衆議院

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第5号 令和4年3月30日(水曜日)

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令和四年三月三十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 忠彦君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    大串 正樹君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神田 潤一君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      小林 茂樹君    國場幸之助君

      櫻田 義孝君    笹川 博義君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      中川 郁子君    西田 昭二君

      根本 幸典君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    柳本  顕君

      山本 左近君    和田 義明君

      稲富 修二君    枝野 幸男君

      神津たけし君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    谷田川 元君

      渡辺  周君    池下  卓君

      高橋 英明君    山本 剛正君

      河西 宏一君    北側 一雄君

      鈴木  敦君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   内閣府副大臣       大野敬太郎君

   法務副大臣        津島  淳君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           辻  貴博君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)

   (国土交通省大臣官房審議官)           吉田 幸三君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 川窪 俊広君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       市川 篤志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 昌由君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  淡野 博久君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     神田 潤一君

  小里 泰弘君     大串 正樹君

  金子 俊平君     西田 昭二君

  根本 幸典君     山本 左近君

  古川 元久君     鈴木  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     小里 泰弘君

  神田 潤一君     石原 宏高君

  西田 昭二君     金子 俊平君

  山本 左近君     國場幸之助君

  鈴木  敦君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     柳本  顕君

同日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 特定土砂等の管理に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一八号)

 土砂等の置場の確保に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一九号)

 宅地造成等規制法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

同月三十日

 新型コロナ危機打開のため観光業などへの直接支援の実施に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七〇五号)

 同(笠井亮君紹介)(第七〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第七〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七〇九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七一〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七一一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七一二号)

 同(宮本徹君紹介)(第七一三号)

 同(本村伸子君紹介)(第七一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤国務大臣 今般、基幹統計である建築工事費調査及び一般統計である産業連関構造調査の一部について、調査票の配付が調査計画より大幅に遅れていることが判明しました。これについては、本年一月に検証委員会からいただいた建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る調査報告書において、再発防止策の一つとして職員の業務過多を解消すべきことが提言されたことを踏まえ、担当部署において職員に業務執行に係る処理や負担の実情を確認していく過程で、今回の事案が判明したものです。

 本委員会の所信でも申し上げたとおり、建設工事受注動態統計調査の不適切な処理を踏まえ、公的統計の信頼確保に向けて取り組んでいる中、国土交通省の所管統計においてこのような事案が生じたことについて、国土交通大臣として極めて遺憾に思います。

 建築工事費調査は、令和二年までは都道府県が実地調査をしていましたが、令和三年一月からは国が直接事業者に報告を求める調査として新たに開始したものです。当初予定していた以上に調査対象者のリスト化等に時間を要した結果、調査計画の下では令和三年一月以降に調査票を順次配付し、対象建築物の工事が完了した二か月後に回収することとしていますが、その調査票を現時点で配付できていませんでした。

 事案の把握後、国土交通省では、速やかに総務省に報告した上で、基幹統計である建築工事費調査については、二十八日に統計委員会に対して報告を行い、今回の事案を受けた調査計画変更の方針について御了解いただきました。これを受け、国土交通省としては、当初予定どおりに調査結果を公表できるよう、調査計画の変更等に係る正式な手続を行い、早急に調査票の配付とその結果の集計とを進めていくこととしています。

 今後、このような事案が発生することのないよう、先日設置した再発防止検証タスクフォースにおいて、今回の事案も含めて、再発防止策を検討し、私自ら先頭に立ち、組織一丸となって取り組んでまいります。

     ――――◇―――――

中根委員長 次に、内閣提出、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房土地政策審議官市川篤志君、国土交通省大臣官房審議官兼内閣府総合海洋政策推進事務局次長吉田幸三君、国土交通省大臣官房技術審議官廣瀬昌由君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、国土交通省都市局長宇野善昌君、国土交通省住宅局長淡野博久君、内閣府規制改革推進室次長辻貴博君、総務省大臣官房審議官川窪俊広君、法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎君及び資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎委員 自由民主党の宮崎政久です。

 今日は、貴重な質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げまして、早速質疑に入らせていただきます。

 所有者不明土地の問題、平成二十九年の四月に、我々自由民主党では、所有者不明土地に関する特命委員会を立ち上げました。そのときから関わってまいりました。その当時、大先輩の保岡興治先生、野田毅先生、こういった大先輩方にたくさん御指導いただいたこと、今でもよく覚えております。

 この問題に最初に取り組んだときに、六本木ヒルズの開発を担当された事業者の方からお話を聞いたことがあります。十一ヘクタールの事業区域の中に、僅か一筆の土地の所有者が確定できなかったこと、また、この開発区域の中に、約四百筆の土地の地籍調査が未了であったこと、こういったことが影響して、開発着手が四年遅れたというようなお話を聞きました。法整備がされていないことによる経済的な損失というのは計り知れないほど大きいんだなというため息をついたことを覚えております。

 つまり、この問題は、少子高齢化の進展や、これに伴う土地利用ニーズの低下という、今回大臣が御説明くださった現代的な事情から生じることは、影響しますが、それよりも、前からずっと放置をされていた土地政策上の課題であって、我が国の経済の発展の阻害にならないように、逐次どんどん、まだまだ解消、解決を図っていかなければいけない課題だと考えています。

 そういった意味で、今回の法改正、私は、基本的に歓迎をして、質疑いたしたいと思っています。

 そしてまた、私の地元沖縄では、さきの大戦でお亡くなりになった方が多いということはもちろんなんですが、さきの大戦で公図や公簿などの記録が全部焼失をしてしまいました。戦後、土地所有権の確定作業とか認定作業、地籍調査、実施をしておりますが、所有者を確定、確認できない土地がたくさんあります。今も取り組んでもらっていますけれども、真の所有者への返還作業がまだまだ進んでいなくて、戦後多くの時間がたち、そして二十七年の米軍統治下を踏まえて、今度、本土復帰五十年という節目を迎えるところでございます。長い時間が経過をしたことによって、資料の少なさ、これが、真の所有者への返還へ大きな妨げとなっている地域の事情もございます。

 これまで政府では、平成三十年に所有者不明土地法を制定することを皮切りに、一連の制度改正を進めています。私の地元沖縄でも、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律に基づいて、所有者の探索作業というのを進めているところでありまして、これからの進展を大きく期待しています。

 所有者不明土地問題というのは、対象も課題もすごく多いものですから、可能なものから段階的に、できることは速やかに制度化する、これが大切だと私は思っています。今回の法改正がよりよき制度改正になるように、質疑をさせていただきます。

 そこで、具体的な質問を、まず国土交通省にさせていただきたいと思います。

 今回の改正では、法適用対象となる土地を拡大して、この制度の利用を円滑化するということが定められていて、これは非常にいい改正だと思っています。

 所有者土地法を制定して、所有者不明土地を公益的な事業での利用につなげる道筋はできたのでありますけれども、対象土地は、原則として、建築物のないものに限られていました。山林原野のようなところを想定すればこれでいいんでしょうけれども、例えば、都市部住宅街、人が住んでいるようなところ、活用されていない土地には、ほぼ漏れなくと言っていいぐらい廃屋のような建物があって、それゆえに土地利用を阻害したり、地域の環境に悪い影響を与えているという事情は、しばしば私たちは見ているわけであります。

 そこで、今回の法改正では、地域福利増進事業などの対象となる所有者不明土地については、朽廃した空き家や工場の建屋などの建築物がある場合を想定していると思っておりますが、これは、ちょっと法文を読むとこう書いてあるんですね。その利用が困難であり引き続き利用されないと見込まれる建築物が存在する場合というふうに書いてあるわけであります。

 これは、いいようにも思うんですけれども、例えば、私は弁護士なので、賃貸借契約の争いなんかで、賃貸借契約の終了の場面で、建物の朽廃というのが要件として該当するのかということで争いになって、裁判での認定にすごい時間がかかったり、鑑定をしたりしないといけないというようなことは、しばしばよく見ているところです。

 そこで、今回のこの、その利用が困難であり引き続き利用されないと見込まれる建築物の判断基準、これは具体的に示していかないと、なかなか使えないということにもなりかねない。この改正の具体的な内容と周知をどうすると考えているか、御説明いただきたいと思っています。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点でございますが、今回の改正によりまして、地域福利増進事業などの対象となる所有者不明土地について、その利用が困難であり引き続き利用されないと見込まれる建築物が存在する場合にも拡大するという改正を行っております。

 具体にどのような建築物が該当するか否かの判断に当たって考慮すべき事項につきましては、政令で定めることとしております。政令では、例えば、建築物の土台、柱、壁、屋根といった構造部ごとの損傷具合あるいは全体の傾斜具合といった建築物の損傷、腐食、その他の劣化の程度、建築時からの経過年数や現に利用されていない年数などを規定することを想定しております。

 さらに、お話しいただきましたように、現場で判断する際の参考としていただくため、より具体的な内容をガイドラインで定めることとしておりまして、これらにつきまして、全国十ブロックに設置されております所有者不明土地連携協議会などを通じて、地方公共団体、民間事業者等への周知を徹底してまいりたいと考えてございます。

宮崎委員 今の、この政令を受けた後のガイドラインが重要なんだと私は思います。劣化の程度を建築の専門家に具体的に例示を示してもらって、例えば一定の面積におけるクラックの割合であるとか、こういったことをある程度具体的に示さないと、速やかに進めない。つまり、所有者不明土地の解消をしていくというのをどんどんどんどんやらないといけないというときに、この認定にすごい時間がかかっちゃうということだったら、本当に本末転倒みたいな話になりますので、そういったところは是非、十分に配慮していただいて、ガイドラインの策定まで進んでいただきたいと思っております。

 次に、長期相続登記等未了土地解消作業についての、まずは実績、成果みたいなものを法務省に聞きたいと思います。

 所有者が死亡した後も相続登記がされないことが原因で、所有者不明土地が生じているわけです。所有者不明土地の存在は、全国どこでも、各地の地方自治体の公共事業で大きな妨げになっております。また、私の地元沖縄では、先ほども述べましたが、戦後処理を通じても所有者が判明をしない。登記簿を見ると、所有者という欄に管理者、琉球政府と書いている土地がたくさんあるんです。これは、戦後復興作業の中でやってきたけれども分からないということで、これは、法律によって、今は、琉球政府、もちろんこれは沖縄県が管理していることになっているんですけれども、実は、登記簿をさあっとさらうと、こういう土地はたくさん出てきます。

 これはレクのときにちょっと教えてもらったんですが、平成二十九年調査ですが、沖縄では、県管理の所有者不明土地、これは多くのものが管理者、琉球政府と書いてあるんですけれども、その県管理の所有者不明土地は千五百五筆あるんですけれども、そのうち、実は県庁所在地の那覇市に四百二十六筆あるということでありまして、つまり、何が言いたいかというと、千五百分の四百は県庁所在地にあるわけですね。こういう問題、山原の山の奥みたいなところにある問題ではなくて、実は、都市部だとか都市近郊であるとか、こういったところに所有者不明土地が存在しているということであります。

 これは別に沖縄に特異な問題ではなくて、調べてみると、全国都市部にたくさんあるわけでありまして、経済発展、地域開発、県民、国民、市民の皆さんの生活の向上に大きな阻害要因になっている、これを大きく急いで解消していくということは、国を挙げての課題だと思っています。

 法務局では、公共事業の円滑な実施のために、所有者不明土地法に基づいて、平成三十年から、公共事業の実施地域内にある所有者不明土地の相続人を探索する作業、これをやっていただいておりまして、災害復旧や復興、道路の整備、土地区画整理事業などの公共事業に要するために、合計で二十一万筆以上の相続人探索事業を実施したと聞いており、こういったことを法制定をして実績をつくる、法制定をして次に続けていく、これは大切なことだと思っております。

 ちなみに、どういったことが作業として行われているのかということを、例として御報告いただいた方が分かりやすいと思います。全国各地であるわけですが、若干手前みそでありますけれども、私の地元の沖縄では、どういった事業をやって、これがどのような成果になっているのかということの御説明を、例として教えていただきたいと思います。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 全国の法務局では、平成三十年十一月から、御指摘のありました、公共事業の実施主体である地方自治体からの求めに応じて、公共事業が実施される地域内の長期間にわたり相続登記がされていない土地について、その登記名義人の法定相続人を探索し、その成果を地方自治体に提供する長期相続登記等未了土地解消作業を実施しているところでございます。

 沖縄県でも、那覇地方法務局において、県内の各自治体から、例えば道路整備事業、あるいは土地区画整理事業、あるいはため池整備事業などに関連して御要望をいただき、令和四年二月までに合計千二百八人分、二千五百二十六筆分の登記名義人について法定相続人の探索を行い、その成果を県内の地方自治体に提供してきたところでございます。

 この作業により、地方自治体による公共事業のための所有者探索が効率化されたものと認識しておりまして、例えば、沖縄県名護市からは、法務局の作業により道路整備事業に当たっての用地取得が円滑に進められたという声をいただいているところでございます。

 法務省としては、引き続き、地方自治体の要望を丁寧に聞きながら、公共事業の円滑な実施に資するよう、しっかりとこの事業を進めてまいりたいと考えているところでございます。

宮崎委員 ありがとうございます。

 こういった成果が出ているわけでありますが、今回の法改正に次に話を進めたいと思います。

 冒頭、六本木ヒルズの例を出しましたけれども、今の相続人探索事業、これは公共事業の実施主体が国、地方公共団体に限られています。しかし、民間がやるものでも、公益性が高いもの、公共性の高いものがあります。こういったものへの政府を挙げての後押しがあることによって、我が国の経済活動がどんどん上がっていく、こういった背景があるわけであります。

 自由民主党でも、昨年の五月に、民間も含めた更なる土地の利活用につながるような制度改正をすべきだという提言をさせていただきました。今回の法改正の中で、所有者探索事業について、この民間の関連、どういった改正があるのかを、簡潔に、ちょっと時間の関係があるので、短めで御説明をお願いします。

津島副大臣 御質問ありがとうございます。宮崎政久議員にお答え申し上げます。

 昨年五月十九日付で、自民党の所有者不明土地等に関する特別委員会、御提言を頂戴しました。その御提言の取りまとめに当たっては、宮崎政久議員には非常に御尽力いただいたと承知をしております。

 その提言にございますとおり、所有者不明土地対策を進めることが民間を含めた土地の利活用が進むことになり、それがひいては我が国の経済の発展につながるものであるとされているところでございます。法務省及び法務局としても、公共の利益となる事業がより円滑に実施されるよう、所有者不明土地特措法に基づく長期相続登記等未了土地解消作業を着実に実施しているところでございます。

 そして、今般、その御提言を踏まえて、昨年六月に定めた政府の基本方針に基づいて、本年四月からその運用を見直す予定でございます。具体的には、これまでの国、地方自治体に加えて、土地区画整理事業や市街地再開発事業などの公共性の高い事業を実施する民間事業者からの要望についても本事業の受入れの対象とするとともに、作業の効率化、合理化を図ることとしております。

 法務省といたしましては、今回の運用の見直しによりまして、法務局の本作業をより効果的、効率的に行うことを通じて、所有者不明等土地の解消はもとより、公共の利益となる事業をより円滑に進められるように、しっかりと取り組んでまいります。

宮崎委員 ありがとうございました。

 最後に一点だけ。地籍調査が進んでいないという点があります。これは五二%まで、計画の対比では進んでいないと聞いております。今後の取組についての決意、一言お聞きしたいと思います。

斉藤国務大臣 地籍調査につきましては、閣議決定された第七次国土調査事業十か年計画におきまして、地籍調査のスピードアップを図り、優先実施地域の進捗率を現在の約八割から約九割とする目標を掲げております。

 国土交通省といたしましても、いろいろな方法を使いましてこのスピードアップを図っていき、その中心になっていきたい、このように思っております。

宮崎委員 ありがとうございました。終わります。

中根委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。

 本日は、貴重な質問の時間をいただきまして、大変にありがとうございます。

 冒頭、二週間前のことになりますけれども、福島県沖を震源といたしました地震におきまして、お亡くなりになられた方、また被災をされた方々にお悔やみとまたお見舞いを心から申し上げたいと思います。

 私の母方の実家も福島県の郡山市にありまして、その後も震度五レベルの地震が続いておりますけれども、毎回こういった地震が起きるたびに精神的にも身体的にも本当に大きな負担がかかっているということで、実は現地の方々は相当心労を重ねておられるということでございます。本日は防災・減災の観点からも質問を申し上げますので、どうか国交省におきましても、この福島における様々な取組の推進、旗振り役をお願いをしたいと思います。そのことを申し上げまして、質問に入らさせていただきます。

 本日は、所有者不明土地法の改正をめぐる質疑でございます。

 近年課題になっております、先ほど来ございましたとおり、相続や法人解散によって所有者が判明しない、いわゆる所有者不明土地でございますけれども、荒れ地ですとか空き家、環境悪化のみならず、道路整備や防災工事などの公共事業、こうしたものの足かせ、土地買収を困難にしているということでございまして、特に防災・減災の観点で大変重要な課題であるというふうに認識をしております。

 私は、国民の生命や財産に関わる課題でありますので、本来はKPIを、所有者不明土地を何ヘクタール縮減をしていくのかという点で明確にすべきだというふうに当初は考えておったんですけれども、様々お話を伺いますと、登記情報のいわゆる変則的な記載などのこういった課題、あるいは、デジタル化も進んでいない、先ほどもありましたスピード感の問題もありまして、そもそも日本の国土にどれくらい所有者不明土地があるのかという、正確な、定量的な全体像が実は存在しないというふうに伺っております。以前、二〇一六年時点の所有者不明土地は、全国四百十万ヘクタール、また国土の二〇・三%という、こういったデータを示されたんですが、これも限定的な範囲で、いわゆるサンプリング的に行われた地籍調査を基にした推計値にすぎないということでございます。

 本来であれば、二〇一八年の所有者不明土地法の制定を始め、その後、土地基本法の改正、また、民事基本法制の見直し、こういった立法措置が行われてきたわけでありますけれども、こうした立法措置の効果を検証するための定量的分析、いわゆる最近よく言われておりますEBPM、今後もこれは必要だと思いますけれども、そもそもそのための統計的基盤が整っていないという点、こうした課題について、法務省また斉藤大臣の課題認識を伺いたいと思います。まず法務省からお願いいたします。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 全国の所有者不明土地の数を網羅的に把握するためには、全ての土地の登記簿上の登記名義人について調査、把握することが必要となるため、現状では困難なところがございます。もっとも、網羅的な把握は困難であるとしても、抽出調査の結果に基づく所有者不明土地の存在する割合の経年的把握は重要であり、引き続き、その適切な実施に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、御指摘の立法措置としては、例えば昨年の所有者不明土地の解消に向けた不動産登記法の改正により、相続登記や住所等の変更登記の申請を義務づけるとともに、不動産登記システムと住民基本台帳ネットワークシステム等とのシステム的な情報連携により、登記官が他の公共機関から取得した住所等の異動情報を登記記録に反映させる仕組みを創設するなど、登記情報を最新化するための新たな施策が導入されることとなりました。

 このような制度改正による所有者不明土地対策の効果を把握するために、例えば、新制度の導入後における登記申請件数や、対象不動産の個数といった登記事件の動向や、新たに導入される各種手続の利用状況に関する統計資料を活用することなどが考えられるところでございます。

 法務省としては、これらの資料を適切に活用しながら新たな制度の運用状況をしっかり把握するとともに、引き続き、関係省庁と連携して所有者不明土地対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。

斉藤国務大臣 できるだけ定量的に所有者不明土地の実態を把握して政策を立案するということは大変重要な姿勢だと考えております。

 しかしながら、所有者不明土地は所有者探索をして初めて所有者が不明であるかどうかが判明するというところもございまして、その総量について網羅的に把握しては今おりません。令和二年度の地籍調査の結果によると、不動産登記簿によっては、所有者等の所在が判明しなかった土地が筆数ベースで二四・〇%存在したところでございます。

 このような所有者不明土地の解消に向けて、例えば法務省では不動産登記システムと住民基本台帳ネットワークシステムなどとのシステム的な情報連携が進められるなど、関係省庁において各種取組が進められているところであり、これらの取組については、その運用に関する統計数値の把握、活用を通じた定量的な分析も可能な限りされていくものと考えております。

 所有者不明土地対策は、関係閣僚会議において決定された基本方針に基づき、政府一体となって総合的に推進しておりますが、国土交通省としましても、関係省庁と緊密に連携しながら各種の施策を推進していきたいと思っております。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 やはりデジタル化ということも大変重要なキーワードになってくるんだろうというふうに、膨大な情報量でございますので、そういった点も踏まえて、また、今ほどありましたとおり、簡単な問題ではない、やはり中長期にかかる問題だということも十分承知をしております。その上で、やはり、今後こうした一つ一つの立法措置をしっかり検証して更に加速化させていくということ、課題が大きい、だからこそそういったことも非常に大事だろうというふうに思っておりますので、是非お願いをしたいというふうに思っております。

 その上で、例えばランドバンクなどの事例を拝見をいたしましても、この対策計画を策定する自治体が軸となって、いかに地域のニーズを掌握をして、またNPOなどの民間の力を引き出していく、まさに自治体の力量が問われるのが今回の問題だというふうに思っております。

 こうした観点で、公明党竹内真二参議院議員の提案で、土地収用の手続については、国土交通大学校、この研修科目にある時期から追加をしていただいたところでありますけれども、今般の法改正でもあります、地域や民間を巻き込む土地利用、地域福利増進事業、これは現在、残念ながら申請実績が一件にとどまっているということも伺っております。やはり、こうした事業活用の可能性やノウハウをしっかり自治体で深めていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 そこで、私が提案をいたしたいのは、所有者不明土地の利用に関するノウハウの共有を、自治体の職員のみならず、現場を誰よりも知る地方議員にまでしっかり共有をしていく仕組みづくりを是非国交省に後押しをしていただきたいという点でございます。

 今回の法改正で、地方自治体が組織できる所有者不明土地対策協議会、これは、第四十六条では、この協議会に市町村が認める者をメンバーとして加えることができるというふうにあります。政府の方の資料では、宅建業者ですとか、司法書士、土地家屋調査士などのいわゆる士業などの専門家を想定をされているということでありますけれども、まさに地域の課題のニーズを知り尽くす、地域のスペシャリストこそが私は地方議員であるというふうに思っておりまして、この低調な地域福利増進事業、本来であれば地方議会でも非常に取り上げやすいテーマであるんだろうというふうに思っております。

 今掲げたこの地域福利増進事業の五年間で七十五件というKPI、今回掲げておりますけれども、この達成のためにも、新設されるこの対策協議会に積極的に地方議員を参加させるように是非大臣からお呼びかけをいただきたいというふうに思っておりますけれども、見解を伺います。

斉藤国務大臣 市町村や地域で活動する民間事業者、専門家などの関係者が連携して一歩ずつ着実に取り組んでいくということが重要と考えまして、このような地方協議会の設置を法定したものでございます。その際、御提案のように、市町村の御判断により、地方議員の方々の御意見をいただくこともあり得るものと考えております。

 今般の改正においては、市町村を始めとする地域の関係者が行う施策を支える仕組みとして、市町村による協議会の設置を可能とすることとしておりますが、そのメンバーとして、推進法人や地域福利増進事業の実施者、地域の専門家のほか、制度上は、市町村が必要に応じて、地方議員の方々など、有識者をメンバーとして加えることも可能となっております。

 国土交通省といたしましては、協議会に地域の多様な関係者が参画し、その知識や知見、スキル、ノウハウが共有されながら、効果的な所有者不明土地対策が推進されるよう、しっかり働きかけていきたいと思います。

河西委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 これは、地方議会でしっかり議論が盛り上がっていくことが非常に推進力の源泉になっていくんだろうと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。

 続きまして、防災・減災の観点で伺います。

 緊急時の勧告、命令、代執行の取扱いについてでございますが、今回の法改正では、確知所有者がいない場合には、相手方が存在しませんので、勧告、命令を飛ばして直接代執行ができることになっております。一方で、複数に所有者がまたがっている中で一部確知所有者がいる場合には、相当な期限を設けた上で、必ず勧告、命令を経なければ代執行に至れない、そういったプロセスになっております。

 そこで、明確にいたしたい点は、この法案の、第八条の、いわゆる災害等防止措置が必要な局面、こうした中でも、特に、例えば目前に土砂の崩壊の危険が差し迫っているような状況でどこまで緊急的な対応が可能なのか。今後ガイドラインを策定をされて具体的に例示をするというふうに伺っておりますけれども、法案にあるこの勧告や命令を設ける、相当な期限は、あくまでこれは目的を明確にしていくことが大事だというふうに思っています。あくまで国民の生命と財産を守る、この安全保障面を最優先にしていく、そういったことをしっかり設定をして例示をしていく必要があるんだろうと思いますけれども、この目的を明確にして例示をしていくという点、自治体の認識を曖昧にさせないためにも、いざというときに適切に対応ができるように、こうした観点からしっかりとこのガイドラインを進めていただきたいと思いますけれども、政府の見解を伺います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今回新たに創設されます勧告、命令、代執行制度につきましては、市町村長は、期限を定めて勧告し、相当な期限を定めて命令、代執行することとなります。

 この期限でございますが、機械的に一律に定められるものではございません。対象となる所有者不明土地の管理の状態ですとか周辺の地域への悪影響の度合い、災害等防止措置の内容などに応じまして、社会通念上合理的に必要な長さを市町村長が判断し、決定することになるものと考えております。

 国交省といたしましては、他の代執行制度の運用も参考にしながら、この期限につきまして、住民の生命と財産を守るため、災害発生の切迫度などに応じて合理的に必要な長さを決定することになるという基本的な考え方、これをガイドラインなどを通じまして市町村など関係者に周知をしてまいりたいと考えてございます。

河西委員 ありがとうございます。

 是非、先ほどの考え方、しっかり明示をしていただきたいと思います。

 続きまして、最後の質問に参ります。

 関連して、太陽光パネルの廃棄処分について伺います。

 今回の法改正では、太陽光発電などの再生可能エネルギーのうち、一千キロワット未満の設備の設置もこの地域福利増進事業の対象として新たに追加をされて、この事業の促進を図るわけでございます。まさに福祉又は利便の増進に資するものとして、この太陽光パネルの設置、検討する自治体も少なくないというふうに思っております。

 これは、我が党の伊藤孝江参議院議員が先日の二月二十五日の予算委員会でも取り上げたことにはなるんですが、使用済みの太陽光パネルが二〇三八年から五〇年にかけて年間五十万トンから八十万トンもの量が耐用年数を迎えるというふうに見込まれております。しかも、その後全てリユース、リサイクルされるとは限らないために、相当量が破砕後に埋立処分されるものと想定をしております。

 先日、私自身もこの点を解体工事事業者の団体の方々から御意見を伺いまして、非常に鋭い御指摘をいただきました。こうした状況の中で、二十年前にこのパネルを供給していた海外メーカー、既に倒産をしているところもありますので、原材料が不明、したがって処分方法も不明で、有害物質の有無、適切な廃棄基準の設定なども急務であるということで伺っております。また、鏡面、鏡の素材も含むために、自然発火の可能性もあるということでございます。

 先般、環境大臣また総理からも、しっかり廃棄に向けた体制整備に努めるというふうに御答弁があったところでありますけれども、国交省といたしましても、この廃棄体制の整備に向けて、どのような課題認識の下、対応に当たっていくのか、最後に大臣の御見解を伺います。

斉藤国務大臣 太陽光パネルの大量廃棄に備え、処理が円滑に進む体制をつくっていくことが重要である、このように認識しております。

 太陽光パネルの設置時に関しては、経済産業省において、太陽光発電に関する業界団体と連携し、パネルの販売、施工事業者に使用者向けの適切な説明をするよう求めていくものと承知しており、国土交通省においても、ハウスメーカーや施工事業者に対して適切に対応するよう周知してまいります。

 また、解体撤去時に関しては、関係省庁と連携し、解体工事業者から実情を聞くなど、課題把握に努めるとともに、解体時の分別や廃棄時の留意点が解体工事業者等に伝わるよう、リーフレット等により周知するなど、円滑に処理が進むよう体制整備に取り組んでまいります。

河西委員 以上で終わります。ありがとうございました。

中根委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 立憲民主党の枝野でございます。よろしくお願いいたします。

 済みません、ちょっと通告外なんですが、大臣に、冒頭。

 今日の会議のスタートのところで御発言がございました。遺憾の意を示されましたが、今口頭で一回聞いただけなので、確認したいんですけれども、事が起こったのは斉藤大臣の下ですよね、事態が起こったのは。しかも、国土交通省で、統計調査について一種の政治問題化をしている中での出来事ですよね。前任大臣の下であるとか、それから、大臣のあずかり知らぬところで事務方が何か変なことをやりましたというのであるならば、遺憾を述べられるというのも分からないではないんですが、大臣の下で、しかも政治問題化していたテーマについてこうしたことが起こっているわけですから、ちょっと、遺憾という人ごと感のある御発言ではないんじゃないだろうかと。

 斉藤大臣がいい方であることは長いおつき合いでよく知っているだけに、恐縮ではありますが、これはやはり大臣の個人の言葉としておわびをしていただく、そういう性格ではないでしょうか。

斉藤国務大臣 今回の事案は、私が大臣就任後に、正確に言うと就任前から怠っていたということだったんですが、私が大臣に就任してからも怠っていたということでございまして、私に、現大臣である私に全責任がある、このように思っております。

 そういう意味で、今回、こういうことを発表せざるを得なくなった、こういう事態が明らかになった、その全責任は私にあると思っておりまして、そのことについては現職の大臣として深くおわびを申し上げたい、このように思っております。

枝野委員 そういった御発言をいただいたことは多としたいと思いますが、是非、斉藤大臣がお優しい方だと一般的には我々見ておりますので、ここはやはり厳しく対応を省内においてしていただきたいというふうに思います。

 一方で、これは聞きっ放しで結構ですが、福島中心に、広い意味では東日本大震災の余震と言っていいのかどうか、そこは技術的には疑問ですが、先ほども宮崎委員の質問にもありました。

 あの十一年前の、私自身も官房長官としての経験からも、国土交通省、こうした災害のときの、特に地方出先の皆さんの御苦労と御奮闘と実力というものは私も高く評価をいたしております。こちらの方は、是非、今回の地震に対する対応についても、大臣が特に現場の地方出先にしっかりとハッパをかけて、住民に寄り添った対応をしていただくように御指示をいただきたいと私からもお願いを申し上げます。

 一応、御答弁いただきましょうか。

斉藤国務大臣 私も、東日本大震災の際は、党の対策本部の事務局長、また福島につきましては対策本部長をさせていただきました。

 そういう意味で、本当に寄り添って頑張っていかなくてはいけない。そして今、国土交通大臣という立場をいただきましたので、その精神を胸に、しっかり災害対応。

 先日の地震の際も、すぐに現地に、宮城県、福島県、行かせていただきました。本当に想定以上の、想像以上の大きな被害でびっくりしたところでございますが、これに対しましても、しっかり寄り添って頑張っていきたい、このように思っております。

枝野委員 私の立場からも、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 では、今日の議題でありますが、所有者不明土地の利用の円滑化、これは私自身も責任の末端があると思っておりますが、遅ればせながら、平成三十年以降、ようやく動き出しました。

 もう私自身が弁護士実務をやったのも三十年ほど前になってしまいますが、二年三か月しかやっていないんですが、その間に三、四件ぐらい、相続が三代、四代、登記がされていなくて、相続人を探すのに物すごい、私が苦労したというより、事務所の、事務局のスタッフで戸籍謄本、除籍謄本を追いかける優秀なメンバーがいてくれて、でもすごい大変な作業だったというのを記憶をしております。

 そこから一世代、三十年過ぎているわけですから、当時の相続登記がされていないものが更にもう一代進んでいるわけでありますし、足下の空き家対策その他を考えたときには、これは遅ればせながらのスタートでありますから、どんどん迅速に進めていかなければならないというふうに思っております。

 そうした中で、今回の改正案は、前向きな方向に進んでいく法案でありますので、基本的には歓迎をしたいというふうに思っておりますが、民法や不動産登記法を含めて、全体としてもっともっと進めていくべきではないかという観点から質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、今回の改正の中身に直接関わるところで、ちょっと細かいんですが、今回、朽廃建物等が存在しても、先ほど話があったとおり、まあまあ古くなってもうほとんど使い物にならない廃屋のような建物がある場合でも、特定所有者不明土地という対象になって、土地収用法の特例などが適用されて、地域福祉増進、利用のための一時使用権が設定できる。

 このこと自体、一般論として大変結構なことだというふうに思いますし、一般的に見れば、朽ち果てて使い物にならない建物があっても、そこは、地域の福祉の増進に使えるんだったら、建物をぶっ壊して別の効果的な用途に使う、一時使用権を設定する、当然のことだというふうに思うんですが、問題は、その朽廃建物、古くて朽ちてしまった建物が存在して、それを取り壊すところの根拠が、残念ながら、ちょっと条文を読んでもよく分かりませんでした。

 こういう聞き方をしたいと思います。この場合の朽廃建物等を取り壊すのは、朽廃建物等の所有権そのものが、土地の一時使用権設定に伴って事業を行う者に移転をして、事業を行う者が建物を壊すのか。それとも、一時的所有権、土地についての利用権が設定される時点でもう建物として滅失しているものなんだという認定をしているのか。どっちなんでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正により、朽廃した建物が建っている所有者不明土地を活用して地域福利増進事業を実施することが可能となるわけではございますけれども、この点に関しまして、ただいま、朽廃した建物の所有権は、所有者不明土地の使用権の設定に伴って事業者に移転するのか、それとも、朽廃した建物の所有権が設定される時点で建物として滅失という扱いになるかというお尋ねがございました。

 法におきましては、朽廃した建物などの物件が建っている所有者不明土地を活用して地域福利増進事業を実施しようとする事業者は、都道府県知事の裁定によりまして、底地である所有者不明土地につきましては、使用権を取得することになります。また、上物、朽廃した建物などの物件につきましては、所有権又は使用権を取得することとされてございます。

 具体的な条文に則して申し上げますと、第十条第一項の規定におきまして、まず、事業者は、都道府県知事に対して、土地使用権などの取得についての裁定を申請することができることとされております。そして、この土地使用権等の内容といたしまして、第十条第一項第一号で特定所有者不明土地の使用権、第二号で特定所有者不明土地にある所有者不明物件の所有権又は使用権の、二つの権利が規定されてございます。すなわち、底地の土地につきましては使用権を、また、上物の朽廃した建物などの物件につきましては所有権又は使用権を取得するために、裁定を申請することができることとなってございます。

 その上で、第十五条におきまして、都道府県知事の裁定の定めるところによって、裁定申請をした事業者は、土地使用権等を取得する、すなわち、土地につきましては使用権を取得し、物件につきましては所有権又は使用権を取得することとされております。

 そして、お尋ねの朽廃した建物の場合につきましては、後々取り壊すことになりますので、使用権ではなく、所有権を取得するということになるわけでございます。

 このように、ただいま委員からいただきましたお尋ねの御趣旨が、知事による同じ一つの裁定によりまして、事業者が、土地については使用権を、朽廃した建物などの物件については所有権を、同時に取得することになるのかという御趣旨でございましたならば、まさにそのとおりでございます。

 他方、この朽廃した建物の所有権が設定される時点で建物として滅失という扱いになるかというお尋ねにつきましては、事前の御説明をさせていただいた際に私ども十分に御趣旨を理解していなかった点もあろうかとは存じますけれども、知事の裁定によりまして事業者が朽廃した建物の所有権を取得した後、この所有権に基づいて取り壊した上で地域福利増進事業を実施することになりますので、この取り壊した時点で建物として滅失することとなるものと考えてございます。

 以上でございます。

枝野委員 分かりました。

 今、事前の説明という話をしていただきましたが、一番最初の説明では、建物の登記はどうなるんですかとお問合せをしたら、職権で廃止登記もあり得るというお答えだったんですが、それは間違いでいいんですね。つまり、建物が登記をされている建物であるならば、事業者にその建物の所有権移転登記をして、その所有権を持った土地の利用者である事業者が建物を壊した段階で建物の滅失登記をする、これで間違いないですね。

市川政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地に建っている朽廃した建物などの物件について、地域福利増進事業の実施のために事業者が取り壊そうとする場合には、都道府県知事の裁定によりまして、朽廃した建物などの所有権が事業者に移転することになります。

 そして、現行の簡易建築物の場合もそうでございますけれども、今回の朽廃建物につきましても、いずれも、登記されている場合もありますれば、登記されていない場合もございます。

 これらの建築物が登記されている場合につきましては、地域福利増進事業の事業者は、知事の裁定により、その建築物の所有権を取得し、取り壊した上で地域福利増進事業を行うこととなりますけれども、裁定を受けた後に所有権の移転登記を行った場合には、事業者が建物の滅失の登記の申請を行うことになるものと考えてございます。

 なお、法務省にお尋ねいたしましたところ、所有権の移転の登記を行った場合であっても、例えば、事業者からの申請を端緒に登記官が建築物の滅失の事実を知ったときには、登記官の職権で建物の滅失の登記をする場合もあり得るものとお聞きをしております。

枝野委員 事は所有権ですのでね。一時使用権であるならば、知事の裁定で、福利の、福祉のために使うんだし、どうせ使われていないんだからということで若干アバウトなところが僕はあってもいいと思うんですが、所有権で、しかも壊しちゃうわけですので、ここは一定の厳格な手続がないと、壊してしまったら取り戻せないわけですから。そこは丁寧な手続の整理を、もう一度きちっと法務省と詰めていただいて。実際の現場の、実際に裁定するのは都道府県でありますし、混乱が起こらないように。

 例えば、万が一にも土地の所有者、あるいは、ということは建物の所有者である相続人が百人ぐらいいて、そのうちの一人が、壊したのはけしからぬだなんという行政訴訟を起こされたらたまりませんから、そこのところは丁寧な手続を各自治体などにも徹底をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

市川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘でございますが、この法律の例えば第十条とか第十五条、若干分かりづらいではないか、あるいは不親切ではないかというような御指摘もございますけれども、そこはしっかりと受け止めさせていただきまして、今後、今お話しいただきました所有者不明土地法に基づく基本方針ですとかあるいはガイドライン、これをしっかり活用しながら、これまで以上に制度の趣旨を、もちろん法務省さんともしっかり議論、整理をさせていただきながら、対応してまいりたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

枝野委員 よろしくお願いします。

 さて、それで、今回の改正そのものと直接関わるわけじゃありませんが、やはり所有者不明で一番問題なのは、長期にわたって相続登記がされていないものだと思います。もちろん、地籍調査が不十分であるとか、そういったことが理由になっているところもあります。法務省も来ていただいていると思いますが、ここは、鋭意、できるだけ急いで進めていただいて、行政の方の事情で分かりにくい、調べるのが大変という事情は早く解消していただきたいと思います。

 相続されて登記がされていないものというのは、先ほど言ったとおり、私が弁護士をやっていた時代から考えても三十年で、一世代分、もう一相続、百人いたとすればそれが四百人ぐらいになっている可能性があるわけですので、ここの解決を急がなければならないと思っています。

 二代、三代と相続登記がなされていないために、今生きている人からすれば、おじいちゃんどころか、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃん、あるいはその上ぐらいの人の名義に登記簿上なっている、相続人が何人いるのかよう分からぬというような事情で、簡単に現在の共有所有者、相続人が追えないケースというのはどれぐらいあるんでしょうかね。それが、例えば、先ほど所有者不明土地、全体像はなかなか分からないという話がありましたが、蓋然性という観点でもいいですから、どれぐらいの比率を占めているんでしょうかね。

市川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、未登記の相続が繰り返されまして相続人を追うことができない土地、この総量について、網羅的に調査を行って把握することは困難な状況でございます。

 他方、部分的な調査ではございますけれども、令和二年度の地籍調査におきまして、不動産登記簿から直ちに所有者などの所在が判明しなかった土地、これが筆数ベースで約二四%存在してございます。このうち、相続時における所有権移転の未登記を原因としたものは、未登記の相続が一代だけのものももちろん入ってございますけれども、約六三%存在したところでございます。

枝野委員 なかなか全体像が分かりにくいんですが、逆のちょっと聞き方をさせていただけますか。

 現行法の四十条で、不動産登記法の特例が規定されていますね。事業主体からの求めに応じて登記官が法定相続人を探索し、その結果を登記しているというのは、私が事前に伺った限りでは、登記名義人の数で約八万人、筆数で約二十二万筆と聞いていますが、これでいいのかどうか。そして、これでどれぐらい解決したことになるんでしょうかねというのが分かれば教えてください。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、長期相続登記等未了土地解消作業の実績といたしまして、本年二月末までに、所有権の登記名義人におきましては八万二千人分、筆数にいたしまして約二十二万五千筆の土地について、法務局による法定相続人探索を完了し、その結果を地方公共団体等に提供しているところでございますが、他方で、先ほど申し上げましたように、長期間にわたって相続登記がされていない土地の総数につきまして、具体的かつ悉皆的に把握することは困難であることから、土地総数のうち、本作業により探索した土地の割合についてお答えすることは困難でございます。

枝野委員 一定進んでいるけれども、全体が分からないのでどれくらいか分からないという、正直残念なお答えで、別に、これは現役の今の役所の皆さんが悪いわけじゃないので、仕方がないといえば仕方がないんですが。というぐらい、多分、闇は深いというか、膨大な広がりを持っている可能性がある。

 そして、何かというときに、先ほどありましたが、開発のときであったりとか、公共事業に使わなきゃならないとか、それこそ今日かな、今度審議に入る、例えば盛土、残土での災害を防がなきゃならないとか、いろいろな事情のところで慌てて調べても、簡単には調べられないわけですので、どうやって解決をしていくのかということが大事になっていくと思います。

 その前提で、次のお尋ねをする前に、ちょっと確認させてください。

 不動産登記法四十条の特例で登記官が法定相続人を探索するということは、登記官が戸籍謄本と除籍謄本にアクセスするということなんですが、これは、登記官は当たり前にできるということなんですか、それとも、どこか根拠法があるんでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 戸籍法第十条の二の第二項におきまして、国の機関は、法令の定める事務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付を請求することができると規定されているところでございます。

 そして、法令の定める事務として、所有者不明土地特措法第四十条一項において、登記官が実施する長期相続登記等未了土地解消作業が規定されているところでございますので、謄本の請求はこれらの規定に基づき行っているというものでございます。

枝野委員 これでどんどん進めていただければいいなと思う一方で、事業者がこの法律を使えると、登記官があの面倒くさい相続人をたどっていく作業をやってくれる。ところが、これに当てはまらないと、多分、当事者は戸籍謄本等を追えませんので、弁護士等に依頼をして、弁護士の職権に基づいて、戸籍謄本、除籍謄本を追いかける。これは物すごい作業なので、三代、四代と未登記があると、自分のほかに誰が相続人だなと調べるのに膨大な金がかかるということになって、登記官がやってくれる場合と個人の負担のアンバランスがちょっとでかいかなという気がするんですけれども、これはどうでしょう。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 長期相続登記等未了土地解消作業は、公共の利益になる事業を円滑に実施する観点から、公共事業の実施主体からの求めに応じて、長期間にわたり相続登記がされていない土地について、登記名義人の法定相続人を探索して、その結果を実施主体に提供するというものでございます。

 したがいまして、公共事業の実施主体からの要望でない土地についてはこの対象にならないというのは御指摘のとおりでございまして、そういった意味で、法定相続人の探索をするのに非常に負担がかかるというのは御指摘のとおりかとは思います。

 他方で、昨年の不動産登記法の改正では、不動産登記簿を見ても所有者やその所在が直ちに判明しないといった問題を解消するため、相続登記の申請を義務づけるとともに、その申請義務の実効性を確保するために、相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにするといった観点から、新たに相続人申告登記が創設されたところでございます。

 この申出は、特定の相続人が他の相続人と共同せずに単独で行うことが可能である上、申出に当たっての添付書面についても簡略化が図られております。そのため、数代にわたって相続が開始しているようなケースであっても、相続登記の申請義務を負う者が他の相続人の存否やその所在について調査をしなくても、相続登記の申請義務を履行することが可能になるところでございます。

 そのほか、負担軽減のための措置といたしまして、戸籍あるいは除籍謄本の請求を可能にする広域交付の制度や被相続人名義の不動産を一覧的にリスト化する所有不動産記録証明制度を新たに創設するなど、関係資料の収集や相続登記の申請をしやすくする各種取組を進めているところでございまして、これらの制度に基づいて相続登記がされますと、そういった探索の負担というのは軽減されることになるのではないかと考えているところでございます。

枝野委員 法務副大臣、来て聞いていただいていますから、今後の検討として、突然、あなた、相続人ですよと言われて、実は持分は百分の一とかというような人は、その人の利益なのか。つまり、追いかけられて、相続人だ、自分がこの土地の相続人の、しかも百分の一ぐらいの持分だと分かった人にとって、それはその人の利益なのかというと、実はそうではないケースの方が実態は大きいんですよね。面倒くさいと。判こを押して云々かんぬんと。

 そうすると、一般的に、何代も相続されていない土地の相続登記をちゃんとするために、相続人を追いかけて登記をちゃんとしちまうということは、当事者、もちろん、その中の一部はそのことによって利益を得る人はいるかもしれないけれども、大部分の人にとっては面倒くさい手続に巻き込まれるという実感なので、そもそも公益なんじゃないか。相続人を追っかけて、あなた、相続人なので、もう要らないよねというようなことを確認して処理しちゃうということ自体が僕は公益なんじゃないかと。

 したがって、そのことについて、むしろ、登記官、法務局は、ノウハウを含めてちゃんとあるわけだし、権限もあるわけなんだから、どんどん進めていくということがあってもいいんじゃないかということは、ちょっと今後の検討をしていただきたいというふうに思っております。

 さて、相続登記の義務化は令和六年度から、これは準備が要るので、スタートが遅れるのは仕方がないというふうに思っていますが、先ほど来の話で大体答えは想像つきますが、相続登記の義務化をしたからといって、所有不明土地、解消するんでしょうか。どれぐらいの期間で、どれぐらい解消するという想定をしているんでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、所有者不明土地は現状でも全国で相当数に上るものでございまして、その発生原因や状況は多様でございます。

 令和六年四月から開始される相続登記の申請義務化は、所有者不明土地の解消を図るために有用な制度であるというふうに考えておりますが、それのみでこの問題を完全に解消することは容易ではないというふうに考えておりまして、各種の環境整備策と相まって効果を上げるものであることから、現時点で具体的解決時期などの見通しを申し上げることは困難であるというふうに考えているところでございます。

枝野委員 そうなんですよね。

 新たな相続が生じたところでの登記義務を課すということ、これは結構なんですが、例えば、そもそも三代、四代と相続登記されていない土地については、新たな相続が生じても、自分が所有者であるという認識自体がそもそも存在していないし、そのこと自体、法務局も分かっているわけじゃない。

 戸籍謄本、除籍謄本をたどって初めて判明するわけだから、新たな、この人が死んだから、ここに相続が発生したということ自体が分からないわけなので、結局、過去に堆積している所有者不明土地については、先ほど来話をした四十条が適用される以外は、何も解決しないんじゃないですか。

 もう一度、先ほど御説明された、この四十条以外に、どうやって過去の遡った分が解決の方向に向かうという手当てがなされているんですか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 まず、改正不動産登記法では、数代にわたって相続が発生したとしても、相続によって特定の不動産の所有権を取得したことを知った各相続人には、相続登記の申請が義務づけられているということになります。

 ただ、御指摘のとおり、それを相続人の方でいかに把握できるかというところが問題かとは思います。

 そして、相続人において不動産の把握を容易にして登記漏れを防止する観点から、改正不動産登記法では、特定の者が所有権の登記名義人となっている不動産を一覧的に確認するための所有不動産記録証明制度を創設いたしたところでございます。

 このような環境整備策を着実に実施し、相続登記の申請義務を負う者において、その義務を着実に果たしていただく必要があるものと考えております。

 法務省といたしましても、あらゆる場面を通して、そういった相続登記未了の土地がある場合には、相続人に登記を促すなどの取組をしていく必要があるものと考えておりますが、新たな制度の円滑な導入に向けて、関係機関、関係団体とも連携しながら、申請人の負担軽減策も含めて十分な周知啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。

枝野委員 お分かりになってお答えになっているので、苦しいんだろうなと思いますが、今でも、ここで誰か亡くなったから、この人の持っている土地について相続が発生したと本人も周辺も誰かが分かるならばいいわけですけれども、分からないわけですよね。四代ぐらい前の、明治何年に亡くなられた人の名義になっている不動産、自分が相続人であるということを分からないし、自分が持ち主であるだなんて自覚がない。生まれてこの方、そんなところの私は相続人で、地主だったんだという何の認識もない方が山ほどいるから、こういう問題が生じているわけなので。

 残念ながら、今のお話だと、結局、登記義務を課しても、本人が、自分が相続人として、相続分、持分について相続を受けたんだという自覚がないわけだから、やりようがないわけだし、あえて言えば、ちゃんと登記しないならばペナルティーだって、やりたくたって、分からない、気づいていない人にペナルティーを科すわけにいかないわけですから、将来的にもそこには持っていけないわけなので、実は、何の遡っての解決にはならないということをどうしていくのか。

 それが、今までと同じように、いざ事業、公共事業を含めて、事業が生じたときに初めて動き出したのでは時間がかかるわけですよね。

 先ほど、不動産登記法、四十条の特例で、約八万人の登記名義人についてできましたと言っていますけれども、これ、どれぐらいの期間で判明しているか、分かりますか。相当やはり、一週間や二週間で分かる世界じゃないですよね。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年十一月に開始した長期相続登記等未了土地解消作業につきましては、先ほど申し上げましたように、所有権の登記名義人八万二千人分、筆数で約二万五千筆について、登記名義人の法定相続人の探索を完了し、その結果を地方公共団体に提供しているところでございますが、その探索に要する期間につきましては、そのうちの多くが一年以内に完了しており、所有権の登記名義人から相続を繰り返して法定相続人が極めて多数に上るケースなどにつきましては、一年以上の期間を要していることもあるというふうな実績でございます。

 法務省としては、公共の利益となる事業が円滑に進められるよう、引き続き、本作業を適切に実施してまいりたいと考えているところでございます。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

枝野委員 一年の内側か外側かって、一年といっても、二、三か月で分かるのと十一か月かかるのとでは、大分、事業の性質にもよると思いますよ、そもそも収用自体が困難な事業を進めるので、全体として何年単位でやるという事業もあるかもしれないけれども、例えば、この国土交通委員会でもこれまでのこの国会での審議で話に出ていました、通学路の安全のための、例えば交差点、拡幅するとか歩道を広げるとかみたいな事業は、それこそ何年計画で作ってもらっては困るわけで、本当に。そうすると、それが十一か月かかります、十か月かかりますというと、もう年度が翌年に全部ずれていくという話になるわけなので。そして、現実には、何代も重なっているところは、もうやはり一年かけても分からないのがあるということははっきりしているわけでありまして、なかなか、正直、簡単じゃないなというふうに思います。

 聞きたいことはいろいろあるんですが、ここで政務にお伺いしたいと思います。

 まず、国土交通省。これはやはり、こういう所有者不明土地がたくさんあって、なかなか、今、民法、不動産登記法も、僕は努力していると思います、所有権絶対の原則の中で何とかそれを覆していこうと。あるいは、過去に遡って、百年以上遡らなきゃならないようなことを処理していかなきゃならないって、物すごい困難、先輩世代からのある意味では負の宿題をしょっている中で頑張っているとは思いますが、しかし、やはりここを解決してくれないと、国土交通政策としてもなかなか物を進めにくいし、今回の法改正のような、国土交通政策としてやれることには限界がある。

 やはり国土交通省として、もっと法務省に強くプッシュをして、両省一体となって、二代、三代と相続登記がされていない土地をどう早期に解消するかということに向けて努力をしていただきたいと思うんですが、国土交通省、お願いします。

中山副大臣 ありがとうございます。

 人口減少、少子高齢化が進む中で、相続件数が増加し、土地の利用ニーズが低下するとともに、人々の土地の所有意識の希薄化も進行しております。こうした中、いわゆる所有者不明土地の増加が見込まれております。

 御指摘のとおり、所有者不明土地をできるだけ生じさせないようにすることや、早期に解消させることも大変重要な課題であると認識しております。

 このため、国土交通省としても、今般の法案において、所有者不明土地や低未利用土地の利活用に取り組む法人を指定、支援する制度を創設するほか、全国十ブロックに設置している土地政策推進のための連携協議会に、不動産業関係団体の参画を得て、広く低未利用土地の利活用のための取組を追加するとともに、同協議会の取組を通じ、令和六年四月一日に施行予定となっている相続登記の義務化など、法務省を始めとする関係省庁の施策を含めた総合的な所有者不明土地対策の推進を図ってまいります。

 所有者不明土地問題は、一朝一夕に解決できる問題ではなく、中長期的に粘り強く取り組んでいく必要がある重要な問題と考えております。関係閣僚会議の下、関係省庁としっかり連携し、政府一丸となって対策を推進してまいりたいと存じます。

枝野委員 そして、法務省、副大臣においでいただいていますが、これはなかなか法務省としても面倒くさくて後ろ向きの話だから、余りモチベーションが上がらないという感覚は分からないではないんだけれども、でも、実際に直面をしたときに、やはり現場は困るんですよね。それは、公共事業の場合なんかはそうだし、民間の開発の場合でも、やはりそれで一年、二年と事業が遅れるというのは本当にばかばかしいことです。

 是非とも、更に過去に遡ってどうやって解決するか。簡単じゃないのはよく分かります。簡単じゃないのはよく分かるし、やり始めたとしても、そこから多分十年、二十年単位でやっていかなきゃならないという世界だというふうに思いますので、だとすれば、できるだけ早く、更に遡って解決をしていくためのスタートを切っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

津島副大臣 御質問ありがとうございます。

 枝野幸男委員と当局とのやり取りをつぶさに私は聞いておりまして、その中から、委員の問題意識の所在というものを私自身は受け止めてございます。

 その上で、まず前提として申し上げさせていただければ、昨年、民事基本法制の見直しをいたしました。これは所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化の両面から総合的な対策を行うものとしたものでありまして、では、その所有者不明土地の解消に向けて、まずはこれらの新制度を円滑に施行し、着実に実施していく、これが重要だろうと考えてございます。

 法務省では、先ほどから出ております長期相続登記等未了土地解消作業、これは公共事業用地を対象とした相続人検索作業ですが、これを行うことや、歴史的経緯による登記簿の表題部所有者欄の氏名、住所が正常でない土地を対象とした所有者探索作業を行うことで、既に発生している所有者不明土地の解消にも努めているところでございます。

 その上で、更なる制度改正への所見について申し上げれば、所有者不明土地対策は、グランドデザインというべき関係閣僚会議の基本方針等に基づいて政府が一体となって各種の取組を進めておりまして、昨年の民事基本法制の見直しを踏まえ、関係省庁における取組も更に進められていくものと認識してございます。

 法務省としては、まずは新制度の円滑な施行に向けてしっかりと準備を進めることとした上で、所有者不明土地の更なる解消を図る観点から、適時適切に必要な見直しを行うべく、各種施策の運用状況等を注視してまいりたい、このようなスタンスでございます。

枝野委員 前向きなのか、そうでないのか、よく分からない役所らしい御答弁をいただきましたが、御理解はいただいていると思うので、国土交通省の方としては、やはり法務省をせっついて頑張らせないと、なかなか国土交通政策的には、一つのとげだと思いますので、是非、国土交通省としても法務省をプッシュしてください。

 そして、法務省は、まさに法務省が頑張るべきところで、ほかの役所はいろいろ関係があって何とかしてくれよと言うけれども、解決できるのは多分法務省しかないと思いますので、そこはやはり法務省として積極的に努力をしていただきたい。やはり法の専門家の世界でないと、どう解決していくのかということができないし、やはり法務局、それから戸籍制度をちゃんと管理している、所管しているところじゃないといけないと思います。

 単なる土地政策ということを超えて、国土の、土地の所有者をちゃんと把握できているのか。その前に、住んでいる人、住民、国民を把握できているのか。従来では戸籍制度のような制度とか、加えて、土地の権利関係をきちっと管理できている国は、これはもう二千年、三千年の世界の歴史を見ても、やはりちゃんと伸びている国はそういう国なんですよね。やはり国が衰退していくときというのは、人の掌握もできなくなる、土地の掌握もできなくなる、これが国を衰退させていく原因になっている。どっちが原因なのか分かりませんが、現象としては伴ってくるということですので、これは実は法務省の役割は非常にでかいということで、頑張っていただきたいというふうに思っています。

 残りの時間で、今回の法改正での利用の対象ですが、再生可能エネルギーの発電設備が対象になるということは、エネルギー政策の観点から大変歓迎をいたします。同時に、やはりこの種の設備については、周辺住民が強く反対するケースもあるのは間違いありません。ここの折り合いをしっかり立てていきませんと、あえて言えば、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及にもマイナスになりかねないということになります。

 現行法の十条五項ですかね、協議会の開催その他省令で定める方法により、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずることが努力義務とされています。これ、努力義務だけでいいんでしょうか。つまり、こういった努力をしないで、いきなりばあんと、公共性がありますといって、でっかい太陽光発電が町中にぼおんと造られ始めましたということでは困るんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 地域福利増進事業、これは地域住民などの共同の福祉や利便の増進を図るために行われるものでございますので、地域住民の御意見が適切に反映された事業であることが大変重要でございます。

 このため、地域福利増進事業について裁定の申請をしようとする事業者は、事業の内容につきまして、あらかじめ、協議会の開催や意見募集の実施など、住民の皆様の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない、御指摘のとおり、規定されております。

 加えて、事業実施について、条例を含みます他の法令の規制がある場合には、これらの規制に従って事業を実施することが求められます。令和三年十二月時点で、百七十七の地方公共団体におきまして、太陽光発電設備を含む再生可能エネルギー発電設備の設置について、自然環境や生活環境等との調和を図る観点から、住民説明会の実施の義務づけなどの手続ですとか立地の規制を課す条例が定められているところでございます。

 地域福利増進事業の裁定の申請のときには、こうした条例を含む他の法令の施行について権限を有する行政機関の長の意見書を添付することが必要とされております。地域住民の意見を反映するための措置を講ずることが求められている場合には、当該措置が講じられているか否かを都道府県知事が把握することが可能な仕組みとなってございます。

 さらに、都道府県知事は、裁定をするときに、地域住民などの共同の福祉や利便の増進を図る見地からの関係市町村長の意見を聞かなければならないこととされておりまして、反対運動の有無などの地域住民の意見を把握することが可能となっております。

 また、所有者不明土地法に基づきます基本方針におきましても、都道府県知事は、住民の意見を反映するために必要な措置を適切に講じているかどうかや、多くの住民が事業に反対していないかどうかといった点に留意して裁定をする必要がある旨を明確にしているところでございます。

 このような一連の手続を通じまして、都道府県知事が裁定に当たりまして、確知できている所有者や周辺住民の御意見を把握した上で適切に対応することは一定程度担保されているものと考えてございます。

枝野委員 では、その周辺住民って、現在のガイドラインでは、私がお聞きをした範囲では、例えばコンビニエンスストアのような小売商店を造る場合で半径五百メートルの範囲というガイドラインがあると聞きましたが、例えば発電設備なんかの場合はちょっと半径五百メートルじゃ狭いんじゃないのとか、これは地域差がありますわね。

 都市部に造るのと山の方に造るのでは大分距離の感覚も違うんじゃないかなと思うので、こういうところのガイドラインを幅広に取るとか、こういったことが必要なんじゃないですか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 地域福利増進事業について裁定申請をしようとする事業者は、事業の内容について、あらかじめ、協議会の開催や意見募集の実施などにより、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととされております。先ほど申し上げました。

 この措置の対象となる住民の範囲でございますけれども、地域福利増進事業ガイドラインにおきまして、事業の種別、規模に応じて、事業の実施により影響が及ぶ範囲を考慮して設定することとしております。

 そして、委員御指摘の例えばコンビニエンスストア、それから小規模な広場なんかにつきましては、利用すると考えられる住民の範囲を踏まえまして、コンビニエンスストアであればおおむね半径五百メートルの範囲とすることとしておりますほか、小規模な広場、ポケットパークでございますが、この場合ですと、自治会、町内会や街区の範囲とすることとしているところでございます。

 他方、今回、対象事業として追加いたします再生可能エネルギー発電設備につきましては、電気の供給先が市町村の範囲となり、意見を反映させるべき住民の範囲を市町村一帯とすることも想定されます。ですので、御指摘のような、おおむね半径五百メートルといったような地理的な限定はしないことを考えてございます。

枝野委員 地理的限定しないというのは非常に、僕は、一種の合理性はあるんだけれども、逆に言えば、恣意的に狭くもできかねないというガイドラインの書き方になるわけです。

 先ほど、その一つ前の御答弁で、反対運動がみたいなお話があったんですが、私は、要するに事前の根回し、段取りが大事なことだと思っているんですよ。恐らくこの制度で大型風力発電は余り想定していないだろうと思うので、基本は太陽光になると思います。太陽光の場合は、先ほど御質問あったとおり、使い古したパネルをどうするかという処理の問題、これは大きな課題ではありますが、いろいろな住民の方は意見はおありだったとしても、太陽光パネルをちゃんと設置するならば、住民の反対が生じる性格のものではないと私は思います。理解をいただける性格のものであると。

 ただ、問題は、知らないうちに何かいつの間にかでき始めているよと。しかも、今度は、つまりこの法律によって、公共性のある福利性の高い事業として、一種、国と行政がお墨つきを与えて進める制度ですよと。それを、何か知らないうちに始まって、本当に大丈夫なの、太陽光パネルってということになって、反対運動が生じることを心配しているんです。

 ですので、きちっと早い段階で、かなりちょっと広目の皆さんに、今度こういうのをやりますけれども、太陽光パネルは、それは二十年前と違って使い終わった後の処理のことも大丈夫ですよとか、あるいは、これによる何か災害につながるようなことはしないでちゃんと安全に設置しますよとか、きちっと事前に広い人にお伝えをするということをちゃんとすることで、ネガを生じさせないということが僕は一番大事なことだと思っていますので。

 多分、ここにも資源エネルギー庁をお呼びすればよかったかもしれませんが、よく資源エネルギー庁と相談をされて、早め早め、前倒しで広い住民の皆さんに御理解いただいて。私は、空いている土地で、使われていない土地で、そこに太陽光パネルなどでいざというときに避難所などに対してそこからきちっと電気が供給されますよということになれば、災害対策という観点からも効果的だし、みんなの安心につながると思うし、私の立場からすれば、自然エネルギーの普及ということの観点からも大変大きな意義を持つと思っていますので、是非成功させていただきたいので、これは是非、経産省資源エネルギー庁とも十分協議をして、トラブルを起こさないような、事前のしっかりしたガイドラインを作っていただきたいんですが、最後にお答えください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今回の再生可能エネルギー発電設備の追加につきましては、国土審議会の議論におきましても、地方公共団体の方々あるいは有識者の方々から一定の御懸念も示されまして、地域の方々の御理解を得ることが非常に重要だというお話も頂戴しました。

 それを受けまして、同審議会では、資源エネルギー庁の方にもおいでいただきまして議論をしていただいて、今回、あくまで地域の住民の方々の福利の増進に資する形での仕組みにすべきだということで、今後、政令で具体的に要件を定めていくわけでございます。

 今委員から御指摘いただいたことをしっかりと受け止めて、今後とも、資源エネルギー庁を始め関係省庁としっかり相談をしながら、うまく運用できるようにガイドラインを作ってまいりたいと思っております。

枝野委員 役所の方も是非しっかりお願いしたいし、副大臣の方もしっかりと監督をしていただきたいと思います。是非成功させてください。

 終わります。ありがとうございました。

中根委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党の神津たけしです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、斉藤大臣、今朝方おっしゃられた統計の関係のところで少しだけ質問させていただきます。

 今朝方おっしゃられたのは、業務過多、それから統計部門におけるマネジメント上の問題でこの問題が発生し、それから、再発防止ができていないと。これに対して、再発防止検証タスクフォースを立ち上げていると私は理解しております。

 この再発防止検証タスクフォースなんですが、実はこのタスクフォース、非公開となっているんですね。総務省の統計委員会、国交省の統計不正問題を議論する場においては、実は公開になっているんです。

 また今回このようなケースが発生したということにおいては、この再発防止検証タスクフォースの報告書、これまで何回か多分恐らく開かれていると思うんですが、これを公開していただくのと、それから、委員会を公開にしていただくということは難しいでしょうか。やはり透明性を保って、国民の皆様の理解を得るという上では非常に重要だと思っておりますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 タスクフォースにつきましては、受注動態統計調査の不適切処理及びそれをめぐる国交省の対応の問題につきまして、検証委員会からの御指摘を受け、一月にこのタスクフォースを立ち上げたところでございます。今回の事案につきましても、そのタスクフォースにおきましてしっかりと今回の事案も含めて再発防止、二度とこのようなことが起きないように体制を組んでいきたいと思っております。

 タスクフォースにつきましては、これまでに二回開催しております。第一回目の会議の資料については公開をしているところでございます。

 タスクフォースの検討途中段階の議事や資料の公開の在り方については、率直な議論等を図る観点等も踏まえながら、顧問有識者とも相談しつつ、先生の御要望も踏まえ適切に対応してまいりたい、このように思っております。

神津委員 明確にはお答えいただけなかったと思いますが、今後、是非とも国交省内でもう一度検討していただいて、是非とも公開ということで進めていただければと思っております。

 それでは、本日の本題である所有者不明土地問題に戻りたいと思います。

 まず総論から、私、発言させていただきたいと思います。

 今、日本の中においては、人口減少、高齢化の進展に伴って、土地利用のニーズの低下、それから土地所有意識の希薄化が進んでいると理解しております。そして、この傾向、私の地元長野県でも広がっておりますし、全国でも広がっております。

 有識者が二〇一七年にまとめた報告書においては、約四百十万ヘクタール、二〇%の土地が所有者不明土地ではないかと言われており、これが、このまま何も対策を講じなければ、二〇四〇年には七百二十万ヘクタールまで広がってしまうというところだと私は理解しております。

 これは先ほど枝野委員からもありましたが、今回、今この時点で解決しなければ、このまま次の代、子や孫、ひ孫、やしゃご、来孫、昆孫、仍孫、雲孫とどんどんどんどんつながってしまうというところにおいては、早い段階から解決する必要があると思っております。

 まず、所有者不明土地問題に対する国土交通省の基本認識を伺うとともに、これまでどのような問題が発生し、どのような対策を推進してきたのか、教えてください。

斉藤国務大臣 基本認識、神津委員からお尋ねいただきました。

 人口減少、少子高齢化が進む中、相続件数の増加、土地の利用ニーズの低下と所有意識の希薄化が進行しており、いわゆる所有者不明土地の増加が見込まれております。

 こうした所有者不明土地の存在により、災害復旧復興や社会資本整備、民間開発など様々な場面で、所有者の探索に膨大な時間、費用、労力を要し、事業計画の変更を余儀なくされる、事業の実施そのものが困難になるといった問題に直面しております。

 また、所有者不明土地は、所有者による自発的な管理が期待できず、管理不全状態になる蓋然性が高い土地である上、将来にわたって引き続き管理が実施されないことが見込まれることから、周辺における災害の発生や環境の著しい悪化の要因となることも想定され得ます。

 こうした所有者不明土地問題は、一朝一夕に解決できる問題ではなく、中長期的に粘り強く取り組んでいく必要のある重要な課題でございます。

 これまで、平成三十年には、所有者不明土地を円滑に利用できるようにすることを主な目的とした所有者不明土地法の制定、令和二年には、土地政策の基本理念として土地の適正な管理の確保を明確化した土地基本法の改正、それから令和三年には、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化の両面から行われた民事基本法制の抜本的な見直しが行われてまいりました。

 これらの関係する制度改正や運用状況を踏まえ、今般の法改正においては、所有者不明土地の利用の更なる円滑化の促進、管理の適正化について対応を図り、これらの取組を支える推進体制の強化のための措置を講ずることとしたものでございます。

 今後も、所有者不明土地法や民事基本法制の運用状況を踏まえ、現場で対策に取り組む方々を始めとする関係者の御意見を丁寧にお聞きしながら、私も一員となっております関係閣僚会議の下、法務省などの関係省庁としっかり連携し、政府一丸となって対策を推進していきたいと決意しております。

神津委員 御答弁ありがとうございます。

 今の御答弁、やはり様々な取組をやっていると理解しました。

 今朝方、宮崎委員からの御発言の中では、可能なことからやっていく、それからできることを制度化していくというところが御発言がありました。やはり、こういうふうな法制度化していくというところが重要なのかなと思っております。

 それからもう一つ、根本的なこの所有者土地問題を解決していくのは、地籍調査でやっているような、所有者を特定していくというところが重要だと私は思っております。

 これまでやってきた地籍調査の中で、先ほど申し上げた二〇一七年の報告書のときには二〇%いった所有者不明土地が、約〇・四%まで下がると。それから、私が国交省から伺っているところでは、令和二年度の調査では、登記簿上二四%分からなかった土地所有者が、様々な探索によって〇・二二%まで下げられたと伺っております。

 今回、土地の所有者を見つけ、所有者不明土地を減らしていくには、地籍調査、これを加速していく必要が私はあると思っております。今後の地籍調査の取組の方針について、政府参考人から伺えればと思います。お願いします。

市川政府参考人 お答えいたします。

 地籍調査では、土地所有者の立会いなどを得ながら、毎筆の土地につきまして、その所有者や地番などの調査を行うものであります。その推進は、所有者不明土地の解消又は発生の抑制にも貢献するものと考えております。

 例えば、地籍調査を行う過程で、立会い等に必要となる土地所有者を探索することとなるため、それを契機に所有者情報が明らかとなったり、調査の実施主体である市町村が土地の所有者に相続登記を促したりといったことが行われているところでございます。

 地籍調査の推進につきましては、令和二年の国土調査法等の改正によって措置されました、より効率的な調査手法の活用、これを促進することですとか、地籍調査に関して豊富な知識や経験を有する専門家、地籍アドバイザー、あるいは国の職員の派遣などを通じまして地方公共団体を支援する、それから、地籍調査の効率的な実施方法ですとか、地籍調査がどんな効果があるのかといったことに関する優良事例、これを周知するなどの取組を進めております。

 引き続き、地籍調査の計画的な実施に必要な予算の確保に努めるとともに、地方公共団体に対する支援を一層推進することによって、地籍調査の円滑化、迅速化に取り組んでまいりたいと考えてございます。

神津委員 ありがとうございます。地籍調査、効率的に、それから時間とコストをなるべく減らしてやっていくと理解しました。

 私、今回、地域福利増進事業モデルの報告書というものを読んでいて理解したんですが、所有者不明土地を探すのは、やはりおっしゃられたように、労力、時間、コストがかかると理解しました。この根本的な解決を図っていくのは、やはり地籍調査が重要だと私は認識しております。

 一方で、これまで増加すると言われていた部分、これについては、相続時の登記が義務化されるというところで歯止めがかけ得ると思っておりますが、これを減らしていくという観点、今ある所有者不明を減らしていくという観点から、この地籍調査を是非とも更に進めていただければと思います。

 さて、次に、地域福利増進事業について伺いたいと思います。

 これまで、地域福利増進事業が始まってから約三年が、この法が施行されてから三年が経過しました。この三年が経過してから新しく検討を加えて必要な措置を講じていくというところで、今回、こういうふうに議論になっております。

 元々、所有者不明土地法の最大の目玉というものは、私は、この地域福利増進事業の創設だったと思っております。事業主体を縛ることなく、民間事業の参画も期待し、それから、これまでの道路などの収用適格事業にとどまらない、こうした新しい取組によって解決していくというところだったと思います。

 今回、施行から間もなく三年を迎えるというところで、所有者不明土地対策については何が今課題だと思っているのか、教えてください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地法の施行後の運用状況や土地基本法の改正、民事基本法制の見直しなどの状況の変化を踏まえまして、大きく三つの課題があると考えてございます。

 まず、一点目としましては、所有者不明土地法制定時に規定されました所有者不明土地の利用の円滑化のための措置について、現場の声を反映した、より使いやすい事業制度に見直していくことが課題と考えております。

 次に、二点目といたしましては、適正な管理が行われておらず、周辺地域に悪影響を及ぼしている所有者不明土地の増加が懸念される中で、令和二年の土地基本法改正によって、土地政策の基本理念として土地の適正な管理の確保が明確化されたところでございますけれども、この理念を施策として具体化し、所有者不明土地の管理の適正化を図ることも課題であると考えてございます。

 さらに、三点目でございます。所有者不明土地問題は、一朝一夕に解決する問題ではございません。地域の関係者が密接に緊密に連携しながら着実に対策に取り組んでいく仕組みを築き上げていくことが課題であると考えてございます。

 このような三つの課題に対応するために、今般、法案を提出させていただいたところでございます。

神津委員 ありがとうございます。今、この三つの課題があると私も理解しました。

 これまで、国土交通省の資料によりますと、この法の制定時、地域福利増進事業における使用権の設定の目標として、施行後十年間で累計百件を目標とされていました。今回、この三つの課題によってもしかしたら遅れているのかもしれないんですが、現状を見ると、残念ながら、今、裁定まで至っている案件が一件もない、裁定申請中のものが一件のみというところにおいては、少し遅れているという印象があります。

 この地域福利増進事業の裁定申請が今一件にとどまっている要因について、国土交通省としてどのように分析されているのか、お伺いします。

市川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、地域住民等のための公益性の高い事業のために所有者不明土地を一定の期間利用することを可能といたします地域福利増進事業、これにつきましては、現時点での活用実績として、一件の裁定申請がなされている状況でございます。

 活用実績が一件にとどまっている理由としましては、一つは、裁定申請に至った事例におきましても、対象の土地が所有者不明土地であるかどうか判断をするために、約二年の所有者探索の時間を要してございます。前提となる所有者探索に時間を要するといったことが一つでございます。

 それから二つ目は、所有者探索を行った結果、所有者が全員判明して、あえてこの地域福利増進事業制度を活用せずとも土地の利活用に向けた協議が進んでいる事例もあるといったことなどが考えられると思います。

 他方で、所有者不明土地法で創設されました制度でございますが、この地域福利増進事業の実施の準備をするために、土地の所有者の探索に必要な情報を利用したり外部に提供したりできる特例制度がございます。この活用実績を見ますと、令和三年十二月時点で七十七件積み上がってございます。したがって、この地域福利増進事業制度を活用して所有者不明土地を利活用したい、しようという動きが各地で広がりつつあるのではないかと考えてございます。

 今般、地域福利増進事業について、現場のニーズを反映した、より使いやすい制度に見直し、一層の利用の円滑化を図ることとしております。この制度の活用が更に進むことを期待しておるところでございます。

神津委員 ありがとうございました。

 今七十七件の調査が行われているという中において、終わったものもあるかもしれないんですが、七十七件実績があるというところで裁定申請が今一件のみになっているというところでは、これがいいのか悪いのか。所有者が恐らく見つかったというところで今一件になっているというふうに私は理解しました。

 その意味においては、今後、これまで、前の法制定時のときには十年で百件の目標、それから、今回、改正後には五年間で累計七十五件を目標としているというところで、これが本当に達成できるのか、難しいのではないかと思うところでありまして、この目標値はどういうふうに設定したのか、ちょっと背景を教えていただければと思います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地法の制定時には、地域福利増進事業における土地の使用権の設定数につきまして、施行後十年間で累計百件という高い目標を掲げたところでございます。

 これは、地域福利増進事業の利用方法として容易に想定され得る、例えば、ごみなどが不法投棄されている所有者不明土地を公園や広場として整備するですとか、特定空き家などを略式代執行した後の空き地が所有者不明土地であるような場合に当該空き地を公園や広場に整備する、そういった場合などを想定した上で、当時、国土交通省で実施いたしましたアンケートの結果などを基に設定したものでございます。

 施行から三年が経過いたしましたが、御指摘のとおり、地域福利増進事業の活用実績が一件の申請にとどまっていることも踏まえまして、今般の改正において、地域福利増進事業の使い勝手を更によくするための各種の改善を行っておりますので、こういったことを周知徹底しながら活用のペースアップを図ってまいりたいと考えております。

 そこで、今回は、施行後五年間で累計七十五件、年間十五件という単純計算になりますけれども、そのような目標を設定させていただいたところでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 今のお話を伺っていて、目標の設定、やはり達成が難しい目標なのではないかと私は感じているところです。

 今回、対象事業の拡大、それから制度の対象となる特定所有者不明土地の拡大が行われることによって、従来よりも所有者不明土地の利用の円滑化が少しは進んでくるのかと思っておりますが、この目標は本当に達成できるのか、その根拠とともにもう一度お伺いできればと思います。お願いします。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正によりまして、地域福利増進事業の対象事業に、備蓄倉庫などの災害関連施設や再生可能エネルギー発電設備の整備に関する事業を追加することとしております。

 国土交通省が令和三年二月に行いました全ての地方公共団体を対象としたアンケート調査によれば、災害対策に資する施設の整備については百五十程度の自治体、それから再生可能エネルギー発電設備の整備につきましては五十程度の市町村から、地域福利増進事業としてこれらの事業を実施したいとの声が寄せられているところでございます。

 このような地方公共団体の声を踏まえまして、先ほど申しました地域福利増進事業の対象事業の拡充をするほかにも、事業期間につきまして、一部事業について事業期間を延長するですとか、事業計画書などの縦覧期間の短縮をして事業のスピードアップを図るですとか、地域福利増進事業の対象土地そのものを拡大するといったような、現場の声を反映した使いやすい事業スキームに見直すところでございますので、これによって所有者不明土地の利用の更なる円滑化を図ることとしております。

 改正法の施行に向けまして、新たな制度の周知徹底を図り、施行後五年間で累計七十五件という目標を達成できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 災害対策に向けた数字として百五十件自治体から問合せがあって、それから再生可能エネルギーについては五十件問合せがあったという点については、今後目標が達成する可能性があるという意味においては、非常に有効な数字だと思っています。

 私は、他方で、これまで先進事例構築推進調査が行われてきたものの、先ほどおっしゃられた七十七件あるものの一件しか裁定の方に申請が出ていないという意味においては、この七十七件の先進事例構築調査において学んだ知見ですとか、それから教訓、これを生かしていくことが次の目標の達成につながっていくのではないかと思っているところです。是非、この知見とか教訓を生かしていただければと思います。

 次に、市町村から見たときの地域福利増進事業について話をさせていただきたいと思います。

 私の手元にあるデータで見たところ、国土交通省が実施した所有者不明土地法の見直しに向けた地方公共団体のアンケート調査、この結果の中では、九割の市町村で地域福利増進事業の活用をそもそも検討しなかったとされております。この検討すらされなかった要因というものはアンケート調査の結果からは示されていないんですが、今後、市町村自体に検討の俎上にのせていただくということが重要だと思っております。

 これまで市町村に対してどのようなこの制度の周知を図ってきたのか、それから今後どのように周知を図っていくのか、お伺いできればと思います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 各地で課題になっております所有者不明土地対策の推進に当たっては、何よりもまず、現場で対策に取り組む関係者の方々に対しまして、この所有者不明土地法の内容を始め、制度や取組について知っていただくことが重要であると考えてございます。

 このため、これまで地方整備局などを拠点としまして、全国十のブロックに所有者不明土地連携協議会を設置いたしまして、地方公共団体、それから地域の専門家による講習会等を通じた普及啓発活動を実施してまいったほか、民間事業者や地方公共団体向けのパンフレットを作成しましてこれを周知する、それから、地域福利増進事業の具体的な手続を示すガイドラインを公表するなどによって、現場の方々に対する周知活動に取り組んできたところでございます。

 今後は、今般の改正の内容が関係者の方々にしっかりと伝わるよう、宅地建物取引業の関係団体などを新たにこの所有者不明土地連携協議会に構成員として入っていただくことなどを通じまして、より広く現場の方々に制度あるいはこれから作るガイドラインが周知されますよう、積極的な活動に取り組んでまいりたいと考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 様々な広報活動をやっていらっしゃる、周知活動をやっていらっしゃると理解しました。

 私の思うところでは、パンフレットに記載されているか分からないんですが、この制度を活用することによった自治体のメリットというものをもう少し強調していく必要があるのではないかと思っております。

 今、私の自治体については、固定資産税による歳入が非常に多くなっております。一般的な自治体でも、固定資産税による収入が約四割になっているというところにおいては、今、所有者不明土地となっているところにおいては固定資産税が請求できないという意味においては、地方自治体に滞納されている固定資産税を取り返せるような制度設計ができれば、地方自治体にとってのメリットになるのではないかと思っております。

 今回の所有者不明土地法案ですが、まず、この土地を使用したいという事業者については、補償金とそれから使用料というものを民間事業者から払うという仕組みになっていると思います。そして、この支払われた補償金と使用料なんですが、これは自治体に行くのではなくて、国庫に供託されてしまうというふうに私は伺っております。

 この供託金なんですが、本来の土地所有者が滞納している、本来であれば所有者が元々受け取るべき土地の使用料であり補償であると私は受け止めております。そういう意味においては、この供託金を土地所有者が滞納している固定資産税に充てるということは難しいのでしょうか。先ほど申し上げましたが、地方自治体に滞納されている固定資産税を供託金から回収できる仕組みができれば、より地方自治体はこの取組に積極的に動くと思いますが、いかがでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 御認識いただいておりますとおり、供託金でございますが、これは、消滅時効の成立が確認された後に歳入として国庫に納付されるものと承知してございます。

 御提案の、供託金のうち固定資産税額に相当する金額を地方公共団体が受け取ることにつきましては、供託制度全体との整合性ですとかその運用方法などについて整理を行う必要がありますけれども、今後の検討課題の一つとして受け止めさせていただきたいと考えております。

 また、固定資産税のお尋ねにつきましては、原則として固定資産の所有者に課税されるわけでございますが、令和二年度の税制改正において、一定の手続を経た上で使用者を所有者とみなして固定資産税を課すことができることとされたものと承知しておりますけれども、地域福利増進事業の事業主体は、賃料相当額の補償金を供託しているため、所有者とみなされる使用者とはみなされないという整理がなされておりまして、固定資産税の課税の対象とはなってございません。

 以上でございます。

神津委員 ありがとうございます。

 私、質問の中で実は先ほど伺うのを忘れてしまったのが、特定所有者不明土地の固定資産税は事業者が自治体に支払うということになるのでしょうかという部分を忘れてしまったんですが、今お答えいただいたので構わないんですが、やはり、令和二年度の税制改正で、使用者を所有者とみなして固定資産税台帳に登録して固定資産税を課すことができるというふうにされております。

 そういう意味においては、今回、使用者というものが支払うもの、補償金と使用料だけではなくて、固定資産税を自治体に支払うというところを制度として明確にできれば、自治体としてより積極的に関与していきたいというふうにできると思うんですが、その点、いかがでしょうか。

市川政府参考人 先ほどのお答えと若干重複するかもしれませんけれども、いろいろと整理を行う必要がございますが、今後の検討課題の一つとして受け止めさせていただきたいと思います。

神津委員 御返答ありがとうございます。是非とも検討していただければと思います。

 次に、質問通告している質問、今回、地域福利増進事業や土地収用法の特例の対象として追加される、土地に存する、その利用が困難であり引き続き利用されないと見込まれる建築物というものはどういうものかというところで、判断基準が曖昧というところで、今朝方、宮崎委員からも指摘がありました。

 私も、この部分については、しっかりと政令ですとかガイドラインで、やはり今朝方おっしゃられたように定めていただくというところが非常に重要だと思っておりますので、是非御留意ください。

 次の質問なんですが、現在、公共事業の補償の対象となる建築物についてどのような補償を行っているのか、また、今回、法の対象として追加される建築物は算定が容易というふうに伺っているんですが、なぜ算定が容易というふうに整理されているのか、その辺、御説明をお願いします。

市川政府参考人 お答えいたします。

 現在、国の公共事業におきまして補償の対象となる建築物については、実際に現地を訪問し、居住者からの聞き取り調査などを実施した後に、再建のための必要な費用などを算定して補償を行うこととしております。

 今般の改正におきまして、特定所有者不明土地に追加することとしている土地に存する建築物は、朽廃した空き家や廃墟となった工場のように、現に利用が困難であり、かつ、引き続き利用されないことが確実であると見込まれるものを想定しております。

 こうした建築物の補償については、現に人が居住している住宅や営業している店舗などとは異なり、営業補償や引っ越し費用が不要であるなど、考慮すべき事項が少なくなるため、従来から対象となっております簡易建築物の場合と同様に、補償金の額を容易に算定することが可能であると考えているところでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 是非とも、計算については、改めてガイドラインですとか精査していただいて、細かく設定していただければと思っております。

 次の質問通告なんですが、私、今回の制度、民間事業者の参加が非常に大きな鍵を握るのではないかと思っております。今、実際にこの裁定申請が行われるのは一件というところで、これは新潟県の粟島浦村というところの事例だと思うんですが、先ほど伺った質問と重なるところはあるんですが、今、アンケート調査を実施して、民間事業者からどのような要望が出ているのか、その要望の把握状況とか、それから要望への対応について伺います。先ほど、災害では百五十件、それから再生可能エネルギーでは五十件と伺ったので、それ以外のところで伺えればと思います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただいた国交省が実施いたしましたモデル調査におきまして、地域福利増進事業として、備蓄倉庫などの整備といった災害対策に資する施設の整備を行いたい、それから、所有者不明土地の安定的な活用のためには十年間と言わず長期に使用できる施設の整備が望ましいといった要望がございました。

 また、政府の再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースに対しまして、民間事業者から、地域福利増進事業の対象として小規模な再生可能エネルギー設備の整備に関する事業を追加してほしい旨の要望があったものと承知しております。

 こうした民間事業者の方々からの要望などを踏まえ、地域福利増進事業の対象事業の拡充、民間事業者が行う一定の事業の事業期間の延長などの措置を講じたところでございます。

神津委員 ありがとうございます。

 先ほど、千キロワット未満の再生可能エネルギーについても言及がありました。

 質問通告で十七番に飛びます。再生可能エネルギー事業なんですが、倒産する企業も多いと私は理解しております。再生可能エネルギーで、設置した業者が倒産した場合、誰が原状回復を行うのか。もちろん、倒産した企業に一義的な責任はあると思うんですが、自治体が原状回復を行うにしても、資金が不足してしまっているという現状があるかと思うんですが、いかがでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 地域福利増進事業の裁定を行います都道府県知事は、事業者の事業遂行能力や資金計画などを確認した上で、事業の実施に問題がないと判断した場合にのみ裁定を行うこととされており、問題があると判断された事業者はそもそも事業を実施することができない形になってございます。

 また、知事の裁定後においても、都道府県知事は、必要に応じて事業者に報告を求めることや立入検査などを行うことにより、事業の実施状況をモニタリングし、不測の事態に備えるよう努めることとされてございます。

 その上で、お尋ねのように、倒産などの事態が発生した場合には、都道府県知事は裁定を取り消すこととなり、事業者には土地の原状回復義務が課せられることになります。

 なお、事業者によって土地の原状回復がなされない場合は、事業者に対し一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金が科されるとともに、都道府県知事が原状回復の代執行をすることも可能となってございます。

神津委員 ありがとうございます。

 事業の実施に問題がない事業体のみを選ぶというところ、冒頭ありましたが、どんな事業をやっていても倒産するリスクというのはあると思いますので、そこは余り理由にはならないと私は思っております。立入検査を行うとか、その後のちゃんと進捗を追っていくという意味では、そういうことをやっていくという意味で私は理解しました。ただ、実施主体が倒産する場合というのをやはり仮定していかないとというふうに思っております。

 この事業をやるに当たって、最初に補償金を全額で支払うか、それとも、今回の新しい法制度によっては分割して支払うということができると伺っております。これは、もし途中で倒産してしまった場合、その事業者は、その後の補償金を、月賦で払っている場合には支払うことができなくなってしまうという意味においては、全額最初に支払った方との公平性が保てないというふうに思っております。

 その点についてどのように国交省としては考えているのか、是非お聞かせいただければと思います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正におきまして、地域福利増進事業の補償金の支払い方法について、土地等の使用に見合う補償金の供託によって不明な所有者の権利保護を図りつつ、予算規模が小さな市町村や地域の団体が円滑に事業に取り組むことができるよう、分割支払いなど補償金の支払い時期を知事の裁定で定めることを可能とし、必ずしも一括での供託をしなくてもよいこととするとともに、不明所有者の権利保護に万全を期すため、裁定で定められた支払い時期までに事業者が供託しない場合には、そのとき以後裁定の効力は失われることとし、同時に、事業者は、土地の原状回復、返還義務を負うこととしたところです。

 委員御指摘のように、分割支払いすることとなった地域福利増進事業の実施主体が倒産した場合には、土地の使用権等が失効し、事業者は、土地の原状回復、返還義務を負うこととなりますが、それ以降の補償金の支払いは必要ないため、事業開始前に一括で補償金を供託している事業者と比較して最終的に負担する補償金の総額が異なるということは、確かに否定できないところでございます。

 この点につきましては、所有者不明土地の不明所有者にとっては、事業開始前に一括で補償金が供託されている場合に比べて分割支払いの場合には受け取れる補償金は少なくなりますけれども、分割支払いの場合であっても、少なくとも、事業者がその土地を使用した期間に見合った補償金、これは供託されておりますので、権利保護の観点からは不公平であるとは必ずしも言えないものと考えてございます。

 他方、事業者にとりましては、初期負担は大きい代わりに事業開始前に一括で補償金を供託することで使用期間全般にわたって安定的な使用を確定させるのか、あるいは、分割支払いとすることで初期負担を小さくする代わりに、支払い期限までに支払わなければ、その時点から将来にわたり使用権が失効し、原状回復しなければならないかという、一括支払いと分割支払いのメリット、デメリットを経営的な観点から合理的に比較判断し、自ら最も適切だと思う支払い方法を選択することになると考えられるため、これもまた必ずしも不公平であるとは言えないものと考えてございます。

 いずれにしましても、事業者が倒産する場合の対応につきましては、まずは裁定の段階で、都道府県知事が、事業者の意向も踏まえながら、その支払い能力ですとか運営の状況、事業内容などを総合的に勘案し、補償金の支払い方法を裁定することになっております。

 また、裁定後の事業期間中におきましても、都道府県知事は、事業者に対しまして必要に応じて事業に関して報告させる等、事業実施状況をモニタリングし、不測の事態に努めるようされております。

 このような、裁定の段階、裁定後の段階、事前事後、それぞれの段階で都道府県知事による対応の徹底を図ることによって、事業者の倒産等の不測の事態の発生による弊害を極力回避すべく、適切に運用してまいりたいと思ってございます。

神津委員 今御説明ありましたが、私の今の御説明を伺った印象でも、やはり全額で支払う方とそれから分割で支払う方、総額で違いが出てくると私は理解しました。

 そういう意味においては、今回、全額というものをなくして、全て分割にするというところの方法を取ることによって皆さんにとって公平な制度になるのではないかと思いますので、是非御検討いただければと思います。

 次に、今回の制度によって、新しく土地使用権の上限期間、十年から二十年に延長される。これは、再生可能エネルギーとかの例えば十七年の償却期間とか、そういうところを捉えて二十年に、上限というふうに定めたと私は理解しております。

 これは質問通告十九番になるんですが、今、民間事業者にこの二十年というものを限るということにしていると思います。ただ、今回の国交省が行ったアンケートでは、地方自治体から、上限期間十年の費用対効果が低いために事業実施を断念したという回答が複数見られています。というところでは、公共事業体が実施する事業についても上限期間の延長を二十年に認めるという方向性ではいけないのか、伺えればと思います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今般の法案におきまして土地等使用権の存続期間の上限を二十年に延長することとした理由としましては、民間事業者が地域福利増進事業制度を活用する場合、十年という事業期間では資金調達を行うことがなかなか難しいといったようなお声があることから対応したものでございます。

 御指摘の公共主体による事業につきましては、税金を財源とするケースが多いなど、民間事業者とは資金の調達方法が異なることですとか、そもそも行政が長期にわたって必要とする施設の整備につきましては、土地収用制度や令和三年の民事基本法制の見直しによって創設されました所有者不明土地管理命令制度などを活用して、土地の所有権などの権原を取得すべきであると考えられること、こういったことを踏まえまして、存続期間の上限を十年のままといたしたところでございます。

神津委員 ありがとうございます。今のお話、ちょっと、少々残念でありますが、公共事業体、二十年をやはり希望されているので、積極的なこの制度の利用を図るという意味においては、是非とも公共事業体の事業についても二十年を認めていくというところを御検討いただければと思います。

 次に、今回の本法律案では、新しく所有者不明土地利用円滑化推進法人というものを指定する制度、これが大きく変わるところだと私は思っています。

 この制度の中でなんですが、土地を利用する、取り組む団体は、運営上でどういうふうに、財政基盤が今NPOとか弱い中で、この団体はどういうふうに持続性を担保しながら制度を運営していくのかというところで、私、不安に思っております。

 これは質問通告二十三番のものになるんですが、推進法人に指定されるのはNPOなどであり、財政的な基盤が弱く、できるだけ持続可能な活動を行えるようにすべきと考えますが、国交省の見解及び今後の取組について伺えればと思います。

市川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、推進法人に指定されると想定されています法人は、我々が実施しましたモデル調査などを踏まえますと、一般的には、自主財源や法人活動から得られる利益のみによって持続的な活動を行うことができるものはそう多くはないと認識してございます。

 このため、市町村が作成する計画に基づく事業を実施する場合には、国として財政的支援を行うこととしておりますが、あわせて、できるだけ自主財源を確保していただけるように、我々が実施しておるモデル調査などを通じまして、例えば、クラウドファンディングですとか、ふるさと納税制度の活用といった財源確保手法の調査研究を今後行って、優良事例の発掘やその横展開などに努めていければというふうに考えてございます。

神津委員 ありがとうございます。

 諸外国の事例の、ランドバンクの事例を見ると、やはり事業収入だけでは賄えないというところでは、補助金とか税金を投入しているような事例が多く見られます。是非、単体でこのランドバンク事業が成り立つような仕組みづくりをお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

中根委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党、栃木県第四区の藤岡隆雄でございます。

 本日も、地元の皆様に感謝を申し上げ、そして、質問の機会を与えてくださいました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質問の方に入らせていただきたいと思います。

 さて、まず、所有者不明土地、本案に直接というよりも、栃木県は海には面していないんですが、国境離島における所有者不明土地のことに関して、最初に質問をさせていただきたいということを思います。

 まず、直近の状態、国境離島四百八十四島のうち、私有地のある国境離島は幾つになりますでしょうか。最新の状況を教えてください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 国境離島は、我が国の領海や排他的経済水域等の外縁を根拠づけるものでありまして、領海保全等の観点から極めて重要でございます。

 内閣府においては、平成二十九年から、国境離島の領海基線の近傍等の土地について国有や私有などの所有状況を把握すべく、不動産登記簿の収集を進めてきたところでございまして、これまでの調査によりますと、我が国が現に保全、管理を行うことのできる国境離島四百八十四島のうち、私有地が存在するものは九十八島になります。

藤岡委員 ありがとうございます。

 では、九十八島の中で、私有地の面積、筆数ということでも結構ですが、私有地の面積、さらには所有者の状況の調査結果、何か終わっているという話も聞いておりますが、その状況を教えてください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 私有地が存在する九十八島の土地において、調査の結果、約三百五十筆の私有地が存在しておりまして、このうち、表題部所有者不明土地は約四十筆存在していることを確認しております。

 なお、この中に、外国に所在する者が国境離島の領海基線の近傍等の土地を所有している事例は、我々の方の調査では確認しておりません。

 以上です。

藤岡委員 ありがとうございます。

 ちなみに、今おっしゃった所有者不明となっている四十筆でしょうか、正しく聞いていればですね、ここについては、所有者不明ということでございますから、外国籍かどうかということも含めて分からない、現在分かっていないということでいいんでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおり、不動産登記簿を収集し調査した結果でございますので、先生おっしゃるところの外国籍までかどうかは不明でございます。

藤岡委員 ありがとうございます。

 ということは、国境離島において、いまだに所有者不明のところがやはりまだある、存在すると。さらには、そこは、外国籍の方が所有しているかどうかはまだ分からないところがあるということを今教えていただきました。

 表題部の登記というところの確認ということで今お聞きしましたけれども、今おっしゃった内閣府における調査におきましては、国土交通省さんの地籍調査とある意味同等の調査ではなくて、登記簿の確認ということだけにとどまっているということなんでしょうか。その調査の詳細について教えてください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 当方の調査では、先ほど申しましたように、領海保全等の観点から、所有状況の調査を把握する目的で実施したものであり、不動産登記簿を収集しまして、所有者の住所、氏名、登記の年月日等の登記情報を確認作業したものでございます。

 一方で、地籍調査の方は、我々の認識ですと、災害発生時の早期の復旧復興、社会資本整備やまちづくりの効率化に寄与する観点で、土地の基礎的情報を明確化することを目的とするものというふうに承知しており、我々の調査とは異なるというふうな認識でございます。

 以上でございます。

藤岡委員 いわゆる目的が違うということを、やはり御答弁があるわけでございますが、そういうところを調整して、縦割りを調整して、本当に所有者不明の状態を解消していくというところを、やはり内閣府さんに調整をしていただくことが必要なのかなということを私は思います。

 例えば、いろいろな、複数やり方があると思いますが、地籍調査も、国境離島などを例えば優先していくということも考えられる、一つの案としては私はあると思います。

 その意味で、内閣府の方から、例えば、どこが国境離島なのかということにつきまして、国土交通省さんの方に情報の伝達、共有、政府部内での共有というのは行われているのかどうか、教えてください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、我々の方からは、必要に応じまして、あくまでも領海保全等の観点からですけれども、国土交通省の海上保安庁及び国土地理院始め関係省庁との情報共有、状況の結果の共有を進めておるところでございます。

 以上でございます。

藤岡委員 御丁寧にありがとうございます。

 としますと、今、海上保安庁や国土地理院という話がございましたので、地籍調査を担当する部局ではこれは把握されているのかどうか、ちょっと今分からなかったんですが、国土交通省さんにお聞きしますけれども、地籍調査を担当する部局では、国境離島がどこかということは把握をされているのかどうか、教えてください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 把握いたしてございません。

藤岡委員 先ほど、領土の保全という観点からというふうに内閣府の方から話がありましたが、国土交通省の地籍調査を担当する部局に対して内閣府の方から伝えた方がよいと思うのですが、いかがでしょうか。これは副大臣にお願いいたします。大野副大臣、いらっしゃってくださっているので、お願いします。

大野副大臣 ありがとうございます。

 先ほど来、政府参考人から御答弁申し上げたとおりでありますけれども、内閣府におきましては、どこに国境離島があるか、国境離島の状況や情報、こういうものは、基本的には、これまで、必要に応じて、国交省やあるいは国土地理院を始めとした関係省庁と情報を共有しながら保全あるいは管理のための諸施策というのを進めてきているところなんですけれども、今後、委員の御指摘のように、地籍調査のために国境離島に関する情報が必要となることがあれば、その都度関係省庁と必要な情報を共有してまいりたい、そういうふうに思っております。

藤岡委員 今、非常にちょっと残念だったのが、地籍調査のためにということではなくて、領土の保全のために内閣府の方から国土交通省さんの方に積極的に情報提供を例えばしていただく。もちろん、どこが国境離島かという情報は非常に丁寧に扱わなくてはいけないというのはもちろん理解をいたします。しかしながら、例えば、じゃ、地籍調査をやるときに、やはりこれは領土、領海の保全からここを優先してやろうという判断をしようと思っても、それを教えていただかなければこれはどうしようもない話でございます。

 地籍調査のためにというところではなくて、領土、領海の保全のために、どこにどういう情報を提供するのかというところを、きちっと内閣府の方でこれはしっかり行っていただきたいということを思うんですが……(発言する者あり)ありがとうございます。

 それで、斉藤大臣にお聞きしたいと思うんですが、是非、内閣府から積極的に情報提供を受けて、国境離島の地籍調査を早急に行っていただきたいと思うのですが、大臣の御見解をお伺いいたします。

斉藤国務大臣 地籍調査は、毎筆の土地について、その境界、面積、地目、所有者等を調査し、土地の基礎的情報を明確化するものであり、昭和二十六年の国土調査法制定以来、今日まで七十年にわたり調査が進められております。

 令和二年に閣議決定された第七次国土調査事業十か年計画において、土地区画整理事業等について一定程度地籍が明確化された地域それから大規模な国公有地や手を入れる必要のない天然林等の土地の取引が行われる可能性が低い地域を除いた優先実施地域について、当該地域での進捗率を十年間で約八割から約九割に引き上げることを目標としております。

 お尋ねの国境離島については、内閣府において、海洋基本計画等に基づき、国境離島の保全等の観点から、領海基線近傍等の土地における所有状況の把握などを行っているものと承知しております。他方、国土調査法に基づく地籍調査は、災害発生時の早期の復旧復興、社会資本整備やまちづくりの効率化に寄与する観点から、土地の基礎的情報を明確化するものであり、政策の趣旨や目的を異にしているものと考えております。

 いずれにせよ、国土交通省としましては、国境離島を含む国土全般について、優先実施地域における地籍調査の促進に努めてまいります。

藤岡委員 法律の趣旨、目的などに沿ったというところになってしまえばもちろんそういうふうな御回答になってしまうのかもしれませんが、やはり、いわゆる縦割りになっている状況のように今私は感じました。

 元々は離島というのは私は国土交通省さんの方で所管されていたのかなというふうな感じを見ておりますけれども、それを内閣府さんの方でやるようになったのかなというふうな感じを受け止めておりますけれども、地籍調査も本当に非常にいい調査だと思います。これを国境離島に優先的にやっていくという考え方は当然あると思います。

 その意味で、内閣府さんの方にお聞きしたいと思うんですけれども、国境離島の所有者不明状態を解消する取組、これはやはり進めていただきたいと思いますし、関係省庁としっかり連携をして行っていただきたいと思うのですが、副大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

大野副大臣 繰り返しになりますけれども、内閣府におきまして、国境離島の領海基線の近傍等の土地について国有や私有などの状況、こういうものを把握すべく、不動産登記簿の収集を進めてきたところでございますが、ただいまの御指摘をいただきました所有者不明の土地の問題、これは例えば、令和元年に表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律というのが委員も御存じのとおり成立をしておりまして、その中で、所有者の探索等に関する制度というのが設けられております。

 本法律は法務省におきまして主体的に運用されるというふうに認識をしておりますが、内閣府といたしましては、当該制度が活用できないかどうかについて法務省とよく相談した上で、引き続きこの問題に取り組んでいきたいと思います。

藤岡委員 ありがとうございます。

 今、法務省ともよく相談をしてというような話がございましたけれども、もう法律は既に施行されているわけですよね、この表題部の関係の法律。この法律でいきますと、第三条に、登記官は、まさに、その他の事情を考慮して、登記の適正化を図る必要があると認めるときは、職権で、その所有者の探索を行うものとするというふうな規定があると思います。ということは、登記官が必要であると認めないと、更に今おっしゃってくださった国境離島における所有者不明の解消にはつながっていかないということだと思うんですね。

 もう施行から随分時間がたっているんですが、これまで法務省さんと、これは更問いでお聞きしますけれども、何か具体的にしていないんでしょうか。これはすぐ言えばできると思うんですけれども。ちょっと状況を教えてください。

大野副大臣 実際に、状況については、日々、法務省さんと様々な情報の共有をしておるところでありますので、当該、この法律につきまして、もちろん、令和元年ということでありますので、施行されておる、ちょっとはたっているということでありますけれども、この情報の交換の中で、必要な実際やれる施策、出てまいりましたらしっかりと運用させていただく、こういうことだと思います。

藤岡委員 ちょっと今、非常に曖昧なお答えだったと思うのですが、いずれでも、例えば地籍調査でしっかりやっていく、あるいは所有者の探索でやっていく。できれば地籍調査であれば、元々、地籍調査で把握しているところというのは、よくいろいろな御指摘がある中で、地租改正にあって土地が非常に狭めになっているとか土地に税金がかかるとか、その辺で、いわゆる国境離島の中で状況をしっかり把握していただくには、私は地籍調査をしっかりやっていただくというのが非常にいい話かなというふうに思っています。ただ、地籍調査に非常に、なかなかまだこれも時間がかかって調整というのであれば、それは法務省の方の所有者探索という方のやり方もあると思います。

 いずれでもあれなんですけれども、速やかにこれは明らかにしていただけないでしょうか。最後、もう一度お願いします。

大野副大臣 国境離島の保全、維持管理というのは非常に極めて重要な課題でありまして、当然、領海の画定にとってもそれは非常に重要なので、領土、領海の画定にも非常に重要だということになると思いますので、御指摘いただいた点も踏まえてしっかりと取り組んでいきたい、そのように思います。

藤岡委員 領土、領海の保全という視点で、本当に早急にこの対応を。法律が施行されていて、何だか放置されていて、いつも法務省が判断してもらうまで何か放置して待っておくとか、そういうことにはならないようにしていただきたいと思いますし、必要に応じて、国土交通省さんの地籍調査を担当する部局にもきちっと情報を伝えて、速やかにやれるような判断を、体制をつくっていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。

 次に参りたいと思いますが、昨年、所有者不明に関連して、相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属される制度というのが創設をされたということだと思います。この制度の中で、国庫に帰属させる場合には、当然、その負担金、十年分の土地の管理費というものを、負担金を納付するということになるというふうな話だと思いますが、これを今後政令で定めていく、その負担金についてということだと思います。

 これ、ちょっと私も是非お願いをしたいなと思うんですけれども、国庫に帰属させると。相続により取得した土地、その負担金だと。これは国境離島についてどう考えるかなという話がやはりあると思うんですね。国境離島、住んでいただくのがもちろん一番だと思って、当然、そこに実態というのが一番だというふうに私は思っておりますけれども。例えば、国境離島から離れて住んで、じゃ、相続だと。いや、でも、何かどうしようかなと。管理費、またこれは国庫に帰属させると管理費があってどうだと。結局、また所有者の不明の状態が複雑になってしまうというようなことが生じる懸念があると思うんですね。

 これは今後まさに政令で定めていくと思うんですけれども、国境離島に関して、国庫に帰属させるとき、この負担金、これは少なくとも免除をするとか、大幅に減免するとか、領土、領海の保全という視点で、そういうふうな政令にしていただきたいなというふうに私は思っています。

 負担金、どうしても法律の書き方からしてゼロにできないんだったら、一円にするとか、いろいろなやり方はあると思うんですけれども、この負担金の制度について、法務津島副大臣に是非お聞きしたいと思うんですが、お願いいたします。

津島副大臣 御質問ありがとうございます。藤岡隆雄議員にお答え申し上げます。

 相続土地国庫帰属制度についてのお尋ねでございます。

 この制度により国庫に帰属することが想定される土地は基本的に利用の需要がないものでございまして、国庫帰属は、長期間にわたって国が所有者として管理をし、その費用を国民の負担で賄うことになる可能性が高いわけでございます。他方で、この承認を受けた者は、国庫帰属がなければ負担すべきであった土地の管理費用等を免れることにもなるということでございます。

 このような、いわば負担と受益の構造ということになりますが、その構造に鑑みれば、この制度によって、国庫に帰属した土地について生ずる管理費用の一部を、土地の管理の負担を免れる程度に応じて、承認を受けた者に負担させることが実質的公平の観点から適当ではないかと考えております。そこで、承認を受けた者には、国有地の種目ごとに、その管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して、政令で定めるところにより算定した額の金銭を負担金として納付させることとされてございます。

 国境離島の土地を含め、一般的にはこうした受益と負担の構造はひとしく存在することから、国境離島の土地であることを理由として負担金の額を減免することについては慎重な検討が必要であると考えてございます。

 いずれにしましても、負担金の額の算定方法は今後政令で定めることになりますので、適切な算定方法になるように、関係省庁と連携して検討してまいります。

 以上です。

藤岡委員 大変丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 ただ、慎重な検討ということで、慎重な検討というと、役所でいったらほとんど、なかなか難しいという話だと思うんですね。

 是非、そういう中におきまして、やはりこれは内閣府さんの方で法務省さんの方に、これは何か先ほどから、地籍調査の話もそうなんですが、非常に縦割りになっている部分をきちっと内閣府さんの方で主導権を持って、積極的に領土、領海を守るという視点で働きかけていただく必要があると思うんですけれども、まさに今のこの政令につきましても、国庫帰属、この政令につきましても是非、大野副大臣、お願いしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

大野副大臣 ありがとうございます。

 繰り返しになりますけれども、国境離島というのは、委員御指摘のとおり、本当に重要な課題であると認識しておりまして、そこはもう間違いなく、我々の方でしっかりと対応させていただきたいと思っております。

 その上で、ただいま御指摘いただきました、国庫に帰属させる制度についてであります。これは今法務副大臣から御答弁があったとおりでありますが、主体的には法務省がこれを担って運用されていくということになるんだと基本的には思うところでありますし、また、今現在、政令等々の準備作業を進めているということでありますので、これは法務省が中心になってこの政令を定めていかれるものだというふうに理解をしておりますけれども。

 いずれにせよ、内閣府といたしましては、冒頭申し上げたように、国境離島、これの保全の重要性に鑑みて、領海基線近傍等の土地における所有状況の把握などについては引き続き必要な取組を行っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

藤岡委員 いかがなんでしょうか。相続した土地を国庫に帰属してもらうときに、国境離島に関しては負担金を大幅に減免してはどうかということでちょっとお聞きをさせていただいておりますけれども、今なかなか、内閣府大野副大臣の方からもはっきりしたお答えはなかったように思うんですけれども。

 国境離島、何か所有者不明を膨らませてはまたいけないと思うんですよね。だからこそ、こういう政令につきましても法務省の範囲でもちろんやるとか、地籍調査は国土交通省が、全てそれはそうだと思います、法律の目的が元々そうでございますから。それを調整するのが私は内閣府の役割だと思っておるんですけれども、その御見解、今、いかがでしょうか。

 所有者不明、これはまた複雑になってしまう可能性があると思うんですね。負担金があってなかなか国庫に帰属させるのは難しいんだなんとなって、そのままの状態が続いてしまったら、国境離島が守られるのかということになると思うんですけれども、大野副大臣、是非その御見解、お聞きしたいと思います。お願いします。政治家としてお願いします。

大野副大臣 恐れ入ります。

 先ほど法務省の方からお話がありましたけれども、国庫に帰属させる制度につきましては、今まさに政令について議論されているということでありまして、中身については我々の内閣府から御答弁をさせていただくことは基本的には控えたいと思いますが、あえてその上で申し上げれば、先ほど副大臣の方から御答弁がありましたとおり、実質的な公平の観点というのもありますでしょうし、また、今まさに進行中の案件だということもありますので、そこは国境離島の重要性もしっかりと踏まえて、必要な取組、これを内閣府でさせていただくということで、何とぞ御理解をいただければと思います。

藤岡委員 領土、領海をしっかり守るという姿勢でやはり臨んでいただきたいと思うんですよね。

 実質的公平性、それはそう、法務省さんのお答えとしたらそれは当然そういう答えになってしまうというのは、私は、法務省さんとしてはやむを得ない部分ももちろんあると思うんです。もうちょっと本当は内閣府の方でそれを、領土、領海を守るというこの目的に沿って制度の調整を行っていただくんだ、そういうところをやはりお願いをしたいということを思いますので、これは御答弁はもうあえて求めませんけれども、是非、もうちょっと領土、領海を熱心に守っていただく。ちょっと今、何か気迫が感じられなかったものですから。是非、本当に、政治家としても、また領土、領海をしっかり守るという姿勢で副大臣又は内閣府の職務に当たっていただくことを、これは大変僭越でございますが、お願いをして、次の質問に移らせていただきたいということを思います。

 済みません、これで今終わりましたので、御退席、結構でございますので、この後は。ありがとうございました。

 では、続きまして、所有者不明土地を解消していく、その地籍調査のことについて、更にちょっと深掘りをしていきたいと思います。

 先ほどから本当に多くの委員の方からも質問があった話でございますが、改めてちょっとこの地籍調査、先ほど出た質問は割愛しますけれども、進捗率と優先実施地域の進捗率について確認させてください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度末時点での地籍調査の全国の進捗率でございますが、調査対象地域全体で約五二%、地籍調査の必要性の高い優先実施地域で約七九%となってございます。

 以上でございます。

藤岡委員 今後の地籍調査の計画事業量というのは、十か年でどのぐらいになるんでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 令和二年に閣議決定されました現行の第七次国土調査事業十か年計画では、計画事業量として、令和二年度から十一年度までの十か年間で一万五千平方キロメートルの調査を実施することといたしております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 私、本当に、今回の法案についてはもちろん私も前向きに歓迎したいと思いますし、やれることということも理解いたします。しかしながら、所有者不明土地を大きく解消していく幾つかの方策の中で、やはり地籍調査を本当に大変迅速にやっていただくということがあると思います。

 このままのペースでやった場合には、いつ終わるんでしょうか、この地籍調査。教えてください。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました調査対象地域全体で約五二%、優先実施地域で約七九%となってございます。

 一方で、残されている地域は、土地が細分化されて権利関係が複雑な都市部を始め、調査に大変多くの労力、コストを要する地域が多うございますので、今後、地域の状況に応じた様々な工夫を施しながら調査を推進していくことが必要だと考えてございます。

 具体にいつまでにというのはなかなか計算しづらいのでございますけれども、現行の、先ほど申しました十か年計画で、まずは優先度の高い優先実施地域での進捗率を、今の八割から、約七九%でございますが、これを約九割、約八七%に引き上げてまいりたいと考えてございます。

藤岡委員 先ほど、十か年で一万五千平方キロメートルと。今いただいている資料からすると、約十五万近く残っているところからすると百年ぐらいですね、更に複雑だとしたらかかるということなのかなと、勝手な単純計算で、それが正確かどうかは別として、一つのイメージなのかなと思ったんですけれども。なかなか、もちろんそういう事情で今のお答えになってしまうのかなというのは、しようがないかなとは思うんですけれども。

 そもそも、先ほど、五二%や七九%という進捗率があるんですけれども、これはいつからいつまでの地籍調査の結果なんでしょうか。ちょっとそこを教えてください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 地籍調査は国土調査法に基づいて実施されておりますけれども、国土調査法が制定されたのは昭和二十六年でございます。ですから、昭和二十六年から令和二年度末までに実施された地籍調査の結果でございます。

藤岡委員 よく所有者不明土地の問題のときに、地籍調査五二%あるいは七九%と出ていて、ああ、これは大分進んでいるのかなというふうに思ってしまうところも最初はあったんですが、過去の調査から、昭和二十六年からといったらもう七十年ぐらいたっているということですよね。

 そうすると、過去に行った地籍調査というのは、そこから相続がまた複雑になっていて、二代、場合によっては三代とか、これまたなっているところからすると、所有者不明のことを論じるときに、やはり、五二%といっても、それが本当にその解決につながっている数値かというと、ちょっと私は疑問なのかなというふうに実は思っております。

 まさに、過去の調査から年月がたっているのであれば、再び所有者不明土地が増えている可能性というのはやはり高いと思うんですけれども、副大臣、是非、いかがでしょうか。

中山副大臣 地籍調査は、土地所有者の立会いを得ながら、調査時点における毎筆の土地の境界や面積等を明確化するものでございます。

 このため、地籍調査を実施してから年月が経過するに従って、当該土地の所有状況には変化が生じるものと考えられ、先生御指摘のとおり、地域によっては所有者不明土地が増えている可能性はあると認識しております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 本当に、普通に考えれば、昭和二十六年からでございますから、当初やったものが、またそれから考えますと随分増えているというふうに私も容易に想像がつきます。

 だからこそ、地籍調査を、所有者不明の問題の解決のためには一気にやはりやっていく、五か年ぐらいの集中期間を決めて、これはもちろん大変なことでございますが、一気に地籍調査を終えていくべきだということを、是非これは斉藤大臣の力強いリーダーシップでお願いしたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 委員御指摘のとおり、災害対応やまちづくりという面で、この地籍調査というのは大変重要だと思っております。

 国土交通省においては、地籍調査の実施主体である市町村の取組を強力に後押しするべく、令和三年度補正予算と令和四年度当初予算を合わせて過去最大規模の予算を確保するとともに、地籍調査の効果に関する優良事例のPR、地籍アドバイザーや国の職員の派遣によるサポートなどの支援に努めているところでございます。令和三年度の補正予算五十億、令和四年度当初予算百五・五億円でございます。

 引き続き、地籍調査の計画的実施に必要な予算の確保に努めることはもちろん、地方公共団体に対する支援を一層推進し、関係省庁と緊密に連携して、政府一丸となって地籍調査の促進に取り組んでまいります。

藤岡委員 是非、大臣、そういう、一気に解決するということも斉藤大臣からもちょっと御提案をいただいて、予算の獲得に頑張ってくださっているとは思うんですけれども、是非、本当に短期集中、一気にやるんだというぐらいのことを、ちょっとまた省内でも御検討いただきたいなということを思います。

 そこで、強力に進めるために、自治体の負担割合をこれまた減らしていくということも考えられると思います。地籍調査に関しましては、自治体の自治事務ということで、国が五割、都道府県が四分の一、市町村が四分の一、さらに、市町村、都道府県分について手厚く特別交付税八割というふうなことで、これは災害並みに手厚いんだという話も聞こえてまいりますけれども、本当に、地籍調査、非常に重要だと思いますので、更に自治体の負担割合を減らすように、国の方の予算措置、斉藤大臣、是非これをお願いできないでしょうか。

斉藤国務大臣 今、藤岡委員から言っていただきましたけれども、都道府県及び市町村の負担分については、その八割を特別交付税措置の対象とされておりますので、市町村等の実質の負担はそれぞれ事業費の五%となっておりまして、相当程度軽減されているものと認識しております。

 国土交通省としては、市町村などの財政的負担以外にも、地籍調査の効率化といった面から市町村等の負担の軽減を図ることも大切であると認識しておりまして、地籍アドバイザーや国の職員の派遣等により調査の効率化に関する助言を行うなど、様々な観点から市町村等を支援してまいりたいと思っております。藤岡委員御指摘のとおり、国土交通省としてもしっかりサポートしていきたいと思います。

藤岡委員 斉藤大臣、ありがとうございます。是非、市町村、しっかりサポートの方をお願いをしたいと思います。

 続きまして、ちょっと細かい話なんですけれども、重要だと思っています。先ほど枝野先輩議員からもあった話の関係になりますけれども、相続の申告登記と、まさに相続の登記義務。所有者不明の問題をもう随分議論されてきた先輩たちに本当に大変僭越で恐縮でございますが、やはり登記をしっかりやっていただくこと、そして地籍調査をしっかりやっていただくこと、その後またもう一個、また後から提案させていただきたいんですけれども。

 まず、登記のことに関しまして、死亡届出を提出した方以外の法定相続人の方にどのように相続の申告登記の話とか相続登記義務がなされていることを知らせるのか、これをちょっと法務省の方から教えてください。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 昨年の不動産登記法の改正では、所有者不明土地の発生予防の観点から、これまで任意とされていた相続登記の申請を国民に義務づけるとともに、その申請義務の実効性を確保するため、簡易な義務履行手段といたしまして、御指摘がございました相続人申告登記という新たな登記が創設されておりまして、令和六年四月一日から施行される予定でございます。

 法務省では、これまでも、自治体窓口における死亡届の受理時に交付されるチェックリストなどに、相続登記に関する事項を追加していただくなどの取組を進めてきたところでございます。

 その上で、死亡届を提出した人以外の相続人の存否やその所在について法務局において網羅的に把握して通知等を行うことは容易ではないものの、相続登記の申請義務化については国民に新たな負担を課すものであることから、法務省としても、国民一般に対して十分な周知を図ることが極めて重要であると考えているところでございます。

 そこで、法務省では、現在、新制度に関するポスター、パンフレットの作成、配布や、政府広報を活用した周知、広報を開始しているほか、法務省、法務局ホームページやSNSによる情報発信に努めているところでございます。

 加えて、先ほど述べたチェックリストに関する取組を全国の自治体に対応していただく取組を進めるほか、司法書士を始めとする専門資格者団体、不動産事業者を含めた経済団体等と連携した説明会などを実施するなど、各種媒体を活用しながら、広く国民に向けて、分かりやすさを重視した丁寧な周知活動を進めたいと考えているところでございます。

 法務省としては、引き続き、全国の自治体や関係団体とも十分に連携しつつ、相続登記の申請義務が実効的なものとなるよう、申請人の負担軽減策も含めて、丁寧な周知啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。

藤岡委員 今教えてくださったところで、死亡届出を提出された方以外の相続人の方に網羅的に通知するのはやはり難しいんだ、その他の方法でいろいろルール、まあ周知をしていくんだというところで、どうしても、相続の登記義務や申告登記の方のルールが設定されても、ある一定の限界があるんだなということもやはり今感じました。

 そういう中で、例えば、その他、十年間も遺産分割が決まらない場合に、遺産分割に関して権利の主張ができない仕組み、ある種、法定相続になっていくような感じだと思いますけれども、このルールが昨年創設をされて、この考え方自体を否定するわけではないんですけれども、元々、十年間も遺産分割が決まらないところだとすると、どういうふうになるのかなと。結果として、山林がまた法定相続になって、何人もによってまた所有されちゃって、更にまた複雑になっていくというような場合もあると思うんですけれども。

 何らか、そういう場合の、十年間決まらなかった場合に、法定相続人、まあ調整するといったら、これは最も難しい話だと思うんですけれども、何かそういう仕組みというのは考えられないんでしょうか。法務省さん、いかがでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、遺産分割がされないまま相続が繰り返され、多数の法定相続人による遺産共有状態が生じますと、相続財産の管理や処分に困難を伴うことになります。そのため、遺産分割をできるだけ早期に実施し、法定相続人による共有関係を円滑に解消することが、所有者不明土地の発生予防の観点から重要であると考えているところでございます。

 御指摘の民法改正においては、相続開始時から十年を経過した後にする遺産分割は、原則として、具体的相続分ではなく、法定相続分又は指定相続分によることとされたところでございます。

 これにより、早期の遺産分割請求を促す効果を期待されるとともに、十年経過後にする遺産分割では、法定相続分などによる画一的な割合で円滑に分割を行うことが可能とされたところでございます。

 そのほかにも、民法改正では、不動産の共有関係の円滑な解消を図る仕組みが新たに創設されておりますけれども、遺産共有状態にある不動産についても、相続開始時から十年を経過した場合にはこの仕組みを利用することができるというふうにされているところでございます。

 法務省としては、今般の民事基本法制の見直しの意義や内容を国民各層に浸透させることがこの問題の解消に向けて極めて重要であると考えておりまして、関係機関や関係団体と連携して、しっかりと周知、広報に努めてまいりたいと考えているところでございます。

藤岡委員 直接的なということになると、今、御回答というのはなかなかやはり難しいのかなというふうな感じを受け取りました。また、登記が義務化をされた中でも、その実効性を上げていく、所有者不明土地の解消をしていく上で、やはりなかなかまだまだ課題があるんだなと。法務省さんの方でも随分本当に制度の改正にいろいろ汗を流していただいているというふうには私も本当に感じるんですけれども、やはりまだまだ、なかなか課題がある。

 そういう中で、そうしますと、民間の力も大きく活用して所有者不明土地の問題を解消していくというふうなやはり考え方もあると思うんですね。

 特措法におきまして、いわゆる固定資産課税台帳などの土地所有者等の関連情報を限定的にいろいろな提供をするような仕組みも設けられていると思います。今、この公的な情報の活用状況、特措法の施行後、状況はいかがでしょうか。是非教えてください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 固定資産課税台帳に記録されている情報など、土地所有者等の探索に資する関連情報の内部利用や提供を可能とする土地所有者等関連情報の利用、提供の特例、この活用実績につきましては、昨年十二月時点で、地域福利増進事業の実施の準備のために七十七件、土地収用の対象となり得る事業の実施の準備のために六百三十七件、都市計画事業の実施の準備のために六十七件となっております。

藤岡委員 そういうふうな利活用が進んできているという話だと思うんですけれども、これはやはり、更に所有者不明土地問題の解消につなげていく必要が私はあると思っています。

 地籍調査を本当は一気にやっていただく、あるいは登記を本当にしっかりやっていただく、又は相続のところがなかなか円滑にいかない部分の課題もあるともちろん思います。そういうこともあるので、やはり民間の力を活用するという意味で、個人情報保護にもちろん十分配慮した上でということになりますけれども、例えば宅建業者の皆さんなどに、広く、固定資産課税台帳における土地所有者等の関連情報に該当する情報の提供を可能とする仕組みをやはり構築していくというような時期に来ているのではないかなというふうな私は感じがします。

 その意味で、例えば、本人の同意を得たり、いろいろな工夫をして、制度の措置、運用などの工夫で、宅建業者などにこういう情報の提供、今のこの申し上げた情報の提供を可能にした方がよいというふうに私は思うんですけれども、是非、大臣、お願いできないでしょうか。

斉藤国務大臣 個人情報保護とそれから土地の活用、このバランスという、一番ある意味ではセンシティブな問題の御指摘だ、このように思います。

 所有者不明土地の、低未利用土地の利用を進めるためには、地方公共団体のみならず、民間事業者が活動しやすい環境整備を進めることが重要です。

 こうした観点から、今般の法案においては、地域福利増進事業の事業期間の延長や、所有者不明土地等の利活用に取り組む法人を指定する制度の創設などを盛り込んでいるところです。

 一方で、固定資産課税台帳等に記載された所有者等の個人情報については、プライバシーや財産上の権利を守る観点から慎重に取り扱うべきものとされており、現行の所有者不明土地法においては、高い公益性を伴う事業を実施する場合に限って利用、提供できることとしているところです。

 また、御提案の、運用の工夫による宅地建物取引業者等への土地所有者等関連情報の提供については、今般の改正において、管理不全状態の所有者不明土地では、災害の発生等の防止のために必要な措置を勧告する場合などに、市町村長が所有者に関する個人情報を利用できることとなります。その際に、所有者本人の同意が得られた場合については、その土地の利活用を促すために、所有者に関する情報を宅地建物取引業者等の民間事業者に提供する運用も考えられます。

 引き続き、所有者不明土地対策における所有者情報の活用の在り方について検討していきたいと思っております。

藤岡委員 本当に、まさに大臣がおっしゃってくださったように、個人情報保護と所有者不明土地の解決に向けて非常に難しいもちろん課題だということは私も理解しております。ただ、本当に、このままいくと、なかなか、やはりまだこの問題解決が進まない。だからこそ、いろいろな工夫がやはり考えられると思うんですね。

 どうしても、そういう情報を、例えば、じゃ、提供を受けたところが何か変なことにやっちゃった、何か自分に都合のいいようにどこかに売ってくださいみたいなところとか、そういうふうな、情報を悪用してしまったとかそういうことがあったら、当然これは例えば業法なりで何らか規制をして対応していくとか、あるいは、本人の同意を、今申し上げたように、いわゆるプライバシーをまさに守らなくてはいけない、本人の同意を得るというところで道を開いた工夫をしていくとかという、やはりいろいろな工夫があると思うんですね。

 是非、大臣、そういう工夫をして、もう少し前向きにこの問題を考えていただけないでしょうか。是非、もう一度お願いいたします。

斉藤国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおり、どんな工夫があり得るか、個人情報保護とそして実際の土地の有効利用、どのようにバランスが取れるか、工夫を考えていきたいと思います。

藤岡委員 ありがとうございます。是非その工夫を考えていただきたいと思いますので、大臣、是非よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、法案の附則のところの関係の話をちょっとお聞きしたいと思います。

 今回の法案で、法律の施行後五年をめどとして、いわゆる検討条項が入っていると思います。これは、民法改正の施行状況を受けて今回五年というふうにされていると思うんですけれども、五年というのは少し長いと思うんですよね。この所有者不明土地問題、随時この状況をしっかりウォッチして、随時、前回は三年だったと思うんですけれども、やはり五年というと少し本当に私は長い気がしますので、是非これをもっと、随時見直しをしていただく、あるいは三年で見直しをしていただく、やはりこういうふうなところで力強く対応していただきたいということを思うんですけれども、大臣、御見解いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 今日は本当にいろいろと、重要な視点について御指摘ありがとうございました。

 今般の所有者不明土地法の一部改正法案の附則第四条において、施行後五年を目途として、改正後の規定についての検討を行い、必要があるときには見直す旨を定めております。

 これは、令和三年の民事基本法制の見直しにおいて創設された相続登記や住所変更登記の義務化等の制度が令和五年から令和八年にかけて段階的に施行されることから、その施行状況も十分に踏まえる必要があるためです。

 国土交通省としましては、所有者不明土地法や民事基本法制に基づく各種制度の施行状況を的確に把握しつつ、必要に応じ、適時適切な対応を図ってまいりたい、このように思っております。

藤岡委員 是非、適時適切に、随時、本当に行っていただきたいなということを思います。

 続きまして、特措法の六章の関係で、いわゆる所有者不明土地利用円滑化等推進法人の話をさせていただきたいと思うんですが、この指定の基準が、ちょっと私、法律からは必ずしも、より十分に分からなかったものですから、この指定の基準を、副大臣、教えていただけないでしょうか。

中山副大臣 所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定基準については、指定事務自体は自治事務であるため、指定することとなる市町村において定めることとなりますが、類似の法人指定制度における運用を踏まえれば、例えば、活動目的、活動内容が制度の趣旨に合致していること、法人やその母体組織に制度の趣旨に即した活動実績があること、指定をする市町村に事務所等を有し、必要な人員の配置など、業務を適正に行うための体制を備えていること、さらに、業務に必要な経費を賄うことができる経済的基盤を有していること等の基準が定められることと想定しております。

 国土交通省といたしましては、ガイドラインや技術的助言などを通じて、指定基準の例を市町村に周知することにより、市町村が適切な指定基準を定めることができるよう取り組んでまいります。

藤岡委員 その条文の中で、所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を目的とする会社という条文があるんですけれども、これは定款の目的に記載があればいいということなんでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今般の改正では、所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする会社についても、推進法人として指定される対象としております。

 御指摘の定款の件でございますが、所有者不明土地の利用の円滑化等の推進に関連する記載があった上で、市町村長が事業計画やこれまでの活動などから総合的に判断した結果、推進法人と指定することはあり得るのではないかと考えてございます。

藤岡委員 ありがとうございます。

 では、例えば、法人格を有する宅建業者なども推進法人として指定されるということが可能という理解でよろしいんでしょうか。副大臣、お願いします。

中山副大臣 所有者不明土地利用円滑化等推進法人は、特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人、又は所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする会社であって、所有者不明土地法に規定された業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを指定することが可能です。

 したがって、宅地建物取引業者が参加している特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人や、所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする会社である宅地建物取引業者は、指定されるケースのあり得るものと考えております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 では、時間も押してきましたので、最後の質問にさせていただきたいと思うんです。

 所有者不明土地対策計画というのが作成されていくと思うんですけれども、何か余り、作成数、施行後そんなに多くないような話をちょっと事前に聞いているんですけれども、やはりこの計画がしっかり作成が進むように、国土交通省として力強く推進していただきたいということを思うんですけれども、是非、大臣、御見解お願いいたします。

斉藤国務大臣 計画、力強く推進せよということで、まさしく計画を強く推進していきたいと思っております。

 所有者不明土地対策を総合的かつ計画的に推進するためには、各市町村において、所有者不明土地がもたらす課題を明らかにした上で、施策の方針や課題解決に向けた目標等を計画に取りまとめることがその第一歩であると考えております。

 このため、施行後五年間で百五十市町村に計画を策定いただくというKPI達成を目指し、国土交通省としては、計画の作成等を支援する補助制度を創設するとともに、市町村負担分について特別交付税措置の対象とすることにより、財政面でしっかりと支援するほか、計画の作成について国土交通省職員の派遣を可能とすることを通じて、人的な面でもしっかりと市町村を支援してまいりたいと思っております。

藤岡委員 今、百五十という話、全国の市町村数の数からすれば、これはやはりもっと頑張っていただきたいなということを思いますので、是非これからの取組に期待、またお願いをいたしまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中根委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中根委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 私たちは、今回の法改正には賛成であります。ただ、この今回の法改正によって所有者不明土地の利用が本当に進むのかどうかというと、ちょっと首をかしげざるを得ないわけであります。

 また、そもそも、今、日本社会は、多くの人が毎年亡くなる、いわゆる多死時代に入っておりまして、このままだとますます所有者不明土地は増えていくものと思われますけれども、どこまで国がこの問題について真剣に取り組もうとしているのか、今回の法改正ではどうもその姿勢がよく見えないところがありまして、今日はこういう趣旨に立って質問をしたいと思います。

 まず、所有者不明土地について、活用するというんですけれども、これを積極的に所有者不明土地がどこにあるかというのを見つけ出して、それで活用しようとしているのか、あるいは、土地を利用して、あるいは管理が必要な土地があった場合に、それを調べてみたら所有者が分からない、そういう所有者不明土地であった場合に、そのときに適切な対応ができるようにすること、そのことに重きを置いているのか、どちらの方に重点を置いて政府は対応しようとしているのか。

 この間の経緯や今回の中身を見ていると、利用しようとしたときに、あるいは管理が必要だというときに調べてみたら所有者不明土地だった、じゃ、そのときに対応できるようにと、どうもそちらの方にウェートが置かれているような気がするんですけれども、国としては、そもそも所有者不明土地を見つけ出そうとしているのか、見つけ出して、そしてそれを活用しようとしているのか、どっちに重点を置いているのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 結論から先に申し上げると、その両方に重点を置いているということでございます。

 所有者不明土地の問題は、中長期的に粘り強く取り組んでいく必要のある重要な課題でございまして、できることから順次取り組んでいくということが不可欠だと思います。

 こうした観点に立って、今般の法案においては、所有者が判明しないことにより土地の利活用の妨げとなったり、管理が行き届かないため周囲に悪影響を及ぼしたりするおそれがあることに対応するため、現行の利活用を可能とする地域福利増進事業等の仕組みをより使いやすいものにするとともに、災害時の発生防止に向けた市町村長による代執行など、管理の適正化のための仕組みを創設することとしております。

 他方、所有者不明土地を含む低未利用状態にある土地の積極的な利活用を図っていくことも、活力ある地域づくりを進める上で重要であります。

 このため、今回、こうした土地の適正な利活用を促進するための情報提供や、利用希望者とのマッチングコーディネート等を行う法人を指定する制度を創設するとともに、市町村が所有者不明土地対策計画を作成できる制度を創設することとし、その記載事項として、土地の所有者を効果的に探索するための施策等を位置づけ、市町村を始めとする地域における主体的な所有者不明土地の把握と対策を促すこととしております。

 今後とも、所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議の下、関係省庁としっかり連携しつつ、所有者不明土地を含む低未利用状態にある土地の積極的な利活用を図っていくとともに、現に支障となっている所有者不明土地の利用の円滑化や管理の適正化を図っていくことによりまして、政府一丸となって総合的に対策を推進してまいりたいと思っております。

古川(元)委員 よく大臣は両方と言うんですけれども、両方といっても、結局どっちがどっちなのかと分からないんですよね。

 特に、これはむしろ、所有者不明土地を発見するのは国交省の方の仕事じゃないというふうに言われるのかもしれませんけれども、ここはこれからちょっと聞いていくことになりますけれども、本当にこの所有者不明土地がちゃんと見つかっていて、きちんとどこにあるかというのが分かっていれば、もうちょっとやはりいろいろな利用もこの間進んでくるんじゃないかと思うんですね。

 さきの法が施行されてから三年余りたちますけれども、所有者不明土地の地域福利増進事業で活用されているというのは、裁定申請があったのは僅か一件で、いまだに裁定がされていない状況だというふうに言われています。要は、活用できますよというふうになっているけれども、実際にはほとんど活用は進んでいない。

 じゃ、なぜこれほどまで活用が進んでこなかったのか。その理由はどこにあるというふうに国交省としては考えているんでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 地域福利増進事業の活用実績につきましては、御指摘のとおり、現在、新潟県粟島浦村が地域住民が活用する防災広場を整備しようとしているケースがございまして、間もなく新潟県知事による裁定がなされる見込みでございます。

 これまで裁定申請が一件にとどまっている理由としましては、主に、所有者を探索した結果、所有者が見つかって地域福利増進事業を活用するまでには至らなかったケースがあるほか、所有者不明土地法の制定によりまして所有者探索の範囲が合理化あるいは明確化されたものの、所有者探索には依然と膨大な時間、費用、労力を要していることが挙げられます。ちなみに、粟島浦村の例では、三筆の所有者不明土地の所有者六十一名の探索に約二年を要したところでございます。

 他方、地域福利増進事業の準備のために土地所有者の探索に必要な情報を利用、提供できる特例を活用した実績は、七十七件上がっております。地域福利増進事業を活用しようとする動きが各地で広がりつつあるものと認識してございます。

古川(元)委員 今の審議官の答弁を聞くと、逆に言うと、この法律ができたことで、要は土地の所有者不明かどうかを探すという、いわば所有者不明土地かどうかということの探索が、それが進んだと。その先には行っていないけれども、要は、ここは本当に所有者不明土地なのかどうかという、そこは進んでいる、そういう認識でいいんですか、今の答弁。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げました、土地所有者の探索に必要な情報を利用、提供できる特例でございますが、これは、地域福利増進事業を実施しようとする前の準備として土地所有者の探索をする場合、それから、公共事業の土地収用手続をやる、その準備として探索する場合等でございますので、幅広く所有者不明土地を探すということではなくて、事業をやる際に、準備として前よりは探しやすくなったというふうに理解しております。

古川(元)委員 いや、それは目的はそうかもしれないけれども、結果的に探していることになっているじゃないですか。これは、大臣、よく聞いておいてください、後で聞きますけれどもね。

 やはり、最初にちゃんとここは所有者不明土地だよというのが分かっていて、そこを利用しようとかいうよりも、むしろ実態は、使おうとしてみたときに所有者を当たっていって、さっきの話でいえば、ほとんどは、どこかでは、時間がかかるけれども所有者にぶち当たると。当たらない場合にだけこれだということになって、そういう意味でいうと、一説には、こういう所有者不明土地は、それこそ推計ですけれども、九州と同じぐらいの大きさがあるというふうにも言われてはいるわけですよね。

 ですから、やはりそういう状況が実はほとんど把握されていない。そういう中で、本当に、形をつくるのはいいんですけれども、進んでいくのかどうか、やはりそこを疑念に思わなきゃいけない、思わざるを得ないんです。

 もう一つ聞きます。

 今回の法改正の必要性の根拠の一つに、激甚化、頻発化する自然災害に対応するための施設としての利用ニーズが高まっているというふうに説明があるんですけれども、本当に所有者不明土地を活用して、そこに備蓄倉庫等の災害関連施設に利用したいという声が高まっているんですか。

 午前中の答弁、ちらっと私、耳にしたところだと、市町村なんかにそういうところを利用したいですか、そう言ったら、利用したいという声があったと。実際に所有者不明土地があってそこを備蓄倉庫に利用したいというんじゃなくて、一般論としてそういう場所を利用したいですかと言われたら、利用したい、そういう回答があったということじゃないんですか。審議官、どうですか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正で、御指摘のとおり、対象事業に備蓄倉庫とか非常用発電施設を追加することにしておりますが、私どもが昨年行いました地方公共団体を対象としたアンケート調査によりますと、地域福利増進事業として、備蓄倉庫等の整備といった災害応急対策に資する施設の整備を行いたいという回答をした市町村が百四十二ございました。

古川(元)委員 だから、そこは別に、具体的に実際にそういう所有者不明土地があるんだけれども、そこが今の法律だと使えないから改正して使わせてほしいというニーズじゃなくて、一般的に、そういうことで使えるならどうですかといったら、それは使いたい、そういう回答があったということでしょう。

市川政府参考人 お答えいたします。

 一般的にといいますか、所有者不明土地があった場合にその土地をどう使いたいかということで問うたところ、災害応急対策に資する施設の整備を行いたいという声があったということでございます。

古川(元)委員 そういうことじゃないですか。

 じゃ、実際に、もう既にここは所有者不明土地なんだけれども、こういう備蓄倉庫等の災害関連施設に利用したい、具体的にそういう要望が出ている地域はあるんですか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 備蓄倉庫を所有者不明土地に整備するという具体の動きが今出ているといったことはまだ承知しておりませんけれども、ここはどうも所有者が分からなさそうだというふうなことを思っておられる自治体がおられて、もし本当に所有者が分からなければ災害応急対策関係の施設を整備するのも一案だなというふうなお声を聞いているということでございます。

古川(元)委員 審議官、余りいいかげんな答弁をしない方がいいですよ。そんな、具体的にここの土地、使いたいんだけれども、そういう具体的な、ちゃんとそういう要望が上がっているところがあるんですか。ないならないでちゃんと答えた方がいいですよ。どうですか。

市川政府参考人 お答え申します。

 今実績が上がっている、上がりつつあるのが、新潟県の粟島浦の防災関係の広場だけでございます。

 ほかの都道府県、私ども、モデル調査等々やっておりますけれども、具体に備蓄倉庫を整備したいということで動いておられる状況にはまだ至っていることは承知しておりません。

古川(元)委員 だから、政府が言っている、利用ニーズが高まっていると言いますけれども、それは全然、具体的に要望が上がっているわけでもない。そもそも、そういう場所が具体的に特定されて、ここを使いたいんだけれども所有者がよく分からなさそうだから何とかしてくれという声、全然上がっていないんですよね。

 だから、これは別に、最初にも申し上げましたけれども、こういう準備をするのはいいけれども、実際に本当にそういうニーズがあるのか。そもそも、私は、これはやはりちゃんともっと所有者不明土地を探すという努力、ちゃんと誰が持っているのかということを確定していくという、まずそれをやらないと、それをやっておかなくてここだけ形を準備したって、ほとんどこれは効果がないんじゃないかと思わざるを得ないんですね。

 また、今回、所有者不明土地対策の推進体制の強化として、市町村において所有者不明土地対策計画の作成や所有者不明土地対策協議会を設置することができるというふうにされていますけれども、ここも、そもそも、所有者不明土地対策を作成するに当たっては、やはり、土地家屋調査士であるとかいわゆる宅建の業者であるとか、専門家を始めとする様々な関係者が集う土地対策協議会をちゃんと設置した上で計画作成した方が好ましいと考えているんですけれども、これは協議会を設置するのもしないのも別にどっちでもいいですよというふうになっているんですね。また、そもそも、このどちらも、計画もそうですし協議会もそうですけれども、これも、設置してもいいですよということで、設置をしなさいというふうにはなっていないんですよ。

 何でなんですか、これが義務になっていないのは。

市川政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正におきまして、市町村は、所有者不明土地対策を総合的かつ計画的に推進するため、計画を策定することができることとしておりますが、協議会は必置とはしていないところでございます。御指摘のとおりでございます。

 所有者不明土地の存在がもたらす課題は地域、地域によって様々でございまして、学識経験者や専門家などの知見を活用する必要についても、状況は地域によって異なるため、必ずしも協議会を必置とはせず、地域の実情に応じて市町村の御判断により設置することを可能とする仕組みとしたところでございます。

 他方、市町村が地域の課題に対応した所有者不明土地計画を作成し、その計画が実効性あるものとするためには、学識経験者、専門家等の知見やノウハウを活用することが望ましい場合も多くあると考えてございます。

 このため、協議会は必置とはしていないものの、市町村が協議会を設置する場合には、計画を作っていただく際にはあらかじめ協議会において協議しなければならないこととしているところでございます。

古川(元)委員 僕は二つの問いを一緒に聞いたんだけれども、それを答えていないんだよね。

 ここももういいですけれども、時間がないから。そもそも、本当にこの所有者不明土地、探していってちゃんと活用するという気があるのかどうか、どうもそこが見えてこないんですね。

 また、これは、市町村から要請があったら国交省の職員を派遣するということなんですけれども、今、こういう用地関係のノウハウを有していて、市町村に派遣できる職員は、国交省には一体何人いるんですか。また、派遣される職員の身分や待遇はどうなるのか。国家公務員の待遇でそのまま行くのか、あるいは、それともその市町村の職員の身分になるのか。さらには、派遣される期間はどれくらいを考えているんですか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 現行法では、地域福利増進事業等の実施の準備のための土地の所有者探索を支援する場合に、国土交通省の職員の派遣を要請することができることとしております。

 今般の改正により、これに加えて、所有者不明土地対策計画の作成、変更や、所有者不明土地の管理の適正化のための措置を支援する場合にも要請をすることができるよう、制度の拡充を行っております。

 派遣する職員といたしましては、地方整備局等の用地を担当する職員を予定してございまして、本局には約三百名、河川国道事務所等の事務所に約千五百名、合計約千八百名が在籍しております。

 派遣の態様につきましては、地方公共団体への出向等により長期間行われるものではなく、地方整備局等の職員としての身分や待遇を保持したまま、日帰りから数日程度の研修等を通じて、実践的なノウハウ提供等を行うことを想定しております。

 今後とも、公共団体からの要請に応えられるよう、体制整備に努めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 要は、派遣といっても、相談に乗りますよという程度ですよね、何か。本当にこれで一生懸命やろうという気なのかと。

 最後に、時間ですから大臣に聞きますけれども、やはり私、これは、この土地の有効活用とか災害対策の観点から、もっとちゃんと本当に、この土地は誰のものなのか、地籍調査はやられていますけれども、もっとこれを、それこそ太閤検地ならぬ令和の大検地みたいな形で、一大国家プロジェクトとして、やはり強力かつ迅速に進めていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 冒頭、私、両方重点があると申し上げました。積極的に土地の状況を把握して、有効利用を図っていくという観点も、我々、今回の法案の中に盛り込んだつもりでございます。

 先ほど、国土交通省としてのその体制について、担当からお話をさせていただきましたけれども、しっかり国土交通省として、一つは、積極的に今の土地の利用状況、実際の地籍状況等を把握していくという観点、それから、地方公共団体からいろいろ寄せられた要望に対して、低未利用地の有効活用を図っていきたいという地方公共団体にしっかり応えていくという、その両方をしっかり行っていきたいと思っております。

古川(元)委員 時間が来ますから終わりますけれども、最初に申し上げましたけれども、本当にこのままだと、これからどんどん人が亡くなって所有者が分からなくなる。今日の話でもあるように、一度分からなくなると、あるいはたどっていくと物すごく時間がかかるんです。やはり、今まだそういう御存命のうちとかにちゃんと所有関係をはっきりしておくということが、今後の限られた国土の有効活用のためにも必要なことだと思いますから、是非、国土交通省としての立場だけじゃなくて、やはり大臣がリーダーシップを取って、政府全体として土地の所有関係を一日も早く明確化する、これを大きなプロジェクト、一大プロジェクトとしてやっていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

中根委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 三十分いただきまして、質疑をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭でありますけれども、今日、大臣の方から、この委員会の冒頭に、建設工事費調査等における調査票配付の遅れについてのお話があり、先ほどこの場で、御担当ということで、責任があるということでおわびをされたわけでありますけれども、この話について、私が思うに、前のいわゆる受注動態統計のこともありますけれども、何か現場で、現場といいますか、担当部署の方がもう業務過多になって追っついていないんじゃないか、その背景、ここまでこうなってくるというのは。

 だから、この問題そのものについてはいろいろなところで議論がされると思いますが、やはり、そもそも、統計を集める、分析して公表する仕組み自体が、これがうまくいっていないんじゃないかなという思いがあるところでありまして、やはり、いわゆる政府統計をつかさどっている部署が、これは国交省関係の統計だけではなくて、政府全体の統計の在り方についていま一度しっかりと見直していく必要があるのではないかというふうに思っております。

 また、最近はDX、デジタル化ということで議論がされているわけでありますから、しっかりと仕組みをつくって、それをいわゆるデジタル的な仕組みにしていくということが必要だと考えますが、ちょっと今日は質問通告していませんけれども、大臣の御所見をいただければと思います。

斉藤国務大臣 まず、国土交通省の対応といたしましては、受注動態統計調査の不適切な処理に関わりまして、第三者委員会が問題点を把握していただき、発表していただきました。

 その中に、組織体制として、仕事量が多くて非常に多忙な状況、また勤務体制のことについても御指摘がありましたので、今タスクフォースでしっかりその点を踏まえて検討をし、抜本的な強化をしていきたいと思っております。

 政府全体におきましては、総務省の統計委員会の方で、同じ問題意識で今検討がされているところでございます。

 統計は、まさにこれから政策を立案していくベースになるものですので、最も、本当に大切だと思っておりまして、その体制強化に向けてしっかり対応していきたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 それでは、本日の本題の方に入りたいと思います。

 まず、今日は早速、所有者不明土地というんですけれども、この所有者不明の定義というのをいま一度教えていただけますでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地の定義は様々ではございますけれども、広い意味では、不動産登記では所有者の氏名や所在が分からない土地をいうものとされることが多いと考えております。

 こうした所有者不明土地の発生原因でございますけれども、令和二年度に地方公共団体が実施した地籍調査事業における土地の所有者等の状況に関する調査結果によりますと、所有権の登記名義人が死亡して相続が発生しているが登記記録上は登記名義人がそのままになっている、いわゆる相続登記の未了が約六三%、全体の約三分の二となってございます。それから、所有権の登記名義人の住所が変更されているが登記記録には反映されていない、いわゆる住所変更の未登記が約三三%と全体の約三分の一となっておりまして、この二つが主な原因となっております。

 そして、こうした所有者不明土地は、人口減少、少子高齢化が進む中で、今後、相続件数の増加、土地利用ニーズの低下、所有意識の希薄化が進行していることから増加傾向にあるものと認識してございまして、その対策が喫緊の課題となっているものと考えてございます。

市村委員 ということで、要するに、相続に関わるときの登記の段階で、それが、死亡によっての登記が、死亡後、誰かが亡くなられた後、それを引き継いだ方が登記変更していなかったとか、又は住所変更で、いずれにしても、登記に関わる部分で不明であるというふうに認識をしてよろしいんでしょうか、不明というのは。よろしくお願いします。

市川政府参考人 お答えいたします。

 広い意味では、不動産登記簿を見ただけでは分からないということでよろしいかと思いますけれども、私どもの担当しております所有者不明土地法では、その上で、相当な努力が払われたと認められた方法で探索をしてもなおその所有者の全部又は一部が分からない、その土地のことを所有者不明土地と、法律上はそういうふうに定義をしております。

市村委員 なるほど。要するに、一応、登記上の問題なんだけれども、それでも、登記上の問題が発覚した場合に、更にそれを、例えば、住所変更されていない場合は住所変更してください、若しくは、相続人が登記をしていない場合は登記をしてくださいという努力はした結果でも、なお不明であるというものが不明であるというふうに考えてよろしいんでしょうか。ということなんですね。

市川政府参考人 お答えいたします。

 我々の所有者不明土地法、つまり、所有者不明土地を公益的事業に使うという制度を活用したり、土地収用法の特例が適用される所有者不明土地、特定所有者不明土地と呼んでおりますが、これにつきましては、一定の探索を、探す努力をしてもなお分からない土地ということで、不動産登記簿を見て、その後、公的書類、戸籍謄本とか住民票とか、それから連絡先なんかを調べてもなかなか行き届かない、それは法令上、ここまでやればというのが書いてあるんですけれども、それをやってもなお分からないものを所有者不明土地と法律上は定義しております。

市村委員 ありがとうございます。

 では、今の所有者不明についての定義というか、何をもって所有者不明とするかについては今お答えいただきました。

 ならば今度は、なぜ所有者不明土地がこれだけ生まれてしまったのか、この原因についてはどう分析をされておられますでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 冒頭お答えしたものと繰り返しになってしまいますけれども、やはり、相続が発生したときに相続登記がなされていない、また相続、相続が繰り返されるとか、あとは住所が変わったときに登記がなされていないといったことが、主な所有者が分かりづらい要因になっているということでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 なぜここまで聞くかというと、結局、相続時の登記がいわゆる義務化されていなかったことが、やはり、今日のこの所有者不明土地がここまで増大をしているということの大きな原因になっているということではないかという思いからの話を、質問をさせていただいておったんですけれども。

 今日は法務省さんからも来ていただいていますけれども、実は、なぜ私がこの法律に関心を持ったかといいますと、私も、昨年十月三十一日にまた再選させていただきまして戻ってきたときに、先ほど午前中に、公明党の河西先生かな、質問の中に、要するに、地方議員の方がもっとこれに関わってくれたらいいんじゃないかという御提案があったんですね。

 ちょうど本当にそれと同じように、私の地元の伊丹市議の方なんですけれども、斉藤さんとおっしゃいますが、から、この方は不動産会社も経営されていまして、今回の、いわゆる相続登記の義務化をするということになっているのである、これはこれでとてもいい話だと思うんだけれども、今このまま相続登記の義務化をするとどうなるかというと、大変問題が起こってくると思うというふうに、また、市村さん、国会でこれをちょっと調べてみてほしい、こういう話がちょうどあったんです。そうあったときに、何と国交の方でこの所有者不明土地法が今回一部改正法案が審議されるという話になって、私としても、ならば、非常に関わりがあるなという思いに立ちまして、それで、この所有者不明土地法について多少関心を持つということになっております。

 それで、何が言いたいかというと、相続登記義務化をするのはいいんだけれども、したときに大変問題が起こると。私もそう思っているんですね。といいますのも、結局、これは、所有者不明土地というよりも、ちょっと後から地籍の話もさせていただきますが、地籍が確定をしていないとかいうところの相続をしようとすると、ある日突然自分が相続人になったとした場合、確定していない土地を相続をしなければならない、こういう話になってきますと、結局、地籍が確定していない相手側から非常に訴訟を起こされたりするリスクが高いということもあって、これはやはりしっかりと地籍を確定させるということが必要ではないかということが、提案があったわけです。

 一方で、結局、そういうことの積み重ねをしてきたがために所有者不明土地がこんなに増えてしまっている、さらに、先ほどから議論がありますように、これからも増えていくだろう、こういう関係になっているのではないかと思います。

 そこで、やはり、この相続登記の義務化、令和六年四月一日からでありますけれども、この前に、やはりきちっと、問題が発生しそうな土地、所有者不明土地だけじゃなくて、地籍もはっきりしていない土地について、しっかりと登記を明確にしておく、地図を明確にするといいますか、地籍を明確にし、かつ、それを、地図を明確にしておくということが必要ではないかなというふうに思っています。

 今日は法務省さんからお越しですので、ちょっとその辺についての御見解をお聞かせいただければと思っております。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、登記所備え地図を整備していくことは、土地取引の円滑化や災害後の復興整備の迅速な実施等に資するものであり、政府が各種政策に基づいて進めるまちづくりにも重要な役割を果たすものと認識をしております。

 法務省といたしましては、全国の都市部の地図混乱地域を対象に法務局が主体的に行う登記所備え地図の作成作業を実施してきておりまして、平成二十七年度を初年度とする新たな十か年作業計画を策定し、これに基づいて、全国の都市部の地図混乱地域を対象に実施する登記所備え地図作成作業、地図の整備が特に困難な大都市において実施する大都市型登記所備え地図作成作業、それから、東日本大震災等の被災地において実施する震災復興型登記所備え地図作成作業の三つの類型を並行して計画的に作業を進めているところでございます。

 法務省としては、今後とも、法務局による登記所備え地図の作成作業を着実に進めていくとともに、地方自治体が実施する地籍調査事業にも適切に協力し、登記所備え地図の整備を推進してまいりたいと考えているところでございます。

市村委員 法務省さんとしては、今お話があったような努力もされるということでありますが、後ほど、先ほども古川委員の方からもありましたので、最後に申し上げるつもりだったんですが、結局、こういったことを、時間はかかるものなのかもしれませんけれども、何か、特定のところだけやる、特定の場合だけやるということでやっているよりも、私も、先ほど古川さんがおっしゃったように、太閤検地じゃありませんけれども、やはり令和の大検地みたいな形で、もう期間を五年なら五年、十年なら十年でしっかりと決めて、そこに人材なり資金を投入して、日本の土地の所有についてを明確化するような施策を一気にやった方がいいのではないかな、このように考えておるんです。

 ですから、今、こういう法律ができた、相続登記の義務化もやるとかいうことで、その場、法務省さんは法務省さんで、国交省は国交省で地籍調査もやりながらとかいうことでやっているのかもしれませんが、ここはもう、関係各省、これは、国交省や法務省、また内閣府、それから、ひょっとしたら、先ほど国境離島の話もありましたが、防衛省とかも絡めて、一気に検地をして、そして所在を明確にしていく、地籍を明確にしておくということが必要ではないかというふうに私は思っておりますが、大臣に、ここでちょっと御所見をいただければと思います。

斉藤国務大臣 市村委員御指摘のように、地籍調査というのは、まちづくりやそれから災害復興、そういう面におきましても、また経済活動の活発化という面でも大変重要だと思っております。

 昭和二十六年の国土調査法制定以来、今日まで約七十年にわたって鋭意調査が進められてきており、全国平均の進捗率は、優先実施地域において約八割まで到達したところです。

 一方で、残りの地域は、土地が細分化されて権利関係が複雑な都市部を始め、調査に多くの労力を要する地域が多いことから、地域の状況に応じた工夫を施しながら調査を推進していくということが必要だと考えております。

 国土交通省においては、地籍調査の実施主体である市町村の取組を強力に後押しするべく、令和三年度補正予算五十億円、令和四年度当初予算百五・五億円など過去最大規模の予算を確保するとともに、地籍調査の効果に関する優良事例のPR、地籍アドバイザーや国の職員の派遣によるサポートなどの支援に努めているところです。

 引き続き、地籍調査の計画的実施に必要な予算の確保に努めることはもちろん、国土交通省の職員が市町村に赴くなどして現場のニーズを丁寧に酌み取ることが重要と考えており、来年度から新たに、いわば自治体キャラバンといった取組も実施してまいります。

 こういう形で、地籍調査をしっかり推し進めていきたいと思います。

市村委員 大臣の方に、私の思いを、前取りみたいな形でお答えいただきまして、感謝いたします。

 今から、まちづくりのこととか少し議論させていただきたいと思っているんですが、先ほどちょっと、本当は最後に申し上げたかったのが令和の大検地でありまして、だから、それは国交省としての取組状況を今大臣はお話をされたということで、それはそれで、今から大変重要なことですから議論したいと思いますが、やはりこれは、先ほど申し上げましたように、国交省のみならず、法務省さん、そして内閣府さん、また防衛省さんとか、あらゆる関係省庁がこの令和の大検地という観点で土地の所有について明確化していく。地籍を明確化し、所有関係を明確化し、かつ、その地図をしっかりと作っていくということを、先ほどの、統計は全て、国交省のみならず統計をしっかりとシステム化していく、政府全体でシステム化していくべきでないでしょうかという提案をさせていただいたのと同様な関係で、いわゆる土地の所有について明確にしていくということが必要じゃないかという思いでありました。

 最後にまた一言お聞かせいただきたいと思いますが、その前に、せっかくですので、やはり先ほど大臣がおっしゃっていただいたように、土地の所有を明確化していく、地籍を明確化していくということももちろん大切なんですが、何のために明確化するかというところが大切であって、そこにやはりまちづくりという観点が大変必要だろうというふうに思うわけであります。

 まちづくりをしようとすると、そこに所有者不明土地もあって、それを明確化するがために、それこそ先ほどから議論があるように、二年も三年も、下手すると十年もかかって、それだけですごい時間を費やしてしまうというのは大変残念な状況であると思います。

 ですから、国土交通省はまちづくりをやはり担当されている、都市計画を担当されている省庁であるということであれば、それを迅速に、タイムリーにまちづくりの計画を実行していくためにも、地籍が不明であるとか所有者が不明であるというのは大変ネックじゃないかと思うんですね。

 今日は都市局の局長も来ていただいていますが、私は、例えば都市局には、今、立地適正化計画という事業もやっておられるということでありまして、こうしたときに、結局、何かせっかくやろうとしたときに、土地所有者不明で、それを探索するがために何年もかけているようでは残念な結果になると思いますが、ちょっと御見解をお聞かせいただければと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 立地適正化計画というお話が出ましたが、立地適正化計画は、人々の居住や必要な都市機能を町中などの幾つかの拠点に誘導し、それぞれの拠点を公共交通ネットワークで結ぶ、コンパクト・プラス・ネットワークの取組を推進するものです。こうした取組により、生活に必要なサービスの確保や地域活力の維持向上を図り、持続可能なまちづくりを目指すものです。

 このコンパクトシティーの取組を進めるに当たっては、議員御指摘のとおり、所有者不明土地というのは非常に大きな課題になります。我々、その立地適正化計画を推進する中で低未利用地に着目をいたしまして、これを活用していくということが所有者不明土地の発生防止にも寄与するというふうに考えておりまして、それが町中の魅力の維持向上に資するものと考えております。

 実際に立地適正化計画を作成した自治体におきましても、その多くで低未利用土地の活用の促進について記載をしており、都市のコンパクト化と併せた取組が進められているところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 また、今、例えば所有者不明土地の上には、土地だけじゃなくて、ひょっとしたら上物があって、そこが空き家になっている可能性が高いわけですね、所有者不明土地なわけですから。やはり、空き家というのは大変これから大きな問題になってくるだろうと。二〇三〇年になると何か二千万軒ぐらい空き家があるというような統計というか、そういう話も聞いたことがあります。

 ですので、この空き家対策ということも含めて、やはりこの所有者不明土地について、なるべくこれを所有者不明じゃない形に、若しくは、所有者不明であれば、その空き家をどう生かすかということも、やはりこれは大変重要な視点ではないかなと思うんです。

 今日は住宅局長さんもいらっしゃっていただいていますが、ちょっと、今の空き家の状況について少しお話しいただければ。また、いわゆる所有者不明土地の上に建っている空き家というのがどれぐらいあるか、数をもし把握しておられたらお答えください。把握していなかったら、いいです。

淡野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、空き家の発生を抑制するとともに、空き家の適切な管理、除却、利活用を推進することは重要な政策課題であると認識してございます。

 空き家の現状のデータでございますけれども、全体として、空き家の総数は、平成三十年の住宅・土地統計調査によりますと八百四十九万戸、そのうち、賃貸、売却等の目的が明確でない空き家、いわゆるその他空き家、これが三百四十九万戸でございます。

 御指摘の所有者不明土地の上に建っている空き家の数という形での統計は取ってございませんので、今データは持ち合わせてございません。

 そして、この空き家対策のうち、空き家の発生の抑制につきましては、相続を契機として発生する空き家が多うございますので、税制上、相続により生じた古い空き家につきまして、耐震性を確保した上で譲渡した場合又は除却した上で譲渡した場合には、譲渡所得から三千万円を特別控除する特例措置を講じ、空き家の除却、流通を促しているところでございます。

 また、市町村が空き家の適切な管理、除却、利活用を推進できるよう、空き家の除却や利活用等に対し市町村が行う支援に対する補助、NPO等と連携した取組や既存住宅市場を活用した空き家対策などのモデル的な取組への支援、さらには、管理の適正化が求められる空き家等の所有者等への助言指導、勧告、代執行等に係るガイドラインの策定など、国として行うとともに、不良な空き家の除却等を推進するため、空き家法に基づき勧告を受けた特定空き家等の敷地につきましては固定資産税の住宅用地特例を適用しないことといたしてございます。

 今後とも、公共団体や関係団体、事業者等と連携しつつ、既存住宅市場の活性化による空き家の利活用の促進を含め、空き家対策を総合的に推進してまいりたいと存じます。

市村委員 ありがとうございます。

 所有者不明土地についてしっかり対応するのは当然なんですが、しかし、その前提としては、今お話しさせていただいたようなまちづくりの観点とか、あと、やはり今ほかでも問題になっている空き家問題に関してとか、そうしたことも総合的に絡めながらこれをやっていかなくちゃいけないという話だと思います。

 そのときに、結局、そうなってくると、やはり、そもそもの所有者不明土地があるということが、しかもここまで増えてしまっているということに思いを致して、今日、定義とか原因を聞いていたわけでありますが、やはり多くは登記上の問題になっているということでありますので、登記を今度義務化するということの流れは、それでいいんですけれども。

 しかし、また先ほども申し上げましたが、登記を義務化すると、まさに地籍がこのような曖昧のまま、地図が曖昧のままでありますと、大変大きな問題が発生してくる。それぞれの、その場、その相続、相続のところで、非常に、訴訟問題がこれから起きてきて、本当に、普通に生活してきたら、あるとき相続人になったがために、いわゆる金銭面での大変な負担とか、精神面での負担とかが多分大きくなってくるでありましょうから。

 そうなる前に、今日は市町村の役割の重要性がずっと言われておるんですけれども、やはり一番知っているのは市町村なんですね。あとは、先ほども御指摘があったような、私も指摘させていただいたような、いわゆる地方議員さんというのは、大変その辺の、あそこはどうももめていそうだとか、結構情報通の方がおられて。

 そういうところを、その相続が発生して問題になってから裁判沙汰になる前に、これは令和の大検地をするんだから、この五年で明確にしなくちゃいけないんだという話で、国が大号令をかけていただいて、市町村長の取組を後押しをして、もう一気に、この地籍の確定、地図の確定をしていく。そうすれば、所有者不明土地というのはだんだん減っていくわけであります。

 だから、そうしないと、先ほどからここでも議論があるように、結局、国土調査法が昭和二十六年にできてから令和二年までの間に、でも、かかっても全体で五二%ですから、まだ四八%、しかも、その間に恐らく所有者不明土地は増えているという話ですから、やはりここは抜本的な改革をしなければならないと思いますが、最後に大臣の御所見を伺えればと存じます。

斉藤国務大臣 市村委員御指摘のように、所有者不明土地対策、それから空き家対策、それから地籍整備など、各種施策を進める上で、縦割りを排し、まちづくりあるいは地域づくりの大きな観点に立って、総合的、一体的な取組を進めることが極めて重要であると考えております。

 午前中、河西委員からも御指摘がありました、市町村そして市町村の議員の方々、地域のことをよく知っている方々の声も集めて、しっかりこれが、総合的なまちづくり、地域づくりが進められるよう、今回の法改正を一つの契機として進められるよう、頑張っていきたいと思います。

市村委員 ありがとうございました。終わります。

中根委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。

 まず初めに、今日も大臣の謝罪から委員会が始まったわけでございますけれども、実は、大臣、後ろに目がないので気づかなかったかと思いますけれども、後ろの事務方の人は、大臣が謝罪しているのに腕を組んで踏ん反り返っていましたよ。やはりこれじゃあかんと思いますよね。

 大臣、お優しい方だと思いますけれども、やはりもっとがつんと言った方がいいと思います。みんな疲れているんだろうとは思いますけれども、是非これはお願いしたいなというふうに思いますので、いかがですか。

斉藤国務大臣 今回の統計の不適切処理に関わりまして、国土交通省の仕事の進め方ということについても、今、タスクフォースでしっかり、顧問の有識者の方も入っていただいて検討を進めておりますが、この改革をしっかり、私、先頭に立って進めていきたいと思っております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。またやらかさないよう、よろしくお願いいたします。

 では、午前中から同じような質問が多いですけれども、私からも確認のためにお願いを申し上げます。

 平成三十年、現在の所有者不明土地、成立しましたけれども、この所有者不明土地はまだ増えていると思われます。先ほども古川議員の方から九州ぐらいの面積があるんじゃないかというような話がありましたけれども、現状どうなっているのか、お聞かせ願いたいのと、あと、平成三十年成立後、具体的な成果、どのようなものか、お聞かせください。

斉藤国務大臣 人口減少、少子高齢化が進む中、相続件数の増加、土地の利用ニーズの低下と所有意識の希薄化が進行しており、不動産登記では所有者の氏名や所在が分からない土地の増加が見込まれております。

 所有者不明土地については、所有者の探索をして初めて所有者不明土地であるかどうかが判明するものであり、その総量は網羅的には把握しておりませんが、地籍調査の結果によると、不動産登記簿により所有者等の所在が判明しなかった土地が、筆数ベースで、平成二十九年度の調査で二二・二%存在し、直近の令和二年度の調査では二四%、増えている、存在したところでございます。

 こうした所有者不明土地の存在により、災害復旧復興や社会資本整備、民間開発など様々な場面で、所有者の探索に膨大な時間、費用、労力を要し、事業計画の変更を余儀なくされる、事業の実施そのものが困難になるといった問題に直面しております。

 こうした課題を踏まえ、平成三十年に、所有者不明土地を円滑に利用できるようにすることを主な目的として、所有者不明土地法が制定されました。

 お尋ねのありました所有者不明土地法に関するこれまでの成果でございますが、令和四年二月時点で、公共事業の用地取得の合理化、円滑化のための土地収用法の特例は、六件の裁定がなされております。また、所有者不明土地を地域住民等のための施設として利活用することを可能とする地域福利増進事業は、一件の裁定申請がなされているところです。

 加えて、これらの制度を活用するための前提となる、固定資産課税台帳を始めとする土地所有者等関連情報の利用、提供の特例については、昨年十二月時点で、約七百八十件の活用実績が上がっているところです。

 こうした所有者不明土地法の運用実績も踏まえ、今般の法改正においては、所有者不明土地の利用の更なる円滑化の促進と管理の適正化について対応を図り、これらの取組を支える推進体制の強化のための措置を講ずることとしたものです。この法案により、安全、安心で活力ある地域づくりが一歩ずつ着実に展開されることを大いに期待しております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 筆数ベースで二四%ということですけれども、筆数というのは何筆ぐらいなんでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 地籍調査の調査対象の一筆の土地の数でございますが、令和二年度ですと五十五万九千百、うち十三万四千二百四十九筆が登記簿を見ただけでは所有者が分からなかったということで、二四%ということでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 この調査対象というのは、何か問題があったものを調査をしていくのか、それともアトランダムに抽出してやっているんですか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 地籍調査でございまして、地籍調査は十か年計画を作っておりまして、十年間でこれぐらいの事業量をやるというふうに目標を定めておるんですが、毎年、市町村の方から御要望を賜りまして、我々は、補助金なり、交付金なり、負担金なりも出しておりますので、市町村から上がってきたものについて議論させていただいて、じゃ、今年はここをやろうということで、毎年、大体五十万から六十万程度の土地の調査を進めてきておるわけでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 お疲れかもしれないんですけれども、もうちょっと大きな声でお願いいたします。ちょっと、よく聞き取りづらいので、済みませんが、お願いいたします。

 あと、ちょっとお聞きしたいのは、所有者不明土地を本当になくしたいのか、それとも地域福利増進事業の土地を見つけたいのか、これはどっちですか。

斉藤国務大臣 先ほど古川委員の御質問にもお答えしたところでございますが、その両方でございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 両方であるならば、先ほど来出ています、令和の大検地、やったらどうですか。

斉藤国務大臣 この地籍調査をしっかり進めなくてはいけないという認識の下、今、政府を挙げて、例えば令和三年度の補正予算それから来年度予算、これまでにない予算をつけて、この地籍調査、進めている計画でございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。じゃ、これまでにない予算を御期待いたします。

 次に、所有者不明土地の所有者の調査方法、いろいろあるかと思うんですけれども、やはりこれはスピード感を持ってやらないといけないと思うので、この調査方法を教えてください。

市川政府参考人 お答えいたします。

 現行の所有者不明土地法におきましては、所有者探索の合理化と負担の軽減を図る観点から、各種制度を活用するための所有者探索の具体的な方法につきまして、所有者不明土地法第二条第一項に基づき、政令、省令で規定しております。

 ある土地の所有者探索を行う場合には、まず、登記事項証明書により不動産登記を確認し、そこに記載されている所有権登記の名義人に対し、所有者であるか否かの確認を行います。

 しかし、記載されている名義人の所在が分からなかったり、そもそも所有権が登記されていない土地であるなど、不動産登記を確認しても所有者が特定できない場合におきましては、その土地を現に占有している方や、土地に対して所有権以外の何らかの権利を持っておられる方、それから住民基本台帳や戸籍簿といった名義人に関連する公的な書類や固定資産課税台帳や地籍調査票といった土地につながる公的書類を備える地方公共団体の長、それから登記名義人の親族など、所有者につながる情報を持っておられるのではないかと思われる方に対して、書面を送付する、あるいは訪問をして、情報提供を求めることとしております。これは、所有者不明法を平成三十年に作ったときに、どこまで探索するのかということを政省令で規定をしたということでございます。

 このような探索を経てなお、所有者の全部又は一部を確知することができなかった土地が、所有者不明土地法における所有者不明土地となるところでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 ちなみに、固定資産税台帳、固定資産税のかからない土地というのもあるかと思うんですけれども、三十万未満とか、そういったケースのようなときはどうしていらっしゃるんでしょうか。

市川政府参考人 お答えします。

 固定資産税がかからない土地を当方として把握しているかということでございますか。地籍調査担当としては把握はしてございませんが。

 ちょっと済みません、御質問の趣旨を。申し訳ございません。

高橋(英)委員 いずれにしても、これ、すんなり謄本に載っていて分かればいいですけれども、本当に分からない、これまでの実績で一番突き止めるのにかかった時間というのは、どのぐらいかかるんですか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、令和二年度の地籍調査で、不動産登記簿を見ただけでは分からないのが二四%と申し上げましたけれども、これを、先ほど申し上げました方法プラスアルファぐらいのかなり探索をした結果、一%を切る、〇・何%というぐらいまで、実は、本当に分からないのはそこまで下がるんです。

 ただ、そこまで至るのに、長い場合には四十か月とか、物すごい時間を要しているというふうに承知しております。(発言する者あり)済みません、マイクがちょっとあれかもしれないですね。最長四十か月ぐらいかかっているケースがあると承知をしております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、非常に時間がかかるんだなというふうには思いましたけれども。

 次に、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定を受けた団体、こういった団体にはどの程度の情報開示をするのか、教えてください。

斉藤国務大臣 推進法人が積極的に情報を開示していくべきではないかという御質問でよろしいでしょうか。

 地域において所有者不明土地や低未利用土地の利活用を進めていくためには、市町村のみならず、特定非営利活動法人や一般社団法人といった民間事業者の役割が重要です。

 このため、本法案においては、市町村長がこうした民間事業者を所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定し、公的信用力を付与する制度を創設しております。これによって、地域住民からの信用を得ながら、地域づくりの新たな担い手として活躍することが期待されます。

 推進法人に所有者探索に必要な情報を積極的に開示すべきという御提案につきましては、プライバシーや財産上の権利を守る観点から慎重に取り扱うべきものとされているため、現行の所有者不明土地法においては、高い公益性を有する地域福利増進事業等を実施する場合に限って行うことができることとされているものです。いわば個人情報と公的色彩の強い福利増進事業、そのバランスということかと思います。

 国土交通省といたしましては、推進法人が円滑に活動することで地域の所有者不明土地対策を効果的に進めていけるよう、施行後の運用状況や現場のニーズも踏まえながら、個人情報の利用、提供の在り方について、必要に応じて検討してまいりたいと思っております。

高橋(英)委員 では、やはりこれ、あくまでも行政が所有者を探すというのは全く変わらないわけですね。

斉藤国務大臣 済みません、もう一度御質問をお願いいたします。

高橋(英)委員 所有者不明土地の探索は、あくまでも行政がやっていくということですね。

市川政府参考人 お答えします。

 所有者不明土地の探索は……(高橋(英)委員「所有者の探索」と呼ぶ)所有者、不明土地ですね、実際探索してみなければ、先ほど申し上げた方法で探索してみなければ、本当に所有者が分からないのかどうかも分からないんです。

 なので、まず、通常、事業をやる主体が、当然ですけれども所有者が誰かと把握してから、その方と交渉して土地を買うなり借りるなりしますので、まず、その所有者を誰かと探索するのは事業を実施する主体ということになります。

 よろしいでしょうか。

高橋(英)委員 さっきの、所有者の許可があれば開示すると言っていたじゃないですか。先ほどの誰かの答弁のときに言ったかと思うんですけれども。

 あと、高い公益性があればという話なんですけれども、これを具体的に教えてもらえますか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 土地所有者に関する情報を市町村内部で、例えば、固定資産税台帳を活用できるとか、事業者の求めに応じて外部に提供できるとかというのはどういう場合かというお尋ねでしょうか。(発言する者あり)

高橋(英)委員 定足数が足りないという話ですけれども。

中根委員長 足りているそうです。(高橋(英)委員「大丈夫ですか。続けますね、取りあえず」と呼ぶ)続けてください。

高橋(英)委員 はい。

 では、ちょっと次の質問に行きます。

 相続登記が義務化されますけれども、所有者不明土地の場合、相続対象者が土地の存在を知らないケースがあると思いますが、その場合はどのようにするのか、聞かせてください。

堂薗政府参考人 相続が開始した場合に、相続人の方で特定の土地を相続したということが分からない場合にどうするかということかと思いますけれども、取りあえず、相続登記を義務化しているわけですけれども、相続登記の義務化については、自分がその土地を相続したということが分かった場合にそこから義務が生じるということになりますので、そういう意味では、分からない段階ではそういった登記義務は生じないということになりますけれども。

 そういった相続登記がされるように、あらゆる場面を通じて、そういった相続登記の義務化について周知、広報していくことが重要であるというふうに考えているところでございます。

高橋(英)委員 一応通告をしているんですけれども、これもね。何ですぐに答えが出ないのか、よく分かりませんけれども。

 現状、資産価値のない土地というのは結構あると思うんですね、資産価値のない、まあ山林とか。でも、そういった山林なんかは、現状では資産価値はないけれども、相続になると、そこに植えてある木とか、木一本から金額が見られるんですよね。そうすると、言い方は悪いですけれども二束三文だった土地が、数千万円の価値が知らない間に出てくるケースもあるんですけれども、そうすると、やはり相続税がかかりますから、相続はしたくないというケースが間々出てくると思います。そういったときはどのようにすればよろしいでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、都市部への人口移動や人口減少、高齢化の進展等によりまして、土地の所有意識が希薄化するとともに、土地を利用したいというニーズも低下する傾向があると言われているところでございまして、相続を契機といたしまして、望まない土地を取得した所有者の負担感が増しており、このことが所有者不明土地を発生させる原因となっているという指摘があるところでございます。

 昨年の民事基本法制の見直しにおきまして、所有者不明土地の発生を予防するため、相続等により土地の所有権をした相続人が、法務大臣の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする相続土地国庫帰属制度が創設されたところでございます。

 この制度は令和五年四月二十七日からスタートし、その承認事務は各地の法務局で行われるところでございまして、法務省及び法務局といたしましては、施行に向けて関係省庁と連携して、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

高橋(英)委員 国庫への帰属に関する法律というのは、先ほども聞きましたけれども、これはどのような土地でも対象になるんですか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 相続土地国庫帰属法の対象となる土地につきましては、国庫に帰属した土地につきましては、その後、国が管理をするということに当然なりますので、その管理に過度な負担がかかるものについては対象外ということになります。

高橋(英)委員 過度の負担というのはどの程度なんでしょうか。

堂薗政府参考人 国が管理する上で、例えば、土地の上に建物等が建っていますと管理にそれなりの負担が生じるというところもございますし、土地の中に危険なものが埋蔵されているというような場合ですとか、崖地ですとか、そういったものについては対象外という理解でございます。

高橋(英)委員 では、次に行きます。

 所有者不明土地の隣地の方が何か事業を行おうとする場合、結構、市町村ですと、近隣の同意を得てくれというケースが間々あるんですけれども、でも、これ、所有者が分からないので、民間の方だと本当にどうにもならないんですけれども、そういったケースの場合はどうしたらよいのでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、所有者がその土地について工事を行うために、隣地所有者の同意を取得する必要があるということもあり得るというふうに承知しております。そのようなケースでは、隣地所有者に連絡を取る必要がございますが、隣地が所有者不明土地になっている場合には、その連絡を取ること自体が困難になります。

 そこで、昨年の不動産登記法の改正では、こういった事態を防止するために、相続登記や住所等の変更登記の申請が義務化されることになりましたので、この改正法の施行後は、より円滑に隣地所有者に連絡を取ることが可能になっていくものというふうに考えているところでございます。

 また、調査を尽くしても隣地所有者の所在を知ることができない場合には、不在者財産管理人というものの選任を受けて、その管理人の承諾を得て工事を行うことが従前から行われているところでございます。

 もっとも、この不在者財産管理制度につきましては、不在者の財産全般を管理するということになっておりますので、その分、管理人の報酬等の費用が高額になるといった指摘がされていたところでございまして、それを踏まえまして、昨年の民法改正では、個々の土地ごとに、所有者不明土地ごとに管理することを内容とする所有者不明土地管理制度が創設されたところでございます。

 そのため、御指摘のようなケースにおきましては、改正民法の施行後は、所有者不明土地管理人を選任し、その承諾を得て工事を行うことが可能になるというふうに考えているところでございます。

高橋(英)委員 その改正法でも、管理人の選定というのは、結局、これは裁判所を通すわけですよね。結構な時間がかかるかと思うんですけれども、どの程度時間がかかるんですか。

堂薗政府参考人 要するに、所有者不明土地であるということの判断を裁判所がする必要がございますので、その判断に必要な期間というところでございますけれども、ちょっと今、その手の事件についてどの程度の審理期間を要しているかという点については、持ち合わせていないところでございます。

高橋(英)委員 いずれにしても、時間がかかるんでしょうけれども。

 このように、他人の財産を脅かしたり、例えば空き家になって近隣に迷惑をかけるケース、これはやはり迷惑を被る方々には情報開示というのはすべきだと思うんですね。先ほど来、個人情報の開示も言っていましたけれども。善意の人が非常に迷惑を被るわけですから、この辺は柔軟に対応した方がいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 所有者不明土地対策を進める上で、必要な情報を積極的に開示すべきという御提案につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、プライバシーや財産上の権利を守る観点とのバランスでどんな仕組みが適切かということについて、御指摘も含めまして引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

高橋(英)委員 是非これは、何かちょっと方法を考えていただきたいと思います。これは本当に、物すごくかわいそうですよね、本当に。何の事業もできなくなるというのは非常に問題だと思いますので、是非何かの方策を考えていただきたいというように思います。

 次に移りますけれども、この法案は地域福利増進がメインで、ある意味、民間向きではないんだろうなと思います。しかしながら、先ほども言いましたが、近隣が迷惑を被るケースが非常に多いので、今後この法案を民間向けにブラッシュアップしていくお考えはおありかどうか、お聞かせください。

斉藤国務大臣 更なる改正が必要かという御質問でございますが、地域において所有者不明土地や低未利用土地への対策を効果的に進めていくためには、民間事業者も含め、地域の関係者が一体となって取り組んでいくことが不可欠です。このため、今般の改正において、市町村による計画の作成、協議会の設置、推進法人の指定制度の創設等の措置を講じ、地域における所有者不明土地対策の推進体制の強化を図ることとしております。

 他方で、所有者不明土地問題は、一朝一夕に解決できるものではなく、中長期的に粘り強く取り組んでいく必要がある問題であり、制度の見直しについても不断に検討を加えていくべきものと考えております。先ほど来御指摘いただいたいろいろな問題点、これは我々も認識したところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後も、所有者不明土地法や民事基本法制の運用状況を踏まえ、現場で対策に取り組む方々を始めとする関係者の御意見を丁寧にお聞きしながら、法務省などの関係省庁としっかり連携し、政府一丸となって、必要に応じ、適時適切な対応を図ってまいりたいと考えております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 今回の改正案ではやはりちょっと民間には適していないような気がしますけれども、やはり民間の力というのは侮れませんので、宅建業者もそうですし、非常に慣れている部分もありますので、こういった他人に迷惑をかけるようなところ、例えば、法人じゃなくてもいいですよ、宅建業者じゃなくてもいい、例えば町会には開示するとか、いろいろな方策、やり方があろうかと思いますので、これは是非とも、すぐにでもちょっとブラッシュアップをしていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、我が党はマイナンバーの機能の拡充をずっと提案していますけれども、こういった不動産登記についてもマイナンバーとひもづけをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地対策は、御指摘のとおり、政府全体で取り組むべき重要な課題であり、その解決に向けて、マイナンバーをどのように活用することができるかという点も検討していくべき課題であるというふうに認識しております。

 所有者不明土地の主要な発生原因は相続登記や住所変更登記がされないことにあるとされておりまして、その解消のためには、所有権の登記名義人の法定相続人が誰であるか、また、登記名義人の氏名、住所の変更情報などを法務局が取得するといったことが必要になります。

 もっとも、現在のマイナンバー制度における情報連携によってはこれらの情報を取得することが困難であるため、マイナンバーを所有者不明土地対策へ活用することには限界があるところでございます。

 そのため、昨年四月の不動産登記法の改正では、マイナンバーを活用した方策は盛り込まれず、個人の死亡や氏名、住所等の情報は、住基ネットと不動産登記システムとのシステム間連携によって取得することとされたところでございます。

 もっとも、マイナンバーの活用につきましては、今後、政府内において利用分野の拡大を含めた様々な検討や取組が進められるものと承知しており、法務省としても、こうした政府全体での取組状況等をしっかりと把握しつつ、引き続き、更なる所有者不明土地対策の取組を適時適切に行ってまいりたいと考えているところでございます。

高橋(英)委員 不動産登記はある意味誰でも見れるものでございますので、それほど個人情報は関係ないのかなというふうにも思います。

 また、マイナンバーの質問をすると、いつもほとんど省庁をたらい回しになるんですけれども、やはりそれだけ多岐にわたるんだと思うんですね。だから、横のつながりというのがやはり非常に大切なんだろうなというふうに思っていますので、今後も、マイナンバーのひもづけの質問はどんどんどんどんしていきたいというふうに思いますので、しっかりと、たらい回しにしないように、横のつながりを持ってやっていただきたいというふうに思います。

 終わります。

中根委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 冒頭、先ほどの高橋委員の審議の最中に定足数が足りませんでした。我々、一年生議員のときに、与党の議員の役割は委員会の席を埋めることだと。しかも、これは法案審議でありますから、緩んだ審議にならないことを与党の委員諸君に強く求めたいと思っております。

 また、恐縮ですけれども、先ほど来、市川審議官、答弁を聞いていると声が聞こえなくて元気がないので、是非はきはきと。制度の説明とかは結構ですので、端的に、手短に答弁をお願いいたします。

 それでは、私は、改正法案第二条第三項第十号の、地域福利増進事業として、再生可能エネルギーに関する事業の要件について質問したいと思っております。

 所有者不明土地を一定期間利用できる地域福利増進事業として、法案第二条第三項第十号で、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法による再生可能エネルギー発電設備のうち、地域住民その他の者の共同の福祉又は利便の促進に資するものとして政令で定める要件に適合するものの整備に関する事業というのを加えております、条文上ですね。

 昨年十二月の国土審議会土地政策分科会企画部会の取りまとめでは、災害時のバックアップ電源として活用できるような、地産地消に資する再生可能エネルギー発電設備については新たに対象に追加すべきということになっております。

 しかし、地域福利増進事業というのは、土地収用並みの、しかし、主体が公的主体じゃない、民間事業者でも地域福利に対する増進事業ができるということで、従来は、収益性があるものは購買施設のみで、要件も、周辺の地域において同種の施設が著しく不足している区域などと厳密に区切っているんですね。

 まさか、今あるように、所有者不明の土地に例えば外国の事業者が太陽光パネルをばんばん張って電気を売って大もうけするなんというような事例は想定していないとは思うんですけれども、大臣、具体的に、この再生可能エネルギー発電設備というのはどういう事業を想定しているのか、お答えいただけませんでしょうか。

市川政府参考人 済みません、ちょっとマイクが。(発言する者あり)大きな声で、はい。普段、声は大きいと言われるんですけれども、済みません、申し訳ございません。

 お尋ねのございました再生可能エネルギー発電設備、これは要件を具体的に政令で定めることとしてございます。その要件につきましては、災害時に発電した電気を地域の非常用電源として活用することや、発電した電気を公民館等の地域の公共公益施設や地域住民の住居に一定程度供給することといった内容を規定することで検討してございます。

 地域住民等のための公益性の高い事業の用地として所有者不明土地を利用するという地域福利増進事業の趣旨をしっかりと踏まえながら、詳細な規定ぶりについて検討してまいりたいと考えております。

福島委員 大きな声での答弁、ありがとうございます。

 なぜ心配かというと、一方、政府の中では、規制改革実施計画の中に、昨年六月ですけれども、所有者不明土地の有効活用と再生可能エネルギーの最大限の導入に向けて、同法の対象事業の範囲を出力一千キロワット未満の再生可能エネルギー設備にも拡大する措置について、制度の見直しに向けて検討すると規制改革の方でもあり、さらに、地球温暖化対策計画の方にも、所有者土地を活用した再生可能エネルギーの地産地消等に資する施設の整備を可能とする仕組みの充実を図るということで、カーボンニュートラルで再生可能エネルギーの大量の導入の手段として、この所有者不明土地を使うというトーンで書かれているんです。

 内閣府にお聞きするんですけれども、この規制改革実施計画、どういうニーズに基づいて、どうしたことをやるための意図に基づいて書かれたものか、答弁をお願いいたします。

辻政府参考人 お答えいたします。

 令和二年の十二月に、私ども内閣府の規制改革担当大臣が主宰しております再エネ等規制等総点検タスクフォースに対しまして、民間企業から、所有者不明土地法の地域福利増進事業を小規模の再エネ設備にも拡大してほしいという要望が寄せられました。

 これを受けまして、私ども内閣府において検討を行いまして、対象となる設備の拡大は再生可能エネルギーの普及拡大に有効な制度見直しであると判断いたしまして、所管の国土交通省とも調整の上、令和四年の制度見直しを目指して検討するということを三年六月の規制改革実施計画に盛り込むことにしたものでございます。

福島委員 たった一つの要望に基づいて、それを実現するために規制改革要望として掲載したということでしょうか。

辻政府参考人 繰り返しになりますが、民間企業の方から御要望をいただきまして、私どもにおいては中で検討いたしまして、対象となる設備の拡大が再生可能エネルギーの普及拡大に有効な制度見直しであるというふうに判断いたしましたので、その規制改革実施計画に盛り込むことにしたということでございます。

福島委員 ニーズは一つだけだったということでよろしいんですか。あとは自分たちの頭で考えてということでよろしいんですか。昨日のレクとちょっと答弁が違うものですから。

辻政府参考人 私どものところに寄せられた要望は、その民間事業者からの要望でございます。

福島委員 ありがとうございます。

 恐らく、再生可能エネルギーの導入の爆発的な増進には、この制度、つながらないと思うんですね。先ほどおっしゃった、災害時の非常電源とか、あるいは発電した電気をその地域に供給するということがどれぐらい実例としてあるかといえば、現実にはFIT制度又はFIP制度だと思うんですね。

 FIT制度の適用になるのは、今は制度が変わりましたから、太陽光だと低圧太陽光、十から五十キロワット。つまり、この部屋の半分ぐらいの面積に太陽光パネルを張る事業というのは、公民館の屋根に電気をつけるとかそういうことで、余りそのメリットがないから民間の企業はやらないと思うんですね。

 しかも、それで、少なくとも三〇%を自家消費等に使用し、かつ、災害時に自立運転を行って給電用のコンセントを一般の用に供すること。これは先ほど審議官が答弁したことと似ていますから、恐らくこれに類することを政令で書かれるんじゃないかなと思いますね。

 あと、小規模水力とかバイオマスとか小規模地熱は、自治体の防災計画等に位置づけられていること、あるいは自治体が自ら事業を実施又は直接出資するもの、あるいは自治体自らが事業を実施又は直接出資する小売電気事業者に電気を売るための発電所という、その三つに要件が絞られていて、極めて公的なものなんですね。

 審議官、こうしたことを政令に書くと考えてよろしいでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども政令の検討状況を御回答申し上げましたけれども、いずれにしましても、地域住民の利便の増進、福利の増進という観点から、先ほど申しました二つの要件、災害時に非常用電源として活用できるとか、公民館等の地域の公共公益施設や地域住民の住居に一定程度供給する、そういう地域の福利を増進するという観点からに重点を置いて定めていきたいというふうに思っております。

福島委員 もうちょっとちゃんと答弁していただきたいんですよ。

 というのは、政令で落とすということは、政府に我々が、立法府が委ねることですけれども、でも、立法府の我々は丸投げするわけじゃないんですね。抽象的じゃないことを確認して今日質問に立たせていただいているので、もうちょっと具体的に答えていただきたいと思います。

 地域に供給するというのは何でしょうか。一つは、マイクログリッドといって、その地域で、例えば東京電力のエリアとは別のグリッド、つまり、需要に応じて供給できる送電網とか蓄電池を置くというものが考えられます。しかし、これは余り実用化されていないと思うんですけれども。

 せっかく先輩の茂木さんに来ていただいているんですけれども、茂木さん、この地域マイクログリッド、今、実証実験を行っていると思いますけれども、すぐに実用化で広がるような技術なんでしょうか。教えてください。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 今、経産省で、マイクログリッドと今御指摘がありましたけれども、大規模な停電が起きたときに、地域にある太陽光発電ですとかあるいは蓄電システムを組み合わせるシステム、これを支援して、普及をしているところです。

 現在、今、四十三件計画策定を支援しておりまして、実際に設備の導入ということで補助金をつけているものが六件というのが今の現状です。

福島委員 所有者不明の土地を使わなくても六件で、しかも、かなりの公的な支援が必要な事業なんですね。

 先ほど地域の福利の増進に資すると言いましたけれども、何度も説明、審議会とかで出ているのは地産地消なんですよ。地産地消という要件は、政令の中に加えられるんでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 具体の政令の内容につきましては、今後、資源エネルギー庁さんなんかともよく相談させていただきながら、具体の規定ぶりは考えていきたいと思いますけれども、先生の御指摘も踏まえながら、先ほど申し上げました、災害時に非常用電源として活用できるということ、それから、発電した電気を、地域、公民館等の公益施設とか一定の住居に供給することといった内容を中心に詰めてまいりたいと思っております。

 よろしくお願いします。

福島委員 だんだん声がちっちゃくなってきたんですけれども。

 結構これは技術的に難しいんですよ。地域に需要に応じて電力を売るというのは、蓄電池を設けたりとか、難しいから、相談すると言ったけれども、規定が難しいから聞いているんです。技術的にも難しいし、法律の条文で規定するのも難しいからお聞きをしているんです。

 なぜこのことを聞くかというと、現実には、公共の目的、地域に発電した電気を売ったり、屋根に太陽光パネルを張って、そのまま災害時にコンセントで充電できる設備ぐらいだったらできますよ。そうじゃない。ほかの、普通の人が考えているような、FITとかFIPで電気を売ってもうけて、いざというときにだけ非常用電源で供給するというのは、現実には難しいんですよ。結局、政令で規定すれば規定するほど、ほとんどあり得ない事業しか入れないという規定をせざるを得ないんですよ。

 私は、それはやむを得ないと思っているんです。なぜなら、この仕組み自体が、土地収用法並びの、公のものを、地域の増進のためという限定で、限定して民間の人に認めるという形だからです。私はそこを政令できちんと書くように、是非、最後に大臣に答弁を求めますけれども、ちゃんとしてほしいんですよ。

 でも、その一方で、再生可能エネルギーを増やすというのも国家的な課題です。規制改革の頃、計画とか、地球環境の、環境省の温暖化対策計画などにも、所有者不明の土地で再生可能エネルギーを広げるというのは、ある意味、一つの大きな項目として書かれているんですけれども、この制度では恐らく羊頭狗肉なんですよ。もっとちゃんとした仕組みをつくらないと、所有者不明の土地を使っての再生可能エネルギーはできないし、逆に、その道具にするためにこの法律の政令を緩めないでほしいんです。これは再生可能エネルギーだからいいですよ、一つ前例をつくれば、その後、あらゆる民間の営利事業に所有者不明の土地を使うことができるような法律へとこの法律が決定的に変わってしまうから、だから、政令の書き方が大事であるということを私は申し上げているんです、審議官。

 なので、大臣、御答弁をいただきたいんですけれども、審議官はどうも慎重な答弁しかしません。でも、政令は我々国会議員が審議できないんですよ。ただ、それを規定するに当たっては、再生可能エネルギーを広げたいからといって、何でもかんでも営利事業に、外国人が森を買って、その一部に所有者不明土地があって、膨大な電気をつくって売ってもうけるだけに使うようなことではなくて、真に地域の福祉の増進のために、まさに地域に電力供給を行う、災害のときの非常用電源になるという厳密な規制をしていただきたいと思うんですけれども、大臣の所信をお答えいただければと思います。

斉藤国務大臣 今日の委員会の議論を通して、所有者不明土地とはいえ、民間の人が持っているかもしれない土地を公的に使わせてもらって福利増進事業をやるということと、それから、民間の土地かもしれないということとの、そのバランスということかと思います。

 福利増進事業としてやるわけですけれども、その福利増進事業の中に、今回、再生可能エネルギーということがのっておりますけれども、そのやり方が、先ほど来、今日議論があったそのバランスの上に立って、きちんとした公的な福利増進事業としての意義があるような形で行われるように、政令の中でまたしっかりそれを落とし込んでいきたい、このように思います。

福島委員 この事業は、再生可能エネルギーを促進するための事業じゃなくて、地域の福利を増進するための事業であるという原則を忘れないで政令を作り、運用することを求めまして、私からの質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の潜水艦、たがや亮と申します。

 本日も質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。三回目の質問になります。

 時間が短いので、十分しかないので、早速質問に入らせていただきます。

 所有者不明土地の広さは、二〇一六年時点で、全国で九州の総面積よりも広い四百十万ヘクタールあると言われています。民間の発表ということで、定かでないと事務方は言っていますが。そもそも、このような所有者不明土地が昨今なぜ増加、また加速しているのか、その要因は何でしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、近年、人口減少、少子高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下、地方から都市部等への人口移動を背景とした地縁、血縁関係や土地の所有意識の希薄化などにより、資産としての土地に対する国民の意識に変化が生じております。

 こうした状況を背景といたしまして、いわゆる所有者不明土地が発生し、その増加が見込まれているものと認識しております。

たがや委員 審議官の言われるとおりですね。声、大分出ていましたけれども、ありがとうございます。そもそも、昨今、特に地方において所有者不明土地が加速的に増えた根本的な要因、これは、少子高齢化や、地方で仕事がない若者が都会に移住するなど、構造的な問題があろうかと思われます。この件、ちょっと後ほど触れさせていただきたいと思います。

 次の質問に参ります。

 今回の法案の審議について、地元の自治体に所有者不明土地についてヒアリングを行いました。その中で一番多かった回答が、固定資産税の徴収に悪影響が出ているという答え、回答が一番多かったです。固定資産税は市町村税の約四割を占めて、住民税と併せて自治体の重要な財源となっております。納付書を送っても戻ってきてしまう、登記簿を調べても既に亡くなった人の名義のままなど、所有者が誰なのか、どこにいるのか、分からないケースが多発しているとのことです。

 そこで質問ですが、日本全国で、所有者が不明のために徴収できない固定資産税はどれくらいでしょうか。件数や金額を、まず総務省にお伺いいたします。

川窪政府参考人 お答え申し上げます。

 固定資産税は登記簿上の所有者に課されるものでございますけれども、登記簿上の所有者が死亡している場合などにおきましては、現実の所有者を市町村におきまして調査をして、課税をしてございます。

 市町村におきましては、登記簿上の所有者が死亡している場合、また不明となっている場合などにおきまして、所有者の住民票や戸籍をたどって相続人を調査いたしますなど、真の所有者を確定させるために、日頃から地道な取組を行っているものと認識しております。その御苦労があるというふうに認識しております。

 こうした取組によってもなお所有者が不明である場合には、固定資産税を課税することができないという事態が生じますけれども、こうした、所有者が不明であることを原因として、どの程度の件数、金額が徴収できていないのかということにつきましては、把握をしていないところでございます。

たがや委員 把握していないというのは、ちょっとよくないなと思うんですよね。

 だから、事務方の方が、九州の面積に匹敵しているかという問題に対して、それは何か民間の調査だから分からないということを言っていたけれども、実態調査、実態が分からないわけですから、九州の面積よりも小さいか、また大きいかということすらも分からないということですよね。ですので、地方自治体の重要な財源である固定資産税が関わることですので、実態調査をしっかりと、改めてお願いをいたします。

 次の質問に行きます。

 今回の法案で、都道府県の知事や市町村長は、所有者不明土地に対して行う勧告のために、その土地の所有者を探索、つまり探し出すために必要な情報の利用や提供を行うことができるとあります。

 固定資産税を徴収する担当課が、土地所有者の探索で、ほかの課が入手した関連情報について情報提供を求めることができるのでしょうか。お伺いをいたします。

川窪政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村の徴税吏員は、固定資産税の賦課徴収に関する調査のため、必要がある場合には、地方税法上の調査権限に基づきまして、関係部局に対して関連情報の提供を求めることができることとなっておりますので、この規定に基づきまして情報を求めることができるものでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 是非、こういったことを地方自治体へしっかりと周知徹底していただけるよう、お願いをいたします。これが可能になり、この縦割りが解消されれば、固定資産税の徴収も増えることが期待されます。

 また、供託金や補償金を事業者からいただき、国庫に帰属される場合もあるとのことですけれども、これらを自治体の固定資産税の未納分として充当できるような制度をつくるか、又は積極財政により国が補填をするなど、御検討いただけないでしょうか。これは要望です。

 次の質問、行きます。

 冒頭にお話しした、所有者不明土地が昨今増えた根本的な要因、すなわち、少子高齢化や地方で仕事がない若者が都会に移住するなどの構造的な問題を解消しないと、所有者不明土地が今後も加速的に増え続けると予測されます。結果、地方の活力は失われて、学校、病院、道路など、様々な公共インフラが毀損され、地方が更に疲弊し、更なる人口減少を招くという悪循環が続くことが予想されます。

 日本の少子高齢化は五十年前から指摘されていて、ずっと放置されている問題でもあります。地方の疲弊を招いているこの構造的な問題に対し、国交省としてはどのように対処していくのか、大臣、お答えください。

斉藤国務大臣 少子高齢化の進行や、地方の若者、特に女性の流出は、所有者不明土地の増加につながるものと認識しております。地方において、医療、福祉、地域交通など、住民サービスの維持が困難となり、地域経済の停滞も懸念される重要な課題であると考えております。

 このため、例えば、コンパクト・プラス・ネットワークを推進するとともに、デジタル技術等も活用することで、少子高齢化社会においても、利便性高く安心して暮らし続けることができる地方の形成、地域発イノベーションの創出を通じた地域産業の生産性向上、高付加価値化や、デジタル技術を活用したスマート農業の加速による若者の働く場の確保、女性が活躍できるよう魅力ある仕事と職場づくりの推進などの取組を進めていく必要があると考えております。

 国土交通省としましては、現在、国土審議会において、デジタルを前提とした新たな国土形成計画の策定の検討を行っているところであり、関係府省と連携して議論を進め、実効性のある計画作りに取り組んでいきたいと思っております。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に大臣のお人柄が出た答弁をまたいただきまして、ありがとうございます。本当に安定です。

 地方の活性化について、国交省も関係省庁と協議して積極的に対応していただきたいと思います。

 また、公共事業は地方の雇用に直結しています。地方における公共事業の予算拡充が必要ですので、しっかりと取り組んでいただけるようお願いを申し上げます。

 そして、緊縮財政による場当たり的な対症療法ではなくて、積極財政による根本的な解決、これをお願いしたいと思います。

 れいわ新選組は、積極財政を推し進め、コンクリートも人もを推し進めております。是非、国交省として地方再生のために御尽力いただけますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 委員会の冒頭に、建築着工統計調査の大幅遅れについて大臣から発言がありました。昨年末に発覚した建設工事受注動態統計と同じ基幹統計であり、検証と再発防止策を、まさにその途上であると思います。

 委員会において集中審議を行うべきと思います。委員長にお取り計らいをお願いいたします。

中根委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 私は東北の選出ですので、東日本大震災被災地の職員の皆さんが、土地の所有主をめぐって外国までも探しに行くという大変さを目の当たりにしてまいりましたので、今回の所有者不明土地の利用円滑化、この解決に向けて、基本的賛成の立場であります。とはいえ、憲法二十九条、財産権に関わる重要な改正でありますので、十分な審議と慎重な対応が求められると思います。ダブるところもあると思いますが、整理の都合上、なるべく逐条で聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、今回、一筆の所有者不明土地に対して、一見して同じ土地と思えるような、かつ所有者が分かっている隣接する土地についても、管理不全であるということで勧告まではできるようにすると言います。この隣接という考え方、初めてのことではないでしょうか。

 所有主が本来分かっているんですから、管理不全で外部不経済をもたらす土地の管理者に対しては、土地基本法もあり、現行制度でも対応できると思うんですが、あえて本法案で書いた趣旨は何か。また、必ずしも一筆の所有者不明土地に対して隣が一筆という意味ではなくて、面的に、複数の筆、者があるというふうに考えてよろしいでしょうか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正におきまして、市町村長は、管理不全状態の所有者不明土地の確知所有者に対し、災害等の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう勧告する場合に、この所有者不明土地に隣接して、地目や地形が類似している管理不全状態にある土地、管理不全隣接土地につきましても併せて勧告することができることとしております。

 このような制度とした趣旨でございますが、所有者不明土地とこれに隣接する所有者が判明している土地とが一体となって管理不全の状態に陥っているケースが多く、こうした管理不全状態を解消するためには、所有者不明土地だけ勧告の対象としたのでは不十分であり、所有者不明土地に隣接する土地についても併せて勧告することを可能とすることが適当であると考えたためでございます。

 また、所有者不明土地法における所有者不明土地は、一筆の土地をいうこととされていることから、一筆ごとに管理不全状態であるか否かが判断されますが、他方、これに隣接する土地については、一筆の土地ではなく、複数の筆の土地であることがあり得ます。

高橋(千)委員 複数の分かっている隣接の土地がある可能性があるというお答えだったと思います。

 国土審議会の企画部会の議論の中でも、所有者が分かっている場合でもやはり法律事項として立てていった方がいいんじゃないか、そういう議論がされて、やはりこれが出てきた。だから、私は、むしろ所有者も含めて見えていて、そっちの議論もやはり出てきたのかなと。

 そうすると、今回は一応勧告ということにとどめております、所有者不明土地の方は代執行まで書いていますが。その先をやはり見込んでいるというふうに受け止めた方がよろしいでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国土審議会におきまして、所有者が不明でない管理不全状態にある土地についても、もう全国各地で地方公共団体の皆様が条例で代執行制度等をつくっておられますが、法律でも対応すべきではないかという議論は確かにございました。

 ただ、他方で、やはり、所有者が分からない土地というのが将来ほっておかれる蓋然性が極めて高いので、法律に基づいて、条例では対応できない分野ですので、制度を創設する必要があるという判断を審議会でも御議論いただいた上で、いたしたところでございます。

 ただし、その所有者不明土地の不全状態を解消するに当たって、隣接する土地も併せて、まずお勧め、勧告ですからお勧めですね、行政指導レベルの話でございますが、した方が、問題解決に資するケースが多いので、今回はそのような仕組みとさせていただいたということでございます。

高橋(千)委員 お勧めとおっしゃいましたけれども、勧告って結構厳しい表現ですよね。だから、そこに至る前に努力をして、そういう努力の中で、やはり代執行ということも、所有者不明土地も一体としてということがあるんじゃないかと。そこを丁寧にやはり説明をしないと、心配になってくるということなのであります。

 それで、代執行の問題ですけれども、市町村長は相当の期間を定めて代執行を行う旨を公告しなければならない、ここで言う公告期間とはどのくらいでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 管理不全状態にある所有者不明土地について市町村長が代執行しようとする場合には、相当の期限を定めて、確知所有者が災害等防止措置を講じないときは市町村長が講ずる旨をあらかじめ公告しなければならないこととされてございます。

 この公告の期間でございますが、対象となる所有者不明土地の管理不全の状況ですとか、周辺地域への悪影響の度合い、それから、災害等防止措置の内容などに応じまして、社会通念上、合理的に必要な長さを市町村長の方で判断をし、決定することとなると考えてございます。

高橋(千)委員 もう少し、目安くらいは言ってくださらないと。幅とか、そのくらい言ってくださってもいいんじゃないでしょうか。もしお答えできるなら、次、答えてください。

 それで、命令する相手がいない土地の代執行をするわけですよね。だけれども、一方では、費用負担については行政代執行法の準用を書いております。どういう場合を想定していますか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの、市町村長が判断し決定される公告の期間でございますが、他の例で大変恐縮でございますが、空き家法に基づく代執行の最近の実例をホームページで確認してみましたところ、公告期間は、短いもので一日というものがございました。多分、切迫度合いがかなり高かったということだと思いますが。それから、長いもので三・五か月という幅のある期間が設定されている実態がございました。

 それから、二つ目のお尋ねでございます、命令する相手がいない土地の代執行を明記する場合でございますけれども、本法案におきましては、代執行に要した費用の徴収方法として、代執行に関する一般法である行政代執行法の第五条及び第六条を準用することとしております。

 今般創設する代執行制度の対象は、所有者の全部又は一部が不明である土地でありますが、確知所有者や、代執行時点では不明であったものの後に所在が判明した所有者から、行政代執行法第五条及び第六条に従って費用を徴収することを想定してございます。

高橋(千)委員 せっかく調べてくださったのなら最初に答えてくださればよろしいじゃないですか。一日というのは結構衝撃でありましたけれども。

 それで、行政代執行法を準用するという点では、例えば、第六条は、国税滞納処分の例によりこれを徴収すると書いているわけなんですね。そうすると、今日るる皆さんもお話しされていたと思うんですが、遠方にいる所有者が、望まない相続や、そもそも相続していることを知らずにいるなどとして、管理不全土地、今話題となっている、土地に責任を持てない、あるいは経済的負担ができないのに、今の行政代執行法が適用されて、例えばその人が東京に住んでいたとしたら、東京のおうちとか差押えされるという場合もあるということでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 所有している土地から遠方に居住されており、その土地を所有することを望んでいるわけではない所有者の方であっても、自らが所有する土地を適正に管理する責務を有しているところであります。

 このため、制度上は、管理の適正化のために必要な措置を市町村長が代執行した場合の費用につきましては、第四十条において、所有者の負担とすることと規定しており、その費用の徴収方法については、行政代執行法第五条及び第六条に従って、国税滞納処分の例によって費用徴収することとしております。

 実務上は、具体的な費用負担につきましては代執行を実施した市町村長が判断することとなります。所有者の判明の状況ですとか、あるいは講じた措置の内容に応じまして、例えばでございますが、共有持分に応じた負担を求めることとするなどの対応をすることも想定されるものと考えております。

高橋(千)委員 だから、平たく言えば、差押えだってありですよということだと思うんですね。

 この間、民法の改正も進めてきて、登記の義務化という大きな改正もありました。これから相続が起こる方にとっては、そこから義務化なんだから気をつけようとなるわけですが、これまで分からなかった方、登記をしていなかった方にも遡及して義務がかかりますので、これはしなければ過料が生じることになります。

 こういう、法務省も国交省も、双方の改正が進んできたことによって、所有者探索も進んでいるわけですね。逆に、でも、そのことによって、本人が望まないにもかかわらず管理保全義務だけは発生し、罰則や差押えもある、そういうところに今来ているわけです。だったら、一方では、放棄する権利も認められないとおかしいと思います。法務省に伺います。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 土地の所有者は、単に権利を有するだけではなくて、その土地の管理について一定の責務を負っていると考えられるところでございます。したがいまして、土地の所有者に、一方的な意思表示のみでその所有権の放棄を広く認めることについては、その責務を一方的に免れることを許すことになりかねないため、慎重な検討が必要であると考えております。

 他方で、現行民法においても、法定相続人が相続財産中の土地やその管理に関して生じた債務の承継を望まない場合には、相続の放棄をして被相続人の権利義務を一切承継しないといったことができることとされております。

 また、昨年の民事基本法制の見直しにより創設された相続土地国庫帰属制度では、相続人が相続の承認をしたものの、相続財産の中にその取得を望まない土地がある場合に、一定の要件の下で土地を手放して国庫に帰属させることができるとされたところでございます。

 この制度は令和五年四月二十七日からスタートし、その事務は各地の法務局で行われますので、法務省及び法務局といたしましては、施行に向けて関係省庁と連携して、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

高橋(千)委員 国庫帰属法は令和五年からということでありましたが、一歩前進ではあると思うんですよね。ただ、本当の意味での私が言っている放棄ではない。あるいは、崖地のような危険なところはそもそも対象にならないということで、やはり悩みはなかなか解決しないわけなんです。なので、本当の意味で管理不全土地を何とかしよう、あるいは所有者不明土地を何とかしようと思ったら、本当にもう要らないんだけどな、負担できないんだけれども困っているなという人たちの救済措置も本当に考えていただきたい。これは国交省にも併せて求めたいと思います。

 それで、企画部会の議論の中でも、所有者不明土地と聞くと浮かぶイメージは、原野ですと答える方と、市街地の中で空き家もセットなので宅建業者を活躍させてという議論とか、環境保護なんだから自然に帰そうとか、様々な議論がありました。ですから、この法案自体のターゲットがどこなのかということが結構分からない中で法案にできてきたのかなと。なので、これを議論することが非常に大事だと思うんですね。

 そこで伺いますが、市町村が所有者不明土地利用円滑化推進法人を指定できることになっています。これは所有者不明土地対策協議会とセットで進めるという発想だと思いますが、この四十七条の規定を見ますと、いわゆる推進法人、不動産会社やディベロッパーを指定することも可能なんじゃないでしょうか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 所有者不明土地利用円滑化等推進法人は、特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人又は所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする会社であって、所有者不明土地法に規定された業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを指定することが可能でございます。

 したがって、制度上は、お尋ねの不動産会社やディベロッパーが参加している特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人のほか、所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする会社である不動産会社やディベロッパーが指定されるケースもあり得ます、制度上は。

 なお、この推進法人は、比較的土地の利用ニーズ、需要が少なく、民間市場を通じた土地取引がなかなか期待できない地域での活動を主に想定しておりますので、一般的には、このような地域において、不動産会社やディベロッパーが単独で活用するというのは期待しにくいのではないかとは考えてございます。

高橋(千)委員 否定しなかったと思います。なかなか人が見つけられない自治体がやはりそういうところに、ディベロッパーに頼ってしまうということがあるわけですね。そうすると、本来の主題とは違ってくるのではないかということは、一言言っておきたいなと思います。

 それで、地域福利増進事業の公告期間を二月に短縮し、かつ、使用権設定の期間を二十年にするといいます。今でも一千キロワット以上の再エネは認められます。この期間についてはどうなりますか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのありました、現行制度においても対象事業として認められている千キロワット以上の再生可能エネルギー発電設備につきましては、他の事業と同様、縦覧期間については六か月から二か月に短縮することとしておりますが、これにつきましては上限二十年に延長することはしないこととしております。

 なお、千キロワット以上の大規模な発電設備につきましては、収用適格事業でありますことから、長期にわたる土地の使用が想定される場合には、土地の取得をすることが通常であると考えております。

高橋(千)委員 ここがまた中途半端なんですよね。短縮はするわけなんです。

 それで、もう時間がないので大臣に伺いますけれども、やはり企画部会の中で、再エネの地域とのトラブルが非常に多いということが、経産省、例えば七百三十八件も五年間の中でありましたよと報告があって、一方では、業界からは、やはり今、山林なんかでは所有者不明土地がいっぱいあって難しいんだ、そういう声だとか、小規模な再エネを認めてほしい、そういう議論があって今がある、今の法案が出てきたのかなと思うんですね。

 だとすれば、私は、一千キロワット以上の大規模な再エネはなじまないと思うんです、福利増進事業に。それはもうそういうふうに見切ったらどうでしょうか。そして、今回の小規模のやつをやはり地域限定、地産地消に限定していく、そして住民の合意を条件とすると思いますが、一言だけお願いします。

斉藤国務大臣 所有者不明土地法第二条第三項におきましては、収用適格事業である、電気事業法による発電事業の用に供する電気工作物を整備する事業であって、地域住民等の共同の福祉又は利便の増進に資するものであれば、地域福利増進事業の対象事業とされております。

 したがって、千キロワット以上の再生可能エネルギー発電設備を整備する事業の全てが地域福利増進事業制度を活用できるということにはなっておらず、あくまで都道府県知事が地域住民等の共同の福祉又は利便の増進に資するものとして判断するものに限って地域福利増進事業となりますので、地域福利増進事業になじまないということではないと考えております。

 先ほどの議論もございましたが、地域福利増進事業という公的な目的と、それから、所有者不明土地の利用という、その利便とバランスの問題かと思いますけれども、それは政令の中で、あくまでも福利増進事業というふうに地元が、自治体が判断をするということを政令に落とし込んでいきたいと考えております。

高橋(千)委員 一言で終わります。

 そういうときに、最後に自治体に責任を転嫁しないように、政令で落とすと言っているわけですから、先ほど来議論があるように、限定的なものにするべきなんです。一千キロワット以上だってふさわしいものがあるかもしれないと大臣はおっしゃっているんだと思うんです。だからこそ、住民合意と言っています。

 公告期間を短くしたことで、知らないうちに始まっちゃってということになるんだ、だから住民合意が必要なんですということを指摘をして、終わりたいと思います。

中根委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中根委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小島敏文君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び日本共産党の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。城井崇君。

城井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 再生可能エネルギー発電設備は、環境や景観への悪影響、土砂災害の要因になることも危惧されることから各地で住民とのトラブルも起きていることを踏まえ、地域福利増進事業の対象事業として追加するに当たっては、防災用の非常電源や住民参加の地産地消に資する発電設備等に限定するなど、真に地域住民等の共同の福祉又は利便の増進に資するものとなるようその要件を厳格に定めること。また、当該設備の整備後においても適切な運用がなされるよう、関係省庁の連携の下、継続的な確認等の必要な措置を講じること。

 二 特定所有者不明土地の範囲が朽廃した空き家等の建築物の存する土地に拡大することを踏まえ、地域福利増進事業等が円滑に行われるよう、建築物の除却に係る費用について、市町村等に対する必要な財政的支援を検討すること。

 三 災害等の発生を防止するため、管理不全の所有者不明土地に対する市町村長による代執行制度が創設されることに伴い、その執行が適時適切に行われるよう、ガイドラインの作成、制度の周知徹底等を行うとともに、必要な財政的支援を検討すること。

 四 所有者不明土地等の地域における課題がある土地への対応を実効的なものにするため、市町村が所有者不明土地対策計画の作成等のために組織することができる協議会において、宅地建物取引業者、司法書士、土地家屋調査士等の専門家の積極的な活用が図られるよう取り組むこと。

 五 地域における所有者不明土地等の利用、管理の担い手となることが期待される、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の活動が円滑に行われるよう、ノウハウの共有や必要な情報提供等を図るとともに、税制上の特例措置等を検討すること。

 六 地域福利増進事業の活用実績及び国土交通省職員の派遣の要請が少ない状況等を踏まえ、法に基づく所有者不明土地の利用の円滑化等の措置の活用が促進されるよう、地方公共団体や民間事業者に対して、地域福利増進事業等の制度の周知をより一層図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中根委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤国務大臣 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

中根委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中根委員長 次回は、来る四月一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十九分散会


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