っていく上では、これらの建築物における木材利用を促進していくことが特に重要だと考えております。
このため、木造建築物について、個別の実験等により安全性を確認した上で、建築基準法に基づく構造、防火関係の基準の合理化に取り組んできたところでございます。
具体的には、平成二十八年には、CLTの活用促進に向け、CLTパネル工法に関する構造基準を整備して大臣認定を不要にしている。あるいは、平成三十年には防火基準を見直しまして、木のよさを実感できるように、木材がそのまま見える「あらわし」で設計可能とするなどの取組を進めています。また、例えば令和元年の政令改正におきましては、一定の天井高を確保することなどによって、天井の仕上げを含めて木材とすることができるようにというような合理化を図ってまいりました。
更なる木材利用の推進のために、こうした取組の普及に加え、引き続き、安全性を確認した上で、建築基準の更なる合理化について積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○吉田(宣)委員 でき得る限りの木材利用を、是非推し進めていただきたいと思います。
間もなく時間が参りますので、最後の質問にいたしますけれども、国産材の利用の促進というものは、健康な森林を保全することと私は表裏の関係にあると思っております。すなわち、健康な森の維持には、植林、それから間伐、伐採、こういったサイクルが必要であり、間伐と主伐のそれぞれの場面で木材が供給をされるということでございます。健康な森林は、CO2を吸収するだけでなく、国土を保全する機能も果たすことになると思います。また、水源を涵養する機能も果たすことになる。
平成二十九年九州北部豪雨災害、これは、福岡県の朝倉市というところで、大量の濁流に、大量の木材が、流木が住居地を直撃をして大変な被害が出ました。命を落とされた方もおられました。海に流れ着いた、これは有明海ですけれども、この流木は漁業者にも大変な打撃を与えたところでございます。
このような事態も、健康な森林を保全することで一定程度防止することができるのではないのかな、そのようにも思います。私は、山を守ることは川を守って、川を守ることがそのまま海を守ることにつながるというふうに思っております。ですので、私は、山から遠く離れた海辺にいるときでもしっかり山に思いをはせること、そういったことをある意味意識づけるようにしております。
このような意味においても、国産材の利用促進は非常に意義が大きいと思いますし、先ほどおっしゃったような木材のサプライチェーンとしての機能もあります。また、九州は山が大変多いところでございまして、地場産業の振興という地域活性化にもつながると存じます。
そこで、最後に赤羽大臣にお聞きしますが、国産材を含めた木材の利用の促進を図るため、住宅・建築物における木材利用促進について、大臣の御所見をお伺いできればと思います。
○赤羽国務大臣 今、吉田委員のお話がございましたように、近年の激甚災害の頻発化、私も、今お話がございました、かつての九州北部豪雨の朝倉地区も視察に行かせていただきましたし、昨年七月の球磨川一帯を襲った豪雨災害におきましても、大変な流木で厳しい状況でございました。
まさに御指摘のように、こうした豪雨災害から被害を最小化するためにも、国土の保全という観点から、地球温暖化の防止という観点からも、森林資源を、本格的な利用期を迎える中で、特に国産材を含めた木材需要の拡大を図っていくということは、様々な面で意味があるものだと認識をしておるところでございます。
そうした観点から、国交省といたしまして、まず、自ら整備する公共建築物における木造化ですとか木質化の推進を行っていること、また、河川の護岸ですとか公園の休息、休憩施設などの公共施設において木材の利用を推進させていただいております。また、先導的な木造建築物のプロジェクトですとか、林業事業者と工務店等が連携したプロジェクトに対する支援も行いつつ、木造建築物等における構造、防火関係基準の合理化の推進、また、こうした中高層の木造建築物を担うことのできる設計者等の育成への支援も行っているところでございます。
今後とも、国交省としても、農林水産省を始めとする関係省庁と連携しながら、木材の利用促進をしっかり進めていきたい、こう考えております。
○吉田(宣)委員 ありがとうございました。
質問を終わります。
○あかま委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。
本日より、対象地域が拡大しての緊急事態宣言、また蔓延防止等重点措置が取られております。まだまだ収束の見込み、また人流というのが止まらない状況というのは続くかとは思いますが、早くの収束を改めて願うとともに、新型コロナに罹患された皆様方にお悔やみとそしてお見舞いを申し上げ、そして、しっかりと政策につなげていきたいと思っております。
さて、おとといでありますが、月曜日の衆参予算委員会において、いわゆる水際対策の甘さが指摘されました。海外で顕著になった変異株は必ず日本に入ってきているというのも、いろいろな水際対策をしていると伺っている割にはすぐに入ってきているということにも、いろいろな疑問がございました。
そこで、まず最初にお伺いいたします。
変異株ウイルス始め、日本に入ってきたルート、経路について、政府として具体的に把握をしているのか。また、入国制限が課された中で、特段の理由を持っている者として入国した方々の中に外国人技能実習生としての入国者が含まれているのか。その点に関しましてお聞かせください。
○宮崎政府参考人 まず、前段の御質問について、厚生労働省よりお答えさせていただきます。
変異株につきまして、その経路でございますけれども、これを網羅的に把握しているわけではございません。
現在、急速に置き換わりが進んでおります英国で報告された変異株を例に取りますと、昨年十二月十九日に英国政府から公式発表がなされた後、速やかに政府として水際対策の強化を図ってきたところではございますけれども、その後の報告によりますと、当該変異株につきましては、昨年の九月から英国で発生していたということが確認をされております。それ以降の国際的な人の往来とともに我が国にも入ってきたものと考えているところでございます。
○丸山政府参考人 それでは、御質問の後段の部分について、法務省よりお答えいたします。
現在の水際対策でございますが、入管法五条一項十四号に基づきまして、特段の事情がない限り、上陸拒否の対象地域に滞在歴がある外国人につきましては、上陸拒否の措置を講じているところでございます。
この特段の事情により新規入国を認めている事例としましては、日本人や永住者の配偶者等の身分関係のある方、外交、公用の在留資格の方、例えばワクチン開発の技術者やオリパラの準備、運営上必要不可欠な方など公益性のある方、例えば親族の危篤に伴い訪問する方など人道上の配慮の必要性のある方といった方に限られているところでございまして、御質問がございました技能実習生につきましては、これらのいずれにも該当しないため、原則として新規の入国はできないこととなっております。
他方、再入国者、日本に住んでいる方、再入国者につきましては特段の事情を認めているため、技能実習生を含め、在留資格を有し、再入国許可を受けて出国した者であれば再入国ができるという取扱いになってございます。
○小宮山委員 在留資格を持った外国籍のプロアスリートなど、なかなかできる事例がなかったり、また足止めをされたりと、様々であります。競技によっては入国できない事例というのもあるという意味においては、特段の事情の妥当性の判断というのにも疑問が生じております。
レクのときには、またそのほかのときでも、特段の理由の中に武器等の整備というものがあったようであります。この点も明確にしていただきたいと思いますし、予算委員会での田村厚生労働大臣の答弁も釈然としないものがありました。国民の納得が得られる、きちんとした水際対策を行うことを改めて要請させていただきます。
さて、三度目の緊急事態宣言、蔓延防止の措置の中でありますGoToトラベルは、現在停止をされております。GoToトラベル事業の対象が変更されたのではないかということ。
昨年、事業計画当初の説明では、感染収束後に、ビジネス、個人など、幅広い旅行を対象として、観光産業の浮揚策として発表されております。昨年十一月、仕事での出張など企業負担の旅行が対象から除外となり、これに伴って、昨年十二月頃には、法人による団体旅行、研修旅行なども対象とならない旨が明確にされております。
GoToトラベル事業が、当初の支援対象、支援目的から変わっているのではないのか。また、GoToトラベル事業の目的と、対象の変更された目的に変更がされたのではないか。変更されるに至った経緯も簡潔に御説明ください。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業は、国民の命と暮らしを守り抜くとともに、新たな旅のスタイルの普及、定着を目指しての支援事業と位置づけ、コロナ禍により失われた旅行需要を取り戻すため、旅行代金の割引による旅行需要の喚起に加えまして、地域共通クーポンの利用を通じて、観光地周辺における消費を喚起し、厳しい経営環境に直面する土産物店、飲食店等の事業者の皆様も含めまして、幅広く地域経済を支えることを目的としております。
一方で、本事業の開始以降、旅行商品の販売実績や内容の実情なども明らかになっていく中で、本事業の本来の趣旨にそぐわないと判断されるものにつきましては本事業の支援の対象から外す措置を取らせていただくことといたしまして、事業の支援の対象とする旅行商品の基準、考え方、例えば、観光を主たる目的としているかどうか、感染拡大防止の観点から問題がないかどうか、そういったものについての基準を明確化いたしまして、昨年十月二十九日に本事業の公式サイトによりまして、旅行者及び事業者の皆様に周知をさせていただいたところでございます。
委員御指摘のいわゆるビジネス関係の出張につきましては、事業開始当初、観光、ビジネスの別を問わず、人の動きが激減していたことから支援の対象としておりました。
他方、人の動きが回復してきている中、ビジネス出張については、企業の業務の必要性に基づいて行われ、企業において経費として支払われることが一般的であることから、本事業は企業の負担軽減を目的としたものではないとともに、より多くの旅行者に御利用いただく観点から、本事業の支援の対象外とさせていただいたところでございます。
○小宮山委員 GoToトラベル事業を扱うに際して、旅行者の所在地の都道府県に本支店がある旅行会社であることが求められるといった認識が小規模旅行会社の中に広がっているようです。周知不足や誤認に基づいているのか分かりませんけれども、現実に、他県にいる顧客の旅行を扱えなかった事例が生じています。その結果、各地に支店を持つ大手旅行業者に顧客が流れている。小規模旅行会社にとっては支援策となっていません。
観光庁、国土交通省は、全体で二兆円を超える事業であるGoToトラベル事業が、例えばどのような規模の旅行会社、手数料を払う予約サイト等へどのような経済効果につながっているのか、効果が観光産業のどこまで、どのように行き渡っているか把握、認識をしているのか、伺いたいと思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業におきましては、事業の効果を全国に及ぼすために、大手であるか中小であるかを問わず、事業者の皆様に平等に事業に参加できる機会をつくっており、現在、三万四千を超える非常に多くの事業者に参加いただいているところでございます。
また、大手の事業者に限らず、中小規模の旅行会社を含めた全ての事業者に対しまして、同じように販売状況を丁寧に聞き取りながら、随時必要な予算枠を追加いたしまして配分するなどの対応を行っているところにより、事業者からの御要望に応じて、幅広く事業の効果が行き渡るよう努力したところでございます。
今委員の御指摘にありました事業の効果につきましては、観光庁内でも分析を並行して進めておりますが、GoToトラベルの事務局との委託契約におきましても、本事業の実施結果や経済への波及効果を整理、分析、報告するよう求めておりますので、この中で議員の御指摘の中小規模の事業者に対する効果につきましても分析、把握をするよう求めたいと考えているところでございます。
○小宮山委員 GoToトラベル事業、短期間で実施をされていたんですが、この間で報道で流されるのは、旅行関係、大変もうかっていいよねと言われることが多かったんです。しかし、実際には、先ほども指摘したとおり、小規模あるいは零細の旅行会社への恩恵は届いておりません。GoToトラベルはもう廃止して、直接給付など支援をしてほしいといった切実な声が小規模旅行代理店から伝わっております。緊急事態宣言、蔓延防止措置が五月末まで期間延長となる中、観光関連の事業者などへ新たな支援策が必要と考えます。
立憲民主党では、損失額の約二割をめどに給付することで事業継続をしてもらえるよう、観光関連産業給付金法案を提出をさせていただきました。また、雇用調整助成金の特例の継続も強く要請したい。緊急事態宣言の延長から解除に至った後も、顧客や市場が戻るのに例えば三か月程度は見込まなければならないんじゃないでしょうか。事業計画、雇用計画がしっかりと組み続けられるように、雇調金の特例の継続も更に三か月など、可能なようにするべきだと考えます。
直接支援並びに雇用調整助成金特例の継続の要請について、国土交通大臣の御見解を求めます。
○赤羽国務大臣 これまで私も、全国ちょうど五十の観光地の皆さんと、毎回二時間から二時間半、三時間近くかかるときもありますが、意見交換をさせていただいておりまして、現場の状況を聞かせていただいております。
今、小宮山委員おっしゃられるように、このGoToトラベル事業、大変大きな需要喚起策だということで、あの事業で何とか今倒産せずに済んだというような肯定的な意見も多いんですけれども、他方で、いわゆる小規模の旅行代理店ですとか貸切りバス事業者、やはり団体旅行が冷え切っておりますので、そうしたところには十分裨益されていないというのも、現場で、歩いていて、私も感じるところでございます。
直接支給の議員立法のことにつきまして、これは国会で御判断いただければと思いますので、私の方からコメントいたしませんが、私は、基本的には、経済効果等々からいえば、現場の皆さんの切実な声は、やはり需要喚起策で応援をしていただきたいという声が数多くございまして、今、全国のGoToトラベル事業、再開をできないという状況下の中で、もう四月一日から、発表させていただいておりますが、県単位でそれぞれ、県の県民割引的なキャンペーン等々をやられているとか準備をされている県が数多くございまして、そうしたことについて国交省として財政支援をする、これは発表しているとおりでございます。
また、雇用調整助成金につきましても、これがあるから何とか従業員の皆さんの雇用が確保できているという切実な声がございますので、何度も私も表明させていただいておりますが、厚労省に対しまして、今の拡充した形で更なる延長ということを求めておるところでございますし、私の決意としては、やはり観光関連、交通事業者共に人手を多くかけている産業でございますので、雇用調整助成金の最後の最後までの対象の業界として死守しなければいけない、こう思っておるところでございます。
それで、あと加えて、直接支給と少し似ているかもしれませんが、なかなか、需要喚起といっても、こうした感染状況だと観光を展開しにくい環境の中でございますので、やはりこうした状況が長く続いていることに対して支援をしなければいけないということで、昨年から、感染拡大防止対策、様々な費用をかけて現場では頑張っていただいておりますので、こうしたかけられた費用、またこれからかける感染対策、防止に対する費用に対する助成ということで、一件当たり最大五百万円の支給もさせていただくということは、先日、二十三日の記者会見で発表させていただいて、今周知徹底をさせていただいているところでございます。
いずれにいたしましても、観光関連、交通事業は、これからの我が国における地方創生、また経済成長、また国民生活の足という大変重要な基本的なインフラ、大事な産業だというふうに思っておりますので、しっかりと、皆様方の御指導も聞きながら、お知恵を拝借させていただきながら、国交省としても万全の対策で支援をしていきたい、こう考えておるところでございます。
○小宮山委員 是非、直接的な支援、またしていただきたいと思いますし、雇調金に関しましては、昨日、海事産業の各種団体から御意見を伺いました。この中でも非常に要望の多い制度でありました。ここで少し下げていくということではありますけれども、是非この点に関しましても、閣内での発言もしていただければと思います。
さて、地域で観光や人流というものを結局止めないということになります。そうなってくると、やはり、今後、ワクチン接種が進展してきて、高齢者など接種済みの方から市中に出かけ始めるようになるかと思っております。これに対して、飲食店などで働く側はワクチン未接種となる。ワクチン接種が行き渡るまでは、PCR検査、抗原検査を広く無料などで可能とすることで、ワクチン接種に関しての格差というものの状態をなるべく抑えること、また、各地域経済振興のために、無症状の陽性者の人流防止にもつながるのではないかと考えております。
また、場合によっては、全域でなければ、下水道を使い、地域を絞っての重点的な検査ということも検討されるべきだと思いますが、観光産業支援にもつながることでもあります。
観光庁として、政府内でも声を上げ続けていただきたいと思いますが、この点についての御意見をお願いいたします。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
この四月から、地域観光事業支援といたしまして、感染状況が落ち着いているステージ2相当以下と判断した都道府県が、県内旅行の割引事業を行う場合や前売り宿泊券の販売を行う場合におきまして、国が当該都道府県の取組を財政的に支援しているところでございます。この支援の中では、委員御指摘のような旅行前のPCR検査等につきましても、各都道府県が地域の実情を踏まえて支援対象に含めることが可能となっているところでございます。
また、GoToトラベル事業におきましては、その再開につきまして当面難しい状況であると判断しておりますが、国民の皆様に安心して本事業を利用して旅行を楽しんでいただける環境を整備する観点から、その再開に当たりましては、PCR検査等につきましてどのような活用が可能か、知見を有する厚生労働省や内閣官房とも連携いたしまして、現場の負担なども考慮しつつ検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、感染拡大防止の観点も踏まえつつ、関係省庁や各都道府県と連携して、観光関連産業を適切に支援してまいりたいと考えております。
○小宮山委員 続きまして、狭隘道路解消並びに無電柱化への取組についてお伺いしていきたいと思います。
五年に一度行われます、総務省統計局、住宅・土地統計調査によりますと、約三割の住宅が幅四メートル以下の狭隘道路のみに接して建っております。国は狭隘道路整備事業に予算計上し、取り組んでおりますが、狭隘道路への接続割合は増加をしている状況です。
この狭隘道路に面した住宅の戸数、比率が減少していかない理由はどこにあるのでしょうか、お聞かせください。
○和田政府参考人 お答えいたします。
狭隘道路に接道した住宅の解消を進めるため、建築基準法では、建築物の建て替えの機会を捉えて、セットバック、少し道路側から後ろへ引き下がっていただくことを求めております。
委員御指摘のように、例えば平成三十年の住宅・土地統計調査によりますと、四メーター未満の道路にしか接道できていない住宅、これは全国ベースで約三割ございます。
その理由としましては、セットバック、道路の両側でして初めてその四メーターが解消されるということが一般的でございますが、道路の片側の敷地でセットバックしても反対側の敷地がそのままである場合があること、また、敷地分割が行われている場合があること、あるいは、そもそも建築物の建て替えが行われていないで、長期にわたり使用され続けている状況にある場合があることなどが考えられます。
国土交通省としましては、そのような原因の把握も含めまして、今後、狭隘道路等の現状分析をしっかりと行っていきたいと考えております。
○小宮山委員 狭隘道路に面した住宅など、新築、建て替えのときはセットバックをいたします。セットバックした土地は、地方自治体へ寄附するか、そのまま所有を続けることになります。皆様に配付させていただきました資料の方も御覧いただければと思います。
地方自治体への、セットバック、後退用地の寄附制度は約八割の自治体で設けられておりますが、実際に制度を活用した寄附は三割にとどまっています。新築等により後退した用地が分筆されないまま、建物敷地とともに抵当権設定がかかっている場合など、民間所有の土地のまま道路として使用することは、維持管理、地下埋設物等の設置、さらには固定資産税の課税においても問題が生じていることがあるそうです。
セットバック、後退用地の自治体への寄附が進んでいない理由についてどのように捉えているのか。また、適切に分筆や寄附が行われるため、国交省の取組をお聞かせください。
○和田政府参考人 国土交通省では、令和元年度に狭あい道路整備等促進事業を活用している二百八十三の地方公共団体を対象に、狭あい道路の拡幅整備に係る実態調査を行いました。
その結果ですと、約八割の地方公共団体が、一定の条件を付して後退用地の寄附を受ける制度を設けております。一方で、寄附する側の土地所有者の意向と、条件を付す側の地方公共団体の意向が必ずしも合致していない場合もあると考えられております。
なお、委員御指摘のように、分筆や寄附が行われる場合につきましては、権利関係を明確にするための測量、分筆、登記、拡幅整備のための舗装、こういったものが必要になりますが、国土交通省におきましては、社会資本整備総合交付金等によりまして、これらに要する費用に対する支援を行っております。
○小宮山委員 今局長が指摘されましたけれども、狭隘道路の解消に当たって、社会資本整備交付金の活用がなじまない場合があると伺います。道路拡幅工事などに伴い、路線の全体がセットバックする場合、社会資本整備交付金を活用して事業を推進することはできるとなっておりますが、住宅などの新築、建て替え、増築や、塀の築造などが行われる際に、路線の一部である当該住宅に面する区間だけがセットバックされていくことになってしまう。こうした自主後退は計画性に乏しく、社会資本整備交付金の活用がなじみにくいのではないかという声があるわけです。
新築、建て替えなどにより路線内の一部だけが自主後退となる場合についても支援ができる補助金制度を新設するべきじゃないでしょうか。
○和田政府参考人 建築基準法に基づきまして、建築物の建て替えでセットバックする機会を捉えて行われる狭隘道路の用地の買収とか舗装等に対しまして、社会資本整備総合交付金等の中の狭あい道路整備等促進事業というものがございまして、普通の道路の事業とは違いますが、こういったものによって支援を行っています。
この事業では、道路事業として路線整備を行う場合に限らず、路線内の一部の住宅がセットバックする場合においても、そのセットバックに係る費用を支援対象としておりまして、公共団体の方でこれを用いていただこうということであれば、狭隘道路の解消に向けて、その公共団体を支援しているところでございます。
公共団体の中には、数もたくさんございます、必ずしも私どもの情報といいますか、あれが丁寧に行き届いていない場合もあると思いますので、しっかりと公共団体と丁寧に意見交換しながら、理解を進めていくよう努力したいと思ってございます。
○小宮山委員 愛知県岡崎市では、平成十七年に条例を制定した上で、狭あい道路整備係という専門の部署を設けて取り組まれているそうです。セットバックが行われる際の取扱いについて分かりやすくフローチャートに示すなど、周知広報にも、また、登記の費用等、様々なところで支援をするという優れた取組をしております。これは是非参考にする点があると思いますので、周知徹底も含めて活用していただければと思います。
狭隘道路について読み取れるのは、法制上は建築基準法第四十二条二項ぐらいだと聞いております。防災・減災のための狭隘道路の解消に向けて、より積極的に取り組むには、よりどころとなる、根拠法となる新たな指針の類いが示されるべきじゃないでしょうか。この点に関しまして、狭隘道路に関する新たな指針の作成又は狭隘道路解消推進法といったような法制化もするべきかと考えますが、この点につきまして、国交大臣の見解をお聞かせください。
○赤羽国務大臣 今小宮山委員からお話ございましたように、この狭隘道路の問題というのは、古い都市住宅地域というか、たくさん見られると思っております。いわゆる高度経済成長期に急激な都市化が進む中で、狭隘な道路と、ちょっと言葉は悪いですけれども、無秩序な住宅地が形成された結果、私の地元でも、とても緊急車両が入れないのではないかとか、災害時の避難確保ですとか、日照とか採光の問題とか、余り、どうなのかなと思っていますが、地元で聞いても様々な人がいらっしゃって、いや、車が入ってこれないからいいんだと、閑静な住宅だというような価値観を持たれている方も結構多いとか、他方で、いや、万が一と言うと、それは万が一で、毎日生活するのとどっちが価値が重いんだみたいな話というのは結構根強くて、やはり私権の制限というのは非常に難しいわけでございます。
最近、ハザードマップで、浸水想定区域等々で、この前法改正させていただきましたが、その開発について相当抑制的なことがようやくできたという段階なので、なかなか、ここにいきなり新しい制度化というのはそんな簡単ではないと思っておりまして、残念ながら、今国交省ができるのは、小宮山委員が言われたような建築基準法を使ってですとか、先ほど局長から答弁ありましたように、地方自治体に対する、地方公共団体が行う狭隘道路への用地買収ですとか舗装に対する支援、また、これは岡崎市の、非常に、モデルケースとして、全国にホームページを使って展開をさせていただいているというようなことが今の現状でございます。ですから、なかなか遅々として進まないというのは、率直に言って認めざるを得ない。
ですから、今回の、今、住生活基本計画、作成しておりますが、これまでそうしたことは盛り込んでおりませんでしたが、より安全な住宅、住宅地の形成に向けた基本的な施策としてこの狭隘道路等の現状分析を行って、それぞれの地域の防災・まちづくり部局と連携しながら、重点的に安全性を確保すべき地域の把握と対策を推進するということを住生活基本計画にも位置づけて、地方公共団体と意見交換をしながら、遅々ではないように、できるだけ着実に成功事例ができるようにしっかりと取り組んでいきたい。強い問題意識を国交省も各部局の中で持って臨んでいきたい、こう考えております。
○小宮山委員 狭隘道路を是非なくすべきかと思っておりますが、そのためにもしっかりまず調べられなければいけない、対応できなければなりません。
所有者不明土地の対応、隣接地が所有者不明であると、それを調べるのに土地家屋調査士の方々も一軒一軒聞き込み調査をしてやっていくという、非常に手間と時間と労力、費用もかかることになってしまい、これがまた狭隘道路や所有者不明土地を解消ができない原因になっている、一因でもあるかと思っております。
そこで、固定資産税課税台帳内の一部の情報で構いません、住所と氏名だけでも、連絡先が分かるように、土地家屋調査士等にも見れるように、所有者不明土地の境界確定などへの対応がより迅速に可能になる可能性が高いと考える施策について、政府の対応を簡潔にお聞かせください。
○川窪政府参考人 まず、総務省からお答え申し上げます。
地方税法では守秘義務の規定がございまして、固定資産課税台帳の情報につきましても、原則として、本人以外の第三者にお知らせすることはできないものでございます。このため、相続等によりまして登記名義人以外の方が土地の所有者となっている場合における固定資産税の課税情報としての所有者の氏名や住所につきましては、それを税務当局から土地家屋調査士さんに提供することはできないという仕組みになっているところでございます。
○堂薗政府参考人 それでは、お答えいたします。
法務省では、所有者不明土地の発生を予防するため、これまで任意とされてきた相続登記や住所等の変更登記の申請を義務づけることなどを内容とする民法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、この法案は本年四月二十一日に成立したところでございます。
この法改正は所有者不明土地問題の抜本的な解決に向けた大きな意義を有するものであり、御指摘のケースを含めて問題の解決に直接つながるものであることから、その施行に向けた準備をしっかりと進めてまいりたいと考えているところでございます。
また、分筆や地積更正などの登記申請をする場合には、土地家屋調査士において、隣地所有者との間で、双方立会いの下、公法上の境界である筆界の現地における位置を確認した上で、その確認結果を登記官に提供し、登記官はこれを筆界認定の有力な証拠として取り扱うという実務が行われているところでございますが、現に、隣地が所有者不明の状態であるために所有者による筆界確認ができず、登記申請に困難を生じている例があることは承知しているところでございます。
そこで、法務省としては、所有者による筆界確認が困難なケースを念頭に、地積測量図などの法務局に保管された既存の資料等を活用することによって、筆界確認がされていない場合にも適切に筆界認定を行うための方策について、この分野の実務家や有識者を交えた検討を行っているところでございます。法務省としては、筆界認定の在り方に関する検討の結果をできる限り速やかに取りまとめ、必要な登記実務の見直しを図ってまいりたいと考えているところでございます。
○小宮山委員 問題解決するしっかりとした検討をしていただければと思います。
さて、最後になりますけれども、順番等を少し変えさせていただきます。
無電柱化、二〇一六年に法律を制定させていただきました。そのときにもお世話になりましたけれども、松原隆一郎教授は、最近、記事において、無電柱化が全ての道路に及ぶのに推進法制定から千五百年かかると指摘されるほど、毎年七万本ほど電柱がいまだに増え続けております。
様々な法改正もしてきました。低コストの手法等も進めたり、やっています。しかし、開発に取り組んでいるという説明を聞くものの、実際に事業として十分に進まないのはなぜなんでしょうか。無電柱化が進まないのは、電力会社を所管する資源エネルギー庁としての本気度が問われていると思います。議員立法を資源エネルギー庁は軽視しているのではないかという声さえも聞こえてきております。
唯一の立法府で作られた無電柱化推進法にのっとり、本気で無電柱化するために資源エネルギー庁は具体的に何をしているのか、所見をお伺いします。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
無電柱化につきましては、委員御指摘の無電柱化推進法がございまして、これに基づき着実に推進する、これは当然のことでございますけれども、強風による飛来物等を原因とする電柱倒壊を抑制できるという利点がございますので、エネルギー政策上、電力安定供給の観点からもこの無電柱化を推進すべき、こういうふうに認識しているところでございます。
まず、無電柱化せずに電柱を設置することが選択される理由といたしましては、無電柱化するために必要となるコストが高い、これが原因の一つというふうに考えているところでございます。このため、経済産業省といたしましては、無電柱化に必要となるコストを大幅に下げていくということが重要であると考えておりまして、各送配電事業者のケーブルや変圧器といった器材の仕様の統一を推進しているところでございます。
具体的には、ケーブルにつきましては、二〇二〇年度までに仕様の統一が完了しております。変圧器につきましては、仕様の統一化と同時に小型化も進めるべく、電力十社から電力中央研究所へ昨年度から二年間の委託研究を実施しておりまして、その成果を電力大で今後統一的に展開する予定でございます。
また、無電柱化を推進するための具体的な仕組みでございますけれども、二〇二〇年六月に改正電気事業法が成立いたしましたが、この中で、送配電事業者が必要な送配電投資計画を計画的かつ着実に実施することとしておりまして、この計画には無電柱化の推進も含まれます。また、無電柱化に必要なコスト、これは電力消費者たる国民に電気料金として転嫁されることになるわけでございますけれども、送配電事業者が無電柱化を含む計画の実施に必要な投資、これを着実に行いつつ、同時に国民負担を抑制するため、託送料金制度の見直し、これは具体的には配電事業者の収入上限を定めるという制度でございますけれども、これを定めているところでございます。
無電柱化の推進に関する法律の趣旨や今後策定される次期無電柱化推進計画の基本的な方針を踏まえまして、引き続き、関係省庁とも連携しながら、電柱の新設の抑制に向けた取組を進めていきたいと考えているところでございます。
○小宮山委員 電力会社が徴収する電気料金のうち、託送料、ネットワーク利用料により送電費用と配電費用を回収しており、無電柱化費用は配電費用にも含まれることになります。この点に関して、是非、今後、やはりもっと進めるべきであります。
地方自治体は、費用がかかるからといって、まずもって無電柱化すること自体を諦めているという事例も多々あるかと思います。是非、新規の電柱設置、新規の電柱をしないよう、また、義務化あるいは推奨するように、助成制度を充実させる対応が必要だと思います。このことを提案させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、江田憲司君。
○江田(憲)委員 おはようございます。立憲民主党、江田憲司でございます。
実は国土交通委員会で質疑するのは初めてでございまして、この場を設けていただいた委員長を始め、与野党の理事の皆さんには特に感謝を申し上げたいというふうに思います。
さて、本日は、カジノ、IR問題一本に絞って、担当の赤羽大臣に質疑をさせていただきたいと思います。
このコロナ禍の下でとっくに諦めたと思っていたカジノ、IR、私の地元の横浜でも着々と手続を進めておりまして、これは言わずもがなでありますが、当然これは菅義偉総理大臣のお膝元ということで、安倍前首相の肝煎りでもありますし、菅総理の肝煎りでもある。
このプロジェクトにつきましては、もう横浜市民の大多数が、いつ何どき、どういうタイミングで調査をしても反対だと。これは全国もそうなんですね、見てみても、全党派、自民党の支持者、公明党の支持者も反対多数。それから、男女双方とも反対。年代別に見ても、全ての年代で反対多数。
こういう状況で、しかもこのコロナで、カジノ事業者も利益が激減、最大手のラスベガス・サンズも日本から撤退表明、ウィン・リゾーツ、シーザーズ、こういった米系のカジノ業者も全部撤退と。そして、何と驚くべきことに、あのラスベガスで、ラスベガス・サンズがカジノを売却というニュースも飛び交っている。
そういう中で、カジノというのは民間賭博です。これまで、競輪、競馬があるじゃないかとよく言われるんですが、あれは公営ギャンブルというふうに称されるように、戦後、地方財政が逼迫したその穴埋めのために、やむを得ず、公設、公営、公益という極めて厳しい限定をかけた上で、刑法上の賭博罪の違法性を阻却した。
しかし、この民間賭博解禁というのは、本当に、持統天皇がすごろく禁止令というものを制定して以来、日本の歴史や伝統にはなかった、この民間賭博。しかも、この民間賭博を経営するノウハウは、もう外国の企業しか持っていないんですね。今、一部、日本のゲーム機器メーカーが参入しておりますけれども、まだ研修段階、独りで経営するノウハウはありませんから、結局、民間賭博、かつ、外資系の企業が初めて日本に乗り込んでくるというような解禁だったわけであります。
当時、安倍政権、自公政権に比較的温かいまなざしで記事を書く全国紙の社説ですら、人の不幸を踏み台にして経済成長なのか、人の不幸を踏み台にして観光立国なのか、嘆かわしいという社説を書き、全紙がこの民間賭博の解禁に対して疑問や問題点を指摘した社説を出した、こういう経緯もございます。
今日は、政府が主張されるカジノ、IRは、やれ観光立国なんだ、経済成長の目玉なんだと言われることがいかに説得力がないものなのか、それどころか、ギャンブル依存症の飛躍的増大、治安や風紀の乱れ、子供の教育上も極めてよくありませんね、そういったマイナス効果がはるかに大きいということを、質疑を通じて明らかにしてまいりたいというふうに思います。
さて、その前に、ちょっと赤羽大臣に端的にお聞きしたいのは、IR推進法、二〇一六年十二月十五日、衆議院本会議で採決して成立しているんですけれども、当時の赤羽大臣の投票行動を端的にお答えいただけませんか。
○赤羽国務大臣 当時は、当然、大臣ではありませんでしたので、一政治家でございますので、政治家として、御質問ですからお答えさせていただきますと、このIR推進法の本会議採決は棄権をさせていただきました。
○江田(憲)委員 その理由を教えていただきたいです。
○赤羽国務大臣 それは余り、国交大臣として答えるのはどうかと思いますが、せっかく御質問ですから。
当時は私も、多くの国民の皆さん、多くかどうかは分かりませんが、国民の皆さんが持たれていた、IRという初めての施設、特にカジノの導入ということについて懸念を持っている一人でございましたが、IR推進法自体は、私の当時の記憶では、そうしたものに対する懸念を払拭するような具体的な内容が盛り込まれている法案ではなかったということで、賛否を明らかにする、明確に判断することができなかったということで、本会議の採決は欠席とさせていただきました。
○江田(憲)委員 当時を思い起こしますと、衆議院の内閣委でしたね、担当委員会は。たった五時間三十三分、強行採決でした。まあ、強行採決自体は安倍政権で乱発されましたから、別に驚くことではないんですけれども、しかし、私、本当に驚いたのは、連立与党のパートナーである公明党さんが党議決定をする前に強行採決をした。
私も行政官、政治家として、もう四十年以上この世界におりますけれども、普通、生命倫理とか、党というよりも政治家個人の考え方を尊重するような案件ではありますよ、自主投票というのは。しかし、もろにこれ、経済政策、観光政策に関わるこの政策について、連立与党の公明党さんすら置き去りにして強行採決をする。それで、山口代表は反対票。当時の井上幹事長も反対票じゃないですか。そして、赤羽当時議員は棄権された。
当時、本当に率直にお伺いしたいんですけれども、そういう事態に直面して、赤羽当時議員、どういう受け止めをされましたか。
○赤羽国務大臣 まあ、党議拘束を外したというのは党の当時の判断でございましたので、私、党を代表する立場ではないので、そのことについてはコメントはしておりませんが、そうした党議拘束が外れたという中で、政治家として、先ほど申し上げたような態度決定をしたということでございます。
その結果としてはIR推進法が可決して成立をしたわけでありますので、いわゆる整備法をつくるまでの期間の中で、与党の中で、私はメンバーではありませんでしたが、プロジェクトチームが立ち上げられ、専門家の皆さんから成るIR推進会議が、その後つくった政府原案に対して、特に重要な論点について与党の中で様々議論するというふうに承知をしておりましたので、そこで我々の思い、懸念を払拭できるような内容にしていくべきだというふうに、私はその当時そう思ったと記憶をしております。
○江田(憲)委員 異常なことといえば、このIR推進法を採決するためだけに再延長したんですよ、会期を。これは政治家なら誰しも分かるんですが、何でこんなに急いで、連立与党のパートナーまで置き去りにしてやったかというのは、もう御推察のとおり、翌年二月、安倍総理がトランプ大統領と初の日米首脳会談に臨むからですよ。そのお土産に持っていったわけです。私は推測で言っているんじゃなくて、これは安倍総理も認められましたが、初の首脳会談で、朝食会の場で、全米商工会議所云々の朝食会の場にアデルソンさんというサンズの会長もおられ、ほかのアメリカ系の企業の社長さんもおられ、IR推進法が成立したという説明を安倍総理からしましたというのは、予算委員会での私への答弁ですしね。
当時、調査報道で有名なアメリカのプロパブリカ、ニューズウィークの日本版も後追いしていますけれども、トランプ大統領が、大口献金者、これは二十億円以上大統領選のときに献金していただいたアデルソンさん、さっきのお話に出た、にカジノの免許を与えるよう口利きをしたと。これが、一七、翌年の二月十日の話です。日本の日経新聞も報道していまして、トランプさんがそのとき安倍さんに伝えた企業には、ラスベガス・サンズだけではなく、MGMが含まれていたと。
これは、長年この政界にいれば当然分かることですけれども、そこまで異様な手続を踏んで強行採決をした、それは二月の首脳会談に間に合わせるためであり、そしてこの問題が本当に、日本人の犠牲の下に、アメリカのために働いたという、私は本当に大問題だと思っているんですよね。
それで、ちょっともう少しだけ、赤羽大臣。私は、大臣は非常に誠実なお人柄だといろんな方から聞いております。今の投票行動も、本当にそのとおりだと思いますよ、懸念を持たれたというのは。当たり前の感情だと思いますね。
そこで、一年半前に内閣委員会で赤羽大臣と長時間議論をさせていただいたときに、大臣が私にこういう答弁をされたのを覚えておいでですかね。一九年十一月二十九日の内閣委員会で、私が質問の中で、皆さん方は、カジノ推進派はと言ったところを捉えたんでしょうか、私、別にカジノ推進派という立場でこの役職に就いているわけではございませんと。この役職というのはIR担当。基本的には中立な立場でございます、江田先生と、多分私、考えはよく似ていると思うというふうに答弁されましたけれども、この答弁の御趣旨をちょっと私はお聞きしたいんですよ。
○赤羽国務大臣 ちょっと率直に申し上げて、江田委員、私は一方的によく存じ上げていましたが、江田委員が私のことをよく知っているとは思えない、初めて答弁に立たせていただきました。しかし、それにもかかわらず、私のことを推進派だとレッテルを貼られたように感じまして、よく分かっていないんじゃないかなと。
私は、一回、本会議で棄権もしたし、特に、IRという、観光政策は別ですけれども、カジノに、何か推進派だという意識もありませんでしたし、当時、担当大臣でありましたから、中立的な立場で、立法府で成立をしたIR整備法に基づいて、行政府の責任者として粛々と行政を進め、また、その過程で国会で答弁させていただきましたが、国民の皆様の持たれている疑念ですとか懸念をなるべく払拭できるようないいIR施設を造らなければいけないという立場、そういう意味では、行政の責任者でありますので、中立派だというふうに申し上げました。
しかし、江田委員からは、いや、それなら設置派というふうに答えましょうと言われて、かなりしつこい人だなと、こう思いましたが、私は、個人的に言うと、ここだけ、あえて言いますと、余り人にレッテルを貼ることが好きじゃなかったので、ややむっとして、私は推進派ではありませんとお答えした。ここだけ、ここだけの話って、議事録が残って、ここだけの話ではありませんが、そうしたことを記憶しております。
ただ、その後、江田先生と多分私はよく似ていると思うというのは、これは、頭のよさも男前ぶりも随分違うので、そうしたことを何で言ったのか、よく記憶が定かではありませんが、江田委員はカジノについては否定的な立場で質疑をされていたので、どちらかといえば、私は、本質的にはそうじゃないかというようなことで言ったのではないかなと。
ただ、今、大臣、担当の大臣でございますので、繰り返しになりますが、立法府で成立をしていただいた法律に基づいてそれを執行するというのが、それは中立的にしっかりと務めなければいけないということで、答弁させていただいたと思います。
○江田(憲)委員 よく分かりました。
ですから、これはカジノにかかわらず、国土交通省ですから、いろいろな公共事業のプロジェクトをするときに、当然、費用便益分析というのをやりますよね、ゴーサインを出すときに。それと同じなんですよ。これから私が質疑したいこともそれなんですね。
いや、カジノ、IRを造れば、それは私だって、プラス効果は一時的にあると思いますよ、もう莫大な建設投資が一時的に落ちますから。ホテルだ、ショッピングセンターだ、カジノだとね。だけれども、それが本当に持続可能なのか。
それから、さっき申し上げた、ギャンブル依存症の社会的コストや、治安や風紀が乱れる、そういったものの対応コストだとか、いろいろなところでもう試算があるわけですよ、諸外国だって、国内だって。そういうものを全部ひっくるめて、今度、整備計画が十月から上がってきますよね。そういうところを、赤羽大臣のお気持ちとしては、しっかり審査して、ゆめゆめ、政治的圧力とか、菅さんの、総理の意向とかを忖度するんじゃなくて、しっかり費用便益効果を分析して、プラスであれは担当大臣としては認可する、こういうことで理解しましたけれども、それでうなずいておられますが、結構ですね。はいと言っていただければ。
○赤羽国務大臣 前回の内閣委員会の質疑でも同様のことがあったと思いますが、江田委員からは、今回のレベルというか、が相当高くて、都市部でなければできないんじゃないかというような御指摘もありました。そうした傾向はあるかもしれませんが、我々の思いというか、私の考えは、やはりIRとかカジノというのは、世界中を見ても、うまくいっているところと、やはり失敗しているところはあると思います。レベルの余り低いものですと本当に賭博場みたいなことになって、私は、他方で、やはりシンガポールの例なんというのは、非常にうまくいっている例だというふうに思っております。IRという整備計画に基づいて展開をするのであれば、オンリーワンというか良質な、観光立国政策にやはり資するものでなければ意味がないと思いますし、そうした責任でやるのが私自身の任務だというふうに思っておるところでございます。
○江田(憲)委員 そこで、観光立国という政府が推進する大きな柱というか、二つの理由の一つをまずちょっと問いただしたいんです。
前も聞きましたけれども、インバウンドの増加だ、外国人観光客を呼び寄せるんだといって、どこの国の人が来られるんでしょうか。もうそれは明らかなんですよ。想定される、もし来るとしたら中国人、しかも富裕層ですよ。だって、高い旅費を払って、高い宿泊費を払って、わざわざカジノ目当てに来る人がいるとしたら中国人の富裕層ですけれども、しかし、これは常識で考えてください。中国人でカジノをやりたい人は、マカオにいっぱいカジノがあるんですから、しかも中国語が通じるんですから、そっちに行きますよ。わざわざ横浜や大阪に来ません。もっと言えば、韓国に十七のカジノがあるんですよ、もっと近場の、陸続きの。そこに行くでしょう。
本当に私、率直な疑問は、インバウンドの増加だ、観光立国だといって、外国の人、来ないじゃないですか。その点、大臣は率直にどうお思いになりますか。
○赤羽国務大臣 これもお答えしたかというふうに記憶をしておりますが、我が国の観光立国政策を推進するに当たって、振り返ると、やはり一つは、長期的な滞在の観光が非常に少ない、また、大型の国際的なエンターテインメントですとか会議の誘致も非常に弱い、そうしたことを何とかしなければいけないというのは大変大きな課題だったと思います。
もう一つは、インバウンド政策を一生懸命やってきて、そして、コロナの関係で今ゼロになっている。そうすると、私はやはり、別に中国がとか、韓国がというわけじゃありませんが、近隣のアジアのインバウンドに頼り切っていた観光政策があったのではないかと。オーバーツーリズムの問題も若干の観光都市で出てきている。そうしたことを、一つは、この一年間で、国内旅行の回帰を始めとして、観光立国に対する見直しの期間という意味ではいい点もあった。
そうした中で、私は、この前もお答えしましたが、これはカジノのためにIRというふうによく御指摘をされますが、私どもは、どちらかというと、やはり長期滞在型の観光、できれば大変良質なMICEの施設を整備して、大型の国際会議ですとか国際イベントを開催し、御家族が来て宿泊できる、またエンターテインメントがある、そうした施設を造りながら、加えて、そこにとどまらずに、長期滞在期間において、ラグビーワールドカップのときに一時そういう傾向が随分出ていただきましたが、全国各地の誇るべき観光地にも足を運んでいただけるような、そうした新しい観光モデルをつくる、一つの新しいビジネスモデル、観光モデルをつくりたいというふうに考えているところでございます。
ですから、これは、このIRだけで観光立国が実現するというようなことを私は考えていませんが、これまでにない観光のビジネスモデルにも寄与してもらえるような施設にしたいな、こう考えておるところでございます。
○江田(憲)委員 いや、その限りにおいては全く同じ考えですよ、私も。しかし、安倍総理も菅総理もなぜカジノつきのIRを、言っておきますけれども、私はカジノ抜きのIR、それは民間ベースでペイするのは大賛成ですよ。今おっしゃった長期的滞在型の観光客を呼び入れたい、大賛成ですよ。こういう、従来、賭博罪で禁止されたような、しかも負の効果があるような、そういった問題つきでやるから僕は反対しているわけですよ。ですから、カジノ抜きのMICEだとかIRというものをやられるんなら、それは私は何も文句は言いません。
だから、このカジノを何ででは入れるんですかと聞いたんですよ。それは何で、これは皆さんも分かると思いますよ。要は、このカジノつきのIRを、カジノを解禁したら観光立国だという趣旨は、安倍さんや菅さんの、いや、カジノ目当てに外国人観光客がもっと増えるんだ、そういうロジックでしょう。カジノを解禁しなくても増えるんだったら、カジノをする必要はないじゃないですか、負の、マイナス効果もあるんですから。
だから、ちょっとかみ合わなかったのは、その点なんですよ、大臣。その点、どうお考えですか。
○赤羽国務大臣 僕は江田委員の言われていることはよく分かりますが、現実に世界のIR施設を見ておりますと、その回せていける財源というのは、例えば、私の記憶では、シンガポールの二か所とも、その全体の七割近くがカジノで上げられる収益だと。アメリカは多分二五%ぐらいだったというふうに承知していますが、ある意味では、そうした大型のMICEは、今でも造ろうと思えば造れるけれども、現実には造れていないんですね。国際展示場なんかも、上海やドイツですか、その三分の一というか五分の一ぐらいの大きさが一番の、日本で最大の展示場だとか、明らかにそうしたものの誘致力というのが弱い。そうした中で、IRという施設を造り、それをサステーナブルというか継続的にやっていくための手法としてカジノということが位置づけられたんだろうと。
ただ、おっしゃるように、私も冒頭申し上げましたし、個人でも持っていると言っていた懸念、法律的にどうなのかということにつきましては、八つの公益的な目的等々で、今回それは賭博としてということも特例的なことで認められるということを位置づけられたこととか、依存症対策についても織り込んでいけるし、そうしたオペレーションはしっかりと、IR整備計画、出てくるものについては、当然のことながら、そこはしっかりと審査されるものだというふうに認識をしております。
○江田(憲)委員 いみじくも認められたように、このIR構想というのは、やはりカジノ抜きでは語れないんですよね。だから、私の地元でも、もう自民党や公明党の議員が、いやいや、カジノはIRの面積のたった三%なんだ、IRというのは、ホテルもありまっせ、国際会議場も展示場もレストランもショッピングセンターもすばらしい施設なんだ、三%なんだと。しかし、いみじくも大臣が認められたように、もう最近では、IRの収益の八割、九割はカジノがもうける、そのお金で展示場や会議場を運営するというビジネスモデルなんですよ。ですから、だからこそ、それを問題にしているわけですよ。
それで、これは日本政策投資銀行とJTBが一九年に調査した。日本でIRを造ったら、外国の皆さん、何に関心がありますかと訪日客に聞いたんですね、調査で。その調査によると、トップはショッピングですよ、四二%。あと、アミューズメント、温泉、温浴と続きまして、カジノに行きたいという人はたった九%で最下位ですよ。でも、九%もいたということが、まあ私はあれですけれども。
いずれにせよ、何度も言いますけれども、カジノ目当てで来るのは、せいぜいそれは、今のマレーシアだフィリピンだシンガポールのカジノを見たって、中国人客ですよ。だけれども、その中国人客でカジノをやりたい人は、わざわざ横浜や大阪に来ません。
これはもう釈迦に説法ですけれども、これはもう自公政権の一つの成果でもありますけれども、カジノなんか造らなくても、コロナ禍前はどんどん、倍々ゲームで観光客は増えていたじゃないですか、外国人。二〇一二年は八百三十六万人だった外国人観光客が、二〇一八年には三千百十九万人ですよ。順調に増えていた。これは何で増えていたか。日本特有のパチンコをしたいからじゃないでしょう。風光明媚な自然、温泉、食、これはもう観光庁の調査でも明らかです。そういう日本らしい魅力、エキゾチックな魅力、そういったものに引かれて外国人客がどんどん増えているのに、何でわざわざこんなもう時代遅れの、古びた、後で言いますけれども、カジノ、しかも弊害の多いものを導入するのか、本当に私は情けなくてたまらないんですよね。
とにかく、まず一つ、カジノで観光立国だというのが大うそだということは今証明されたと思います。だって、まともに答えられないんだから、どこの国の人がどのぐらいと。大体、需要予測というのを普通するんですから。大体、これは初めて、しかも賭博罪を解禁しようというときには、より大きな理由で、ここまで波及効果が高いんだ、プラスがあるんだ、ここまで外国人客が増えるんだと証明しないと、そんなこともなく強行採決したというのが実態だということを指摘しておきたいと思います。
それから、二つ目の大きな論点。
安倍さんも、さっき出たシンガポールを見て、経済成長の目玉だ、成長戦略の目玉だと、小一時間見て。
私も行きましたよ、シンガポール、予算委員会の正式派遣で。自民党、公明党の皆さん、委員長も含めて行きましたよ。それで、よく分かった、シンガポールが、ある意味で成功例だというのが。あそこは島国、都市国家、五百七十万。しかも、私は初めてそこで現地の大使に聞きましたけれども、シンガポールというのは明るい北朝鮮と呼ばれていると。その意味は、厳しい取締り、監視国家です、植栽の陰には全部監視カメラがあって。
私、ちょうどラッキーなことに、二つありましたよね、シンガポール、セントーサ島と、マリーナ・ベイ・サンズですか、てっぺんにプールがある豪華な。あそこを両方所轄していた警察署長出身の国会議員とも会えたんですよ。それで、聞いてみた。そうしたら、もうあそこは、ガムを捨てても、たばこを吸っても、すぐ重罪ですよ。それで、彼がこう言っていました、うちではタクシーを乗り逃げしただけで即逮捕なんですよと。何でですかと言ったら、監視カメラが全部映していると。それから、指紋認証、顔認証は当たり前。
今、日本で、マイナンバーカード、いろいろ言われていますけれども、シンガポールなんて個人情報を徹底的に国が管理している。それで、カジノの出入りを全部チェックしているんです。
そこまでして、それで、これが決定的な理由。大体、古今東西、歴史が教えるとおり、賭博、ばくちと暴力団は結びつくんですよ。これは理屈じゃないんです。暴力団の資金源となって、それで闇金やサラ金や風俗店ができる、これが韓国の江原ランドです。これは私も直接見てきました。
江原ランドというのは、御承知のように、炭鉱の町ですよ。日本もありました。炭鉱が閉鎖された、地域の振興に目玉の、雇用増や収益金が要る、夢と希望を持ってカジノを誘致した。今はどうなったか。韓国で自殺率トップ、飲酒、喫煙率トップ、風俗店が建ち並ぶ、闇金、質屋が建ち並ぶ。奇怪な風景の町として韓国中で有名になりましたと地方自治体の職員の方が嘆いておられた。もう青少年に顔向けできない、夢と希望を持って誘致した結果が風紀、治安の乱れだ、人口も半減した、小学校までが隣町に移転してしまう、そういう町になり果てていましたね。
だから、私が言いたいことは、シンガポールは例外中の例外。しかし、今はシンガポールはよく反論で言うんですよ、依存症患者が減っていると。それはよく調べたら、ほとんど個人情報に基づく入口チェックで、出入チェックで、どんどん国内人をもう入れないようにしているんですよ、シンガポールは。ほぼ外国人専用のところにしているんですね。それが依存症患者が減っている理由です。
ですから、とにかくカジノ推進議連のメンバーも安倍さんも、こういうシンガポールを小一時間駆け足で見ただけで、すばらしいと。私は違うと思います。
そこで、これは根本的な問題なんですけれども、カジノはもう百三十か国で解禁をされ、過当競争、飽和状態、コロナ禍以前から倒産続出ですよ。アトランティックシティーなんか三分の一、トランプさんが経営するカジノも含めて、三分の一以上倒産した。ミシシッピ州のテュニカというところも、最大のカジノは倒産しました。その後、コロナが襲って、それで続々、倒産が続出して、さっき言ったように、ラスベガス・サンズですらがカジノを売却した、パンデミックで。
それから、コロナ禍はデジタル化を進めている。今、菅政権もデジタル化を進めている、これはいいことでしょう。MICEだって、カジノだって、どんどんオンライン化、デジタル化が進んでいる。だから、コロナ禍以前からオンラインカジノの普及で、カジノというビジネスモデルがもう成り立たなくなっている。
そして、大臣、これは順調に政権のもくろみどおりいっても、どんなに早くたって二〇年代後半、三〇年近い開業でしょう。そういう時代がどうなっているかというと、もう5Gどころか6G、バーチャルリアリティーの世界、今スポーツですらeスポーツ。
こんなでっかい建物を建てて、そこに集客して三密状態でギャンブルを延々と続けさせるビジネスモデル、こんなものが通用するとお思いですか、大臣。こんなものが、もう今や既に廃れているビジネスモデル。どんどんこれからデジタル化、オンライン化が進んでいく、そうした中で、こういうビジネスモデルが、いや、通用すると思う方が僕はおかしいと思いますよ。これが根本的な問題だと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○赤羽国務大臣 私も総合商社マンで仕事をしてまいりまして、十年後の見通しというのはなかなか、何をやるにつけても難しい。しかし、それは、ある意味では、大きなプロジェクトであればあるほど、それなりの会社として、企業としての責任で調査をし、決断をするわけですね。当然、ビジネスリスクというのはあるんですけれども、それを乗り越えてやってくる。
ですから、十年後、正確なことを見通すということは、私はできるわけではありませんけれども、今言えることは、特に十年前に、このコロナがこんな長期間、世界で拡大するなんということは、なかなか想定しなかったことが現実に起きていて、このコロナの後、社会の変化というのも相当いろいろなことが起こるだろうというふうに私は思っております。
ただ、私は、コロナがずっと永遠に続くわけではなくて、終結を、ある程度収まってくる。そのときに、私がまず申し上げたいのは、観光ということは必ず復活をすると。やはり観光産業というのは、経済的、雇用的な側面だけではなくて、私はよく言うんですけれども、人がその地を訪れる、新しいことを知る、人生を豊かにするという意味で大変すばらしい産業だからこそ、我が国の主要産業として育てなければいけないと思うし、私も育てたいと思っています。
そうした中で、IRというのは、やはり先ほどから繰り返し申し上げているんですが、その中で、長期的な滞在型の、大型のMICEを造って、そういう誘致をして新たな展開をするという一つの選択肢を増やすということでありますので、私は、そこの基本的な考え方というのは、十年後でもそれは価値がなくなるというふうには私自身は思っておりません。
○江田(憲)委員 私は、常識で考えれば、今既にもう破綻をしているビジネスモデルが十年後に生き返るなんということは常識では考えられないと思いますよ。
それから、もう一つ問題点は、カジノというのは、さっき名前を出したラスベガス・サンズがぎりぎり、スタンダード・アンド・プアーズの、格付会社の評価によると、ぎりぎり投資してもいい会社、トリプルBマイナス。あとのカジノ会社というのは全部投機案件、要は、投資するにはリスクが高いというものに全部分類されているんですよ。こういうことも知らずにやっていると思いますよ、皆さん。
そういう投機案件だと格付されているようなものを中核にして、さっき言ったように、そこの利益、IRの利益の八割、九割をそこで稼ぎ出して展示場や会議場を運営をするというビジネスモデルがもう通用しないんですよ、大臣。こういう、投機案件だ、投資にはリスクがあるという会社を、地域の中核企業、IRで地域振興だ、経済成長だなんて、ちょっと矛盾しているでしょう。大臣、いかがですか。
○赤羽国務大臣 それは、よく御存じだと思いますが、IR整備法の法律のたてつけとしては、それぞれの地方自治体がパートナーの事業者を見つけ、そうしたことで様々な具体的なものをつくりIR整備計画を提出する、私たちはそれを審査するという立場でありますので、私は、一義的には、そうしたリスクということは、それぞれの地方自治体がどう評価し、どう勘案するかということだというふうに思っております。
○江田(憲)委員 だから、それは逃げなんですよ。何度もそういう答弁をされる。しかし、間口を開いたのは政府でしょう、国でしょう。当然、カジノを中核としたIRを解禁すれば、外国から観光客もいっぱい来るし、成長戦略の目玉になるという判断があったから解禁されたんでしょう。だから、御見識があるはずですよ、そこについては。
もう一つ言いますよ。
最近、ESG投資とか社会的貢献投資とか、これも通告してありますが、ダボス会議というのがありますね、時々、総理も行かれる。ダボス会議の報告書で、カジノというのはやはりネガティブスクリーニングの対象になっているんですよ。具体的に言うと、ギャンブルの売上げが五%以上を占める企業は、いわゆる今流れになっている、もう日本も含めて世界的な潮流、ESG投資や社会的責任投資においてネガティブスクリーニングの対象とすると。すなわち、もう投資を控えるべき、これからはカジノの会社については。そのリストに載っているわけですね。
菅政権だってSDGsというのを推進しているじゃないですか、SDGsというのを国策として。にもかかわらず、カジノというのが、こういうふうにネガティブスクリーニングの対象になっているような企業、これを中核にして成長戦略の目玉だと。いや、申し訳ないけれども、私は恥ずかしくて言えないんですけれども、大臣、いかがですか。
○赤羽国務大臣 この件、いつぞやは立憲民主党のどなたかからも通告がありましたので、国交省からも世界経済フォーラムに直接確認させていただきましたが、御指摘の調査というのは、世界経済フォーラムの正式な見解ではありません。カナダの民間会社が独自に実施したものだという答弁をいただいております。それはそれでいいんですけれども。
それと、他方、私たち、このIRの整備というのは、持続可能性の観点を重視したものだというふうな基本的な方針を考えておりますし、具体的には、国が地方自治体の区域整備計画を審査、認定する際には、基本方針に基づきまして、審査する有識者委員会において、IR事業を安定的、継続的かつ安全に運営できる能力、体制があるのかどうか、また、IR区域における環境負荷低減、ユニバーサルデザインや多文化共生への配慮があるかどうかといったものも評価項目の一つとして審査をされるものというふうに承知をしているところでございます。
○江田(憲)委員 いずれにせよ、もう本当に、いや、赤羽大臣は中立で、しっかり審査もする、是非そうしてほしいですけれども、こういう世界的ないろいろな、最近欧米を中心に採用しているような投資基準にも反する、投資案件でリスク案件の多い企業として位置づけられているカジノ、そういったものを中核に日本が解禁した。その背景には、さっき申し上げたような、トランプ大統領と安倍総理の関係がある。外国人は来ない。結局、日本人から金を巻き上げて外国に送金するシステムじゃありませんか。
本来であれば、これは、保守政治家を称する皆さん、反対していいですよ。だって、律令国家以来、もうとにかく賭博は御法度、持統天皇以来。その歴史、まあ、安倍さんだって、昔、何か、美しい国がどうした、どうしたと。歴史、伝統を守るんだ、これは美風じゃないんですか、日本の、賭博は御法度。
しかも、それを解禁して日本人のためになればいいけれども、結局、横浜でいえば、横浜市から、市民から金を巻き上げて、アメリカや中国に送金をするシステムだと。本当に、こんなものが成長戦略だ、観光立国だと言う方がおかしいと私は思いますけれども、まあ、赤羽大臣の責任というよりも、これは官邸の責任なので。
そこで、象徴的案件が、昨年末の与党税制大綱で、何と、外国人が日本のカジノでもうけたお金は非課税にすると。それで、国土交通省はやはり立派ですよ、税制改正要望を出したときには、当然課税にすると。それは、だって、公営ギャンブルはみんな課税なんだから、競輪、競馬は。しかも、外国人というのは一過性ですよね。来て、そこで税金を取らなきゃ、どこで、例えばマネーロンダリングとか金の流れを捕捉する、日本でいうと調査能力があるのはやはり税務当局ですからね。非課税にしちゃったらマネーロンダリングはやりたい放題、幾ら規制したって。
だから、至極真っ当な要望を国土交通省は去年の秋にして、財務省もそうだった。それをひっくり返したのが菅首相と和泉補佐官。与党の税調のメンバーですら困惑している。だって、こんな二〇年代後半に開業する話を何で今決めにゃいかぬの。公明党の幹部は、GoToキャンペーンだけでも押しつけられて、こんなカジノまで押し切られて、何だというのが、一部、これは報道ですね、事実かどうかは分かりません。
何で、大臣、責任を持って要望を出されて、課税するという方針をひっくり返したんですかね、与党は。
○高田政府参考人 御指摘の、税制改正要望の経緯についてでございますけれども、昨年十月に、コロナ禍における各自治体の準備状況を踏まえまして、区域整備計画の認定申請期間を、令和三年十月から令和四年四月までの間とする案を明らかにいたしました。この申請期間前にIRに関する税制上の取扱いを明確化し、IR事業の円滑な実施に向けて、参画しようとする事業者が適切に投資判断を行えるようにするために、申請期間を明らかにした後に、令和三年度税制改正要望を国土交通省から提出いたしました。
この国土交通省から提出したものにつきましては、非居住者、外国人のカジノ所得につきましては、IR区域の国際競争力を確保する観点や公営競技における課税の状況を踏まえ、少なくとも国内の公営ギャンブルの勝ち金と等しく、源泉徴収を行わないように要望したというものでございます。
○江田(憲)委員 よくうそを言いますね、もう。本当に官僚の劣化が速いこと。私はこれを持っていますよ、あなた方の要望。カジノの勝ち金への課税について、国内の公営ギャンブルの勝ち金と等しい扱いと要望しているじゃないですか。公営ギャンブルは課税でしょう。ちゃんと答えて。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げましたように、国内の公営ギャンブルの勝ち金と等しく、源泉徴収を行わないように要望するということでございまして、今お手元の資料につきましても、源泉徴収なしとするということを要望として書かせていただいているものでございます。
○江田(憲)委員 あなたは日本語が分からないですね、本当。これは全部裏を取っているんですよ、私は、財務省やあなた方の幹部と。何を、詭弁だよ。公営ギャンブルと同じように課税を要望しているんですよ。財務省はその前の年から課税を前提に動いているんですよ。大臣、本当に官僚、私も元官僚だけれども、こんなうそはつかなかった。とんでもない。
もう時間がないので、最後、もう本当に重要なものを聞きますよ。これは大臣は何度も聞かれている。
ハマのドンの藤木前横浜港運協会会長は、山下埠頭をばくち場にはさせない、死んでも阻止する、もうずっと一貫して訴えていますよ。港運協会の建物に風呂まで作って俺は立てこもると。これは本気ですよ、命懸け、もう九十歳。元々、菅義偉さんの大後援者。その後援者の藤木会長が、カジノを推進する自民党の議員は俺の力で全て落とすまでと、もうとにかく公に言っちゃっています。それぐらいの事態になっている。住民投票は、どこかの都市と違って偽造一つなく、一人一人真摯に、このコロナの下で、署名捺印、生年月日、全部押して、二十万近く、法定必要数の三倍以上集まった。それを市長が意義がないといって否決、否定的な発言をし、自民党、公明党の市会議員が葬り去る、たった数時間の審議で。横浜市民は激怒していますから。この激怒は市長選にぶつけます、八月の。
しかし、最後にもう一回確認しますよ。赤羽大臣、私、前の内閣委員会の答弁で、整備計画の認可には、当然、カジノ業者がしっかり土地の権原を持っているということが確実でなければならない、そうじゃなきゃ、こういう立ち退かない人がいる中では認可はできないという御答弁をされましたが、それは大臣の答弁ですから、当然これは内閣の方針だと思いますけれども、念のため確認をいたします。
○赤羽国務大臣 私、審査をする立場でありますので、一つの自治体のことを云々ということは、全くコメントする立場ではございませんが、昨年十二月末に策定をさせていただきました基本方針の中に、区域整備計画の審査に際しましては、IR区域の土地の使用の権原をIR事業者が既に有しているか、又はその権原をIR事業者が取得する見込みが明らかにされていることについて、審査では確認を行うことが明記をされております。
以上です。
○江田(憲)委員 そのときには、大臣は、立ち退かない限り認可できないと答弁していますよ。それでいいですね。
○赤羽国務大臣 ですから、個別のことをコメントするというのは差し控えますが、基本方針に書かれているとおりでございます。
○江田(憲)委員 だって、内閣委員会で答えたじゃないですか。内閣委員会で、立ち退かない限り認可しないと答弁されているんですよ。
撤回されるんですか。撤回されるなら重大な問題ですよ。
○赤羽国務大臣 いや、同じことだと思いますけれども、昨年十二月に正式に策定をした基本方針で、区域整備計画の審査に関して、恐らく今御指摘の件に関しては、先ほど申し上げましたとおり、IR区域の土地の使用の権原をIR事業者が既に有しているか、又はその権原をIR事業者が取得する見込みが明らかにされていること、これが確認を行うことと明記されているところでございます。
○江田(憲)委員 よく議事録を読んでいただくことをお願いして、立ち退かない限り認可できないとおっしゃっているんですから、そのとおりやっていただかないと困りますよ。厳重に中立的な立場から審査するとおっしゃっているんですからね、大臣は。それを信頼して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日から、福岡、愛知を加えた六都府県に緊急事態宣言が拡大、延長されました。コロナ禍によってリストラや営業自粛、閉店など生活苦が広がるとともに、先の見えない閉塞感によるコロナうつや自殺なども増えています。重症者でもベッドがないなど逼迫する医療現場、多忙化の続く保健所、ワクチン接種をめぐる混乱も各地で起こっています。
こうした中、国家公務員も多忙を極め、心と体を病む人も増えているのではないでしょうか。
資料の1を見てください。この間進めてきた定員合理化の下、一般職の国家公務員は、約五十万人だった一九九六年度から、二〇一九年度には二十七万七千人と、四五%も減っています。一方、精神行動障害による長期病休者数は、九六年度千五十人から、二〇一九年度四千百八十六人と、四倍にも増えています。
国交省でいえばこの職員数と長期病休の関係、どうなるのか、お答えください。
○瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省における精神行動障害による長期病休者数につきましては、国土交通省発足直後の平成十三年度は二百四十二人、令和元年度は六百九十七人でございました。
○高橋(千)委員 ちゃんと質問に答えていただきたいんですけれども、私が質問したのは、職員が四五%も減っているのに病休者が四倍にもなっている、要するに逆転現象なわけですよね。母数が減っているのに何でこんなに増えているのよという点で、国交省も同様の傾向があるのかないか、それを聞いております。
○瓦林政府参考人 失礼いたしました。お答え申し上げます。
年度末の定員で申しますと、外局を除きます国土交通省の定員は、平成十三年度末で四万七千三百八十九人、そして令和元年度末は三万八千八百九十五人でございました。
○高橋(千)委員 関係性でと言えば、数字だけを答えられる。ぱっと聞いて皆さんも分からなかったかと思うんですが、今ざくっと聞きますと、定員が一万人減ったのに対して、長期病休者は、二百四十二人から今六百四十二人ですから、三倍近くなっている。ですから、全体の減り方、増え方に比べれば若干少ないかもしれないけれども、逆転現象が起こっていることは間違いないということが指摘されるかなと思います。
じゃ、同時に、直近五年間で、国交省における公務災害の発生件数及び認定件数、そのうち死亡事故、自殺の発生件数を年ごとにお答えください。
○瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
令和元年度までの五年間の国土交通省における公務又は通勤災害の発生件数及び認定件数につきましては、順次年度別に申し上げますと、平成二十七年度は発生件数が百八十六件、認定件数が百八十四件、二十八年度は発生件数が二百五十一件、認定件数が二百四十七件、二十九年度は発生件数が二百十七件、認定件数が二百十四件、三十年度は発生件数が二百十一件、認定件数が二百七件、令和元年度は発生件数が二百十二件、認定件数が二百三件。五年間の合計で申しますと、発生件数が一千七十七件、認定件数が一千五十五件でございました。
認定された件数のうち、死亡事案の件数及びそのうちの自殺の件数につきましては、平成二十七年度は死亡事案、自殺共にゼロ件、二十八年度は死亡事案が一件、自殺がゼロ件、二十九年度は死亡事案が二件、自殺が二件、三十年度は死亡事案が二件、自殺が二件、令和元年度は死亡事案、自殺共にゼロ件となってございます。
○高橋(千)委員 きちんと通告していますので、通告したとおりに答えてください。発生と認定は、全部しゃべっていれば時間がかかるからトータルでいいと言ったんです。これは資料をつけております。資料の二番目を見てください。それから、死亡事故と自殺の発生件数を聞いています。認定じゃありません。認定は今争っているし、タイムラグもあるんです。発生件数でお答えくださいと述べました。
自殺件数については、七件のうち五件が自殺なわけですよね。そうすると、毎年一人ないしは二人、ゼロの年も一年だけありますけれども、そういうことだということですよね。これは確認をさせていただきます。ちょっと時間がもったいないので、どうして丁寧に通告したのにそういう答弁になるのか、指摘をしておきたいと思います。
それを踏まえて、もう一回資料を見てくださいね、七件死亡事故が発生していて、そのうち五件は、五年間で五件は、実際は自殺であるということなんです。
それで、大臣に伺いますけれども、国交省の中でも、やはり、最初に言ったように、職員数が減っている中で長期病休が増えているということ、そして、公務災害の発生及び認定が多く、毎年のように自殺もある、こうした現状をどのように見てどのように改善を図っていくお考えか、伺います。
○赤羽国務大臣 職員の数が減っているというのは、もうこれは行政改革という大きな流れの中で減っている。ですから、その中で過剰な労働があったりとか、あってはいけないので、残業時間等々の管理はしなければいけないし、休暇をちゃんと取っているかということも、それはやっていかなければいけないというふうに思っております。それはしっかりやっているというふうに承知をしております。
他方で、こうした事故の件数が出て、余り、ちょっと、プライベートのことでありますので、私も承知している範囲の中では、公務とは全く関係のないプライベートなところで命を絶たれたという大変残念な事例もあったりとかしておりまして、今この答弁で、総括的にどんな関係性があるのかというのは、そこは、そうしたやや乱暴な結論は言えないので、まず、職員が減っていることによってこうしたことが起こらないようにしなければいけない、そうした懸念を持って、もう一度労働の在り方について確認しなければいけないですし、世代も随分違うので、若い世代の人たちがどう思われているのか。職場環境等々についてもしっかりと働きやすい職場をつくっていく、健康なことが維持できるようなというのは当たり前だと思いますが、そうしたことにも細心の心配りをもって改善をしていかなければいけないというふうに私は思っております。
○高橋(千)委員 中にはプライベートの問題でというのもあるかもしれないけれども、正直、ちょっと残念な答弁かなと思います。
行革の中で、母数が少なくなっているけれども長期病休者が起こっているというのは、ある意味、大臣がお認めになったように、その分労働が過重になっているということで、いろいろなしわ寄せが来ているという中でやはり起こっていることだと思いますので、そこ自体を率直に、深刻なんだ、変えていかなきゃという思いがもう少し出てくるのかなという気がいたしました、申し訳ないですが。そのことをまた、次の答弁の機会もありますので、お聞きしたいなと思います。
今日は、具体の案件を大臣に直接聞いていただきたいと思っています。
昨年の五月十日、西日本の国交省の出先機関、これは出先ですので、地方整備局の更に出先、それも新設された事務所です。そこに四月に入職したばかりの男性職員が、わずか一か月で自殺をしました。
五月の連休には自宅に帰省し、友人とバイクでツーリングに行ったりしましたが、友人や両親に職場でパワハラのような扱いを受けていると打ち明けていました。連休が明けて、五月六日から三日間勤務した後で、十一日の月曜日には出勤せず、連絡がつかないと両親に連絡があり、遺体が見つかったのはその日の十七時でした。ダムの上から飛び込んだのです。絶対に助からない方法を選んだのだということ、それほどまでに固い決意をさせたのは何だったのか、勤め始めてわずか一か月しかない中で何があったのかと思いました。
複数の友人とLINEトークで悩みを打ち明け、辞めたいとも話しておるし、また、友人からは、パワハラ相談窓口もあるんだろうから話してみればと説得してくれた、そういう方もいます。スマホの中に遺書らしきものが残されていたこと、実行する場所も書かれていたこと、その前数日間は、スマホの閲覧履歴を見ると、いじめ、自殺、転職などという言葉が繰り返し残っておりました。
私は、昨年十月にこの件について本省の人事課からヒアリングをしておりますが、大臣はこの件について報告を受けていたでしょうか。
○赤羽国務大臣 その時点では受けておりません。
○高橋(千)委員 受けてはおらないということでありました。ただ、もう既に資料は御覧になっていただいていると思います。
代理人弁護士から調査依頼を受けて、担当する地方整備局は、昨年七月、御連絡と題するそっけない返事を出しました。調査結果に該当する部分は、A4用紙で四ページのうちわずか一ページです。そこには、全職員から事情聴取を行い、関係資料を確認したとあり、あとは丸めて、事実はないし、本人からの相談もなかったと書かれています。
八月二十七日に再度の要請書を、要するに再調査を求める要望を代理人として提出をしました。これには、遺書と、三人の友人による陳述書と、一人のメモを添付をしています。五月の時点で遺書の存在を実は事務所は知っておりましたが、代理人が八月に提出して初めてその遺書を確認をしています。ところが、これをもって、つまり、遺書があるからといって、既に当局が実施した調査に追加して調査すべき内容はないと考えますと結論づけています。二週間以内の回答を求めたにもかかわらず、回答が来たのは一月半後の十月九日、しかも、A4一枚のみでありました。血の気が引くような冷たい回答だと思いました。
こうした経過を本省とやり取りする中で、人事課として、弁護士を立てた第三者委員会を立ち上げて調査を行っていただきました。そこまで持ってくることができたことは、人事課の御尽力に大変感謝をしております。
しかし、今年三月にいただいた調査結果は、地方整備局の最初の調査を問題ない、パワハラ、嫌がらせなどの事実はなかったと追認するだけでありました。じゃ、なぜ自ら命を絶ったのか、しかも絶対助からない方法でと叫びたくなるわけです。お父様は、このままじゃ息子は浮かばれません、残された家族はどん底のままですと悲痛な訴えをしています。これで終わりにはどうしてもできません。
まず、人事院に確認します。国交省にはまた後で聞きますけれども。
国家公務員災害補償事務のフローでいいますと、災害が発生した場合、当事者若しくは遺族の申出があった場合、補償事務主任者から実施機関、人事課に当たると思いますが、報告を行いますが、申出がなくても補償事務主任者は探知をしなければなりません。まずは公務災害を疑って、本人や遺族からの申出がなくても調査をするという意味だと思いますが、いかがでしょうか。
○練合政府参考人 お答えいたします。
国家公務員災害補償制度におきましては、御指摘の職権探知主義を取っているのは、国が使用者責任に基づいて補償を行うものであることに鑑み、被災職員や遺族の請求を待つことなく、実施機関が自ら災害の発生を職権で探知し、公務災害であるかどうかの認定を行い、公務災害と認定した場合には、被災職員等に対して速やかに通知する義務を負うという考え方に基づくものであります。
○高橋(千)委員 国の使用者責任に基づいて、遺族からの請求を待つことなく職権で探知をするということがお話があったと思うんです。
やはり、調査の中身が、遺族がこう言っている、こう言っている、どうか、どうか、聞いていない、聞いていない、知らない、知らない、そういう調査では本来おかしいと思うんですね。だから、あえてこれを聞かせていただきました。
昨年五月十一日、先ほど言いましたけれども、まず本省に行方不明との一報がありました。そして、本件の場合、国交省としてはそのような調査がやられたのかなと思うんですけれども、一報があったその日のうちに遺体が発見されて、再度、本省に連絡がありまして、これは地方整備局を通してですけれども、自殺の可能性が高い案件、公務災害か否かは調査中と述べています。
発見された状況から見て自殺を疑うのは当然だと思いますし、公務災害かどうかを調査するのは、今人事院からも報告があったとおりです。しかし、長い連休明けの朝、出勤してこないだけで、事務所では警察に捜索願を出しているんですね、その日のうちに。心当たりがなければ、いきなり出すものかな、出さないんじゃないかな、そう思うんですね。
やはり、その点についても含めて、国交省にお答えいただきたいと思います。
○瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
職員の死亡事案につきましては、各任命権者において、事実関係の確認を始め、適切に対応することが必要でございます。
本件につきましても、任命権者である中国地方整備局長においてそのように対応してきたというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 じゃ、済みません、はっきり聞きますけれども、出勤してこなかったら、その日のうちに捜索願を出すことになっているんですか。
○瓦林政府参考人 今回のケースにつきまして、そのような捜索願を出したということにつきましては、当時の状況に即して対応して、まだ寮に入ったばかりであるとかといった状況も含めて判断した結果だというふうに認識しております。
○高橋(千)委員 そういう解釈もできますよね。入ったばかりであって、いろいろな不安もあるだろうということで心配される、当然だと思うんです。
ただ、それと同時に、やはり何か、相談も誰一人受けていなかったと言っているんですよ。それが逆に言うと不自然だと思うから、別にそれが何か物すごく悪いことだと言っているわけじゃなくて、捜索願をすぐ出そうと思うほどの状況が何かしらあったんじゃないのか、そういう視点での調査があってもよいのではないか、このことを指摘をしたかったわけであります。
それで、資料の3を見ていただきたいんですけれども、一昨年成立して、昨年六月から施行されたパワハラ防止法に基づいて、厚労省は昨年の五月二十九日に、心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正を行い、心理的負荷の出来事の類型にパワーハラスメントを追加しました。この趣旨と期待される効果について伺います。
○小林政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、改正労働施策総合推進法が施行され、パワーハラスメントの定義が規定されたことから、昨年五月に精神障害の労災認定基準の改正を行ったところでございます。
この中で、従来、業務による心理的負荷評価表の中の嫌がらせ、いじめに類するものとして評価していたものを、パワーハラスメントとして別途明記したものでございます。
これにより、パワーハラスメントによる精神障害について労災請求がしやすくなるとともに、企業においては、精神障害を発生させないよう、職場におけるパワーハラスメントの防止に実効ある取組がなされることを期待したものでございます。
○高橋(千)委員 簡単な確認をさせていただきたいんですけれども、今まではパワーハラスメントの類型がありませんでした。なので、今のお答えにあったように、労災請求はしやすくなるとおっしゃったんですけれども、やはり、じゃ、何に当てはまるかな、身体的な暴行がはっきりしたときは暴行だというのでなるんだけれども、いじめかな、嫌がらせかな、でも、ちょっと違うよねと。要するに、言葉だけの問題もあるわけだし、ここの資料に書いているように、ちょうど真ん中ら辺なんですよね、相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合、こういうものも入るわけなんですよね。
そういう意味では、やはり、明確な規定がないがためにばらばらに出していたので全体像が見えなかった、あるいは、結局認めてもらえなかった、そういう弊害があったのかなという意味で請求がしやすくなるというふうな理解でよろしいでしょうか。簡単な確認です。
○小林政府参考人 お答えいたします。
具体的にどういう場合がこれに該当するかというのは、個別の判断が必要になるわけでございますが、この評価表の中で、心理的負荷が強、中、弱というような類型化をいたしまして、できるだけ具体的な記述に努めているところでございます。具体的な判断につきましては、現場における協議といいますか調査に十分な力を注いでまいりたいと思います。
以上でございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。何か、一回目の答弁の方がよかったような気がいたしますけれども。
そういう、要するに、今まではばらばらに、これがちょっと近いかなというふうな形であったものが明確になって、もちろん、実際それが認められるかどうかは個別の審査によるわけですけれども、最初の御答弁にあったように、しやすくなるというのは間違いないのかなと思っております。
また、同時に、優位性という関係に着目しているのがパワハラなわけですけれども、とはいえ、同僚などからも受けた場合も、きちっとこれは別な意味で評価するということがこの資料の中には明記されているというのも大事なことかなと思っています。
同じことを人事院に伺いますけれども、人事院も、パワハラ防止法に基づくパワハラ指針並びに精神疾患の労災認定基準の見直しを受けて、どのように周知徹底をしてきたでしょうか。
○練合政府参考人 お答えいたします。
人事院では、パワーハラスメントの防止等の措置を講ずるため、人事院規則一〇―一六を令和二年四月一日に制定し、同年六月一日から施行しました。
この規則では、パワーハラスメントの防止等のための各省各庁の長の責務、パワーハラスメントの禁止、研修の実施、苦情相談への対応等を規定しています。さらに、規則に基づいて、職員に対する指針と苦情相談に関する指針を含めた通達を発出しております。
これらに基づき、パワーハラスメントの防止等が各府省において円滑かつ効果的に実施されるよう、職員向け周知用リーフレットや研修教材を作成し、各府省に提供しております。
公務災害につきましては、精神疾患等の公務上災害の認定指針を定めた人事院職員福祉局長通知を改正し、別表の公務に関する負荷の分析表の業務負荷の類型にパワーハラスメントを掲げ、これに該当する出来事例や、過重な負荷となる可能性のある業務例、認定において着眼する要素を追加しました。この内容について各府省に周知を行ったところでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
資料の2にちょっと戻っていただきたいんですけれども、この中の米印のところに「人事院協議による件数」という表現があるんですよね。これについてちょっと簡単に説明していただきたいんですね。
公務災害において、精神疾患や自殺などの場合、所属省庁が、公務上外、公務上のものかどうかというのを認定する前に、必ず人事院と協議をすることになっております。その理由をお答えください。
○練合政府参考人 お答えいたします。
精神疾患等の事案に係る公務上外の認定など、実施機関限りでは判断が難しいものについては、処理の統一性を担保する観点等から、実施機関が人事行政の専門機関である人事院に事前協議を行うこととなっております。
○高橋(千)委員 それだけの重みがあるということを踏まえた上で、もう一度議論をしたいと思うんですが、先ほどの西日本の件について質問したいと思います。
先ほど紹介した第三者調査報告では、元職員のスマホの中に残されていた遺書について、当委員会は、元職員がこの遺書を作成したこと自体は事実であると考えると述べております。ただ、その内容は、当委員会の調査の結果明らかとなった事実とは乖離しているというのが結論なんですね。
何でそうなったかといいますと、書いているのは、遺書だったらすぐ見つけてもらうようにしておくのが常識じゃないか、誰にも見つけられないままスマホを廃棄される可能性だってある、手書きなりプリントするとか、メールやSNSで発信するなり、ほかの方法を取るのが通常だということをるる述べているわけなんです。
しかし、自殺にルールがあるわけではありません。すぐ見つけてほしい方、誰かにだけ読んでもらいたい場合、時間がたってから見つかればいい、そう思う場合、様々だと思うんです。まして、今や、事件であればスマホの履歴を調べるのは常識です。
遺書はとても短い文章ですが、その中でも職場へ向けた言葉だけが、同じ人とは思えないくらい、大変荒々しい言葉になっています。そこはあえて言いません。
もちろん御遺族の許可を受けて今日はお話をしてきましたけれども、最後の部分だけを紹介します。「二十二年の短い人生でしたが色々なことを経験させていただき、楽しく充実した一生でした。ありがとうございました。それでは先に行ってバイクでも乗り回すことにします。皆さんはすぐには来ないでください。すぐに来ても追い返すし、入店拒否します。それではさようなら」という言葉で締めくくっているんです。
つまり、残された人への思いやり、優しさがにじみ出ていると思うんですね。これを本人が書いたものだということを認めながらも、何もなかったとなぜ決めつけることができるんでしょうか。
第三者調査報告は、昨年七月の当該地方整備局による内部調査についても、客観的資料として遺漏がなく、かつ中立的な調査であり、信用できると結論づけています。しかし、調査の詳細を代理人弁護士が求めても、存否すら明らかにされません。結局、いじめやパワハラをした者はいないし、見た者はいないし、相談を受けた者もいなかったと。それで納得できるはずがありません。
人事院規則には、特にパワハラの場合、行為者、第三者からのヒアリングに人事当局とともに対応し、聴取記録の作成及び確認を行うことを定めています。少なくともその記録を開示するべきです。
丸めて、いろいろ聞いたけれども認めた人はなかったという答弁ではなくて、答弁というのはここじゃなくて報告書のことですが、いついつ、Aさん、Bさんでいいから、こういう話があった、そういう答え方をするべきなんです。できることはもう何もないんでしょうか。再度、大臣に伺います。
○赤羽国務大臣 済みません、ちょっと、事の一つ一つ、まず、六月二十三日、御遺族から委託をされた弁護士さんから国交省の地方整備局に、中国整備局に、第三者によって行われる再調査について御要請をいただいて、全く第三者の弁護士さんお二人から成る委員会を立ち上げていただいて、調査をし、それを返事をさせていただいたということでございます。
そのことについてなんですが、私は、他方で、入省一か月で命を落とされるというのは、大変、本当に痛ましい話でありますし、広く言えば私の部下でもあるというか、直接はもちろん存じ上げませんけれども、そうしたことが起こったということはやはり軽く見ることはとてもできませんし、御遺族、御両親の立場に立てば、納得できる説明を知りたいというのは、それは本当に当然だと思いますし、そうしたことは寄り添ってやっていかなければいけないというふうに思っております。
ただ、ちょっと、こういうことを言うとあれなんですけれども、情報公開法という法律もありますので、できること、できないことというふうにあると思いますが、やはり、満足がいかない、納得がいかない点については寄り添って、できる範囲のことで誠意を持って対応させていただく、それが今後同じようなことが起きないことにもつながるんだというふうに思っておりますので、昨日の通告で、ばたばたと私も夜に資料を読んだところでありますし、当事者には話を聞いておりませんが、しっかりと国交省としても誠意を持って対応したい、こう考えています。
○瓦林政府参考人 情報公開請求への対応につきまして、私からお答え申し上げます。
ハラスメントの有無に関する行政文書につきましては、その存否自体が個人情報に該当するため、その存否を明らかにすることができなかったという事情がございます。これは情報公開審査会の御判断に基づいて、そのような運用となっております。
○高橋(千)委員 昨日の通告の話合いの中で、その答えは要らないよということだったつもりですけれども、存否を否定する、答えられないというのは、それによって、請求した遺族以外の一般の人も見たりするときに個人情報に触れる場合があるからというお話だったと思うんですね。
だけれども、別にそれは特定できないんですよ、全員に聞いているわけですから。だからAさん、Bさんでいいという話をしているわけで、それはやり方はいっぱいあります。私も、情報公開、個人が行った請求で出てきた資料を見たことがあります。例えばカルテですとか、個人のカルテだって個人情報だからといって出してくれない、そういう中を乗り越えて様々な裁判とかやられてきたわけなんですよね。だから、それをもう絶対できないものなんだと決めることはやはり違う、これは指摘をしておきたいと思います。
それで、最後になりますが、国土交通省の管理職ユニオンが二年に一回行っているアンケートでは、コロナ禍の中で千三百六十二名から回答がありました。通院とか、今にも壊れそうなど、心身の健康に問題を抱えている人は二四%にもなります。また、パワハラを過去に受けた、六百七名。今も受けている、二十六名。管理職だけでですよ。周りでパワハラを見たという方が三百三十六名、答えているんです。職場実態で最大の問題は、職員が少ない、増員してほしい、七三%にもなっています。
赤羽大臣が就任して以降、台風十九号など甚大な災害もあって、地方整備局の純増など、定員を増やしてきてくれたことは承知をしております。だけれども、一方では、河川や道路事務所など、出先機関によっては一人出張所もまだまだ多数残されているんじゃないか。これは一刻も早く解消してと現場から声が上がっています。このことを答弁の中で一言触れていただきたい。
今日話してきた元職員は、コロナ禍の中で研修期間もなくて、いきなり四月一日からの職場勤務で用地係になったわけですね。勉強しなければと専門書も頼んでいました。仕事に慣れる機会も奪われ、同期の者がいない小さな出張所で、研修機会を通して同期で励まし合うことや相談することもできていたかもしれない、通常であればそうだったかもしれないという思いもありました。第二、第三の犠牲者が出るのを何としても防いでほしい。
そういう意味でも、やはり人員増、ハラスメントを未然に防ぐ環境づくりについて、大臣、一言お願いします。
○赤羽国務大臣 まず、コロナ禍で新人の研修ができないというのは大変大きな問題だというふうに認識をしております。であればこそ、そうした現場に派遣というか赴任するケース、これは避けられないので、そうしたことをどう対応していくのか、フォローアップをしていくのかというのはしっかりと省を挙げて考えていかなければいけない、こう思っております。
人員ですけれども、これはやはり、相当行革でずっと純減していました。平成十三年、国交省の発足当時から令和元年で二三%、七千名減少しましたが、近年、大変な激甚災害の頻発で、現場から、国交省の現場はよくやっていただいているということを首長さんからも随分応援をいただいて、令和二年度では五十七名の純増、そして令和三年度で百三十四名の純増でございます。これは厳しい中でしっかりと純増していただいているので、そこをしっかり効果的に配置をしながら、できるだけ、一人事務所というのはいろいろな面で問題があるというのを心配もしておりますので、そうしたことを避けられるような重層的な体制をつくれるように、しっかり政府部内でも人員要求は続けていきたい、こう考えています。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
一人事務所、まだ四十五もあるということですので、一刻も早く解消していただきたいなと思っています。
今日は、個別事案という中で、非常に条件があったと思いますが、その中で誠意ある答弁をいただいたと思います。是非、何かできることがあるんじゃないかという問題意識で質問させていただきました。まだ終わりにはできないということもありますので、誠意ある対応ということを重ねてお願いをして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、井上英孝君。
○井上(英)委員 日本維新の会の井上です。
今日は、一般質疑ということで入らせていただきたいと思います。
今日は、国土交通省の和田住宅局長、よろしくお願いします。また、内閣府、環境省、それぞれ、村手、土居大臣官房審議官、お越しいただいて、お忙しいのにありがとうございます。よろしくお願いしたいというふうに思いますが、通告をさせていただいているんですけれども、和田局長、三問目をちょっと先にやりたいなと思います。
まず、今日は、空き家対策、空き家問題に対する質疑をちょっとさせていただこうと思っているんですけれども、空き家対策は、当然、空き家の売買だとか賃貸だとかも含め、それからまた新築もそうですけれども、売買状況、賃貸状況なんかも含めて、今、コロナウイルスでの、このコロナ禍で、拡大によって、様々な業種、業態方面に大きな影響を与えているんですけれども、この空き家対策に関わる不動産事業だとかその辺に対する影響なんかはどのように今思っておられるのか、ちょっと局長の所見というか、お伺いしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
割とこの直近の短い時間ですと、統計、調査等、限られてございますが、例えば、既存住宅流通の動向につきましては、所有権の移転登記の数で見ることができるかと思います。緊急事態宣言が発令されていた昨年の五月あるいは本年一月には、前年比で約一、二割減の一時的な落ち込みが見られましたものの、令和二年、暦年ですが、年間を通じて見ますと、対前年並みとなってございます。
また、特に、東日本レインズによりますと、神奈川、千葉、埼玉県における令和二年暦年の既存戸建て住宅の成約件数が前年比で増加するなど、首都圏のいわば郊外とも言えるようなところ、こういったところが今までと多少傾向が違って数が出ているというようなことが見受けられるかと思います。
また、ちょっと視点が変わりますが、不動産売買におけるオンラインによる重要事項説明、いわゆるIT重説と言っているものですが、これは令和元年十月に開始した社会実験をやっておりますが、その参加事業者がコロナの影響を受けて急増するといった動きも見られております。これは新築と既存と両方のものでございますが。そして、本年三月末より本格運用を始めております。
また、リフォームの方でございます。
リフォームの件数につきましても、昨年の緊急事態宣言後には一時的に前年比で約一割減の水準となりました。当初は、やはり、お住まいでいらっしゃるところに、リフォームでほかの方が家庭内に入られるということを結構嫌がったという声も聞かれました。また、そういった中で、在宅時間が長くなってくることで、バス、トイレ、キッチンの改修が増えたほか、新たな日常に対応した自動水栓の導入などの動きも見られてきておりまして、令和二年を通じましては対前年並みとなってございます。
また、こういった中で特徴的なこととしましては、大手の住宅設備会社の中には、オンラインでのショールームを立ち上げまして、3D画面上で完成予想とかこういったイメージをできるようにして、それを基にリフォームの打合せをして、最終的には契約ということにもちろんなるんですが、そんなオンラインを使ったいろいろな動きが出てきているということがございます。
コロナ禍におけるこういったいろいろな影響、関係、これが、既存住宅とかリフォームとか、こういった商取引にどう関わっていくか、作用していくか、これからもまだしっかり見なければならないと思っておりますが、現状感じておりますのは以上でございます。
○井上(英)委員 今の住宅局長のお話では、そんなに大きく、当初、ちょっと一時期低迷していたけれどもそれほどのあれはないということで、逆に、オンラインなどを含めて今のこの状況に対応してやっていただいているということで、ひとつ胸をなで下ろすような状況かなというふうに思います。
家時間、今もこの緊急事態宣言下で、家にいてる、在宅される時間がやはり増えてきているので、リフォームなんかも非常にそれなりに進んでいて、やられているというようなことも聞いているので、それは経済状況には非常にいいことなのかなというふうには思います。
それでは早速、空き家についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、空き家等対策の推進に関する特措法が、六年前、二〇一五年に施行されました。間もなく六年を迎えて、空き家対策の着実な推進というのが期待されるところではありますが、まだ、逆に言うと六年しかたっていませんし、総務省の統計局が出している五年に一回の住宅・土地統計調査、これは、平成三十年に行われているので三年前ですね。
ですから、二〇一八年に行われた調査ですので、二〇一五年に施行して、一八年の数字になかなかちょっと反映は難しいのかなというふうには思っていますが、全体的にやはり空き家が増えているんじゃないかな、数もそうですし、率もそうですけれども、増えているんじゃないかなと思うんですけれども、まず、現在の空き家の状況について、和田局長にお伺いしたいというふうに思います。
○和田政府参考人 平成三十年の住宅・土地統計調査によりますと、空き家の総数、これは八百四十九万戸、空き家率にしますと一三・六%となっており、空き家の総数は、十年前、平成二十年時点と比べますと一・一二倍ということになってございます。
また、空き家の種類別の内訳としまして、これから賃貸に回そうとか売却にしようとして空いているもの、こういったものを除いた居住目的のない空き家は、先ほどの八百四十九万戸のうち三百四十九万戸ございます。住宅総数の五・六%となっております。こういった数字の状況でございます。
○井上(英)委員 この空き家対策特措法によって、管理不全の空き家、すなわち特定空き家等への対応の手段というのが整備をされたわけであります。
市区町村は、特定空き家等について、除却や修繕などの必要な措置を取るよう所有者等に助言又は指導を行うことができ、それでも改善しない場合は必要な措置を取るよう勧告ができます。この勧告を受けた場合には、固定資産税の住宅用地特例の対象から除外をされるとか、また、当該土地に係る固定資産税が最大六倍になるなどのペナルティー、制裁を受けることになります。さらに、勧告に従わなかった場合には、勧告に係る措置を取るよう命令することができます。この命令に違反したときには、五十万円の過料というのが科される、また、その上に、行政代執行されるという場合もある。
このように、空き家対策の特措法は、助言指導、それから勧告、命令、行政代執行と、段階を踏んで措置を講じる仕組みになっています。
そこで、先ほどのざくっと全体的な数字というより、今回は、現在までに何件の空き家がこの特定空き家等として把握をされて、るる申し上げたような助言や指導などの具体的な対応が取られて、どれぐらいの件数になっているのか、あわせて、法施行による空き家対策への効果をどのように認識しておられるのか、和田局長にお伺いしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
平成二十七年の空き家法の施行以降、令和二年三月までに、そのまま放置すれば倒壊等著しく危険となるおそれのある空き家等、これを特定空き家と呼んでいますが、特定空き家等に対する措置の実績としましては、助言指導が一万九千件ほど、勧告が一千三百五十一件、命令が百五十件、行政代執行六十九件、略式代執行が百九十一件となってございます。
また、空き家法に基づく市町村の働きかけや補助制度の活用などによりまして、除却等がなされました空き家は年々増加してきておりまして、空き家法施行から令和二年三月までの累計で約九万件となってございます。また、この結果、現存する特定空き家等につきましては一万八千件弱となってございます。
このようになってございまして、市町村によって取組ないしは実績といいますか、数に差は見られるものですが、特定空き家等を始めとする管理が適切になされていない空き家、こういったものへの対策というのは、法施行以降、着実に進んではきていると考えてございます。
○井上(英)委員 局長、ありがとうございます。先ほども言われたように、助言指導、また、勧告、命令、代執行と、それぞれの数字があって、適切に対応していただいている。
本当に前までは、もう壊れそうな、壊れそうというか倒れてきそうな建築物がそのままちょっと放置されていて、自治体なんかでも、所有者を特定しに行ってもなかなかし切れないものに関して言うと、ずっと放置されていて、黄色い線なんかが引かれていてとかというようなことも、まあ、よくじゃないですけれども、私の地元でもありましたけれども、そういったものをしっかりと対応できるようになったという意味で、非常にこの法律、特措法はよかったと思いますし、是非、今後もしっかりと進めていただけたらというふうに思います。
その中で、先ほど局長の答弁にもあった行政代執行についての問題点というか課題を少し聞かせていただきたいと思いますけれども、この特措法には、いわば最終手段として行政代執行が位置づけられていますが、その実施については、幾つか実務上の問題点があると考えます。
行政代執行で空き家を除去する場合、まずは行政側で建物を解体した後、そのかかった費用を所有者に請求することになります。しかし、現実には、今現状では、費用が支払われていないケースというのが少なくないというふうにお聞きをしています。市町村がなかなか積極的に動けない一つの要因ではないかなというふうに思います。
そこで、行政代執行の実施に要した費用について、所有者などからどれぐらい回収できているのか、今の現状をお聞かせいただけたらと思います。
○和田政府参考人 市町村が空き家法に基づく行政代執行に要しました費用については、行政代執行法が定めるところに従いまして、所有者等への強制徴収を行うことができるようになってございます。
平成三十年度末までの約四年間に市町村が実施した行政代執行、全部で四十一件、先ほど申し上げた数字ですが、令和元年十月時点で見ますと、空き家の所有者等から費用を全額徴収できたものが七件、約二割になります。それ以外のケースにつきましては、市町村によって督促や差押えといった徴収のための手続が継続しているものが多くあります。
やはり、先ほど申しましたのは、平成三十年度末までの四年間の数字、四十一件のうちですから、どうしてもこういった督促をして差押えをしてというのは時間がかかるプロセスになりますので、現時点においては、二割が全額徴収できておりますが、それ以外のケースについての多くは徴収の手続の途中であるということでございます。
○井上(英)委員 局長、結構です、それで。二割しっかりと取れているんですけれども、まだ継続手続中ということで。ですから、別にそれでいいのかなと。もう仕方がないですから、取りあえずその手続をやはり徹底してお願いするしかないという、今の現状ではですね、それは続けていただけたらいいと思います。
ただ、やはり、そういう継続手続が結局できてしまって、それに係る実務負担、そういったもろもろのことを結局考えていくと、先ほど申し上げたように、積極的に行政代執行がなかなかしにくくなってしまっているというようなこともありますので、是非、その辺のいい具体策があれば、またよろしくお願いしたいなと。我々も考えていきたいと思いますので、お願いしたいと思います。
次には、また、所有者等に十分な資力がある場合でも、請求できるのは実際に代執行に要した費用のみだ。代執行に至るまでには、事前の調査だとか、手続に従事する職員の人件費だとか、まあまあ様々なコストがかかるんですけれども、これらについては所有者等に請求することができない。これらの代執行に関連する費用についても所有者に負担させるべきではないかという意見がありますけれども、現状での国土交通省の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○和田政府参考人 委員の御指摘のように、実際に代執行に要した費用のみが空き家の所有者等から強制徴収することができることとなってございます。
また、行政代執行に至る前には、市町村において、所有者の特定とか、あるいは空き家の現況等の調査といったような業務等を行うことが一般的と考えられておりますが、これらの業務に要する費用は、いわば行政本来の実務といいますか、行政本来の負担して行う業務というふうに扱っているというものが一般的かと考えております。
また、こうしたことを踏まえまして、国土交通省としましては、こういった所有者の特定のために市町村が負担する費用等につきましては、補助制度を設けて支援を行っているところでございます。
○井上(英)委員 いずれにしても、業務としてやる場合には職員も、それは仕方ないというか、でも新たな業務をつくられているという意味では請求したいなという気持ちも分かりますし、そういう要望があるのもあるんですけれども、一定、そういったものも含めて、先ほど補助もあるということなので、様々な弊害はなるべく消していって、実効性のある特措法として有効に使えるように是非お願いしたいなというふうに思います。
特定空き家等の所有者が分かっている場合は、先ほども言いました、行政代執行なんですけれども、所有者等が分からない場合は、助言指導などの段階を経ずに、これはもう助言指導する相手が分からないということですから、略式代執行により特定空き家等の除却等を行うことができるということであります。
しかし、略式代執行の場合は費用を負担させるべき者が存在せず、行政代執行と比較しても費用の回収というのはより困難だ。それはそうですね、所有者が分からぬわけですから。さらに、略式代執行に至る前段階の、所有者やその相続人の存否を確認するためには、また事務負担も大きな課題だとなります。
空き家対策特措法には、所有者等を特定するために固定資産税情報を行政内部で利用できる旨の規定が設けられているとか、更なる所有者等の特定の負担軽減の仕組みがやはり必要ではないかと思います。例えば、相続人はほかの市町村に居住していることが多くて、その場合に、戸籍情報をほかの市町村から入手するための事務負担というのも、これも決して小さくありません。所有者などの特定に係る自治体の事務負担の軽減に向けて何か具体策があるのか、国交省に、和田局長にお伺いしたいと思います。
○和田政府参考人 委員御指摘のように、略式代執行の実施、この前提となるといいますか、その前には、空き家等の所有者、この特定に係る様々な事務作業、こういったものが発生してくるかと存じます。私どもとしては、まずこういったことについて市町村が少しでも取り組みやすいように、本年六月をめどに、空き家法に基づく特定空き家等に関する措置のガイドライン、これを改正しまして、先ほど委員おっしゃられたような固定資産税情報等々、こういったものを活用することや、これらの情報によっても所有者等の所在を特定できない場合に、略式代執行や財産管理制度の活用等を行うことが考えられます。財産管理制度ということも併せて考えられるということを明確にしてございます。
また、いずれにしましても、こういった作業にはお金、経費がかかるものでございますので、こういった所有者の特定のために市町村が要する費用等につきましては、補助金による支援を通じて市町村の負担軽減を図ってございます。
○井上(英)委員 是非お願いをしたいと思います。
次に、空き家等の対策特措法が対象とするこの空き家等というのは、建物全体が使用されていないものに限られる、要は一棟丸ごとが使われていないというのにだけ適用されるということで、長屋などの一部が空き住宅になっているというような住戸については、この空き家等には該当しないというふうに解釈をされているということになっています。
長屋などの一部の空き住戸が著しい管理不全だったとしても、今の現状のこの特措法に基づく助言指導という措置の扱いにはなっていないということなんですね。条例を制定してそういった指導等を行っている自治体もあるというふうにも聞いていますし、法律に基づく措置をやはり適用できるようにということで、各自治体からの要望があるというふうにもお聞きをしています。
そこで、これを改正して、長屋などの一部が空き住戸になっている場合でも法の対象とする必要があるのではないかと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
○和田政府参考人 委員御指摘のとおり、空き家法では、建物全体として居住等の使用がなされていないことが常態であるもの、これを「空家等」と定義しておりますので、長屋の一部だけ住戸の使用がなされていないという場合については、この空き家法の適用には、対象となってございません。
こういったことから、少しでも何か改善すべきことはないかということでまずやっておりますのが、六月をめどに、特定空き家等に係る措置のガイドラインを改正しようと思っておりますが、外見上はいわゆる長屋状のものであったとしても、隣接する住戸との間の界壁、これが二重構造となっているような場合には空き家法の対象となりますというようなことを明確化する、こんなガイドラインをまずは出そうかと思っております。
また、空き家法そのものではございませんけれども、長屋の空き住戸、全ての長屋の中での一部が空いているという状態のものについて、所有者自らが当該住戸を除却しようとする場合には、先ほど申し上げました補助制度により支援ができることとなっています。
また、そのまま放置すれば著しく保安上危険なおそれがあるというような場合には、これは空き家法ではございませんが、建築基準法に基づいて勧告、命令を行って、除却に向けていくということができるようになってございます。
また、若干ですが、こういったことで対応した事例もございますので、この事例集を作りまして、他の市町村の取組の参考となるよう、公表、周知しているところでございます。
長屋につきましては、区分所有法制、こういった普通の戸建てとは違った法律上の取扱いになっていますので、その性格に応じた法律的な検討ということがなされなければならないんですけれども、長屋の空き住戸に関するこういった法制上の特殊性もありまして、実務上の課題とか対応策についてはいろいろ御相談を受けているところではございます。また一方で、区分所有法制に関する議論、こういったものが政府部内で始まってきておりますので、公共団体の要望等踏まえながら、引き続き考えていきたいと考えております。
○井上(英)委員 是非、また改正する必要があると判断したときにはまた速やかにお願いしたいと思いますし、また、今の現行の中でも、先ほどるる御説明いただいたように、知恵というか、ガイドラインも含めて、また補助の制度とか様々なことを考え、また建築基準法なども使って、的確にやっていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
今日は、先ほども冒頭申し上げた、環境省、土居審議官、お越しをいただいています。ありがとうございます。
それじゃ、この空き家とか空き地と言われるものに不法投棄があります。そのごみの件についてですけれども、これは当然、環境省としてしっかりと課題認識を持ってくれていると思います。
私の方からは、やはり、その空き家だとか、また特に空き地なんかに不法投棄をされて、その不法投棄が一般廃棄物であれば直接その自治体の処理等になりますし、産業廃棄物になると都道府県になったりとか、また、国が関わらなければならないというような状況になったときに、当然、当該の皆さん方はもう課題意識を共通にされていると思いますので、一丸とやってくれているとは思うんですけれども、改めて、スピード感を持って、市町村、都道府県、そして国がしっかりと連携して、包括的にそういった不法投棄に対応していくように是非お願いしたいと思いますが、審議官、お答えいただけたらと思います。
○土居政府参考人 廃棄物処理法では、一般廃棄物の指導監督権限は市町村長に、また、産業廃棄物に関しましては都道府県知事、政令市市長にございます。
このような案件につきましては、都道府県と市町村は必要に応じまして連絡を取り合い、原因者の確認であるとか指導、こういった対応をしてきております。
また、環境省におきましては、日頃より都道府県、市町村と連携をしまして、監視活動を行うとともに、不法投棄ホットラインというものを設けまして、市民から不法投棄に関します通報を常時受け付けるという体制を整えるなど、個々の不法投棄事案に関しましても、相談対応しながら緊密に連携を取っているというところでございます。
こういった取組によりまして、新たに判明しております不法投棄案件は、ピークに比べますと大きく減少しております。
環境省といたしましては、不法投棄の撲滅に向けまして、今後とも、状況の把握に努めまして、都道府県、市町村と適切な連携体制を更に強化をいたしまして、必要な対応を引き続き行っていきたいというふうに考えております。
○井上(英)委員 審議官、ありがとうございます。
いつもそれはやっておられることだとは思うんですけれども、やはり管轄というか所管が違ったりすると、たまに風通しの悪いときもありますので、そういうことが起きないように、こういう事案が発生したときには是非一丸となってやっていただけたらというふうに思います。
空き家は、対処すべき課題であると同時に、活用することが可能な資産でもあるというふうに思います。
そこで、内閣府の村手審議官にお聞きをしたいと思いますけれども、今後、また様々な、南海トラフ地震といった大きい地震の想定もありますし、また、毎年、やはり様々な災害が起きたりするというようなことがあります。
それによって、応急の仮設住宅が必要になった場合なんかに、是非この空き家を地方公共団体が借り上げて、みなしの仮設住宅として供与するということも重要だと思います。民間賃貸住宅はもちろん、ふだんは賃貸に供されていない個人所有の空き家についても、そういった活用できるポテンシャルがあるのではないかなというふうに考えます。
そういったときに、もちろん今の現時点で、内閣府は一生懸命マッチングも含めてやってくれているとは思うんですけれども、よくあるのは、仮設の建設の住宅、仮設住宅を後々造ったりするようなことがあります。もちろんそれも必要ですし、ただ、緊急の有事ですから、災害に遭われた方がなるべく生活再建をいち早くリスタートするためには、今の既存の住宅に入れると非常に生活再建が楽だということも一理あるのかなというふうに思います。
大臣もそうですし、私も阪神・淡路大震災という大きい震災も経験しましたし、様々その後に大きい災害もあるので、そういったことに関する、改めて内閣府として、そういう仮設住宅の活用について、これは数字の見える化はなかなかしにくいとは思うんですけれども、今の見解をお聞かせいただけたらと思います。
○村手政府参考人 お答え申し上げます。
救助法に基づく応急仮設住宅として既存の住宅を活用することは可能でございますし、また、おっしゃるように、迅速に提供できるという利点もあると考えてございます。この場合、民間賃貸住宅として利用されている住宅のみならず、個人所有の空き家を活用することも可能だということでございます。
ただ、個人所有の空き家などの既存ストックを災害時に円滑に活用するためには、平時より関係者間で必要な調整、準備を行っていくことが肝要と考えてございます。このため、内閣府では、国土交通省さんと連携して、各自治体の保有する空き家情報等を集約した全国版空き家・空き地バンクなどを活用して、空き家の物件情報や周辺地域の情報などを平常時から確認していくことなどについて周知を行っているところでございます。
引き続き、各自治体に対し、空き家等既存ストックが災害時における応急仮設住宅として活用されるよう、平時から調整、準備を進めていただくように助言を行ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○井上(英)委員 最後の質問もあったんですけれども、時間が来ましたので終わります。本当に両審議官、ありがとうございました。和田局長もありがとうございました。
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○あかま委員長 次に、内閣提出、航空法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣赤羽一嘉君。
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航空法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○赤羽国務大臣 ただいま議題となりました航空法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
現在、新型コロナウイルス感染症の流行により、過去に例を見ない規模で航空需要の減少が続いており、航空業界は大変厳しい経営状況にございます。こうした状況下においても、航空ネットワークを維持、確保していくため、国と航空会社等が連携し、航空運送事業の基盤強化を図っていく必要がございます。
また、今後の航空需要の回復や国際的なイベントの開催も見据え、航空機や空港を標的としたテロ、ハイジャック等の危害行為の発生を防ぎ、航空機の旅客等の安全を確保するために、航空機に搭乗する旅客に確実に保安検査を受検させるための仕組み等を設ける必要があります。
さらに、ドローンなどの無人航空機は、近年、その利活用が急速に進展しており、人手不足等の社会課題の解決や新たな付加価値の創造に資する技術として、将来に向けてその役割の拡大が期待されております。今後、都市部上空での荷物配送や広域巡回警備、災害対応、インフラ点検等の幅広い用途に無人航空機を有効活用し、多くの人が利便性を享受できるようにするためには、現在飛行を認めていない有人地帯上空での補助者なし目視外飛行、いわゆるレベル4飛行の実現が必要不可欠です。このため、無人航空機が有人地帯の上空を飛行する場合の安全を厳格に担保するための仕組みを整備する必要があります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第でございます。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、世界的規模の感染症の流行等により本邦航空会社の経営に甚大な影響が生じ、安全かつ安定的な航空ネットワークの維持、確保が必要な場合における、国土交通大臣による航空運送事業基盤強化方針の策定や、定期航空旅客運送事業者による航空運送事業基盤強化計画の作成及び届出、その実施状況等の報告等を内容とする制度を構築することとし、あわせて、令和三年度において航空会社等への支援措置を講じることを踏まえた所要の規定を整備することとしております。
第二に、航空機や空港等に対するテロ、ハイジャック等の危害行為の防止のため、航空機に搭乗する旅客等に対し保安検査の受検を義務づけるとともに、保安職員が職務遂行のため必要な指示を出す権限を明確化することといたします。また、国土交通大臣が危害行為防止基本方針を策定し、関係者の役割分担や連携強化について定めるとともに、保安対策全体を主体的にマネジメントすることにより、国のリーダーシップを強めることとしております。さらに、検査会社に対する監督の強化等について規定することとしております。
第三に、無人航空機のレベル4飛行の実現に向け、国土交通大臣による無人航空機の機体の安全性を認証する制度と操縦者の技能を証明する制度を創設することとしております。これにより、技能証明を有する者が、機体認証を受けた無人航空機を、運航管理の方法等を確認するための許可、承認を受けた上で飛行させる場合には、レベル4飛行で想定されている第三者の上空を飛行できるようにいたします。あわせて、これまで国土交通大臣による許可、承認を必要としていた飛行について手続の合理化を進めるとともに、無人航空機を飛行させる者に対する飛行計画の通報や事故等が発生した場合の報告の義務づけなど、運航ルールも整備することとしております。さらに、無人航空機に係る事故等の防止に寄与するため、運輸安全委員会の調査対象となる航空事故に無人航空機に係る事故のうち重大なものを追加することとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、何とぞ御審議、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会