第9号 令和4年4月13日(水曜日)
令和四年四月十三日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中根 一幸君
理事 柿沢 未途君 理事 小島 敏文君
理事 塚田 一郎君 理事 土井 亨君
理事 城井 崇君 理事 小宮山泰子君
理事 市村浩一郎君 理事 伊藤 渉君
秋本 真利君 伊藤 忠彦君
石原 宏高君 泉田 裕彦君
小里 泰弘君 大西 英男君
加藤 鮎子君 金子 俊平君
菅家 一郎君 木村 次郎君
小林 茂樹君 小森 卓郎君
櫻田 義孝君 笹川 博義君
田中 良生君 谷川 とむ君
中川 郁子君 根本 幸典君
宮内 秀樹君 宮崎 政久君
和田 義明君 稲富 修二君
枝野 幸男君 神津たけし君
福田 昭夫君 藤岡 隆雄君
谷田川 元君 渡辺 周君
池下 卓君 高橋 英明君
山本 剛正君 河西 宏一君
北側 一雄君 古川 元久君
高橋千鶴子君 福島 伸享君
たがや 亮君
…………………………………
議員 足立 康史君
議員 池下 卓君
議員 山本 剛正君
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
国土交通副大臣 渡辺 猛之君
環境副大臣 務台 俊介君
農林水産大臣政務官 宮崎 雅夫君
国土交通大臣政務官 加藤 鮎子君
国土交通大臣政務官 木村 次郎君
国土交通大臣政務官 泉田 裕彦君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 住友 一仁君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 新田 慎二君
政府参考人
(農林水産省農村振興局農村政策部長) 山口 靖君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 小坂善太郎君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 和田 信貴君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 長橋 和久君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 宇野 善昌君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 淡野 博久君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 上原 淳君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 森光 敬子君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 土居健太郎君
国土交通委員会専門員 武藤 裕良君
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
根本 幸典君 小森 卓郎君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 根本 幸典君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
宅地造成等規制法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)
特定土砂等の管理に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一八号)
土砂等の置場の確保に関する法律案(足立康史君外二名提出、衆法第一九号)
――――◇―――――
○中根委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案、足立康史君外二名提出、特定土砂等の管理に関する法律案及び足立康史君外二名提出、土砂等の置場の確保に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、内閣提出、宅地造成等規制法の一部を改正する法律案に対し、小宮山泰子君外三名から、立憲民主党・無所属、日本共産党、有志の会及びれいわ新選組の四会派共同提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山泰子君。
―――――――――――――
宅地造成等規制法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○小宮山委員 ただいま議題となりました立憲民主党・無所属、日本共産党、有志の会、れいわ新選組四会派共同提出の修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
昨年七月、静岡県熱海市で発生した土石流災害は、災害関連死を含め、死者二十七名、行方不明者一名という被害をもたらしました。上流部の不適切な盛土が被害を甚大化させたと言われています。私も実際に被災現場の状況を見て回り、このような被害が二度と起こらないよう、災害を防ぐための実効性を備えた法整備の必要性を改めて感じました。
政府提出の改正案では、規制区域内の工事の許可に当たって、技術的基準や工事主の資力等を許可の要件として定めています。しかし、工事の許可を行うに当たっては、環境への影響に配慮すること、有識者及び関係市町村長等の意見を踏まえることが必要であります。
また、包括的に盛土等の安全性を確保するためには、規制区域外における盛土等についても十分な規制を行う必要があるとともに、不適切な盛土を規制するだけでなく、建設残土を適正に管理することが重要であります。
このようなことから、本修正案を提出するものであります。
次に、修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、宅地造成等に関する工事の許可の基準として、これらの工事が環境影響評価法等に基づく環境影響評価の対象となる事業に係る工事である場合には、当該事業に係る環境影響評価等が適正に行われることを追加することといたします。
第二に、宅地造成等に関する工事等の許可に当たって、審議会の意見聴取等を義務づけることとします。
第三に、特定盛土等規制区域の制度を設けないこととし、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域内において行われる特定盛土等又は土砂の堆積に関する工事について、原則届出制とし、大規模な崖崩れ又は土砂の流出を生じさせるおそれが大きいものとして政令で定める規模のものは許可制とすることとします。
第四に、政府は速やかに、土砂等の発生を伴う工事の発注者が責任を持って建設残土の適正な処理を確保する制度の在り方等建設残土の処理の適正化を図るための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとします。
以上が、本修正案の趣旨であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
○中根委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○中根委員長 この際、お諮りいたします。
各案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長和田信貴君、不動産・建設経済局長長橋和久君、都市局長宇野善昌君、住宅局長淡野博久君、鉄道局長上原淳君、警察庁長官官房審議官住友一仁君、長官官房審議官新田慎二君、農林水産省農村振興局農村政策部長山口靖君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、環境省大臣官房審議官森光敬子君及び環境再生・資源循環局次長土居健太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中根委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中根委員長 これより各案及び修正案を一括して質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。
○渡辺(周)委員 おはようございます。立憲民主党の渡辺でございます。
私の地元は、熱海市も含めた静岡県第六区でございます。この法案の提出に当たって、昨年の伊豆山での本当に大きな災害、犠牲となられた方々の恐怖や無念、御遺族や関係者の悲しみに思いを致すと、誠に哀惜の念に堪えません。心からのお悔やみとお見舞いを申し上げ、二度とこのような惨事を繰り返さない、このことを誓って、質問に入らせていただきます。
まず冒頭、大臣にお伺いをいたします。
今日お手元にお配りをしました、伊豆山での土石流災害で行政対応の検証委員会が静岡県で立ち上がりました。書かれているとおりでございます。以下のようなメンバーで、中間報告が三月の二十八日の日に提出をされております。これ自体は概要版ですが、本編といいましょうか、報告書自体は五十五ページにわたるものでございます。
大臣はこの報告書を読まれましたでしょうか。まず冒頭伺います。
○斉藤国務大臣 私もこの中間報告書、目を通させていただきました。非常に、行政組織間の生々しいやり取り等も記述をされており、今回、我々、二度とこういう惨事を繰り返さないというために今御審議いただいておりますけれども、そのベースに置いて肝に銘じなければいけない報告書だ、このように感じております。
○渡辺(周)委員 この資料はまだ中間報告でありまして、今、熱海市も内部検証を行っております。熱海市が内部検証を終え次第、あるいは一区切りついたというところで、その検証結果を加えて最終報告を行うということでございます。熱海市に伺いましたら、今月中にはこの内部検証を完了できるのではないかということでございます。
御存じのとおり、今、熱海市では百条委員会を設置をしておりまして、当時の関係者に、こちらの報告書は、検証委員会が任意でヒアリングをして聞いていて、あるいは役所に残っている公文書やメモ書きなどを総合して作ったものですが、熱海市は、今、百条委員会を設置して、当時の関係者も呼んで、業者の言い分あるいは行政側の対応について真相究明を図っているところでございます。それを基に検証結果が加えられたら、また最終報告を是非皆さんと共有したいと思っております。
この中身の中で、ちょっとこの概要版には触れていないところもありますけれども、本編には、県や市の対応が不十分であった、県が市になぜ措置命令をかけないのか。そこのところについて、実は難波さんという静岡県の副知事が十一日に記者会見しておりまして、この報告書について、おおむね内容はそのとおりだとおおむね認めております。そこで、難波さんという副知事が、県や市の対応が不十分だった、県が市になぜ措置命令をかけないのか、もっとしつこく迫るべきだったのではないかというようなこともおっしゃっておりまして、地元新聞、昨日の新聞には、県はこの措置命令の見送りを確認せず、市に働きかけが必要だったというようなことをコメントされているんですね。
それからまた、この報告書でも指摘される中で、行政が危険性を認識していながら、その危険性の認識を、人事異動とか配置換えがあって継承できていなかったということを、どちらかというと役所の組織文化のようなところにまで触れて内容を記載されております。
この委員会で、前回、前々回の委員会でも、全ての皆様方が、二度と熱海でこのようなことを、起きたことを全国で二度と繰り返してはならないということを決意を述べられて、皆さん方も審議に臨まれております。今日は概要版でございますけれども、是非この報告書を読んでいただいて、業者との対応でありますとかあるいは行政手続をめぐるやり取りについては少々生々しいところもございまして、後でちょっと紹介しますけれども、是非共有をしていただきたいと思います。
そこで、伺いますけれども、まず政府に、先ほどちょっと、県と市という行政の組織、それぞれがあって、相当の協議をしてきたんですけれども、それでもやはりこうした結果になってしまったという中で、今後、この法律が施行された後に、県と市町村、実際、その判断をする地方自治体がどう連携していくのか、そしてそれをどう促すのか。それは県です、それは市ですということではなくて、どのように促していくのか、政府側のお考えを是非とも伺いたいと思います。あわせて、修正案の提出者にも、この点についてはどういうお考えか伺いたいと思います。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
この中間報告については、関係部局における対応が、それぞれの所管する制度の目的の範疇にとどまり、積極的な対応が取られなかったことや、県と市や関係部局間における連携が十分ではなかったことなどが報告されており、本法案の今後の運用に当たり、参考にすべきことが多いと考えております。
このため、本法案においては、規制区域の指定に当たり、県が市町村に意見を聞いたり、市町村から県に意見を申し立てるなど、県と市町村が連携する仕組みとしており、また、法案の施行に当たりましては、県、市や、本法案の担当部局と関係部局、警察との連携が図られるよう、基本方針に考え方を示すとともに、不法な盛土に厳格に対応できるよう、対応方法を示したガイドラインを策定することとしております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
渡辺委員の提示されましたこの中間報告、既存の根拠法令等の問題点など、具体的な、現場だからこそ分かる問題点の提示などがあり、皆さんとやはり共有するべき報告書だと思います。
さて、今、御質問でございますが、今回の法改正では、現行法における工事の許可主体が都道府県知事であることを踏襲して、改正後も基本的には工事の許可主体は都道府県知事であるという枠組みを維持しています。そのこと自体は、継続性の観点等を踏まえればそれなりに合理的であると考えますが、しかし、工事の実態、周辺の土地の利用状況、周辺の土地を含むこれまでの災害の発生状況等をきめ細かく知り得るのは、やはり基礎自治体である市町村であり、区域の指定のフェーズだけでなく、工事の許可のフェーズを含めて、都道府県と市町村の連携は大変重要です。
許可の際にも関係市町村長の意見を聞かなければならない旨の規定を修正で追加したのもこのためでもあります。委員の御指摘の、県と市町村との、自治体の連携を促すための一つの方策であると考えています。
○渡辺(周)委員 やはり、法律ができて施行されても、結果的にこれを運用する自治体がどうするかということで、その実効性が問われるわけなんですが、今回の検証委員会がヒアリングした関係者というのは、この概要版にはありませんけれども、ヒアリングした社、者、これ、両方合わせて、前所有者、現所有者、盛土造成実行行為者、現場の責任者、搬入者など、十四にわたりまして、その責任が曖昧になっておりました。
そこで、政府側にお尋ねしますが、原因行為者と土地所有者の責任をどう明確にするか、つまり、責任逃れができないようにするためにどのようにこの法律を運用していくかということについては政府の側に伺いたいと思います。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案では、一義的には土地所有者等に、盛土に伴う災害が生じないよう常時安全な状態に維持する責務を課した上で、災害防止のため必要があると認める場合に、土地の所有者のほか、安全性に問題を生じさせた原因行為者に対しても改善命令を発することができることとしております。
具体的には、土地所有者や原因行為者などの関係者が複数いる場合は、行政側が事実認定をした上で、各々の責任の度合い等を勘案して、必要な措置を行うよう命じることになると考えております。
○渡辺(周)委員 是非、今回の痛ましい熱海での土石流災害、前所有者がいて、現所有者がいて、所有者が替わった。そこに様々な関係する方々がいて、例えばいろいろな変更手続についても非常に複雑な形になっていた。そこで責任が曖昧なまま今日まで来ているということがやはり指摘されております。この点については、二度とこのようなことがないように、厳格な法の執行をお願いしたいと思います。
あわせてまた、実効性についてなんですけれども、この報告書では、二〇〇九年の十月、相当前です、この災害が起きる十二年も前に、二〇〇九年の十月の時点で、伊豆山の港、あるいは逢初川、皆様方も御視察で行かれて御覧になったと思います、この逢初川の河口が濁っていた、この河口の濁りを受けて、土砂の流出をもうその時点で既に確認をしていた。そして、行政側は、現在の危険な状態を行政として放置しておくことは許されない、業者に対し至急何らかの措置を命ずる必要がある、明日にでも停止するような気持ちで対応すべきだ、危険な状態なら、勧告から措置命令、そしてそこから停止という手順を取らなくても停止命令ができるというふうなやり取りがあったことも記述されているんです。
しかし、結果として、業者との、口頭指導でありますとか文書指導を経て、その翌年ですから二〇一〇年の九月に、県条例に基づいて土砂の搬入をしないよう文書で要請するも、結果としては、その要請は無視をされて、搬入が継続されております。それまでに何度となくこの業者への対応をめぐって県と市では協議しているんですね。
先般の参考人の質疑でも大橋先生がおっしゃいましたけれども、やはり行政指導の限界、相手方の任意の協力である行政指導の限界があるという中で、行政側は、最大限危機を阻止しようと、様々な現行法の中で当時協議をしていたんですね。
そこで、直ちに停止命令、これは大橋先生も触れています、停止命令をする発動の基準をやはり作るべきではないのか。行政指導を繰り返して、結果的に相手がそれに従わない。もうどこかで時期を区切って、何らかの形で中止命令を出す。例えば期間を定めるとか、何度かの指導、勧告に従わない場合は、例えばですけれども、二回して改善がされない場合には、それは中止命令を出せる。何らかの基準の発動まで必要だと思うんです。その点については、政府側はいかがお考えでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案においては、無許可で盛土を行っている場合のほか、許可条件に違反する工事や技術的基準に適合していない工事などについて、災害防止措置の命令や工事の施行停止命令を行うことができることとしております。
どのようなケースにおいてこれらの命令を発動すべきか等も含め、不法な盛土への対応方法については、国において具体的なガイドラインを作成し、地方公共団体に示すこととしており、必要な場合にはちゅうちょなく命令等の対応がなされるよう、地方公共団体を支援してまいりたいと考えております。
具体的には、不法な盛土への対応方法について、具体的なケースを想定して、できる限り分かりやすく、また、どのようなフェーズでどのような法的対処に移行すべきかなどを客観的に判断できるようなガイドラインを検討の上、地方公共団体に示してまいりたいと考えております。
○渡辺(周)委員 前回からずっと、ガイドラインに示すと、ガイドライン任せのようなところがあって、答弁の、なかなか中身に入って、そこのところについてはなかなか、ガイドラインということで言われてしまっているんですが、ガイドラインはいつ頃策定をされて、いつ頃自治体には示されるのか。ちょっと質問、これは通告にはありませんけれども、めどをちょっと教えていただけますか、そのガイドラインの。
○宇野政府参考人 この法律が施行されて、この法律の施行は、公布から一年後で、政令で定める日ということで施行の日が決められることになります。不法盛土発見時の現認方法、手続等のガイドラインについては、その施行に間に合うように整備をさせていただきたいというふうに考えております。
○渡辺(周)委員 できるだけ早く、ある程度概要が決まった時点で自治体には示すべきだと思うんですね。
あわせて、もう一つ聞きたいんですけれども、これは、実際、私の地元の町でもあった、無許可で盛土をしていた業者さんが逮捕されました。もう既に中止命令を出していたんですけれども、結果的に、従わないで、どんどんどんどん堆積が増えていった。入口に、この先は進入禁止、盛土禁止と看板は出しているんですけれども、別にそこに誰かが立っていてチェックするわけじゃありませんので、結果として無視され続けてしまった。
そこで伺いたいんですけれども、搬入をさせないために、物理的な方策、例えばロックダウンというのか、業者がダンプカーで入れないようにする、そういうことって可能なんでしょうか。そこまでの、例えば中止命令をやるのであれば、実効性を担保する意味ではやらないと、結果、命令に従わないで続けてしまった場合は、悲惨なことがまた起こってしまう。そのことを考えたとき、そうした物理的な方策で止めることはできないのか。そこはいかがですか。
○宇野政府参考人 本法案におきましては、無許可、基準違反等の盛土を現認した場合、施工停止や土地使用禁止、災害防止措置の命令を行うことができます。この際、無許可や基準違反、命令違反等に対しては、実効性の高い罰則を措置し、警察と連携して取締りを行うこととしております。
また、災害防止措置命令を受けた者が命令に従わない場合には、都道府県等による迅速な行政代執行も可能としております。
土砂の搬入をさせないための物理的な方法ということではなく、これらによって、違法盛土を行う者に対して適切な対応を取ることが可能であると考えております。
○渡辺(周)委員 その点については、行政もマンパワーが足りません。命令は出したけれども、その命令に従っているかどうかということについて常時監視しているわけでは、もちろん、監視カメラは遠隔で監視したりはできると思いますが、全てがそういう装備を配置できるわけではありませんので、そこのところについてもしっかりとした、やはり財政的な裏づけも持って、中止命令を受けているけれどもお構いなしにどんどんどんどんまだ土砂を搬入するようなことがないような、財政的な支援の仕組みも、是非これは検討いただきたいと思うんです。
この報告書で、行政とやり取りをする中で、事業者の資力、信用が不十分なため、最終的には行政代執行により安全上の措置が取られるということも実は議論されていたんです。もう既に、事業者の資力が、資力、信用ということについては不十分であったということは、ある程度行政側も警戒していたんですね。
四月六日の委員会の質疑で、費用負担を懸念して代執行をちゅうちょする自治体もあるのではないかという指摘に対して、ちゅうちょなく措置を講じるよう支援してまいりますという答弁がありました。
今も代執行の話がありましたけれども、事業者の資力、信用を測るために、例えば民間金融機関であるとか、あるいは民間の信用調査機関、何とかリサーチのようなところとか、協力を得て、どういう業者が今どういう、資力について信用があるのかということは確認をして、受け入れる段階で対応するだけの情報を共有していることは必要だと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案においては、許可に際して、資金計画や過去の事業実績等を審査し、工事主が十分な資力、信用を有していると認められる場合にのみ許可を行うこととしております。
本法案と同様の手法で申請者の資力、信用を審査する制度としては、都市計画法に基づく開発許可において同様の制度が設けられております。
具体的には、開発許可の審査において、資金計画書、法人の登記簿謄本、事業経歴書及び納税証明書の提出を求め、資金調達能力に不安がないか、過去の事業遂行において問題となった前歴がないか等を審査しております。
都市計画法に基づく開発許可においては、こうした手法によりこれまでも十分な審査がなされているところであり、本法案による盛土等の許可においても、工事主の資力、信用について審査ができるものと考えております。
○渡辺(周)委員 その点について、是非、関係機関と連携をして情報共有して、もう既に窓口の職員は、大丈夫なのかと、結果、行政代執行することになる、公費で、結果的には、最後はやらなきゃいけなくなる、少しそういう懸念は持っていたんですね。
ですから、申請を受け付ける、若しくは届出でも許可でもそうですけれども、そこの入口を相当しっかりしないと、結果的に、違法なことをされたり、当初の話と違うことをされて、最後は行政代執行して、でも、もうそれを請求されても払えない、例えば自己破産してしまったなんという形になって、結果、最初から行政が、言葉は悪いですけれども、尻拭いをするようなことを見込んだ上でやるというようなことが絶対あってはならない。そのことで、是非入口を厳しくしていただきたいと思うんです。
そこで、一旦許可をしてしまって、届出を受理してしまうと、その後の行政対応というのはどうしても後手に回ります。今、この報告書にもあるとおりです。協議をしている間にどんどん時間がたってしまう。改善や原状回復には時間がかかるわけです。
それだけに、許可に当たっては、あるいは届出を受理するに当たっては、万全を期すために、様々な情報、今申し上げたような情報、そして専門家による多角的な視点を基に、あるいは当然、当該市町村の判断も含めて、これは入口は相当厳格にしなければいけないと思うんです。その点について、法案提出者、今回、審議会の意見聴取、このことについて言及されておりますけれども、その思いというものを聞かせていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 御質問ありがとうございます。
政府案では、盛土の工事の許可に当たっては、許可の基準が規定されており、都道府県知事等がこの許可基準に適合しているかどうかの判断をすることになっていると思います。
本修正案によって、都道府県知事が審議会及び関係市町村長の意見を聴取する規定を盛り込むことで、技術的、専門的判断を適正に行うとともに、地域住民の意向を反映した適正な判断が行うことができるようになることを期待しているものでございます。
○渡辺(周)委員 是非これは、環境アセス、自治体が例えば行って、さらに、専門家によってこのことについて意見をすることによって実効性を高める、そういう中身の、是非法案に修正案を取り入れていただければなというふうに思います。
今日は警察庁にも来ていただいておりますけれども、やはりこの報告書の中でこう記載されています。
職員に対し、大きな声を出すなど高圧的にどなる姿勢が見受けられ、企業としての同社に対して、信用してはいけない、指導に従う意思がないとの印象を持たれていた。行政機関からは、つき合いたくない相手、残土処理が目的で、宅地開発は時間稼ぎではないかと認識を持たれていたんですね。これは概要版には書いてありませんが。
既に、県の土木部は、各種の交渉や指導の過程において、のらりくらりとした業者であり、会議を欠席するなど全く相手にならなかった、市は大変だったと思う、身に危険が及ぶ相手と聞いたことがある、たとえ措置命令を出しても従うような相手ではなかったと証言しているんですね。
こうした業者であっても、市は、命令よりも指導で業者にしっかりとした姿勢をつくらせるという方針で臨んだ。ぎりぎりのところで行政指導で何とかしようとした、ある意味涙ぐましい努力もかいま見られるんですけれども。
警察に伺いますが、つき合いたくない相手、威圧的であり身に危険が及ぶような相手と交渉する際に、例えば、強要や脅迫といった刑事事件的な要素を排除して、その手続が行政の窓口でちゃんと協議できるようにするために、警察としてどのように関与するか、その点について警察のお考えを伺いたいと思います。
○住友政府参考人 お答え申し上げます。
様々な場面で行われている行政の立入りですとかパトロール等に対する警察の対応についてということで、一概にお答えを申し上げることは困難ではございますけれども、一般論として申し上げますと、行政職員に対し威圧的な要求や暴力の行使等が予想される場合には、行政職員の立入り等の際に警察が同行するなどしてトラブル防止を図っているものと承知をしております。
今回、御質問にありました、盛土に関する行政職員による指導、こうしたものに関しましても、自治体、関係機関等と連携し、適切に対応するよう、引き続き都道府県警察を指導してまいります。
○渡辺(周)委員 行政の窓口の職員は、その業者さんに会うだけで、ストレスになったり、体調を崩して、そんなこともあるんですね。
そういう中で、やはり、警察の、ある意味では連携協力の下に対応しているという、そのことについて相手にも分からせるという、ある意味抑止のことも含めて、是非、積極的な関与を、また情報提供も含めて、特に県外の業者、どういう方かというのは情報を持っていなかったりしますので、そこは、県境をまたいで持ってくる搬入業者が過去にどういうことをしていたか、そういうことも含めて、是非情報提供をしていただけるようにお願いしたいと思います。
次は、規制区域の指定について伺います。
法施行までの時間がかかればかかるほど、駆け込みの搬入が行われるのではないかと思います。ですから、法の施行までに、一年を目途ということでございますが、余り時間をかけないようにしていただきたい。
その間に、規制区域の指定について、私も、県庁の担当者の方とちょっとお話を昨日いたしました。そこで、静岡県だけで、例えば土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域を含めますけれども、静岡県内だけで合わせて一万八千二百十か所指定されているんですね。全国でこの土砂災害の警戒区域というのは六十七万二千四百か所指定されているんです。
それで、当然ここは規制区域にかかるということで、マストで考えられているんですよねということを聞かれました、行政側に。そういう理解でよろしいでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案に基づく宅地造成等工事規制区域は、市街地、集落や、これらに隣接、近接する区域など、人家等がまとまって存在し、盛土等がされれば人家等に危害を及ぼし得るエリアであり、土砂災害警戒区域はこの区域に含まれ得るものと想定されます。
都道府県等においては、これらの区域についての既存の調査結果も活用しつつ、基礎調査を行い、これらの区域も含め、必要かつ十分な規制区域を指定することとなります。
国としては、このような既存の調査結果の活用についてもガイドライン等で示し、法施行後速やかに区域指定がなされるよう、都道府県等を支援してまいります。
○渡辺(周)委員 いや、もう既に、そういうデータは、ハザードマップもあるわけですので、そこはもうマストということでよろしいのか。つまり、一から、静岡県だけでもそんな一万八千もある危険区域をもう一回調べ直す時間も人もございません。ですから、そこはもう当然、規制区域と指定されるということでよろしいですね。ガイドラインにはそう書かれるんですね。そうすれば、ほかのところを規制区域として調査する方に力を振り向けられる、時間と人を振り向けられますけれども、そういうことでよろしいですねという確認。
それともう一つは、では、山地災害危険地区は全国で十九万四千か所、平成二十九年末です。静岡県だけで七千八百五十八か所あるんですね。全国で二十万近い山地災害危険地区もありますから、当然、先ほど申し上げた土砂災害の警戒区域そしてこの山地災害危険地区は、これはマストであるということでよろしいですね。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
今委員が御指摘なされました土砂災害警戒区域、それから山地災害危険地区、これにつきましては、山地災害危険地区の方につきましては、人家等に危害を及ぼし得るものについてはこの区域に含まれるものと考えております。
また、いずれにいたしましても、それらにつきましては既存の調査結果がございますので、それを活用することで、基礎調査はもう十分やったという形で指定の方に向かっていっていただくことができるというふうに考えております。
○渡辺(周)委員 ちょっと時間がありませんので、その点については改めての機会にまた議論をしたいと思います。
それで、今申し上げましたように、やはり行政の現場で伺いますと、土木の専門知識を持っている職員が少ない。前回の委員会、前々回の委員会でもたしか質疑がありましたけれども、例えば民間の委託、例えばコンサル会社でありますとか、あるいは土木職として経験のある自治体のOBの活用なんかを含めて、やはり委託をすべきじゃないか。とにかく機動的に監視をして、あるいは、今後、法を運用していく上では増員か委託が必要だと現場の声が上がっています。
この人材確保の考え方につきまして、修正案の提案者はどうお考えでしょうか。
○高橋(千)委員 委員御指摘のとおり、増員並びに委託も含めて、人材対策は本当に必要なことだと思っております。
盛土行為に対する対応は、場合によっては、委員先ほどお話しされているように、不法行為を続ける悪質、巧妙な事業者に対応しなければならないことも少なくありません。パトロールや立入り、勧告などの指導に当たっては、必ず複数、かつ警察部局などとの連携は必ず必要になると思います。
市町村は、住民との距離が近く、地域の事情や人材に精通している反面、行政窓口が幾つもかけ持ちしている場合も多く、政府のガイドラインや通知などを追いかけるのもやっとである、そういう事情があると思います。
規制に関わる根拠法令に詳しい、また現場の経験のある人材を、民間委託も含め、また、育てていくための特別な支援が必要である。そのための都道府県の役割も大きいと思いますし、これを裏づける財政的な支援は国にしっかりと担保していただきたいと考えております。
○渡辺(周)委員 政府側に今度は聞きたいんですけれども、指定された規制区域の見直し、追加といいますか、新たに行う、あるいは柔軟に、まあ頻繁にといいますか柔軟にといいますか、規制区域は見直すことが可能なのかどうか、それをまず伺いたいと思います。あわせて、規制対象となる一時的な堆積の一時的というのはどれほどの期間をいうのか。利用が未確定なものも含まれるんですか。つまり、行き場がないけれども暫時置いておく、だけれども、その暫定的な期間が一体どれぐらいの期間なのか。そこについては何かしらのめどがあるのかどうか。その二点について政府に伺いたいと思います。
提案者には、建設残土の最終的な受入れ地の確保及びその実施を担保するための制度の在り方、どのように想定しているか、お答えいただきたいと思います。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
まず一点目の、指定された規制区域の見直しは頻繁に行えるかという点につきましては、本法案では、盛土等に伴う災害から人命を守るという目的のため、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域は網羅的に規制区域に指定されることが重要であり、市町村からの意見の申出、関係部局が連携した盛土等の情報の共有、地元住民からの通報等をきっかけに、必要に応じて随時、規制区域を見直すこととなると考えております。
また、一時的な堆積の一時的とはという御質問ですが、土石の堆積については、工事のために一時的に仮置きをする場合から、いわゆるストックヤードとして搬出、搬入を繰り返しながら一定期間堆積が行われる場合まで、目的によって様々な期間が考えられるため、一律に有効期限を設けることは考えておりません。
その上で、堆積期間が未確定のものや堆積期間が明確な根拠なく長期のものにつきましては、安易に許可をするのではなく、申請内容等を踏まえて一定期間内の許可にとどめ、延長の必要が生じた場合には、その都度、変更許可の提出を求めるといった対応を取ることを検討しております。
公共工事の建設現場から発生する建設発生土については、済みません、以上でございます。
○小宮山委員 建設残土の最終的な受入れ地については、一時保管所や中間置場が事実上の最終的な置場として扱われている不適切な事例があることは認識をしております。
このようなことが起こらないように、例えば、あらかじめ定めた適切な期間内に建設残土を搬出することを義務化すること等により、一時保管所は一時的なものであることを徹底し、別途、最終的な受入れ地の確保が実施されるべきという考え方を検討条項に盛り込んだものであります。
○渡辺(周)委員 是非、この修正案、政府・与党等にもしっかりと受け止めていただいて、いいことは取り入れていただきたいなというふうに、熱海を選挙区として、このことをまさに当事者として見てきた議員としては是非お願いしたいと思います。
最後に、発生場所から最終処分場までを追跡可能にするトレーサビリティーシステムの導入は不可欠である。先ほど申し上げましたように、関係者が入り組んでいて、非常に責任の所在が曖昧になった。
国発注の工事で実証実験を開始しているということですけれども、政府に伺いたいのは、現状、どのような、実証実験の結果はいつ頃出てくるのかということ。それから、民間業者への導入について、政府はどうお考えか、そして修正案の提出者はいかがお考えか、そのことについて伺いたいと思います。
○和田政府参考人 国土交通省では、令和二年九月に策定しました建設リサイクルの推進計画二〇二〇を踏まえまして、令和二年度から、建設発生土の適正な処理の推進のため、ICT技術を活用したトレーサビリティーシステムによる試行を行っております。
この試行では、国土交通省の直轄工事におきまして、指定利用等の対象である建設発生土の経路を指定利用の指定のとおりに正確にしっかりたどっているのか、そして適切な運搬、処理の実施、これを確認するということを目的としておりまして、搬出元から搬出先までの経路を正確に把握するために必要な、システムの機能要件や使用に当たっての留意点などについて検討を行っているところであります。
引き続き試行を実施し、指定利用等の契約履行の確認や再生資源利用促進計画の実施の確認、これらについて、また元請業者の習熟、使いやすさを追求していくとか、あるいは生産性の合理化、これにどう使っていくのか、こういったことに留意して検討を進めていきたいと考えております。
また、民間工事におきましても、ICTを活用したトレーサビリティーシステムによる事務の効率化等のニーズは高いと考えられます。このため、この試行結果を踏まえて検討してまいりたいと考えてございます。
○小宮山委員 本修正案の検討条項においては、検討対象として、土砂等の発生を伴う工事の発注者が責任を持って建設残土の適正な処理を確保する制度、建設残土トレーサビリティー制度、また現在の公共事業における指定処分制度の民間への活用など、こういった制度の拡充などの検討をすることを明記させていただきます。まずもって渡辺委員の御指摘のとおりだと考えております。
○渡辺(周)委員 済みません、会派の持ち時間で、最後に。
大臣に最後に伺います。
今までのやり取りを聞いて、是非、修正案も含めて、政府案と重ね合わせていいものを作っていただきたい。
一つ質問。基礎調査、あるいは代執行、今まで、費用のことについてはちゅうちょなくできるようにするということなんですが、費用は全額出されるということなのか、是非その点について最後に決意を伺いたいと思いますし、また、今後こうした災害を起こさないということに対して是非決意を伺いまして、私の質問を終えたいと思います。よろしくお願いします。
○斉藤国務大臣 今、維新の会からも法案が提出されておりますし、今回、四会派による修正案も提出されました。いろいろなこういう議論を重ねて、よりよき結論を得ていきたい、このように思っております。
また、最初の答弁でも申し上げましたけれども、この中間報告を読みましても、改めて、こういう熱海のような事故を二度と起こしてはならない、そういう決意の下で我々頑張っていきたい、いい法制度にしていきたい、このように思っております。
○渡辺(周)委員 最初、冒頭に聞いたのは、この費用の支援について、これは全額出していただけるのかどうなのか、そこはいかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 それは、ちょっとまた今後検討させていただきたい、このように思っております。
○渡辺(周)委員 終わります。
○中根委員長 次に、神津たけし君。
○神津委員 立憲民主党の神津たけしです。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まず冒頭、盛土は、私は人災だと考えております。これまで被害に遭われた方々、まず哀悼の誠をささげるとともに、二度と盛土によってこうした人命を犠牲にしないという決意を申し上げ、質問いたします。
まずは、特定盛土等規制区域と宅地造成等工事規制区域の指定について質問いたします。
本法案の条文、第一条では、盛土から国民の生命及び財産を保護することが示されています。この財産とは何を意味するのか、教えてください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
第一条で言う財産とは、家屋のほか、その内部や近辺にある物品など経済的価値を有するものがこれに当たると考えております。
○神津委員 ありがとうございます。
今の御答弁だと、恐らく、人家等とこれまで御発言されているこの内容だったんだと思います。私、これだけだと、不足しているというふうに考えております。
特定盛土等規制区域、宅地造成等工事規制区域の設定に当たっては、人家等のみを守るということでしょうか。財産、例えばほかの国民の財産については含まれないということでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案においては、保護法益として、より重要と考えられる人命の保護に重きを置いて、規制区域を指定し、許可制という厳しい権利制限をかけることとしております。
こうした考えに基づき、人家等を保護することを念頭に、規制区域として、市街地、集落、これらに隣接、近接する区域など、人家等のまとまりがあるエリア、市街地や集落からは離れているものの、地形等の条件から人家等に危害を及ぼし得る斜面地などのエリアを指定することとしており、人命を守ることを通じて、関係する財産についても守ることができるものと考えられます。
○神津委員 人家等を守れば国民の財産を守っていると言えるのでしょうか。私は思いません。国民の財産を守るというのであれば、守るべき対象を人家等のみに絞るのではなくて、あらゆる国民の財産を含めるべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 特定盛土等規制区域は、市街地や集落等からは離れているものの、地形等の条件から、盛土等がされれば人家等に危害を及ぼし得るエリアでございます。土石流の発生等が起こりやすいとされる山地災害危険地区のうち、人家等に危害を及ぼし得るものについては、この区域に含まれ得るものと想定されております。
具体的には、都道府県等が、山地災害危険地区についての既存の調査結果も活用しつつ、基礎調査を行い、当該地区も含め、必要かつ十分な規制区域を指定することとなります。
今回の、我々が守るべき国民の生命及び財産ということ、その人家等ということの中に幅広くこれが含まれている、このように認識しております。
○神津委員 恐れ入ります。今、大臣の御答弁で、人家等と、含まれるとおっしゃられたところなんですけれども、もう一度、大臣の定義について教えていただけますか、人家等。
○斉藤国務大臣 人家等とは、人が居住し、又は活動を日常的に行う蓋然性の高い人家や事業所のほか、これらの近傍にある公共施設などを指します。
○神津委員 次に、今の質問の関連で、山地災害危険地域とはどのような地区でしょうか。また、山地災害危険地区を定めるに当たって、民間の電力関連施設、設備、それから鉄道、道路、水道などの線状インフラは対象として含まれているのでしょうか。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
山地災害危険地区は、治山事業の優先度の判断や、地域の防災対策の基礎情報として活用するため、山地における崩壊、地すべり、崩壊土砂の流出に伴う災害の危険性を把握することを目的として、地形、地質等から見てその発生危険度が一定の基準以上のものであり、かつ、公共施設や人家等に直接被害を与えるおそれがある地区として都道府県が調査したものでございます。全国で十九万四千か所ございます。
山地災害危険地区の調査対象には、官公署、学校、病院、道路等の公用若しくは公共用施設、又は人家、工場、旅館、寺社等に直接被害を与える地区として調査しておりまして、お尋ねのその他の施設が対象に含まれるかどうかというのは個々に検討されているところでございます。
○宇野政府参考人 ライフラインについてのお尋ねがございましたので、その点についてお答えを申し上げたいと思います。
本法案においては、人家等が存在するエリアのほか、これに近接、隣接するエリア、人家等から離れた場所であっても人家等に危害を及ぼし得るエリアなど、盛土等に伴う災害から人命を守る観点から必要なエリアについて、広く規制区域として指定できることとしております。
また、道路等の公共施設に関しては、人の往来状況等を勘案して必要がある場合には、施設に危害を及ぼし得るエリアを規制区域として指定できるものと考えております。
このように、本法案に基づく規制区域は、相当程度広いエリアを指定することが可能であることから、重要なインフラを守る観点においても十分機能するものと考えております。
○神津委員 ありがとうございます。
今、農水省の御答弁の中で、山地災害危険地区の設定に当たっては、官公署、公共施設、学校、病院、道路等の施設、それから工場、旅館、お寺、神社などを含むというふうにおっしゃられたと思うんですが、なぜこうした施設を対象としているのか教えていただけますでしょうか。人命を守るためにこうした施設を指定しているのかお伺いしたい次第です。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
山地災害危険地区は、治山事業の優先度判定、それに加えまして、地域の防災対策の基礎情報として活用するということでございます。災害が起きたときに地域の方々が避難するとか、そういうときの目安として活用するということを目的としております。
そういったことから、先ほど申し上げた対象となる施設は、やはり人命に関わるという観点から定めているものかなというふうに考えているところでございます。
○神津委員 ありがとうございます。
今回の法案ですが、命を守ることを想定している法案だと私は思っております。こうしたことを考慮に含めれば、人命に関わる山地災害区域は自動的に特定盛土等規制区域に指定されるべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。大臣、お願いします。
○斉藤国務大臣 山地のことでございますが、具体的には、都道府県等が、山地災害危険地区についての既存の調査結果も活用しつつ、基礎調査を行い、当該地区も含め、必要かつ十分な規制区域を指定することとなります。
国としては、法施行後速やかに区域指定がなされるよう、都道府県等を支援してまいりたいと思っております。
○神津委員 ありがとうございます。
ちょっとぼやっとした、まだ、山地災害危険地区について、明確に、特定盛土等規制区域に指定するというふうな答弁ではなかったと思いますが、今後、既にもう十九万四千地区指定されていると思いますので、その地域を参考に、是非とも決めていただければと思っております。
次に、関連した質問であるんですが、特定盛土等規制区域を定めるに当たって、ライフラインを守るインフラというものは含まれているのでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどライフラインについての御質問があった際に御答弁差し上げましたが、本法案における規制区域は、人命を守る観点から、必要なエリアを相当程度広く指定できるということから、重要なインフラを守る観点においても十分機能するものだと考えております。
○神津委員 分かりました。
私、今ちょっと、まだちょっと皆様の中でぼやっとしているかもしれないので、実際の事例を用いて御説明したいと思います。
まず、配付資料の一ページ目なんですが、「福島第一原発を襲った土砂災害」というものを御覧ください。ここの「はじめに」と書かれているところなんですが、土木学会の原子力土木委員会地盤安定評価委員会が公表した報告書、このドラフト版の二百二十六ページに、二〇一一年東北地方太平洋沖大地震による造成斜面の崩壊は、送電鉄塔の倒壊による外部電源の喪失をもたらすとともに、それを誘因とした福島第一原発の事故を引き起こしましたと。
この事実を、実はほかに伝える報告書が、私、見つけられなかったんですが、非常に注目に値するのではないでしょうか。地震後も、夜の森線一、二号線は給電可能であったんですが、盛土の崩落によって鉄塔が倒れて、福島第一原発への給電機能が失われたということです。外部電源が生き残っていれば、少しは被害が抑えられたのではないかと思っております。こういう意味においては、ライフラインを守っていくというところは非常に重要だと私は思っております。
冒頭申し上げましたが、盛土は天災ではなくて人災です。震災や豪雨により盛土の滑動崩落が起きれば、私たちの命をつなぐ水、電気、道路等のインフラが破壊されます。熱海においても、一か月も水が来ないというところもありました。国民の命と財産を守ると第一条で定義しています。国民の命に加え、国民の財産である公共インフラを守れるように、特定盛土等規制区域を指定すべきと考えております。
大臣、線状インフラについても、命が懸かっています。今回の区域指定では、こうした線状インフラ、是非とも盛土等規制区域に加えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 私も、福島第一原発の土砂崩れによって鉄塔が崩壊して、いわゆる電源喪失になった、あれさえ立っていればきちっと電源が確保されたのにという説明を、直後に私も訪問してお聞きしたことがございます。
今の神津先生からの御指摘でございますが、ただいま局長から説明がありましたとおり、本法案における規制区域は、人命を守る観点から、必要なエリアを相当程度広く指定できるものでございまして、重要なインフラを守る観点においても十分機能するものと考えております。
○神津委員 ありがとうございます。広い範囲で是非とも指定していただければと思います。
今回、国会のこの質疑を、委員会での質疑を聞いていると、発生元である建設発生土についての質問も多くなっていると私は理解しております。
質問通告八番に移らせていただきます。
本法案ですが、建設残土に関して何らかの義務づけを規定していません。発災から短期間で盛土法案の策定までこぎ着けたというところは大変評価するものだと思うんですが、残土分野の法制化は難しかったんでしょうか。その理由について確認させてください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、危険な盛土等に伴う災害から人命を守るという観点から、建設発生土等のいわば出口としての盛土について、安全性を確保するための対策を講じるものです。
一方、建設発生土は、基本的に再利用を促進していくべきものであり、搬出先の適正性の確保と資源としての有効利用を一体的に図ることが不適正処理の防止に効果的であることから、本法案とは別途の対応を検討しているところです。
具体的には、資源有効利用促進法の省令等を見直し、搬出先での盛土等の行為が本法案に基づく許可を得ていることを事前に確認するなど、元請業者に搬出先が適正であることを確認させる仕組み等を構築します。あわせて、公共工事において、発注段階で搬出先を指定する指定利用等を徹底していくこととしております。
国土交通省としては、二度と熱海市と同様の悲劇を繰り返さないよう、盛土の安全性の確保と併せて、建設発生土の適正処理の確保にしっかりと取り組んでまいります。
○神津委員 ありがとうございます。
一部の道路工事を対象に行った調査によると、地方整備局の国道事務所では、建設発生土、全て指定利用となっているんですが、都道府県では八二%、市町村では五五%の指定にとどまっていると伺っております。
この建設発生土の指定利用などについて、工事の発注者に義務づけてはいかがでしょうか。また、残土を処分する場所を国が積極的に整備してはいかがでしょうか。
○和田政府参考人 建設工事の約八割を占めます公共工事におきましては、約八六%の建設発生土につきまして、発注者が発注段階で受入先を指定する指定利用等を行っておりまして、特に、国の発注工事ではほぼ全ての工事で指定利用等が行われております。
委員おっしゃるように、地方公共団体のところはこれで十分というレベルまでまだ達してございませんが、これをしっかりと公共団体に促して、もうかなりのところまで、全体として八六%ですから、来ておりますので、促して実行していきたいと考えております。
具体的には、去る四月一日にも、改めまして公共団体に対して、総務省と国土交通省と連名で、指定利用等を徹底するように、今回初めて周知したところでありますし、こういったことによって、公共工事による指定利用、これが十分に進んでいくように努めていきたいと思っております。
また、民間工事の発注者は様々な主体があることから、基本的には、専門的な知見を持ち、建設工事の施工全般に責任を持つ元請業者に適切な搬出先の選定などの役割を担わせ、発注者には費用の適切な負担を求めることが適切と考えております。
なお、継続的に大規模な建設工事を発注している民間発注者は、公共工事と同様に指定利用などを行うなど、より積極的な役割を果たすことが求められると考えておりまして、この旨をガイドラインなどで明確化するとともに、様々な機会を捉えて周知してまいります。
また、先ほど、建設工事の約八割を占める公共工事において、約八六%の建設発生土について指定利用等がなされていると申しましたが、このように、公共工事において指定利用等は十分なされてきております。そういったことから、一概に受入れ地が不足している状況ではないかと思われます。そのような状況ではありますけれども、こうした指定利用などの取組とともに、現場内の利用の促進や、新たな法制度による許可地一覧の公表によるマッチングの促進などを行うことによって、必要量に応じた受入れ地の確保を進めていきたいと考えております。
○神津委員 ありがとうございます。もう少し答弁、短めでお願いします。
今いただいた答えなんですが、八割、今、公共工事関連、地方自治体では行き先が決まっていると伺いました。残り二割の部分について、まだ指定利用が進まないようでしたら、是非とも国が介入することをお願いしたいと思います。
次に、リニア中央新幹線の発生土について伺います。
私の地元、実は、長野県においては、リニア残土の置場候補のうち、少なくとも二か所が、県の土石流危険地域と、それから崩壊土砂流出危険地区となっていたというふうに報道がありました。JRも自治体も、こうした情報を実は地元の住民に説明していなかったと伺っております。
残土の置場の計画を地域の方々に説明する際には、こうした重要な情報を併せて説明されるべきではないでしょうか。また、国交省は、こうした危険な地域に行われた盛土に対して、本法案施行後、どのように対応される予定でしょうか。
○渡辺副大臣 本法案におきましては、盛土等に関する工事に伴う住民等とのトラブルが発生することを防止し、工事の円滑な施行を確保する観点から、造成主が、工事の許可申請に先立って、周辺地域の住民に対し、説明会の開催などにより工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならないこととしております。
具体的な周知の方法などにつきましては、今後、省令で定めることになりますが、住民の皆様方に対しては、工事を行う区域や目的、そしてまた工事施工者、期間など、工事計画の概要について周知することを予定をしております。
その際に、当該工事を行う区域が元来土砂流出のおそれが高い区域である場合には、併せてその情報を周知することについても今後検討してまいります。
また、本法案の施行前に行われました盛土も含めて、規制区域の指定前に行われました既存の盛土については、基礎調査により把握をし、その結果を公表するとともに、災害防止のため必要なときは、土地所有者や行為者等に是正命令ができることとしております。
○神津委員 今、是正命令を下すとおっしゃられたんですが、その是正命令に従わなかったときには、是非とも行政代執行、こうやっていただければと思います。
次に、配付資料の三枚目、総務省が行った建設残土対策に関する実態調査について御説明、御説明というか、この説明書について質問いたします。
このオレンジ色のボックス、「主な勧告」というところなんですが、ここの一番目のところに書かれていることなんですが、「再生資源利用促進計画及びその実施状況の記録について、建設請負業者から発注者への報告を義務付けるとともに、搬出状況、搬出完了後の状況を示す書類について整理を行い、合わせて発注者が確認できる仕組みを整備すること。」ということで、トレーサビリティーについて、非常に明確に総務省から国交省に対して勧告が行われております。
これが、省令を変更することによって実現することが可能なのかというところと、あと、この対応について、今どの程度進んでいるのか、お伺いできればと思います。
○和田政府参考人 昨年十二月、総務大臣から国土交通大臣に対し、委員言われたような建設残土対策に関する実態調査に基づく勧告が行われました。
その中で、搬出先が分かる書類の発注者への報告を云々というところに関連してでございますが、あわせまして、この勧告とともに、内閣府におきます災害防止に関する検討会、これでも提言いただいていますように、搬出先が適正であることを元請業者は事前に確認した上で、搬出先を含む再生資源利用促進計画の内容を発注者に報告、説明することが適当であるとされております。
国土交通省としましては、この提言や総務省の勧告を踏まえ、資源有効利用促進法の省令改正を行ってまいります。
具体的には、発注者が建設発生土の行方を確認できるよう、再生資源利用促進計画の内容について、元請業者から発注者への報告を義務づけるほか、その計画の建設現場での掲示を義務づけるなど、建設発生土の搬出先の明確化を図ってまいります。
○神津委員 ありがとうございます。
今の御答弁、非常に前向きな御答弁で、ありがとうございます。
今お伺いした、ここの右上の四角のボックスにある内容、発生量、現場内利用・減量、搬出先名称、それから搬出先場所住所、現場外の搬出量、明確にこれを行っていただくことによってトレーサビリティーがしっかりとできると思っております。
今の質問のところに関連してなんですけれども、これを行っていくに当たって、注文した方がトレーサビリティーを確認できるようになってくるというところなんですが、実は、書類の保存期間が今、一年ということで、再生資源利用の法律によって、第三十四条のところで、省令の第七条で義務づけられていると私理解しております。
今、一年間しか保存期間が示されていないんですが、この一年間という書類の期間について、ちょっと私、短過ぎるのではないかと思っておりまして、これから有識者における検討会が行われると思うんですが、この場で適切な保存期間についても御議論をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○長橋政府参考人 委員御指摘のとおりでして、今一年となっておりますけれども、それを何年にするかということを含めて、延長することを含め、検討してまいりたいと考えております。
○神津委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。
次に、もう一つ、令和三年に、先端建設技術センターが実は建設発生土のトレーサビリティーシステムというものをつくっていると思うんですが、これは、今示されている再生資源利用計画の主な記載事項の内容を全て網羅しているのか教えてください。これがもし網羅しているとしたならば、非常に簡易に受注者も発注者に報告ができるというところでは有効なシステムだと思っております。どうぞ、これは全て内容を網羅しているのか、お答えいただければと思います。
○和田政府参考人 SSトレースシステムにつきましては、先端建設技術センターの方で開発してきたものでございまして、ICカードなどのICT技術を活用した建設現場の生産性向上に寄与する運搬管理システムの普及を目指し、建設発生土の搬出現場そして搬入現場で、建設発生土、こういったものが確実に運搬されているかどうかということを確認することに役立つものと考えております。
具体的には、運搬車両の発着時に運転手がICカードをスマートフォンにタッチすることによって、搬出現場、搬出先の名称、所在地情報、発着時刻情報、あるいは、建設発生土の運搬車の運搬業者、車両番号、運転手、積載量などの情報を記録する情報処理システムとなっております。
このように詳細な部分も入っておりますが、お尋ねの再生資源利用促進計画との関係でいいますと、ほとんどの記載内容については対応してございますが、現在のところ、建設発生土の種類ごとの記載内容にはまだなっていない状況にございます。
○神津委員 ありがとうございます。種類ごとの記載についても是非御検討いただければと思っております。
次に、配付資料の四枚目、「盛土法案通過後の自治体の規定比較」ということで、私、これは勝手になんですが、このまま法案が通った場合、自治体がどのように対応するかというところでちょっと想定して作っております。
今回の法案施行後ですが、各自治体で今定めている条例の取扱いというものはどのようになるのでしょうか。
○渡辺副大臣 今回の法案につきましては、全国知事会などからいただいた御要望、そしてまた都府県が定めている土砂条例等の内容も踏まえた上で立案をさせていただきました。
具体的には、新たに造成される盛土等について、土地の利用区分にかかわらず許可制とし、全国一律の基準により安全確保を図ることとし、既存の盛土等につきましても、災害防止のため必要なときは、土地所有者や行為者等に対し是正措置を命令することを可能とするとともに、無許可行為や命令違反等に対し、厳格な罰則を適用することとしております。
これらによりまして、盛土による災害から人命を守るという観点からは、既存の条例による規制の趣旨を十分に包含しつつ、更に万全を期する内容となっていると考えております。
一方、全国の自治体の土砂条例の中には、盛土による災害の防止のほか、例えば環境的観点など、その他の目的も有するものもございます。その場合の取扱いについては、それぞれの自治体により判断されるものと考えております。
国土交通省といたしましては、今回の法案の内容につきまして都道府県等に対して丁寧に説明をし、積極的に相談に応じるなど、各自治体が既存の条例との関係を適切に整理できるようサポートしてまいりたいと考えております。
○神津委員 今の御答弁ですと、各自治体、今ある条例、そのまま生かしていけると私は理解しました。
ただ、これを行っていくと、今この表で作ったとおり、例えば一番下のE府、これは大阪府をちょっと想定しているんですけれども、禁止区域を定めている。そして、D県、別の県によっては住民の同意を求めているような県も、済みません、これは自治体ですね、自治体もあると私は伺っております。
これを考えていくと、結局、A村と私は書いたんですけれども、区域外、盛土等規制区域の規制区域外が非常に多いところで、人口も少なくて役場の職員も少ない、そして条例もない、こういったところに結局盛土が集まってしまうのではないでしょうか。これを考えると、今、元々全国の知事が求めていた統一の基準というものは達成できないと思うんですが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 この法案におきましては、盛土等により人家等に被害を及ぼすおそれのある区域を規制区域として指定し、規制区域内の盛土等については、全国一律の基準に基づき、許可に係らしめる、このようにしております。
ただし、特定盛土等規制区域においては、小規模な盛土について届出制としております。これは、特定盛土等規制区域が、市街地、集落などから離れた斜面地などのエリアを指定するものであり、周囲に人家等のまとまりがないことから、小規模な盛土であれば直ちに災害の危険が生ずるものではないためです。
すなわち、一たび崩落した場合に大規模な崖崩れ又は土砂の流出による災害が発生するおそれがあると考えられる規模の盛土について許可の対象としつつ、これに満たない小規模な盛土についても、事前届出制と、必要な場合の勧告、命令により是正することとしておりまして、これにより、盛土に伴う災害を十分に防止できるものと考えております。
○神津委員 ありがとうございます。
今おっしゃられていた全国一律の基準なんですが、今の法案のままでは私は弱いと思っております。このままだと、やはりこうした、例えばここで表で示したようなD県とかE府とか、こうしたように、住民の同意とか禁止区域を条例で定めるところが出てくると思っております。そして、結局、結果的には条例もない弱い地域に盛土が集まってしまうと思っております。是非とも御検討いただければと思っております。
次に、許可基準未満の盛土について伺います。
今、京都の弁護士会の方で懸念が示されていますように、条例の基準未満の小規模な盛土が分散的に行われて、結果的に災害リスクが広範囲に及んでしまっているというような指摘もなされています。
先般の後藤議員の質問の中でも、同一の法人であれば規制をかけられる内容の答弁があったんですが、別々の法人が同じ地域で規制ぎりぎりの盛土を行えば結局承認されてしまうというふうに受け取りました。
このような、結局イタチごっこのような悪質な盛土に対して、本法案でどのように対応できるのか、また、どのような取組を行っていくのか、お聞かせください。
○渡辺副大臣 規制対象未満の小規模な盛土を繰り返し、規制逃れをしようとするような盛土行為につきましては、まず、地方公共団体によるパトロール、そしてまた、地元住民や関係地方公共団体等からの通報などにより把握をすることとなります。
その上で、把握をした盛土行為が許可の必要な規模に達した段階で、同一の工事主が実質的に一体的なものとして行っていると判断される場合には、無許可での盛土行為として罰則の対象とするとともに、安全確保のための措置を命令することとなります。
なお、本法案においては、地元住民が、地域で行われている盛土が許可を取ったものかどうか適切に把握できるよう、工事現場における標識の掲示や許可を受けた土地の公表について規定しており、住民が通報しやすい環境の整備も図ってまいります。
また、規制の対象とする具体的な規模につきましては、今後有識者の御意見も承りながら検討することとなりますが、危険な盛土等に伴う災害から人命を守るという観点から適切な規模を設定することになります。
この規模に満たない盛土は規制の対象とはなりませんが、例えば、複数の小規模な盛土が距離を取って行われているという場合、それらが同じ谷筋にあって、土砂が流出すると総体として下流部の人家等に被害を及ぼし得ると判断されるときには、実質的に一体的なものとして判断をし、規制対象とすることが考えられます。
○神津委員 ありがとうございます。
次に、要対策土、土壌汚染の環境アセスメントについてお伺いしたいと思います。
重金属等を含む汚染土壌である要対策土が地域の水資源や生態系に悪影響を及ぼした事例はあるのか、教えてください。端的に教えていただければと思います。
○和田政府参考人 国土交通省では、この重金属等のことに関連しまして対策マニュアルを作りまして対応しておりますが、このマニュアルに関連して情報を把握しているものとして、過去に、建設工事に伴い、表流水や地下水に影響した事例があります。
また、その事例につきましては、専門家等の助言を基にしっかりとした対策を行ってございます。
○神津委員 今、マニュアルの話が出てきましたので、ちょっと質問通告を飛ばさせていただいて、今のマニュアルなんですが、建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアルのことと私理解しました。
実は、今使用されているのが二〇一〇年版で、暫定版というふうに書かれております。二〇一九年に土壌汚染対策法が改正されたので、本来であれば、これは更新されるべきマニュアルだと思います。今のこのマニュアルに書かれている基準、これは土壌汚染対策法に合致していないと思うんですが、そのままマニュアルを今使っているのでしょうか。
○和田政府参考人 御指摘のマニュアルは、土壌汚染対策法の規制対象としていない自然由来の重金属等を含有する岩石、土壌につきまして、事業の安全で円滑な執行のため、土壌汚染対策法と同等の内容を、標準的な技術的対応方法を示したものとして、平成二十二年三月に暫定版の対応マニュアルを策定しております。
委員御指摘のとおり、平成三十一年四月に改正土壌汚染対策法は施行され、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大、要措置区域内の制度創設、リスクに応じた規制の合理化などが位置づけられておりますが、これらが直ちに対策マニュアルに影響するものではないかと考えております。
しかしながら、改正法の内容を踏まえまして、マニュアルに必要な記載を早急に加えてまいりたいと考えてございます。
○神津委員 マニュアルに記載、必要ないというふうにおっしゃられたんですけれども、例えば、新しくなった改正法では九百立米以下が対象となっているものが、前の法案のままだと三千立米が対象となっていたりしていて、これは実は結構大きなことだと私は思っております。マニュアル、是非、早期に改訂いただければと思います。
トンネル由来の残土なんですが、今おっしゃられていた、このマニュアル対象外のものということでおっしゃられていたと思うんですが、トンネル由来の残土、正確には岩石由来ですが、岩石由来の残土は土壌汚染対策法の対象とはならないという理解ですが、よろしいでしょうか。それからまた、この法律の溶出量基準を上回っていたとしても、そのまま盛土として使用してよいのでしょうか。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
土壌汚染対策法では、人為汚染による健康被害を生じる可能性の高い場合を捕捉すべき土壌汚染調査、対策、計画を定めるといったような規定となっておりまして、人為汚染が想定されておりません御指摘のトンネルの掘削部分については、この対象とはなっておりません。
また、先ほどお話ししましたように、その使用についてということでございますが、それは先ほどのマニュアル等に従って適切に処理をされているというふうに承知をしておるところでございます。
○神津委員 今の御答弁なんですが、この対象外、マニュアルの対象外と理解しました。
そうすると、私が思うところでは、健康被害という意味では、自然由来であろうと、産廃由来であろうと、どこの由来であろうと同じだと思うんですが、いかがでしょうか。また、トンネル掘削の由来による砕いた盛土であれば、要対策土であったとしても安全なものとして捉えているのか、環境省の御見解を伺います。
○森光政府参考人 お答えさせていただきます。
環境省といたしましては、安全性という視点ではなく、基本的には、そのような、御指摘の、例えばトンネル掘削由来の岩石を砕いた残土、これが汚染されたものであって、いわゆるマニュアルによる要対策土であった場合については適切に管理をされるというふうにしております。
ただ、土壌汚染対策法は、トンネル掘削由来の残土であっても、仮に残土処理場や盛土において土壌汚染により健康被害が生じるおそれがあると認められるような場合に該当しましたら、土壌汚染対策法に基づき適切な処置が可能となっておりますので、そのように対応していくということでございます。
○神津委員 ありがとうございます。
今、土壌汚染対策法の処理方法とか、ほかの土壌の処理方法について、被害のないように行っていくという答弁だったと私は理解しているんですが、例えば、私の手元にある資料ですと、滋賀県の大津市においては、残土山の土壌、排水からヒ素、鉛、シアン、フッ素などが環境基準を超えて検出されていると。そして、汚染土壌対策を遮水シートで行っているにもかかわらず、結局、鉛汚染水が河川に流出していると伺っております。
そして、北海道の新幹線においても、二千万立米のうち、三割の六百五十万立米がこの要対策土だと伺っております。住民自体は、皆さん、これ、やはり反対されていたにもかかわらず、結局行われてしまった。この結果、二〇二〇年十月中には、環境基準の二百七十倍を超えるヒ素が検出されて、建設が中断されたとも伺っております。そして、二〇二一年六月には、村山処分地にて環境基準値をはるかに超える劇毒物のセレンが検出されたとも伺っております。
トンネル由来の要対策土であったとしても、しっかりと対策を取っていただけるようにお願いしたいと思います。
次の質問に移らせていただきます。少々時間がなくなってまいりましたので、質問通告四十番に移らせていただきます。
先ほど、現場での標識掲出を義務化することによって、無許可行為の早期の摘発につなげることとされています。人の往来が少ないこともあって、無許可工事の早期の摘発が困難であると私は考えております。静岡県においては盛土監視機動班が置かれたと報道されております。
森林部局で、例えばパトロールを行っていると思うんですが、市町村レベルで職員による区域の監視が難しいとの指摘もありますが、どのように対応する予定でしょうか。また、全国的に、静岡県のように自治体と警察が密接に連携して積極的な監視や取締りが行われるのか、教えていただければと思います。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
森林内での無許可盛土の監視を含めた法律の効率的な運用に当たっては、委員御指摘のとおり、関係機関によるパトロールや住民通報等の情報の活用が有効であり、都道府県の各部局間や警察等の関係機関、市町村等の連携が重要と考えているところでございます。
また、現在、林野庁におきましては、森林法の無届け伐採の把握を効果的かつ迅速に行うため、衛星画像から森林の状況が変化した箇所を自動的に把握、監視できるプログラムを開発し、市町村等に提供する取組を進めております。こうしたものが今回の無許可盛土の早期発見にも活用できるのかなというふうに考えているところでございます。
国としましては、今後、このような関係機関の連携体制の構築や衛星画像の活用等について、本法案の運用マニュアルに盛り込むなどにより、無許可盛土の早期発見を含め、法律の適切な執行が図られるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○住友政府参考人 警察の方からもお答え申し上げます。
盛土等による被害を防止するためにということで、静岡のみならず、各都道府県警察においても、自治体等と連携をしてパトロールや取締りを行っていると承知をしております。
また、盛土による災害防止に関する検討会の御提言においても、新たな法制度を実効性のあるものとするためには、違反行為に対する厳格な罰則を措置することに加え、違反行為の早期発見、関係機関での情報共有など、法の施行体制、能力を強化することが極めて重要であるというふうにされております。
警察庁においては、こうした役割を都道府県警察が積極的に果たすことができるよう、今後とも指導してまいります。
○神津委員 御答弁ありがとうございました。
今、恐らく実効性がやはり問われていると私は理解しております。特に自治体の皆さん、それから警察の皆さんの取締り、それから行政代執行、これが重要になってくると思っております。是非、皆様のお力で、二度と人命が失われることがないように取り組んでいただきたいと思っております。
私の質疑時間が終了しましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中根委員長 次に、高橋英明君。
○高橋(英)委員 おはようございます。日本維新の会の高橋英明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
では、早速質問に移らせていただきます。
足立議員にお尋ねしたいと思います。
まず、こちらの資料の、二の定義の2で、五百万立米を限度と書いてあるんですけれども、この数字の根拠といいますか理由をお聞かせください。
○足立議員 高橋委員、御質問ありがとうございます。同じ党ですのでどこでも議論できるんですが、こうやって議事録に残すことも大事ですので、御質問ありがとうございます。
我が党提出の法案第二条第二項で定義する大規模工事については、「土砂等の発生を伴う工事であって、政令で定めるところにより算定した当該工事から発生する土砂等の見込量が五百万立方メートルを限度として工事の態様等を勘案して政令で定める体積を超えるもの」と規定しています。これは指摘のとおりであります。
これは、私たちがこの議論をしていたときの問題意識は、これから大規模工事、多いぞと。例えば、リニア、もう今ずっと、始まっていますけれども、リニアの工事で発生する土砂の量が大体見込み量で約五千八百万立方メートル、それから、外環道の今後の工事で発生する見込み量が約一千万立方メートル、こういうふうに予測をされていました。だから、当時、当時というか今回出させていただいた問題意識は、そういうものが含まれるような定義にしておきたかったということでございます。
ただ、本当にこれは、こうあらねばならないというよりは、その問題意識を形にしたものでありますので、何かこうでなくてはならないというよりは、そういう観点から定めたものであって、大いに議論の余地はあるということは申し上げておきたいと思います。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
ちなみに、平成三十年の国交省の調査によりますと、国内の建設残土の搬出量、これは年間で約六千万立米というふうに出ております。また、先般の熱海での土石流ですか、あのときの盛土の土砂の量というのは約五万五千五百立米。そう考えると、この百倍というのはすごいなというふうなイメージがあるんですね。要するに、ちょっとでか過ぎてイメージが湧かないんですけれども。例えば五千坪の土地に三メーターぐらい積み上げると約五万立米になるんですけれども、何となく、大きさのイメージというのをもうちょっと把握できればなと思うんですけれども。よろしくお願いします。
○足立議員 大きさのイメージ、五百万立米のイメージですか。それは難しい質問ですね。高橋委員のイメージをちょっと教えていただけますか。
○高橋(英)委員 イメージが湧かないから聞いたんですけれどもね。
じゃ、次に移ります。
では、ここ、管理票と出ているんですけれども、この管理票というのはどこまでの明記をお考えになっているのか、お聞かせください。
○足立議員 元々、管理票の議論をいたしましたのは、産廃のマニフェスト、これが抽象的なイメージとしてはあって、同じような議論が必要かなということで議論を始めました。
特定土砂等管理票の記載事項については、四条一項に四つ列挙しております。引き渡す特定土砂等の体積、二つ目に、大規模工事の発注者等の氏名又は名称、三つ目に、引渡しを受ける者の氏名又は名称、四つ目に、その他国土交通省令で定める事項ということで省令に委任をしている。
こういう整理でありますが、その最後の、国交省令で定める事項というのは、まさに類例をいろいろ参考にしながら、法案の成立後に、施行までの間に、国交省で様々な状況を勘案して法律の運用に最も効果的なものを定めていくことを私は想定していますが、やはりこの辺になってくると、私も立法者としてやっていますが、役所がふだん、要は国交省がふだん、様々なネットワークの中で行政を遂行されていますから、そういう中で様々なヒアリングもして、行政が得意とするところですので、そこは行政に委ねたらいい。
ただ、政治が決めておくべきことは政治で決めておく、あとは行政に委ねるという、その政治の役割と行政の役割をちょっと整理をして書かせていただきましたので、政治の意思としてはここまでは書いた、それ以降のところは行政的な判断で詰めていってもらったらいい、こういうことでございますので、詳細はですね。ただ、高橋委員はなかなかここは詳しいところでありますので、是非また国会質問等の中で、これは成立するか分かりませんが、いずれにせよ、このマニフェストの議論、私はこれは続くと思います。
今日も議論がありましたように、法律論だけではなくて様々な取組を、国交省、環境省、トライアルというかいろいろなチャレンジをされていますから、だから、どういう形でやるべきかということについてはこれからも議論は続くと思いますので、高橋委員、むしろ、現場でいろいろ聞かれていることを、こういうことがないと、死活というか、本来の役割を果たせないぞという御意見を是非これからもお聞かせをいただきたいと思います。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
私は、やはり捨場までの距離とか処分単価というのは非常に重要だなと。それはなぜかというと、処分単価が安くても、距離で、やはり時間と、何回捨てに行けるかというのが非常に重要ですから、あと、ガソリンも今高騰していますから、その距離と単価がちょっとおかしいなという思いがある。絶対おかしいので、是非、この距離と単価、これは把握した方がいいなというふうに思います。
じゃ、次に移ります。
もしこの衆法があれば、例えば熱海の土砂災害はどの段階でどのように防げたと足立議員はお考えですか。
○足立議員 ありがとうございます。
今日も国交省の皆様からも御答弁がありましたが、様々な法制度がもう少し早くあれば、本当に多くの、熱海でいえば二十六名の方、関連死一名入れて二十七名のお命、それから不明の方がもう一人いらっしゃる、そういう方々の被害というか、それを止められなかったことについては本当に、改めて、ざんきに堪えない、こう思います。
そういう方々の被害、命を無駄にしないためにも今回こうして議論させていただいているわけでありますが、御指摘の特定土砂等管理法案、これがあれば、この法案においては、土砂等を埋め立てた際には、埋め立てた土砂等の体積などを記載した特定土砂等最終管理票、最終管理票、これを大規模工事等の発注者に送付しなければならないものと定めています。第四条三項です。
こうした仕組み、当時、そういうことを考えて仕組んでいるわけでありますが、こうした仕組みがあらかじめ整備されていれば、同一の大規模工事等の発注者について、仮に条例で定められた体積以上の土砂が同じ場所に埋め立てられた場合には、大規模工事の発注者はそれを把握して都道府県に通報するといったことが可能と考えられるため、私は早期発見につながったのではないかと考えています。
もちろん、私たちが提案しているものが万能だとは思いません。しかし、不断の見直しを経て、先ほども国交省からありましたように、二度と同じような事故、事件につながらないように、政府・与党も頑張っていらっしゃいますが、私たち野党も同じ思いで頑張ってまいりたいと思います。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
これは言い出したら切りがないですけれども、脱法行為をしようと思っている人間はいろいろな手法でやりますけれども、一つには、ダンプの運転手同士の、今でも無線か、携帯か分かりませんけれども、情報交換を常にやっているんですよね。どこにどんな捨場があるかというのはすごい情報で出回っておりますので、なかなかこういったことはつかまえられないのかなと思うんですけれども。
一つには、やはりダンプの車を、一つの現場では必ずナンバーから運転手から提出をさせるというのが絶対に必要だろうなというふうに思いますし、また、今回出ている衆法というのは、どんどんどんどんブラッシュアップしていくんだというふうに思っているんですけれども、それで間違いはないですか、どんどんブラッシュアップしていく。
○足立議員 まさに、今回の審議は当然出口があるわけでありますから、今、先ほどもあった、私どもは議法を出し、衆法を出し、そして四会派の皆様は、私たちが申し上げていることも受け止めていただきながら、私はそう勝手に思っていますが、受け止めていただきながら修正案を御提出になられた。私たちは、そこの修正案については若干、ここはちょっとごめんなさい、私たちは賛同できないというかちょっと難しいかなというのが含まれていたので相乗りはさせていただきませんでしたが、私たちの思いは十分にそこにも含まれているわけであります。
それは、今後、採決に向けて、私は、先ほども野党の先生方からもありましたように、閣法の条文に何らかの形でその趣旨は埋め込んでいければということで、与野党筆頭の先生方始め政府・与党、まあ、与党と相談をさせていただきたい、こう思っているわけであります。
そして、その上で、一旦決着をした上でも、検討規定、まさに今でもある検討規定、私たちはそれをもうちょっと拡充していただきたいと申し上げているわけですが、その検討規定、これはなかなか大変な作業で、何か、指定するのに三年、四年、五年かかる、全国広いですからね。そういう執行も、法律のエンフォースメントも本当に巨大な作業になってくるわけでありますから、そういうものを横目で見ながら、私たちは立法府ですから、行政府の施行状況を横目に見ながら、よりいいアイデア、知恵が出てくれば、どんどん私たちの考え方をブラッシュアップしながら、また次の機会を、国会におけるチャンスをつかみ取りながら、立法作業、不断の努力を高橋委員と一緒にやっていきたい、こう思います。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
なかなかくじけないのが我が党のいいところだというふうに思いますので、是非とも、今回もいい提案だと思いますけれども、頑張ってまいりたいというふうに思います。
次に移ります。
都道府県による設置の置場は、これは一時的な置場を考えているのか、最終的な置場を考えているのか、お聞かせください。
○足立議員 結論を申し上げると、両方です。土砂等の置場については、御指摘のように、一時的なものと最終処分場、その両方の確保が課題というか必要になるわけでありますが、私たちが御提出をしている土砂等置場確保法案では、その両方の確保について都道府県に努力義務を課しているところであります。
ただ、いろいろ御議論いただいているように、一時的な置場や中間的な置場が事実上の最終処分場として扱われたり、そういう不適切な事例が生じてはいけませんので、そういった意味では、一時的な置場の確保と最終処分場の確保の区別は私は明確に分けて考えていく必要があるかなというふうに認識をしております。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
これは都道府県で設置をするという考えだと思うんですけれども、その場合、そこの同一県から出た残土のみを基本的に受け入れるという考えですか。
○足立議員 これは、土砂は、これまでも議論されていますように、大変なサプライチェーンというか、なっていますから、だから、決して都道府県ごとにとどまるというようなことは考えておりません。
ただ、都道府県が整備するとなれば、それは、もし都道府県が中心になって、要は、財政のことを言えば、都道府県が単費で、自分たちの財源で整備すればやはり自分たちの域内のものが中心になるかもしれませんが、私たちは、この法案にも、また後ほど出てくるかもしれませんが、やはり国の財政支援、これは当然あってしかるべきだと思いますので、そうした観点からも、広域的なことも当然視野に入ってくると思います。
おっしゃるように、民間であれば市場に任せておけばいいのかもしれませんが、御指摘のように、税金を使って置場を造っていくということになれば、その取扱いについては議論があると思います。
私、今、実は、全く土砂ではありませんが、似たような、これは時間は何分まででしたっけ。七分。もうちょっと大丈夫ですね。もうちょっと延ばした方がいいですか。(高橋(英)委員「いやいや、いいです」と呼ぶ)大丈夫ですか。
今、地元で実は、ダイオキシン、私の地元であるんですね。昔、大騒ぎになりました。これをどこに最終処分するかで、地元で処分する、あるいは湾岸の方の埋立地に持っていくとか、いろいろな議論があります。あるいは、県外に持っていく、産廃であれば簡単に県外に持っていく。廃棄物であれば、一廃であれば地元で、産廃であれば流通に乗る、様々な流通についての蓄積、いいところも課題もいっぱいあるんですけれども。
土砂についての流通についても、今高橋委員から御指摘をいただきましたので、私は余りそこはちょっとまだ深く整理をし切っていませんが、公的な置場、民間の置場、そういうことも視野に入れながら、一定のルール、財政負担が、誰の税金、どなたの税金で整備しているかということも含めた整理は必要なのかなと、今御質問を受けて感じた次第であります。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
ある県ですと、基本的には自分の県から出たものしか受け入れないという県がありますけれども、そういった県は、他県からの受入れの場合は、発生現場まで行って地質調査までして受け入れているというケースもありますので、是非そういった部分のことも今後踏まえて考えていただければというように思います。
では、次に移りますけれども、土砂等の置場の都道府県による設置で、先日、市村委員の質問に足立議員は、都道府県で設置して安価で受け入れるという答弁をしていたんですけれども、これは真面目にやっている民間業者の圧迫になるんじゃないかなと思うんですけれども。
○足立議員 ありがとうございます。
確かに、御指摘のとおり、四月六日の委員会で、今御指摘いただいたように、比較的安価に最終処分できるような土砂等の置場が都道府県の努力で整備されるよう土砂置場確保法を提出したという趣旨を申し述べました。
これは、やはり地元でも、八年前から、事故が起こって議論する中で、現場の人たちは皆、とにかく安いところに流れていくものだから、もう少しちゃんとした、要は、違法なところではない形で安価なところがあればそこに持っていくんだよな、私は、事業者の方々からそういう御意見がいっぱい出ていたので、まさにそういう現場の御意見を受けてそういうふうに申し上げたわけであります。
ただ、おっしゃるように、大事なことは、法令を守っている人が損をして守っていない人が得をするというまさにモラルハザード、これが今起こっているわけですから、それをどう抑え込むかということが、本当に最大の目的、解決しなければいけない課題だと思っています。
そうした意味では、私たちが申し上げている土砂置場確保法というのは、都道府県が自ら全部やる必要はないんです。例えば、比較的、安全対策をしやすい土地もあれば、いや、ここに積むとしたら大変よ、真面目に安全対策をやったらむちゃくちゃ金がかかる、そういう場所もいっぱいありますね。そういうところでは、もういいや、適当に捨てちゃえということになりがちなので、より安全対策に相対的に費用がかからない土地などを例えば公が用意して、かつては埋立地がそういうことだったのかもしれませんが、ちょっと余り詳しくありませんが。そういう比較的費用のかからない土地を公が用意をして、そこを例えば、民間が、要は、都道府県自らが置場を設置する必要はなくて、優良な業者を誘致するみたいな形で、官民連携、官の役割、そして民業の促進みたいなものを両立させていくことは、これはちょっと一般論でありますが、私は可能だと思っているし、私たちが提起している法律あるいはその考え方は、今申し上げたような考え方の下で作られていますので、決して民業圧迫等の懸念には当たらないようにすることを想定して作らせていただいたということであります。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
場所の特定も大切ですけれども、ある程度、地域ごとによって金額の特定というのも、やはり違法行為をなくすためには有効かなというふうに思います。
だから、冒頭の、管理票で単価の明記というのが大事だというのは、そういった部分にもつながってくるのかなというふうに思いますので、なかなか難しいですけれども、くれぐれも民業の圧迫にならないように。あと、やはり単価というのを、地域ごとに当然土地の値段が違いますからね、地域ごとになってくるんだろうと思いますけれども、それが分かれば、あと距離とかが分かれば、何となく薄々感づいてくるんだろうと思いますので、是非この点をお願いしたいなというふうに思います。
では、次に行きます。
都道府県による置場の設置の際は、国が財政上の援助をするということですけれども、この場合はどのような形を考えていらっしゃいますか。
○足立議員 高橋委員、先ほどの置場、民業圧迫という話ですが、ちょっと一言補足させていただくと、これも仮説がまだ検証し切れているわけではありませんが、やはり、かつての高度成長期は埋立てがたくさんあったので、土砂の需給が、置場との関係での需給がある程度バランスしていた時代もあったのかなと。
あるいは、それが、特に近年、この置場が大変、土砂の崩落が大変指摘をされるというか、今回の法案審議も含めて注目されているのは、事故が起こったからなのか、あるいはいろいろなメディア等で注目をされるようになったからなのか、あるいは、やはり需給自体が、土砂の発生と置場、最終処分場、これの需給自体がそもそも大きく乖離をして、崩れていることが背景にあるのかなという問題意識がありました。
そうした観点から、需給が大きく離れているのであれば、その置場に関する公的なアプローチが必要かなということで申し上げたので、民業圧迫はないようにしなければいけない、これは改めて申し上げておきたいと思います。その上で、ちゃんとした人が報われる、違法なことをしている人は報われない、そういう公正な競争経済、公正な自由経済市場が整備されていくように、私たちもまた力を尽くしていきたいと思います。
今御質問いただいた財政上の援助でありますが、これは、国が都道府県に対する財政上の援助について、例えば、都道府県が、今申し上げたように、自ら土地を取得する場合の土地の取得費、取得費用を例えば補助するとか、それから、民間事業者の土地の取得を補助する都道府県に対してその一部を補助するとか、様々な財政上の措置というのは検討の余地があると思います。
いずれにせよ、この中身については、法案の成立後に、政府において様々な、先ほど申し上げた様々な状況を勘案して、最も費用対効果というか、あるいはその施策、財政支援の経済合理性、合理性みたいなものをしっかりと考えて、最も効果的と考えられる援助がなされるものと私は期待をいたしております。
ありがとうございます。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
これは補助になってくるのかなと思いますけれども、残土を受入れして収益を上げるようになれば、やはりこれは戻させた方が私はいいと思うんですね、税金ですので。ですので、そういったお考えをやはり念頭に置いておいていただきたいなというふうに思います。
では、最後に質問をさせていただきます。山本議員に質問をさせていただきたいと思いますけれども。
今回、大変いい法案だなと私は思っているんですけれども、是非とも通したいなというふうに思いますけれども、なかなか、筆頭提案者が足立議員だと通したくないなという方々が結構いらっしゃるようなので。いい法案ですので、もし、これ、山本議員が筆頭提案者なら、通りますかね。
○山本(剛)議員 ありがとうございます。
私は足立さんよりもしかしたら人望がないかもしれませんので、どのような結果になるか分かりませんが、一番重要なことは、やはり、二度と同じような災害を繰り返さないということは、委員の皆様方、そして国民の願いであるというふうに私も思っております。
ですから、その国民の願いをしっかりと反映したものを作っていくことが我々国会議員の責務であるというふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。お願いします。
○足立議員 高橋先生には釈迦に説法でありますが、やはり今までの政治というのは人間関係政治なんです。特に与党の皆さん、人間関係政治です。ただ、人間関係政治ってどうしても国民から見て分かりにくいので、私が目指しているのは、やはり、表で議論する、議論して、合理性の戦いをする、政策論議で決着をつけていく。
そういう、私はそもそも国会改革自体を目指して、今、高橋委員からおっしゃられた、いろいろリスクを取りながら、決して何か気分に任せて暴れているわけではなくて、やはり新しい国会をつくっていきたい、そんな思いでやっておりますので、また高橋委員、人間関係、高橋委員とはあると思いますので、これからもよろしくお願いします。
○高橋(英)委員 ありがとうございました。またやりましょう。
終わります。
〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕
○塚田委員長代理 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。
三十分いただいております。質疑をさせていただきたいと存じます。
先週も私、三十分いただきまして、質疑をさせていただいた際に、実は、まず熱海の件ではありますけれども、熱海の件について、一番きっかけのところで、二〇〇七年五月でございますけれども、県が、静岡県が、A社に対し土地改変行為の中止、森林復旧を文書指導している、森林法に基づいてということで、なぜここで防げなかったかなということも議論をさせていただきまして、ちょっと消化不良ということもありますので、改めて、この森林法、廃棄物処理法との関係で少しお話をさせていただければと思います。
もうこの場で何度もお話しされているように、とにかく二度と熱海で起こったようなことを起こさない、そのために何をすべきなのかということだと思っていますし、また、これはもう起こるべくして起こった人災と私も思います。
ですから、人災であれば、やはり、人が関わっているところでなぜ止められなかったかな、法律を使ってもということでありますので、まず、森林法でございますが、今後につなげていくためにも、あの二〇〇七年五月の段階で、もうちょっと、こういう法律だったらとか、もっとこういう指導ができたらなとかいうのが、林野庁さんとして、いわゆる反省といいますか、もっとこうしておけばよかったなというのがあるとすれば、どんなことか、お答えいただければ幸いでございます。
○宮崎大臣政務官 お答えをいたします。
昨年七月三日に発生をいたしました静岡県熱海市における盛土の崩落では、死者・行方不明者二十八名など甚大な人的、物的被害が発生したところでございまして、委員お話がございましたように、我々も、このような惨事を二度と起こさないよう対策を講じていく必要があるというふうに考えております。
この災害につきましては、現在、静岡県と熱海市におきまして、行政対応の検証作業を進めているというところでございまして、今後、最終取りまとめが行われるというふうに伺っているところでございます。
森林内での盛土等への対応につきましては、森林法では、森林の機能の確保を目的に、民有林内での一ヘクタールを超える開発行為を規制しているところでございますけれども、各法律の目的の限界などによりまして、盛土等の規制が十分でない場合もあることから、危険な盛土を土地利用区分にかかわらず包括的に規制をすることを目的に、国土交通省と連携をいたしまして、本法案を提出したところでございます。
農林水産省といたしましては、国土交通省を始めとする関係府省、地方公共団体等と緊密に連携を図りつつ、引き続き盛土による災害の防止に取り組んでまいりたいと考えております。
〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
○市村委員 続きまして、廃棄物処理法でございます。二〇一〇年八月段階で、廃棄物処理法に基づいて、盛土の中に産業廃棄物が混じっていたために市と県が撤去を指導している。ここでもチャンスがあったんだと思いますが、やはりこれをとどめられなかった。ここにつきましても、環境省さんの方から、まず政府委員の方から、何か反省とか、今後につながる反省等々ありましたら、お示しいただきたいと存じます。今日は副大臣がお越しですね。済みません。では、副大臣の方からよろしくお願いします。
○務台副大臣 今回の事案に関し静岡県に伺ったところによりますと、二〇一〇年に、盛土の中に混じっていた木くず等の産業廃棄物について、県が指導を行い、搬出を確認しており、昨年の土石流発生時点では、盛土中には産業廃棄物はなかったと認識していると聞いております。
関係行政機関との連携の在り方についての御指摘については、従来、都道府県、政令市において、産業廃棄物担当部局及び警察等の関係機関が連携し、パトロールなどの監視活動、情報共有、住民からの通報への対応などに取り組んでいるところでございますが、昨年十二月の盛土による災害の防止に関する内閣府の検討会の提言においては、都市計画法、森林法、農地法、廃棄物処理法等の関係法令所管部局との連携体制の確保の必要性が指摘されており、今後は、廃棄物混じり盛土対策を強化する観点から、昨年来の盛土の総点検で連携協力した実績を踏まえて、盛土規制担当部局を含めた、環境部局、関係機関との連携を更に強化してまいりたい、かように考えております。
○市村委員 結局、連携が足りなかった、今後、新しくこの通称盛土法ができて、連携を深めていくということでありますが、国交大臣、斉藤大臣、是非とも、やはりそういう連携がこれから必要になると思います。これにつきまして、大臣の御決意をまずいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 静岡県のあの検証、検討会の報告書におきましても、今、市村委員が御指摘になった点、指摘されているところでございます。まだこれは中間報告ですが、最終報告でもそういう点が指摘されるものと考えております。
この連携というのは非常に大切だ、このように思っております。一つは、中央省庁の、今、環境省また農水省、お話がございましたが、この関係、また地方公共団体との関係、これも大変でございます。本法案の所管部局と他の土地利用規制部局、廃棄物担当部局や警察などが緊密に連携して対応するほか、日頃からの部局間の情報共有の強化、それから連絡会議の定期的開催、人事交流など、地方公共団体に対しても、都道府県、市町村間も含めた連携強化の取組を促してまいります。
国として、不法な盛土への対応等の参考になるガイドラインの提示や職員の派遣等による助言、積極的な財政支援などにより支援していきたいと思っております。
○市村委員 今日は農林水産大臣政務官にもお越しいただいておりますが、やはり連携ということになりますと、省庁ももちろんやってくれると思いますが、やはり政治家としての政務官、三役が、しっかりとやろうという思いを示していただきたいと思いますので、今日は、宮崎農林水産政務官、また、先ほども御答弁いただきましたけれども務台副大臣から、政治家としての御決意をまた一言ずついただきたいと存じます。よろしくお願いします。
○宮崎大臣政務官 先ほど御答弁、冒頭申し上げましたように、このような惨事を二度と起こしてはならないということは、政治家としても大切なことだと思っております。
この法案を契機に、先ほど斉藤大臣からもお話がございましたように、関係の府省それから地方公共団体とも連携をしていくということを、政治家としてもしっかりとリーダーシップを取っていきたいと思っております。
○務台副大臣 こうした問題については、やはり、何かあったときに政治が責任を取る、そういう気持ちが大事だと思います。我々も、現場にしっかり赴いて実態を把握して、しっかり発信していきたい、かように思っております。
○市村委員 今、本当に、副大臣からありましたように、やはり政治家が責任を取る覚悟というものが私は一番必要なんだと思っています。やはり、官僚の皆さんは、しっかりとその務めを果たされると思いますが、うまくいくときもあればうまくいかないときもある。うまくいくと、何か政治家が、私がやったんだとか言って、うまくいかないと、君、何やっているんだと。こういう話になってしまいますと、皆さん、心がめげてしまいますので、やはり、うまくいこうがうまくいくまいが、政治家が決断をし、責任を取る覚悟を決めるということが全てに大切なことだと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
今日はもう副大臣、政務官、大丈夫でございます。御退席、よろしくお願いします。感謝いたします。
それでは、次に、先週やったことでまた一つちょっと残していることがありました。
今回、法人重科が最大三億円ということになっていますが、個人の場合は最大、三年以下の懲役、及び一千万円以下の罰金ということになっていまして、実は、この熱海の例ですけれども、最初はA社、B社、施工業者がB社で、A社が行為者でございましたが、二〇一一年二月に土地所有者変更となりまして、C氏ということで、つまり個人に今所有権が移っているということでございますが、この法律ができた場合、この法律が成立して施行された場合、これは遡れるんでしょうか。この熱海の件についても、これはこの法律が適用されるのでしょうか。まずそこをちょっとお答えくださいませ。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
この法律の施行前に行われた、区域指定の前に行われた盛土に対しては、その盛土が災害防止上、安全措置が講じられていなくて災害上問題がある、危険性が極めて高いという場合に、是正措置命令ですとか撤去、こういったものを命令することができます。
その上で、その命令に違反した場合には罰則が適用される、こういう関係になっておりますので、今まだ盛土が、あの熱海の事例でいきますと、残っているという部分についてはそこら辺の話が適用されると思いますが、過去にもう既に流れてしまった部分については遡及で適用するということはできないというふうに考えております。
○市村委員 まだ二万立米なる土砂が残っている、盛土が、盛土なんでしょうか、この場合は、残っているものは盛土と言っていいのかどうかちょっと分かりませんが、まだ土砂が残っているということであります。
ここで今聞きたいのは、C氏、つまり個人に今移っていまして、じゃ、この法律ができて、法人については重科で三億円ですけれども、これから、個人の土地、個人が土地を所有したことにして、ここでどうぞとなった場合、最初はそれで許可を受けて動いていたときに、実はいろいろ問題が起こってきた。じゃ、もうあなたは駄目だよと、是正措置命令ですか、命令を出したとしても聞かなかったと。結局、個人ですから一千万円ですよね。
となりますと、私がもし悪徳業者だった場合、どう考えていくかというと、じゃ、誰か個人を立てて、所有者に仕立てて、そして、何か問題が起きても、最初から一千万ということですから、受けるときに、その罰則一千万はもう盛り込んで請求をしておけば、その一千万以上の利益がはるかに上がるようであれば、まあいい、何か言われてもせいぜい一千万ならいい、個人だからという形に、もしそういうふうな考えに立ったとした場合に、結局、実効性がない、幾ら法律を作っても、そういう悪徳業者の意思を、遵法精神のない方々の意思を止めることはできない、そういう思いを止めることができないということになりかねないとは思っていますが、これにつきまして、いかが御見解をお持ちになっておりますでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
一義的には、土地所有者に対して、その土地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならないという責務がかかります。
ただ、是正命令の方は、その土地所有者だけではなくて、元々の原因行為を行った者に対しても命令をすることができまして、それに対して命令違反をした場合には罰則の適用がある、こういう関係になっているわけでございます。
○市村委員 今後、個人所有の場合でも許可は出す可能性はあるということで考えてよろしいんですね。個人所有の場合でも許可が出る、つまり法人じゃないと出ないということでなくて、個人所有でも許可を出さざるを得ないということに、何か条件を満たせばなるのか、ちょっとお答えください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の盛土規制法案につきましては、盛土等を行う者については、法人であっても個人であっても、その安全技術基準を満たして、許可の要件を満たせば許可が出るという形になっております。
○市村委員 そうなりますと、やはりこの場合、法人と個人で三億と一千万というのは、これは今後、個人を立てるというような流れを持っていきかねないなと。つまり、それで規制逃れというか、処分逃れをそもそも考えていくようなこともあり得ると思いますので、ここは是非とも留意をしていただければと思います。
ちょっと時間の関係で次に参りますが、これは警察の方にちょっとお伺いしたいんですが、建設残土の搬出に関して違法改造ダンプが使用されていた場合の対応と取締りにつきまして、警察の方からお答えいただきたいと存じます。
○新田政府参考人 お答えいたします。
建設残土を含めた過積載につきましては、走行が不安定になる場合があるほか、制動距離が長くなるなど、重大事故につながり得る危険な行為であると認識しております。
このため、警察におきましては、引き続き、国土交通省等の関係機関と連携し厳正な取締りを実施するとともに、運転者を過積載違反で検挙した際は、運転者のみならず、自動車の使用者等に対する責任追及を徹底してまいります。
○市村委員 またよろしくお願いします。
それで、違法改造ダンプトラックが走って、警察が取締りをしていただく。そのときの情報が、積んでいる土をどこに持っていくんですかとか聞いたことで、どうも怪しい、この持っていく先が怪しいと思ったときは、是非とも、先ほどから連携、省庁連携ということが言われておりますが、そういう情報が今回の所管省庁であります国土交通省及び農林水産省に速やかに行く、話が通るというようなことで、早期発見、早期対処に努めていただければと思っておるところでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
ちょっと、ここまでの議論で、大臣から一言、御見解をいただきたいと存じます。
○斉藤国務大臣 違法な盛土に対し、本法案による規制を実効性のあるものとするためには、警察との連携も大変重要であると認識しております。
御指摘のように、残土を運搬する違法改造車両を警察が発見した場合には、盛土規制部局と速やかに情報を共有いただき、廃棄物担当部局等の関係部局とも緊密に連携して違法な盛土を把握した上で、必要に応じて行政指導や是正措置を行うことが重要と考えております。
このような緊密な連携を可能とするため、具体的には、警察を含めた関係部局間において日頃から情報共有を密にするほか、連絡会議の定期的開催や盛土規制担当部局と警察との人事交流などの取組を地方公共団体に促してまいります。
こうした取組について、国においても、警察庁などの関係行政機関と連携して取り組んでいきたいと思っております。
○市村委員 ありがとうございます。
足立提出者、お待たせしました。是非ともこれからまた足立節を聞かせていただきたいと思うところでありますが、大阪府の条例の中には禁止区域というのを設けているんですね。これについて、足立提出者は先日の参考人質疑のときに逆に質問をされておられますが、いま一度、その禁止区域の必要性について、また足立提出者の方からお答えくださいませ。
○足立議員 ありがとうございます。
本当にこれは重要な論点だと思っています。先般の参考人質疑でも、大阪府からお越しいただいた北山参考人から、るる、そういう制度をつくった、大阪府の土砂条例で禁止区域をつくった背景とか、それが今どういう運用をされているかという御紹介がありました。
今、私、手元に、その大阪府の条例ができたときの、作るときの、平成二十六年九月の大阪府環境審議会の答申がございます。
そこにも、ちょっと読みますと、「災害発生のおそれが高い行為地に対する措置」として、「土砂の崩壊や流出を防止するための施設の設置がないまま、安全性を無視した不適正な埋立て等の行為が実施された場合などには、」ちょっと長いな、ぶらぶらぶらっと進んで、「しかし、これらの者が指導、命令等に従わず土砂搬入が継続されたときには、土砂の崩壊や流出等による災害発生のおそれが増大し、住民の生命や身体、財産に危害が及ぶおそれが生じることが考えられる。」
すなわち、制度をつくって、また罰則があっても、それでも止まらない。それでも止まらないということが少なくとも条例レベルではあったわけですね。今回は法律ですから、罰則のレベルは格段に上がっていますが、それでも止まらない。それは、先日の委員会質疑でも、与党の先生方からも、いろいろな方がいらっしゃるのであると、事業者には。その止まらないとき、そういう場合には、当該土地に対して土砂の搬入を早急に停止させるための方策が講じられるべきである、こうしたことを具体化する制度について検討すべきであるということを受けて、そういう答申を受けて、禁止区域というものをつくった。
財産権との関係とかいろいろあるかもしれませんが、少なくとも大阪の審議会では、そこに措置を設けるべきだという答申が出され、実際に禁止区域が設けられ、そして、実際、運用上も、先般も御紹介しましたが、私の地元、八年前に土砂崩落が起こったところ、ここがなかなか難しい地域。地域はいい地域なんですよ。ただ、例えば、事業者と関係、要は、地域の方でね、その事業者も。人間関係もある。それから、役場も多少、人間関係がある人もいる。そういう中で、なかなかその執行がままならないということがありました。
結論から言うと、大阪府に禁止区域を設定していただきました。禁止区域を設定したことによって、初めてそこが、禁止なんだから、止まったということは、北山参考人からも御紹介があったとおりでありますので、そういう問題意識と整理でございます。提案させていただいている次第であります。
○市村委員 日本維新の会の案は、やはり、白地地域をなくそう、こういう法律案を出されているわけでありまして、しかし、白地地域をなくしても、ちょっと罰則が甘い等々の理由で、結局、防ぎ切れなかった部分に関して、禁止区域を設けることによってようやく止まったというのが足立提案者のお話だったと思っておりますし、今もそういうお話だったと思います。
ですから、今後、やはりこうした白地地域をまずなくすということも日本維新の会は提案をしているわけでありますけれども、今回は罰則がかなり強化されているとはいえ、先ほど議論させていただきましたように、個人の場合どうなのということになった場合、本当に止め切れるのか、防ぎ切れるのかということもありますので、この禁止区域なるものの考え方。
ただ、そのときに、ちょっと質問なんですが、今、財産権との、憲法との問題があるというふうにここでは議論されているんですが、これについては足立提案者はどう考えますか。
○足立議員 市村委員、今、私、若干不正確な御答弁をしたと思います。ちょっと訂正させていただくと、私たち日本維新の会は、今回、二つの議員立法を出させていただいていますが、それはトレーサビリティーと置場ですよね。
したがって、私が間違えましたが、今議論いただいている白地の問題、それから禁止区域の問題は、まさに、大阪府の北山参考人にそこを御紹介いただくためにお越しいただいて、私が北山参考人に御質問する中で今の論点が出てきたわけでありますが、だから、そういった意味では、私の提出法案とはずれているということはちょっと訂正をさせていただいた上で、関連として大阪府の紹介ということで申し上げると、まさにそういう議論はあった、国においてもそういう議論がなされていると私は仄聞をしていますが、先ほど申し上げた答申にあるとおりですね。
これは先般の委員会でも、例えば福島伸享委員から、いやいや、財産権、財産権というんだけれども、そもそも、そういう今の実態は、財産権が侵害されている人たちがそこにいるんだから、だから、こちら側の、要は、加害者側と言ったらいけませんが、単純化して言うと、加害者側の財産権を重視する余り、その周辺の皆様の財産権が侵害されている、これは比較考量において大変問題があるので、規制の対象としてよいのではないかという議論がありました。私もそこについては全く同じ意見であります。
それから、もう時間があれだと思いますが、一言申し上げると、憲法上の財産権の問題とかというのは、本当に、保守的になるとほとんど立法できなくなります。だから、国権の最高機関ですから、私は、安倍政権の平和安全法制じゃありませんが、チャレンジしていったらいいと思うんですよね。チャレンジしていく、そういう中で、必要があれば憲法改正もしたらいい。ぎりぎりのところで私は立法にチャレンジしていくことはあっていい、こう思っています。
○市村委員 ありがとうございます。
済みません。白地については、今回、四党提案の中に私どもの案を入れていただいているということでございまして、ちょっと私も勘違いをしておりました。申し訳ございません。
次ですが、最後、トレーサビリティーですね。これはもう大分議論をこの委員会でされてきましたけれども、やはり、トレーサビリティー、これこそまさに日本維新の会が提案をさせていただいている法案ということだと思いますけれども、いま一度、このトレーサビリティーの重要性を足立提案者の方からまたお話しいただけたらと存じます。
○足立議員 まず、またちょっとお時間を頂戴して、さっきのやつにもう一言補足すると、議員立法には、当初の衆法には、先ほどの二分野でありますから、白地の問題、禁止区域の問題、これは入っていませんが、ただ、まだこれは審議が続いていますから、我が党も、今、四会派で非常に広い修正提案が、今日かな、出されていまして、審議に付されていますが、その中にも私たちがこうして議論した内容が含まれています。私たちは私たちで、まだこの修正提案というものはしていきたいと思っています。特に、こういう白地の問題とかも含めた問題意識は、参考人質疑、まさに大阪府から来ていただいた参考人の指摘で明らかに例示されてきているテーマですから、これについては、我が党も当事者として、政府・与党の皆様と、国会における修正の可否については最後までこだわってやっていきたいと思います。
御質問のトレーサビリティーということでありますが、私たちは、やはり必要だ、ずっと議論されていますが、必要だと思っています。必要だと思っていますが、大変難しい議論ですね。だから、今日ずっとお話があったように、今回の法案は、私は大きな前進だと思っています。しかし、第一歩でしかないので。
先ほど高橋委員からもありましたように、一旦ここはどこかの段階で法案はまとめますが、このトレーサビリティーの問題は、どういう形であれば土砂のトレーサビリティーにふさわしい制度、産廃みたいながちがちの制度がいいのか、もうちょっといろいろなところ、バランスを取ったものがいいのか、そういうことは、政党としても、また国会として引き続き議論を深めていく中で、具体的な制度、あるいは法律の執行状況を見ながら、具体的な制度設計について政府、与野党で議論していけたらと願っています。
○市村委員 最後に、国交大臣の方から、今、白地の地域をなくした方がいいという意見、考え、それから、もっと言えば、禁止区域を設けた方がいいという考え、また、トレーサビリティー制度は今回の政府案に盛り込まれていませんが、盛り込んだ方がいいという考えにつきまして、国交大臣の方から最後に御見解を賜れればと存じます。
○斉藤国務大臣 まず、白地、禁止区域の件でございますが、大阪府などの一部の自治体の土砂条例においては、現に盛土が行われている区域について、追加的な土砂搬入が継続された場合に災害発生のおそれがあるときは、一定の期間を定めて土砂搬入禁止区域に指定し、何人も土砂の搬入をしてはならないこととする仕組みを設けております。
この仕組みは、危険な盛土を行っている原因行為者が、行政の指導、命令に従わず、盛土行為を継続するような状況を念頭に置いたもので、更に追加的な盛土が行われることを阻止するため、土砂の搬入者に対して搬入禁止の規制を及ぼそうとするものでございます。
本法案におきましては、無許可、基準違反等の盛土を現認した場合における施工停止、土地使用禁止又は災害防止措置の命令、災害防止措置命令を受けた者が従わない場合における都道府県等による迅速な行政代執行等を措置し、これらの運用面の徹底を図るとともに、無許可や基準違反、命令違反等に対する実効性の高い罰則を措置することとしておりまして、これらによりまして適切な対応を取ることが可能であるため、土砂の搬入を禁止する区域の設定は必要ないものと考えております。
それから、トレーサビリティーでございますけれども、本法案は、危険な盛土による災害から人命を守るという観点から、建設発生土等のいわば出口としての盛土について、安全性を確保するための抜本的な制度改革を行うものでございます。
これに合わせ、建設発生土の搬出先の適正確保については、先ほど都市局長からも答弁したところでございますが、資源有効利用促進法に基づく計画制度の強化により対応することを検討しているところです。
具体的には、資源有効利用促進法の省令等を見直し、搬出先での盛土等の行為が本法案に基づく許可を得ていることを事前に確認するなど、元請業者に搬出先が適正であることを確認させる仕組み等を構築いたします。
あわせて、公共工事において、発注段階で搬出先を指定する指定利用の取組等を徹底していくこととしております。
建設発生土の搬出先の適正確保は、盛土の安全性の確保とともに重要であり、国土交通省としては、関係部局等と連携しながら、これらの制度がしっかりと機能を発揮するよう努めてまいります。
その上で、盛土対策に万全を期する上では、今回の法律で措置する事項に加えて、建設発生土の適正処理等の関連事項についても、今後の運用状況等を勘案し、必要な検討を行っていくことが重要であると考えております。
○市村委員 終わります。ありがとうございました。
○中根委員長 国土交通大臣は御退席いただいて結構です。
次に、石原宏高君。
○石原(宏)委員 自由民主党の石原宏高でございます。
いわゆる盛土規制法について質問させていただきたいと思います。
熱海での痛ましい事例を受け、国民の生命と財産を守るという政治の最も大切な使命に基づき、今回、全国で盛土の総点検が行われ、さらに、危険な盛土を全国一律の基準で包括的に規制する盛土規制法が作られることは、非常に大きな意義があると考えます。
他方、忘れてはならないのは、今回の議論の対象となっているのは土であることです。土は本来危険なものではなくて、私は資源ではないかというふうに考えます。
私は、日本全国の建設発生土を厳重な監視下に置く必要があるかどうかというところは少し懐疑的なところがあります。そうすると、建設業者にいたずらに高いコストと手間を強いることになるのではないか。それは、ひいては、低コストをうたって違法な処分を行う悪徳業者を拡大させることにもつながるんじゃないか、危惧するところであります。
国民の生命と財産を守るために必要な規制とは何か、それを見極めて適正な規制強化を図るにはどうすべきか、それがこの問題の本質ではないかと思います。本日は、そのような観点から質問を行いたいと思います。
まず最初に、再生利用される建設発生土は、恐らく、建設業者が自分の敷地内のストックヤードなどに一時保管している場合が多いと思います。国交省におかれましては、それとは別に新たな置場が、行政が設ける置場が必要と考えられているか、お聞かせ願いたいと思います。
また、再利用できずに処分される建設残土は土砂処分場に持っていくことになると思いますけれども、この処分場は日本全国にどのぐらいあるのか、キャパシティーはどのぐらいあるのか、また、どういう方が運営されていて、恐らく都道府県が監督をしていると思いますけれども、どの部署が監督しているのか、御回答いただければと思います。
○和田政府参考人 委員御指摘のとおり、建設現場で発生する土には、廃棄物が含まれていない建設発生土と、廃棄物が混じっている廃棄物混じり土がございます。廃棄物混じり土につきましては、廃棄物処理の原則に基づいて運搬、処分等が行われ、あるいは、選別されて、残り、きれいになった土、これが建設発生土として再利用されていくべきものということでございます。
建設発生土の約八割を占めます公共工事におきましては、約八六%の建設発生土について、発注者が発注段階で受入先を指定する指定利用等を行っており、この指定利用等、それなりにできておりますので、一概には、建設発生土の置場が不足している状況ではないものと考えております。
工事間での有効利用も重要ではありますが、事業の計画、設計段階からの工夫により、同一現場内で利用するなど、事業者が可能な限り発生抑制に努めていくことが今後ますます重要になってくると考えております。
また、建設発生土が処分されている場所は、民間の事業者によって管理されているものが多くを占めていると考えられますが、宅地造成、林地開発、農地改良あるいは転用などの目的も持って処分が行われていることから、これらの場所を横断的に管理監督などしている省庁はございません。それぞれの省庁で基準を設け、そして許可等をしてきていたというのが実態でございます。おっしゃるように、それが都道府県の現場においても分かれているということかと思います。このため、箇所数等について統一的な把握というのは現段階ではっきりできてございません。
今回の法案におきましては、建設発生土を最終的に処分する際などの盛土等の行為を包括的に規制することとしておりまして、これをきっかけに、許可状況とか定期報告等から建設発生土などの処分の状況というのを把握してまいりたい、こう考えてございます。
○石原(宏)委員 次に、建設残土の処分場への処理費についてお伺いしたいと思います。処分場に対する支払い、また、一般的に、そこまで運んでいくコストがどのぐらいかかっているのか、教えていただきたいと思います。
実は、私、伊豆諸島と小笠原諸島が選挙区なんですけれども、神津島に行ったら、建設組合の会長さんから、実は、石原さん、知っていますか、建設残土を本土に持っていくのに立米四万円かかる、だから、神津島に処分場を造れないかということを聞かれて。ただ、やはり土地がなかなかないですから、ほとんど、実は伊豆諸島って国立公園になっていて、国有地で自然を守らなきゃいけないので、どうしても船に載せて処分しなければいけない。一立米四万円ですから、かなりのコストをかけて処分しているわけであります。
一般的な建設残土の処分場への支払い、また運搬費用、どのぐらいになるか教えてください。
○和田政府参考人 建設発生土の処分費用につきましては、各施設の立地状況や土の質によって様々でありますが、平成三十年度の建設副産物実態調査によりますと、建設発生土の受入れ料金は、一立方メートル当たり千七百円から三千五百円程度となってございます。
また、受入れ地までの運搬費につきましては、運搬距離や手段等に応じまして、これとは別に必要となります。
○石原(宏)委員 やはり、さっき言った神津島の建設残土の処分費一立米四万円というのは、今お話を伺うと、処分場への処理費が三千円強ぐらいということで、運賃もさすがに数万円かかるということはないでしょうから、やはり島嶼部での建設残土の費用というのはかなりかかっているんだなという感じがしました。
土とは別なんですが、実は、違うときに新島に行ったら、やはり建設会社の社長さんから、話をしているときに、島は実はアスファルトを作る施設がないものですから、大体道路をコンクリートで造っていて、これを直すとコンクリートの破片が出ます。これは産業廃棄物になるわけでありますが、やはりこれも一立米当たり四万ぐらいかけて処分をしています。
建設廃材とか、またコンクリート片の量は全国で何立米ぐらいあるのか。また、再利用されているものと処分されているものの割合についてお聞かせいただけますでしょうか。
○和田政府参考人 平成三十年度の建設副産物実態調査におきまして、建設現場の外に搬出されたコンクリートの塊や木材などの建設廃棄物は年間約七千四百四十万トンあります。このうち、再資源化等された量が九七%で七千二百二十八万トン、最終処分された量が二百十二万トンとなっております。
また、建設廃棄物七千四百四十万トンのうち、コンクリート塊につきましては年間三千六百九十万トンあり、そのうち、再資源化された量が三千六百六十五万トン、九九%、最終処分された量が約二十五万トンとなっております。
なお、再資源化されたコンクリート塊の多くは、再生砕石として道路の路盤材に再利用されてございます。
○石原(宏)委員 ありがとうございます。
先週の参考人質疑の中で、東工大の中井検裕参考人は、建設発生土のトレーサビリティーの確保が大切だというふうに意見を述べられていました。トレーサビリティーの確保には産廃の管理票制度が参考になると思いますが、これを建設発生土に当てはめたときの課題や負担についてお聞かせ願えますでしょうか。
○長橋政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、新たな盛土規制と併せて、建設発生土の管理が適切に行われることは重要と認識しております。
具体的には、委員も冒頭御指摘ありましたように、建設発生土は、搬出先の適正確保と資源としての有効活用を一体的に図ることが不正処理の防止にも効果的なことであることから、現行の資源有効利用促進法に基づく搬出計画制度の仕組みを強化して、元請業者に搬出先が適正であることを事前に確認させること、また、実際にそこに搬出されたことを受領証等で事後にも確認させるということを検討しております。
御指摘の産業廃棄物管理票制度、いわゆるマニフェストも、今申し上げました搬出計画制度の強化も、どちらも土砂が実際に搬出された先の確認を求めるといった点では同じでございますが、現行の搬出計画制度を強化する方法では、現場で発生した建設発生土を資源としてどれだけ使うか、また、場外に出す場合でも、搬出先や搬出量などの残土処理の全体の計画を策定することを義務づけられておりますから、これを更に現場掲示することによって対外的にも公表されていくといった点、それと、事務処理の面でも、マニフェストに比べた事務処理量が少ないといった利点があると考えております。
事務処理量の点でございますが、廃棄物のマニフェスト制度と同等に、発生元が土砂を搬出するダンプ一台ごとに管理票を交付して、業者間で土砂の受渡しが行われるごとに管理票の受渡し、最終的に土砂を受け入れた者が管理票の写しを発生元に返送し、発生元で管理票を整理、管理するといったことを導入した場合に、現行の計画策定義務の下限である一千立米の土砂を搬出するとした場合でも、これはダンプ百八十台ぐらいを要するということになりますので、マニフェストの交付等の事務処理に大体約六人日ぐらいと見込まれるということです。
発生土が本来有害なものではなく、また、他の建設廃棄物に比べて発生量が非常に大きいということも踏まえると、事務負担が少し大きいのではないかと考えております。
○石原(宏)委員 やはり、土であるということも認識して、手間やコストも考えていかなければいけないんだというふうに思います。
それで、実は、国内で、これまでも、またこれからも、恐らく最も厳しい形でトレーサビリティーを確保していて、その土砂を運搬しているのは、福島における除染で取り除いた土や、放射性物質に汚染された廃棄物を中間貯蔵施設に持ち込んだ際だというふうに思います。
放射線に汚染されていますから、これは厳重にやらなきゃいけないし、非常に厳しいトレーサビリティーをやっているんですが、この手法と、これがどのぐらいの費用がかかっているのか、簡潔に教えてください。
○土居政府参考人 中間貯蔵施設事業は、福島県内の仮置場などで保管容器に入れて保管されています除去土壌等を中間貯蔵施設に輸送し、受入れ・分別施設で土壌と可燃物に分別した上で、分別された除去土壌を貯蔵施設で安全かつ集中的に管理するという事業でございます。
この事業のうち、輸送につきましては、除去土壌等をより安全で円滑に中間貯蔵施設に搬入するため、仮置場などから搬出する輸送対象物は、ICタグを活用し、保管容器ごとに一元的に全数管理を行うということを行っております。さらに、GPSも活用し、全輸送車両の常時監視も行っております。
このような厳格なトレーサビリティーを確保し実施しています除去土壌等の輸送、施設内における受入れ、分別、貯蔵等に関する事業費全体につきましては、二〇一四年度から二〇二〇年度までの支出済額におきまして、約七千億というふうになっております。
○石原(宏)委員 実は、事前の説明で、汚染土の量というのは一千万立米ぐらいだという話を聞きまして、それで七千億と計算すると、もちろんいろいろな作業がほかにもありますが、大体、立米当たり七万円かかっています。そういうことを考えると、やはり、廃棄物、土、この汚染土、いろいろと費用ということを考えていく必要があるんじゃないかなと思いましてこの質問をさせていただきました。
次には、自治体に対する負担の国の支援についてちょっと伺ってまいりたいと思います。
去る三月二十八日に、三万六千か所の総点検、九九%に関する結果が公表されました。公表結果によると、手続の不備、必要な設備の欠如など、何らかの問題があった場所が千百か所あります。
更なる調査が必要と思いますが、その結果、災害危険性の高い盛土に認定された場合、それを是正するのは、まずは一義的には事業者であると思いますけれども、事業者がそれができなかった場合、都道府県がやるような形になりますが、都道府県が行う場合、その費用は国が支援していただけると思いますけれども、その割合と、また裏負担の地方財政措置についてお伺いします。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
総点検において必要な災害防止措置の欠如等の課題が確認された盛土については、まずは盛土の行為者等により是正措置を行うことが基本であり、現行法令や条例に基づき、適切に行政指導や是正命令等を行う必要があります。
その上で、是正措置が講じられない場合などには、必要に応じて詳細調査を実施し、災害危険性が高いと判断された盛土については、地方公共団体が行為者等に代わって盛土の撤去や擁壁設置等の災害防止措置を講じることになります。
これらの対策実施までやむを得ず時間を要する場合には、土のうの設置や排水対策等の応急対策を講じるとともに、監視カメラ等による盛土の変状の観測など、地域住民の迅速な避難等につなげる対策も重要です。
国としても、安全対策工事等を地方公共団体が行う場合の財政支援を今年度予算等に盛り込んでいるところでございます。
具体的には、総点検の対象となった盛土について、地方公共団体が詳細調査、応急対策又は安全対策工事を行う場合には二分の一の国費率で支援をすることとしており、特に被害の発生するおそれが高い等の要件を満たす危険性の高い盛土の場合には、国費率を三分の二に引き上げて支援することとしております。
また、地方公共団体の負担分に対する地方財政措置につきましては、これらの調査や工事が起債の要件を満たす場合には公共事業等債が措置され、要件を満たさない場合でも特別交付税が措置されます。
これらの支援により、地方公共団体による早期の安全対策の実施を図ってまいりたいと考えております。
○石原(宏)委員 ありがとうございます。
多くの方が地方負担についての国の支援ということを聞かれているので、再度確認をさせていただきました。
次に、基礎調査についての国の支援についてお伺いしたいと思います。
五年に一度、基礎調査が行われるというふうに法律にも書かれているわけでありますが、第一には規制対象地域を特定するための基礎調査、第二には既存の盛土の調査、行われていくと思います。今後、全国で何か所ぐらい、どのような内容の基礎調査が必要と考えられているのか。
また、その費用は恐らく地方自治体が負担されるんだと思うんですけれども、その地方自治体の負担額の総額、これを全部、基礎調査を一回やると大体どのぐらい金額がかかるのか、また、その金額に対して、交付金など国の支援はどういうふうになるのか、また、先ほどの、総点検のときの盛土についての支援はありましたけれども、そのように地方財政措置があるのかどうか、お伺いいたします。
○宇野政府参考人 本法案に基づく基礎調査は、規制区域の指定、盛土等に伴う災害防止措置等を行うため、地形、地質等の状況や、既存の盛土に係る土地の状況などを都道府県等が定期的に把握するものです。
基礎調査の実施主体は、都道府県、政令指定都市及び中核市であり、調査に要する費用はこれらの地方公共団体の負担となります。
基礎調査に要する費用の額については、対象となるエリアの面積や地形等の状況、既存盛土の箇所数等によって異なりますので、一概に金額を申し上げることはできませんが、一地方公共団体で数百万円から数千万円程度になるものと想定しております。
国といたしましては、今年度の当初予算より、規制対象地域特定のための基礎調査に要する費用の三分の一を防災・安全交付金により支援することとしております。
なお、地方財政措置につきましては、公共事業等債が公共事業等のハード整備事業を伴わない調査等のソフト事業を対象としていないことから、適用されておりません。
また、国では、基礎調査に係るガイドラインを作成し、都道府県等に示すとともに、各地方公共団体等に新たに配置した職員の派遣等による個別的サポートを通じ、基礎調査の円滑な実施を支援してまいりたいと考えております。
○石原(宏)委員 事前のレクで地方自治体の負担額というのが教えてもらえなかったので、数百万円から数千万円というのは少し安心しました。もうちょっとかかるんじゃないかと思って心配していたものですから、そのぐらいの規模であればというふうに感じました。
次に、これも、伊豆七島でたくさん建設会社があって、資材置場とかストックヤードがあるんですけれども、今回の法律改正で、造成地と、盛土等の規制区域以外に土石などの堆積を管理対象としているんですけれども、この土石などの堆積というのがちょっと何か心配で、伊豆七島なんかへ行くと、例えば、溶岩が流れてきて、それが固まってたまっているみたいなところもあるんですね。また、砂防ダムもありまして、大島の、二〇一三年の台風のときには土砂崩れがあったんですが、砂防ダムのあったところは、それで、近くにある方は助かったんですけれども、違うところの方は土砂に流されて、三十数名の方が亡くなるような形があって、そのような、溶岩が堆積した場所とか河川の砂防ダムとか土砂処分場における堆積など、こういうものも含まれるのかどうか。この土石などの堆積について、管理対象とするイメージをちょっと教えていただけますでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
土石の堆積とは、一定期間経過後に他所に持ち出す目的で土地に土石を置く行為を指し、具体的には、建設発生土をストックヤードに一時的に置いておく行為、森林伐採後の無立木地に土を一時的に置く行為などが規制対象に当たります。
土石の堆積に関し、規制の対象となる規模要件については、今後有識者の御意見を伺った上で政令で定めることとなりますが、安全確保のために十分な水準のものとなり、かつ、過度な規制とならないよう検討を行ってまいります。
なお、本法案に基づく規制は人為的な行為を対象としており、溶岩や、河川や砂防ダムに堆積する自然由来の土石の堆積は規制の対象に含まれません。
また、土砂の最終処分として堆積をする行為については、人為的な行為であり、恒久的に土地の形質を変更する盛土に該当し、規制の対象となります。
○石原(宏)委員 事前にも説明を受けて、ここは明確になったんじゃないかと思います。ストックヤードに置いてあるような建設発生土だったり、切土であった土とか、若しくは土砂処分場の埋立ての部分が対象になるということで、自然由来の、河川の砂防ダムの堆積とか、また、溶岩がどんどんどんどん噴火して積み上がっていくみたいなものは対象外だということが明確になりました。ありがとうございます。
この土石などの堆積の、規制強化になる以上、管理対象をなるべく早く、ルールというか、基準ですね、こういうことを周知する必要があると思いますけれども、いつぐらいに周知をされますか。
実は、これは事前に質問通告していないんですけれども、やはりこの前神津島に行ったときに、さっき言ったコンクリート片なんかも、使うまで、コンクリートに新しく入れるまで堆積させているんですね。だから、この土石の堆積にはそういうコンクリート片なんかが含まれるのかどうか、ちょっとそこも併せて教えていただければ。どういうふうに検討しているのか、ちょっと教えていただけますか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、周知の件でございますが、本法案に基づく規制の対象となる盛土等の規模等につきましては、今後、有識者の御意見も伺った上で検討してまいります。
本法案は、公布からおおむね一年後の施行を予定しておりますが、この検討を速やかに進め、具体的な規制対象について、施行日を待たず、案の段階でもできるだけ速やかに公表し、都道府県等や国民に対し周知してまいります。
コンクリート片の積み上げにつきましては、恐らく、それはまず産業廃棄物に該当すると思いますので、産業廃棄物の処理法の方が優先的に適用されて、そちらで様々な行政指導などが行われると思っておりますが、それが土石に該当するものであれば、重ねてこちらの法案の適用があるというふうに考えております。
○石原(宏)委員 実は、そういうのもありますので、まさに建設会社のストックヤードに一時的に堆積しているもの、まあ、普通はコンクリート片と土は分けているとは思うんですけれども、混ざっちゃっているケースとか、是非、環境省、国交省で、平仄が取れるように、土よりもコンクリートの方が緩いとか、材質も、材質というか、違いますから、なるべく平仄を取っていただいて、周知徹底をしていただければというふうに思います。
もしかすると、このストックヤードの堆積については、島の建設会社の人なんというのは知らないかもしれないので、また、都内でも、結構、建築資材メーカーの方々、いろいろと、コンクリートとか、それでやっていらっしゃいますので。もちろん防護壁があって、ちゃんと都内だと施設ができていると思いますが、それがちゃんとその規制の範疇に入るのかどうか、是非、早めにルール決めをしていただいて、周知をしていただければというふうに思います。
次に、建設発生土の重要な再利用の一つは埋立てだと思います。しかし、日本の海岸線は無限に広がっているわけではありません。実は東京なども、今、海の森とかができて、実は私の選挙区の品川の大井埠頭の反対側の、対岸の埋立てがこれから進んでいくんですけれども、やがて東京湾の、東京都の埋立ての地域はなくなってしまって、これを近隣の県の方々にお願いしていかなければいけないんじゃないかみたいな話がもう大分前から出ているところであります。
そのことを考える上で、国交省の平成三十年の建設副産物実態調査による、一年間で建設発生土が二億八千九百九十八万立米発生しておりますが、その八割が再生利用されているというふうに言われています。そのうち埋立てに使われている割合はどのくらいなのか、教えていただきたいと思います。
それで、実は、東京の埋立てというのは、夢の島で、今は若洲ゴルフリンクスというゴルフ場になったんですけれども、あの頃は生ごみと一緒に土を混ぜて埋め立てて、だから、若洲リンクスができたときには結構ガスが出て、ガス抜きなんかもしていたんです。今は大体、清掃所で生ごみを燃した焼却灰になっていると思います。
その後、建設発生土、焼却灰、あと、もしかすると山から取ってきた土なんかで埋立てが行われていると思うんですけれども、埋立てに使用する建設残土、焼却灰、また山から切ってきた土、この割合というのが分かったら、ちょっと教えていただけませんでしょうか。
○和田政府参考人 平成三十年度に実施しました建設副産物実態調査におきまして、建設発生土の発生量は二億八千九百九十八万立米、そのうち約八割に当たる二億三千百二十五万立米が同一現場内や他の工事現場等で有効利用されております。このうち、約六十七万立米、〇・三%が海面の埋立てに使用されております。
また、東京都の数字ということになりますけれども、新海面処分場、ここで埋立ての処分計画がございます。平成二十九年から令和十三年までの間の計画としまして、一般廃棄物、ここに先ほどの燃え殻なんかも入ってくると思いますが、これが三百三十四万立米、産業廃棄物等が三百六十四万立米、建設発生土が五百七十万立米などとなっておりまして、合計で二千五百九十一万立米ございます。
また、都の方では、こうやって建設発生土をしっかりと、最終的に置く場所のみならず、臨海部におきまして東京都の発生土再利用センターというのを設けておりまして、これは、受け入れて、そしてまた出すというところでございます。三十年度の数字でいいますと、四十四・五万立米を持ち込んで、そして、改良された土あるいは普通の土として約五十万立米を持ち出すという形にしておりますので、こういうことによって、最終処分にしなきゃいけないところをどんどん抑制していって、限られた場所を長い間有効に使っていけるような、そんな取組もしてございます。
○石原(宏)委員 時間が来ました。質問を終わります。
○中根委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○中根委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
先週六日の質疑で、大臣は、熱海の土石流災害で崩落した盛土は建設発生土であった可能性は否定できないと答弁をいたしました。
昨年末の総務省の建設残土対策に関する実態調査の結果について、そのポイントというペーパーを一枚、資料の一枚目につけてあります。この報告は、令和二年、二〇二〇年四月一日時点で土砂条例を制定している十二都道府県、二十九市町村を調査。そのうち、十二都道府県全てが不適切事案があると回答し、市町村の七割が不適切事案があると回答しており、合わせて百二十事案、つまり、自治体一つに対し複数の事案を抱えていることになります。
そのうち、土砂条例に違反した無許可埋立て事案が五十八事案。土砂条例で対応したものの、土砂流出などの被害を出した事案が十四件、うち是正されたのは一件にすぎないと言われています。危険な盛土と建設残土の問題は深く関わっており、切り離せないものという認識は一致しているのではないでしょうか。
そこで、大臣に伺います。
熱海のような被害を二度と繰り返さないために法案を作ったというのであれば、建設発生土の適正な管理についても一体として立法化すべきではなかったんでしょうか。
○斉藤国務大臣 本法案は、危険な盛土等に伴う災害から人命を守るという観点から、建設発生土等のいわば出口としての盛土について、安全性を確保するための対策を講じるものです。
一方、建設発生土は、基本的に再利用を促進していくべきものであり、搬出先の適正性の確保と資源としての有効利用を一体的に図ることが不適正処理の防止に効果的であることから、本法案とは別途の対応を検討しているところです。
具体的には、資源有効利用促進法の省令等を見直し、搬出先での盛土等の行為が本法案に基づく許可を得ていることを事前に確認するなど、元請業者に搬出先が適正であることを確認させる仕組み等を構築します。
あわせて、公共工事において、発注段階で搬出先を指定する指定利用等を徹底していくこととしております。
国土交通省としては、二度と熱海市と同様の悲劇を繰り返さないよう、盛土の安全性の確保と併せて、建設発生土の適正処理の確保にしっかりと取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 改めてまじまじと聞いて、出口としての盛土ということにフォーカスを当てて、あとは省令でやるんだというお話だったと思うんですが、やはり入口からきちんと規制して、そこで一体としてやるべきではなかったのかなと改めて指摘をしたいと思うんですね。
そういう視点で、少しるる個別に議案を聞いていきたいと思うんですが、今述べた総務省の勧告で指摘された十四事案については、国交省の建設発生土の取扱いに関わる実務担当者のための参考資料、これは二〇一七年八月です、既に掲載されておりました。国交省としても、建設工事から出た土砂の不適切な処理について認識はしていたということだと思います。
昨年十月の第二回盛土による災害の防止に関する検討会でも、神奈川の黒岩知事から、盛土規制はもちろんのこと、建設発生土の処理について直接規制する法律がないから、各自治体の条例により対応しているのが現状であり、毎年国に法制化を要望してきたと発言がありました。
神奈川県が土砂条例を制定したのは平成十一年、一九九九年です。建設発生土の不法投棄が多発したのは昭和六十三年、一九八八年頃からだということであります。ですから、本当に待たれていたと言わなきゃならないんですね。
土砂条例では罰則も弱いといった限界もある上、条例のない自治体もあるために、県境を越え、条例のない市町村に流入されるといった問題が表面化しており、一律の規制が求められてきた。このことは国交省も認識しているのではないでしょうか。確認します。
○中根委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○中根委員長 速記を起こしてください。
宇野都市局長。
○宇野政府参考人 大変失礼いたしました。
一律の規制をずっと求められてきたのかという御質問でございますが、全国知事会の方からも、条例によっては、強い規制がかかっているところと弱い規制がかかっているところがあって、弱い規制があるところにどうしても不適正な盛土が行ってしまうということを聞いておりまして、その中で、全国一律の基準によって包括的に盛土を規制する法案を作っていただきたい、こういう要望をいただいているので、私どもも認識をしていたというところでございます。
○高橋(千)委員 まず認識を一致させるところから始めたいと思ったわけであります。ありがとうございます。
当初は、今日も随分議題になったわけですが、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストのような仕組みを採用して、搬出元から搬出先まで追跡記録を残すトレーサビリティー制度を検討しているという報道もあったし、なぜ今回出されなかったんでしょうか。
○長橋政府参考人 お答え申し上げます。
今先生から御指摘あった当初の報道については、済みません、私自身確認できませんでしたけれども、本法案と併せて建設発生土の搬出先の明確化の取組が必要であるということは考えてございます。ただ、建設発生土は廃棄物とは異なりまして、それ自体が生活環境等に支障を生じさせるものではないことから、経済活動に過度な規制とならないよう留意する必要があると考えております。
この点については、政府の有識者会議の提言でも、同様の観点から、現行の資源有効利用促進法に基づく搬出計画制度の仕組みを強化することが適切とされたところでありまして、国交省としての対応は、先ほど大臣からの答弁もございましたけれども、マニフェスト制度と同様に、土砂が実際に搬出された先の確認を求めるという点では、今回、搬出計画制度を強化して、元請業者が搬出先が適正であるかどうかを事前と事後にしっかり確認させるよう検討するとともに、元請業者から計画について発注者にも報告を義務づけるということを検討を今しているところでございます。
○高橋(千)委員 何か今のは、トレーサビリティーを検討したことはないかのような答弁をされたと思うんですが、それはあり得ないと思うんですよね。
だって、建設リサイクル推進計画二〇二〇で、このことは明確にと記者発表の資料にも出ておりますし、内陸受入れ地に搬出されている建設発生土は約六千万立米、現場から搬出されるものの約四割を占めている。これらの土の一部が、残土処分場に持ち込まれた土や工事での使用が未定の土などが含まれており、これらの土が不適切に処理されている可能性が高く、そういう認識を持っていたと思うんですよね。今後は、適正な受入れ地等へ搬出する徹底した仕組みの構築や建設発生土のトレーサビリティー確保が課題であると考えられるということで、これは本文を今読みましたけれども、プレスリリースの中にも三つの主要なポイントということで書いてあって、当然、取り組むつもりだったんじゃないんでしょうか。
○和田政府参考人 建設リサイクル計画のトレーサビリティーのことにつきまして、これは、今、直轄工事で試行をやっておりますけれども、指定利用等をしているものが、しっかりとその経路どおりにきちっとされているかということをICTを使ったシステムで検証していこう、そしてそれをちゃんといいものにしていこうということを計画に書き、そして、その後の試行で実施しているというところでございます。
○高橋(千)委員 でも、今読み上げた文章は、六千万立米ですから、それは指定利用だけではない、全体の調査に基づく数字ですよね。おかしいと思います。
それで、続けて聞きますけれども、公共工事では、今お話しされたように、土砂の搬出先もあらかじめ決まっている指定処分がほぼできていると言われておるんですが、一部の自治体の公共工事が追いついていないということや、民間工事では処分場が指定されていないために、元請業者に委ねられている場合が多いです。指定処分を民間工事にも広げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○長橋政府参考人 委員御指摘のとおり、公共工事では、発注者が土砂の搬出先を指定する指定利用等の取組が進んでおりまして、国の発注工事ではほぼ全ての工事で指定利用等が行われています。
発注者による指定利用等の取組は、建設発生土の有効利用や適正処理を進める上で大変効果的でありますので、適切な費用負担と併せまして、今後は、地方公共団体の発注工事を含めて公共工事での原則化に取り組んでまいりたいと考えております。
また、民間工事につきましても、継続的に大規模な建設工事を発注している民間発注者は、公共工事と同様に指定利用等を行うなど、より積極的な役割を果たすことが求められると考えておりまして、この旨、今後ガイドライン等で明確化した上で、様々な機会を捉えて周知していきたいと考えております。
なお、民間工事で指定利用等を原則化するということは、民間工事の発注者は、個人の施主を含め様々あることから、基本的には、専門的知見を持った、建設工事の施工全般に責任を持つ元請業者が適切に搬出先の選定等の役割を担うことが大事だと思いますが、発注者には適切に費用負担してもらうということが必要だと考えておりますので、ちょっと先ほども触れましたけれども、計画について元請業者から発注者に報告するということを今回義務づけを検討しておりますけれども、発注者もそういう計画を踏まえて適切な費用負担をしていただけるように、今後は周知徹底をしていきたいと思ってございます。
○高橋(千)委員 一つ確認しますが、今、民間の工事であっても、継続的に大規模な工事をやっているようなところには積極的に受け入れてもらいたいとおっしゃったこと、すごく大事なことだと思います。確かに、規模によって一遍にはできないだろうというのは分かって聞いておりますが、そういう意味でも、もうほぼ公共事業だよというようなところがあるんだろうと。
その中で、今、最後にお答えになった、やはり発注者の責任、今の建設資材の再生利用の計画でいいますと、元請が計画を持って、それをちゃんと作って、ちゃんと保存してというふうなところになっていますが、やはり、元請の責任をきちっとやらせるためにも、発注者の責任というのが今回大きな役割を果たすんだということで、もう一回確認をしたいと思います。
○長橋政府参考人 御答弁申し上げます。
先ほども申し上げましたけれども、適切に費用負担をした上で、それで処理されるということにならないと、やはり適切な処理が進まないと思っておりますので、これはこういうところに処分してここに持っていくということの計画を含めて発注者に認識していただくということを進めるとともに、発注者にも適切な費用負担をしていただけるよう、あらゆる機会を通じて私どもとしては普及してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
そこで、指定処分ではない場合、処分先が下請業者任せになるために、土砂の運搬料についても積算されていない可能性があるわけですよね。そのことが、下請事業者にとっては少しでも安くとなっちゃうので、どうしても過積載などにつながっている指摘もあります。総務省の勧告の中にも、運搬費や処分代を定額で積算するなど、搬出のコストを建設請負業者への支払い代金に適切に反映していないと指摘をしているところです。
公共工事では、ダンプなどの労務費を現在一日当たり幾らで積算しているでしょうか。民間もそこに準拠すべきだと思いますが、いかがなのか、また、どのように徹底していくかについてもお話しください。
○長橋政府参考人 御指摘のとおり、建設発生土の適切な処理のためには、建設工事の受発注間及び元下請間の契約で必要な処理費用が適切に支払われることが重要でございます。
御質問のあった公共工事の積算におきましては、土の運搬にかかるコストは、距離と搬出される量に応じて立米当たりの単価を用いておりますけれども、この単価の基となる運転手の労務費としましては、公共工事設計労務単価より、例えば東京都であれば一日当たり二万千百円となってございまして、こういう労務費の部分と、ほかにかかるいろいろな運搬費用の部分も考慮した上で単価設定をしているというふうに聞いております。
一方、民間企業における契約額は受発注者間で取り決められることになりますが、建設発生土の適切な処理に要する費用を含めて、適切な価格による工事発注が行われることが重要と考えておりますので、これは先ほども触れましたけれども、今回新たに発注者に対しても計画の報告を義務づけるということもございますので、あらゆる機会を捉えまして働きかけをしてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 建交労のダンプの関東の支部の皆さんが現場の価格について実態等試算をしてくださっているんですが、例えば、首都圏各地の工事現場から搬出された、ストック場から運搬する場合、ダンプに支払われる運搬単価が一トン当たり千二百円程度だというんですね。その多くが、埼玉から群馬県、栃木県、茨城県など県外の処分場に搬出されるので、栃木県の県北地域までなら片道百七十キロ、二・五時間から三時間くらい、燃料代と高速代を合わせると約一万五千円になるんですね。そうすると、法定積載量が十トン前後なわけですから、一台一万二千円にしかならないと。
先ほど、法定の労務単価は二万一千百円ですよとお話ししてくれたんですが、やはりそれにプラス処分代が、一トン五百円くらいの処分代も払うわけですから、これはもう三倍積まないと、過積載をやらないと元が取れないよという環境になっている。だから、やはりこれを適正なものにしていくことで国交省の責任を果たしてもらいたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○長橋政府参考人 お答え申し上げます。
一つ、公共に対しても、自治体とかに対しましても、先ほど、総合政策局長からも午前中に答弁がありましたけれども、今年四月に初めて、こういった盛土の処理に関する費用をしっかりと計上して発注をお願いしたいということの通知も総務省さんと一緒に行いましたし、民間に対しましては、今後、省令改正とかいろいろな制度改正の機会等、それに当たる前の段階からも、いろいろな問題意識について、各関係団体の方には十分周知して、働きかけをしていきたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 資料の三枚目を見ていただきたいと思うんですが、実際には、最終処分先が決まらず、仮置場に堆積している場合も多いと聞きます。
これは、今言った建交労の栃木県のダンプ支部の提供なんですが、上と下が同じ写真で、一年後の写真なんですね。上は二〇二〇年の六月、まだ田んぼに水が張っている様子がうかがえますが、下の写真は二〇二一年五月で、手前の盛土が台風で崩れたという状態で、ダンプが見えていると思いますが、周りの色が変わっているということが分かると思います。
ですから、処分場確保は下請丸投げであるがために、今現在はですよ、運搬料もまともに払ってもらえない中、こうしたことが起きているということの認識に立って、何としても避けていくというふうなことが必要ではないか。
そのことと、併せて伺いますが、今、ここに関係しますが、建設副産物適正処理要綱には、工事間利用の促進ということで、仮置場、いわゆるストックヤードの確保ということが明記をされています。国交省は、どの程度ストックヤードが確保され、活用されているのか把握していますか。また、把握していないとすれば把握すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○和田政府参考人 委員がおっしゃられた建設副産物適正処理推進要綱におきましては、主に、地方公共団体等が日頃から把握して、あるいは指定利用等で把握しているような、こういう土石の一時的な堆積地であるストックヤード、こういったものを念頭に置いて記載してございます。
それぞれの公共発注者のところで、ストックヤード、必要なものについて、指定利用の際などに使ってございます。その分での把握はございますが、網羅的に、全国的に把握しているという状況にはございません。
今回の法案におきまして、土石の一時的な堆積地についても、全国一律の安全基準などに基づく許可制度などを設けることとしてございます。これをきっかけとしまして、許可情報や定期報告などから、一時的な堆積地の状況をできる限り把握していきたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 一時的な堆積とおっしゃいましたが、そうなっていないから指摘をしているわけですよね。
資料を一枚戻っていただきたいと思います。資料の二です。
よく言われる、建設発生土が年間約三億立米発生するのに対して、別の工事などへの有効利用が行われず、内陸の受入れ地へ搬出される、その土砂が約六千万立米である、この円グラフの黄色の部分ですよね、これはよく言われますよね。
それが、内訳を聞いたんですが、ここにストックヤード八百四十万立方メートル、これは再利用なしと書いてありますよね。このときの調査の中身だと思うんですが、必ずしも、一時的というのは、タイムラグがあるけれども、次の工事にまた利用するよという意味だと思うんですよ、だけれども、そうなっていない、一時だと言いながら、ずっと期限なく使われているという実態があるのではないかということなんです。
それで、伺いますが、ストックヤードは何によって、つまり根拠法令を何によって許可されているのか、どのくらいの容量まで認めるのか、仮置きだとしても、それはいつからいつまでなのか、そうしたことを明確にするべきではないでしょうか。
さっき、新しい法律では確保されますというふうなことをおっしゃいましたけれども、それは盛土規制区域内に設置する場合は許可が必要になるから、当然、その範囲で技術審査などが出てくるわけですけれども、そうでない区域に置いちゃ駄目とはっきり言ってくれるなら、それはそれでいいですよ。そうじゃなかったら、やはり何らかの基準が必要だと思います。いかがでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案により、人家等が存在するエリアのほか、人家等に被害を及ぼし得る斜面地のエリアなども含め、規制区域に指定することができ、人命を守るという法の目的に照らして、必要かつ十分な規制区域が指定されることとなります。
規制区域内においては、土砂の仮置場を含め、一定規模以上の土石の堆積等については許可の対象となります。
許可に当たっては、工事主から、最大時に堆積する土石の高さや面積等のほか、土石を堆積する期間等を申請させる予定としており、堆積した土石の安全確保に関する技術的基準に適合することを求めることとなります。
技術的基準については、地盤の安全性に詳しい有識者等により構成された有識者会議を今後速やかに立ち上げ、堆積の高さや斜面の勾配などに関する基準について具体的な検討を行うこととしております。
また、規制区域につきましては、国から都道府県等に対し、基本方針として考え方を示すとともに、具体的なガイドラインを示し、法の趣旨に沿って的確な指定がなされるよう支援してまいります。
○高橋(千)委員 私が聞いた、いつからいつまでとか、そういうことについては、規制区域内であれば、当然その審査の対象になるということだったと思うんです。
では、それ以外は、規制区域の外でストックヤードを造ることがあるんですか。あるんだったら、今言った基準をちゃんと適用するという意味なのか、いやいや、規制区域の中でしか造れないよ、規制区域の中で許可を得た場合でしか造れないと思っているよと、どっちなんでしょう。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、人命を守るという法の目的に照らして、必要かつ十分な規制区域を指定する、そういう制度でございます。
そういう意味で、一時的な土石の堆積に当たる仮置場につきましても、それが崩れることによって人家等に被害を及ぼさないよう、区域内において規制をかけているというものでございます。
○高橋(千)委員 答えになっていないんだけれども。でも、多分、それは、崩れる場合は人命にも影響を与えるよということを考慮して規制区域をかけていくという趣旨で私としては読ませていただきました。違うのであれば違うとおっしゃってください。
それで、大臣に改めて伺いますが、やはり、いろいろ、資源ですよとか言っても、それがうまくいかずに堆積しているというのが、今お話ししたとおりなんです。そういう意味では、やはり建設発生土の抑制に努める。「その現場内利用の促進等により搬出の抑制に努めなければならない。」と、これも副産物の要綱の中にちゃんと書いてあるわけですよね。そういう意味では、発生を抑制するというのがまず大前提だと思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 そのとおりだと思います。
まず、いろいろな工法を工夫して発生土を抑える。しかし、発生土が出た場合は、できるだけその現場の中でそれを利用するということが大原則だと思います。
公共工事における建設発生土については、指定利用等のほか、事業の計画、設計の工夫による現場内での有効利用などを進めてきており、地方公共団体にもその徹底を改めて要請してまいります。
また、民間工事においても、継続的に大規模な建設工事を発注している発注者は、公共工事と同様に指定利用等を行うなど、より積極的な役割を果たすことが求められると考えており、この旨をガイドライン等で明確化するとともに、様々な機会を捉えて周知していきたいと思っております。
○高橋(千)委員 あらゆる施策の上に、まずその大前提であるということを貫いていただきたいと思います。
二十九日の本会議では、リニア中央新幹線において、昨年九月末時点で、約五千六百八十万立方メートルの建設発生土のうち約七割の受入先を確保しているという答弁がありました。
国交省では、その七割については具体的に把握しているのでしょうか。また、残り三割についても、どのような見通しを持っているのか伺います。
○上原政府参考人 お答えいたします。
平成二十六年八月にJR東海が作成した環境影響評価書によりますと、リニア中央新幹線品川―名古屋間の工事では、約五千六百八十万立方メートルの建設発生土が生じることが見込まれております。
これらの建設発生土につきましては、環境影響評価法に基づきまして、平成二十六年七月十八日に出しました国土交通大臣意見におきまして、JR東海に対し、関連する事業等と調整して建設発生土の最適な利用先を選定できるよう十分に検討し、可能な限り早期に多量の建設発生土の利用先を確保することなどを述べております。
リニア中央新幹線の建設主体であるJR東海におきましては、令和三年九月末時点で、約五千六百八十万立方メートルの建設発生土のうち約七割の最終受入先を確保しているものと承知いたしております。
個別具体に網羅的にその受入先を承知しているものではございませんが、具体的には、新本牧ふ頭整備事業や大鹿村総合グラウンド整備、その他民間事業の造成等が活用先として確保されております。
なお、残りの三割につきましては、現在、複数の候補地と受入れの協議を進めていると聞いております。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、先ほどの環境影響評価の国土交通大臣意見に基づきまして、建設発生土が適切に処理されるようにJR東海を指導監督してまいります。
○高橋(千)委員 資料の四枚目ですけれども、今、一部お話ししてくださったんですが、JR東海から、国交省が問合せをしてまとめてもらったものであります。
東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、各都県で発生する残土に対して、主な活用先ということと、発生土の量が右にあるんですが、これを足し算しますと、主なものですからきっちりにならないのは分かるんですが、五千三百二十万立米、すると九三・六%でほぼ決まっているということになっちゃうんですが、これ、そうではないですよね。ほぼ決まっている、九割以上ですよということではなく、主な活用先と言っているのも実はまだ調整中という理解でよろしいですか。そうでないと、七割、三割の関係がおかしくなっちゃう。
○上原政府参考人 お答えいたします。
この資料に記載いたしていますとおり、一番右側の欄には、環境影響評価時点の総量をこの右側に記載させていただいておるものでございます。
○高橋(千)委員 ですから、九割ではなく七割だという意味ですよね。もう一回。
○上原政府参考人 資料に記載のとおりでございますが、右側に書いてありますのは総量を記載しておりまして、先ほど申し上げましたとおり、最終受入れ地の確保が大体できているところは七割だということでございます。
○高橋(千)委員 二十九日の本会議では、南アルプス静岡工区のトンネル残土について質問しました。標高約一千三百メートルにある燕沢に置場を造る計画だということです。
川勝静岡知事は昨年十月の記者会見で、トンネル工事で出る残土について、熱海市の土砂災害のときの盛土の六十七倍に当たる三百七十万立米の盛土なので、条例でほとんど認められることはないと述べたと報じております。これは二十六日の日経の静岡版ですが。
大臣に伺います。
本法案で規制区域を指定するのは当然知事でありますが、知事が許可できないということに国は口出しをしないということで理解してよろしいですか。
○斉藤国務大臣 本法案に基づく規制区域の指定については、都道府県知事等において、盛土等に伴う災害から人命を守るという法の目的に照らして、必要かつ十分な区域が的確に指定されるものと考えております。
また、個別の許可については、都道府県知事等において、科学的知見に基づき客観的に定められた技術的基準等の要件に適合することが認められれば適切に許可されるものと考えております。
○高橋(千)委員 当然、感情論で議論するわけではないですので、きちんと根拠を持って知事が指定するということになると思います。当然、条例も既に持って、運用の経験を持っているわけですからね。だとしたら、国が、当てはまらないよなんて言うことはないということでいいですね。
○斉藤国務大臣 個別の許可については、もう一度繰り返しになりますが、都道府県知事等において、科学的知見に基づき客観的に定められた技術的基準等の要件に適合することが認められれば適切に許可されるもの、このように考えております。
○高橋(千)委員 別に、静岡知事に口出しするなと聞いているんじゃないんですよ。一般論で、規制区域をつくるのは知事ですから、知事が決めたことに対して、リニアだから駄目よとか、そういうことではなく、国だって、客観的に科学的でなきゃいけないわけですから、そういう意味では口出ししないということで、一般論で聞いています。
○斉藤国務大臣 区域を指定するのは都道府県知事でございます。
○高橋(千)委員 次に、リニア中央新幹線の残土について、山梨県内の置場は十二か所で、全て早川町内にあると言います。このうち塩島と西之宮の二地区にある六か所は土砂災害警戒区域に、中洲地区にある一か所は、より災害の危険性が高い特別土砂災害警戒区域にそれぞれ置かれています。県内の残土は約六百八十万立方メートルで、二〇二〇年度までに約百万立方メートル、四割が仮置場に保管されていると言われています。これは二〇二一年十二月十四日の読売新聞。
これから雨季を迎え、住民の不安も大きいわけですが、最終処分場への搬出先はめどが立ったんでしょうか。
○上原政府参考人 お答えいたします。
山梨県早川町内の建設発生土置場は合計十四か所ございまして、そのうち、奈良田地区に一か所、湯島地区に三か所、中洲地区に二か所、塩島地区に四か所、西之宮地区に二か所、雨畑地区に一か所、この合計十三か所が建設発生土の仮置場として使用されているものと承知いたしております。
この十三か所のうち、塩島地区、西之宮地区、中洲地区にある合計八か所につきましては、土砂災害警戒区域に位置いたしております。また、中洲地区の二か所の一部につきましては、土砂災害特別警戒区域にも位置しております。
これら仮置場につきましては、地形や地質に関する調査を踏まえて安全対策を講じた上で、建設発生土を盛土するための区域の届出など、山梨県の条例などの関係条例に従った必要な手続を行っているものと承知をいたしております。
また、議員より、最終受入先への搬入のめどについてお尋ねがございましたが、JR東海によれば、山梨県からの情報提供やあっせん等を受けまして、建設発生土の最終受入先を決定してきておりますが、仮置場で管理されている建設発生土の搬出につきましては、最終受入先である公共事業等の受入れ体制が確保できた箇所から順次搬出を行っているものと承知をいたしております。
○高橋(千)委員 報道の時点よりも調査が進んだという意味だと思いますが、十三か所の仮置場、そのうち八か所が警戒区域の中に、特別も含めて、あるというお話でありました。
最終処分地への、努力というんでしょうか、進めているというお話だったと思うんですが、これからは、やはり、そういうところにそもそも置かないということが大事だと思うし、仮置きだからこそ、住民がとても不安を感じているわけですよね。一刻も早い搬出をまずは目指すべきだと思います。
同様に、長野県でも、掘削に伴って、およそ九百五十万立方メートルの残土が発生する見込みになっているんですが、その残土置場候補地の三十か所のうち、少なくとも、飯田市と阿智村の二か所は、土砂災害や土石流の危険性があると県が公表していた場所だったと判明しました。
清水沢川は、台風や豪雨のときには一気に増水します。JR東海や県は、残土を置く際の危険性の話はせず、事業を推し進めようとしていると、川沿いに住む六十代男性の声を紹介したのは、信州のNHKウェブですけれども、専門家も、土石流危険渓流や崩壊土砂流出危険区域というのは、法的規制がないかもしれないけれども、熱海の経験に学び、極力避けるべきだとコメントしているんですね。
ですから、分かっているんだったら、搬出の大変さよりも、初めから予定地から除外すればよいと思うんですが、いかがでしょうか。
○上原政府参考人 お答えいたします。
委員より御指摘がございました長野県における二か所の建設発生土置場につきましては、JR東海によれば、長野県からの情報提供やあっせん等を受けまして、現在、地元と協議を行っている、今現在は候補地でございまして、今後、長野県と調整しながら地元への説明を行うものと承知をいたしております。
今後の調整におきましては、現地の地形や地質に関する調査を踏まえて安全対策を講じることとなるということ、関係法令等に従った必要な手続も行っていくということにつきまして、丁寧に説明を行う予定であるとJR東海から聞いております。
いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、建設主体であるJR東海が、関係法令等に従って地元との協議を適切に行うよう、引き続き指導してまいります。
○高橋(千)委員 今、山梨、長野など、土砂災害警戒区域などに予定されている一次仮置場の問題を指摘しました。
新法の運用に当たり、やはり、リニア中央新幹線のように規模が大きく、公共工事に匹敵するものは、先ほど答弁があったのが、まさにリニアだなと思って聞いていましたけれども、やはり、規制区域内かどうかにかかわらず規制するべきではないかと思うんですね。
そして、先ほど来指摘したような場所に置くのはやめるべきだと思います。そもそも、残土が多過ぎて無理があるんですから、私たちは、もちろんリニアそのものをやめるべきだと思っておりますが、少なくとも、そこにきちんと責任を果たしてもらいたい。
発注者であるJR東海はもちろんのこと、政府保証を与えている国自身が、情報公開も含め、適正処理についての責任を持つべきではないでしょうか。
○上原政府参考人 委員御指摘の適正処理に関する責任につきましては、関係法令等に基づき、法令等の範囲内で、事業主体であるJR東海が負うものであると承知しておりますが、リニア中央新幹線につきましては、平成二十六年の工事実施計画の認可の際に、国土交通大臣からJR東海社長に対しまして、一、地域の理解と協力、二、環境の保全の措置、三、安全かつ確実な施工、この三点を指示したところでございまして、建設発生土の処理を含めまして、工事の過程で発生する様々な課題の解決に当たってもこれらが大原則だと考えております。
国土交通省といたしましても、引き続き、これら三点の事項について、継続して指導監督してまいります。
○高橋(千)委員 今紹介いただいた大臣意見の二〇一四年七月十八日ですが、一番最後に、土砂の流出があった場合に近隣河川の汚濁のおそれがある区域等を回避することとはっきり書いております、大臣意見として。やはりそういう立場に立って、本当の意味での指導をしていただきたいと思っております。
それから、公共事業として、やはり情報公開なども、民間会社だからということではなくて、しっかりやらせていく、そういう意味での国の役割を果たしていただきたい、そのことを重ねて指摘をしたいと思います。
最後に、大臣に伺うんですが、私が本会議のときに、あらかじめ禁止する区域を決めてもよいのではという質問をしました。これ、全部禁止しろと言ったんじゃないんです。本当に危険なところは禁止したらどうかというお話をしたときに、土砂災害警戒区域など土砂流出等の危険性のある区域であっても、憲法二十九条に基づく財産権の保護との関係で、困難であるとの答弁でした。過度な私権制限とならないよう配慮しつつ、盛土等に伴う災害から人命を守るという法の目的に照らして、必要かつ十分な区域が指定されるものと答えているんですね。
ここで言う私権制限とは、土砂を搬出する業者あるいは発注者のことを言っているんでしょうか。わざわざ憲法二十九条をここで持ち出したのは、やはり、そういう搬出する業者とか発注者の財産権を保護するためなんでしょうか。それによって、万一土砂災害が起これば、何の関係もない人命や財産、人家とかが脅かされることになって、そういう人たちの財産権は守れないことになるわけですよね。どう考えていらっしゃるんでしょうか。
○斉藤国務大臣 本法案は、盛土等に伴う災害を防止するため、私人の土地に対して利用規制を行おうとするものですが、その規制に当たっては、憲法二十九条に基づく財産権の保護の観点に照らして問題のないことが求められます。
この点、法律による土地利用規制の在り方として、私人の土地について盛土行為を安全性にかかわらず全面的に禁止することは、憲法二十九条に基づく財産権の保護との関係で、困難であると考えております。
このため、本法案においては、盛土等を全面的に禁止するわけではありませんが、谷筋の急傾斜地など、地形、地質上危険度の高い区域においては、それに応じた厳しい安全基準を設定し、それに適合しなければ許可しないなど、盛土による災害から人家等を保護するために万全を期すものでございます。
○高橋(千)委員 過度な規制にならないようという言葉が、始まるそばから先に出てくるというのは、やはり私は違うんだと思うんです。この間、災害がすごく続いて、ハザードエリアにおける新規立地、開発行為の抑制ということが、やはりかなり、国交委員会でも法改正をしてきて、私人の自己の業務の用に供する施設の開発行為自体も規制の対象になるというのは、四月から施行されたばかりなわけですね、都市計画法の見直し。
こうした形で、やはり考え方は発展してきているわけですよ。そういう立場に立たなきゃ駄目だ、このことを指摘して、終わります。
○中根委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
今日は、四十三分間の時間をいただきましたので、なるべく条文に沿った緻密な審議を行ってまいりたいと思いますので、答弁のほど、よろしくお願いを申し上げます。
この法案の話を週末に集会などでしますと、本当に地元の期待は大変高いんですね。先日の参考人質疑のときも申し上げましたけれども、首都圏に隣接して低い山の多い私たちの茨城県は、熱海でやった同じ人が所有する土地に残土が埋められたりとか、あと、最近多いのは、太陽光の開発で森林が削られて、土砂が流れて田んぼを埋めたとか、後で例を申し上げますけれども、あるいは、急に森林を切ったがために沢の流れが急になって、田畑のあぜとか用水を壊してしまって余計な負担がかかるという様々な例があって、この法律が実効性があるものであれば非常に期待するという声は高いです。ですので、今日は、この法律がどの程度有効かということを条文に即して聞きたいと思っております。
言うまでもなく、我々は立法府の人間ですから、法律を我々は扱う者でありますし、この審議を通じて条文がおかしいとなれば、ちゅうちょなく与野党の皆さんで協議をして政府案を修正すべきであるということをまず申し上げて、質問をさせていただきます。
ちょっと、通告していないんですけれども、先ほど来からお聞きしていて一つ気になるのは、規制の目的が人命を守るというふうに言っております。この法律は、人命を守るのが法目的でしょうか。法案の第一条、先ほど神津議員からも質問がありましたけれども、国民の生命及び財産の保護を図るというのが法目的にもかかわらず、いつの間にか、人命の保護が目的になっているように思うのですが、正確にはどちらでしょうか。お答えください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案につきましては、危険な盛土の崩落による人家等に及ぼす災害を防止するという観点から規制をかけるものでございまして、そのために規制区域をかけ、その規制区域の中で盛土等の行為については許可制にするというものでございます。
○福島委員 財産の保護は法目的にないのでしょうか。
○宇野政府参考人 今回の法案においては、保護法益としてより重要と考えられる人命の保護に重きを置いて、規制区域を指定し、許可制という厳しい制限をかけることとしております。この人命を守ることを通じて、関係する財産についても守ることができると考えております。
○福島委員 私の質問は違います。法律の目的に財産の保護という目的がないのかあるのか、イエス、ノーでお答えください。
○宇野政府参考人 法律の目的は、生命及び財産の保護でございます。
○福島委員 そうなんですよ。何でそうやって法律を曲げるんですか。行政というのは法律に基づいて働くんですよ。法律に財産の保護と書いてあるにもかかわらず、勝手に人命の保護だけを規制の目的にするなんということは本来行政に許されないことでありますので、爾後、答弁を私は修正することを求めたいとまず思います。
その上で議論に入りたいと思います。
まず一つは、規制の対象となる特定盛土等の定義なんですけれども、第二条第三号で、宅地又は農地等における盛土その他の土地の形質の変更で、当該宅地又は農地等に隣接し、又は近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいものとして政令で定めるものとなっております。
この法律は宅地等造成規制法をベースに作られておりますので、宅地等であれば五百平米の面積という明確なのがあるんですね。ただ、問題は、幅広く規制を行ったことによって、農地等、つまり農地とか牧草地とか森林、これは宅地と全く違うんですよ。宅地というのは人が造るところでありますから、ちゃんと擁壁を造ったりするのが前提ですけれども、森林の場合はそのまま野積みにしたりするような場合が多いんですね。ですので、この政令で定めるというのは、まさか一律で面積を、一つの面積で定めるようなことはいたしませんよね。
様々なリスクに応じて、山の中なのか、人家から近いのか遠いのか、そばに川があるのかないのか、様々な場合によってリスクは違いますから、それに応じた政令を定めるかどうかということを確認させていただきたいと思います。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
第二条第三号の政令で定めるものにつきましては、規制対象とする特定盛土等の規模等を定めるものであり、今後、有識者の御意見も承った上で検討してまいります。
○福島委員 その答弁は国会では通用しません。
我々が政令に落とすというのは行政に委ねることでありますけれども、それは丸投げをすることではありません。政令のイメージを示してください。どうぞ。
○宇野政府参考人 考え方といたしましては、その盛土等が崩落することによって災害を引き起こすリスク、そういったものを勘案して規模等について検討するものでございます。
○福島委員 と申しますのも、先日の参考人質疑で太田参考人が、今回の盛土、実際には大規模な盛土の大部分は森林、山地で行われているということがこの法律の基本と言っております。
森林、山地の政令って、ないんですよ。今日は農林水産省もお越しいただいておりますけれども、まさか、宅地等造成と同じ政令にはいたしませんよね。お答えください。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
森林法に基づく林地開発許可制度、法律の中では、災害の防止、水害の防止、水源の涵養、環境の保全……(福島委員「政令がないのは分かっています」と呼ぶ)政令の中には具体的な基準は書いていませんが、許可基準については、開発行為の許可等に関する事務の取扱い、開発行為の許可基準の運用について、こういった通知の中で定めているところでありまして、この通知に基づく許可が進められているところでございます。
○福島委員 全然質問に答えていないんですけれども。
ここで私が聞いているのは、第二条第三号の政令で定めるイメージですよ。それもないのに、法律を出して通すわけにいかないじゃないですか。もっとちゃんと議論した方がいいと思いますよ、私は。
そして、もう一つお聞きしたいのは、盛土等と言うから、みんな盛土ばかりをイメージするんですよ。山は盛土だけではありません。切土もあれば、表土を剥ぎ取るという行為も多くて、むしろ、今起きている太陽光などの事例は、盛土じゃなくて、表土の剥ぎ取りとか切土なんですね。そうしたものも今回幅広く対象になると考えてよろしいでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
第二条第三号で規定する盛土その他の土地の形質の変更は、その行為の結果、土地そのものの形状が変わる場合をいい、盛った土が土地の一部となる盛土や、土地の一部を切り出す切土を対象とする予定です。
○福島委員 盛土と切土だけでしょうか。表土を剥ぎ取るというのは対象になりますか。土地の形質の変更ですから、盛土、切土のみならず、形質の変更をするものはあらゆるものが当てはまると考えてよいかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
表土の掘削も切土に含まれると考えられ、一定規模以上のものは対象となります。
○福島委員 ありがとうございます。
大臣、このように、盛土じゃないんですよ。あらゆる開発行為が当てはまるという幅広い法律だということをまずしっかりとアピールしていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 本法案に基づく規制区域において、太陽光発電設備の設置に伴い一定規模以上の盛土等がされる場合につきましても、本法案に基づく許可に係らしめ、技術的基準への適合を求めることとしております。
本法案は、現行の宅地造成等規制法が対象とする住宅地の造成のための盛土等に限らず、残土処分場における盛土、それから、先ほど申し上げました太陽光発電設備の設置に伴う盛土、このようないろいろな盛土等をその用途にかかわらず幅広く規制するものとなるため、こうした内容も含め、本法案について、関係業界や地方公共団体に対し広く周知していきたいと思います。
○福島委員 まだその答弁、役所が作ったのは、盛土に頭が凝り固まっているんですね。国土交通省はやはり盛土なんですよ。私、農水委員会がずっと長かったので、農水委員会的な考えからすると、盛土より、森林を、木を伐採して土地を剥ぎ取るといった行為の方が大きいんですよ。
しかも、参考人は、そっちの方がよっぽど災害のリスクが大きいと言っているんですね。盛土等の等に実は命があって、ですから、盛土だけじゃないよということを知らせないと、この法律の中身が誤解される可能性がありますので、そこのところはよろしくお願いいたします。
二番目に、これまでずっと議論になっている盛土、特定盛土等規制区域の指定についてです。
これは、幅広く対象にすると言っているんですけれども、どうもそうは見えないんですね。二十六条において、区域の居住者その他の者の生命又は身体に危害を生じるおそれが特に大きいと認められる区域と書いてあります。
これは、一人の命が失われるのは特に大きいのかどうか分かりませんけれども、生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいの、特に大きいというのは、どのぐらいのレベルのものをいうのでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
特定盛土等規制区域は、人家等から離れた場所であっても、土地の傾斜や渓流の位置などの地形等の条件から、盛土の崩落により人家等に危害を及ぼし得るエリアを指定することとしています。
御指摘の、生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域については、盛土が崩落した場合に谷筋を流下し、下方の人家等に到達して危害が及ぶ可能性が大きいなど、地形等の状況から客観的に見て、人命に影響を及ぼすような災害を発生させる具体的蓋然性が高い区域を想定しております。
○福島委員 よく分からなかった。一名でも亡くなるおそれがあれば、入るんでしょうかね。
具体的な状況に即して私はお話をしたいと思います。
お配りしている資料一枚目は、私の選挙区の笠間市というところで、太陽光発電所を造るために大きく山が削られております。その結果、左上の写真、これはただの泥のように見えますけれども、ここは田んぼです。田んぼ二枚が、太陽光発電所のために表土を剥ぎ取ったことによって、埋められてしまいました。
そうした中、近所では、この右の二枚とか左下のような、太陽光発電、これは全部別の場所なんですよ。左の土砂が流れたのは、すぐ右側の図のところの、はげ山になっているところの土砂が流れて、田んぼを埋めております。しかし、人家までは五百メートルぐらいあって、これぐらいの山が削られたぐらいでは、人命に、生命や身体に危害を生ずるおそれは特に大きくはないかもしれません。そのような場合でも対象になると考えてよろしいでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
特に大きいというのは、おそれが特に大きいということでございますので、人命に影響を及ぼすような災害を発生させる具体的蓋然性が高い区域を想定しております。
○福島委員 個別的事例でなかなか言いませんね。
次、もう一つの例にいきます。
二枚目ですけれども、平石山鉱山、これは有志の会の同じメンバーの仁木先生の地元の徳島市であります。平石山鉱山、ずっと掘削をして、これは鉱山保安法に基づいて、掘ったところを埋め戻すなどの措置を講じなきゃなりませんので、これから、例の熱海で流れ込んだ土砂の何倍もの土砂を埋めることになっております。
この横に、ここの写真で見たら分かるように、狭い川が流れておりまして、これが崩落すれば、川を塞いでダムになってしまう。そのダムが一気に崩落したら、この下流、やはりこれは五百メートル以上離れていると思いますけれども、そこに人家があって被害が及ぶおそれがあるんですね。こういうものもこの区域の対象になると考えてよろしいでしょうか。宇野局長、お願いします。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、盛土等による災害から人命を守ることを目的としており、ここでの災害としては、基本的には、盛土等に伴う崖崩れや土砂の流出の被害が直接的に人家等に及ぶ場合を想定しております。
加えて、例えば、盛土が崩落した場合に下方にある川をせき止め、その結果、人家等に被害が及ぶおそれが大きいと客観的で具体的な証拠に基づいて認められる場合なども、想定する災害の対象に含み得るものと考えております。
その結果、このような災害を想定した特定盛土等規制区域を指定することも可能となるものと考えております。
○福島委員 今の答弁、何げなく読んでいますけれども、直接的に人家等に被害が及ぶとか、客観的で具体的な証拠に基づいて認められる場合とか、なるべく区域を広げたくないという思いがにじみ出る答弁に残念ながらなっているんですよ。
これは、実際に都道府県がどうやって客観的で具体的な証拠に基づいて認められるか。茨城県内だって、県内にこうした山とか沢筋なんというのは何万とあるわけですよ。それぞれ一個一個、人家からの距離とか崖の斜面とか見て、客観的で具体的な証拠に基づいて認めなければならないんですか。私は非常に非合理的な規制だと思うんですね。
それをやるんだったら、一番心配するのは住民の皆さんですよ。住民の皆さんが危ないと思っているところは大体危ないんです。熱海だって、盛土が起こったときに、もう既に住民の皆さんは危ないと言っていたんです。皆さんのところにも届くと思いますよ、地元からの要望で、危ないんじゃないかと。危ないと住民が思うところは区域に認めればいいと思うんですが、市町村は都道府県知事に意見を言えますけれども、住民が言う規定はありません。
大臣、よろしいですか。住民がここを区域に指定してくれと言う、そうした条文を入れた方がよかったんじゃないでしょうかね。いかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 本法案に基づく規制区域については、その指定時に都道府県知事等が市町村長から意見を聴取することに加え、市町村長側から都道府県知事等に対して区域指定を申し出ることができることとしております。これらの仕組みにより、住民に最も近く、地域の実情を熟知している市町村長が規制区域の指定に関与することが可能となります。
規制区域の指定を求める地域住民の声は、こうしたプロセスを通じて、区域指定を行う都道府県知事等に適切に届けられるものと考えております。
○福島委員 そういう答弁が来ると思ったんですけれども、そんなこともないんですよ。なかなか、住民の声を受けて市町村長が動くってないんですね。
私、かつて、構造改革特別区域法というのを作ったことがあるんですけれども、小泉政権で。そこには、特区の区域指定をすることに対して、事業者、民間の企業が、ここを特区にしてくれとかこの事業を特区の対象にしてくれと提案することができるという条文があるんですよ。既にこういう住民参加の事例というのは、国の法律で、政府提案の法律でもうありますから、是非私はここは検討すべきであると思います。
更に言うと、市町村が都道府県に指定してくれと言っても、都道府県が嫌だと言ったらどうなるんでしょうか、宇野局長。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
都道府県知事等による規制区域の指定に当たっては、基礎調査に基づく客観的なリスク情報に加えて、それぞれの地域における土地利用の状況などの情報を的確に反映する必要があることから、地域の実情を熟知している市町村長の意見を聞くこととしております。
その際、都道府県知事等は関係市町村長の意見を十分に踏まえた上で区域指定を行うものと考えられますが、区域指定の必要性について見解が分かれるなど、都道府県知事等と市町村長との間で認識のすり合わせが必要な場合には、例えば、都道府県が基礎調査等により把握している客観的なリスク情報を用いて市町村に対し改めて説明するなど、必要な調整が行われると考えております。
○福島委員 それが一番官僚的な冷たい答弁なんですね。客観性とかなんとか言って、はじくために数値を使うというのはよくあることなんですよ。
私は、都道府県と市町村の利害が対立する場合があると思うんです。それは、なぜなら、何かあったときに行政代執行をして、そこには手当てがつきますけれども、一つお聞きしますけれども、この警戒区域外で起きたものに対しては、行政代執行に予算というのは講じられますか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本年度の当初予算で我々の方で計上させていただいている予算は、総点検で明らかになった危険な盛土に対して応急対策工事、詳細調査、それから抜本的な対策工事、こういったものを地方公共団体が行う場合に支援するものでございます。
○福島委員 すれ違い答弁なんですよ。
法施行後はどうなりますか。法律に基づく行政代執行ができるのはこの区域内の許可に際した事業だけだと思うんですけれども、それ以外に対しても行政代執行する場合には予算は講じられると考えてよろしいですか。
○宇野政府参考人 委員おっしゃるとおり、この法律に基づく行政代執行を執行できるのは、この規制区域の中において是正命令を出して、それが実現しないという、幾つかの理由によって実現しないという場合に行政代執行できるものでございます。
○福島委員 そうなんですよ。そうすると、都道府県は、行政代執行して業者の代わりに費用を負担するとすると、自分の費用負担が発生するんです。それでも国から支援があればやりますよ。でも、区域外になって支援もなかったら、どういうインセンティブになるか。住民や市町村はなるべく広くしてほしいと思っても、県は何やかにやと理由をつけて狭くすることだって考えられるわけですよ。だから、私はこのことを聞いているんです。
私、やはり白地地域があるのはおかしいと思いますよ。悪意のある業者から見れば、白地地域というのは盛土可能区域なんですよ。
それで、命を守るというけれども、結局、区域で規制がかかるのは、まず届出じゃないですか。許可はその中の更にごく一部ですよ。届出ぐらいさせればいいじゃないですか、全国どこも。届出でいきなり罰則がかかるわけじゃないんだから、把握するために届出をすることが何で駄目なんですか。届出をしたくない人は積極的に白地に行くだけじゃないですか。法律の根本的な、致命的な欠陥だと思うんです。
届出と許可の二段階の基準があるのはいいと思うんですよ。許可という重いのがあるのであれば、前段階の届出は極力広くすべきだと思いますけれども、大臣、お考えはいかがでしょうか。
○斉藤国務大臣 この点については、これまで何回も答弁させていただいておりますが、この指定に際しては、地形、地質の状況や土地の利用状況等について都道府県等が基礎調査を行うこととしており、都道府県知事等は客観的なリスクを把握した上で区域を指定することとなります。
加えて、地域の実情に詳しい市町村長から区域指定の必要性を申し出ることも可能としているほか、定期的なパトロールや住民からの通報等に基づく情報も踏まえることとしており、人命を守るために必要かつ十分な区域を指定することが可能であると考えております。
特定盛土等規制区域の指定の仕組みを設けずに、人家等被害を及ぼすおそれのないエリアも含めて国土の全域を規制対象とすることは、本法案の目的に照らして過剰な規制となるだけでなく、届出の処理や区域内の監視を行う地方公共団体にとっても過剰な負担となるものと考えております。
国としては、都道府県等に対し、基礎調査の実施方法や区域指定の考え方などのマニュアルを提示すること等により、都道府県等による的確な区域指定が行われるようサポートしてまいりたいと思います。
○福島委員 聡明な斉藤大臣が本当に自分の頭で考えて御答弁になっているとは思えませんね。届出がそんなに過剰な規制ですか。許可は過剰な規制ですよ。過剰な規制というか重い規制ですよ。届出をすることがなぜ過剰な規制なのか。人の命を守るといいながら、なぜ届出すらさせないのか。
しかも、残念ながら、我々も含めて、政府も含めて、これまで想定外ということがいっぱいあったじゃないですか。福島第一原発のことも、私自身、原子力に携わって、斉藤大臣と一緒に原子力災害対策特別措置法も作ったけれども、やはりあれが起きるんですよ。信用されていないんですよ。少なくとも届出ぐらいは、幾ら客観的な基準に基づいてやるといっても、必ず想定外があるんだから、許可はいいですよ、届出ぐらいは私はさせた方がいいと思います。
その上で、特定盛土等規制区域内における工事の規制ですけれども、まず、これは、特定盛土等規制区域内では、特定盛土等又は土砂の堆積について、原則届出となっていて、その後、一部、一定規模以上のものが許可制というふうになっております。そして、法二十七条第三項において、都道府県知事は、届出受理後三十日以内に限って、これも限ってなんです、たった三十日で、必要な措置を取るべきことを勧告できるとなっているけれども、これは、四月六日の後藤委員への宇野局長の答弁では、届出された図面等を基に、本法案による許可を行う際の技術的基準に照らして判断するとおっしゃっています。
この届出で提出する書類と許可に際して提出する書類は同一のものと考えてよろしいでしょうか。
○宇野政府参考人 詳細については今後検討いたしますが、同一のものと考えて構わないと思っております。
○福島委員 でも、これは、書類のチェックだけで、うそのことはどうやって見抜くんですか、書類だけで。初めから虚偽のものが出て、悪いことをするやつはうそをつくんですよ。それを前提に法律を作ったときに、どうやって見抜くんでしょうか。
例えば、立入検査というのがありますけれども、法二十七条一項に基づく届出があった工事について、法二十七条第三項で勧告をするために、立入検査、四十三条に規定されておりますけれども、立入検査はできますか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
四十三条第一項を御覧いただきますと、二十七条第四項が挙がっておりますので、立入検査をすることはできます。
○福島委員 いや、これは勧告の前には立入検査はできないんですよ。勧告して従わなかった場合に命じるときにできるとなっていて、勧告する前はできないんじゃないですか。書類を受理してすぐ立入検査、この規定でできるんですか。お答えください。
○宇野政府参考人 その点は御指摘のとおりだと思います。
○福島委員 だから、こうやって法律に欠陥があるんですよ。修正しませんか、これ。
要するに、書類の届出を受けても、行政はその届出を受けたところの土地がどうかと立入検査できないんですよ。書類を見て、おかしいと勧告した後しか立入検査できないんですよ。私はそんなもので到底、届出を受けて三十日後に不適切だなんてはじくことはできませんよ。
こんな軽い規制しかないのに、重い規制だからエリアを広くすることができないなんというのは、私は、これはもうちゃんちゃらおかしい話で、やはりこれは法案の欠陥でありますから是非直していただきたいと思っております。
そして、もう一つは、地域の住民との関係です。
法第十一条、二十九条において、工事主が許可申請に当たって、あらかじめ、土地の周辺地域の住民に対して説明会の開催その他の特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の内容を周知するために必要な措置を講じなければならないとあります。これは義務でしょうか。これに違反したら罰則がつくのでしょうか。もしこのとおりやらなければ、許可に際して何かの措置が講じられるんでしょうか。この点についてお答えください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
第十一条及び第二十九条の規定は、工事の許可申請を行う工事主の義務として、その申請に先立って、周辺地域の住民に対し、説明会の開催等により工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならないこととしているものです。
工事主がこの措置を講じなかった場合は、許可申請の手続違反として、第十二条第二項又は第三十条第二項に基づき許可がなされず、工事を進められないこととなります。
○福島委員 ありがとうございます。明確な答弁、ありがとうございます。
ただ、ここはちょっと問題があって、説明会の開催だけじゃないんですよ。説明会の開催その他の必要な措置なんですね。皆さん、その他とその他のでは違うんですよ。役人出身だと、その他というのは、前のやつは必ずマストで、その他の後が更に含まれる。その他のとなると、後ろの概念に包含される例示が説明会の開催だから、説明会の開催はマストじゃないんですね。
例えば、チラシをポストにポスティングするだけでもこの要件に入るんでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
周知の具体的な方法につきましては、盛土等の規模や周辺地域に与える影響等も勘案して省令で定めることとしており、今後検討してまいります。
○福島委員 みんな総理のまねして、検討、検討しか言わないんですよ。多分、指摘しなければ何も対応しないと思いますけれども、私は説明会の開催をマストにしていただきたいと思います。そして、説明会はひとしく住民を参加させてください。
というのは、うちの地元で、やはり条例で説明会の開催が義務づけられていたんですけれども、ただ、その土地を売った賛成派の人四人だけを呼んで、会合を開いて、説明会と言って許可が通っちゃった事例があるんですね。幾らでも抜け穴ができますから、ここについてはきちんと運用面でしっかりやっていただければというふうに思っております。
次に、許可の基準に関する規定に関して申し上げたいと思います。
三十一条において、特定盛土等規制区域内における特定盛土又は土砂の堆積に関する工事の技術的基準は政令で定めるとなっております。宅地造成は、資料の三にあるように、詳細な政令があります。ただ、私は、問題は宅地じゃないと思っているんですね、森林だと思っているんですよ。今回ずっと、国土交通委員会ですから、国交省の宇野局長にばかり聞いておりますけれども、一番の問題は森林なんですね。
現在の森林法は、四枚目のページがありますけれども、宅地造成法の政令のような詳細な技術基準はございません。ここにあるように、「当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。」とか、がさっとした基準だけなんですよ。だから森林審議会にもかけることになっているし、逆に言えば、住宅を造るための盛土と、自然を相手にするのでは、様々な条件があります。
この間の太田先生の話では、水の問題なんです。地下水とか、水がたまるところとか、あるいは崖とか、様々なリスクがあるから、これ、政令は非常に難しいと思うんですけれども、農林水産省、さっきの答弁じゃ駄目ですよ。政令の具体的なイメージとして、何をどのように定める方向なのか。何ミリとか何メートルとか、そういうのは専門家でしょう。でも、どういう政令を定めるかの具体的なイメージを御説明ください。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
先ほどお話ししましたように、法律の中では四つの要件を書いているだけなんですけれども、具体的な基準といたしまして、盛土の安全の確保を含め、開発行為の許可に関する事務の取扱いについて、開発行為の許可基準の運用について、こういった通知の中に書いております。宅造法の政令と同じような見合いのものは書かせていただいています。具体的には、当然、切土、盛土を行う場合の盛土ののり面の安定を確保すること、さらには、地質、土質、のり面の高さをきっちり定め、そういったことを定めているところでございます。
本法案の盛土等に関する技術基準を定めるに当たっても、こうした今の基準を踏まえながら、さらには、森林の土地の有する特性、例えば湧水が多いとか、傾斜の具合が平地と違うとか、そういったところもきっちり踏まえ、今後、有識者の御意見を伺いながら、十分なものとなるよう、国交省と連携してしっかり検討していきたいと考えているところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。緻密な答弁をいただきまして、ありがとうございます、先ほどの答弁と違ってですね。
でも、今のその詳細な基準があっても、なおかつ、森林法は、都道府県森林審議会の意見を聞いているんですよ。なぜなら、やはり自然を相手にするから、いろいろこれは難しい問題があると思うんですね。先日の参考人質疑でも、太田参考人は、いろいろな面を、側面を出しながら、いかに森林の土砂災害を予測するのが難しいかということを多角的におっしゃいました。
先日来、国交省は、客観的な基準を設けるから、専門家の意見なんてなくていいんだというようなことをおっしゃっていますけれども、本当にそれができるんですか。そういう政令の規定ができるんですか。もしそれができるんだったら、森林法に基づく、森林審議会の意見を聞くなんというのはなくてもいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小坂政府参考人 お答えいたします。
森林法に基づく林地開発許可制度、これは、災害の防止という観点のみならず、水源の涵養、水を確保しなきゃいけないであるとか、環境の保全、それは周囲の生活環境もありますし、例えば貴重な動植物をどう守るか、そういったことの観点、森林の有する公益的機能の様々な影響を勘案する必要がありますので、その許可に当たっては、専門的、技術的な知見に基づく判断が必要ということで、都道府県の森林審議会の意見を聞いているということでございます。
ある意味、災害を防止する、例えば盛土という構造物が安全かどうかチェックするということであれば、今の基準で対応できるのではないかなというふうに考えているところでございます。
○福島委員 でも、それは私は甘いと思うから言っているんですよ。
先ほどの笠間の例は、森林法上の開発許可を受けたところです。でも、ゴルフ場みたいに芝を張る場合と違って、乱雑にパネルだけを置く太陽光の場合は、土砂が流れ続け、現に田んぼ二枚を埋めたりとか、井戸の水がかれたとか、沢の流れが急になって川の堰堤が崩れたとか、そうした事例が起きているんですよ、現に。
それは、自然が相手だから、未知のリスクって必ずあるんですよ。地下の水だって、どう流れているか分からない部分がいっぱいあるわけですよ。私は、そこで、だからできないと言うつもりはないんですよ。でも、国土交通省みたいに、もうかたくなに専門家の意見を聞く必要はないというんじゃなくて、やはりここは、許可に際しては、法律に規定するかどうかは別にして、きちんと専門的知見を受けながらやるという制度を望んでまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
もう一点は、これはやはり、これだけの規制がかかると、今、残土を処理しようとしている人は、規制逃れで施行前にやっちゃおうという人が必ず出てくると思うんですね。
法四十二条一項において、都道府県知事は、特定盛土等規制区域内の土地で災害発生のおそれが大きいと認められる場合には、その土地等での所有者、管理者、占有者に必要な工事命令を出すことができるとなっておりますけれども、施行前に行われたことに対して、法施行前に行われるそうした盛土に対して、どのように対処するのか、国土交通省さん、お答えください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案が施行されるまでの間につきましては、地方公共団体において、宅地造成等規制法、森林法、農地法等の法律や土砂条例を適切に運用することにより、危険な盛土の発生を防止するとともに、盛土の危険性が高いと判断される場合には、これらの法令等に基づきちゅうちょなく必要な行政指導、是正命令を発出することが肝要であると考えております。
また、本法案におきましては、区域指定前に行われた既存の盛土についても、災害防止のため必要なときには、土地所有者や行為者等に是正命令ができることとしております。
御指摘のような工事については、こうした対応も含め、盛土等に伴う災害の発生防止に取り組んでまいります。
○福島委員 つまり、この四十二条の一項は、法施行前に行われた工事も対象になると考えてよろしいわけですよね。はい、ありがとうございます。確認いたしました。
ただ、一般にあるのは、ペーパーカンパニーをつくって、どんどんどんどん会社の所有者が移っていっちゃって、誰が施工したか分からないということなんですね。
これは、命令違反には一年以下の懲役又は三百万円の罰金が科せられるとなっているんですけれども、所有者にとってはとばっちりなわけですよ。まさかそこの土地にごみが埋まっているのか分からなくて買ってしまう籠池さんみたいな人もいるわけですよ。済みません、余り受けなかったんですけれども。
所有権が移転しているような場合に幾ら罰則をかけても効果がないと思うんですけれども、その辺りはどうでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
悪意を持ってペーパーカンパニーをつくった場合などについての質問だと思いますが、改善命令を発出する際、命令の相手方が法人としての実体がないペーパーカンパニーである場合や、法人が既に解散などにより消滅している場合など、命令の相手方である法人が特定できないときは、法人の代表者、役員、従業員等の自然人に対して必要な措置を行うよう命ずることになります。
○福島委員 なかなかそれは大変だと思いますけれどもね。
大分時間がなくなってきたので、ちょっと最後の方にするんですけれども。
今議論したように、やはり、まだいろいろ法律には穴があるし、条文の不備もあることが分かったと思います。特に、これまでさんざん議論がされてきたトレーサビリティーの話などは、この法律の中にはどこも触れられておりません。
附則の第五条では、「この法律による改正後の規定について、その施行の状況等を勘案して検討を加え、」となっていますけれども、検討をされるのは改正後の規定についてと書いてありますから、トレーサビリティーみたいなものは対象にならなくて、改正後の規定だけが対象になるとこの条文上は書かれていると考えてよろしいでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
附則第五条は、この法律による改正後の規定について規定しており、この改正法の規定にない事項までも対象としたものではありませんが、盛土対策に万全を期する上では、今回の法律で措置する事項に加えて、建設発生土の適正処理等の関連事項についても、今後の運用状況等を勘案し、必要な検討を行っていくことが重要であると考えております。
○福島委員 それでは、そのように条文を変えたとしても問題はないですね。お答えください。大臣、お答えください。
○斉藤国務大臣 我々国土交通省としては、今回出した政府案が最善のものであるというのが基本的立場でございますが、しかし、今日、こういう形で皆さんいろいろ御議論をいただいて、立法府で判断されることについては、行政府としてはこれを認めたいと思います。
○福島委員 ありがとうございます。
そういう意味で、足立さん、お待たせしました。僕ら、同じ役所にいたので、同じように見られるのは迷惑なんですけれども。でも、やはり、我々は法律を作りたくて国会に来たんですよね。あくまでも政府で作るのは案であって、法律を作るのは国会であるという、だからこそ、厳しい、苦しい選挙を経て、そして、この野党のわびしい生活に耐えながら国会議員をやっているんだと思うんですよ。
やはり、これは修正させなきゃならないし、本当はこの法案の前の原案の段階でトレーサビリティーを入れなければ駄目だったんだけれども、残念ながらできなかった。でも、必ず我々が国会議員をやっている間にきちんとした規制を入れなければならないと思うんですけれども、その思いを是非お答えください。答弁によっては私は維新案に賛成したいと思いますので、心を込めて答弁いただきたいと思います。
○足立議員 ありがとうございます。
森友学園に係る追及以来の舌鋒鋭い福島委員の質問に大変感銘をいたしたところであります。
まさに、今おっしゃった、同じ思いで、私たちは、トレーサビリティーの法案、それから処分場の確保法案、これを提出してきたところであります。
先ほど、宇野都市局長、また大臣からも御答弁がありましたが、私たちはまさにそういう趣旨を、今あった検討、要は、この法律はもう早く仕上げて施行していくことが必要でありますが、その施行直後から施行状況についてしっかりと見る、そして、必要な見直しは、随時、まさに立法府の責任においてやっていく。私たちは、そのために、安定した仕事を放り出してこの立法府で日々切磋琢磨しているところでありまして。
是非、福島委員始め、私、当時、八年前にこの話をしたときは、野党の皆様と余り仲がよくなかったものですから、与党の皆様とばかり議論してはじかれていました。今回はこうしたすばらしい質疑ができましたので、是非、与野党一致して、いい形で採決に向けて作業してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
この法案の審議は、現地にも視察に行きましたし、維新から対案が出されて並行審議もされましたし、私も提出者になって四党会派の修正案も出されているという意味では、ある意味、理想的な国会質疑が、中根委員長のリーダーシップの下、なされていると思います。
そういう意味では、立法府としてのしっかりとした仕事を、今の原案を具体的に意味のある修正を行って実現することで果たすことを心から期待いたしまして、私からの質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○中根委員長 次に、古川元久君。
○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。
私たち国民民主党は、今回の法案につきましては、盛土災害から国民の命を守る上での大きな一歩ではあると考えますので、法案には賛成であります。
ただ、いろいろこの間の議論であるように、足らざる部分とか、また、本当にこの法律がうまくワークするのかとか、様々な疑念もありますので、今日はこうした点を中心に質問したいと思います。
まず、ちょっと質疑通告した順番とは異なりますが、最初に、昨年の熱海の土石流災害を受けて全国で盛土の総点検が行われましたけれども、その総点検で見つかった、既存の、今危険な盛土への対応についてお伺いしたいと思います。
総点検で確認されたもので、全国で不備があるというのが千八十九か所というふうに言われているわけですけれども、こうした盛土について、その場所、具体的な場所とか、どういうことで問題があるとか、そういうことは、例えば私も地元の愛知県とか何かを見ても具体的には公表されていないようであります。そういう危険な箇所の近くに住んでいる住民とか、そういう立場の人やあるいは関係する人たちにとって考えると、万が一、まだ対応が行われないうちに何か災害が起きると被害が起きるという可能性もあるわけでありまして、そういう万一の危機に備えることができるよう、今回問題があった場所であるとか、こういうことで問題だったという点は公表すべきではないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○和田政府参考人 総点検の結果、必要な災害防止措置が確認できない、許可、届出等の手続が取られていないなど、点検項目のいずれかに該当する盛土が約千百か所あります。
このいずれかの点検項目に該当する盛土については、今回の目視等による点検結果のみでは、災害危険性の有無や程度が必ずしも明確でないため、公共団体におきまして必要に応じて詳細調査を実施し、これを明確にしていくこととなります。
そのような手続を経て、災害危険性の高い盛土と特定された盛土につきましては、地方公共団体において速やかにその内容を公表し、住民に周知等を図るべきものと考えており、地方公共団体にもその旨をお願いしているところでございます。
○古川(元)委員 そこは分からないわけでもないんですけれども、ただ、既に目視の段階でちょっといかがかということですよね。ですから、目で見えて分かるということは、そういった意味では、どういうことで問題かというのはあるかもしれませんけれども、そこはせめて場所ぐらいは公表してもいいのではないかなというふうに思うんですけれどもね。
ちょっとそこの話も含めて、少し次に進めていきたいと思いますが、こうした盛土、危険な盛土については、まずは行為者によって是正するということを基本としておりますけれども、今お話があったように、地方公共団体が詳細調査や応急対策、抜本的な危険箇所対策を行うことになっていますけれども、その進捗状況というのは、もちろんそれは地方公共団体がやるんでしょうけれども、誰がどのような形でフォローしていくのか。政府の文書を見ますと、事業の関係省庁としては、国交省、農水省、林野庁、環境省とありますけれども、この関係はどういうふうになるのか。
やはりこれはきちんとフォローしていかないと、どれくらい進んでいるのかとかどういう状況なのかというのがいいかげんになってしまう危険性があると思うんです。
この点についてはどのような形でフォローするようになっているのか、また関係の省庁の関係はどうなっているのか、その点についてお答えください。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
盛土の総点検の結果、必要な災害防止措置が確認できなかった盛土については、防災安全対策を速やかに進めるため、国土交通省が中心となり、詳細調査や対策工事等に対する財政支援の状況等を通じて、農林水産省や林野庁と対策の進捗状況を共有するとともに、廃棄物混じりの土の状況を環境省と共有するなど、必要なフォローを行いつつ、地方公共団体の取組をサポートしてまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 ということは、これはちゃんとフォローは、関係省庁はありますけれども、国交省が責任を持ってやっていくということでいいですか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、国土交通省が中心となって、農林水産省、林野庁、環境省等と連携をしながら進めていきたいと考えております。
○古川(元)委員 この法律の立て方なんですけれども、中心となって連携していくというのは、実は何か、本当にちゃんと責任感を持ってやるかどうかという。やはり、責任があるとなると、ちゃんと主体的に、ほかの省庁とか何かにもちゃんと出せとか言うんですけれども、中心になって各省庁からというと、いわば待ちの姿勢になってしまって、各省庁が動いて、情報が上がってきたら、まとめるのは国交省がやりますよと、そういうふうになってしまう危険性もあるんじゃないかと思うんですね。
ですから、やはりこれは、国交省が中心というんじゃなくて、ちゃんと責任を持って各省庁に、状況のデータとか、あるいは、特に、地方公共団体でもどれくらい進んでいるのか、進んでいなければ、きちんとちゃんとそこを、逆にこれは、単に情報を集めるだけじゃなくて、それは、国交省の方から関係省庁やあるいは地方自治体に対してもいろいろ指示を出したりとかチェックをしたりとか、そういうこともするというふうに考えていいですか。どうですか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本年度予算で計上しております支援財政措置につきましても、国土交通省の方で制度を財務省と調整して構築して、それを農林水産省、林野庁さんにも同じように使っていただくという形で主導的に行ってきたところでございまして、それと同様に、国土交通省が主導的な立場で、林野庁、農林水産省、それから環境省と連携して進めていきたいと考えております。
○古川(元)委員 地方公共団体なんかについても、進み具合とかが悪ければ、そういうところを指導していったりとか促していったりとか、そういうこともちゃんと国交省がやるということでよろしいんですか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
関係省庁との関係で、どちらが上とか下とかいう指揮命令系統があるわけではございませんが、我々としても促していきたいと思っております。
○古川(元)委員 是非そこは、待っているだけじゃなくて、やはりちゃんと国交省の方が促していく、お尻をたたくところはたたいていかないとなかなか進まないんじゃないかと思うんですね。
また、これは、今のお話にもありましたけれども、令和三年度の補正予算では、安全性把握のための詳細調査や応急対策工事のための補正予算とか、予算がついたり、また、今年度の当初予算では抜本的な危険箇所対策の支援の予算がついていますが、これは令和七年度着手分までというふうに書いてあるんですね。
そうすると、今の、今回明らかになった危険な盛土は約千百か所、そのうち、これから詳細調査とか何かをやって確定するんでしょうけれども、そもそも、その確定がいつ頃までに終えて、それへの対応というのはいつまでに終わるというふうに見ているのか、予定しているのか、そこを教えてください。
○宇野政府参考人 委員御指摘のとおり、盛土の総点検の結果、点検項目のいずれかに該当する盛土が約千百か所ありました。このうち、崩落の危険性が高く、人家等での被害発生のおそれが高いと判断されたものについては、早急に災害防止措置を講じる必要があります。
一方で、このような盛土の中にも、当面、土のうの設置等の応急対策を講じた上で、抜本的な安全対策を実施するケースも考えられます。
また、災害の切迫度が低い盛土については、基本的には行為者等が是正措置を講じるべきものであることを勘案し、まずは地方公共団体による行為者等に対する勧告、命令等を行うなど、必要な手続を取っていくことも考えられます。
先ほど、令和七年度着手分までというふうに予算についてお話がございましたが、このようなことから、総点検の対象となった盛土の安全対策工事に対する財政支援については、少し余裕を見て令和七年度着手分までを対象としておりますが、不法な盛土等への対応に当たり参考となるガイドラインを示すこと等により、速やかに災害防止措置が講じられるよう、地方公共団体を支援してまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 早急とか速やかにというのは、大体イメージとして、じゃ、どうなんですか。今、令和四年度。令和五年度中なのか、あるいは六年度中にはそこまでは終わらせる。まあ、七年度までと書いてあるけれども、早急とか速やかというのは一体どこまでをイメージしているんですか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
明確に何年度までということは申し上げられませんが、できる限り早く対策を講じていくということでございます。
○古川(元)委員 そういう間にも、大雨が降って、また災害が起きる可能性もあるんですね。
さっき和田局長の方から、まだ公表しないのは詳細調査を行ってからだという話だったんですけれども、そもそも、この詳細調査とか何か、これはいつまでにちゃんと終わらせて、今、宇野局長が言われたような、とにかく一刻も早くやらなきゃいけないところとか、ちょっと土のうとか何かで何とか対応できるところとか、そういうのは、そういう区分けは、これはいつまでにちゃんとそれは終わらせようというふうに思っているんですか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、詳細調査等、その盛土がどれくらい危険なのかということの把握については、本当にすぐやらなければいけないことだと思っております。
その上でどういう手段を取るか。例えば応急対策を取っていくのか、本格的な防災安全対策を取っていくのか、そういったことについて検討し、また行為者に対する行政指導なんかをしていかなきゃいけないということで、その後のところについては、個々の盛土の状況によって変わってくると思いますので一律には言えませんが、とにかく、安全性が、それぞれの盛土がどれくらい危険性があるのかということの把握については早急にやらなければいけないと思っております。
○古川(元)委員 その早急というのが大体どれくらいのイメージなんですか。ここ数か月のうちなのか、あるいは半年なのか、あるいは一年なのか。それはどうなんですか、そこは。
○宇野政府参考人 済みません。今課題のある、点検項目に該当するものが千百か所ということで、個々それぞれに異なっておりますので、一律にいつまでということは申し上げられませんが、可能な限り早くやるということが肝要だと思っております。
○古川(元)委員 そうであれば、ちょっと和田さん、最初の質問に戻るんですけれども、結局、ちゃんと自分の近隣のところにある盛土が大丈夫なのかどうかというのが、あるいはすぐやらなきゃいけないぐらい危険があるかどうかというのが、分かるのがいつまでか分からないというんだったら、さっき、そういうものがちゃんと調査して分かった上で公表しますと言われましたけれども、その間に、さっきから申し上げているように、何か被害が起きてからでは遅いわけですよね。
それであれば、やはり今の段階から、問題があるよというところは、これは場所とかそういうものは、ちゃんと注意してください、これからちゃんと詳細は調査しますがということで、きちんと明らかにすべきじゃないですか。いかがですか。
○和田政府参考人 先ほど都市局長が申し上げていたこととまとめて申しますと、詳細調査をするもの、これはしっかりとその調査をして必要な対策を考えなきゃいけないんですが、もちろん、その詳細調査をするまでもなく、これは危ないというものがあると思います。これは応急対策をとにかくすぐにやらなきゃいけない。できるだけ出水期までにそんなのは見極めて、応急対策が必要なものは本当に早くやらなきゃいけないと思っています。
先ほど、箇所をちゃんと明らかにするというのは、少し整理をしてからだということを申しましたが、詳細調査をしないと分からないようなものは詳細調査をした上で特定して、応急対策、これはもう危ないからすぐ応急対策をするんだというものについては、応急対策をすることを決めたら明らかにしていただく、そういう趣旨でございます。
○古川(元)委員 じゃ、その応急対策はいつ決めるんですか。すぐにでも決めるというふうに考えていいんですか。
○和田政府参考人 個々の自治体の状況にはよると思いますが、やはり出水期というのは一つ大きな危険が来る時期だと思います。こういった出水期にできるだけしっかりと間に合うように、自治体の方にはお願いしていくということかと思っております。
○古川(元)委員 もう既に台風一号があした、あさってにもという話もあります。最近は梅雨も早くなって、それこそ五月に入ればそういう状況にもなってくる可能性もあるわけです。
ですから、そういった意味では、これは出水期へというのであれば、本当にそういうところはもう今月中でも、やはりそれくらいの意識を持ってやってもらわなければ、結局、何か起こってから、いや、分かっていたんですけれどもというのでは、もうこれは許されませんよ、本当に。こういう法案の議論もしているんですから。
そこは、大臣、やはりこれはちゃんとチェックしたんですから、そこは早く対応をするように各地方自治体にも是非指示を出していただいて、そして、対応が終わるまでの間は、逆に言えば、その周辺の人たちには、万が一のときには注意してくださいという警鐘を鳴らしていく。そういうことも大事だと思いますから、是非そこは大臣にリーダーシップを取っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○斉藤国務大臣 先ほど来両局長が答弁しているように、できるだけ早く、特に緊急を要するものについては地方自治体と連携を取りながらやっていきたいと思っておりますし、基本的に、安全性をどう確保していくかということについて、我々もその方策を、今回の法案とともに、しっかり対応していきたいと思います。
○古川(元)委員 是非これは大臣にお願いしたいと思います。
次に、それでは法案についてお伺いしたいと思います。
まずは、今回の盛土の規制に関する法律の立て方についてちょっとお伺いしたいと思います。
今回の法案は、昨年の熱海の土石流災害を受けてということだったんですが、こういう災害というのは過去に何回も発生して、そのたびに、それなりに国や地方自治体で対応を取られてきたけれども、抜本的な対策にまでは至らなかった。それが結果的に昨年のような災害の発生を許してしまったのではないかと思うんですね。
今回の法改正は、こうした反省から、今度こそ抜本的な盛土対策を行おうという意図で行われるものだということは理解をしておりますけれども、では、本当に、この法律に基づいた対応がきちんと行われれば、今後、大規模な土砂災害が起きる危険性はまずなくなる、あるいは少なくとも大幅に減少する、これは自信を持っているというふうに、大臣、思っていらっしゃいますか。
○斉藤国務大臣 そのように思っております。
盛土については、これまで、宅地造成等規制法のほか、森林法や農地法等の各法令等の目的に応じて規制してきたことから、必ずしも規制が十分でないエリアが存在しております。
また、一部の地方公共団体では、条例を制定して盛土を規制していますが、規制内容に差異があり、規制の弱い地域に危険な盛土等が発生していることや、条例による罰則では抑止力として十分に機能していないことが指摘されております。
このため、本法案においては、新たな盛土等については、土地の用途にかかわらず許可に係らしめ、全国一律の基準により安全確保を図ること、既存の盛土等についても、災害防止のため必要なときは土地所有者等に対し是正命令を行うことを可能とすること、さらに、無許可行為や命令違反等について厳格な罰則を適用すること等の措置を講じております。
その上で、法制度を実効性あるものとするため、地方公共団体における執行体制の確立や、盛土担当部局と廃棄物の担当部局、警察など関係部局との連携強化を図ってまいります。
これにより、盛土等に伴う災害の発生防止に大きく寄与するものと確信しております。
○古川(元)委員 その大臣の意気込みはいいんですけれども、今大臣からもお話ありましたけれども、盛土に関する規定というのは、今回の改正対象となる宅地造成等規制法以外にも、森林法とか農地法とか、ほかにも幾つかあって、今回、こうした法律にばらけている盛土に関する規定を一つに全てまとめるという、そういう方法もあったんじゃないか、法形式としては。その方が、さっきからのお話にもありましたけれども、監督責任とか何かがやはり明確になって、むしろ私は好ましいんじゃないかと思いますが、今回、そういうのをまとめないで、それぞれの規制の法律は、その規定はそのままにして、またこういう形で規定するということにしたその理由について教えていただきたいと思います。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は盛土等に伴う災害の防止を目的とするものであり、宅地、森林、農地等の土地の利用区分にかかわらず、全国一律の基準により安全の確保を図るものです。
一方、例えば、森林法は森林の有する公益的機能を確保することを目的とし、同法に基づく林地開発許可制度は、災害の防止のほか、水害の防止、水の確保、環境の保全の要件についても確認するものです。
このように、森林法や農地法などは、本法案とは異なる目的を有し、その法目的に照らして必要な規制等を行うものであることから、本法案に統合することはせず、引き続き存置することとしておりますが、本法案と関連がある部分については連携して運用してまいりたいと考えております。
○古川(元)委員 そこの連携して運用というのがなかなかうまくいかないというのが現実なんですよね。そういう連携の運用の結果、そのはざまに落ちて、いろいろな問題が起きてきているということがしばしばあるんですね。
それとの関連でお伺いしますが、この法律の主務大臣は、国土交通大臣と農林水産大臣の二人となっております。ですから、国交省と農水省が共管することとなっておりますが、一般的に霞が関で共管というのは余りうまくいったのを、私自身もちょっといましたけれども、見たことはないんですね。共管となると、かえって責任の所在が曖昧になって、お互いに責任をほかの省庁に押しつけがちで、野球でいうと、ボールをお互いお見合いして、おまえが取れ、おまえが取れとやって、結果、その間に落ちてぽてんヒットになってしまう、そういう場合が多いと思うんですね。今回、大臣、大丈夫ですか、これは。この共管で。
○斉藤国務大臣 大丈夫でございます。今回の審議を見ていただきましても、農水省も、そして国土交通省も、自分からフライのボールを取っていく、ぶつかり合って両方倒れるということがないようにしなくてはいけませんけれども、そういう姿勢で行っていきたいと思っております。
危険な盛土等については、宅地や農地、森林等の土地の用途にかかわらず発生し得るものであり、これらを包括的に規制するため、本法案は国土交通省と農林水産省の共管法とし、両省が一体的に対応することとしております。
本法案の運用に当たっては、両省が、それぞれの所掌事務において蓄積した宅地や森林、農地に関する知見を合わせ、相互に緊密に情報を共有するなど連携を図りつつ、それぞれが主体的かつ積極的に課題に対処することで、盛土等に伴う災害の発生防止に効果的に取り組んでいくことができるものと考えておりまして、この点は金子農林水産大臣も全く同じ認識でございます。
○古川(元)委員 今度、ボールを取りに行くとなると、俺が取る、俺が取るといって両方がぶつかって、結局おっこちちゃうということもよくあるんですね。
だから、私、例えば山地のような、森林のところについては、この規定では農水省が責任を持つとか、共管であるけれども、こういう盛土についてはこれは国交省とか、ちゃんと明確に責任分担を仕分して、要するに、ここまでの範囲は全て国交省が責任を持ってボール取りますよと。だから、レフトとセンターの間に普通は線はないけれども、ちゃんと線を引くとか、やはりそれはないと、積極的なのはいいですけれども、さっき言ったような、今度はぶつかって落とすみたいなことにもなりかねないので。
そういう意味で、そこをしっかり、法を執行するに当たっては、こういうものについては国交省、ここについては農水省が責任だ、そういうちゃんと責任分担を仕分したらいいんだと思うんですけれども、いかがですか、大臣。
○斉藤国務大臣 共管して、協力してやるということはまさにそういうことだと思います。お互いが自分たちが主体者だと認識しつつ、どのように仕事を分担していくか、その分担の線引きのところで落ち度がないように、しっかりそういう体制をつくっていくというのは当然のことでございます。
○古川(元)委員 宇野局長、今の大臣の答弁を聞いていましたか。ちゃんと分担、決めると言っていましたからね。それは大臣指示だと思って、ちゃんとやってくださいよ。
それでは、次に、今との絡みでもあるんですけれども、たまたま、おととい、毎日新聞の夕刊だったんですけれども、失敗学という、事故やトラブルの原因を分析することで同じような重大事故を繰り返さない方法を研究し、社会で役立てることを目的とする失敗学の権威であって、福島原発事故の後に政府が設けた事故調査・検証委員会の委員長も務められた畑村洋太郎東大名誉教授が、この間、みずほ銀行で繰り返されたシステム障害の原因について述べたインタビュー記事があったんですね。これを読んでいて、何か私は今回の法改正にも共通しているんじゃないかなと思ったんですね。
畑村先生は、みずほがシステム障害を繰り返しているのは、経営陣がこのシステムというものを軽視して、まず、三行が経営統合したときに、新しいシステムを一からつくるんじゃなくて、旧三行のシステムをつなげると判断をした。これが、統合してすぐ起きたシステム障害や、その後、二〇一一年にも起こしているんですけれども、そういうことにつながったんじゃないかと。
そういうことを踏まえて、じゃ、今度は新たなシステムを導入するということにしたんですけれども、そこでもシステム会社四社が連携して開発した方式を採用した。そのために、連携というのは、言葉で言うと、さっきから大臣もよく言われているように、いいんですけれども、どうも、やはり責任とか主体がはっきりしない。そういうことが、結局、みずほの繰り返されるシステム障害の原因になったんじゃないかと。
これを非常に分かりやすい言い方でこの先生は例えているんですね。今のみずほの基幹システムは、増築を重ねた山の中の温泉宿、すなわち、「本館に続いて新館、別館と増築を重ね、複雑な構造になった。全体を見渡した避難路は考えていないため、火事が起きた時に逃げ道が分からない。本質を見ず、継ぎ足せばいいという考え方は非常に危ない」と。だから、従来のシステムに新たなシステムを継ぎ足すようなことをせずに、ゼロからやり直した方がこれ以上トラブルを繰り返さずに済み、無駄がない、こういう指摘をしているんですけれどもね。
ですから、盛土に関するこの間の様々な災害があり、そのたびにいろいろな、国のレベルとか、あるいは地方自治体レベルでやってきたんですけれども、本当はこの機会にそういうものを、さっきからのお話のように、今までやってきたものがある、それは法目的が違うからというのは分かるんですけれども、やはり、国民の命を守るという観点から、一から新たな法律を、今回のこの委員会の議論でも、いろいろな意見も出されています、対案も出されています、修正案も出されています、そういうものを踏まえて、やはりゼロから作るということの方が本当はよかったんじゃないのかな。
そうじゃないと、こういう、幾つもある上にまた積み重ねるというような、一部重なっている部分はあるけれども、そうじゃない部分もあるということになってくると、また結局、せっかく大臣がさっきおっしゃった、これは抜本的な対策で、これからは安心していいですよと言っていながら、また大規模な災害が起きるということになりはしないかと、私はそんな懸念というか不安をこの畑村先生の記事を見て思ったんですけれども、大臣はどんなふうな感想を持たれますか。
○斉藤国務大臣 今回の法案は、名前こそ宅地造成等規制法の一部を改正する法律案という名前になっておりますが、内容は、先ほど古川委員おっしゃった、抜本的な改正、ゼロからの出直しという内容になっていると私は思っております。
熱海市の災害を受けて立ち上げた有識者検討会では、盛土による災害の防止のため必要な対策について、様々な見地から根本的な御議論をいただき、昨年十二月の提言において、盛土等に伴う災害を防止するため、危険な盛土等を包括的に規制する制度を構築すべきとされたところです。
この提言を踏まえた今回の法案については、現行の宅地造成等規制法が、盛土による災害の防止を直接の目的としていること、規制区域の指定、工事の許可制、土地の所有者の管理責任や都道府県知事等の勧告、命令など、盛土の安全性確保の観点から優れた規制手法を採用していることから、これをベースとしておりますが、法律の題名も含めて抜本的に改正し、新たな法体系を構築することとしております。
具体的には、危険な盛土から人命を守るため、必要かつ十分な規制区域を設定し、宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、単なる土捨て行為や土石の一時的な堆積も含めて規制することとしております。
また、中間検査、完了検査、定期的な報告制度により、許可基準に沿った安全対策が確実に行われていることを確認するとともに、違反行為に対しては厳格な罰則を措置することとしております。
これらにより、立法形式上は現行法の一部改正となっていますが、内容としては、危険な盛土を包括的かつ実効的に規制するため、抜本的な対策を講ずるものとなっている、このように考えております。
○古川(元)委員 思いはよく分かるんですけれども、それが本当にそういう形になっているかというと、ちょっと首をかしげざるを得ないと言わざるを得ないというところであります。
時間が参りましたので、最後にちょっと一つ。
今回の一つ、罰則について、さっきも福島さんからも少し話がありましたけれども、今回、違反行為に対する法人重科の規定が設けられることになりましたが、結構、こんなことを言ってはあれですけれども、やはり、こういう盛土関係で違反行為を行う人というのは元々悪意を持ってやっている人も結構いて、そういう人の場合には、違反行為をやるときには会社で何かやるけれども、それをやった後はさっさと法人を解散しちゃってとなった場合に、先ほどは、そういう、会社とかがなくなったら個人に責任を追及するんだと言いましたけれども、結局、そうなると、個人に追及するんだと、法人に対する重科を個人に重科できるわけじゃないので、法人には重科しましたといっても、結局それがうまくすり抜けられちゃう、そういうおそれがあるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○宇野政府参考人 お答え申し上げます。
法人が違反行為に関与した場合における罰則について、その法人が解散などにより消滅している場合は、法人の代表者、役員、従業員などの自然人に対して懲役刑、罰金刑が科されることとなります。
今般の改正により、自然人に対する罰則を抜本的に見直しており、例えば、無許可工事や安全基準違反については、現行の六か月以下の懲役、三十万円以下の罰金から、三年以下の懲役、一千万円以下の罰金にする、また、措置命令違反については、現行の一年以下の懲役、五十万円以下の罰金から、三年以下の懲役、一千万円以下の罰金にするなど、法定刑を大幅に引き上げることとしております。
これらを違反行為に対する抑止力としつつ、本法案による規制が実効性の高いものとなるよう、関係行政機関等とも連携して取り組んでまいりたいと思います。
○古川(元)委員 それでも、結局一千万円しかあれなんですよね、法人だと三億円なのに。結局、やはりそれは、法人重科した意味が、そうなってしまうと、すり抜ける抜け道がある。この辺、私はちょっと疑問を持つんです。
時間が来ましたからやめますけれども、是非、一歩進んだことは間違いないからいいんですけれども、やはり足らざるところはしっかり補っていくということが、昨年の事故で犠牲になられた皆様方に対する我々の責任ではないかと思いますから、是非そのことはやっていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○中根委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三分散会