衆議院

メインへスキップ



第2号 令和4年3月2日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年三月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      笹川 博義君    塩崎 彰久君

      杉田 水脈君    田中 良生君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      藤丸  敏君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      和田 義明君    稲富 修二君

      枝野 幸男君    神津たけし君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      渡辺  周君    池下  卓君

      高橋 英明君    山本 剛正君

      河西 宏一君    北側 一雄君

      吉田 宣弘君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   国土交通副大臣      渡辺 猛之君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 高明君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       市川 篤志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            青柳 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  浅輪 宇充君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 松本 貴久君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 山上 範芳君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    奥島 高弘君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     西田 昭二君

  石原 宏高君     藤丸  敏君

  根本 幸典君     杉田 水脈君

  北側 一雄君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     塩崎 彰久君

  西田 昭二君     秋本 真利君

  藤丸  敏君     石原 宏高君

  吉田 宣弘君     北側 一雄君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

三月一日

 令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出第一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出第一五号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長瓦林康人君、大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、大臣官房公共交通・物流政策審議官寺田吉道君、大臣官房土地政策審議官市川篤志君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官島田勘資君、総合政策局長和田信貴君、国土政策局長青柳一郎君、不動産・建設経済局長長橋和久君、都市局長宇野善昌君、水管理・国土保全局長井上智夫君、道路局長村山一弥君、住宅局長淡野博久君、鉄道局長上原淳君、自動車局長秡川直也君、海事局長高橋一郎君、港湾局長浅輪宇充君、航空局長久保田雅晴君、政策統括官松本貴久君、国際統括官山上範芳君、観光庁長官和田浩一君、気象庁長官長谷川直之君、海上保安庁長官奥島高弘君、内閣官房内閣審議官高村泰夫君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、文部科学省大臣官房審議官出倉功一君、厚生労働省大臣官房審議官小林高明君及び中小企業庁事業環境部長飯田健太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 まず冒頭でございますが、二十七日開催いたしました立憲民主党党大会におきまして、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難する決議を採択いたしました。日本国憲法が掲げる平和主義の下、国際社会の恒久平和を世界に訴えつつ、ウクライナの主権、一体性、独立を支持することを改めて表明いたします。

 斉藤大臣は、昨年九月に就任以来、衆議院総選挙を挟み、特別国会、臨時国会、新年をまたぎ、やっと大臣所信を伺うことができました。そして本日質疑となることですけれども、令和三年十月四日の就任から五か月も既に経過しております。正直申し上げまして、本日の質疑時間、短いなと、思いが強くございます。多くこちら、うなずいております。与党におかれましては、しっかりとした今後質疑時間確保、そのために御努力いただくことをお願いしたいと思います。訴えさせていただきます。

 さて、この間、広島県トラック協会の個人演説会参加費支給問題、建設工事受注統計二重計上問題など、テレビを通じて、大臣の姿は、謝罪する姿を多く見たという記憶が強く残っております。

 また、今後の懸念としては、東京外郭環状道路の陥没事件で、二月二十八日、地裁の工事一部差止めにより、気泡シールド工法による掘削工事ができなくなることの影響など、国土交通行政の課題は山積しております。

 そこで、まず最初に、昨年末明らかになりました、建設業者から回収する調査票について、都道府県にマニュアルを指示し、書換えを指示し、業者の回答が間に合わなかった場合、県の担当者は指示どおりに数字を自ら書き入れたとされる建設工事受注動態統計調査は、政府の信頼を揺るがした事件でもあります。

 政府統計は三年前にも不正が発覚し、日本経済の現状を把握し適切な政策を実施するにも、正確な統計は欠かせません。不正は許されるものではなく、背景には統計軽視、実態軽視の姿勢があるために不正が繰り返されたとも言えます。

 大臣所信で、「関係省庁とも連携しながら、当該調査の遡及改定や再発防止策の検討及び国土交通省の所管統計の検証等に全力で取り組んでまいります。」と発言されております。国土交通省の所管統計はどれだけあり、どのように検証が進められていくのか、国土交通大臣から、この件につきましてお述べください。

斉藤国務大臣 まず、国土交通委員会の審議が始まります。どうかよろしくお願いをいたします。

 先ほど小宮山委員から御質問のありました、今般の建設工事受注動態統計調査の不適切処理問題を踏まえ、まず、不適切処理のあった受注統計を統計上適切な姿に改定する手法を検討する遡及改定検討会議と、二つ目に、再発防止策の検討や所管統計の検証を行う再発防止検証タスクフォースの二つの検討体制を立ち上げ、国土交通行政や政府統計の信頼の確保を図っていくことといたしました。

 遡及改定検討会議では、本年五月に予定している令和三年度分の建設工事受注動態統計調査の公表までに統計の信頼確保に向けた一定の結論をいただくことを目指しており、国土交通省としても早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

 二つ目の再発防止検証タスクフォースでは、統計委員会と歩調を合わせつつ、有識者の御意見を伺いながら、国土交通省が所管する基本統計九本、一般統計五十五本の計六十四本の点検、再発防止策の検討を可能な限り早く行ってまいりたいと思っております。

小宮山委員 今朝も立憲民主党は、総務部会におきましてこの問題を扱わせていただいております。

 政権としては、やはりGDPへの影響を避けたい、また、統計委員会等に丸投げして済ませたいということが透けて見えるところがあります。こういうことではなく、統計の専門性や、そして日本国が出すデータというものが信頼の置けるものだということになるように、しっかりと、政府としても、国交省としても対応していただきたいのが一点。

 そして、何よりも国会においてもしっかりとした調査をすること、そのためにも、総務委員会又はこの国土交通委員会でも集中的な審議を求めたいと思います。委員長、お計らいの方、お願いいたします。

中根委員長 理事会で協議します。

小宮山委員 委員長、ちゃんと理事会で協議するとか、ちゃんと回答してくださいよ。

中根委員長 いや、今、理事会で協議しますと。

小宮山委員 今、委員長の方が、声が小さかったですが、理事会で協議すると言いましたが、しっかりと求めていきたいと思います。

 さて、観光政策、この点に関して、次、大臣所信、本当にたくさん、国交省所管が多いので、かなり急ぎになりますけれども、やらせていただきます。

 蔓延防止等重点措置について、六日までの期限を更に十都府県において延長を行う検討がされていると報道されております。コロナ感染症の政府の収束への道筋は、いまだに見通せません。まずはやはり三回目のワクチンの接種率を向上させること、また、そのほかやれること、やり尽くした感は政府の対応はないので、やはり私たち、様々な提案をしております立憲民主党としても、法案提出もさせていただいていますので、この点に関しましては政府も柔軟に取り入れるべきだということをつけさせていただきます。

 サービス連合さんは十度にわたって提言をされました。また、日本商工会議所の作成した意見書にも、将来の行き先不安等から人材流出、担い手不足の深刻化が指摘されている観光産業でもあります。観光産業というのは、関連する業種が多岐にわたって、裾野の広い産業であります。二〇一九年の訪日観光外国人旅行者数は三千百八十八万に増加しておりました。しかし、これが一気に冷え込むことになり、観光は我が国の経済の主要な牽引役、また、地方創生の切り札でもある観光の再生というものは急務な課題でもあります。

 コロナ禍で、国の積極的な資金繰り支援等により倒産件数は低く抑えられているものの、人流抑制の影響を強く受けるために、飲食業、宿泊業、運輸業など観光関連産業は極めて厳しい経営状態に現在置かれております。間もなく借入債務の返済時期が到来する。このまま需要回復が遅れれば、債務返済が経営の足かせとなり、倒産、休業する事業者の増加につながりかねません。

 ウィズコロナ、アフターコロナとなる今後の観光産業の量的及び質的目標をどのように捉えているのか、観光庁長官からお聞かせください。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 世界的な感染拡大により、インバウンドの本格的な回復には時間がかかることも踏まえ、日本人の国内旅行の需要喚起等に取り組むことは大変重要だと考えております。

 今後もインバウンドの重要性に変わりはありませんが、現状においては観光目的の入国は認められておらず、中長期的なインバウンドの動向を見通すことが極めて難しい状況にございます。

 このため、もう少し感染状況が落ち着き、中長期的なインバウンドの動向などを見通せる状況になったタイミングで、二〇三〇年の政府目標の見直し等の必要性も含め、有識者の御意見を伺うなど、関係者と議論したいと考えております。

 また、国土交通省といたしましては、県民割の支援や新たなGoToトラベル事業などにより国内旅行需要の喚起を図るとともに、ワーケーションや第二のふるさとづくりといった取組など新たな国内交流需要の掘り起こしを行ってまいります。

 引き続き、国内交流を観光政策の重要な柱として、インバウンドの回復と両輪で観光政策を推進してまいります。

小宮山委員 この問題、実は二年前も同じ質問をさせていただきました。

 少し先に進んでいるような、進んでいないような答弁だと思いますが、二年前の四月、GoToトラベルが最初に提案されたとき、私、小宮山も、また高橋千鶴子議員も、国内産業というか、元々観光産業の八割、国内旅行が中心でしたので、この点に注目をし、県民割また復興のときのやり方というとマイクロツーリズム、こういったものに中心を置くべきだということを提案させていただき、その後、国交省も観光庁も軸を国内に今、移されているんだというふうに理解をしております。

 私の住んでおります、蔵造りの町並みで知られます首都圏屈指の観光地、埼玉県川越市が、新型コロナウイルスの感染症拡大長期化の影響で、コロナ禍の前の令和元年の観光客数約七百七十六万人から激減しております。外国人観光客は一割までに落ち込んだと二月に発表がありました。

 さらに、こういった観光地によくありますが、夜間に営業はしていない、観光がないということで、飲食店も、観光地になる以前、これは川越の町が江戸時代から続く歴史あるところの生活のリズム、生活の習慣ということも相まって、夜間というか、閉店時間が早いために、そもそもで時短協力金の支給対象に入らない商店も多く、国の様々な支援策、必ずしも行き渡らないというのが観光地の現実でもあります。

 GoToトラベル事業は感染状況を見極めつつ再開できるよう準備を進めるとのことですが、再開のめどについて、現状どのように考えているのか、お聞かせください。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 GoToトラベル事業の実施に当たっては、旅行者と旅行先の地域の双方の安全、安心をしっかり確保することが必要であり、感染状況がその時点で落ち着いていることが大前提となります。国内の感染状況については、引き続き、最大限の緊張感を持って対応する必要があります。

 このため、GoToトラベル事業については、今後の感染状況等を見極めつつ、適切な時期が来たならば再開できるよう準備を進めているところでございます。

小宮山委員 GoToトラベル事業のために確保した補正予算は、事業停止により使われないだけではなく、生かされることなく現在に至っていると認識しております。

 財政法により、予算の繰越しは翌年度までしか認められません。このため、令和二年度第一次補正予算において、GoToトラベルに充てることとして確保されていた予算一兆千二百四十八億円などのうち、執行されていない七千二百億円について、本年、間もなく三月十日を過ぎることで、使われることなく国庫へ戻される可能性が出ております。

 今月、三月内のGoToトラベル再開はあるんでしょうか。二〇年度の一次補正から三次補正までの予算の未執行額について、今後の取扱いはどのようになるのか、お聞かせください。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現段階では、三月中の再開があり得るか否かを含め、GoToトラベル事業の具体的な再開のタイミングを申し上げられる状況にはないと考えております。

 それから、御指摘の予算額でございますけれども、GoToトラベル事業給付金の予算、令和二年度の一次補正、予備費、そして令和二年度の三次補正で、合計二兆三千七百四十一億円を計上してございました。

 現時点で令和三年度内の執行額は確定しておりませんけれども、この給付金は、実際に旅行した旅行者に対して給付するものであり、仮に令和三年度内に事業が再開できなければ、国として給付決定を行うことができません。

 このため、この場合には財政法に規定されている繰越しの要件を満たさず、令和二年度一次補正予算と予備費の残額である七千二百億円につきましては、令和四年度に繰り越すことは困難でございます。

 このように、繰越しができない場合は、不用になるものと認識をしております。

小宮山委員 現在残っている補正予算の一部でも、すぐに有効に活用できる施策へと回してはいかがでしょうか。

 立憲民主党では、観光産業事業継続支援金法案を提出しています。このような取組を行うことによって観光産業の事業継続に資するということにもなりますので、この点、お答えいただければと思います。

斉藤国務大臣 観光関連事業、今大変厳しい状況ですので、しっかり支援しなければならない、それは同じ思いでございます。

 まずは、業種横断的な支援ですけれども、雇用調整助成金等々、ほかにもたくさんございますが、これをまずしっかり行う。そして、観光産業に特化した直接的な支援として、地域一体となった宿や観光地の再生、高付加価値化、また、地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出等々、観光産業を多面的に支援をしていくこととしております。

 今後とも、その時々の経済動向等に応じて、事業者の皆様の声を丁寧にお伺いしながら、必要な支援を継続的に実施できるよう頑張っていきたいと思います。

小宮山委員 必要な支援を継続的にと言いますけれども、政府の出している事業継続の支援金、正直言って、額が小さくて維持運営には足りないというのが現場の声でもあります。

 もし、国庫へ返納される可能性のあるものを地方に出すのであれば、これも早期に地方の方にしっかりしなければ、現在、恐らく全国的に、県議会などが議会の最中であります。これが終わるまで、閉じるまでの間に、地方にきちんと提示する、GoToトラベルで使わない予算は地方に回すということを明言をしていただくことによって、早くに、必要なところに必要な支援を県を通じてなり回すことができるようになります。

 これは通告していませんけれども、大臣、早い決断がこれは大切です。この点、お聞かせいただけないでしょうか。

斉藤国務大臣 基本的に、今回、観光関係事業者に特化した支援を行うということについて、我々としては、いわゆる需要喚起策を行うことの方が有効だ、こういうふうに考えています。

 特化した事業を行う場合、観光関係事業者と、周辺にたくさんの関連した事業がございまして、その線引き等、非常に難しいということもございます。基本的には、業種横断的な、そういう支援を基に是非頑張っていただいて、そして、しかるべきときに需要喚起策でしっかり支援していくということが最も効果的ではないかと考えております。

小宮山委員 GoToトラベル、実は、個人旅行には有効なんですが、それまで経済を回していた団体旅行等には本当に行き渡らないということを指摘させていただきます。それが、私たちが観光産業事業継続支援金の法案を議員立法で提出した理由でもあります。しかるべきときといっても、今だと思います。是非、この点も真摯に受け止めて実行していただきたいと思います。

 さて、大臣所信で、「コロナ禍の中、献身的に尊い使命と責任を果たしていただいている全てのエッセンシャルワーカーの皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。」とおっしゃられています。

 エッセンシャルワーカーの定義は、社会活動維持のために最低限必要な人数などについて以前の質問でも取り上げましたが、明確な定義がいまだにありません。恐らく、この二年間で、エッセンシャルワーカーという言葉、日常でも使い、また多くのところで使いますが、具体的には、誰の、何の業種なのか、様々明確なところが分からないまま、しかし、社会機能を維持、充実するためには必要であるという緩い認識で、皆様、この言葉を使っているんだと思います。

 そこで、改めて、国土交通省所管におけるで構いませんので、エッセンシャルワーカーの定義を御説明ください。

島田政府参考人 お答えを申し上げます。

 エッセンシャルワーカーの考え方に関連いたしましては、例えば、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく基本的対処方針におきまして、事業の継続が求められる事業者として、国民生活、国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者及びこれらの業務を支援する事業者といったような考え方が示されているところでございます。

小宮山委員 そうなんです。相変わらず緩いんですが、これは元々といえば、社会機能維持従事者という、新型インフル特別措置法、民主党のときに作りましたけれども、この中に、ワクチン接種の優先順位の中で似た考え方が出てまいります。やはり、緊急事態のときにどこからワクチンを打っていくのか。医師であったり、最終的にはごみの収集とか衛生管理に関係する業種の方とか、様々広い範囲で接種の順番を決めているというのが、ここに一番近いのかなと思っております。

 間もなく東日本大震災発災から十一年を迎えます。いつ起こるとも分からない首都直下型地震や南海トラフ地震など、様々なケース、被害想定がされております。

 今回のコロナも、災害級と言われるゆえんでもありますが、この被災対象となる地域、エリアについて、やはり、社会機能維持に必要なエッセンシャルワーカーの人数や業種について、どのように把握をしているのか。これによって、災害の復旧度合いやまた助かる命というものが、また、社会機能というもの、事後の経済的復興というものに大きく影響いたしますので、この点について、エッセンシャルワーカーの勤務する事業者との連携も含めまして、お答えいただければと思います。

斉藤国務大臣 災害発生時等における社会機能を維持するエッセンシャルワーカー、それに必要な民間事業として、国交省の所管分野では、例えば、公共交通、それから物流、建設工事等の分野が該当すると考えます。

 これらの事業分野におけるエッセンシャルワーカーの具体的人数については、災害の発生状況や事業者の被災状況等により大きく変わるため、一律に人数を算出することは困難だと考えております。

 事業者との連携については、各社における事業継続計画、BCPの策定を支援するとともに、必要に応じて国交省もBCPに基づく訓練に参画しているほか、事業者との災害時の連絡体制を構築するなど、平時から連携を進めております。

 また、災害時においては、例えば、運行に支障が生じた旅客輸送区間の代替輸送の確保に関する事業者との調整を行ったり、また、被災していない地域の物流事業者からの応援派遣について事業者団体と調整するなど、関係事業者と緊密に連携して復旧に取り組むこととしております。

 国交省としては、引き続き、事業者や自治体等の関係者と連携し、災害時においてもエッセンシャルワーカーの事業を補完するような取組を進めてまいりたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 ただ、大臣、一つ、大きなエッセンシャルワーカーの中には公務員も入ります。国交省の職員もエッセンシャルワーカーとなります。この点も是非、大臣の方からは入れていただきたいと思いますし、国交省の中では、災害が起こったときどれだけの人員が必要だということも、恐らく事業計画の中等で試算も出していると思います。緊急参集要員などを定めているのは、その例だと思います。

 恐らく民間事業者も、そういったことは、緊急事態のときには考えていると思います、制定をしていると思いますので、そういった具体的なことをしっかりと集約をすることで計画を作る。しかし、コロナによって民間事業者は経営が非常に厳しい。乗降者が少なくなった交通機関、また、高齢化によって、タクシー事業者の中では、ドライバーの方が辞めて、継続をしない。宿泊業にしても、二年間も夢を描いてホテルマンになろうと思ったけれども、働く場というものはないので別の業種に転移した。

 先ほど言いましたけれども、人員や人的な資産というものが今減っています。こういったことを考えると、本当にしっかりとしたエッセンシャルワーカーがいるということが社会機能維持に重要でもあり、国交省の役割というのは本当に大きなものがあります。是非、具体的に数字が調べられないというのではなく、きちんと事業者からも情報を得て、そして国交省としても協議をする、そういった場をつくっていただくことを提案させていただきます。

 さて、次の質問ですけれども、大臣所信においては、本年四月に熊本で開催予定の第四回アジア・太平洋サミットを契機に、我が国の知見を提供しつつ、世界の気候変動適応策の推進等の水分野の課題解決に貢献してまいりますと言及をされております。力強くおっしゃられました。

 水循環基本法改正の提案者でもありますので、この言葉というのは心強いなと思ったところではございますが、水分野の課題解決に貢献と述べられていますが、どのような課題に対してどのように貢献しようとするのか、具体的にお聞かせください。

斉藤国務大臣 今年五月ですけれども、熊本で水サミットが行われます。(小宮山委員「四月」と呼ぶ)四月、済みません。そこでも大きな世界的な課題が挙げられております。

 世界では今なお安全な飲み水や衛生サービスを利用できない人が多くいる。我が国は、このような課題の解決に向けた知見、技術をどのように使っていくか。一つは既存ダムのかさ上げ等による利水機能の増強、それから降雨予測等を活用したダム運用の効率化、それから都市部において道路を掘り返さず下水管を新設する工法などを生かしたインフラ海外展開を通じて、各国の水問題の早期解決、健全な水循環の維持又は回復に貢献できると考えております。

 本年四月に熊本で開催されるアジア・太平洋水サミットでは、我が国を始めとするアジア太平洋地域に共通する水災害も含めた水問題の解決に関する経験、知見を共有し、議論が行われる予定でございます。

 国土交通省としては、本サミットを契機として、我が国の知見や技術がアジア太平洋地域、ひいては世界の水問題解決に一層貢献できるよう、官民一体となって取り組んでまいります。

小宮山委員 自然災害などにも対応するといって海外展開をしているものを中心に提案するということでありますけれども。

 昨年、流域治水関連法も成立いたしました。そういいながらも、海外に展開している好事例をプレゼンされるということであります。これも大切なことだと思いますが、では足下の日本はどうかといえば、激甚災害が多発し、河川など、非常に厳しい被害が地域にもたらされています。

 国土交通省の出先機関であります各地方整備局や、さらには各河川事務所などの体制は、そういう中でも厳しい状況に置かれています。地方整備局の人員体制について充実強化が必要と考えますが、国土交通省の見解並びに対応についてお伺いいたします。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今の激甚化、頻発化する自然災害に対応いたしまして、国民の皆様の命と暮らしを守る地方整備局の役割はますます大きくなってございます。

 このため、地方整備局におきまして必要な人員体制を確保することは極めて重要であると考えておりまして、国土交通省におきましては、毎年度の定員要求において、このことに重点的かつ継続的に取り組んでございます。

 その結果、令和二年度から純増を確保しておりまして、四年度予算案におきましても、合計で百十九名の純増を盛り込んでおります。

 今後におきましても、防災・減災、国土強靱化の最前線を担う地方整備局につきまして、事務所、出張所も含めまして、必要な人員体制の確保に向け、最大限努力してまいります。

小宮山委員 国交省ができ上がってから、人員削減の方が地方整備局はずっと続いて、二三%ですか、減っているというふうにも聞いています。ここのところで、激甚災害、TEC―FORCEの活躍などもあり、少し増えているけれども、地方整備局には、全国に分けると数名ずつの増員しかできていない。つくったときから見ると、減ったままでもあります。

 もう既に、改革という名の下で人員削減をするには限界があると思っております。地方自治体もしかり、国もしかり、人員削減の時代ではなく、もう少し拡充をする。そういう意味では公務員法改正等も必要だと思いますが、このことも私たちは検討し、また、提案もできるようにしていきたいと思います。ともかくも現場で頑張っている皆様方には、心から敬意と応援をさせていただきます。

 さて、ロシアによるウクライナ侵攻が行われ、国際秩序への挑戦でもあり、その根幹を揺るがす暴挙が起きております。まだまだ、停戦協議が始まったという割には、テレビ塔の攻撃であったり、また、子供や民間人が被害に遭っているということでもありますが、ロシアは日本にとっても隣国であり、日本固有の領土である北方領土問題を抱える関係にもあります。

 大臣所信で、厳しさを増す我が国周辺海域の状況や海上保安業務の多様化を踏まえ、領域警備等に万全を期してまいりますと言及されました。

 立憲民主党は、十二月十七日に、領域警備に万全の体制を整えるための領域等の警備及び海上保安体制の強化に関する法律案を、既に国会に提出をいたしました。同法案の主な内容は、警察機関及び自衛隊が事態に応じて適切な役割分担の下で迅速に行動し、領域の秩序の維持を効果的に行うよう基本原則を定めているものでもあります。しかし、最前線に立つのはやはり海上保安庁であります。それをしっかりと支えるための法律でもあります。

 領域警備等に万全を期すのであれば、立憲民主党提出の法案のような内容の実現を目指すべきではないかと思いますが、御見解をお聞かせください。

奥島政府参考人 お答えいたします。

 武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関たる海上保安庁と自衛隊との連携が極めて重要であり、平成二十七年五月に、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動、治安出動などの発令手続の迅速化のための閣議決定が行われております。

 また、海上保安庁におきましては、平成二十八年十二月に関係閣僚会議で決定されました海上保安体制強化に関する方針、これに基づき、尖閣諸島周辺海域を含む我が国周辺海域の警備体制の強化に取り組んでおります。

 立憲民主党から提出をされました法案を含め、法整備が必要という声もありますが、今後の取組につきましては、各機関の連携を充実させ、円滑にさせるために必要なものがないのか、政府全体として、訓練等を通じてなお一層の検討を進めてまいります。

 今後とも、海上保安庁におきましては、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と連携をし、事態をエスカレートさせないよう冷静に、かつ毅然として対応を続けてまいります。

小宮山委員 私たち立憲民主党も、グレーゾーンという状況ではなくて、しっかりとした日本国の領域でもあります、この領域を守るための海上警備、また海域の警備のための法案をこれからも提案し、また施策も提案をさせていただきます。このことをお伝えいたします。

 さて、コロナ感染拡大の中、公共交通機関の利用者数も大幅減少のまま推移しております。昨年十二月頃、一旦コロナ以前のおおむね八割程度にまで回復した新幹線の乗客数、乗車賃も、現在また三割台ほどに減少したと聞いております。タクシー運賃収入では、コロナ以前の三割から四割減となっている。航空産業では、大手二社、いずれも一千億円台の赤字が見込まれています。社会活動を維持するために公共交通を止めないよう、雇用調整助成金の活用や、他部門、他社への出向を始め、企業、労働者共に必死に努力を重ねている、これが今の日本の現実でもあります。

 また、原油高騰の影響も公共交通機関には重くのしかかっています。ウクライナへのロシア侵攻により、なお一層、原油、天然ガスの高騰が進む可能性が高くなっています。ガソリンの流通単価を引き下げるための施策が注目されますが、市民生活に大きな影響を持つ灯油の値段、船舶燃料などとなる重油の値段、また、バスやタクシーでも多く利用されるLPガスの値段についても対策が必要と考えます。

 まず、国交省には、タクシーへの空気清浄機設置補助の拡大、また蔓防が延長になるというのでこの対策。そして、LPガスタクシーへの燃料費補助の拡大等、タクシー事業者への支援について、どのような対策、取組を国交省として考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

秡川政府参考人 タクシーへの支援という御質問ですけれども、コロナの影響下でも運転者や利用者が安心してタクシーを利用できるように、空気清浄機等の設置を始めとした感染防止対策の支援を行っております。あと、令和三年度の補正予算では、LPガスの価格高騰の負担軽減のための支援措置も新たに創設をいたしました。加えて、雇用調整助成金とか、あと、資金繰りのための無利子無担保融資、あと、自治体が地域の実情に応じて活用できる地方創生臨時交付金のタクシーを含めた交通分野への活用、これを運輸局を通じて地方自治体にお願いするという働きかけも行っております。

 今後とも、タクシー支援にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 なかなか、ガソリンの値段はよく話題に上りますが、LPガスなど運行に必要なものに対しての支援というのは行き届かないこともあります。秡川局長におかれましては、是非、事業者、現場の声、運転手さんたちの声、こういったことに更にまた傾聴していただき、具体的に現実的な支援策をおつくりいただきますことをお願いいたします。

 ガソリンの流通単価を引き下げるためのトリガー条項活用が現実味を帯びていると考えております。総務大臣より、今後、同条項が活用となれば、地方自治体の税収が五千億規模で減少、不足するとの試算についての発言がございました。この点に関しましては、立憲民主党、既に、トリガー条項を発令するために必要な法律ということで、議員立法は昨年中に出しております。

 これが、私たちとしては、税金を下げるということが、まずは、多くの事業者や地方自治体も、車両、持っております。そういったところに対しても非常に有効な手段であるということは実感をしておりますが、元売のところへの支援も、必要でないとは言いませんけれども、なかなか効果が表れづらいということもありますので、この点は御検討いただきたいなと改めて思います。

 令和四年度予算について、現在も参議院で審議が続いております。今この時点であれば、トリガー条項に伴い必要と見込まる予算を、予備費からの支出ではなく、組替え、修正を行うことで計上が可能であり、そうすべきだと考えています。昭和の時代から続く慣習にとらわれるばかりでなく、予算もあるべき形に変えていけばよいと考えています。

 政府提出予算案をそのまま成立させることが目的化となっているのではないでしょうか。必要な組替え、修正をし、健全な予算内容にした上で成立を図るのも、政府や国会の役割と考えます。財務大臣、総務大臣、さらには内閣総理大臣の見解を求める事項とは思いますが、やはりここは、現実的に動いている事業官庁としての国交省でもあります。燃料を用いる産業を多く所管し、内閣の一員である国土交通大臣に、新たなやはり提言ということで考えていただけないのかということを、お聞かせいただければと思います。

斉藤国務大臣 今、小宮山委員御質問のトリガー条項につきましては、所管外であるため、ちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、国土交通省として業界に対してできること、燃料価格上昇分を価格に適切に反映してもらうようにいろいろな経済団体への働きかけ、また荷主への働きかけ、それから貨物自動車運送事業法に基づく勧告、公表等の対象になること、そういった周知を図るなど、努力を懸命にしていきたい、このように思っております。

小宮山委員 努力は分かるんですが、やはり結果を出すための努力にしていただきたいと思っています。

 そのためには、慣習にとらわれるのでは、もう既に時代の中で、政策決定のテンポが遅過ぎます。私たち立憲民主党は、組替え動議で、地方の不足分を補うものも入れさせていただきましたが、残念ながらこれは採択されませんでした。でも、今からでも間に合うものは是非しっかりと修正をし、そして、そのためであれば、私たちは協力することでしょう。

 是非、内閣の一員として、国交省として、社会を動かす、その牽引になることを心から願いまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 まず冒頭、一昨日に、東京地裁が外環道の一部工事の差止めを決定いたしました。

 私も、一昨年、陥没事故が起きました現場に行ってまいりました。家屋や壁に亀裂が入っていて、私が行ったときにはもう既に塞がれていましたけれども、縦三メートル、横五メートルの陥没事故が発生しました。今は前議員でありますけれども、地元の山花議員とともに現場に行きました。昨年の二月の予算委員会でも、当時の赤羽大臣に質問をしております。

 今回の決定を受けまして、まずは、もう既に大臣、決定の内容をよく確認し関係機関と調整して適切に対応したいというコメントを発しておりますけれども、改めて、大臣の受け止め、そして、異議申立てを行うのかどうか、その点について、まず冒頭伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 首都圏三環状の一翼を担う東京外郭環状道路は、首都圏の渋滞緩和、環境改善や円滑な交通ネットワークを実現する上で重要な道路として事業を進めております。

 委員御指摘のとおり、二月二十八日に、東京地方裁判所より工事差止め仮処分命令申立ての決定が、事業者である関東地方整備局、それからNEXCO東日本、NEXCO中日本に送達されました。

 その決定の内容は、東京外郭環状道路関越―東名間における七本のシールドトンネル工事のうち、東名立て坑発進に係る二本のトンネル掘削工事について、気泡シールド工法による掘削工事を行ってはならない旨の内容となっております。

 現在、決定の内容の精査を行っている段階であり、今後、関係機関と調整の上、適切に対応してまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 異議の申立ては行いませんか、行いますか。

斉藤国務大臣 繰り返しになり大変恐縮でございますが、現在、決定の内容の精査を行っている段階でありまして、今後、保全異議申立ての実施の有無も含めて関係機関と調整をしていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 もう既に、八十五キロのうち四十九キロが開通している。私どもも、渋滞解消ということにつきましては早くやはり何とか解決してほしいという思いは一緒なのでありますけれども、ただ、今回の決定を受けた、今お話ありました世田谷から武蔵野までの約九キロのトンネル二本の掘削工事は、同じ工法による工事の中止が命じられた。そうしますと、ほかの代替工法はあるのか。つまり、シールドを使わない掘削でトンネルを掘るということがあり得るのかどうなのか、それはいかがでしょうか。

 そしてまた、もしそうなら、工事再開のめどというのは一体いつ頃と考えていらっしゃるか、その点はいかがでしょうか。

村山政府参考人 お答えします。

 まず、代替工法の有無についてであります。現在、決定の内容の精査を行っている段階でございまして、ほかの代替工法の必要性も含めまして、今後、関係機関と調整しながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。

 また、再開についてでございます。今般の決定の内容につきましては、大臣御答弁のとおり、東名立て坑から発進する二本のトンネルにつきまして、気泡シールド工法による掘削工事を行ってはならない旨の内容となってございます。

 このうち、一本のシールドトンネル工事が原因で陥没、空洞が発生した調布市内の地域におきましては、現在、地盤補修が必要な範囲にお住まいの方々に対しまして、事業者による家屋の買取り等の御相談をさせていただいているところでございます。その後、地盤の補修を行う予定となってございます。

 まずは、地盤の補修などを行う必要がございます。また、工事の差止めの決定への対応もございます。二本の工事の再開につきましては、現段階で見通せる状況にはございません。

渡辺(周)委員 この点について、今回の裁判では、地裁の決定に当たっては、地盤の状況が詳細に検討されたという報道もございます。調査間隔が、百メートルから二百メートルの間隔での調査が目安という、これは国交省の大深度地下使用技術指針・同解説というのを引き合いに出して、私、この点については先般の予算委員会でも赤羽大臣に質問いたしました。

 この点については、やはり今回、地盤の状況というのが一つの決定の判断の根拠とされたわけなんですけれども、この今回のシールド工法による外環道の工事がいわゆる第二例であります。

 第三例の、このシールド工法で、今、リニア新幹線の北品川からの工事が始まっているというふうに聞いております。今回の司法判断によってリニア新幹線工事への影響というものはあるのか、ないのか。その点については、大臣、いかがですか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣が答弁いたしましたとおり、二月二十八日に、東京地方裁判所より工事差止め仮処分命令申立ての決定が送達されております。

 リニア中央新幹線の建設主体であるJR東海は、本件について当事者ではないために、当該決定の詳細な内容については現時点では承知しておらず、まずはこの決定の内容の把握に努めまして、それを踏まえて適切に対応していくものと承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、リニア中央新幹線の建設工事について、安全に十分に配慮し適切に工事を実施するよう、建設主体であるJR東海を指導してまいります。

渡辺(周)委員 前回、予算委員会でやったときも同じ答弁だったんです。そのときに赤羽大臣は、スケジュールありきでシールド工事が進むことはあり得ない、必要な対策を取ることによりまして、これは例えば住民への説明であるとか、あるいはボーリング調査をして、そのデータに基づいた形で工事を進めるということだというふうに私は判断しておりますが、必要な対策を取ることによりまして、安全かつ確実に工事が行われるように、引き続きJR東海にしっかりと指導してまいりたいということを答弁されております。

 大臣の答弁というのは法律と同様の拘束力を持ちますので、その点については大変重く受け止めなければなりません。

 リニアの新幹線の予定地の地盤の調査、先ほど申し上げましたように、百メートルから二百メートルの間隔でボーリング調査すべきが本来なら目安なんだけれども、都市部ゆえになかなかそういうわけにもいかないということの返事もいただいております。それにしても、今回の崩落事故を受け、また今回の司法判断を受けて、今後のリニア新幹線、地盤調査やあるいはシールド工法による影響、この点については赤羽大臣の答弁に縛られると考えるんですけれども、斉藤大臣、改めていかがですか、リニアに対してのシールドの工法による影響は。

斉藤国務大臣 昨年の赤羽大臣の議論も、私、承知をしております。基本的に赤羽大臣に、その考え方に変更はございません。

 リニア中央新幹線については、平成二十六年の工事実施計画の認可の際に、国土交通大臣からJR東海の社長に対し、地域の理解と協力、それから環境の保全の措置、安全かつ確実な施工を指示したところでございまして、工事の過程で発生する様々な課題の解決に当たっても、これらが大原則だと考えております。

 御指摘のリニア中央新幹線の地盤調査については、大深度地下使用技術指針・同解説、先ほど渡辺委員が言及されておりましたこれを踏まえまして、JR東海では、他の機関が実施した参考となるボーリング結果や既存文献等も含めて、調査間隔が基本的に二百メートル程度となることを目安に実施していると承知しております。

 大深度地下でのシールド工法によるトンネル掘削工事については、先ほど鉄道局長が申し上げたとおり、現在、JR東海において調査掘進を実施していますが、今後の工事は、その調査結果を踏まえて安全かつ確実に行うと承知しております。

 加えて、JR東海からは、調査掘進の結果がまとまり次第、関係する住民の皆様等に御説明することとしており、その前に本格的な掘進を開始することはないと聞いております。

 国土交通省としては、リニア中央新幹線の工事が安全かつ確実に行われるよう、また、スケジュールありきで工事を進めることがないよう、引き続きJR東海を指導してまいります。

渡辺(周)委員 今日の質疑では、リニアの静岡県とのやり取りについてはお尋ねはしませんけれども、この質問の最後に、今お話あった本格掘削については、二〇二二年度以降、要は来月以降というふうに報道されていることも承知しておりますし、その点については慎重を期していただきたいんですが。

 最後に確認ですけれども、本格掘削はいつ始まるのか。それと、このリニア新幹線の開通のめどというのはいつ頃というふうに国土交通省としてはお考えになっているか。最後にそれを伺って、次の質問に入りたいと思います。いかがですか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣から答弁ございましたとおり、JR東海は、昨年十月より北品川工区につきまして調査掘進を実施しているところでございます。

 この調査掘進は、本格的な掘進に先立ちまして、掘進時の地表の変位や振動等を計測することによりまして、予定している施工方法の安全性や周辺への影響の有無等を確認することを目的といたしております。

 JR東海からは、この調査掘進の結果がまとまり次第、関係する住民の皆様方に御説明をするとともに、この調査結果を踏まえて安全かつ確実に工事を行うものと聞いております。

 こうした調査掘進の性格から、JR東海からは、現時点で本格的な掘進の開始時期は未定であるというふうに聞いております。

 また、開業の時期につきましても、非常に今、静岡の工区におきまして水問題や環境問題でいろいろ議論が行われておりますが、JR東海といたしましては、開業時期について明確に何年になるというようなことの発信はまだされていないと承知いたしております。

渡辺(周)委員 このリニア中央新幹線の件につきましては、また改めて、もっと深掘りをして、詳細について質疑をしたいと思います。

 次の質問に移りますが、侵略国家ロシアに対して、EU各国が、自国の領空、EUの領域の飛行を止めた、要は締め出した。当然、対抗措置としてロシア側も、ロシア領空を、上空を飛ぶことを認めなくなりました。大臣も昨日会見でおっしゃっていますけれども、非常に日本とヨーロッパの、いわゆるロシア上空を経由する人的往来、物資の往来も今制限されている状況でございます。

 そこで伺いますけれども、我が国として今後同様の制裁措置を取ることは、国土交通省若しくは政府内で検討されているのかどうか。つまり、日本へのロシア機の乗り入れ、それから、当然そこには対抗措置としてロシア側は、今はヨーロッパ便、ヨーロッパの航空会社は、日本に来ることは、迂回して来ている、若しくは運航を止めていますけれども、日本のJALもANAも今は飛んでいる状況です。

 アメリカと日本は今のところはこの措置を取っていないわけなんですけれども、しかし、当然、西側と足並みをそろえて対応するとなれば、今後そうしたこともせざるを得ないと思うんですけれども、今、国土交通省内ではそのことを検討されていますでしょうか。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 欧州諸国等におきまして、ロシアに対する制裁の一環としまして、ロシア国籍機の領域内飛行を禁止する措置が取られているものと承知をしてございます。

 我が国といたしましては、G7を始めとする国際社会との連携を重視しつつ、今回の事態に対応しておるところでございます。その上で、具体的な対ロ制裁措置の決定に当たりましては、どのような措置を取ることが適当かを政府全体として総合的に判断してきておるところでございまして、委員御指摘の本件につきましては、欧州等と我が国との間にある地理的な状況の違い、それが物流に与える影響等も考慮する必要があるとの政府の全体の方針に従いまして対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、情勢の推移を注視しながら、関係省庁と連携して対応してまいりたいと考えてございます。

渡辺(周)委員 国土交通省だけでは判断できない問題ということは承知しておりまして、当然これは総理大臣なり外務大臣に聞きたいテーマではあるんですけれども、ここは国土交通委員会でございますので、この委員会の所掌範囲の中で聞かざるを得ないんですが。

 それであれば、聞きますけれども、ロシアは自国の領空、ロシア上空を通過する航空機から領空通過料を得ているんですね。これを収入源としているんです。

 ここで国土交通省に伺いますが、我が国は幾ら支払っているか、教えていただけますでしょうか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の領空通過料につきましては、ロシア政府が公表しております航空機の運航のために必要な情報を収録したAIP、これは航空路誌の英語略ですけれども、に記載があるエンルートチャージのことを指すと考えておりますが、このロシアのAIPには具体的な金額等が明示されておらないところでございます。

 その上で、我が国の航空会社に確認をいたしましたところ、営業上の観点から回答は差し控えさせていただきたいとのことでございました。

渡辺(周)委員 二〇二一年の五月にロイターが書いた記事によれば、これは大分古いんです。EUによると、二〇〇八年にロシアが獲得した領空通過料は四億二千万ドルだったと報じられています。日本円にしたら大体四百二十億円ぐらいになるんでしょうか。さらに、クリミアの強制編入後に領空閉鎖をロシアはちらつかせたこともあるけれども、このロシアでさえ、結局は領空通過料がなくなる道を避け、閉鎖を見送ったというふうにある。つまり、ロシアは、自分の空を飛ばすことによって収入を得ている。

 今回、EUの措置によって、ロシア側も対抗策として、自国を通過させないということを取った。そうすると、当然、今回のロシアによる侵略によって様々な分野の影響が出ていることは承知ですけれども、日本が領空を通過してロシアに航空通過料を払う、領空通過料を払うということが、果たしてこれがいいのかどうか。どう考えても、正義と人道にもとるこの侵略国家に対して何らかのやはり利益を与えるようなことがあってはならないと私は思うんです。

 例えば、日本の航空会社はロシアの上空を飛ぶことができるけれども、例えばコードシェアをしているルフトハンザなりあるいはブリティッシュ・エアについては、これはロシアの上空を飛ばないんだけれども、コードシェア便、ワンワールドとかスターアライアンスだとか、同じグループに加盟している日本の飛行機は飛んでいいのかということなんです。

 ここまではっきりと日本がロシアに対して制裁を言い、そして、ロシアに対してあらゆる手段を取るということを言っている以上、果たして日本の航空会社が、日本の航空会社は、実は、今のワクチン、これはベルギーから日本まで貨物便で運んでいるんですね。ですから、それについては大変な役割をされていることは百も承知です。しかも、今、コロナで人的往来がなくなった、大変厳しい収益状況にあることはもう皆さん御承知のとおりです。しかし、それをもってしても、果たしてロシアに航空通過料、上空通過料を払うことがこの時期適切なのかどうかということに関しては、これは相当深刻に受け止めて対応を考えなきゃいけないと思います。

 そこで、大臣に伺いますけれども、このことについては政府内で共有されているのか。先ほど航空局の方からお話がありました、民間の方は営業上のことがあるので言えないと。例えば、政府はそれについて、いや、公表はしないで、知っているけれども答えられないというのじゃなくて、そもそも日本の国土交通省が把握をしていないのかどうなのか。そこはどうなんですか。そこについて把握をした上で対応すべきじゃないですか。いかがですか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事態に対しまして、我が国としましては、G7を始めとする国際社会との連携を重視しつつ、対応しておるところでございます。具体的な対ロ制裁の決定に当たりましては、政府全体として総合的に判断ということでございます。この飛行禁止の措置等々につきましては、繰り返しになりますが、欧州等と我が国との間にある地理的な状況の違い、そして、委員も御指摘になりました、物流に与える影響といったことを考慮する必要があるというのが政府全体の方針でございまして、これに従って対応してまいりたいと思いますが、必要な情報の共有というものは関係省庁と努めている、そういうことでございます。

渡辺(周)委員 ロシアの領空を飛べないという選択をした場合には、航空会社が恐らく代替航路を取ることになるだろうと。実際、スイス航空が南寄りにルートを変えて、二時間ほど時間をかけて先般日本に飛んできた。フィンランドエアーは日本便がもう運休しています。

 日本も足並みをそろえるとなれば、当然のことながら代替航路をつくらなきゃいけない中で、当然そこには、各国の、新しく通る国の上空の通過許可申請が要るわけですね。そして、重量制限によって搭載貨物や旅客数の制限も当然行われる。離発着時間が変われば、ある意味、新路線を開設する並みの変更が伴いますから、これはなかなか航空会社だけで今対応できない。当然、運航の乗務員のやり取りであるとか、あるいは、どこかに寄港するということになればそこに人員の手当てもしなければいけない。様々な負担が生じることになると思うんです。

 今、今回のロシアによる侵略によって様々な、航空業界のあらゆる分野が影響を受ける中で、これは我々、国としてその対応策も考えていかなければなりません。やはりその場合には国としての支援策を、特に、さっき申し上げたように、ベルギーから日本までコロナウイルスを運搬、運送しているんです、貨物便が。(発言する者あり)ああ、ワクチンをですね。ウイルスを運んでどうする。訂正いたします。ワクチンをやはり運んでいる重要な役目を担っている。当然、それは滞ってはいけないので、国として、そうした場合、制裁措置に伴って航路の変更などが余儀なくされる場合にやはり支援をしなきゃいけない。

 その点について、大臣、いかがです。制裁と併せてです。大臣に聞いているんです。大臣に、日本政府のやはり閣僚として、いかがですか。

斉藤国務大臣 欧州諸国等による飛行禁止措置への対抗措置として、ロシア政府において、ロシア領空内の飛行禁止措置が順次講じられていると聞いております。

 また、数社においてはルート変更を検討しているところであると聞いております。

 我が国としては、G7を始めとする国際社会との連携を重視しつつ、今回の事態に対応しております。

 いずれにいたしましても、政府全体の方針に従って対応しており、国土交通省としては、情勢の推移を注視しながら、航空会社に情報提供を行うとともに、関係省庁と連携して、必要に応じて適切に対応、調整してまいります。

渡辺(周)委員 適切な対応に期待しますけれども、EUの意思決定は速いですよね。それは、国だけではなくて、例えばスポーツの世界においても、IOCだとかFIFAだとか、今、非常に即座な判断をしております。ガスプロムなるロシア系の国営企業のスポンサーを、例えばドイツのサッカーチームが即座にスポンサー契約を打ち切ったと。そして、スポーツの世界でも、タブーとされた、ロシアに対する意思表明は例えば行っている。様々な形で、今すごく連携のスピードは速いです。

 日本だけが後手後手に回らないように、是非そこは、影響を受ける、それはまずここでは航空業界のことを申し上げましたけれども、反射神経が必要な場合に、しっかりとした、現場が混乱しないような対応策を是非取っていただきたい、そのことを申し上げたいと思います。

 もう一つ、対ロシアについてですけれども、昨日、衆議院本会議で、林外務大臣が決議を受けましてこうおっしゃっていました。新たな経済分野の協力を進めていく状況にはないと。我が党の質問に対しておっしゃった、新たな経済分野の協力、新たなとついているんですね。

 今まで、敬称略で申し上げますが、安倍、プーチン、ソチでの合意によって八分野のいわゆる経済協力を行っている。この後の質問者にも委ねたいと思うんですが、まず冒頭、今回の令和四年度国土交通省の予算で、日ロ経済協力の予算はこの国土交通省の予算の中でどれぐらいあるのか、そこをまず伺いたいと思います。

山上政府参考人 お答えを申し上げます。

 八項目の協力プランにおいては、国土交通省関係の案件といたしまして、ウラジオストク、ボロネジ等の都市環境整備、ハバロフスク空港の旅客ターミナルの整備、運営、ボストーチヌイ港の石炭荷役機器の納入、シベリア鉄道による貨物輸送の促進、日ロ間の観光交流の促進がございます。

 このうち、都市環境整備、シベリア鉄道による貨物輸送促進、日ロ観光交流促進の三案件につきましては、民間企業の投資や事業参入に当たっての課題を整理するための調査費として、これまでも予算化されております。来年度予算においても所要の調査費が計上されているところでございます。

渡辺(周)委員 所要の調査費は、額は幾らぐらいなんですか。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 都市環境整備の調査につきましては来年度約五千万円、シベリア鉄道の利用促進につきましては約二千万円、日ロの観光交流につきましては約一千五百万円、計上してございます。

渡辺(周)委員 今、このやはり予算の執行ですね。昨日、林外務大臣は新たな経済協力は行わないと言いました。ですから、当然、この予算は執行は凍結されるものだと思いますけれども、大臣の御判断はいかがですか。

 もう既に、平時なら分かるんですよ、日本の国土交通省とロシアの建設・住宅公営事業省というところが日露都市環境問題作業部会というのをつくって、ロシアの三都市をモデル都市として、今おっしゃったように幾つかの、スマートシティフォーラムというのを開いて、いろいろなことをやってきました。そのうち幾つかは成案になったものもあるんですけれども、この今現状を受けて、とても今、経済協力を進められる環境にないと思いますが、大臣、この経済協力は続けられますか。凍結すべきじゃないですか。大臣の政治判断を伺いたいんだ。大臣の政治判断を伺いたい。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省関係の協力案件のうち、空港及び港湾関係につきましては、二〇一九年にそれぞれ新ターミナルビルの供用、荷役設備の据付けが実施済みでございます。

 調査事業でございますが、今年度分につきましては既に契約済みでございます。来年度分につきましては、外務省、そして経済産業省など関係省庁と連携しながら、政府全体の方針に沿って対応していきたいと考えてございます。

斉藤国務大臣 今回のロシアによるウクライナ侵攻は、断じて許容できず、厳しく非難されるべきと考えております。

 国際社会は、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えており、我が国といたしましても、ロシアとの関係で新たな経済分野の協力を進めていく状況にはないとの考えでございますし、既存のものにつきましても、先ほど統括官が話したとおりでございます。

渡辺(周)委員 新たなものはやらないけれども、じゃ、現在進行形のものはどうですか。これは止めるべきじゃないですか。

斉藤国務大臣 それは政府全体の方針の中できちっと対応していきたい、このように思っております。

渡辺(周)委員 今、この侵略国家に経済協力を続けること自体が、国際社会の中から信頼を失いますよ。やはりもう、覚書を交わしたときと、平時のときと違うわけですから。今、もう世界中が指弾をしているわけですよ、このプーチンのやり方に対して。この国家と今、経済協力を進めるということはあり得ないと思うんですけれども、そこは大臣、はっきりと言ってください。だから、もう役人の方はいいから、大臣。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の日ロ経済協力案件でございますが、来年度、調査事業をどうするかというのが、私ども国土交通省関係ではございます。来年度、発注するかどうかでございますが、これはG7等との国際連携、あるいはウクライナをめぐる情勢の推移、そうしたものを踏まえまして、外務省、そして日ロ経済協力を担当している経済産業省など関係省庁と連携をいたしまして、政府全体としての方針の下で取り組んでまいります。

斉藤国務大臣 今回の事態を受け、関係する日本企業に係る対応も含めまして、外務省、経済産業省等、関係省庁と連携し、政府としての方針に即して適切に対応してまいります。

渡辺(周)委員 この後の藤岡委員に託しますけれども、この点について更にまだ議論したいと思います。

 今日は内閣官房からも来ていただいているんですが、今回の経済協力が推進してきたことに当たって、まさにこれは経済安保ですよね、侵略国家、他国を武力で攻め入るような国と経済協力をするわけですから。今までの日ロ経済協力が軍事転用された可能性はあるのかどうなのか。つまり、日本が先端技術をもってしてやってきた経済協力が、今回のウクライナの侵攻の軍事転用に使われた懸念を持つわけなんですが、その点についてはいかがでしょうか。

 そしてまた、このことについては検証すべきだと思うんですね。幾つも、八項目の分野の中にはエネルギーの問題もあります、ここの所管じゃないのかもしれませんけれども。この点について調査、検証すべきじゃありませんか。これはまさに経済安保ですよね。紛争当事国に対して経済協力をやっているんですから。いかがですか、その点については。

高村政府参考人 お答え申し上げます。

 国家安全保障局において、企業間の取組を含む日ロ間の経済協力プロジェクトを網羅的に把握しているわけではございませんが、八項目の協力プランなど、政府において把握している日ロ経済協力のプロジェクトには、ロシアの軍事力強化を目的とするものは存在しないと承知しております。

 いずれにいたしましても、先端技術の流出は経済安全保障に関わる重要な課題と認識しております。我が国から機微な技術が流出しないよう、関係省庁と連携しつつ、技術の流出経路に応じた形で万全を期してまいります。

渡辺(周)委員 これはやはり網羅的に把握をしていただかないと、経済安全保障の議論にならなくなってくるんですよ。

 つまり、今回、例えばですけれども、日ロの知恵を結集した先端技術協力という名目で、国土交通省でいえば、シベリア鉄道による貨物輸送の促進等もありますけれども、例えばこうした、今まで、経済産業省が把握する分野でありますとか、ほかにもいろいろある中で、もし万が一、今まで日本がよかれと思ってきた日ロ経済協力の幾つかの項目が軍事転用されていた場合には、今回の、まさにウクライナの武力侵攻に我が国も実は加担していたことになってしまうのではないかという懸念があるわけなんで、是非そこをしっかりと検証、調査をしていただきたいというふうに思います。

 もう時間がなくなりましたので、この点については、また改めてほかの委員会等でも質疑が行われると思いますので、そこに譲りたいと思います。

 残りの数分の中で、大臣に盛土の関係について伺います。

 昨日閣議決定された盛土法案ですけれども、この施行が二〇二四年というような一部報道がされていました。その時間がかかる理由としては、今、地方自治体において、規制区域を県知事等が指定する調査が行われて、法の施行までには時間がかかるということだろうと判断しておりますけれども。

 この閣議決定された法案が、この国会でも審議される。問題は、施行されるのがいつで、それまでの間、当面、東京ドーム五十杯分にも匹敵する残土を、これは余剰残土です、これをどうするかということについて、国としてどう対応するのかについて、もう時間がありませんので、簡潔にお答えいただけますでしょうか。大臣に聞いているんですけれども。大臣、いかがですか。

和田(信)政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ありましたように、十二月の二十日に、総務大臣から国土交通大臣に実態調査に基づく勧告が行われ、その調査結果の中で、平成三十年度の建設発生土の発生量は、そのうち五千八百七十三万立米、これが東京ドームと言われたことだと思いますが、これが土砂処分場などの内陸受入れ地に搬出されているとされております。すなわち、ちゃんと受入れ地に参っているということでございます。

 こういったものについて、所見におきまして、搬出先の指定について、公共工事について、地方公共団体に対し、その徹底を図るよう要請するとされております。

 また、同様の旨、内閣府に置かれた盛土による災害の防止に関する検討会の提言でも言われております。

 こうしたことにつきましては、地方公共団体に対する相談とか徹底、これは法案を待つまでもなくできることでございますので、私どもとしましては、まずは、できるだけ早期に、地方公共団体に対し、関係省庁と連携して、工事間利用を含めた指定利用等の具体事例を紹介したり、具体の相談をお聞きしたりしながら、指定利用等の徹底を要請していきたいと考えてございます。速やかにやってまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 もうこれで最後にしますけれども、大臣、つまり、法施行はいつになるんですか。二〇二四年などという報道があるように、そんな悠長なことを言っていられないんですよ。この二年間なんて、駆け込みでどんどん残土が放置されたらどうするんだということ、そして、それまでの間、法施行されるまでの間に国としてどうするのかということを聞いているんです。

 いやいや、あなたは手を挙げなくていいです。大臣に聞いている。大臣、いかが。大臣。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 法案の施行は、基礎調査等に要する期間も考慮し、公布の日から一年以内とする予定ですが、様々なマニュアルを作ったり、財政的な支援をすることにより、都道府県等による速やかな調査を促進し、法の施行後、できる限り早期の規制区域の指定を促してまいりたいと思います。

 一方、本法案が施行するまでの間につきましては、現行の法令等に基づき行為者に対して是正命令等を行った上で、行為者による是正措置が講じられず、盛土の危険性が高いと判断される場合には、地方公共団体が行政代執行等により災害防止の対策を実施することになる等も考えております。

 国といたしましても、今年度の補正予算や令和四年度の当初予算において、地方公共団体が実施する危険な盛土の対策工事等への財政支援を盛り込んでおり、法施行までの間も危険な盛土の安全対策をしっかり進めてまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 大臣、政治家として是非、大臣としての、私は選挙区で熱海の土石流の被害状況を見て、それをきっかけとしてこの盛土の法案が出るわけですから、そこは是非、大臣、決断、言葉で、大臣の言葉で言っていただきたいんですけれども、最後、いかがですか。

斉藤国務大臣 私も熱海の現場を見てまいりました。その惨状を踏まえて今回の法案を用意したところでございます。

 施行までできるだけ早期に、一年を考えておりますけれども、できるだけ早く施行したいということと、それから、その間につきましては、先ほど担当局長が申し上げましたように、これまでの、今の現体制の中で、全力を挙げて、地方自治体と連携を取りながら対処をしていきたい、このように決意しております。

渡辺(周)委員 終わります。

中根委員長 次に、小島敏文君。

小島委員 自由民主党の小島敏文でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、今、先ほどから議論がございますけれども、本当に、ロシアがウクライナに侵略いたしまして、大変な被害が出ておりまして、今朝もニュース等を見ていますと、本当に嘆かわしい限りでございます。しっかりと、これからは、国民の安全、安心を守り抜くという覚悟で、政治家もしっかりと重責を果たしていかなきゃならない、このように考えております。

 そうしたニュースを見るたびに、どうも、ウクライナ、ロシア、私は対岸の火事には思えない。常に、最近議論がありますけれども、中華人民共和国の台湾への侵攻、統一、このことが二重に映っていくわけでございます。

 特に、今日は海上保安庁の方に質問してみたいというふうに思うのでありますけれども、尖閣諸島や大和堆、我が国の周辺海域は誠に情勢は厳しいわけでございますが、この尖閣諸島における中国海警と日本の保安庁のことをちょっと考えてみますと、中国海警は、中国軍事委員会へ参入をして傘下へ入りました。そして編入しました。昨年の二月には中国海警法が施行されるなど、情勢は逼迫をいたしております。

 皆さん、中国海警は、同じ船、日本の海上保安庁も同じ船でありますけれども、よくよく考えてみると、中国海警船は瞬時にして軍艦に変われるということになるわけですね。中国の軍事委員会から指示があれば、一分前は海警、二分後には軍隊。

 そこで、今、海上保安庁法の二十五条というのがありますけれども、皆さん方も十分に承知でございますが、この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として訓練され、組織され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを理解、解釈してはならない、こうなっていますね。あくまでもこの海上保安庁法というのは、二十五条で、軍隊じゃないんだ、組織をしちゃいかぬのだ、こういう規定があるわけでございます。

 こういう中で、中国海警は瞬時にして軍艦に、軍隊に変えて、そして敵を、例えば海上保安庁の船を沈められる。殺害もできるわけですね。こういった権限を中国海警は持っております。

 日本の海上保安庁の方々、本当に気概を持って、そして命を張ってこの領海を守っていただいておる。しかし、この日本の海上保安庁は、いわゆる逮捕とか、臨検とか、殺害とか、撃沈とか、そういう権限が今ないんですね。よほど相手が攻めてくればできますけれども、そういういわゆる、非常に私は不安定な疑問があるんじゃないかというふうに思っております。

 この質問は斉藤大臣と議論したかった。今いらっしゃいませんから、まず海上保安庁長官にお聞きしたいんですけれども、この海上保安庁の領海警備体制を強化する、これは最も必要であります。今後、令和四年度の予算も十分に取ってありますけれども、このことについて、海上保安庁の長官のまず御意見を聞いておきたい、このように思います。よろしくお願いします。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 尖閣諸島の接続水域におきましては、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶による活動が確認をされており、昨年は、連続確認日数が百五十七日と過去最長を更新し、日本漁船に近づこうとする事案も繰り返し発生しております。また、中国海警局に所属する船舶の大型化、武装化も進んでおり、情勢は依然として予断を許さない厳しい状況にあると認識をしております。

 このため、海上保安庁では、平成二十八年十二月に関係閣僚会議で決定された海上保安体制強化に関する方針を踏まえつつ、武器を搭載した大型巡視船の整備を着実に進めるなど、尖閣諸島周辺海域を含む我が国周辺海域の警備体制の強化に取り組んでおります。

 その上で、中国海警局の動向については、僅かな変化も見逃すことがないよう、緊張感を持って警戒監視に努め、また、常に相手勢力を上回る巡視船を配備するなど、領海警備に万全を期しているところであり、加えて、自衛隊との情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を一層推進しているところであります。

 海上保安庁といたしましては、今後とも、関係機関と緊密に連携をし、事態をエスカレートさせないよう冷静に、かつ毅然として対応を続けてまいります。

 また、委員から御指摘のありました法律改正の関係でございますけれども、委員御指摘の点も含め、領海警備の体制につきましては法整備が必要という声もございますが、今後の取組については、海上保安庁や自衛隊等の各機関の連携を充実させ、円滑にさせるために必要なものがないか、政府全体として、訓練等を通じて、なお一層の検討を進めてまいります。

 なお、海上保安庁法第二十五条は、警察機関としての海上保安庁の非軍事性を規定しているものではありますが、海上保安庁と自衛隊や警察との連携を始め、領海警備に支障はないものと考えております。

 今後とも、海上保安庁におきましては、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と連携し、事態をエスカレートさせないよう冷静に、かつ毅然として対応を続けてまいりたいと考えてございます。

小島委員 長官の気概はよく分かりました。本当に日々頑張っていただいておる。そういう中で、もし中華人民共和国が台湾へ侵攻してきますと、台湾のすぐ横は与那国島です。日本です。尖閣もあります。ここらへどういう影響があるのか。私は、確かに、こうした紛争になってきますと、海上保安庁は防衛省の傘下に入るということは知っています。ただ、その切替えをどうするか。その辺は、ここで長々と議論しても結論は出ませんから、しっかりと問題提起をしておきたい、このように思うわけでございます。

 なお、もう一点、どうも気になります。日本は、今回のロシアに対して、自由主義圏と制裁に参加をしました。あるいは、SWIFT等で、ロシアをそうして苦しめるといいますか、制裁していきます。そこで、もし仮にロシアが意趣返しとして、いわゆる北海道を始め、あの漁民の方々、釧路や稚内の方々は、あのロシアの境界線で漁をしていますから、場合によってはその境界へ少しは入ることもどうもあるようですね。それを名目にして拿捕という手に出てきやしないか、意趣返しとして。

 以前、皆さん、北海道の漁民が殺されましたね。もうあんなことがあっちゃいけないんですよ。海上保安庁の職員も、侵略しては困る。それは政治家の責任もある。しかし、漁民、国民の方々は絶対に殺してはならない。

 長官、どうでしょうか。私は、この北方の方、あの北側の、北海道周辺の、どうもそういうことがあるのかなというちょっと個人的な疑問を持ったものですから、あえて質問を申し上げました。よろしくお願いします。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 日本漁船の被拿捕防止、これにつきましては、日頃から、巡視船艇、航空機により、日本漁船の操業状況の把握、これに努めますとともに、監視、警戒、これをしっかりと行っているところであります。

 一方、現下の厳しい国際情勢を踏まえ、改めて関係省庁とも緊密に連携の上、日本漁船の被拿捕の防止を含め、我が国北方海域における各種対応に万全を期してまいります。

小島委員 ここで斉藤大臣に意見を聞こうと思ったんですけれども、三役で、ひとつ。

 こうした海上警備に万全を期すということは当然でありますけれども、喫緊の課題についてどういうふうにお考えか、御答弁をお願いします。

渡辺副大臣 先ほどから委員御指摘のように、近年、我が国を取り巻く安全保障環境の様々な変化によりまして、我が国周辺海域をめぐる情勢は一層厳しさを増しており、海上保安庁においては、いかなる状況にも迅速かつ的確に対応できる体制を常に確保しておくことが重要であると認識をしております。

 海上保安庁では、平成二十八年十二月、関係閣僚会議において決定されました海上保安体制強化に関する方針を踏まえつつ、体制強化を進めているところですが、現場の海上保安官の安全を確保しつつ、かつ、領海警備等に万全を期すためには、更なる体制強化が必要であると考えております。

 今後とも、海上保安体制の強化を段階的かつ着実に推し進め、我が国の領土、領海を断固として守り抜くとの強い決意の下、引き続き、我が国周辺海域の領海警備、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります。

小島委員 では、話題を変えまして、地方の活性化に関連いたしまして質問してみたいと思っております。

 地方の再生なくして日本の再生なしは、岸田内閣が実現を目指す新しい資本主義を起動するために、特に地方活性化に向けた基盤づくりへの積極的な投資が重要であるというふうに考えております。

 そこで、先般から話がありますけれども、いわゆるインバウンド、非常に、コロナが発生するまでは、大変地方のいわゆる活性化について貢献をしておりました。しかし、こういう状況になりまして、受入れができない中で、観光業界とか非常に厳しい状況でございますけれども、そうはいいましても、オミクロン株も今だんだんと、イギリスやフランスは、オミクロン株はピークからピークアウトしていますね。日本もやがてそうなるんでしょう。そうした、国内の飲み薬も、そしてワクチンも、三回目接種も進んでおります。でありますから、恐らくこれはだんだんと静まってくるんだろうという希望的な私は観測を持っております。

 我々は、海外から六千万人の観光客を日本に連れてくるんだよということで準備してきました。そういう中で、私は、その前に、今でこそ、やはり国内の旅行者、いわゆる国内旅行の需要ということを喚起する必要があると思うんですね。それを訓練として私はやってもいい、このように思っておるところでございます。

 こういった中で、例えば、こういうことなんですよ。もしもコロナが発生しなかったら、今三年目に入りましたけれども、飲食や旅行やバスツアーや宿泊の金が、本来、コロナが発生しなかったら四十兆円以上と言われていますね。それはどういう表現で言うのか分かりませんけれども、強制預金と言うのかよく分かりませんけれども、本来使えるお金があるんですよ。ですから、これをもって日本の回復へ一気に持っていければ、このように思うんですけれども、そういう中での一つお考えをお願いいたします。

渡辺副大臣 まず、観光は、成長戦略の柱、そしてまた地方創生の切り札であり、現在、大変苦しい状況にある観光の担い手の皆様を国としてしっかりお支えをしていく必要があると考えております。

 世界的な感染拡大によりまして、インバウンドの本格的な回復には時間がかかることも予想されますが、それまでの間、日本人の国内旅行の需要喚起等に取り組むことは重要であると考えております。GoToトラベルの再開などにより国内旅行需要の喚起を図るとともに、ワーケーションなど新たな国内交流需要の掘り起こしを行ってまいりたいと考えております。

 また、今後もインバウンドの重要性に変わりはございません。インバウンドの再開に備え、これまでのインバウンド観光の状況や、コロナによる旅行者の意識の変化等も踏まえ、戦略的に今準備をしておく必要があると思います。短期的には、水際対策の状況に応じまして、旅行者、旅行先の地域、双方の安全、安心を確保しながら、インバウンド観光を再開してまいりたいと思います。

 その先には、消費額の増加、それから地方部への誘客促進、持続可能な観光の推進などに配慮しながら、地域の観光コンテンツの魅力向上や受入れ環境の整備に取り組むとともに、デジタルマーケティングを活用しつつ、国別、年代別のきめ細かな訪日プロモーションを行ってまいります。

小島委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 様々な、ワクチン接種とか、いろいろ証明とかありますけれども、もっともっと皆さんが動きやすいような工夫を、段々と蔓防も解けてきますから、ひとつ、しっかりと対応をよろしくお願いいたします。

 それでは、話題を変えまして、鉄道のことについて質問してみたいと思います。

 ローカル鉄道は、地方鉄道が担ってきました地域モビリティー、いわゆる移動の利便性ですね、私は実はずっと国鉄の関係を見ておるんですが、一つの例を申し上げますと、広島県に芸備線、広島市から三次、庄原の方へ行きまして、行く行くは岡山県の新見の方に行く、いわゆる山側を走る鉄道があるわけですけれども、沿線の市町と、やはりしっかりとこれを利用しようということで、一つには、我が県は広島カープがありますから、その電車へラッピングを、真っ赤なのを貼りまして、カープを見にいこうというので実はやったり、それから、近隣の高校生に出ていただいて、高校生の知恵を、利用促進のためのアイデアを募集したり、いろいろ手を尽くしております。

 しかし、そういう中でありますけれども、今後、人口減少、少子化というのは、もう本当に目を覆うような、今我々の地域でもございます。

 そういう中で、私は、例えば、悪く言うのではないんですが、土地柄、JR西日本と、皆さんといろいろ議論をするんですね。確かにJRの方々も地域と向き合って、一生懸命、今申し上げたようなことをやっていただいておる。がしかし、どうも言葉の端々で、一日二千人以下の路線についてはやめたいんだという感じが見えるんですね、おっしゃらないけれども。もうこれは、地方の鉄道というのは悪循環で、要するに、利用者が減ってきたから便数を減らす、便数を減らすから乗らない、ますますそうした悪循環が、ずっと地方にはあるわけでございます。

 そういう中で、実は一つ思うのは、最近どうも皆さん、先ほどインバウンドと言いましたけれども、旅行の、海外の人の旅行にしましても、行くところが変わってきましたね。今までは、日本に来れば東京か京都か大阪、福岡という大都会へ行っていましたけれども、今の外国人、私は、日本もそうでしょうけれども、いわゆるクラフトリップというそうですけれども、要するに、その土地の素顔と出会う旅、手仕事と出会う旅、新しい旅、地域に息づく当たり前の暮らし、そこにある魅力を再発見したいという傾向があるようでございます。

 先般も皆さん、テレビ等を見られたと思うんですけれども、例えば北海道なんかでいいますと、キャビンカーですよね、何と風呂がついたキャビンカーで、要するに、あそこの場所は平原で海が見えるよ、夕日がいいよというところへそれを持っていくんですね。そこへ行って、その旅行者は、もう石狩鍋がちゃんと準備されていますから、風呂に入って上がったら、石狩鍋を食べながらワインを飲んで夕日を眺めるとか、朝日を朝は見るとか、非常にそういうことがはやっておるんだそうですよ。

 例えば長野県の方に行きますと、ジビエのいわゆる専門家、長野県にありますよね、ジビエの料理店が、レストランがね。そういうところで、やはり実際に鹿を捕獲したものを解体をして、共に食べる。ちょっと食べにくいか分からぬのですけれども、そういうふうに解体をして、それをおいしい料理にして食べるとか、そうした、いわゆるところてん作りとか、そばなんかは昔からありますから、そういう、地域の有名人と会う旅、ヒューマンエコツーリズムとかいうんですね、いろいろ横文字がありますけれども。

 そこで思うことは、鉄道局長に質問したいんですが、JRは民営化しまして、もう三十五年ぐらいと言われていますね。ちょっと私は、申しわけないんですけれども、どうもJRの方々というのは、もうかる路線は頑張るけれども、とにかく赤字路線は切ろう切ろうという感じが見える。それは、一般の旅行社がいわゆる観光地をつくればいいんじゃなくて、JRの六社の若手社員をしっかり督励をしてアイデアを出させる。列車を使ってそこに行って、そうした新しい観光へ導く、こういった私は努力もあってもいいんじゃないかということで、どうでしょうか。若手をしっかり登用するということはできないものでしょうか。よろしくお願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、鉄道事業者は、運輸、観光に関する豊富なリソースとノウハウを最大限に活用して、様々な改善方策を沿線地域に積極的、具体的に提案し、また実行していくことが求められていると思っております。国といたしましても、JR西日本を始めとした鉄道事業者に対しまして、沿線地域に丁寧に向き合うように指導してまいりたいと考えております。

 委員御指摘の、地域の観光資源の発掘などにつきましても、例えば、JRのデスティネーションキャンペーンやその他のツアーにおきまして、観光列車の運行と併せて、地元の果物農家を訪問して収穫を体験するであるとか、あるいは停車駅で地場産業の現場を訪問させていただくとか、さらに、地域の名刹の住職のお話を聞くなどの企画を実施しているところでございますが、いずれも、その地域の関係者や自治体との協働、協力が不可欠となってまいります。

 国土交通省といたしましても、鉄道事業者と地域の協働を後押しをして、利用者にとって利便性と持続性の高い地域公共交通を再構築していくため、その具体的方策を検討するための有識者の検討会を二月十四日に立ち上げたところでございます。こうした検討会の意見を踏まえながら、鉄道事業者に対しても、そうした取組を促していきたいというふうに考えております。

小島委員 ここに資料をちょっと出しておりますけれども、私は、いわゆる地方鉄道を、一日四千人、二千人以下の地域は、廃線にする前に、私はいろいろな工夫があってもいいと思うんですよ。

 そこで今、JR東日本がBRT、こういう、資料を出していますけれども、今実施をしています。バス・ラピッド・トランジットというんだそうですけれども、実は、鉄道の路線を舗装しまして、そして、要するに、役所、商店街、病院へ、その鉄道路線を舗装して、そこから自由に降りて、病院やスーパーや市役所や学校へ行く、そういうのを実はやっておられます。

 それで、二ページ目、見てください。これは、皆さん、BRTのメリットと書いてあるんですけれども、何と気仙沼線、駅が二十五駅になって、七駅増えました。大船渡線、十一駅あったものが二十六になりましたから、要するに、運行頻度も、実は二十二本が六十五本、大船渡線が十九本が五十三本ということで、非常にこれは皆さん、あれなんですよ。そこの資料にはないんですが、満足度、実は運賃も、運行本数、運転間隔、スピード感、運行の安定性、車両の快適性、駅の快適性も、実に八〇%の方々が満足しているというのがあるんですよ。

 どうですか、これ。鉄道局において、しっかりもっとこういうことを各地域地域で、JR、東北だけじゃなくて、全国でこれをもっとやってみてはどうですか。そのぐらいな私は努力があってもいいと思うんですよ。是非とも、どうでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 JR東日本の気仙沼線、大船渡線におけるBRTの導入事例につきましては、委員御指摘のとおり、鉄道による運行時と比較して、地域交通としての持続性を高めつつ、同等かそれ以上の利便性を確保しておりまして、利用者からは前向きな評価を得ております。

 また、JR九州の日田彦山線におきましても、BRTによる復旧方針が決定されて、現在、着実に工事が進められているものと承知しております。

 また、JR西日本におきましても、自動運転と隊列走行技術を用いたBRTの開発プロジェクトを実施しております。

 国土交通省といたしましても、委員御指摘のとおり、ローカル線を刷新する形でのBRTの導入は、利用者にとって利便性と持続性の高い地域公共交通を実現していくための有力な選択肢の一つとなると考えておりまして、先ほど申し上げました検討会での議論も活用しながら、こうした取組を全国に広げていきたいというふうに考えております。

小島委員 皆さん、出生率が一・四四で推移しますと、五十年後の日本の人口は八千万人と言われていますね。今、リニア鉄道ができていますけれども、これが開通したら、関東と関西の間に七千万人、人が住むと言われていますね。北海道や九州や四国や中国地方、たった一千万人ですよ、今後。どうしますか。このことをしっかりにらんで、私は、さっき申し上げたようなこともしっかりと頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 最後に、トランスモーダルシフトですね。私は、これ、がっかりしたんですが、要するに、脱炭素の時代になりましたよといいながら、トラックのドライバーは少ない。トラックのドライバーは、働き方改革で、朝家を出たら晩に家に帰れる、そういうシステムをつくったはずですよ。そこで、カーボンニュートラル等とかドライバー不足等について対応するために、貨物モーダルシフトをやろうと。やったはずですよね。何と皆さん、シェアを見ました。五%前後ですよ、まだ。これは、鉄道の努力不足、営業不足ではないかと私は思うんですよ。こういうことについて御見解をお願いします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 貨物鉄道は、特に中長距離輸送におきまして非常に重要な役割を果たしております。政府といたしましても、数値目標を掲げて取り組んでおります。二〇二五年度までに二百九億トンキロ、二〇三〇年度までに二百五十六億トンキロを達成する目標を閣議決定いたしております。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、近年の貨物鉄道の輸送量は、相次ぐ自然災害による不通の影響などもありまして、百七十億トンキロ程度にとどまっている状況でございます。

 国土交通省といたしましては、昨年、債務等処理法を改正し、JR貨物に対する無利子貸付制度の支援を十年間延長することといたしておりますが、引き続き対応を強化していかなければならないと考えております。

 このため、国土交通省では、今月中旬にも有識者による検討会を立ち上げ、関係省庁、経済産業省や農林水産省、環境省の方々、物流事業者、荷主関連企業、団体などにも加わっていただきまして、国の支援策の在り方も含めて、貨物鉄道の輸送力拡大のために取るべき具体的方策について、幅広い観点から検討してまいります。

小島委員 どうもありがとうございました。終わります。

中根委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一と申します。

 昨年の衆院選で比例東京ブロックより初当選をさせていただきまして、本日のこの国土交通委員会で質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。また、何より、この場に送り出してくださった方々に心より感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 まず冒頭、ロシアによるウクライナ侵略に関連して伺います。

 昨日も衆議院で決議が行われまして、まさに人命を踏みにじる軍事侵攻を強く非難をするものでございます。

 現地時間の二月二十五日、ウクライナ沖の黒海で、日本企業所有のパナマ船籍の貨物船ナムラ・クイーン、これがロシア軍のミサイル攻撃で被弾をしたとの報道がございました。このナムラ・クイーンにつきましては、船員一名が軽傷を負い、船体に一部損傷はあるものの、既に当該海域を離脱をいたしまして、イスタンブールにて修繕プロセスにあると承知をしております。

 その上で、今回事案が発生しました海域近傍を含めまして、ウクライナには日本企業が運航あるいは所有する船舶四隻が入港中とのことでありますが、現地の混乱でなかなか出港許可が出ないと伺っております。

 国交省としても安全確保と退避に向けて全力を挙げていただきたいと思いますが、最新の状況について確認をいたします。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、ウクライナ国内の港において日本が関係する船舶といたしましては、日本企業が運航する外国籍の貨物船三隻、並びに日本企業の海外子会社が所有する外国籍の貨物船一隻が着岸してございます。

 これら四隻はいずれも、港の管理者からの出港許可等の条件が整い次第、安全な海域に速やかに退避する予定であるとの報告を受けておりますが、国土交通省といたしましては、関係企業と直接、二十四時間体制で連絡体制を取っておりまして、最新の状況を確認しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの船舶が可能な限り早期に安全な海域に退避できますよう、引き続き、外務省を始めとする関係省庁等と緊密に連携して、必要な支援や協力を行い、その安全確保を図ってまいりたいと存じております。

河西委員 ありがとうございます。引き続き、全力を挙げていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、いわゆる国交省の統計問題についてお伺いをいたします。

 この点につきましては、先日の斉藤大臣の所信演説でも、冒頭でもおわびと御決意があったところでございました。また、一月末の予算委員会集中審議でも、我が党の伊藤渉理事から質問がありました。

 その上で、私の方からも何点か確認をさせていただきたいと思います。

 まず、総理の指示で昨年の十二月に設置をされました建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会、この体制について、斉藤大臣の御指示として、国交省幹部を除いて、厳密に第三者による検証に徹したというふうに伺っております。この第三者による検証、当然のことではありますけれども、今般、特にこの点を徹底した点について、国交省の見解を伺います。

中山副大臣 建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会につきましては、昨年十二月十五日の総理指示を踏まえ、国土交通行政及び政府統計の信頼回復を図るため、独立、中立な立場から専門性、客観性のある徹底的な調査を行っていただけるよう、統計学の専門家、弁護士の十名の委員及び二名の事務局長補佐を構成員として、国土交通大臣の下に設置したところであります。

 検証委員会では、昨年十二月二十三日の設置以降、職員等六十名、延べ七十回のヒアリングなど、年末年始を含め、精力的かつ徹底的に調査を行い、本年一月十四日に報告書をまとめていただいたところでございます。

 また、検証委員会の運営に際しては、事実認定や評価、原因の検証は委員及び事務局長補佐により行われ、報告書の内容も検証委員会の意思決定に基づき作成、確定していただくなど、日本弁護士連合会の企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインにおいて要求されている独立性、中立性を十分に確保していただいたところでございます。

 国土交通省といたしましては、検証委員会の報告書の内容を重く受け止め、今般、再発防止検証タスクフォースを立ち上げたところであり、有識者の御意見をいただきながら再発防止に取り組んでまいります。

河西委員 今ございましたとおり、この体制の検証委員会から一月十四日に調査報告書が大臣に提出をされております。

 今般の問題が起きた原因として、人的、物的余裕のなさ、情報共有のなさ、また、幹部の現場任せあるいは責任追及を回避したい意識などが指摘をされたわけであります。まさにそのとおりであると。私も全て報告書、拝見をいたしました。特に幹部の責任逃れにつきましては猛省をしていただいて、省内の風土また業務の仕組み、これを一新をして、再発防止に取り組んでいただきたいと思っております。

 この取組の状況、特に目下検討が行われておりますデータの適正化、いわゆる遡及改定の検討状況と、このめどにつきまして伺いたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、検証委員会報告書の内容を重く受け止め、今般、再発防止検討タスクフォースを設置したところであり、再発防止策の検討等を進めております。

 また、建設工事受注動態統計調査について、できる限り早期に適正な姿に改定すべく、統計の専門家による遡及改定検討会議を一月に立ち上げました。

 現在、統計の専門家である委員の皆様から御指導いただきながら、調査票の精査等の遡及改定に必要な作業を進めております。

 また、GDPの推計に用いられる建設総合統計についても、検討会議における受注動態統計調査に関する議論を踏まえつつ、検討を進めていく予定です。

 遡及改定検討会議では、本年五月に予定している令和三年度分の受注動態統計調査の公表までに統計の信頼確保に向けた一定の結論をいただくことを目指しており、国土交通省としても早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

河西委員 遡及改定、非常に大事になってまいると思いますので、中身も含めまして、迅速に行っていただきたいと思います。

 その上で、先ほども少し触れましたが、今回の問題は、こうした改革、意識改革だけではなくて、基幹統計のデジタル化を始めとした仕組み自体を変えない限り、これは難しいんだろうというふうに思っております。

 といいますのも、今回問題となりましたこの受注動態統計の調査票ですけれども、鉛筆で記入された調査票を国交省内にあるOCRで読み込むという、令和の時代からしますとかなりアナログな手法を取っておりました。これを毎月約一万二千社から吸い上げる、実際、回収率は六〇%程度ですので七千数百社になるわけでありますけれども、それを当時たった一名の国交省の職員の方が担当されていたと聞いております。

 その上で、報告書でも指摘をされましたが、調査票をOCRで読み込む際に、どの年月の調査票かを読み込む仕組みになっていなかったと。これは私もびっくりしました。したがって、例えば、五月に当月分に加えて遅れてしまった前月分の四月を提出すると、同じ月に同じ事業者が二つの調査票を出しているとシステムがエラー判定して、その先の業務フローに進むことができない。

 したがって、これを解消するために、OCRで読み込む前に、複数の調査票の金額、受注高を手作業で一枚にまとめるという作業が生まれまして、いわゆる合算問題につながった。そして、未提出業者の受注高の推計値をその後に加えたことによって、これが二重計上問題につながっていったと認識をしております。しかも、最初の段階でこういった問題を抽出し切れなかったほど、余裕のない、また風通しの悪い体制になっていたわけでございます。

 要するに、今回の問題をひもといていきますと、事なかれ主義や責任逃れの体質、こういった言葉が目立つわけですが、そもそも無理があるシステムや業務フローを修正せずに、あるいはできずに、極めてアナログ的な人海戦術でやり切ろうとした非常に古い発想、コロナ禍で顕在をしてまいりました日本のデジタル化の遅れが、ここでも浮き彫りになったんだろうというふうに考えております。

 岸田総理は、一月十九日の衆議院本会議、また一月末の予算委員会で我が党の伊藤渉議員の質問に対しましても、政府統計全体について、統計委員会において、再発防止、デジタル化あるいは人材育成といった公的統計の改善施策を取りまとめ、実行に移し、その上で信頼回復に全力で取り組むと明言をされております。

 この基幹統計のデジタル化、今般の問題が起きたからこそ、どの省庁より国交省が先駆を切って取り組むことが国民の皆様の信頼につながると思いますけれども、現在の取組状況をまた具体的に教えていただきたいというふうに思います。

 よろしくお願いいたします。

中山副大臣 検証委員会の報告書では、システムの不備を労働力、職員の業務量で補填するという発想も業務過多につながっていると考えられる、また、そのため、システムの不備を発見した際には適切な予算措置を行い、労働力ではなく、システムの改修が行われるべきであるとの御指摘をいただいております。

 また、総理からも、統計委員会において再発防止策やデジタル化、人材育成などの公的統計の改善施策を取りまとめることとし、関係閣僚はこれに協力するよう指示があったところであります。

 先生御指摘のとおり、今般の問題を教訓として、統計のデジタル化を進めることは大変重要であると認識しております。このため、まず国土交通省から思い切った統計のシステム化、デジタル化を推進してまいりたいと考えております。

 再発防止検討タスクフォースでは、再発防止策の一環として、このようなデジタル化の具体的な方策についても議論を深める予定でございます。

 例えば、スマートフォンによる報告を可能としたり、入力時のチェック機能を導入すること等により、回答側、集計側、双方の業務効率化や負担軽減を図ることなどを検討したいと考えております。

 こうした取組を通じて、統計の品質や信頼性の向上を図り、信頼回復につなげてまいりたいと存じます。

河西委員 是非ともよろしくお願いいたします。デジタル庁からも霞が関の模範として紹介されるような、是非、基幹統計のDXを進めていただきたいと思います。

 加えまして、今回は基幹統計の話でありますけれども、やはり日本社会全体といたしましても、例えばビッグデータを活用するデータサイエンティスト、これが近年、数万人規模で不足しているとの指摘もあるわけでありますが、問題は重なる部分もあるんだろうというふうに思っております。すなわち、データを整理、分析し、また活用する仕事の位置づけ、重要性がそもそもこれまで低かったのではないか、この日本で。今回の建設工事受注動態統計に携わってこられた職員の方の扱いをいろいろ仄聞をしておりましても、そういった向きを感じるわけであります。

 確かに、データを分析して活用する仕事というのは表舞台では目立ちません。非常に影の仕事にはなります。しかしながら、例えば、最近よく出てきますEBPM、統計データなどのエビデンスに基づく政策立案を更に進めていくためには、こういったデータを扱う仕事ほど大切なものはないというふうに思うわけであります。

 その上で、やはりいい仕事をしていただくためには、どこまでいっても、本人が、使命と責任、目立たないけれども大事な仕事をやっているんだ、そういった誇りを感じていただくことが必要なんだろうというふうに思っております。

 そこで、こういった渦中ではありますけれども、斉藤大臣を始め政務三役の皆様にお願いをさせていただきたいのは、是非とも、統計に携わる方々、また新たに、先ほどありました、設置されたタスクフォースに携わる方々を全力で激励をしていただきたいと思います。困難なときだからこそ、国土交通行政の責任者たる大臣始め政務三役の皆様からの励ましが実質的には改革の大きな原動力になると思いますが、いかがでしょうか。

 よろしくお願いいたします。

中山副大臣 今回の統計の不適切処理は誠に遺憾であり、損なわれた信頼の回復のために全力を注ぐことは国土交通省の当然の責務であります。また、問題の解決は道半ばであり、信頼の回復に向けて更なる取組が必要であります。

 同時に、今回の問題に関して、検証や再発防止策、遡及改定の検討などの対応に、統計部局の職員のみならず、他部局からの応援職員も含め、多くの職員が昼夜を分かたず全力を尽くしております。

 統計の業務は、先生がおっしゃるとおり、EBPMに代表される、国民に信頼される政策立案の基盤を支える極めて重要な業務であります。再発防止検証タスクフォースや遡及改定検討会議への対応を含め、統計に関わる職員の皆さんには誇りと自信を持って職務に当たっていただけるよう、大臣を先頭に、激励も含め、環境整備に努めてまいりたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、国土強靱化を支える建設人材の強靱化についてお伺いをいたします。

 間もなく三・一一東日本大震災から十一年の季節を迎えるわけでありまして、我が国は、この東日本大震災の教訓を踏まえつつ、激甚化、頻発化する災害からの復旧復興、また今後想定される災害への対応、そして、高度経済成長期以降に一斉に整備されて、一斉に老朽化をされていくインフラの予防保全、こういったことで、国土強靱化、取り組んでまいりました。公明党といたしましても、二〇一三年から防災・減災ニューディールということで政策を打ち出しまして、邁進をしてきたわけであります。

 一昨年十二月に策定をされました、いわゆる国土強靱化のための五か年加速化計画、様々な対策に資する公共事業とそれを支える財源の考え方が示されているわけでありますけれども、その上で、何よりも事業を支えるのは、財源とともにやはり人材、人であります。

 こうした観点で、まずマクロ的な状況を俯瞰をしたいと思います。皆様もう御案内のとおりかと思いますが、お手元に今日はグラフを資料一としてお配りをさせていただきまして、これを見ますと、建設投資額は二〇一三年以降目に見えて増加をした一方で、建設業の就業者数、また現場を担う技能労働者数は、近年横ばいあるいは減少傾向にあるわけでございます。

 その上で、ミクロの視点、現場を歩いて、実際に建設業の方々に課題は何ですかとお聞きすると、ほぼ異口同音に、人材不足、人手不足だよという声が返ってくるわけであります。

 こうした課題も踏まえまして、二〇一八年閣議決定の国土強靱化基本計画、これを拝見しますと、例えば、これは趣旨ですが、災害対応や平時のメンテナンスを担う地域に精通した建設業の技能労働者などいわゆる民間人材の確保、育成、あるいは、国土保全を担う人材を確保、育成できる体制整備と社会経済構造の構築を目指す、こういったことが示されております。特にこの社会経済構造の構築、これは国の施策として極めて重要なんだろうというふうに思っております。

 その大前提となりますのが、この二十数年で乱高下してきました公共工事の設計労務単価、これを安定的に引き上げていくことだというふうに考えておりますけれども、政府の見解を伺います。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業は、先生も御指摘のとおり、社会資本整備の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全、安心の確保を担うなど、地域の守り手として、国民生活や社会経済を支える役割を担ってございます。

 一方で、建設業は他産業を上回る高齢化が進んでございまして、近い将来、高齢者の大量離職が見込まれるため、将来の建設業を支える若い担い手の確保が喫緊の課題だと認識してございます。

 このため、官民一体となりまして、賃金水準の引上げあるいは週休二日の確保など、働き方改革に取り組んでいるところでございます。

 先生御指摘の公共工事設計労務単価につきましては、昨年まで九年連続で引き上げてまいりましたけれども、この三月一日より適用された新たな労務単価につきましては、主要十二職種で前年度比プラス三%、全職種でプラス二・五%の改定を行ったところでございます。

 これは、建設業界とおおむね二%以上の賃金上昇実現という目標を目指しまして、官民一体となって取組を進めてきた結果が表れたものと受け止めております。

 本年も、単価を改定する前の二月二十八日に、大臣と建設業四団体との意見交換の場を設けまして、様々な課題もあり、困難を伴うものもありますが、本年はおおむね三%の賃金上昇実現を目指して、全ての関係者が取組を進めることを申し合わさせていただきました。建設企業の皆様方には、元請とか下請、立場を問わず、適切な請負代金による契約に努め、技能労働者の賃金水準が更に改善されていくよう努めていただきたいと考えております。

 国土交通省としても、今後も労働市場の賃金支払いの実態を正確に把握し、適切な労務単価の改定を努めてまいりたいと考えてございます。

河西委員 ありがとうございます。

 今御答弁のあった設計労務単価の引上げ、これによりまして、岸田総理、昨年十二月の所信表明演説でも触れていただきましたが、建設業では直近六年間で年平均二・七%と、全産業の平均を大幅に上回る賃上げを実現をしておりまして、これは率直に評価をさせていただきます。

 その上で、今少し触れていただきましたが、御存じのとおり、建設業の現場は、元請、一次下請、そこから先に二次、三次と、いわゆる伝統的とも言える重層的な下請構造で仕事が成り立っております。業界の皆様も、民間の取組として、労務単価の引上げ分を下請契約に反映させる御努力を行っていただいているんですが、行っていただいているからこそ、どうしても一次下請より先の二次、三次に対する支払い状況はなかなか見えにくい、こういった現実も伺うわけであります。

 実際に、我が党のある地方議員さんが職人さんの前で胸を張って、今年も労務単価上がりましたと挨拶をしたところ、おまえ何を言っているんだ、俺たちには全然届いていないよ、こういった逆にお叱りをいただいた、そんなエピソードも伺うわけであります。

 そこで、鍵を握ると言われておりますのが、CCUS、建設キャリアアップシステムであります。これは、技能者一人一人が自分のICカードを工事現場に設置されたカードリーダーに都度読み込ませる、そのことで、就業実績や資格などキャリアに関わる情報を一元的かつ電子的に記録をするものでありまして、結果的に処遇改善につながるんだろうというふうにされているものでありまして、今後、建設業界共通の基幹インフラになるというふうに言われております。

 国交省は、このCCUSを、二〇二三年度、令和五年度から公共、民間共に完全実施するという方針を二〇二〇年に示されました。これに対しましては、業界からも賛意が示されている一方で、現場の方に近づけば近づくほど、やはりちょっとなじまない、あるいは、いまいちメリットが感じられないとか、逆に支払いの引下げにつながるケースもあるんじゃないかというような御懸念、あるいは、データで推し量れないような技能者の腕、これも適切に評価してほしいという御要望なども伺うわけであります。

 やはりこうした不明や不安を払拭をするためにも、一つは、国交省による活用促進のためのインセンティブ、そしてもう一つは、CCUSを活用した技能者の処遇改善策をしっかり示していく。例えば、今申し上げました二次、三次などの下請に対する賃金支払いの課題改善に、こうしたデジタル技術を活用した戦略、こういったことを示していくなど、より具体的に、より分かりやすく、より早期にお示しをいただく必要があるんだろうと思いますが、政府のお考えを伺います。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、建設業は、やはり繁閑にも左右されるし、重層構造の中で、現場で働く下請の人たちにしわ寄せが行くといったことの課題があることも承知してございます。

 御指摘の建設キャリアアップシステム、いわゆるCCUSは、技能者の資格、就業履歴を蓄積することによりまして、建設技能者個人の技能と経験が客観的に評価されて、それに応じた賃金あるいは処遇されることということを目指すといったことと、あわせまして、そうした技能者を雇用し育成する企業が、損をするのではなくて、逆に伸びていけるような建設業を目指すといったことを目的として進めている取組でございます。

 今後、建設業界が若い人材を得ていくためには必要不可欠な取組であると認識してございますが、現在の普及状況につきましては、技能者の登録数では約八十万人、事業者登録数が約十五万事業者と着実に推移はしてはおりますが、委員御指摘のように、今後は、登録促進の段階から、やはり現場での利用促進、さらに処遇改善等のメリットを技能者に実感していただく環境づくりへつなげていくということが重要だと考えてございます。

 現在、その活用方策としましては、国直轄事業におけるモデル工事の実施ですとか、あるいは地方公共団体発注工事におけますCCUSの活用の促進、あるいは建設業退職金共済制度、いわゆる建退共との一体的な運用の促進などを進めておりますけれども、更にそういった取組を広げていきたいと考えてございます。

 現場での利便性の向上という点では、町場のような小規模な現場においてスマホや携帯電話での就業履歴の蓄積手段ができるような、そうしたシステムの整備なども進めてまいりたいと思います。

 直接、技能者の処遇改善につなげていけるためには、今、企業各自が、能力評価レベルを手当支給に反映するような取組を各ゼネコンさんが進めてございますが、そうした取組の水平展開をしていくとか、登録された技能者の地位とか能力に応じた労務費の見積りや尊重を要請していくといったことを行ってございます。

 さらに、労務費の上昇が現場で働く技能者の賃金上昇につながるように、このシステムを業界共通の制度インフラとして育て、定着させるように、引き続き、関係業界とも連携しながら取組を進めてまいりたいと考えてございます。

河西委員 是非よろしくお願いをいたします。

 本当に、建設技能者の皆様は、特に被災地ではエッセンシャルワーカーでありますし、私も、母の実家が福島にあるということもありまして、そういったことも実感をしてまいりました。こういった処遇改善、また魅力の発信も是非全力で行っていただきたいと思っております。

 この点について一問お伺いしようと思いましたが、あと五分ですので、ちょっと次の話題に移らせていただきます。

 次は、国家資格である全国通訳案内士をめぐる課題についてお伺いをさせていただきます。

 大臣も所信で述べられたように、我が国の観光、成長の柱、地方創生の切り札として大きな成長を遂げてまいりました。私は観光地の鎌倉市で育ったために、観光がいかに地域経済を潤すか、それも全く同じ受け止めを持っております。

 そこで、今日取り上げたいのが、コロナ前は年間三千万人を突破したインバウンドを支えてこられた通訳ガイドの方々についてであります。

 この通訳ガイド、一つは国家資格の全国通訳案内士、この方々は、非常に高い外国語能力と歴史や地理などの観光知識、極めて高い専門性を有しております。

 加えまして、インバウンドの拡大に伴いまして、人材の裾野を広げる意味で、地方自治体が認定し、特定の地域を案内できる地域通訳案内士、こういった方々も活躍をしてこられました。

 しかしながら、先ほども別の質疑でありましたけれども、このコロナ禍におけるインバウンドの現状、訪日外国人数、消費額、令和元年と令和二年で比較をしますと、いずれも十分の一程度まで激減をしております。

 当然ながら、通訳ガイドの方々の収入も激減をしておりまして、現場からは、もう廃業せざるを得ない、また、飲食業よりも実は厳しい状況なんだ、これを分かってほしいという切実なお声。その上で、昨年の一時支援金、月次支援金については、訪日客の減少は、緊急事態宣言やあるいは蔓防、こうしたことによる収入減の対象にはならない、こういった理由で、収入は激減したんだけれども受給ができなかった、申請が通らなかったというケースも少なくなかったというふうに伺っております。

 その上で、この通訳ガイドの方々、何とかコロナ禍を乗り越えて国家戦略たるインバウンド拡大に貢献をしたいとの使命感で頑張ってくださっております。私も直接お話を伺いました。

 ポストコロナの経済再生を展望する上でも、高い専門性を持つ通訳ガイドに対する支援、これは今ほど必要なときはないというふうに思っております。直接的な支援策は本委員会の所掌とは若干異なりますけれども、是非、通訳ガイドをどう支え、守るか、国交省の御決意を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺副大臣 高度な外国語能力に加え、観光に関する質の高い知識やホスピタリティー力など高い専門性を有する通訳案内士は、我が国の観光を支える必要不可欠な存在でございますが、新型コロナの影響の長期化により、今先生御指摘のように大変厳しい環境にございます。

 このため、まずは事業継続の観点から、政府として、昨年十一月に公表されました新たな経済対策に事業復活支援金を盛り込んでおり、これは通訳案内士の方々にも御活用いただけるようになっております。

 また、通訳案内士の方々の就業機会を確保するという観点から、通訳案内士を今後のインバウンド対応の研修講師として観光地の宿泊施設等へ派遣する事業などにも取り組んでおります。

 通訳案内士は、今後のインバウンド復活、拡大のキーパーソンであり、国土交通省としても、様々な取組を通じ、意欲ある通訳案内士の方々が活躍できるよう、しっかり支えてまいる所存でございます。

河西委員 ありがとうございます。特に事業復活支援金は月次支援金と同じスキームで行われるんですけれども、今回は対象になるということで、私もそれはしっかり周知をしてまいりたいと思います。

 最後に、一点だけ伺います。

 その上で、先般、日本通訳案内士団体連合会、この方々から具体的な問題提起を一点いただきましたので、問わせていただきます。

 大臣も所信で国際交流の回復に備えた取組を進めるとして言及をされました、高付加価値なインバウンド観光地づくり、これを提供するガイド育成事業が行われております。これは、いわゆる富裕層を始め、お金をたくさん落としてくれると同時に、高いレベルのホスピタリティーや付加価値を求めるインバウンド旅行者に対応できる通訳ガイドを育成する研修プログラムであります。研修で狙う能力といたしましても、非常に高いレベルでの知識、柔軟性、プロフェッショナリズム、コミュニケーション力、相互理解力やストーリー構成力、こういったことまで求められ、あるいは臨機応変な旅程の管理、危機管理まで求められるということで、まさにスーパーガイドの育成なんだろうというふうに思っております。

 しかしながら、こうした非常に高いスキルが求められるガイドを募集する際に、この研修プログラムの審査方法について御懸念が寄せられております。

 実際に申込方法を見ますと、書類とともにトラベルデザイナーに自分を売り込むシーンを想定した動画を提出することになるんですが、その尺が僅か一分程度である。一方、通訳案内士の団体がVIP対応に推薦できるガイドを選ぶ際は、三回にわたるスピーキングテストなど厳正な審査を行うということで、やはり、こうした審査と比べると、どうしてもギャップを感じてしまう。一分動画と書類審査だけでは不十分だし、実際の選考結果を見ても、正直、この結果が適切なのかな、そういった御疑問もあるそうであります。

 これは、プロ目線からの大切な御指摘なんだろうと思っております。今後の改善を是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

渡辺副大臣 観光庁におきましては、地方におけるインバウンド消費の拡大を図るという観点から、一回当たりの旅行消費が大きい高付加価値旅行者の誘致に取り組んでおります。

 高付加価値旅行者は知的関心や希少な体験等への欲求も高いことから、これら高付加価値旅行者の満足度を高められる質の高いガイドさん、また具体的には、各分野の深い知識や高いコミュニケーション力、柔軟な対応力等を兼ね備えたガイドを育成するため、研修事業を実施しているところでございます。

 この研修事業には多数のガイドから応募があった中で、知識や能力、実績があるか、能力向上に高い意欲があるか等を動画及び書類により有識者に審査いただき、受講者を選定をいたしました。

 今後、より効果的な研修を実施して質の高いガイドを育成するため、本研修を通じて抽出した課題、そしてまた通訳案内士の方々からの御意見も踏まえて、御指摘の受講者の選定方法を含め、必要な改善を行ってまいりたいと思います。

河西委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

中根委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十六分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十三分開議

中根委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党、栃木県第四区の藤岡隆雄と申します。

 今日は、国土交通委員会におきまして、初めての質疑ということをさせていただくことになりました。長きにわたる政治活動を支えてくださった地元の皆様にこの場をおかりして改めて感謝を申し上げ、そして、今日質問の機会を与えてくださった先輩また関係者各位の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 冒頭、いつもつけている、私、イチゴ生産日本一で、栃木四区、このイチゴのバッジに加えて、ウクライナを応援したい、そんな気持ちを込めて、手作りなんですけれども、仲間が作ってくれたウクライナ国旗と日の丸、これを併せたこのバッジ、そしてこちら、ウクライナ国旗のバッジをつけて、今日は参らせていただきました。

 改めて、ロシアからの侵略を受けて、本当に今立ち向かわれている、また本当に苦しい思いをされているウクライナの皆さんに心からの応援の気持ちを送らせていただきたいと思います。

 そして、先ほど、午前中、今も午前中ですが、渡辺周先輩議員からバトンを受け継ぎまして、このウクライナ問題について引き続きの質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣、ウクライナに対するロシアの侵略に対する現状認識、改めてお伺いさせてください。

斉藤国務大臣 今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な侵略、現状変更であり、明白な国際法違反でございます。断じて許すことはできない、このように思っております。

 また、私は、地元が広島、広島三区選出でございます。核を脅しに使う、こういう、またその姿勢、これも断じて許すことができない、そういう思いでございます。これはもう藤岡委員と同じでございます。

藤岡委員 ありがとうございます。

 先ほどの渡辺周先輩議員の質疑においての協力プランについて、先ほど、残念ながら、まだ、見直しをする、停止する、中止するということをはっきりとおっしゃっていただけませんでした。

 改めて、大臣、まず一般論としてお伺いしたいと思うんです。

 ロシア、侵略、ウクライナに対する侵略、侵略国家に対して我が国は、また、今大臣おっしゃってくださいました、核を脅しに使っている国に対して、大臣、協力すべきなんでしょうか。お願いします。

斉藤国務大臣 国際社会はロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えておりまして、私ども日本も同じ決意だと思っております。

 これまでの続いてきた経済協力につきまして、これをどうするかという御質問でございますが、これは政府全体で考えていく。その中にある我々国土交通省が関連している分野につきましても、先ほど答弁がありましたように、そういう位置づけでございまして、政府全体の中で考えていかなければならない、このように考えております。

藤岡委員 大臣、まだ今、個別論に入っていなくて、一般論でお伺いしております。

 改めて、重ねてお伺いをちょっとさせていただきたいのですが、昨日、昨夜報道でも、シェルターの仮診療所でお子さんを出産されたという報道がありました。また、ポーランドに避難されている方が四十万人を超える、また六十七万人の避難民というふうな話も今日も報道でも出ております。

 一般論として、侵略国家に対して我が国は協力をするべき、してもよいのでしょうか。このことを、大臣の、閣僚の一人として、また政治家として、ホームページにも平和の先頭ということも書いてくださっていると思います。お願いできないでしょうか。

斉藤国務大臣 その思いは私も藤岡委員と同じでございます。今回のロシアの侵略、断じて許すことができない。

 その上で、現在存在している経済協力の今後の取扱方について、いろいろな、民間企業も関係しております、各省庁も関係しております、そういう省庁と連携を取りながら、また民間企業ともよく打合せをしながら、政府全体として方針を定めていくというのが今の状況でございまして、そういう状況でしっかりと対応していきたい、このように思っております。

藤岡委員 大臣、私、昨日、ちょっと別の委員会になってしまうんですが、ロシアの経済協力担当分野の副大臣にお伺いしたところ、少なくとも、検討するということまではおっしゃっていました。もちろん、いろいろ残されている事項があるということも含めてですね。

 国土交通分野に関しまして、先ほどの答弁におきまして、五千万、二千万、千五百万と予算、調査費を計上されているという話はございました。少なくともこれはすぐに止められると思うんですが、国土交通分野に関して、すぐに止めていただけないでしょうか。また、検討ということもおっしゃられないんでしょうか。お願いいたします。

斉藤国務大臣 基本的には、先ほど申し上げた我々国土交通省としての姿勢で臨んでまいりますが、当然、これを今後どうするか、政府の中で検討してまいりますけれども、国土交通省としての意見というのは申し上げたいと思っておりますし、また、当然、検討するということでございます。

藤岡委員 大臣、ありがとうございます。

 是非もう一押し、本当にここは決断をお願いしたいと思うんです。協力プランの見直し、国土交通省分野について、検討、はっきりとおっしゃってください。お願いします。

斉藤国務大臣 はい、しっかり検討していきたい、このように思っています。

藤岡委員 検討ということをおっしゃっていただきました。

 では、いつまでに検討していただけますでしょうか。

斉藤国務大臣 できるだけ早急に検討していきたい、このように思います。

藤岡委員 昨日、極めて早急にとか可及的速やかにという話もありましたが、大臣、是非本当に、速やかに、極めて早急に検討して、見直し、よろしいですか。最後にもう一回お願いします。

斉藤国務大臣 関係者、関係省庁、また民間会社も含めて、政府全体としてできるだけ、可及、本当に速やかに結論を出すように検討を進めていきたい、このように決意しております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 あと、私もちょっと、本当にこれまた別の委員会の話で恐縮なんですが、何か外務副大臣、それから経産副大臣、いろいろお話を昨日させていただいたのですが、実はこの協力プランに関して、まだ本当にロシアに対して何もお話をされていないというような感じでございました。

 少なくとも、いろいろな抑止という面にもなりますし、今これだけの侵略が起きている状態で、まだロシアに対して何も、少なくとも、とてもこれまでのつき合いできないよと、本当に何かやはり懸念事項というのは私は伝えておくべきだと思うんですし、伝えるべきだと思うんですね。

 このウクライナのこと、これが最後になりますけれども、大臣、是非これ、外務大臣、また経済協力の担当大臣含めて、すぐロシアに伝えていただくこと、大臣にお願いできないでしょうか。

斉藤国務大臣 外務大臣そのほか関係閣僚としっかり検討し、できるだけ速やかに態度を決定したい、このように思っております。

藤岡委員 ありがとうございます。是非すぐ伝えていただき、この協力プラン、本当に誤った、断固として容認できないと言う一方で協力しているという異様な状態を、本当に一日も早く解消をしていただくことを是非お願いをしたいと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。

 それでは、ウクライナに関する質疑は終わらせていただきましたので、ちょっと少し肩の力を抜いていただきまして。済みません、大変若輩でございますが、僭越でございますが、次の課題の方に入らせていただきたいということを思います。

 通学路の安全確保の話にちょっと入らせていただきたいと思います。本当に外交の話から、身近な話ですね。

 改めて、実は同じ小学生の子供を持つ今私も父親という立場もあるんですけれども、千葉県の八街市における下校中の小学生が犠牲になられたこのことに関して、本当に改めて哀悼の誠をささげたいと思いますし、二度とこういうことを起こさないようにする、そのために政治が本当に努力をしていかなければいけないということを思っています。

 その意味で、斉藤大臣、年末の財務省との大臣折衝におきまして、通学路の予算についてかち取っていただいた。五百億ということもあって、これは本当に感謝を申し上げたいなということを本当に思っております。

 いわゆる通学路の合同点検、これを受けまして、いろいろ対策が必要な箇所というのが今出てきていると思いますが、これについて文科省の方から御答弁をちょっとお願いしたいと思います。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月の千葉県八街市の事故を受けまして、全国約一万九千校の市町村立小学校を対象に、教育委員会、学校、PTA、道路管理者、警察等による合同点検を行ったところでございます。

 その結果、令和三年十月末時点で、全国で約七万二千か所の対策必要箇所を把握しているところでございます。

 このうち、学校、教育委員会が対策を講ずる箇所が約三万四千か所、道路管理者が対策を講ずる箇所が約三万七千か所、警察が対策を講ずる箇所が約一万六千か所、こういうことになってございます。

藤岡委員 通学路のことに関しまして、岸田総理から、十二月の二十四日に、この七万二千か所につきまして、令和五年度末までにおおむね対策をしっかり取られるというふうな表明がなされたというか、おおむね完了ですね、というふうな発言がされたと思います。

 これは本当に、現場でなかなか、歩道の整備とか用地の確保が難しいとか、いろいろな難しい問題がある中で、令和五年度末までに完了させるというこの御発言は、これは私、本当にすばらしいなと思っております。もちろん、一日も早く更に前倒しという思いもありますが、現場でいろいろな通学路に関する要望を日々お聞きをすることがあるんですが、この対策、本当に難しい。だからこそ、一日も早く政府として力を挙げて取り組んでいただきたいということを思っているんです。

 今、文科省の政府参考人から御答弁いただきました中で、三万七千か所がいわゆる道路管理者による対策が必要な箇所だと思うんです。この三万七千か所、これをまさに令和五年度末までにどのようにしてやはり本当にやっていくのかということ。これはきちっと本当に是非終わらせていただきたいし、本当に子供たちのために完了を必ずしていただきたいと思うんですが、今の政府の対応で本当にこれが終わるのかな。是非終わらせていただきたいために、大臣も頑張っていただきたいと本当に心から思うんです。

 その意味で、今、予算が計上されている令和三年度の補正予算五百億円、通学路、それから令和四年の当初予算五百億、合計一千億あるんですけれども、それぞれの予算でどのぐらい、いわゆる道路管理者による対策の必要な箇所、対応できるという見込みでございましょうか。

村山政府参考人 お答えします。

 国土交通省におきましては、通学路の合同点検に基づく対策を進めるために、令和三年度第三次補正予算及び令和四年度当初予算政府案に関係予算を計上しているところでございます。

 まず、令和三年度補正予算におきましては、地方自治体の方に聞き取りを行った結果、点検結果に基づき実施する対策のうち、早急に着手可能な約五千か所につきまして、必要な予算として五百億円を計上したところでございます。

 また、令和四年度当初予算案につきましては、点検結果に基づき実施する対策を更に加速させるために、地方自治体を計画的かつ集中的に支援することができる個別補助制度を創設し、五百億円を計上することとしております。

 この個別補助の予算につきましては、要望を積み上げたものではございませんで、これまで防災・安全交付金で実施してきた交通安全対策のうち、計画的な予算措置が必要な歩道整備等の事業規模が五百億円程度であったということを踏まえて設定したものでございます。具体的な事業箇所は、地方自治体の要望をお聞きして、年度末までに決定をする、このような予定になってございます。

藤岡委員 御答弁ありがとうございました。

 本予算、令和四年度の予算の方ではちょっとこれはまた分かりづらい面があるんですが、補正予算の方では五百億円で、いわゆる五千か所、今という話をいただきました。

 じゃ、これを基に、本当に令和五年度末までに実行が達成できるのかというところをちょっと本当に議論させていただきたいと思うんですが、仮に五千か所、五百億ということでございますと、もちろん自治体が独自の予算でやる部分もあるでしょうから、一千億円ということでございますと、一万か所プラスアルファが恐らく対応ができるんだと思うんですね。一万か所プラスアルファですね、自治体が独自でやられる部分ということも考えますと。ただ、自治体もなかなか予算の面で難しいという声も聞いたりしているところもありますし。ですから、まだ三万七千か所のうち二万七千か所、これはざっくりとした試算ですから、本当に厳密なということではないですけれども、ざっくりと考えると、二万七千か所弱はまだ対応ができないということになってしまうと思うんですね。

 ですから、本気でこれをきちっと岸田総理の発言のとおりに実行していくとすると、もっともっと、これは本当に予算の確保ということも含めて是非頑張っていただかなければいけないと思うんです。

 これは全体の取りまとめを行っている内閣府の方から、今日、宮路政務官の方にいらっしゃってくださっていると思うんですけれども、岸田総理が令和五年度末までということを発言されていますので、今のままだとこれは実現できません。是非ちょっと、どのように実現されていくか、力強くお願いしたいんですが。

宮路大臣政務官 お答え申し上げます。

 私も娘が一人、小学校一年生がおりまして、やはり、八街の事件を受けて、当時、党の方でもその対策について議論をさせていただきました。

 その上で申し上げますと、昨年六月末の千葉県八街市における事故を受けて、子供が犠牲となる痛ましい事故が二度と起こらないよう、同年八月に通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策を策定し、各種対策を行っているところでございます。

 特に、委員御指摘の通学路における合同点検及び対策については、総理からの強い指示を受けて、令和五年度末までにおおむね対策が完了するよう、関係省庁が連携して、迅速かつ着実に進めているところでございます。

 内閣府としても、関係省庁と連携を図り、対策に遅れが生じることのないよう、担当大臣である若宮大臣の下、政府全体の進捗状況をしっかりと管理してまいりたいと考えております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 同じ小学生の子供を持つ父親ということで、共通しているというところがあって本当に大変ありがたく思うんですが、少なくとも、まだ、このままですと恐らく対応未了になってしまう可能性が高いと思うんですよ。若宮大臣と岸田総理に、ちょっとこれ、今のこの現状を報告していただけませんか。政務官、済みません。

宮路大臣政務官 政府全体で取り組んでいく中で、当然、総理のリーダーシップの下、行ってまいりますので、しっかりお伝えしたいと思います。

藤岡委員 ありがとうございます。

 では、済みません、斉藤大臣、大臣折衝でも頑張ってくださっているということですが、今のままですと、恐らく、目標を達成すること、あともう二押しぐらいですかね、必要だと思うんですけれども、大臣、是非お願いできませんか。

斉藤国務大臣 先ほど藤岡委員御指摘の総理の発言、令和五年度末までに対策をおおむね完了できるようにということを受けまして、国土交通省としては、まず短期的にすぐ手が打てれるもの、ガードレールの設置とか舗装のカラー化、それから路面標示などでございますが、こういうすぐ手をつけられるもの、可能な対策について、令和五年度末までにおおむね完了することを目指して実施していきたい、これはめどが立っております。

 問題は、歩道の整備や現道の拡幅など、用地買収を伴う事業や、それから地元調整に時間を要する事業など、完成までに時間がかかる対策につきまして、これをどう加速化させていくかということでございますが、地域の御協力をいただきながら、また地元自治体と連携を取りながら、早期の対策完了に取り組んでいきたいと決意しております。

藤岡委員 本当に、今おっしゃった点は、難しい、なかなか本当に課題だということを私もよく理解するところではあります。ただ、ちょっと、今の状態ですと、明らかに、三万七千か所でしたか、その中で相当残ってしまうという懸念もあるのかなということを私すごく危惧しておりますので、是非、予算の獲得等を含めて、大臣、またそこは力添えをいただければということを思うんです。これは答弁大丈夫、要らないです、大丈夫です。

 続きまして、歩道の整備だとか踏切の改良などにおきまして、やはり自治体の方でもなかなか予算が足りないという声も聞こえてまいります。

 今、歩道整備や踏切の改良などで、自治体と国の負担の割合、ちょっと教えていただけますでしょうか。通学路に関してですね。

村山政府参考人 お答えします。

 通学路と踏切道の改良を対象とした個別補助につきましては、道路法又は道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、こういった法律に基づきまして、補助率は十分の五・五となってございます。

藤岡委員 本当に、令和五年度末までに集中的に実施するということであれば、国の補助率を例えば時限的に上げていくとか、こういうこともやはり、法改正も伴うのであれば必要だということも考えられると思うんですね。

 もちろん、予算枠が決まっている中で補助率を上げてしまったら、できる範囲が少なくなるというまた問題ができてしまって、そうなるともちろん困るんですが、あくまで予算もきちっと膨らませた上で、時限的に、例えば自治体でも取組が進むように、令和五年度末までに集中的にやるということをやはり強力に国も後押しをしていく必要があると思うんです。

 是非、大臣、それを本当にお願いできませんか。

斉藤国務大臣 令和四年度の予算から個別補助制度を創設いたしまして、通学路の合同点検に基づいて行う交通安全対策を強力に推進する体制、一つつくったということでございますけれども、今後、この制度をよく利用して、道路管理者である都道府県や市町村の取組が進むように支援を行っていきたい、このように決意をしております。

 そのためには予算の確保ということが非常に重要ですので、この点は頑張っていきたいと思います。

藤岡委員 ありがとうございます。

 また予算の確保と、補助率の引上げであればこれは法改正ということも必要になってまいりますので、是非これは集中的に、何が何でも令和五年度末までに終わらせるんだという気概で、是非これからの取組をお願いできればということを思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、水害対策の話にちょっと入らせていただきたいと思うんです。

 地元の課題に絡む、全国の課題にもつながる話でございますが、ちょっと恐縮でございます。

 私の地元にも豊穂川という川がございまして、二〇一五年の九月、更には二〇一九年の十月と、四年の間に二回も浸水被害というのが起きてしまっております。地元の皆様も、もう一回来たらこれは本当にどうしようかと、本当に心から苦しい思いをしております。四年に一回ですから。本当に、誤解を恐れずに言えば、オリンピックが来るわけじゃないんですから。水害が、対策が、またこんな頻度で来ていたら、本当に是非何とかこれを支えていただきたいと思うんです。一千件近くの床上浸水ということにこの二回でなっておりまして、台風の季節、また雨の季節になりますと毎日不安になるという声がございます。

 こうした豊穂川に関する緊急事業につきましても、是非一日でも前倒しで進めていただきたいということを思うんですけれども、国土交通省さん、是非お願いできればと思うんですが。

井上政府参考人 利根川水系思川のその支川、豊穂川は、当初、小山市の管理の普通河川でしたが、令和元年の東日本台風の被災を踏まえ、栃木県が管理する河川に指定するとともに、令和二年度より思川合流点上流約一・三キロメートルの区間で、県が堤防整備、橋梁架け替え等に着手し、令和七年度までに完成させる計画となっております。

 これまで堤防整備に必要な用地取得を進めてきたところであり、令和四年度から堤防整備工事に着手できる状況になりました。

 国土交通省としては、今後とも、県による河川の浸水被害対策が着実に推進されるよう、防災・安全交付金等を活用し、支援してまいります。

藤岡委員 今、国土交通省さんからも、力強く支援のお話もいただきました。本当に感謝申し上げたいと思います。是非、一日でも早く前倒しが進むように、お願いをできればということを思います。

 そして、河川の問題で、私もいろいろ歩きながらお声を聞いておりますと、四年前に、これはいろいろな地域があるんですけれども、水害に遭ってしまった。随分その川が、水位が上がっているというか、なかなか、川底をやはりもっと掘削、しゅんせつ等していただかないと本当にもう危ないんじゃないかということを、結構地元の方もいろいろな要望をいつも出されている、出してくださっているんですね。

 その意味で、川底をさらうといいますか、掘削をするということにつきまして、例えば、更に進めていくために、民間の力もおかりする。例えば砂利採取等の業者など、民間の事業者などの力もおかりして、川底をさらっていく、掘削をしていく、こういうこともより考えられるのではないかなということを思うんですけれども、国土交通省さん、いかがでしょうか。

井上政府参考人 事前防災対策として、河川の掘削は有効な対策であることから、官による河川改修に加え、民の力を活用することが重要です。

 河川管理者は、治水対策として河川の掘削を推進しており、掘削で発生する土砂を自らの築堤、ほかの公共事業への活用等、有効利用に努めています。

 一方、民間企業が行う砂利採取については、平成二十六年に規制緩和を行い、国管理河川においては、砂利の採取可能量を約三倍に増やしてきましたが、生コンクリートなどの需要が減っており、最近の採取実績は横ばいとなっております。このような状況を踏まえまして、現在、関係団体を通じて河川の採取可能場所を周知するなど、民間企業が参入しやすい取組を進めているところです。

 また、河川管理者が掘削を行い、仮置きした土砂を民間企業が資源として利用する取組などにより、河川管理者、民間企業、双方のコスト縮減を図ることで、治水対策を加速する取組も行っております。

 このような国の取組を都道府県等の河川にも広げていくため、各河川管理者にも周知してまいります。

 引き続き、砂利採取業などの民間企業の参入を促すことで、河川の掘削による治水対策を推進し、地域の安全、安心の向上を図ってまいります。

藤岡委員 前向きに御答弁いただき、ありがとうございました。

 この水害対策、中小河川含めて、是非本当に前倒しで、大臣、行っていただきたいと思いますが、最後、ちょっと御決意、お願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 今委員御指摘のように、これまで、国管理の河川を中心に河道掘削や堤防整備、進めてまいりました。

 一方、地方自治体管理の中小河川など対策の実施が遅れている地域においては、まずは避難行動を確実に行えるよう、低コストの水位計を設置するなどの対策を進めてまいりましたが、先ほどおっしゃったように、一度のみならず繰り返し浸水被害が発生していることなどから、事前防災対策のみならず、河道掘削等、堤防整備等、中小河川における施策、推進していく必要がある、このように考えておりまして、よく地方自治体と連携を取りながら、また、これも予算が必要になってくるものでございます、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

藤岡委員 質疑時間が迫っています。最後に一問だけ、ちょっとお伺いさせていただきます。ありがとうございました。

 所有者不明土地問題に関して、最後に一問だけ聞かせていただきます。

 法案審議の前ということでございますが、所有者不明の、所有者探索に関する抜本的な取組ということで、固定資産台帳の閲覧ということで、できるだけ個人情報にはもちろん配慮した上で、例えば宅建業者の方たちにも、何か少しでも個人情報に配慮と。ただ、それを何か悪用した場合には、それは一定の規制をしっかりかけていくということもきっちりセットにして、何かこういうふうな閲覧も可能に、限定的にでもしていくような仕組みというものを、是非今後、検討、考えていただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解、お願いします。

斉藤国務大臣 固定資産課税台帳等に記載された所有者等の個人情報については、プライバシーや財産上の権利を守る観点から慎重に取り扱うべきものとされており、所有者不明土地法においては、地域福利増進事業等の高い公益性を有する事業を実施する場合に限って利用、提供できることとしております。

 国土交通省としては、まずは、本法案による改正内容も含め、所有者不明土地法に基づく各種の制度が民間事業者においても活用しやすくなるよう取り組んでまいります。その上で、所有者不明土地に関する個人情報の利用、提供の在り方についても、引き続き検討していきたいと思っております。

藤岡委員 ありがとうございました。

 では、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中根委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中根委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 九年ぶりに国会に戻していただきまして、また、この国交委員会、私も三期目に国交省の政務官を一年間務めさせていただいておりましたので、大変、何か古巣に戻ってきたような気分でおります。ただ、非常に緊迫した世界情勢もございますので、しっかりとした議論をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。

 今、さっき申し上げましたように、ウクライナ情勢、またもちろん、今のこのコロナ禍と言われる情勢の中で、大変、どちらかといえば暗い感じの状況になっているわけでありますが、しかし、冬来たりなば春遠からじということでありますので、今日はちょっと前向きな、未来に向けた話を中心にさせていただければというふうに存じておるところでございます。

 ただ、ウクライナの情勢につきましては、私の御縁のある会社、日本企業にお勤めのウクライナ人の方が、御家族を連れて日本に逃れようとされていたのですが、国境のところで国家総動員命令が出たということで、戻るということで、ウクライナにとどまっておられます。身近なところでもそうした話がありますので、私としても、これ以上の戦乱が拡大しないことを願っていますし、そのためにも、日本が持てる外交能力を遺憾なく発揮していただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

 先ほど、午前中もいろいろ議論を、藤岡さんも議論されておられましたけれども、国交省としてもできることがあると思いますので、そこはまた大臣始め皆様に、国際協力の中で、こうした力による変更、侵略は認められないというメッセージを是非とも送っていただきたいと思うところであります。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、今日私が議題としたいことは、大きくは大阪・関西万博、二〇二五年に行われるということでございまして、この大阪・関西万博を成功に導くためにどうすればいいか。また、大阪・関西万博が、独り何か大阪や関西のためにあるわけではないと私は思っています。やはり、これは日本全体で、関西からまず元気になっていく。もちろん東京も頑張ってもらいたいし、その他地域も頑張らなくてはいけないんですけれども、関東圏に並ぶ経済圏、社会経済圏という意味でいうと、やはり関西というのはしっかりと盛り上げていかなくちゃいけない、元気にしなくちゃいけないという思いがあります。

 そこで、今度、二〇二五年に大阪・関西万博が開かれるということでありまして、そのためにいろいろなインフラ整備をしっかりとしていかなくてはならない、こう思います。

 大阪・関西万博が目的ではなくて、その後に関西を元気にしていくことによって、各地域も頑張りますが、日本に関東圏に並ぶ関西圏をまた復権させて、一つの核ではなくて、一つのコアではなくて、いわゆるPCもそうです、パーソナルコンピューターもそうですけれども、デュアルコアとか、今、メニーコアとか言われていますが、やはりコアは一つだと大変脆弱だ。そういった意味では、国土強靱化ということを国土交通省はずっとおっしゃっているわけでありまして、やはり、一つのコアではなくて、二つのコアにしていくということによってそうした強さが増していく、体力をつけていくということが必要だと思います。

 そこに向けたのが、一つのきっかけとして、大阪・関西万博があるんだと思います。そのためには、会場とのアクセスとかいうだけではなくて、やはり大阪、関西のインフラをしっかりと整えていく、次の時代に向けて整えていくということが必要だと思っております。

 そこで、今日は空陸海ということで、まずこの順番で少しいろいろ議論をさせていただきたいと思っております。

 まず、空でございます。

 私、国交政務官を務めておりますときに航空担当でもございました。そのときに、いわゆる国の二十七空港の民営化ということにつきまして審議会の担当もさせていただいて、今後十年間、ですので、あれがもう十年前ですから、十年前に国の二十七空港の民営化を中心とした航空行政の在り方について大議論をさせていただきました。

 航空行政も、かつては一県一空港という体制があって、それを造る。まず一つの県に一つの空港を造り、そしてそこにターミナルを建てて、ターミナル管理をする、これがどちらかというと航空行政だったんですけれども、私はそうではなくて、やはり利用者の立場に立った航空行政にしなければならない、こういう議論をさせていただきまして、ちょうどそういう方向に大きく転換をしていただいたのが十年前でございました。

 そこで、特に関西においての話とすれば、関空と伊丹空港を経営一体化しよう、こういう話がありまして、いわゆるコンセッションということで運営権を買っていただくということで、大きな投資をフランスの企業の皆さんにもしていただき、国内の企業もそこに関わり、今、運営権を買っていただいたということでありました。

 その後、関西はもう一つ大きな空港がありまして、神戸空港でありますけれども、これは国管理ではありませんでしたけれども、やはり三空港一体となった運営体制をひいていくのがいいだろうということで、その後、結局、神戸空港の経営権も、関空、伊丹の経営権を買っていただいたところがまた買っていただくということで、今、三空港一体運営という状況が、民間の力をかりながら今実現をしているところでございます。

 本来であれば、二〇二〇年の東京オリンピックに向けて、海外から、その前からもう三千万人を超えるようなお客様に来ていただいておりましたので、海外からですけれどもね、インバウンドということで。東京オリンピックに向けて四千万、ひょっとしたらもっとということで期待もあったわけでありますけれども、コロナ禍で全然全く違う方向になってしまって、足踏み状態というか、足踏みしているうちにだんだん地盤が沈んでいっているような状況に今あるということでございますが、これはやはりポストコロナ、またウィズコロナの時代に向けて、しっかりとこの整備もしておかなければならない。ちゃんと、まず持ちこたえて、次に向けた発展のための準備をしておかなくちゃいけないというふうに思っています。

 そこで、空港については三つ私はあると思っていまして、まず、旅客の回復でございます。インバウンド三千万人を超えていましたが、大阪・関西万博に向けて、やはりこれから立て直していくためにも旅客をどう回復させていくかということがあると思いますが、そこにつきまして、まずは大臣若しくは局長さんの方から、ちょっと今の取組状況等を教えていただければ幸いでございます。

久保田政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇二五年に向けてということでございますが、現在の足下のところはコロナの影響で大変厳しい状況になってございます。本邦航空会社の実績、旅客ベースで申し上げますと、国際旅客についてはコロナ前の一〇%を切るような水準、そして国内の航空につきましては、年末年始は九割を超える部分まで戻ってまいりましたが、一月以降、オミクロン株の流行によりまして、二月には三割を切るような状態というふうな状況でございます。

 ただ、いずれにしましても、私ども、航空ネットワークを維持していくということは大変重要なことであると考えてございまして、そのために、貸付けでございますとか雇調金、そして着陸料や航空機燃料税の減免などによりまして、強力な支援を行っておるところでございます。

 いずれにしましても、二〇二五に向けて関西の財界と一緒になって守り立てていく、そんなことを取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。

市村委員 ありがとうございます。旅客の方もよろしくお願いいたします。

 それから、関空につきましては、貨物ということの意味でも大変可能性が高いというところであります。

 ちょうど中国の広州から北米便のルートには実は関空がありまして、関空で、いわゆる東アジアの日本に近いところの貨物を集約することによって、そしてそこで積み込みながらまた北米便とかということが当時議論されて、その方向でなっていたわけでありますが、今の現状はどうなっていますでしょうか。教えてくださいませ。

久保田政府参考人 貨物の状況についてお答え申し上げます。

 関西空港、先生御案内のとおり、完全二十四時間空港であります特徴を最大限生かして、航空貨物の国際ネットワークにおける拠点空港化、そして中継空港化を実現することとしてございます。

 このため、フェデックスのハブ施設の整備等による国際トランジット貨物の戦略的誘致、また、医薬品専用の共同定温庫の整備等によるサービスの高度化などによりまして、航空貨物需要を拡大、創出する取組を推進しておるところでございます。

 具体的には、フェデックスのハブ施設、二〇一四年四月から稼働しておりまして、大きく貢献をしておる、そういうことでございます。

市村委員 是非とも貨物の方も、また充実もしていくということだと思います。非常にビジネスチャンスがあるというところだと思っています。

 それからもう一個、ビジネスチャンスといえば、私もこの浪人中にいろいろ見聞を広めさせていただいたんですが、中国の広州空港に行きますと、またこれも航空機の整備、点検事業というのが非常に大きなマーケットがあるということを学ばせていただいております。日本は恐らく航空会社が独自に整備、点検の施設を持っておられるのかもしれませんが、世界を見渡すと、そういうところを自前でできないというようなところもあるかに聞いておりまして、そういうところのいろいろな航空機の整備、点検に対してマーケットがあるということに対して、日本は全く参入できていないというような状況もあろうかと思います。

 そこで、私は、今日は関西三空港の話をさせていただいていますので、一つ候補地としては、私は、神戸空港というのが、今、滑走路ができていますけれども、何の設備も誘致されていないという状況があって、これは別に今の運営会社さんには相談はしていませんが、地べたを持っているのは、滑走路を持っているのは国交省、国だと私は思っていますので、そこに向けて、そうした航空機の整備、点検事業というのも誘致をするというのも一つの考え方かなとは思っておりますが、これは今まだできていないことですから、大臣としてどうお考えかなと思うので、ちょっとお聞かせいただければと存じます。

斉藤国務大臣 私も先日、羽田の整備場を視察させていただきましたけれども、非常に大きな敷地が必要になり、かつ、たくさんの技術者の方が働いている姿を目の当たりにしてきたところでございます。航空機の整備産業は、航空の安全を支えるとともに、今後の成長も期待できる重要な事業であると認識しております。

 国土交通省では、航空機の整備事業者が整備に当たって必要となる国の認定を早期に取得できるよう技術的指導、助言を行うとともに、当該事業者が海外の航空会社の整備を円滑に受託できるよう諸外国との相互認証協定の締結に向けた取組を進めるなど、航空機整備産業の活性化に向けた取組を行っているところでございます。諸外国との相互認証協定、BASAがございますが、この活用というようなことも考えております。

 また、委員御指摘の、航空機整備の拠点化については、航空会社や整備事業者のニーズとともに、空港管理者や地方自治体等の空港関係者の意向も踏まえ、必要に応じ、対応を検討してまいりたいと思っております。

市村委員 日本全国、いろいろ、空港もありますし、また候補地もあろうかと思います。人材確保も大変かと思います。今おっしゃったような認証というのも、相互の認定というのも大切でありますから、そんな簡単な話ではないと思いますが、ただ、非常にマーケットがあるということで、日本がそこに全く参入できていないということもあります。今後の日本の経済発展のためにも、こうした産業というのにも果敢に参入していくという志があればいいなというふうな思いでございます。よろしくお願いします。

 続きまして、陸の方に参りたいと思いますが、やはり大阪・関西万博成功のためにはインフラ、特に鉄道や国道というものの整備が必要になってくると思います。

 特に鉄道は、私の地元もそうですけれども、まだまだ踏切があるということで、踏切渋滞の発生、また国道も、私のところは国道百七十六号線というのが通っているんですが、これを抜けるのに、多分、すいていれば五分ぐらい、五分から十分で抜けられるところを、本当に混んでいるときはもう一時間以上、ここを抜けるのにかかる。そうすると、いわゆる機会損失というのが生まれてきます。機会損失という、いわゆる経済損失というのが大変生まれてまいります。

 ですので、特に、これからまた多くのお客様を大阪・関西に迎えるということを念頭に置けば、やはり国道の渋滞解消というのも大変国として進めておくべきところかというふうに存じておりますが、その点について、大まかなところを局長の方からお願いいたします。

村山政府参考人 お答えします。

 一般論で申し上げると、国道は大変重要な施設でございますので、渋滞対策等、しっかり進めてまいりたいと考えております。

市村委員 特に、ちょっと具体的な話になってしまうんですが、今、いわゆる鉄道の高架事業というのがあります。もちろん、高架、上に上げるということによって踏切解消するというのは一つの考え方なんですが、所によっては上に上げられない場所もありまして、いろいろな状況によって、そうすると、やはり地下化という、地下鉄というのは地下鉄ですから地下なんですが、例えばJR路線でも、上ではなくて、JR路線を地下化するという考え方も、私はこれはあるべきだと思っております。

 これから、やはり都市部においては地下を活用していくということが、ちょっと今、鉄道じゃありませんが、道路のことで陥没が起きているということで、今日は午前中も、シールド工法の件でいろいろ問題点ありということもあったんですが、しかし、日本が誇るシールド工法でありますし、しっかりと安全対策を取りながら地下をしっかり活用していくということが大切だと思いますが、ここはちょっと大臣の方から御見解をいただければと思います。

斉藤国務大臣 踏切をなくすためには鉄道を高架化する、若しくは地下に移設するということがあろうと思います。高架化するよりも地下に移設する方が、より適切な場合もあると考えております。例えば、大阪駅北のうめきた地区などにおいては、鉄道を地下化するなど、地域の状況に応じた方法で踏切をなくすための努力を行っているところです。

 国土交通省としては、各地で実施中の連続立体交差事業に対して支援を行っておりますが、今後、新たな地区において事業実施に向けた機運が高まれば、真摯に相談をお受けするなど、踏切問題の抜本的な解消を図るため、必要な支援に努めてまいりたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 やはり、まちづくりという観点でも、鉄道、道路の渋滞解消、踏切解消というのは進めていくべき大きな点だと思います。決して、道路だけよくすればいいとか鉄道だけよくすればいいという話ではなくて、一体として、まちづくりの一環として考えるべきであります。

 あと、先ほど申し上げましたように、通過できない、単に通過だけしたいのに、本来なら五分、十分で通過できるものを一時間もかかってしまうとなると、大きな経済損失を与えてしまうということでもあります。

 国道であるがゆえにそういう思いなんですが、やはり、まちづくりという観点で捉えると、でもどうなんでしょうか。こういう鉄道、国道なんというのは、まちづくりという観点でも国土交通省として何かプランが用意されているんでしょうか。ちょっと、もしよかったら、今日は都市局長いらっしゃっていますので、お答えいただければと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生おっしゃるとおり、連続立体交差事業というのは、地域のまちづくりに与える影響が大変大きい事業でございます。そのために、都市計画事業という形で、都市計画決定をしてから事業認定を受けて事業を行うという形で、地元の合意形成の中で行われるという事業でございます。このように、連続立体交差事業をやる場合には、まちづくりの中で一つ位置づけをして行っているというのが現状でございます。

市村委員 ありがとうございます。

 大臣、これは私の地元だけじゃなくて、全国でそういう話だと思います。また是非とも、自治体がそういう具体的な提案をしてきた場合、国交省としても前向きに捉えていただいて、国としてどんどん支援していただきたい。特に今、大阪・関西万博というところがありますので、是非とも特に関西の方もいろいろまたお力をいただければというふうに、国交省の皆さん、よろしくお願いしたいと思いますが、大臣から一言、またよろしくお願いいたします。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、連続立交また地下化等を含めて、地方自治体とその都市計画の中で一緒に事業を進めていくものでございますので、自治体からいろいろな御相談があれば、積極的にこれは対応していきたいと思っております。

市村委員 感謝いたします。

 続きまして、海に参りたいと存じます。

 今日のテーマは、海の中でも、私はそれこそ一か月だけ海洋本部の政務官もやらせていただいたんですけれども、そのときに私は、洋上のエネルギーファームを造ったらどうでしょうかという提案をさせていただきました。それが後に、洋上の風力発電、巨大な風力発電施設を福島沖に造るという話にどうもつながってしまったようなんですが、私は、ああいう巨大な風力発電の施設を一個造るという、まああれは実験だったと思いますけれども、そういう発想ではなくて、洋上のエネルギーファームを造るという提案を実はさせていただいておりました。

 これはどういうものかといいますと、結局、日本の場合、特に風力発電はそうなんですけれども、やはり、風力発電については、風況というか、風の流れをちゃんと把握しておかないと、これはもう皆さんもよくお分かりだと思いますが、単に建てただけで、風もないところに建てても、これは発電いたしません。しかも、日本の場合、地形が複雑ですので、非常に風を捉えることが難しい地形、国土でもあります。大変難しいです。北海道ぐらいになってきますと平原がありますから、海岸沿いとか非常にいい風が捉えられるんですけれども、なかなかそういう地形が少ないというところでありまして、台風は来ますけれども、日頃の風はそんなに強くないというところもありまして、風況判断というのが大切です。

 そうなると、日本では風力は駄目なのかなということになると、そうではなくて、日本はまさに海に囲まれていまして、洋上に出ますと非常にいい風を捉えられる環境があります。じゃ洋上に出れば、別に風力だけじゃなくて、例えば昔、メガ何といいますか、巨大浮体みたいなというのがありましたけれども、ああいう形じゃなくてもいいんですが、洋上にそういう浮体式の何かそういう施設を造ることによって、そこに風力発電を置いたり、あとは太陽光パネルを置いたり、あと、洋上であれば海洋温度差発電とか、あと波力発電とか、様々なものを活用できる余地がある可能性が高いわけであります。

 だから、そうした意味で、今度の大阪・関西万博は、環境万博という位置づけもあるやに聞いております。そういった意味では、やはり洋上に浮体式の再生エネルギーファームを造るということをやっていこうといって、やっていくことが私は必要だと。特に電源構成として、再生可能エネルギー二二%目標ということになっておりますので、日本は太陽光をかなり中心にやろうとされていますけれども、諸外国は、どちらかというと太陽光よりも風力を再生エネルギーの中核に据えている国の方が多いんです、実は。だから風力を生かす。特に日本の場合は、海洋に出れば非常にいい風が捉えられるということ、非常に整った風を捉えられるということであります。

 私もちょっと、七年ほど九州大学の方で研究員としてお世話になりましたけれども、浪人中。日本の場合、今、日本人が使う、日本で一年に使われている電力量の、可能性ですよ、これは、理論上の可能性としては、二十八倍の電力を風力だけでも発電可能だというふうに言われております。二十八倍ですね、これは理論上ですけれども。

 ですから、そうした風力発電のみならずなんですが、洋上にエネルギーファームを造るということが必要。そのときに、やはり国土交通省が、海も国土管理ですから、海を管理していますが、もちろん中心は経産省さんとかエネ庁さんになるのかもしれませんけれども、やはりそうした経産省さん、エネ庁さんと協力をして、国土交通省も国土保全とか国土利用とかいう観点から、また今回の、今日のテーマを見させていただいております大阪・関西万博の成功に向けて、日本はこんな技術があるんだなということを、また大阪・関西万博に来ていただいた方に見ていただきたい。かつての大阪万博のときに、まさにリニアモーターカーもあのときに、そういう原点の、原始的なところの話は前の大阪万博で出ているというふうに聞いておりますし、また、今みんな、私たちが持っている携帯電話、今のスマートフォンみたいなのも、前の大阪万博でそういうものが提案されていたということも聞いています。

 だから、やはりこれから三十年後、五十年後に向けて、この大阪・関西万博で日本の技術というもののすばらしさ、また将来性というのも見ていただきたいなと思うところでありまして、そういった意味で、国土交通省にも港湾局さん、海事局さん、今日は港湾局長、いらっしゃっていますので、一言またいただければと思いますが、いかがでしょうか。せっかく今日来ていただいていますので、済みません。

浅輪政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの主力電源として、その切り札として期待されております洋上風力発電の導入を、経済産業省とともに積極的に推進しているところでございます。

 私どもとしましては、港湾区域、それから一般海域におきまして発電事業者に海面を長期間占用させる制度を創設しまして、促進区域の指定、事業者選定などを行っているところでございます。また、洋上風力発電設備の建設、維持管理に必要となります基地港湾、これにつきましても指定し、整備を進めているところでございます。

 今後とも、海洋におけます再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限生かせるよう、その導入、利用の促進に取り組んでまいります。

市村委員 この件についても、大臣から一言、何か御見解ありませんでしょうか、今の件について。

斉藤国務大臣 市村委員が、例えば九州大学、環境省とともに、いわゆる複合洋上発電ファーム、そういうプラットフォーム等の研究をされてきて提案されているということに対しまして、心から敬意を表したいと思います。

 再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、一つの、一番大きな柱だと思っておりまして、先ほど局長が答弁しましたように、我々国土交通省も、港湾、海洋という意味で非常に深いつながりを持っておりますので、経済産業省と連携しながら推し進めていきたいと思います。

市村委員 もう終わりますが、今日はGoToキャンペーンの件もお話ししたかったんですけれども、今日は観光庁長官もたくさん御答弁されていますので、今日はもうここで終わります。

 後ほど、維新の次の方も、GoToキャンペーン、話をさせていただきますので、これにて終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。感謝申し上げます。

中根委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明です。

 時間も限られておりますので、早速質問させていただきます。

 大臣所信で述べられた三本の柱について御質問します。

 まずは、コロナ禍に対する現状認識から、地域経済を支える観光の本格的な復興の実現、地域の暮らしや産業に不可欠な公共交通の確保とありますが、具体的な内容とスケジュールをお聞かせください。それと、観光の本格的な復興とありますが、GoToトラベルに関して、ワクチン・検査パッケージを活用して早期に実施できないか、お尋ねします。

斉藤国務大臣 ありがとうございます。

 まず初めに、地域の公共交通についてお話がございました。そして二番目に、GoToトラベルのワクチン・検査パッケージ。この順番でちょっと答弁をさせていただきたいと思います。

 地域公共交通、今非常に厳しい状況になっております。このため、我々国土交通省として、公共交通サービスの維持、確保を図るため、政策手段を最大限活用し、できる限りの支援措置を講じているところでございます。

 具体的には、地域の鉄道、バス、離島航路等の公共交通における感染症防止対策や運行維持などについて、令和三年度補正予算などを活用し、これまでにない手厚い支援を行ってきております。令和四年度当初予算にも地域の公共交通事業者への支援を盛り込んでおり、今後とも、予算を効果的、効率的に活用し、地域の公共交通をしっかり支援してまいりたいと思っております。

 いわば業種横断的な、例えば雇用調整助成金とか、そのほかにもございますが、そういうものと、それから地域公共交通に特化した支援、この二本立てでしっかり暮らしを守る地域公共交通を守っていきたいと思っております。

 それから、二点目の、GoToトラベルの再開及びワクチン・検査パッケージについてでございますが、このGoToトラベル、観光需要喚起策の実施に当たっては、感染状況が落ち着いていることが大前提でございます。安全、安心に旅行できる環境を確保する必要がございます。

 このため、昨年十一月に公表した新たなGoToトラベル事業の考え方では、ワクチン・検査パッケージの枠組みを活用することとしておりましたけれども、現在、ワクチン・検査パッケージについては、オミクロン株の感染拡大を受け、政府のコロナ対策分科会において、その在り方の見直しの議論が行われております。

 こうした政府全体の動きや感染状況等も見極めつつ、適切な時期での事業開始に向けて、また、このワクチン・検査パッケージの新たな活用方法も含めて、関係省庁と連携し、必要な準備を進めてまいる所存でございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 ワクチン、これは当然、感染防止のために打っているんだと思いますけれども、でも、せっかくワクチンを打っている方々、やはり一日でも早くGoToトラベル、実施をさせていただければと思いますけれども、実は、先週ですか、土曜日、私、三回目打ってきました。そしたら、お医者さんが言っていましたね、ワクチンが余ってしようがないと。要は、打ちに来る方が少ないらしいんですね。是非、国交省さんが先頭に立って、ワクチン接種の推進をしていただきたいというふうに思います。

 例えばですけれども、ワクチン打ってGoToトラベルじゃないですけれども、そんな感じで、本当に、キャンペーンじゃないですけれども、是非とも前に進めていただければというように思います。

 では、次に移らせていただきます。

 次は、交通の安全、安心から、先ほども出ましたけれども、藤岡委員さんの方から出ましたけれども、八街市の事故当時の現場道路の状況についてお聞かせください。ちなみに、速度規制はどうだったのか。また、現在、全国的に通学路や住宅地の道路の速度規制はどうなっているのか、これらを踏まえて、全体的な交通安全対策、これをお聞かせください。

村山政府参考人 お答えします。

 八街市の事故が発生しました現場の規制速度は、六十キロということになっていたと承知をしております。その後、警察によって三十キロの規制になってございます。

高橋(英)委員 全体的な交通安全対策。

村山政府参考人 交通安全対策の進め方でございますけれども、その後、合同点検を行いまして、全国で危険な箇所を抽出をして、それに基づいて、補正予算、また令和四年度の当初予算において個別の補助金を創設して、強力に推進することとしてございます。

 警察が実施する速度規制、こちらは大変効果が高いということになっておりまして、警察のデータによりますと、時速三十キロ以下の制限速度になりますと、死傷事故が、死傷率が減少するということが言われてございます。こういった警察が行う速度規制と併せまして、道路管理者が行います歩道の整備、またガードレールの設置、また、ハンプ、狭窄といった物理的に速度を抑制するための施設などを一緒に現場状況に合わせて整備をしていくこととしてございまして、関係機関と連携しながら交通安全対策を推進していきたい、このように考えてございます。

高橋(英)委員 実は、私の地元、川口市なんですけれども、二〇〇六年の九月の二十五日、午前中だったと思いますけれども、園児の列に車が突っ込んだというちょっと大きな事故がありまして、当時二十一人の死傷者が出たんですね。そういった思いもありまして、今回の八街でもありましたけれども、当時を思い出したわけでございます。

 私、当時、市会議員で、ちょうど議会中でした。その情報が流れてきたら、当然、議場はちょっと騒然としていました。当時、岡村市長、当時の市長ですけれども、国交省とかけ合いまして、全国で初めて三十キロの規制の道路、これをかけていただいて、実際に三十キロ規制道路、できました。

 三十キロ規制って大した効果がないだろうと思われる方、多いかと思うんですけれども、これはそんなことないんですね。三十キロ規制にすると何があるかというと、警察がネズミ取りをやるんですね。三十キロ道路でネズミ取りをやられると、大抵捕まっちゃいますよね。だから、当初はいろいろな方々がぶうぶう言っていましたけれども、そんな文句言ってもしようがないですからね。でも、もうみんな、だから安全運転するようになるんですね。

 そして、先ほどお金がかかるという話もありましたけれども、お金も時間もそんなにかかりませんので、しかも、住宅地、ほとんど規制されていないですよね。規制をされていない道路って何キロで走っていいか、皆さん、御存じですか。六十キロで走っていいんですね。でも、住宅街、六十キロでばんばん走っていたら、おっかなくてしようがないですよね。だから、こういったところを規制すると住民の方も喜ぶし、警察もドル箱ですからね。

 是非、これはお金もかからない、すぐにできると思いますので、これはいいと思いますので、大臣、どうですか、これ、いいと思いませんか。ちょっとお聞かせください。

斉藤国務大臣 この速度規制、警察庁とよく連携して進めていきたいと思いますし、また、現実に我々国土交通省としてできるのは、ガードレールの設置とかハンプの設置等々でございます。そういう努力もしっかり行っていきたいと思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 是非これは前向きに、早急に対応していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次に移ります。

 防災・減災、国土強靱化から、社会インフラの老朽化に対し重点的かつ集中的な対策を講じるとありますが、昨年策定された国土交通省インフラ長寿命化計画の進捗状況並びに国土強靱化計画の予算確保についてお聞かせください。

和田(信)政府参考人 お答えいたします。

 高度経済成長期以降に集中的に整備された我が国のインフラの老朽化は深刻な状況にありまして、インフラの維持管理、更新を計画的に進めていくことが重要と考えております。

 平成二十五年に決定した政府全体のインフラ長寿命化基本計画に基づき、国土交通省では、平成二十六年五月に第一期となる計画を策定し、昨年六月に第二期の計画を策定しております。

 第一期計画期間において、地方公共団体が管理するインフラを含め、国土交通省所管のインフラについて、施設の点検をおおむね完了、個別施設ごとの具体の対応方針を定める個別施設計画の策定をおおむね完了しております。

 現行の第二期計画では、点検結果から、早期に措置が必要な施設に対して集中的な修繕などを実施し、令和七年度までに各分野の施設の修繕率として、それぞれ七割から十割を達成する目標を設定しております。この目標達成に向け、一昨年に閣議決定した防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用しつつ、施設の修繕等を加速してまいります。

 インフラ老朽化対策は待ったなしの課題であると認識しており、国民の命と暮らしを守るため、今後とも必要な予算の確保にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 先日、土木学会のちょっと資料を目にしたんですけれども、南海トラフ地震が来ると、これは二十年の累計なんですけれども、経済損失がおよそ一千五百四十一兆円、首都直下型地震で八百五十五兆円だというんですね。そして、これがもし起きたら、確実に起きるんでしょうけれども、我が国は世界でも最貧国に陥るだろうという話をしておられました。

 そういった直近に危険が迫っているものもありますし、このインフラ長寿命化計画ですか、これも徹底的に進めていただきたいなというふうに思います。でも、中身を見たら、三十年間で百九十兆円と書いてあるんですね。そして、お手元に資料があるかと思いますけれども、国交省の予算を見ると、令和四年がたしか五兆八千億ぐらいでしたか、平成十三年には約八兆円ですよね。政府の総額が平成十三年には八十二兆六千億、約一割、ところが、令和四年だと五%ぐらいになっちゃっているんですね、半分になっているんですね。

 これは道路特定財源の影響等々もあるのかもしれませんけれども、やはり命に関わる、安全に関わるものというのは倍ぐらい予算を取った方がいいと思いますよ。国土交通省も防衛省もそうでしょうけれども、倍ぐらい予算を取るつもりでやっていただきたいというように思います。道路特定財源はなくなっちゃいましたけれども、例えば国土強靱化特定財源とか、ちょっと考えていただいて、是非とも次の予算のときには倍ぐらい取っていただきたいと思いますので、ちょっと大臣、意気込みのほど、お願いいたします。

斉藤国務大臣 インフラ老朽化対策、また、防災・減災、国土強靱化の財源につきまして御提案、本当にありがとうございます。まさに委員おっしゃるとおりでございまして、しっかりこの予算の確保に向けて、そして、その効果と必要性についてしっかり国民の皆さんに御理解いただくように、しっかりと頑張っていきたいと思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 南海トラフ、首都直下型というのは、もうあした来ても、もしかしたらこの後来てもおかしくないような状況だというふうに思います。コンクリートから人へという話もありましたけれども、人がいなくなってはどうしようもないので、是非ともこれは国土強靱化、本当に真っ先にでもやっていただきたいなというふうに思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、これは関連といえば関連ですけれども、戦略的、計画的な社会資本整備から、ストック効果の高い社会資本整備を戦略的、計画的に推進するとありますが、こちらも具体的にお聞かせください。

和田(信)政府参考人 お答えいたします。

 社会資本は、例えば、高速道路を整備することで移動時間が短縮されるなどの経済活動の生産性を向上させ、経済成長をもたらすなどのストック効果を発揮いたします。

 このような経済成長の基盤整備や、インフラ分野のデジタル化あるいは脱炭素化など、新たな時代にふさわしい社会資本整備を進めていこうと考えておりまして、そのため、昨年五月に、令和七年度までの社会資本整備の基本的な方向性を示す第五次の社会資本整備重点計画を決定いたしました。

 国土交通省としましては、この計画に基づいて、中長期的な視点に立ち、必要な予算を確保しつつ、戦略的かつ計画的な社会資本整備を推進していこうと考えてございます。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございます。

 こちらも先ほどの件と同じで、予算あっての物種だというふうに思いますので、もろもろの予算の確保を再度お願いをしたいなというふうに思います。

 そして、最後に、土地政策の推進ですが、所有者不明土地の持ち主を早期に明らかにする手だてとして、登記情報のマイナンバー化などはいかがか、お聞かせください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地対策につきましては、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議において決定されております基本方針、直近ですと令和三年六月七日付でございますが、これに基づきまして、政府一体となった総合的な取組を推進してきてございます。

 御指摘の、所有者の探索を円滑に進める観点からは、例えば、不動産登記システムと住民基本台帳ネットワークシステムなどとの連携のためのシステム整備につきまして、法務省など関係省庁において検討が進められているところであります。

 また、御指摘の、登記情報とマイナンバーとの連携につきましては、マイナンバーの活用に関する政府全体の取組状況などを踏まえ、法務省など関係省庁において引き続き検討を実施していくものと承知をしております。

 国土交通省といたしましては、関係閣僚会議の一員として、こうした施策の検討状況を踏まえながら、関係省庁と緊密に連携しつつ、所有者不明土地対策を推進してまいりたいと存じております。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございます。

 マイナンバーと言うと、なぜか省庁たらい回しにいつも遭うんです。どこの省庁がやるんだと、今回もありましたけれども、我が党は、このマイナンバー、機能の拡充ですか、これを積極的に提案をさせていただいておりますので、今後もどんどんどんどんこの件はやっていきたいというふうに思っております。

 そして、委員会は始まったばかりでございますけれども、今、所有者不明土地の質問をいたしましたけれども、ほかにも聞きたいことはいっぱいありますので、それはまた後ほどやらせていただきたいというふうに思います。

 今日は、とにかく二点ですね。三十キロ規制と、そして次の予算の大幅な確保、お願いを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 大臣、この「地域格差の正体」という本、読まれましたか。読んでいない。

斉藤国務大臣 古川委員から御指摘をいただきまして、本の存在は知っております。それで、今日の御質問に関わるということで、要約版をちょっと作ってもらいまして、全体はまだ読んでおりませんが、要約については、要約といいましょうか、概要については存じ上げているつもりでございます。

古川(元)委員 是非、私、時間お忙しいかと思いますけれども、読んでいただきたいなと思うんですが、今日はこの本の内容をベースにちょっと御質問したいと思っています。

 この著者は栗岡さんという方、元トヨタの副社長、私の地元で、前々からずっと高速道路の料金制度に問題があるということを言っておられて、今回、非常に簡潔にまとまって、いい本だと思うんですね。

 この本の言わんところを簡単にまとめますと、東京一極集中の是正、地方の活性化、これはこの間、一貫して政府の基本方針ともされてきたんだと思うんですね。これは前総理でありますけれども、菅総理の時代も、菅総理は施政方針演説の中で地方への人の流れをつくるという言葉も使っていましたけれども、地方への人の流れをつくる、あるいは物流、これを遠ざけてきたのが今の高速道路の距離制の料金じゃないかと。

 せっかく、高速道路というのは、物理的に遠い地域を高速道路というものによって経済的に近づけるために造られてきた、そのはずなのに、距離制という料金制度のために経済的な距離がなかなかやはり縮まらなくて、それが半世紀以上も続いてきたことによって地域格差が拡大して、それがひいては国内経済の低迷にもつながっている、こうした状況を打開して、経済と地方活性化の切り札になるのが定額化だと。これが、栗岡さんが、著者が主張しているポイントなんですけれども。

 私は、本当に、さっきも申し上げましたけれども、ずっと栗岡さんとも、この間、何年にもわたって議論を、お話も伺ってきて、非常に理にかなっているんだと思うんですね。理にかなっているんだけれども、ではなぜ、国交省がそうじゃなくて、ずっと今の距離制の料金制度を取り続けているのはどうしてなのか。

 今日は是非、私自身、あるいは栗岡さんなども納得できるような御回答をいただきたいというふうに思っておりますので、事前にちゃんと読んでくださいねということでお願いして、今日は質問させていただきます。

 第一章に、経済活性化の最大の起爆剤は観光である、そういうところから始まっているんですね。それこそ江戸末期、安政時代に大地震とかいろいろ起きた、そしてまた、当時コレラが、あの当時はコロリと言われていますけれどもね、そういうのが、疫病が発生して、いわばそれが明治維新にもつながるきっかけになったというようなことが言われていますけれども。そういう中で、いわゆるお伊勢参り、ええじゃないかというので、それがいわば落ち込んでいる国内の経済に元気を与えた、そういうきっかけになったんだというところから記述が始まっているんですけれどもね。

 そういう意味でいうと、今のコロナで大変に疲弊している状況の中で、しかも、かつ、そこに来てまたこのウクライナの問題もあって、なかなかこれは、私は、この間のように、政府はとにかく観光政策とするとインバウンドを増やす、そこがやはり重点を置かれてきたんだと思います。しかし、この状況を考えまして、今後インバウンドがコロナ前のような状況に戻ってくるのにはかなり時間がかかると思いますし、また、今の地政学的なリスクとかそういうものを考えると、今後とも外の需要に頼る観光政策というのでは、やはりこれは非常にリスクがある、そういう時代になっているんじゃないかと。

 ですから、こういう時代においては、今回のコロナでこれだけ観光産業がダメージを受けているということを考えても、しかし、地方とかの支えという意味では、やはり観光業というのは非常に大事な産業であります。

 そういった意味では、今後の日本の観光産業のレジリエンスを高めるという意味でも、午前の質疑でも観光庁長官からは、インバウンド増加と国内旅行を増やすということは車の両輪だというような、そんな話だったんですけれども、そういう両輪というよりも、むしろ、これからはやはり日本人の国内旅行を増やすということを観光政策の中核に位置づけてやっていくべきじゃないかと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 インバウンドの本格的な回復には時間がかかるということを踏まえますと、それまでの間は、日本人の国内旅行の需要喚起等に取り組むことは重要である。また、確かに、国内旅行を一つの大きな、両輪以上の大きな柱にしていく。現在も、コロナ前でもいわゆる二対八で八が国内旅行というふうに言われておりますので、大きな柱というのは間違いない、このように思います。

 国土交通省としては、昨年四月よりいわゆる県民割を支援する地域観光事業支援を開始し、さらに十一月からはこれを隣県に拡大するなど、国内交流の需要喚起に取り組んでおります。

 また、国内での新たな交流市場の掘り起こしのため、テレワーク等を活用し、職場や自宅以外の場所で仕事をしながら余暇も過ごすワーケーションの推進等にも取り組んでいるところでございます。

 関係省庁や専門家の意見を伺いつつ、感染状況等を踏まえながら新たなGoToトラベル事業を実施するなど、国内交流を観光政策の重要な柱として、インバウンドの回復と両輪で観光政策を推進していきたいと思っております。

古川(元)委員 両輪と言っている限りは、今も私が申し上げたように、いろいろなリスク、今後も起きるんだと思うんです。そういった意味では、基本はやはり国内の旅行を増やす、その上で、外需というのはそこにいわばプラスでついてくればいいけれども、そういう部分がなくなっても、ちゃんと国内の観光産業を守るんだと。やはりここを、いつまでも両輪、両輪と言っているんじゃなくてですね。

 そこは、状況が、コロナのこれだけの長期化もあり、かつ、地政学的リスクもこれだけ高まって、もう世界が全然変わったんだと思うんです、今。ですから、やはりそこは発想を改めて、どうやって国内の産業を守っていくか。そしてまた、これは単に観光産業だけじゃないと思います。やはり、グローバル化、とにかく世界は一つのマーケットだ、そういう時代はもう終わったと思わなきゃいけないと思います。

 そういった中では、いかに国内で経済を活性化させるかという視点はこれから極めて重要になってきているんだと思うんですね。ですから、限られた中でありますけれども、国内の中でどうやって需要を喚起し、そして経済を活性化させていくか、そうした視点から是非観光政策も行っていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。

 その上で、もっと日本には国内旅行が増えるポテンシャルがあるんだというので、この本の中でも大体経済環境の近いイギリスやドイツと比較されているんですけれども、資料一をちょっと見ていただくと、大体、日本、ドイツ、イギリスというのは似たような大きさとかそういうところにあるんですけれども、国内宿泊で見ると日本はドイツやイギリスの半分近くかあるいは半分以下ですし、また、国内旅行の消費額というのは半分以下で、非常に少ないんですね。

 では、どうして国内旅行がこうしたドイツやイギリスに比べて日本は少ないというふうに国土交通省としては考えているんでしょうか。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘をいただきました「地域格差の正体」という本、ざっと目を通させていただきましたが、日本人がイギリス人やドイツ人と比べて半分以下しか国内旅行をしていないという点、データで確認をしてみました。

 国内宿泊数でありますけれども、国連の世界観光機関、UNWTOが公表している数値ですと、日本の宿泊数は、今日いただいた資料の真ん中あたりに国内宿泊数とございますけれども、二億九千百八十八万泊ではなくて、四億四千三百七十三万泊となっております。

 ドイツについても若干数字が違っておりますので、一人当たりの国内宿泊数、いただいた資料で網かけをしている部分ですけれども、日本は二・三になっていますが、これが三・五、それからドイツについては四・七、イギリスについては記載のとおり五・六というふうに認識をしております。

 したがって、イギリスやドイツの半分ということはありませんけれども、やはり日本の国内宿泊数は少なくなっていると思っています。

 一方で、UNWTOの公表値を基に一人当たりの国内宿泊旅行回数を比較すると、日本はドイツやイギリスに比べて多いということになってございまして、したがって、日本の国内旅行が少ないということは一概に言えないものと考えております。

 それを前提にして、国内旅行の阻害要因についてでありますけれども、観光庁が行った調査によりますと、仕事などで休暇が取れないとか、家族等と休日が重ならないといった理由が上位に来ておりまして、こうした休暇の取得に係る状況等が要因となっているのではないかと考えております。

古川(元)委員 そういう答弁が来るんじゃないかと思って、ちゃんと本を読んでと言ったのに。本の中には、休暇とかの日数なんかはそんなには変わらないと。

 だから、ちゃんと、そうやって言うんだったら、さっきの、データが違うのでそうやって指摘していただくのはいいですよ。であれば、そういう休暇とかもそんなにドイツやイギリスなんかとは変わらないんだ、それが根本の要因じゃないんだと言っているんですよね、それでは全然答えたことにならないと思うんですけれどもね。もうちょっと、そこは、では、それ以外の要因としては何が考えられるんですか、そうしたら。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 有給休暇の国際比較についても調べてみました。旅行会社のデータが手元にあるんですけれども、二〇二〇年の世界十六地域における取得状況の比較というのがございます。ドイツは年間で二十五日、イギリスは十七日に対して、日本は九日とやはり少ない有給休暇の取得になってございます。

古川(元)委員 そこもちゃんと書いてあるんですよ。有給休暇は確かに少ないかもしれないけれども、日本ぐらい国民の祝日とかそういうのが多い国はないんですよ。だから、そういう都合のいいところだけ取って、そういうのはおかしいんじゃないかと言って指摘されているので。

 ちゃんとこれ、本を読んで答えを作っているんですか。事前に私、ちゃんと内容を踏まえた上で回答するようにと二日前にレクしているんですよ。その答弁ではね、大臣、やはりちゃんと意味のある議論をするためにわざわざ、昨日じゃなく、おととい、私は出しているんですよ、これ。この長官の答弁では、これから全然議論なんかかみ合わないじゃないですか。もうちょっと、まあ、時間がなくなっちゃいますからあれですけれども。

 では、ここの資料二を見ていただくと、日本、ドイツ、イギリスで見ると、車の保有台数とか幹線道路の延長はそんなに変わらないんですけれども、圧倒的に違うのはオーナードライバーの平均年間の走行距離ですよ。

 やはり、車は、日本は持っているけれどもなかなか使っていない、使えていないんじゃないか。その理由として栗岡さんが挙げているのは、この資料三を見ていただくと、高速道路、日本だけが非常に高い料金なんですよね。ここに原因があるんじゃないかと言われていることに対しては、どう答えるんですか。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの方で自家用車の使用についての理由についてはデータ等もございませんので、私どもでちょっとお答えするのは難しいと考えております。

古川(元)委員 いや、だから、この本で指摘されている。じゃ、この高速道路が、料金が問題だというその指摘を肯定もできなければ否定もできないということですね、そうしたら。

和田(浩)政府参考人 お答えいたします。

 私どもの調査の中でも、旅行費用が高いということについてお尋ねをしたものがございます。そこについては一定の数の方が高いというふうにおっしゃっていますので、そういう意味で、旅行費用が低廉化をすれば、旅行需要を増加させる上で一定の効果はあるというふうに思いますし、安くなれば、遠距離旅行、そういうものが促進をされるのではないかというふうに考えます。

古川(元)委員 これも、さっきも言ったように、この本の内容をベースにして聞きますと言って、ここでこうやって指摘されているのはどうなんですかと言って聞いているんですよ。それで今の答えではね、では、これは認めたということになりますよ、要は。高速道路料金が下がれば旅行は増える、そういうふうな認識だというふうに理解していいですか。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 私が申し上げたのは旅行費用の低廉化ということでございますので、もろもろの移動費用や宿泊費用、いろいろなものが下がれば旅行が促進されるのではないかというふうに考えます。

古川(元)委員 これは、せっかく丁寧にレクして、事前に言っておいてあげても、これでは本当に議論にならないんだと思うんですよね。今の話だと、それは高速道路料金も入っているというふうに認識をしますけれども。

 もう時間がなくなっちゃいますから次に行きますが、では、そもそも、どのような理由で今のこの距離制の料金制度というものを採用することになったんですか。

村山政府参考人 お答えします。

 ワトキンス調査団というものが一九五六年に報告書をまとめてございます。これは、名神高速道路に関して、建設に先立って調査報告を行ったわけでございますけれども、こちらの中に、貨物自動車に対して道路の利用に応じた支払いを要求するということは、道路輸送と鉄道輸送との間の公平な競争条件の基礎となるという記載がございまして、それ以降ずっと、料金率という概念で、距離制の概念で検討がなされているというような報告書がございます。

 こういった報告書を基にして、昭和の三十八年七月に開通をした名神高速道路、こちらが対距離制が導入されて以降、対距離制ということでございます。

古川(元)委員 これもワトキンス報告書の概要にも書いているんですよ。利用に応じて料金を取るというんですけれども、何もそこは、要はこの距離制ということを言っているわけじゃないんですよね。それは、利用に応じて料金を取る取り方には定額制だってあるわけじゃないですか。

 ワトキンス・レポートはそんなことを書いていない、こういうふうに言っているんですよ。どこにワトキンス・レポートが距離制だと。読めるんですか、それで。

村山政府参考人 ワトキンス・レポート、私も読みましたけれども、こういった記載とともに、アメリカとの比較などがあって、当時のアメリカのターンパイクが料金を距離制で取っていたということをベースにして、そういった距離制をベースにした料金でどれだけ一般交通から、一般道路から転換するのかというのを、将来の交通量の転換交通をはじいて、それで収支の計算をしたというようなレポートとなってございますので、対距離制の概念はそこのレポートの中では記載されていたというふうに考えてございます。

古川(元)委員 そうすると、アメリカのターンパイク、どこか分かりませんけれども、圧倒的にほとんどのところはアメリカなんかはフリーウェーですよね、そのごく一部のところを見て日本の高速道路全ての料金体系を決めた、そういうことですか。

村山政府参考人 御答弁を差し上げたのは、名神高速道路を造るに当たって対距離制が導入され、それ以降、対距離制となっているということを御答弁を差し上げているわけでございます。

古川(元)委員 ちょっとよく分からないことになっているんですけれどもね。

 時間もなくなってしまいますから、ちょっとこれは大臣にお伺いしますけれどもね、今日のやり取りをやっただけでも、やはり、なぜ今の距離制が合理性があって、定額制というのは合理性がないのかという指摘に全然答えられていないんですね。

 この間、距離制ありきでずっとやってきていますけれども、最初に申し上げたように、やはりこれは、それこそ今日の議論にもありましたけれども、日本は今、本当に急速な人口減少と、特に地方においてどんどん地方が疲弊していっている、そういう中でどうやって地方を活性化するのか。そういった意味で、東京と、あるいは都会と地方との距離を近くしていく。

 私は、都市部とか何かの渋滞のところで、そういうところで、そこは距離に応じて取るとか、そういうことまで全部否定しているわけじゃないんです。特に中長距離の遠いところですね、やはりこうしたところ、せっかくあるインフラを活用して、そして少しでもそうした経済的な距離を短くしていく。

 これは、今日本が置かれている状況を考えたら、五十年前に高速道路を造り始めた頃とやはり違って、むしろ今あるインフラをどう活用するか、そして、どうやって地方を活気づけるか、かつ、国内経済の活性化を図るか。やはりそういう視点から、今の距離制ありきということでずっとこれからもこの料金制度を続けるんじゃなくて、距離制と定額制のメリット、デメリット、これをきちんとやはり一回ちゃんと国交省としても比較考量して、こうだからこうなんですと、そういう議論が必要じゃないかと思いますけれども、いかがですか、大臣。

斉藤国務大臣 今の議論を聞かせていただきました。

 距離制それから定額制、それぞれにメリット、デメリットがあると思います。そのメリット、デメリットをどのような視点から評価するか。地域の活性化、経済の活性化、いろいろあろうかと思います。このメリット、デメリットをよく比較考量して議論することが必要かと思います。

 いわゆる高速道路の、道路公団の民営化のときにもこういう議論をしたのを覚えております。その後、民主党政権でいわゆる定額制的な政策が取られました。そういうことも踏まえて、また、そのときに得られた教訓も踏まえて今の料金体系になっているかと思いますけれども、あのときにメリットもあったしデメリットもあった、そういうことも踏まえて今の料金体系がつくられているかと思いますけれども、こういう比較考量、議論というのは常にしていかなくてはいけないと思っております。

古川(元)委員 これはやはり、大臣、ちょっとちゃんと議論をすべきだと思うんです。

 これと同時に、時間がなくなりましたから最後に申し上げますけれども、償還主義についても、我々の民主党政権のときは無料化にしましたけれども、やはりこれは維持管理費とかにかかる、ですから無料化がいいとは思いません。でも、いつかはただにするんだからといって、そのために今高い料金を取る、そうじゃなくて、償還主義をやめて、永久にこれを有料にします、やはり維持管理にお金がかかるから有料にします、しかし、その代わりに今の利用料金を少しでも下げていく、こういうことをやらないと、このままずっと償還制度を続けていたら、償還期間が終わって高速道路が無料になる頃には道路の先にはもう人が誰もいなくなっちゃう、そういう状況になってしまうんじゃないんですか。そのときになって無料になったって意味がないじゃないですか。

 今の、地方が苦しんでいる、地域格差を解消する、そのためにどうしたらいいのか。やはり状況が刻々と変わっているんですよ、さっき申し上げたように。その変わっている状況に対応して、高速道路をどう活用していくのか、これをどう活用して国内の経済を再活性化し、そして地方格差をなくしていくのか、地方を活性化するのか。是非そのことを考えていただきたいと思いますので、最後に大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、高速道路の在り方、また全国のネットワーク、これをどう維持していくか、また、地方にはいろいろなまだミッシングリンク等もあり、それをつないでほしい、また暫定二車線を四車線にしてほしいといういろいろな要望もある、これも事実でございます。

 そういう地方の要請に応えながら、なおかつ、日本経済の根底にあるもの、高速道路制度をどうしていくかということはこれから不断に議論をさせていただきたいと思いますし、どうかよろしくお願いいたします。

古川(元)委員 時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めに一言だけ。ロシアによるウクライナへの侵略を糾弾したいと思います。

 先ほど大臣も明言されたように、プーチン大統領が核の脅威をちらつかせながら自らを正当化しようとしていることに強い怒りを感じます。一刻も早くウクライナの主権と人々の日常を取り戻すために、国際社会と連帯してロシアを孤立させ、迫っていくべきです。先ほど来の協力プランの議論においても、政府全体でということではなくて、大臣自身が政府として今はやれる環境にないんだときっぱり進言すべきと考えます。これは指摘にとどめます。

 さて、最初の質問は、今冬の大雪問題について質問します。

 今年一月末までの三か月間で除雪作業中に亡くなった方が四十五人に上ると、二月二十四日付の日経の夕刊が報じておりました。

 また、新潟県は二十三日、積雪が四メートルを超えた津南町など上中越五市町に県災害救助条例の適用をいたしました。家屋倒壊のおそれがあるとして市町が要援護世帯の除雪支援などを行う際に、県が費用の半額を負担する制度と言っております。これは二十四日付の新潟日報が報じておりました。

 各地で記録的大雪の被害が出ておりますが、今冬の除雪作業中などの死傷者数がどのくらいいるのか、また、これはもう災害救助法を発動すべきではなかったかと思いますが、内閣府に伺います。

五味政府参考人 この冬を通しまして、昨日までに、人的被害として除雪作業中の事故などによる死者八十二名、住家被害として全壊二棟、半壊三棟、一部損壊三百三十八棟などが報告されているところでございます。

 御指摘の災害救助法についてでございますが、都道府県知事が、一定程度の災害が発生した市町村に代わって、災害により被害を受け、現に救助を必要としている方に対して救助を行うことを規定しているところでございます。

 特に大雪の場合でございますが、平年に比して積雪量が多く、若しくは短期間の集中的降雪があり、放置すれば、住家の倒壊等又はその危険性が増大するなどにより、多数の者の生命又は身体に危害を受けるおそれが生じた場合におきまして、都道府県知事の判断により災害救助法の適用が行われるものでございます。

 内閣府におきましては、実際に降雪があった場合、関係都道府県に対しまして、災害により多数の方が生命身体に危害を受け、又は受けるおそれがある場合には、ちゅうちょすることなく災害救助法の適用を行うよう、随時連絡を取り合いまして、助言をしているところでございます。

 引き続き、都道府県との意思疎通に努めながら、雪害に応じて弾力的な運用が図られますよう取り組んでまいります。

高橋(千)委員 人的被害が八十二名まで上ったということでありました。ちゅうちょすることなくとおっしゃっていただいているのに、どうしてなのかなと思っているんですよね。昨年も災害救助法は適用になっていると思います。例年とは違う降り方ということで、自治体もためらうことが多かったのかなと思っています。本来なら、間髪を入れず決断を促すべきです。

 全国で二つ以上の道県の市町村に災害救助法が出されていれば、亡くなった方の居住地がどこかに関わりなく災害弔慰金の対象となるんですね。世帯主なら五百万円。亡くなった方は帰らないけれども、せめて残された家族のためにも災害弔慰金を出したいと思うんですね。どうか、災害救助法を遠慮なく使ってもらうように、一層の周知をお願いしたいと思います。

 そこで、二月一日に、党議員団として国交省に、除雪費に対する社会資本整備総合交付金の追加配分や臨時特例措置を急ぐということを、申入れを行いました。道路局が、地方公共団体の道路除雪費支援の検討に必要な調査を開始しますと発表したのは二月十日です。私は遅いと思います。総務省は既に二十五日に、これまでで最も多い十九道県の二百三十二市町村に対して特別交付税の前倒しを決めました。

 国交省としての取組はどうなったんでしょうか。

斉藤国務大臣 御指摘のように、この冬は、年末から度々寒気が入り、北日本や日本海側を中心に大雪となっており、多くの知事や市町村長から、道路の除雪費用の追加支援の御要望をいただいているところでございます。

 地方公共団体が管理する道路の除雪費用については、年度当初に配分している防災・安全交付金に加えて、地域の降雪状況に応じて、三月を目途に、当初から確保している予算を追加配分することとしています。

 しかしながら、今年は積雪が著しいため、この追加配分に加え、更なる支援が必要であると考え、地方公共団体に対し、降雪状況や除雪費の執行状況等の調査を行ったところでございます。

 国土交通省といたしましては、地域の状況を丁寧に把握しながら、除雪費の支援に万全を期していきたいと思っております。

高橋(千)委員 調査は分かるんですけれども、例年よりもちょっと取組が遅いなと私は思っています。そして、自治体からも要望が出ています。当然、第三弾までやるという意味ですよね。

斉藤国務大臣 三月一日、昨日、その調査が終わったところでございまして、この第三弾、できるだけ早くやりたいと思っております。

高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。

 二十四日午後二時の積雪は、札幌市中央区で百二十センチ。新千歳空港が約四千人足止めされました。ゲリラ豪雨のようなどか雪が大渋滞や市民生活を直撃をしたということであります。

 それで、一枚目の資料、写真を見ていただきたいと思うんですね。ここは札幌市の隣、北広島市の住宅街なんです。左側が朝です。門の外は市道ですけれども、スタックした車が市道を塞いでいて除雪車が入れないために、家から一歩も出られない、雪に閉じ込められた状態になっております。家族三人、四時間かけて、取りあえず一人すり抜けられる隙間を空けて、玄関を見ると、右のように、夜、こんな状態に、雪の山になっているということなんですね。

 二枚目を見ていただきたいんですが、これはお分かりでしょうか、一応、道路なんですね。奥に住宅が見えますし、手前に辛うじて門柱の頭が見えます。道の形がほぼ残っていなくて、山の中のようになっている。まさに市民生活がここまで麻痺した状態になっていると思っています。

 二一年度補正予算で、豪雪地帯安全確保緊急対策交付金を創設しました。このような、もう家から出ることさえも大変な状態になっちゃっているとか、屋根の雪下ろしだとか、活用できると思うんですが、いかがでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度補正予算において新たに創設した豪雪地帯安全確保緊急対策交付金は、除排雪作業時等における死傷事故の防止のために、将来を見据えた地域の安全克雪方針の策定と、除排雪体制の整備等に試行的に取り組む自治体を支援するものでございます。

 御指摘のような状況、それだけで活用の可否というのを断定することはなかなか難しいところがございますけれども、屋根の雪下ろしなどについても、方針策定に並行して試行的に取り組む除排雪体制の整備等の中で活用することは可能でございますので、今後、よく自治体からの申請内容を伺って支援してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 最初に質問したのが道路の問題で、その前は災害救助法の適用で、障害物の除去ということがきちっとやられているということがやはりセットで必要だと思って質問しました。同時に、間口から道路までの除雪に対しても、あるいは屋根の雪下ろしに対しても、やはり安全確保という点では絶対必要なことなんですよね。

 ただ、おっしゃっているように、計画を組むというふうになってくると、それがとても面倒だということもなるので、なかなか即効性がなかったりするんだろうなと思うので、これを柔軟に、せっかくつくった制度ですので対応していただきたいということ、これは要望しておきたいと思います。

 次に、自動車運転従事者の働き方改革について質問をいたします。

 厚労省の労政審労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会が、バスやトラックやタクシーなどの業種ごとの作業部会を設けながら、改善基準告示の改正を準備していると承知しています。

 資料の三はおさらいです。働き方改革で決めたことということで、上が一般労働者、原則月四十五時間、年三百六十時間、時間外は七百二十時間まで認めますよということで、これでもいろいろ穴があるというのは今日は言わないんですけれども。そして、下の方が、建設業や運転や医師などは五年の猶予がありました。五年の猶予の後に年九百六十時間まで認めるということで、私はこのこと自体が大いに問題だと思っています。ここは通告していたんですが、時間の関係で指摘にとどめます。

 問題は、今やっていることなんですけれども、資料の四にあるように、働き方改革関連法の衆参の附帯決議において、過労死の発生を防止する観点から改善基準告示を見直すという要請になっていると思います。法律が成立したのは二〇一八年ですけれども、当時、過労死の労災認定が最も多い職種は、やはり自動車運転でした。そのうち、道路貨物運送業は五年連続ワーストなどを指摘した、私自身が指摘をしているんですが、この状態が五年たってどうなっているでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、過去五年間の脳・心臓疾患の労災補償状況について、職種別では自動車運転従事者の支給決定件数が最も多く、業種別では道路貨物運送業の支給決定件数が最も多くなっているところでございます。

高橋(千)委員 今の資料を五につけておきましたけれども、令和二年度のデータでも、職種別では自動車運転である、業種別ではトラックであると。どちらにしても、残念ながらワーストであるという状態が今も続いているということが確認されたと思うし、だからこそ、働き方改革だった、附帯決議であったと思うんですね。

 それで、改善基準告示とは何かということなんですが、資料の六が、一日及び二暦日の拘束時間、休息時間についてということの資料です。これが今、大きな争点となっています。

 休憩時間も入れて管理の下にある状態を拘束時間というわけですが、それが十三時間なら、単純計算して十一時間が休息時間、インターバルになるわけですよね。現行は、左の真ん中に書いていますが、勤務終了後、継続八時間以上の休息を与えるとなっています。

 厚労省の当時の案は、原則十一時間、週三回までは九時間認めますよとなっていた。それじゃ駄目よというので議論しているはずなんですが、修正案は右です、継続十一時間以上の休息時間を与えるよう努めること、これ、努力義務ですよね。継続九時間を下回らないものとする、こういうふうな表現になりました。原則が消えました。

 それで、二月十七日のバス作業部会では、公益委員からも、自動車運転者は命を預かる人だ、安全を守るという認識に立てば継続十一時間は必要だという発言がありました。

 やはり、努力義務では実質九時間が固定化されやすい、現状の八時間からほとんど変わらないんじゃないかと。今でも、往復二時間など通勤時間も加味すると、五時間未満の睡眠しか取れていないというのが実態だと思うんですね。

 インターバル十一時間、原則とすべきではないでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 昨年改定されました脳・心臓疾患の労災認定基準においては、長時間の過重業務の判断に当たって、睡眠時間の確保の観点から、勤務間インターバルがおおむね十一時間未満の勤務の有無、時間数、頻度、連続性等について検討し、評価することとされたところであります。

 こうしたことを踏まえ、十月に開催された労働政策審議会のタクシー及びバスの作業部会において、一日の休息期間について、一定の例外を設けた上で、原則十一時間とする案を示したところであります。

 その際、委員から様々な御意見をいただいたことから、休息期間を十一時間とするよう努め、下限を九時間とする案を改めて提示したところであります。

 改善基準告示の見直しに当たりましては、休息期間を含め、全体として過労死等の防止に資する見直しとなるよう、公労使で活発に御議論いただいているところであり、取りまとめに向けて丁寧に検討を進めてまいります。

高橋(千)委員 今さらさらとお話しされましたけれども、ちょっとその前に、原則十一時間ということを議論をしながら、一定の例外を認めると。ただ、この書きぶりは、十一時間以上の休息を与えるよう努めるとともに、継続九時間を下回らないものとすると。そうすると、九時間がずっとでもいいことになっちゃいますよね。

小林政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、改善基準告示の見直しに当たりましては、休息期間に加えまして、一日当たりの拘束時間でありますとか、連続の運転時間でありますとか、様々な基準があるところでございまして、休息期間を含めて、全体として過労死等の防止に資する見直しとなるように、丁寧に検討を進めてまいります。

高橋(千)委員 聞いたことに答えてください。これをそのまま、解釈を聞いています。

 継続九時間を下回らないものとするということですので、毎日九時間でもいい、九時間の休息時間でもよいということになりますよねと聞いています。

小林政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたけれども、一日についての拘束時間、日勤についての基準でありますとか、結局、もろもろの基準を全部組み合わせますと、十五時間以上の拘束、九時間未満の休息が毎日続く、そういう状況にはなりにくいという基準になってございます。

高橋(千)委員 それは答えになっていないと思うんですね。それは、総量規制があるから、毎日やっていくと足し算で超えちゃうからという意味でお答えになったと思うんです。

 ただ、この局面を見て、週三回と言っていたものが、これはそういう縛りがなくなってしまうと、現実に、その局面、一週間なり十日間なりは認められるということになっちゃうんですよ。そこをやはり避けてはいけないということを言いたいと思うんですね。

 資料の七を見てください。一日の拘束時間について、実態調査をやられております。左側が事業者側の調査なんですね。使用者側にすれば、運転の全業態で六割から七割強というように、十三時間以下ですよ、心配しなくてもいいですよみたいなことになっているわけ。だけれども、右側のドライバーの側では、十三時間以下というのは、ハイヤー、タクシーでも五七・七%だし、バスは一八・六%。代わりに、それ以上が、十三時間以上十六時間以下が二割から三割と。特にバスでいうと、一番多いのは、十五から十六時間が三八・五%となっているわけなんですよね。感じ方が全然違うじゃないかとなっちゃうわけ。

 それで、次のページを見ていただくと、じゃ、どれだけが適切ですか、一日の拘束時間について。そうすると、はっきりと違いが出てきます。事業者側は、半分くらいが十三時間から十五時間がよいと答えているわけですよね。ドライバーは、圧倒的に十三時間以下がよいと答えています。これは、ドライバー側の本当に疲労をためていることのあかしでもあると思うんですよ。

 分科会の求めで行った自動車運転者の疲労度の医学的な調査に関する事業においても、拘束時間の長さと疲労度が増すということが分かっています。トラック運転従事者に着目した今年度の過労死白書の調査でも、精神疾患の認定数で見たときに、四割強が恒常的な長時間労働を指摘をされています、原因となっています。

 やはり今回の修正案だけでは、現状を改善させるには至らないのではないか。もっと踏み込むべきではないですか。もう一回。

小林政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたけれども、追加の案ということで新たな案をお示ししたわけでございますが、現在、複数の案を基に作業部会で御検討いただいているところでございまして、公労使でそれぞれのお立場から活発に御議論をいただき、適切に取りまとめを努めてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 労政審の話をすると必ず公労使の話になって、労使が合意しましたなどということになっているわけですよね。でも、労政審でやった調査でもそういう実態が出ていること、長時間労働がやはり過労死につながるんだということを指摘をされていること、その中で労働者からもたくさん意見が出ていることに対して、何か思いを致す答弁がないのかなというのが、ちょっと正直残念に思うんですね。ただ、これは決まってはまだいないので、更に求めていきたいなと思うんですね。

 その上で、大臣に伺います。

 使用者側は、インターバル規制のことを、やはり余り休息時間が長いと、利益が上がらないと消極的なんですよね。特に長距離運転の場合、連続運転は四時間まで、最低十分は休憩を挟みますというふうに基準があるんですけれども、高速バスとか通っているとき、それに対して、いやいや、四時間でなくて五時間に延ばしてくれ、休憩時間は十分でなく五分に短くしてくれ、なるべく使いやすくしてもらいたいと要望を述べているんですね。

 私は、およそ人間的と思えないと思うんです。それは、管理する側にしてみたら、とても煩雑で面倒だからとおっしゃっている。それはそうかもしれない。だけれども、これはあくまで利益優先で、労働者軽視になるんですよね。結局それが事故につながれば、運転手のみならず、利用者の命、安全にかかわります。そして、一たび事故を起こせば会社の信用という点でも深刻なダメージを受けると思うんですね。

 そこで、大臣に伺いたいんですが、労働者の健康と利用者の命、安全を守るという責務が使用者側にあると思いますが、いかがでしょうか。そのために、国交省としても指導責任を果たすべきではないでしょうか。

斉藤国務大臣 いわゆる改善基準告示の見直しにつきましては、現在、この告示を所管する厚生労働省の下に設置された専門委員会において公労使の代表により具体的な検討が行われており、国土交通省もオブザーバーとして参加をさせていただいております。

 委員御指摘のとおり、労働者の健康と利用者の命、安全を守るという責務が運送事業者にあり、そのため、過労運転による交通事故の防止や将来の担い手確保の観点から、長時間労働の是正は重要な課題であると認識しておりまして、労使が納得した上で、効果的かつ実効性のある基準に見直されることが重要であると考えております。

 国土交通省としては、引き続き、厚生労働省の専門委員会にオブザーバーとして参加し、適切な改善基準の見直しが行われるよう、厚生労働省に協力をしてまいります。

 また、改正された改善基準告示に従って、運送事業者への指導を通じ、運転者の健康と輸送の安全を確保してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 最後の一言を聞いてちょっと安心したんですけれども。

 やはり、基準を厚労省が作るのを見守ってまいりますで終わっちゃうと、国交省は責任ありませんという話になっちゃうわけですよね。でも、大臣、最後きちっとおっしゃってくださったように、過労死防止対策としても担い手確保としてもやはり大事なことなんだと。その実効性ある基準を見守っていくけれども、指導を、やはり運送業としての指導をするのは国交省の責任ですので、そこを曖昧にしてほしくなかったわけです。それでこういう問いを取りましたけれども、お答えは指導を果たしていくということだったので、そこを確認をしていきたいと思うんですね。

 あとは、やはり少しでも労働者に寄り添った基準を作ってもらいたいと思うんですね。本来であれば、働き方改革の議論のときに、インターバル規制そのものを法定化すべきだということをずっと言ってきたし、上限規制を罰則化を設けてやるんだと言っておきながら、猶予があったりとか、様々な穴がありました。

 しかし、ここまで議論してきて、やはり本当にふさわしい基準を作り、かつ基準以上に安全な働き方にいくように努力をしてもらいたい。大臣のお言葉、是非実行していただきたいと述べて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 三期目で初めて国土交通委員会に所属をさせていただきまして、質問をさせていただきます。

 斉藤大臣とは、一九九九年のジェー・シー・オーの事故の後に、私が科学技術庁に出向して原子力災害対策特別措置法制定に携わったときにお仕えをさせていただいて、大変厳しい国会を当時政務次官だった斉藤大臣のすばらしい答弁によって乗り切ったというのを思い起こしまして、大変、今日こうした機会をいただいたことを感慨深く思っております。

 今日は最初の質問ですので、多少大上段にかぶった大きな質問をさせていただきたいと思いますので、政府委員に答弁を求めませんので、大臣のお言葉で語っていただければと思います。

 国土交通省設置法第三条の任務には、国土交通省の任務として「国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進、」云々となっております。つまり、社会資本の整備とか交通政策の推進というのは手段でありまして、目的は国土の総合的かつ体系的な利用、開発、保全である、それが国土交通省の任務であるというふうになっております。

 現在、国土審議会で、次期の国土形成計画の策定に向けた議論が進められていて、五月の連休明けぐらいには中間報告の素案のようなものが出るんでしょうけれども、大臣所信をお聞きしておりますと、豊かな田園都市国家の実現に向けて、二地域居住等を推進しつつ、二〇五〇年を見据えてデジタルを前提とした国土の再構築を進める新たな国土形成計画の策定に向けて取り組むと。これは役所が作ったものですから、役人答弁で何を言っているのか分からないし、気持ちもこもっていないんですね。

 ただ、国土計画というのは国土をデザインすることですから、まさに政治そのもの、もっと生々しく言えば、権力そのものだと思うんですね。そこに国家としての意思や、政権としての意思がなければならないと思うんですね。

 そこで、岸田政権の閣僚のお一人として、今、時代は大きな転換点にあります。先ほどのウクライナの情勢も、情報を見ても、これから、もしかしたら力による支配による新しい世界が始まるかもしれない。新しい資本主義と言っている、岸田さんが言っているのはよく分かりませんけれども、しかし、これまでのグローバリズムで情報化とともに進められていった経済の仕組みは根本から変わるかもしれない。日本の隣にある中国は、我々日本民族が数百年体験したことのない強大さで隣にいるという時代を迎えるかもしれない。技術も、様々な技術が進歩するといろいろなものが変わる中で、まさにこの国土形成計画というのは、国家としての意思や理念が私は求められるものだと思っております。

 所信表明で足らざる、言うことができなかった、大臣としての理念や政策、国土政策を進めるに当たっての理念や哲学をまずお聞かせください。

斉藤国務大臣 まず初めに、福島議員が国会に戻ってこられて、また一緒に働くことができること、こんなにうれしいことはございません。またどうぞよろしくお願いをいたします。

 国土形成の理念ということでございます。

 まさに国土形成は、おっしゃったように、政治の一つの大きな目的だと思います。そういう中で国土交通大臣、国土交通省が果たす役割は非常に大きい、この認識についても共有するものでございます。しかしながら、では、どういう国土形成を目指していくのかということについて、なかなか国会でも議論がなされていないところでございまして、そういう骨太の議論を是非させていただきたいと思います。

 これもちょっと教科書的になりますが、国土形成計画法には、国土形成の基本理念として、自立的に発展する地域社会、活力ある経済社会、安全が確保された国民生活、地球環境の保全にも寄与する豊かな環境というふうに規定されております。

 私としては、この法律の理念に基づき、一つ目は、地域において医療、福祉、地域交通などの住民サービスがきちんと維持される、そして地域住民の所得と雇用が確保される、そのことによって安心して暮らし続けられる日本、これが一つかと思います。

 それから二点目の、活力ある経済社会ということでございますが、国際競争が激化し、国際環境が目まぐるしく変化する中、地域産業もグローバルに活躍するなど、我が国の経済成長を支える、稼げる国土の形成ということが二点目なのかなと思います。

 そして、三点目ですけれども、激甚化、頻発化する豪雨災害、南海トラフ地震など切迫化する大規模地震、火山災害等から国民の皆様の命と暮らしを守る国土づくり、これが三番目の、安全が確保されたということなのではないかと思います。

 四つ目、地球環境の保全ということでございますが、私もかつて環境大臣を拝命しておりました。カーボンニュートラルの実現に向けた国土づくりということが重要と考えております。

 国土交通省としては、現在、国土審議会において、デジタルを前提とした新たな国土形成計画の策定の検討を行っているところでございますが、今申し上げたことを念頭に置いて、今後の国土づくりに関する議論を進めていきたいと思っております。

福島委員 大臣らしい、生真面目に答弁を読み上げていただきましたけれども、もうちょっと私は生の言葉を聞きたかったと思うんです。

 というのは、これまで戦後を支えてきたのは、いわゆる全総と言われる全国総合開発計画、それに基づいた、計画に基づいた様々なインフラの配置などがこの国を成長に導いていったことは事実だと思うんです。

 五回にわたって作られた全総を作るのに、全てに関わった下河辺淳さんという人がいます。日立市生まれ、私と同じ日立で、親もやはり日立製作所、高校の先輩です。山口代表と私と下河辺さんはみんな同じ同窓です。水戸学の薫陶も受けて国土事務次官もされた方ですが、その方が「戦後国土計画への証言」という本を書かれています。その中で、国土計画というのは何か。国土を論ずるということは、簡単に言えば、人と自然の関わり方をいろんな角度から論ずることだと思います、国土政策論を論ずるときにいろいろなアプローチの仕方がありますが、基本的には、歴史的に見るということは大きな見方の一つだろうと思いますと。歴史だと言っているんですね、人だと。

 残念ながら、私は今の新しい国土形成計画の中には、人とか歴史とかという体温を感じないんですね。

 二〇〇五年に、国土総合開発法という、いわゆる全総の根拠になった法律を、国土形成計画法というふうに変えました。そしてまた、省庁再編によって、昔は国土庁という総理府の部門、その前は経済企画庁ですね、更に言えばその前は安本、いわゆる経済安定本部などが総理直轄で作られていたものが、省庁再編によって国土庁がなくなって、国土交通省に移管されました。その二つの計画を比べると、言っていることが全然違うんです。そこから漂ってくるにおいが違う。

 確かに、開発をするまでの高度経済成長を重視した計画から、利用、開発、保全による良好な国土の継承といったものに変えるのは必要でしょう。ただ、国土をデザインするという大きな仕事なわけですから、単なるインフラ官庁としての交通や道路を造るだけじゃない理念が必要だと思うんですね。

 一九九八年の最後の全総、五全総の中で、二十一世紀の国土のグランドデザインというやつですけれども、そこはどう書いてあるか。我々は今、二十一世紀の幕開けのときを迎えようとしている、二十一世紀の文明の相貌はいまだ判然とはしないものの、人類社会が新世紀にふさわしい新しい文明を生み出し、明るい未来を切り開くことが強く期待されるという前文から始まるんですよ。つまり、二十世紀末、橋本政権のときですけれども、これから新しい文明になるんだ、そのための国土計画を作るんだという高らかな理念が掲げられているんですよ。

 その上で、多軸型国土構造と書いてあります。さらに、私がしびれるのは、二十世紀型の都市、産業文明の波に洗われることの少なかった太平洋ベルト地帯から離れた地域、私らの農村地域ですね、今なお豊かな自然の中に点在する肥大化を免れた都市、薄れたとはいえ伝統文化の色濃く残る暮らし、地理的特性に基づく国際交流の歴史等という長所を有しており、これらの地域を二十一世紀文明のフロンティアとして位置づけると。

 要するに、単なる地方が大事とか、よく、この委員会でもずっと議論になります。その中に、伝統文化とか国際交流があって、この間、太宰府に私、お参りしてまいりましたけれども、長い歴史の中に培われた国際交流の歴史がその土地土地にあるわけですよ。そういうのを踏まえた計画を作りましょうというのを言っているんですね。

 このときが、下河辺さんが最後に国土審議会の会長としてやったんですけれども、そのときに、新しい国土計画を策定するため、こういうテーマに基づいて議論しなさいとメモを作っているんですね。そこには、二十世紀文明と二十一世紀文明というのが一つ、それは何だろうと。二つ目は戦後五十年とこれからの五十年。三番目は直面する経済、産業、企業問題。四番目は国土管理上の諸問題。五番目は首都機能の歴史的展開。六番目は国土政策と国土計画の目標ということで、政策と計画が一番最後なんです。最初は、二十世紀文明と二十一世紀文明ですよ。

 まさに今、我々はこのような文明の曲がり角にいるんですね。そのときだからこそ、これは官庁がやってもできません。官庁が、どうしても秀才型の人というのは、与えられた問題を回答するのは得意であっても、新しい価値観を生み出すことは、これは場合によっては芸術家とか表現者の仕事なんですね。

 かつての国土審議会はそうしたメンバーを入れていたし、事務局の下河辺さん自身がそうした視点でいたからこそ、それまで第一次、第二次、第三次、それぞれありましたよ、田中内閣のときの狂乱土地投機を生んだときの批判されたものとか、あるいは大平内閣のときの田園都市構想を形にしたものとか、いろいろありましたけれども、しかし、それぞれのときにおいて、まさに哲学や理念、歴史的な価値観に基づいた作られ方をしてきたんです。

 それから見ると、残念ながら、法律改正後の国土形成計画は、国土交通省の政策の羅列、ほかの省のやつは遠慮ぎみに、ほかの役所がやっているものをこちょんととじただけなんですよ。ほかの役所の政策を超えることに本来は全総は意義があったと思うんです。だから総理府でやっていたんですね。だから、国土交通省がやるなとは言いません。ただ、作り方だけは、ちょっと私は変えた方がいいんじゃないかと思うんですね。

 審議会を見ても、この国土審議会は特殊でありまして、政治家が入っております。与野党のそれぞれの重立った党の議員が入っております。これ、審議会をなくすときに、政治家が入るような審議会はけしからぬと、なくそうとしたんですよ。私も行革を担当したときに、なくせと言いました。

 でも、ある意味、これはいいことなんですね。下河辺さんもこう言っています。できるだけ国会議員には遠慮をしていただこうという話が出ましたが、私としては、国土審は代議士が入っていた方がよいという意見を述べた経験があるんです、審議会では、代議士も入って、フリートーキングの懇談会という形ができた方がいいと思うんです、国会においても、国土総合開発計画についての審議は、建設委員会では私は少し限界を感じていて、もっと国政として総合的な土俵で論争すべき政治課題じゃなかろうかと。

 先ほど、大臣の答弁でも、国会でまさにこうした国土のデザインというのを議論することがないですよねというお話がありました。もう大分議論は進んじゃっているんでしょうけれども、私は、このままの国土形成計画を作るだけでは、今この国が抱える危機を乗り越えるような、わくわくするものはできないと思っております。

 国会議員でまずやればいいんですよ。あるいは、この審議会も、産業界とか男女の比を絞ったり、いわゆる普通の審議会になっております。文化人とか、ちょっと変わったことを言うような人は入っておりません。

 下河辺さんはこうも言っております。計画というのは意図でしかないんです、それぞれ現実にはいろいろな利害関係もあれば、住民の人たちもいるわけだから、計画どおりいくとはプランナーは思っていない。失敗していいんですよ、これは。意図したときに理解されずに、むしろ非難を受けながら、百年後に過去を振り返って人が褒めたたえてくれるものだったらうれしいと。

 今の人の、平均的な人が思いつくようなことは、五十年後に大体陳腐化しているんですね。今の人が反対と言うものでも、失敗を認めてでも、思い切って新しい時代を切り開くような計画にしなければ私は意味がないと思っています。

 これ以外にも様々な計画があります。交通の基本法に基づく計画とか社会資本の重点化の計画とか、そちらはちゃんと行政でやればいいんです。しかし、この基の全総と言われていたもの、それはこの国の、我が国の英知を結集していた。そこには、我々国民の代表である政治家たちの思いも結集した、そうした新しい計画の作り方をすべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 確かに、福島委員がおっしゃるように、我々、若い頃はといいましょうか、全総という言葉をいろいろなところで聞きましたし、議論していたように思います。特に、私、議員になる前、民間にいるときも、全総というものがどういう未来を展望していて、それに対して民間は民間でどうこれに立ち向かっていくか、参画していくかというような議論をしたように思います。

 この全総からいわゆる国土形成計画という形になりまして、では、国土形成計画という言葉が我々又は民間も含めて口の端に上っているか、議論されているかというと、確かに、今、福島委員がおっしゃるとおり、その位置づけが大きく低くなっているという気もいたします。

 今日いろいろ委員から御意見を賜りました。私も、国土交通大臣として、この国土形成計画の持つ意味、そして審議会、先ほどおっしゃるように、国会議員の入った審議会ということで非常に珍しい形、これは全総からの大きな歴史だというのもよく分かりました。しっかり、国土交通省の一番大きな仕事として、これに取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

福島委員 最後だけ、ちょっと発言します。

 下河辺さんはこう言っています。国土政策は人と国土の関わり合いに関する権力の政治的意図であり、これをまとめたものが国土計画ですから、工学部、経済学部の仕事だけではなく、政治学、歴史学の仕事だというのが私の最大の結論なんです、日本の政治家たちが時間軸だけで議論しないで、空間軸でもっと発言してくれていいのではないかと思いますと。我々政治の役割だと思うんですね、役人じゃなくて、審議会のメンバーでもなくて。

 なので、委員長、本委員会でも、憲法審査会でお互いにフリートークみたいなのをやっていますけれども、そうした、国土の姿についてフリートーキングをするような場をこの委員会で行うことを与野党の理事の皆様方に提案させていただきますので、お取り計らいのほど、よろしくお願いいたします。

中根委員長 理事会で協議いたします。

福島委員 では、質問を終わりにします。ありがとうございました。

中根委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 ラストバッター、千葉県十一区、南関東ブロック初当選のれいわ新選組、たがや亮と申します。十年かけて、こちらにたどり着きました。比較的、れいわ新選組の中ではおとなしい方ですので、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。しかし、少数会派に割り当てられるのは僅かな時間です。与野党理事の皆様におかれましては、少数会派にももう少しお時間をいただけるよう御配慮をいただきますよう、冒頭お願いを申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。もう少し下さい。

 それでは、時間もないので質問に入らせていただきたいと思います。

 要望に近い質問なんですけれども、温泉旅館、ホテル事業者への支援に関しましてお伺いします。

 コロナ禍において、温泉旅館、ホテルなど観光業の経営に大きな影響が出て、存亡の危機を迎えております。私の地元のホテルの組合に聞くと、特に学校関係の合宿を主とするホテル事業者は、蔓延防止時や緊急事態時には九五%キャンセルになります。客足は、通常時の一割程度、年間を通しても平均で二七・八%という大打撃を受けております。

 とりわけ、猶予されている二〇二〇年度の減免なしの固定資産税、今後の支払い、これがホテル事業者、温泉組合に大きな負担となっております。減免されたのが二〇二一年度だけ。

 大臣、長引くコロナ禍で更に厳しさを増す事業者のために、遡って二〇二〇年度の減免と、また二〇二二年度の減免を、各関係省庁に相談の上、難しい、もう承知の上なんですけれども、御検討いただけないか。また、それが本当に難しいのであれば、それに代わる支援策、そういったものを講じていただけないか。いかがでしょうか、大臣。

斉藤国務大臣 たがや委員御指摘の、宿泊施設に係る固定資産税につきましては、令和三年度税制改正要望において、交通運輸等における新型コロナウイルス感染症による需要減の状況等を踏まえた所要の措置として国土交通省から要望をいたしましたけれども、措置されなかったところでございます。

 宿泊事業者への支援措置としては、いわゆる業種横断的な事業復活支援金、また、雇用調整助成金、実質無利子無担保融資等々行っておりますので、まずそこを利用していただくように我々もしっかりサポートしていきたいと思っておりますし、また、業種横断的な支援に加え、例えば、地域一体となった宿や観光地の再生、高付加価値化、それからデジタル技術を活用した宿泊施設による顧客管理の高度化、地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出などの支援を盛り込んでおり、多面的に支援していきたいと思っております。

 今後とも、その時々の経済動向等に応じて、事業者の皆様の声も伺いつつ、必要な支援を継続的に実施できるよう適切に対応してまいりたいと思います。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣の言われている支援策、重々承知しておるんですけれども、やはりホテル組合の方々も、直接的な支援、どうしてもやはり固定資産税が重荷になって、猶予されている三年後に来るということで、間もなくその支払いが迫っている。

 その中で、やはりまだコロナが落ち着いていない、合宿も全部、学校関係全てキャンセル、そういう状況が続いておりますので、大臣、覚えていらっしゃるか分からないですが、連合の新年会で名刺交換をさせていただいたときに、非常に大臣のお人柄のよさを感じたので、是非そのお人柄で、そういったホテル業界、温泉組合、困っている方々、助けていただきたいと思います。

 次に行きます。経済産業省、中小企業庁が行っているコロナ対策の月次支援金についてお伺いします。

 国交省所管の旅行代理店や個人タクシーなど、様々な業種やフリーランスの皆さんが月次支援金を申請しました。申請の手続を進める中で書類の不備を指摘されて、再提出しても更に不備を指摘される。給付までたどり着けない不備ループという言葉がありますけれども、大臣、御存じでしょうか。これは通告ないので、簡潔で結構です。

斉藤国務大臣 申し訳ございません。存じ上げません。

たがや委員 今説明したとおり、もう何度提出をしても不備として扱われて、時間切れになって結局不給付になってしまう、そういうことなんですけれども、私、独自に、不備ループに陥った二十人以上の方を直接、Zoomで聞き取りをいたしました。そこで分かったことは、コールセンターや相談窓口に相談しても、不備を解消できずに不給付になる、時間切れになってしまうということですね。

 例えば、大量な書類提出を期限内に要求する、時間切れになって不給付になってしまう。締切り期限が一日しかないとか、結構きゅうきゅうなんですね。また、SNSで公開されていますけれども、石垣島に住む申請者がコールセンターに相談したところ、那覇市ですよ、那覇市にあるサポートセンターに行ってくれと。どれぐらいの距離が開いているのかと申請者が聞いたら、そんなことは知りませんと。こんな調子で対応されている。心がないということですね。

 私自身も実は飲食店の経営をしておりまして、不備ループを実際に経験しております。私の場合は、提出した書類のどこの部分が不備なのか、具体的に分からない、教えてくれない。コールセンターのスタッフも、私がそういう文句を言うと、審査部が不備と言うが、私も何が不備なのか、どこが不備なのかはそのコールセンターの人も分からない、だから御自身で判断してもらうしかない、済みませんの一点張りなんです。

 これは全部、大変失礼ながら、中小企業庁が業務委託している事務局のデロイトトーマツ合同会社、ここが担当しているんですよね。このデロイト社に、全ての申請者の不満、怒りが今集中していると言っても過言じゃないぐらい非難が集中しております。当然ですよね。こんな、ナシのつぶてというか、まともに答えてくれない。どこに不備があって、何を解消する必要があるのか、それが分からないんですよね。

 本当に、具体的にアドバイスできる窓口がほかにないということです。そこのコールセンターも駄目、相談センターも駄目、審査部もつかない、中小企業庁に電話しても何も答えてくれない。これでは、申請者を真に助ける観点が完全に制度上抜け落ちていて、役立たずな事務局と言わざるを得ないと思うんですよね。

 これは、元々の審査部、コールセンターや相談窓口の対応の質ということで、大変問題だと思っております。すなわち、事務局のデロイト社、ここに問題があるんじゃないか。そもそも支援金を払う気がないんじゃないか、みんな申請者はそういうふうに口々に言っています。

 その辺、いかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま不備ループなどの御指摘もございました。こういった場でも度々取り上げられてきた課題でございまして、私どもも一生懸命やっておりますけれども、そうした御迷惑をおかけしている方がいらっしゃるということは承知をしております。

 ただいま事務局についてのお尋ねがございまして、御指摘のとおり、月次支援金の事務局は、中小企業庁からデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社、こちらに委託をしてございます。

 もちろん、至らない点もいろいろあったと思います。私どもとしても、様々に事務局への指導には努めてまいったところでございます。例えば、審査につきましては、審査体制の拡充でございますとか、あるいは申請システムの改修を行って、不備が起きやすい箇所での注意喚起を促してといったようなことも行ってまいりました。

 また、不備メッセージの内容が非常に分かりにくいといった御指摘もございまして、こちらについても、こういった場所での御指摘もいただいた上で、改善に努めてきたところでございます。

 委員御指摘ではございますけれども、こうした取組を進めてきた結果、二月二十八日時点で、二百四十九万件の申請に対しまして約二百三十四万件、九四%お届けをしております。

 これからも、いろいろ御指摘をいただきながら、不備改善にも一生懸命努めていきながら、お届けしてまいりたいと思っております。

たがや委員 ありがとうございます。

 今、九四・何%というのは、数字的に、SNS、いろいろなところで見ていると、にわかにちょっと信じ難い達成率だな、そういう印象があります。

 とにかく、事務局のデロイトトーマツがやっているにしても、結果的に中小企業庁の責任問題というふうに多分国民は、申請者は捉えていくので、その辺、やはりしっかりと対応していただいて、審査部、コールセンター、何でもいいんです、一つしっかりと寄り添ってくれる、その質を上げてもらうということで、改善をいただけないかということです。強く要望いたします。よろしくお願いします。

 次の質問に移ります。

 別紙一を御覧ください。

 これもちょっと月次支援金に関わることですが、中小企業庁による給付規程の第二十八条第六項には、国と国民の贈与契約とあり、行政不服審査法上の不服申立ての対象とならないとあります。この条項により、申請者は行政に対して、費用のかからない不服申立てができないということを意味します。すなわち、不服があった場合、申請者は民事裁判しろと、そういって丸投げしちゃっているということですね。

 これ、考えてみてください。お金に困っている申請者が、僅か十万、二十万、小規模の個人事業主はそれぐらいのお金ですから、多額の弁護士費用を払って民事裁判を現実的にやるのかと。結局、皆さん泣き寝入りになっているんですね。もうこれは制度設計自体が何か破綻しているんじゃないかと。

 そもそも、要は、国民の財産を国民に贈与するってどういうことなんですかね。そのたてつけがそもそも不親切というか、結局、脱法逃れ、脱法をしたいから置き換えられているような形にみんな受け取っちゃうんですよね。だから、これは制度設計にちょっと問題があるんじゃないですかというふうに思います。

 また、不備通知には、別紙二にあるように、乱暴な文章で申請者を萎縮させているんですよね。この文章、行政が関わる制度の中で、この文章はちょっといかがなものかなと。

 ちょっとかいつまんで読み上げます。「上記期限内に、申請内容の不備が解消されず、かつ、取下げの手続きも行われない場合、」飛ばしますね、「給付を受けた全ての支援金」、過去に遡ってということです、支援金についての返還を求めるということですね。さらに、今後の、「新たに月次支援金の給付の申請を行うことができなくなる」こんなことを書かれたら、たまったもんじゃないと思って、申請者はすぐ取り下げてしまうんですね。

 何を今の個人事業主の方とか事業者の方が心配しているかというと、今まさに始まっている事業復活支援金、これも同じようにまた不備に陥って、もらえなくなるんじゃないかということをみんな口々に言っているんですよ。要は、月次支援金と同じような状態。なぜ一時支援金のときにはもらえたのに、急に月次支援金になったらもらえなくなったんだろうという人が、もう声がすごいです。これは、何か制度が変わったのか、システムが変わったのか。その辺をちょっとまた、中小企業庁の方々にも、中小企業庁にも究明をしていただくというか改善をしていただく、そういったことを強く要求したいと思います。

 それから、以上を勘案して、審査基準が不明なまま不服申立てもできず、時間切れによって不給付決定した方々の月次支援金を、昨年四月から遡って再審査をやっていただけないでしょうか。是非見解をお伺いしたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つかあったと思いますけれども、一つは贈与契約のお話でございますが、これは私ども行政庁ということよりは、裁判所、裁判実務におきましても、過去の裁判例におきましても、こういう、行政庁が直接国民の権利義務を形成したり、またその範囲を確定することが法律上認められているもの、これは処分なんですけれども、こういった給付につきましては贈与契約だという形で運用されて、裁判実務においてもそのように取り扱われてございます。したがいまして、私どももそのような今対応をしているということでございます。

 その上で、再審査についてのお問合せをいただきました。繰り返しになりますけれども、月次支援金、やっておりますけれども、提出された書類からでは給付要件を満たすことが確認できないという一部の申請者の方々には、これは事前に御同意をいただいておりますけれども、追加の書類をお願いすることがありますという形でやらせていただいております。

 先ほど申し上げましたように、いろいろ分かりやすく、いろいろ努力はしておりますけれども、書類の不備がありましても、これまでも、通常、一か月程度の不備解消期間内に少なくとも複数回は再申請を行える機会を設けておりました。その結果、繰り返しになりますけれども、九四%ぐらいの方々に支給を申し上げているということでございます。もちろん、不備解消期限内に不備が解消できなくて、残念ながら給付に至らなかった方々もいらっしゃるのは事実でございます。

 月次支援金、約二百四十九万件に及ぶ大量の申請があったわけでございます。これらは書面で審査をいたしまして、不正対策にもちゃんと配慮しなきゃいけないということで、簡易迅速に給付金をお届けするということのためには、ある一定の期間を設定して、その範囲の中で審査を進めさせていただかないとなかなか先に進めないということは、是非御理解いただきたいというふうに思っております。

 もちろん、月次支援金の申請で不給付となった申請者の方々でも、今、事業復活支援金という新しいのをやっております。不正受給みたいなことをされた方は駄目ですけれども、そうでない方々は御申請いただけて、要件に当たればしっかり給付させていただきたいと思っておりますので、そちらも御活用いただけたらと思っております。

中根委員長 たがや亮君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

たがや委員 はい。ありがとうございます。

 でも、やはり事業者は、今、不備ループに陥って月次支援金をもらえなかった方々は、その事業復活支援金、またもらえないんじゃないかという不安があるので、丁寧に、しっかりと窓口を再構築していただければと思います。

 最後になりますが、直接聞いた声、皆さんに……(発言する者あり)

中根委員長 時間が過ぎていますので、御協力願います。

たがや委員 じゃ、質問を終わります。ありがとうございます。

     ――――◇―――――

中根委員長 次に、内閣提出、令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤国務大臣 ただいま議題となりました令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 令和九年に神奈川県横浜市で開催される国際園芸博覧会は、「幸せを創る明日の風景」をテーマとして掲げ、花や緑との関わりを通じ、自然と共生した持続可能で幸福感が深まる社会を創造することを目的とするものであり、このような重要な意義を有し、国民的な大事業である博覧会の開催に向けて、円滑な準備及び運営のための体制を早急に整えることが重要です。

 このことから、博覧会の準備及び運営を開催主体として適正かつ確実に行うことができる法人を国際園芸博覧会協会に指定するとともに、資金面、人材面での支援を始め所要の措置を講ずる必要があります。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、博覧会業務を適正かつ確実に行うことができる一般社団法人又は一般財団法人を国際園芸博覧会協会として指定し、監督上必要な命令等をすることができることとしております。

 第二に、国際園芸博覧会協会に対し、博覧会の準備又は運営に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができることとしております。

 第三に、国際園芸博覧会協会が博覧会の準備又は運営のために使用する施設の用に供される国有財産を、国際園芸博覧会協会に対し、無償で使用させることができることとしております。

 第四に、寄附金付郵便葉書等について、国際園芸博覧会協会が調達する博覧会の準備及び運営に必要な資金に充てることを寄附目的として発行することができることとしております。

 第五に、博覧会の準備及び運営を支援するため、国際園芸博覧会協会の要請に応じて国際園芸博覧会協会に国の職員を派遣することができることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.