衆議院

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第7号 令和4年4月6日(水曜日)

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令和四年四月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中根 一幸君

   理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君

   理事 塚田 一郎君 理事 土井  亨君

   理事 城井  崇君 理事 小宮山泰子君

   理事 市村浩一郎君 理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    井野 俊郎君

      伊藤 忠彦君    石井  拓君

      石原 宏高君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      小林 茂樹君    櫻田 義孝君

      笹川 博義君    田中 良生君

      谷川 とむ君    中川 郁子君

      三谷 英弘君    宮崎 政久君

      和田 義明君    稲富 修二君

      枝野 幸男君    後藤 祐一君

      神津たけし君    藤岡 隆雄君

      谷田川 元君    渡辺  周君

      池下  卓君    高橋 英明君

      山本 剛正君    河西 宏一君

      北側 一雄君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   議員           足立 康史君

   議員           池下  卓君

   議員           山本 剛正君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      渡辺 猛之君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   国土交通大臣政務官    木村 次郎君

   国土交通大臣政務官    泉田 裕彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 内田 欽也君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 住友 一仁君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           苗村 公嗣君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        土居健太郎君

   国土交通委員会専門員   武藤 裕良君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     井野 俊郎君

  根本 幸典君     石井  拓君

  宮内 秀樹君     三谷 英弘君

  福田 昭夫君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     笹川 博義君

  石井  拓君     根本 幸典君

  三谷 英弘君     宮内 秀樹君

  後藤 祐一君     福田 昭夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 宅地造成等規制法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

 特定土砂等の管理に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一八号)

 土砂等の置場の確保に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一九号)


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     ――――◇―――――

中根委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案、足立康史君外二名提出、特定土砂等の管理に関する法律案及び足立康史君外二名提出、土砂等の置場の確保に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、去る四日、三案審査のため、静岡県に視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、理事柿沢未途君、小島敏文君、塚田一郎君、土井亨君、城井崇君、小宮山泰子君、市村浩一郎君、伊藤渉君、委員古川元久君、高橋千鶴子君、福島伸享君、たがや亮君、そして私、中根一幸の十三名でございます。

 それでは、視察場所における調査の概要について御報告いたします。

 まず初めに、熱海市役所において、斉藤熱海市長から、昨年七月に発生した熱海市伊豆山地区土石流災害に関し、その被害状況、被災者の住まいの確保の状況及び今後のまちづくり等について、太田静岡県交通基盤部長から、盛土の状況、盛土緊急対策事業及び逢初川河川改良復旧事業等について、藤平中部地方整備局富士砂防事務所長から、TEC―FORCEの活動、二次災害を防ぐための監視活動の強化、直轄砂防災害関連緊急事業の実施など今回の土石流災害に関する中部地方整備局の取組について、それぞれ説明を受けました。

 説明の後、盛土緊急対策事業の今後の見通しや、砂防堰堤の整備の必要性、盛土等の技術的基準、二次災害を防ぐための監視体制、盛土についての危険性を認識しながら対策を講じることができなかった理由などについて、活発な意見交換を行いました。

 また、斉藤熱海市長から、個々の法律や抑止力の弱い条例でしか対応できなかったことも今回の災害の原因の一つであり、悪徳業者が法の網をかいくぐることのないよう、抜け道のない厳しい法律を作ってほしい旨の要望をいただきました。

 次に、逢初川源頭部の被災現場を視察いたしました。

 我々が視察した際は、盛土は大きく崩壊しておりましたが、その巨大な崩落跡地を目の当たりにし、今回の災害の規模の大きさを改めて認識いたしました。

 逢初川上流には今でも大量の土砂が残っており、人家等に被害が発生するおそれがあるため、中部地方整備局が既設の砂防堰堤に残っている土砂の除去、ブロック堰堤の設置を完了し、令和四年度中には新たな砂防堰堤を設置するということであります。

 続いて、逢初川中流部の被災現場を視察いたしました。

 斉藤熱海市長から、被災者の要望で最も多いものは、いつ自宅に戻ることができるのかということである旨の説明がありましたが、被災現場には被災した建築物がそのままの状態で複数残っており、更なる災害に備え、土のうが多数積まれているなど、復旧はこれからという状況でした。

 静岡県は、逢初川の災害復旧事業と併せて、流下能力の向上を図る改良復旧を行うこととしております。

 以上が視察の概要であります。

 なお、今回の視察に当たり、私どもの調査に御協力いただきました皆様方に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

中根委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長和田信貴君、不動産・建設経済局長長橋和久君、都市局長宇野善昌君、観光庁長官和田浩一君、内閣府大臣官房審議官内田欽也君、警察庁長官官房審議官住友一仁君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官苗村公嗣君、環境省大臣官房審議官白石隆夫君及び環境再生・資源循環局次長土居健太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中根委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自民党の菅家一郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年七月、静岡県熱海市において大規模な土石流災害が発生し、災害関連死も含め二十七名もの方がお亡くなりになり、多くの家屋が被災したわけであります。亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたすとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 熱海の土石流災害については、盛土の崩落が被害の甚大化につながったとされております。不適切な盛土により、このような災害を二度と起こしてはなりません。今回、危険な盛土等を隙間なく規制する法案が政府から提出されたことについては高く評価いたしたいと思います。しかし、各地で不適切な盛土や建設発生土の不法投棄などの問題が発生し、地方自治体が対応に苦慮しているということは以前から指摘されており、国の対応は少し遅かったと指摘せざるを得ません。

 二度とこのような惨事を起こさないようにしたいという思いから、今回の法案について質疑をさせていただきたいと存じます。

 三月二十八日、政府は、盛土の総点検の最終結果を公表されました。総点検対象箇所約三万六千か所のうち、必要な災害防止措置が確認できなかった盛土や廃棄物の投棄等が確認された盛土などが約千百か所も確認されたということであります。

 このような盛土については、早急に対策を講じ、安全性を確保していかなければなりません。地方自治体が必要に応じて詳細調査や各法令に基づく行政上の措置を講じ、国がこれを支援していくということでございますが、具体的に、地方自治体はどのような措置を行い、国はどのような支援を講じるのでしょうか。大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 御指摘の盛土については、関係部局間で情報を共有し、まずは行為者等により是正措置を行うことが基本であり、現行法令や条例に基づき、適切に行政指導や是正命令等を行う必要がございます。

 その上で、是正措置が講じられない場合などには、必要に応じて詳細調査を実施し、災害危険性が高いと判断された盛土については、地方公共団体が行為者等に代わって、盛土の撤去や擁壁設置等の災害防止措置を講ずることになります。また、廃棄物の混入が確認された盛土について、是正措置が講じられない場合などには、地方公共団体が廃棄物と土を分別の上、適切に処理することになります。

 これらの対策実施までやむを得ず時間を要する場合には、土のうの設置や排水対策等の応急対策を講じるとともに、監視カメラ等による盛土の変状の観測など、地域住民の迅速な避難等につなげる対策も重要です。

 国としても、安全対策工事等を地方公共団体が行う場合の財政支援を今年度予算等に盛り込んでおり、その活用を促しつつ、できる限り早期の対策実施を図ってまいります。

菅家委員 政府提出法案では、規制区域内の土地の盛土等について、管理不全等により安全性に問題が生じている場合、該当業者へ擁壁の設置等の改善命令を行うことができ、また、これらの措置が不適切な場合には代執行を行うことができると規定されているわけであります。

 適切な盛土を行ってこなかった、法にのっとって対応してこなかった、こういった場合には、当然ながら、該当する業者の責任で当然改善していかなくてはならない、これは当たり前なことで、考えるわけでありますが、ただ、規模とか改善する業者の体力とか、あるいは、中には、今ではもうそういう業者が倒産して、いないとか、様々な条件、状況によっては、本来は不適切なものを適切にしなくてはならないわけですが、全ての業者がこのような措置を果たしてきちっとやれるのかというのは私不安を持っているわけでございまして、結果として行政が行政代執行を行うということなんですが、国からの支援があるということでありますが、あくまでもこれは代執行でありますから、ある意味では自治体に非常に大きな負担というものを強いることになるわけであり、また、業者も適切にこれに対応しなくてはならないという、この点が非常に私心配な点でありますが、この点について十分な実効性が確保できるのかという視点で御見解を伺いたいと思います。

渡辺副大臣 ただいま菅家委員御指摘のとおり、地方公共団体が行政代執行により危険な盛土に対し災害防止措置を講じることについては、その費用負担を懸念し、実行をちゅうちょするケースも考えるものと認識をしております。

 このため、国としては、今年度の当初予算におきまして、総点検の対象となった盛土について、その撤去等を行う行政代執行等に要した費用につきまして、地方公共団体への財政支援を行うこととしております。

 あわせて、不法な盛土を発見した場合の対応方法をまとめたガイドラインを示し、地方公共団体がちゅうちょなく行政代執行等必要な措置を講じることができるよう支援してまいります。

菅家委員 今の議論は、もう盛土がしてあって不適切なことに対する議論なんでありますから、適切にそこは、今御答弁あったことを踏まえながら、しっかりと現状を把握して対応して、二度と繰り返さないという、この点を踏まえながらしっかり対応していただきたいと思います。

 次は、今度、新たにこの法律に基づいて盛土をするという視点で何点かお聞きしたいんです。

 今回の政府提出法案では、規制区域における工事の技術的基準について、政令で都道府県等の規則に委任した事項についてはその規則にも従うべきことが規定されているわけであります。これは当然、当たり前と言ってはおかしいですけれども、この点についてちょっと確認したいんです。

 例えば、やはり豪雨ですね。台風とかあるいは線状降水帯なんかになると、豪雨で一般的な土壌も緩んで土砂崩れが起きたりするような、いつもそういう場所もあるわけでありますが、あるいは、豪雪地帯などは、雪崩で土砂崩れというのは頻繁なんですね。あるいは、最近は地震ですね。地震でやはり土砂崩れだ云々とあるわけでありますから、そういった状況の中にあって、いわゆる地方の気候や風土、地勢などに合わせて基準を当然強化すべきではないか、一般的な盛土じゃなくて、その辺の強化をすべき、このように思うわけですが、どのように対応されるのか、お示しをいただきたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案においては、全国一律の技術的基準を設定し、規制区域における盛土等を行う工事について、当該基準への適合を求めることとしております。

 あわせて、地域によっては、降水量が特に多いなどの気候の条件、崩落が発生しやすい土壌であるなどの地質の条件などの特殊性もあることから、地域の実情に応じ、都道府県等が規則で技術的基準の強化等ができる仕組みとしております。

 このため、御指摘のような豪雪地帯において、必要な場合は、降雪量などの地域の特殊性を踏まえ、規則により技術的基準を強化することは可能と考えております。

菅家委員 今の御答弁について、ちょっと懸念というのがあるわけですが、この場合、技術的基準が強化されるということであれば、当然、盛土の建設費も増加すると思われるわけでありますから、基準の強化による建設費の増加分、これについては、工事の契約額に適正に反映をして、事業者が負担させられるというようなことにはならないようにしていただく、当然のことでありますが。この点について、確認でありますが、お示しをいただきたいと思います。

和田(信)政府参考人 公共工事の建設現場から発生する建設発生土につきましては、国や地方公共団体が発注者として、適正処理に必要な費用を適切に負担するということがまず重要でございます。

 新しい基準は、今御審議いただいていますこの法案、これに基づいてできるものではありますが、まず、今できることをしっかりやろうという観点から、この四月一日に、地方公共団体に対して、総務省と国土交通省と連名で、建設発生土の搬出先を指定する指定利用などを徹底するとともに、指定の内容に応じて、適正な運搬費、処理費を計上して予定価格を設定するよう、今回初めて周知しております。

 盛土などの新しい技術的基準は、これから政令で定めることとなっておりますが、法案成立後、これまでの知見や有識者の御意見などを踏まえ、具体的に検討してまいります。その技術的基準によって、おっしゃるように、盛土の処理費用、受入れ費用、こういったものに影響は出てき得るものと思います。

 この新しい技術的基準の下、公共工事の発注者が、建設発生土の適正処理に係る費用の実態などを踏まえて、適切な費用負担が行われるよう、国土交通省として、関係省庁とともに取り組んでまいります。

菅家委員 是非、その辺は重要なので、利益が出ないような発注額であれば、やはり手を抜いたり、法律があっても適切にやらないなんということにならないように、しっかりとそこは対応していただきたいと思います。

 それでは、最後になりますが、この熱海のような危険な盛土を二度と発生させないためには、適切な盛土工事が行われることを確認するための仕組み、これが必要だ、このように考えますが、大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 盛土等に伴う災害の防止のためには、許可を受けた盛土工事が、技術的基準に従い適切に実施されているということを確認することも非常に重要でございます。

 このため、本法案においては、一定規模以上の盛土等については、工事完了時の完了検査だけではなく、施工中の中間検査を行うとともに、造成主に施工状況を定期的に報告させることとしております。これにより、工事完了時には確認することが困難な排水施設の敷設の状況を確認したり、工事中の盛土等の施工状況等を把握したりすることが可能になるものと考えております。

 あわせて、都道府県等が的確に検査等を実施することができるよう、国から検査等について実務上の参考となるガイドラインを示すなど、必要な支援を行うこととしております。

 二度と熱海市と同様の悲劇を繰り返さないよう、的確な検査の実施も含めた取組をしっかり進めていきたいと思っております。

菅家委員 是非しっかり取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 今週月曜日、四月四日、衆議院、冒頭に御報告ありましたとおり、当委員会として、熱海市内の伊豆山土石流災害の現場を視察をさせていただきました。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災をされた皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。復旧復興に向けて更に努力をしていくとともに、二度とこのような災害を起こさぬよう対策を講じていくことを誓い、質問に入らせていただきたいと存じます。

 まず、これまで約三万六千か所の盛土について国土交通省を中心に点検を完了しているというふうに報告をいただいております。そのうち措置が必要な盛土が約一千百か所、全国にあります。速やかに安全対策を講じる、あるいは詳細調査を行うなどの対応をする、このようにお伺いをしております。その上で、法案成立、施行後五年以内に、全都道府県等で規制区域の指定を行う。毎年の豪雨等を考えますと、できる限り速やかに規制区域を指定していくことが肝要だと思います。一方で、対応する自治体のマンパワーを始めとするリソース不足という課題が恒常的に存在をするというふうに考えております。

 具体的にこれから進むのは、一つは既存の盛土、先ほど申し上げた、点検をして安全対策を講じる必要がある盛土の安全対策の推進、さらに、速やかな規制の実施、これは法案成立後です、そして、そのために必要となるリソースの確保、この三つを同時に進めていかなければならないというふうに考えます。その上で、国土交通省におかれましては、特に、現場の近くに存在をする地方整備局、この体制を更に強化をして、十分な自治体のサポートをお願いしたい、こう思います。

 これにつきましては、国土交通大臣に是非とも御答弁をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 今伊藤委員御指摘のように、今後、都道府県等においては、まず既存の盛土等の安全対策、それから本法案に基づく規制の実施に向けてノウハウの獲得や人員、予算等の確保が必要となってまいります。

 このため、既存の盛土等の安全対策の推進に当たっては、総点検の対象となった盛土について、都道府県等が実施する詳細調査や対策工事等に対して国が財政支援するとともに、不法な盛土等への対応に当たり参考となるガイドラインを国で策定し、都道府県等に示すこととしております。

 また、速やかな規制の実施に向けては、盛土対策に関する総括的な考え方等を定める基本方針や許可の際の技術的基準の案を早期に示すとともに、規制区域の指定に必要な基礎調査の実施方法をまとめたガイドラインの案を早期に示した上、調査費用について、法施行前の準備調査も含めて、財政支援を行うこととしております。

 さらに、ノウハウが不十分な都道府県等に対しては、地方整備局に新たに配置した盛土担当の職員を派遣するなど、個別的サポートも積極的に展開し、きめ細かく支援してまいります。

伊藤(渉)委員 是非ともサポート体制の強化をよろしくお願いしたいと思います。事前に聞いたお話によりますと、その担当の職員の方も十分とは言えない人数の可能性もございまして、予算との兼ね合いで難しいところもあるかと思いますけれども、我々もしっかり応援してまいりますので、十分な体制整備をよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、各都道府県等の中には、先ほどの質問の中にも触れられておりましたけれども、盛土等に関する条例を既に作り、所有をしている自治体もございます。今回の法律の内容は既存の条例を包含するような内容になっていると理解してよいのか、法律と既存の条例との整合性、あるいは関係性について、政府参考人にお伺いいたします。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案については、全国知事会等からいただいた要望や都府県が定めている土砂条例等の内容も踏まえた上で立案しております。

 具体的には、新たに造成される盛土等について、土地の利用区分にかかわらず許可制とし、全国一律の基準により安全確保を図ることとし、既存の盛土等についても、災害防止のため必要なときは、土地所有者や行為者等に対し是正措置を命令することを可能とするとともに、無許可行為や命令違反等に対し、厳格な罰則を適用することとしております。

 これらによって、盛土による災害から人命を守るという観点からは、既存の条例による規制の趣旨を十分に包含しつつ、更に万全を期する内容となっていると考えております。

 なお、全国の自治体の土砂条例の中には、盛土による災害の防止のほか、その他の目的も有するものもあり、その場合の取扱いについては、それぞれの自治体により判断されるものと考えております。

 国土交通省といたしましては、今回の法案の内容について都道府県等に対して丁寧に説明し、積極的に相談に応じるなど、各自治体が既存の条例との関係を適切に整理できるようサポートしてまいりたいと考えております。

伊藤(渉)委員 これも是非ともお願いしたいと思います。

 そして、今も少し触れていただきましたが、今回の法令では、特に法人に対する重科を設定をしておりまして、いわば違法盛土を抑止することも狙っているかと思います。これは、やはりそうした事業者、関係する方にそれを周知することが極めて重要で、これはいろいろな取組において政府の課題の一つだと私は思っております。よって、関係事業者を始め、法案成立後には、よくよくそうした制度になったことが現場の隅々にまで伝わっていくように是非とも努めていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。

 次に、安全性の確保のために今回法律を改正するわけですけれども、この安全性の確保のための規制といわゆる経済活動の自由、このバランスについても確認をさせていただきたいと思っております。

 三点お伺いします。

 一つは、自治体が実施する等の道路、あるいは、民間事業者ですけれども公共性の高い鉄道などのインフラのように、公共性が高く、国などの技術基準と同等の水準を有している事業主体の実施する盛土等については、その安全性が担保されていることが国交省において確認できているのであれば、規制の対象から除外をしてもいいものというふうに考えます。これはいかがでしょうか、これが一点。

 さらに、一方で、建設されるインフラそのものは技術基準がしっかりしているわけですけれども、インフラを建設をするときに、その現場から発生する土砂というものがございます。これを別の場所に処分するなどの行為が行われるわけですけれども、そうした発生土、いわゆる発生土による盛土等については規制対象になるというふうに考えていいかどうか。

 その場合、いわゆる発生土による盛土ですね、その場合、事業主体がいわゆる地方公共団体や国交省の直轄工事であろうが、それ以外の場合であろうが、その許可あるいは協議に当たっての技術基準は同じと理解しておりますけれども、以上三点について、見解をお願いしたいと思います。

宇野政府参考人 お尋ねの三点について、お答え申し上げます。

 一点目の、道路や鉄道などの公共施設の用に供される土地における盛土については、国等が定める構造基準等にのっとり、国や地方公共団体による監督下で施工される等、安全の確保について十分に措置されているため、規制の対象外とすることとしております。

 二点目の、公共施設の建設時に発生する土砂を公共施設用地とは別の土地に盛土する場合の取扱いについては、他の一般的な工事から発生する土砂による盛土と同様に安全性を確保する必要があることから、本法案による規制の対象とすることとしております。

 三点目の、盛土の許可の際に適用を求める技術的基準については、安全確保のための基準であり、盛土に関する事業の主体によらず同一とすべきものであることから、同じ基準を適用することとしております。

伊藤(渉)委員 明確かつ分かりやすい御答弁、ありがとうございます。

 安全性をいかなる場合でも担保するということと、いわゆる経済活動の自由とのバランスというのは極めて重要だと思いますので、これからまた詳細が、法案上も、設計されていくと思いますので、よくいろいろな方の御意見を聞いた上で対応をお願いしたいというふうに思います。

 もう一つ、同じような趣旨で、これは党内での法案審査の中で出たやり取りですけれども、この法律による規制区域の指定によって、資産価値が下がるなどして、区域内の地権者が不利益を被るような心配はないかというやり取りがございました。この点も考え方を整理しておきたいと思いますので、御答弁をお願いします。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案による規制区域は、区域そのものに災害発生のリスクを認めるものではなく、あくまで、その区域で盛土等が行われた場合に、それに伴う災害から人家等を守るために指定するものです。そのため、区域指定によって、むしろ土地の安全性が高まることにつながることから、資産価値が下がることは基本的に想定されないと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 これも、今おっしゃっていただいた答弁をよく、何というんですかね、市場にも理解していただく必要があると思いますし、その意味で、規制区域というのは、必要かつ十分な範囲ということをよくよく考えてこの法案は作られているということを理解をさせていただきました。

 私からは最後の質問になりますけれども、盛土による災害防止に関する検討会の提言においても、「新たな法制度を実効性のあるものとするためには、違反行為に対する厳格な罰則を措置することに加え、」これは今、法案の中に入っていると思います、違法行為の早期発見、関係機関での情報共有など、法の施行体制、能力を強化することが極めて重要であると。これは、三月二十九日の本会議で国家公安委員長より答弁がありました。

 まさにツールをこれでそろえていきますので、そのツールに従って、より多くの方の目で違法盛土を、発見するというか、みんなでチェックをしていくというか、そういう体制が、私、極めて重要だと思います。

 その意味で、この法案、施行後になりますけれども、警察等の関係部局等との連携について、今後お考えになっておられる国交省の考え方、取組についてお伺いして、終わります。

宇野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、違法な盛土に対し、本法案による規制を実効性のあるものとするためには、地方公共団体の執行体制や能力を強化することが大変重要であると認識しています。

 違法な盛土を早期に発見するためには、監視やパトロールが有効であり、また、発見した違法な盛土に対しては、是正の勧告や命令などの措置をちゅうちょなく毅然と実施していくことが必要です。そのためには、地方公共団体の盛土規制担当部局は、廃棄物担当部局等の関係部局のほか、警察と緊密に連携して対応することが必要です。

 具体的には、警察を含めた関係部局間において日頃から情報共有を密にするほか、連絡会議の定期的開催や、盛土規制担当部局と警察との人事交流などの取組を地方公共団体に促してまいります。

 あわせて、違法盛土の発見については、住民通報がきっかけとなることも多いため、盛土許可地の公表や、工事現場での許可を受けた旨の掲示などにより、住民通報が行われやすい環境の整備も図ってまいります。

伊藤(渉)委員 是非お願いしたいと思います。

 最後に、今回、月曜日、現場を見させていただいて、短時間での視察でしたので、本当の詳細はもちろん把握できていないと思いますが、残念ながら、土砂災害が発生した場所は元々沢であったと。つまり、水が集まる場所に土を埋め立てたとなると、これはとっても基本的にやってはいけないことをやったのではないかというふうに多くの方が感じたと思います。

 そういう意味では、今見ている現場だけではそれが分からなくても、そこに長らく住まわっている人には、こんなところ埋めていいの、そういうことが現場には現場の知恵として僕はあったのではないかと。

 そういう地域の声も十分お聞きいただきながら、安全性の確保にこれからも努めていただくことをお願いして、質問を終わります。

 以上です。

中根委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 まずもって、今回の土石流災害でお亡くなられた二十六名の方、また、行方不明者がお一人おられます。改めまして、御冥福をお祈りいたすとともに、心からの哀悼の誠をささげたいと思います。

 そして、質疑に入りたいと思います。

 まずもって、今、被害者の方、被災者の方、おられます。この警戒区域ということで、今まだ指定されている状況であると思いますが、この解除の見通しというものについて教えていただきたいと存じます。

内田政府参考人 お答えいたします。

 令和三年七月三日に熱海市の伊豆山地区において土石流災害が発生したことを受けて、熱海市は、八月十六日に、おおむね土石流災害が発生した範囲を災害対策基本法第六十三条に基づく警戒区域に設定し、災害応急対策に従事する者以外の立入りを禁止していると承知しております。

 土石流災害が発生した逢初川源頭部には落ち残っている盛土があることから、静岡県において、三月二十九日にその安定性の評価を取りまとめ、今後、熱海市と協力し、安全対策を実施することとしております。

 警戒区域の解除に当たっては、その区域の安全性が確保されることが前提になることから、熱海市は、静岡県の安定性の評価等を踏まえて、警戒区域の解除について検討していくと聞いております。

市村委員 一日も早く元に戻りたいというお声もあります。もちろん安全対策をしっかりしなくちゃいけないと思いますが、皆さん一致協力して、県、市、また国、協力して、一日も早く警戒区域が解除されることを願うところであります。

 そして、何事も最初があるということでありますし、何事も最初が肝腎というところでありますが、この度の熱海の件、先日私も視察に行かせていただきました。

 伊豆という地名の元になる伊豆山地区というところがこの災害の場所だったということでありまして、伊豆山神社もある、頼朝、北条政子の関係もあるというところだというふうにお聞きをしております。そうした伝統のある、歴史のある土地で起こった大惨事ということであると思いますが、そのきっかけ、最初というのがあったと思っております。

 これは、この視察に関していただいた資料の中に指導等の経緯というのがありまして、この時期、二〇〇七年五月、ここから始まっているんですね、二〇〇七年五月です。もう十五年前ということでございますが、静岡県が、A社、この場合A社となっていますが、行為者に対し土地改変行為の中止、森林復旧を文書指導した、これは森林法に基づく指導ということであります。ということは、もうこの段階で多分、県及び恐らく熱海市も危険性を認識していたのではないかと思うんですが、今日は林野庁からもお越しいただいていると思いますが、森林法で、まずここでなぜ防げなかったか、まずここでなぜできなかったか。先ほど、委員長から、結局、個々の法や条例では対応できなかったということもありましたけれども、いま一度、森林法に基づいてなぜここでストップできなかったか、御見解をお示しいただければと存じます。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 静岡県が設置しました逢初川土石流災害に係る行政対応検討委員会、令和四年三月に公表した中間報告がございます。

 この報告によりますと、一ヘクタールを超える開発行為というのは林地開発許可の対象になるわけでございますが、今回の盛土が行われた箇所においては、開発面積が当初一ヘクタール以下であったものの、実際には一ヘクタールを超えていたことから、林地開発許可違反として、二〇〇七年五月に静岡県が事業者に対し行政指導を行い、木柵、土留めや植栽等を内容とする是正措置が二〇〇八年八月には完了していたということでございます。その後、二〇〇九年から土砂の搬入が再び行われまして、静岡県と熱海市が協議した結果、県土採取等規制条例に基づく指導が市により行われたということとなっております。

 現在、この行政対応検討委員会におきましては、今後、熱海市における行政対応の検証結果を加え、最終報告を行う予定というふうになっておりますので、現時点ではこのような状況かと思っております。

市村委員 今度この件についてはいろいろまた議論したいところですが、ちょっと時間もありますから。

 次のチャンスがあったと私は思っていますが、もちろん、県条例としては、二〇〇九年七月に、届出書と現場の面積が異なるということで、市がA社、B社、B社は施工業者ですけれども、に対し変更届の提出を指導したというところがあります。条例は弱いと思います。今日は国の議論ですから、ここはもう議論しません。

 次のチャンス、二〇一〇年八月です。これは、廃棄物処理法に基づいて、盛土の中に産業廃棄物が混じっていたため、市と県が撤去を指導しているんですね。じゃ、今度は、ここでなぜまたそうした盛土を、やはりもっと周知の下にさらして、止められなかったか。決して、先ほどの林野庁さんとか環境省さんに全ての責任をなすりつけようという議論をしているつもりは一切ありませんので、ちょっと環境省さんから、なぜ廃棄物処理法では止められなかったか、今後のこともありますから、是非とも御見解をいただきたいと存じます。

土居政府参考人 お答えいたします。

 静岡県によりますと、盛土の中に木くずなど産業廃棄物が混じっていることが判明したということでございましたので、廃棄物処理法に基づきまして県が指導しまして、その結果、二〇一〇年には木くずなどが搬出され、県は産業廃棄物が撤去されたということについては確認したということでございまして、そこまでということでございます。

市村委員 また来週もありますから、改めて質問させていただきたいと存じます。

 それで、そういった経緯がありながらも、結局、盛土がどんどんどんどん、最初の想定の三倍以上の高さまで土が盛られて、大雨による、先ほどの伊藤委員の方から、沢に造ったということがありました。今回のなった川の両側の川から水が集まってくるような構造だったがために、結局、大雨で盛土の、多分これは深層崩壊と言っていいのかな、どっと流れていって、五万五千ぐらい流れて、まだあと二万立米ぐらい残っているということらしいんですけれども、そういうこともあった上で今回の法案になっているというふうに思います。

 じゃ、今度、この法案ができた。今、熱海の後に調査をして、三万六千か所調査したら、危険の可能性があるというところが千百か所あるということでございます。では、この法律ができて、今後、国、都道府県、市町村はどう連携していくのか、この点についてお答えいただければと存じます。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 盛土の総点検の結果、必要な災害防止措置が確認できない、許可、届出等の手続が取られていないなど、点検項目のいずれかに該当する盛土が約千百か所ありました。

 不適正な盛土を生み出さないためには、本法案に基づく規制に加え、宅地や森林、農地等の土地利用目的に応じた規制、廃棄物処理における規制など、広範な行政分野における相互の連携が不可欠となります。

 このため、国においては、本法案に基づき、盛土対策の総括的な考え方や関係行政分野の連携について基本方針において示し、法の的確な運用を図ってまいります。

 また、地方公共団体に対し、本法案の所管部局と他の土地利用規制部局、廃棄物担当部局や警察などが緊密に連携して対応するため、日頃から部局間の情報共有の強化のほか、連絡会議の定期的開催や人事交流など、都道府県、市町村間も含めた連携強化の取組を促してまいります。

 こうした取組に対し、国として、不法な盛土への対応等の参考になるガイドラインの提示や職員の派遣等による助言、積極的な財政支援などにより支援してまいります。

市村委員 次に、土砂というのは、これは資源という側面があるということだろうと思います。この土砂を資源として有効活用するために、国土交通省さんはマッチングシステムというのを持っておられるというふうに聞いていますが、これをやはり私は強化をしていくべきだと思っていますが、これに対する御見解をお願いいたします。

和田(信)政府参考人 建設発生土の有効利用を進めるため、公共工事の発注者が、同一現場内で有効利用するなど、可能な限り発生抑制に努めることが重要であり、工事の計画、設計段階から有効利用の工夫などを検討する必要がございます。

 また、委員おっしゃるとおり、工事間での有効利用も非常に大事でありまして、これを進めるためには、建設発生土の量、質、時期などが適合していることが必要であります。そのため、広域で多くの発注機関でのマッチングの可能性を検討するということが重要でございます。現在、公共工事の間はもとより、民間も含めて工事間の利用を促進するため、建設発生土の官民有効利用マッチングシステムを設けております。

 今後、工事間での利用を更に促進できるよう、国土交通省から地方公共団体や建設業団体などに対して継続的に参加を働きかけてまいります。

 これに加え、国土交通省としては、地方公共団体にできるだけ早期にマッチングの好事例を情報提供したり、地方公共団体から具体の相談を伺うなどしてマッチングの取組を進めてまいります。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、マッチングする際に、すぐに需要と供給がマッチすればいいわけですけれども、なかなかマッチしない場合、やはり一時仮置場というところが必要になってくる。これはストックヤードという表現もされているようでありますが、これを、民間業者もあるようでありますけれども、また、民間業者も今のところ一〇〇%それが埋まっているわけじゃないということがありますが、私は国営的なストックヤードを造るということも考えられないかなと思っていますが、それに対する御見解をお願い申し上げます。

斉藤国務大臣 市村委員御指摘のとおり、マッチングさせるためにも、時間差を調整するという意味でも、その一時仮置場というのは非常に、そのとおりだと思います。建設発生土の一時仮置場を利用して搬出側と受入れ側の時期の調整を行うということにより、工事間での有効利用の可能性が広がるものと考えております。

 今般の法改正では、土石の一時的な堆積にも技術的基準を適用することとしており、一時仮置場における受入れに要する費用にも影響が生じ得るものと考えております。

 現在、受入れ料を徴収して一時仮置場を運営している民間事業者もあることから、その事業の継続性の観点も踏まえ、まずは公共工事の発注者が建設発生土の運搬費や受入れ費用などについて適切な費用負担を行うよう、国土交通省として、関係省庁とともに取り組んでまいります。

 また、法の施行状況や現場の状況を見ながら、建設発生土の有効利用を進めるための施策について、今後とも、引き続き取り組んでまいります。

市村委員 ありがとうございます。

 続きまして、ちょうど一週間前、所有者不明土地法の審議をここでさせていただいたわけでありますが、一説によると、九州大の不明地があるということであります。

 今回、白地部分がありまして、後ほど維新法の提出者に質問させていただきますが、白地部分があるんですが、そういうところがもし所有者不明土地だった場合、結局、そこにぼんと土を置いていったりするということがまた横行してはならないということでありまして、やはり早期発見、通報体制ということを運用実効性の担保のためにやらなくちゃいけないと思います。

 ここで盛土規制との関係を聞こうと思ったんですが、ちょっと時間がないので、別の、やはり何といってもこの不適切な盛土の取締りを強化していかなくちゃいけない、こう思います。所有者不明土地とかを、所有者が知らないから、どんどん捨てておけばいいんだということにならないようにしなくちゃいけない。

 そのために、今回、法人だと罰金三億円ということになっていますが、熱海の例を見ますと、今、所有者はC氏という個人になっておられるんですね。こういった場合に、今度は、個人の所有しているところに盛土がされたとかいう場合があるのかどうか分かりませんが、もしそうなった場合は、法人だと罰金三億円ですけれども、個人の場合だったらどうなってしまうんでしょうかということになっているんですね。

 その点について、ちょっと警察の方から、不適切な盛土の取締り強化ということと併せて、お答えいただければと思います。

住友政府参考人 御答弁申し上げます。

 議員御指摘のとおり、違法な行為に対しては、関係機関としっかり連携をしつつ、法と証拠に基づいた厳正な取締りを行う必要があるというふうに考えております。これにつきましては、法人であろうと個人であろうと関係なく、しっかりとした取組や対応が必要であるというふうに考えているところでございます。

 そして、盛土による災害防止に関する検討会の御提言においても、新たな法制度を実効性のあるものとするためには、違反行為に対する厳格な罰則を措置することに加え、違反行為の早期発見、関係機関での情報共有など、法の施行体制、能力を強化することが極めて重要であるとされております。

 警察庁におきましては、こうした役割を都道府県警察が積極的に果たすことができるよう、今後ともしっかり指導してまいります。

宇野政府参考人 個人の場合の罰則についてお尋ねがございましたので、それについてお答えさせていただきます。

 本法案における個人に対する罰則につきましては、無許可工事や措置命令違反など、災害を直接惹起する違反行為について、最も重い罰則として、三年以下の懲役又は一千万円以下の罰金を科すこととしております。

市村委員 この三年以下の懲役、一千万円の罰金、条例の二年、百万よりは厳しいんですけれども、じゃ、本当に一千万が三億と比べてどうなのかと。結局、じゃ、個人にということになってしまってはいけない。

 ただ、先ほど警察庁さんの方からは、個人だろうと法人だろうと徹底的にやるぞということでありますけれども、徹底的にやったときに、一千万ぐらいならいいわ、やってみろ、こういうことに、懲役三年がありますからどうなのか分かりませんが、そうならないように是非とも、国交大臣、済みません、国交省と関係各省庁、警察さんも含めて、やっていただきたいと思いますが、国交大臣からの御見解をいただきたいと存じます。

斉藤国務大臣 違法な盛土に対し、本法案による規制を実効性のあるものとするためには、警察との連携も大変重要である、このように認識しております。

 地方公共団体においては、違法な盛土を早期に発見するためには監視やパトロールが有効であり、また、発見した違法な盛土に対しては是正の勧告や命令などの措置をちゅうちょなく毅然と実施していくことが重要です。

 そのためには、地方公共団体の盛土規制担当部局は、廃棄物担当部局等の関係部局のほか、警察と緊密に連携して対応することが必要でございます。具体的には、警察を含めた関係部局間において日頃から情報共有を密にするほか、連絡会議の定期的開催や盛土規制担当部局と警察との人事交流などの取組を地方公共団体に促してまいります。

 こうした取組について、国においても、警察庁とよく連携を取りながら、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

市村委員 続きまして、日本維新の会提出者に、足立代議士の方にお聞きしたいと思いますが、今回、閣法に対して、補足法と言っていいような維新案だと思うんですけれども、今回の閣法のような盛土規制だけで土砂災害の防止は十分と言えるんでしょうか。それも含めて、また、今回の提出に至った思いも含めてお話しいただければと思います。

足立議員 御質問ありがとうございます。

 本当に、今回、政府案がこういう形で国会提出され、御審議いただいていることについては、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 二〇一四年に私の地元で事故が起こってからずっと取り組んできましたが、ずっと国交省はじっとされていたわけではなくて、太田大臣のときにも、それこそ各省がみんな、俺じゃないんだと、今日は環境省も来ていただいていますが、環境省と国交省の方が私の事務所へ来て、お互いに、いや、これは私たちじゃないんだというネガティブ権限争議が延々と繰り広げられる時代がありました。

 そういう中で、当時、国会で質問させていただいて、当時の太田大臣が、いや、ちょっとこれは、確かにあだっちゃんの言うこと、あだっちゃんと言うんですね、太田大臣。(発言する者あり)ありがとうございます。

 あだっちゃんの言うこと一理あるなあということで、いろいろ御指示もいただいて、大臣官房か総合政策局か忘れましたが、国交省が庶務をやる、真ん中に座るということで、関係府省、関係省庁連絡会議を立ち上げていただいたところから大きく話が進み出したわけであります。

 この法案ができるまでに熱海の、本当に、被害者が出たことは、ざんきに堪えませんし、申し訳ないと思っていますが、今日こうして、今回、盛土の規制、これができるということはすばらしいことだと思っています。

 ただ、今、市村委員御指摘のとおり、それで、じゃ、十分かというと、私たちは、一歩前進だけれども、十分とは言えないと思っています。そうした観点から、盛土規制だけではなくて、トレーサビリティー。要は、盛土規制というのは、皆様御承知だと思いますが、土砂というのは一つじゃないんですね、いろんな土の性質、地域によっても違うんですね。だから、どこから来た土砂なんだと。それから、先ほどもあった、いろんなものが混ざっていたりもする。すると、いわゆる産業廃棄物で行われているようなマニフェストのような形でトレーサビリティーをしっかりと取っていくことによって、いろんな効果が期待されるし、何よりも、その盛土規制の安全性もなお一層高まるということでございます。

 それからもう一つは、出口ですね。しっかりと置場がない。あるいは、安くって、安全規制をするとお金がかかるんですが、比較的安価に最終処分できるような置場というものがしっかりと都道府県なりの努力で整備されていけばこうした事態も緩和できるのかなということで、その二点について維新の会として独自の法案を出させていただいているという趣旨でございます。

 ありがとうございます。

市村委員 今、足立提出者の方から、トレーサビリティーの話、それから土砂の置場を確保しなければならないということがありました。

 実際、どうでしょうか。この土砂の置場というのは十分確保できていると提出者はお考えでしょうか。

足立議員 御質問ありがとうございます。

 まさにそこが実は大きな課題だと思っています。

 多分、この日本の高度成長期の時代にもよって、例えば埋立てといろいろ、土砂の発生と埋立地のバランスとか、いろいろな、土砂全体の需給バランスというのもあったと思いますが、これは、私、野党でなかなか検証が十分にできていませんが、そのバランスが崩れてきている結果、いろいろな弱いところにこの問題が噴出をしてきているのかなと推測をしているわけであります。

 それから、今回の規制も、盛土規制、これは一歩前進でありますが、もし、先ほどの白地ということがありました、白地が残って、そっちに集中されると、白地がもし、例えば急傾斜地とかが白地で残っちゃうと、平たいところの安全対策より険しいところの安全対策の方がお金がかかるに決まっているんですね。だから高くなる、でも高いお金はかけられない、だから手抜きになる、違法なことをやる、隠れてやる。

 そういうおかしなことにならないように、どうやって実効性を高めていくかということを、この置場の確保ということで私たちが申し上げているのはそういう奥行きのある話でございますので、是非皆様には、その奥行き、広がり、話の重要性にも思いを致していただいて、また御審議をいただきたいと思います。

市村委員 今、白地の話もまた改めて提出者の方から出していただきましたが、今回の法律、閣法においては、いわば隙間のない規制だということでうたっておられます。

 ここでちょっと疑問なのは、本当に隙間がないのか、こういうことなんですね。

 今回の閣法が新たに設ける盛土規制のゾーニング、特定盛土等規制区域ということでは、どうも空白部分ができてしまっているのではないか。そうなると、その空白部分、特に、今提出者からもありました、急峻な部分とかがもし空白になってしまっている、特に、今回、人命に影響のない場所までは規制は及ばないというような話もちょっと伺っておるんですね。では、急峻な部分というのは、確かに人命に余り影響がなさそうな気もしますから、そこがもし空白になっていくと、先ほども私も指摘させていただいておりましたように、そこが所有者不明だったりとかした場合、はっきり言って、遵法精神のない、今日の委員長報告によりますと悪徳業者という言葉も使っておられましたが、悪徳業者からすると、遵法精神がないわけですから、法律があろうとなかろうと関係ない、ばれなきゃ捨ててしまえ、こういう話になってしまうんじゃないかというおそれがあると思うんですが、それに対する提出者のお考えをお聞かせいただければと思います。

足立議員 これも、同じ政党ですからよく理解していただいているのは当たり前なんですが、本当にありがとうございます。

 これは本当に、今回の法案は、繰り返しになりますが、一歩前進でありますが、この白地ができる問題は私は結構深刻だと思っています。

 私ども大阪府下で、大阪府で、二〇一四年に私の地元で土砂崩落がありました。その直後に、松井知事に走り回っていただいて、大阪府の土砂条例を作りました。この大阪府の土砂条例については、もし委員会でまた参考人質疑の場を設定していただければ、そこに大阪府の担当者をお招きをして説明いただきたいと思っていますが、大阪府の条例には白地はありません。大阪府下全体が、罰則の限界はありますが、条例でカバーしています。だから、最初に規制区域を指定するという作業はありません。全ての土地は規制対象なんです、大阪府の条例。

 それからもう一つ、大阪府の条例では、禁止区域、そもそも、許可制以前に、許可の手続、審査をする以前に、ここは駄目だという禁止区域があるんですね。

 この二点にわたって、大阪府の条例と今回の閣法とは違うわけであります。

 この二点は、大阪府に実態を聞いていますが、やはり必要じゃないかと。大阪府の条例の方が合理的じゃないかという議論を実は地元としている次第であります。

 一歩前進で感謝をいたしますが、今御指摘いただいたように、人命に関係がないといっても、日本の山はみんな里山、ここが崩れても、家はないかもしれないけれども、みんな、自分たちの先祖代々の山としてめでてきて、大事にしてきて、そしてまた、家はなくても山に入っていろいろな活動をしているわけでありまして、私は、白地をつくることについては、規制区域を設定することについては、今申し上げたような観点からどうしても腑に落ちないというか、ちょっと違うのではないかなと思っている次第でございます。

 もうちょっとしゃべりましょうか。質問時間ちょうどですよね。(市村委員「まだ、もうちょっと。国交省さんにも同じ質問をしたいので」と呼ぶ)分かりました。

 終わります。

市村委員 では、同様の質問を、国交省さんから。白地が今回のはあるということについての御見解を局長の方からお聞かせいただいて、最後にちょっと大臣の方からそれに対する御見解をいただきたいと存じます。

宇野政府参考人 規制区域の白地についての御質問でございました。

 本法案は、盛土等に伴う災害から人命を守るため、許可制により厳しい権利制限をかけ、規制を行うものでございます。このため、その目的に照らして必要かつ十分な区域を規制対象とすることとしております。

 具体的には、盛土等に伴う崖崩れ等によって近隣の人家等に被害が生ずる蓋然性が高い集落、それから市街地、市街地になろうとするエリア、それからその近隣するエリアについてのほか、人家等から離れた場所であっても、地形等の条件から、盛土等が崩落した場合に土砂が流下して下方の人家等に危険を及ぼし得る斜面地のエリアを広く指定することができることとしておりまして、これによる、盛土等に伴う災害から人命を守るために十分な区域が指定されるものと考えております。

 さらに、おおむね五年に一度基礎調査というのをやって、どこが危ないのかという把握をした上で指定するということであり、また、市町村からも申出をする、この区域は危ないから指定してくれという申出ができる制度も設けてございます。

 また、これは通知で促すことにしておりますが、各部局、ほかの部局とも連携してパトロールをやって、そこで危ないもの、それから住民の通報を生かして区域の設定をしていきますので、人命を守るという目的を果たす上では十分に広くエリアが設定できるような仕組みにしたというふうに考えております。

斉藤国務大臣 二度と熱海、また、先ほどお話がございました豊能町のような事例は起こさない、そういう精神は、今回両方の法案に共通していると思います。

 先ほど、局長、答弁申し上げましたように、いわゆる厳しい規制をかける、そのこととのバランスということも大事でございます。実質的に人家、人命等に被害は絶対及ぼさないという意味では、私は精神は共通している、このように思っております。

市村委員 ありがとうございました。

 終わります。

中根委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 熱海の土石流災害から今月三日で九か月となりました。私も現地視察に参加させていただきましたが、土のうが盛られていることや、土砂が流出し、深くえぐられた源頭部、いわゆる起点にセンサーやカメラが設置されている以外は、発災当時と余り変わっていないように思いました。

 大切な家族を亡くした御遺族や被災者の気持ちは少しも癒えていないと思います。改めて、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

 静岡県は、現場にまだ二万立方メートルの土砂が残っているものの、今年の雨季を乗り越えてから撤去を行うと説明しておりました。不安が残ります。国の直轄事業も動いておりますが、応急対策に万全を取るようお願いしたいと思います。

 今回の法案がもっと早く成立していたらあの災害は防げていたのか、ずっと考えております。

 そこで、大臣に伺います。昨年七月の熱海土石流災害において崩落した盛土は建設発生土であるという認識でよろしいでしょうか。そして、今回の法案は、熱海のような被害を防ぐことができるでしょうか。

    〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕

斉藤国務大臣 昨年、静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害の際に崩落した盛土の由来については不明でございますが、建設発生土が含まれていた可能性もある、このように認識しております。

 本法案におきましては、新たに造成される盛土等について、土地の用途にかかわらず許可に係らしめ、全国一律の基準により安全確保を図ること、既存の盛土等についても、災害防止のため必要なときは土地所有者や行為者等に対し是正措置を命令することを可能とすること、さらに、無許可行為や命令違反等について厳格な罰則を適用すること等の措置を講じております。

 また、法制度を実効あるものとするため、地方公共団体における執行体制の確立や、盛土担当部局と廃棄物の担当部局、警察など関係部局との連携強化も促してまいります。

 国土交通省としては、二度と熱海市と同様の悲劇を繰り返さないよう、関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 できると思うかという問いに対して、答えにくいと思いますけれども、そういうつもりで作ったという理解をすればよろしいということでしょうか。

斉藤国務大臣 二度とこういう悲劇を繰り返さないという決意の下に作りました。

高橋(千)委員 現場でも、斉藤熱海市長などが、このようなことが二度と起きないようにと立法化を強く求めてきたということをおっしゃっておりました。

 その気持ちはみんな一緒だと思うんですけれども、だからこそ、国交省自身がお話しされている隙間のない規制というのが、本当にそうだろうかということで、今回の、既に委員会でも議論が出ておりますが、ゾーニングの問題ですとか、やはり本当の意味での隙間のない規制にしていかなければ、抜け道を許さないという立場に立たなければ、審議を通して、政府自身も思い切って修正をかけるという気持ちを持って臨んでいただきたい、このように思っております。

 そこで、静岡県土採取等規制条例に基づく届出は三・七万立方メートルだったけれども、実際に崩れたのははるかに多い五・五万立方メートルで、かつ、まだ二万立方メートルが残っていると聞きました。県も市も、届出を正確にとか、産廃が混じっているんだとか、様々これまでも指導してきました。

 しかし、資料の一枚目にあるように、県の条例では県内全域が対象だけれども、条例自体は大変優れていると検討会の中でも指摘をされているんです、ただ、効力がとても弱いと。条例という限界があります。一ヘクタール未満として届出をしていたことや、そのために、森林法に基づく開発許可という点でも要件を満たさないとか許可も必要ないとか、宅地造成法の区域ではあるけれども宅地造成ではないからとか、そういった理由で土地利用規制では網がかからなかったということが示されていると思うんですね。

 そこで、一般論で伺いますが、本法案は、宅地造成等規制区域において、都道府県知事の許可の対象とする盛土行為等は、面積、容量を、下限値、どのようにするのでしょうか。また、特定盛土等規制区域においても、届出制になるんですが、一定の要件、規模が大きい盛土というイメージがありますが、許可にすると思います、どの程度を考えているでしょうか。

    〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の許可の対象となる盛土の規模については、今後、有識者の御意見も承った上で検討することになります。

 具体的には、宅地造成等工事規制区域については、現行の宅地造成工事規制区域における規制対象をベースにして検討することを想定しております。

 また、特定盛土等規制区域については、今般新設する規定であるため、これに対応する現行の宅地造成等規制法の基準はございませんが、大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれのある盛土等として適当な規模等について検討の上、定めることとしております。

高橋(千)委員 結局、そこでまた、現行ベースとおっしゃいましたけれども、やはり一定の高いところから始まるというのであれば、厳しく規制をしますといっても意味がなくなってくるんではないかなと思うんですね。

 五百平米以上かということがちょっと議論されておりますが、そのくらいだと思ってよろしいでしょうか。

宇野政府参考人 先ほど申し上げました現行の宅地造成工事規制区域における規制対象が、面積五百平米を超えるものということになっておりますので、それをベースに検討させていただきますし、決して穴がないように、きちんと、危ない盛土を規制できるような規模にしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 その上で、今回の、これも一般論ですけれども、既に災害が起きてしまった場所、それは、現行の宅地造成法にはひっかからない場所であったり、いろいろあると思うんですね。でも、もう災害が起きてしまったような場所は今回の規制区域に含める、そういうふうにするべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 御指摘のように、過去に土砂災害等が発生した箇所においては、同様の災害が発生する可能性が高い、このように考えます。このため、現行の宅地造成等規制法に基づく規制区域の指定に当たっての留意事項としても、指定の対象とすべき区域の自然的要件として、過去に大きな土砂災害が発生した地域等を挙げております。

 本法案では、国が、規制区域の指定に関する考え方を含む基本方針を定めるとともに、区域指定に関する具体的なガイドラインを示すこととなっておりますが、それらの中で、過去に大きな土砂災害が発生した地域が的確に区域指定されるよう取り組んでいきたいと思っております。

高橋(千)委員 確認をさせていただきました。ありがとうございます。

 昨年七月六日の静岡新聞にこんな記事がありました。長年にわたり盛土、住民、やはりこの場所との言葉を紹介しています。崩落現場は、山林の奥まで進入路がつながり、土を運んだダンプカーがしきりに出入りしていた。何年も土を階段状に積み上げていた、一体何をしているのかと思っていたという近隣の会社員の声を紹介しています。私たちも、大型バスは通れない、余りに細い坂道を登って、ここをダンプカーが通ったのかと大変驚きました。

 法案では、知事の許可を得た盛土等は公表し、住民に周知を図ることになると思います。一方、許可の内容と実際が違うということもあるわけですよね。それを防がなきゃいけない。なので、住民による情報が、通報されればすぐ行政が動くというような、連携ですかね、仕組みをつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案においては、許可を受けた盛土について、工事現場による標識の掲示義務や、都道府県等による許可を受けた土地の公表を行うこととしており、これにより住民等による通報を促す仕組みを整えています。

 また、住民等から通報があった場合には、盛土規制担当部局だけでなく、廃棄物担当部局や警察等と情報共有を速やかに図るとともに、これらの部局と緊密に連携し、是正命令等の措置を的確に実施するよう、国としても、不法な盛土への対応方法をまとめたガイドラインを示してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 情報の共有、非常に大きなポイントだと思いますので、しっかりお願いしたいと思います。

 一つ飛ばして、次の質問に行きます。

 私の地元青森市内には、国道から見えるところにメガソーラーが広がっていて、どこの県にもあると思いますが、その隣が、沢を埋め立てておりまして、次なるメガソーラーを造るところでありました。熱海と同じようなことが起きないかというふうに思いました。

 そして、現実に起きているわけでありますが、資料の二枚目、これは、昨年九月二十七日付の読売新聞です。「太陽光施設崩落相次ぐ」という見出しであります。この写真に出ているのは二〇一八年の神戸市須磨区ですが、西日本豪雨による土砂崩れで、山陽新幹線の間際までパネルが落下しました。記事の下から二段目に書いてあるんですが、西日本豪雨では十九か所の太陽光発電施設でパネルが損傷し、うち十一か所は土砂崩れだったと書いています。太陽光パネルの飛散、落下などの事故は二〇一九年度に百三十五件とあります。

 そこで、まず環境省に伺います。

 山間部のメガソーラー設置というのは、今話したように、沢を埋めるなど盛土行為を伴うものと思います。全国でどのくらいあるんでしょうか。計画も含めて、分かる範囲で伺います。

 今月一日から施行された温対法に基づき、地方自治体が再エネ促進区域を設定することになると思いますけれども、盛土崩落による災害のおそれ、これを考慮すべきと思いますが、どのようになっているでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの盛土行為、直接、統計というものではないですが、近似的なものといたしまして、林野庁の調査によりますと、林地開発許可の対象となる一ヘクタール以上の林地開発行為において、太陽光発電事業を目的としたものにつきましては、平成二十四年度から令和二年度までの九年間で千七百件程度、一万六千ヘクタール程度が実施されているということでございます。

 それから、二番目の御指摘の、改正温対法に基づく促進区域、こちらは、環境への適正な配慮の観点から、土地の安定性の確保が必要でございます。このため、再エネ事業により土砂災害等の懸念が生じないよう促進区域を設定するということとしております。

 具体的に、促進区域の設定に当たって遵守すべき基準を定めた環境省令も施行いたしましたけれども、土砂災害の防止の観点から規制対象となっている砂防三法等の指定区域につきまして、市町村が土地の安定性の確保に支障を及ぼすことがないよう検討することを義務づけてございます。

 また、同じ環境省令によりまして、各都道府県が促進区域の設定に関する基準を定める場合には、土地の安定性の確保について検討した上で、除外すべき区域等を定めるということを義務づけてございます。

 さらに、この省令は、現行法を前提とした省令でございますが、今般御議論いただいております盛土規制法、こういったものの状況を踏まえまして、更に関係省庁と連携をいたしながら、環境省におきましても適宜必要な対応を順次行ってまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。既に千七百件のこうした山間部のソーラー、メガソーラーというのが起こっているということでありました。

 そういう意味で、非常に住民の懸念というのは高まっているわけですが、今お話ししていただいたように、省令ができて、促進区域といえども、やはり区域としては含めない方がよいというところを含めないことということで、基準案の資料を私見ておりますけれども、しっかり明記をして、その上で、新しく法律ができていけば適時見直していくというお答えだったと思います。

 今まさに議論している盛土等規制法の問題がそこに反映されていくという理解でよろしいのかなと思います。是非しっかりとお願いしたいと思います。

 そこで、今度はエネ庁に伺います。

 近年で、太陽光パネルの飛散、落下などの事故、どのくらいあるんでしょうか。そのうち、土砂崩れなどに、災害につながった事例がどのくらいあって、どのようにそれを分析、対策を考えているのか、伺います。

苗村政府参考人 お答えいたします。

 電気工作物の設置者は、一定の要件を満たす事故が発生した場合には、経済産業省に対して事故報告を提出することが義務づけられております。

 自家用の太陽電池発電設備に係る事故報告の件数は、二〇一九年度は百三十五件、二〇二〇年度は二百三十五件となっております。さらに、二〇二一年度につきましては、本年二月まで集計した速報値で約二百五十件となっております。

 こうした事故の原因を分析をいたしましたところ、二〇二〇年度に発生した二百三十五件の事故のうち、約七割は電子基板の破損等によるものであり、土砂流出や地盤流出等を伴う事故は四件となっております。

 経済産業省といたしましては、こうした事故を踏まえまして、二〇二〇年二月に、太陽電池発電設備に係る技術基準を改正し、土砂流出又は地盤の崩壊を防止する措置を講じなければならないことを規定するとともに、二〇二一年十二月には、NEDO、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構が作成した傾斜地設置型等に対応した設計、施工方法のガイドラインを技術基準に取り込むといった対策を講じてきたところでございます。

高橋(千)委員 ちょっと語尾が聞き取れなかったところがあったんですけれども、七割は電子基板とかの事故であるというお話で、それはそんなに大きくないよという趣旨でおっしゃったのかなと思うんですけれども、この間、ガイドラインを作ったりとか対応してきたということは、さっき環境省に対しても質問いたしましたけれども、やはり、ソーラーそのものが盛土行為にもなったりするわけですから、そこの対策はしっかりしていないと土砂流出とか災害による影響というのがあるということを意識して取り組んできたという理解でよろしいでしょうか。済みません、もう一回、整理。

苗村政府参考人 はい、そのとおりでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 盛土による災害の防止に関する検討会、この中でも、ソーラーの専門家の方もいらっしゃいましたし、随分議論がされておりました。また、経産省が、イコールみたいに、盛土行為だからイコール危険だみたいな議論をしちゃいけないみたいなことをおっしゃいました。これは正しく理解する必要があると思うんですよね。

 それで、大臣に伺いたいと思うんですが、提言の中では、盛土総点検に加えて太陽光発電の点検を実施している地方公共団体もあるということを言って、地方公共団体との情報共有や連携を指摘しつつ、温対法による再エネ促進区域設定の検討に当たっては、土砂災害の防止の観点から規制されているエリアについて、近年の土砂災害等の懸念を踏まえつつ、土地の安全性を含む環境保全の観点から十分に考慮すべきであると指摘をされています。

 先ほど環境省にも再エネ促進区域と盛土等の関係は聞きましたが、再エネ設置のための盛土工事に対しても、当然、今回の区域の設定ですとか許可要件ですとか、そういう中で十分に考慮されるべきだという議論だと思うんですが、大臣の認識を伺います。

斉藤国務大臣 先ほど高橋委員御指摘あったとおりでございます。昨年の有識者会議よりいただいた提言では、地域温暖化対策の推進に関する法律に基づく再エネ促進区域の設定に当たり、土砂災害防止の観点から規制されている区域について十分に配慮することについて指摘されております。

 国土交通省としては、再エネ促進区域設定に当たって遵守すべき基準の策定に際し、環境省と連携して取り組んできたところでございまして、引き続き、制度の円滑な運用に向けて連携して取り組んでまいります。

 また、本法案に基づく規制区域において、太陽光発電設備の設置に伴い、一定規模以上の盛土等がされる場合については、本法案に基づく安全基準への適合を求めることとしており、再エネ促進区域の適切な運用に併せて、盛土等に伴う災害の防止に向けて取り組んでいきたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。しっかりと位置づけていただけると思います。

 再エネ、本当に、伸ばしたいという気持ちはみんな持っているわけで、協力したいと思っているけれども、現実に住民との間で、やはりきちんとした意見を聞いてもらえないとか、そういう災害が起こった地域であるということで適地ではないんじゃないかという意見に対して、事業者との間で現実にはトラブルが起きているという中で、やはり沢を埋め立てるということはそういうことになるんじゃないか、その上にパネルが載っかるわけですから、単なる土が崩れるだけではなくて二重の被害になるということをやはりちゃんと見る必要があるのでないかなと思います。

 それで、ちょっとの時間ありますので、さっき飛ばしたところを一つ伺いたいと思うんですね。

 土地の所有者や工事主らが許可を得て工事を完了した後も常時安全な状態に維持するように努めなければならないと、安全の確保義務があります。これは現行の宅地造成等規制法にも同じような条文があるんですけれども、今回、ただ同じく書いたというのではない、違いがあるのかなと期待するわけですが、いかがでしょうか。

宇野政府参考人 お答えいたします。

 現行の宅地造成等規制法では、規制区域である宅地造成工事規制区域内の宅地が工事完了後も適切に管理され、崖崩れや土砂流出といった災害が生じることのないよう、その所有者等に対し、常時安全な状態に維持する努力義務が課せられております。

 今回の法案におきましても、新たな規制区域である宅地造成等工事規制区域内及び特定盛土等規制区域内の盛土等が行われた土地について、その所有者等に対し、常時安全な状態に維持する努力義務を課すこととしており、その法的な性格は現行法の努力義務規定と同様です。

 なお、今回の改正では規制区域が指定されるエリアや規制対象行為が従来よりも拡大することから、これに伴い、努力義務の対象が広がることとなります。

高橋(千)委員 既に宅地造成そのものが崩落をして被害が、大きな災害につながったとか、そういう既にあるものに対してもしっかりと安全確保義務をかけていく、それが担保されるということが非常に大事だと思っておりますので、そのことを質問させていただきました。

 今日は最初に大臣に聞いた建設発生土の問題、次のときにまとめて質問したいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

中根委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組のたがや亮です。

 私も、熱海の土石流の発生現場へ視察に参加させていただきました。犠牲になられました皆様に心よりお悔やみを申しますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

 二度とこのような事態を引き起こさないためにも、今回の質疑を通じて、この盛土規制法の実効性を担保することに加え、盛土の問題の背景に横たわる様々な原因について明らかにし、その解決策を提案してまいりたいと思います。

 私の選挙区、千葉県第十一区は、東京から車で約一時間とアクセスがよく、広大な海に囲まれ、自然豊かな地域です。その一方で、産業廃棄物の不法投棄の問題に悩まされている地域の一つでもあります。

 今回は、インターネットを通じて日本全国からヒアリングを行い、たくさんの御意見を頂戴いたしました。地域の声と併せて質疑に臨んでまいりたいと思います。

 今回の法案では、自治体に盛土の規制という新たな職務が課せられたということです。しかも、市町村を始め地方自治体の職員は、全国的に減少の傾向が続いております。お配りした資料一、地方公共団体の総職員数の推移を御覧ください。

 新たな職務を課す以上は財政支援をすることが大前提だと思います。まず初めに、自治体への支援策についての質問です。

 法案では、第五十二条に、「都道府県に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行うよう努めなければならない。」とされています。具体的にどのような支援を行うのか、斉藤大臣にお伺いいたします。

斉藤国務大臣 本法案の施行により、地方公共団体においては、基礎調査や区域指定、許可の審査、危険な盛土に対する改善命令、それから行政代執行、これらの仕事をお願いすることになります。これらの事務を行うに当たってのノウハウの獲得や人員、予算の確保などの対応が必要になると考えております。

 このため、国としては、基礎調査や盛土の許可に当たり参考となるガイドライン、それから、不法な盛土への対応方法や危険な盛土の調査、対策工事の方法をまとめたガイドラインなどを示し、必要に応じて助言を行うこととしております。

 さらに、基礎調査に必要な経費に対する補助や地方整備局等からの職員派遣による個別サポートなどを通じ、地方公共団体が円滑に事務を行えるよう、きめ細かく支援を行ってまいりたいと思っております。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 緊急を要する問題ですので、国交省としてしっかりと人材の派遣、その他サポート体制、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、この法案の実効性を確保するためには、中間検査や完了検査を始め、土木に関する専門知識を持った職員が必須となります。

 資料二を御覧ください。日経グローカルの、不足している専門職についての調査の上位に、建築、土木関係が挙げられております。

 必要な職員は、質、量、共にどのように確保されるのでしょうか。また、土木に関する専門家を第三者機関から派遣してもらい、自治体職員と一緒に検査する体制などは想定されているのでしょうか。斉藤大臣に再びお伺いいたします。

斉藤国務大臣 本法案に基づく許可権者である都道府県等は、これまでも宅造法や森林法等の開発許可を行っていることから、一定の専門知識を持つ職員を有するものと考えておりますが、本法案の施行により専門的な事務が増えますので、専門知識を持った職員の確保は重要な課題であると認識しております。

 そのため、国としては、地方公共団体が行う調査を財政支援することにより、コンサルタント等の専門家の活用を支援するとともに、各地方整備局等に新たに配置する職員の派遣等による個別的なサポートをすることによって、体制の不十分な地方公共団体を支援していきたいと思っております。

 また、あわせて、盛土の許可の審査業務の参考となる技術基準等に関するガイドライン、それから、規制区域の指定や既存盛土の把握、調査を行う基礎調査の実施方法を整理したガイドライン等を示しまして、ノウハウに不足する地方公共団体を支援してまいりたいと思っております。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 資料二にもありますように、建設、土木関係の専門職員が不足しているとの調査結果も出ております。

 人材はすぐには育ちません。中長期を見据え、外部のコンサルタントに依存し過ぎて自前の職員が育たないというような事態が起きないよう、しっかりと取組をよろしくお願いいたします。

 自治体が、危険な箇所にある盛土への対応として、行政代執行をちゅうちょなく行うということが、法律の実効を担保するために必要であると考えます。

 第二十条六項に、都道府県知事は、前項の規定により同項の災害防止措置の全部又は一部を講じたときは、当該災害防止措置に要した費用について、主務省令で定めたところにより、当該工事主等又は土地所有者等に負担させることができるとあります。

 費用を国が自治体に全額支援し、国が土地所有者に請求して徴収するような財政的支援の枠組みが必要だと考えますが、斉藤大臣の御見解をお伺いします。

斉藤国務大臣 地方公共団体が行政代執行により、危険な盛土に対し災害防止措置を講ずるに当たり、その費用を懸念して実行をちゅうちょするケースも考えられると認識しております。

 このため、国としては、ちゅうちょなく実行していただくためには、総点検の対象となった盛土について、地方公共団体が盛土の撤去等を行政代執行等で実施する場合に、それに要した費用の一部を今年度の予算より財政支援することとしております。

 また、不法な盛土への対策は、地域の安全確保に資する事業であり、一定の地方負担の下で行うことも想定しております。

たがや委員 ありがとうございます。

 財政面の制約から自治体が必要な措置を取ることをちゅうちょしないよう、しっかりとした枠組みが必要だと思います。社会資本整備交付金と同じように、自治体に財政力に応じた財政支援をお願いしたいと思います。社会資本整備交付金というのは、自治体の財政力が弱いと五五%でも六〇%を超えるということもあるようなので、そういった制度をまた利用できないか、転用できないか、要望いたします。

 次に、反社会的勢力への対策のための警察との連携、監視体制の強化のための関係機関の連携について質問いたします。

 資料四を御覧ください。現状の盛土でも、産業廃棄物が混じった土砂が違法に捨てられるケースが多く、その背後には反社会的勢力が介在しているかのような新聞記事がございます。万が一、そのようなケースに国はどのように対応するのか、斉藤大臣にお伺いします。

斉藤国務大臣 反社会的勢力である暴力団の排除については、都道府県等が、造成主の信用要件の審査の中で、必要に応じて都道府県警に暴力団情報を照会し、提供を受けることができる仕組みとすることについて検討していきたいと思っております。

 また、工事施工者の能力の審査時に建設業許可証の提出を求めますが、建設業法の欠格事由として暴力団員及び暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者であることが規定されているため、暴力団関係者が工事施工者となることはございません。

たがや委員 ありがとうございます。

 情報の共有、警察からの市、県に対する、大事だと思いますので、お願いします。毅然とした対応、こういったものが大事になるのかな、そういうふうに思っております。

 次に、違法な産業廃棄物の処理に対して、警察と自治体を始めとする関係機関との連携体制はどうなっているか。今、情報を積極的にという話も大臣の方からありましたけれども、その辺を環境省にまずお伺いしたいと思います。

土居政府参考人 都道府県、政令市におきまして、産業廃棄物担当部局及び警察など関係機関が連携いたしまして、パトロールなどの監視活動、住民からの通報への対応ということに取り組んでおります。

 また、都道府県、政令市の産業廃棄物不法投棄監視・指導担当職員は、年々増加の傾向にございまして、そのうち約三割が警察からの出向者及びOBということでございまして、人的交流の面でも連携が進んでいるというふうに承知しております。

たがや委員 ありがとうございます。

 産廃については、警察との連携がしっかりと取れているということが確認が取れました。ありがとうございます。

 環境省から答弁をいただきましたが、今回の法案の成立により、盛土の規制について、警察と自治体を始めとする関係機関との連携体制はどのようになっているか、改めてお伺いをいたします。

加藤大臣政務官 御質問にお答えを申し上げます。

 不法盛土については、地方公共団体における盛土担当部局だけではなく、廃棄物の不法投棄対策を行う廃棄物担当部局や不法取締りを行う警察等の関係部局等と緊密に連携して対応することが重要だと認識しております。

 このため、各部局のパトロールにおいて不法盛土を発見した際の情報共有、関係部局による連絡会議の定期的な開催、盛土担当部局と廃棄物担当部局や警察等の関係部局の間での人事交流、こういったことの実施について関係省庁と連携して通知を発出するなどして、地方公共団体における連携体制の構築を促してまいります。

 また、例えば、各地方整備局に配置する職員を派遣するなどして、個別的なサポートも行うことによって関係機関の連携を促進してまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 この法律の実効性を高めるために、警察との連携は必須条件だと考えます。しっかりと連携が取れるようお願いを申し上げます。

 それから、監視体制を強化するために、パトロールや情報収集などで環境や農林分野等の他の部署との連携協力、こういったものも必要になろうかと思います。具体的に想定している体制についてお伺いをいたします。

加藤大臣政務官 規制の実施体制の確保のため、地方公共団体では、廃棄物処理法や森林法など関連する法令を所管する部局との役割分担や、それら関係部局との連携体制を確保する必要があると認識しております。

 具体的には、産業廃棄物処理の担当部局が行うパトロールにおいて、盛土に関する情報についても情報共有をし、行政指導や是正措置命令を一体的に行うことが想定されます。

 また、市町村が森林法に基づく伐採造林届を受理するに当たっては、盛土行為に関する許可の状況を確認するなど、盛土行為の許可制度と一体的に運用をしてまいります。

 さらに、不法盛土等の対応をまとめたガイドラインによりまして密接な連携体制の確保についても示していくことによりまして、体制整備をより一層促してまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 静岡県では、土木や林業の専門職員、警察からの出向職員など、合わせて十三人から成る盛土対策課がこの四月一日より新設されたとのことです。関係機関の間で横の連携が取れるよう、そういう体制づくりをお願いを申し上げます。

 また、盛土による災害の防止に関する検討会では、パトロールについて、抜き打ちによる確認の重要性が述べられておりました。二十四条と四十三条には、立入検査について、必要な限度において、その職員に、当該土地に立ち入り、当該土地又は当該土地において行われている宅地造成等に関する工事の状況を、宅地において行われている宅地造成に関する工事の状況を検査させることができる、ちょっと長ったらしいですけれども、との規定があります。

 抜き打ちの立入りやパトロールは可能となるのか、お伺いをいたします。

加藤大臣政務官 委員御指摘のとおり、許可を受けた盛土が適正に行われていることを確認するためには、その現場をパトロールすることが効果的であると認識をしてございます。

 本法案では、都道府県等は、法の施行のために必要な場合に立入検査をすることが可能となっておりまして、通報のあった情報や関係部局と共有した情報を基に、この立入検査権限を行使をし、抜き打ちで検査を行うことも効果的であると考えられます。

 このようなパトロールの実施方法につきましてもガイドラインでお示しをいたしまして、効果的なパトロールを促進してまいります。

たがや委員 抜き打ちの調査は有効だと思いますので、人員、予算面でも、自治体への支援をよろしくお願いいたします。

 次に、インターネットのヒアリングでは、調査の際に地中用のレーダー探査システムを活用してはどうかと御意見をいただきました。完了検査などで地中用のレーダーを活用することで、廃棄物の混入などを発見でき、悪質な業者への抑止効果も期待できると思いますけれども、実現に向けて、見解をお伺いいたします。

加藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 既存の盛土の安全性の把握、調査につきましては、地中用レーダー探査システムの活用など、効率的で効果的な調査手法の導入も考えられます。

 また、地方公共団体が基礎調査を行うに当たって、御指摘の地中用レーダー探査システムを活用する場合も財政支援の対象となっております。

たがや委員 レーダーは大変有効だと思いますので、是非導入して有効活用していただけるよう要望をいたします。

 盛土の規制に関して、立入りやパトロール時など、自治体職員を始め関係者の安全確保のため、国交省と警察庁との連携をしっかりと図っていただきたいと思いますが、警察庁の見解をお伺いします。

住友政府参考人 お答え申し上げます。

 様々な場面で行われている行政の立入りですとかパトロール等に対する警察の対応について、これは一概にお答えすることは困難ではありますけれども、一般論として申し上げれば、行政職員に対して威圧的な要求や暴力の行使等が予想される場合には、行政職員の立入り等の際に警察が同行するなどして、トラブル防止を図っているものと承知をしております。

 盛土の規制に関しましても、今議員の御懸念の点につきましても、自治体や関係機関等と連携して適切に対応するように、警察庁としても、国土交通省と関係機関と緊密に連携をしつつ、引き続き都道府県警察を指導してまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 自治体職員等の立入りやパトロールなどで危険性を感じたときに、自治体から要請し、警察が同行できる体制を是非つくってください。また、警察が持っている反社会的な団体の情報の提供もお願いします。警察庁から都道府県への周知を是非お願いいたします。

 それから、森林における違法な盛土を見逃さないよう、これまで不十分だと思われる森林の適切な管理が必要と認識をいたしますが、林野庁の御見解をお伺いいたします。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 森林法におきましては、水源涵養など公益的機能の発揮、特に要請される森林につきまして保安林に指定し、立木の伐採、土地の形質変更等を規制しております。

 また、保安林以外の森林につきましても、一ヘクタールを超える開発を行う場合は都道府県知事の許可制度としているほか、それ以下の伐採行為につきましても、市町村へ届出をすることを義務づけしております。

 こうした仕組みによりまして、森林の開発や伐採が適切に行われるよう、指導等を行っているところでございます。

 農林水産省としましては、こうした森林法に基づく森林の保全等のための各制度を、本法案に基づく許可制度と一体的に運用することにより、盛土規制の実効性を高めてまいりたいと考えているところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 盛土の規制だけじゃなく、荒れ放題の山林も多いので、適正な管理をお願いをいたします。

 次に、優良な事業者の育成支援についてお伺いいたします。

 今回の法案について、強権を発動するばかりでは、反社会的勢力に近い事業者は地下に潜ってしまいます。コンプライアンスに即したインセンティブを与えることで、優良な事業者を育成し、悪質な業者が淘汰されていくようにすべきと考えます。廃棄物処理法では優良産廃処理業者認定制度が運用されているとのことですが、制度の概要を環境省に簡潔にお願いをいたします。御説明ください。

土居政府参考人 お答えいたします。

 廃棄物処理法の優良認定制度は、事業者の透明性や財務の健全性等の観点から、優れた能力及び実績を有する産業廃棄物処理業者を都道府県、政令市が認定をいたします。通常五年の業許可の有効期限を七年にするなどの特例を付与しているという制度でございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 ただいまの答弁の内容が、資料五の一と五の二になります。様々な優遇策が取られており、優良な事業者の育成につながっているのではと思いますが、今回の法案でも、この優良産廃処理業者認定制度と同じような認定制度の導入は検討されているか、斉藤大臣にお伺いをいたします。

斉藤国務大臣 ただいま、産業廃棄物処理業者の認定制度についてお尋ねが環境省の方にあったわけでございますが、産業廃棄物の場合は、業態としてしっかりとした、確立をしているという場合でございます。

 今回の法案の規制対象である盛土や土石の堆積につきましては、その行為者や目的などが多種多様でございまして、一つの業態として類型化することが非常に困難だ、このように現時点では認識しております。

 このため、産業廃棄物処理業者の認定制度と同様の制度を今回の法制度で導入することについては、現時点では難しいと考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 でも、大臣、優良業者の認定は実現すべき制度だと私は思います。是非前向きにこれから取り組んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。要望です。

 次に、建設現場から発生する建設残土のリサイクル技術の確立、育成支援についてお伺いをいたします。

 先日、この国土交通委員会で配付された資料では、平成三十年度には、五千八百七十三万立米、東京ドームおよそ四十七個分もの建設残土が再利用されずに、内陸受入れ地に分類されている箇所に搬出されたとのことです。このような再利用されずに搬出される残土の量を減らすことが、盛土の問題の解決に大変重要です。

 そこで、建設工事に伴い発生する土砂やコンクリート、アスファルト、木材、汚泥などの建設発生土、いわゆる建設残土のリサイクルはどの程度進んでいるか、また、今後の数値目標や現状の課題は何かについて、お伺いをいたします。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 建設発生土は、資源有効利用促進法において、再生すべき資源として位置づけられております。

 特に、公共工事の建設現場から発生する建設発生土については、公共工事の発注者が同一現場内で有効利用するなど、可能な限り発生抑制に努めるとともに、工事間での有効利用等についても対応するべきものと考えてございます。

 平成三十年度の調査におきましては、同一現場内や他の工事等で有効利用された建設発生土の割合は七九・八%となっておりまして、相当程度進んでおりますが、今後はこの割合を少しでも向上させることが目標となっております。

 今後、建設発生土の有効利用の促進に当たっては、同一現場内で有効利用する取組や、各工事における需要と供給の情報を共有する取組を、マッチングでありますね、進めることが重要であると考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 小規模の市町村は、お金やノウハウの面で、実施率を上げるのは大変だと思います。小規模の市町村向けのガイドラインの策定や財政的支援をお願いをいたします。

 次に、再生土の利活用について、一部の再生土には有害物質を含んだ粗悪品が見られ、環境破壊を引き起こす事例が発生しております。再生土の利用についての見解と品質の確保の取組について、斉藤大臣にお伺いをいたします。

斉藤国務大臣 いわゆる建設発生土の現場内での利用や工事間での利用に当たり、必要に応じて土質を調整した改良土を使用することは、建設発生土の有効利用の促進の観点から重要と考えております。

 国土交通省においては、直轄工事における建設発生土の利用に関し、土に含まれている水分量や粒の大きさなど土質特性に応じた区分や、道路用の盛土、土地の造成など、各々の利用の用途、これらに応じた土質の基準を定めており、これを地方公共団体にも周知しております。この基準を活用することにより、建設発生土の適正な再生利用の促進を図っているところでございます。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 しっかりと品質を確保して、粗悪品が出回らないような仕組みづくりをお願いをいたします。

 建設残土のリサイクルを進めるためには、金銭面での補助制度や税制面での優遇措置など、土質改良プラント事業者への財政的な支援が有効と思いますが、支援策の現状と今後の取組についてお伺いをいたします。

斉藤国務大臣 建設発生土のリサイクルを進めることは、重要なことと考えております。

 公共工事から発生する建設発生土については、公共工事の場合は、発注者が同一現場内で有効利用するなど、可能な限り発生抑制に努めるとともに、工事間での有効利用などを進めることが重要でございます。

 建設発生土の有効利用を進めるに当たっては、土質を改良することで、更なる有効利用が広がる可能性があります。このため、現場内で土質を改良し有効利用する場合のほか、プラントを備えたストックヤードを運営する事業者が有償で引き取り、土質を改良した後、ほかの工事に納入する場合もあると承知しております。

 国土交通省としては、公共工事において、建設発生土をストックヤードへ搬出する場合には、搬出先を発注段階で指定する指定利用等の取組を徹底していくとともに、ストックヤードへの運搬費や受入れ費用など、建設発生土の適正処理に係る費用をきちんと計上し、適切な費用負担を行うよう、関係省庁とともに取り組んでまいります。

 こうした取組により、土質改良プラント事業者においても、適切に事業を実施できる環境が整えられていくものと考えております。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 財政的な支援、しっかりとよろしくお願いいたします。

 以上のように、この盛土規制法は、関係する各省庁や自治体、民間事業者の垣根を越えて、横断的な幅広い取組が求められます。財源も人材も必要です。そのような措置をしなければ、法律の実効性、それが担保されないと思います。

 必要な予算をしっかり確保できますでしょうか。大臣、お約束いただけないでしょうか。

斉藤国務大臣 危険な盛土は行為者等による是正措置がまず基本となるということでございますが、国では、令和三年度の補正予算において、盛土の総点検で確認された人家等に被害を及ぼすおそれのある盛土について、地方公共団体が行う安全性把握のための詳細調査や応急対策工事を支援しております。

 また、令和四年度の予算においては、詳細調査や応急対策工事に加え、地方公共団体が実施する盛土の撤去や擁壁の設置等の抜本的な危険箇所対策を支援することとしております。

 必要な予算を確保の上、交付金による国費の柔軟な対応により、引き続き、地方公共団体をしっかりと支援していきたいと思っております。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 この法案は、実効性を高めるのが肝要だと思います。危険な災害から国民を、是非、大臣、大臣の力でお守りください。お願いします。

 最後の質問ですが、最後に、日本維新の会の対案について、お待たせしました、日頃から、れいわ新選組や野党に厳しく指摘をされている足立議員にお伺いをいたします。

 維新の会の対案には共感できるものがあるんですけれども、日頃、足立議員に厳しく指摘されている野党議員の中には、足立議員が出すから嫌だ、反対だという声が私の耳にもちらほら入ってまいります。是非、足立議員におかれましては、態度を改めるというか、無駄な話をしないというか、変なことを言わない、そういうことをやっていただければ、野党の方々も、もしかしたら、もしかしたらですよ、可能性は低いかもしれないですけれども、法案に賛成をしてくれる可能性が高まるんじゃないかと私は思っております。

 そこで、足立議員にお伺いをします。

 野党に日頃厳しくしているように、与党案の内容に対して、厳しい指摘と御見解、それをお聞きしたいのと、足立議員の、賛成を得るための決意、強い決意をお聞かせください。

足立議員 たがや先生、御質問ありがとうございます。

 私も、いろいろな野党の方とおつき合いしていますが、れいわの中にもこんなすばらしい先生がいらっしゃるんだなということで、改めて認識を新たにしているところであります。

 いろいろ今御指摘いただきましたが、私も、国会に上がらせていただいてからもう十年になりますが、やはり初期の頃はいろいろ言いたいことを言っていまして、皆様から懲罰動議を六回いただきましたが、もうこの四年、ちょうどこの四年、四年前の二月を最後に懲罰動議が出なくなったんですね。これはやはり私の日々の努力の成果ということでありまして、与党、野党を超えて、特に、国土交通委員会の皆様には近しく御指導いただいている方も多いですから、これからもしっかり努力をしていきたいと思いますし、れいわ新選組さんについては、是非、私とたがや先生がパイプとなって、先日も実はちょっとほかの会合で御一緒しましたが、すばらしい方でありますので、またこの法案を御説明に行きますので、れいわに。先日、高橋千鶴子さんに呼んでいただいて、高橋千鶴子先生……

中根委員長 足立議員、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

足立議員 分かりました。

 ということで、与党に厳しい話をせいということですが、一歩前進ですが、やはり限界がある。限界がある理由は、やはり、業界の構造とか党との関係とか、いろいろございますので、ここは、やはり私も、与党にも厳しく、是々非々で、野党にも是々非々で、これからも頑張りますので、是非、たがやさん、ホットラインで御指導賜りますよう、よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

たがや委員 足立議員、ありがとうございます。

 こうやって時間が長くなる答弁、これがやはり無駄なことだと思うんですね。そもそも、直っていない、反省がないと思います。立民さんにも、我々れいわにも、共産党さんにも、もうちょっと温かい言葉でしっかりと接していただければ、もっとスムーズにいろいろなことが進むんじゃないかなと思います。ありがとうございました。足立議員、グッドラック。

 時間が参りましたので、終わりにします。ありがとうございます。

中根委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 今日は、差し替えで質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 法律の各条文にチェックをしていきたいと思いますが、具体的なイメージを持ってもらうために、私の地元で計画されている盛土の様子を少し御紹介したいと思うんですが。

 お手元、配付、今されていると思いますが、これ、熱海で崩れた五万立米の十二倍、六十万立米を、何十メートルの高さにわたってリニアの残土を積むという計画であります。これが市町村をまたいで、相模原市からお隣の愛川町というところに、これ、カーブしているんですが、ここに急傾斜があって、落ちていって、このままいくと大変なことになるのではないかということで、地元から大変大きな不安が寄せられている案件でございますが。

 早速、都市局長にお伺いしたいと思いますけれども。

 まず、特定盛土等の定義についてお伺いしたいと思いますが、二条三号においては「盛土その他の土地の形質の変更で、当該宅地又は農地等に隣接し、又は近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいものとして政令で定めるもの」というふうになっておりますが、今御紹介させていただいたような話は、実際、盛土するところには人は住んでいないんですね。それを真っすぐ降りていって、カーブを切るところに、まず住宅地があります。そこから降りていくと、更にたくさんの住宅地があります。

 このように、盛土する場所と宅地の場所がかなり長い距離、これは一キロ近くになるんですが、距離が離れていても近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいということになり得るんでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御紹介いただきました第二条第三号の規定は、本法案の規制の対象となる特定盛土等の規模等を設定する考え方について示したものであり、この規定に基づいて定められる政令の要件に該当する土地の形質の変更であれば、実際に盛土等が行われる土地と宅地との距離にかかわらず、特定盛土等に該当することとなります。

後藤(祐)委員 距離にかかわらずというのは大変重要な答弁です。ありがとうございました。

 更に言うと、その下のところ、これは川があるんですね。この土砂崩れが仮に起きた場合、ここの川がせき止められます。そうすると、浸水というか、この周辺の家はみんな水につかってしまうわけですけれども、つまり、直接土砂が流れてくる被害だけではなくて、川がせき止められる等によって水が浸水するといった、間接的と言っていいのかどうか分かりませんが、こういった被害についても、ここで言う災害というものに該当すると考えてよろしいでしょうか。

斉藤国務大臣 本法案は、盛土等による災害から人命を守ることを目的としており、ここでの災害としては、基本的には、盛土等に伴う崖崩れや土砂の流出の被害が直接的に人家等に及ぶ場合を想定しております。

 加えて、例えば、盛土が崩落した場合に下方にある川をせき止め、その結果、人家等に被害が及ぶおそれが大きいと客観的で具体的な証拠に基づいて認められる場合なども、想定する災害の対象に含み得るものと考えております。

 その結果、このような災害を想定した特定盛土等規制区域を指定することも可能となるものと考えております。

後藤(祐)委員 明確な答弁ありがとうございます。これも大変重要な答弁だと思います。

 質問を少し飛ばしまして、次に、工事の許可制が導入されるんですが、一定規模以下は届出制というふうになります。二十七条ですね。

 この規制区域内において、許可が必要な規模以下の特定盛土等の工事を行う場合は、二十七条一項で届出ということになるんですが、この届出って、届出がなされた後どうなるんでしょうかね。

 まずいようなものについては三十日以内に限り都道府県が勧告ができるとなっているんですが、そしてその後、場合によっては命令となるんですが、この三十日以内に都道府県が、現地に行って状況調査して、あるいはその事業をやろうとしている人がどうだとか、いろいろなものを調査して、さらに、こういうふうにやらなきゃいけないという勧告内容を決めてというのは、かなりこれは難しいと思うんですが、これは具体的にどういう実務がこの三十日以内に行われるんでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案においては、特定盛土等規制区域内で盛土等を行う場合、工事に着手する日の三十日前までに、工事の計画を都道府県に届け出、都道府県は、災害防止のため必要がある場合には、届出の受理から三十日以内に限り、計画の変更等について必要な勧告を行うことができることとしております。

 都道府県が勧告を行うかどうかについては、盛土等の崩落による災害の発生を防止する観点から、届出された図面等を基に、本法案による許可を行う際の技術的基準に照らして判断することになると考えております。

後藤(祐)委員 それを三十日以内でできるんですか。許可だったら、じっくり時間をかけて、いろいろなことを調べたり現地調査したりとかいうことができると思うんですけれども、実際そこの土地の所有権を持っている人の同意を本当に取っているのかとか、いろいろなことがあるんですよ、実際に認めるかどうかについては。

 これは本当に三十日以内にできるとお思いですか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県においては、今でも宅地造成法の規制ですとか森林法の開発許可の事務を担当しておりますので、それなりの専門職員がいるというふうに考えております。

 さらに、今回のこの法案が施行されれば、都道府県において体制の整備が行えると考えておりまして、その中で、届出された図面等を基に、本法案による許可を行う際の技術的基準に照らして判断していただくということになると考えております。

後藤(祐)委員 土地の所有権者ですとかいろいろ関わるところがどうなっているかとかと、届出権者は、ぐだぐだだらだら遅らせたら、三十日過ぎたら、はい、もうオーケーだもんねとなっちゃうんじゃないんですか、これ。そうなった場合には二十七条四項で命令ができるんですけれども、命令を行っても従わないようなケースはどうするんですか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 命令に従わない場合は罰則の適用となります。

後藤(祐)委員 罰則なんて痛くもかゆくもないよ、罰金を払ってそのままでしちゃうもんね、それ以上に入ればそれでいいやという場合はどうするんですか。

宇野政府参考人 こちらの届出の対象となっている行為は、人は住んでいないけれども、かなり遠距離から下流に盛土が崩れた場合に、その下流部の人家にとって被害を及ぼすおそれがある、そういう区域のときに届出制の対象としておりますが、規模が大きくて非常に危険なものについてはそもそも最初から許可制にしております。

 届出制については、それを事前に把握するという観点で届出を行っているものであって、この届出の対象となるのは小規模なものであるので、それ自身が崩れて直ちに、人家がそばにないことから、大きな被害を及ぼすものではないということで届出制にされているものであります。

 それによって、届出された図面等を基にきちんと安全性について確認をして、勧告するかどうかを決める、こういう仕組みになっているところでございます。

後藤(祐)委員 罰金を払ってやっちゃうもんねという人に対しては止めようがないという答弁ですよね、今のは。届出制、やめた方がいいんじゃないんですか。全部許可制にすべきじゃないですか、大臣。

斉藤国務大臣 特定盛土等について届出を求めることとしている特定盛土等規制区域は、市街地、集落などから離れているものの、地形等の条件から人家等に危害を及ぼし得る斜面地などのエリアを指定するものであり、こうした区域においては、周囲に人家等のまとまりがないために、小規模な盛土によっては直ちに災害の危険は生じないと考えております。

 このため、特定盛土等規制区域においては、一たび崩落した場合に大規模な崖崩れ又は土砂の流出による災害が発生するおそれがあると考えられる規模の盛土に限って、許可の対象としております。

 さらに、これに満たない盛土についても、事前届出制により危険な盛土の端緒を迅速にキャッチし、必要な場合は勧告、命令を発することができるほか、無届け行為、虚偽の届出、命令違反には罰則を適用することとしております。

 これらの仕組みにより、盛土に伴う災害を十分に防止できるものと考えております。

後藤(祐)委員 届出は機能しないですよ。三十日も難しいし、罰金さらっと払っちゃうかもしれないし。これは是非、修正も含めて、委員会で、皆さん、与党の皆さんも含めて、御検討いただければと思いますが。

 今の大臣の答弁にもありましたが、規模の小さいものというふうに言いますが、ちょっと飛ばしたところの質問に戻りますけれども、先ほどの二条三号の特定盛土等の定義は政令で面積要件などを定めるとなっているんですね。これは配付資料の五ページ目にありますけれども、これは今の法律、宅造法上の定義、二号の方の宅地造成の方は五百平米となっているんですね。この五百平米を二条三号の特定盛土等でも定めるというつもりなんでしょうかということと、あと、先ほどの、工事許可の対象になるのは、これもまた政令で定めるとなっていて、三十条なんかで定めることになっているんですが、この政令で定める規模というのも一体どのぐらいの面積をイメージしているんでしょうか。

 これは、今、都道府県の盛土条例なんかを見ますと、千平米といった、比較的狭いと言っていいのかどうか分かりませんが、ぐらいのものから、三千、五千と、結構ばらつきがあるんですね。現行の宅造法の盛土崩落について、このマニュアルとかで加えられたやつなんかを見ると、三千平米というのが一つ既に出てきている数字なんですが、三千平米って結構広いですよ。

 是非これは、届出をやめて、許可の範囲を広げるということをもししないのであれば、この許可対象となる政令要件のところを余り広くしちゃうと結局何でもありになっちゃうと思うんですよ。

 併せて聞きます。この二条三号の特定盛土等の面積要件、どのぐらいのことを考えているか。そして、工事の許可対象となる面積要件、どのぐらいを考えておられるでしょうか。

宇野政府参考人 本法案第二条第三号や第三十条の政令で定めるものについては、今後、有識者の御意見等も伺った上で検討することとなっております。

 具体的には、第二条第三号の政令で定めるものについては、現行の宅地造成等規制法における宅地造成の定義をベースにして検討することを想定しています。

 また、第三十条の政令で定めるものについては、今般新設する規定であるため、これに対応する現行宅地造成等規制法の基準はございませんが、大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれのある盛土等として適当な規模等について検討の上に定めることとしております。

後藤(祐)委員 前段の特定盛土等の方の定義は宅地造成を参考にという答弁ですから五百平米になる可能性が高いのかなという答弁でしたが、許可対象のところについては、是非これは厳しめに、面積小さく、今局長うなずいておられますけれども、これは本当に大事になると思いますので、小さめの数字をお願いしたいと思います。

 それと、もう一つ懸念は、これは既に森林法なんかの許可でも起きているんですが、例えば特定盛土等の対象が五百平米とかとなった場合に、四百九十九とかいうのを次から次へと連続的に、四百九十九ですからこれは届出対象じゃありませんというのが連続的にあったり、という建前に立っているんですというような、ふざけた、いわば脱法行為ですよね、こういったものが現実に起きていると伺っておりますが、こういったものをどうチェックしていくんでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 規制対象未満の小規模な盛土を繰り返し、規制逃れをしようとするような盛土行為については、地方公共団体によるパトロール、地元住民や関係地方公共団体等からの通報などにより把握することとなります。

 その上で、把握した盛土行為が許可の必要な規模に達した段階で、同一の工事主が実質的に一体的なものとして行っていると判断される場合には、無許可での盛土行為として罰則の対象とするとともに、安全確保のための措置を命令することとなると考えております。

 なお、本法案においては、地元住民が地域で行われている盛土が許可を取ったものかどうか適切に把握できるよう、工事現場における標識の掲示や許可を受けた土地の公表について規定しているところでございます。

後藤(祐)委員 これは森林法の世界でも既にさんざんばら起きている話であって、経験値は多分あるはずですから、このずるのやり方を認めないというのは、パトロールだけじゃとてもじゃないけれども無理だと思いますよ。是非実効性ある形で運用いただきたいというふうに思います。

 続きまして、審議会は何でないんですか、許可に際してですね。あるいは、関係市町村の意見聴取というのは何でないんですかということについてお伺いしたいと思いますが。

 先ほどの配付資料の二枚目を見ていただきますと、この案件については事前にアセスメント制度に基づいて手続が進んでいて、これは相模原市のアセスメント条例ですが、こういうのはどんどんどんどん進んじゃうんですよ。それでも一応審査会というのが開かれて、地元の代表的な方が意見を言ったりとかという機会は一応あるんですね。一応というか、ちゃんとあるんですね。でも、もうこれは最後のところまでいっていて、地元の相模原市長、本村賢太郎市長、元々我々の同志ですけれども、市長から地元とちゃんとやるようにという意見が出たので、今、最終的に評価書をぽんと出しちゃえば終わっちゃうんですけれども、その評価書が出せないということで、辛うじて今止まっている状態なんですが。

 これはやはり、審査会があって市長が意見を言えてというところが、この話を止めるために、そして地元の住民の意向を反映する仕組みとして、ある程度機能しているんです。ただ、これは許可制ではないので、いいかげんな評価書でも、えいと出しちゃえばこれは止めようがないんですね。神奈川県の土砂条例というのはゆるゆるですから、ここから先、止める方法は多分ないんですよ。

 なので、何が言いたいかというと、この審議会の手続を許可の場合にはきちんと置く、あるいは関係市町村長の意見をきちんと聞く、これは森林法の林地開発許可においては義務づけられているんです、森林法十条の二、六項で。何で今回のこの盛土法は、許可に当たっての、都道府県なんかに置く審議会、あるいは関係市町村長の意見聴取を義務づけないんですか。

斉藤国務大臣 森林法に基づく林地開発許可制度では、森林における開発行為が、災害の防止、水源の涵養、環境の保全といった森林の有する公益的機能へ様々な影響を及ぼし得るものであり、その許可に当たっては、専門的、技術的な知見に基づく判断が求められることから、都道府県森林審議会及び関係市町村長の意見聴取を義務づけているところでございます。

 一方、本法案の第十二条及び第三十条の許可は、造成された盛土等が崩壊しないよう、政令で定める技術的基準に従い、擁壁や排水施設の設置等の安全対策が講じられるかどうかを審査するものです。この技術的基準は、科学的知見に基づき客観的に定められるものであり、都道府県知事等による許可の可否の判断は、第三者の意見に左右されるものではありません。

 なお、許可の技術的基準については、有識者の御意見も伺った上で、詳細を検討してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 それは机の上の議論じゃないんでしょうか、大臣。大臣は元々この分野の御専門家だというふうに伺っておりますし、政治家でおられますから、そこのバランスが一番分かっていらっしゃる方だと思います。

 この案件でも、最初にアセスメントで出てきた資料はうそっぱちだったんですよ。そういうところから始まるんです、こういう話というのは。地元の方がどう思っているかというのはこの許可基準には全く入っていません。それは、大臣、いかがなものですか。

 十一条と二十九条で、説明会の開催など住民に周知するという義務が課されておりますけれども、私も実はこれの説明会に参加しましたよ。もう説明したもんねという感じですよ。そこに参加している住民、全員反対なんですよ。ふざけるなみたいな感じになるんですよ。だけれども、何を言ったって関係ないもんねという話になっちゃう。だけれども、辛うじて、このアセスメントは、市長の意見というところにそれが取り入れられて、今現実に止まっている状態になるという効果が多少あるんです。

 ですが、この盛土法では、審議会もない、関係市町村長の意見の申出もないとなると、説明会って、まさにやったふりじゃないですか。大臣、政治家として、この説明会の開催は大事ですよ、そこで出た住民の意見、これをどう反映するつもりですか。そのときに、本来であれば許可の前に審議会を開いて、その中で、そういうことを重視するような委員の方がおられる、あるいは地元の意見を聞く、いろいろなやり方、その運用は都道府県ごとにあっていいと思うんですけれども、そのためにも、やはりこの審議会と関係市町村長の意見聴取が必要ではありませんか、大臣。

斉藤国務大臣 第十一条及び第二十九条の規定は、盛土等に関する工事に伴う住民等とのトラブルが発生することを防止し、工事の円滑な施行を確保する観点から、造成主が、工事の許可申請に先立って、周辺地域の住民に対し、説明会の開催等により工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならないこととしたものです。

 住民等に対しては、工事を行う区域や目的、工事施工者、期間など、工事計画の概要について周知することを予定しております。

 国土交通省としては、都道府県等から造成主に対し、例えば、工事施工中における粉じんの飛散防止対策や工事車両の通行に関する配慮など、工事に関して住民等から出された要望等も踏まえ、周辺環境に十分配慮した形で円滑に工事を行うべき旨の指導がなされるよう促してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 それは申請者側、事業者側を、性善説に立ち過ぎだと思いますよ。

 実際、私の地元の案件も、最初の資料はうそだったんですから。じゃ、変えますと言って、違う資料を出しますとか、そんなところから始まって、それも、地元の住民がこれはおかしいんじゃないかと言って、すごい専門家の方にこれはおかしくないですかと言って、専門家の方に見てもらったら、やはりおかしいとなって、おかしいんじゃないんですかと言ったら、おかしいです、変えますとか、そんなことが起きているんですよ。

 最初出してくるものが絶対的に正しいなんて思っちゃいけないですよ、大臣。

 これは、こういう審議会とかがあるから、ちょっとこれ大丈夫かという目線で見ている人がいて、そういうチェックがなされて、本当に適切なものかどうか。あるいは、こんなに大きい単位でやる必要がないんじゃないか、これも、百万立米と最初言っていたのを、幾ら何でもひどいんじゃないのと言ったら、六十万立米でいいですみたいな、何だそれというような実際の手続になっているんですよ。でも、これはやはり、いろいろな目線で見る方がいるから起きていることだと思いますよ。

 特に、地元の市町村長の意見というのはやはり大事で、五十条に市町村長の意見申出という規定はあるんですが、これは、許可に際して意見を申出するという形に書いていないんですね。ただ、せめて、大臣、これを認めてほしいんですが、各都道府県の運用で、工事許可に際して、各都道府県が審議会を置いて、それを経なきゃならない、あるいは関係市町村長の意見を聞かなきゃいけないということを実務上やることは、これは可能ですか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、本法案の許可制度は、盛土等が崩壊しないよう、技術的基準に基づき工事の安全性を客観的に判断するものであり、許可の可否の判断は第三者の意見に左右されるものではありません。このため、関係者、住民の意見や、それから、審議会の意見などを聞くという手続についてはなじまないものと考えております。

後藤(祐)委員 それは行政の無謬性を前提にしていて、いろいろな意見があり得るだとか、地元ならではの意見だとかということを完全否定した答弁ですよね。これはちょっといかがなものですかね。役所だって間違えることがあるし、あるいは役所が業者と癒着しているような場合だってあるかもしれないし、そういったときに、外部の目線でチェックしながら行う。これ、だって、二十二世紀、二十三世紀に影響する話なんですよ。

 大臣、今の答弁で本当にいいんですか。住民意見を全く反映されないで本当にいいんですか、大臣。

斉藤国務大臣 私はこのように考えております。

 ちょっと直接関係ないかもしれませんが。例えば、市街地区域の指定を行います。その市街地区域の指定を行うときには、もちろん、都道府県や市町村長の意見を聞きながら、また住民の意見を聞きながら、市街地区域を設定します。その市街地区域が設定された後、その中で、個々に、例えば構造物、建築物が申請を出されて、それを許可する、確認をするという場合については、そのときに一つ一つ市町村長の意見を聞くことはいたしません。それはもう技術的基準にのっとって、技術的基準に合致していれば、それは許可される。

 建築と、今回の盛土と、直接、ちょっと比喩が適切でないのかもしれませんけれども、今回、地域を指定するということにつきましては、ここにありますように、市町村長や都道府県や地域の住民の方の意見も聞く。しかし、その地域指定がされた後、個々の案件については、もう完全に、純粋に技術的な観点から、誰か、こう言われたから判断が変わるというものではなく、技術的基準にのっとって一つ一つ判断をしていく、そういう仕組みになっている。

 そういう意味で、先ほどから局長も答弁しておりますように、盛土等が崩落しないよう、技術的基準に基づき工事の安全性を客観的に判断するものであり、許可の可否の判断は第三者の意見に左右されるものではありませんというように答弁しておりますが、そういう意味だと私は思います。

後藤(祐)委員 いや、残念ですね。政治家が大臣をやっているというのは、こういうときに、少しいろいろな観点からの意見を聞けるような仕組みにしたらどうかという。それは、役所としては、いろいろな人が意見を言うのはうっとうしいから、こういうのを加えたくないというのは、私も元役人ですから、分からなくはないです。だけれども、それだと困るのは住民ですから。

 ここは、大臣、ちょっと、是非持ち帰っていただいて、もう一度御検討いただきたいなと思います。

 それでは、次に行きたいと思いますが、もうこれは少し議論が出ておりますが、大規模な工事、これもリニアの残土なんですね。私のところはリニアが下を通るので、そこら中に置くところはないかと探されているんですけれども。

 こういった大規模な工事から発生した土砂等の管理を適正に行うためのマニフェスト、管理票制度、これは、法案も出ているようでございますが、政府としても検討すべきだと思いますし、また、土砂なんかの置場を公的に確保するということを、努力義務ぐらいなことは課すことはできないのか、この二つについて検討すべきではないかと思いますが、これは国交副大臣、お願いします。

渡辺副大臣 お答えいたします。

 建設発生土の管理が適切に行われることは重要であり、このため、新たな盛土規制と併せて、建設工事から発生する土の搬出先の明確化や実際に適正に搬出されたことを確認する仕組みが必要と認識をしております。

 具体的には、建設現場から搬出される建設発生土の約八割を占める公共工事について、工事の発注段階で建設発生土の搬出先を指定する指定利用等の徹底に取り組んでまいります。

 また、民間工事も含めて、搬出先の適正確保と資源としての有効活用を一体的に図ることが不適正処理の防止に効果的だと考えております。

 このため、現行の資源有効利用促進法に基づく再生資源利用促進計画制度を強化し、計画の作成対象工事をより規模の小さい工事まで広げるとともに、適切な管理のため、元請業者に搬出先が適正であることを事前に確認させることや、実際にそこに搬出されたことを受領書等で事後にも確認させる仕組みを構築してまいります。

 国土交通省としては、建設発生土の適切な管理に向けて、建設発生土の搬出先の明確化等にしっかりと取り組んでまいります。

 もう一問お答えをさせていただきます。

 大規模工事等で発生した土砂等の置場の確保について御質問をいただきました。

 河川氾濫等の災害により市街地等に堆積した土砂につきましては、混入した廃棄物と分別の上、埋立事業等において活用するほか、残土処分場等へ適切に処分することとなります。

 また、建設発生土につきましては、事業者が、現場内での利活用などにより発生抑制に努めるとともに、工事間での有効利用などを行うべきものと考えてはいますが、それでもなお有効利用が困難なものについては、残土処分場等へ適切に処分されることとなります。

 そうした土砂の適正処理に要する費用を工事発注者が適切に負担すること等により、残土処分場等の確保につながるものであり、都道府県に一律に確保義務を課すことは慎重に検討すべきものと考えております。

 国土交通省といたしましては、残土が適正な処分場等に処分されるよう、公共工事において発注段階で搬出先を指定する指定利用等の取組を徹底するとともに、民間工事の発注者に対しても適切な費用負担を要請してまいります。

後藤(祐)委員 前段の方の指定利用は、きちっと運用されていればいいんですけれども、その対象となっていない方が何をしているのかといったところはきちっと追っかけていただく必要があると思うんですね。

 是非、管理票制度も検討いただきたいと思いますし、先ほどの後段の方の、土砂の現場内のというのは、リニアに現場内なんてありませんから。東京から神奈川県、全部掘るだけです。通常、高速道路なんかを造る場合は、トンネルで掘るところと盛るところを大体一緒にして、土が余り余らないようにしたりとかいう設計が可能なんですが、リニアは無理ですから。現場というのはなかなか難しいですよ。

 実際、これからまた補正予算とかあったりするんでしょうから、土砂の置場については国費で確保して、都道府県がお金があるんだったらできるというところもあると思いますので、是非これからも御検討いただきたいと思います。

 続きまして、施行期日駆け込み工事、こういったものについてお伺いしたいと思いますが、私、今までのところはかなり厳しめな質疑をしておりますが、この法律、私は、非常に必要な法律だと思いますし、去年の熱海のあの事故があってから、たった半年でここまでこぎ着けたことには本当に敬意を表したいと思います。実際、いろいろな説明を伺っている担当課の皆様も非常に真摯にやっておられて、恐らく寝る間も惜しんでこの作業をされていることに本当に敬意を表したいと思います。

 これはむしろ応援も含めてなんですけれども、是非これは早く施行していただきたいんですね。当初、二年先とかいう話がありましたが、我が党の渡辺周議員ですとか皆様の働きかけで、施行は一年後ということになった。これは本当はもっと早くしていただきたいところですが、むしろ大事なのは、それまでの間に何ができるかだと思うんです。

 実際、基本方針をまず作って、関連の政省令の制定をして、マニュアルですとかそれ以外の書類を全部整えて、それで基礎調査に入って、規制区域を指定して、別途、技術的基準を作って、ようやく許可が受けられるという体制になると思うんですね。これが、例えば来年の四月一日なりに施行になった場合に、そこから基本方針を作りましょうというんじゃ、日が暮れちゃうわけですよ。その間に盛土を盛られちゃいますよ。

 なので、これはちょっと事務方からも伺っているんですが、かなり早い段階で、この法律がもし仮に通ったら基本方針のこれでやりますよという、完全セットではないにしても、もうこれでほぼやるということで合意が取れていますというものを作って、政省令もマニュアルもそういったものを作って、事実上もうそれで動き始めて、それを前提に、基礎調査という法律に基づく調査は施行日以降しかできないかもしれませんが、その基礎調査の予備的調査的なものでもう現地へ入って、いざ施行になったらすぐ基礎調査を行って区域指定ができるというような準備を施行前に整えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 まず初めに、後藤委員から御激励いただきまして、ありがとうございます。一生懸命頑張りたいと思います。

 いろいろな基本方針や政省令、マニュアル等、急げということで、全く同じ認識でございます。

 盛土等に伴う災害防止の必要性や緊急性に鑑み、可能な限り速やかに施行し、都道府県等による区域の指定を行う必要があると認識しております。

 一方、都道府県等が区域指定を行うためには、人員確保や部局連携などの体制整備や、基礎調査の実施など、一定の期間を要すると想定しております。

 このため、都道府県等が法施行後速やかに区域の指定などを行うことができるよう、国としては、基本方針や区域指定に必要なガイドライン等について、施行日を待たず、案の段階でもできるだけ速やかに都道府県等に示すとともに、施行前の準備調査を含め基礎調査に必要な経費に対して財政支援などを行い、早期の基礎調査の実施や区域指定を支援してまいります。

後藤(祐)委員 大臣、ありがとうございます。

 これは今年度に歳出が発生するものですから、法律の施行は恐らく来年度になるんでしょうが、今年度のうちからお金が必要になりますので、都道府県が特に技術的なことが分かる方を増やすというのはなかなか大変なことだと思いますので、この人繰りも含めて、財政的な支援も含めて、全面的な支援をお願いしたいと思います。前向きな答弁、ありがとうございます。

 早く施行する上でもう一つできることがありまして、この特定盛土等規制区域の指定に当たっては、既に、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域、それと山地災害危険地区といったものが指定されています。配付資料の三ページ目ですが、これは東京大学の蔵治先生の資料なんですけれども、今言った三つの地区については、もうこれは自動的に特定盛土等規制区域に指定されるという理解でよろしいでしょうか。だとすれば、非常に早くこれは指定ができるわけですね。なので、基礎調査が必要となるのは、この三つの地区以外のところで特定盛土等規制区域に当たりそうなところを基礎調査を行うということでよろしいでしょうか、大臣。

斉藤国務大臣 宅地造成等工事規制区域は、市街地、集落や、これらに隣接、近接する区域など、人家等がまとまって存在し、盛土等がされれば人家等に危害を及ぼし得るエリアであり、土砂災害警戒区域はこの区域に含まれ得るものと想定されます。

 また、特定盛土等規制区域は、市街地や集落等からは離れているものの、地形等の条件から、盛土等がされれば人家等に危害を及ぼし得るエリアであり、土石流の発生等が起こりやすいとされる山地災害危険地区のうち、人家等に危害を及ぼし得るものについては、この区域に含まれ得るものと想定されます。

 いずれにいたしましても、都道府県等がこれらの区域についての既存の調査結果も活用しつつ、基礎調査を行い、これらの区域も含め、必要かつ十分な規制区域を指定することとなります。

 国としても、法施行後速やかに区域指定がなされるよう、都道府県等を支援してまいります。

後藤(祐)委員 そうしますと、この三つの区域は全て特定盛土等規制区域になるわけではないということですか。特に、山地災害危険地区の中には特定盛土等規制区域にならないところもあるということですか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案は、盛土等に伴う災害を防止する、それにより人命を守るという観点でありますので、山地災害危険地区のうち、人家等に危害を及ぼし得るものについては指定ができるということでございます。

後藤(祐)委員 それはちょっと残念な答弁ですけれども、そこに時間をかけてしまうとその間に盛られちゃうと思うんですよ。なので、施行して最初の区域指定に間に合うようにというか、そこの見極め、できれば山地災害危険地区はそのまま入れていただきたいんですけれども、そこを見極めるのにまた半年かかりましたとかいってしまうことのないように、既に調査が終わっているところについては、山地災害危険地区を指定するに当たって既に調査をやっているでしょうから、その調査の結果を生かせば、山地災害危険地区の中でどこを特定盛土等規制区域に指定すべきかも実は調査結果を見れば分かるはずだと思いますので、是非、この三つの地区で塗られているところのどこを指定するかというのはスタート地点で決めた上でスタートしていただきたいと思いますが。

 そのどれにも入らないところで特定盛土等規制区域を指定する場合は基礎調査が必要になるわけですが、是非、最初に私が紹介したような、もう既に盛土計画が計画されているようなところ、ここが駆け込みで来たりするわけですから、そういったところを先に基礎調査をして、この区域指定に間に合わせるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 規制区域につきましては、基礎調査を実施の上、客観的根拠に基づき、盛土等に伴う災害から人家等を守るため、必要かつ十分な区域を指定すべきものです。

 基礎調査を具体的にどのような手順で、どのような地域から行うかは、都道府県等が地域の実情に応じて判断するものと考えております。

 いずれにしても、都道府県等が法施行後速やかに区域の指定などを行うことができるように、国としては、基本方針や区域指定に必要なガイドライン等について、施行日を待たず、案の段階でもできるだけ速やかに都道府県等に示すとともに、施行前の準備調査も含め基礎調査に必要な経費に対して財政支援などを行い、早期の基礎調査の実施や区域指定を支援してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 盛土の計画があるところを後回しにしちゃったら、その間に盛られちゃう。そこで、裏でいろいろなことが起きる可能性とか考えると、これは是非、国土交通省から各都道府県に出す通知というか何らかの文書の中で、既に計画があると思われるようなところを先に基礎調査を行うということを、義務づけはできないかもしれないけれども、何らかの形で示していただきたいなというふうに思いますが。駆け込み工事は、いずれにせよ、施行前には起きてしまう面はあるんですね。それについての規定もある程度用意はされておりますが、これを防がなきゃいけないと思うんです。

 既に、この話もそうですが、既存の各都道府県の条例ですとかあるいは環境アセスメントの手続ですとかというものが進んでいるものってあると思うんですね。これについては、この盛土法の施行まで一旦凍結すべきじゃないですか。そうでもしないと、この法律、かなりきちっとやれば止まる法律でもあると思いますので、今のうちだ、急いでやれ、令和四年度は盛土やり放題みたいな年になりかねないですよ。

 是非、これは一旦凍結も含めて、駆け込み工事を防ぐための方策を考えるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 この法案の施行前に行われる盛土等に関する工事で、現行の条例等による規制を受けているものについては、条例等の手続を止めるのではなく、それらを適切に運用することを通じて、盛土等の安全性を確保することが重要であると考えております。

 なお、本法案におきましても、区域指定前に行われた既存の盛土についても、災害防止のため必要なときは、土地所有者や行為者等に是正命令をできることとしており、こうした対応も含め、盛土等に伴う災害の発生防止に取り組んでまいります。

後藤(祐)委員 是非、業者側の立場に立ったら何をやるかということを考えて、実際に、適切な、ストップすべきものはストップすべきとなるような通知なりを出していただきたいと思います。

 それでは、先ほど、これは技術的基準に基づいて客観的にやるんだ答弁が何回か出てきましたが、その技術的基準について次は聞きたいと思いますが、配付資料四ページに、現行の宅造法の技術的基準のある、これはガイドラインの中の一部なんですが、を配付させていただいておりますが、この大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドライン及び同解説というものの中の一の百五ページというところなんですが、この安定計算、「6.2 安定計算」というところの四段落目に、「安定計算に用いる水平震度は、盛土や地盤が液状化しないことを前提に、」云々となっているんです。

 現行の技術的基準は、盛土や地盤が液状化しないことを前提に作られているんですか、局長。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模盛土造成地の安全性把握や造成宅地防災区域の指定に係る現行の技術的基準では、地震力に対する盛土全体の安定性を評価する手法として、盛土底部や地盤が液状化しないことを前提に、通常の地質調査結果を基に、水平方向の地震力を安定計算に用いることを基本としております。

 現在の大規模盛土造成地の滑動崩落対策推進ガイドラインの解説では、盛土底部や地山の液状化が懸念される場合には、水平方向の地震力を用いた安定計算に加えて、液状化を引き起こす過剰な水圧による抵抗力の減少を考慮した安定計算の方法も併せて実施することが望ましい旨掲載しているところでございます。

後藤(祐)委員 皆さん、これは衝撃じゃないですか。滑動崩落って、盛土と元々の地面の接地面のところが、すべり面というそうですが、そこに水がたまって、そこの摩擦係数がすごく小さくなって、ずるっと落ちるわけですよ。現行……(発言する者あり)そう、素人でも分かる話なんですよ。盛土や地盤が液状化しないことを前提に、この安定計算はなされているんですよ。でも、今の答弁は、明確にその答弁がありました。これだけでは足りないのでほかのものも使うことができるみたいな、望ましいとなっているだけで、でも、基本はこれなんですよ。これはちょっと問題じゃないですかね。

 では、局長、聞きますが、盛土や地盤の滑動崩落というのは、この盛土や地盤が液状化した場合にだけではないかもしれませんが、液状化した場合には、起きるんじゃないですか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、盛土の滑動崩落は、盛土が自重や地震力により滑り出す力がすべり面の抵抗力を上回った場合に発生すると考えられております。

 地震時に盛土の底部や地山が液状化した場合には、すべり面の抵抗力の低下が想定されることから、盛土や地山の液状化は盛土の滑動崩落の一因となり得るものと考えております。

後藤(祐)委員 皆さん、どうですか。これは技術的な話ですけれども、分かりますでしょう。盛土や地盤は液状化したら崩落するというふうにおっしゃいました。でも、それは、現行の技術的基準には、そういうことを配慮することは望ましいと言っているだけで、安定計算のこのガイドラインには入っていないんですよ。大臣、これは、今回の法律で技術的基準を見直すと思いますが、ここを根本的に変えていただく必要があると思うんです。

 これについては、前回の宅造法改正のときに、国土交通省の委託業務で、大地震時における宅地盛土の被害に関する調査業務報告書、あるいは、平成十七年度谷埋め盛土造成地の危険度評価・安定解析手法に関する検討報告書、こういったもので、こういった懸念点をクリアしたような分析がなされていて、例えば、深さ分の幅が非常に大きいとずるっと落ちやすいとか、あるいは、側方、盛土の横の方の摩擦力をどう考えるかとか、こういった多面的な基準というのを提案されているようなんです。それについていろいろな評価がなされていますが、残念ながら、前回の宅造法改正のときはこういった報告書はほとんど無視されて、現行基準ができているんです。

 いわゆる二次元解析というやり方で、二次元解析というのは、盛土を縦に切って、この斜面の斜度と深さだけを見ていて、この盛られたものの横幅の長さとか側面の関係とか、ほとんど関係ないんですが、今までの大地震が起きたときのやつを見ると、深さ分の幅という要素が、実はすごく因果関係があるんじゃないかというような分析もあるんですね。

 実は、こういったことを大臣は元々よく知っておられる、専門家だと私は思っています。実際、前回の宅造法改正のときに、今のような説明を、技術的な説明をした政治家の中で一番理解を示されたのは斉藤先生だったという記録もあるんですよ。(発言する者あり)そうなんですよ。まさにこの盛土法のタイミングで斉藤先生が国土交通大臣になっているのは、まさに天の配剤だと思うんですね。

 是非、盛土や地盤が液状化することを前提に、そして、そのことがちゃんと因果関係として測定できる、横の、側方の摩擦ですとか、あるいは深さ分の横幅ですとか、いろいろな技術的な判断があるでしょう。こういったものをきちっと、オプションとしてそういうのもやったらいいねではなくて、これを満たさなきゃいけないというような形の技術的基準を作るべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤国務大臣 今回の新しい規制法、法律に基づいて基準を今後早急に考えていくわけでございますが、その中に、今御指摘いただいた点について、しっかりと専門家の方にも御議論いただき、その観点も含めて検討していきたい、このように思っております。

後藤(祐)委員 もう一声ないですかね。盛土や地盤が液状化することを前提にした基準を作りますと答弁できないですかね、大臣。

斉藤国務大臣 今、その地山の表面の液状化等については、まさにおっしゃるとおりだと思います。そういうものを盛り込んだ基準にしたいと思います。

後藤(祐)委員 今の大臣の答弁は政治家としての答弁だと思います。現行基準では駄目だという答弁なんですよ。すごい大きいんですよ、これは。

 是非この基準を、先ほど申し上げたような報告書なども参考にして、これはやはり専門家の間で意見が割れているんです。なので、是非、そういった意見を持っている専門家の意見を聞いた上で技術的基準を作っていただくようお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

中根委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案、いわゆる盛土規制法案についての質疑をさせていただきます。

 今回の改正は、繰り返しになりますけれども、昨年の熱海での大規模な、盛土を起点とした被害が生じたことから検討され、そして今ここに至っております。改めて、被災者の御冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。

 本法案は、盛土等による災害から国民の生命身体を守るため、宅地造成等規制法を抜本的に改正し、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制しようとするもので、隙間のない規制、盛土等の安全性の確保、責任の所在の明確化、実効性のある罰則の措置を制定するものであります。

 まず最初にお聞きいたしますけれども、指定都市又は中核市の市境や県境などの土地の扱いについてです。

 竜巻などの被害が起きますと、自然災害は境界線のところは加味をされません、検討しませんけれども、これによって、その後の被災者支援等に、扱いが変化というか、差異が生じてきます。指定都市又は中核市の市境が含まれる土地の区域や都道府県境が含まれる土地の区域に対して基礎調査を行う場合、また、宅地造成等工事規制区域の指定を行おうとする場合、片側だけ基礎調査の実施や規制区域指定が進められるというような不均衡が生じることはないのか、そうした事態とならないよう、どのように対応されるのか、お聞かせください。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 盛土等に伴う災害から人命を守るため、本法案に基づく規制区域については、必要かつ十分な区域を指定する必要があり、規制区域を指定する地方公共団体によって、その考え方についてばらつきのないようにする必要があると考えております。

 このため、本法案に基づき、国土全体にわたる盛土対策の総括的な考え方や基礎調査の実施方法、規制区域の指定の考え方等について、国から基本方針を示すことにしています。

 あわせて、基礎調査や規制区域指定の具体的な方法等についても、国においてガイドラインを策定の上、地方公共団体に示すこととしており、その中で、行政区域の境界における区域の指定等についても互いに整合が取れるよう調整する等、的確な対応について示してまいりたいと考えております。

 これらの措置により、必要に応じた十分な区域の指定がなされるものと考えております。

小宮山委員 続きまして、法第十二条二項四号及び法第三十条二項四号にて、宅地造成等工事規制区域内での宅地造成等工事並びに特定盛土等規制区域内での大規模な崖崩れなどについての質問をさせていただきますが、所有者不明土地が含まれる区域や、相続登記が適時に行われることのないまま所有者の代替わりが重なるなどして所有権者が複数になる区域など、それらの所有権者全ての同意が確認できない区域については、工事の申請ができない、あるいは工事の許可がされないということになるんでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、工事の許可に当たっては、所有者全員の同意を得ていることを求めることとしております。

 このため、例えば一部の所有者が不明で連絡がつかないなど、結果として土地所有者全員の同意が得られない場合は、工事の許可がされないこととなります。

小宮山委員 本法が有効に活用されるためには、まずは、対象地域の土地の所有者が明確になる必要があります。さきに改正した所有者不明土地の改正法や、また、昨年扱われました相続登記の義務化など、こういった法改正をしてまいりましたけれども、この解決に向けてのなお一層の対応というのが求められておりますので、是非国交省においてもしっかりと進めていただければと思います。

 さて、四月四日、衆議院国土交通委員会としての熱海市への現地視察を行いました。逢初川の源頭部の被災現場に視察した際に、静岡県杉本砂防課長や中部地方整備局からの説明の中に、残土などによって盛土がされることによって、地下水の流れ、こういったものが見えづらくなったということ、大変、地下水というものが大きな役割というか鍵を持っているんだという言葉が耳から離れませんし、重要だと感じました。

 地下水の状況把握のため、京都大学の釜井教授は、観測井の設置の重要性を指摘され、義務化をすべきだと推奨されております。

 昨年、流域治水関連法が成立し、また、水循環基本法の改正におきましても、地下水を対象とする改正を行ったものであります。その際には、参考人であります橋本淳司さんや、また、水循環基本法フォローアップ委員会の蔵治教授も、地下水の状況把握のためには、観測井の整備、重要性について取り上げられております。

 大規模な盛土等の際には、中央縦排水方式にも注意が必要で、工事中の排水施設と供用開始後は分けて考える、地下水の排水施設の適切な設置も必要であります。

 まず、盛土が行われる場所について、地下水の状況を把握するため、観測井の設置について、重要性など国土交通省としてどのように捉えていらっしゃるのか、大臣からお伺いします。

斉藤国務大臣 小宮山委員おっしゃるとおり、盛土の安全性については、地下水により大きな影響を受けるため、必要に応じて、ボーリング調査等による地下水の状況の把握というのは非常に重要だと思っております。それに応じた排水施設等を設置することが安全性確保のために重要となります。

 また、盛土後も継続的に地下水の状況を把握するためには、御指摘のような地下水の観測井を設置し、中長期的に水位等の観測を行う方法も考えられます。

 盛土の安全確保のための技術基準や安全対策については、地下水が盛土に与える影響等に詳しい有識者にも参画いただく有識者会議を設置し、検討を行うこととしており、その中で、地下水の観測井の取扱いも含め、検討してまいりたいと思っております。

小宮山委員 先ほど後藤委員の方からの質問もありましたけれども、扱われました、安定計算に、盛土や地盤が液状化をしないことを前提にと言いますけれども、やはり地下の水というものが液状化にももちろん大きく影響もしてくるかと思います。是非この点に関しましても、前提となるところを見直すということを、大臣には、政治家として、そして専門家として、先頭に立って進めていただきたいと思います。

 さて、今回の法案に関しましては、農林水産省共管の法律となります。このことの意義について農林水産省から伺いたいとともに、時間の関係がございます、続けて質問も重ねさせていただきますが、森林の維持も大きく影響いたします。国産木材の利益は重視しつつも、皆伐されることによって、水のしみ込み方、そして斜面の保水力や強度というものは大きく変わる。今回も、また、これまで私自身も様々な土石流が起きた被災現場に行く途中、山が皆伐されている姿というのを見てまいりました。これからは、その意味では、小さな林業も推進し、地域を守る、そして、土石流などによって崩落がしないことによって命を守る。この法案の趣旨、一番そこだと思います。命を守るために法を改正し、農林水産省も共管として入られたんだと思っておりますが、この点に関して、二点、林野庁のお考えをお聞かせください。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 本法案では、御案内のとおり、宅地に加え、森林、農地等も法律の対象とし、国が、規制区域の指定の考え方等を定めた基本方針や規制区域内の盛土等の許可基準を策定することとしております。

 この基本方針や許可基準の策定に当たっては、地形、地質等の自然的な条件とか、あと土地利用状況、そういった社会的条件を踏まえた検討が必要となることから、森林や農地等における土地の利用に関する知見を有する農林水産省も共管とさせていただいて、国交省とともに、連携してきっちりと盛土規制を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 もう一つの御指摘は、皆伐がやはり問題があるんじゃないか、適切な皆伐をすべきではないかというような御質問だというふうに捉えさせていただきました。

 近年、豪雨災害等による皆伐跡地崩壊を見ますと、伐採、搬出のための集材路の周辺で崩壊しているケースが多く確認されています。林野庁におきましては、集材路の適切な設置を行うための指針を作成し、その周知を図るとともに、今年の四月から、その指針の内容を市町村森林整備計画に盛り込んでいただいて、伐採届の際に市町村が指導できる、そんな取組を始めたところでございます。

 さらに、皆伐した後にやはりきっちりと再造林を確実に行うということが重要だと考えておりまして、再造林に対して事業費の七割を国、県で補助するとともに、省力、低コスト造林への支援の強化、エリートツリーや早生樹による新しい造林モデルの実証、そういったことを予算措置で進めているところでございます。

 林野庁としましては、このような取組によって適切な皆伐と再造林を進めることによって、国土保全を始めとする森林の有する多面的機能の発揮を図ってまいりたいと考えているところでございます。

小宮山委員 被災した熱海市は、全国的に日本を代表する観光地でもあります。災害というのは、様々な課題はありますし、影響もあり、また、現地に行ったときに、風評被害で、最初やはり厳しい環境に観光地としてはなったということをおっしゃっていました。今も、週末は蔓延防止措置も解除されて少しは戻ってきましたが、まだまだ元には戻らないということでもありました。残念ながら、新規感染者数も微増という報道はありますが、やはり観光立国としては、観光地への支援というのは大変重要かと思っております。

 新型コロナ禍の影響を強く受ける観光関連産業事業者への、債務返済、これも間もなく始まってまいります、負担軽減をすることが重要かと思っております。災害だけではなく、この対策、観光政策というのは国の柱の一つでもありますので、この支援を観光庁から、やはりコロナだけではなく、被災地になった場所、こういったところに対しての、観光庁から関係省庁に強く要請をするべきだと考えますが、いかがでしょうか。

和田(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 コロナ禍が長期化し、観光関連事業者は、旅行需要の減少に加え、債務が増大するなど、大変厳しい状況にあります。観光庁といたしましては、観光関連事業者の実情について、都度、金融庁や中小企業庁など関係省庁にもお伝えし、実情に即した対応が取られるよう連携を図ってきたところでございます。

 観光関連事業者を含めた事業者の金融の円滑化につきましては、関係大臣から金融関係団体等に対して、累次にわたり、事業者への資金繰り等に関して柔軟な対応を行うよう要請がなされているところです。

 また、観光庁といたしましても、各地方運輸局等に特別相談窓口を設け、観光関連事業者からのお問合せに対して、関係機関と連携し、支援策の紹介等を行っております。

 観光関連事業者は、この先も地域活性化の重要な担い手であり、しっかり支援していく必要があると考えております。引き続き、観光関連事業者の実情の把握に努め、関係省庁と連携して適切に対応してまいります。

小宮山委員 ありがとうございます。

 自然災害による風評被害や的確な情報提供、また、事業継続による観光産業の再興は、観光庁の行う重要な災害対策でもある、また景気対策でもあると考えております。この点に関しまして更に尽力いただくことをお願いいたしまして、また、本日の質疑の中にありましたけれども、やはり、森林審議会を参考に、盛土規制審議会を組織するべきなのではないかということを強く感じておりますので、この点の御検討をお願いいたして、私の質問を終わりといたします。

 ありがとうございました。

中根委員長 次回は、来る八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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