衆議院

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第4号 令和4年3月23日(水曜日)

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令和四年三月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      笹川 博義君    田中 良生君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      根本 幸典君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    山下 貴司君

      和田 義明君    稲富 修二君

      枝野 幸男君    神津たけし君

      馬場 雄基君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    谷田川 元君

      渡辺  周君    池下  卓君

      高橋 英明君    山本 剛正君

      河西 宏一君    北側 一雄君

      古川 元久君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君    たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣

   国務大臣         斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  木村 典央君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 達雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   奥  達雄君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     榎本  剛君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    新居 泰人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  寺田 吉道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       市川 篤志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     山下 貴司君

  藤岡 隆雄君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  山下 貴司君     宮崎 政久君

  馬場 雄基君     藤岡 隆雄君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官寺田吉道君、大臣官房土地政策審議官市川篤志君、大臣官房技術審議官廣瀬昌由君、総合政策局長和田信貴君、不動産・建設経済局長長橋和久君、都市局長宇野善昌君、水管理・国土保全局長井上智夫君、道路局長村山一弥君、住宅局長淡野博久君、鉄道局長上原淳君、自動車局長秡川直也君、航空局長久保田雅晴君、観光庁長官和田浩一君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長木村典央君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、地方創生推進室次長黒田昌義君、総務省大臣官房審議官池田達雄君、外務省大臣官房参事官金井正彰君、財務省主計局次長奥達雄君、文化庁審議官榎本剛君及び中小企業庁次長新居泰人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻田義孝君。

櫻田委員 おはようございます。衆議院議員の櫻田義孝でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 質問に入る前に、まずは、先週、三月十六日夜に発生いたしました、東北地方を中心とする震度六強の地震により犠牲になられた皆様へ、心から哀悼の誠をささげたいと思います。現在でも困難な状況にあり、被災地の皆様へ、我々も一致結束して、全力で御支援をさせていただくことを一言申し上げたいと思います。

 まさに、平成二十三年の東日本大震災、平成二十八年の熊本震災におきましても、地域の皆様が力を合わせて地域の復興に尽力をされてきました。その中でも、インフラや住宅などの再建に主導的な役割を果たしてこられたのは建設職人、現場で働く皆様のお力によることが極めて大であります。

 私は、現在、衆議院議員として国政に従事をさせていただいておりますが、私は、元々は、私は国会議員の中で唯一、腕のいい大工職人であります。また、足場作業主任者としての資格を持つ根っからの職人であります。独立した若い頃は、現場で朝から晩まで働いておりました。こうした経験も踏まえ、今日は、建設職人の代表、全国三百五十万人の建設職人の一人として、仲間の声を代弁し、御質問させていただきたいと思います。

 私が若い職人として現場に出ていた頃には、弁当とけがは自分持ちといった風習がまだまだ色濃く残っておりました。さらには、中小零細の建設職人は、大手のゼネコンなどの圧倒的な優位な立場にある元請に対しては、ほとんど交渉力を持っておりませんでした。実際、現場で働く建設職人は、いつ彼らから仕事を切られても文句を言えないような極めて弱い立場にありました。

 私は、個人的な経験としても、また、現場にいた人間であるからこそ、そのような弱者である建設職人の立場を他の国会議員の皆様よりは、誰よりも理解していると自負しております。まさに私は、こうした問題意識から、五年前の平成二十八年末に超党派で建設職人基本法を議員立法で作ることができました。危険な現場での死亡事故などを撲滅し、現場の皆様の処遇を少しでも改善していきたい、官民格差の是正を果たしていきたいということが私の悲願であります。

 前置きが多少長くなりましたが……(発言する者あり)はい、ありがとうございます。本日は国交委員会ということで、特にこの法律に立って、運用上の焦点である建設キャリアアップシステム、いわゆるCCUSについてお伺いいたします。

 登録業者、登録技術者の現状と、CCUSを導入した趣旨は、建設技術者の処遇改善、若者の建設業への就職促進にあるとのことですが、その目的どおりに進んでいるでしょうか。よろしくお願いします。

長橋政府参考人 御質問ありがとうございます。お答え申し上げます。

 建設キャリアアップシステムの導入の目的は、先生も御指摘がありましたけれども、現場で働く建設技能者の資格、就業履歴を蓄積することで、建設技能者個人の技能と経験が客観的に評価されるようになり、それに応じた処遇がされること、また、そうした技能者を雇用し育成する企業が伸びていけるような建設業を目指すことです。

 現在、導入して三年になりますけれども、その普及状況につきましては、技能者登録数で約八十三万人、事業者の登録数で約十五万人事業者と、登録数は着実に推移しておりますが、今後は、登録促進の段階から現場利用の促進、さらに、先生も御指摘がありましたが、処遇改善等のメリットを実感していただけるような環境づくりへとつなげることが重要と考えてございます。

 具体的な取組としましては、能力評価のレベル等を手当に反映するような企業独自の取組がございますが、それを水平展開することですとか、あるいは、技能者の地位や能力に応じた労務費の見積りの提出とその尊重を要請するとともに、建設業の退職金制度との連携によって、CCUSで蓄積された就業履歴の情報が退職金の掛金に効率的に利用できる環境整備などを進めてございます。

 建設キャリアアップの活用によりまして、委員御指摘の建設技能者の処遇改善、若者の建設業への就業促進につなげていけるよう、引き続き業界団体と一丸になって取り組んでまいりたいと考えてございます。

櫻田委員 CCUSでは、基準に基づき、個々の職人を一律に四段階に格付し、賃金の目安が示されております。建設労働市場の賃金水準は、あくまでも民間の市場が決めるべきであり、国交省は大まかなガイドラインを示す程度の関与にとどめることが望ましいと考えておりますが、いかがでしょうか。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 建設キャリアアップシステムにおきましては、職種ごとに、業界団体によって設定された能力評価基準により、技能者の経験年数や資格に応じた能力評価が実施されております。

 国土交通省は能力評価基準の認定手続を担っているということで、私どもとしては、委員御指摘のような大きなガイドラインといいますか、枠組みを示しているという認識でございまして、あくまでも、各職種における能力評価基準の策定あるいはそれに基づく能力評価の実施は、現在、三十五の専門工事業団体において、各業界の実情を踏まえて行われるものでございます。賃金レベルにつきましても、七職種、十の団体の専門工事業団体によって、独自な作成、公表がされているところでございます。

 そうしたように、現在、能力評価制度につきましては、委員も御指摘のように、利用が進む中で、制度の在り方そのものに様々な御意見がございますので、私どもとしては、様々な機会を捉えて、業界関係者の事情や御意見を丁寧に伺いながら、それが適正に評価に反映されるような制度づくりに努めていきたいと考えております。

櫻田委員 今後、CCUSを進めるに当たっては、国交省だけで決めるのではなくて、国会のチェック、コントロールの下に置くべきと考えますが、いかがでしょうか。

長橋政府参考人 建設キャリアアップシステムの運営に当たりましては、現在、関係業界も、建設業関係だけではなくて、例えば発注者側の団体ですとか、あるいは行政側も、国交省だけでなく関係省庁、あるいは地方公共団体を含めた地方団体等を構成員としまして、官民一体となって連携して普及を進めるような体制を構築しているところでございますし、そうしたシステムの普及を進める中で、関係者から様々な御意見、御要望があるものと承知しております。

 今、委員御指摘のありました国会のチェック、コントロールという意味では、国会の先生方からもいろいろな御意見をいただいているところでございますし、この委員会の審議はもとより、委員が会長とかあるいは幹事長をされているような関係業界の議連の場などでも、このCCUSについて御意見、あるいは実情の御指摘をいただいているところでございます。

 私どもとしては、引き続き、これらを丁寧に伺った上で、それを踏まえて業界団体と議論し、制度の在り方に反映することを通じて、建設キャリアアップの本来の目的である技能者の処遇改善につながるよう努めてまいりたいと考えてございます。御指導よろしくお願いいたします。

櫻田委員 御説明ありがとうございます。

 現在でも、私が幹事長として超党派建設職人基本法フォローアップ会議を主催しておりますので、更に詳細については、この超党派議連の会議においても議論をさせていただければと思っております。

 それから、私が柏市議会議員時代の頃から、国道十六号については、大変な混雑、渋滞に困っております。特に、私の地元の千葉県北西部では、人口増加に伴い様々な道路建設が進んでおりますが、一向に渋滞の解消にはつながっておりません。また、先ほどから申しておりますように、大地震や台風などの災害発生時には、緊急車両の通行にも支障が出るおそれがあります。

 私は、この国道十六号、柏―千葉区間に、混雑解消と地域の産業育成の観点、そして防災機能、減災機能の付与という観点からも、千葉北西連絡道路の建設を強く訴えてまいりました。また、これを力強く進めたいと思っております。この道路の進捗状況と今後の方向性についてお伺いしたいと思います。

村山政府参考人 お答えします。

 千葉北西連絡道路は、千葉県の野田市から印西市を南北に結ぶ道路として計画をされております。この道路につきましては、国道十六号で発生をしております慢性的な渋滞の解消や、周辺に集積する商業施設や工業団地の物流効率化などの効果が期待され、重要な道路と認識しております。

 令和二年十月に、この道路の起終点や道路規格など計画の基本方針を策定することを目的としまして、国土交通省、千葉県等の関係自治体で構成される千葉北西連絡道路検討会を設置し、これまで二回開催をしたところであります。

 令和二年十月の第一回の検討会におきましては、千葉県北西地域における交通の課題でありますとか発展の可能性について整理を行ったところであります。令和三年八月の第二回の検討会におきましては、千葉県と関東地方整備局が策定をしました新広域道路交通計画におきます千葉北西連絡道路の位置づけを確認し、この道路に求められる機能について検討会で整理を進めていくことを確認をしております。

 今後、この検討会におきまして、千葉北西連絡道路の起終点、接続する道路、整備によって期待される機能や効果などの基本方針について取りまとめを行う予定であります。

 国土交通省としましては、引き続き、関係自治体と連携をしまして、千葉北西連絡道路の計画が進みますよう、しっかりと取り組んでまいります。

櫻田委員 次に、東京から茨城に通ずるつくばエクスプレスについてお伺いをいたします。

 この路線は、平成十七年に開業以来、沿線人口は急激な伸びを見せております。私の隣の選挙区の流山市などは、駅周辺にマンションが林立し、茨城県からも通勤、通学客が年々増加をしております。

 現在、この鉄道では六両車両が基本であるところから、運営会社も、混雑解消の観点から、八両編成の計画を打ち出しております。現在、一部の駅では八両化に向けたホーム延伸工事が開始されておりますが、工事時間が夜間に限られるなどで、工事の進捗もスローであるように思えてなりません。進捗状況についてお伺いいたします。

上原政府参考人 お答えいたします。

 つくばエクスプレス八両編成化事業につきましては、事業主体であります首都圏新都市鉄道株式会社におきまして、二〇一九年五月に事業実施を決定し、公表されました。現在、二〇三〇年代前半の八両編成車両の運行開始に向けまして、必要な設備関係工事等に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、先月、浅草駅、南千住駅のホーム延伸に係る土木建築工事が完了しております。来年度、青井駅、六町駅の土木建築工事に着手する予定と聞いております。

 委員御指摘のとおり、工事の作業時間が限られた時間となることや、作業スペースが限定されるなど、工事の物理的制約がこの事業についてはあると聞いております。

 国土交通省といたしましても、同事業の円滑な進捗が図られるように、鉄道事業者より具体的な相談をいただいた際には、技術的助言を含めて、しっかりと対応いたします。

櫻田委員 ありがとうございます。

 今後、国交省におかれましては、東京、埼玉、千葉、茨城の各自治体、そして運営会社に対しても、緊密な連絡、プッシュ型情報発信や適宜の指導を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、つくばエクスプレスについて、もう一問お伺いいたします。

 平成二十八年四月に公表された国の交通政策審議会答申などでも、つくばエクスプレスの東京延伸について可能性が指摘されております。現状の方向につきまして、何かございましたら、お教えいただきたいと思っております。

上原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の答申でも指摘されておりますが、この事業は都心での事業となるために、関係地方公共団体、鉄道事業者等におきまして、導入空間に関わる事業費等を踏まえた事業計画等を十分に検討されることが重要であるとされております。このため、自治体、事業者を始めとする関係者が連携して、需要の見通しや収支採算性、事業スキームなど、具体的な事業計画の検討を行うことが必要となっております。

 国土交通省といたしましても、こうした検討状況を踏まえながら、制度面や技術面の観点から必要な協力や助言を行ってまいりたいと考えております。

櫻田委員 ありがとうございます。

 この計画は、首都圏の今後の発展のために、大いに期待が持てるプランであると思います。是非、継続的に検討をいただきたく思います。

 では、時間でありますので、私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございます。

中根委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 私からも、三月十六日午後十一時半過ぎ、福島県沖を震源とする地震が発生をし、福島県と宮城県の一部で震度六強が観測をされ、死者と多数の負傷者が出ております。亡くなられた方の御冥福を祈り、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 宮城県内十八市町村での断水も解消しつつあると聞いております。迅速な対応に心より感謝をいたしますとともに、生活に直結する災害復旧へ向けて、国交省を始めとする政府関係者のきめ細かな取組を引き続きお願いをしたいと思います。我々も現場の声をしっかり届けてまいります。

 また、岸田総理は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた原油価格高騰への追加対策をさきに表明されまして、ガソリン価格の上昇を抑えるための石油元売への補助金を、当時の一リットル当たり五円から二十五円に上限を引き上げ、三月十日から適用をしていただいております。

 さらに、首相は、原油価格が上昇した場合について、あらゆる選択肢を排除することなく、政府全体で検討し、追加の対策も準備しておくとおっしゃっていただいております。

 さきの国土交通委員会でも、私の質疑に対して渡辺副大臣からは、「トラック運送や内航海運について、燃料の価格上昇分が適正に運賃に反映されるよう、荷主企業等に対する理解と協力の呼びかけや、不当な運賃の据置き等に対する、法律に基づく働きかけなどの必要な対応を適切に行ってまいります。」と答弁をいただいております。

 そこで、一つ目の質問ですけれども、三月九日の質疑に際して今のような渡辺副大臣から答弁をいただいております、燃料の価格上昇分の適正な運賃への反映に向けての現時点の取組を、御答弁をお願いいたします。

寺田政府参考人 お答えをいたします。

 今般の燃料価格の高騰によりまして、物流事業者に影響が生じているところでございます。燃料の価格の上昇分について御指摘ございましたけれども、適正に運賃に反映させることが重要であるというふうに考えてございます。

 このため、国土交通省から荷主団体に対して、標準的な運賃や燃料サーチャージの導入などによって、燃料の価格上昇分が適正に運賃に反映されるよう要請を行っているところでございます。

 また、国土交通省の本省あるいは地方運輸局などに相談窓口を設置しております。トラック事業者あるいは内航海運事業者の方々からの個別の相談にも応じているところでございます。

 さらに、あわせて、トラックの運賃の不当な据置きにつきましては、貨物自動車運送事業法に基づく荷主への勧告、公表などの対象となることについても周知を図っておりまして、荷主への働きかけなど必要な対応を行っております。

 また、本年四月からは、もう来週になりますが、内航海運業についても同様の勧告、公表などの制度を施行することとしております。この点につきましても周知を図っているところでございます。

 引き続き、こうした取組を行い、燃料価格上昇分の適正な運賃への反映を進めてまいりたいと考えてございます。

伊藤(渉)委員 我々も現場を回っておりますと、もう御存じのとおり、運輸、物流業界も下請構造がありまして、やはり小さいところになればなるほどなかなか厳しい状況に置かれているのと、今答弁でおっしゃっていただいたとおり、相談窓口は確かにあるんですけれども、なかなかそういうところが、国土交通省という行政機関に相談をするというのは非常にやはり敷居が高い。これは事業者の方がそう思ってしまっているというのもあると思うんですけれども、それは当然のことながら取引があるものですから、そういうことをしたら何か影響が及ぶのではないかと心配もなされているので、そういうことはないようにしていただいていると思いますので、繰り返し繰り返し、そうしたことの発信もお願いをしたいというふうに思います。

 さらに、まさに我々、この国土交通委員会所属の議員の皆さんで力を合わせて、平成三十年には、貨物自動車運送事業法の改正によって、事業者の規制の適正化と遵守事項を明確化をして、あわせて、運賃の適正化への取組として標準的な運賃の告示制度を導入し、令和二年四月にこの告示がなされております。

 これについてお伺いします。

 標準的な運賃の告示など、運賃の適正化への取組の現時点の取組状況、これは、運賃告示しまして約款を改定して、現場は動いているんですけれども、それが実際のフィーに反映されているかどうかというのが極めて重要なものですから、その辺の取組状況についてお伺いします。

秡川政府参考人 トラックの適正な運賃収受のために、標準的な運賃の制度というのは、人件費とか車両費、燃料費など、事業経営に必要なコストを適正に収受するために、非常に重要な施策だというふうに考えております。現時点、本年の二月末の時点で、その届出率は四五%ということになっております。

 これは、制度の目的であります、自分の会社の経営状況やコストの構造をきちっと分析する、それに基づいて荷主さんと運賃の交渉をするということが一定程度進んでいるのではないかというふうに評価しております。

伊藤(渉)委員 まさに局長が御答弁いただいたとおり、一定程度進んでおります。それは現場でも確認できます。

 一方で、四五%ですから、まだまだ道半ばといいますか、これはきちっとやっていくことが極めて重要で、それは取りも直さず、政府を挙げて、賃金の向上ということを我々は目的として取組を進めているわけですから、企業として売上げである収入がきちっと得られなければ賃金が上昇するはずがありませんので、そういう大きな目的に立っての取組でありますので、引き続きの御努力をお願いをしたいと思います。

 これらを踏まえまして、目下の原油高騰は先行きの見通しが立ちにくい中でございます。そういう意味で、この高騰が長期化をしていくことも視野に入れて、怠りなく準備をしていく必要があると思いますけれども、そうした対応につきまして、今日現在、現時点での国土交通大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。

斉藤国務大臣 原油価格高騰に対しまして、国土交通省としては、資源エネルギー庁が基本、対策をやっているわけですが、それから外れている、例えばタクシー事業者に対して、LPガスは対象に入っておりませんでしたので、それに対しての支援とか、それから、離島航空路、これも対象に入っておりませんでしたので、そういうところに個別に対応するということをやってまいりました。

 それから、最も重要な仕事として、先ほど委員から御指摘もありましたし、政府参考人からもお答えさせていただきましたが、トラック運送や内航海運について、燃料の価格上昇分が適正に運賃に反映されるよう、これからもしっかり取組を進めていきたいと思っておりまして、こういう取組を着実に進めることで、国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えていきたいと思っております。

 今後、原油価格の高騰が長期化した場合については、これはもう政府全体でしっかりと検討し、対応していかなければならない、政府全体として取り組んでいきたいと思っております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今、大臣にも触れていただきましたとおり、離島そして航空路、これも極めて重要でございまして、今、私の向かって右隣にみえます伊藤忠彦先生、同じ愛知県、地元ですけれども、選挙区内に離島が二つございます。そこも、まさに我々地元の皆さんの努力で、国土交通省のお力もかりながら、離島航路のサポートを今させていただいておりますことも、この場をおかりして感謝申し上げたいと思います。

 少し話題を変えまして、この原油高騰の影響というところがいろいろなところに及んでおります。これは、道路の舗装材のアスファルト、この値上がりが大変懸念をされております。原料となる原油の相場急騰でコスト増となったことが影響しております。また、空港関連などの需要が堅調な一方で、新型コロナウイルス禍による国内のアスファルトの生産減、あるいは韓国からの輸入減も価格を押し上げていると経済紙などには書かれているところでございます。四月は更に値上がりをする見通しと、少し古い情報ですけれども言われておりまして、いわゆる道路工事、またアスファルトに関わる関係者の皆様からは、大変御心配と、この対策について御要望をいただいているところでございます。

 早急な対応をしていかなければならないと考えておりますけれども、現状認識及びそれに対する対策の検討状況、お伺いをしておきたいと思います。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原油の高騰によって、ストレートアスファルトの価格が、昨年三月では一トン当たり六万九千円でしたけれども、本年三月には九万七千円まで上がっておりまして、そのストレートアスファルトを原料とするアスファルト合材についても、これは地域差はありますけれども、価格の上昇が見られるといったことでございます。

 アスファルト合材など建設資材の価格上昇につきましては、直轄工事では適切な対応はもちろんしておりますが、地方公共団体発注工事においても、建設工事標準請負約款の第二十六条の規定、いわゆるスライド条項の適切な運用等によって、設計変更の実施など必要な対応を行うよう今求めているところでございます。

 また、昨年十二月には、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化パッケージが取りまとめられまして、それを受けまして、適切な請負代金の設定あるいは契約後の状況に応じた契約変更について、国土交通大臣から民間の発注者団体に対しても直接要請を行ったほか、公共、民間の発注者、建設業団体に対して、国土交通省からも文書で周知徹底を図っているところです。

 また、現在、元下間の契約を対象に実施しているモニタリング調査につきましても、来年度は受発注者間にも対象を広げまして、必要に応じて発注者に対しても注意喚起を行っていくことを検討してまいりたいと考えております。

 引き続き、価格転嫁等が適切に行われるよう、必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今答弁で触れていただいたスライド条項、かねてから各自治体にも通知をしていただいておりまして、その努力には感謝を申し上げたいと思います。

 一方で、当然、例えば年度途中で価格を改定するためには、そのための予算も必要ですし、またこの委員会で時間があればここも掘り下げていきたいと思いますけれども、スライド条項を実際に適用するには、全体の工事費に占める価格変動の割合とか、少し私もまだ勉強中ではっきり理解できておりませんけれども、そういったところで、例えば鉄なんかも上がっていますね。これは何かスライド条項にひっかかってこないという話も聞いたりいたします。

 その辺りのことも含めて、いわゆるコスト増のしわ寄せが実際に仕事をされている方になされないように努めていかなきゃならないと私は思っておりますので、引き続きの取組をお願いをしたいと思います。

 残り二分ですので、最後の質問、これは内閣府にお伺いをいたします。

 先ほど離島航路のお話も出ましたけれども、国交省だけの持っている予算で対応し切れないところは、地方創生臨時交付金、これを使って各自治体が様々な形でサポートをしていただいています。これは、地域の公共交通しかり、タクシー事業しかり、今出てきた離島航路など、市民、県民の足を支えるために幅広く活用をされております。

 これから、いわゆるロシアのウクライナ侵攻による経済への影響に対して、経済対策ということも考えていくことになると思いますけれども、この地方創生臨時交付金の活用など、また将来、補正ということが視野に入ってきたら、増額など早急な検討が必要だと考えますけれども、現段階の見解について内閣府にお伺いをしておきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応臨時交付金につきましては、令和三年度の補正予算におきまして、地方単独事業分といたしまして一・二兆円を確保いたしまして、このうち一兆円分につきましては、自治体に交付限度額を通知をいたしまして、感染防止対策であるとか、事業継続に困っていらっしゃる地域公共交通事業者への支援など、地域の実情に応じた対応策を現在講じていただいているところでございます。

 現在、各自治体から実施計画が提出をされまして、近々交付される予定でございまして、各自治体の円滑な執行を支援してまいりたいというふうに考えております。

 現時点ではございますが、今後の感染状況に応じまして追加的に対応するための予算といたしまして、この一・二兆円のうちの二千億円、これを留保をしております。引き続き、感染状況や各自治体の執行状況などをしっかりと注視をしてまいりたいと考えております。

 今後とも、感染状況に応じて、各自治体が財政上の不安なく切れ目ない対応ができるように、しっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 今、ウクライナ侵攻、コロナ、様々な経済のマイナス要因が重なっておりますので、政府としてしっかりサポートいただくことをお願いして、質問を終わります。

中根委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今日は、地元の課題を踏まえながら、国交省の考え方をお伺いをして、全国的な課題の解決にも資してまいりたい、そのように思っています。

 時間が限られておりますので、早速質問に入ります。斉藤大臣始め答弁者は簡潔にお答えをお願いいたします。

 まず、社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速、拡大についてであります。

 一つ目は、地元日光市の鬼怒川温泉街の再生についてであります。

 資料を御覧いただきたいと思います。これが、廃ホテルが並んでいる状況でございます。これは四館並んでいます。このほか離れてもう一館ありますので、五館、実はこの道路沿いにあるわけですが、現状と課題を見ると、まず、県管理の国道百二十一号線沿いに廃ホテル等が複数建っております。廃ホテル等の北側は国道百二十一号線で、高台には東武鉄道が走っています。南側は鬼怒川渓谷となっており、ホテルは崖地に建っています。旧藤原町時代に都市計画道路として決定しておりますが、手つかずのままとなっています。

 日光市は、所有者不明の土地と建物に毎年固定資産税を賦課しておりますが、年度末には償却処分せざるを得なくなっております。

 これらの廃ホテルをきれいにするようにと市民やマスコミにも指摘されておりますけれども、取壊し費用や都市計画街路、遊歩道の整備などの費用が巨額になることが見込まれ、県や国の応援なしには実現できない状況となっています。日光市は、当面、侵入防止への応急措置で対応することとしております。

 そこで、解決の方向なんですが、私は、市が、歩きたくなる温泉街づくりの地域計画を策定し、国の、宿泊施設を核とした観光地の再生、高付加価値事業に取り組むとともに、県と国に都市計画街路と遊歩道の整備をお願いする。そのためには、市も廃ホテルの取壊し費用を捻出する必要があると考えましたので、以下、質問をいたします。

 第一点、宿泊施設を核とした観光地の再生、高付加価値事業の、廃ホテルの撤去支援についてであります。

 観光庁はすばらしい事業を始めてくれましたが、鬼怒川のように、渓谷の崖地に立っている跡地の利用が非常に難しくなっております。観光地魅力向上のための廃屋撤去で景観がよくなれば、例えば桜や紅葉で修景するなど、それでもよいと認められるかどうか、観光庁長官にお伺いをいたします。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事業でございますけれども、観光地再生、高付加価値化を支援するため、昨年十一月の経済対策において、約一千億円の予算を措置したものでございます。

 本事業では、宿泊施設や観光施設の改修等による高付加価値化と併せて、観光地の面的再生を図るものです。そのため、地域に所在する廃屋の撤去を行う場合には、跡地を観光目的に活用することを条件に、その撤去費用への支援を行うこととしております。

 この跡地の活用につきましては、あくまでも観光地としての再生につながるものであることが必要でありますけれども、例えば、観光目的で行われる道路の拡幅や遊歩道整備なども含めて対象としているところでございます。

 また、本事業では、採択地域に専門家を派遣し、観光地の再生のために必要となる地域の合意形成づくりも支援することとしております。跡地の活用方策の検討に当たっては、この専門家による支援を受けることも可能となっており、本事業の活用が進むことを期待しております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、そこで第二点ですが、観光庁の事業で廃屋撤去費用上限は一億円になっておりますが、より重点的な支援が必要です。

 地域計画は自治体やDMO等の地域を代表する団体が取りまとめて作成するとしておりますけれども、県管理の国道とはいえ、県が取り組んでいただかなければ、地元自治体が取り組まなければ、廃屋はいつになっても撤去されません。

 仮に、地元の市町村が取り組む場合には、撤去費の補助上限額を増額するようなことが検討されるかどうか、お伺いをいたします。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、本事業についてでありますが、観光地の面的再生を実現する観点から、地域に所在する廃屋の撤去費用について、最大一億円の支援を行うこととしたものでございます。

 本事業は、限られた予算の範囲内でより多くの観光地再生を支援するため、支援額に上限を設定しております。

 一方で、御指摘のような費用面での課題があることも承知をしておりますけれども、実際の事業を実施する過程で、観光地の再生事業に精通した専門家のアドバイスを受けつつ、各地域の御事情又は実情なども伺いながら、観光地の再生に取り組んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 なぜそんな質問をしたかと申し上げますと、この後の質問で申し上げるんですが、実は、地元の大学に試算してもらったところ、一つのホテルを壊すのに十億円もかかるというんですね、概算。そうすると、五つもありますから、これはとてもとても、財源的に不可能な数字ということになってまいります。

 そこで、第三点ですけれども、ふるさと納税に伴う寄附金により廃ホテルの撤去費用を集めた場合、その寄附金は地方交付税の基準財政収入額に算定されるのかであります。

 今申し上げたように、日光市が地元の大学に試算してもらったら、一ホテル当たり約十億円もかかるとのことです。これでは手も足も出ません。関東の奥座敷、鬼怒川温泉の再生と高付加価値プランを実現するためには、財源は、今のところ、ふるさと納税により寄附金を集めるほかはありません。

 そこで、ふるさと納税による寄附金は地方交付税の基準財政収入額に算定されるのかどうか、お伺いしたいと思っておりますが、特に、最近では特別交付税の減額というような裁判も起こされている状況でありますので、どんなふうにそれが影響があるのか、是非総務省の考え方をお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方交付税の算定におきまして、基準財政収入額は地方税法等に基づく標準的な地方税及び地方譲与税収入額を算定するものでございまして、個人、法人が任意に支出する寄附金を算入対象とすることは制度上なじみにくいものと考えております。

 したがいまして、ふるさと納税による寄附金については、基準財政収入額には算入しておりません。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、そういったところで、今のところ捕らぬタヌキの皮算用でありますけれども、日光市がふるさと納税で宿泊旅行券を引換券としたところ、実はふるさと納税の金額が倍増したというようなこともございますので、これはもしかするとやりがいがあるのかな、こう思っております。全国の温泉地の再生のモデルとなるように、日光市に是非お勧めをしていきたいな、こう思っております。

 それでは次に、二つ目でありますが、住宅、建築物の省エネ対策と再生可能エネルギー活用及び木材利用の促進についてであります。

 住宅、建築物は、造り方一つでカーボンニュートラルに大いに貢献することができます。

 その一つが、省エネ対策。省エネ対策では、断熱材のほか、遮熱材という材料も最近出てきてまいりまして、これらを併用するということも非常に大きな力を発揮すると思っています。

 その二つが、再生可能エネルギーと蓄電池の活用であります。再生可能エネルギーでは、やはり何といっても、自家消費型の太陽光発電、これを普及するのが一番だと思っておりますが、同時に今、自動車もまさに電気自動車となってきておりまして、蓄電池の開発も盛んになっているようでありますので、蓄電池と再生可能エネルギーを併用することによって、しかも自家消費型でやっていくということが相当、カーボンニュートラルに大いに貢献すると思っています。

 それから、その三つが、やはり木造化、木質化の推進であります。CO2吸収源の森として期待されている森林でありますが、戦後植栽をした森林が今、伐期を迎えております。

 そういったことから、住宅、建築物を造るに当たって、国交省が進めております省エネ対策と再生可能エネルギー活用及び木材利用の促進、これは非常に重要な事業だと思っておりますが、どのように進めていこうとしているのか、お伺いをいたします。住宅局長、お願いをいたします。

淡野政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅・建築物分野におけます省エネ対策の強化や、自家消費型の太陽光発電設備などの再生可能エネルギーの活用、木材利用の促進を図ることは、重要な課題であると認識しております。

 まず、省エネ対策の強化につきましては、二〇二五年度の省エネ基準の全面適合義務化、二〇三〇年度以降新築される住宅、建築物におけますZEH、ZEB水準の省エネ性能の確保などの目標の実現に向け、制度の見直しなどに取り組むこととしております。

 次に、再生可能エネルギーの活用につきましては、経済産業省及び環境省との連携によるZEH、ZEB等に対する財政支援の実施、自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池を導入する取組に対する関係省庁や地方公共団体と連携した支援、太陽光発電設備等を導入した認定低炭素建築物に対する住宅ローン減税における借入限度額の上乗せ措置の適用などを通じ、その活用を促進することとしてございます。

 さらに、木材利用の促進につきましては、防火関連規制の合理化等を推進するとともに、中高層あるいは先導的な木造建築の整備に対する支援などの措置を講じてまいります。

 今後とも、関係省庁と連携を図りつつ、住宅・建築物分野の省エネ対策の強化や再生可能エネルギーの活用、木材利用の促進に取り組んでまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 ZEHは珍しく、国交省と環境省と経産省、三省連携でやっているということで、すばらしい事業なので、大いに頑張ってほしいと思っています。

 次に、国民の安全、安心の確保についてであります。

 一つ目は、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策について大臣にお伺いいたします。

 第一点は、大臣は所信表明の中で球磨川の現地調査をしてきたということでありますが、何を感じ、何を考えたのか、大臣の率直なお考えをお伺いできればと思います。

斉藤国務大臣 率直な感想ということでございますので、率直に申し述べさせていただきますと、私、島根県の江の川沿いに生まれ育ちました。よく似ているなと。つまり、江の川というのは、広島県の北部、広い大きな盆地があって、そこで大きな川が四つ、三次というところで集まって、それから狭窄部に入っていって、大きな被害はその狭窄部で出る、またその入口で出る。

 今回の球磨川水系も、球磨川と川辺川がいわゆる人吉盆地から水を集めて狭窄部に入っていく。私は、人吉、八代市から、いわゆる河口からずっと上っていきましたけれども、その狭窄部での水位の高さ、被害の大きさ、肥薩線の被害の大きさ等々を本当に実感をいたしましたし、また、私が子供の頃体験した被害と同じような体験だなというのを実感をしたところでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 そこで、第二点でありますが、球磨川の流域治水をどのように進めるかについてであります。

 国交省から資料、球磨川水系流域治水プロジェクト取りまとめ、これをいただきましたが、これを見ると、非常によくできていると私は思います。氾濫をできるだけ防ぐ、減らすための対策、被害対象を減少させるための対策、それから被害の軽減、早期復旧、復興のための対策、非常によくできているんですが、私は一つ物足りないと感じているんですが、大臣、何か感じますか。これでオーケーと思いますか。

斉藤国務大臣 今回の球磨川の流域治水プロジェクトは、昨年成立した流域治水のための法律の、ある意味では最初の一番大きな試みということで、まだまだ足らないところはあるかもしれませんけれども、国土交通省が全力を挙げて、また地域の皆さんと、県それから市町の皆さんと一緒につくり上げたものでございます。そういう自負はございます。

福田(昭)委員 実は私は、先ほど大臣からお話ありましたように、人吉、球磨盆地が急峻な山々に囲まれたすり鉢状の地形、そして複数の急流支川が流れ込み、さらに盆地の下流側が山間狭窄部となり、豪雨時には水位が上昇しやすいという流域の特徴を踏まえと、先ほどの広島の三次の件も話がありましたけれども、私もここを訪れたことがありまして、多分、この対策を取るためには、江戸幕府が利根川を江戸湾から銚子沖に持っていきました、こういう大規模な、例えば球磨川の大放水路を海に向けて抜かす、あるいは第二球磨川を造る、そのようなことをやらないと、私はここに水がたまっちゃうんじゃないかというふうに思っております。この三つの政策はこれですばらしい政策なんですけれども、私はこれだけでは無理なんじゃないかなと思っておりまして、これは答えは要りませんけれども、是非、大放水路を造ることも検討した方がいいんじゃないかなということを申し上げたいと思います。

 それで、次の質問に入ります。次の質問でありますが、二つ目は、盛土による災害防止等についてであります。

 第一点は、建設残土の処分先の確保は誰の責任なのか。発注者か、元請業者なのか。

 熱海で悲惨な事故が起きましたが、あの土砂はどこから持ってきたのか、多分分からないのではないでしょうか。処分先を発注者が事前に決めておく指定処分とせずに、自由処分となると、まさにどこに捨てられるか分からなくなっているというのが現状なのではないでしょうか。

 そして、第二点、続けてお伺いしますが、国又は地方公共団体の発注する工事の残土の処分場は、国又は地方自治体が確保するのか、併せてお伺いをいたします。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、建設発生土の処分先の確保についてという点でございますけれども、建設発生土の搬出先は、建設工事の契約によって、発注者が自ら選定する場合と、受注者、いわゆる元請に任される場合とがございます。

 建設現場から搬出される建設発生土の約八割を占める公共工事では、先生も先ほど御案内のとおり、発注者が工事の発注段階で搬出先を指定する指定利用等の取組を進めてきてございます。昨年末に内閣府に置かれた有識者会議の提言でも、その指定利用の取組を更に徹底していくことが重要とされたところでございます。

 また、民間工事では、建設発生土の搬出先の選定を受注者、いわゆる元請に任されることが一般的でございますが、先ほどの提言でも、発注者が必要な費用は適切に負担するといったことと、また、同じ発注者でも、継続的に大規模な建設工事を発注している民間の発注者は公共工事と同様に指定利用等の取組を実施することや、あるいは、それが困難な場合でも元請業者により適正に処理がされることを確認するといったこと、発注者としてこれまで以上の積極的な役割を果たすことが期待されるという提言をいただいてございます。

 国土交通省としては、元請業者が搬出先を選定する場合であっても、適正な費用負担など発注者の果たすべき役割は非常に重要だと考えておりますので、周知に努めていきたいと考えております。

和田(信)政府参考人 失礼します。二つ目の御質問にお答えさせていただきます。

 公共工事の建設現場から発生する建設発生土につきましては、公共工事の発注者が同一現場内で有効利用するなど、可能な限り発生抑制に努めるとともに、工事間での有効利用等について対応すべきものと考えております。

 その上で、有効利用がなされなかった建設発生土については、国や地方公共団体が公共工事の発注者として、発注段階で受入先を指定し、適正処理に必要な費用を適切に負担するということが重要と考えております。

 また、この指定利用等についての考え方は、先ほど不動産・建設経済局長が申し上げましたとおり、内閣府の提言の中でも出て、示されているところであります。

 関係府省におきましては、この提言を最大限尊重し、その施策を速やかに具体化することにしておりまして、国土交通省としましても、関係府省と連携して、公共工事における指定利用等の取組を徹底していくとともに、公共工事の入札、契約の適正化の観点も踏まえて、適切な費用負担の徹底に取り組んでまいります。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 国は指定処分が九九%だと。都道府県八八%、政令市七七%、政令市を除く市区町村が六九%にとどまっており、対策の甘さが目立つと指摘されておりますが、しかし、実際、市町村においては、他の市町村や県外から持ち込まれることが多く、困っているというのが実情ではないでしょうか。

 そういう自治体間をまたぐ土砂の処分、こういったことについても目を光らせないと、なかなかうまいこといかないんじゃないかなと思っていますので、今後、法案をこれから作るに当たっては、この点も是非お考えいただきたい、こう思っております。

 次、第三点でありますが、済みません、第三点と四点を逆にやって、第四点の方から先に行きますが、既存の埋立地の安全対策も指示できるように考えているのか、お伺いしたいと思っています。

 私の地元日光市でも、茨城県の業者が、地元の皆さんの反対にもかかわらず市の許可を取ったとして、大量の土砂を河川沿いの森林伐採跡地に埋め立ててしまいました。その後、市の調査で虚偽の搬出届が判明し、市が行政処分をいたしましたが、不服審査請求が提出され、事後処理ができないような状況となっています。近くの河川に土砂が流れ出せば、実は市の上水道の取水口にも当たるので、地元の人たちが大変不安を感じておりますが、しかし、今のところ、安全対策が必要なのにできない、そういう状況になっております。

 そうした既存の埋立地の安全対策にもしっかりとした指示ができるのかどうか、できるように考えているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、静岡県熱海市で大規模な土石流災害が発生したことを踏まえ、危険な盛土を包括的に規制するため、これまで規制をかけることができなかった地域も含めて、土地の用途にかかわらず盛土行為を許可制とすること等を内容とする、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案を今国会に提出したところでございます。

 この改正法案におきましては、都道府県知事等が、盛土の崩落により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定することとしており、この規制区域内の既存の盛土につきましては、規制区域を指定する前に行われたものも含め、災害防止のため必要なときは、土地所有者や行為者等に対し、擁壁や排水施設の設置等の是正措置を命令することができることとしております。

福田(昭)委員 是非、そうした際に、こうした悪い業者は、例えば会社を、名前を変えてしまったり、一旦会社を廃業してまたもう一回会社をつくるとか、そういったことを繰り返したりしておりますので、これはちゃんと、それこそ、その当時の会社をしっかり確認をして対応していくということも必要になっていくんじゃないかなと思っていますので、その点も是非考えていただければと思っております。

 それから次、第四点は、先ほどちょっと前後させましたけれども、適正な処理費用が末端で働くダンプ労働者まで支払われるようになるのかということであります。

 末端で働くダンプ労働者にまともな処理費用が支払われなければ、やはり過重積載とか不法投棄、そういったことにつながっていくということになりますので、是非その辺も目配りができるような法の制定が必要じゃないかなと思っていますが、その点についてお伺いをいたします。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員まさに御指摘のとおりでございまして、建設発生土の運搬、処理を行うのは、下請に入っている土工業者の方が一般的だと思いますが、それが適正に処理されるためには、建設工事の受発注者間及び元下間、元請、下請間の契約において、適正な、必要な処理費用が適切に支払われるといったことが重要だと考えてございます。

 まず、受発注者間の契約では、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、年末の有識者の提言におきましても、発注者が契約締結時に適切な費用負担をすることと、あるいは、予期せぬ費用増が生じた場合に受注者との協議を改めて要請すべしということとされたわけでございますので、今般、この旨をガイドライン等に明確化して、受発注者間に対して様々な機会を捉えて周知していきたいと思います。

 元下間の契約につきましては、従来からも契約の適正化ということを指導しておりますけれども、改めて、今回の建設発生土についての処理につきましても、契約が適正化されて支払われるように指導を徹底してまいりたいと思います。駆け込みホットラインのような通報窓口も活用して、実態がよく把握できるように努めてまいりたいと考えてございます。

福田(昭)委員 是非、そうしないと、本当にいつになっても、法律ができてもうまくいかないということもありますので、よろしくお願いしたいと思っています。

 次に、豊かで活力ある地方づくりと分散型の国づくりについてであります。

 一つ目は、戦略的、計画的な社会資本整備とその効果についてであります。

 我が国の持続可能な経済成長を確実なものとするため、高速道路、国際戦略港湾、新幹線、空港などストック効果の高い社会資本整備を戦略的、計画的に推進するとしておりますが、その効果はどのようなものを期待しているのか、お伺いをいたします。

和田(信)政府参考人 社会資本整備には、その整備の時点で、雇用を誘発し民間消費を拡大するなどのフロー効果により景気を下支えするとともに、その社会資本が管理そして利用される段階においては、例えば高速道路を整備することで、移動時間の短縮などにより経済活動の生産性を向上させ、経済成長をもたらすなどのストック効果を発揮いたします。

 このような経済成長の基盤整備や持続可能で暮らしやすい地域社会づくりなどを進めるため、昨年五月に、社会資本整備の基本的な方向性を示す第五次社会資本整備重点計画を決定しております。

 本計画に基づいて、中長期的な視点に立ちまして、必要な予算を確保しつつ、戦略的かつ計画的な社会資本整備を進めていきたいと考えてございます。

福田(昭)委員 私も、社会資本の整備、また効果というのは非常に大きいと思っていますが、特に日本の政府が、やはり政府というか大蔵省、財務省中心なんですかね、緊縮財政を続け過ぎてきたということが、大きな、日本の経済が駄目になった理由にもなっているかなと思っております。

 そういった意味では、社会資本の、公共事業の乗数効果が大きいということを、実はもっと大きく国交省は主張してもいいんじゃないかと思っております。まさに、歳入を確保することと、歳出も、いかに効果的な歳出をすることが財政の健全化に役立つと思っておりますが、そういう意味では、まさに社会資本整備が乗数効果も生み出して、実は、投じた費用が五年をたつと大体元に戻るという乗数効果の理論がありますけれども、私は、社会資本整備の大きな効果として、財政健全化の一助にも役立つんだということをもっと主張してもいいんじゃないかなと思っていますので、今後、是非検討していただければと思います。

 二つ目は、所有者不明の土地政策と空き家政策による、負の遺産の中長期的な整理計画の策定についてであります。

 我が国は、残念ながら、二〇〇八年から人口減少時代に入っています。東京一極集中に代表されるように、都市化もどんどん進んでいます。そうした中で、空き家も所有者不明の土地も増加の一方であります。

 仮に、所有者不明の土地と、今後できる法案でありますが、空き家の代執行の権限が市町村に任された場合、その処分にとても資金が必要となります。基本は所有者の責任でありますけれども、しかし、所有者が不明であったり、あるいは、今の若い人たちは、山は要りません、田んぼ、畑は要りません、自分が使えないような土地は要りません、こういう若い人たちが増えてきております。そんなことを考えると、あとは行政が何とかしなければならない時代がすぐそこに来るのではないでしょうか。そのためには、二〇三〇年ぐらいを見据えた、そうした負の遺産の中長期的な整理計画を作る必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。

中山副大臣 先生のおっしゃるとおり、人口減少、少子高齢化が進む中、所有者不明の土地と空き家に関する問題は我が国の喫緊の課題となっており、それらへの対応が強く求められているところでございます。

 これらの問題は、一体的な対応が必要とされる場面が想定される、また、建物を除却した後の跡地の適正な利用、管理が必要、そういった観点から、互いに密接に関係する問題であると考えております。

 この点、まず、所有者不明の土地については、今国会に所有者不明土地法の改正案を提出し、老朽化した空き家等が存する所有者不明土地についても、公益性の高い事業に利活用できることとする地域福利増進事業等の対象とすることや、市町村長が所有者不明土地管理命令等を裁判所に請求する際に、併せて建物の管理命令を請求することを可能とすること等の内容を盛り込んでいるところでございます。

 改正後の運用段階においても、所有者不明土地法に基づく基本方針において、市町村による各制度の活用に当たり、いわゆる空き家法に基づく対策と連携して取り組むべき旨を明確化することとしております。

 また、所有者不明の空き家については、国として、昨年三月に策定した住生活基本計画等に基づき対策を推進するとともに、昨年六月に改正した空き家法の基本方針において、所有者不明土地対策と連携した形での空き家の跡地の活用について位置づけております。

 市町村においては、当該基本方針に即して空家等対策計画を策定し、当該計画に基づき取組を進めております。

 こうした空き家等の除却や活用に取り組む市町村に対し、空き家対策総合支援事業等により支援しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、土地政策と住宅政策との連携をこれまで以上にしっかりと図りながら、所有者不明の土地と空き家に関する問題に対し、計画的かつ着実に取り組んでまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 今の政策では、多分、補助金も大したことないと思っておりますので、そういった意味では、やはり、西ドイツが東ドイツと一緒になったときに、東ドイツの劣悪な家屋や社会資本を整備するために相当のお金がかかっています。日本は残念ながら人口減少時代に入って、きっと政治家の皆さんは去年の総選挙でそっちこっち歩いたと思いますが、空き家がいかに増えたかというのを、また、農村地域がいかに疲弊したかというのを実感したと思います。ですから、そういう意味で、その点も必要だと思います。

 時間が来ましたのでやめたいと思いますが、三番目、特定複合観光施設、カジノでありますが、是非、そういった意味では、斉藤大臣は倫理観の高い大臣でありますから、今、株主資本主義、お金でお金を稼ぐ、もうける経済が大きな格差ができたので、それを是正しようとする流れができております。カジノはまさに、お金でお金を稼ぐ、禁じられた遊びです。こうしたものをやめるという決断をされたらいかがでしょうか。

 答えは要りません。

 以上で質問を終わります。

中根委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。斉藤大臣、よろしくお願いします。

 まず、私の地元の成田空港に関して質問いたします。

 成田空港が開港して、今年の五月二十日で四十四年になります。私は高校一年生でした。ですから、私は今五十九歳ですから、本当に年を取ったなと自分でも思いますが、当時、衆議院議長をお務めになられた、吉田茂さんの側近と言われた福永健司さんが運輸大臣だったんですね。開港のときの祝辞で、難産の子は健やかに育つ、そういう例え話が今でも頭に残っています。

 いろいろ紆余曲折がありました。順調に成田空港が発展するかと思いましたけれども、残念ながら、今コロナ禍で大変な思いをされた方がたくさんいます。是非、これを乗り越えれば明るい未来が待っているんだというような航空政策を展開していただくことを、まず要望したいと思います。

 それで、開港当初は、大臣、国際線は成田、国内線は羽田、まさに内際分離の原則が貫かれていたんですね。それを大幅に変更したのが前原大臣です、民主党政権下。私は、じくじたる思いがあったんですが、ただ、前原大臣は、首都圏の航空需要は伸びていくので、成田の国際線を引き剥がして羽田へ持っていくことはしないんだ、もうどんどんどんどん羽田も成田も発着回数を増やしてウィン・ウィンの関係が築けるんだ、そうおっしゃっていただきました。

 ところが、最近、どうも羽田シフトが大分進んでいるな、前原大臣の発言にもかかわらず進んでいるなというのを強く感じるんです。もう地元の皆さんはすごく心配しております。

 これは、千葉県の絶大なる協力があったからこそ羽田に四本目の滑走路ができたと私は思っています。大臣もそのような認識をお持ちかどうか、まず御答弁願います。

斉藤国務大臣 個人的なことを申し上げますと、私も立候補するために広島に帰るまでは千葉ニュータウンに住んでおりまして、まさに成田と羽田を結ぶ鉄道の上に、運賃が高いことで有名な鉄道でしたけれども。そういう意味で、まさに地域の気持ちは私も大変分かる、谷田川先生と共有できるつもりでおります。

 先ほどの御質問ですけれども、羽田空港の再国際化に向けた四本目の滑走路の建設、供用に当たっては、供用後の飛行経路による騒音、それから埋立て等による海域環境、漁業への影響、土砂の採取、運搬などの諸課題が存在しておりました。これらの諸課題の解決のために、千葉県を始めとする地元自治体などの関係者の御協力をいただき、その結果、四本目の滑走路の供用が実現したと認識しております。千葉県には大きく貢献いただいたものと認識しております。

谷田川委員 ありがとうございます。

 大臣からそこまでおっしゃっていただいたので、安心いたしました。

 私は、二〇〇三年十二月の千葉県議会の全員協議会に当時の航空局長がおいでになられて、是非羽田の四本目の滑走路は協力してもらいたい、すぐには定期便は飛ばさない、暫定的にはチャーター便だけだ、国際線を成田から奪うようなことはしませんよ、そういう話だったんですよね。当時、堂本知事が決断されて、県議会も堂本知事の決断を後押しして、それで四本目の滑走路に協力するという経緯がありました。

 まさに今大臣もおっしゃっていましたけれども、中国のことわざで、水を飲む人は井戸を掘った人を忘れちゃいかぬというのがありますので、是非、羽田の国際線の運航に関しては、やはり千葉県の意向というものも十分聞いていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。

 資料の一のAを見ていただきますと、当初、大々的に羽田の二十四時間ハブ化ということを前原大臣はおっしゃったけれども、途中で軌道修正をされたと私は思っています。さっき申し上げたように、ここにあるように、成田から羽田に移すものではない、成田との路線開設や増便を望んでいる国や航空会社は多く、羽田に国際便を振り向けたとしても、成田を使わなくてはいけない、こうはっきりおっしゃいました。

 ところが、令和二年の十月なんですが、全日空が、国際線の再開時には羽田空港に路線を集約すること、そういう方針を発表したんですね。それに対して、千葉県と成田空港圏自治体連絡協議会が危機感を持ちまして、当時の赤羽大臣宛てに、成田空港における国際路線再開に関する要請と題する文書を当時の和田航空局長に手渡しました。それが資料Bにあるとおりでございます。

 一つは、首都圏の国際航空需要を成田空港と羽田空港で担うとする従来からの方針を踏まえ、両空港のバランスを考慮した上で国際路線再開を進めること、二つ目は、成田空港の国際線ネットワークの維持に向けて、厳しい状況が続く空港会社や航空関連事業者に対する支援に引き続きしっかり取り組むこととなっております。

 この要望書を受け取った際に、和田局長は、関係機関と連携してしっかり対応すると答えています。それから一年四か月が経過しましたが、具体的にどのようなことをしたのか、御説明いただきたいと思います。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 千葉県や成田空港周辺自治体より、委員今御指摘をされました要請が出ておること、二〇二〇年の十一月でございます、いただいておるところでございます。

 要請内容、今議員おっしゃいましたように、両空港のバランスを考慮した上で国際路線再開を進めることということと、それから、空港会社や空港関連事業者に対する支援について引き続きしっかり取り組むことということでございます。

 この二年間、新型コロナの影響がとても長引いておりまして、国際線の再開につきましては非常に厳しい状況でございます。

 そういった過程にあるということでございますが、私どもとしましては、成田空港、これは国際線の拠点空港でございまして、豊富な国際線ネットワークを生かした国際線の乗り継ぎ需要の取り込みやLCCや貨物需要への的確な対応などによりまして、国際航空ネットワークを幅広く強化していく、そういった方針にいささかも変わりはございません。こういう方針で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 それから、二つ目、支援のことにつきましては、まず、空港関係者それから航空関係者においては、非常にコロナの影響で厳しい経営状況が続く中、日々航空の安全ということを第一にしていただいて業務に取り組んでいただいていること、まず感謝を申し上げる次第でございます。

 そういった方々の支援につきましては、国としましては、成田空港会社に対しまして、配当金七十三億の免除でありますとか、税金等の支払い猶予などの資金繰り支援を実施するということをしております。加えまして、機能強化を着実に推進するため、今年度におきましては五十億円の無利子貸付けを行ってまいっておるところでございます。

 また、成田空港会社においては、就航する航空会社やテナント事業者の皆様などに対しまして、空港使用料等の減免や支払い猶予など、これまでに一千億円規模の支援を実施していることも聞いてございます。

 いずれにしましても、私ども、新型コロナウイルスの影響によりまして依然として大変厳しい状況が続いておりますけれども、国土交通省としましては、引き続き、関係者と連携しながら、できる限り早期に国際線の往来が再開されるよう環境整備に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

谷田川委員 引き続きの御支援を心からお願い申し上げたいと思います。

 それで、実は、ちょっと私、思いがけないことがあったと思うんですが、羽田シフトを心配されておったんですが、何と、昨年七月以降、全日空と日本航空が、北米路線の一部を羽田発着から成田発着に一時的に変更する対応を取っているんです。これはなぜかというと、成田空港の海外ネットワークを生かし、乗り継ぎ客を取り込めるようなんですね。これを是非、一時的じゃなくて、各エアラインが長期的に実施できるような航空政策を推進することが私は非常に重要だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 中長期的な訪日需要でありますとか我が国の国際競争力強化を図る上では、成田空港、羽田空港の機能強化、それを共に進めていくということが大変重要であるというふうに認識してございます。

 特に、成田空港につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、国際線の基幹空港としての機能を持ちまして、豊富な航空ネットワークを生かした国際線の乗り継ぎ需要の取り込み、これは先生、先ほどおっしゃったことでございます。そしてまた、国際、国内のLCC需要、貨物需要にも的確に対応して、国際航空ネットワークの強化を図る重要な役割を担っておるということでございます。

 そうした中で、これも先生御指摘のように、本邦航空大手二社におきましては、北米等、東南アジアの乗り継ぎ需要獲得に向けまして成田空港で増便を行うなど、コロナ禍においても国際航空ネットワークの強化ということを図ってきておるところでございます。

 国土交通省としましては、コロナ感染症の影響でありますとか、旅客や貨物を取り巻く国際情勢、まだまだ流動的なところではありますけれども、私どもとしましては、こういった情勢を注視しつつ、空港機能の強化を進め、航空会社が成田空港の活用を図っていけるように、成田空港会社などの関係者と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

谷田川委員 繰り返しになりますけれども、成田空港のやはり強みというのは、海外の就航都市が日本で一番多いんですよね。羽田は比べ物にならない。ですから、その強みを生かし続けてもらいたいんですよ。

 成田の国際線が、例えば週十四便飛んでいたのが羽田に移して七便になった、これは私、分かるんですよ。だけれども、週七便だったのがゼロになっちゃうと、成田のネットワークはなくなっちゃうわけですよ。ですから、ゼロ便にするというのは極力避けていただきたいということをエアラインに要請していただきたいなということを要望したいと思います。要望していただけますか。

久保田政府参考人 お答えを申し上げます。

 航空会社が国際線をどのように展開するかということにつきましては、私ども、各国との航空協定の範囲内において、やはり会社の自主的な判断というものをできる限り尊重したいというふうに思ってございます。

 一方で、先ほど申しましたように、成田空港はとてもとても重要な機能を有しておりまして、私ども、その航空政策上の位置づけに何ら変更はないというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

谷田川委員 それは、国交省がエアラインに飛ばせという指揮監督権限がないのは私も承知していますよ。だけれども、お願いするということぐらいしてもらいたいということを重ねて申し上げたいと思います。

 それで、大臣、成田空港がどんどん発着回数が増えて発展するのはいいことなんですが、その犠牲になっている人がいるということを忘れちゃいけないと思うんです。それは騒音下の住民なんですね。

 お手元の資料二というのを皆さんに見ていただきたいんですが、この黄色のところに東和泉というのが、ちょっとちっちゃくありますけれども、ここが私が今から話題にする集落なんですけれども、この東和泉地区というのは、一九七八年の開港前から約二十世帯が暮らしています。この地区は、A滑走路とB滑走路、A滑走路とB滑走路は、皆さん、平行になっていますので、ですから、その飛行の谷間になっているんですよ、この東和泉地区というのは。

 それで、東和泉地区周辺の、例えば西和泉だとか芦田だとか成毛とか、こういうところは移転対象になっているんですけれども、残念ながら東和泉地区だけが移転対象から外れたんですね。この東和泉地区の一部が騒特法の防止地区に指定されており、また、市街化調整区域のため、地域振興も期待できません。このような状況下、やはり全ての住民が移転したいという希望をしているんです。

 実は、私、昨年の十一月に住民の皆さんと、十数人の住民の方が集会所に集まっていただきまして、いろいろ意見を聞きました。本当に窮状を聞きました。本当に何とかしてあげたいという気持ちを私は持ちました。確かに、法律に基づく騒音測定の指数で移転対象区域を指定するのは最も合理的な方法だと思いますけれども、しかし、成田空港が地域との共生を打ち出した以上、この東和泉地区の現状を放置していいとは私は思わないんです。

 これについては成田市や千葉県も大いに関心を持っておりますので、国としても何とか知恵を出すことが求められていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 成田空港の運営に当たりましては、地域の皆様から多大なる御協力をいただいていることに感謝をしております。騒音問題の解決のためには、関係する自治体や地域の皆様に丁寧な情報提供を行い、できる限り多くの方々に御理解いただくことが重要であると認識しております。

 今、谷田川委員御指摘の、A滑走路とB滑走路の飛行経路のはざまにある東和泉地区につきましては、議員御指摘のとおり、二つの法律、一つは、公共飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、騒防法と言われるもの、それからもう一つは、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法、騒特法と呼ばれるものでございますが、この二つの法律に基づく移転補償の対象ではないわけでございます。

 一方、この地区は移転補償の対象ではないものの、千葉県や地元自治体と御相談の上、いわゆる成田方式として、住宅防音工事や内窓設置工事などへの助成を独自に行うなど、きめ細やかな対策を実施してきたところでございます。

 成田空港は、これまでの歴史的経緯を踏まえ、空港づくりは地域づくりという考え方に基づいて、地域との共生、共栄を深めてまいりました。国土交通省としても、引き続き、地域の声をよく聞き、真摯に受け止めながら、空港の発展と地域の生活環境の保全との両立に取り組んでまいりたいと思っております。

谷田川委員 三月二日の大臣の所信表明を聞きました。また同じようなことを今おっしゃっていただきましたけれども、私は一番あの所信表明で心に響いたのが、大臣が次のように言ってくれたんですね。「国民の皆様と丁寧に、そして誠実に対話し、小さな声一つ一つをよく聞き、真摯に受け止めるとともに、国土交通行政において、現場を持つ強み、総合力を生かして、施策の立案、実行に全力で取り組んでいく所存です。」と。まさに大臣のこの姿勢が、この東和泉地区の騒音問題に必要だと私は思っているんです。

 繰り返しになりますけれども、千葉県と成田市もこれについては大いに関心を持っていますので、この問題について千葉県と成田市と協議することぐらいは是非お約束していただけませんか。大臣、どうですか。

斉藤国務大臣 今でも、いわゆる成田方式として、地域の皆様の声をよくお聞きしながらしっかりと対応していきたい、このように思っております。

谷田川委員 しっかり対応する中には、協議するも含まれると理解いたしました。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、横田空域について質問いたします。

 横田空域は、東京、神奈川、埼玉、群馬、栃木、福島、新潟、長野、山梨、静岡の、一都九県に及ぶ広大な地域の上空をカバーしています。横田基地の米軍が同空域の航空管制を握っているため、羽田空港を出入りする民間機は、米軍の許可がなければ空域内を通過できません。そのため、定期便ルートを設定できず、迂回を強いられています。

 そこで、まずお聞きしますが、横田空域のように、外国軍隊が駐留先の国で民間航空機に対する航空管制までも広範囲に行って管理している事例が、ほかの国にありますか。

久保田政府参考人 お答えを申し上げます。

 航空局といたしまして、全世界の航空管制の状況をつぶさに把握しているわけではございませんが、先生御指摘のような条件全てに該当するような事例については承知をしていない、そういうことでございます。

谷田川委員 それでは、これは日本が戦争に負けたから仕方ないんだと言う人もいるんですけれども、同じ敗戦国であるドイツやイタリアの例はどうですか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおりでございまして、これはドイツやイタリアを含め、御指摘のような条件全てに該当する事例については承知をしておりません。

谷田川委員 是非、そんな言い方をしないで、本当に横田基地を返してもらいたいと思うなら、国交省が主導的に世界各国の状況を調べて、アメリカに対して、日本は特殊なんだから何とかしてくれと、やはりそういう気持ちを持ってもらいたいんですよ。

 当時の、一九九五年でしたかね、黒野局長が答弁したのと全く変わらないですよ、もう今から二十数年前。それから今二十数年たって、本当に横田空域を返してもらいたいと思うのであれば、世界の航空状況を全て把握してアメリカ側に突きつける、そのような対応は私は必要だと思いますよ。

 それで、ドイツとイタリアについて言ってくれなかった。私の方から申し上げますよ。これは、二〇一八年二月に沖縄県が調査したんですよね。それで、その報告書によりますと、横田空域のような外国軍隊が管理する空域はドイツに存在しないし、米軍はドイツの航空法に従わなくてはならず、その規定に基づいて、米軍機に対してもドイツ航空管制が管制業務を実施していることが明らかになっています。また、イタリアにおいては、航空管制はイタリアの直接的責任であるとの考えの下、イタリア軍が自らの基地だけでなく、米軍基地の航空管制も行っているんですよ。

 ドイツでは、米軍機にもドイツ航空法が適用されまして、騒音に関してもドイツの法律が適用されています。また、イタリアでも、一九九八年二月にアルプスの山中のスキー場で米軍機によるゴンドラケーブル切断事故が起きまして、スキー客二十人が死亡する事故が起きました。そして、一九九九年四月に、米軍の低空飛行訓練を大幅に制限する合意が交わされたんです。

 このように、ドイツとイタリアでは、米軍にも国内法を守らせています。低空飛行についても、ドイツ、イタリアのそれぞれの政府当局の承認が必要とされるなど厳密な規制を設け、米軍が好き勝手に低空飛行ができなくなっています。それに対して日本は、米軍が一方的に低空飛行訓練ルートを設定し、日本政府の承認も必要なく、好き勝手に訓練しているのが実態です。

 どうしてドイツやイタリアでできたことが日本にもできないのか。できないはずはないと私は思うんですが、いかがですか。

久保田政府参考人 航空管制につきまして、今おっしゃったのは横田空域の返還ということになると思いますけれども、これは関係省庁と対話した対応が必要となりますが、国交省といたしましても、我が国の空域を一元的に管制するという観点から、米軍との調整を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

谷田川委員 私は、これ、悪の元凶は、外務省の政府答弁の変更だと思っているんですよ。

 実は、一九六〇年の安保条約改定をめぐる国会審議の政府答弁で、当時の外務省の高橋条約局長は、米軍に対して日本の法令は原則として適用されると述べていたんです。ところが、一九七三年七月十一日に、当時の外務省大河原良雄アメリカ局長が、地位協定に明文の規定がない場合は米軍に対して国内法令の適用はないと答弁したんです。

 私は、高橋答弁というのはやはり国際法の原則に基づく極めて真っ当な答弁ですけれども、どうして大河原答弁で原則と例外を逆転させるような百八十度違う解釈になったのか、その理由をお聞かせください。

金井政府参考人 外務省からお答え申し上げます。

 委員御指摘の、一九六〇年の国会答弁並びに……(谷田川委員「声を大きくしてください、聞こえない」と呼ぶ)一九七三年の、失礼いたしました、国会答弁の関係につきまして、外国軍隊に対する受入れ国の法令の適用そして免除の原則について、整理して詳しく御説明申し上げます。

 第一に、一般に、国家はその領域内で主権を有しておりますことから、その領域内にあります者には、外国人を含め、属地的にその国の法令が適用されます。

 第二に、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、受入れ国の法令を尊重する義務を負いますが、その滞在目的の範囲内で行う公務に関しましては、受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されると考えられております。こうした基本的な考え方は、国際的に広く共有されていると理解しております。

 第三に、派遣国と受入れ国との間では、外国軍隊の活動がその滞在目的に沿った形で問題なく行われるよう、個々の事情を踏まえまして、受入れ国の法令の適用について具体的調整を行うため、地位協定を含みます個別の取決めが結ばれることが一般的でございます。こうした中で、外国軍隊に対する受入れ国の法令の適用について調整が行われることになります。

 御指摘の、一九六〇年の国会審議にございます政府答弁、政府参考人による答弁は、米軍の施設・区域に日本の法令が適用されるのかという御質問に対しまして、在日米軍の施設・区域は日本の領域でございますので、当然、属地的に我が国の法令が適用されるという、先ほど私が御説明いたしました第一点目に焦点を当てて御説明申し上げたものでございます。

 また、御指摘の、一九七三年の国会審議にございます答弁は、先ほど私、第二点目として御説明申し上げました点、すなわち、一般に、受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は、受入れ国の法令を尊重する義務は負いますが、その滞在目的の範囲内で行う公務につきまして、受入れ国の法令の執行、裁判権等から免除されると考えられる、この点に焦点を当てて御答弁申し上げたものでございます。

 このように、御説明申し上げました三段階から成る考え方は従来から一貫してございまして、御指摘の国会答弁の当時も現在も同様でございます。したがいまして、政府の答弁が変更されているということではございません。

谷田川委員 こういうのを、自分の都合のいいように解釈する牽強付会の答弁と私は言いたいと思います。

 外国軍隊に対して駐留先の国の法令が適用されないのは、軍人や軍属の規律や管理など軍隊の内部事項に関することであって、それ以外のことに関しては、条約や協定に特段の規定がない限り駐留先の国の法令が原則として適用される、これが一般国際法上の原則なんですよ。

 二〇一八年に我が党の末松さんが、外務省のホームページのQアンドAで、一般国際法上おかしいじゃないか、そういう質問をやったら、何と翌年の一月に、その国際法上というのが削除されたんですよ。だから外務省は、国際法上それはないんだということを認めたんですよね。

 だから、外務省、ちょっと、今日は国交委員会なのでこれ以上はやらないけれども、改めて、日本が独立国家であるならば、一般国際法上の意味をしっかりわきまえてこれから政府解釈を考えていただきたい、そのことを強く要望しておきます。

 それで、大臣、横田空域が八回にわたって返還されております。最後に返還されたのは二〇〇八年なんですね。

 資料の三があります、お手元に、皆さん。

 私、横田空域が返還される直前から、全ての衆参の議事録を拝見しました。本当に、横田空域が二〇〇八年に返還されてから、何か、もうこれ以上、もういいんじゃないかというようなニュアンスのことを言っているような気がしてならないんですよ。

 ここに、資料に書きましたけれども、平成二十年六月の、当時冬柴国交大臣の下で、鈴木航空局長が、平成二十年度に横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件の検討を完了することとされておりますので、削減後も引き続き全面返還に向けて関係省庁と協力しながら努力してまいりたいと考えておりますと、はっきりこうおっしゃっているんです、全面返還に向けてと。

 ところが、石井国交大臣、三人の質問に対して、もうほとんど一字一句違わない。我が国の空域に一元的に管制する観点から、関係省庁と協力しながら米軍と調整をしてまいりたいと。調整という言葉を使っているんですよね。米軍に要請という言葉さえ使わない。

 それから、赤羽大臣に至っては、一義的には外務省と防衛省、そうおっしゃっているんですよ。横田空域を返せと一番強く言うべきは、私は国交省だと思うんですよ。

 ですから、大臣、私は、この最近の答弁というのは本当に後退しているとしか思えないんですよ。是非、国交省は横田空域の全面返還を諦めてはいないという思いで大臣の見解を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 御指摘のいわゆる横田空域は、米軍が進入管制業務を行っている空域ですが、羽田空港の交通量増大への対応や効率的な飛行経路の設定のため、これまで八回にわたり段階的に削減を実施してまいりました。直近では、羽田空港のD滑走路、四本目の滑走路増設に当たり、平成二十年九月に大幅な削減を実施しており、これにより、羽田空港から西方面への出発機の経路が大幅に短縮されました。

 横田空域の返還につきましては、我が国の空域を一元的に管制する観点から、国土交通省としても関係省庁と協力し、米軍との調整を行うこととしており、その方針に変わりはございません。

谷田川委員 済みません、何か私の質問を分かっていただけないような感じなんですが、平成二十年の冬柴大臣の下の鈴木局長の答弁は、全面返還に向けてという言葉が入っているんですよ。斉藤大臣は全面返還ができないとお感じになっていらっしゃるんですか。

斉藤国務大臣 先ほど答弁申し上げましたとおり、我が国の空域を一元的に管制する観点から我々努力していきたい、このように思っております。

谷田川委員 平成二十年、横田空域八回目の直前に、あのときは、国交省の意気込みとして、全面返還を目指すんだとはっきりおっしゃっているわけですよ。それが、今になって全面返還という言葉を何で使わないんですか。改めて答弁をお願いします。

斉藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、我が国の空域を一元的に管制する観点からこの交渉に我々も臨んでいきたい、このように思っております。

谷田川委員 何で全面返還を目指すと言えないんですか。外務省から、あるいはほかの、アメリカ軍とかと思いたくないけれども、こう言わないでくれと言われているんですか。そうとしか思えないですよ。そうじゃないというなら、改めて、全面返還を目指しますと、大臣、おっしゃってくださいよ。

斉藤国務大臣 繰り返しになりますが、一元的に管理するという、それを求めて頑張っていきたい、このように思っております。

谷田川委員 時間が来ましたので、終わります。

中根委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党、長野三区の神津たけしと申します。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 昨年十一月、岸田総理は、二〇二二年四月一日から、政府調達において、一定の賃上げを約束した企業を、総合評価方式の調達で、価格外の評価点として五から一〇%引き上げると発表されました。

 十二月には、財務大臣から各省庁に対し、加点措置の方針通知が行われました。二月一日以降の工事開始案件、かつ、四月一日以降に契約する総合評価案件について適用されるとされています。

 二月一日工事開始案件ということでしたが、これ以降にこの制度の説明会が行われ、さらに、入札説明書、二月一日以降に変更が加えられたりしていまして、実際に制度が固まっていないという印象があります。あと一週間後に契約する、開始する案件からこの制度が適用されることになります。

 令和四年四月一日契約開始案件から適用される賃上げ企業優遇調達制度実施に係る準備が整っているかを確認させていただくとともに、大臣の御決意をお願いします。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

斉藤国務大臣 今、神津議員から御指摘がありましたように、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けて、賃上げを実現するためには、あらゆる施策を総動員することが必要だと認識しております。

 政府調達において、賃上げを行う企業から優先的に調達を行うため、総合評価落札方式において加点措置を行うこともその一つと考えております。

 今回の加点措置につきましては、業界の方から多くの御質問や御意見をいただきましたが、特に多くの御質問などをいただいた実績の確認方法については、財務省から具体的な方法が示されており、これを速やかに周知するとともに、国交省としても、全般にわたる御質問に対する回答をQアンドAとして公表したところでございます。

 あわせて、問合せ窓口を本省そして地方整備局等に設置しており、引き続き丁寧に対応してまいります。

 決意ということでございますが、これらによりまして、賃上げに真摯に取り組まれる全ての企業がこの制度に参加できるよう、引き続き、適切な運用を行ってまいりたいと思っております。

神津委員 ありがとうございます。

 私の今の御答弁の印象ですと、制度を、最初の工事を開始された段階ではやはり固まっていなかったという印象です。今、この制度を固めていくことと、調達が並行してしまっているという状況があると思います。本来であれば、制度を固めてから調達を行うというのが本来の公共調達の在り方であると思います。この点を踏まえながら、是非今後進めていただきたいと思います。

 ただ、率直に申し上げまして、昨年十一月に首相の御意向で降って湧いたようなこの制度に対して、財務省、国交省の皆さん、それから本当にほかの省庁についても、よくここまで短時間で準備をされて進められてきたと私は思っております。関係者の方々にはまず敬意を表したいと思っております。

 この制度ですが、今おっしゃられたように、建設業界の方々、まだまだ不安を感じていらっしゃいます。恐らくですが、今日この部屋にいらっしゃる方々、建設業界の方々と話すと、必ず、この制度について今、どうにかしてほしいと言われる現状があると思っています。拙速だとか、延期をしてほしいとか、それから、この制度自体、不公平になるので中止してほしいという声も聞かれております。

 本日の質問では、総論として、総合評価一般入札方式の附帯的政策の在り方、それから、各論として、建設業界の方々の不安を取り除けるようなことを念頭に置いた質問をさせていただきます。

 まず、総合評価一般入札方式の背景となる法律と政令、それから令和二年度分の総合評価の規模と件数を教えてください。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、総合評価落札方式の根拠となる法令でございますが、会計法第二十九条の六第二項及び予算決算及び会計令第九十一条第二項の規定でございます。

 また、総合評価落札方式によります調達金額及び件数についてでございます。財務省において集計済みとなっております、公表しております直近の数字、これは令和元年度でございますので、令和元年度の数字を申し上げます。政府の調達金額、金額は九兆二千四百五十一億円、件数は十四万三千八百二十二件でございます。このうち、総合評価落札方式による調達額は三兆五千百七億円、全体の三八%、件数は約二万五千五百八十一件、全体のうち一八%でございます。

神津委員 ありがとうございます。

 今、お手元に配付資料を一枚紙、配らせていただいたんですが、総合評価方式は、会計法第二十九条の六と、それからその政令である予決令九十一条の二から成っています。この中の文言、価格その他の条件が国にとって最も有利な者を契約の相手方とするという、このたった一文の文言から、今この総合評価の調達方式というものが行われています。この解釈がいかようにも可能な文言を背景にして、行われているという実態があります。

 先ほど令和元年分をおっしゃられましたが、私の手元に令和二年分があります。政府の公共調達、十・七兆円ありました。このうち総合評価の調達というものは四・二兆円規模で、国交省分については二・七兆円分と、総合評価の調達の中では三分の二を占めているほど大きなものになっています。

 ただ、この大きな金額が関係する調達制度の変更なんですが、これまで国会の場でほぼ審議されずに、このような制度が始まろうとしている現状があります。

 先ほど申し上げた、価格その他の条件、ここを、その他の条件というところで総合評価を行っているんですが、そこに加えて、その他の条件という意味で、賃上げを加えてもいいだろうという政府の考え方の下に始まっていると私は理解します。

 ただ、これまでの財務省の方針、会計法全体の中では、公共調達の原則が示されていると私は理解しております。

 公共調達の一つの方式である総合評価方式の調達において、どのような原則の下に調達が実施されるべきと考えているか、大臣の御所見をお願いします。

斉藤国務大臣 直轄工事などの調達は、会計法令に基づいて適切に実施する必要があると認識しております。

 総合評価落札方式は、会計法においては、最低の価格をもって入札した者を契約の相手方とするその原則の例外に当たるため、政令に基づき、評価方法を財務省と協議して定めております。

 具体の評価項目等については、国土交通省では、協議が調った評価方法に基づき、本省で基本的な考え方等をガイドラインとして示すとともに、地方整備局などにおいて外部有識者の意見を聴取する総合評価委員会を設置して、審議を受けた上で決定しております。

 引き続き、こうした法令や運用に基づき、総合評価落札方式による工事等の調達を適切に実施してまいりたいと思っております。

神津委員 今、ストレートには答えていただけなかったと私、理解します。

 もう一つ、今日、配付資料、このオレンジ色の「公共調達の現状と課題」ということで配付させていただいております。これは実は、昨日、国会図書館から私の手元にも届いたものなんですが、この中の一ページ目の1(1)のところに公共調達の目的ということが示されています。この中で、これはちょっと(1)を要約させていただきますと、国民の税金が基となる公共調達には、経済性、公正、公平性、履行の確実性、透明性の原則が定められるべきというふうにされております。

 この原則を示されているのが、私は財務省が以前になされた答弁だと思っております。平成二十五年、第百八十三回通常国会の国土交通委員会で、自民党の務台委員から賃上げの附帯政策を公共調達に適用していくことについて問われた際に、政府参考人が答弁された内容を教えてください。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のやり取りでございますけれども、これは、予算決算及び会計令においては、公共工事の予定価格を算定する際に取引の実例価格等を考慮して定めるということとされていることに関しまして、この予決令を改正をして、例えば、あるべき賃金目標値などに基づいてこの価格を設定できるようにすべきではないかといった御質問に対しまして、政府参考人の方から、予決令には予算を適正に執行するための手続が定められておりまして、この政令に、予決令に賃上げなどの特定の行政目的を達成するための規定を盛り込むということは、政令の趣旨になじまないという旨を述べたものと考えております。

 したがいまして、本答弁は、公共調達に附帯的な政策、こういった賃上げ等々の行政目的、附帯的な政策を取り入れること自体を否定したものではなくて、予決令を改正をして、あるべき賃金水準に基づいて公共工事に係る単価を定めることができる旨の規定を設ける、盛り込むといったようなことなど、特定の行政目的を予決令の中に明記することについて、予決令の手続法令としての性格にはなじまないというふうに考えるとの趣旨をお答えしたものと考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 今の答弁なんですが、少し解釈をちょっと異なるようにしてしまっているのではないか、以前と変えてしまったのではないかなと思っています。

 この答弁された内容、会計法令は予算を適正に執行するためということで定められたものでありまして、特定の行政目的なんかをそこへ織り込んでいくというのはちょっとなじまない、これが本筋の、会計法全体で定めている事項だと私は思っています。

 会計法二十九条の六においては、価格その他の条件が国にとって最も有利な者を契約の相手方とするというふうに定められていますが、私はどちらが上位に来るかというところが問題だと思っていまして、これは、会計法全体で定めている原則のところ、先ほど申し上げた公平、公正性、それから経済性、履行の確実性、透明性の原則、これを確実にするために定めているというのが、先ほどの、特定の行政目的なんかをそこへ織り込んでいくというのはちょっとなじまないというところだと私は理解しております。そのため、二十九条の六、「その他の条件」という言葉もこの四つの原則で縛っていると私は考えております。

 ちょっと、先ほど配付したオレンジ色のこの資料ですが、次に見ていただきたいのが附帯的政策の、九ページ目、十ページ目にあります。この十ページ目の附帯的政策を見ていただきたいんですが、これまで附帯的政策が実行されているんですが、必ず、中小企業者、障害者、母子・父子、それから環境物品、温室効果ガス、中長期的な技術的能力の確保、女性活躍企業、賃上げ表明企業と、実は、賃上げ企業は一番下にありますけれども、これ以外は全部法律になっているんです。何でかというと、これまでの会計法の原則に、経済性の原則にそぐわないものということで、整合性を保つためにちゃんと法律化して、会計法との整合性を保っていると思っています。

 法治国家として、この国会の場でやはりしっかりと賃上げ政策についても議論した上で、法律にした上できちんとこれを採用すべきだと私は思っております。そういう意味においては、まだちょっと、今これは、この賃上げ調達企業優遇制度については、今の時点では中止すべきだと私は考えております。

 これについて、これまでは会計法との整合性を保持して調達を実施すべきと私も考えているところで、大臣の御所見についてちょっと伺えればと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 神津委員から、立法化した上で、会計法との関係を明確にした上で実行すべきではないかという今御意見だったのではないかと思いますけれども、今回の総合評価落札方式において賃上げを行う企業を加点する評価は、総合評価の枠組みを用いて賃上げの促進を図ろうとするものでございます。

 直轄工事などの総合評価方式の適用に当たっては、会計法令の規定に加えて、公共工事の品質確保の促進に関する法律の規定に基づき適切な運用を行っておりますが、評価項目の設定に際して、必ずしも全ての場合において政策の立法化が必要であるとは認識しておりません。

 引き続き、会計法令に基づき、公正性、透明性や競争性を確保した公共工事の調達を適切に行ってまいりたいと思っております。

奥政府参考人 財務省の方からも補足をさせていただきます。

 総合評価落札方式で活用されております加点措置、いずれも会計法第二十九条の六第二項の規定に基づくものでございますけれども、この会計法の規定に加えまして、いわゆる女性活躍推進法や環境配慮契約法など、別の法律にも関連する規定が置かれているものがあるということは、御指摘のとおりでございます。

 他方で、刑務所出所者の雇用協力事業者に対する加点措置、あるいはマイナンバーカードを活用して電子入札に参加する事業者等に対する加点措置のように、閣議や閣僚会議の決定内容を踏まえて導入されたものもこれまでございます。

 今般の賃上げ企業に対する加点措置は、できるだけ早期から企業の賃上げを促すために速やかに導入する必要があったことなどから、昨年十一月に決定されました経済対策に係る閣議決定、その内容を踏まえて、検討の上、実施することといたしたところでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 私自身は、今私たちが国会の場で審議されないでこういう制度を認めてしまえば、時の政権の意向によって、総合評価の調達、評価に何でも加えられてしまうという危惧があります。というところでは、もう少ししっかりとやっていく必要があるんじゃないかな、時間をかけてこれをやっていく必要があるんじゃないかと思っています。

 済みません、ちょっと時間が余りないので、質問通告十番に飛ばさせていただきます。

 今回の賃上げ制度ですが、会計士、税理士が賃上げを証明することが可能となりました。幅広い企業が利用しやすくなったため、各企業において賃上げのやり方が異なるため、この制度を認めたと伺っております。各企業では賃上げや退職の制度が異なるため、柔軟性を求めたことに対しては建設業界の方から評価する声が上がっております。

 ただ、まだ不明確な点が幾つかあるため、教えてください。

 この制度ですが、会計士や税理士などの本来業務ではないと思っております。法的根拠があるか。それから、本業務を会計士や税理士が行うに当たり、ガイドラインやマニュアルは配付される予定か。また、会計士や税理士が証明を行うに当たり、法的責任が伴うか。また、法的責任が伴う場合には罰則があるか。簡潔に教えてください。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 実質的に、同等の賃上げというものを判断する上での書類の確認行為、その確認を行う者としては、税理士や公認会計士等、事業者の財務会計に一定の知見を有する者に行っていただくことを想定しておりますけれども、この税理士や公認会計士等というのは、これはあくまで適当と考えられる者の例示として掲げているものでございまして、税理士法や公認会計士法などの法令に直接基づく行為であるというふうには位置づけてございません。

 したがいまして、これらの業法、これらの法令に基づく法的な責任あるいは罰則といったものが直接科されるということにはならない、想定していないというところでございます。

 また、お尋ねの、ガイドラインやマニュアルは配付されるのかという点でございます。これにつきましては、先般、二月八日付で財務大臣通知を発出いたしました。まずはこの通知書を御参照いただきたいと思いますけれども、この通知では明確ではない点などがありましたら、発注官庁の窓口などにお問合せをいただきたいと考えております。

 財務省といたしましても、確認が円滑に実施されるよう、各省としっかり連携をして、必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

神津委員 今の御答弁、会計士、税理士の方々、安心されたと思います。ありがとうございます。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中根委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会、池下卓です。よろしくお願いいたします。

 まず、連立、立体交差化事業につきましてお伺いをしていきたいと思います。

 資料の一番目の方を御覧いただきたいと思うんですが、この事業は、鉄道を連続的に高架化又は地下化することによりまして複数の踏切を一挙に除去して、交通の円滑化と都市の活性化を推進するものでありまして、まちづくりの一環として地方公共団体が都市計画事業で実施するものであります。ここでいう地方公共団体、つまり施行者といいますのは、都道府県、そして市、具体的には政令市や県庁所在都市また人口二十万人以上の都市、さらに特別区ということが規定されております。

 昭和四十三年の制度創設以来、これまで全国で約百六十か所で事業が実施されまして、約千七百の踏切を除去してきた事業でありますけれども、都道府県以外の自治体、つまり、政令市や県庁所在地また人口二十万人以上の都市と特別区で実施された事業の件数は幾つあるのか、お伺いをしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の、都道府県以外が事業主体となった事業の件数は、現在、事業実施中の箇所を含めた計二百十か所のうち五十か所となっております。

 さらに、現時点までの都道府県以外が事業主体となった箇所の都市数は、計十九都市となっております。

池下委員 ありがとうございます。

 今の御答弁いただきました連立をするにも、やはりこの事業といいますのは非常にコストも時間もかかるということでありますけれども、都道府県以外でいいますと十九都市というお答えがありました。

 平成十七年度より、連立事業としては施行要件に人口二十万人以上の都市及び特別区は含まれるようになりましたけれども、これを追記した理由、そして、追記した際に都市の財政力についてどのように御検討されたのか、お伺いをしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 連続立体交差事業は、先生おっしゃるとおり、かつては都道府県及び政令市のみが事業主体となることができる制度でございました。しかしながら、連続立体交差事業へのニーズは数多くある一方で、一つの都道府県が多くの事業箇所を同時に行うには限界もあることから、地元にとっては重要な事業であるにもかかわらず、事業着手までに時間がかかる等の課題がございました。

 そこで、平成十七年度より、連続立体交差事業を実施することができる財政的、人的に一定の規模を有すると考えられる地方公共団体に施行者要件を拡大いたしました。具体的には、都道府県や政令市に加えて、県庁所在地及びこれに準ずる人口二十万人以上の都市と特別区を新たに追加したものでございます。

池下委員 まさに今御答弁いただきましたように、都道府県だけではなかなか難しいということで、連立の事業が進むことができるようにということで要件を緩和されたように感じるところは、一定理解をいたします。

 ただ、二十万人以上の都市といっても、財政が豊かでない都市もあれば、かなり大きな都市で財政力が豊かである都市、それは様々な形があるわけです。これを一くくりにしてしまうと、全国で連立事業、希望はしているんだけれども、財政的に都道府県の協力がないとなると逆に事業が進展しなくなるという点について、私、非常に心配をしているところであります。

 資料の一の下段の方になりますけれども、これは、私の地元であります大阪の高槻市というところで今検討が続けられております連立事業の負担の予想であります。

 ここはJR京都線の区間でありまして、JR西日本管区内でも二番目に平均通過人数が多く、また、ここで事故が発生するとダイヤの乱れが東海道本線全線まで影響するため、非常に経済的損失の高い地域であります。

 下段の方を見ていきますと、事業費全体が約六百六十五億円です。そして、地元市の負担額が約二百七十九億円もありまして、これを一地方都市だけで事業費を負担していくというのは非常に困難じゃないかなと私は考えております。

 私は、この点につきまして、財政力ということもしっかりと考慮しつつ、国や都道府県も地元と協力しながらやっていかなければならないという具合に考えております。

 一方、この施行者要件の追加に伴いまして、先ほど御答弁いただきましたような財政力とか人的要件とか、細かいところがこの要件の方に書かれていないということもありまして、都道府県が連立事業に関与しない理由づくりの一つになっていると、私はこれまで府会議員時代にこれにずっと取り組んできたんですけれども、感じてきました。

 是非、この連立要件につきまして、財政力もしっかりと考慮する必要があると思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 平成十七年度における、連続立体交差事業の施行者要件の拡大については、連続立体交差事業を実施することができる一定の能力を有すると考えられる地方公共団体として、県庁所在地及び人口二十万以上の都市を追加したものでございます。

 その上で、実際に連続立体交差事業の実施主体を定めるに当たっては、事業主体となり得る都道府県と市が、それぞれの立場から、連続立体交差事業の位置づけや重要性、実施体制等について議論を重ねた上で、事業主体や費用負担といった役割分担を決めていくことが重要だと考えております。

 国土交通省としては、都道府県又は市より連続立体交差事業の実施に当たり相談があれば、真摯に相談をお受けし、踏切問題の抜本的な解消を図るため、必要な支援に努めてまいりたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 国も都道府県と地元市との間に入っていただいて、相談を受けていただくということでありました。

 今日御答弁いただいた中で、財政的、人的というところを、まあ、担っていけるというのがあるので当然改定されているわけですけれども、やはりニーズというのは、また財政力も、時々によって変わってまいりますので、そこら辺は是非御検討いただいて調整に入っていただきたいなという具合に思います。

 そして、国交省の連立要件で、人口二十万人以上の都市が事業主体となって施行、これはまた、できる規定ということなんですが、あるために、例えば地元高槻市や大阪府では、府道の踏切除去ができなければ都道府県が事業主体として関与することができない、そういう具合に私はこれまで都道府県議会議員のときに聞かされてまいりました。これが都道府県が関与しない理由にもちょっとなっているという具合に考えておるんですけれども、こういう場合は、事業主体は高槻市によらず、都道府県、大阪府も含まれるという具合に考えてもよろしいんでしょうか。御答弁をお願いします。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 連続立体交差事業は、交差する道路が都道府県道か市町村道かによって施行者が決定される仕組みではございません。制度上は、交差道路が市町村道のみであったとしても、都道府県が連続立体交差事業を施行することは排除しておりません。

 なお、施行者の決定につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、連続立体交差事業の位置づけや重要性、実施体制等について、府と市がそれぞれの立場を踏まえつつ、互いに議論を重ねていくことが重要だと考えております。

池下委員 御答弁いただきました。

 実は、この委員会、地元市の役所の幹部の皆さんが、今まさにライブで見ていただいております。今の御答弁をいただきまして、これまで全く動いていなかったものがちょっとでも動くきっかけになるんじゃないかなと思っておりますので、期待しております。ありがとうございます。

 それでは次に、大阪・関西万博に向けたインフラ整備についてお伺いをしていきたいと思います。

 資料でいいますと、二番目の方に、二枚目の方になります。

 令和二年の十二月、国及び高速道路株式会社六社から、ETCの専用化に向けたロードマップが示されました。近畿圏の都市部においても、五年後には八割程度、そして十年後には全ての料金所がETC専用化されるということが、このロードマップの方に示されているところであります。

 二〇二五年、令和七年度には大阪・関西万博が開かれることになりますけれども、日本全国、そして世界からもこの大阪、関西の方に観光客の皆さんが来られることになります。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」というものになっておりますけれども、そういう中で、例えば、万博会場近くの阪神高速道路がETCの専用化もできておらず、アナログ的に料金の収集員がお金を集めている、料金を集めているということでありますと、どうしても、日本はまだまだICT化が進んでいないなというイメージを海外の観光客の皆さんに持たれてしまうことになります。

 そして一方、これは全国的な問題であるかと思いますけれども、ETCの専用化が進むとともに、ETC車載器を搭載していない、また、クレジットカードを持たれていない方が高速道路を利用できないという事態が生じてしまうかもしれません。大阪ではこのような方々が今現在約三%程度いらっしゃるという具合に聞いておりますけれども、ETC専用機の導入、拡大に併せて、取り残されない仕組みというのをつくっていくべきだと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

村山政府参考人 お答えします。

 高速道路の料金所におけますETCの専用化につきましては、料金所における業務の効率化でありますとか、渋滞の解消、感染リスクの軽減などを目的といたしまして、令和二年十二月にロードマップを発表しておりまして、都市部では五年後となります令和七年、地方部におきましては十年後である令和十二年に概成することを目指しまして、本年三月一日以降、順次導入をされておるところでございます。

 阪神高速道路におきましても、現在、五か所の料金所での導入に向けまして準備を進めていると承知をしてございます。

 ETCの専用化を進めるに当たりましては、委員御指摘のとおり、現在、現金で高速道路を御利用になっている方に対しまして、ETCの御利用を促していくことが重要でございます。

 ETCの導入を促進する策といたしましては、現在、高速道路会社が車載器の購入の助成を行っております。

 また、ETCを御利用できない方への対策といたしまして、クレジットカードをお持ちでない御利用者の方であっても、銀行口座をお持ちであれば、高速道路会社が発行いたしますETCパーソナルカードというものを御利用いただくことによって御利用できるというような取扱いをしているところでございます。

 このETCパーソナルカードにつきましては、令和五年四月からデポジットの最低額を二万円から三千円に引き下げるなどのETCの改善策を令和二年十二月に公表しておりまして、現在、会社が準備を進めているというところでございます。

 国土交通省としましては、引き続き、ETCを御利用しやすくなるために、様々な関係者の御意見を伺いながら、高速道路会社と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

池下委員 やはり一定人数の方はまだちょっと取り残されている気の部分があるかと思いますので、是非柔軟な対応というものをしていただきたいなという具合に思います。

 今御答弁いただきましたETC部分なんですが、ETC専用化によるキャッシュレス化に取り残されない仕組みを、まさに今言っていただいたような形で進めていただきたいと思うんですが、これをしていただいた上で、二〇二五年大阪・関西万博までに、阪神高速のETCの専用化スケジュールを前倒しをしていくべきだと私は考えております。

 そこで、資料の二枚目の一番下、下段左下なんですが、米印がありまして、米印一としまして、「令和七年四月に開催される予定の「大阪・関西万博」への影響も考慮し、適時変更の可能性」という具合に記載をしていただいております。

 そこで、どのような場合に適時変更するのか、また、地元大阪の自治体や阪神高速がスケジュールの前倒しに積極的である場合に、国としてロードマップの前倒しをどういう具合にバックアップをしていくのか、また、バックアップはどのような手段が検討されるのかにつきまして、お伺いをしたいと思います。

斉藤国務大臣 国土交通省と高速道路六会社が公表したETC専用化のスケジュールでは、阪神高速道路会社は、令和八年三月末、令和七年度末を目途にETC専用化をおおむね概成することを目標としておりますが、令和七年四月に開催予定の大阪・関西万博への影響を考慮し、変更する場合があるとも公表しております。

 このため、阪神高速道路のETC専用とする料金所の箇所や導入の時期については、大阪・関西万博の開催に関して、博覧会協会や地元自治体といった関係機関と調整していく予定でございます。

 国土交通省としても、阪神高速道路会社を始め関係機関と連携して、適切に対応してまいります。

池下委員 大臣、ということは、全面的にバックアップしていただけると。ありがとうございます。しっかりと力強くうなずいていただきました。これも、府議会の同期のメンバーが是非進めていただきたいという御要望がありまして、今回取上げをさせていただきまして、本当に感謝をしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、同じく万博に向けてのインフラ整備なんですが、船ですね、淀川の舟運事業についてお伺いをしていきたいと思います。

 資料の三枚目に、ちょっと淀川の絵が描いてある地図になりますけれども、この舟運事業は、私も大阪府議会議員時代にずっと取組をしてまいりました。河川を使ってのにぎわいづくりというのを是非やっていきたいなと思ってこれまで取り組んできたわけなんですけれども、これまで多くの関係者の皆様そして議員の皆様とともに取り組んできた結果、大阪市内の八軒家浜というところから、この地図でいいますと、真ん中よりちょっと下ら辺に八軒家浜というのがちっちゃく書かれているんですが、八軒家浜というところから枚方市まで定期航路が結ばれております。淀川沿川には多くの魅力ある観光資源が存在しておりまして、また、万博の効果で、多くの観光客が大阪、京都に訪れることが予想されております。

 そこで、淀川を利活用することで、防災対策と併せて、にぎわいづくりの両面から推進することができると考えています。今、淀川大堰閘門、ちょっと河口近くになるんですが、淀川大堰閘門の整備に着手されていることは存じ上げているんですけれども、二〇二五年の大阪・関西万博までに、会場である海側の夢洲から京都まで船でつなぐことができないのか、私は期待をしているところです。

 河川管理の面からまず伺っていきたいと思うんですが、防災、災害の緊急物流ルートの確保の点から、港は既に整備をされていただいております。また、現在は、京都府の八幡市、背割堤という、地図でいいますと一番右上ら辺になるんですが、背割堤から京都市の伏見区の港公園まで、社会実験が令和三年の十一月十三日と十四日の二日間にわたって行われたという具合に聞いています。

 そこで、この社会実験の目的と成果についてお伺いします。

 また、枚方市から伏見港までは、定期航路が開通していない区間も併せて社会実験を行っていくことができるのかどうかにつきましても、併せてお伺いをしたいと思います。

井上政府参考人 淀川沿川自治体から、万博会場となる夢洲から京都への舟運の実現に向けた支援を要望されております。このため、国土交通省では、河川の利活用の観点から、舟運の実現性、有効性を確認することを目的として、京都府八幡市の背割堤から京都市伏見区の間について、一般の方を交えた社会実験を、舟運事業者の協力の下、平成二十九年度より延べ三回実施しております。

 社会実験を通じて、集客性があることや乗船者の満足度が高いことが確認された一方で、乗船者からは船着場周辺でのにぎわいの創出や観光資源との連携等について工夫を求める意見もありました。

 社会実験の結果は、実施の都度、沿川自治体や舟運事業者と共有しており、舟運事業者による事業化の検討に活用されるものと期待しております。

 国土交通省では、次年度以降の社会実験がより効果的なものとなるよう、先生御指摘がございました、どのルートで行うかということも含めて、沿川自治体からの要望や舟運事業者からの意見も伺いながら検討を進めてまいります。

池下委員 ありがとうございます。今御答弁いただきました。

 私もこれまでずっと取り組んできたわけなんですが、ちょうどたまたま、私、これを調べていかせていただいたときに、まさに今、ちょうどこの時間に、淀川舟運活性化協議会というものの設立の会を今同じタイミングでやっていただいていると。まさに地域の意見を聞ける会合が今開かれているところですので、是非国交省さんの方もこの御意見を聞いていただければ、非常にありがたいなという具合に思っております。

 また、資料の四番目、今、先ほどちょっと御案内いただいたところなんですけれども、これは社会実験に参加された方の声というものが記載をしていただいております。この中にも、七十代男性の方から、万博へのアクセスにつながるとうれしいですというお声をいただいております。淀川河川事務所さんが書いて作っていただいた資料ですので、非常に私の気持ちを酌んでいただいているのかな、先回りして酌んでいただいているのかなという具合に思う次第なんですけれども。

 それでは次に、現在の定期航路よりも、今度、下流ですね、今、上流の話をしてきましたが、下流であります大阪市の八軒家浜から万博会場である夢洲までの航路を考えたとき、舟運をするために技術的な問題は何があるのか。そして、あるのであれば、解決する方策についても併せてお伺いをしていきたいと思います。

井上政府参考人 大阪市内の八軒家浜から万博会場の夢洲まで向かう舟運の実現に当たっては、大きく二つの技術的課題があります。

 一つ目の課題は、航路の設定です。大阪市の中心部を流れる大川を通り、大阪湾に位置する夢洲に向かうルートが最短となりますが、河川に架かる橋の高さが低いため、潮位が高い時間帯は通航できないという課題があります。

 淀川大堰閘門、今建設中ですけれども、これが完成後には、低い橋が少ない淀川本川の方を通って夢洲に向かうことで、通航可能な時間帯が増加することになります。ただし、このルートは淀川大堰閘門、毛馬閘門という二つの閘門を通る必要があり、最短である大川を通るルートに比べて時間がかかることから、事業者が潮位の状況を踏まえ、効率的な航路を選択することとなると考えています。

 二つ目の課題は、船の構造です。河川で用いる観光船は、橋の高さや航路の水深を踏まえ、海で使う船に比べて高さが低く、喫水の浅い船を使う必要があります。そのため、大阪湾に出ると、波や風の影響で揺れが大きくなる課題があります。

 この課題については、今後、舟運事業者を中心に必要な対策が検討されることを期待し、国土交通省としてもできる支援を検討してまいります。

池下委員 国交省としても御支援いただけるという明言をいただきましたので、ありがとうございます。

 私もかつて、今、定期航路ができている部分につきまして、国交省さんがやっていただきました実証実験、やったときに私も船に乗せていただきました。今ちょっと御案内がありました、大阪の都島区に毛馬の閘門という門扉がありまして、そこで乗らせていただいたんですが、フランスのセーヌ川にも同じような閘門がありまして、下流の方は水位が浅い、上流の方はちょっと急傾斜になっていまして、ちょっと高い位置にありますので、船を一回門の中に入れて、そこで水位を調整して上流に流していくという仕組みの閘門が今回二つできるわけです。

 そこも、私乗らせていただいたときに、結構スリルがあるなといいますか、なかなかこういう船に乗ることがないものですから、観光客の皆さんは非常に、ちょっと時間はかかるかもしれないですけれども、楽しめる空間になるのじゃないかなという具合に思っております。時間がかかるデメリットもありますけれども、それが逆に楽しめるということにもつながっていくかなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、観光の面からお伺いをしていきたいと思います。

 観光庁におきましても、二〇一九年には大阪市内、道頓堀エリア等で、地元企業と協力して、大阪リバー・ゴー・ラウンドと称して、インバウンド専用のクルーズ船を道頓堀に定期出航させて、船内でパーティーなどをするなどして、夜間コンテンツとして娯楽サービス消費に一役買われてきたとお伺いをしております。

 この舟運事業を成功させるには、地元事業者や自治体はもとより、国交省内においても、河川管理、そして運輸の面、そして観光の面からも連携が私は必要だと考えております。

 そこで、大臣にお伺いをしたいと思うんですが、いわゆる国交省内の垣根といいますか縦割りといいますか、そういうところをやはり万博に向けて一回ざっと取っ払っていただきまして、是非地元事業者や自治体のバックアップというものをやっていただきたいなという具合に思うんですけれども、大臣の力強いお言葉をお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 結論から先に申し上げますと、バックアップをさせていただきたいと思っております。

 舟運事業の成功には、議員御指摘のとおり、多岐にわたる関係者が課題の共有やその対応について一体的に取り組むことが不可欠です。

 このため、まさに先ほど委員おっしゃっておりましたけれども、今日二十三日、舟運活性化のための環境整備、沿川の観光資源との連携等の観点から、近畿地方整備局及び近畿運輸局は、大阪府、京都府、沿川市町、経済団体、舟運事業者等を構成員とする協議会を新たに設立いたしました。

 舟運事業は、緊急時の物資輸送等の防災面はもちろんのこと、水都大阪及び古都京都を結ぶ淀川沿川地域の魅力を発信して万博開催を盛り上げる、観光面でも重要な取組であることから、更なる活性化に向け、国土交通省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

池下委員 大臣、ありがとうございます。

 私は、この舟運に初めて取り組んだのがもう十年くらい前になるんですけれども、かつて、幕末の頃までは、大阪湾の方からまさに坂本竜馬が寺田屋の方まで、伏見の寺田屋というのがありましたけれども、あそこまで船でずっと上がって行っていたわけですよ。あれを私は復活させていただきたいなという具合に考えております。

 今まさに時代というのはデジタル化が進みまして、飛行機も新幹線も、いろいろな交通ジャンルがありますけれども、逆に今の時代だからこそ、ちょっと船を使って、ゆったりと観光に時間を費やしてもらうということも、時間の使い方として、今のあくせくした現代人の中の楽しみ方の一つとしてあるんじゃないかなという具合に考えておりますので、是非、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして質問させていただきたいと思いますけれども、本日、福田委員からも御質問がありましたけれども、地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化についてお伺いをしていきたいと思います。

 資料はこちら、五枚目の方になりますので、御覧ください。

 今まさに、新型コロナの収束後、これまで観光に行けなかった日本人、また海外からのインバウンドというものをまさに復活させていくということは、本当に非常に大事なものだと思っております。

 観光といいますのは、遊びに行けば本当に観光ですけれども、現場で事業をされている方は本当にお仕事で、それがないと、観光が落ち込んでしまうと自分たちの生活にも影響を与えていくという問題にもなっております。

 そこで、アフターコロナの時代は、これまでの単なる、有名な観光地だけでなく、かつてにぎわいのあった観光地の再生をすることによりまして、観光客に新たな価値を見出していただいて、そして再びこの観光地にやってきていただくということが私は非常に大事だと思っています。

 観光庁は、令和二年に、これまでにない思い切った補助事業として補正予算を出されました。令和二年度の補正予算は五百五十億円でこの事業を実施されておりますけれども、この評価についてお伺いしたいと思います。

 そしてまた、これを踏まえた上で、先ほどもありましたけれども、令和三年に約一千億円の予算を組まれているわけなんですが、これにつきましての大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 この再生・高付加価値化推進事業、令和二年度三次補正で五百五十億円、これで二百三十地域を採択しました。

 その中で、例えば兵庫県の城崎温泉では、地域全体の質の向上をコンセプトに、地域全体の約三分の一に当たる二十二軒の旅館を一斉にリニューアルさせるなど、面的な観光地再生の取組が生まれました。

 しかし、この事業では宿泊施設の大規模改修には補助上限が十分ではなく、また、関係者の合意形成が難航し、計画提出に至らなかった地域もあったと承知しております。

 そこで、令和三年度の経済対策で新たに措置した、地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化という事業ですが、この事業では、新たに予算規模を一千億円に拡充した上で、宿泊施設の補助上限を一億円に拡充し、また、投資余力に乏しい宿泊事業者への補助率かさ上げを実施するほか、地域の合意形成を支援するための専門家の派遣といった措置を講じ、三月十八日より公募を開始いたしました。

 この新たな事業を通じて、宿を始めとする裾野の広い観光関連事業者全体、ひいては地域経済全体のV字回復が実現することを期待しております。

池下委員 それでは、この事業なんですが、地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化の事業に関しまして、昨年度の補正予算では、市町村の、自治体の関与というものが不要であったんですけれども、今年度は、数週間前まで、自治体の関与が必要であるという文言が記載を実はされておりました。自治体も、観光計画など変更があると二の足を踏んでいるというところもあります。

 私の地元高槻市でも、この事業を使いたいと言われている事業者さんもおられます。せっかくのすばらしい事業だと考えておりますので、使い勝手のよいものにしていかなければなりません。

 そこで、この事業は自治体の関与が必ず必要なのかどうなのか、お伺いをしたいと思います。

和田(浩)政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の事業の応募に当たりましては、自治体の同意は必須ではございません。観光地域づくり法人、通称DMOと言っておりますけれども、DMOやその候補となっている法人、又は同一の観光地に所在する原則五者以上の民間事業者や団体により、計画を策定いただくことが可能です。

 ただし、地域が一体となった取組を推奨する観点から、地域で作成いただく計画に自治体が賛同し、計画実施に協力する場合には、審査において加点要素とさせていただく予定でございます。

池下委員 是非よろしくお願いします。

 それでは、最後にさせていただきたいと思います。

 資料の最後、六枚目になるんですが、淀川堤防ののり面の維持管理についてお伺いします。

 写真を見ていただいたら分かるんですが、堤防の草が毎年頭髪の刈り上げのような状態になっておりまして、見た目にも安全面からも悪い、何とかならないかという地元の淀川流域の住民の皆さんから声が届いております。

 堤防道路を国が市へ道路占用していることによって、道路付近側一メートルを地元市が管理、その他は国管理というところから来ていると聞いております。

 管理者ごとの維持管理は、その責任の所在を明らかにするという意味では機能が必要ですけれども、時として地域のニーズに合わないこともあります。国が自治体と協力して工夫をしながら効率のよい維持管理を努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

井上政府参考人 河川の維持管理は、沿川自治体、河川利用者等と連携し、様々な工夫をしていくことも重要です。

 このため、例えば、国が管理する河川では、堤防の効率的な維持管理のため、除草のための作業機械の遠隔操作化や自動化などの技術開発を進めています。

 また、国のみで河川管理を行うのではなく、住民参加型の河川管理として、河川協力団体制度を活用した、住民の皆様やNPO、民間企業による除草や清掃活動などにも取り組んでいるところです。

 議員の御選出の、淀川が流れている高槻市の別の場所では、近隣住民と高槻市、河川管理者が連携し、除草を軽減する草丈の低い植生への植え替えなどの取組も行われています。

 引き続き、効率的な河川の維持管理に向けた取組を努めてまいります。

池下委員 以上です。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日も、時間が短いので、答弁は簡潔にお願いいたします。

 まずもって、先週十六日に発災した地震でお亡くなりになった皆様に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災した皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 昨年の福島県沖地震で被災したホテル、旅館などが再び被災をしております。私が伺った仙台市秋保温泉のホテルでは、ようやく平年の六、七割までお客さんが戻ってきたところの被災でした。水道の配管が破損し、客室と売店が水浸しになり、大きなガラス窓が割れるなどの被害がありました。昨年もグループ補助金四千万円弱をいただいて本当に助かった、しかし今回はそれ以上の被害だと言っております。

 そこで、グループ補助金を今年もやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。被害が続いていることから、なるべく要件を簡素にするべきだと思いますが、経産省に伺います。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、宮城県、福島県の中小・小規模事業者の皆様の中には、東日本大震災、そして新型コロナ、昨年、お話のありました二月十三日の福島県沖地震に加え、先週三月十六日の福島県沖地震で被災された方々もおられて、連続する災害によって厳しい経営環境にあると承知しております。

 経済産業省としましては、まず、発災翌日に、中小企業支援策として、災害救助法が適用された宮城県、福島県内の全市町村に対して、五つの施策を講じております。特別相談窓口、災害復旧貸付け、セーフティーネット保証、あと既往債務の返済条件緩和等への柔軟な対応要請、それに小規模企業共済災害貸付けの適用等をやっております。

 それで、委員の御指摘のありました措置でございますが、現在、地方経済産業局の職員が直接現地で情報収集を行うとともに、被災自治体、また福島相双復興推進機構等からも被害状況を収集しているところであります。

 このように被害状況をしっかりと把握した上で、経済産業省としましては、既に講じました施策に加えて、お話のありましたグループ補助金、またその他の支援策について、何が被災状況に即した適切な支援策なのかをしっかりと検討してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 連続した地震であること、災害であるということを踏まえた答弁をいただいたと思うんですが、今のところ発表されているものは、まだ貸付けの部分でありますので、幾ら保証が一〇〇%だ、政府保証だよといっても、融資はこれまでもさんざん借りているという状況もありますので、グループ補助金、何としても実現させていただきたいとお願いしたいと思います。

 それで、昨日の内閣府防災の報告では、住家被害が、半壊が三軒、一部損壊が二百三十四軒ということでありました。更に数字は増えるとは思うんですけれども、正直、住家が幾つも壊れているような、見た目ではっきりと分かる被害ではないんです。

 私が伺ったのは宮城県白石市でしたけれども、丁寧に見ていくと、外壁にはひびが入り、内壁は落ちて断熱材がもろ見えているとか、家具には全部、やはり去年の地震のこともあったのでストッパーをつけているんだけれども、それでも、それを破って食器などが全部散乱しているという状態でありました。そのお店は、住家とお店が一体となっているんですが、大震災のときは判定が一部損壊だった、それで、私が何か助けてもらったものといえば高速料金の無料化だけだと話しておりました。

 だからこそ、やはり一部損壊であっても、被災者生活再建支援法とか救助法とかの応急修理とかの対象になるべきだということをずっと、私たちもそうだし、知事会も訴えてきた。そういう中で、先般、一部損壊の中に準半壊という定義を設け、災害救助法の応急修理が適用になりました。

 被災者は、今もお話ししましたように、大震災、台風、そして昨年の地震というように、連続しての被災であることを考慮しながら、認定、救済できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

五味政府参考人 今回の災害につきましては、宮城県及び福島県の全市町村、全九十四市町村に災害救助法が適用されたところでございまして、国庫負担により被災した御自宅の応急修理などが可能となっております。

 災害救助法による応急修理は、令和元年八月から準半壊、損壊割合でいきますと一〇%以上を対象としておりますが、こうした被害の程度は、今後行う住家の被害認定調査により明らかとなります。

 この被害認定調査につきましては、災害ごとに速やかに実施すべきものでございますが、この度の災害についても、内閣府といたしましては、被災市町村を対象とする説明会等を通じまして、迅速かつ丁寧な調査が行われるよう支援を行っているところでございます。

 今後とも、きめ細かく被災市町村の相談に乗ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 お願いします。

 準半壊の考え方は、やはり、水害の被害で余りにも対象が少ないよねというところから、考え方が分かりやすかったと思うんです。地震の場合は逆に分かりにくくなるかな、一〇%前後というのがどうかなということがありますので、よく丁寧に対応していただきたいとお願いいたします。

 次に、国の重要伝統的建造物群保存地区に宮城県としては唯一指定されている村田町の蔵のある町が、昨年に続いて被災しました。江戸時代末期からベニバナの取引などで栄えた商店、そして裏は母屋の美しい町並みなんですが、おひな祭りや陶器市などの恒例行事でにぎわうこともありました。だけれども、蔵を持っていても直すばかりで大変だ、次の世代に負担を残したくないとの率直な声も聞こえます。町が所有するのは二軒のみで、あとは個人の所有物であるために、個人負担が余りに大きく、無理からぬことと感じました。

 文化庁に先に伺いますが、昨年の地震でも補助が出ていると聞きます。重ねての支援が可能なのか。また、一般論として、文化財としての価値を維持しながら耐震化を進めていく必要があると思いますが、どのように考えるか、お願いします。

榎本政府参考人 宮城県村田町の重要伝統的建造物群保存地区につきましては、昨年二月の福島県沖地震による被災があり、文化庁では、今年度、町が実施する外壁補修等の災害復旧事業に対して、補助率をかさ上げの上、国庫補助を行っています。

 これらの地区では、先週の地震によっても被害が発生したと報告を受けております。今回の地震による被害につきましては、別途の支援が可能であり、まず、被害状況の具体的な確認を行った上で、地元自治体の御要望を踏まえ、必要な対応をしてまいりたいと考えております。

 また、文化財の耐震対策は極めて重要と考えております。文化庁としては、重要文化財耐震診断・耐震補強の手引を作成、周知し、文化財所有者に耐震対策を促すとともに、令和二年十二月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を踏まえ、国指定文化財等の耐震対策を進めてまいります。

高橋(千)委員 ありがとうございます。重ねての支援が可能だというお答えだったと思います。

 そこで、大臣に伺います。

 文化財であるからということで、かさ上げの補助が出るということを私、今、確認しました。ただ、最初に言ったように、そうはいっても、個人の持ち物であり、自己負担があり、これからずっと維持していけるかなという不安の声が出ているわけなんです。

 それで、やはり、これはある意味まちづくりの問題でもあります。この歴史ある蔵や建物を、名義上は所有主であるんだけれども、実際そこに住んでいない方が半分なんですね。経済的に負担はできない。そもそも連絡がつかない方もいらっしゃいます。重要伝統的建造物を守っていくということはどれほど大変なことか、でも、ほかにはない特色を生かしたまちづくり、よそから借りてこなくても、あるものを生かしたまちづくりこそが大事だと思うし、決めるのは町民自身なので、外野が言う必要はないんだけれども、こうすればやはりできるよということを、選択肢を示すのが政治家の役割だと思っておりますので、文化庁と国交省の組合せで、本当に存続の道があるんだということを示していきたいと思うんですが、一言だけお願いします。

斉藤国務大臣 一言だけということですが、ちょっと説明させていただきますと、国土交通省では、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律という法律がございまして、これに基づいて、文化庁及び農林水産省と連携して、歴史まちづくりを支援しております。

 そのためには、歴史的風致維持向上計画を市町村が策定し、国が認定することになっております。認定を受けた計画に位置づけられた町家などの歴史的建造物の保存、修理等について、社会資本整備総合交付金等による支援を実施しているところでございます。

 宮城県村田町においては、重要伝統的建造物群保存地区を有することから、計画の策定は可能であると考えておりまして、このため、計画の策定段階から御相談をいただければ、丁寧に対応させていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、またよろしくお願いします。

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 大臣、本日もよろしくお願い申し上げます。

 私、先日、所信質疑の場におきまして、古川先生が高速道路料金の定額化という話をされておりましたけれども、それと同様に、高速道路の料金制度のことについて質問させていただきます。

 昨年の八月に、社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の中間答申というのが出されました。その中で一番問題になっているのは償還制度をどうするのかということでありまして、国土交通省の中では、償還制度というものは、建設に要した費用と維持管理費、利息等の合計額を一定期間の料金収入により賄うという制度であると。民間資金などの債務を完済した後は無料開放し、継続して必要となる維持管理費については税金により実施すると。要は、全部、建設費と維持運営費を返し終わった後は無料開放するんだというのが償還制度だということにしております。

 一方、この報告書の中では、高速道路ネットワークの機能を長期にわたって健全に保つためには従来行ってきた修繕を繰り返すだけでは不十分、建設時に施工を急ぐなど無理をした箇所や古い基準で設計された箇所など、建造物の修繕じゃなくて更新の必要性や対処方針が明らかであるとしています。

 更新というのは、例えば日本橋の上に架かっている首都高を今度は地下化にするとかというのが更新といったもので、修繕ではないんですね。もっと大きな工事を必要とする。

 更新事業を追加することにより、早期に抜本的な性能回復を図るべき。ただし、構造物の劣化を正確に予測するのは困難であるため、現時点で必ず十分に見通すことができない。

 今後、更新事業等を追加することは必至であり、これらに必要とする財源については、現行の償還主義を見直すことが必要である。償還主義を見直すことが必要である。

 更新、進化を継続していくためには、資金調達、投資、債務返済というサイクルにより、特定の時点で債務をゼロにするということを前提にするのではなくて、債務の一部又は全てを保有し続けるという案を検討することも考えられる。

 様々な記述がいろいろな観点から出されているんですけれども、これらをつなぎ合わせてみると、更新という新しい概念を出して、更新はいつどのようなものが発生するか見通せないわけです。ずっとNEXCOに債務を持たせた上で、償還主義を改めて、設備の更新、進化という名目でずっと料金を取り続けていくという仕組みを、少なくとも選択肢の重要な一つとして目指しているように見えるのですが、その事実は正しいでしょうか。

斉藤国務大臣 現在の有料道路制度は、建設や維持修繕等に必要な費用を利用者からの料金収入により賄うということが原則でございます。建設等のために借り入れた債務を償還した後には無料で開放する、そういう制度、これが原則でございます。

 この有料道路制度については、先ほど福島委員からお話がありましたように、昨年八月に取りまとめられた社会資本整備審議会の部会の中間答申において、有識者から、利用者負担を基本とすべきであること、それから、料金徴収期間の延長について具体的な検討を進める必要があることなどの御意見をいただいております。

 また、大きく方向性が変わったのかという、今、福島委員の御指摘でございましたけれども、この部会の中間答申においては、「料金徴収を継続するか、税負担に切り替えていくのかという論点については、超長期の将来の見通しをもって議論する必要があり、道路交通を取り巻く環境の大幅な変化等を見据えながら、引き続き議論を継続する必要がある。」との御意見をいただいております。すなわち、将来、料金徴収を継続するかといった課題も含め、引き続き議論するということとされております。

 したがいまして、国土交通省といたしましては、この中間答申を踏まえ、料金徴収期間の延長なども含めて議論を深め、今後、現行制度の見直しの検討を行ってまいりたいと思っております。

福島委員 もっともらしい議論なんですけれども、なぜ超長期の将来の見通しを持って議論する必要があるんですか。要するに、償還主義を変える必要がなければ、こんな議論することはないわけですよ。超長期の見通しを示して、これから継続的に議論するということは、やはり償還主義の見直し、根本的な見直しがあり得なければないわけであって、これ、大きな制度の変更になるんですよ。やはりそこは、将来、償還主義の見直しに向けて、言い方は悪いですけれども、ある意味の時間稼ぎになっている。

 何でこれは超長期の将来の見通しをもって議論する必要があるんでしょうか。

斉藤国務大臣 まさにそういう視点も含めて、議論を今深めていくべきだということだと思います。

福島委員 よく分からないんですけれども、この報告書の中には、「将来、高速道路は無料になるという説明に対する不信感が高まっている。」と言っているんですね。まさにこの中間報告こそが不信感の原因なわけですよ。

 みんな高速道路が無料化になるのはおかしいとも思うわけですね。「現在の有料道路において高速交通の直接の受益者に対し負担を求めることに一般的な理解が得られている」とされていますけれども、これは本当ですか。

 少なくとも私の地元は高速を使わなきゃ、例えば私の選挙区も、移動することができません。非常に重い負担を感じながら走っておりますし、トラックの運転手さんなんかは高速道路を使わないで、その分、夜中、長い時間かかって下の道を走るというのが実態でありまして、受益者に対する負担感という意味では非常に重いのが実際で、一般的な理解が得られているというのは何らかのアンケートをやったんでしょうけれども、私は、とてもそうだとは思えません。

 そもそも高速道路って、無料開放した後も無料かといったら、無料じゃないと思うんですね。逆に言えば、一般の国道は無料かといえば、無料じゃないんですよ。それは何かといえば、今、ある党首が非常に御執心の暫定税率というのがありますけれども、ガソリンスタンドに入ったときに払う税金というのは、ある意味、道路の通行料なわけですよ。あるいは自動車を買うときとかいろいろかかる、車両重量税とか、様々な自動車関係の諸税って、ここの皆さん、みんな車を買ってお持ちでしょうから、物すごい重税感があるんですね。かつては道路特定財源という形で受益と負担の関係が明らかな税であったけれども、大変な重い負担なんです。

 道路局長にお聞きしますけれども、これまでの道路特定財源、これは平成二十年までありましたけれども、そのとき、あるいは今、NEXCOが行っている、あるいはかつての道路公団が行っていた道路の建設費や維持管理費には、一般財源からお金は費やされていたんでしょうか。答弁お願いします。

村山政府参考人 お答えします。

 高速道路事業に対します国の予算措置ということで、こちらについては、高速道路の道路資産の保有と債務の返済を行う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構というものがございまして、そちらへの予算措置ということでお答えさせていただきますと、平成二十年度当初予算におきましては、首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡高速道路に対しまして、当時ありました道路整備特別会計から出資金として国費七百六十九億円を措置しているところでございます。

 一方、令和三年度の当初予算におきましては、同様に、首都高速道路、阪神高速道路に対しまして、出資金といたしまして国費四億円を措置したほか、高速道路会社が実施するスマートインターチェンジの整備事業に対して国費四十四億円を措置してございます。

福島委員 いや、それを聞いているんじゃない。私が聞いているのは、NEXCOや道路公団が料金収入で賄うべきとされている道路の建設や維持管理にはお金が費やされているんですかと聞いているんですよ。端的にお答えください。さっきの七百六十九億円の出資金は建設費に対する補助ですか。どうなんですか。

村山政府参考人 七百六十九億円の出資金の目的でありますけれども、いろいろとありますが、こちら大まかに言いますと、本州四国連絡道路の方に出資金が五百三十億円余入っておりますが、これは有利子の債務を出資金として国から出資するということでありまして、元来、建設にかかった債務の、そちらについて肩代わりという格好で、出資金という格好で国費を入れたということでございます。

福島委員 よく分からないですけれども、要するに、我々が払っているガソリン代というのは、ほとんど高速代の、直轄方式以外ですけれども、建設や維持運営にはかかっていないわけですよ。ですから無料じゃないんですね。無料開放にするということは、要は普通の国道と同じ扱いに高速道路をするというだけでありまして、決して国民の負担がなくなることはないことはおろか、大きな自動車のユーザーにとっての負担があるんです。

 私は今日、全然時間がないので、本当は一時間ぐらいかけてこの議論をしたいんですけれども、なぜこのことを問うかというと、今回のこの報告書を見ても、これから発生するであろう様々な維持管理やあるいは更新といったものの費用負担をどうするかという観点からしか高速道路の話がされておりません。

 私、先日の所信のときに、壮大な国土論を展開させていただきましたけれども、高速道路というのはこの国にとってどういう財産なのか、インフラなのか。先ほど福田先生からもストック効果という話がありましたけれども、そのときで見たときに、果たしてどのような料金水準であることが、高速道路という資産を国民のために、あるいは将来の国のために有効に使えるかという議論が先になければ、財政の議論でこれだけの費用がかかるから料金は幾らですと差戻しの議論をやっている限りは、私は、高速道路がこれから国の財産として活用されることはないと思うんですね。

 あと、もう一点は、受益と負担の関係です。

 車を利用する人は、先ほど言ったガソリンや自動車に係る諸税を負担しております。今、高速道路料金も負担をしております。かつては道路特定財源という形で負担と便益の関係が明確になる関係にあったけれども、今はそれがないわけですね。かつ、道路であれば、本来は、理論的には建設国債という選択肢もあるんです。なぜなら、それは資産だからです。普通の借金じゃないから、建設国債を発行して更新を行うという手段もあるんです。様々な資金調達の手段があるにもかかわらず、安易に、先ほどETCの話がありますけれども、チャリンと料金が落ちる、その値段だけで考えるということが国土政策上私は問題だと思うから、この問題を取り上げているんです。

 これからも何度もこの問題は取り上げますけれども、大臣、是非とも、この国土幹線道路部会の議論も、この委員会でも、議事録を調べたけれども、ほとんどされていないんですね。もう一度、国土政策的な観点から、単に償還方式をやめるとか永久有料化を実現するということではない、国土政策的な観点から高速道路政策というのを見直していただきたいんですけれども、大臣の思いを是非お聞かせください。

斉藤国務大臣 国道、高速道路そして一般道路、これが我々国民生活のまさに基礎インフラでございますが、これがどういうふうな形であるべきかということは、これからしっかり議論していかなくてはいけないことだと思います。

 一方で、まだまだ地方の方では整備されていない高速道路、ミッシングリンク、また、二車線を四車線にしてほしいというものもございまして、それらの費用をどうするのかということも考え合わせながら、国民生活全体が豊かになる、そのために高速道路がどういう役割を果たしているかということも含めて議論をしていかなくてはいけない、このように思っております。

福島委員 政治の役割は、既存の制度を前提にするだけじゃなくて、制度を変えることが目的であると思っています。道路公団の民営化、道路特会の廃止、様々な制度が変わった中のはざまに今あるわけですね。ですから、もう一度、高速道路だけではない、全体の道路行政としての、今大臣がおっしゃった負担の関係も含めて整理した根本的な議論をすることを求めまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

中根委員長 次に、内閣提出、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

    ―――――――――――――

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

斉藤国務大臣 ただいま議題となりました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 人口減少、少子高齢化が進む中、相続件数の増加、土地の利用ニーズの低下と所有意識の希薄化が進行しており、今後、所有者不明土地の更なる増加が見込まれます。こうした中、所有者不明土地の利用について、より一層の円滑化を図るとともに、周辺の地域に深刻な悪影響を及ぼすことが懸念される所有者不明土地の管理の適正化を図ることは喫緊の課題です。あわせて、これらの所有者不明土地対策を推進するに当たっては、地域の関係者が一体となって取り組むことができる体制を整備することも重要です。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、所有者不明土地の利用の円滑化の促進を図るため、地域福利増進事業の実施のための措置及び土地収用法の特例の対象である特定所有者不明土地の範囲を拡大するとともに、地域福利増進事業について、対象事業の拡充、土地等使用権の存続期間の上限の延長等の措置を講ずることとしております。

 第二に、所有者不明土地の管理の適正化を図るため、所有者による管理が実施されていない所有者不明土地について、その周辺の地域における災害等の発生を防止するために市町村長が勧告、命令及び代執行を行うことを可能とする制度を創設し、また、民法における管理不全土地管理命令等の請求に係る特例措置を講ずるとともに、これらの実施の準備において、土地の所有者等の探索のために必要な公的情報を利用、提供することを可能とする措置を講ずることとしております。

 第三に、所有者不明土地対策の推進体制の強化のため、市町村が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する計画の作成や協議会の設置をする制度や、低未利用土地の適正な利用及び管理等を図る活動に取り組む法人を指定する制度を創設するほか、当該計画に基づく取組について国が補助することができる旨を規定する等の措置を講ずることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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