第17号 令和3年5月19日(水曜日)
令和三年五月十九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 あかま二郎君
理事 古賀 篤君 理事 谷 公一君
理事 土井 亨君 理事 平口 洋君
理事 簗 和生君 理事 城井 崇君
理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君
秋本 真利君 井上 貴博君
泉田 裕彦君 岩田 和親君
小里 泰弘君 加藤 鮎子君
門 博文君 金子 恭之君
菅家 一郎君 工藤 彰三君
小林 茂樹君 鈴木 貴子君
田中 英之君 田中 良生君
高木 啓君 中谷 真一君
中村 裕之君 鳩山 二郎君
堀井 学君 三ッ矢憲生君
山本 拓君 荒井 聰君
伊藤 俊輔君 岡本 充功君
辻元 清美君 広田 一君
松田 功君 道下 大樹君
山崎 誠君 山本和嘉子君
北側 一雄君 吉田 宣弘君
高橋千鶴子君 井上 英孝君
古川 元久君
…………………………………
国土交通大臣 赤羽 一嘉君
内閣府副大臣 藤井比早之君
法務副大臣 田所 嘉徳君
国土交通副大臣 大西 英男君
内閣府大臣政務官 三谷 英弘君
国土交通大臣政務官 小林 茂樹君
国土交通大臣政務官 鳩山 二郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 植松 浩二君
政府参考人
(文化庁審議官) 榎本 剛君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮崎 敦文君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 小林 高明君
政府参考人
(経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官) 小澤 典明君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官) 久保田雅晴君
政府参考人
(国土交通省大臣官房土地政策審議官) 里見 晋君
政府参考人
(国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官) 馬場崎 靖君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 青木 由行君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 榊 真一君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 井上 智夫君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 吉岡 幹夫君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 和田 信貴君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 上原 淳君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 秡川 直也君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 高田 昌行君
政府参考人
(観光庁長官) 蒲生 篤実君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
―――――――――――――
委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
辻元 清美君 山崎 誠君
同日
辞任 補欠選任
山崎 誠君 辻元 清美君
―――――――――――――
五月十八日
海上交通安全法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)(参議院送付)
同日
高速道路利用並びに通行料金の無料化に関する請願(青山大人君紹介)(第九一六号)
新型コロナ危機打開のため観光業などへの直接支援の実施に関する請願(田村貴昭君紹介)(第九八〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第九八一号)
同(長谷川嘉一君紹介)(第一〇一〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
海上交通安全法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)(参議院送付)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○あかま委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、大臣官房土地政策審議官里見晋君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官馬場崎靖君、不動産・建設経済局長青木由行君、都市局長榊真一君、水管理・国土保全局長井上智夫君、道路局長吉岡幹夫君、住宅局長和田信貴君、鉄道局長上原淳君、自動車局長秡川直也君、港湾局長高田昌行君、観光庁長官蒲生篤実君、内閣官房内閣審議官植松浩二君、文化庁審議官榎本剛君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、大臣官房審議官小林高明君及び経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官小澤典明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。工藤彰三君。
○工藤委員 おはようございます。自由民主党の工藤彰三でございます。質問の機会をいただきました。本当にありがとうございます。数多いものですから、順次質問させていただきます。
高速道路のサービスエリアにおける水素ステーションの設置について、まずお伺いいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて様々な分野での対応が既に進められており、自動車の分野については、走行時に二酸化炭素を排出しないEV、FCVの導入が求められております。説明すれば長くなるんですが、既にいろいろな分野で今EV、FCVが普及しておりますけれども、実際問題、まだまだそれに対するステーションの設置が非常に少ないと私は思っております。
FCVは、今、日本のステーションが、知っている限りでは百四十六か所、日本海側が非常に少ないというのもありますし、EVのスタンドが一万八千か所でありまして、これからカーボンニュートラルに向けて、自動車の部門で、今は乗用車でありますけれども、進めなければいけないということでやっております。
ただ、補助金もありますけれども、まだまだ値段が高いということもありますし、ステーションが少ないとやはり不安があります。
実際問題、満タンというか充填、タンクいっぱいで五百キロはまだ走れないということでありますので、家族で旅行に行くときも、帰りはどうしたらいいんだ。そして、今コロナ禍でありますけれども、ゴルフが結構またブームというか、ありますけれども、ゴルファーの方々が、どうですかと、セカンドカーでミライを持っている方が、ゴルフどういうふうにされますかというと、近場はいいけれども、ちょっと山の方に行こうと思うと、帰りどうなるんだと。前の日に必ず満タンの充填をしていないととても行けないんだと、そういう話があります。
値段のこともありますし、やはり普及しないと、台数が出ないと値段は下がりません。
そして、ステーションも百四十六か所。たまたま私、地元に、走って十分圏内に四か所あります。非常に便利なんですが、実は、休日、日曜日は時間的にやっていますけれども、祝日はやっていません。これは要望しておるんですけれども、ゴールデンウィークのさなかに充填しに行きました。そうしましたら、こう紙を出されまして、真っ赤だったんです。これ全部休みですからよろしくということで、これじゃ話にならないということがまず一点。
そして、今回、高速道路というのは、まだ高速道路のサービスエリア内にステーションはありません。これからオリパラ、どうしても頑張ってやっていただきたいんですけれども、オリパラで水素社会を見せるんだという意気込みで今まで活動してまいりましたが、この後、トラックに移行していくというふうに、今、業界がありまして、トラックで、ディーゼルから水素に変わっていく。
そういう中で、トラック網の中で、物流網に当然ながら高速道路、高速道路にステーションがないということでありますので、このステーションの設置についてどのような考え方を持ってみえるのか、まずそのことをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大西副大臣 工藤委員御指摘のとおりでございまして、私は、公用車で燃料電池自動車に乗っておりますし、私用ではPHVに乗っておりまして、できるだけ、そうした時の流れを大きく変えていくために私たちは努力をしていかなければならないと思っております。
二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、電気自動車や燃料電池自動車の普及促進を図ることは大変重要なことだと認識しております。国土交通省が所管する道路分野においても、カーボンニュートラルの実現に向けて積極的に貢献していく中で、燃料電池自動車等の普及促進に取り組むことは重要であると考えています。
例えば、高速道路のサービスエリアにおける急速充電設備については、急速充電器の設置や運用管理を行う民間会社が高速道路会社と共同しつつ、道路を占用する施設として整備を行っているところでありますけれども、どこのサービスエリア、高速道路で、私どもも経験しますが、ある意味では大変いいことではあると思うんですけれども、大体、急速電池用のスペースは並んでいるというような現状もあります。ですから、この問題については、更に一層充実をしていかなければならないと思っております。
また、委員御指摘の、高速道路のサービスエリアにおける水素ステーションについては、施設の設置を希望する民間事業者に対して高速道路会社と連携して検討及び協力を行うとともに、民間事業者を支援する経済産業省ともしっかり連携して取り組んでまいりたいと思います。
○工藤委員 大西副大臣、ありがとうございました。今の答弁のとおりであります。
まだまだ水素ステーションというのは、値段が下がったといっても、建設費が三億五千万かかります。そして、ガソリンスタンドというのは、今、もうかなり減りましたけれども、ピーク時は、一九九四年に全国で六万か所ありました。今、EVが一万八千で、水素ステーションに至っては百四十六というのは桁が全く違いますから、早急にお願いしたいなということを申し上げます。
補足というか余談でありますけれども、大西副大臣の新小岩の事務所から水素ステーションに行こうと思うと、湾岸道路まで南に下がらなきゃいけない。大体二十分かかると思います。これでは普及ということになりませんので、もう副大臣、ねじ巻いて、鉢巻き締めて、しっかり普及のことをお願いしたいと思います。
続きます。
カーボンニュートラルポートの推進について、資料をお手元に配付させていただきました。先月、菅総理は、二〇三〇年に向けた温室効果ガス削減目標を、従来の二六%から四六%に大幅に引き上げることを表明しました。二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向け、また、我が国の経済の活性化のきっかけとなり得る、大変野心的だが、挑戦しがいがある目標だと考えております。
この目標の実現に向けては、産業の各分野がそれぞれ取組を進める必要があると思いますが、我が国のCO2排出量の約六割は製油所、発電所、製鉄所、化学工業からの排出となっている事実に加えて、化学コンビナート、港湾や臨港部分、臨海部に立地しており、これらの地域におけるCO2排出対策は重要であります。国土交通省がカーボンニュートラルポートの形成を掲げているのは、このような背景からだと思います。私は、これを本当に心から応援したいと思っております。
カーボンニュートラルポートの実現には、必ず、水素やアンモニアなど、CO2を出さない燃料への転換が必要になります。世界は今や、単なる経済性じゃなく、SDGsやESG投資を意識した取組が企業活動の前提となっております。我が国もこの流れに乗り遅れるわけにはまいりません。
産業におけるエネルギー利用について、水素、アンモニア等のカーボンフリーな燃料への転換をまずは港湾から進めることで、先ほど私がお話ししたとおり、我が国のCO2の排出源の六割について対策が行えることになります。
このことは、後でもお話ししますが、その効果や全産業への影響を考えれば、カーボンニュートラルポートの形成については、力強くこれを推進していく必要があると思いますが、国交省のお考えをお聞かせください。
○高田政府参考人 お答えいたします。
港湾は、総貿易量の九九・六%が経由するサプライチェーンの拠点であり、我が国のCO2排出量の約六割を占める産業の多くが集積するエネルギーの拠点でもあります。
また、港湾には水素等の需要主体と供給主体が隣接して立地し得るなど、脱炭素化に向けた先導的な取組を港湾地域で行うことは、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に効果的であると考えております。
一方、CO2の削減に向けては、各地域や個別主体の連携が重要となりますため、地方整備局がつなぎ役となり、港湾立地企業等と連携し、水素、燃料アンモニア等の大量、安定、安価な輸入や貯蔵等を可能とする受入れ環境の整備、並びに、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通じて、カーボンニュートラルポートの形成を図るべく、検討を開始したところであります。
特に、御指摘のとおり、SDGsやESG投資に世界の関心が高まる中で、港湾において、コスト面、スピード面、サービス面での競争力の強化に加え、環境面での取組も重要になってきています。
今後は、脱炭素化を、新たな投資と需要を生み出す成長のチャンスと捉え、環境面も含め、荷主や船社が選択したくなるような港、企業が投資したくなるようなクオリティーの高い港湾を目指して、カーボンニュートラルポートの形成に向けた取組を加速してまいります。
○工藤委員 高田局長、ありがとうございます。
カーボンニュートラル、更に質問させていただきますが、お手元へ配付の資料であります。港湾部分について、水素やアンモニア、そしてガントリークレーン、いろいろなものがあります。
でも、実際問題、水素といっても、グレー水素、グリーン水素とかいろいろあります。褐炭から作ったりとか化石燃料から作っては、これでは将来駄目だという話があるかもしれないので、きちっとしたことを、どうせ、きちっと国家としてやっていくなら、まず基礎づくりをやっていただきたいなと考えております。
もう一点、私、生まれは名古屋港でありますけれども、AI化、DX化、いろいろな面がカーボンニュートラルポートで進みますけれども、やはり、まだ脆弱な、港を強固にしておりますけれども、強靱化しておりますが、伊勢湾台風で被害を受けた港であります。やはり、そういうことで、カーボンニュートラルポートを建設して、構築しても、そこに水の被害、高潮、台風の被害を受けたら何ともなりませんので、そのことも踏まえて、カーボンニュートラルについての質問を再度したいのと、これが変わっていくと、私の言葉ですが、ここで巨大物流産業革命ができ上がるんじゃないかなと。でき上がった頃、私はまだ生きているかどうか分かりませんけれども、それぐらい早急にやっていただきたいのがカーボンニュートラルポートですが、再度、御意義をお聞かせください。
○高田政府参考人 お答えいたします。
水素の利用に関しまして、二〇一九年の国際エネルギー機関、IEAのレポートでは、水素エネルギーが多様なエネルギー課題の解決策となり、その利用拡大のための短期的項目の一つとして、工業集積港をクリーン水素の利用拡大の中枢にすることが挙げられています。
このため、まずは名古屋港、横浜港など全国の六地域七港湾において、官民一体となった検討会を開催し、港湾地域からのCO2排出量、水素や燃料アンモニア等の利活用方策等について検討を進め、本年四月、カーボンニュートラルポートの形成に向けた方向性や将来イメージを提示したところであります。
具体的な取組として、主要港において、水素等の需要創出と供給拡大を視野に入れつつ、停泊中の船舶への陸上からの電力供給や、災害時のバックアップ電源ともなる自立型水素等電源の導入の検討、水素燃料電池化したRTG等の荷役機械の導入の検討などを行っているところであります。
また、将来、国内の洋上風力発電で発生する余剰電力を水素化し、内航船を活用して国内の需要地に海上輸送するネットワークの構築に向けた検討も併せて進めています。
今後、カーボンニュートラルポートの形成に向けたマニュアルを早期に作成するなど、引き続き、関係省庁と連携しながら、カーボンニュートラルポートの全国展開に向けた取組を加速してまいります。
○工藤委員 ありがとうございました。
五月一日に、念願の名二環、名古屋第二環状高速道が開通しました。名古屋港に船が着き、コンテナが降り、RTGで船荷を降ろして、それを物流に変える。名古屋港の強さは、高速道路が全く渋滞しない、時間どおり走れるという道路であります。先ほどの水素の実証実験も、トラックでこれから行われてまいりますけれども、大変期待しておりますので、頑張っていただきたいと思います。
続きまして、コロナ禍の現状における通勤電車、通学電車の混雑についてお尋ねいたします。
昨年、私はこの国土交通委員会で、コロナ禍における熱中症対策について質問させていただきました。公共交通である電車やバスでは窓を開けて運行し、換気を促すべきだと指摘させていただきました。
早いもので一年がたちました。通勤通学を公共交通利用の都市圏では、便数を間引けば結果的に密が生じるということで、先般ニュースともなりました。また、この密が、今の大発生というか罹患しているコロナ、これがまだまだ減らない原因の一因かもしれないと私は考えております。
また、何か、もうこれから一年半近くたっていますから、本当にきちっとした解決策を打たない限り、通勤、帰宅時の感染を抑えることはできません。緊急事態宣言が、今日もまた増えておりますが、各県で発令している中、政府はコロナ禍における密を避けるための通勤電車の在り方をどう考え、どのようにすべきと考えているのか、改めて確認させていただきます。
○上原政府参考人 お答えいたします。
鉄道の利用者向けの感染症対策につきましては、いわゆる密閉、密集、密接のそれぞれの課題ごとに対策を実施しているところでございます。
このうち、密閉を避ける観点からは、空調装置等の使用や窓開けによる適切な換気を行っておりまして、鉄道総合技術研究所の研究によりますと、通勤電車におきまして、窓を十センチ程度開けて走行し、空調装置による外気導入を併用した場合には、車内の空気はおおむね二、三分程度で入れ替わるといった結果が得られているところでございまして、こうしたこの結果を利用者への周知に努めているところでございます。
また、密集を防止する観点からは、テレワーク、時差通勤の呼びかけを行っているほか、時差出勤の判断に資するように、各種アプリやホームページなどにおきまして、混雑情報のほぼリアルタイムの提供に取り組んでいるというところでございます。
さらに、密接を避ける観点からは、車内や駅構内での放送等を通じ、マスク着用や車内での会話を控えめにすることについて、協力の呼びかけを行っているところでございます。
引き続き、利用者への周知など、粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。
○工藤委員 ありがとうございました。
先週、前回、中谷議員も質問されましたけれども、やはり、特に首都圏の通勤を何とかしないと減らないんじゃないかなというふうな思いがありますので、これは早急な対策をまずお願いしたいと思います。
続きます。最後の質問ですが、これも同様な公共交通の質問になりますが、タクシーやバスの利用促進のことについて質問させていただきます。
タクシー、皆さん知ってのとおり、ドア・ツー・ドアの一番便利な乗り物でありますけれども、実際、今、コロナのワクチンでいろいろニュースをやっています。
私たちが、今、不要不急の外出は避けということになっておりますけれども、お年寄りの方々が、近くといっても、足の不自由な方々、なかなか年配の方は歩いていくことができない。なるべく支えてあげて、接種場所までお連れしたいんですけれども、当然、タクシーを使うことにもなりますし、今、タクシー業界、知ってのとおり、がたがたでありまして、お客さんもなかなか乗ってこない。この間聞きましたら、一番高い距離でどれぐらい走りますかと言うと、最高で二千円が限界値ですよと。もうバブルの頃の料金とか考えられませんわという話を聞かされております。
また、それにおいて、スーパーコンピューター「富岳」を使って、換気はどうなんだということで、補助で換気扇を、設置されたものをつけると、一分、一分半できれいに空気が流れるということでありますけれども、バスもそうですが、やはり密室の中に入ると、ひょっとしたらという危険を感じてなかなか乗っていらっしゃらないかもしれませんが、そのことに対してどのようにお考えをしているのか。
極端な話、助手席の窓を五センチ開けて、後ろの客席の右側の窓を五センチぐらい開ければ空気は流れるわけでありますので、それでも十分安全は確保できると私は思っておりますけれども、そのような対策をきちっとやらないと、様々な業界、いろいろなところ、大変なことになってしまいますので、考え方を聞かせていただきたいと思います。
○秡川政府参考人 コロナ禍におきましてタクシーの利用を促進していくためには、感染防止対策の徹底に加えて、今御指摘いただきましたような安全性の周知というのが大事だと考えております。
理研のスーパーコンピューターを用いたシミュレーションですとか、あと、国交省の研究所における実験で、タクシーのその車体自体、非常に高い換気性を有しているということが分かりました。それを周知しているところでございます。
また、三次の補正予算におきまして、高性能フィルターの空気清浄機の感染防止対策に対する支援措置というのも新たに設けておりまして、現在、タクシー、バス、合わせて約八百の事業者さんから導入の要望が寄せられて、鋭意取付けを進めているところでございます。
今後も取組を継続して、利用者の皆様に安心して乗車していただけるタクシー、バスの環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
○工藤委員 ありがとうございました。
もう時間ですから終わりますが、雇用調整助成金の話が出ておりまして、大変だということでありますけれども、雇調金を打つのも大変結構かもしれませんが、やはり一番のカンフル剤はお客さんが増えることだと私は考えております。
政府においては、テレビのコマーシャルを使うことは全くできませんけれども、やはりタクシー、バス、これは乗っていただいて、空気、換気がしてあって大変安全な利便性のいい乗り物だということは周知徹底をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、菅家一郎君。
○菅家委員 おはようございます。自民党の菅家一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、首都直下地震に対してなんですが、平成二十五年十二月に政府が示された被害想定、これを見ますと、都心南部直下地震想定がマグニチュード七・三、被害想定を見ますと、全壊、焼失家屋が最大で約六十一万棟、死者最大約二・三万人、要救助者最大約七・二万人、避難者最大、これはすごいですね、約七百二十万人、物資の不足、食料で最大で約三千四百万食というのが想定されて示されているわけでありますから、これが来たら本当に大変だなと実感しますね。
これは、三十年の間の確率が七割と言われているわけで、今日来てもおかしくないというわけなので、それを踏まえてお尋ねしますが、首都直下型地震対策について、政府全体の計画を踏まえ、緊急輸送ルートの確保やTEC―FORCEの派遣などについての具体的な計画作りなど、早急に実効性を確保していくべき、このように思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。
○赤羽国務大臣 首都直下型地震につきましては、今委員御紹介いただきましたように、中央防災会議では、私の承知している限りでは、首都の中の震源の場所によってとか起こる発生時刻によって、また、発生したときの風速ですとか天候によってと、様々なシミュレーションがされているというふうに承知をしておりますが、いずれにしても、大変切迫性が高まっておりまして、首都中枢機能への甚大な被害が懸念されているところでございます。
国交省といたしましては、政府全体の首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画を詳細化しまして、具体的な事態を想定して行動計画を作成しているところでございます。
まず、国土交通省及び道路管理者を始めとした関係者で構成している協議会で、首都直下地震道路啓開計画というものを策定しております。これは、優先的に啓開する八方向からのルートに人員と資機材を集中的に投入することで、いち早く都心部までルートを切り開く、そういう方針の下で、優先啓開ルートの候補三十四路線と、九か所の啓開部隊の集結の拠点を定めております。また、必要な資機材と三十三か所の備蓄場所なども具体的に定めているところでございます。
また、こうした道路啓開のほか、被災状況の調査や自治体の支援等を担うTEC―FORCEにつきましては、政府全体の計画で、派遣規模ですとか一次的な進出目標地点などが定められているところでございまして、これを踏まえて、国土交通省の首都直下地震におけるTEC―FORCE活動計画という中に、まず発災から十二時間を目途に全国の地方整備局等から応援部隊が出動する、そして二十四時間以内に関東地方整備局の指揮の下で活動を開始する、そして発災三日目には最大勢力と考えております一日約二千三百六十名の体制で活動する、できるということを目標に、順次、リエゾン、先遣隊、本隊を派遣する具体的な手順とタイミングを時系列に定めているところでございます。
いずれにいたしましても、大変切迫をしております首都直下地震などに対しましては、国交省の現場力を最大限活用しながら、国民の皆様の命と暮らしを守るための対策の実効性を確保し、しっかりと取り組んでまいりたい、こう考えているところでございます。
○菅家委員 是非、実効性のある対応ということで、迅速にお願いしたいと思います。
次に、コロナ対策なんですが、私は、東京から地元に戻るときに、やはり皆さん、地元は不安がられるわけなので、今までも自主検査でPCR検査も二回ほどやったり、抗原検査、抗体検査、全部やりました。PCRは金額も高いし、一定程度の時間を要するので、やはり今までの経験からすると、抗原検査キットなどは今、ネットで買い求めて、五分ぐらいで分かるんですね、手元で。やらないよりはいいかと思って、それを自分で自主検査をして、地元に戻って人に会うときなんかは、抗原検査の結果、陰性でしたという話をすると、非常に喜ばれる、安心されるというか、そういう経験があります。
観光に目を移せば、今、全く団体旅行が止まっているんですね。当然ながら、バスに乗るのに陰性か陽性かが分からないとやはり不安になるのは当然だし、そうすると、どうしてもパーソナルといいますか、家族でマイカーで移動するというのが多い。ほとんど、私の地元会津なんかは、大型バスは全く見られない。ここに来て修学旅行も止まっていまして、これは恐らく全国同じだと思うんですね。
一つの提案としては、だから、抗原検査は五分ぐらいで分かるわけですから、団体旅行を動かすための一つの手段として、抗原検査を行えば、その出発する以前に検査して、全員が陰性だというのが確認が取れれば、非常に安心してバスに乗って移動できるわけです。
つい数日前に、私の地元で、娘さんが結婚して披露宴をやるんだが、今こういうときにできない、できないととんでもなく高いキャンセル料を取られるのでどうしたらいいんだと相談があって、だったら、抗原検査を全ての人に実施して、受付で陰性を確認して、お店のスタッフも全員抗原検査して陰性を確認して、そして三密を避けてやったらどうですかとアドバイスしたら、これは実際行われて、何ら問題なく、みんな安心して披露宴が行われたという実績もあるんですね。
そう考えますと、観光、団体旅行を推進するという意味でも、この抗原検査、いろいろなコロナ対策の予算を取っているじゃないですか、その中に抗原検査も該当するというようなことでの支援をすべき、このように思いますが、まずお考えを示していただきたいと思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
コロナ禍によって観光関連産業が大変深刻なダメージを受けている中、全国の新型コロナウイルス感染の状況を踏まえつつ、この四月からは地域観光事業支援として、感染状況が落ち着いているステージ2相当以下と判断した都道府県が、県内旅行の割引事業を行う場合や前売り宿泊券の販売を行う場合におきまして、国が当該都道府県の取組を財政的に支援しているところでございます。
この支援の中では、委員御指摘の団体旅行に参加する際のPCR検査や抗原検査等につきましても、各都道府県が地域の実情を踏まえて支援対象に含めることが可能となっているところでございます。
また、GoToトラベル事業の再開に当たりましても、PCR検査や抗原検査等につきましてどのような活用が可能か、知見を有する厚生労働省や内閣官房とも連携しまして、現場の負担なども考慮しつつ、検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、引き続き、感染拡大防止の観点も踏まえつつ、関係省庁や関係都道府県と連携し、観光関連産業を適切に支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○菅家委員 いい答弁をいただいて、抗原検査も該当して、支援するという受け止めでよろしいですか。そういうことですね。ありがとう。ひとつ前向きに、これは業者と連携を取って、やはりそういった商品をつくってもらって団体旅行を生み出してもらうというのを、観光庁で是非積極的にお願いしたいと思います。
もう一つは、政府が抗原検査を調達する、八百万個ですか、これは非常に私は心強いし、評価しているんですが、病院関係者とか介護施設などの限られた高齢者という答弁が今までなされたんですが、やはりコロナでダメージを受けている産業はたくさんありますから、対象を広げてもらって対応していただきたい、こんなふうに思いますし、また、抗原検査キットというのがあるんですけれども、この値段が、今どんどん安くはなっていますが、私の身近な業界の中で一番安いのを調べてみますと、それでも二千円近くかかるんですね、鼻で検査するやつですが。そして、性能の問題も聞いているんですね。
だから、政府としては、やはりこれを普及するためにも、コストダウンを目指した取組と、それから性能、これもやはり上げていく必要があると思うんですが、この辺の取組についてお考えを示していただきたいと思います。
○宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。
委員御指摘の、新型コロナウイルスに関わる検査でございますけれども、御紹介の中にございましたように、PCR検査、あるいは検疫で使われておりますような抗原定量検査、そして委員御紹介ありました簡易な抗原定性検査、種類がございますけれども、それぞれに得意とするところといいますか、特性がございますので、その特性を踏まえて、適した場面でうまく組み合わせながら活用していくということが大事だろうと思います。こうした形で検査体制、多くの方が検査を受けて、安心できる体制に持っていくということが大事だというふうに考えております。
そして、御紹介いただいた抗原簡易キットに関しましては、五月七日に変更されました政府の基本的対処方針の中で、この抗原簡易キット、最大約八百万回程度分を五月中旬をめどに確保の上、可能な限り早く施設への配付を進める旨が盛り込まれたところでございます。
この配付の対象範囲といたしましては、詳細は検討中でございますけれども、主としては、重症化リスクの高い方が多くおられると考えられます病院や特別養護老人ホーム、老健施設等の、症状が表れた従事者の方などに使用することを念頭に置いているところでございます。
ただ、その上で、御指摘の、医療機関等以外の業種への配付につきましては、抗原簡易キットの確保数の限界もございますが、最大限有効活用できる観点からどういう使い方ができるのかということは、関係省庁とも配付先について検討させていただきたいというふうに考えております。
事業者におけるクラスターの発生状況ですとか、拭いという形で取る形になりますので、医療従事者の協力が得られるかなど、抗原簡易キットを適切に使用できる体制の有無も重要な考慮要素に入ってくるかと思っております。
また、委員御指摘の、こういう検査キットに対する支援ということに関して申し上げますと、かなり今、日進月歩で技術が進んでおりまして、事業者の方を始めまして、多くの国民の方にこうした検査を提供できるように、我々といたしましても、メーカーに対して増産あるいは安定供給ということを依頼をしております。
昨年末までには、この抗原検査キットに関して言いますと、承認を受けていた事業者は三社にとどまっておりましたけれども、年を明けて以降で現在までに、総計で十を超える事業者が承認を受けるなど、かなり企業側の対応も進んできておりますので、引き続き、こうしたメーカーの方で生産が進みまして、より安価な自費検査を受けられるための環境整備に関する取組など、様々な形での取組を進めてまいりたいと考えております。
○菅家委員 私は二日前にワクチンを打つことができました。ちゃんと真面目に朝九時から夕方まで電話しまして、百回ぐらい電話してようやくつながって、打てまして、今日二日目で、熱が出なくていいなと思って安心していますが、このように、七月までに、我が国の国民の六十五歳以上の方は二回接種を受けることになるんですね。世界もそうですね。アメリカもイギリスもそうですね。二回ワクチンを受けるような時代が必ず来る。つまり、アフターコロナを目指していくべきだと思うんですね。
じゃ、今までのように止めていいのか。国内においても、今までの三密だ云々でいいのか。やはりこれからは、二回ワクチンを受けた方、PCRだ、抗原検査だ、いろいろなことを使って経済を動かすべきだ。あるいは海外においても、やはり今止めているのをどうやってこれから動かしていくのか。オリンピックもそうですよ。そういった観点で私はあるべきだし、そういった、やはりこのワクチン云々を使ってしっかりと対応すべきと思いますが、お考えを示していただきたいと思います。
○藤井副大臣 委員にお答えいたします。
ワクチン接種を受けられた方というのを身近にお伺いしたのは初めてでございまして、しっかりとワクチン接種、進めてまいりたいと思っております。
また、先ほど海外の話をされましたけれども、海外渡航者向けの国際的な接種証明のニーズへの対応につきましては、国際的な情勢を注視している段階でございまして、各国の検討状況を踏まえて、関係省庁間で連携しながら対応を検討することとなると考えております。
国内につきましては、ワクチンを接種した方にプラスになることを自治体や民間が行うこと、このことは問題がないというふうには考えております。
ただ、アレルギー等によりワクチンを接種できない方もおられます。接種を受けていないことを理由として不利益な取扱いを行うことは適切でないというふうに考えております。
○三谷大臣政務官 お答えいたします。
オリンピックに向けての温かいお言葉、ありがとうございます。
大会における最大の課題は、新型コロナウイルス感染症対策であるというふうに認識をしておりまして、先月開催いたしましたコロナ対策調整会議におきましては、アスリートについては原則毎日検査をするなど、変異株に対応した追加的な対策案が示され、現在、組織委員会におきまして、検査手法、実施体制等を含め、具体的な検討を進めているところでございます。
また、ワクチン、今打たれたという話もありましたけれども、IOCがファイザー、ビオンテックと合意をいたしましたワクチン無償提供の提案というものは、大会の安全、安心な開催に向けて重要なものであるというふうに考えておりまして、現在、日本選手団へのワクチン接種につきましても、優先接種対象者へのワクチン接種や医療従事者の活動に影響を生じさせないことを前提に、接種場所や接種時期について関係機関等との調整を鋭意進めているところであるというふうに承知しております。
また、観客に関しましても、四月中に判断することになっておりました観客数につきましては、先月の五者協議におきまして、海外からの観客の観戦を認めないという大きな事情変更がある中で、現在の国内感染の状況も踏まえまして、その判断を六月に行うことで合意がなされております。
いずれにいたしましても、政府といたしましては、安全、安心な環境を確保することを最優先に、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策の取組や感染症専門家の知見も踏まえまして、引き続き、東京都や組織委員会、IOCなどと緊密に連携して準備を進めてまいります。
以上です。
○菅家委員 終わります。ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、城井崇君。
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。
今回は、赤羽国土交通大臣、田所法務副大臣、よろしくお願いいたします。
まず、新型コロナ対策について伺います。具体的には、三つの職種のワクチン優先接種についての現場要望をお伝えしながら、お尋ねをいたします。
一つは、タクシー運転手への新型コロナワクチンの優先接種についてです。
コロナ禍において、タクシー運転手は、医療従事者等のエッセンシャルワーカーを運ぶエッセンシャルワーカーの役割も日々果たしている重要な存在です。
そんなタクシー運転手ですが、五月十二日に行った全国ハイヤー・タクシー連合会からの聞き取りによれば、接種希望者を運ぶいわゆるワクチンタクシーの協力のほかに、地域によっては、軽症患者、中等症患者の待機施設等への移送にハイヤー、タクシーが関わるケースが想定されるとのことでした。
特効薬がないのはもちろんのこと、ワクチン接種も受けないまま、罹患した患者と接することは、極めてリスクが高いと考えます。民間救急車などとは異なり、事前準備も十分とは言い難い状況です。
運転手全員は難しいにしても、せめて、軽症患者、中等症患者を移送する業務に当たる可能性があるハイヤー、タクシー運転手について、ワクチンの優先接種など、命と健康を守る具体的な手だてを国としてきちんと取るべきだと考えますが、国はどのように対応しますか。大臣の見解をお願いします。
○赤羽国務大臣 この質問は、昨日、参議院の国土交通委員会でも公明党の竹内委員から質問がございまして、お答えをさせていただいたところでございますけれども、現在、一部の自治体において、今おっしゃられたような、タクシー会社に軽症コロナ患者の皆さんの病院への搬送を委託している例がございます。
こうした業務に従事する運転者に限り、医療従事者等というふうに位置づけた上で優先接種を行っているということを承知しておりますし、厚生労働省からもそうした確認の答弁をさせていただいたところでございます。
今後、国土交通省といたしましては、タクシー運転手さんを感染リスクから守らなければいけないという立場でありますから、こうした事例を各自治体に周知することで、コロナウイルス対応への貢献をしっかり後押ししていきたい、こう考えておるところでございます。
○城井委員 タクシー運転手の命、健康をしっかり守るという取組を是非お願いしたいと思いますが、地域でタクシーの配置状況がまちまちなところもあります。対応ができる地域と、そして、そこまでタクシーがいなくて、自治体から請われてもなかなか難しいというところもございますので、そうした地域の現状を踏まえての支援を是非、国側としてもお願いしたいと思います。
次に、海事関係者への新型コロナワクチンの優先接種について伺います。
エッセンシャルワーカーとして事業継続に努めている船員や国内旅客船関係者への希望者全員の早期ワクチン接種について、現場から強い要望があります。
五月十一日、私も参加している海事振興連盟の会合においても、日本内航海運組合総連合会、日本旅客船協会、全日本海員組合から強く要望をいただきました。
国土交通省として政府内で働きかけて実現すべきと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。
○赤羽国務大臣 実は、この件は、港湾運送協会の皆さんですとか、ハイヤー、タクシー業界ですとか、バス組合の皆さん、またバス協会の皆さん、そしてトラック協会の皆さん、物流関係の皆さんから一様に御要望をいただいたところでございます。
昨日、私も海事関係の御代表の皆様にもお会いをし、同じ要望を受け、御説明をし、御理解をいただいたというふうに了解をしておりますが、今回は、以前の新型インフルエンザとは異なりまして、国民の全員の皆様を目指して接種をするという目標で、早期にかつ円滑に接種を完了するという方針の下から、接種体制を簡素かつ効率的に実施する必要がある。それぞれの地方自治体で職種を指定しますと、なかなか、その職種がどうなのかという議論とか、実際、決めた後も、その人がその職種に就かれているのかという確認作業とかで、相当事務的な手続が取られてしまう。
ですから、それよりも、とにかく希望される方については早期に、また円滑に接種を完了するということを優先したいということで、今回はこうした、残念ながら、皆様方から御要望がありました、具体的には新型インフルエンザ対策特措法のいわゆる特定接種の考え方は取らないというふうに決定をし、そうしたことはお伝えをさせていただいているところでございます。
いずれにいたしましても、これは地方自治体でそれぞれ、具体的には接種をそれぞれのやり方でやりますので、地域によっては、先ほどお話がありましたような、エッセンシャルワーカーとしてタクシーの運転手の皆さんやバスの運転手の皆さんに対して優先的に接種をされている例もあるというふうに承知もしておりますが、国としてはそうした方針であるということの御理解をいただきたい、こう思うところでございます。
○城井委員 今大臣から御説明をいただいた国の方針については、理解をしているつもりです。ただ、一律の対応だけで本当に大丈夫だろうかと思うからこそ、現場のお声をお伝えさせていただいています。
特に、今ほどの海事関係者の件で申しますと、一点だけ確認をするとするならば、船員に対してのワクチン接種については、例えば、内航海運における船員の就労パターンを踏まえて実現を図ってほしいという要望が大臣の下にもあったかと思います。三か月船に乗って一か月休暇というパターンですと、休暇中に接種する必要がある。
この就労パターンを踏まえたワクチン接種の体制を組まなきゃいけませんが、今の大臣のお話ですと、国の大方針はありつつですが、地域の状況が許すならば、地方自治体によって、内航海運における船員の就労パターンを踏まえた優先接種はあり得るという理解でよろしいんでしょうか。
○赤羽国務大臣 それは地方自治体の考え方だと思いますが、内航海運の特殊な就労のパターンにつきましては、もう既に厚生労働省と連携をして、予約方法などの具体的な接種手続ですとか、船員の皆さんに係る留意点についての周知を行った上で、事業者からの問合せなどに個別に対応しているというふうに承知をしております。
引き続きまして、業界の皆さん、厚生労働省と情報共有、連絡調整を図りながら、船員の皆様に対しましても円滑なワクチン接種に向けて取り組んでまいりたい、こう思っております。
○城井委員 新型コロナワクチンについては、国際的には、三月二十五日、船員と航空機の乗務員について、社会機能の維持として医療従事者と同様にワクチンの優先接種の対象となるよう、国際海事機関、IMO、国際労働機関、ILO、そして世界保健機関、WHOなどにおいて決議が行われ、さらに、四月末に開催されたILO政労使特別三者委員会では、昨年十二月の国連総会決議、ILO事務局の決議に基づき、MLCの遵守を求める決議が採択されています。こうしたことも踏まえた対応が必要かと存じます。政府においてきちんと御対応、検討をお願いしたいと思います。
先ほど大臣からも、各種公共交通、運輸に関わる皆様からの御要望をお聞きいただいているということなので、この点もお声が届いているものというふうに思いますが、港湾関係者についての優先接種についても確認をしたいと思います。
港湾労働者は、エッセンシャルワーカーとして、外国貨物、外国船舶との接触機会も多いのが現状です。一般的対応では手遅れになり、事業が成り立たず、我が国海運、港湾が機能不全になる事態に陥る可能性があることから、PCR検査の充実及びワクチン優先接種の実施体制を早急に整えてほしいとの港湾現場からの要望が強くあります。
国土交通省として政府内で働きかけて実現すべきと考えますが、この点、大臣、先ほどからの御答弁と同様の取扱いでしょうか。御見解をお聞かせください。
○赤羽国務大臣 ワクチンの接種につきましては、これも、日本港湾運送協会の会長から直接、御要望をいただき、私も、総理始め関係大臣とも、そうした声を伝えながら議論をいたしました。結論は、先ほどの御答弁どおりでございます。
加えて、PCR検査の充実につきましても御要望いただいておりまして、これにつきましては、感染源や感染拡大の兆候を把握するために、比較的感染リスクの高い作業所などの場所において定点的、定期的にPCR検査を行うという、内閣官房の感染再拡大の早期探知のためのモニタリング検査事業がありまして、その実施場所の一つとして、京浜港、阪神港等の港湾現場についても選定する方向で、現在、地元関係者との調整を進めているところでございます。
○城井委員 ここまで、エッセンシャルワーカーである公共交通、海事、港湾に関わる三つの業界労働者への優先接種の現場要望をお尋ねしてまいりました。
大臣からもございましたように、できる限り早期に国民に提供するための十分な数量の確保を目指すこと、そして、接種順位の上位に位置づけられていない方へのワクチン確保し次第の迅速な接種をすること、こうした部分が政府方針だということは今日の答弁でも確認をしましたし、私自身も理解をしているところでありますけれども、公共交通の担い手や現場の海事、港湾の労働者が高い感染リスクにさらされることがないようにすることが重要だというふうに考えています。
その意味で、ワクチンの優先接種という部分が現場の要望から強くあることは事実でありますので、先ほどの、自治体での対応の、柔軟な裁量、工夫といった部分を含めてになるかと思いますが、政府での対応、迅速に行っていただくように、改めて要望申し上げたいというふうに思います。
続きまして、船員交代について、国土交通大臣と法務副大臣にお伺いしたいと思います。
国際航海に従事する外航船員や、遠洋漁船に乗り込む乗員の乗下船は、コロナ禍における各国の入国規制や移動制限により船員交代が円滑に行われず、多数の船員が長期乗船を余儀なくされるなど、大きな問題となっています。
日本人のみならず、我が国へのロジスティクスを担うために出入国する外国人船員に対し、乗下船が円滑に行われるようにすべきだと考えますけれども、まず、国の対応について、法務副大臣から御見解をお願いします。
○田所副大臣 お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症に係る水際対策を強化している現下の状況において、上陸の申請日前十四日以内に上陸拒否対象地域、百五十二の国、地域でありますが、ここに滞在歴がある外国人については、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしております。
そうした中で、委員御指摘の点でありますけれども、外国人船員が船舶等の乗換え、乗り込み等のために我が国への上陸を希望する場合には、船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者から乗員上陸許可申請がなされることとなっております。
その上で、乗り継ぎのために短期間滞在するものであること、そして、本邦で乗員上陸許可申請を行うことに合理的理由があること、検疫上の要請を遵守することなどの条件の下、必要と認められる船員の交代について、特段の事情があるものとして上陸を認めているところでございます。
法務省としては、引き続き、関係省庁と連携し、必要な水際対策について適切な措置を取ってまいります。
以上です。
○城井委員 円滑な船員交代については、国土交通省からも是非政府内で働きかけるべきだというふうに考えますが、国土交通省の対応について、大臣から、やりますというふうに言っていただけるでしょうか。
○赤羽国務大臣 やりますというより、やっておりますという答弁の方が正しいかと思います。
○城井委員 是非よろしくお願いしたいと思います。
船員交代に関しましては、令和二年十二月の国連総会決議や、ILO事務局で採択された決議による、グローバルな協力とMLCの完全実施など、世界的なコンセンサスが醸成をされています。
船員交代のための一時的な航路変更や交代可能な寄港地での早期交代などにより、日本人船員を含め乗下船を行うなど、関係者の尽力により、日本商船隊に乗り込む船員の長期乗船者は減少してきていますが、いまだに多くの外国人船員が長期乗船を余儀なくされています。
また、今後の感染状況によっては、これまで以上に船員交代が難しくなることも想定されます。政府においては、十分、現場事情に心を寄せていただきながらの対応をお願いしたいと思います。
続きまして、港湾政策、港湾労働政策について、順次お伺いをいたします。
港湾政策決定過程における労働者代表の関わりについてお聞きします。
国土交通省交通政策審議会港湾分科会の委員に港湾労働者の代表が含まれていないと、港湾現場から指摘があります。国土交通省にお尋ねをしたところ、二〇〇一年の分科会設置以降、これまで港湾労働者の代表が選ばれたことがないとのことです。
過去の港湾分科会における労働者代表の委員就任はこれまでに一度もないとの認識で間違いがないか、大臣からお答えください。
○赤羽国務大臣 これも参議院の立憲民主党の議員から同じ質問をされてお答えをしていることでございますが、港湾審議会というのは、今言われました中央省庁の再編があった平成十三年の一月以前と以後、随分性質が変わりました。以前の港湾審議会は、全国港湾労働組合、また全日本海員組合の御代表の皆様に参加をしていただいておりましたが、中央省庁の再編が行われまして、交通政策審議会の一部である港湾分科会に再編されたという事情があって、まず委員の数を三十二名から十五名に簡素化する、そして議論も、より政策的な議論を行うという役割が見直されたということがございました。
その結果、委員構成につきましても、物流や産業等の分野に関わる有識者の方々を中心にした構成になりまして、業界代表の委員につきましては、荷主さん、また海運、港運等の各分野から一名を選任する形として、港運分野を代表しては、現在、日本港運協会の会長に就任をしていただいているところでございます。
ただ、他方で、港湾政策の立案に当たりましては、当然のことながら、現場の皆さんの意見を聞くというのは大変重要だと考えておりますので、国土交通省としては、港運労組から年二回の定期的な申入れの対応に加えまして、昨年六月以降、二か月に一度、港湾局の担当課長等による懇話会を実施しておりまして、現場の皆様の意見を政策に反映するよう努めているところでございます。
○城井委員 労働組合からの定期的な申入れへの対応や懇話会の開催といった部分については、大変意義深いことだというふうに思っています。
その上でなんですが、大臣も今御答弁でもおっしゃられましたが、政策的な議論に特化してという部分を仮に理解するとしても、そのときに、例えば、港湾に関わる物流の政策ですとか、あるいは港湾に関わる経営の観点ですとか、あるいは港湾労働の部分ですとかといったときに、では、その関わる委員の、特に専門分野が関わってくると思いますが、そこに関わってくる人たちがそうした部分にきちんと知見を持った形で議論をいただけているかという部分が大変心配でございます。
特に、先ほど十五名とおっしゃった方々の内訳を拝見をいたしますと、研究者が十名、企業関係者が四名、そしてジャーナリストが一名という状況でございます。
研究者の中には、専門をそれぞれに拝見をいたしましたが、物流の専門家や経営の専門家については含まれておりましたが、港湾労働についての直接の専門の方はいらっしゃいませんでした。
企業経営側は、労働者とともに港湾を守り立てる立場だというふうに思いますが、ただ、案件によっては労働者側と考え方が異なる場合もあります。
我が国の港湾は、貿易量の九九・六%が経由している、製造品出荷額も全国の約半数を占める百五十兆円に上る、そういう日本の生命線を担う我が国の港湾の話です。物流や経営の専門の方は議論に加わっているけれども、港湾労働の専門家の方、あるいはその当事者が入っていないということでは、その議論のバランスという意味ではいかがかと思います。
そうした当事者代表をきちんと、聞き取りをするのは当然のこととして、議論に加えるというふうに、そこは議論に加わっていただいて、そして政策を進めていくというのが、労使関係やあるいは政策の議論を含めたバランスある姿だと思いますが、大臣、ここは御検討いただけませんか。
○赤羽国務大臣 これはそもそも行政改革という大きな流れの中で絞られた中で、各業界の分野から一名ずつ選任するという形の中で誰を選ぶかということで、港湾運送業界の中でやはり港運協会の会長に就任していただくというのが基本的には妥当な考え方だと思います。
ただ、もちろん労使対立とかということがあるケースもあるというのは承知をしておりますので、そうしたことをカバーするために、二か月に一度、担当の課長が実際に皆様方からの話を伺わせていただきながら、政策に反映をさせていただいているという形で、具体的な何かそごが、不十分な点があるというふうには、私たちはそう認識をしておりません。
○城井委員 年に二度の申入れに対する対応については真摯に行っていただいているというふうに私自身も思うわけでありますが、ただ、案件によっては、立場が異なり、対立を抱えたまま前に進んでいるというケースも間々ありますので、そこは決めつけをせずに、是非、現場の事情、立場がそれぞれに違うケースはもちろんあるというふうに思いますので、そこはできる限り近づける努力を政府にお願いしたいというふうに思います。この委員就任については、その状況を見ながら、改めてまた提案をしたいというふうに思います。
次に、港湾の自動化政策、制度導入の港湾労働者雇用への影響についてお伺いします。
AIターミナル構想などによる港湾の自動化政策や制度導入について、人を支援するのが目的との国土交通省からの説明ですが、港湾現場からは、現在の港湾労働者の仕事や雇用を奪う仕組みとなるのではないかとの不安の声が相当数届いています。
港湾の自動化政策や制度導入に当たっては、国から全国の港湾労働者との積極的な情報共有を図り、港湾労働の当事者が事前に対応できる体制を国が整えるべきと考えますけれども、どのようにお答えになるでしょうか。港湾の自動政策を進める際に、港湾運送事業者への十分な事前説明を行うこと、そして関係労使の合意状況を踏まえて事業採択の可否を決定することということを踏まえて事業執行すると大臣から明言をいただけるでしょうか。大臣の見解をお願いします。
○赤羽国務大臣 これは私の一つの私見でもありますが、世界の今の国際競争力が大変激しくなっているこの港湾、勝ち抜くために何が必要かと考えていくときに、やはり生産性の向上というのはもう必須だと思います。
他方で、港湾だけではありませんが、現業の人手というのは、これは当然、人口構成上もさることながら、今の若い人たちの気質というか、なかなか、現場で働くという部分が大変不足しているというのは、現業を抱えているところはどこも共通したことでございます。
ですから、一昨年、就任した年の年末にシンガポールにも行ってまいりまして、シンガポールのPSA、まさに、元々相当トップランナーだったんですけれども、相当差がつけられているということを認識して、ここは何とか改革をしていかなければいけないし、そうした中で私たちは、AIや自動化、遠隔操作化というのは、これは進めていかなければいけない方向性だというふうに思っております。
それが今現業で働かれている皆さんたちの職を失うことではないということは、それは、そうした配慮というのは当然必要だと思いますし、その説明というのは十分やることだというふうに思っておりますので、これは、このことだけではありませんけれども、政策一般、進めるに当たりまして、関係者の皆様の、その必要性についての御理解をいただき、協力を得るというのは当然やらなければいけないことでございますので、本件につきましても適切に対応してまいりたい、こう考えておるところでございます。
○城井委員 生産性の向上は大変重要な部分だというふうに思っています。それを行っていく折に、関係者の理解、協力を得ることは当然のことだというふうにも思います。
大臣、そこでやはり重要だと思いますのは、雇用の公正な移行、そしてそこに対する支援。つまり、職場が小さく縮んでいったときに、ではほかの職場で移って働いていただこうというときの、その雇用の公正な移行について、当事者に丸投げするのではなくて、国もきちんと注視しながら必要な支援を行っていくということが大変重要かというふうに思います。
これは、先日の我が党委員からも質問のあった、例えば、石炭の荷役の仕事が縮んできて大変だといった声が港の方からあって、でも、そこの仕事が縮んでいったときに別の場所で働いていただくときに、そういうところも国がやはり支援していきながら移っていただくという部分も必要な場面があろうかというふうに思います。そうした雇用の公正な移行について、国側もきちんとしっかり注視をしながら取組を進めていただくと、是非お願いしたいというふうに思います。
続きまして、港湾運送事業基盤の安定に資する課題について伺います。
認可料金制度に相当する法整備に向けた港湾における適正料金収受を目的とし、料金等交渉に活用できる資料を基に具体化できる協議体制を構築すべきとの港湾現場からの要望がありますが、この協議体制の構築について、大臣の見解をお願いします。
○赤羽国務大臣 見解と言われても、ざくっとした質問ですので、聞かれたいことが何か、定かじゃありませんけれども、港湾運送事業における料金規制につきましては、事業者間の競争を促進して、事業の効率化や多様なサービスの展開を図ることなどを目的といたしまして、平成十二年そして十七年の港湾運送事業法の改正によりまして、従来の認可制から事前届出制に規制が緩和された、そして今日に至っているところでございます。
他方で、港湾運送事業者に対する監査では、届出料金を適正に収受していないケースも見られるというふうに報告を受けておりますので、届出料金違反の是正を図るなど、料金の適正収受を図っていく必要があるというふうにも考えておるところでございます。
国交省といたしましては、料金の適正収受に向けて、届出料金に違反している港湾事業者に対して適切に指導を行っていくということにしておるところでございます。
こうした料金なども含めた港湾運送の在り方については、先ほど申し上げました二か月ごとの港湾労組の皆様と港湾局の担当課で開催している懇談会におきまして意見交換を行う予定でございまして、来月、このテーマで意見交換を行う予定というふうに聞いておるところでございます。また、必要な資料等については、当然のことながら、随時提供してまいりたい、こう考えております。
○城井委員 大臣、この要望の中身は、今ほど大臣がおっしゃったまさに申入れ、過去に港湾関係の労働組合からも出された内容でありますので、その点は是非踏まえていただきたいと思います。今後設定される意見交換の場などでも、議論した内容を踏まえた政策の具体化の段階でも、十分に情報共有の上で進めていただくことをお願いしたいと思います。
続きまして、港湾労働者の雇用と職域に係る問題についてお伺いをいたします。
港頭地域に隣接する地区での港湾運送事業行為によるダンピング防止や港湾倉庫内作業の港湾運送事業法適用を行い、港労法との整合性を図るなど、同等地域内での公正な競争を保つ措置策を整備すべきとの港湾現場からの要望があります。
この要望のポイントの一つは、一時保管を担う倉庫業と輸出入を担う港湾運送業の線引きの問題だと理解をしています。同一社内で両方の事業を担うケースがあったり、生産調整に用いるケースがあったりなど、微妙な部分はあるんですが、一般派遣の可否など双方の事業が互いに影響し合う部分について、互いの秩序の維持が重要だ、国としてこの秩序維持にきちんと関与してほしいという趣旨の要望だと受け止めています。
国としてどのようにお答えになるか、大臣の見解をお願いします。
○赤羽国務大臣 私のところに、港湾近傍の倉庫に対する法令の適用関係につきましては、現状で一定の整理がなされているものというふうに報告を受けております。港湾における貨物取扱量を増加させるとともに、産業としての港湾運送事業の発展を図るという観点から、もちろん、特段の必要があれば、関係法令に基づいて適切に対応してまいりたい、こう考えております。
○城井委員 先ほど御紹介した要望のもう一点、ダンピング防止の点について、一点、要望を申し上げておきたいと思います。
届け出た料金から、事後、料金を下げて事業を行う、いわゆるダンピングの防止という趣旨ではなく、荷主との協議を経て届け出たとされるそもそもの料金が事業遂行に影響を与えるほど安過ぎる問題を指し示しているというふうに聞きました。国土交通省の監査でも、抽出調査にもかかわらず、事業者の四割が文書警告を受けているとホームページで公表されています。
以前のような認可料金に戻すのは難しいと考えますが、ただ、安過ぎる料金がデフレの一因にもなっているのではないかというふうに懸念をいたします。その料金で事業遂行に必要な費用が賄えているか、国土交通省には、港湾運送事業の適正料金についていま一度検討いただきたいということをお願いしたいと思います。
と申したところで質疑時間が参りましたので、一問残しまして、失礼いたしました。以上で質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、伊藤俊輔君。
○伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。
引き続き、質問をさせていただきたいと思います。
まず、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている公共交通への支援についてお伺いをしたいというふうに思います。
新型コロナウイルス感染症の影響による公共交通の輸送人員や運送収入の大幅な減少等により、全国の公共交通事業者において事業の継続や路線の維持が困難になっている、そんな事態が生じているというふうに承知をしております。
私の地元、東京都町田市においても、日々、事業者や役所の皆さんと意見交換をしますけれども、私の地元でも影響が大きく、事業者の路線バスの減便やタクシーの稼働台数の削減等を余儀なくされており、今後もこのような状況が続くと市民の移動手段の確保に支障を来すという声も上がってきております。
また、公共交通は、承知のとおり、地域住民の日常生活の基盤であるとともに、経済活動の基盤でもあり、新型コロナウイルス感染症によって飲食業や観光業を始めとする多様な業種が影響を受けている中、公共交通の維持は今後の地域経済の回復に不可欠であり、公共交通事業者への支援は幅広い業種への支援につながると考えております。
現在、国による支援としては、令和二年また三年、補正予算によって、地域公共交通確保維持改善事業費補助金のメニューの拡充等が行われているほか、自治体では地方創生臨時交付金が活用されて、様々な方法により公共交通を維持していくための支援が行われていると承知をしております。
地方創生臨時交付金は、幅広い使途の中から地方自治体が事業を決定するため、公共交通への支援に活用されるとは限らず、第一次、二次の補正予算では、事業を行った千七百八十八の自治体のうち、公共交通への支援に活用されている自治体は約三百六十にとどまっておりました。三次補正にて、現在、約八百の自治体で活用されてきていると承知をしておりますけれども、これまで、感染拡大防止策や生活に困っている方への支援など、国民の生命を守るほかの事業を最優先に活用せざるを得ず、公共交通への支援まで予算が回らないという声も聞こえてきております。
このような観点から、公共交通を維持し、地域住民の移動手段を確保することの重要性に鑑み、公共交通にスポットを当てた直接補助による支援を拡充するため、新たな補助金の創設や、現行補助金の内容を拡充すべきだというふうに考えます。立憲民主党からも既に、観光産業持続化給付金法案も出させていただいているところであります。大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○赤羽国務大臣 私は、何度も発言をさせていただいておりますが、公共交通機関におかれましては、交通事業者の皆さんは、現場で感染のリスクに対する不安を抱えながら、公共交通を維持しなければいけないという使命と責任を果たしていただいていることを、心から感謝を申し上げているところでございます。
こうした公共交通機関、ウィズコロナ、アフターコロナにおいては大変重要な社会インフラでありますので、しっかりと支えなければいけないというのは、これは大方針で、いささかも変わることはございません。
この間、政府全体としましては、持続化給付金ですとか資金繰りの支援を行い、また、雇用調整助成金も、公共交通事業者に対しましては、総額約二千百億円を交付させていただいておるところでございます。
また、加えて、今お話ございました地方創生臨時交付金、これはたくさんのメニューがある中で、我々も、数多いメニューの中で是非公共交通機関の支援に使っていただきたいということで、全国の運輸局の局長からそれぞれの首長の皆様に働きかけて、このメニューの中に公共交通事業を支えていただくメニューがあるので使っていただきたいということを懸命にやらせていただいておりまして、これまで、八百の自治体、約千六百の事業が実施をされているところでございますし、加えて、今般新たに創設をされました事業者支援分ということにつきましても、同じように、公共交通事業者への支援が行われるよう、改めて働きかけをしているところでございます。
また、加えまして、そもそも国交省は公共交通機関の所管でもありますので、国土交通省としてしっかりと維持しなければいけないということで、今お話しいただきましたように、令和二年度の第二次補正予算において百三十八億円、第三次補正予算で三百五億円、そして、今年度の当初予算において二百六億円と、これまで、我が省の予算では相当手厚い、手厚いというか大きな予算を計上させていただいておりまして、これは、実質的にはもう直接支援に近い、一応、感染防止対策の強化ですとか、路線の維持、まあ、路線の維持というのはもうそのものでございまして、そういう意味で、使い勝手をよく、できるだけ多くの皆さんに効果的に使っていただきたい、こう考えているところでございます。
いずれにいたしましても、コロナ禍によるこうした大変な危機を乗り越えながら、必要であれば適時適切に、追加的な支援も講じなければいけない状況であればしっかり対応しながら、全力でこの公共交通機関の維持については取組を進めていきたいと、こう決意をしているところでございます。
○伊藤(俊)委員 大臣もよく承知で、検討していただいていると思いますが、必要であればという今発言がありました。必要だというふうに思いますので、直接給付を含めて、支援の輪を是非広げていただきたいというふうに思います。
次に、首都圏鉄道に対する時間帯運賃の導入についてお聞きをしたいというふうに思います。
先日、国交省は、大都市鉄道の混雑緩和策として、ダイナミックプライシングの効果や課題を検討することを明記した第二次交通政策基本計画案を交通政策審議会計画部会に提出をされたというふうに思います。
首都圏における通勤電車の混雑の緩和は、利用者の側だけでなく、鉄道事業者の側から見ても、ピーク時以外は過剰となるような車両の保有や鉄道施設の整備が必要となるということからも、コロナ後においても引き続き解決しなければならない問題であり続けるものと考えております。
その解消に変動運賃制ということでありますけれども、ダイナミックプライシング自体は、それによる予約が、航空機やホテル、最近では高速バスなどにも導入されております。
ただ、通勤電車への導入に当たっては、単純にこれらと同列で考える前に、国交省の考え方も確認をしておきたいというふうに思いますけれども、通勤混雑の緩和に対する時間帯運賃の導入の検討は、JR等の鉄道事業者側からも方向性としては求められているものだと承知をしております。
導入に当たるときによく言われるのは、通勤客の大多数、サラリーマンの方々の出勤時間の裁量権がない、ただ負担が増えることになるのではないかという声もありますし、出勤時間をずらすオフピークの移動ということのためには、働き手だけではなくて、企業側の働き方を変える必要性があるというふうに思います。交通費の負担増などにより、オフピークの移動の対応等につながれば効果があるというふうに思いますが、簡単ではないというふうに思います。時間帯運賃導入に対しての効果と国交省の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
新型コロナウイルスの影響によりまして通勤時の混雑緩和がこれまで以上に求められる中で、テレワークや時差通勤の進展など、通勤スタイルの多様化も見られているところでございます。
委員御指摘のとおり、国土交通省では、次期交通政策基本計画の策定に向けた検討を行っておりますが、この中で、大都市部における都市鉄道等の混雑緩和を促進させる施策の一つとして、いわゆる変動運賃制、ダイナミックプライシング等の新たな対策の効果や課題を十分に検討することにつきまして、今御議論いただいているところでございます。
こうしたことから、現状におきましては、この変動運賃制につきましては、今後、その効果や課題について検討していく段階でございますが、一般論で申し上げますと、効果としては、ピーク時の運賃を上げて、オフピーク時は下げることによりまして、利用者をオフピークに分散することによりまして混雑緩和に寄与することが期待される一方で、委員も御指摘のとおり、実際にこうした効果が得られるかなど懸念もございます。
委員も御指摘ございましたが、少なくとも時差通勤やテレワークを推進する企業側の取組、ひいては社会全体の行動変容と一体として進めることが重要ではないかと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、審議会での議論等を踏まえて、計画に基づき、その効果や課題について必要な検討を行っていく予定でございます。
○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。
導入に当たっては、ほかの時間帯にシフトをするという方向に行けば効果が得られるんだと思いますが、ほかの例えば交通モードに、電車以外を使う方が増えるのではないかとか、様々なことが生じる、その影響も考えなきゃいけないというふうに思いますし、その上で、鉄道事業者の減収みたいなものにもつながるのではないか。その規模感を含めて、国交省でも是非検討を十分にしていただきたいというふうに思っています。
あわせて、現在、ピーク時間をずらす場合に、メトポやJREポイントの還元が始まっております。インセンティブをつけるというやり方は非常にいいやり方だというふうに思いますけれども、還元率がまだ少し低いのかなというふうに思いますし、効果はこれからですが、限定的なのかなというふうに思っております。
現行のポイントのこういう還元制度、インセンティブをつけるこういうやり方に対して、効果が上がるように国も支援をしていいと思いますけれども、その認識をお伺いしたいというふうに思います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
JR東日本及びJR西日本では、オフピークの利用分散を促進する取組といたしまして、ピーク時間帯以外を利用した場合にショッピングポイントを付与するサービスを今春より実施しているところでございます。
先ほども申し上げましたとおり、このダイナミックプライシングにつきましては、効果がどのように出るかということが重要でございますが、両社におきましては、その効果について、変動運賃制の導入に向けた検討の参考にもできるというふうに考えていると承知しております。
これまでも国土交通省におきましては、厚生労働省等と連携をいたしまして、雇用主である企業の皆様に対してもテレワークや時差出勤を働きかけるなど、企業側の混雑緩和に向けた取組についても推進してまいりました。
国土交通省の現行の補助制度、鉄道局の補助制度は、経営基盤が弱い鉄道事業者の安全対策のための投資促進やバリアフリーの推進、あるいは駅の利便性向上、さらには災害復旧事業を中心に行っておりまして、今回のポイント還元に対して直接的な支援は難しいと考えておりますが、引き続き、関係機関とも連携して、混雑緩和に向けた取組を進めることによりまして、両社の今回の取組を側面から支援していきたいと考えております。
○伊藤(俊)委員 いかにオフピークの移動への対策をするかということに関しては、現在の感染症対策でも極めて重要なことでありますし、恒久的な、満員電車の解消の問題も、そして通勤電車の混雑の緩和という問題においても、ひいては、企業側、その働き方を変えていく、そういう方向性になりますし、今なかなか進んでいないテレワークの促進等にもつながることになろうというふうに思っております。
時間帯運賃の導入や、あるいはこのポイント還元等インセンティブをつけるようなやり方、ハイブリッドで効果が上げられるように、思い切って国の支援をすべきだというふうに思いますので、対応を引き続き求めていきたいというふうに思います。
次に、駅の改良に対する支援についてお伺いしたいというふうに思います。
私の地元でも、例えば、東京都の町田市の鶴川駅が二〇二五年に向けて橋上駅になる予定でありますけれども、地元の自治体を含めて意見交換をすると、自由通路等への支援等は国も都もあるんですけれども、端的に駅舎に対しての補助がないんだと言われるときがあります。
例えば、駅周辺の再開発に併せて駅の改良が行われる場合等では、立地する自治体との協議にもよりますけれども、駅は鉄道会社の営業に資する施設ですので、基本的に鉄道会社の負担になるというふうにされていると承知をしております。しかし、現実的には、国や自治体等からも様々な助成が行われているというふうに思います。
鉄道事業法は自立採算を前提としていて、採算性のある事業への助成は行われないはずでありますけれども、現在は、鉄道の公益性やシビルミニマムの移動、あるいはバリアフリーや、昨今では環境対策などの理由で助成が行われているものと承知をしております。
この助成の対象を少し広げてもいいのではないかというふうに私自身は考えているわけでありますけれども、駅の整備によって期待される効果は、直接的な、利用者の利便性の増加や快適性の向上といったものにとどまらず、駅が周辺の再開発とセットで整備されるような場合には、人の流れが大きく変わりますし、町の動線が大きく変化をいたします。駅に商業施設等の新設をされれば、新たなにぎわいが創出をされますし、町への来訪者が増加をいたします。再整備による都市環境や住環境の向上は、定住者の増加や若い世代の流入といった、人口構成に大きく変化をもたらすというふうに思います。
改良を含めた駅の整備はまちづくりそのものであり、駅はまちづくりの一つのピースであるといった、もっと大きな観点から駅に対しての補助の可否を考えてもよいのではないかというふうに思うわけであります。
そこで、国交省に、駅というものに対しての認識を改めてお伺いしたいというふうに思いますが、鉄道事業者が行う駅の新設や改良に対して、政策目的との整合性等に限定をされない、もっと大きな視点、観点に立った国による補助の可否について見解をお伺いしたいというふうに思います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
鉄道駅は、鉄道サービス提供の拠点であるのみならず、様々な交通機関や多数の人が集まる施設でございます。地域社会にとって、委員御指摘のとおり、まちづくりや地域の交流拡大、あるいは観光振興の拠点といたしまして、重要な役割を担っているものと承知をいたしております。
こうした役割を踏まえまして、国土交通省では、鉄道事業者に対し、コンコースの拡幅等の利便性、安全性の向上に資する整備、あるいはエレベーター等のバリアフリー施設の整備だけではなくて、保育所等の地域住民の生活を支援する施設の整備、あるいは観光案内所等の観光振興に資する整備につきまして、鉄道駅総合改善事業により支援を実施いたしているところでございます。
また、地方公共団体との間でいきますと、鉄道駅の自由通路の整備につきまして、社会資本整備総合交付金等により支援を実施しているところでございまして、こうした鉄道駅の整備と、それから地方公共団体による御努力が一体となって、駅あるいは駅周辺のまちづくりの整備を行っているところでございます。
○伊藤(俊)委員 様々な補助は拡充をされてきているんだというふうに承知をしておりますが、駅舎に対する補助の在り方を、また大きな視点で、駅中心にいろいろなまちづくりが行われているということの中で、補助対象の更なる拡充も求めておきたいというふうに思います。
次に、地籍調査事業に係る予算の確保と対象範囲の拡充についてお聞きしたいというふうに思います。
地籍調査の実施主体は主に市町村となっていると思いますけれども、その市町村が地籍調査を実施するに当たって、その経費においては、国が二分の一、そして都道府県、市町村が四分の一ずつの負担ということになっております。さらに、都道府県及び市町村の負担分の八割については、特別交付税で別途措置されていることになっておりますので、実質的な市町村の負担は五%とされておりますけれども、市町村から見ると、負担軽減が実感できていないものとなっております。
また、自治体からは、実質負担率が五%と言われても、特別交付税の上限等もあって、実質負担率は五%になっていないケースがあるのではないかという指摘もあります。一般予算で計上する際には四分の一の予算を計上するために、後から特別交付税等、分かりづらいものではなくて、最初から国の負担を四分の三等、更に国の負担を上げていただきたいという意見もございます。
重要な地籍調査の推進をするためにも、できるだけ市町村の負担を軽くしていただいて、意欲ある市町村に積極的に地籍調査に取り組んでいただけるように、国としてもしっかりと後押しをしていただきたいというふうに思いますが、認識をお伺いしたいというふうに思います。
○里見政府参考人 お答え申し上げます。
主に市町村が実施主体となる地籍調査は、土地に関する最も基礎的な情報である境界等を明確化するものであり、国の施策、地方の施策それぞれに大きな意義を有するものとなっております。
今委員御指摘されたように、地籍調査に要する経費につきましては、国土調査法の規定に基づきまして、国と地方で二分の一ずつ、地方分につきましては、都道府県、市町村がそれぞれ四分の一ずつを負担するとなっておりまして、都道府県及び市町村の負担分につきましては、その八割を特別交付税措置の対象としておりますので、制度上は、市町村等の負担が相当程度軽減されているものと認識しているところでございます。
国土交通省といたしましては、委員御指摘のように、地籍調査の効率化あるいは迅速化といった面からも市町村等の負担軽減自身は大変大事なことだと思っておりますし、そのために、昨年の国土調査法の改正で法律に位置づけました国の援助規定に基づきまして、地籍アドバイザーや国の職員の派遣等により調査の効率化に関する助言を行うなど、様々な観点から市町村等を支援してまいりたいと考えているところでございます。
○伊藤(俊)委員 是非、支援の拡充を求めていきたいと思いますが、関連をして、地籍調査の実施における予算上の制約として、国庫負担金の交付額が要望額を下回っていることを挙げられることが多くて、この状況に対応するために、多くの市町村では、新たな地区への着手を延期をする、各年度の実施工程を縮小して事業の工期を延長するなど、様々な対応を迫られております。
地籍調査に対して意欲ある市町村の取組を促進をするためにも、しっかりとした予算を確保していただきたいというふうに思いますが、取組をお伺いしたいと思います。
○里見政府参考人 お答え申し上げます。
地籍調査を計画的に推進していくための予算の確保は重要であると認識しておりまして、令和二年度の補正予算では、国土強靱化五か年加速化対策を含めて約三十八億円を確保するとともに、令和三年度当初予算については約百七億円を計上したところでございます。
一方、昨今の災害の発生状況等を背景としまして、地籍調査を行う地方公共団体からの予算に関する要望も増加傾向にあるというのも事実でございまして、令和三年度には、要望を単純に積み上げますと、予算を上回る約百七十億円強の要望事業量があったところでございます。
国土交通省といたしましては、限られた予算の中で効率的に調査を進めることができるよう、昨年の法改正で措置された新たな調査手続や新しい先進技術を活用した調査方法の導入を促進するとともに、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○伊藤(俊)委員 関連をして、地籍調査の実施に当たりまして、国などの費用負担の対象となる事業は、一筆地調査や測量等に限定をされております。住民に対する、例えば説明会等に係る費用等、そういったものも含まれていないというふうに自治体からも意見をいただくことがあります。
市町村の負担軽減を図るためにも、これらの経費や地籍調査に係る人件費など、経費の対象を拡大をする必要性があるというふうに思いますけれども、国交省の見解をお伺いしたいと思います。
○里見政府参考人 お答え申し上げます。
地籍調査の実施に関する経費につきましては、先ほど御答弁申し上げたように、一定程度負担を軽減しているものではございますけれども、一方、地籍調査というものは、その実施箇所や時期の選定を含めまして、実施主体である市町村等が主体的に行う事業とされているところでございまして、地籍調査に従事する職員の人件費等を国の負担金等の対象にすることはなかなか難しいのかなと考えております。
そういうこともございまして、今委員御指摘がございましたような住民への説明会の開催につきましては、市町村等の職員が自ら行う業務でございますので、国の負担金等の対象とはしていないということでございます。
一方、国交省といたしましても、市町村等職員の負担軽減は大切なことであると認識しております。そのため、職員の方の負担軽減の観点からは、地籍調査業務を包括的に外部委託をすることができる制度も導入しております。そういうものを活用したり、あるいは、先ほども御答弁申し上げたような地籍アドバイザーや国の職員の派遣等による助言も含めまして、市町村の職員等の負担軽減を支援してまいりたいと考えております。
○伊藤(俊)委員 市町村の負担軽減を図るためにも、これらの経費、地籍調査に係る人件費など、是非対象を広げていただきたいというふうに思います。
地籍調査においては、長期的にやっていても、効果的に、短期間でできるだけやっていかないと十分な効果が得られないという声もありますので、是非ここの部分においても積極的に進められるように、後押しを引き続きお願い申し上げたいというふうに思います。
最後に、八王子市におけるアパートの階段崩落事案に係る現状についてお伺いしたいというふうに思います。
四月に、八王子市にあるアパートの階段が腐食により崩落をし、入居者が転落をして亡くなるという痛ましい事案が発生をいたしました。一階と二階をつなぐ外階段の一部が、木製の踊り場の腐食によって崩落したとされております。
アパート自体は、老朽化の進んだ物件ではなくて、築八年と比較的新しい、外観からも非常にきれいな物件だというふうに思います。報道によれば、崩落した階段は、設計上、全体を鉄骨で施工されるべきであったにもかかわらず、踊り場等に木材が使用されていたとされ、施工上問題があった可能性があるというふうにされております。
問題のアパートと同じ事業者によって施工されたアパートは、東京と神奈川県で百六十六件あるというふうにされております。ほかにも安全性に問題のあるアパートが多数存在するのではないかという懸念もございます。既に、八王子市と厚木市の計六棟で、外階段に使用の木材が劣化しているということが確認をされております。
国交省は、東京都と神奈川県に対して調査を要請、また、専門家による現場調査を行ったとも聞いております。現時点までの調査の現状と、報告期日等について、そしてまた今後どのような対応が想定されるのか、お聞きをしたいというふうに思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
八王子市における階段崩落による死亡事故を踏まえまして、同様の事故の発生を防止すべく、同じ施工業者が施工したものとして、東京都、神奈川県内で現在までに把握した百六十六件を対象に、都県の地方公共団体が現地調査等を進めております。
現在、既に公共団体が現地調査及び外観による劣化等の判定を終えたもの七十三件のうち、劣化が見られた六件につきまして、国土交通省の担当官、それから建築研究所等の専門家による現地調査を行っております。これは、階段というものは、やはりなかなかこういった知見が十分でないところもありましたので、それぞれの市のところで、劣化、こういったことを見ていく上で、専門家の見解というのが必要かなということでしてございます。
危険性が高いと判断した物件四件につきましては、鉄製階段を支える仮設の柱の設置など、直ちに緊急の安全措置を講じるよう、各市から所有者等に求めております。
また、他の物件二件につきましても劣化状況の詳細を確認した上で、必要な措置を求めたところであります。
その他のもの九十二件につきましても、今月末までに調査を終えて、報告をいただくこととしております。
先ほど申しましたこの現地調査で得られた知見を整理しまして、他の物件の改善指導に活用できるよう、関係する公共団体に周知しております。
国土交通省としましては、これ以上の事故の発生を防止すべく、関係の地方公共団体と連携しつつ、調査を進め、対応してまいりたいと考えてございます。
○伊藤(俊)委員 百六十六件のうち九十件がまだ回答が得られていないというふうにも聞いておりますので、早急に調査を広げていただいて、被害が広がらないように国交省にも対応を求めて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、山本和嘉子君。
○山本(和)委員 立憲民主党の山本和嘉子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
前回、海事産業の質疑の際にお聞きしようと思っていたこと、ちょっと一つ積み残しがありましたので、お聞きしたいというふうに思います。ガスパイプライン、LNG構想についてです。
政府の温暖化対策に石炭火力の段階的廃止というのがありますけれども、全国の港で、貨物量に占める石炭比率が五割を超える港が八港あります。そのうち、地元の京都の舞鶴港は三番目に高い石炭比率です。
こうした港に天然ガス供給のハブ、LNG基地を建設して、ガスパイプラインの空白地帯、日本海側でいいますと、富山から山口県、そして日本海側から太平洋側を連結するということで、国全体のエネルギーの安定供給、安全保障を強化することが望ましいというふうに私は思います。
例えば一案として、京都府とそして兵庫県が提案しているのがございまして、ルートは京都舞鶴港から兵庫県の三田まで、起伏の少ない舞鶴若狭自動車道、そこにガスパイプラインを敷設いたしまして、その周辺にあります工業団地、長田野とか綾部に工業団地がございますけれども、その周辺の需要を取り込んで、経費削減、そして工期の短縮を図るという構想です。
それが現実的であるなというふうに私は思いまして、その実現のために、ネットワーク整備を事業者に促すインセンティブ、補助も検討すべきではないかなというふうに思いますけれども、政府の見解をお願いしたいというふうに思います。
○小澤政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のLNG基地の整備、あるいは日本海側と太平洋側をつなぐガスパイプラインの整備につきましては、現在、京都府と兵庫県の合同研究会でございます北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会、この研究会におきまして、自治体だけではなく、ガス事業者や電力事業者、そして経済産業省からは近畿経済産業局も参加をして、議論がなされているところでございます。
ガスパイプラインなどのガスインフラの広域的な整備につきましては、供給安定性の向上、あるいはレジリエンス等の意義があるというふうに考えてございます。一方で、これが事業として成り立つためには、周辺のガス需要の状況、あるいは建設コストなど、経済性を含めた様々な要素を考慮しつつ、民間事業者が事業として進められることが重要でございます。
こうした点も踏まえまして、経済産業省といたしましては、こうした民間事業者の取組を後押しするべく、LNG基地やガスパイプライン等のガスインフラの整備に資する設備投資に対しまして、利子補給を行うなどの支援策を講じているところでございます。
ガスインフラの整備や天然ガスの利用の向上、供給安定性の向上、エネルギー供給システムの強靱化とともに、地域の産業開発、これに伴うガス需要の状況、さらには地域振興の在り方なども含めて検討が必要でございます。
私どもといたしましても、ガス事業者、電力事業者などの参加を促しながら、自治体とも連携して検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○山本(和)委員 ありがとうございます。是非連携してお願いしたいというふうに思います。
続きまして、コロナのワクチンについてお聞きしたいというふうに思います。高齢者のワクチン接種が本格的に始まっております。ようやく、ワクチンを打って、皆さん、国民は安心感をやはりどんどん得られるというふうには思います。
そこで、国として、ワクチン接種を終えた方はどんどん御旅行していただいて、観光業を助けてあげてくださいというスタンスなのかどうか、まずお聞きしたいというふうに思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
ワクチンを接種された方の感染予防効果に関しましては、我が国国内ではまだ確かなものが存在しておらず、観光庁において判断できるものではございませんが、感染拡大防止と観光振興の両立を図るためには、国民の皆様に安心して旅行を楽しんでいただける環境を整備していくことが重要であると認識しており、引き続き、内閣官房、厚生労働省など関係省庁のほか、各都道府県や関係する事業者とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
○山本(和)委員 そうしたら、ワクチンの接種がこれからどんどん進んでいくということでございますけれども、観光庁としては、GoToトラベルの再開のタイミングについては、このワクチンの接種の進み具合、そして割合、今効果が余り分からないというふうにもおっしゃいましたけれども、GoToトラベルとワクチンの進み具合は関連づけて考えておられるのかどうか、そこを観光庁長官からお聞きしたいというふうに思います。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
GoToトラベル事業につきましては、政府の分科会から従前より、ある都道府県がステージ3相当と判断された場合には、GoToトラベル事業に係る感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい、また、いずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県知事と調整する必要があるとの提言を受けているところでございます。再開を含めた本事業の運用に関しましては、感染のステージ評価に基づいて判断することとされております。
したがいまして、現時点で、議員御指摘のようなワクチン接種の進捗とGoToトラベル事業の再開のタイミングとを関連づけた検討はしておりませんが、ワクチン接種の進捗による効果は、本事業の運用上の判断指標であります感染状況のステージが改善するという形で表れてくるのではないかと考えておるところでございます。
いずれにいたしましても、再開を含めた本事業の運用につきましては、これまでと同様に、感染状況や医療の提供体制等を踏まえつつ、政府の分科会の御意見もいただきながら、内閣官房を始めとした関係省庁とも連携の上、政府全体として判断していくことになると考えているところでございます。
以上でございます。
○山本(和)委員 長官、ありがとうございました。
ワクチンの効果も、先ほど、まだ分からないということでしたし、GoToトラベルのタイミングというのもこれから計っていかないといけないというところでございます。ワクチンの進み具合もこれからまだまだ時間もかかると思いますし、そういうことだと、やはり皆さんが安心して旅行できる、行き来ができるというのはまだ少し先かなというふうにも思います。
そこで、ワクチンの接種証明、パスポートも、国内では未詳だということも河野大臣もおっしゃっているということでございます。自由に行き来できるのはまだまだ先だということで、観光業は御案内のとおり大変厳しい状況でもございます。私の地元もそうですし、ここにいらっしゃる議員の先生方の地元もそうだというふうに思います。全国的に見ても、本当に落ち込みというのは激しいものでありまして、とにかくやはり今支援が必要だというふうに思います。
大臣には何度もお聞きをしておりますし、今日も質疑で出ておりますが、やはり直接支援というのが今必要であるというふうに思います。立憲民主党として、観光業への持続化給付金の法案の提出もさせていただいております。
とにかく今支援が必要だという意味で、今、大臣の御見解をお聞きしたいというふうに思います。
○赤羽国務大臣 ワクチン接種が完了しないとGoToトラベル事業が再開できないというふうには考えていないというのは観光庁長官の答弁したとおりでございまして、どう判断するかというのは、あくまで、政府対策本部の分科会の感染症の専門家の皆様の御指導をいただきながら、政府で決めていくということでございます。ですから、GoToトラベル事業はほとんど塩漬けだみたいな認識ではいないということでございます。
他方、事実、県民割引等々も行っていて、そこに支援をするというのは、四月一日からやるということは発表させていただいておりまして、もう既に二十二の自治体から申請が出ておりまして、今、十幾つかを許可させていただいておりますけれども、そうしたことを踏まえて、基本的には、私、個人的には、せっかくの予算ですから、一千億を支援をしたらそれが経済効果的に二・五倍とか三倍になるようなことの方が裨益される範囲も広いですし、そうしたことというのは、実は、今、全国で五十か所の観光地の皆様と意見交換してまいりましたが、そうした強い要望があるということが事実だと思います。
しかしながら、実際に旅行ができない状況の中で、何もしないわけにもいきませんので、そういう意味では、先日、追って発表もさせていただいておりますが、昨年五月に業界が感染拡大対策についてガイドラインを示し、それなりの感染拡大防止のための設備投資ですとか、様々な費用がかかっております。こうしたことも、それぞれの観光関連の事業者の皆さんに、経営の体力を非常に奪っている要因でもございますので、そうしたことは、ちょっと細かくはあれですけれども、最大一件当たり五百万円の支援策がすぐ出せるということ、これを発表させていただいているところでございまして、全国の知事さんにも直接、全国の運輸局長からお伝えをしていて、大変前向きに捉えていただいておりまして、臨時議会等々で今月、そうしたことが実行される運びとなっておると思っております。
こうした支援をしながら、現場の声を常に聞かせていただきながら、これも適切な支援策を行ってまいらなければいけない、こう考えているところでございます。
○山本(和)委員 大臣、引き続きよろしくお願いいたします。
そして、観光業に関しまして、また引き続き私たち立憲民主党もしっかりと提言もさせていただきたいというふうに思います。
次に、ちょっとパネル、皆様には資料をお配りしておりますけれども、白砂青松の景勝地の天橋立についてちょっとお聞きしたいというふうに思いますけれども、日本三景の一つでございまして、国内でも大変有名な観光地であります。国宝である、これは雪舟の天橋立図という絵画ですけれども、天橋立は、世界の美術史に誇る水墨画のモチーフとして、そして、この天橋立の風景美を自らの心象や芸術に投影して眺めるという日本的美意識の形成を物語る文化遺産としても評価が高いわけでございます。
その天橋立は、平成二十年、二〇〇八年に、世界遺産の暫定一覧表の候補で最も評価の高いカテゴリーの1aに整理されたということでございます。
日本文化の世界への発信強化や地方創生の観光振興のためにも、天橋立の世界遺産登録に向けて国の支援を強くお願いしたいところでございますが、文化庁の見解をお聞きしたいというふうに思います。
○榎本政府参考人 お答えいたします。
世界遺産登録に向けて関係者が取組を進めることは、文化財の保存と活用の上でも重要であると認識しております。
天橋立は、国内では文化財保護法による特別名勝に指定されていますが、世界遺産登録に当たっては顕著な普遍的価値を明らかにする必要があり、しかも、世界遺産委員会における審査は各国年一件に限られている中、専門的な諮問機関であるイコモスによる審査が厳格化しております。
そうした厳しい審査を念頭に、天橋立は平成二十年に暫定一覧表への記載が見送られており、その際、文化審議会からは、世界史的、国際的な観点から、比類のない白砂青松の景勝地の希少性又は典型例として、顕著な普遍的価値を持つ可能性を確実に証明することが必要などの課題が指摘されております。
地元自治体におきましては、まず、文化審議会から指摘された課題に取り組んでいただくことが不可欠でございます。
文化庁としては、自治体の求めに応じまして、引き続き、専門的、技術的観点からの助言等の支援を行ってまいります。
○山本(和)委員 ありがとうございます。
課題が多いということも理解できました。また引き続き御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。
続きまして、無電柱化についてお聞きしたいというふうに思います。
国の無電柱化計画では、その目的として、防災対策、そして安全、円滑な交通確保、そして景観形成、観光振興というのが挙げられています。
地元京都北部の代表的観光スポットの、今申し上げている天橋立にも無電柱化は実現していません。この松林にも電線は通っているということでございまして、無電柱化推進ツールには、電線管理者への無利子貸付制度が存在すると。現在は、緊急輸送道路など道路法第三十七条で指定した区域が対象となっているということでございまして、今後はこれを景観目的にも使っていただけるように無電柱化を強力に推進するべきだというふうに考えますけれども、御見解をお願いしたいというふうに思います。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
今お話ありましたとおり、無電柱化でございますけれども、防災、安全、円滑な交通の確保、景観形成や観光を目的として推進している大変重要な事業である、施策であるというふうに思っております。
現在策定を進めております今年度を初年度とする次期無電柱化推進計画では、無電柱化を推進する地区として、地域の特性を生かした良好な景観形成や観光振興に必要な地区を位置づけることとしているところでございます。
委員御指摘の京都府北部地域におきましては、天橋立周辺で、これまでで宮津市内の国道百七十八号など四か所、計二キロで無電柱化が完了しているという状況でございます。
また、伊根町の舟屋群、与謝野町のちりめん街道は、これまで無電柱化は実施されておりませんけれども、京都府が策定いたしました無電柱化推進計画において、景観形成、観光振興に資する優先的な整備が必要な箇所とされておりまして、地方公共団体からの要望に応じて、国土交通省としても積極的に支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
また、委員御指摘の電線管理者への無利子貸付制度でございますけれども、昨年五月の道路法改正で、歩行者を中心に据えた道路空間の構築のための歩行者利便増進道路制度というのも追加してございまして、その無利子貸付けの対象に追加してございます。
景観に直接ではありませんけれども、そういう対象を増やしたということもございますし、次期無電柱化推進計画におきましても、この歩行者利便増進道路を、無電柱化を重点的に実施する道路として位置づけているところでございます。
国土交通省といたしましては、地方公共団体に対しましても、観光地などにおいても本制度の活用を促すとともに、地方公共団体に対する個別の補助金なども活用いたしまして、観光地の無電柱化を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山本(和)委員 ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。
続きまして、道路行政、国土政策に影響する原子力協定、安全協定についてちょっとお聞きしたいというふうに思います。
高浜原発が再稼働をするということでございます。
原発銀座と呼ばれる福井、若狭湾、そこに隣接するのが京都北部、私の地元なんですけれども、高浜原発のPAZ、半径五キロ、それとUPZ、半径三十キロの中に約十二万人が生活している。それは福井県の、福井の倍いるわけなんですが、しかし、原発の立地する自治体の隣、隣接自治体であるため、地元京都府や舞鶴そして綾部は、立地自治体と異なり、事前了解権のない安全協定というふうになっています。
また、宮津や福知山では、立地自治体に隣接する自治体に隣接、すなわち隣々接自治体のため、原発三十キロ圏内だけれども、安全協定より内容が絞られた通報連絡協定にとどまっているということでございます。さらに、伊根町では、立地自治体との関係が隣々々接自治体で、協定自体が未締結ということでございます。
原災法に基づいて、三十キロ圏内の自治体は、一律に避難計画の作成、実施義務が課せられているということでございます。安全協定では、著しい権限格差がこのように生じているということでございます。万が一事故が起きて、風に乗ってやってくる放射能から避難するのに、行政上では、境界が意味がない。隣接、隣々接、隣々々接の分け方自体がもうナンセンスではないかというふうに思います。
国は、周辺自治体間の権限格差を放置しないで、原子力安全協定の在り方、基準の策定ということに国として責任を持って法令上明確にすべきであるというふうに思いますけれども、政府の見解をお聞きしたいというふうに思います。
○小澤政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の安全協定でございますけれども、これは、原子力事業者と自治体との間で双方の合意に基づきまして締結されてございます。例えば、その中では、再稼働に必要な工事等について事前に立地自治体の理解を得ることなどが取り決められているものというように承知してございます。
こうした安全協定の締結につきましては、各地域、それぞれの地域の事情が様々でございます。したがいまして、国が法令等によって一律に決めるのではなく、事業者が各地域の皆様とよく御相談しながら対応することが適切というように考えてございます。
実際に、各地域の安全協定では、原子力発電所が所在する立地自治体の立場が尊重されることを基本としながら、各地域における立地の経緯あるいは事情、自治体の個別の関心などを踏まえまして、それぞれの状況に応じて原子力事業者と自治体との間でそれぞれ締結されてございます。
事業者におきましては、しっかりと地域に向き合いながら、安全協定の運用を含めて誠実に対応し、地域との信頼関係を築いていくことが重要というように考えてございます。
○山本(和)委員 京都府の西脇知事は、高浜原発再稼働に関しても、京都府が再稼働の同意のプロセスから除外されたことは、住民避難に責任を負う立場から、京都府として改めて遺憾の意を表したいというふうにも言っております。国として、自治体と事業者任せにせず、法令をしっかりと明確化していただきたいというふうに思います。
その後に、空き家問題についてお聞きしたいというふうに思います。
景観のみならず、安心、安全、活力あるまちづくりの景観で地域を悩ませる課題に空き家問題というのがあります。七年前に空き家対策特措法が成立しましたけれども、現場の自治体では、所有者の特定、代執行の手順、費用の回収、また空き家バンクの活用不足など、悩みはいまだ未解決ということでございます。
特に、京都では、地域特有の長屋、共同住宅ですけれども、一戸が著しい管理不全状態でも、一部住戸に居住者がいる場合、法の対象外となりまして、強力な指導が取れず、大変手をこまねいているということでございます。こうした地域の困り事、空き家問題解消のために、対象の拡大や所有者探索、費用負担の手続合理化など、やはり法の改正が必要だというふうに思います。
現在までどう検討しているかをお聞かせいただければというふうに思います。
○和田政府参考人 空き家につきまして、地域の声あるいは悩みというのを教えていただきまして、まずはありがとうございます。
今御指摘いただいたうち、長屋等の空き家、これの件につきましては、まず、これは区分所有建物であるということもございまして、長屋等の空き家、これは今、空き家法の対象になってございません。
ただ、まずできることということで、ガイドラインを改正いたしまして、外見上はいわゆる長屋であっても、隣接する住戸との界壁が二重構造となっている、こういったような場合には空き家法の対象であることを明確化することとしています。
また、そのまま放置すれば著しく保安上危険等となるおそれのある長屋の空き住戸につきましては、建築基準法に基づく勧告、命令等を行う、こういうことができることになっています。こうした対応の事例というものをまとめて、周知し、利用していただけるようにしてございます。
また、区分所有法制に関する政府内での議論というのが始まりました。ここでの議論の整理、これを踏まえまして、法制上の課題、こういったことでどういったことができるのかということもまた考えていかなければならないと思っております。
さらに、所有者探索の手続の合理化に関しましては、実務の運用を具体的に示すことが求められていると思います。先ほど申し上げたようなガイドラインの改正において、不動産登記簿の情報とか固定資産税の情報等によっても所有者の所在を特定できない場合に、代執行、財産管理制度、こういったような活用ができること、こういったことを明確化しておりますし、また、所有者の特定のために市町村が要する費用等につきましては、補助金により支援を行ってございます。
さらに、代執行費用の負担については、略式代執行を実施した場合、費用回収が困難となりますが、これらの費用は市町村の自治事務として行政経費で支弁していただく必要があるものですが、国土交通省では、補助金を用意しまして、この費用についても支援してございます。
このほか、空き家バンクにつきましても、全国版空き地・空き家バンクの構築を行っていまして、公共団体の物件の登録が進むよう支援しております。
できるところからしっかり改善していって、今後も空き家問題にしっかりと取り組んでまいりたいと存じております。
○山本(和)委員 ありがとうございました。
時間になりましたので終わりますが、最後、大臣に、山陰新幹線についてお聞きしようと思っておりました。ちょっと時間がありませんので、次回、是非また御議論したいというふうに思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、山崎誠君。
○山崎委員 立憲民主党、山崎誠でございます。
国土交通委員会、貴重な質問の機会をいただきました。早速御質問に入らせていただきます。
今日、私が取り上げたいテーマは、気候変動の影響を受けまして激化する洪水災害、こうした事態に対して都市開発の在り方はどういうふうにすべきか、現状の課題と様々な対応策について御質問をさせていただきたいと思います。
具体的な事例なんですが、私の地元でもあります横浜市の戸塚区というところで、製薬メーカーの研究施設の建設計画、工事が進んでいます。巨大な施設なんですが、柏尾川という二級河川の脇に建ちます。そして、問題になっているのが、この研究施設なんですが、今は更地なんですが、その敷地に、約八万平米という広さの中に二メートルの盛土をするということが今計画されております。
地域住民の皆さんに対しては、これはいろいろ説明会などもございますが、洪水被害への懸念というのが広がっている。御存じのように、大変な今気候変動の影響で、巨大化する台風、ゲリラ豪雨などもありまして、この地域も内水氾濫が発生をしている。過去の水害事例なども見ますと、とてもこの地域、心配だということであります。住民の皆さんは建設そのものに反対をしているわけではないんですけれども、この大きな盛土、二メートル盛土が行われることによって地域の水の流れが変わってしまう、そして周辺地域の洪水被害が大きくなるのではないかということで、懸念をされています。
こうした考え方が、例えば流域治水のような形で、より面的に捉えてこういう開発なんかも見ていこうということが、今、国の大きな方針として取られている、そして、洪水対策なども強化されているという認識でおります。特に、都市開発においては、都市計画法の定める開発許可の基準等にこうした考え方をやはり反映をしていく、そういったことが大切なのではないかというふうに思います。
都市計画法の例えば第三十三条一項三号では、排水により開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていることとされておりまして、周辺への影響なども考慮すべきとなっております。国交省において、開発許可制度の技術的な助言などでも、一定、そういったことが反映されているものと理解をしています。
こうした国の規定を受けて、多くの県や市においては、排水施設の設計に当たっての考慮すべき事項として、排水の面積、排水の面積ですね、集積、集水面積とも呼ばれますが、それは、当該開発地域だけではなくて、その周辺も入れた、同一の流域に属する土地なども含めた内水の規定、そういったものをもって、この開発の許可について考えていこうということで取組が進められていると考えています。
例えば、東京都とか、横浜市の隣であります川崎市とか藤沢市とか、埼玉県、茨城県、栃木県、山梨県、多くの地域でこうした内水の規定がきちっと定められている。一方で、残念ながら、今議論している横浜市には、こうした基準が見当たらないということになっております。
今お話ししたように、巨大化する台風や豪雨災害、こういった状況あるいは内水氾濫が多発するような現状を考えると、こうした内水に関する規定というものを一律の基準として取り入れていくような対策が方向性として必要なのではないかというふうに思います。
また、本件のような地域に与える影響、この地域というのは、柏尾川に沿って上流から下流に傾斜のある土地でありまして、どうしても、ここに大きな盛土ができれば、水がそこでせき止められるのではないか、そういう地形であります。できれば、こういった盛土をせずに、ピロティー建築のような形で、設計の工夫をすることで、土地の利用を妨げることなく、大きな地形の変化を起こさない、こんな開発などの工夫も必要であるし、可能なのではないかという認識でおります。
御質問ですが、今お話ししたような観点で、都市計画法上の許可権者であります自治体の首長の判断基準が全国でまだ統一が取れていないのではないか、ばらつきがあるのではないか、こういった実態についてどのように捉えられているか、お聞きをしたいと思います。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
開発許可に当たって、許可権者である都道府県知事等は、法令の規定や趣旨に従って開発許可制度を運用していただく必要があると考えております。このため、国土交通省におきましては、技術的助言により法令の解釈や運用を明らかにし、あるいは個別の照会に対して回答するなどにより、許可権者の判断基準にばらつきが生じないよう必要な対応を行ってきております。
委員御指摘の、開発許可で定める排水施設の基準でございますが、開発事業者に対し、都市計画法三十三条一項三号等において、当該地域における降水量等を勘案し、開発区域内の下水を有効に排出するために必要な排水施設の設置を求めることとしております。
この基準につきましては、下水道の排水区域内におきましては、開発区域内の下水を有効に排出することが可能かどうかといった観点から判断すべきものと考えておりまして、横浜市のほか、東京都、川崎市などの開発許可権者におきましても同様の取扱いをしていると承知をしております。
○山崎委員 今回の事案を見ると、例えば具体的な事例として今回のような案件を見ると、どうもこの内水に関する規定の解釈、運用の仕方というのは、私はやはり一定ばらつきがあるというふうに思います。
今までの、気候危機のような状況の前の段階であれば、一定、この規定の運用でよかったんだと思うんですが、最近の激化する気候の変化、こういうのを見ていくと、やはりこれは、例えば、この内水、敷地の問題を考えると、例えば東京都は、上流、下流があって、敷地外からの水の流入みたいなものをきちっと見なさいと、図面も示してその基準を示しています。
それを見れば、例えば東京都の基準で見ると、この今の横浜の戸塚のケースというのは明らかにやはり検討しなければいけない、十分にそういった影響を見なきゃいけないというのは、これは明らかだと思います。
なので、私は、そういう意味で今回この事例を取り上げましたけれども、今、国交省として示している関連規則とか運用指針とか技術的な助言だとか、そういったものの一定見直しをしていただいて、より現実に即した、今起きていることに適応したものに変えていただきたい。
これは緊急事態だと私は思うんです。この夏あるいは秋にまた大きな台風が来れば同じようなことがやはり起きていくということが想定されますので、緊急対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
まず、都市計画法の開発許可制度でございますが、公共下水道や幹線道路など、広域的機能を有する都市の基幹的インフラにつきましては都市施設として都市計画で定め、行政の責任で整備されるものとして整理をされております。
開発事業者が開発行為を行おうとする場合には、その開発計画をこれら都市計画に適合するよう定めることにより、良好な市街地の形成を図ることとしております。
排水施設に係る開発許可の基準については、こうした考え方に基づいて、開発事業者に対し、開発区域内で生じる下水を放流先となる公共下水道に適切に排出できる排水施設の設置を求めることとしてございます。
委員御指摘の事案につきましては、横浜市において、開発許可の基準に照らして適切であると判断をし、令和元年八月に開発許可が行われたと承知をしております。
なお、この案件では、開発事業者にも御理解をいただいて、開発区域内に一万二千トンの雨水調整池や雨水浸透効果のある緑地の整備が行われますとともに、開発区域に接する道路には側溝や集水升などの排水施設が設置されますが、これらは浸水対策に一定の効果があると伺っております。
一方、大雨による浸水被害は、流域全体で対応する必要がある課題でございます。柏尾川は特定都市河川に指定されておりますので、今後、横浜市を始め流域の関係者によって、大雨が降った際には大量の雨水を一旦貯留することができる雨水幹線の整備や新たな遊水地の整備などの対策が講じられると伺っております。
また、東京都、神奈川県を流れる境川とその支川の柏尾川は特定都市河川に指定されており、都県において流域水害対策計画を策定中でございます。
今般公布されました流域治水関連法に基づきまして、河川の整備や下水道の整備に加え、雨水貯留対策や土地利用規制等も含めた総合的な対策を今後実施していくこととなるため、国といたしましても必要な支援を行ってまいりたいと存じます。
○山崎委員 残念ながら、今の局長の答弁は、私の問題意識とは離れています。
私が言っているのは、敷地内は、今、事業者の責任で排水をちゃんとやりなさいと、それは言うまでもないんですよ。それ以外の地域から来る水、その地域に与える水の影響については無視していいんですか、それは公共下水の範囲だから事業者は何を造ってもいいんですか、そうはいかないんじゃないですかと。
東京都などは、そういったことも配慮しなさいと言っているんですよ。その点をお話をしているので、私は今の答弁は少し納得いかない。
もう一つは、下水の話について今触れられましたが、これ、ちょっと時間がないので、御質問まで行かないかもしれませんが、実際に今の下水の整備が遅れている、やはり今のこの気候の大きな変化に下水の排水処理だとかがついていっていない、それは事実だと思います。もうマンホールが浮き上がるようなことがこの地域でも起こっているわけです。そうした事実を踏まえると、公共下水道で処理をするから大丈夫なんだとは言い切れないんです。そういう現状を踏まえて、この開発についての適否、こういったことも見ていくべきなのではないかなというのが私の問題意識であります。
最後になります。
大臣、こうした開発、これは一つの例でありますが、本当に地域にとっては、この激化する気候変動の中で、これだけ大きな地形の変化を伴う開発、これが行われて、地域の水の流れが変わるんじゃないかと大変な不安がやはり広がっています。こういった開発について一定やはり基準を見直す、そんなことが必要ではないかと思います。
せっかく流域治水のような考え方も今取り組まれている、そういう中で、今お話ししたような都市計画についても、こうした周辺の地域をもっと取り込んだ考え方、導入を積極的に進めるべきと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
○赤羽国務大臣 近年頻発、激甚化する水害対策につきまして、流域治水という、水系全体を俯瞰した、沿川自治体の皆さん、企業、住民の代表の皆さんが参加したハード、ソフトの対策を取るということが一つの大きな柱でございますし、都市計画法も昨年改正をさせていただいて、危険なところにはできるだけ住まわせないようにするといった概念も入っておりますし、また、今回の流域治水法の改正の中でも、下水道や雨水貯留浸透施設の整備、緑地の保全を行いながら都市水害対策を行うですとか、また、避難路、避難拠点の整備を進めて都市内の避難対策を強化していくということを法律的に定めたところでございます。
こうしたことを踏まえながら、今後、二級河川ですから、この柏尾川の沿川協議会もこれから立ち上がっていくというふうに思っておりますが、ちょっと、この具体的な事案については、訴訟も行われているということなので、余り申し上げるのは適切ではないかと思いますが、先ほど局長が答弁したように、この都市開発につきましては、横浜市として、令和元年の八月八日に、開発許可の基準に照らして適切であると判断されたということでありますので、それは、そうしたことを踏まえられた適切な対応がなされたものだというふうに国としては承知をしているということでございます。
○山崎委員 終わります。ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
最初に、ちょっと東京オリンピック・パラリンピックの関連で少し質問したいと思います。
我々国民民主党の考え方は、この東京オリンピック・パラリンピックに関しましては、医療関係者を含む関係者をメンバーとした第三者機関を速やかに設置して、予定どおり七月に開催できるかどうかを今月中に検証し、困難だと判断した場合には来年以降に再延期を求めていくべきだ、そういう考え方、立場であります。
そういう中で、やはり、もっとも、これは本当に七月に予定どおり開催できるかどうか。コロナ感染が広がっている、特に海外からの変異株の流入、大変懸念されている中であります。実効性のある感染防止策が取れるかどうかというのが最大のポイントになってくるんじゃないかと思うんですが、今の検討状況とか体制について、私の知っている感染症の専門家の方から相当、大丈夫かという、そういう危惧感の声も私も聞いております。その観点から少し御質問したいと思います。
まず、オリンピック・パラリンピックで入国する人、選手を始め関係者の感染防止策についてでありますけれども、どうも、ちょっと聞いてみると、この感染防止対策を決める体制が、部署もばらばらであれば責任の所在も明確ではなくて、本当にこれでちゃんと漏れない、本当に感染を防止できるような対策が講じられるのか、甚だ疑問なんですけれども、現在、この感染防止対策、どういう体制で、誰が責任を持って具体的に決めているような状況なのかをお教えいただけますか。
○植松政府参考人 お答えいたします。
東京大会における新型コロナウイルス対策につきましては、国、東京都、組織委員会、それから専門家にも加わっていただきましたコロナ対策調整会議におきまして、新たな変異株等の出現などの感染状況の変化への対応について検討を進めまして、先月の二十八日の会議におきまして、追加的な対策についての方針を取りまとめたところでございます。
この中で、海外から来日するアスリート等や大会関係者が国内にお住まいの方々と接触を厳に回避するため、滞在先や移動手段を限定する等の厳格な行動管理、あるいは健康管理、また、出国前検査や入国時検査に加え、定期的な検査など、必要な防疫上の措置を講じることとしているところでございます。
これらの措置の実効性を担保するために、受入れ責任者が管理を行うこととしております。基本的には、組織委員会が受入れ責任者を務めることとなっているところでございます。
政府としては、安全、安心な環境を確保することを最優先に、内外の感染状況を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策の取組や感染症専門家の知見を踏まえまして、引き続き、東京都、組織委員会、IOCなどと緊密に連携して準備を進めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○古川(元)委員 今の話を聞くと、責任がそれぞれ、例えば受入れの、その今決めたのに対して、ちゃんとやっているかどうかの責任は組織委員会とか、何か、感染防止をするのに、内容から、どういうことをやるかとか、それぞれ、ばらばら、責任の所在が分かれているということですか。
○植松政府参考人 お答えいたします。
責任の所在につきましては、それぞれが責任を持って対応しているというところでございまして、例えば、今申し上げましたコロナ対策調整会議におきましては、国が主導して、東京都、組織委員会等と連携して対策を進めておりますし、また、大会をどうするかということにつきましての、例えば観客の在り方につきましては、主催者でありますIOC、IPC、それから国、東京都、組織委員会の五者で決めておるというようなことでございまして、それぞれの立場で責任を果たしている、そういう整理でございます。
○古川(元)委員 私が聞いているのは、感染防止についての対策。今の、観客を入れるかどうかじゃなくて、感染防止策について何をやるか、それがちゃんと行われているかどうか、その点の責任体制、それはどこか一つのところがやっているのか。さっきの、最初の話を聞くと、ばらばらのように見えるんですけれども、どうですかということなんです。
○植松政府参考人 お答えいたします。
コロナ対策の方針につきましては、国が主導するコロナ調整会議の中で方向を決めているということと、あと、現場におけるコロナ対策の、感染症の責任は、受入れ責任者である組織委員会が一義的に責任を負うという体制でございます。
○古川(元)委員 では、国は主導するだけで、責任は組織委員会と。組織委員会の具体的にどこが責任を持つんですか、これは。
○植松政府参考人 組織委員会におきましては、例えば宿舎におきましては管理者を置くなど、それぞれの具体的な対応を個別に検討しているところでございまして、それぞれにつきましては、これから検討を進めていくところでございます。
○古川(元)委員 もう本当に、これ、目の前に来ている中で、今みたいな状況で、本当に感染防止策がきちんと取られるのか。これは、私のところに言ってきた感染症の専門家の方も大変危惧しているんです。早急にちゃんと、感染症対策、司令塔を決めて、きちんとそこの下で全体が、それこそ、例えば、このオリンピックが始まる前の、事前に受入れをする自治体とかあるわけですよね、これは今は返上しているけれども。では、そういうところの感染対策はどうなのかということを、やはりトータルで全体を見ていく司令塔、そして責任者というのをきちんと決める必要があるんじゃないですか。いかがですか。
○植松政府参考人 必要なところは国がリーダーシップを発揮しながら、それぞれ関係団体と連携して進めていくということでございます。
○古川(元)委員 リーダーシップじゃなくて、国が責任を取るんですか。どうですか。
○植松政府参考人 やはり、主催者であるIOC、IPC、それから開催地の東京都、それから運営主体である組織委員会と連携して対応するということでございます。
○古川(元)委員 その連携してというのは、何かよさそうに聞こえますけれども、実際にはそういう状況が、結局みんなが本当に、ある意味で責任感を持たない、無責任体制になって、これを本当に強行して開催して感染者が拡大でもしたら、一体誰が責任を取るんですかということなんですよね。
やはりそこのところをしっかり、ちゃんと司令塔を早急に設けて、そこで本当に、何をやるのかということ、そして誰が責任を持つのか、やはりきちっと決めるということが、本当にやるんだったらちゃんとそれをやらなきゃいけないんだと思いますよ。
だからこそ我々は、ちゃんと関係者を入れて、そこを早急に検証しろということを言っているわけでありまして、是非そこのところは政府も本当に真剣に、何か、連携してというのは、言葉ではいいですけれども、実はそれはみんな無責任体制になるわけであって、どこが全ての責任を持ってちゃんと決めます、やはりそういう司令塔を早急につくるということを強く求めたいと思います。
最初にお答えになられた中で、決められた中で、入ってくる人たちについては原則として公共交通機関は利用禁止というふうになったようでありますけれども、どのようにして本当にそこを使わないかどうか、実効性を担保するのか。また、原則としてということは例外があるということだと思うんですけれども、じゃ、どういう場合に例外的に公共交通機関を使えるんですか。
○植松政府参考人 お答えいたします。
関係者の移動に係る措置につきましては、コロナ対策調整会議において取りまとめられております。
具体的には、御指摘のとおり、入国後は行動範囲を原則として宿泊施設及び競技会場に限定し、移動方法を、バスの貸切りやハイヤーなどを、原則専用車両に限定するなどの厳格な行動管理を実施しております。
まず、先に例外のところを説明させていただきます。地方の競技会場への移動など、新幹線や航空機の利用がやむを得ない場合におきましては、他の乗客との接触を厳に回避するため、新幹線の利用においては一両貸し、航空機の利用においてはチャーター機を利用することといたしまして、それも難しい場合におきましては、機内において一定の区画を押さえて他の乗客と分離した形で同乗することなどを条件に、定期便の利用を認めていることとしております。
こうした措置の実効性を担保するために、移動中も含めて受入れ責任者が選手等及び関係者の行動管理を行うこととしておりまして、仮に措置に違反した場合には、大会参加資格となるアクレディテーションを剥奪するなど、厳しい措置を講ずることとしております。
以上でございます。
○古川(元)委員 行動管理というのは、具体的にどういう形で行動管理するんですか。
○植松政府参考人 まずは入国前に誓約書を提出していただきまして、そのルールを守るということを誓約していただきます。
その上で、用務先を宿泊施設や競技会場、練習会場に限定し、それ以外の行動は禁止する。それから、宿泊施設につきましては組織委員会が管理するホテルに限定するなど、宿泊する関係者の行動を管理する。それから、公共交通機関を利用する場合は、受入れ責任者が選手や大会関係者に同行すること。
そして、先ほど申し上げましたとおり、ルールに違反した場合は大会資格を剥奪するような形で行動管理をすることとしております。
○古川(元)委員 それでもやはり違反する人が出てくることを、じゃ、今の話だと、物理的には防げないということですね。そういうことですよね。違反した場合には出ていってもらうとか、そういう話を聞いていますけれども、そういった意味では、そこはその本人の自覚に任せるということなわけですね。
○植松政府参考人 大会資格剥奪というのは、あくまでも抑止的効果を想定したものでございまして、実際には、管理者なり、随行し、アテンドをつけるとか、そういう形できっちり管理するということを第一に進めることとしております。
○古川(元)委員 じゃ、常に一人では行動しない、必ず誰か監視するというか、チェックする人がいつもいるということですか、そうしたら、関係者には。
○植松政府参考人 基本、その方向ではございますけれども、具体的な管理の体制につきましては、組織委員会において個別具体的に検討を進めている、そういう状況でございます。
○古川(元)委員 本当にそんなこと、できるんですかね。そうしたら、その人たちにも、本当それこそ今、選手とか、入ってくる人たちにはワクチン優先接種という話がありますけれども、常にそこに一緒にいるんだったら、その人たちもやはりワクチンを打たなきゃいけないというようなことになってくるんじゃないでしょうか。
今の言われたことが、要は、ちゃんと詰まっていないということじゃないかと思うんですよね。これはやはりちゃんと詰めないと、口で、言葉で、公共交通機関を使わないでくださいと言っても、実際に使われちゃった、それは分からない形で動く人がいるかもしれない、そこのところは抑えられないんじゃないか。実効性が担保できるのかどうかという、やはりそこが相当懸念なんですよ。決めていれば使わないという保証はないと思うんですね。そこのところをよく考えていただきたいと思います。
それで、国土交通省にも伺いますけれども、公共交通機関をそういうふうに使わないようにということ、これ、国土交通省としてはどういうふうに対応するつもりでいるんですか。
○馬場崎政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど内閣官房より答弁がございましたけれども、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、先ほどお話がありました調整会議におきまして具体的な議論がなされ、また、四月に追加的な対策も取りまとめられております。これに基づいた対策が具体的に進められているものと承知しておりますけれども、国交省も、この取りまとめに当たりまして、適宜協議を受けているところでございます。
御指摘の、アスリート等の移動手段の確保につきましては、先ほどありましたけれども、一般の利用者と乗り合いが生じるような形での公共交通の利用というのは原則認められていないということではございますが、手段は貸切りということになりますが、それを提供するのも運輸事業者ということであることは間違いないわけであります。
具体的には組織委員会と事業者の間で詳細が決められるということになると思いますが、国土交通省といたしましても、公共交通、先ほど申し上げた貸切りの事業者も含めまして、公共交通機関における感染症対策の徹底がなされますよう、事業者とまさに連携して適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
○古川(元)委員 貸切りとかそういうのはいいと思うんですけれども、さっきから私が聞いているように、誓約していてもやはり守らない人が出てくる可能性があるんだと思うんですね。実際にこの間変異株が入ってきた、やはりこれは我が国の水際対策が非常に甘い、その結果だと思うんですけれども、一応、水際としては、これまでも、二週間自宅でちゃんと隔離して、動かないように、会わないようにしてくれと言っても、結局やはりそれに違反する人が出ていて、結果的にそういうところからやはり変異株が広がったんじゃないかと言われているわけですよね。
ですから、幾ら公共交通機関を使わないように、禁止されていますと言っても、そして誓約書があって、それに違反すれば資格を外されますと言っても、やはり違反してくる人が出てきてしまうかもしれない。そのときに、これが広がったりしてしまうということのやはりリスクは防げないんじゃないかと思うんですね。
ですから、やはりこれは、文字で書くとかいうだけじゃなくて、どう物理的に実効性を担保できるのか、やはりきちんとそこまで決めていかないと、本当の意味で、ちゃんと、バブルと言われていますけれども、そういう中で、オリンピックで入ってくる人たちがほかの人と接しないということの担保ができないと思いますから、そこは口で言うだけじゃなくて、あるいは文書で書くだけじゃなくて、物理的に、こういう方法でちゃんとそこは担保されますということをやはり示さなければ、国民の皆さんは安心しないと思います。是非、そこまでしっかりやっていただくことをお願いをしたいと思います。
次に、電動車について、質問に移りたいと思います。
政府は、グリーン成長戦略で、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%実現を目標として掲げています。その実現のためには電動車のためのインフラ整備が不可欠でありまして、この整備が進まなければ、電動車を買っても使い勝手が悪くて、普及はなかなか進まない。
実際、今、大臣が乗っている車、どういう車か分かりませんけれども、私も大臣のとき、最初、水素自動車にしようかと思ったんですけれども、運転手さんが、ちょっといろいろ動いたりするときにステーションが少ないのでやはり何かあったときにあれなんですと言われて、エスティマのハイブリッド車にしましたけれども、本当に電動車を普及させるためには、そういう水素ステーションだとか急速充電器、こういうものが、どこに行っても、ちゃんと、すっと、ちょっと数キロ動けばありますよ、やはり、そういう状況をつくらないと広がらないと思うんですね。
また、幹線道路や高速道路において、新しい技術として、非接触充電できるような、そういう今技術もあるわけですから、そういう道路の高度化の推進とか、気象条件や豪雨や豪雪災害などへの対応を踏まえた道路整備等、そういうもろもろの、やはり、電動車を普及させるために必要なインフラの整備がまだまだ極めて遅れていて、この状況の中で、とにかく売るものは電動車にしてくださいといっても、買う消費者の立場からしたら、ちゃんとそこが整備されていないと、なかなかやはり買おうという気にならないんだと思うんですね。
ですから、この辺のインフラ整備、政府は、今後、具体的にどのように進めるつもりなのか、教えていただけますか。
○吉岡政府参考人 お答え申し上げます。
電動車の普及に伴うインフラ整備、とりわけ道路について御質問いただきました。
二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体ゼロとする、すなわち、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことは政府全体で取り組むべき重要な政策であると認識しておりまして、道路分野においても積極的に貢献していく必要があるというふうに思っております。
三つ御質問いただきました。
一つ目でございますけれども、水素ステーション、急速充電器等のエネルギー供給施設について、例えば、高速道路のサービスエリアで、急速充電器の設置や運用管理を行う民間事業者が、道路を占用する施設として、もう既に整備を行っているという状況でございます。
今後、急速充電設備に加えまして、お話があります水素ステーションも含めて、民間事業者による設置に対し、高速道路会社あるいは関係機関と連携して、設置場所の提供あるいは案内表示の設置など、検討及び協力をしっかり行っていきたいというふうに考えているところでございます。
また、二つ目は、道路における非接触での充電について御質問いただきまして、これは外国で調べますと、イスラエルとかベルギーでも、道路上で車両への充電を行う実証実験が進められているなど、世界的に見ても非常に関心が高まっていることではないかというふうに思っております。
我が国におきましても、国土交通省では、令和二年度より、走行中における非接触の給電システム技術の研究開発二件に対しまして支援を行っている状況でございまして、引き続き、車両メーカーも含めて民間事業者などからの御提案、御協力、そして学識経験者や関係機関などと連携して、取り組んでまいりたいと思っております。
三点目は、気象条件、特に豪雨や豪雪災害などの対応を踏まえたときの道路整備ということでございまして、電気自動車や燃料電池車など、今後の電動車の普及に向けて、例えば道路において立ち往生など、非常時の対応策を事前に整えておくことは非常に重要じゃないかと思っております。
特に、電気自動車が滞留した場合の対応については、昨年度の大雪で大規模な滞留が発生したことに伴いまして、今年三月に改定した有識者委員会の提言を取りまとめておりますけれども、その中でも、速やかに検討を行うべきという指摘があるところでございます。
これに対して、現在の技術では、レッカー車による牽引とか移動充電車からの充電、あるいは道路上の電源設備からの充電などの可能性があるものと認識しておりますけれども、具体の対応策について、今後、国土交通省としてもしっかり検討してまいりたいと思っております。
いずれにしましても、今後、カーボンニュートラルの実現に向けまして、国土交通省といたしまして、関係省庁などと連携し、新たな技術も含めて幅広く情報収集や開発の支援を行いまして、電動車の普及に対応した道路の質的向上を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○古川(元)委員 これはかなりやはり急がないと、あともう十五年しかないんです。今からまだ実証実験を続けますとか検討していきますとか、今の時点でそんなことを言っていたのでは、とても、二〇三五年、新車販売を全部、一〇〇%にするという目標は達成できないんじゃないかと思うんですね。
ですから、やはりこれを達成するためには、それこそ十年ぐらい前の二〇二五年ぐらいには大体ここまでできますよと。それこそ、最低でも水素ステーションや急速充電器が数キロポストに必ずあるみたいな部分の状況をつくるとか、やはり相当具体的な数値目標、そしてスケジュール、いつまでというものをきちんと立ててやっていかないといけない。
そういった意味では、相当いろいろなことの、これまで以上に前倒しをすることが必要じゃないかと思いますけれども、これはちょっと大臣、どうですか、所感は。考え方。
○赤羽国務大臣 国交省の所管というのはCO2の排出量が大変多い業界がたくさんあって、この運輸部門だけじゃなくて、住宅、建築なんかもそうなんです。
今、局長の彼らに言っているのは、今の延長線で考えていくと、様々ネックがあるわけです。局長だから、当然責任感はありますので、それを乗り越えてなんて言ってやっていると、そんなことをやっていたら到達できるわけがないと。まさに私も古川さんと考えが似ているんですけれども、やはり、やると決める、そこで、それをやるためにどう解決をしていくのかとか、やはり相当前のめりでやらないと、この数字というのはクリアできないと思います。
ただ、他方で、やはりこうしたものというのは新しい技術開発がされていかなければいけないし、そのことで国がやるという姿勢を見せると、やはり民間の企業における設備投資も進むんでしょうし、そこからもたらされる新しい価値というのも、これは国民益にもなるので、やはり、私は楽しくこのことは捉えていかなければいけないと。何か、数字に追われて、二〇五〇年カーボンニュートラル、逆算してという苦しい感じじゃなくて、やはり、水素の自動車が使えるようになったら随分変わると思うんです。
残念ながら、中国なんかは、シンセンなんか、もう全部電気自動車になっている。国の体制が違うといえばそうなんですけれども、やはりそうしたことというのは、これはやはりブレークスルーするためには相当無理をしなければいけないというふうに私は思っていまして、相当局長からは煙たがられて、相当踏み込んだ答弁をいろいろな委員会、国土交通委員会でもやっているんですけれども、そうしたことで尻をたたきながら、かつ、現場の状況もしっかり踏まえながら、これは政府として二〇五〇年カーボンニュートラルというのは掲げた大目標ですから、これはしっかりと国土交通省としてその責務を果たしていくということで、様々な知恵を出して取り組んでいきたい、こう思っております。
○古川(元)委員 これは本当は政治の責任で決断をして、それは、役所の人たちってどうしても過去の延長線上で、一気に突然というのは、なかなか自分たちで判断するというのは、それはやはり無理なんですよ。まさにそれは私も官僚をやっていたから分かるんですけれども、それはやはり政治の決断のところだと思うんですね。我々も、そのために必要なことはしっかり応援していきたいし、声を出していきたいと思いますから、是非大臣も、そこは思い切った決断をしていただきたいと思います。
そういう中で、この電動車の普及促進のネックの一つに、蓄電池のコストが高いということが昔からずっと挙げられているんですね。これはやはり、蓄電池、車では使えないけれども、しかし、例えば住宅の定置型とかだったら、車で使ったものをまた再利用するということもできる。実際にそういうことをやっているところもあります。ですから、やはりこの対策としては蓄電池の二次利用、電動車で使った蓄電池を住宅の定置型とかで使う、そういう二次利用の市場をやはり育てて大きくしていく。
そのためには、それこそ乾電池じゃないですけれども、やはり規格がばらばらだと、どこどこの車の蓄電池はここには使えるけれどもあそこでは使えないじゃなくて、乾電池のように、メーカーが違っても単一、単二、単三とかちゃんと規格が一緒なのでほかでも使えます、そういう規格の統一とか、そういう二次利用の市場をやはり広げていく、つくっていく、そういうことに取り組んでいくべきじゃないかと思いますが、大臣にお伺い、いかがですか。
○赤羽国務大臣 これは、蓄電池の問題というのは大変昔から言われていて、これがあれば例えば太陽光で発電したものが夜維持できるとか、しかし、他方でなかなかこれが進まなかったというのも現実だと思いますが、今回、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中でも、今古川委員が言われたような蓄電池の二次利用、リユース促進等に関する国際ルール、標準化に取り組むということが明確に位置づけられております。
蓄電池のリユース等に資する耐久性の評価に関する国際基準づくりに今国交省としては取り組んでおりまして、これをやるということが電動車の普及促進に必ずつながっていくんだということで、省を挙げてしっかり取り組んでいきたい、こう思っております。
○古川(元)委員 これは、やはり規格なんかも、こういう規格をきちんと統一するとか、そういうことを決めることによって、その枠の中での開発になるかもしれませんけれども、逆にそれがより広い利用とか何かを進めることにもつながると思います。やはり蓄電池のコストをどう下げるか、あるいは再利用とかを進めるかということは、非常にこれから電動車を促進していくためにも重要なことだと思いますので、是非そのところも大臣のリーダーシップをお願いをしたいと思います。
ちょっと時間がなくなってきましたが、この先にある自動運転車についての質問を最後にしたいと思うんですけれども。
大臣、「二〇二五年を制覇する破壊的企業」、こういう本を読まれたことがあるかどうか。去年出されたんですね。この山本さんというのは、今はベンチャーキャピタルをやっているんですが、以前はグーグルで働いたりしていて、京大とかハーバード大学などでも教えている方で、ビジネス、テクノロジー、両方に詳しい人なんですけれども、この本は大変面白いんですね。このままいくと本当に世の中はがらっと変わっていくと。
たまたま私も直接お話を伺ったときに、一九〇〇年と一九一三年で、ニューヨークの五番街、ここでほぼ同じ場所を写した写真を比較すると、一九〇〇年のときにはそこを走っているのは全部馬車、ところが十三年後には全て自動車に換わっている。今起きている変化は、そういう百年前のような、僅か十数年のうちにがらっと全てが変わるぐらいの変化が起きているんだと。
私は、今いろんな形で進んでいくよと言っている自動運転車というのは、実は今までの自動車産業の延長線じゃない。それこそ馬車が自動車に換わったぐらいの大きな変化、それこそIT機器のいろいろな、コンピューターからスマホとか、その流れの延長線上で出てくる、そういうものの例えというふうに考えた方がいいんじゃないかと。そういう大勢で、じゃ、今までの自動車産業はどうするのか。かなり先を見て、今起きている変化を歴史的な大変化だ、やはりそういう視点での考え方をしていかないと、自動運転車に対する対応というのは将来を見誤るような思いがあるんですが、この点についての大臣のお考えを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○赤羽国務大臣 これは自動走行の自動車とはちょっと違うんですけれども、実は福島の被災地域にロボットテストフィールドを開設させていただきまして、この前、開通式のときに行ったんですけれども、そのときにはもう既に三十社ぐらいのベンチャーが来ていて、その中で、空飛ぶタクシーをこの十年間で営業化しようということを着々と本当に真面目に取り組んでいて、アメリカとも結構提携しているということもありました。
物すごくびっくりして、いろんなベンチャーのやり方があると思いますが、我々はやはり、そこに場を与えるとか、実証実験のことをトライする、今、永平寺のところでやったりとか、それぞれのところでやらせてもらっていますので、そうした民間活力とか、これからの優秀な人材の皆さんのアイデア等、あれを具現化できるようにしっかりと国交省としてはサポートするというのが我々の立場ではないかなというふうに思っております。
○古川(元)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
建設アスベスト訴訟で、最高裁第一小法廷は、十七日、国と建材メーカーの賠償責任を認める判決を出し、一人親方も認められました。昨日は、総理と原告が面会を果たし、総理からの謝罪もありました。
二〇〇八年五月に建設アスベスト訴訟が東京地裁に提訴されてから十三年。原告の総数は被災者九百名超、うち七割が既に亡くなっております。一日も早い救済制度の創設が待たれていると思います。
原告や家族の訴えを何度も聞く機会がございましたが、酸素を常に携帯していたり、ずっとせきをしている方がいます。どんなに苦しいだろう、また家族もどんなにか大変だろうと思うわけですが、昨年来のコロナで、電車の中でも、せき込むと周りに嫌な顔をされるので、私はコロナではありません、アスベストですという札を提げているという話を聞きました。何ともつらい話だと思いました。
そこで、大臣に伺いますが、一九七五年当時から、輸入される石綿の七割は建設現場で使われました。今後も、老朽建築物の解体や、また災害などの場面でも、建設労働者の石綿の暴露というのはこれからも起こり得るわけであります。過去の問題ではありません。大臣の思いを改めて伺いたいと思います。
○赤羽国務大臣 一昨日、五月十七日に、最高裁の判決におきまして、国の労働関係法令に基づく規制権限の不行使に関して違法性が示されたものというふうに承知をしております。
今回の建設アスベストの問題をめぐる被害者の多くが建設労働者であったり一人親方であるわけでございますし、そうした被害者の御本人ですとか御遺族の皆様のお苦しみや御苦労、本当に察するに余りあり、建設工事の現場でこのような問題が発生したことに鑑みまして、本判決、極めて重く受け止めておるところでございます。
改めて、二度とこのような問題を起こしてはならないとの認識を新たにしたところでございますし、また、一人の政治家として、私も兵庫県の選出でございますし、また、地元の一般労働土建組合の皆様からもかねてより御要望もいただいたところでございますので、こうした形で、時間がかかりましたけれども、一定の決着がついたというのは大変、まあ、ちょっと大臣のあれなんですが、よかったというふうに政治家としては思っておるところでございます。
今後、老朽建築物の解体ですとか災害等の場面におきまして、アスベストによる建設労働者の健康障害を予防していく、そのためには、労働安全衛生法に基づく作業方法等の暴露対策を遵守することが重要であると考えておりますので、国交省におきましては、引き続き、厚生労働省と連携をしながら、解体又は災害復旧等の工事現場における関係法令の遵守を徹底していけるようにしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。
○高橋(千)委員 一人の政治家としてとお答えいただいたことはありがたいと思っております。
国の責任については、ずっと原告側が勝訴をして、もうほぼ確定をしていたにもかかわらず、これまで時間がかかったということが本当に悔しい思いもいたします。だからこそ、今、救済制度に向けて、与党PTを中心に動きが始まっている。これは本当に、裁判に踏み切れなかった人も含めて救済できる制度に何としてもつくっていきたい、このように思います。
それで、厚労省に伺います。
今日、三枚の資料をつけていますが、その最後に、石綿による疾病に関わる労災保険給付、また、死亡による特別遺族給付金の毎年の決定状況をつけました。トータルで一万七千三百六十五名、二〇一九年度まででこういう状況ですけれども、この労災の認定状況にはどのような特徴があるのか。潜伏期間が三十年から四十年とも言われる中、残念ながらまだしばらく続くと思われますが、いかがかということ。
それから、アスベストは、壁の吹きつけ、古くは屋根瓦から配管に巻き付けられた断熱材など様々な用途で使われてきたために、労災の発生要因も屋内外問わず様々であると考えますが、どうでしょうか。伺います。
○小林政府参考人 お答えいたします。
石綿による疾病に関する労災認定件数は、過去五年間を見ますと約千件台で推移しており、そのうち建設業の占める割合は五割台で推移しております。潜伏期間が三十年から四十年という御指摘もございましたけれども、そういう状況を踏まえますと、今後も同水準で推移していくものと見込んでおります。
また、石綿による疾病に関する労災認定に当たっては、労働基準監督署において、個別に石綿暴露作業等を調査した上で、当該作業と疾病発症の因果関係を判断しているところでございますが、現時点においては、当該石綿暴露作業が屋内又は屋外であったかを分けて認定者数等を把握してはおりません。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
今後もまだしばらくは同水準で起きるのではないか、こういうことが確認できたと思います。
また、因果関係を、石綿の暴露がどのような状態かということを見るときに、屋内外ということは、そこで分けることはないということが明確にお答えいただいたと思います。
それで、資料の、一枚めくって元に戻っていただいて真ん中、昨日の毎日新聞ですけれども、「救済の道筋示された」というタイトルの中に、真ん中に、「屋外は逆転敗訴」という記事がございます。
この中に紹介されているのが、屋根工だった夫さんが六十七歳で亡くなった方の言葉なんですけれども、遺族にとっては屋内も屋外も違いはないという言葉です。石綿入りの屋根材を加工するたびに粉じんで体中真っ白になる夫の姿が今も目に焼き付いているとの言葉を紹介しています。
判決要旨を読むと、風が吹いて粉じんが薄まるから影響はほとんどないんだ、それで屋外の場合は予想はできなかったんだ、それが正当なんだというふうな理由になっておりまして、非常に驚きました。
やはり、ずっと外、ずっと中というわけでもないだろうし、また、すごく集中して削る作業のときだとか、今ここで記事にあるように、真っ白に粉じんを浴びるような作業もあるわけですから、やはりここを分けるべきではないな、これからの可能性ということを見ていただきたいというふうに思うんです。せっかくこれから救済制度をつくろうと言っているわけですからね。
それで、原告や弁護団が求めてきたのは、裁判によらない、建設アスベスト被害補償基金制度をつくってほしいというものでありました。今、与党PTを中心に立法化へ準備をしていることは報道もされておりますし、承知をしております。
その際、やはり労災認定の実績が鍵になっていくと思うんですけれども、今の労災制度全般ですよね、なかなか事務官が新採用されない中での労災認定の作業そのものが非常に大変であるということも聞いております。この体制強化というものも必要になってくるかなと思いますし、また、給付に結びつけるためには、その窓口が、まだ決まっておりませんけれども、どこになろうとしても、単に行政だけではなく、やはり広い広報ですとか相談体制というのが求められていくと思いますけれども、どのようにお考えか、伺いたいと思います。
○小林政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省といたしましては、労働基準監督署において、労災補償について適切な相談対応や迅速、適正な給付が行えるよう、職員の増員要求を行うなど、必要な体制の確保に努めているところでございます。
相談の対応等について、関係の組織とも連携をしながら業務の効率化にも努めつつ、今後とも引き続き体制整備に努めてまいります。
○高橋(千)委員 取り組んできた弁護団や原告団なども既に電話相談を始めておりますし、これからそういうことが必要になってくるのかなというふうに思っております。
今までも、いろいろ裁判をやり、議員立法に結びついたものであっても、その先がなかなか進まないということもあったりするものでありますから、しっかりと支えていく体制をつくっていく必要があるのかなと思っております。
それで、もう一点大臣に伺いたいと思うんですが、今回の判決では建材メーカーの共同不法行為責任が認められました。原告弁護団が提唱している基金制度というのは、国とメーカーが拠出し合う制度であります。今後も被害が出続けることを考えた場合、やはり建材メーカーの参加というのは必須ではないか、このように思うわけです。
企業が拠出に参加する基金制度としては初めてのことではなくて、一九七四年から施行されている公害健康被害補償法に基づく公害健康被害補償制度が先例として参考になると思います。一人の労働者から見ますと、やはり、同じ建材を使っている現場にいるとか、同じ現場にずっといるということはあり得ないわけで、それを、どの建材がどのように寄与したのかというのを厳密に計算するのは難しい。だからこそ、共同不法行為なのであって、いわゆるシェアを目安に拠出割合を決めていくのが合理的であろうということで、いろいろな考え方というのを示してきているわけですよね。その際、国交省と経産省が、石綿含有建材データベースなどを作成した経緯もありました。
今後、いずれにしても、企業も基金への参加がしやすいように、各省庁とも連携をしながら話合いを進めていく、そういうことが必要になってくると思うんですね。国交省としても役割を発揮していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 建設アスベスト訴訟につきましては、最高裁判決を受け止めつつ、与党の建設アスベスト対策プロジェクトチームの皆様方におきまして、一昨日、早期解決に向けた取りまとめが行われたということでございまして、私、これも大変よかったというふうに思います。
その中で、ちょっと詳しくは承知しているわけではありませんけれども、建材メーカーにつきましても、様々なやり取りとかお取組とか、御苦労されているというふうにも漏れ聞いておるところでございます。
この本取りまとめにおきましては、まず、与党において法案化作業を進め、建設アスベスト給付金制度、これは仮称でありますが、創設をするということ、そしてまた、引き続き、今お話ございましたような建材メーカーの対応の在り方については、継続的に検討を行うということが示されているところでございます。
国土交通省といたしましては、与党における今後のこうした取組を踏まえまして、建材メーカーを所管しているのは実は経済産業省でございますので、経産省と連携を取りながらサポートしつつ、適切にしっかりと対応してまいりたい、こう考えております。
○高橋(千)委員 これまでの時間がかかったことによって、最初にお話ししたように、亡くなった方も七割もいるという中で、やはり立法化は急がれる、だけれども課題も解決をしていかなきゃいけない。
それで、検討という言葉の中に次の道が見えてくるというのがやはり大事だとは思うんですけれども、ただ、裁判の中でずっと積み重ねてきた議論でもあるわけですよね。そのことをやはり前に進めるために、今日ちょっと、イニシアを発揮してほしい、主導的な役割を発揮してほしいということをお話をしました。
一人親方の問題も最高裁で今回判決が出たわけですけれども、今までは、言ってみれば認められてこなかったために、一般の、周辺の住民と同じ扱いで環境省の救済制度をいただいていた方もたくさんいらっしゃる。そうすると、余りにも補償の額が、桁違いに違うわけですよね。
こうした問題もありますし、また、内と外の、屋内と屋外の違いというのも、現実には作業の違いはないのだということ、それを見て労災を出すわけではないのだということも今日答弁があったと思いますので、やはりそれは建設の現場をよく知っている国交省として、今後の議論をする中で、我々もそういう、どんどん発言をしていきますけれども、大いに役割を、イニシアを発揮していただければいいなということを期待をして、残念ながら時間が来ましたので、これで要望にして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
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○あかま委員長 次に、内閣提出、参議院送付、海上交通安全法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣赤羽一嘉君。
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海上交通安全法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○赤羽国務大臣 ただいま議題となりました海上交通安全法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
近年、大型台風等の異常気象等が頻発、激甚化しております。令和元年に台風十五号が東京湾を直撃した際には、走錨した船舶が臨海部の施設や他の船舶に衝突する事故が複数発生いたしました。このため、異常気象等が予想される場合に、船舶交通がふくそうする海域にある船舶を事前に安全な海域に避難させる等の船舶交通の安全を確保するための措置を講ずる必要がございます。
また、海上保安庁においては、船舶の指標となる灯台などの航路標識を設置しておりますが、近年、船舶の衝突事故により航路標識が損傷する事案が多数発生しており、その復旧に時間を要しております。このため、同様の事案が発生した場合に、より迅速な復旧を図るための措置を講ずる必要があります。
さらに、海上保安庁におきましては、航路標識の老朽化が進んでいることから、その維持管理業務が増加しております。このため、民間の力も最大限に活用しながら、海上保安庁が管理する航路標識の維持管理体制を充実させるための措置を講ずる必要がございます。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、海上保安庁長官は、異常気象等により船舶交通の危険が生ずるおそれがある等の海域にある船舶について、当該海域からの退去などを勧告し又は命令することができることとするとともに、船舶が安全に航行、停留又は錨泊を行うために必要な情報を提供するなど、異常気象等に際して船舶交通の危険を防止するための措置を講ずることとしております。
第二に、海上保安庁が管理する航路標識を損傷した原因者に対し、復旧に必要な工事の施行又はその工事の費用の負担を求める制度を創設することとしております。
第三に、海上保安庁が管理する航路標識について、海上保安庁以外の者による工事等に関する承認制度を創設するとともに、海上保安庁長官に協力して、その工事等を適正かつ確実に行うことができる法人その他の団体を航路標識協力団体として指定することができることとしております。
そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由でございます。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、何とぞ御審議、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会