衆議院

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第16号 令和3年5月14日(金曜日)

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令和三年五月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 あかま二郎君

   理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君

   理事 土井  亨君 理事 平口  洋君

   理事 簗  和生君 理事 城井  崇君

   理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    井上 貴博君

      泉田 裕彦君    岩田 和親君

      小里 泰弘君    加藤 鮎子君

      門  博文君    金子 恭之君

      神田 憲次君    菅家 一郎君

      小林 茂樹君    高村 正大君

      田中 英之君    田中 良生君

      高木  啓君    中谷 真一君

      中村 裕之君    野中  厚君

      鳩山 二郎君    深澤 陽一君

      細田 健一君    堀井  学君

      三ッ矢憲生君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    山本  拓君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      岡本 充功君    辻元 清美君

      広田  一君    松田  功君

      道下 大樹君    山本和嘉子君

      北側 一雄君    吉田 宣弘君

      高橋千鶴子君    井上 英孝君

      浅野  哲君    古川 元久君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      大西 英男君

   国土交通大臣政務官    小林 茂樹君

   国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君

   政府参考人

   (内閣官房小型無人機等対策推進室審議官)     島田 勘資君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 檜垣 重臣君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 宮沢 忠孝君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局長)            城福 健陽君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     高村 正大君

  工藤 彰三君     細田 健一君

  鈴木 貴子君     野中  厚君

  古川 元久君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     秋本 真利君

  野中  厚君     鈴木 貴子君

  細田 健一君     宮澤 博行君

  浅野  哲君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     神田 憲次君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     工藤 彰三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)


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     ――――◇―――――

あかま委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、航空法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、自動車局長秡川直也君、航空局長和田浩一君、運輸安全委員会事務局長城福健陽君、内閣官房小型無人機等対策推進室審議官島田勘資君、警察庁長官官房審議官檜垣重臣君、長官官房審議官宮沢忠孝君及び経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。辻元清美君。

辻元委員 立憲民主党の辻元清美です。

 航空法等の一部を改正する法律案について、まず初めに、保安検査の受検の義務づけ等に係る制度の創設についてお伺いしたいと思います。

 大臣にお伺いします。

 今回の改正によって、国は、危害行為防止基本方針を策定することとなっております。テロの危険については今までもずっと指摘されてきたわけなんですけれども、なぜ今になって方針を策定することになったのか、もっと早くすべきだったんじゃないかと思うんですが、なぜ今か、まずお答えください。

赤羽国務大臣 特に、保安検査につきましては、私、一昨年の九月の十一日に大臣に就任をいたしましたが、就任直後から検査をめぐるトラブルが、発生が続きました。また、私自身も様々現地の調査をしながら、保安検査員の担い手の不足ですとか、現場での労働環境、待遇の問題等々、構造的な要因の存在などがあるということに直面したわけでございます。

 こうしたことは、国交省として保安検査に係る課題を抜本的に解決していくべきだということを私自身も指示をいたしまして、昨年六月から学識経験者ですとか保安検査の関係者で構成する有識者会議で議論を重ね、本年三月に中間取りまとめを行ってきたところでございます。

 これを受けまして、保安検査の受検義務ですとか検査会社に対する国の監督の強化等に加えまして、国土交通大臣が基本方針を策定する。これは、基本方針の中身は、ハイジャックですとかテロ等の危害行為を防止するための基本方針を策定するということにしたところでございます。この基本方針におきまして、国が主体的に保安対策全体の総合調整を行うとともに、諸課題の解決に向けて国が主導的役割を果たすということも明記させていただいております。

 こうした課題の解決を全力で図りまして、より一層の航空安全対策の強化を図ることとしたく、今国会に法案を提出させていただいた、そうした次第でございます。

辻元委員 今、大臣の御答弁の中にも、保安検査をめぐるトラブルがあったという御発言がありましたけれども、国交省ではどんなトラブルを具体的に把握しているんでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 保安検査をめぐるトラブルといたしまして、今大臣からも御答弁がございましたが、令和元年九月に、大阪国際空港におきまして、保安検査員がナイフを検出したものの、検査員間の連携不足によって誤って旅客に返してしまった、これによりまして、保安検査をやり直し、多数の欠航・遅延便が発生して、多くのお客様に影響を及ぼした事案が発生をいたしました。このほかにも、保安検査ではナイフなどの機内持込み制限品は検出されなかったものの、お客様からの申告によって持込みが発覚したような事案などがございました。

辻元委員 もう一つ、先ほどの答弁で、保安員の体制、離職率も高いと聞いております。そこも専門家からも御指摘があったと大臣が御答弁されましたけれども、この保安員が抱える問題、離職率がなぜ高いのかなど、国交省ではどういうことを把握されていますか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 保安検査員は、お客様から保安検査をする際にいろいろとクレームを受けたりとか、それから、実際の労働時間につきましては、実際にレーンのところで働いている時間ではなくて、拘束時間、便と便の間の拘束時間がございますので、どうしてもその拘束時間が長くなってしまう、これに伴って時間当たりの賃金が低くなってしまう、そういうような課題があるというふうに認識をしております。

辻元委員 今、時間当たりの賃金が低くなるという話がありました。賃金が低くなると離職する人も増える、離職する人が増えたら経験の積み重ねがなくなって、結局、先ほどナイフの問題が出ましたけれども、悪循環に陥っている。これをやはり抜本的に立て直さなきゃいけないと思うんですけれども、国と航空会社、空港会社と、今までどんな連携をしてきて、今回、この法律を改正することによって大きく何が改善されるのか、変わるのか、お答えください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 保安検査などの航空保安対策は、これまで、国際民間航空条約に基づきまして、国土交通省が通達を策定し、保安検査を実施する航空会社や空港を管理する空港会社等の関係者が、この通達に従いまして具体的な対策を講じるとともに、空港ごとに設置されております保安関係者の協議会等の場を通じた情報交換や連携を行ってまいりました。

 しかしながら、この通達には、事案発生時の対処方法や配備する検査機器の具体的な性能など、航空保安対策を実施する上での実務面、技術面の詳細を定めております。そういう意味で、保安検査に係る現場の課題を今後どのように改善していくかなど、保安対策の在り方等については明記がされておりませんでした。

 そのため、新たに法律に基づき国が策定、公表する危害行為防止基本方針におきまして、例えば、協議会等の場において、技術的な側面以外の現場の抱える様々な問題も含めて情報共有や連携の強化を図るなど、関係者間の役割分担と相互の連携協力の方向性を明確化することといたします。

 加えて、国は、必要に応じて、基本方針に基づいて関係者に対し指導助言を行うこととしており、これらも通じて関係者の連携強化を図ることにより、実効性を持って航空保安対策の一層の強化が図られるものと考えております。

辻元委員 今、役割分担という言葉がありました。そうしますと、例えば、具体的にちょっとお聞きしたいんですけれども、空港で検査を見逃してしまって、航空機の中でテロが起こってしまったというような事案が発生した場合、責任の所在はどこになるんですか。航空会社なんですか、検査会社なんでしょうか。それとも、国、最終的には、国が主体的に今回の法案ではマネジメントしていくという言葉も入っています。そして、この保安検査会社に対しても、国からいろいろなことができるようになりますが、テロが起こった場合、どこが最終的な責任になるんでしょうか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在の保安検査の位置づけは、航空会社の運送約款におきまして、お客様に……(辻元委員「もうちょっと大きい声で言ってもらってもいいですか。マスクがあるので、なかなか聞こえにくいです」と呼ぶ)はい。恐れ入ります。

 現在の航空保安検査につきましては、航空会社の運送約款に基づきまして、お客様に検査をお願いをしているという位置づけでございます。したがいまして、何か検査の見逃しなどがあったというような場合には、その態様によって若干変わってくる可能性がありますが、基本的には航空会社がお客様に対して責任を負う、そして、お客様に対するものの責任を負った上で、航空会社と検査会社の間でその責任を分担をするというような考え方かと思います。

辻元委員 国はどういう責任を負うことになるんでしょうか。主体的にマネジメントしていくということになっています。そうすると、この法案が変わることによって、国の責任は、どういうところが責任になるんでしょうか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の航空法改正におきまして、国がハイジャックやテロ等の防止に関する基本方針を策定することといたします。そして、その基本方針の中で、先ほど御答弁が大臣からありましたように、国が主体的に保安対策全般の総合調整を行うことでありますとか、先進機器の導入又は検査員の労働環境の改善など、現場における様々な課題の解決に向けて、国が主導的に取り組むということを明確に位置づけることとしております。

 また、この基本方針に基づきまして、保安対策の実施状況や今後の方向性も見据えながら、関係者に対し指導助言を行うということを法律上規定をいたしております。

 さらに、保安検査業務の受委託に関する基準を定めるとともに、検査会社に対して必要な指導等を国が直接を行えるようにする等、国の現場への関与を深めるということといたします。

 したがいまして、国がこれから、今申し上げたような中身について主導的な役割を果たして、問題が起きないように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

辻元委員 このテロ対策というのは、結局、一番怖いのは、爆発物の持込みとか、そういうことを見逃してしまって大きな惨事に至るというのを、まず、最大限防がなきゃいけないわけじゃないですか。このテロ対策の責任は、最終的には国が負いますよね。これは世界中、この責任主体、そして実施主体が、アメリカとかドイツは国がやっていて、その他、航空会社とか空港会社などが行っているところも多いんですけれども、今世界中で、国の関与をどこまで強めるかという方向でのやはり議論をせざるを得ないという状況になっているわけです。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、これはやはり、もしも、そういうテロなんかが起こったときに、航空会社や検査会社に法的な何か責任が生じるわけでもないんですよ、やはり。何か、あなたたちが悪いといって、その検査員を逮捕するとか罰することもなくて。そうなってくると、では、経済的な損失については航空会社が、そこで被害に遭った人の損失を賠償する、普通はそうなるんじゃないかと思うんですが、保険も掛けていると思いますので。しかし、そういう事案が起こったら、国家の信用が失墜するんですよ、最終的には日本の。

 もしも、これが外国のキャリアで、外国のキャリアも日本の検査会社に委託していますよね。世界中から外国のキャリアも入ってきているわけですよ。日本の検査会社が見逃してしまったために、外国のキャリアで大きなテロが起こったとき、外国のキャリアからとってみたら、この検査会社を、どうするんですか、訴えるんですか。見逃したからといって、どういうふうになるんでしょうか。どのようにお考えですか。

 というような問題を整理しなきゃいけない。今、特に国際的なテロの問題というのは、世界中で非常に懸念されているわけですね。なかなか答えにくいと思うんですよ。

 では、ちょっと局長にお聞きします。

 外国のキャリアがテロに遭って、それを見逃しちゃったら、この外国のキャリアは、検査会社に対して、どうなるんですかね。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な契約、委託関係について、ちょっと前提がないので正確にお答えできるか分かりませんが、外国の航空会社が、恐らく、日本の空港会社に委託をするか、若しくは日本の航空会社に委託して、更にそれを再委託で検査会社に委託をするというような形かと思います。

 そこの間の責任の分担については、どのような形でその契約が定められているかとか、様々なケースがあり得ると思いますので、一概にちょっとお答えするのは難しいかなと思います。

辻元委員 というように、昔とちょっと状況が変わってきていまして、それぞれがどういう契約をしているかということだけれども、責任をなかなか負いかねるような状況になるんじゃないかというように思うんですね。

 ですから、今これは継続的に、実施主体を含めた役割分担の在り方、また私は、最終的に、やはりこの航空、空港の保安体制というのは、アメリカのように国が最終責任を取るというような方向での議論もせざるを得ない時代に入ってきているんじゃないかなと。いろいろ調べてみると、既に、民間が責任主体になっているところも、非常に各国、いろいろな議論があるようなんですね。

 大臣、いかがでしょうか。今、専門家の皆さんで御議論いただいているところを継続して、やはり、国の関与をもっと増やす、又は責任主体を国に持っていく方向も含めて議論をした方がいいと思うんです。これは検査員も荷が重いですよ、本当に。いろいろなことがありますのでね。

 それと、今、サイバーテロもあるわけです。幾ら入口で、ナイフはないかしらとか、爆発物はないかしらといったって、サイバーはどうするのかとか、いろいろなことがありますので、そういうことも含めて国の関与をもうちょっと増やさないと、いろいろなことが起こってからでは遅いですからね。

 大臣、そういう方向で議論をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 方向性は辻元委員の言われたとおりだというふうに思っております。

 現在、航空会社がその現場の検査会社に委託をするということで、様々私先ほど申し上げましたように、結構連続して同じようなことが起こり、相当多くの乗客の皆様、関係ない乗客の皆様も滞留させてしまったようなことも起こりまして、現場をいろいろ見ると、極めて、何というか、このままでいいのかということを私は率直に思いました。

 その現場の委託を受けた会社がどれほど現場力を持っているかといったこともよくチェックしなければいけないのではないかとか、様々な課題が浮き彫りになった中で、やはり国の関与、具体的に、アメリカ、ドイツのように、国が直接保安検査をやるかとか、ヨーロッパの多くがやっているように空港会社に担わせるのかとか、かつては航空会社がやっていたところがメジャーだったと思いますが、今、日本みたいな形は非常にマイナーになっているとか、そうしたことの状況の中で、かつ、先ほどお話もありましたが、国際テロを防ぐという意味では、日本が穴になってしまうようなことはまずいので、基本的には、国際社会で、責任という意味では、国がしっかり関与していかなければ国際テロはやはり防げないというふうに思いますので、そうした意味で、国が主体的な、主導的な役割を担う。

 それで、どうするのかというのは、そうした方向性の中で、基本方針の中で書かせていただいておりますが、そうした具体的な、まあ空港によって、日本の国内空港はそれぞれステータスもちょっと違うものですから、一概にやるのがいいのかどうかも含めて、いずれにしても、国が関与する形で、どういう具体的な在り方があるかという検討をし、また、保険の在り方等々も一緒に議論していただいたりして、リスクをミニマイズするということ。

 あと、他方、検査機器なんかもやはり相当いいものが出ておりますので、それは、世界最高水準のものに、極力導入を支援するような形も考えていくとか、やはり抜本的な見直しをしなければいけないということで、繰り返しになりますが、本法案の提出をさせていただき、引き続き、成立をいただいた後は、基本方針に基づいて、具体的な、そうした方向での議論を進めていかなければいけない、こう考えています。

辻元委員 今、日本が穴になってはいけないというお話があったんですが、既になっているんですよ。カルロス・ゴーン氏は何で逃亡したんですかね。

 要するに、あれも、関空はいけると踏まれてビジネスジェットが入ってきて、大きな荷物は、日本の今までのルールだとこれは検査しなくてもいい、要するに、検査をしなければならないと機長の指示があればするけれども、機長の指示がなかったらビジネスジェットの場合は素通りだったと聞いています。

 今回は機長の指示がなくてもビジネスジェットも検査するというふうに変えたようなんですけれども、大臣、これは大失態だと思うんですよ。逃亡させちゃったわけですよね、実際に。これは日本の威信が落ちるわけです。日本は要するに国際的な逃亡ができる国と世界中に発信されて、世界中が驚きました。そして、もしも、ビジネスジェットでいろいろなものを密輸しようとか、そういうこともあるかもしれない。

 ですから、空港での荷物検査であったり、いろいろなチェックというのは、私は国家の信用に関わるものだと思うんですね。(赤羽国務大臣「ちょっといいですか」と呼ぶ)何か言いたい。どうぞ。

赤羽国務大臣 国際線のビジネスジェットのルールは、日本だけちょっと特殊だったということではなくて、テロ対策ですから、そのビジネスジェット、お客は限られているわけですので、テロの危険があるかないかという機長の判断で一つ一つの荷物をチェックしなくてもいいというのは、これは世界でも一緒です。日本だけ特殊な例だったというわけではございません。ですから、世界が驚愕したのは、日本のルールに驚愕したのではなくて、カルロス・ゴーンというその本人に、あの事案に驚愕したのであるというふうに、私はそう受け止めております。

 ただ、全体的に、日本は総じて、リスク管理とか、そうしたものがどうだということは、私は、それはしっかり受け止めてやらなければいけないということで、ちょっと、そのビジネスジェットのルールが当時として日本が何か劣後していたとかということではないというふうに私としては認識をしております。

辻元委員 しかし、世界中で、そんな逃亡したというのは聞いたことがないんですよね。それで、今度は強化するんですね、ここも。強化するということなんですね。

 最初の話に戻りますけれども、今、日本の場合は、協議会をつくったり、海外のキャリア、空港会社、それから保安検査をする会社とか、多岐にわたる調整みたいなことをやってきて、今回、国がそこに対しても、直接、保安検査の会社なんかにもいろいろなことができるようにしたわけですけれども、私はやはり、もうちょっとすっきりさせる、そして、将来的にはアメリカやドイツのように国に集約していくのがいいんじゃないかなと思っております。

 そして、費用負担なんですよ。

 先ほど、人件費、要するに賃金も時給が低いという話もありました。やはりこれは、航空会社も含めて、今相当の損失を出していますよね。パンデミックみたいなことがあれば、航空会社も大打撃を受けるということも今回分かったわけです。大打撃を受けても、この航空保安に係る費用等は削ることができない。非常に重荷にもなってきます。

 例えば、紛争や、これは米中の衝突なんというのがあってもらっては困るわけですけれども、何が起こるか分からない中での保安体制というのは、私は、航空会社を始め、民間だけでというのも難しい事案になるんじゃないかなと思っています。ですから、この責任主体と費用分担の在り方も、私は、国もある程度コミットメントしていかざるを得ないんじゃないかというように思うんですね。

 ですから、大臣、そういうことも含めて、いろいろな社会現象が起こってきますので、今後検討してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 それもしっかり検討させていきたいと思っております。

辻元委員 本当にこれは、この先、さっきのサイバーも含めて、どんなことが起こるか分かりませんので、この検討会は、もう一度、論点洗い出し。一つは、国の関与と責任の範囲を更に強める。私は、最終的には国が水際を全部引き受けるぐらいのことをせざるを得なくなるんじゃないか。それから、費用負担も含めて、しっかり検討をしてほしいと思います。今、大臣、そういうことも含めて検討してくださるという御答弁でしたので、是非やっていただきたいと思います。

 次に、もう一つ、この法案の中で、航空運送事業基盤強化方針というのについて質問をいたします。

 ここで、具体的には、今回のパンデミックなどで着陸料などの減免などを行うに当たり、事業者には航空運送事業基盤強化計画を策定していただくということ、国は航空運送事業基盤強化方針を出すということになっていますが、ここの中で、設備投資の事項がございます。この設備投資は、具体的に国交省ではどういうことを想定していますか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 航空会社が作成する航空運送事業基盤強化計画には、国が定める基盤強化方針の内容を踏まえまして、航空ネットワークの維持、確保に向けて、コスト削減でありますとか資金調達等、航空会社として取り組んでいく内容を記載いただくこととしております。

 一方で、航空会社には、航空ネットワークの維持や、ポストコロナも見据えた訪日六千万人目標の達成に資するような機材の導入など、各航空会社の規模や経営環境等に応じて、必要な設備投資についてもしっかり行っていただく必要がございます。そのため、今年度には、着陸料や航空機燃料税等の減免による千二百億円規模の、相当踏み込んだ支援を実施することとしております。

 このため、各航空会社には、設備投資の方針を計画に記載していただき、実施状況を報告いただくことで、着陸料等の減免目的を実効性あるものとすることとしております。

辻元委員 大臣、この基盤強化方針に、私は、設備投資などに当たって、カーボンニュートラル、グリーンの概念を入れたらどうかということを提案したいんですね。是非入れていただきたい。

 これはDBJ、日本政策投資銀行も、危機対応融資とかいろいろやっていますね、今、航空会社に。この間、ANAホールディングスとの間で、劣後特約付シンジケートローンの契約を発表いたしました。締結したということ。この中にも、財務省のコロナリバイバルファンドというのを活用するに当たって、指針の中に、情報技術の進展や、こういうことが書かれています、環境社会への配慮の要請が高まって、それに見合うような生産性の向上、航空機でいえば、機材の買換えのときに、環境負荷低減を実現する中型の機材の投入とかCO2排出についての配慮、こういうことが財務省から指針で示されております。

 私、この国交省が示す方針の中に入れたらいいと思うんですが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 そういう方向で、もう考えております。

 二〇五〇年カーボンニュートラルという実現を目指しまして、航空分野におきましてもCO2削減のための取組を強化するという観点から、本年三月に、運航に関する分野、空港に関する分野、それぞれで、有識者や関係者で構成する検討会を立ち上げまして、CO2排出削減について、中長期の取組の方向性に関する検討を進めていただいております。

 ですから、今後の航空会社の競争力強化という観点から見ましても、例えば、低燃費の機材の導入ということが競争力強化に資するというふうに私たちは認識をしておりますので、航空運送事業の基盤強化には、そうした脱炭素化を含めた省エネ対策等々は、私は必然の項目になるというふうに認識をしております。

辻元委員 大臣、フライトシェームという言葉を御存じでしょうか。今、ヨーロッパで広がっております。要するに、航空機はCO2をたくさん出すから乗らないというような利用者もいるわけですね。

 そういう中で、このCO2の削減というのは、一見、経費の増加に見えるんですけれども、最終的には、お客様の意識が非常に変わってきていますから、これから選択される航空路線のキャリアというのは、CO2排出を抑えている努力をどれだけしているかということで、国際的にも競争は激しいですから、そういう飛行機に乗ろうというように意識がどんどん変わってきているわけですね。

 ですから、そういう意味でも、このカーボンニュートラルの概念をしっかり基盤強化の方針に入れていくということは、将来の競争力を高めることにつながると思います。

 それに当たって、例えばICAOでもいろいろなものを採択しておりますし、日本でも義務化ということになって、しかし、航空会社は非常に負担になるわけです。肝はバイオジェット燃料の実用化とか、これは高いですから、いろいろありますけれども、私は、将来の投資という意味で、国の方針のカーボンニュートラルに資するような設備投資をこれからしていくところに対して、今、航空会社は相当、一兆円近いような負債を抱えていますので、税の優遇とか、それからバイオジェット燃料の研究開発、これは経産省と話をしていただいて、二兆円の基金を積んでいますので、あれで積極的にやっていただくとか、そういうことを是非お願いしたいというように思います。これは要請をしておきたいと思います。

 それが、将来の、今苦しいけれども頑張っている航空会社に対して、カーボンニュートラルに資するような施策、将来的に国が応援していくということであれば、そこの負担が減るわけです。

 前回の国交委員会で、私は、鉄道への支援、今、真水のお金を入れることができないならば、ホーム柵とか、それからバリアフリーとか、将来の設備投資に対しての負担割合を減らして応援したらどうか。これは、将来の競争力に国が投資する、各国に負けない投資をするという概念ですから、これはしっかり優遇を検討してほしいと思います。いかがですか、最後。

赤羽国務大臣 先ほど、そのような趣旨で答弁したつもりでございますけれども、今、政府を挙げて、二〇五〇年カーボンニュートラルということであります。

 航空業界だけではなくて、例えば自動車業界も、このカーボンニュートラルへの挑戦というのは一時的には大変なコスト増になるかと思いますが、それを突き抜けるということが経済成長につながるというのは、これは菅総理も申し上げているところでございまして、そういう意味では、政府を挙げて、国交省だけではなくて、これはNEDOの予算等々を使っておりますので、経済産業省も含めて、政府を挙げてこの二〇五〇年カーボンニュートラルを実現する、それに資する支援策も積極的に検討してまいりたい、こう考えております。

辻元委員 是非積極的にお願いします。

 前回ここで私が提案しましたワクチンタクシーやバスについても、前回のときに、三つの自治体ぐらいしか事例をいただいていなかったんですが……

あかま委員長 辻元君に申し上げます。

 時間が過ぎておりますので、簡便にお願いします。

辻元委員 三百自治体ぐらいに広がっておりますので、是非、そういうことも含めて、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

あかま委員長 次に、加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 おはようございます。山形三区選出の加藤鮎子でございます。質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 早速でございますけれども、質問に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、今回の法改正、無人航空機の安全確保に関する質問でございます。

 無人航空機は、今や、農薬散布、橋梁の点検、空からの撮影ですとか測量、また幅広い場面で活用をされています。また、物流分野におきましても活用がされつつありまして、ドローン活用は、買物の支援を始め、地方の過疎地、離島などの地域課題の解決や、トラックドライバーの人手不足の解消に向けた対応策の方策の一つになることも期待をされております。

 今般の改正案による新たな制度においては、レベル4、つまり有人地帯における補助者なしの目視外飛行の承認を受けることが必要とされています。一方で、物流などでの活用を考えた際に、将来的には、定期的な荷物配送等に使用されるような状況も予想がされます。そのような状況になったときに、個別の許可、承認の手続を一回一回取るということは事業者にとってかなりの負担になってしまうことがある、そういう可能性があると考えます。

 そこで、手続の簡素化についての政府の考え方をお聞かせください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 無人航空機を活用した事業は、今後、各事業者の創意工夫によりまして事業形態が定型化していくものと考えておりますけれども、制度開始当初におきましては、安全確保の観点から、個別の飛行ごとにしっかりと内容を確認することが必要であると考えております。

 一方で、今後、事業形態がある程度定型してきた段階では、第三者上空の飛行を反復継続する事業者のうち、非常時における危機管理等の運航管理体制が確立されている場合などには、包括許可等の柔軟な運用を行うこともあり得るというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、無人航空機の飛行の安全、安心を十分に確保することを前提として、事業者等が無人航空機を活用しやすい環境を整備することにより、無人航空機の利活用の拡大を後押ししてまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 許可、承認を求めて安全性を確保することも大切でありますが、是非、条件さえそろえば、ユーザーにとって負担の少ない手続にしていただくことも併せてお願いをいたしたいと思います。

 次に、操縦ライセンス制度について伺いたいと思います。

 無人航空機の操縦ライセンス制度の創設に当たりましては、利用者と行政それぞれの負担を軽減する観点から、既存のドローンスクールのノウハウや体制を活用することも重要だと考えます。新たなライセンス制度における既存ノウハウや体制の活用について、政府の方針をお聞かせください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 無人航空機の操縦者の技能証明は、飛行の安全に直結するものでありまして、厳格かつ公正に実施することが必要であります。

 一方で、委員御指摘のとおり、既に無人航空機の講習を行う民間のドローンスクールが相当程度存在をするため、このような民間機関と連携していくことが、行政事務の効率化やユーザーの利便性確保の観点からも望ましいと考えております。

 こうした観点から、本法案では、適切な講習実施能力を有する講習機関の登録制度を設けることとしております。具体的には、講師や設備などに関する一定の要件を満たすドローンスクールは登録講習機関となることを可能とし、当該機関が行う講習を修了した場合には、技能証明の取得に当たりまして、学科又は実地試験の全部又は一部を免除できる仕組みを盛り込んでございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。是非、これまで既に汗をかいてくださった方々の知恵や経験が、いい形で生かされることを期待をしてまいりたいと思います。

 今回の法改正の意義を考えますと、実際に新たな制度を使ってビジネスが前向きに展開していくことが非常に重要なんだろうと考えております。物流分野でのドローン活用に向けた取組状況と、今後の活用の更なる拡大に向けた国交省の取組方針をお聞かせください。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローン物流につきましては、委員御指摘のように、離島とか山間部などにおけます物流網の維持でありますとか災害時の物資輸送、そういった地域におけます社会問題の解決の手段として期待をされておるところでございまして、その推進はとても重要なことであるというふうに認識をしてございます。

 このため、国土交通省におきましては令和二年度から、過疎地域等におけますドローン物流の実用化に係ります計画の策定とか、機体や設備等の導入に対する補助制度というものを創設をいたしまして、昨年度、全国十三地域におきまして実証事業を実施しておるところでございます。

 これらの実証事業におきましては、立入り監視員の配置であるとか配送先での受取方法等の実施体制のほか、運航に必要なランニングコストに対応した収入の確保策、そういった持続可能な事業運営を行っていく上での課題というものが明らかになっておるところでございます。

 このため、これらの課題の解決策を整理した上で、更なる利用促進を図るためのガイドラインを作成、充実するとともに、今年度も引き続き実証事業を実施することとしておりまして、こうした取組によりまして、ドローン物流の社会実装を確実なものにしてまいりたいというふうに考えてございます。

 国交省としましては、レベル4飛行の実現によりまして、物流事業の選択肢が広がると考えてございます。利用促進ガイドラインなども活用しながら、レベル4飛行によるドローン物流の実現につなげてまいりたいというふうに考えてございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非、民間の方々の前向きな投資なども進むような実証事業の成果の共有ですとか、あるいはガイドラインの方の策定とその共有、是非頑張って前に進めていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。

 今後、レベル4の実現に伴いまして、第三者の上空も含めてドローンの更なる利用の拡大が見込まれますが、今回の改正案では、ドローンの事故についても運輸安全委員会が調査を行うとあります。運輸安全委員会はどのような事故を調査し、事故の再発防止を図っていくのか、お聞かせください。

城福政府参考人 お答えを申し上げます。

 運輸安全委員会におきましては、今回、航空法において新たに規定されます無人航空機に係る事故、そのうち、重大な事故を調査対象とするものであります。具体的には、死亡事故や重傷事故、有人機との衝突事故など、社会に及ぼす影響が大きく、同種の事故の再発防止に対する社会的要請が大きい事故を想定しております。

 今後も、事故調査の適切な実施によりまして、事故の再発防止、被害軽減に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。調査が再発防止にしっかりとつながることを期待を申し上げたいと思います。

 ドローンの質問は最後になりますが、ドローンの活用が物流分野の人手不足解消に貢献するといったことが一つのいい例でございますように、新しい技術の活用は社会を豊かにするものだと考えます。

 ちょっと広く伺わせていただきますが、今後、空の分野における技術革新をどのように進め、どのように社会へ役立てていくのか、その意気込みを実は大臣に伺いたかったところでありますが、今参議院にいらっしゃるということでありますので、政府参考人にその意気込みをちょっと伺わせていただきたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 空の分野におきましては、物流やインフラ点検、災害時の活用等、幅広い分野での無人航空機の利活用拡大や、新たな輸送モードとして期待される空飛ぶ車といった次世代航空モビリティーを推進し、空の産業革命、空の移動革命を起こすことが期待をされております。

 これらの安全を確保し、社会実装していくためには、機体の開発や技術実証を早急に進めていくことが重要であります。このため、国土交通省といたしましても、昨年九月から、ドローンの技術実証を積極的に行うことができるよう、航空法における飛行許可手続等の柔軟な運用を開始しております。

 また、次世代航空モビリティーの安全基準等の整備をメーカーの機体開発と連携をして進めていくということも重要でございまして、本年四月から航空局内に、このような事務を一元的に担う次世代航空モビリティ企画室という新しい組織も発足をさせております。

 さらに、本年四月より、航空局の職員を、機体の開発や技術実証の拠点として整備されている福島ロボットテストフィールドに派遣し、常駐させ、現場で制度面の助言を直接行うなどのサポートを行っているところであります。

 今後も、関係省庁や民間企業とも連携の上、次世代航空モビリティーの機体開発や技術実証などが速やかに、かつ円滑に行える環境の整備を進めるなど、無人航空機の利活用拡大や空飛ぶ車の社会実装に向けた後押しをしてまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。省を挙げた意気込みを感じられましたので、是非しっかり前に進めていただくことをお願い申し上げます。

 残り二問は、航空ネットワーク確保と保安検査についての質問でございます。

 度重なる国内のコロナの感染再拡大や国際線の需要の蒸発によりまして、今、国内の航空会社は悲鳴を上げております。本邦航空会社十七社合算の昨年度の売上高は、前年比マイナス二兆円以上、営業損益は約一兆円となっておりまして、航空会社にとって非常に厳しい経営状況が続いております。

 ドイツを始めとして海外では、航空会社を支援するために公的資金を注入するなど、より踏み込んだ支援策を取っております。我が国においても同様の踏み込んだ支援が必要になってくるのではと考えますが、その点につきましての政府のお考えをお聞かせください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 このほど、航空大手二社の二〇二〇年度の通期の決算が発表され、最終損益は、ANAが約四千億円、JALが約二千九百億円の赤字という、極めて厳しい結果になっております。

 こうした中、大手二社を始め各社では、影響の長期化も念頭に置いた上で、人件費を含む固定費の削減や、資本性資金の調達、また、公募増資等によりまして当面の手持ち資金を手厚くするなどの努力を行っているところでございます。

 国といたしましては、これまでも、危機対応融資等の活用による資金繰り支援でありますとか、雇用調整助成金などの支援を行ってきたほか、令和三年度におきましては、千二百億円規模で着陸料や航空機燃料税等の減免を行うなど、相当踏み込んだ支援を実施することとしており、まずはこうした措置をしっかりと実施してまいりたいと考えております。

 なお、一部の国で行われている航空会社に対する資本注入につきましては、我が国の航空会社は諸外国の航空会社に比べて自己資本比率が高く、財務基盤は比較的健全な状況にあることから、現時点では検討しておりません。

 引き続き、航空需要の動向や経営状況を注視しつつ、航空会社の実情をよく聞いて、適時適切に対応してまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 厳しい環境と、また航空会社の実情をしっかり把握しながら、引き続き注視しながら検討をしていただきたい、そして力強い支援もお願いしたいと思っております。

 最後に、保安検査についての質問であります。

 飛行機の中といえば、外部から遮断された密室で、先ほどからの質問でもありますように、ハイジャックやテロを始め、様々なリスクを想定する必要があります。飛行中はもちろん、その前後も含めて、旅客の安全をしっかりと確保することが重要なのは言うまでもありません。保安検査の確実な実施のためには、現場関係者のしっかりとした連携強化と、国のリーダーシップ、さらには、保安検査現場における量的、質的向上が求められると考えます。

 先ほど、コロナ禍の影響で航空会社が大変厳しい経営状況にあると申し上げましたが、その影響は保安検査の現場にも波及をしております。例えば、コロナの影響による減便によって保安検査業務が減れば、委託を受けて保安検査を現場で実施する警備会社等の方々にも影響が出てまいります。

 どんな影響かといえば、例えば、元々発着便数の少ない、とある地方空港では、コロナ禍の今は、朝と夜の二便しかないといった空港もあります。コロナ前は四、五便あって、ほぼ一日中稼働していたので、検査業務を実働時間契約で請け負ってもさほど差し支えなかったわけですが、コロナ禍の今は朝と夕だけ検査、つまり、拘束時間は長いのに実働時間契約では苦しいなどという、業者、受託者サイドへのしわ寄せなんかも起きてくるわけであります。

 需要が回復したときに備えて、質、量、共に、しっかりとした保安検査を行える現場の人材を確保しておくためにも、処遇の改善も含めた検査現場の運用改善が不可欠ではないかと考えますが、この点につきましての今後の国交省の対応を伺います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 保安検査を確実に実施するためには、航空会社、空港会社、ターミナルビル会社、検査会社など、多岐にわたる関係者の連携を強化するとともに、現場における運用面での様々な課題の解決や、必要な改善を図っていくための取組が不可欠というふうに考えてございます。

 そのため、新たに法律に基づいて国が策定、公表をする危害行為防止基本方針におきまして、例えば、空港ごとに設置されている保安関係者の協議会等の場におきまして、技術的な側面以外の現場の抱える様々な問題を含めて情報共有や連携の強化を図るなど、関係者間の役割分担と相互の連携協力の方向性でありますとか、ただいま御指摘をいただきました保安検査員の労働環境の改善方策について検討することなどを方針の中にしっかりと明記をして、検討してまいりたいと思っております。

 加えて、国は、必要に応じて、基本方針に基づき、関係者に対し指導助言を行うこととしており、これらを通じて関係者の一層の連携の強化を図ることにしております。

 それから、現場の運用についてもいろいろと考えていく必要がございます。今般の航空法改正によりまして、保安検査業務の受委託に関する基準を定めるとともに、国が、航空局が検査会社に対して必要に応じて報告徴収、立入検査を行うことができるようにすること、また、指導助言を行うといったことを通じまして、現場の運用改善についても適切に関与できるようにすることとしております。

 これらを通じまして、航空保安対策の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 是非、国のリーダーシップを強化していただいて、また、さきに訴えさせていただいた航空会社への支援なども併せて行いながら、現場の運用改善を進めていただくこともお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

あかま委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 通告に従い、航空法等の一部を改正する法律案につき質問をさせていただきたいと思います。

 本法律案は、最近における航空輸送及び無人飛行機をめぐる状況に鑑み、国土交通大臣による航空運送事業の基盤強化に関する方針の策定及び必要な支援の実施、危険物等所持制限区域に立ち入る旅客等に対する保安検査の受検の義務づけ、また、無人航空機の有人地帯での補助者なし目視外飛行の実現に向けた制度の整備、運輸安全委員会による無人航空機に係る事故などの原因を究明するための調査の実施などの措置を講ずるための改正であるというふうに承知をさせていただいております。

 いずれも大切な内容を含む改正でございますので、先ほどの加藤委員に続きまして、しっかり国民の皆様に十分な御理解を得られるような質問の機会としてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、国土交通大臣は、世界的規模の感染症の流行などにより、航空運送事業に甚大な影響が発生し、航空ネットワーク確保に支障を来すおそれがあると認められる場合に、利用者利便の確保などの観点から、航空運送事業基盤強化方針を策定することとされているというふうに理解をさせていただいております。

 では、新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延する今、まさに今こそがこの場合であると私は考えますけれども、法律案成立後には速やかにこの方針を策定するという理解でよろしいでしょうか。御答弁いただければと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法改正により新たに設ける航空運送事業基盤強化方針でありますが、世界規模の感染症の流行などによりまして、航空会社の経営に甚大な影響が生じ、国際線、国内線の航空ネットワーク維持が困難になるような事態が発生した場合に、利用者利便への著しい影響を回避し、安全かつ安定的な輸送を確保するために国が定めることとしております。

 まさに今般のコロナ禍は法の定める要件に該当すると考えておりまして、国と航空会社が一体となって基盤強化の取組を進めていくために、法律施行後、速やかに方針を策定、公表してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 その方針についてお聞きしたいのですけれども、改正案では、本邦航空会社は、今御質問させていただいた強化方針を踏まえて、航空運送事業基盤強化計画を作成し、同計画の実施状況を定期的に国に報告することとなっております。

 私は九州・沖縄比例ブロックから選出をさせていただいておりますが、九州には離島がたくさんございます。このような地域特性から、離島その他の地方航空会社の運航に従事する地域航空会社も存在をいたします。

 そこで、今お話ししましたこの強化計画、これはそのような地域航空会社も策定することになっているのでしょうか。お教えいただければと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 今般の法改正による航空運送事業の基盤強化は、一般旅客が利用する航空ネットワークの維持、確保が目的でございます。そのため、航空運送事業基盤計画につきましては、離島路線などを含みます地域航空会社も含めて、定期の旅客運送を行っている航空会社に策定、届出をいただくこととしております。

 なお、計画の記載内容につきましては、航空会社の規模や置かれている経営環境等によって異なると考えられますので、各航空会社とも相談をしながら、過度な負担にならないよう十分に配慮をして運用してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 過度な負担にならない点は是非お願いを申し上げたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、改正案においては、国土交通大臣は、航空機などに対するテロ等の危険行為防止のための基本指針を作成するということになっております。テロなどの危険行為防止のための取組は、別に、これから始まるわけではなくて、これまでもしっかり取組が行われてきたことだと存じ上げます。

 では、本改正案でテロなどの危険行為防止のための基本指針を策定することとなった理由についてお教えいただければと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 航空保安検査は、お客様の安全を確保する上で必要不可欠なプロセスであり、着実かつ適切に検査を実施していく必要がございます。

 この航空保安検査でありますけれども、国際民間航空条約に基づきまして、国土交通省が通達を策定し、実施をしてまいりました。

 この通達でありますけれども、航空保安対策を実施する上での実務的、技術的な詳細を定めたものでありますけれども、今後どのように改善していくかといった保安対策の在り方等については明記をされたものではありません。

 また一方で、保安検査については、近年、検査をめぐるトラブルの発生でありますとか、航空保安検査員の担い手不足や現場での労働環境、待遇の改善といった構造的な要因の存在など、多くの課題に直面をしております。

 このため、国土交通省といたしましては、こうした保安検査に係る課題を抜本的に解決していくことを目指しまして、昨年六月から学識経験者や保安検査の関係者で構成をする有識者会議で議論を重ね、本年三月に中間取りまとめを行っていただきました。

 これを受けまして、今般、航空保安対策の一層の強化を図るため、国が法律に基づいて、危害行為防止基本方針を策定、公表することとし、その中で関係者の役割分担また連携、これを明確化をし、保安対策全体に対して国が主体的に総合調整を行うとともに、様々な課題の解決に向けて国がリーダーシップを発揮をするということについて規定していきたいと考えております。

 また、先進機器の導入また検査員の労働環境の改善などの課題についても国が主導して解決に取り組むことなどについても、方針の中に書いていきたいと考えております。

吉田(宣)委員 様々国際化されている中、こういったテロが各地でやはりいまだに存在するということでございますので、国民の安心、安全を図るためにも、しっかりこのテロ対策、今改正案を契機に、更に一層深めていっていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 次に、ドローンについて質問を申し上げます。

 無人航空機ですね。近年、人が立ち入れない場所の調査や景観の撮影、また農作業における農薬の散布など、ドローンが様々な場面で活用をされております。活用されるドローンの機体数も増加し、利用される頻度も高くなっていることと推察をいたします。一方で、ドローンに関連した事故も耳にするようになってきました。官邸の屋根にドローンが落ちた事件は、記憶に新しいところでございます。

 そこで、ドローンに関連した事故について、近年の統計をお示しいただきますとともに、どのような事例があったかについてお教えいただければと存じます。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、無人航空機の飛行に関する許可又は承認を行う際の条件といたしまして、無人航空機による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時における機体の紛失、航空機への接近などの事案が生じた場合には御報告をいただくこととしております。

 過去五年間に国土交通省に報告された件数でございますけれども、平成二十八年度は五十五件、二十九年度は六十三件、三十年度は七十九件、令和元年度が八十三件、二年度が六十八件となっております。

 その報告内容といたしましては、例えば、通信状態の悪化によりまして、飛行中に制御不能となって無人航空機を紛失した事案でありますとか、無人航空機がヘリコプターなどの有人機に接近した事案でありますとか、無人航空機が地上付近の風にあおられて操縦者等に接触をした事案などがございます。

吉田(宣)委員 ドローンの事故が大規模な災害に起因するような、そういったおそれもなきにしもあらずであろうかと思いますので、しっかり対策を取っていただきたく存じ上げますけれども、この点、本改正案では、ドローンの安全、適正な活用のために、機体認証の制度であったり操縦ライセンスの制度、また、それぞれの創設、航空運航ルールの整備などが盛り込まれているというふうに承知をしております。

 時間の関係でこの点に関しては割愛をさせていただきたいと思いますけれども、ドローンの活用というのは、国民の様々な社会生活、産業活動に非常に有益なものであるというふうに思いますし、その分、これからも利用頻度が増えてくるであろうと思います。安心、安全な活用に向けた取組、本改正案を契機にしっかり取り組んでいただければというふうに存じます。

 次に、改正案では、無人航空機に係る事故などが新たに運輸安全委員会の調査対象に加えられたとお聞きをしました。では、無人航空機に係る事故などをなぜこのタイミングで運輸安全委員会の対象に加えたのでしょうか。御説明をいただければと思います。

城福政府参考人 お答え申し上げます。

 運輸安全委員会は、公正中立な立場で、複数の専門家の合議で科学的かつ客観的な調査を行い、事故などの原因究明と再発防止、被害軽減に向けた勧告や意見の陳述などを行う事故調査機関でございます。

 今般、無人航空機のいわゆるレベル4飛行の実現に向けて、無人航空機に係る高い飛行の安全性を確保する新たな制度を創設することとしております。

 今後、このレベル4飛行が実現した場合には、第三者上空も含め、無人航空機の更なる利用の拡大が見込まれますが、万が一にも事故等が発生した場合には、第三者の死亡事故など社会的な影響が大きい事態も想定されますことから、無人航空機に係る事故などにつきましても、運輸安全委員会において、的確な再発防止、被害軽減に向けた調査を行うことができるよう措置するものでございます。

吉田(宣)委員 一つ一つの事故事例、こういうのをしっかり検証していただいて未来に生かすという取組というのは非常に大切だと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、最後の質問になりますけれども、東京オリンピック・パラリンピックは、外国からの観客、お客様がいない状態で開催されることが決定をいたしました。長引く世界的なコロナ感染症の蔓延によって、先ほどの加藤委員の質問にもございましたけれども、各航空会社の財務状況も非常に悪化をしているというような状況の中、まだコロナが収束をせず、長期化の様相を呈している中、国内航空産業においては、オリンピック・パラリンピックのお客様の需要というものが失われた状況になっております。私は、大変な、深刻な事態であろうというふうに認識をしております。

 そこで、最後に、大西副大臣にお聞きを申し上げますけれども、航空業界への更なる支援が必要ではないかと私は考えるのですけれども、副大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

大西副大臣 吉田委員御指摘のとおり、航空会社は、新型コロナウイルスの感染症の拡大により、旅客需要が長期にわたって著しく減少し、大変厳しい状況に置かれております。

 大手二社を始め各社では、影響の長期化も念頭に置いた上で、人件費を含む固定費の削減のほか、資本性資金の調達や公募増資等により、当面の手持ち資金を手厚くするなどの努力を行っているところであります。

 国としては、航空業界に対する支援として、これまで、危機対応融資等の活用による資金繰り支援や雇用調整助成金などの支援を行ってまいりました。さらに、令和三年度においては一千二百億円規模で着陸料や航空機燃料税の減免を行うなど、相当踏み込んだ支援を実施することとしており、まずはこうした措置をしっかりと実施していくことが重要であると考えております。

 引き続き、航空需要の動向や経営状況を注視しつつ、航空会社の実情をよく聞いて、適時適切に対応してまいります。

吉田(宣)委員 航空会社の支援、しっかりお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

あかま委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十分開議

あかま委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 そうしましたら、早速質疑に入らせていただきたいと思いますが、今日は航空法の改正案の質疑に立たせていただいたことを、委員、理事、委員長に感謝をしたいと思います。

 それでは、大臣、まず、時間が限られておりますので教えていただきたいんですけれども、今回法改正をして、航空運送事業基盤強化計画を作った航空会社を支援していくという枠組みをつくるということでありますが、この計画を作って航空会社を支援をしていく大きな目的はネットワークの維持だ、こういう話でありますが、雇用について、やはりどうしていくのかということは重要な観点だと思います。

 ネットワークの維持、どこがネットワークなのかという細かな話は後ほど政府参考人に聞くとして、雇用について、大臣、どうされるのか、お答えいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 ちょっと済みません、質問の趣旨を正しく捉えているかどうか分かりませんが、現在、雇用の維持に対して、国として、雇用調整助成金の拡充と延長をさせていただいております。航空事業者についても相当御利用いただいておりますし、加えて、それぞれの会社の中で出向を取ったり、地方自治体ですとか他の企業にも御協力をいただいているところでございます。

 航空ネットワークの維持、確保というのは、航空需要は今大幅に減退をしておりますが、やがて経済が回復していく局面で新たな移動需要に速やかに対応していただけるように、具体的には、これまで、コロナ以前の水準に戻していただくということが必要であるというふうにも考えておりますし、加えて、我々、観光立国という大きな政策自体は変えていきませんので、そうした意味でも、成長戦略の実現に不可欠な空のインフラとしても活躍をしていただかなければいけないというのが念頭に置いておるわけでございまして、そうした交通ネットワークの維持というのは、大前提として、雇用が成り立っていないということでは実現できないというふうに思っておりますので、そうしたことも含めての対応だということで答弁とさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 雇調金はこれから縮小していく可能性も指摘をされていますし、一方で、航空需要はそう簡単に戻らないんじゃないかという指摘もあります。

 各社の決算や、また来年の見通しを見ると、先ほどからも議論がありますが、全日空さんが四千六百四十八億円の営業損益で、来年は二百八十億円の黒字を見込んでいる。それから、日本航空さんが二千八百六十六億円の損益で、今期、来年三月の決算は、合理的な計算ができないということで見送っている。アナリストなんかによると、四百六十五億円の赤字なんじゃないかというアナリストの意見なんかもあります。

 例えば、日本航空は、報道等によると、四千億円ぐらいの手持ち資金があり、そして三千億円のいわゆる融通が利く金融機関との資金確保をし、一方で、百億円から百五十億円ぐらいのキャッシュバーンが毎月ある、こういう状況だと聞いています。

 こういう中で、本当にずっとこれが維持できるのかということを考えたときに、雇用に手をつけるという可能性がやはり計画上出てくる可能性があると思っているんですよ。だから、私は本当に、ネットワークの維持と言うのは簡単ですけれども、特にやはり雇用が肝なんですから、その雇用の維持にしっかり重点を置いた計画にしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

赤羽国務大臣 航空各社共に、その企業の今後を考えるときに、雇用を維持していくというのは当然前提として考えられていると思いますし、そうした再生を含めた状況の中で、国交省の航空局当局と航空各社、このコロナ禍が始まってずっと連携をしながら、要望にお応えするような形での適時適切な支援をしてきたというふうに認識をしておりますので、今後も引き続き、航空会社の意向をヒアリングをしながら、必要な支援はしっかりと対応していこうということが基本的な考え方でございます。

岡本(充)委員 基本的な考え方はそうなんですけれども、本当に、これから先どういう、今見通しが、例えば全日空さん、二百八十億円の黒字というのを見込んで今経営を走らせているわけですけれども、そうなら、だって四千六百四十八億円の赤字だったわけですから、今年三月期の、三月までの決算はそういうことだったわけですから、今期、これで本当に二百八十億円の黒字に転換できなかった場合には、会社が想定する以上の費用がかかるわけであります。そういったときにどうするのか、これは課題だと私は思っていますよ。

 一方で、国内線についてはこの計画のネットワークに入っているんですが、こうした航空会社は海外路線もかなりあるわけでありまして、こうしたところの維持、支援というのも私は必要になってくるんじゃないか、こう思っているんです。

 そういう意味で、局長でも結構です、こうした計画、ネットワーク、海外についてはどういう考え方でいるのか。そして、このネットワークというのは一体、今、コロナ以前に戻すというのが、大臣お話しいただきましたけれども、コロナ以前に飛んでいたところが国内線ではネットワークということであり、海外についてはどのように考えているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。局長で結構です。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ネットワークの維持ということでございますけれども、まずは、航空ネットワークの全体としてコロナ前の水準に戻していくということが必要だと考えておりますし、主に国際線になってくると思いますけれども、その先を見据えますと、訪日旅行者二〇三〇年六千万人の政府目標の達成など、ポストコロナの成長戦略の実現に国際線は不可欠だというふうに思っております。

 現時点では、感染拡大の状況がこの先どうなるかというのがなかなか見通せないところでありますけれども、その二〇三〇年六千万人の目標を見据えながら、しっかりと国際線の増強も図っていただきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 かなり先行きが不透明で、もちろん見通せないから、日本航空さんなんかは予想が立たないと言っているわけですけれどもね。本当に、経営者はもちろんですけれども、やはり働いている方が不安に思う、これから支援していきますと言っているけれども、本当に自分の雇用は維持されるのか、不安に思うと思うんですよ。

 だからこそ、大臣に力強く、雇用を守るという宣言をしていただきたいという思いで問いかけをさせていただいたわけであります。そういう意味で、もちろん、大臣、守ると言っていただいている、重要だと言っていただいていますから、そういうふうな支援を是非お願いをしたいと思います。

 大臣、この問題はここまでにしますので、この議論で改めて、しっかり雇用を守る決意、もう一度お願いします。

赤羽国務大臣 航空会社のみならず、公共交通機関は国交省の所管でもありますし、また同時に、国民生活、経済活動を非常に支えていただいている必要不可欠なインフラでございます。そうしたことについて、適時適切な対応をしながら、会社の発展と雇用の維持を目指すのは我々の責務だというふうに認識をしております。

岡本(充)委員 是非よろしくお願いします。

 続いて、ちょっと保安検査について話を移したいと思います。

 保安検査の質の確保は大変重要だと思っています。実際どういう方が保安検査に当たっているのかというと、警備業法に基づく警備業の従事者ということになるわけですけれども、要するに、警備業として警備員の資格というのは幾つかあるわけでありますけれども、業法としては、新任教育二十時間以上、現任教育年八時間以上ということでありますが、その中でも特に空港の保安警備については、さらに、空港保安警備業務ということで、警備員に対して一定の資格を求めています。警備に当たる者について検定を行って、一級、二級と作っているわけでありますが、ここでちょっとお尋ねします。

 最初の、まず二級についてでありますけれども、二級は、もちろん講習を受けられているわけでありますけれども、何時間の講習を受けて、そしてどのくらいの合格率で二級になっているか。一級についても一緒に聞きましょうか。一級も、どのくらいの時間の、これは四日間じゃないんですよ、時間で答えてください、本当に教育を受けている時間は何時間ですか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 済みません、時間につきましては、ちょっと手元に、集計しておりませんので、お答えが直ちにできませんが、検定の合格率につきましてでございます。

 警備員等の検定につきましては、都道府県公安委員会が行う学科試験と実技試験により合否を判定しておりまして、また、それ以外に、国家公安委員会の登録を受けた者が行う講習会の課程を修了した者につきましては、公安委員会が行う検定の学科試験又は実技試験の全部又は一部を免除することができることとされております。

 令和元年中に都道府県公安委員会が行いました空港保安警備業務に係る検定の学科、実技試験につきましては、一級につきましては、合計十二回実施しておりますけれども、受検者はゼロでございました。二級につきましては、十三回実施しておりますが、受検者は一名、それに対し合格者はゼロ名でございました。

 同じく、令和元年中の登録講習機関による空港保安警備業務に係る講習会の実施状況につきましては、一級につきましては、十五回実施しておりまして、受講者五百二十八名に対しまして、最終的に修了考査に合格し課程を修了した者は四百九十二名で、合格率としては九三・二%。二級につきましては、二十六回実施をしておりまして、受講者千三百十四名に対して、最終的に修了考査に合格して課程を修了した者が千百七十五人で、合格率としては八九・四%でございました。

岡本(充)委員 今の話は、前段は、いわゆる運転免許証で言うところの一発試験で、いきなり試験を受けに行って合格した人は、一級は受けに行った人すらいなかった、こういうことなんですよね。それで、二級は一人。

 後段の、登録機関が講習会を実施して資格を取った、これが九〇%前後。これは、一応四日間の講習となっていますけれども、実質、二日半あるかないかですね。なぜかというと、最初の日は午後からスタートするんですよ、講習会が。二日目、三日目は確かに朝から晩まで講習をしている。だけれども、もう四日目は試験のための日程であって、結果として、四日間の期間と言っていますけれども、実質的には二日半弱というのがこの実態でありまして、多めに見ても二十時間強であります。これで本当に九割の合格率ということでいいのかという問題意識を持つわけであります。

 ちょっとこれは確認ですけれども、いわゆる警備業法の二十一条における新任教育の二十時間以上のところにこの登録機関における研修が入るという理解でいいんでしょうか。これと重なるんでしょうか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 現任教育の方に講習期間につきましては含めることはできますけれども、実際に教育をやっております警備業者の方においては、それぞれの業者に基づいて、手厚くやっているところはやっていると思います。

岡本(充)委員 つまり、場合によっては、結局、その二十時間の講習で、実質的、九割以上の方が保安検査業務に資格を持って就くことができるという状況にある。

 もちろん、それは何でなのかといったら、やはり、この業務、何でこんなにたくさんの方が受講して、千人以上の方が二級を取りに来ている、これは辞めていく方が多いからなんじゃないか。毎年千人採用されて千人辞めずにいたら、物すごい数の方が空港で保安業務をやっていることになるんですけれども、これは、逆に言ったら、千人近い方が、つまり、この資格を取った方で空港の保安業務に就かない方は余りいないと思うんです。今言った登録機関で研修するのに三万から五万ぐらいの費用がかかる。研修して、空港で働くのはやめますということにはならなくて、やはりこの方、ほとんどが働いているんだと思うんです。つまり、千人ぐらいの方が就職をしていて、結局、千人近い方が辞めているんじゃないか。そういう意味で、この離職率がなぜこんなに高いのかということが、私は、この保安検査の質を高める上で大変重要だと思っているんですね。

 そういう意味で、どういうふうにしてこの質の確保をしていくか。一つは、やはり待遇が重要だと思います。そしてまた、恐らく、想像するに、かなりいろいろなお客さんから意見というか、場合によってはクレームということを受けることがあるんじゃないか、そういう意味でかなりのストレスがかかっているんじゃないかということを想像するわけです。

 こうした、だから、待遇面、若しくはストレスのかかる職場であることを回避する。朝も早いこともあるでしょう、夜遅いこともあるでしょう、場合によっては泊まり勤務もあるのかもしれません、こういうところをどうやって変えていくかが課題なんですが、それについては、警察庁でもいいです、国交省でもいいです、どのように改善をしていくおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 離職率が高い理由でございますけれども、先ほど申し上げましたが、お客様からのクレームを受けて非常にストレスが高い、先生おっしゃるとおりだと思います。それから、実際に検査レーンで働いている時間に加えて、待っている時間の拘束時間がどうしても長いということになりますので、単価が安くなってしまうということ、こういうものをいろいろ改善していく必要があるというふうに考えております。

 まず一点目の、クレーム対応をやりやすくするという意味におきましては、今般の航空法の改正によりまして、保安検査の受検義務化、それから検査員の指示権限の明確化によりまして、そういう意味で毅然とした対応が取りやすくなるのではないかというふうに思っております。

 それから、今後、様々な構造的な要因を解決するために、国土交通大臣が策定をする危害行為防止基本方針の中に、先進的な検査機器の導入でありますとか、検査員の教育訓練等への支援でありますとか、検査員の処遇改善に必要な費用負担の在り方の検討などについて国が主導して取り組むということを明記して、議論を続けていきたいと思います。

 また、今までは航空法の中に検査会社と直接やり取りをするような規定がございませんでしたので、検査会社に対する指導監督権限の創設によりまして、検査会社の声を直接しっかり聞いて、連携を強化して、このような形で保安検査員の労働環境の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 そうはいっても、やはりこれはお金が必要なんですよ。今、国が、保安検査に対して、直接、間接、空港の管理者を通じてこうした保安検査の業務に支援をしていることは承知をしていますけれども、こうした支援の在り方も含めてやはり見直していく必要があるのじゃないかという意味で、そこに踏み込むべきだと思いますが、どうでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 費用負担の在り方の検討につきましては、これは実施主体の在り方の議論と密接に関係をいたします。そのため、実施主体に関する海外事例の詳細な調査分析なども行いながら、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 それはそうですね、実施主体が誰なのかということに関わります。海外の事例をしっかり見た上でということですから、今後の改善の余地がある、こう理解をさせていただきました。

 そこで、これは現場の状況についてちょっとレクでも聞いたんですが、実際に国交省の職員がやはり空港にいるわけですけれども、この職員の指揮命令が実際に警備員に直接なかなか及ばないというところもあると。先ほどの、会社を通じてという話になったりする。

 こういういろいろな声を直接聞く仕組み、そしてまた、逆に、保安検査をする方に対して国交省の職員の方から、指揮命令とまではいかなくても、様々なアドバイスをする、こういったこともできるような仕組みもまた考えるべきだと私は思っていますので、その点についても御検討いただきたいと思います。

 では、ちょっと最後に、この保安検査についての最後ですけれども、先ほどの登録して講習する業者、三者あるそうですけれども、この三者に再就職されているいわゆるOBというのはどのくらいいらっしゃるのかということについては、確認していただけましたでしょうか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの登録講習機関でございますが、現在、三つ登録しております。一つが、一般社団法人警備員特別講習事業センター、もう一つが、有限会社航空保安警備教育システム、三つ目が、特定非営利法人警備人材育成センターでございます。

 それぞれにつきまして、この登録につきましては三年ごとに更新しておりますので、その更新時点で最新の役員の履歴書というのを提出していただいております。

 ですので、役員につきましては、それぞれの機関の役員として就職している元警察職員につきましては、一般社団法人警備員特別講習事業センターにつきましては、役員十一人中五名。有限会社航空保安警備教育システムにつきましては、おりません。三つ目の特定非営利活動法人警備人材育成センターにつきましては、役員四人中の一名が元警察職員という状況になっております。

岡本(充)委員 国交省の方はどうですか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 国交省からのOBは就職しておりません。

岡本(充)委員 再就職が全ていけないと言っているわけではありませんけれども、必要なスキルだとか経験もあると思いますので、そういったものをもちろん生かしていただくということも必要ですが、やはり適正な再就職の在り方について、私は、割合等も含めて考えていただく。ゼロのところもあれば半分のところもあるみたいな話はちょっとどうなのかという思いもするわけでありますけれども、ここは是非、警察庁の方でまたしっかり見直していただきたいと思います。

 続いて、ドローンについて伺うわけでありますけれども、これはいろいろな懸念があると思いますが、私はちょっと、今回やはり、飛行のルールがちゃんとできるのかということを気にしています。

 大きな想定ができるケースとしては、無人の航空機同士が同じ空域で近づいた場合、どっちが例えば高度を下げるのか、どっちが高度を維持するのか。両方とも下げるにしたら、両方ともぶつかるわけですね。それから、大型の鳥が飛んでいることが確認できるような状況になった場合にどういう回避行動をするのかとか、こういったルールづくりが必要じゃないかと思っていますが、現行どのようになっていますか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 現行制度におきましては、無人航空機を飛行させる者の遵守事項として、航空機又は他の無人航空機との衝突を防止するために、周囲の状況を確認し、状況に応じて直ちに地上に降下させるなどの措置を講ずることを求めております。

 さらに、今般の制度改正によりまして、一定の安全上のリスクのある無人航空機の飛行を行う場合には、操縦者に対して飛行計画の通報を義務づけることとし、当該無人航空機が飛行する日時、経路、高度等の情報を航空機や他の無人航空機の操縦者等と共有をすることとしております。

 それからさらに、将来的にというお話でございますけれども、都市部上空を複数の無人航空機が飛び交うことも想定をされますので、その際には、無人航空機の利活用の拡大に応じて、今先生がおっしゃられたように、飛行に際する優先権でありますとか衝突回避の手法など空の交通ルール、そしてさらには、無人航空機に係る空域管理の在り方について、技術の進展でありますとか諸外国における検討状況を踏まえつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 大臣、やはり、そういう今の答弁なんですよ。

 とはいっても、今言ったように、鳥と出会う可能性はあるでしょうし、無人の航空機同士が、先ほど言った、片一方は飛行計画を出してレベル4で飛んでいるかもしれないけれども、片っ方はもっと小さい無人のいわゆる航空機かもしれません。そういう場合に、例えば二百グラム未満のものだとしても、ぶつかればかなりの衝撃になるわけでありまして、やはりどういうルールで無人航空機同士が、優先権の話ですね、回避をするのかというルールを早急に決めた方がいいと思いますよ。鳥と出会ったときどうするのか。双方降りるんだとかといって、鳥はその意識はないですけれども、無人航空機同士が双方降りたら、双方降りてもっと低い高度でぶつかり合うということになりかねないわけですから。

 大臣、是非、これからの進展を見ながらと言わずに、早急にこれを定めるよう指示をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 そういう意味では検討を急がなきゃいけないという認識は持っておりますが、これは日本だけのルールをつくるというわけにもいきませんので、諸外国の状況などをよく調査をし、その結果を踏まえながら考えていきたいというふうに思っております。

赤羽国務大臣 のんびりしているというわけではなくて、現実的には、レベル4の飛行ができる機体というのがまだ国内では開発されていないというのが現実なんです。今回、法改正が、成立していただいて、始めるときに、当然のことながら、安全確保の観点を最優先にしながら必要な事項を確認して、原則は飛行ごとに許可を行うという、いわば実証実験みたいな形から段階的にやっていこうということでございます。

 いずれにしても、委員からの御指摘、別に反対しているわけではありませんし、やがて必要になるような時代を想定して、今回第一歩を進めさせていただくということでございますので、今、局長からは国際ルールをということでございますので、そうしたことも踏まえながら、しかるべき検討はしていかなければいけないというふうに思っております。

岡本(充)委員 ちょっと今、大臣、レベル4で飛べる機体はないんですか。あるんでしょう。レベル3で飛んでいるものは、住宅地の上を飛べるんじゃないんですか、機体自体は。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 レベル4という非常にリスクの高い飛行をするに当たって求められる要件、これもこれから安全基準を策定していくわけなんですが、そういうものに堪えられるような機体というのが国産ではまだ開発をされておりませんで、企業が今開発を進めているような状況でございます。

岡本(充)委員 時間が限られていますから、それは後でもう一回確認をしたいと思いますけれども、ちょっと、それは後でもう一度確認させてください。レベル3で物を運んでいて、人がいないところは物を運んでいるわけですから、理論的に言えば、今の型式証明やいわゆる機体の認証がされていないということをもってレベル4ができないということであって、この法律ができて、もし認証の仕組みができ上がれば、飛ぶという意味では人の上を飛べるんじゃないかと思っているんですけれどもね。

 それでは、ちょっと条文の解釈を最後に聞きたいです。

 今回、いわゆる事故が起こったときの救護義務を定めている第百三十二条の九十について確認をしたいと思います。

 事故が起こったときには、負傷者を救護することその他危険を防止するために必要な措置を講ずるというのは、これは飛行させている者に対する義務として課されているわけでありますが、そこにもう一つ重要な、「直ちに当該無人航空機の飛行を中止し、」というのが書いています。これは、中止することが絶対なんでしょうか。つまり、救護ができて、負傷している人を救護さえ誰かがしていてくれたら、その航空機は飛び続けることができるのか、それはやはり降りなきゃいけないのか、ここの解釈。

 それから、この三号のところで、その他国土交通省令で定める無人航空機に関する事故というのは何を指すのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 百三十二条の九十の無人航空機の飛行の中止ということでありますけれども、必ずしも地上に降りるだけではなくて、ホバリングをして止まるとか、そういうようなことも含めて、飛行を一旦止めるということを言っているということでございます。

 それから、第二項の、済みません、ちょっと聞き漏らして……(岡本(充)委員「三号、その他国土交通省令で定める」と呼ぶ)

 これは、事故には、レベル4で飛行している際に、例えば火災が発生するような場合というようなものを想定をしておりまして、これから省令の策定に当たって検討してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 罰則を科す条文ですから、しかも懲役二年ですから、結構重い刑罰を科すわけですから、当然ながらきちっと、どういうことを求めるのか。私は、やはり、事故を起こした航空機は危険でないところに着陸するというのが当然だと思います。ずっとホバリングしているとか、場合によっては進んでいるというような話になってはやはりいけないんじゃないかと思いますから、その点を含めてきちっと検討していただきたいと思います。

 時間ですから終わります。ありがとうございました。

あかま委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 私からも、航空法等の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。

 まず冒頭、平常時、またこのコロナ禍において、安全運航、安全輸送を基本に、本当に日夜お仕事をされている航空関連産業の皆様に心から敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。私も北海道と東京を行ったり来たりするのは一〇〇%飛行機でございますので、そうした中で、本当に今、それぞれ苦労されている姿、そして頑張っている姿を見させていただいております。

 そうした中で、今回こういうコロナ禍、また様々これから発生するであろう経済的な、また自然災害等に影響を受けた航空会社に対する支援をしっかりと行っていくという国の姿勢が、今回の航空法改正案には記されているのではないかと、私としては理解をしております。

 その中で、まず、国と航空会社との関係性について伺いたいと思います。

 この改正案では、航空会社は、国土交通大臣が策定した航空運送事業基盤強化方針を踏まえ、航空運送事業基盤強化計画を策定し、その実施状況を定期的に国へ報告する。それによって、国は、航空会社等に対して支援措置を講じる。法的根拠に基づいて国が航空会社への支援を行う。

 これは、これまでも、コロナはある程度法律を根拠にしてやっていますけれども、いろいろとその都度その都度取り組んでこられた。また、国交省に限らず、雇用調整助成金に関しては厚生労働省とも連携をして、厚生労働省が主体的にやっているということで、そうした支援を今回法的根拠に基づいて行うことができるようになることは、ある程度評価させていただくんですけれども。

 一方で、こうしたことになると、国の航空会社に対する関与の強化につながるのではないか、自由なこれまでの経営というものが何らかの形で阻害されるのではないか。先ほど、地域ネットワークだとか地方ネットワークとかの維持がありましたけれども、路線、なかなかここは赤字なんだよなというところに、ここに路線を開設しろだとか、雇用についても、先ほど同僚議員からお話ありました、雇用を守っていく。特に、国がインバウンド、外国人観光客を増やすということで、どんどんどんどん今まで社員さんを増やしてきた中で、今、本当に大変な状況の中で、経営について、ある意味で雇用についても国の関与が強まってしまうのではないかと私としては懸念を感じるところでありますけれども、それはないと私は大臣に明確に御答弁いただきたいと思うんですが、是非、大臣、お願いいたします。

赤羽国務大臣 国として、航空各社の経営、路線、雇用の在り方について、個別具体な指示を出すということは考えておりません。

道下委員 今大臣から明確に、そうした詳細について強化方針に記すことはないということが答弁されましたので、そうした私の懸念も払拭されたというふうに思っております。皆様も御理解いただいたというふうに思います。

 それでは次に、保安検査について伺いたいと思います。

 まず、旅客、乗客への周知、また、受検、検査を拒否したときの対応についてです。

 改正案では、これまで航空会社と乗客との間の約款で決めていた保安検査を法律に明記して受検を義務づけたことは、現在、航空保安責任を負っている航空会社、そしてそこから委託を受けて検査を実施している警備会社や検査員にとって、検査に対する法的根拠が担保されて、保安検査体制の強化につながるものと考えております。評価できる内容だというふうに思っております。

 私も含めてと言わせていただきますが、ほとんどの旅客は厳格かつ円滑な検査を求めていると思います、やはり安全のためには。一方で、検査における検査員に対するクレームなどが後を絶たないということも現場から伺っております。

 そのような中、今回の法改正がなされれば、保安検査の背景や目的、受検を拒否した場合の罰則等について、航空会社任せにすることなく、国が責任を持って、利用者に対して十分かつ丁寧に周知する必要があるというふうに考えます。これは航空会社がやっているんですけれども、罰則だとか、こういうのは法律で定められたもの、国が決めたことですよということを、しっかりと国は、国民、乗客に対して周知徹底する必要があると考えますが、国は今後どのように取り組む予定なのか、具体的な説明を伺います。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 確実な保安検査の実施のためには、旅客等の協力を得ることが不可欠であります。旅客等に対し、今般の制度改正の内容や機内持込み制限品に関する情報を周知、啓蒙していくことが必要だと考えております。

 現在、政府からの情報発信といたしましては、政府広報の活用、また国土交通省のホームページでの情報提供、各空港でのポスターによる周知等を行っておりますけれども、これらを活用しながら必要な情報提供をするとともに、例えば、ソーシャルメディアの活用でありますとか、航空会社や空港会社等と連携したキャンペーンの実施とか、様々な手段を用いて幅広く情報を発信していくことを考えております。

 また、一層の広報活動の強化に向けて、関係者の意見もよく聞きながら、効率的かつ効果的な手法等について検討を行うなど、継続的に取組を進めてまいります。

道下委員 是非、国が主体としてそうした周知徹底を行っていただきたいと思いますし、それに当たっては、航空会社もこれは連携協力しなきゃいけないと思いますので、しっかりと予算の確保をお願いしたいというふうに思います。

 次に、検査を受けることを拒否して、いわゆる危険物等所持制限区域、クリーンエリアと言われますけれども、無理やりその中に侵入した場合の罰則について、具体的な内容を伺います。また、検査員はどのように対処すべきなんでしょうか。警察等との連携についてどのように今想定しているのか、伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 今般の航空法改正案におきましては、空港のクリーンエリアに立ち入る旅客等に対して保安検査の受検を義務づけます。保安検査を受けずにクリーンエリアに立ち入った旅客等に対して、一年未満の懲役又は五十万円以下の罰金を科すこととしております。

 また、保安検査の的確な実施のため、検査を実施する保安検査員が旅客に対して必要な指示、例えばコートやジャケットの脱衣でありますとか手荷物の開披といったことでありますけれども、そういったものを出す権限を法律上明確化するとともに、旅客は正当な理由がない限り、その指示に従うことを義務づけることとしております。

 新制度の運用に当たっては、現場の検査員と警察官が連携して適切に対応できるよう、警察庁ともよく相談をしてまいります。

道下委員 空港の中に入りますと、保安検査場を通りますと、警察官が立っています。そうしたところで対応されるのかなというふうに思います。こうした検査を拒否するということはほぼほぼないと思いますけれども、こうした法的根拠に基づいてやっていくことになると、そうした警察との連携というのを、今の、現状、空港にいる警察、これは各地方自治体、地方の警察署対応ですけれども、こうした人員が十分足りているのかどうか、そういった警察との連携においては、警察側もある程度人員を確保しなきゃいけないとかあると思うんですけれども、そういった話合いは警察庁とは行っているんでしょうか。

和田政府参考人 この改正法が通った段階で、具体的に話をしようと考えております。

道下委員 是非とも速やかに進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、罰則なんですけれども、罰則の適用に当たっては、保安検査の責任を負っている航空会社、又は、検査を実施している警備会社、そして検査員に対して、具体的にどういうふうにやっていくのかという、この手順の説明が必要だと思うんです、ちょっと細かい話なんですけれども。国として、そういう説明あるいは研修の機会というのはどのように検討しているのか、伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省といたしましては、今般の制度改正の内容に関し、航空会社や検査会社等、保安対策を実施するあらゆる関係者に対して周知徹底を図る必要があると考えております。

 このため、各空港ごとに設置をされております空港保安に関する協議会での説明でありますとか、全国の空港関係者また関係業界団体等を通じた情報提供を行うとともに、必要に応じて個別に説明の機会を設けるといったことをいたしまして、各空港の現場関係者まで周知徹底がきっちり図られるように、丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

道下委員 罰則の適用とか様々な保安検査体制の強化とありました。先ほど同僚議員からもお話がありましたけれども、先ほどの答弁を伺っていますけれども、保安検査だとか、それをすり抜けて、もしハイジャックが起きたときの責任の所在というのが、海外の事例を見ていますと、まだ日本においては国が責任の主体になっていないんですね。それを私は感じるんですよ。説明とかそういったことは国がやりますけれども、最終的にはまだまだ航空会社や警備会社に責任があるというような流れというか雰囲気、国としてそのように認識しているのではないかというふうに思っております。

 海外の事例もしっかりと踏まえてということではありますけれども、海外の事例では、私たちもいろいろとヒアリングとかをさせていただいていますけれども、今までのように、航空会社や警備会社、空港管理会社に様々な責任を一〇〇%負わせているというところはほとんどないですね。

 やはり、テロ対策というのは国の役割、責務だということでやってきていますので、そういった意味では、今回の具体的な手順をどのように説明するのかについても、国はある程度指導すると思いますけれども、最終的な責任も国にありますよという、その姿勢というのがまだまだ見えないなというふうに私は感じております。ただ、これは第一歩というふうに捉えるか、まだまだと捉えるか、今後もしっかりと注視をしていきたいというふうに思っております。

 航空保安に関して強化していくということになると、費用負担も議論しなければなりません。これまで航空保安に関する費用というのは、コロナによって旅客数が今激減していますけれども、それは除いて、コロナの前の状況、航空保安に関する費用というのは総額でどの程度かかっているのか、また、その内訳、人件費だとか警備費用だとか様々な内訳があると思いますが、具体的にどのような内容に幾らかかっているのか、国交省として把握している概要を教えてください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 航空保安に関連する経費といたしましては、例えば、機器の導入費、それから維持費、人件費などがございます。これらについて、航空会社また空港会社などは全体の経費の中から切り分けて抽出することが難しくて、航空保安に関する費用の総額を算出することは難しいところでございます。

 その上で、国が航空保安に関連して負担した費用について申し上げますと、検査機器の導入費用に対しては補助を実施していますので、コロナ前の令和元年度の実績では約百十三億円となっております。また、国管理空港の保安検査員の人件費、こちらも補助をしておりますけれども、二分の一を国が負担しておりまして、令和元年度の実績では約八十三億円ということになっております。

道下委員 航空保安体制を強化するというこの法改正において、そういう、今、日本国内における保安体制にどれだけの費用がかかっているのかということを、大まかな総額を把握された上でこの法改正に当たられているのかなと思ったんですけれども、ちょっとその点、私はびっくりしました、その把握されていないということについて。

 補助金は令和元年で百十三億円、人件費に関しては八十三億円ということでありましたけれども、だから、簡単に考えるとそれ以上かかっているわけで、これが航空会社や空港管理会社等の負担になる。それは、実は乗っている我々の航空券代にも含まれているということなんですよね。そうした意味で、この保安体制の強化と費用というのは切っても切り離せない課題であります。

 今、答弁では、把握していないということで、この後私が聞こうとしたのは、その費用の負担、航空会社、それから乗客、空港管理会社、国、誰がどの程度負担しているのか伺おうと思ったんですが、その点についても答弁できないということですか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国において、保安検査に係る機器整備費用それから保安検査員の人件費については、原則、航空会社と空港管理者が二分の一ずつ負担をすることとされております。したがって、国管理空港の場合には、空港管理者分として、国が機器の整備費用と保安検査員の人件費の二分の一を負担するということになります。

 それから、加えて、ボディースキャナー等先進的な保安検査機器の整備費用に関しましては、平成二十八年度から、航空会社の負担分の全部又は一部を国が負担をするということにしておりまして、航空会社の負担を軽減してきています。

 また、国の負担に充当する財源といたしましては、国管理空港を利用するお客さんに応じた保安料、これは一人当たり百五円になっておりますけれども、これを航空会社から徴収をしておりますけれども、最終的には旅客、お客様の方に転嫁されているものと考えております。

道下委員 負担割合は御答弁いただきました。その負担割合が、本当にこれが妥当なのかということだと思います。

 そして、今、旅客一人当たり百五円ということであります。ちなみに、この百五円と決まった年代、始まったのはいつからでしょうかね。ちょっとごめんなさい、通告をしなかったのですが、それぐらいは御存じかなとは思っていたんですけれども、どうですか。

和田政府参考人 失礼いたしました。

 平成十六年の十月に、国内線に保安料を始めて導入をしたということでございます。

道下委員 済みません。答弁いただきまして、ありがとうございます。

 平成十六年ですから、ちょっと、それからもう十五年程度たつ、百五円が妥当なのかという話も出てきますが、ただ、それが増額になると、今度は我々の、乗客の負担が増えるということになりますので、どうやって負担割合を考えていくのか。今後、コロナ収束後の航空需要の回復を見据えれば、こういう保安検査の質的、量的向上というのは絶対求められるというふうに思います。保安検査をしっかりやっていくとなると、これは様々な準備をしていかなきゃいけない、それだけ費用がかさむということになると思います。

 そう考えると、私は、今後の保安検査体制の強化を考えた際に、やはり諸外国等と比較すると航空保安に関する費用はまだまだ足りない、今ではまだ十分ではない、もっと必要になると思うんですけれども、その点について、国としてどう考えていますでしょうか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 諸外国における航空保安に関する費用につきましては、国によって費用を負担する主体が異なり、その主体において開示する情報の範囲にも違いがあることなどから、一概には申し上げにくいところがございますけれども、我が国においては、これまでも、先進的な検査機器の導入費用を補助するための予算を国として確保するなど、航空保安に関する費用の充実を図ってきているところでございます。

 引き続き、必要となる費用負担の在り方などにつきまして、諸外国における状況の把握にも努めながら、国が主導してしっかりと検討を進めてまいります。

道下委員 ありがとうございます。国が主導してしっかりと対応してまいるということで、是非お願いしたいと思います。

 今までの質問や、他の委員の皆さんの質問等と答弁をお聞きしていますと、現状では、やはり保安検査に関する費用の多くは航空会社が負担しているわけであります。

 特に、コロナ禍で経営状況が非常に悪化している、先ほども本当に多額の今赤字ということでお話がありましたし、ある航空会社では、今年度の夏、冬の一時金、ボーナスですね、これがゼロというショッキングなニュース、ショッキングというか、本当に頑張っていらっしゃるのにボーナスがない。

 今、医療機関でもコロナ対応とかされていますけれども、ボーナスが出ない医療従事者の方々を見ていて本当にかわいそうだなと思っていますけれども、そうしたことが、航空関連産業で働く方々もボーナスゼロと。本当に非常に大変な状況で、私は、離職されないように頑張っていただきたい、そして、何かこれは応援が、国としてしっかりと支援をしていく必要があるというふうに思います。

 そうした中で、航空保安体制の面で応援していくということでは、やはり費用負担の考え方を見直して、先ほども申し上げましたとおり、テロ、ハイジャックというものが国家を標的にしているという面を考えますと、国の関与というか負担割合を増やしていくべきだ、私はそのように思うんですが、ここは国交大臣から答弁をいただきたいと思います。

赤羽国務大臣 現状は、国が関与していない制度なんですね、航空会社と利用者の、まあ航空会社からの通達に基づいた契約関係。ですから、今回、責任の所在等々の御指摘もあるし、様々な事案も出ておりましたので、有識者会議をさせていただいて、その報告として、今回、法改正で、まず、国の主体的な関与というか主導的な役割を担って、今後あるべき保安体制を講じていく。そのときに、局長からも先ほどから他の方にも御答弁しておりますが、そうした体制の変更とともに、費用の在り方というものは、当然不可分の話なので、議論もされていかなければいけないということであります。

 そうした議論とは別に、航空会社がこのコロナ禍という大変な厳しい状況の中で、何というか、どう航空会社としての企業として継続して、そして来るべきときに発展をするかということで、様々な支援もしておりますし、政府を挙げて、雇用調整助成金の延長、拡充、これは本当に最後までしっかり頑張っていかなければいけないと思いますし、今回も千二百億円の着陸料等々の支援も踏み込まさせていただいたということでございます。

道下委員 ありがとうございます。でき得る限りの対策、支援策、是非全力を挙げてお願いしたいと思います。

 今、空港使用料、着陸料もありました、航空機燃料税も今、本当に減額をしております。今、もう一方では、雇用調整助成金もいつ止められてしまうのか、延長が止まってしまうのかとかいうちょっと不安の中で働いていたり、会社を経営されている航空会社の方々がいらっしゃいますので、これは結構長く見通しが持てるように支援策を講じていただきたい、発表していただきたい、省庁間で連携をして取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 ちょっと、残された時間、ドローンについて伺いたいと思います。

 今回、無人航空機の安全確保という観点から法改正が行われるわけでありますが、国は、この無人航空機、ドローンというふうに言わせていただきますけれども、ドローンの操縦者の技能証明を行う制度を創設するとしています。国の指定を受けた民間の試験機関は、試験基準等の統一性、公平性を確保するため、全国で一者指定することとなっております。

 この方針でありますと、当該業務が独占的な業務となるため、実際に公正な運用がなされるのかという疑問と、国土交通省所管の運転免許制度と同様に、警察庁など関連深い省庁の天下り先になってしまう可能性が出てくるのではないかというふうに私は懸念を持つわけでありますが、国交省の見解を伺います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 今般の法改正におきましては、一定の要件に適合する民間主体を指定して、国に代わって無人航空機の操縦者の技能証明に係る試験を実施させることができることとしております。

 この試験の実施に当たっては、試験内容や合否判定の基準の統一性や公平性を確保する必要があり、他の国家試験の実施例も踏まえて、一者のみを指定することを想定をしております。

 指定試験機関として民間機関を活用するに当たっては、民間機関から申請がなされ、国が定める基準に適合する機関について指定を行うということになりますが、各民間機関の人員体制をどうするかについては、それぞれの機関の自主性に委ねられているところでございます。

 ただ、その場合でも、国家公務員法の再就職等規制など、決められたルールが遵守されるのは当然の前提として、各機関の人員体制が構築されるものと考えております。

道下委員 ちょっと天下り先についての答弁がどうだったかなというふうに、はっきり答弁はなかったかなというふうに思いますけれども。

 次に移りまして、今回、法改正案の中にあります指定試験機関と登録講習機関との間の費用、制度設計について伺いますが、これから議論が尽くされて省令等で定める段階だと思いますけれども、現状において、民間操縦士資格の事例では、資格認定機関のフランチャイジーに当たるドローンスクールに課せられる費用が相当に重いという話を伺います。

 国土交通省のホームページを見ますと、このドローンの国交省登録管理団体が六十一団体で、講習団体が一千四十団体なんですね。非常に多いなというふうに思います。これをまとめるということなんですけれども、その中でも、いろいろと値段、費用ともばらばらあるんですけれども、一方で、認定基準が甘いところもあったり、スクールの品質が一定に保たれておらず、ゆえに教習に当たる講師やライセンス保有者の技術水準にかなりの幅があるという現状も伺います。

 これらの現状の課題を解決する制度は、費用の面も含めてどのように定めていこうとする予定なのか、伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法改正によりまして、技能証明制度を創設し、講習機関の登録制度を設けることとしております。

 登録講習機関の受講費等につきましては、国が一律に定めるものではなく、各機関の経営判断となりますが、価格面については、先ほど御指摘のとおり、多数の団体がいますので、競争原理が働き、適切な価格水準が形成されていくものと考えております。

 それから、品質の問題でございますけれども、登録講習機関における講習の内容や時間については最低限の基準を設定することになることから、講習の質が一定水準以上に保たれるようにしてまいりたいと考えております。

道下委員 講習の費用なんですけれども、例えば初級者がやるのは、例えば一日で十二万とか二日間で二十万とかありましたり、回転翼三級というもの、畑とかで農薬散布するとか、そういったときにそれぐらいのは必要だよという目安になるものに関しては、例えば三日間で二十二万円とか四日間で二十八万円というところも非常にばらばらあるわけでありまして、競争原理が働くか。

 私は、それよりも、これからドローンの利活用がどんどんどんどん発展すると、このドローンパイロットというのは引く手あまたになるんじゃないかなと。そう考えると、競争原理が働いてこれが一定水準に安くなっていくかどうか、私はちょっとその辺は疑問に感じます。そういった意味で、ある程度の指針というかガイドラインというものは、私は必要ではないかなというふうに思っております。

 今回、今まで飛行ができなかったレベル4における有人目視外飛行、これを可能にするために法改正を行うわけでありますけれども、レベル4の必須要件である機体認証、操縦ライセンス、運航ルール、これが必要だということ、これが将来レベル2やレベル1へ対象が拡大してしまうのではないかと言う今ドローンユーザーがちょっと一部おりまして、お話がございました。

 こうしたものが、レベル4だけはいいよ、あと、レベル3も今必要だけれども、それ以外にちゃんと今までの現状の制度を使ったら、レベル3は操縦ライセンスとかなくてもいいよという状況ですけれども、どんどんどんどんそれが拡大していくかもしれないというふうに思っているんですが、そういった点について国交省としてどう考えているのか、伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の制度改正に当たりまして、規制の内容というのはリスクに応じた形で決めていくという考え方にのっとっております。そういう点では、レベル1とかレベル2の飛行、これは目視内で飛行する形態でありまして、比較的リスクが低い飛行を想定しております。

 また、現在、レベル1それからレベル2飛行に関する事故でございますけれども、そのほとんどが物損でございまして、平成二十七年に航空法を改正し、無人航空機の規制を設けて以降、死亡事故は発生しておらず、特段大きな問題が生じているわけではございません。

 こうした状況を踏まえて、現時点で、レベル1それからレベル2の飛行を行うに当たって、機体認証それから操縦ライセンスの取得等を義務づける考えはございません。

道下委員 時間が参りましたので、ここで質問を終わりますけれども、例えば、観光地で動植物を撮影するために近づいて、動植物に危害とか恐れを与えるようなことをやっている人も今いるんです。これからドローンがレベル1あたりでもどんどん増えていくと、密集して、先ほどのように衝突したり、事故が起きることが、発生が多くなったら、もしかしたら私は、これは免許というものとかライセンスというものがどんどん拡大すべきだという世論が高まっていくんじゃないかなというふうに思っています。そういった点も含めて、これからも注視していきたいと思います。

 ありがとうございました。

あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 航空法等の一部改正案ですが、三つのテーマ、それぞれ大事でもあり、時間との勝負ですので、答弁も簡潔にお願いいたします。

 まず、空港保安検査についてです。

 昨年五月十三日の質問で、現在航空会社が警備会社などに委託して行っている保安検査、昨今のナイフ見逃し事件などが相次ぐ背景にあるのは、保安検査員の処遇改善、これがあるのではないかということで求めたわけであります。このとき紹介したワーキンググループの取りまとめ、また、その後の有識者会議を経て本法案が出されたことは、一定の評価ができると考えています。

 そこで、最初の質問は、百三十一条の二の三第一項、空港等の設置者等は、危害行為防止基本方針に基づき、危害行為を防止するために必要な施策を講じなければならないとあります。この設置者等とは具体的に誰を指すでしょうか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の、空港等の設置者等につきましては、法の第百三十一条の二の二第二項第六号に規定をされてございます。空港会社などの空港等の設置者のほか、航空会社、旅客ターミナルビル事業者、保安検査業務を受託する検査会社などが含まれているところでございます。

高橋(千)委員 余り省略しないで、ここは全部言っていただいてもよかったと思うんですよね。つまり、前回は、八十六条の、何人も持ち込んではならない、これを措置するのは航空会社が主語だったと思うんです。今回、航空会社も空港会社も、そして検査業務受託者も全部対象になるんだ、この設置者等はということで、みんなが責任あるんだよということは、逆の意味で、先ほど辻元委員の指摘もあったと思うんですが、責任が曖昧にならないのか、その心配があって指摘をさせていただきました。

 ナイフなどの持込みを認めないとしても、客が従わない場合、搭乗拒否する権限は航空会社の約款によって定められております。これが今回はどうなるんでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 旅客を航空機に搭乗させるか否かの判断は、当該旅客と運送契約を結んでいる航空会社が行うものであり、その運送約款において、旅客が保安検査に応じないなどの一定の場合には、航空会社が旅客の搭乗を拒否することができるとされているところでございます。

 一方で、今般の航空法改正におきましては、保安検査に協力的でない旅客などに対しまして、保安検査員等が毅然とした対応が取れるように措置をしております。

 具体的に申し上げますと、保安検査の受検の義務づけでありますとか、保安検査を受けずにクリーンエリアに立ち入った場合には、航空法違反となり、罰則の対象となる。

 また、保安検査の的確な実施のため、保安検査員等が旅客に対し必要な指示を出す権限を法律上明確化するとともに、旅客は正当な理由がない限り、その指示に従うことを義務づけております。

 さらに、それでもなお必要な場合には、保安検査員は、旅客に対し、保安検査場にとどまるよう指示をし、航空会社の職員や警察官とともに対処することも想定されるところでございます。

 これらの制度の下で、航空機の搭乗前の段階でしっかりと旅客に対処できることとなり、事実上、搭乗拒否と同様の効果が得られることとなると考えております。

高橋(千)委員 毅然とした対応ができる、旅客が従わなければならない、これは法律に書きました。ですので、確かに今までよりは強化かもしれません。だけれども、約款によって定められている、航空会社を呼んできて対応します、最悪の場合は、待機してもらってと、結局、同じことなんです。航空会社を呼ばなければ、保安検査員の資格ではできないという仕組みは変わらないということなんです。本当にそういう従わないお客がいた場合ですよ。実際いるから指摘をしています。

 昨年、私の質問をネットで見たという方からメールをいただきました。空港保安検査員として五年勤めたそうです。賃金の低さ、長時間労働、権限のなさ。まさに心折れて、転職を検討していますと書き出していて、現場の扱いがどれだけひどいか、大臣にも聞いていただきたいと思います。

 旅客からは罵られ、旅客へ検査協力を丁寧に依頼しても拒否され、対応を航空会社に交代してもらえば、所詮は警備員の接客だと見下され、再度丁寧に検査への協力を依頼しても納得されず、時には暴力も振るわれる。カッターナイフを投げつけられ、パソコンの取り出しを依頼しただけで、おまえはばかなのかとどなられ、おまえみたいなのは俺のステータスが分からないのかと見下され、接触検査では、きれいな白い手袋をはめていても、菌が来る、コロナに感染したらおまえのせいだと言われている。

 これはほんの一部だとおっしゃっています。絶対にあってはならないことですよね。この方は、それでも空の安全を守るという仕事だと誇りを持って頑張っているのです。

 結局、法改正によっても、これまで課題となっていた保安検査を行う方たちの処遇改善には結びつかないのでしょうか。どうですか。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 コロナ禍収束後において航空需要の回復、増加が見込まれる中、航空保安対策を確実に実施するためには、離職率が高い保安検査員の労働環境を改善し、人材を確保していくことが極めて重要だと考えております。

 これまでも、保安検査の実務者で構成をする保安検査員の人材確保・育成検討ワーキンググループを開催をいたしまして、先進機器の導入推進、また検査員の労働環境の改善等に向けた取組を進めており、可能なものから順次実行に移しているところでございます。

 それらの取組に加えまして、今般の航空法改正におきまして、保安検査の受検義務化、また検査員の指示権限の明確化により、旅客等へのクレーム対応、これが改善されると見込めます。また、国土交通大臣が策定をする危害行為防止基本方針に、先進的な検査機器の導入や検査員の教育訓練等への支援、また検査員の処遇改善に必要となる費用負担の在り方の検討などについて、国が主導して検討することを明記をいたします。また、国から検査会社への指導監督権限の創設によりまして、検査会社の声を直接しっかり聞き、連携を強化する。これによりまして、国土交通省といたしましても、しっかりと保安検査員の処遇改善を含めた労働環境の改善に取り組んでまいります。

高橋(千)委員 最後の一言でよかったと思うんですけれどもね。

 結局、委託費がマルメですので、一人一人の労働環境を守るために出しているわけではないわけですよね。そこにも切り込んでいかなかったら、本当の意味での処遇改善にはなりません。このことを、大臣、もしよかったら、後で答弁で触れていただきたいんですけれども、時間の関係で次に行きますけれども、是非、押さえていただきたい、お願いしたいと思います。

 次に行きますけれども、昨年十二月二十一日に、コロナ時代の航空・空港の経営基盤強化に向けた支援施策パッケージが発表されました。過去に例を見ない規模での航空需要の大幅な減少が長期化し、約二十四万人の雇用を支える航空、空港関連産業は、二〇一八年度の売上高五兆円から、昨年度は六、七割程度の減収が見込まれるとして、短期、長期の支援策が盛り込まれました。

 法案は、航空運送事業基盤強化方針に書き込む、国が作る方針に書き込む基盤強化の意義、目標というのはどのようなものか、伺います。

 もう一つ、昨年十二月に改定、公表されたパッケージの中には雇用の維持ということが書いてあるんですけれども、基盤強化計画が何を書くのかというところの条文の中にはそうした雇用の維持ということが書かれていないんですけれども、それはなぜでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 航空ネットワークは、公共交通として国民の社会経済活動を支えるとともに、ポストコロナの成長戦略の実現に不可欠な空のインフラであると考えております。

 こうした基本認識の下、航空運送事業基盤強化方針には、航空運送事業の基盤強化の意義、目標といたしまして、航空会社の自助努力や国の支援措置等によって経営体力を維持することで、今後も必要な航空ネットワークを維持、確保できるようにしていく必要があること、具体的には、今後の需要回復に速やかに対応するとともに、ポストコロナの需要増加に対応するために必要な体制を確保すること等を記載することを想定しております。

 本法案においては、基盤強化方針に記載すべき事項を大くくりにして規定をしており、雇用の維持を含め具体的な内容は規定しておりませんけれども、航空の安全運航を支える人材の雇用維持は極めて重要な課題であると認識をしており、雇用を守りつつ支援していく方針を実際の基盤強化方針に記載したいと考えております。

 また、これを踏まえて、航空会社の計画においても雇用に関する記載をいただくことを想定しており、航空会社の実情をよく聞いて、雇用の維持に最大限努力をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 国の方針に記載したいという明確な答弁があったかと思います。

 大臣に伺いますが、過去に同時多発テロやリーマン・ショックなどに際して、航空事業経営基盤強化の名目で、プログラムとか様々な名前で取り組まれておりますけれども、支援策が行われた際は、徹底した合理化、コスト、人件費削減というものが書き込まれ、またそれが行われ、あの日航の不当解雇問題もいまだ解決をしておりません。こうした問題はもう起きない、起こさないという立場でよろしいでしょうか。

赤羽国務大臣 一般論になりますけれども、過去のある時代に、経営改善を努力して、そのときに、適正な人員配置にするというふうなことは手段としてあったと思いますが、現状は、どの業界も非常に人手が不足している中で、今、こうしたコロナ禍においても雇用の維持に航空会社各社とも精いっぱい努力をされておりますし、我々も雇用調整助成金の拡充の延長等々で精いっぱいそれを支えているということでございます。

 基本的な考え方は今局長が申し上げたとおりでございまして、航空の安全運航を支える人材の雇用維持は極めて重要な課題であるというふうに国としても認識をしておりますので、雇用を守りつつ支援していくという方針は、基盤方針に記載したとおりでありますし、航空会社の計画においても雇用に関する記載をいただくことを想定しているところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど答弁を別の方にもしましたが、航空ネットワークの維持、確保の観点からも、人材の雇用維持は極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。

高橋(千)委員 例えば全日空などは、希望退職募集、あるいは新卒採用中止二千五百名、実際は予定していたものが中止とか、派遣外国人の契約解除とか、いろいろな形で表れております。

 また、世界を見てもコロナ破綻というのはかなり多いわけですけれども、そういう中で、例えば、やはり雇用そのものを守るために、アメリカでいうと六百十億米ドル、シンガポールでいうと百四十七億米ドル、ドイツでいうと百十三億米ドル、フランスだと八十三億米ドルなどと、やはりちょっと桁が違うわけですよね。やはり国として本当に取り組む姿勢という点では若干小さいのかなと。

 つまり、いつ終わる、厚労省の制度を頼っているということと、産業雇用安定助成金も、これは出向で雇用を維持するという点では大事なことだと思いますけれども、今維持されている、例えば乗務員などの基本給が、基本給プラス飛んだときの歩合給でやっと暮らしていたという実態があるわけですよ。それがないものですから、基本給だけでは本当に暮らしていけないと。これは実際の人の話ですけれども、毎日もやしを食べている、そうやってやっとの思いで暮らしているという声があるんですね。

 そこを見て、結局、この雇用の問題は、航空協会だって、いずれ必ず戦線復帰したときに必要な人材なんだ、長い経験を持った人たちなんだと位置づけているわけですから、そこは本当に大切にしていただきたいと指摘をしたいと思います。

 それで、資料の二枚目にある支援パッケージの中にあるんですけれども、部品等領収検査にリモートを取り入れて簡素化を行うと。どうしてこのようなことをやるのか、どのようなものなのか、簡潔にお願いします。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 航空会社が機体の整備に使用する部品等をメーカーから受領する際には、不具合の有無を確認する領収検査を行う必要がございます。機体の整備を海外の整備事業者に委託する場合には、航空会社の検査員が海外の整備事業者に出向いて領収検査を行うこととなります。

 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、海外での領収検査が困難なケースが生じています。このため、航空会社の検査員が海外の整備事業者にいる補助者に指示をして動画や写真等を送信させることにより、現地での検査と同等の効果がある場合に限ってリモートでの領収検査を認めることといたしました。したがって、安全上の問題は生じません。

高橋(千)委員 安全上の問題は生じませんとおっしゃいましたけれども、今この瞬間だからそう言えるんだと思うんです。

 例えば、四月末、コロナ禍における緊急要望として、重整備の領収検査の条件緩和も行いました。これを恒久的なものにというふうに言っているんですよね。そのときは同程度のものだとおっしゃっているんだけれども、それをずっと続けていったときに何が起きるのかということをやはりちゃんと見ていく必要があるんじゃないか。

 航空局は、コロナ禍を踏まえた安全規制の集中的見直しを発表して、昨年六月で十八件、九月で二十八件、これだけの見直しをやっているし、これまでもずっとやってきたということがあるわけですよね。

 そういう点で、もちろん国際基準とか合理的な改革もあるとは思いますけれども、一方で、この間も部品の落下事件などが様々あり、二〇一九年でいうと、部品の欠落は九百二十八個、うち駐機中の機体チェックで発見された欠落が八十四個というふうな事態が起こって、国交省としても対策を取るということを進めてきたわけなんですよね。

 こういうことが、緩和によって経験を積めず事故対応ができないなど、技術の継承という点でも譲ってはいけない部分があるんじゃないかとか、安全性の担保という点でどうなのかとかやはり問われると思うんですけれども、大臣の考えを伺います。

赤羽国務大臣 今回の航空会社支援パッケージに含まれている安全規制の見直しにおける大前提は、当然のことながら、安全性を損なわないということが大前提になるというふうに思っています。

 今、私の了解は、こうした物理的な制約、コロナ禍という制約のある中での緩和措置に限っているというふうに考えていかなければいけませんし、整備の問題が出ていますが、整備士につきましては、航空法に基づき認可された整備規程に従って、整備作業の内容や難易度に応じた資格要件を適切に定めることが求められておりますので、今般、その要件を緩和するというものではございません。

 いずれにいたしましても、安全は大前提だということは、これは当然のことだというふうに認識をしております。

高橋(千)委員 大前提ということで、今後もちょっと注視をしていきたいなと思っております。

 時間の関係で、質問を一つ、これは指摘をするだけにします。

 資料の一枚目にあったコンセッション空港の無利子貸付けというのがあるんだけれども、結果としてこれは、ターミナルの改修事業とか、成田空港の滑走路の延長事業とか、あるもの、今までやってきたものにやるだけだよねということを質問したかったのですが、時間の関係で指摘にとどめます。

 それで、一方で、地方空港も国と並びで着陸料の四五%減免を行っておりました。昨年度までは、地元の負担についてコロナ対応の地方創生臨時交付金で補ってきたわけですが、今年度以降はどのようになるんでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空ネットワークの維持を図るため、国内線の国管理空港への着陸料と停留料につきまして、令和二年度は四五%、金額にして約五十五億円規模の軽減を実施をいたしました。地方公共団体にもその趣旨を御理解いただき、地方公共団体の判断の下に着陸料等の減免を実施していただいたところであり、その中には地方創生臨時交付金が活用されたものもあると承知をしております。

 令和三年度におきましては、支援を継続している地方自治体もあるというふうに承知はしておりますけれども、国の方で、着陸料、停留料に限らず、航行援助施設利用料でありますとか航空機燃料税まで踏み込んで減免を拡大し、千二百億円規模の支援を実施することといたしました。まずは、こうした措置をしっかりと実施していくことが重要であると考えております。

高橋(千)委員 結局、今までの仕組みではないわけですよね。強制ではないけれども、義務でもないけれども、一律に四五%、やってきたわけですよ。それに対応する交付金がないわけだと。国は、国の空港だから五五%、減免しますよという話ではなくて、本当の意味で、ネットワークと言っているんですから、やはりそこはしっかりと担保できるように検討していただきたい、ここは重ねて指摘をしたいと思います。

 ドローンも一言やらないといけないので、次に行きたいと思います。

 資料の3なんですけれども、これは結局、無人航空機が第三者上空を補助者なしで目視外飛行ができるということに今度なるわけなんだけれども、そのときに、機体認証とか操縦ライセンスの取得によって、飛行ごとの許可、承認が要らなくなる。そうすると、今までは、もう既に実施をしている、真ん中より下のところですが、人口集中地区とか人や物件から三十メートル未満のところもこれは毎回許可を得ていたんだけれども、機体認証とライセンスの二等資格があれば、これは今度必要なくなる、そういう緩和でもあるわけですよね。レベル4だけの話ではない。

 それで、これは資料の最後のところを見ていただくと、月五千件くらいの許可が既に今も起きているし、増えている。その中で、どんなときに許可を求めていますかという中身を見ると、今読み上げた三十メートル以内が一番多くて、三万一千三百六十九件である。次に多いのが、DID、人口集中地区が二万九千九百九十五件である。そうすると、今一番許可が集中している地区が要らなくなっちゃうんですよ、ライセンスを取れば。一遍にそこまで行くのかいということを、ちょっと慎重であるべきじゃないかと。安全対策としてどうなのか。

 それで、一遍に質問しますよ、第三者上空を飛行する際に、地権者の合意取付け、これは民法との関係があるわけですけれども、どのように整理をして、飛んでもいいということにするんでしょうか。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 民法において、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」と規定されておりますけれども、その範囲は一般に、当該土地を所有する者の利益の存する限度とされております。

 このため、昨年三月に官民協議会で取りまとめられた基本方針では、第三者の土地の上空を無人航空機が飛行することが直ちに所有権の侵害に当たるわけではないという整理がなされているところであります。

 この場合の土地所有者の利益の存する限度がいかなる範囲であるかにつきましては、一律の高さとして設定することは困難であり、周辺の土地の建築物の設置状況、また事業活動の状況など、具体的な使用態様に照らして判断することになります。

高橋(千)委員 結論が出ないままに、直ちに侵害するわけではないというふうに結論を出したんだと思うんですよ、今の答弁は。だけれども、住民は全然知らないわけですよ。それは、飛行機はいつも飛んでいるねと分かっているかもしれないけれども、何でこんなにドローンが飛んでいるのかなということになるわけですね。

 本来であれば、一軒一軒合意を取り付けなきゃいけない。今、離島ではそれをやっています。それを、現実的には無理だから、じゃ、直ちに侵害しないからいいよねと、そう整理するんですか。それはやはり、住民の中にもっと理解が醸成されてからじゃなければできないんじゃないですか。

 安全対策のこともちょっと答弁なかったんですけれども、それも含めて慎重であるべきだと思いますが、もう一言お願いします。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今後ドローンが様々な用途で用いられ、その飛行エリアや頻度が増加することが予想される中、土地の所有者を始めとする地域の理解と協力を得ることは極めて重要だと考えております。

 このため、政府といたしましても、ドローンの運航者に対し、適切な機体の使用、安全なルートの設定、また万が一事故が発生した場合の賠償資力の確保などの対策を講じた上で、地域の関係者に丁寧に説明し、理解と協力を得るよう促してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 推進ありきではいけないと思います。

 終わります。

あかま委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 本日は、国土交通省の和田航空局長に答弁をお願いしたいと思いますし、また、警察庁、それから経済産業省から、宮沢審議官、そして福永審議官、それぞれお越しをいただいています。大変ありがとうございます、忙しい中。

 それでは早速、航空法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 今回の航空法、もう皆さん御承知のように、三点あります。航空会社への支援、それから保安検査の強化、そしてドローンの安全のための種々の制度整備ということが大きく成っています。

 午前中から、各委員の先生方、様々な質疑をされてこられていますので、重なるところもあるのであれですけれども、航空会社に限って言うと、やはり、度重なる国内のこの感染再拡大などの状況、そういったことにより、国際線も需要というのが蒸発していますし、国内線においても、今は非常に厳しい移動制限というか、移動を余りしないようにという状況の中で、需要の蒸発というのが発生しています。

 二〇二〇年での通期決算で、全日空さんは四千四十六億円、そしてJALさんは二千八百六十六億円の赤字を計上しているというふうになっています。これは、先日、ANAさんは四月の三十日、JALは五月の七日に発表した通期決算でありますけれども、そういった非常に厳しい経営状況が続いています。

 何度もありましたように、公租公課一千二百億円の減免というのはうたっていますけれども、本当にそれが足りるのか。僕は、政府の追加支援も含めてやはり準備しておくべきだと思うんですけれども、これはもう種々質問もありましたので答弁は求めませんので、しっかりとそういう支援策を検討、準備をしておくべきじゃないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そしてまた、私の地元大阪では、二〇二五年に大阪・関西万博というのが予定されています。その来場者数は約二千八百二十万人と想定されています。現状は、もちろん、今のこのコロナ禍がしっかり鎮静化して、一段落というような状態というふうになるのが、これが大前提だというふうに申し上げておきたいと思いますが、その状況が整えば、その際、外国人の来訪者の受入れに向けて、関西国際空港の機能強化が重要だというふうに考えていますし、そう国交省も考えてくれているというふうに思います。

 国際線のキャパシティー向上などのための関西国際空港ターミナルの大規模改修というのをしっかりと進めてほしいと考えていますが、関西エアポート社も、先ほどありましたように、航空会社同様、空港会社も非常に厳しい経営状況にあります。そんな中で、大規模改修についてどのように進めていくことになっているのか、和田航空局長にお伺いしたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 関西エアポート社が実施する関西国際空港第一ターミナルの大規模改修事業は、二〇二五年の大阪・関西万博に向けて、国際線旅客の取扱い能力拡大等を目的とした事業であり、国としても非常に重要な事業と認識をしております。

 他方、関西エアポート社についても、コロナ禍による旅客需要の大幅な減少により、大変厳しい経営環境にあると承知をしております。

 これらを踏まえまして、国といたしましては、令和二年度第三次補正予算において、関西国際空港の設置管理者であります新関西国際空港株式会社に対しまして二千億円の財政融資を措置したところであり、これを活用して新関西国際空港株式会社が改修事業の費用の一部負担をすることで、関西エアポート社の着実な事業実施を支援しているところでございます。

 引き続き、両会社と連携をし、二〇二五年大阪・関西万博に向けた関西国際空港の機能強化を図るため、しっかりと取り組んでまいります。

井上(英)委員 是非お願いをして、もちろん、何度も申し上げるように、このコロナ禍というのが本当に一段落しているというのが絶対的な条件だというふうには思いますけれども、そうなったときには、これからのポストコロナといいますか、コロナ禍の後の時代をまた牽引していくような大きいイベントの一つと思っていますので、是非よろしくお願いしたいなというふうに思います。

 続いて、先ほども言いましたけれども、改正項目三点のうちの二点目であります保安検査についてお伺いしますけれども、私の地元の伊丹空港、大阪国際空港で、おととし九月、保安検査でナイフを見逃したというような事案がありました。幸い大事には至らなかったということでありますけれども、ゲートを通っていた人がもう一回セキュリティーゲートを通るというようなことをお願いするようなこともありました。

 今回、その事案を受けてだと思うんですけれども、旅客等に対する危険物等所持制限区域立入り前の保安検査の義務づけをするという改正なんですけれども、おととしの九月に行われたということで、約二年たっています。ちょっとスピード感がないのかなというのを思うのがまず一点目。

 そして、今回の改正によって、先ほど申し上げたような見逃し事案というのは本当にきっちりと改善されるのかというのが二点目。

 そして、三点目は、これはちょっと通告していないんですけれども、先ほど質問もありましたので重ねて聞かせていただきますけれども、日本では、やはり、保安検査体制において、航空会社に対して責任が大きくのしかかっているという現状であります。他国では、国か、そしてまた空港会社というのがあるんですけれども、この点についての改善は必要だと思っているのかどうか。この三点についてまとめて聞きたいと思います。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 保安検査につきましては、法律上の明確な根拠がないことから、航空会社が運送約款を根拠として検査を実施する形であるため、旅客等の協力が得にくい場合や、検査員が旅客等に対して毅然とした態度で臨みにくいといった課題がございました。また、近年、保安検査をめぐるトラブルの発生、また、保安検査員の担い手不足や現場での労働環境、待遇の改善といった構造的な要因の存在など、多くの課題に直面をしております。

 このため、昨年六月から、学識経験者と保安検査の関係者で構成をする有識者会議を設け、議論を重ねてきたところであり、今般、中間取りまとめをいただいたことを受けまして、保安検査の受検義務化、それから保安対策全体における国のリーダーシップの発揮など、様々なものをパッケージで実施することにより、構造的な課題も含めて多面的な解決を図ることとしたということでございます。

 こうした対応を通じまして、様々な課題の解決に向けて国がリーダーシップを発揮することを対外的に明確化しながら、関係者と連携を深めるとともに、改正された制度を活用して課題解決の実効性を高めることによりまして、着実かつ適切な保安検査が実施されるよう取り組んでいきたいと考えております。

 それから、御指摘のあった三点目でございますけれども、委員御指摘のとおり、保安検査の実施主体は、日本は航空会社がやっておりますけれども、これが国であったり、それから空港会社であったりというケースがございまして、それぞれにメリット、デメリットがあります。

 したがいまして、そのメリット、デメリットをしっかりと把握した上で、誰にやっていただくのが一番適切なのか、効果的なのかということをしっかり議論をしていきたいと思っております。これにつきましても、基本方針の中でしっかり書いて、できる限り早期に議論をしていきたいというふうに考えているところでございます。

井上(英)委員 局長、答弁ありがとうございます。是非お願いしたいと思います。

 そしてまた、保安検査の義務違反なんかを取り締まっていく上において、やはり警察の役割というのは重要だというふうに思います。宮沢審議官、これの実効性をしっかりと担保できるか、取組方針について答弁いただきますようにお願いいたします。

宮沢政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、空港におけるテロやハイジャック等の未然防止を図るため、平素から空港管理者等と緊密に連携をして、空港施設内でのパトロール、保安検査場付近での警戒等に当たっております。また、保安検査に際して違法行為等が発生した場合には、保安検査員等と連携して適切に対処しております。

 警察としては、この度の法改正により保安検査の義務づけがなされた後においても、引き続き、空港管理者等と緊密に連携しながら、警戒警備を徹底し、テロ等の未然防止に万全を期してまいります。

井上(英)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、ドローンについてお聞きしたいんですけれども、和田航空局長にお聞きをしたいと思います。

 今回の法案で、昨年は登録制度について少し改正があり、今回は安全性それから認証制度についての議論ということになっています。安全性をしっかりと確保していくということももちろんですし、そしてまた機体の認証制度ですね。ですから、これも充実させていってもらうというのはいいですし、この法の改正後のドローンというのは非常に安全にいけるんじゃないかなというふうには思うんですけれども、私は、去年の登録制度から非常にこだわっている点があって、そこを改めてちょっとお聞きをしたいと思うんです。

 法改正されたことによって、登録が事後になっていって、そして、性善説で、自主登録をしていただく、届出をしていただくという形になります。もちろん、しっかりとした所有者は申請をして登録してくれると思いますけれども、例えば、犯罪を企てるなどの性悪説的発想の方も恐らくおられるのではないか、警察もそういうところが心配されるのではないかなと思うんですけれども、そういったものをしっかりと監視、管理できるような体制というのをやっていくべきだと思うんですけれども、和田局長、ちょっとお答えいただけたらと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 無人航空機の登録制度におきましては、他の交通モードの例と同様、無人航空機の所有者が申請をし、国土交通大臣が登録を行う仕組みとなっております。単に制度を創設したのみでは、所有者に確実に登録していただくことは難しいと考えております。

 このため、登録の確実な実施を担保できるよう、まずは、登録を受けずに無人航空機を飛行させた場合や、登録記号の表示の措置を講じずに飛行させた場合には、罰則を設け、強制力を持たせているところでございます。

 また、運用面におきましても、できるだけ簡便で申請者負担の少ない手続とするためのオンラインシステムを構築すること、また、利用者の団体やメーカー等に御協力をいただき、周知の徹底を図ること、それから、販売店に対しまして、購入者が購入時に登録手続を行えるようにするための補助、助言について協力を要請することなど、関係省庁や民間ともしっかりと連携をしながら、あらゆる取組を講じて、無人航空機の所有者の方が確実に登録を行っていただけるよう、施行に向けて全力で取り組んでまいります。

井上(英)委員 局長、済みません、ばたばたさせて。ありがとうございます。

 是非、抑止力になって、そういったドローンの犯罪に使われないようになるべくしていくということが大事なのではないかなと思います。

 機体の認証制度については、私はすばらしいことだと思いますので、しっかりと安全飛行が確保できるようにしていただきたいと思います。

 最後に、ドローンも含めて、やはり非常に魅力的な業界だと思います。ただ一方で、ほとんどのドローンが今中国製ということになっています。

 今日は経済産業省にも来ていただいていますけれども、今後のドローンの活用が拡大していく中で、情報セキュリティー面を含めて、安全性、信頼性の高いドローンの開発、流通を後押ししていくべきだと思います。さらには、二〇二五年の空飛ぶ車もしっかり推進していただくように、経産省、お答えいただけますでしょうか。

福永政府参考人 お答えします。

 ドローンは、警備、災害時対応、インフラの点検といった、政府を含めた様々な業務用途でニーズが拡大しております。サイバーセキュリティーを含めた、先生御指摘のとおり、安全性や信頼性を確保していくことが重要となってきております。

 このため、経済産業省としては、令和元年度の補正予算において、高い飛行性能や操縦性、セキュリティー、低コストを実現するドローン基盤技術の開発を支援し、安全、安心なドローン作りを推進しております。既に機体開発はおおむね終了し、現在、量産体制の構築を進めており、年内には政府の調達市場に投入予定でございます。

 加えて、この安全、安心なドローンに対して電力会社等の民間事業者からも関心が寄せられておりまして、今後、政府のみならず民間事業者における導入を進めることで、低コストで安全性、信頼性の高いドローンの利活用を促していきたい、こう考えております。

 あわせて、御関心の空飛ぶ車の実現に向けては、二〇二三年の事業開始、二〇二五年の大阪・関西万博での活用を見据え、引き続き、国土交通省、民間事業者、万博協会、大阪府、大阪市とも連携しながら、制度整備の議論や技術開発の支援をしっかり進めていきたいと思っております。

井上(英)委員 どうもありがとうございます。

 大臣、済みません。

あかま委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、よろしくお願いいたします。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 本日は、航空法の改正ということで、二つ、テーマを絞りまして質問いたします。一点目は保安業務、二点目はドローン規制についてです。

 まず、保安業務についてなんですけれども、まず大臣にお伺いできればと思いますが、今回の法改正によって、今後の保安業務の強化に向けた危害行為防止基本方針について大臣が定めることとされておりますが、こちらについては、空港等の設置者など及び有識者をメンバーとして含む会議を是非開催いただいて、しっかり現場の実態、現場の要望を尊重した上で策定をしていただきたい、しかも早期に策定をしていただきたいというふうに思います。そして、現場からもこういった要望が届いておりますが、これについて、大臣の御見解をまずは伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 ありがとうございます。

 今回の法改正によりまして、航空における保安検査に国が関与できるような形というのを、法改正をお願いしております。成立次第、そこを国が主導的な役割を果たすという観点から、今現場で懸念とされている課題について、有識者の方々、また関係者の皆様、現場のことをよく知っている方たちの声を反映させていただきながら、しっかりいいものに変えなければいけない、こう決意をしております。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、大臣もおっしゃっていたように、これまで、保安業務というものは航空会社が主体となって行ってきている実態がございます。ただ、この重要性に鑑みて、これから国も関与していくということで、これ自体は私は評価をしておりますけれども、やはり業務経験、現場の知識等を十分に踏まえたものであるべきだとも思いますので、今の大臣のお言葉をしっかりと実行に移していただきますように、改めてお願いをさせていただきます。

 続いて、二問目になりますが、今回の法改正によって、第百三十一条の二の三第一項では事業者の責務というものが規定をされているんですが、ここには、事業者が危害行為を防止するために必要な措置を講じなければならないというような記載がございます。この中に国という言葉は入っていないんです。

 やはり、今大臣のお考えにもありましたように、国がこれから主体的に関与し始めるということで、国の関与も明記すべきではないか、必要なのではないかというふうに思うわけですけれども、なぜ事業者のみの責務規定となっているのか。

 そして、別の法律になりますが、交通安全対策法第三条という部分では、国がこういった安全に対しても実施する責務を有するというふうに明記がされております。この交通安全対策法第三条と矛盾は生じないのか、この辺りを御答弁いただければと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空保安対策は、国が全体の制度を設け、航空会社、空港会社、ターミナルビル会社等、それぞれの関係者が必要な対策を実施しているところでございます。これに加えまして、今般の制度改正により、航空保安対策における国の主導的な役割を強めていくこととしております。

 具体的には、新たに国土交通大臣が危害行為防止基本方針を策定することとし、その中で、国が主体的に航空保安対策全体の総合調整を行うことを位置づけることといたします。また、先進機器の導入や検査員の労働環境の改善など、現場における様々な課題の解決に向けて、国が主導的に取り組むことなどを明確化いたします。

 さらに、国は、必要に応じて、基本方針に基づき、関係者に対し指導助言を行うこととしており、これらの取組を通じて、航空保安対策の一層の強化に向け、国としても主体的に関与してまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 今の答弁、少し専門的で分かりにくい部分もあるかもしれませんが、要するに、国が、交通安全対策法の第三条で規定されている国の責務というのは、ただ単に保安業務とかピンポイントな業務を実行するにとどまらず、方針の策定や助言指導も含めた広範な役割を実施する責務であるというふうに解釈をしているのだというふうに理解をいたしましたが、それはそのとおりだと思います。

 ただ、ほかの委員の方も今日の質疑の中で触れておられましたけれども、やはり保安業務については、この役割分担について、私も、その見直しがこの後も必要ではないか、このような考えを持っておりますので、これからその点についても質問をさせていただきます。

 まず、この保安検査に対して、昨年、令和二年に、保安検査に関する有識者会議というものが行われてまいりましたけれども、この中でも有識者から指摘されていたように、空港関連施設内ではエリアによって異なる主体が管理をする体制となっております。一般的に、リスク管理の観点からいえば、このような体制というのは保安管理の脆弱性につながるのではないかという懸念が持たれるのは至極当然で、実際、有識者からもそのような指摘がございました。

 保安検査については、世界的に見ても、先ほどの答弁にもありましたが、国や空港会社が担っている国も多くございます。むしろ航空会社が担っている国というのは全体的に見れば少ない、こういう実態がございますので、先ほどの答弁でもありましたが、大臣が今後定める予定の計画の中では、この役割分担の在り方についても記載したいというような答弁がございました。是非これは検討いただきたいと思いますが、改めてその方向感も含めて御答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。

赤羽国務大臣 現在我が国がやっている保安検査につきましては、航空会社が委託をして警備会社が現場で行っている、こうした状況はやはり私は見直すべきだというふうに思っております。有識者の皆様からも様々な意見をいただいておりますし、今回の法改正が成立次第、この点が一番、ある意味では主要なところだと思いますので、国が主体にやっているところもあれば、空港会社が、まあ、空港会社が主体でやっているところが多いかと思いますが、いずれにしても、そこに、具体的な主体はどうであれ、国がどう関与するのかといったことも是非議論していただいて、今回、国が主導的な役割を果たすということでの法改正でございますので、法改正の趣旨が反映できるような具体的な対応を議論していただきたい、こう思っております。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 これは私からの意見になりますが、その際、是非、基本、航空会社が保安検査を行う場合、万が一、例えばハイジャックや事故が起きて賠償責任が生じた場合には、モントリオール条約というのがございまして、賠償の上限が設定されているということであります。

 ただ、これが、じゃ、国が行う場合や空港会社が行う場合、どうなのかといったところの考え方の整理というのは非常に重要な観点だというふうに私は考えておりますし、有識者会議の中でも指摘されておりました。

 是非その辺りの、仮にほかの事業者がこれから関与する可能性が生じた場合には、その辺り、事業者側の不安を払拭するような検討は早期に行っていただき、しっかり公表していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続いてなんですけれども、この保安対策費用について一問、質問させていただきます。

 テロ、ハイジャック対策費用については、昭和四十五年のよど号ハイジャック事件以降、検査設備の強化が進められてまいりましたが、この中で、政府は、平成二十八年度から、ボディースキャナーなどの先進的保安検査機器導入費用の半分を補助しております。

 今日の午前中、道下委員の質問に対する回答の中でも、機器に百十三億の補助、人件費として八十三億の補助をしてきているという答弁がございました。

 私もその施策というのは評価をしたいと思いますが、ただ、これ、令和元年はそうだった。令和二年はどうなのかというと、令和二年度については、この補助率が二分の一から四分の一に減らされているという話も聞いております。

 今、コロナ禍で、ただでさえ事業者が苦しい中で、さらには、テロ対策の重要性が依然として高い中で、なぜこの補助率が低下してしまったのか、その理由を教えていただきたいことと、望ましくは、この補助率というのは国が責任を持って補助を継続、そして拡充していくべきだと思いますが、この点に関する見解を伺います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、ハイジャック対策として航空会社が検査機器を設置しており、その費用は、航空会社と空港管理者が二分の一ずつを負担をしております。

 国際テロ対策や東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえまして、平成二十八年より、国際線定期便が就航する空港を対象として、ボディースキャナーなどの先進的な検査機器を緊急的かつ集中的に導入するため、航空会社負担分である設置費用の二分の一を国が補助してまいりました。

 昨年夏以降は、主要空港における導入が一巡したということを受けまして、補助対象を国内線等にも拡大をしたということでございます。その際、航空会社負担分の二分の一、すなわち設置費用の四分の一を補助することを通じて、導入を今図っているところでございます。

 先進的な検査機器の導入や検査体制の強化につきましては、今般策定する危害行為防止基本方針の中で国が主導的に取り組むことを明確に位置づけるとともに、関係者ともしっかりと連携をし、いろいろと課題について考えてまいりたいと思います。

浅野委員 オリンピックに向けた措置としての性質があったということでありますが、やはりテロ対策や、この保安、守る業務というのは、これは航空会社、事業者の責任だけではなく、やはり国としてしっかりと安全、安心を守り抜くという責任も当然ながらあると思います。

 先ほど大臣も答弁されていたように、これから基本方針を作成する中で、その辺りの役割分担、責任範囲の明確化がされるのであれば、その際には、この費用補助についても、その在り方を含めて、是非見直しをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間が僅かになってまいりましたので、次はドローンの質問をさせていただきます。

 私も、これまでこの委員会で、ドローンが今後レベル4の飛行をする際、要するに、人が存在している地域の上空をドローンが飛行する場合が想定されるわけですけれども、これまで、有人地帯でない地域で飛ばすのと、有人地帯で飛ばすのとでは、万が一のときに対する備えの考え方というのはやはり変えなければいけないと思います。

 特に、上空を飛行している間、どんな異常が起こるか分からない、そして、飛んでいるのはドローンだけではありません。様々な動物、ほかのドローン、障害物がございます。こういった中でも、間違いなく地上にいる人間を、国民を保護できるように対策を打っておく必要があると思いますので、レベル4で飛行するドローンについては第一種機体認証における安全基準を満たす必要があるというふうに今回されておりますが、この安全基準には、是非、最悪の事態を想定したフェールセーフ機能、ソフトウェアのフェールセーフ機能のみならず、ハードウェア的な、例えばパラシュートという例も有識者の議論ではありましたが、そういった物理的な安全装置も含めて要件化すべきではないかと思うわけですけれども、政府の見解を伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答えいたします。

 第一種機体認証は、第三者上空を飛行することが前提となるために、特に高度な機体の安全性を求めるとともに、万一不具合などが発生した場合に備え、あらゆる事態を想定した対策を講じることが重要と認識をしております。

 第一種機体認証の安全基準の検討に当たっては、例えば、不具合発生時でも安全に制御できる機能、いわゆるフェールセーフ機能が正常に作動すること、また、落下した際の衝撃を緩和するためのプロペラガード、パラシュート等を装備することなどを含めまして、関係者の御意見を踏まえつつ、ソフト、ハードの両面から機体や飛行のリスクに応じた技術的な検討を進め、レベル4飛行に求められる高い安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 ドローン自体は、これから新しい産業の創出や利便性を高める重要なものになっていくと思います。是非、確実な安全確保の下で更なる普及策を取っていただくことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

あかま委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、航空法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 新型コロナ感染拡大の下で航空業界は深刻な苦境に陥っており、航空ネットワークを維持、確保するため、国が支援に乗り出すことは必要なことです。しかし、最大の問題は、雇用の維持が明確でないことです。

 昨年十二月に改定されたコロナ時代の航空・空港の経営基盤強化に向けた支援施策パッケージにおける雇用維持に対する支援策は、厚労省の、コロナ特例措置が一部を残して終了した雇用調整助成金や産業雇用安定助成金だけです。

 これまでも政府は、経営難に陥った航空会社への支援の前提として、経営基盤強化の名による徹底した合理化、人件費等コスト削減を求めてきました。リーマン・ショック後の日本航空の経営破綻に際し、国の支援と引換えに、再生計画に基づき一万六千人の人員削減が実施され、二〇一〇年末には百六十五名の整理解雇が強行されました。ILOから四次にわたる勧告を受け、不当労働行為が最高裁で確定したにもかかわらず、解決に至っておりません。

 本日は、雇用の維持について、国の方針に書くとの答弁がありました。新型コロナ感染拡大による苦境を、リストラ、人員削減の口実にすべきではないことを、改めて指摘をしておきます。

 さらに、支援施策パッケージは、航空ネットワークの維持、確保といいながら、訪日旅行者二〇三〇年六千万人の政府目標に固執したポストコロナの成長戦略にほかなりません。国管理空港運営権者などに対する無利子貸付けも、その内容は成田空港の第二滑走路延伸、第三滑走路新設など、既存の開発計画を支援するにすぎず、ネットワークの維持とは無縁のものです。そもそも、コンセッション空港に対する国の財政支援は、民間の知恵と資金の活用等により空港経営の徹底的な効率化を図るなどといって推進した当初の目的の破綻と言わざるを得ません。

 法案に反対する第二の理由は、ドローンのレベル4、有人地帯上空の補助者なし目視外飛行を解禁することは時期尚早であるからです。

 ドローンの機体認証及び操縦ライセンスについては必要なことです。しかし、第三者上空の飛行については、国交省自身も安全確保の手法、技術を確立できていないとし、電波断絶による墜落の危険など、安全面で多くの課題が指摘されています。なお、機体認証と操縦ライセンスの取得によって、これまで毎回必要だった許可、承認が不要となることにも懸念があります。

 また、第三者上空の合意なしの飛行は、民法に基づく土地所有権の侵害に当たることが指摘されながら、未解決のままの見切り発車になります。コロナ禍で遅れているレベル3の実証実験などを丁寧に積み上げていく中で、実現性について慎重に見極めるべきであります。

 なお、保安検査を航空法上明確にし、国がハイジャック、テロ等を防止する危害行為防止基本方針を策定し、保安検査の受検義務づけなど、国の関与を強めることは必要なことです。

 しかし、航空会社や警備会社など民間任せの仕組みは変わらず、保安検査員の処遇改善につながる踏み込んだ支援もなく、実効性が担保されていません。米国では、二〇〇一年の同時多発テロ以降、それまで民間が担っていた保安検査を国の機関である運輸保安庁、国家公務員が担うようになっています。日本でも、保安検査員の処遇改善、地位向上を図りながら、将来的に保安検査を国が責任を持って実施するよう検討するときだと思います。

 以上述べて、討論とします。

あかま委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、航空法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

あかま委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平口洋君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。城井崇君。

城井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    航空法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 定期航空旅客運送事業者及び国管理空港運営権者への支援に当たっては、新型コロナウイルス感染症の甚大な影響が長期化していることを踏まえ、安全かつ安定的な航空ネットワークが維持されるよう着実に実施すること。

 二 危害行為防止基本方針においては、ハイジャック・テロ防止対策は、国家安全保障上重要な対策と位置付け、国が責任をもって主導的な役割を果たすものであることを明確に示すとともに、その責任を果たすよう努めること。また、危害行為防止基本方針の策定や変更に当たっては、関係者の意見を十分に踏まえた上で検討すること。そのため、保安検査に関する有識者会議を継続し、関係者の議論の場を設定すること。

 三 保安検査の実施に当たっては、保安検査の確実性と旅客の利便性との両立を図るため、保安検査員の処遇の改善及び保安検査の質の高度化等の保安対策強化に必要な措置を講じること。また、旅客等に対し、保安検査の受検の義務付け及び妨害行為等の場合の罰則について十分な周知を図ること。

 四 保安検査における国、地方公共団体、空港会社、航空会社、保安検査会社等の役割分担の見直しについて、諸外国との比較を十分に行い、期間を定めて検討を行うこと。

 五 保安検査の適正な費用負担の在り方について、早期に見直しを検討すること。特に、航空会社も費用を負担している現在の制度では、民間企業の経営状況でその費用に影響が生じる可能性があることを十分に考慮し、検討を進めること。

 六 旅客から徴収している保安料については、その位置付けや意義を明確にした上で、旅客に対し周知を行うとともに、保安料の引き上げが必要な場合には、引き上げの意義や必要性について旅客等に丁寧な説明を行うこと。

 七 無人航空機の有人地帯での補助者なしの目視外飛行については、安全性を最大限確保する必要があることから、運航管理方法に係る許可を行うに際し、飛行の方法及び場所に応じて生じるリスクを十分に審査した上で行うこと。

 八 無人航空機は、物流等への幅広い活用や国民生活の利便性の向上に寄与することが期待されることから、技術革新等による機体の安全性や性能向上等を検証しつつ、無人航空機に係る規制については、適宜見直しを行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

あかま委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 航空法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました各事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

あかま委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

あかま委員長 次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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